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71回国会参議院1973/03/29

法務委員会 第4号

発言数
157
登壇者
11
会派数
3
開催日
1973/03/29

会議録

原田立公明党

○委員長(原田立君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  安村最高裁判所事務総長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。安村和雄君。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 大阪高等裁判所長官に転出されました吉田前総長のあとを受けまして、二月二十四日、最高裁判所事務総長を命ぜられました安村でございます。  いまさら申し上げるまでもなく、裁判所は基本的人権を擁護し、法秩序の維持に当たるという重い責務を国民から負託されております。この裁判所の使命を達成し、国民からますます信頼される裁判所となるよう、ふなれではございますが、司法行政の面において微力を尽くしてまいりたいと存じております。幸いにして、今日に至るまで当委員会の皆さまの深い御理解と力強い御支援によりまして、裁判所は人的物的両面におきましてますます充実がはかられてまいりました。今後とも一そう御支援を賜わりますよう切にお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私のごあいさつといたします。     —————————————

原田立公明党

○委員長(原田立君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず政府から趣旨説明を聴取いたします。田中法務大臣。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理をはかるため、裁判所職員の員数を増加しようとするものでありまして、その要点は概略次のとおりであります。  第一点は裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における交通関係の業務上過失致死傷事件の適正迅速な処理をはかるため、判事補の員数を三人増加し、また、簡易裁判所における民事事件の適正迅速な処理をはかるため、簡易裁判所判事の員数を四人増加しようとするものであります。  第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所における交通関係の業務上過失致死傷事件及び特殊損害賠償事件等、家庭裁判における少年事件等並びに簡易裁判所における民事事件の適正迅速な処理をはかるため、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び裁判所事務官を増員しようとするものでありまして、増員の総数は、二十八人であります。  以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。

