P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
71回国会参議院1973/06/21

農林水産委員会 第15号

発言数
188
登壇者
12
会派数
4
開催日
1973/06/21

会議録

初村滝一郎自由民主党

○理事(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。  去る十九日、山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が、また昨二十日、小野明君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君が、また本日、工藤良平君が委員を辞任され、その補欠として西村関一君が選任されました。

初村滝一郎自由民主党

○理事(初村滝一郎君) 理事の補欠選任についておはかりいたします。  委員の異動によりまして理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

初村滝一郎自由民主党

○理事(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に塩出啓典君を指名いたします。     —————————————

初村滝一郎自由民主党

○理事(初村滝一郎君) 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、及び、農業協同組合法の一部を改正する法律案。以上、四案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私、きょうは農林中金改正法を中心に若干の質疑を行ないたいと思います。  それに先立って、前回の委員会でPCB、水銀等による漁民の暮らしの不安定、こういう問題があって、これについて質疑を行なったんでありますが、大臣も長官も御都合でお見えにならないと、こういうことで答弁には十分なものがなかったと思って、若干先にこのことをただしておきたいと思います。六月の四日に、水産庁が、PCB汚染による全国の八水域の精密調査の結果を公表いたしました。五日に私この問題を取り上げましたが、何といっても、一つは、住民——消費者、国民の健康を守るということが第一である。これはもう直ちに漁獲の規制や流通禁止という手当てがとられております。また第二は、公害源を明らかにすると、これも二、三日して通産省が公害企業名を明らかにしたと、こういうことで対策は立てられている。  そこで問題は、直接に間接にこの影響を受けている漁民の暮らしの不安定さと、こういうものにどう対処するかということが当面非常に大事になっていると思います。これは、全国的にも各地で非常に問題になっておりますが、私もこの十七、十八日と敦賀湾から若狭湾一帯に、社会党のほうでPCB等の汚染調査に出ましたが、ここでも非常に問題になっております。たとえば汚染区域は当然でありますが、汚染されていない地域でも、軒並みに魚価が下がっている。あるいは観光漁業——つり舟、いろんなところに影響が出て、生活不安定がある。こういうものにどう対処するかという対策が非常に急がれておると思います。そういう意味で、私は、若干の実情を申し上げながら五点ほどについて緊急に対策の必要ありという点から質問いたしたいと思います。  一つは、汚染魚の買い上げの、漁民に対する直接の補償でありますが、汚染魚の買い上げの問題であります。これは前回もちょっと申し上げたんですが、食べられない魚、売れない魚をとって、それを補償のために買い上げるという形式をとっておる地区があります。これは漁民のほうからいうと、いかにもまあしばらくはいいとしても、時間が長ければ、働きがいがない、労働するかいがないという、こういう気持ちに非常に強くなっておる。これは山口県の岩国にも出ておりますし、また福井県の敦賀にもこういう問題があります。地域によって違うと思いますが、私は汚染魚の買い上げと同時に、汚染した魚をとりに行くことによって補償する。こういうやり方よりも休漁して休漁を補償する、そういう方向に県等を行政指導していくべきでないか、こう思いますが、この点についての見解を第一点伺いたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) 汚染された地域におきます漁獲の、操業の問題については、それぞれの地区におきまして県なり市町村長の指導のもとに、対応策が違うんでありますが、ただいま御指摘の福井県の敦賀湾の一部のように、非常に限定されたこの地区につきましては、私たちのほうとしましては、ただいま県でおとりになっておられます、とった汚染魚を、原因者のほうで買い上げて補償していくといういき方が一つのいい方法ではなかろうか、こう思います。と申しますのは、やはり汚染魚を置いておきますと——いずれかの時期におきましてこれはやはり大そうじをいたしまして、全滅作戦といいますか、そういたしませんと、いつまでもPCBが残っておる。魚に食べさせてPCBを魚に吸着させることによって、それを廃棄して、PCBを少なくとも、少しずつでも海から薄くしていくという方法以外にPCBの解毒方法が現在の段階でわかっていない。方法におきましては、非常に原始的な方法かもわかりませんが、そういう方法をとるか、それとも一方では、水俣湾のごとく、ただいまこれから行なおうとしておる全面的な埋め立てという方法によりますか、そういう二つの方法が考えられるんでありますが、差しあたって、この非常に限定されているPCBの汚染地区については、原因者がはっきりし、また汚染地区も非常に明確な場所につきましては、いまの福井県のお取りになっている措置が妥当ではなかろうか、こういうふうに思っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これは山口でも東洋紡の岩国工場もこういう方式をやっていますね。まあ東洋紡方式とか、岩国方式とか言われております。それが敦賀湾にも行なわれております。私は、たとえば敦賀に湾と奥の港がありますが、港の中を網を張って全部汚染魚を一掃すると、これは非常に意味があることだと思うんですね。そういう意味では、ひとつ汚染源をなくするということに大きな意義があるんだということをしっかり指導していただきたいと思うんです。ということは、やっぱり食えない魚をとって、そしてコンクリに埋めているという、そういうことに非常に漁民自体のやりきれなさがあると思いますから、これは明確に汚染源を一掃する、これが再び拡大しないようにするために、食えない魚、とれない魚があっても、買い上げて補償するんだと、こういう意味の指導をひとつしっかりお願いしたいと思います。こういう点はいかがですか。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) ただいま申し上げました中で、敦賀でも敦賀港内というのは非常に汚染が強くて、これはほとんどの全魚種が汚染され、三PPM以上ございましたので、これは全滅作戦をやっていただきたい。それから敦賀港外のほうでございますが、湾の奥部あるいは湾の中央部でも汚染されているのは、厚生省の基準で、これは食べるにははなはだ不適当であるという魚種はスズキだけでございまして、スズキだけについて、まあ食べない、あるいはとっても、それは別途処置するということでございまして、他の魚種につきましては、これは当然に三PPM以下で私のほうは何らこれについて触れておりませんので、これは安心して食べていただいていいんではなかろうかということで、これにつきましてはどうも少し地元のほうで行き過ぎがあるように見ておりますので、私のほうでしかるべく指導してまいりたいとこういうふうに思っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いまの御発言に関連して、確かに、いま各地で——漁民が決起集会を全国でいろんなところでやっております。まあ山口のほうでは海上封鎖というものもありますし、福井のほうではきのう県庁前に千人ほどの漁民が集まっておりますし、それは汚染されたところは当然なくす。これは食べられないのは流通禁止、漁獲の規制は当然であるが、しかし全然関係のないところにおける魚が全部あおりをくっている。たとえば大和堆まで福井県のどの港から行っても二十四時間ほど船でかかる。イカをとりに行く。そのとってきたイカが一箱千二百円が四百円ぐらいに軒並み全部下がっている。これはもう敦賀にも、越前町の四ケ浦という港にも、小浜の港にも、こういうことは私、各県にもあらわれていると思います。これに対する不安が非常に強い。すでに何々県の魚、もっと大きく言うと、北陸の魚というので、大阪の市場あるいは神戸の市場、名古屋の市場では、その名前だけで魚価がうんと下がってしまう。こういう状況の中で、非常に漁民は魚が売れないし安いし、こういうことで生活の不安を感じております。そこでいま御発言のように私は汚染対策をうんと強化すると同時に、その心配がないところは、心配がないということはやはりはっきりさすことも大事じゃないか。そういう意味で、まだいろんな地区がありますから、そういう重要な漁場に対して大規模な汚染について検査をやって、そういうものが心配がないなら、ないという、その判断に立てば——安全の基準というものが今月出ると思いますが、そういうものと照らし合わせて心配がないということを明らかにするということが、漁民のそういう生活不安をぬぐう上にも私たいへん大事だと思いますが、いまの御発言をさらに発展さして伺いたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) PCBにつきましては、今後ともさらに十四水域につきましては継続して定期的に点検を行なう予定でございますが、先般発表さしていただきました地区につきましては、非常に地区を限定し、かつその魚種もきわめて限定いたしまして注意深く公表したつもりでしたが、なお、徹底さが不十分でございまして、十分に行き渡らず消費者にも生産者にも非常に御迷惑をかけておりますので、これにつきましては、近く厚生省におきまして、PCB並びに水銀につきまして、あらためて一つの基準というものなり方針を定められますので、それを機会に、今回PCBにつきましては、私のほうで、今回の八水域が汚染されているということがわかっておりますので、これにつきましては、その地区に限定いたしまして、何らかの形で消費者が安心できるような形で、ひいては生産者も非常に安心して漁労ができるような形での安全性を十分に指導するような予定でいま検討さしていただいている次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 第二に、直接汚染をされた地域では、これは買い上げとか、そういう補償が行なわれておりますですね。ところが、たとえば敦賀の港に上がったということで魚価が四割、五割、まあ当初三割がいま四割、五割下がっておりますが、そういう魚価の低落があります。それから民宿、釣り船といって、御存じのように魚のとれるところはあわせて非常に観光地というか、景色がいい。海も水も空気もきれいだというところが多いわけなんです。そういうところでは、夏場に見えるお客さん、観光客を対象にして二カ月ぐらいでかなりなかせぎをやって、そのために船を用意したり、民宿で家を直したり、いろんな設備をかけて、夏のかなり限られた時間に集中的に働きたいと、こういう努力をしているところが非常に多いわけなんですね。ところが、この魚の汚染ということによって、軒並みに釣り船のキャンセル、こういうものがどんどん全国に私あると思いますが、たとえば敦賀においても起こっております。これはまあ汚染とは直接の関係がないわけでありますが、このPCBの汚染による大きなあおりを食っておりますが、これらの補償問題について前回長官は二次、三次の補償も考えざるを得ない段階にあり、政府部内でも検討していると、こういう御答弁でありましたが、これを具体的に県を通してどういう指導をされるのか。このことをひとつ伺いたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) この今回の水産物の汚染の対策の一環といたしまして、環境庁中心の各省連絡会議が持たれておりまして、この問題について対処しておりますが、漁業者につきましては、直接的に私のほうの水産庁の責任でございますので、これは私のほうでお世話さしていただくという方針で行なっております。またそういった関係企業の方々につきましては、通産省のほうにおきましてこの問題は取り扱っていくということで、ただいま魚屋さんとかあるいはそういった方が販売が十分でない、営業不振という段階になっておりますので、それらの取り扱いにつきましては通産省のほうで、まあ私から申し上げるのは多少不正確かもしれませんが、国民金融公庫を中心としての融資の問題を検討されておられるやに聞いておる次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それはけっこうですが、民宿をやったり、それから釣り舟をやったりしているのは漁民でもあるわけなんですね。漁民がそれだけではできないというので釣り舟をやるとか、いわゆるいま遊魚、こういう形で漁民自体がやってる場合もかなり多いわけですが、その場合もやっぱり通産省所管でやられるわけですか。そういう場合はどうしますか。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) これは今後、対策を推進するにあたりまして、県とも十分御相談を申し上げにやならないと思いますが、漁業者が本業で、兼業でそういったことをされておるということでありますれば、漁業者という立場で、私のほうで処理してまいりたいと、こういうふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それからもう一つはですね、鮮魚商です。魚屋さん。これも私たち調査団が敦賀に行ったときに、漁民の皆さんと一緒に魚屋さんの代表の方がずいぶんお見えになって、漁民も困るけれども、実は魚が売れなくなると、あるいは急に買うのが少なくなると、こういうことで店をたたまなくちゃならないような場合もあるということで、非常に関連して鮮魚商の人たちが大きな生活不安を受けておるわけですが、これはあれですが、通産省の所管と言いますか、対象になるんですか。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) ただいまの行政区分の整理では、通産省のほうの国民金融公庫の対象ということでお願いしている次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それでは、きのう衆議院等における発言を見ますと、また政府部内の環境庁を中心にした検討会議においても、非常な被害の出ている地区には天災融資法を発動すると、こういう御発言があったことを新聞でも見ました。また、滋賀県では、いま琵琶湖の魚について、滋賀県独自のつなぎ融資をやっていると、こういうふうにして、いま国の対策を待てないという形で各県がそういうつなぎ融資に乗り出しておりますが、こういう点について、天災融資法を発動する用意があるのか。あれば一体どういう地区、どういう手続を経てこれを発動するのか。また、つなぎ融資を県がすでに各地において取り組んでいる、これに対して積極的にさらに取り組むのかどうか、この二点について長官並びに大臣からお伺いをいたしたい。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 漁民の皆さま方、また、ただいまの御指摘のありました関連をする小売り商の方々をはじめとして、たいへん影響が出ておるわけでございまするが、これに対処するための天災融資法に準じたつなぎ融資の問題につきましては、閣議におきましても、二回取り上げられまして、これが早急に具体化を急いでおるところでございまするが、おおむね結論に至りましてて、近々閣議において決定ができると思います。これは三分で、期間五年、そして額としては五十万円、五万件を予定して二百五十億円の用意をしようということでただいま話が進んでおるわけでございます。このつなぎ融資によりまして——御承知の、この種の公害問題につきましては、原因者負担の原則がございまするので、原因者が明らかになってまいりまするならば、その後に原因者からの具体的措置を講じるということで、その間つなぎ融資をいたすのがしかるべきではないか、こういうことで進んでおるわけであります。  なお、御参考まででございまするが、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金、これは五分のものでございまして、額は五十万円、二十年間の融資はすでにあるわけでございまするが、必要によってはこれを活用していただこうと。なお、各県におきまして、県の預託に応じて農林中金などが低利の融資をしておりまするが、要するに、今回のこういう事態から被害を受けておる皆さまにこのような資金を御利用願って、ことばどおり、一応つないでいただきたい。  なお、農林省外でございまするが、国民金融公庫の利用については先ほど長官のほうから御参考までに触れたような次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 天災融資法に準じてということですが、準じてというのはどういう意味ですか。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) 天災融資法は、御存じのように、法律で天災の場合の被害に応じて融資制度が設けられているのでありますが、この公害によります漁業被害につきましては相当検討さしていただきましたが、やはり天災融資法には乗りがたい、あくまで公害であるということで、と言って直ちに法律を出すにはまだいろいろな問題が残っておりますので、今回は一つの国の財政措置として、天災融資法に準じた方法で融資を行なうという、準じた措置になっておるわけでございます。それはあくまで農林中央金庫を含む系統資金の活用を中心といたしまして、それに対して国が六五%の利子負担を持ちまして、さらに県なり市町村で天災融資法と同じようにそれぞれの残りの負担分を持ってもらって、末端融資が三分になるようにいたしたいと思っております。  なお、天災融資法では国なり県が融資機関に対しまして損失補償の規定があるわけでございますが、今回そういった損失補償が国として、財政補助でございますので、持ちにくいということも一つの問題点として残っておりますが、そのかわり、これは先ほど大臣が申し上げましたように、原因者が将来において明らかになってくるということで、当然にその原因者に対しまして請求権を留保していると、あるいは担保として将来元利合計につきまして原因者に請求していくということで大体処置する方針でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 その場合に、直接漁民からは利子は取らないんですか。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) 一応融資でございますので、三分の利子は一応いただくと——いただくと言ったら失礼ですけれども、貸し付け者である系統金融機関に対しては払ってもらうというたてまえになっております。しかし、その利子相当分についてはっきりしたときには、その元本と利子負担分についても当然に将来原因者にそれを請求すると、こういうふうになると思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 天災に準ずるぐらいの手当てをしなくちゃならないとすれば、それを行なう融資の利子を国が立てかえるとか、あるいは県や市町村に立てかえさすとか、そういう指導ができないですか。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) 天災融資法の場合も利子は三分、あるいは五分五厘の分もございますが、それについては漁民に——農民方に三分の利子は払っていただいておるわけでございますので、一応たてまえとしては払ってもらう。しかし、今回は天災ではございませんで、原因者がありますので、公害でございますので、その原因者が明確になったときには原因者がそれをすべてあとで負担する。こういう姿勢であるというふうに御理解願いたいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 じゃあ、原因者が負担するということは確認できますね。  それじゃ、これを発動——法律じゃないですから発動とは言わないにしても、その融資の対象は大体地域とか、あるいは個々に指定するとか、どういうようになりますか。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) 今回私のほうでは、当初の考え方といたしまして、その因果関係が明確になり、かつ政府で、ある程度、責任もって調査した地域、すなわち水俣あるいは有明の水銀の系統の問題、それから私のほうである程度調べさせていただきましたPCBの汚染区域の八カ所というふうに、当初は考えておったわけでございますが、その後、相当水銀による汚染が各地にいろいろな形で明確になってまいっておりますので、現在の時点におきましては、そういった水銀の汚染地区あるいはPCBの汚染地区につきまして、おおむねすべてをカバーできるような形で融資を行なえるように処置いたしたい。非常にまあその結果は、漁民の方が迷惑をこうむっておられますので、そういうふうに対処してまいりたい。こういうふうに考えておりますが、ただいま現状の時点におきまして、御存じのように、逐次毎日のように新しく水銀の汚染工場なり汚染源がはっきりしてきておりまして、ただいまの時点で明確に被害金額幾らということが確定できないのでございますけれども、都道府県を通じまして、県と十分協議いたしまして、その融資額につきましては、まあ弾力的に対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 この前に日米繊維協定によって、繊維の産地が非常な打撃を受けたときに、これは当時、これは機械の買い上げとかいろいろありますが、二千億という膨大な融資対策を非常に長期、低利でやったことがあります。また、そのときに、構造改善等に行なわれたその資金については二年間たな上げをやったという事実がありますが、私は、この広範な公害の及ぶ範囲を考えると、これに匹敵するような大胆なひとつ救済の手を打つ必要があると思いますが、その点大臣どうお考えですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 御質問の、そういうような考え方も出ると思いまするが、現在のところろ、先般、緊急に行なわれました水銀等汚染対策の推進会議におきましては、先ほど私からお答えを申し上げた範囲で一応処理をするということで、また閣議のほうにおきましても、現在の段階では、繊維対策のような大規模な方途を考えるというところまでまいっておりません。これは、どうしてかと申し上げますると、繊維の場合には、影響の範囲、対象というものがすぐ明確でございまして、今回の場合は、すべてが流動的でございまして、現にこのつなぎ融資をやるという場合におきましても、財政当局から言えば、どの程度の被害があるのかというようなことで、それが的確につかめてない段階で、相当意見も出たのでありまするが、そういうことも言っておれないということから、ひとまず五万件の方々、五十万ということで、二百五十億という概算を、これはほんとうに腰だめでいたしたというようなことでございまして、ただいまの御質問につきましては、まだこれからの推移を見て検討さしていただきたいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私は、PCBや水銀の汚染が、まあ毎日、新聞を見ると、どこかに新しく出てくるということですね、やはり非常に範囲が広いと思います。そういう意味で、もっともっと深刻になっていく可能性が十分に考えられる。そういう点で、私は繊維対策に匹敵するような対策をひとついまのうちから検討しておいていただいて、この被害の範囲に及ぶ、十分対応できる対策を立てるように、このことをひとつ最後にもう一度決意のほどを伺っておきたいと、こう思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど水産庁長官のほうからお答え申し上げましたように、近く厚生省のほうから安全基準と申しましょうか、あるいは摂取基準と申しましょうか、本来きわめて限定された地域の漁獲物が汚染されておるということでございましたが、それが大きく影響をいたしまして、広範囲な不安感というものが出ておるわけであります。で、これにつきましては、摂取基準あるいは安全基準が示されて、それによって、いままではPCBの場合でありますると、八地域が汚染地域というように調査の結果が出たわけでございまするが、   〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕  その限定された地域以外においては心配がないのである、あるいはこの程度の摂取の場合は、別段不安がないのであるというようなことが十分検討されてまいりまして、今回の問題が、正確に調査ができる、被害の範囲が把握できると、こういうことになってまいりまして、大体のこの見当がつくという段階がまいりますれば、いま現にとられつつある、またとろうとしておる、つなぎ融資では不十分であるから、次に、こういう施策を講じようということがあれば、その際にとり上げて検討したい。こういうことを申し上げておるわけでございまして、今回の問題が非常に影響するところが大きかったのにかんがみまして、今後、漁民の皆様の生業に不安のないように、また、国民の食生活の不安がないように、また問題がありますれば、それに対して十分対策を立っていくということは、これは当然の私どもに与えられた責任であると、こういうことに存じまするので、ただいまの繊維に準ずる対策というような点につきましては、先ほどお答えしたとおりに、なお十分検討さしていただきたい、かように思います。

堀本宜実自由民主党

○堀本宜実君 関連。長官はどこかにおいでになりましたか、もう荷物をおまとめになったようなふうですから。

荒勝巖水産庁長官

○政府委員(荒勝巖君) 公害特別委員会に呼ばれているものですから、十一時から。

堀本宜実自由民主党

○堀本宜実君 それは残念ですが、それじゃしようがございません。いずれ機会を見まして御質問申し上げます。  ちょっとそれじゃ大臣に。これ関連質問ですが、私は大事なことだと思うのですよ。ほんとうに大事なことだと思う。もう瀬戸内海の海なんというようなものは、水が何年でかわるんでしょう。何か人の話によりますと、何百年もかわらない。満たり、のいたりで、満ち引きはありますが、やはり何年もかわらない、こういうことを言われます。またそういうことが書いてある、本に。ところによって違いますが、おおむね満ちて、引いて大潮、小潮で若干の何が違いますが、やはりもといた水が、その付近におる。こういうのはもう間違いないと思う。ですから、たとえばいま問題になっておりまする山口県の徳山、あるいは新居浜、坂出、そういうところで、水銀なりPCBなりの汚染度がきわめて高いのでありますが、そういうものは、それは徳山湾だとか、あるいは新居浜港だとかというだけに限定しないと思うんですよ。おそらく瀬戸内海でとれた魚というもの全体が被害をこうむっておるというようなことでありましょう。もう絶対に売れないと言って陳情に参ります。ですから、いま大臣ですから、こまかいことを聞きましても御迷惑であろうと存じますので、私はあまりこまかいことは言いませんが、水銀やPCBの安全基準を早急にきめるべきであるということが一点。これは二十三日ごろに発表するということでありますので、やがては発表をされましょう。発表されましても、安心のできるような発表のしかたではなかろうと思いますが、ともあれ発表するというのでありますから、これは公式の国の発表を待つ以外にないと思います。これは二十三日ごろ——近くと、さっきに大臣はおっしゃいましたが、近くというのは、この二十三日ごろ発表されるであろうということを御指摘になったものであろうというふうに了解をいたしますが、いかがでございますか。これね、小さいことで一々お願いするのも恐縮でございますので、まとめて御答弁ください。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) はい。

