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71回国会参議院1973/06/19

農林水産委員会 第14号

発言数
74
登壇者
8
会派数
2
開催日
1973/06/19

会議録

亀井善彰自由民主党

○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る十六日、村田秀三君が委員を辞任され、その補欠として小野明君が、また、同十八日、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君が、また、本日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として沢田実君がそれぞれ選任されました。     —————————————

亀井善彰自由民主党

○委員長(亀井善彰君) 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 最初に、これは委員長にお願いをいたしたいと思うのでありますが、本日は麦価の問題について審議会が開催をされておるようでございますが、私どもといたしましてもこの問題については、重大な関心がございますので、米審提出資料を本委員会に提出をしていただきたい。私は、それに基づいて、後ほど大臣が参りましてから若干の質問をいたしたいと思いますので、その点に対するお取り扱いをまずお願いをいたしたいと思います。

亀井善彰自由民主党

○委員長(亀井善彰君) 御意見のように、早急に資料提出を求めまして御配付をすることにいたします。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それでは、大臣が参っておりませんので、非常に残念でございますけれども、大臣が参りますまで基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  すでに各委員の質疑の中で十分に論議が尽くされていると思いますけれども、私は農林金融政策の全体の問題についていろいろとお聞きをしてまいりたいと思います。すでに十分御承知のとおりに、農林漁業金融制度が制定をされまして、中金法においては五十年の期限が切れるというような状態でございますし、さらに公庫資金の制度につきましても、二十年という歳月が流れてまいりました。その間に、農業の部面に果たした役割りというものは、きわめて大きかったと私も判断をいたしておるわけであります。しかしながら、従来日本農業では、比較的にあまり資本を必要としない農業というものが行なわれてきたのではないかと私は判断をいたしているわけです。もちろんそれは、米を中心とした農業であり、米が一定の価格で——もちろんこれは十分ではありませんけれども、一定の価格で保証され、国が全量を買い入れるという大きな流れの中でそうした農業というものが組み立てられてきたと思います。しかし、ここ農業の様相は一変をしてまいりまして飛躍的な変化を遂げております。このような変化の中で、今回の一連の改正というものが、日本農業の現実に照らして、一体何にこたえようとするのか。私は、ここで農林金融政策の基本という問題について考えてみる必要があろうと、このように思うわけでありまして、もちろん改正案の提案の趣旨の中にも、そのことはうたわれておりますけれども、まず冒頭に、その点についての考え方をお聞きをいたしたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 今般の改正につきまして、ただいま先生から、農業金融の歴史的に振りかえっての御示唆があり、系統金融と制度金融というものの二つが、農業金融の本流としてあるというお話があったわけでございます。今般の改正は、主として農協系統金融の問題について改正をしているわけでございます。そこで、今般の改正が行なわれることにつきまして、農政審議会の金融部会で、過去一年以上の歳月を使いまして、いろいろな議論があったわけでございます。そこで、どういう議論があったかということでございますが、まず第一に、農協系統金融は、その性格上、本来農業者のためにあるという原点に立って、農業者に円滑に資金融通がなされるようにすることはもちろん、社会的に見ても、系統金融が、有効かつ効果的に活用されるようにすることが肝要であるという観点に立ちまして、こういった認識から、このための系統金融をめぐる諸制度のあり方について、いろいろな検討が行なわれたわけでございます。特に、それでは、どういう点が問題になったかということでございますが、まず第一に、最近農業経営の規模の大型化というものが起こっております。これは、個別経営が大型化していく、もちろん、農地の流動性がなかなかうまく進まないというようなことから、必ずしも当初予定したように円滑には進んではおりませんけれども、やはり大規模経営というものがあらわれている。それは個別経営が大きくなっていくものと、さらに、集団的生産組織とわれわれは言っているわけでございますが、そういった協業形態まではいかなくても、作業の共同化等を通じて集団化していくというようなことで、規模が大きくなっていく、というようなものが、現実の問題として日本農業の中にあらわれてきている。そういうものに系統金融はいかに対応するかというのが第一点の問題でございます。  それから第二の問題は、最近の日本経済のいろんな動向によりまして、農業を取り巻く問題として、農外要因の拡大という問題があるわけでございます。端的には、市街化がどんどん進むことによりまして、農家が土地を放していく、その結果、その土地代金が農協に集まってくる。これは主として都市近郊農村の問題でございますが、そういった問題、あるいは兼業所得がふえていくというようなことで、そういった農外要因の拡大に対応するのには、一体どうしたらいいかという問題が第二の問題として出てきたわけでございます。  それから第三の問題といたしまして、一般経済の変化に伴い、きびしく要請されている系統金融の経営体制の合理化の問題、これは、単協の資金コストというものは相互銀行あるいは信用組合等に比べて安いわけでございますが、系統三段階制をとっている関係上、信連あるいは中金のコストになりますと、必ずしも他の金融機関に比べてコストが安いというわけでもございませんので、そういった系統の組織体の中で、一体金融としての合理化をどう進めていくか、すなわち具体的には、なるべく金利を下げて、安い金を農業のほうに貸すということのためには、やはり系統金融の合理化ということが必要になってくるわけでございますが、それを、どうやってそれに対応していくか。それから、さらに、最近の経済が非常に複雑化し、多様化してくるにつれまして、組合員の要求というものも多様化してくる、そういった問題にどういうふうに対応するかという問題。あるいは最近の農村地域の環境の整備のおくれというものを是正するために、農林省といたしましても、産業基盤の整備とあわせまして、環境整備というようなことも取り上げて取り組んでいこうという姿勢になっているわけでございますが、そういったわが国の農村の現状に合わして金融はどういうふうに対応していくかというような点につきまして、いろいろ検討いたしました結果、ただいま御提案申し上げているような金融関係の法律の改正という法案が提案されているわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 いま説明にありました事項は、先ほどお話がありましたように、農政審議会の答申に基づいた主要な改正点であるということは十分承知できるわけでありますが、私は、いまの日本農業の現実というものを踏まえながら、ここで基本的な問題について、先般も、私、大臣と二時間余りにわたりまして、この問題で論争いたしましたけれども、その現実を踏まえて、それが最も有効的に、やはり農林金融というものが活用されるということでなければならないと思います。そこで、今日までの日本農業というものを考えてみると、もろもろの変化がございます。これは長期十カ年の見通しを立ててみたり、あるいはそれぞれ作目別のいろいろな振興計画もはかってまいりましたし、あるいは団地化という問題も提案をして、具体的に進められておるようでありますけれども、しかし、従来のような日本農業が日本の国内だけの問題に閉じこもっていいということには、もちろん私は、それを全面的に肯定するわけではありませんけれども、日本の農業というものが、やはり外に向かって強い力を持つということは、きわめて重要な問題だと思っているんですが、しかし、いまこそ私は、日本農業というものがそういう国際情勢の変化に応じた抜本的な対応策というものを迫られているときはない、このように思うわけであります。そういう意味から、これはかって東畑会長を中心にいたしました農業問題懇談会の提言にもあるわけでありますけれども、そういう問題を私つぶさに検討してみますと、一時期、日本は食糧の過剰時代、四十二、三年ごろ米の過剰時代に入ったと同時に、全体的に何か食糧が過剰時代に入ったような錯覚におちいっていたのではないか、そういうことが全体的に日本の農業を衰退に追い込み、非常に自給率を低下をさせるという状態が生まれたのではないかと、私はそのように思っているわけであります。そういう意味から、現代社会における、特に国際的な食糧事情というものが危機的な様相を帯びている。そういうような状態の中において、日本農業の果たすべき役割りというものは新たな観点から考え直されなければならない時期に立ち至ったのではないか、このように思うのでありますけれども、そういう国際的な視野における日本農業の役割りというもの、その中における日本の農業の位置づけ、さらにそれに対する対応策、こういうものがやっぱり根本的にここで考え直される必要があるのではないかと思うんですけれども、その点について基本的に、たいへんこれは抽象的な問題ですけれども、お聞きをいたしたいと思うのです。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) やや——非常に大きな政策的なものの前提となる考え方の問題で、私から御答弁することが適当な問題かどうかわかりませんけれども、御答弁申し上げたいと思います。  ただいま日本農業が、米の生産調整が始まったころから自給率もどんどん下がるということで、農業自身が不振になっているんじゃないか、一方、そういった日本農業がやや不振で自給率もどんどん低下している中にあって、国際的な食糧危機の問題が起こってきている。そういった中にあって日本農業のあり方というものをどう考えていくのか、これは今後の金融政策等を考えます場合におきましても、私どもが十分その点は考えなければならぬ問題でございます。  そこで、まず第一に、自給率がどんどん下がってきた、日本農業が非常に不振と申しますか、農業活動が低下している。農民も生産意欲を失っているのではないかというようなことがよく言われております。で、私はやはりその一つの背景には、過去十年における日本経済の高度成長というものがあるのではないかと。たとえば麦、いま——きょう米価審議会で麦価の問題をやってるわけでございますが、麦の生産等を考えました場合に、確かに農業的な立場で考えますと、冬場に全然圃場が利用されてない。国民経済的に見れば資源的に非常にむだがある。これは農業関係者としてはだれでも考えることでございます。しかも、自給率はどんどん下がっている、これでいいのかと。それじゃ麦をつくれということを申しましても、たとえば昭和二十年代、終戦直後の食糧危機から朝鮮戦争にかけての時代に、農林省は何回か食糧増産運動をやったわけでございますけれども、あの時代にはやはり行政が音頭をとって増産しようということをやれば、農民もついてきたということであったわけでございますが、最近の、このように農外要因が強い時代におきましては、ただ単に増産運動をやってみても、物的増産はできないということはもうはっきりしてるわけでございます。そこで、やはり今後日本農業のそういった自給率を高めるということの場合には、やはり単に農民の生産意欲の振興ということだけではなしに、農業構造の改善というものを通じて、農業経営の近代化、合理化をはかって、同時に、物的生産を上げていかなきゃならぬというようなふうに考えるべきではないかと思っているわけでございます。  