内閣委員会 第16号
- 発言数
- 354 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/06/28
会議録
○委員長(高田浩運君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 きのう神沢浄君、鈴木強君が委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君、上田哲君が選任されました。 —————————————
○委員長(高田浩運君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○内藤誉三郎君 天皇制に関することは今日までタブー扱いされ、学校でも明確に教えなかった感があります。天皇制は日本国憲法の中でも最も特色のある重要な部分であり、これを解明しておくことが国民に対する義務であると思います。 最近、一部の人々の中には、天皇を飾りもののごとく扱い、国政に関する権能がないからといって、形式的、手続的な存在のごとく軽く取り扱う傾向が見られますのははなはだ遺憾であります。 天皇制の問題は国政の基本でありますから、政府の見解があいまいであると国政混乱の原因になると思います。私は本日憲法学者の意見を承るのでなく、政府の明快な御答弁を伺いたいのであります。 これから数点にわたり内閣としての見解をお尋ねしますが、本来なら内閣総理大臣から直接お答えしていただきたいのですが、憲法解釈の問題でもありますので、法制局長官から総理にかわって内閣の見解をお答え願います。 わが国の政治は、歴史的に見ると大化の改新以後の摂関政治、源平以後の武家政治、明治以後の政党政治と幾たびか大変革が行なわれたのでありますが、わが国の皇室が日本歴史とともに二千数百年、百二十数代も皇統連綿として続き、これら諸勢力の栄枯盛衰の上に超然として光り輝いているのは世界にも類例のないことで、天皇が日本国民の精神的支柱として日本国民統合の中心であり、日本国と切り離すことのできない一体的な存在として国民の敬愛と尊敬を集めてこられたのであり、われわれの祖先が今日まで皇室を日本国の存立に欠くことのできない日本国の中心として大切にはぐくんできたからであります。 大東亜戦争という未曾有の敗戦にあっても、占領軍といえども、日本の輝かしい歴史と伝統に基づく天皇制を抹殺することができず、天皇は日本国及び日本国民統合の象徴という形で存続されたのであります。まさにその地位は国民の総意に基づいているからであります。 そこで、具体的問題に入りますが、憲法第一条、第二条により、天皇が日本国及び日本国民統合の象徴であり、世襲であることにかんがみ、統治権の総攬者から象徴天皇に変わったが、天皇制は維持され、日本国は世界に比類のない天皇制の国柄であると思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(吉國一郎君) 憲法第一条には「天皇は、日本國の象徴であり日本國民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本國民の総意に基く。」と規定されておりますが、その趣旨は、要するに、わが国は、国民の総意に基づいて象徴たる天皇をいただいておるという意味の天皇制の国であるということでございます。
○内藤誉三郎君 日本国は共和政体の国でないことは明らかでありますが、世襲である天皇の憲法上の国事行為にはいろいろな憲法上の制約がありますので、専制君主制ではなく、立憲君主制の国であると理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(吉國一郎君) 国家の形態を君主制と共和制とに分けまして、わが国がそのいずれに属するかということがまず問題になるわけでございますが、公選による大統領その他の元首を持つことが共和制の顕著な特質であるということが一般の学説でございまするので、わが国は共和制でないことはまず明らかであろうと思います。 それでは、君主制をさらに専制君主制と立憲君主制に分けるといたしますならば、わが国は近代的な意味の憲法を持っておりますし、その憲法に従って政治を行なう国家でございます以上、立憲君主制と言っても差しつかえないであろうと思います。もっとも、明治憲法下におきまするような統治権の総攬者としての天皇をいただくという意味での立憲君主制でないことは、これまた明らかでございます。
○内藤誉三郎君 天皇は国政に関する権能はないが、天皇の国事行為の中には、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁長官を任命し、内閣の助言と承認により国会を召集し、衆議院を解散し、外国の大使、公使を接受し、栄典を授与する等、立法、司法、行政の三権の上に君臨されております。国権の最高の地位という意味ではなく、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴としての地位に着目して、国の最高の地位にある方と理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(吉國一郎君) 憲法第一条に定めておりますとおり、天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴として、国家の構造の上で高い地位にあって、国民の尊貴の対象であられることはあらためて言うまでもないところでございます。このことをとらえて、国の最高の地位にあられると理解されることもけっこうであろうと思います。
○内藤誉三郎君 日本国及び日本国民統合の表徴であり、日本国の最高の地位にある天皇の尊厳と権威は、あたかも国の象徴である国旗が刑法上保護されると同様に、憲法上当然に保護されるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(吉國一郎君) 象徴としての地位にあられる天皇が、その地位にふさわしい国民からの尊敬を受けられるべきことはもとよりのことでございまして、政府としても、国政運営のすべてにおいて象徴天皇制のよって立つ国民の総意がいささかもそこなわれることのないように努力することが、憲法第九十九条の定める憲法の尊重、擁護の義務を果たすゆえんであろうと考えております。
○内藤誉三郎君 天皇に国政に関する権能があれば、天皇が政治の渦中に巻き込まれ、天皇責任論も出ますので、歴代天皇が現実の政権の上に超然として日本国の中心であられた事実にかんがみ、天皇は国政に関する権能がないのがよいと思いますが、そうだからといって、増原問題のときに国会議員の某氏が天皇を政治的に無能力者だと言ったと新聞に報ぜられておりますが、もしそれが事実ならば、それは日本国の象徴を侮辱することであり、天皇の尊厳をそこなうことになり、国会議員としてはなはだ不謹慎であると思います。大望が無能力者なら憲法七条の国事行為は当然遂行できないはずであります。憲法九十九条の憲法を尊重、擁護する国会議員としての責任に欠けているのではないかと思いますが、どう判断されますか
○政府委員(吉國一郎君) 憲法の第三条には「天皇の國事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要と」することを定めております。また、憲法第四条では「天皇は、この憲法の定める國事に関する行為のみを行ひ、國政に關する権能を有しない。」と規定しております。この第三条及び第四条第一項の規定するところは、まさに憲法が国家機関としての天皇について定めるところでございますが、このことから天皇を政治的な無能力者だというような表現をいたしますことば、憲法の規定の趣旨を正しく理解するものではないと考えます。
○内藤誉三郎君 憲法第一条で、天皇が日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であると規定されている。このことは、天皇が憲法上、一般的に日本国を代表すると解してよろしいか。また、日本国民統合の象徴とは、天皇を中心に統合された日本国民全体の姿を天皇があらわしていると理解してよろしいですか。
○政府委員(吉國一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、わが国は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴である天皇をいただいております。そのことは、天皇が日本国の姿及び天皇を中心に統合された日本国民全体の姿を御一身にあらわしておられるということでございます。内閣の憲法調査会、これはすでに廃止になっておりますけれども、その憲法調査会の報告書におきましては、天皇は、対外関係において一般的に国を代表するお方であるという趣旨を述べておりますけれども、それは、ただいま申し上げましたような趣旨で天皇の御存在をとらえて申したことであろうと存じます。
○内藤誉三郎君 先般、天皇がヨーロッパ諸国を旅行されたとき、外国ではどこの国でも日本の天皇を元首扱いしているのに、日本ではどうもすっきりしないようであります。天皇が国の最高の地位にあり、日本国を代表するものであれば、政府の憲法調査会のほとんど全員の一致した見解に従い、天皇が日本国の元首であるということを政府の公式見解とすることに御異存はないと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(吉國一郎君) 先ほど申し上げました内閣の憲法調査会は、その報告書におきまして、天皇は、対外関係において一般的に国を代表するものとしての元首たる地位にあると解釈することができるということは、委員のほとんど全員の一致した見解であったという旨を報告いたしております。もっとも、天皇が元首であるかどうかは、要するに元首の定義のいかんに帰する問題であると思います。この点は、先般、衆議院の内閣委員会においても私申し上げたところでございますが、かつてのように、元首とは内治外交のすべてを通じて国を代表して、行政権を掌握する存在であるという定義によりまするならば、現在の憲法のもとにおきましては天皇は元首ではないということになりますが、今日では、実質的な国家統治の大権を持たなくても、国家におけるいわゆるヘッドの地位にある者を元首とするような見解も有力になってきております。この定義によりまするならば、天皇は、現憲法下においても元首であると言って差しつかえないと存じます。
○内藤誉三郎君 憲法七条の天皇の国事行為は限定されておりますが、象徴天皇として国賓を謁見されたり、元旦の拝賀式あるいは春秋二四の天皇主催の園遊会や天皇誕生日の祝賀会、その他国体の開会式、国土緑化運動に御臨席あそばされるなど、列挙することができないほど公式行事があるのは憲法上当然であります。これは国事行為とは直接関連のないことであり、制限されるべき性質のものでないと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(吉國一郎君) いわゆる天皇の公的行為と申しますものは、憲法に定める国事行為以外の行為で、天皇が日本国の象徴たる地位に基づいて公的な立場で行なわれるものを言うのでございますけれども、これは象徴たる地位にあられる天皇の行為としては、当然認められてしかるべきものと存じます。このような公的性格を有する事実上の行為は、もともと公的な立場にある者に一般に認められるところでございまして、天皇の公的行為についても、それによって国政に影響を及ぼすようなことがない限りは、憲法上何ら差しつかえがないことでございまして、制限すべき理由はございません。
○内藤誉三郎君 その公式行事の一つに、国会を召集された天皇が、国会の開会式に御臨席あそばされ、おことばを賜わるのが慣例でありますが、そのことのゆえに国会議員が開会式を故意にボイコットすることは、憲法九十九条の憲法を尊重し擁護する国会議員の義務違反ではないかと思いますが、どう判断されますか。
○政府委員(吉國一郎君) 憲法の解釈といたしましては、象徴天皇の地位を守るということが、憲法第九十九条の憲法の尊重、擁護の義務を果たすゆえんであると存じまするけれども、ただいま御指摘の問題は国会内の問題でございまして、まず国会が御判断になるべきものと考えますので、政府側といたしまして意見を申し述べることは差し控えさしていただきたいと思います。
○片岡勝治君 私は、憲法を擁護してその完全実施を要求しております日本社会党の立場から、この増原問題を中心にいたしまして政府の見解をこの際ただしておきたいと思うわけであります。 増原問題が報道されますと、一部新聞におきましては、これはまさしく憲法感覚の摩滅である、あるいはまた戦後史最大のゆゆしき事件である、こういうきびしい批判が寄せられたわけであります。問題の性質上これは当然であろうと思うわけであります。したがって、この問題に対して田中総理は、田中内閣はどのように対応してきたか。このことが田中内閣の私は憲法感覚あるいは憲法に対する政治姿勢のバロメーターになるであろう、このように考えるわけであります。 すでに、この問題については増原氏の処理が行なわれました。そして六月七日の衆議院内閣委員会、あるいはまた中曽根発言にかかわる六月十三日の参議院の本会議における田中総理の、あるいはその他の方の答弁によって、田中内閣の憲法に対する政治姿勢の尺度はある程度国民の前に明らかにされてきたわけであります。しかし、今日までの経過の中では、なおかつ多くの国民はこの増原問題に対して多くの疑惑あるいは不明確、そういうものを残したまま今日にきておるわけでありまして、そういう意味では、きょうのこの内閣委員会における総理の答弁というものは非常に重大であろう、この国民の疑惑あるいは不明確さを解明する上でたいへん重要なものであると思うわけであります。総理の率直なお考えをひとつぜひ明らかにしていただきたいと思うわけであります。 まず最初に、田中総理にお伺いいたしますけれども、衆議院の内閣委員会において、田中総理は、増原発言については新聞を見て承知をした、こういうことをはっきり言っておるわけでありますので、私どもと同じように五月二十七日の新聞の朝刊をごらんになったと思うわけであります。その新聞を見て総理はどのようにお感じになったか、どういう感想を持ったか、この点ひとつお伺いをしたいと思うわけであります。
○国務大臣(田中角榮君) 私が申し述べたとおり、増原発言については、閣議においても報告もなし、また、増原前大臣から官房長官を通じても、私に対しても事実に対する説明はなかったわけでございますので、いま御指摘になられたように、新聞の報道によって知ったわけでございます。増原前国務大臣は、御承知のとおり、人格高潔で鳴らした人でございますし、非常に慎重な人格者であるということから考えて、新聞に報道されるようなことがあったのかどうか、私も瞬間疑問に感じたわけでございます。いずれ増原前長官から事の真偽に対して報告を求めなければならない、また、私が求める前にしかるべき報告があるであろう、こう感じておったわけでございます。
○片岡勝治君 いま総理の発言によりますと、たいへん重要な発言であるというふうに受けとめられたやに聞こえたわけであります。だとすれば、総理は、なぜ直ちに増原氏を、まあ呼びつけるということばはどうかわかりませんが、呼んで、その真意を確かめるとか、あるいは実情をお聞きになるとか、そういう行動をとってしかるべきであろうと思います。しかも総理の答弁によると、いまも答弁がありましたけれども、増原氏からは何の話もなかった、あるいは閣議において増原氏の発言もなかった。もし閣議においても増原氏の発言がなかったという総理のいまのお答えからするならば、この問題が出てきてから閣議が開かれた、そして増原氏も出席していた、こういうことになると思うわけであります。それほど重大な問題に対して、総理は、なぜ直ちに真相を確かめ、増原氏の真意をお聞きにならなかったのですか。なぜ、閣議に出席していた増原氏が、増原氏自身も閣議に対して発言を求めるなり、もし発言がなければ、総理がその事情を聴取する、そういう政治姿勢がなければ、これは田中さん、やっぱりあなたは憲法感覚が摩滅しているのではないか、こういう批判が寄せられるのは当然だろうと思う。この点についてどうお考えになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) あとになっていろいろ考えれば、判断をしたり批判をしたりすることはできると思いますが、新聞を読んだのが朝刊であった——朝刊に報道されたとあなたはいま指摘されましたが、朝読んだのか夕方読んだのかも私はいまさだかに覚えておりません。私は、相当多忙な日程でございまして、その日程の中で、増原氏が閣議においても報告もしなかったということは事実であります。で、私が増原氏に対して、この間の事情をただすという機会がなかったことも事実でございます。故意に増原氏の意見を聞かなかったということではないわけでございます。まあ端的にその間の事情を申し上げれば、非常に多忙な日程に追われておったということの一語に尽きると思います。そういうのが事実でございます。
○片岡勝治君 衆議院における総理の答弁を見ましても、いまのような印象は受けられない。多忙で気がつかなかった、そういうことは、そういうふうには総理もおっしゃっていないんです。もしかりに総理がたいへんお忙しいと、私もその点については理解をいたしております。だとするならば、大ぜいの閣僚、国務大臣がいらっしゃるんです。この閣僚、各大臣の皆さんも黙して語らなかった。つまり、田中総理を頂点として、内閣全体がこれほど重大な問題に対して、何ら閣議においてあるいは増原氏に対してお聞きにならない。これは私はやっぱり憲法に対する政治姿勢というものが、率直に申し上げまして、たいへんうといのではないだろうか、そういう国民の批判というものはこの事例を見ても当たっていると思う。もっと言わしてもらえるならば、いわばそうした憲法感覚の麻痺、そういうものが増原事件やあるいは中曽根発言ということになってあらわれていくのじゃないか、そういうふうに私は感ぜざるを得ないのです。この点については、私は率直に総理は反省すべきだろうと思う。いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 私も昭和二十二年、新憲法下第一回の総選挙で議席を得たものでございまして、憲法を守るという考え方において人後に落ちるものじゃありません。明確に申し上げておきます。私は旧憲法時代には議席を持っておらなかったわけであります。新憲法下第一回に議席を得たのでございまして、新憲法も勉強いたしておりますし、新憲法を守ろうということにおいて人後に落ちるものではないということだけは、この際明らかにいたしておきます。 増原氏に対してなぜ聞かなかったかということは、新聞に報道されたことでございます。新聞に報道されたことというのは、朝刊であっても必ずしも朝読めるような状態にないことがあります。私は一週間まとめて新聞を読む場合もあるわけでございます。でございますので、そのときには、朝刊を読んだのか、夕方読んだのかは、さだかにはしておりませんという事実は述べておるとおりでございます。いずれにしても、あなたがいま御指摘になったとおり、その件は朝刊に報道されたということでございますから、読んだ時間は別にして、朝刊によって知ったということもまた述べたとおりでございます。なぜ聞かなかったかただ忙しかったというだけではないと思うんです。ただこれは、そのもとにあるものは新聞に報道された問題まあ本人が大体そういうものに対しては釈明するのが普通でございます しかも増原前長官は、先ほども述べましたとおり、これは自他ともに許す清廉潔白、人格者であり、非常に慎重な方であるということは、これは与野党ともお認めいただける方だと思います。そういう方の発言であるということで、増原氏から何らかの意思表示、事情説明というものがあるまで待つべきであろうという潜在的な意識があったかもしれません。これは私はいまさだかに覚えておりませんが、そういう意識が働いたかもわかりません。まあ新聞に出ておる非常に重大な事項である、本人が当然釈明あってしかるべきものがありとせば、そういうときに私から先、あれはどうだというようなことを言わなくとも、おのずから事態は解明せられるのを例としておるわけでございます。そういう潜在的な意識があったと、いまになって考えれば、私はそういうこともあったのだろうと思います。思いますが、増原氏の発言を待っておったということ自体が憲法に対する基本的姿勢の甘さをあらわすものではないということは御理解いただきたい。
○片岡勝治君 私は、もっと率直に総理がこの処理について深い反省に立っておられるのではないか、そういうことを期待していま質問をしたわけでありますけれども、ただいまの答弁によって、私はむしろたいへん悲しむべき答弁だろうと思うわけであります。 その問題はさておきまして、次に、増原氏がああいう発言をいたしまして、辞表を提出したわけでありますけれども、その理由といたしましては、この問題について十分な説明ができずに誤解を与えたと、あるいはまた、天皇に御迷惑をおかけしたくない、そういうような理由をあげられておるわけでありますけれども、私は、それであるならば、真意が十分伝わり、誤解がなければ、この種の発言はいいのかという反論が出てくるわけであります。いやしくも、一時的にせよ、結果的に天皇を政治の場に登場をさせて発言をしたということは事実でありますから、そういうことについてはこれは弁明の余地がない。事憲法の基本に触れる問題については峻厳な態度でもって臨むべきであろうとこう思うわけであります。この点について総理の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 増原長官は、辞任に際しまして、天皇から国政に関係するような御発言があったという事実は全くなく、新聞記者に対する説明が意を尽くさなかったため誤解を与えたことはまことに申しわけない、こういう御自分の立場というものを天下に明らかにし、国務大臣の職を辞することによってみずからの責任を負うたのでありますから、私は本件に対する責任は明確に果たされておると、こう理解しております。
○片岡勝治君 増原発言というものは、相当長い談話の形式で発表されたわけでありますが、いま、天皇の発言の問題については、これはさておきまして、その部分を除いたとしても、たいへん重要な発言をしているわけです。その部分は除いたとしても。こういう性質の発言というものについては、これはたいへん重大な発言と私は思うんです。この点についてはどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 重要なことであったから、いやしくも国務大臣の職を賭してみずから責任をとったわけでありますから、重大でなければ職を辞するということにはならなかったわけであります。そういう意味において増原氏は、その間の事情をいろいろ誤解を与えておるようなものに対しては、簡明直截にその事実のなかったこと、みずから意を尽くさなかった責任、新聞社にも誤解を与えたおわびということで職を辞しておるのでありますから、責任は明らかにされたと、こう理解すべきだと思います。
○片岡勝治君 いや、私が申し上げているのは、いま総理がお答えになったように、天皇の御発言はなかった。そういうことですから、その天皇の御発言の部分を除いても、なおかつ重大な分野に入った発言をしておるわけですよね、その部分を除いたとしても。そういうことをお聞きしているのです。
○国務大臣(田中角榮君) 私も、内奏にもたびたび参りますし、しかも所管事項に対しての御説明もいたしております。しかし、この席には余人は立ち会わないのでございます。陛下と内奏者だけの問題でございますし、私は多年の経験に徴して、陛下が国政に影響を与えられるような御発言をなされる方だということはないという確信を持っておったのであります。しかも宮中に参上いたしました帰りは、いつも一緒におります新聞記者諸君からいろいろな質問が出ます。しかし、質問も大体、ごきげんいかがでございましたか、ごきげんはたいへんうるわしかった、お元気でしたか、お元気であられた——質問も答弁も判で押したように大体きまっておるのです。私は増原前防衛庁長官が、そんなことを一体ほんとうに発言したのかどうか、私自身は、増原氏の日常から、日常に徴して、私自身もそんなことがあったのかとふしぎに考えておったわけでございます。でありますから、増原氏が、いま申し述べましたように、事情を明らかにして、いささかでも誤解を与えるようなことがあったとせば、この責任はみずから負います。こう言って国務大臣の職を辞したのでありますから、増原氏の立場から考えて、非常に重要な問題であると認識をされたことは事実だと思います。私自身がその辞表を受理したということも、事の重大性を前提として、本人の意思を尊重したわけでございますから、本件に対する増原前防衛庁長官、政府主管者としての私の理解というものは十分理解がいただけると思います。
○片岡勝治君 いま総理も、増原氏がそういう発言をしたということはほんとうかどうか信じられないような気持ちであったと、こうおっしゃいましたけれども、事ほどさように重大な発言であったということは、これはゆるがせない事実だろうと思います。したがって、先ほどもちょっと申し上げましたように、そうなれば、これはなるほど増原氏は辞表を出した、そしてみずからその責任を果たそう、そういう行動に出た。しかし、同時に私は、そのような重大な発言を閣僚がしたということについては、これは総理としても、決してこれを単に増原氏個人の問題ということにしないで、そういう性質のものではなくて、総理が重大なこれに対して責任をお感じになる、それは単に辞表を受理するということも一つのことでありましょう。しかし、私は、もっと憲法に対して峻厳なる態度を示すならば、なぜ即刻増原氏のいわゆる憲法に基づく罷免権を発動されなかったか。つまりあなたは、私に言わしめれば、もしこの時点で罷免権を発動されるならば、なるほど田中さんは総理としてその責任の一端を果たしたと、こういうことになると思うんです。どうしてこの罷免権の発動、そういうことにはならなかったのか。
○国務大臣(田中角榮君) 事実の解明も行なわれないうちに罷免権の発動ができるものでないということは、これはもう申すまでもないことでございます。私が事実の釈明も受けずに、事実の報告も受けざるうちに増原氏自身がみずから職を辞するという挙に出たわけでございます。そういう意味で増原氏がみずからの発言、みずからの行動に一切の責任をみずから負って、言うなれば自決をしたわけでございますから、これに対して追い打ちをするような、また彼が述べておる辞任の理由を読めば何人も理解できると思います。私は、増原氏の辞任を認め、罷免権を発動しなかったことが憲法に対する峻厳な解釈を欠いておるというものではない、こう考えております。
○片岡勝治君 そうおっしゃいますけれども、先ほどの答弁によれば、あなたは積極的に事実の釈明さえ求めなかったのではありませんか、あるいはまた事実の調査さえしなかった。私はそういう手順をしっかりとやった上で、なおかついまのようなお答えがあるならば国民も納得するでありましょう。そうではないでしょう。増原さんの自決ということばが出ましたけれども、それを待っていたのではありませんか。事実がそういうことを明らかにしていると思うのです。総理の答弁の中にこういうことがありました。増原氏は国務大臣の職を辞しておるのでありまして、国務大臣の職をかけて真実を述べたのであります。その責任を公の地位をかけて果たしたわけであります——たいへん私には理解に苦しむ問題なんであります。どうして真実をしゃべることが、職をかけてこの真実をしゃべるということになったのですか。そうじゃないでしょう、逆じゃないんですか。
○国務大臣(田中角榮君) 私はちょっと理解ができないのです。文章が長ければ真実を述べることだとは思わないのです。簡明直截、達意平明、一行でも二行でも私は真実は述べられるものだと理解しております。天皇はそのようなことを仰せられなかった、にもかかわらず、私が新聞記者に誤解を与えたことははなはだ申しわけない、よって職を辞します——非常に簡明じゃありませんか。事実を明らかにせられております。しかも私は、過去、郵政大臣当時、大蔵大臣当時、通産大臣当時、内閣の首班としても、もう十五年にわたって同じような立場で参内もいたしております。私の経験に徴しても陛下がそのようなことを仰せられたことは一ぺんもありません。また国務大臣からも聞いたことはありません。ですから、どうして増原氏がそんなことを言ったんだろうと、こう思っておったわけでございます。ですから、増原氏が事実を明らかにして、しかし、誤解を与えたということに対しては、公の職を辞することによってその責任の所在を明らかにしようということは、私は日本人としては当然のやり方であるし、日本人としては理解し、評価ができる問題だと思っております。ですから、私はそういう事実があり得るばずがないということを前提にしておるわけでございますし、増原氏のこの問題を契機として、各閣僚、内閣の閣員全体に対しては、あらためて言うまでもないが、憲法の精神をよく踏まえて間違いのないように、特に世間や皇室に御迷惑をかけるようなことのないように細心の注意を払うべきである、これは閣議で私はちゃんとその後述べております。これは私は一つの事件を契機にして、お互いに一そう姿勢を正そう、身を引き締めよう、こういうことを意思したわけでございまして、本件に関して手落ちはない。手落ちはないというよりも妥当な処理が行なわれたと、こう確信をいたしております。
○片岡勝治君 ちょっと私のあるいは質問のしかたが悪かったのかもしれませんが、つまり、増原氏は、非常に俗っぽいことばを使わしていただくならば、つまり虚偽の事実を言ったと、うそを言って国務大臣の職を棒に振ったと、こういうことなんですね。そういう意味で私は申し上げたので、全く総理の答弁は逆なことを申し上げているんじゃないかということなんです。まあこの事件を契機にしてますますひとつ今後誤りのないようにしていきたいといういまお話、やや良心の片りんが見えておるわけでございますが、最後へいくとまた答弁がよくないですよね。しかし、この処置は正しかったとか。私は謙虚に反省をするということが政治をやっていく上に非常に大切であろうと思う。私の質問は必ずしも私ども社会党だけの問題ではなくて、多くの国民が率直に言って心配をしている問題であります。私は総理の謙虚な反省をもっと出していただきたいと思うわけであります。 さて、次に進ましていただきますが、そもそもこの問題の発端は、いうところの内奏のおりに慣例的に行なわれている所管事項の説明、こういうことが発端であったわけであります。私たちはこういうことが発表されて、ああそういうことがあったのかということを実は知ったわけでありまして、しかし、これはなかなか重要な問題であろうと思います。一歩誤ればこれはやはり憲法と天皇との関係、そういうもののたいへん微妙ないわば危険性をはらんでいる問題であろうと思うわけであります。たまたま増原問題はその危険な面を暴露したと、こういうふうに思われるわけであります。この所管事項について、衆議院においてもあるいは参議院の本会議においても指摘をされたわけでありますので、これをひとつ再検討する、できれば私はもうやめたほうがいいのではないかと思うわけでありますけれども、総理の率直なひとつ意見をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 所管事項に対してまず結論を申し上げると、いろいろな問題に対して御説明を申し上げるということは、やめる意思はありません。これはいま法律的な、また憲法上、法律的に天皇陛下が国事行為を行なわれるという場合には、内閣の助言と承認が前提でございますから、その間の事情を御説明しなければならぬことは言うまでもないわけでございます。私は俗っぽいことばでわかりやすく言えば、全責任は内閣にあるわけでございますから、何にもお聞きにならないで御署名と御璽だけをお押しいただきたいということにはならないと思うのであります。それはどんな場合であっても内閣の助言と承認に基づくものであって、その責めは一身に内閣が負うべきものであっても、国事行為をされる天皇に対して事情を御説明し上げるというのは、これはもう当然のことであります。ですから、内閣総理大臣の親任とか、内閣が、最高裁判所の長官の親任等を行なう場合には、また認証官に対して認証していただく場合には、その経歴推薦の理由等を申し上げなければこれはおかしいことでございまして、これは当然のことであろうと思うわけでございます。 しかも、もう一つは、今度はそのときに所管事項の説明というものは付随的に起こるわけでございます。所管事項の問題所管事項の問題だけではございません。いま災害が起こった、鉄道が事故を起こしたという場合には所管大臣が参上しまして、お聞きのない場合には、国務大臣として御説明申し上げるということもございます。台風があった場合などには間々あることでございます。それは国務大臣として当然そのようなことは必要でございます。 もう一つは、象徴として国を代表され、外国使臣の接見を行なわれるわけでございます。その場合にはいろいろなことがお話に出るわけでございます。その場合、象徴としての天皇陛下が日本のことに対して御存じないというようなことがあり得べきはずはないわけでございます。それはその意味で象徴として絶えず御勉強いただく、御教養を高めていただくということは、日本の国益にも合致することでございますし、憲法上明定されておる象徴としての陛下の御職務を行なっていただくためにも不可欠な問題であろうと思うのであります。私はそういう意味で、国会においても御審議をいただく上に必要なものはできるだけ提出をしたり、発言をしたり、国会の権限を保てるように政府も努力をしなければならない。 同じ立場において、所管事項に対して御説明を申し上げるということが必要である。そういう意味で、私は内閣としてこれを取りやめるという意向の全くないことを明らかにいたしておきます。
○片岡勝治君 いわゆる通称の内奏について、これは私も率直にそういうことは必要であろう、判こをついてくれということだけで、ぼんぼん押すということじゃなくて、これは裁判官のあれですよということで説明をするという、そういう内奏の話については、これは国事行為で明確にされておりますし、内閣の責任、助言と承認、そういうことの立場からいって説明をされる、これは当然だろうと思うんです。そのことを私は言っているのじゃない。この所管事項の説明というのは、その認証式等に出席する際にたまたま行なわれるものであり、総理がお答えになっておるわけであります。これは参議院の本会議でも、衆議院でもこう説明されております。いわゆる所管事項の説明ですね。所管事項の説明は、いわゆる内奏とは関係のないもので、それは象徴である天皇の一般的な知識、教養を高められるために行なうものである、こういうふうにお答えになったわけであります。私も天皇が教養を高められる、あるいは知識を広められる、たいへんけっこうであろうと思います。しかし、それも一つの公的行為として行なわれるわけですね。 そうであるならば、こういうことばどうなんですか。それは象徴である天皇の御健康を高められるために行なわれるものであり云々、つまり健康上天皇の健康に必要なある種の運動なり何なりされる、それは象徴天皇としての御健康を高められることである、こういうふうに理解をすれば、天皇の行動というものはみんな公的行為である。象徴天皇としてのつまり行為になる、こういうことになるわけです。そうすると、これは公的行為、そういうものがほとんど無制限になる、食べること、あるいはおやすみになる、それ以外はみんな公的行為、象徴天皇としての御教養、御健康、そういうものを高めるための行為ということになれば、非常にこれは無制限に拡大をされる。そこに私は政治と天皇との関係、そういうものが非常に危険な度合いを広げる結果になるんじゃないか、こう思うんです。したがって、そういう点については何か基準といいますか、憲法の精神にのっとったそういうものがあってしかるべきであろう、こう思うんですけれども、この点についてはいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) これは、あに天皇陛下のみならず、だれにも公的な行為、特に公務員、お互いに国会議員であるというような立場にある者については、法律で定める権能と義務がお互いに付随する法律的行為、憲法上の行為というものがあることはこれはもう当然でございます。国会議員は憲法九十九条を順守しなければならない、これはもう全く憲法上の行為でございます。また、特別公務員としての行動を制約しておる、されておる、これはもう法律上の行為であります。また、私人としての行動、いまいみじくもあなたが述べられたとおり、ごはんを食べる、寝る、庭を散歩される、これはもう私的行為である。これは生きとし生けるものすべてに認められるものであって、憲法においては自由な原則が認められておるわけであります。公の立場にある者は、そのまん中に、まあ足して二で割ったようなまん中というわけではございませんが、その中間に公的行為というのが存在するということは、これも事実でございます。国会議員が正式な院の許諾を得て出張するものでなくとも、各党申し合わせで水俣や災害地を視察をすることは私的行為でもないし、法律に基づく行為でもない、しかし公の行為である、公的行為ということはこれは申すまでもないことだと思うわけでございます。ですから、皇室にもそういう公的な行為が存在いたしますそれは御陵に御参拝になったり、また国体の開会式においでになられたり、国会の開会式においでをいただいたりということ、たくさんあるわけでございます。皇后陛下が本日の——きのうかきょうでございますか、赤十字の会合においでになって、ナイチンゲール章の授章にお立ち会いになられる、芸術院賞の授与に対して御出席賜わるということは、これは公的行為でございます。ただ、公的行為というものが無制限に拡大されてはならないということに対してはこれは私も考え、私は同感でございます。 これは二つの方法がございます。二つのことがございます。一つは、憲法の規定に背反するようなことに拡大をされてはならない、これは当然のことでございます。これはもっと具体的に申し上げれば、国政に影響のあるような御行動、これはまあしかし災害地の御視察とか、被災地の御視察とか、またスポーツの振興とか、学術文化の振興とかということは、これは政策的には振興ということになるかもしれませんが、これは第二の理由として、国民全体が統合の象徴としての御行動として、これはもうぜひやっていただきたいという国民ほとんどの、私は国民の願いであるということで、これは憲法に背反したり、憲法に抵触したり——議論の余地のないところでございます。そういう意味で、助言と承認の責任を有する内閣は、いやしくも憲法に背反をするようなというような、そういう無制限に拡大をされることが、その歯どめがないじゃないかというようなことに対しては、これはやはり内閣が責任を持たなければならない問題だと思います。しかし、その他の問題に対しては、国民の合意、象徴としての陛下に対する国民の合意というものでおのずから調和が保てるものでありまして、日本の皇室が憲法上疑義を生ずるような御行動をされるようなおそれは全くない、これは私はそう信じておるのであります。
