予算委員会 第4号
- 発言数
- 289 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/03/16
会議録
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十八年度一般会計予算 昭和四十八年度特別会計予算 昭和四十八年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 これより質疑を行ないます。玉置和郎君。(拍手)
○玉置和郎君 自由民主党を代表しまして総括質疑に立たしていただきましたことを心から感謝申し上げます。 そこで、私の本論に入ります前に、当面大きな問題になっております、いわゆる順法闘争と称する不法な実力行使について三、四点お伺いいたしたいと思います。 まず、運輸大臣にお伺いしますが、順法闘争というのは一体これは何なんですか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 順法闘争といわれておりますものは、結局、国鉄の運転上、安全を主といたしまして、絶対に安全を確保するための措置であるということで組合がとっておる戦術でございまして、安全運転に関する内規、諸規程がありますが、それをどの程度に解釈し、運用するかによって、それに対する考え方が違ってくるということでございまして、極端にやりますと、いまのような結果になると思うのであります。
○玉置和郎君 いまの大臣の見解にもありましたが、安全運転を確保するという趣旨のものだ、それが順法闘争だというようなことでありましたが、私は、この安全運転というのは、国鉄にとりましても、あらゆる交通機関にとりましても、これは第一の要件であるということは疑いません。しかし、現実に多くの乗客の中に連日のように負傷者が出ておるじゃございませんか。そうして、乗客というのは、自分のところから乗って、そうして目的地に着くという時間をちゃんと考えてやっておるんです。そういうふうなことが全然達成できていない。目的地に着いたら、もうくたくたになっている、一日の作業もろくろくできないような疲労感を味わっておるときに、これが安全運転と言えるんですか、お伺いいたします。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 列車の運転をする人たちから見ますると、いまお答えいたしましたように、いろいろの運転についての諸規程類、これを極端に解釈すれば、この順法闘争のようなものも適法であるという解釈になっているんじゃないかと思いますけれども、その結果といたしまして、いまお示しのように、これは国鉄の内規とか規程には関係がないと思いますけれども、その結果としまして、非常に乗客があふれて、そのためにいろいろの乗客の身体、生命に関するような安全阻害の結果を招来しておるということでございまして、この問題につきましては昨日も御答弁いたしましたけれども、結局、この安全運転というもののよって来たったその結果が乗客にそういう迷惑をかけているということになるのでありまして、安全運転そのもの、安全運転の解釈適用というものとそれが直接に関係はないと、私はそういうふうに考えております。
○玉置和郎君 いまの運輸大臣の答弁で私は納得できないです。現実、ですね、現実に——もう一回確認しますが、現実に多数の負傷者が出ているんです。そうして乗客が、その目的とするものが達せられてないんです。それでもあえて安全運転というものが、これはできておると思うんですか、これは。その辺のところをはっきりしてください。
○国務大臣(新谷寅三郎君) その問題につきましては、当局が安全運転であるとかないとかいうことを判定する問題ではありませんで、これは他の関係の、権限のある機関が判定する問題であると思います。最後には、あるいは訴訟等によって争われることになるかもしれません。しかし、きわめて、社会通念から見ますると、その程度を越えた安全運転のために、そういうふうな国民が非常な被害を受けることになりますると、これは社会通念上ほっておけないということになるのでございまして、この点について運輸省といたしましては、連日国鉄当局に対しまして、そういう事態を起こさないように、両方で良識をもって乗客に迷惑を及ぼさないような方法をおとりなさいということを強く指示しておるのでございます。
○玉置和郎君 だんだんはっきりわかってまいりましたが、社会通念、いわゆる国民的立場からするならば、これは安全運転でないという見解、これ、了承してよろしゅうございますか。 私は、裁判に持っていくという、訴訟の問題でこれが白黒がはっきりするという前に、これだけ国民に迷惑がかかっておるんだ。何のために政治があるんですか。政治は国民のためにあるんですよ。そういう不確かな見解で大臣がつとまりますか。答弁してください。
○国務大臣(新谷寅三郎君) これは、運輸大臣でありましても、運輸大臣がこれは全安運転であるかないかという判定をする権限はないのであります。ただ、運輸大臣といたしましては、そういう国民に非常に大きな迷惑をかけるような結果になることをおそれますから、そういう事態を招来しないように、労使とも、あらゆる方法を講じて、そういうことにならないような努力をしなさいということを言っているのでありまして、運輸大臣の権限といたしましては、それが安全運転であるとかないとかということを法律的に判定するような権限はないということは御了承願いたいと思います。
○玉置和郎君 私は、もうひとつすっきりしないです。しかし、まあ参議院の先輩だから、私はこの辺でやめますけれどもね、実際こんなことでは私はだめだと思う。そうだから磯崎さんがかってなことを言うんですよ。きのうの磯崎さんのあの発言は何ですか、あれ。あんたは上尾の問題、あれを取り上げて、そして、こうなるのは政府がいままでわれわれの言うことを聞かなかった、簡単に言ったら。そういうふうに考えられるような、とられるような発言があったですがね。もう一回確認します。
○説明員(磯崎叡君) 私のきのうの発言はけさの新聞に出ておりましたけれども、私は、事、労働問題に関しては、きのうは当事者であるので申し上げないということをはっきり申し上げております。ただ、瀬谷先生から、具体的に高崎線の輸送問題について御質問がありましたので、高崎線の輸送の現況と、それから沿線人口の増加と、そのことを申し上げたんでございまして、私は決して上尾事件が政府の無策によって起きたというようなことを絶対に申したことはございません。私が申しましたのは、高崎線の輸送問題、すなわち、高崎線の沿線人口の増加問題、それから私のほうの輸送力の現状、また輸送力をよくする見込み、それから見まして、無理な人口集中をやられても私のほうは輸送ができないということを申したんでありまして、あの事件を私は全部私の責任であることは冒頭にはっきり申し上げてあります。
○玉置和郎君 磯崎さんに聞きますがね、磯崎さん、あんたきょうの朝日新聞の解説、読んだでしょう。あれについてどう思います。
○説明員(磯崎叡君) 私がいま申し上げましたのは、その朝日新聞を読みまして申し上げたんでございます。あれは朝日新聞の——私は実はけさ電話をしようと思ったんでございますけれども、先生方の御質問に対して私が答弁したこととずれて書いてございます。すなわち、私があの人口問題と輸送問題について御答弁したのは瀬谷先生の御質問についてでございます。で、瀬谷先生はもっぱら高崎線の輸送力の増強の問題と、沿線人口の問題について御質問があったわけでございます。したがって、私はきわめて物理的な答弁をしたつもりでございます。したがって、前の上尾事件というものは決してそういう事件ではございませんで、一種のソフト面の問題でございます。これは、私としては全責任があるということを冒頭に申し上げたつもりでございます。
○玉置和郎君 これも、磯崎さん、確認しますけれどね、そうしたら、朝日新聞のあの解説は、あんたの真意を伝えてないということですね。
○説明員(磯崎叡君) あの解説は、冒頭のほうに輸送力の問題と人口問題が書いてございます。ですから、私の答弁は事実としてはきちっと載っておりますけども、御質問と答弁との組み合わせが違っているわけでございます。その点について私は満足いたしておりませんが、私の答弁したことは、その部分その部分ではあれは合っております。しかし、御質問と答弁との組み合わせ方が違っているというふうに申し上げます。
○玉置和郎君 そこで、再度運輸大臣にお尋ねしますが、いま磯崎さんが、朝日新聞に伝えておる内容というものは私の真意でないというようなことで大体理解していいと思うのですけれども、ところが、きのう発言の中でやっぱり政府に要請をしておると、こう言うんですね。高崎線の問題、あの沿線の問題、住宅が込んでくると、通勤客が二万人からふくれ上がる、こういうことについての対策を政府にお願いしておったと、こう言うんですが、そういうお願いをされた事実関係についてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 国鉄からは毎年予算編成のときに、大都市の近郊の交通関係——交通設備をどうするかとか、過疎地域はどうするかというようなことを、全体を含めまして予算要求の形で出ております。運輸省といたしましては、それを受けて、財務当局と折衝いたしまして、あとう限りの予算の獲得に努力をしておるのでありまして、具体的に国鉄総裁がきのう御答弁いたしましたように、せっかく大都市近郊の輸送体系はこれを整備するように毎年努力はいたしておりますが、その努力にもかかわらず、人口増加のほうがもっと先行したために、上尾のように非常に人口の急増のあった場所では、輸送力のほうが追いつくことができなかったような事態が生じたということを昨日は国鉄総裁が答弁をしたと思います。そういったことは単に上尾だけではございません。ほかにもございます。今後関係各省とも連絡をとらなきゃならぬと思いますが、そういう人口の非常な急増地域における輸送体系の整備ということにつきましては、各省が協力をして、われわれのほうとしては、それに応じたような予算措置を講ずるようにしなきゃならぬ。これは御質問ではありませんでしたが、将来の問題を含めて御答弁しておきます。
○玉置和郎君 いわゆる順法闘争と称する——私たちは違法な実力行使と考えておりますが、それによって、いわゆる乗客のほうはもう大体わかっておりますからいいですが、国民生活にたいへんな関係を持つところの貨物、それの影響はどのように出ていますか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 一番問題になると思いますのは生活物資かと思います。それから産業関係の物資も影響があります。非常に貨物の運休が多いのでありまして、貨物列車の運休が多いんです、順法闘争の結果ですね。結果としまして、旅客の輸送を優先しておりますから、貨物列車の運休が多い。そのために生活物資の輸送がおくれましたり、あるいは企業関係の物資の輸送がおくれましたりしておることは事実であります。これに対しまして、この紛争が長引いておりますから、われわれといたしましては、一日も早くこの紛争の解決に努力をするようにということを国鉄当局に指示いたしますと同時に、その生活物資の輸送が不足いたしまして、国民生活が非常にゆがめられるという結果になることはたいへんでありますから、この点に対しましては、先般も新聞にも発表いたしましたが、特に緊急輸送対策というものを策定いたしまして、必要な土地から海運及び自動車輸送等も含めまして、その生活物資の輸送に、最小限度のものは運ばなきゃならぬということで、万全を期するような措置をとってきておりますが、国鉄だけを見ますると、貨物列車の運休が非常に多いために、国民生活に相当の影響を与えているということは事実であります。
○玉置和郎君 総理ね、こういう問題の大臣の答弁のときは、与党のときは思い切って言ったほうがいいですよ、はっきりしたことを具体的に。現に貨物列車が一万八千本とまっておるんです、これは。そうしてね、貨物がね、二百十七万トン送り届けられてないんです、これは。たいへんな影響が出ておるんです、具体的に。もうお聞きになったと思いますが、群馬県では直接まあたいへんな影響があるというので、スタンド——石油を土曜日、日曜日は売らない。いわゆる石油が届かないから売らないという、これはどうですか。たいへん国民生活に迷惑をかけておるんですよ。総理の新潟では春まきの作業ができないんじゃないですか、肥料が足らぬで。こういうふうに、もうすぐに影響が出てきているじゃないですか。生鮮食料品の値上げがもうあちこちに出ておるじゃないですか。そういうことを、はっきりなぜ言わぬですか、大臣は。具体的な事実をあげて言わなかったらね、国会は何しとるんですか。私は総理の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 順法闘争という名の違法な闘争が、行為が行なわれております。その結果、国民生活に大きな影響があることは、もう申すまでもありません。しかし、国鉄は生鮮食料品等国民生活に必要なものに対しては、北海道から船で送ったり、いろんなことをやっておりますが、しかし、鉄道が正常に運行しておってもいろんな隘路があるという現状でありますから、このような状態において、国民生活に多大の影響があるということは、もう言うまでもないことでございます。いろいろな面に対して、できる限りのことをやっておりますが、バスを何十台か借りあげて何万人かの者を大宮まで送るというだけでも大混乱をしておるわけであります。十七号線はそうじゃなくとも、もうどうにもならぬところに、異常な、バスが何十台も鉄道で運ぶ人間を運んでおるということで、どのくらい国民生活に影響があるかということは、これだけでも指摘できるわけでございますから、まあそういう事態を早期に解決をする、また根本的に解決するにはどうするかという問題、やはり勇敢に具体策を確立をする必要があると、こう思います。
○玉置和郎君 あと二点ほどで終わりますが、労働大臣にお聞きします。 私が知っている範囲では、動労はこの三月三日に国鉄当局に対して要求の申し入れをした。そうして、いわゆる順法闘争と称する違法な実力行使が五日に始まった。素朴な国民の考えから言うなら、これは労使間で団体交渉をもっと持たれるべきじゃなかったのか。何ですぐにこんなに実力行使、不法な実力行使に突入していくのか。この辺にやっぱり労働大臣の指導というか、そういう配慮がやっぱり欠けておるんじゃないかなという——私はそう思いませんよ、私は政治家ですからいろいろなことを知っていますからね。しかし、国民は、労働大臣というのはやっぱりそういうところまで何か考えてやってくれるんじゃないかというような考えを持っていますよ。その点ひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(加藤常太郎君) お答えいたします。 御指摘のとおり、この国鉄の労使の問題に対しましては、もう相当以前から重大な関心を労働省としては持ちまして、その推移を見守っておりますけれども、やはり労使間の問題は労使が国民的視野に立って、御指摘のように、今回の事件は何といっても国民の生活に関係ある、そうして民主主義のルールから言っても、国民を敵に回すようなことは労使がやってはならぬと、こういう意味で、決しておろそかにしておりません。また、政府もこれに対して深刻な憂慮と、そうして腹の底からの解決なり、対処なりを熱意を持っておりますが、まあ、いろいろな関係から、かようなことになったことに対しまして、御承知のように、公労委のあっせんをすると同時に、私がその中に入ったのでありまして、今後とも熱意をもって労働省はやることは間違いありません。
○玉置和郎君 この問題で、最後に総理の御見解を聞きたいと思いますが、国鉄——これは私は国民の財産だと思っております。また、国鉄はそういう立場の奉仕者であります。職員も皆そうです、当事者も含めて。それだけに、国民生活に奉仕をするものであるというこの考え、これ、間違ってないと思います。それならですね、動労は五万人だといわれておりますが、五万人の動労が自分のこの目的を達せんためにですね、われわれから言わしたら独善的にこういう国民の財産の上に立って、しかも、国民生活に大きな影響を与えながら、現に多数の負傷者も出しながら目的を達成しようとするその姿。一体これをどういうふうに理解していいのか。われわれは国民の名のもとに、こういうことは許せない。私はこういう見解をとるものですが、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 過去、この労働組合にはスト権が禁止をされておるわけでございますが、このスト権奪還のための闘争ということも行なわれておるわけであります。しかし、このスト権の問題に対しては、いま三者構成の公制審で鋭意検討を進めていただいておるわけであります。また、国際労働機関にも提訴をされておるというような事実もございます。しかし、いま御指摘があったように、まあ、かつては国鉄も他の二公社も省であったわけでありまして、官営事業、国営事業であったわけであります。戦後、公社制度に移りましたけれども、その国民に奉仕しなければならない責務は何ら変わっておらないと、こう思います。だから、このスト権が与えられるか与えられないかという問題は大きな問題としていま検討願っておりますから、その面に言及することはできませんが、現行法においては労使の間でやっぱり円満に話がつくということが一番望ましいわけであります。 望ましいわけでありますが、どうしてもっかない場合どうするのかと、私も静かに考えておるのでありますが、現実に電力やガスに非常に労使間——労使も国民に対する公益企業としての職責を考えておるためだと思いますが、現実的には比較的混乱を起こさないで労使慣行が確立をされております。それが、国鉄とか国に近いほど、なかなかめんどうであるというところには、やはりすなおにその実態を認めて、そうして、やっぱりそれは原則的な問題が解決しないから争議が起こるんだということも理解できます。理解できますが、結論が出るまでの間にでも、間だけでも、何か中立委員のような、そういう労使、国民の利益も、また労働者の利益も第三者として代表できるような構成のやっぱり公労委をもっと確立してもいいと思いますし、何かそういうものの裁定には服さなければならない。これは両方とも服さなければならない。これは、仲裁裁定に対しては、国も予算上資金上のネックがない限り、それを受けておるわけでありますから、何かそういうものでないと、なかなかまとまらない、こういう問題に対しては結論が出ないのではないか。しかし、現行制度もありますから、現行制度をどこまで改善するのかという問題、むずかしい問題であります。また、国民的英知を集めながら——英知を集めると言って、いつまでもだらだらといっておるんじゃ、かかる状態が続くわけでして、また違法闘争が行なわれ、処分が行なわれ、ますます悪循環が続くということでは、どこかで断ち切るというようなことがやっぱり必要なのではないかというふうに、いま苦慮しておるわけでございます。
○玉置和郎君 本論へ入ります。 最初に総理に、「初めにロゴスあり」ということばがあるんですが、「初めにロゴスあり」、これはどういうふうに理解していますか。「初めにロゴスあり」。——長官でいいですよ、長官でも。
○国務大臣(小坂善太郎君) 「初めにロゴスありき」、非常に私は味わうべきことばであると傾聴いたしております。
○玉置和郎君 それじゃ答弁にならぬので……。
○国務大臣(小坂善太郎君) それをどう思うかということでございますが、私は、そういう人生に対する深き洞察、人生とは何であるか、われわれが生活し、生活をするためのかてをあがなうために働く、そのことの意義は一体どこにあるのか。そうした人間の集団というものがこういう社会をつくっておるけれども、それがどういう方向に向かうのが一体いいのであるか。社会全体の利益と個人の利益というものは一体どこに接点を求め、どうして調和さすべきであるか。そういうことを考える場合には、やはり原点に返って、人間とは何であるか、どういう生活というものが意義があるのかということを考えることは非常に大切なことだと思います。
○玉置和郎君 総理、はなはだ失礼なことを申しましたが、佐藤総理から田中総理になられた、佐藤総理のずっと末期のほうから、田中総理になられて、ずいぶん、政治の流れを変えるとか、あるいは発想の転換だとか言われてだいぶになります。しかし、私の見ておるところでは、さっぱり政治の流れが変わっておらぬじゃないか、発想の転換というのは、もっとやっぱり思い切ったことをやれるんじゃないかというような理解をしておるんです。 これは、なぜそうなったのかと言いますと、やっぱり経済中心の考え方の上に立った発想の転換である。そして、この世の中を大体進歩的な史観でもって見ておる。進歩的史観ということを簡単に言いますと、科学技術の進歩とともに世の中はどんどんどんどん無限に進歩していくんだという、こういうとらまえ方。また、これは一面、私たちは上昇史観とも言っています。そういうもののしに立って流れを変えるとか、発想の転換だとか言ったつて、私はならないと思うんです、これは。やっぱり発想の転換と言うんなら、これは原点に返って、源流に返って——たとえば、ここにコップがありますが、このコップのこの水を唯物的な経済中心主義的なものの中に流しておった、ずうっと。こればっかりです。戦後からずうっとそうです。そこで、これで行き詰まってきたんですよ。また、これはもう一つ、ことばをかえてみますと、西欧的発想でもあるわけです。近代的という考え方の上に立っておるんですね。私は、あとで言いますが、近代というもの自身が大きなメスを入れなければならぬような状態になってきておる。そこで、この源流の水を日本民族の持つよさ、精神的なよさ、東洋人の持つこの思想、そういうものの上に流してやる、それをまた政治路線に、総理を先頭にして全国会議員が結びつけていくというふうな発想の転換、これが政治の流れを変えるのであって、その辺の理解が私はどうもやっぱり乏しいんじゃないかと実は思っておるんですよ。ほんとうにわが総裁に対して、こう、批判がましいことを言うのは恐縮ですけどね。 もう一つそれをつけ加えますと、なぜ発想というのが大事かということです。「初めにロゴスあり」と聞いたのはそれなんです。それは、人間が一番大事なことは、心の中に最初いいことを思うことなんです。すばらしい発想を持つことなんです。そうして、持ちますと必ずそれがことばになってあらわれるんです、ことばが。それを繰り返しておりますと、ことばの力によってそれが行動になってあらわれてくるんです。その行動を繰り返しておりますと、これはいい習慣、いい感性、これができてくるんです。その結果が社会現象としてすばらしいものが出てくるんです。それだけに、最初に思うということ、言うならば理念です。精神的原型です。これが非常に大事なんです。その辺の御見解をお漏らしいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 自由民主党の所属議員でも、政府を鞭撻してもらうことは一向差しつかえございませんから、どうぞひとつ率直に国民の声を代表していただきたい。政府も謙虚に、与野党を問わず、国民の声として耳を傾け、政策遂行の上にそれを反映せしめなければならないと、こう考えております。 発想の転換と私が申し上げましたのは、時代がこれを要求しておるという直観に基づいて、発想の転換が必要であると、こう述べたわけでございます。しかし、発想の転換が必要とされるまでの間の過程というものは、自由民主党の政策、政府がとってきた政策の方向は誤りでなかったと、こう思います。これは、明治から百年の歴史を見てみますと、一次産業は九〇%であったものが一七%ぐらいまで引き下がったわけでございます。その間において、日本の国力も国際競争力も培養されてまいりましたし、国民生活も向上してまいりました。しかも、戦後の荒廃の中から、やはり食わなきゃならない、着なければならない、生きなければならないという一つの政策目的を達成するためには、日本人の勤勉さを基盤にしながら今日まで推し進めてきた政策というものは確かに間違いではなかった、それで一つの目的を達成したと思います。 しかし、その間に物と心とのアンバランスが起こったという面があります。ですから、これからは物と心のバランスをとらなければならない。ただ、心のバランスがとれなかったというのは戦後の占領軍政策というものも大きく作用しておりますが、それだけではなく、心中心であったというような戦前のウエートが大き過ぎたというようなものに対する世界からの批判、国民の中における批判というものが、四半世紀の間に、やっぱり心が必要なんだという、おおよその国民のコンセンサスをつくってまいったわけでございますから、やっぱりこの機をとらえながら、心というものにウエートを置かなきゃいかぬと、こういうふうに述べたわけでありまして、これが一朝一夕に変わるものではないと思うのです。一部隊を動かすのではなく、高密度社会のこのような大部隊を急旋回できるわけはないんで、だから発想の転換——発想の転換の中には逆もあります。だから、そういう意味で、いままで都市に集中することによって経済メリットがあったのを、今度は自然を守るために逆な政策にウエートを置かなきゃいかぬ。また、物から心へ、国内から海外へ、全人類のためにというような意味で発想の転換を述べたのであって、これからやっぱりずっと、長い間かかっても、新しい心を培養する、望まれる日本人像をつくるというような政策を、どしどしと進めてまいりたい、こう考えております。
○玉置和郎君 ありがとうございます。 余暇のことをちょっとお伺いをします。担当は長官ですな。 小坂長官は、余暇というものをどういうふうな基本的認識でもつて見ておられますか、お伺いをします。
○国務大臣(小坂善太郎君) 余暇という問題は、二つの面があると思うのでございます。一つは、お互いが生活をしていく、生活をするために必要な労働をする、その労働を終えたあとの余りが余後であるという、むしろ消極的な考えと、もう一つは、そういう問題を積極的につくり出す——いま玉置委員の仰せられました「初めにロゴスありき」といいますか、カントの「考えるがゆえにわれは存す」というのですか、そういうような自己の思考というものの時間を積極的につくり出すということ、そのことによって自分の人生の内容を高めていく、非常に大切な、ものを考える時間をつくり、それによって人生を豊かにするという積極的な面、この二つの面がいわゆる余暇にはあると存じます。
○玉置和郎君 いま余暇というのを聞いたのは、発想の転換をしたら一体どうなるかという例のために聞いたわけです。 私は、去年の七月以後、古代ギリシアを、いままた古代ローマをやっておるわけです。古代ギリシアをやっておりますと、いまから約二千四、五百年前に、これはけんらん豪華な文化をつくっておるわけです。で、そのときにギリシア人は、余暇というものを非常に大切にしておるのです。なぜ余暇というのを大切にしておるかということを私も勉強さしてもらったのですが、余暇という時間には、心を学び、からだを鍛えた、いわゆるアウトドア・スポーツだとか、それからいま言う信仰だとか、いろいろなことをやったわけですね。働くといういわゆる経済行為は、どっちかというと従なる目的——主目的である心を学び、からだを練るという、その主なる目的を助けるための一つの手だてであった。それがはっきり出てきておるのは、余暇ということばは、もうギリシアには二千四、五百年前にあった。それはスコーレという。スコーレというのは、これは英語のスクールの語源であるわけです。それからドイツ語の学ぶというシューレの語源でもあるわけです。それだけに、今日大事なことは、こういう発想の転換——いわゆる経済中心のものの考え方、これはいまたいへんな弊害をもたらしております、これはそれなりにりっぱなことがありましたけれどもね。そこで、われわれの日常生活の上で、余暇というものに対して、いまこういう考え方は全然出ていないのです、いま長官が初めてこの二つの問題を言いましたがね。私は週休二日制にしましても、いま小坂長官が言われたような、二番目の積極的な意義、これを高めていくならば、私は週休二日制というのは大いに意義があると思うのです。だから発想の転換というのはこういうことを言うのであって、まあ、このごろGNP、これほどもう大きくならぬでもいいから、あまり企業が金もうけしたって、また円・ドルの問題で、というような、そういう発想から、ひとつまあ働く人たちもやかましいし、この際に週休二日制にしようかとか、そういうことでは、結局週休二日制というものは、実施はしたが怠惰な人間をつくっていく原因をつくるのです。発想の転換が大事なんです。発想を持つことが大事なんです。それをやはり、国民を引っぱっていくのが総理の私は責務であると。週休二日制に関して総理の見解をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) いままで一生働きずくめでありたという歴史が日本の歴史でもありますし、また、おおよその世界の歴史でもあったわけであります。古代ギリシアにおいて、余暇といえば、特定の人たちを層とした中で論じられたものではございますが、しかし、その後各国において余暇の問題を取り上げておるということも事実です。日本においても、余暇センターをつくりまして、佐橋滋氏を長にして本格的に取り組んでおるわけでございます。余暇というのは、労働をしたために休養をする、あしたの労働の源泉を得るために休養をするというような状態の余暇、それから、いまあなたが指摘されたように、国際競争力が強過ぎるから二日制にしろということでは能がないと思うのです。そうではなく、やはりその週休二日制になるというような場合の余暇は、家族サービスでもって、よりくたくたになってしまって、これなら会社に行ったほうがよかったというのじゃどうにもならぬと私は思うのですよ。そうではなく、やはり社会連帯的な観念を静かに養ったり、心を養う、そうしてやはり目を広く、視界を広げるというような立場の余暇というものが、二日あれば一日はそうでなければいかぬと、こう思っておるので、私もまじめに若い人のためになど考えておるのですが、やはりお手伝いさんとか、いろいろな人たちが、二日になったらどうなるのかというときに、その週に二日ずつ、ほんとうに必要な、洋裁でも、和裁でも、花でも、そういう場所を提供しておかなければならないと。ただ単に二日制をそのまま行なえばいいんだということではなく、スタートをする前にはそういう理念をしっかりと確立をして、新しい国際人の感覚を身につけるといったような、日本人の生き方そのものの中にプラスをもたらすような余暇というものをつくろうということで、政府も——また政府主導型では困りますので、なるべくそういうものに対する国民の合意を待とうということで、広く検討を進めておるわけであります。
○玉置和郎君 そこで総理、お伺いしますが、総理は、人間の真の幸福と関連して、世の中は進歩したと見ますか。
○国務大臣(田中角榮君) 相当進歩はしておると思うのです。これは一つの面からいいますと、国民が働いたものが国民生活の向上のためにすべてが支出をされることが望ましい。しかし、その中に、やはり独立を守るとか、国を守るとか、世界連邦思想があっても、現実的に歳出の相当大きな部分を軍事費というものにさかなければならない。しかも小ぜり合いもたくさんあったというのが、ベトナム問題の終息を契機にして、何かやはり求めようという動きが出てきたこと、これはやはり進歩だと思います。これは人類の長い歴史の中の一つの英知の結晶である、こう思います。しかし同時に、植民地から解放された開発途上国、みずからの旗を立てて建国のために努力を続けておりますが、そういう中では、理想には遠い、紛争と況乱といろいろな問題が起こされておって、毎日流血の惨事が各地にあるというような新しい事態があるわけでありますから、いろいろな面で進歩もありますが、まだ進歩の過程にあるものもある。いまの原子力などでも、これが兵器として使われる場合には、人類を破滅に導くマイナス面でありますが、これがやはり平和的な利用に徹せられるということになれば、それは相当な進歩であるということを考えます。