それから一方、最近の国際的な食糧危機の問題でございますが、これはまあ、こういった状況が、今後ずっと続くんであろうかどうかということにつきましては、その判断をするのに私は、やや時期尚早と申しますか、まだかなりはっきりしない要素があるんではないかと。で、FAOの長期見通しによりますと、一九八〇年に肉類、それから牛乳は足りなくなる、しかし、その他の農産物は余るという長期計画を出しております。そこで、去年あたりから穀物の非常に需給が詰まってまいりまして、先般もここで議論ございましたけれども、六月の十三日に、ニクソン・アメリカ大統領が、アメリカの、場合によっては農産物の輸出制限やるというようなことも放送したというような事態になってるわけでございます。確かに穀物の需給は、去年世界的に異常気象であったということ、それからさらに共産圏が農業政策の失敗から、中国、ソ連が世界市場から相当大量の穀物の買い付けを行なった。それからさらに開発途上国が相当の買い付けを行なったということで、かなり穀物の面につきましては供給が詰まったわけでございます。この傾向はことしも続いておりまして、ことしかりに去年と同じような天候状態ということになれば、かなり問題は深刻になるかと思います。しかしながら一方、アメリカ、カナダ等におきましては、従来やっておりました作付制限を解除いたしまして、一割から一割五分ぐらい面積がふえている。それからソ連も、ことしは、そう悪くないらしいというような明るい面もございます。で、一方、西アフリカの干ばつの問題、それからアメリカのミシシッピー川の洪水が五月にあったというような悪い条件、それからさらに、これは大豆の需給に非常に影響があるわけでございますが、ペルーのアンチョビー(カタクチイワシ)がとれない。これはえさに非常に関係がございます。そういった悪い要素もございますが、いずれにいたしましても、この段階で短期の見通しあるいは長期の見通しについて、右か左かということを判断するのはやや時期尚早の段階ではないか。  ただ昨年、一昨年までは、どの国も相当食糧のストックを持っておりましたけれども、特に昨年、開発途上国等におきましては、ストックを食ってしまったというようなこともございますので、あと一、二年はかりにことし平年作でありましても、開発途上国等がストックを補充するための買い入れを行なうというようなこともございまして、穀物の価格がそう下がるということは当面ないんではないかということでございますが、いずれにいたしましても、ことしの作によってかなり問題は違ってくるというふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 いまお話がありましたが、特に、日本の農業が、国際競争力を備えたローコストによる基幹的食糧の自給体制の確立をはかっていかなければならない。それと同時に、さっきお話がありましたように、生活環境が非常におくれている。そういう点についても整備をしなければならぬということが、確かに本年度、四十八年度予算案の中にもそのことが盛り込まれていることを私も十分に承知をしているわけでありますが、したがって、当面する現在のこの政府の農政というものが、適地に農業者の創意に満ちた高能率農業の育成をはかる、そして農業者の生産と生活の場である農村に高福祉社会を建設する、言いかえるならば。そういう形の総合的な農政を確立をするのだと、このように言われているわけでありますけれども、確かに私も米一本の時代から農業が多様化してきた、そういう点について創意に満ちた農業というものをつくり出していかなければならないということは理解ができるのであります。それがやはり消費者のこの消費傾向が多様化してきたということにこたえていく農政の道だとも思うのでありますけれども、しかし、今日まで農業において農基法制定以来の農政の歩みというものを私たちが見てきたときに、当時やはり農工間の所得の均衡をはかるということが最大の基本法——農政の眼目であったと思うのでありますけれども、しかし農業そのものは多様化は進んでまいりました。非常に資本を必要とするという農業に変わりました。経済合理性を導入するということがかなり徹底をしてきたということも私もその点については認めるわけであります。もちろん高度経済社会の中で農業だけが別ワクであっていいということも——私はそれを全面的に否定をするわけではありません。経済合理性を追求するということも当然あっていいと、そうでなければならないと思うのです。しかしながら、現在の農業の実態というものを見ると、これだけ進んだ高度経済社会の中で、やはり依然として豊かさの中の貧困と言われるような農業の実態というものを、私たちはその現実を無視するわけにはいかない、このように実は私は思います。  そこで、これは大臣にも基本的な問題でありますからお聞きをしておきたいと思うのですけれども、農業というものが非常に努力をされて、経済合理性を徹底的に追求をしていく。しかしながら、農業というものが生産の偏重、あるいは豊作貧乏、出かせぎの増大をつくり出しているように、農業の自然的、あるいは経済的、社会的制約による不利というものは、どこかでやはり補正をしていかなければならないということは、これは農業の宿命だと。どんなに努力してみても、どうしても及ばない点があるということは、私どもはやはりその原則を認めながら、それに対する対応策というものが当然必要になってくるわけであります。そういう農政、それに伴ったやはり金融政策というものも当然出されてこなければならないと、このように思うのですが、これは後ほどまた議論を進めていきます一つの大きな基本の問題として——大臣に対しましては、この農業の不利の補正ということについて基本的にどのようにお考えになっているか。これは特にこの金融政策における融資のワク、あるいは期間、金利、こういう問題から推してみましても、それが他の関係との調整の中でということがよく言われますために、私は、この点を基本的に具体的に進める前段としてお聞きをしておきたいと思うわけであります。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま工藤委員の御指摘になった点は、まさに現在、農政上の当面しておる問題でもあり、またわれわれのとっておる方針でもある次第でございます。  したがって、第一には、これからの農業をやっていく上の生産基盤をどうするか、あるいは構造改善事業をどうするか、あるいは価格安定対策をどうするか、あるいは流通面についてどういうくふうをしていくかというもろもろの問題がございまして、それらの点については、逐次、本委員会においても御説明を申し上げてまいったところだと思います。  今回金融四法をお願いしておりまするが、金融もまた、これからの農政の中の大きな柱でなくてはならないのでございます。従来とられてまいりました諸措置を考えてみまするに、この際、見直す必要もあるんではないかということが、このたびの四法の中に盛り込まれておるわけでございまするが、貸し出し条件の緩和であるとか、金利の低下であるとか、あるいはそれぞれの系統金融機関のこれからの時代に即応するような改善であるとかいうことをお願いをしておるわけでございます。そして終局的には、ただいまお話もございましたように、能率のよい、環境のよい農業、農村を目指していきたい、このような基本的な姿勢をとっておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 そこでもう一つ、私大臣にこの点についてお伺いをいたしたいと思いますが、大臣は基本的にこの農業の、先ほど私が申し上げましたように、自然的、経済的、社会的制約による不利の補正はしなければならないということはお認めになると思うんですけれども、その場合に、特にこの農業の不利の補正を必要とする部面は一体どこなのか、最も重点を置かなければならないことはどこなのかということ、この点についてはどうでしょうか。生産、流通、価格、あるいは加工と、こういった部面をとらえた場合に、特に農業の不利の補正を必要とする部面はどこなのか。どこに重点を置かなければ農業の不利を補正することができないのか、その点についてはどうでございましょうか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) これは生産についても、流通についても、加工につきましても、価格についても、みなそれぞれ重要な要素を持っておると思うのであります。ですから、一言でいえば、そういう総合的な施策というものを求めなきやならないと思いますが、特に御質問にお答えして、重点がどこにあるかと——私はそう差はないと思うんですが、しかし重点は、といわれれば、やはり第一に生産だと思うんです。だから、その生産意欲というものが減退しておってはならないのであって、そういう点から考えまするならば、価格とか流通とか加工とかいうようなものも、その生産意欲を向上してもらう。生産を大いにやってもらう上に寄与するものではないかと思うのでありまするが、しかし私としては、そう甲乙はつけがたい。総合的な施策が必要ではないかと、このように見ております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 まあ大臣の時間もありますから、この金融問題一応ちょっと横に置きまして、これは本題ではございませんけれども、麦の問題について——これいま資料をいただきました。これはまた機会を改めてゆっくりやりたいと思いますが、きょう米価審議会が麦価の問題について招集をされておるようでありますから、大臣に基本的な点、ごく一、二点だけお聞きをいたしたいと思うわけであります。  先ほど冒頭に、私は国際的な食糧危機の中における日本の農業の役割りというものについてお聞きをいたしまして、局長から御答弁があったのでありますけれども、麦の生産見込みの問題についてお聞きをいたしたいと思うのでありますけれども、これは昨年の暮れ出されました五十七年における長期見通しによりますと、日本の麦の需要につきましては大体八百十万トン程度を必要とする。その際における三麦合計における日本の生産見込みというものが百五万三千トンという見込みが立てられておるのでありますけれども、これが本年度予測によりますとかなり落ち込んだ状態の中で生産の見込みが出ておるようでありますけれども、この点について大臣はどのように御理解をなさっているわけでありますか。きわめて極端に落ち込んだ具体的な原因ですね、その点についてお伺いいたしたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 本年の——本年度というよりも四十七年でございますね。四十七年の作柄の状況を考えてみまするに、第一に作付面積が非常に落ち込んでおると、二十三万五千ヘクタールということになっておるわけでございまして、これは、私どもも予想外と申しましょうか、非常に作付減少ということを憂慮いたしておるわけでございますが、これは麦作規模の零細性による低収益性、これが第一だと思います。それから、兼業機会の増大あるいは麦作と前後作との作期の重複等によるというようなことが、一応原因として考えられるわけでございまするが、しかし、小麦やビール大麦等に対する国内産麦に対する需要は強いのでございます。そういうことで、農林省といたしましては、関東、九州あるいは北海道においての生産の増強を考え、専業的な農業者を中核としての農業作業の自由委託等を行なうなどいたしまして、集団的生産組織あるいは機械施設の共同利用組織等の育成につとめてまいってきておるわけでございます。まあ何といっても、麦作の機械化などを推進して、生産の高い麦作の実現、生産の確保をはかる努力はいたしてまいっておるのでございまするが、近年の大幅な減少ということにつきましては非常に憂慮をいたしており、ただいま申し上げたような方途をさらに強化をいたしまして、麦作の振興をはからなければならないと、このように見ておるようなわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 今日まで麦の対策につきましては、いろいろとそれなりに努力をしてきたということも私は承知をしているわけでありますけれども、それにもかかわらず、年々減少しておりまして、たいへんな事態に落ち込んでおると私は見ておるのでありますが、食糧庁としては、本年度国内産の買い入れの見込みですね、当初予算の編成当時と、現実に一体どれだけ買えるだろうかと、こういう収穫高を予測しながら、現在の見通しについてはどのように判断をなさっているわけでございますか。