堀本宜実自由民主党

○堀本宜実君 それから、被害の救済のことについて、内容について、さきにいろいろお話ございましたが、私は、いま政府が考えておられるような、ちゃちな救済では、どうにもならないのではなかろうかと、これはどこからどこまでだとか、どこに住んでいた魚でございます、とかいう魚の戸籍がついていない限り、たいへん広範にこの問題は被害が増大していくものであろう。いわゆる広域にわたって不安がつのっていくであろうという見地から、救済制度が非常にちゃちなものではだめで、相当な規模で考えてみないといけないというふうに考えます。  それからもう一つ。つなぎ資金の問題が先ほど辻君からの御質問にお答えになっておったようでございますが、つなぎ資金として、やはり低利長期のものを出していただかなければならぬと思いますが、御答弁のお話の中にありました沿岸漁業経営安定資金というやつがいまあるわけなんで、それも使えるようにというお話でございますが、これはもうやはりワクの拡大と金利を下げるという二つがついてこなければ、いまありまするものが、これが活用ができるというふうには考えられません。ですから、今度つなぎ資金なり制度融資で救済をしようという場合には、やはりこれの金利の問題、そして資金ワクの問題、両方とも御配慮をいただきまするようお願いを申し上げておきたいと思うのであります。  それからもう一つは、瀬戸内海の環境保全の立法ですね。立法というものを野放しにして、やあるいは調査報告等ではどうにもならない。やはり法律によって指導していくという形でなければならぬと思いますので、この環境保全に関しまする立法化を急いでいただきまするよう、それによって漁民の救済措置が安心して講じられるという形に持っていただきまするよう、この三つ、四つの話でございますが、立法ということもなかなか困難と思いまするけれども、環境庁長官のほうでは立法をすると言っておるようでありまするので、これを急いでいただきまするよう——その他の問題は、次の機会に申し上げることにいたしまして、これはお願いを申し上げておきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 近く安全基準あるいは摂取基準と申しましょうか、これは発表されると思います。二十三日かどうかということにつきましては、これはもう早急にということで、特に現在食生活上の不安もあり、そのために消費の著しい減退、それによる小売り商への影響、漁民への影響ということにつながっておる深刻な問題でありまするので、この基準の発表については、国民にわかりやすく徹底をするようにということで、私や農林省の関係や、また環境庁の関係から、これに対する責任担当である厚生省のほうに、閣議の席上でも、しばしば厚生大臣にお願いをしておるわけでございまして、おそらく私どものそういう要望また、国民皆さま方の非常な大きな関心にこたえるような具体的な発表をしていただけるものと思うのであります。それに伴って、現在の事態というものが一応見通しのつくという段階を早急に迎えたい。そうでありませんと、なかなかお話しのように、これからもどんどん被害がふえていくのか、さらに一そう不安がつのるのか、というような、そういう際には対策も十分に立てられません。先ほども申し上げるように、つなぎ融資といっても、普通ではなかなか話し合いがつきませんのを、そうもいっておれないというので、ほんとうの見込みでやるというようなことでございます。そのような措置のとられました後に、推進会議も設けられておるのでございまするから、また関係都道府県から広範囲の要望が出ておりまするので、これらについて対応する施策を逐次検討してまいりたいと、こういうふうに考えるわけであります。当面いたしますることといたしましては、これは先ほどから御説明申し上げるとおりに、この際、文字どおりのつなぎをいたしたい。そのために、天災融資法に準ずる三分の、五年の、一漁家五十万円の、五万件の用意をさしていただくと、これは水産庁長官のほうから御説明申し上げましたように、この元利につきましての措置というものはいずれ考えなければならないわけでございまするが、これについては、公害問題の大原則である原因者負担ということで、一応そのお世話を申し上げ、場合によれば、金利につきましても、都道府県で考えてもらうとか、あるいは国の助成も必要であれば、やるとかというようなことで、そうして、その後、原因者負担の原則による補てんというようなことに相なると思うのでございます。  それからお尋ねがございました沿岸漁業の経営安定資金のほうにつきましては、これは現在のところ、十分なものとは思いませんが、これは利率五%、償還期限二十年以内、据え置き期間三年、災害に準ずる場合は最高五十万円までということで、これはこれで御活用願うわけでありますが、このほうの財政資金については、おのずから限度があると思うのでございまして、金利の点からいたしましても、天災融資に準ずる三分資金を、これを事態に即応して資金額も二百五十億円で少なければ、これを必要に応じてはワクを拡大するというような措置を講じて、とりあえずの対策にいたしたいと思うのであります。  それから瀬戸内海環境保全の法案につきましては、現に社会、公明両党から御提案がございまして、自由民主党のほうも、四月に、一次案と申しましょうか、一応の対案が党内でつくられておることを承知しておるわけでございます。今回のような問題も、現に展開をしておる非常に重要な段階でございまするので、環境庁のほうとしては、この瀬戸内海環境保全法を今国会でぜひお願いをしたいということを申しておるのでございまして、関連の農林省のほうといたしましても、議員立法ですみやかに御結論をちょうだいする。そのことについて、われわれとしてお手伝いのできることは十分する、こういういま姿勢にあるわけでございます。  大体お尋ねに一応お答え申し上げました。

堀本宜実自由民主党

○堀本宜実君 ありがとうございました。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いまもう一点だけ伺っておきたいのですが、先ほど長官の答弁では、この天災融資法に準じた場合の融資の金利補給は、たてまえ上、漁民が負担をすると、こういうことでありましたね。いま大臣のお話では、場合によれば、この金利についても都道府県で考えてもらう、国の助成をやることも考えなくてはいけないと、こういうことでありましたが、いまのは大臣答弁と確認していいですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) これは水産庁長官が申し上げましたように、たてまえとして、おそらくとりあえずはこの借り入れをされる方の負担になると思うのであります。しかし、それに対して、たとえば県議会あるいは市町村議会の関係、あるいは国と地方自治体との関係において、これに対して、いろいろとまた要望が出てくると思いまするので、私としては、さらに一歩進んだところを一応の見当をつけて申し上げておるわけでございまするが、正確には水産庁長官が申し上げたのがこの段階では正確だと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 それは大臣答弁でひとつぜひやっていただきたいと思います。  じゃ長官も出られましたから、私、本題の中金を中心にする金融四法について若干の質問を続けたいと思います。  まず第一に、少しこれはオーソドックスな論議にもなると思うのですが、二、三伺いたいことがあります。日本の歴史の明治からの中で、明治の初めそれから敗戦後、日本の経済を立て直すために、資本といいますか、資金といいますか、その蓄積がかなり無理にやられたと思いますが、それが今日の日本経済をつくり上げたもとになったと考えますが、そういう資本のもとをつくり上げた、そういう時代における農業及び農家の社会勘定というものは一体どういうようになっておったか。これはこまかい数字でなしに、およそどうであったか、こういうことについてひとつお伺いしたいと思いますが、いかがですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 非常にお答えしにくい御質問でございますが、しかし戦後における日本の立ち直っていく過程におきまして、日本産業の大宗はどこが占めておったかということを考え、また、非常に食糧に困難であったそういう情勢からいたしまして、農業、漁業、林業と、これは林業のほうは御承知のような住宅の復興ということもございまするが、これらの産業が日本産業の根幹であったということは間違いがないところでございます。そういう間に、農村や漁村におきまして、復員者やあるいは罹災者を引き受けて、そこでいまの産業にいそしみながら、そのうちに、だんだん工業の復活に伴って、また農村、漁村地帯におけるこれからの後継者は、第三男はどうするのかと——非常に過剰な人口をかかえておったのでありまするから、それらの対策をどうするというようなことと、工業の発展とか、初期におきましては、きわめて順調に調和がとれて進んでいったものと思います。そういう経緯から見まして、戦後におけるまず最初の日本産業の上に、また日本の復興の上に、あるいは日本の蓄積の上に大きく寄与したものは、農業であり、漁業であり、林業であると、このように理解をしております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いまのお話しですね。戦後のかなりな期間、資本の蓄積というものを農林水産業というものがささえたと、そういう意味においては、社会勘定は農村のほうにはマイナスになっておったということに私は、なろうと思います。  そこで、局長にお伺いしたいんですが、そういう流れが日本経済の拡大という中でいろいろ変化をしてきていると思いますが、現在において、そういう社会勘定は一体どうなっておるか、そのプラス・マイナスがいつごろから変化してきたか、これは数字でなくてもいいですが、そして現在においてはどういう数字になっておるか、このことをひとつ伺いたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいまの御質問の点は、農林省が各種データを基礎に試算推計しております「農業および農家の社会勘定」によって接近することが妥当かと思います。そこで「農業および農家の社会勘定」によりますと、昭和四十六年度におきましては、政府——これは地方公共団体も含んでいるわけでございますが、農家から租税公課等として約九千億円を受け取っております。これに対しまして、農業の資本形成および農家家計部門、これは主として年金だろうと思いますが、に対し補給金等として一兆四百億円を支出しておりまして、結局、政府部門は農業の資本形成部門及び農家家計部門に対しまして、約千四百億円の支払い超過となっているわけでございます。そこで、このように、いつごろからこういう傾向になったのかということの御質問でございますが、昭和三十五年度におきましては、農家から政府への資金の流れのほうが多かったわけでございますが、四十年には、それがマイナスになっておりますから、三十五年から四十年の間において、そういった基調の変化があったというふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 その数字によれば現在は千四百億の一応流れ込みになっているが、三十五年ないし四十年、かなり戦後長い期間にわたって社会勘定がマイナスであった。ということは、それだけ農民あるいは農家がかせいだものが、農業以外の産業に流れ出て日本の経済をささえたと、こういうふうに私はなろうかと思います。そこで、この勘定の中に、農業、農家が毎年たくさんの労働力を生産してきた、これは人間は働くのを、一人前に育てて職場に送るには、たいへんな長い苦労と経費がかかりますが、毎年何人ぐらい農業の外に送り出してきたのか、そういうものは勘定の中に入っているのかどうか、その点はどうですか。——数字があれだったらあとでけっこうですから。  じゃ、考えとしていま言った社会勘定の中に、そういう労働力を育てる、おそらくこれは四十万、五十万というものを送り込んでいますが、これは入っているかどうか、この点どうですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) まず、総就業人口中における農業就業人口の変遷でございますが、昭和三十五年度におきましては、総就業人口四千四百六十五万人中千百九十六万人が農業就業人口でございます。比率におきましては三六・八%でございます。それが昭和四十六年になりますと、総就業人口が五千百十一万人になっておりますが、農業就業人口は七百三十三万人、著しく三十五年に比べて減っております。その比率は一四・三%ということになっております。直接それじゃこの社会勘定の中で、そういったものが計算されているかどうか、もちろん間接的にははね返っておりますけれども、直接的な形では入っていないというふうに考えられます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 こまかい数字は別にして、マクロ的に考えれば全体、いわゆる労働力を別にした社会勘定も、三十五年ないし四十年まではやはり農村から外に出しておった。しかも、今日になるまで、戦後二十年この労働力を再生産をして、それを常に産業に、都市に送り込んできた。これが私は、第一次産業である農林水産業の実態であると思うんですね。となれば、昔も大まかに言っていまも、資本と人をやはり農業と農家の中から外に送り出す、それだけの努力を払ってきた。これは私は言えると思うんですが、どうですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 確かに、明治以来、日本経済の発展の過程において労働力を供給し、さらに資本も相当農業から二次産業のほうに流れていったという事実はあると思います。しかし、その反面、農業から出ていった人が、それだけの所得を二次産業に就業することによってあげて、またその分が農村に還元しているというものもございまして、一がいに、すべて農業は全部出しっぱなしだったというふうに考えていいかどうかには、なお検討すべき問題があると思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 そこで、いま国の予算は、予算と財政投融資合わせて約三十兆冊こうなりますね。これと、社会勘定と合わすのは非常につじつまが、数字がそのままに私は、通らないと思いますが、しかしともあれ、予算と財投二十兆円、この中で、これだけいろんな外に持ち出しをしてきた農業に、あるいは農家に千四百億の社会勘定のプラス分というのは、これは私は非常に少ないんではないか、これでは工業と農業の格差というものがなかなか埋まらないと、こういうように思いますが、この点どう思われますか

