予算委員会 第5号
- 発言数
- 418 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/03/17
会議録
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十八年度一般会計予算 昭和四十八年度特別会計予算 昭和四十八年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、瀬谷君の質疑を続行いたします。瀬谷英行君。
○瀬谷英行君 最初に、フィリピンの戦没者慰霊碑の問題で質問したいと思うんです。 聞くところによると、三月二十八日に、ルソン島に日本人の戦没者慰霊碑を建てる、その除幕式が行なわれるということなんでありますが、問題はその慰霊碑の性格でありますが、厚生省の予算で三千万円決定し、土地はフィリピン政府から提供されたということですが、日本人の戦没者慰霊碑ということになると、なかなか問題が起きてくるんじゃないか。これはどちらかというと、日本とフィリピンの戦争犠牲者、両方の合同慰霊碑という性格にしたほうが穏当ではないか、こういう気がするわけであります。そこで、この問題については、田中一議員のほうから先般質問書も出してあるのでありますが、その回答によると、慰霊碑の文字についてはフィリピン側と協議中であるということでありまして、その点どうなっておるかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。 さきの大戦におきまして、約五十万という日本の方々がフィリピンにおいてなくなられましたので、フィリピンに慰霊碑を建設したらどうだろうという計画が四十五年当初からあったわけでございます。その後、外務省を通じまして交渉をしていただいたわけでございますが、日本とフィリピンの友好親善関係がそこなわれるようなことがあってはなりませんし、フィリピンの国民感情を十分考慮していかなければならないということで、慎重に、さらに慎重に折衝を続けてまいったわけでございます。フィリピン政府といたしましては、当初から、なくなられた五十万という日本の方々の遺族の心情も十分考慮し、日比親善という観点から、積極的にこの計画に協力しようという態度をフィリピン政府も表明いたして、しかも、その建設地につきましては、当初数カ所の候補地を示してまいりましたが、昨年の七月、フィリピン政府がみずから視察されまして、この土地が一番いいであろうということで、国立公園予定地でありましたルソン島のラグナ州カリラヤに建設することになりましたので、四十七年度の予算三千万円でこの碑を建設することにいたしました。この二十八日に竣工式並びに追悼式を行なうということに決定になった次第でございます。その碑の名前は、比島戦没者の碑ということで、フィリピン政府とも相談をいたしまして、かように決定をいたしたわけでございまして、私どもといたしましては、当初から日比親善友好ということをそこなわれることがあってはならないし、またフィリピン人の国民感情というものを十分に考慮しなければならないということで、慎重の上にも慎重な態度で外務省を通して折衝をいただきまして、まとまりました。こういうふうになった次第でございます。
○瀬谷英行君 ルバング島の小野田少尉を捜索をする厚生省から派遣された人々がルバング島に渡る前に飛行機で墜落をしてけがをした、こういうニュースを聞きましたけれども、小野田少尉の捜索等も現在フィリピンの協力を得て行なわれているわけです。それだけにフィリピンの国民感情をさかなでするようなことがあると問題が起きると思うし、またこれらの問題についてはフィリピン側と十分に協議をして、その了解を得る、戒厳令をしいてあるからだいじょうぶだということではなくて、国民的な了解を得るということが必要であろうというふうに考えておりますが、それらの点についても十分な配慮が行なわれているのかどうか、これは外務大臣からお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、こういう企てがフィリピン国民の感情をさかなでするようなことがあってはならないことは仰せのとおりでございます。私どもも、その点につきましてたいへん心配いたしまして、現地の各方面の御意向を十分承ったわけでございますが、とりわけマルコス大統領御自身が戦争の犠牲者であられますが、大統領御自身も、その問題については御心配の必要なかろうという、いわばアシュアランスを与えられておるわけでございます。進んでいろいろ御協力をいただいております。したがって、遺族の方々のお気持ちと、それからフィリピンの国民の感情というものを調和させた姿において実現してまいることができればよかろうと判断しておったのでございますが、いま厚生大臣から御報告がありました内容でもっていたしますれば、御指摘のような心配はまずなかろうというように私どもも判断いたしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 小野田少尉の捜索がいま行なわれておりますけれども、まだ見つからないようです一その捜索の状況、並びにそのほかにもフィリピンあるいはよその南方地域に同じような境遇の人が残っているかもしれないというふうに考えられますが、その点についてはどうでしょうか、この点を厚生大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(齋藤邦吉君) ルバング島におきまする小野田元少尉の捜索につきましては、全力を尽くして努力をいたしておりますが、まだはっきりつかむことができないわけでございますので、二月初旬、約五十名ほどの第三次派遣団を派遣をいたしまして、目下捜索をいたしておるような次第でございますが、この件につきましても、フィリピン政府の非常な御協力をいただいておることを感謝いたしておるような次第でございます。 昨日も、実は空軍の飛行機が飛ぼうといたしまして、とうとう飛び上がることがなく、まあ日本の派遣隊も無事でございましたが、向こうの空軍の方々に多少の負傷をさせましたことはまことに残念でございまして、さっそく本日フィリピン政府のそれぞれの関係の大臣に対してお見舞いの電報を打つ予定にいたしておるような次第でございまして、何とか、この第三次派遣団によりまして、一日も早く本人が日本に帰れるようなことがあれば非常に望ましいことだと存じまして、努力をいたしておるような次第でございます。 なお、そのほかの島にも、そういう方があるいはあるかも存じません。もし、そういう情報がありましたならば、私どもといたしましては、草の根を分けてでも、平和になった日本ということを認識していただいて帰っていただくように、そういう情報があれば、今後とも全力を尽くして努力をいたす考えでございます。
○瀬谷英行君 この問題はこれで打ち切りまして、国鉄の動力車労働組合のストライキの問題でありますが、まあ交渉が不調でついにストライキに入ってしまって、場所によっては非常に混乱をしておるということでありますが、どういう経過をたどってこういう結果になったのか、その点の報告を求めたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 動力車労働組合と私のほうとの問題につきまして、簡単にいままでの交渉の経過を申し上げます。 結論から申しますと、けさ午前零時三十三分ごろ、動労から私どもに電話で通知が参りまして、十七日にストライキに突入するという通告がございました。その前に、昨日の九時半から約一時間、私と動労の委員長と二人だけの会談をいたしました。 そもそもこの問題は、御承知のとおり、去る三月五日から動労が順法闘争に入ったわけでございますが、その要求事項は、実はその前の日の三月三日土曜日の夕刻、突如持ってまいったものでございまして、御承知のとおり、いままでの労働慣行から申しますれば、十分折衝した後に、その後いわば実力行使に入るというのが、いままでの労使間の二十数年間にわたるルールでございました。今回はそうでなしに、まず実力行使に入ってから交渉するという非常な異例な姿でもって始まったわけでございまして、その結果、五日から非常に大きな輸送の混乱を示したわけでございます。その後、連日ほとんど徹宵いたしまして、説得あるいは交渉を重ねて問題の解決に当たってまいりました。この間、去る三月十日には、労働大臣から双方に対しまして問題の解決につとめなさい、とにかく実力行使をやめて、そして事態の収拾をはかるようにという御要望がございまして、私のほうといたしましては、全力をあげて、その御趣旨に沿うべく努力をいたしました結果、同じいわゆる共同闘争を組んでおりました国鉄労働組合は、三月十一日の未明に事態を収拾いたしまして、そしていわゆる闘争をやめたわけでございます。ところが動労のほうは、これにこたえることなく、あくまでも闘争を継続いたしまして、私どもといたしましては、極力良識を持って行動するよう説得を重ねまして、また、いろいろ具体的な問題につきましても解決につとめてまいりました。その間、運輸大臣からも、特に保安の問題については、これは労使問題以前の問題として具体的に真剣に取り組むようにというふうな、特に大臣の御指示もございまして、私どもといたしましても、保安設備の問題は、まず国鉄の経営上安全が第一であるという公の責務の立場から、いままでよりさらに一そうその整備につとめるというふうにいたしまして、そうして、いろいろ前向きに、また具体的に話を進めておったわけでございます。 それで、昨日の交渉の過程におきまして、いわゆるスケジュール闘争として、きょうはストライキをやるというふうなスケジュールも聞いておりましたので、私どもといたしましては、諸般の情報に基づきまして、いわば最終的な私としての提案をする段階であるということに考えまして、諸般の情勢から考えますと、いわゆる運転保安問題については、私の去る十三日に行ないました提案について、おおむね満足であるという情報を得ておりました。 さらに、最も動労の焦点といたしておりました深夜の乗務の回数でございます。これが動労側の最終的な問題の焦点であるということ、これは各方面から種々情報を集め、また、予備折衝の過程におきまして、おおむねこの問題が問題解決の山であるということは確定的であったわけでございますので、それにつきましても、実は国鉄労働組合がすでに同じ問題を出しております。片っ方が闘争をして解決したというのでは、これはやはり労使間のルールに反しますので、十分国鉄労働組合とも、事前にと申しますか、意向も聞きまして、そうして深夜の交番の回数を減らすということで、前向きに協議して、早急に結論を得るよう、私自身昨夜九時半に提案したわけでございます。その点につきましては動労の委員長も非常によくわかったということで、私はその線でもってぜひ事態を収拾してほしいと、運転保安問題とこの回数制限問題と、この二つでもって、大体三月三日に突如として出してこられた申し入れについては、私としては最高の誠意と努力でもって結論を出したのであるから、ぜひこの線で収拾してほしいというふうに申しましたところ、また突如として、いや、二人乗務の問題が解決しなければ困るというふうな話でございました。これは予備折衝の段階における話と非常に違いますので、その問題は、去る十三日にお互いに会ったときに組合側は強く主張したけれども、この問題は並行線であるということを確認してある、私はその確認の線を出ることはできないというふうに主張いたしました。約一時間の会見の後に、私は重ねて動労の委員長に、これから本部へ帰って、ぜひみんなを説得して、そして国民の迷惑を防いでほしいという要請を重ねていたしまして、昨夜十時四十分ころ別れたわけでございます。 その後の情報によりますと、それから間もなく動労本部におきまして中央執行委員会を開きまして、約四、五十分から一時間の検討の結果、目黒委員長の持って帰った総裁の提案は受けることはならぬという結論に達したようでございます。私どもといたしましては、まあいままでのルールから申しますれば、一応責任者同士、話をし、大体の予備折衝の段階できまったことを、最終的に当事者同士、最高責任者で確認し合って、それを了承するというのがいままでのやり方でございましたが、残念ながら、今回におきましては、いままでのわずか十幾日間の折衝の過程におきましても、二、三回、予備折衝でついた話が、どうしても戻ってきてやはりだめだったというふうな話がございまして、実は私ども非常に交渉に難航いたしまして、私も二十数年間労働問題のお相手をいたしておりますが、こういう経験はかつてなかった経験でございました。 しかも、この二人乗務の問題は、もうすでに、非常にいろいろ問題になったことは御承知のとおりでございまして、これは去る昭和四十二年から約五年間にわたりまして、非常に労使間の問題になった問題でございます。で、これを最終的に結論づけるべく、日本のその方面の最高権威といわれる方々にお集まり願いまして、これは国労、勤労、私どもと、三者でもって、その先生方に、電気機関車・ディーゼル機関単の一人乗務問題の委員会、いわゆるEL・DL委員会というものを、三者でもってお願いしてつくっていただきました。そうして、その結論に基づきまして、いろいろ議論していただいた結論に基づきまして、それを四十四年の十一月に国労、動労、鉄労、私どもと、四者でもって、完全な実施の協定を結んだわけでございます。 さらに昨年の五月、深夜の二人乗務の問題につきましても、三組合と私のほうで具体的なやり方につきまして交渉を妥結いたしまして、その後その線に沿って実施しているわけでございまして、それをいま突如としてそういうものを復活要求するということは、いままでのルールでは考えられないことでございますし、私どもといたしましては、この点については一切のむわけにいかない、残念ながらこれは要求に応ずるわけにはいかないけれども、片っ方の深夜の回数のほうの問題については私は最大限の譲歩をするということを申したのでございますが、不幸にして結論を得ず、こういう事態になったことは非常に残念に思います。 私どもといたしましては、いままでも、去る五日から非常に多数の方々に御迷惑をおかけいたしまして、非常に、また国民の皆さまにも物資の不足その他でいろいろ御迷惑をおかけいたしまして、非常に申しわけなく思っておる上に、さらに今日の事態でもって、まことに何とも申し上げようない事態でございますが、ただいま、けさからずっと全力をあげまして、先般の上尾事故のようなことの起こらないように、いま全力をあげて事態の収拾に尽力中でございます。 以上御報告申し上げます。
○瀬谷英行君 現在の運行状況は一体どうなっておるのか、回復の見通しはどうなっておるのか。 それから、昨日の深夜の交渉でもって、いわゆる深夜の乗務回数の問題ですね、これが話がまとまったというふうな報告があったのですが、ではこの問題については話し合いがついたのかどうか、了解点に達しているのかどうか。問題は、二人乗務の問題があるし、乗務回数の問題がある。じゃ乗務回数なら乗務回数と、一つ一つ問題を解決をしていかなければならないと思うのですが、これは一つ解決をして、残ったのは二人乗務だけになっているのかどうか。それらの点についても御報告をいただきたいと思うのです。
○説明員(磯崎叡君) 初めに、あとのほうの御質問からお答え申し上げますが、私のほうといたしましては、いわゆるストライキをやめるということに対する一つの条件と申しますか、交渉の内容として、いま申しました深夜の回数の制限の問題を、回数を減らすということを提案したのでございまして、その点につきましては妥協に達しておりません、したがいまして。私のほうが提案したものを残念ながら組合が了承しなかったという結果になっておりますので、その点は全部白紙に戻っているという形でございます。しかし、運転の保安問題につきましては、私どもといたしましては、私ども独自の必要性、独自の緊急性からこれは私は実行してまいる、私どもだけで実行してまいるという所信でございます。 現在におきます状況を申し上げますと、ごく簡単に申し上げますと、新幹線は大体十分ないし二十分おくれで走っております。大体それほどひどいおくれはございません。全国的に申しますと、いま一番混乱いたしておりますのは、東北線の岩手県の盛岡付近でございます。それから、山口県と九州の間の関門のトンネル、ことに下関を中心とする輸送でございまして、この盛岡付近におきましては、いま数個列車が、下りでございますが、数個列車が、一番長いのはけさ午前二時から立ち往生したままでございまして、いろいろな、若干負傷事故等も、旅客ではございませんが、私のほうの乗務しておった職員が負傷するというような事故、負傷入院というような事故もございまして、いろいろトラブルがございます。したがって、午前二時に着きました列車がまだ盛岡の駅にとまっております。また、下関付近におきましては、関門海峡のトンネルを通ります特殊な機関車を連結する作業を、いわゆるピケその他でもって、相当猛烈な妨害をいたしておりまして、下関駅におきます機関車のつけかえ作業が非常に困難を来たしておりまして、いまいろいろそういった業務妨害の排除をやっておりますが、いまのところ、残念ながら一時間一本程度の列車しか通っていないというふうな現状でございます。したがって、全般的に申しますと、東北線と山陽線が相当乱れており、そのほかの線区につきましては、おおむね相当おくれは持っておりますが、走っております。ただ、上越線につきましては、これはほとんど動労の乗務員が乗務しておりますので、ほとんど運転をとりやめておりまして、高崎線も、この間、問題のような、中距離電車は全部運転をやめております。これは全員が動力車乗務員でございますので、職場放棄いたしておりますので、運転することができませんで、高崎線は全部とまっております。また、上越線もそういう状態でございますので、いま、けさほどから運輸大臣からいろいろ御示唆をいただきまして、全国でバスを二百四、五十台かき集めました。ちょうど不幸にして土曜、日曜で、非常にバスの出払っているときでございまして、やっと二百四、五十台のバスを集めまして、いま一番長距離では、新潟県の長岡から東京へ向かって列車のかわりにバスでもってお客さんを運んでおります。 その他こまかいことは省略いたしますが、この付近の国電につきましては、ちょうどきょう土曜日でもって、学生もおりませんので、わりあいに閑散でございます。全体的に申しますれば、各線とも大体平常の半分ぐらいの運転で、これは国労、いわゆる国鉄労働組合の職員によって動かしております。動労の職員は一人も働いておりません。そういう事態で、げた電と申しますが、この付近の電車につきましては、いまトラブルはございません。 また、一部過激派の学生が、私のほうの駅構内に参っておるところがございます。高崎あるいは東京付近でも、三々五々上野その他に集まっておるようでございますが、これらは今後どうなりますか、もう少し模様を見ないとわかりませんが、いまのところではそう大した大きな事件はございません。したがって、総括的に申しますれば、現時点におきまして、けさの十時の時点におきまして、全国的にそれほど大きなトラブルがなく、また、いまの時点におきましては、警察当局の御見解によりましても、上尾事件のようなことの起こる可能性はわりあいに少ないというふうな御判断でございますが、しかし、これは十分注意しておかなきゃいけないというふうに思います。 最後に、貨物列車はほとんど全部とまっております。これは、残念ながら動かす力がございませんで、貨物列車はほとんど全部、わずかに生鮮食料品の列車が数本だけ走っておりますが、東京付近の操車場における動労の職員の入れかえ作業が全部とまっておりますので、貨物列車は東京に参りましても、市場に入れないというふうな状況でございます。 以上、たいへん残念なことでございますが、近況を御報告申し上げます。
○瀬谷英行君 事態収拾のための努力をどのようにいま行なおうとしておるのかというようなこと、これは政府として早急に手を打たなければならぬ段階に来ているのではないかと思うのでありますが、運輸大臣もしくは労働大臣から見解を承りたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 状況は国鉄総裁から御報告をしたとおりでございますから、私からは繰り返して申し上げません。今日の混乱した状態を収拾する手だてにつきましては、運輸省といたしましても国鉄に協力をいたしまして、大体、非常に大きな混乱状態が起こらないようにできる見通しでございます。 今後の問題でございますが、これは一応動労のスケジュールとしては、きょうのスケジュールを組んでおるので、あとは、そのスケジュールから申しますと、一応平常に戻るということのようでございますけれども、事情がこういうふうに変わってきておりますので、今後どういうふうにこれが動いてまいりますか、まだ、きょうの午後の状態を見ないと、これは判定ができません。具体的には、そういう状況を見た上で、さらに国鉄とも十分連絡をして、なるべく一時間でも早くこの状態が終息するように私も努力しなければならぬと思っております。 根本的な問題といたしましては、今後、もしもこういった紛争がさらに長くなるようでございますと、これは労働大臣ともよく相談をいたしまして、法規に書いてありますようなこと、あるいはそれ以外のことにつきましても、できるだけの努力を重ねまして、この事態が早く収拾するように万全の措置をとりたいと考えておるのでありますが、まだ、この状況がどういうふうに動いてまいりますか、判然といたしませんので、そういった状況とにらみ合わせた上で適切な措置をとる以外には、いま方法がないということでございます。
○国務大臣(加藤常太郎君) お答えいたします。 昨日申し上げたとおり、これはなかなかいろいろ微妙で複雑化いたしておりますし、三十何万のうちで五万のグループがなかなか納得していただけない、こういうふうな関係で、やはり国民の寸場においてひとつ翻意をしてもらう。いま解決をさすのであれば、全部国鉄がのめばこれは解決するかもわかりませんが、これはなかなか健全な労使の関係、また健全な労働運動の発展、国鉄の合理的な管理運営、いろいろの点もありますので、いま直ちに政府が介入してどうだということはなかなか困難でありますが、しかし、推移を見て、今後熱意をもってこの問題に対処いたしまして、いろいろな方法も考えております。
○小林武君 関連。 同じことを毎日よく飽きもなく御答弁になっているという感じがするわけです。しかし、事態はどうであるかということを、運輸大臣も、労働大臣も、それから国鉄の総裁もお考えになるべきだと私は思います。なぜかというと、問題は、二人乗務の問題が最終的な結論になっている。これが解決すれば問題は解決するというところまで来ておるわけです。その二人乗務の問題をどうしてもがんばるという理由が私にはわからない。なぜならば、航空機の問題についても、日本の航空機に乗っている乗務員の諸君が何と言っているかというと、きわめて不完全な管制のもとにおいて、非常に危険だということも彼らがみな集まって言っている。航空機事故もずいぶん起きている。私は、国鉄といえども、絶対事故が起きないなんていうことは言えないと思う。安全の上にも安全を考えるということが、少なくともこれは政府の責任であると私は思うのです。安全の上にも安全を確保するという態度、その態度を確保するという立場からものを考えなければ……。いろいろな条項があって、もうとにかくこの条項を全部のまなければというところであるならば、これはなかなか困難であるかもしれない。しかし、二人乗務の問題というところの最終的な段階にまで来たならば、なぜこれほど渋滞さして、一体、ものの解決をはからないかということが私にはわからない。 私は、国鉄の総裁が、これは昭和四十二年から四十四年に至るまで、たいへんな、いろいろな相談を重ねて、最高の権威の人たちの答申に基づいてやったと、こう言うけれども、その時代から今日に至るまでの過密の度合い、これは列車のです。それから乗客の膨大な増加、そういうものを考えましたときに、労働条件が変わっているかどうか、あるいは設備その他が変化がないかどうかということを考えなければいかぬと思う。そうすれば、私は、総裁としても、どこまでもそのときのあれを最高の条件としてがんばらなきゃならぬ理由はないと思う。しかし、ただ総裁は一つの責任ある立場にもあるし、しかもあなたは、当事者能力という点から言えば、私は完全でないと思っていますから、苦しい立場はわかります。わかりますけれども、国民国民ということであるならば、生命、財産の問題から、さらには、たとえばいま生鮮食料品がどうだとか、貨物の輸送がどうだとかいう問題があるが、これも国民の生活にじかにかかわる、そういう重大なあれを、その点一つのために一体がんばり通すという理由が私にはわからない。それについて労働大臣が終始言っているのは何かというと、介入する余地がない。あなたのやることは、こういう状態の中で労働者が完全な労働条件を保っているかどうかということ、安全の度合いから、国民の側から言えば、国民の生命、財産を保障するだけの安全性が国鉄の中にあるかどうかということを考えて、労働行政の立場から判断するべきなんです。あなたは何もこれの仲裁機関じゃないんです。労働行政の上からどうするかということを考えればいい。それがないところに問題点がありますよ。たとえばスト権の問題についても、答申が出ましたら、答申が出ましたらという政府の態度は繰り返し言われている。そのことの前に、日本の労働条件というものは、日本の労働者の基本的権利というものは、国際的にいってどういう一体レベルにあるかということを考えるのが、これが政府の責任でありませんか。私は、そういう立場から考えて、この段階に来て、列車はとまる、貨物列車もとまる、どうもこうもならぬというときに、いまの運輸大臣の話だというと、結局、言ってみれば、これに対して弾圧的処置によってものを解決しようという考え方でしょう、法規による、それ以外のさまざまなことをやりたいと、こう言う。何をやっているんですか。私は、そのほかにやったら、それについて答弁してもらいたい。どんないい手があるか。これは両者の了解以外にしかないじゃないですか、労働者とそれから政府の間にしか。あるいは国鉄総裁との間の関係で解決するしかないでしょう。 それから総理大臣にお願いしたいんですけれども、お尋ねしたいんだけれども、二人乗務という問題を、あなたは日本の交通機関の安全、しかも国鉄という、そういう性格を持ったものに対して、二人乗務の問題がそれほどがんばらなきゃならぬ理由がありますか。それをお尋ねしたい。一体労働争議を、あなたは一方の相手として、彼らを負かさなければ承知できないという理由がどこにあるのかどうか、ひとつここで御答弁を願いたい。
○国務大臣(新谷寅三郎君) お尋ねがございましたので、お答えいたします。 この二人乗務の問題につきましては、私も実は、ここで言う安全を確保するために技術的にどうかということにつきましては、私個人は判定する能力はございませんが、ただ、先ほど国鉄総裁も申し上げましたように、この問題については斯界の権威者を集めまして、数年にわたって労働組合の人たちも一緒になっていろいろ協議をいたしまして、一つの線が出ておるということでございまして、動労だけではなく、ほかの国鉄関係の労働組合はその線に沿って今日まで安全に運行をしておるというのが実情であると思います。でございますから、そういった問題について新しい何か事実がございました場合には、それについてはさらに再検討するということもありましょうが、現在の状態におきましては、いままでお互いに確認し合った線、それを守っていってもらいたいということを国鉄総裁は言っておるのでございまして、技術的によくわかりませんが、私はその方法は一応了解してもいい方向じゃないかと考えておるのでございます。 それからお尋ねがございましたが、法規云々と申しましたことは、すぐに処罰ということに結びつけてお考えになりましたようで、これは誤解でございまして、私は、昨日も申しましたように、公労法では、当事者同士がどうしても労働条件について意見が合致しない、したがって紛争がおさまらない場合には、公労法にはそのために公労委というものがございまして、第三者的立場においてそれを仲介をしたり、あるいは仲裁をしたり、いろいろの方法がございまして、第三者の立場から見てこうしたらどうだというような結論を出し得る仕組みになっておるんでありますから、そういったことも考え合わせまして、労働大臣ともよく相談をして、今後の問題については善処をするようにしなきゃならぬ、すみやかにそういう方法を考えなきゃならぬということを申し上げた次第でございます。
○国務大臣(加藤常太郎君) 関連の御質問でありますから、労働行政について安全の問題、労働条件の向上、いろいろな……。
○小林武君 関連だから質問じゃないと思っているのか。
○国務大臣(加藤常太郎君) いや、そういう気持ちはありません。 かような問題に対しましては、御趣旨のとおり、労働行政といたしましては熱意をもって対処いたしておりますが、ただいま言ったように、いろいろな問題に介入ということばが使われましたが、仲へ入りましていろいろやっておりますが、当事者同士の専門的な問題に労働大臣がそれを一々指示することはできない、しかし緊急の場合にはこれに対していろいろなことを考えております。決して熱意がないというような気持ちは毛頭ございませんから、この点は誤解のないようにお願いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 労使の問題に対して政府が直接介入することはできません。できませんから、この内容に対してお答えをすることはできません。しかし、一般的な問題として、公共機関であるところの鉄道が複数以上の乗務を必要とするかどうかという問題に対しては、これは生命確保、安全確保のために、諸般の角度から考えなきゃならぬことは言うをまちません。これはもう安全運行第一であるというのはわかりますが、世の中には運転者なしでもって機械で飛行機の着陸もできるような状態にもなっていますし、また、バスはほとんどワンマンバスになっておるわけです。ですから、問題は深夜に疲労度が激しい勤務状況をどうするか、それから新幹線のような超高速のものに対して複数以上にするかというような問題が考えられるわけであります。また、鉄道そのものの乗務が一名であっても、急病が起こらぬということはないわけでありますから、そういう場合には一体機械と人間との間の調整がどうなっておるのかというような専門の問題もありますし、これはやるにしても、そういう問題を検討するにしても、技術的にも専門分野でいろいろな角度から検討しなければならない問題であって、いまストを続けるから直ちに片づくという問題では私はないと思うんです。これは、全く労使の交渉の内容に対して立ち入る立場にない政府でありますから、具体的な問題に対して申し上げておるんじゃありませんが、あなたが人命尊重という立場で政府は一体複数乗車にどう考えるかということに対して、一般的な立場で申し上げたわけです。
○小林武君 委員長、委員長、簡単だ、簡単だ。
○委員長(大竹平八郎君) ごく簡潔に一言……。
○小林武君 簡潔だ。一言申し上げておきますが、介入なんというような変なとり方をしてもらいたくないんです。政府は少なくとも国鉄というものに対して、運輸大臣もいるんですから、これについてはある程度の責任はあるということなんです。そして、しかもだんだん問題が詰まってきて、まあ国鉄総裁からいえばいろいろ言いたいことはあるかもしれないけれども、二人乗務の問題が出てきた。そこで、一ぺんで解決するというならば、これについて、この時点で労働者との間に話し合いをるけられないかということなんです。それについて政府は、一体、関係担当大臣はもちろんのこと、総理も含めて、そういう問題について関心を持つのは介入でも何でもないですよ、これは。 それから総理がいまおっしゃった、非常に先の長い話でね、人間が乗っていなくても安全性はだいじょうぶというような、それはいまこの時点に持ち出してもだめだ。新幹線が日本じゅうに行き渡った場合にどんな事故が起こるかということは新聞のたねにもなっている。起こった場合にはたいへんなことだ。起こった場合にはたいへんだということを考えながらやるのが人命尊重なんです。そういうことを申し上げておきます。答弁は国鉄総裁。
○説明員(磯崎叡君) 二人乗務の問題についてこういう席で申し上げますと非常に長くなりますので省略いたしますが、いま総理がおっしゃいましたとおり、これは人と機械のコンビネーションで二人乗務にしてあるわけでありまして、かりに一分間何もしなければエマージェンシーブレーキがかかってとまるという装置が開発されましたからこそやったのでございまして、ただむやみに一人取ったわけではございません。したがいまして、私どもといたしましては、この問題については、先ほど申しましたようないきさつから一切譲歩する意思はございませんし、また、すべきものでもないということを確信いたしております。
○瀬谷英行君 委員長、あまり口数が多いと、かえっておくれますからね。いろいろ言わないほうがいいと思う。
○委員長(大竹平八郎君) 委員長は議事の責任者ですから。
○瀬谷英行君 ワンマンバスのことについて総理がちょっと触れましたが、ついこの間、そこの永田町小学校のところでワンマンバスが永田町小学校の子供をひき殺したという事故がありました。あれは、ワンマンバスだからああいう事故が起こったんです。車掌がいればああいうことはなかったと思うんです。したがって、ワンマンになる、つまり合理化をして人の数を減らすということが決して安全にはつながらないと思うんです。むしろ、この国鉄の運行の問題等は、安全を第一に考えるということが大事じゃないか。それを合理化のワクの中で考えていくということになると、いろいろとトラブルが生じてくると思う。しかし、実際問題として、今日のように、生鮮食料品の輸送にも重大な支障を来たすようになってきた。もちろん、通勤、通学生にも多大の迷惑を与えるようになってきたということになりますと、単に国鉄だけの問題じゃなくなってくるんですよ。政府全体がこれは政治問題として取り上げる必要が出てくると思うんです。したがって、政治問題として取り上げる以上は、内容はよくわからないけれども、早く解決してくれじゃ済まないと思うんですね。だから、内容の問題についても十分に検討して、一体どうしたらこの問題を解決できるかということに真剣になって取り組むべきじゃないかと思うんで、その点を私は総理にお伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) それはもう真剣に取り組まなきゃならないということは当然であります。鉄道の生命は安全運行と定時運行ということにあるわけでございますから、安全運行をはかるために定時運行を妨げておるという現状というものに目をおおってはならないわけでございます。しかも、いま世界的な傾向もあるし、いろいろな問題もあるわけでありまして、技術的にいまにわかに解決できないという問題、まあ内容には立ち入りませんが、いま小林さんの指摘だというと、五つも六つもあったものの中でおおよそ片づいて、あと二人乗務の問題だけが残っているとしたならば、これは解決する問題があると私は思うんですよ。第三者機関や、いろいろな専門家の結論を待たなければにわかに結論が出せない問題じゃありませんか。そういう問題を、いつまでも順法闘争を続けておれば解決をするという立場は、そのまま是認するわけにはいかないんです。ですから、こういう問題に対しては、やはり第三者機関もあるわけでありますから、いま労働大臣も述べておりますように、これが不服であれば技術的な陣容を整えてもいいし、いろんな意味から、航空機の事故に対してもあれだけの広範な調査機関が設けられておるわけでありますので、労使の間だけで解決できない問題であるならば、専門家にゆだねて国益を守らなけりゃいかぬと、しかもその中で、労使の慣行や労働者の権益も保護されなければならぬという私はすなおな考えで、道はあると思うんです。そういう意味で政府も最終段階を迎えておるんだろうと、こう述べておるわけでありますし、無為無策でおるわけじゃありません。
○瀬谷英行君 法律的にきめられた第三者機関が役に立っていれば別ですけれども、役に立っていないということであれば、一体どうしたらいいかということを考えるべきじゃないかと思うんです。ただ先ほどの労働大臣の見解では、これは闘争そのものをやめさせるということにだけ主眼を置いておって、どうやったらこの事態をまとめることができるかということについては策がないように聞き取れたんですよ。そうでなければ幸いなんだ。だから、その点はやはり労働大臣は、あなたは労働行政の責任者ですから、何といっても。いま起こっている労働問題、これはもう全国的な非常に重大問題になっているんだから、この問題を一体どうやったら解決できるかということについては、もっと真剣に取り組まなければならないし、積極的に努力する必要があると思うのです。それらの問題について、労働大臣の確たる信念をここで披瀝してもらいたいと思うんです。
○国務大臣(加藤常太郎君) いろいろ問題に対しまして、労働省といたしましては十分熱意をもって、この問題に対して確たる結論を出せと言っても、いまさっそくは無理でありますが、十分御意見のように善処いたします。
○瀬谷英行君 安全の問題が出ましたから、じゃこれからの問題で総理にお聞きしたいと思うんです。あなたの書かれたこの日本列島改造論、これ、読ましてもらいました。なかなかおもしろかったと思うんです、定価五百円というのはちょっと高過ぎると思いましたが。この中で、やはり新幹線の問題に触れておる。しかし、新幹線についてもこの間脱線事故があったんです。脱線事故があったということは、たまたま重大な事故にならなかった。大ぜいの死傷者を出さないで済んだけれども、これは僥幸だろうと思うんです。しかし、脱線事故があったということは、今後もないという保証はないんです。したがって、やはり安全ということについては、これは万全を期する必要があると思うんです。この動労の闘争でも、事は安全から発しているわけですね。そこで、国鉄としては、新幹線の安全について自信があるのかどうか、問題はないのかどうか。先般の調査委員会が結論を出しましたけれども、その結論に対しても部内からいろいろと批判があるということを聞いているんです。批判があるまんま、これを口を緘してそのままほったらかしにしておくということは問題だと思うんです。その点、国鉄のほうからも報告をしてほしいと思うし、また、新幹線の安全についての総理の見解も承りたいと思うんです。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 新幹線の安全設備につきましては、瀬谷さんと同じように私も非常に心配をしておりました。先般大阪における脱線事故がございまして、国鉄当局ではさっそくその原因を究明するために非常な努力をしたんですが、相当長い間研究いたしましたが、なかなかこの原因が発見できませんでしたが、幸い、先般その原因はこうでございますという報告がございました。この点については、あとで、国鉄総裁が来ておられますから、国鉄総裁から詳しく答えていただきたいと思いますが、とにかく、その報告によりますと、いままで新幹線の生命といわれておりましたATCによる障害ではないということがほぼ明瞭になったわけでございます。私としましては、単にそのATCのようなものだけではなしに、新幹線が運行いたしましてから、もうすでに相当時間がたっておりますから、もう一ぺんこの際に新幹線の全部にわたりまして安全点検をする必要があるんじゃないかということを考えましたので、国鉄総裁に対しまして、さっそくあの事故のありました直後に、新幹線の技術的な総点検を指示いたしました。国鉄では、それはもっともであるということで、三月一日から三月の末まで一カ月間にわたりまして、国鉄の技術陣を動員いたしまして、ただいま全部の施設についての点検をいたしておる次第でございます。三月の末あるいは四月の初めにはその結果が出てくると思いますが、私どもは、今日まで新幹線についてはさしたる安全上の障害がなかったということだけで満足するわけにはいかないのでありまして、そういった総点検をときどき行ないまして、絶えず新幹線における安全というものにつきましては最大の注意を払い、また努力をしていきたい、こう思っておりますが、大阪の事故についての報告は国鉄総裁からいたさせます。