森整治食糧庁総務部長

○説明員(森整治君) 当初の買い入れの見込みが約五十万トンでございましたけれども、今回の作柄等から考えまして、三麦合わせまして十九万——約二十万トン程度の買い入れを予定しております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 当初五十万トンの買い入れが二十万トン。しかも三十年代では三百万トンありました麦が四十年代に入って二百万トン、それが一挙に四十六年九十四万トン、実はこういうような状態に落ち込んでしまったということ。これは全体的な農業に対する、さっき議論しましたように、生産意欲の減退ということ、もちろんそれが大きな原因でありましょうけれども、一体このままでいいのかどうかということですね。五十七年の見込みでさえも三十一万九千ヘクタール、百五万三千トン。自給率にして大体一三%、現在よりもまだ落ちるけれども、一三%を確保していこうという目標を掲げているにもかかわらず、このような状態で目標達成というものが一体可能なのか。全くもう計画を出したとたんに半分以下の状態ということは、私はこれはたいへん憂慮すべき事態だと思うのですが、これは抜本的な対策というものは出てまませんか。やってもだめでしょうか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 現在までの趨勢、それから、その趨勢から今後を見通していく場合に、工藤委員のおっしゃるような憂慮すべき見通しも、これは率直に申し上げて出ると思うんであります。よくそういうことで、麦はこれで安楽死かというようなことを私に、やゆを加えての御質問される方もございます。ただ、私は、いまの農業の実態からの麦というものが、どういう位置にあるのか、私ながらに考えてみまするに、昔、よく稲と麦との関連で表作、裏作ということがいわれて、われわれ農業に関心のない者も稲のあとは麦と、こういう観念でまいったのであります。しかし、それが、このごろ稲作の時期が早まっておるかげんによって、麦作のほうにも影響が出ておる事実を認めまするが、それはそういう実情をかまえての指導とか、あるいは努力とかいうものに欠けておるんではないかと素朴に見るわけでございます。また、その資力維持の上におきましても、裏作の麦作というものは考える必要があるし、あるいはいわゆる輪作の上における効果というものもあるんでありまするから、そういうことをもう一度よく初歩的な大事な点というものを念頭に置いて見直す必要があるんではないか。そうして、先ほど申し上げたように、何といっても経営規模というものを大きくする、そして機械化をする。そのことが麦作増進の上に非常に役立つということが、これはだれでもわかっておることでございまするから、そういうことを勘案しながら、今後の麦作につとめる必要があるんではないか。  そしてしかも、これも先ほどちょっと申し上げましたように、国内における小麦、ビール大麦に対する需要というものを考えますときに、非常にこれは需要が強いのであります。でありまするから、いま申し上げたような、いろいろな措置とともにまた価格対策も考える、あるいはその他の奨励策というものがあればこれもよく検討してやっていきまするならば、ただいま農林省の立てておる見通しはいまの状況じゃ問題にならぬじゃないか、それはそのまま受けとめてまいりまするけれども、私どもとしてはいま申し上げたようなことをして、そしてしかも、現に立てておる目標達成のために努力する必要性というものが現に日本農業の中にある。こういう私としての認識、農林省としての対応のしかたであるということを御了解いただきまして、あまり悲観をせずにいきたい、こう思います。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 歯切れの悪い答弁ですけれども、私は、麦というものが、ただ単に、主食として使われる場合と、それ以外の食糧として使われる場合と、さらにやはり重要なことは飼料が非常に逼迫をしてきておる。しかも、よごれた飼料ということで問題になってきている。そういうような状態の中から、私は、新たな観点から、この麦に対する抜本的な対策というものが必要だと思っているわけです。特に、生産体制について基盤の整備が進み、機械化一環体系というものによって徹底的な省力化というものをはかる。そのことによってかなりの部分を私は生産をふやすことができるのではないかという気がいたします。もちろん、それにはかなりの手助けというものが必要だと思うのです。その手助けは何かということですね。もちろんそれは価格に対する徹底的な緊急の対策が必要であります。それと同時に、たとえば、いまビール麦のお話がありましたけれども、それじゃビール麦の研究は一体どこでやっているのか大臣御存じですか。ビール麦が必要だ、熟期をいまから十日ないし二週間早めることによって、もっとビール麦の普及ができるだろうということが予測をされているわけです。短稈種に切りかえることによって、その品種の改良ができることによってさらに普及するだろうということがいわれている。しかし、このビール麦の研究を一体どこでやっていますか。大臣御承知ですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) これは、先ほど私御答弁の中で現在小麦、大麦が減産しておる事情の中で触れたところでございますが、時期的に重複をするというようなことが問題である。これは工藤委員が御指摘のように、それこそわれわれの英知をもってそういう点は解決をすべきものだと思うのであります。その点から農業試験場において鋭意努力をするということは、これはもう当然のことでございまして、開発をすべきものだと思いますが、現在ビール大麦についての研究については、大体国内の二カ所でやっておるということでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 大臣、ビール麦の試験については農林省直轄ではやっていないようであります。栃木県の南河内の分場、そこで何人かの人たちが細々とやっているんです。しかしその人たちはきわめて精力的に、いま言うように熟期を早めることによって、短稈にすることによって、機械化を導入することによって何とかして国内で生産を高めていこうという努力をしているわけです。  私は、基盤整備が進み、機械化一環体系が進む過程の中で、やっぱりそういうものを、若干の国の助成なり、あるいは価格による誘導によって、この際一気に麦に対する認識というものを改めていかなければ、日本の食糧というものは、米がこういうような状態になったからといって、現実にすでにいま米さえも足らないという状態が起こってこようとしているわけであります。ここに農民のいまの農林行政に対する信頼というものが起こってまいりますか。私はそのことを一番憂慮するわけです。徹底的なそういう改革というものが必要、それと同時に、価格による誘導、これが緊急の対策だと思うんですが、そういう意味で、やはり今回の麦価に対する農林省の強い姿勢というものを私は聞きたい。きょうは大臣時間がないようでありますから、非常に残念でありますけれども、私はこれは後ほどまた時間をあらためて内容を詰めたいと思いますけれども。昨年も私は物価の委員会でこの問題を追及しましたけれども、残念ながら明快な回答を得られなかったわけでございますけれども、麦に対する認識を新たにして緊急の対策を立てる、そのための、きょう開かれている麦価に対する大臣のかたい決意の表明というものを私は明らかにしていただきたいと思います。(「パリティ方式を改めなきゃだめですよ。」と呼ぶ者あり)

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま不規則発言がございましたが、現在私どもは、法の示すところに従いまして、パリティ方式によっての価格をお願いしておるわけでございまして、本日も、これはもう政治的ないろいろ勘案はないんでありまして、出ましたパリティ指数によるそのとおりを諮問を申し上げておるわけであります。ただ、私としては、この麦価だけが、麦に対する施策全体になるわけではないのでございまするから、従来でも契約奨励金のようなものがございましたり、またきょう、先ほど来触れておりますような、生産団地の形成をする、あるいは機械の導入による省力化というようなこともございまするから、このパリティ方式がどうだということについては、現に法律上のことでやっておりまするから、それはそれとして考えさせていただいてよろしいかと思います。が、私はやはり、麦の生産振興のためには、そのほかのいろいろな方策もあわせ考えていくことによりまして、いまのこの、麦作の危機と申し上げてよろしいと思います、まあ安楽死とまで、やゆされているのでありますから、そういう事態を避け、特に私の頭にありますることは、この稲作と麦作を組み合わせてきた自然の示してきた長い経緯というもの、私はこれは非常に大事だと思うんですね。しかし、それが障害になっている点を工藤委員はもっとよく研究したらどうか、栃木の試験場で、しかもそれは国じゃないじゃないかというふうなおしかりを受ければ、私もそのように思いますが、その辺の研究を十分にいたしまして、やはり表作、裏作、輪作というようなことの効果というものを今後におきましても十分発揚のできるようにすべきではないかと、かように見ておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 きわめて不満でありますけれども、もちろん法律にきめられておりますからパリティ計算ということになると思いますけれども、しかし私は、そのこと自身がやはり価格のきめ方においてこのような極端な落ち込みを示してきた。そこで、やはり根本的な考え方というものをここで再考してみる必要があるのではないかということを、価格による極端な誘導ということを申し上げたわけです。そういうこともあわせてやはり大臣としても検討していく必要があろうと思うんですが、ぜひその点については、ここでいま直ちに私は大臣から答弁をいただこうと思いませんけれども、当然のこととしてそれは検討してしかるべきではないかと思いますので、そのことを申し上げまして、残念でありますけれども、大臣あとの日程があるようでありますから、この点で大臣に対する質問は切り上げて次回に譲りたいと思います。