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 私は、現状において一般会計あるいは財投から投ぜられている二十兆が、これが非常に不足しておると、こういうふうには見ません。いまお尋ねが、どういうところにポイントがあるのかわかりかねまするけれども、国家予算の中における農村、漁村、山村に対しての扱いというものが、ウエートが必ずしも低いということではないと、このように認識しております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 まあきょうはその勘定を詳しくやるのは目的ではありませんが、私は全般として、やはり長い間、人と資本というものが、やはり農業というものを外に出しておったと、こういうことを一つだけ確認しておきたいと思います。そこで、農業金融の流れでありますが、産業全体を見たときに、農民がかせいだお金をどこに使っていくか、注ぎ込んでいくか、こういうことによって私は、そのお金が農業の中に還流すれば、かなり農業というものはもっと発展するだろうし、それが外にポンプで吸い上げられていけば、これは私は、農業のそういう意味における発展の格差というものが出てくる、こう思いますが、原則として、農民や農家がかせいだお金は、なるべく農業あるいは農村に使うようにしていくということが、農業や農家を発展さす道につながると思いますが、この点大臣いかがですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 現在の農協系統金融のあり方をなめがておりまするときに、これが辻委員のおっしゃるように、農業者のために還元をされて有効に使われるということは、これは当然好ましい姿だと思うのであります。ただ、現状におきまして、それだけの資金需要が農村にない、その原因は別といたしまして。そのために、十分還元されておらないということは、これは十分検討してまいらなければならないと思います。そういうことでこの農村への還元というものを、いろんな角度から考えて、農村のためになるようにいたしまするならば、それは広い意味における農村のためになるという結論になろうかと思いまするので、われわれとしては、本来還元されるべきものであるが、十分でない。十分でないところをどういうふうにするかというところを考えていくのが、いまの段階ではないかと思うのであります。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 確かに、不十分なのをどうすれば還元するかということが私は、これからの問題だと思います。そこで、もうちょっと進んで伺っておきたいのですが、系統三段階の相互バランスというものが出ておりますね。まあ農林省のあれにもありますが、員外貸し出しが四十四年ごろからずっと見ると、四十七年の十二月では四八・九%、約五〇%と、こういうように半分になっておりますが、この傾向は何年ごろからずっと増加という形で出ておりますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 四十年代における系統内運用比率の数字は大体五八%、五九%で変わっておりませんので、三十五年以降やや系統外の運用比率が高まってきたというふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 ちょっと質問のしかたが悪かったと思いますが、まあ員外の貸し出しが大体半分に、このいわゆる単協、信連、中金という三段階をバランスすると出ておりますね、半分と、約。中金の余裕金が大体三兆円になっておって、この中で関連産業が一兆六百六十一億と、こうなっておりますが、これらを大まかに見ると、員内貸し出しが減少して員外貸し出しが増加している。これは当然でありますが、それが五〇%になっておる。中金の余裕金がやはりふえて三兆円、関連産業がふえて一兆六百六十一億とこうなっている。まあこれをずうっと見ると、大まかには、やはり農家がかせいだ金、たくわえた資金が、内部にあまり流れずに、外にだんだんと流れていく、そういう傾向がますます強くなる。これはまあ当然のことでありますが、そういうように言っていいと思いますが、それでいいですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 一般的な傾向としてはそのような傾向をたどっております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これから論議はいろいろと分かれるところであろうと思いますが、中金法を今度改正をして、いままでいろんなところにワクがあって、員外に流れるものをなるべく押えて、員内にという、こういうワクがあったわけです。そのワクをいま大体かなりはずしていこうというのが、改正の骨子に一つなっていると思いますが、そうすれば、員外貸し出しというものがますます増加する傾向になっていくと、こういうように考えますが、この点どうです。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 関連産業の貸し付けにつきましては、従来は余裕金の運用としてやってきたわけでございますが、これも長い歴史がありまして、一つの貸し付けとして定着しているということがございますので、今般の改正で一応独立の項目としてもあげてあるわけでございます。しかし、その場合におきましても、本来業務に支障のない範囲ということで、従来と同じように関連産業の融資につきましては、毎年三回、それぞれ資金のワクあるいは融資先等につきまして、規制を加えていくということで、従来どおりの規制を続けていきたいと思っております。  それから、今般入りました農山漁村地帯における産業基盤及び生活環境整備のための融資でございますが、これも法律にございますように、公共的な色彩の強いところへ出すということで、これも結局、農村社会の向上のために役立つということで、また農外資金というふうに見るかどうかという点には問題がもちろんございまして、私どもといたしましては、これは農業の中に対する融資であるというふうに考えております。  その他いわゆる社会経済上の必要に応じて必要がある場合貸し付けるという規定がございますが、これも非常に余裕金が余ってまいりました場合に、中金の資金操りといたしまして、緊急避難的な形でこれを行なうということで、これをもって特にそれが定着し、農外資金にどんどん流れていくというようなことの、一つのルートとしてそれが活用されるということは厳にないように運用したいと思っております。  それから、今般の改正で中金自体が、単協、信連等が対応できないような農業の大口需要に対して、直貸ができるというような道を開いておりますので、今般の改正によって私どもといたしましては、いわゆる農村及び農業に行く資金はふえるのではないかというふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 まあこの関連産業にしても、あるいは農村関係のいろんなほうにも迂回して、回り回ってそれが農業、農村のほうにそれぞれ関係があると、これは迂回をするといえば私はそう言えると思うんですね。しかし、中身をいろいろ見てみると、幾つかの問題があると思いますが、それでたとえばこの数字によると、四十七年の九月末で関連産業をとってみても一兆六百五十九億と、四十八年の三月、ことしの三月末で一兆二千六十四億になっておりますね。これは大体肥料、それから農機具、畜産、水産、林業と、大体七五%ぐらいに大まかになっていると思いますが、参考のために、私は、この内訳について若干伺ってみたいと思うんですが、この肥料、それから農機具、畜産、水産、林業等、いわゆる関連産業と言われますが、上位から五社ぐらいまで、貸し出しの。貸し出しの残高、関連品目等についてはどういう数字になっていますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) まず農業資材でございますが、関連品目はいわゆる農業機械、それから農業用のトラック等でございます。それから畜産は申し上げるまでもなく飼料でございます。それから肥料はこれは当然肥料ということになるわけでございます。それで上位五社ぐらいの融資額が合計幾らになっておるかということはちょっとこれ計算して見なきゃなりませんので、すぐに数字が出ませんけれども、例を申し上げますと、農業資材の場合に、第一次の貸し付け先に対する貸し付けの残高、これはことしの三月末の数字でございますが、群十八億になっております。それから畜産の場合には、これが第一次の貸し付け先に対する貸し付けが二百六十五億、こういうふうになっております。なお肥料については、ちょっと数字を持っておりませんので、まあ上位五社を足してみますと、たとえば農業資材の場合には大体四百億ぐらいになるかと思います。それから畜産の場合には上位五社で一千億ちょっとになるかと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 まあ企業名にまでは立ち入って伺いはしませんが、私いまいろいろなほうからデータを見てみると、資料を少し整理をしてみると、まあ農機具の関連産業とこう言っても、ただ町工場のようなものとは全然違って、実質的にいえば、たとえば小松だとか、久保田だとか、あるいは三菱重工や三菱自動車という、こういうところは大体みんな並んでおるわけですね。あるいは畜産というとハムの加工工場と、こういうふうに思いますけれども、結局は飼料を扱うところになれば大手商社——三菱商事や丸紅、三井物産、伊藤忠、こういうところがずっと並んでいる。あるいは畜産でも、加工のほうになれば雪印、協同乳業、森永、明治という大手がみな並んでいる。こういうふうに私は、関連産業といいましても、水産、出光、あるいは大手の漁業関係、あるいは林業でも、製紙会社というように、なるほどそれはまあ回り回れば農業にもちろん関係があるわけでありますが、一般的にこの関連産業というと、ある程度かなり農業とじかに関係が深いと、こういうふうに言われるわけでありますが、これらの中に、状況を見ると、農業に関係があるとは言いますけれども、たとえば農機具をつくる、トラクターをつくる会社ですね。これは農家にトラクターを売ります。しかし、電機産業ですね、家庭用の電気器具をつくる会社も、これはいま大量に農協を通して農家に電気器具を売っている。そうすれば、一体この関連産業というものの区分けといいますか、これはどういうふうにつけるのか、この点どうなんですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 現在認可を行なっております中金の関連産業融資の対象でございますが、その範囲について若干御説明申し上げますと、第一は、農林水産業を営む法人でございます。これは農業生産法人、漁業生産法人等になるわけでございます。第二は、農林水産業の振興の見地から特に重要な事業を営む法人、これは関連度はおおむね五%以上必要があるわけでございますが、その中で第一は、農林水産業用の生産資材の製造を行なうものでございます。すなわち、先ほど御指摘がございました肥料だとか、農薬、飼料等の製造を営むものでございます。それから第二は、農林水産物を原材料とする物品の製造加工を行なうもの、これは畜産物の加工品のメーカーあるいは水産物の加工品のメーカー、製材、製板等の林産物の加工業者でございます。それから第三は、食料品及び木材の流通を行なうもの、青果市場、水産市場、木材市場等、これが農林水産業の振興の見地から特に重要な事業を営む法人でございます。次の範疇といたしまして、農林水産物の振興をはかるために必要な事業を営む法人、これは関連度がおおむね一〇%以上が必要なわけでございますが、第一に農林水産業用生産資材の製造、流通、第二に、農林水産物の流通、農林水産物を原料とする物品の製造、加工、流通、第三は、農林水産業にかかる役務の提供、第四は、農林水産物を原材料とする物品の製造、加工に必要な資材の生産流通を行なうものでございます。第四の範疇といたしましては、農林漁業の漁業者の生活の改善向上に資するために必要な物資の製造等流通の業務を営むものであって、所属団体との間に恒常的な取引関係がある法人ということで、ただいまお話しのございました生活資材で、所属団体との間に恒常的な取引の関係のあるものはこの範疇で融資を受けることができるわけでございますが、その場合には、やはり系統関連度が三〇%以上必要があることになっております。それから第五は、農林水産政策または農林漁業者の組織する団体に関連のある事業を営む法人といたしまして、たとえば有線放送等がこれに入るわけでざざいますが、こういった形の農林水産業と関連のある法人に対して関連産業融資ができるという形になっております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 法的な区分けはよくわかります。私が問題にしたいのは、関連産業といえども、これはここで働く人を考えてみると、いわゆる系統からかなりな融資を受けて生産が行なわれるそこの勤労者というのは、かせいだ賃金を少し余裕があれば貯蓄をする。これは農協に預けるわけじゃない。やっぱりおそらくほとんど都市銀行に預けるのじゃないか。また、企業がある資金運転をやって、ある余裕がある、あるいはその期間によるでしょうが、そういう場合にやはり都市銀行に預ける。言うならば、関連産業であるけれども、資金の流れから見るならばですね、系統から出たお金はやっぱり系統へ返ってきていないという、こういうことが私はあるんじゃないかと。もちろん兼業農家がどんどんふえて、そうして中には町工場へ行って関連産業で働いて、その賃金が農協に入るということもあるでしょう。しかし全般的に見て、やはり系統から貸し出されたお金が系統のほうには還流しない、関連産業と言っても。そういうことが一つ言えると思いますが、この点はどう思いますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) まず関連産業融資でございますが、中金の融資態度といたしましては、関連産業の場合には関連度その他を十分見まして、一般の市中銀行のようにいかなる資金もそれに対応するというやり方をしておりませんで、たとえば畜産物を取り扱っている貿易商社の場合には、その畜産の原料となるものの貿易についてどれぐらいの運転資金が必要であるかということを四半期ごとに計算をいたしまして、その必要の範囲内だけで融資をしておるわけでございます。したがいまして、融資のあり方といたしまして、関連度をはずして無制限に融資するということはまずない。その点は私どもも厳格に監督をしておりまして、守られているわけでございます。そこで、その融資したお金が、これは色がついておりませんので、どう使われるかという問題が第一にございます。  それから第二に、使った金が結局外へ行ってしまうのではないかということでございますが、それが系統の外に資金が流れていくというふうに考えるべき性質の問題であるかどうかという点は、これはやや検討すべき問題もあるのではないか。ただいま先生からもお話しございましたけれども、逆に兼業農家が第二次産業でいろいろ所得をあげてきて、それが系統の中へ入ってくるという面もございます。ですから、それが資金の流出という意味のとらえ方がいいのかどうか、ちょっと私もよくわかりませんけれども、検討すべき点はあるのではないかと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 兼業農家がどういう方式の流れの中に位置づけられるか、これは非常にむずかしい問題であると私は思います。しかし大筋私が言いたいのは、関連産業といえども、系統から融資をされて、そのお金が回転する中で、やはり系統のほうに返る可能性よりも、都市銀行のほうに動いて、いく大体性格を持った資金の流れじゃないかと、こういうことを私は申し上げておるわけなんです。その点を考えると、中金法はいまの余裕金が余って、これは何とかしなくちゃいかないと、こういうことで改正をしなくちゃならないということはわかりますが、しかし、農民や農家がかせいだ資金の流れという点から見たときに、農家から資金が集められて、それが単協、信連そうして中金、余裕金の運用拡大という方向に、いやしくも農村の外に流れていくことにさらに拍車をかけることにならないか、この点についてはどう考えますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) その点につきましては、先ほども申し上げましたように、今般の改正によってそういった流出に拍車をかけるというようなことにはならないで、逆にむしろ、いわゆる農村、農業関係に資金が流れるようにしたいというところからの改正というふうに評価していただければ幸いだと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私、大臣にひとつお伺いしたいのですが、勉強が足りぬで歴史的なことがあまりわからないのですけれども、しかしいろいろ見てみますと、明治以来農業金融というものが、幾つかの道を通って行なわれてきた。一つは地主を中心にした勧業銀行というものがありましたですね。これは地主中心にお金が集められて小作農民に貸されるという形、それから農工銀行、これは地主中心よりも、むしろやや小さな農家を中心にその資金を集めて融資をしようと。あるいは産業組合中央金庫があります。これはいろんな戦前に役割りを果たしましたが、戦時中はやはり農家、農民からの資金を吸い上げる役割りを果たしてきた。こういう点を見ると、いずれの場合も、農家、農業のほうから資金を吸い上げて他産業へこれを供給していくという役割りを過去の農林、農業金融機関が果たしていたように私は思うわけなんですが、そういう方向と比べて、この寡占経済といいますか、資本主義経済というか、こういう中で農業金融が必然的にたどる方向というものとあわせ考えるときに、この中金の法改正によって、前に私が申し上げた三つの、二の舞い、三の舞いにならないということをどういう形で保証できるか、その心配がないかどうか、この点いかがですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどお答えを申し上げましたように、農協系統金融が、できるだけ農業者に必要な資金が円滑に融通されるよう措置すべきことは言うまでもないと思うんであります。特に最近における農業は、規模が大きい、生産性の高い農業経営ということは、また、それを育成していくということが、これが農政推進上の大きな課題でございます。そうなってきますると、資金も大口化する、農協系統金融で十分な資金供給を行なう上におきましては、近代化資金の貸し付け限度の引き上げとか、信用補完制度の拡充とか、農林中央金庫による農業者等への直接貸し付け等、こういうような措置を講ずるのでありまするから、そこで今回の金融四法の改正によって、いま申し上げたような効果を期待をするということは、所期の目的を果たせるのではないかと、このように思うのであります。この農協系統の三段階になっておるいまの金融機関を一機関として、これを総括して見た場合に、これは四十七年の九月末でございますが、調達運用の合計が十一兆四千百五十三億円、系統内の運用額が六兆五千九十六億円、系統外運用額が四兆九千五十九億円、系統内運用比率は五七%ということになっておるわけでございまするが、今回の所要の措置を講ずることによりまして、おそらく系統内への運用というものは今後、比率が高まることであろう。またそれを期待しておりまして、系統外へせっかくの農業者の資金というものが流れるのを防ぐ上におきましては、相当効果をあらわすものだと思うのであります。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 私は、いまの実態を見れば、農家が土地代金もあるし、それから農外所得もある、そういう所得が蓄積されて単協の預金になる。それが農業内部にいろいろな事情からなかなか投資意欲がわかない、貸し付けが進まないということで余裕が出てくる。信連も同じ。それが中金に上ががってきて余裕金になる。そうすれば預け農家からいえば、せっかく預けたお金だから利子の高いところにやってほしい。こういう要求が一部においてあると思うのですね。もともと預けたお金というものはそういう利益というか、利潤、なるべく高い安定した利子を求めて動くものとすれば、農業の外へ、ほうっておけば流れ出る性格をどうしても持っておる。これを引きとめて、農業の中に逆に流していく、戻していくにほかなり私は、強い政策的な歯どめといいますか、強力な政策がないと、資本の本来性からいって、農業外に流れる懸念が非常に強いと思うのです。幾つかの歯どめといいますか、あるいは政策的な用意があるということは伺いましたが、この点ひとつよほど強い対策が、施策がないと本来、外に流れていく性格を持っているのではないかと思いますが、その点大臣はどうお考えになりますか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) そのような傾向はほうっておけばあると思うのでね。したがいまして、この農業者に対するところの資金の調達につきましては、各種の制度資金あるいは措置を講じて、できるだけ還元するようにつとめてきておるわけでございまするが、それをさらに今回の四法の改正によって、先ほど申し上げたような近代化資金の貸し付けの限度の引き上げとか、信用補完制度の拡充とか、農林中金による農業者への直接の貸し付けなどの措置を講ずる、こういうことでございまするから、辻委員の御懸念は御懸念として、私どもは、その御懸念をできるだけ排除する考えに立っておるということを申し上げたいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 で、いま触れられた近代化資金の貸し付け限度、これはもう今度の法案が通れば五倍になりますね。なるほどそういう意味では、ワクは上がるわけですが、農林省から出された「昭和四十六年度農業近代化資金の利子補給承認状況」というものを各県ごとに見ますと、一〇〇%に達しているのは長野、富山、福井、京都、宮崎の五県ですね。あとは五〇%台、六〇%台、七〇%、いろいろありますが、平均して八〇%と、こうなっておりますね。貸し付けの額を何倍にしたから、すぐにそれがふえて、そして系統資金が有効に使われて、農村内部に還流していくというには、この数字からいうと、私なかなか言えないと思うのですが、こういう三千億程度の近代化資金のワクも消化ができないという原因を何とか変えないことには、なかなか大臣言われてもお金はそういうように農村の中へ逆に返っていかないと思いますが、その点どうですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) それは三千億円のワクも消化をされてない、そういう事実の前には、私は、すなおに従来、近代化資金を消化する上における農村の実態というものがなかったと認めていかなければならないと思います。しかしながら、四十八年度の予算の場合、私の所信表明の中にも、これからの農村を高能率な農村にしていこう、また、還境整備などして、農村の福祉向上をはかろうというような方針をお示し申し上げておるわけであります。さらには、この国土の均衡ある発展というようなことで、工業の導入をお願いし、農工一体の実をあげたいということもお示しいたしておるのでございまして、それらの農業政策に伴って今回の金融四法改正によっていろいろと従来とは違う政策面と、それから金融改正面と、両々相まって、われわれの目標とする、できるだけ系統資金が農村に還元するようにということが達せられていき、そこに効果をあげてくるんではないかと、かように見ておるわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 系統資金のやっぱり短期、中期、長期等については、強力な政策的な裏づけというか、てこ入れをしないと、私は、なかなか農村のほうに、言っても簡単にお金は流れていかないと、そういう面で、それが不十分であれば、資金はやはり外に流れてしまう。そうすれば過去の農業金融機関がたどった道をたどらざるを得ない。これは私は何としても避けなくちゃならないと思う。そういう意味で、農村にほんとうに農民の資金が環元するためには、強力な対策が必要だが、この点で短期、中期、長期において今後こういう対策を立てるというお考えがあれば、伺っておきたいと思いますが、いかがですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 短期資金の供給の拡大につきましては、今般の改正で、いわゆる農協の貸します一般資金につきましても、従来は、農業信用基金協会の保証にはかかっておりましたけれども、保険協会の保証にかからなかったという点を今度は保険協会の保険にかけるということにいたしまして、保証能力の拡大すなわち農家が借りやすい体制を、それによってつくるということを今般の改正で御提案申し上げているわけでございます。  それから中期資金につきましては、いわゆる近代化資金として融資限度の引き上げその他、これは法律には直接関係ございませんけれども、四十八年度から近代化資金の金利も引き下げるというような措置もとりまして、近代化資金の円滑なる融資ができるような道を講じているわけでございます。それから非常に長期の資金で、低利、長期を要するようなものにつきましては、ものによっては系統資金で対応できないという面もございますので、それにつきましては、いわゆる公庫資金で対応しておりまして、これにつきましても、鋭意拡大の措置を講じているところでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 公庫資金との関係がありますから、この調整の問題は何回も言われておりますから避けますが、これだけの余裕というか、資金があれば、系統資金は、長期、低利に使えないとは言い切れないんであって、これはやっぱり政策のやりようによっては活用し得る道が私はあると思うんですが、こういう点について将来公庫資金との関連においてどういうふうにお考えになっていますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 基本的な制度金融のあり方、すなわち公庫資金と近代化資金とのあり方につきましては、繰り返し御答弁申し上げておりますように、農業金融の大宗はあくまで系統資金でいくべきである。しかし、基盤整備等非常に長期で安い金利でなきゃならぬというものにつきましては、これは系統金融で対応できない面もございますので、公庫資金が主としてそういった面をカバーしていくと、それから現在でも近代化資金、たとえば農業用の建物、構築物の造成取得資金等につきましては、農業者十二年、農協等十五年というような、かなり中期、長期の金融が、近代化資金によっても講ぜられているわけでございます。今日近代化資金は、大体農業者が必要とする資金の大部分をこれによってカバーできるということになっておりますので、今後におきましても、そういった制度金融の仕分け、すなわち長期、低利で、基盤整備関係のものは公庫資金と、それから中長期であっても、それ以外の資金は極力系統でまかなうということでやっていきたいというふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 この資金を農村に流すといっても、投資をしてやろうという意欲が起きなければ、金を用意してもなかなか進んでいかないと、これがいまの実態だと思うんですね。そういう点から言うと、日本の農政の問題にやはりからんでくると思いますが、まあ、いまたとえば、近代化資金でも、なかなかワクが十分消化できないというのは、すでに御答弁で米価の据え置きや機械における一巡というような事情があると、こういうことが答弁されておりますね。そこで、もっとも意欲を起こさせるのに、どうするのか。これは、まあ非常に抽象的な論議になるからきょうは避けますが、食糧の自給率というものも再三論議されておりますが、価格では七割、しかし畜産物のえさ代が加わっている、これを計算すれば、カロリー計算では四割を割りかねないと言われている。国際的な食糧情勢というのは、毎日、新聞に出ているほど、非常に問題がある。こういう中で私は農村にほんとうにお金が使われる、農民が意欲を持って投資をしてやろうというようなそういう機運を起こさしていくには、やはり国内での食糧政策というものをいまのような程度からかなり上げて本格的に取り組む、こういうことがどうしても大事であり、こういう根幹がおろそかにされれば、農民の資金を農村へ流せといっても、それは口頭禅に終わる危険があると思いますが、大臣この点はいかがでしょう。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 基本的に現在の農業政策というものに大きな変化がなければ、農村における固定資本に対する投資その他がうまくいかない。これは一応そういうふうに御指摘があればそれを受けとめて考えていかなきゃなりませんが、先ほども少し触れましたように、四十八年度の基本的な農業政策のあり方、これがどんどん進んでまいりますれば、おのずから違った情勢になっていくんではないか。特にいま価格面における自給率の点にお触れでございましたが、いま七四、五%の自給率、これを今後も維持し、あるいは食生活の変化に応ずる畜産のことも考えて飼料面などをもう少し昨年十月の指標に勘案をしていく、あるいは現にこの試案については、農政審議会に、最近の国際食糧事情を考えて御検討願おうということにしておりまするから、それらによって、これが自給率をもう少し高めるというようなことによりまして、それと同時に、この高度成長経済に対しての種々の批判というものが、これをわれわれとしても反省をして、これからの施策を、均衡ある国土の発展ということを申し上げておるんでありまするから、それらのことをすべて総合していく場合に、おのずから農村における資金の需要というものも違っていると。  なお、この農村地帯が太平洋ベルト地帯に比較して各種の施策でおくれておることも事実でございまして、これらの改善もあることでありますから、したがって、いまの時点でお考え願うことと、若干この二、三年先、あるいは五年先ということでは、相当変化が起きてくるんではないか。特に私としては、いろんな意味において、従来の日本の政策のあり方に批判があったのでございまするが、ちょうどそれがいい転機に来ておるんではないか、あらためて農業、漁業、林業に対して熱意を入れ、新しい施策を講じていくのには非常によい時期ではないか。こういうふうに見ておりまするので、ただいまの御質問のように、まあ御質問の中には、また今後のことについての御注意もあったと思うんでありまするが、そういうことによって相当変わっていくというふうに見ております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 最後に、私まあよくいわれる中金の民主化といいますか、このことに一点触れたいと思います。  まあ制度ができても、結局人が動かすと、こういうことで、系統金融を代表する人たちが私は役員として中金に占めていると、こういうことが何といっても大事であるとこう思いますが、そういう点で一つは、まあ何回も論議されておりますが、副理事長や理事を総代会によって選任せよとこういう要求が系統内部からも強いんですが、これが副理事長、理事は総代会の承認を得て任命すると、こういうふうになっている。なぜ選出ができないのか、この点はいかがですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 農林中央金庫は、申し上げるまでもなく、組合系統金融の中枢機関としての特殊法人でございまして、農林中金の業務の上については、系統金融の指導的立場において運用されることが強く要請されているわけでございます。この中金の基本的な性格につきましては、今般の改正の際にも変わっていないわけでございます。そこで改正前におきましては理事長と監事は出資者総会において選任される。一方、副理事長、理事という執行機関は理事長がこれを任命すると、こういう形になっておるわけでございます。今般の改正で、それを副理事長、理事まで全部出資者総会で選任するようにしてはどうかという御質問でございますが、この点につきましては、私どもとしてもいろいろ検討は加えました。その際問題になりましたことは、やはり中金の基本的性格は特殊法人として変わっておりませんし、さらに中金は、農林債券を発行いたしまして、この農林債券の発行の機能というものは、今後の農業金融を考えた場合には非常に重要なる機能であると思いますが、そういった機能も持って、不特定の人から資金を集めているという面もあるわけでございます。そういったことを考えまして、一方、現在系統金融が直面しているいろいろな困難性の問題にかんがみますと、系統と中金は一体となってやっていかなければならぬというような面もございますので、そういった点を諸種勘案いたしまして、理事長が副理事長、理事を任命する際には、出資者総会の同意を得て理事長が任するということとしたわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これは何回も論議をされましたから、私は、その次の問題として、副理事長や理事が総代会で直接選任ができないならば、理事の構成ですね、これを見ると、ここに一覧表がありますが、この中金出身の人が十人、理事長以下ですね。あるいは日本銀行理事等を含むいろいろな金融関係の方を入れて、十人、それが常勤ですね。あとは系統から非常勤で六人の理事が出ておりますね、私はこの理事会構成を見て、やはりいまの農協が県段階においても、十分農民と密着しているかとなると、かなり奥まった部屋に入っちゃってどうも心配な点がありますが、それでもいろいろな機会に私は農民と接触している機会が多いし、また農民自体である人が多いと思うのですね。だから、そういう農協の系統の代表が十八名なら十八名の中で、過半数を占めるようにしてもっと強く系統の意見、農民の意見が日本の農林中金という農民の金融機関の中央機関に反映するようにできないのか、この点についてどうお考えになりますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 中金の執行体制に関する御質問かと思います。ただいまお話のございましたように、いわゆる常勤として執行に当たっている理事者の大部分は、農林中央金庫の職員として育った人でございます。それ以外に六名の方々がいわゆる非常勤理事として経営に参加されておりますが、この方々は全部信農連及び信漁連の会長さんあるいは森連の会長さんということで、系統をまさに直接に代表されておられる方でございます。中金の業務というのはいろいろ日常の業務が伴いますので、こういった非常勤の信農連及び信漁連の会長さん、あるいは森連の会長さんが、東京に出てこられまして実務を見られるということもなかなかたいへんだと思います。そこで、そういったいろいろな現実から考えますと、現在の理事構成というものは、やはり中金の運営を考えた場合に、一つの妥当性があるのではないか。そこで、基本方針その他につきましては、中金には、審議委員という制度もございますし、それからさらに理事会に直接こういった系統の代表者の方が参加されているという形で、まず私は、こういった理事構成は、業務の運営の現実性から見ると妥当ではないかというふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 業務は、私は何も理事がいなくたって、これは職分上いろいろな段階によって責任を持ってやれると思うのです。理事会を構成して、一つのまかされた範囲において決定された中で執行していく場合に、やはり理事会の中におけるいろいろな民主的な意見を反映する道はある程度数があると思うのですね。その点でこれは逆じゃないか。たとえば系統から出た人が過半数おって、そして十分論議をして理事長のもとに執行していく東京にいつもおって分担する人は必ずしも理事でなくてもいいのであって、仕事は私はできると思う。理事会の構成から推して、もっと、選出という方法において、それがいまの状況でいくとするならば、理事会の構成で、さらに系統の意見を、農民の意見を反映さすことができるのじゃないか、この点について大臣どうお考えになりますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ちょっとその前に。先生御案内のように、現在農林中金には、法律に基づきまして審議委員という制度がございます。「審議委員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ業務ノ運営ニ関スル重要ナル事項ニ就キ理事長ノ諮問ニ応ズルモノトス」ということで、この審議委員は大部分系統の代表の方がなっておられるわけでございます。したがいまして、農林中金のいろいろな運営方針に関する大方針は、この審議委員及び理事会でいろいろ議論をされるということになるわけでございます。で、理事会にもまた系統の代表の方方が入っておられる。やはり一つの金融機関でございますから、執行は理事はどうでもいいじゃないかというふうにはやっぱり考えられなくて、執行体制につきましても、理事が責任を持ってこれに当たるべきことは当然でございます。そういうふうに考えました場合に、大体いまの構成で妥当なのではないかというふうに私は考えております。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま農林中金の構成について局長のほうから御説明を申し上げたわけでございまして、理事会だけが万能ということでない、別途審議委員のように意見を求める場所もある。また同時に、ただいまの御説明でおわかりいただきましたように、農林中金の内部からの理事、それに配するに系統の代表と、こういうことになっておりまするので、系統の代表だけが過半数なければならぬというその御所見でございましたが、要するに、系統側の意向が正しく反映できるようになっておるかどうかというところに問題の焦点があると存じまするので、先ほど来局長の御説明によって、その系統の意向反映の上にまず欠けるところはないと、かように思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これで終わりますがね。審議会の存在を私も知らないのではありません。しかし、審議会を通しても意見が反映され、理事会を通しても構成上やはりより多くもっと直接的な農民の意見、声を反映さしていく、これが私は中金がやはり単協に、農民に密着していく道につながるんじゃないか、こう思いますが、これはひとつ内部で、もし検討できる性格のものであれば、十分これから検討して、ぜひ農民との密着をひとつ、遊離をしないようにしていただきたいと思います。  そこで私、非常にオーソドックスな質問をきょうはしてしまったのでありますが、どうも農業金融の流れは、置いておけばどうしても外に流れてしまうという本来的な性格を持っている。これをやはり農業の中に流していく、還流さしていくには、非常に強い政策と決意が必要だと思います。そういう意味で、あくまで農民に密着した農業金融というものが行なわれるために、大臣のひとつ決意を最後に伺って終わりたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の四法改正は、まさに辻委員御指摘の御趣旨に沿ってのことでございまするが、いませっかくいろいろと御所見、御意見をちょうだいしておるわけでございまして、私どもとしても、系統金融の資金はでき得る限り農業者に還流するように、あるいは農業者のために寄与するようにつとめてまいりたいと思います。

