農林水産委員会 第12号
- 発言数
- 175 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/06/14
会議録
○委員長(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題としてこれより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○佐藤隆君 金融四法の質問をさせていただきますが、その前に一点だけ政務次官にお尋ねをいたしておきたいと思います。 戦後、世界に類例のない高度成長を遂げたということは私が申すまでもございませんけれども、その過程には、農業あるいは農村が労働力、土地、水資源、そうしたものを大量にまた急速に非農業部門へ移動させながら、国民食糧の安定的供給につとめてきた、そして国民経済の目ざましい発展に寄与してきた、こういう経過があるわけであります。しかし、このようなメカニズムの中での成長に限界があるのではないか、こういうことで、これをあらためて見直そうと、軌道を修正することが急務である。こういうことが公害問題等とあわせて最近の大きな政治的課題になっているわけであります。農業、農村サイドから見ましても、先般の農業白書が指摘しているとおりに、農業生産の停滞やらあるいは農業所得の減少、また土地、水資源など非農業部門との競合が激しくなっておる。それから地価が高騰しておる。農業就業者は老齢化しておる。後継者問題、後継者の確保に非常に困っておる。こういうようないろんな問題が出てきておるわけであります。そういう意味で、この際、農業、農村の健全な発展はもとより、食糧政策それ自体ほんとうに不安のない農政を考え直すべきときにきているのではないか。農業を健全な産業に発展させる、仕立てなければ国民生活の安定もなければ、国民経済の均衡発展、こういうこともあり得ないと、こう思うんです。そこで基本問題にも触れることになりますが、所感を述べながら伺いたいと思うんです。 まあ今日多少国際分業論は影が薄くなった感がございます。世界の食糧事情の逼迫、こういうことで国際分業論はなくなったかのごとく見られておりまするけれども、安易なコスト計算それだけを考えた国際分業論が全くなくなったというわけではないと思います。これはやはりこうした時期にはっきり断ち切っておく必要がある。それから国民食糧の安定的確保、こういう大きな問題を解決するために、長期目標ですね、需給目標、この長期目標をやっぱり改めて早く立て直す必要がある。これが農産品自由化のある面では一つの歯どめにもなる、こういうふうに私は考えるわけです。もう一つ国民食糧の安定確保のために地域分担、これもずいぶん前にいわれて、四十五年の十一月ですか、十二月ですか、三地域、十四ブロックに分けてのガイドポストが示され、その後の作業がどうも遅々として進んでおらない。長期目標と地域分担——需要供給の長期目標と地域分担、こうしたことを早くもっと明確にしなければならぬのではないか、こういう問題。それから次には、優良農地の確保とかいろいろな問題がいまいわれております。あるいはまた、地価、土地政策に関連して農地の問題もいろいろいわれておりますが、優良農地の確保と基盤整備という観点から、いままで農林省も検討してきた農地制度そのもの、これもこの際考え直さねばならぬぞということであります。特に所有権と利用権の分離の問題、このことについて結論をひとつ急がなければならない時期ではないか、こう思います。その次には、農民生活と農業、農村をあわせ考えた農山漁村の産業基盤と生活環境の整備、これも早急に解決していかなければならぬ基本問題の一つだと思います。 こういういま申し上げたような農政の一つ一つの柱を農政として展開していき、解決をはかっていかなければならぬと思うんです。そしてその裏打ちは財政と金融がこれを裏打ちしていく。特に農業金融の議論もいま申し上げたような政策の推進、方向づけと相まって議論するのでなければ、農業金融を議論したって始まらぬと思うんです。そういう意味で、金融四法とはちょっとかけ離れた面もありますが、基本的な問題、これを最初にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木省吾君) ただいま佐藤委員から御指摘がありましたように、今日の日本の農業事情あるいは農村の事情は御承知のように、急速に変貌を遂げてまいっております。さようなことでございますので、新しい観点から、そういう情勢に対応した農政が必要であることを私どもも痛感をいたしておるわけでございます。その一つとしてあげられました国際分業論をどう考えるかというような御指摘が一つございましたけれども、これは先般農林省といたしまして「農産物需給の展望と生産目標の試案」というものを学識経験者等にも御参加いただきまして、五十七年度を目標に国内の需給の試案をつくっておるわけでございます。すでに佐藤さん御承知だと思いますから、内容等は申し上げませんけれども、そういう観点に立ちまして、いたずらに国際分業というような観点でなくて、国内で安定的に食糧を自給していこうという考えでまずやってまいりたいと、かように考えております。 さらに、その展望に立って国内でどうするかということでございますが、これも御指摘のように、地域分担、地域指標というものを一昨年ですかつくりまして、これは全国十幾つかのブロックに分けて、まず目標をつくったわけでございますけれども、これをさらに県段階、あるいは将来は町村までいくかどうか、そこまでいけばけっこうだと思いますけれども、あるいは県の各ブロック等の段階まで早急におろしまして、適地、適作と申しますか、そういう考えでいまの長期展望、あるいは農産物の需給の内容を充実してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。 さらにまた、優良農地の点がございましたが、今日御承知のように、たいへん土地の売買、特に農業者以外からのそういう面が非常に多いわけでございまして、農林省としても非常に苦慮をいたしておるところでございますが、そういう事態に対応して、いかにして規模拡大なり、あるいは専業農家、自立農家というものを育成するかということを実は苦慮をいたしておるわけでございます。そういう面からいって、農地面で非常に今日困難な事態に立っておりますけれども、団地営農等を通じまして新しい事態に対処していきたい。それには農地法というものも、いままでのような考えでなくて、ある程度やはり検討しなきゃならないんではないかというようなお説のあることも、十分私ども承知をいたしておるわけでございます。団地営農等を進めてまいる場合に利用権、あるいは単なる所有権でなくて、その利用をどうして進めていくかということになると、当然農地法等の再検討も迫られてくるのではないかと、かように考えておりますので、今後十分皆さんの御意見等をお聞きしまして、検討してまいる時期があるかと思う次第でございます。 さらにまた、農村が今日依然としてやはり国民の大部分の生活の基盤でございます。さような基盤をいまのような状態にほうっておいていいかということになりますと、さようにまいりませんので、実は農林省として、御承知のように、今年から、生活環境の整備の予算を皆さん方の御努力によってとっていただきまして、本年からスタートするわけでございますけれども、そういう事業を通じて、生活基盤そのものも、農村と都市と格差のないような、そういう基盤を今後つくってまいりたいと、かように考えておりますが、そういう一連の考え方をもちまして、これからはほんとうに農村が、国内の食糧の安定的な自給をするとともに、農業者がまた経済的にも安定するような状況をつくってまいり、さらにはまた、農村生活そのものが農村の生活者の住みよい場所であると同時に、国全体の緑なり、あるいはきれいな空気なり、あるいはきれいな水なり、国土全体の保全の仕事も果たしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。そういう観点から今後農政をやってまいらなければなるまいと、かように考えておる次第でございます。
○佐藤隆君 いま、考え方についてお答えございましたからこれ以上触れませんが、事務当局で進められる問題がたくさんあるんです。農地制度研究会、これもいろんな層の人を集めて研究を進めているのです。その結論を急ぎなさいと、こういう意味なんです、私の聞いているのは。 それから地域分担、これも各県につくらして、上からかぶせた網と、下から積み上げたものと重ねてみて、どうなるかということについて進めなさいと。これは官房長の所管でありますが、官房長はきょうは来ておりませんから、また時間もありませんから、ここでは申し上げませんが、事務的に進められることは進めなさいという意味であります。 それから食糧の需給関係についても、最近のFAOの警告、世界的な異常な気象条件、こういうことについての農産品の問題、もう北半球は冷めたくなっている。アイスランドでは二、三年前から農業をやめてしまっている。こういう一連の気象条件等も加味した、そういう動き等も加味しながら、需給というものを長期的にどう立てていったらいいのだろうか。七、八年周期説をどう加味していったらいいのだろうか。そういうことをもっと詰めたものを、やはり事務的にこれはできることですから、国民の前に明らかにすべきであると思うわけでありまして、これは御注文だけ申し上げておきます。 金融四法について総括的にちょっとお尋ねをいたしたいと思いますが、最初に系統金融と制度金融の分野調整の問題、このことについて農林省としての考え方というか、指導方針というか、そういうものをひとつお尋ねをいたしたいわけであります。 系統の資金力が充実してきた現在、利子補給や信用補完制度の拡充整備が必要である。具体的には系統のベースに乗せ得るものは、積極的に系統の専管分野にある程度のめりはりをつけていくべきではないか。そうして公庫等の政府資金、いわゆる制度資金は、民間金融の手の届かない部分に集中させる。私は、やはり農林金融の主軸というものは系統金融である、そうして制度金融はこの系統金融の足らざるところを補完する立場にある。こういうふうに私は考えるわけでありますが、内村局長いかがですか、簡単に答えてください。
○政府委員(内村良英君) 系統金融と制度金融の分野調整の問題につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたように、農業金融の基本は系統金融であり、その系統金融が融資ができないような分野について制度金融がこれを補完していくということは、先生の御指摘のとおりでございまして、農林省といたしましても、そのような考え方で農業経営に対処しているところでございます。
○佐藤隆君 最近よくいわれていることでありますけれども、農民、農村、農業の資金を、農村、農民、農業にやはり還元すべきである、こういう議論がいろいろあるわけであります。そういう意味から、今度農業近代化資金制度、あるいは農業信用保証保険制度の拡充改善が行なわれる。また、農林中金が農林漁業者に対して直接貸し付けの道を開く。あるいはまた、農協と農林中金に農村地域整備 〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕 のための金融機能が新しく与えられることになる。これは私は非常に評価をします。けっこうなことだと私は思いますが、将来の問題として、もう一歩踏み込んだ形で意見をちょっと申し上げておきたいと思うわけです。 いまのままでいいとは——まあ今日現在では、これで一歩前進でありますが、将来の問題として、たとえば農業近代化資金のうち、政策的な支援を要するそういう特定用途の貸し出しですね、たとえば畜産振興資金だとか、いろいろそういう特殊な政策目的のものが出てくると思います。これからもまた出てくると思います。そういうものに対する利子補給、これはやっぱりもう少し厚くしたらどうだとか、そういう利子負担軽減の問題、そんなこともやっぱり将来の問題として引き続きひとつ、ここで一区切りはしますが、引き続きひとつ考えていただきたい、こう思うのです。あるいはまた、別にここで郵貯との議論をしようと思いませんけれども、農協が庶民金融の使命も果たしていく、そういう考え方からして、日常の組合員の生計資金あるいは子弟教育のための資金、そういうものも保証保険の対象とするとか、これも将来の問題として考えなければならぬのではないか。そして、農村における農協の庶民金融の一そうの使命を果たしていくというようなことも必要ではないか。そのほかにもいろいろあると思いますが、そんなことを私は考えるわけですが、いかがですか。
○政府委員(内村良英君) 今後の農業金融の展開につきましていろいろ先生から問題点の御指摘があったわけでございますが、私どもといたしましても、今般の改正によって一歩前進、その後の農業金融をどう展開していくかということは、やはり農村なり農業の情勢の変化というものに対応しながら、金融というものが十分それに対応するような形でついていかなければならぬというふうに考えているわけでございます。 具体的に御指摘のございました近代化資金について、政策の目的と申しますか、資金項目によって金利を多少違えるというような、政策的な色彩をもっと出していくべきじゃないかというような御指摘があったわけでございますが、そうした点につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり農業金融の基本は系統金融であり、その足らざるところを制度金融で補っていくというふうに考えました場合に、やはり近代化資金というものは系統金融の融資を円滑にするための一つの制度であるということの立場で考えますと、現在のところでは、資金項目と申しますか、政策的なねらいによって金利を変えていくというところまでは踏み込めないのではないかというふうに考えているわけでございます。
○佐藤隆君 まあ前半は答えていただいて、後半は答えていただかなかったようでありますけれども、保証保険の問題あるいは庶民金融という、農山漁村における庶民金融の徹底方ということについて簡単に、私も、ことばは足りなかったかもしれませんですけれども、私の提言としてひとつ聞いておいていただく、それにとどめておきます。 次にお聞きしたいのは、系統三段制の問題についてちょっと触れておかなければならぬと思うんです。これはこの間も参考人をお呼びいたしましたときに一応触れましたけれども、この際、農林省の指導方針、そういうものを聞いておきたいと思うんです。 で、系統の原資というのはやっぱり農協貯金です。これが非常に定期性が高いのですね、中身を見ますとね。直接コストは非常に割り高である、その半面人件費等の間接費が相対的に安い、そういう一つの原価構成をつくっているわけですね。しかし人件費の上昇というのは、これは理屈抜きにして、趨勢ですね。それから、米の生産調整なんかによる減収だとか、いろんなことで、他部門からの収支圧迫というものが相当加重してきているんじゃないかと思うんです。そういうことで農協の経営が何かだんだん苦しくなってくるんじゃないか、こういうことをわれわれ考えるわけですね。そういう意味で、これらの改善をしなければ、信用事業のコスト低下という問題はこれは期待できないと思うんです。ですから、まあ農協の経営問題という、これは大きな問題です。しかし、これをどうこれからきわめていくか、大量の資金を幾らかかえておっても、これを効果的に活用できなければまたしようがありませんしね、そういう問題もありますね。そういうことで、系統各段階にわたって、結局三段制の問題になりますが、各段階にわたってやっぱり体質改善という観点からの総合的な合理化、これをやはり考えていかなければいかぬのじゃないか、こう思うんです。この議論はもう従来からいろいろされてきたですね。議論されてきましたが、やはりこういう機会にこれを避けて通るというのはどうかと思いますので、この間も参考人にはちょっとお聞きいたしましたが、農林省のこのことについての指導方針、これをひとつ承っておきたいと思うんです。
○政府委員(内村良英君) 系統金融のコストの問題、あるいは現在単協、経済連、全農が直面している全国団体の、農業の全体が直面している問題等につきましては、ただいま先生の御指摘のあったとおりだと思います。たとえば具体的に申しますと、資金コストにつきましては、単協の資金コストは、相互銀行あるいは信用金庫よりも若干低いというところでございますが、信連、中金になりますと、必ずしもコストが三段階制の結果、安くないということになっておるわけであります。こういった現在の農業協同組合が直面している、あるいはそれに関する農業金融、系統金融が直面している問題につきまして、三段階制の問題は、先生御指摘のように、いろいろ検討しなければならぬ多くの問題を含んでいることは、そのとおりだと思います。ただ、この問題につきましては、御承知のとおり、系統の仕事というものは、農基法ができまして以来、ずっと三段階制で運用されておりますし、それによって、一つのまた存在意義を持って今日に至っておるわけでございます。したがいまして、非常に重大な問題でございますから、この際これをどうするかということにつきましては、慎重に検討を要する点でございます。 そこで農林省といたしましては、四十八年度予算を組みまして、農協のいろいろな制度的な問題、その他についての検討会を開きたいと思っております。そこで、その検討会で、学識経験者あるいは実際に実務を担当しておられます農協の関係の方々の意見も十分に伺いまして、この問題に真剣に取り組んでみたいというふうに考えておるところでございます。したがいまして、この段階で、たとえば二段階制にすべきであるとか、現在の三段階制を、こういうふうに変えるべきであるというふうなところまで申し上げるだけの段階に達しておりません。
○佐藤隆君 おっしゃるように、これはやはり慎重に——避けては通られないんだと私は指摘しましたが、慎重にやっぱりやらなければいかぬと思うのです。この間も参考人にも申し上げたけれども、性急にこの段階制の問題を、結論を急ぎますと、急ぐということは私は、むしろ系統のために危険がある。こういうふうにも考えておりますので、急いで何でもかんでも結論出せという意味じゃ毛頭ございませんから、誤解のないようにしておきたいと思いますが、いずれにしても、そういう検討会ができるのはけっこうです。 検討会というのはいつからやるのですか。
○政府委員(内村良英君) 八月か九月ごろから始めたいと。そこで、私どもの計画では、これ非常に重大な問題でございます。単に三段階制の問題だけではなしに、たとえば、都市農協の問題、その他営農指導の問題等いろんな問題がございますので、二年ぐらいかけてこの問題を検討してみたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
○佐藤隆君 構成メンバーは、当然学識経験者とかそういうものが中心で、公平な議論ができる場をつくろうということだろうと思いますが、ひとつ二年なら二年というめどで、十分慎重にひとつりっぱな結論を出していただきたい。お願いをいたしておきます。 系統あるいは農協の問題をちょっと触れましたので、総括的な問題としてもう一つだけ。これはあまり答弁は期待しないで、私の提言という形で申し上げておきたいと思いますが、いまの農協は、多面的、多角的に、いろんな仕事をかかえて、農協本来の事務というものが、おろそかになっているのではないか、こういうことが言われているのです。これも検討会の中にも当然出てくる問題だと思います。何か最近の農協というのは経営主義に片寄っている、こういうことも言われております。そうして、原点に帰るべきではないかと。これも参考人に先般お聞きした点でもありますが、やっぱりこれからの食糧政策の中で、農協が果たしていく役割りというもの、新たな使命というものがあるのじゃないか。それはやっぱり食糧の安定的供給、いいものを安く、品質の規格が統一されたものを適切に——もう複雑な市場メカニズムの中に荷受け機関に出荷する、生産をして出荷をする。まあこういうことについて、私は、何か、実質的に米や麦は食管制度がありますから、契約栽培的なものになっていると思うのですが、ほかの農産品も——まあ適当なことばが私見当たらないでいま弱っているのですけれども、契約栽培的な方向でこれからの生産体制というものを農協自身が新たに考え直していかなければいかぬじゃないかと私は思っておるのです。そしてなるべくむだのないようにする。豊作貧乏なんて言ってるのは、やっぱり日本だけじゃないかなという気もするのですよ。ことしキャベツがよければ、タマネギがよければ来年はだめになる。再来年は、去年だめだったからやめたということでやめていると、一部の人がつくって、その人がまたもうけたと、こういう悪循環ですね。これはかつて豚でも——養豚の場合もそういう経験がある。いろんなことでそういう経験を経てきておりますから、もう少しむだのない——それには相当農協自体が、生産組合としての本来の機能というものを持たなきゃならぬ。この間も、系統機関の方からちょっとお話は聞きましたけれども、あまりはかばかしくはありません、はっきり言って。この点については、農林省が相当積極的に、まあ契約栽培的という名前が、いい悪いは別として、そういう方向で、農協かくあるべきという指導方針を、やっぱりぴしゃっと立てなきゃいかぬじゃないですかね。まあ下から盛り上がってくるのを待つのもいいですけれども。かつて、タマネギやバレイショのために、ストックポイントをつくろうと思っても、経済連で引き受け手がなかなか見つからないなんていうことも、これは私が農林省にいるときに経験していることです。だから、そういう意味でもっと積極的な指導を、こうした面についての農協本来の、生産体制についての新しい取り組み、使命、こういうことについて積極的に指導する必要があると思うのですよ。もしお答えいただけるならば……。
○政府委員(内村良英君) 農産物の流通面におきまして農協の果たすべき役割りは非常に大きいわけでございます。特に流通の合理化というようなことを考えました場合に、系統組織というものの果たす役割りは大きいわけでございまして、系統組織におきましても、最近におきましては、特に営農団地の育成等を通じまして農業生産の組織化に取り組んでいるわけでございます。そこで、そういった営農団地をつくり、さらにそれに関連して共同利用施設をつくる、それを通じて市場に出荷していくというような、かなり積極的な取り組みを見せておりますし、同時に、そういったことをやっていきます場合には、やはり営農指導——まあ契約栽培までいけるかどうかという点につきましては、いろいろ検討すべき問題もあるのではないかと思いますが、営農指導ということはどうしてもやらざるを得ないということで、営農指導員の増員もはかられております。さらに農林省といたしましては、こういった営農指導員の再訓練と申しますか、そのトレーニングというようなことにつきまして補助金を出してそれに援助するというようなことで、私どもといたしましても、こういった農協の動きというものはこれは助長するような指導をしなきゃならぬということで、現在そういった点の強化というものには十分力をかしたいというふうに考えておるところでございます。
○佐藤隆君 それでは具体的に農林中金法についてお伺いをいたしておきたいと思います。 まず最初に、農林中央金庫法が五十年経過したこの期に行なう議論でありますから、目的、性格、そういうものをひとつはっきりさせておくべきだと思うのです。そういう意味でお尋ねしておきますが、かつて新聞報道でもちょっと出たかと思いますが、財界の一部の調査機関で意見が出たこともあったように記憶しておりますが、農業関連産業とか、そういうアグリビジネス、そういうものを中心対象とした長期信用銀行、これにかわっていくべきではないかと、こういう提言があったことも記憶しているわけです。また一面、系統団体、まあ農林中金の構成団体の一部である信用農協連、あるいは単協、そういう系統の部内で信用農協連の全国連合会、そういうことでどうなんだろうかというような意見が出たことも聞いておりますし、どういう経過で、特殊法人として存続の結論に達したのか。これは具体的にいえば、政府という、出資資格者の中に政府を残した、それはどういう理由で残したかという議論になるわけでありますが、少なくとも農林中金が、民間金融機関として自己責任に徹した運営を行なうためには、業務範囲というものを相当拡大していかなきゃならない。そういう農林中央金庫の自主性の保証というものが必要になってくると思うし、逆に相当の規制を受けつつ、特定の政策に沿った金融を中心とした運営を行なうのであれば、政府出資をはじめ、相応の助成援助措置が必要になると思うし、この辺のかね合いをどのように整理されて、そして出資資格団体の中に政府を残されたのか、伺っておきたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 農林中金は、農林漁業の協同組合法制を前提といたしまして、この協同組合組織の活動を円滑ならしめるために、金融上の便益を与える必要があることから、単なる協同組合の連合体とは異なる広い金融業務の権能を有する金融機関が必要であるという見地から、特殊法人として農林中金ができているわけでございます。したがいまして、この五十年が経過いたしまして、農林中金法をどういうふうに改正するか、すなわちどういうふうな形で今後農林中金のあり方を考えていくかということにつきまして、ただいま佐藤先生から御指摘がございましたような、いわゆる信用協同組合の、農協の信用事業の中央団体とするという考え方、それとあわせましていわゆるアグリビジネスと申しますか、関連産業融資を担当するような、普通銀行に近いような金融機関をつくるというような考え方等も出たわけでございます。しかしながら、現在の農協組織と申しますか、系統金融のあり方から申しまして、そこまでいくのはやはり時期尚早と申しますか、非常な組織全体の改正になりますので、とてもそこまではいくべきではないということで、従来どおり農業協同組合及びその他の協同組合の中央の金融機関としての特殊法人の性格というものには、大きな変革は加えなかったわけでございます。その場合に御承知のとおり、産業組合中央金庫ができましたときには、政府が非常に大きな出資者であって、政府が直接的に参加して農林金融あるいはその他の協同組合の金融というものを担当してまいったわけでございますが、現在のところ、御承知のとおり政府の出資はございません。そこで政府をなぜ残すかという点でございますが、やはり農林中金というものは、協同組合の中枢の金融機関である以上、これを特殊法人として残していく。さらに状況によっては政策的な必要に応じて金融的な協力をするというような場合も起こり得るのではないかというようなことも考えまして、そういった特殊法人としての中金の存在を担保する意味で、政府というものを出資者の中に残したということでございます。
