法務委員会 第11号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/06/21
会議録
○委員長(原田立君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○鈴木強君 きょう私は、山梨学院大学の紛争問題と、もう一つは、たいへん国民が迷惑を受けております国士館大学の暴力事件についてお尋ねをしたいと思います。 最初に山梨学院大学の紛争問題でございますが、実はこの山梨学院大学というのは、皆さんも御承知だと思いますが、単位の取れてない学生に卒業証書を発給してみたり、それから補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律違反や、あるいは教員免許法の違反のかどで古屋真一という元理事長、学長が禁錮八カ月、執行猶予二年の判決を受けるような実は残念な事件が次々に起きておりまして、私どもといたしましても、少なくとも次代を担う大学校の学園の中でこういった事件が起きますことは私立大学の教育法の精神に照らしてもまことに遺憾なことで、一日も早く当事者が相互に謙虚に反省をして本来の姿に戻っていただきたい、こう願ってずっと私たちも静観をしてまいりましたが、ごく最近、四名の講師ないし教授に対して休講の指示を一方的に出すような事件がございまして、これがたまたま身分保全の仮処分の請求として甲府地方裁判所に提起されて、これが先般全面的に労働組合側の勝訴になりました。これは不当労働行為であるし、その事由はないというので。こういった裁判ざたに何回もなっておりますから、私といたしましては、きょうここで、文部当局に対して、今日までこのような遺憾な事件がたび重なっておりますこの山梨学院大学に対していかなる助言と指導をされてまいったか、そうしてさらにこの事件に対して今後どういうふうな措置をとられようとしておるのか、まずそこら辺を最初にお尋ねをしたいのでございます。
○政府委員(河野洋平君) まず最初に、鈴木委員にたいへん御心配をいただいておりますことを心から感謝を申し上げると同時に、この問題につきまして私どもも非常に憂慮いたしておるということを最初に申し上げたいと思います。 問題の中身は、いま鈴木委員御指摘のとおりでございますが、この問題は学院の管理運営をめぐっていろいろとやりとりがございました。その中で最も中心とならなければならない、教育について中心となっていただきたい理事長周辺に、社会的に見てもきわめて問題があるというところが私どもといたしましても残念なところでございます。 問題の中身、事実関係につきましては、もうお尋ねがあれば事務当局からもう少し詳細に御報告を申し上げますが、私どもがいま山梨学院について考えておりますことを、やっておりますことをごく大ざっぱにまず申し上げますと、一番最近の状態を申し上げますと、先月にも理事長ほか関係の方々に文部省においでをいただきまして、文部省といたしまして、もう少し事実関係あるいはお考えをお聞きしたいということでおいでをいただいて、かなりこまかくお話しを伺ったわけでございます。ただ、残念ながら、おいでをいただきましたけれども、お答えの中に要領を得ない部分があちこちにございまして、責任者と思われる方においでをいただきましたけれども、まだ十分に要領を得ない点があって、なお、ひとつお帰りいただいてよくお調べいただいて御返事を願いたい、こうお願いをしてそのやりとりを終わった部分もございます。十分な資料が、——もちろん、その新聞その他で取りざたされている一般的な問題については十分私ども掌握しているつもりでございますが、その裏に隠されているのではなかろうかと考える部分、詳細についてまだ資料が若干不十分なところがございまして、私どもから自信を持って、確信を持ってこうすべきではないかという指導助言を一〇〇%にするにまだ至っていない。これは委員にたいへん御心配をいただき、あるいは山梨県御関係の国会議員の方からもずいぶんと御心配をいただき、そのつど私どもも学校に対しても督促をいたしておりますし、省内の意見の交換も急いでおるわけでございますが、まだ不十分な点がございます。 ただ、私どもといたしましては、これはもう先生十分御承知のとおり、私立学校の性格上、さらにこれが教学の場ということもございますから、でき得べくんば自主的に円満に話し合って解決をしていただきたい、こういうことは再三学校にも申し上げておりますし、ぜひその方向でおまとめいただきたい、こう申し上げますと、いやあやります、と言っておられるわけでございますが、その実がまだ完全にあがっておらないというのが、現時点におきます御報告でございます。
○鈴木強君 河野政務次官がこの問題についていろいろとお骨折りをいただいておることは私もよく承知しておりまして、最初に申し上げるべきでしたが、われわれも心から感謝をいたしております。 というのは、これは学院のことでございますから、この管理運営についてとかくいままで大きな問題があるわけでして、これに対して強力な文部省の管理監督というものがもしあるとすれば、これもまた学院の自由の問題と相反するというようなことがありまして、なかなかむずかしい点であることはわれわれもよくわかっておるわけであります。しかし、事が非常に内容的に見ると重大であります。いまあなたが、責任者を呼んでいろいろ聞いてみたけれどもどうも要領を得ない点がある、この点はさらに調べる必要があるのでもう少し待ってほしいと、こういうお考えのようですけれど、確かにその助言指導ということが私立学校法なり設置法の中にあるわけでして、ですからその範囲でおやりになっていると思いますけれども、しかしもう少し具体的に事実関係を指摘しておかないとポイントが合わないと思いますから申し上げておきますが、たとえば、さっき申し上げたように、補助金適正化法違反あるいは教員免許法違反というようなことで、学長が禁錮八カ月、執行猶予二年の判決を受けてその後上告したのですね。しかし昭和四十七年五月、例の沖繩恩赦の布告がありますと、今度はその上告を取り下げて、そして恩赦の申請をするという不届き千万の態度をとっておるわけであります。これはひとつ法務省のほうから、この恩赦の申請が具体的にあったかどうか、あったとすればその取り扱いをどうしたか、これもひとつ答えておいていただきたいのです。そういうことで上告を取り下げましたから、刑は確定した。禁錮八カ月、執行猶予二年、こういう刑が確定しておるのですが、当然学校教育法によって、資格は、理事とか教授の資格はなくなっている。ところが、実際にはこの古屋という男は、その事実を秘匿して、そして法学部の国際法、それから食物栄養科の衛生法規の講義を継続していたのです。これは事実ですよ。こういうことをやっておる。そして実際には、おれが学院長だと言って実質的に学院の財務担当理事がやるべき仕事を自分がやっておる。これは驚くべき人物なんだ。それから、金がないから教育研究に必要な設備の充実ができない、こう言っておきながら、多額の費用を使って女子寮を改築して結婚式場にして、報徳会館というものをつくって、そして特殊法人にして、そこに自分が入り込んでやっているとか、こういうことがあったり、それから校庭を有料駐車場にしてかせぐとか、目に余る行為をしておるわけですね。 こういった事実が具体的にあるにかかわらず、もう少し本人が反省をすべきところを反省しないのでありますから、この私立学校法によるところの、ここにあります、ちょっとお待ちください——この第一条に「この法律は、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図ることを目的とする。」この目的のためにつくられている私立学校が、公共性を高めることになっているか、私立学校の健全な発展をはかることになっているか、私はここいらが完全に法律に違反していると思います。これは学校法人として文部省が当然認可をしたものでありますから、一般の民法上の特殊法人であれば立ち入り検査その他は十分できるはずであります。収支決算についても報告をさせる義務が認可をした大臣にあるはずであります。ところが大学なるがゆえに、指導助言ということからして、管理運営面における手ぬるさと申しますか、そういうものが法律的にはちゃんとある。だから監督なんていうことばがないのです。そこに学院と文部省との間の問題があると思いますから、これは私はわかります。わかりますが、精神というものはあくまでもその目的にあるわけですから、その目的に沿わない、違法をしている大学を認めるということはおかしい。社会的にどういう影響が出たとしても閉鎖をする権限を大臣は持っているはずでありますから、そのくらいのことはやはりやる姿勢を示さなければ、こういうガリガリ亡者の封建性の非常に強い人は姿勢を直さぬと思うのです。そういう、私はいままでの文部省の態度が非常になまぬるかったのじゃないかということを心配するのです。だから彼らは、あとにも指摘するような私学振興財団の金についても適当に使ったり、補助金を適当に使ったりするようなことを平気でやっておる。ですから、もう少しき然たる態度でやはりこの問題は扱っていただかないと解決しないように思うのでございますけれども、もう少しその点、事実関係を踏まえてひとつ答えていただきたい。
○政府委員(河野洋平君) 私も気持ちとしては鈴木委員のお気持ちに非常に近い気持ちを持っております。 これはもう私が申し上げるまでもなく、鈴木委員は十分御承知のところでございますが、学校に対します文部省からの指導助言、これらはわれわれは社会的あるいは公共性を考えて、き然とした態度で臨むべきだと私も思いますが、一面山梨学院大学にも、あるいは高等学校、幼稚園には、数多い生徒、学生が現におるわけでございまして、そうした学生、生徒諸君に対する心理的な動揺その他を考えますと、われわれはかなり十分な配慮をもって臨まなければならぬ部分もあることを御理解をいただきたいと思います。 しかし、それはそれといたしましても、いま鈴木委員仰せられましたように、あるいは先ほど私もちょっと触れましたが、学校設立にあたってその中心となられた方が、社会的に見てきわめて、ことばが過ぎるかもわかりませんが、不道徳なものがあったということであれば、これはただ単に一市民が不道徳な問題を起こしたということ以上にきびしく道徳性というものは追及されてしかるべきものだというぐらいに私は思っております。したがいまして、具体的な名前を申し上げるのはどうかと思いますが、前理事長が、当然刑の確定によってその資格を失ったいまでも、どうもこれは風聞——伝え聞くところでございまして、確認するすべもまだございませんけれども、学園の運営その他にきわめて強い発言力がある、影響力があると、こういうお話もございまして、それが事実だとすればきわめて遺憾なことでございますし、私どもとしても、それは何と申しますか、法的に見てもそういうことがあってはならない、こう考えておるわけでございまして、あとをお引き受けになられた理事者の方々がそういうことのないように、学校法人がきわめて健全に公共性の高い運営が行なわれるために、十分あとの理事者の方々が責任をもって、そうしたところにき然としてそれこそやっていただきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