○鶴園哲夫君 ちょっと。 少し前へさかのぼりますけれども、事実関係はなかったというお話ですね。総理大臣のお話を聞いておりますと、増原さんが公的な地位をなげうつことによって、何かその事実はなかったということを証明をしたような形に受け取れるんですね。しかし、あれだけ新聞に報道されますと、これは国民が知っちまっているんですね。新聞で報道されたとおりですよ、たいへん重要な発言を天皇はされておる。しかもそのことを増原さんが、言うならば感激をしまして得々と発表した、こういうことは国民が知っておるわけですよ。そうでしょう。それを一国務大臣が職を辞して、弁解のしようもないから職を辞したからといって事実関係はなかったということにはならないのじゃないでしょうか。私は事実関係はなかったということで問題にふたをかぶせるようなやり方はよくないんじゃないかと思うんです。どうも総理のお話を聞いてますと、何かそれでふたをしようという感じがしてならない。国民はわかっておるんですよ。みんな知っちまっておるのをどうなさるおつもりですか。その点を一つ。 それからもう一つ、内奏については内閣の助言、承認と、あとの所管事項についてはこれはどうも助言と承認というものはないようですね。ところが、その所管事項の中でああいうたいへんな問題が出たわけです。非常に重要な問題が報道されたわけですね。増原さんは私もよう知っております。長年おつき合いをいたしております。内閣委員会でも長い間つき合っている。総理もおっしゃるように非常に慎重な人です。たいへんな能吏です。その能吏が、慎重な増原さんがああいうことを記者会見でされたということは、これは私は、増原さんがおっしゃったことはほんとうだと思う。そう思わざるを得ない。総理もおっしゃるとおり慎重な人です。その人がごちゃまぜにしたような話をするはずがない。そういうものを、どうもやめることによってふたをするというやり方は、これは国民承知しないと思うんです。知っておるわけです。ふたをしちゃいかないと私は思うんですその上で総理はひとつ発言をしてもらいたいということと、もう一つは、いま申し上げましたように重大な問題が出てきた。つまり内奏じゃなくて所管事項の説明中で、それではどうも内閣の助言も承認も何か要らぬような感じを受けるわけです。しかし、その中で、国民が知らないところで、主権者である国民の知らないところで何か重要な政治問題が話されておる。そして国務大臣はそれによって激励をされたり感激をしておるのではないか、そういう感じを国民はいまやみな抱いていると思うんですよ。そこらをはっきりしてもらわないとこの問題は私は氷解をしない、解決をしない、こう思っております。総理の見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 国民の皆さんは、増原発言というものを、報道された紙面によってそんなことがあったのかなあということは承知をしたわけであります。その後増原さんは、そういうことはなかったんだと、そして、私が新聞記者会見において意を尽くさず誤解を与えたことの不明を謝します。公的な立場として責任を負います。ということも報道されておるわけでございます。その両面を国民の皆さまは承知をしておるわけでございまして、前段だけを承知をしておって、後段を承知をしておらないわけではないわけでございますから、その間はよく御理解をいただきたいと思います。そして国民が、しかし前段には報道されたんじゃないかということに対して、どっちが正しいのかということに対しては国会で御質問も受けておりますし、私も答えておりますし、で、過去には全くなかったんですと、そしてこれからもあり得るはずがありませんと、こういうことで明確にしておりますから、その判断は国民の皆さまが十分判断をしていただけると思いますし、理解をしていただけると私は信じておるのであります。先ほどから申したとおり、この内奏問題に対してはだれも立ち会っておらないのであります。だれも立ち会っておらない。御本人の増原さんが、そういうことはなかったんだと、にもかかわらず誤解を与えたことは、配慮を欠いたということでありましょう、職を辞しておるのでございます。しかも私はもう十五年間にわたって内奏、参内をいたしておりますが、そのようなことは全くありません。私は自分の経験に徴しても申し上げておるのでありますから、私の考え、正しいんです。これは。ですから、そういうことから考えまして、国民は私は理解していただけると、こう考えておるのであります。
○鶴園哲夫君 それは、総理、確かにあなたのおっしゃるように、総理自身としての経験から、なかったとおっしゃることは、それは総理がおっしゃるなら認めていい。しかしこの場合は、起きたわけですよ、増原さんの場合は、あの慎重な増原さんが、能吏でして、われわれが見たらたいへんな能吏ですよ。その増原さんが天皇とお会いして、お帰りになって、こういう報道を発表されたんですよ。実にりっぱに発表されたんです。つじつまが合っておる。そのつじつまが合っておるものに対して、何か一言いさいを尽くさず誤解を与えたということでやめる、増原さんやめるということで、あの問題は私は打ち切りじゃないと思うんです。それを打ち消したという考え方も総理は何んべんもお述べになって、打ち消して、事実はなかった、なかったとおっしゃるけれども、しかし、国民はそういうことをこれはわかったと思うんです。これは総理がおっしゃるように、増原さんは言ったと詳細に報道された、一方において、いや、いさいを尽くさず混乱を与えたのでやめるということで片づかないじゃないかと言っているんです。総理のおっしゃることはわかるんですよ。おれがやっている間はなかったと、それはそのとおり。が、あった。起こったんです。それを従来の経験で押えようとなさっている、ふたをしようとなさっても、それはおかしいじゃないですかと言っている。
○国務大臣(田中角榮君) ふたをしておるんじゃ何にもありません。私たちがいまなさなければならぬことは、増原氏は、そういうことはなかったんだと、にもかかわらず誤解を与えたことは、配慮を欠いたいという意味でしょう、それを職を辞しますと、こう言った以上、われわれは再び、私を含めた閣僚が誤解を与えるようなことをいやしくも起こしてはならないということが一番の問題だと思うんです。ですから、お互いに憲法を読み直しましょう、そして間違いを起こさないように、国民に誤解を与えないように慎重な配慮をしなければならないということは閣議でも発言をし、閣議ではこれを了承しておるわけであります。ですから、私はこの問題に対してふたをするというような考えはありません。真偽のほどをどうするかということになれば、御本人の増原さんをお呼びになる以外はないんです。私は増原氏から、あったのかどうか、なかったんです。あんなまじめな人が、なかったんですと。しかも迷惑をかけましたから辞表を提出いたしますと、こう言われたのですから、これはあなたも御存じのとおり、増原さんというのはうそを言う人じゃありません。うそを言う人じゃないんです。(「前はうそを言った」と呼ぶ者あり)いや、そうじゃないんです。だから意を尽くさなかったと、こう言っているんじゃないですか。配慮を欠いたという日本語じゃないんですかな。そういうことでございますから、私はそれを認めざるを得ないのであります。認めざるを得ないのであります。再びそのようなことが間違いであっても起こってはならないということで、内閣の中を引き締めて、お互いに自覚、自重、こういう措置をとっております。ですから、この真実を述べろと、真実があったのかないのかということと言えば、これは増原氏にお聞きをする以外にないわけでありますが、これはお聞きになっても同じことだと思います。私に、ないと言っておるんですから。それで、しかも職を辞しておるわけであります。国会で証言と証人等に関する法律もございますから、それは国会では真実を述べなければならないという宣誓のもとに証人として喚問する道も法律上開かれております。しかし増原氏は、ないんだと、にもかかわらず誤解を与えたことは、配慮を欠いたんだという趣旨のことを天下に明らかにして、その責めを負っておるのでございますから、ふたをするというようなものではない。
○片岡勝治君 時間がなくなりそうでありますので、ひとつまとめて申し上げますのでお答えを願いたいと思います。 いま、内奏問題についていろいろ論議をしているわけでありますけれども、増原さんの内奏は次のようなことを言っているわけであります。警察予備隊発足以来の自衛隊の歴史、四次防の問題、わが国をめぐる国際情勢、そのほか現在の防衛庁の問題として基地問題、自衛隊隊員募集の問題、こういうものを説明をされたと。これは天皇の御発言じゃないんですから、これは事実だ。自衛隊の歴史などはまさしくこれは日本の政争の象徴的な問題であります。あるいは四次防、これはいま現に大きな問題としてですね、防衛二法が問題になっておる。明らかに政治的な問題なんです。こういう問題をいわゆる所管事項の説明として行なわれるということについては、これはたいへん問題があるだろうと。そういう所管事項の説明については再検討すべきである、こう思うわけであります。 それから衆議院の内閣委員会で、最後に総理はこういうことを言っております。天皇は国民統合の象徴であります。その意味で、国民の皆さんが御理解申し上げ、大事にしなければならない皇室でございます。云々。こういうことばで結ばれております。たいへん重要なことばであろうと思うわけであります。あたかもこの問題を契機にして、国民のほうの理解が足らないんだというような印象をちらっと受けるわけであります。つまり、象徴天皇を大切にするということは一体何だ、裏返せば、これは日本国憲法を大事にする、それを徹底する、こういうことが即天皇を大切にするということになると。私に言わしめれば、総理はそうおっしゃったけれども、天皇を大事にしなければいけないとおっしゃったけれども、大事にしなかったのはだれですか。これは国民じゃないんです。あなた方ではなかったんですか。かりに一時的にせよ天皇の名前を出し、天皇を俎上にのぼせて、ああいった増原発言をしたということは、これは明らかに逆に天皇を大事にしなかったのはあなた方ではないか。私はそう言いたいところなんです。つまり、天皇を大切にするということは、日本国憲法、主権在民、平和と民主主義、そういうものを徹底することが即天皇を大切にすると、そういうことになると思うのです。これについて総理の見解を承りたい。 また、総理は、参議院の本会議において、総理退陣したらどうか、こういう質問に対して、退陣する意思はありません。国民のためになさなければならない責任はまだ山積をしております。こうおっしゃいました。この理由はですね、いつでも通ずる理由なんです。政治は永遠です。国民のためになさなければならないそういう責任は、いつ、いかなるときにもあるわけですから、これは退任を迫られたときの答弁としては理由にならないわけであります。政治家というのは出処進退を明らかにする。このことこそ民主政治の基本であろう課題が一ぱいあるからやめられない、そんなことを言ったら、田中さん、永遠にやめる機会はありませんよ。だから、こういうことはですね、これはわれわれに対するお答えにはならないのではないか、こう思うのです。 さらに、この問題は日本国内だけではなくして、特に東南アジア諸国に大きな影響を及ぼしたということが新聞に報道されたわけであります。つまりシンガポールの中国語の新聞でありましょう、「南洋商報」、五月三十一日の社説で取り上げられておる。「ニクソン、田中が相次いで中国を訪問し、アメリカは徐々にインドシナ、アジアから軍隊を撤退することになり、国際間の和平機運が一日一日濃くなっている矢先、日本が軍備を拡大する必要はないはずである。それなのに増原氏が天皇の名を利用して軍備拡張を企図した目的は何なのか。われわれは戸惑うばかりである」。いまや東南アジア諸国にさえ大きな影響をもたらした。これはたいへん重大な問題であろうと思われます。そういうことについて、一体総理はどのような責任をお感じになっておるのか。 さらに、中曽根発言であります。これについてもいろいろ弁明をされました。まあ参議院本会議における中曽根さんの態度は、これは率直に、その慎重を欠いた遺憾の意を表明されておるわけでありますけれども、まあ私の受けた感じでは、総理は何か開き直った御答弁をされた、そういう印象を非常に強くした。これは私だけではありません。皆さんそうおっしゃっておる。少なくとも中曽根さんがああいう謙虚な態度で、ほんとうに心から反省をしておる、そういう遺憾の意を表明されておるんですから、田中さんもその中曽根さんの意思をそんたくして、やはりもっと謙虚な態度を示すべきであっただろうと思うわけです。そして、この王制問題にいたしましても、外国にわかりやすい一つの例示として、日本を紹介する意味でああいう例題を出したというんですから、私はこの辺もやはり憲法感覚が非常に麻痺しているんではないか。日本を紹介するに何もわざわざ王制を持ってこなければいけない、まず第一にそういう発想が出てくる、私はナンセンスだろうと思う。あるいはまた外交辞令で、向こうが皇帝である、だからこっちも王制を持っていく。ちょっと何か一世紀昔の外交の話し合いなのではないか。私はこの日本だって、たとえばいま問題になっている日本国憲法、こういうりっぱな憲法がある。まあ中曽根さんにはなかなか言いにくいかもしれませんけれども、われわれにしてみれば世界に冠たる憲法がある。そういうことを大いに外国へ知らせて、友好親善を深めるということに大いにもっと自信を持ってやっていただきたいと、こう思うわけであります。 以上、一括してお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 皇室を大事にしなければならないということは、これはもう私はずうっと考えております。憲法で定める日本民族統合の象徴であるということになっている。これはもう統合の象徴たる天皇を尊貴の対象として御尊敬申し上げる、国民全体がこれをお守りするというような気持ちというのは、国民全体の気持ちだと私は思います。また、そうでなければ、ほんとうに日本という国が、またお互いが、世界にほんとうに民主国家として尊敬を受けるようにはならないと思うんです。憲法で明確に皇室の存在というものが規定されておるのでありますし、国民統合の象徴である。こういうことでございますので、やっぱりみずからのヘッド、みずからの象徴、これはやっぱり敬愛するということでなければならないんだという一般論を述べたつもりでございまして、これはもう私はこれからも皇室を大事に皆さんとともに——皆さんも御不服はないと思うんです。皆さん御賛成だと思います。新しい憲法を守るとすれば、その憲法の第一条に書いてあるものでありますから、これはもうほんとうに国民みんなで皇室というものを尊敬し、お守りをしてまいりたい。こういうことを述べたのでございまして、私は、私の考えが誤っておるということは考えてとりません。 政府の責任ということでございますが、これは事実は先ほどからるる述べておりますとおり、一対一の話をする場面でございまして、私たちがうかがい知る由もないのでございます。増原氏はみずからのそういう事実のなかったことを明らかにして、こうやって職を辞しておるのでございます。しかもこれは内閣を代表して意見を公的に申し上げるというようなことではないわけでございます。まあ閣員としての、個人的な一人一人の閣員としての、立場で言うならば公的な立場というようなことで、天皇の御教養を高める、知識を高めていただくということを目的としてまあ御進講——一種の御進講だと思いますが、そういうことを例として申し上げておるわけでございますから、それで内閣が退陣しなければならないという……、旧憲法時代の考えからいえばこれはもう退陣しなきゃならぬと思うんです。しかし、そういうことでは私はないと思うんです。ものの軽重から申し上げておるんじゃありません。私は、この問題、大切な問題であるし、内閣が辞さなきゃならぬ問題はいままでもなかったし、増原氏もなかったということを明確にしておるが、国民に対して誤解を与えたという問題がありますので、これからお互いに心も身も引き締めて、再びかかるようなことを万一起こしてはならないというためには努力をいたしましょうという措置をとっているのでございまして、内閣としての責任が、ただ内閣が退陣するというようなことですべてが結末をつけなきゃならない問題だというふうには私は考えておりません。そういう意味で、内閣はいま国民の負託にこたえて、なすべき責務を果たすために全力を傾けるつもりでございますと、こう述べておるわけでございます。 それから、第三は、中曽根発言に対してでございますが、まあ国会というのは言論の府でございますから、私はやはり徹底的に論争をする、まあ少しこう御意思に沿わないような面が起こるかもしれませんが、やはり所信は堂々と述べなきゃいかぬと私は思うんです。何も頭を下げて、ああそうでございましたと、こう言えば私は済むものではないと。民主政治というものはやっぱりお互いが議論し合う、だから立場における意見というものは堂々と述べてしかるべきだと思います。私たちも全く逆なことを御質問も受けますし、お話も承るわけでありますが、みずから正しいと信ずることであり、しかもそれが憲法や法律の精神を踏まえての発言に対しては、公に堂々と述べるべきだと私は思います。 だから、そういう意味で、中曽根国務大臣は御本人でございますから、私は学問的な問題であり、いろいろな問題、理論的な問題等には私が述べたようにいろいろな議論が存在いたします。しかし、中曽根国務大臣は他の国でもって話をした、そのことを国会審議の場で引用した。だから私は言わずもがななことを言ったんだということを述べているわけでございます。そういう意味で、中曽根君が謙虚に、不用意でございましたということを述べたことが謙虚であって、私が学問的な問題やいろいろなことを述べて、中曽根発言に対しては違法性はありませんと、こう述べたことが謙虚でないという御指摘は当たらないと思うのです。これは当事者と私は公の立場において質問に答えて国民の前に考え方を明らかにしなければならぬわけでありますから、それは憲法に背反するかどうか、違法性はなくても妥当性があるかどうか、学問上一体どうか、こういう問題を述べるのはこれは私は当然の責務である、こう考えておるわけでございまして、私が中曽根君と比べてどうも謙虚さを欠くということは当たらない、こう思いますから、そこらは静かにお考えいただければ理解をいただけると思います。私の立場をあなたが置きかわってお考えいただいても、私は、私が御答弁を申し上げたことが不遜であり、謙虚さを欠くものであり、妥当性を欠くものだとは考えておりません。遺憾ながらそう申し上げます。
○宮崎正義君 衆参両院で増原さんの問題について取り上げられまして論議をされてきたわけです。私は、その主権在民であるわが国の平和憲法、これをあくまでも護持をしていく立場で二、三質問を申し上げたいと思います。 そこで、先ほど内藤委員のほうからも、外国に対する日本の立場というもの、外国ではこのように考えて見てたんじゃないかということに対して法制局長官から答弁がございましたけれども、この外国に対する考え方というものは、どの閣僚が行かれても同じようなことが、日本の立場を明確にしていくことが言われなければならない。単なる比喩的だとか、あるいは平易だとか、あるいは皇室が同じであるとか、君主が同じであるとかいうようなそういう考え方だけで、それぞれの立場で外交辞令をやるようではならぬと思う。あくまでもこれは法の上でも明確にしていかなければなりませんし、また、統一的な考え方をちゃんと持っていなければならないのじゃないかと、こう私は思うわけですが、この点について総理のお考えと、それから法制局長官には法的な考え方をどういうふうに考えられていかれるか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(吉國一郎君) わが国の象徴天皇制につきましては、憲法第一条が、「天皇は、日本國の象徴であり日本國民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本國民の総意に基く。」、この規定に定めるところに尽きるものであろうと思います。政府といたしましても、諸外国においてもこの憲法の趣旨は十分に理解をされまして、象徴天皇制のよって立つ国民の総意がいささかもそこなわれることのないように、国政運営のすべての面において、今後ともさらに努力をしてまいるということが政府の考えでございます。
○宮崎正義君 御答弁はそういうような御答弁をなさっておられますが、実際閣僚の方々が行かれても、国民総意のあるいは——なぜ私、こういうことを言いますかといいますと、王制問題が出まして、その王制論議によって、外交辞令だとか、あるいは平易にわかりやすいために話をしたとかという考え方で、そういう考え方で臨んでいるという、それは憲法の第一条が明確にわかっていないから、そうじゃないかということを私は言っているわけなんですがね。したがって、この第一条のことについては、このように諸外国に対しては説明をするんだと、こういうふうに内容を説明をしてもらいたいと、こういうわけなんですがね。
○政府委員(吉國一郎君) ただいま申し上げましたように、日本の世界に独自の象徴天皇制というものは、この第一条において規定されておるわけでございます。で、この天皇が日本国の象徴であられると同時に日本国民統合の象徴であられる、しかもその地位が日本国民の総意に基づくものであるという特異の国柄を諸外国の国民にもわかりやすく説明することが政府のとるべき態度であろうということで、先ほど申し上げたとおりでございます。
○宮崎正義君 あなたは、衆議院の内閣委員会のときに——ちょっと、これ、読んでみます。こういうふうにおっしゃっておられます。「世襲の尊貴の対象をいただいておるという点についてだけ着目をいたしまするならば、日本が、象徴天皇制と俗に呼ばれる意味で、象徴としての天皇を、日本国の象徴であり日本国民の統合の象徴であるとして、国の機関として高いところにいただいておるということは間違いないと思いますので、その意味で王制に類似する制度であるということで、中曽根大臣も、同じような制度を持っておるということについて比喩的に言われたものであると思います。」と。この比喩的に言われていることだと思いますと、私、この前文はいいんです。ことばじりをとらえて私は云々するんじゃございませんけれども、この長官がおっしゃられたことがこの比喩的だということで、国民総意ということで判断してよろしいんですか、同一判断は。
○政府委員(吉國一郎君) これは参議院の内閣委員会におきまする中曽根通産大臣の発言を問題にしての御質問でございました。そこで、中曽根通産大臣がイランの王制と日本の天皇制を並べて、そこで同じような王制の国であるという発言をされたことがどうであるかというような御質問でございました。で、まず総理がお答えになって、日本は主権在民の国であるから、王制ということばを使ったことについてやはり問題のあるように——これはもう一般的な議論として総理は言われたものと思います。そのあとを受けまして、私がさらに御質問をいただいたものでございますから、そのような発言をしたものでございまして、イランの王制とわが国の象徴天皇制を比較して中曽根大臣が発言をされたことを、何と申しますか、解明をすればそういう趣旨であったろうということを申したつもりでございます。
○宮崎正義君 そこが問題だと思うんですが、一般的な発言に続いて、そしてあなたのこの解明をするために、そういうふうに私はわかりやすいためにそういうふうに言ったんだというふうに言われておりますが、こういう思想が、考え方が、国民総意であるという考え方が、どこまで確立された内容を持った中からこの発言が——総意であるということが、ほんとうの意味のことがわかれば、こういうふうなことは、私は、たとえばだとか、比喩的だとか、こういうわかりやすいために解明してやったんだとかいうような、そういうふうなことは言えないんじゃないかと思うんですね。どうなんですかね、これは。
○政府委員(吉國一郎君) 先ほどのお答えをやや繰り返すようなことになりますが、これは本年の六月七日に衆議院の内閣委員会におきまして、まず冒頭に田中内閣総理大臣に対しまして鈴切委員から御質問がございまして、「わが国はイランと同じく王制の国であるかどうかという認識でありますけれども、その点についてまずお伺いいたしましょう。」、中曽根発言ということは別に冒頭に出ないで、イランと同じく王制の国であるかどうかという認識でありますけれども、その点についてまず質問をしたいという御発言がございまして、内閣総理大臣から、「憲法に明定するとおり、天皇は国民の総意に基づく象徴でございまして、主権は在民でございます。ですから、王制であるとか、そういう外国にある例に的確に当てはめて議論をするということはむずかしいわけであります。」、こういう答弁が出ることはこれは当然であろうと思います。そこで、鈴切委員がそれに対して、「いま総理大臣は、主権在民であるし、そういうことから言うならば、イランと同じ王制であるというものの考え方は決して正しくない、こういう御発言がありました。」ということで押えておいて、「そこで、この問題について、実は六月五日の参議院の内閣委員会におけるわが党の宮崎委員への答弁で、中曽根通産大臣が次のような発言を」されましたということで、中曽根通産大臣のホベイダ首相に対する発言を引用されて、そこで、いまの総理大臣の王制に対するものの考え方はまるっきり通産大臣とは違うではないかというようなことで突っ込んでこられたわけです。そこで総理から、主権在民か主権在君かという分かれ方からいえば、王制というものは、主権は在君である、主権は君主にある。「いわゆる統治権を持つ者は国民ではなく特定の制度上の王、キングが存在する、」、こういうことであろうと。そういうことからいって、「旧憲法時代の日本は王制の中に入る、範疇に入る、」「しかし戦後の憲法を読めばおわかりになるとおり、これは国民総意に基づく象徴としておるわけで」ありまして、憲法には厳として主権は国民にあるという規定がある。在民の規定があるが、「国民総意に基づく象徴として天皇をいただいておるということも事実でございます。そういう意味で、王制の中にも入れられるのかなというような感じで中曽根大臣述べたのだと思います」云々ということで説明をされまして、それから「私はしかし、先ほど申し上げましたように、国民総意に基づいて天皇を象徴としていただいておるという厳たる事実に徴して、日本もまた王制であるというように、中曽根国務大臣、答えの中にそう述べたのだと思いまして、少なくとも日本が王制であるというような認識のもとに立って述べたものでない、こう理解をいたしております。」という答弁をされました。さらに鈴切委員から、これは「重大な問題ではないかと思います。それじゃ法制局長官、あなたの王制に対する解釈をひとつ。」ということで御質問がございましたので、先ほど委員からお話のございましたようなことで、中曽根通産大臣の言われたのはこういうような趣旨で言われたものと思うというそんたくを申し述べたものでございます。そこで、「要は王制の学問上の定義の問題に帰する問題であると思います。日本はあくまで象徴天皇制という世界にも独自な形態であるということを申し上げておきます。」ということを、私お答えの最後につけ加えて申し上げたつもりでございます。
○宮崎正義君 これは、この場合も中曽根通産大臣がおいでになりませんから、そういうお考えでこういうふうに言われたんだろうというような推測をされながらの答弁だと思います。 また、きょうのこの委員会におきましても、増原前防衛庁長官がおいでになりませんし、本来ならば、総理の先ほどからのお話でいきますと、実際は増原さんがここへおいでになって、真意を、こうだという中身の点をお話しなされば、推定の話じゃなくていくんじゃないかとも思うんですが、これがやはり同じように、推定のもとに、私はそういうことを過去においてやらなかったから増原さんもやらなかったんだろうという前提のもとに話し合いを進めていくところに議論のかみ合いができない。したがって、本来ならば参考人としてでも増原さんに来ていただいて、るる話し合いをしていけば、そういう推定論は成り立たないと思うんですが、いずれにしましても、いま長官の言われていることも、とり方によっては非常にこれは疑義があります。おっしゃっている点について非常に問題がある。それから、ほんとうに、増原さんの言われた辞任の理由に、意を尽くさなかったという、誤解を生じたという——先ほどからの論議の問題も、そういうところに触れない、かみ合わないところに生じているんだと思うんですがね、そういう面から考え合わしてみて、本来ならば増原さんがこちらにおいでになれば問題なかったと、こう私は思うんですが、どうなんでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 増原さんは、御承知のとおり、もう一月ごろから強度のヘルペスにおかされておりまして、たいへん苦痛を訴えられておったわけでございます。私も心配しておったわけでございますが、この問題で特に心身ともに御苦労であったと思います。そういう意味で、辞表を提出すると同時に入院をされておるということでございます。現に入院加療中だと思います。 そういう意味で、国会は、国民である限り、議員たるとを問わず、証人としてお呼び出しをすることもできるわけでございますし、それから参考人としては、もう国会議員でございますから、皆さんで御相談をいただければ当然可能なことでございます。内閣の閣員にとどまっておれば、これは内閣として、当然出頭要求があれば国会に出頭しなければならない、こういうことでございますので、いま私が、出ていただきたいと言えるような立場にないということをひとつ御理解を賜わりたいと思います。
○宮崎正義君 限られた時間でございますので、先ほどのわが国の憲法の第一条の「日本國民の総意に基く。」ということを、どういうふうな表現のもとに——先ほどの質問にまた戻りますけれども、長官は、どのように外国に対して、具体的にこういうふうに話をしていくんだというものをひとつ御説明願いたいんですがね。
○政府委員(吉國一郎君) 外国からわれわれに対しまして、ときどきこういうことがございますが、私も数年前、二、三年前でございますか、アフリカの某国の法務総裁の訪問を受けまして、日本国憲法について概要を説明してくれないかということで、つたない外国語をあやつって説明をしたことがございます。 そのときに、日本の憲法のまず特徴としては、主権在民であって、しかも天皇をいただいておる。この第一章について説明をいたしたわけでございます。そこで、天皇が象徴である。この象徴ということにつきましては、シンボルということを使っても非常によくわかるわけでございます。象徴と申しますのは、いまさら申し上げるまでもなく、一つのものごとを理解するために、Aという事柄をあらわすためにBという事象をもってする。ハトが平和の象徴であると言えば、平和という、Aという事項をあらわすためには、ハトを見ることによっておのずから万人の心の中に平和という観念が浮かび上がってくるというものを申すということは、これはいまさら申し上げるまでもございませんが、そのような説明をいたしますと非常によくわかって、なるほど日本のエンペラーはそういう地位にあられるのかということを言ったことを記憶いたしております。もちろん、さらに第二章の「戦争の放棄」以下、あの規定についても説明をいたしますけれども、日本のエンペラーの存立の基礎というものについて、そのような説明をいたしますと、非常に日本の国柄について理解をしてくれております。 その際、また、たとえば、いまはイギリス連邦とは申しておりませんが、コモンウエルス・オブ・ネーションズという昔のいわゆる英連邦の象徴としてイギリスのキングなりクイーンなりがあられるということも、これはウエストミンスター条令というものに規定をされておりますが、その説明をいたしまして、これと同様なものである、シンボルという意味においては同様なものであるということを申したようなことがございます。
○宮崎正義君 非常に大事なことだと思います。エンペラーあるいはキングという問題は、これはたいへんなことだと思います。論争をするようになりますと。これはまた別な角度でやらなければなりませんし、こういうわが国の憲法の第一条をはっきり明確にして、その中から、どこの外国に行きましても、国民がひとしく、同じことが喜んで言える、この平和憲法のほんとうの趣旨を喜んで言える、胸を張って外国に言えるような内容といいますか、そういうものを全国民に明確にこの際私としておくべきじゃないか。それを、この際総理にお考えを聞いておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 新しい憲法が制定をせられ公布をされてから、すでにもう二十五年、四半世紀の歴史を経たわけでございます。憲法は国民の間に私は十分定着をしておると思うわけでございます。特に、その後行なわれた十二回の総選挙——新憲法制定前の第一回の選挙を含めまして十二回ございます。また参議院の選挙が九回、地方統一選挙が七回あったわけでございます。その中で、ほとんど防衛論争、憲法論というものはずっと引き続いて議論をされてきておるわけでございまして、私は、憲在というものは国民の間に定着をしておるという考え方でございます。九十九条のいわゆる公務員たるもの憲法を守らなければならない、これはもう当然のことでございますが、そうでなくても、憲法というものは、その国の国民である限り、すべてが守らなければならないものである。これはもう私は、ほんとうに国民全体が憲法を大事にしていく、憲法を守るということでなければならない、憲法に対する基本姿勢はそうだと思います。その中に象徴天皇——明治憲法下にずっと生まれ、育ち、生きてきた人には、なかなか新しい憲法は理解しにくい面もあると思いますよ。われわれは長いこと国会議員という職にありましたし、質問もし、それからわれわれ自身も答弁に立つような立場でございますので、憲法というものは十分理解をいたしておりますし、大事にしなければならないという考えに立っておりますが、国民全体が旧憲法と新憲法の差を全部知っておるというものではないと思います。ただ国民全体は、現にある憲法というものは守らなければならぬ問題だという基本的な立場において憲法を大事にしておる、憲法をそう見ておる、こういうことはこれは十分言って間違いでないと思います。そういう意味で、日本の憲法という新しい憲法でございますから、外国人などからいうと学問的にも非常に興味のある憲法であると、しかも平和憲法として世界における唯一無二ともいわれた憲法である、それが四半世紀以上定着をしておるということは、非常に学問的にも現実の上でも興味のある問題であるということで高く評価されておることは事実であります。そういう意味で、国民に対しては、常に政府も、憲法というものがより国民に深く根をおろし、理解をされるように努力を続けていくべきだと思います。私もそういう立場から旧に倍して努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