○佐藤隆君 ちょっと気になることが一点あったのですが、時期尚早というかと、こういう御答弁がありましたが、そういうことではないでしょう。時期がくれば、これいずれもさっき私が例示をいたしました、いろんな意見があるがと申し上げましたが、——それをちょっと、これは聞き方、受け取り方によっていろいろでありますから、もう一度補足的にちょっとおっしゃってください。
○政府委員(内村良英君) 時期尚早と申し上げましたのは、そういった中金の基本的な問題に検討を加えるということは、まだ現在の系統金融のあり方から見て時期尚早ということでございまして、そういったような信用事業の中央機関にするという意味から時期尚早という意味ではございません。
○佐藤隆君 わかりました。 次に、農林漁業者に、今度、直貸の道を開くわけですが、このことについて、構成団体の中に、ある程度の批判的な意見が今日までの間にあったということも、私、実は承知しておるんです。まあ新しい農業に対応するための万全の措置、そういうことを考えると、系統組織としても、この際農林中央金庫の農林漁業者に対する直接貸し付けというものに踏み切るべきだという結論に達したんだというふうにもまた聞いておるんですが、まあ非常にけっこうなことだと私は思うのです。同時に、それだけにこれはもう一つの目玉でもありますから、今度の改正の、その成果に私は期待をいたしたいんですが、系統金融の第一線というのは、やっぱりあくまでも単協、信連だと思います。中金ではなくて、第一線ということになると単協、信連だと思います。そういう意味で系統内の機能の重複とか、まあ無用の混乱を避けて十分な連携を保持していく、そして可能な限り単協を窓口として、審査、管理をする。まあこういうことが必要だろうと思うのです。そういう意味で、衆議院の段階でも議論が出ておったようでありますが、融資協議会のようなものを設置するとか、そういう議論も過去に、先般来行なわれておることも承知しておりますが、系統内の自主的な協議機関というか、そういう性格づけは当然だろうし、そうした機関に対する指導というのは、行政的な指導というものは相当くふうをこらさなきゃいかぬじゃないかと、口で言うことは簡単だけれども、実際やってみるとなかなかいろんなことが出てくるんじゃないかなという私は心配をするわけですが、そのことについて、この直接貸し付けの新しい制度、これをどう運用させていくのか、その指導方針について承っておきたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 今回の法改正によります直貸制度の創設は、申し上げるまでもなく、大規模経営の育成等農業の近代化をはかるための資金需要に対しまして、非常に資金需要が大型化してきている。その結果単協、信連段階では資金量、危険負担等の点から十分に対応できないというケースもございますので、農林中央金庫が直接貸しをする道を開いたわけでございます。しかしながら、農業金融というものは系統の三段階制を通じて担当しておるわけでございますから、直貸をする場合にも、これはいろいろくふうしてやらぬと系統金融をかき乱すということになってはいけないと思うわけでございます。そこで、新たに単協に業務代理の道を開きますと同時に、当該の単協、信連と直貸を取り扱うことの適否につきまして、融資条件あるいは単協の業務代理の範囲等を十分事前に協議する必要があると思います。さらにまた必要に応じましては、先ほど先生からも御指摘がございましたけれども、関係者が集まった融資協議会を設けるというようなことで、かなり手の込んだこまかい指導をしていかないと、確かに直貸制度を設けた結果、系統金融を乱したということになってはいかんと、しかし一方農家側からは、そういった大型の資金需要が出ておるわけでございますから、そういった資金の需要の要請と、系統金融のあり方というものを十分考えながら、慎重にこれは指導していかなければならぬというふうに考えております。
○佐藤隆君 ひとつ自主性をそこなわないよう、適切な指導をやっていただきたいと思っております。 それからもう一つ将来の問題として、これはさっき分野調整のところ、分野調整の問題でも触れましたから、それとも関連するわけなんだけれども、直接貸し付けも、やはり可能な限り近代化資金として利子補給の対象とする、そうして公庫の、農林漁業金融公庫の総合資金の機能、それにかわる形、そういう方向を私は想定をするのです。これも農林省が直接介入したらちょっとおかしいので、系統自体が、これからどれだけ努力するか、単協、信連、中金、系統機関がどれだけこれから努力するか、成否はそれにかかっていると思います。ですから、しかしまあ将来の問題としてやっぱりこの辺も考えておくべきではないか。さっきの分野調整の問題とちょっとダブりますけれども、簡単でいいですから意見を聞いておきたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 中金の直貸の場合も、これは系統資金を利用するわけでございますから、当然その資金が、近代化資金の対象になるものであれば、近代化資金の対象になるわけです。それからいわゆる現在公庫資金がやっております総合資金でございますが、これは農家の現実の資金需要に非常に対応しやすいということで、総合資金制度というものは非常に歓迎されております。これのそういった総合資金的なものを系統金融機関が将来は中心となって担当していくべきではないかという御質問ではないかと思いますが、この問題につきましては、なお検討を要すべきいろいろな問題がございます。そこでわれわれといたしましては、将来の農業金融を考えます場合に、この問題は大きな一つの検討課題とは思っておりますけれども、現在のところ、総合資金制度を近代化資金のほうへ移すということにつきましては、なお検討すべき問題がたくさんあるのではないかというふうに考えております。
○佐藤隆君 私もさっき申し上げたように、農林漁業者への直貸問題に関連して、将来の問題としてということでいまお尋ねをいたしたわけでありますが、これはやはりさっき私が申し上げるように、系統自体の相当な努力、その成果を見ながら、なおかつまた、いまある総合資金それ自体がある程度は定着してきた、こういう段階ですから、そういう意味で私は将来の問題としてと、こう申し上げたわけです。 次に、農山漁村整備資金についてちょっとお尋ねをいたしておきたい。冒頭申し上げたように、農山漁村における産業基盤を整備する、あるいけ生活環境を整備する、これはまあ急務であると冒頭にも申し上げたわけでありますが、民間企業が進めてきた地域開発、これは必ずしも農民、農業者あるいは農業の立場からの、そうした立場からの地域住民としての意向が反映されてきたかどうか、尊重されてきたかどうかというと、いろいろな場所がありますけれども、はなはだ疑問である、こう思うのです。そういう意味で、さっきもちょっと触れましたように、優良農地の確保の問題もありますが、これも無計画に——場所によっていろいろあると思いますが、無計画に優良農地というものが壊滅しつつある。そういう場所もあるであろう、こういう傾向を非常に私は残念に思うのです。そういう意味で、農林中金が、農業、農村、農民の立場に立って、系統金融らしい地域整備のためにひとつ努力をしようという新しい制度でありますから、けっこうでありますが、そのためには、政府、地方公共団体が、農林漁業協同組合が行なう自主的な農村整備、これが、これからも出てくるわけでありますから、そういうものについて相当積極的、協力的な取り組みをしてもらわぬといけないのではないか、こう思うのです。その点についてどう思っておられるか、御意見を伺っておきたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 農山漁村の環境整備その他につきまして、農林省といたしましても、農業生産基盤の整備等、生活環境の整備を一体的に行なうことにつきましては、四十八年度から発足いたします農村総合整備モデル事業においてこれを遂行していこうということを考えているわけでございますが、この場合、事業主体の一つとして、農業協同組合も予定されているわけでございます。したがいまして、こういった農村地域における開発におきまして、農業協同組合が果たす地域団体としての役割りにはかなり期待されるところが大きいわけでございます。 そこで、この事業は国の財政負担が相当大きなウエートを持って進められるわけでございますが、こうした農村総合整備計画につきましては、やはり地域住民、農民の生活その他に非常に重要な関係がございますので、私どもといたしましては、農協がこれに積極的に参加し、さらにそういった面に資金を大いに融通していくという点からも、中金がこういった面に出ていくということは必要ではないかということで法改正をしたわけでございます。
○佐藤隆君 ワンセット十七億円という膨大な資金を想定したそういう整備事業、モデル事業との関連でも非常に重要な役割りを果たしていくんだろうと思いますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。 それから特別貸し付けについて申し上げておきますが、改正法律案の十四条の三、第二項にある特別貸し付けですね、これについてひとつお尋ねをしておきたいと思いますけれども、農林中金は、単協や信連の段階で余った資金、余裕金ですね、これを系統全体のために有利に、しかも国民経済的に見ても、効果的な運用をするという責任が農林中金にはあると思うんですけれども、そういう責務があると思うのです。ところがその資金運用範囲が狭いために系統の期待にこたえられない。で、結果的に農林中央金庫の資金統制力、これが弱まるというような悪循環とも言うべきものが従来はあったように私は思うんです。そういう意味で、農林中央金庫の資金運用力の強化というのは、これは系統機関あげて、もうぜひ頼むという、そういう一つの悲願とも言えるべきものではないかと私は思うのですけれども、ただ半面、この大きなバルブから、大きな資金が、違った方向に流れたんでは、これはたいへんだという心配もまたあると思うんです、これは余裕金の運用というだけにですね。 で、改正法案には、「経済社会ノ発展ヲ図ル見地ヨリ貸付ヲ為スコトガ適切ト認メラルル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」という一つのワクに対し、「主務大臣ノ認可ヲ受ケ」という、監督上二重のワクをはめて、慎重を期しているわけですね。それだけに慎重を期しているわけです。しかし、具体的にどのように運用していくんだろうか。また、監督を厳格にすることは私も必要だと思うんですよ。そうすべきだと思うんです。しかし、認可手続だとか何だとか、まあそういうことでいたずらに時間を要して、金融取引には——これは私が言うまでもございませんけれども、金融取引というのは、タイミングがあると思います。そういう必要なタイミングを失ったんでは、系統の全国機関としての農林中金の責任がはたして果たせるんだろうかどうだろうか、この運用なかなか容易でないなというふうに、私、心配するわけです。その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 農林中央金庫の余裕金の運用の問題につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたように、非常にむずかしいいろんな面があるわけでございます。確かに系統段階の期待から見ればなるべく効率運用をしてほしい。一方、農林中央金庫というものは協同組合の中枢の金融機関である。したがって、それが一般の商業銀行と同じような態度で資金を運用していいかどうかというような問題がございます。そういった非常にむずかしい問題を考えながら、今般、経済社会の発展をはかる見地から認める特別貸し付けの制度というものを設けたわけでございますが、これの運用につきましては、具体的な貸し付けについては所属団体との関係、農林中金の資金事情等をそのつど考慮しながら、貸し付けの案件ごとの貸し付け対象、貸し出し額、貸し付け条件について、一件ごとに認可する方針でやりたい。 そこで、私どもといたしましては、これは一種の中金の余裕金が非常に余ってまいりました場合に、緊急避難的な面もございます。と同時に、一方公共的な面からの資金需要が非常にあるということもございますので、そういった系統の中金の資金事情と、それから外部の国民経済的な要請というものを十分考えながら——非常に抽象的な御答弁で申しわけないわけでございますが、考えながら、ただいま申し上げましたような点について、一件一件審査をして認可をしたいというふうに考えているわけでございます。
○佐藤隆君 そういう慎重な態度も必要でありますが、さっき申し上げるように、タイミングを失すると——一件審査でおやりになるようないまの御答弁でありますが、タイミングはひとつ失わないように、失しないように。そうでないと意味がないと思うんです。緊急避難的な場合は、日銀のオペ等も従来とも経験のあることですから、そういう点はそういう点でいいと思いますが、慎重に迅速にひとつやっていただきたいと思います。 もう一つ、農林債券についてお尋ねしておきますが、この農林債券は、政府資金導入のパイプとしての役割りを果たしてきたわけですね。しかし戦後は市中で消化するようになったわけですね。農林水産業の戦後の復興には相当重要な役割りを果たしてきたと思うのです。ただ、いま農協貯金十兆円といわれているんですね。それでその運用にも苦慮をしておる。そういうときに、農林債券の制度も不要ではないか、要らないのではないか、こういう一部の意見も確かにあるんです。だけれども、いまの資金需給構造というものが中身が一体どういうことになっているんだろうかということを考えますと、いまの資金需給構造がこのまま永続するということは私は考えられないと思うんです。そういう意味で、農林省はこの系統金融の資金動向というものを長期的にやはり見通しを定めておいて、そしてやや長い目で見た指導というものをやっていかなければいかぬのではないか。特に、いま土地売却代金なんかが一時的に流入しておる、それで農協貯金もふくらんでおるということも一つの十兆円の特徴的な中身であると思います。こういうことは長く続くはずはありませんね。ですから、そういう意味では、系統金融の安定的な資金調達方法としてやはり残しておこうということになったんだろうと私は理解するんですが、それでよろしゅうございますか。簡単でいいです、時間がないから。
○政府委員(内村良英君) 先生御指摘のとおりでございます。現在わが国の農林水産業は大きな変動期にございまして、ここで今後の資金需要というものを想定することはなかなかむずかしい段階ではございますが、私どもといたしましては、やはり今後近代的な農業、水産業の育成ということのためには、相当な資金が必要になってくる。そういった意味からも、この農林債券の発行機能というものは残しておかなければならぬということで残したわけでございます。
○佐藤隆君 もう一つ農林中金法の改正でちょっと最後に触れておきたいのは、やっぱり役員選任の制度の問題であります。これはいろいろ意見があったということを私も聞いております。聞いておりますが、資本金も、調達資金も政府依存という形からもう脱却いたしまして、その管理運営は可能な限り協同組合の原則でやっていく、これはもう当然だと思うんです。そういう観点から、三十六年に法改正で執行機関、代表機関たる理事長、監査機関たる監事、これは政府の任命から出資者総会の選任になったわけですね。しかしすべての役員を公選制にして、ということで、はたしてどうなのか。構成団体の意見もわからぬではないのです。よくわかるのですが、やっぱり農林中央金庫というのは単一の種類の協同組合の全国的連合体ではなくて、幾つかのそうしたものの連合体なんですね。だから、そういう意味からしてもまあまあこのたびの改正が適当だったのだなというふうに私は理解するわけですが、ただ私心配なのは、農林省におかれてやっぱりこういうこと、人事の問題というのは、いろいろわだかまりが残りやすいものですから、しこりを残さない形になっているかどうか、その点だけを念を押しておきたいのです。
○政府委員(内村良英君) 農林中央金庫の役員の選任制度の問題につきましては、いろいろな議論があったわけでございます。しかし、私どもといたしましては、農林中金の特殊法人としての性格という点から考えまして、副理事長及び理事は理事長の補佐機関であるという性格を維持しながら、しかも所属団体の意向を十分代表し得るような人を理事長が任命していただくように、総会の同意を得るということにしたわけでございます。これにつきましては、いろいろ関係の方々とはお話しいたしましたけれども、大体まあいまの段階ではその程度のところでいいんじゃないかということで関係の方々も十分に納得をしていただいたというふうに信じております。
○佐藤隆君 時間がございませんからもうこれで終わりますが、今度のレンタル制度ですね、宅地等供給事業が今度設けられることになったわけですが、これは農協本来の仕事ではないんじゃないかというような、批判というか意見もあるわけですね。そのことについて農林省の見解をこの際明らかにしておいていただくと同時に、この事業を円滑適正に取り運ぶにはどう考えているのか、それをひとつ簡単に説明をしてください。
○政府委員(内村良英君) 宅地等の供給事業を農協がやることについて、それは農協の仕事を逸脱しているのではないかというような御意見があることは、私ども十分承知しております。しかしながら、御承知のとおり、農協は農業生産力の増強と組合員の生活その他経済及び福祉の向上に資するということが、農協法の目的でございますから、現在のように、いろいろ組合員の需要が多面的に変わってきている。そこで最近のような経済情勢の中で、やはり組合員が最も有利なように、いろいろな農地等の転用等の処分をしたいということに農協が力を貸すということは、農協の職務の範囲を逸脱したものではないというふうに、私どもは考えているわけでございます。しかもすでに農地等処分事業というものは、昭和四十六年から始まっておりまして、今度レンタル方式を入れましたのは、そういった農地等処分事業が、従来は、委託を受けて売買ということを中心にしていたわけでございますが、組合員のほうから、やはり貸し付けでやりたい、貸したいという要望もだいぶんございますので、そういったような意向を受けての改正でございます。したがいまして、私どもは農協法の範囲を出たものでないというふうに考えております。しかしながら、これはどういうふうに持っていくか、土地の問題なかなかむずかしい問題でございます。 そこでこの宅地等供給事業を行ないます農協につきましては、実施規程をつくりまして、行政庁の承認を受けなければならぬということになっております。その実施規程の作成過程につきましては、十分な指導監督を加えまして、この事業の遂行に遺憾なきを期したいというふうに考えておるわけでございます。
○佐藤隆君 以上、金融四法に触れて質問をいたしましたが、貯金、保険については、別に触れませんでした。これは言わずもがなのことでありますから、むしろおそきに失した、ようやく一人前の金融機関並みになったということですから、ここで議論するほどのことはございません。 いろいろ短時間の間にお尋ねをいたしましたけれども、要は、私は、金融四法、これは一歩なり二歩なり前進だと思います。思いますが、冒頭申し上げますように、基本的な農政の展開がなければ、その方向づけがなければ何ぼ議論しても、これだけが前進しても意味をなさぬのだ。要は、国民大衆に、あるいは農民にわかるような食糧政策の解明、国民に食糧を安定的に供給をする、あるいはまた、地域分担をそのためには明示していく、長期見通しも、気象条件等も加味しながらはっきりさせていく、そのつど的確に国民に知らしめていく、あるいは農地制度の研究の成果も早急に出していく、そういうもろもろの問題を早く結論づけていかなければ、この金融四法の改正の意味をなさぬというふうに私は考えておりまするので、金融四法それ自体については非常に農林省も苦労されたでしょう、系統団体も非常な苦心されたと思います、そうして意見の一致を得られたと思います。そのことに敬意を表しますが、どうかひとつ農政の方向づけ、このことについては、きょうは大臣お見えでございませんが、政務次官おられますから、ひとつ十分お伝えおきいただきたい。いずれまた米価等の問題で議論をする時期もございましょうし、その機会に、そうした問題をあらためて詰めることができればと考えております。 以上で終わります。
○棚辺四郎君 きょうは大臣に質問したいと思っておったわけでございますけれども、御都合でお見えになりませんので……。政務次官おいでになっておりますが、政務次官とはわれわれ長い間同志でございまして、業界の中において、また農協運動の中で一緒にやってまいりましたので、非常に闘志もわかないわけでございますけれども、きょうはひとつ大臣になったつもりで、責任ある明解なる答弁を期待したいと思います。 まず農協法の一部改正でございますけれども、農協法は御承知のように、昭和二十二年に、加入脱退の自由を原則として、十五人以上集まればできるというようなことで設立されたわけでございますけれども、これは私から申し上げるまでもなく数十年の歴史を持つ産業組合の流れをくんでおるわけでございます。産業組合は、かつてわれわれの先輩が、農村からいわゆる三つの搾取機関を排除しよう、米屋と塩屋と金貸しを排除しようということで、零細な資本を集めて団結しまして、そうして「万人は一人のために、一人は万人のために」というスローガンのもとに、戦争まで続いてきたわけでございます。これは、昭和十九年戦争の中において、いわゆる農業会として、全面的な戦争遂行に協力をされたわけでございまして、そのために戦後、占領軍のほうから、いわゆる戦犯団体として解散を命ぜられまして、戦後昭和二十二年にようやく民主的な、自主的な団体として農協法が制定され、全国に雨後のタケノコのごとく農協ができたわけでございますけれども、そうして経済の激動する中で、二十年以上、非常に苦難の道を歩んできたわけでございます。この農協に対していわゆる政府の見解が、ただ御都合主義に行政の補完的機能を果たさせる団体ということで、それぞれ都合のいいように法律を改正してまいりまして、国の農政に非常に利用されてきたわけでございますけれども、いわゆる自主的な組織であり、農協は農民がただ一つの経済団体として、その目的にありますように、社会的、経済的に向上させるということでできておりますので、やはりこの農協が十全の働きができるように、それぞれ指導、監督の立場にある農林省としましては、的確な一つの法律の改正、もしくは指導体制を確立すべきではなかったろうかと思うわけでございます。けれども、残念ながら、今日までの経過は、いわゆるネコの目農政といわれるように、非常にその指導方針等も一貫しておらないわけでございます。そういう点に対しまして、今後、困難なる農政の時代に対処しまして、わが国が基本農政を確立する際に農協が果たすべき役割り、これをどういうふうにお考えになっておるか、まず鈴木政務次官からお答え願いたいと思います。
○政府委員(鈴木省吾君) 農協運動において多年の経験をお持ちになり、豊富な御意見をお持ちになっておる棚辺委員の御質問でございますから、十分りっぱな御意見お持ちであると考えております。御承知のように、ただいまお話のように、農協は農民の社会的、経済的地位の向上を目的としますと同時に、一面また自主的な団体でございます。したがいまして、農林省としてあんまり昔の農業会のような、そういった統制をしたりなんかするような団体でなくて、農民自身が団結されまして、そして自主的に運営し、そうして、先ほどのような目標を達成していただく団体でございますから、あまり干渉がましい、あるいはかたいワクをはめるというようなことは考えておりませんので、ただ、時代に応じまして農協の活動分野も変わり、いろいろ環境等も変わってまいりましたので、実は先ほど局長から佐藤委員に対する御答弁の中にもございましたけれども、いろいろそういう問題は、今後検討会を設けまして検討して、今後の農協のあり方についてひとつ結論を得たい、かように考えておる次第でございます。
○棚辺四郎君 まず順序を追って御質問をいたしたいと思います。 組織につきまして申し上げたいと存じます。先ほど申し上げましたように、農協は加入、脱退の自由を原則としておりますので、非常に強制加入といいますか、そういう強制力はないわけでございます。しかしながら、今後の農政を確立するためには、どうしてもこの農協組織というものを活用して、そうして、みずから立ち上がる力と国の指導力とが相まって基本農政の確立ができるわけでございます。けれども、そういう面で、農林省当局は非常に自主的な組織であるという、自主的な活動に期待するという、都合のいいときにはそういう表現を使いまして、そしてまた、どうしても政府の施策に協力してもらいたいときには、法律を改正して、今度は農地を買ってもよい、委託経営もしてもよい、今度は住宅を建てて、員外利用としてサラリーマンにも、どんどん住宅を建築して供給してもよいというように、どんどん都合のよいように改正していくわけでございまして、時代の流れに従って当然そういう方向は必要ではございます。けれども、この際、農協が非常に苦難の道を歩いてきました一つの実績の中で、いわゆる専属利用契約という問題もございます。非常にいわゆる賦課金等の強制徴収権等もないままに、財源的にも困って、非営利団体としてなるべくもうけるな、そしてサービスするんだ、そしてまた、再生産にこと欠くような零細農もまとめてめんどうを見て、再生産させていくんだと、そしてまた、赤字を出してはいかぬというようなことで、なかなかむずかしい条件の中で二十数年農協経営が続けられてまいったわけでございますけれども、しかしながら、一方、農業災害補償法等によりましては、強制加入でございまして、建物の共済事業等は農協と競合しておりますけれども、その他の農産物に対する作物等は強制加入となりまして、災害があった場合には、非常な威力を発揮いたしまして、農業災害補償法は、当然必要ではございますけれども、災害のない地帯における、平年時におきましては、無事戻し金制度等も非常にわずかでございます。何とかこれは農災法には入りたくないと言っても、強制加入になっているわけでございまして、一方においては、そういう農民の自由な意思を強制しながら、一方においては、農協法の中で自由なんだから、農民はみずからの力によって組織を強化して農政の難関を切り抜けなさいというような体制に対しましては、非常に問題が多いと思うわけでございます。 さらに先ほど三段階制の問題も金融関係について御質問がございましたけれども、やはり金融ならず、全事業に対しまして、現在におきましては、全国的に大規模農協が合併によりましてできまして、三段階制に対する問題点を提起いたしまして、いわゆる直接加入の問題ができておるわけでございますが、ようやく組織内におきまして、検討に検討を重ねまして、そういう大型農協の言い分も、運営の面で何とかするというようなことで一応落ちついてはおりますけれども、非常に問題が多いわけでございます。さらに合併につきましても、大型合併、現在も一万数千戸も加入している農協もございますし、まだ二、三百戸の小さな農協もございますが、農林省は当初、適正農協というものは大体一千戸ぐらいじゃないかという適正規模を発表し、その後は二千戸程度じゃないかと、だんだん大きくなってきたわけでございますけれども、合併を推進する段階において、これは適正規模、経営規模の組合員の戸数というものは何戸ぐらいなのか、当局のお考えがございましたらお答え願いたいと存じます。