○国務大臣(田中角榮君) 新幹線の運行に対しては、安全第一主義でやる、第一主義でいかなきゃならぬということはもう言うをまちません。文明の発達、科学や技術の発達によって自動制御装置が直ちに働くということがあっても、無人で運転をするというようなものに早急に切りかえられるものではないということは、もう私も承知をいたしております。また、飛行機などでも、全く予期しない鳥の大群が吸い込まれたために事故が起こることがございますし、この間のように油というような予期しない問題に対して事故が起こるということもあり得ますから、これらは一つ一つの積み重ねによって技術的にも改良が行なわれるわけでございます。しかし当分の間、少なくとも二百キロ・パー・アワーのものが二百五十キロ・パー・アワーのものにいま新幹線建設が進んでおるのでございますから、そのような場合、新幹線には複数乗車ということを原則にしておると、複数乗車がもっともっと時間がたてば単数乗車になると思いますが、しかし、それかといって自動制御装置がいかに理論的に完ぺきであっても、人間を乗せないで運行するというようなことには、よほど慎重な配慮が必要であると、もう世の中がほとんど全世界的に超高速道路建設の趨勢にありますので、各国の情勢も見ながら、やはり世界的な技術の粋を集めて安全運行を確保するということが第一でなければならぬ。これはもう当然のことであって、安全運行が合理化とか、その他のものにはるかに優先するものでなければならないということは承知いたしております。
○説明員(磯崎叡君) 新幹線の先般の事故につきましての調査委員会につきましては、まあ私どもの関係する技術者の、いわば名誉にかけてあの結果を出したわけでございまして、その結果、私もいろいろ勉強いたしましたが、絶対に御心配はないということでございます。ただ、あの調査報告書についていろいろなことが言われましたことは、実はこういう点が一つございます。技術者の諸君があらゆる角度から解明して、こうだという一つの結論を出しましたが、私は、さらにもう一つそれにつけ加えて、もし乗務員の言っていることがそのままだとしたら、そういうケースが起こり得るか起こり得ないかということを考えてみろと、頭から起こり得ないんだ、そういうことはあり得ないんだということでなしに、もし乗務員の言うとおりであったら、事態が起きたとしたら、それはどういう原因で起きてるんだろうかということまでひとつ考えろと、いやあり得ないと、あり得ないということでなくて 一ぺんあり得たとしたらどういう場合であるかということを考えろという非常に大きなフィクションを用いましたために、推定原因というものについて非常にわかりにくいという御批判がございました。しかし私どもは、それほどあらゆるケースを考えてやっているんだというふうに御了承願いたいと思います。 また、全体の問題といたしましては、いま運輸大臣がおっしゃいましたし、また総理もおっしゃいましたとおり、やはり開業後十年近くたっておりますので、いま徹底的に再点検、再々点検をいたしておる最中でございますが、絶対に御心配ないということを私の責任をもって確言いたします。
○瀬谷英行君 絶対にということは世の中にあり得ないと思うんですよ、これはね。新幹線ができた当時だいじょうぶかという意見がだいぶありました。石田総裁が、もうそのとき、やはり絶対に心配ないと、こう言ったんです。しかし、まさしく脱線事故は起きたんです、これは。そんなはずがないということを事故のあとで国鉄の当事者が言っておったとしても、事故が起きたことだけは事実なんですからね。だから、これはもう世の中に機械というものには故障がつきものです。飛行機の場合は、これは墜落になる。新幹線でもまかり間違えばえらいことになってしまうわけです。したがって、その原因の究明についてはいろいろと批判があるわけです。内部にも不満があるということも載っております。これらの不満あるいは不安というものを解消するための努力というものをさらに続ける必要があると思うんです。これは運輸大臣に、こういう新幹線の安全対策について運輸大臣としてはどのような対策を持っておるかという点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほどお答えしたことで尽きておると思いますけれども、新幹線の安全対策は、これは最も重要視いたしております。機器類その他の改良もあると思います。そういった改良すべき部分が出てまいりました場合、改良すべきよりよい機器が出てまいりました場合には、これは勇敢にこれを取り入れることはもちろんでございますが、いままで事故がなかったからといって放置しておくと、つい大きな事故につながっていく例が交通機関では間々あることでござますから、先ほども申し上げましたように、この新幹線の安全装置につきましては、絶えず点検をして、それが異常がないかどうかを確かめながら運行をしてもらうということを繰り返し繰り返しいつも注意をしながら、全体が安全運行を確保するための努力を続けていくということが一番大事じゃないかと考えておりまして、いまそういうことで国鉄当局に対しましては非常に強い指示をいたしておりまして、今後もそういう方向で努力をさしたいと思っておるのでございます。
○瀬谷英行君 ATCにも盲点があるんじゃないか、少し結論が出されるのが早かったんではないのか、政治的な推定があるんじゃないのかと、こういう疑問がある。また、ダイヤ本位の考え方でもって安全が犠牲になりはしないか、これらの諸種の批判あるいは不安に対して国鉄総裁はどのようにお答えになりますか。
○説明員(磯崎叡君) いま御質問のATC、すなわち自動列車制御装置につきまして、いろいろの問題があるようだとの御質問でございますが、いま、過般事故を起こしましたところは、いわゆる側線から本線に出てくるという特殊な場所でございまして、全国に四カ所ございます。これにつきまして何と申しますか、それをATCのうちの一部だけが一重系である。一重系、二重系と申しますのは、片方がだめになっても片方が生きるという意味でございますが、ほかの保安装置は全部二重系にいたしておりますが、ATCのある部分だけが一重系であったということでございます。それは即刻直すべきだということで、いまさらに二重系にする工事をいたしているわけでございますが、その他新幹線の営業そのものについての御批判でございますが、私どもはもちろん安全を犠牲にして営業するということは、これはあり得ないことでございまして、私ども、もし安全を害することがあれば、やはり一番先に私どもが責任を負うのは当然でございますので、私どもの責任の立場から申しましても、安全を犠牲にして商売するなんていうことは考えられないことでございます。しかし、私は、一昨日も小林先生に申し上げましたとおり、私どもはやはり謙虚な気持ちでもって、何と申しますか、事故という無限の事象に対して有限の金を使うという立場でございますので、その点はやはり常に事故という事象に対しては謙虚でなきゃいけないという気持ちを持っております。したがって、技術者の諸君にも、単におれの技術は世界一だというふうな自慢でなしに、やはり常に謙虚に反省してやってくれということを言ってきております。したがって、私は全般の問題につきましては、いま先生のおっしゃったような御批判はないというふうに思う次第でございます。
○瀬谷英行君 技術者の自信というのは、それは仕事に対するプライドかもしれませんけれどもね。この前、青函連絡船の洞爺丸が転覆したときも、設計上には何ら問題はなかったのだというふうに言っておった。ところが、そのあとで船をつくる場合には全然がらりと設計が変わってしまった。おそらくやはり設計上に問題があったんじゃないかということを推定をされても、死人に口なしで船長の責任にされて片づいてしまったわけです。ああいうことがどうも割り切れない感じをわれわれに与えるわけです。新幹線の問題にしましても、まかり間違って大きな事故になれば、これはそんなはずじゃなかったのだと技術屋さんがあとで言ってみたところで、犠牲になるのは乗客であり、あるいはまた乗務員なんですからね。命のほうはこれはもう保証されないことになる、事故が発生した場合には。したがって、それらの点については、これはもう絶対にだいじょうぶだといったような断言的なことではなくて、やはり謙虚な態度でもって、これからも十分に新幹線の安全については努力を続けるという姿勢は私は持ってほしいと思うのですよ。
○説明員(磯崎叡君) その点はお説のとおりでございまして、常に私どもは謙虚な気持ちで事故対策をやっていかなきゃならないというふうに思っております。
○瀬谷英行君 安全と同時に今度公害の問題があります。すでに名古屋周辺、大阪周辺でもって新幹線の通過地域ではいろいろな公害が起きておる。騒音の問題、振動の問題、電波障害の問題あるいは日照権の問題、これらの問題が起きているわけです。これらの問題は、これから新幹線を建設されようとする上越新幹線あるいは東北新幹線、北陸新幹線といったようなところにも、十分に考えなければならぬことだと思うんですけれども、現在までのこの新幹線の公害問題はどういう問題があるのか。それに対して当局としてはどのように対処をしておるのかということから、まずお伺いしたいと思うんです。
○説明員(磯崎叡君) 新幹線の公害問題につきましては、具体的に申し上げますと、東海道新幹線と山陽新幹線で相当実は違っております。と申しますことは、東海道で得ましたいろいろな経験を山陽新幹線に生かしておりますので、いわば山陽新幹線は一歩公害問題では前進したというふうに考えております。 いま一番問題になっておりますのは、いろいろ騒音、振動あるいは日照、テレビ障害といろいろございますが、そのうちのテレビ障害の問題は非常にNHKの協力を得まして、私のほうも相当な巨額な金を出しまして、大体、いま、シラミつぶしにやっておりますので、これはそう時間のかかる問題ではないというふうに考えております。で、振動の問題も、これは非常に地盤その他でもって一律にまいりませんで、やはり、振動によって起こります実際の実害を見た上で、それのあと始末をするという方法をとっております。 やはり、問題は騒音の問題でございます。騒音につきましても、少し詳しくなりますが、新幹線と申しますか、鉄道の設備の中で、たとえば同じ線路でも、同じ橋げたでも二種類ございまして、鉄のけたとコンクリートのけたとある。鉄のけたのほうがうるさい。鉄のけたの中でも、その下にバラスの敷いてあるけたと、そうでない全くまくら木がじかに鉄のけたに乗っているものとの間で、やはり音が違う。あるいは盛り土区間と高架の区間では違うというふうに、さまざまの設備の構造によって違いますし、また車両の構造によっても大いに違ってまいります。私どもといたしましては、過般、環境庁から出されましたいわゆる指針に基づきまして、一応八十ホン以下ということで考えておりますけれども、やはり技術の進歩は非常に日進月歩でございまして、たとえば防音材一つとりましても、一年前の防音材と最近の防音材とは全然効果が違っているというふうに実証的に出ております。したがって、私どもは今後、東北、上越を建設してまいります場合にも、極力八十ホン以下に押えることは当然でございますが、それのもととして、やはり技術の進歩ということであると思います。したがって、その問題については私どもの担当の技術者が、単に線路関係者だけでなしに、あるいは車両、電気等各方面の技術者がその新幹線の騒音防止についてできるだけの努力を払って、結果的には極力八十ホン以下におさめるというふうな努力をしている最中でございます。
○国務大臣(久野忠治君) ただいま新幹線の電波障害についての御質疑がございました。国鉄総裁は、大体これは、この問題は解決したかのごとき御発言がございましたが、全部解決したわけではございません。そのことはひとつ訂正さしていただきたいと存じます。 この受信障害につきましては、走行いたしまする列車あるいは高架橋等の原因によりまして、沿線のテレビの受信に障害が生じておるわけでございます。その実態を申し上げますと、東海道新幹線におきましては、四十七年十二月末現在の調査によりますと、四万世帯でございます。それから、山陽新幹線におきましては、四十八年度末の調査を予定をいたしておりますのは約八千世帯でございます。それから、山陽新幹線が全線開通いたします五十年度までに、二万二千世帯の見込みでございます。郵政省といたしましては、原因者責任主義をとっておりまするので、共同受信施設を原因者たる国鉄の責任において、これは措置をしていただいておるわけでございます。 その共同受信施設を設置しまする際の経費の分担、これは東海道新幹線の場合は国鉄が八〇%、NHKが二〇%負担をいたしております。山陽新幹線につきましては国鉄が八五%、NHKが一五%負担をいたしておるのでございます。このような割合で、現在、この受信障害の除去につとめられておるわけでございますが、今後、私は原因者責任主義の立場に立ちまして、全額国鉄でこの受信障害に対しまする共同アンテナその他の施設については、これは国鉄側で負担すべきものである、かように郵政省といたしましては指導をいたしておるような次第でございます。
○瀬谷英行君 環境庁からも、運輸大臣にやはりいろいろな意見が出ておるようでありますが、環境庁としては、今後のこの新幹線公害に対してはどのような方針を持っておられるのか、お伺いしたいと思うのですが。
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、新幹線の騒音公害、振動公害といわれるものが、いま、ある地域によっては生活環境を破壊する大きな影響を与えておるわけでありますから、昨年度は暫定的な措置——そのまま放置できないから、緊急対策として八十ホンという一つの暫定指針を与えて、そしてこれに対する防音壁とか防音対策というものを緊急に求めたわけであります。 しかし、環境基準というものをつくりたい。これは全国一律の環境基準をつくって、日本のこういう新幹線のような高速輸送機関といいますか、これが将来守るべき大きな、騒音というか、そういうものの環境基準をつくって、それを一つのいろいろな対策を講ずる目標にしていきたいと、いま、専門家によってこれは検討を加えておるわけです。そして、結局はこの新しい技術の開発をやってですね、あるいは線路とか車両とか、こういうものに改良を加えて、騒音というものに対して音源から出さないような努力というものをせなければいけない。それでもやはり音はするわけですから、どうしても場所によったら影響を与えるようなところに対しては防音装置をする。あるいはまた将来の新幹線なんかの立地計画というものもやっぱり考えなければいかぬ。そういう一つの立地計画あるいはまた新しい技術の開発、こういうもので、できるだけ生活環境を破るような騒音を出さないような努力、出てくるものに対しては、できるだけ生活環境に悪い影響を与えないように防ぐ措置を講ずる。これは第二次的な措置で、根本には音源の対策を講ずる、技術の面から、あるいはまた立地の面から、こういうことが大事だと思っております。
○瀬谷英行君 八十ホンということが出ておるんですが、八十ホンというのはかなりの音ですよ、これは。数寄屋橋でも八十ホンにはなかなかならぬわけです。七十何ホンということが多いわけです。宮城県等では八十ホンでは困るという意見も出ておるわけですね。もし、地方自治体でこの騒音等について、あるいは振動等について、これじゃ困るというふうに意見が出てきた場合に、国鉄としてはどうするのか。あるいはまた郵政大臣から、その共同受信施設については全額国鉄負担ということを言われておりますが、これらの点については一体どのように考えておるのか、あらためてこれは国鉄側からお伺いしたいと思う。
○説明員(磯崎叡君) 先ほども申しましたとおり、八十ホンというのは一つの環境庁からの基準と申しますか、指針の値でございます。したがって、私どもといたしましては、今後建設するものにつきましては、極力これ以下にするように——先ほど申しましたように、いろいろな技術の進歩がございますので、それを織り込んで、八十ならいいという意味でなしに、八十からどれだけ下げられるかという角度でもってこの問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。また、先ほどの郵政大臣のおっしゃいましたテレビの問題でございますが、私どもといたしましては、貧乏な国鉄でございますので、なるべく金持ちのNHKさんにも少し持ってもらいたいというふうに思っておりましたが、郵政大臣、ああいうふうにはっきりおっしゃいましたが、できるだけ私のほうも——完全に私のほうだけの原因かどうかにつきましても若干問題がございますので、その点はお話し合いでまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 各大臣やら国鉄総裁から申し上げたとおりでございますけれども、要するに環境庁長官からわれわれのほうに示されました新幹線の一つの基準になるものがございます。私どもは、それを何とかして守りたいということで、ただいま騒音対策あるいは障害に対する工事等を国鉄によって行なわしておるわけでございますけれども、これは、もちろんこれが最大限でございまして、それ以下にしなければならぬというのは、これはもう当然のことであります。現に、私のところに報告が来ておりますが、ある種の工事をやりました場合に、八十ホン以下にしようという工事をしたところが七十ホン台になりましたというような報告も来ております。私どもは、そういう点につきまして、あらゆる防音対策を講じまして、なお車両の改良、先ほどお話のありました、環境庁長官からも申されましたように、車両の改良をいたしましたり、あるいは線路の改良をいたしまして、その、音の出る音源対策というものにもつと力を入れて、これから研究をしていかなければならぬと思っております。その研究の結果、ある程度の成果が出るということが明らかであります場合には、それをどんどん実行に移していくということを考えておるのでございます。 ただ、お話しになりました中で、日照権の問題、これは御承知のように単に新幹線だけじゃございません。高速道路にもございますし、あるいは高層ビルにもそういう問題がつきまとっておるわけでございますが、この点はこれから各省庁で協議をいたしまして、それに対する基本的な方針をきめていかなければならぬ、これは一つの懸案事項であると思います。いまのところは、一般的には原因者負担ということで、原因者がそれに対しまして応分の手当てをしておるようでありますけれども、法制上これをどうするかということにつきましては、今後のこれは研究課題になっておるのでありまして、至急にその結論を得るように努力をしたいと考えておる次第でございます。
○国務大臣(久野忠治君) お答えいたします。 先ほど申し上げました国鉄側とNHK側との負担割合につきましては、これは国鉄とNHKとの間の協議の上で決定したものではございますが、現在の制度ではあくまでも原因者主義をとっておるのでございます。これは都市の高層建築物の場合もさようでございまして、建築主と、それからその付近の住民の皆さんとの間の話し合いによりまして、建築主が全額負担をいたしまして共同受信装置を設置いたしておるような、施設を設置しておるような次第でございます。そういう意味から、原因者の主義をとっておりまする以上は、やはり国鉄側でこれは負担をするというのが現在のたてまえである、かように考えまして私は申し上げたような次第でございます。
○瀬谷英行君 環境庁長官から、新幹線の建設計画にあたっては立地計画を十分考えなければいかぬというふうに言われました。公害対策ということになると、騒音の問題にしても、あるいは振動の問題にしても、電波障害にしても、日照権にしても、かなりこれは立地条件を考慮しなければできないわけです。これらの問題について環境庁長官のほうから示唆をするといったような権限があるのか、あるいは意思があるのか、それらの点についてお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(三木武夫君) この環境に対する事前の調査、評価ということは、それば新幹線にも及ぶものである。そうでないと、あとで、新幹線をつくったあとでいろいろ環境に対するいろんな影響を与えている、そのことでかえっていろんな悪い影響を与えますから、事前のアセスメントというものは新幹線を含むものであると御承知願いたい。
○瀬谷英行君 総理にお伺いしたいんですが、たとえばあなたの日本列島改造論の中でも、この新幹線は非常に大きな重要な部分であります。その一つ上越新幹線は、これは東京と新潟を結ぶわけです。三百キロです、その間。しかし東京−新潟を結ぶ場合に、東京都なり埼玉県というのは住宅密集地帯を通らなければならぬ。いま、これらの用地買収はまだ進んでいないようです。しかも、いま環境庁長官が言われるように、立地条件を考えなければ公害対策もできないということになってまいりますと、これはどうしたらいいかということになる。相当両側の土地を買収しなければならぬということが一つある。それからスピードの問題にしても、三百キロを百五十キロで走れば二時間で行くわけですね。しかし、二百キロで走ろうということになると、現在、名古屋で起きているような問題、名古屋周辺、大阪周辺で起きているような騒音なり、いろいろな公害問題が上越新幹線でも必ず起きるだろう。その場合、在来線とあまりスピードの変わらない百五十キロで走れば二時間です。総理のおひざ元である新潟まで。だから無理して二百キロで走ろうということになると、必ずこれは公害問題が起きてくる。この場合に総理としてはどうしたらよろしいとお考えになるのか。
○国務大臣(田中角榮君) 在来線も九十キロ−百二十キロぐらいまでには技術的にはできるわけでございます。うまくすれば百三十五キロ−百五十キロも不可能ではないですが、これは安全性から言うと、まず百二十キロがおおむね限度だと考えていいと思います。でありますから、それでは間に合わぬから高速新幹線ということで必要でありますが、新幹線のスピードを落とすということになると新幹線の効能というものはないわけであります。ですから、新幹線というものはスピードを落とさないで公害をどう一体排除するかということを考えるべきであります。在来線との乗り継ぎということがありますので、在来の駅というものを何とかどこかでひとつつないで、そこで乗りかえをしようというところになかなかめんどうな問題があります。めんどうな問題がありますが、町の中を通らないということができれば一番いいわけです。それで、あなたがいま言われたとおり、鉄道の外側から何メーター建築線を設定するように、住宅を建てないということになればもちろん理想的でありますが、これから、東北地帯とか上越新幹線は隧道が非常に多い、それから新しく町に沿わない鉄道路線がきめられる例が非常に多いので、いままでのような問題は相当除去できると思います。また、技術的にもレールが百メーターレールを使ったり、場合によれば必要な七十五キロよりももっと大きなもの、百キロレールを使う、百二十キロレールを使うというような問題もありますし、さっき国鉄総裁が述べたように、軽量であっても鉄骨むき出しの橋梁ではなく、防音というものが施されたような状態に変えるとか、吸音板も、防音板も、いま非常に改良されておりますし、問題は、東京へ入ってくるとか埼玉の過密地帯を通る。これは地下道にすれば一番いいわけですが、地下構造は金がかかる。金がかかるといっても現実的に地下鉄はやっているじゃないかという議論もありますから、そういう問題は全線に対しての地下部分ということで計算をさるべきであります。もう一つは、いよいよということになれば、おおいをかければいいわけであります。鉄骨のフレームでもっておおって全部内壁を吸音板でもってというような問題もあります。技術的にはいろいろ検討されておるんです、これ。もう一つ、最後には、いわゆる人口稠密の地区だけスピードを落とすということになりますと、二百五十キロパワーのものが、全部、全線を計算をすると二百二十キロになったり、二百キロになったりする場合があります。そういう調整というものは当然行なわるべきだと思います。だから、技術問題で、これは真剣に日本の技術をあげていま考えているわけですから、私は解決できない問題ではない。しかし、さっき国鉄総裁言ったように、絶対にということで、絶対値で計算しますと、スピードを落とすか新幹線をやめるか、そういうマイナス面はあるけれども、プラス面が多いからやはり建設を進めようというのが現時点における考えでございますから、人口過密地帯におけるもの、東京駅に全部入れようなどというと、これは金もかかるし、なかなか騒音もあるわけですが、そういう場合は、ある一定区間はスピードを落とすということにならざるを得ない、こういうことでございます。
○瀬谷英行君 上越新幹線は群馬県なんかはほとんどトンネルで通り抜けてしまうのですよね。だから、高崎を出るとすぐトンネルに入っちまう。福田さんの地元、中曾根さんの地元という問題が起きないようにちゃんと設計してあるわけです。しかし、埼玉県、東京都となりますと、トンネルでというわけにいかないのですよ。ここで問題になってくるのは用地買収です。用地買収だってこれは簡単なわけにまいりません。これらの用地買収は、公害対策を考えてみても相当必要になってくる。この用地買収が現在でも難航しているんです。しかし、一体この上越新幹線だけではなくて、東北新幹線、すべての問題を考えると、この土地問題というのはこの新幹線の成否にかかわってくると思う。そこで、この用地買収がうまくできるのかどうか、新幹線を通すために。こういう問題が直面した問題ですよ、これは。だから、これについて、まず総理の考え方をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(田中角榮君) いま一番の問題は、東京都内とか大阪市内を通るというところに問題があるんです。もう一つは、大阪や東京都内、市内を通るだけではなく、新宿とか、池袋とか、上野とか、品川、東京駅というものを中継基地にしようというところにもっと問題があるわけです。ですから、東京駅の地下駅がつくってあること、これはまあ築造費を計算をしてみると、こんなに金がかかるのかというぐらいな大きなものになっているわけですが、二十五年とか三十年後を考えると、地下五十メートル以下ぐらいをシールド工法でもって円箇形で抜こうということを研究もしております、提案もされておりますが、いまはそうじゃないんです。七、八十年、百年前につくられた東京駅やいろんな駅に入れようとするから、貨物側線を一時使おうとか、いろんなことを考えているわけです。だから、私は一本そういうことで建設が終わっても、将来的に考えると、やはり環状八号線をつくると同じように、やっぱり高速度道路とか高速度鉄道というものは、環状線の外周に駅をつくって、そこを通るというような考え方が二次改良等においては当然行なわるべきだろう。どうせ高速道路でもって土地収用するなら、その下を新幹線にしたらどうかという提案をしている人もございます。技術的にはもういろんな案が出ているわけですが、いまのままの平面の状態において、高速道路も入れる、高速鉄道も入れる、電車の複線も行なう、複々線も行なうということになると、これはいろんな障害が出てくる。確かにいまの埼玉県と東京都に入る場合の東北、それから上越新幹線というものは、成田新幹線でいまデッドロックに乗り上げておる問題と同じ問題がいま起こっておるわけです。ですから、やむを得ず貨物側線を使おう、こういうような意見がありますが、しかし、それだけで全部できるわけはありません。どうしても一部は買収しなければならぬということですから、これらの問題、まあたいへんな問題ですが、騒音公害というものを排除しながら、やはりどの案がいいのか、じんぜん日をむなしゅうするわけにはまいりません。だから、万全の対策を講じながら方針をきめて用地買収は具体的にかかると。かかる場合には、ある場合には高架に、ある場合には地下に、高架の場合はそれを吸音板でおおわなければならないというような、いろいろな設備も必要だと思います。
○瀬谷英行君 いま総理の話、なかなかこれ、実行となるとたいへんなんですよ。上越新幹線一つ取り上げてみても、たいへんなことですこれは。じゃ新幹線をこれから全国的につくるということですが、総理の日本列島改造論の中で、新幹線はつくるのだ、しかし、在来線のうち赤字線はどうするかというと、赤字線は廃止しないのだ、こういう見解が出ておる、ここには。国鉄の方針もどうやらそういうふうに変わった——変わってきたのかどうかしりませんが、赤字線の撤廃というのは前と違ってきたわけですね。赤字線は撤廃をしない、公共負担はやる、新幹線はつくる、そういうことで、じゃ独立採算制が可能なのかどうかということなんです、国鉄に。これはちょっと独立採算制という原則を立てて、しかもその中で合理化方針を遂行しようとすると、どうしてもこれは不可能になってくるのじゃないか、そういう気がするのですが、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 国有鉄道は、御承知のとおり、戦後公社に移ったわけであります。公社だけではなく、民営鉄道に移そうという議論も存在したことは事実でございます。これは現に、三公社のうち、電電公社は民営論が存在すると同じような歴史をたどってきておるわけでございますから、独立採算制の意義は、これは公社になった以上貫いていかなければならない。しかしそれは無制限な独立採算制を要求するものじゃない。これは国有鉄道法、公社法、公社ということでもって移っておるわけですから、これは公益性があるから三公社にしておるわけであります。国有にしておるわけであります。ですから、国有という場合は、独立採算制が本義であっても、それは経営の基本的な姿勢であっても、公共的な負担は当然しなければならぬ、これはあたりまえだと思うのです。そうでなければ、赤字のところは全部やめなさいといったら、東京の地下鉄が一番赤字なんです。建設費の二分の一、三分の二を補助しても、まだ赤字だというのでありますから、これはもう地方線の赤字などというものとは比べものにならないほどの赤字でございますが、しかし、それはそういう意味じゃないのです。だから、国有鉄道法によって国も責任を負っておるわけでございます。私鉄にまかせないゆえんはそこにあるわけでございます。ですから、そういう意味で、政策目的を遂行するために必要な線は国有鉄道が維持し、運行しなければならぬことは、これは当然であります。ですから、五現業でも、はがきは実際において雪の降るところに、山小屋まで届けるには一万円もかかりますが、しかし、これは切手でやらなければいかぬというために、五現業、国が行なっておるということでございますから、これはおのずから民営企業の独立採算制と異なるものであることは間違いありません。ですから、そういう意味で、いままで国がもっと金を出したほうがよかったと私は思っておるのです、ほんとうに。私はほんとうにそう思っております。これは戦前にまあ輸送増強であれだけ人をかかえ込んだ。そうして朝鮮とか、台湾、満州とか、大陸とか、いろいろなところからの出向社員を全部国鉄会計の中にかかえてきたというところに、よくまあ国鉄はやってきたなと、私はほんとうに国鉄を評価しております、その意味においては。だからそういう立場で、そういう部面に対して一般会計がある程度責任を負わなければならなかったのに、それを独立採算制という名のもとに運営をさしておって、それでしかも、戦後の経済復興とか民生安定の大動脈としての使命を果たしてきたわけでありますから、私はやはり無制限にこれから独立採算制の名において要求できる問題じゃない。そういう意味で四兆五千億も金を出そう。私はそれでもなお必要があるならば、不足度があるならば、一般会計で負担しても国民は理解をすると思うのです。やはり国有鉄道法というものの本義に返ってやらなければ、とにかく総赤字の三%ないし四%に至らないような地方線を、ローカル線であるということでもって全部これを廃止してしまう、こういう考えでは、国鉄法そのものの使命が果たせない、こういう考え方でございまして、一般会計も応分の負担をする、こういう考えでございます。
○瀬谷英行君 すると、独立採算制を堅持をして国鉄財政を再建しようということは不可能である、したがって、独立採算制にはこだわらないのだという考え方と理解してよろしいですか。
○国務大臣(田中角榮君) これは独立採算制をなくすればもとの鉄道省に返るわけでありますから、そういう理論じゃないのです。だから、独立採算制は、公社になったゆえんがそこにあるのですから、独立採算制という——独立採算制というよりも、公社になった企業努力とか合理化とか、まあそういう意味の英知というものは、これは公社になってからそれだけのメリットがあると思うのです。鉄道省時代だったころは、親方日の丸ということで全部税金でまかなうのだということでありましたが、公社になってからやはりそれだけのメリットが私はあったと思うのですし、公社法をそのまま維持していく限りにおいては、独立採算制を守っていこう、独立採算制がこの法律の使命なんだということはやはり考えていかなけりゃいかぬが、しかし国会もありますし、政府も、独立採算制だから全部独立採算制でやるべしだなどという考え方で国鉄の運営ができるものじゃありません、それなら私鉄にすればいいんですから。私は、そういう意味で、独立採算制という姿勢はこれは守らなけりゃならないと思いますが、しかし、当然国が負担すべき公共負担はこれは十分負担をしていく、それによって国民の理解は得られる、こういう考え方でございまして、独立採算制はもうなくしていいんだ、忘れていいんだということではないわけでありますから、だからそこはよくおわかりになると思うのです。独立採算制というものは、そのまま考えてまいりましょうと。しかし、私鉄じゃないのでありますから、だから、国民の理解を得ながら応分に税金で負担しなければならないものを負担する、それで受益者負担でやっていけるものは受益者負担。独立採算制だけを完全に守ろうとすればこれは全部料金でまかなうということになりますから、それはもう国鉄をやめるということにひとしいと私は思うのです。それじゃないのですから、ですから、そういう理解はやっぱりしていただきたい、そういう理解はひとつしていただきたいと、こう思うのです。
○瀬谷英行君 独立採算制でもって、しかも財政的には何とかやっていこうということはできないことですね、これは。不可能なことですね。現在のように公共負担もあるいは赤字路線もかかえていくということは。そういうことになるでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) まあそんなに、そう割り切ってという議論になると、また私もお答えしなきゃいかぬです。そうすると、地下鉄は独立採算制じゃないのか、それから地方公営企業は独立採算制じゃないのか、地方の病院は一体どうなのかということになるのであって、やはりたてまえは独立採算制なんです。たてまえは独立採算制でございますが、公益的事業であり、公共事業から転化した、転移していったものでありますから、転移する過程においては、合理性を追求するためにそうなったわけですから、合理性は追求しながらも、しかし、法律が求める国有鉄道の使命を遺憾なく果たすためには、国民が理解し得る限度における応益負担のほかに、税金をもって補てんするということはこれは当然あるのです。そうでなければ私鉄になるのです。そうじゃなく、国有鉄道法の存在するゆえんは、赤字であるからやめるというと、いつでも例に引いておこられるのですが、それは北海道の鉄道は過去も、現在も、将来もまだ赤字だと思います。思いますが、鉄道の累積赤字の何万倍という北海道は国民総生産に寄与をしておるということを北海道民は言っておるし——北海道民言っておるだけじゃありません。ちゃんと数字的にそうなっておるじゃありませんか。九十年間にとにかく三万九千人が五百二十万人になったというのは鉄道を敷設したからであるということであって、鉄道の使命というものとメリットはあるわけです。ですから、国有鉄道法が存在するわけでありますから、これは独立採算制だけを要求するものではないが、国有鉄道の経営のやっぱり基本的姿勢には、基本的理念には、なるべく国民の税金でまかなう部分を少なくして、そして国鉄の合理的な共同の運営によって国鉄の使命を遺憾なく果たそうという理念がなければならない。それはやっぱり独立採算制という理念を前提としたものである。ですから、これをもうなくしてもいいんだということではない、これはもう当然のことだと思います。
○瀬谷英行君 独立採算制という原則が前提にありますと、赤字か黒字かになっちゃうんですよ、企業としては。赤字だ、赤字だから合理化だ、合理化だから人を減らせ。それが労働問題の混乱になるのです。そうでしょう。だから、その点を考えると、独立採算制をあくまでも堅持しろということはこれは非常にむずかしい問題になってくるわけです。独立採算制でもって、赤字をかかえて、公共負担もかかえて、なお黒字にしろということは不可能でしょう、それは。絶対に不可能でしょう。不可能じゃないと言うんですか。
○国務大臣(田中角榮君) そこらが割り切れない……。あまり割り切らないでいいんです。これは占領軍がおったころには相当割り切って、独立採算制でもって、駅を一つとめるとこれだけ運賃が上がるから、駅は全部飛ばしちまえ、新駅は認めない、こういうことが十五年も二十年も続きましたが、そのために国民がどのくらい迷惑したかということはお互いによくわかっておるわけです。ですから、これは都道府県でも、市町村でも、土地公社をつくる、電力公社をつくる、何々公社をつくる、みな県会や市町村の議会というのは、独立採算制で設置をいたします。これはもう本義である。本義であるけれども、公共負担をすべきところ——これは割引をしておるというようなものは政策経費ですから、こういうものは、私はやはり学童の割引などは一般会計から入れるべきだったなあと。それで今度は石炭に対しても、農産物に対しても補助金を出しておって、そしてその補助金を鉄道に納めるというか、鉄道でもって割引しているものは補助金制度でもって埋めるのか。無制限なことを鉄道に要求すれば、これはやっていけないにきまっておると私は思うのです。ですから、そういう意味で、私は鉄道法というものは——実際において、明治の初めはいまよりもうんと高い料金でございましたが、これはほとんど赤字だったわけです、初めは。建設当時は皆赤字なんです。しかし、その鉄道が敷設されたために、鉄道の総延長に比例して日本の経済が伸び、国民所得が上がったと、鉄道の歴史をひもとくまでもなく、そう国民が評価しているのですから、私もやはりそういう意味で、昭和二十年から今日までには、鉄道に負荷するものは多かったなと、私は事実そう思っています。だから、道路は無料公開の原則であるということで、全額税金でまかなっているでしょう。ようやく有料道路制度を認めた。鉄道は、その上に三公社、独立採算制ということが要求されておるわけですから、そこらは、なかなか詰まる問題というよりも、詰めようというところがむずかしいのであって、これは株式会社に移行しますという法律の提案をしているのなら、これは一体独立採算制完全だということでありますし、独立採算制を全く無視するなら鉄道省に戻るということになりますから、そうじゃなく、いまの国有鉄道なるものがいいのであって、これをそのまま公共的使命を果たすために国はどういうふうにして一体負担するか、そして鉄道の使命を遺憾なく発揮させるかというところに主眼があるわけでございますから、これは御審議の過程において、国はもう少し出すべきだぞということは、私はそういう御議論は拝聴するつもりですが、ただ、運賃は絶対に上げないで、国でみんな出せという議論にはちょっと通じないわけですから、そこらをひとつ御理解を賜わりたい。
○瀬谷英行君 そこまで言っているわけじゃないのです。赤字か黒字かということでもって業績を見られちまう。だから、国鉄は黒字にしなければならない。そうすると、この赤字にしかならない仕組みの中で黒字にしろと言われる。そこで合理化という問題が出てくる。それはできないことだろうと言うんですよ、いまの仕組みの中では。これは無理なことなんです。頭のはげた人に長髪を奨励するようなものです、これは。それはできないことなんです。まあ大蔵大臣の顔を見て言うわけじゃないけれども。(笑声)それを国鉄に強制をするということは問題じゃないか。今後の労働問題を解決するためにも、そこに無理があっちゃならぬということを私は言いたいのです。