○鈴木強君 恩赦の件はこのあとにお答えをいただきたいのですが、実は次官、いまあなたも大体私の申し上げておることについてはもう理解と同感を得ていただいておるのですけれども、大浜先生が、そういった事態の中で勇断をもって乗り込んでいただいたわけですね。ところが、あの先生があきれて帰っちゃったわけですね。ですから、労働組合のほうの動きを見ましても、非常にこれは穏健な組合でございまして、上部団体ともつながりがない、きわめて良心的な指導部がありまして、むしろ次官のほうへ先に行ったのじゃないですかな。われわれはあとから聞いた話なんですけれども、何とかああいった事態を教職員が黙視できないということから、昨年のたしか十一月にやっと、やっとというか、山梨学院教職員組合というのを結成したわけですね。そして、大浜先生との話し合いの中では、非常に、給与も公立、国立大学から見れば半分ぐらいですよ。労働条件は悪い、身分は不安定というふうな中で、こういったワンマン理事長がおられて、しかも裁判によって刑が確定したあとも、おっしゃるように、これは組合がはっきり確認しておりますからね、実質的には理事長の立場で財務を掌握して、そして全体の発言権を彼が握っておるわけですね。そして、大浜先生が一つの妥協案を示して、組合もそれを了承して、それで再建に進むときに、また彼がくちばしを入れてぶちこわしてしまったのですね。それで、組合のほうも非常に思い余りまして、自民党の関係の方々にもいろいろとお願いに行ったようですよ。私たちはあとから聞きました。そして、臨時立法なんかも名城大学と同じような方法ででもやらなければいけないだろうというような話も出たというふうに聞いております。 そこまでいろいろ話を詰めたのだが、なかなか思うようにいかないということで、せんだって、これからお伺いする八田校地とか沖繩校地、それから報徳会館にからむ不正問題、こういうことからして、浅子という講師が甲府警察署の刑事二課に告発をしております。この事件が一つありますね。 それから、いま地方裁判所に提訴をした四人の休講についても、理由が、財政上困難だ、そんな理由で、そうしてあなたは出勤に及ばずというような、こういうばかげた休講辞令を一方的に送って、そうしてやっているというような事実がある。これは地方裁判所のほうで、裁判は勝ちましたね。いまは地労委のほうにも提訴していますが、これもおそらく同じようになると思います。 そういった、もう実質的に資格を失っているにかかわらず、そういう行為をやっているところにこれは問題があるのでございまして、私はいまここに時間がありますれば、労働組合が詳細に事実関係として私のところに持ってまいりました一連の文書があるのです。これは次官もあとで見てください。私はあとで見てもらいたいと思います。この中には具体的に一々古屋さんの行状について出ておりますから、これを見ていただいたほうがいいと思いますから、あとでこれを差し上げたいと思いますが、いずれにしても、そういうふうに労働組合自体が非常に学園の再建についてむしろ積極的に動いているにかかわらず、一方的なこういう休講辞令というのを出したという、そういうところまで事態は悪化しているわけです。 ですからして、確かに指導助言ということが設置法の中に書いてありまして、それ以上監督するということばはないわけですから、しかし、非常手段として臨時立法の制定ということも考えられると思いますが、これは非常にむずかしいことだと思いますから、私もにわかにここで出すべきだという意見も出せませんけれども、要は超党派でこれは問題を掘り下げて検討して、そして何とか正しい方向に持っていきたいというのが私の願いでございますから、その点をひとつ踏まえて、大臣ともよく御相談をなすって、そうして事態収拾に一段と努力していただきたい、そうして、いま私が指摘したような事実関係について納得できないという点があるなら、これはひとつぜひ文書で、私立学校法の中でたしか文書報告ができると思いますからね、私立学校法第六条に「所轄庁は、私立学校に対して、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができる」わけですから、こういう資料は私はどんどんと私立学校法第六条に基づいてとれると思いますから、納得のできるまで報告をさせるということによって事実関係を明らかにするべき点はしていただく。そのほか、警察当局のほうでもいまやっていただいておりますから、不正にからむ一連の問題について、これはいま次官のお答えのあとに、さっきの恩赦の問題と、それから警察のほうに告発をしておりますから、その事件に対してその後どういうふうな扱いをされておりますか、お答えをいただきたい。
○政府委員(河野洋平君) 先ほど来お答え申し上げておりますし、それから先生からも御指摘をいただいておりますが、文部省といたしますれば、指導助言というある意味で限られた幅の中から、最も適切な方法手段を考えて、一日も早く正常化していただきたい。いまもお話が出ましたけれども、たとえば大浜先生のような方が理事になって入っていただくということは、私どもとすればきわめて希望を持っておったわけでございます。つまり教育のベテラン、大学の運営の経験も豊かであるし、教育者としてもきわめてりっぱな方、社会的にも信頼感の非常に多い方が理事としてお入りをいただくということになれば、何とかなるのではないか、あるいはそういうふうにしていただいたらいいのではないかという気持ちも非常にあったわけでございますが、残念ながら今回退任をされてしまわれまして、その期待もむなしかったわけでございますが、私どもとしましては、指導助言をフルに使っていく、そういったような方法も一つの方法であろうかと思いますし、今後さらに十分関心を深めて、この問題に注目したいと同時に、積極的にも指導助言も行なってまいりたいと、こう考えております。 いま先生からも私学法六条にお触れをいただきましたが、私どもも十分その点は承知をいたしておりますが、何ぶんにも、理事者に文書で要求をいたしても適切な答えが返ってくるかどうかということもございまして、それにかわるべき方法として、理事者に来ていただいて、役所でいろいろお話し合いをかなり突っ込んでしたわけでございます。まだ、先ほど申し上げましたように、資料不備の点もございますので、さらに続けて、十分な返事がもらえるように努力を続けてまいりたいと思っております。 それからもう一点、名城大学の特別立法にお触れになりましたけれども、これはもう先生御承知のとおり、若干ケースの違うことでございますが、私のこれはもう率直な気持ちとしては、たとえば山梨に御関係のある超党派の先生方が非常にいま御心配をいただいておるわけでございますから、そうした方々がまず法律によらずに解決できる道をぜひお考えをいただきたい。私どもも、そうした方々から何かお話があれば、十分その話の線に沿って、できる範囲内で努力をしてまいりたい、こう考えております。私学に対して特別立法を講ずるというのは最後の最後の手段、しかも名城大学の場合には理事者間の紛争というきわめて特殊なケース、つまり当事者能力がなくなってしまったというきわめて特殊なケースでもございまして、国会での立法ということになったわけでございますが、この場合にはまだまだ十分話し合いによって解決ができるのではないかと、こう考えておりますので、しかしそれにしても、多くの御関係の方々の党派を越えた御協力がぜひ必要だろう。私からも皆さま方にお願いをしたいという心境でございます。 文部省といたしましても、決して自分の責任を回避するなどということは毛頭考えておりません。積極的にこの問題の解決に取り組みたいとは思っておりますが、より多くの方々の御協力をお願いしたいというのが、現在の私の心境でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○政府委員(高瀬禮二君) お尋ねの恩赦の関係でございますが、この事件につきましては、昨年の六月二十七日に本人から甲府地方検察庁検事正あてに恩赦の出願がございました。沖繩復帰に伴う特別恩赦の出願でございます。これを受けまして、昨年の十一月十六日に、同検事正から中央更正保護審査会あてに恩赦の上申がございました。同審査会におきましては、その後慎重な審査を進めました上で、本年の三月十三日に、恩赦不相当である旨の議決を行なっております。
○鈴木強君 わかりました。警察のほうは……。
○政府委員(田村宣明君) ただいまの告訴事件に対する捜査の問題でございますが、本件の告発——失礼いたしました告発でございます。告発は、本年の三月初めごろ、甲府署に対しまして、山梨学院大学の教職員組合の副委員長から、前学院長及び理事長を被告発人として告発がなされたものでございます。 内容は御承知のところと存じますけれども、一つは八田校地の買収をめぐる詐欺の問題、それから沖繩校地の売買をめぐります為替管理法違反の問題、もう一つは報徳会館部分に関する背任でございます。それからもう一つは前学院長の長男に対する給料の支払い等に関する背任でございます。 そういうふうな疑いがあるということで、告発がなされたわけでございます。この告発に基づきまして、山梨県警察におきましては、捜査をいたしておったのですございますが、本年の六月の十九日に、本件の告発をいたしました副委員長の方から、告発を取り下げるという旨の申し出がございました。 しかし、山梨県警といたしましては、この告発にかかる内容はいずれも親告罪に該当するものではございませんので、告発の取り下げがございましても、なお事案の真相究明のために捜査を行なうという方針で、現在捜査を行なっておるところでございます。ただ、この内容が相当複雑な内容でございますし、また関係者も多数ございまして、現在までに二十数名の関係者についてそれぞれ事情を聴取し、また三百件以上にわたる帳簿書類等についても、現在いろいろな調査をいたして、総合的に捜査を行なっておりますけれども、そういうふうな、関係者も多く、また事案の内容も複雑でございますので、現在のところまだ捜査の途中の段階でございまして、事案の内容がまだ明らかになるというような段階まではまいっておらない、こういうふうな状況でございます。
○鈴木強君 法務省のおとりになった態度は私はりっぱなものであったと思いまして、敬意を表します。 それから警察の刑事局長のお話ですが、ちょうど甲府に市役所関係の水道の汚職がございまして、この事件の告発があったあと、たいへん署のほうがその方面に追われておったようです。ですから、事件の取り調べとか捜査その他の問題について、たいへん負担がダブりまして、多少われわれが見ておって進行状況がおそいのではないかというような気もいたしましたが、これは労働組合側も、そういった事実関係から見るとやむを得なかったというふうに言っておりました。ですから、いま取り下げのお話がありましたが、私の聞いている範囲では、そういう働きかけがずいぶんあったようですけれど、取り下げをしたというふうにははっきり実は聞いておりません。その辺若干そごがありますけれども、それは、おたくのほうでは六月十九日に告発の取り下げの申し入れがあったということですから、取り下げをしたのかどうか。そのことについての私とあなたとの事実関係に対する相違点はございますが、これは私の聞いておるのと違うようですから、またあとで私も確認をしたいと思っておりますが、いずれにしても、そういう告発の取り下げがあったにかかわらず、事件の内容が重要であるからさらに捜査を続けるという、これはまた私は実にりっぱな態度だと思いまして、ぜひ、こういう問題をあやふやにすることは、ますます学院の正常化に対して逆な形になるような気がいたします。ですからして、ぜひ、警察当局として、この上ともたくさんな参考人、あるいは証拠書類等の調べがたいへんだと思いますけれど、ぜひいまあなたが申し述べられたような既定方針で進んでいただきたい、こういうことを特にお願いをいたしておきます。 それから、これは河野政務次官、ひとつ私の提案ですけれども、一つは、文部省でも向こうから来てもらうこともひとつけっこうだと思うんですけれど、だれか責任者を長にして現地に具体的に調査に行っていただく、そういうことはできないですかね。向こうへ出張して、具体的に校舎がどうなっているか、報徳会館はどんなふうなことをやっているか、もう少し実態を、近いところですから、一時間五十分で行きますから、ぜひ、そういう文部省から係官を派遣して、それで現地の調査をしてもらいたいと思うんですけれど、その点いかがなものでございますか。私提案ですけれども、検討してくれませんか。