○玉置和郎君 いま総理から原子力の問題がありました。私はいまの質問の前段に置いたのは、人間の真の幸福と関連してと、こうやったわけですね、人間の真の幸福と関連してと。そこでいわゆる原子力の問題は、これは科学技術の発達とともに、結局、究極はアトムの発見になったわけです。できたものは何かといったら水素爆弾ですよ。一発で数百万の人間が死んでしまうわけです。こういうことが進歩でしょうかね、これ。 それからもう一つは——まあ、きょうは時間ないから演説せいということですから演説しますよ。 私が東京を見まして、三十階、四十階という高層ビルが建っていますね。これではたしてほんとうの繁栄といえるかどうかということ、これはあとで私の政治の先生でありました三木先生にもお聞きしますが、私は、繁栄であるというような、こういう感覚、こういうとらまえ方、ここに私は今日の自由民主党が真剣に考えねばならぬ問題があるんですよ。進歩といい、繁栄と呼ぶものは、何が人間にとって一番大切であるかという原点から出発したものでなければならぬということ、これを言いたいのです。それだけに、総理は私が質問したらおそらく、これ、ひっかかってくるかなと思ったらひっかからぬですから、もっと何か言ったら私はひっかけてやろうと思ったのですが。 世の中の人に問うとすぐこう言うのですよ。それは玉置さん、自動車が新しくなって、モデルチェンジしてスピードが出るようになったじゃないか。家庭生活を見てみなさい、電気冷蔵庫ができて、電気洗たく機ができてと、こう言うのです。電気洗たく機は確かに毎年新しくなる。型も大きくなる。使いやすくなる。そういうことをもって進歩というんでしょうか。これは生活が便利になったということだけなんです。ほんとうの意味の進歩というのは、人間の進歩というのは、やはり魂の問題であり、精神の問題なんです。その証拠に、総理、これだけ物質文明が進歩した世の中において、ミケランジェロのような芸術家が出ない。トルストイのような文豪が出ない。ベートーベンのような音楽家が出ない。いわゆる巨匠と称されるような人がかえって出てこない、そういう背景。これはやはり、われわれが政治家として、しっかり見詰めていかなきゃならぬ問題であると、私はこう思うんです。結局は物質文明の高度化は、確かに人間の生活を便利にしてきたことは間違いありません、これは。これはやはり貢献もあったと思います。十分あったと思います。しかし、その物質文明の便利さのゆえに、人間がいつの間にか物中心に振り回されてしまったのです。そうして、一番大切な魂の問題精神の問題、これがだんだんだんだん薄れていくんです。そういうことでいいのかどうか、私はこの問題を総理にお聞きしたいのです。
○国務大臣(田中角榮君) 科学技術が進歩したというのも進歩の一つであるということは事実でございますが、この進歩をしたという中で、文化や人間性の問題や心の問題等に対しては一体進歩があるのか、これは高密度社会になってまいりますと、画一、一律的に平均水準が上がって、同じような人間、同じようなものの考え方ということがだんだんとはかられてきて、ある意味においては、飛び抜けた偉才が濶達な活動を続けられないというような社会という、一つのマイナス面が生まれるということは、これは避けがたいことだと思います。しかし、人類の長い歴史を考えてみますと、やっぱり一つの過程を経ると新しいものが生まれるというような、自然に合成されていくわけです。ですから、私はやはりお互いも、人類の長い歴史から見れば全くまばたくがごとき人生を続けているわけですが、われわれの生命は悠久に続いているわけですから、その中にはやっぱり必ず芽ばえるものがあるし、また、われわれはそれを退歩させないで、次代にこれを引き継ぐためには、やっぱりよりよいものを育てて引き継がなきゃならない。それが日本自体考えてみても、物質的にこれだけのものになってまいりましたから、だから、この上にはやはり精神的にも日本人として引き継げるようなものを、われわれの時代につくらなければならないということに考えていかなければいかぬと思うのです。ですから原子力の問題も、確かに、さっきも申し上げましたが、殺人兵器として使われる場合には、これは全くマイナスであります。しかし、こういうことを人間の生活をよくするためにということに使うようにすれば、私は幾ばくかのやはり進歩であろうと思います。ただ、あんまり便利になったために、都会生活者の中には、農村でもって粗衣粗食でもってやっておると長生きをするのに、このごろは高血圧患者が非常に多くなったり糖尿病がどんどんとふえたりという、働けばそんなことはないのですが、あんまり便利になるために動かないんですから、頭でっかちになって全然五体が満足にならないというような面が確かに存在します。そういうものに対して、やはり政府も事態に目をおおうことなく、やはり事実を述べて、国民に注意を喚起すべきは喚起し、国民の盛り上がりを待つときには誘導的な動きをしなければならないということには、やはり勇気が必要だと、このように理解しています。
○玉置和郎君 次に、これも具体的な例で答えてもらったらいいと思いますが、私は、人間の幸、不幸という問題、これはどういうふうに考えるかということですね。私は人間の幸、不幸の自覚は、一般的に見ますると比較の問題だと思うのです。まあいろいろなことを考えていきますと、戦後荒廃のあのときは、戦後全部やられてしまったときは、あんまり飛び抜けたものはなかったわけですね。財閥も解体される。しかし、日本人というのはたいへん勤勉だし、すばらしい英知を持っている。一生懸命働いた。復興した。はっと気がついたらまわりにもう財閥が出てきておった。復興しておった。三井、三菱、住友、こういうようなものが出てきてたいへんな勢いである。また、われわれ政治家の仲間も、GNPが世界第二位だとか何だとか言って、盛んに選挙のときに宣伝をしてきた。また最近では、巨大商社が思惑でもって買い占めをやる、物価の値上がりの引き金をつとめるという、そういうものを一般国民というか、勤労者の人々はずっと見ておるわけです。それで自分たちのまわりを見たら、自分の家もそうだが、周囲を見たら、まだ四畳半一間で親子五人がひしめいておるような状態がある。ちょっとそこらを見たら、自分のうちと比較にならないようなりっぱなうちも建っておる。どうもやっぱりおかしい、何とかならないのかという、そこから出てくるのですね。そうして会社に通うのです。会社は冷暖房完備でなかなかしっかりしておる。ところが自分のうちはそうで、通うてくる家庭は、きょうの質疑の冒頭で申し上げましたように、ああいう状態ですよ。ほんとうにけんか腰で電車に乗って、信号が変わるか変わらない間に飛び出して会社に入って、昼はハンバーガーかラーメン一ぱい食って一生懸命に働いて、また、くたくたになって帰ったら奥さんに今度さら洗いを命ぜられて、というのが大体若い人のパターンですよ。どうにもならぬ。そうして、自分たちの間にできたかわいい子供の将来のことを考えて、また自分たちの老後を考えて、せめて自分たちの住めるささやかな住まいをということを考えても、なかなか手が届かない。いらいらはそういうところから起こってくる。そのときに庶民宰相田中角榮先生がお出ましになったわけです、これは。そうなんですよ、背景はそこにあったのです。そのために国民がどういうふうに思ったかといいますと、あれだけ苦労してきた人だから、いわゆる庶民の気持ちはよくわかってくれる、苦学力行してきた人だから、われわれの気持ちをくんで、われわれのいらいらを必ず解決してくれる、それは決断と実行だと、これまたうまく当てはまったんですよ、これ。そうなんです。ところがですね、これは総理になられて、まあなかなか緒についた段階で、私はできないと思いません。緒についた段階だと。私はやっぱり自由民主党の党員ですから、緒についた段階で、これからいよいよやるんだということを期待しておりますが、また、やらなければならぬ。しかし、田中ブームというものは、そういう背景があったということなんです。私は、それだけに、総理が国民のそうした願望というものをどのようにとらまえて具体的に実施をしていくかということ、一つだけでもいいですよ、これは。まず、国民の当面の幾つかの問題のうち、一つだけでもいい、実行をしてやる、決断をしてやる——私はそのためには、やっぱり何といっても宅地の問題だと思うんです、宅地の問題。わが党では、野末君がいろんなことを言ったときには、あれはみな不謹慎だということばもありました。表現の内容にも私はそういうところがあったように、私は私なりに理解をしておりますが、私はやはり自由民主党の一党員として、また国会議員として、戦後の復興を助けたのは、やっぱり農地解放であったと思うんです。そのために、過密都市における宅地の確保というために、われわれ国会議員それぞれ先頭に立って自分の持っておる宅地を一般庶民に開放する、そうして役立たすというふうな発想。私はこれを言う限り、私もやっぱり三百四十坪ほどあるんです。私は総理とだいぶ——いなかですけれども、朝霞ですが、だいぶ値段は違いますが、しかし私は言う限り、私なりに開放する。この辺の総理の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 緒についたということでありますが、まだ緒につかないかもしれません。しかし、土地税制その他諸般の政策をやっておるわけでありますから、まず緒につけなければならないと、こう思っております。国民のいらいらというのは十分承知しております。承知しておりますが、これはまあ終戦直後のように、まず一人の餓死者も出さない、それから所得を倍増する、それから日本人の生命と財産はどのような方法で守るというようなときの政策は非常に鮮烈であります。しかし、現在のようなこの状態になってまいりますと、これは、雨は漏らない、地震がきてもだいじょうぶだ、比較的に安い公営住宅の中には入った、しかし、いらいらするという感じは、これはめしが食えないときよりも、精一ぱい汗して働かなければならないときよりも、もっといらいらする。ここがむずかしいところなんです。だから、そういう意味で、国民的コンセンサスを得ることは非常に努力を必要とする、こういうことでございます。 そういう意味で、私は、発想の転換もしなければならないし、国民福祉というものの方向に方向転換しなければならない、そしてそれは少なくとも十年——まあ、きのうも齋藤厚生大臣、ここで述べましたが、十五年というと、保険制度そのものもみな完備してまいります、これは西欧以上にも内容が整備できるでしょうと、こう言いましたが、私は、これだけの過密、一%の国土に三二%の人が住んでおる、まだどんどんとふえておるというようなものが、これはすぐ片づくものではない。だから、列島改造論なるものを出したわけです。まだ日本は狭くありません。そういう意味で、政策的にまず行なうということが一番問題だと思うんです。だから、そういう意味で、私はこれから十年ということを考えて、まあ昭和六十年展望で、国民総生産や国民所得や、その裏には緑も、生活環境も、心の回復もということを確保するために、列島改造論を世に問うたわけでございます。ですから、私は、方向としては誤ってないという考え方で進めてまいりたい。あとは具体的な問題、個人の持ちものをどうするか。これは、政治というものは、みずからやることが一番効果があるんだということでございますが、私が言っているのは、いま平面都市を無制限にやっておってもしようがないので、これもやはり全面区画整理を行なうということによって国民負担も軽減しながら問題を解決しなければならない。私は、ただこぎれいにするというような考え方だけで、アパートに入って、私はこれで精一ぱいやっているんですというようなことでは、政治的効果を得るものではないんで、そういうところに力点を置くよりも、公の立場で果たさなければならない政治的責任を果たすということにウエートを置いているわけです。
○玉置和郎君 三木先生、お伺いします。 公害、生活環境汚染の問題、これはいま、社会問題から大きな政治問題に発展してきております。で、私は、見ておりますと、大体この対策は、ほとんど事後処理に追われておる、先取りした対策が乏しいんじゃないかという考え方なんです。そのよって来たる原因というのは、やっぱり発想の転換にある。私は、三木先生のところで、発想の転換、発想の転換って、もうしょっちゅう聞かされて、おかしなことを言うなあ、あれで発想の転換になっておるのかなと私は実は思っておったんです。しかし、三木先生のもとを去っていくときにそんなことを言ったつてこれは始まらぬことだしと思って控えておりました。いわゆるこの公害、環境汚染の原点というか、源流というか、どこからこういうものが起こってきておるのか、その歴史的な模索、これについてお伺いします。
○国務大臣(三木武夫君) いままでの土地の利用あるいは開発というものが環境の保全というものに対してむとんちゃく過ぎたということが、今日においてもいろいろな環境破壊、公害問題を引き起こしておる原因である。したがって、玉置君の言われるように、これからの開発というものは環境保全というものを前提にして開発をされなければならない、そのために事前に土地の利用、土地の開発、こういうものに対しては環境保全という見地に立って十分な調査、資源の評価、こういうものを行なって、事後処理におちいらぬようにすることが環境行政の主たる方向であると、こう考えておる次第であります。
○玉置和郎君 これはもう演説します。歴史的模索を聞いたんです。これはもちろん公害、環境汚染の源流を尋ねるのは非常にむずかしいことだろうと思います。これをまた独善的に論断することもこれは戒めなければならないと思いますが、問題提起という意味から、私はこの問題を次のように考えておるのです。 これはね、三木先生、私はやっぱり私の立場からいろいろこう模索をしてみましたが、西洋的発想、この辺からもやっぱり来ておるんではないかということなんです。これは、人間は神の被造物なんだ、人間は神によってつくられたのだと、だから、人間はあらゆる自然を支配することができるんだ、人間のためになら鉱物も植物も何でもそれを利用したらいいんだという、それがまた科学技術の発展とともにそれに拍車がかかってきたんです。西洋科学というのは一体どうしたかというと、一つのものごとを、究極をきわめようとして分化していくわけですね、ずうっと。これはあとの個と全体の問題になってくるんです。国民と国家の問題、地方自治体と政府の問題にも関連をしてくるんですが、どんどんどんどん分化していくわけですね。それはそれなりにわれわれ人類に多くの貢献をもたらしたということは、私は否定しません。しかし、先ほども言いましたように、その行き着くところというのはアトムの発見だったのですよ。そうして原子爆弾ができ、片や産業公害、それがまた環境汚染をしていくという、こういうことが生まれてきたわけです。 で、私は、結局は東洋的発想というものをもう一回見直してみる必要があるんじゃないか。お釈迦さんがやはり二千数百年前に、悉皆是成仏と言った。悉皆是成仏、生きとし生けるものはみんな仏の命が宿っておるんだと、こう言った。人間もそうなら、この紙切れ一つにも仏の命が宿っておるんだと、このマイク一つにも仏の命が宿っておるんだと、こうしたんですね。それはたいへんなすばらしい直観力だったと思うんです。それを科学的に簡単に言いますと、これはみな分子からなっておる。紙もそうなんです。この万年筆もそうなんです。みんな分子からなっておる。分子は原子からなっておる。原子は、御承知のように、原子核といわゆる電子、これによってできておる。その電子の数によって元素がきまっていく。これは中曾根大臣が専門だし、小坂先生専門だと思いますが、科学技術庁の長官もきょうおられますが、これはもう科学技術庁長官には聞かないです。聞きませんが、結局、その電子の数によって元素がきまっていく。言うなら、人間の体も一緒ですよ。分子からなり、原子からなっている。こういうものは全部人間と同じ命によって生かされておるんだということ、これがお釈迦さんの教えなんです。こういうところに立って環境保全という問題を見詰めていくならば、私はもっとすばらしい発想が出てくると思うんです。お伺いいたします。
○国務大臣(三木武夫君) 私も環境の保全に仏心を入れてまで、そこまで私は考えておりませんが、少なくとも人間の健康、あるいは精神生活におけるバランス、そういうものを害さない環境を守りたい。まだ残念ながら仏教の分野にわたって環境を考えては一おりません。
○玉置和郎君 総理、大体ただいままでのやりとりで、物質文明の進歩だけで決して人間は真の幸福は得られないという結論が引き出されてきたと思うんです。そこで、総理の勇断を望みたい数点について以後お伺いします。 政治は、やっぱり人間の生命の尊重、これを第一義にすべきであるということは、これは総理の日ごろからの主張のとおりであります。そういう意味から、やっぱり国民生活と非常に関係の深い自動車交通の問題、自動車交通の問題を取り上げてみたい。 自動車については、排気ガスの規制、スピードの規制、これは抜本的な取り組みがいまなされておること、敬意を表します。しかし、これを運転をする人、運転手、ドライバー、これの資質、これの健康状態、これについては、ほとんどと言っていいほど規制がない、対策がない。今度、私の知るところですが、集団脳波テストというのが、警察関係の医学博士たちが寄って、これ、日本で世界的な発明ができた。集団脳波テスト。一ぺんに六人かかって六分間で全部、電子計算機で、何というのですか、記録される。そういう施設が今度できて、いまやっておるわけですね。これはある役所でありますが、役所のテストの結果が、千七十六名やった、そうすると、要検討者が百十四名おるのです。脳波上問題として検討せなければならぬというのが百十四名出てきた。さらに検討した結果、その中から精密検査を要する者が六十七名出てきた。その六十七名の内訳というのは、頭部、頚部に外傷後遺症を持っている者が二十七名おった。また、高血圧傾向のために運転は適性でないという判断がされたのが八名おる。心臓疾患でこれも運転に適さないという者が検査の結果五名出てきた。また平衡機能障害という、バランスを欠く、こういう者がやっぱり八名出てきた。てんかん性の者が九名出てきた。糖尿病であまりひどいのもこれは運転に適さないそうであります。また、私らのように太ってくると、やっぱり運転があまりよくないそうであります。こういうような結果が具体的に出てきたんですね。現在の自動車というのはやっぱりスピード百キロまで出せるんですよ。これは走る凶器です。走る棺おけです、これは。それだけに、こういうふうな集団脳波テストというものが出てきて、社会党の戸叶武先生もこれは非常に熱心です、玉置君やろうじゃないかと。こういうこの集団脳波テストというものについては、集団ではありませんが、脳波テストについては法律で規制しておるのはフランスです。フランスでは医学の検査制度という中でこの問題をとり上げて脳波テストをやっておるんです。私は、この集団脳波テストは単に自動車の運転手だけじゃない。事故の激増を予想されるようなあの航空機のいわゆる航空士、また高所作業の要員、こういう者には、人命尊重という立場から、私はやはり何らかの法規制をすべきであるというふうに考えるのですが、いかがなものでありましょう。これはまた、総理のあと、交通安全は総務長官、それから公安委員長、お願いします。
○国務大臣(田中角榮君) 飛行機のパイロットや鉄道の運転士等は多数の人命を預かっておりますから、これは資格を与える場合には相当な厳密な検査をしておると思います。ただ、すべての者に脳波テストを行なっておるのかどうか、これも定期的にやるのか。これは一ぺんやったからいいというんじゃなくて、免許証の書きかえのときには必ずやらなければならぬとかということになるんでしょう。
○玉置和郎君 ないんです。
○国務大臣(田中角榮君) いや、やるとすればそうなるわけでありますから、やっぱりそういう大きなものに対しては、そういう必要性というものは私も十分考えられます。今度の動労の問題の最後に残ったポイントもそれなんです。これはすべて一人乗務、ワンマンバスもみなそうですが、一人だというと、やっぱりそういう危険があるじゃないか。二人乗務ということで、私も、でき得るものならばそういう問題というのは公の立場でやっぱり真剣に考えなければいかぬなということであります。自動車は年に二千三百万台もあるわけでありますし、昭和六十年には四千万台をこすというのでありますから、四千万台というと、これはみんな自分で自家用車を運転をする。一人を運ぶために一人の運転手というのは、こんなことができるわけはないんでして、これはもう早晩自分の車は自分で運転するということになると思うんです。そうすると、国民ほとんどが自動車の運転免許証を持つというふうになると思います。そうなれば、脳波テストということでなくとも、やっぱり百キロで走っている者が事故を起こせば、その人だけではなく、大衆に迷惑かかるわけでありますし、まあ資格というか、やっぱり厳重にしなければならぬということはよく理解します。ただ、技術的に言いまして、脳波テストをすべてにいま適用するということに対しては、なかなか運輸関係、技術的には、その必要はないんじゃないかと、こういうのがいまの時点における考え方でございます。まあしかし、実際甘いなあという、免許が甘いと。だから、免許を取ってからしばらくの人が大事故を起こしておるわけです。ですから、そういう意味で、フランスはその意味ではタクシーの運転手などは、相当な年齢になって運転経験を持たない者にはタクシーの運転手の免許を与えないと、こういうことでありますから、日本では全く逆でありますので、そういう面に対しても勉強をしなきゃならぬ問題だとは思います。
○国務大臣(坪川信三君) お答えいたします。 大切な国民の人命に関する交通安全という対策は、非常に私は使命感の重いことを感じておる次第でございまして、総理府といたしましても、各省庁と連絡をとりながら、その対策に苦慮をいたしておるような次第であります。 いま御指摘になりました問題につきましては、専門家の間にいろいろと議論もかわされておることも聞き及んでおる次第でございます。いずれにいたしましても、車を運転する方々をいわゆる医学的にチェックするということは、交通安全の上からも非常に私は肝要なことではなかろうかと思います。しかし、いま申しましたように、いろいろの議論もかわされておりますので、そうした議論を踏まえまして、各省庁と連絡をとりながら検討いたしてまいりたいと、こう考えております。
○国務大臣(江崎真澄君) もうすでに総理及び総務長官からお答えがあったとおりでありますが、一つの重要な御提案だと思います。ここにちょっと私、数字を持っておりますが、まあ文化国家で交通事故が多いなんというようなことは、これはもうほんとうに困ったことですね。これはどうしても減少させなけりゃなりません。まあ幸い自動車の増加に反比例して、死傷者の数は減っておる。ここ二、三年の統計は数字的にもはっきり示しておりますが、なお減らしていかなければならない。そのためにはと、こういう御提案ですね。ただ、運転免許の場合は、四十六年の場合、受験者が約八百万人おるんです。そして、合格がその半数以下、三百四十万。そこでですね、御指摘になるような、たとえばてんかんであるとか精神分裂症であるとかいうので、あとで発見をして取り消したものが八百万の中で百三十三人あるわけです。そうすると、百三十三人のために全部にということは、なかなかこれは言うべくして効率のあがらないことでありまするが、これはしかし、なおざりにできませんですね。そこで、私、さつき総理が指摘されました点が非常に重要だと思うんです。それは、同じドライバーの中でも、その職場の責任に応じて、そういう者に脳波テスト等をまず行なうあたりから始めたらどうであろうかと。警察庁におきまして四十二年に、実は医師の診断書をつけなければならぬということを奨励したわけです。その裏には、要注意者を発見するための意味が含まれておったんですが、特に精神的な病気は長期間観察しなければならないと、それからまあ、この脳波テストの問題もまだ最終的な結論に至っていないということなどもあって、医師の中から反対が出たわけです。これは普通の反対じゃなくて、非常に猛烈な反対であったということで、一年足らずでこのことは取りやめにしたという過去の経緯もあるわけでございます。したがって、さっき総理御指摘のような点を関係各省庁十分連絡をとりながら検討をする、これは非常に重要なことだと思います。
○玉置和郎君 江崎大臣、いま大臣が言われました点で一つ私はただしておきたいと思いますが、いま百三十三名取り消したと害いましたね。それは百何万のうち……。
○国務大臣(江崎真澄君) 八百万。
○玉置和郎君 八百万のうちでしょう。
○国務大臣(江崎真澄君) 八百万で三百四十万が合格をしている。その三百四十万の中から百三十三人がおるということで取り上げた数字、こういうわけです。
○玉置和郎君 これは、総理ね、それは精神病患者として病院に入れられた連中なんですよ。これは、いまの三木先先が言われたような環境保全という、先取りじゃないのです。もう出てきて、病院へ、鉄格子の中に入った連中のことを言っているんです、これは。そんなんじゃ対策にならぬですよ。まあ、これはあとやってくれるというから、もうこれ以上言いませんけれども、ひとつよろしく頼みます。 次に、農政の発想の転換についてお伺いします。 私は、いままでの農政というのは、これはやはり都市と農村の所得格差をなくする、こういうふうな経済中心のものの考え方できておったと思うのです。これじゃやっぱりいかぬので、農村というのは、緑を守り、そしてきれいな水、きれいな空気、これを育てるところだという認識の上に立って農政を行なえば、おのずからこの発想の転換が出てくるのです。そうすると、大企業なんかがつくるところの工場製品と農産物というものは、これはおのずからその観点が違ってくるのです。 そこで、自由化の問題。自由化の問題というのはやはり大事です。大事ですが、農産物に対する発想というものは、こういう国民の健康を守る、特に都市に働く、スモッグのもとで働いておる都市勤労者のドックが、やはり健康を回復する場所が農村地帯であるというこの発想、これができてくると、農産物の自由化という問題に対して——アメリカとちょっとわけが違うんですよ。アメリカなんかはもう広大な面積を持っていますからね。ですから、こういう問題については、こういう観点、こういう発想の転換で、自由化の問題、交渉を進めていただきたい。 もう一つ、ついでに言っておきますが、いま日本は米の作付制限をやっておるわけですね。減反をやっておるんです。私はやはり、いま自民党で検討されておると思いますが、東南アジアのいろいろな国から米をよこしてほしいという要請があるわけです。アジアは一つだと言いながら、インドネシア、フィリピン、バングラデシュ、こういうふうにたくさん、米を食えなくて飢えて死のうとしておる人がたくさんおるのです。それに引きかえて、日本が地勢上も、また米づくりの技術も、これは世界一ですよ。いわゆる日本の米つくり農政というものは、単に一億の人々だけじゃないのだと。アジア全体の共同体意識というものを育てていくためにも、私は、米づくりについて作付制限をするなんて、私らの生命哲学から言ったつて、おてんとうさんに申しわけない、これは。そうして、よその働いた人の金をもろうてそれで生活をしておるという農民自身も、やはりこの辺で発想の転換をせなければいかぬ、私はそう考えるのでありますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) まず自然保護という問題は確かに重要であるし、水源涵養の面から言っても、国民の心のふるさと、保健の場所ということを考えても、国土は国民全体のものであるということで、自然環境の保全ということに重点を指向しなければならないことは論をまちません。また、農村そのものも、いま問題になっておる市街化区域内の農村、これもただ家が建ってしまってスプロール化してしまったら、これこそもうどうにもならないというようなことでありますから、これらもやはり必要な緑は、残すということは、これはもう当然必要だと思うんです。だから、農村そのものがやはり国民リクリエーションの場であるというような考え方だけではなく、日本人が悠久な生命をささえていくためには、やはり必要な地帯として考えなければいかぬということには賛成です。 それから、農業に対する減反政策はまあことし一ぱいということでありますが、食管の数字から見れば、国民に端境期に対して配給できないようなことはありませんと、こう言いますが、まあ不幸な状態が起これば、直ちに外国に対しても救援米の支出もしなければならぬわけでありますから、やはり数字的に合うということよりも、できるだけやはり米は備蓄をしておく、おいていいじゃないかという考え方は、私も理解をいたしております。 それで、東南アジアに対して日本が米の供給国になっちゃどうだということは、二つの問題があります。一つは、非常に国際価格に比べて高いということで、現金でもって援助したほうがいいんじゃないかというのが一つあります。もう一つは、ビルマやタイのように、米の輸出国が日本から出すということに対してあまり賛成をしません。そういう意味で、日本から金を出して、ビルマやタイから米を出してもらうということも考えられるわけです。これは軟質米と硬質米の問題もありますし、いろいろな面から日本がすべてのアジアの米の不足国に対して供給地になるというわけにはいかぬと思いますが、しかし、農村というものに対しては、戦前、戦中、戦後、ほんとうに国民的に米というのは問題になったのですが、ちょっと余るとすぐ、食管の赤字は国民の敵だというような考え方、そういうのはやはり誤りだろうと、こういう考え方を確かに私も持っておりますので、これは国会の御意思やいろんな御審議を通じて、理想的な農村というものをつくらなければならぬだろうと、こう思います。