○宮崎正義君 その趣旨を全うすることが大事だと思います。なぜこういうふうなことを私が申し上げましたかといいますと、総理が六月七日の衆議院の内閣委員会で、「皇室中心というような考えで、平たい意味での王制、こう述べたのだと思います。」とか、こういうふうな総理の発言、答弁がありましたが、平たい意味での王制とはどんなものなのか、また、わかりやすく外国人に話しするためにそう言ったんだろうとかいうような、言うならば責任のある内閣の立場でありながら責任のないような、外国に対して日本の憲法の内容を明確にされなかった、そういう点を非常に私は遺憾に思ったわけなんです。この点でいま質問を続けてきたわけであります。くどいようでありますが、時間がございませんので私はこれでやめますけれども、このわが国の世界に冠たる平和憲法を、どの人がどのようなところへ行っても、堂々と胸を張って行けるような、まず内閣の姿勢から正していかなければならないのじゃないか、こう思うわけです。このことをもう一度伺って私の質問を終わります。
○国務大臣(田中角榮君) 憲法を守っていかなければならないこと、憲法を国民に周知徹底せしめるように内閣が努力しなければならぬこと、当然のことでございます。場合、場合の憲法の解釈とか、なすべきでない、これは論をまたないところでございます。ただ、一言言わせていただきますと、これは憲法というものと、学問的な面から日本の憲法というものはどういうものであるかという議論はあるわけであります。これはもう憲法調査会の議論を聞いてみてもずっとあるわけでございまして、学問的なもの、だから質問に対して答えておるわけでございますが、質問に対しても、学問的に対してはこういう議論もございますが、政府は憲法に対してはこう考えておりますというふうに明確に答えるべきであろうということは、私も理解をいたしております。
○岩間正男君 まず最初に、先ほど内藤委員の質問に対する吉國内閣法制局長官の答弁があったのでありますが、私は非常に重大なものを含んでおると思います。非常に短い時間で、速記も検討しないで、これを十分に論議することはできません。とにかく天皇が元首であるというような規定をしたり、あるいはまた公的行為というものを、これを無制限に拡大しておる、そういう方向の発言があったということは非常に重大であると思うのであります。ことに、元首であるという点につきましては、象徴天皇は国を代表する、そういう国事行為の中にも権能がある、したがって、これを国の代表としてのそのような立場をとる、したがって、元首としての資格を持っているのだ。しかもその根拠は実は憲法調査会の報告がある。——この憲法調査会の報告というものは何も公的なものではありません。内閣の法制局長官がそのことを根拠として元首であるというような規定をしてしまったのでありますが、この点なんかは非常にこれは重大な問題を残すと思います。しかし、ここでは私は十五分という時間でありますから、この問題に触れている余裕はありません。これは非常に主権在民の政治の根幹に関する重大な問題でございますから、この問題については、当内閣委員会としては軽視することのできない問題であるということを最初に指摘したいと思います。 そこで、質問に入ります。端的にお答えいただきたい、私は非常に時間がないから。 まず、お聞きしたいのは、天皇の国政に対する権能について、明治憲法と現行憲法ではどう違っていますか、端的に伺いたい。
○政府委員(吉國一郎君) 旧憲法におきましては、天皇は統治権の総攬者でございました。新憲法においては第四条にございますように、「天皇は、この憲法の定める國事に関する行為のみを行ひ、國政に関する権能を有しない。」ということで、象徴天皇たる地位と、国家機関としてはそのような限定された国事行為を行なわれる地位にあられます。
○岩間正男君 象徴天皇制、これは国民の総意によってきめた、こういうことでありますが、これはそれをきめたものは主権者国民でありますね。したがって、これは当然この主権者国民というものは憲法の根幹にならなければならない、そういう点は明確だと思います。いかがですか、端的にひとつ。
○政府委員(吉國一郎君) 第一条には「主権の存する日本國民の総意」という文言がございます。主権は国民にあることは明瞭でございます。
○岩間正男君 そうすると、天皇の国政に対する権能というのは新憲法というのは新憲法にはないのだ、こういう点ははっきり明確にする必要があると思います。これは田中総理も、六月七日の衆議院の内閣委員会の会議録を私読んでみたのでありますが、これを見ますと、「憲法の定めるところ、天皇は国政に対する権能を有されないということは申し上げるまでもないことでございまして」、こう申しておられますが、あらためて確認してようございますか。
○国務大臣(田中角榮君) そのとおりでございます。
○岩間正男君 さらに、あなたはそれと関連しまして、現憲法のもとで天皇は政治的中立を守っておる、したがって、政治的発言をされたことはないというような意味のことを申されましたが、これもそのとおりでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 私はもちろんそのとおりと理解しております。
○岩間正男君 それなら、その趣旨に反したような発言、少なくともあなたがいま申されました、確認をされた趣旨に反するような発言があったとしたら、これは勇敢にこれを訂正されるか、取り消しをされるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) そんなことは全くないことでございますから、ないことを、もしあったらというようなことは考えておりません。
○岩間正男君 そう言われますけれども、これは実はあるんです。はっきりしております。ここに速記録がございます。これは先ほど申しました六月七日の衆議院内閣委員会の速記録でございます。田中総理の答弁の中に、「私たちは、旧憲法時代のことを思い出してもそうでありますが、お相撲をごらんになられても、天覧相撲が行なわれても、いずれが勝っても拍手もなされないという、非常に中立的なお立場であるということは、旧憲法時代から一貫しておるのであります。(発言する者あり)事実を申し述べておるのであります。」、こう発言されておりますが、その中で非常にやはりこれは問題になりますのは、「非常に中立的なお立場であるということは、旧憲法時代から一貫しておるのであります。」ということばは、先ほど私がお聞きしました、旧憲法時代にはこれは国政の総攬者であった天皇、そうしてそのような発言も事実これは私たちは調べましたけれども、これはございます。発言をされておる。そうしますと、事実はこう反するのでありますから、旧憲法と新憲法のけじめを明確にするためには、どうしてもこのようなあいまいなふうにとられることばというものは私は総理としては明確にされておく必要がある。したがいまして、ただいまのこれはことばじりじゃございませんけれども、非常にここは重要な点でございますから御訂正をされるのは当然と思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 新憲法下の議論がいま問題になっておるのでございまして、新憲法下において、皇室が憲法に反するような御発言をされることは全くありませんし、考えてもおりませんと、これは一貫して議論をされておるわけでございます。日本の天皇制の過去及び現在及び将来が議題になっておるんじゃありません。いずれにいたしましても新憲法下、現在における天皇陛下のことが議題になっておるのでございまして、私は、私がいままで申し述べておったことにいささかも間違いはないと、こう考えます。そして衆議院内閣委員会におきまして、天覧相撲の話を例にいたしましたのは、天皇のお人柄というものを説明しようとしたものでございまして、これは過去にも、国民はみんな、非常に御中立であられるということは国民ひとしく認めておったことだと私は理解しておりますので、この発言、この引用した問題を取り消さなければならぬという考えは全く持っておりません。
○岩間正男君 そうおっしゃいますけれども、日本語というものは明確にこれは語っておるですね。「旧憲法時代から一貫しておるのであります。」、その前に「非常に中立的なお立場であるということは、旧憲法時代から一貫しておるのであります。」、速記ごらんになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) いやいや、知っていますよ。
○岩間正男君 これは明確です。「旧憲法時代から一貫しておるのであります。」、新憲法時代になって一貫しておると言われたんなら私は問題しません。しかし「旧憲法時代から一貫しておるのであります。」とはっきりこれは速記がしたためてある。これは対する異議はいままでもこれは出ていない、こういうものでしょう。したがいまして、私はこのことばというのは非常にこれは誤解を呼ぶので、もし総理の真意があくまでもこれは旧憲法時代と新憲法時代は違う、そうして新憲法時代の最も特徴的な明確なことは、天皇がこれは国政の権能を有しない、したがって、政治的なこの中立を侵するような発言はないのだ、あくまで中立を守るのだ、こういうことを、これは何回も言われた総理としては、旧憲法時代からなかったという発言、これが問題を混乱させておる一つの大きな課題になっているのでありますから、私はこれは訂正されるなり、あるいはここのところは不分であるというのか、あなたの御意思を明確にされておくということが、今後の国会論議の中で絶対にこれは必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 私は、「憲法の定めるところ、天皇は国政に対する権能を有されないということは申し上げるまでも」ありません。第一に明確にしてあるのです。第二は、「陛下が国政を左右される、国政に影響のあるような御発言をなされることは全くありせん。」、第三に、「旧憲法時代のことを思い出しても」云々、こういうことを言っております。それで最後にまた、「もちろん新憲法になって陛下がそのようなことをされるはずはない」と述べておるのでございまして、その部分だけをとらえてあなたは御発言になられておりますが、これは少なくとも前後をずっと通して、一貫して、私に対する質問、私の答弁を読まれれば、憲法解釈に混乱を起こすというようなことは万々ないことは申すまでもないことであります。
○岩間正男君 そのところをとらえて、とおっしゃいますけれども、ここのところが非常に重要だから言っているのでありまして、ことばそのものというものは、はっきりこれは事実を物語っておるのです。旧憲法時代からなかったと、こう言われる点は、全く事実に反するのでありますから、そうすれば、あなたのこの御発言というものは不十分だったのか、これはこのままにしておいてはやはり非常に誤解を生みやすいものであります。ことに、あなたが言われたように、あなたの御趣旨としては、あくまでも天皇の中立を損ずるような発言はなかったと言われておる、主張されておるのなら、当然私はこのような不十分というか、誤り伝えられる可能性のあることばというものは、明確にされるというのは、一国の総理の当然なさるべき任務であるというふうに思うわけです。これは国民だって、これをはっきり期待しておると思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) たいへん御親切な御発言ではございますが、国民はこの発言をもって私の真意を誤り理解をするようなおそれは全くない、こう考えておるわけであります。
○岩間正男君 こういうことをあなたは言っておられますけれども、国民に聞いてごらんなさい。そういうことを、そう信ずるのはそれは差しつかえないのでありますけれども、厳正な日本語そのものの表現です。言語的表現そのものというのははっきりした存在なんだ。その存在があることについて、やはり明確にするというのは私は当然これは総理の責任だと思いますが、どうしてこれにこだわられるのでしょうね。私は明敏な田中総理としてはおかしいと思う。あっさりやられたらどうですか。あなたははっきりそういうところを、これはもう改むるにはばかるなかれというところで、非常に変わり身の早い角さんなんていわれてね。(笑声)これ、やったらどうですか、やりなさいよ、こんなことを。
○国務大臣(田中角榮君) 私もあなたとは長いおつき合いでございまして、ものわかりのいいあなたでございますが、何でここにこだわるのか、ちょっとどうも理解に苦しむところでございます。(笑声)これは四つの例をあげて述べれば、日本人がこれを理解しない、そんなことはありません。これはあなたも理解していられると思うのです。どうも昔のあなたなら、さあっと理解するところでございますが、(笑声)何でそんなに言われるのかどうも理解に苦しむところでございます。
○岩間正男君 綸言汗のごとしじゃないですかね。どんどん自分のやっぱり誤った、足りないところは訂正するという率直な態度が示されなければ、やっぱりこれにこだわっているところに問題があるのじゃないかと、こういうふうにこれは考えざるを得ないですよ。しかし、これ、やっていると時間どんどんたちますから、次に進みます。はなはだ遺憾に思います。総理の態度としては。ちょっとそこはなっておりませんよ、もっとすぱっとやりなさい。 それから次にお聞きしますが、去る十三日の参議院本会議で、私の質問に対して田中総理は、いわゆる内奏に伴う所管事項の説明に関して答弁されました。しかし、この手続上、内容上、いろいろ問題があるので、その点についてあらためて総理の見解を私はただしたいと思います。 まず、総理の答弁を会議録で見ると、こうなっています。「閣僚の所管事項の内奏は憲法違反であり、廃止すべき旨の御発言でございますが、」——これは私がそういう質問をしたのです。「ございますが、天皇陛下に対する所管事項の御説明は、各省大臣が認証官任命式等に出席をする際に、またまた行なわれるものであり、いわゆる内奏とは関係のないものでございます。それは象徴である天皇が、一般的な知識、教養を高められるために行なわれるものであり、天皇が、その際、国政に影響を与えるような御意見を述べられるようなことはありません。政府としては、所管事項の御説明を取りやめることは全く考えておりません。」、こういう答弁をされているのであります。 そこで、まず私はお聞きしたいのですが、問題の増原内奏、これは増原氏が所管の防衛庁長官としてではなくて、内閣を代表する国務大臣として内奏を行なったはずだと思うのです。この際、事前に総理との打ち合わせか、相談があったのでしょうか、なかったのでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 認証式、親任式、非常に数が多いわけでございまして、親任式のときには、内閣総理大臣の親任には両院議長が侍立をするということになっております。それから最高裁長官の親任式には内閣総理大臣が侍立をすることになっております。内奏もまたそのような立場で行なわれるわけでございます。しかし、検事長の認証式とか、それから各大使、在外公館に勤務する大使の認証式とか、そういうものは、そのときの国会の都合とかいろいろな日程の都合で内閣官房のほうで時間のある国務大臣が随時お立ち会いをすると、こういうことになっておるわけでございまして、これは私が命じてということではないわけでございます。
○岩間正男君 時間が非常に制約されていますので簡単にお答え願いたいのですが、打ち合わせや相談がなかったか、あったかということをお聞きしているのですが、なかったのですか。
○国務大臣(田中角榮君) ありません。
○岩間正男君 そうすると、さきに述べた総理の答弁の中に、たまたまとあるが、大臣は、内奏という内閣を代表しての行為とは別に、主観的にかってに、主観的な判断でかってに所管事項の説明をしてもこれは差しつかえないということでこれをされたということになるわけですね。そうすると、これは非常に私はたいへんなことじゃないかと思う。所管事項の説明というものは、もう内閣の打ち合わせもしないで、しかもその内容というのは非常に重要です。このたびの増原事件のそもそもの発端は、このようなルーズなやはり憲法に対する態度から私は発生しているように思うのです。現職大臣の所管事項の説明なるものはそんなプライベートなことでいいのか。それとも国政に関する重大事項ですから、これについては少なくとも打ち合わせをはっきりしてやらなきゃならぬと思うのであります。だから、そういう点からいうと、しかもその所管事項によって、もう天皇のいろいろな教養を高めるとかなんとかいうことでありますけれども、こんなあいまいなやり方で、しかもその中で現職の国務大臣が担当している政治の問題についてこれは話をする。当然これはそうなるというと、しかも政党内閣の現職大臣でありますから、どうしても私はそこのところに政治的な一つの色合いが出ざるを得ない。天皇の考え方も結局はそのような方向に行かざるを得ないという点があるわけです。したがって、私は、このような内奏、所管事項の説明などということははっきりやめるべきじゃないかと思うのです。そこのところのけじめがはっきりしないところに一切の今度の問題が発生している。いわばこのような説明という暗箱の中でいろいろな天皇の政治というものが行なわれている、そういう危険も十分ある。それが今度の問題の私は一番重要なところだと思う。したがって、この手続問題についてはもっと私は明確にするということを、少なくとも国民はこれは新憲法の精神からいってはっきり期待しておるのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども御答弁申し上げましたが、国民統合の象徴としての天皇陛下に種々のことを御説明申し上げて御教養を高めていただくということは、これはもう絶対必要なことでございまして、いままでやっておることを私たちは改めなきゃならないとは考えておらないということは、たびたび申し上げているとおりでございます。 それから政党内閣だから政党の有利のような発言をする、そんなことは絶対ありません。いやしくも国務大臣たるもの、憲法の定めに従って、内閣法の定めに従っておりますから、これはそういう御懸念は絶対にないと、これはもうぜひ御信用をいただきたい。これは将来も絶対そういうことはないということだけは御信用をいただいてけっこうだと思います。 それから、やめたらどうかというようなことでございますが、これは災害があった場合、災害の状況に対して御進講申し上げるということもございますし、これは国際的な問題その他、外務大臣が参内したときには申し上げるということで、これはもう当然政府としてはなすべきことであると、こう思っておりますし、また、各大臣もそのように理解をしておりまして、これをやめなければいかぬというようなことは全然考えておりません。
○委員長(高田浩運君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(高田浩運君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として大矢正君が選任されました。 —————————————
○委員長(高田浩運君) 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山中防衛庁長官。
○国務大臣(山中貞則君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案の理由と内容の概要について御説明いたします。 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。 第一は、自衛官の定数を、陸上自衛隊千人、海上自衛隊三千六十五人、航空自衛隊二千九百十八人及び統合幕僚会議五人、合計六千九百八十八人増加するための改正であります。これらの増員は、沖繩地域における防衛及び災害派遣等の民生協力の任に当たる陸・海・空自衛隊の所要の部隊を沖繩に配備することに伴うもののほか、海上自衛隊の艦船の就役、航空機の就役等に伴うもの、航空自衛隊の航空機の就役、ナイキ部隊の編成等に伴うもの及び統合幕僚会議の情報機能強化に伴うものであります。 第二は、自衛隊の部隊等で重要な役割りをになう医官をみずから養成し、自衛隊における医官の不足を抜本的に解消するため、防衛庁本庁の付属機関として防衛医科大学校を設置することであります。防衛医科大学校の修業年限は六年とし、入学資格、設備、医学教育の内容、教員の資格等については、学校教育法に基づき医学教育を行なう大学の例にならうこととし、この大学校の卒業生には、医師国家試験の受験資格を与えることとしております。さらに、防衛医科大学校においては、同校卒業生に対し、医学に関する高度の理論及び応用についての知識等を修得させるための教育訓練等を行なうこととして、自衛隊医官に研さんの場を与え、その資質の向上をはかることとしております。 第三は、防衛庁本庁の付属機関として、自衛隊離職者就職審査会を設けることであり、これは、学識経験者を含めた五人の委員をもって構成し、自衛隊員の離職後の営利企業の役員等への就職について審査する機関とするものであります。 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。 第一は、沖繩地域における防空任務を完全に実施するために、沖繩に配備する航空自衛隊の航空機部隊、航空警戒管制部隊、ナイキ部隊及び基地隊等の有機的な運用をはかり、一元的に統括し得る指揮機能を現地に置く必要があるので、航空総隊の編成に、司令部及び航空隊その他の直轄部隊からなる航空混成団を加えることとし、新たに司令部の所在地を那覇市とする南西航空混成団を設けることであります。 第二は、防衛医科大学校卒業生は、卒業後九年間は、自衛隊員として勤続するようにつとめるべきものとし、九年以上勤続した場合を除き、離職者からは、原則として、所定の金額を国に償還させることとしております。これは、自衛隊医官をみずから養成し、自衛隊において医官を確保しようとする防衛医科大学校の設置の趣旨から見て必要な措置であると考えます。 第三は、現在、離職した自衛隊員が営利企業の役員等へ就職しようとする場合には、防衛庁長官の承認を要することになっておりますが、この承認を、前述の自衛隊離職者就職審査会の議決に基づいてすることとしようとするものであります。これは、自衛隊員の営利企業への就職の際の承認について、部外者を含む特別の機関の審査にかからせることによって、その公正さを担保しようとするものであります。 第四は、自衛隊の予備勢力の確保のため、陸上自衛隊の予備自衛官三千人、海上自衛隊の予備自衛官三百人、合計三千三百人を増員するための改正であります。 これらの改正のほか、防衛医科大学校及び自衛隊離職者就職審査会の設置、南西航空混成団の新編等に伴い、防衛庁設置法、自衛隊法等について、若干の規定の整備を行なうこととしております。 以上、法律案の提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
○委員長(高田浩運君) 以上で説明は終わりました。 本案の審査は後日に譲りたいと存じます。 午後一時半再開することとし、休憩いたします。 午後零時二十分休憩 —————・————— 午後一時五十五分開会
○委員長(高田浩運君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言願います。
○宮崎正義君 一時半の招集でお待ちかねをいたしておりました。本会議等がおありになっておくれられたそうでございます。それは別としまして、前回私は質問の残ったのがございましたので、またきめられた時間だけ質問をしたいと思います。 現在の自民党政府の猪突猛進的な大企業優先の生産一辺倒の高度経済成長政策がもたらした世界第一の公害王国ともいわれるようなわが国になりまして、公害をなくせという全国民からの世論でやっと環境庁が設置されてまだ二年にもなりません。こういう立ちおくれている政府・自民党の行政のあり方というものをこれからとらえてみても如実に物語るかと思います。福祉重点から福祉移行といわれておりますが、やはり大企業、重化学工業等の生産の拡大がされてきておりますが、鉄鋼産業あるいは石油産業、製紙産業、あるいは電力事業等の生産量、生産規模拡大が今日も見込まれております。これを四十八年の下半期、四十九年にかけての産業別で大体何%ぐらいのアップを見込んで進められていこうとしているのか、また、これが生産調整をしていこうとされているのか、この点をまずお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) たいへん長い間お待たせいたしまして申しわけございません。 先般はまた私の不用意な発言によりましてたいへん御迷惑をおかけいたしまして、遺憾の意を表する次第でございます。 ただいまの御質問でございますが、昭和四十八年度の生産の動向を見ますと、かなり成長の度合いが目下のところ強いようでございます。典型的な指標で考えてみますと、たとえば石油の消費量等考えますと、去年は約二億三千万キロリッターでございましたが、それを上回る情勢で、あるいはひょっとすれば二億五千キロぐらいまでいくかもしれないという兆候でございます。鉄鋼生産にいたしますと、大体一億二千万トン前後までいくのではないか。それからセメントにいたしますと、これも昨年より千三百万トンばかり増産をさせておりますが、これも大体予定どおりいくのではないかと思います。基礎物資が大体そういうような数字でいま進んでおりますけれども、ことしの下半期の景気の動向がどうなるかということが一つの問題点でございます。いま相当な金融引き締めをやっておりまして、それと同時に、また輸出が頭打ちになってまいりまして、そういう両方の面から下半期の生産の伸びがどの程度になるかというところでことし全体の様相は決定されると思いますが、いずれにせよ、いまの気配はそういう気配でございまして、私たちといたしますれば大体粗鋼ベースでまあ一億一千九百万トンないし二千万トン程度くらいに初めいたしたいと思っておったところでございます。それから石油の場合におきましては、四十八年度の石油供給計画によりますと二億三千万キロリッター程度でございますが、これらいずれもわれわれの計画したものよりもオーバーしているぐらいに諸般の鉱工業の生産指数は上がっております。電力にいたしますと、四十八年度においては三千六百七十一億キロワットアワーというものが見込まれております。これらを見ますというと、ほとんどフル操業の状態にありまして、そういう面からも景気に対してある程度の規制を加える、そういう必要は非常にあるというふうに感じております。
○宮崎正義君 フル操業のような状態と言われておりまして、ある程度の規制をしなきゃならないというふうな御答弁ございましたけれども、これに対するどのような規制の具体的な考え方をしておられるか。それからもう一つには、製紙産業なんかの関係はどんなふうになっているか、お話がなかったように思うんですけれども、この点もあわせて。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは総需要の抑制という面に政府は心がけておりまして、まず金融面におきまして二回にわたる公定歩合の引きしげ、それから三回にわたる預金準備率の引き上げ等で過剰流動性の吸収ということを中心に鋭意努力してき、また資金のわりあいに豊富であると見られる部分には窓口規制によりまして、たとえば土地等につきまして非常にいま窮屈にしてきているところでございます。また一方、財政の面におきましても、公共事業の契約をなるたけ下期に延ばすと、そういうふうにして現在における契約ベースのトーンダウンをいまやらせておりますほかに、われわれとしては、ことしの民間設備投資がかなり上に向いている情勢で二〇%をこすような気配がございますので、これをできるだけ引き下げさせよう。自動車、そういうものについて、たしか二三、四%にいくというのを一八%程度に民間設備投資を削減させたわけでございます。そういうような財政及び民間設備投資及び需要、こういう全面的にいまこれを規制を加えて、景気を鎮静させようとしているところでございます。
○宮崎正義君 その場合に、窓口規制とか、あるいは金融政策等でありますが、大企業をやりながら中小企業にこれを累を及ぼすようなことがあってはならぬと思います。これは当然大臣もそのことはお考えであると思いますし、昨日の参議院の物特の委員会等でも総理が答えておられるように、中小企業に対する税は従来の二八%に押えていくというような答弁もありますので、そういう面から考えていきましても、当然中小企業というものに対する行き方というものを、この際どういうふうな考え方で育成、助成をしていくかということを一応伺って次に入りたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小企業に対しましては、先般のドルショックの際に、約二千二百億円の政府関係機関等を通ずる緊急融資をやりました。現在までの消化の状況を見ますと、件数にいたしまして約一万件強、そうして約千百億円ぐらい三機関を通じて概数出ておると思います。ドルショックの当座におきましては、われわれが考えているほど多く資金需要もございませんでした。これはやはり景気が上昇しておって、内需にかなり転換できたのではないかと思います。それから企業の倒産件数等も、この前のドルショックのときに比べると、それほど激増しているということはございません。むしろ少な目ぐらいでございました。最近になりましてようやく金詰まり等が中小企業にも及んできたのではないかと思います。あるいは一部のモーター類とか資材類が不足して、その手当ての関係で窮屈になったのもあるかもしれません。中小企業の倒産が少し目につく段階に入ろうとしております。そこで、いまの政府系機関の融資をできるだけ早く中小企業の要望にこたえて出す、もし必要ある場合には、それらの三機関の資金ワクの中で繰り上げても出してよろしい、年末の際にそれらは財投等を入れて補正しよう、補給しよう、そういう考えに立ちまして、融資の面では万全を期してやっておるところでございます。
○宮崎正義君 中小企業のほうの問題はあとでまた出しますけれども、確かに中小企業の種目によってそれぞれ違いますけれども、一応概念的に言えることは、資材なんかが不足がちでありながら、その金の取り扱い額というものは大きくなってきて、生産をしてみるとプラスのようになっている段階のように思えるけれども、実はふたをあけてみると利益が少ないと、確かに一昨年から比較して、昨年から比べ、事業の事業高というものはふえてきているけれども、内容がやはり豊かでないという現象が起きているということは、先日のこの委員会でもお話がありましたとおりでありますが、いまお話ありました資材不足による問題これで倒産をしている。これは幾つかの私も事例がございますが、この問題はあとに皮革のほうの質問でお伺いをしたいと思いますので……。 次に、先ほどの重化学工業の生産ということにつきまして、瀬戸内海に目を向けてみたいと思います。瀬戸内海における生産力の方向性について見てみますと、私の手元にあります統計資料によって見ますと、鉄鋼能力が年間、四十年の三月に二百九十八万トンであったものが四十六年四月に三千百六十二万トン、わずか六年の間で十倍以上も伸びているわけであります。さらに石油精製能力、これは一日の量として、三十年十二月に六万二千五百バーレル、それから四十五年十二月には百二十九万五千二百バーレル、約二十倍で、全国の三分の一を瀬戸内海沿岸では量を占めておるわけであります。これは四十五年でございます。今日ではまた相当の違いがあると思います。紙パルプ工業では、三十八年から四十四年にかけて四割から七割の状態であるということも発表されております。私の古い資料によってでありますが、今日の実情というものは、いま私の申し上げました製鉄能力だとか石油精製とか紙パルプ工業、この点だけでもけっこうですから、どの程度の伸びをしているかということを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 瀬戸内海地域における今後の業種別生産額の見通しにつきましては、瀬戸内海全域の広域的な環境保全対策や工業再配置構想、地域開発計画との整合性など、今後慎重に検討する必要があると考えておりますが、主要業種について生産計画を見ますと、鉄鋼業については、本年四月に水島第四高炉が稼働し、本年末には福山第五高炉が完成する予定であり、その後の増強計画についてはいまだ流動的であります。製紙・パルプ工業については、昭和四十八年度は年約八十万トン増の見込まれ、四十九年は微増にとどまるものと見込まれております。石油化学工業は四十八年、四十九年の新増設は現在のところ計画されておりませんが、五十年以降の増強計画についてはこれまた流動的であります。石油精製業については、今後の増設、増強により五十年までに約五十万バーレル程度の生産増が計画されております。なお、今後の生産計画に対応する瀬戸内海沿岸における業種別生産額の見通しについては、通産省としても瀬戸内海地域における環境保全対策を十分に考慮し、工業再配置計画との関連を踏まえて十分慎重に検討してみる所存でございます。
○宮崎正義君 いま大ざっぱな御回答しかなかったのですが、私もこまかくこの計画を調べておりますし、また、「瀬戸内海における環境破壊に関する諸問題」国立国会図書館で調査及び立法考査局が出しております総合実態調査報告というもの、これをずっと見てみますと、重大な問題がこの中に述べられております。お話が出ました水島の川崎製鉄第四号、第五号高炉とか、そのお話がありましたけれども、そのほかの新日鉄だとか、福山の日本鋼管とか、日本鉱業の佐賀関製錬所だとか、これはずっといろいろあげてみますと膨大なことになってくると思うのですが、これらが公害の面からいえば全部汚濁をしているという関係になってくる。その汚濁を出しているのが十万カ所にも及んでいるというふうにもいわれているわけです。こういう点について、どういうふうな規制あるいは抑制をしていこうとされておるのか。
○政府委員(青木慎三君) 瀬戸内海の汚染防止につきましては、これを総合的に処理しますために、政府の中に瀬戸内海環境保全対策推進会議というものが設置されておりまして、通産省としてもこの会議の一員としまして協力してまいっておるわけでございます。通産省で瀬戸内海の沿岸につきまして、水島、大分、播磨などで水質関係九回、大気関係は十五地域につきまして、産業公害総合事前調査というものを実施いたしまして、公害防止施設の設置、それから汚染物質の排出の削減という、こういった環境基準を守っていくために必要な企業指導を従来から行なっております。この調査は、今国会で工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律という法律の改正案によりまして、法律上の措置として事前調査を行ない、これによって必要な場合には企業に対して勧告をし、あるいは命令をするというような措置まで用意できておりますので、今後はこの法律の運用によりまして、環境破壊の防止につとめてまいりたいというふうに考えております。 それからもう一つ、瀬戸内海地域では瀬戸内海全体の大型水銀模型というものが中国工業技術試験所において現在完成しておりまして、まあいまのところはいろいろな装置類を調整中でございます。将来は、この模型ができますと、汚染予測、汚染機構の解明というものがより大きな規模で精密に行なえるということになりますので、これを十分利用してまいりたいというふうに考えております。 それから最近瀬戸内海で一番大きな問題になっておりますのは赤潮問題でございますが、この赤潮の原因につきましては、現在いろいろな研究をしてその原因の究明につとめているところでございますが、おおよそその議論としましては、窒素、燐の排出が一つの原因でございまして、これにある一定の気象条件があると発生するというようなことがほぼ定説になっております。したがいまして、この地区にある工場につきまして、この窒素、燐の処理というのが非常に大きな問題として将来出てくるということに相なると思いますが、これにつきましては非常に処理がむずかしい物質でございますので、工技院傘下の地区試験所等において排水の恒久処理技術の開発を推進しております。 それから一般的に大気汚染の防止につきましては、低硫黄化の計画によりまして、防除施設の設置あるいは排煙脱硫の方法等も研究を進めておりますので、こういう技術の開発と相まちまして、将来こういうところから出ます汚染物質の減少につとめてまいりたい、こういうふうに考えております。