亀井善彰自由民主党

○委員長(亀井善彰君) 大臣、どうぞ。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それでは金融問題に戻ります。これは局長に、また戻ってお伺いしたいと思うんですが、先ほどの議論、中断をいたしましたけれども、ひとつ頭を元に戻していただきたいと思うんですが、農業の持つ宿命的な現在の経済社会における不利な条件というものを補正をしていく必要があるということについては、大体意見が一致をいたしたと私は思っているわけでありますが、このような状態の中で、これは公庫月報の二十周年記念特集号の中に、日本農業研究所の石井理事長が若干問題点を触れられておるようでありますけれども、私は非常に示唆に富んだ御指摘だと思っておるわけでありますが、先ほどからも議論をしてまいりましたように、日本の経済というものが、近ごろでは特に人の生命あるいは健康までも侵すというような極端な異常な成長を遂げてまいりました。そのような状況の中で、この日本農業の果した役割り、これから果さなければならない役割り、こういうものが非常に強い、こういうことが指摘をされておるわけでありますが、特に先ほども申し上げましたように、農業基本法制定の当時、いわゆる農工間の格差の是正ということが非常に強調されたんでありますけれども、しかしそれは現在の統計を見ますとますます拡大をするという状況になってきておる。これは、さっき申し上げましたようなことを現実に物語っているのではないか。どんなに努力してみてもその格差は開いていく。それでは国際的に見た場合に、日本の農業の成長率というものが、ヨーロッパや、そういう大体日本と似通ったような国々との比較において、その成長率というものは、極端に、日本の農業というものは低いのかどうなのか、この点についてはどうでしょうか。どのように理解しておられましょうか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 私、ここに数字を持っておりませんので……。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 概略でけっこうです。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 数字的にお答えができないのはまことに残念でございますが、私の記憶しているところでは、アメリカ、カナダ等、非常に経営規模の大きなところでは、農業の労働生産性の伸びが工業の労働生産性の伸びを上回っておる。したがって、日本の農業の伸びをもちろん上回っておるわけでございますが、ヨーロッパの農業と比べれば、日本の農業の労働生産性の伸びは大体同じぐらいであったというようなことを記憶しております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 日本の場合に、特にこの工業部門が非常に予測をこえて急成長を遂げてきた。したがって工業部門における産業構造というものは大きく改革をされてきておるわけでありますが、農業では工業の成長に必要な労働力の供給はしてきた。しかしながら、それが日本の農業の経営の零細性の解消による構造改革というものには進まなかった。農業自体としては期待に反する事象に終わっている。こういう現実を私どもは見なきゃならぬ、このように思うんですが、その現実はお認めになりますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 経営の零細性が解消されていないところから、いろいろ現在農業の当面している困難性があるんだという点は私も御指摘のとおりだと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 そこで、話を前に進めていきたいと思いますけれども、そのような状態、いわゆる工業部面における日本の産業構造というものは非常に改革をされ、異常に予測をこえて伸びた。しかしながら、農業は依然として零細の域から出ることができない。逆に農村から離れる人が相次いでいる、農業の衰退という現象が生まれている。それでは、ここで、これから本年度の方針に出されている農業の基本政策としての高能率農業の育成と、環境整備をするというこの方針を進めていく、進めていかなきゃならぬわけですね。言いかえますと、旧来の土地利用型農業ということが正しいかどうかわかりませんけれども、いわゆる小農、手工業的農業から施設型農業へ変化をせざるを得ない。もちろん、そのことは数年来から続けられてはきておりますけれども、それは急速に進められなきやならぬと思うんですね。このこともさっき議論をしてまいりました。そのために何が必要なのか。もちろんこれは金がなきゃできないのであります。もちろんそれは国庫補助による土地基盤整備、さらに近代化のための機械化、構造改善、営農改善のための資金需要、こういうものがきわめて旺盛でなきやならぬと思うんです。新しい農業に切りかえていくためには旺盛でなきやならぬ。当然そういう農民の資金需要というものはたいへんなものだろうと私は予測をするわけなんですが、現在それではそれぞれ公庫資金、近代化資金あるいは系統資金を使っての農村の資金需要というものは一体どういう状況にあるのか、その点について大まかでよろしゅうございますが、お示しをいただきたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、今後のわが国農業ということを考えていきました場合に、施設型農業を伸ばしていかなきゃならぬ、お説のとおりだと思います。  ただ、農業の、野菜の生産等におきましては、施設型農業でかなり高能率な生産ができますけれども、耕種農業を一体どうするかということがやはり大きな問題だと思います。  そこで、一体農業の固定資産投資についての動向はどうかということを農業及び農家の社会勘定によって見てみますと、四十六年度の固定資産投資額は一兆三千九百二十一億円になっております。これを四十年度の価格による実質額で見ますと、一兆六十五億になるわけでございますが、そういった額になっておりますけれども、伸び率自体は前年度の五・九%が一・六%に低下しているということで、四十年代の当初に比べますと、農業の固定資産投資はここ数年やや停滞ぎみであるというのが残念ながら事実でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 農村における——これはまた後ほど出てまいりますけれども、従来から日本の農業というものは、歴史的に見て、やはり借金をするということは、非常に不名誉な感じというのは、私ども農村に生まれてきておりますけれども、やっぱりそういう感じというものはありました。しかし、いまはそれは大きく変わってきているわけですね。したがって、やはり非常にこの資金需要に対する旺盛な意欲というのは出てきていると思うんですけれども、やっぱりそういう潜在的なものがあるということもいなめないと思うのですね。できるだけ、やっぱり自分でかせいで、その中から、次のものをという感覚があるんですけれども、しかし、いまの若い農業後継者などは、そうじゃなくて、総合資金等もどんどんやはり借り入れていくという傾向が強いわけであります。そういった点から言って、潜在的な部分、いま貸し出しているものから判断をした固定資本の投資率ということだけではなくて、ほんとうに借りたいんだと、農業をやりたいんだという、こういう潜在的な資金に対する需要の要請といいますか、そういう面については、やはり予測、見通しというものは把握していないわけですか。借りたいというのはこれだけあるけれども、しかし、現実に貸し出しているものはこういう程度だということではないかと思うのですけれども、十分にそれは満たし得ていないのじゃないかと思うのですが、そういった意味で、潜在的な資金需要というものは一体どういう程度見たらいいものなのか。その点、もし把握していらっしゃればお聞きしたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいま四十六年度の数字を申し上げましたのは、これは実際の固定資本の投資額でございます。そこで、それでは、資金需要がある、農業の中に非常に投資意欲があるにもかかわらず、十分金融がついていないじゃないかという御質問かと思いますけれども、私どもの見ておりますところでは、これだけ固定資本の投資額が落ちてきましたのは、やはり残念ながら、米の生産調整その他の影響があるということと、それから戦後、農業の生産力、特に労働生産力の発展に非常な大きな役割りを果たしております農機具に対する需要が一巡した。すなわち、大体まあ必要な農機具は農家の手に渡っているというところで、そういったことがあって、四十五年、四十六年あたりが非常に固定資産の投資が減っているというところに原因があるのではないか。したがいまして、私ども、どの程度の資金需要があるかということは残念ながら数字はつかんでおりませんけれども、私どもの見るところでは、それほど資金需要があるにもかかわらず、実際に資金が借りられないという事態はあまりないのではないかというふうに考えているわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それは、たとえばこの制度金融、いわゆる公庫資金ですね。それから近代化資金。そういうものの優遇措置なり、金利なり、あるいは長期貸し付けという制度があるにもかかわらず、それが完全に消化されていないということをかなり意味するのではないかと私は思うんですけれども、そういう実態はどのような状況でございましょうか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 先生から御指摘ございましたように、公庫資金、それから近代化資金、ともに最近では予定したワクに達していないという状況になっております。そのことの背景には、ただいま申し上げましたような農業の事情というのがあるのではないかというふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 私は、そこが問題だと思うんですよ。公庫資金、近代化資金はかなりさっき議論しましたように、農業の不利な条件を補正してやるという意味でそういう制度をつくった。その金さえもなお消化し切れないという状態があるということ。これは簡単に、現在の農業政策に対する農民の批判なり、あるいはもうやる意欲を失ったということだけで片づけられるものなのかどうなのかということ。そうじゃなくて、やはりもう少しその点について突っ込んだ議論というものが進められていかなきゃならぬと思うんです。そこで、まあこれは後ほど例を引きたいと思いますけれども、私は、ましてや、系統資金については、これは、金利も高いし期間も短いわけでありますから、それを使え、使えと言ってみても、これはなかなかむずかしいことになるんじゃないか、ということで、余裕金が四割も余って外にいくというかっこうにならざるを得ないということになろうと思うのですが、これは各委員の方が質問の冒頭に言っておるように、農協の資金だから、これはやっぱり農家の皆さんに還元をすべきだ、そういう措置をとるべきだということを、だれもがみんな同じように言っているんですね。しかし、最もいい条件にある、そういうものさえも使えないという状態の中で、今度の改正というものが、それじゃ農家の皆さんにこの資金を十分に使い得るような考え方の上に立って、法の改正というものが行なわれるのかどうかということです。この点については私は、若干の疑問を持つのでありますけれども、余裕金を消化をするために門戸を広げて、金融機関と同じようなかっこうにして余裕金を消化をしていくということが主目的ではないのか。そうじゃなくて、やはり何とかしてこの金が、——それでなくても他の産業から比較すると一番おくれておる、補正をしなければならないこの農業に対して金が使えないということですね。根本的に私はもう少し見ていく必要があるのではないかと思うのですが、その点についてはどうですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 最近のいろいろ農業をめぐるきびしい条件から、資金需要が、制度金融で予定しているだけのものが出てこないではないか。私もそれは非常に残念に思っております。これはやはり農業自体の中に、そういった資金需要をもっと及ぼしていくようなことが必要かと思いますが、今度の農協系統金融の改正につきましては、そういった条件等も十分考えながら、改正案を考えたわけでございまして、まず第一に、農業の近代化を進める上で、規模が大きく、生産性の高い経営をつくらなければならぬということは、先生るる先ほどから強調されておりまして、私どもも、その必要が非常にあるのじゃないかというふうに思っているわけでございます。そこで、そういった経営ができてくれば、物的な自給率も高くなるのではないかということでございます。と申しますのは、これは一つの具体例でございますが、必ずしも全部それは当てはまるかどうかわかりませんけれども、先ほどから麦の問題が非常に出ております。私も過去において麦の問題では非常にやってみたことがございます。そのときの経験からいきますと、先ほど先生が、高能率の機械化農業をつくって麦作をやれば反当労働時間も減るし、収益もあがるんだ、それでいけと。まさに先生がおっしゃると同じことで実はいろいろ運動を展開してみたわけでございます。その結果、一番問題なのは、裏作だけでも農家が土地を人に貸さない。期間借地でもなかなか土地が集まらない。したがいまして、基盤整備ができているということはもちろん大事でございますけれども、今日では基盤整備が多少できてなくてもある程度、五ヘクタールなり十ヘクタール集団化してやればかなり経営の、生産性の高い麦作ができる、これはもう技術的にははっきりしているわけでございます。と同時に、日本はちょうど収穫期がつゆのときに当たりますので、もう一週間収穫が早い品種を何とかしてつくりたいということで技術会議等ともいろいろ相談いたしまして、何とかしなければならぬ。これは時間がかかる問題でございますが、現在農林省の技術者の連中が一生懸命それに取り組んでいるわけでございます。ところがなかなかうまくいかない。ところが私が最近聞きましたところでは、ある県で、ある農家の人が一生懸命土地を借りて、自分の自作地は二町歩ぐらいらしいんでございますけれども、たまたま都市近郊で、離農する人が多いというようなこともあって、何とかかんとか水稲十町歩の単作経営をつくった。その農家がそれじゃどうしているかと申しますと、夫婦二人で水稲やりまして、裏作の麦も全部つくっているということを聞きました。と申しますのは、米の、水稲の機械は全部麦にも使えるわけでございます。それから水稲の米に要するいろいろな施設はまた麦に使えるということで、そういったような大規模農家ができてくれば、物的生産性もあがってくる、生産力もあがるということがあるのじゃないかと。もちろん集団的生産組織等つくりまして、そういった形で生産力をあげていかなければならぬということもございますけれども、そういった大型経営が非常に大事だということはまあ私どもも非常に強く認識しているわけでございます。そしてそういった生産性の高い農家をつくるにつきましては、やはり相当な資金需要がある。ところが単協が、まあ先生よく御承知のように、何となく農協という性格から平等性があるわけでございます。これはよく言われることでございまして、特定の人に、——あの農家が育ってくれればかなりいい大型経営ができるけれども、やはりみんなから集めた金だ、一人の人に一千万円とか二千万円という金を貸すわけにはいかぬと、みんなの金なんだと、こういう感じがございます。これはある意味では当然のことだと思います。そういった単協の金融についての行動意識と申しますか、そういったものをある程度考えながら、そういった農家には信連なり中金が大口の金を直接貸すことができるということにすれば、かなり農業の近代化に役立つわけでございます。ただ、その場合に末端の金融というものは単協によってになわれているわけでございますから、それを中金なり信連が割って入るというふうなことは、やはり系統金融としては問題があるというところから、それについては協調融資と申しますか、あるいはさらにまた、金利の問題等考えれば、公庫資金との結びつき等も考えなければならぬわけでございます。そういったものを考えて、今後伸びていくであろう、規模が大きくて生産性の高い経営について直接貸しをする。同時に、やはり集団的生産組織というものを私どもは無視できないと思います。そこで集団的生産組織等につきましても、できればそういった金を貸していくというようなことが必要なんではないかというのが今般の改正の第一点でございまして、具体的には農林中金による農業者等への直接貸付等の措置を開いたわけでございます。  それから第二の問題でございまして、まあ農業の金なんだから、当然農業に返すべきである。まあ私どももそう思うわけでございます。  そこで一方、農業の現実というものを考えました場合に、規模の高い農家をつくる場合におきましては、やはり第二種兼業とかあるいは第一種兼業の一部の人は農業をやめまして、大きなほんとうに農業をやろうという人に土地を貸してくれることが一番望ましいわけでございます。これは離農促進とかいろいろ問題もある問題ではございますけれども、やはり現実にはそういった施策を進めていかなければ、大型経営ができないというところから、農地地域工業導入促進法等の法律ができているということでございまして、そういった面にもやはり系統資金を使ったらどうかということを考えて、そういった面に系統資金を使えるというふうな改正をしているわけでございます。と同時に、先ほどからお話が出ておりますけれども、農村地域の産業基盤及び生活環境の整備、これもやはり魅力ある農村というものをつくるためには必要だということでございますので、そういった面の資金もやはり系統資金が見たらいいのではないかということでございまして、ある意味では、農業生産の根本的改造という点から見れば、資金措置としては手ぬるいではないかという御批判があるかと思いますが、私どもといたしましては、農政審議会でもいろいろ御審議をいただきましたし、現在の農業金融の直面しているいろいろの問題を解決するために、現在の時点におきましては、これが最善の措置ではないかということで、今般の改正法案を御提案申し上げている次第でございます。