○玉置和郎君 これは十二時に終われというから……。 総理ね、個と全体の問題ですね。個人の個、全体、それから国民と国家、地方自治体と政府、この関係をもう少し国民に私ははっきりさすべきだと思います。いま、日本のいろんな風潮を見ておりますと、かって気ままなことをやっているような気がするんですよ。いわゆる国民と国家の関係、地方自治体と政府の関係、これは非常に矛盾に満ちた甘えた姿が国民の側にも見られるじゃないか、私はこう思うんです。これはまた赤裸々な国民の姿であるといえばそれまでですけれどもね。 そこで問題をしぼって申しますが、私はいま朝霞に住んでおるわけです。朝霞の市長選挙が三月四日に済んで、どうにかこうにかわれわれの支持するほうが勝った。その前にこういう問題が起こった。その朝霞に東京都の浄水場があるんです。都民に三分の二の水をそこから供給しておるんです。その土地を提供したのが三十四名か、ちょっと——はっきりしませんが、三十六名かなんか。この人たちは、いまかんかんになっておこっておるんです。それは、東京都が隣人のためにと、同じ日本人じゃないかという説得で、当時の栗原知事も応じて、それからいまの市長が町長のときに納得さして、いま時価が二十四、五万円しておるんですよ。それを二万円前後でみな渡した。ところが、協力した東京都の首長さんは一体どういうことかといったら、とにかく自分たちの気持ちをさかなでするようなことばかり言う。それで、とやかく言うたら住民パワーだと。住民パワーで何でもできるようになったら、朝霞の浄水場はわれわれがやはりもともと提供したんだから、適正な価格で評価して、そうしてその評価した固定資産税をわれわれの住んでいる朝霞市に払うべきである、それも払わぬと言うんだ。これはなかなか払わぬですわ、東京都は。これはなかなかうんと言わぬのです。払わぬのであったら、われわれも、住民パワーで何でもできるのだったら、あすこへむしろ旗を立ててすわり込むぞと。そうしてまた、東京都民の水というのは一日何か一リットルぐらいあったら生きるのだそうです。私知りません。私知りませんが、そんなことを言っておりました。一リットル分だけを送っちゃおうというふうな、無謀にも近いような議論がずっと広がってきたのです。選挙前に広がってきたので、私と市長とがあわてて、まあ待て待てといって押えているのです。そのかわり、待つかわりに玉置さんどこかでやれというのです。これがきょうの発言なんです。 それと、もう一つ、隣の志木市が今度——これは読売新聞ですけれども、「都政の犠牲はご免だ」というように出た。これは簡単に言いますと、東京都は北のほうの市が十カ所寄って清瀬に下水の終末処理場をつくった。その汚水を今度朝霞の隣の志木、所沢、ああいうところの柳瀬川へ流し込んでくるのです。自分のところから、志木と朝霞の接点である宗岡というところからきれいな水をとっておいて、うんこや何かやった最後のきたないやつをまたそこへ捨ててくるというのは何事か。しかも一片の了解もなしにどんどん計画を進めているじゃないか。「都政の犠牲はもうご免だ」、これです。そうして革新の市長も入って、これがいま結束しているのです。しかし、その背景は何かというと、さっきの、あまりにもかってないことをやり過ぎるじゃないか。特に立川なんかの場合もこれに入っているのですが、かって気ままなことをやるじゃないか。基本的人権すら無視するようなことを平気でやっておいて、そうして住民パワーに名をかりてやるというのは何事か。こういう問題を、国が、政府が、こういういわゆる正義派——私たちは正義派と言う。彼らから言わしたら保守派と言う。私らは正義派だと言っているのですが、その正義派の要求というものはいままで出てこなかったのですよ。声なき声なんです、これが。しかし、もうがまんがし切れぬで、上尾と同じような状態でふき出してきたのです。こういう問題について政府がやはり真剣に考えていかなかったら、ちょうどローマが滅びたような、都市国家が対立をしていって滅びたような状態になっていくのです。これを私は心配をするから申し上げるのです。お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘のような事情は各所にあります。大体、東京都が東京都民のために千葉県や埼玉県に住宅をつくることはもうごめんである、こういうことであって、公営住宅さえも、公団住宅さえも建てられないという事態は皆さん御存じのとおりでございます。だから、そういう意味で、やはり都市内の全面的区画整理も行なう、しかし、必要なところは隣接県にも求めるというようなことでないと、いまのように壁にぶつかる。今度東京——大阪が一番なんですが、ことしの電力がたいへんなわけです。そうすると、隣の和歌山県や京都府や滋賀県は、大阪に送る電力のために公害だけの発電所はごめんであるということで、発電地帯の整備法をつくらなければならないということでございますが、やはりそういうことを考えなければならないと思うのです。じゃ東京は東京でもっておつくりになったらどうですか、大阪は大阪でもっておつくりになったらどうですか言われたら、これはもう死の都市になるわけでございまして、これはもう国民の健康も生命も保持できないわけでありますから、そういう意味で、やはりいろんな調整というのは必要であるし、積極的な施策が必要である。特にいままでの考え方が、どうしても公共のためなら収用できるというのですが、時価で収用するというだけではなく、代替地を用意しながら、代替地にするか、現金にするか、いずれかの選択の制度をやはりつくっていくということでないと、確かに収用されたときには相当の値段で収用するわけですが、しかし、その施設ができるために、収用されなかったまわりが非常に高くなるというので、自分は非常に損をしたという感じ、また、それをそのまま貯金にしていると全く事実損害を受けるわけです。そういう問題に対しては各国にも比較例があるわけでありますから、そういうものも十分ひとつ検討しなければならぬし、やはり米を新潟に出してもらうときには、知事は新潟まで出かけて、お願いをいたしますと言ったんですから、都民を守るためには、そういう努力もやっぱりしてもらいたいと思います。
○玉置和郎君 これと関連して、厚生大臣にお伺いします。もう答弁はなるべく短く、十二時で終わらなければいかぬのですから。 これは和歌山県のことですが、いま、なま屎尿を投棄されるのですよ。なま屎尿を投棄されるのですね。これは困っておるのです、実際。五十年で打ち切るといいますが、なかなか五十年で打ち切ったら、それなら屎尿処理場みな各地方自治体でできるのかといったら、これはなかなかいろいろなことをがたがたやって、あっち行けこっち行けでできない。そこで、和歌山県知事が瀬戸内の知事会議で、このなま屎尿の処理についてこういうことが予測されるから、いまのうちに大型母船で、いわゆる海の上で、船の上で処理をして、その残滓物をごく少量にしぼってやる技術ができておるから——私は技術がどんなことか知りませんよ。そしてこれははいいことだから早ういまから手をつけてもらうように、知事会議として国に要望しようじゃないかということを言っておりましたが、これは私も聞いてみましていい話だということなんで、ひとつこの問題についてお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答え申し上げます。 採尿の処理につきましては、昨年度屎尿処理施設整備計画というものを立てまして、原則として五十年度までに全部陸上に施設をつくるということを進めておるわけでございますが、ただいま御意見にありましたような考え方、非常に私関心深く承りましたので、そういう構想について科学的に可能であるということでありますれば、私どもとしては当然検討しなければならぬと考えておりますので、十分検討さしていただきたいと思います。
○玉置和郎君 それから、外貨の問題について、私はその使途についてお伺いしたいと思います。まあ、これは二百億ドルともいわれ、また、隠しておるやつを入れたら二百五十億ドルだとかなんとかいろいろなことを私は聞きます。しかし、この使用方法ですね、使用方法について私は具体的な二つの例をあげたいと思いますが、世界の青年学生と日本の青年学生との研修交流に使用するという発想はどうだろうか。さきにわが国に来た西豪州のトンキン首相の話の中にも出たことがありますが、世界で一番気候がいい。雄大な草原を持っておる。大体あのパースの付近で土地を提供してもいいと。いわゆる日本の青年学生が来てアウトドアスポーツをやる、文化交流をやる、そこに各国の青年を呼んでもいい。そういうのを、豪州だけではなしに、ニュージーランドも、それからブラジルも、ヨーロッパへも東南アジアへもという、いわゆる、総理、世界版ワンダーフォーゲルですよ。渡り鳥運動、これを、私たちが各国回って見て、やっぱり力を持っておる日本が主導権をとってやってくれと、そしてあなたのところの総理はいま若いじゃないかということを言われるわけですね。これについてお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) かつてケネディ氏が大統領であったときに、平和部隊の構想を言ったわけでございますが、私ども国民の非常な御努力の結果、こうした大きな外貨を持つに至っておる。これをいま玉置委員のおっしゃるように、非常に有効に利用したいと考えておるわけでございまして、たいへん示唆に富む御提案と考えておりますが、私は、平和部隊の構想のように、田中構想が青年のために、世界の青年のために有効に発動されるように、できるだけ努力をしてみたいと考えております。
○玉置和郎君 それからもう一つ、総理、総理が通産大臣のときに、豪州の天然ガス、石油の陳情に行きましたね。総理にあちこち手配をしていただきましたが、非常に感謝しております。いよいよ開発に入るのです。私は、チュメニでもいいと思います。チュメニに三十億ドルか何か新聞で書いていますが、豪州のほうは、これはわれわれの自由圏であって非常に安定した政情である。また、日本を二階のお客さんと、こう言っているのです。上等のお客さんといって、いま日本にあらゆる問題をたよってきておる。この豪州に対して、開発に十億ドルぐらい貸してほしいというのが向こうの要請です。これについて、前から関係があるので、総理ひとつお答え願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) その後の事情は、私はつまびらかにしておりませんが、しかし、西豪州は鉄鉱石の産地であり、日本としてもどうしても確保しなければならないという長期契約の基地でもあります。また気候も非常にいい。しかも、天然ガスの大量な埋蔵量があるということであって、これはもう非常に食指の動くところであるということは事実でございます。ただ、プロジェクトの内容がどんなものか、また、どういうふうに固まっておるのかは、私もよく承知しておりませんが、これは輸入先の多様化ということで、話がまとまれば、それはもう実現すると思いますが、私は事情をいまつまびらかにしておりませんので、通産大臣がもし知っておれば答えます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 昨年、日豪経済閣僚会議で行きましたときに、アンソニー副首相から、西豪州の開発に協力してほしいという話はありました。しかし、幾らというような具体的な話はなかったわけです。それから今度首相になったホイットラム氏とも会いましたときにも、同じようなことを言っていました。ですから、先方はそういう関心と熱意があるのだろうと思います。そこで、日本の場合は、民間ベースでこれはやるものですから、特にガスの開発について、近く商社マンやあるいは通産省の実務者を中心にして調査団を派遣しようと、そういういま準備を進めております。
○玉置和郎君 総理、大体まあ十二時前ですから、結論に持っていきたいと思いますが、私は、きょう、ほんとうは小坂長官と近代という問題について討論したかったのです。近代というものの構造にメスを入れなかったらだめだ、いわゆるスタグフレーションというものは解決しないという考え方である。私は難波田教授の考え方をとるのです。それだけに、この近代社会をささえておる二つの柱、経済的に見てこれは市場経済のメカニズムが完全に機能していない。それはいろいろな要因があるのですよ。外部経済の問題、外部不経済の問題、いろいろな要因が重なってきて、昔の経済原理だけでは解決できない問題がたくさん山積して、山積みになってきておるということ。それとまたもう一つは、政治的に見たときには、大衆民主主義の弊害というものが、もうたくさん弊害を持ち込ましてきているということ、そういう近代をささえておる二つの柱自身に、この構造にメスを入れなかったらインフレは解決しないという、これを長官と——長官は前に本会議で、生産性格差インフレであって云々と、こう言ったでしょう。私はあの見解をとらないのです。きょう時間があったらそれをやりたかったのです。それがほんとうはねらいだったのですけれども、それをやったら時間がないから、もう結論に持っていきます。 英語の「マス」ですね、総理、英語のマスというのは、これはいわゆる大衆でありますが、ギリシャ語では「マーザ」と、こう言うのですね。これは国会図書館で調べてみましたら、大麦でこしらえたケーキという意味を持っておるのですよ。大麦でこしらえたケーキ、それだけに、このどろどろとした素材を一つのものに固めつくりなすという、これは意味です。ギリシアの政治家というのは、このことを非常に大切にしたのです。いわゆる大衆の中にあるという、大衆政治家というのは、どろどろした素材の中に首までつかって、そうして、これは迎合するのではないのだ、やっぱり一つの理想とする方向に固めつくりなすという、日本の建国の精神にあります修理固成、これと一緒なんです。これが非常に大事である。それがやはり、意見を尊重するということと、大衆への迎合ということと、それから政治の指導性と独走ということが混同されているところに、私は大きな危機を感ずるのです。
○委員長(大竹平八郎君) 玉置君、時間が来ました。
○玉置和郎君 はい、わかりました。 そこでもう一つ、大事なことですから、あと二分でいいですから頼みますよ。
○委員長(大竹平八郎君) じゃ、急いでください。
○玉置和郎君 ものごとの黒白がはっきりしないときは亡国の徴だというのです。これは清朝の末期の柱石といわれた曾国藩が言ったことばなんです。ものごとがはっきりしない、いわゆる黒白がはっきりしない……。自民党が北京から来たパンダをここにつけて、共産党が富士山をつけて選挙する。どっちがどっちかわからない。そんなのだったら、共産党が富士山を立てておるのだから、あっちがほんとうかいなというので、保守党の票が流れたことは事実なんです。これを、黒白弁じがたきときは亡国の徴であると、こう言うのです。この辺をやっぱり一回聞いておきたいのです。もうあと一分ですから、それはもう結論にします。
○国務大臣(田中角榮君) 非常に示唆に富んだ発言であって、有益に拝聴いたしました。長い自民党の政権ですから、やはりそういう、ときどき注意を喚起してもらう、そして果たさなければならない責任を果たすということで、やっぱり迎合していく——いわゆる盛り上がる力、大衆の言うことに鶏口して責任が果たせなくなるということではいかぬと思いますので、やはり政府は、また与党も理想の姿を出して、そして国民の支持と理解を求めるというような、積極的な姿勢ということでなければならないだろうと、これは思います。
○玉置和郎君 委員長、これで終わります。私はこれで、最後言うて終わりますから、演説して。 アメリカのニクソン大統領は、去る一月、二期目の大統領就任演説において、米国を築いたのは政府ではなく国民であり、福祉でなく勤労であり、というのです。福祉でなく勤労であるということです。それから、責任回避ではなく責任負担であったことを思い起こそうと。われわれの生活においては、政府が自分に何をしてくれるかではなく、自分がみずからのために何をなし得るかを問うと述べていますが、これは、従来のアメリカの思想が、政府の手による個人の救済、それが政府の義務でもあるとする考え方であってのに比べて、全く違った次元の発想であることが注目されております。ニクソン大統領は、個人が政府あるいは政治に依存し、過大な期待を抱くことをきびしく戒め、みずから立つことを強調したのであります。これは基本的には、これまでのアメリカの社会の価値観を正し、個人主義の道徳を確立しようとする動きがあったからではありますが、ニクソン大統領個人が、いわゆる苦学力行型の人間であるところに、この価値観を提唱し得た要素が含まれていると言えないでしょうか。田中総理もニクソン大統領と同じく、苦学力行型の宰相であると思います。すぐれた識見と深い洞察力、さらには決断と実行の勇気をお持ちの方であります。それだけに、迎合してはなりません。これは私の強い要請です。あくまで苦節の時代に学んだ、あなたが苦節の時代に学んだ体験を基礎にして、今日の危機に対処してもらいたい。もう一つ突っ込んで言うなら、郵政大臣になるまでのあなたの体験ですよ。これを基礎にして国民に呼びかけていただきたい。ほんとうに手形に追われ、あなたが借金に追われた時代もあった。そのときのことを国民に訴えてくるなら、田中総理に対する期待は必ずつなげる。どうか、そういうことを切願をしておる一国会議員がおり、一党員がおるということ、これを腹の中に入れて、これからひとつ大いにがんばってもらいたいということをお願いをして、私の質疑を終わります。(拍手)
○委員長(大竹平八郎君) これにて玉置君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) 矢追秀彦君。
○矢追秀彦君 最初に私は、先日の衆議院の予算委員会でわが党の山田委員が質問をいたしました呉の弾薬庫からのダナンへの弾薬輸送、この点についてお伺いをしたいと思います。その後、政府としてはどのような処置をおとりになりましたか。
○国務大臣(大平正芳君) 先日の衆議院の予算委員会で、本件輸送の詳細につきまして、政府は米国側の説明を求めること、とりわけ米国側から和平協定との関連について説明を求めたいということを申し上げたのであります。米国側からの返答は次のようなものであります。 ベトナム和平協定第七条は、休戦後に破壊され、破損され、または消耗した武器、弾薬及び軍事物資は一対一の割合で定期的に取りかえることができると規定しておると、また和平協定第七条が、かかる取りかえば南ベトナムの両当事者の軍事合同委員会及び国際管理監視委員会の監視のもとに行なわれなければならぬと規定していることを承知しておると。現在南ベトナムの両当事者は、まだ軍事合同委員会を設置していないが、休戦及び軍事合同委員会に関する議定書第七条に従い、南ベトナム政府は、ダナン、サイゴン及びカムラン湾を、和平協定第七条で認められる武器、弾薬及び軍事物資の南ベトナムへの搬入のための通過地点として指定しておりますと。他方国際監視委員会は、これら三通過地点に監視チームを派遣しておりますが、軍事物資取りかえの検証及び監視チームの運用に関する方式は、南ベトナム両当事者により今後決定されることになっておるということでございます。米国政府といたしましては、監視機構が完全に動き出すまでの間は、南ベトナム政府に対するすべての武器、弾薬の取りかえば、和平協定第七条の精神と意図に厳密に従って行なわれるよう慎重に事をはこぶ所存であると。なお、米国のかかる武器類の取りかえに対し、四者合同軍事委員会あるいは国際管理監視委員会から何ら異論が出ていない、ということを付言しております。 以上がアメリカ側のわがほうに対する回答でございます。
○矢追秀彦君 この回答に対してへ政府はどういうお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) この問題は、一つには安保条約との関係でございますが、安保条約との関係を考えますと、米国の軍艦が日本側が管理する港に出入するということは、地位協定五条で認められている米軍側の権能でございます。その場合、入港につきましては事前に通報するということに相なっております。出港につきましては、特段の規定はございませんけれども、事実上日本側に通報いたしております。したがいまして、安保条約の関係から申しますと、日本側で本件についてとやかく言う立場にはないわけであります。ただ、パリ協定は、アメリカをはじめ各国が、すべての国がこれを順守することを要請いたしておるわけでございまして、日本政府も、和平をこいねがう立場からパリ協定を尊重してまいりたいという方針を国会を通じて宣明いたしておるところでございます。したがって、和平協定との関連におきましては、この弾薬の輸送問題が和平協定の規定するところに従って処理されることをわれわれは期待いたしておるわけでございます。現在、国際管理監視委員会というものはまだ正式に機能いたしていない状態でございますけれども、アメリカ側は第七条の規定を順守してまいるということ、そして国際管理監視委員会が機能するという状態になりました場合、本件をクリアーするだけの証拠、その他の用意をちゃんといたしておるということを申しておるわけでございまして、いまの段階におきまして、当事者であるアメリカの措置を信頼する以外に政府として手がないわけでございます。したがいまして、本件の処理は、そういう米国側の意向を十分確かめた上で、安保条約上の規定に従いまして処理してまいる以外に道はないと考えております。
○矢追秀彦君 その、いま言われたアメリカの考え方を信頼する以外にないと、こういう問題でありますが、ということは、この今回の弾薬輸送については、和平協定の第七条には違反をしていないという見解をアメリカがとっておる、それを日本は支持すると、こういうことになるわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
○矢追秀彦君 この弾薬輸送について、北ベトナム側はどういう感触をしておるか、御存じですか。
○国務大臣(大平正芳君) 伝えられるところによりますと、この事件に関連いたしましてニャンザン紙が報道いたしたということは承っておりますけれども、国際管理監視委員会のほうに北越側から問題の提起があったという事実はないと承知しています。
○矢追秀彦君 まだ国際管理監視委員会が動いていないとか、そういうふうなことで、何か今回の弾薬輸送が合法的であるというふうな考え方でありますけれども、結局、いままでの日本政府が、安保条約があるということで、このベトナム戦争についてはいろんないわば援助をしてきたことは事実であります、政府はそれを否定されるでありましょうけれども。いままでずっと問題になってきた戦車輸送のことにせよ、あるいは基地からのいろんな発進にせよ、B52の問題にせよ、沖繩も含めましていろいろあるわけでありますが、今回のような、二応和平が実現をして、しかもこういう協定も取りかわされて、たとえまだかりに動いていない状態であっても、和平を守っていかなきゃならないのがわが国の立場であると思います。それを、アメリカが一方的に第七条に違反していないのだと、だから持っていってもかまわないのだと、こういうことで日本がそれを支持していくというのは、結局対米追随外交であり、また、ひいてはベトナム和平には何の努力もしていないと、これから南北ベトナムに対して政府はいろいろ復興についてはやろうとしているのに、この行為については私は全く逆である。むしろ、これははっきり米側にやめてくれということを要請してもいいと思うのですが、そういった考えは全然ないわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、安保条約の関係から申しますと、船の出入港並びに積荷の搬出につきまして、こちらから有権的にやめてくれという立場は許されていないわけでございます。ただ、矢追さんもいま言われましたとおり、和平協定との関連におきましてわれわれが重大な関心を持っておることは事実でございますので、その関係の究明を米国側に求めたわけでございまして、先ほど御答弁申し上げましたとおりの答えがあったわけでございまして、現在の段階におきまして、そういったアメリカ側の見解、アメリカ側のとっておる措置というものを、これは一番重大な当事者がやっておることでございまして、衆議院の予算委員会でも私からるる申し上げましたとおり、この和平協定、せっかくでき上がったものを侵犯などということについて一番重大な関心を持ち、警戒をいたしておるのはアメリカであろうと思うわけでありまして、アメリカがそれだけの措置をいたしておると言うのでございますならば、それを信頼するよりほかに道はないということを私は申し上げておるわけでございます。
○矢追秀彦君 第七条はどういうふうになっていますか。
○政府委員(高島益郎君) お答えいたします。 パリ和平協定第七条の第二項でございますが、読みしげます。「南ベトナムの両当事者は、南ベトナムの両当事者の合同軍事委員会及び国際管理監視委員会の監視のもとに、休戦後に破壊され、破損され又は消耗した武器、弾薬及び軍事物資を同種類、同性能のものと一対一の割合で定期的に取り替えることができる。」、こうなっております。
○矢追秀彦君 この和平協定の第七条に見る限りは、かなりこれはきちっとされなければならないと思います。要するに、一対一の原則、しかも同一の特性と性能を持つと、こうなっておりますから、北ベトナム側の、いわゆる向こうにある両者の間の武器がほんとうに同一であるかどうか、そういったことも問題になりますし、要するに、特にこの監視委員会の監視下でありますから、これがまだ動いていない間はアメリカとしても出すのがおかしいのでありまして、それを日本政府がアメリカを信頼して、ただ出せばいいんだというふうな態度というのは私は容認できない。なぜそれをアメリカ側に、こういった機能が動き出してから運び出すべきであるということは要請できないわけですか。要請された結果だめだったのですか。それとも、要請をされる気はさらさらないわけですか。その点はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 当然の御疑問でございますが、アメリカ側といたしましては第七条を厳守していくと。で、この品物はダナンに向けて参るわけでございまして、ダナンにおきまして具体的に交換が行なわれる場合、アメリカが当事国といたしまして国際管理監視委員会との間の折衝を行なうわけでございまして、アメリカは第七条を厳守してやりますと、その証拠も手順もちゃんと用意いたしておりますということでございますので、私どもといたしましては、当面それで、それ以上の措置を求める手だてはないわけでございます。
○矢追秀彦君 アメリカはそう言うけれども、もし日本側で、これは間違いなく違反であるというふうな事実なり、そういった状況なりが出た場合は、アメリカにはっきりものは言われますか。
○国務大臣(大平正芳君) われわれは国際管理監視委員会のメンバーではないわけでございまして、これを判定する立場にないわけでございまして、当事国が厳正に第七条なるものを厳守されることを期待いたしております。
○矢追秀彦君 総理に伺いますけれども、結局こういうふうな現状ですね。要するに、安保条約というものがあるからということで、アメリカが、極端に言えば、どういう悪いことをしておったとしても日本はそれに従わなければならぬと、こういうことに結果的にはなってしまう。私たち野党は全部このベトナム戦争に対しては非常に反対もし、また、それに対する日本の基地がそれをうしろから応援しておるということについてはかなりきびしく言ってまいりました。ベトナム和平が実現をした、それにまだアメリカがこの和平協定に私たちは違反をしておると言っておるわけでありますが、そう考えられることに、さらにまた日本がうしろから安保条約のたてまえということであと押しをしている。結局対米追随外交であると、こう断定をせざるを得ないし、また、その元凶は安保条約にあると、こう断定をしたいわけですが、その点、総理はどう考えられますか。
○国務大臣(田中角榮君) 外務大臣が述べたとおりでございますが、ベトナム和平というものに対してはアメリカも熱意を持っているんです。そして、これを成就させなければならないという立場に立っておるわけであります。ですから、捕虜の交換も行なわれておりますし、ベトナムからは早急に米兵は撤去されつつあるわけでありまして、非常に困難な長い道のりであったベトナム問題の終息に対してはみんながこれを守ろうということになっておるのであって、アメリカが協定違反の行為を行なったりすれば、アメリカはこれはもう国際的にも批判を受けるわけでございますし、だからアメリカがやっておる行為というものもやっぱり非常に慎重な態勢で、少なくとも協定の中で是認されるもの以外はやっておらぬと、これは常識的にわれわれはそう考えるべきだと思うのです。だから、そういう意味でアメリカが協定の条文に従って取りかえを行なう、是認をされておる範囲内の行為でありますと、こういうことはすなおに受けていいんじゃないですか。実際そういうふうに私たちは、接触した限りにおいては、やはりこの問題に対してはアメリカもまた他の国々も非常にこれを定着させるにはたいへん困難な状態がたくさんあると思うけれども。何とかしてこの和平を定着せしめるように努力をしようと、その中で協定が取り結ばれておるわけでありますから、それにアメリカが違反をするということを前提にして考えてはいけないと思うのです。そういう意味で、やはり日本も、アメリカが協定違反ではないし、協定の中において行なっておるんだということは、そのまま認めていいと私は思います。これはまた別に、北ベトナムに対しても同じことが他の国から行なわれておっても、それはやはり協定の中で行なわれなければならないことでありますから、日本の立場としても、すなおにアメリカ側の行動というものに対しては理解を示していいと私は考えております。
○矢追秀彦君 まあこれは押し問答になりますから次に入りますが、しかし、現実に呉の市民の立場から考えると、ベトナム戦争がもう終わったにもかかわらず、依然として弾薬がうろうろしておると、まあこういうことで非常な不安があるわけです。この問題は、どういうふうにこれは説得をされますか。ただ安保条約があるからやむを得ない、もうちょっと様子を見ようと……。しかも相当の期間であります。海上の航行制限もかなり長期にわたって、ベトナム戦争が行なわれていると同じぐらいの期間の航行の制限が行なわれておりますし、そういったことで、地元では、相当の不安と安保条約そのものに対する批判も強まってきておるわけでありますが、この点はどういうふうに考えますか。
○国務大臣(大平正芳君) したがって、事態を説明いたしまして、和平協定との関連を明らかにすることによって、現地の不安を解消し、理解を求めてまいるように政府側も鋭意努力しなければならぬと思います。
○矢追秀彦君 いま、鋭意努力をしなけりやならぬと言われますが、具体的にどうされますか。もしこの弾薬輸送がかなり長期にわたって続くような場合、あるいはそういった海上の航行の制限がかなりベトナム戦争中と同じくらいに今後とも続いた場合は、米側に何か要請をされる、そういうことで市民に対しての不安の解消という策にされますか、その点いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 和平協定第七条は、和平後に損傷いたしました武器弾薬類の一対一の国際監視のもとの取りかえというように限定されておるわけでございまして、これは和平協定を実のあるものにして定着性を持たしていこうという趣旨の平和への歩みでございまして、その限りにおきまして、私どもこれを理解しなければならぬと考えておるわけでございまして、こういった理解を関係住民の方々にも持っていただくように努力していかなければならぬのは当然でございます。
○矢追秀彦君 具体的にどれくらい海上の航行が制限されましたですか。
○政府委員(高松敬治君) 広弾薬庫の水域の使用制限の実績につきましては、四十六年度が百七十一日、それから四十七年度が二百四十八日、それから四十八年度は一月が十九日、二月が十九日と、こういう数字になっております。
○矢追秀彦君 実際二月でも、いま二月が十九日とおっしゃいましたが、二月の十九日の私のほうのデータとちょっと違うのですけれども、二月は三十二日になっておりますけれども、いかがですか。
○政府委員(高松敬治君) 私どもの数字では、二月は十九日でございます。
○矢追秀彦君 ちょっと間違えました、私。で、このように相当制限もされておりますし、いま言った不安が非常にあると、こういうことで、ぜひ、このほかまだ弾薬庫についてはほかに問題もあるわけでありますが、それは次の問題としたいと思いますが、要するに、この安保条約ということが、何のために安保条約が締結されておるのか。これはまあ政府側からは、いろいろ日本の防衛のためであるということになっておりますけれども、実際どこかで戦争があって、そうしてそのために安保条約、かりに与えて、安保条約を是認したという立場をとったとしても、どこかで戦争をやっている場合があれば、それに対していろいろ後方からの動きがあってもやむを得ませんが、実際戦争がおさまってしまっておる。しかも、それを一者のほうが、この問題について言えばアメリカ側のほうが協定違反をしている疑いがあると、こういうことになっておるのに、安保条約ということで、うしろからそれをささえなくちゃいかぬというのが私は理解できないわけであります。その点で、安保条約というものはやはり早急に廃棄をしていかなければならぬと私たちは考えておるわけであります。しかし、総理は依然として堅持をするということを言っておられますが、こういういろいろな状況の変化をしてきている中で、やはり安保条約というものはいろいろな面でこれから洗い直しもしていかなければならぬと思いますが、前に大平外務大臣は、事前協議の洗い直しを言われました。時期まで明確にされましたが、それはその後どうなったのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 前内閣のときに、事前協議の洗い直しをしようという日米双方の合意がありまして、もっともこれは事前協議制度そのもののワク組みを変えるという意味ではなくて、運用面において、締結後十二年もたったから一応見直してみようじゃないかということでございました。そこで、その後鋭意双方協議を続けてまいりまして、一月二十三日の安保協議委員会におきましてその結論を発表いたしたわけでございます。すなわち、事前協議事項についての解釈面におきまして、またその運用面におきまして、日米双方は国会内外において表明いたしましたことにつきまして何らそごがないということを確認いたしたわけでございます。しかし、当面事前協議を要するような事項は予想さなないということにつきましても双方の合意を得たわけでございまして、そういったことにつきましては、二十三日の協議委員会終了後、コミュニケの形で公表いたしたわけでございます。