原田立公明党

○委員長(原田立君) 以上で説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは、私からお尋ねさせていただきます。  この提案理由の御説明にもございましたように、裁判所における事件の適正迅速な処理というものが、いま非常に求められているというふうに思うわけでございますが、法務大臣も、御就任以来、裁判の促進ということに力を入れていらっしゃるということを承っているわけでございますが、どういう方法をとれば訴訟促進の実があがるとお考えになるか、御所信をお伺いいたしたいと思います。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) ずばり申しますと、裁判官、それから検事——刑事事件について申し上げますというと検事、これを含めての意味でございますが、裁判官の員数が比較的に不十分なのではなかろうか。その結果は、一裁判所が担当する事件の量が過重となっているということから、ひとつは事件がおくれざるを得ない状態になるのではなかろうか。これが一点でございます。これを改めますには、裁判官を増員するということが当然のことになるわけでありますが、この増員は有資格者の養成を要する増員でございますから、簡単に法律を改正したり、口で増員が必要と唱えてもなかなかできません。これに非常に苦心をしておるという事情でございます。  それからもう一つは、妙な話になりますが、刑事事件につきましても、民事事件につきましても、訴訟関係者が、刑事事件で申しますと検事、弁護士、民事事件で申しますというと原告、被告、この両当事者が訴訟の促進に、迅速なる裁判の実現ということに、もっと協力的な心持ちを腹から持ってくれる、そして協力をしてくださるということが一番大切なことではなかろうか。事あるたびにそういうことに言及をいたしまして、たとえ増員が簡単にできないとしても、現状の員数のもとにおける裁判であっても、訴訟関係者がこれに心より協力をして、裁判所の訴訟方式に従ってこれに協力するという態度が望ましいのではなかろうかということで心配をしておるわけでございます。しかし訴訟遅延、訴訟遅延というおことばが各方面であるわけでございますけれども、ありのままに実態を申し上げますと、一般事件はそんなに遅延の実態はございません。刑事事件におきましても、民事事件におきましても、一般通常の事件は比較的順調に進んでおります。ただ、事件の内容が複雑多岐にわたります事件は、どうも立証関係から申し上げましても、事柄自体が複雑で、ついそれの裁判が長引く。何年もかかる、十年近くもかかっておるなどということが間々ございまして、これが目立って、世間の皆さまから非難をいただいておるという事情でございます。一生懸命に努力をいたしますならば、相当以上の成績を今後といえどもあげることができるものと確信いたしまして、勉強していきたいと考えている次第でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまの御意見を承りまして、この第二点のほうの訴訟関係人の協力という点につきましては、これは現在、裁判所と検察庁、あるいは弁護士会との間に非常に深刻な対立が起こっておりますようなことから、非常にスムーズに話が運ばないというようなことも原因しているように思うのでございますけれども、大臣もそのようにお考えになりますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) たいへん言いにくい話でございますが、幾らか、今後一そうの努力をいたしませんと、理想の姿になりにくいのではないかということを案じております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 その件につきましてはあとでまたお伺いをさせていただくといたしまして、最初の、判事、検事の増員が必要だという御意見、私もごもっともだと思うわけでございますが、今回のこの法案、これによりますと、裁判官が七名ふえるということでございますが、実はこの日本で裁判官がたった七名ふえたぐらいでは、もう焼け石に水以上の不足ではないかと思うのでございますが、これは大臣としても、また、大臣は法律の実務家としても非常に長いキャリアをお持ちの方でいらっしゃいますので、よく実情御存じだと思いますが、もっと単位違いの相当な人数をふやさなければ、これは裁判の促進というものははかれないというふうにお考えになりますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) このたびお願いをしておりますこの増員は、もうほんとうに緊急、当面の増員のお願いでございます。先生仰せのように、増員の必要というものは根本的に強い必要がございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから、裁判官のもととなる法曹の養成の問題ですけれども、これは自民党に司法制度調査会というのがございますが、大臣は会長をしておられましたね。いつからいつまで会長でいらっしゃいましたか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 数年前創立をいたしましてから大臣に就任いたします日まで会長をいたしておりました。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは大臣のお時間の都合があるようで、先に伺いますが、昨年の十月の二十四日に日弁連の法曹養成委員会の委員長とか司法修習委員会の委員長ら数名が、自民党の司法制度調査会のほうにお伺いいたしまして、当時会長であられた大臣の御意見を伺ってきたということがあるのでございますが、そういうことはございますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) お願いをいたしましておこしをいただきまして、御意見を伺いました事実はございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 この司法制度調査会で、理想の法曹を得るためにはどうすればいいかということを目的にいま調査を進めていらっしゃる。ところが、現在の司法試験制度では教養や人生観というものはわかりにくいので、哲学とか倫理学などを−加え、大幅に司法試験制度を改革しようという御意見が当時の田中会長の口から伺っているということが報ぜられているわけでございますが、いまもやはりそういうお考えをお持ちなんでございますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) それは、先生のいまのおことばにありましたように調査会でございます。そこで、私が調査会の会長として、皆さん専門家をお招きいたしまして御意見を承りました。その御意見を承ります際に、司法試験の内容というものが妥当なりやいなや、それから、試験に合格した者を修習して修習制度をとっておるが、その修習制度の運営、やり方というものは制度として妥当なりやいなや、それから、修習を終了いたしまして検事、判事を採用する場合に、採用の基準となるべきものをどうきめておるのか、そういうきめ方は妥当かどうか、それから、さて採用になりました際に、何と申しますか、身分保障のあるものを人事管理、というようなことばはおかしいのでありますけれども、俗にいう人事管理、採用いたしました後の教養その他の人事管理というものは現状のままでよいかという事柄を、実はこれから皆さん専門家でございますから、御意見を伺いました。伺います際に、こういう意見もある、ああいう意見もある、この意見はどうであろうというふうに私が尋ねたわけでございます。したがって、私の尋ねましたことばは私の意見じゃない。調査を進めておる結果、こういう意見もあるが、これはどう思うか、こういう意見はどうお考えになりますかというふうに意見を尋ねていった記憶がございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 御趣旨はよく了解いたしましたが、裁判官、検察官の任命について一つの基準を設けるべきではないかという御意見、この御意見自身、裁判官、検察官を一色のものにして、当然画一的に、画一性というものが進められるということになりますが、大臣はそういうふうになったほうがいいとお考えになるか、やはりこれは個々の個性なり特徴があったほうが、バラエティーがあったほうがいいとお考えになるか、その点はどういうふうにお考えになるか、どちらのほうのお考えを持っていらっしゃいますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 私は、弁護士は弁護士で養成をする、裁判官は裁判官で養成をするという行き方も一つの考え方でございましょうけれども、法曹一元という大理想を実現する上からは、どうもそれは当を得ないのではないか。やっぱり現行法のやり方がよいのではないか。ただ、言いにくいことをずばり申し上げますと、現行法のやり方は運営を変えてもらわねばならねのではなかろうか。どういうふうに変えたらよいのかというと、どうも現行法の司法試験というものの試験制度は法律学の学力偏重のきらいがあるのではなかろうか。もっと良識を養う科目というものがあって、それで試験をするということが必要ではなかろうか。まず第一に、試験制度というものですね。どうも良識を養うに足る、この人は良識の持ち主かどうかということ、それは法律学の答案を見たってわかるじゃないかということがございましょうけれども、とにかく良識の持ち主であるかどうかということについて、これを厳格慎重に考査をする、採点をする試験制度ではない。これを具体的に申しますというと、第一、社会学は必須になっていない。それから倫理学も必須ではない。社会学、倫理学、こういう重要な科目が必須のものとなっていない。選択ができることにはなっておるけれども、そうたいして重要なウエートを置いた点数を見ておるようには思えない。合格した者を修習いたします修習自体を見ても、教養ということに重点を置いてやってはいない。やっぱり専門法律学に偏重しておる。法律学の成績のいいやつ——やつというのはおかしいですがね、いい人をこれを合格者としておるという点、こういう点におかしいところがあるんではなかろうか、こういうんです。それから採用いたします場合でも、採用の基準というものが、これはまあないしょにしておるわけでありますから言及することは適当でないと思いますけれども、やっぱりそういう試験を合格してそういう修習を経てきた者を採用するということが基準となっておるんではなかろうか。採用後の裁判官、検事の教養という問題をめぐりましても、教養に必要なる運用上の予算というものがない。お金を出し合って茶話会をする程度のことしかやっておらぬというようなことでは、人格を通じて、先輩の経験豊かな裁判官の御人格を若い者がこれを継承して、そしてとるべきをとっていくという態度——古い者の態度が必ずしもいいということは言えぬのでありますけれども、そういう経験豊かな態度を受けていくというようなことができないような運営になっておる。職務の執行が独立でできておりますから、日常の生活、役人としてのつき合いも独立になっているといったようなところは、これを反省をしてもらわなければならぬ点ではなかろうか。しかし、これは反省をしてもらわなければならぬというようなことを法務大臣が言うことはたいへん行き過ぎですけれども、それは私が言うんじゃないですよ、司法制度調査会の会長として当時そう思っておったのだと。いまは法務大臣としてはそんな御無礼なことは考えておりませんけれども、当時そんなようなことを考えて、皆さんにお目にかかった記憶がございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いろいろ御意見を伺わせていただきました。  まず、現行法の司法試験のやり方、社会学とか倫理学が入っておらぬ、良識の持ち主かどうかわかりにくいという点でございますが、こういう科目を試験に入れることによって、その人間がどういう人生観を持っているかというようなことがはたして一枚の答案でわかるかどうかという点が第一点。それから、良識があるかないかという判断の基準でございますけれども、だれが——その良識の定義ですね、それを試験する人の良識が、現にだれもが持つ良識だと認めるかどうか、そこの基準に非常に問題があると思うのでございますけれども、まずその点はどういうふうにお考えでございますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 良識ということばは、時と場合によって内容が違ってまいりましょうが、裁判官、検事としての良識、そういう良識とはどんなものかと、こう言いますと、いろいろございましょうけれども、右に片寄らず左に偏せず、まあ、いわば中庸、中道、中立の態度を持ってものの判断をする、そういうものを裁判官、検事の良識という。そういう良識は科目試験で養ない得るかというと、私も、先生仰せのように疑問に存じまして、専門家の意見をいろいろ聞いてみたことがございますが、哲学、それから社会学、それから倫理学というふうな権威ある諸先生のお話を承りますというと、論文試験ですね——マル・チョンはだめだというんです。それでは出てこないけれども、論文試験を幾つかやりますというと、論文を書かせてみるというと、これは実に明瞭にわかる。これは、偏しておる人か中庸の人かということがわかるということが結論でございます。ちょうど弁護士会の、いま先生仰せになった皆さんをお招きしたその前回、そのもう一つ前の調査会ではそういう意見をだいぶ聞いたあとでございましたので、そういうことも私が申しました。当時おいでになりました人は、そんな科目でわかるものかということをおっしゃった。科目でわかるものかと仰せになったのは法律専門家でありまして、そういう科目の専門家ではないのであります。欄外の人が言っておるわけで、そんなものはわからぬというふうに仰せになっておりましたが、私が前回調べたところによると、たいへん明瞭にわかるということの確信があるんだが、どう思われますかというようなことをお互いにやりとりしたことを記憶しております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 先ほど、この右に片寄らず左に片寄らず、非常に中立、中庸という御意見でございますが、この右と左とかの判断でございますけれども、これもいろいろと判断の基準というものがあると思うわけでございますが、たとえばそのときのお話に、最近偏向判決を出すような裁判官がどういうわけで裁判官に任命されておるのかという御意見が出たというふうに漏れ伺っておるのでございますけれども、この偏向判決というものの定義も、これはその人その人によって受け取り方があると思うわけでございますが、これはそれぞれの人生観、考え方、社会観によって、何が偏向であるか偏向でないかということは抽象的ではなかなかむずかしいと思うんですが、たとえばこの偏向判決、このときのお話では、たとえば昭和四十四年の四月二日の都教組事件の判決、あるいはそのあとの、警官の過剰警備として学生が無罪を言い渡された博多験の事件の福岡地裁判決などが、当時の会長のおっしゃった偏向判決というふうに解釈されているわけでございますが、いまもやはりそういうのは偏向判決というふうに大臣はお考えになりますか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 私はそうは思わないんです。それから偏向判決を調査したということはないんです。自由民主党が偏向判決の調査をするらしいということが新聞に出まして、先生も御記憶かと存じますが、たいへん世間からたたかれた直後に、私に会長になれということで、そこで会長になります条件として、偏向判決を非難したり、偏向判決と称するものを調査していくという目標であるならば調査会の会長は引き受けません、そうでなしに、司法制度の制度自体を理想のものにする、その結果として、りっぱな裁判官、りっぱな検事さんが御就任になり、りっぱな仕事をしていただくという結果、偏向と世の中から常識的に言われるような裁判がなくなるであろうという結果になることは考えられるけれども、偏向裁判自身を調査したり、それを非難をするということを目的にする会長であったならば引き受けないということを明瞭に申しまして、そんなことをやってもらいたいというのじゃないということでございます。どこまでも制度を調査するために、ということでやったのでございます。  そういうことでございますから、そういう私の意見の、偏向とは何かと先生おっしゃられましたが、これは非常にむずかしい。偏向とは何か、何を中正とするか、何を中道とするか、何を中立の基準とするかということは、これはわかっておって、しかし現実にこれほど判断のむずかしいものはございません。これは先生の御意見と同様に私もそういうふうに考えます。ただ抽象的に申しますと、いとも簡単である。そのときどきにおける社会感情、その社会感情を基準にして、これは右じゃないか、これは左過ぎじゃないか、もっとまん中に持ってこいということはいとも簡単に答えができるのではなかろうか。それが三年、五年たち、社会感情、社会情勢というものが変わってくると、そういう中道という考え方というものの観念もまた移動してくる、それはあたりまえでしょう、世の中は動いておるんですから。きのうは中庸できょうは中庸でないということはあり得る。社会情勢に激変があるとそういうことも起こり得るのではなかろうか、こういうふうに考えております。  それから、第一に具体的裁判を中庸とかけしからぬなんと言う資格はありませんよ。日本の裁判制度の上からいいますと、気に入らなければ上訴の手続を踏んで不服の申し立てをすべきである、裁判、法廷において堂々と反駁すべきである。攻撃、防御のほうに命をかけるものである。裁判の外で裁判に関係のないやつが、せっかく裁判官のなさった判決を偏向であるとかないとか、自己流に解釈して、先生の仰せのごとく基準のむずかしいものを、それを無分別に自己の頭脳だけで、思うだけで偏向だとか何とかと言うようなことは間違いである。かりに偏向であっても、そういうふうなことは日本の裁判所の裁判に対して簡単に判断をすべきものでない、いやなら訴訟当事者が不服申し立ての道を踏んで、上訴手続で、法廷でこれをやれということが私の意見でありまして、私は偏向云々ということを調査したこともない、偏向はけしからぬということを言うたこともない。  しかし、もう一口誤解のないように申し上げますと、社会感情というもの、世間の常識というものから見て、少しこの判決はおかしいじゃないかという判決がままありますね。これはあってもいいんです。不服を言うて、そして直していけばいいんですから、いいのでありますけれども、そういうだれが見ても偏向の判決だという判決がまま日本の裁判所の、りっぱな裁判所の裁判でございますが、その裁判の中にもままそういうものがあるやに見受けるのであります。どの事件とは言いませんが、あるやに見受ける。そういうものがなぜ一体起こってくるのかというと、それは裁判官を養成する制度自体に欠陥があるのではないか、こういうことなんですね。そこで、その制度を探索していくというと、どうも良識の足らぬ人間が、法律上の専門的な学力さえあれば裁判官になれる、検事になれるということになっておるんじゃないかという節がなくはない。で、日本の、わが国検事制度を含めました司法制度、こういうものを理想の姿にこれを立て直していこうと考えるならば、そういうふうに築かれる制度に変えねばならぬというふうに実は考えておるだけのことでございます。具体的な偏向裁判云々ということは、私の頭脳のどこにもそれにこだわるところはございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いろいろ御説明を伺いまして、御趣旨は了解いたしますが、この点についてまだ続いて質問をしていきたいと思うのでございますけれども、ちょっと時間のかげんがありますので、また次の委員会に譲りたいと思うわけですが、またあらためてこの件についてお伺いしたいと思っております。  それから、法曹養成制度で、たとえば修習生の修練が法律学偏重に走り過ぎて、一般教養の面に欠ける。私も、これは法律学偏重というよりも法律技術の修練に偏し過ぎて、仰せのとおり一般教養についての勉強する機会に欠けるんじゃないか、もう少し教養面にも力を入れて修習時間なども組み入れるようにしたほうがいいんじゃないかという点については、大臣のおっしゃるとおりだと、その点は私も同感なのでございますが、さらに、先ほどお話にもございましたが、裁判官になってから後もその教養についての予算などがきわめて乏しい。まあ会合するぐらいのことであって、教養面の修練にその後も欠けてくるんじゃないか。これは教養面についての予算措置ですが、大臣としてはそれの増額というもの、私も仰せのとおり教養面についての予算措置がほとんどないように思いますので、それについての増額というようなことを大幅に大臣としたらお考えであるか、またそれの実現のために御尽力いただけるかどうか、そういうふうなことについての御所信を述べていただきたいと思います。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) いまの予算制度、予算の取り方でございますが、それは裁判所が独立をいたしまして大蔵省と折衝をして予算をきめております。それできまりましたものを、形式だけでございますが、もう数字が確定いたしましたものを閣議にあげてまいりまして閣議決定いたします。