○政府委員(河野洋平君) 提案、検討させていただきます。これはもう別に、一時間五十分だろうが三時間だろうが、十時間だろうが行かにゃならないところには、どこへでも行くつもりでございますし、ただ、先ほど申し上げましたように、他の学生生徒に対するいろいろな影響等もございますし、それからそれ以外にも、こちらが出向いていって話をする、聞く、あるいは見てくることが適当であるとすれば、そうした方法をとることがいいと思いますし、十分省内で検討させていただきます。
○鈴木強君 これは管理運営に対する理事者の態度が非常に間違っているということの紛争のようなだけにおとりになると、これは事実関係で私は認識が違うと思いますよ。学生諸君も非常にこれは不安を持っておりまして、いつでも爆発するような状態にあるんです。しかし、教職員組合というのは非常に良心的な組合ですから、そんなことは絶対にやりません。ですから、学生には安んじて勉学をしてもらうということで、そして自分たちが早く頑迷固陋のわからずやの理事者をひとつ反省さして本来の姿に持って行こうという、きわめて良識的な、りっぱな態度ですから、学生があまり立ち上がらないんですけれども、これはいつでも立ち上がりますよ。ですから、そういうふうに認識していただかないと間違いだと思います。ですから、学生も、正しく再建するための文部省の指導助言の中で、現実に実際調査をして、見てくるということになると、むしろこれはほっとするんじゃないかと思いますよ。それによって一るの望みがまた出てくる。確かに不安ですよ、学生そのものが。あんな形の中で私は勉学をさせるということは、われわれの責任であるし、われわれがしっかりしなきゃいかぬ。それにはまず文部省が姿勢を正し、政治全体がやっぱりああいう状態を放置してはいけないと思うんですね。そういう意味で、私は、遠慮しないでぜひ調査団を派遣してもらいたいと思うのです。
○政府委員(河野洋平君) たいへんありがたい御激励をいただいておりますので、先生の御提案に沿うように私も省内を指導するようにいたしたいと思っております。
○鈴木強君 どうぞお願いします。 それからもう一つ、最後に、私学財団のほうからここへ貸し付けている金が幾らありまして、それがどう使われておったか、そしてその返済状況はどうなのか、これをひとつ知らしてもらいたいんです。
○政府委員(河野洋平君) 事務当局から答弁させていただきたいと思います。
○説明員(宮地貫一君) 学校法人山梨学院に対します私学振興財団の融資についてのお尋ねでございますが、昭和四十年度に、同法人が設置しております山梨学院大学の学部増設と、既設の山梨学院短期大学の校地不足を充足するために、八田校地八万三千六百五十八平米を二億二百四十四万八千円で購入いたしております。私学振興財団におきましては、四十、四十一年の両年度にわたりまして融資対象面積を五万五千五百六十二平米と査定いたしまして、五千三十万円を融資してございます。ところが、先ほど先生からも御指摘がございましたが、同校地を売却したという事情を承知いたしまして、昭和四十八年二月十二日に山梨学院理事長から、四十七年七月十七日に売却した旨の報告がございましたので、これは私学振興財団の融資の条件に、契約条項にございます貸し付け目的に反するということで、四十八年三月七日に、同校地に関する貸し付け残金二千九百五十二万円と利息十一万四千円、計二千九百六十三万四千円の繰り上げ償還を命じたところでございます。三月十日、同学院から全額、財団に対しましてその金額は返還されております。 以上でございます。
○鈴木強君 まあお聞き取りのような私学財団法人、しかもこれは財政投融資等の、われわれの国民の零細な資金から融資されている資金を捻出しているその金を、こんなでたらめな、校舎が不足しているからといってかってにそれをまた売っ払ってもうけるような、そういうことをやるのが、さっき、警察に告発した一つの理由でもある。一つ一つ内容を申し上げれば、これはあきれて物が言えないようなことばっかりです。これは全部返済さしたということですから、一応損害はなかったと思いますけれども、しかしその趣旨、目的に反した使い方をしたということは、これは未来永久残るわけでして、こんなばかなことがあってはいけないと思うんです。特に、六月八日の新聞にも出ておりましたが、あきれた私大商法というので、財団のお金を借りて運動場をつくったのを、今度は宅地に造成してそれを分譲したというような、こんなばかげた事件が神奈川の藤沢にある私立大学相模工業学園という、これは高校と大学部と併設されているのですけれども、相模工業学園でも起きておりますね。ですから、これはひとつもう少し、振興財団に対して融資の申し出があったときにはきつい条件といいますかね、また事実調査とかいうことをする必要があるんじゃないでしょうかね。これは次官の選挙区ですよね、藤沢というのは。まあ、こういうことがあるので、次官もちょっと顔が狭いだろうと思う、特に文部政務次官である限り。だから、こういうことを平気でやるような私大の理事者といいますかね、要するに大学という、あるいは学問ということを振りかざして実は商売に大学経営をしているという、こういうことがあるわけでしてね。これはちょっと横に入りましたけれども、私学財団の資金の融資については、より厳重なひとつ貸し付け条件というものをつくっていただいて、あやまちがないようにしていただきたいと思います。
○政府委員(河野洋平君) 御指摘の趣旨は私もよく理解できます。ただ一言だけ申し上げさせていただきますと、私学に対する融資につきましては、非常にレベルの高い、あるいは経営状態も優秀である、質的にたいへんすぐれたものだというところは、融資の必要はあまりない。むしろ、経営内容も、あるいはいろんな意味でもう一息だなと思うところが最も融資を必要とするなんということもございまして、なかなかその辺が、先生の御指摘はよくわかるんでございますが、その辺の何といいますか境目のむずかしさのようなものを私どもは実際の事務上感ずるところが多いわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、御指摘のとおり、国民の金を預かって、そしてしかも公共性の高い健全な私学の運営に資するという理想を追うわけでございますから、なお一そう先生御指摘の厳重な審査、あるいはそうしたものがいわゆるただ単に利益を追及するために使われるなんということの絶対にないような方向でいかなければいかぬ、これは全く同感でございまして、この点は私学振興財団がいろいろと検討をし、対象をしぼるわけでございますが、財団の方々ともときどきお話をいたしますときに、その辺のむずかしさを財団の方々がおっしゃるわけでございますが、と同時に、だからこそ自分たちの仕事がいかに重要でありたいへんなんだということをまあ言うておられますので、われわれもそうしたことを十分考えながら、今後とも話し合いを続けてまいりたいと、こう考えております。
○鈴木強君 それでは、山梨学院大学の問題は以上で終わります。どうぞ政務次官の勇断をもっての指導助言によってこの問題が解決するように、また私たちもできるだけ一緒に協力はしたいと思っております。 それから、次に国士館大学の暴力事件についてお伺いしますが、まあ最近かなり新聞ラジオ、テレビ等報道関係が、マスコミが一斉に報道をされておりますので、私立国士館大学の暴力行為というものがクローズアップされておりますが、これは非常に根が深い。私はたまたま、あの近くに梅ケ丘という駅がありますが、その近くに居住しております。まずあの辺の人たちはもう国士館大学生を見たら逃げろというぐあいに、非常におそろしがられているような学校でありまして、たまたま先だって朝鮮の高等学校の学生生徒との乱闘事件から問題が出たようですけれども、非常に根が深いんですね、これは。そこで私もかねがね非常に心配はしておったんですけれども、ホームにおける学生の挙動なんかを見ておりましても、異常ですね。それから、私はあるとき新宿のほうから経堂に向かっていく各駅停車からおりてくる学生を見ておりましたか、——あそこはこういう一回階段を上へのぼりまして、そしてまた出るようになっているんですね、出口は。ところがそこを通らないで、線路をぱあっと走っていくんですね。百メートルぐらい向こうへ行きますと、踏切があるんです。そこからさっと出てしまうんです。あれ一つ見ても、あれが大学生かなと思いますと、今日の大学教育というものは全く地に落ちたというような実感を持っておったんでございます。 それで、いま私はここで伺いたいのは、国士館大学の教育方針というものが私立学校教育法に基づいてほんとうにやられているのかどうなのかということが一つです。それからもう一つは、暴力事件発生の背景というものが一体どこにあるのか、それは国士館大学の教育方針、学風、こういったものにかなり基因するのではないかという疑いを持つんですけれども、そういう点がどうなのか。それからもう一つは、どうあろうと暴力行為をふるうということは絶対に許すことはできませんよ。これは田中法務大臣がおっしゃっておられるように、日本の憲法は人権尊重の立場からも世界に最たるものである、こういうことを大臣はいつもここでおっしゃる。私も全くそうだと思うんです。ですから、その暴力行為をふるったことに対しては、断固としてこれは処断をしなければならない。したがって、これに対する警察当局の取り締まりの方針について、従来から今日、今日から今後にわたってどういうふうな方針を持たれているのか。この三つにしぼってお尋ねしたいと思うんであります。 その第一番の、国士館大学の教育方針でございますが、この方針は、ちょっと私も勉強してみましたが、国士養成のための独特な教育を行なっているように思います。それでその中心が、館長訓話というものが一週間に一ぺん行なわれまして、これが剣道場に学生を集めて訓話を聞かせるわけですね。その館長の訓話の内容というのを漏れ承りますと、入学をするとまず国士館の由来、国士館標語というのがありまして、誠実、勤労、見識、気魄——これは確かにいいですね、この標語を見る限りにおいては。それから吉田松陰の人となり、尊皇の意義——これは少し、世上問題になっております明治憲法以前のものだと思いますが、そういう意義などを講義をし、訓話をしている。こういうことでございます。国士とは将棋の駒の歩のようなものだ。前列に並べておくと一番下の役目であるが、いざ戦争となると敵地に入り金になる。この歩の金になったような人物が国士に当たる、こう説明をされている。これはことばの表現ですから、戦争が始まったら敵地に入るなんということばはこれは穏やかなことばでは私はないと思うのです。普通われわれがいう将棋の勝負という、そういう意味からいって、たとえばそうもとれますけれども、しかし、少なくとも学生に対する訓話としては私は適切なことばではないと思いますけれども、こういうふうな訓話をされているのであります。それから、こういう訓話をして、学生が館長に質問したいと思いましても、質問は一切許さないんですね、言いっぱなしですよ。批判なんかすると退学処分にするような、そういうようなこともやっておるようでありまして、ですから、そういうことに対して学生諸君も、中においてかなり不満もあり、反発もあるんですね。しかし、それは大きな力で押えてきているというのが私は実態だと思うんですね。ですから、こういうふうな、少しわれわれから見て、学園の場においてやられるのには少し不適格だし、そういうことがあるいは学生の、まだ思想的に固まらない若い人たちの中に、だんだんとはぐくみ育てられまして、そういうことがいつか国士気どりになって、敵地に入って金になるというような、そういうふうな精神で行動されているんじゃないかという気もするわけですがね。こういうことが学校教育法の目的とするどころにはたしてかなっているのかどうなのか。学生の指導方針というものに誤りがあるのではないかどうか。こういうわれわれは心配をするわけですがね。この点は一体どうですか。