亀井善彰自由民主党

○委員長(亀井善彰君) 暫時休憩をいたします。   午後零時十九分休憩      —————・—————   午後二時八分開会

亀井善彰自由民主党

○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。

向井長年民社党

○向井長年君 私はただいま議題になっておる四法案、これについて個々の質問はいたしません。それよりも農政全般にわたって総括的に政府にお聞きしたいと思います。  少なくとも大臣は、先般どっかで、国民のすべての食生活は農林省の所管である、こういうことを言われましたね。もっともそうだと私たちは思っておりますが、したがって、今国会の重要法案である国鉄運賃にいたしましても、食糧全般の輸送という問題がかかっておりましょうし、あるいは国民の不安の中にある食品公害、これもすべて農林省との関係が非常に深いわけなんです。あわせて土地問題から住宅、木材を合わせまして、あるいは環境全体、緑地、こういう形で大きな関連を持っておると思います。したがって、こういう関連を持つ大臣でございますから、お聞きしたいことは、この法案にも関係が深いと思いますが、本来の農業政策の使命というものは何であるか、これは私はまずお聞きしたいんです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御質問の中にも、私が食糧の安定供給ということを口にしていることにお触れいただきましたが、農林省が、一番肝要なことは、国民に食糧を安定的に供給する、それに最近の諸般の問題を考慮いたしますると、安定的とさらに安全なと、こういうことを加えまして、できるだけ効率的に食糧生産を行なう上に農業の近代化を推進していく必要があると思うのであります。そういうことで、農林省としては、農業団体の方々や、学識経験者の方々の御意見をちょうだいして、昨年の十月に「食糧需給の展望」と、それから「今後の生産目標の試案」を立てていただきまして、若干私としての所見もございましたが、これを一つの基本にして、これからの農政を進めていこうということでずっと一貫してまいってきておるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 まあ、そういうことを大臣は答弁するだろうと思うんですが、少なくともこれは、農業経営の立場から考えますならば、まず資本装備率が高くて、一人当たりの生産量が大きくなるような農業、もっとわかりやすく言うならば、生産性が高くて、効率的な経営であって、そして国民の食糧消費動向に対応して必要な食糧を安定的に供給できることである、こういうことでしょう。いま大臣が言われたことはね。だから、これは私当然だと思います。しからば、そういう形で事実上農業の近代化が進められなければならぬわけであります。そのとおりに現在なっておりますか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) そのとおりになっておるかと、こう言われると、そうでございます、と言うのは、少しおこがましいと思うのであります。しかし、そのようにするために、農林省が、行政面で各般の施策を講じ、また、国会の皆さまにはそのときそのときに応じての、必要な立法措置をお願いをすると、こういうことでまいっておるわけでございまして、少なくとも、そのとおりかどうかは別として、そのような方向に省をあげて努力をしておるということをお答えいたしたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 先般、農林大臣から、本年度の施政方針が言われましたが、なかなかりっぱないわゆる政策を羅列されておると思います。しからば、私は、歴代大臣にいつも聞くんですが、本年度の国家総予算に対して、大体ことしはこれだけはなんとしても力を入てやらなければならぬということで、いわゆる前年度から比較して、どれくらい予算が確保されましたか。この点はどうでしょう。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 午前にも予算の関係で、一般会計と財投で二十兆ということでどういうことだというふうなお尋ねがございまして、そのおりに私としては、本年度の予算の折衝に際しまして、全般のにらみ合いからして、この二十兆という一般会計財投のかげんで適切であると、この予算をもって本年度の農林省としての目標としておる、一言で言えば、高能率、高福祉の農業をやる上において大体いけるので、非常に予算面でかけるようなおことばもございましたが、われわれはこれで臨んでいきたいということをお答えしたいのでございまするが、ただいまの御質問にも一応そのようにお答えをいたしたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 私の調査では、前年に比較して本年度の総予算が大体一一%くらいふえておると思うんですよね。増収になっておると思うんですよね。で、農林省の前年度と比較してもほぼ一緒だと思うのですよ。そうなれば、画期的に農業の近代化を進めるというような形の予算化はされていないのではないかと、こういう感じを私はするわけであります。そこで、おそらくきょうここで出席の各党の議員も、農業の近代化と先ほど言った目的のためには、与野党含めてやはり農林省の所管予算はもっとふやしてもいいという気持ちを持っておると思うのですよ。防衛とか、イデオロギー的な問題についてはこれは別ですよ、与野党が相対立すると思いますが。しかし、農林関係においてはそうではないと思う。だから、毎年毎年おざなりな予算を組んで、今日、施政方針で言われたように、これもやります、これもやります、これもやりますと言って羅列されておるけれども、結局は、ほとんど十分できずして——全部できぬとは言いませんけれども、そういう状態で置き去られておるという問題については、私はちょっとわからないわけですよ。だから、昨年度から比較して総予算の中でおそらく二%程度じゃないかと思います。そうすると、毎年の伸び率とそして本年の予算の比率というものはほとんど同様である。これであれば、農業近代化も画期的に進めるというような形にならぬのではないかと、こういう感じでこの問題を質問しておりますが、いかがでしょう。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) たいへん恐縮でございます。実は、ここで念を押しながら答弁を申し上げたいんですが、ことしお願いした新しい土地改良長期計画、これは十三兆になっておりますが、そういうような数字を取り違えて申し上げておりまして、一般会計と財投の関係では、一般会計が一兆五千三百四十六億円、そうして伸び率としては一八・一でございまして、数字をいろいろ取り違えて申し上げてまことに恐縮でございました。  詳しくは官房長のほうからお答えをさせます。

三善信二農林大臣官房長

○政府委員(三善信二君) ただいま大臣から御答弁になりましたように、農林省関係の四十八年度の予算でございますが、全体で一兆五千三百四十六億でございますが、昨年度に比べまして——昨年度一兆二千九百九十六億で、伸び率が一八・一%となっております。ただし、その内訳をよくごらんになっていただけるとおわかりになると思いますが、この全体の中には、食糧管理費あるいは米の生産調整の対策費とか食管繰り入れ、そういった金が相当含まれておりますので、それを除きますと、いわば非常に前向きな金と申しますか、それも除きますと伸び率が二七・六%ということで、国の全体の伸び率よりはるかに上回っております。  特に内容的に申し上げますと、四十八年度は、先ほど大臣も申されましたように、新しい土地改良十カ年の長期計画を策定しまして、それの四十八年度の豊業基盤の整備費等も三千四百四十六億と、前年度の二千七百五十五億に比べて非常な伸びを示しているということも、基盤整備に特に力を入れるという証拠でございまして、またそのほか農業団地の育成等につきましても、前年度の五百七十数億に対して八百二十四億というふうに相当これも伸ばしております。そのほか農産物の価格流通対策等につきましても、前年度に比べて相当新しい事業を追加し、新規に伸ばしているわけでございます。特にこの際新しい予算としまして、農林省が四十八年度、高福祉農村の建設ということで、農村における環境整備、基盤整備と環境整備を一緒にした農村の総合整備というものを発足いたしまして、予算の名前としましては、農村総合整備モデル事業として、これを五カ年計画で総事業費三千二百億円、四百地区ということで、新しく四十八年度から発足することになったわけでございます。そういう、いま申し上げましたように、四十八年度予算は内容的には、それぞれ充実をいたしておりますし、また新規の事業も行なうように一応編成をいたしているわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 もちろん、新規事業等これはふえていることは私も認めますよ。しかしながら、実際問題として、この近代化という問題については、少なくとも農地の今後集団化が必要になってくるでしょうし、あるいは共同化の問題も必要でしょう。あるいは大型の機械施設の整備と申しますか、こういう問題、あるいはまた長期、低利の問題、これの拡大というものも考えなければならぬだろうし、あるいは農業従事者の農業技術の向上、指導、こういうもろもろの問題があるが、これが現予算で可能であるのか、あるいはまた、いま農業構造改善事業ですか、こういう問題に対しても十分手をつけられるかどうか。この点ですね、常にそういうことを言われるけれども、これは不十分な状態で今日進んでおるのじゃないか、こういう感じがするのです。この点いかがですか。

三善信二農林大臣官房長

○政府委員(三善信二君) 従来の予算から比べますと、四十八年度は相当大幅に伸ばしております。たとえば農業団地の育成、先ほど申し上げました予算にしましても、五百億から八百億に伸ばして、着実にこれは拡充強化をいたしております。それから第二次の農業構造改善事業等も、四十八年度は二百四十五億から三百二十九億ということで、これも拡大強化をいたしております。特に、農地の保有合理化促進、そういったものにつきましては、これも三十二億から四十七億ということで、まだ金額的には少のうございますけれども、そういう一つの芽ばえをどう育成するかということで、実現性のある、現実に稼働し得る最大の予算を組んだつもりでおります。それからさらに新しく経営の問題。集団的な生産組織の育成ということで、私ども、個々の経営規模の拡大ということを念願に相当努力してまいってきておりますが、さらに集団的なそういう経営組織体というのを育成していく、これがまあ今後の経営の一つの方向であろうということで、こういうものにつきましても、新しい予算を追加して、その指導費や管理費等の充実をはかるというようなことを行なっております。さらに価格対策等につきましても、それから流通、加工対策、流通機構の整備、そういったものについても逐次相当増大しております。  先生おっしゃいますように、これで十分かと申されますと、決して十分ではないと私も思います。さらにこういう予算を拡充強化して、着実にやっていくということが今後ともなお一そう必要なことだと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 着実にやることはいいんですが、事実上、冒頭申し上げました農業の近代化の促進という立場から考えるならば、非常にこれはなまぬるい。したがって、政府がほんとうに腰を入れてやる気があるのか、やる気があっても、農民がやる気がないのか、それぞれのですよ。こういう点について私たちは疑問を持つんですよ。だから、この点を、私はお聞きしたいために前段を申し上げたんですが。これは徐々には進んでおりますよ。全然やらぬとだれも言っていないんだから。しかしながら、少なくとも農業の、先ほど言った、もう国民生活から環境保全から、全般に及ぶ諸問題をかかえている農林省ですから、国の政策として、少なくともこれは積極的に進めなければならぬ。そのためには、農民そのものもその気持ちにならなければならぬ。この点について、政府が、本気に前押しでやるという決意をして今日進んでおるのか。またそういう気持ちであっても農民がついてこないのか、この点どうですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 政府はもとより真剣に農村の近代化にいたしましても、また土地改良長期計画による生産基盤の整備でございましても、これは取り組んでおるわけでございます。しかし、しばしば御質問にもございますように、近代化資金は、ワクが十分消化されてないじゃないかと、そういう事実はどうかと、こう言われれば、それには、それなりの原因もあって、十分消化をされておらない。その中には、すでに農村における機械化が一巡しておるのではないか、あるいは生産意欲がもし減退しておるということから起きたんではないかとか、いろいろ考えさせられる点はございます。ございまするが、意欲のあるなしについては、農林省としては、一生懸命やっておるということには間違いございません。

向井長年民社党

○向井長年君 今回出されているこの中金法の一部を改正する法律案にいたしましても、これはわかりますよ。一応ね。必ずしもわれわれ反対ではございませんけれども。これは農業の近代化政策の規模の拡大とあるいは農民の意欲を出させるような方向で指導しなければならぬのじゃないかと、こう思うのですよ、これね。だから、こういう問題にいたしましても、なお農協の改正問題にいたしましても、農協の本来の使命を私は、逸脱しつつあると私は思うのですよ。農協の本来の使命を逸脱しつつある。したがって、少なくとも現状はやむを得ないものにしても、農協並びに農協の指導者が本来の農業近代化にもっと力を入れなければならぬじゃないか、農村が金融資本化するということはよくないことですよ、これは。いま大体そういう形に、これずうっと逸脱するような感じがしますが、この点大臣どう思われますか。先ほどから、冒頭から申し上げておるように、本来の農業近代化の使命というもの持って農協も進むのがあたりまえだと思う。あるいは指導者もそれに対する取り組み方が必要だと思う近代化に対して。ただ、金融とかあるいは農村の金融の資本が農村に移っていくような形は、これは、本来の使命じゃないんじゃないですか、いかがですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 農協の持っておる本来の使命というものは、当然これを遂行していかなければならないと思うのであります。しかしながら、系統資金というものが、現状をもってしては十分この農業者に還元されておらないと、また、今後農業をもっと近代化し、生産規模を拡充していくと、それにはそれなりの資金の必要性もあるんではないかと、したがって、そのためには金利を引き下げるとか、ワクを拡大するとか、あるいは従来行なわれておらない農林中金のじき貸しをするとかいうようなことをくふうしようと、こういうことでございまして、そのことが、この農協が信用事業に偏重して、本来の使命を失いつつあるんではないか、という御疑念には当たらないんではないか。しかし、私どもとしては、かりにもそういうような傾向が今後深まるということであってはいけないのでありまするから、農協はやはり本来の使命である営農をまず第一に考えていくように指導してまいりたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 先般麦価がきまりましたですね、一四%値上げ。これはけっこうでございますが、これはまあパリティ方式に二%加えたんでしょう。そういう形できまったのでございますが、しかし、価格だけで問題が解決したものじゃないと思うんですよね、この問題も。少なくとも、現在わが国でどれくらいの生産かと言えば、それはもう御承知のとおり十六万か十八万トンですか。したがって、生産の増産というものを考えなきゃならぬということになってくるでしょう。したがって、そういう指導が今後やはりそういった問題にも含まってくると思うんですが、この点どうですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 今般の一四%の値上げ、それに契約奨励金をつけることによってのみ、それのみで麦作の増産を期するということはむずかしいことは言うまでもございません。しかし、少なくとも、麦作を奨励する上におきまして、価格面の配慮というものが非常に重要な要素であることは、これは、いまさら言う必要もないことだと思うのでございまして、その点では、今回の改定は、まずまずのところではないかと、このように思います。しかし、これからの麦作を奨励する上におきまして、何といっても、経営の規模を拡大するとか、あるいは機械を導入しての省力化をするとか、こういうような点に事を欠いてはならないのでございまして、その点については、本年度の予算においても相当配慮はいたしておりまするが、さらに、ただいま御指摘のような、毎年減反の状況に、減産の状況にございまするので、これを何とか防ぎとめて、さらにはもう少し増産をしてもらうと、増産意欲を持ってもらうということにつきましては、今回の米価審議会の答申の中にもございますとおりに、作付までに各種の施策を講ずる必要性というものは、これはあると思うのでございます。そういうわけで、御質問によるいまの施策でどうかということにつきましては、明年度以降の施策の上におきまして、もっと積極的な姿勢をとりたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 これはまあそういうことでなけりゃならぬと思うんです。これでひとつ大いに進めていただきたいと思いますが、米の問題にいたしましても、御承知のごとく、これは七月に米価はきまるんでしょうが、これも長期需給バランスがこれでとれるのですか、米の需給問題。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 米については、需給バランスがとれるのか、しかも、それは長期にどうかというお尋ねでございまするが、ことしあたりの二百五万トンの生産調整をいたしておるこの姿は、われわれとしては、まだ潜在的な過剰生産が残っておると、もし生産調整がなければ、供給のほうが過大になるおそれを多分に持っておる。こういうことで、昭和四十六年に閣議で決定をいたしました生産調整を、これを五カ年間遂行していくということで、本年まで休耕奨励金と転作奨励金を出しまして、生産の調整につとめておるわけであります。明年度以降におきましては、これは休耕のほうは打ち切りまして、転作奨励金を出し、転作を定着せしめて、そこでいまお尋ねの長期に見て、もう四十九、五十の二年、生産調整を続けていく間に、大体の見当がつかめられると、需給を均衡とる、あるいは若干の供給が上回るものがございましても、それは備蓄面に考えていくと、こういう構想で臨んでおるわけであります。