そのときは裁判所はおいでにならぬけれども、私が代表したような形でこれを決定しておりますわけで、そういうことでございますから、予算折衝に直接の当事者として入って交渉できるわけにまいりませんけれども、裁判所のおやりになっておる予算折衝の行動を私たちがひとつ側面から援護を申し上げて、そして大蔵省にも今後このことを強く要請をしまして、これがいかにも駄費ではないんだ、たいへん必要な大事な要素を持った経費なんだということをよく説明をいたしまして、今後だんだんにこれをやっていきたい。いままでなぜ一体やっておらぬのかと申しますと、これは裁判所のおことばがあろうかと存じますけれども、私の承知をいたしておりますところでは、なかなか裁判所の御予算自体も容易でなかったので、そこまで手が回らなかったということが真相であろうと存じます。しかし、だんだん裁判所も自己単独の御立場で大蔵省との直接折衝をおやりになり、経験がずいぶん重ねられてきております。このごろはりっぱな態度でおやりになっておりますので、これぐらいのことは将来はできていくものと、私もそのつもりで御声援を申し上げる、こういうつもりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 実は裁判所の予算につきまして、きょうは事務総長も経理局長もお越しになっていらっしゃいますのでちょっとお伺いしたいと思うのですが、裁判所法の八十三条の二項に、裁判所の経費には予備金を設けなければならないということが規定されておりますけれども、これは司法の独立を保障する意味で予備金制度というものを設けているわけでございますが、この予備金というものがはたしてどのように毎年支出されているかということを私ちょっと調査してみたのでございますが、これを見てみますと、昭和二十八年度以降毎年、大体二十年近くにわたって毎年海外旅費というものが大体きまった額、予備金の中から支出されているわけなんです。これは、このように大体きまった額が二十年近くも外国旅費という名前で支出されているところを見ると、これは臨時の支出というよりも裁判所の必要経費なのではないかというふうに私は思うわけなんでございますが、どうしてこれを裁判所の通常予算の中に組み入れておらないのか、その点について裁判所の御意見を伺ってみたいと思います。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) お答え申し上げます。  裁判所につきまして予備金の制度がございますということはただいま佐々木委員の御指摘のとおりでございまして、これは裁判所に限らず、衆議院あるいは参議院につきましてはそういう制度があるわけでございます。またその運用の実態につきまして、外国旅費が昭和二十八年度以降その一部を占めておりますこともただいまお話のとおりでございます。実はこの海外の裁判官の研究でございますとか、あるいは国際会議の出席でございますとか、戦後はあまりその機会がございません。だんだん最近になってそうした機会が増大してまいったわけでございます。ただいま佐々木委員の御指摘のとおり、そうした経費をもっと通常の予算に計上すべきではないか、私もまことに適切な御意見だと存じます。そこで、昭和四十七年度の予算におきまして、判事補の海外特別研究ということで、別途予算に海外旅費を計上いたしました。また、ただいま御審議をいただいております昭和四十八年度の予算におきましても、裁判官の海外視察の充実という項目のもとに、また新たなる予算の計上をいたしてまいっておる次第であります。本来外国旅費はそうした形で一般の予算の中に計上すべきが本筋でございますので、そうした努力を今後とも継続いたしてまいりたいと、かように思うわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 私もこれは拝見いたしまして、毎年大体同じ額と言いましたが、これは三百万円前後ぐらいのお金でございますので、まあ額としたらきわめて少ないわけでございますが、これは裁判官というものの経歴とか職務の重要性などから考えますと、実は一般の民間会社とかあるいは同様の経歴なり教養を持った人たちのほかの分野における状態などを見ますと、私は外国に行くこと必ずしもいいというわけではありませんけれども、やはり見聞を広めるという意味で、若い裁判官がもっと外国に行く機会をたくさん設けたほうが、これは日本の司法の将来のためにいいのではないかというふうに考えるわけでございますが、そういう点について、大臣のほうはどのようにお考えでございますか。またどのような御努力がいただいているか、伺いたいと思うわけでございます。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 先生のおことばどおりに実は考えております。裁判官をもっと大量に、もっと大ぜいの裁判官を出すようにしてもらいたい、裁判所のほうもたいへん御尽力になりまして、昨年からごくわずか派遣ができるように予算的措置ができました。四十八年度も同様でございます。そこで、検事のほうも裁判所のおやりになったことを見習いまして、ことしからごく少量でございますが外へ出していただくことができるように、大蔵省に申し入れておりますところは、ことしはこれでよいが、来年以降は裁判所についても検事についてももっと大幅に奮発してくれよ、年々歳々ふえていくようにしてくれというふうに懇請して今日に及んでおるわけでございます。努力をいたします。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまのお話のように裁判官とか、検察官が特に若い時期に海外に多く出る機会を持たれるようにできるだけ御努力いただくことを私よりもお願いしておきたいと思います。  それから、ことしの裁判所予算で、やはり庁舎の増設費というものが非常に大きなウエートを占めておりまして、特にこれは最高裁の新しい庁舎の、これは第三期の最後の費用でありますが、七十七億九千六百五十八万円と全予算の八・五%という高率を示しておりますが、この最高裁の新庁舎で、法廷は幾つあるのか、大法廷と小法廷とあると思うのでございますが、どういうことになっておりますか、法廷の数をちょっと伺いたいと思います。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 最高裁判所の新しい庁舎の法廷の数でございますが、大法廷が一つと小法廷が三つでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは最高裁の判決、まああまり注目されておらない事件ももちろんたくさんありますけれども、中には非常に大きく注目されている事件などもございまして、傍聴券をとるために多くの国民がたいへんに苦労するということが、いまの最高裁の大法廷あるいは小法廷においても起こるわけなんでございますが、今度おつくりになる大法廷の傍聴席あるいは小法廷の傍聴席は、各何人ずつ入れるようになっているか、お述べいただきたいと思います。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 大法廷の傍聴者の数でございますが、現在の大法廷におきましては、記者席を含みまして百十一席でございます。新しい大法廷におきましては、記者席を含みますと約二百近い席に相なるかと考えております。小法廷でございますが、現在は記者席を含みまして五十席でございますが、今度は記者席を含みまして約七十席くらいに相なっているわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから、下級裁判所の庁舎につきましても、ことしは四十九億五千二百三十三万円というものが投ぜられているわけでございますが、新しく建設される庁舎についても、私は同じようなことを伺いたいと思うんでございますが、たとえば、これはどこの裁判所でも同じようなことが起こっているのではないかと思いますが、たとえば私のおります大阪の地方裁判所でも、いま新しい裁判所をつくりつつあるわけでございますが、この大阪地裁に今度つくられる刑事法廷の一番大きな法廷が何名収容できるのか、また民事の大法廷は何名収容できるのか。私、これを特にお尋ねしたいと思いますのは、いままで刑事事件につきましては多数の被告があってなかなか入れないというような問題もかつてはございましたけれども、主としていまは傍聴人が何人入れるかというのが重大な問題ではないかと思いますが、特に、裁判所予算などを拝見いたしておりますと、公害訴訟などが激増している。それにどう対処するかというようなことが、ことばの上では書かれておるのですけれども、実際につくられている裁判所の民事法廷というものはきわめて狭うございまして、現在におきましてもどうにもならないというのが実情なのでございますが、この刑事、民事の各法廷、最大入れてどれだけ入れるようになっておるか、お述べいただきたいと思うわけです。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 大阪の裁判所の民事あるいは刑事に分けてこまかい数字、ちょうどあいにく持ち合わせておりませんので、たいへん恐縮でございますが、私の承知いたしております限りでは、一番大きい法廷の傍聴席の数が約百名、正確に申しますと九十六席あるというふうに記憶いたしております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま私も申し上げましたように、たとえばこれは大阪の場合でございますが、空港騒音訴訟などは、これは原告の数だけでも二百名をこえるわけでございます。私、たまたま知っているだけでも、空港騒音訴訟にしても、あるいはスモン訴訟にしても、あるいは近く出される森永ミルク中毒児の訴訟にしましても、これは原告の数だけでも相当数に及ぶ。現実の問題として、空港訴訟でも、自分の裁判がどのように進められるかをこの目で見たいと裁判所に来ても、原告自身が数の制限を受けて法廷に入れない、あるいは自分にとって関係のある証人がどのような証言をするかということを聞こうと不自由なからだで法廷に出て来ても、法廷はもういまおっしゃったように五十人とか百人しか入れないから、原告自身が入れない。これでは裁判に実のところならないと思うのです。原告が入れないんですから、傍聴人はまして入れないわけでございまして、そういう点で、せっかく国民のたくさんの税金を使って裁判所を新しくおつくりになるのに、これでは、もともと裁判所が民事は狭いというなら、これはいたしかたないと思うのですけれども、わざわざお金を使ってつくられるのに、いまつくられつつあるその法廷がもう狭くて、ものの数にならない。また、これはたまたま大阪のことばかりで申しわけございませんが、そういう事件になると原告代理人だけでも五十人ほどいるわけでございますが、代理人席は、机の前にすわれる弁護人のいすというのは四つくらいでございまして、ほかはいすを入れることもできない。うしろに弁護人が立って弁護をしなくちゃならないというような、これではせっかく裁判所をおつくりになるのにもったいないじゃないか。そういう点について根本的に何とかお考えになる、あるいは法廷の改造を考えられるとか、そういうお気持ち、お考えはございませんですか、どういうふうに対処なさろうとお考えになりますか。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 私どもが裁判所の法廷並びに庁舎を設計いたすにつきましては、必ず現地の裁判官の方の御意見も十分伺いまして、その御意見を実現するようにつとめてまいっておる次第でございまして、法廷の広さ、傍聴人の席の数、当然これは一つの大きいポイントでございまして、ただいまお話のございました大阪につきましても、私の記憶しておりますところでは、大阪高等裁判所あるいは地方裁判所は、裁判官、職員を含む建設の委員会を開きまして、そこでいろいろの案を検討されて、こういうものをつくってほしいというところで、私どもは設計をして施工してまいったという経過に相なっております。まあしかし、いずれにいたしましてもいろいろの問題がありますことは、ただいま佐々木委員のお話のとおりでもございましようし、今後さらに必要に応じまして、各方面のそうした御意見を踏まえながら、十分に検討いたしてまいりたいと、かように考えます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから、同じくこれまた大阪の裁判所のことで恐縮でございますが、部を一つふやしたいというふうなお考えが、非公式ですが裁判所の部内でもあり、弁護士のほうの希望でもある。ところが部をふやすには、いまの設計ではもう全部将来裁判所ができ上がっても、裁判官席はこれでいっぱいで、満席で、部をふやすことができない。これは主として場所的関係から部をふやすことができない。もし、部をふやすとすれば、裁判所の中の弁護士控室をつぶして部をふやす以外に方法がないという実情なんでございます。これはいまある裁判所についてそうだということではなくて、将来建つ裁判所についてそうだというんでございますが、これじゃあまりにもわざわざつくるのにつまらないじゃないか。一般のわれわれの家庭でも、家を建てるときにはいま子供が一人いる。しかし、あとまだ二人ぐらいできるかわからないということで、子供部屋を広くしておくとか、いろいろ考えて建てるのが普通でございますが、いまいる裁判官だけがちょうどすわれるだけの裁判所を現在つくったところで、いま法務大臣御自身もおっしゃっているように、どんどん増員しなければいかぬ。今度は増員ができるとなると、すわるところがないから、裁判官をふやしてもらっても場所がないというんじゃこれは悪循環でどうにもならない。これは裁判所を新築なさるときに、どうして、将来ふえるであろうところの予定を頭の中に入れて新築していただけないのか。またそのときはそのときでつくりかえればいいわ、というお答えなのかもしれませんけれども、それはあまりにも国民の税金の乱費じゃないか。そこら辺はどういう計画なり着想のもとに進められているのか、伺いたいのです。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) まことにもっともな御意見でございまして、もしそういうことがございますと、非常に私どもといたしましても申しわけないことでございます。ただ、私どもが現にやっております現状だけを御参考までに申し上げますと、やはりこの増設あるいは裁判官の増員といったようなことも当然あり得るわけでございます。私どもといたしましては、一割以上ふえるというようなことになりますと大げさでございますが、その程度以内の増加でございますれば十分対処できるように、それだけの余裕は最初から見込んで実は設計をいたし、建てているわけでございまして、ただいま大阪のお話がございましたが、大阪の場合はまだ未完成でございます。ことしの秋に完成いたしますと、私は、部が一つふえましても十分収容できる能力は持っておるものと、そういうふうに信じております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから、この庁舎新築のときに考慮していただきたいことで、特に私感じますことは、公害訴訟が非常に多くなって、公害病患者などが裁判所に公判のために出頭するということが多くなっておるし、また、この裁判所の統計を見ましても、交通事故の事件が相当多くなっている。訴訟、調停のために、交通事故の被害者が訴訟の当事者として裁判所に出頭しなければならない機会がまたこれは激増していると思うわけでございますが、実はこの間、私、ある用事で重い身体障害者の方が裁判所に出頭するのに、車いすじゃないととても運べない。それで、裁判所のほうに伺いますと、車いすは身障者の場合は身体の一部であろうという御見解から、車いすを法廷へ入れていただいたわけなんでございますが、私、裁判所の入口からその患者さんを乗せて法廷まで車いすを運んでみたわけでございますが、これは現実に運んでみると、実にむだなあぶないところがたくさんあるわけですね。私は、普通の役所と違って裁判所というところは、そういうことでからだをそこねられた人とか、そういう方が出入りされることが多いわけですから、やはり身障者の方が動きやすいように、まあどうしてもしかたない階段とか何とかはこれはしようがありませんけれども、むだな、身障者の方の歩きにくいような工事というものは、最大限控えるべきじゃないか。私は、まあ考え方によれば、身障者のための、階段じゃなくて、スロープぐらいのものはひとつつくってもいいんじゃないかというふうに思うわけでございますが、公害訴訟あるいは交通事故訴訟の激増を考えて、裁判所はその点についてどういうふうな御配慮をお考えでございますか。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 別に身障者に御不自由をかける意味で階段等をつくっているわけじゃございませんが、ただいまお話しのような新しい例の問題につきましては、各裁判所から実情をよく承りまして、研究いたしてみたいと考えます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 身障者の人も、できることならば動けるような、一人で裁判所へも行ける、あるいは証人に呼ばれたら、そうそうそんな悪条件のために出れないというようなことがないような、そういう法廷設計というものも、わざわざお金を出してつくられる以上、今後考えていただきたい。これは身障者であっても裁判を受ける権利があるのですから。だから、そういう点についてもできるだけ広くいろんな人が裁判所に来れるように、そういうふうな点について特に御配慮をこれからお願いしておきたいと思うわけです。  次に、時間の関係がございますので、経理の問題はこのあたりにさしていただいて、別の執行官制度の問題に移りたいと思います。  これは昨年の十二月の十三日に大阪地裁で競売談合の被疑事件に関連して、地裁の執行官臨時職務代行者が競売にからんで執行立ち合い人から収賄したという疑いで逮捕されたという事件があったわけでございますが、そしてこの被疑事件の捜査のために、警察が大阪地裁の執行官室を再度にわたって捜索するというあまり芳しからぬ事件が起こったわけでございますが、私は、この事件については、基本的には、執行官臨時職務代行者は公務員でないから収賄罪には該当しないという考えを基本的に持っているわけなんでございますが、いずれにしましても、裁判所に対する国民の信用を著しく失墜したということはこれは否定できない。そして、これは現在の執行制度というもののまああまり触れたくない恥部に触れられたような感じがするわけなんですが、現在の執行制度で、これで完ぺきだと、最高裁当局がよもや思っておられないと思うんでございますけれども、現在の裁判所の正規の職員で民事の強制執行を担当のために執行官室に勤務している人員は何人いるのか、まずそれを伺いたい。そして、その執行官室に勤務している正式の職員、その職種とか職名とかを伺ってみたいと思います。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 執行官室に勤務している正規の職員と申しますと、執行官を含む……。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 はい、さようでございます。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 執行官の数は、現在、昭和四十八年一月一日現在で三百五十六名でございます。それ以外に執行官室で直接勤務している裁判所の職員はございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまお話しのように、執行官だけであって、執行官室で働いているほかの人は全部裁判所の正規の職員でない。これは私は非常に奇妙なことじゃないかと思うわけです。執行官の職務上の地位は国家機関としての性質を持っているとこれは当然解されるわけでございますが、これは現実には執行費用というものが国の支出によってまかなわれているのじゃなくて、執行官の独立の事業、個人事業となっているところに非常に多く問題を残す根源があるというふうに思うんでございます。  と言いますのは、この間、前記事件が新聞に報道せられて、裁判所の執行官室というものがクローズアップされたわけですけれども、裁判所の執行官室で働いている事務員を、これをもう一般の国民は頭から裁判所の職員と思い込んでいる。私が、これは実は収賄罪になるであろうかということを言っても、冗談じゃない、裁判所の執行官室で働いている人がなぜ裁判所の職員じゃないのかというのが、これが素朴な国民の一般的な感情でございますし、また競売の受付、あるいは記録とか、金銭の保管などというような重大な仕事を現実に扱っているわけなんでございますが、実際は裁判所の職員ではなくて、執行官個人で雇っている事務員。この事務員に対して、しかし世間は、いま申し上げたように、裁判所の職員だと思っており、裁判所の職員だからということで信用している。そこに大きな矛盾があると思うんですけれども、この事務員を、裁判所としてどういうふうにしてそういう関係にある事務員を監督していくか、どういうふうにすると、裁判所とすると、この事務員の採用なりあるいはその執務の状態を管理していくことができるのか、どういう体制でいま臨んでおられるのか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 御承知のとおり、執行制度の改善につきましては、長い間法務省において検討を続けてまいったわけでございますけれども、まあそのあるべき姿として、執行官を完全な俸給制の公務員にするということを一応ねらって検討を続けてまいったわけでございますけれども、現実の問題として直ちにその方向に切りかえるということは困難であるということで、現在の執行官法が制定されたわけでございます。