堀本宜実自由民主党

○堀本宜実君 関連でお伺いをするのでごく簡単にお伺いしたいのでございますが、先ほどから工藤委員の御質問に局長が答えておられるのですが、いまの日本の農業というものが、私はいまのような改正の範囲内ではやっていけないのではないか、おいおい行き詰まっていくのではなかろうかという心配を持っている。たとえば資金需要の問題が先ほどから出ているのですがね、資金需要が完全に満たされていない昔は、需要が旺盛で資金がないんだという時代があった。いまはそうでなくて、予定しているだけの金がそれぞれ使われていない。それについては、いま局長からいろいろ機械の一巡化もあろうし、いろいろなお話がございましたが、私はそうでなくて、農業を金を借りてやって、そして元金か利子か、どっちか払わなければいいが、両方、元金も払わなきゃならぬ、利子も払わなきゃならぬという農業が何がありますか。畜産をやればいいのか、あるいは果樹をやればいいのか、いずれをやりましても私は問題があると思う。そして適地適産なんということをいまごろ言いますけれども、適地でなきゃ適産でできないのですよ。農作物というものは、適地に遍歴でなければできないのです。当然なことなんです、これは。適地でなくても、できるものは機械工業でございます。寒くても暑くても若干できる、生産をするのは機械でございますが、天然自然を対象とする農業は適地通産でなきゃならぬ。それがいかにも新発見のように、だれでもが、いつでも使うことばなんですけれども、これは私は当然のことだと思う。それで、もう少し金融のほうでも——いまここで言うと笑われると思います。笑われるような話だと思いますが、笑われるような話というものを煮詰めていくということでなければ、日本の農業というものの大躍進、百歩を進めるわけにはまいらぬと思います。そうでないと答弁をされても——答弁はされますよ。答弁されるけれども、これは化学実験か何かですぐ反応が出るのだったら、私はいまの答弁全部ゼロだと思う。しかし、これ永遠に続いていくから、だれも化学実験をここで直ちにするわけにはいかない。そして皆さん、私らも、はや国会に来て十数年になりますが、最初答弁を聞いて——例の基本法ができた当時には、一町五反つくっていれば、都市の労働者と均衡する所得が得られた。牛を三頭飼うておれば収益性があった。いま牛を幾ら飼わなければ収益性がありませんか——三十頭じゃありませんか。数学じゃないけれども、片一方上げていって、かろうじて答えを合わしているというのがいまの姿でございます。ですから、金利というものは、金を借りないというのは、変なことですが、私は、いまのようなものの見方では、農業というものはよくならない。二分か三分かぐらいにして、八十年も百年も貸しておくという、日本にはあり得ない制度が外国にはあるが、このような、これがいいとは申しませんが……。日本のように、五年か十年かたって払わなければならないような金をもって農業をやれないのですよ。もし私が言うことが間違っておれば、それなら金借りてやって、どういう農業をやったら元金も払え、利子も払えますというものがあったら教えてください。私は基本的に変えなきゃならぬ。これは、人のそういう何を貸してもらってやっているのですから、あまりめんどうなことを申し上げてもどうかと思いますけれども、いま局長の答弁を聞いていて、さように簡単なものではないというふうなことを痛感いたしますので、一言私の意見を申し上げておきたいと思いますが、もしいまの六分も七分も、近代化資金というのはそんなものだが、そんな高い利子をかけて、金を借りて元金も払い、利子も払いしていける農業があったら教えてください、幸いに。もしなければいいです。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいま堀本先生から非常に重要な問題の御指摘があったわけでございます。私どもといたしましても、農業の行政を担当しておるものといたしまして、いろいろ考えさせられる問題があるわけでございます。たとえば、最近非常に情けないと思いますことは、私が農林省に入りましたころは、やはり経営規模の大きい農家ほど生活が豊かであったわけでございます。ところが、最近の農家経済調査によりますと、経営規模が大きいほど家計費が少ない——可処分所得が少ないということは、これは非常に農業がむずかしい時期に直面している端的な数字だと思います。それからさらに自給率、自立農家の問題がございます。現有自立農家は四%になっておるわけでございます。と申しますのは、自立農家の基準が年々上がりますから、年々その割合が減っていってしまうということで非常にむずかしい。今後、日本農業をどうやっていくかということは非常にむずかしいところに直面しているということは、もう先生の御指摘のとおり、私ども日々痛感しているわけでございます。したがいまして、今後金融政策をどう持っていくかという問題でございますが、これはまあ人からばかと言われるようなことに取り組めと、私も先生の言われること非常によくわかります。ただ現在すぐ、それでは二分、八十年がその解決策であるかという点につきましては、まあおことばを返して申しわけございませんけれども、なお、検討すべき問題があるのではないか。それからやはり金融でございますから、コストのある金でございます。そこでそれに対して、国が利子補給すればいいではないかということでございますが、と同時に、政策効果ということを考えました場合に、金利水準全体の体系というようなことも考えないといかぬということもございます。そういったことを考えて、現在の金融制度ができているわけでございまして、私といたしましては、多少外国の金融制度も知っておりますけれども、いまの日本の公庫資金と近代化資金の二つの制度金融を中心と与る日本の金融政策というのは、現在の日本農業に一番合うものではないか。それでは、その金融で、おまえどれが、経営が引き合うのかということでございますが、これにはやはり土地価格の問題だとか、いろいろな問題がございますので、その辺、先生の御指摘を十分、私も全く同感でございますので、今後検討を続けたい。ただ、現状におきましては、今般の改正がまあ現実的で、私どものできるベストのものではないかというふうに考えまして御提案申し上げているわけでございます。先生のおっしゃることよくわかりますので、今後、人からばかだと言われるようなことを、非常に重要だと思います。その場で考えれば、何だ、ばかなことを言っているんだ、ということが、あとから考えれば、たいへん重要なことだということがあるということは、私どもよくわかっております。そういったつもりで今後、農林行政に取り組んでいきたいということで、まあ御答弁になるかどうかわかりませんけれども、答弁とさせていただきたいと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 関連。  いま堀本さんからも御意見があったのですが、裏側から見ますと、農家の負債、ということになってあらわれておると思うのです、結局ですね。元金なり利息の重圧に耐えかねて、結局麦なんかつくっておって手間ひまかけるよりも、出かせぎに行く、日雇いに行くと、こういう形になって農外所得で金利なり元金を戻すという、こういう姿になっておる。これは系統金融に限らず、制度金融も私は同様だと思うのです。で、その点で、各地方自治体で金利の補給をやっているんですね。これのお調べになったものがありましたら資料としていただきたい。つまり現在政府が行なっておる利子、それから据え置き期間、償還年限というようなものには、まだ、先ほども御議論があったように、日本の農業経営の実態に沿わない。したがって、私ども山陰でありますが、やはり地方自治体でこれをカバーする措置をとっておる。先般九州へ行きました際にも、やはりそういう事例を見てきました。しかも、くだものの、工藤さんの地元である大分県を見てきたときに、植えて七年目か八年目の主産地形成をしておるところが、もうすでに出かせぎを始めて、元金や金利の償還に苦労しておる。こういう悲痛な訴えを、部落に入って私ども座談会をやったわけですが、聞いております。  つまり、農家負債の実態を、あなた方はつまびらかにしていらっしゃいますか。その実態はお調べになったものがあれば御提示を願いたいし、また、それについての対策を考えていく上において、今度の中金法の改正のみでは私は、対応ができない。やはり制度金融、農林公庫金融のあり方、その業務方法の内容等についても、これは唇歯輔車の関係にある融資制度ですから、改めるべきであった。この間も、参考人に、その程度の四法改正で御満足ですかといったら、やむを得ないといって参考人はおっしゃいましたが、これはつまり、農林省の意向を無視して、ものも言えない立場の人ですから、そうだろうと思います。与党の人でも、いまあれだけの御発言があるわけでありますから、これは、この程度の法案の改正で対応が十分だと私は思いません。したがって、もう少し負債の実態というものを、あなた方が本気になってお取り調べ願いたい、いかがですか。その資料がありましたら、御提示願いたい。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 最初に、御質問ございました近代化資金等につきまして、各県が県で利子補給をやって、より低い利子で最終の需要者に借り受けができるようにしているのではないかという点でございますが、その点は御指摘のとおりでございます。  そこで、ここに私「農林漁業制度金融」というものを持っておりますけれども、これに各県のそういった現在のいろいろなやっております利子補給についての詳細な資料がございますので、これを提出いたします。  それから、次に、農家負債の問題でございます。私ども、農家経済調査で、常に農家の貯金と借り入れ金の動向がどうなっているか、借り入れ金の中で、いわゆる制度金融と一般の系統金融の借り入れがどうなっているかということは調べでおります。ただこれは、足鹿先生も御承知のとおり、農家経済調査でございますから、数字が平均化されてしまうわけでございます。そこで全般的に言えますことは、現在のところ、農家の二戸当たり預貯金が、借り入れ金を相当上回っております。これは全国平均の数字で申しますと、四十六年の農家経済調査によります一農家当たりの預貯金の残高は百五十八万八千七百円ということになっております、平均が。それで借り入れ金のほうは一農家当たり四十五万五千円、これが全国平均の数字でございます。そこで県別にずうっとその数字を見てみますと、各県とも、平均の数字では、預貯金のほうが借り入れ金より多いということになっております。そこで、この収支が赤字になりますのは、北海道の七ヘクタール以上の農家になりますと、借り入れ金のほうが預金よりも多いということになっております、数字上。もちろんこれは、農家経済調査でいろいろ平均化されますから、内地の府県におきましても、地域によりあるいは経営している作目によっては、相当な借金をしょっている農家があると思いますけれども、全国のわれわれが知り得る数字ではそうなっております。そこで、北海道の農家負債につきましては、道庁と協力していろいろ調査もしておりますし、今般の酪農につきましては、ある程度負債整理について自創資金を使ってやろうというような措置をとることになっております。もちろん個別農家につきましては、内地の府県でも相当な借金を負っている農家があることは私ども承知しておりますけれども、統計数字で把握する限り、そういうことになっております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 これは、十数年前のことなんですが、宮城県に大沼知事という県知事がおられました。私ども懇意にしておった人であります。全販連に職を奉じておった人であったので、私は特に懇意にしておりましたが、その知事さんが、当時県条例でもって負債整理の問題と取り組まれました。その後、あまりこの種の負債問題についての取り組みがどうなっておるかということは、私はつまびらかにしておりませんが、いまの内村局長の御答弁は、農家経済調査の資料をもとにしておるからというお断わりがありましたが、その限りにおいてはそういうことになるでありましょう。しかし、私どもが、現地を回って農民と語る中において出てくるのは、やはり負債を負うた者と負わぬ者との、平均した統計数字の比較ではなくして、現実に負うておる農家が耐えられないと言っておるのでありますから、それに対応するきめこまかないわゆる金融制度なり、長期金融制度なり、短期営農資金制度なりをセットしてやるべきではないか、そういう意味における特別の実態調査を地方自治体の協力を求めておやりになる意思はありませんか。これは私は、非常に大事なことだと思うのです。