向井長年民社党

○向井長年君 私は、これは国内問題と国際的な問題を考えましても、やはり穀物の不足がくるのではないかという感じがするんです。これは、いつくるかということは別としても、御承知のごとく、共産圏はいま非常に問題があるでしょう。あるいはアフリカにおいてもそうでしょう。不作と申しますか、こういう国際的な中で、しかもアメリカ、カナダにおいては小麦の解除しましたね、生産制限に対する解除を。まあこういうことをやるし、米ソの農業協定あるいは中国なりソ連が買い付け、こういう問題も始まると思うんですよ、国際的に。こういう中でわが国が今後の見通しという問題については、ただ安易な、今日までの減反だけでいいのか。したがって、この問題については、やはりそういう国際的な情勢と国内の生産情勢等を勘案して今後考えていかなきゃならぬじゃないかと思いますが、この点どうでしょう。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) きわめて重要な問題でございまして、冒頭お答えした安定供給の上からも、ただいまのお尋ねの点は慎重に対処しておるわけでございまするが、近く調査団を出しまして、国際的な諸情勢を十分把握をいたしたいと思っております。ただ、ただいまのアメリカやソ連その他の国についての情勢をお触れになったわけでございまするが、私どもの総合したところでは、アメリカ、カナダの作付面積の拡充ということが、大体、天候事情も順調でございまするから、相当の増産が期待できるのではないかと、そこへ昨年と同じようにソ連、中国の大量買い付けがあるのかというと、相当量の買い付けはあると予想されますけれども、昨年のような異常な状況にはおちいらずにいくのではないかと、このように思うのであります。インドや西アフリカの干ばつということが非常に国民に心配をかけておる、あるいは東南アジア諸国の米不足による日本への援助要請というようなものもやはり気になる問題でございまするが、しかし、昨年不作であったオーストラリア、アルゼンチン等はすでにことしの収穫の見当がついておりまして、これは大体豊作でございます。  まあそういうようなことから総合しますると、まず、国際的な関係から、日本に大きな影響を与えるということはないんではないかというふうに見ておるわけでございますが、先ほども申し上げたように、調査団の派遣などをいま検討いたしまして、できれば、そういうことによって、もっと詳細な情報を取りたいと思っておるところでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 そういうような、もろもろの国際的な情勢、動きがあるけれども、わが国においては現在のいわゆる方向で心配はないと、したがって、今後このまま続けていきたい、こういうことだと思いますが、それで事実上そういう国際的の関係でわが国には影響ないと言えますか、——言えますね。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 昨年の下半期以来、日本の必要とする濃厚飼料の原料たるトウモロコシやコウリャンあるいは小麦や大豆が、アメリカからの場合を考えてみましても、円滑ではなかった。これは、大量買い付けなどがございますると、輸送面に支障を来たしたりいたします。ですから、ただ単に、所要の輸出量が確保できるかどうかということでなしに、その量というものが、こちらの希望どおりの時期に入るか入らぬかというようなことも問題になります。ですから、国際的な関係で全然もう心配ないのかと、こういうふうに問い詰められれば、いろいろな場合を考えながらやっていかなければなりませんので、そういう点については、一応対策を立てながら進んでおるわけで、まず心配な状況というものが起こらないようにつとめておると、こういうふうにお答え申し上げたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 わかったような、わからぬようですが、いいでしょう。そういうことで心配ない方向で努力するということだから、私も心配ないということで受け取りたいと思います。  時間があまりございませんが、続いて私は、先般予算の分科会で大臣なり長官にも質問いたしましたが、林政問題でお聞きしたいと思いますが、これについては、特に林政審の答申があって、それに伴って試案をいま検討中だという答弁が先般分科会であったと思います。その後、検討されたやつを——どういう内容をもって検討されて、それをいまどういう形で実施しようとしているのか、この点をお聞きしたいと思います。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 昨年の十二月、林政審議会から「国有林野事業の改善について」という答申をいただきまして、ただいま先生からお話のございましたように、林野庁におきましてその内容を検討中でございます。それでこの内容をやや具体的に申し上げますというと、林政審の答申の内容につきましては省略いたしますが、農林省としましては、この答申の趣旨を尊重いたしまして、第一点は、長期的な視点に立っての国有林の持つ多面的な機能を総合的に発揮するために経営基本計画等各種長期計画、これを改定いたしまして適正な森林資源の充実をはかる。それから二点は、すぐれた国有林野を次の国民に引き継ぐために公益的な事業分野における費用負担の改善、事業の確実な実施に必要な原資の調達、質的な側面に配慮した投資の効率化と企業的能率を尺度とする事業実行形態の選択、販売方法の改善、国有林野事業に従事する労働者の福祉の向上及び組織機構の整備、こういった内容につきまして経営の改善の合理化を行なうことという方針でもって検討しておるところでございます。  御指摘の、この前の分科会以後どういったような問題についてこれを検討し、その結果はどうかという御質問でございますが、この内容の中で、特に一番私たちが直接重大な問題として大きく改善したいという一つは、収入の面におきます販売の問題がございます。この販売の問題につきましては、きめこまかな検討をただいましているところでございますが、かいつまんで申し上げますと、この販売制度には三つの販売方法があるわけでございまして、先生御承知のように、公売と指名と随契がございます。そこで、この三つの販売形態につきまして、特に公売が少なくて随契が多いではないかというような指摘もたびたび受けておったわけでございますが、公売の問題を国有林が簡単にオープンに行ないますというと、たとえば昨年の十一月から十二月におけるようなあの価格の高騰の現状を考えますというと、この単純な公売ということもやはり考えなければならぬ。そこでたとえば、地域における限定をした公売をいたしまして、その地元の林産業の振興に寄与するということも考えなければなりません。それからまた一方、随契の場合におきましても、従来のように実績を主にしたというふうな指摘をよく受けておりますが、その随契につきましても、やはり競争原理を導入していく。たとえて申し上げますというと、見積もり合わせというふうなことにつきましても、販売のやり方につきまして、ただいまこまかな検討をいたしているところでございます。これはしかし決定いたしましても、直ちに実施するということになりますと、長い間の沿革を持ちますところの地元の製材を中心とするそういう加工業あるいは流通業に大きな影響を与えますので、およそ二年ぐらいを目途にして、これを実施してまいりたいというふうに販売問題については考えております。  もう一つは、大きな問題としまして、直営生産事業あるいは請負事業販売の形態にいきますというと、立木処分あるいは素材生産事業、これは関連するわけでございますが、そういったような事業実行の形態等につきましても、ただいま鋭意検討しているところでございます。  それから最も重要な問題と思いますことはやはり労働問題でございます。これにつきましては、従来からもしばしば労働組合の間でいろいろ団体交渉等を重ねながら改善をはかってきているところでございますけれども、この労働の問題につきましては、非常に重要な問題でもございますので、私たち一応見通しというものをつけながら、専門家の方々に集まっていただきまして、林政審議会の中に、この労働に関する部会を設けて、一応その労働者に関するいろいろな処理の改善なりあるいは雇用制度のあり方なり賃金の問題なりを検討していただきたいという準備を進めている段階でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 これは、櫻内大臣、いま長官からそういうように答えられておりますが、林政審の答申も私も知っておりますけれども、そういう林野行政改善に対して、だれが一体やるんですか。長官がやれるんですか。これは農林省として、あるいは林野庁として、部課長だけの問題じゃなくて、職員全般がそれを実施に移していこうということでしょう、そうですね。なんぼ長官一人がやかましゅうさか立ちしたってやれないでしょう。したがって、そういう中で、国民のコンセンサスというものを持たなければならぬということになるんですよ。そういう問題が十分とられておるのかどうかということなんです。これは、山はどうせ地域地域にあるんですから、東京にあるわけじゃないですから。そういう国民のコンセンサス、あるいはもう一つは、いわゆる林野の中で働く多くの職員が、十分それを理解して進めるということにならなければ効率は上がらないということでしょう。そういうことでしょう。そういう中で、まずやはり職場の民主化というか、あるいは職場の合理化というか近代化というか、あるいはまた職場規律というか、こういう問題がただいま十分とられていますか、まず第一に。そういう施策を押し進めるために、もろもろのやはり、大きくは国民のコンセンサスであり、地域住民のコンセンサス、あわせて内部においては、職員のコンセンサスというものが必要じゃないですか。それがいま十分だと思いますか、どうですか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 先生御指摘のこの点は、まことに基本的な問題でございまして、国有林の経営の改善につきまして、ただ私一人で案を組んでこれでやりなさいと言っても、これはとてもできる問題じゃないということは私も思っております。特に国有林は、昔から地元の方々との関連が非常に密接でございます。そういう点を考えますというと、やはり特に地元市町村その他関係の方々の協力を得なければこれは実施できないと思うわけであります。地元の方の協力を得て初めて森林の経営が守られますし、ということはもう当然でございます。それから職員の内部がやはりこの点につきまして一致団結して、そういった方針をみんなが協力してくれなければ、これはできない、これもまあ当然でございます。特に労働条件等につきましては、組合との間に、いろいろと協議を重ねながらやっていかなきゃならぬ、このように思うわけでございます。御指摘のとおりに考えているわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 いま、長官言われたとおりだと思うんです。大臣、そのとおりなんですよ。それがなせなければ幾らいい試案を出そうと、案を出して実行に移そうとしてもできないと思うんですよ。いま地域においても、いま進めようとする問題については相当異論があるんですよ、これは、国民からですよ。あわせて内部においてはしかり。私はここで申し上げたいことは、そういう行政面の内容の問題よりも、その姿勢というものが実際なっているのかということであります。事実なっていませんよ。ちょっとこれ、私見ましたが、こんな写真、これあなたたち見ているのかい。こういう実情を、職場の。あなたの所管ですよ、農林省の所管ですよ。少なくとも、まずそれを実行に移そうという職場において、職場の規律を守らなきゃいかん、きめられたものをやるためには。あるいはまた意見があれば、堂々と話し合うという場も必要でしょう。しかしこれ職場ですか、一体。これ皆さん、林野庁の職場ですよ。ちょっと回してください。これ大臣一ぺん見なさい、こんなことを知らんでしょう。長官知っているのかい、こんなこと。こんなばかげたことをしておって林野がつとまりますか。これ職場ですよ。職場にこんなことしていますよ、博覧会か何かわけわからんようなことを。あなた知っているのかい。こんなことをしておって、ほんとうの林野行政ができますか。職場規律も守られてないじゃないですか、これは。職場の中がまるで博覧会かあるいは物売り場みたいなそんなかっこうして、あなたたち十分な管理行政がなされていると思いますか。官房長、よう見ておいてくださいよ。そういうことではほんとうに幾らいい案立てようと、どうしようとしても——長官一人がやるわけじゃない、あるいは部課長がやるわけではない、職員全部がこぞってやらなきゃならん、まず内部のコンセンサスですよ。それが十分なせなきゃならんということですよ。そして地域の住民との協力体制がなければできないでしょう。そういうことをあなた、この林政審の答申があったから、それによって進めるんだといって、幾らこんなことをかざしても、実行に移されますか、そんなことで。私は、やっておる、主張しておる内容を云々言うんじゃありません。そんなことを言うんじゃなくて、そういう職場規律という中で事実上仕事ができていくのか、国民にこたえられるのか、これを私は言いたい。どうだこれは、大臣どうですか、情けないじゃありませんか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) あらゆる職場におきまして、労使の関係が円滑にいくということが、これがだれから見ても好ましいことは言うまでもありません。ただいまお示しの写真を拝見して、かような事態があるということについては残念に存ずるのでございます。ただ、林野関係の労組は、労組のいろいろいきかたをされておることを思いまするので、私どもは、この労組側の主張にも耳を傾けながら、あとう限り労使の間が円滑にいくようにつとめてまいりたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 労使の問題は円満に話し合わなきゃいかんですよ、これは根本です。これは円滑に、いろんな意見もあるでしょうし、あるいは林野行政に対する建設的な意見もあるでしょうから、その問題は話し合ってやはり十分これを推進しなきゃならんと、これは思うんだ、これはあたりまえです。ところが、私は、やはりきりっとした職場規律がなければ、できないということですよ、これは。これはあなたたちの管理能力でしょう。管理者でしょう、あなたたちは。管理者がやはりそういうことで、いけないものは、いけない。あるいはそれに対してはどうするか、こういう問題をとらずして、ずるずるでは、これはやはり不満だらけであって、まじめな諸君も、これに対して不満を持つ、意欲も失う、こういうことで、先ほど言った答申の試案が実行に移されますか。私はそれをまず言いたい。まず基本ですよ、これは。この基本を改めない限りにおいてはこういうものはできませんよ。長官、どうですか、あなた直接の責任者だ。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおりでございまして、やはり国家公務員として私たちが仕事をしていきます場合には、やはり国民全般から信頼を受けるような姿勢で仕事をしていかなきゃならんことは当然でございます。そういう意味で、いろいろと機会をとらえまして、職場の綱紀粛正については、これを厳重に指導してまいっているところでございますけれども、ただいまの写真を拝見いたしますというと、これはおそらく団体交渉等において、いろいろと不満があった場合のことが一つの原因もございまして、こういうふうなビラ等が出ているように見えるわけでございます。しかし、私はどの程度のことが一番常識はずれな行為になるのか、ならないのかという判断は、これは厳重にしなきゃならんと思っております。この写真は私も初めて見たのでございますけれども、今後はこういったような、職場が紊乱しないように、なお一そう厳重に指導してまいりたいと、かように考えているところでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 闘争のときに、組合が何か要求して——闘争のときは、いろんな行事をやるんですよ。私は、そういうことも、それは確かにないとは言いません。内容じゃないんですよ。しかし、こういうことが職場でずっとやられているというんですよ、現状においても。それをだれも、ものを言えないという状態、何ですか、これは。管理者能力はないんですか。しかもこれは公共の建物ですよ。国の建物ですよね、そうでしょう。民間のもんじゃないんですよ。それがものを言えないというようなことでは、実際の行政できないでしょう。だから私は、そういう林野行政全般に対する問題よりも、そのまず前提となるそういう問題が現状の中では何が進むんだ。これは、あなたたちの何といいますか、力に負けているというか、私は、そういうことは通してはいけない。少なくとも正しいことは正しい、主張は主張として聞く耳も持たなきゃならんし、あるいは円満解決のための話し合いも必要である。しかしながら、こういう反した、言うならば、こういう施設に対して、あるいはまた、その他暴力的な行為があるとするならば、こういうものは断じて許してはならぬ。そういうことで秘めて本来の形に立ち戻るんじゃないですか。そういう意味において、いま十分注意して指導しますと言うが、指導じゃない。現在でもやっているんじゃないですか、現在そのままになっているじゃないですか。あんた、見たことありますか。見たことありますか。一般の健全な組合というものは、少なくとも、組合のあらゆる掲示に対しましても、一定の場所をきめて、そこ以外にはできないことになっていますよ。あるいはまた民間においてもしかりだ。それを公共の建物に、あの、しかも内部の事務所にスーパーの物売り、たたき売りと一緒ですよ、あれは。役所にあんなところがあっていいのですか。大臣、この点どう見ておられますか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) それはお答えをするまでもなく、違法行為というものは取り締まらなきゃなりませんし、そういうことが行なわれるということはまことに遺憾なことであります。

向井長年民社党

○向井長年君 まずそういうことを私は基本として、あなたたちは反省して考えなさい。そして職場規律を明確にしなさい。それから初めて今後の行政の近代化が生まれてくると思う。それと同時に、よってきたるものも考えなきゃならんですよ。ああいうことをすることは、なぜ起きたかという、よってきたるもの、これも考えなきゃならぬ。これはやはり今度の問題に対しても、何といいますか、国有林野の労働者に対するやはり大幅縮減とか、あるいは事業所の統廃合とか、これが十分理解のいかぬままに実施しようという、あなたたちの考え方が、そういうことをなさしめていると思うんですよ。私は、問答無用の人だったら話する必要はないと思う、これは。完全なこれは革命的ないわゆる闘争ですから、こんな人には話しても無用かもしれぬ。しかし、必ずしもそうではないと私は思う。やはり現在の林野行政に対して、非常に真剣に取り組んでおる職員が、あるいは組合員が、皆さん方に意見も出すんじゃないですか。この意見というものをみな吸収して、ものごとの解決にあたる、あるいはもし吸収できなくても、実はこれはこうして変えていくんだから理解してくれということで話し合えば、わかるんじゃないか。そういう問題も自分たちだけがつくって、それを無理やり進めるんだというところに無理もありますよ。そうじゃありませんか、長官。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおりでございまして、組合との間の話し合いにおきましては、団体交渉に関する事項はすべて労働条件を中心として話し合っております。また、抜本的な経営の改善の問題等につきましても、これは管理者のみでこれを秘にしまして、それで団交するという態度はとるべきでないと思っておるわけでございます。やはり先ほど申し上げましたように、地元の人たちはもちろん、職員全般の協力を得なければならないわけでございますから、やはり経営の改善の基本的な考え方につきましても、組合によくこれを説明するという態度を従来とってきておりますが、今回の経営改善の問題は、林政審議会の答申を受けまして、まことに大きな問題でございます。その点につきましての説明も十分いたしてまいりたいと、かように思っております。

向井長年民社党

○向井長年君 それで、どうですか、林政審の答申を受けて国有林事業のいまの改善策をやろうとしていますね、そうでしょう。で、これは公益的機能を重視して、その政策をやろうとするんだけれども、そこに長期的な安定的な生活環境を確保するためには、現行の改善策をいまやっぱり考え直さなきゃならぬ時期なんじゃないですか。現在あなたたちが出そうとする問題については、毎回ひとつ考え直し、練り直す必要があるんじゃないですか、ありませんか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 現在、検討しております改善策は、先ほど申し上げましたところでございますけれども、具体的にはこれを分解して申し上げますというと、非常に具体的になっているものと、まだ検討段階でおよその方向を検討している段階と、いろいろございますが、特にその中で一番重要な問題は労働関係の問題であるとか、あるいは組織の問題であるとか、というところにあると思います。これはまことに重要な問題でございますから、労働問題については、先ほど申し上げましたように、私たちだけでなしに、一つの部会を設けて、専門家にも検討していただくということを考えておりますし、組織の問題についても、なかなかこれは重要な問題でございます。端的に申し上げると、従来はとにかく森林から木材を主とした増産体制を中心にしたものの考え方、今回はこの改善の主眼点は、やはり公益的な機能を重視するというところに大きな転換があるわけでございます。そういったようなことから、一つの仕事のあり方というものは、非常に変わってくるわけでございますからやはり組織につきましても慎重な検討が必要だというふうに思っているところでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 その前段の問題については、やはり総合林政という立場から、国有林もあわせ民有林も見て練り直さなければならぬじゃないかという、こういう感じで、私の言っているのは。  それから前段の問題については、これは事業所の統廃合とか、あるいはまたこの職員の配置転換、あるいはまた勧奨退職といいますか、こういう問題、こういう問題をあわせて考え直すのでなければならぬのじゃないかと、こういうことを私は言っているんですよ、いま。その点はどうですか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 非常に困っておるものでございますれば練り直しとか、そういうこともございますけれども、いま申し上げたとおり、林政審議会から受けました答申、これについては、基本的な路線は尊重しております。それに基づきまして、いろいろと販売問題等については非常に具体的になってきております。ただ、労働問題もややそういった点につきましては具体化しつつありますけれども、まだ組織問題その他につきましては、いろいろと関連するところもございますので、検討しているという段階でございますから、基本的に先生がおっしゃるように、練り直すというよりは目下練りつつあるといったほうが適当じゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 あなたたちが一つの考え方を持って、もうそろそろ提示しておるのじゃないですか。——しておるんでしょう。しておるということは、もうできておるということじゃないですか。してないというんだったら、まだあなたたちは検討している段階だというんだったら話がわかりますが、もうあの辺は提示をしつつあるんじゃないですか。そういうことであるならば、もう一応の試案というか、もう案としてできて、それを皆さんに提示して進めようとしておるのと違いますか。まだそれはできてない、どちら。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 国有林野改善の基本的な改善という案は一つできてはおります。この内容につきましては、これは組合員にもこれを説明いたしまして、その内容につきましては、いろいろいま両方で話し合っている段階でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 そうすると、組合の意見を聞いて最終決定をしようということですか。意見を聞いてその意見も取り入れて——場合によれば取り入れて最終決定をしようという段階ですか。そうですか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) こういう経営改善につきましては、やはり労使双方の意思の疎通が絶対必要だと思います。そういう意味におきまして、よく私たちのほうから説明をいたしまして、組合の意見も聞きましてそれで具体的な改善策をこれから進めていく、そういう基本的な態度でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 同じことじゃないの。あなたたちが腹きめて、これでやるんだということで提示して意見を聞く——形式的に聞くだけてしょうが、こういうことをやりたいと思うが、皆さん方の意見の中で——これは皆さんというのはただ当局の中だけじゃありませんよ。地域住民の意見もありましょうし、いろんなその他のものもありますから、そういう意見を総合して本格的なやつをきめるというのか。あるいはあなたたちはもう完全な試案をもって意見を聴取する、そして、どうしてもこれは実行するんだと、こういう腹がまえであるのか、これによって違いますよ。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) ただいま申し上げましたのは改善の基本的な考え方でございまして、基本的な考え方につきまして組合といろいろ説明しながら意見を聞いている段階でございます。基本的にはやはり私は、おおむね十年ぐらいの具体的な計画が必要だと思っておりまして、抽象論ではもういけない段階でございます。やはり現地の実態に即して具体的に、つまり営林署段階から具体的な計画をあげまして、それに基づいて具体的なお話し合いをしていかなければならない。特に労働条件に関する問題等につきましては、具体的にやっていかなければならない。かように思っております。基本的な考え方につきましてはまだ抽象的な点が多分にございますので、十分組合の意見も尊重して具体的にやはり営林署等からあげました、たとえば十年計画とかそういうもの、数字の入ったものでなければならぬ、かように思っております。

向井長年民社党

○向井長年君 あなた基本的な考え方を一応きめてそれを提示して聞いているんだと、こういうことでしょう。その基本的な考え方に対するものの違いがあるんですよ。これは組合だけじゃありませんよ。私は、先般、各所へ参って、営林署なり営林局で、あなたの部下である管理職の諸君に聞いても、問題がありますと、これは明確に言っている。あれ絶対賛成ですというようなものの言い方をしている人はおりませんよ。そういうことをあなたたちは、基本的な考え方はもう絶対だいじょうぶだ、皆さん賛成してもらえるものだというような、ものの考え方を持っているところに私は狂いがあると思うんですよ。その点いかがですか。各所の現地現地は、何も組合じゃありませんよ。あなたの部下、こういう諸君がその基本的な考え方に対して賛同しておりますか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 基本的な考え方につきましては、ただいまのところでは、林政審議会の趣旨を尊重して、いろいろと職員の内部にも説明いたしておりますし、あるいはまた、関係の機関にもいろいろと説明しておるところでございますけれども、まあ抽象論ではあれですけれども、具体的な問題としては組織問題につきましては、いろいろと地域のほうからも意見の陳情等がございます。先生のおっしゃいますところの問題点はどこにあるかということを考えているんでございますが、おそらく、例えば組織の問題等じゃなかろうかと思うんです。その点につきましては、それぞれの地域地域からいろんな意見をいただいております。ただ現在、たとえば営林署の問題を取り上げましても、どこの営林局のどの営林署をどうするかという具体的問題に入っておりません。林政審議会の答申の中には、一応そういった問題についても検討しなさいということがあるわけでございます。いまそのあり方につきまして検討中でございまして、具体的にどこをどうするという段階にいってないわけでございます。いろいろと、その点は地元の意見、もちろん、そういった問題出ますけれども、地元の市町村との関連が、先ほども申し上げましたように、密接な関係があるわけでございます。で、これを全然無視して実行するということは、なかなかこれはむずかしい問題でございます。ですから、そういう意味では、内外の意見をよく聞いてまいりたいと思っております。