○政府委員(内村良英君) まず最初に、系統利用の問題でございますが、現在農産物の販売や購買物資の系統利用率は、米、麦類等の作目や、肥料、農薬については高いわけでございます。しかしながら、野菜、くだもの、畜産等の、いわゆる成長作目や、えさについては、年々向上はしております。これはもう数字的にはっきり系統利用率は高まっておるわけでございますが、総体的にはまだ低い水準にあるわけでございます。これらの物資の系統利用率を高めることが、農民自身の利益を守り、ひいては系統の発展になるということは御指摘のとおりでございまして、今後の大きな課題でございますが、それを現在、法的な規制を加えてまで、そういった系統利用率を高めるような措置をとるのはどうか。やはりそれは、系統関係者及びもちろん政府としても、それを助長するような援助、指導はしなければならぬわけでございますけれども、法制的な措置を講ずるのはどうかなという感じを私どもは持っているわけでございます。 その次に、系統三段階制の問題でございます。この問題は、産業組合以来の歴史もございます。もちろん先生には釈迦に説法みたいな話でございますが、産業組合以来の歴史もございまして、これを今後どう持っていくかということは、今後の経済事情の変化、あるいは系統の中のいろいろな問題ということを十分考えながら、慎重に対処しなければならぬ問題でございます。そこで、この点につきましては、農林省といたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、今年から二年計画程度でやりたいと思っておりますが、農協制度の問題の検討会というものを持ちまして、そこで十分関係者、学識経験者等の御意見を伺いながら一つのあるべき方向を見出したいというふうに考えておるわけでございます。 それから農協合併の適正規模の問題でございます。これについて指導がくるくる変わっているんではないかというふうな御指摘かと思いますが、やはり通信、交通機関の発達、それから農産物の生産、流通の変化、あるいは農協というものは市町村と非常に関係がございますから、市町村の合併等による関係から、農協の大型化がどんどん進められているわけでございます。しかしながら、それでは組合員規模が何人くらいの組合がいいのかという問題でございますが、これはやはりその地域あるいはその組合の置かれている社会的な状況によって違ってくるのではないか。あるところでは、たとえば、かんきつの販売がその地域の主力の農産物であるというような地域、それから米の単作地帯、それから山間部というようなところ、それぞれ事情が違いますので、そういった事情の違いに応じてやはり適正な規模というものはあるのではないかということで、一がいに、たとえば組合員が二千人が適正規模であるとか、三千人が適正規模であるということはなかなか言えないのではないか。ただ、あまり大きくなりますと、組合とのつながりがだんだん希薄になっていくという問題がございます。これにつきましては、部落の組織を活用するとか、あるいは作物別の生産者組織をつくってそれを通じていろいろ指導するとか、まあかなりきめのこまかいことを考えながらやらなきゃならぬというふうに思い、そのように指導しておるわけでございますが、何人ぐらいの組合員が適正規模であるかということを、一がいに言うことは、なかなかむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○棚辺四郎君 ただいま系統の統制率の問題でお答えがあったわけでございますけれども、二年ほど前の資料でございますけれども、果樹、蔬菜等は全国で消費量が八千億、それは単位農業協同組合で扱っておりますのは二千億、そうして経済連段階では千四百億、当時の全販連になりますと六百億しかなかったわけでございます。こうなりますと、いわゆるどうしても果樹、蔬菜等の適正な流通関係を保つためにも、生産の調整、流通段階にまで適当な手段を持たなければなりませんけれども、それを実行するためには、農協組織の十全の利用が大切であろうと思いますが、農協自体も政府からどうだと、ひとつ果樹や蔬菜の流通関係も、生産と相伴って責任を負ってくれないかと言われましても、その統制率ではなかなかよしと、引き受けましたと言うわけにはまいらないわけでございます。また、政府自体も、どうも農協だけに全部それを依存して、野菜の出荷等を安定しようとしましても、なかなか問題が解決しない。どうしようというような非常に迷っている面もあるわけでございますけれども、そういう面で、先ほど自主的な組織として強制加入等はさせないと、まあみずからの組織として十分能力ができるようにやりなさいという指導はけっこうでございますけれども、やはり中心となる農協組織によって野菜の安定等を期そうというお考えがあるならば、やはり系統組織によって出荷されましたものに対する価格の保証、これは国が責任を負いますよと、そういうことになれば、系統の統制率が高まりまして、やはり農協という一つの、農民の生活を支える経済団体が中核となって基本農政を確立する道を前進することができるわけでございますけれども、そういう点に関しまして、どういうお考えを持っていますか。全面的にひとつ農協に生産の調整、価格、流通関係の安定等に対しましてやってくれと、政府がそれに対して責任を負いますよと、農林省自体がそういう姿勢をとっていただきませんと、これは今後安定した方向には向かわないと思いますけれども、どうぞ農協自体が組合員の自覚を促してひとつ統制を高めてくださいよと、そういう激励ばかりを受けましても、これはなかなか実績があがらないわけでございますので、やはりその責任を持つかわりに、系統出荷したものに対する価格は保証しますよという、そういうき然とした農林省の指導方針が出てしかるべきかと考えますが、お考えを承りたいと存じます。
○政府委員(鈴木省吾君) 系統農協の御努力によりまして、蔬菜なり果樹あるいは畜産物という選択的拡大の作物が統制率が年々向上いたしておるわけでございまして、この点は農協関係の皆さんにも感謝をいたしておるところでございまするが、ただいまお説のように、もっと統制率を高めていただきまして、価格の変動等に応じられるような、そういう力まで持っていただくことは、私どもとしましても期待をいたしておるわけでございます。特に野菜等は端境期あるいは逆に夏場など暴落、暴騰を繰り返すわけでございます。そういうことのないように、農協方面の力の期待をいたしております。農林省としましても、実はそういう方面に御協力あるいはタイアップしてやりたいという考えで、一面におきましては、指定産地等を設けまして、その指定産地の生産なり出荷の中心に農協を期待いたしておるわけでございます。さらに、これから団地営農等を進めていただくわけでございます。これを中心として、蔬菜なり果樹あるいは畜産物その他の農産物の生産、出荷あるいは価格の安定と、こういうものをやってまいりたいと思う次第でございますが、その場合に、それではそれだけの価格保証なり何なりを農林省が大いにやるべきではないかという御意見ごもっともでございます。私ども同感でございますから、ぜひそういうふうな方向で進めてまいりたいと思いますけれども、どうぞひとつこういう関係の方々も大いに相ともにやれるような、そういうふうな御努力もお願いを申し上げたいと、かように考えておる次第でございます。
○棚辺四郎君 合併に関しましては、地域、地帯別に適正規模というものは明示できないというふうなお話でございましたが、この合併の中には、いわゆる専門農協の合併という問題もあるわけでございますけれども、一時は農林省も非常に熱意を持って畜産、養蚕、たばこ、果樹等、専門農協の一つの総合農協への合併という問題を取り上げて、いろいろと努力された時期もございました。けれども、現段階におきましては、だいぶそういう声も低くなってまいりまして、自然にまかせておくような状態に見受けられるわけでございます。特にたばこの耕作等に関しましては、たばこ耕作組合法ができまして、これは農林省で指導はしておりますけれども、実際の一切の生産から販売までは、大蔵省所管の専売公社が指導しておりまして、これはいろいろの面で総合農政の中で問題がありまして、当時は非常にたばこ耕作をするためには、最もいい畑地を使うんだ、他の作物を犠牲にしてもやれというような方針で、全体の営農計画の中に問題を提起しておったわけでございます。最近は大蔵省におきましても、やはり総合農政の中で、ひとつたばこ耕作をやるというふうに、方向が変わってまいりまして、よほどその点は調整がとれてまいりましたけれども、やはり販売、流通関係は全部専売公社がやりましても、指導関係は農林省がこれはやりまして、そして総合農協とのいわゆる業種別農協との合併という問題に、これを持って行きまして、そして地域の合併とあわせまして業種別農協の合併というものが進むように配慮すべきであると思いますけれども、これに対するお考えを承わりたいと存じます。
○政府委員(内村良英君) 専門農協は、組合それぞれに、その成立、対象作物の種類、その地域の主産地形成の程度等との関連で、総合農協とは違った特殊な性格を持っているものが多いわけでございます。したがいまして、総合農協のように積極的に合併を推進する必要があるかどうかという点につきましては、なかなか議論のあるところで、むずかしい問題でございます。したがいまして、専門農協の合併につきましては、その農協の特殊性等を個別、具体的に考えながら、ケース・バイ・ケースで指導しているというのが現状でございます。しかしながら、数を申し上げますと、三十六年の三月末には、約一万六千八百でございました専門農協が、四十八年の三月末では七千四百八十というふうに、かなり合併は進んでおります。さらに、専門農協が総合農協の合併にあたりまして参加する場合がございます。そのような場合には、農業協同組合合併助成法の対象として、そういった専門農協が総合農協に加入するということを促進するというような対策を講じているところでございます。
○棚辺四郎君 たばこ関係はお考えになっておりませんか。全部大蔵省から分離して、農林省がやるというような構想を、かつてわれわれも、たばこ農協というようなことで、大蔵省と折衝した時代もあったわけでございますけれども、一応現在は、専売公社の指導の中に生産をし、販売をしているという体制になっておりますが、やはりこれは総合農政の中から、ひとつ農林省が、そういう耕作関係の指導はやるというような方向を、大蔵省と話し合ったほうが効果があがるのじゃないかと思いますけれども、いかがでございますか。
○政府委員(内村良英君) このたばこは御承知のとおり、大蔵省の所管でございますが、一方の畑作物という関係もございます。そこで私どもといたしましては、畑作物を担当しております農蚕園芸局とも十分相談いたしまして、ただいま先生の御指摘のあったような線について、どういうふうに対処するかということを検討してみたいというふうに考えております。
○棚辺四郎君 それでは、次に、都市農協についてお伺いいたしたいと存じますが、非常に合併等によりまして、しかもまた、この農業構造の改善等によりまして、兼業家が多くなり、都市の中にある農協は全く農家がない。本来の農協法による農協でないような組織になりつつある場所もあるわけでございますけれども、農林省では、いわゆる農協法による正会員農民とはという法十二条一項による一つの規定をいたしまして、みずから農業を営みまたはこれに従事する者というような、きめ方をしておりまして、模範定款等におきまして、いわゆる労働に従事するのは九十日以上とか、耕作する面積は一反歩以上とか、こういう模範定款を出しておったわけでございますけれども、いま私の県におきましても、幾つかの農協はこれを一アール、一畝歩以上というように、耕作面積の定款を直しまして、そして正会員にしていく。また、関西地方は、農協がその耕作面積一反歩というのを直しまして、一畝歩以上というふうにいま定款を直している農協が多いわけでございます。そうして模範定款なんかもうないほうがいいじゃないかという声もあるぐらいに、非常に変わっておるわけでございますので、そうしてまた農協全体が一つの信用事業中心に大都市農協はやるようになりまして、営農生産体制中心の生産共同体から生活共同体的な方向、もしくは都市金融機関的な方向に向かっておる面もあるわけでございますけれども、こういう点に対しまして、やはりいまの農協法だけで指導監督し、順調な発展を期待できるかどうか問題が多いわけでございますけれども、お考えを承りたいと存じます。
○政府委員(内村良英君) 都市化の進展によりまして、その地域の農協がだんだん農業協同組合にふさわしくないようなものになりつつある組合があることは事実でございます。そこでそういった組合におきましては、定款を変更いたしまして、組合員資格の基準をゆるめているところがございますことも先生の御指摘のとおりでございます。しかしながら、考えてみますと、都市化が進んでいる地域におきましては、農業自体がかなり集約的な農業に変わってきている。すなわち、花、温室栽培等が非常に盛んになってくるというようなこともございまして、耕地面積の引き下げが悪いかどうかという点については、一がいにこれを不当ときめつけることについては問題があるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、これでよいという問題ではないと思います。 そこで、都市農協の問題につきましては、非常に性格が農協的性格を失っておる。場合によっては、もう十五人という組合員もいなくなるようなところもあるのではないかというような御指摘もございまして、そういった問題については、先ほどから繰り返して申し上げておりますけれども、本年から発足いたします農協制度問題の検討会で十分検討したいというふうに考えているところでございます。
○棚辺四郎君 それでは次に運営について御質問いたしますが、いわゆる役員共通制というものが現在各県においてしかれておるわけでございます。私も役員共通という問題には積極的に取り組んだ一人でございますけれども、御承知のように、農協法が戦後できましてそれぞれ分業体制、機能分担の中で金融事業を行なう連合会、共済事業、経済事業と、指導事業を行なう連合会というふうに、それぞれ分かれておりますが、その中でいわゆる中心となる連合会は指導連であるということで、教育指導をやる指導連が中心で、並列連合会として法的に規制されておったわけでございます。けれども、どうしてもこれが総合調整の中で、そういう機能を発揮できる体制ができないということで、昭和二十九年に農協法が改正になりまして、中央会というものを設けまして、やはり並列連合会じゃなく、一段上に中央会というもので、連合会の総合調整の機能を果たすような法の改正があったわけでございます。それで、実際その後の運営を見ますと、いわゆる中央会の財源はすべて賦課金でございますから、賦課金の強制徴収の法的根拠もなく、非常に加入、脱退が自由でございますから、何か指導上の問題点が起きますと、いやおれは中央会を脱退するぞ、賦課金を納めないぞと、そうおどかして、もうなかなかどうも、中央会というものが、法律の上ではりっぱに中核的な団体として各連を指導する体制にありますけれども、実質の面ではだいぶ花火を上げて、いろいろ運動の先頭には立ちますけれども、その農協全体の指導的立場としては、法的に非常に弱いものでございますので、そういう面で、これはどうしても役員共通制というものをとりまして、各連の役員等を全部共通して、その運営の中でひとつ総合調整の機能を発揮しようということになりまして、法律改正のないままに、その法律の運用によって役員共通制ができたわけでございますけれども、これに対しましても、当初農林省御当局は反対をしまして、農林省がそういう指導要綱を出さないうちに、かってにそういう共通制というような運用をするのはけしからぬというようなことで、昭和三十八年にも次官通達が出ておるわけでございます。これは当時われわれと同郷の、現在衆議院の伊東正義代議士が次官の当時でございますけれども、いわゆる共通制の処理方針についてということを出しまして、どうも好ましくないが、どうしてもやる場合はこうすべきだ、「信連、共済連の他事業兼営の禁止、役員の忠実義務および自己契約等の禁止の諸規定との関連並びに各連合会の専門的機能分化の効用の発揮および役員の少数精鋭主義等の見地からみて、必ずしも適当ではない」というような通知を出しまして、これの指導のためには、何とか各連に単独理事を置けというような、それぞれの問題が提示されておったわけでございますけれども、その後、これが十年たちましても、何ら農林省として明快なる答弁が出ておらないわけでございます、指導方針が出ておらない。そのまま自主的に大体全国の半数の県が共通制をとっておりますけれども、いわゆる自己契約の禁止その他によりまして、金を貸すほうと借りるほうと、経済連と信連、そういうものの役員は一緒ではいけないというふうな指導方針は出ておりますけれども、実際それが法律的に法改正等によってやるとか、もしくはその指導が明快に末端まで浸透するような納得する方針が、農林省で通牒という形によって、もう一回通達なり通牒なりで明快にされるというようなことは現在までなかったわけでございます。たまたま最近になりましても、秋田県等では共通制をやろうということで定款変更等の申請がなされておるわけでございますけれども、聞くところによりますと、大蔵省がどうしても反対をしまして、これは秋田県は信連だけはそれでは共通制をやめようということで、定款変更の申請をとり下げるという段階になったということを聞いておりますけれども、いわゆるそういう十年たっても方針があいまいもことしたままに、しかもこれをただ大蔵省が反対だからやらない、しかもまた大蔵省が反対してもどうしてもやる場合には、定款変更の認可というものは六十日過ぎれば自然発効するというようなこともございますから、強引にやれないことはない。そういう中で、農林省の通達というものがどの程度いわゆる系統組織として、その主務官庁として適正な指導のために効果をあげているのか。また、明快なる一つの指導方針がもっと打ち出せないのか。十年間も検討しても、いいのか悪いのか。私も総合調整という中においてそれを実施した経験からみまして、非常に各連の違った待遇等も一緒になり、また、諸規程の改正もしくは少数精鋭主義による事業の推進等、非常にいい面は相当あったわけでございますけれども、しかしまた反面、多少問題も出てまいりまして、やはり各連が競争して単協を通じて組合員に奉仕するという熱意ある運営ではなく、何とか経営していれば月給も上がるし何とかなるだろうというような、非常に農協職員等の意欲も減退する面もございますし、また決裁等の事務が渋滞する面もありまして、いろいろ問題は残っているわけでございますけれども、こういう点に対しましても、明快なる一つの姿勢を農林省は示すべきであると思いますけれども、御見解を承りたいと考えます。
○政府委員(内村良英君) 共通役員制の問題は、ただいま先生から御指摘がございましたけれども、非常にむずかしい問題でございます。そこで、これはいい面と悪い面と確かに先生の言われるような面があるわけでございます。たとえば各連合会相互の意思統一と機能の調整、あるいは役員の減少と資質の向上による経営の合理化、それから各連合会の人事の交流の適正化等の面から見ますと、この共通役員制というのは非常にいい面もございます。一方、農協法の定める信連及び共済連の他事業兼営の禁止あるいは役員の忠実義務。先生からも御指摘がございましたけれども、自己契約の禁止、各連合会の専門的機能の分化の効用等の見地から見ると、必ずしも適当でないという面があるわけでございます。そこで、農林省といたしましては、先ほど先生から御指摘があったような通達を出したわけでございますが、最近の状況を見てみますと、現在、中央会、信連、経済連及び共済連の間において、全部または一部が共通している府県は二十一府県ございます。二十一の県が共通会長になっております。それから、信連及び共済連の間において全部または一部が共通している県が六県ございます。このような現実になっておりますので、たとえばあしたから、この共通会長制度の悪い面だけを取り上げてこれはやめなさいと申しましても、なかなか現実はそうは動かないという面があるわけでございます。それから、自主的団体だということを申し上げますと、農林省は都合のいいときは自主的団体だというふうに指導しているという御指摘がございましたけれども、やはり現在の農協法のたてまえから見まして、そこまで役所が立ち入って指導するということには問題があるわけでございます。そういったことをいろいろ考えまして、当面の指導方針としては、共通役員制の採用にあたって各連合会の執行部の責任体制を明確にするということと、それから信連及び共済連においては、事業の健全性確保の見地から必ず専務理事を置いて会務に専念させること、監事については少なくともその全員が共通とならないようにすること等の共通役員制の欠陥をできるだけ是正するような措置をとりながらやってほしいという指導を続けておるわけでございます。特に信連につきましては、最近非常に資金規模が大きくなっておりまして、常勤役員の兼職を制限をしておる他の金融機関との均衡等からみても、共通役員制については慎重に対処する必要があるというように考えておりまして、秋田のケース等につきましては、そのような信連については特別に考えられたらどうかという指導をしたわけでございますけれども、やはりこの問題は長短両方ございまして、なかなか役所としてもこっちだというような指導をしにくい面がございますので、できるだけ欠陥を除去しながらやっていただくように指導しておる次第でございます。
○棚辺四郎君 その他兼職禁止の問題等、共同会社、関連会社の問題等たくさんございますけれども、時間がないようでございますからしぼりまして、この一部改正に盛られました宅地供給事業について御質問申し上げたいと存じますが、これを先ほどから申し上げましたように、農協を利用したほうがいいとなりますと、員外利用を制限しながら今度はどんどん農地を借り受け、もしくは買い入れて宅地をつくり住宅をつくって供給するんだというような体制をいわゆる農協自体も、農住都市構想というような中で、明らかにしてやっておりますし、建設省等もそういう構想を持っておりますが、いわゆる農協にその効果を多く期待しても、なかなかこれは問題点が多いのではないかということをひとつ考えるわけでございます。 その第一点は、いわゆる農地を農家から借りて宅地造成をして供給するという場合におきましても、いわゆる底地権と申しますか、現在の小作体制と同じにどうしても地上権等は重くみられまして、賃貸借の中におきましても、借地権が七割で地主権のほうは三割だというふうな、そういう現在の動向に対しまして非常に農家は農地を貸ししぶる。そういうような底地権の問題がひとつあろうと思うのであります。同時にまた、貸した場合、売った場合に、税制上の優遇措置がこの供給事業の法改正の中で明確にされておらない、この問題が二つ。 その次は、農協が行なった場合、差益金が出た場合、いわゆる農協は非営利事業の組織としてなるべくもうけてはならないわけでございますけれども、やはりある程度赤字を出してもまた責任追及になりますから、ある程度の利益はみなくてはなりませんが、その差益金は一般の会計の中で剰余金として処分はできない。いわゆる内部保留をして積み立てておくというひとつの法律的な構想があるようでございますけれども、この積み立てる場合もやむを得ないと思います。そうしてさらに宅地供給事業を継続する場合に、赤字になった場合には取りくずしてやっていくという安定した経営の中で必要ではございますけれども、この積み立てに対しまして有税積み立てをやる、税金をとるわけでございます。これはちょっとおかしいんじゃないか。政府の施策に伴ってそういう事業をやって将来の損失を踏まえても積み立てをしておきまして、供給体制をあくまで続けるという農協の姿勢に対しまして、有税積み立てということはちょっとひどいのではないかという、そういう意見もあるわけでございますけれども、これに対して、ぜひ供給事業が、この法改正によってさらに所期の目的が達成されるように、こういう三点に対しまする配慮をされておるかどうかをお伺いしたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 御質問の第一点は、貸し付け方式は底地権の割合を保護しないとなかなか動かないではないかという御質問かと思います。 この点につきましては、私もそのようなことはあると思います。特に最近では非常に借地権が強くて七対三とか八対二とかいわれておりますので、農家の人たちも一ぺん貸しますと、なかなか自分の権利が弱くなってしまうというようなことから、貸ししぶるというようなことがあるのではないかと思います。そこでこの問題は非常にむずかしい問題でございまして、それでは農協がやるそういう貸し付け方式の場合には、現在の借地権の保護を少し緩和いたしまして、底地権のほうを強化するかというような問題が考えられるわけでございますが、どうも一般の慣行に反しまして、特に農協の場合だけやるということはなかなかむずかしい問題があるのではなかろうかというふうに考えております。そこで、この事業の実施につきましては実施規程を定めて組合がやるわけでございますから、今後こういった問題にどう対処していくかということについては、実施規程を検討いたします場合になお十分検討したいと思っておりますが、特にこの制度だけのために、その借地権の保護というものを緩和するということはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。また、そこまでしてこの事業を進めなきゃならぬかどうかということにはいろいろ問題があるのじゃないかと思っております。 それから第二点でございますが、売り渡し方式について税制上の特例はないのかということでございますが、土地の買い入れ、売り渡しについての税制上の特例措置としては、現在次のようなものがございます。一つは、優良デベロッパーとしての一定要件、すなわち利潤率が一定以下、公募の方法による譲渡、優良な宅地の供給に寄与する旨の知事の認定を受けた等のデベロッパーにつきましては、宅地供給事業については、特別土地保有税及び法人の土地譲渡益課税について非課税の特例措置が講ぜられているわけでございます。したがいまして、そういった要件を満たす農協の宅地供給事業についてもこの規程の適用がございます。それから農家の土地譲渡所得については、長期保有地、五年以上保有している土地についての土地の譲渡の場合には軽課税率、すなわち普通ですと四〇%でございますが、それが一五%になるというような税率が適用されているわけでございます。このように宅地供給の促進をはかる見地から土地の買い入れ、売り渡しにつきましては、すでに相当の特例措置が講ぜられておりますので、これに加えて農協の行なう宅地等供給事業についてさらに税制上の特例措置を講ずるということはなかなかむずかしいのではないか。先ほどの底地権の問題と同じように、特にこの事業だけに特例を設けるということはいまの社会情勢からいってなかなかむずかしいのではないかと思いますが、まあ私どもといたしましては、今後の事業の進展状況、これはまあ新しく始めるわけでございますから、進展状況等も勘案しながら十分に検討を加えていきたいと、こういうふうに思っているわけでございます。 それから宅地等供給事業の益金は別途積み立てになっているわけでございますが、これについての税法上の措置の問題でございます。これも御承知のとおり、農協が現にやっております農地等処分事業については、これによって生じた利益は十年間積み立てることにしまして、当該事業によって生じた損失のてん補に充てるために凍結指導をいたしております。そこでこれを税法上どうするかという問題でございますが、このような性格の積み立て金について税法上損金算入するということは、やはり他のものとの税制上のバランスがございまして、これはまあ大蔵省の所管でございまして、私ども大蔵省といろいろ相談しなければならぬ問題ではございますが、いずれにしましても、私どもの考えでは、現在の税体系上なかなかむずかしいのじゃないか。しかしこの事業が社会的に有用であり大いに拡大しなきゃならぬというような場合には、いろいろ大蔵省とも相談をいたしまして、何らかの税法上の措置をとる必要があるということが起こり得るかと思いますが、現在の段階ではちょっと税体系上特別の措置をするのはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。