執行官法制定に際しましては、従前の手数料は一応そのまま残す、しかしながら、旧来のいわゆる役場制と申しますか、執行吏による個人企業経営的な要素は払拭していこうということをねらっておったわけでありまして、その意味で、古くからありました執行吏代理という制度、現在の執行官臨時職務代行者に当たるわけでございますが、執行吏代理制度というものは廃止いたしまして、純然たる執行行為あるいは送達行為は執行官自身が行なうという方向に持っていこうということで、そういう規定となっておるわけでございますが、現実におります執行吏を直ちに廃止することは、執行事務の停滞を来たすばかりでなく、執行代理者の生活に関係する問題でございますので、暫定的な措置として執行官臨時職務代行者という形で残すということになったわけでございます。これは将来執行官法の規定のとおり、漸次減少していくものでございまして、やがて数年の後には自然に解消するものであろうかと存じております。  それから事務員の関係でございますけれども、これは執行官が完全な手数料制という前提に立ちました場合に、執行官として事件数の非常に多いところにおきましては、みずから執行に伴ういろいろな雑用を行なうことができないわけでございますので、やむを得ず、執行官として本来の執行事務なり送達事務なり行なうために、雑用をみずからの費用のもとにおいて事務員を雇うということを、これも認めざるを得なかったわけでございます。その意味で、現在事務員というのがかなり多数執行官室に残っておるというのが現状であるわけでございます。しかし執行官臨時職務代行者を認めるためには裁判所の許可を要することになっております。事務員の採用にあたっても、裁判所が承認を与えるという形で、採用のときにおきましては直接に裁判所が監督をするということができるわけでございますが、採用後におきましては、直接に裁判所の職員でございませんので、直接の監督権は及ばないわけでございますけれども、やはり執行官臨時職務代行者の職務や事務員の職務が執行事務の適正のために重要な要素をなしておるということに変わりはございませんので、執行官に対する監督を通しまして臨時職務代行もしくは事務員に対する指導を行なっていくという体制で現在進めておるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 昭和四十一年の十一月八日、最高裁の民三第八七〇号、高等裁判所長官、地方裁判所所長、家庭裁判所所長あての通達によりますと、いままでお話しになったような執行官室の事務員の承認の申請についての手続きが書いてありまして、事務員になろうとする者の氏名、年齢、住所、学歴、職歴を記載した書面を裁判所に出すことによって許可を得るとなっているだけなんでございますが、これはまあ執行代行者の問題はまたあとに聞くとして、これは裁判所の何も掃除をする御婦人の仕事が特に責任が軽いというのでは私、決してございませんけれども、まあ裁判所で掃除をする御婦人を採用するにしても、所長みずから面接をする、またいろいろ調査をする、その上で採用するというのが私の伺っている裁判所の実情のようでございますけれども、現実に執行事務という、重大な書類を保管したり多額の予納金を取り扱ったりする執行官室の事務員というものの採用についての許可が、これは名前と年齢と住所と学歴と職歴を書いた紙一つでこれを扱っているということ自体、非常にずさんなのではないか。やはりもう少しこれは、少なくとも裁判所の執行官室で働く、そして一般国民は裁判所の職員だと思い込んでお金を渡すというような、そういう仕事を、補助的にしろ手伝う人たちは、もう少しその任免について裁判所に権限を持たせていいのではないかと私は思うわけなんですが、このいま言いました通達はまだそのまま変更されていないわけでございますか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) ただいまその通達は変更されておりませんけれども、実際問題として直接の職員でない関係で、成規の規定を設けることはできませんけれども、運用の問題としては、各地方裁判所で、それぞれ執行官事務員を雇うにあたりまして所長が直接に会われる所もあろうかと存じます。あるいは執行を担当している裁判官あるいは裁判所長、事務局長、執行官を監督する首席書記官等が面接するということは、実際の運用としては行なわれていると考えます。  なお、ただいま佐々木委員のお話の中に、予納金を事務員が扱うということばがございましたが、これは現在におきましては事務員が予納金を扱うということはないことになっております。これは御承知のとおり執行官法の規定にもございますけれども、執行官の取り扱う職務に関する金銭は地方裁判所が取り扱うというふうに改められまして、附則で暫定措置があったわけでございますけれども、昨年度までで完全に会計関係の事務官は辞任いたしまして、現在は金銭に関する限りは地方裁判所の会計の担当職員が扱っているということになっております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それは、予納金制度はそれでは改められて非常にけっこうなんでございますが、これは実はこういう事件がありましたので、この当時執行裁判所の部長判事なり、あるいは所長、上席の、執行官室で働く職員の監督、任免とか監督についての実情をお尋ねしたわけなんですけれども、実のところ非常にそういうことで監督しにくいというのが、現地の所長とか上席なり、あるいはその部の総括裁判官の意見であったわけなんでございます。そういうことで、いま金銭のほうは解消したとしましても、競売期日の受付ということだけでも非常に国民の権利関係に密接な問題でございますので、これはやはりもっとチェックする方法を裁判所として考えていただきたい、そうして裁判所の責任者がチェックしやすい状態をこれはつくっていただきたいと思うわけなんでございます。  それから特に先ほど来お話のありました執行官の臨時職務代行者の仕事、これはまあ国民の権利義務にきわめて密接な関係を持っていることは言うまでもないわけでございますが、これにつきましては、裁判所にこれは許可を得なければならないということですが、先ほどの通達によりますと、やはり同じく氏名、年齢、住所、それから執行官臨時職務代行者になるときの資格第一項から第五項、これは執行官規則附則第五条第一項に定められている分ですけれども、そのどれに該当するかということを書いて、書面を出して許可を求めるというふうに手続的になっているようでございますけれども、それでは非常に不備だと思うわけなんです。そういう点について、これは事務員以上に、何層倍か権利義務の密接な関係を持つ重大な仕事でございますので、暫定的にこういう職務執行代行者を使わなければならないことはやむを得ないといたしましても、それならそれだけに、もっと裁判所は国民に対して責任の持てる体制というものをとっていただきたいわけですが、その件についてどのようにお考えですか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 執行官臨時職務代行者につきましては、先ほど申し上げましたとおり、従来の執行吏代理として勤務していた者を暫定的に職務代行者として認めたわけでございますので、執行官個々は新しく職務代行者を任命するということはないわけでございます。したがいまして、現在の臨時職務代行者は、従前から執行吏代理として勤務してきたものでございますので、その執行吏代理の中で、臨時職務代行者として残ることが相当かどうかについての判断を各地方裁判所でやっていただく、こういうことで処置してまいったわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうして、いまの御答弁によりますと、いままでの執行吏時代の代行者をそのまま使ったということでございますが、先ほど全国の執行官の数を伺ったのですけれども、執行官の臨時職務代行者は現在全国に何人いるか、ちょっと教えていただきたいと思います。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 臨時職務代行者の数は、四十八年一月一日現在百五名でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、この百五名はもうふえることはなくて減るばかりでございますね。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 御意見のとおりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうしますと、この百五名の方がだんだん減っていくのに対する補充の方法とすると、新たに執行官の数をふやしていらっしゃるわけでございますが、年々どのくらいふやしておられますか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) できるだけふやすという方向で努力いたしておるわけでございますけれども、年々十名前後というところでございます。ただ、臨時職務代行者について、御承知と存じますけれども、執行吏代理の時代におきましては、執行行為の代理、送達行為の代理と両方やらせる場合が多かったわけでございますが、執行官法制定後は、臨時職務代行者には執行行為はやらせないという運用方針をきめまして、現在全国でほとんど執行行為を代行するという例はないように伺っております。したがいまして、現在担当している事務は送達の関係だけであろうかと存じます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 判決はいただいたけれども、あるいは仮処分なり仮差し押えの決定は出たけれども、執行官に行ってもらって、後、つかまえるのにこれがなかなか順番が回ってこないというのが、これは一般の、特に弁護士の人たちの悩みなんですけれども、これは執行官九名くらいの増員ではとても追っつかないと思うわけでございますが、大体どういうとこら辺にその給源を求めていらっしゃるわけですか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 執行行為は非常に法律的な判断を要する事務でございますので、どうしてもやはり法律に詳しい人でないと執行官としての職務はつとまりませんので、原則的には書記官の方に執行官にかわっていただくようにお願いいたしておるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは執行官職務代行者が職務を実施するについて、当然のことだと思うんですが、故意とか過失による違法行為があったときには、これは国家賠償の対象になると思うのでございますが、そのような重大な、だんだんと権限は狭めているというお話でございますけれども、そのような重大な職務を行なう人についての監督が十分に行なわれがたいという、話はもとに戻りますが、状態であり、しかも肝心の本来の執行官の増員というものがなかなか確保できないとなれば、勢い執行代行者のほうにも、いろいろな意味でのしわ寄せが来ているというようなのが実情だと思うわけでございますので、先ほど申し上げました昭和四十一年の通達をぜひ御検討いただいて、もう少し裁判所が責任を持てる体制で取り組んでいただきたいと思いますとともに、これはだれが見てもこの制度は中途はんぱである。これをもっと抜本的に解決をして、執行制度、ひいては日本の裁判所が国民の信頼に十分にこたえ得るようにしていただきたいと思うわけですが、この点につきまして、事務総長お越しでございますので、事務総長としての御見解を伺いたいと思います。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 御趣旨を体しまして、十分努力したいと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから次に、これは本法務委員会で何回も反対の意思を表明さしていただいてまいりました地方裁判所における審理に判事補の参与を認める規則が最高裁判所において定められて、昭和四十七年の十一月の二十日から実施されておるわけでございます。そして、この実施に伴って、大阪とかあるいは広島をはじめとする各地方裁判所で訴訟の手続き上幾つかのトラブルが弁護士と裁判所との間に起こって、訴訟が混乱しているということは、これは最高裁当局におかれても十分御存じのとおりだと思うわけでございますが、さて、この規則について若干お伺いさしていただきたいと思いますのは、最高裁判所事務総局発行の昭和四十七年十月二十八日付裁判所時報の号外、これは地方裁判所における審理に判事補の参与を認める規則の解説と題する書面が、表裏二ページ全面にわたって載っておりますけれども、ここに記載されたのが、最高裁事務総局の本規則に関する解説であることに間違いございませんか。この解説は最高裁事務総局が出されたということ、この点は間違いございませんね。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 御指摘のように、裁判所時報の号外で、ただいま御指摘の地方裁判所における審理に判事補の参与を認める規則の解説というのを載せております。しかしながら、これは事務総局における公式の見解ということではございませんで、昨年の十月の十三日に、規則の解釈、運用について裁判官会同が行なわれましたので、会同の席でいろいろ協議がなされたところの結果を、それを一応取りまとめたという形でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうしますと、この解説書に書いておられる事柄は、その拘束力はあるのですかないのですか、この解説書の性格というものをお述べいただきたいと思います。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先ほど御説明いたしましたように、要するに会同における協議結果の取りまとめでございますので、そういう点から申しまして、特に拘束力はありません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、この規則の中にいろいろ解釈上、これは弁護士の中にも裁判官の中にもいろいろ解釈上の問題、差異というものが出てきておるのでございますけれども、その点について、これはもう個々の裁判所、裁判官にまかせてあるというのが最高裁のお考えでございますか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) これは規則でございますので、他の法律と同様、その解釈、運用等につきましては、それぞれ担当官、裁判官が考えられてこの運用をはかるということになろうかと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは現実の問題として、一条の一項などの解釈として、「参与判事補は、当該事件に参与しているのであるから、準備手続や受訴裁判所の行なう和解勧告についても参与事務を行なわせることができる。」こうなっておるんですが、これは、こういう事柄について幾ら実務家が議論しても、参与事務というのは何なのかということがさっぱりわからないわけですが、これは、最高裁は規則は一方的におつくりになったが、規則の内容についての説明は、これはもうなさらぬというのが基本的な立場ですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) それについての説明を全然しないということではございませんで、やはり規則として立案した以上、立案者といたしましてそれぞれの解釈は持っておるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、立案者としての最高裁事務総局の意見を伺いたいと思うわけです、いまの点につきまして。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) この規則の立案にあたりましては、各方面の意見等を参酌いたしまして、一応そういうふうな解釈を取りまとめたものでございますので、したがって、ここに書いてあるようなところが、大体立案当時の解釈でもあったというふうに考えておるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 ここに書いてあるのがというのを見せていただいても、そこにはただ「参与事務を行なわせることができる」という程度で、それ以上のことは解説書にも書いてないわけなんでございますけれども、そうなると、これは現地の裁判所もよくわからない、弁護士もわからないということだと、これはどうすることもできない。法律と同じようにと言われたんですけれども、法律というものですと、国会審議というものがあって、こういう法律はどういうやりとりで、どういう経過を経てこの法律ができたなんということがはっきりと議事録にも載っておりますから、ですから、この法律はこういう意図で、こういう意味を持っておるんだというようなことが、はっきりと国民に明らかにされておりますけれども、この最高裁の規則、これはこの間の議事録というものが公表されておりませんから、ただわからないということの一言に尽きるわけなんです。ですから、おわかりでしたら、それを最高裁はどういうことを考えておられるのか、具体的に述べていただきたいと思います。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先ほども申し上げましたとおり、昨年の十月十三日に、この規則の解釈、運用について裁判官会同を行なっておりますので、その会同であらわれましたところの解釈、運用等に対する問題点その他につきましては、それぞれの裁判官がその会同の結果を、それぞれ現地裁判所に戻られて、裁判官にも御説明されているというふうに考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、これは法律と同じようにとおっしゃったけれども、法律と同じじゃなくて、裁判所の部内だけで一応そういう打ち合わせを、このように解釈するときめただけであって、これはまあ公表できぬというわけでございますね。これは最高裁から言わぬ限り、各地裁の聞いてきた人がどういうふうに聞いたとか、ああだとか言われたところで、これはみんながそれぞれ内容がよくわからぬと言っているのが一般的なものでございますから、これは個々的にいろいろな人がいろいろなことを言う個人的な意見にしかすぎない。そうすると、最高裁としたら、これはいまの御答弁では、はっきり言えぬ、そのとき集まった裁判官に言うたということでございまして、国民にはそのことについて言うつもりはないという、そういうことでございますか。そうすると、法律などと同じように、とおっしゃったけれども、法律とはむろん全然違うわけですね。そうするとその解釈の基準とか、この規則をどう考えるかというようなことについては、まあかってに考えろというお考えで、ということになると解釈せざるを得ないんです、結論的には。そういうことですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) どうも先ほどのことが足りなくて申しわけありませんが、法律と同様と申し上げますのは、やはり法律の解釈もそれぞれの法律を適用される裁判官の解釈による、そういう趣旨で、本規則もそれを運用される各裁判官の解釈による、こういう趣旨でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 くどいようですが、法律の場合は、疑問点は国会審議の場でいろいろとお尋ねもし——これはいまも私いろいろとお尋ねしていますが、これは私が個人的にお尋ねをしているわけじゃなくて、国民の代表としてお尋ねしておるわけで、わからぬことはいろいろと国会の中で検討するチャンスがあるわけですね。しかし規則の場合は、規則だって、つくられた裁判所がこの規則はこういう意図でつくったんだ、こういうわけなのだと説明していただけばいいわけですけれども、説明されない限り、国民が伺うチャンスというものは全然ないわけですね。そこら辺で非常に、法律でも各裁判官の解釈によるとはいえ、そこは非常に違っていると思うわけなんです。規則につきましても、この規則はどう解釈しているか、あるいはこの通達はどう解釈しているかということについて普通は当局がお答えいただけるものなのですが、これについてお答えいただけぬとなると、この規則だけは非常に特異な取り扱いだというふうに解釈せざるを得ないんですが、その点はどうなんですか。非常に特異な取り扱いをしているわけですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 特に特異な取り扱いということではございませんで、ほかの規則と同様、数回規則制定諮問委員会も開きまして、各界の方々の御意見も十分そこで参酌しておりますし、またそれぞれ各地の裁判官等の御意見も十分参酌して制定されたものでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いや、その制定されるについて裁判所部内でいろいろな方の意見を聞いたということを私問題にしているんじゃないんです。外部の、国民がわからぬから聞いているわけなんです。だから、内部的にどういうふうに意見を聞かれたか、あるいは裁判官会同でどのような打ち合わせをされたか、それが外部にわからないから聞いているわけなんですね。