○国務大臣(田中角榮君) これは、国鉄は会計の上でもって次年度どうするかということが検討されるべきであって、国鉄は配当しなければならぬという企業じゃないわけですから、安全運行、定時運行、国民の動脈として、足としての使命を遺憾なく発揮する。そのためには国鉄の労使だけに責任があるんじゃありません。国も責任があります。法律があるのですから、国が責任があるにきまっているのです。ですから、労使の問題に対しては法律によって労使間で話し合いをしておりますが、国鉄の使命達成というもので政府がその責任を免れることはできません。ですから、そういう意味で、具体的には労使間の話し合いや合理化でどうにもならない部面があれば、国民の理解を得て、税金で補てんをしていくというのは、これはしようがないんです。鉄道をやめるか、税金で補てんしていくほうがいいのかということになれば、鉄道をやめるなんということは、地形、地勢、気候上の制約のある日本でできるわけありません。そういうことになれば、これはどうしても安全な大量輸送機関として鉄道が必要であることは当然なんですから、そういう意味で、あなた言っているのは、あなたは承知して言っておられるわけですから、だから独立採算制の名において、できない合理化を要求しているんじゃないかということを言っているんでしょうが、そんなことありません。そういうことを国は考えておりません。だから、いまあなた余剰人口も、機会があって、これだけ大陸から来た人を一ぺんに整理すれば、そうすれば相当な合理化ができるというなら、これはほんとうなら一般会計からその部分全部入れて整理をすべきなんです。しかし、そんなことはしないのです。そういうことは考えてないんです。それはおのずからお互いが自然に合理化もするし、国民の理解も得て税金も入れるし、徐々に時間がくれば定年退職になるじゃないですか。しかし、定年退職を待っているんだというようなことじゃいかぬから、やっぱりその中で効率的に働いてもらって、知恵を出してもらおう。そして定年後もどこかへ就職できるように、国鉄としてはまだ別に兼業するものもないか、お互いにまじめに考えておるんですから、だから独立採算制の名において労働組合の交渉権を制約したり、無制限な合理化を求めたりというものではありません。できないものは国民の理解を得て、必ず国の負担、応益者の負担とのバランスをどうするかという問題が考えられるのでございまして、そこはひとつ御理解がいただけると思うんです。現実問題として、三公社の中で一般会計からもってうんとつぎ込もうというのは、国鉄に対して今度初めて四兆五千億もつぎ込もうと、こう言っているわけです。電電公社は全然ないんです。専売公社は逆に、これは全然やっている仕事は違いますが、税金を納付しておる。こういうあれですから、その自体、その自体においてみんな違うわけです。みんな三公社とも独立採算制を堅持しておりますが、しかし、その実態によって政府がどれだけ負担をするかというのはおのずから出る問題であるということである。独立採算制問題をやめろといっても、そんなことやめられるなんて申し上げられませんから、だからそこらは十分御理解の上、独立採算制にもおのずから限度があって、労働権を制約するようなことはないんだなあと、こういうような御発言であればそのとおりでございますと、こうお答えいたします。
○瀬谷英行君 日本列島改造論の中の新幹線の問題だけを取り上げてみましても、あるいは高速道路の問題を取り上げてみましても、すぐ土地買収という大きな壁にぶつかるのです。この日本列島改造論は、簡単に言うと、二階から上のほうはりっぱなんです、二階から上のほうは。三階、四階、五階と、こっちのほうはりっぱなんです。一階と地下室と土台のほうが全然ないんです。だから幽霊みたいなものです。足がないんです。その足は何かというと、土地対策なんです。あなたの書いてある、一番終わりのほうを見ますと、土地対策についてどうしたらいいかということを書いてありますけれども、それもくふうする、検討するということで結ばれておって、具体的になってない。ところが、日本列島改造論が大きな罪を犯しているというのは、このあとでもって、日本列島の土地が大手民間デベロッパーによって買い占められてしまった。これは社会党の調査でもはっきりしているわけです。また、そのために私権の制限を考えても土地問題を何とかしなければならぬということになっているわけでしょう。その点、総理は暴騰した土地を一体どうするのか。この上がったまま凍結したってだめですよ。下げる義務がある。下げることができるかどうか。それができなければ新幹線だってできませんよ。上越新幹線、気の毒だけれども、新潟まで行きません。そういうことを考えたならば、この土地問題を一体総理としてどのように解決する気持ちがあるのか、お伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 土地は狭いながらもまだあるのです。いま国土総面積の一%に三二%、三千三百万人も人が過度に集中し、まだ集中の流れはとまらないというところに、需要と供給とのアンバランスがあります。そうすれば立体化を行なって、地価の需給面積に反映する価格を下げればいいと言えば、これは日本は高温多湿だから木造平屋建てが一番いいのだ、こういう議論をしておれば、これは需要と供給との経済原則からいっても土地が下がるわけがない。そうすればどうするか。その極点に集中しておるものの面積比率を大きくすれば地価は経済学的にも下がるわけです。あたりまえのことであります。そうすれば、ただ面積は広げられないから、交通機関も整備しようということになるわけでございまして、交通機関を整備して、あまねく日本の水や土地や、一次産業との労働調整が二次、三次においてできるということが可能になれば、緑も生活に直結して保全をされますし、水の高度利用もできるし、土地は供給が需要よりも上回るのでありますから十分下がるわけです。あたりまえの話なんです、これ。現実問題として日本人が二億人にも三億人にも五億人にもなるなら別ですが、昭和六十年でも一億一千万人ということであれば、現在一億六百万人もおる日本人が、過度に集中しているというところに問題があるのです。ですから、そういう私は方向として、日本列島のすべてを目標にして平面的に見たものを鳥瞰的、俯瞰的に再開発、言うなれば再開発を行なおうという方針はそれ以外に私はないと思うんです。狭い日本に住めないときには広く海外に天地を求めていかなければならなかった。それはもうほんとうに自然の理屈である、こう思います。地価を下げるというのは、それに対しては、いろいろ具体的に、すぐその時点において具体例を並べることは私は適当ではないと思ったからです。それには空中権とか、それから地下五十メートル以下、私権を制限しなさいとか、いろいろな提案をしております。ですから、先ほども申し上げましたが、高速道路をつくるならば、四車線でつくれば、当然高速度鉄道がその下か上にできるわけでした。ですから、そういうものはばらばらにやったのは政府の責任じゃないかと言えばそれきりでございますが、やはりこれからは長期的計画をもってすれば、一万キロの道路と九千キロの鉄道、その相当部分が複合する構成がとれるわけであります。だからそういう意味で、やはり人類がどうしても解決しなければならない。われわれの時代に解決しなければよりよい日本がつくれないというのでありますから、英知を傾けて解決をすべきだし、解決ができます。騒音が起こるから鉄道はやめろ、高速鉄道をやめろと言えば、それは自動車公害が出るから、自動車やめて自転車にしたほうがいい、自転車もうるさいから歩いたほうがいいという議論にはならないわけでございまして、やはり必要なものは必要として認めて、それによって生ずる公害というものは十分考えなければいけない。これは地下をやるとか、防音装置をやるとか、それから今度の税制、それからもう一つは、知事や市町村長が必要と認める土地の利用、特定地域の指定、こういうことで制度上はおおむね完ぺきに近い、内容的には議論があるとしても、完ぺきに近いものを御審議いただいておるわけでございますから、その御審議の過程において、もっとこうしたほうがいいぞという案があれば、それはもう取り入れるにやぶさかではありません。それはそういうことをしてできるのかというのではなくて、実行するための具体案を考究すべきである、このように考えております。
○瀬谷英行君 昨日、NHKの特集の中で、知事は土地問題についてこう考える、というのがありました。総理はごらんになりましたか。
○国務大臣(田中角榮君) 見ておりません。
○瀬谷英行君 あれによりますと、二十八名の知事が私権の制限をやっても土地問題は解決しなきゃならぬということを言っているのです。だから、この土地問題を解決するには尋常一様ではだめだと。税制だとか、行政指導だとか、そういうことで何とかなるなら何とかなっているわけです。今日のように暴騰している、それも業者によって買い占められておるということがはっきりしておる。商品と同じで、投機の対象になっている。これがはっきりしておるならば、それを吐き出させるということをやらなければならぬ。そこに総理の決断と実行がなければこれは話になりませんよ。新幹線も何もできませんよ。日本列島改造だったって、これは空中楼閣になっちまう。その点はいろいろと、こう思うとか、こうすべきだというんじゃない。どうしたらいいのかということは、もう現実の問題として考えるべきじゃないかと思うんですね。
○国務大臣(田中角榮君) 商社が買い占めたということでございますが、これは商社の買い占めたものは、それだけ手元流動資金があったからでありまして、また、非常に金融等が緩慢であったために銀行にこれを返済しないで何らかに使わなきゃならなかった。それが株や土地に投資されたんだと、これは週刊誌に出ていましたから、そういうことでしょう。しかし、これを吐き出させることは、確かに税制だけで吐き出させることはできません。できませんが、一つには、持っておっても、知事や市町村長がそこを特定地域に指定すれば、そこを空地に指定すれば、全然将来の値上がりの見込みありませんよという法律を出しているわけですから、そうすれば、もう将来の予測すべき利益というものは、そこで中断されるわけです。そういう法律をいま出しているわけですから、知事は、税制だけでは、というのではなく、この法律が出て、みずから見識があって、みずからがやろうと思えば、できる話です。知事は特定地域に指定することができると書いてあるのですから。極端に言えば、とにかく相当部分買い占められたものを特定地域に指定して、二年間ストップすることもできるような法律を出しているのですから、これは画期的なものである。もう一つは、買ったものを吐き出させることはどうするかといったら、これは金融措置でできるわけです。今度、日銀は商社に対しては、特定的なものや、大手企業に対してはとにかく手形の割引はしません。そうして銀行は窓口規制を行ないます。これがだんだんと金融も、必要なところには出しますが、必要でないところ——調べればもうすぐわかるんですから、この決算が出れば、もうどれだけ手持ちの不動産を持っているか、どれだけ株を持っているかわかりますから、そういうものは窓口規制を行なっていけばいいわけであります。そうすれば、それを売り出さなければ、売り出してから、金がなくなったら、少なくとも貸せますよという、まあこれは金融制度の中で政府がすべてのものに介入するというんじゃありませんが、投機に対しては、法律をもって律しなければならないといって、法律さえ御審議を願っておるわけでありますから、それは手離しにしておいて、値上がり利益を待つようなことは考えていません。値上がりができるならば、あなた方は分離課税せよと言っているのですが、これは二〇%を付加しようという案をいま提案をしているわけです。そこではまた別になって、まだどうしても地価が上がるというなら、この二〇%がどうなるかということは、いろいろな問題として将来考究さるべき問題であって、何にもやっていないんじゃありません。これは今日まで土地に対してこれだけ広範な制度を御提案し、御審議を求めたということは、過去に例がないはずであります。ですから、そういう意味で、私はこれらの制度が効力を発生してくるときには必ず土地問題は解決できる、自信を持って私こう考えております。
○瀬谷英行君 その空中楼閣のような未来像だけを描いておったんじゃ話にならぬ。現実に下がらなきゃこれはだめなんです。急激に上がったものを、上がったままにしておいたんじゃこれはだめですよ。 そこで、行政管理庁長官にもお伺いしたいと思うんですけれども、監察計画の中では、住宅対策のための土地行政に関する調査も行なうことになっている。これはやはり急を要することだと思うんです。これがどのように行なわれるか、どういう構想でもって行なわれるのか、あるいはまた、長官自身の考え方もあわせてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、土地の問題、御指摘のとおり非常に重要だと、諸政策のスタートだと、これは。いまコンクリートという話が出ましたが、まさにそういう性格のものだというふうに考えています。なぜ大事だかということになりますと、一つは地価の問題、これは非常な問題です。土地自身の価格、つまり地価、そればかりじゃない。地価が暴騰しますと、諸物価の高騰、インフレムード、これに非常に大きな影響がある。それから土地の問題といたしましては、買い占めという問題がまたあるんです。これも重大だと、さらに土地が無秩序に利用される。つまり土地の利用計画、これが破壊される。さらに土地につきましては、環境破壊、とれがまあとにかくたいへんなんです。私は、ずっと全国を先日の総選挙のときにヘリコプターで見てみましたが、これはたいへんおそるべきものだということを痛感しております。さらに、住宅ですね、この住宅政策が思うようにならぬ。なぜかというと、土地の問題が立ちはだかっておる。そういう問題がある。まあいろいろの問題が土地を中心にしてあるわけです。ですから、総理がいま申し上げたように、総合的な、画期的な施策が必要であるということになるんです。ところが、この大きな網を張る、これはもう私は必要だと思います。しかし、当面する宅地のための土地、住宅のための土地、これは国民の大多数の人が、土地を持ちたいな、家を持ちたいな、これは一生の夢です。この住宅問題をどうしても解決しなければならぬ、それに立ちはだかっている土地の問題。そういう角度からのこの土地問題への取り組み方。つまり総合的、一般的な取り組み方として総合対策というものがある。これは進めなければならぬ。しかし、いま国民の非常な関心事であるこの住宅問題、住宅対策のためのこの土地の問題、そういう取り組み方、まあ一つの具体的な問題からの土地政策への取り組み方、これも私は必要じゃないか、そういうふうに思うんです。もちろんその問題では建設省その他関連の役所でずいぶん苦心はしております。おりまするけれども、いずれの役所にも属さない行政監理委員会というようなところで何か知恵が出ないか、こういうふうに考えまして、行政監理委員会といたしましては、諮問第二号ということになるんですが、この監理委員会に何か知恵はないか、有効な対策は出ないかということで意見を求めておるというのが現況でございます。
○瀬谷英行君 事は急を要すると思うんですよ。事の重大性を認識しておられるならば、やはり必ず将来はということを言っちゃいられないと思うんですね。すみやかに問題は解決しなければならぬ。急激に上がった土地、これをこのままにしておいたら庶民の住宅に対する夢は破れてしまう。こういう問題はどうしても早急に解決する必要があると思う。あなたがそのためにその一つの処方せんをつくり、そして実行に移せるということになれば、これは福田さんの株はまた上がるんじゃないか、こういう気がするんですね。だから、どういう方策があるのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 土地政策といたしましては、いま総理が申し上げましたように、総合的な土地対策、これは税の面から、金融の面から、あるいは土地利用の面から、いろいろな角度からまあこれから御審議を願うと、こういう段階になります。しかし、この住宅という具体的な問題の角度からきめこまかな対策も検討されるということは、私はこれは非常に意義のあることである、こういうふうに思うわけであります。そういうようなことで、いま住宅につきましては、九百万戸計画だとかいろいろあります。ありまするけれども、宅地につきましては、さほどの定着した計画というものがない。その宅地開発についての、あるいは需給についての具体的な長期見通しというものはできないかとか、あるいは住宅政策、ずっと検討してみまして、宅地問題が進まない、それは行政運営上どこに欠陥があるのか、あるいは機構上どこにどういう欠陥があるのか、あるいは改善すべき余地があるのか。あるいは、まあこの間も御指摘がありましたが、住宅団地あるいは個々の住宅、それらが進行するに伴いまして、関連の諸施設が整合しないというような問題もある。そういう問題をどういうふうにとらえていかなけりゃならぬか。まあ関係各省で努力はしているんです。しかし、関係各省は関係各省の立場というものがある。そこで、そのいずれにも属さない中間、中立的な立場においてこの問題を冷静にながめる。そして、事は急を要すると、こういうふうに思いますので、これはまあ非常に大きな問題でありまするから、どうしたっていままでの調査というようなことでいえば相当の時間が要するのですが、何といたしましても、この夏ごろまでには監理委員会としての意見をまとめてもらいたいということを期待しております。
○瀬谷英行君 地方自治体も、県にしたところで、あるいは市町村にしたところで、こういうふうに土地が異常に高騰すると仕事ができなくなるんですよ。それからまた住宅問題はますます深刻になるわけです。現行法のワクの中で何とかしようとしても、これは事が片づかないんですね。総理としては、これはすみやかに土地の価格というものを引き下げると。引き下げることができなかったなら責任をとると。福田さんにでもだれにでもまたかわってもらう、それくらいの覚悟をしなければいかぬと思うんですがね。ここに書いてあることは、終わりのほうに書いてあることは——いろいろ書いてあります。たとえば交付公債によって土地の対価を支払ったらいいじゃないか、そういうことも検討しなければなるまいと書いてある。検討しなければなるまいという段階ではないと思うんですよ。そんなことしていれば何も仕事ができなくなりますよ。総理、こういう問題について、それこそあなたに決断と実行の意思があるのかどうかということは、これは重大な問題だと思いますので、その点をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(田中角榮君) いま福田大臣も述べましたとおり、土地の問題は大問題なんです。二、三カ月前に上がったものを、いますぐがたっと押えるというようなことが一体可能なわけはないんです。しかし、そういうふうに土地が上がったということの原因を究明して、これを国民の利便に供せられるように、適正な価格でもって譲り渡すことを誘導するようなことが政策なんです。だから国土開発庁の設置をお願いしているじゃありませんか。しかも知事は、恣意によって買い占めた土地であっても、知事が指定をすれば、そこは緑地帯として、値上がりは全然しないようなことさえできるようにちゃんとしておるんです。売り渡しをしなければならないということや、移動を禁止したり、届け出制度まで。開発は基準によって許可制度を採用しているわけであります。しかも、それだけではなく、土地融資に対しては厳重な抑制をしております。ですから、事を分けて土地問題は考えていただかないと、これだけのとにかく総合的な土地対策を国会に御審議をお願いしたということは過去に例がなかったわけです。それだけ異常な問題に対して、せめてこれからは乱開発が行なわれないように、公害の散布が行なわれないように、土地の高度利用というものをはかろうということを、ちゃんと国会にいま現実問題として各般の施策をお願いいたしております。それだけではなく、農地のレンタル制度も採用をいたします。農協や地方公共団体が行なうようにもできます。いまでもできるんです、実際に現行法においても。こんなことを言うと、まあ、あまりいい発言じゃないですからと思っておりましたが、知事がやろうと思えばできるじゃありませんか。知事は一定規模以上の宅地をつくろうとすれば、市街化区域外でも市街化調整区域内でもできるんです。調整区域内でもできるんです。そういうような問題、市町村長が行なえるように、農協が行なえるように、しかも、いま市街化区域内に対しても、市街化区域がすべて放出をされれば都市周辺における住宅用地は解決するということで指定をしたんです。それでその問題に対しては、しかしこれも乱開発が行なわれ、スプロール化が促進しては困るので一年間待とうということで、共産党を除く各党の共同提案で一年間暫定的にやられたわけです。私はあれが、とにかくあの制度が、宅地並み課税が四月一日から戻っても、必ずしもそのまま土地の放出になるとは自信がありません。供給促進になるとはなかなか自信がありませんが、しかし、あそこに都市計画をちゃんときめて、ここは緑地でございますからどうぞたんぼをお続けください、畑をどうぞお続けください、ここは宅地になりますから、ここは何割制限地区になりますから、住居専用地区になりますということを指定すれば、これは十分できるような法制のちゃんと下地はできておるわけでございます。ただ、これは三月一ぱ各党の御決定に待とうということで、いま各党間でお話し合いをいただいておるわけでございまして、そういうものに対しては過去も現在もちゃんと出すものは出しておるんです。 それで、もう一つ、これからやらなければならぬものは、世界各国でやっておる、現在二階に満たないような既存都市内の区画整理を全面的に行なえば、道路も三倍にもできるし、緑地もできるし、よその国がみんなやっていることを日本だけがそれができないということになると、憲法二十九条の私権というものに対して、都市の内部においてだけはばかに保護しているじゃないかということになるわけでございます。そういうものを第三の問題として、いま政府部内で検討を命じております。これは可及的すみやかに成案を得たいと、こう思っておるわけでございますから、そうすれば土地問題は、土地を持っておっても合わないということになるわけであります。それでどうしてもだめならということで、最後には、それは国会が力を持っておるんですから、相続税率をうんと上げれば、三代もかからないうちに土地はみんな国有に帰しますと。しかし、そういうようなドラスティックな手を打たなければならないということでは知恵がなさ過ぎるんじゃありませんかと。だから、そこらが政治の上で調整をすべき問題じゃないんですかと、こう言っておるんでありますから、無為無策ではありません。しかも、自信を持って施策は国会に出しているわけですから、これはひとつ、なるべく早く、これだけ毎日やっているわけですから、御審議をいただいて、そしてその結果、一年、二年たって、土地が下がらなかったじゃないかと、もっとあのときより上がったじゃないかと、こうなれば、これはもういさぎよく責任をとります。
○瀬谷英行君 いさぎよく責任をとるというのは、二年も三年もあとのことじゃ困ると思うのですよね。これは急に上がったんですからね。上がったほうの立場に立てば、たとえばこれは土地だけではなくて、商品だってみんな一斉に上がっているわけです。これは全部投機が原因になっているわけです。需要の増大ということだけじゃないのです。こういう問題はやはり政治力で解決する以外に方法ないでしょう。知事ができるとか、市町村長ができるという問題じゃないですよ。土地公有といいますか、国有の方向に向かって私権の制限といったようなことまで知事から意見が出ている。そこまで踏み切れるかどうか。この一点について私はしぼってお伺いしたい。私権の制限ということは、知事からも、過半数の知事からも意見が出ておる。これらの意見というものを一体政府としてはどのように考えるのか、この点をお伺いしたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま土地の問題でいろいろ伺いましたんですが、土地の問題というのは、マクロ的に見ますと、宅地必ずしも不足しているわけじゃありません。全体に日本の国土というのは三千七百万ヘクタールでございますが、そのうち住宅地というものは、市街地というものは五十万ヘクタール、その他工場が十万ヘクタール。ですから、これ両方寄せてみましても一・六%ぐらいしかないのでございまして、これを人口の移動に従ってうまく持ってまいりましたら、都市の再開発はもちろん可能であるし、住宅の問題も解決できるわけでございますが、いまどうしてこういう状況があるかというと、総理のお話にもありましたように、非常に局部的に人口が蝟集しているというところに問題があるわけで、これを分散しなければならないわけでございます。しかし、この分散に伴いまして、いまお話しのように、部分的にはもちろん投機がございますし、それから全体的に資金量がふえて需要がふえているという問題もございます。これをどう調整するかということで、所有権の私権の制限というのはこれは憲法上いろいろ問題があるけれども、土地のごときものの利用権は、利用する権限というのは、これ、当然制限してしかるべしという考えによっておるわけでございまして、そういう考え方から、土地利用の計画であるとか、あるいは国土総合開発法の中に盛られた、いろいろお話にございました特定地域における制限とか、あるいは今度は特別指定区域というものも設けて、そしてそこでは知事が指定して、開発に対して全く制限をしてしまうということもできるような、あるいはそれに違背した者に対しては罰則も考えようというようなところまでいっているわけでございます。しかし、問題は、そういうものはわが国において、もちろん国会の立法を要するわけでございますので、きょう考えたからあすできるということではなく、やはりその間に十分な御審議を経て、法律としてこれを行なわなけりゃならぬわけでございます。先ほどお話にございました、すでに上がっておるじゃないかと、上がったものをどうしてくれるのだということが多うございます。これも感情的には私ごもっともだと思いますけれども、しかし、それについて下げるような措置というものは、やはりこれは、土地は持ったはいいが、上がると思って買ったが上がらなかった、もうからなかったということを現実において示していかなければならぬと思うんでございます。それはどういうことかといいますと、やはり、その間に利益を得たその利益が、いわゆる公共の福祉に反するような利益であったものの場合には、これについては遠慮なく重税が追っかけていくという問題でございまして、これは放出せざるを得なくなると思うんです。しかし、世の中のことというのは、ことに経済問題については、そう一ぺんに、一日か二日の間に勝負のつく問題ではございませんから、やはりならして、何年かたってみれば、これはもうからなかったということにならないといけない。現実の問題として、そうなって解決されていく問題が多いわけでございます。そういう点で、私は、総理がおっしゃいました、もっと長い目で見ろと、責任問題もあるが、長い問題で見ろということは、そこに問題があるんだと考えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 世界工高い地価、世界一高い家賃なんていうのは自慢にならないんです、これは。こういうものの世界一は自慢になりません。したがって、この問題は、あす、あさってすぐに下げろと言っても、そういうことは私要求しない。しかし、われわれも、土地問題解決のために必要な立法については協力するつもりです。したがって、政府もすみやかにこの問題を解決してほしい。解決できなかったら責任をとってもらいたい。そのことだけを申し上げて私の質問を終わりたい。
○国務大臣(田中角榮君) これは、世界一高いというのは、都市における地価が高い、ニューヨークよりも東京が高いというのは、これは、簡単に言って、平面都市を是認しておるということであります。これ以外にはありません。平面都市を是認しておるということで需要と供給がアンバランスになっておるという問題でありますから、これはやがて——やがてというよりも早急に、都市の地価を下げるための不可欠の要件である都市の改造、立体化というものの立法措置を考えます。これはもう、できない場合は責任がどうなるかと——それは、責任というよりも、批判が起こってその責めにたえられなくなりますから、そういうことは十分承知しております。
○委員長(大竹平八郎君) これにて瀬谷君の質疑は終了いたしました。 午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 —————・————— 午後一時十七分開会
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を再会いたします。 午前に引き続き、総予算三案に対する質疑を続行いたします。細川護熙君。
○細川護熙君 まず初めにお断わりとお願いをしておきたいと思いますが、審議が非常におくれておって、できる限りこれを切り詰めてはしいということでありますので、私もできる限り簡潔に質問をさせていただきたいと思いますが、御答弁のほうもひとつできる限り簡潔にお願いをしたいと思います。それに伴って私のほうも多少早口になることがあるかもしれませんが、その点もひとつ御了承をいただきたいと思います。 初めに、まず今回の動労のいわゆる順法闘争の問題に関連をして伺っておきたいと思います。 今回の動労の順法ストによって、国民生活に非常に大きな影響が出ておるわけでありますが、この点について国民の一人として率直に、非常に大きな怒りを感じます。先ほど国鉄総裁からも、今度のストの状況についての御説明をいただきましたが、国民生活に直接に関係の深い生活物資、ことに生鮮食料品等に対する影響について、今後これがどのくらい影響があるかという点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 今回の動労のいわゆる順法闘争によります影響が、三月五日から昨日まで、きょうの分はまだ集計できておりませんが、昨日までの総合計を申し上げますと、この順法闘争によりまして運転をやめました列車の本数は、旅客列車が一万七百本であります。貨物列車が一万四千五百本でございます。これは、旅客列車は総列車本数の五%、貨物列車は実に三〇%に当たるわけでございます。不幸にして、けがをされた方が九十二人でございます。朝の大体通勤時間でございますが、九十二人の方がけがをなさいました。それから影響された、非常に迷惑をされたお客さまが七千六百万人でございます。それから私のほうの収入減は、旅客におきまして三十五億でございまして、このうち、急行券の払い戻しその他現金の流出いたしましたのが七億四千万でございます。それから貨物の減収が四十億でございます。これは二百万トンの貨物に該当いたします。最近におきます非常に影響の一番大きかった争議だと思います。これにきょうの分を足しますと、さらにふえるわけでございます。 ただいまの御質問の生鮮食料品でございますが、例を東京都にとって申し上げますと、東京都民の食べる魚のうちの大体一五%が鉄道輸送でございます。それから野菜は二七%ぐらいでございます。それからくだものは、ミカン、リンゴ等の鉄道の輸送シェアが多いものでございますので、約六七%でございます。先ほど申しました二百万トンのうち、生鮮食料品は極力優先して送りましたが、やはり鉄道輸送としては、このうち、たぶん二十万トンないし三十万トンが減送されているというふうに思いますが、生鮮食料品の中でも、魚は業者の方々が自衛上ほとんどトラック輸送をやられてございます。また野菜につきましては、北海道からの野菜を緊急に私のほうで手配をいたしまして、コンテナに積みまして、北海道から東京までトラックで持ってまいりました。これは運賃は、鉄道運賃でもって私のほうが、さやを負担したわけでございます。リンゴやミカンはちょうど端境でございまして、あまり大きな影響はございませんでしたが、いずれにいたしましても、東京市場の入荷のうち、いま申しました鉄道のシェアの分がほとんど大きな影響を受けております。 先ほど、十二時に大体中止をいたしたようでございますが、今後の、いまの御質問の見通しでございますが、旅客列車のほうは、きょうの夜ぐらいから大体順調に復しましても、客車が非常に方々で乱れておりますので、約三日間かかるというふうに考えております。貨物は、これが非常に大きな滞貨を持っておりますので、正常に戻るまでには早くて一週間、大体十日たたないと正常な状態に戻らないというふうに思いますので、一応この状態が終わりましても、即刻ノルマルな状態に戻るということではないということが、いまの見通しでございます。
○細川護熙君 先ほど申しましたように、順法闘争という名のもとに、こういうふうに国民に非常に大きな影響を与える行為が行なわれるということは、これは非常に遺憾とするところでありますが、順法、順法というと、何かあたかも正しい、ことばどおり法にのっとった行為のように受け取られがちでありますが、この順法というものの実態について、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 動労の行ないましたいわゆる順法闘争の中でも、きょうのは、初めから動労はいわゆるストライキということばを使っております。したがいまして、順法闘争でなくて、明らかに公労法十七条に書いてございます争議行為に該当するものというふうに考えられます。それから、昨日までのはいわゆる順法闘争でございますが、順法という名はいろいろの解釈のしかたがございますが、たとえば、法律と規則をそのまま守るというふうに言っておりますが、かりに道路でもって五十キロ制限の道路がある、それをおれは十キロで走るのだといって十キロでのろのろ走っていいかどうか。これは法律に違反しないまでも、それの影響が非常に大きいときにはやはり若干問題になる。あるいは赤信号が百メートル先に見えた、あぶないからここから五キロに落とすのだ、これも順法かどうかという問題がございます。これは裁判で大体の結論が出ております。しかし、いまやられましたのは、そういう単に法律、規則の内部的な解釈だけでなしに、いわゆる盲点と申しますか、そういうものを突いたやり方でございまして、私どものほうの規則、これはどこでもそうでございますが、大体アッパーリミットを押えてあるわけでございます。たとえば車掌はドアエンジンを扱うのに、普通ならほっと押す。ところが、ゆっくり五秒なり十秒かけて押すということ、これは常識的にいって、ドアエンジンを押す場合には、もう前途に支障がなければ簡単な動作で押すというのが、これは法律には書いてございませんが、一つの常識だと思いますが、それを、サボタージュと申しますかスローダウンと申しますか、そういう、昔からとられておる行為だと存じますが、われわれといたしましては、法律以前の常識の問題として、サボタージュ的なことが行なわれているというふうに、まあスローダウンということばを使っておりますが、それが非常に重なり重なりしまして大きな影響を来たすということでございます。
○細川護熙君 そういう実態を伺うまでもなく、これは明らかに違法行為であることは非常に歴然としておると私は思います。この点について、労働大臣はさきに衆議院の予算委員会ですか、本会議ですかでも、公労法十七条に違反をする違法な争議行為であるということを言っておられますが、この点について運輸大臣に重ねて伺っておきたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 今回の動労の行なっております順法闘争、これは国鉄のほうからも詳細に内容を聞きましたが、これはやはり公労法十七条によりまして禁止せられた争議行為であると私も考えております。
○細川護熙君 違法であるというはっきりとした御答弁をいただきましたけれども、違法であるならば、やはりこの違法行為というものを起こしたことが明瞭になった者に対して、その責任をきびしく追及するということは当然のことであります。この点について最高裁あたりでもいろいろな判決が出ておりますが、この処分の問題について、今後もこのような違反をした者に対して、それが明瞭であれば、同じようなきびしい処分というもので臨んでいくかどうか、この点について運輸大臣と労働大臣、双方にお尋ねしておきます。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 処分には二つあると思います。 一つは刑事罰の問題でございます。この点は十分証拠がそろいませんと関係当局も受けつけないだろうと思いますから、今後この問題については国鉄当局において慎重に調査をするだろうと思います。 もう一つは行政処分の問題であると思います。これは国鉄総裁が法律によって行なうものでございます。
○国務大臣(加藤常太郎君) お答えいたします。 当事者に禁止された争議行為である場合には、解雇とか解職とかいろいろな行政的な処分を行なうのは、これはいたしかたないと思います。(発言する者あり)ただ、いま私語いたしておりますが、中郵事件では刑事罰は、これはいろいろなケースによって、刑事罰はありませんが、特にこの問題に対しまして、当局の措置については当然あることは予想されます。
○細川護熙君 それでは本論に入りますが、国際通貨変動の時代に入って、わが国の置かれた立場は非常にきびしいものがあるわけでありますが、これを、ただ政府の責任を後向きにただすという立場からではなく、こうした難局をいかにしてこれから乗り切っていくかという観点から、総理並びに閣僚の御意見を伺っていきたいと思います。 まず初めに、昨夜からけさにかけて明らかになりつつあるパリでの拡大十カ国蔵相会議に関連をして、今回の十カ国蔵相会議の結果、アメリカのドルの買いささえ等がきまったわけでありますが、この点についての政府の評価についてお尋ねをしておきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 十六日の拡大G1Oの会議におきまして、大略五つに分けて合意が見られたと思っております。第一番目は、秩序ある為替相場制度を共同して守る決意を再確認したことであります。二番目は、必要かつ望ましい場合には各国通貨当局問で緊密に協議しながら各国が市場介入をすること、そのため必要があればスワップ等も使用すること。第三点、資本移動規制やユーロ市場の問題については、アメリカを含め各国とも協調的立場から方策を検討すること。第四点、国際通貨制度の安定には各国のインフレ抑制措置が重要であること。第五点、国際通貨制度改革の作業を促進すべきこと、などが合意されたわけでございます。政府としましては、今回の措置は各国の通貨当局が当面の危機克服のために一致協力したもので、望ましい姿であったと評価しておるわけでございます。これによりまして、為替市場は波乱なく秩序ある市場の再開が期待できるものと考えておりまして、なお長期的な通貨制度に関連する問題が残されておりますから、その改革について今後討議していくことが必要である、かように思っておる次第でございます。
○細川護熙君 本日明らかになったこの蔵相会議の結果に基づいて、三月二日以来二週間にわたって閉鎖されてきた外国為替市場は、予定どおり十九日に再開をするということでよろしいですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 予定どおりでございます。
○細川護熙君 その場合に、変動相場制はそのまま継続ということですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは適当と考えられる時期まで変動相場制が続くものと、かように考えております。
○細川護熙君 愛知大蔵大臣はパリでの演説で、各国政府の責任ある支持と協力によって固定制度に復帰をすべきであると信じるということを強調しておられますが、今回のパリ会議によって、固定制への復帰は早まるというふうにお考えですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 早まるかということは必ずしも断定的に申し上げられませんけれども、わが国の従来からの主張といたしましては、国際収支の不均衡の是正というものは各国がやはりそれぞれインフレ抑制策をとらねばならないこと、それから資本移動の規制というものはこれは必要である、さらに、準備資産としてSDRというものを強化して米ドルの役割りを減少せしむる必要がある、さらに米ドルの交換性回復は各国ともこれを望んでおるのであるから、何らかの形でアメリカは交換性を回復すべきであるということを主張しておったわけでございますが、やはり今後とも、わが国の国際的な地位が上昇しておりますので、それに伴って責務もふえておるわけでございます。そういう点にかんがみまして、今後の通貨情勢に対して日本の持つ役割りというものを、われわれ自身評価していかなければならぬと思っておるのでありますが、このアメリカのドルの交換性回復という問題について、やはり各国が協調してこの問題を助けていく必要があると思いますが、それの見きわめとの関連で、固定相場制に復帰という時期が考えられるのではないかというふうに思っております。
○細川護熙君 これまでいろいろ衆議院等の質疑を通じても、クリーン・フロートを守るということをたびたび言われてきたわけでありますが、今度の会談の結果によっても、やはりクリーン・フロートを守っていくということでしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) ダーティー・フロートは避けるべきであると考えておりますが、この会議でも合意された中にありますように、各国がやはり極端な変動を避けるという意味での介入は考えようということを言っておりますし、アメリカ自身もドル買いささえについて考慮をするというふうな意向を表明しておりますので、その点はございますと思いますが、わが国の基本的の態度としてはクリーン・フロートを続けるということであります。
○細川護熙君 市場再開後も円の実勢というものはおそらく、閉鎖をされる前に比べると、マルクも三%切り上がっておるわけでありますし、いろいろな情勢からして、非常に騰勢、もっとずっと上がってくるのではないかという懸念があるわけでありますが、それでもクリーン・フロートは守るということでよろしいですね。