○塩出啓典君 関連。 ちょっとお尋ねしますが、先ほど外務大臣、総理は、米軍がベトナム和平協定を守っていると信ずる以外にないと、そういうことでございますが、現地の関係者は全くそういうことは納得がいかないわけでございます。たとえば、あの朝鮮戦争が終わったときには、それまで送られておった弾薬がストップして、逆に返ってきた。ところが今回は、いま政府答弁がありましたように、呉の海面制限にいたしましても、ベトナム戦争が一番激しかった昨年でも一カ月平均二十日の海面制限でありますが、一月、二月はいずれも十九日、ほとんど同じであります。そしてまた、今回入港いたしました船にいたしましても、一万トンの船で、こういう大きな船がいまだ入ったことはなかった。いままでは大体せいぜい六千トン級、七千トン級の船であります。それが今回は一万トンの船が入っておる。このベトナム和平協定では、停戦後に破壊、損傷、消耗、あるいは使い古された武器、弾薬及び戦争資材、そういう補給のための資材だけは、そういう国際管理監視委員会の監視のもとに、一対一で定期的に取りかえることが許される。どう常識で考えてみても、そういう補給であるならもっと量が少ないはずだ。それが、公明党の調査では九千六十トンの一〇五ミリりゅう弾が送られておる。こういうことは私は常識で考えても判断できないわけですね。一月も一千台のトラックが右往左往しておる。そういうことで、私は先ほども外相が申されましたように、ベトナム和平協定というものは日本政府としても尊重する立場であるならば、その疑わしい点についてはアメリカ当局にも要望していく。よく実態を調査して、やはりこれは協定に違反していないんだと、そのように国民全体が、また呉の市民が納得のいくような処置をとるのが、私は日本政府としての当然の責任じゃないかと思うのであります。いまのようなそういう答弁では、日本国民、そして特に地元の住民の人は断じてこれは納得はできないと思うのですけれどもね。そういう点、どうでしょうか。調査すべきだと思います。
○国務大臣(大平正芳君) だから、調査いたしまして、いま国会を通じて御報告をいたしておるわけでございまして、和平協定順守ということにつきまして当事者がきびしい態度をとってもらわにゃなりませんし、われわれはこの和平協定というものをあくまでも尊重してまいるという基本的立場に立って対処しておるということについて、関係住民の方々にも十分御理解をいただかにゃならぬと思っておるわけでございまして、そういう努力は今後も続けてまいらなければならぬと思います。現地におきましては、不幸にいたしまして和平協定締結後におきましても若干のトラブルがあったようでございまして、その規模は漸次縮小の方向にありまするけれども、完全に軍事行動がとまったわけではない。そういう状況を踏まえて、彼我の間にある程度の軍事的バランスを維持しながら和平を固めていこうという、当事国のなみなみならぬ苦労があることと私は拝察するのでありまして、第七条というものもそういう背景のもとに設けられた規定であろうと思うのでございまして、これを厳正に守っていくということに誤りがなければ、これは和平協定を定着さしていく上においての建設的な措置でございまするので、そういった点につきまして一そうの御理解を求めていくように努力しなけりゃならぬと思います。で、いまおっしゃるように、アメリカが最大の当事国であるわけでございまして、この和平協定を生み落とすためににこれだけの犠牲を払った当事国でございまして、万々、みずからこれを侵犯するというようなことは考えられないと思います。しかし、われわれが和平協定を尊重して、和平を固めてまいらなきゃならぬという日本政府の深甚な関心なるものはわれわれも伝えて、したがってまた、そういうラインに沿って事態の究明を求めておるわけでございまして、政府の措置につきましても、そういう意味で御理解をいただきたいと思います。
○矢追秀彦君 この呉の広弾薬庫をはじめとした三つの弾薬庫というのは、日本政府としては今後返還についてはどういう態度で臨まれますか。
○国務大臣(大平正芳君) この間の一月二十三日の第十四回安保協議委員会できまりましたのは、関東平野と那覇周辺の返還の問題であったわけでございまして、しかし、これはその当時も申し上げましたように、第一次のものであって、今後も二次、三次をやろうじゃないかということにつきまして日米間の合意を見ておるわけでございまして、そのために、これから日米間で協議をしながら、第二段、三段の整理縮小計画を編み出していかなきゃならぬと思っております。 で、いま御指摘の呉の問題につきましては、いま私ども、いつこれをどうするというようなことは責任を持って申し上げられる立場にないわけでございまして、一般的に第二次、第三次、続けて整理縮小計画を考えておるということだけを申し上げるにとどめさしていただきたいと思います。
○委員長(大竹平八郎君) 午後二時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 —————・————— 午後二時三十七分開会
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、総予算三案に対する矢追君の質疑を続行いたします。矢追君。
○矢追秀彦君 午前中に引き続きまして、同じく呉の弾薬庫のことについてでございますが、川上弾薬庫に四十八年度の予算で一億五千万の予算が計上されておると聞いておりますが、その内容について説明をしてください。 〔委員長退席、理事米田正文君着席〕
○政府委員(高松敬治君) 本年度、川上弾薬庫内において、従業員休憩所、作業所、倉庫等の建設を行なう、そういうのが本年度の予算に計上いたしました中身でございます。
○矢追秀彦君 現在、川上弾薬庫には、従業員はどれくらいおりますか。
○政府委員(高松敬治君) 現在、川上弾薬庫の従業員は、日本人従業員百四十九名でございます。
○矢追秀彦君 米軍は何名ですか。
○政府委員(高松敬治君) 米軍は十一名でございます。
○矢追秀彦君 いま休憩所と言われましたが、これは、新築になるわけですか、それとも、改築ですか。
○政府委員(高松敬治君) 新築でございます。
○矢追秀彦君 先日来、衆議院の予算委員会におきまして、安保条約の地位協定の運用について政府のほうから統一見解が出ておりますが、この統一見解では、「今後の地位協定の運用では、原則として代替の範囲を超える新築は日本側負担に含まないよう措置する」と、こうなっておりますが、この一億五千万のいまの新築工事は、代替であるのか、そうでないのか、その点はいかがですか。
○政府委員(高松敬治君) ちょっと複雑な経過をたどってまいりましたので、やや話がこまかくなりますけれども、御説明申し上げます。 神奈川の池子弾薬庫につきまして、その管理地区の返還が前から問題になっておりました。地元からも非常に強い御要望がありまして、それで池子弾薬庫の管理地区にありました建物総数八千五百平米ばかりのものを池子の弾薬庫地区に二千七百平米ばかりの建物に縮小いたしまして、そうしてこれをつくって池子弾薬庫の管理地区を返還すると、地元はこれを運動公園にしたいと、こういうことで話が大体進んでまいりました。ところが、ちょうどそのころ、四十五年の七月ごろでございますけれども、池子弾薬庫が、従来、米陸軍の所管であったものが、米海軍の所管になりました。そこで、従来からの移設計画のうちで陸軍と海軍との所要部分を分けまして、そうして海軍が必要とする部分はそのまま池子弾薬庫地区等に建設することにし、また、陸軍が必要とする従業員の休憩所、作業場につきましては、同じく米陸軍が管理する広島の川上弾薬庫にある従業員の休憩所が非常に老朽しているというふうな事情もございまして、これらを本来池子の弾薬地区に移転改築すべきものを川上のほうに転設をすると、こういうことになりまして、これが池子弾薬庫の管理地区の返還の一つの条件になったわけでございます。そういうことで、川上地区のそういう所要の施設を川上弾薬庫の管理地区に建設すると、こういうことで話がきまり、昨年の十二月二十日に池子弾薬庫の管理地区約六万平方メートルが日本側に返還されたと、こういう事情に相なっております。
○矢追秀彦君 その池子弾薬庫の一部返還に伴う、いま言われた海軍のためにいわゆる施設を新設したりあるいは増設をする池子弾薬庫内では、今年度は予算が計上されておるのですか。また、その内容がわかっておりましたら、教えてください。
○政府委員(高松敬治君) 海軍の所管分についてはすでにもう済んでおりまして、それが完成したので、管理地区の日本側に対する返還が行なわれたと、こういう状態になっております。
○矢追秀彦君 そうすると、ちょっと解せないのは、池子について返還に伴う代替というのは、陸軍と海軍という別があるといま言われましたが、日本例からすれば、それは、米の海軍であろうが、陸軍であろうが、それは向こうの事情でありまして、こちらとしては代替がもう終わったと考えてよいと思うのですが、その辺はどうお考えですか。
○政府委員(高松敬治君) 先ほど御説明申し上げましたように、池子の弾薬庫本体の地帯につくるべきものが陸軍と海軍とに分かれちゃった、それで海軍の分についてはすでに完成をしたと、陸軍の分についてはまだ完成していないわけでございます。したがって、御質問の御趣旨にありますように、池子弾薬庫の管理地区の返還は海軍の必要施設が完成したという時点においてその返還を受けた、陸軍の必要とするものについてはまだその完成は終わっていないと、こういうことでございます。
○矢追秀彦君 ちょっと解せないのは、池子の弾薬庫というのは、もとは陸軍が持っていたわけでしょう。それをアメリカの事情で海軍に切りかえたわけですね。その施設をこちらでまた全部やるわけですか。おかしいじゃないですか。
○政府委員(高松敬治君) この点が、先ほど申し上げましたように、一般の場合とちょっと違った形をとっていることは事実でございます。本来、その池子弾薬庫の管理地区にありましたものを弾薬庫本体の地区につくる、これがまあ初めの話だったわけですけれども、それが途中でそういうふうに話が分かれましたのと、それから川上弾薬庫のたとえば従業員の休憩所が非常に老朽化している。これは相当いたんでいるようでございます。そういう老朽化の更新というふうな形にも一つなりまして、結局、そういうふうなことの条件において池子弾薬庫の管理地区を返還すると、こういう形になったわけでございます。その点はちょっと一般のものと違いまして、やや複雑な形をとっているわけでございます。
○矢追秀彦君 その辺、ちょっとよくわからないのですが、外務大臣にお伺いしますが、いまの池子弾薬庫の返還のときには、そういう条件が話し合いに出たわけですか。
○政府委員(大河原良雄君) ただいま施設庁長官から御答弁ございましたように、池子の弾薬庫の返還の問題に関連いたしまして、池子の弾薬庫内部にございまする海軍の施設の整備と、これに関連いたしまして川上にございまする陸軍の施設の整備と、この二つの作業があったわけでございまして、施設庁長官から御答弁ありましたように、池子の弾薬庫の管理地区は昨年の十二月に返還を見ておりますけれども、この返還にあたりましては、ただいまの池子弾薬庫内における海軍施設の整備と川上弾薬庫内の陸軍関係の施設の整備と、この二つが条件になっていたわけであります。
○矢追秀彦君 その池子の陸軍の弾薬庫が海軍にかわったために、どういう予算でどういう内容のことが行なわれましたですか。先ほど済んでいると言われましたが。
○政府委員(高松敬治君) 米海軍の分は、六千七百九十二万円でございます。内容は、警備隊舎、消防施設、それからガソリンステーションと、こういうものの建設でございます。
○矢追秀彦君 それからいまの池子の陸軍が川上に移ったわけですが、もともと池子に米陸軍はどれぐらいおりましたですか。
○政府委員(高松敬治君) いつごろから使っておりましたのか、ちょっといま手元に資料がございませんが、かなり古く前から使っていたようでございます。
○矢追秀彦君 池子の弾薬庫は、私たちの調査によりますと、昭和二十年九月一日から使っておりまして、米陸軍の人員は約十五名であります。したがいまして、この十五名が現在はもっと少なくなっておると思います。先ほど川上には十一名と言われましたが、私たちが調査した昭和四十三年の時点で六名でございますから、この十五名のうちの六名ぐらいが移ったのではないかと、まあこれは推測ですが、考えられるわけでありまして、米の軍人さんの移転というのは非常に少ない。それから、いま言われた陸軍の施設が移ることに伴って、実際池子の弾薬庫にあった施設が、どれぐらい陸軍独自として川上弾薬庫にないものとして必要なのかどうか、その点はいかがですが。
○政府委員(高松敬治君) 先ほど申し上げましたように、従業員の休憩所、あるいは倉庫あるいは作業場というふうなものは、現在川上弾薬庫にもございます。ただ、それが非常に老朽化していたり、あるいはもっと整備をする必要があるというふうなことから、この新築の問題になっているわけでございます。
○矢追秀彦君 私はなぜこまかく聞くかといいますと、日本側の負担が、代替に限って負担といわれておりますから、あくまでも代替でなければならぬわけですから、はたしていま言われた倉庫、作業場、従業員のための休憩所というものが、今回の一億五千万の予算で新築をされる。それが代替の範囲を越えているか、いないか、それを知りたいわけでありまして、それについてはどうお考えですか。いま言ったように、もともと池子にあった建物というのは、おそらくこれは憲兵隊の詰所だと思いますが、それから消防施設、これを六千七百九十二万円でつくったと。そのほかで代替のために必要な施設とおぼしきものが考えられないわけであります。池子の弾薬庫にある建物は、私たちの調査では、事務所、消防車庫、モータープール、食堂、憲兵隊詰所、ガードマン控え室、野球場、PX、こうなっておりますから、陸軍がわずか数名移転しただけで必要なものというのは、おそらくないのじゃないか。だから代替という理由によって、いまの老朽化したものを、新築をするということは、私は日本側の負担としてすべきではない、こういう考えを持っているから申し上げるわけでありますけれども、その辺についてはどうお考えですか。
○政府委員(大河原良雄君) 先般、衆議院におきまして外務大臣から、施設区域の提供に伴いまする経費の負担に関しまする政府の考え方を申し述べてございますけれども、地位協定二十四条の解釈そのものにつきましては、政府は先般来、国会におきまして御説明申し上げている考えを何ら変えるものではございませんけれども、運用の問題につきましては、原則として、代替の範囲を越える新範を含むことのないよう処置しますと、こういうことを申し上げているわけでございまして、あくまでも原則として代替の範囲を越える新築を含まないようにします、こういう運用上の方針を外務大臣から申し上げているわけでございまして、ただいま具体的に御質問になりました池子と川上の弾薬庫の問題につきましては、これも先ほど施設庁長官が繰り返して申し上げておりますように、池子につきましては、海軍が必要とする警備隊舎、消防施設等を整備したわけでございますし、また川上につきましては、陸軍の管理する川上の弾薬庫に現に存在します従業員の休憩所が老朽しておりますので、これの改修をはかる、こういうふうなことでございまして、しかもまた、池子の弾薬庫におきまして、日本側に返還されました面積は八千五百平方メートル、このたび作業をいたそうとしておりまする池子の海軍並びに川上の陸軍の施設につきましては、総計二千七百平方メートルでございまして、私どもとしては代替の範囲よりはるかに内輪のものと考えている、こういう状況でございます。
○矢追秀彦君 そうすると、代替の範囲というのはどういうことになりますか。いま面積が小さければいいようなお話ですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(大河原良雄君) 代替の範囲と申しております際には、規模を念頭におきまして申し上げているわけでございます。
○矢追秀彦君 実際、私はおかしいと思うんですよ。いま規模とか何とか言われますけれども、現実に陸軍が、いわゆる基地の機能的な面を考えた場合でも、川上弾薬庫に実際弾薬自身が移るのですか。それは移らないのでしょう。その点はいかがですか。
○政府委員(高松敬治君) 川上弾薬庫の弾薬庫本体は、全く変わっておりません。したがって本体の機能、弾薬庫としての機能というものは全然変わっていないわけでございます。
○矢追秀彦君 だんだん私もわからなくなってきたのですけれども、要するに代替の範囲というものは、これははっきりしていないと思うんです、まず。 私が非常にここで問題にしたいのは、二点あると思います。一つは、陸軍の弾薬庫が海軍にかわったから、陸軍のための代替として川上弾薬庫に何かつくる。で、海軍にかわったことによって、そこへまたお金を出しているわけですから、これは二つ、倍の代替になると思うんです。規模とかそういうことは別ですよ。どうですか。
○政府委員(高松敬治君) 先ほど申し上げましたように、米陸軍、米海軍とこう保管がかわります前に、池子弾薬庫の管理地区の返還の問題がすでに検討されておりました。それで管理地区を返還するかわりに、池子弾薬庫の本体の地区にこういうものを、従来のあったものをもっと縮小して、そしてそこにそういう施設をつくるということで話し合いがほぼまとまっておりました。それが、その後に池子弾薬庫の管理が米陸軍から米海軍にかわった。そのために海軍分と陸軍分とに分かれていった、そういうことでございます。
○矢追秀彦君 その辺がよくわからないのですけれども、要するに何で倍の、二カ所の負担をしなければならぬか。おかしいじゃないですか。陸軍とか海軍とかは向こうの事情でしょう。こちらはあくまでも返還のときに、海軍のための施設を縮小したための施設はちゃんとしてやっているわけですから、もうそれで終わりじゃないですか。今度川上に新しくつくるのは何の代替かというと、池子の代替。これはおかしくなってくるじゃないですか。あとからこの代替の範囲をきめてきたから、そういう問題が出てきたのじゃないですか。
○政府委員(高松敬治君) 川上につくりますのは、先ほど来申し上げておりますように、代替と申しますよりは、実質的には老朽その他による代替でございましょう。ただそれが、池子弾薬庫の管理地区の返還についての一つの条件的なものになっていた、こういうのが実情でございます。そういう点では、多少普通のリロケーションとは違った形をとっております。そしてリロケーションに老朽代替というふうなものが加わったような形で、問題がそこで一つセットされたわけでございます。
○矢追秀彦君 そうすると、先日の統一見解というものは、これまた変えなくちゃいけなくなると思うです。いま、老朽だからかえる、それも代替に入るわけです。いまの場合は特殊なリロケーションである。しかし、こういう問題は必ず今後出てくると思うんですけれども、そうなると、先日の政府の統一見解というものの内容自身が、私たちとしては信用できなくなるわけですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(大河原良雄君) こういうふうに御理解いただきたいと思うのでありますが、昭和四十五年の七月までは、在日米陸軍は池子の弾薬庫と川上の弾薬庫と両方を管理いたしておりました。その後、陸軍が管理しておりまする池子の弾薬庫を、米軍内部の措置といたしまして海軍の管理にかえたわけでございますけれども、それに関連いたしまして、池子の弾薬庫自体を、従来に比べましでずっと規模を縮小いたしましたものを整理し、その残余の分は日本側に返還。一方、これに関連いたしまして、川上の陸軍の弾薬庫内にございまする従業員の休憩所、作業場等の整備を今回はかることになったわけでございますが、池子自体につきましては、今回の措置によりまして六百平方メートルが米側に提供され、川上につきましては、今度の作業の対象となりますのが二千百平方メートル、合計いたしまして二千七百平方メートルでございまして、池子において返還されまするものは八千五百平方メートルであるわけでございます。したがいまして政府としては、代替の範囲に優におさまる措置である、こういうふうに考えておりますし、先般外務大臣から衆議院において御説明ありました、政府のこの二十四条に関する運用についての考え方を何ら変えているものではないわけであります。
○鈴木一弘君 関連。 いまの川上の弾薬庫だけを見て、川上の弾薬庫の従業員の休憩所ですか、それが老朽になったと。それはもとは何平米なんですか。いま二千百平米と言いましたけれども、もとは何平米ですか。何平米のものを二千百平米にするのですか。
○政府委員(高松敬治君) 現存している従業員休憩所は、川上の分は九十五平米でございます。
○矢追秀彦君 いま面積ばかり比較をして、代替の範囲を越えないと言われておりますが、そういうことでこの運用の統一見解を、大臣、出されたのですか。あのときの議論はそういうふうなことではなかったのじゃないですか。いわゆるこの運用の問題が出たのは、岩国、三沢両基地の兵舎改修費という約二十五億円の要求、これから問題が出てきておるわけでしょう。そのときは面積のそういう議論は忍出てこなかったと思うのですけれども、だから、いまのは詭弁であると思うのですけれどもいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 衆議院で問題になりました点は、地位協定二十四条におきまして経費負担の点が書かれてあるわけでございますけれども、本来アメリカ側が負担すべきものか、日本側が負担すべきものか。そういう限界が必ずしも現行地位協定では明確ではないわけでございます。アメリカがやってもいいし、日本がやってもいいという、両方ダブった面が規定上あるわけでございます。そこで、その地位協定そのものから解釈いたしますと、安保条約の目的を達成する上におきまして、日本側は新しく施設を提供したり、あるいは追加提供したり、あるいはこれに準ずる措置を講ずる責任があるわけでございまして、地位協定の解釈といたしましては、政府は従来、国会を通じましてたびたび政府の解釈を申し述べてまいったわけでございます。しかし、冒頭に申しましたように、日米の負担区分が必ずしも明確でない規定になっておりまするので、一体運上用歯どめをどこに置くんだということが問題になったわけでございます。そこで私どもといたしましては、本来、いま御案内のように基地の整理統合を進めておる段階でございますので、全体として米軍の使用いたしまする施設地域は縮小の方向に持っていかなければならぬ。米軍の理解を得まして、そういう方向に実施を進めておるわけでございますから、地位協定の規定がどうなっておるかに一応かかわりなく、日本側といたしましては、代替を考える場合におきましても、既存の施設より大きいようなものを考えるべきじゃないじゃないかということに、当然なるわけでございます。現在までも運用上、数々のリロケーションが行なわれましたけれども、従来よりも小さい代替施設でがまんしてもらっておるわけでございます。したがって、政府の運用上の歯どめといたしましては、代替の範囲を越えるというようなものは原則として含めないつもりであるということを申し上げたわけでございます。 矢追さんおっしゃるように、一体その代替とは何ぞやということになりますと、機能の問題もございましょう、経費の問題もございましょう、けれども、いま政府委員が御説明申し上げましたように、前よりは面積の少ない範囲でとどめるんだと、そういう方針を申し上げたわけでございます。いままで木造であったものをあるいは鉄筋にかえるというような場合も、構造上の問題としては私はあり得ようかと思うのでありますけれども、全体の整理縮小をやっている段階におきまして、既存の施設より大きなようなものをつくるというようなことは毛頭考えていないんだという趣旨を、あの政府の見解に盛り込んでお答え申し上げた次第でございます。
○矢追秀彦君 いまの外務大臣の答弁からいくと、要するに、リロケーションを行なう場合は機能、それから経費、面積、規模、そういったものすべてにおいて縮小していくということを歯どめにしていきたい、こういうふうなお話と解してよろしいですね、全部を含めて。その一つのどれかがあれば、それで代替の範囲内であるというようなことじゃなくて、全部を総合した上で、すべての面において、もとの施設よりもリロケーションしたあとは規模が小さい、これを一つの限界とする、こう考えてよろしいですか。
○国務大臣(大平正芳君) 一般的な方針といたしましては、先ほど申しましたように基地の整理統合を進めておる段階でございますので、既存の施設より大きいようなものを代替施設とうたってつくり上げていくというようなことは、考えてならないことは御理解いただけると思うのでございます。 先ほど政府委員が面積を目安といたしておりますと答えましたのは、私が、機能とか構造とかいろんな問題ありましょう、あなたの言う代替とは何ぞやと問われた場合に、ありましょうけれども、あのときに衆議院の最終段階におきまして、私どもが、代替の範囲を越えないという代替の意味は、面積を基準にして申し上げたのでございますと、そう答えたわけでございます。言いかえれば、前よりは狭いもの、小さいものというものを考えておるということを常識的に申し上げたわけでございます。しかし、個々の具体的な案件になってまいりますと、構造上の問題等もそれは当然出てくると思いますけれども、衆議院において政府の見解として申し上げたのは、面積を基準として申し上げたっもりでございますと答えたのでございます。
○矢追秀彦君 面積だけが基準になってきますと、私は何でもできると思うんです。というのは、米軍基地は私たち総点検も行ないましたが、遊んでおるところとか何にもないところというのがかなりあるわけでして、そういうことになってまいりますと、しかもいま返還が行なわれているのも、池子弾薬庫一つを見ましても、肝心な部分というのは返還されてないわけです。結局そうでない、余ったところといいますか、広っぱのようなとごろからぼつぼつ返還がされておる。こまかく私ども調べておりませんから言えませんが、大体そういう傾向にあると思います。そうなると、代替の範囲の面積だったらこれは何でもできるということになってしまう、こう思うんですけどね、その点はいかがですか。これ、面積だけ比較したらまずいと思う。私どもが言っているのは、なぜ陸軍と海軍と両方一緒にやってやらなきゃいかぬかというわけです、こっちはね。これは米軍のかってでしょうが、途中でこう変わろうが何しようが。こちらが二千百平米でこっちが六百平米で、足して二千七百と、返ってくるのは八千五百あるから代替の範囲内である、こういう議論はおかしいと思うんですけどね、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) まあ、いろいろな多様な施設の具体的なケースをケース・バイ・ケースで判断してまいらなければならぬわけでありますが、全体の原則といたしましては、整理統合を効果的に進めてまいる方針を貫きたいと政府は考えておるわけでございます。 それから、仰せのように、面積だけということになると問題ではないかということは私もよく理解できるわけでございまして、ケース・バイ・ケースでそういった点も十分配慮しながら、全体として縮小整理の方向に措置していくべきものだと考えております。
○矢追秀彦君 それから、ちょっとまた戻って恐縮ですが、その一億五千万の予算で建てられるものは、休憩所、作業場、倉庫と言われておりますが、この倉庫というのは弾薬庫になるわけですか。
○政府委員(高松敬治君) 弾薬倉庫ではございません。一般の物品倉庫でございます。
○矢追秀彦君 それから、この問題はなかなからちがあかないわけでありますけれども、今年度の防衛庁の予算の中で、こういったリロケーションに伴う、米軍のために日本側が提供する予算はどうなっておりますか、総額。
○政府委員(高松敬治君) 一般会計で八億三千七百万、それから特別会計で百九億一千二百万でございます。
○矢追秀彦君 いずれ、これ、項目別に資料として出していただきたいんです、きょうはけっこうですけれども。この全体計画、要するに、今年度予算に計上されておりますこの全体計画というものが、これはいままで返還された基地、これに関するリロケーションに限られておるのか、それとも今年度返還されるものも含まれた予算が組まれておるのか、その点はいかがですか。
○政府委員(高松敬治君) ことし計上いたしておりますのは、いわゆる関東計画に基づくものが一番主力でございますけれども、あるいはキャンプ淵野辺の返還その他を含めまして、今後返還されるものについての費用が大部分でございます。
○矢追秀彦君 外務大臣にお伺いしますが、いま言われた、今後返還されるものが含まれておるとなっておりますが、それは見通しはきちんと立っておるわけですか。その際、米側から要求される予算が、こちらで組んだより上回る可能性もゼロではないと思うんですが、その辺の話をつけた上で防衛庁は予算を組み上げているわけですか、その点はいかがですか。
○政府委員(大河原良雄君) 四十八年度の施設・区域の関係の整備といたしまして、三沢、岩国につきまして十億円、それから関東平野計画と称せられておるものにつきまして三カ年間に約二百二十億円、それからキャンプ淵野辺の返還に伴いまする経費といたしまして二カ年間に十四億円、それから沖繩のP3の移転に伴いまする経費といたしまして、四十七年度からの繰り越しをお願いしております三十八億円、それから那覇空港周辺にございまする住宅地区、それから牧港の住宅地区の移転に必要な調査費として三千七百万円、これが現在一応はっきりいたしております経費の見通しでございまして、そのほかの具体的な整備に要しまする経費につきましては、今後日米間で細目の調整をはかりまして、その上で計画が固まってくることになります。
○矢追秀彦君 この問題、ちょっと最後に総理にお伺いしておきたいんですが、この間こういう統一見解も一応は出たんですけれども、きょうの答弁聞いていますと、まだ私はあいまいであると思うんです、この代替の範囲というものが。面積さえ狭くなればいいような考えでありますけれども、こうなりますと、米側から基地の移転に伴って、あるいは縮小に伴ってかってな要求がいろいろ出てくると、結局それをそのままやはりはいと言ってこちらで予算を組んでやっていく、こういう事態がずうっと続いていくんではないか。それは、そうじゃなくてもいろいろいま予算面では大きくなってきておるのに、またこの米の——もちろん基地を返してもらうことはけっこうなことでありますけれども、相当これに費用がかかってくるとなれば、いまのを足しただけでもかなりのお金であります。午前中は弾薬輸送の問題で対米追随外交であると申し上げましたが、結局、こういったものもやはりアメリカ側のある程度言いなりになってしまっておると、こう言わざるを得ない現状だと思うわけです。その点について、アメリカに対して、やはり私は、政府としてはき然とした態度でいかなければいけない。よけいなことはもう日本は負担しない、そちらでもやってくださいとこれは言えなくちゃいかぬと思うのですけれども、その点に対する総理の考えをお伺いしておきます。