普通の規則とか通達で、われわれが見てこれはわからぬところは、ここの解釈はどうですかとその通達を出された当局に聞かれれば、実はこうこうこういうことで通達を出したんだと普通は説明されるし、規則についても同じなんです。法律については、もちろん国会審議というものを経ているから、国民がいろいろと質問をした上で、国民の了解を得て法律が成立するわけですから、これはもう言をまたないわけなんです。そういう点では、裁判所がいろいろな意見を聞いたということを問題にしているんじゃなくて、国民がこれに対して発問する機会がないじゃないか、これは一体どうなっているかということを伺っているわけなんです。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) どうもいろいろ不行き届きで申しわけございません。  先ほど冒頭で、この裁判所時報号外は、裁判官会同の協議結果を取りまとめたものにすぎないというふうに申し上げたのでございますが、この裁判所時報の号外にもありますように、「当局かぎりの一応の見解」ということで、立案を担当いたしました総務局の見解ということで、これを一応の解説、解釈というふうにお考えいただいていいわけです。もちろん、これにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、この解釈が個々の裁判官を拘束するものでないことはもちろんでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうしますと、話はもとに戻りますが、最高裁とすると、参与判事補の準備手続とか和解勧告についての参与事務というものはどのように解釈されているのか。これは訴訟の当事者としても、裁判官はこういうことをやる、書記官はこういうことをやるということをわかって法廷に行っているのに、この人だけは一体何をやるのかわからぬで法廷に出たところで、こちらも防御というか、訴訟行為のしようがないわけですね。それがはっきりわからぬことには話にならぬわけですよ。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 和解等につきましては、もちろんこれは参与判事補はその裁判体の構成員になるものではございませんので、直接和解に関与するということはできないわけでございます。ここで申しておりますところの和解といいますのは、裁判官が和解を進められるその過程において、当該裁判官に対して和解の原案といったようなものを、下書きといったようなものをする、そういうようなことを考えておるものでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、現実に当事者の中に入って和解の労をとったり、あるいは準備手続においてもそういうことは一切しないわけなんですね。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 法律論としては、まさにそのとおりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、司法修習生の立ち会いと大体形の上で同じことですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 外型的には一応司法修習生と同じような形になると思いますけれども、やはりこの制度の趣旨から申しまして、積極的にその場合の事案について意見を述べることができる、そういう点については司法修習生とは違うということでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 意見を述べる、といまおっしゃったんですが、これは和解だけでなしに、判決とか個々の訴訟指揮などについても同じことだと思うんですが、これは、意見を述べることができる、ということなんでございますね。これは、法的には、意見を述べる、というのはどういうことですか。述べても、これは当該裁判官が拘束されないということははっきりしていると思うんですが、そういうことからすると、修習生にしても、意見を述べることができることにおいては、これは立ち会っている事件について、裁判長こうじゃないかということを、それは幾らでもできるのでございまして、そこも変わりがないじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) この規則の第二条にありますように「参与判事補に意見を述べさせることができる。」ということは、当該裁判官から意見を求められれば意見を述べなければいけないということに相なるわけでございます。したがいまして、司法修習生の場合には、たとえ裁判官から意見を述べよというふうに言われましても、その意見を述べない場合も当然許されるという点が違うと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 この「意見を述べさせることができる。」、これがまたもう一つよくわからぬのでございますけれども、そうすると、この裁判所が参与判事補に意見を述べさせるという行為自体は、これは司法行政上の命令ということになるわけですか、それとも訴訟指揮の指揮権の発動というようなことになるんですか、これはどちらの性格に属するものなのでしょうか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 広い意味では司法行政だろうと思います。ただ、司法行政と申し上げましてもいろいろな面がございまして、裁判そのものに密接に関係のある司法行政と言ってよいだろうと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これも私もう一つ性格がよくわからないからお尋ねするんですけれども、たとえば参与判事補に、この方が裁判体を構成する裁判官でないことははっきりしておりますが、参与判事補に対する公務執行妨害罪というものは成立するというふうに一これは個々の裁判官といえば個々の裁判官ですけれども、当局とすると、これはするとお考えなのが、しないとお考えなのか、その点をちょっと伺っておきたい。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 参与を命ぜられますと、一応それは職務ということになりますので、したがって、参与している間のことにつきましては、これは公務ということになると思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 内容そのものにつきましてはまだまだお尋ねしたいと思うのでございますが、先ほど一番最初にもありましたように、この解説というものがこれは各裁判所を拘束するものでないという御見解でございますので、あまり立ち入って次々とお尋ねしても、これは、あるいは拘束しないというものに対して御見解を伺うのもどうかと思いますので、これは拘束しないということを確認さしていただいて、次の質問に移りたいと思います。  この規則に対して、多くの弁護士会の反対決議がこれは次から次へと出されまして、最高裁も十分そのことは御承知のとおりだと思いますし、また裁判官会同も持たれまして、これは判事補ばかりではなく、高裁とか地裁の部長クラスの裁判官なども多く御出席になって、この制度に対して多くの批判が出され、反対の意見が表明されたということは、これも御承知のとおりでございますけれども、どうしてここまで法曹部内でのきわめて強い反対があるのに、何ゆえにこれを推し進められるのか。特に、弁護士のみではない、裁判官が、いまも言いましたように、全国の裁判官が集まって、しかも相当練達された部長クラスの方まで集まられて、強い反対意見を出されている。また一審強化協議会でもこの問題が持ち出されて、この規則の導入は訴訟促進になるどころか、むしろ訴訟の遅延をもたらすものである、という意見が一般的に強い。その点を先ほど来の訴訟の迅速化というようなことから照らし合わせて、どのようにお考えになっているのか、述べていただきたい。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 規則の制定当時いろいろな意見がございましたことは承知しております。ただ、その当時、先ほども申し上げましたとおり、規則制定諮問委員会を数回開きまして、十分協議もいたしましたし、またその当時、現地裁判官の意向等も十分お聞きいたして、その上で規則の制定ということに相なったわけで、先ほど佐々木委員がおっしゃいましたように、いろいろ反対意見が非常に強いのにかかわらず、無理やりこれを強行したという点はないというふうに確信しておるのでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは過去のことじゃなくて、現在進行中の問題でございまして、反対があったというんじゃなくて、いま反対がますます起こりつつあるというのが現実なわけです。たとえば、これは大阪の弁護士会でも、つい最近のことで、まだ回答書もどんどん回収している状態のようでございますけれども、ほぼ集まったところでは、会員の全弁護士に参与制度のこの規則の実施についてアンケートを求めたところ、現在回収している分では、四名の人が必ずしも反対はしないという意見であるほかは、他の全部が反対、しかも強く反対するという意見が、これははっきりした数は、いまどれだけ集まったか知りませんが、数百という数だと思いますが、数百述べられているわけでございます。そういう意味において、これは大阪だけではなく、各地で起こっている。広島でも、あるいは先ほど申し上げました仙台などでは大阪以上に活発に反対運動が起こっているというわけでございますけれども、そういうような意味で、いま——過去に反対されたというんじゃなくて、過去も、この問題が持ち出されてからちょうど一年余りたちますが、一年余り反対が続いているわけですが、ますますいま反対が激化しているという状態なわけです。そして、これは広島の裁判所、また仙台の裁判所などから、現実に該当する地方裁判所に出されている案でも、これはほかの単位弁護士会でも、私の十分に知っておらない弁護士会でも同様の意見が出ているんじゃないかと思いますけれども、個々の事件について両当事者が納得し、同意した場合にはやってもやむを得ないが、民事事件において一方の当事者が反対している場合には、弊害が非常に多いからやめるように、というようなことの要望が各単位弁護士会から地方裁判所に出されている。刑事事件については、同じく、弁護人あるいは被告人のほうから反対の場合はもちろんこれはやらないということで、そういうふうな案が具体的に出されているようでございますが、これはやはり法廷の混乱を避けて、不必要な、無意味な混乱のために訴訟が遅延するというようなことを防ぐためには、やはり訴訟関係者の納得ということが、同意ということが必要なんじゃないか。ただ現実の問題として、民事事件などでも、他の一方が同意し、他の一方が同意しない。一方が同意したというような場合には、他の一方のために反対したくても反対しづらいというような状態も出てくるんじゃないかと思いますので、これはやはり各地裁単位あるいは各弁護士会単位で話をきめないと、これは非常にますます混乱するに違いない。弁護士会によりましては、これに対する異議の申し立てというようなものも印刷して用意している弁護士会もあるようでございますけれども、徹底して各弁護士会員が全部異議の申し立てを出すということになれば、これはまたたいへんなことで、一審で確定する事件も不必要な控訴というような問題も起こってきて、裁判所の負担も増大し、国民もますます苦しむということなので、そこら辺はもうちょっと合目的的にお考えになるおつもりはありませんですか。いたずらにこれをやることばかりが——多少裁判所の言われるメリットがあるとしても、それに伴ういろいろな人の混乱とか、それから裁判所の信用、信頼度の喪失といいますか、そういうふうなことなど考えると、多少の裁判所の意図されるメリットよりも、私の見るところではマイナス面のほうが非常に多いんじゃないか。このように強い反対運動が起こっている。これはもう少し両弁護士会との話し合いが煮詰まるまでこの実施を見合わせるべきじゃないか。この点について当局とすると、どのようにお考えですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) この参与規則の運用によって参与制度を運用するかどうかという点は、個々の裁判官がきめられることということにつきましては、先ほど御説明したとおりでございます。佐々木委員御指摘のように、各地弁護士会から、いろいろ反対決議もしくは要望書というような形で反対の意思表明がなされておる点については承知しております。で、私どもといたしましては、やはり規則である以上、この規則が円滑に運用されるということを願っておるわけでございまして、各地方裁判所におきまして、あらゆる機会をとらえて訴訟関係人にこの制度の趣旨を御理解いただき、そういうふうな機会を設けまして、その際にあらわれたいろいろな意見等を十分考慮した上、裁判官がこの参与制度の運用に当たられるということを期待しておるものでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまもおっしゃったように、現実にはその当該裁判所における裁判官、あるいは当該参与判事補を含めて、あるいはこれに対応する単位弁護士会との間のこの件についての、どういうふうに対処していこうかということについての協議などもあるようでございますけれども、いまおっしゃったように、十分に士会をはじめとするこの参与判事補制度についての多くの意見に十分に耳を傾けて、そしてその上で各裁判所の訴訟指揮にまかせる、そういうお考えでございますね。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) そのとおりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから、規則だからということでございますけれども、この規則の一番の最後の附則ですね。附則の第二項に「本項は、この制度が新しい試みであるので、まず一部の裁判所で実施し、その成果を見守りつつその範囲を拡大することが適当であると考え、当分の間、本規則の適用を最高裁判所の指定する地方裁判所において取り扱われる事件に限定したものである。」というふうに書いてあるわけで、規則だから規則だからとおっしゃったけれども、全国的にこの規則がいま押しつけられているわけじゃない。最高裁のほうが御指定になさった地方裁判所で行なわれているということでございますけれども、これは、最高裁のほうがそこの地方裁判所をまあ指定したけれども、そこの地方裁判所の実情は、非常にこの参与制度を運営していく上において風土に合わないといいますか、むずかしい、ここは適当でないというふうなことになれば、これは最高裁、別に規則でも何でもないわけですから、適宜これは変更なり、取り消しなりできるんじゃないかと思うんですけれども、そこら辺については、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、責任者として。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) この規則のそもそも立案されました趣旨が、五年未満の未特例判事補に関していることでございます。五年未満の未特例判事補の諸君は、合議体の陪席としては仕事ができますけれども、一人で責任を持った仕事ができない。いわば単独体の裁判所を構成して仕事ができないという状態で五年間を経過するわけでございます。で、五年間の間と申しますのは、非常に若くて、活力にも富んでおりますし、大いに勉強して裁判官としての実力を養わなければならない時期かと思います。そういう時期に、ただ合議体の陪席をするというだけでなくて、法律のあることでございますから、単独体の裁判所を構成することのできないことはもとよりでございますけれども、このような規則によって単独体裁判所の仕事にも触れる、で、経験の分野を広げるということで、裁判官として他日、五年たちましたら特例がつく、そういう時期に備えて、こういう規則も有効であるということでできた一面がございます。しかし、まあ一面、これは部内、対部内のことでございますけれども、対弁護士会その他国民に対する関係から言いますと、これは十分納得をちょうだいしなくちゃいけない。で、規則制定諮問委員会にかかりました当時のパンフレットもございますし、いろんな意見も拝聴しているわけでございます。当初発表されました第一次案の規則制度諮問委員会であらわれたいろんな意見を取り入れて、立案の局に当たったものが十分修正を加えながら、ただいまごらんになっているような規則になったわけであります。ですから、規則の制定の過程でも、いろんな意見を十分参酌しながら、間違いのない規則の制定をということで努力が重ねられたと信じております。そういうことでございますので、いよいよこれを昨年の十一月二十日から施行することになりましたが、とりあえずは八つの高等裁判所所在地の地方裁判所に限って施行する。そうしてその前に、まあ先ほど総務局長の申しましたような解釈と運用についての協議会もして、存分の意見を各地の裁判官からいただきながら、これをもとにしてひとつこの規則の誤りのない運用をしていただきない。で、反対の御意見が弁護士会に強いことも承知しております。それから批判的な意見が内部にないではないことも知っております。しかし、そういう意見も十分に考えながら、この規則の本来の趣旨と限界を誤らないように運用していきたい。その間、先ほどもお話に出ましたような、各地の弁護士会が、これは好意であると存じますけれども、裁判官あるいは各地の裁判官と協議しながら、いい運用をしてやろうというような動きがございますようです。ですから、そういう機会に、この規則の運用のあとを見ながら誤りない運用をして、御心配のとれるような結果になればと思っております。そういうことを御説明申し上げておきます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまの御趣旨、よくわかりました。ただ、私も全然メリットがないと言っておらないのですが、その意図されておるメリットよりもマイナス面のほうが多いのじゃないか。  それともう一つ、いまの御発言の中で、裁判官が研修を、いろいろな修練を経て早く一人前の判事に、多くの事件に当たって経験を積むということが大事なことでございますけれども、逆に国民の側から見れば、裁判を受けるということは一生に一度あるかないかの問題でありまして、それが当該裁判官であるかないかわからぬ人に、ちょうど病院に行けば、まあ卑近な例で言えば、医者かインターンかわからないような人に、彼らの修練にはいいかもしれないけれども、裁判を受ける国民にとっては、事件材料にならなければならない。これは弁護士会に、かねて、国民はモルモットじゃないんだという意見も出ておるわけでございまして、そこら辺のところを、いろいろな方の意見も徴されたということでございますが、国民を代表する弁護士会の意見というものを、私は十分にもっと耳を傾けていただきたい。ことに、これは参議院の法務委員会の決議にもございますように、この司法制度に関することは法曹三者で協議した上できめるということになっておりますが、いまのお話を伺っても、裁判所部内でいろいろな方の意見を、その中に弁護士も入っておるかもしれませんが、お聞きになったということで、正式にこういう裁判の実際のあり方については非常に異なったかっこうになってくるというのに、一番密接な関係を持つ弁護士会について了解というものを得ておられない、相談も正式にかけておらない、そこら辺に非常に問題があるのじゃないかと思うのです。そういう点について、これからちょうど事務総長も新しくおかわりになり、また法務省関係のほうもメンバーもおかわりになりましたし、また弁護士会のほうも今度新しく四月から新理事者で発足をするわけでございますが、ぜひとも新しい機会に十分に話し合いの機会を積極的にお持ちいただきたい。そして十分に話し合いを進められて、三者納得の上で新しい司法制度というものをつくり上げていくように私は特に要望するわけでございますが、事務総長としてのこの問題に対する取り組み方なり御見解をお述べいただきたい。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) まあ法曹界に関しますいろいろな問題について、裁判所、検察庁と申しますか、弁護士会、三者が十分な了解を解き合って事が運ばれることが望ましいことは全く同感でございます。ただ、三者それぞれ立場が違い、考えが違うところがありますものですから、何かと意見の相違も出てきた例は多々あるかと思います。で、これからもそういうことはやはりあるんではないか。しかし、議論はさまざまでありましょうとも、どこかそこに、裁判所はやっぱりああいう立場でいろいろなことを考えて、国民の誤解も避けながら、しかし新しく出てくる裁判官の養成のためにこういう規則をつくったんだということもお考えいただいて、ひとつお願いでございますけれども、この規則のいい面も十分御認識いただいて、国民の皆さんにも、規則でも配慮しておるじゃないか、裁判官とは違う形で法廷に出て謙虚な姿勢で参与に当たっているのだということもひとつ御理解、御協力いただきまして、この規則がいい姿で成長して、国民の皆さまに御心配をかけずに、しかし裁判官の養成には十分役に立つというふうに持っていければと存じております。しかしそれには、何と申しましても法曹三者の理解が必要なことは申すまでもございませんので、今後とも十分その点については私ども努力いたしたいと思っております。