○国務大臣(小坂善太郎君) 閉鎖前の相場が一ドル二百六十八円でございましたか、これは一四・九三%ぐらいだったと思いますが、これがそのままいくかというと、この当時はマルクの切り上げというものはなかったわけでございますね。ですから、その影響というものはこれは当然考えられると思いますけれども、しかし、フロートするということの意味は、やはり円の落ちつき場所を無理のないところに落ちつけるということに意味があるのでございまするから、極端な大きな変動が一時にきては、これはその意味も、無理のないところへ落ちつけるという意味も阻害されるわけでございますから、そういう点は避けなければなりませんけれども、いま申し上げたような原則的なクリーン・フロートを考えているという点は動かせないと思っております。動かすべきでないと考えておるわけでございます。
○細川護熙君 共同声明の中で、すべての蔵相と総裁は、公的通貨残高の決済に関する諸提案が全面的かつ緊急に検討されるべきであるとの点で合意した、というふうに書かれておるわけですが、これはドル残高の凍結問題のことだと思いますが、ある意味で債権者である日本としては、これからの三月末の蔵相会議に向けても、この点について主導的な役割りを果たしていくべきではないかと思うわけでありますが、この点についてはいかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私もそのように思いますが、要するに通貨改革に関連いたしまして、通貨残高の借りかえ及びコンソリデーションというものについて今後二十カ国蔵相会議で検討する、こういうことでございますし、しかも、これは長い先の問題のように一応なっておるわけでございますが、しかし、そう先になってはならないことだと思いますのは、ユーロダラーのマーケット、これをどうするか検討するということ、それから日本は非常に誠実に日本の持っておるドルを保有しておるわけでございますが、国によってはこれをユーロダラー・マーケットに放出しておるわけでございますが、その放出については自制をするというふうな取りきめ、申し合わせがなされておるわけでございます。そうした問題を含めて日本はいろいろ、非常にドルを大きく持っておる国、しかもアジアにおいての先進工業国の立場として大いに発言し、大いに行動しなければならぬというふうに思います。
○細川護熙君 日本も今後、変動円の表示あるいは固定制への復帰に際して新しいレートを決定していく際に、西独が今回三%切り上げの決定に際して行なったように、SDRを基準にやっていくべきではないかという感じがするわけでありますが、総理も大蔵大臣も、この予算委員会でもSDR重視の方向というものを打ち出しておられるわけですが、わが国としてもひとつ積極的にこの点で打ち出していっていただきたいと思うわけであります。この点について、もう一ぺん重ねて伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) SDRにつきましては、御承知のように、一九七〇年から七二年までの三カ年間に九十五億ドル創出する旨を決定したわけでございます。わが国もこれに積極的に参与いたしたわけでございますが、昨年九月のIMF総会では、七三年以降のSDRを創出する決議が行なわれなかったわけでございます。わが国はSDR信認の見地から、創出継続を主張したわけでございますが、こういう点にかんがみまして、われわれとしては大いにSDRというものを各国が寄り合って権威をつけていくということを非常に必要であると考えておるわけでございます。そのように行動いたしたいと思っております。
○細川護熙君 今回の一連の国際通貨会議によって当面の危機は回避をされたわけでありますが、まだ完全に通貨不安が一掃されたわけではないので、この意味で、これからも通貨改革の論議というものを進めて、大いにひとつ促進をしていく必要があると思いますが、長期的な通貨制度改革問題についてのひとつ政府の立場というものをこの際伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今日、ドルに対する信認というものが大いに変動しております。ゆらいでおります。したがって、ドルというものを各国が保有しているということについては非常に懐疑的な面があるわけでございますが、それでは交換の通貨としてドル以外のものがあるかというと、これはないわけでございます。したがいまして、当座の問題といたしましては、どうしてもドルというものの信認を回復するように、大いに関係国が寄り合って努力していかなければならぬと思うのであります。その意味で、先ほどお話し申し上げましたようなコンソリデーションの問題とか、あるいはドルをユーロダラーに放出する問題を自粛することとか、あるいは各国それぞれ国内においてインフレ防止策に懸命に努力すべきことであるとか、そういうようなことをやりながら、ドルというものの地位を高めて信認を回復するようにつとめていく。アメリカ自身はもちろん、その点について最も責任あることだと思いますが、それをやってもらう。そういうことにして、ドルの交換性を何らかの形において回復するということが必要であると考えておりますが、さらに長期的には、ドルといいましても、結局金の兌換ということからドルに対する信認があったわけでございますから、そうした気まぐれな金という金属そのものに世界じゅうが信頼を置いている、こういう考え方が少し修正さるべき段階に来ているのではないかと思うわけでございます。細川委員も御承知のように、金の産出額というものは非常に限られたものでございまして、全体の二%ぐらいしか増産されていない。こういうものに対していつまでも、何十年も同じような信認があるということは、これは考えられぬわけでございますから、やはり人類の英知というものによって、新しい金にかわる国際的な通貨を生み出していくということが必要なのであって、それにはSDRというものができてきたわけでございますから、今度はSDRというものに対する各国の信認をどうして強固なものにするかということについて、今後の問題として、私ども各国との間に連絡を密にしながら協調して、そしてその方向に向かって努力していかなければならぬ、かように思っておるわけでございます。
○細川護熙君 通貨の問題、今度の蔵相会議の問題に関してはまたあらためて集中審議が行なわれるわけでありますから、この問題についてはこの程度で終わりにしたいと思いますが、この通貨変動時代の中で、ほんとうに日本の経済というものが円再切り上げ体質といわれるものから脱却していくためには、やはりどうしても国際収支の改善というものに真剣に、いままで以上に真剣に積極的に取り組んでいかなければならぬと思うわけであります。この点について、四十八年度の政府の経済見通しを見ますと、長期資本収支の赤字幅は四十七年度に比べて五%の増、あるいはまた移転収支は逆に二〇%減ということになっておるわけでありますが、この数字から見ると、どうもいまひとつ積極的な姿勢が見られないような感じがするわけでありますが、この点についてはいかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは三百八円ベースで計算しているわけでございますが、長期計画で年平均の成長率を一四・三%と見ております。で、この両三年内ということになりますと、若干高めにして一五・一%というふうにいっているわけでございます。これは田中総理がニクソン大統領と話し合われて、両三年内に収支を均衡させるということを言われました、それから来ているわけでございます。で、いまどうもわが国の貿易の実態を見てみますると、必ずしもこうした計画どおりにいっていると思えない面があるわけでございます。ことに対米貿易について非常に貿易の黒字幅が広がっているということで、昨年来、御承知のような第三次円対策というものを策定いたしまして、そして自由化も進める等のことをいろいろやっておるわけでございますけれども、何といたしましても輸入を拡大しなければいかぬということから、御承知のように千八百に及ぶ品目の二〇%一律関税引き下げを国会で決定していただきました。さらに昨年暮れに、またさらに追っかけて輸入関税の引き下げということを関税審議会に提案いたしました。関税審議会のほうからはそれでよかろうということが来たもので、いま関税引き下げの法律案を政府として国会に出して、一日も早くこれをあげていただくようにお願いしているわけでございます。そういう問題も、ひとつぜひ今日の状況にかんがみていただきまして、一日も早く関税の引き下げができて、日本の輸出入貿易の望ましい正常化の姿ができまするようにしていただきたいと思うのであります。一方、長期的な海外に対する経済協力、技術協力、それらについてもっとやらねばいかぬということで、その方面のいろいろな人的配置等も勘案いたしまして、大いに経済協力を進めていこう、こういう体制をいまとりつつあるところでございます。
○細川護熙君 国際収支対策として、これまで通商面からのアプローチというものは主としてなされてきたわけでありますけれども、やはり基本的には産業構造というものを転換をしていかなければならないわけでありますが、この点について知識集約型産業への移行ということがいわれているわけであります。知識集約型産業のその中身というか、そのイメージというものが、どうも私はいまひとつはっきりしないわけであります。飛行機からファッションまでということになっておるわけでありますが、知識集約型産業というもののイメージについて、あるいはこれを実現していくための長期的なビジョンというものについて、通産大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の産業構造を、現在の重化学工業型から知識集約あるいは福祉型に転換していく政策を目下やっておるところでございますが、知識集約型産業とはいかんとの御質問でございますが、まだ全貌が露呈しているわけではございません。それで、ある程度いまわかっていると思われるところを申し上げてみますと、要するに知識集約型産業というのは、研究開発、デザイン、専門的判断、あるいは高度のマネージメント、そういうようなものが集約されて付加価値の多い産業類型、そういうものに集約されるようでございます。それで、第一に研究開発型のものとしては、電子計算機、航空機、電気自動車、海洋開発、それから高度組み立て産業的なものには、通信機械、事務機械、公害防止機器、教育機器、第三にファッション型産業、これも高度の知識や欲求をデザイン化するという知能型の産業ですが、これは高級衣類、高級家具、電気音響器具、電子楽器などです。第四番目は情報提供とか情報処理とか、ソフトウェアシステムとか、コンサルティングというように、そういう知識を提供する、そういう型の産業であります。これらのいろいろな型の産業については、これから日本の産業の中核になるように、いろいろな面で援助もし努力もしているところであります。
○細川護熙君 産業構造を変えていく上で、一番主体というか中心にならなければならないのは、もちろん中小企業であろうと思うのですが、この点についても十四日の日でしたか、緊急中小企業対策として二千億幾らかの融資ワクが認められたわけでありますが、現実にはどうも転業資金というものが生かされていないというのが実情のようでありますが、この点について、ひとつ転業資金がほんとうに転業資金として生かされるような施策というものを考えていただきたい。その点についてもう一度。
○国務大臣(中曽根康弘君) 前回のドルショックのときに、いわゆるドル対法というような法律もつくりまして、転業資金等の措置をいろいろいたしました。そのために、たとえば燕の洋食器のようなものが、道路にあるミラー、ターニングポイントにあるミラーがありますが、あれは燕の洋食器の諸君がつくって転換したものであります。あるいは自転車のハンドル等へも転換いたしました。今回は、前よりもショックが激しいというところもあると思いまして、さらに強い政策をいろいろ用意しております。これは中小公庫、国民公庫に事業転換貸し付け制度をこの前も新設しましたが、この資金量を多くする。それから中小企業振興事業団に共同転換融資制度を新設して長期低利の資金を貸し付けることにしたと、それから担保がなくて困っている事業等に対しては中小企業信用保険法の特例を講じたと、それから転換を行なうに際して不要となる既存の設備については税制上加速償却制度を設けたと、こういうようなことを前回やりましたが、今回は、前回やったことをやると同時に、さらにそれらの資金量のワク等を広げる措置をいたし、また、信用補完措置についても先般よりもさらに強い措置をいま講じているところでございます。中小公庫による事業転換貸付けは、この前は五十億円ぐらいでしたが、今度は四百六十五億円のうち相当量をそっちに回そうと、それで金利七%、貸し付け限度八千万円。国民金融公庫の事業転換債は、先般は十億円でしたが、今度は四十五億円のうち相当量を貸し付けようと、これは貸し付け限度一千万円。共同転換に対する支援措置につきましては、金利二・七%、前回は二十億円ぐらいでしたが、今回はそれよりふやそうと、これは貸し付け期間十六年。設備共同廃棄に関する支援措置、転業して設備をやめてしまおうという場合です。これは無利子で十六年の貸し付け期間、これも十億円以上にしようと。この前は十億円でありましたが、今度はもっと多くなるだろうと、そう見ております。そのような諸般の措置を講じていくつもりでございます。
○細川護熙君 先ほど小坂大臣もちょっと触れられましたが、関税体系の是正の問題について伺っておきたいと思うわけでありますが、わが国の場合に輸入構成が非常に原材料に片寄っておる。原料品について非常に手厚くなっておるわけであって、これから製品輸入というものを拡大していくためにも、現在のこの関税体系というものをこれから是正をしていく必要があるのではないがという感じが強くするわけでありますが、この点についてはいかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 仰せのように、タリフエスカレーションというのは確かにわが国の関税体系にあるわけでございまして、これをひとつ是正しようということで、政府は、昨年の十一月に、いわゆる第三次円対策の一環として製品関税を中心とする千八百六十五品目にのぼる画期的な関税の一律二〇%引き下げを実施したわけでございますが、さらに、昭和四十八年度の関税改正案について、これに加えまして生活関連物資等の製品についても関税の引き下げを行なうこととしておりまして、もしこれを国会において御承認いただきまするならば、その結果といたしまして、わが国の製品関税は、従来の一〇%台から八%台に低下し、ほぼ欧米並みの水準に達するわけでございます。しかし、われわれは、これに満足しているわけではございませんで、さらに今後ともこれを引き下げるようにいたしたいと考えておるわけでございます。
○細川護熙君 輸出抑制の観点から海外市場開拓準備金というようなものが廃止をされたわけでありますが、本格的な輸入の拡大をはかっていくためには、新しい輸入促進税制を設けるべきだという議論もあるわけであります。この点については、もちろん、一方で輸入障壁を設けておきながら、一方でまたこれと逆のことをするのは一貫性に欠けるという問題もあるでありましょうが、そういうふうなものがはたして検討することができるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) その点について、実は、輸入金利がだいぶ下がっておりまして、かなり従前に比べては有利になっておりまするところにいまお話しのような事情もございますし、それからどうも最近は商社についての行儀の悪さが非常に問題になっておりまして、そういうものにさらにフェーバーを与える必要があるかと、こういうような議論もございまして、いまのところはなかなかこの点はむずかしかろうかと考えておる次第でございます。
○細川護熙君 国際収支を改善するという至上命令の上からも、また、それを消費者に還元するという立場からも、もろもろの輸入阻害要因というものを取り除いていくということは、これはどうしても必要なことであると思うのですが、その意味で輸入品の国内流通組織が硬直化しておるのではないかという問題が一部で指摘をされておるわけであります。輸入品だけでなくて国産品も含めて、そういった競争要因というものが阻害されておるということについて、公正取引委員長に一言伺います。
○政府委員(高橋俊英君) 輸入品、ことに消費者に関連ある物資の価格が、レートの変更にかかわらず、あまり下がらないという非難に対しましては、私どもも常に注意を怠らずに見ておるのですが、まず輸入総代理店契約では並行輸入を阻害してはならないと、こうある。ところが、これは私どもはまだ情報として聞いている程度でありますけれども、実際には陰で輸入阻害が行なわれている節があるということであります。ただし、これは輸入総代理店そのものがみずから並行輸入を行なったところに行って、それはけしからんというふうな言い方をしている例はほとんどないのでありまして、これはもっと調査をいたしますが、おそらく輸出する本国のほうに情報を流して、その方面から並行輸入を行なった、たとえば百貨店が直接並行輸入を行ないますと、そこのルートを狭めるというふうなことが行なわれているのではあるまいかと、こういう疑いはあるのでございますが、まだその実態を明確につかむまでに至りませんが、できるだけのことをしまして、そういう国内の輸入総代理店が実質的には並行輸入を狭めるような阻害行為を行なっている場合には、厳重にこれを取り締まるつもりでおります。
○細川護熙君 そういう意味でも監視体制というものを十分にしていただきたいと思うわけでありますが、そういう観点からも内外の商品価格の比較調査をしておいたらどうかということを私は考えるわけでありますが、これは経済企画庁長官に伺います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 非常にいい御提案だと思います。私もそう思っておりまして、いろいろな人の意見を聞いているのでございますが、実は、この間、デンマークの大使が参りまして、彼は自分の国の北欧製の家具を非常に自慢しておるわけですが、それが自分じゃ全く信じられないような高い値段になっておる。それはやはり一種の非関税障壁のようなものではないかというわけでございまして、それなら、まあデパートで売られているわけですが、他のデパートを使ったらどうだと、それはとても協定があってできゃせぬ。それじゃチェーンストアを使ったらどうだ、これは売り場がないというようなことを言っておりまして、私は、ある機会に、商社などにも協力を求めて、デパートあるいはチェーンストアと合同して、フェアをやってみたらどうか、そうして輸入品がどのくらいの値段で売らるべきものであるか、生活関連物資を中心としてそういうことをやってみて奥さんたちにうんと買ってもらったらどうかということも実は考えておるわけでございます。
○細川護熙君 円再切り上げ体質の経済から脱皮をするための国際収支改善策、あるいはまた輸入の促進策について伺ったわけでありますが、最後にこの点で総理にも一つ伺っておきたいと思いますが、どうしても国際収支調整のための手段として一番大きな資本収支面での改善ということをやらなければいかぬと思うわけであります。この点について、アジア開発銀行への融資であるとか、あるいはエカフェに対する融資であるとか、せんだってのこの委員会でも、アジア平和基金ですが、日本平和基金ですか、そういったような話も出ましたが、第二外為というような構想も、もう総理が通産大臣のころから言われておる実は構想でありますが、私も非常にけっこうな構想だと思いますし、この際、国際収支を抜本的に改善するという面から、時限を区切ってひとつやるという姿勢を示していただけませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 国際収支改善対策は非常に重要な問題でございますから、資本の自由化を行なうということでいま外資審議会にかけておりますから、これは早晩実施ができると思います。 また、海外に対する援助、投資等に対しては、まず開発投資を行なうということもございますし、もう一つは、国際機関に対しての出資や拠金を行なうということもございます。いま、世銀等に対しては年間二十億の融資のうち四分の一を日本が提供しておるというような事実もありますし、アジア開銀や、また新しい機関の設立等も、当然いま検討されておるわけでありますから、そういう問題に対しても積極的に参加をしてまいりたいと考えております。 いま大きな問題としては、ベトナム復興の問題がございます。一説には、アメリカが提唱する七十五億ドル、このうち日本が一体幾ら持ってくれるのだというような問題は、世界じゅうから注目しておるわけでございますが、そうかといって日本だけでというわけにはまいりませんが、まあ、これらの問題に対しては、アンタイイングの推進とともに、国際協力というものは今後積極的に進めてまいらなければならないと、こう考えております。
○細川護熙君 時限を区切ってと申し上げても、なかなかそれは無理なことはわかっておりますが、ひとつできる限りはっきりとしためどを立ててやっていただきたいということを要望しておきます。 ちょっとこの問題の基調からはずれるかもしれませんが、過剰流動性の問題について一、二点伺っておきたいと思います。 過剰流動性そのものが、何というか、経済的な面でマイナスになるということは——マイナス要因ではないわけでありますが、それが過剰になってしまったところに問題があるわけでありますが、いまフランスがやっておるような、何というのですか、貸し出し準備率制度のようなものを日本でも考えられないかどうか。もちろん、わが国の場合に、窓口規制とかいろいろなものがあるわけでありますから、そういったものを考える必要はないということかもしれませんが、そういう意味で前向きに検討のできる問題の一つではないかと思うわけであります。この点について、大蔵大臣でも御答弁いただければ……。
○国務大臣(小坂善太郎君) わが国の準備預金制度は、金融制度調査会の答申に基づきまして、昨年四月、準備率の最高限度の引き上げを一〇%から二〇%に引き上げるなど、調整力を強めるように改正を行なった次第であります。そして、その後、海外短資の流入を防ぐ手段として活用してきましたほか、最近の金融情勢にかんがみまして、本年一月と三月との二回にわたって準備率を引き上げまして、過剰流動性の調整をはかるほか、あわせて総需要の調整に資するための手段として活用している次第でございます。 ただ、この貸し出し準備率の問題は、貸し出し抑制の意図を明確に示し、特に、通常、中央銀行の貸し出し調節のコントロールが及ばない中小ないし系統金融機関などに対して制度的にその貸し出しを抑制し得ること、さらに、活用のしかたによっては、貸し出しの態様に応じて準備率に差を設け、選択的な貸し付け抑制を行ない得るなどの利点がありますので、今後貸し出し準備率制度の導入も研究すべき課題の一つと考えておるわけでございます。
○細川護熙君 もう一点伺いますが、この点は大蔵大臣代理として非常にお答えのむずかしい問題かもしれませんが、現状のままで行くと、景気ははたして過熱をしてくるのか、あるいは引き締めの効果というものがだんだんにあらわれてくるのかという問題が一つあると思いますが、さらに総需要を抑制するということになると、この間十年ぶりで下げた預金金利をまた将来下げられるのかという一つの非常にむずかしい問題があろうかと思うのです。それだけの腹づもりがはたしておありになるかどうか。大蔵大臣代理として非常にむずかしい問題かもしれませんが、今後この預金金利というものを物価にスライドして弾力的に上げ下げするかどうかということは、私は、重要な問題だと、重要な選択だと思うわけであります。この点について、地方銀行あたりでも、いまの一年半の定期を、二年なり三年なりにして、もう少しバラエティを持たせるようにしたらどうかというような議論もあるわけでありますが、この点についていかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 金利を物価にスライドするということは、御提案でありますが、非常にむずかしいと思います。しかし、物価よりも零細預金の金利が低いというような事実もありますので、これらの問題に対しては検討いたしております。 それからやはり過剰流動性の問題とあわせて今度は矢つぎばやに迅速にやっていかなければならない問題があります。いま十六日から預金準備率を引き下げて、その前の日には二千億の中小企業融資をすると、こういうことでありますから、必要なところには資金を流さなければならない、しかし過剰流動性は吸い上げなければいかぬ、ここらが非常にきめこまかい施策ということになるわけでございます。総体的に考えると、日銀のシェアが非常に小さくなっておるということが一つの問題であります。ですから、公定歩合操作というものが全金融に反映するまでには相当時間もかかるということがあります。それは、雑金融機関とか——雑金融機関と言うこと自体がまずいかもしれませんが、日銀の影響を受けない金融機関、それから系統金融機関、系統資金が非常に膨大もないものがあるわけであります。まあこれらに対しては言及されておりませんが、やはり過剰流動性の中には存在するわけでございます。だから、やはり、ある意味では預金者保護という面もありますし、ある意味において、いま御指摘になったように、中期定期というようなもので健全な消費、これは消費を抑制するのじゃありませんが、健全な消費というものを維持しながら、過剰流動性というようなものを押え、国民の貯蓄ということ、それが過剰流動性という政策にマッチするというようなきめこまかい施策はとっていかなければならないと、こう思います。いまでも貯蓄性向は高いのですが、国民の持つ金の少ないときの貯蓄性向と、現在の状態において過去の貯蓄性向率二一、二二というものがそのままで、国際的比較だけではなく、日本にもいいのだということもまだ検討を要する問題でありますので、政府部内で金融機関とも話し合いをしながら検討いたしております。
○細川護熙君 次に、財政の問題について幾つか伺ってまいりたいと思いますが、現在日本の置かれた経済環境から見ても、私は、積極的な財政拡大の方向がとられるべきであると思います。そのための内需増大への転換、いわゆる内向きの経済というものが積極的に推進をされなければならないと思うわけでありますが、その大きな柱は、やはり何といっても社会資本の充実であろうかと思います。社会資本、社会保障については、新しい経済計画でも、振替所得を八・八%にするというようなことがいわれておるわけでありますが、また、現に社会資本についてはいろいろと長期計画も定められておるわけでありますが、社会保障についてやはり思い切ってその長期計画を策定すべきではないかと思いますが、この点について、いつごろまでをめどにしてつくるというようなものがあれば、聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 新しい基本計画の中で、振替所得を十二兆三千億円に昭和五十二年度にしようということをきめておるわけでございますが、これは国民所得に比しまして八・八%ということになります。その中で、いまお示しの社会保障関係、これはどういうふうにしたらいいかということで、できるだけ早い機会に厚生大臣にお願いいたしましてその関係の長期計画をつくっていただこうと、こういうことになっておるわけでございます。しかし、もうすぐに明年度の予算の編成期が来るわけでございますので、できるだけ早い機会と申しましても、これは四十九年度の予算の中にはなかなかその計画そのものができてその一年度入っていくということにはなりにくいかと思いますけれども、しかし、可能なる限りこれを早くつくるようにいたしておるわけでございます。
○細川護熙君 社会保障の中でもいろいろなものがあるわけでありますが、たとえば生活扶助基準について、あるいは年金について、あるいはまた老人や医療について、それぞれどれについてそういう計画が可能であるか、そういうふうなことで個々の問題について何と何についてそういうふうな計画を立てたいというめどがあれば、ひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま経済企画庁長官からお話のありましたように、一応五年間の総論的な社会保障の拡充充実の計画ができ上がったわけでございまして、それを五年間の年度別に割りまして各論的な具体的な計画をつくっていくと、こういうことになると思うのでございまして、私どもの考えといたしましては、明年度予算が成立いたしますと、直ちに厚生省の中に長期計画をつくる懇談会を設けることにいたしておりますので、その懇談会を中心として五カ年間の各論的な年次別長期計画をつくりたいと思いますが、その内容として考えておりますのは、三つの部門に分かれると思うのでございまして、一つは年金問題、一つは医療問題、一つは社会福祉施設等の問題と、こういうふうに三つになると思うのですが、その三つのうちで、まあ一、二の例を引いて申し上げますと、年金問題でございますと、老齢福祉年金、これは総理の決断によりまして四十八年度は五千円ということでございますが、四十九年度は七千五百円にしようと、五十年度には一万円、夫婦二万円福祉年金ということを総理の決断によって実行しようというところまできめておるわけでございます。そうなってまいりますと、それに見合って拠出制の年金を何ぼにするかと、これが当然はね返ってくる問題でございますし、五十年度一万円、夫婦二万円年金、そういうことになりますと、その次年度どうするか、こういう問題になってくるわけでございまして、なかなか年金の充実問題というのは非常に大きな比重になってくると思います。 それから医療問題を考えてみましても、まあ長たらしいことは御説明申し上げませんが、日本国民どの地にありましてもあまねく充実した医療を受けられるような医療施設の体系的整備、これは大きな問題になりましょう。 それから社会福祉施設の充実等につきましても、すでに四十六年度から五年計画で大蔵省と相談しまして一応の計画ができておりますが、この計画だけで足りるのかと、こういうふうな問題等もたくさんあるわけでございまして、なかなかこれはたいへんなことだと思いますが、せっかく経済成長の成果をあげて福祉充実へという新しい性格のことでございますから、それに基づいて、国民に喜んでいただけるような年次別計画をできるだけ早い機会に一応の草案をつくりまして、大体四十九年度の概算要求は八月ということになっておりますので、八月のころまでには大ざっぱな構想をつくりまして、その中で四十九年度はどれとどれを予算化するかと、こういう作業になるかと思いますので、まあ一応八月ころまでに大ざっぱな年次別五カ年計画をそういう部門に分けてつくっていきたいと、こう考えておる次第でございます。
○細川護熙君 社会保障の充実をしていくための大まかな計画はわかりましたが、社会資本を充実していくために、私は、いままで非常にばらばらに行なわれてきた行政というものについてやはり考え直していかなければならない時期ではないかと思うのです。さっき午前中にもそういう質疑がちょっと出たようでありますが、各役所がばらばらに都市問題というものに取り組んでいる、開発をしていくということでは、この間の上尾の事件などにしてもそうだと思いますが、そういう問題が起こってくるわけであって、やはりそういった問題をワンセットにして、都市問題開発のシステム化というか、そういうふうなことを今度できた国土開発庁なら国土開発庁の中で構想として盛り込んでいくべきだと思うわけであります。この点について、総理からお答えいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) いまそれをやろうとしておるわけです。いままでは現状是認を前提として経済社会発展計画というものをつくってきたわけでございますし、いまの五十二年までのものも現状というものを基礎にして考えておりますが、しかし、いま御指摘がありましたように、国土総合開発計画が行なわれるわけでありますし、その制度は今度完備するわけであります。そうすると、六十年展望で大体日本の知識集約的な産業はどうなるか、その立地条件はどうなるか、それから一次産業、二次産業、三次産業の分布状態がどうなるかという、いままでに当然つくられなければならなかったものが今度できるわけです。そういうことで、まあ去年一ぱいにつくろうとしておったものを、もうちょっと慎重にしましようということで、新全総の計画を五十年三月まで延ばしたわけですから、しかし、これは一日も早いほうがいいんです。ですから、いろいろな制度ができましたら、地方との関連もつけながら、水や土地や、それから自然の保護や、一次産業との調整や、そういうものの全部一応の青写真ができます。そうすると、そういう状態において東京で病院をつくるということと、それから将来全く新しい全国的分布においてつくるという場合になると、投資効率が全然違うわけですから、だから、そういう意味では、全く新しい立場における計画というものが、まあ長期というわけにはいきませんが、十年ぐらいのものは相当さだかなものができると、そういう方向にあります。
○細川護熙君 四十八年度予算が高福祉財政の一つの方向としての曲がり角に当たるものではないかと私は理解をしておるわけでありますが、まあ高福祉経済体制というのは必然的に高価な政府になるわけでありますが、さきの経済計画の中では、計画期間中に税負担あるいは税外負担の比率がおおむね三%程度高まらざるを得ないということがいわれておるわけでありますが、私は、社会資本を充実していくために三%程度ではどうも少し足らないのではないかという感じがちょっとしておるわけでありますが、この点についていかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私どもは、一応税及び税外負担が三%程度、それから社会保険の負担が二%程度、両々相まっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○細川護熙君 私は、もう少しその税部分を高めるような方向が織り込まれてもよかったのではないかという感じがちょっとしておるわけでありますが、まあ私も不勉強でよくわかりません。 これは愛知大臣がおられればぜひ伺いたいと思ったのですが、教育費控除の問題について、ぜひやりたいというような方向の話を前に愛知大臣がされたと思いますが、私は、今後の所得税制のあるべき方向としては、基礎控除等の一般的控除の引き上げにやはり重点を置くのが本来の筋ではないかというふうに感じるわけでありますが、この点についてよろしいですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 教育費控除の問題は、一つの御見識だと思いますけれども、次の理由から問題があると考えておるわけでございます。むしろ、教育費控除という形よりも、一般的な扶養控除を引き上げるという形のほうがよりよいのではないかと思っておるわけであります。 すなわち、かりに教育費控除を税制上認めるということにした場合には、所得税を納める資力のある父兄についてだけその負担を軽減させることになりまして、乏しい収入から苦学して学費を捻出している方々、あるいは高校や大学に行かせたくても資力のない父兄や、みずから学資を稼いでいる勤労学生には、何ら恩典が与えられないということになるわけでございます。また、このような控除を認めるといたしますと、たとえば次の時代をになう児童のために児童控除を認めろといったような議論も成り立ち得ることになりまして、このようないろいろな面の波及も考えてみますると、やはりおのずからしんしゃくすべき限界があると考えておるわけでございます。 なお、本年度の税制改正におきまして、基礎控除、配偶者控除各一万円の引き上げに対しまして、扶養控除を二万円に引き上げることといたしておるのも、上記のような事由にかんがみましてでございまして、これらの費用のかさむ多人数の世帯の負担軽減を配慮している次第でございます。
○細川護熙君 さきのこの委員会でも総理はたしかおっしゃったと思うのですが、所得税の減税について、まあ、四十九年度からやるなら財源をほかの、大衆課税にならないようなところに求めなければならぬというような趣旨の御発言だったと思いますが、これから所得税の減税をするなら、たとえばこの課税最低限度を三年間なら三年間で百五十万まで引き上げるといったような一つのめどはめどとして、私、百五十万ぐらいならできるんじゃないかという気がするわけでありますが、その辺のめどについて、なかなかむずかしいと思いますが、総理としてはどの程度のところにめどを置いておられるか。
○国務大臣(田中角榮君) 三年間で百五十万円にいたしますということは申し上げられません。申し上げられませんが、課税最低限を引き上げていきたいと、いかなきゃならないということは要請でありますし、まあ、アメリカを除いて、西欧諸国を上回ったといっても、それで足れりとするわけではありません。そういう意味で、課税最低限の引き上げという方向は、やっぱり減税のときの一番最大のポイントであると、このように考えます。それから所得税の減税というものに対しては、大衆課税にならないように、別な間接税とのウエートを考えたり、いろんな面で所得税というものに対してはどうしても軽減は引き続いて実行してまいりたいと、こう思います。
○細川護熙君 この間の経済計画の中で、この間もこの委員会でもちょっと議論が出ましたが、間接税について、まあ、税体系において適切な地位を維持するようにつとめるという趣旨のことが述べられております。このことは、具体的に現在程度の直接税、間接税の比率ということであるのか。まあ総理も、たしか一月下旬の記者会見か何かであったと思いますが、所得税の割合は半分ぐらいであるべきだというような趣旨のことをおっしゃっていたと思いますが、まあ、間接税移行への、何というか、理由づけというか、そういうものとあわせて、前水田大臣が非常に積極的であった付加価値税の問題もこの際ちょっと伺っておきたいと思うわけであります。その後、政府が検討されたような問題があれば伺っておきたいと思うわけでありますが、申し上げるまでもなく、個々の物品にかかる物品税というものをやっていくには限界もあるわけでありますし、また、フランスのように売り上げ税というようなものも日本にはなじみにくいものでありましょうし、しかし、いまぜいたくの思想というものもずいぶん変わってきておるわけであって、何というのか、間接税の進化の歴史というものはそこにあるわけですが、そういうこれからの間接税の進化の一つの方向というようなものについて、大ざっぱな話ですが、御見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 税制調査会の審議も経なければなりませんし、付加価値税というような問題に対しても勉強課題として勉強はいたしておりますが、これをやるんだというふうになっていません。これはもうやらないうちから付加価値税反対というのぼりが立っておるわけですから、これはもう慎重にしなきゃならないということは当然であります。付加価値税には二つあるわけです。一つは、かつて取引高税というのが出てきて、いろんな人が入ってこられたんじゃ困るんだという問題が一つございました。それからもう一つは、大衆課税になると、こういうことがありますが、大衆課税になるというのは免税点を上げればいいわけでありまして、これはならないということの方法があるわけです。まあ、付加価値税式なものということは、ある意味においては行なわれておるのであります。それが物品税であり、それから消費税であり、それからガソリン税であり、今度の自動車トン税であり、今度土地に対する分離税であり、それから証券取引税であり、まあ、別なものではありますが、行なわれておるわけであります。しかし、いま申し上げたように高いもの——ダイヤとかいろんなものを買った者に対してはそれなりの税金を課すことは、ある意味では是認されるものじゃないか、そういうものにウエートを移したらどうかということは、それは全く傾聴すべき議論だと思うのです。だから、いまの土地に対してはいいがダイヤに対しては何も言ってないのです。金貨を買う人にはどうですかという問題は、これは現に商品券において行なわれておるわけでありますから、そういう問題で、私個人としては、長いこと大蔵大臣在職中から、飲酒税ということでいろんなものを考えておるわけです。おるわけですが、政府も、いろんな面から各国の例も引きながら、日本に合う税は一体どうであるか、しかも、大衆課税にならないような、逆進税制にならないような税はどうかというのは絶えず勉強はしておりますが、四十九年度の財源を確保する場合には、これはもうまた減税という問題が当然起こってまいります。中小所得者の減税というごとも起こってまいりますので、そういう問題とあわせて勉強してまいるということで理解をいただきたい。