○棚辺四郎君 それでは時間がございませんから、次は農業金融三法に対しまして一点ずつ御質問申し上げたいと存じます。 まず、農業金融全般につきましては、いわゆる営農金融といたしまして、系統金融は指導金融として、それぞれ強い指導のもとに営農に再生産ができるような一つの貸し付け方式等も積極的にとられておられるわけでございますけれども、この農業金融の問題は、やはり営農指導事業に非常に関連があると思うわけでございます。ただ、金を貸して、元利を償いさえすればいいという方式ではなしに、やはり融資した金が再生産されまして、いかに農家の収入が向上しまして返済できるかという営農計画、営農指導の中と密接な関係があるわけでございますから、やはり営農指導事業に対する金融との結びつきをもう少し配慮しまして、現在、全国に一万五千人程度の営農指導員がおりましてやっておりますけれども、ほとんどこれは国庫の補助なしに、県補助もなしにやっておりまして、福島県は営農指導事業に県費千二百万円ほど毎年出しまして、この連合会でも同額出しまして、単協に営農指導事業の金を出しておりますけれども、その他、県で出しておりますのは、長野、茨城等二、三県あるようでございますが、ほとんど県自体は出しておらない。国自体も営農団地には出しておりますけれども、営農指導事業体制のためには金を出しておりませんから、もう少し営農指導体制の中で、ただ金を貸せばいいのじゃなくて、それが生きて農業生産に効果が上がるような一つの営農指導体制の強化に十分配慮していただくのが、今後の農業金融の課題であろうと思いますから、そういう点に対してひとつお伺いをしたいと思いますけれども、その前提の中で、三法に対しまして一つずつ御質問申し上げます。 農林中金法の改正に対しましては、それぞれ公庫との関係、また直貸しの問題で、信連、単協との競合、これは実際に起こっておりますけれども、こういう問題も十分配慮してやっていただければけっこうだと思います。 副理事長、理事の任命についてでございますけれども、いわゆる系統組織としまして全国信連、全国信用農業協同組合連合会というものがありませんで、いわゆる信連協会というサロン的な組織はございますけれども、やはり農業金融の系統金融の最高の一つの機関は農林中金だと、われわれも考えておりますけれども、その農林中金が民主化され、しかも理事長の選任等総会で選任するというように前進してまいりまして、ようやく今回の改正におきましては、副理事長以下の任命も総会の同意を得て任命するということに改められましたことは、非常に前進しておるわけでございますけれども、この際やはりなぜ任命ということばを使わなければならないのか。まあこれも、総会の同意を得て理事長が選任するということでも、非常に民主的になって、やわらかになったと感ずるわけでございますけれども、官僚的な考えを強く反映するような任命ということをどういうようにお考えになっておるか、簡単に御答弁願いたい。
○政府委員(内村良英君) 第一点の、系統金融は一般の市中金融と違って指導金融であるから、もっと営農指導と結びついたことをやらなきゃならぬのではないかという御指摘でございますが、私どもも同様に考えておるわけでございます。そこでまあ大型合併によりまして営農指導事業が特に弱くなっていくのではないかということでございますが、むしろ最近の単協の動向を見ておりますと、営農指導員の数は逐次ふえておるというかっこうになっております。さらに営農指導員の資質の向上につきましては、いろいろ再教育等の必要もございますので、農林省といたしましても、四十七年度から補助事業といたしまして、営農指導員再教育事業を行なっているところでございます。先生御指摘のように、やはり農業金融というものは、営農指導なり何なりと結びついた形で発展していくべきであることは申し上げるまでもなく、御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、そのような方向で農業金融の発展を助長するように指導していきたいというふうに考えているわけでございます。 それから第二点の農林中央金庫の役員の任命の規定につきまして、理事長が、副理事長及び理事を、選任ということばを使わないで、任命ということばを使ったのは、非常にまだ官僚的ではないかという御指摘でございます。そこでまあ普通法律用語といたしまして、選任というものは、選挙をして選ばれるという場合に選任ということばが使われるわけでございますけれども、ただ地方自治法等ではたしか副知事の任命か、につきまして知事が選任するというようなこともございますし、したがいまして、選任にするか任命にするかということばの問題につきましては、法律をつくりましたときにもいろいろ議論があったわけでございますが、やはり農林中金が一つの特殊法人であって、理事長が自分を補佐する機関として、副理事長及び理事を出資者総会の同意を得て任命するというほうがいいのではないかということで任命ということばを使ったわけでございます。
○棚辺四郎君 時間がないようでございますから、最後に一つ近代化資金助成法についてお伺いいたします。 近代化資金は、それぞれ毎年ワクを三千億ときめまして、非常に効果をあげているように伝えられておりますけれども、実際はなかなかこれは利用されておらない。大体半額以下のワクしか消化されていない現状でございますけれども、なぜこういう近代化資金という大切な資金が計画より下回っているのかという問題に対しまして、やはり生活分野の拡充をもう少しはかるべきだ、いわゆる法の二条の三項に一般資金の種類を「主務大臣が指定する」ということになっておりますけれども、こういう条項を廃止して、ひとつもう少し幅を広げて、生活面の資金に十分活用できるようにする必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございますし、もう一つは、近代化資金の基金協会の保証手数料が、かつては全然無手数でやっておったわけでございますけれども、保険協会ができまして非常に保険体制は安定してまいりましたけれども、そのかわり〇・二九%という保証料を取り、全国段階に〇・二五%というものを納めなければならないということで、やはり保証料を取るようになった。そういう面で非常に福島県等を見ましても毎年四十一億、四十五億、四十五億と、それぞれ融資ワクがきましても、四十五年が二十九億、四十六年が三十億五千万円、四十七年が三十億六千万という承認額になりまして、しかも保証額はまたその半分になりまして、四十五年度が十七億、四十六年度が十八億、四十七年度が十五億九千万というふうに、非常に保証額もそのまた半額になってくるという現状でございますので、やはりそういう制度をつくった以上は、政府はそういう融資を受ける人に負担をかけないように、基金協会もしくは保険協会に対しまして十分補助いたしまして、そうして保証料は取らないでも近代化資金の融資を受けられるという体制をするのがほんとうじゃないかと考えるわけでございますけれども、お考えを承りたいと存じます。
○政府委員(内村良英君) まず最初に、農業近代化資金の融資対象の問題でございますが、農業近代化資金制度は発足以来、農業者等の資金需要の動向に即応いたしまして、その融資条件の確保と並んで資金種類の追加等の改善を行なってきたことは御承知のとおりでございます。この結果、農業近代化資金の融資対象といたしましては、いまでは農業生産から農産物の流通、加工、販売までの各段階に必要とする施設をはじめ、農業経営の場である農村環境の整備に必要な施設に至るまでの、いわゆる農業関連施設については、ほとんどそれが融資の対象になっております。それから法律上は生活の面につきましても融資をすることができることにいたしておるわけでございまして、農家住宅につきましても、農業経営の改善と密接に結びついたものにつきましては、昭和四十七年度から近代化資金の対象としているわけでございます。しかしながら、本制度は、農業者等の資本装備の高度化及び農業経営の近代化に必要な農業関連資金の円滑化をはかることを目的としているという制約もございますので、生活資金といいましても、レジャーだとか、そういうところまで広げることにはやはり資金の性格から見て問題があるのではないか。しかし、いずれにしましても、私どもといたしましては、農家の生活の面につきましても、そういった面を見られるように、将来拡充するように検討していきたいというふうに考えておりますが、その辺はやはり資金の性格から見て、おのずから限度があるということは御了承いただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 それから次に、農業信用保険制度の問題でございますが、これは近代化資金等の融通を円滑にするため、信用力が弱い農業者等の借り入れ債務を保証するために、県段階の基金協会への保証と、それをさらに全国的に危険分散するために、保険協会ができまして、昭和四十一年以来、そのような運用が行なわれているわけでございます。で、保険制度創設の後の近代化資金にかかる保証の依存率は、全国平均では農業者の借り入れ債務にいたしまして四十年度五八・五%、四十一年度五七・九%、四十二年度五八・六%となっており、近年においてもそれが四十五年は六五・一%、四十六年度六五・七%と上昇傾向にございまして、保険制度の創設によって基金協会の保証能力というものは拡充されたというふうに考えているわけでございます。それからさらに、農業者等の必要とする農業関連資金の融資を円滑にするため、基金協会の保証能力を拡充するための基金増勢に対しましては、都道府県の出資に対しまして補助金を毎年交付しておりますし、また、今回の法律改正と関連いたしまして、保険協会が基金協会に対しまして保証能力の拡大に資するため貸し付ける、いわゆる融資資金、こういう制度がございますが、それにつきましても、八億円の助成措置をするということで保証能力の拡充ということに非常に力を入れております。さらに今回、保険料の引き下げを予定しておりますが、農業者が負担する保証料につきましても、保険料の引き下げとのバランスを考えながら、農家負担の軽減をはかるために引き下げをはかるよう指導したいというふうに考えております。この問題は、御承知のとおり、基金協会の経営等も含む関係がございますので、その点も十分考えながら農家負担の軽減をはかるということにつとめなければならぬというふうに思うのでございます。
○理事(初村滝一郎君) 本日の四案に対する質疑はこの程度にとどめます。 暫時休憩いたします。 午後零時十七分休憩 —————・————— 午後一時五十八分開会 〔理事初村瀧一郎君委員長席に着く〕
○理事(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
○中村波男君 きょうは、主として林野庁が行なっております除草剤の散布によって各地域でいろいろな被害が出ておりますし、また散布地域の住民からも強い反対が起きている実情にかんがみまして、限られた時間でありますが、それらの問題について若干お尋ねをいたしたいと思うわけであります。 実は草津営林署の十七林班と三十四、三十五林班に対しまして四十四年、四十五年に除草剤を、ヘリ散布されたわけでありますが、その結果として、アスマシャクナゲ——シャクナゲが、全林野労働組合の調査によりますと、二十四ヘクタール、七万本以上の百年あるいは百年以上のアズマシャクナゲまで枯れた、枯死したという問題が新聞にも報道されたのでありますが、社会党の国有林対策特別委員会におきまして、去る五月二十日、二十一日と調査団を派遣をして実態調査につとめたわけであります。現地調査といいましても、一部を調査いたしたのでありますから、全体を承知することにはならなかったんでありまするけれども、その現地調査の結果からしても、これは明らかに除草剤によるアズマシャクナゲの枯死である、こういうふうに断定をいたしたのであります。したがいまして、まずこの問題について長官としてどのようにお考えになっておるか。それを明らかにしていただいて次の質問に入りたいと、こう思うわけであります。
○政府委員(福田省一君) ただいま御指摘ございましたように、草津営林署管内で、昭和四十四年に空中散布をいたしたことを聞いておるわけでございます。その場所には、御指摘のように、アズマシャクナゲがあったのでございますけれども、調査の結果では、その一部が枯れておるという報告を聞いております。アズマシャクナゲは、高山植物に入るものでございまして、これにつきましては、今後はこういったものについてはぜひ保存していきたいと、そのための施業を適正に行なうように指導してまいりたいというふうに考えております。
○中村波男君 まず第一にお尋ねをいたしたいと思いますのは、塩素酸塩系の除草剤を散布されたわけでありますが、目的はまあ先行地ごしらえであったのではないかというふうに思いますが、そうですか。
○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおり、先行地ごしらえでございまして、ササ、竹の類はなかなか地ごしらえが困難でございますので、伐採以前に、先行地ごしらえとしまして、塩素酸ソーダを散布いたしまして竹を枯らし、そのあとで伐採をいたしますというと、危険度合いも少ないということもございますし、あと地の造林も容易になるということから、御指摘のように、先行地ごしらえをいたしたものでございます。
○中村波男君 よくわかりました。だといたしますと、塩素酸ソーダの除草剤を散布した場合に、ササ等が枯れる期間ですね、したがいまして、伐採造林をいたしまするには、最も適当な期間を置くとするならば、何カ月であるのか、何年であるのか、専門的に試験場等で研究結果が出ておると思うのでありますが、また、それに基づいて除草剤散布が行なわれなければならぬと思うわけでありますが、その点についてまずお尋ねいたします。
○政府委員(福田省一君) ササ、竹の類に塩素酸ソーダを散布いたしますというと、まず一、二カ月いたしますと変色いたしまして、それからだんだんに枯れ始めてまいるわけでありますが、完全にこれが地上の部分あるいは地下茎の部分が腐食いたしますには、おおむね二年ないし三年を必要とするわけでございます。で、この根曲がり竹とか、あるいはそういったササの類は、かまとか、あるいはチェーンソーとかいうものでは、非常に工程があがりませんし、切ったあとが非常にするどい形をいたしますので、どうしてもこういった薬を使ったほうが伐採の作業あるいは造林の作業にも安全であるということで、私は平塚の営林署の管内で昨年実は見聞して、実際に仕事をやっておる作業員の人に聞いたこともございますけれども、確かにいま申し上げたとおりの効果はございますけれども、二年ないし三年は、やはり完全に腐るには年月を必要とするものでございます。
○中村波男君 完全に効果が出てくるのは、二年ないし三年だというお話でありますが、だといたしますと、伐採をする計画が、かりに四十八年だといたしますれば、四十五年あるいは六年に散布するのが適当だと、こういうことですか。
○政府委員(福田省一君) いま御指摘のように、確かにもう完全に腐敗してから伐採し、そのあとを造林するのが一番望ましいわけでございます。しかし、いま申し上げたのはおおむね二年ないし三年ということでございますけれども、その山の傾斜の方向であるとか何かによって、その気温の程度とかいろいろ違いますから、早く腐敗する場合もございますし、反対にまたおそく腐敗するということも、やはり傾斜面等の影響もございますから、その辺をよく判断して散布すべきであるというふうに考えます。
○中村波男君 先般、資料として提出をいただいたわけでありますが、伐採計画と造林計画についてであります。十七林班の例をとりますと、四十四年に枯殺剤を散布いたしまして、四十四年、四十五年、四十六年と伐採が行なわれ、続いて四十七年、さらに本年も伐採を行なう計画があるようでありますし、一部は四十九年に残るようであります。そこで、造林の計画はどうなっておるかといいますと、四十七年にわずか造林が行なわれた、本年度も行なう予定だと、さらに四十九年、五十年、五十一年までたたなければ造林は完了しない、したがって、散布した時点から八年目にようやく造林が完了すると、こういう計画のようであります。したがいまして、私が調査をいたしまして、除草剤散布そのものに大きな疑問と問題を感じますと同時に、無計画な枯殺剤の散布でなかったか。これでは、いま長官がおっしゃった言を裏返しに考えてみますと、三年でまあ完全にササ等の根が枯れるんだと、しかし八年もほうっておけば、ササは再生しないにいたしましても、その他の雑草等々がかなり生えまして、除草剤を散布した効果というのが大きく減殺されるのじゃないか、こういう疑問を持たざるを得ないわけでありますが、その点はどうお考えでありますか。
○政府委員(福田省一君) お話のように、三十七林班におきまして二百七十ヘクタールに及ぶ面積に薬剤をヘリコプターで散布したものでございますから、このあと御指摘のように、もし一斉に二百七十ヘクタールを一年のうちに皆伐をいたしますれば、確かに御指摘のように数年先まで造林を待つということになって、雑草類等が出てまいるわけでございます。現地の計画と実行の模様をこちらで調査しましたところによりますというと、四十四年に二百七十ヘクタールを散布したわけでございます。その伐採計画は、四十四年から六カ年にわたりまして、四十四年二十二ヘクタール、四十五年二十七ヘクタール、四十六年三十五ヘクタール、四十七年三十一ヘクタール、四十八年二十ヘクタール、四十九年三十五ヘクタール、合わせて百七十ヘクタールを年度を分けて伐採いたしております。これは二百七十ヘクタールの薬剤を散布して百七十ヘクタールとこれは減っておりますけれども、それは途中におきまして自然保護の観点から峰沿いその他沢沿い等、伐採をする個所を残したという結果、当初計画よりは伐採の面積は減っておるわけでございます。こういうふうに年度を分けて約二十ヘクタールから三十ヘクタールに及ぶ範囲内で皆伐をいたしまして、その後約三年経過しましてから、四十七年に二十二ヘクタール、四十八年二十七ヘクタール、四十九年四十六ヘクタール、五十年三十ヘクタール、五十一年四十五ヘクタールというふうに造林をする予定になっておるわけでございますので、大ざっぱに申し上げますというと、毎年切ったあとを三年後に大体造林をしていくという形になるわけでございます。従来、薬剤を散布いたしませんで、伐採した後、造林するまでおよそどれくらいの期間があるかと申しますというと、全国平均で申し上げますと、現在のところは一・八カ月、約二年を経過して初めて造林が完了するというふうになっておるわけでございますので、空中散布ということになりますというと、小面積ずつというわけにはまいりませんし、それくらいでやるならば、むしろ手まきで散布したほうがいいということになりますと、なかなか工程もあがりません。まとめて散布いたしますけれども、伐採につきましては、あるいは造林につきましても、年度別に区切ってこれを施業するというふうにいたしておるのが現状でございます。
○中村波男君 語るに落ちるということばがありますが、いまの御説明を聞きましても、いわゆる除草剤を散布して伐採さらに造林が完了するのは八年ないし九年かかるということであります。もちろん四十四年、四十五年当時は大皆伐、いまのような新しい施業方針が出まして、保安林については五町歩というそういう規定が当時はなかったのでありますから、したがって、計画が狂ったと言えば言えないことはないと思いますが、こういうずさんな計画で、なるほど散布することはヘリでやることのほうが能率的でありましょう。しかし目的は、除草剤を散布することにあるのではないのでありますから、いわゆる先行地ごしらえとして、ササ等を枯らしまして、地ごしらえの経費を節約する、そこに大きなねらいがあるのじゃないかと思うわけであります。したがって、八年も九年もたたなければ植えられないという前提に立って、大面積のヘリコプターによる除草剤散布というのは、これは私は、全く計画としては間違っておらなかったか、この点いかがですか。
○政府委員(福田省一君) 薬剤の散布は、四十四年二百七十ヘクタールでございます。ただ繰り返して申し上げますけれども、伐採の計画は一斉皆伐ではございませんで、年度で区切りまして、二十ないし三十ヘクタールずつ伐採しましたが、これは計画的に伐採したものでございます。で、そのあとを同じようにしまして、二十ないし三十町歩ずつ切った分を造林をしていくのも、やはり計画的に実施したものでございまして、当初からそういう計画に基づいた伐採ないし植栽の計画でございます。ただ、当初この二百七十ヘクタールを全部伐採し、そしてそのあとを全部造林するという予定を変えました理由は、四十四年以降、自然保護、環境保全を配慮した新しい施業方針というのを、そういう要求に基づいて林野庁におきまして決定した方針に基づいて施業した結果、天然林として、その間に大面積の皆伐を避けて天然に残すという結果、そういうことになったということで、一部計画が変更されたものでございますけれども、年度ごとに伐採し、年度ごとに造林するというその計画そのものは当初からのものでございます。
○中村波男君 もう一度念押し的に質問をいたしますが、結果として、いま私が何度も指摘をいたしたように、枯殺剤を散布してから九年かからなければ造林が完了しない。これもまだ計画でありますから、これが実行予算として実際にできるかどうかということについては、まあ問題が残っておりまするけれども、それはそれといたしまして、九年もかかるというこの現実を、林野庁としては、これでよろしいんだと、計画的にやった結果、最初からこういう見通しで除草剤を散布したんだと、こういうふうに言い切られるのですか。
○政府委員(福田省一君) 問題は竹でございます。で、根曲がり竹とか、あるいはその他のクマザサの類というのは、非常に地下茎が御承知のようにはびこっておりまして、これを処理するということが、地ごしらえのほうで一番困難をきわめておったものでございますから——これは一ぺん枯れますと二度と出てまいりません。ですから、この根曲がり竹等そういった禾本科の植物の根を枯らすということが主目的でありまして、これは先ほど申し上げましたように、腐るには二年ないし三年かかるのであります。一ぺん腐ってしまいますというと、あとはその竹は出てこないわけでございます。先行地ごしらえとしての目的は達成されたのでございますから、あとは伐採計画と造林計画というものは、これは五年かかろうと、十年かかろうと、計画どおりでけっこうでございます。要するに、その根曲がり竹の地下茎の、じゃまなものが入ってこなければいいということでございますので、当初計画どおりで私は差しつかえないというふうに考えております。
○中村波男君 すると、極端なことを言えば十年、十五年後植える計画の更新、計画更新を考えておる。国有林についても、場合によっては十年前、十二年前に除草剤を散布して、ササ等は枯らしておけばよろしいんだと、こういうふうにお考えなんですね。