後藤義隆自由民主党

○後藤義隆君 主として総務局長にお聞きいたしますが、この判事補の裁判に対する参与制度の規則をつくるときに、私は一番最初に、原案のときから拝見いたしまして、それに対していろんな意見を述べて、それが非常に後退して現在のような規則になったわけでありますが、そうして、いま事務総長からるる申しましたように、この制度というものは判事補の事務の修習ということが目的であるということであったので、私どももこれは了解しておるわけであって、裁判そのものに影響を与えては悪い。ほんとうば裁判官でない者が裁判そのものに影響を与えることがあってはならないということが私の前提であって、そして裁判所のほうでも、やはりそれはそのとおりだというふうに考えて、前の総務局長などはそういうふうに言われておったわけでありますが、そこでもって、いま総務局長が佐々木委員の質問に対してお答えしたのについて非常に関連があるのでありますが、いわゆる判事補に対して意見を述べさせることができるということは、意見を述べる機会を与えるということか、それとも述べさせることができるということは、述べなければいかぬという、そこに、要するに義務づけるのかということが非常に問題になるわけです。  そして、意見を述べさせることができるということは、機会を与えるということであるならば、別に意見はありませんと言って意見を述べなくても職務違反にはならないわけだ。その参与判事補は職務違反にはならないわけだ。ところが、あなたのいまのお答えのように、意見を述べなければならぬのだということになれば、私は意見を述べませんと言ったら職務違反になるというようなことになるんじゃないか。そうすると、その裁判に対して、純粋な意味から言ったら裁判官でない者が、裁判官の独立を司法官の独立を持っておるものが、今度は私は別に意見を述べませんと言ったならば、これは意見を述べないから職務違反だというようなことになって、何か処罰でも受けるような形に突き詰めていけばなるかもしれない。そういうようなことは私は適当でないと思う。非常にこれはゆゆしい問題だと思っております。  そこでもって、私は実際問題は知らないが、いま合議制の裁判は、御承知のとおり地方裁判所では合議制の裁判がありますが、そのときに三人の判事のうち一人が、私は別に意見はありませんと言ったようなふうなときに、これは要するに職務違反かどうかということにもなるわけでありますが、そこでもってあなたは、これは要するに述べさせることの機会を与えるだけでなしに、述べなければいかぬのだという趣旨のことを佐々木委員にはお答えしたのですが、それは私の考えからは、これをつくった当時の考えとは非常に違っておりますから、その点もう一ぺん念を押しておきますが、間違いないかどうか、佐々木委員にお答えしたのと。いわゆる義務があるのか、それとも義務がなくてただ機会を与えるのにすぎないのだというふうに解釈されるのか、その点を念を押してもう一ぺんお聞きしておきます。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 総務局長ということでございましたが、一言述べさせていただきます。  この規則の運用にあたりますのは、単独体の裁判所を構成している判事でございます。また参与にあたります者は、判事補といってもやはり裁判官でございます。普通の裁判所の合議でも形式ばった反対、賛成というようなかた苦しいものではなくて、ある問題が起こればその問題を縦からでも横からでも議論して、いい結論を見い出す、そういう努力をするわけでございます。参与規則が未特例判事補の育成ということを非常に大きなねらいにしておるわけでございますから、その中で、おっしゃいますような、御懸念のあるような具体的な場合は万に一も出てこないであろう、これは実施に当たる裁判官が、そのようなとげとげしい雰囲気になる場合に参与を実施なさることもないであろう、その辺は良識で、裁判の独立を害さずに、しかし判事補の伸び伸びとした力がふえるようにということで運用されるであろうと信じ、また期待しております。