今後の金融制度を、いまのような農家経済実態調査の中から、それを一つの資料として御判断になるとは思いませんが、そういうことでは非常に危険なことだと思うのです。いわゆるほんとうにこの急所に触れていかない、ほんとうのきれいごとで済んでしまう。預貯金が百五十八万で、借り入れが五十四万、こういうことでは、これはとても問題になりません。四十数万ですか、問題になりません。それは平均したもんですから、各県別に協力を得て、いわゆる農家の制度金融、それから系統金融その他の地方銀行あるいは信用金庫等からいろいろ金融を受けています。そういうものの一大調査をなさって、そうして、なるべくすみやかな機会に長期と短期のセットした金融のあり方、抜本的なあり方というものを講ぜられることが私は必要ではないかと思う。大臣がおいでになりませんが、私は、このたびのこの程度の改正で、農業危機と言われるものがはたして突破できるかどうかということを、非常に疑わしく思っております。その点、御進言になり、御検討になる御所存はございませんか。  関連ですから、これでやめます。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 私どもが農家経済調査を見ました場合に、まず考えましたことは、先ほど足鹿先生から御指摘がございましたように、農外所得でその農業投資を補っているのではないかということで、そういった観点から統計数字を実は吟味してみたわけでございます。そうなりますと、経営規模の零細な兼業の多い農家よりも、経営規模の大きな農家のほうが、よりそういった問題にぶつかっているのではないかということで、実は見たわけでございますけれども、繰り返して申し上げますけれども、規模別に見た場合に、北海道の七町歩以上の農家以外は、農家経済調査による限り、預金のほうが多い。こういう数字になっているわけでございます。そこで、地域別には確かに農家負債の問題のところが内地にあることも私ども承知しております。  ただ、農家負債ということを調査いたします場合には、これは災害が二年も三年も続いたために負債ができた、それを今後どうするかというふうなことに直面している地域もございますし、場合によっては、経営のやり方が悪かったからそこへ負債が残っているというものもあると思います。そこで、そういった調査をするかどうかということでございますが、私どもといたしましては、正直に申し上げまして現在のところ、内地の府県からはそういった調査の直接的な要望はございません。したがいまして、いろいろ関係者とも相談いたしまして、そういった調査をやるかどうかという点につきましては、今後検討させていただきたい、こう思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それでは、私のほうにまた戻りますが、さっき私は、資金需要の問題、特に潜在的な資金需要にこたえられているかどうかということでお聞きをしたんですけれども、その際に、制度資金あるいは近代化資金、系統資金、特に比較的条件のいいといわれる資金でさえも、まだ余裕が若干あるというお話でした。問題はそこにあると私は思うのですね。ある調査によりますと、農家の皆さんがそれぞれ資金を借りておりますけれども、その借り入れた資金の内容を見ると、農協系統が七九%、公庫資金が一六%、民間機関から借りておるのが五%ということで、依然として、何といいましても、やっぱりこの系統の金を必要とするということなんですが、いまお話の農林統計によりますと、かなり高い預金率を示しておるというお話があったわけですけれども、一体その原因は何かということ。もう借りる必要はないかということに、言いかえますとなってくると思うのですね。しかも「農林金融の実情」これは中金から出ております資料で、先日いただきまして見ておりましたら、この三〇ページに「組合金融の経営的特徴と特質」ということで、いろいろと説明が書かれておりました。この中に、各金融機関とのそれぞれのいろいろな比較が出ておりますけれども、その中で注目をしなければなりませんのは、預貸率がやはり五〇%前後であるという統計が出ておるわけでございます。ですから、各委員が冒頭に主張するように、農村から集めた金をなぜ農村に使えないのか、おかしいじゃないかという議論が出てくるのも、まことにそのとおりだろうと思うのですね。そこで私は、これからそういう問題について、いま足鹿先生からもお話がありましたように、今回のこのような法改正だけで、それが可能になるのかどうかという疑問を持つのであります。  この「公庫月報」の、さっきのこの雑誌にも、いろいろ事例が出されおります。花つくりから、畜産から、水稲、それから高知の漁業問題まで出されておりますけれども、これを私は、じっと全体的に見まして、これはもちろん「公庫月報」ですから、公庫が、てまえみそで若干そっちのほうばかり書いているとは思いますけれども、しかし、内容を見てみると、必ずしもそうじゃないわけですね。どういうことが指摘できるかといいますと、ある石川県の竹本さんという方、この方は、新しい稲作経営を目ざしまして、すでに、十ヘクタールを夫婦でこえまして、やがて十五ヘクタールに拡大していこうという。これは典型的な一つの日本の、いわゆる個人経営の成功した例だと思うんですけれども、これを見ますと、当初やはり農地の購入については、農地取得資金を借り入れてきた、これは制度資金ですね。しかし、これは限度額がありますから、ふやしていくためには、二百万の限度額じゃ足らないということから、次に県信連の経営拡大資金にたよる以外ないということで、これまた百二十万円を借り入れた。ところが、この利率が七%で償還期間が十年ということで、これは当時、経営を伸ばしていく一つの過程の中においては、非常に大きな負担であった。で、行き詰まった。そのときに、結局、曙光が出てきた。というのは、総合資金制度が出てまいりまして、この総合資金制度に食いつくことによって、——これはかなり幅広い範囲でいろいろな施策ができてまいりますから、これに食いついて、規模を非常に拡大をしていく基礎になったということが書かれておるわけであります。  それと同時にまた、この人が指摘していることは——もちろんこれは年利五分、据え置き期間が、四分五厘ですかね、二十五年償還ということですが。しかしそれでもなおかつ償還期限や利子に大幅の前進を見なければ、農業経営としては容易なことではない。こういう大きな規模でも容易なことではないということを指摘している。せめて五十年ぐらいに期限が伸ばせないものかという指摘がなされておる。これは実際のこういう大きな個人経営の場合でも、そういう指摘が出てきているわけですね。  そういうことを考えてみますと、いろいろな資金をあらゆるところから借りまして、そうして農業というものを維持していこう、農業で食っていこうという努力をするわけです。ですから、幾つも借りるものですから、それを改善をしていくためには、なるべく資金を集めてあげて、低利の、長期のということがこれは借りやすい条件になってくるわけです。私は、やはりそれは農業金融の場合の基本的な問題だと思うのです。ましてや系統金融が金利が高いと、こうなっていくと、そうしますと、一体それにこたえていくものは何か。もちろんこれはできるだけ金利を安くして長期にやらなけりゃならぬということだけれども、一つの制約があるし、なかなかその壁は破れない。そのためにはどうするか。それぞれ地方自治体あたりで利子補給等をいたしまして、それを使えるようにという努力をしておるのですけれども、それを、より積極的に進めるということが、さっきの足鹿先生の御指摘ではありませんけれども、私は、きわめて重要になってくるのだと。ですから、資金需要が潜在的にあるけれども、借りる条件というものが、なかなかそれが満たされていかないというところに、こういうような漁業資金がだぶついてくるということになるのではないだろうか、もちろん私はそれだけではないと思いますよ。歴史的ないろいろな経過もあるし、農業経営というものが、そう大量の資金を他の工業や第三次産業のようなかっこうにはいかないと思います。ですから、それだけにやはり私はその資金を利用し得るような対策というものが、根本的に考え直されなけりゃならぬのじゃないか。こういうふうに思うのですが、その点についてのお考え方をお伺いしたいと思うのです。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 融資条件を改善して、それからさらに現在の制度金融は非常に金融制度が複雑であるから、これをもっとわかりよくすべきではないかという御質問かと思います。そこで制度金融の融資条件の改善につきましては、いろいろ私どもも努力をしておるわけでございます。もちろん低利、長期というものがいいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、金融でございますからやはりコストのある金であるというところにいろいろな問題があることと、それから政策金融である以上、政策効果を特にねらうものについて優遇するというような必要も出てまいりますので、その辺のところの全体のバランスを考えなければならぬという問題があるわけであります。そこで、公庫資金につきましては、四十八年度におきましていろいろ改善措置をとっております。たとえば総合資金につきましては、これまでは融資率が八割であったわけでございますが、これを今度、特認は九割まで貸せるという措置を四十八年度からとっております。それから近代化資金につきましては、先生御承知のとおり金利を下げるということを、貸し付け金利の五厘下げをやったというようなことで、逐次私どもとしていろいろ努力はしておるわけでございます。そこで今後も一そうこういった制度金融の融資条件の改善というものについては、私どもは努力を続けていかなけりゃならぬというふうに考えております。  それから第二に、どうもいまの制度金融はわかりにくい。いろいろな金融制度があって、どれを借りたらいいのかわからないという御批判、これは私ども、しばしば伺う御批判でございます。そのとおりだと思います。ただ、今日いろいろな資金項目ができた理由につきましては、先生からも御指摘がございましたけれども、やや歴史的背景的なものもございます。それから、さらに金利のバランスということもございますので、私どもといたしましては極力これを合理化して、できれば、資金項目を統合し、さらに融資条件等もわかりやすくというふうに努力はしたいと思っておりますけれども、これもいろいろこういったこまかい金融制度ができますことにつきましては、いきさつもございますので、その辺のところも十分考えながらいま善処したいというふうに考えているわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 まあ制度金融、系統金融、それぞれ受け持つべき分野というものがあると思います。もちろん私はそのとおりだと思うんですが、先日参考人の一楽さんが言っておりましたように、農協特に系統金融が、庶民金融的な性格をかなり帯びていかなければ、やはりこの余裕金については依然として外部のほうに流れていくということになるのではないかという御指摘もあったわけですが、この点についての検討も私は、非常に重要になってくるだろうと思いますが、だいぶん時間もたちましたから先に進みたいと思います。  そこで、これは政務次官にもひとつお聞きをいただきたいのですが、政務次官、ひとつ大臣がいませんから御答弁いただきたいと思うんですけれども、たいへん零細零細とは言ってまいりましたけれども、やはり何といいましても、いま、就業人口でいいましても七百数十万という人をかかえております。しかも、農業は悪いとは言っても、出かせぎ等で農外の収入もかせいできて、それを預金をしていくという傾向がありましょう。そういった意味から、零細とはいいますけれども、やはり十兆円という資金が集められている。ところが、これは昨年の「アフ」の八月号に書いてありましたけれども、一昨年の七月から公定歩合の引き下げが行なわれました。これによって金利の節約額が、たとえば新日鉄で三十四億、鉄鋼で七十四億、化学工業で八十四億、大手商社六社だけで二百億円の実は金利節約が、企業にころげ込んだという指摘をしているわけでありますけれども、そうすると、実際にこれだけ非常に広い資金を集めてきておる農家、しかも資金需要を必要とするのですけれども、その農家の皆さんが借りていたそれが、公定歩合の引き下げによって、一体どの程度のそれじゃ利益を得たのかどうか。これは私は、いまの農業政策の中における金融というものが非常に強調されますけれども、その点については、やはりはっきりと一つの企業と比較してみても、いかに農家の資金需要にこたえていないかというようなことがうかがえるのではないだろうかと思って、関心を持って見たのでありますけれども、その点についてどうでございますか。