○国務大臣(大平正芳君) その前にちょっと私から。 それはよく矢追さんのおっしゃることは理解できるわけでございまして、いままでの返還並びに返還に伴うリロケーションでございますが、これは本来日本側から要請いたしまして米側に理解を得てやってきたわけでございまして、その経過をずっとお調べいただいてもわかりますように、私どもは既存の施設よりずっと控え目なものを考えてきておる、やってきたわけでございまして、国費を厘毫もむだにするようなことのないように配慮してきたつもりでございます。いま御指摘のように、今後いろいろとこういう種類の折衝を日米間でやってまいらなければならぬわけでございますけれども、個々のケースにあたりまして、細目の詰めにあたりまして、十分懐重な精密な態度を堅持いたしまして、予算の節約になるように最善を尽くしてまいるつもりでございます。
○国務大臣(田中角榮君) 基地の整理縮小というのは国民的な願望でもありますし、また、政府も国民の期待にこたえるように縮小整理を進めておるわけでございます。ところが、その過程において、基地は縮小整理されるけれども代替施設をつくってやらなけりゃいかぬ、それは向こうの言いなりじゃないかというようなことではなく、これはお互いが協定をしてやるわけですし、また、お互いが十分話し合いをしてやるわけであって、アメリカ側が、基地の返還、基地の統合ということを理由にして、いまよりもより大きなものを、膨大もないものを要求する、みずからが負担しなきゃならないものまで要求するというような考え方ではこれらの問題は進まないわけでありますし、そんなことをアメリカ側が言うことはありません。いま外務大臣が述べたとおり、国益を守るということに対しては日本政府も十分交渉して合理的な結論を得るわけでありますので、そこらは日米の信頼ということをやはり基準に考えていただきたい。日本政府はあくまでも相手の言いなりというのではなく、国益を守り、予算の節約ということを考えながら、またそれをはかりながら基地の整理統合も行なっていくということで理解をいただきたい。
○矢追秀彦君 あと、外交問題について二、三お伺いしますが、先日来、総理からソ連のブレジネフ書記長に出されたいわゆる田中書簡でありますカ その後ソ連側の新聞等にもいろんな評論等が出ておりますが、これに対するソ連側の態度を総理はどのように受けとめておられますか。
○国務大臣(田中角榮君) この書簡は福田篤泰代議士が訪ソをするときに紹介状を書いたわけであります。その私の手紙に対してその後返書がございました。その返書に対してまた返書というような形で出したわけでございます。去年第一回の日ソ交渉が行なわれ、ことしも予定はされておりますが、これらの問題をお互いが理解を深めながら合理的に解決をしたいという希望も述べましたし、あとは、いまシベリアにいろんなプロジェクトがございますから、これらの問題も両国が、両国の利益が守られ、合意に達するならば、こういう問題でも協力をしていきたいという思想に対しては考え方を述べておるわけでございます。新聞の報道するところをごらんになってもおわかりになるとおり、とにかく日本の駐ソ大使が初めて二時間ぐらい会って意見の交換が行なわれたということでありますから、両国の間に意思の疎通がはかれたというふうに評価しておるわけであります。
○矢追秀彦君 いま、評価しておるということでありますが、やはり依然として北方領土についてはきびしい姿勢が交わっていないと思いますが、平和条約締結ということになりますと、この問題はどうしても避けられない問題ということになりますが、これについてソ連側の態度もいろいろ、多少の変遷があるように思いますけれども、この問題はどう交渉の中でからめていかれるのか、その点が一つと、その次はシベリア開発の問題でありますが、これは、前日、アメリカの財務長官がやはりソ連でブレジネフ書記長と会ってこの問題を話しております。アメリタもある程度というか、かなりの関心を持っておる問題であります。特にヤクートの天然ガス、こういうふうな問題、チュメニの油田、このアメリカとの関係がどうなるのか。 もう一つは、一番問題点は中国の態度であると思いますが、いま非常に中ソ対立ということもいわれております。このチュメニの石油開発とか、——もちろん日本は平和利用専門でありますが、ソ連側がもしこの石油を軍事に一部流用するような場合、これはやはり中国側を刺激する可能性が出てくると思いますが、この辺をどうお考えになっているか。 二つの点について。
○国務大臣(大平正芳君) 日ソ両国間におきましては、平和条約を締結しようということ自体につきましては合意を見ておるわけでございます。平和条約を締結するということは、その前提といたしまして領土条項がはっきりしなければならぬ筋合いのものでございますので、矢追さんの御指摘のとおり、領土問題が解決されなければ平和条約というものは形をなしてこないわけでございます。したがって、私どもといたしましては、そういう懸案をかかえておりまするので、去年からこの締結交渉に入っておるわけでございますが、日ソ間の将来にわたって、長きにわたって友好関係を安定した基礎の上に置く、すなわち条約的な基礎の五に置くということ、この限りにおいて両国も一致しておるわけでございますから、その締結を道標といたしましてこれから鋭意折衝を続けてまいるつもりでございます。 それから、第二のシベリアの資源開発の問題に対するアメリカ側の態度でございますが、アメリカ政府といたしましてシベリアの資源開発にどのように取り組む方針であるかということにつきまして公式の見解を私どもまだ伺っていないのであります。アメリカにおきましてはプライベートな企業がたいへん力を持っておりまして、政府とかかわりなく、海外においてどういう企業に参加しあるいは投資するかというようなことについて、独自の判断をいたしまして行動いたすような国柄と承知いたしておるわけでございますが、いままで私どもが見ておりますと、アメリカ政府におきましてこれを奨励するとか、あるいはそれをディスカレッジするとかいうような、どちらの態度もとっていないように承知いたしておるわけでございます。 それから、日本のサイベリア資源開発に対する取り組みにつきまして、中国その他第三国に対する影響ということにつきましての御指摘でございますが、これは、たびたび国会を通じて申し上げておりますとおり、わが国の資源政策、資源の需給という展望に立ちました場合に、できるだけ広く安定供給源を確保しておかなければならぬという意味合いで、ひとりシベリアばかりでなく、各地においてそういった安定供給源の確保に努力いたしておるわけでございまして、シベリアの場合もその一環でございまして、そういう日本の立場につきまして中国その他の第三国が私は理解を示していただけるに違いないというように思っておるわけでございます。
○矢追秀彦君 通産大臣に予告しないでお伺いして恐縮ですが、先日北京を訪れられましたが、やはりこういった石油とか資源問題はどうせお話があったと思いますが、このシベリア開発について中国側の態度について何かございましたら報告していただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私と周恩来首相との公式な話の上では特にございませんでした。しかし、一般的に情報として、日本のシベリア開発に対して中国も相当な関心を持っておるということは情報で聞いております。
○矢追秀彦君 まあ、シベリア開発は平和利用に限れということをやはりソ連側とも確認をして私は進めていただきたいと思います。 外交問題の最後に、日中平和友好条約の締結でございますが、昨年の総理の訪問以来国交が開けて、具体的に航空協定とか、いろんな問題が進展をしつつありますが、肝心の平和条約の締結につきましては、最近あまり私は政府の熱意というものがそんなに感じられないような気がするわけです。これは私の思い過ごしかもわかりません。したがいまして、やはりこの時期、どれを目途としてやるか、あるいはこの見通し。また、米国がこの五月一日から北京に連絡事務所を設置することがきまったようでございますが、そういう点で、米国と中国の間もますます接近が深まりますし、やはとわが国としては、この平和条約の締結を急ぐべきであると思いますが、その点の見通しについて、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) これはたびたび国会を通じて御報告申し上げておるわけでございます。すなわち、去年の九月の田中総理の訪中の際の両国の了解は、共同声明に具体化されて発表されておるとおりでございます。そこで、平和友好条約を締結しようということに明らかに合意を見ておるわけでございます。それが合意の第一点でございます。 第二点は、日中間における過去の一切の問題は、この共同声明をもって清算を終わった、これから先、将来長きにわたっての日中両国の友好関係の基磯をこれから両国の信頼と理解で築こうじゃないか、そのために、いま仰せの平和友好条約というものを締結しよう、ということに合意をいたしておるわけでございます。ただ、その内容をどういうものにするか、また、締結交渉の時期をいつを選ぶかという点につきましては、詰まった話になっておりません。近く相互の大使の交換も間近に終えるわけでございまして、日中双方意見の交換を遂げまして、今後の外交のスケジュールといたしまして、仰せのようにいつごろこれを始めるか、どういう内容を盛り込むべきかというようなことにつきまして相談をしてみたいと思っておりまして、いま確たるスケジュールを申し上げるまでの用意はないわけでございます。
○矢追秀彦君 次に、内政問題に移りますが、これは初めに総理にお伺いしたいのですが、来年の参議院選挙を前にいたしまして、選挙制度改正云々の話が出てきておりますが、参議院選挙の前に、参議院の定数是正等は行なわれるおつもりですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 私の担当ですから、私からお答えをさしていただきます。 御承知のように、第七次の選挙制度審議会が二年間の成果として——正式の答申ではありませんが、これは御承知のように、衆議院の選挙がありましたために、衆議院選出の選挙制度審議会委員が欠員になったという経緯等も含めまして、報告という形で、御承知のことだと存じますが、報告書が出ておるわけでありすす。これは正式の答申ではありませんが、まあ、答申に比肩する相当権威のあるものというふうに私どもは受け取っておるわけであります。 しからば、御指摘の定数を人口に比例して是正するのかどうか。この問題は、衆議院側でもしばしば御指摘がありました重要な問題であるというふうに認識をいたしておりますが、この人員の問題は、ただに参議院ばかりでなくって、衆参二院制度でありまするから、衆議院の人員をどうするか。で、増加の問題を議論いたしまするときに、常にこれは選挙制度審議会でも議論になっておりまするが、減員を一体するのか、しないのか。参議院だけで取り上げてみましても、一番人員比の大きいのは東京都、人員比の低いのは鳥取県、これは約五倍の開きがございます。こういう場合に、この総員を一体どう締めくくっていくか。それから、これは衆参両院にわたるわけですが、報告においては、選挙区制をどうするかという問題も相当細部にわたって報告が出ております。この区制をどうするかというのは、当然過去の歴史的な経緯、それから行政的な地割り等々の長い経緯がありまするが、それと一体これをどうするのか、選挙運動をどういうふうにからめていくのか等々、関連したものであるというふうに私どもはとらえておるわけであります。したがいまして、現在、私ども政府においても検討をいたしておりまするが、政府与党においても検討をしておる。同時に、これは政府及び与党だけの考え方でもまいりません。やはり野党側の御意見の存するところは那辺にあるのか、これも十分承知したいと思っております。世論がこの選挙制度に、特にまた、この定数等の問題についてどう反映するか、そのあたりを的確に見きわめながら検討をいたしてまいりたいというふうに思っております。
○矢追秀彦君 ということは、いま検討中といいますか、来年の参議院選挙に間に合わせるためには、今国会にかなり具体案が出てこないと間に合わないと思うのですが、いまのお話だと、衆議院と参議院はやはり一緒にからめてという感じを受けるわけですが、そう理解していいわけですか。参議院だけの定数是正ということはあり得ないのですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 私、現状を率直に申し上げたわけですが、要するに、参議院の定数を是正するということは、衆議院も是正しなければならぬという議論に当然なつてきますね。したがって、これは密接不可分のものである。で、方針がきまった上に、各党間の合意なり、あるいは政府として、大体これならよかろうということにきまれば、便宜上来年に控えた参議院選挙をどうするか、こういう国会対策上の問題も出てくると思います。しかし、参議院の問題だけを特に切り離して議論をする、決定をするということになりますと、これは非常に無理があると思うのです。定数是正ということは両方に引っかかりますね。たとえば、あの報告にいっておる全国区の比例代表別を加味するという問題につきましても、衆議院側にも小選挙区、そうして比例代表制を加味してはどうかという報告もあるわけでありまして、参議院側に比例代表制を取り入れるとするならば、これは報告書では全国区だけにいっておるわけですが、衆議院においては、これは県単位の比例代表制という一つの試案が出ておるわけです。そうなりまするというと、比例代表という考え方をどういうふうに両院にあんばいするか、用いるか、これは非常に重要な点だと思います。私は、そういう原則的なことを申し上げたので、検討は当然一体として検討をし、そうして国会でどれを先に審議するかということは、これはまた今後の問題として、国会側の意見、世論の動向等も見きわめて判断をしていく問題だというふうに考えております。原則、方向、これはやはり衆参一体というたてまえで検討するのが当然であろうと、こういう考え方でございます。
○矢追秀彦君 ということは、まあ、原則、方向は衆参ともにやるけれども、具体的な問題として、参議院だけが切り離されて法律案としては出てくる可能性があると、こういうことですか。
○国務大臣(江崎真澄君) そういう場合もありますし、そうでなくって、一緒に御審議をお願いする——これが本来の姿ですから、そういう場合もある。すべてそれは今後にかかっておることでございます。
○矢追秀彦君 総理のお考えはどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) いま現に検討しております。自治大臣が述べたとおりでございますが、衆議院と参議院のやっぱり姿というものは、一応示さなければ分離ができないということでありますし、分離の場合は、衆参両院一緒なら時間がかかって間に合わないので参議院だけやろうと、しかし、原則は認めようというようなことになれば、これは分離もできると思います。思いますが、そこまでやるなら一緒にやったほうがいいんだなという感じのほうが強いのであります。
○矢追秀彦君 この選挙制度の場合、政治資金規正法というものは、やはり総理はよく一緒に議論に出されますが、これはどうですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 現在でも、これについては十分検討をいたしておるわけであります。しかし、御承知のように、過去もう三回もこれが審議未了に終わった終緯もあります。そこで、現在の個人本位の選挙体制からもう少し政党本位の選挙体制、まあ、いろいろこれは方法論はあると思いまするから、そういうものをあわせ考えながら、資金の問題は規制すべきであろうということで検討をいたしております。
○矢追秀彦君 次に、予算の問題に入りたいと思いますが、まあ、総理が日本列島改造論をはなばなしく打ち上げられまして、選挙は一度終わりまして、今年度の予算がその列島改造を実際におやりになる初年度になったわけでありますけれども、このいわゆる日本列島改造のためという予算措置が、今回の予算の中ではどれぐらいが入っておるのですか。これは非常に計算等はむずかしいと思いますが、新聞等では七兆七千八百億円、こういう数字が出ておりますが、これを列島改造予算と考えてよろしいですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう数字が流れたことはございますが、一応私どものほうが考えておりますのは、八兆三十七億円でございます。
○矢追秀彦君 いま言われた八兆三十七億円というのは、これはいままでの予算編成においていろいろやられてきたいわゆる公共事業というのとは同じなのですか、どっか違うのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 四十八年度の予算及び財投の計画におきまして、国土の総合開発政策の推進に特段の配慮を払いました。交通通信網の拡充、生活環境、教育、福祉関係施設の整備、工業再配置、地域開発の整備などの関連経費を大幅に増加することにしたいということでございます。この経費を試算しますと、ただいま申し上げたような数字になるわけでございますが、一般会計及び特別会計におきまして三兆五千五十八億円、これは前年度に対比いたしまして三〇・五%増でございます。それから財投の融資計画でございますが、これが四兆五千六百十四億円、これは前年度に比べまして三五・〇%増加でございます。重複分を除きますと、ただいま申し上げたように八兆三十七億円になりまして、これは前年度対比しまして三二・八%増ということになっております。
○矢追秀彦君 いまのお話だと、項目が、交通通信網の拡充、それから二番目に生活環境、教育、福祉施設の整備、工業の再配置と地域開発の整備。結局、これはいままでの公共事業予算をただ分類だけを少し変えたにすぎないのではないですか。要するに、日本列島改造という新しい、総理の言われた流れを変える、これがただ公共事業が三〇%ふえた、三五%ふえたと、こういうだけであって、いわゆる一番肝心な流れを変えるということには、私は、ただ拡大がされただけで、なってないと、こう言いたいのですけれども、その点はどういう認識ですか。
○国務大臣(田中角榮君) 都市集中から集中排除へということの方向をきめて、そのためにはいろいろな計画をしなければなりません。そういう意味で、国土総合開発庁の設置をお願いしたり、また、土地に対する税制上の措置を考えたり、また、県や市町村が土地の利用計画を定めるというようなことから始めていかなければ、これはもう計画が定まらないうちに予算をぼんぼんつけるわけにまいりません。ですから、その上で、計画が定まらないうちでもやれるものは何かというと、新幹線の建設促進であり、鉄道の複線電化であり、通信網の整備であり、港湾の整備でありということは、これはどっちにしても必要なことでございますから、こういうものに対して進めてまいる、これは政府の押しつけではなく、地方が主体になって考えなければならない地方開発でありますから、政府は、二年間の間に新全国総合開発、その基礎になる経済社会基本計画は答申を受けましたので、だんだんと方向が明らかになってくるわけです。このようなものを、過去のような過度集中を是認することではなく、列島改造全国総合開発というような観点からこれをとらえてやっていこうということでございまして、今度、工業再配置を国土開発公団に再編をするというような、いまの段階において可能なものに対しては積極的に取り組んでおるわけでございますし、これから五十年度までにつくられる新全総改訂版ともいうべきものの中には、当然、各府県、各市町村というものが主体になって計画がされる将来図というものが織り込まれるということであって、それから具体的な投資が行なわれる、こういうことであって、今年度から、計画も定まっておらないものに対してというわけではないわけであります。だから、学校に対しても五千万円の調査費をつくって大学その他学園の地方分散等、あるべき姿に対して調査費を計上しております。そういう意味で、各省でもこの政策を進めるということにスタートしておるわけであります。
○矢追秀彦君 私たちは、総理の日本列島改造論にはかなり批判的な面も強いわけでありますが、私がいままでそれなりに評価をしておったのは、いま総理の言われた、要するに、人口の過密をなくしていく、これは工場の追い出しと過疎地域への誘導でありますが、そこにどうしても追い出し税と、誘導地域市町村税の財源補てんという形の目的税、これがなければ私は目玉がなくなっておると思うのですが、それはどうして今年度にはできなかったのですか。
○国務大臣(田中角榮君) これは、受けざらをつくらないうちに工場追い出しをやってしまうと混乱が起きるわけでございます。そういう意味で、将来追い出し税を考えるということよりも、追い出し税と、それから誘尋税制が行なわれれば、これは両面からくるわけでありますから、非常に促進されるわけであります。そのためには、乱開発が行なわれたりしてはなりませんので、ひとつできるだけ早い機会に、できるだけ早く、受けざらのほうを整備をしたいということで、今度の工業再配置公団から団土総合開発公団に移る予算は大幅にふえておるわけでございます。ただ、あなたが述べられたとおり、税の問題に対してはまだ確定的なものができておりません。これはやっぱり青写真ができるに従ってつくっていかなきゃならないということであって、まあ、出ていくほうの工場その他に対しては、これはやっぱり追い出し税式の——まあ追い出し税というなにはあんまりよくありませんが、何とかもっとすなおにのみ込め、理解をしていただけるような、そういう税は将来考えなきゃならぬ問題だと思いますし、同時に、出ていくほうはいろんなものを整備をしなきゃなりませんから、固定資産税の免税とか、いろんな問題が出てくると思うんです。特に労働者住宅などを今度つくらなきゃなりませんから、そういう場合には、どうしても税制上の優遇というようなもの、金融上の優遇措置等、やはり十分考えていかなきゃいかぬということで、引き続いて検討しておるわけでございます。それからもう一つは、出ていきたいというものの調査というものが必要なんで、やっぱり民意を反映させなきゃいかぬので、政府が頭から出ていきなさい、出ていかなかったら税を取るぞというのは、あんまりいい政策じゃないんです。そういう意味では、出ていきたい人のほうのまず調査を行なうということで、中小企業等を調査をしてみても、中小企業でも四〇%以上、受けざらがあり、制度があれば出ていきたいと、こういうような考え方もあるわけでありますので、そういう実態調査も十分進めながら税制等の措置は踏み切ってまいらなきゃならぬと、こう思っています。
○矢追秀彦君 そうすると、その調査等は今年度でできるわけですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) まあ、日本列島改造の一番の目玉と申しますか、力点を置いておるところは、人口の三分の一、三二%程度が一%ぐらいの地域に蝟集しているという問題でございまして、そのためには、全体の見直しをやろうではないかということで、御承知のような経済社会基本計画というので、五年の鳥瞰図をつくったわけでございます、 〔理事米田正文君退席、委員長着席〕 それとあわせまして、いま総理がおっしゃいましたような、全国の総合開発庁をつくる、それから新全総を見直しまして土地利用計画をつくる、それから国土総合開発法という法律をこの国会に提案をすることにいたしました。で、そういう方面からいろいろ全体のピクチャーをまとめておるわけでございまして、それに従いまして、事業なり人口なりをどう配置したらいいか、その間の通信、交通のネットワークはどうしたらいいか、あるいはその環境等もどうするかというようなことをだんだんに詰めてまいるわけでございまして、この総合開発庁の構想と国土総合開発法と、この二つの御審議の過程でだんだん煮詰めてまいられるものではないかと、私どもはさようににしたいと考えておるわけでございます。
○矢追秀彦君 来年度から、この税の実施の見通しはあるわけですか。総理は四十七年度からとおっしゃっていますがね、最初は四十七年度からやりたいというのが総理の希望だったようですが。
○国務大臣(田中角榮君) それは、工業再配置法の御審議を願ったときに、大いにやりたいと、こう言っておったわけです。しかし、こういうものはやはり実態をよく把握することで、ただ追い出し税とそれから誘導税制だけをきめたりしますと、乱開発になるわけでございます。ですから、土地利用計画を定める、公害の基準をきめる。そういうことでは工業立地法等もこの国会で御審議をいただくわけであります。工場に対しては、緑地を保全しなければならない。しかも、地域によって工場の建蔽率等の問題もあります。だから、そういう具体的な問題がたくさんあるわけでありますから、やはり年度年度にきめられるものからきめていくということでないと、すべてのものを一挙に四十八年度にきめられるということになると、これはもう土地の利用計画もないままにやったら、これはもうほんとうに虫食い状態になるおそれもありますので、やはり、ときとしては国土総合開発法の機構も整備をし、それから公団もつくり、それからレンタル制度等も行ない、それから土地の利用規制も行なう、特定地域の指定もできる、それから新全総もピッチを上げてやりましょう、こういうことですから、テンポとしては、私はいっときも早くやりたいと思うんです。そうでなければ、東京から何十万人も出ていくというような実情もあるわけでありますから、だから、そういう意味でいっときも早くやりたい。五十年度と言わないで、四十九年度一ぱいにもというふうに、少しでも繰り上げて、そして御審議をいただけるようなものから一つずつ具体化していくと。それで、四十九年度になったら、いまよりももう少し明確な青写真に近いものをつくっていく。全部がきまらぬでも、どうしてもこれだけはやっていきたいというものがあれば御審議をいただけるようにしたいと、こう思います。
○矢追秀彦君 私は、列島改造をやられる場合、いまの税制を活用していくのと、そうでなくて、国債を使い、そしてこういう公共事業をふやしていくのとではだいぶ違ってくると思うわけです。要するに、国債を大きく発行して公共事業をどんどんふやして……。私が言いたいのは、まいまのまだと、ことしの予算の中では、列島改造ということについてはあまり大きなことは言えないというわけです。総理が決断と実行も言われた。そして列島改造をこれだけ言われたにもかかわらず、今年度の予算を見ると、いままでの予算と変わらない。ただ、公共事業がふえたにすぎない。項目の並べ方が変わっただけである。結局、これは列島改造にならないで、むしろ、それが大きな混乱の原因になっておる。せめて、やるなら、その目玉商品であった、いま議論した税制を入れるべきであったと言いたいわけなんです。その結果、いま何が起こっておるかと言いますと、御承知のように、土地の値上がりから始まりまして、木材あるいはいまセメント等の値上がりが出てきておる。こういう事態を私も非常に心配をしておるわけです。これがこのままずっといきますと、だんだん毎年毎年予算の規模が拡大をして、そして公共事業への投資のみがだんだんふえていく。で、列島改造のブームだけが先行して非常な大きな問題が出てきておる、こう指摘をしたいわけなんです。そういう意味で申し上げておるわけなんです。そういう点で、いま問題になっております木材、セメント等の、いわゆる建設ブームの結果出てきた値上がりについてはどう考えておりますか。経企庁長官でけっこうです。
○国務大臣(小坂善太郎君) まず、先ほど総理にお答えいただいたことでございますけれども、税によって都市から追い出すというような形も一つの方法でございましょうが、それにはやっぱり、受けざらがなけりゃいけないと。今年度の予算は受けざらの段階であるということでございますわけで、今後の列島改造の仕組みというのは、五年の経済社会基本計画でお示しをしておるので、それに従ってやっていこうということでございます。その点で、税がどういう形で必要かということになりますれば、税制調査会等でまた新しい税の体系を考えることになりましょうと思います。ただ、工場追い出し税と称せられるものは、昨年度国会で審議未了になりました関係もありまして、これをすぐにことし出すというよりも、いま申し上げた、そうした観点で考えていくほうが自然ではないかというふうに思っておるわけでございます。 で、そのことと、いまの木材等の値上がりというものとは、これは直接的な関係は私どもはないというふうに思っておるわけでございまして、これは少し話が長くなりますけれども、やはり全体的な国際的な値上がりの問題と日本国内における需給の問題、この需給の関係はやはり財政・金融両面からきた問題が多いと思いますが、特に言えますことは、一昨年のニクソンショック以来の日本がドルを買いささえた、これによる過剰流動性、また、その後における銀行の貸し出し増、そういうものからくる金融の非常に緩慢な状況がもたらした需要増、一方、そこにもってまいりまして、景気がよくなってきたんだから家も建てようということで、非常に木材の需要がふえてきた。全体の木材の需要のアンバランスがあったということが木材の値上がりの大きな原因ではないかと思っておるのでございまして、それに対しては、木材の緊急輸入の対策を立てまして、その効果がありまして、木材はだんだん落ち着いてきていることは御承知のとおりでございまして、いまのお話のように、列島改造の構想が木材の値上がりを呼んだのだというふうにに私どもは考えておりませんわけでございます。
○矢追秀彦君 私は、税の問題といまの値上がりと直接を言っておるわけではなくて、この総理のやろうとしておる日本列島改造論というものがやはり今日の事態に拍車をかけた。いま改造論と木材、これは外国が悪いんだというお話ですが、それではセメントについてはどうですか。セメントの現状について報告してください。
○国務大臣(小坂善太郎君) セメントは、御承知のように、不況カルテルをやっておった業種でございまして、不況カルテルというのは、供給が多くて需要が少ないから不況になる、したがって生産制限をやるということでやったわけでございますが、このときになりまして、急に今度は足りないということは、はなはだ不可解なわけですね。なぜそういうことが起きたか。これは通産大臣の御領分でございますが、通産大臣からも非常にこの点は強調していただいておるわけでございます。やはりこれは買い占め等もある程度あるのじゃないかということで、先般来から皆さまにいろいろ御論議をいただいておりまする売り惜しみ、買いだめの特別の規制の法律というようなものもいま国会に出しておりますわけでございます。そういう問題について十分規制をいたしていきたいというふうに思います。 それからもう一つは、やはり過剰流動性の問題、これを否定するわけにはいかないと思います。これがやっぱり根本でございましょう。しかし、その一方、そうした問題もあるということでございまして、私どもは両面から、このセメントの値上がりに対しては、これは非常に重要な生活に直結する問題でございまするから、値上がりがおさまりまするように極力努力したい、手を打ちたいということで考えております。