○細川護熙君 いま、飲酒税のお話をいただきましたが、私も飲酒税、非常にけっこうな一つの構想であると思うんですが、付加価値税の問題の一つの方向として、たとえば社会福祉政策税とでもいったようなものを時限を区切って目的税的なものでやれないだろうかという感じがするわけでありますが、この点、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、社会福祉税というような目的税的なものが出てきたほうがいいのか、一般財源として徴収して、計画に沿って社会投資を行なうということがいいのかという問題は、やっぱり比較検討されなきゃならぬ問題だと思います。ただ、いま開放経済下にあって、自己資本比率などを見ますと二〇%を割っておると、一八%、一七%、一六%になっておると、しかも、持ち合いをやっておれば実質的減資になっておるというようなことからいえば、まあいろいろな問題があるわけです。ですから、法人税の増徴傾向というような状態には、一体そういう問題をどう解決するのか、それから、やはりそこにつとめておる人たちが、自分で働く会社の株をみずから持つためにどういうふうにするのか。それから労働者住宅とか、そういうものに一体どう結びつけるのかという問題、これは勉強課題としてはあるんです。みんな、お互い検討しておる問題ですが、まだ具体的に社会保障税とか具体的な問題として踏み出すというには少し検討を必要とすると、こう思います。
○細川護熙君 法人税のことについて伺いますが、来年度に法人税率を引き上げるということについては、だいぶ前から威勢のいい発言をしておられるわけでありますが、これも非常に景気に左右される面が大きいので、はたしてどの程度できるか問題がありますでしょうが、この際、法人税の税率のめどをはっきりできるものならば、たとえばめどと言わないまでも、今度は、やるときには範囲の拡大だけではなしに税率も考える、二本立てでやるというようなところまででも、明らかにできるものなら、していただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 税率を引き上げることと課税所得の問題が二つありまして、今年度は後者を選んだわけでございますが、法人税率というのは四十年に引き下げたわけでございます。ですから、そういう意味でやっぱり引き上げの傾向にある、方向にある、こういうことまでは申し上げられると思います。なぜはっきりせぬのかというと、第二段目のフロートをやっているような状態でありまして、普通ならば、その税率もある意味においては引き下げなきゃならない場合もあるわけであります。しかし、金融は緩和し過ぎると、まあ異常な状態であると思うのです。こんな状態において金融を引き締めなきゃならない、法人税も上げる方向にあるというのでございますから、そういう事情をひとつ十分御理解を賜りたい、こう思います。
○細川護熙君 高負担が一つの方向であるならば、ただ、いたずらなやっぱり——いたずらなと言うといけませんが——予算の増し分主義というものは、やはり改めていかなければいかぬというか、気をつけていかなければならぬと思うわけであります。やはりその点で既定経費の洗い直しというものに積極的に取り組んでいく、財政硬直化の問題に取り組んでいく必要があると思いますが、この点について、行政機構の定員あるいは行政機構そのものについても、なかなかどうも臨時行政調査会の答申どおりにはいっていないような感じが私はするわけであります。まあ、定員あるいは行政機構そのものについては、大体実現をしておるようでありますが、それ以外の問題、たとえば認可法人というような非常にあいまいなものが雨後のタケノコのようにできてきておる。そういう問題についてやはり思い切った行政的な措置というものをしていただきたいと思うわけでありますが、すでにその臨時行政調査会というものができてから十年余りも経過をしておるわけであります。まあ、この間にいろいろこの答申の中にあるものでも、実現をできない、実現をしにくくなったようなものもたくさんあるわけであって、この際、ひとつこの臨時行政調査会というものを発展的に解消をして第二次臨時行政調査会というようなものをつくる、あるいはもっとこれを強力なものにして、総理直属の機関なら機関というものにして、時限を区切って行政改革、財政硬直化の面から行政改革の問題に取り組むというひとつ姿勢を私は示していただきたいと思うわけでありますが、行政管理庁長官に伺います。
○国務大臣(福田赳夫君) 臨時行政調査会の報告は、これは政府としては非常に貴重なものとして考えております。それで、いまお話しのニュアンスにも出てきておるんですが、臨時行政調査会の答申があまり行なわれておらないんじゃないか、実行されておらないんじゃないかというようなことでございますが、実際はそうじゃないんです。私は非常にそれを残念に思うんですよ。まあ、大かたの見当からいいますと、八割程度はもう実現をしております。で、あれの答申の目玉といわれるものは、総務庁を設置する、それからアメリカ式の内閣補佐官制度を設置すると、こういうことにあるというふうにいわれておったわけです。総務庁、つまり予算の権限も人事の権限も法制の権限も、そういうものを一手に集めた強大な中央統制機構というものはこれはまたなかなかむずかしいんじゃないか。これはもう率直に言って手がつかないと、こういう状況でございます。しかし、内閣補佐官につきましては、行政監理委員会の答申も受けまして今回この国会にこれを提案をすると、こういうふうにいたしております。内閣参与制というのがそれでございます。それでこれは実現をされておる。その他、この国会だけでも、あるいは国土開発に関する機構を統合すべきであるという臨時行政調査会の意見に対しましては、国土総合開発庁を設置するということにしておる。また、資源エネルギー庁というようなものを設置すべしということに対しましては、通産省においてその方向の機構改革を行なうことにしておる。そういうふうに、非常に多くのものを実現しておるんです。ただ、補助金の問題あるいは許可、認可の問題、こういうことになりますると、これは政府においてもその方針を決定いたしまして、そして逐次実現をいたしておりまするけれども、なお時世の変化に応じまして今後検討すべきものは多多あると、こういうふうに考えます。そこで臨時行政調査会のごときものをまた第二次計画としてつくったらどうだと、あるいは内閣直属の行政機構改革本部というごときものをつくったらどうだと、こういうお話でございますが、四十年に行政監理委員会というものができております。ここで機構の問題、定員の問題、中心になって推進をいたしておりますので、まあ、機構としては、私は、新しいものをつくりまするとこれは二重機構だというふうな関係になるんじゃないか、要は政府の心がまえであると、こういうふうに思うわけでございまするけれども、行政機構の問題は非常に重大な問題であるという認識のもとに熱意を持って取り組んでいきたい、かように考えます。
○細川護熙君 最後に、まあ、いまお話でございましたが、行政監理委員会自体でも、まあ、みずから権限の強化というものを訴えておるわけであります。さらにまた、いま相当に行政監理委員会としても仕事をしてきたというお話でありましたが、まあ、確かにおっしゃるように、実施事項についてはほとんど達成をされておると思いますが、問題の検討事項のほうについてまだ私は相当にやるべきことが残されておると思うんです。私が申し上げたのはそういう意味でありますが、時間もそろそろないようでありますので、最後に一言だけ申し上げて私の質問を終わりたいと思います。 この国際通貨動乱の時代に入ったきわめてむずかしいわが国の経済運営のかじとりについて伺ってきたわけでありますが、確かにこれは非常にむずかしい問題であろうと思います。むずかしい道であろうと思います。しかし、いまの通貨危機にも関連をして、また、現在のこのインフレ的なムードにも徴してみて、私は、国民がこの自国の通貨である円にすら疑問を持つようになったらこれはもうおしまいだという感じが強くするわけであります。政府がやるべきことは、この際、たとえモンロー的であると言われても、円の価値を守るために全力を尽くす以外にないと私は思うわけであります。まあ、物価対策一つをとってみても、商品投機とか不当買い占め防止法案とか、いろいろなそういうふうな目先の対策というものが必要であることはもちろんでありますが、やはり何といっても根本は、言い古された問題であっても、オーソドックスな物価対策というものに取り組んでいく以外に、じみちではありますけれども、強力にこれを果たしていく以外に私は道はないと思います。その意味で、できること、できないことというものをはっきりとやはり言っていただくということが私は国民のために必要なことだと思いますし、同じようなことは、金融政策の問題についても、いろいろなあらゆる政策の面についてそういうことが言えるわけでありますが、その意味でひとつこれからもこういう難局に向かって正々堂々と正道を踏んで難局に立ち向かっていっていただきたいということを最後に申し上げて私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(大竹平八郎君) これにて細川君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) 前川旦君。(拍手)
○前川旦君 最初に総理にお尋ねをいたします。 総理の今国会の施政方針演説、たいへんいい文章だと思います。おそらく総理御自身で手を入れられたところがたくさんあると思います。そこで、総理の基本的なお考えをこの施政方針の中からまず二、三伺いますが、ベトナムの紛争解決について、「新しい平和の幕明け」ということばを使っていらっしゃいます。このベトナム戦争の停戦というものを、歴史の中でどういう位置を占めるのか、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 新しい、ほんとうに新しい幕あけだと考えております。それは第二次戦争が終わってから戦争にこりごりしたという人類の中で、また一つの新しい事態が起こってまいりました。それは東西の対立、その東西はバランス・オブ・パワーということによって四半世紀を過ごしてまいりました。しかし、この東西の接点においては重大な問題が起こっておりました。その一つは東西ドイツの問題で、ベルリンの壁であります。その二つ目はベトナム問題であります。その三つ目は南北朝鮮の問題でございます。十七度線、三十八度線の問題であります。もう一つありましたのは御承知のキューバ問題でございました。これはみな南北、東西の接点におけるものでございましたが、しかし、いろんな問題は解決してきて、残ったものは何かというと、実力行使を行なっておったものは南北ベトナムの問題でございます。これはアメリカだけでもって解決できなかったんではなく、アメリカの相手としては北ベトナムではなく、中国でありソ連が肩入れをしておったという、ある意味においては非常に大きな問題であったわけでございます。ですから、この問題から第三次全面的戦争が勃発するというようなことを考えるだけでも、これはもう人類の破滅を意味することであって、たいへんなことだったと思いますが、しかし、やはり南北両ベトナムにおいて、力でもって解決はできない、軍事行動のみによって終息をもたらすことはできないということで、お互いが話し合うということ、これはやはり私は相当の人類の画期的な一つの契機を迎えたものだ、新しい平和の道を話し合いによって行なおう、そういう状態が起こると同時に、南北問題も、南北朝鮮においても話し合いが進められてまいりましたし、アメリカの大統領がソ連にも中国にも飛ぶような状態になったので、まあ、人類は新しい道の幕あけを迎えたと、こう理解をしたのであります。
○前川旦君 どうも抽象的な感じがしてよくわかりませんが、それでは次に、「社会正義に基づく繁栄」ということばを使っていらっしゃいます。総理の言われる「社会正義」というものの中身は何でしょう。
○国務大臣(田中角榮君) これはやっぱり一国がみずからの国益を守るとかいうことではなく、普遍的に全人類の平和というものを守るために、まず自分を守るということよりも人類の平和を守るという立場で、すべての向上をはかり、また、いろいろな政策やいろいろな国際的動きは、やっぱりそういう人類の久遠の平和というものを基調にしてすべてが律しられていかなければならないという考え方であります。
○前川旦君 私は、実はこういうふうに理解をいたしました。それは、一つは民族自決ということを内容としている。民族自決が正しいのだ。それから、大国とは限りませんけれども、内政に干渉すべきではないんだという原則。それから民族の統一。これは平和的な手段による統一なんだ、平和統一なんだ。それからもう一つとして、イデオロギーの対決ではなくて、どちらかというと、脱イデオロギーということばが最近使われていますけれども、イデオロギーの違う国とも対話による平和共存の時代になるのだ。それから、どんな国でも力で自分の意思を押しつけるという時代ではなくなったのだ。私は実はこの短い文章の中でそれだけの内容を読み取ったんですが、そのようにとってよろしゅうございますか。
○国務大臣(田中角榮君) おおむねけっこうです。
○前川旦君 それでは総理、これは衆議院で、宮澤さんの質問にあったと思いますが、このベトナム戦争というのは一体日本にとっては何であっただろうかという問題があります。日本は安保条約でこの戦争に協力をしてきたわけです。この事実をわれわれとしては、政府としては、日本としてはどういうふうに受け取ってどういうふうに反省して、つまり次に生かすためですけれども、どう総括すべきなのか、総理のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 日本が過去にとってきた平和憲法を守るという考え方、これは誤りでなかった、そういう評価のもとにこれからもなお一そうこの平和主義を順守してまいらなければならない、それはただに日本のためだけではなくて、世界の平和に寄与し貢献する道でもあるのだと、このように考えております。ベトナムに対する問題は、ベトナム復興——ベトナム戦が終局を迎えたということは、それなりにこれからのほんとうの世界の新しい幕あけを意味するものであって、やっぱり力でもってやろうという考え方がもしありとせば、そういう人たちには大きな挫折感を与えたものであろうと思うし、日本はベトナム問題に対してどうするか。これは南北を問わず、ベトナムの民生安定や経済復興のために、持てる経済力、技術力、そういう面で平和的手段においてこれに積極的な寄与をしてまいろうということでございます。
○前川旦君 私がお尋ねいたしましたのは、ベトナム戦争に関係してきました、日本の場合は。それについての道義的な立場をどうおとりになるのか、この問題なんです。これは衆議院でもずいぶん論議をされました。それで外務大臣からいろいろ答弁があります。ベトナム戦争が一日も早く収拾するように常に希望してきただけではなくて、アメリカに対しても、一日も早くこの収拾を急ぐようにという要請をたびたびしてきたと、こういう答弁もありますが、私は、その道義上の責任を一体どうとったらいいのか、どう受け取るべきなのか、この問題をお聞きしたんです。
○国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げましたのは、日本は安保条約をアメリカと締結して、それの条約の差し示す義務を負っておる関係上、いやおうなく、ベトナム戦争の当事国であるアメリカを媒体としてベトナムとの関連が出てまいらざるを得なかったわけでございます。したがって、ベトナム戦争との関係を考えますと、日本が道義的にもまた実際的にもベトナムから脱却しようと思えば安保条約をやめなければならぬということになるわけでございまして、日本政府の立場は、安保条約を堅持するということによって守られるべき国益が大事だというたてまえで今日まで堅持したわけでございます。その堅持する道程におきまして間接的ながらかかわりを持たざるを得なくなったというように私は理解いたしておるわけでございまして、問題は安保体制というものの受け取り方の問題であろうと思います。
○前川旦君 いまの大平外務大臣の答弁から受けた感じですけれども、日本としては進んでこれに協力して、この戦争に協力するのはあたりまえなんだ、誇らしいことなんだというお考えではないと思います。同時に、われわれはこの安保条約反対の立場でベトナム戦争反対の立場でしたから、たいへんこれは深く反省をしなければいけないと思っているんです。その辺の微妙な問のような感じがいたしますが、条約があったから協力せざるを得なかった、しかし、それはやはりどっかで罪の意識があるんだというように私は受け取りました、いまの感じで。そういうことなんでしょう。と申しますのは、これからこのベトナムに復興その他で接触をしなければいけないときに、われわれの基本的な心がまえとして、どうしてもこれはくぐり抜けなきゃいけない道程だと思うのです、どういう態度で接するか。ですから私はしっこく聞いているわけなんです。もう少しその辺の、何というか、道徳的な立場といいますか、もう少し明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 地上に争いがあることはいけないことであります。そうしてまた、その争いは、強者が弱者を強圧し、抑圧してまいるということもいけないことでありますし、それによって民族自決、自立がはばまれるというようなことはたいへん不幸なことであると思うのでありまして、ベトナムの紛争にそういう局面がなかったとは私言えないと思います。したがって、日本政府といたしましても、これがアジアの国々に起こったことであるからというばかりでなく、全体としてこういう戦いは一日も早く終息をしていただく必要があるという考え方で、これはアメリカばかりでなく、ほかの当時国に対しましても、そういうアピールを重ねてきたわけでございまして、仰せのように、人類が一つのコミュニティーをつくりまして、そこにルールが打ち立てられまして、それを尊重しながら、平和をエンジョイするような状況を希求してまいることは当然のわれわれの理想でございまして、一歩でもそれに近づかなければならぬという意欲は人後に落ちないつもりでおります。
○前川旦君 私は、いたずらに過去のことをほじくり出すつもりはありません。ただ、この間ちょっと新聞を見ておりましたところが、「南ベトナムで観光開発」、「商魂むき出し日本業者」と、早くも金もうけ、この戦跡を観光旅行で、日本の観光業者がやり回ると、はや、こういう記事が出ておりましたので、もっと厳粛な気持ちでベトナムというものに対しなければいけないんじゃないかという思いで、実はそういうことを伺ったわけです。 それに関連しまして、いま大平外務大臣の御説明と関連しますが、いままで、たとえばカンボジアに戦火が及んだとき政府は何と言ったかというと、それはもう当然やむを得ないことなんだと、しかし遺憾であると、事実は遺憾であると、こう言ってきました。機雷敷設をしたときに、このときも政府は、これは相手が、北ベトナムが悪いんだからやむを得なかったんだと、しかし遺憾であると、こういうことを言ってきました。北爆の強化のときもやはり同じです。で、私は最近新聞で、二階堂官房長官が、ラオスを爆撃したときの発表で、理由のいかんを問わず爆撃は遺憾であると、こういうふうに述べられました。ちょっとニュアンスが違ったという思いがいたしました。私は少し甘いのかもしれませんが、何でも善意、善意にとる癖があってよくないんですけれども、いま大平さんが言われたようなムード——これはムードは速記録に出ないけれども、それがいまの政府に少し入っているんでしょうか、どうなんでしょうか。いまの二階堂官房長官の、理由のいかんを問わず遺憾だと、こう思い切って言われたことを私は注意深く読んだんですが、いままでと違う立場というか、考え方を持ちつつあるのでしょうか、どうなんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) いままで政府が声明いたしてまいりましたのは、北爆その他の場合、必ず遺憾であるという表明をいたしてきましたし、また北爆、その他の個々の軍事行動につきましては、われわれはそれを是認するという立場をとったことはないんです。ただ、ああいうやっかいな紛争が継続中、そして一九六八年、九年ごろをピークといたしまして、だんだんと終息に持ってまいる段階におきましてとられた運事行動というものにつきましては、たいへん遺憾な行動でありますけれども、それがその時点におきまして、何とか早く平和をもたらそうという当時国側の努力が私はあったのではないかと思うのであります。しかし、日本政府としては、そういう個々の軍事行動を評価したことはないのでありまして、すべての場合、それはたいへん遺憾なことであるという態度は、終始一貫してまいったつもりでございます。
○前川旦君 私は、そういうことを、過去のことでありますけれども、行動の上にあらわしていただきたかったと思いますが、しかし、これはもうすれ違いのようになります。 そこで、これから——いまのは気持ちの問題でありますけれども、具体的に日本のベトナムに対する立場というものは、停戦協定、パリ決議、この趣旨と精神を絶対尊重すべきであろうと思いますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) そのとおりでございます。
○前川旦君 この和平協定とパリ決議に盛られていることは、何といっても民族自決、民族統一、内政不介入、民族融和、平和統一、こういったような精神であると思います。したがって、いまのような立場で日本の政府がベトナムに接するとすれば、絶対にしていけないことと、しなきゃいけないことがあると思います。私は、絶対にしていけないことは、民族自決、民族統一の妨害、民族融和の妨害になるようなこと、妨げになるようなことはしていけない、これが最低の義務であろうと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 政府もさよう心得ております。
○前川旦君 で、そうなりますと、ベトナム、南北を問わず、民族自決を尊重していく、民族融和を尊重していく、平和的な統一を尊重していくということになりますと、これから行なおうとするベトナム援助に対して、南と北とに差をつけることはできないということになると思うのです。当然そう結びついてくると思いますが、その点、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) そのように考えておりまして、ベトナム全域を対象として考えるということは、国会を通じて申し上げたとおりです。
○前川旦君 衆議院で議題になりましたが、ベトナム民主共和国、いわゆる北越ですが、三宅課長さんの入国ができるようになったと新聞で拝見しました。この北ベトナム、ベトナム民主共和国に対する外務省としての、あるいは政府としての態度は、承認というもの、外交関係の樹立というものを——これは同じことでしょうが、前提としての接触というふうに考えてよろしいですか。
○国務大臣(大平正芳君) そうおとりいただいてけっこうです。
○前川旦君 それでは次の問題ですが、北ベトナム、ベトナム民主共和国ですが、これに対する援助、これは総理は最初多国間形式を考えていらっしゃったようでありますが、相手は多国間形式をきらっているようですね。これはかりにお話し合いで二国間形式ということになるとすれば、それはどうされますか。やはり、いままでの多国間形式というのじゃなくて、二国間形式でもいいというふうに割り切ってお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 援助をするかしないかの問題は、まず当時国側から要求がなけりゃならぬわけでございまして、日本から援助を押し売りするわけにいかぬと思います。問題は、当時国がどう考えておるかということでございまして、私ども、従来多国間方式とか二国間方式とか申しておりましたのは、観念的に、相当大きな規模の復興援助が必要になるだろうと、国際的な規模のものになるとすれば、国際的なマシナリーをつくる必要がありはしないかというような考え方を持っておったんでございますけれども、これはもとより当事国側がどういう方式を希望するかということにかかるわけでございまして、当事国が希望しないのにそれを押しつけるというようなことはとてもできる相談でもございませんし、実効もあがらぬわけでございます。したがって、今度三宅君が参りまして、そういった問題につきましても、先方の意向なるものを十分聞きただしてまいりまして、その上で、こちらの対応策をいろいろ考えてまいりたいと思っておるわけでございまして、日本側に初めから定立した考え方があるわけでは決してございません。
○前川旦君 相手の希望を聞いてということでありますから、相手が二国間形式というのを持ち出した場合、希望するといった場合には、当然これを拒否したり逡巡したりすることはないということでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 今度は日本側の番になるわけでございまして、日本の経済協力政策全体との関連におきまして、また、日本の外交政策の観点から申しまして、考えられるものは前向きに考えていかなければならぬと思っています。
○前川旦君 北の場合には、わりあいに一つにまとまっていますから話がしやすいと思いますけれども、南の場合は政情が不安定ですね。まだ、まとまるまでには過程があります、パリ決議なり、停戦協定を見ておりましても。そこで、依然として、小規模であろうと内戦が続いたり、激しい内輪の争いが続いているときに、その片一方の政権にだけ肩入れをするというやり方は、民族の融和に対して阻害になると私は思います。そうお考えになりませんか。そう思えば、少なくとも南があの協定にのっとった新しい一つの統一された政治体になるまでは、南に対する援助というのは、よっぽど注意しなければいけない。特に人道的な援助にとどめるべきが私は常識であろうと思いますが、その点、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 大前提といたしまして、前川先生御指摘のように、パリ協定というものをベースにいたしまして今後のインドシナ政策を考えてまいりますということを、われわれ申し上げておるわけでございまして、南ベトナムに対する対処のしかたというものも、この協定に敷かれたラインに沿ってやってまいりたいと思っておるわけでございます。南ベトナムから和平協定発効後まだ具体的な要求は受けていないのであります。ただ、発効前に若干のプロジェクトにつきまして日本が援助を継続いたしておるプロジェクトもございます。そして、それが戦火のため中断しておるものもありまして、政府としては、そういったものにつきまして、それを戦火がやんで取りかかられるようになったならば、それを続けてまいるというようなことについては、別に抵抗を感じていないわけでございまして、要は、ああいう複雑な事態でございますので、政治、経済、軍事、全体にわたりまして、取りきめが行なわれておりまするベースになる協定というものを踏まえた上で、それを踏みはずさないように処置しなければいかぬと、いま心組んでおるわけでございまして、具体的な案件が出てまいりました場合は、その光に照らして考えていきたいと思っております。
○前川旦君 あの協定の精神を順守していく限り、これは臨時革命政府との問題が大きな問題になります。接触する機会は、パリでもサイゴンでもできるわけです。したがって、この臨時革命政府を通じてのこれは、こうなりますと、サイゴン政権両方とも人道上の援助にとどめようといったのが前提になっておりますけれども、当然それとも接触をして、同じように人道的な援助をしていかないと、民族融和を助けるということにならないと思いますが、その点、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 南ベトナムに二つの政権があることはわれわれも承知しておりますし、それが今度の停戦協定の当事者になっておることも承知いたしておるのであります。ただ、私どもといたしましては、南ベトナム・サイゴン政府を、いままでも、そして現在も外交関係を持っておるわけでございまして、南ベトナムにおきまして、もう一つある政権とかかわりを持つということは、いま考えていないわけでございます。私ども、サイゴン政府との接触の場合に、パリ協定の精神に違反しないように処置してまいることが私どもの任務であろうと考えておるわけでございまして、臨時革命政府側と接触を持って御相談をするということは、いま考えていないのであります。
○前川旦君 それは考えていかなければいけないことではないでしょうか。というのは、やはり当事者が争っておるわけですね。片一方にだけ援助するということは、戦力の増強につながるわけなんです。これは協定の精神に違反すると私は思います。ですから、考えていないのではなくて、考えなければいけない時期が来ていると私は思いますが、その点、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) サイゴン政府が当事国として協定を踏まえて南ベトナムの問題については処置してまいるということが当然の道行きであろうと思っております。政府が公式に臨時革命政府と接触を持つということは、私はできない相談であろうと思うんです。それは日本ばかりでございませんで、世界各国がそうでございまして、臨時革命政府とおつき合いをする政府は三十一ばかりございます。サイゴン政府のほうは六十九あるわけでございまして、しかし、そのいずれの国も両方とつき合っておるということはしていないわけでございまして、これは外交上のやり方の問題でございまして、実体の問題ではないわけで、そういうたてまえのもとで、南べトナムに関する限り、日本といたしましてはサイゴン政府との接触において、協定の精神を心得て対処してまいれば必要にして十分であろうと考えております。
○前川旦君 すれ違いで進みませんが、それでは、国際赤十字を通じての援助というのは、きのうですか、出ておりましたね。これは赤十字を通じての人道的な援助、これが国際赤十字という機関から臨時革命政府を通して、そこから援助物資がいったとしても、それはかまわないわけですね。
○国務大臣(大平正芳君) 一向差しつかえありません。
○前川旦君 総理にお尋ねをいたしますが、かつて佐藤総理はサイゴンを訪問されました。今度秋には東南アジアを訪問されるということが検討されつつあるということを聞いております。で、これはおそらく国会が終わればそういうことになると思いますが、先ほどの精神からいえば、私は、総理は南ベトナムだけ行ってはいけない、もしベトナムに行くとして。サイゴンへ行くのであれば、必ずハノイへも行くべきである、私はそう思いますが、その点についてのお考え、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 日本と東南アジア、関係が深い国柄でありますから、接触を保たなければならぬし、また、交流も進めなければならないと、こう思っておりますが、いま国会中でございまして、まだ国会後どこに行こうというようなことは全くきまっておりません。しかし、サイゴンにもし行けば——サイゴン自体にも行けるかどうかまだきまっておらぬわけでありますが、しかし、サイゴンへ行けばハノイもというお気持ちはわかります。わかりますが、まだ全然日程もきまっておりませんし、どこの国を訪問するかということもきまっておりませんし、招待を受けておるというのは、イギリスからも招待を受けておりますし、アメリカからも来ないかというような、これは公式なものじゃありませんが、いつでもひとつ交流をやりましょう、国会でも終わったら、という話をしておりますし、インドネシア政府からもございますし、いろいろございます。それからソ連からも歓迎をするという意味の通知を受けております。そのほかも幾つかあります。幾つかありますけれども、まだ全然きまっておらぬということでございます。
○前川旦君 外遊をされるということは今国会終了後検討したいと大平外相は述べておられますが、外遊ということになるんだろうと思うのですよ、これは、ソ連の問題もありますし。ですから、いまきまってないんだという御答弁ですけれども、ベトナムへ行く機会があればハノイへも行くという姿勢に私はなっていただきたいと思うのです。総理のほうから、みずからそうおっしゃってしかるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) まだサイゴン自体に行くかどうかもきまっておらぬわけでございますから、どうぞひとつそれで御理解願います。
○前川旦君 ベトナムに米軍が再介入する可能性ないものとは言えないと思います。地上軍が再介入することはないと思いますがね、これは新聞論調等で。海空軍の場合はないとは言えない。そういう場合に、今度かりにそういうことがあっても、今度はもう日本の基地は使ってもらいたくない、使わせない、そういうはっきりした態度を持つべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) まあ、せっかく和平協定ができ上がっておりまして、それをだれよりも順守して平和を招来したいというのがアメリカの希望であろうと拝察するわけでございます。いま御指摘のように、アメリカが再介入するということは、アメリカ自身も考えていないことと私は思います。
○前川旦君 それは、外務大臣は仮定のことを言われたと思います、たぶんないだろうと。しかし、再介入しようと思えば、協定違反というものを持ち出せば、すぐ再介入する理由ができるわけですから、その危険性は私は非常にまだ残っておると思うのですよ。非常にというのはちょっと言い過ぎですけれども、海空軍の。ですから、戦車輸送の問題も衆議院でずいぶん問題になりましたが、もう今度は日本の基地は、かりにアメリカがベトナムで海空軍が行動を起こしたとしても日本はお断わりするんだと、こう答えられ、こういう決意をされることが私は国民の気持ちとぴったりくると思うのです。私はその辺の心がまえというものを伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 私は仮定抜きでお話ししているんでございますが、あなたのほうが仮定を置いて、そういう場合はどうするんだという御質問でございますが、そういうことはいま考えておりません。
○前川旦君 すれ違いで、話が深くなりませんので残念です。 中国の問題ですけれども、台湾の問題はこれは内政の問題である、したがって、民族自決の精神からいって、これは日本としては介入すべきものではない、こういうようなニュアンスのことばが衆議院の答弁に出ておりましたが、そのように解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 中国における唯一合法政府として中華人民共和国政府を認めた日本でございまして、申すまでもないことでございます。
○前川旦君 それでは、何回も問題になっております安保条約の極東の条項の問題ですけれども、この極東の範囲に台湾が入っておりますけれども、衆議院で問題になりましたのは、この極東条項を削れという次元での話じゃないんですね。運用の問題で楢崎委員とずいぶんやりとりされております。つまり、あの政府の統一見解から、内政ですから台湾地域をはずすという運用があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 安保条約というのは一つの体系を持った全一体でございまして、いま言われる極東条項も重要な一つの柱であるわけでございます。これをはずすということは、これは安保体制にとりましてたいへん重要な問題になるわけでございます。私どもといたしましては、この安保条約が現状のままに置いてある状態において国交の正常化が考えられないだろうかという問題で北京政府と話し合いをいたしたわけでございます。安保条約とかかわりなく九月の共同声明はできたわけでございます。あなたのおっしゃるように、これは極東条項をちゃんとはずして、衣を着かえてまいるのも一つのりっぱな態度だと思うのでありまするけれども、安保条約が現状のままで日中国交正常化には支障がないと日中両国において合意いたしておるわけでございまして、私は、そういう両方の合意ででき上がった共同声明、そしてその後の日中間の信頼を通じて日中関係の発展を考えておるわけでございまして、別段に支障がないわけでございますので、その点につきまして日本側で、それでは極東条項をはずす用意があるのかと聞かれるならば、いま私はそういうことを考えていない、また考える必要はないんだということをお答えするほかに道がありません。
○前川旦君 私たちは、安保条約そのものをなくせという立場でありますから、極東条項を変えろという立場に一度も立っていないんです。全部を問題にしている。われわれが言っているのは、極東の範囲というこの政府の統一見解の中に、中華民国というのが統一見解に入っています、地域として。これを今度台湾と読みかえました。そして統一見解が衆議院で出ました。この衆議院の統一見解によると、台湾の問題は国内問題だと、しかし武力紛争の起こる可能性はないということと、それから、日中両国間の友好関係を念頭に置いて安保条約の運用を慎重に配慮するというのが統一見解の内容になっていますね。ですから、われわれが言っているのは、極東の範囲というこの統一見解、それから台湾地区をのけるべきじゃないかと言っているのであって、極東条項をのけろと言っていることじゃないんです。われわれは全部をやめろと言っている。ですから、その極東条項だけはずせと言っているんじゃなくて、運用の面をお尋ねしているんですから、その点についての確答をいただきたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) たいへんもののわかったことを言っていただいてたいへんありがとうございます。運用の面で、いまのままで一向差しつかえないんでございますので、そのようにひとつ御了解いただきたいと思います。
○前川旦君 私は少しおかしいと思うんですよ。中国の内政問題であって、台湾は中国の領土である。内政問題であれば民族自決でしょう。外から介入すべきでないという原則があるはずなんです。それを台湾地区を安保の極東の範囲に入れているわけですね、政府の統一見解として。もうこの段階では、それは極東の範囲からのけるというぐらいの運用の変化があっていいじゃないかということを衆議院でしきりに言ってきたわけです。それを言っているんですよ。ですから、どうしてそれをのけなくていいのかよくわからない。理論としては当然のけなければいけないんじゃないですか。
○国務大臣(大平正芳君) 極東の地域に台湾が入っておるという見解を政府はとっておるわけでございまして、政府は極東条項というものをはずすつもりはない、そういう態度でございますけれども、運用の面におきましては、中米共同声明にもありますように、台湾地域には武力の行使がない、台湾問題は平和的な解決をするんだとうたってありますように、そして政府はそれを踏まえて、あの地域に武力紛争が起こることは予想していないということでございますので、ただいまの体制のままで一向支障がないわけでございますので、極東条項に触れるつもりはございません。
○前川旦君 日本と違って、アメリカは、米台相互防衛条約がまだ生きています。したがって、アメリカは、日本の基地を使って台湾を守る義務がまだあるわけですね。それがあるから、のけられないんじゃないでしょうか。であるとすれば、それは日本の自主性がないと思うんですよ。日本はもう認めているんですから、アメリカと違うんですから、台湾の問題は、中国の問題は。ですから、そうなると、ここで統一見解として言っておられる、慎重に配慮する所存でございますというのは、もし事前協議等の問題が起きた場合にはノーと言うんだと、こういうことなんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 事前協議が起こるようなことを予想してないわけでございます。
○前川旦君 これは原則の問題です。私は、中国との問題では原則を離れてはいけないと思う。原則をかっちりしておいて、あとで運用があると思います。原則的に言うと、どう考えても、これは日本の立場としておかしいんです。原則的に見てどうでしょうか。立場として、原則的な考え方としては、理論的にどうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) あなたの主張されることもよく理解できるのであります。また同時に、政府がとっておる立場によっても、現実に支障がないというように私は思うのでございまして、前川さんの考えが間違っておると、そういうことを私は申し上げておるわけじゃございません。