○宮崎正義君 この死の瀬戸内海といって、瀬戸内海がもう死滅している状態だといわれてきているのも、全部こうした重化学工業の出していくところのものによって生じたというふうに、これは国民ひとしくそう思っているわけであります。赤潮の問題等につきましては、前川委員が前回詳しく述べられておりますし、補償問題等も、この赤潮に対して特別な漁民の助成措置をしたらどうかという点なんかにも触れておられまして、当時の農林大臣等もその善処をしたいということでございますが、通産省の、通産大臣のほうのお考えはどんなふうなお考えを持っておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のように、これを放置いたしますと瀬戸内海は死の海となる危険性が十分にございます。いま御指摘のように、今後出てくるいろいろな工場立地等についてみましても、われわれとしては非常に慎重にこれは制御を加えなければならぬ情勢にあると思います。最近の件数等を見ますと、やや鈍化している傾向にございます。大体瀬戸内海沿岸における工場進出の状況は、全国の工場用地取得件数の動向と対応しておりまして、パラレルに移動しておりますけれども、瀬戸内海自体の保存ということを考えてみますと、あの内海が、外洋に面して流れているところとは違いますから、それだけに赤潮その他の危険性が非常にあるわけでございます。したがいまして、ほかの場所以上に瀬戸内海保存という面については、われわれは特別の注意をして、行政的にも処置をしていきたいと考えます。
○宮崎正義君 赤潮の問題まで入りますと相当時間が、予定されている質問の横っちょに入るわけですけれども、これは瀬戸内海ばかりでなくて、日本列島全海域をめぐってですね、北海道にも出ております。また赤潮の出方が非常に違ってきている。つゆの前後には非常によく出るのですが、ことしなんかはもう春——年がかわったころからもう出ている。非常に違った出方をしているということと同時に、海域全体に赤潮という問題が生じている。この赤潮問題等については、閣僚会議等でもう早急に善後措置というものを考えていただきたいということを申し上げたいのですが、この点ひとつ大臣に念を押しておきたいと思うんですが。
○国務大臣(中曽根康弘君) 赤潮の問題等につきましては、関係各省とよく協議いたしまして、対策に万全を期したいと思います。
○宮崎正義君 それで、先ほどお話もありました、これらの企業の生産能力がどんどん増大していくに伴って発電所の建設も当然進行してきているわけです。これがエネルギーの需要と供給についても進めていかなきゃならないのですけれども、御答弁にありましたけれども、瀬戸内海が鈍化しているような傾向だとおっしゃっておられますけれども、設備の拡張、新設、工場建設したために埋め立てをいまだにやっているわけです。ですから、その中にあって大阪のほうでは多奈川第二発電所の建設計画、これももうかなり進んでおると思いますが、岡山県の日生の原子力発電所の計画、あるいは愛媛県の佐田岬の平島原子力発電所計画等々、こういうふうな計画がどのように今日なっておるか御説明を願いたいと思います。
○政府委員(井上保君) 瀬戸内海沿岸におきます原子力の発電計画でございますが、現在のところ、計画として計上されておりますのは、愛媛県の伊方発電所、一号機、二号機でございまして、それ以外は具体的な建設計画としてはあがってきておりません。
○宮崎正義君 日生なんか考えてないんですか、全然ありませんか。
○政府委員(井上保君) まだわれわれのほうでは全然キャッチいたしておりません。
○宮崎正義君 大阪の多奈川のほうも計画はされていないですか、第二発電所の計画。
○政府委員(井上保君) 田奈川の計画につきましては以前から計画がございましたわけでございますが、地元との関係もございまして、現在まだ一応検討中といいますか、一応工事計画にスムーズに着工しているという段階ではございません。
○宮崎正義君 この発電所計画は全国的なものですけれども、北海道の伊達火力発電所の問題も、これは住民の猛反対の中で建設が強制着工されたわけなんですがね、こういう点、大臣はどういうふうに思っておられますかね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公害に関係する企業の事業化につきましては、やはり地元の十分な了解、理解を得てやることが望ましいことと思います。その点からいたしますと、伊達火力の場合は非常に遺憾なケースでございまして、通産省といたしましてもいろいろ電力会社を指導いたしまして、住民の皆さんとよく理解してやるようにということをやってまいりましたが、ついにああいう事態に至りまして、まことに遺憾千万に思う次第です。今後いろいろこういうケースがまだ出るかもしれませんが、極力地元の皆さんと話し合い、了解を得てやるように行政指導してまいりたいと思います。
○宮崎正義君 どうしてもその企業側というのは立地条件のいいところいいところを選ぶわけです。伊達火力の場合も住民が、場所がほかの地域であるならば相談にもというような声もあったわけなんですから、だから、このそもそもの北電側の出発点、また話の進め方の段階においていろいろ問題点がございました。いまここで私はそれを申し上げても、次の質問をする時間の関係上省略をしていきますけれども、企業側の言い分が住民を、俗なことばで言えばだましていくような言い方をやりながら進めていって、最後にほんとうのことを言って、そして住民が事実えらい公害を受けるんだ、被害を受けるんだということがわかって猛反対に変わっていったというのが大体の経路でございます。そういう点からいきましても、今日の発電所をめぐっていろいろな問題が全国的に起きてくるということを、いま大臣もそういうことも予測されると言っておられますけれども、この企業の姿勢というものに対して十分な調査あるいは話し合いというものが非常に大事になってくると思う。それがあれば強制着工なんていうことなんかもしないで、もっと円満な行き方が考えられると思うんですがね。まあこういう点につきまして、伊達火力発電所ばかりでなくて、これからこの大阪のいまの私が質問しましたその問題についてもそうでありますし、また、これから行なわれようとするところもやはり同じケースが幾つか随所に起きているわけです。こういう点を十二分に配慮をされていかなけりゃならぬじゃないかということを重ねて申し上げておきたいと思います。 次には、エネルギーの関係で、将来のエネルギーの資源確保について、また、エネルギーの考え方については、私は前回の委員会で学者の説等も申し上げまして論議をいたしました。きょうはその省エネルギーと、新しくエネルギーの問題を一、二取り上げまして大臣の所見を伺っておきたいと思うんですが、まず、省エネルギーについてどんなふうなお考えか、新しいエネルギー対策としての考え方もどんなふうにして考えられていこうとするのか、この二点についてお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) いままで一九六〇年代に日本は重化学工業化の道を歩みまして、その結果、資源多消費型の産業構造となりまして、その不用意なうちに行なわれたことが今日の公害を惹起しているものであるだろうと反省しております。ある意味においては、現在は六〇年代のあと始末をやっているということでもあり、また現に起ころうとしているものをいかに制御するかという過程にあるだろうと思います。そこで、七〇年代になりまして省資源型、知識集約型の産業に転換しようという大命題を掲げまして、情報産業そのほかの方向に著しく力を注いできたわけでございます。われわれはこのような人間の生命や福祉を第一義とするそういう新しい理念を持った産業政策に着実に転換していこうと思っておりますし、私は着任以来そのことを心がけて努力してきているつもりでおります。ただ、いままでの分等につきまして、また、あるいはその科学的な開発、技術開発等が不十分な点等もございまして、十分に努力が傾倒できないことを遺憾に思いますけれども、通産省の方向としては、はっきりそういうことを確立いたしまして、その方向にばく進しようとしておるわけでございます。 それで、省エネルギーといいますと、やはり産業構造の質に変わってまいりまして、そういう意味においては資源を使わない情報産業そのほか知識集約型の方向に企業を転換していくということをいま模索しつつ、かついろいろ指導し、助成を加えつつやっておるというのが現状でございます。われわれとしては、この重化学工業型からいかにすみやかに脱却するかということが課題であると思いまして、そのところを重点を入れて政策を進めてまいりたいと思っております。
○宮崎正義君 御存じだと思いますが、アメリカあたりは、もう住宅関係にしましても、オフィスの関係にしましても、冷暖房の関係でエネルギーの消費をやることにもうすでに実績をあげているとかいう、四〇%か五〇%の消費をしているとかいうふうにも聞いているわけですが、この材料とくふうによって、それだけの一つの例をあげただけでも、省エネルギーという問題について、いま一点だけ私取り上げましたけれども、そういうふうな考え方、それは申し上げるまでもなく断熱材を使用しまして、建築基準法の改正等もしなきゃなりませんでしょうけれども、いずれにしろ、そういう建築基準改正をやりながらでも今日省エネルギーについては相当の実績をあげているということなんです。こういう点、お考えになったことがございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 特に都市の場合におきましては、公害防止というような点から、エネルギー多消費型をいかに早く脱却するかということが課題であると思います。集中冷暖房というようなものも一つの大事な方法であると思いますし、そのほかいろいろ交通機関にいたしましても、自動車類が乱雑に街路を馳駆するという形から、もう少し系統的な計画的な交通システムというものが出てきてもいいと思いますし、ともかく改革すればするに値するだけの仕事は非常にまだ多々あると思います。通産省といたしましても、そういう点について目を開いて、これからも強い行政を進めていきたいと思っております。
○宮崎正義君 これまた一つの例でございますが、地熱開発による電力供給、これはもうすでに東北ではやっておりますが、どれだけ供給量を出しているか御存じでしょうか。
○政府委員(井上保君) 地熱開発の問題でございますが、現在東北でやっておりますのは五万キロの研究開発をやっております。これが最高のキロワットでございます。現在稼働しておりますものは二万キロ程度のものが一、二稼働いたしております。全体といたしまして、数字ははっきり覚えませんが、十万キロ程度ではないかと思います。なお、包蔵の能力につきましては、いろいろな資料がございますが、大体一般的にいわれておりますのは二千万キロワットぐらいいはあるのではないかということでございます。通産省といたしましては、現在工業技術院を中心にいたしましてその調査をやるということで、八千八百万ほどの予算を取りまして調査をやるつもりでおります。
○宮崎正義君 場所を御存じですか。
○政府委員(井上保君) ちょっといまこまかい資料を持っておりませんが、大体北海道とか東北のほうとか……。
○宮崎正義君 現にやっているところ。
○政府委員(井上保君) やっているところは、一つは電発が鬼首をやっております。それから松川でやっております。それから九州の大岳、それから八丁原、これも九州でございますが、大体そういうところでございます。
○宮崎正義君 岩手県の、御存じですか。
○政府委員(井上保君) 松川でございますか。
○宮崎正義君 何キロのタービンをどのように備えて……。お行きになったことがありますか。
○政府委員(井上保君) 岩手県では二ヵ所やっておりまして、現在動いておりますのは二万キロワットのやつが動いておりますが、現在研究開発中のものは五万キロワットのほうでございます。
○宮崎正義君 いや、お行きになりましたかと言ったんです。
○政府委員(井上保君) いや、行ったことはございません。
○宮崎正義君 近いんですから、お行きになって御研究なさったらいかがですか。簡単な装置でございますよ。タービンを——これは鈴木先生一番よく御存じですね、簡単な施設で、ものすごい電力供給をやっているわけですよ。東北が電力が余っているというのは、こういうふうなことも生かしているからなんです。これは九州に一、二ありますけれども、日本はいいあんばいに地熱を列島全部かかえていると言っていいぐらいで、特に北海道なんかは全道的と言っていいぐらいに、まん中も遠隔地もある。この開発をやって、パイプを通していけば、これは国民はどんなにかエネルギー燃料に対して助かるかわかりません。もうすでに温泉あたりでは、七階なら七階のビルの中に全部その蒸気を回して暖房をとっているということは御存じのとおりでございますので、そういうふうな話があったら、すぐに行って、少なくともそういうものを自分の目で見て、肌で感じてきて、そして、ああこれか、これだったり予算が八千八百万、こんなものじゃだめだというふうなことがすぐに頭の中に出てこなければならぬと思うのですがね、この点、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も賛成でございまして、科学技術庁長官をしているときには、かなりこれに力を入れて、特別調整費を出したりして推進することもやったことがございます。やはり見ますと、ほかの発電所に比べまして弊害が一番少ないと思います。公害の面において、一つは排水の問題が多少あるかもしれません、それから温泉との競合の問題が地域によってはございます。しかし、それ以外を除いては、大体公害は無公害に近い。そういう面で、これを開発することは日本にとって非常に有望であると思いまして、今後とも力を入れていきたいと思います。
○宮崎正義君 これはぜひともどんどん研究を進められてやっていただきたいと思います。特に、北海道なんかは寒さのきびしいところでありますから、それがパイプで送り込まれて全道的なパイプ網が敷かれれば、どれほど道民は助かるかわからないと思います。そういう意味において、この研究を進められていくように御要望を申し上げておきたいと思います。 次に、先ほど申し上げました、重化学工業が盛んになってきて、埋め立て等がどんどん進められていきます。それによって人口の集中がその地域においては急激に上昇してまいります。そうしますと、非常に下水道の立ちおくれの問題とか、あるいは屎尿処理の浄化装置の問題だとか、公衆衛生の非常におくれている点が今日の大きな公害の一因になっているわけです。こういうふうな被害状態というものを通産省はどのように受けとめて、どんな被害状況をもたらしているかということをお調べになったことございますか。
○政府委員(青木慎三君) 埋め立てに伴います公害の発生の状況については、私どものほうとして、それの影響を特に調査したことはございませんが、一般的に申しまして、埋め立てが行なわれますと、そこは大体工業地帯になります。そういうところにできます工業地帯は、一般的に申しまして、いわゆるコンビナートといいますか、大規模な工場が集中して立地するというようなことになるのが通例でございます。したがいまして、そういうコンビナート地帯につきましては、先ほど申しましたように、産業公害の総合事前調査をやっている地区が大部分でございますので、そういう事前調査によりまして、なるべく公害を少なくしていくという方向で行政指導をしておるわけでございます。 なお、その埋め立てに関しましては、公有水面埋立法がございまして、従来環境保全についての規定がなかったわけでございますが、それを改正案で入れることになっているわけでございまして、関係省庁が寄りまして埋め立てをきめる際には、通産省としましても慎重に公害の面を配慮しまして参加してまいりたいというふうに考えております。
○宮崎正義君 どうも決意発表みたいなことで、こうしたい、ああしたいというだけで、実態をどういうふうにおつかみになっているかということを私は伺ったわけですがね。
○政府委員(青木慎三君) 特に埋め立ての地域に関しまして特別に調査してはおりませんので、個々の地域につきましては、産業公害の事前調査を行ないました地区については若干の調査をしておりますが、埋め立て地帯全体ということで調査は通産省としては特にしておりませんので、いまここにデータは持っておりません。
○宮崎正義君 瀬戸内海関係だけでいいでしょう。瀬戸内海もございませんか。お持ちになっていませんか。
○政府委員(青木慎三君) 埋め立て地区ということで整理した資料は持っておりません。
○宮崎正義君 埋め立てばかりじゃなくて、重化学工業がもたらしているその関係性の問題あるいは人口が集中されてきます。集中されてくると当然厚生衛生施設こ問題が出てくるわけです。それも非常におくれているわけです。これはもう所管でないから知らないとおっしゃるかもわかりませんけれども、タンカーもどんどん行き来をするようになるでありましょう。いろんなもので非常に海洋を汚染していくというふうな——海洋汚染ということからいきますとまた話が大きく広がっていきますけれども、瀬戸内海自体の重化学工業がもたらしている影響性、あるいはその生産活動におけるところの早くいえば屎尿なんかはどのように処理をされているのか、設備がどんなふうになっておるのか、そんなようなことがやはりつかんでおられなければいけないんじゃないかということで私は伺っているわけなんですがね。
○政府委員(青木慎三君) 当然つかんでおるべきでございますが、いまここに整理した資料を持っておりませんので、個々の工場その他についての資料はいまここに、手元にはございませんが、概要はつかんでおりますが、これを整理して総量がどれくらいになるかという計算を実はまだしておりませんので、総括的な資料を持ち合わせてございません。
○宮崎正義君 それは委員長、資料請求をいたしたいと思いますが、よろしくお願いします。よろしゅうございますか。あとでけっこうです。時間がございませんので。 次に、電力業の灯油流用が今日非常に取りざたされているんですが、この問題、具体的におわかりでしたら例をあげて御説明を、答弁を願いたいんですが。
○政府委員(井上保君) 現在、非常にローサルファ燃料を電力業界ではさがしておりまして、そういう関係でだんだん灯油のほうにも手が伸びていると思いますが、実態の数字はまだ把握いたしておりませんので、至急に調査をいたしてみたいと思います。
○宮崎正義君 どうも私の質問はみんな答えが出てこないので調査しなきゃわからないとか、非常によくないと思うんですけれども、少なくとも国民はこれで非常な疑惑を持っているわけです。当然、重油をエネルギー源にして燃やしていけば、これは硫黄分がうんと多くなることはわかって、亜硫酸ガスがうんと出てくるんです。有毒物質のほとんどない灯油を使っていけばいいということは、一口でいえば産業エゴみたいな形になるわけですよ。そのしわ寄せをもし一般国民が負うようなことになれば、これはえらいことなんです。これは原油一〇〇に対して灯油が八・九ぐらいしかとれないわけなんでございましょう、普通はとれないわけでしょう。家庭用などにほんとうに使っていくものを電力業のほうに流用されたんじゃやりきれたもんじゃないわけですよね。その点を言っているわけなんです。
○政府委員(井上保君) 先ほどちょっと申し上げましたが、電力業界で現在ローサルファ燃料に転換いたしておりますのは、たとえば原油のなまだき量をふやす、これは非常に数量が多うございまして、昨年度で千八百万ぐらいなのを今年度では二千三百五十万ぐらいを確保したいと、あるいはナフサにつきましては、去年の計画は三十二万ぐらいでしたが、実際はもっと少なく、たいたのは少のうございますが、ことしは二百四十万キロぐらいたきたいというようなふうに、あるいはLNGであるとか、天然ガスであるとかいろんなものを考えているわけでございまして、そういうものをいろいろとローサルファ燃料として大幅に手に入れていっているわけでございます。それから、重油につきましても非常にローサルファ重油を確保したいということで、現在三千万ぐらい確保したい、重油につきましての七割ぐらいは一%以下のものを確保したいということでいろいろやっておりますが、その段階で、私の申し上げましたのはあるいは灯油のほうへ若干その手は伸びていっているものがあるかもしれん。これ、非常に微々たるものであると思いますけれども、その量はつかんでおりませんので、その点につきましては調査したい。これは非常に数字が少ないと思いますので、いまのところちょっとデーターを持っておりませんですが、大体電力業界で燃料としていっておりますのは、そういうナフサとか、あるいは原油のなまだきであるとか、そういう点でございまして、灯油は高うございますので、そういうことはほとんどないと思いますけれども、調査をいたしてみませんとはっきり申し上げかねると、こういうことでございます。
○宮崎正義君 非常に少ない量でも、家庭はたいへん少ない量なんです。もっと少ない量なんです。家庭は十八リッターのあの一かんを節約し節約し、北海道の道民なんか、それはたいへんな苦労をしているわけです。だから、ごく少量だとおっしゃいますけれども、家庭で泣いている人はごく——それより考え方の以下の少量を使っているわけですよ。それで泣いているということを私は言っているわけです。国民が。もしそういうふうなことで国民のほうにしわ寄せされたらたいへんだから申し上げていることであって、そういうことがあるということを私の調べた限りあるわけです。ですから、申し上げているんですけれどもね。いろいろお話がございました。これは中央公害対策審議会で硫黄酸化物に対する環境基準なんてきめてございます。こういう面から考えられていっても当然わかるわけですが、どうなんですか、公害業種に対する排煙脱硫装置なんていうのは、どういうふうな成果を、またどんなふうな現況になっているか、この点を御説明願いたいのですが。
○政府委員(井上保君) 排煙脱硫の効果でございますが、これは二%以上とか、あるいは二・五%以上とかいうような非常にサルファの高いところにつきましては、八〇%、九〇%程度の脱硫効果があるということでございます。それからだんだん低くなりますと、その効果がだんだん下がってくるというふうに聞いております。それから従来電力業界におきましては技術的に問題があるということで、特に負荷変動に対する対応性が非常に悪いという点がございまして、なかなか踏み切れなかったわけでございますが、だんだんと試験研究の結果が出てまいりまして、最近におきましては、今後のできる発電所につきましては、環境によりましてそれぞれフルスケールにするか、あるいは二分の一にするかというような問題があると思いますけれども、大体全部つけさせていこうというふうに考えております。
○宮崎正義君 これは全国のこれもやはりデータで示してもらいたい。どこに装置してあるか、それからまた脱硫装置の融資関係あるいは共同構想等もこれはあるわけですが、融資関係なんかどんなふうにしてやっておりますか。
○政府委員(井上保君) 大体電力会社の資金調達計画の一環としてやっておりますので、これはどう言いますか、自分でやる場合には自分の資金調達の範囲内でやっておりますし、ただ、いろんな計画の中には、特にガス化脱硫等の計画につきましてはリファイナリーと一緒になって計画を検討しているところがございます。まだ具体的な計画はあれしておりませんが、研究中でございます。
○宮崎正義君 現在、日本にどれだけ装置してあるか、これをひとつ資料で示していただきたいと思います。 時間がだいぶきましたので、気が気じゃございませんけれども、もう少しやらしてもらいます。 次は、皮革関係のことを質問いたします。先ほど大臣の御答弁にありました、原皮なんかが不足して、中小企業が倒産という姿もこのごろまたあらわれてきたというような答弁ございました。この皮革関係の今日の状態といいますか、輸入あるいは国内等の現況、需給関係がどんなふうになっているか御説明願いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) わが国の皮革産業は、その主原料であります原皮の約七〇%を輸入に依存しております。特にその大宗を占める牛の原皮については約九〇%を輸入に依存しております。昭和四十七年の実績によって見ますと、原皮の輸入は二十三万七千トン、五百三十三億円でありまして、国内生産量は九万七千トンであり、輸入量は昨年に比して一二%増となっております。皮製品の需要増を勘案しましても、需給は大体輸入をもって均衡しており、少なくとも不足の状態ではなかったと考えます。他方、今後の需給見通しにつきましては、一方において消費生活の多様化に伴い皮需要は着実に増加していくものと思われるのに対し、原皮の世界的供給増についてはおのずから限度があり、この面からだけ申せば長期的に需給はタイトになると考えられております。しかし、皮革には合成皮革と代替関係もありまして、両者の共存によっておおむねバランスがとれた需給関係が当分続くのではないかと考えられます。こまかい点は局長から答弁申し上げます。
○政府委員(齋藤英雄君) いま大臣から御答弁ありましたとおりでございますが、輸入につきましては、いま申し上げましたとおり、昭和四十七年暦年におきまして二十三万六千八百六十三トンの輸入でございます。うち、成牛の原皮でおおむね二十一万九千トンでございます。それで主たる相手国はアメリカとオーストラリアでございます。アメリカが圧倒的に多い数量でございます。それから国内生産はおおむね九万七千トン程度でございますが、そのうち牛が約二万三千トン、豚が七万三千トンと豚のほうが多うございます。それからなお少量ではございますけれども、輸出がございます。五百三十二トンという少量ではございますけれども輸出がございます。これは大部分が豚でございます。 以上が原皮の輸出入並びに国内生産でございますが、価格の問題を一口で申し上げますと、四十七年の十月がおおむねピークでございます。それ以降価格は次第に下がってきております。 以上、補足いたします。
○宮崎正義君 この輸入の形態といいますか、取引形態というものを御説明願いたい。
○政府委員(齋藤英雄君) 皮革の原材料でございます原皮につきましては、いま申し上げましたようにほとんど輸入でございまして、これらの原皮の輸入は商社が原則としてユーザーからの発注に基づきまして輸入をいたしております。少量でございますけれども、なめし業者が直接輸入をしているものもございます。なお、商社が輸入をいたしました原皮の大部分のものは直接なめし業者に流しておりまして、残りの部分につきましては原皮の問屋等に一応渡しまして、そこから中小の転成業者に渡しておる、こういう状況でございます。なお、国産の原皮につきましてもおおむね同様の流通形態でございます。
○宮崎正義君 なめしを直接輸入しているという、少量ではありますがというその商社、どういう商社ですか。
○政府委員(齋藤英雄君) 少量輸入しておりますのは大手の鞣成業者でございます。
○宮崎正義君 業者の名前、言えませんか。
○政府委員(齋藤英雄君) 輸入をしております大手の商社の名前を申し上げますと、一番多いのは日商岩井でございます。
○宮崎正義君 なめしですよ。なめしを直接輸入しているとおっしゃったでしょう。
○政府委員(齋藤英雄君) 大手の鞣成業者が直接輸入いたしておりますが、たとえば日本皮革あるいは明治皮革というふうな業者でございますが、それ以外のものもおそらくあるだろうと思います。詳細はいまちょっと資料を持っておりません。
○宮崎正義君 なぜそういうことを聞くかといいますと、商社が輸入してなめしに行くのと、直接になめしのほうに輸入されるのと、この間の価格というものは相違がだいぶあるわけです。こういう実態等を踏んまえられておりますか。
○政府委員(齋藤英雄君) ただいま売買は一枚当たりで、ポンド当たりのセントで取引をいたしておりますが、現在は一ポンド当たり大体二十三セント前後でございます。したがいまして、おおむね一枚は三千八百五十円ぐらいになります。これに保管料でありますとか、あるいは運賃、利子、一般経費等いろいろ加えまして、おおむね千円ぐらいが加わるわけでございます。したがいまして三千八百五十円に千円加わりますので四千八百五十円前後がC&Fの価格になるわけでございます。これに日本サイドの商社のマージン約一五%と倉庫料その他が加わりまして、タンナー渡しの値段というのはおおむね六千百円弱ぐらいになります。それで直接輸入をいたします分は、この六千百円と四千八百円の差額約千三百円ぐらいでございますが、これの半分ぐらいが節約といいますか、減少されるということになろうと思います。
○宮崎正義君 一枚とおっしゃいましたけれども、その一枚はどういうサイズですか、こまかいことで。
○政府委員(齋藤英雄君) 普通の成牛でございますが、成牛で、これいろいろございますけれども、普通の標準ものとしては二十八・五キロぐらいのものを標準にとっております。したがって、六十三ポンド程度になると思います。
○宮崎正義君 そこで、いまお話がありましたように、直接になめし業者のほうに輸入されますと、ざっと計算していま千三百円というのを言われました。それから商社からなめしのほうにいきますと、六千百円という御答弁がありました。これはまたこのなめしのところに来て非常にいろんな作業によって、たとえばなめしにするのに灰の中に入れて——塩を抜いて灰の中に入れるとかいろいろございますね。その作業の面についてどの程度のアップをして今度は皮革業者のほうに行くのか、その点は御存じでしょうか。
○政府委員(齋藤英雄君) 鞣成業者に渡しまして、いま申しましたように、タンナー渡しの値段を一応六千百円程度と申し上げました。それで転成に渡りました場合に、錬成の費用を入れまして、一応皮になるのはおおむねこの値段の三割増し程度ではないかというふうに思っております。
○宮崎正義君 水洗いから、染料ですね、要するに染めていく、それらの系統全部含めての御答弁ですか。
○政府委員(齋藤英雄君) さようでございます。
○宮崎正義君 それで、その次は皮革業者から第二次製品化していきますとその間に問屋を経由していく場合がありますね。また直接に製品工場に行くものもあります。これらについての差額をどんなふうに計算されておりますか。
○政府委員(齋藤英雄君) 皮革から皮革製品になります場合に、これはくつでございますとか、かばん、袋物、いろいろのものになるわけでございます。したがいまして、そのなる品物によりまして付加価値が違ってまいりますので、ちょっと私ども一がいに幾らというふうに現在計算をいたしておりません。
○宮崎正義君 それじゃ、ひとつしぼっていきましょうか。ハンドバックでどうでしょう。——時間がありませんからやめます。 一つのハンドバッグをつくっていきますと、やはり第二次製品から今度は金をつくる工場にもいかなきゃなりませんし、その皮そのものの製品もつくり上げていかなければなりませんし、いろんな横に今度は流れていく系統があるわけです。一カ所で全部製品までこしらえる業者もあるわけです。それを今度は分業的に出すところもあるわけです。それによりまして非常に単価の差が出てくるわけです。そういうふうなことで、実際のわれわれ消費者の手元に入ってくるのには何段階を経て消費者の手に入ってくるのか、そうしてその実際が一デシ当たりどれぐらいの単価になってくるのかということなんですが、こういう点なんかも掌握されておられますか。
○政府委員(齋藤英雄君) 輸入されましてから最後の消費者に渡るまでの段階は、いま申し上げましたように、通常の場合でございますと、輸入業者それから鞣成業者、それから場合によりましてはその間に問屋が間に入る場合もあります。それからなおそれを転成をいたしましたものが問屋に入りまして、さらにこれが加工されて、加工メーカーのほうに行く、加工メーカーを通りましてから、これはいろいろ形態がございますが、直接売る場合もございますし、あるいは卸、小売りを通じて売る場合もある、そういうふうな段階をとると思います。
○宮崎正義君 ですから、一デシ当たりどれくらい変わってきているか。価格です。
○政府委員(齋藤英雄君) ぬめ皮にとりまして、一デシ当たりおおむね現在の段階でございますと二十七円前後でございます。
○宮崎正義君 私の聞いている問題とちょっと答えがずれておりますが、それはもういいです。 なぜそういうことを私が伺うかといいますと、こういう消費者のところに、くつならくつ、ハンドバッグならハンドバッグというものがわれわれ国民の手に入ってくるまでの流通機構というものがどういうふうな形態になっていて、そしてそのもとの値が大体これくらいであって、消費者には一デシ当たりがどれくらいの金になっているかということぐらいはつかんでおかなければならないのじゃないかと思います。ですから、先ほど御答弁の中にありましたけれども、昨年の十月か十一月の初めごろにピークになって、今日は値段が下がってきているといいますが、なぜ十月、十一月が四十セントになり、今日、先ほど御答弁ありました、きのうですか、きのうの皮革の相場が出ております。コロラドステアですね、二十三・二分の一から二十四セントというふうになっております。十月、十一月に四十セントくらいまでなったという、それでいま非常にダウンをしておるという。今後の見通しについて、こういう状態をあなたはどう見ておりますか。
○政府委員(齋藤英雄君) 昨年の十月ないし十一月にピークに達したわけでございますが、その原因といたしましては、世界的に需要がふえたということが一つあげられるわけでございます。それから二番目に、供給の一割以上を占めておりましたアルゼンチンでございますとか、あるいはブラジルが四十七年の三月に輸出停止をいたしました。そういう事情が次第に重なりまして、皮革の需給が逼迫ぎみになりまして、それからさらに先高見込みというのが加わりまして、したがいまして、価格はかなり高くなってきたわけでございます。なお、アメリカの輸出の四〇%は日本が輸入をいたしております。そういう関係で、日本商社の買い付けの問題も多少は問題があろうかとは思います。しかしながら、日本は昭和二十六年に皮革の暴落がございましたので、その辺は商社としても十分いろいろ考えておったのではなかろうかと、そういう意見もございます。 それから十月、十一月以降値段が次第に下がってまいりまして、いまお示しがございましたような、二十二、三セントから二十四セントということに下がってまいったわけでございますが これはいろいろ見方がございますけれども、一つには、従来の上げの反動であるということがいわれております。それから二番目には、ちょうど十月、十一月でございます。屠殺の数がふえた、ことにアメリカの屠殺の数がふえたということも言えるかもしれません。それからなお三番目には、これは多少てまえみそでございますけれども、私ども問題でございますときに、商社にいろいろ申し上げまして、平均買い付け等のお話も申し上げてございます。そういうこともあるいは、こういう効果に、結果になったのではないかというふうな気もいたすわけでございます。
○宮崎正義君 実はお話しありましたように、十月から十一月にかけてぐっと上昇がありました。その時分に買い入れたものがなめしに行き、そして製品化してくる、相当なコスト高の問題が生じてきているわけですがね。こういう点はどんなふうに受けとめておられますか。
○政府委員(齋藤英雄君) 原皮を十月、十一月に買い入れました方は確かに製品にいたします場合には数カ月これはかかりますわけでございますから、その辺の価格、コストアップの要因の一つになっておることは事実であろうと思います。しかしながら、現在の価格は低落ぎみでございまして、と申しますか、低下傾向をたどっております。したがいまして、製品自身も原皮あるいは過去の価格に引きずられまして、従来のような、と申しますか、価格上昇がこれから続くということではなくて、むしろ価格は押えぎみになるという感じになるのではなかろうかと思います。
○宮崎正義君 実情は非常にきびしいものがあるわけです。それで先ほどお話がちょっと出ましたけれども、日本商社の買い占めという問題がございますが、非常にいま原皮にしてもなめしにしても、実際は皮革業者のところに品物がないので困っているという現況というものをどんなふうに受けとめておられますかね。
○政府委員(齋藤英雄君) 現在、お話し申し上げたような値段でございます。値段が低落ぎみでございますので、しかもこれは原皮の輸入は自由化をいたしております。そういう関係で、多少いろいろ買い控えということがあるというふうな説もございますけれども、私どものほうは、自由化もいたしております関係で、原皮が不足をする、そういうふうなことにはならないのではなかろうかというふうな認識でございます。
○宮崎正義君 皮革業者はね、私の調べたところでもだいぶあるのです。材料不足ということが。訴えてきているのがだいぶあるわけです。ですから申し上げているんで、先ほどちょっと答弁をされようと思いましたね。原皮の輸入取り扱い商社の名前をおっしゃろうとされましたけれども、私はそれを押えるようにして次の質問をしました。この商社の実情を知るということは容易じゃないと思いますけれども、どんなふうな現在高をかかえておられるかというようなことも、どんなふうにしてお調べになっておりますか、また調べようとされておりますか。