○矢追秀彦君 セメントの現在の実情は長官御存じですか。いまどれぐらいの値段になって、いまセメントはどういう混乱状態にあるか、御存じですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) セメントの需要は、暖冬異変の影響もございまして、普通ならば、事業が冬は萎縮するのが、ことしはそう雪も霜もありませんので、非常に事業が旺盛でありました。そういう意味で、例年に比べて工事関係の要求が非常に増大しております。対前年月比で見ますと、一月は二二%増、二月は二五%増、過去十カ年の平均の伸びは大体一、二月は一〇%増であるわけです。そこでフル稼動を命じてやっておるのでございますが、二月二十八日からの国鉄の順法闘争の影響が強く出てきまして、これは全国的に出てまいりました。関東内陸工場の出荷は、二月二十八日から三月二日平均で約四割減になっておる、こういうことがかなり最近は響いてきておるわけです。 大体、借段は、過去数年間は低迷状況で弱含みであったわけですが、最近は非常に強含みになって、一部で需給が逼迫しておる。特に中国地区等においてはそういう現象があります。これは公共事業、特に新幹線や高速道路の仕事がそこで非常に旺盛になってきたと、そういう点で起こった現象でもございます。そこで、政府としては、広島市を中心にするものについては、約一万トンのセメントを韓国から緊急輸入いたしまして、あの地帯に張りつける手配をいたしました。そのほか、フル稼動を命じまして、特に公共事業関係に対する優先供給、それからセメント会社各社間の製品融通を促進させる、それから価格の高騰を防止するために需給協議会をつくりまして、通産省が直接指揮をして乗り出して、その価格と需給のあんばいをいまやっているところでございます。特に、広島それから大阪、それから四国方面が逼迫しておるもんですから、通産局に命じて特に力を入れさせてやっております。
○矢追秀彦君 いま、値段が幾ら現場でしているか、御存じですか。
○政府委員(山下英明君) 私どもの調べで、十二月、一月、値段の指数では一〇八・三%から一〇八・五%にほぼ横ばいでございますが、値段はバラ物ではトン当たり六千百円、袋物では四十キロで二百九十三円という全国平均の調査でございます。物が地域によって足りなくなっておりますので、現場ではもとよりこういった平均より高い値段で言い値が出たり、取引されておるという事情は報告を受けております。
○矢追秀彦君 それは幾らぐらいですか。その現場の値段が、現在幾らぐらいしているというふうにつかんでおられますか。
○政府委員(山下英明君) 私どもに入っております通常の取引で、非常に高いというのは三百三十円ぐらいと承知しております。
○矢追秀彦君 実際はもっと高くなっているわけです。いま千八百円から二千円というのが、実際の現場ではあるんです。これは、私直接聞いてきたわけですから。要するに、非常にいま上がっていることは事実です。で、ただ、もちろん値段の上がりが大きな問題ですが、先ほど言われたように、現場がなくて非常に困っておる。大手の建築業者というのは、これはまあかなりたくさん持っておるようでして、何ともないわけですけれども、中小の建築業者が現在物がなくて非常に困っておる。それを買いあさるために、大阪の人が直接栃木県までつてをたどって、そして朝から晩まで並んで、そうして幾らでもいいから買うと、ちょっとでもかまわないからと。そういうふうな状況がかなり出てきております。というのは、やはり三月末決算期でありますし、仕事をきちんと納めなくちゃいかぬということで、そういう状態で非常にセメント——私も実はこういう実情とはあまり知りませんでしたが、先日来いろんな陳情等が参りまして初めて知ったわけでありますけれども、結局、これの元凶も、公共事業が非常に大きく拡大をした昨年度の予算あるいは補正予算、その元凶は私は総理の日本列島改造論から始まると、これが一つのこういう形になってあらわれてきておる。それに伴う処置がとられておればよろしいんですが、セメントはいままでどっちかというとあまり顧みられていなかった。だから、公共事業が拡大するに伴って、セメントの需要というのはわかるはずですから、そこでどうして処置がとれなかったのかと、その点、建設大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(金丸信君) セメント不足という問題につきましては、御指摘のとおりでありますが、ただいま通産大臣から御説明がありましたように、いろいろな方法をとりまして、公共事業を優先し、ことに中国地方は災害等もありますので、そのほうにも回していただく手配もいたしておりますし、また建設省といたしましては、セメント協会の幹部を建設省に呼びまして、この問題につきましては、的確に迅速に公共事業の推進に協力していただきたいということで強く申し入れをいたしておるわけでございますし、また、各地建におきましては、ただいま通産大臣もお話がありましたように、通産局と、そして地建と、そして各公共団体と連絡会をつくりまして、万全を期す方法をとっておるわけでございます。
○矢追秀彦君 建設大臣、そういうことを言われますが、セメントだけじゃなくて、いわゆる建築関係の資材は全部上がってきているわけです。塩ビパイプについても上がってきておりますし、材木は少し安定したとは言われますが、一度上がってしまうとこれは下がらないわけでして、現実にはそう下がりが見られません。そのように、こういう公共事業の需要増で、非常に、そうでなくても値上がりしておるときにこれが拍車をかけた。これはやはり私は大きな政府の責任であると思います。そういうことを背景にいたしまして、要するに、卸売り物価というものもいまずっと上がってきております。いままで卸売り物価というのは安定をしておると、こういうことをずっと政府は言い続けてこられました。ところが、最近は卸売り物価がどんどん上がってきておりまして、二月には一月より一・六%も高くなっておると、こういうことが出てきておりますし、それから十三カ月連続でこれが上がってきております。この卸売り物価の上昇の原因は、先ほど経企庁長官も外国のものが上がったからと言われておりますが、もちろんそれも要因の一つでありましょうけれども、そのほかにどういう要因をお考えになっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 卸売り物価の現状は、四十八年二月の卸売り物価指数を見ますと、昨年二月に比較いたしまして、一年間で約九・二%、大幅に値上がりしております。その原因は、まず第一に海外要因といたしまして、輸入原材料の海外における相場が非常に上昇している。羊毛とか木材がその例です。それから需給要因といたしまして、景気回復に伴って需要が増加してきておる、そして供給が弾力的に増加しにくいものがそういう原因になっておる。たとえば木材、羊毛、毛糸、大豆等がそうです。それから投機的要因も過剰流動性を背景として、なくはない。そういうようなものが複合してきまして、最近顕著な物品における卸売り物価の上昇というものがあると思われます。
○矢追秀彦君 過剰流動性の問題はあとで触れますけれども、その卸売り物価の上昇を政府は二・〇%今年度は見通しをされておりますが、しかし、この二・〇%といいましても、衆議院での発言からも明らかなように、一・五%はいわゆるげたをはいておるわけでありますから、実際の年間許容量というのは〇・五%しかないわけです。それで、この四十八年度現在のこういった卸売り物価の上昇から考えて〇・五で済むのかどうか、その点は、経企庁長官、どうお考えになっておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは私ども非常に苦慮をいたしておるわけでございまして、先ほど通産大臣が言われましたように、非常に最近の騰勢が強いわけでございます。どうもいまのところ、四十七年度末が二・二%、四十八年度が二・〇ということに考えておりますが、四十七年度末の二・二もなかなかむずかしいと、よほど努力をしないといけないというふうに考えております。
○鈴木一弘君 関連。 通産大臣の答弁からひとつぜひとも伺いたいんですが、先ほど卸売り物価の値上がりは輸入原材料の値上がりが大きいと、いわゆる海外要因のことを言われました。特に羊毛などについては、という話があったんでありますけれども、羊毛については、はっきり申し上げて、わが国の商社の買い付けが激しくて、そうして価格を二倍に上げ三倍に上げ四倍に上げるというように、原地で引き上げてきていることが大きな原因になっている。ですから、何のことはない、わが国の商社の活動でわれわれが高い羊毛を手にしなきゃならない。それがさらに値上がりを待って買い占められて倉庫に眠っていて企業には回らない、機屋には回っていかない、動かないと、こういうような形になってきているわけです。これはきちっと、しかべき規制なり、何かちゃんとした指導なりを、これは行政指導なりをしなきゃたいへんなことになっちゃうんじゃないか、こういうことを感じられるわけです。その点がどういうように商社そのほかについて、きちっと手を打たれようとしていらっしゃるのか、あるいは今後するのか、あるいはしたのか、それをひとつ伺いたいということと、先ほどのセメントの問題でありますけれども、一袋三百六十円とか二百九十円のものが現在は千八百円もしても手に入らない。セメント工場へ行って朝から晩まで並んでも六十袋しか手に入らないという現状です。これじゃもう仕事ができないどころか、中小企業のほうはほとんど倒産せざるを得ないという状況に入ってきている。はっきり申し上げて、広島等のようなところについては一万トンの手当てをしたと、韓国から緊急輸入を行なうということでありますけれども、なぜこんなふうに工事量がふえているのか。一つは公共事業を昨年の暮れの補正予算のときに大幅に伸ばした、これが一つの大きな原因ですよ。ですから、そういう意味では、それを鎮静させるためにも、少し公共事業の繰り延べなんという措置を考えなきゃならないのじゃないか。そういう、政府みずからが起こしたような、いわゆる中小企業や業界をつぶそうというような動きはこれは許せないことだと思うんです。この点について、二つお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) セメントのいまの御指摘のような問題がございますので、通産省としては建設省と打ち合わせまして工事の竣工期を少し延ばしたらどうかと、そういうことで需給を緩和するように建設省にお願いして、建設省でもたしかやってくれていることだろうと思っております。まだ私、確認しておりませんが、そういうことをお願いするようにやっております。 それから羊毛の点でございますが、羊毛は主として豪州におきまして羊の数が減ったということ。それから世界的に天然糸に対する、あるいは毛に対する選好が非常に強まってまいりまして、世界的に需要が強まってきた、そこへもってきて、日本の商社が確かに、おっしゃるように、買い付け値を高く、金を張ってやったということがやっぱりあるようです。それに加えるに、豪州のドルの切り上げがございました。そういう幾つかの要因が重なりまして高くなってきたところに、国内におきましても、そういう商品投機と思われるものがあったわけであります。そこで、商品投機に対してはいろんな手を打ちまして、丸代を七十万円まで上げたり、それから建て玉報告をやらして委託販売の売買の身元を調べて報告させる。そういうところまでやっておるところでございます。三千円前後をいま低迷していましたが、まだ下がっているというところへ参っておりません。そこで、商社につきましては先般商社の首脳部を集めまして、私のほうの次官から厳重に自粛方を申し入れして、商社もやりますという、そしてまた実態調査に対する協力もやると、そういうことを約束してもらいまして、今週から商社別にそういうタスクフォースをつくりまして、事情聴取を実は始めているところでございます。それで、その実態をよく見きわめまして、必要な手はどんどん打っていくつもりでございます。今回立法措置もいよいよ講ずることになりましたから、できるだけ早くこの法律も成立させて、必要あらばその法律も発動せざるを得ぬだろう、そう考えております。
○矢追秀彦君 建設大臣。
○国務大臣(金丸信君) セメントの不足していることにつきましては、全く不足しておりまして、値段も、先生のおっしゃるとおりのようなことも私は耳にいたしておるわけでございますが、そういうところで、私のところへ中小企業、いわゆる小企業で、実はもう私の会社は倒産せざるを得ないと、なぜだと聞けばセメントがないと、こういうようなことも訴えてきておるわけでございまして、この問題につきまして、ただいま通産大臣からもお話がありましたように、いわゆる直轄事業の中にも、災害関係等の問題につきましてはおろそかにできる問題ではないと思いますが、それ以外の問題につきまして、延ばせるものにつきましては十分考慮してまいりたいと、こう考えております。
○矢追秀彦君 具体的な問題がいま出てまいりましたので、経企庁長官にお伺いしたいのですが、いま、いわゆる買い占めであるもの、あるいは、まあ外国のものが高くなったからこれもある程度やむを得ないと思いますが、いわゆる商社が買い占めをしておるといわれて現在非常に急騰しておる、高騰しておるものは何と何と何であると掌握をされておりますか、経企庁としては。
○国務大臣(小坂善太郎君) 問題は、インフレマインドと申しますか、買っておけば将来上がるというふうな気持ちからいろいろなものに手を出していくわけでございましょうし、それは何も商社に限らず、まあ商社と称ぜられるようなものもございましょうし、その範囲は非常に多いのじゃないかというふうに思うわけでございます。ただ、いまの状況から見まして、できるだけ生活に直結したものに傾斜的にこれを取り締まっていくといいますか、実情を把握して、持っているものを吐き出させるということになりますと、あまりここで大きくいろいろと申し上げることがどんな影響を持つであろうかという点も、私の立場からちょっと懸念せざるを得ませんのでございます。そういう意味で、一般的にいわれております繊維類でございますね、その中にはガーゼも含まれるわけでございます。それから生糸、羊毛、それから大豆等はだいぶ前にも問題になりました。いまのセメントなども、それはどっかにあるんだろうというふうな感じもいたします。その他、皮革類とか、それからあるいは木材関係のものもございましょうかと思われますが、あまり具体的にこの場合に申し上げますと……。まあ法律ができて、通産省、農林省のほうで機動的に動いていただいて目的を達するという点からいいますと、この程度に申し上げさぜていただきたいと考えておるわけでございます。
○矢追秀彦君 いままで新聞に出たり、いろいろ私たちが実際経験しておるものだけでも、まあいま長官はぼやかして言われましたけれども、かなりあるわけです。これについて、一つ一つの面についてきちっとやっていけば、私はある程度防げたのではないかと思うわけであります。 農林大臣にお伺いしたいのですが、食糧品の中で、そういういわゆる買い占めといわれているものについて、農林省としては現在どういう調査を行ない、どういう処置をいままで講じられたか、これから講じようとされておるのか。いわゆるいまの商品投機を取り締まる法律ができなければ何もできないのか、その点はいかがですか。できたら品目別にきちんと言っていただきたい。
○国務大臣(櫻内義雄君) 現在問題になっておりますのは、大豆、これにつきましては、一月末、六十キロ当たり一万五千円まで上がっておりましたが、三月十四日現在では六千六百円まで下がっておりますので、これは鎮静化してまいったと思うのであります。これには、中国大豆あるいはアメリカ大豆の輸入要請などがきいたり、さらには、ホクレン所有のものの内地のものを緊急出荷をしてもらうというようなことでうまくいったと思うのであります。現在最も問題になっておりますのがモチ米でございます。これは、一月、六十キロ一万一千百六十円、二月、一万一千二百四十円というように値段が上がっております。このモチ米につきましては、食管法によりまして在庫調査を現在いたしております。大体の状況がわかってまいりまして、未検米を相当発見をいたしました。詳しい数字は後ほど申し上げてよろしいかと思いますが、概略して五千トン少しのものがございましたが、これは実需者のほうに適正に回るようにつとめたい、こういうことと、それからタイの買い付け、これが大体できております。それから政府の手持ちの放出等をいたしておりまするので、おそらくこの辺がピークではないかと、こういうふうに見ておるのでござまいす。 新聞紙上でマグロの問題がだいぶ話題になりましたが、これは私どものほうの調査では、四十五年を一〇〇といたしまして、四十六年十二月、一月、二月と、こういうふうに見ますると一三七・九、一五八・六、一三七・六というような指数を示しておりまするが、一月が非常に上がったのでありまするが、現在は十一月、十二月の線へ落ち着きつつあると思うのであります。これには、一船買いの問題であるとか、あるいは大型仲買人、商社等の動きなどがいろいろ批判をされましたが、批判されたほど私どもとしては商社などが大きく動いているようには見ておらないのでありますが、また、一船買いのことなどにつきましては、それぞれ事情がございますが、必要によって、また御説明を申し上げたいと思います。 アズキにつきましては、実際は北海道などに相当量ございましたが、これは、先ほど来の話題がございましたように、投機筋が相当動いたように見受けられました。そこで、ホクレンでたな上げにしておるものの放出とか、さらには投機的な動きがなおあるように思いまするので、緊急に海外から輸入の措置をとりまして、その結果、ここ二、三日鎮静化いたしておると思うのであります。 他にもう一つ話題になるのが庭木などでございますけれども、これらにつきましては、ツバキ、モクセイ、マテバシイ、こういうものについて最近の一年間の間の値上がり状況を見ますると、寸法にもよりまするが、大体ツバキが一本三千円のものが四千円、モクセイが二千円のものが二千五百円、マテバシイが一万円のものが一万二千円というようなふうに上がっておりまするが、現在農林省として緑化用樹木の計画的生産も試みておるところでございまして、この種のものは生活必需品とも違いまするので、また、他のものについてはそう上がってもおりませんので、あまり心配はしておらない、こういうことでございます。
○矢追秀彦君 そのほか、これはどこの省になりますかね、絵画とか骨とうというのはどこの省が担当されておりますか、これについて答えていただきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 物価ということで私から便宜お答えいたしますが、これはたいへんに値上がりがひどいといわれておりまして、特に最近書画を扱います者の話でございますと、実際は、書いた人の手にはたいへん少なくしか入らない、ブローカーの間で転々として非常に高くなっておるというふうなことを聞くわけでございます。実情は私あまりよく存じませんので、その程度にさせていただきます。
○矢追秀彦君 そのほか、まだ——さっき羊毛とセメント等が出ましたが、そのほかに最近では、やはり化繊の買い占めも始まっているということも言われております。昨日も田中委員のほうからガーゼのこととか、ネグリジェのことが出ましたが、そういった化繊、綿製品、それから皮、こういったことがいま言われておりまして、いま、くつなどが相当値上がりが始まってきております。このように、現在の国民の立場に立つと、いまの経済というのはちょっと気違いじみておる。ギャンブル経済というか、また、一億投機化というと語弊がありますが一部の人たちが非常に投機熱をあおっている。こういう経済状態は、これはもう完全なる相当の異常であると思うんです。その点の異常は、総理は、総理はお認めになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 異常な状態になっては困る、と。まだ、一部的な品物に対して投機が行なわれたり——いま上がっているような品物に対しては、理由は大体わかるんです。羊毛は海外要因であるとか、木材に対してはなぜかというと、これは木材が列島改造論でもって上がったわけではないのでして、木材は海外要因と、それからもう一つは、はっきり申し上げますと、景気の浮揚が非常にスピーディーになっておる。もう瞬間風速一五%、一六%というような状態が昨年の末から続いておる。ちょうど四十七年の下期から急激に上がっておるということ、金融がゆるんでいるために、土地とかいろんなことが言われておりますが、これは、住宅ローンだけは絶対に押えちゃいかぬ。これは住宅は六〇%、七〇%対前年度ふえているわけです。そういうところに鉄鋼、特に建築用材であるところの丸棒とか、それから下水道とか、水道に使うビニールパイプとか、それから電線用のパイプとか、セメントとか、というものが急激に上がっているわけです。ですから、まあしかし、これらは、セメントや鉄鋼は不況カルテルを結んでおったわけですから、ですから、これはフル稼働をさせなければならない。少なくとも、セメントが外国から入れなければいかぬというような状態であることは確かに異常であります。ですから、ほんとうに需要と供給とのアンバランスで、このままならセメントは急激に上がりますというなら、これはある時期に需要を押えます。はっきり申し上げて、政府が押えられるところは押えられるんですから。それで、民需に対しても押えるというならば、これは金融を引き締めればいいんですから、押えざるを得ない。これは、物価問題がことしの最大であるだけに、そうせざるを得ないし、四半期別の需給のバランスをとりながらやっぱりやらなければいかぬ。だから、予算執行に対しては非常に慎重な配慮でもって予算執行いたします。こういうことを申し上げておるのは、そういうことを意味しておるわけです。 しかし、いままでなぜ押え切れなかったのかというと、二つの原因があります。一つは、変動為替相場制に移っている。これは実態を十分つかまないでいきますと、必要な輸出は内需に振り向けなければいかぬわけです。それで、中小企業や零細企業に影響は絶対及ぼさないようにしなければいかぬということで、変動為替相場制移行や、円の切り上げが行なわれた場合には、うんと金融をゆるめなければならない。それで、四・二五%という、世界先進工業国で一番高かった公定歩合は、一番低くなっているわけです。ですから、そういう意味で、実態を把握しないでやると、中小企業やいろんなものがダブルパンチになるということになりますので、非常に注意をしてきたということが一つ。 もう一つは、三月まではこれは輸入期であるし、品物は入ってくるというようなところで、輸入は対前年度六〇%も伸びているわけです。そういう問題と、財政対民間収支は揚げ超期になっている。そこへ、三月十五日は、税金を納めなければいかぬ、と。こういうことですから、その実態を把握してこないで、むやみに締められないということでございまして、十六日——きょうからでありますか、準備率も引き上げておる。準備率に影響するものは、最低でも三倍とも言われるし、最高は五倍とも言われるし、もっとだったら七、八倍から十倍も動くのだと、こういうことですから、多少の日は見なければならないと思っておりますが。セメントや、丸棒——セメントは少なくとも三百円のものが千三百円するというようなことが続くなら、これは政府の責任で公共事業を押えます。押えざるを得ません。そんなばかなことで民間の住宅が建つわけはありません。だから、そういう問題に対しては、いま非常に実態を把握するために調査をしておるわけです。しかも、製造能力がないということになれば、これは押えざるを得ないわけでありますから、そういう問題に対しては、予算執行の過程において、財政金融政策は適切に行なってまいります。
○矢追秀彦君 そのほか、買い占めとうわさされておるのは、まだ一ぱいあるわけですが、あまり答弁も出てこないと思いますのでやめますけれども、物だけまだ言っておきます。タラコがあります。それからエビもあります。そのほか、最近ではある商社が、いわゆる青田買いの攻勢に出ておる。キュウリのビニールハウスを買いかけておる。これは現実に新聞等にも出てきておりますが。要するに、何でもかんでもということになってきておりまして、いま総理は、予算の執行にあたっていろいろな点を考慮すると言われておりますが、現実にこうなってきた一番の元凶は何だと考えますか。いわゆる問題になっている過剰流動性ですか。総理は、日本列島改造論は否定をされますか。
○国務大臣(田中角榮君) これは、ここまでまいりますから申し上げますが、一つには、一番大きいものは、やはり第一次の円平価の切り上げということに対して、こんなに早く景気が浮揚するとは思いませんでした。中小企業や零細企業はみんなつぶれてしまうのではないかというようなあの状態で——初めて経験することでありますから、そういう状態でありましたが、それにしては、そういうふうな状態でもって財政も金融もすべてゆるめて、一切の手当てをしたわけでございますが、やはり日本の第一次の円平価調整には耐え得るだけの体質があった。だから、景気は非常に早く浮揚したということが一つございます。だから、そういう意味で、金融の緩和と、もう一つは、過剰流動性、いわゆる外貨が入ってきたことに対する手元資金が潤沢だった。しかも、適宜な設備投資、まあ前のパターンから言えば、手元の流動性があればすぐ設備投資に回ったわけでありますが、設備投資はなかなか——ようやく去年の暮れから動意を見せておるということであります。銀行に返そうとすると、銀行は返さないでいいと、こういうことでありますから、何かに使わなければいかぬということがあったと私は思います。ですから、金融の緩慢と、もう一つは、過剰流動性、いわゆる外貨からくるところのものがあったと思うのです。 もう一つの問題、これは言いにくい話でありますが、まあ申し上げますが、これは貯蓄性向は落ちていないわけであります。このような状態の中に、貯蓄性向は落ちていないというと、理想的ではないけれども、やはりまとまった金は持っていないけれども、大衆から集める預金量というものは相当大きく伸びているというのは、これは確かでございます。しかも、そこに使い道のない系統資金——農協のような十兆円に近い系統資金がございます。それに、雑金融機関というものは日銀の範疇から出ておりますので、統制は及ばないというような状態、そういうものに対して甘かったと言われればそういうものもありますが、やっぱり中小企業や、平価調整というものの混乱というものを防ぐためには、やっぱり甘いほうがいいんだという考え方、万全の態勢というものは、そういうものであるというところに、いろいろなものがあったと思うのです。ですから、通貨の発行高を見ても、百貨店の売り上げ高を見ても、ものは上がっております。上がっておりますが、売り上げ高は非常に対前年度伸びている。こういうことで、流通するものは非常に多いわけです。ですから、いろいろなものがあります。それをみな列島改造論と言われても、私はあえて反論しません。そういうものよりも、物価を上げてはならないという責任を持っておる政府でありますから、そういうことを私は申し上げるつもりはありません。しかし、やっぱり第二回目は、一回目の——矢つぎばやに第二回目にきましたから、今度もやっぱり多少物価は上がっても、日本の中小零細企業というものの実態を見きわめなければいかぬということで、逡巡がちである、慎重である、いい意味では慎重であります。しかし私は、やっぱり物価問題が最大であるならば、これは、金融政策、日銀とも相談をしなければいけませんし、また金融機関にも十分理解を得なければなりませんが、動いているものと財政との比較をしてみれば、もう問題にならない金であります。ですから、やっぱり万全な態勢を見きわめてから適当に節度を持つか、引き締めておいて必要なものは選別融資をするかという、二者択一ということになれば、やっぱり物価抑制というために、適切な、財政は繰り延べても調整すればいいわけです。財政と金融との調整ということを真剣に考えなきゃいかぬ。こういうことで、政府部内としても、政府としても意思の統一をはかりながら早急にやってまいりたい、こう思います。
○矢追秀彦君 いま、いろいろ総理は言われましたが、その円の切り上げから、今回のような事態になるのが非常に早かったと、予想以上であったと、また、切り上げに耐え得る体質がこれほどあるとは思わなかったと言われておりますが、現実問題、もちろん中小企業が受けた影響というのはあったわけでありますが、やはり日本人が勤勉であったことと、いろんなことで、今日まで来たのですが、この輸出の——まあ輸出、輸入、こういう貿易に携わっておるのはほとんど日本は商社がやっております。大商社は、前回の円の切り上げが行なわれても、極端に言うと全然こたえなかったのですね、結果的には。というのは、それが結局過剰流動性というものを生んで、結局、商社は金が相当ありますから、買い占めを始めたわけです。どうして商社は、この円の切り上げにもかかわらず、相当の利益をあげるに至ったと思われますか。
○国務大臣(田中角榮君) その実態をこれは非常に究明をしておるわけであります。たとえば、通産省も十分やっておることでございますが、こういう場合、商社というもの、これは下請をたくさん使っておるわけでありますから、商社は一〇%切り上げられたら、下請にしわ寄せをするというのが過去のやり方だったわけです。それはいまの状態ではちょっと違っております。これは、設備投資をやったときに、大体三分の一は下請のおやじさんが家や田地を担保にしてやる、あとは会社の力で借りる、あとは親企業は大体三分の一設備投資を持っているのです。ですから、昔のように切り捨てごめんというような下請と親企業との関係ではありませんが、やっぱり一〇%切り上げられたということに対して、それだけアメリカに高く売れるんだということであるならば、そういう場合、その三分の一投資をしておる投備投資の償却を行なったり、いろんなことをするようにということを、私も通商産業大臣時代から指導してきたわけですが、その実態がまだつかみにくい。これは倒産というものが起こると思っておったものが起こらなかったわけです。これは、燕の洋食器などは全然一軒も——一軒もというのは語弊があるかもしれませんが、ほとんど転廃業はしなかった。そしてやってきたわけですが、今度は三分の一転廃業しなきゃならぬ、転廃業する場合には、親企業が出した持ち分をどうするのかということが事実として出てくるわけでありますから、そういう意味で、下請企業に一体寄っているのか。もう一つは、ある短い時間でありますから、実際は円平価が切り上げられておっても、向こうのほうの、先方の取り扱い業者との間にマージン一〇%下げて輸出を出しておるということになると、輸出は依然として出るわけであります。これはいろんな、その辺も新しい形態でありまして、実態的にはこれはたくましい商売をやっているところが方々にあるのです、実際において。ですから、そういう意味で、その実態を把握をしてみないと、商社の利益というものがどのくらいあったのかということは、正常の商売においては、私はいまにわかには申し上げられないと思うんです。 ただ、余剰資金をもって株を買っておった、土地を買っておったということになると、その分だけはこれはもうかっているはずです。投資をしているとすれば、それはもうかっております。ですから、株などは自動的に上がるようになっておるわけです。持ち合いをすれば半分減資されるわけですから、市場でもって動く株の数が少なくなれば、その分だけ株は上がる。こういうことですから、そういう状態において、商社と個人との持ち株が、六、四が反対になった、こういうことだって、このままでもって売れるとすれば、それはそれだけの利益があると思います。その場合は課税はちゃんとするつもりでございますが、課税しても全額取るわけじゃありませんので、やはり利益は生ずるという可能性は否定できないわけでございます。可能性は否定できません。しかし、実態を把握して、中小企業やそういうものの犠牲において商社が利益をあげているというなら、その還元に対しては十分考えなければならぬと思います。