向井長年民社党

○向井長年君 そういうどこをなくするとか、どこをそのまま残すとか、それは具体論ですが、そういうところまでは出してないでしょうが、一応統廃合を基本的にやるんだということは、あなた、基本論でしょう。そういうものに対して疑心暗鬼ですよ、どこでも。そういうことは現在事実あるわけです。そこで、私たちから言えば、そういうことで合理化するのじゃない、それよりも新規事業を始めなさい、新規事業に対する基本的な施策を出しなさい、これが必要じゃないか。これに対しては民有林も含めて考えなさい。こういうことを先般私は予算委員会でも言ったはずですよ。そういう問題に対してはあまり触れずして、ただ組織問題だけをいろんな形において聞くものだから、不安の中からやはりそういう意見が出てくるのはあたりまえですよ。だから、総合的にものを考えなけりゃならぬじゃないですか。そういう点は若干私は片手落ちじゃないかという感じがします。それが一つと、やっぱり本院においても四十六年でしたか、決議しましたね。あるいは参議院でも決議しております、この委員会において。この決議事項はやっぱり国会の決議として尊重してもらわなきゃ困る。この国会の決議がもう空文に終わって、かってな、林政審が出たからこうだということは国会無視ですよ、これは。許しませんよ、こういうことは。そういう問題が私はこの中には含まってくると思う。そうでしょう。いかがですか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 四十六年、衆参両院でいただきました林業振興決議でございますが、これにつきましては、その考え方を踏まえまして、四十八年度予算におきましてもその一部を実行しておりますし、できるだけ早期にあの理想に向かっていきたいと、かように思っておるわけでございます。四十九年度予算におきましても、そういったものを盛り込む準備をいたしておるところでございます。基本的には大体そういうことでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 安定の問題もありますよ、決議には。ただ給与だけの問題じゃありませんよ。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 特にあの第五項にございますように、労働問題につきましては「雇用の安定をはかり」ということが明示されておるわけでございます。やはり国有林で働いておりますところの定員内外の職員あわせて、特に定員外の職員につきましては、ただいま非常に各省庁にお願いしまして、この雇用の安定、処遇の改善については鋭意検討しているところでございます。で、最近は、国有林の事業も、三十六年の閣議決定の線に沿って考えられるときとは、非常に条件が違ってきておりますので、林野庁からも逐次そういう点を御説明いたしまして、いまおりますところの常用作業員あるいは定難件業員等につきましても、この雇用の安定というものを重点に考えていくということで関係五省にもいろいろとお願いしているところでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 最後に、特昇問題どうするのですか。少なくとも、その他の公務員なり公共企業体においては全部実施されておるが、林野においてはされていないという現状で、あなたたち、いつまでもそのままになっておるが、どうするのですか、これは。もうはっきりしなきゃならぬ時期じゃありませんか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) 特別昇給の問題につきましては、御指摘のように、長い間の懸案事項でございまして、一般会計の職員でございますれば直ちにできるのでございますけれども、この特別昇給の基準については、労使双方協議しなきゃならぬ条項になっておるわけでございます。ただいま全林野労働組合、日本国有林労働組合両方との間でなかなか解決がつきませんで、いま仲裁に両方上がっておるわけでございます。この仲裁を受けますれば、それを尊重して実施してまいりたいとは思っておりますけれども、私はやはりこの特別昇給制度につきましては、職員全般にこれが均てんするというふうな方向でいきたいということを長い前から考えておるところでございますので、あまり急ぎましても、なかなかこれは……。

向井長年民社党

○向井長年君 急がぬよ、もういいかげんおくれているじゃないですか。

福田省一林野庁長官

○政府委員(福田省一君) そこで、仲裁に先般上がったばかりでございますので、公労委のほうともよく連絡をとり、御説明しながら、できるだけ早くこれをいただいて実施してまいりたいと、かように考えているところでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 委員長に協力してこれで終わります。  だからね、先ほど言った全般からの問題に対して、これは職場問題あるいはまた合理化問題、そうしてこの林業行政全般についての改革案、あわせてこれはやはり十分広く意見を伺いつつコンセンサスを内外に求めるこの基本の上に立って、そしてほんとうに国有林あわせての日本の林業行政というものが全うされるということを私たちはこいねがっておる。そのために最善の努力をされんことを私は希望しましてこの質問を終わります。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 私はまず農協法の改正について質問したいと思います。  今回の農協法の改正の中で、宅地等の供給事業の拡大、範囲の拡大ということで、いわゆるレンタル制度というものが加えられております。私は、このレンタル制度の導入というのはやはり非常に重大な改正ではないかと思うわけであります。と言うのは、やはりこれは単に農協のあり方の問題だけではなくて、今後の農地問題、土地問題にとっても非常に大きな影響を持つ問題だと、こう考えるわけであります。  そこでまずお伺いしたいのでありますが、こうした重要な内容を持った改正案が、今回の農協法改正に盛り込まれました経過をまずちょっと説明していただきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) これは御承知のように、昭和四十五年の農協法改正によりまして農地等処分事業が制度化されました。この事業の実施状況を見てまいりますると、土地所有者たる組合員の中には、土地の売り渡しには消極的で、所有権を留保しながらその土地を貸し付けることを希望する者が多いように見受けられたのであります。さらに土地貸付を希望する場合においても、借り受け希望の第三者と直接関係を結ぶことに消極的であって、農協を通じてならば安心感と信頼感を持って貸し付けに応じやすいといった事情も指摘されましたので、それらの点を勘案して今回のレンタル方式を導入するようにいたした次第でございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 いまの大臣の御答弁につきましては、あとで質問するといたしまして、私はここに田中総理の「日本列島改造論」というものを持ってきておりますけれども、この「日本列島改造論」の中に、土地の賃貸方式、つまりレンタル制度でありますけれども、これを推進するという趣旨のことが書いてございます。で、これがことしの一月の二十六日の閣議決定されました土地対策要綱、この中に、やはりはっきり農協等を通ずる土地賃貸方式を導入するよう早急に検討するという句が入って、この田中総理の賃貸方式なるものが具体化されてきたのでございますが、しかし、いま大臣のお話をお聞きしますと、組合員の要望もあってこういったものを盛り込んだ、こういう話でございますけれども、しかし農民や農協がはたしてこういう要望をしていたのかどうか、それについて私疑問を感ずるわけであります。むしろそうではなくて、田中総理の発想に基づいてこういった賃貸方式が盛り込まれたんではないか。と申しますのは、いま言ったように、田中総理の日本列島改造論の中には、明らかに「土地の賃貸方式」ということが一つの項目になって入っているわけであります。これはあとでごらんになってもよろしゅうございます。一九九ページであります。ところが一方、農協のほうの意向というものがはたしてあったのかないのか。その点になりますと、私の知っている限りでは、たとえば昨年の九月十三日に全国農協中央会で決定いたしました農協法の改正に対する意見というものがございます。しかし、この中にはこのレンタル制度などというものが一言も入ってないのです。はたして、これで農民や農協がこういったことを要望していたというふうに見てよろしいかどうか。その辺、農林省としても農民や農協の組合員の要望というものをどんなふうに調査されたのか、その調査があればひとつ教えていただきたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいま大臣から御答弁もございましたように、昭和四十五年の農協法の改正によりまして、いわゆる農地等処分事業が農協ができるということになったわけでございます。この事業は、御承知のとおり、売り渡し方式のみでございまして、いわゆるレンタル方式は法律上できないわけでございます。現在のところ、この農地等処分事業を行なうためにすでに定款を改正いたしました組合は、これは四十七年の十月一日現在でございますけれども、四千七百十二組合がすでにこの事業をやるために定款変更をしております。十四の連合会が定款変更をしております。それから宅建業者の免許取得をいたしましたのが六百八十七組合、それから十連合会がそれを取得しております。それから宅建の主任者、これは建設省のほうの法律できまっているわけでございますが、主任者が単協はすでに千九百七十七名が資格をとり、連合会も七十一名が資格をとっております。そういうことで、農地等処分事業がすでに開始されておりまして、私どもといたしましては、この事業が農協法に基づく事業として行なわれておるわけでございますから、その実施状況等も調べておりますし、いろいろこれについて農協の関係者と話し合う機会があるわけでございます。その際、売買だけじゃなくて、やはりレンタルでやってほしいという希望が組合員の中にある。というのは、先般もこの委員会で申し上げましたけれども、まあ親だけ、両親が残って父親が農業をやっておった。ところが、そのおとうさんがなくなって、おかあさんだけまだ農村にいる。自分は東京なり大都会に出ているので、その農地を何とかしなきゃならぬ。しかも宅地化が進むような地域である。しかし先祖伝来の土地は売りたくないというところで、貸したいんだがやっぱりなかなか業者にも頼みたくない。農協は従来からもつながりがあるし、組合員として農協に頼みたいというような人もおるというような話を現に聞いておるわけでございます。そういったようなこともございまして、この四十五年の農協法改正によって実現いたしました農地等処分事業の延長として、売買だけではなしにこういう賃貸借もできるということにしたわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 いまの農民の方々の土地に対する意識といいますか、所有欲といいますか、まあそういう問題もいろいろ私は、ひとつ問題があると思うので、このことはあとで大臣にもいろいろ質問したいと思いますが、とにかくこの田中総理の、これはもう昨年出た本でございますが、その発想の中にこういういわゆる列島改造というものがありそしてこの工業のために土地を提供するという、そういう発想がもともとあった。そういうものが政府の土地対策要綱となり、そして今日の農協法の改正につながってくる。これが私はほんとうのこの筋道だったのではないかと考えるのです。つまり極論すれば、日本列島改造政策のために農協を利用するという、こういう考え方ではないか。私はこういうふうに考えるのです。  まあ次にお伺いしたいのは、じゃあこの土地のレンタル制度が、一つには、その対象となる地域をどのように考えていらっしゃるのか。レンタル制の対象となる地域は一体どういうところか、これが一つ。  それから第二には、その用途、このレンタル制の用途というのは、宅地にしようというのか、それとも工場用地にしようというのか、この用途は一体どういうものを考えておられるのか。  三つ目には、この一つの事業の面積の問題でありますけれども、これは非常に大規模なものを考えていらっしゃるのかどうか。全体でどの程度の面積を考えていらっしゃるのか、それをお伺いしたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) まず最初に、レンタル事業の実施対象地域はどういうところがおもになるのかということでございますが、宅地等の供給事業は、組合員の要請に基づきまして、その所有する農地等を転用して、宅地等の円滑な供給をはかるための事業でありますから、その実施地域は主として市街地周辺の区域が対象となるものと考えられます。すなわち宅地としての需要が相当あるというところが考えられまして、具体的には都市農協的な性格を持った農協の事業区域というようなことになる可能性が非常に強いと思っております。しかしながら、その他の地域でございましても、農業振興地域の中の農用地区域など、農業の振興をはかる上において必要とみなされる地域以外の地域で、大規模な住宅団地、工業団地の造成または農村地域工業導入促進法に基づく工場の導入等が行なわれるものについては、例外的に本事業の対象となることもあり得るというふうに考えております。  それから住宅だけであるかということでございますが、法律にもございますように、住宅地以外の工場、倉庫、マーケットの施設、特に団地をつくりまして、農地と合理的な調整をはかってまあ団地をつくる。その団地の中に、マーケットをつくるというようなこともございますので、そういったようなものもできるということになっております。  そこで、規模がどれくらいであるかということでございますが、こういった事業を進めます以上、ある程度の規模のまとまりがあることが望ましいというふうに考えておりますけれども、それぞれの地域の立地条件、農協の事業能力等によっていろいろ異なってまいりますので、すべてが大型のものになるというふうには私ども考えておりません。そこで、それでは一体どれぐらいの規模になるんだろうかということでございますが、これもなかなか現在の段階では予測がむずかしい問題でございますけれども、現在、先ほど申し上げました農協が実施している農地等処分事業の実績で見ますと、一農協当たり委託による事業で四ヘクタールで、現在さほど大きな規模になっておりません。したがいまして、これも新しい事業でございますから、地域によりましては、かなり大規模なものが出てくることも考えられますけれども、全体として、どの程度になるかということを予測するのは非常にむずかしい段階にございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 私は法律でこういう制度を設ける以上、もっと明確な見通しがなければいけないんじゃないかと思うのですけれども、いまの三点にわたります私の質問、特に、この面積の問題についてはまだあまりはっきりしておらないと、こういう答弁でありますけれども、私はそういうあいまいな形ではこれはやはり問題だと思うんですね。  それから、もう一つ対象の問題でありますけれども、いろいろ住宅とか、工場用地、団地とかと言われましたけれども、やはり借地権の問題などを考えましたときに、やはり主としてこれは農村地域であるということは、これは当然考えられることでございましょう。  それからもう一つ、地価の上昇というふうな関係で考えますと、一体だれが得をするかということを考えてみましたときに、たとえばデベロッパーなどでございましたらば、土地を買って、そしてそれを売る。その差額を吸収していくということになるわけでありますけれども、たとえば事業用として実際に使う場合には、買うというよりもレンタル制で土地が使えるならば、そのほうがむしろ得だと思うんですね。買うということになりますと、ばく大な資金が必要でございますけれども、借りるということになれば、まあ毎年わずかな——わずかでもないかもしれぬけれども、とにかく賃貸料で片がつくと、まあこういうふうに考えますと、やはりこのレンタルというのが、企業から見て、非常に有効であると、こういう判断が私は、当然生まれて差しつかえないんではないかと思いますし、田中総理のこの賃貸方式の、日本列島改造にいたしましても、この賃貸方式の具体例といたしましても、栃木県の黒磯市にあるブリジストンタイヤ栃木工場を例にあげておるんですね。そして、この工場が賃貸方式をとっておる。この工場用地はこれこれ、これこれだと、地代は三・三平米当たり月二千円だと、こういうことでたいへんこの賃貸方式を宣伝しているわけでありますけれども、こういうところから見まして、やはり農村における工場の進出ということをやはり積極的に進めようと、こういう立場だと思いますが、この点につきまして政府はどういう見通しを持っておられるのかということです。  先ほど、ここで説明がございましたが、農民の土地に対する意識の問題、先祖に対する申しわけの問題、これはまあ田中総理の列島改造にも書いてあるんですね。先祖代々の土地を放せば先祖に申しわけがないと、だから、所有権はあくまでも確保しておいて、これを貸せば先祖に顔向けができるではないか、こういう方式はたいへんけっこうだということを田中総理は言っておられる。まあ先ほど局長がおっしゃったのは、そういう意味だと思うんですけれども、とにかくどういう地域で、そしてどういう目的でレンタル制度が活用されるかということは、かかって借り主ですね、つまり企業側ですね。借り主の意向できまるわけですよ。貸し主、つまり農民の意向できまるんではなくて、いわば借りるほうの意向で、どういう地域で、どういう目的で、このレンタル制度が活用されるかということができます。ですから、やはり私はこの方式は農村への工業導入、いままでも農村地域工業導入促進法や工業再配置促進法というものがございますけれども、そういうものよりも積極的に進めようと、そのための手段であるということのように判断できると思うんですが、そういうことでございますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいま先生の御質問の中に、栃木県の黒磯市のブリジストンタイヤのお話が出たわけでございます。これは、昭和四十五年四月にブリジストンタイヤと、ブリジストンタイヤが使う工場用地約九十ヘクタールの土地について、各地権者とブリジストンタイヤの間に、これは黒磯市長が立ち合いまして、賃貸契約が結ばれたわけでございます。その期間は六十年、それから賃料は三・三平方メートル当たり月二十円、ただし三年ごとに近傍地価、公租公課等の負担の増加を考慮して改定できる、権利金は坪当たり宅地が六百円、田畑が五百円、山林が三百円、この地権者が五十人でございまして、農家が三十六戸でございます。この坪当たり月二十円という、反当たり七万二千円になるわけでございますが、その賃貸料は米の粗収入とほぼ均衡する水準になっているわけでございます。ということで、このケースは進出金業側もまた貸す農家側もきわめて満足したケースとして評価されているわけでございますが、実はここに一つ問題が起こってくるわけでございます。と申しますのは、地権者が約五十人でございます。その中には自分はもう売りたいと、もうこの賃貸契約から出たいんだというような人も出てくるわけでございます。ところが、こういった契約になっておりました場合に、一人の人がそういう考え方持ってくると、みんなこの地権者組合の中がばらばらになると、非常に農家にとっても困ったことになってくるということがございます。そのときに農協が入っておりますれば、きわめて事が解決しやすくなってくるという面がございます。  そこで今度の改正は、別にこの黒磯市の地権者組合のそういった紛争を考えてやったわけではございませんけれども、そういったケースもあるわけでございます。  そこで、出てきたほうのためになるのではないかというお話でございますが、これは土地を貸す側にとっても農協がそこに入っているという場合のほうが、すべて事が穏やかにおさまるということもあるわけでございます。そういった現実的な要請等も考えまして、このレンタル方式の法律案の改正を御提案申し上げているわけでございまして、特にこれによって農地が収奪されるとか、そういうことを別に考えてやったわけではなしに、まさに現実的な要請というものが、組合員の需要の多様化に基づきまして出てまいっておるわけでございますから、そうした要請を十分踏んまえての改正案でございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 いま黒磯のブリジストンタイヤとの賃貸借の問題が出ましたので、私もそのことについてもう少しお聞きしたいと思うのですが、農林省は、これは非常に成功をした例といいますか、いい例としてあげられておるようでありますけれども、いまおっしゃったように、月二十円という、そうして三年間にこれを更改をすると。この二十円としてきめたのは、当時大体一反当たり米が八俵取れるという計算で三年前に二十円ということでおきめになったようでありますが、ところが、今度いよいよ改定の時期にあたりまして、いろいろ農民側と会社側との折衝が行なわれたようであります。私どもの調べたところによりますと、最初農民側は三十円を要求した、ところが、会社側は二十五円ということだった、それで中を取って二十七円五十銭ということまで農民は譲歩をした。しかし、その話もまとまらないで、結局二十七円ということできまった、こういうことだそうであります。三年間に二十円が二十七円になった。しかし、この土地の固定資産税は三年間で約十倍になっておるのですね。つまりそれだけ地価というものが非常に高騰しておる。現に地価は大体あの辺で今日坪当たり四万円か六万円ぐらいになっているそうですね。ですから、中にはもう土地を売ったほうがいいとお考えになる農民があっても不思議はないのです。なぜかといえば、こういう賃貸料が非常に矛盾しているからです。地価が暴騰し、固定資産税が高くなっているにかかわらず、賃貸料は二十円から二十七円。ですから農民の方々の中には、今度の場合には、最初の第一回目の改定だから、会社も七円だけはアップしてくれたけれども、さてこの次の三年目の改定で、あるいは三回目、四回目になったら、とてもわれわれの要求なんかは問題にしてくれなくなるだろうと。おまけに地権者もばらばらになってくる可能性がある。そうなりますと、やはり貸し手よりも借り手、つまり企業のほうが非常に強くなるので、結局賃貸料も、企業の一方的な都合できめられる可能性があるのだけれども、これは一体どうしたものだろうという不安を非常に持っておられるのですね。これについては、農林省はどんなふうにお考えになっておられますか。どういうふうにやればいいというふうにお考えですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) そういったことがございますので、農協が入ったほうがいいのではないか。地権者組合があるようでございますが、その地権者組合の代表者の人がブリヂストンタイヤの工場の代表者と交渉しているのだろうと思います。その場合、やはりその地域全体を代表する農協が契約の相手方になっているということがありますと、やはり会社側といたしましても、地域社会全体を代表している農協というものと賃貸借について話し合いをするという場合と、その五十人なら五十人の農家の人たちがつくっている地権者組合との話し合いとでは、やはり交渉につきましても、また農協がそういった交渉についていろいろな専門的な知識を持つような人がだんだん育ってくるということになってくれば、組合員の利益のために農協が働き得るのではないか。そういった点が今度のレンタル方式の導入によって将来出てくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 農協が間に入ればうまくいくではないか、こうおっしゃるけれども、しかし農協には何の権限もないんですね。会社に強制するだけの権限も何も与えられていない。そういう農協が間に入ったからといって、こういう重大な問題が、企業にとればやはり自分の利益を一円でも二円でもふやすという、そういう企業相手に、農協が、農民の要求を貫徹するということは、そんなに簡単にできることではないと思うんですけれども、その点はどう考えられますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) もちろん先生からただいま御指摘がございましたように、農協が入ったから、農民が完全に満足できるような交渉ができるかどうかという点は、御指摘のとおりいろいろ問題があると思います。ただ、相手方の企業の立場からいきましても、個々の地権者を相手にしているよりは、やはり農協という地域社会を代表し、しかもそういった賃貸借についてのある程度の専門的な知識を持っている職員がいるというような場合におきましては、個々の地権者が会社に当たるよりも、より有利な条件で貸し手である農家のための契約ができるという可能性は多い。もちろん絶対に農協が入れば農民が完全に満足のいくような契約ができるということは、私はそうなるとは必ずしも思いませんけれども、ただ個々の人たちが当たるよりも、やはり組合というものが代表して組合員のためにそういった契約を結ぶ場合のほうが、より有利な条件がとりやすいということはあるのではないかというふうに考えております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 それは常識論としまして、入らないより、中に農協が入ったほうがいいというのは、これはあるかもしれません。しかし現実に今度のこの賃貸料の改定一つ見ましても、先ほど申しましたように、二十円から二十七円になっただけ。しかしその間、地価は何倍にも上がっておる、固定資産税も上がっておる、こういう状態から考えましたら、農協にまかしておけばこれはレンタル制がうまくいくんだというふうなことは絶対に私は、あり得ないことだろうと思うのです。そこで私はやはり、たとえばこの賃貸料の問題にいたしましても、物価がどんどん上昇していくわけですから、農民の方々は、自分の農地を提供された以上、その賃貸料で生活をしておられるわけですから、ですから当然その生活を守るということになれば、これは物価にスライドした賃貸料がきめられる。そういうふうな制度が保障されなければ、私は現実の問題として、この制度というものは実際に何の効果も持たないばかりでなくて、農民を苦しめるという制度になっていくんではないか。そういう意味で、こういう賃貸料の問題の改定などについて、政府としてはどういうふうな指導をされるか、あるいは保障をされようとしておるのか、そこをお伺いしたいと思うのです。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) この賃貸料をどうするかというのは、やはり個々の契約の問題でございます。そこで、一つ大きな問題として考えなければなりませんのは、農協が、たとえば栃木県の黒磯の場合には工場用地でございます。ところが、今後農協がレンタル事業をやっていきまして、一般の市民のための住宅地をレンタル方式でどんどんつくっていく、農家側も、地域的に見て宅地にするのがやむを得ないというところから、それによって暮らしていこうというような場合に、農協としても組合員を代表してやるわけでございますから、当然高い貸し賃が入るようなことをしなければならない。ところが一般の住宅地の場合には、最近新聞で私どもよく見ておりますけれども、固定資産税が上がって、それに基づいて非常に家賃の値上げが出てきているというような問題も、将来社会問題的な形で出てくるんじゃないか。そのときに私は、農協がそういった一つの何と申しますか、住宅政策全体をやるというようなことは、とてもできないと思いますけれども、農協としてはまず第一に組合員の利益を考える、さらに社会的な常識と申しますか、というものも考えて、組合員と借り手と両方が納得するような契約を結ぶように農協が働いていくということが必要ではないか。もちろん相手が工場の場合におきましては、農協がどこまで工場の立場を考えるかというような問題はあるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、これは個々の契約の問題でございまして、農協が中に入って諸般の情勢を考え、しかも組合員の利益をまず第一に考えて賃貸借料をきめるというふうな形になることが望ましいと考えておりますし、そういったようなことで、できるだけ指導はしてみたいと思っております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 どうもいろいろお聞きしても私、疑問が一つも解けないんです。たとえばいまおっしゃった地方公共団体が住宅をつくると、こういう場合には私は、地方の公共団体と農協あるいは農民側の話というのはわりあいうまくいくのではないか、常識的な線で。ところが相手が独占資本であり、たとえばブリヂストンタイヤなんていうでかい会社、おそらく今後そういう会社がどんどん出てくるでしょうが、この大企業、独占企業、こういうものは一農協の相手になるようなしろものではないんであって、今日社会的なあの批判を受けている土地買い占め、あるいは商品の投機、ああいう社会的な不徳までもあえてするような企業相手に、一農協が適当に農民のために賃貸料をきめていけるなんということは、私はこれは夢ではないかと思うんですね。ですから、私は、やはり政府として、こういう制度をきめるからには、こういうレンタル制度をほんとうに生かして、その賃貸料もたとえば物価にスライドして上げていくとかなんとかいう、そういう保障を私はする必要があるんじゃないか。もしそうでなければレンタル制というものは私は意味がないと思う。さっき局長がいみじくもおっしゃったけれども、地権者の中には、売りたいという方々もいらっしゃる。それは私は、そのほうが農民の方々にとっては有利だと思う。というのは、たとえばその土地を月二十円で、貸している土地がまあ四万円、五万円だとすれば、この土地を売ってしまって、この代金を銀行に預けてその預金利息をもらったほうがはるかに有利だと思います、もう五、六万円であれば。ですから、そういう点から見ますと、どうしてもいまのような内容のレンタル制度では結局、企業をもうけさせていくと、農民を苦しめていくという結果になるんではないかと思うんですが、その辺もう一回聞かしていただきたいと思うんです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) いま塚田委員のいろいろ御意見を承っておりまして、私も宅地等の貸し付けの事業がその契約期間がきわめて長期にわたることでもありまするから、貸し付け者及び借り受け者に——特に借り受け者も入れておきます。不安を生じしめないようその契約内容や管理体制について特段の配慮が必要であるということはもう当然だと思うんです。そこで、農林省といたしまして、行政庁として賃貸料の改定措置等、質貸契約にかかる基本的な事項につきましては、これはできるだけ宅地等供給事業実施規程に定めるように指導をしていきますとともに、借地権の割合や賃貸料の水準、動向等賃貸借契約の前提条件となる事項については、事前に地域の実情等十分調査して、貸し主たる組合員に不利益とならない適正な契約を締結するように十分指導してまいりたい。要は契約の内容だと思うのですね。それでその中間に立つ農協が、ただいま申し上げたような所要の措置を講じておきまするならば、いまいろいろと御心配をちょうだいいたしましたが、それを防ぐことができるのではないかと、このように見ておるわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 いまの大臣の御答弁ですけれども、政府としても、農協などを通じて積極的に農民の利益になるようにと、こういうお話ですけれども、しかしその程度のお話では、実際に賃貸契約が結ばれる場合に、私はまだほんとうの保障にはならないんじゃないかと思うのですね。とにかく今度の場合でも、黒磯の場合にも六十年という期間ですから、六十年というと永久租借権に近い。もう六十年の先の土地の価格やなんかというものは、これは全然想像もつきません、一、二年で何倍も上がるというふうな、こういう情勢でございますから。で、そういう契約を結ばせる、その場合には、ほんとうに農民サイドで、農民のメリットというものを考えるとするならば、私は、もっと具体的な対案がなければいけないんじゃないかと思うのです。しかし、何回お聞きしましても、それ以上のものは出てこないようでございますから、この問題はこのぐらいにして、次に移りましょう、一時間ももったいないのうございますから。  そこで、私はいま申しましたような立場から、このレンタル制というのは、悪いことばでいえば、一種のごまかしでしかないというふうに考えるんですけれども、いまこういうものに対して、あるいは土地の売買も含めての話でありますけれども、農地を売らないという運動が全国的に各農村に起きています。そういう状態であるだけに、このレンタル制というのは、何かちょっとおもしろい発想のように受けとられた傾向はなきにしもあらずだと思うのです。特に田中総理にしても、農林省にしても、先祖伝来の土地をとにかく所有権さえ確保しておけば、先祖に顔向けができると、こういう土地に対する農民の意識を利用されまして、こういうことをやられた形跡が非常に強い。そこで私は、こういう発想ですね、これをひとつ大臣と少し一緒に考えてみたいと思うのです。土地に対する農民の意識を、こういう先祖に顔向けができるという心理的な面ですか、形式的な面だけで私は、考えたら非常にやはり間違っていると思うのですね。これはこういう発想は私は、いわば不動産業者の発想だと思うのです。といいますのは、先ほどの黒磯の場合もそうでございますが、私どもが聞きました話では、なるほど最初は、これはいいということで、率先しておやりになった。しかし、現実に賃貸料の問題もございますけれども、そればかりではない。現実に工場が建って、そして水田があとかたもなくなる。もうそうなると、あれが自分の土地だという意識というものはなくなるそうです。そしてある農民の方は、もうさみしくてしょうがない。せっかく先祖代々のおれの土地が、あんなふうに公害をたれまくような工場になってしまった。たいへんさびしいということをやはり繰り返して話しておられたということでございますけれども、私は、ここにやはり問題があるんではないか。つまり土地というものは、不動産業者が坪幾らというふうな、この地表の、地片ですね、地表の面積、地片として考えて、この土地は所有権さえあればいいじゃないかという、こういう発想というものは、いま言ったように私は、ほんとうの農地というものに対する考え方、農地に対するゆがんだ考え方だと私は思う。正しい考え方ではないと思うんです。と申しますのは、いささか哲学じみて申しわけございませんけれども、俗に「金は一代、土地は万代」ということばがございますけれども、この農地というものは私は、単なる地表の一片の面積ではなくて、それは一つの地力というものを含んだものであると。つまり先祖代々、先祖が山林原野を耕し、そしてそこから農作物を育てていく、つまり単なる表面積ではなくて、その土地の持つ深い大きな力というものがこの農地の中にはあるんだと。だとすれば、やはりこういうレンタル制で、所有権さえあればいいというふうな発想というものは、そもそも農地というものを全く企業者あるいは不動産業者の立場で考えているんであって、この土地から耕作物が生まれてくると、つまり耕作権と結びついた所有意識といいますか、あるいは国民の食糧を確保するための大切な農地だという、こういう意識とは私は別だと思うんですが、その点で大臣はこういう土地に対する考え方、これをどのようにお考えなのか、ひとつ聞かしていただきたいと思うんです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) レンタル方式をとった場合のその後の経緯をお考えになって、そしてそれが有利とか不利とかじゃない、農民の気持ちの上からの御所見をいまちょうだいしたわけです。私は、そのことについてわからないわけではありません。実際上、貸した自分の土地というものが、そこに大規模な工場ができた、その工場は世間の残念ながら批判の対象になっている。自分の大事な土地の上にああいうふうなものが建ったかというようなことが、ときには起こり得るということを前提にして考えてみると、おっしゃっていることの理解はできるんでありまするが、ただ、たいへん恐縮ですが、レンタル方式を頭に置いてのいろいろ御所見でありますが、私どもとしてはは、農地等処分事業というのが昭和四十五年から制度化されてある。しかしこれだけでは不十分でないかと、土地に愛着のある農民でレンタルでいこうというのであれば、それはひとつ農協が間に入ってごめんどうを見たらどうかと、そういう道をつくったということでございまして、もう自分としては不要だという場合には、当然処分という場合も出てくるでありましょうし、また、レンタルの場合であれば、それについて心配のないような措置を講じたいということを申し上げたわけであります。そういうような中で、土地に対しての基本的な考え、これはやはりあくまでも土地に対して農民というものは愛着心があり、必要があればやはりこれを自分の手によって耕作もし、そこから努力次第によって、生産物を得るということは農民の喜びであると、こう思います。したがって、レンタル方式とかあるいは処分とかいうことよりも、農業にいそしめるということのほうが、より精神的にもまた物質的にも、それが継続のできる以上においては、好ましい姿だと思わざるを得ないのであります。でありまするから、農地等処分事業に伴ってのいろいろの場合を考えましたときに、そういう事態に直面する農民といたしましては、そのときにすでに心さびしい思いをされる方と、しかし事情やむを得ないとか、世の中の変転に即応するというような場合もあろうかと思いますので、お尋ねのお気持ちについては私もよくわかるところがございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 レンタル方式だけでやっておりますと時間がなくなりますので、レンタル方式に対する疑問はこのくらいにしておきますが、この問題と関連をいたしまして私もう一つお聞きしたいのは、しからば、レンタル方式は一応そこに置いても、優良農地の確保というものを一体今後どうするのかという問題がやはり一つ残ると思うのであります。  先ほど大臣がおっしゃいました農地等処分事業の拡充の問題は、これは政府の今日の土地政策の一環でございますが、この土地問題というのは決して宅地だとかそういった問題だけではなくて、もう一つ、食糧の問題、自然保護の問題、こういいった問題があるわけでありますから、そこでやはり農地をどう守っていくかということは、やはりこれはこの委員会でもしばしば論議になりましたし、大臣としても、もちろん農林大臣としては、食糧の自給その他、農地を守るということは大切だと繰り返しおっしゃっておられたわけでございますけれども、しからば、お聞きしたいのは、わが国にございます優良農地というのが一体今日全国でどのくらいあるのか。何ヘクタール、何方ヘクタール、何十万ヘクタールあるのか。この面積ですね、これをひとつ教えていただきたい。  また、優良農地の確保のための具体的な計画というものを今日農林省でお持ちなのかどうかということであります。これがはっきりしなければ、農地は次から次ヘレンタル制だ何だかんだで、農地をどんどんつぶしたのではこれは話にならないわけでありますから、まずその辺からひとつ御説明願いたいと思うのです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) ちょっと資料が古くて恐縮でございますが、昭和四十六年現在で、優良農地と標榜できるものは、田で三百三十六万ヘクタール、畑で二百三十八万ヘクタール、合計五百七十四万ヘクタールと、別に草地二十七万ヘクタールがございます。そこで、新土地改良長期計画を四十八年から実施すべくお願いをいたしたわけでございまするが、そしてこれは十年計画で五十七年を目標にいたしております。そこで、さきに五十七年における優良農地の目標がどうなるか。田は四十八万ヘクタール壊廃するものと見ておりまして、五十七年では二百九十三万ヘクタールでございます。畑については、四十三万ヘクタール壊廃いたしまするが、三十二万ヘクタールを造成して、二百二十七万ヘクタール。したがいまして、壊廃が八十六万ヘクタール、造成が三十二万ヘクタール、こういうことで、五十七年には五百二十万ヘクタールを確保いたしたい。こういう目標を立てておるわけでございます。そこで、土地改良長期計画のほうにおきましては、この場合、この十年間で農用地の総合整備事業として三百八十七万ヘクタール、六兆六千百億円の事業費。農用地造成事業に、これは七十万ヘクタールとなっておりまするが、実はこれは草地の約四十万ヘクタールを含んでおるのでございまして、先ほど畑三十二万ヘクタールと申しましたが、草地を合わせての七十万ヘクタールの農用地造成事業でございまして、これが一兆三千八百億円、こういうことでございまして、その他の基幹農業用揚、排水施設整備事業や、防災事業や、融資事業や、予備費などで、土地改良長期計画十三兆円の事業費で、昭和五十七年には五百二十万ヘクタールを確保する。なお、四十六年に草地二十七万ヘクタールと申しましたが、草地のほうは四万ヘクタールの壊廃で、造成四十一万ヘクタール、五十七年には六十四万ヘクタールの草地を見込んでおる次第でございます。  以上、お答え申し上げます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 そうしますと、いまいろいろ数字をあげて説明をしていただきましたが、この優良農地というのは、一体どういう規定による優良農地なのかということが、ちょっと疑問として残ります。と申しますのは、私の言いたいのは——農地転用許可基準に示された第一種農地のことをおっしゃっていたように思うんですけれども、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。