○政府委員(齋藤英雄君) 原皮の在庫は実は統計の数字がございません。統計をとってございませんので、これは正確なる数字は、残念ながら私どものほうでは在庫はわからないわけでございますけれども、なお、私どもは、原皮を在庫しておりますところの倉庫業者等の報告の数字によりましておおむねの数字をつかまえているというのが現状でございます。
○宮崎正義君 輸入商品の第二次製品であろうと、また原料にしましても、買い占めをしていたとか売り惜しみをしていたとかいうことの事実が明確になってから国民はみんな目をみはるということが今日までの趨勢であります。そういうことから考えて、この原皮あるいはなめし等でそういう問題は起きるか起きないか、そういうふうなことを大臣にお伺いして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 皮革に関する限りは、いままで御答弁申し上げましたように、需給関係はタイトに一時なりましたが、しかし、全面的に見ますと、合成関係その他の情勢もありまして、必ずしもタイトな情勢で推移するとは限らない、こういうものが通産省の結論でございます。われわれといたしましては、いまいろいろ御指摘になりました流通段階におけるマージンの問題流通段階が非常に複雑な過程にあるというようなこと等についてはよく注意いたしまして、需給関係の業者の調整を通産省は積極的に指導して、低廉ないいものを供給するように努力していきたいと思います。
○宮崎正義君 投資防止法案等も、これはいずれまた来ると思いますけれども、それらの法律等ができますとわりあいにやりやすい立場になると思いますけれども、と大臣の御答弁のありました点について、十二分に配慮をしながら進めていただきたいということを要望しておきます。
○岩間正男君 魚の汚染、PCB汚染がもうたいへんなところにきて、日本国民がいま非常にこれに対して深い関心を持っております。社会不安も醸成されておるのが昨今の情勢。こういう情勢を受けてきのう参議院の本会議が持たれ、この緊急質問における答弁で田中総理は、公害というものに目を奪われて、ただ公害の点のみをとらえて、生産というものが必要であるという事実も十分理解しなければならないという趣旨の答弁をされました。しかも総理はこの発言を政府の公式見解だというふうに述べられたわけでありますが、中曽根通産大臣はこれをどう考えられるか、まず伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 通産省の行政といたしましては、さきにも申し上げましたように、人命尊重、福祉優先、そういう方向に大きな転換を着任以来懸命に努力してきておるところであります。そういう観点に立って今後も鋭意努力してみまして、日本の産業構造をこういう福祉型の産業構造に至急転換していきたいと思っております。
○岩間正男君 もっともこの発言は非常にあとで参議院で問題になりました。河野議長を通じて政府に申し入れ、結局政府はこれを速記の中から削除するということになったわけであります。こういう発言というものは何回もこれは繰り返されているんですね。ここに政府の体質があると思うんですが、通産大臣のいまの御答弁を聞くというと、まことにきれいごとですね。まあ人命尊重というものが優先する、そうしてここに大転換をやるんだと、そういうことを言われているわけですが、ほんとうにこれは口先だけでなくてやれるのかどうか。実際は、そう言いながらどんどん既成事実を進めていっているのが現在のいろいろな公害に対する態度ではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) たとえばPCBのような有毒物質と認められるものは使用禁止ということにいたしまして、きのうも御答弁申し上げましたが、わずかに新幹線及び一部の熱媒体にしばらくこれを許すと、新幹線は四十八年度を最後として出荷停止をさせると、そういうような措置をし、熱媒体についても本年中に使用禁止という方向に向かいまして、そのほか輸入物件のコンピューター等についてもいろいろ行政指導をしてきておるところでございます。そのほか特定化学物質の規制に関する法案を今度は御審議願いまして、この法案によりまして、そういうような物質を事前に規制するようにいまきびしく戒めようとしているところであります。既存のものについては、過去の重化学工業中心にする高度経済成長政策のあと始末をやっているような要素もございまして、できるだけすみやかにこの重化学工業型から日本を脱却させて、こういう不幸なことを再び起こさせないように私たちは戒心してやっておるのでございます。
○岩間正男君 私は、それじゃ具体的にお聞きしたいと思うんですが、この伊達火力発電所の問題でありますけれども、六月十四日、つまり二週間前ですね、機動部隊を動員していよいよ着工が行なわれたわけでありますけれども、これは火力発電についてこのようなケースというのは全国で初めてじゃないか。それとも私は寡聞にして知らないのか、通産省は知っておるのかどうかわかりませんけれども、こういうことはどうなんだ。つまり地域住民の切実な要求があります。これはあとで詳しく述べますけれども、現地の住民、それからことに漁民、これは生活権にまで関する問題なんです。これについて北電側に何回もいままで反対の意思を表明し、それから話し合いも行なわれたわけであります。ところが、実際は機動隊を導入してこれを強行するという事態が行なわれた。これはいまのあなたの答弁からいえば、これを指導する政府の態度としては納得できないですよ。抜本改正をやる。もうほんとうにいままでの態度を人命尊重に改めるということは貫かれておりますか。これはどういうことですか、具体的にお聞きしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 伊達火力の問題については、私からも電力の社長を呼びまして、住民の皆さんとよく話し合って、住民の理解と協力のもとにやるように、そういうことをしばしば警告もしたところでございます。いろいろ住民の皆さんと話し合いの努力を持ったようでございますけれども、すでにああいうような強行的な形で行なわれましたことは、はなはだ遺憾な事態であります。今日といえども、できるだけ住民の皆さんによく理解してもらうようにいろいろなデータを出し、あるいは会社側の規制する方法を厳格に行なって、そして住民の皆さんの御理解を得るように努力せよと、そういうように指示しておるところでございます。会社側の言い分を聞いてみますと、電力需給関係を考えてみまして、予備率の関係から、今日の時点において早期にやらないと、北海道に電力危機が起こるというようなことを言っておりました。しかし、やはり何といっても住民の皆さんの協力と理解を得るということは、これから産業施設を持っていくことの基本でありますから、そういう観点に立って、私たちは強く会社に対してそういう警告も発し、指導もしてきたところであります。今日の事態はまことに遺憾な事態でございます。
○岩間正男君 絞切り型の答弁ですね。もうできるだけ現地で話し合って、そうして現地の理解と協力でやってもらいたい。しかし、こういう事態というものは、協力とかそんなところの問題ではない、国家権力がそこに出動して、そうして強引にこれはやっているのですから。いままで、少なくとも先ほどこれは通産大臣が表明された決意、人命尊重人命は地球より重いと言われている。これはあとで私は論争したいと思うのだけれども、あなたの言われるほんとうに主権在民を通しているのかどうかということも関係があるんですよ。あなたは天皇礼賛をやっている。しかし、礼賛をやるために主権というものはじゅうりんされているんだ、実際は。それだから、国民の主権というものは、これはもうほんとうに重いものですよ。そこの観点に立っていないということを何よりも具体的な事実というものは証明している。ことばではきれいなことを言っている。なるほど歯の浮くようなきれいなことを言っている。何べんも聞いた。中曽根節かもしれぬ。しかし、あなた自身の行動では貫いていない。機動隊まで出したこういう初めてのケースというものを黙過しておいて、国会でそんなきれいなこと言ったって話にならないじゃないですか。どうなんです。そこのところ、われわれはいつまでもだまされていない。どうなんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) われわれといたしましては、円満にいくということが一番望ましいことでありますから、会社側に対しまして、再三そういうような警告もし、指導もしてきたところなんでございます。しかし、会社側がいまのような会社の考えに基づいて独自の行動に出たということは、住民との調和という点においてはなはだ遺憾な結果を生んだと思います。こういうことをほかで起こさせないように、私たちはさらに努力しなければならぬと思います。
○岩間正男君 それは少なくとも今後機動隊を出して強行するとか、それからほんとうに住民との話し合いをもっと深めるとか、そういうことをしないで一方的にやっていることについて、これはやめさせる。そうしてほんとうに話し合いの場をつくっていく、さらにそういう権力発動というものを絶対にもうやはり禁止させる、そういうようなことをやらなくちゃならないと思うのでありますが、いままでまあ現地ではこれは三回ほど話し合いをしたというのですね。しかし、新しい事態が起こっておるのです。まさにこの一週間というものは、日本の公害問題ではまさに転機を画するような深刻な状態が出てきました。世界最大の公害列島といわれておったが、この公害列島の正体というものは、いまや一億の国民の胸に突きささっているのです。朝新聞を開いてごらんなさい。われわれの生命と直接対決させられている問題いままでの次元でものを考えておったのでは、これに対決することはできない、その姿勢が昨日のような田中総理の答弁となってあらわれた。大企業に対するこのような規制、指導、監督、もっとほんとうにこれは主権在民の立場に立つなら、私は貫かれなければならぬと考えるのですが、あなたにその決意がありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう決意はございます。やはり人命を尊重し、そうして国民生活の安定、それから住民の福祉ということがわれわれの行政及び政治の目標でございますから、そういう目標を貫いて、今後とも強力に指導していきたいと思います。
○岩間正男君 それじゃ、どういう具体的なこれは行政指導をされますか。それはここで承ったあなたの御返答だけで、それでこの場限りということではまずいのでありますから、具体的に伺いたいのであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公害に関するいろいろの諸基準がございます。その諸基準を厳守させるということ、それから今度新しい公害関係の立法も国会で御審議願っておりますが、その立法が通ればその権限に基づいて諸般の強力な指導をさらにやっていく、そうして公害の害を防ぐということをもっと徹底的にやるということ。あるいは、いまあるいろいろの汚染物質のあと始末について、科学的にできるだけ早期にこれを処理していく、たとえばPCBなんかもその有力な例であります。それと同時に、やはり公害に関するいろいろの科学技術上の開発を促進して、できるだけ完全に公害を除去し得る科学技術士の装置を早くつけさせる、そういうようなことも総合的にやって、日本の公害の害を防いでいきたいと考えております。
○岩間正男君 一般論なんですね。具体的に現実にこういう事態が起こっている。そうして全体の公害の姿、被害の情勢というものはものすごい深刻化している。それに対する中で、これはやっぱり一般論ですよ。法案見たって、これはかごぬけ法案みたいなもので、そういうようなものを、不十分ですよ。そういうものがかりに通って、通ってからこうします。これじゃ事態が解決しないのです。だから、私は、そういうようなことばのきれいごとで大体国会論議というものは済んでしまう。そうしてあとは過ぎてしまうと、ほんとにこれはのど元過ぎれば熱さ忘れるというような姿というものがここまで持ってきたとも言える原因なんですよ。これはわれわれの責任でもあります。もちろんあなたたちが直接の責任を負うべきでありますが、それに対して徹底的に対決をして、真に国民の負託を貫いていない。そういうところからきているという責任を感ずるわけでもありますけれども、そういう点からいえば、いまのような答弁で、われわれは、はあそうでございますかと言って引き下がるわけにはいかぬ。これはもっと具体的に検討して、これは通産省として、いま現実に起きている伊達の火力発電のこの強行の問題について解決する方法について具体策を出されますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 伊達火力の問題は、まことに不本意な結果になりまして、まことに残念でございますが、ともかく、今日といえども住民の皆さんは心配していることでもありますから、地元の了解をさらにとるように、それから公害防除に関する装置については地元の皆さんにもよく説明して、皆さんの納得を得るように努力を継続せよ、そういうことをこの間も社長に指示しているところでございます。
○岩間正男君 とりあえずこれは話し合いを進める、そういう行政指導、あるいはまたいろいろ資料調査を公開質問状の形で科学者会議とか、あるいはあそこの伊達の公害をなくす会とか、そういう民主的な組織があるわけですが、そういうところで公開質問状を、北電に要求している。いまだにこれが出されていない。いろいろな点でこれは向こうはなかなか返答ができない。こういうことでありますから、話し合いが並行線になっているのでありますが、少なくともこういうものについてこれは行政指導される考えがありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) どういう御資料を要求しているか、私その具体的な細目は承知しておりませんが、住民の皆さんが不安がっていることや、あるいは不審に思っているようなことはできるだけ精細な資料を出して、そういう不安を解消するように私たちも指示したいと思います。
○岩間正男君 ここにありますから、これはあとでお目にかけるし、必要だったらこれは送らせます。どういう公開質問状、その正当性はどうなっておるか、これに対処する政治姿勢はどうなっておるか、こういうことが今日これは問われておる。ちょっとこれは質問終わってから……、私使うから。 そこで、お聞きしますけれども、そんならこの現地の反対理由、これはどのように通産省では聞いておられるのか、これに対する通産省の見解はどうなのか。
○政府委員(井上保君) 伊達の公害問題でございますが、伊達発電所の公害につきましては、関係市町村との間ですべて公害防止協定が締結されております。なお、道知事からは電調審の際に建設についての同意を得ております。その際に、電調審の際に問題が一つございまして、それは温排水の影響でございますが、温排水の影響が有珠の漁場に影響があるかないかという問題がございました。これにつきましては、電調審の場合では、この温排水の断片的なものが深さ二メートルぐらいですか、はっきり覚えておりませんが、そういう断片的な水のかたまりが風の都合によってときどき及ぶかもしれないというようなことでございまして、それが環境庁のほうからいろいろ意見が出されまして、結局その程度のことはあまり影響がないというような判断で一応電調審は通ったわけでございます。その後、関係の漁協では話がそれぞれまとまりまして、賠償費の支払い等もいまいたしておるわけでございますが、その有珠の漁協につきましては、非常に反対があったということでございまして、漁協の決議の際には反対の投票のほうが多くて、一票の違いで反対だという結論が出たというふうに聞いております。その後、また漁協の中でいろいろ話がございまして、その再検討の会議を開くということで、その会議を開くために三回ほど会合を開こうとしたわけでございますけれども、何か私たちの聞いておりますところでは、賛成派、反対派の何か署名運動などがあったようでございますが、賛成派の人が大多数であったというような署名運動があったようでございます。その後、さっき申し上げましたような総会をやろうということで、総会が三回ほど流れておりまして、伊達の漁協としては反対派と賛成派があったと、賛成派のほうが多かったというふうに聞いております。それが北電との関係では、反対派を含めまして北電と数回いろいろと話し合いをしておったというふうに聞いております。 したがいまして、われわれといたしましては、電調審を通りまして、それから電気事業法あるいは電気事業法の許可・認可の関係が全部終わっておりまして、それから環境基準の関係で申しますと、環境基準の、たとえば環境基準がS分が〇・一PPMというのが、現在の最終計画では〇・〇一〇二というようなことでございまして、まあ十分の一程度であるというような実態もございます。そういうことでございまして、一応認可の関係も終わったわけでございます。ただ、したがいまして、着工するにつきましては法的な措置が全部終わったと、これは関係各省、電調審の場合にも十分公害問題その他検討いたしまして問題がないということであったわけでございます。ただ、その実態がそういうような実態でございまして、大臣からもいまお話がございましたように、地元との対話をどこまでも続けていけと、それで地元の了解を得て、それで着工するように努力しろということでございまして、そういう事態を惹起しないように万全の留意をするようにということを常々行政指導していた次第でございます。
○岩間正男君 これは国会答弁というものをもっと科学的に研究すればはっきりするんで、私の質問に対するあなたのそれは答弁になっているかどうか、まっこうから食い違っている。あなたのほうはもう予防線を張って、いろいろこれに対してもう合理的なそういうものね、官僚的なそういうものでずっと張るわけです。そんなこと聞いていない。どういう反対理由かと聞いている。審議に時間を費やしているのはあなたたちなんだ。聞いたのに答えなさいよ。もう聞きあきているんだよ、いまのようなことは、実際は。形だけはいかにも聞いていると、もっともらしい。そんなことじゃないんだ、いま私がここで論議しているのは。あなたたち、そういうことで許可をしたり、それから監督をやるのだという形をしながら、実際は陰のほうでこれを推進したり、そういうことをやっているのですよ。そのためにどんなに被害が起こっているか。この最もいいのは、これは鹿島臨海工業開発のあの姿です。どうです。あの岩上知事はいまから数年前に何と言った、公害は絶対にこれは起こりません、あらゆるこれに対する資料も出したり、宣伝物も出した。しかし、ほとんどこれはつくられたものだ。実態とは離れているでしょう。今日鹿島の状態はどうなっているか、これを避けるための論議をやっているんです。国会で、いま。そうしてそれが必要になっている時代なんだ、これは。きのう、きょうのこの大勢は。これと対決しているんです。だからあなたたちのいま答弁、いろいろ何で審議会はできた、それから町村長の何はどうだ、有珠の漁協の何はどうだ。私も、これは去年の七月でしたかね、あそこの現地を三日視察しておりますからね、知っていますよ。背後からの政治勢力があってどういうふうにこれは動かされておるか。そうして実際はこういうような被害の実態というやつをほんとうに科学的に研究するそういう体制がない。そうしていかにも会社側のいわばもう御用機関のような、そういうものが発動して、そうしていかにもだいじょうぶだというようなやり方をしていく。そういうことをやっているから鹿島が起こったんじゃないですか。典型的だよ、鹿島のものは。実態はどうなんだ一体。こういうものについて、通産省は責任を感じないのか。そうしていまのような答弁をいままた繰り返すのですか。先ほど通産大臣は抜本的に変えるのだ、通産行政というものは人命尊重を優先するのだということを言った。そういうやつのこれは答弁としては、とてもそれは話になりませんよ、そういうことでは。どうですか通産大臣、いまのような答弁でこれはまかり通ると考えておりますか、いまの時代で。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり工場や施設をつくるときには、公害を起こさないためにいろいろな公害規制立法——基準排水量とかそのほかのものがありまして、排出量とかそういう規制を厳重に守らせるということがまず第一に大事なことであります。そういう面からわれわれは事前に、あるいは工事実施中あるいは工事完成後も常に点検をして、その基準値が守られているかどうかということを厳格に検査するということが必要であります。それからやはり住民の皆さまにしてみれば非常な不安がなきにしもあらずでありますから、やはり住民の皆さんの意見をよく尊重して納得をいかせるということが工場をこれからつくる上の非常に大きな条件になってきていると思います。そういう意味から、有珠の漁協の皆さんとかあるいは地元の皆さんについてそういうような十分な理解が行なえないでいまのような状態で強行されたということは、はなはだ遺憾な事態であると私は思います。しかし、通産省自体としては、やはり国できめました一定の公害に関する諸規制を厳格に守らせてそれを担保していく、それと同時に、公害の基準を将来さらに厳格にしていけるようないろいろ技術上の改革なり経営上の改革を行なわせていく、そして総がかりで公害を防止していくという考えに立っていきたいと思っております。現状に甘んじているわけではなくして、時間の経過とともにそういう基準は次第にきびしくしていくべきである、こう一般的に考えておるわけであります。
○岩間正男君 反対理由として二つあげているんでしょう。一つは温排水の問題それで魚介類がたいへんな被害を受けるという問題、一つは排気ガスの問題それが人体にどのような深刻な影響を与えるか。そこで私は資料としてこれは要求したいんですが、北電側で出しているこれに対する申請書か何かの中で当然公害に関する報告があるでしょう。あるはずです。なければわからない。それと、こういうところに科学者が出している資料があるわけです。この食い違いについては十分調査しましたか、あなたたち。ここのところを申請されて許可を与えるまでに、そういうものをここで調査しましたか、科学的に。少なくともいままでどうです。電力、あなたのほうですか、あなたのほうで調査しましたか。
○政府委員(井上保君) 先ほど御答弁申し上げましたように、電源開発計画におきます前提といたしまして、電調審というところで各省寄りましてそれぞれの分野で検討するわけでございますが、環境問題につきましては、たとえばSOにつきましては環境庁でつくった基準がございまして、その基準に適合しておるかどうかということにつきましては十分に検討いたしました。基準に適合しておるということで、先ほど御説明いたしましたように、S分については、最近のあれでは環境基準の十分の一程度であろうということになっておりますが、そういうふうなことで、そういう意味で公害の規制には合格しておる、こういうふうな判断をいたしたわけでございます。
○岩間正男君 だから、そういう会社側は、あるいは何か官庁でつくられたそういう機構、そういうものの報告書というふうなものは検討している。しかし、ここなんですね、日本の政治全体が問われているところ、憲法の問題が問われている、私の言いたいのは、そういうところで通っておる。なぜ一体住民の声を聞かないか、あるいは科学的に調査しているその声を聞かないのか。両方照らし合わせて見て、そうして実際は現地を視察して独自な科学的な調査をやったっていいわけですね。今度の機構改革の問題にもあるわけだから。そういうことができるのかできないのか。それをやって、少なくともはっきりしたこれは通産省としての独自の見解を持って進むのでなければ、今後もとてもこういう開発行政というやつは、もういま言ったような全くがたぴしがたぴし、できるときだけはうまいこと言っておりますが、それから何年か後には救うことのできない公害にさらされていくというのが実情じゃないですか、どうですか。ここにいろいろありますよ。こういうものをあなたたち検討しましたか、しませんか、どうですか。一方だけ聞いて、都合のいい、そこだけ聞いて、そして実際は現地で被害を受ける現地の人たちの声、そういうものの中で、ほんとうに科学的な調査をしたその調査成果というものと少なくとも対比をして、これを比較検討する。現地に入っていってこの実情を、実態を把握するという立場に立つ、そのようなやり方をとらなきゃならぬと思うんです。これはやりましたか、簡単でいいですから、それをやったかやらないか。
○政府委員(井上保君) 環境基準は環境庁でつくっておりまして、その環境基準に従うように規制していくのが通産省の仕事であります。したがいまして、そういう意味で検討をいたしております。ただ現地へは行っておりません。現地へは通産局の連中は行っておると思いますが、私ども本省からは行っておりません。
○岩間正男君 これは環境庁まかせですか、どうなってますか。環境庁もやるでしょう。しかし、通産省は直接担当するんですから、これを許可する、そういうような責任からいえば環境庁でございます。いまの日本の官庁機構のいかに空疎なものであるかということの実態が出るようなかっこうじゃまずいですから、もっとやっぱりここのところを調査する、その上に立たなければ、少なくとも先ほどのほんとうに人命尊重の何を貫くことはできないと思うんですよ。 そこで、ついでに聞いておきますが、鹿島臨海地域を、あの地帯の工業開発を進めるときに、あそこから申請されたそういうものですね。そういうものと、これは現状はどうなっておるか、こういう調査をやる気ありませんか、どうですか。
○政府委員(青木慎三君) 鹿島臨海工業地帯につきましては、あそこに開発が行なわれる前に産業公害総合事前調査を行なっておりますが、その後環境基準もSOについてはきびしくなりましたし、NOXについても環境基準がきめられたことでございますので、必要があれば今後その新しい環境基準を達成するように調査をもう一ぺん行ないまして、十分な環境の浄化につとめるということはやるつもりでございます。
○岩間正男君 これは通産大臣にお伺いしますが、つまり、いままでのあなたたちの歩いてきた道をここで自分で自己検討してみる必要があるんですね。そういう点からいうと鹿島なんか最も典型的なものですから、あれを発足させる前にどういう一体形でやって、そうして環境基準そのものが非常にかご抜けでありました。当時の基本法を見たってこれはそういうことなんですから、そういう時代につくられたものですから、現実はいかにそこのところをごまかして、糊塗してやってきたかということ、その上に立っているから現在鹿島のあの海の汚染、魚の汚染の問題が起こっておるし、それから農民は何と言っているか、結局は土地を取り上げられただけだとこう言っている。はっきりそう言っているのです。この調査を、膨大な調査を新聞なんかやっておる。報告されておるんです。そうしますと、こういうものと、あなたたちが良心的ならもう一ぺん自分の足跡を確かめるという立場で、つまり通産大臣が先ほど申されました抜本的に変えるんだと、人命尊重に変えるんだと、こういうものを具体的に裏づけるための努力をすべきだというふうに私は思うんです。ところが、必要ならやるということでありますけれども、やらなきゃならぬことでないですか、これ。あなたたちのいままでの過去のそういう足跡を検討するためにこれは必要だ、当然また官庁の責任においても、これを許可して、そういうものを推進していくことに一役買ったところの官庁としては、当然それを推進していく、そういうことは当然のこれは義務でもありますよ。そうじゃないですか。必要があればやるとか、環境基準が少しこうきつくなった、それに合わせてやるんだというようなそういうものじゃないと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ああいうコンビナートにつきましては、去年コンビナートの問題が四日市判決等からもありまして、これは定期的に行なう必要があるように私思います。特に最近はN ○Xに関する新しい基準値が設定されましたものですから、そういう観点からもこれを確認する必要がございます。そういう意味で鹿島についてはもちろんもう一回調査をやりたいと思います。いろいろ準備の都合もありますから、準備が整い次第早目に実行いたしたいと思います。
○岩間正男君 それは鹿島の調査を見守っておりましょう、今後のほんとうに通産省の一つの姿勢としてね。ほんとうにこれが行なわれるのかどうか、それが非常に多くのいままでのあなたたちの施策の、いわばマンネリズム化して、そして今日の事態を引き起こした、この根源、こういうものに対決する姿勢、それがほんとうにきびしくなされたかどうかということの検証になるわけでありますから、そういう点では私は、いままあ通産大臣がそう言われたんでありますから、鹿島の調査というもの、それを、いまの答弁を確認してわれわれは見守りたいと思う。 そこで、どうなんですか、先ほどの反対の理由に戻りますけれども、これは排気ガスはどうなんです。たとえば四日市と比べてどうです。
○政府委員(井上保君) 現在の最終の燃料のS分は大体一・〇%ぐらい。これに排脱をつけますので、最終的に〇・八%ぐらいということでございまして、最大着地濃度は一時間値にいたしまして〇・〇一〇二PPMということでございます。環境基準は〇・一PPMでございます。これは新しい環境基準も〇・一PPMでございますが、これに比べますと大体十分の一程度ということでございまして、最も低い地域であろうと、こういうふうに考えます。
○岩間正男君 これはどこの資料ですか、いまあなたの答えたのは。
○政府委員(井上保君) これはもとの、たとえばその〇・八をたくというのは北電側からの申し出でございまして、これを閾値あるいはK値等にからみまして各省で検討した結果でございます。
○岩間正男君 だから、結局は同じことをまた言っているわけですけれども、まあしかたがないでしょう、資料がないんだからね。 ここに「科学者からみた伊達火発の公害予測の問題点」というので資料を私たち持っているわけですけれども、全然違いますよ。少なくともあなたたちのところ、これ、行かないんですか。こういうのを対比をして調べてみなかったんですか。全くそれは業者側だけの言い分を聞いて、それでもって検討をして、検討したと言って、そればかり言っとる。全然違うんじゃないですか、いまのあなたのような答弁。そうでしょう。大体、まあこれは今度の出力の規模、そういうものから、それから重油の使用量、そういうもの。それから、そこから排出される硫黄分ですね、そういうようなものについて一日分はどれぐらい、それから年間の総量はどれぐらいになる、それからこれを四日市との比較の場合にどうなんだ、とりあえずそれぐらいのことはこれは御答弁願えると思いますが。
○政府委員(井上保君) 四日市とのこまかい比較の表はいま持っておりませんので、後ほどお届けいたします。大体キロワット当たり、一・四倍していただきますとキロリッターが出ますので、約百万キロリッター程度、こういうふうに思います。
○岩間正男君 この科学者の研究によりますと、出力が七十万キロワット、一・七%の硫黄分を含む重油をたく、これは一日三千八百キロリットル。そして排煙量が一時間当たりこういうことになりますと、千八百七十八立方メートルの硫黄酸化物が出る。年間総量が一万五千トン。そういうようなことが、これ、数値が出されているんですが、これはあなたのほうから出ていませんからね。そうするというと四日市以上だと。中部電力の火力発電所、これは六社、その総量よりもこれは多いものが出てくるんじゃないか、こういうふうに言われておりますけれども、こういうふうにとにかく反論があるんですから、これを納得させるというのは、こういう一つは科学的なデータというものはむしろ集めるべきでしょう、あなたのほうで。そして総合的に検討する、実地において調べる。そいつを全く都合いいところだけさっと集めて、それでもって合理化してやっていく、その成績が今日の状態に及んでいるんだということ気がつかなきゃなりませんよ、いかがですか。
○政府委員(井上保君) ただいまの数字でございますが、一・七%の硫黄分というのは、その後いろいろと検討いたしまして半分以下のものに変わっております。そういう点でデータのそごがあると思いますけれども、私その資料読んでおりませんので、さっそく読んでみたいと思います。
○岩間正男君 だから、温排水の問題でも、漁業に対する影響というものはこれは深刻なものでしょう。あそこはどんな漁業が行なわれていますか、浅海漁業は。
○政府委員(井上保君) あそこはいろんな魚がいるわけでございますが、結局漁業補償につきましては、伊達の漁協につきましては賠償協定が整いまして……。
○岩間正男君 補償はいいですよ。現状はどう……。
○政府委員(井上保君) 賠償協定が整いまして、いま金額の支払いをもういたしておる段階でございます。完全にはいたしておりませんが、温排水の及ぶ範囲につきまして漁業権の消滅、これも消滅の認可もごく最近おりております。そういうようなことでございまして、支払い金額は全部で四億七千万というようなことで金を払っておる段階でございます。そこのとれる魚はちょっといまここに資料がございませんが、サケ、マス、ホッケ、ハタハタのようなものからコサバ、イナダ、そういうものがとれるそうでございます。
○岩間正男君 年産額は。
○政府委員(井上保君) 年産額はただいまのところ私のほうはちょっと資料がございませんので……。
○岩間正男君 そういうものももう少しやっぱり全体を調べなきゃだめですよね。あそこは御承知のように、これは内浦湾になっている。そしてしかも底のほうを、トロール船が通ってずいぶんこれは漁場が荒らされたんです。一時もうほとんどあそこは魚とれなくなった、そういう地帯ですよ。そうでしょう。ところが、最近これはホタテガイの栽培で非常に息を吹き返しているところです。そうでしょう。ホタテガイの栽培状況なんていうのはいなたのほうの手に入っていないんですか。これはもう水産庁から資料取り寄せるぐらいの情熱があってもいいと思うんだね。どれくらい一体漁民がこれについて被害を受けるのか、とにかくそれは壊滅するだろうといわれていますよ。もう稚貝のつき方というものは全然変わってくるそうですね、この温水を出されますと。だから成長しないんですよ。そういう点について、これはまあ通産省だから私は知ったことでございませんと、こういう態度ではこれはまかり通れないと思うんですね。これは通産大臣に決意を含めてお聞きしたいと思うんだが、環境庁長官と通産大臣、行ってみたらどうですか、現地へ。やっぱり視察しなきゃ、これは日本でもこういうような機動隊の導入というような、そういう係争を起こしたところです。そして今後非常にやっぱり一つの焦点になっている問題ですね。日本の公害とそして火力発電の問題が、原発と並んで最大のまた大きな課題になっておりましょう。そういう中で、一体こういうようなやり方でいいのか、しかもあれは北海道の湘南地方といわれている、気候的にも非常にいい、なぜこういうところを選ばなきゃならなかったかというのは、まず地元民はわからないという。そして、しかも排気ガスの問題ですけれども、排気ガスは単純計算じゃだめなんです。たとえば室蘭に流れます。四〇%室蘭に流れる。室蘭はすでに御承知のように、これは公害が非常に深刻化しているところです。そこに四〇%の排気ガスが流れていけば何が起こるかという、そういう一体事態というものについて想定したことありますか。私はとにかくもう十二分にあそこに何日もいて全部調査したわけではありません。しかし、とにかくあそこに二、三日いた中で触れても深刻な問題です。あそこは。どうでしょうそういう点。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現地に行ってみたらというお話でございますが、私も時間の余裕を得れば、できるだけ早きに現地に行ってみたいと思います。