○前川旦君 すれ違いになって話が進みませんので、次に参りますが、この原則をはっきりしなかったということが、今度の航空協定にも出ているというふうに思います。 そこで、この航空協定でありますが、いよいよこれは政治的な決断を迫られる時期になったと思います。どういう原則をお立てになるおつもりですか。
○国務大臣(大平正芳君) 今度のは、日本と中国との間の政府間の航空協定でございますから、それに必要にして十分な規定を盛り込まなければならぬわけでございまして、その他のことは一切考えていないわけでございます。
○前川旦君 事務的な航空協定の内容は事務レベルでできるでしょう、その内容の詰めは。しかし、日台、台北との路線の問題を含めてですね、日本の政府として、どうそれを決断するんですか。原則をどう立てるんですか。そのことを言っているんです。
○国務大臣(大平正芳君) いま申しましたように、北京政府と日本政府との間の協定なんでございます。したがって、それに必要にして十分な規定を盛り込みたいと考えておるということを申し上げたわけでございまして、いま御指摘の台湾の問題でございますが、台湾と日本との間には実際上商売もありますし、人の行き来もあるわけでございまして、飛行機も飛んでおりますし、船の寄港も行なわれておるわけでございますが、これは、政府間の、政府と政府との間の問題ではないわけでございまして、事実上のこととして民間レベルで処理いたしておるのが、あなたのいわゆる原則論なんでございます。で、今度の航空協定もその例外ではないわけでございますので、今度の日中航空協定に台湾路線をどうするかなんということは全然表現されないわけでございます。
○前川旦君 純粋な民間の取りきめだとおっしゃったけれども、しかし協定がなくなったら、これは不定期便でしまう。不定期便なら、いままでだったら大体一カ月が期限ですよね。それが慣例です。それで運輸省へ出して、運輸大臣の許可をもらって飛ばしているわけでしょう。政府が許可しているんです。ですから、それは民間のことだから政府は関係ないとは言えないんですよ。原則をもう一度おっしゃってください。
○国務大臣(大平正芳君) 航空について申し上げますと、日本航空と相手側の会社との間の業務協定によって運営いたしておりまして、離着陸につきましては運輸大臣が許可しておるというのがいまの運営のしかたでございまして、今後も変わりがございません。今後の日台間の航空をやるにつきましても、そういう方式でやるよりほかに道はないわけでございます。
○前川旦君 運輸大臣にお尋ねします。 いまどれぐらい台湾と日本と往復していますか、人、便。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 台湾の航空会社の日本に対する立ち寄り、それから日本を終点としている航空便は大体二十五、六便ぐらいかと思います。日本側のほうは、台湾に参りますのと、台湾経由で香港等に参りますのを合わせまして、週に四十便余りじゃないかと思います。
○前川旦君 人のほうは。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 人間の往復ですか。
○前川旦君 ええ。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 日本と台湾との間では、大体月に二万——確かな数字はちょっと持っておりませんが、大体二万二、三千人じゃないかと思います。
○前川旦君 その人の往復のうちの何割が実務上の用件で、何割が観光客だという統計が出ているはずです。おっしゃってください。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 運輸省におきましては、来られた目的まではわかりません。
○前川旦君 それはどこがわかるんですかね。外務省わかっている……、政府委員の人でいいですから。
○政府委員(吉田健三君) お答えいたします。 外務省のほうは旅券を出しておりますが、渡航目的その他の詳細につきましては、羽田なり港を出ますときに法務省でその目的を調べておる、そういう統計はあるわけでございます。詳細な資料をいま手元に持っておりませんので、関係の方面と打ち合わせいたしまして、後刻御連絡申し上げたいと思います。
○委員長(大竹平八郎君) あとで資料を出させるようにするから……。
○前川旦君 政府委員の人でけっこうです、実務で行っているのが幾ら、観光客が幾らなのか、大体の数字。
○政府委員(吉田健三君) いま法務省のほうと連絡をとっておりますが、私の記憶では、外務省といたしましては、大体毎日千人ぐらいで、そのうちの半分ぐらいは観光者でなかろうか、かように考えております。正確な数字は、調べまして後刻御連絡いたします。
○国務大臣(田中伊三次君) 台湾に渡っております者の数及びその内容でございます。追って調査をいたしましてお答えをいたします。しばらくお待ちを願います。
○前川旦君 数字が出るまで……。 この便数は運輸大臣が許可して認可しているんでしょう。違いますか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) そのとおりであります。
○前川旦君 先ほどの、民間が自主的にやっておるんで、政府は介入してないんだというようなムードのお答えと、ちょっと違うと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 航空会社同士の間の協定で運営されておるということで、空港を使用するということになりますと、空港管理は運輸大臣がやっておられますので、運輸大臣の許可を得るという手順をどうしてもとらざるを得ないわけでございまして、その限りにおいて、接点において政府がタッチしていないとは申し上げられませんが、私が申し上げるのは、政府間の協定によって運営されておるという性質のものではないということでございます。
○森中守義君 関連。 外務大臣、日華条約の中に航空協定というものが入っていたと思うんです。で、それを受けているわけだから、ちょっと運輸大臣か、あるいは航空関係に詳しい人に、どういういきさつで日台の、在来の日華の航空関係が結ばれているか。それと、いまお話があったように、国際線等の場合には、便数計画から全部政府の認可事項になっていたと思うんですよ。よって、あなたの言われる関係ないということはない。根拠になるものと、実際行なわれている国際線の配線の状態をもう少し詳しく説明してください。それでは質問者は納得しないんです。
○政府委員(高島益郎君) 日華条約との関係につきまして、簡単に御説明申し上げます。 日準条約——失効いたしました日華条約の第八条に、できるだけすみやかに日華間で航空協定を結ぶという約束を当時いたしました。しかしその後、航空協定そのものは締結いたしませんで、日華間におきまして、いわゆる交換公文によりまして政府間だけの取りきめを締結いたしました。これは昨年九月二十九日、日中間に国交正常化ができたその瞬間におきまして完全に失効いたしております。
○国務大臣(田中伊三次君) 失礼しました。 台湾政府の発券をいたしました旅券の所持者の数は七千人——一昨年でございます、七千人に及んでおります。本年も大体それより少し多いぐらいでございます。で、概して申しますと、日本から行きます旅行者、台湾から日本に参ります旅行者、いずれも七、八割までは観光客となっております。
○前川旦君 私が直接調べたのは八割八分まで観光客のようでしたから、ちょっと違います。それは、まあいいです。 航空協定がない国に飛行機を飛ばすときに、運輸大臣、どういう扱いになるんですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) これは、航空協定が、条約がなくなったものですから、それに基づいたいろいろの交換公文その他が一応無効になっておるようでありますが、ただいまの日台間の航空路というものは事実上の関係でございまして、われわれのほうといたしましては、飛行場の使用計画でありますとか、あるいはいろいろの航空管制に従うとか、そういう安全の施設に対応いたしまして、飛行機が無事に着陸し無事に出て行くと、そういうことについての航空法に基づく許認可をしておるわけでございます。
○前川旦君 不定期便ですね、不定期便のときには、一回一回、フライトについて認可するんですか、まとめてやるんですか。まとめてやるとしたら、どのくらいの期間でやっているんですか、いままでの慣例として。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 詳しい手続はよく存じませんが、航空局長を呼びましてお答えをさしたいと思いますが、大体におきまして、これはやはり一回一回ではないと思っております。ある程度、ある期間の間の航空便の数とか、あるいはその使用飛行機等についての許可を与えていると思います。
○前川旦君 日本と台北の間の、日本以外の外国の便数は幾らになりますか。外国機、日本以外の外国の飛行機、日本と台北の間……。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 政府委員から、調査の上で、調べた上で御報告いたします。
○前川旦君 しばらく待とう、それじゃ。
○委員長(大竹平八郎君) 数字の問題だから続けてください。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 日台間に就航しております外国航空会社の便数は、大体におきまして六十便程度ではないかと思います。
○前川旦君 お客さんがたくさんおりますと、こうこうことでありますが、そのうちの圧倒的多数が観光客であります。しかも、日本と台北との間には、日本航空だけではなくて——日本航空と台湾の航空会社が週に六十二便、そのほかに、日本と台湾以外の外国便が週六十三便の上に、荷物が七便入っています。ということは、かりに日本が台北路線をやめたとしても、どれだけ国損がありますか。経済的にどれだけ欠損がありますか。ないと思うんです。いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 長い歴史の経過を経まして、日本と台湾との間におきましては、先ほど申しましたように、いろんな実務的な関係が濃密に経過してきておるわけでございまして、これが私どもの希望といたしましては、できるだけこういった状態が維持されることを希望いたしておるのが日本の立場でございます。われわれは、どこの地域におきましても、旅行その他営業の自由を認めておるわけでございますので、特にこれを規制しようという意図はないわけでございますけれども、問題はそういうところではなくて、従来維持してまいりました関係が、新しい日中関係をそこなわない範囲でございますならば、これを維持してまいりたいという希望を持っておる。そして、その希望の線に従いまして、日台間に事実上、政府間の約束ではなくて、会社間の約束に従いまして、若干の飛行機の運航があるという状態でございまして、日中間の航空協定自体の問題ではないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
○前川旦君 私が言っておりますのは、中国とのつき合いの上では原則というのがたいへん大切なことであります。したがって、日本と台湾との航空路が、かりに日本の日航が行かなくなったとしても経済的な損はない、日本としては。何も心配することがないのですから、ですからこれはもうやめるのだ、原則をまず立てて、それからあと、実際問題としてという話があとから出てくるならまだ——これはわれわれとしてはしませんけれども、政府の立場としてはそういうことがあると思うけれども、原則をはっきりしないで、うやむやなかっこうで話をするということは、われわれ納得できないということを言っているのですから、その点についてお答えいただきたいのです。
○国務大臣(大平正芳君) それは、先ほど申しましたように、政府間で日台間の問題を処理する立場に政府はないわけでございまして、一切そういうことはいたしません。正常化後は現にそういう大原則を堅持いたしておるわけでございます。第二には、新しく開きました日中関係の将来、この相互の信頼がこわれてはいかぬわけでございますので、新しい日中関係をそこなわない範囲内におきまして、台湾との実務関係というものは存続を希望する、要求するのではなくて、 〔委員長退席、理事米田正文君着席〕 希望するという立場にわれわれは立っておるわけでございまして、そういった事情を北京政府に理解をしていただいて、今日まで、正常化後といえども日台路線がある程度続いてきておると私は承知いたしておるわけでございます。だから、第一の原則は、政府間の問題として取り扱うべき問題ではないという大原則を堅持しておること、新しい日中関係をそこなわないようにやることが第二である。そういう大原則のもとで実務関係の節度のある継続を希望しておる。それに対して北京側もある程度の理解を示しておるというのが今日の実情でございますし、今後もそういうことでまいるよりほかに道はないと思います。
○前川旦君 どうしてもかみ合いませんから、これは、われわれとしては、原則をきっちりしておいて、まずそこから先にスタートすべきであるということを申し上げておきます。 次に、台湾政府の入った機関がたくさんあります。アジア開発銀行、あるいは世界銀行、第二世銀、IMF、こういったような中で、日本は一体どういう態度をとられるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) それぞれの機関の問題でございまして、日本はその一メンバーにすぎないわけでございます。全体の情勢を踏まえまして、妥当な処置をケース・バイ・ケースでとっていかなければならぬと考えておるわけでございますが、あくまでもそれぞれの機関が主体的に処理される問題でございまして、そういったメンバーシップの問題がその機関に問われる場合におきましては、諸般の状況を考えまして、ケース・バイ・ケース、慎重に処理していくという態度でございます。
○前川旦君 私は、どうしてもそれが理解できない。ケース・バイ・ケースでそのたびに考えていきます、そういうことではなくて、もうこれ、台湾政府が入っているわけでしょう、いまの中国のかわりに、前から。かわってないわけですから、ケース・バイ・ケースで考えていきますというのじゃなくて、日本としての原則は、これは入れかわってもらうべきだ、こういう原則を立てるのが先ではありませんかということを言っているのです。ケース・バイ・ケースでということを聞いているのじゃないのです。その原則をどうなさいますか。
○国務大臣(大平正芳君) 中国を代表する正統な政府として中華人民共和国政府を認めた日本の立場はよく心得ておりまして、それが一番の大原則であろうと思うのであります。具体的に、個々の国際機関の場合におきまして、北京政府が参加の意向を持っているのか持っていないのかわかりません場合もございます。それから、台湾といたしまして、なおメンバーシップを維持したいという希望を持たれておるところもあると承知いたしておるわけでございまして、私ども、新しく国交正常化したという立場を踏まえまして、個々のケースに応じて慎重に判断して日本の立場を表明していこうと思っておるわけでございます。
○前川旦君 中華人民共和国を正式に認めた日本の立場を踏まえて、ケース・バイ・ケースで対処すると言われましたので、前よりか少し前進したように思います。 それじゃ、その次に、ASPAC、これ、どうされますか。
○国務大臣(大平正芳君) これもたびたび申し上げているとおり、ASPACの一メンバーとしての立場を持っておるわけでございまして、ASPACをどうするかということにつきましては、たびたび申し上げますとおり、各メンバー国のコンセンサスの上に立ちまして処理すべきものと思います。
○前川旦君 去年の十一月十一日、そこにいらっしゃる鈴木一弘委員の質問に対して、大平さんは、いましばらくこの問題について検討する時間をかしてくれと言われました。もう大かた半年たっています。もう結論が出ていい時期だと思いますが、どうなんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) その後、マレーシアが脱退いたしました。また、各国の御意見を聞いておりますと、積極的なのもあれば、やや消極的なのもございまして、この間十三日に、バンコクで常任理事会が持たれたのでございますけれども、まだ常任理事会をいつ開くかということにつきましても、合意を見ないまま別れておるような状況でございます。しばらくこういう状況の推移を見させていただきたいと思います。
○前川旦君 これも率直な話ですけれども、日本からはどうのこうのと言われぬけれども、自然に消滅を待つのだということでしょうか。はっきり言うと、そういうことでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) メンバー各国の意見なるものが大体一つのまとまりを持ってくるというようなことになって初めて、この存廃という問題が問われると思うのでございまして、いま各国がいろいろ考えておられる段階のようでございまして、日本としても、もう少し考えさせていただきたいと思います。
○前川旦君 中華人民共和国を承認した日本として、台湾政府が入っているこのASPACへ一緒に同席をして、会議をやることができるんでしょうか、原則として。もうできないと、はっきりなぜおっしゃらないんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 国際関係——先ほどから伺いますと、前川さん非常に潔癖に考えられておられまして、そういう点については敬意を表するのでございますが、あなたと私の年齢の差でございましょうか、私自身はなかなか、国際関係、そう竹を割ったようにまいりませんので、いろいろ苦吟しなければならぬ問題が多いわけでございまして、ただ、新しく日中が正常化した関係になったということは重々念頭に置きまして、大きなあやまちをしないようにと心がけておるわけでございますが、ほかの国々もたくさんおつきあいが多うございますので、その間に処しまして、なるべく間違いのないようにやってまいりたいと思います。たいへんお気に召さぬのかもしれませんけれども、事態がそういうふうに複雑なんでございまして、なかなかきっぱりとクリアカットに割り切るということが非常にむずかしい状況であることも、またひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
○前川旦君 きっぱりといかない事情を御理解いただきましてと言われても、御理解しようがないじゃありませんか。どう考えたって、中華民国と称する台湾政府と一緒に席を並べて、こういった地位、機構の中に一緒にいつまででもいるというわけにいかぬわけでしょう。どこかできちっと決断せないかぬわけでしょう。もう時期が来ているわけでしょう。よその国を見たって、加盟国を見たって、次々、もう態度表明しかけているでしょう。マレーシアはもちろんのこと、それからニュージーランドだって、オーストラリアだって、もうこの中国を認めたんですから、はっきりしているわけでしょう。もうマレーシアがネコの首に鈴つけたじゃありませんか。もう遠慮なくすぱっとしていい。何もかも心配するときじゃないように私は思うんですよ。いかがですか、それは。
○国務大臣(大平正芳君) 前川さんの御意見として拝聴いたしておきます。日本政府としては、諸般の事情を頭に置きまして対処いたしておるわけでございますので、しかく鮮明に、また迅速に事の運びがまいらないということに対して、たいへん欲求不満を感じられておるようでございますけれども、その点は外交の責任を持っておる私どもを御信頼いただきまして、日中関係も、その他各国との友好関係というようなものも十分頭に置きまして、あやまつことのないように対処していきたいと思っております。
○前川旦君 それでは、またすれ違いになりました。 総理にお尋ねしますが、日本と中国との平和友好条約のときに不可侵の問題を入れる、あるいは日ソの問題も、日ソ平和条約のときに日ソ不可侵、日中不可侵、これは外務大臣からしばしばそういう答弁があります。総理からそういうことばの答弁をまだ聞いておりませんので、総理からひとつこれは御確約をいただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 共同声明の中に、日中不可侵というものを入れるか入れないかというような過程があったかどうかは、私もさだかにしておりませんが、日中は永久にというように末長く友好関係を結ぼうと。日本は新しい憲法を持ってすでに四半世紀もたっておりますし、日本は一切侵略などということはありませんと、こういうことを述べました。先方もそういうことはよく理解をして、日本の憲法というものがそういうものであるということも理解をしておりましたし、お互いは長きにわたって友好親善ということを基本にいたしましょうと、これはもう一切間違いはありませんということで、一番最後には、先方も同じようなことを言ったと思いますが、私も答えて、信は万事のもとをなすと、こう言って別れたわけでございますが、その過程に、不可侵の条項を入れるか入れないかというような問題は、私と周恩来首相の間、また毛沢東主席との間には出なかったと思います。
○前川旦君 外務大臣はときどき国会で言っておられるんですよ。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、ちょっと補足いたしますと、いま総理がおっしゃいましたように、日中の平和友好条約は締結しようじゃないかということ、そしてそれは、これから前向きの、今後の日中関係のよるべき原則を安定した基礎の上に置こうじゃないかという限りにおきましては合意をしておるということは、たびたび国会を通じて私から申し上げたとおりでございまして、そのうちの中身を、どういう中身を盛り込むかということにつきましては、何らまだ話はしていないということでございます。ただ——これからは私の意見でございますけれども、共同声明には不可侵の原則がおごそかに宣言されておるわけでございまして、日中平和友好条約を待つまでもなく、この原則はすでにおごそかに宣明されております。しかし、これをより安定した基盤の上で条約という形で固めようじゃないかということでございますから、当然、いま御指摘の不可侵の問題も、平和友好条約の締結交渉におきまして、一つの討議すべきアイテムになるものと私は想像いたします。
○国務大臣(田中角榮君) 質問の要旨はよく理解できました。外務大臣が言うとおりであります。これは友好条約がつくられる場合には、相互信頼のもとに不可侵が守られなけりゃならない、これは当然のことだと理解いたしております。
○前川旦君 朝鮮の問題ですが、南北共同声明を歓迎するという答弁が衆議院で出ております。この南北共同声明は、これまた民族自決、平和統一、外国不介入という原則が貫かれておりますが、朝鮮につきましても、その原則を貫いておつき合いをするということになりましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 去年の七月四日に南北の対話が持たれて、南北朝鮮の平和的な、そして、自主的な統一を求めて話し合うということになったことを歓迎すると申し上げておるわけでございまして、私ども、この南北対話において取り上げられた道標が実りまして、朝鮮半島に自主的平和的統一がもたらされますことは、もとより日本が心から希求してやまないことでございます。
○前川旦君 日本として、していけないことは、この統一をじゃましたり、民族自決をじゃましたりするようなことはしていけない。これは一番大事なことでしょう。となると、これは、日本としての姿勢の持ち方として、南北どちらかに肩入れをしてということはもうやるべきではない。等距離で同じようにつき合っていくということしかないと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) その点になりますと、あなたと意見が若干違うわけでございます。南北の対話が発足いたしましたのは、日本と韓国との間に国交があり、いろいろ深い関係があるということも踏まえた上で発足いたしたと私は思うのでありまして、あなたが言われるように、この自主的平和的統一への話し合いをじゃましないようにと。これは、もとより私どもがえりを正して守らなきゃならぬことであると思いますが、そのじゃまをしてはならぬということが、直ちに南北等距離政策に通ずるかというと、私はそう考えないのでありまして、現在あるがままの状態をそう根本的に動かしてかかる、そして等距離の状態に置くというようなことは、かえっていまの話し合いの機運が出てくる基盤をこわすことになりはしないかとおそれるのでございまして、つまり、等距離政策そのものよりは、南北の平和的自主的統一の話し合いが実るようなぐあいに、これをじゃましないようにできるだけ気をつけるということが非常に大事なことだと思うんでございまして、あなたの言われる等距離政策をきっぱりとってまいるということは、いまの段階におきまして、かえって、危険なことになりはしないかとおそれるのでございまして、その点が、若干、あなたと私とニュアンスが違うと思います。
○前川旦君 ずいぶん立場は違いますから……。それじゃ、私のほうから歩み寄って、いま外務大臣は、一ぺんに動かしちゃいかぬとおっしゃいましたけれども、じゃ、政府としては徐々にそういう方向にいくという方針をお立てになるべきじゃありませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 政府はそのようにやっておるわけでございます。
○前川旦君 一挙にいかないにしても、徐々に、やはり等距離の方向へ進むというふうに理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(大平正芳君) 南北の対話ができる基盤という一応の状況というものを踏まえて、この対話の成功をこいねがっておるわけでございますが、それを根底からくずすというようなことがないようにいたしまするために、北朝鮮とのおつき合いにおきましても、私どもといたしましては漸進的な態度をとっておるわけでございまして、スポーツや学術、あるいは文化交流あるいは経済交流、そういった点につきまして漸次拡大をはかっておりますことは御案内のとおりでございます。
○前川旦君 漸次拡大をはかっておるというのはよくわかります。衆議院でもそのように答えておられます。それはやはり一つの目標として、この南北の会談を大事にしながら、一つに肩入れをして一つだけの戦力を増強さすというのではなくて、だんだん次第次第に等距離に向かっていきつつあるのだというふうに私は理解をいたしましたが、そのような立場で理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 南北の自主的な、平和的な統一をもたらす主体ばやっぱり朝鮮民族だと思うのでございまして、私どもがいかにこいねがいましても、それは私どもでできる仕事でないわけでございます。私どもができることは、あなたがおっしゃったように、なるべくこれをじゃましないようにしなければならぬということを心がけろということ。で、それば私も十分心がけますということで処置いたしておるわけでございまして、北朝鮮との間のおつき合いをだんだん拡大していっておるというのは、一つにはそういう自主的な話し合いに大きな影響を与えるというようなことがないようにせにゃならぬということが一つと、もう一つは、日本の国内におきましてやっぱり北朝鮮とのおつき合いも漸次積極的にやるべしというお声も広くあるわけでございまして、私どもそういう希望を無にするということもできませんので、そういった事情もいろいろ考えながら、漸進的な拡大をはかっていくという方針を堅持いたしておるわけでございます。
○前川旦君 それじゃ具体的に伺いますが、具体的な交流増加の中で、新聞記者の交換ということは考えておられますか。
○政府委員(吉田健三君) お答えいたします。 交換という段階まではまだ来ておらないと思いますが、必要による短期の取材という問題は、必要な時期に来つつあると、かように考えておるわけでございます。
○前川旦君 四十七年三月六日の予算委員会の会議録の中で、衆議院の安宅委員に対して、当時のこれは福田国務大臣でしたが、前向きにそういうふうな新聞記者の交換は考えていくというニェアンスのある発言がありました。それからもう一年たっていますけれども、具体的にそういう新聞記者を交換するとかいうような考えはまだ固まってないのですか。
○政府委員(吉田健三君) 交換ということではなしに、必要に応じてわがほうからも北朝鮮のほうにかなりの新聞記者の人が現に行っておられるわけでございます。ケース・バイ・ケースで検討していきたいと、かように考えておるわけでございます。
○前川旦君 これもはっきりしません。 防衛庁長官、日本にとって朝鮮民主主義人民共和国が軍事的な脅威とお考えになりますか。
○国務大臣(増原恵吉君) 朝鮮民主主義人民共和国に限らず、ただいま私どもは周辺の諸国を日本に対する軍事的脅威というふうな見方では考えておりません。
○前川旦君 日本が脅威を感じないのであれば、佐藤・ニクソン声明のいわゆる韓国条項、これはもう意味がないのではありませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 脅威を感ずるということと関心を持つということはまた別な話でございまして、この周辺の地域の状況につきまして多大の関心を持っておることは変わらない事実でございまして、当時日米首脳の間におきましてそういう認識の表明がされたことは、それなりに私は理解できると思います。
○前川旦君 その当時の認識といまとは変わっているんじゃありませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 確かに客観情勢、南北の対話が始まる、その他一連の緩和ムードが出てまいっておりますので、六九年当時の認識と今日の認識というものは必ずしも同一ではないと思います。
○前川旦君 くどいようですが、そうするとこの六九年の佐藤・ニクソン共同声明のときと客観情勢は変わっている。この「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要であると述べた。」、これは内容が変わったと、明らかに変わったと、このように理解してよろしいですか。
○国務大臣(大平正芳君) 韓国の安全は日本にとって非常に緊要であるということは、私は変わらぬと思うのでございます。問題は、当時の国際情勢の認識は、六九年当時と今日とは当然変わっていいと私は思いまするけれども、いま御指摘のように、韓国の問題についての関心という問題は、それなりに日本政府として持ってしかるべきものと思います。
○前川旦君 これは単なる関心の問題で述べられたんじゃありませんね、この当時の認識では。軍事的な「朝鮮半島に依然として緊張状態が存在することに注目した。」、これが前にかぶさっています。いまとは全然違う、もっと緊迫した状態でした。それから、いま南北会談が始まって、事情がうんと変わりました。そのときの事情と変わった。確かに変わりました。そうすると、なるほど韓国については興味がある。それは関心があっても、それは軍事的なものではないんだと言えるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 軍事的な脅威は感じないということにつきましては、防衛庁長官からお話があったとおりでございまして、しかし、日本が朝鮮半島に持つ関心というのは、たいへん歴史的に古いこれは問題でございますし、日本にとりましては非常に重大な問題でございますので、これは軍事的であろうが、経済的であろうが、政治的であろうが、関心を絶えず持っていなければならない問題であろうと、それは変わらないと私は思うのであります。ただ、前提として六九年当時朝鮮半島の状態が相当緊迫した状態であったという現状認識、そういう認識は当然その後の情勢の転移から見まして変わってしかるべきものと私は思います。
○前川旦君 一般論として朝鮮に関心があるという、これはまあ常識論として、非常に幅の広いことばですから、どうでもとれます。しかし、この声明が出た当時とはいまは情勢が違うんですから、この声明のときのような意味での、「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要であると述べた。」この当時のこの認識とは違うんだということになると、内容がいま変わったと、はっきりこう言っていいんじゃないんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) だんだんと緊張緩和の状況に向かいましたことは、あなたも私も同じ認識だろうと思うんでございます。ただ、それが、完全にいまの韓国の状態はこうなったんだと言い切れるかどうか、これは南北対話の進展をもっと見てみないと、確実にこうなったんだとはたして言い切れるかどうか、そこまでの自信はまだ私は持てません。
○前川旦君 これもすれ違いです。残念です。 それじゃ、日本とアメリカ、当然のことですが、日米の間でも日本の民族自決、内政不干渉の原則は貫かれると思います。なぜこういうことをあらためて聞くかというと、最近の新聞を見ておりますと、防衛力の拡充をせよとか、あるいは、核のかさで繁栄の日本、防衛負担をふやせとか、こういった見出しで、アメリカの高官が何をしゃべった、大使が何をしゃべったかという記事がよく出ます。ですから、もう防衛負担の増大をしきりに観測気球を上げられる。そこで一体、具体的に、日本はもっと防衛力をふやしてもらいたいとか、あるいは防衛分担金というようなことを考えてもらいたいとか、そういう具体的に何をしてもらいたいというような要望があったんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 公式にそういう要望は全然ございません。
○前川旦君 あれば私はたいへんだと思う。内政干渉ですね。 そこで、総理にお尋ねしますが、防衛力を増強するとも、あるいは凍結しようとも、漸減しようとも、撤廃しようとも、これはあくまで日本の国民と政府と議会とが自主的にきめることであって、他のだれの介入も許さないと、私はそう思いますが、総理もそうお思いになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 全くそのとおりです。
○前川旦君 安保条約の第三条に、いわゆるバンデンバーグ条項という条項があります。私は、政府のこの第三条に対する解釈はいまのようなものであると理解いたしますが、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(高島益郎君) 安保条約第三条の意味は、ここに書いてございますとおり、「それぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。」ということでございまして、いま先生のおっしゃったとおり、バンデンバーグ決議にございます趣旨に従ってという点は、私どももそのとおり考えております。
○前川旦君 いまの答弁……総理と外務大臣が答えられたことを政府委員が妙なかっこうで答えるとおかしいと思うんですね。いまの、ちょっともう一ぺん答弁してください。
○政府委員(高島益郎君) 私申しましたのは、安保条約第三条の意味はバンデンバーグ決議の趣旨に沿ったものであるかどうかという質問であったかと思いますが、それに対しまして、安保条約第三条の規定は、ここに書いてございますとおり、締約国が「それぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。」ということでございまして、この意味は、まさに先生のおっしゃったとおり、バンデンバーグ決議の趣旨に沿ったものであるというふうにわれわれも了解しております、ということを申し上げた次第でございます。
○前川旦君 総理、私は民族自決という原則は当然われわれあると思うんですよ。当然守らなければいけない。したがって、こういうことを、安保条約の第三条で義務を課せられるようなことはやはり内政干渉だというふうに前から思っていたんですよ。ですから、これは日本がきめることなんであって、ふやそうが減らそうが、いまのままにしようが、そんなことは外国から言われたくないんだと、言われるべきものじゃないんだというのが、政府の、あるいは日本の当然の態度だと思うんですよ。私は第三条をそのとおりに私なりに理解をしますと、こう言ってお尋ねしたんです。それでよろしゅうございますかと言って外務大臣にお尋ねしたんですから、その御返事をいただきたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) バンデンバーグ決議というもののねらい、精神というものは私もわからぬものではないんでございますけれども、これをどのように理解し、どのように対処してまいるかということは日本政府が自主的にきめることでございまして、アメリカさんのほうから御命令によってこれを守りますとか、守れませんとか、という性質のものではないと思います。
○前川旦君 総理は施設方針演説で、アジアの国際会議を開くことを検討すると言われました。その一つにはベトナム復興、もう一つは和平定着のためという目的がかぶさっていたと思います。復興の問題はいまちょっと別にして、和平定着のための国際会議構想はその後どういうふうに進んでいますか。
○国務大臣(大平正芳君) これは総理が御自分の構想として、ベトナム和平後に、ベトナムの平和ばかりでなく、アジア・太平洋地域全体の平和を定着させていく上におきましてアジア・太平洋地域の平和会議というようなものが構想できないかということがございました。 まあそれにつきましては、たいへん大きな構想でございます。どういう国々、もちろん米中ソというような三大国も参加してもらわないと実効はあがらない。既存のいろいろな国際地域協力機構というものがありましてもなかなか間尺に合わぬ。だとすると、こういう大きな構想をやるにはいろんな大がかりなかまえが要るし、それを日本が提唱するかしないか、していいか悪いか、いろいろな問題がからんでくるわけでございますので、そういった問題についての可能性をひとつ外務省を中心に検討してみようという御下命があったわけでございまして、私どもはこの壮大な構想というものをしょっちゅう念頭に置きまして、そういうことがどういう条件が整えば可能か、そしてどういう状況のもとで日本がそういうことをやれば実効があがるか、そういった問題はたえず念頭に置いて、アジアばかりでなく太平洋地域に限をはせて考えていかなけりゃならぬ課題だと考えております。 したがって、その後具体的にどういう手順を考えておるかと、具体的な御質問でございましたが、そういう構想として承って、今後いろいろその可能性追求をやっていかなけりゃならない問題意識を常に持っておるんだということを御承知を願いたいと思います。
○前川旦君 まだ進んでないようですけれども、これは総理自身でお書きになった文章だと思います、この項は。そこで総理にお尋ねしますが、これからのアジア外交のための日本の原則というものをどうお立てになりますか。いままでのとおりであっていいと思わないんです。たとえば中国には平和五原則というたいへんすばらしい原則があります。それからソ連は、たとえばアジア安保というのを打ち出しながらやっぱり五原則のようなものを立てております。日本も原則を持つべきときではないか。いわゆるアニマルからヒューマンに脱却するためには、アジア外交としての一つの原則、哲学というものが必要な時期になっていると思います。どうそれを総理はお立てになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) わが国はアジア外交の諸原則を立てるまでもなく、従来、平和を国是とするアジアの一国として、この地域において平和と安定が定着をするように念願をいたしております。また、アジア諸国及びアジアとの関係の深い世界各国との友好関係と相互理解を増進させていきたい。また、アジア諸国には経済的自主努力、政治的な自主性の高まりが見られますが、これら諸国の多くはその国づくりに鋭意努力している段階でございます。したがって、わが国といたしましては、経済協力等を通じまして、側面からこれら諸国の努力に貢献し、その繁栄と発展に寄与していく所存でございます。その際、アジア諸国の自主性を十分尊重していかなきゃならないと、こういうことがアジア外交というよりも原則的な考え方でございます。日本はアジアの一員でありますが、ベトナム問題の解決をはかるためのパリ会議にも招請を受けなかったわけでございます。しかし、復興会議には当然有力なメンバーに要請されると思います。アジアにはいろんな問題がございますが、地球上の人類の中でアジアに位置するものが一番多く、また問題も多種多様であります。その意味で、アジアに位置する日本がアジア太平洋諸国と力を合わせながら永遠の平和確保に向かって努力を傾けていくということは、もう当然の責務だと思います。ただ、第二次大戦でいろんな批判もありますし、また、その後、日本の経済活動その他に対しても一部に批判もあります。ですから、真に日本が平和憲法を有し、平和のために努力を続けておるんだという理解を深めながら、アジアの平和確立のために応分の協力をしてまいろう、また、こういう基本姿勢がアジア太平洋諸国に是認されるように堅実な前進を続けていかなけりゃならない、こう考えます。