○政府委員(福田省一君) ここの林分は、ブナその他の広葉樹を主とした天然林でございます。ここに施業の目的は、そういった広葉樹林をすべて伐採して、そのあとに針葉樹を植栽するという計画に基づいて発足したものでございますから、針葉樹等の樹種更改ができるということでございますれば、一番じゃまになるそういったササ類の根がなければいいのです。ただ、途中で天然林を残す——先ほど申し上げましたように、針葉樹ばかりでなしに、途中に針葉樹のほかに広葉樹の類もまぜていくということで、新しい施業方針をきめたのでございますが、その理由は、私から御説明するまでもなく、先生十分御承知のとおり、環境保全あるいはいろいろな自然環境の保全等を中心としまして、針葉樹一色ではなくて、広葉樹も入れれば風致上もよろしいし、あるいはその中に住んでおる動植物等の生息にもよろしい、あるいはその他の保全関係にもよろしいということから、広葉樹をまぜていくというようなことも配慮してまいったものでございます。ですから、造林技術上の観点から申しますならば、塩素酸ソーダをまいて、針葉樹林を植えかえるための先行地ごしらえとしては非常にけっこうでございますが、ただ、その薬まいたあとに、広葉樹林を育成するのに支障があるかどうかという問題が一つございます。やはり広葉樹林の天然更新の場合におきましても、ブナ等天然更新がうまくいかない理由の一つは、そういったような竹が、そういった広葉樹林の中に入っているのが大きな原因でございます。昔から、その中に牛を放して、竹のササを食わせて、それを枯らして、そしてそのあとの広葉樹の天然更新がうまくいくように誘導していた実例もございますし、また、この針葉樹にかえるばっかりでなくて、そういった竹を退治して、そのあとに、いろいろな広葉樹をまぜていくということは、天然林施業の場合にも必要でございます。そういう意味ではこの塩素酸ソーダをまいて、竹を枯らしたという結果は、針葉樹にしろあるいは広葉樹にしろ、その点におきましては、目的の達成には支障ないものと、そういうふうに考えておる次第でございます。
○中村波男君 枯殺剤を散布する可否については、議論はもう少しあとにいたしまして、その枯殺剤をまかれたことについて、とやかく言っておるのじゃない、いまの場合。九年も十伍もあとに造林を行なわなければならぬという中で、散布するということが、いわゆる経済効果からみて疑問があるのじゃないか。というのは、なるほどササの根は枯れたでありましょうけれども、そのあとに今度は雑草その他が生えてくる。したがって、今度造林をするときには地ごしらえを、またそういう面でやり直さなければならぬという事態は出てくるようなおそれはないのか、そのことを言っておるんですよ。その点はどうですか。
○政府委員(福田省一君) 薬剤を散布しましたあと、伐採をしますと、そのあとまた造林いたします。これは繰り返して申し上げますけれども、この伐採してから造林するまで、平均二年でございますが、この場合は、およそ三年かかっておるような状況でございます。それほど大きな違いはございませんが、御指摘のように、現実に十年先に植えるところは、およそ七年後に伐採するわけでございますから、薬剤を散布してから伐採するまでにはまだ数年あるわけでございます。で、その間に、じゃ天然林の中に、竹が枯れたあとにほかの草が生えてくるのじゃないかという御指摘かと思います。御指摘のように、おそらく天然林の中にササが枯れればほかの植物が侵入してくるということも一応考えられるわけでございます。その点につきましては、どの程度草が生えてきたかどうかということは、なおこれは検討してみなければわかりませんが、ただ、現実問題としましてササが枯れましても、先行地ごしらえしたあとに、実際に植栽する場合には、ある程度地ごしらえとしての、これは竹を切ったり、根を掘ったりするほどの作業ではないけれども、やはり一年、二年置きますというと、幾らか草は生えるとかという問題もございましょう。ですから、ある程度、若干ではございますけれども、大きな地ごしらえじゃなくて、若干のそういった地ごしらえなりあるいは手入れは必要になってくるかと思います。ただ、それじゃ、十年先のことを考えずに、三年先ぐらい分ずつ切ったらどうかという御指摘でございますけれども、それにしましても、ある程度の手直しの地ごしらえは現場の作業としては出てくるものでございますから、その点については、よく比較検討してみなければわかりませんけれども、私は、そういったササが枯れたあとは、絶対ほかの草は生えてこないのだということは申し上げておりません。
○中村波男君 とにかく十七林班は百七ヘクタールが保安林であるわけですね。それから三十四、三十五は全部保安林でありまして、十七林班の保安林は水源涵養林でもあるわけでありますが、こういう地域に四百五十ヘクタール、二年にわたっておりまするけれども、ヘリによる除草剤を散布したということ、こういうことは国立公園の普通地域になっておるということから考えましても、これはあまりにも自然破壊ということを無視した除草剤散布ではなかったか、このことをまず指摘をしておかなければならぬことだと思いますが、この点について長官はどういう認識をお持ちでありますか。
○政府委員(福田省一君) 四十四年当時におきましては除草剤を散布いたします主目的としましては、経済効果とか、あるいはそういう工程の関係、あるいはまた労働力が非常に不足している場合、そういった労働力の不足を補うためとか、いろいろそういうふうな経営上の観点が主眼でございまして、一応その当時からそういうただいま御指摘の自然公園とか、あるいは保安林とかいうものについての配慮はいたすべく指導はしておったのでございますけれども、実は、この点につきまして、非常な厳正な指導をいたしましたのは四十七年の四月でございます。四十七年の四月からこの薬剤散布につきましては、従来批判のございました二四五TあるいはまたBHCはこれを廃止いたしまして、塩素酸ソーダにつきましても、厚生省その他と十分協議をいたしました結果、細部の基準をきめまして、特に配慮すべき問題としてこまかな規定、通達を出しておるのでございます。その中で、ただいま御指摘の自然公園の中とか、あるいは史跡名勝、天然記念物とか、あるいは鳥獣保護区とか、自然休養林とか、その他保護林あるいはまた、飲料水として直接部落が使っているような場所とか、あるいは牧草地とか、人家、農家の近いところとかいうふうなところは、これを避けるような指導をしておるんでございます。ここの場所につきましては、自然公園の普通地域でございまして、特別地域ではございません。普通地域でございまして、風致に配慮して施業しろという程度の規制でございます。また、水源涵養保安林につきましても、伐採の面積等の規制はございますけれども、一応これは伐採して造林することが可能とする地域でございます。したがいまして、そういったいま申し上げたような総合的な判断をいたしまして、ヘリコプターによる散布については、よくその点を配慮して、心配のない場合は、ということは、たとえば部落の人たちの意見も聞きながらよく慎重にこれを実行するように、その点が非常に心配な場合は、やめるというふうな指導を出しましたのは四十七年の四月でございます。
○中村波男君 現地を見まして特にその感を強くしたわけでありますが、利根川の上流でもありますし、いま申し上げたように、三十四、三十五、十七林班については、水源涵養林でもあり保安林でもあり、その他の地区も全部保安林であると同時に国立公園の普通地域でもある。こういう地域に大量の、大面積にわたる除草剤散布というのは慎重に考えてやめるべきではなかったかと、こういうことを強く感じたわけでありますが、特にシャクナゲが二十カ所で二十四ヘクタール程度群生をしておるということが全林野労働組合の調査で報告をされておりますが、私も現地を歩きまして、これだけ群生をしておるシャクナゲを枯らす結果になったということはほんとうに残念なことだと。これ、一本ちょっと切って持ってきたのでありますが、これで大体年輪の勘定をしてみますと、八十五、六年たっておるんじゃないかと考えられるわけであります。もちろんこれの倍ぐらいのシャクナゲも相当あるわけでありますが、枯れておりました。したがって、枯れた率というのは、私たちの見た限りにおいては五割以上、五五、六%が枯れたんじゃないかというふうに感じたわけでありますが、したがって、こういうシャクナゲの群生地は当然保護地区として残すべきではないか。四十八年度にすでに売り払い計画が立っておるようでありますが、この群生地だけは、売り払い計画後の契約の変更をいたしまして、除外して残しておくべきではないか、こういうことを強く長官に申し上げたいのでありますが、この点についてはどうお考えでありますか。
○政府委員(福田省一君) ただいま御指摘を受けました点について、営林署の調査結果の報告によりますというと、二百七十ヘクタールの散布地域の中で、シャクナゲの自生しておりました地区が大体群状に五カ所になっておるというふうな報告でございまして、その二百七十ヘクタールのうち、群状に三・〇ヘクタール、一・〇ヘクタール、〇・八ヘクタール、〇・七ヘクタール、二・〇ヘクタールというふうに群状に大体群生しておる地区がある。合計しますというと、七・五ヘクタールになるわけでございます。この中で薬剤の散布の結果枯死しましたものが、最初の地区につきましては一〇%、次に申し上げた地区については三〇%、その次に申し上げた地区については五〇%、次も同じく五〇%、その次は枯損はしてない。合計しますというと一七%、約二割の枯損であるという報告を受けておるものでございます。で、このシャクナゲにつきましては、あるいは先生もうお聞きになったと思いますけれども、これは草津町の町の花になっておるというふうに実は聞いておるのでございます。やはりこういうことを考えますというと、このシャクナゲ、アズマシャクナゲは、これは普通地区でございますので、いわゆる高山植物として自然公園法に指定はされておりませんけれども、こういうふうな町の花とも言われていることでございますれば、地元感情というものもよく尊重いたしまして、今後はこのシャクナゲにつきましては、できるだけ保存していくという方向で指導してまいらなきゃならぬと考えておるところでございます。 いま御指摘のございました四十八年度の契約の問題でございますけれども、この地区についての報告によりますというと、全体が四十ヘクタールの収穫の計画になっておりまして、その中に約三ヘクタールのシャクナゲの自生地があるという報告でございます。この地上立木は、地元の群馬県広葉樹利用協同組合に対しまして三千四百三十七立方メートル、同じ群馬県の西部木材協同組合に、これはチップの材料としまして千百八十九立方メートル、それから本州製紙に対して一千五百八十三立方メートル、というふうに販売の予定になっておりまして、地元に対する割合が七五%というふうになっておるものでございます。いま申し上げました三ヘクタールに及ぶシャクナゲについては、これは収穫の際にこれを枯損しないように伐採、搬出できるかどうか、その点をいま営林署に指導さしておるわけでございます。同時に、伐採、収穫したあと、これを傷つけないで保存したあと今度は造林するわけでございます。造林する際には、このシャクナゲは地ごしらえしないでそのまま残しておく、その地区は残しておくと、それ以外の地区は造林するというふうに指導しまして、ただいま調査しておるところでございます。
○中村波男君 できたことは取り返しがつかないわけでありまするけれども、天然記念物には指定してない地域ではありまするけれども、特に高山植物等がどんどん盗まれるといいますか、無理解な人たちによって持ち去られるというような傾向の中で、シャクナゲの分布は全国的に広がっておるようでありますが、だんだんと少なくなるということからいいましても、群生地の面積について組合の調査と営林署の調査でたいへん大きな開きがあるわけであります。私は、その点については、地元の営林署長にも申し上げたんでありますが、両方立ち合いで調査をして、できるだけ正確に、分布状況を、営林署自体がまず的確につかむ必要がある。人に聞いて、あすことあすこと何カ所ぐらいあるだろうというような、そういう推定に基づく面積では信頼性がきわめて薄いと、こういうことを指摘しておいたわけでありますが、ぜひ、ひとつ、群生地については、将来、保護し残すようにお考えいただきたい。また、その方向で検討されるということでありまするから、ぜひ、ひとつ、長官の強い指導によってそれが完全に守られるように、実行されるようにお考えいただきたいということを申し上げるわけであります。 この機会に、もう一つ、現地調査をいたしまして問題があるのではなかろうかというふうに考えました一つが、いわゆる立木の処分の方法であります。ほとんどが随契で、本州製紙と群馬県広葉樹利用協同組合とのいわゆる共同購入方式で販売されておる。私は、ブナを中心にする天然林で相当用材向けの材木が蓄積されておるように見たわけであります。したがって、お聞きしておきたいと思いますのは、用途指定材は予決令の規定からいえば、随契をしてはならぬということになっておるのではないかと思うわけでありますが、そういうことからいいましても、この販売方法についてはいろいろな材がまじっておりますので、いわゆる随契でパルプと用材向けに一括して売るんだという、こういう説明があったわけでありますが、その説明だけでは納得し得ないものがあるわけであります。その点はどうお考えですか。
○政府委員(福田省一君) この営林署の販売の内容の報告を受けたのでございますが、ただいま御指摘のように、随意契約によるものがだいぶございます。本来、先生御承知のとおり、国営の木材の販売は会計法に基づきまして公売が原則でございまして、随意契約をいたします場合は、それぞれの法令に基づいて行なっておるものでございますが、この地区におきましては、一つはこの販売、いろいろございますが、大きなものは、一つは産業の保護、奨励というのが一つの目的になっております。その中でも特に低質のものにつきましてはパルプ材としてこれを販売する、あるいはまた住宅産業のための用材の販売ということになっておりまして、これは地元工場が、たいてい製材工場もあるわけでございますから、パルプによる場合も、その他用途指定として住宅産業用に売る場合も、地元工場を入れた共同買い受けの制度をとっているわけでございます。それぞれの用途に適したものを、パルプ材はパルプ会社が持つ、用材は地元の工場が持つというふうに振り分けて共同、販売制度をとっておるわけでございます。 それからもう一つは、古くからここは地元工場が多いわけでございまして、地元工場用材という名目のもとに販売しているのが多いわけでございます。産業の保護、奨励と地元工場用というのは随意契約の中の大きな二つの柱になっておるわけでございます。なお、立木処分をいたします場合につきましては、この半分は昔からやっている慣行特売、つまり薪炭原木でございます。最近は木炭の利用、あるいはまきの利用が少ないために、主としてこれは、パルプ材その他に回るものが多いのでございますけれども、まわりの対象者はそういった昔からの慣行特売という制度をとっているものでございます。それから今後はどうするかという問題でございますけれども、この販売の方式につきましては、公売原則ではございますけれども、昨年の十一月以降、御承知のような住宅ローンの緩和によりまして、住宅需要が相当出まして、木材の価格が相当暴騰したといういきさつがございます。それを公売原則で、営林署がオープンに公売いたしますと、ますます値段をつり上げるという非常な問題が出るのでございます。そこで公売をいたします場合も、これは今後の検討を要することでございますけれども、限定公売つまり地区を限って公売する、あるいは業種を限って公売するという制度も導入してまいりたいと思っております。一方は随意契約におきましても、昔からやっているからいいのだという単純なそういう販売方法ではなくして、やはり公売に多く参加したものはそれを考えてやるとか、いずれにしましても、この地元の工場産業が発展するような方向で随意契約を、従来の単純なきずなから離れて検討してまいりたい。また売る場合も、見積もり合わせ等を導入いたしまして、やはり随意契約にも競争原理を導入していくという方法をとりたいということで、ただいま販売制度の改善について検討いたしておるところでございます。
○中村波男君 もちろん国有林の持つ機能として、地元の関連産業を育成するということは重大な方向でありますから、私は地元産業に売ることを反対するとか、いけないとかいうのではなくて、ややもすると随意契約で、業者と癒着をしておって、その見積もり等あるいは実際の契約額等について、いろいろな業者間からも批判が出ておるのでありますから、十分こういう点を配慮をして、国有林の持つ使命にかんがみながら、公正な売り払いというのが行なわれるように格段のひとつ注意をされる必要があるのではないか、こういう観点で申し上げたわけであります。 実は二、三日前に、軽井沢へ私調査に参ったのでありますが、調査の目的は、間伐がおくれましたために、いわゆる間伐後に、これはカラマツでありますが、この手入れを怠っておったために、弱い木になっておったのでありましょうか、相当倒れておる、こういう実態があるということでありましたから調査に参りました。この問題はまたいっかいい機会に取り上げてみたいと思っておりますが、そのときに、相当大面積皆伐が行なわれておる現状を見ましたときに、いわゆるパルプ向けの材木というのは切らずにそのままになっておる。これはどうするのだと言いましたところ、これはパルプでまた希望者があるのだ、買い受け希望者があるのだ、したがって、それを売りまして、そのあとに地ごしらえをやるのだ、用材向けのものは用材向けとして第一回に売り払いをいたしたのだ。こういう現地の報告を受けたのでありますが、そういうことから考えましても、売り払い方法については現地に即したいろいろな方法があるのじゃないか、考える道がまだ残されておるのではないかというふうに感じましたので、この機会でありますから申し上げたわけであります。 続きまして、三十八年から手まきによる枯殺剤の使用を林野庁が始められて、それから年々その量がふえまして、四十四年からたしかヘリコプターによる大面積の大量の除草剤を使ってきておられると思うのであります。したがって、林野庁が先べんをつけられたものですから、民間にも相当除草剤散布が普及をいたしまして、その結果が、日本の各地で除草剤によるいろいろな形の被害が出てきておることも指摘できると思うのであります。先般、四十七年度国有林事業統計書を見ましても、私の見方がまだ十分でなかったかもわかりませんが、枯殺剤による損害といいますか、被害というものは統計には出ておらないのであります。しかし実際には、あとから具体的に指摘を二、三いたしてみたいと思うのでありますが、ササ等を除去する目的で使う除草剤が、ササも枯れたが、植樹をした杉なり、ヒノキなり、あるいはカラマツなり、それが枯れてしまったという例が各地に出てきておる。もう一つは、ササも枯れなかったために効果がなかった、こういう事例もいろいろと報告がなされておるわけであります。時間もありませんから具体的には申し上げませんけれども、そういう被害というのも相当出ておると思うのであります。あるいは魚が死んだとか、家畜等に被害があったという報告もなされておりますが、いわゆる除草剤散布によって、枯れてならない植林木が枯れた、こういう例も相当あるのじゃないかというふうに思うんでありますが、そういう点はどのように把握していらっしゃるか、この機会に報告を願いたいと思います。
○政府委員(福田省一君) 御指摘の目的のササ以外の樹種、つまり造林した木々が枯れた事例はないかという御質問でございますが、私の承知している範囲では、静岡県に一つ、沼津の管内で昨年造林木の枯れた事例がございます。これは相当霧の濃いときに散布したということが原因ではなかろうかというふうに調査した者は判断しておりますが、その薬が造林木にかかっても、すぐに落ちるのが普通でございますけれども、霧が濃かったために、それがそこに凝結して被害を与えたと、つまり一定の濃度以上になったということでございます。 それから岐阜県の裏木曽ですか、小坂営林署管内で、たしか昨年やはり相当大きなヒノキが枯れたというふうな報告も受けておるわけでございます。 薬剤の散布につきましては、特にそういった気象条件であるとかいうことについても、指導はこまかにしておるんでありますけれども、きめられました基準に従わずにそういう事故を起こしたのではなかろうかというふうに思うわけでございます。 いずれにしましても、そういったことがないように、今後厳重な指導をしてまいりたいと思うのでございますが、同様にやはり、これはよけいなことを申し上げるようでございますけれども、機械化が進んでまいりますというと、事故の件数は少なくなってまいりますけれども、出ると非常に被害は大きいというふうなことがあるわけでございます。すべて仕事には、近代化、合理化をしてまいりますというと、そういう副作用と申しますか、注意を怠りますというと、そういう危険が出がちでございますので、こまかな基準をつくり、なおそのときどきに事故があれば、検討いたしまして、厳重な指導をしてまいりたいとは思っております。なお、御指摘の造林木以外の、たとえば魚であるとか、その他のものに対しての被害があるということも、やはり規定を守らなかったということが原因で出る場合があるように思います。その点についての指導も厳重にしてまいりたいと考えておるところでございます。いままでは、薬が人体にかかった際に被害が出たという統計はございます。これは、特に化繊品の衣類を着ておりますと、薬がかかると非常に発火しやすいというふうなこともございまして、それらについても非常な注意をしておるんでございますけれども、いま申し上げた人体ばかりじゃなくて、そういったほかの面に対する影響等についても十分調査をし、指導してまいりたいと、かように考えております。
○中村波男君 いま長官の説明の中にも岐阜県の小坂営林署で被害が出たというお話があったわけでありますが、これは私も現地の調査をいたして実態を目で確かめてまいっておりますので、自信を持って申し上げることができるわけでありますが、四十六年の十月に、除草剤——塩素酸ソーダでありますが、鹿山地区百十一ヘクタール、小黒川地区五十ヘクタール、三十八年から四十四年に植林をした十センチ程度のヒノキが約六万本枯れたわけであります。したがって、林野庁としても、林業試験場等から専門官を派遣されまして、この原因の究明については相当調査をされたと思うのであります。しかしその結果として、調査の結果、原因が何によったかということは私たちには報告がないわけでありますが、この調査の結果をいまおわかりになっておれば——いま霧によってというようなお話もありましたけれども、そういう状況の中で散布されたということはないようでありますから、大量の木が枯れたということについては、どこに問題があるのか。これは明らかにいたしませんと、今後の施業の上からいいましても、重大な問題だと思うのでありますが、それらの点について長官は御報告を聞いておられますか。また、林業試験場のだれかおいでいただいておるかどうか知りませんけれども、明らかにひとつ原因を究明できたか、できないか、報告をいただきたい、こう思うわけです。
○政府委員(福田省一君) 沼津の場合は、霧の関係というふうにお話いたしました。 小坂営林署の場合におきましては、その原因、結果については私詳細に……。ここで私の記憶している範囲で、いいかげんな答えをしてもたいへん失礼でございますので、試験場の結果の報告をさらに検討しまして御報告いたしたいと思います。 なお、御指摘のようにその対策等については万全を期してまいりたい、かように思います。
○中村波男君 「塩素酸塩系除草剤15の疑問」というパンフレットをお出しになっておりますね。これは何年ごろお出しになったのですか。
○政府委員(福田省一君) これはつい一月ぐらい前に発行したものでございます。
○中村波男君 これを拝見いたしますと、たしか疑問の11というところに、二二ページですが「造林木に薬害はありませんか?」ということがはっきり書いてあるわけですね。われわれが各地から報告を聞いておりますと、多いか、少ないかは別にして、造林木にかなりの被害が出ておるということが報告されてきておるわけであります。たとえて言うなら、岐阜県の久々野営林署鎌ケ峯あるいは神岡営林署の金木戸国有林等でもカラマツが枯れた、あるいは落合国有林では、先行地ごしらえのために除草剤を散布したところ、サワラ、ヒバ等の、それも成木が立ち枯れが出た、こういう実態があるわけであります。したがって、除草剤については、必ずしも被害がないというふうに言い切れるかどうか、大きな疑問を持つのであります。したがって、いまさら言うのはおかしいのでありますが、こういうパンフレットのりっぱなものをおつくりになって、被害がないんだ、ないんだということを宣伝をして、人減らかしのために、今後どんどんと除草剤をお使いになるという計画のように見受けるわけでありますが、時間もありませんから、具体的な指摘はこの辺でやめたいと思いますが、「枯殺剤の害拡がる京大の調査で判明」 「こんどはスギに奇形」と、これは岡山県の津山営林署管内国有林に発生したブラシキラー・クロレート散布による杉の奇形について新聞に出ておるのでありますが、また先般、前橋営林局管内でありますが、国鉄が沿線に散布した除草剤から自然発火したんじゃないかと、こういう新聞報道もあるわけであります。このことは、すでに熊本大学の松村教授が、成分を分解、化学変化等から山火事の危険性は十分あると、こういう指摘もなされていたわけであります。こういったこと等々から考えまして、枯殺剤の散布による除草作業というのは再検討する必要があるんじゃないか。少なくとも水源涵養林とか、あるいは自然保護を最も考えなければならない地帯とか、民家に近接した地域とか等々については、空中散布による除草剤使用というのは、これは早急にやめてもらう必要があるんじゃないかと、使うにいたしましても、手まき散布を原則としておやりになるのがいいんじゃないか、こういうことを私は考えるのでありますが、これらの点について長官のお考えを明らかにしていただきまして、質問を終わりにいたしたいと思うわけでありますが、いかがですか。
○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおり、いろいろと過去におきましては衣類に火がついてやけどをしたという事例もございます。そういった場合は、いろいろとまた厳重な指導をしてこれを改めてまいっております。それから、散布します場合にも、いろいろとヘリコプター散布につきましては規制を、先ほど申しましたように、四十七年の四月に出しております。しかし、私はそれで決して完全だとは思っているものではございません。やはり薬剤散布にしましても、新しい機械を導入いたす場合にいたしましても、大体だいじょうぶだろうと思いましても、いろいろと予測しない事故が出るケースが多いわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のように、私の考え方としましては、薬剤の散布につきましては、原則としては、人手がどうしてもないような地帯、人畜その他に被害のないようなところというところにおいてヘリコプターを考えるということがまず原則でございます。次いで事前地ごしらえをしたりする。造林したあとということになりますと、やはりいろいろといま御指摘のような問題も若干発生しております。したがいまして、私の昨年見ました平塚の事例というのは、やっぱり手まき散布でございます。やはりそういったことを総合いたしまして、この薬剤の使用につきましては、今後また別ないい薬剤も出てくるかもしれません。だからといってすぐそれを全面的に空中散布するということもなかなか問題がございますので、そういう実験の過程を経ながら、確実なところから実施していくというふうにしたいと考えております。結果的に申し上げますというと、最近、四十七、四十八年の使用量は塩素酸ソーダについては非常に減ってまいっております。機械化の問題につきましても、同様の考え方で今後促進していきたいと、かように考えております。