鈴木省吾自由民主党農林政務次官

○政府委員(鈴木省吾君) たいへん私に対する御質問は、いま金融の最も専門的なあれでございますけれども、お答えする前に、いい機会でございますから、先ほど来工藤委員から、具体的に御指摘いただきました、あるいは貴重な御意見をいただきましたことについて述べさしていただきたいと思いますが、あわせて関連の委員からも御意見がございました。私ども全く御意見を聞いておりまして共鳴する点が多いわけでございます。金融だけではたして現在の農業情勢が、これで満足なのかという御意見が非常に多かったようでございますが、私ども、そう考えておりません。今日の農業情勢、農基法制定以来の情勢を踏まえて、今日ほんとうに農政というものはさらにきめこまかい充実したものにしてまいらなければならない時期にきておるというふうに痛感をいたしておる次第でございます。しかし、現在の段階として金融四法を提案いたしました考え方は、現実の情勢としては、努力をいたしまして数歩前進したのではないかと一まだ不満足でございます。不満足でございますけれども、さように実は考えておるような次第でございます。一例をとりましても、いまの近代化資金、三十六年ですか、創設いたしました当時は金利は七・五%でございました。今日五・五%まで、数年かかってようやく二%でございますが、下げるだけの努力はしてまいって、その効果をおさめておるような次第でございます。しかし、ことしにおきましても、実は、〇・五%下げる、六%を五・五%に近代化資金を下げるのに、大臣折衝まで持ち込んだというような状態でございます。〇・五%下げるのにそういうような状態でございます。なかなか苦労いたしておるわけでございますけれども、今後とも、こういうような農業情勢でございますから、ほんとうにきめこまかい農政をやり、さらに金融面でも先ほど来お話のように、長期、低利であるべきだというような、そういう点で努力をしてまいりたいと、かように考えております。  それから御質問の、公定歩合の引き下げによって、農業者がどれだけの利益を得たかということでございますけれども、私、数字的にそういうことをよく承知しておりませんけれども、実は、ことしの予算時期には、そういうような情勢であったのですが、最近は逆に今度は金利のほうが上がってまいりまして、実は単協やその他では、目まぐるしい応対に、何といいますか、ついていけないような状態にあるわけでございます。したがって、最近は一たん下がったのが、またどんどん上がっているような傾向でございますので、的確にその数字がどうなっておるかということを存じあげないのでありますけれども、大体は年度初めに下げましたその率で、単協あたりはずっといくような情勢ではないかなというふうに考えております。なお、数字的なことは、事務当局のほうで計算したものがありますれば、答弁をさせたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 非常に計算のむずかしい問題でございまして、私どものほうといたしまして、直接そういった形で計算は実はしておりません。そこで、モデル計算みたいなものをやってみまして、一組合当たりの貸し出し金利が下がったわけでございますから、それが農家の利益になるということで考えますと、大体一組合当たり百二十万円程度の貸し出し金利の収入が減るという計算が出ておりますので、それが農家の利益になっているということでございますけれども、これは非常に一つのモデル計算でございまして、そういうものから全体を推しはかるのはちょっと危険ではないかと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 「アフ」の八月号で指摘していることは、傾向として、これだけやっぱり企業は敏感にその利益を受けているではないか。それに比較して、農村のこの資金の金利からくる受益というのは非常に少ないではないか、ということを指摘しているわけです。ということは、やはり農家自身が借りる必要がないのか、借りられないのか、その点に根本的な原因があるわけでありますけれども。私は、借りたいけれども、借りて農業やりたいけれども、しかしやはりそういういろいろな条件の中から、それが完全に達成されないというところから、このような状態が起こっているというふうに理解しているのです。そういう意味から言いまして、私は、これはまた石井さんの意見に戻りますけれども、公庫月報のこの中にもありますように一農林金融が、具体的に今日まで果してきた役割りの中で、それぞれの分野において、それがほんとうに農業の事業目的と合致をして、その成果をおさめ得たかどうか。あるいは挫折したものがあるとするならば、その原因は何か、こういうようなことをつぶさに検討して今回の改正、とりわけ公庫二十年、中金五十年という機会に、すべてやはり可能な限り、それを検討し直して、洗いざらい出してみて、新たな観点から、この問題に対して対処をすべきではないかという、指摘をされているのでありますけれども、私はそういうことがやはりこの時点においては必要ではないのかと思うのですが、この点はどうですか。もしそういう必要があるとするならば、これは、公庫あるいは中金等を通じまして、政府も一体となってそういう調査を徹底的に洗ってみる、その中で隘路はどこにあるのかということが必要ではないかと思いますので、ひとつ御見解をいただきたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 最初に申し上げましたように、今般の改正法案を提案いたします前提となります農政審議会の金融部会の審議の際は、ただいま先生から御指摘のございましたような、いわば農林金融の原点とも言うべき問題に振り返って十分な御審議を願ったわけでございます。ところが、やはり現実に一つの制度というのは存在している。さらにそれを取り巻く農業情勢というものがあるというようなところから考えて、大体、今度の提案の中には、農政審議会の金融部会で御審議願った主要点は全部大体取り入れてございますので、現状ではこういった改正が現実的なのではないかという立場で改正をしたわけでございます。私どもといたしましても、やはり金融制度の拡充というのは、今後、これで改正ができたから万事終わりだという話ではもちろんないわけでございます。金融制度の拡充につきましては、今後いろいろと努力しなければならない。特に先ほどからいろいろ御指摘になっております今日わが国の農業が直面しているような問題を考えますと、金融制度及びさらにそれをになうものとしての農協のあり方等につきましては、これは十分検討し、さらに今後改善を進めていかなければならない問題がたくさんあるという点は、先生の御指摘のとおりの認識を持っておりますけれども、いろいろな現実を考えますと、今般御提案している改正案が農政審議会の審議の経過等から見ても、一番現実的ではないかという立場で御提案申し上げている次第でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 そこで、私、たいへんこだわるようですけれども、農協の資金が非常に余裕金がある。その余裕金の回し方をどうするかということが中心的な議題になって改正案という——私はそういう、極端に言いますと、とり方がとれるわけですけれども、やはり農業金融の原則というものを踏まえながら考えてみると、農家の皆さんが金を借りられる条件をつくり出してやる、できるだけ。そのためのいわゆる基本的なものは何か、具体的な隘路は何か、こういうことをやっぱりえぐっていかなければならぬと思うんですね。そこで、特に現在の農業政策の中から考えられますことは、確かに金を借りるわけでありますから、全く採算を度外視してどうでもいいんだということでは、もちろんこれはいけません。ですから、農業金融といえども、やはり農業の投融資に対しては、経済効果あるいは資本収益率を見ていかなければならぬということは、私もわかります。わかりますけれども、しかし、あまりにもそれを重視をするということになると、それは、現時点における農業に対する投資ということを根本的に考えてみると、市中銀行的な次元での考え方ではないのか。そうじゃなくて、やはり、現在の農業生産がもっぱら農企業によって営まれる段階に到達していない。その前の段階なんだ、基礎的な条件を整備しつつある段階なんだ。こういうことを考えてみると、資本収益率による投資効果の重視ということは非常に無理な条件ではないのかということを私は考えるわけですね。そういう条件を踏まえながら、さっきから議論をしてまいりましたように、それを補正をしてあげるというのが一つの基本的な考え方なんだ。それと同時に、それを踏まえながら、それでは、なおかつその中で資金を必要とする人たちに対する条件は、これ以上緩和できないのかどうか、借りられるような条件を緩和することはできないのか。その点について、たとえば担保能力の強化という意味において、もっともっと改善をする必要はないのか、この点についてはどうですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 現在、農家が制度金融のうち、公庫資金を借りる場合でございますが、これについては、相当多額という面もございまして、担保あるいは保証人をとっているケースが多うございます。ところが、系統金融の場合には、近代化資金及び系統の一般資金につきましては、県の基金がこれを保証しているということがございます。さらに、今般の改正によりまして一般資金も保険協会の保険に付することができるということで、保証能力の拡充ということをやっておりますし、私どもの調査では、系統資金の特に近代化資金の貸し付けについては、最近担保をとっているケースはほとんどない、保証人をとっているケースはございますけれども。ということで、過去十年前に比べますと、かなりそういった面でも改善が行なわれているということが、私どもの調査ではっきりしております。さらに、金融でございますから必要な金を迅速に貸さなければならぬということもございます。近代化資金は、十年ぐらい前は大体申し込んでから九十日——三カ月もかかるというようなケースが多々あったようでございますが、最近の私どもの調査では、大体申し込んでから三十日以内に借りられるというような形になっておりまして、そういった面でも一歩一歩かなり前進はしているというふうに私ども考えております。といって、それじゃ、いまがすべていいんだということではございません。これらの面につきましても、今後改善につとめなければならない点は多多ございますが、そういった点については十分検討して制度の改善をはからなければならぬというふうに考えているわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それともう一つは、長期間足投資ですね、基盤整備をはじめとして補助金がありますけれども、補助残に対する融資等もあるわけですけれども、そういういまの政策を見てみますと、長期固定投資と、それから短期運用資金というものを、やはり農業発展の過程の中においては、ひとしくやっぱり評価をすべきではないのかという意見がかなりあるわけであります、私どもも、現実にそういうことを知るのです。たとえば基盤整備をする、それに付随をいたしましていろいろな施設をつくります、機械も入れる、こういう段階まではセットになってくるのでありますけれども、それだけでやっぱり農業経営全体としてはうまくいかない。運営資金をどうするかということになると、いま言うように、そういういろいろな長期資金も借りている、さらにそれに運営資金も借りるということは非常にむずかしくなってくる。これは償還の問題なり、いろんな問題が出てくるわけですね。ですから、やはり農業の資金の状態というものを考えてみると、そういったものをやはり一つのセットとして考えていくべきではないのか。その場合に、やはり系統金融というものがどうしても一番身近な営農資金のほうに向けざるを得ない。ところが、こいつは金利が高い、償還期限が短いと、こうなるわけでありますから、やはり、それの措置というものをやる必要があるのではないか。もちろん、これは改善はしてきております。してきておりますけれども、やはり、もっともっとそれをセットとして考えてしかるべきではないか、幅を広げてワクも拡大をすべきではないか。その点はどうですか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 従来のいわゆる信用保険制度では、近代化資金が保険協会の手にかかっていたわけでございます。その結果、その他のいわゆる一般の運転資金的なもの、あるいは若干の生活資金的なものが農業信用基金協会の保証はあっても、保険にかかってないというところから、近代化資金に比べまして借りにくいという面があったことは事実でございます。そういった点も考えまして、今度一般資金のうちで農家経営の改善に資するようなもの、これは一部の生活資金的なものは保険にかけられるということにいたしておりますので、その点についての何といいますか、借りやすくなるという面については相当の改善が行なわれるのではないかと思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それからもう一つ、やはり、これは私ども金融の借りやすい条件として、私、基本的なものだと思うのですけれども、やはり農産物の価格の問題ですね、これについては、やはり御承知のように、消費者物価指数というものが定期預金率をむしろ越えているという状態、インフレの傾向というものが一般化してきているという状態の中において、やはり農産物の価格の一定率の引き上げというものは当然考えてしかるべきではないのか。これはやっぱり農業金融を進める過程の中で、農家の皆さんが借りやすい条件をつくっていく基本的な一つの問題ではないか。投資をしても、やはり農産物の価格が、先般のように米の値段が押えられているという状態の中においては、これは消極化せざるを得ない。ですから、やっぱり私は、そういう一つの価格の上昇ということによって安定化をはかるということも要因ではないか、こういうふうに思うんですが、これはひとつ政務次官のほうですかね、政治的な問題ですから、どうでしょう、基本的に。