○岩間正男君 私は、こういうふうに考えてまいりますと、いまのやっぱり高度経済成長政策、そして最近の超高度成長政策、そうしてさらにはこの列島改造論につながる、十三年間にいまの四倍もの生産をさらに伸ばす、こういうことで、ことに公害の問題というのはもう避けがたい状態なんだ。そういう中で、いまのようなこの魚汚染の問題が、まさに一億国民の最大関心にいまなっているのです。家庭の主婦なんか困っているのですよ。毎日、どういう献立をしようかと言って困っているのです。魚が食えなくなる。さて、肉で今度はかわるかというと、この肉もこれはテレビなんかで見ると、相当ないろいろな汚染の問題が出てきております。全く困っているのです。そこへもってきて、政府のあの基準が発表されて、それが朝令暮改で、すぐ何時間後に変更される。大混乱ですよ、これは。しかし、一体この根源はどうかということは、だれだって今日これは明らかになってきている、いまや。この大企業を放任した、大企業を全くここまで持ってきた、こういうやり方ですね。だから、そういう点からいえば、私はこういう問題、これが今日の時点において、ほんとうにこれは国民は命と対決しているのだ。現地の人たちはその不安の中におびえているのだから、そういう感覚で取り上げなければ、とてもそれはゆうちょうな論議だけじゃ私はまかり通れないというふうに思うのです。 ここで、通産大臣に、私はあなたの王制問題というのは、ここではっきり対決しなければならぬと思うのです。王制問題。天皇を賛美している間にどういうことが一体起こっているかという問題がある。主権在民の憲法でしょう。主人公は、はっきりこれは国民なんです。先ほども論議しました。国民の総意によってこれは天皇をきめた。天皇をきめた主体はこれは国民なんです。主権在民というものは、そういう形でこれは貫かなきゃならない。ところが、これはこの主権在民の精神というものは、一方でほんとうに王制をこれは賛美している間にどんどんどんどんと侵害され、じゅうりんされていっているという現実を見なきゃならぬと思うのです。この二つを対決しないで、そして議論しているから、実際はこれはもう、たとえば天皇と政治の問題、これは全然公害と関係ないなどという議論をしているから、ほんとうの議論にならないと思うのです。だから、あなたのこの発言というものは、そういうところからいうと、いかに現実離れしているかということは、いまのような公害論議をやったあとでやってみるとよくわかる、このニュアンスが。つくづくこれ私読んでみて、そういうことを感ずるのですよ。ひとつ読んでみましょうか。こういうやつですね。 通産大臣は、六月二日の大阪中之島中央公会堂でこういうことを言っている。「織田信長が出ても、豊臣秀吉が出ても、徳川家康が出ても、藤原氏が出ても、いざというときに国がまとまったのは天皇というものがあったからだ。天皇家はすべての勢力の上に超越し、さん然として上に輝いて、国民の精神的中心にある。そういう天皇があるから、佐藤内閣が罵倒され、田中内閣が何だかんだといわれても、天皇というものが上にあるから、その大きな求心力で日本はもっている。」、こういうような発言をされたり、あるいは「象徴天皇制二千年の」というような、こういう発言をされております。そういうようなことになると、第一、神話が入っているのだね、あなたのこの天皇制のお話の中では。これは非常に問題ですよね。科学的な根拠に一体立っているのか。今日の通説からもこれははずれている。そういうことをやられている間に、一方では人権がどんどんどんどんこれは侵害されている。主権在民というものはじゅうりんされ、そうして憲法の最も中心であるところの平和条項、民主条項というものは、ほんとうにこれは破壊されてきているのです。どっちに主体を置くのです。どこに国の成立の基本を置くかというところが、今日のこの論議される一番中心にならなくちゃならない。 天皇について盛んに言われている。しかし、この点は、これは旧憲法によりまして、これはもう国政を総攬している、そういう形で戦争の関係、そういうふうなものも問題になる。そういう反省から今日のこれは主権在民の憲法が出てきたのでしょう。私は、今度のこの論議の中で、やっぱり読んでみまして、あの吉田茂さんが総理大臣で、憲法国会で提案理由の説明をしている。その提案理由の説明なんかもう一ぺんお読みになっていただきたいと思う。いままでの日本の民族の、やっぱり侵略戦争をやって——侵略戦争ということばはこれは使っていないけれども、とにかく戦争でひどいことが起こされてきた。そうして天皇がそういう立場にあった。それを改めて、はっきりとこれは天皇を政治のそういうところからはずす、そうして象徴的なものにこれはするのだ、そういう論議でありますけれども、その過程なんかをほんとうに詳細に考えてみれば、いまの主権在民の憲法の精神というものは、もっともっとここでほんとうに再検討されなければならないときがきていると思うのです。 今度のあそこの有珠の漁民たち、それからあそこの農民たち、それからあそこのたくさんの人たちが、実際はどんどんどんどんあそこにいろいろな政治的な力が入ったり、背後から支配されたり、ボスの支配が強かったり、そういうかっこうで、ほんとうにこれはその後に起こるものをいまから予知することができない、それで実際は賛成したりしてるようなことになりますけれども、実際被害か起こってからじゃ何ともならないものを——そのときもう目をさましてはおそいのであります。そういう点から言いますというと、いまの行政というものは、全くやはり私は、この王制というものを賛美するそういうような形とともに、実際は主権在民の憲法ふいうものが非常にこれはじゅうりんされてきている、そういうふうに考えるわけです。この点についての、これは通産大臣の御反省というものはどういうふうなんですか。この点についてお考えになったことがあるのですか。私は、具体的な事実をあげているのです。これは、ただ単に公害の問題を例としてこの憲法の問題と対決してみたわけでありますけれども、しかし、もうあらゆる問題をとっていったら、みんなそういうことになるのじゃないですか。労働者の問題をとってみたって、中小企業の、零細企業の問題をとってみたって、みなそうだ。どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 天皇の問題に関する私の考え方、演説しましたことは、私が貧しい知識で勉強したところでありまして、まだまだ足りないところが多々あると思いますが、私が考え及んだ範囲内で申し上げたことであります。 史観については、見る人によって考えが違うと思いますが、私はそういう考えを持っておるということであります。大体、それは、憲法国会におきまして金森国務大臣がいまの天皇について解説した、いわゆる象徴天皇論と大同小異のものであると私は思います。いまの日本の政治の重要点と申しますか、それはもちろん主権在民でございまして、これは憲法第一条に厳然と宣言しておるところでもありますし、さらに憲法第十三条でございましたか、「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に對する國民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」ということや、あるいは憲法二十五条「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。國は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」、これらのいろいろな条文によって、厳然として国民の生活と幸福が基礎であるということを厳粛に言っておるのでありまして、われわれはそういう考えに立ってもちろん政治をしているものであります。
○岩間正男君 この場は場ですから、この論議で時間をあまりとろうと思いませんけれども、主権在民に徹する、そういう立場に立つのか、いまのやはり王制問題というものにいくのかで、全くこれは基本的に違うんですからね。だから、弁解用としてはいろいろ出されますよ。だが、現実に起こっているその姿というのはどうかというのです。このことが問題になるのです。私は、だから、から回りしないために公害の問題を実は一つ出したわけですけれどもね。だから、あなたのあの発言というものは、相当これはうちょうてんになっていられる。あるいはこれは石油のそういう交渉に行かれたときですから、相当いわば、悪いことばで言えばおべんちゃらみたいな形でもあったかと思いますけれども、そういうふうになりますよ。 それで伊達の問題に戻りますけれども、とにかくその辺はあなたの姿勢が問われますからね。とにかく調子のいいことばかりばっとやってたって、そうはいきませんよ。現実をもう少しやはりはっきり見て、そうしていかなければなりません。したがって、もうとにかく話し合いをもっとこれは徹底的に現地でやるということ、それから公開質問状は、これはこういうのをあとであなたにお目にかけますけれども、出ているのですから、こういうものにはっきりやはり答えることを北電の会社の姿勢としてはするべきです。これは非常にどんどん延ばしていて、いろいろな点で答えられないところが出てきていて、そうしてほんとうに地域の住民を納得させていないんですから。それからこの公害防止協定、こういうものも立ち入り検査ができるようにもうはっきりつくり上げるというようなことが今後必要な問題になってくるわけですね。それからパイプラインの問題とか、それから送電所の計画、こういうところが全然明らかにされていない。こういうものをやっぱり公表して、公開の席上で論議をされる、それについて反論をする、それについてさらにほんとうに人命を守るという立場に立ってこの問題を再検討しなければならぬということを私は非常に感ずるのです。どうですか、そういう点について。先ほどもこういうふうにやるのだというような方針を示されましたが、あらためてそういう点について、これは確認されますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一に、今後も地元の住民の皆さんの了解と理解を得るようによく話し合いを続けていくということ、これはわれわれは励行さしていきたいと思います。 第二に、公害防止協定その他約束した諸般のことは必ず実行するようにわれわれは厳重に監視いたします。
○岩間正男君 時間、どうですか。
○委員長(高田浩運君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(高田浩運君) 速記を起こして。
○岩間正男君 それじゃ、次に大夕張の閉山問題についてお聞きしたいのです。これはもっと詳しい専門家がまた詳しくやるだろうから、私は簡単にやりたいと思います。 大夕張炭砿へ政府の調査団が入って、閉山は、やむを得ないという意味の報告をしていますが、その理由は何ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大夕張炭砿の閉山の問題は、非常にいま困難な状態に入ってまいりまして、関係者の努力にかかわらず情勢が暗い情勢にあることは、まことに遺憾千万でございます。三菱大夕張炭砿は、本年四月十九日に労働組合に対して大夕張炭砿を閉山する旨の提案を行ないまして、自来労働組合からは非常に強い反対の要望があって会社との間で交渉を重ね、また、地元との間でもいろいろ交渉が重ねられてきたところでございます。通産省としましては、できるだけ閉山しないように事業継続するように社長を呼びまして何回も指示し、経理関係等につきましてもいろいろ相談に乗りまして、当省としてもできるだけ協力するという意向を示し、具体的にも相談したところでございます。しかし、経理の関係や採掘量等の関係からしまして、どうしても閉山の方向へ行かざるを得ないという会社の考え方もございまして、いろいろ関係者の努力にもかかわらず事態は困難の方向へ参りました。それで、本月十九日に、労働組合も条件闘争の方針に切りかえまして、現在会社との間で条件について交渉を行なっている段階であります。政府としては、いままで閉山に至らないようにいろいろな努力をしてまいりましたが、しかし、こういう事態になりますと、もし閉山に不幸にしてなった場合のことも考え、手配もしておかなければならぬという考えに立ちまして、関係各省で慎重にいろいろ会議をいたしまして、これに対する対策等もいろいろ協議しておったところであり、また今後もいろいろな事態の展開に備えまして、有効適切な処置をやって、地元やあるいは関係者の皆さんの不安をできるだけなくすように誠意をもって努力していきたいと思っております。私は六月二十六日の閣議におきまして現状報告をいたしまして、関係各大臣にも協力を要請し、閣議の了承を得た次第であります。
○岩間正男君 閉山やむを得ないときめられた理由というのはあるわけでしょう。調査団が入って報告をしたその結果について、これは閉山に踏み切ったんですね、その理由はどういう報告を聞いてこのような態度をとられたのか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府として閉山に踏み切ったわけではございません。しかし、会社側が閉山しなければならないと言ってきた理由はよく調べております。それにつきましては局長から答弁申し上げます。
○政府委員(外山弘君) 先ほど御指摘のように、矢野政務次官を長とする調査団が派遣されまして、現地の実情あるいは石炭経営者の言っている実情等を十分現地において調査するということをいたしておるわけでございまして、その際の判断といたしまして、調査団の報告は、技術面、経理資金面あるいは保安管理面で困難が伴うということが事実であるということを報告してまいったわけでございます。つまり技術面ということで申しますれば、炭層の状況からいたしまして、技術的にこれ以上採掘することが非常に問題が多いということでございますし、経理資金面という点で申しますと、非常にコストがかかる掘り方になるだろうということでございまして、また、当然のことながら、技術面の問題は保安管理面の問題にも及ぶわけでございまして、いろいろな採掘条件の悪化ということが予想される限り、そっちの方面からの問題も非常に多いと、そういう事実が調査されたということでございます。
○岩間正男君 大夕張でまだ掘れる石炭ですね、これは幾らぐらいあるというふうに推定されているんですか。
○政府委員(佐伯博蔵君) これから掘れます炭量につきまして、私たちのほうで調査をいたしました。また、先ほど大臣がお話しになりましたように、閉山提案をいたしました後に、労働組合のほうで再建案というのをおつくりになったわけですが、その再建案の中でも、大体八十万トンぐらい掘れるというふうに再建案でも書いてある、私たちのほうでも似たような数字でございますが、そのうちの約半分は数万トンずついろんなところに散らばって残っておるというふうなことでございまして、採掘条件がきわめて悪うございます。それから保安上も相当危険な個所が多いという意味で、半分のところは採掘がきわめてむずかしいというふうに判断をいたしました。残りの約四十万トンにつきましては、現在の大夕張炭砿の坑口から掘りますとずいぶん遠いところにございまして、往復時間にほとんどの時間を費やしてしまうというふうなことで、経済的にきわめて問題があるというふうに判断をいたしたわけであります。したがいまして、調査団の報告にも書いてございますが、かりに大夕張が閉山のやむなきに至ったというふうな場合には、その残りの四十万トンぐらいの炭量は資源の有効利用という面からも、隣で同じ経営者の三菱大夕張炭砿が南大夕張炭砿というのをやっておりますが、そちらのほうから採掘したほうがよかろうということで判断をいたしておるというような次第でございます。
○岩間正男君 そうすると、まだ四十万トンそういうのは採掘可能だ、しかし、それが非常に再開発が困難であるという理由の一つに保安の確保ができていない、こういうことがあげられているわけですが、しかし、どうですか、いまは山全体を見ても保安の確保というのは最近これは十分できておりますか、どうですか。
○政府委員(青木慎三君) 炭鉱の保安につきましては、私どもも生産よりもむしろ保安のほうが重要だという線で指導しておるわけでございますが、十分監督をし、かつ山側も相当努力をしているようではございますけれども、やはり最近続きまして二、三の事故が起こっております次第でございます。私どもも一そう気を引き締めまして炭鉱の総点検をさせまして保安の確保に今後つとめてまいりたいと思いますが、非常にむずかしい問題だというふうに私ども考えておりますが、ぜひ保安の確保だけは今後とも十分努力してまいりたいというように考えております。
○岩間正男君 これは全面的にいま保安の問題が問題になって、たとえば常磐炭鉱の場合、本年に入って一度ならず鉱山保安監督部の許可があってさえ再び事故を起こしている。しかも二十六日には北炭夕張でも崩落事故を起こしているということですから、山全体に対する政府の政策そのものが一つの大きな問題になっておりますから、だから保安の立場というのは政策とやはり深い関係が出てくるわけですね。 それからもう一つの問題というのは、大夕張の場合、企業の採算本位の一方的な閉山、これはいろいろ先ほどから述べられた調査団の報告書なんかによって、それが原因になってこれは閉山に踏み切ったと思うのですね。しかし、この山は国庫補助をいままで受けていたわけですね。そういう企業の責任としては一体これはどうなのか、こういう点についてはどうなんですか。
○政府委員(外山弘君) 今回の問題につきましては、いまの企業側の申し出というのが主になっていることは事実でございます。しかし、それがはたして妥当であるかどうかということは、その後の調査団の派遣等によりまして十分私どもも検討しているわけでございます。確かにこの山は非常にウエートの高い山でございまして、年間七十万トン以上の採掘を続けてまいりましたし、同時に労働者の数も非常に多いというふうなことから重要な山でございましたし、それなりに私どもとしても問題の重大性を痛感しながらいろいろな措置を講じてきたわけでございます。もちろんこの炭鉱に対する財政上の助成策というのはもう長いこと続けているわけでございまして、石炭鉱業の操業の維持のために財政上の対策といったことが毎年繰り返されてきておりますし、この企業にも当然のことながら開発の段階を含めましていろいろな補助がいっているわけでございます。しかし、同時に、企業の責任でこの山の経営の維持をはかるかどうかということはやはりきめるべき立場にあるわけでございまして、その際財政上の助成措置が現行制度で許される限りそれを考えて操業を続けていくということがまず基本のことでございます。しかし、同時に、それの範囲を大幅に逸脱するような助成がない限り操業ができないということになりますれば、企業の責任においてもこれはやはりやめる方向に検討せざるを得ないというのが、また現在のたてまえであるというふうに私は考えております。
○岩間正男君 結局、これは企業を補助しても補助のしがいがない、そういうことなんですか。しかし、これはいままで、ここは労働者やそれから関連産業の人やそれから地域住民に対してそういうふうに言ってなかったと思うのですね。二年前に三菱が二千万トンぐらいは掘れる、これは日本の全体の石炭の発掘量ですね、こういうものは続くだろう、そういうことで大夕張はだいじょうぶだと、そういう形で安心させていたと思うのですよ。だから、そういう意味で採算本位だけで閉山をきめるということになりますと、いままで安心させられてその企業をささえたきた人たちには非常にたいへんなこれはショックなんで、いま御承知のように、これは激しい戦いが展開されてきているわけですが、この企業の責任というものをどういうふうにこれは果たすべきだというふうに考えておられますか。
○政府委員(外山弘君) 先ほども申しましたように、この山がきわめてウエートの高い山であるということを申し上げましたが、同時に、それはそういうふうに自他ともに許されながら長年の経営を続けてきたということは事実でございます。また、ある時点におきまして、経営者サイドから見まして、この山の炭量はかなり多いんだという意味の数字的な発言もしたようでございます。しかし、実際にその後採掘を続けていくにあたって、いろいろな炭層の条件というものが新たに明らかになったという点が多々ございます。その上に立って、従来言っていた炭層の、炭量の問題が、必ずしも経済的ベースでは、非常に懸隔のある炭量になってしまうというふうなことも、これは最近のやはり新しい事実でございます。そういう点を考えますと、先ほど申しましたように、企業の立場から見ましても、先ほどのような諸考慮の上に立ってやはり検討をせざるを得ないということになるのではないかと、こう考えます。
○岩間正男君 これは通産大臣にお聞きしますが、あくまでこれは採算本位の立場に立っているわけですね。同時に、どうなんですか、日本の総合エネルギー計画から考えて、石炭の位置というものはこれは非常に年々低下して、ずっと前から油主炭従にこれは変わってきたわけですけれども、しかし、世界的にいまエネルギー問題が大きな問題になって、エネルギー不足がいま重大な課題になっているわけですね。そういう中で日本の石炭というものに対する態度を、いまのような形で一体いいのかどうか、こういう点について検討されたことがあるのかどうか、政府の総合エネルギー計画、そういうものを含めてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近におきまするエネルギーの依存度を見ますと、石油が大体七三・五%、天然ガスが一・三%、石炭が一七・九%、水力が六・七%、原子力が〇・六%というような概数になって、石炭に対する依存率というのは一七・九%ですか、二割弱という形になっております。外国の例を見ますと、英国では石油が四五%に対して石炭が四六・五%、ドイツが石油五二%に対して石炭が三九%、アメリカは石油が四四%、天然ガスが三一%——天然ガスが非常に多いんですが、石炭は二〇%、こういうような依存率になっております。日本は非常に石油に対する依存率がこの数字を見ても多いわけであります。われわれといたしましては、石油の最近の動向を見ておりますと、値が高くなり、また需給関係がきびしくなっていくという傾向は、大油田でも発見されない限りそういう傾向になると思いますし、石油に対する需要というものは、供給の何倍かの倍率でふえつつあるわけであります。そういう条件から見ますと、石炭の価値というものは、将来また見直されるときがくるのではないかということも考えておかなければならぬところでもあります。そういうような観点も新しく加えまして、いま、日本の総合エネルギーに対する評価というようなものを、通産省内部において一生懸命やらしているところであります。エネルギー白書というような白書を出そうというのも、そういう考えを基本にして、ある程度やっておるわけでございます。
○岩間正男君 これは食糧の需給問題と非常に性格が似たところが出てくるわけでありますけれども、海外だけにエネルギー資源をあおぐと、そういうやり方では、非常に世界的なエネルギー不足が伝えられている先行き見通しでは、非常に大きな問題を持っているのではないか、そういう意味では国内資源としての石炭産業というものを、これはもっとここで再検討をする必要に迫られているのじゃないか、そういうような点も、先ほどの御答弁では含められたわけですね。この点、やはり十分にこれは検討する必要があるのじゃないかと思うのですね。ことに北海道の場合、日本全体の約半分に当たる百億トン、こういうものが埋蔵しているだろう、こういわれているわけですがね。そうして、しかも炭鉱労働者は、数は、これは三割を占める二万三千人、これもいるんですね。こういうことを考えますというと、石炭を有効活用する点で、また北海道の開発から考えれば、どうしてもこれはこの石炭の再検討というやつが非常に重要になってくるのじゃないかというふうに考えられるわけですから、単に大企業の採算の上だけでこういう問題を決定するということは、一つの、日本の国策としての長い目で見たそういうエネルギー問題に対決することにはならない、こういうふうに思いますが、この点いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一面において採算という面も考えなきゃなりませんが、一面において総合エネルギーというものも国策としてはまた考えなきゃならぬ部分もございます。われわれとしては、第五次答申にも盛られましてありまする二千万トンを下らない、二千万トン以上確保する、そういう線をあくまで厳守するように今後とも政策を進めてまいります。
○岩間正男君 まあ、あと簡単にやりますが、閉山ということになると、一あそこの労働者の平均年齢は四十八歳です。非常に再就職はむずかしい、そういう高齢者。それが一千名と、その家族の人々や、それから大夕張の百六十一の商店がこれはあるわけですが、直接こういうところでは大きな影響を受けるわけであります。だから昔の面影は、現在大夕張に参りましても、もう人口の面からいっても、商店の姿から見ても、もうないわけですけれども、非常に不安をかかえているわけです。しかし、いまの国策の面とも関連して考えるときに、とにかく採算がとれないから、ここに対して国が特別の財政援助を行なうということはもう制度上不可能だというようなことだけでは、まるで大資本がほんとうに利潤追求の基本的な立場でどんどんどんどん山をつぶしていく、そういうことと対決できないと思うんですね。この政策そのものに非常にやっぱり大きなウエートがかかっていく、また、そういう点でも、あそこの労働者はじめ住民の人たちは、これは期待していると思うんですが、こういう期待に対して、政府の一体政策というものが、新たな段階でどういうふうに考えられ、とられようとしているか。
○政府委員(外山弘君) 大夕張の炭鉱所在地は、産炭地域といたしましても特別に、ほかの地域と違って陸の孤島のような面がございます。いま御指摘の労働者の問題、あるいは商店の問題、住民の問題、すべて含めまして、われわれとしては、かりに先ほど大臣がおっしゃったように閉山の問題が起こりました場合、これにつきましての対策をいろいろな面にわたって講じなければならないと、こう考えている次第でございまして、関係する省庁も多うございます。労働省あるいは自治省、いろいろなところと十分相談をしながら、対策を具体的に地域的に考えていかなければいけない。さらに北海道の道行政当局にもいろいろお願いをしておりますし、企業にもできるだけの協力をするように配慮も加えております。いろいろな点を現在、今後に備えまして勉強しているところでございますが、同時に、産炭地振興対策ということ、あるいは離職者対策ということ、そういった点も石炭対策のきわめて重要な部分でございます。これらの制度を十分に活用いたしまして、できるだけの対策を講じたい、こう考えている次第でございます。
○岩間正男君 まあ、現地の労働者をはじめ、あそこの商店街の人たちや関連産業の人たちの要望というものをこれはいままで出されておると思うんですがね。これはどういう見当になっておりますか。
○政府委員(外山弘君) 実は調査団が参りました際にも、地元の方々といろいろ懇談の機会を持っております。で、労働者の方々、あるいは地域の方々、あるいはその他いろいろな職場におられる方々とも懇談をいたしまして、地元の方々がいろいろ陳情されている点を十分把握しております。それからその後も北海道の知事をはじめ、あるいは炭労の方々、あるいは地域の代表の方々がいろいろまた訪れまして、問題点の所在をわれわれに訴えております。私どももそれらを受けまして今後具体的な対策を考えていかなければいけない。同時に、かりに閉山に至った場合には、関係省庁とも十分連絡する機関をつくりまして、会議をつくりまして、また同時に調査も十分進める、そして的確な対策を考えたい、こう考えている次第でございます。 —————————————
○委員長(高田浩運君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、世耕政隆君が委員を辞任され、その補欠として竹内藤男君が選任されました。 —————————————
○鈴木力君 だいぶ時間が経過しておりますから端的にお伺いをいたしますが、大蔵省の方、おいでですか。まず大蔵省の方に伺いますけれども、いまのこの銀行あるいはその他の金融機関にまあ歩積み両建てということが常識みたいに行なわれている。しかし、制度的には歩積み両建てというものに対して、どうなっておるんですか、まずそれを伺います。
○説明員(岩瀬義郎君) 金融機関の性質上、歩積み両建てというものが全くゼロになるということは、これはなかなか整理の上においては困難かと思います。と申しますのは、一般的な形といたしまして、金融機関に全然担保のない者が資金をかりに借りに行く場合に、その資金をある程度預金として残しておくという債務者のほうからの希望もございまして、そういうような形で預金が行なわれるというものも歩積み両建ての中に入ると考えられますので、これはやはり借りるほうと貸すほうとの間の利害関係、あるいは両者の利便というか、そういう関係から当然に起こってくる商行為でございますので、そこまで整理をしてしまうということは、かえって借りるほう側からも不便であろうということは常識的に言えるかと思います。ただ、一般的に申しまして、金融機関がどうしても貸すほう側として強い関係にございますので、従来の傾向から申しますと、どうしても拘束性預金を多く置きたがるという傾向にございます。これは借りる側からいたしますと非常に過重な負担になる場合がございますので、大蔵省といたしましては、まあどの辺が正しい水準であるかということを判断することははなはだむずかしいところでございますけれども、従来から行政指導をいたしまして、過当な歩積み両建てを自粛するようにということで、銀行検査あるいはいろいろな形における指導をきめこまかくやっております。したがいまして、この数年、この五年間ぐらいとってみますと、急速に歩積み両建ての拘束性預金というものは減っておるわけでございます。したがいまして、そういうある程度金融取引の実情を踏まえまして指導を行なっているというのが現実でございます。
○鈴木力君 いまの御答弁のうち、今度の中小企業の動向に関する年次報告でも拘束性の預金が減少しておるということの報告はされております。そういう傾向をもって大蔵省はこの歩積み両建て制度についてきめこまかく指導しており、実効が上がっておる、こういう判断をされての御答弁ですか。
○説明員(岩瀬義郎君) 非常に長い時間のかかる仕事ではなかろうかと思っております。と申しますのは、急速に減少させるということにつきましてもなかなかむずかしい面もございます。したがいまして、金融機関の実情を見ながら、きめこまかく見ていくという以外にはない。したがいまして、当初指導いたしましたときのテンポからいきますと、その減少率というものは減少の幅から見ますと狭くなっておるかと思いますけれども、その小さい幅というのはかなり密度の高いものであるというふうに私ども考えております。
○鈴木力君 そういう御答弁をいただくと十五分ではできないと思うんですがね。この歩積み両建て制度が現象的に——まあ歩積み両建てということばが適当かどうかわかりませんけれども、拘束性のある預金がだんだん減少していく、そういうことをおっしゃっている。それは統計上はそう減少しているかもしれない。その減少していくものの、それなら、減少していくあるいは残っておるそれの規模別のような分析等は政府はしたんですか、しないんですか。つまりどういう傾向のものが残って、どういう傾向のものが多く減っておるのかですね。
○説明員(岩瀬義郎君) 当初の傾向といたしましては、私どもから見ましても過当な歩積み両建てと思われるものが量的に非常に多かったということでございます。そこで、そういうものはもう指導の上においてはかなりはっきりいたしますので、直ちにそれを払い出しを行なわせるとか、解約をやらせるとかという形で指導をいたしております。ただ、債務者側から見ましても、先ほども御説明いたしましたように、債務者の利便と申しますと語弊がございますかもしれませんが、借りるほうからも預金を置いておいてもらいたいというような形のもの、そういうものはやはり一がいに全部やめさせる、急速にやめさせると、こういうわけにまいりませんので、そういう選別をしながら指導をしてまいりますと、そのほうのテンポはややその速度が落ちるということでございます。
○鈴木力君 私がお伺いしているのは、借りるほうが預金をして置いてくれということを問題の対象にしていないことはもうおわかりでしょう。そんなことを自慢たらしく言ってもらうことは時間の節約にならないから、大体常識的に、言っていることがおわかりだと思いますから、きちっとお答えいただいて時間の節約をはかったらいいと、こう思いますがね。 それで伺いますが、具体的に言いますと、昭和四十六年の十二月十七日付で、これは岩手県の北上市のある中小企業者から行政監察局に行政相談に乗った事件であります。その行政相談に乗った事件でありますが、そのあとに処置は、そこまでは処置はきわめて私は機敏に行なわれていると思いますが、昭和四十六年の十月十三日に行政監察局に本人から申し出があって、そして同じ四十六年の十一月二日に直ちに東北財務局の盛岡財務部がそれぞれの該当する金融機関を呼びまして、そしてこの歩積み両建て預金の自粛の徹底をはかるよう強く要望した、これはもう正式な公文書として本人あてにも文書として報告はされております。その対象になっている金融機関は、国民金融公庫盛岡支店長、それから商工組合中央金庫盛岡支店長、中小企業金融公庫盛岡支店長、その他民間金融機関もございます。こういう事実については大蔵省の本省は知っておったんですか、知らなかったのですか。
○説明員(岩瀬義郎君) 存じておりまして、財務局長から報告は受けております。
○鈴木力君 そこで、これは昭和四十六年の十一月二日に行なわれたことであります。その後、金融機関に対して強く要請をした、そのあと、どういう状況になっているのか、本省あるいは財務局が追跡の調査をいたしましたか。したなら、何月何日にどういう処置をしたという御答弁をいただきたい。しなければ、しなかったでけっこうでございます。
○説明員(岩瀬義郎君) 岩手県の行政監察局長から連絡を受けまして、しかる後に財務局から実際の指導をいたしまして、最終的には四十七年の一月の十七日に解決をいたしました。したがって、その一月十七日付でもって北上商工会議所から岩手行政監察局長あてに「歩積み、両建て制について」という題名で、事態が円満に解決をいたしましたということについての報告が出ております。
○鈴木力君 そこがきわめて問題のあるところなんですね。これは通産省直接の担当のあれじゃありませんけれども、しかし、中小企業庁の業務には、中小企業のさまざまのそうした問題についての指導なり、そういう任務を持っているようでありますから、それで、今後の問題としてお聞きいただきたいんです。 いま御答弁がありましたように、一月十二日に商工会議所の代表のほうで解決をしたことになっておる。ところが、そのあとに——これは名前も言うつもりはございません。これは北上市ではなしに、岩手県全体の商工団体のある幹部から、この申請者に対して、あまりやかましいことをそっちこっち言い歩いておると、かえってためにならないから静かにしておったほうがいいぞという注意を受けた、本人に。これは政府側から受けたのじゃありませんよ。商工団体というから、本人の所属する団体のある幹部から受けた、そこで、本人も仲間に対して、あまり今後は文句言うまい、そして、相手のほうから言われるとおり、歩積みもして金を借りよう、こういう態度に変わっておる。こういう事実があったということはおそらく御存じない——知っておったということならたいへんなことですから、御存じなかったと思いますけれども、私があえてきょうこれを持ち出しましたのは、こういうことに対して、一体、関係当局、これは通産省、中小企業庁も含めて——私が申し上げたのは一つの例にすぎないと思うんです。相当どこにもあると思うんですけれども、まず大蔵省の監督当局の所感をひとつ伺っておきましょうかね。
○説明員(岩瀬義郎君) 私ども行政をやっております者の耳に入らない実際の苦情というものがありますれば、それはできるだけ広く注意して、それを聞くように、聞けるような形にするべきではございますし、また、行政において苦情が出ないように努力するのが当然であると考えておりますが、形の上だけでお答えいたしますのは恐縮なんでございますが、財務局にも苦情処理相談所というのがございまして、クレーム等がございますれば——もちろん本省にもございますか、金融関係の苦情はそこでお聞きいたしますというふうにいたしております。ただ、宣伝とかがなかなか行き届いておりませんので、あるいはまた、役所に直接そういう苦情が持ち込みにくい場合もあるかと思います。いまの先生の御指摘につきましては、いまの私ども指導いたしました商工中金の処理か、はたして御指摘のように——私どもはスムーズに行ったと思っておりますけれども、具体的に何かあるようでございましたら、その辺をもう一ぺん注意して見てみたいと考えております。