○矢追秀彦君 総理は、どこまでその実情を御存じかよく私もわかりませんが、いろいろそれは原因はあると思いますけれども、私は一つの例をあげて申し上げますが、「エコノミスト」の今週号には、「企業力診断」という、「エコノミスト」でいつも出ておる部分であります。ここには日商岩井のことが出ておりますが、この中をちょっと読みますと「四十七年九月期は、輸出の減少を国内販売の増加でカバー、一〇%の増収を確保、半期取扱高は一兆円台に乗せた。利益も鉄鋼、木材の値上がり益、金利負担の減少、為替差益などで償却前利益は二二・二%増の七十三億二千七百万円になった。四十八年三月期に入っても商品市況の高騰が著しいが、鉄鋼、木材に強い同社はその影響をフルに受け、取扱高は前期比一六・四%増の一兆二千四百億円になるうえ、利益面でも経常利益は四一%増の六十二億円、税引き利益も三七%増の二十億円の予想である。」こういうのが出ております。だから、いま問題になっております鉄鋼や木材の値上げというようなものも、結局こういう商社の利益にプラスになっておりますし——総理、この表をちょっと見ていただきたいのですが、その表をごらんになりますと、これは私がちょっと、大ざっぱな計算で恐縮ですけれども、やってみたんですけれども、いわゆる大商社というのは、大体輸出と輸入の売り上げ高というのがフィフティー・フィフティーになっているわけです。一番最後に。パーセントが入っておりますから……。だから、輸出で少しの打撃をかりに受けたとしても、結局輸入のほうでもうけているわけです。輸出と輸入の差を全部足して、そこで計算しますと、輸入のほうがプラスになっておりますから、結局利益はあがっている。そこへもってきて一〇%今回切り下げになれば、何をしなくてもその一割は必然的にプラスになる、こういう形も出てくるわけです。もちろん、輸出のほうである程度の影響が出ますから、まるまるその差の一割が利益ということにはならぬと、こう思いますけれども、その一つの目安として、結局、大商社というのは、そういうコントロールができるわけです。 しかも、もう一つ、政府のほうではどのように考えておられるかわかりませんが、いわゆる自主レートというもの、これは実際行なわれておりますけれども、その点の実情は把握されておるわけですか。これは企業の秘密として政府としてはわからないわけですか。実際純益の計算の場合はある程度やらないと——ほんとうに操作できますから。三百八円のレートのときで、もうすでに三百円とか、現在は、私の知っている情報では二百五十円で取引をやっているわけです、現実に。まあ、そういういわゆる会社が自主で立てておるレート、こういうことがずっとうわさされておるわけですけれども、この実情はどういうふうに政府としてはつかんでいらっしゃいますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 商社論でございますが、商社がなぜ活動が活発であるかというと、やはりその背景には景気がいいということがあると思うのでございます。需要が旺盛である、まあ需給ともに旺盛であるということでございましょう。そこで、総理からお答えになりましたように、一昨年の円の切り上げ、あれ以来非常な不況になるのではないかということで、財政、金融ともに相当の措置をしたわけでございますね。ところが、意外に景気の回復が早かった。しかし、景気が回復したんだけれども、まだもっと、これ、腰を立てにゃいかぬというようなことで、銀行の貸し出し等が少しもゆるんでいなかったというようなことから非常な過剰流動性が生じてきたというふうに私は認識しておるわけでございます。実は、私のほうで月々に経済報告をやっておるわけでございますが、十二月になりまして非常に風速が速くなりまして、一例を申し上げますと、卸売り物価が一—三月、第一四半期で前年の同月比が〇・七%減であったんです。これが四—六になりまして〇・五%減、七—九が〇・三%増になりましたが、十二月になって四・一%増というふうになりました。機械受注も第一四半期では一七・四%減でございましたのが、第二四半期で七・五%減、第三四半期で八・四%減でございます。この程度はまだ不況という感触があったんですが、第四四半期になりまして実に二六・八%増でございます。機械受注というものは当然設備投資の前提でございますから、これが三カ月ぐらいおくれると設備投資が非常に増加するということで、今日のこの状況というものは十二月に出ておったといっても過言ではないわけでございます。私は非常に心配いたしまして、もっと金融を締めにゃいかぬというふうに考えて、いろんなところで言っておったわけでございますけれども、私の努力も足りなかったかもしれません。しかし、いま第二回目の準備率の引き上げもやり、また、その後においての金融の操作も考えられておるようでございまするが、ただいま総理から財政についてもこれを考えていこう、こういうお話があったわけでございます。全体の総需要が多ければ、そこに商社が活動しようが、だれが活動しようが、当然に利益が出て活動の余地が出てくるわけでございまして、私は、商社が経済力にものを言わせて公共の福祉に反するような経済活動をやれば、これは当然その限りにおいて指弾されなければいけないと思いまするけれども、しかし、こういうものは悪いんだということになりますと、これはまた問題が別になるというふうに思いますわけでございまして、やはり日本のような資源の乏しい国が輸出入の貿易によって国を立てていく上には、この活動はやはりこの活動として評価する必要があるんではないか、かように思っておりますわけです。いずれにいたしましても、いまのは確かにこれ、需要が旺盛過ぎて、こんなふうにしていきますと、またもとの設備投資主導型に戻るおそれすらあるというふうな感じもするわけでございまして、そういう点はほんとうにこの辺で深刻に考えなきゃいかぬというふうに私は思っております。
○矢追秀彦君 総理、このデータでおわかりと思いますが、私は何もこれがいいとか悪いという議論の前に、これだけ商社が輸入でかなり輸出のカバーをする、これは商社として自衛上ある程度はやむを得ないかと思いますけれども、この輸入で、今回の切り下げがあった場合、ドルが切り下げられた、円がどこでどうなるかわかりませんが、その場合の利益をやはり国民に還元しなきゃいかぬと思うんですね。要するに、それをただ金融の一方の引き締めだけで吸収できるのか、結局これでドルがたまってくるわけですから。要するに、まだこの輸入のほうでばく大な利益を得ておる、こういうことで商社が金を持つ、両方あるわけですよね。その金はそういう買い占めに使わないで、やはり国民に何らかの形で還元をする。もっと物を安くすることも可能でしょうし、輸入したものを安く売る方法だってできると思いますし、なかなか安くなるものは少ないわけですね。現在物がかなり自由化になったとしても、まだまだ安くなっていない現況ですし、また、前回の円の切り上げで現実に安くなったものは高級品です、万年筆とか時計とかウイスキーとか。いわゆる庶民が必要とする、いま非常に困っているような物では、むしろ上がっておる。これは品不足という問題があるかと思いますが、その前に、こういった商社が輸出、輸入両方とも非常にうまく立ち回ってもうけたお金、あるいは余った金をそういう投機に使うのを規制するだけでなくて——規制したからどうなるんじゃないと思います。それをどう国民に還元させるか、その辺を私はもっと政府としては指導すべきだと思うんですけれども、その点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) いま御指摘になられた数字から見ると、なかなか商売うまくやっているなあということはよくわかります。これは輸入と輸出のバランスが二兆一千億くらいでもってぴしっと、こう、とれておるということでありますが、十社余の、会社別に見ますと、輸入の多い会社もあります。輸出の多い会社もあります。これはその数字だけではなかなか危険負担というものを十分考えてやっているなということだけしかわからないのであって、実際手持ち資金でもって輸出をして、その輸出の手持ち資金で同じ額だけ輸入しておれば、過剰流動性は起こらないわけであります。決済をする間だけ幾ばくかの時間、余裕ができるということもありますが、その表の限りにおいてはあまり流動性がないわけでありますが、しかし、会社別に決済のやり方とか、輸出だけ非常に多くて輸入は少ないというような会社は、それを見ても、ある時期手元資金が非常に大きかったということはあります。しかも、その輸出代金が借金によってまかなわれておったものか、また、そのほかに市場で時価発行して資金を得ている会社もありますから、そのバランスだけではよくわからないのです。二兆円余の輸出入総額に対して計上している利益というものの率から言えば、それは対前期との比較では大きくなっておりますが、これは繰り延べていろいろ決済しているものもありますから、必ずしもそれで実態をつかむわけにいかぬと思いますよ、思いますが、その金が全然返らないで、銀行からの借り入ればそのままにしておって、輸入代金の入っている会社は手元流動性は非常に拡大をしておったわけです。ですから、この間は日銀は会社別に手形の買い取りを制限する、こういう処置をとったわけでございます。それは実績からそういう処置をとったのだと思います。だから、今度五月になればやはり三月決算が出ますから、これは大蔵省も相当内容的には十分つかみ得ると思います。あとは通産省から指導してもらったり、内容調査をしてもらったりする以外にはないと思います。あとは金融機関別に引き揚げるものは引き揚げるようにということでございまして、私は、ある時期においては——これはまだまだ早い発言でありまするが、やはり預金金利も引き下げたけれども、どうも少し流動性が多過ぎる。多いという問題に対しては、物価の問題もありますが、やはり預金で幾ばくか吸収するというようなことも考えなければいかぬのではないかとさえ考えております。これは金融当局の話でありますから、政府でも十分実態を把握して考えますが、商社活動に対しては、今度は法律さえ通過すれば、いろいろな状態において立ち入り検査をしたり調べたり実態をつかむことができると思います。
○矢追秀彦君 先ほど申し上げた、各会社で自主的にきめておるレートですね、一ドル現在二百五十円ということも聞いておりますが、この問題はどうお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) これは、変動相場制に移るとか円平価の調整が行なわれるというようなことになると、みんなやるわけでありますが、去年も、もう二百八十円でやったとか、中小企業に聞くとすぐわかるわけでありますが、二百八十円——三百八円だけれども、二百八十円でなければ売れないから、というのは、先ほど言ったように、向こう側の手数料も落としてもらったり、いろいろなことをして円平価調整によるマイナス面をカバーしようとしますから。それが実際において中小企業や零細企業、下請にしわが寄っちゃ困るということを先ほどから述べているのはそれであります。これは実態的に契約をして、実際のレートでもつて、きめたレートで決済されるわけですから、決算がそれで行なわれるわけで、課税上その額だけ課税を免れるというような脱税行為が行なわれるというようなことはありません。実際に入ってくるものは、為替管理をやっておるわけですから、窓口をしぼっているわけですから、そこはもう間違いなく決算上は捕捉できる問題でございます。
○矢追秀彦君 そうやって、かなり自主レートが、前回三百八円にきまったときでも、もうすでに二百八十円ぐらいでやられて、なおかつこの輸出が、政府からいただいたデータを見ましても、ずっと伸びている。四十八年の一月では、もう前年度比は一一六・四%、依然として伸び続けておりまして、商品別に見ると一〇〇%割っているのも少しはありますが、ほとんどがもう全部一一六、一二六、そういうように依然としていまなお伸び続けておる。こうなりますと、自主レートはうんと下のレートで商売やって、まだまだこれ、輸出が伸びるということは、今後はどう見ておられるか。まだ続くと思われますか。もし続かなかったら、これは問題になってくるわけですけれども、今回の問題、さらにこれがどう固定相場になるか、これはこれからの問題でありますけれども、その点、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 長期的に見れば、デフレ的な状態は避けがたい、こう思います。しかし、短期的に見ますと、内需に回るといってもなかなか回らないんです。内需にはすぐ回らないということと、人員整理や転業をしようといったところで、いますぐできないわけですから、そこで出血輸出という問題が起こってくるわけです。出血輸出になると、これはたいへんなことになる。実体とは違う評価を受けるわけです。だから私は、日米間でもいろんな接触がある場合には、変動為替相場制になっても将来的には日本は非常に困るんですよと、中小零細企業という特別な状態をかかえているだけに非常に困るんですと、しかし、半年とか三カ月とかというものは、逆に輸出というものは出るかもしれませんと……。 私は、いまお示しになった中には、何かことしの秋にはあるんじゃないか、輸出税がかけられるんじゃないかということで、かけ込み輸出があるわけです。貿管令発動と言ったら三カ月分ぐらいぽんと出ちゃうんですから。輸出税などというものを国会でもって一カ月でもって御審議願うとしたら、半年分ぐらい長期契約、これはもうよそでもみんなやっているわけですから、よその国でも。ですから、去年からはかけ込み輸出というものもあったんだろう。そういう実態も、これから業者の実態というものはだんだんわかってくると思うんです。これは。わかってくると思うんですが、何かわからなければだめなんですから、これは調査いたします。
○矢追秀彦君 時間もなくなりましたので、先ほどの、大手商社というのはそういう自衛手段も講じられますし、まあ両方でバランスとっておりますので、総理は先ほどから何度も言っておられた、いわゆる輸出専門の仕事をしておる中小の製造業とかあるいは商社、そういったところは非常に打撃を受けるわけですから、これに対するひとつ処置だけはぜひ本気になってやっていただきたいと思います。 こういうふうな状況の中にあって、経企庁長官にお伺いしたいんですが、消費者物価の政府見通しが五・五%になっておるわけですが、これはもうおそらく押えられない数字だと思います。しかも、経済社会基本計画によりますと、四%というふうに見通しを立てておられますよね、平均。前の新経済社会発展計画では、最後の年度では三%に押えると、こういうふうになってきておるわけです。その前の経済社会発展計画も三%だったと記憶しております。経済社会発展計画が挫折をし、新経済社会発展計画も挫折をし、今度の経済社会基本計画も初年度から挫折と、これでは私は非常に問題があると思うんです。確かに今度の経済社会基本計画では逃げられるような文章も出ておりますけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 実は、消費者物価のほうは、三月の末日、すなわち四十七年度は五・三%の予定の中に入れるというふうに考えておりまして、これは大体五・一ないし二でおさまるんじゃないかと思いますが、問題はその翌年でございまして、ただいまの卸売り物価の上昇の影響が相当に、直接的なものもございまするし、また三カ月から四カ月置いて影響の出てくるものもございますものですから、かなりこれには苦労すると思います。しかし、まあ問題は為替の相場が一つ入るという点で、ただいまお話し下さいました中期経済計画は、計画のときは二・五%でございますが、実績は五%になっております。それから経済社会発展計画は、三%程度というのが平均して実績は五・七、新計画のほうが四・四%、計画期間の終わりに三%台というのを書きましたら、実績は六・四%というふうに、いずれも見込みを上回っております。私どもは、これにかんがみまして、実は低く出して実際高くなるよりも、もうありのまま、そのままでひとつ努力しようということで四%台というのを出しておるわけでございますが、ただいまの状況では相当に努力を要します。しかし、努力はどういうことをするのかというと、財政、金融、貿易、為替というものをポリシーミックスいたしまして、そこに物価を押え込むという努力をするわけでございます。五年の間には、ひとついろいろなそうした手段を講じまして、そこへ押え込みたいと思っておるわけでございます。前の場合でございますと、為替が固定しておりますから、この三百六十円ないし三百八円ということに固定している状況と、今日、いま為替がフロートしておりますけれども、これがどこに固定されるか、今後の問題でございますが、その位置によりまして、輸入政策を活用することによって、物価を引き下げることはできるわけでございます。そういうことを考えておるわけでございます。計画は前のより高い平均値に出ておりますが、出したままにひとつ計画と実際とを合わせたいと、こう思っておる次第でございます。
○矢追秀彦君 いろいろ政策努力をすると言っておられますが、公共料金の値上げぐらい、たとえば四十八年度ぐらいは全部ストップする幸いまこれだけ物価がこういう形で上がってきて、国民が非常に不安になっておる。政府としてできるのは、まずいつでもできるのは、これですよね。公共料金の値上げを一年間やらぬと。これぐらいはやはりひとつ決断をもってやる必要があるんではないかと思います。そのためには、国鉄、健保の値上げはやらぬ、と、こういうことになりますけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) とにかく、公共料金を原則的に押えたい、押えなければいかぬということはわかりますが、国鉄、健保というのは、もうこれは懸案のものでございまして、あんまり押えると逆な効果が起こるわけです。ですから、そういう意味で、これはもう真にやむを得ないものである、この状況下において、なお運賃是正を最小限にお願いしますというんですから、政府も、もうやらないで済むことならどんなことをしても、もうやめたい。しかし、これはもうそうではなく、真にやむを得ないんだと。政府がこれだけ言われてなおお願いしますというんだから、これはもうやりたいということで御理解を賜わりたい。これはもうやむを得ないものでございます。これはもう、これをやらないでおくと、ますます国鉄もおかしくなるし、輸送力もどうにもならなくなるし、これはもう将来長きにわたっての問題でありますので、これはやっぱり長い目のうちで、いままで国鉄が押え過ぎたという面もあるわけです、ほんとうに。これはちょうどあの高度成長のときには国鉄運賃はもう少し是正しておくべきだったという、私自身も内閣の中枢におりましたから、どうもそういうことを考えておるわけでありますので、ぜひひとつ、これは避けられるものなら避けたいという中でお願いしているわけですから、避けがたいものであるということで、この二つは御理解賜わりたい。
○矢追秀彦君 平時であればまあ理解できないわけもありませんけれども、いまの経済はもう戦時状態ですから、いわゆるやみ市経済といってもいいくらいの状態だと私は思うんです。それだけにいろんな事情はあるかもわかりませんが、政府はそれぐらい決断を出して、少しでも国民のいまの不安にこたえるんだと、こういう姿勢を私は示すことを強く要求したいわけであります。 最後に、時間がございませんので、一点だけお伺いしたいんですが、これは経済社会基本計画の問題になりますけれども、これを見ておりますと、財政の大型化がどうしてもある程度は必要な面もわかりますが、このままいきますと、四十七年度に比べて政府経常収入は五十二年度にはほぼ二・五倍になります。その内訳で、税及び税外負担が二倍、社会保険負担が二・八倍、こういうふうになっております。このように、五十二年度に倍率を高めるとしたら、経常収入が年率一七・五%、税及び税外収入一五%、社会保険は二四%と、こういうふうな伸びになりますけれども、大体こういう方向なのかどうか。こういうこれからの見通しを見ておりますと、結局、財政規模が大きくなる。そしてこれが福祉型に総理は転換をすると言われておりますが、現実には税の負担が大きくなる。高福祉、高負担の財政の方向であると、こう私は考えるわけでありますが、時間がございませんので、またあらためて他の機会に詰めたいと思いますが、その点に対する答弁を伺って、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 御指摘のように、五十二年度の政府バランスは六兆円赤字になるわけでございます。これはこの期間に、やはり国民総生産が、四十五年度のベースで七十三兆円が百八十四兆円にふえるわけでございまして、これに対しまして、税はやはり全体をまかなうためにふえるわけですが、国民所得から見ますると、これは三ポイント程度でございますので、別に税がそういうようにふえるわけではございませんし、それから公債の依存度も大体一六%、今日の公債依存度は御承知のように四十八年度で一六・四%、昨年度が一七%、補正予算を入れますと一九%になっておりますが、これが一六・四でございますが、大体一六%台であろうと、こういうふうに考えておりますので、減税もずっといたしてまいるし、公債の依存度が特にふえるわけでもないと、かように思っておりますわけでございます。しかし、公債をなぜそう一六%程度続けていくかといいますと、やはり経済の仕組みを変えるために、福祉型の経済に切りかえていくためには公債の持つ機能を重視して、大型財政の中においてこの国民総支出というものの構成を変えていこう、政府の公共投資をふやし、福祉優先の経済に組みかえていくためにこの機能を重視していこう、財政の機能を重視していこうということに考えておるわけでございます。
○委員長(大竹平八郎君) これにて矢追君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(大竹平八郎君) 瀬谷英行君。(拍手)
○瀬谷英行君 田中簿美子議員の質問が、要求した資料がそろわないということでありますので、予定を変更して、私が先にやることにいたします。古本屋で売っている資料が国会で提出できないという話がそもそもおかしいんで、これは十分に心してほしいということを冒頭に申し上げておきます。 前の矢追委員の質問にも関連いたしますので、若干お伺いいたしますが、卸売り物価上界の原因について、先ほど通産大臣からいろいろと御説明がありました。昨年に比べて九・二%上がっておるということでありますが、セメントの話が出て、羊毛の話も出てまいりました。そこで綿糸と生糸はどうかということもこの際お伺いしたいと思うんです。場所によると大手十社に買い占められて非常に繊維製品が品不足になって困っておるということなんでありますけれども、こうあらゆるものが商品投機の対象になって思いがけないところで異常な値上がりを示すということは問題だと思うんです。そこで公正取引委員長からこれらの実態について報告をしていただきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 私どものほうの所管します独占禁止法では、いまの問題になっておりますところの買い占め、売り惜しみ等、そのものについて直接まあ規制するということではなくて、もしもその中に共同行為のような疑いがあれば、これは必要なる調査を権限をもって行なうということでございます。しかしながら、その共同行為が、おそらくないであろうけれども、万が一にもそういうものがあれば、当然私どもの義務を果たさにゃなりませんので、そういう考えから、いまは、わがほうの独禁法四十条の規定に基づきまして、関係の事業者あるいはその団体、ユーザー、需要者の側などから事情を聴取して、必要な資料の提供を求めて調査を進めている段階でございますが、現在までこれを報告するというふうな態勢にはなっておりません。また私どもが調査したことがそのまま個別の名前等をあげて出すということになりますと、調査はいよいよ困難になることでもありますし、また権限の上からいっても、若干これはオーバーする。やはり独占禁止法違反の疑いがあって、立ち入り検査等に踏み切ったときに、その事態は明らかにされるべきであるというふうに考えておりますので、買い占めの状況を調査はいたしておりますが、ここで御報告申し上げるというふうな段階にはなっておりません。
○瀬谷英行君 昨日の大蔵大臣の答弁の中に、ガーゼの値上がりの問題に触れまして、最近若い女の人がガーゼの寝巻きをつくるようになった、あたかもガーゼの寝巻きが流行したためにガーゼが値上がりをするかのような印象を与えるんでありますけれども、もしそうだとすると、木材の値上がりやとうふの値上がりはどういうことになるかということになるわけです。これはちょっとつじつまが合わなくなってくると思う。その点はどうでしょう。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私もどうもあまりよく存じませんで、ガーゼというものは傷口に包帯をしたりするようなときに使うものだと考えておりまして、ただ、ああいうやわらかなものをやわはだに着たらさぞいいだろうという気持ちは持つわけでございますが、どうもそういうふうに私が錯覚したんでございますね。そのために非常にぜいたく品のように申しまして、あとで田中委員からたしなめられまして、ああそういうことかなと思って、大いに自粛自戒いたしておるわけでございます。誤解を与える点がありますれば、つつしんで訂正をいたします。
○瀬谷英行君 しかし、ガーゼに限らず、すべて業者の買い付け、あるいは大手商社の買い占めということが相当大きな要因になっておることは否定できないんじゃないですか。これはどういうふうに調べられておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) やはりこう全体の需給の関係を見ますと、ただいま仰せのような買い占めの問題ももちろんございますし、しかし、全体の需要がふえているという点も、これは否定できないことだと思います。需要がなければ買い占めたら損するのでございますから、まあ純経済的に申しますれば、やはり全体の水の出てくるじゃ口を調整する、そして、その水があふれていかないようにするということが、一つの大きな流れであろうというふうに私は思います。しかし、その流れの中に妙な石を置いたりするのがあれば、これはその石は取り除かなければならない、かように思っている次第でございます。
○瀬谷英行君 需要がふえたとは、あながち言い切れないのじゃないかと思うのです。じゃ、とうふなんか、そんなに急に食べるようになったわけじゃないと思うのですよ、これは。木材の値上がりにしたって、家がどんどん建ったわけじゃないでしょう。そうすると、これらの問題は、明らかに投機の結果じゃないかというふうに見るのがほんとうじゃないですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 大豆は買い占めだと思います。ただ、私が申しましたのは、嗜好が変わってきたし、それから人々の資金量が、購買力がふえておるという点で、やはりいままで使わなかった人が新しいものを使えば、それに対する供給量がきまっておればこれは枯渇する、そういう面もあろうというふうに考えておる次第でございます。もちろん、とうふはぜいたく品ではございませんで、私も大好きでございますから、ああいうものはできるだけ食べたいと思うし、潤沢な供給がなけりゃ困ると思っております。これとぜいたく品を使うということは、これはおのずから別のように考えておる次第でございます。
○瀬谷英行君 そうすると、綿糸と生糸の問題、先ほど羊毛とセメントの話がいろいろと出てまいりましたが、綿糸と生糸も相当深刻な事態になっておるということなんでありますが、これらの問題についての報告を求めたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 生糸については農林大臣からお話があると思いますが、綿糸につきましては、大体前年同月比について物価の上昇率は四〇・九%、前月に比べて——二月のこれは調査でございますが、前月に比べて一〇・七%上がっております。この原因を調べてみますと、やはり景気の回復、それから綿花の値上がり、最近六カ月で三二%アップしております。それから天然繊維ブーム、それから需要の増大、それから投機と、こういうことが複合的に、起こっていると思われます。 この綿糸に対する政策といたしましては、商品取引所における証拠金の引き上げを数回やりまして、それから最近、糸のあっせん所をつくりまして、メーカーから問屋あるいは実需者に直接あっせんするということをいまやり始めております。それから、この前報告いたしました需給協議会を設立して、需要者と供給者の間を通産省が直接入って流通を円滑にする、そういうことをやり始めております。
○国務大臣(櫻内義雄君) 生糸は、二月、キロ一万円平均くらいなところでございました。三月八日に至りましてほぼ一万五千円という高値になりましたので、御承知のような、九日から取引所を停止をさせるように指導したわけでございます。本日から再開をいたしました。この再開にあたりましては、種々規制措置をお願いしたわけでございまするが、臨時増し証拠金、委託枚数等の制限をするということで、きょう再開いたしましたところ、三月八日ごろのような状況ではない。詳しくは承知しておりませんが、朝の相場で一万三、四千円ぐらいのところというようなふうに聞いております。 そこで、この生糸の需給の逼迫のほうは、何といっても絹織物の需要が高い、こういうことで長期の契約が非常に多い、その上にちょうどいまごろがいわゆる端境期に当たるのでございまして、それが高値を呼んでおると思います。しかし、一月の生産の状況を見ますると、前年比七尾程度の増産をいたしております。そういうことからかんがみまして、蚕糸業法の四十四条で、製糸業者あるいは生糸売買業者、生糸保管者などの在庫調査などをいたしておりまして、いわゆる投機の傾向もあると、こういうことで、そういうことであってはならないということから、現在在庫調査をいたしておるわけでございます。 これからの行き方といたしまして、製糸業者の生産状況、織物業者の自粛、それに加えまして輸入の促進をはかりたいと、こういうことで、現在、中国、韓国からの輸入の可能性がございますので、そこで中国に関しましては関税の引き下げをお願いをし、便益関税をいたしまして、そうして現在のこのような事態を何とか打開したい。ここ二、三カ月、もう二カ月ぐらいのところの勝負だと思うのでございまして、私どもはこの期間を抜ければ、こういう事態がそう長く続くものとは見ておらない次第でございます。
○瀬谷英行君 御答弁は、需要増にいずれもかなり重点を置いているように聞き取れるのですけれども、問題は、需要増による値上がりというものは限界があるだろうと思う。やはり投機という要因が、かなり大きくものをいっているのじゃないかと思うのです。それらの点について、公取の委員長の御答弁は、調査はしているけれども報告の段階じゃないと、こういうふうに言われておる。しかし、それじゃ何だかよくわからぬわけですね。どの程度の調査をやっておるのか、公取としては腰を入れてやらなければならない問題じゃないかというふうな気がいたしますが、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) 独禁法違反事件でない限りは、私どもが、たとえば調査の結果を一々公表するというのは越権であると思います。独禁法違反になれば、これは天下に明らかにすべきである。しかし、その調査でございますが、私どもがいまやっております——まだ不徹底と思います、もっときびしくやれということを私は指示をしておりますが、非常に、たとえば商社の場合などは経理その他の内容が複雑きわまるものでございまして、物その物を調べるといたしますと、私のほうでは非常に手薄な面がある。そうすると、経理の面などからこれを突っついたらいいのではないかということでやらしておるのですが、たとえば、毎月毎月の勘定じりというものを持ってこいと言いましても、相当複雑であるからすぐ簡単にはできない。たとえば、これは今回、会社の決算について三カ月後にするなんという会社もありますが、膨大な会社になりますと、月別の経理をそのまますぐ持ってこいと言ってもなかなか出せないというふうなことで、それに藉口いたしまして、つかみにくい。実態を私が感じたところ、調査官たちが感じたところから言いますと、買い占めに類する行為は確かにあるようであると。ただし、それがたとえば大商社の場合なんか、自分の名前でやっておるというケースは比較的少ない。というのは、身がわりを使っている。だから身がわりを見つけるために、品物として商社のサイドからこれを追及していくことには非常に困難が伴う。だから、どこに品物が置いてあり、だれに身がわりとして保有させているか、そういう点を突きとめることに大事な点があるのですが、その行為につきましても、私は独禁法違反そのものとしてではなくても、調査を命じておるのですが、その身がわり、あるいはユーザーに渡してしまって、その金繰りをめんどう見ている。その金繰りをどういう形でめんどう見ているかというふうな点が、なかなか簡単に調査が進まないという原因なのでございますが、やはり品物そのものは、どこかに多少売り惜しみの形で保有されているであろうということは推測されます。これはもう全くないということは絶対にないと思いますが、その金繰りをどういうふうにしてつけて、事実上自分の支配下に置いているのじゃないかというふうな点を追及するようにしているのですが、たいへんに難航しているということだけは申し上げておかなければいけないと思います。