後藤義隆自由民主党

○後藤義隆君 いまのあなたの何は、私の質問に対してお答えにはなっておらないと思います。それはいわゆる義務違反になるのか、述べなかったら、私はそれに対して意見は述べませんと言ったら義務違反になるのか、それとも、いやそうじゃない、機会を与えるのかどっちかということは、そういう場合があったならばそれはどうなるのかというのが一つ。  それからもう一つ、立ったついでにお聞きしますけれども、先ほど佐々木委員は、この参与判事補に対して意見を述べさせることができるということを、司法修習生が意見を述べるということと同じじゃないかということがあったが、ところが司法修習生は意見を自由にお述べになってお聞きになってもかまわないかもしらぬが、法律上、それは意見を述べることはできないのじゃないか。法律上は有効な意見を述べることはできないのじゃないか。そこでもって、それはお述べになって、実際問題としてこれこれではないですかと言って意見を述べることはできるかもしれないけれども、それは法律上有効な意見ではないから、いわんや未特例判事補のこれとは非常に意味が違うのじゃないかというふうに考えますが、その二点だけを確かめておきます。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 前段の、意見を述べよというふうに言われた場合に、それが義務があるかどうかという点でございますが、これはやはり法律論としては義務があるんではないかというふうに考えるわけでございます。ただ、先ほど事務総長がおっしゃいましたように、この参与判事補制度というものの運用ということを将来考えますと、そういうふうなぎりぎりのところで判事補とそれから当該裁判官との間にそういうふうな面でトラブルが起きるということはまずなかろうというふうに考えておるわけでございます。  それから、後段の司法修習生の意見との関係でございますが、これはただいま後藤委員御指摘のとおりでございまして、司法修習生の場合の意見というのは、これはあくまで司法修習生の修習上の教育という観点からのみの意見でございまして、そういった点では参与判事補の場合の意見とは本質的に違う意見であるということだというふうに考えられるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 さっきの点についてちょっと御答弁がはっきり伺えなかったことは、規則の一番最後の部分、附則の二項で、これを実施する裁判所というものに対する裁量権が、最高裁に指定権を与えられている。この指定について、これは最高裁が自由に指定したり、また変更してできるというふうに私たち解釈しているんですが、そのとおりでございますね。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 規定上はまさにそのとおりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 参考までにお伺いしたいんですが、これを指定される裁判所について、その裁判所の行政の責任者の方に一応実施する前に相当御相談をかけ、御了解の上にその地方裁判所を選ばれたのか、一方的に最高裁が選ばれたのか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 現在実施しておりますところの八高裁所在地の裁判所につきましては、それぞれその当時十分意見を聞いた上で指定をしております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは、今後の指定の続行、あるいは指定の増加、あるいは削減というようなことについても、現地の裁判所の意見を十分に御尊重なさる、そのことはお約束いただけますね。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 現在八地方裁判所でこの規則の運用をしておりますので、その実績等を十分勘案した上で、さらにこれを、範囲を拡大しくいくかどうかという点について検討したい、こういうふうに考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 話が変わりますが、事務総長も御出席になっていらっしゃるので、ちょっときょうの新聞に載っておりました点について伺いたいのでございますが、一流紙に、今度最高裁判事は村上さんにきょう内定するという趣旨の記事があるんでございますが、これは事実でございますか。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 私としては、何も伺っておりません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは重ねて申し上げますが、田中二郎判事の後任として高辻前法制局長官が内定しているというようなことも、何もお聞きではございませんですか。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 同様でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、この点について事務総長にお尋ねしても話が前に進まないと思いますので、きょうは別の問題にしたいと思います。  去る三月二十六日に、臨時調停制度審議会の答申が出されまして、私も実は一昨日この答申書を拝見いたしましたわけでございまして、分厚なものでございますので、十分にまだ検討をしておらないのでございますけれども、たとえば老齢化し過ぎている調停委員の若返りがはかられるとか、あるいは、調停委員を選ぶ基準が徳望と良識というようなことであったために、いわゆる土地の名士がたくさん調停委員に選ばれておったのが、今度は専門的な知識とか、豊富な経験を備えた人たちに変わってきたという点などは、これはけっこうなことだ、当を得たことだと考えておるわけなんでございます。まず第一に私考えましたのは、先ほども申し上げているように、二日ほどのことですので十分に検討はできておりませんが、現在の調停委員になるべきものという調停委員候補者制度を、この答申によると、改めて、非常勤の裁判所職員とその身分を変更しようというふうに答申がなされておりますけれども、こういう事柄について、最高裁とするとどのように考えておられるのか、これは私が申すまでもなく、日本の調停制度というものは、もう第一次世界大戦後の借地借家問題とか、あるいは小作問題農業、漁業、中小企業などの問題の紛争などの解決の手段として、裁判によらないで、民意を十分に反映した話し合いによるということで、日本の国民性にも親しんで数十年以上の歴史を有してきたというふうな長い伝統と歴史を持つものでございますけれども、この調停委員は民間から選ばれているというのがこの調停制度の非常に特徴であったと思いますが、今度非常勤の公務員というようなことに変えていくことについては、調停制度自身が相当変革されるのじゃないか、非常に私の心配するところは、全く何の権限もないといいますか、民間人が出てきて調停委員に、裁判官が調停委員会に入っておるわけですけれども、その他の人たちは民間人であるということが特徴であった。ところが調停委員が公務員化することによって、せっかくの民意を反映した調停制度というものが官僚的になるおそれがあるんではないかということを非常に心配しているわけなんでございますけれども、その点、最高裁当局とするとどのようにお考えになっておられますか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) この答申の第一項目でございますけれども、従前の調停委員候補者制度と申します制度は、御承知のとおり、一応毎年あらかじめ調停委員となっていただけるような方に候補者としてまず候補者になっていただきました上で、具体的な調停事件が出てまいりましたときに裁判所のほうでその事件の調停委員として指定する、その段階で初めて非常勤の国家公務員になる、こういう考え方であるわけでございますが、こういう制度は、従前の調停委員を名誉職的にとらえまして、調停委員をもっぱら善意の奉仕に依存するという考え方を前提にしてきたものというふうに認められるわけでございます。現在の段階におきまして、このような全く調停委員の善意の奉仕に依存するということでよいかどうかということが審議会における議論になりまして、やはり現在のような社会経済情勢のもとにおきましては、単に善意の奉仕者に依存するということだけでは足りないのではないか、やはりそれぞれ調停委員の仕事に適切な方に調停委員として初めからおなりいただきまして、そうして具体的な調停事件にも関与していただくという方向をとったほうがよいのではないか、具体的には、やはり最初から調停委員としてなっていただく、非常勤の国家公務員である調停委員になっていただくという制度をとったほうがよいのではないかという御意見が審議会においては圧倒的に多数であったわけでございます。こうなりましても、民間の方に調停委員になっていただくという前提においては変わりないのでございまして、各種の委員会、行政委員会もございますし、あるいは裁判所におきましても規則制定諮問委員会あるいは今度の臨時調停制度審議会の委員、幹事というふうな方々もすべて非常勤の国家公務員として委員、幹事になっていただくという制度でございます。それと少しも変わりはないわけでございまして、民間の方になっていただくという本質は全然影響がないわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまの最高裁の方のお考えというものを承ったわけですが、さらに、時間がないので、次の問題点に移りますが、第二点として、これはちょっと気になるところは、練達の法曹資格者を非常勤の裁判所職員たる調停主任官に任命するというふうなことが答申にかなり強く打ち出されておるわけでございますけれども、これは裁判所の調停というものが司法調停として国民の信頼を受けるというのは、この調停委員会に裁判官が関与している、メンバーとして入っているということにたいへんに意義があるのであって、裁判官でないものを裁判官と同じ職務を行なわせて、調停主任官のような実務をやらせるこの制度自身、これは相当問題ではないかと思うわけですが、その点についてどのようにお考えですか。私ども思いますのは、先ほどの参与裁判官制度では、裁判官のせっかくの資格のある人を裁判に関与させずに、適格資格のある裁判官を裁判の構成員にさせずにおいておいて、またこっちのほうでは、裁判用がぜひ入ってほしいと思っているものを、これは裁判官が足らぬというお考えか何か知りませんけれども、ほかの人を裁判官のパートタイマーのようにしているという、ここら辺に非常に矛盾を感ずるのでございますけれども、その点について最高裁どのようにお考えでございますか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 御承知のように、最近におきましては、調停事件が起きましても、調停委員において対象となっている紛争関係の実態につきまして、法的な評価を前提として調停を進めるという必要性が大きくなっている事件がふえてきておるわけでございます。したがいまして、調停主任である裁判官がやはり立ち会った上で争点をよく把握し、その上で具体的妥当な調停案をつくり上げていくということの必要性がますます増大してきておるわけでございますが、現実の問題といたしまして、裁判官は必ずしも調停に終始立ち会うことはできないわけでございます。また、調停委員の側から申しますと、必ずしも終始立ち会うことは必要ないんで、やはり適当なときにおいて必らず立ち会っていただければそれでいいんだという、こういう御意見もあるわけでございます。そういったことをにらみ合わせまして、裁判官がどうしても立ち会えないような場合を考慮いたしまして、練達の法曹資格者の方に調停主任である裁判官にかわるような仕事をしていただくことも、場合によっては適当な方法ではなかろうか、こういう提案が審議会においてなされたわけでございますが、その提案については、積極的にその方向についてなお検討すべきであるという御意見もございましたけれども、ただいま佐々木委員の仰せのような御意見の方もかなり多かったわけでございます。そして問題は、単に技術的な問題に限らずにこういう制度を考えるといたしますと、裁判官の制度の問題、あるいは調停委員会の構成の基本的な問題にもかかわり合ってくるわけでございまして、容易に結論を出せる問題ではないではないかというようなことが結果として出てまいりました。その意味で、ここにおきましては、答申の中におきましては、このような制度を設けることの「可否を慎重に検討すること」という形で残したわけでございます。  こういう形で残しました理由は、やはり問題としては、非常に重要な問題でもあり、今後検討に値する問題である。しかし簡単に結論は出せない。したがって、今後十分慎重に検討をする問題として、いわば宿題として残しておくことがベターではなかろうか、こういう御意見が多数を占めましたので、こういう形で答申の中に残したわけでございまして、これを直ちに実施するというようなことを考えているわけではございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 時間がありませんので、次に進みます。  もう一つこれで気になることは、調停委員の選考方法ですけれども、いろいろ論ぜられているようでございますが、調停委員の任命権者を最高裁判所にしようという意見が相当出ているということでございますが、これは先ほどの調停委員を非常勤の裁判所職員とするということと結びついているのじゃないかというふうにも私懸念するんでございますけれども、調停というものは、先ほど来申上げているように、民意を反映するというのが特徴でございまして、各地方地方における実情というものも違っている。そういう点において、私は、最高裁が任命権を持ち、画一的に調停委員を任命するということは、これは調停のうまみというか、よさというものがなくなってしまうんではないかということで、たいへんに切に心配するわけでございます。最高裁の任命する——最高裁がどうこうというんじゃなくって、調停の性質というものから考えて、これはやっぱり各地方裁判所なりなんなりに、各地方にゆだねるべき問題ではないかと思うわけなんでございます。実はこの調停制度審議会の委員の名簿、あるいは特にこの幹事の顔ぶれを拝見させていただきますと、これはたいへんに失礼な言い方でございますが、最高裁判所の事務総局の方がほとんどでございますね。ほとんどというとちょっとことばが過ぎるかもしれませんが、たいへんに数が多うございまして、そしてその方が任命権者を最高裁にしようという答申を出されていることなんか、何か自分で自分のことをきめているような感じも実はしないわけではないわけでございますので、そこら辺も少し、やはり地方の特色を生かすということで、これはなるたけ各地方に権限を与えるというふうな考え方を私は持っているわけでございますが、最高裁とすると、どのようにお考えですか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) ただいまの御質問にお答えする前に、一般的なことを申し上げますけれども、今度の臨時調停制度審議会における答申項目に関しまして、最高裁判所側の委員、幹事の側から提案したものは一つもございません。すべて部会の委員、幹事の方からの御意見を整理いたしましてこういう形でまとめた。まとめる作業を私どもがいたしたわけでございまして、最高裁判所側の委員、幹事からは具体的な提案は一切いたしておりませんということをまず最初にお断わり申し上げておきます。  それから選考方法等につきましては、ただいまの御意見、御質問にございましたように、審議の過程におきましては、最高裁が選任するほうがよいという考え、高等裁判所が選任すべきだという考え、選任は現行どおり地方裁判所、家庭裁判所で十分であるという考え、いろいろな意見が出てまいったのでございます。前二者の考え方は、現在調停事件は高等裁判所の調停事件もあり、高等裁判所の調停事件の調停委員となる方が地方裁判所の選任ではおかしいではないか、ということが一つの理由として述べられておるわけでございます。結局、その点につきましては、結論を得られなかったわけでございますので、答申といたしましては非常に抽象的な形で、「適正にするための方策を講ずること」、こういう形でおさめたわけであります。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから、先ほど来、民間人が社会奉仕的に調停をやっていたというようなところから日当額が非常に低額であったわけでありますが、今度の改正案ではかなり大幅な日当の増額——日当となるのか、どういう名目になりますのか、その増額というものが考えられているように拝見したのでございますが、これは大体どのくらいのことを考えておられるか。これは裁判所の予算の面にも関係すると思いますので、ちょっと見当を述べていただきたいと思うわけであります。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 審議会の御意見としては、これは圧倒的多数の方々は、現在の善意の奉仕に依存するということでは足りないので、やはり調停委員としての職務と責任に応じた報酬を支払うべきである、そういう方向に改めるべきであるという御意見であったわけでございますが、具体的にそれでは職務と責任に応じた相当金額が幾らかということにつきましては、御意見は出ておらないわけでございまして、私どもも現在の段階で幾らが相当であるというようなことについてまだ腹案を得ているわけではございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから、この答申が出された後、最高裁とすると、今後どのような作業が進められるようになるのか、そうして現実に調停委員制度の改善策というものは大体いつごろから実施されるという計画なのか、ちょっと展望を聞かしていただきたい。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 今後この答申を尊重いたしまして、最高裁判所として具体的な方針を決定いたしました上で、法律改正を要する事項は法務省に立法依頼をする、また規則の改正を要する事項につきましては規則の改正案を準備していく、予算を必要とする事項につきましては予算を要求する準備の作業を進めていく、ということになるわけでございますが、裁判所だけでできることではございませんので、いつをめどにということの断定的なことはもちろん申し上げかねるわけでございますが、できる限り来年度において実施できるように努力してまいりたいとは考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは最後に、法務大臣にお越しいただいておりますので、いまの調停制度というものをほんとうに国民の期待するようなりっぱな調停制度にしていくには、何といいましても、いまの予算面にも問題があるようでございますし、いまの御答弁によりますと、できれば来年からでも実施したいということでございますので、法曹界の実情などに非常にお詳しい田中法務大臣の御在任の間に、何とかこの問題を予算面でも解決できるように御尽力いただきたいとお願い申し上げるわけでございますけれども、まあ私はこの答申案が是か否かということについてはかなり問題があると思うし、私自身も、ちょっと思いついた二、三の問題点についてこれでは困るということを指摘しただけで、必ずしも賛成というわけではないのでございますが、この調停制度というものをいいほうに改善していくために、法務大臣とするとどのような姿勢で取り組んでいただけるか、最後に質問さしていただきたいと思います。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 先生の御発言全部を拝聴できなかったわけでありますけれども、速記録を拝見いたしまして、御意向に沿うような方向に向かって、裁判所に御協力を申し上げて、よい調停制度にしていきたいと思います。

原田立公明党

○委員長(原田立君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕     —————————————

原文兵衛自由民主党

○理事(原文兵衛君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

原田立公明党

○原田立君 前々当法務委員会が開かれたおりにお伺いしようと思っておりましたが、その後開会に至りませんでしたので、本日お伺いするわけであります。  刑務所の問題であります。実は、具体的な問題で言えば佐賀の少年刑務所の移転問題でありますけれども、それを直接お聞きする前に、日本全体の大ワクの中でどういうふうな状態になっているか、これをお伺いしたいと思うんであります。全国で刑務所の移転問題が提起されているようなところは一体何カ所ぐらいあるのか、現在。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 矯正局長から詳細御報告申し上げます。

長島敦法務省矯正局長

○政府委員(長島敦君) 全国的に都市化の現象と申しますか、こういうのが進んでまいりまして、現在矯正施設等が町のまん中になってくるというような状況がふえてまいりまして、そういう事情がございますので、現在移転工事中の施設、それから四十八年度予算で移転を計画しております施設、移転の要請が地元からございまして移転先の候補地の提示がございました施設、その他移転の要請がございます施設全部合わせますと約三十庁でございます。

原田立公明党

○原田立君 全国で三十カ所ということでありますが、この問題は非常に大きな問題であろうと思うんであります。いまの説明の中でも、その所在地がその市の中心地になってきているというような条件もあげておりますが、実際四十年あるいは五十年ぐらい前につくった当時は確かに郊外であったであろうと思う。それが現在都市化が進んでいって市のまん中になってしまった、佐賀なんか特にその例でありますけれども、そういうふうなところは移転を十分考えるべきである、こういうふうに基本的に思うんでありますが、そこら辺のところについては、これは大臣にお聞きしたい、移転はすべきであると、こういう基本方針はお立てになりますかどうか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) これは先生御承知のとおりに、佐賀の少年刑務所は昭和の初頭にでき上がったものでございます。非常に老朽化しておる。そういうことでございますが、いま局長が申し上げましたような全国的情勢もございますので、適当な土地が見当たりますならばぜひそこに移転をしたい、こういうふうな心境になっておるわけでございます。ところが、法務省当局の調べましたところでは、なかなかその条件に沿うようなものが見当たらない。そこで、やむを得ず四十七年度からこの土地に改築をするという方針を一たんはきめたのでございます。きめたのでございますが、四十七年の二月ごろになりまして、佐賀の市当局から、それはぜひ佐賀のほうにもらいたい、どんな条件のところでも市がさがしてみるからという誠意のあるお話がございまして、そういうことならばおまかせいたしましょうということで、他に移転をする決意はしておるのでありますが、なかなかよいところが見当たりません。そこで、最近はこちらから、こういう条件、こういう条件というような最終的な条件を佐賀市に示しまして、こういう条件に合うようなところを何とかしてさがしてくれまいかと、それさえできればひとつ佐賀市発展のために御要望に沿うて佐賀市に差し上げましょうという心持ちになりまして、その佐賀からの回答はもう今月末にも来そうだ、どんなにおそくとも来月の初めにはこれでどうだということを言うてきてくれそうな情勢がただいまの段階でございます。それで、ただいまの先生のお尋ねに対する答えとしましては、よい条件の、こちらの希望をする条件のところを何とかさがしてくれます場合にはぜひ移転をしたい。そして、いま局長の申しましたような情勢に沿うことでもございますから、そういうふうにさせたい。こう考えておる段階でございます。

原田立公明党

○原田立君 まだ、じゃ具体的に佐賀市当局からこうだという案が来ていないと、大臣そう言われるんですが、いや、もう来ているはずですがね。

住吉君彦法務大臣官房会計課長

○政府委員(住吉君彦君) 市当局から御提示いただきました候補地はすでに参っております。これは現在たんぼでございまして、そこを盛り土をする、あるいはその移転候補地に至る道路の整備をするというようないろんなことがございますので、個別に文書でもって御照会をいたしております。大臣がただいま申し上げましたのは、その文書による回答が参っておらないと、こういう御趣旨であろうと思います。候補地の提示はすでにございました。

原田立公明党

○原田立君 二月の二十七日に佐賀少年刑務所長蕨迫さんですか、ここに一応回答は出しておりますけれども、これは届いておりますか。

住吉君彦法務大臣官房会計課長

○政府委員(住吉君彦君) 届いております。

原田立公明党

○原田立君 それで届いて、それについての検討の結果はどうなったんですか——ちょっと待ってください。そういう具体的なことはもう少しあとでお聞きしたいと思っておるんですけれども、要するに、こういうように全国的に設置時と今日とではだいぶ違う。市街化に、まん中に入ってきておる。そういう日本全体の問題として当然移転等は考えるべきではないかというその基本的なものをお伺いしたわけです。直接大臣から佐賀のことで先にお答えがあっちゃった。条件——条件といいましょうか、法務省としての条件もあるだろうし、佐賀市としての考えもあるであろうし、そこいら辺が歩み寄りがなされて、そうして移転することができるという方向で今日判断しているのかどうか、そこらをひとつ。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 先ほど申し上げましたように、佐賀の回答がもうここ数日にして来るであろう、これは最終回答でございますが、来るであろうということと、それから市長さんが四月三日には上京をしてこられるというお知らせが来ておりますので、ここで御懇談ができるのではなかろうか、それで、方針はどうかと仰せになりますと、先ほど申し上げましたように、条件に沿う土地が見つかるならばぜひ移転をしたいという気持ちを持っております。