○前川旦君 私は不満です。いまの答弁不満です。というのは……。
○国務大臣(田中角榮君) 平和五原則を言ったからですか。
○前川旦君 いや、総理自身のお考えを私は言ってほしかったんです。たとえば衆議院では二月三日に——これ議事録なきゃお見せしますけれども、総理はかなり具体的に項目をあげて言っておられます。したがって、平和五原則はなかなかりっぱなたいへんな原則だと思いますよ。具体的で短くて、しかも要をついている。で、アジア外交に向かう日本としての政治姿勢、原則、それを立てる時期がきていると、ですから総理はどうお立てになるんですかと、具体的な内容をお聞かせいただけませんかと、こういうことを言っているんです。どうでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 日本がアジアの一員として、アジアの平和に寄与し貢献をしたいという基本的な原則に立ってこれからアジア外交を進めていかなければならないと、それはしかしあくまでも平和憲法のもとで平和を希求し、日本だけではなくアジアにも永遠の平和をもたらすために努力をするんだと、アジアの一部に少なくとも日本がまた侵略をするのではないかというような感じがあってはたいへんでありますから、そういうものではないんだということの理解を深めながら、真に友好——アジアの平和を推進するために日本の持てる経済力、技術力等をもって平和に貢献してまいりたい、こういうことであります。
○前川旦君 私はやっぱりことばが抽象的な感じがしてよくわかりません。ですから、そういう原則を立てなきゃいけない時期がきているんですから十分これは練り上げていただきたい。もしそれがりっぱなものであれば野党として協力するにやぶさかでありません。ですから、ほんとうのこの原則というものがないと、やはりいつまでたったってアニマルにしかすぎないわけなんでしょう。ですから、その点の原則を立てられるということを強く要請をしておきます。 そこで、外務大臣にお伺いしますが、よく外務大臣は答弁しておられますが、いまの緊張緩和は世界的な安保体制のワク組みから出てきたという答弁をしておられます。これは一体、具体的にどういうことをさしているんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) ヨーロッパにおきましても長い犬猿の仲でありました独仏が和解をした、独ソの間にも和解ができたという、それから米ソの間にもいま単に理解が進んだばかりでなく具体的な協力まで、数々の協力が二国間で行なわれておるという現実でございまして、アジアにおきましては、先ほどから話題になりましたような若干の緊張緩和の徴候が見えてまいったということでございますが、このことは、現在地球狭しと張りめぐらされました条約的ワク組みというものの存在の中で生まれたことは間違いないと思うんです。その条約、基礎的な条約のワク組みがこういう状態をもたらすのにどれだけの寄与をしたかということを数字的に示すことはできませんけれども、少なくともこれがじゃまにならなかった。そして、そういうワク組みの中でこういう徴候が出てきたということでございますから、この基本的な条約のワク組みというものは軽々に変えちゃならぬものであると、ヨーロッパ各国におきましても東西両陣営とも変えていないじゃないかと、日本の安保条約も、その全体としての条約のワク組みの中の一環をなしておるものであるから、これはなるべく変えないほうがよろしいんだという認識が一つあるわけでございます。 第二は、アジアよりも問題性の少ないヨーロッパにおいてさえ非常に慎重な措置がとられておる状況において、不安定性を多分に持っておるアジアにおいてなおその必要があるのではないかというのが第二の私の認識でございます。そういう意味で安保条約のワク組みというものは軽々にいじっちゃならぬものであるというように私は考えておるわけでございます。
○前川旦君 安保条約の説明をなさるのにいつもヨーロッパのことを引き合いに出されます。ヨーロッパではなるほど現実を動かさないというところから緊張緩和が生まれていると思います。現状が固定的なものである、ドイツにしても。現状の固定化を相互に認め合う、お互いに認め合うところから緊張緩和というのはできてきているという見方が成り立つと思います。しかし、アジアでそのままが適用されるでしょうか。同じでしょうか、アジアは。私はそうは思いません。アジアでは、ヨーロッパみたいな固定した動きがたい現実ができ上がっていなかったわけでしょう。そういう現実をつくろうと思って努力したのが三十八度線の朝鮮であり、十七度線のベトナムだった。だけれども、そういうワク組みができなかったのがアジアではないんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) ヨーロッパのようなそのワク組みの定着の度合いが、あなたが御指摘のようにまだ弱いということは私も同感でございます。さればこそ私は、アジアにおいてはなお用心深い態度が必要であるということを第二に申し上げたわけでございます。
○前川旦君 ヨーロッパでは、お互いにもう相手を認め合う、動かない現実を認め合うところから緊張緩和がスタートした。しかしアジアでは、十七度線をはさんでそういう固定した関係をつくろうと思ったけれども、それをやめて、民族自決、統一ということを認めたところから緊張緩和が生まれたんじゃないんでしょうか、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) そう一足飛びに私は考えていないんでございまして、ベトナムにおきましても、なるほど今度のパリ協定の一条に、あなたの言うように、ベトナム民族の基本的な諸権利というものを尊重する、で、行く行くは、最終的にはその統一を道標としておるということがうたわれてありますが、第九条に、南ベトナムの人民の自決権も尊重するんだということでございます。で、十七度線というものは国境とは書いてない、けれども非武装地帯とも書いてないわけでございますけれども、南北ベトナムというものを経過的にはひとつ認め合って、それで互譲の精神で平和というものを探求しようという態度があそこに出ておると思うのでございます。南北の朝鮮の対話にいたしましても、三十八度線をまたいで両方で話し合おうという態度でございますが、三十八度線は三十八度線として厳として守りながら対話が始まっておるわけでございまして、朝鮮半島もインドシナ半島も統一を希求しておるから緊張緩和が生まれたかというと、それもありましょうけれども、同時に、現状を一応認め合った上で、経過的にはそこで分別を出し合おうじゃないかという動きが緊張緩和の基調にあると思うのでありまして、そういうような認識を私は持つのであります。
○前川旦君 たとえば台湾で、実際に台湾の問題は台湾が中国の一部であるということを認めることで、つまり台湾海峡で突っぱねて、そこで台湾海峡で突っぱねてきたという冷戦構造をくずして、それを捨てて、そして台湾は中国の一部だと認めることから緊張の緩和がスタートしている。つまり既存のこの安保条約のような体系を固定化するところから緩和が始まったんじゃなくて、くずすところから始まったんだというふうにわれわれは思うんですよ。そうじゃないんでしょうか。現実のアジアを見てみるとヨーロッパとは違うんじゃないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカが戦後とってまいっておりましたいわゆる冷戦外交というものを越えて、大胆に米中の対話が実現し、米ソの交流がだんだんと協力にまで発展しておるということにおいて、あなたの言われることに私は賛成、同感でございます。
○前川旦君 これは昭和四十六年十月十九日に参議院本会議で佐藤総理が所信表明をされた議事録ですが、そのときにこういうことを言っているんです。これは中国の加入は認めるが、台湾の追放には反対するというところで、「国連創設以来の重要メンバーである中華民国政府が、いわゆるアルバニア決議案によって一方的に国連から追放されることは、国際情勢の現実にそぐわないばかりでなく、アジアにおける緊張激化の要因ともなるおそれがあります。」、いまから考えてどうなんですか、このお考えは。がらっと違いますね、実際際と。やっぱりあなたは、いまもう一ぺん同じような考え方をまた踏みつつあるように私は思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) いや、私といたしましては現実を冷静に見まして、そうしてせっかく芽ばえかけた緊張緩和の芽というものを枯らさないように、定着させていかなければいかぬと誠心誠意考えているわけでございまして、特定の考え方を頭に前提として持って、それで割り切ろうなどという横着な考えはありません。
○前川旦君 それでは最後に、総理にお尋ねをいたしますが、たとえばアジアを見てみると、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、これはASEAN諸国ですね。これは中立を指向していることは御存じのとおりだと思います。ASEAN諸国の中立指向について総理はどういう評価をなさいますか。ベトナムはやはり北ベトナムを含めて軍事的な中立の道を歩もうとしているようです。それから朝鮮も連邦制を言っておる面から見ると、やはりこれも軍事的な中立を目ざす。こういうことになってくると、いま日本の周辺に南から北までずっと中立指向のベルト地帯ができつつあるという、こういうふうな御認識は持たれませんか、どうですか。いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 指摘されるような動きのあることは承知をいたしております。おりますが、これは定着したものでないという事実もまた事実であります。
○前川旦君 まだ定着しておりませんが、そういう動きはありつつある。その中で一体この日本がどういう位置を占めたらいいのか。この中立ベルト地帯の中に日本も位置するわけです、ベルト地帯の近くに。いままでどおりアメリカだけと結びついて、軍事同盟で、軍事条約で結びついて、このアジアの動きというものに対して新しい適応を考えないということが一体正しいのかどうか。私は正しいとは思わないんですよ。いかがですか総理。ですから、新しいアジアの情勢に応じて、いままでの日米安保体制というものはわれわれは廃棄してもらいたい。しかし、われわれは政権をとっているわけではありませんから、政府の立場としても洗い直しをするなり、運用の面なりで考え直しをするなり、そういう時代がきておると思いますけれども、総理としてのお考えはいかがなんですか。
○国務大臣(田中角榮君) 日本は、間々申し上げておりますとおり、日米安全保障条約を維持してまいるということが絶対必要である、この考えには変わりありません。 〔理事米田正文君退席、委員長着席〕
○前川旦君 アジア情勢が変わり、条件が変わったら、当然それに従って政府も態度を変えていかなければいけないのだと思います。ですから、総理の最初の施政方針にあるように、アジアば大きく変わりつつある、新しい夜明けなんです。であれば、もし、われわれの安保をやめてもらいたいという意見に同調できないなら、せめて、それに対する態度を運用の面で変えるという時期がきているんじゃないんですか。あくまでも、これは維持していくんだ、それだけじゃ済まない時代がきているのじゃないでしょうか。私は総理の哲学を聞きたいのです。いかがでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) アジアよりも、もっともっと平和が定着しつつあると思うヨーロッパにおいても、NATO条約をやめようというような、そんな話はないんです。また同じように、ワルシャワ条約機構の国々がすべてのものをやめよう、再検討しようという動きはないんです。だから、そういう事実もよく考えられて、日本が平和を希求する気持ちにおいて人後に落ちるものではありません。また日本は、平和憲法を守りながら、日本だけではなく、アジアの平和に寄与したいという考えも、もちろんそのとおりでございますが、そういうようなアジアの夜明けを迎えつつあるからといって、直ちに日米安全保障条約をどうするというようなことを考えることは、これはやっぱり誤りだと思います。いやしくも国防の問題でございますし、防衛の問題と直接関係のある平和と独立を守ろうというものでございますので、これは私は、日米安全保障条約は維持してまいります。こういう考え方をひとつ御理解賜わりたい。
○前川旦君 ことごとに全部すれ違いで残念だったと思いますが、これで終わります。
○委員長(大竹平八郎君) これにて前川君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) 安永英雄君。
○安永英雄君 田中内閣が発足いたしまして、福祉というものに流れを変えていくということを大きく打ち出されておりますけれども、私は主として教育の問題をお聞きしたいと思うんですけれども、子を持つ親として、いろいろ期待をしておったことがなかなか実現できないというふうな、期待を裏切られたというふうな感じを持っておるようであります。
○委員長(大竹平八郎君) 御静粛に願います。
○安永英雄君 そこで、ちょうどいま大学の受験が、まだやっているところもありますけれども、大体終わっておる。この大学の受験に通った者は、いわばばく大な寄付金を取られる。特に医科あたりの私大では一千万から二千万取られておる。あるいはまた、そういったところでないにしましても、この前本会議で質問をいたしましたように、五〇%から二・五倍ぐらいの納付金が課せられる。これは親としてたいへん困った状態だといって、いま医科大あたりに入る者は田地田畑でも売ろうかというような相談をしておるときであります。 また大学に行きますというと、授業料値上げ反対ということで学生が反対運動をやっておる。あるいはまた、中学校の生徒が高等学校に入るときに、これは入れなかったということで自殺をしたというふうなニュースも出ておる。こういう状態が起こっておりますし、また、四月五日ごろからは小学校に新入生が入ってくる。ところが、いま身体検査等も終わっておりますけれども、父兄と学校側との打ち合わせの中で、すでにきょうあたりも新聞に出ておりますけれども、給食費、これは兄弟合わせて三千円ぐらい出さなければならぬというふうな、非常に大きな値上がりを新学期から言い渡されておる。 あるいはまた、一番気の権なのは心身障害児を持つ親でありますが、これはもう一年も二年も三年も、何とか養護学級とか、あるいは養護学校、こういったところで教育の機会を与えたいということで、父兄はあちらこちらと探し回りますけれども、それがない。とうとう市役所に行きまして、そこで、結局は就学猶予あるいは就学しないでよろしいという免除の願いを書かされて、泣く泣く自宅に待機させておる。こういうのがこの四月の入学式を迎えた小学生の親の状態、子供の状態なんです。ところが、養護学校のほうはいまだにつくってない県がある。こういうことで行こうにも行けないという、施設が全然ないところがある。 これはどうしたことか。いろいろあげてみますというとありますけれども、たとえば聞くところによりますと、筑波のところに一千億もかけて大学をつくろうというふうな発想もあります。あるいはこれは総理の発想だと聞いておりますけれども、外貨がたまってくると十万人ぐらいの教師を海外の視察旅行にやろうじゃないか、予算の上では五千人分出ておる。こういったところもあります。あるいはまた、公害のまっただ中にある小学校、これの唯一の公害対策としてあるのは、小さな、単価が六十万ぐらいの空気清浄機、これが置いてある。ところが、これを要求すると、文部省はたたき切られて、二百校分がついにこれが実施できないようになって、新学生も迎えられない、こういう状態になっておる。 私は、とにかく、先ほど申しましたように、国民は期待をしておったけれども、教育面においても、何らこれは私ども苦しむばかりじゃないかという、こういう状態が起こっておるということを総理はどのようにお考えになるのか、またどうしてこういうことが起こるのか。こういった点について、教育に対する政治姿勢をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 教育は、次代をになう国民をつくるための最大の重要な仕事であると、このように考えております。 戦後、学制改革が行なわれまして、大学もたくさんつくられたわけでございます。また国民所得も向上して、高校に入る人、大学に入る人も非常に多くなったわけであります。このままでいけばすべての者が大学に入れるような傾向にありながら、その反面、もう小学校時代から、入試の問題に対して勉強しなければならない。あなたが指摘されたような問題もございます。大学に入るときに、特に医科などに対しては相当な寄付金というのか、校債を買うというのか、いろんな問題が指摘されておる事実を私も承知をいたしております。このようなことが存在することに対して、やっぱり抜本的な施策を講じなければならないときを迎えておるというふうに考えます。 もう一つは、養護学校の施設等でございますが、こういうものに対しては、公立で行なうべきものであることは言うまでもありませんので、年次の計画を立てながら、当然社会連帯の責任で負わなければならないこれらの問題の解決には、早急に取り組んで、これを完成さしていくということにしなければならないと思います。 私は、筑波大学というのを、いま御指摘になりましたが、これは過密の中ではどうにもならないというような状態から、新しい大学をひとつつくろうという考えで、十年がかりで筑波大学がただいまつくられつつあるわけでございます。 どうしてこういうふうに、総体的に考えると、日本の戦後の教育制度というものは画期的に拡充されたと思いながら、ほんとうに騒音に悩み、都市のまん中ではどうにもならないような環境もございます。やはり明治初年に、いまよりもうんと貧乏だった日本人が、教育のために投資を行なったというような気持ちになって、新しい教育というものを真摯な立場で私は考えていくべきときだろうと、そして実行しなければならないときだと私は思います。 実際に、社会保障も大切ですし、何もかにもみな大切でありますから、そういうものも推進いたしますが、やはり日本人の次代を育てるために、われわれの行なわなければならない責任だと私は思っております。それは、なぜできなかったというと、いなかにおいてはまだ使える学校がうんと残っておるし、山紫水明の地にある学校が残っておるけれども、この大都会は過密になってしまって、もうどうにもならない。大学はマイクを使ってやっておると、こういうのでございますから、そういうような状態で人間の血が通うはずはありません。そういう状態でありますので、やはり教育に対しては、ほんとうに国民の英知をしぼって教育と取り組む。そしてお互いの立場も考えも、イデオロギーも違っても、日本人を育てようという気持ち、子供の親としての気持ちには変わりはないと思うのです。私は、やっぱりそういう意味では、いろいろな立場が違っても、イデオロギーが違っても、一つの目標、相加平均値というものは出るものだと思うのです。 やっぱりそういう問題で、施設の問題だけではなく、やはりもう、新しく学制が改革されてから四半世紀たっているのでありますから、ほんとうに国民の声を聞きながら、重点的に施策を進めてまいらなければならない。もちろん答申もありますから、答申を尊重しながらも、懸命な努力を続くべき責務を有する、こう考えております。
○安永英雄君 総理の考え方は、質問も悪かったと思いますけれども、断片的になったような気がするので、私自身は、やはり何といっても、今日までの憲法、教育基本法、これの実現のための教育行政、こういったものを非常に怠った結果が出ているというふうに私は思うのです。ここを押えないと、あそこに大学をつくってみたり、幼稚園と、こういうふうに右往左往しては私はならないというふうに考えます。 特に私は、教育基本法の中にありますように、憲法の中にありますように、教育の機会均等の原則というものをはっきり打ち出してもらいたい。あるいは義務教育は無償とするという、この憲法の思想というものをどう実現していくかという点について、これは施策を練る。私は、総理が言われたその点の具体的な、計画的なものが出されなきゃならぬと思うのですけれども、そういったものについて、私はぜひ出してもらいたいと思うのですが、その気持ちはありますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) ただいま、教育改革の必要な点をいろいろな面からお話しになったわけでございます。また、そういう必要もございますので、一応中央教育審議会に政府が諮問をいたしまして、改革についての答申をいただいたわけでございます。したがいまして、この答申に基づきまして、それを順次実現さしていきたい。そういうことによって、いまの要請にこたえていきたいというのが政府の基本的な考え方でございます。
○安永英雄君 ちょっと異様なことを聞いたんですけれどもね。大臣、私がいま総理にお願いをし、計画を要求をしたのは、いわゆる中教審が出しておるあの答申というものが、政府の、私がいま申し上げた教育についての方針ですか、即。
○国務大臣(奥野誠亮君) 中央教育審議会のいろんな答申が出ておるわけでございます。また、いま教育基本法のことをおっしゃいました、憲法の実現を教育の面において期していく。これも基本的に大切なことでございます。 したがいまして、中央教育審議会の答申、この実現をはかっていくわけでございますけれども、あわせてもろもろの問題につきましても留意を怠らないようにしていかなければならない。そういう面におきまして、いま総理から、さらに重ねて養護教育の問題でありますとか、あるいは大学の環境の改善の問題でありますとか、いろんな問題をあわせおっしゃったわけでございます。総合的に実現をはかっていきたい、かように考えておるわけであります。
○安永英雄君 同じことを言っているけれど、大臣、中教審が答申をしてきておるその内容そのまま即それがいまの中心になる、それがもう即政府の教育施策の、私が先ほど言ったような施策を解決する具体案、政府の案というふうに、初めて聞いたんですが、中教審即政府の態度かということなんです。はっきり端的に言ってください。
○国務大臣(奥野誠亮君) 中央教育審議会に諮問をして答申していただいたわけでございますから、できる限りこれは尊重していくべきものだと、こう考えておるわけでございます。しかし実現にあたりましては、もろもろの意見を聞きながら、そして具体化できるものから手をつけていくということでございまして、あくまでも諮問に対する答申でございますので、そのものがそのままずばり一〇〇%完全に実施されなければならない、こうは考えていないわけでございます。いろんな意見を聞きながら、各方面の合意を得ながら、実現できるものから着実に実現さしていきたい。その間に、いろいろ意見に出ておりましたような問題もあわせ考慮していかなければならない、かように考えているところでございます。
○安永英雄君 だんだん聞いていくと幅が狭くなっていきますけれども、私は、いままで政府の態度を何回もこの問題について総理にも聞いたし、大臣にも聞いたけれども、中教審の答申というのは、それはあくまでも答申であって、政府それ自体の態度としてはっきりきめるんだという立場で、あの中教審の答申というのは受けとめておるという答弁でしたが、今度は大きく変わったんですね。
○国務大臣(奥野誠亮君) どうもものの言い方の違いのように思います。あくまでも答申でございますから、ずばりそれが政府の計画というわけではございません。しかし、答申をいただいておるわけでございますから、これを尊重して、いろんな意見を聞きながら、合意の得られたもの、実現できるものからやはり実現をしていかなければならない。そういう態度をとっているということでございます。
○安永英雄君 問題は、先ほど言った憲法、教育基本法の精神というものと、これを具現化していくんだという立場と、それからやっぱり政府は、国は、教育に金を出さない、いままで。いまでも出さないというところが先ほど申し上げたような現象になって出てくるというふうに私は思います。 私は、この前の本会議で、そういった予算の面からいっても、文部予算というのは非常に低いではないかと言ったら、何と勘違いされたのか、大臣は、いやそうではありません、四十三年度が一一・六%、四十四年度が一三・八%、こういうことを長々言われて、そうして四十七年度は一九・九%、こういう伸びを示しておりますと——これは決して自慢することじゃないんです。あくまでも政府予算の前年度の比較においては、それを全部その率よりも下回っておるということを考えなければならぬと思うのです。その点どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育予算が充実していくようにという御意見を承って、たいへん心強い気持ちを持ったわけでございます。 ただ、毎年毎年比率が下がっていくじゃないかというお話がございますので、対前年度ではどんどん——どんどんというわけではありませんが、とにかく毎年増加を続けているんですということで、あの数字を申し上げたわけでございます。
○安永英雄君 この予算の要求態度というものについては、他省に比べて文部省非常に弱腰ですね。すべて内輪内輪でとんでもない予算を組んでいるというふうなことは、私は考えなければならぬと思う。そこで、与えられた予算というものについてのこの施策の上で、私は非常にちぐはぐなものがあると思う。軽重、本来、これを取り違えておるという点が非常に多い。先ほどもちょっと申しましたように、総理の発想かどうか知りませんけれども、十万人も金を使ってドル減らしに教員を外国に派遣してみようという発想があってみたり、あるときは、米がたくさんできてくる、でき過ぎたというと、急に米飯給食に急に切りかえていく、こういうことですね。それから筑波の問題でも膨大な金を使うかと思えば、ささやかな先ほど言ったような一台が六十万ぐらいの空気清浄機、こういったものはいつの間にか姿を消しておる。こういったちぐはぐな点が非常に多いという点についてはどうですか。私はそれは外国に行くのもいいかもしれない。しかし、いまの養護学校一つできない、養護学校一つない、父兄は二年も三年も待っても学校に入れてくれない、自宅にじっとおる。こういった軽重本末、緊急の度合いというものを考えてやらなきゃならぬし、今度の予算はほんとうにそういうちぐはぐなものばかりですよ。この点についてどうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 各方面に、教育につきまして対応策を打っていかなきゃならない問題をたくさん持っておると思います。問題によりまして金のかかる面もあれば、金がそれほど単位としてはかからない問題もあるということでございまして、私たちはちぐはぐだとは考えていないわけでございます。それぞれ問題がございますので、全面的にとらえながら努力を続けていきたい、かように考えております。 養護教育の問題につきましても、できる限り早く希望者全員を収容できるように府県を督励といいましょうか、執拗に府県に全面的な建設をお願いしておるところでございまして、早急に期待されるように持っていきたい。場合によっては、義務化を先に法定することではなかろうかなという気持ちを持ったりもしているところでございます。
○安永英雄君 私は総理に聞いてもらいたいと思うんです。いまも空気清浄機の問題がある。私は北九州へ参議院を代表して調査に行った。みなで視察に行った。これは自民党もみな一緒に行った。ところが北九州市の八幡区の城山小学校というところに行った。あたり近所は全部立て込んだ工業地帯のまん中、運動場に一人も出ていない。そこには、きょうは運動場に出てはいけませんという札が立っている。そうして教室の中にじっと立てこもっておる。そこにいまの空気清浄機がたった一台ある。聞いてみますと、それで亜硫酸ガスを排除するとかなんとかいうことじゃなくて、いわゆるごみ、粉じん、こういったものを吸い取るというだけの施設なんです。それでもやっぱり、唯一のそれが公害に対する対策なんです。これが二百校分今度削られた。わずかな金ですすよ。 それから給食費。これは文部省のほうから給食の小麦の補助金、これ百グラムが六十銭です、いままで補助しておった。ところがこれを切り下げて、実質は五十銭、こういうふうな切り下げ方をしておる。私はいまさき言ったように、給食費がまた豚の肉の値上がりとか、牛乳の値上がりとか、あるいは手間賃とか、いろいろ上がっておる。今度は大体給食費は一〇%から二〇%上がるといわれておる。私はこういうところ、これはひとつ総理の決断で、十銭ですけれどもね、差は。十銭ですけれども、何とかならないかと思うんですよ。今度の新入学者に対する贈りものとして清浄機二百校分、これはどうかならないかと思うんですがね。総理のひとつ決断をこれこそやっていただきたい、こう思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 公害発生地帯における集じん機や空気清浄機というものは新しい構想であって、そういう予算の要求があったということはいま初めて知ったわけでございますが、そういうものはつけておけばよかったなあとしみじみと思います。ほんとうにそう思います。だから、そういうようなものをどういうふうな査定の状況でどうなったのかは、私はさだかには承知しておりませんが、やはりそういうほんとうに子供が勉強するために——まあ空気清浄機を置いても健康保持のために万全であるとは思いませんが、しかし、やはり誠意の示しどころでもありますし、教育に対する熱意でありますから、いま御指摘を受けてどうもそういうものに対してはもっと、例がないからという、新規要求ということだったと思いますが、これはしかしもうすでに一台据えつけてあるというんですから、そういうものに対してはやっぱりきめこまかい政策の中で実現をはかっていくべきだったろうというふうには考えます。 ただ、いつでも私は言わずもがなでございますが、この際申し上げますが、十万人も気前よく出そうというにしちゃこういうところが落ちていると、これはせっかくの御発言でありますので申し上げますが、そんなふうに言ったんじゃないんです。これは外貨がたまり過ぎる、たまるというので、とにかく旅行者を優遇したり、土地を買わしたりとこういうから、外国で土地を買ったりするようなことをするよりも、それは学校の先生は、長いこと苦労しているんだから、もう終わって退職するときに外国を回るというような恩典的なことではなく、やっぱり視界を広めて、見聞を広めてもらうために、学校の先生に海外で勉強をしてもらうというのは、これは一石二鳥じゃないかと、十万人もやるつもりで計算すればこんな問題片づくじゃないかと。しかし、よほど注意して言わなければならぬなあということを、その後何回も私は考えたのでございますが、外貨減らしのために十万人もやろうというような、そういうことを端的に述べたのではありません。しかし小学校の先生とか、先生方が五千人でも私は——海外を見てこられた人は非常に効果があったと言っておるのであります。私の小学校の同級生もいま現職の小学校の先生をしておりますが、わずかな間外国を見てきて、自信を持って教育ができるようになったと、こう述べておるのでございますから、五千人でも——私は一万人にしたがったのでありますが、いろいろな問題があって五千人ということに落ちついたわけでありますが、その政策はその政策なりに、私はメリットがあると思うんです、必要な政策だと思います。しかし、それだからといって空気清浄機を落としていいんだというようには考えません。 給食の問題、その他にはいろいろな問題がございますが、まあ必要なものは整備をするように努力をいたしてまいります。
○国務大臣(奥野誠亮君) 空気清浄機の購入費の補助金は四十七年度は七億円で、四十八年度が十七億円でございます。必要なところにつきましては、全部補助金を出せるつもりでございます。必要なところで補助金が出せないために購入できないで困っておるところがあれば、お教えをいただきましたら善処いたします。 なおまた、小麦粉の購入費の補助金の問題につきましては、毎年零細なものに対する補助金だということで争いが絶えませんでしたけれども、今回仕組みを変えまして、この購入費用に対して補助金を交付するということにして安定さしたわけでございますので、この点につきましても御了解賜わっておきたいと思います。
○安永英雄君 小麦粉の問題についてはこれはよくなったというような印象をあなたは持っておるようだけれども、明らかにこれは補助金切り下げですよ。それをあなたは逆にとっているんじゃないの。切り下げですよ。この点は、それこそ善処しなければならぬでしょう。 そこで、私はちょっと給食問題で混乱しておるから、簡単ですけれども、総理の答弁を願いたいと思うのですけれども、総理にも率直に聞いたほうがいいと思う。給食を学校でなぜするのか、この点です。みなが弁当を持ってきて学校でみんなで食べる、それを学校でたいてやって、いわゆる食べさせるという立場をとるのか、教育的な意味があってやっておるのか、どちらかということです。
○国務大臣(田中角榮君) 私の理解するところでは、いまそんなことも少なくなったと思いますが、幾つかのメリットがあると思うんです。それは共同生活をする、とにかく一つかまのめしを食ったということばがあるように、非常に日本の古来の考え方からいっても一緒にめしを食べる、これは人間形成の上に非常にいいことだと思います。 それからもう一つは、お互い子供のときはみんな弁当をいろいろ持ってきましたが、中には弁当を持ってこれない人もある。これは悲惨なものだと思うんです。もう一つは、女の子などは自分のおかずとこう比べながら手で隠して食べている。こういうところでいい教育はできるはずがない。そういう私はいろんな面から考えてみて、きのうの晩吉川英治氏の苦労したときの本を読みましたが、やっぱり給食というものにはこんないいところがあるんだなあということを感じました。だからそういう意味で同じものを食べるというやはり喜び。それで家から持ってくると偏食になるんです。好きなものは好きなものばかり——私のところは偏食で困っておるんです。特異体質になってしまって困っておるわけですが、これが自然とお互いが食べてるために、牛乳の飲めない子も牛乳が飲めるようになるし——給食にはもっと専門的なよさがあるのかもしれませんが、私はいま突然の御質問でございますから、給食に対してはやはりそういう非常に高度のメリットがある、こういう感じでございます。教育上のメリットがある。
○安永英雄君 高度なメリットがあると、要するに教育的な価値があるから給食をやっているということであれば、その方針が文部省の中ではふらふらしているんです。食わせりゃいいんだという立場と教育的にこれを取り扱うんだというのを使い分けてふらふらしているから、いまの補助金みたいにのんびりしているんですよ。これは教育的に価値があるということで取り上げたならば、これは教育の一環として取り上げたならば、これは国がはっきり無償の原則に立って、そしてやはり大幅な補助、これをやらなければならぬのです。いま総理からはっきり聞きましたので、文部大臣としてはその方針でやらなきゃだめですよ。いつでも逃げるでしょうが。総理ははっきりしている、教育的な価値があるから給食をやるんだと。その点どうです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育的な見地から行なうということと、無償にするということとは必ずしも同じ問題ではないと、かように考えているわけであります。 給食の問題につきましては、御承知のように、施設設備それから人件費、これは施設者負担でいく。材料費のほうは個人負担でいくというたてまえで、経済的に困難な家庭については公費で補助するというたてまえをとって進んでまいってきているわけでございます。
○安永英雄君 それではっきりしなさいと言うんですよ。あなたの態度をはっきりしなさい。教育的にこの問題を取り扱っておるというのか。
○国務大臣(奥野誠亮君) そのとおりでございます。
○安永英雄君 いま一致したから、この問題についてはいまから言わせませんよ。補助という問題、これについては文部省自身が、政府自身が、総理大臣自身が教育的な価値があるから給食をさしているという立場をとるならば、おのずから補助に対する態度、父兄負担を軽減するという立場もこれは当然そこから生まれてくる。きょうここではっきりしましたから、この点については今後の給食についての配慮というのはその方針でやってもらいたい。 次に、中教審の問題について。先ほどから私聞きもしないのに中教審の問題を大臣持ち出したわけですけれども、総理のほうも、施政方針演説の中で、「戦後行なわれた教育改革からすでに四半世紀の時を過ごし、その制度は定着しましたが、なお改革を要する問題は数多くあります。」という言い方は、非常に歴代の、特に佐藤総理とずいぶん違った点を出されたと思いますが、要するに、いまの六・三制度という現行制度というのは定着をしているというふうに見られますか、そのとおりですか。
○国務大臣(田中角榮君) その部分は、私がみずから筆をとったわけでございまして、文部大臣に見てもらったらそれでよろしいと、こういうことであって、これは文部省と私との意見が合っておるわけでございます。これはもう六・三・三・四制という学制というものは定着をしたと、こういう考えでおります。
○安永英雄君 定着をしたということ、これは考えてみますというと、現行制度というものは一応内容的にも定着をしたということは、大体改正を加えないでも——まあ加えるとするならば一部分加えればよろしいというようなふうに私はとるんですが、その点はどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 六・三・三・四制という基本的な原則は定着をしてある。これはいまこれを制度的に改変をしなければならないとは考えておりません。しかし内容的には、もう過去に工業専門学校の制度を設けたり、またいろんな内容に対しては改革を要する問題も多々あると思います。こういう問題は世論の形成を待ちながら、これは重大な問題でありますから、専門家の意見また国民全体の意見も徴しながら、一つずつ堅実な改革を加えていく。これはもう大筋において六・三・三・四制という制度は定着したと、こういう考え方を持っております。
○安永英雄君 これはりっぱな態度だと思います。現行制度というものを堅持しながら、そして変えていく部面があればいろいろ検討していくという立場ですから。そうすれば大臣も同じ立場だと思いますが、それではそういった定着した現行のこの六・三制度という学制改革について、これが中教審というものが幼稚園から大学まであるいは生涯教育といって死ぬまでという広範な改革案、要するに六・三制度というものを全く否定するような、こういう立場をとっているということは、これは御承知のとおりで、本会議でも述べましたように、もう国民的なこれは批判を受けて総スカンを食っているわけです。したがいまして、大臣、それでは部分的でもあれ、こういったところは現行制度で改正しなければならぬ、それはどこですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 総理からお話がありましたように、私も定着していると考えております。定着していると考えておりますが、単線型で全部なければならない、複線型であってもいいじゃないかというような気持ちも持って、私はあの中教審の答申が学校体系の改革について先導的試行を考えてはどうかという提案であるのではなかろうかと、かように考えているわけであります。しかし非常に重要な問題でございますので、現在の段階では研究指定校に研究させている段階でございます。 なお、生涯教育の問題につきましては、私、個人的には大学などにおきまして、これに対応するような公開講座を積極的にやりますとか、あるいは修士課程、博士課程のあり方につきまして改革を試みるなど、いろんな問題を包含しているのじゃなかろうかと、かように考えているわけでございます。