○鈴木力君 私は例は一つしかあげませんからね。具体的にありましたら見てみたいという御答弁ですが、私はあるとにらんでいる。これは私の郷里の北上市だけにあることであれば、私はあえてここにこういう問題を出そうとはしない。さっきの拘束性預金のカーブが下がってきている、あるいは預金の傾向も、たとえば大企業と思われるある経営者の話では、もう資金がだぶついておって、返そうと思っても、しばらく預かっておいてくれと言われているという話さえ実地に私は聞いたことも最近ございます。逆に、大企業のほうは、銀行側のほうから、返還をするといってもしばらく預かっておいてくれという現状のものがあるかと思うと、歩積みをしないと貸しませんぞということが一つあるわけです。私はいまこの問題を出しました意図は、そういう形で政治なり行政なりの届かない部分をどうするのかですね、これは真剣に考えなければいけないと思うのです。そうして、行政監察局に行政相談の機関がある、持ち込みますというと、どこから回ってきたのかわからないけれども、その商工団体の幹部のほうから、あまり苦情を持ち出すとためになりませんぞと、こういう形で回ってくる。そうすると、零細な業者に言わせますと、一体政治なり行政なりというものは何なのか、役所に行政相談があるから持ち出しますというと、これこれのルートを通じて、まあ東北財務局の盛岡財務部から、厳重に注意をしておきましたという回答が来る。そうして歩積み両建てで攻められている業者の人たちは、さっきの御報告にありました一月十七日の解決については非常に疑惑を持って見ている。どういう形で解決をしたという文書になったのか、報告は解決になっているけれども、金融の実情は解決になっていない。だから、いまやもう、私は、政府がほんとうに中小企業対策ということをまじめに考えるなら、そこまでを一応は疑ってかかるというと、ことばが悪いですけれども、そういう、もう少し積極的な調査というものが姿勢としてあらわれてしかるべきだと、こう思うのです。先ほどの御答弁にも、きめのこまかい指導をしておりますと、こういう御答弁をちょうだいしておる。私はまことに、きめの荒い指導だと思います。いまの具体的な実情を見ますと。しかも、非常にむずかしい問題だという御答弁をいただいた。それは確かに私も簡単だとは思わぬ。先ほどの御答弁にあったように、確かに借り主の意図もあって、あるいは貯金をするというのもあるかもしれない。それは直ちに形式的には選別できませんから、そういう識別ができない、だからむずかしい問題だと、こういうお答えだろうと思う。 そこで私は、大蔵省は銀行筋の監督でありますけれども、もう一つ伺いたいのは、まあ市中銀行か一応ともかくも——と言うと、いいという意味じゃありませんけれども、ともかくも国民金融公庫盛岡支店、商工組合中央金庫盛岡支店、中小企業金融公庫盛岡支店が財務局から注意を受けなければならないようになったのは、一体何なのか。こういうところまでが、借り主にそういうつらい思いをさせながら歩積み両建て制度をしいるということになっておるのはどういうことなのか。考えられることがあったら、ひとつお伺いいたしたい。
○説明員(岩瀬義郎君) 確かに行政監察局のほうからは、中小政府関係三機関に指摘があったんでございますが、国民公庫並びに中小金融公庫につきましては、元来これは預金がございません。預金を取り扱っておりませんので、事実上から申しまして、拘束性預金という形が発生しておりません。したがいまして、実際に現実に起きました問題は商工中金だけでございます。商工中金につきましては、御承知のように、債券を発行いたしておりますと同時に、主として債務者預金、それから一般預金も扱っております。預金を獲得するほうがコストが安いものでございますから、そういう点で商工中金が預金獲得に努力するあまり、過去において拘束預金に走ったという傾向があったことは事実でございます。この辺を、先ほど申し上げましたように、具体的に指導してまいりまして、かなりその点は、成績と申しますと恐縮ですが、かつての状態に比べますと、きわめて拘束性率が低くなっておるということは事実でございます。ただ、なぜ政府関係機関である商工中金に拘束性預金があるのかということでございますが、これは、一般政府関係機関と申しましても金額政府出資でございませんし、民間資金も入っております関係もございまして、やはり資金コストをみずから下げていくという努力をしなければならない機関でございますので、債権の安全とか、あるいはコストの低下とかいうようなことから、そういう傾向があることは事実でございます。
○鈴木力君 傾向があることは事実というのは、私は事実を指摘して聞いてるんですから、あたりまえな話でしょう。そうじゃなくて、監督官庁である大蔵省がどうしてこれを認めるのかということなんです。あなたのいまの答弁を聞くと、やむを得ないことであって、一部は認めなければいけないと聞こえてならない。それでほんとうに中小企業育成のための商工組合中央金庫ということの任務が果たせるかどうかということを聞いているんです。どうです。
○説明員(岩瀬義郎君) 理想的に申しますれば、全廃できるのが理想かと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、商中の中における過当な歩積み両建て、これはもう完全に私はセーブしてきていると思いますけれども、預金者のほうから、担保がないからという形で借りに来るというのは、商中にはわりに多いわけでございます。したがいまして、そういう担保のない者が借り入れた預金の一部を担保にするという形のものについては、これは何度も申し上げて恐縮なんでございますけれども、実際上皆無になるということにつきましては、債務者側から見ても不便ではなかろうかというふうに考えております。
○鈴木力君 私が聞いているのは、債務者側が不便になることを聞いてるんじゃない。こういうことをされておって不便を感じておる債務者の意見を代表して私がいま聞いているみたいなものだ。代表してと言うのは少し言い過ぎだが、その意見を聞いて言っているんです。だけれども、あなたがいまのような答弁を繰り返している限り、幾ら行政監察局が報告書をやったりとったりしてみたところで、いまの現状は直らない。監督官庁としての任務というのは私はどうも果たしているとは思えない。少なくとも私は、きょうはあなたに言っておくことは、直ちにこれは現状を調査してみてほしい。これは岩手県という意味じゃありませんよ。これは一つの例に出したことなんです。全国的にそういう問題が起こっておる。 そこで、中小企業庁長官にお伺いいたしますけれども、いま大蔵省の審議官の御答弁をちょうだいしたとおりなんです。私とのやりとりがあったとおりです。事実は、私は例として一つだけいま御披露したというか、申し上げた。業者は泣かされておる。しかし、監督官庁である大蔵省は、責任を持ってこれをなくするわけにいかないという筋の答弁。そうすると、中小企業庁長官として、この商工組合中央金庫、この現在のあり方に対して、これでよろしいのかどうか。あるいは、その他の市中銀行からも歩積み両建てで、いまごろと言われるようなことで零細企業は非常に泣かされておる。この現状に対して、まずどう思うか。あるいは、何かこれに対する施策というものが考えられるべきだと私は思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(莊清君) 金融情勢が非常に引き締まりぎみになっておりますので、御指摘の問題は、今後、中小企業金融、したがいまして、中小企業 対策上きわめて重要な問題であると考えます。金融の緩和もございましたし、それから大蔵省、公取の数年にわたる強い指導もございまして、全体として相当下がってきておる。四、五年前の約半分ぐらいの水準まで下がっておるということでございます。商中につきましてお話しございましたが、大体一%程度の率というふうなことになっておるようでございますが、再三大蔵省から御答弁申し上げましたとおり、不必要、不当な預金の要求ということは、商中の場合、特に政府機関でございますから、民間からの預金の受け入れとか債券の発行ということは当然あるわけでございまして、半官半民とも言われるわけでございますけれども、かりに一%の水準まで来たにしても、個別の貸し付け、それから個別の預金の受け入れという個別の取引があるわけでございますから、その個別の実態に即して、いささかでも行き過ぎのものがあれば、これは一%になっても、そういうものがまぎれ込んでおれば、全部摘発して、これは直ちに粛正をさせるということが基本でなければならぬと、私どもも大蔵省にそういうことで強く要求もいたしたし、先ほど、所属団体から圧力がかかったという、私も非常に驚いて伺ったんでございますが、役所に聞きに行ってたり、商工会とか会議所の経営指導員というふうな、そういう日ごろ毎日ひざを交えて接している民間ベースの指導員もおるわけでございまするから、そういう人も活用するというふうなことにして、個別のケースを、中小企業庁としても、悪いケースがあればキャッチする、キャッチしたならば直ちに大蔵省、公取にも連絡をしてそれを是正する、こういう点を私どもも十分注意もし、努力もいたしたいと、かように考える次第でございます。
○鈴木力君 これは大臣に聞いていただきたいし、大臣に御見解を伺いたいのですが、私は、いまの審議官と中小企業庁の御答弁がある限り、この問題は直らぬと思う。前提として、政府が強力な指導をしておって効果があがっていると、その前提がどこまでも離れていない。私は大蔵省の審議官にさっきお伺いしたのは、強力な指導と御本人は思っていらっしゃるけれども、下々には強力にも何にもなっていない。そこを認めない限り、たとえば団体の幹部と圧力なんというのも同じです。結局は、政府のとっているもの、あるいは行政のとっていることを是認しなければ何もかにもできないということが現状なんです。これだけの問題、私がここに問題を出しましても、それはほんのわずかの問題であって、大部分は片づいているんだと、きめのこまかい指導もしているし強力な指導をしている、それを中小企業庁の長官がそういう前提にもし立って、あれば、なお指導したいというような、その是正のほうは付録みたいな答弁、これでは、いまのこの悪い慣行は憤ろうとは私は思わない。それは、私は、昭和四十六年にあった事実が、公文書上の役所間のやりとりはあったけれども、中身は是正になっていないんです。その事実で、いろいろ対策がないかということを聞いている。これは大臣、いかがですか。私の言うほう無理ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) おそらく鈴木さんがおっしゃることが事実だろうと思います。役所が形式的に文書で通達を出したり、注意を促したところで、なかなか実態まで知ることは現実むずかしいのが実相ではないかと思います。ですから、文書の報告をそのままうのみにするということは非常に危険で、むしろ、抜き打ち検査をときどきやってみて、あるいは、関係の商工業者の意見を直接行って聞いてみて実情を調査するという以外に、この問題を解決する方法はないと思います。それによって、自分で確かめたところで報告が大臣なり局長に出されるのが至当である、そう思います。そういう考えに立って私たちは指導をしたいと思います。
○鈴木力君 この問題については、最後に御要望を申し上げておきます。いまの大臣の御答弁のように、ぜひ私はやっていただきたい。それで、銀行筋のほうからの調査をしても、これは幾らやっても出てこないと思う。やっぱり商工業者のほうに抜き打ちという大臣の御答弁がありました。あるいは無作為抽出でもよろしいし、こういう事実があるのかないのかというような、そういうことは、中小企業庁が真剣に繰り返し、そういう中小企業の意見をいつでも収集できるように、そういう努力は、きょうの御答弁だけじゃなしに、ぜひひとつ実行していただきたいと思います。そういう形で、金融緩和の時代があった、これから引き締めだというけれども、この下のほうの層は、選択貸しも含めて、金融緩和も引き締めも、あまり影響がないぐらいのところにいまいっているわけです。そういう点は、私はぜひ御調査をいただきたい。そうして、適切な対策は樹立をしていただきたい。で、もし商工組合の中央金庫もコストを下げるためにやむを得ないという前提に立つとすれば、私は、中小企業対策として、そういう問題のない金融機関の設立ということも真剣に考えなければいけないのではないか。あるいは、この中央金庫の改組ということも、これはもう真剣に取り組まなければいけないのではないか、そういう気持ちさえいたします。こういう点の検討もお願いをしておきたいと、こう思います。 それから、もう一つだけ簡単に伺ってやめますが、同じ中小企業の金融上の問題で、担保の問題ですね。先ほども、審議官からですか、長官からですか、担保がない場合に一部預金をしてという話がございました。そういう場合も、貸し出しのほうから言えば、それで安全度を守られますから、そのとおりなんですが、この担保につきましても、もうちょっと軽減をさせるような指導ができないかということですね。たとえば、中小企業近代化資金等の助成法ですか、あれによって近代化資金を借ります。そういたしますと、土地と建物と全部担保にとられる例が非常に最近は多いんです。そういたしますと、近代化しない場合には、土地のほうは、たとえば金繰り資金用に民間の金融の担保に入れておいて、建物はこちらにというような金繰りをしておったものが、近代化資金助成法によって近代化資金を借りたために、全部担保に取られてしまって、そうして、金繰り資金のほうが全然担保能力がなくなった、そういう訴えも、小さい企業のほうからはあるんです。したがって、いまどんどん土地が上がっていく、建物の値打ちだって下がっていくわけはないんです。せめてどちらかの部分ぐらいにして、金繰り資金用の担保を残してやるというような配慮をするわけにはいかないのかどうか。これは中小企業庁長官にお伺いしたいと思います。
○政府委員(莊清君) 今回のドルショックを受けました中小企業に対する緊急対策といたしまして、いまお話のありました貸し付けにあたっての担保の問題については特別の配慮をしたのでございます。政府関係三機関から融資をするわけでございますけれども、担保の評価、それから担保の順位等の問題については、極力これを弾力的に行なう、それから既存の差し入れ担保についても進んで再評価をして、その余地があればそれをさらに貸し出しの対象として活用するというような姿勢でやれということで、いまやっているところでございます。ドルショック対策としては十分努力をしているつもりでございますけれども、一般の中小企業金融全体について、なお問題がいろいろ起こっているという点は、まさに御指摘のとおりであると思います。政府関係機関でもございますから、片一方においては健全な運営をするということももちろん考えなければなりませんが、制度の趣旨ということを十分考えまして、御趣旨を体して、今後私どもとしても努力、検討をいたしたいと思います。
○鈴木力君 もう一つだけ、これは御要望にとどめておいたほうがいいと思いますが、中小企業信用保証協会ですか、信用保証協会というのは、私が理解しているのは、保証能力のない人が、零細企業の人が金融を受けます場合に、肩がわりして保証をしてやる役割りを持っていると思います。そういう点ではほんとうに零細な人にはたいへん有用な機関だということは私もわかる。ところが、金利の問題がいろいろ言われておる。通産省の指導もありまして、中小企業の金利等がだんだん下がっております。ところが、下がっている部分についても、保証協会のほうの保証料ですか、そちらのほうで帳消しになってしまって、それらも入れるとたいへんな金利になってしまう。これは仕組みの上から言うと、直ちにこれを、保証協会のほうの保証料というか、納金をゼロにするということは非常にむずかしい制度であります。いずれにしても、しかし、そういうようなほんとうの零細な企業の人たちが、資金がだぶついているという今日、そういう問題で悩んでいる、苦しんでいる、その事実だけははっきり御認識いただいて、そうした負担の軽減、あるいは、そうした零細な企業が成り立っていくような措置というものを、これはもう通産省あるいは中小企業庁、あげて御検討いただきたい、こう思います。これは御要望申し上げて、だいぶ時間もたちましたから、質問を終わります。
○宮崎正義君 大臣、夕刊を見て驚いているわけですが、「米国大豆の輸出を禁止」という見出しで、「穀物規制の第一弾」となって、「適用二十七日の船積み分以降」というふうになっている。新聞を見て驚いているのですが、大豆、綿花等がわが国に輸出禁止ということになりますと、これは油の問題もそうでありますが、まず第一に困るのは国民のたん白質資源というもの、これが一つの大きな問題だと思います。 もう一つは、中小企業者がどうなっていくか、これのお考え、善後策、こういうものが考えられると思いますが、この点について御答弁願います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 米国産の油脂原料の輸出停止について、私もきょうお昼ごろその報告を受けたところでございます。米国政府の発表は、大豆、大豆かす、大豆油、綿実、綿実かす、綿実油等について、暫定的に船積み禁止措置をとる旨を発表した。それで、七月二日までに輸出割り当てについての数量及び割り当て方法について発表がされるであろう、それで、大豆の船積みを開始してない分について効力を生ずる、こういうことで一九六九年輸出管理法第三条によって発表時刻を基準としてやる、こういうことのようであります。これは非常にショッキングなやり方でありまして、先般、アメリカの大統領の方針で一部の食料品について輸出を禁止することがあるということでありましたが、すでに契約の済んだ分についてはその限りにあらずということで、大体大豆については、農林大臣の話ですと、十二月分ぐらいまで契約は済んで手当て済みである、ですからだいじょうぶでしょう、こういうことでわれわれも安心しておったのが実情でございます。それが突如として、今度は船積みも開始してない分について適用するということは、これは驚くべき一方的な処置であると私は思います。やっぱりお互いが貿易しているという以上は、こういう措置をとるときには、両方の国がよく話し合って、用意をとらせるということが友好国同士のやり方ではないかと思います。この問題については、関係各省とも相談をして、アメリカに対して何らかの対策を講じてもらうように意思表示をする必要があるし、情勢によっては相当の人をアメリカに派遣する必要があるんではないか、そういうように私は感じておったところであります。
○前川旦君 この問題でお聞きしますけれども、これは農林省の管轄かもしれませんけれども、ただ、資源という問題で、もっとマクロな立場で見ると、通産大臣もたいへんこれは大事な責任があると思います。 そこで、いまのアメリカに派遣してどうこうというお話ですけれども、結局、アメリカは、国際収支を改善するために、食糧不足、国際的な食糧不足を前提にして、食糧を戦略物資として考えているというふうに言われているわけです。そうなると、少々の説得ではなかなか聞かない問題だというふうに判断をする。たいへんこれは重大問題だというふうに思いますね。ですから、一つの省の農林省だとか何々省だとかいうセクトの問題でなくして、国全体としての重大問題だと思います。そういう意味で、いま問題になっております資源とはちょっと違いますけれども、そういったマクロな立場から見て、日本人のたん白源をどこへ持っていくのだ——魚はこういうような状態ですね。遠洋漁業も十二海里を認めざるを得ない。さらに専管水域もだんだん押されていって認めざるを得ない。そうすると、おそらく五年後には千三百万トンぐらいの魚の消費量を要するだろうというふうに推定されておりますけれども、遠洋漁業がだめ、それから沿岸がまあ水銀、たいへんなことですね。しかも、大事なたん白源である大豆が押えられたとなると、一体日本人の生きていくための、工業用の資源じゃなくて、生きていくための資源が一体どうなるのだという、たいへんな問題になります。そういうマクロ的な立場に立っての大臣の御所見を伺いたいと思います。これが一つ。 第二番目に、いま日本の大豆の自給率は、昭和四十六年で、たしか四%ぐらいだったと思いますよ。九割以上が輸入で、そのうちのさらに九割ぐらいがアメリカからの輸入に依存していたと思います。そうなりますと、いまの自給率でいくと、いままでわれわれが一日で消費していたやつを、輸入ワクが押えられますと、二十五日間に伸ばして消費するということになりますと、たいへんなことになります。で、最も近い、すぐ問題になるのは、食用油をとる、こういった産業ですね、企業になります。それから小さいところになると、みそとか、しょうゆとかになります。これに対してどういうふうな打つ手があるのか、どういうふうに手を打たれようとなさいますか、どういうふうに具体的に。すぐ取り組んでいかなければいけない問題だと思います。どういうふうにお考えでしょう。この二点について伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一の、国民が生きていくための必要な食糧という面において、大豆のような、日本人が、みそ、しょうゆ以下たん白給源として一番大事にしているものが突如としてこのような措置をとられておるとは、はなはだ遺憾に存ずるところであります。これは、国全体として、こういうことが起こったことをよく検討し、また政府としても反省しなければならぬところがあると思いますが、当面の方策としては、やはりほかの国から手当てをすると、対象から言えば中国でしょう。だから、中国に対してできるだけ大量の大豆を買い付けさしてもらうように特別の措置を講ずるということが必要ではないかと思います。 それから第二に、こういうようなことがほかのものに起こらないとも限らない、石油について先般消費国同士で緊急の場合に融通しようと、そういうような構想がOECDの石油委員会でもあって、各国はそれに同意して、そのためのワーキンググループをつくるというところまで合意したのですけれども、石油は、まあ産業の食糧に当たるかもしれませんが、大豆のようなものは生きている人間そのものの食糧であって、こういうようなものこそ、またお互いに緊急融通すべき石油以上の性格を持っているものではないかと思います。したがって、ある友好国として友好関係にあるというような場合には、こういう国民生活に緊要な関係にある物資については、やはりよくお互いで話し合って、そうして最大限国民同士が協調し合うような形で、こういう経済問題も解決していくということが望ましいという気がいたすのであります。そういうような考え方を基本にして、今後起こり得る問題について至急対処する外交的措置を必要とするんではないか。 これは、ほかの物資についても言えることでありまして、大体最近の世界的インフレの現象というものが、食糧とそれから石油等からじわじわじわじわ起こっているわけでありまして、これがほかの工業や農業あるいは食糧等の緊要な部面に起きてくるということになると、これはたいへんなことになります。そういう意味において、これは外交的な措置を講じて、国民に安心してもらえるようなことを至急政府はやらなければいけないのではないか、そういうように思います。
○前川旦君 きょう起こったことですから、きょうすぐ具体的なことをお尋ねしても、それは無理かもしれません。そこで、まあ私はいまのでやめておきますが、一つだけ、原則論として、いままで通産省のエコノミストには、食糧の、農業の国際分業論というのがずいぶんあったように聞いています。しかし、こういう国際分業論というものはもう成立しなくなった、そういう時代が来ていると私ども思うのです。その点で、大臣は食糧の自給率を高めていかなければいけないというふうにお考えになっていらっしゃるか、あるいは、その国際分業論というものをもう清算しなきゃいけない時期だというふうに考えておられるのか、その辺の基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、食糧の自給率を高める論者の一人でありまして、そういう点は自民党内においても常にわれわれの同志とともに強調しているところであります。これは松村謙三先生から、実は前から、なくなる前に言われておったことで、先年がなくなる前に述懐して言われるには、いま食糧が余った、古々米古々米といって、みんな余分なような気持ちに思っておるようだけれども、自分はかつて米穀法、米穀統制法、いろいろなことを農林議員としてやってきた。長いいろいろな経験から見れば、余ったり、足りなかったり、いろいろなことがある。しかし、結局、長い経験から見て感じたことは、食糧は自給しておかなければいけない、したがって食管法というものは堅持しなければならぬ、そういうことをこんこんと私に言ってくれたのが私の耳にいつでも新たにあるわけであります。でありますから、石炭問題につきましても、かつてこれは参議院の委員会で申し上げたことがあるような記憶がいたします。あるいは衆議院で申したかもしれませんが、石炭のようなものも、ある意味においては米の食管におけるような立場が考えられるかもしれない。いま石油、石油といってはやしておるけれども、いつの日かこの石油が不足になって、また国中で騒ぐことがないとは限らない。そういう意味において、国産資源というものはやはりあくまで大事にして、いざというときにはそれが役立つように心がけておくことが長い目で見て大事ではあると思う。そういう点で最近の石油情勢等を考えてみると、石炭問題についてももう一回新しい見地から見直すべきときがきたんではないか。エネルギー白書をつくると言いましたけれども、そういう思想が一部私の中にあるんでありまして、そういうことをお答えしたことがあります。私は、やはりいまおっしゃいましたように、食糧について世界分業論というものが、こういう世界的食糧不足、あるいは天候異変というような情勢から成り立ちにくい情勢が出てきたと確かに思います。そういう意味において、自給率は八〇%以上にせよ。八〇%を下ってはならぬというのが私の所論でありまして、そういう線をやはり私は堅持していかなければならない、そういうように私は思います。
○大矢正君 私は本来当委員会の正規の委員ではございませんで、長い間商工委員会に所属をいたしております。このたびの通商産業省設置法の一部改正につきましては、商工委員の一人として重大な関心を実は持っております。と申しまするのは、なるほどこの法律改正の件名が設置法の一部改正となっておりますけれども、しかしその中身というものは、一部ではなくて全面改正と言ったほうがよいのではないかと思われるような、そういう大きな変革でありますし、組織上、機構上、昭和二十七年に続いて二十年ぶりの大改革でありまするがゆえに、私ども商工委に籍を置く者としては非常に強い関心を持っております。本来でありますれば、当委員会と商工委員会との間に連合審査を持って、私ども社会党に所属する同僚議員ともども、具体的にこの新しい機構というものが行政の上でどういう役割りを果たし、そしてまたどのような作用を及ぼすのかということを質問をいたしたいと考えておったところでありますが、しかし当内閣委員会の審議をじゃましてもいかがかと思いまして、私が一人だけかわっていただいて、きょう質問を申し上げるわけであります。したがって、政府側から答弁される内容のいかんによりましては、私は同僚各位の協力も得て、ぜひ商工委員会との間に連合審査を持ってもらうことになるかもわからぬということをまずもって申し上げておきたいと思うのであります。 最初に、繊維局長、あなた、実は私は心中を察するに、何とも言われない微妙な現在心境にあるんじゃないかという感じがするんです。なぜそういうことを言うかといいますと、現在の通商産業省の機構の中で特定の産業の名前を局の頭につけておるのはあなたのところの繊維雑貨局と、いま一つは鉱山石炭局、この二つしかありませんね。そこで、鉱山石炭局は、これは資源エネルギー庁という大きな組織に発展をしていくということでありまするから、これはまあ言ってみれば出世をしたと同じことですがね。その意味で、私は、この鉱山石炭局というものが名前を変わることについては、これはむしろ本質的に私ども賛成をするし、けっこうなことではないかと実は考えております。ただ残念なことには、今度は繊維という名前が局の上からなくなってしまう。正確に言うと、どうやら生活産業局の中の一つに今度は繊維がなってしまいますね。過去における繊維の栄光、過去における繊維の国家に対する貢献あるいは輸出に対する貢献、こういうことを考えますると、通産省の取り扱いというものはまさに隔世の感があると私は言えると思います。 そこで、一つの例を私はあなたに申し上げてみたいと思うんであります。だいぶ以前の話でありますが、椎名悦三郎さんが通産大臣をやっておられたときに、当時一省一局削減という総理の至上命令がありまして、通産省はどうしても一局削減をしなきゃならぬということになりました。その当時、鉱山保安局と申しまして、炭鉱それから鉱山、この二つの産業の働く者の生命、それから安全を維持するためのそれだけの局が設けられておりました。椎名さんは、一局削減でありまするから、それを削減をしようとかかった。私は当時商工委員として猛烈に抵抗して、とうとうこれをそのままの形で残すことになったのであります。その結果が鉱山石炭局という、鉱山局と石炭局が一つになって、今日のような鉱山石炭局になったわけであります。それは、なぜ私が主張したかと言えば、やはりそれは人命尊重という立場がいかに重大であるかということを政府に知ってもらうために最後までがんばり、ついに大臣も折れて、鉱山保安局は残ったわけであります。ところが、その私がだいぶ以前でありまするが残した鉱山保安局が、今日どうなっておりますか。それが公害保安局に変わりました。今度は立地公害局という局の中の石炭課という単なる課にしかすぎなくなってしまいます。これが一つの例です。 あなたは繊維局長として、おそらく単に初めて繊維を担当されたんじゃなくて、事務官時代もおそらく繊維を担当されたのではないかと、よくは存じませんが、思いますが、あなたがもしそういう時代があったとすれば、その時代と今とを比較して、いかに世の中が変わったとはいえ、栄枯盛衰世の習いとはいいながら、繊維の問題に関してあまりにも政府の態度というものは非情ではないか、そしてこのままいけば、ちょうど保安局と同様に、最後には繊維課という一つの課だけでもって、あとは全然見向きもされないというような時代になりはしないかという懸念をあなたはお持ちになることはないでしょうか。あなたは最後の繊維雑貨局長として、もしこの法律が通ればですよ、あるいは私はがんばってこれはぜひ流してもらうといって皆さんにお願いをするかもしらぬけれども、もし通れば、最後のあなたは繊維雑貨局長です。あなたの感情をこういう場で言えというのもそれは酷な話かもしれませんが、あなたはあなたなりで、やっぱりこのなくなる繊維局というものに対する愛着があるでありましょうし、同時に、単なるそういう感傷の問題だけではなしに、こういうことでいいかどらかというあなた自身の産業政策上の判断もあるでありましょう。あなたの感想をまず第一点、お尋ねをいたします。
○政府委員(齋藤英雄君) これは繊維雑貨局と申します一つの局の問題を越えた問題であろうかと思います。私ども、従来物資別のいろいろ原局がございました。現在も重工業局をはじめとして各局ございますが、それが今回二十数年を経ました行政上の要請によりまして、行政の要するにニーズと申しますか、行政の必要性と申しますか、それを現在の情勢に応じるようにこれを変えるというふうなことに相なっておるわけでございまして、私どもとしましては、今回、繊維雑貨局がもしこの法案が成立をいたしまするならばなくなります。したがいまして、生活産業局ということになるわけでございます。生活産業局という名前で、国民の、あるいは極言すれば消費者のそういういろいろ行政ニーズが非常に高まってきた現在、一応総体としてそれにこたえるという意味における組織変更であるというふうに私どもは考えております。したがいまして、今後、生活産業局にもしなりました場合には、そういう関係の行政ニーズにこたえるように努力をいたしたいと考えております。
○大矢正君 昔——昔と申しましてもそう古い昔ではありませんけれども、先ほど申し上げた鉱山石炭局というものがかつては鉱山局、石炭局と二つあったのを一つにまとめる段階のときに、当時石炭局長でありましたが、いまは東北電力に行っております中川理一郎という人がおりましたわね、その人が私にこう言ったのです。私は十五代目の石炭局長だ、私は十五代の石炭局長で石炭局というものがなくなってしまう、何とも言われない心境だ、徳川幕府が十五代でなくなったと同じように、自分も十五代でとうとうなくなってしまうのだ、まことに何とも言われない心境だ、こう言ったことを、私、実は思い出しますのです。特に繊維の問題については、私も長年自分みずから手がけてきた立場もあり、ここでもって、たとえば鉱山石炭局のごときに、資源エネルギー庁のように出世をするというか、拡大をするというか、力が強くなるというか、大きくなるといいましょうか、そういう立場ならいざ知らず、そうではない縮小の方向に繊維が持っていかれるということについては非常に残念であります。 そこで、それに関連をしてお尋ねをいたしますが、いまガットにおきましては、繊維の多国間協定問題綿の協定に引き続いて例の田中さんが通産大臣のときに強引にやられました対アメリカとの交渉結果に基づく毛、化合繊に対する制限、規制、御存じのように、私が申すまでもなく、あの綿製品協定には、繊維製品は綿だけを規制するので他は一切規制はしませんと明確に書いているにもかかわらず、アメリカ自身が無理難題を押しつけてきて、とうとう毛、化合繊まで規制をさせることにした。今度はそれだけで足らなくて、綿の中に全部毛も化合繊も押し込んでしまおうということを、来年の六月を目途にしてか、ことしじゅうにやるつもりかわかりませんが、ガットの中でいまアメリカがやっておりますね。日本が防戦しておりますね。私は、先般の商工委員会におきまして、わが国はどんなことがあっても、あの当時の田中通産大臣の譲歩によって繊維問題は片づいておるのだから、この際、綿をさらに拡大をして毛、化合繊までも多国間協定——多国間協定というば聞こえがいいのだが、表向きは多国間協定だが、実際はアメリカと日本が話をして協定をするということですからね、結局のところ包括規制でありますから。ですから、どのような締めつけが来るかわかりませんね。そこで、ますます繊維産業というものは衰退をする、また通産省の中における地位が下がっていく、こういう結果になると思うのでありますが、私に対しての約束は、ガットにおいての話し合いというものは、あくまでもこれは関係各国の実態把握というこの限界において行なわれるものであって、それを越えるものではないという当時答弁があったのであります。ところが、どうも見ておりますると、単なる実態把握ではなしに、包括的な規制を含めて、いろんな関税その他、条件の内容を個々にきめてしまおうというような動きに日本みずからが乗りそうな気配があるが、ほんとうにそういう考えがあるのかどうか、もしあるとすれば、国会において私どもに答弁したことに対しての重大な違反事項を政府みずからが行なおうとすることになるのでありますが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(齋藤英雄君) 現在ガットで行なわれておりますいわゆる作業部会——通称WPと申しておりますが、これは、お話がございましたように、昨年の六月からいわゆる第一ラウンドというのが始まりました。その場合には、いわゆる事実を探求をするということで始まりましたわけでございまして、数回開かれましたあとで、十二月に報告書ができ上がりました。まさに従来の繊維の貿易関係の事実を探求をした報告書ができ上がりました。その後数回、そのあとの取り扱いについての議論がガットの内部でございまして、その結果、本年の五月にその次のラウンドのWPが設けられたわけでございます。このWPの任務といたしておりますところは、繊維貿易における問題点の究明ということと、それに関連をいたしまして、もしできますならば、いわゆる解決策、複数になっております。ソリュージョンズという複数になっております解決策を探究するというその二点になっております。それで、私どもは現在その会議に参加をいたして議論をいたしております。 その内容は逐次報ぜられてきておりますが、この問題につきましては、私どもは、WP自身、三点だけ留保と申しますか、がついております。一つは、今回の会議自身が、いわゆる今回の会議の結果は各国を拘束するものではないという前提が一つついております。それから第二番目には、本問題につきましては、解決策というのは、繊維問題の解決策、いろいろございますが、いろいろな解決策ということで解決策が複数になっております。それから三番目には、本問題についてのリポートを出すことになっておりますが、そのリポートにつきましては、これはいわば中間的なリポートを出す、こういうことがWPの、タームズ・オブ・レファレンスと申しますが、与えられた任務の範囲内でございます。したがいまして、今回の会議の結果につきましては、一応中間的な報告が出るでございましょうけれども、われわれとしてはそれに拘束をされるという内容のものではございません。 一応経過を御説明申し上げました。
○大矢正君 そうすると、念のために確認をしておきますが、繊維局長、あなたの最後のことばで、拘束されることはないということは、ガットを中心にして多国間協定が結ばれてわが国が拘束されるということは、今後ともあり得ないというふうに、私はそのとおり一〇〇%受け取ってよろしいですか。