○中村波男君 最後に強く御要望申し上げて質問を終わりたいと思うのでありますが、公害対策の基本は、いまさら私が申し上げますまでもなく、安全性の確認できない薬剤、機械というのは使うべきでない。したがって、林野庁としては、安全性が確認できたという、こういう前提の上にこれをお使いになっておるわけでありますが、しかし、二四五T等は最初はだいじょうぶだと、こう言っておられたのでありますが、その後まあ使用をおやめになったといういきさつもありますように、その後も塩素酸ソーダによる被害というのがいろいろな形で出ておるわけでありますから、今後の使用についてはもう一度ひとつ安全性を確認する立場でさらに実態というものを調査を願いますと同時に、試験研究機関による十分なひとつ研究をしていただいて、これらの使用については、できるだけ縮小し、でき得るならば、やめるべきじゃないかということを私たちは強く考えて要求をいたすものであります。 以上、時間がまいりましたので、林野庁としての今後の除草剤散布に対します基本的な考え方をお聞きして質問を終わりたいと思います。
○政府委員(福田省一君) 薬剤の問題につきましては、機械の問題も同じでございますけれども、そういった安全性の確認ということにつきましては慎重を期してまいりたいと思います。特に塩素酸ソーダにつきましては、厚生省のほうからいろいろと検討していただきまして、林野庁がきめておる基準に従うならばこの点については心配ないということも一応いただいておるのでございますけれども、その後、先生御指摘のようないろいろの問題がございますから、基本的にはやはり安全性というものを尊重いたしまして、ただ薬を使うのが目的ではなくて、自然保護ということと、それから生産性の向上と両方をミックスした考え方に立っているものでございます。御指摘の線に沿うて努力してまいりたいと思います。
○辻一彦君 私、きょう水産関係と米の問題で若干質問したいと思います。水産庁長官と食糧庁長官がどうも見えないので、なるべく簡潔にやりたいと思います。 まず、私、水産庁に伺いたいのですが、この前の精密調査のPCB汚染源に対する発表が四日にされました。あのときに十四地区で、八地区はまあ汚染の結果が出ましたが、六地区はいわゆる白と出ている。ところが、その中の東京湾で過日、水産大学の調査、あるいは東京都自体が二千数百体のいろいろな調査をやって、その結果PCBによる汚染が非常に大きいと、こういう結果が出ておりますが、これはかなり大きな食い違いがありますが、一体これをどうする考えなのか、この点をまず伺いたい。
○政府委員(安福数夫君) 東京都の地先の問題でございますけれども、私ども調査いたしました中には、東京都の地先につきましては調査の対象には入れておりません。と申しますことは、私のほうの調査は一応漁業に主として利用されていると、そういう一つの限定を付した問題があるのであります。そういう関係もあって、東京都との間で、私ども一応対象にしてもよかったのでございますけれども、東京都のほうが独自で自分のほうでやるからということでございますので、東京都の地先については対象にいたしておりません。そういう関係で東京都の地先の問題は私のほうの発表の中に入っていないと、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○辻一彦君 この間の精密調査の対象には東京湾というのはなかったのですか。
○政府委員(安福数夫君) 東京湾の中の千葉地先と神奈川県の地先、これは対象にしているわけでございます。
○辻一彦君 毎日の十二日の新聞によると、東京湾は荒川沖等における汚染が目立つとありますね。この間は東京湾と地先を指定をして、その地帯においては汚染がなかったと、これはわかりますよ。しかし、一般的に東京湾の魚は全部が汚染がないんだという、こういう印象を与えていますが、しかしもうちょっとこまかく、あるいは地先別に調査すればこういう結果が出てくるということがあると思うが、これについては水産庁は放任しておくのかどうか、その点はどうなんですか。
○政府委員(安福数夫君) ただいま御指摘になったように、私どもの発表のしかたに、そういう点では慎重を欠いていたという点は率直に認めざるを得ないと思います。今後そういう点については注意いたしたいと思います。 それから、地先ごとの一つのくくり方の問題でございますけれども、これは非常に技術的な問題や人的な問題、そういった問題がございますので、やはりできるだけこまかに地先ごとに刻むということが必要だと思いますし、今後私どもこの一ぺんだけで終わりじゃなくて、今年度におきましても、継続してそういう危険水域についてはチェックしてまいりたい。これは今年度限りではなく、かなりさらに将来に向かってもそういう考えで注意をいたしたいと思います。そういった際には、やはり社会的な不安の問題、そういう問題をかもしますので、そういった点でさらに慎重に対処してまいりたいと、このように思います。
○辻一彦君 次の検査で、いろいろなところを調べるというのはわかりますが、現に東京都が調べる、あるいは水産大学が調査をして、場所によってはこういう結果が出ている。そういう魚が、やはり消費者の口のほうに入ってくるという事実は、調査されて結論が出るまで続くわけですね。これを一体水産庁は放任しておくんですか。一カ所か何カ所か調べて、そこはなかったと、しかし東京湾の中にはこういう汚染があるというのを、次の調査の期日がくるまではこれはこのままにしておくと、こういうことなんですか。
○政府委員(安福数夫君) 具体的にそういう事態は、県独自でいろいろな調査もされます。今回の場合、東京都は東京都独自でそういう調査されたケースが出ているわけでございますから、そういった点については、私どもそれが事実であるかどうかという問題もございますけれども、やはり県自体できるだけの精査をした結果を発表されているわけでございますから、そういう事態が出ているところについては、やはり私のほうは十分流通関係に乗らないような厳格な自主規制なり、そういった適正な措置をとられるべきだということでございまして、そういう点等は十分私どもも連絡してまいりたいと、このように思います。
○辻一彦君 じゃ、いろんな自主規制とかそういう点は、東京都が調査された結果についても同じようにやるということですね。
○政府委員(安福数夫君) 私どもは東京都のそういう調査の結果の発表を率直に受けとめまして、東京都にそういう趣旨の連絡をしてまいりたい、このように思っております。
○辻一彦君 では、汚染に対する対策はおそまきながらいまいろいろな手が打たれつつある。が、これはますます強化をしなくてはならないと、こう思うんです。 そこで、この間テレビを見ておったら、水産庁長官がテレビに出て、熊本県——私のほうの福井県の敦賀からも出てましたが、各地で漁民の声を聞きながらそれに答えていましたですね。私、あれを聞きながらも感じたんですが、直接汚染地区と関係のないところの港に揚がったところの水産物、魚が一まとめにされて、いま汚染がないかということで、魚価の広範な低落が起こっておるわけですね。これは私は、漁民の暮らしを非常に不安定にしておると思うんですが、この点について水産庁は一体どういう対策を立てる考えなのか、この点をひとつ伺いたいと思うんです。
○政府委員(安福数夫君) 今回水産庁が調査いたしまして、それに基づいて分析なり整理できた段階で発表した結果、非常に消費者を含めまして、漁業者はもちろんでございますが、いろいろな問題をかもし出しましたことにつきまして、私どもこういう調査の結果の発表のしかたなり、それについての対策についてどうあるべきか、こういうことにいろいろと反省をさせられているところでございます。 ただ、本質的にこれはやはり人間の健康に関係があると、こういう問題でございます。非常にその点については私ども慎重にあらねばならない、こういうふうに感じるわけでございます。したがいまして、不安はともかくといたしまして、一応私どものほうで調査の結果、危険水域であるという、この前提としましては、暫定的な規制措置に基づいての一つの判断でございますけれども、そういう措置に基づきまして、危険水域についての危険な汚染されている魚については、それがとられ、流通の過程に乗るということは極力、極力というよりも絶対にないようにと、こういう措置が一番根本的な対策であろう、このように思うわけでございます。そういうことを確保いたしまして、やはり流通されている、市場に出る、そういう魚については安心できると、こういうことに対する消費者の理解とそれに対する保証というものを、やはり行政的あるいは流通関係者の協力も必要だと思いますけれども、そういったことが一番根本的な問題であろう、このように思います。それしかやはり漁民に対する一つの魚価の低落であるとか、そういった問題を払拭する手は、きめ手としてはないであろう。そういう点についてやはり水産庁といたしましても、そういった面の問題の詰めなり、それに対する適切な措置を今後はほんとうに真剣にやらざるを得ないだろう、こういうふうに反省する次第でございます。
○辻一彦君 いま次長の言われるように、私は、汚染の結果が出た、それに対してきびしく自主規制をやり、それが市場に回らないようにする、これはもう当然強化してしてやらなければいかぬと思います。それはそのとおりですね。 ところが、まあ一つの例ですが、けさですか、ジャスコという大手のスーパーですね、それがここに、これは十三日の毎日に出ておりますが、かなり広範な地区を一括して危険水域として指定していますね。たとえば瀬戸内海全域、あるいは福井県でいうと敦賀湾じゃなしに若狭湾全域ですね、こういうところのは危険魚だというので指定をして、それで全部いわゆる神戸や大阪等の中央卸売り市場とも連絡をとって、こういうものは扱わないというようにやっておりますね。こういうやり方が、汚染したものについてはきびしい取り扱いは必要であるけれども、しかしそれに直接関係のない広範なところを一まとめにして、これは扱わないようにしようというような、こういうのを中央卸売り市場といろいろ話し合ってやっていくということについて水産庁としてどう考えますか。
○政府委員(安福数夫君) 御指摘の点につきまして、私ども水産物の流通行政の責任ある官庁といたしまして、そういった面についての指導の至らなさという、力のなさということを非常に残念に思うわけでございます。ただ、根本的な前提といたしまして、やはりこういった事態になりますと、消費者もあるいは漁業者も非常に不安でございます。心理的な影響はどうしても消費者に波及するわけでございますので、それを根本的にやはり払拭するということが、やはり行政としても、正すべきものは正すということが前提になるだろうと思います。流通業者に対して、私どものほうから連絡をしながら、市場を中心でございますけれども。お願いしているのでございますが、それに対して、私どものほうの調査の結果についての、そういった変な動きがないような協力は願っているわけでございますけれども、やはり全部がそれに対して歩調をそろえない。あるいは消費者に対する一つの思惑もあるでございましょうし、商売の一つのあり方として、それが有利だという判断もそういう関係者にもあるだろうと思います。その結果、そういう事態になるということは非常に私ども残念でございます。それで、根本的に、先ほど申しましたように、そういう不安がないと、こういうきめ手を一つ一つ打っていって、そういう事態にならぬように今後は対処してまいりたいと、このように考えます。
○辻一彦君 私は何回も繰り返しますが、汚染の結果が出た、そういう水産物に対してきびしい自主規制をやり、それが絶対市場に回らないようにする。これはどうしても強化をしてやらなければいかぬと思います。それは何としてもやらなければならぬ。しかし、一面においていま漁民のかなり広範な不安が、不安定さが出ていますね。私、二、三日前ですが——この新聞にも、たとえば熊本、滋賀、山口云々と各県が出ておりますが、この間、指摘をした敦賀湾の福井県について言うと、敦賀湾とはかなり離れている越前海岸四ケ浦漁港ですね、ここの厨という漁業協同組合がありますが、ここへ行ってちょっと様子を聞きますと、もう敦賀湾の魚や、若狭湾——福井県、あるいはもっと大きいというと、北陸の魚は、こういう形で名古屋、大阪あるいは神戸の市場で安くなって、地元でも四割から五割ぐらい魚価が下がっているというんですね。それからまた、これは小浜という漁港がありますが、この間、寄って聞いてみると、ここから二十四時間船に乗って大和堆へ出漁して、そしてイカをとってくるのですね。まあ周辺とは、二十四時間も船に乗っていくんだから関係がないんですよ、ほんとうを言えば。大和堆は日本海のかなりな向こうですからね。一箱千二百円のイカが四百円に全部下がっているというのです。こういう中で、非常に漁民がいま不安を感じているし、現実に生活がそういう面でいろいろ不安定になってきている。こういうものに対して、私はまず第一段階に住民の、消費者の健康が第一である。そのためにやらにゃならぬ。これは前回も指摘したとおりです。そのとおりだと思います。しかし、こういう広範な、いま漁村に不安が起こりつつある、これに対して、手をこまねいておるわけにはいかないと思うけれども、その点について水産庁はもっと積極的な何らかの対策はないのかどうか。その点、どうですか。
○政府委員(安福数夫君) 先ほど来申し上げますように、やはり根本的には、ひとつ不安をなくするという手は何だろうかという問題でございます。御指摘のように、先ほどの御質問にございましたように、一部流通関係の中に、かつてそこで問題になった地域を全部指定しているような感じがいたすわけですね、東京湾なり三河湾なり、あるいは伊勢湾なり、あるいは宍道湖なり、あるいは富山湾なり。そういうことをすることによって、そこでおそらく魚の価格が維持でき、あるいはむしろ他の下落のものに反動して有利に売れる、こういう一つの商業上の有利性を、そういう形でされているんだろうと思いますけれども、それを何とか措置するという場合には——私どもまだいたしておりませんけれども、こういう問題は、やはり漁民全般の問題といたしまして、大きな問題でございますので、県に対してそういったことについて現在なし得るといいますか、やる場合は、現在のわれわれ自身が持っております資料に基づくあるいは規制措置なり規制基準なり、そういった問題との関係において、はっきりここはだいじょうぶなんだと、これはだいじょうぶなんだということを、流通段階まで入った形で流通業者の間の話をつけて、だいじょうぶだということを何らかの形でこまかな指導なり、そういうことをせざるを得ないのじゃないかと、こういうような感じをいたしておるわけでございます。これは私がここで直感的に感じたことでございます。そういう措置をやはり今後早急にやっていかなきゃいけないのじゃないか、このように考えております。
○辻一彦君 これはなかなかむずかしい問題ですよ。だけれども、県だけに私は、まかすんじゃなしに、全国的にそういう問題は、かなりずっと漁民に出ているのですから、この点については、水産庁、実態をより把握して、この対策をひとつ考えていただきたいと思います。 そこで、そういう意味で、私は、もっと広範な汚染調査あるいは安全基準の確立、こういうことをやらないと。もう何カ所か調査をしてそれでいいというものじゃないと思うんです。そういう意味では、もっと広い汚染調査と、それからその安全基準の確立、こういうものについてやられる考えがあるのかどうか。その点、どうですか。
○政府委員(安福数夫君) 私ども、こういう汚染の実態調査につきましては、現在環境庁がございます。そういう面で環境庁を中心に、それとの関係で各省もいろいろ出てまいりますけれども、そういう総合的な立場での調査が必要であろう、こういうふうに感じるわけでございます。私どものほうの六月四日に発表いたしました調査も、昨年度のそういう総合調査の結果、概査した結果で、この分野については水産庁の分野でということで、私どもの調査しているものでございます。発表のしかたが、水産庁という形で発表された結果、水産庁だけが独自でやられたのじゃないか、こういった誤解が一部にあるような感じがするわけでございますけれども、そういったことじゃなくて——水産庁がすればやはり漁民に味方するとか、そういう感じも受け取られないこともないわけでございますが、そういった面で、やはり調査については総合的に環境庁を中心に水産庁、通産省あるいは厚生省、そういったものが当然これはやったんだ、そういうふうになっているんだと、で、そういう一つの調査のあり方ということははっきり今後とも確立すべきだろう、こういう感じをいたしているわけでございます。 したがいまして、本日のいわゆる三木環境庁長官主宰の各省の局長レベルの会合が早朝からあったわけでございますけれども、そういったところでも、おそらくそういう角度の検討なり問題の提起があっただろうと思います。そういう点をわれわれは踏まえまして、今後さらに詳細な広範な、そういったものについての調査を今後とも進めるということでお互いに確認をいたしております。したがいまして、そういった結論も得まして早急に私どもはそういう対策に乗り出したいと思います。 私どもの本年度の水産庁だけでの一つのスケジュールは、先ほど問題になっていました十四水域についての調査を一応実施したわけでございます。その結果を受けまして、それは当然入るわけでございますが、そのほかにも、自覚症状と申しますか、一応疑わしい地域ということが出てくると思います。そういったことについてもフォローできるような予算を準備をいたしておりますけれども、そういった各省関連の総合調査と関連づけまして、詳細な調査を、今後とも十分してまいりたい、このように考えております。
○辻一彦君 それから、いまたとえば山口県の岩国で、あるいは福井県の敦賀でいろんな形の補償が行なわれておりますね。この考え方なんですけれども、あるいは対策なんですが、売れない魚、とっても食べられない魚をとって、そして向うで買い上げて、コンクリに詰めてやられているという、こういう形の補償が行なわれておるんですね。これは私、前回の委員会でも指摘したんだけれども、たとえば、カドミウムに汚染された土壌の水田に、食べられない米をつくってそれを買い上げる。その農民はほんとうに働きがいがないという感じを持つ。いま漁民にいろいろ出ている実感としては、食べられないそういうのをとって、買い上げてもらうというのは、それは補償にはなりますけれども、労働というか、働く誇りというものが何にもないという、そういう大きなジレンマというか、気持ちを持っておるんですね。こういう点で、こういう補償の考え方、やり方というものを何か考え直す必要があるんじゃないか。もっと違った形の補償対策あるいは休漁補償とかいうのがあると思うんです。そういう形を考えていいんじゃないかと思うんですが、そういう点どう考えますか。
○政府委員(安福数夫君) 今回のこういう問題に関連いたしますいろいろな補償が、各地で、企業との間に行なわれておるわけでございますけれども、この問題につきましては、政府といたしましては、原因者負担原則というたてまえに立ってこれに対処する。これはどういう事態になりましても、そういうたてまえを貫く必要があるだろうと私ども考えているわけでございます。 それと関係いたしまして、それぞれの地区についての漁業の実態なり、あるいはそういう汚染の態様なり、そういったものは千差万別であろう、このように感ずるわけでございます。そういった点で、それぞれ企業と関係漁業組合なり関係漁業者なり、あるいはその他関係機関が出てくるだろうと思いますけれども、その間にいろんな形の話が進められるということでございます。 やはりものの考え方としましては、それに対する統一的と申しますか、一つの共通の基準的なものがあれば、という感じがいたしますけれども、まだケースといたしまして、それほど普遍的なものではございませんので、そういった面で私ども実態を十分把握してまいりたい。そういう面でできるだけの、そういうケースをこの際県と十分連絡しながら実態の把握につとめて、その中で行政庁として指導すべき点があれば指導してまいる、こういう考えで、この問題については現在考えているような次第でございます。
○辻一彦君 これは私は、しばらくの時間だと、汚染魚を、汚染魚対策で、なくするためだと、こういう感覚もありますから、だから、こういう補償のやり方も続くと思いますけれども、しかし時間がたちますと、働いてそれが何らのプラスにならない、そういうものが、働きがいがない、全然食べられないものをとっているという、そういった漁民の気持ちというものは、これはなかなか耐えられないものに、だんだんなっていくと思うんですね。そういう意味で、全国でいま公害源を明らかにして、原因者負担による対策が立てられていますが、そういう実態を水産庁で早急に調査をして、そしてこの補償のやり方等についても早くひとつ検討、対策を立ててもらいたいと思うんですが、その点一ぺん調べてやられるお考えはおありかどうか、この点いかがですか。
○政府委員(安福数夫君) いまの補償の一つの形態としまして、とりましたものを企業が買い上げるという措置をやっておりますのは、敦賀湾の東洋紡と、また、同じ東洋紡が岩国にございますが、そこでそういう措置がとられているわけでございます。これはきょうの新聞でも、何新聞であったか私忘れましたけれども、ありますように、そういう人間性をばかにするといいますか、働く漁民の意欲というものをある意味では冒涜しているという結果にもなりかねないという問題、確かにそのとおりだと思います。ただ一部のところでは、やはり魚自身の——これは私ども、それほど詳細な長期にわたった研究じゃございませんけれども、みずから摂取される、それで体内に蓄積される、そういうのがPCBについてはかなり多いんじゃないかという一応の中間的な研究を私聞いているわけでございますけれども、そういたしますと、魚の生理がどうなるんだろうかという問題と関連いたしまして、魚自身がおりますと、それでやはり排せつするわけでございますから、また水のほうへ、海にそれが出てまいると、こういう問題もあるんじゃないかと思います。確かに、そういったものを踏まえますと、そういった魚が生きている限り、あるいは死んだらまた海底に沈でんすると、こういうことも言われますので、やはりそういうPCBをなくする、あるいは水銀をなくすると、こういう場合には、それを取り除くというのがあるいは一番いいのかもしれません。そういった問題がやはりからんでくるだろうと思います。したがって、水俣地区につきましては、締め切って、むしろ網を張って全部取ってくれと、こういう漁民の意向もあるわけです。何が一番いいし、何が一番いいかという問題は、今後の問題として残ると思いますけれども、漁民の意思というものもやはり私ども尊重する必要がある。それが永遠に、永遠にというと語弊がありますけれども、のんべんだらりにそういう形でやるということもまたいかがかと、こう思いますので、できるだけ早くそういう地区地区の実態なり、漁民の要請なり、そういったものをやはり私ども把握してまいる必要があると、このように考えております。
○辻一彦君 福井県の敦賀湾、敦賀港でも港のほうはこれは全部二、三千メートルの網を張って全部一掃しようと、こういうことでいまやっておるんですね。そこで、いま次長の言われたように、汚染された魚を全部取り除くということが、やっぱり汚染源をなくするという意味から大事なんだというとらえ方をすれば、これはまた私は一つの意義があると思うんですよ。何か漁民の割り切れない、どうも、食べられないものをとって、何のためにやっているのかという、こういう気持ちに対して、私、いま言われたような一つの方向を持った指導方針が出れば、それはそれで意義があると思うので、そういう面をもう少し水産庁できめこまかく検討してもらって、指導の方針もぜひ立てて、打ち出してほしいと思うんですが、この点どうですか。
○政府委員(安福数夫君) 御指摘の点は確かにそのとおりでございますので、私ども、やはり実態がどういうふうになっているかという問題を把握することが一番必要でございます。ともかく県からも、こういう問題が大きくなりますと、連絡も十分あるわけでございます。これは私ども行政の指導なり、そういうあり方の反省も必要であろうと思いますけれども、やはりそういった点についても実態把握をできるだけ早期にいたしまして それに対する水産庁としての対策なり指導なり、そういったものをできるだけ固めてまいりたいと、このように考えております。
○辻一彦君 これは衆議院のほうも、熊本のほうに調査団が行って、そういう要望があったということを聞いておりますが、私らが回っているところでもいろいろな要望が出ております。こういう、魚がとれなくなって、それがかなり汚染から離れたところであれば、魚価の低落だけの被害を受けているというところがありますね。そういうところ、そういう漁民、あるいは魚屋さん、鮮魚商がいろいろな形でいま生活上かなり大きな不安を持っている。こういう問題がこれから大きくなっていくとすれば、つなぎ資金の、県としてもいろいろ考えておるようですけれども、国としてもそういう融資の対策を考えることも必要じゃないかと思うのですが、こういう点については水産庁考えておりますか。
○政府委員(安福数夫君) 私ども、いまこういった問題の具体的な問題に対する対処のしかたといたしまして、現在の制度があるものについては、その制度をフルに活用してこの対策に振り向けたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。制度といたしましてございますのは、漁業金融公庫に漁業の経営安定資金というのがございます。それをやはり重点的に対策の一つに向けたい。これは五分でございますけれども、災害ということを前提にして五十万円が出せる。こういう制度があるわけでございます。これを優先的にそういった対策に向けたい。そのほかにやはり緊急対策、新しい措置といたしまして、やはり何らかのそういうつなぎ資金については、私どもの水産庁の分野でできるだけの措置として新しく、あるいは流用であるか、予備費の支出であるかは別といたしまして、何らかのそういう措置を早急に講ずる必要があるだろうということで、内部で検討いたしておる段階でございます。