○政府委員(河野洋平君) まず、一般論を申し上げたいと思いますが、昨今、私学は独特の校風と申しますか、スクールカラーがだんだんなくなってきた。どの私立の大学へ行っても、みんな国公立と同じように、スクールカラーがなくなってきて、私立の意義がないのではないかなんという話が一方であるかと思うと、極端に、いま先生御指摘のとおり、まあ非常に個性の強い私学というものが一方にある。こういう両極端に走っているような感じがいたします。私ども、国士館につきましても、その校風というものはきわめて個性の強いものだというふうに考えておりましたが、今回のように暴力事件というものが表面化し、しかもそれが今回きわめてセンセーショナルに扱われましたけれども、いままでもかなり継続して暴力事件が起こっておるということを考えますと、その校風というものにいささか、といいますか、バランスを欠いたところがあるのではないかというふうに、これは一般論として考えるのでございます。 文部省といたしましては、暴力事件については、これまた先生御指摘のとおり、厳にこうした問題のないように慎んでもらわなければいかぬ。——慎むなんということばも少しなまぬるいかもわかりません。こういうことは全くあってはならぬ、こう考えておりますから、教育の内容について私どもがとやかく言うことは不適当かと思いますけれども、少なくとも、暴力事件なんというものが校風、あるいは学校の指導方針の中から出てくるとすれば、これはきわめてゆゆしき問題であろうと、こう考えるわけでございます。これも国士館の関係者においでをいただいて、十分に、なぜこういう問題が起こったかということについて説明を求めております。関係の方々は、反省をしておる、こう言っておられますけれども、それはただ単なる反省ではなくて、ほんとうに先生おっしゃるように、根の深い問題であるならば、その根を掘り起こして完全な解決をぜひしてほしい、こう要請をいたしております。ただ、校風というものは一朝一夕でできるものではないし、一朝一夕でまたそれがガラッと変わるものでないように思いますだけに、相当な勇断と決意をもってこの問題に責任者の方々に当たってほしい、こう私どもは要請をいたしておるわけでございまして、関係者も十分反省をすると同時に、この問題解決に責任を持って臨みますと、こう言っておられるわけでございます。 まあ学校教育法、私学法等の精神と言われますと、これはなかなかむずかしいわけでございますが、書いてございます法律上から言えば、これはもう私学法の範囲内で、学校教育法の精神に乗って当然おるわけでございまして、それがそうでなければ、学校として存在しないわけでございますから、ただそれが運用の中で、あるいは学生一人一人の末端まで完全にしみ込んでいるかどうかというところに問題があろうかと考えております。
○鈴木強君 これは大事なことですからはっきりしておきたいのですけれども、私は、国士館大学の学生全部が暴力事件を働いているというようなことを全然考えているわけではありません。要するに一部の不心得な学生諸君がこういう事件を起こしているんだということは、もうこれは明らかでありますから。多くの人たちは、その後いろいろ新聞報道等を拝見しましても、学内において民主化の動きがある、また卒業したOBの諸君の中でも、自分が学校にいるころいろいろと思い余ったこともあるというような反省も出ておりますね。なぜあのときに私は自信を持って言わなかったか、先輩として反省しているというような意見もあります。そういうことが学内外からいろいろと反省として出ていることは、これは事実でありますね。ただ一面、またそういう民主化の動きに対して、逆にまた学校当局が、一部の学生を使いましておどかしをかけて、そういう民主化の集会をやめさせたりするような動きがあります。けさの新聞にも出ておりましたけれども、そこいらで、学内でグループが集まって相談しようとすると、黒い洋服、まああそこの制服というのはちょっと違った制服ですね、蛇服のついた。あれを着たいかめしいのが来て、そんなことをやったら殺してやるぞとか、まあたいへんすごんで、それから顔を覚えておくぞとか、そういうようなことでおどしをかけて、せっかくの民主化の動きを、芽ばえをつもうとする動きもあるようですね。 だから、学校当局が、当初学長以下たいへん反省して申しわけなかったようなことを言っているけれども、腹の中はそうでないように思うのですね。ごくまた最近になってみると、反省したようなふりしているんだけれども、腹の中は変わっていない。むしろ暴力学生を支持するような態度を学校当局がとるとすれば、これはたいへんな問題だと思いますよね。現に、私はけさの新聞を読みましてそう感じましたよ。ですから次官、もう少しその点を——学校当局を呼んでもいいですよ、これは。呼んで、そして厳重にひとつ指導助言してくれませんか。そういう民主化の動きはたしか出ていますよ。それをさらに押えつけるようなことをやっているようですから——それは向こうはおれたちがやらしているんだとは言いませんでしょうけれども、しかしそういう学生があるならば、それは学内に警官を導入するなんということはできませんから、ですから学校当局がみずからの手によって、そういう、人にすごんで殺すぞなんということばを使ってやるような者がおるとすれば、学校当局の手によってそういう者はひとつやめさせるというような方向で、民主化の動きというのが出ているならそれをすなおに当局が聞くような姿勢に持っていかなければだめでしょう。そういうことを私は痛切にけさ感じましたものですから、この点はひとつ政務次官にぜひやってもらいたいと考えてここに来たのですけれども、いかがですか。
○政府委員(河野洋平君) 学内の民主化というのは、本来は学内に民主的な力が起こって行なわれるということが一番の望ましい方向だろうと思います。ただその場合に、そうした考え方、そうした方々を力で押えつける、しかもそれが暴力というきわめて粗野な、粗暴な力で押えつけてしまうということになるとするならば、これは重大な問題だと思います。私どもは、文部省が介入をして学園を民主化させたとかなんということは決して望ましいことではないと思いますので、学内が、ほんとうに学内に平和が取り戻されて、おそらく——ここにもちょっと持ってまいりましたが、国士館大学の学則を見ますれば、もうこれは先生の御指摘のとおり、教育基本法及び学校教育法の精神に基づき云々と、こう書いてございますし、学生心得の中にも、まあ若干私どもが見ますとうーむというところがないではございませんけれども、全般的に見ますれば、これが、このとおり正確に行なわれればきわめて規律正しい学校生活が行なわれるであろうと、こう思える部分も相当あるわけでございます。これが平衡感覚を失ったり、あるいはこれを実現するために力にたよったりなんということでなく、ほんとうに話し合いのうちに、教育の場らしい雰囲気の中でこういうことが行なわれていけば、これは一つの私学としての、何と申しますか、教育の場としていい場ができる可能性はあるんじゃないか、こんなふうにも考えておりますから、われわれとしても何とか環境をつくるために、——実際に行なうのは学生諸君であり、学校当局でございますから、その環境をつくるためのお手伝いと同時に、そうした人たちがその学校の周辺あるいは他の学校に及ぼす影響を考えますと、私どもも黙って座視しているわけにはいかないわけでございますから、そうした点については、極力これは御関係筋とも御相談をし、お願いをしながら、一日も早く正常な状態に戻るように努力をしたいと思っております。 〔委員長退席、理事白木義一郎君着席〕
○鈴木強君 私がいまこのことをなぜ言ったかと申しますと、もちろん学校を設立しようとする人たちは、私立学校法というのがあるわけですから、その私立学校法なり、あるいは教育基本法の精神に照らして問題のあるようなことを並べるはずはないのですよ、それは。しかしそれを並べたかちといって、そのとおりいっているかどうかという、そこのところを指導助言するのが文部省の大事なところなんですよ。 例をポッカレモンに出して悪いですけれども、私がいつか予算でやりましたように、厚生省が特殊栄養食品として認可をするときには、ビタミンC三倍強化、ポッカレモンと言って認可を得るわけだ。ところが今度実際には、認可を得てしまえば、びんの中に何が入っているか調べていないのだ、これ。そうすると、今度はクエン酸というものを入れてごまかして、これを飲んだら美人になるとか言ってそしてインチキなものを売り出して、あとでそれが問題になった。その追跡ですね、要するに。そういうことの、要するに食品衛生に対する管理がなっていないのですよ。 だからそういう点をやっぱり大学の場合でも、私は、変な例で悪いですけれどもね、教育法によって認可した学校法人が実際にその精神に基づいてやっておられるかどうかということは、絶えず文部当局としてはやはり見る必要があると思う。そこにはいま言った学校教育とかいろいろなことについて報告をさせる義務もあるし、また指導助言するあれもあるわけですからね。そういう意味において、行き過ぎるとこれは問題があって、いろいろと学園の自由を阻害したとか言われますから、その度合はむずかしいとしても、そういう心がまえを絶えず文部省が持って全国の大学を見ていただかないと、いろいろな不正が出てくる。定員の倍も入学させて、しかも不当な金を取って、学生が全部行ったらすわるところがないというような、こういうような教育制度でいいのですか、ほんとうに。だから大学を出たって実力がないですよ、率直に言って。手紙をよこしたって三つや四つは間違った字を書いているような学生がいるのだ。それは勉強しないということは、基本的には学生がだらしがないかもしれないけれども、社会もそれを学生の責任だとは言えないですよ。だからやっぱりそういう点は絶えず文部省が所管庁として、学生のためを思い、国家のためを思はい、そしてそういう不正をやるところについてそれだけの人を入れて、ほんとうに学校教育法、基本法に基づいてやれるような大学で私はあってほしいと思う。これは高等学校でもそうですし、そういう点をひとつ心の中に持って私はあなたに申し上げているのですから、ぜひひとつ今後行き届いた文部行政というものをやっていただきたいと思います。
○政府委員(河野洋平君) たいへんありがたい御指摘をいただきまして、私どもも場が教育の場という、次代をになう青少年の心身にきわめて大きな影響を与える場でございますだけに、先生御指摘のとおり、血の通った指導助言を今後とも行なってまいりたい。そしてときにはきびしい指導助言にもなるということも心の中に持ちながら進んでまいりたいと、こう考えております。今後ともどうぞひとつ御注意、御鞭撻をお願い申し上げたいと思います。
○瀬谷英行君 いまの鈴木先生の御質問に関連して、私のほうからちょっと質問したいのですが、過般の春闘の際に、国電の暴動事件の際に、計画的に組織的に電車をとめて、窓ガラスを凶器を持って破壊して回ったグループの中に国士館大学の学生がおったといったような情報を組合のほうに持ってきている人がいるわけなんですが、そういういわゆる乗客の中ですね、乗客の中でその制服が明らかに国士館の学生である、こういう情報を提供した人がいるわけです。それで、これは警察のほうで当時の国電暴動事件のそういう一番最初のきっかけをつくった者をつかまえていないと思われるので、確めようがないわけです。しかし情報としてはそのような情報が間違いなく入っているわけです。 そこで、これは警察庁関係にもお伺いしたいと思うんだけれども、逮捕した中にそういったような学生がいたのかどうか、おそらくそういう一番肝心の人間は逮捕してないと思いますけれども、当時のいろいろな状況からいうと、国電暴動事件の際に逮捕したのは、電車が完全にとまってしまったあとで、乗客があふれて騒ぎ出して、その連中が、たとえば弘済会の売店の酒だとかあるいはのしいかだとかそういうものを盗み出して、それを飲んでいい気になって騒いでいた、そういうのがつかまったという話は聞きました。いわばそのざこみたいなのがつかまったというのを聞いているのですが、一番最初に電車をとめて窓ガラスを割って回ったという人間がどうもつかまったという話を聞いてないのです。しかし、そういうことではほんとうはよくないと思うのですがね。しかし警察がもしいろいろな捜査を行なって、それらの情報は私どもの耳に入るだけじゃなくて警察の耳にも入っているはずなんですから、警察のほうでそれらの点を確めることができているのかどうか、その点わかりましたら、この際お知らせ願いたいと思います。