小山義夫農林省構造改善局審議官

○説明員(小山義夫君) 農地転用の許可基準にあります第一種農地は、農業の生産力の高い農地、それから土地改良事業その他の公共事業の対象になっております農地、そのほか二十ヘクタール以上の集団して存在している農地というのがおもな定義でございますけれども、いま大臣申されました数字は、先ほど御質問にありましたが、幾ら確保すべきか、こういうことでございますので、その現にある第一種農地のほかに、これから土地改良事業その他で整備をしてまいります、たとえば未墾地を造成してというのも入ってまいるわけでございます。そういう意味で、これから第一種農地に見合うような農地にすべきものも含めての面積と。第一種農地と申しますのは、現にある農地について、転用の申請が出てまいりましたときの判断基準でございますので、それよりは範囲は広いというふうに申し上げたほうが正確だと思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 そうすると、現にある優良農地というものについては、数字が違ってくるわけでありますけれども、その数字はございますか。あったらひとつ教えていただきたいのですが。

小山義夫農林省構造改善局審議官

○説明員(小山義夫君) 一筆一筆の土地について、第一種農地に該当する農地が何ヘクタールあるかという調査はございません。ただ、全体として、今後昭和五十七年を目標といたしまして、どれだけの農用地を確保すべきかという試算を農林省でやったことがございます。その面積がいま大臣が申し上げた数字に合致するわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 その辺にやっぱり問題がございますね。まあ将来の計画としては、数字は幾らでも私ははじけると思うんですね。しかし、現実に日本に優良農地がどるだけあるのか、レンタル制であるとかなんとかという、いろいろの問題が出てきているこの時点において、少なくともいまのこれだけの優良農地は確保しなければいけない。そうして、またそれをどう利用していくかというふうな、いろいろの計画も当然なければならないと思うわけでありますが、いま聞きますと、そういう私が聞きたいところが何にも出てこない。そこで私は、先ほど質問したのです、これが第一種農地のことを言っているのかと、こういう質問になったわけでありますけれども。かりに第一種農地としても、やはり個々には問題が起きるんです。一体第一種農地、第二種農地、第三種農地というけれども、この規定というものは非常にあいまいなんです。いわば第一種農地というものは、第二   第三種を引いた残りが第一種農地であるというふうな、その程度の規定です。ですから、優良農地というものに対して、ほんとうに具体的な対策というものがやはり出てこない。私この転用許可基準に書いてございますこの規定を全部読んでみました。二種農地、三種農地は非常に具体的になっている。しかし、一種農地というものはその残りなんだと、こういう程度のものでございましょう。ですから、転用の問題にいたしましても私は、いろいろ問題が起きると思うのです。第一種農地の転用にしても。しかも、もう一つは第二種、第三種農地にいたしましても、たとえば市街化が進み、道路の整備、あるいは産業基盤の設備、つまり都市化、工業開発、こういったものが進めば、幾らでも第二種農地、第三種農地というものは拡大するわけです。そうなりますと、第一種農地はそれだけ減ってくる、こういう理屈なんですね。まことにおかしな規定になっていると私は思うのです。ですから私は、前にも大臣にも予算委員会で質問いたしましたし、農林省にも資料を要求したのでありますけれども、一体どのくらい農地の転用はされているのか、いろいろお伺いしたことがございます。しかし、この場合でも、農林省からいただいた資料は、四十六年までしかあの資料はございませんでした。件数と面積だけです、大まかな。しかし、四十七年度は私は、さらにこの土地が買占めというのが非常に進んでおりますので、この転用面積、というものも非常に拡大してくるということは、これはもうはっきり判断することができると思うのです。まあ、そういうことで、私は優良農地の確保、つまり日本の農業を守っていくという観点から、やはり問題をいわば農業の原点に返って考えてみる必要があるというように考えているわけであります。この農地がとにかく第一種農地が全国的に減っていっている、規定はとにかくとしても、現実の問題としては減っている。なるほど新しく——新規に開墾する、造成するということもございますけれども、やはり優良農地ということになれば、そうこれが単純にできるものではございませんので、その辺についてどういうふうにお考えになっているかお聞きしたいわけであります。

小山義夫農林省構造改善局審議官

○説明員(小山義夫君) 優良農地をこれから確保してまいります場合に、いま御指摘の農地転用の運用を厳正にやっていくということが非常に大事なことでございます。とあわせまして、農業振興地域の整備に関する法律がございますが、これによって、いま、地域の指定をいたしまして整備計画を立てるという仕事が進んでおります。四十八年度末で大体計画を達成をしたいと思っております。いまその途中でございますが、現在の進捗状況から推測をいたしまして、大体計画が一巡をしましたときに、農用地として利用すべき区域の面積に取り込まれますところが、大まかに言って五百四十五万八千、大体五百五十万ヘクタールで、この中に囲い込めるという見込みでいま進めております。この農用地区域の外に農業の振興地域がございますが、農用地区域の外の農業振興地域の中に約九十万ヘクタールの現況の農地がございます。そういったところから見まして、農業振興地域の線引き計画を進めてまいりますと、必要な、ただいま大臣からお答えありました昭和五十七年の目標の五百八十万ヘクタール余の農用地というのは確保できるんじゃないか、そういうめどで振興地域の整備を進めてまいりたいというふううに考えております。  それから先ほど御指摘のありました第一種農地というのは、二種、三種を除いた残りではないかという御指摘がありましたけれども、確かに、ただしこれこれを除くというふうには書いてございますが、中心はやはり生産力の高い優良農地を第一種農地としておりまして、なぜそういうただし書きがあるかと言いますと、地方の例をあげますと、国鉄その他の停留、停車場の駅の前に集団の優良農地がございます場合があります。それは一応一般的には第一種農地に該当するわけですけれども、駅の前にそれじゃ全然転用を認めないでいくことが実際に即するだろうかというふうなことを考えました場合に、駅から至近距離にある土地、これは、農地はやはり第二種なり三種として必要な転用は認めていかざるを得ないだろういう意味で、ただし書きがあるわけでございます。二種、三種でとった残りだけが第一種という趣旨ではございませんので、弁明をさしていただきます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 そういう説明がありますけれども、ここにはとにかく第一種農地、第二種、第三種とこう分けておりますね。第一種農地はたった二、三行ですよ。「農業生産力の高い農地、土地改良事業、開拓事業等の農業に対する公共投資の対象となった農地又は集団的に存在している農地。ただし、第二種農地又は第三種農地に該当するものを除く。」というふうにあって第二種については二、三十行、第三種についてもまずいぶん長く書いてあるのです。二種、三種ならよくわかるんですけれども、一種は、ただ生産力の高い農地という程度だけで、これではわかりませんよ。しかし、あなた方専門家だからそれはあるいはそれでいいのかもしれません。われわれにとってはこれは通用しません。まあ、しかしそれはいいでしょう。とにかく今後の対策としましては、いまもおっしゃったように、転用許可基準をもっときびしくするということも私は、一つだろうと思うんですね。いままでの転用許可はたいへんルーズといいますか、まあ二ヘクタール以下は都道府県知事、二ヘクタール以上は農林大臣と、ばらばらになっていますから、この転用も非常にずさんにといいますか、行なわれてきた傾向があったと思うんです。私、前に茨城県の第一種農地、つまり土地改良をやった土地をゴルフ場にしたことについて、前の赤城農林大臣に質問したことございますけれども、まあこういう点でその点をひとつやることと、それからもう一つは、農地法の厳正な運用ですね。これも私やっぱり必要だろうと思います。  ところが、たとえば土地買い占めで問題になっておりますゴルフ場の問題ですけれども、これなども昭和二十七年の農地法の施行についてというこのものでも、ゴルフ場や競輪場はいかぬときままった。三十四年の許可基準においてもこういうゴルフ場はいかぬと、こういうふうになっておった。なるほどゴルフ場の場合には、山林も多いわけですけれども、農地もかなり含まれておる。つい私この間岡山県を視察しましたときに、岡山県の久米町、ここに三菱レジャーランドが周辺の農地をかなり買い占めまして、この実情も見てまいりましたけれども、やはりこういうところでも農地が含まれておるわけであります。優良農地であります。ですから、そういう意味では、やはり農地法の厳正な運用ということは私必要だろうと思うのです。きょうはそこまでこまかく入れませんが、ただ一つゴルフ場の問題では、農林省として実際にどういうふうに運用していこうとしておられるのかという問題です。あるいは農協による土地の計画的利用といっても、私ここに新聞の切り抜きを持っておりますけれども、広島の福山市の農協が民間業者とタイアップしてゴルフ場を経営しているというこういうことが記事に載っております。これは先ほど農林省の事務官が私のほうにおいでになって、これはベビーゴルフ場じゃないかというお話でした。私そのとき、この記事をあまりこまかく見ておりませんので、あるいはそうだったかもしれないというふうに答えておいたんですが、お昼休みにこれをよく読みましたら、いわゆるベビーゴルフ場じゃないんですね。約二万一千平米の用地であります。農協と、それから県の農協共済福祉事業団、これが約五千平米、福山市農協が約一万六千平米、この用地を出しまして、パブリックコースの九ホール、千六百ヤードと、打ちっ放し三十二打席で、福山市内の埋め立て地一文字町に建設されたと、こういう農地のことであります。私は、ゴルフを実はやったことありませんから、パブリックコースの九ホールであるとかなんとかいうようなことよくわかりませんが、これをベビーゴルフ場というのかどうかよくわかりませんけれども、とにかくこういう事例があるんですね。その辺に専門家いるようだから説明していただいてもいいんだけれども、とにかくそんな狭いあれじゃない。少なくとも二ヘクタール以上あるわけですから、りっぱなゴルフ場じゃないかと思うんですが、いなかでは。(「大したことない」と呼ぶ者あり)そうか。とにかくこういうものは……。これについては一体農林省どんなふうに今後運用されようとしているのか、これをちょっとお聞きしたいんです。