原田立公明党

○原田立君 条件が満てれば移転をしたいということですね。今度、じゃその条件的な問題になるわけでありますけれども、その前に、ちょっと気になることは、法務省は現地改築ということをもうすでにきめてある、そうして大蔵省なんかの予算折衝等の関係で、リミットは過ぎたというようなことも聞いております。もうすでに四十八年度現地改築するというふうにきめちゃったのかどうか、まだきまってないのかどうか、その点はどうですか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) これは先ほど申し上げましたように、四十七年度からここで改築をするということは、これは一たんきめたことです。きめました以後に、何とかなるまいかという御相談が市からありまして、市の御発展のためならば考えましょうということで話が進んでおるのでありまして、先にきまっておるじゃないかと仰せになりますと、そのとおりでございます。きまってはおるんであります。きまってはおるんでありますけれども、お申し出がごもっともだと思うので、だんだんと市街化してくるような情勢にもありますので、また移転問題ということも起こる心配もあると、こう考えますので、よいところがあるならばぜひ方針を変えて、一たんきめた方針を変えて御要望に沿うてみたいと、こういう気持ちを持っておるところであります。

原田立公明党

○原田立君 ということは、じゃ現地改築ということは一応きめたけれども、移転のことも十分考えがあるのだということですね。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) はい。

原田立公明党

○原田立君 それならば、やや愁眉を開いたという感じであります。三月一ぱいでどうしても現地改築してしまうのだというふうにもうきめちゃっておいて、そうして佐賀市にはもうやかましい無理難題の問題点を投げかけて、そうして何でも現地改築にしちゃうのだと、こういうようなふうに実はとられておったのであります。そういうような姿勢を法務当局が持つならばけしからぬじゃないかと、こう思っておったので心配して聞いているのです。まあそうでないということだけはひとつ確認しておきたいと思います。  この二月の二十七日に佐賀の市長さんから刑務所長さんに回答しております。法務省のほうから十四項目、これについて提示があり、それに対する佐賀市としての考え方ですね、これ、回答に載っておりますけれども、これは局長も課長も担当官だから、十分もうお読みになっているのだろうと思うが、この中でなお話が詰められる、歩み寄りの余地のある問題、それから歩み寄りできないような問題そういうような検討なんかもなさっただろうと思いますけれども、その点はどうですか。

住吉君彦法務大臣官房会計課長

○政府委員(住吉君彦君) 移ってほしいと。しからばかくかくの条件が満たされるところならば移るように協力いたしましょうという、当初のお話し合いといいますか、でございますので、条件を小出しにすることは後日いろいろ問題があるであろうと考えまして、考えられるすべての条件を提示したものでございます。  したがいまして、その条件が悉皆満足されなければ絶対移転はしない、移転はできないというものではございません。ただいま先生のお話もございましたように、一部の条件は歩み寄りができる、しかしこの条件だけはぜひ守っていただきたい、そういう区分けはできるかと思います。  そこで、まず私どもが佐賀市にお願いしておりますのは、もし現地の少年刑務所用地を佐賀市でお使いになるということであるならば、その利用計画を早く確定していただきたい。それから、移転に際しまして、国も佐賀市も相当財政的な用意をしておかなくてはなりません。そういう意味合いにおきまして、佐賀市の財政計画をお示しいただきたい。  それから、現在の佐賀少年刑務所にかわる施設を佐賀市で用意していただくのか、あるいは国側で一応提示された敷地を土地土地交換のような形で取得して、それを国の予算で逐次施設を整備していくと、こういうふうになりますと、あと地の利用の時期が相当先になってまいります。一方、佐賀市では昭和五十年団体を控えて、現在の佐賀少年刑務所用地の一部をその方面に利用したい、あるいは佐賀駅の南でございますか、鍋島という駅があって、そこを貨物駅、貨物専用駅にするという計画がある、ついては貨物専用駅に通ずる道路の整備用地として現在の少年刑務所の用地の一部を利用したいというお話がございますので、その辺のことを十分に市当局の責任において提示していただかないことには、私どもとしては財政的な問題で大蔵省といろいろ折衝するとか、あるいは国有財産の交換といいますか、処分ということで大蔵省の理財局のほうと話をするということができませんので、いま申しましたようなことはひとつ早急にはっきりした御計画をお示しいただきたい、このように申し上げておる次第でございます。

原田立公明党

○原田立君 そこら辺はもう出ておるのじゃないですか、あなたのほうにまだ出てないのですか。

住吉君彦法務大臣官房会計課長

○政府委員(住吉君彦君) こう申し上げますと、佐賀市当局にたいへん失礼な言い方になりますけれども、いわゆるラフな案は出ております。佐賀市の企画課が所管課のように聞いておりますが、そこで、あと地をこのように利用するとか、あるいは移転先の用地の整備をこういうふうにする、あるいは道路整備をこういうふうにするというごく骨格的な計画は出ておりますが、財政的に、それをするためには幾らかかって、国としては幾らの予算を見込まなくちゃいかぬとか、佐賀市はそれに対して歳出予算を幾ら組み、あるいは起債をどうするとか、そういう具体的な話がまだ詰まっておらないわけでございます。先ほど大臣からお話がございましたが、四月三日に市長御上京の由でございますが、おそらくはその際に具体的な計画を提示していただけるものと期待いたしております。

原田立公明党

○原田立君 法務省から示した案の移転に関する考え方ですね。これに対し、まず三項目のところに「次のとおり多額の造成費等が必要」である。一、盛り土は、周囲の状況から判断して二メートルは必要である。これに対して佐賀市のほうは、候補地は標高三・三メートルから四メートルであり、佐賀市内各所の平均は四メートルであり、当敷地に盛り土高一メートルを施せば標高が四・三メートルないし五メートルとなり冠水のおそれはないと、こういうふうに言っておりますけれども、具体的な問題に入るのですが、この点は了解ですか。

住吉君彦法務大臣官房会計課長

○政府委員(住吉君彦君) この点につきまして佐賀市の御意見と私どもの意見と若干食い違いがございます。と申しますのは、先生の御視察いただいたと思いますが、候補地の東方に川が流れておりまして、その護岸の堤防が相当高いものが築かれております。その堤防沿いの田地を盛り土して、そこを移転候補地として提示する、こういうことになっております。これは必ずしも二メートルでなくちゃならぬ、あるいは一メートルで十分じゃないかということではございませんが、客観的に、あの堤防の上に立って見た場合にその所内が俯瞰できるというような土地の高さでは困ると、こういうふうに申し上げておるわけでございます。したがいまして、これは少年刑務所という、どちらかといえば教育を主にする施設ではございますが、やはり中き入っております子供たちの名誉にもかかわりますし、また所内の治安にもかかわりますので、外部から容易に望見できるという高さであってはまずいというところで、これは堤防の上に立っておとなが見た場合に、一メートル盛り土すれば中がのぞけないかどうか。そういうところをもう少し具体的に、堤防から移転候補地の東端に至るまでの間隔と、それから高さでございますね、堤防の高さ、それから候補地の高さ、それの人間が立って見た視界、そういうものを十分計算した上で出していただきたい、このように申し上げているわけでございます。こだわっているわけではございません。

原田立公明党

○原田立君 ともかく法務省から出した提案の四番目に、いまあなたの言われた川のことが出ておるのですが、「候補地に隣接する城原川の拡幅、堤防改修を要する。(1) 佐賀市の回答を立証する資料の提出を求めることが必要。」と、こうなっておりますが、それに対する回答として、「城原川については、先般来お申し越しの、昭和二十八年の水害後昭和三十一年——三十五年において、五十年確率による最大降雨を基礎として、改良事業が建設省の承認を受けて県において施工完了の旨、ご説明を申し上げて参りました。したがって、これらのことを立証する資料としては、どのようなものを用意すべきかご教示方をお願いします。」と、こう言っているわけですね。で、この問題については、佐賀市のほうで出した資料がまだまだ不足なのか、不足ならばどういうものを要求しているのか。「(2) まき出しの除去、浚渫は、候補地の土盛りの手段としてそのような事を検討することもできると説明いたしておりまして、直接河川の効率とは関係のないものであります。もし、土盛用土砂を城原川から採取可能であれば、一石二鳥ではなかろうかという考えであります。」、こういう回答をしているわけです。これだけではまだ不満であるということですか。

住吉君彦法務大臣官房会計課長

○政府委員(住吉君彦君) 先ほどお断わり申し上げましたように、こまかい条件、これは条件を同じ比重をかけて考えておるわけではございません。したがいまして、さまつと言っては言い過ぎかと思いますが、技術的にあるいは後日解決可能なもの、これについてはある程度話し合いの余地はあると思います。ただ、冒頭申し上げましたように、絶対これだけははっきりさしておいていただかなくちゃならぬという条件につきましては、ひとつ佐賀市も十分誠意をもって対処していただきたい、このように市長に私から申し上げております。ただいま先生お読み上げの各条項につきましては、さほどの事案、条件ではなかろうと思います。

原田立公明党

○原田立君 局長、課長も、大臣もいるのだから言うのですけれども、佐賀市のほうは移転してくれと頼んでいるほうなんですね。法務省のほうはそこでふんぞり返ってガタガタガタガタやかましいことを言える立場なんですね。だからへたをすると、まるで嫁いびりみたいないじめ役なんですね、あなた方、お気の毒だけれども二人とも。それで、具体的な問題を出して言っているわけです。そのようないびり方であっちゃならない。また、これが準備運動みたいなことになっちゃってよけいなことになったのではなおさらまずいのじゃないか。むしろ市のほうで一生懸命努力している。そしてなおかつ具体的な問題を出しているならば、やっぱりそれに対して真剣な取り組み方が必要なんであろう、こういうことで、聞いているわけです。それは大臣から、先ほど、ある程度条件が満たされれば移転は考えるということでありますから、現地改築じゃないのだということは確認されたのですから、まあまあ了解はするわけですけれども、まあひとつ四日の日に市長が来るというんですが、だったらもう少し前向きの姿勢で、十分のめるような、移転が完了できるようなそういう方向で考えてもらいたい。そのときに話し合いをしてもらえばけっこうです。  私も過日現地に行って見てきました。それで、現在地のあの少年刑務所——課長や局長がどう抗弁したって、あそこに置いたんじゃまずいですよ。市のどまん中ですよ。それから今度新しくここという候補地も見てきました。確かにたんぼのある所であります。いま課長が言われたような展望の問題もあります。だけれども、そこいら辺もへいを——ただへいの高さはこれだけなんて法律できまっているわけじゃないんですから、それを一メートルかさ上げするとか何とか具体的なことをやれば、そんなに国会の法務委員会で目かどを立てて言わなければならぬような条件じゃなかろうと思う。解決できるのじゃないか。実際現地を見てきまして、それから、いろいろな条件があるけれども、一々それに対してきちんとした答え方をしておりますから、これはやはり地方のそういう意見等も十分取り入れていくようなそういう姿勢でやってほしいと思います。これは大臣からお聞きすればいいんですけれども、最後にそれだけお聞きして、私は終わります。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) 新しく少年刑務所をつくるという問題は、なかなか条件も厳格に考えて移転をしなければならぬということになりますので、譲歩のできる条件と、いまの先生のお話のように譲歩のなかなか困難な条件と、条件があろうかと存じます。しかし、もとよりこれは昭和四十七年度には改築をするということをもう大蔵省も了承しましてきめておったものでございます。先にそれはきめておったものでございます。それを市のほうから誠意のあるお話がありましたので、市の発展のためには、よい、適当な条件のものがあるならばそうしたい、したいという心持ちになりまして交渉をさしておるわけでございます。だいぶ時間のかかっている交渉でございますが、そういうことでございますので、やりたくないのだという考え方じゃないのです。少なくとも私が就任いたしまして以後は、これはよい条件が、沿う土地があるならばぜひそこへ行ったらよかろうという方向でやっております。そういう方針で、市長が来られたらよく話をさすことにいたします。私はよいかげんのことが言えぬ男でございますので、よいかげんなことは言うておりません。条件が整えばぜひそうしたい、そういう気持でおることは間違いございません。その方針でやっていくことにいたします。

原田立公明党

○原田立君 これでやめたいと思ったのですけれども、大臣、特に条件条件と言って非常にきついような感じを実は受けて聞いておるわけです。確かに条件も必要でしょう。だけれどもその歩み寄りのあるものというような、そうしなければいけないんじゃないか、もう法務省できめた条件は絶対的なんだ、これは一歩もまけないぞというような姿勢では、四日の日に立長が来たってパンクするのはわかり切った話です。そういうんじゃなくて、やはり地方都市——地方都市といったって佐賀は県庁所在地であります。やはり市としての体制等も十分考えていかなければならないでしょう。そういう面からいって、移転が実現できる方向でいろいろ御調査願いたい。条件条件といって、大臣、あまりやかましいことを言うと結局は最後はパーにしちゃうんじゃないかという感じを受けるのです。そんなことはないですな。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○国務大臣(田中伊三次君) そんなことはございません。お考えのような方向でやらせます。先生のほうからも市長さんのほうに、そっちもしっかり条件は勘合して話をするように話をつけてこいよということをよく連絡しておいてください。こちらはちゃんとやります。

原文兵衛自由民主党

○理事(原文兵衛君) 本件に関する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会      —————・—————

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