○政府委員(綾田文義君) ただいまの事件につきましては、警察のほうでも極力捜査をいたしておりますけれども、そういう服装をした学生を検挙したという事例はただいまのところ聞いておりません。
○瀬谷英行君 おそらく警察側の出方からして、一番肝心かなめのこの国電暴動事件の火つけ役は捕えていないと思うんです。だから、情報で聞いてはおっても、そんなつかまるような間の抜けた連中は首謀者の中にはいなかろうという気がいたします。しかしわれわれもこういう情報を現実に聞いているわけですからね。やはりこの追跡調査をする必要はあると思うんです、国電暴動事件等については。それは国士館の学生であろうとなかろうとこれはやらなきゃいかぬと思うんです。 はなはだ残念に思うのは、あれは偶発的事件であるというふうに警察庁が早々に見解を発表してしまって、その後の追跡捜査のようなことはやろうとしないということを私は非常に遺憾に思っているのです。私どもは、党でもさっそく翌日現地へ行って、駅長その他関係者の報告を全部聞きました。 〔理事白木義一郎君退席、委員長着席〕 そうしたら、組合じゃなくて非組合員である現場長とか助役とかそういう人たちの証言を全部聞いてみても、明らかにあの国電暴動事件は意識的、計画的に工作をした者がいると、偶発的じゃないということを言っているのです。それを現場の人間が証言しているにもかかわらず、それらの現場長の証言というものも聞きもしないで、直ちに、その日のうちに、あれは偶発的できごとであると言って逃げてしまったのは一体どういうわけなのか、非常にこれ疑問があるわけです。いま国士館の問題に関係しておりますから、このことを追及するのが本旨じゃありませんけれども、そういうことはやはり問題があると思う。当然警察庁としても十分に反省をして、そして少なくとも相当の根拠のある情報がある場合には調べる必要がある。その点について私は要望したいと思います。 それからもう一つ、この国士館の学生の朝鮮学校とのトラブルなんです。これは学生同士のけんかということになると、どっちが悪いかということは第三者にはわかりませんけれども、問題は国士館の学校の教育方針そのものにあるんじゃないかという疑問が一つあります。それはきわめてまあ復古的な、勤王の志士のような教育をやっているんじゃなかろうかという疑問が一つあるわけです。だから、たとえば朝鮮高校等の学生に対して一種の差別的な意識を持って、そして彼らを特に迫害をする妙な誤った民族差別の上に立っているんじゃないかという疑問があるのです。そうでなければ、特に朝鮮学校の学生とのトラブルが多発をするということは考えられない。またこの点については、朝鮮総連の諸君の中からも多くの意見が出ているわけです。具体例と意見というのが出ているわけです。だから、これは学校の教育方針並びにその教育方針に基づいてそのようなトラブルが発生をしたんじゃないかというところまで私は調査をする必要があると思いますね。そうでなく単なる学生同士の出入りだというふうに現象的にとらえたんでは、問題は解決しないので、そこまで突っ込んで調べているのかどうか。また文部省としてもそういう点についてどの程度まで調べがいっているのか、あるいは学校当局から意見を聞いているのか、それらの点について、この機会に発表してもらいたいと思います。
○政府委員(河野洋平君) 国士館の校風あるいは教育内容、というと少し大げさになりますけれども、学校としてのいわば校風とでも申しましょうか、そういうものの中にナショナリズムみたいなものが非常に強くあるということは、私もそう感じます。これはしかし私が感ずるだけでは不十分かもわかりませんが、私の感じを申し上げさせていただけば、この学生心得を見ましても、あるいはいろいろな学校の行事を見ましても、ナショナリズムともいうべきものが非常に強くあるように私は感じます。ただそのナショナリズムが、直ちに日本と朝鮮学校との関係と結びつくかどうか、これはもう少し研究をしたり、事実を正確に掌握をしないと直ちには言えない。ナショナリズムというのは、別に、日本とアメリカだって、日本とソ連だって、どこの関係にだってあるわけでございますから。しかし、その外国と日本を比較しあるいは対照するところにだけナショナリズムというものがあるのではなくて、やはり日本古来の伝統、美風みたいなものを非常に強調をするという部分だって相当あるんだろうと思いますから、ナショナリズムというものが直ちにそういう紛争を巻き起こす基調になっておるというのは、少し議論は飛躍するのではないかというふうに思います。 ただ、瀬谷先生御指摘のように、この種の問題が片寄ってたくさん出ているではないかということをおっしゃられますと、これは何か背景があるかもわからぬ。それは、たとえば地理的な条件もそうかもわからぬ。同じ電車の沿線にそういうことがあって、トラブルが多いのかもわかりませんし、あるいはどうも虫が好かぬというような、きわめて子供っぽいところにあるのかもわかりません。あるいはもっと根深いものがあるのかもわかりません。しかし、これは軽々に論ずるわけにはいかないと思います。国士館大学という私立の大学の教育の中身について、どういう教え方、どういう思想、どういう教育の方法が間違っておるとかいいとかいうことは、これは軽々に論ずるわけにはいかないと思いますので、もっと事実関係を十分に御関係の方々にお調べをいただき、文部省は文部省なりに、文部省の立場として十分調査をさせていただきたい。 しかし、いずれにしても、先ほどから鈴木委員も御指摘のように、暴力事件というものは、これは絶対にあってはいかぬわけでございますから、この問題についてはきびしい態度で臨みたい、こう考えております。もう少し内容についてわれわれに十分な資料がないと、この問題については、その関係等については明確に申し上げられませんし、明確に申し上げることはこの際控えさしていただきたい、御理解をいただきたいと思います。
○瀬谷英行君 ただ、私はこの事件というのは、たまたま何件かの暴力事件が発生したというだけじゃないと思いますね。かなり前々からこの種の話は聞いているわけです。私どもも、昔、戦前ですけれども、学生時代に朝鮮人学生と同じ学校で一緒に席を置いたことはあるわけです。必ずしも日本人の学生と朝鮮人学生とはしっくりいったわけじゃない。しかし、だからといって、なぐり合いだとか、そういう集団的なけんかだとか、そういうことが発生したということを戦前においてもあまり聞いたことはない。ところが戦後、今日に及んでそれがきわめて大量に多発をしておるというところに問題があると思うんです。もちろんこれは数多くの学生ですから、必ずしも国士館の学生ばかりが悪いという事例ばかりじゃないかもしれません。朝鮮側にも悪いという例もあるかもしれません。どちらがどちらか軽々に判断はできません。しかし、あまりにもこれらの現象が多過ぎる。それだけじゃなくて、朝鮮学生だけじゃなくて、他の学生なり、他の人間に対しても暴行事件等が出ておるということは、学校の一つの方針、これは学校の教育方針だけじゃなくて、校風の中に、そういう暴力を肯定をするような方針なり校風というものがあるんじゃないかというふうに疑われてもしようがないと思う。あまりにも被害者が多過ぎるわけです。 だから、その点を考えてみると、どこに一体原因があるのか、このような暴力事件を多発をさせる背景というものを、単に一片の事情聴取であるとか、あるいは注意であるとかということでもって済ますわけにいかぬと思うんです。これは、どうしてもこの種の問題があとを断たないということになれば、文部省としては、学校の内容に立ち入りたくないといったような、そういう消極的な姿勢じゃなくて、むしろもっと積極的に、社会に害悪を流すようなことになれば、これは幾ら学校の問題だからといって、黙っておっちゃいけないと思うんです。確かにナショナリズムという点は、われわれにも感じられる。しかし、そのナショナリズムというものが度を越しておるということになると、ほうっちゃおかれないと思うんです。だから、その点はもっと内容も深く突っ込んで調べる必要があると思うんです。その背景ももっと突っ込んでこれは調査をして、そうして政府としても思い切った措置を積極的に講ずる必要があるんじゃないかという気がいたしますから、その点についての政府の考え方というものを明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(河野洋平君) 先生のお気持ち、十分私わかります。事が学園の中だけではなしに、学園の外にもきわめて重大な影響を及ぼすことでありますから、放置できない問題であろうと思っております。ただ、先ほどからお話がございますように、国士館大学が大学をあげてどうこうしておるということのようには思えません。国士館大学の学生の中にも、きわめて優秀な学生、あるいは社会のために一生懸命努力をし、働き、奉仕をする学生はないわけではない。むしろかなりの数がおるわけでございますから、やはり学生の一人一人の問題とも思われる部分がございます。したがって、一つにまとめて議論をするということは、若干問題があるかもしれません。 しかし、この種の事例が国士館に最近数多くある。これは少しことばが悪いかもわかりませんけれども、まあ中には、国士館はああいう特殊な制服というものをみんなが着ているものだから、すぐ国士館だということがわかる。あれがもうほかの大学のように、最近のように背広を着て、セーターか何か着ておれば、何の大学かわからぬじゃないかというような無責任なやじもないわけじゃございません。つまり国士館は、自分の出所進退をはっきりしておるんだなんという、これは茶飲み話でございますけれども、そんな議論もございますけれども、しかし、いずれにしても事例としてかなり目につくわけでございますから、国士館大学の中に何かそういう原因があると考えられるわけでございますので、国士館の責任者を文部省に呼んで事情を聴取したというだけにとどまらず、もう少しわれわれになすべきよい指導助言の方法があれば、あればというか、そういうものをさがして、一日も早く周辺の人たちが安心できるようにしなければいかぬ、こう考えております。私立学校としてりっぱに公共性の高い健全な学校になっていただきたいと念願をするのは、文部省は人後に落ちないわけでございまして、私どもの責任もあるわけでございますから、国士館に対しても十分なできる限りの指導と助言を行なってまいりたい、こう考えています。