○安永英雄君 まああとで質問をいたしますが、筑波の問題等はそういっても全く違った方向をとっているし、給与の問題についても違った方向をとっているということで、先ほどの総理の意向と違った方向をとっているということははっきりしていますから、それは次々に質問していきます。 そこで、いま言われた範囲のいわゆる現行の手直し、こういった点について国民各層の意見を聞くということをこの前言われたけれども、どういう方法でやりますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 四十六年に答申をいただきましてから、多くの団体から意見を求めたようでございまして、また四十六年、四十七年ブロックごとに協議会を設けまして、文部省から出かけてまいりまして、そして意見聴取も行なったようでございます。さらにモニターを使いましていろんな調査をいたしまして、公聴に遺漏なきを期するという努力も続けてまいってきているようでございます。
○安永英雄君 一昨年の六月に答申が行なわれて、今日まで一応各層の意見をとったということですが、その結果はどう把握していますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 大体、大方の同意が得られるというものにつきまして実現をはかってまいってきているわけでございますけれども、ものによりましては、強い反対の意見の表明のあるものもございますし、あるいは積極的にこれを推進してもらいたいという意見もございます。ことに給与の問題になってまいりますと、組合によりましてまた意見がいろいろと食い違ってきてもおるようでございます。
○安永英雄君 時間がありませんから、もう先ほど総理の中教審に対する考え方というのが明確になりましたから、したがって私は、むしろ、大臣が気がかりなことを言った。私は、やはり今度の国会に出そうとしておる——まあ出しておりますが、筑波の大学の設置という問題とこの教員の給与の問題、この二つは、明らかに総理の意向とは違った方向を行っておるような気がする。これは部分改正ではなくて、大学の抜本的な改正であり、中教審が求めておる大学構想なんだ。これな出しているということで、私は、先ほどの基本方針とはずいぶん変わった方針を出している、具体的な歩き方をしているというふうにとります。したがって、まず第一番に、この筑波大学の設置について、その構想を概略文部大臣から説明願いたい。
○国務大臣(奥野誠亮君) 御承知のように、東京教育大学が三十七年に、キャンパスが主要なものだけでも三つに分かれている、狭い、適当なところに移転地を求めて統合したい、これに始まっておるわけでございまして、東京教育大学が移転にあたっては、新しいビジョンの実現をはかりたい、そういうことでまとめられた構想に対しまして、他の大学からも参加してつくり上げられたのが今度の構想でございます。 現在は、御承知のように、大学は学部自治を基本にいたしておるわけでございます。また、研究と教育を一体として行なうことによって、自主的に活発にこれらのことが進めていかれる、たいへん大事な体制だと思います。しかし、これ一つでなければならないか、また、これには何か弊害がないかということになってまいりますと、弊害もあるわけでございます。そういうところから着眼されたのが、今度の構想でございます。そういう意味で、教育と研究とを分離する。研究は学系の組織をとろうと、教育は学群の組織をとろうということでございます。 どういうところに問題があるかといいますと、研究は、できるだけ深く掘り下げようとするますます専門的になってくるわけでございます。その場合に、そのまま教育を研究の方向に引きずられますと、教育のほうは、どちらかといいますと広く教えていかなければならない、そこに矛盾が生じてまいるわけでございます。そういう意味からいいますと、教育においては、広い方面から教育に当たられるような人が集められる仕組みが大切じゃないか、かように考えられるわけでございます。 もう一つば、境界領域の学問、これが学部自治を——学部自治がそれを進めるにあたって弊害になっているような面がいろいろ出てきているわけでございます。化学の例を一つとりましても、理学部に化学がございますが、農学部にも農芸化学がある、工学部にも応用化学がある、あるいは薬学部にも生物化学があるというようなことで、学部というものが、これらを総合してひとつ深く掘り下げていこうという場合には、障害になるわけでございます。そういうこともございまして、いま申し上げますように、研究と教育の組織を二つに割る、これはもう根本でございます。ここから、したがって、また人事につきましても、統合的に行なうためには人事委員会組織をとろう。同時にまた、社会に開かれた大学であるためには、社会の考え方がある程度大学に入りやすいようにしたらいいじゃないかというようなことから、参与会議を諮問機関として設けますとか、あるいは大学として管理体制を大学全体の自治にふさわしいような姿に持っていく。それには、いまの学部割拠の大学自治よりも、学長の補佐機関を設ける仕組みのほうが、全学的な大学自治を達成しやすいのじゃないだろうかというようなことで、こういう仕組みをとったりしている。これが基本的な改革点でございます。
○安永英雄君 いまの構想、聞けば聞くほどぞっとするわけでございます。これは、現在の大学というものを、全く違った性格に変えてしまうという構想ですから。特に学部自治、具体的に言えば学部教授会、これを解散をする。そうしていまおっしゃったように、学外から参与会あたりをつくって持ってくる。あるいはいま言ったように、学長を中心にして管理体制をがっちり固めて、全学の教授というものの意向というのは全く入るすきのないような管理体制をしいていく。そうして、教育と研究というのは、何かこう便利なようでありますけれども、本来、学問の研究、こういったものについて、研究と教育というものを分離していくというこの方向は、全くとってはならない大学のこれは原則で、これを全く破ろうとしておるわけでありまして、この点については全く納得がいかない。私は、滝川事件、あるいはナチスの大学自治破壊というものに見られるように、大学自治を守っていくということは、政治から経済から国全体の問題にかかわってくる問題だから、私は大きく問題にするわけです。ただ、便宜上、管理をする人の専門をつくり、教える人、教育に携わる者、研究に携わる者、便宜上こう分けていくというふうな、そういったものであってはならないわけです。これは根深いものがあるわけです。そこからは真の学問の研究というふうなものは出てこない。ほんとうに日本の教育というのは、これを契機に破壊されるという私は危機感を持っておるわけです。何だか教育大が閉鎖になって、そのかわりに何とか筑波が——山紫水明の地というのを総理は非常に好きなんですけれども、あそこに持っていくという、そういうものではない。山紫水明を求めてつくったものではなくて、本質的に大学をくずすということに私はあると思うが、もう一回大臣の見解を聞きたい。
○国務大臣(奥野誠亮君) 筑波大学におきましても、教育と研究に携わります先生方が、自主的な研究教育を行なっていく場合の基盤になるわけでございますので、大学自治には何らのゆるぎもないと、かように考えておるわけでございます。いまのお話で、一つは参与会について、大学の自治がそこなわれるんじゃないかという疑問を表示されたわけでございます。学外の人が諮問機関として助言できるようにするわけでございますが、わが国におきましても、多くの私学は、学外の人たちが理事機関の理事として入っているわけでございます。また、欧米の大学におきましても、学外者が入っておるわけでございまして、そのことによって私は、大学の自治がそこなわれたという話は一ぺんも聞かない、そんな弱い先生方であってもまた困るじゃないかという気持ちを持つわけでございます。 第二に、副学長を置くことが、いかにも学長の権限を強化し過ぎるようなお話がございました。現在、学長の補佐機関は、しいて言えば、私は学部長だと思います。学部長がやっぱり学長の補佐機関の役割りを果たしているんだろうと思います。ところが、学部長はやっぱり学部に引っぱられるわけでございまして、学部の立場にとらわれるわけでございまして、全学的な問題を、学長を助けて、そしてまとめていくということにはふさわしくない事例がたくさんございます。そういうこともございまして、やっぱり学部に足を引っぱられない学長の補佐機関、これを設けるということを東京教育大学が希望される。私は、それは認めてあげたらいいじゃないか、かように考えるわけでございます。いずれにいたしましても、現在の大学の仕組みは、学部自治だけでございます。これだけ大学がいろいろ紛争を繰り返しているわけでございますから、一つ二つ三つ、違った様式をとれる道も私は聞いてあげて差しつかえないじゃないか、大学が希望されるなら、その道を選ばしてあげたらいいじゃないか、大学が自主的に改革をしたい、それが実れるような私は制度改正してあげるべきじゃないだろうか、こういうような見地に基本的には立っているわけでございます。決してこれを強制をするというような考え方は毛頭持っていないわけでございます。
○安永英雄君 それでは、学術会議あるいは国大協、ここらの態度というものはわかっていると思う。特に学術会議は、これについてはまっこうから反対、反対ですよ。そうでないと言うんですか。言ってごらんなさい。
○国務大臣(奥野誠亮君) 国大協の声明、私も読みました。東京教育大学がそういう方法をとりたいというのだから、それをとらせる、それには別に異議はない。しかし、それを大学全体に押しつけられることについては多くの疑問があると、こういう見地に立った声明であったと、かように考えております。
○安永英雄君 それはそうではない。もうきょう時間がないから……。国大協と学術会議と一緒に対決しますよ。そんなことじゃないです。そんななまやさしいもんじゃないですよ。何だかこう大学紛争のあと始末に、簡単にこの新しい試みをちょっとつくってみたいんだというような、そういう発想じゃないでしょうが、あなたの発想は。私が本会議で質問したときに、こう答えられた。「この筑波大学の設置にからみまして、新しい方式もひとつ加えてみたい、こういうことで考えているわけでございまして、この方式を全大学に押しつけるというような考え方は持っていない」、そして他面、「現在の大学におきましていろいろとくふうを講じていただいて」、「そのくふうで現在の学部自治も十分に成果を発揮するように私たちは期待している」。だから、新しい全く変わった大学をひとつつくりながら、そして現行のところは、いまのところでやりなさい。こんなことで大学行政ができますか、文部省。あなたは、あとで——いまからも聞きますが、大学の地方分散とか学園都市計画とか言っている。その中にこういう筑波の方式も加えたいということも発表している。現に、これは筑波だけにただ単につくるというだけじゃなくて、押しつけていく、広げていこうという意図は明瞭ではありませんか。その点どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、新しい方式を希望する、それは積極的にとらしてあげたらいいじゃないかと、かように考えておるばかりじゃなしに、大学制度の弾力化をはかりながら、もっといろんな意見が出てきてもいいんじゃないだろうかと。自主的な改革を促進する、そしてその意見がまとまれば、それも必要に応じて立法化してあげればいいじゃないだろうかと、こう考えているわけでございます。もとより国立大学につきましては、法律改正以外に学部自治を変えてはいけないわけでございますけれども、私立の大学などにおきましては、どの道を選ぶかは、それぞれの大学が考えるところによって選んでいくことはできるわけでございます。
○安永英雄君 私は総理にお聞きしたいと思うのですけれども、大学の使命、一番いいところは、やはり学閥のうんのうをきわめていくというために、どうしてもやはり大学の自治というものは欠かせない。私はそう思うのですけれども、そういった点についての総理の考え方をお聞きしたいと思う。
○国務大臣(田中角榮君) 学問の自由と学園の自治は守らなければならない、これはもう基本的に私もそう考えております。しかし、筑波大学をつくったというようなことが、学問の自由を侵し、学園の自治を侵すものではないと。これは二十五年間、四半世紀、戦後の学制改革から四半世紀定着をしてまいりましたというのは、制度として定着をしてまいりましたが、運営やその他の方法に対しては、いろんな改革しなければならぬところがあります。現に子を持つ親が心配しておるのは、とにかくうちの子供は大学へ入ったときには死ぬような思いで勉強をしたけれども、勉強を一体しているんだろうかということがたいへんなんです。そういう問題に対しては、やはり真に勉強できるような環境を提供しなければならないというのは私は責任だと思うのですよ、やっぱり。政治の上の責任であり、行政の責任である。だから、そういう具体的な方策を講ずることが、学問の自由を侵し、学園の自治を破るものであるということに対しては理解できません。これはしかし、小学校教育に対しても、御承知のとおり、村には教育委員会もあるし、県にも教育委員会もあるし、学問というものは、これは私はまあ釈迦に説法になりますからあまり申し上げませんけれども、やはり世のため、社会のため、その人のためになるような学問を修めるわけでありまして、やはりそれを修めるような環境をより合理的にするにはどうするかということを絶えず考えなければならない。私もそういうことを言っております。ですから、管理運営もできないような過密の状態に置いて、どうにもならないような、もう学園としては不適当であるというような状態も起こっておりますので、これらに対しては手を入れざるを得ません。そういう意味で調査費も計上いたしましたと、こう述べておるのでありますから、私はほんとうに今度の筑波大学というような思想、またいろいろこれから出てくる——いままで出てきております自治大学とか防衛大学とか、いろんな問題あります。これは過去になかったから全部新しいものであり、戦後定着した制度を破壊するものだとは考えておりません。ですから、先ほども申し上げたように、その過程において工業高専の制度もできたじゃありませんかと、こういうふうに、やっぱり付加するものは付加していくということで、常に完ぺきなものにするために絶えざる努力を続けなければならない。まあ教育はやっぱり教師のものだけでもないし、学生だけのものでもない、全国民のものなんです。そういう意味で、国民が参画をするということ、これが教育の自由を、大学の自由を侵し、学問の、学園の自治を乱るものであるというふうには考えられないのであります。
○安永英雄君 ちょっとかみ合わないんですけれども、まあ時間もありませんから……。 この山紫水明の発想ですが、大学の地方分散と新しい大学の設立を考えているという、この構想について、何だか文部省が何も請求しないのに、要求しないのに、五千万の調査費がついてびっくりしたといういきさつのことらしいんですけれども、いまもちょっと触れられましたけれども、もう少し具体的に案があるらしいですからお聞きしたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今後の高等教育の画期的な整備充実にあたりましては、現状以上に大学が大都市に集中していくということはこれは抑制しなきゃなりませんし、いま山紫水明のお話がございましたが、そうした場所を求めて自然環境の中に新学園を建設して、新しい教育の場を確保する必要が生ずると考えまして、そのような考えを具体化するための基本的な事項として新学園建設等調査費五千万円を計上することにしたわけでございます。で、文部省が実は要求があったわけでございまして、その要求のしかたは、新学園公団の創設ということで要求が提出されたわけでございますが、これは政府全体としまして新しい機構をつくるのをできるだけ抑制しようじゃないか、こういう方針のもとにこれが認められなかったわけでございます。 なお、五千万円の内容は、新学園建設調査委員会経費千三百万円、海外実態調査経費三百万円、調査委託費三千四百万円、計五千万円ということでございます。
○安永英雄君 文部大臣のほうにお聞きしますけれども、それを受けて、文部省としての分散計画、これについての細案が進められておるそうですけれども、内容をお示し願いたい。
○国務大臣(奥野誠亮君) いま大蔵大臣からお話しになりましたように、文部省が事業団設置の要求をしておりましたのに対しまして、いまのような結果になったわけでございます。御承知のように、大学が大都市に集中いたしておるわけでございます。東京二十三区の人口は全国の八%でございますけれども、大学の学生は三六%がここに集まっておるわけでございます。そのようなことから大学の環境もかなり悪化している。しかも、将来大学へ進学してまいる方々が非常にふえていくだろうと、急速にふえていくだろうと、こう考えざるを得ないわけでございます。昨年で二八・二%でございましたけれども、昭和六十年には四〇%ぐらいの方々が大学に入れるように大学の施設を整えなければならないんじゃないだろうかと、こう考えられるわけでございます。そうしますと、やはり地方において、ある程度それらの希望をいれられるように適正な配置をしていく必要があるんじゃなかろうかと、かように考えるわけでございます。そのようなことを私立の学校に期待することはかなり困難のようでございます。私立の学校はどうしても採算を基礎におきますので大都市に集中しやすい。そうしますと、地方においても適正に学園を配置していく、自然、国公立でこの考えを満たしていかなければならないということになってくるわけでございますので、どのような形において学園を適正に配置していくか、この調査費を基礎にいたしまして、積極的に調査さしていただき、いま申し上げましたような、昭和六十年、四〇%を収容できるような施設整備に目標を置きまして努力をしていきたい、かように考えているわけでございます。
○安永英雄君 もう少し詳しく説明していただきたいと思うのですが、進学者の数、基礎とか、あるいは増に対する基本的な態度、こういったものについてもう少し承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 調査の内容でございまするが、高等教育機関の適正配置の検討、新学園の環境、交通、情報、生活利便等立地条件の検討、新学園と周辺地域社会との連携における新学園の位置づけの検討、新学園建設の規模と経費の検討、幾つかの候補地について具体的に現地調査、調査の諸項目について外国の学園都市等の実情調査でございます。で、実はそうした観点に立ちまして、文部省としては、先ほど申し上げたように、公団をつくりたいということでございましたが、その趣旨はやはりいまのようなことでございますが、用地についての調査、取得を行ない、造成を行ない、そして管理、譲渡をする。新学園の大学建物を建設し、管理し、譲渡を行なう、その他文教施設等についても地方団体の委嘱等により整備に当たる。こういう考え方で、そういうものをつくって譲渡したいと、こういうことでございましたが、先ほどのような理由で、調査をまずやろうということになっておるわけでございます。
○安永英雄君 文部省、進めているのでしょう。もう少し具体的にお話ししてください。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先般、高等教育懇談会で将来見通しについての数字をいただいたわけでございます。これに従いまして、ブロック別にどの程度の大学生の収容力をふやさなければならないかという数字が出てまいってきておるわけでございます。したがいまして、予算が成立いたしました暁には、この予算を使わせていただきまして、実地につきましても調査をする必要があろうと考えておりますし、また、いま大蔵大臣からお話がございましたように、外国の姿についても調査をさせていただきたいと、こう考えておるわけでございまして、これらを基礎にして、それぞれの学園の規模でありますとか経費とかといったものを算定をしていきたい、かように存じておるわけでございます。
○安永英雄君 大事業ですけれども、ここで基本的なものをひとつ聞いておきたいと思うのです。 社会や国の高等教育についての需要に応ずるための数なのか、学校の増なのか、進学希望者を全部満たすと、学びたい人に必要な学校を全部つくるのだということか、これは非常に重要な問題ですから……。
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦前の大学についての考え方というものは、私はエリート教育だっただろうと思います。国家に有用の材を大学で育てていくのだということだったと思います。今日は大学の大衆化などと呼ばれているわけでございますけれども、大学に進みたい希望者がたくさんある。そのことを通じまして、国民の教養、文化のレベルを引き上げていく。でありますから、その希望を、エリート教育という見地からこれをはばむべきではない。しかしながら、希望があるから学校の充実も待たないでどんどん入れていくと、こういう無責任なこともしてはならない。こう考えているわけでございまして、そういうところから、大体昭和六十年に四〇%の進学率、これを満たせるというところが適当なところではなかろうかというようなことで、高等教育懇談会から結論をいただいたわけでございますので、さしあたりこれを中心にしてひとつ計画を立てていこうじゃないか、調査をしていこうじゃないかと、こう思っておるところでございます。
○安永英雄君 地方分散についての県との関係、いわゆる公立なのか国立なのか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 国立も公立も必要だと、特にやはり地方公共団体の役割りに私たちは大きく期待すべきではなかろうかと、こういう気持ちを持っているわけでございます。
○安永英雄君 いままでは政府の考え方、文部省の考え方は、公立はつくるべきでない、高等学校までだということで、私立と国で大学を設置する。だから、いま公立の大学を持っているのは、国立移管をずいぶん進めたものですが、これは逆な方針をとっているのですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) お話しのように、かつては高等学校までは地方公共団体の責任、大学は国の責任、その責任分野を明確にしようじゃないかという話し合いをしておったことも事実でございます。その後、大学への進学希望がどんどんふえてまいってきております。また、女性の大学への進学希望もどんどんふえてまいってきておるわけでございまして、特に女性のことを考えてまいりますと、ことさら親元を離れて東京に集中しなければならないことはない方々もずいぶんいらっしゃるようでございまして、そうしますと、そういう需要にこたえて必要な施設を整えていくのが地方公共団体の役割りでもあるんじゃなかろうかと、こう考えてまいったわけでございます。基本的には、やはり国の経済が豊かになってきた、また財政の規模もだんだん充実してきた。だから、そういう方向がとれるようになってきたということではなかろうかと考えるわけでございます。そういう考え方に立ちまして、四十八年度の予算に際しましては、地方公共団体が設置いたしております医科大学、歯科大学に対しまして経常費助成を国が行なう、こういうことに踏み切っていただいたわけでございます。おっしゃいますように、いままででございましたら国立移管を叫んでおったのだろうと思います。ずいぶん国立移管も行なわれました。しかし、やはり地方公共団体自身がこれらの大学を維持していくことに非常に重要な意義があるということで、経常費助成を通じまして、地方公共団体が医科大学、歯科大学を将来にわたって継続してもらえるという体制をとっていただいたわけでございます。こういう考え方をなお一そう広げていただきたいというのが文部大臣としての考え方でございます。
○安永英雄君 その問題についてはずいぶん問題がありますから、また機会を改めてさらに検討していきます。 ただ問題は、この筑波という、いまの大臣が言った構想からいけば、いわゆる学長を中心とした、しかも外部から副学長あたりが入ってくる、参与会も入ってくるというふうな、こういう全くいまと違った性格を持ってくる大学というのは、非常に危険なところがあるという点を私は指摘したいと思う。その点について、特に一番危険なのは産学協同、あるいは軍学協同とまではいかないけれども、要するに防衛庁あたりの研究がどんどん学校に入ってくる。いまは学部教授会でそれはチェックしている、やっとチェックしているというふうな状態だが、総理の産学協同の問題についての基本的な考え方をお聞きしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 筑波が産学協同になるというような考え方、これは間違いだと思います。やっぱり大学へ出すというのは、ただ学問をするために出すのではなく、社会的に有益に学問そのものが使えるようにということでありますから、私はそういう意味で、社会とのつながりを持つということは悪いことではない。全く象牙の塔にこもって、あの優秀な、私は非常に優秀な大先輩をたくさん知っておりますが、案外会社の社長になると何にもなさらなかったという人もございます。やっぱり社会というものを絶えず——社会の中の大学である、開かれた大学ということを言っておりますが、私はそういう意味で、やはり勉強したら、大学として勉強したらそれが社会にも還元されるということでなければならないし、また学生もそれを望んでおるのだと思います。ですから、いまの制度が新しくとられるということが全く特殊な状態を生むものだとは、これはもう全然考えておりません。
○安永英雄君 文部大臣のほうから、現在の各企業、これが大学に研究委託を持ち込んでおる実情について報告していただきたい。
○国務大臣(奥野誠亮君) 昭和四十六年度に国立大学に対しまして外部から研究を委託された件数は八百六十九件、六億九千三百万円でございます。このうち、民間企業から委託されましたのが二百四十七件、全体の二八%でございます、件数で。金額では一億六千万円で二三%ということになっております。
○安永英雄君 防衛庁長官にお尋ねしますが、現在防衛庁が民間なりあるいは学校なりに、研究、試作の委託の状態についてお知らせ願いたい。
○国務大臣(増原恵吉君) 防衛庁は、所掌事務の一つとして、装備品等の技術的な調査研究、考案設計、試作などを行なうことになっておりまするが、こういう施設、機材等の能力の面から、必要とする場合には、防衛庁の指導監督のもとに調査研究及び試作を民間に実施をさしておるのが一番でございます。 なお、国立大学については、調査研究及び試作を実施をさしておらない実情でございます。
○安永英雄君 この中で、ひとつ超音速高等練習機、いわゆるT2ですね、これの委託についての、どういうことを委託しておるのか、どういう経過になっておるのか、報告願いたい。
○国務大臣(増原恵吉君) T2高等練習機開発は、現在自衛隊が使っておりまする、戦闘機パイロットの養成に使うておりまするF86Fは、耐用命数から、逐次用途が廃止されるという状況にございます。そのため、戦闘機パイロットの養成が困難になりまするので、そうしてまた、今後は航空自衛隊の戦闘機は超音速機が主力になるということのために、戦闘機パイロットを教育する練習機は超音速とする必要がある、こういうことで、T2高等練習機を民間のほうへ委託をして研究開発をしてもらった、こういうことでございます。
○安永英雄君 続けて、誘導弾の研究について報告してください。
○国務大臣(増原恵吉君) 誘導弾、いろいろあるわけでございまするが、現在空対艦、空から艦に対する誘導弾の必要を感じまして、いわゆる支援戦闘機FST2改といっておりまするが、支援戦闘機に搭載をし、搭乗員及び母機の被害を局限するために、進行する艦船の射程外から発射をし、高い命中精度を得るために使用する空対艦の誘導弾を、四十八年度から基礎設計及び関連試験研究に着手するものとして、調査研究委託費を計上をいたしているわけでございます。この開発計画、性能等の細部は、今後の調査研究に基づいて決定をする予定でございます。
○安永英雄君 こういう施策とかあるいは研究とか、こういったものに金を出しているわけですが、これの、どういう研究をするのだということについてのチェックは、どこでやりますか。
○政府委員(岡太直君) 研究の委託なり、開発のための施策を民間に実施させます場合には、まず予算が成立いたしますと、防衛庁の技術研究本部におきまして、その実施内容の案を作成いたします。その案を、防衛庁におきますところの装備審議会、こういうのがございます。その中で審議検討いたします。この装備審議会と申しますのは、防衛庁長官の諮問機関でございまして、事務次官を長といたしまして、官房長、各局長、それから各幕僚長、技術研究本部長、調達実施本部長、これをメンバーといたしております。この装備審議会におきまして内容を検討いたします。そうして、具体的内容が決定されますと、これに基づきまして、技術研究本部におきまして仕様書を作成いたします。そしてこの仕様書に基づきまして試作委託及び調査委託の契約を民間といたすわけでございます。 以上でございます。
○安永英雄君 十三日に、総理は、核兵器は攻撃的な兵器であり、憲法に違反する、それから、持てないことは、憲法の精神からしても、持たない、持ち込まず、つくらないと、これをはっきりおっしゃったのでありまして、いままでの防衛用の戦術核兵器は合憲という政府の態度を、これははっきりと変えられて出されて、これは見上げたもんだと私は思うわけです。こういう考え方について、いま私が産学協同あるいは軍事研究、これが大学に持ち込まれやしないかという心配で質問をし続けてきたわけでありますが、この点については変わりありませんか。
○国務大臣(田中角榮君) これまでしばしば申し述べておりますように、自衛の正当な目的を達成する限度内の核兵器であれば、これを保有することが憲法に反するものでないとの政府の考え方には変わりはなく、私の発言も、これを法理論として改めたものではありません。しかしながら、概括的に核兵器といわれるものは他国に脅威を与えるような攻撃的兵器と考えられるので、その点をとらえて、核は憲法に反すると述べたものでございます。 なお、その答弁でも、前提として述べておるとおり、政府は非核三原則の政策を堅持し、どのようなものであっても核兵器を保有しないとの方針を貫く所存でありますということで、いわゆる、核はつくらず、持たず、持ち込ませずということが必要であり、過去も守ってまいりましたし、現在も将来もこれを守ってまいりますということにウエートを置いた発言であるということを御理解いただきたいと思います。
○安永英雄君 これは、私、議事録をはっきり持たないけれども、これははっきりと総理は言ったんじゃないですか。いま、そういった防御用の戦術核兵器は合憲という態度を、はっきり、そうではない、核兵器は攻撃的な武器だから、これは持つべきでない、これが憲法の精神だということをはっきり言い切られたのではありませんか。一国の総理が、そういった形でくるっと変わるというのは、私はふしぎでたまらないのですがね。これは責任問題ですよ、これ、この問題は。はっきりしてください。
○国務大臣(田中角榮君) 間違いがあると悪いので申し上げますが、永末質問に対して、「自民党内閣は一貫して続いておるわけでございまして、前内閣以来申し述べておりますように、つくらず、持たず、持ち込まず」——これは持ち込ませずの間違いだと思いますが、「持ち込まずの三原則は確実に堅持してまいりたい、」、こう考えておるのでございます。これが前提になっておるのであります。「そして私の考え方は、核というものはこれは攻撃的な兵器でございます。相手が使ってくるからやむを得ず受けるんだからということをいっておる国もございますが、しかし核は、核兵器は攻撃的な兵器であるということが、第一に持たないという」——ここが問題でありますが、「憲法に背反をするという、憲法の精神からみても核はつくらず、持ち込まず、持たずが最も正しい姿であるということ。」、こういうことを述べておるわけでございまして、このうしろもやはり同趣旨のことを述べております。 これを述べるなら、念のため申し上げておきますが、「それからもう一つはやはりいま持っておる世界の核保有国にも兵器としての核というものはやはり持てないような方向でだんだんと廃止をしていくようなことが人類久遠の平和を維持するためには必要であるという考え方で」ございます。これは、核に対する、核禁止ということが望ましいという、長い過程の中で述べておるわけでございます。「もう一つは、やはり歴史の上から見て日本は戦争をやってみて戦争に敗れて平和憲法を持っておるわけでありますから、やはり核兵器というものは世界の国々がみんな禁止をする方向に進むように運動を続ける立場にあって、相手が持っておるから相手の持つものは自分も持つというような類の問題として核兵器を論ずることはできない。その意味では唯一の被爆国である日本がいう核を持たない、核を持たないようにしようという考え方は世界にも相当評価をされる問題であろう、このように考えて」おるのでございます。また、引き続いて、持たない、つくらず、持ち込ませずと述べておるのでございますから、これは御理解がいただけると思うわけでございます。
○安永英雄君 これは納得できないし、また私は、きょうの質問は、いわゆる軍事研究といったものが、私は筑波の方式でやったらスムーズに入っていくということを私は申し上げる目的で聞いたわけでありますが、これはあらためて総理の責任追及まで私はいくだろうと思う。この点は明らかにみながはっきりそうとったんだから、いまさら言ったってだめですよ。 そこで、時間もありませんが、私先ほど言ったように、文部省がいま許しておる、企業からやすやすと各大学に研究委託を受けておる。いまのまた防衛庁のこの報告によりますと、いまは民間だけれども、いままでの経過からいって、いまの大学というのは、自治というものが非常にやはり——決して強いものじゃないけれども、その精神は残っておる。それによって、いわゆる防衛庁から押しつけられようが、民間から押しつけられようが、政府から言われようが、き然としてやはり大学の自治を守り、学問の、ほんとうの学問をやっていこうという、こういう気概にかまえておりますから、いまのところはまあ心配はない。それでも企業が入ってきておる。こういったところは、新しい大学の構想、筑波構想はそれを許すというふうになるということで私は非常に心配しておるわけです。特にいまお聞きしますというと、総理はことばを変えられて、いわゆる戦術的な核兵器と、小規模なものだったら持っても憲法違反じゃないのだという立場をとられるとするならば、私の心配は非常に大きいものがあるんですよ。あの筑波——横には国立の高エネルギー研究所が建っています。時間があればもう少し聞きたいところでありますけれども、このあたりは、やり方一つで、これはそういった研究にはすぐ持っていける。これはもうみんな知っているわけです。国会でも、すったもんだしてこれはあがった問題です。そういった点で、私は非常に危険があるのだというふうに考えるわけですが、いまの総理の答弁からいっても、そういった軍事研究と、こういったものについては一切、学校には、大学には持ち込まないということははっきり言えますか。
○国務大臣(田中角榮君) 国の施策の範囲内で、学校に委託をすることが悪いのかということになると、これは私は問題があると思います。もう一つは、自衛隊の委託学生も受けないという制度も、国立学校として一体いいのかというふうに私は考えておるわけでございます。ですから、研究を委託されるから、それは全く技術的な問題であって、兵器をつくるわけではないんです。だから、技術的な問題であって、政府は政策としては、つくらず、持たず、持ち込ませず、これはもう厳として過去も現在も内閣は一貫しておるのでございますからという前提で申し上げておるのですから、絶対にこの三原則は守ってまいりますと、自民党内閣は続いておるのでございますからということで、この三原則を何回も確認をしておるのでございますから、私は委託研究を受ける受けないは学校の自主的な判断だと思いますが、これを委託を要請をする、委託を受けたという事実があっても、これが大きく問題にしなければならない事案ではないと、こう理解しております。
○上田哲君 関連。 総理にお伺いいたしますが、この核兵器の問題についての先般の総理答弁は、これまで政府の明らかにされておりました、戦略核ないし戦術核は持たないけれども小規模の戦場核については持つことは違憲でないという考え方を訂正をされて、たいへん、先ほどの安永委員のことばにもありましたように、政府の非核政策をたいへん徹底され、何歩か進めたものであるというふうにわれわれは理解をしたわけであります。で、今日やはり総理の議事録を拝見いたしましても、やはり、ことばの正確な意味合いを理解する限り、そのようにしか理解ができないとわれわれは思っております。その意味で、元来、われわれと政府との間には、この戦場核の問題については見解が分かれていたわけですから、その立場での政府の見解の前進と考えていたのを、違うといまおっしゃるということになると、総理は盛んに従来の考えを踏襲したんだとおっしゃるけれども、やはりことばとしてはそういうふうに受け取れないわけですから、先般の意見はやっぱり間違っていたとおっしゃるのであれば、それも一つの見解表明でありますし、どうしてもこの辺のところは疑義が残るわけであります。先般、総理は、前国会の終盤におきましても、防衛構想の基本の一つとして、防衛戦略というものは、相手がやりを持てばわれわれもやりを持たなきゃならぬと、お互いに相手によってエスカレートしていかなきゃならないものだという趣旨の御答弁をされておるわけでありまして、前回の御答弁の線からきょうの御答弁がああいうふうに変更されていくということになりますと、いわゆる政府の非核政策が、とどまるところを知らず戦場核から戦略核への使用も合憲であるというふうになっていく心配も含んでいるわけです。したがって、これは明らかにしていただきたいのは、先般の御説明は、明らかに、私たちの理解としては、戦場核をも否定をされた完全な非核宣言であると、こういうことであったと思うんで、そうでなければ、前回の御見解が違っていたんだということになるのかどうか。 それから第二点の、あくまでも使用制限のワクが取っ払われてしまうという心配を先ほどの二回目の御答弁ではたいへん深くするわけです。そういう歯どめをしっかりしていただきたい。十分でなければ、これはひとつ、これを含めて質問を保留して、今後の討議をあとに発展をさせたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) これは、速記録をずっと読んでいただけばわかるのでございますが、憲法と核との問題を主題とした御質問に答えておるのではないのであります。いわゆる、新しい日本の平和希求という考え方の基本ということに対して申し述べたわけでございまして、自民党政府は、一貫して続いておりますと。核に対しては、つくらず、持たず、持ち込まずという原則を貫いておりますと。そういう意味で、相手が持つからわしも持つというような考えで核兵器を考えるわけにはまいりませんということで、非核三原則を三回も述べておるわけであります。しかし、この政府が一貫して申し上げております核に対する基本的な立場と憲法論と核兵器との関係というものを申し上げれば、これは、従来政府がとっておった同様の考え方、これは、考え方というよりも法律解釈でありますから、解釈に対して、私の発言で解釈を全然変えるということはできるものではありません。これは、もう、法律に対する定説——まあ、定説は認めておらないのだと、こういうお立場もあるでしょうが、政府は一貫してそういう立場をとっておるのでございまして、私が……
○上田哲君 どういう立場……。
○国務大臣(田中角榮君) 政府が申し上げておりますものは、憲法論と憲法論における憲法と核との問題に対しては明確な答弁が出ております。
○上田哲君 憲法論としては、核が使えるんですか、使えないんですか。使えないとおっしゃったはずです。
○国務大臣(田中角榮君) いままで政府が統一見解で述べておりますものは、自衛の正当な目的を達成する限度内の核兵器であれば、これを保有することが憲法に反するものではないというのが、従来政府がとってきたものでございます。
○上田哲君 先般、それを否定されたわけですよ。
○国務大臣(田中角榮君) いや、私はそれを否定するというのではなく、一貫して続いておる自民党内閣でございますから、つくらず、持たず、持ち込まずという三原則は守ってまいりますということを強く述べたわけでございますから、その意味では御理解がいただけると思います。
○委員長(大竹平八郎君) 安永君。安永君。——安永君。
○上田哲君 ただいまの総理答弁はたいへん私どもの理解と異なりますから、この問題は見解を整理していただきたいと思いますし、われわれのほうも質問を保留いたします。
○安永英雄君 私も、いまの問題については、産学協同の問題あるいは軍事研究の問題以上の大きな問題を含んでおるし、これだけでは私どもとして納得できないということで、もう少し次回で明らかにしたいということで、保留をいたします。
○委員長(大竹平八郎君) 安永君の本日の質疑はこの程度にいたします。 次回は明後日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十二分散会