○辻一彦君 私、この問題はこれからまだまだ各地に出てくると思うのですよ。そうすれば、こういうような漁民の不満と不安というものはかなり広がっていく可能性がある。そういう場合に、繊維問題が日米繊維協定の発効によっていろいろな問題が出たときは、かなり広範な対策を政府は立てましたですね。沿岸漁業が、悪くすれば軒並みにこういう不安に見舞われる可能性がないとは言い切れないと思いますから、この点のひとつ対策を十分検討して強化してもらうように願いたいと思うのです。その点、きょうは長官見えておりませんけれども、次官ひとつその点の考え方一言だけ聞かせていただきたい。
○政府委員(鈴木省吾君) ただいま辻委員から御意見の開陳がございました。ごもっともだと考えますので、十分、こういう時期でございますから、検討してまいりたいと考えます。
○辻一彦君 では、水産庁のほうはこれで終わります。 私、次に米と食糧問題について若干お尋ねをしたいと思います。 一つは、これは経済局長に伺いたいのですが、この間FAOのバーマー局長が、五月末ですね、穀物備蓄の必要性を各国の政府に伝えていると、こういう新聞報道がされておりますね。三月にこっちに来たときには、勧告じゃないけれども、ちょっとした話があったということですが、その後わが国に対しては、このFAOから何の連絡も要請もないのか、あれば、どういうものなのか、その点伺いたい。
○政府委員(内村良英君) わが国に対しましてFAOから備蓄の要請はございません。ただ、例の西アフリカの飢餓の問題に関係いたしまして、五月でしたか、FAOから、日本も何分の応分の貢献をしてほしいという要請は受けましたけれども、広い意味の備蓄ということで日本に対する要請はございません。
○辻一彦君 それからもう一つお伺いしたいのは、エカフェの総会が、この間開かれましたですね。で、アジア極東地域におけるいろいろの国の発展が工業を中心に考えられたけれども、結局、足元の農業をしっかりしなくてはいかぬと、こういうところで、農業開発の方向が非常に強く出たというのですが、この点の背景ですね、ちょっと簡潔に御報告願いたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 御承知のとおり一九七一年、七二年にエカフェの関係の開発途上諸国におきまして、干ばつ等の自然災害があったということもあって、食糧生産が低下いたしまして、それが全体の経済成長率の鈍化等の大きな要因になったということでございます。と申しますのは、御承知のとおり、東南アジア地域におきましては、フィリピンの稲作研究所でつくりました、いわゆるミラクルライスといわれるわけでございますが、IR5とかIR8という多収穫の品種が非常に急速に広がりまして、昭和四十年ごろは大体もう東南アジアも食糧は自給できるのじゃないかというような感じもあったわけでございますが、そういったいわゆるミラクルライスと言われる多収穫品種の普及があっても、同時に、基盤整備が十分行なわれていませんと、結局干ばっというようなときには非常な減収になって、それがもとで経済成長が鈍化するというようなことがあるわけでございます。そういった反省に立ちまして、今年東京で行なわれました第二十九回のエカフェの総会におきましては、農業問題が非常に大きくクローズアップされた。わが国も大平外務大臣が主席代表としてこの会議に参加したわけでございますが、大平大臣のステートメントで、農業開発の重要性というものを非常に強調いたしまして、わが国としても、農業開発については応分の協力する用意があるというようなことを表明されたわけでございます。
○辻一彦君 国際的にも食糧の逼迫状況、それから極東アジアにおいても農業をもう一ぺん足もとから固め上げよう、こういう動きが非常に強くなっている。そういう中でわが国の食糧自給体制ということがいろいろ論議されておりますが、政府は世界各国に六月中に食糧調査団を送るというんですが、これはどういうねらいでやるのか。これも簡単でけっこうですから、述べていただきたいと思います。
○説明員(松本作衛君) ただいま御質問のありました世界各国への食糧の調査団でございますが、実は最近におきます世界の食糧の需給事情は逼迫しておりますが、これは、昨年来の気象の異常というようなことが大きい原因と考えておりますけれども、こういうふうな農産物の国際需給は気象の要因以外にも、たとえば各国の農業政策なり、ないしは各国の食糧の自給の動向というようなものによって、大きく影響されると考えられます。日本のように、非常に農産物の輸入を大口にやっておる国につきましては、今後そういうふうな世界の需給動向がどうなっているかということを見定めていく必要があるのではないか、というふうに特に感じられてまいった次第でございます。こういうふうな立場から、私どもといたしましては、いわば世界の各国に、大使館等を通じまして、情報をなるべく敏速にとるようにつとめておりますけれども——やはりある程度現地の実態を見まして、そういうふうな動向をはっきりつかむべきであるというふうな必要を感じてまいりましたので、できるだけ早い機会に、おもな食糧の需給に影響のある国、北米、南米、東南アジア、ないしはいわゆるソ連、東欧等の共産圏というようなところで、そういうふうな食糧需給の動向をつかまえてみたいというふうに考えておるわけでございますが、何ぶんにも予算を必要といたしますので、財政当局と目下話し合いを始めておるというふうな段階でございます。
○辻一彦君 これはあれですか、わが国の備蓄の、将来買い入れるための可能性とか、そういうことも含めて調査に行かれるのですか。
○説明員(松本作衛君) 必ずしもただいますぐに備蓄と結びつけて考えておるわけではございませんけれども、やはり、こういうような世界の需給の動向が、国内の農産物の安定供給の上に大きな影響を持ちますので、その動向をなるべく早く確かめた上で、ただいま御質問のありました備蓄の必要性があるかどうかということもはっきりと考え方を定めていきたいというふうに考えます。
○辻一彦君 きのう新聞でしたか、国際化に対応する農業問題懇談会、これは財界と農業団体の懇談会ですね。ここの提言がある程度まとまったと出ておりますね。この中に、日本の農産物のいままでにおける過剰ぎみというものが、世界から最も安い農産物を、いいものを買い入れる大きな力になっておったと、こういうようなまとめが私はあったように見たわけですね。ゆとりを持つことが大事であるということ、こういうことをちょっと指摘されているのですが、これは私は、これからの備蓄等を考える場合に、ぎりぎりなくなって、その中で備蓄をしようとか、買い入れをしようとすれば、値段が上がってたいへんだけれども、あるゆとりを持ってやることが何としても大事だというふうに考えるのですが、こういう考え方をどういうふうに農林省はつかんでおられるかお伺いしたい。
○説明員(松本作衛君) 確かに先生御指摘のように、そういうような需給のあり方ということは、現在日本の食糧の需給動向から見て、検討すべき問題になってきておると思います。ただ、先ほど申しましたように、国際的な食糧需給の動向というものも、現在流動的でございますし、また備蓄をするということになれば、非常に大きな財政負担も必要になってまいりますので、備蓄というような問題に入ります前に、むしろ安定的に食糧を確保していく、たとえば長期的な契約をしていくとか、買い付けをなるべく前広にやっていくとか、安定的な取り引きの契約を国際間にしていくとか、というような問題も考えていかなければならないのではないかというように思っております。そういうような問題も含めまして、おもな農産物の安定的な供給をはかるということについて検討していきたいというふうに思っております。
○辻一彦君 時間もかなり過ぎておりますから、あと二、三点、私簡潔に伺いたい。 それは、田中総理が青森で、減反打ち切りということを記者会見で発表しておりますね。その中身を見ると、これは表題と中身がずいぶん問題があるように思うのですが、この減反打ち切り、来年度から減反をやらない、こういった真意は、一体何か。これはひとつ農蚕園芸局長伺いましょうか。
○政府委員(伊藤俊三君) 総理が青森で御発言をなさった内容について、もちろん私直接その場に居合わせたわけではございませんが、各紙の記事でございますとか、現地に照会いたしました結果を総合いたしますと、いわゆる減反問題につきまして、今年一ぱいで、減反ということは打ち切ることになっているので、これからは転作奨励にウエートを置くというような趣旨の発言をされたようであります。これは、四十六年二月の、米の生産調整につきまして閣議了解がございますが、休耕奨励金は四十八年度限りで打ち切りまして、そのあとは転作を基本に進めることとなっておりますが、その趣旨を、四十九年度対策として、記者会見でされたのではないかというように私ども考えております。
○辻一彦君 局長にそういうものの真意を問うのは、これは無理なことだと思うのですけれども、ただ、この記事を見ると、総理発言のあとに、中野食糧庁長官がコメントをして、農林省の考えというものを大体まとめておりますから、そういう意味で伺っていると、こういうふうに聞いていただきたいと思います。そこで、一体、減反政策というものは、これは私は、米が、ある過剰が出たと、だから、ある面では、休耕をやる。休耕した分には休耕奨励金を出す。そうでないのは転作をやる、転作奨励金をやる。減反政策というのは、休耕と転作の二つを含めていると思うのですね。減反を打ち切るというのは、言うなれば、休耕と転作を、こういう方向を打ち切って、もう一つ米の生産調整をやめていくといいますか、そういう方向のように、減反政策を打ち切るということは私は理解するんだけれども。で、減反打ち切りということは非常に意味が違うように思うのですが、これは、御本人に聞かなければならないことですが、ちょっとかわってひとつ農林省の真意を聞きたい。
○政府委員(伊藤俊三君) 私どもは、国内の潜在的な米の需給といいますか、そういったものはやはり過剰であるというように考えております。したがいまして、そういったものを何らかの意味で調整をしなければならないわけであります。まあ三年間はいまおっしゃいましたように、休耕奨励金と転作の奨励と両方でやってきたわけでございますけれども、やはり何もつくらないものに金を出すというのも、どうもあまり感心をしない話であるというようなこともあります。また、ほかにしかるべき作物があれば、それに転作したほうが当然いいわけでありますから、そういうことにして四十九年度以降は既定の方針どおり、転作というものを中心に進めていくというようにいたしたいと、かように考えている次第でございます。
○辻一彦君 まあ大臣に聞けという声もありますし、問題の性格上私はそうだと思いますから、これはもうこれ以上あまり入るということはやめます。 ただ、局長に聞いておきたいのは、まあ青森とか言えば東北ですね、あるいは北陸。ここは、米以外はなかなか、つくるといってもできないわけですよ、御存じのように。だから、かわりにミカンをつくるとか、野菜をつくるとかいってもなかなか、単作地帯ですから、米以外というものはない。だから、つくらないなら、休耕しておくしかないといって出かせぎに出ているんですね。こういう中で、休耕やめればすぐ転作へとやるんだといっても、なかなか転作ができないという実態があるんですね。これはひとつ局長よく考えていただきたい。この休耕やめたら転作に重点を置いてやればいいといったって、あの東北や北陸の、まだあの基盤整備の状況の中では、すぐほかに、野菜や果樹その他に気象条件、自然条件からいっても移れないわけです。だから、そういう中を一体どうするかという問題があると思うんですよ。まあ、あなたにこれを聞いても無理だと、性格上どうかと私も思いますから、これはまた別の機会に取り上げていきたいと思いますが、簡単に転作はできない東北や北陸の地理的、自然的条件ということを十分考えて、これからこの米の問題をどうするか、こういうことについて十分対処してもらいたい、こう思います。この点についてちょっと所見を伺って終わりにします。
○政府委員(伊藤俊三君) 私どもは、従来からも転作を進めるにあたりまして、地域分担の問題を考えておるわけでございます。当初の生産調整の割り当て数字に比べますとかなり違ってきている。歴年違ってきておると私どもは考えております。米の単作地帯というようなもの、それからそうでない、何でもほかにもいろいろ転作ができるところというようなところと、ある程度差等をつけまして、生産調整に御協力を願っておるというようなことでございます。今後も私どもとしましては、やはりそれぞれの地域の事情というようなものを十分勘案しながら、こういった米からの他の作物への転換というようなものを進めていかなきゃならないというように考えております。
○辻一彦君 東北の——これは総理に私はよく助言をしてほしいと思うんですよ。東北の青森というような、米以外に、これはもう転作といったってできないようなところ、休耕やめたら転作やるんだと、そしてそれが減反をやめることになるんだと、こういう理解をされていることについては、たいへん農政上問題あると私は思う。そういう意味で、農林省はだいぶいろいろ助言もどんどんされておるようだけれども、この点ひとつ十分検討していただくように願いたい。このことをひとつ次官から一言伺って、私はこれで終わります。
○政府委員(鈴木省吾君) ただいま農蚕園芸局長から御答弁申し上げましたように、転作のできるところとできない地域というものを考えまして、地域分担の指標というものを、御承知のようにつくっておるわけでございます。それも一気にいけないもんですから、年々そういう指標を試しながら生産調整をお願いする反別等を年々やっておるわけでございます。来年からは、単純休耕というものの補助金を打ち切ることにも相なっておりますので、そういう点、ただいまの御意見十分参酌し、新しい段階で対処してまいりたい、かように考えております。
○辻一彦君 この問題若干保留して別の機会に譲ることにして終わりにいたします。
○理事(初村滝一郎君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○理事(初村滝一郎君) 速記起こして。
○塩出啓典君 それではまず最初に水産庁にお聞きしておきたいんですが、先般の第三水俣病あるいはPCBの環境庁あるいは水産庁の測定結果によって、非常に各地で漁業界に大きな波紋が起きておるわけでありまして、言うなれば私は、日本の漁業の一大ピンチではないかと思うわけであります。そういう点で、これから魚の水銀の許容量あるいはPCBの許容量等がきめられていく、かなりいままでの基準よりもきびしくなっていくんではないか。そういうことを考えますと、まあわれわれ日本民族は、世界の民族でも一番漁業というものから得るたん白源というものの非常にパーセントは高いわけでありますが、一体漁業の将来はどうなっていくのか、食べる魚はなくなるんじゃないかということを心配しているんですが、水産庁はそういう問題はどう考えていますか。
○政府委員(安福数夫君) 非常に大きな問題でございまして、どう言っていいのか私はよくわかりませんけれども、まあともかく海が汚染されつつあるということは事実でございます。したがいまして、政府としても、水産庁だけではなくて総合的に環境庁を中心に汚染が進まないと、これは海といわず大気といわず、そういうことに全力をあげているということでございます。水産庁といたしましても、海の汚染を、直接荒廃されている漁場を回復するという予算も組み、そういう角度で施策を進めておるわけでありまして、まあ魚が将来食べられなくなると、こういうふうに私ども考えてないわけでございまして、そういった面で、わが国の食糧の中で、動物性たん白質の中で六二%少しの比率を占めておるわけでありますから、そういった面でわが国の食生活の中で、わが国の水産業が果たしているところが非常に重要な分野を占めているわけでありますから、そういう健全な水産業として将来ともひとつ伸ばしていきたいと、このように私ども確信して施策を進めておる次第でございます。
○塩出啓典君 それはまあ水産庁としての希望的意見であって、現実はなかなか希望どおりいってないわけですね。このPCBにつきましても、先般の発表と昨年の発表を見て、あるいは水銀等につきましても魚介類における汚染というのは進行しているのか、並行状態なのか、よくなっているのか、その点どうなんですか。
○政府委員(安福数夫君) 汚染の実態というのはいろいろの種類があると思いますけれども、現在一番問題になっています水銀、PCBの問題、水銀につきましても現在まだいろいろな面で——これは通産省からむしろ御説明願ったほうがいいだろうと思いますけれども、極力水銀を使わないような技術の開発、それに対する転換というものも極力進められているわけでございまして、従来のようにたれ流しの状況にあった、そういう汚染はおそらくとまっているだろうと思いますし、汚染の進展は、そういう意味ではスローダウンしているだろう、こういう感じはいたします。PCBにつきましては、御指摘のとおり、全面的にストップして、むしろ回収すると、こういう措置がとられておるわけでございます。したがいまして、過去におきまして水に流れたそういった物質が海水中にもございましょうし、あるいは海底のヘドロの中にそれが蓄積されている。こういう事実はございますけれども、これも将来徐々にこれは希釈されると、こういうふうに私ども理解しておるわけでございますので、今後のそういう汚染の実態をストップすることによって、これが相当期間かかるとは思いますけれども、海の浄化につながっていくのじゃないだろうか、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。
○塩出啓典君 あなたは非常な楽観論者ですね。将来そうなればいいのですけれどもね。しかし、私が言ったのは、実際にそういう水銀の工場にしても、それはクローズドシステムにして、流してはいない。あるいはPCB等についても、これは使用禁止だと。けれども、現実に、たとえば先般の水産庁の発表したPCBの魚のデータですね、これはどうなんですか。去年もやった、そういうのと比較して、三PPMをこえた魚のパーセントというのは、去年よりふえているわけでしょう。そういうことから言うならば、やはり汚染は進行していると、そう言わざるを得ないんじゃないですか。
○政府委員(安福数夫君) この概査と、私ども今回やりました精査との間の比較は、必ずしもできないんじゃないだろうか。それは検体の取り方の問題もございます。しかし、それはやはり水なり海底なり、そういったものの汚染との関係において、私ども物事を判断をするのが正確じゃないだろうかと、こういうように感じております。そういう面で、昨年度の概差と比べてむしろふえているのじゃないだろうか、こういうあるいは誤解があろうかと思いますけれども、そういう検体の取り方との関係がございますので、それを直ちに結びつけて必ずしも云々できないのじゃないだろうか、このように思います。
○塩出啓典君 そうしますと、今回PCBの測定にしても、あるいは水銀の測定にしても、やはり魚のたとえば肉の部分とか、あるいは肝臓の部分とか、いろいろ違いがあると思うのですね。あるいは魚の可食部分でも、頭のほうと、まん中と、尻のほうは違うかもしれぬ、あるいは実際にPCBというのは、魚のほうに入ってくるのは、水中の水銀なりPCBが関係するのか、あるいは底質に水銀あるいはPCBがあれば、そういうのが水に解けて魚に入るとか、そういうこまかい問題等も、これはどんどんやはり調査していかないと、ただ、そういういま言ったような、頼りないデータをもとにして、一番根本である水産庁がそういう頼りないことでは、われわれはほんとうに心配だと思うのですね。そういう点はどうなんですか。
○政府委員(安福数夫君) 確かに昨年の概査と今回の精密調査との間のそういった数字的なつき合わせについては、ある意味では御理解願えない面はやっぱりございますけれども、そういう御趣旨に対しては、私どもは昨年の概査は、こういう地域は問題だ、この地域は問題だという地域選択のための一つの調査でございます。そういった地域について、これを詳細に調査したというのが今回の調査でございます。この調査は、一回だけで終わるわけじゃございませんで、年間少なくとも二回以上はそういう地帯についてトレースしてまいる、そのほかにさらに疑わしい地域が出れば、そういう地帯についても精密な調査をすると、こういう体制でおるわけでございますから、今後出てまいります資料との比較において、この問題を比較検討することが正しいのではないだろうか、このように考えているわけでございます。 それから魚のいまの生理の問題でございますけれども、一応私どもの研究所で、そういった魚の生理についての一つの継続的な検討はやったわけでございますけれども、一つの問題として、テーマとして取り上げましたのは四十七年が初めてでございます。そういう面で、対象になっておる魚種も非常に限定されておりますけれども、海ではハマチそれから淡水ではグッピーと金魚、こういうものについて、えさを通じまして、ハマチについてはPCBに汚染されているカタクチイワシを継続的に投与するとどういう形で蓄積されるだろうかと、そういった研究を続けております。それと、水からどのように吸収されるだろうか、そういう研究所の四十七年度の結果は、中間的でございますけれども出ております。その結果は、えさよりも水から来るほうが多いんじゃないだろうかと、こういう一つの中間的な結果が出ておりますけれども、それじゃ魚のどこに多いのだと、こういうことでございますが、一般的にやはり内臓に多いんじゃないだろうか。われわれ内臓を食べないというわけでございませんけれども、そのほかにわれわれが食べる脂肪の中にそれが蓄積される傾向がある、一部また排せつされるという問題もございます。そういう一つのデータが中間的なものとして出ております。結果的には、それじゃ水だけかと申しますと、ヘドロの問題、これが何らかの形で攪拝されますし、いろいろな対流現象が起きましょうし、そういう関係で、土壌は関係ないのだ、海底の底質は関係ないのだというわけにはまいらぬだろう。それもやはりヘドロの中に頭を突っ込んでおる魚もおる、泥を食べる魚もおりますから、水だけじゃなくて、やはり底質を通じて体内に蓄積されるという問題もございましょうが、それぞれの魚によりまして、今後とも継続的にそういった魚の生理についての検討は進めてまいりたい、こう考えております。
○塩出啓典君 だから、やはりそういうPCBあるいは水銀の汚染のない海をつくると、これは恒久的な対策だと思うんですね。だけれども、現実にはやはり、いま出すのをストップしても、海は汚染されているわけですから、そういう中で、たとえば岩国の場合、今回十一種類の魚を分析しているわけですね。実際は三十種類もの魚をとっているわけですから。あるいは魚によっては、非常にPCBに汚染されやすい魚と汚染されにくい魚とあるかもしれない。そういうわけで、私はいずれにしても、水産庁なり環境庁のそういう測定のデータというのは非常に少ないし、もっともっとやはりそういう面の予算を取って、たくさんやって、そしてそこにやはり応急的な対策として、PCBに汚染されやすい魚、されにくい魚、だから、この魚はだめだけれどもこの魚はいいとか、何らかのそういう緊急対策を立てなければいけないと思うのですよ。そういう点で、私は、水産庁として、もう少しそういう調査研究のほうに力を入れて、これは環境庁との関連もあると思うんですけれどもね。やはりそういう点をはっきりしていかないといけないんじゃないか、そういう点はどうなんですか、今後の方針としては。
○政府委員(安福数夫君) 御指摘のとおりでございまして、そういった面について環境庁を中心に関係各省集まりまして、大規模な調査についての検討を進めておるところでございます。これは単に問題になったというだけの問題じゃございませんで、日本民族の将来の健康にまで大きく響く問題でございますので、そういった長い目でそういう調査を今後継続的に進めるべきだと、このように考えております。
○塩出啓典君 私、先般徳山の徳山曹達の工場とか、それからまた福川という漁業組合の漁民の皆さんともいろいろ会ってきたのでございますが、あそこも八日から全然魚をストップしている。もう全く売れなくなっちゃって、瀬戸内海に東洋曹達あるいは徳山曹達から非常に多量の水銀が行くえ不明になっておる。そういうような記事が出たものですから、徳山湾の魚は非常にあぶないということで、そういうことで全然ストップしているわけなんですね。そういうわけで、これは漁民だけではない、仲買い商、小売り商、それからすし屋まで、全然商売が上がったりだ、そういう状態で、早くこの徳山周辺の健康診断もやって、そして水俣病の患者がいるのかいないのか、あるいはまたこれだけ魚のいわゆる安全基準というものを早くきめて、はっきりしてもらいたい。そういう要望があるわけでありますが、確かにそのとおりだと思うんですね。厚生省としてはいわゆる魚介類の水銀の安全基準というものを、これは早期にきめると、再検討すると、そういうことで御努力をされているように拝見しているわけでありますが、大体この安全基準というのは大体どの程度になりそうなのか、いつごろきまるのか、その見通しはどうですか。
○説明員(岡部祥治君) 食品中の水銀の許容基準につきましては、微量長期の慢性毒性試験というものを現在、国立衛生試験所におきまして、サルを用いまして実施中でございます。この結果が出ますのは、さらに一、二年先になるわけでございますが、現在のような時点からそこまで待つわけにまいりませんので、現在得られました知見を集めまして、専門の学者を集めまして精力的にいま検討中でございます。五月三十日、六月四日、さらにあした、もう一回会議を開く予定にいたしております。私どもといたしましては、こういう事態でございますので、何らかの暫定的でも数値を早くきめたいということで努力しておりますけれども、先生方の中にいろいろ御意見もございます。したがいまして、今明日というわけにはまいりませんが、少なくとも本月中をめどにいたしまして作業中でございます。
○塩出啓典君 私も新聞で拝見したんですが、竹内教授はコンマ一PPMぐらいだというような、そういうようなことを新聞で発表したんでありますが、これは水産庁にお聞きしたいんですが、コンマ一PPMというような基準になった場合に、大体日本のわれわれの食べている魚はどうなりますか、コンマ一PPMということになりますと。コンマ一PPM以下の魚介類というのは大体どの程度あるんですか。
○政府委員(安福数夫君) これは一つの推定になるわけでございましょうし、そういう実態につきまして必ずしも詳細に考えておりませんけれども、そういう水銀の場合には、それを使っている工場がございますから、そういったところで典型的に出ていますのは水俣であり、あるいは有明湾であり、あるいは徳山湾、そういうところで、あるいは山形県の一部で出ているようなことも聞いておりますが、一応特定されるだろうと思います。そういうところでの実態はかなりきびしい結果になるんじゃないだろうかというふうに私どもは予測しますが、数字的にはまだ確認するあれは持ち合わせておりません。