○鈴木強君 まあ瀬谷委員のいまの御質問の中にもありました朝鮮の方々とのトラブルの問題も、私も申し上げたかったことですけれど、これはやはり歴史的にいろいろと考えてみますと、朝鮮の方々の中に、まあ日本に一緒におった当時の日本のやり方に対して非常に不満のあることも事実ですよ。私はたまたまMRA運動というものをやっているものですから、向こうの方々とも接触することがございますけれど、当時朝鮮における日本の教育なんというものは、ひどいものでして、朝鮮語を使うと、そのことがわかっただけで青い竹でもっておしりをたたかれて、その子供がずいぶんひどい目にあったということも聞いております。ですから、夜寝てからおかあさんが子供に朝鮮語を教えたというようなことも聞きましたね。ですから、そういうことをやられた当時の朝鮮の人たちが、日本に対する何といいますか、うらみといいますか、つらみといいますか、そういう感じを持っておったことも事実ですからね。ですから、そういうことは、お互いに新しい時代になったんですから、向こうは独立した国として、当時の占領から独立した立場におる国ですから、お互いに人格を認め合い、国際間の友情を深めていくという精神に戻っていくために、われわれも反省をするところは私は大いに反省しなければいけないと思いますよ。そして向こうの方々の立場も理解をしてやることが、われわれが当時の罪を犯した、というと語弊がありますけれども、そういう教育をしていやな目をあわした人たちに対する償いでもあろうかと私は思います。ですから、そういう気持ちがやっぱりわれわれの中にもなきゃこれは解決になりませんよ、これはね。そういう意味で、私は朝鮮学校に対する問題も処理してもらいたいという気がするんです。これはまあ私の希望ですから、考えたことですから、感じておったことですから、もう答弁も要りませんが……。 それで、本題の、もう一つ残っている点で、これは法務大臣にもあとからお答えをいただければいいんですけれども、まず人権擁護というような立場に立ち、また現実に起きたこの暴力行為に対して、第一義的に警察庁がいろいろと御配意をいただいたことはよく私たちも知っております。警察当局も人の足りない中でいろいろとやっていただくわけですから、われわれも無理を言うのがちょっとどうかと思うんですけれどもね、遠慮しがちになるんですけれども、この事件が発生されて以来次々に続発していくという、そういう中で、警察庁がおとりになったのは、まず警視庁と神奈川県警ですか、そこに対して徹底取り締まりの指示を出していただきましたね。これがその後どのようにやられておるのか。それから、犯罪捜査についてはなかなかこれは時間もかかると思いますが、いま、現状どういう程度までいっておられるのか、そして事件の背景が、たとえば学校教育のあり方、さっきから論じられておりますような、校風といいますか、そういったものにあるのかどうなのか、そういうふうな御判断をつけるところまでは犯罪捜査が進んでおるのかどうなのか、こういう点も一つ伺いたいし、それからもう一つは、暴力を未然に防ぐということがこれは絶対大事なことですから、未然防止のための対策というものを警察庁としてもおとりになっていると思います。そういうものに対して具体的に、駅のパトロールを強化するとか、何かいろいろやっていただいているようですけれども、これは現状で十分なのかどうなのか、いつごろまでこれを続けていくのかどうなのか。 それにしても根本は、大学当局が、さっきもお話しのように、民主化に対してさらに暴力をもって民主化の動きを押えつけるような、そういうことがあってはいけないわけですから、基本には、やはり暴力行為がなくなるということが基本でしょう。これを警察庁も願っていると思うんですけれども、大学側に対してもそれぞれ警告を発しておられるようですから、その点も、どういうふうな警察として反応があると認識されておるかどうか、これだけひとつ最初にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(綾田文義君) まず、この種の事件が起こらないような予防措置でございますけれども、これはこの学校の間の対立抗争はもう四十五年ごろからずっと起こっております。昨年も百四十二件でございますか、一昨年も百二十六件というふうに起こっております。それで従来とも、まず予防警戒措置を強化するということでまいったわけでございますが、このたびの新宿事件その他の発生を契機に、現在警視庁では五百名ないし六百名の警察官を主要ターミナルその他に派遣をいたしまして、これは大体主として発生いたしますのは、学生の間は登下校の時間帯が一番多いわけでございます。現在、朝の場合は四百名、それから下校の場合は五、六百名の警察官を配置しております。神奈川県警でも機動隊その他特別の班を編成いたしまして、小田急沿線の関係のターミナルに警察官を、主として登下校でございますが、派遣をしてその予防警戒措置をとっております。そのほか千葉県その他におきましても必要に応じて、そういうことで、私どもといたしましてはまずこういう事案を現場で未然に防止するということが一番でございますので、そういう点に重点を置いてやっております。これは当分の間ということでございまして、一応事態の推移その他発生状況を見まして、いつ打ち切るか、あるいは小規模にするかということはまだ定めておりません。 それから、御質問のあれと逆になりますが、捜査の状況でございますが、これはまあ事件の発生は、先般のような学校間の対立抗争事件、それからもう一つは一対一、あるいは一対二で学生同士がお互いにやり合った事件、それから集団登下校をしておって、相手方は一人か二人で、それで一人か二人を二、三十名がやっつけるというか、そういう事件、いろいろ形態が違っております。しかも被害の関係も、——まあ国士館か多いんでございますが、このほか大体四十校ぐらいの日本の高校の、まあこれは一人ぐらいでございますけれども、四十校ぐらいは関係いたしております。そして朝鮮高校生が被害にかかったというそういう事案、それから対立抗争的な事案、三種類に分かれるわけでございますが、これも私のほうでは統計を一応とって吟味してございますけれども、そういうふうにいろいろ形態ないしは被害の関係が違います。しかしながら私どもといたしましては、これは一般人が巻き添えを食うとか、あるいは一般の民家が、先般も新宿でございましたけれども、ガラスを破られるとか、あるいは国電がガラスを割られるとか、そういう観点からも、治安上も大事でございますし、また、少年の健全育成といいますか、非行防止という点からも非常に重大な問題でございますので、どこまでも事案の真相をはっきりして、そして少年の将来の非行防止、健全育成という立場から個別的な指導をするという基本姿勢で臨んでおります。それから一般人に対する、先ほどの一般人に対する、まあこれは国士館の生徒が非常に、先ほどもお話がございましたけれども、制服がはっきりしておるということでございますが、そういう一般人に対する問題は、これは一般の市民生活の不安感の除去と、平穏な生活を害するということで、これは私どもとしてはきわめて重大に考えておりまして、厳重な捜査をいたしております。これは本年に入りましてからも約五十数件の——四十五件ですか、これは国士館だけでございますけれども、検挙いたしておりまして、 〔委員長退席、理事白木義一郎君着席〕 そういう捜査態勢で、特に先般の国立、あの学芸大の講師の事件でございますが、そういう問題は特に刑事班を派遣するなどして捜査を重点的に行なっておるところでございます。 そういうことでございまして、また一方警察といたしましては、学校当局に対する助言指導というものを警察の立場から行なうということにも重点を置いて、これも二、三年前からずっとやってきておるわけでございますが、高校生の対立事件は、昨年ぐらいまでは国士館の生徒よりもあの近所にあります帝京高校という生徒との抗争事件が一番多かったわけでございます。それで学校に話をいたしまして、学校同士でサッカーの試合をするとか、あるいは先生が話し合って共同補導をするとかというふうなことで、一番多かったのは帝京高校でございますが、これは本年に入ってからほとんどなくなって、学校の友好関係が結ばれておるというふうな状況でございまして、本年に入って国士館の関係が多くなった、非常に目立っておるということでございますので、警察といたしましても、警察庁それから警視庁関係のところで、国士館あるいは朝鮮高校のほうへ、そういう助言を行なっておるところでございます。
○鈴木強君 一つ残っておりましたこの背景ですね、これはまだはっきりつかめませんか、教育の方針にあるとか。
○政府委員(綾田文義君) 一応少年の非行防止、健全育成という立場から警察は補導をするわけでございますが、主としてそういう非行の動機とか、そういうものは一応私どもとしてとらえます。たとえば、先般の高田馬場の事件では、これは、生徒はこれは国士館の大学生がむしろやや計画的にやったものと推定されますけれども、これら一部の者は、昨日、新宿でございますか、新宿事件で、後輩がやられたからその仕返しをやったということを言っております。そういうところまでは聞きますが、その教育的背景となりますと、補導のときに若干は聞きますけれども、これは学校教育の全貌を把握しないといかないし、軽々に警察としては判断すべきものではなくて、むしろ学校教育、それからさらには、主管庁としては文部省がございますので、そういうものにゆだねるべきもので、警察が積極的にそれを、背景をどうこうということは現在のところはいたしておりません。 ただ、先ほどもお話がありましたが、非常に多い生徒の中で、警察から見ると、警察関係では、ごく一部の者だと思いますけれども、非常にそういう暴力的な事案が目立っておるということは言えると思います。そういう点で、私どもも、非常にことばは悪いかもわかりませんけれども、戦前の学校で軟派の学校と硬派の学校というのがございましたけれども、そういう点から言えば硬派的な学校の性質ではないかということを一応推定はしておりますけれども、それ以上のところは、教育の背景はどうのこうのとは、私どもとしてはまだ十分関知いたしておりません。
○鈴木強君 それではわかりました。最後に、たいへん、最初から法務大臣には御出席をいただいて恐縮に思います。最後に、大臣に、いままで熱心に質疑をお聞き取りいただいたわけでありますが、大臣が、さきにも申し上げましたように、常に言われております人権尊重、この立場に立って、今回のこの暴力行為というものはまことに遺憾なものだと大臣も考えておられると思いますが、省を預かる大臣として、これら一連の事件にかんがみ、ひとつ御所信がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(田中伊三次君) 国士館大学、いわゆる国士館事件でございますが、いままでに取り調べております概要を申し上げますと、新宿事件で三名、それから、これに仕返しをしたと言われております高田馬場事件では八名、合計十一名の大学の学生を逮捕して身柄を拘束をいたしまして、引き続いて調べております。高等学校の関係では身柄の拘束はございません。在宅の調べでございます。 しかるところ、非常に重要なポイントになっております、味方の学生がやられたので仕返しをやったという、それがエスカレートしたもの、そういう単純な暴力事件であるかどうか、それとも、案ぜられておりますような民族的偏見といいますか、差別といいますか、民族的な偏見、差別が腹中にあって、そういう影響が暴力行為に出たものであるかどうか、これは非常に重要な点でございますが、勘違いをして早合点をしてもいかぬところでございますが、この問題について慎重に捜査を通じまして調べておりますが、まだ国会で御報告を申し上げる段階には少し時間がかかると、こういう状況となっております。捜査の完成を待ちまして、これに対する判断をし、適切な対策を講じたいと、こう考えております。
○原田立君 国士館大学の問題について御質問いたします。 法務大臣、いま現状では報告ができないというようなことなんでありますけれども、これは綾田部長にもお聞きしたいんですけれども、いまの大臣の御答弁は、去る十二日、衆議院地行委において綾田保安部長が報告したことと同じようなことなんですね。きょうはもう二十一日だし、一週間たっているのだし、この事件は組織的、計画的なものではなく、報復や仕返しがエスカレートしたと、こういう判断以上のものは現段階ではないのかどうか、一週間たって、その後の見解はいかがですか。これは警察庁のほうからお聞きして、それで大臣にお聞きしたいんですが。
○政府委員(綾田文義君) 私どもは、やはり両校間の鋭い対立感情と申しますか、それがエスカレートしてそういう事件が発生した、新宿事件の場合は、私どもは、やや出会いがしらといいますか、偶発、そういう感じはありますけれども、そういう事件であります。高田馬場の事件は、ただいま申し上げたように後輩に対する報復、後輩がやられたその仕返しだというふうなことを一部言っておりますので、一応そういうふうな推定をいたしております。