小山義夫農林省構造改善局審議官

○説明員(小山義夫君) ゴルフの転用の扱いについて申し上げますと、農地の転用の場合にゴルフ場はなるべく抑制するといいますか、好ましくないといいますか、そういう形でずっと運用しております。ただ、山林原野がしたがって多いわけですけれども、その中にたまたま傾斜地の中に、谷亀田と申しますか、あまり生産性の高くない農地が分散をして含まれているというふうな場合が、それ以外にゴルフ場のコースのとりようがないというふうな場合に認めておるのが実情でございます。したがいまして、昨年の昭和四十七年の一年間のゴルフ場にかかわります転用の実績を見ましても、幾らかでも農地が含まれているものが七千百四十四ヘクタールあるわけですが、その中に含まれております農地、採草放牧地が六百九十二ヘクタールということで、約一割——一〇%というふうなことでございます。久米町についても御指摘がありましたが、あれも全部足しますと、農地——ちょっとまとまった面積であるかと思いますけれども、私は現地に行ったことはございませんが、航空写真で見たところでは、非常に帯状で、谷地田と申しますか、谷合い谷合いに入っております農地でございます。そういう意味で、まとまって——今後も確保しなければいけない農地が、まとまってゴルフ場の転用許可で扱われているという例はまずないというふうに考えております。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいまお話のございました広島県福山市のゴルフ場の件でございますが、実は、私どもも県のほうに照会いたしましたところ、県庁の人も、現場に行ったことがない人ばかりでございまして、ベビーゴルフ場か、本物であるか、よくわからないわけでございます。そこで、この件についての当否の判断はちょっとここでは控えたいわけでございますが、一般論として、たとえ農協と別法人でありましても、農協がそのような法人に出資すること自体は、問題があるのじゃないかということで、農協が今後、直接間接を問わずゴルフ場経営に進出するというようなことは、やはり抑制する方向で指導したいというふうに考えております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 ひとつゴルフ場につきましては、いまのようなお答えでやっていただきたいと思います。私も、この福山のあれは直接見てまいりませんが、ここに、私が見ましたのは日本農業新聞の記事でございますから、これ何だったら、あとでお読みになっていただければいいと思うのです。  この問題と関連しまして、資料要求ひとつお願いしたいと思うのですけれども、先ほどそちらからお話がありました転用の問題ですね。許可基準に示された転用目的として適当でないと、ここに書いてございますが、適当でないものとして、一、二、三にわたって——昭和三十四年の農地転用許可基準の規制についてという、この次官通達の中で、三つ、三項にわたって適当でないといってしるされております項目がございますが、これに沿って、実際にどのぐらいの転用許可がおりているのか、その数字をひとつお願いしたいと思うのです。もし、これ非常にややこしくてなかなか出ない、項目別には。そういうのだったら、この三項目のゴルフ場その他の面だけでもけっこうでありますから、これをお願いしたいと思うのでありますが、どうでしょうか。

小山義夫農林省構造改善局審議官

○説明員(小山義夫君) このゴルフ場についてはいろいろ問題になりますので、私がただいま申し上げた資料があるわけで、これは書面にして提出をいたしたいと思います。  それ以外のものについては、ちょっと数字がでますかどうか、私見当がつきませんので、保留をさしていただきたいと思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 では、けっこうです。  時間もだいぶ迫ってまいりました。しかし、まだ私、質問がこんなに山のようにたまっておるわけなんです。ですからまあ急いでやります。  次に、農協法と中金法、それから近代化資金法に関連して、貸し付け範囲の問題についてお伺いするわけであります。これは先ほどからもいろいろ質問が出ましたから重複しないようにしていきたいと思うのですが、一つは、農協法改正法の中で、員外利用制限の、ワク外の貸し付け対象の拡大ということになっておりますが、この員外利用制限というのは、本来、協同組合でいう、農協の基本性格に基づくものだと考えるわけです。さきの二十五年度の改正に続いて、今日の新しくこの制限のワク外として、地方公社に対する貸し付け、農村地域の産業環境基盤整備に対して拡大されるという内容になったわけでありますけれども、このことは、農協の基礎原則のなしくずし的な改悪ではないかというように感ぜられるわけであります。  また、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度となっておりますけれども、具体的にはどのようにしてこの基準を定め、またこれを保証していくのかという問題であります。この点からまずひとつお答え願いたい。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 私どもは、今度の改正が農協法の基本に触れる問題であるとは考えてないわけでございます。と申しますのは、最近の組合員の要求というものは、経済事情の変転、社会事情の変転に伴いまして、きわめて多様化してきておる。やはり農協法一条の目的から見ても、ある程度そういったものにマッチして組合の運営をはかっていくということが必要じゃないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、産業基盤及び生活環境の整備のために、融資対象としてどのようなものを考えているかということを例として申し上げたいと思いますけれども、この貸し付けにつきましては、次のような資金につきまして、あまり期間が長いと、これは非常に問題がございますので、政令で十年以内の資金の貸し付けというようにしたいと思っております。  そこで、どういうものに貸し付けるかと申しますと、まず第一に、農村地域工業導入促進法とか、産炭地域振興臨時措置法あるいは低開発地域工業開発促進法等に基づく工場の新増設に必要な資金、それから次に、地方公共団体が構成員もしくは出資者となっているか、またはその基本財産の額の一部を拠出している法人であって、主務大臣の指定するものが農村地域において、産業基盤または生活環境の整備に関する事業を行なうために必要な資金ということで、きわめて公共性の高いものに、金を融資をしていくというふうに、しぼって運用したいというふうに考えておるわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 私も先ほどからの質疑を聞いておりまして、政府は、盛んに公共性ということをおっしゃるのですね。ことばはたいへん美しいのです。しかし、農村地域の産業基盤設備がどういう意味で公共性があるというのか、私どもにはよくわからない。というのは、農民が土地を売った代金、あるいは出稼ぎで得た所得、そのお金を使って農民の土地を買収していく、あるいは安い労働力として企業に働かしていく、これが何で私は、公共性につながるのか、よくわからないわけであります。私は、これは、工業開発というものに対する政府の無批判性を証明するものではないか。全く無批判的にとにかく土地を企業に渡す、あるいは農民を安い労働力として提供していく、こういう立場ではないか。今日、公害問題であるとか、環境破壊の問題が非常に深刻になっておるときに、私はほんとうの公共性というならば、農業を守っていくというこの国民的な課題、これに徹するということが、ほんとうの意味での公共性ではないかというふうに考えるわけです。この論議になりますと、また、あるいは並行線かもしれませんけれども、しかし、やっぱりどう考えても、この政府のおっしゃる公共性というものは、何か企業のための公共性であって、ほんとうの国民的な公共性というものではないように感じてしようがないわけです。まあしかし、その論議もやっていればこれまた切りがないから……。  次にこの農村地域の産業基盤整備のための資金の貸し付け対象、つまりどういう企業に貸し出すのかという問題。これは先ほどから辻委員が関連産業に対する融資の行くえについていろいろ質疑いたしましたから、それはおくといたしまして、では、こういう関連産業に対する融資というものは、具体的には政令でおきめになることになるんですか。どういうことになるのかちょっとお聞かせ願いたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいまの御質問は農協のほうでございましょうか、中金の関連産業のほうでございましょうか。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 農協ですね、農協法の改正。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 政令の点でございますが、農協法で「地方公共団体又は地方公共団体が主たる構成員若しくは出資者となっているか若しくはその基本財産の額の過半を拠出している営利を目的としない法人に対する資金の貸し付けで政令で定めるもの」、これは十年以内の貸し付けにしようと、先ほど申しましたように非常に長期であると、問題でございますので、大体十年以内の貸し付けということを考えているわけでございます。  その次に、「農村地域における産業基盤又は生活環境の整備のために必要な資金で政令で定めるものの貸付け」と、この「政令で定めるもの」は、先ほど御答弁申し上げましたように、農村地域工業導入促進法とか、その他の政令に基づいて出てくる工場の設置等に対する資金、その他地方公共団体が構成員もしくは出資者となっているか、またはその基本財産の額の一部を拠出している法人であって、主務大臣の指定するものが、農村地域において、産業基盤または生活環境の整備に関する事業を行なうために必要な資金というようなことを政令で規定したいというふうに考えております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 そこの問題なんですけれども、こういう問題が政令できまっているという問題について、私疑問を少し持っているんです。というのは、たとえば前の農協法改正で、地方公共団体に対する貸し付けについて、員外利用制度のワク外にした際に、その内容は施行令できめられたんです。四十六年施行の際には、いわゆる米の生産調整の関連で、田と田以外のものにするために、田を取得するのに必要な資金の貸し付けであって、償還期限が五年以内のもの、これは施行令第一条の二に、こういうふうになっておったものを、四十七年の三月二十五日の改正では、産業基盤または生活環境の整備を促進するための土地取得、造成、道路、住宅等に対する資金で、償還期間が十年以内の資金に拡大されておるんですね、一年間で。しかも、この内容は単なる拡大というものではなくて、地方公共団体の行なう地域開発資金についての貸し付けという点で、資金の種類からいうならば、今回の改正案の内容でございます。それによく似ております。こういう重大な改正が単に政令で行なわれるということになりますと、私は、非常に問題があるんじゃないか。というのは、今度の改正の場合でも、農村地域の産業開発資金について政令を変えないという保証はないわけでありますから、現に前にそういう事例があるわけであります。しかも先ほど論じましたように、公共的と、おっしゃっておられるけれども、政策的なものにまで拡大される可能性だってある、こういう点の不安については、どういうふうに御答弁していただけるでしょうか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 地方公共団体または地方公共団体が主たる構成員となっているものに対する貸し付けでございますが、これは先ほども申し上げましたように、政令で定めるものというのは、期限のみをきめたいと。したがいまして、十年以内ということをきめるわけでございます。ただいま御指摘のございましたような点は、第二号の「農村地域における産業基盤又は生活環境の整備のために必要な資金で政令で定めるもの」、これが御答弁申し上げましたように、農村地域工業導入促進法その他ということを考えているわけでございますが、将来拡大されることがあるのではないかという御質問かと思います。その点につきましては、当然この法律に基づきまして「農村地域における産業基盤又は生活環境の整備のために必要な資金」というワクははまっておるわけでございます。その範囲内で、将来いろいろな経済あるいは社会情勢の変化で、こういった法律の規定から見て農協がそういった貸し付けを行なってもおかしくないもの、ふさわしいもの、そういうものにつきましては、これをあるいは改正することが——絶対あり得ないということは私は、申し上げかねますけれども、そういうことはあり得るんじゃないか。しかし、その場合におきましても、法律ではっきり書いてございますように、「組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、」ということは、これははっきりみた法律の前提になっておりますので、そうした政令の改正が将来行なうことが起こった場合におきましても、そういったワクというのは、当然法律からかかってくるということになると思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 さて時間もきたようでありますから、あと大臣に一、二問御質問いたしまして、私の質問を終わりたいと思うのです。  一つは、この間の、参考人の意見聴取のときにも、私は、意見として述べたのでありますが、静岡県の農協中央会と県信用農協連の、あの緑と財産を守る融資制度というものがございます。私ども、これを大いに評価しているわけでありますが、特に余裕金の原資となっております土地の代金の解決策という点でも、私は、非常に積極的な対策だろうと思うのです。それで、農林中金の理事長も、これはたいへんいいやり方だと、ついては、こういう制度を全国的に普及するには、国の利子補給が必要でございますと、こういうふうにお答えがございました。私ももっともだと思うわけであります。そういう意味で、質問は抜きにいたしまして、ひとつ考えていただきたい問題を提起するわけでありますが、たとえば、この静岡の場合でも、五年後には利息八%を含めて返還すると、こういう約束になっておるわけですね。しかし農民からすれば、この利息の八%というものは、なかなかこれはたいへんなことだろうと思うのです。元金と利息を返すということは。そこで、とにかく農地を売らずに農業用地として確保していこうという、こういうやり方というものは、非常に私は先ほどの論議を通じましてもおわかりのように、重要な問題であると思いますので、これは農林省におきまして、農業近代化資金助成法施行令第二条、資金の種類の八、「農林大臣が特に必要と認めて指定する資金」これに該当さしてもいいのではないかというふうに考えますが、これはひとつ検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 詳しくは局長のほうから補足をさせますが、近代化資金の中に農地を入れるということについては、ちょっと性格上問題ではないかと、こう感ずるわけでありますが、詳しくは局長のほうから申し述べさせます。  また、この静岡県の信連を中心として緑と財産を守る金融制度の構想というものが、非常に興味深く取り上げられておるんでありますが、この私なりに考えまするときに、農地は処分はしたくない、引き続き農業はやっていくんだと、しかし資金が必要だと、何らかの資金が必要だ。これはその資金を調達する方法はいろいろあると思うんですね。まあずばりと申し上げて、農地を担保して借りられるということもあると思うんです。ただ、いま御質問を聞いておって、そういう担保で借りる場合には、所要資金が十分借りられないと。そこで緑と財産を守る金融制度は、まあ金を十分調達したい、売りたいというものにその所望にこたえて十分貸すんだと、だから、この買い戻しつき条件で、五年間八分の利息で限度一ぱい、限度一ぱいと申しましょうか、評価一ぱい借りられるんだということだと、これはその資金の調達の上では、農地を担保するよりも有利だということにはこれは当然なります。その点の妙味はございまするが、しかしほんとうに農家のことを考えまするときに、農地の時価相当の相当大幅に借りられて、しかも五年後にお話のような八分の利息をつけて、元利を返済して元に戻すと、これはなかなか農村の実態としてはかえって荷が重くなるんじゃないか。まあそういう点から近代化資金の利用ということもお触れになったんではないかと思うんでありまするが、私は、借り入れ金をするという場合には、ほどほどに借りておくということのほうがかえっていいんじゃないか、したがって、普通の担保金融でいれるほうが、むしろ農家のために親切な結果になるんではないかと、このように思います。  それから、この方法が、まあ法的に言えば農地法上の取り扱いについても問題がございまするので、十分検討する必要があるんではないかと、このように存ずるわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 じゃ最後にもう一つだけお聞きします。  まあ詳しくいまの問題も、いろいろ意見の交換をやりたいところでございますけれども、これはひとつ次の機会に譲ることにいたしまして、最後の質問でございますが、今回の農林中央金庫法の問題であります。  今度の改正の根拠となっておりました余裕金の問題でございますけれども、まあ先ほどから論議がされまして、この余裕金の運用というふうに、まあ政府はいろいろ説明されているわけですけれども、こういう余裕金を今回の改正案で、いわゆる関連産業に回す、貸し付けると、こういうことになりますと、私は、この農林中金の業務としてこれを明確にやるというふうに規定するということは、これはやはり単に余裕金の運用という範囲を越えた中金の性格そのものにかかわるんではないかというふうに考えるわけです。しかも、私があえてこんなことを申し上げるのは、これは一つには、財界の要請が非常にこの点で強いということなんです。これは、私、裏打ちとしてこの問題を提出するわけですけれども、たとえば御承知のように、日本経済調査協議会というものの提言がここにございます。これは植村午郎経団連会長、中山伊知郎、永野重雄、岩佐凱実らのいわゆる財界代表のメンバーからなっている組織でございますけれども、この日本経済調査協議会の提言、つまり「農業金融再編の方向」というこの提言でございます。これを見ますと、財界としてはこの「現在の農林中央金庫は他に選択すべき途もあろうが、この民間長期金融機関に脱皮することが考えられよう。」「この長期金融機関」、つまり中金のことですけれども、「が融資する場合に肝要なことは自主性をもって選別機能を発揮することである。」「もっぱら協同組合精神による総花的な系統融資体制をとるべきでないことはいうまでもあるまい。」、つまりもうこの「自主性をもって」というのは、つまり所属団体である農業団体から独立しろという意味だろうと私は考えるんですが、いわゆる農協精神による総花的な系統融資体制はもうやめるべきだ、こういう提言をここでされておるわけです。それと今度の法改正の方向はまさに私は一致するように思うわけなんで、そういう意味でこの系統融資体制というものを否定する第一歩がここにあるのではないか。そういう点でこれが一点であります。  それからもう一点は、今度中金の貸し付けワク拡大に関しまして農林省は通達を出されましたね、信連に対して。農林事務次官の名前であります。四十八年五月十二日であります。信連の会長あての、信用農業協同組合連合会の貸し出しに関する取り扱いについて、ということで、大蔵省銀行局特別金融課長並びに農林省農林経済農業協同組合課長の名による通達が、ここにございますが、これによりますと、貸し出し金増加額を抑制しなさい。商社、不動産に対する新規拡大を抑制しなさい。こういう指示をこの信連に対して出されておる。中金に対しては出されておらないんですが、これは中金は直接政府の指導によってできるということで必要がないだろうと、つまり認可事項になっておりますから、中金の場合には。そこで信連に対してこういう通達をお出しになったのですが、この通達、この趣旨ですな。金融引き締めのもとで貸し出しを抑制せよというこの通達は、今回の農協系統金融の改正の背景となっておりました金融緩和、お金が、だぶついているから、まあその余裕金をひとついろんな関連産業に融資しましょう、ということと、全く矛盾するんですね。今度は金融引き締めだと、こういうことなんですな。だとしますと、私は、ここでこれは別に農林省の責任だと言ってるんじゃないんです。とにかく客観的に金融情勢というものはこれほど激しく変化をするんですな。きのうまで金融緩和だと言っていたが、今度は金融引き締めだと、そこで引き締めろと、こう言う。だとすれば、私は、だから今度の改正法でいろんな関連産業に融資しなさいとかなんとか言っても、金融情勢というものは、国際的な関連の中で非常に激しく働くんですから、こういうことを考えてみましても、こういった今度の改正というのは非常に危険を伴うものであるというふうに感ずるわけです。  そこで、私は、やはりこの農協系統金融の安定した発展ということを考えるならば、やはり振興ということを前提にした事業、これを充実させるということ以外にないんじゃないかと思うわけです。それで、先ほどの静岡県の問題などを私は出したわけです。もっとこういうのを国として助成をして、そういうところにお金を使う、その他価格保障制度であるとか、いろいろ問題はこれは山のようにあるわけで、これは農林省のほうが、むしろいろいろ夢や理想を持っていらゃしゅるはずだから、金は幾らでも使い道はあるんじゃないか。そういう形で系統資金を活用することによって、ほんとうに日本の農業を発展させ、また系統金融のほんとうに正しい発展をはかることができるんではないか。まあ言いかえるならば、農政というもののあり方と非常に深い関係があると思いますけれども、この点についてひとつ最後に大臣の御所見を伺って、私の質問を終わります。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 第一問の、日本経済調査協議会の提言の内容からいたしまして、農林中金のあり方についていろいろ御所見があったわけでございまするが、私どもといたしましてはそういうことにとらわれることなく対応するということで、もし今回の金融四法の改正になった前提が那辺にあるかということになりますれば、四十六年三月、農政審議会に農協系統金融の今後のあり方について御審議をわずらわせまして、一年近くの審議、検討の後に、四十七年一月に、農林大臣に報告がございました。その報告を受けて検討いたし、今回の所要の改正をお願いするということになったのでございまして、簡単に申し上げますならば、農政審議会におきましては、農政推進上大きな課題の一つとなっている大規模経営や協業を集団的生産組織の育成について系統金融はいかに対応するか、また、系統金融の基本的性格にも関係するが、農外要因の拡大とそれに伴う資金の増大にいかに対応するか等の御指摘を取り上げてまいったのであります。  それから、ただいま大蔵省銀行局特別金融課長及び農林省の経済局農業協同組合課長の、信用農業協同組合連合会あての、金融引き締め関連の通達でございまするが、これは一般的な金融引き締めに対応して両省間の協議の結果出されたものでございまして、このことが系統金融の持っております基本的な方針に対しまして、それを制約するという意味合いのものでない。あくまでも一般的な諸情勢の一連ということでございまして、この金融四法の改正による今回の農協系絶金融につきましては、特に農村地域の産業基盤や生活環境整備等の資金につきましては、本来一般金融の緩和、引き締めのいかんを問わず、まず系統金融が対応すべきものではないかと、あるいは農協系統組織が、その構成員の経済活動の拡大及び多様化に対応しつつ十全な信用事業を営むため、信用秩序の維持と金融業務機能の拡充をはかることというようなそういう点、また、農協系統金融において十分資金の供給が行なわれるように、近代化資金の貸し付け限度額の引き上げや信用補完制度の拡充、農林中金による農業世帯への直接の貸し付け等、この四法の改正の重要な諸点というものは、これは別にいま一般的な制約があるからと言って、系統金融がそのことによってこれらの系統金融の持っておる本来の目的をも根本的に制約を受けるというものではなくて、むしろ系統金融が一般金融からの十全な対応が望みにくいその点については、われわれが対応しておるのでございまするから、金融情勢が緩和から引き締めになったからと言って、それによって内容をどうこうと言うものではない。このように受けとめておるわけでございまして、系統金融は系統金融としてのその目的に対して十分対応していくという必要は常にあると、こういうふうに存じておるわけでございます。

亀井善彰自由民主党

○委員長(亀井善彰君) 四案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