○塩出啓典君 よくわからないんで、コンマ一PPM以上の水銀濃度の魚が出るところは部分的に確定をされると、そういう意味なんですか。
○政府委員(安福数夫君) そういうことでございます。そういう地帯では非常に……。
○塩出啓典君 ということは、苛性ソーダの製造工場、水銀を使っている工場というのは——あと通産省に聞きますけれども、これはいままで問題になりました窒素とか、こういうようなアセトアルデヒド製造工場のほかに、いわゆる苛性ソーダの製造工場、これはもう全国に四十、五十あると思うんですけれども、かなりの水銀がやはり行くえ不明になっているわけですから、そうなってくると、農薬を前便っておりますし、いまはだいぶ規制されておりますけれども、そういう点で、かなり水銀によって魚が汚染されているということはこれはもう全般的に言えるんじゃないかと思うんですね。そういう点でどうなんですか、いま水銀の許容基準がコンマ一PPMになろうかというときに、そうなった場合に、日本の漁業はどうなっていくかということは水産庁においては真剣に考えてはいないのですか。私は、こういうことを質問するということは言っておりませんでしたけれども、これは別に質問通告しなくても、いまの時代において水産庁長官の考えるべきことはこういうことじゃないですか。
○政府委員(安福数夫君) 私どものほうで一応持ち合わせている資料、これは必ずしも私資料の分析をいたしませんので正確じゃございませんけれども、やはり非常に特定された地域については〇・一PPMというのはかなりきびしいだろうという感じがするわけでございますが、概略的にかなりの、それがどういうところでどういう工場が立地しているかという問題、必ずしも承知いたしておりませんけれども、大体〇・〇の段階の資料が非常に多いんです。〇・一——メチル水銀でございますね、そういう実態、私のほうで承知しておりますのはそういうことでございまして、いまの〇・一の規制ではやはり地域的にはかなり特定されるんじゃないだろうかと、こういう見通しを持っております。
○塩出啓典君 マグロなんかは大体あれでしょう。輸入しているマグロですね、こういうのはやはりたとえば日本近海じゃなしに、遠海でとれるマグロ等においても水銀の値はだいぶ高いわけでしょう。これはきょうは私はそういうことは詳しいデータを持っておりませんけれどもね。しかも、いま基準のコンマ一PPMというのはこれは総水銀で言っているわけですから、そういう点でかなり私は、漁業の将来というものは非常にきびしい状態であると。そういう点で、そういう問題に対して近海漁業というものはほんとうにあるいはもうとれなくなるような場合もあるかもしれない。そういうときのことも考えて、ほんとうはいままでにちゃんと手を打つべきだったわけですけれどもね。今後の点についてもう少しひとつ水産庁においても、水産庁は漁民の側に立ってそれをひとつ検討してもらいたいと思うのですよ。先ほど申しましたように、もっとやはりたくさんデータをとって、やはりある程度のはっきりした、ある程度の数の資料が集まらないと何にもできないと思うのですね。このことを要望しておきます。 それで、これはちょっとお聞きしておきたいのですが、漁獲の規制をするために、いわゆる立法化を検討していると、いまは徳山湾にしても、あるいは岩国にしても、結局漁業組合がもう自主的に魚をとるのを、とっても売れませんからやめているわけでありますが、しかし徳山等においては漁業組合はとるのをやめても、一本釣りの人は、しろうとは釣っていると、そういうことを規制することもできない、そういう現状ですね。これに対して農林大臣が先般の衆議院の委員会で、こういう規制をするということを答弁しているわけですけれども、これは水産庁としても具体的には検討を開始しているわけですか。どういうことになりますか、これは。
○政府委員(安福数夫君) ただいまの御質問の点につきましては、議事録をまだ確認できませんので、私どもそういう発言が、大臣の御答弁の中にあったかどうかは承知いたしておりませんけれども、私ども承知いたしておりますのは、そういう問題があると、現在漁業関係の法令ではそういうものに対する直接的な規制をするという根拠がない。確かに漁業というのは、漁業内部の、漁業の分野だけの一つの規制する法律でございますので、そういう趣旨の前提になっていないもんですから、それで直接規制ができないということでございます。したがいまして、これは直ちに禁止すると、規制を計画的に持っていく、出していくと、こういう場合には、どうしても法律が必要であろうということでございます。それを立法化する場合には、いろいろ各省との関係のいろんな問題、条件を満たす必要がある、こういう問題がございます。そういった問題について、私ども検討していないというと、うそになります。そういう意味で、そういう検討は進めているということは言えると思います。ただし、それが漁業関係法令の中で、既存の法律の中で、それを阻止するというものではなくて、やはりもし法律を出すとすれば、別途の法律になるんじゃないだろうかなと、こういうふうに私どもは感じているわけであります。
○塩出啓典君 それから、当然そういう方向になれば、漁業補償、生活補償についてのことが問題になってくると思うのですね。徳山の場合は、東洋曹達が、漁民が一日休業すれば一日二万円と、こういう補償をしているわけですね。岩国の場合は、いま先ほど辻委員から話がありましたように、とった魚をそれを買い上げてもらっている。徳山市の徳山曹達もやはり一日一万円ということで、それから仲買い人等も会社と交渉していろいろ見舞い金をもらっているわけです。いずれにしても、今後こういうことがあまり起こることはほんとうに好ましくないわけですけれども、当然そういう漁業補償の問題が起きてくると思うんですけれども。そういう点でたとえば海の埋め立てに伴う漁業補償等については、閣議の決定に伴う基準ができているわけなんですね。こういう場合にも、漁業補償、生活補償というものについても何らかの基準というものを考えていかなければいけないんじゃないか。ということは、結局、漁民の人がある程度徒党を組んで交渉しなければ会社は応じてくれない、これじゃ困るわけですね。そういうことで、そういう一つの基準をつくって、それで被害を受けた人は、たとえ一人であっても会社と交渉しなければ、圧力団体みたいに交渉しなければもらえないというんじゃなしに、そういうふうに基準をつくり、さらには一つの立法化と申しますか、そういうことも当然考えていかなければいけないんじゃないか。これは本来いえば、そういう汚染された魚が出ないようにすることが一番第一義で望ましいわけですけれども、現実においては、こういうことも必要ではないかと思うんですけれどもね。これは水産庁としてはどう考えておりますか。
○政府委員(安福数夫君) ものごとに基準をつくるという場合には、いろいろと客観的にたくさんのデータがあって、それから抽象化されていって基準ができるわけでございまして、今回のこういう問題を、ずうっとこれをどういう形で、共通的なそういう基準をつくるか、確かに非常に、そういう千差万別な、その場その場の違った補償がされているということは、必ずしも適切ではないんじゃないかという感じがいたします。そういった意味合いにおきまして、そういう何らか抽象化された一つの共通的なものができればいいということは確かだと思います。ただ現在、全国的には必ずしもそういうデータが共通的に積み上がるというのがございませんので、そういった実態把握は十分今後ともする必要があると思いますし、そういった問題を踏まえての補償の一つのよりどころ、こういったものはつくられたほうが好ましいだろうと、われわれとしても、そういう方向で事実の確認、データの収拾を進めてまいりたい、このように考えております。
○塩出啓典君 それから、これは環境庁にお聞きしますが、徳山湾のそういう周辺の漁民の人たちの健康診断をやると、そういう発表を私新聞で見たんでありますが、先般参りますと、県のほうも、市のほうも、やっぱりやるという態勢にはなかったわけですね。何か環境庁の指示待ちのような形で何か環境庁がやるのか、県がやるのか、市がやるのか、どこかがリーダーシップをとって——水俣病に類似した患者がいるということで現地で問題になっているわけでありますが、この水俣病というのはなかなかしろうとではわからない。非常に元気そうでも専門家が見ると、いわゆる水俣病の疑いもある。そんなように私ども聞いているわけで、専門家による健康調査というものはすみやかにやらなければならないと思うんでありますが、いま一番問題になっております徳山湾の場合は大体いつ健康診断をやるんでありますか。
○説明員(山本宜正君) 先週の徳山湾の水銀の排出の問題が新聞に載りまして、さっそく私県の衛生部長との電話連絡いたしました。なお土曜日の日には午後に衛生部長と直接会いまして、この問題についていろいろ意見交換をしたわけです。特に徳山湾につきましては、かつて昭和四十五年に生物汚染調査という形で調査をいたしましたときに、一、二の魚種につきまして、たいへん水銀が高かったということがございましたので、そのことも踏まえまして、何らかの形で地域住民の健康状態を把握すべきであるという意見を私出しましたところ、県といたしましても、その計画を考えるということでありましたので、参考までに現在有明湾周辺の第三水俣病、それから従来熊本県、鹿児島県あるいは新潟県でやっておりました地域住民に対する健康調査の方法と申しますか、そういったことで基本線を私参考までに申し述べまして、この中から必要なものをひとつ検討してプランをするように、かように伝えましたところ、昨日、県の衛生部長が上京してまいりまして、私と話し合いをいたしまして調査を実施するという答えをちょうだいしております。実施の詳細につきまして、人数等私まだこれから検討して資料を詰めなければならないということでございますが、一応第一次の調査といたしましては、保健婦を使って訪問面接調査を六月のうちに始めたいということでございまして、それによってさらに必要な精密検査を進める、地域の臨床の医師をお願いする、あるいはさらに精密検査につきましては、山口大学等専門の医師の精密検査をする。当然のことながら、現在水俣病につきましては熊本大学あるいは新潟大学というところに非常に専門の先生がおられるわけでございますが、山口大学といたしましても診断につきましては専門的な知識を持った先生が多々おられるわけでございますから、熊本あるいは新潟の先生方のいろいろな知見を参考にお聞きになりまして、それをもとにした精密検査を進めていきたい、こういうように伺っております。詳細な日程あるいは人数等につきましてはまだ私詳細に把握しておりませんけれども、県としては徳山市その周辺についての住民の健康調査を進めるという形を聞いておりますので、国といたしましてもそれに対する技術的あるいはその他の援助ができるならばしたいと、かように考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 ひとつこういう健康調査等もすみやかにやるように環境庁からも推進していただいて、一日おくれればそれだけ不安も長引くことでございますし、その点ひとつよろしくお願いしたいと思うんです。
○説明員(山本宜正君) 承知いたしました。
○塩出啓典君 それで通産省に最後に二、三点お聞きしたいと思うんですが、この有明海における第三水俣病が発生になって発見され、非常に全国的に水銀の問題が大きくクローズアップされまして、中国地方でも御存じのように苛性ソーダを製造しているいわゆる水銀電解法による苛性ソーダの電解工場が水島に四社、それから岩国に一社、徳山方面に二社と、七社あるわけですね。それに対して広島通産局等が中心になってあわてて各工場の点検を順次やったわけですね。まあ私は通産省はどういう調査をしたのか知りませんけれども、新聞等で見る限りでは水銀は何トン購入して現在電解槽に何トン残っている。だから水銀の行方不明は何トンだと、そういうようなことを発表しているにとどまっているような、私らから言わせるならばそういうような調査というものは、これはいまさらやらなくても水銀の管理というのは通産省でわかるわけですから、そんなことはもう五年も十年前からわかっている話でね。いまごろそういうことを言うのはちょっとやっぱりおかしいんじゃないか、そういうような気がするわけですが、一体いまの各企業への通産省の立ち入り検査というのは、何の目的でやっているのか、その中間結果を報告してもらいたい。
○説明員(高橋清君) 水銀を使用する工場につきましては、先生御案内のとおり、最近問題になりました日本合成のようなアセチレン法によりアセトアルデヒドを生産している、実は、これはすでにこういったアセチレン法によりますアセトアルデヒドをつくります工場は大体昭和四十年ごろに通産省の指導もございまして製造をやめてはおりますが、七社八工場あります。なおこれと同様のように水銀を触媒として使用してやはり同様過去において塩化ビニールを生産していた工場、これが十五社十九工場ございますが、このうち四工場はなお現在稼働中でございます。そのほか御指摘のように、現在水銀を使用しております、いわば大どころの業種といたしましては、荷性ソーダ工業でございますが、これにつきましては三十六社四十九工場ございます。こういったような水銀の使用、過去において使用して生産しておったと、あるいは現在におきまして生産している工場につきましては、ただいま先生からおしかりもちょうだいしたわけでございますが、通産省といたしましては、こういった各工場におきます水銀の管理状況、すなわちたとえば水銀を幾ら投入し、幾ら使って、それをさらに製造過程におきまして、たとえば幾ら回収したか、こういったような実態をやはり把握することが今後の対策を立てる場合、何と申しましても前提でございますので、この実態の把握につとめてはおりますが、たとえばそのうち大部分の工場は戦前からいろいろ操業も開始しておりまして、データ等につきましては、戦争あるいは戦中あるいは戦後等の事情もございまして、若干不明の点もございますので、なかなか推定しがたいのでございますが、本件の重要性にかんがみまして、極力過去のデータ等もさがすとか、あるいは当時の関係者にいろいろ当たりまして、実態を把握したいと思いまして、こういった点にまずいろいろ努力をしている次第でございます。そのほか非常に大きな問題は、こういった水銀使用工場は、実はそれぞれ水銀を工程において使用しました結果が、当然の結果として出ます排水でございますが、この排水の中に水銀が含まれるわけでございますが、この排水が、そのままやはり工場の外に出ますと、当然環境を汚染するということに相なりますので、各工場とも、排水処理設備をそれぞれ設けまして、極力排水処理設備の中で水銀を回収いたしまして、工場の外に出ないように努力をしてきております。通産省といたしましても、再三こういった面におきましても行政指導してまいりましたが、こういったような水銀の排水処理設備の改善状況、あるいは現在の実情がどうなっているか、こういった点もやはり対策上把握することがきわめて重要でございますので、こういった面のいわば立ち入り調査もしております。さらに加えまして、たとえばソーダ工業におきましては、原料として塩を使いますが、当然これに不純物も含まれておりますので、製造過程におきまして、当然いわばかすがたまりますが、これを塩水マッドと呼んでおりますが、この塩水マッドの中に当然水銀が含まれます。各工場ともこういった塩水マッドは電解槽から取り出しまして、その塩水マッドを、たとえばコンクリートで固めましたり、あるいは工場の中に、コンクリート槽の中に、そういったものを保管しておりますが、こういったようないわば塩水マッドの工場の中におきます保管状況が当を得れば、いわば水銀はそのまま工場の中に滞留しておりまして、これが工場外に出ない。すなわち環境を汚染しないことに相なるわけでございます。ところが、実情はこういった管理状態につきましてそれぞれ各社まちまちでございますが、もちろん通産省といたしましても、こういった塩水マッドの処理状況につきましても、従来からいろいろと指導してきているわけでございますが、環境汚染の対策上こういった各工場の塩水マッドの管理状況、保管状況、こういったことも把握することが非常に大切でございますので、現在、先ほど申しましたような数字上の実態の把握に加えまして、こういったような塩水マッドの保管状況でございますとか、排水処理の設備等の改善状況、こういったものも現地調査をいたしまして、不備な工場に対しましては今後とも適切に指導してまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 その全部の調査の結果はいつ終わるんですか。大体いつごろ全体まとまりますか。
○説明員(高橋清君) 先ほど御説明申し上げました、非常に工場の数も多うございますが、本問題の重要性にかんがみまして、現在のところ、各通産局の職員は極力工場に出向いておりまして、今月中にできれば現地調査を終えまして、もちろん私どもといたしましても、会社側からいろいろ提出されましたデータを決してうのみにすることはできませんので、七月中にもさらにいろいろと検討を加えまして、七月中にはこの現地調査の結果を取りまとめたいと思っております。
○塩出啓典君 いま日本で年間に水銀がどの程度使われているのか、そのうち国内の生産と、いわゆる輸入量ですね、これは大体どの程度になるか、そのうち苛性ソーダの電解工場がどの程度、その他大体のことはわかりますか。
○説明員(竹村豊君) 四十六年度の数字について申し上げますと、国内生産が二百二十八トンでございます。輸入量が三百六十八トンでございまして、合計五百九十六トンでございますが、年度初めの在庫が四百トン余りございますので、年度間を通じました供給量全体は千八トンということになっております。一方、需要面でございますが、内需が六百七十三トン、それから輸出が三十二トンということで、需要の合計は七百五トンでございます。そのうちいま御指摘のございました需要部門別の数字でございますが、六百七十三トンの内訳を申し上げますと、苛性ソーダ部門が四百四十九トンということで、全体の約六七%でございます。それから無機薬品部門が百三トンでございまして、全体の一五%、それから各種の機器、計器部門が八十六トンで一二%でございます。その他部門が三十五トンで全体の五%。 以上でございます。
○塩出啓典君 先ほど水銀の、いわゆる何ぼ購入したとか、そういうのが通産省つかんでなくて、いまつかんでいるというお話しですけれども、これは私もちょっとその点は調べてなかったのですけれども、いわゆる毒物及び劇物取締法というのがありますしね。こういう水銀等については、どこの商社がどこに売るとか、どこの工場が使うとか、そういうことはかってにできなくて、当然これは通産省なりしかるべきところへ届けなければいけないような、いままでの法律にはなっているんじゃないですか、どうですか、その点は。これはおたくじゃないですか、管轄は。
○説明員(高橋清君) 毒劇法の関係につきましてはちょっと承知しておりませんが、ただいま鉱政課長から御披露いたしましたのは、統計法に基づきましての日本全体の数量でございまして、先生御指摘のように、各工場がそれぞれこういったいわば非常に危険なものをどのように管理しておるかと、言ってみれば、各工場の水銀バランスでございますか、こういったものの把握について従来まで十分でなかった点は深く反省しておりまして、今後は各工場ごとに、こういったような水銀をどのように購入し、それを工場の中でどのように保管し、どのように使ったか、こういったことは工場から報告を聴取するということに今後はいたさせたいと思っております。
○塩出啓典君 これはもう当然早くやってもらわなければいけないと思うんですよ。それで問題は、年間に四百四十九トンが苛性ソーダに使われるわけであります。私も各企業へ行きますと、大体苛性ソーダを一トンつくるのに水銀が百グラムとか百二、三十グラム、少ないところは七十グラムとか、古い工場になると二百グラム、こういう水銀が使われるわけですね。そうしますと、たとえば徳山曹達等でありますと、大体年間に二十万トンの苛性ソーダをつくっていますから、年間に約二十トンの水銀が使われる、あるいは関東電化であれば八・五トン、あるいは菱日水島工場であれば八トンと、それぞれ各企業ともそれぐらいのペースで水銀が追加されているわけですね。ところが会社の説明によりますと、排水のほうには全然流しておりませんと。たとえば徳山曹達のごときは一年間に二十トンの水銀を使うけれども、実際に過去、あの徳山曹達ができましてからもう二十年以上もたっていると思うのですね、その期間に海へ流した水銀の量はわずか四トン足らずである、そういうようなことなんですね。そうしますと、水銀は一体どこに行くのか。まあ水銀の逃げ道としては蒸気になって逃げる分もある、あるいはいま言ったように排水で出るものもある、あるいは製品の中にも多少入っている、いま言われたように塩水マッドとしていくものもある。けれども、そういうのをいろいろ説明を聞いておっても、結局それではバランスが合わぬわけですね。一体水銀はどこに行っておるのか。そういうことで、実際いまのデータのように、年間四百四十九トンの水銀が使われているとするならば、この水銀が一体どこに行くのかということは非常にはっきりしてないわけですね。こういうことでは私は、非常に国民は心配だと思うのです。現実に四百四十九トンの水銀が各全国の四十九工場の電解工場に運び込まれて、そこの電解槽に入れられているわけですから、それはどこかに行っているわけですね。まあそういう点で、会社の報告がうそなのか、物質不滅の法則から言えば、消えてなくなることは絶対ないと思いますよね。そういう点で、私は、こういうことについては、通産省としてやっぱりもっと水銀の行くえについての調査をやっていかなければならぬと思うのです。いまソーダ業界においては、ある企業においてはラジオアイソトープを使って、それをそういう水銀をまぜて、それが全体に行き渡ると、パイプの外からでも放射能で水銀の量が測定できる。そういうことで水銀の行くえを企業が自主的に検査をしているところもあるわけですけれども、こういうことはやっぱり企業の自主的な調査じゃなしに、やっぱりこれは通産省なりにやらせる。企業はどうしてもやっぱり都合の悪いことは言いませんから、やっぱり通産省なり政府なりがそういう水銀の行くえをはっきりしていかなければいけないのじゃないかと思いますけれどもね。そういう点で通産省としてはこの問題はどう考えていますか、そういう調査をする考えはありますか。
○説明員(高橋清君) 全く先生の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、各工場ごとに水銀の行くえがどうなっておるか、こういった実態を把握したいと思いまして、たとえば現在でも現地調査を行なっているわけでございますが、先生御案内のとおり、たとえばこの四百四十九トンという数字は、これはあくまでも電解槽の中に電極としていわば使用された数字でございまして、これはこのうちの何ぼかが消耗いたしまして、電解槽から出るわけでございますが、電解槽から出た後に、先ほど説明申し上げましたとおり、廃水処理施設の中に入る。たとえば活性炭を用いましたような廃水処理施設でございますと、活性炭の中に水銀が吸収させられるわけであります。そうしますと、その吸収されました活性炭を回収いたしまして、それから水銀を回収する。そうすれば、工場の外に水銀が排出されないことになります。そのほか、たとえば電極に水銀がくっつく場合もございます。そうしてその場合、古くなった電極は当然取りかえる必要がございますが、取りかえる際に、その電極からくっついております水銀を回収する。このように工場の中におきます各分野での回収ということも極力徹底させれば、その分だけ工場の外に出ない。言いかえますと、環境の汚染源がそれだけ減るわけでございます。こういったような方法としましては、クローズドシステムの推進ということに相なろうかと思いますので、私どもといたしましても、今後とも一そう各企業に対しまして、クローズドシステムの推進と申しますか、強化というようなことを推進していきたいと思っております。 なお、ただいま御指摘のように、こういったようなものの各工場ごとの実態を把握する方法といたしまして、先ほど御披露申し上げましたように、今後は定期的に各工場から水銀の使用状況、管理状況等を報告を聴取するというようなことを現在考えております。
○塩出啓典君 だから、まあクローズドシステムにして、水銀を循環して使うということになれば、結局それが一〇〇%行なわれれば、もう水銀というのは、苛性ソーダに使う水銀の量というものは要らなくなるわけですね。いま四百四十九トンというのは、これはもう追加した水銀の量ですから、それだけの水銀がどんどん入れられているわけなんですよ。ですから、ほんとうにその工場側が言うように、クローズドシステムで全然外に出していない。それであるならば、水銀というものは循環して、使用量というのはもう追加は要らないわけなんですよ。ところが、まあかなりの企業がクローズドシステムを採用しておるにかかわらず、今年度においても、去年ですか、四百四十九トンが使われているわけですから、だからその行くえをはっきりしていかなきゃいけないのじゃないか。はっきりしていかなきゃ。それがほんとうに工場の外に出ていないとするならば、四百四十九トンというものは工場の中に積み重なっていっているわけですから、そうすると、工場の中はまさに——工場の外に出さなければいいというものじゃない。工場の中に働いているのも同じ人間ですからね。やっぱり工場に働いている人は、今度水銀のもうまっただ中に入っていく。そうなってくると、非常にこれ問題になってくると思うのですね。そういう点で、きょうは農林水産委員会でございますので、それ以上はあれしませんけれども、いずれにしても、水銀の行くえをやっぱり通産省ははっきりしてもらわないと、結局いつ海へ流れていくかわからない。それがまたこういうやっぱり漁業の汚染につながっていくわけですから、そういう点で、これはまた別な機会にさらにやっていきたいと思いますが、特に水銀の行くえの追及については、通産省としても自主的に、企業まかせではなしにやってもらいたい。その管理も厳重にしてもらいたい。そのことを最後に要望しておきます。——いまのはいいですね、そういう点でね、お願いします。
○理事(初村滝一郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十七分散会 —————・—————