○国務大臣(田中伊三次君) いままでの捜査の経過から申しますと、大体、いま警察がお述べになったような方向にあるものと、こう、いまのところ見ております。
○原田立君 法務大臣、あなたは非常に慎重なお方ですから、もう少し読みが深くていいんじゃないかというふうに感じるのですけれどもね。この事件が、ただ偶発的に、ことしの六月、ぽこっと起きたんじゃなしに、話によれば、もう十数年来続いているという、かなり根が深い問題だと思うんですね。ただ、報復がエスカレートしたとかなんとかというような、そんな簡単なものじゃないでしょうか。それは、河野次官も、ただ、そんな簡単なものじゃないだろうということは、先ほど鈴木委員に答えておられました。だから、明らかに新宿の場合は偶発的と言うんですが、だけれども、それもやっぱり根っこのほうにあるものがあって、やっぱりこれも計画的じゃなかったのか。高田馬場は、これは完全に計画的じゃなかったのか、こんなように思うのですがね。 やっぱり、そこには民族的偏見、朝鮮人に対するべつ視というものがやっぱり根強くあるのじゃないでしょうか。ぼくはそう思うんです。それで、そういう根強くある朝鮮人に対する偏見、べっ視的教育、これはやっぱりここで払拭しなければ、今後やっぱり十年、二十年というものは続いていくんじゃないかと思うんですよね。これは文部次官、この事件を通じて、そういう偏見的教育を除去していくという、それを国士館大学にはしっかりやってもらいたいと、お願いであるし、また、ぼくはそう思うんだが、法務大臣、これはやっぱり民族的偏見、べつ視的な教育のあらわれじゃないか。これはゆゆしき、人権的問題からいっても問題だと思う。朝鮮の人たち、あるいは台湾の人たちは、かつては同じ日本人であった。終戦後こうやって外人になった。特殊な関係はあるけれども、やはりそういう外人とはいいながら、かつては日本人なんですから、それらの人たちの基本的人権というものは守られなければいけないと思うんですね。こういうふうなことで守られないようなんでは、これはやっぱり日本国としても重大な問題である。そういう基本的人権を守るという立場でこれは配慮してもらわなければならないのじゃないかと、こう思うのですが、これは文部次官と大臣と二人からお答え願いたい。
○政府委員(河野洋平君) 先ほど警察庁から、体質を表現すれば硬派、軟派という表現のしかたがあって、そういう分け方からすれば硬派に属するであろうというお話がございましたが、私も同感でございます。これは教科内容そのものなのか、あるいは学校の持つ体質、それは授業の内容ということよりも、長年の間にわたって積み上げられてきた校風あるいは体質そういったものなのか。ですから、原田委員御指摘のように、授業内容を、かりに、これは全く仮定の問題ですけれども、授業内容を一変すればその体質は、あるいはその校風はがらりと変わるものなのかどうなのかということについても、私どもはもう少し研究する必要があるんじゃないかと思います。ただし、私立の大学に対して、われわれがその建学の精神とかそういうものを越えてこうやれとかああやれとかいう指示、命令が出せない仕組み、これは私学法の精神から、学校教育の精神からいっても尊重されなければならないことでございますし、私どもがいま考えておりますことは、暴力事件あるいは特定民族をべっ視するようなことが教育の内容に盛り込まれて、非常に具体的に指示されているとすれば、これは学校当局にも十分私どもから指導をする、注意をするということは積極的にしなければならぬと思いますが、現時点では、教科の内容を私ども説明を聞いておりますのに、学校当局から説明を聞いておりますのに、そういうべっ視のようなことはない、こう学校当局は言っておられます。私どもも具体的にべっ視の教育というものが別にあるというふうにもまだ事実を確認しておらないわけでございまして、ただ、先ほども瀬谷委員にお答えを申し上げましたように、民族的なつまりナショナリズムというものを非常に強くうたい上げるというこの建学の精神、学校の基本的な考え方というものが、建設的なあるいは前進的な面であらわれないで、むしろマイナスの要素になってあらわれてきているとすれば、これはもう一つ、もう一くふう指導に欠けるものがあるのではないかという、そういう感じはいたします。 先ほどから再三申し上げておりますように、暴力事件にそれが及ぶということになれば、これはきわめて許せないことでございますから、学校をあげて、こうした問題が今後ないように学校をあげての問題、取り組み方をしてもらいたいということを強く言っておりまして、学校の中でもそういった近代化委員会なんというものができ上がって、問題解決に取り組んでおります。これはもう昨日、一昨日に文部省といたしましても学校とも話し合って、学校の中がどういうふうに進んでおるかということを事実を確認をいたしておりますので、事務当局から若干御報告をさせていただいてよろしゅうございましょうか——要りませんか。はい、それじゃ現状ではそういうことです。
○国務大臣(田中伊三次君) 先ほど申し上げましたように捜査が途中である、捜査が途中でありますので、民族的な差別感があったのかどうか、それが暴力行為の根源に伏在しておったのかどうかという問題については、先ほど申し上げましたように、今日の段階においては確かにそれがあったんだということを申し上げることができないということを先ほど申し上げたのでございます。全くなかったんだ、全く偶発的なものであったんだということを私がここで御説明を申し上げておるのではないんです。ただ新宿のできごとというのは、出合いがしらの、このこと自体は偶発的なものでございましょうが、これに対して仕返しをするという計画が高田馬場事件でありましたことは間違いがないようでございます。そういうふうに考えてみるというと、偶発的なものであったということは言えないのかもしれませんが、その根本に民族的べつ視の傾向が伏在をしておったのではないかということは、これは先生、なかなか事件捜査に関してとらえますことはむずかしいことでございます。さようなことがあったとするならば、このわが国の憲法下のもとにおいては重大事態ということになるわけでございます。これはよほど慎重な態度でとらえなければならないということで、捜査の全部を待ちまして、初めて結論を出したい、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
○原田立君 日本人同士の暴力事件、なぐり合い事件なんというのは、これはまあよくないですね。特に外国人と日本人とけんか、暴力事件なんというのは、これはよくないと思うのですね。へたをすればやはり国際間の問題にまでなっていっちゃう。無理解から、誤解から民族的対立なんてなったのじゃまずいと思う。 それで、法務大臣はこの前十三日の衆議院法務委員会で、治安の面からも容易ならざる傾向なのですみやかに暴力事件の根絶に万全の策を講ずる、こういう御答弁をなさっているわけです。これは、政府としてもこの事件は非常に重大である、こうみなしているということと、こういう暴力事件を起こしたことは申しわけない、こういうふうな意味が含まれているのだろうと、こう思うわけです。文部大臣も大体そんなようなことを言っているのだろうと思うのですが、私、ちょっと手元に資料がないのでよくわからないのだが、どうでしょうかね。あすこの国士館大学の柴田梵天総長が先方に行って、たいへん済まなかったというようなことはまだやってないように思うのです。新聞の記者会見で遺憾の意を表明したということは、新聞報道をされているわけなんですけれども、これはやはり柴田総長さんが直接行くようなことをして、誤解を解くとか陳謝することはするとかしたらいいのじゃないかとぼくは思うのですがね。何か、何というのでしょうか、総長代理の人ですか、その人が抗議に行った人たちと会ったとかいうようなことが出ているのですけれども、総長代理とか総長代理補佐とか。総長さんは別にまだ行ってないみたいなんです。これはやはり日本人同士のけんかじゃないのですから、外人との問題ですから、やっぱりいろいろ言い分があるだろうとは思うけれども、やはり自分みずから行くくらいなことがあってしかるべきじゃないだろうか。これは文部省もそのぐらい指導してもいいのじゃないか、助言ぐらいしてもいいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
○政府委員(河野洋平君) 私も礼節を大事にする日本人として、先生がおっしゃるように、礼を尽くす、これはまあ礼を尽くすといっても、あやまりに行くというのは当然のことだと私は思います。どなたがあやまりに行かれるか、いずれにせよ大学を代表して礼儀を尽くすということは必要なことである。それは私は当然教育者として、これは別にわれわれがそうしなさいなんて言わなくても、教育者として当然そのことはおやりになるであろうと思います。問題は、事件の概要というものがもう少しはっきりするのを待ってとか、いろいろ時期を考えておられるんだろうと思いますけれども、いずれにせよ日本で行なわれた日本人と外国人との関係ですから、私は、私の気持ちから申し上げれば、やはり日本人が先に礼を尽くすということがより問題解決のためにいいのではないか、私はそう思っております。 ただ、これを一々文部政務次官が、あなた、あやまりに行きなさいということを言わなくても、あれだけりっぱな大学の関係者なんですから、大学を代表してきっと何がしかの行動はとられるであろう、今日までそう思っていたわけでございますが、私も先生同様、新聞で総長代理の方が会われたという記事を読んだ程度で、寡聞にしてそういう学校間のやりとりがあったということをまだ私自身は承知をいたしておりません。一度学校当局にもそういうおつもりがあるかどうかということについても、少しいまの時点で私がやるのはやり過ぎかもしれませんが、そんなことは言われなくてもわかっておると、こうおっしゃられるだろうと思いますが、先生のお話もございますから、一度考えて、時期を見てやってみることにいたします。
○原田立君 国士館の学校じゃないんですけれども、法務大臣、六月の四日に八王子駅付近で起きた高校生の乱闘事件、これは御存じですか。朝鮮総連の三多摩本部から八王子署に対して抗議されておる。若干資料をぼくも持ってるんですけれども、六月七日の朝日新聞三多摩版に出ているんですけれども、これは、「北区十条台二丁目、東京朝鮮中高級学校の高校生十五人と、八王子市中野町、私立工学院高校生約二十人による騒ぎが起きた」、それで、まあいろいろ、警察官にどうのこうのというような問題と乱闘事件があった、それで警察署に抗議を申し込んだというようなことですけれども、そういうことが新聞報道されているんですけれども——これは警察のほうへ聞けばいいのかな——事情を簡単でけっこうですから、あまり時間がないから簡単でけっこうですから、御説明願いたい。
○説明員(星野鉄次郎君) 六月四日に八王子の駅で、当時集団下校中の朝鮮人高校生二十名ぐらいの方と、それから日本人の高校生その他との間にトラブルがございまして、警察が出まして一応事件を処理したという事実がございます。この際、警察官が朝鮮人高校生に対して暴行をした、あるいは拳銃を出しておどしたというような申し入れといいますか、抗議がございましたので、私ども警視庁から報告を受けておりますけれども、これにつきまして警視庁のほうで調査いたしましたところ、拳銃を出しておどかしたという点につきましては、事実は、まあ若干もみ合いのような状態になりまして、現場に参りました警察官が、拳銃の撃鉄を押えておりますバンドがはずれましたので、これをおさめるために一ぺん拳銃を抜き出しまして、その状態でもう一度拳銃サックの中におさめた、こういう事実はございます。しかし、拳銃を相手に、朝鮮人高校の方に向けておどしたというような事実はございません。また暴行等についても事実はなかった、こういうふうに報告を受けております。 以上でございます。