鈴木省吾自由民主党農林政務次官

○政府委員(鈴木省吾君) まことに傾聴すべき御意見だと思います。農産物の価格が、一般の物価よりおくれて上昇といいますか、むしろ上昇しない。そのために、いろいろな問題も起こり、実は最近の農家の資金利用率の少なくなったのも、実は米価据え置き以来であることを私も承知いたしております。さようなことから考えますと、確かに、農業者の経済的な向上自体からいっても、私は一般の物価上昇程度のものは、やはり農産物も上昇しないと、農家の経済が農基法でいうほかの産業所得とのアンバランスを来たすことにも相なりますから、そういう点で私は貴重な御意見だと思います。いろんな農業者の問題、あるいは農協の運営の問題、あるいは農業金融全体の問題から言っても、私はさようなことは貴重な御意見だと考えまして、まあここであんまり同感と言うのもどういうことに相なりましょうか。まあ拝聴しておきたいと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 だいぶ時間も下がりまして恐縮なんですけれども、もうちょっと私お聞きをしたいと思う。まあたくさんあるんですけども、要約をして聞きたいと思います。  そのようなやはり貸し付け条件を、できるだけやっぱり早い機会に、できるだけ利用できるような方向に努力をしていただく。これはみんな同じことだと思いますけれども、ただその際に、他のいろいろな関係もありまして、なかなか、金利の引き下げにいたしましても、あるいは償還期限にいたしましても、そうはいきません、というのが、もちろん答弁だろうと思いますけれども、しかしそれをやっぱり乗り越えていかなければ不利の補正ということにはならないと、こう私は思うんですね。ですから、それをやっぱり全力をあげて、まず農林省の大臣直接出かけていって、たとえそれは〇・五%であろうとも、〇・二%であろうとも努力を積み上げていくということは惜しんではいけない。私どももそのための努力は大いにやりたいと思っておるんですけれども、そのことを申し上げておきたいと思うんです。  そこで若干具体的に一、二お聞きをしたいと思いますが、今度の改正の中で、特に金庫法の中で貸し付け業務の拡充ということで改正がなされておるわけでありますが、この中で、本来業務である所属団体に対する貸し付けのほかに、余裕金運用として幾つかの貸し付けが、もちろん今日までも認められてまいりましたけれども、それが本文の中に入りまして、ワクが拡大をされているわけでありますが、その中で第一の直接貸し付けですね。その場合に、代理業務として単協が窓口になって行なうということでありますけれども、これはあくまでも、単協あるいは県信連を補完をするという意味の立場を貫いていかれるのか。そうだとするならば、その単協とそれから県信連等との事務の調整というものはどのようになるのか、ちょっとその点についてお伺いをいたしたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、今度の改正で農林中金が行なうことができることになります農業者に対する直貸は、信連、単協では応じ得ないような大口の資金需要に対応するということを考えておるわけでございます。その場合に、先ほども御答弁申し上げましたけれども、系統金融というものは、やはり単協、信連、中金という三段階でやっておりますので、中金がいきなりその末端に出ていくということは、これはいろいろな系統金融の混乱をもたらすことにもなりますので、窓口は単協にやってもらう、資金は中金が供給する、で、その場合に、中金、信連、単協の意向を十分調整するために融資協議会のようなものを設けさせまして、そこで十分相談して、あまり無理がなく、系統金融として無理がなく、しかも農家のそういった大口な資金需要にこたえ得るような体制をつくりたいということを考えておりまして、この点につきましては、農林中金においても現在いろいろ検討中でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 二番目のこの主務大臣の認可を受けるものという項があるようですけれども、この中で、たとえば施設法人、関連産業法人に対する貸し付けはいままでは別ワクとなっておりましたけれども、これを本条文に基づく貸し付けとすると、こういうことになってきたようでありますけれども、その場合のいわゆる貸し付けの基準あるいは条件というようなことはどういうことになっていますか。農林大臣の認可を受ける場合の貸し付けの条件。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 関連産業貸し付けの場合には、いろいろな基準等について認可をするわけでございます。しかし、一々の個別貸し付けの金利というようなものは、やはり中金が独自の判断で行なうということになるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 次に、農山漁村の整備向けの法人貸し付けというのが出ておるわけでありますけれども、具体的にはどういう範囲の地域開発事業を実施する事業主体を対象とするのか、その点の内容について御説明いただきたい。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 農林中金の融資対象である農山漁村において産業基盤または生活環境の整備を行なう事業といたしましては、次のようなものを想定しております。  第一は、農林水産業の生産基盤の整備及び経営構造の改善に関する事業といたしまして、具体的には、圃場、農道、用排水施設、林道、漁港、農業機械化センター、農林水産物の加工流通施設等の整備というものでございます。  第二には、いわゆる生活環境整備に関する事業でございまして、上下水道、ガス供給施設、道路その他の輸送施設、医療、保健、教育、文化、老人福祉施設、体育施設、廃棄物処理施設等の整備ということを、生活環境に要する資金を貸せるようにしたい、こう思っております。  それから第三は、いわゆる農山漁村地帯における産業基盤の整備に関する事業でございまして、商工業等の用地、工業用水、運輸施設、職業訓練施設、勤労者住宅、これは進出企業の事業場の整備と関連しての勤労者住宅でございますが、そういったものを融資の対象にしたい。  それから第四番目といたしまして、自然環境の保全及び利用に関する事業、すなわち治山治水及び公害防止施設、自然公園、それから農林省がいろいろやっております自然休養村等の整備というようなものに融資をできるようにしたいというふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それからもう一つは、経済社会の発展をはかる見地から、金庫が貸し付けをするということが適切と認める法人で、命令で定めるものに貸し付けを行なうことができると、こういうことになっているわけでありますけれども、これは衆議院の議論の中でも、この議事録を見ますと、たとえば丸紅とか、そういうような関係でずいぶん議論が戦わされてきたようでありますけれども、この項目というのは、一体どういう範囲のものをさしているのか、その点について御説明いただきたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) まず「経済社会ノ発展ヲ図ル見地」とは、具体的にどういうことを考えているかということでございますが、先ほどからもいろいろお話が出ておりますように、わが国経済の高度成長が経済的繁栄をもたらした反面、社会資本の立ちおくれや、公害その他の社会的なひずみを生じておることは申し上げるまでもないことでございまして、こういった面にも十分配意して、充実した経済力にふさわしい国民生活実現のための社会的な基盤を整備して、豊かな社会をつくらなきゃならぬということが言われているわけでございます。今度の「経済社会ノ発展ヲ図ル見地」というのは、まさにそういったことに合うような事業というものについて融資をしたいというふうに考えておりまして、法律にもございますように、この貸し付けにつきましては、主務大臣の個別認可でやりたいと思っておりますので、こういった事業にふさわしい、もっと端的に申しますと、公共的な色彩の強い事業というものに貸し付けるようにしたいというふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 そうすると、さっき私が質問いたしました主務大臣の認可を受けるものとあまり大差はないと、それ以上さらに大きく幅を広げるということになるわけですか。いまの説明によりますと、かなり広範なものになってきて、ちょっと判定が私どもむずかしいような気がするわけでありますけれども。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) こういった規定が入ったからといって、私どもは、農林中金を、一般の都市銀行あるいは地方銀行と同じようにどこでも貸せるというところまで、中金に能力を付与することは全く考えておりません。したがいまして、この経済社会の発展のための貸し付けというのは、中金に非常に金が余ってまいりました場合に、いわば中金として中金に集まってくる資金の運用という点から考えて、どうしてもこういった面に、いわば緊急避難みたいな形で貸し付けなきゃならぬという場合の貸し付けとして考えているわけでございますから、したがいまして、貸し付け先も、あくまで公共的な色彩の強い社会経済の発展、特に、社会資本の充実に役立つようなものに貸したい、ということを考えておりまして、一般の都市銀行や地方銀行と同じように、どこでも貸せるんだというようなところまでの運用というものは全く考えておりません。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 いまの御答弁を私信用していきたいと思うんですけれども、今回の、この改正が特に中央金庫の場合に、その業務内容について、為替業務あるいは預金の外部からの受け入れ、こういうものについての改正によって、従来から言われてまいりました一般金融機関に比較をいたしまして、非常に立ちおくれがあったと、したがって、そういう金庫の機能、あるいは業務の充実をはかることによって、余裕金の運営なり全体的な系統金融の運営を円滑にしていこうと、こういう趣旨については私もわかるのでありますが、ただ、いまもすでに局長からお話がありましたように、この金庫のこれからの組織、機能というものが、全体的に系統金融に対する調整の役割りというものは一体どういうようなかっこうで持っていかれるのか、それは、やはり全体的に業務の拡大によって、一般金融化していくということがはたしていいのか悪いのか、まあ基本的な問題にも私は触れてくるだろうと思いますけれども、そういう点についての疑問が若干残るのであります。そういう点については、いま局長お話がありましたけれども、特に本来的な任務をやはり主にしながら、やはりそれを補完的に広げていくということに解釈をしてよろしいわけでございますか。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 農林中央金庫の機能といたしましては、まず第一に、会員のための金融、会員間の資金調整をやるということが、これが第一の大きな使命であることは御指摘のとおりでございます。第二に、農林中央金庫の一つの機能といたしまして、系統金融を代表して外部経済に接するという面があるわけでございます。今日、金融引き締めの結果、預金準備金制度、あるいはこれはまだ実現しておりませんけれども、貸し出し準備金制度等が問題になっております。そういった、いわば国の金融政策につきましては、系統金融については中金がそれを一手に引き受けて金融政策に協力しているというようなことで、外部経済に対する接点というところに、中金の一つの機能があるわけでございます。  そこで、今後それじゃ中金のあり方はどうか、特にあとのほうに重点が移るのではないかという点でございますが、私どもといたしましては、やはり会員に対する円滑なる金融の供給というのが、これがもう中金の果たすべき当然第一の仕事であるということはちっとも変わっていない。したがいまして、今度の改正で、関連産業貸し付けその他、従来余裕金の貸し付けで法令上書いておりましたものを、新しく規定を起こしましたけれども、それも本来の業務を妨げない範囲においてということははっきり明記しているわけでございます。それから、ただいまも御答弁申し上げましたけれども、関連産業については基準について一々認可にかけていくと、それから新しくただいま問題になりました社会経済発展のいわゆる緊急避難的な貸し付けにつきましては、対象法人についてその性格を包括的に命令で定め、さらに個別具体的な法人について主務大臣の指定または認可によってこれを行なうということを考えておりまして、中金の本来の性格が今般の改正で変わったということは全然ございません。従来どおり、農林水産業関係の協同組合の中枢の金融機関としての役割りというものは従来と同じでございまして、ただ外部経済との接点その他の問題について、多少融資範囲を広げたり、あるいは事務面において改善を加えておりますけれども、それは現在の系統金融に対する組合員の要請その他、非常に多様化した要請に基づくものでございまして、決して本来の性格を踏み出したものではないというふうに私は確信している次第でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 もう一つ、単協の問題について一つだけお聞きをしたいと思うのですが、農村の都市化によりまして、その資金の内容あるいは組合員の変質あるいは準組合員の増大、こういうようなことによって一般金融機関化しているという指摘がかなり出てきておるようでありますけれども、これは農業協同組合としての趣旨から申しましても問題が出てくるわけでありますが、こういう点については、農政審議会あたりも、かなり、たとえばそういうような場合にはもう信用組合にすべきだとか、そういうようなことが意見として若干出されてきておるようでありますけれども、将来の問題としてこれらの問題がいずれ大きな問題になると思うのですけれども、その点に対する考え方をお聞きをいたしておきたいと思います。

内村良英農林省農林経済局長

○政府委員(内村良英君) 最近の都市化の進展によりまして、非常に都市化が進んでいる地帯では、その地域の農協が農協らしからざる農協になっているものもございます。それがいわゆる都市農協のほうの問題でございます。で、そういった都市農協は、農業がどんどん縮小していくわけでございますから、農業面に対する貸し出しは当然縮小する。そこで地域の商工業者あるいはサラリーマンが準組合員ということで、組合に参加いたしまして、そういった人々に組合として組合員貸し付けをやっているというケースがあることも事実でございます。そういった態様になっている農協は、すでに農協ではない。それはむしろ市街化信用組合のほうに切りかえていくべきではないかという意見が一部にあることも私どもは承知しております。しかし、この問題はなかなかむずかしい問題でございます。というのは、今日まで農協として育ってきたという歴史を持っております。それを都市農協であって、と同時に、さらに、それを信用組合ないし信用金庫に切りかえるというようなことになりますと、既設の今度は金融体制の秩序の問題とも若干関係ないわけではございません。そこで、そういったことを踏まえて、一体こういった都市農協というものはどういうふうにしたらいいかということにつきましては、ことしから発足いたします農協制度検討会で検討をして、なるべくすみやかに結論を得たいと思っておりますが、これはなかなかむずかしい問題でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 大体これで終わりたいと思いますが、たいへん最後のほうを集約してしまいましたので、若干混乱をしてしまいましたけれども、私一貫して申し上げてまいりましたことは、再三申し上げますように、農業には、農業としてのいろいろな不利な条件があるわけです。それをかなえてやるためのやはり補完的な制度なり、それを強化をしていく対策が必要だ。農家に私は資金需要がいま非常に消極的になっているけれども、潜在的にはかなり旺盛なものがあるだろう、こういうふうに判断できるわけでありますから、できるだけ借りやすいような条件を整えてやる。こういうことがやはり農林金融の基本でなければならないと、このように私は思っているわけでありまして、この点については、ぜひ農林省としても、より積極的なたゆまぬ努力というものを私は要請をいたしたい。  そういうことで、たいへん時間も長くなりましたけれども、最後にそういう点を申し上げて、この点は局長、政務次官のほうからひとつ決意のほどを御披瀝をいただきまして、質問を終わりたい、このように思います。

鈴木省吾自由民主党農林政務次官

○政府委員(鈴木省吾君) 先ほどもちょっと御答弁を申し上げましたが、日本の農業自体からしても、一般の鉱工業等のような生産性の向上ということはむずかしいのでございますが、とりわけ日本の農業というものは、土地条件その他歴史的な経済的な制約がございまして、非常にそういう面では、生産性の向上あるいは構造改善というものが早急にできるような状態にはないわけでございます。したがいまして、それに対する農政のあり方というものは、先ほど来工藤さんから御指摘のあったとおりだというふうに感じている次第でございます。そういうような中における日本の農業金融の問題、これまた十分政策的に援助、応援をしたものでなければならぬということは、私ども考えているわけでございます。しかし、現実の問題として、今日提案したような状態にございますけれども、これで十分だというふうには私ども考えておりません。今後もお説のように努力をしてまいりたいとかように考えている次第でございます。

亀井善彰自由民主党

○委員長(亀井善彰君) 四案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会      —————・—————

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