○瀬谷英行君 いま御答弁の中に、手薄であるということを言われた。手薄であるために、大事なことの調査が行き届かないということになると、なかなか問題だと思います、これは。 それから、独禁法違反ということで調査を進めているということであろうと思うのでありますけれども、これらの調査の障害になっているのは何か。単に手薄ということだけなのか、手薄だったならば、その手薄をカバーする方法が考えられないのかどうか。これは放任しておいていい問題じゃないと思うのでありますが、ぜひその点の、積極的な公取としてのあり方はいかにあるべきかということを、この際、御答弁願いたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 私が手薄と申しましたのは、たとえば、いろいろな問題になっておる商品、その商品の現実がどこにどう保管されているかというところを実際に確認するとなりますと、これは権限の問題もございます。立ち入り検査をするのには独禁法違反の疑いがなければいけませんから、その疑いもなしに立ち入り検査をするのは、これは越権行為じゃないかと思います。そこで、いま、その四十六条という条文は使わないで、四十条にいう権限に基づいて資料の提出を求めている。その資料の提出にあたっては、先ほど申しましたような、向こう側のいろいろな弁解、そういうものがほんとうであるかないかということを突きとめるためには、これまた容易でないですが、能力の問題もございます。ただ頭数だけふやせばいいという問題じゃありません。しかし私どもとしては、できるだけ職員を融通しまして、他の課、他の部におる者もそちらのほうに回して、必要なだけの頭数はそろえる。ただし相手側がなかなか資料の提出に応じない、その理由をいろいろとくどくどと述べているという場合が多いのでして、それがほんとうに正しい理由なのか、あるいはうそを言っているのかわからない。一面においては、各省に、これはおそらく通産、農林にまたがっているもの、あるいはそのほか企画庁も当然やっておられると思うんですが、そういうことで、同じような責任者があちこちに同時に呼ばれておる。そういうことから、なかなか時間的にも、そう呼び出された時間にすぐ来るわけにいかないというような、調査が非常に重複して錯綜しているために、いたずらに時日を要する、こういうふうな事情、内情もあるようでございます。しかし、できるだけ私どもとしては、可能な限り人を動員して、手不足ということは人間の融通によって補って、これをできるだけ解明していきたい。 しかしながら、先ほど申しましたように、これを解明いたしましても、そのことを公表するという権限は、独占禁止法違反の疑いがなければ、これはちょっとよろしくないんじゃないかと思いますし、また、いたずらにこれは公表しますよと、現行の私どもの法律で公表するということを前提に調査いたしますと、かたくなに相手がなり過ぎるというふうな調査上の不便もございます。そういう点を考えた上で善処してまいりたいと思いますが、できるだけのことをいたしたいと思います。
○瀬谷英行君 総理にお伺いしたいんですが、いま聞いておりますと、公取の答弁も、権限なり能力なりの点できわめて不十分だということを言われておるんですよ。しかし、今日のように物がみな上がるということは異常じゃないかと思うんですね。それも投機によって上がるんです。土地が上がる、木材が上がる、大豆が上がる、着るものから食うものから全部上がるわけですね。卸売り物価は上がり続ける、必ず消費者物価も上がる、下がりっこないんです。こういうふうに物がみんな上がるということになると、下がるのは内閣の信用だけということになって、これはやっぱり考えなきゃならぬと思うんですね、異常だから。そこで、こういう問題に対して、総理としては一体どうしたらいいとお考えになるのか。公取の権限なり、あるいは能力もこれでよろしいと思うのかどうか、あるいは行政的な指導としてはどういうふうにしたらいいのか、税制面でやったらいいのか、金融面でやったらいいのか、それらの点は総合的に総理としてお考えにならなきゃいかぬ問題ではないかと思うんですが、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 財政運営に慎重を期さなきゃならない、それから金融政策はやはり引き締めて過剰流動性の吸い上げをやっていかなきゃいかぬ、必要なところには出すが、あばれるようなところからは締めていくということをやらざるを得ないと、こういうのであります。 それから、いま独禁法違反事件に対しては、公取委員長が述べましたとおり、これは公取でできるわけでございますが、今度は投機に対しては特別に立法をお願いしているわけです。これはまあ、できれば、ほんとにこういう状態ですから、一日で両院を通してもらいたいぐらいの、ほんとにそういうあれなんです。政令でもって指定すればできるわけですから、これはほんとに、私は、今度この種のものを出さなければならないということは、政府自身もほんとに遺憾だと思います。実際は行政的にやっておるわけでありますが、行政では手が出ないところがありますので、どうしても立ち入り検査をしなければいかぬ。こういうことでありまして、自由主義経済をとっている政府としては、こんな法律を出さなければならないということははなはだ遺憾なんですが、これはやはり必要だと思うのです。だから、迅速にこれらの法律というものが成立をさしていただけば、これはもうびしびしと調査をし、取り締まらざるを得ない、こう思っておるわけでございます。
○瀬谷英行君 要するに、行政指導の面でも、税制面でも、金融面でも、それだけでは不十分だから、罰則強化ということになってくるということになってくるわけですが、それでは、法務大臣のほうから、ではどのようにしてこの罰則の強化で効果をあげ得るのか、その点をお伺いしたいと思うのですが。
○国務大臣(田中伊三次君) 罰則強化の点でございますが、現行法によって罰則は十分に適用し得るというのが政府の解釈でございます。ただいま総理がお触れになりました生活関連物資緊急措置法、この法律は、内容は御存じのとおりに、調査をした場合に調査に協力をしない、報告を求めた場合に報告に協力しない、報告をじゃまする、こういう事態がありましたときに、これに対しまして勧告を行なうのでありますが、勧告にも応じない、こういう場合に一年以下の罰則をつくっておるわけでございます。しかしながら、これは法律の中身に明らかでありますように、買い占めそのものではない。売り惜しみそのものでもない。調査に入りまして勧告するに至りますまでの手続にじゃまをする場合にこれを適用するという規定でございます。したがって、買い占めそのもの、売り惜しみそのものというものにつきましては、幸か不幸か、これには物統令という法律がございます。これは、先生御承知のとおりに、昭和二十一年にできた勅令でございますけれども、昭和二十七年であったかと存じますが、法律八十八号によって、この勅令は法律としての効果を国会が与えております。こういう事情でございますので、この物統令を適用しますれば、物統令には「不当ニ」ということばを使っておるのでありますが、不当に高い価格で物を販売して暴利をむさぼった場合に、これが最高懲役十年——十年以下、十万円以下の罰金ということの罰則をすでに設けておるわけでございます。それから、それほどまでには至らないけれども、売り惜しみをやった、買い占めをやったという場合においては懲役五年、五万円以下の罰金という厳罰の規定が、すでに既存の物統令という、令と称する法律によってその罰則がございますわけでございます。したがって、この罰則については、先生の卸意見でございますが、新たに罰則を設ける必要はないと、この既存の物統令適用によって十分に目的は達成できると、こういうふうに政府は考えておるわけでございます。
○瀬谷英行君 総理のお考えは、まあ好ましくはないが、法律の制定によって何とかしなきゃならぬと、そういうところにきている、こう言われているわけでしょう。法務大臣のは、現行法でも十分やれるんだと、物統令でもやれるんだと、こういうふうに言われておるんでありますが、その点はどういうことなんですか。
○国務大臣(田中伊三次君) 先ほどから申し上げますように、売り惜しみ、買い占め自体に関する罰則は既存の法律がある、物統令というものがあるからこれでやるんだと。しかし、こいねがわくは、そういうむずかしい法律の適用なくして、もっとスムーズにこの売り惜しみ、買い占めを押える道はなかろうか、それが今度の緊急措置法としてお願いをいたしております法律でございます。 まず、物価調査官ができますので、物価調査官が踏み込んで調査をする、調査に協力しなければ罰があるんだと。それから、調査の上で怪しいと思ったものについては報告を求める、報告にも応じない、これを拒否する、これに対しても刑罰があるわけでございます。かくして調べをいたしましたものについて、これはすみやかに放出を命ずる必要があるというときには放出に関する勧告を行なう。たいへんやわらかいことばでございますが、この勧告に応じて放出してくれない場合においては、これに対して刑罰がある、こういう刑罰があります上に、こういう内容の調査をいたしまして、これは不都合きわまる悪質のものであると考えられる場合においては、あらためての手続によりまして、物統令の適用によって厳罰にできる。こういうことでございますから、一向これはちぐはぐの話ではございません。よく理屈の合うた話でございます。
○瀬谷英行君 理屈はいろいろ言っても、実際には物価がどんどん上がる。そういうものが適用の対象になるかならないか、全部網の目をくぐっちまったら何にもならぬわけですね。だから、その実績を国民はやはり見ているわけです。いかに大臣がここでいろいろしゃべってみても、実効があがらなきゃしょうがないわけですよ。その実効をあげ得るような法律なり、あるいはその運用なりというものが考えられておるのかどうか、大臣としては責任をもってどの程度までやれるというふうにお考えになっておるのか、なまぬるいことでは今日どうもならぬじゃないかと思うのですが、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中伊三次君) おことばどおり、重要な時期であると考えます。それで、総理がただいま仰せになりましたように、この緊急措置法をとにかく大急ぎで衆参両院をお通しをいただきたい、これさえつくっていただきましたならば、物価調査官の活用によりまして縦横無尽の活躍ができると、自信をもってお願いをしておるわけでございます。
○瀬谷英行君 その問題については、またあらためて聞くことにいたしますが、時期的にちょっと急がなきゃならぬ問題を先に質問したいと思います。 動労のストライキの問題なんでありますけれども、聞くところによると、明日またストライキが予定されておるということであります。先般の上尾駅の暴動事件等についても、非常に大きな社会問題になっておると思うのでありますが、やはりこれらの紛争はすみやかに解決をしなきゃならないと思うのですが、今日解決のためにどのような努力が行なわれておるのか、この点をお伺いしたいと思うのです。
○説明員(磯崎叡君) 昨日も御質問がございましたが、動労の問題につきましては、実は昨夜から徹宵でいろいろ話をいたしておりまして、私自身もなるべく早く行っていろいろ話に入りたいと思っているのでございますが、いまいろいろ詰めの段階に入っているわけでございます。私といたしましては、いままでも多数の国民に御迷惑をおかけいたしておりますので、極力事態の収拾につとめるとともに、やはり労働問題としての筋をちゃんと通すという、この両方を全うするような解決のしかたをいたしたいということでいま全力を注いでいる次第でございます。
○瀬谷英行君 昨日、私は関連質問で、上尾駅の暴動事件について、三点にわたってお聞きしたんですが、第一点が、労使間の紛争解決手段が現状でいいのかどうか、こういう問題です。ところを、昨日の答弁では、ともかく公務員制度審議会のほうにゆだねてあるから、ここで何とかしてもらいたい、こういうような御答弁だった。その範囲から一歩も出ないとすると、なかなか話はむずかしいんじゃないかという気がいたしますが、政府としては公務員制度審議会以外にどのような対策を講じておられるのか、その点をお伺いしたい、第一点として。
○国務大臣(加藤常太郎君) 瀬谷議員にお答えいたしますが、ちょっと御質問が、スト権の問題……。スト権の問題ですか。——スト権の問題は、もうしばしば申し上げたように、やはり公制審の結論待ちと、もうこれは間違いありません。公制審の問題であると同時に、このスト権の問題は、国民の日常生活、国民経済に重要な関係がありますし、国民のある部分においては、もうこの際スト権を与えろとか、また、現状においてはもってのほかだと、こういうふうにいろいろの議論のあることは、もう十分承知をいたしております。しかし、御承知のように、公制審は、ILO八十七号の批准に伴う国内法の改正で法律による正規の機関であって、いま政府のほうからそれに諮問を願っておるのでありますから、この際、政府が単独にそれを無視して結論を出すということは、これはなかなか困難な事情があることは、もう十分瀬谷議員も御承知のとおりでありますから、公正な公制審の結論待ちであることは間違いありません。 以上のとおりであります。
○瀬谷英行君 あなたの御答弁はね、去年の九月の運輸委員会の議事録とちっとも変わってないんです。あなたが御答弁なすったのじゃないんですが、当時の佐々木運輸大臣、それから本名総務長官ですか、公制審にやって、すみやかにと言っております。去年の九月からすみやかに、きのうもすみやかに——ちっともすみやかに事が進展してないですね。この問題と、それからこの問題は一挙に片がつかないとしても、さしあたっての問題を一体どうするのか、政府として、労働大臣として、じゃこういうふうにしたらどうかといったような手は打てないのかどうか、この点もお伺いしたい。
○国務大臣(加藤常太郎君) 瀬谷議員から、いろいろ……、御趣旨はもう十分わかるんでありますが、これは公制審のほうも昨年と違って鋭意審議中でありますので、まあすみやかなる結論を待っておりますわけで、公制審の内容などにつきましては、管轄が総務長官でありますので、坪川総務長官からお答えするのが当然であると思います。どうも隔靴掻痒の感がありますが、現状においては、ストの問題、現在の紛争の問題とは、この問題は切り離して御考慮を願いたいと思います。
○委員長(大竹平八郎君) 総務長官の答弁要りますか。
○瀬谷英行君 はい。
○国務大臣(坪川信三君) 昨日も御質問にお答えいたし、また、いま加藤労相もお答えいたしました。公制審に関しましては、いま鋭意御討議を願っておる。しかし、いまの動労を中心としての問題を、政府が特別にこの件に関する限りで公制審に問題点を提起するというような考えは持っておりませんことを表明申し上げておきたい。三者によって構成されている委員各位に対しましても、その審議の方向を拘束するとか、あるいは期限を制約するというようなことは差し控えたいと、きのうも申し上げましたとおりでございます。 以上お答えいたします。
○瀬谷英行君 去年の九月から同じことを言って、ちっとも進歩していないというんじゃ困るんですよね、これは。権威のある公制審と言うけれども、去年も私は指摘しているんですよね。権威があるというのは、ちゃんと結論が出て、その結論によって何か事態が進展すれば権威があるわけです。その結論が出ないで小田原評定ばかり繰り返してたって権威がないですよ、これは。結論の出ない公制審なんというのは卵を生まない鶏と同じなんです。もうけっこうです、これはね(笑声)。この辺で何とかしなきゃならぬと思うんですよ。
○国務大臣(坪川信三君) 十分御事情は御理解いただけると思うんでございますが、年内に入りまして非常に積極的に、意欲的に各三者の代表の方々が懇談をされておられる、また委員会を開催していただいておる。ことに公益委員側のほうにおいては、私的な懇談を使用者側あるいは労働者側とも続けておられる。私は、こうした真摯な、しかも積極的な討議を続けられておりますので、すみやかなる機会に必ず皆さまやわれわれが納得できる公正な答申が出されるものと強く深く期待をいたしておる次第であります。
○瀬谷英行君 私は、労使間の紛争解決手段だけでもこれは一歩前進するのじゃないかというふうに考えたわけです。これは問題の解決が一番先です。しかし、問題の解決だけじゃなくて、動労が問題にしていることも、こういったような紛争解決手段がどうもいままでうまくないから長引いているのじゃないかと、こういう感じがするわけです。だから、そこで、それらのことをも含めて、急にできない問題は待ってもらっても、何とか一歩前進をするために、そういう手段もあわせて検討しようといったような話ができないかどうか、それで何とか労使間の紛争解決のために歩み寄りができないものかどうか、そういう努力を政府として払えないのかどうか、その点、政府の見解をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(加藤常太郎君) いわゆる順法闘争の問題でありますが、これはもう専門家であられる瀬谷委員は十分御存じのとおりでありまして、組合の内部においても、あるグループはもう納得し、あるグループはまあいま細部の終局に近づくような折衝をいたしております。やはりこれは、政治も経済も国鉄の運営も労働運動も、国民の視野に立って、国民を背景として、世論その他を背景としてこれはやらなくちゃなりませんので、現在の状態は早く順法闘争をやめてくれと、これは私は天の声と思います。さような意味で政府も国鉄当局も労組も真剣に現在検討中でありますので、その平和的な収拾の早く出ることを期待いたしております。
○瀬谷英行君 単に闘争をやめてくれというだけで事が解決するなら、だれも苦労しないと思うんですよ。そうはいかないから、いろいろと問題が出てくると思うんです。上尾駅の暴動事件などというのは、これは今日いろいろな問題がこの背景にあると思うんですね。私は、この上尾の駅を中心とした高崎線の混雑という状態はよく知っております。知っておりますだけに、こういう問題が起こることをおそれておりました。しかし、まごまごしておるととまたもやこういう事件が起こらないとも限らない、こういう心配があるわけですよ。だから、それらの心配を解消するためには、いろいろと法律的にああだとかこうだとか言うんじゃなくて、実際的に政府としてもからだを張って組合側とも話し合いをするとか、あるいはさせるとか、そういう方法がないのか、それらの努力は政府としてはやる必要がないのかどうか、あるいはやれないのかどうか、それらの点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(加藤常太郎君) 先ほども申したとおり、この問題に対しましては、政府として、労働大臣として二回入りまして、両者の理解ある、そして国民的立場からひとつ早く解決していただくと、こういうので、しからば政府がいろいろ具体的に介入したらどうかと、こういうような御意見もありますが、さような問題はもうちょっとの時期でありますし、労働大臣は、その労使のいろいろの内容に立ち入ることは私としても差し控えたいが、しかし、その熱意は、政府全体、私も同様でありますが、私も委員会におりますが、心はこの問題の解決に頭を悩ましております。さような意味で、今後とも熱意を持ってその推移を見守りつついろいろ対策を立てることは、これはもう間違いありません。どうかしばらくの間、推移を見守っていただくように、また、瀬谷議員もそのほうの専門家でありますので、何ぶんとも御援助をお願いいたしまして、私の答弁といたします。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 運輸大臣としての立場から意見を申し上げますが、先ほどお話しのように、制度的にはどうにもならぬのかというお話がございましたが、それについては、先ほど労働大臣及び総務長官からお答えしたとおりでございます。われわれのほうの関係しております国鉄という公共企業体、これもほかの公共企業体と同じでございまして、制度的に国鉄だけ違った制度をとるということは困難であろうと思います。 要するに、しかしいまの制度におきましても、公労法は、当事者間の交渉をしてどうしても意見が一致しない、紛争が絶えないという場合には、第三者が介入いたしまして、公平な立場からそれをさばくというような制度的な問題はそういうふうにでき上がっておるわけでございます。ところが、今度の問題につきましては、御承知のように、国鉄から公労委に対しまして何かあっせんの労をとってくれないかという申し出をいたしましたが、いろんな事情があったとみえまして、それが実行されません。しかし、制度としてはそういう制度がございます。ですから、私は、いまの制度がこれはもうこういった紛争解決には制度として非常な欠陥があって、これではどうにもならないというものではないと思います。やはりこの制度を、お互いの立場、お互いに国民に対する影響というようなものを十分大所高所に立って考えた上で、いまの制度の上に立ってお互いが話し合いを進めていく道は十分にあると考えておるんでありまして、そういう意味におきまして、われわれ運輸省といたしましては、国鉄当局に対しまして、このような上尾事件のような問題もあるし、国民の皆さんが非常にこの結果に対して注目をせられ、また、場合によっては大きな国民的な被害を受けられるようなことになりかねないから、ぜひこれは一時間でも早く解決するように、明日に半日ストを予定しているというニュースもございますが、そういったことのないように、ぜひすみやかにこれを解決してくれるようにということを国鉄当局に対しましては再三再四申しまして、国鉄もそれに応じて最大の努力をしている最中でございます。
○瀬谷英行君 私は、あえて争点となっておる問題を具体的に掘り下げてここでいろいろ質問しようということではなくて、もう政府として何らかの手を打つ、あっせんの労をとるとか、あるいは知恵をかすとかというような方法ができないのかどうかということを言っているわけなんです。しかし、何にしても紛争は避けなければならない。そういう観点に立って努力を惜しむべきではないと思うんですが、こういうどさくさにまぎれて金を盗むなどというようなことは、これまた許せないことだと思うんですね。 きのうも私質問しましたけれども、上尾の駅で列車のとびらを押えて、そして発車をさせないようにした。それもいろいろと聞いてみますと、しろうとできないようなことをやっておるということなんです。それから扇動するのにハンドマイクを使っていろいろやっておる。こうなりますと、どう考えてみても計画的な列車妨害ということになる。それからまた、まとまった金をさらってったということは、これはもう駅員を追い出しといて金を盗んでいったということになると、これはやはり集団強盗です。一人ではできないと思うんです、こういうことは。また、そのときのでき心でこんなことはやらないと思うんですよ、普通通勤者は。そうすると、こういうどさくさまぎれにこんなことをやるというのは許せないと思うんですね。買いだめ、売り惜しみ、あるいはそれよりもっとたちが悪い。こういうことについて何らの手がかりがなかったということじゃ困ると思うんですが、警察庁としてどの程度その内容をつかむことができたか、この点をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(江崎真澄君) これは埼玉県警が直接の警備に当たったわけですが、そういう計画的なものはなかったという報告を、私、きょうも詳細に聞いたわけでございます。事犯は具体的な問題でありまするので、ちょうど警備局長も来ておりまするから、詳細に報告をさせたいと思います。
○政府委員(山本鎖彦君) 上尾駅で逮捕しました被疑者について御報告いたしますが、これは七名でございまして、このうち四人は駅長室などに侵入して、トランジスターラジオ、定期券のナンバリング、定期券、切符などを窃取したもので、罪名は建造物侵入と窃盗ということでございます。あとの一人は、群衆につるし上げられていた鉄道公安職員を救出に行った機動隊員に対して、肩を突く、なぐるなどの暴行を働いたもので、公務執行妨害。さらにあとの二人は、取材中の新聞記者に対して多数で因縁をつけて、手挙で顔面を殴打し、うち一人に口内裂傷、全治四日間の傷害を負わせたもので、暴力行為等処罰法違反及び傷害ということでございます。この七人はいずれも現場で警戒中の警察官が現行犯逮捕をいたしております。このうち建造物侵入と窃盗の四人は全員犯行を自供し、かつ逃走、証拠隠滅のおそれもなかったので、同日中に身柄を釈放いたしております。公務執行妨害の一人も同様の理由で翌十四日に釈放をいたしております。残りの暴力行為等処罰法違反と傷害の二人については、犯行が悪質であるというので、昨十五日身柄づきで浦和地検に送致し、同地検では同日身柄拘束のまま起訴したというふうに報告が来ております。 その他、計画的に行なったいろいろの犯行があるのではないかということでございますが、この点についてはいまいろいろと調査、捜査を進めておりますが、現在の段階においては、いまのようなお話の計画性というものは認められず、偶発的な事件だというふうに判断をいたしておりますが、まだ捜査は継続中でございます。
○瀬谷英行君 まあ、そこらにあるものをかっぱらったというのは、いわばざこですよ、そういうものはね。そういうのはつかまって、何十万かの金が盗まれた、そっちのほうの手がかりは全然ないのかどうかということです、私が聞きたいのは。おそらく、計画的ではないとすると偶発的である。偶発的であるということになるとでき心だということになっちゃうんです。通勤者ができ心で何十万の金をあそこから盗み出すということは、これは考えられない。こういうことは見のがしてはならないことだと思う。だから、そういう点は慎重に調査をして、捜査をして、犯人をあげるというようなことをやらぬと、あるいはこれはどういう人種がやっているか、これはわからぬ。その点を十分捜査しているのかどうか、全然わからないのかどうか、その点をお伺いしたいのです。
○政府委員(山本鎖彦君) 当日、駅にあって現金で盗まれたのは、最初五十万円ぐらいということでございましたが、その後の調べで、駅員が退避する際に持っていきまして、駅東口の埼玉銀行上尾支店に預かってもらっておった額が四十四万余ございまして、その他駅員が持っていったお金、そういうものが出てまいりまして、結局、五十二万円が、当初なくなっていたと思ったお金があとで出てきておるわけでございますので、実際に盗まれたと思われるものは、出札口と自動販売機の中にあったお金、十万ないし二十万ではないかと見られております。出札口にあったのは、つり銭と当日の売り上げ金ということでございますが、切符がばらばらにされてしまったので売り上げ金を計算することが現在できないという状況で、通常の売り上げ高から概算して、つり銭約三万円を含めて五万から十万円ぐらいじゃないか。さらに自動販売機が四台こわされておるわけでございますが、これも機内の記録を調べるのに数日かかるということでございます。通常の売り上げ高から算定いたしますと、約八万円ぐらいではないかということで、合計して十万から二十万の範囲が現在不明ということであって、最初言われたような多額の額の紛失ということは事実ございません。
○瀬谷英行君 上尾駅の利用者に対する極端な冷遇というのが常日ごろからうっせきをしていたのじゃないかという気がいたします。国鉄としては、こういう問題に対する解決というものを考えるべきでないかと思うのです。こういう暴動事件があるなしにかかわらず、考えなきゃならない状態にあったと私は思うのです。 そこで、たとえば大宮から上尾もしくは桶川、熊谷近辺に至る区間電車を運転するというような方法はできないかどうか、それから新幹線に併設をして在来線を走らせるというようなことはできないのかどうか、あるいは地下鉄の導入をして輸送力を増強するというようなことができないのかどうか。これらのことは、県知事も非常に心配をしておるんでありますけれども、こういう対策が何ら講じられないということになりますと、上尾駅の利用者というものは見殺しにされてしまうということになる。国鉄としては十分に考慮すべきことではないかと思うんでありますが、総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 上尾駅並びに高崎線全般の問題につきましては、いろいろ検討いたしておりますが、いま先生のおっしゃった第一の問題、これは区間電車の運転はいろいろ検討いたしましたが、非常にむずかしいということでございますが、私どもといたしましては、やはり車両の投入によりまして、もう少し列車をふやせたらふやしたい。またこの間の電車は、御承知のとおり、やむを得ず急行の編成を使っておりまして、一般のよりも輸送力が少ないということでございますので、それも一般の通勤電車に直すというふうな方法をとりあえず考えていきたいと思っております。 また、第二番目の問題、これは先般たまたま埼玉県の知事が私のほうにお見えになったときに、地元のほうの一つのアイデアとして承った、何と申しますか、非常に検討の価値のあるアイデアをいただきました。これもいただいたばかりでございまして、私のほうもそれをどういうふうにいまおっしゃったようなことに結びつけるか、これはもう少し検討いたしませんと、なかなかむずかしい問題だと思いますが、一応勉強はさしていただきたいと思っております。 私はやはり、いつか御答弁したと思いますが、東京の都営でも、あるいは営団地下鉄でも、これを延ばすということが一番いい問題じゃないか。いまの東北線、高崎線の沿線を見ますと、もうあそこにさらに線路をふやすということはほとんど私不可能だと思います。したがいまして、やはり新しいところを鉄道線路によって開拓していくという意味で、ちょうどいい例が営団の東西線と私のほうの中央線並びに総武線を直通運転いたしました。これは全然新しいところに線路をつくって、非常に新しい通勤地帯を開発し、また、いままでの沿線と全く関係のないところでございますので、いままでの駅に対する影響も非常にいい影響であるという意味で、私がかねがね申しておりますのは、現在の、まあ具体的な話で恐縮でございますが、たとえば、高島平でとまっている六号線を、何らかの形で荒川を渡って埼玉県に持っていく。あるいは赤羽でとまる予定の七号線を、やはり荒川をくぐって埼玉県の東北本線の東側に持っていくというふうな方法によって、それをできれば私のほうの東北線、高崎線につなぎますれば、ちょうどいまの営団の東西線と私のほうの連絡と同じようになる。非常に都心に直通できて、しかも、郊外から乗りかえなしで来られるというようなことになりますので、私は、都市交通審議会のメンバーの一人といたしましても、そういう方法が一番いいんじゃないかというふうに思っております。しかし、これは私のほうと申しますより運輸省の政策の問題でございますので、これ以上申し上げませんが、やはり根本的な地下鉄の乗り入れというふうなことを考えるべきではないかというふうに思います。
○委員長(大竹平八郎君) 瀬谷君の残余の質疑は明日行なうことといたしまして、次回は明日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時十二分散会