○原田立君 先方でそう言っているんですよね。こっちはなかったと言っておるんですけれども、向こうでやられたと言っているんですよね。だから、ぼくはおそらくあったんだろうと思うんですよ。それで、ぼくは言いたいのは、やっぱり誤解されるようなそういう行為ですね、これをするのがやっぱり問題だと思うんですね。警察官にこんなことを言うと過酷な言い方になるかもしれないけれども、いろいろな諸般のものを見て思うのに、警官に民族的差別的意識があるんじゃないか、ありと抗議しているわけですよね。だからそのように誤解をされる行為は慎むべきであろう、やはりこっちのほうが。特に拳銃の取り扱いなんかについては、福岡県の小倉でもあやまって少年を射殺した事件等がありました。そういう面からいって、警官の拳銃の取り扱い、または警官に対する指導ですね、民族的差別意識だなんて、そんなことなんか毛頭ないようにこれは指導すべきじゃないか。それから、誤解されるような行為はすべきではないんではないか、こう思うんですけれども、その点どうですか。
○政府委員(綾田文義君) ただいまのお話のとおりでございまして、私ども平素、特に今回の事件発生以来、そういうことはないように部内に徹底をいたしておるつもりでございます。また現場で、八王子の事件もそうでございますが、相当こうもみ合って紛糾したという事態の場合に、いろいろそういう問題が起きるわけでございますが、やっぱりいやしくも警察官といたしましては、誤解や行き違いを受けることのないよう言動を絶えず慎むべきであるというふうに思います。今後はこの点も十分にひとつ部内に徹底していきたいというふうに思います。
○原田立君 それで、「これに対して、同署の芳沢利栄副署長は「混乱の中で短銃ケースの止め金が外れたので、グリップを持っていったんケースから腰のあたりまで抜いて、入れなおしただけだ。人に向けた事実はない」と、短銃を抜いた警官がいたことだけは認めた。」だけども、「しかし、暴行などについては、訴訟されても受けて立つ、と突っぱねており、朝鮮総連三多摩本部は訴訟も検討している。」と、こういうことが書いてあるんですよね。まあ事実でなければ、訴訟してくればその訴訟を受けて立つと、これはまあ売りことばに買いことばなんだろうと思うんだけれども、そんなとげとげした態度でなしに、やっぱりよく話し合って理解するというところにいかなければいけないんだろうと思うんですな。そこら辺の御趣旨はどうですか。
○政府委員(綾田文義君) まあ私どもも、今回の事件なんかでも抗議を受けたわけでございますが、抗議の場合には相当何といいますか、これは私個人の考えを申し上げますと、われわれが納得するというよりも、むしろ一方的な話が非常に多いという感じがするわけでございます。そういう点で、まあ先ほどのおことばのような売りことば買いことばも出るのではないかと思いますが、やはり警察としては平静に、冷静に客観的に向こうの抗議者の話を聞いて、そうしてできるだけ穏かに話し合いで処理するということが望ましいというふうに考えますので、今後そういうふうに部内を指導していきたいと思います。
○原田立君 河野次官にお伺いするんですけれども、六月の十五日の衆議院社労で社会党の吉田法晴議員が質問しておった、国士館側には朝鮮高校をつぶす会というのがあると聞くが、これは承知しているかと、そういう質問を何かしているようなんですね。これはそんなのが国士館大学の中にあるんですか。
○政府委員(河野洋平君) 全く承知しておりません。
○原田立君 警察のほうはどうですか。
○政府委員(綾田文義君) 私どもも、そういうことは新聞に出ましたけれども、聞いておりません。
○原田立君 まあひとつそんなようなことがないように——あったらやっぱりたいへんだと思うんですよね。そんなのがあったら、もう大学としての資格もなくなっちゃうのじゃないかと、このぐらいにまで思うわけです。それから、柴田総長が六月十四日、同大学の十号館五階の総長室で記者会見し、その中で「事件を起こした学生は、ほとんどが鶴川分校(東京・町田市)の学生で、分校に対する指導と配慮が欠けていた。」だからそういう事故が起きた。「また、暴力否定は本校の方針だが、学生全員に行き届いていなかった」と、こういうふうなことを言っているのが新聞で報道されているんです。これはやっぱり一万一千人からもいる学校で、本校のほうは徹底したけれども、分校のほうは徹底しなかったなんて、そんなばかな説明がありますかという、ぼくはこれを見てそう思うんです。それからまた、「暴力否定は本校の方針だが、」末端にまで「全員に行き届いていなかった。」なんて、これまた噴飯ものの説明だろうとぼくは思うんですよ。暴力否定は、何もいまがいま始まったわけじゃなしに、ずっと主張されている思想なんですから。で、こういうようなことを言っているのは——こうなると非常に複雑な思いをする。先ほど河野次官は、暴力などというものはきわめて許せない行為であると、強い御発言があったんですけれども、鶴川分校に対する指導と配慮が欠けていた、だから暴力事件が起きたという説明、それから、「暴力否定は本校の方針だが、学生全員に行き届いていなかった」ということが一つと、この二つの点についてお答え願いたい。
○政府委員(河野洋平君) 国士館大学だけではなくて、最近のいわゆるマンモス大学と呼ばれる幾つかの私立の大学は、キャンパスも離れて、あちこちに数多い学生がいるということでございまして、確かにそのキャンパスごとに個性のある教育が行なわれているというケースもございます。しかし、そういう現状の上に立って教育が徹底されるということでなければならないわけでございまして、先生おっしゃるとおり、これはもう全く言いわけにはならないと思います。 それからまた、暴力否定が徹底していなかったという説明も、これはもう大学生に対して暴力をふるってはいけませんよなんというのは、大学がやる教育ではないと私は思うわけでございまして、これはもう社会道徳と申しますか、だれが考えたって、幼稚園の生徒だってそんなことはもう承知していてもらわなければならぬことでございますから、どうも十分な説明とは思えないわけでございます。しかし、大学当局があの事件について非常に深刻に反省をし、教育の原点に戻って、あるいは大学設置あるいは建学の精神の原点に戻って、もう一度、どんな幼稚な部分からでも反省をし、やり直したい、こういう気持ちのあらわれであるとするならば、これはこの時点で話は聞いてあげる必要があるだろう、こう考えております。 そこで、私どもは、この種の事件についての学生の処分は、これは私の気持ちでございますが、特に厳重にやるべきだ、教育的配慮もさることながら、暴力否定を大学の、ほんとうに大学をあげての反省とするならば、いけにえみたいなことではよくありませんけれども、ほんとうにそれらの学生諸君が深い反省をするということも含めて、特に厳重な処分をすることもまた大事なことではないか、このように考えております。大学当局は、個々の学生の処分については、逮捕された学生が警察等から戻ってくると思われる時点で十分に学生から事情を聞いて処分をすると、こう言っておられるわけでございまして、私どもはこれを一つの、ことばは適切でないかもわかりませんが、災いを転じて福となすように、国士館大学の体質の一つの転機にもしてもらいたいものだ、そのために総長以下大学当局が総力をあげてこの問題解決に当たってほしい、こう考えております。
○原田立君 坂本総長代理というのが、六月十三日、記者会見をして「朝鮮高校との問題は、思想的な衝突では決してない。その証拠に、四月下旬に向こうの先生や父兄と話し合い〃仲よくする〃ことを約束している」と、こういうふうなことを言っておるんだそうでありますが、この国士館大学と朝鮮学校との衝突は過去十年来だ。何か、いろいろ文部省も御注意なさったんじゃないですか、過去に。その一つの話として、向こうの学校の先生方とよく話し合いをするという、そういうふうなことをやれといったようなことを言ったことがあるようですが、何か話によると、たった一回しかまだやってないというんだそうですな、一回しか。全然ないにひとしいみたい、十年という年数から見れば全然ないにひとしいんじゃないかと、こんなふうに思うんです。 それと、同じ日に坂本さんは、なぜこういうふうな暴力事件が起きたかというと、坂本さんの見解として「校則が厳しいので、学外でエネルギーを発散させるのではないか」と。そのために、校則がきびしいから校外で暴力事件が起きるのではないかと、こういうふうな説明のしかたをしているようなんですね。そうなると、警察庁でいういわゆる偶発的というふうなことに、そうなるのかなという気もするんですけれども、事いやしくも大学生あたりが、また学校の指導をするべき者が「校則が厳しいので、学外でエネルギーを発散させる」、そのために暴力事件が起きたなんて、とんでもない話だと思うんですけれどもね。これは、こうなると直接文部省のほうで指導するんだろうと思うんですけれども、法務大臣、これはゆゆしき人権問題ですよ。いかがお考えになりますか。
○国務大臣(田中伊三次君) なかなかむずかしい問題でございますが、御意向を承りまして、検討してみたいと思っております。
○原田立君 時間がありませんからもうこれで終わりにしたいと思いますが、「在留朝鮮人、とりわけ朝鮮中高級学校との理解を深めるため、まず、教員同士が互いに交流、話し合いの下地をつくりたい」と柴田総長は言っているんだそうですが、これ、先ほど文部省としてはあんまり指導には介入できないというふうなことを言っておったけれども、助言くらいはしてしかるべきだと思うんですよ。文書で謝罪するのか、あるいは総長が行くのか、あるいは先生同士がお互いに相互訪問し合うのか、そういうようなことをして——それで、事いやしくも外人たりといえども、その基本的人権は擁護する、守ってやるという強い信念でこれはいってもらいたいと思うんですが、その点の法務大臣と河野次官の所信をお聞きして、私は質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(田中伊三次君) 世界に冠たる人権擁護の憲法を持っておるわが国のできごとでございまして、この憲法のもとに学校教育も行なわれなければならぬと教育基本法に明記してある。この憲法を守るには学校教育によらなければならぬのだということが非常に強く基本法にうたってあるわけでございます。そういうところから申しまして、ぜひ、私の所管ではありませんが、学校教育が憲法の基本的人権、基本法で申しております個人の尊厳を尊重する方向に強く文部省においても学校当局を指導していただきたい。これを指導することは干渉ではございません。強く指導していただきたいものと期待をするのであります。人権問題として発展するような結果にこの問題がならぬことを祈るのでございますが、不幸にして人権的なにおいがあると、こう判断をせざるを得ないようなことに至りました場合においては、私のほうからも発言をいたしまして、文部省、警察、法務省、この三当局がよく懇談を遂げまして、あやまちなき学校の教育指導をしてくれるように、幸いにして警察当局は、治安の面では不安にわたらないように非常に入念な処置を講じておっていただくわけでございます。根本は学校教育にあると、こういうことにならざるを得ないと存じますので、不幸にして人権問題が考えられるという事態になりました場合においては、三者協議の上で、根本的、徹底的な行き届いたこれに処置を講じていくと、こういう考え方になってやっていきたいと存じます。
○政府委員(河野洋平君) 先生の御指摘、十分考慮いたしまして、適切な指導と助言を行なうために努力をしてまいりたいと思います。
○理事(白木義一郎君) 本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十二分散会 —————・—————