○政府委員(齋藤英雄君) ただいま御説明申し上げましたのは、今回のWPにおきます。作業部会におきます作業の内容と申しますか、でき上がりました結果に対しますガットの約束でございます。したがいまして、今回のWPで出しましたガットの結果と申しますか、報告につきましては、各国ともこれに拘束されることはございません。
○国務大臣(中曽根康弘君) 繊維問題は非常に重要な問題でございますから、現状についてもう少し私から申し上げます。大矢先生が申されたようないきさつがあり、また局長が答弁申し上げたようないきさつがあって、最初はいわゆるファクト・ファインディングということで出発いたしました、事実の究明ということでありました。そのうちに可能な幾つかの解決方法を発見する、そういう研究委員会にしたい、そういうことがありまして、その点についてわれわれは前に国会でいろいろ答弁したこともあり、かつまた、業界や生産者の意向も聞かなければなりませんから、いろいろ生産者、業界の意見も聞いてみました。しかるところ、客観情勢が非常に変化してまいりまして、日本はむしろいまや繊維については輸入国に転じてきた。輸出国よりも輸入国に転じてきたという要素もありまして、韓国とか台湾とか香港からの流入もかなり激しくなってきて、情勢が変わってきたようです。それで、業界の中におきましてもいろいろ意見が変わってまいりまして、グループによって利害がまた対立をしてきた点もございます。それで、通産省としても皆さんと一緒に会議を持ちまして、率直な意見の交換をやって、前の繊維協定のときみたいに隠したりなんかすることはしない、大っぴらに皆さんにも相談かけてフランクにやりましょう、意見をどんどん言ってください、そういうことで話をかけまして、そしてそういう、われわれがそれに、結果については拘束されないということを確認した上で、いわゆるノンコミッタル・ベースということで以上三点申し上げましたが、解決方法を探索する委員会に出席はやらしたわけです。それでその会議が終わりまして、いまその解決方法を、案をつくるということになってまいりました。 それで、その前後の事情を申し上げますと、日本がほとんど孤立する危険性が出てきたわけであります。大体ヨーロッパの国々はアメリカに全部同調、ほとんど同調いたしました。それから韓国とかそのほか頼みにしておったアジアの国々や、一部のいわゆる発展途上国もそちらのほうへだいぶ傾いてまいりまして、日本とブラジルが孤塁を守ってきたというのが最近の情勢でございます。それで、いろいろ関係者とも相談をしました結果、ともかく、じゃあ解決方法複数を検討する、模索する、そういうところまではいいじゃないか。ただし結果には拘束されないということまで出ていきまして、そしていまその最終的に解決方法を提出する、そういう形になってきたわけであります。 これからどうするかということは、その内容がどういうものが出てくるか、あるいはそれに対してわがほうはどういう態度をきめるかということを次に判断するという段階になりまして、アメリカ側からは、ともかくヨーロッパがいままで同調しているのだから日本もそこへ同調してくれという、そういう非常に強い要請がございます。ございますけれども、わが国はわが国の国益がございますし、関係者の御意見もございますから、それらの意見をよく聞いて、国益に沿う方向で私たちは次の方策をきめたい、こう思っておるのが現状でございます。
○大矢正君 大臣も御存じのとおり、現在の総理の田中さんが通産大臣の時代に強引にこの業界の反対を押し切って、アメリカとの間に繊維の問題については取りきめをして、これで日米間の繊維問題は本来的には解決をしているはずなんです。それをまたあらためてガットに持ち出して、またまた日本を苦しめようとするようなこういう態度をとりつつ、しかも一方的に、さっきのお話にもありましたように、大豆の輸出を差しとめる、日本ののど首を締めると、こういうようなアメリカの態度というものは、これはもうとうてい許される内容のもので私はないと思うのですよ。もう弱みにつけ込んでどこまでも押してくるといういまのアメリカの態度というものは、私はやはり中曽根大臣も閣僚の主要な一人として、対アメリカとの関係におきましては強い態度を今後とも堅持してもらいたいということをまず希望しておきたいと思う。 次に、山下局長にお尋ねをいたします。 昨年の国会におきまして、御存じのとおり、工業再配置公団が設置をされました。これはひさしを貸しておもやを取られるという感じで、本来は産炭地振興事業団であったものが、工配事業団に乗り込まれて、このごろは産炭地のほうが小さくなって、あとから来たほうが大きな顔をしているというような状態で、どっちが本体かわからぬような現状でありますが、そのことはまあ別といたしましても、この工配事業団なるものが、今日までかなりの月日を経過しておるが、私が聞いている限りにおきましては、一向にこの事業が進んでいかない、作業が進んでいかない。作業というよりも、この再配置の目的が実行されない。そのために、たとえば線引きを昨年はいたしました、ずいぶんごたごたをしたようでありますが、まあ結局最終的に一応の線引きをしたが、その線引きをかなり大幅に修正をして、実際問題として本来の目的に合致をしているかどうかわからないような線引きのし直しまでしなければ、この工配事業団というものをつくったんだがその目的を果たすことができないような状態に現状ではあるという、こういう認識を私は持っておるのでありますが、いかがでしょう。
○政府委員(山下英明君) 御指摘のとおり、法律に基づきまして十月一日から産炭地振興事業団と一緒に事業を始めたわけでございます。で、法律の趣旨である過密地域の工場を過疎に移すという仕事でございますが、すでに法律が実施される前から相当多くの工場にそういうプランもありました関係で、開店と同時に二十社近くの申請があり、現在京浜、阪堺地区で合計九社につきましてはあと地融資を実施いたしました。なお、申請者のうちにさらに審査を続けております。四十八年度の予算は、御承知のように財投も含めて七百億円をこえる金額でございますが、そのうち実際に貸し付けたのは百七億円でございますけれども、私どもの見込みではまだまだ申請工場は出てくると思います。公団みずから団地をつくる仕事は、先年調査しました結果、今年度のうちに二つないし三つは造成に着手できるものと思います。もとより法の趣旨からいえばまだまことに緒についた段階でございますけれども、御指摘のような線引きをいまここで改めるというほどのことはないんでないか、もう少なくともことしは誠心誠意いまの方向で実施してみてからであると、こう考えております。
○大矢正君 大臣にお尋ねしますが、私はいまこの国会の主要な議案になっております例の田中総理かねがね主張の日本列島改造論に基づく一連の法律案、そういうものとの関係においてこの工業再配置法というものが成立をして、そしてその工場立地その他についての具体的な措置が講ぜられ線も引かれるならばよかったんだが、そうじゃなしに、単にこっちの工場をこっちに持っていけばいいのだという、それだけの単純な、言ってみれば判断だけで昨年法律をつくってしまったがゆえに、私が申し上げたように、効果としては、将来はどうかわかりませんが、現在の段階ではあまりあがってない、こういう点が出てきているわけですね。したがって、私は、やはり一連のその列島改造に関連する法案との関連で、この工業再配置に関係する法案と、それからその実際というものは検討し直すべきではないかという感じがいたしますが、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 列島改造というビジョンは、私はやはり歴史的な趨勢に乗ったビジョンであるだろうと思います。あの列島改造論というのを私読みましたが、あれは田中総理の個人的アイデア、それがそのまま、自民党や政府がそのままそっくり採用するものとは限りません。それは党やあるいは政府がいろいろこれを考えてみて、ひとつの素材として受け取るものであろうと思いますし、本人もそう言っておられるようであります。しかし、あれを実行するについてはかなりの時間を要するだろうと私思うのです。私は通産大臣を拝命しましたときに、列島改造をどうするかと言われたときに、これは五代の内閣で三十年かかるだろう、それぐらいの長期視野でいろいろ周到なことでやらぬと、これはそごを来たすということを言ったことがあります。いまでもそういうふうに思います。 そういう意味で、やはり列島改造は、一つのポイントは、過疎過密の解決という問題がありましたが、もう一つは、公害問題がやっぱり頭にあったんだろうと思います。しかし、公害問題に関する部面がわりあいに表に出ないで、過疎過密が表にわりあいに出てきたという点は、政治の取り扱いぐあいにおいて必ずしもうまくなかったと思います。やはり一九六〇年代の重化学工業化に走った結果がいまこういう事態になってあと始末をやらされているという面もあって、それは公害問題というものが正面にいま出てきていることから反省しますと、やはり公害対策ということが非常に強くもっと出てきて、そうして過疎過密というものと一緒に扱われていくであろうと、そういうふうな、感想として申し上げると、感想があります。しかし、そういうような考えにも立ちまして、公害関係の基準あるいは立法等を政府としてはいままで着々と国会へ提出したところでもあり、今回は通産省といたしましては工場立地法等を提出いたしまして御審議願っているところでございます。あれは前にある法律を訂正して出しておるわけでありますが、直したところというのは公害関係に関するところの補強であります。そういう意味で、列島改造というものが、公害関係を非常に注視して、そして強く出てきていると、通産省のわれわれの意識においてはそういうことがあるということを申し上げるのでございます。
○大矢正君 井上局長さんね、これはあなたに質問するのは酷かもわかりませんが、先ほど岩間委員から北海道の伊達火力問題についての質問がございました。これは警察官まで出動をして発電所建設のために取り組むという電力会社のあり方というものに対しての疑問が出されているわけですよ。われわれも全くそのとおりだと思います。そこで、この伊達火力の建設反対運動を頂点にして、全国至るところで、これはもう原子力あるいは重油専焼を問わず、火力発電に対して非常に抵抗か高まっておりますね。これは地域住民にとっては非常に大事なことですよね。自分の生命に関する環境上の問題あるいは温排水の問題から考えれば、これは生活権の問題にも関連いたしまするし、まことにこれも個人個人にとっては重大な問題でありまするから、反対運動は当然だと私は思うのですね。そこで、あなたどういたしますか。たとえば関西電力を一つ例にとりますね。関西電力が一番予備率が低いと俗に言われておりますね。これまた低いから値上げをするのだといって値上げを出したのかどうかそれはわかりませんけれども、とにかく予備率が低い。このままいけば、当然のことながら、ことしはなくても、あるいは来年になったら電力の供給不足になって、停電騒ぎが起きるかもわかりませんね。これは一体政府はどうなさるおつもりですか。これは簡単な問題で私はないと思うのですよ。 それから、今度電源立地の問題というものは、これは政府がきめればそれで片がつくという問題ではなしに、先ほど来問題になっているように、地域住民の協力を得なければできない問題なんですね。ですから、その地域の独占を許している電力会社、その電力会社が本来的にみずから用地を取得し、地域住民の理解を得てそうして発電所をつくるということは、これは当然なことではあります。当然なことではありますけれども、しかしながら、それが現状はできないわけですね。できないで、このままいけば、よかれあしかれ遠からず供給不足という問題が起こってまいります。ですから、政府はこのまま放置はできないと私は思いますよ。電気が不足するのは、おまえら反対するから悪いのだとあるいはあなた方おっしゃるかもしれない、私はそうは思わないけれどね。いずれにしても、問題は、そういうことが予想される今日、これよりどう対処されるのか、お考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(井上保君) 現在の電源開発の非常な停滞の問題でございますが、これにつきましてはしばしば御説明申し上げておりますが、やはりいまおっしゃいましたように、公害問題というのが一つの大きな問題であると思います。したがいまして、公害問題の解消と申しますか、公害ができるだけ少なくなるようにいろいろな方策を考えていくということが一つであると思います。 具体的に申しますと、火力発電所の場合には、何と言いましても、まずサルファ分の問題でございます。これにつきましては低サルファ燃料の確保ということに努力をいたしておりますし、なお排煙脱硫装置、あるいはガス化脱硫装置等、脱硫関係の技術の進歩に待ちましてこれを解決をいたしていきたいということで、鋭意検討しておる段階でございます。排煙脱硫装置につきましては、一応の結論が出たような段階でございまして、相当大規模なものを、ユニットの大きなものをつけていきたいということで、いま計画がございます。現在三十二万五千ぐらいございますが、それが五十二年度には八百万キロくらいの脱硫装置をつけようということで、鋭意推進いたしております。それからガス化脱硫の問題につきましては、これもまた技術的にいろいろ問題があるようでございますが、できるだけ早く技術の完成を期したいということで、工業技術院も入りまして、五十一年度あるいは五十二年度くらいの完成を目途に、いろいろと研究いたしておる段階でございます。 それから原子力発電につきましては、これは放射能の問題等につきましては、原子力委員会の安全審査部会等でいろいろと基準を検討いたしておりまして、現在五百ミリレムのものをさらに低くすべきではないかということで鋭意検討いたしております。そういうことで、安全性の確保という点につきましても、一般の方々の了解を得られるように努力をいたしておる次第でございます。 それから温排水の問題でございますが、これは原子力、火力両方に起こってくる問題でございますけれども、これにつきましても、いろいろな方法を講じまして、温度の上がる度合いを極力少なくするということで、あるいは深層取水の問題とか、あるいは強制攪拌の問題とか、いろいろ新しい方法も最近出てきておりまして、極力そういう影響力がないようにしていきたいということで研究し、またよく御説明をして納得していただいて、発電所の建設を推進したいと、こういうふうに考えております。
○大矢正君 私が質問しているのは、そういうこまかい内容ではなくて、なまいきなことを言うようだけれども、もっと次元の高いひとつ議論をさせてもらいたいと思って申し上げているわけですよね。あなた、さっき岩間委員の質問に対しても、たとえば環境庁がこれこれでいいと言っていると言ったし、それにちょうど適合しているんだからいいじゃないかとおっしゃったが、それは私に言わせるとまことにこっけいな話だと思うんですよ。 それはなぜかと言いますと、一つの例を申し上げましょうか。あそこに齋藤化学工業局長すわっているがね。私はつい二、三日前までは公害の特別委員長をやっておりましたよ。それで化学物質の規制に関する法律を審議しました際に、PCB、それから水銀、こういうものの規制問題について通産省はどういうふうにして取り組んでいるかという話の際に、三木さんから、水銀の問題については年内にクローズドシステム、すなわち外に出さないように年内にやりたいと思うと。なお、それから水銀によってソーダをつくる場合、隔膜法によって水銀を使わないようにして、水銀をなくしていこう、そういうことで実はいきたいと思うんだと。ところが——ところがですよ、それをできるだけ一、二年のうちに一〇〇%水銀法からソーダをつくる製法を隔膜法に設備を直して——直してというか、改造してもらいたいという希望を通産省に出したところが、通産省は、五十年の時点で五〇%しかできません、あとはできるだけ努力をいたします。ですからこれで認めてくださいと、こういうことで、結局環境庁はしかたがないということで、環境庁は通産省がそう言うからそれを認めるわけですね。そうすると、それが基準になるわけですよ。 ですから、環境庁が認めて、環境庁の認めた範囲の中の基準だとあなたはおっしゃるが、実態はそうじゃない。通産省がつくっているのです。環境の基準を。あなた方は、おれのほうは幾ら言われたってこれしかできませんよと言われたら、環境庁は実施官庁じゃないから、できないから、しかたないからあなた方の言うことを聞かざるを得ない、その範囲内でもって結局数字をきめなきゃならぬというのが実態じゃありませんか。ですから、私はそういうこまかい議論じゃなしに、もっと大所高所から立って、電力不足の起こるというこういう事態について——しかも住民の反対運動というものにはそれ相応の正当な理由がある。こういう相矛盾する中にあって、通産省としてはどうしたらいいのかということをあなたにお聞きをしたわけだが、しかし、これはむしろあなたに聞くよりも通産大臣に聞くほうが正しかったのかもしれませんから、大臣からお答えをいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり時代が進んでまいりまして、公害問題その他が非常に緊要な問題になってきた、この情勢をよく踏まえて、発電所を建設する政治の姿勢といいますか、そういう点について検討を加える時期に来ているんではないかと私は思います。 社会党の皆さん方から、原子力発電所について公聴会を設置せよ、そのほかいろんな御要望がございましたけれども、やっぱり住民の意思を聞くという点においては、公聴会という案は一つの大事な案でもあると思います。これは一つの例でありますけれども、いままでわれわれが電源開発に努力してきた姿勢自体がそのままでいいかどうか、やはり基本的な部面から政治の姿勢自体をもう一回検討して、いまの時代に合うように、スムーズに動けるようにするという配慮は必要ではないかと思います。
○大矢正君 官房長にお尋ねします。 いま私は公害に関係する問題についてお尋ねをいたしましたが、通産省設置法の通商産業省の任務の中に、公害防止と申しますか、公害というのはその出口で押えようたってだめなんで、もとから押えなければならかものですからね、出口でももちろん押える方法もあるでしょうし、やってもいるでしょうが、たとえばPCBの問題にしても、水銀の問題にいたしましても、結局のところ通産省の所管する企業体というものが発生源であることはもうまぎれもない事実ですね、あらゆる場合に。一〇〇%とは申しませんが、大部分がそうですね。 そこで、繰り返し申し上げますが、通商産業省設置法の通産省の任務の中に、公害というのはどこにあるのでしょうか、公害対策というのは。
○政府委員(和田敏信君) 通産省設置法におきまして、現行設置法におきまして、たとえば重工業局に関して申し上げますと、「重工業局においては、左の事務をつかさどる。」ということで、「輸出、輸入、生産、流通及び消費の増進、改善及び調整を図ること。」、このような規定の中で、公害に関する防止をはかっていくというふうにわれわれとしては読んでおります。
○大矢正君 ちょっと私、いま官房長の言われる意味がよくわからないんですがね。さっきから言っているように、公害というものは通産省が取り組まなければならぬ非常に大きな問題点でしょう。環境庁というものはあるけれども、環境庁というのは実施官庁じゃない、あくまで経済企画庁と同じで、これは一つのものを考え出して、そいつをそれぞれの各省実施官庁に指示をしたり、協力を得たりしながら行使をする、言うならば企画官庁ですよね。通産省は公害の一番大きな問題点を持っているわけでしょう。だから、通商産業省の任務の中にその公害ということばがどこかに入っておるんですかと、私は尋ねておるんです。
○政府委員(和田敏信君) 通産省設置法第三条第三号……。
○大矢正君 これはないんだからだめなんだ、あんた幾ら読もうたって。
○政府委員(和田敏信君) 「商鉱工業の合理化及び適正化に関する事務」と、ここで読ませていただきたいと思っております。
○大矢正君 大臣、あなたにお尋ねしますがね。どうですか、これほど世の中は水銀問題で魚が食べられない、何が食べられないと言って大騒ぎしているんでしょう。通産省はもうほんとうに真剣になって公害と取り組まなければならぬからこそ、公害局というものをつくっているわけでしょう。通産省の任務の中のどこに一体公害ということばが出てきますか。それは確かにそれはないから、まあ窮余の一策でいま官房長は、結局、「商鉱工業の合理化及び適正化に関する事務」と、この中に公害が入っているという読みをしてもらいたいと、こう言っているんだ。そういうふうに読んでもらいたいとぼくに説明しているんです。これでいいですか、これで。まだありますよ。まだ聞きますよ。ほかにまだまだあるのですから。今晩ぢゅうに終わらないよ、これ。
○国務大臣(中曽根康弘君) 必ずしも十分ではありませんが、いまの条文はやはりそれに該当するし、それを受けて公害保安局という局がつくられているんではないかと思います。
○大矢正君 これはね、あなた、幾ら私が人がいいったって、「商鉱工業の合理化及び適正化に関する事務」と、事務ですよ、これ、いいですか、その中に公害対策が含まれますなんて、そんなへ理屈は何ぼ言われても、それをあなた方が突っ張るんだったら、私も突っ張りますよ。それなら私はもう質疑やめますよ、そういう突っ張り方をするなら。すなおに悪かったら悪いとして、将来このことを考えると言うんなら、話は別ですよ。いいですか。 それから、次に申し上げます。消費者対策は通産省のこれは非常に重大な問題ですよ。たとえば先般投機問題がありましたね。その投機問題、商社の特に買い占め問題でもって世の中は大騒ぎしたじゃありませんか。あの問題だって、通産省の任務の中の一体どこに出てきますか。そういう不公正な取引について、それから消費者保護について、具体的にどこに通産省の任務の中に出てきますか。各局の任務の中にはそれは個々に出てきますよ。それは、あなた、公害局って名前がついているのに公害ということばがなかったらおかしな話ですから、公害局の任務の中にはありますよ。しかし、通商産業省の任務の中にないというのは、一体どういうことなんだ。 中曽根大臣ね、私もむちゃなことは言いませんよ。せっかく衆議院を通ってきてここまで来た法律だから、いまこの場ですぐ書き直せとは言いませんが、すなおにそれじゃあ今後、今後ですよ、いまの段階ではそういうふうに読ましていただくが、やはりこれ確かに不備はあるならあると、したがって今後次の国会なら国会なりで、この部分についてはやっぱりわかりやすく、ほんとうに通産省が公害なら公害に取り組んでいるんだ、消費者行政なら消費者行政に取り組んでいるんだと、そういうことを明確にわかりやすいようにはっきりとここに記入しますということをあなたが答弁されるなら、私は納得しますよ。それを言わないで、へ理屈ばかり言うんならば、私は最後までがんばりますよ。
○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろおっしゃっていることをお聞きしますと、われわれのほうに考えの足りないところがあることをいま私発見いたしまして、大矢さんの言われるとおり、将来不備な条文を訂正するようにいたしたいと思います。
○大矢正君 まあいろいろ事情もあることですから何ですが、ところで小松さん、あなた通商局長ですよね。通商局というのといま貿易振興局と二つあるね、貿易関係についてはね。私はかつて、貿易振興局というのはちょっと対外的に聞こえがよくないんじゃないかと、あのうしろに増田さんおられるけれども、振興局というとあたかも貿易をどんどん、物を売るだけにせっせせっせと通産省やっているというふうに見られがちだから、振興を取ったらどうかなあという話を冗談まじりに私言ったことがあるがね、私、実は最近、学がないもんですから国語辞典なぞを二、三引っぱり出して、通商ということばと貿易ということばとどう違うのかと思って実はいろいろ読んでみたんですがね、大体大差がなくて、同じように、外国との間に貿易をするのを一名貿易と言い通商とも言うと、こう書いてあるんですが、多少通商というものは貿易よりも範囲が広いかなあという書き方もありますけれども、大体同じようなことだが、そういう私の国語辞典の読み方が間違いなければ、通商局というものと貿易振興局、今度は通商政策局と貿易局と二つに分かれますがね、これは確かに仕事を分ければ二つあってそれなりの意味があるかもしらぬがね、まあ、私考えるのに、これはちょうどエネルギー庁が一本になったように、いままでの縦割り行政を横割り行政にしなければ効果があらわれてこないという今日の実態から考えてみて、やるんならやっぱり一本にしたらどうだろうか、すなわち何というか、通商庁というか、庁なら庁つくるなら通商庁でもけっこうですし、そういうようにして、二つに、通商と貿易と分けるところに多少矛盾がありやしないかという感じがいたしますが、いかがですか。
○政府委員(小松勇五郎君) 先生御指摘の点はごもっともでございまして、これを一本にできないかどうかということも、通産省の内部におきまして、官房を中心に今回の機構改革案を審議しております過程で盛んに議論されたわけでございます。確かに通商と貿易となかなか分けがたい概念でございまして、なかなか割り切った答えが出ないで困ったわけでございますが、ちょっと極端な話をいたしますと、もとのように一つの局にいたしますと、何しろ現在でも課が十九かそこらございますし、部が二つございますし、局長が課長さんと話をする時間もろくに取れないというふうなことがございまして、行政能力の限界がございましたもので、やむを得ず二つに分けたという経緯がございます。そういうふうな経緯もございまして、何かどこか分けられるところで分けて、できるだけ行政能率をあげるようにということで苦心しました結果が今回の改正案で、経済協力の関係を通商と広い概念に含めまして、経済協力部を通商政策局に移す、また、貿易ということばの本来の意味に戻りまして、現在通商局のほうにございます輸入関係の仕事を貿易局のほうに移すというふうな苦労をしたわけでございます。なかなかむずかしいところだと思いますが、このような経緯でございます。
○大矢正君 何か民社さんのほうで質問があるというお話のようですから、私はほんとうはまだまだ聞かなければならぬこと山ほどあるのだけれども、さっきから申し上げておるとおりに、よその委員会から来て人の委員会を荒しやがってとにくまれてもいやですから、この程度で私やめたいと思います。 ただ、エネルギー庁のあり方とかなんかについても実は意見がございます。はっきり申し上げて。たとえば、エネルギーと申しましても御存じのとおり一次エネルギーと二次エネルギー、すなわち油とかガスとか石炭とかというような一次エネルギーと、そうではない、それらを使ってやる電力なんかを中心とする二次エネルギーというものと、二色ありますね。そういうものが一つの中で共存をするということの可否の問題等、私はやっぱりいろいろ議論の多いところがあると思いますよ。しかし、きょうは、そういうようなことで、もう六時半で、しかもあと民社さんもあるということですから私はやめますが、ただ、この委員会の採決をもしおやりになるなら、採決の前に、私は大臣に先般申し入れをしておりまする石炭問題に関しての御返事をいただきたい。ただそれは、石炭問題についての先般の大夕張の閉山のような重大問題が発生をして、石炭政策自身が転換をしなければならないのではないかと私自身考えておりますが、しかしいまここで大臣に直ちに即答を求めると言いましても、結局、審議会というものがあり、その答申という前提に立って石炭政策が立てられてきておりますから、大臣がここでもって審議会にもはからないで、速記をつけて、私が先般申し入れをいたしております内容について返事をされるということになりますると、審議会に対する、何といいましょうか、背信行為ということになりますから、私はこの場で返事はすぐもらおうとは思いませんが、いずれにしても採決の前に、先般私が大臣に申し入れをいたしております内容について御返事をいただきたい、このことだけを申し上げて私の質問を終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大夕張の閉山に関しまして大矢委員から石炭問題に関する申し入れを私は受けておりますが、省内でも慎重に検討いたしております。適当な機会に御回答申し上げたいと思います。
○大矢正君 大臣、私の申し上げているのは、もし採決をしないでこの設置法をこの次まで延ばしていただけるならそれでけっこうです。そうでなく、私が申し上げているのは、もしこの委員会で採決するならば、その採決をする前に私は話を聞かしてもらわなければならぬと、こう申し上げている。
○国務大臣(中曽根康弘君) けっこうでございます。
○中村利次君 時間がたいへんにおそくなっておりますので、できるだけ時間を縮めて質問をする努力をしたいと思っておりますので、どうかひとつ御答弁も簡明な御答弁をお願いしたい。 いま石炭が問題になっておりますけれども、石炭のガス化技術の開発については、これはわが国でも工業技術院あたりで開発研究をしていたはずですが、だいぶ前におやめになっているわけですね。これはなぜですか。
○政府委員(外山弘君) 石炭のガス化につきましては、ただいま御指摘のとおり工業技術院におきまして、昭和三十一年から七年にわたりまして、低発熱量ガスの製造を目的として、研究対象として取り上げたことがございます。小規模のものについては企業化されたこともございますが、石油糸のガスに比べて非常にコストが高い、採算上の問題から中断されたというふうに聞いております。
○中村利次君 いまやはり採算をとるのか、あるいは大気汚染をなくするのかということが大いに議論の対象になっておる時期だと思うんですね。エネルギー危機の問題にしろ、電力危機の問題にしろ、発想を、やはり、基本的姿勢をぴしりしてまいりませんと、私はすべてが解決しないと思う。幾ら声を高くして強弁をしてみても、なかなか問題は解決をしないと思うんですね。アメリカと日本の場合は、状況は確かに違います。石炭資源なんというものは素掘りでどんどん幾らでも出るというアメリカと、たいへんにコスト高になっておる日本の石炭とは事情が違うと思いますけれども、アメリカあたりではIGTだとか、あるいはエルパソ天然ガスあたりが、一九七五年ですか、大規模な石炭のガス化工場を建てようとしていますね。こういうことについて、日本の石炭はどうなんですか、これは硫黄分がどれくらいありますか。
○政府委員(外山弘君) 北海道の炭は硫黄分が非常に少のうございますが、九州の炭は非常に高いというのが現状でございます。アメリカにおきましても、確かにいま御指摘のようにいろいろな計画があるというふうに私どもも聞いております。あるいはほかの国におきましても、たとえば西ドイツあたりも、あまり大規模のものじゃございませんけれども、一応とにかく進んでいるというふうなことを聞いております。私どもとしましては、やはり石炭のガス化が、公害問題から確かに制約があるという点はわかりますけれども、石炭の有効利用に貢献するというところがとにかく商いわけでございますから、今後の環境の変化、あるいは諸外国の研究開発の実情といったようなものを十分勘案しながら、石炭のガス化についても検討していきたい、こう考えておる次第でございます。
○中村利次君 これはコスト高だから研究開発をやめたというのは、私は現在の社会情勢の中では全く納得のできない理由になると思うのですね。石炭も、これはもういまたいへんに金を食っておる。石炭審の一次答申から五次答申があって、なかなか思うようにいかないでしょう。五千五百万トンを確保する、あるいは五千万トンを確保するといっても、昭和四十七年度ではすでに二千七百万トンくらいになっているわけですね。その出炭量に対して、一次、二次、三次の肩がわりだけでも二千五百五十億ですか、第五次答申で四年間で四千八百億の石油関税をつぎ込んだ特別会計を使って、四年間に五千億近い金を石炭につぎ込もうとしておる。私は石炭対策を非難しているのではないのです。それほどのことをやって、日本の唯一の天然資源である石炭のやはり助成策をとっておる。しかし片方、たとえば局硫黄分の石油を、原油を輸入して脱硫技術の開発と設備をやらなければどうにもならないぐあいになっておるのに、そういう点についての配慮がどうも見当たらないあるいは電力危機にしても、私はこれは前々言っているのですけれども、環境保全の問題だとかあるいは大気汚染、水質汚濁、安全問題等がたいへんにうるさくなって、立地問題はまさにこれは危機の状態にある。ところが、これも先ほどの質問に関連をしますけれども、安全審査の問題にしたって、通産省は通産省で、通産大臣の私的諮問機関として安全審査何というのですか、そういうものをこしらえようとする、あるいは環境庁は環境庁でこの基準をこさえる、一、二年のうちに排出基準をこさえようとする、あるいは科技庁、原子力委員会は、環境保全については安全専門審査会の中に安全審査部というものをこさえようとする、これはまさに百花撩乱の気味がありますけれども、法的根拠はこれは一つもないんですよ。法的根拠は一つもない、ですから、やるんだったらやるように法的根拠を明確にしてやりませんと、いいことであっても、私は法律上の根拠がないことを放縦にやるということは法治国家としての日本としてはたいへん問題があると思いますよ。時間がないですから、私はこの問題はまたいずれかの機会にあれしますけれども、石炭のガス化については、ひとつ明確な、技術の開発についてはもう一回明確な御答弁を要求したいと思います。どういう形で、いつごろ技術開発をやられるのか。
○政府委員(外山弘君) 先ほど公害の数値につきましては、硫黄分の数値につきましては抽象的にしか申し上げませんでしたけれども、北海道が〇・二、九州が一・七という状況でございまして、先ほど申し上げましたような計算方法でございます。 しかし、石炭をそのまま使いますと、確かに公害問題から制約があるわけでございますが、これを有効利用するということになりますと、やはりガス化の意味は大きいと思います。先ほど申しましたように、エネルギー環境の変化と各国の開発技術といったものを勘案しながら、私どもとしては前向きに考えていきたいと思いますが、いまのところ、どういうかっこうで、どのくらいの時点で、どういうふうに進めるかということについては、もう少し私どもに研究さしていただきたい、こう思います。
○中村利次君 それでは、やろうという前向きの姿勢はあるのですね。
○政府委員(外山弘君) 前向きに検討していきたい、こう申し上げているわけでございます。
○中村利次君 それでは次に移りますけれども、まあエネルギー資源、電力危機の問題がたいへんに深刻であるこれはもう皆さんが指摘をされておるわけでありまして、非常に天然資源の豊富なアメリカあたりまでたいへんなこれは問題になっておる。だからこそ、年産第一主義から体質を変えて、通商省の大幅な機構改正をやろうというぐあいに私は受け取っているのですよ、すなおに、ところが、内容を見てみますと、これは基本姿勢そのものはけっこうであると私は思うんだが、しかし内容を見てみると、どうもやはり納得のできないものがあるのですねたとえば、現行の通産省の機構では、資源エネルギー庁に移行をしようという、その対象になるのは鉱山石炭局と公益事業局ですね。鉱山石炭局から非鉄金属を基礎産業局に回す。あとはこの資源エネルギー庁に昇格をさせる、こういう構想ですけれども、資源豊富なアメリカでも、エネルギー天然資源省という省を新設をしようということになっているようですけれども、これは資源エネルギー庁の内容を見ますと、庁に昇格したんだと言いながら、実は内容ではかえって機能低下になるんじゃないか。ですから私は、基本的には資源エネルギー省、あるいは、資源エネルギー庁であっても、これはもう一切の問題、いままでいろいろ議論をされているような問題も含めて、国務大臣を長官とする資源エネルギー庁にするぐらいの価値があり、それぐらいの姿勢がなければ、これはこういう深刻な問題は片づかないと思うんですけれども、そういう点についてのお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 時代の趨勢、国際環境を見ますと、まさにお説のとおりの、要望といいますか、時代の要請が日本にもあるように思います。ただ、一挙にそこまでいくことは、いまいろいろ行政機構の内部の問題等もありまして、各省との関係等もあり、とりあえず資源エネルギー庁で相当な地固めをしつつ、将来この問題は検討していきたいと思います。
○中村利次君 これは、この法案の審査にあたってはそういう大臣の答弁で一応了解をせざるを得ないような気がいたします。しかし内容は、この中身を見ますと、いまの大臣の答弁からしてもやはりちぐはぐなものがあるのですよね。先ほども申し上げましたように、鉱山石炭局があって、鉱山石炭局に石炭部というのがありましたね。そして、石油関係なんというものは課であったわけですよ、鉱山石炭局の。これが石油部というものに昇格をしたというのは、私はこれは納得できる。それほどやはり石油問題は重大である。石炭産業なんというものは曲がりかどに来ておるわけでありますから、これは、ここであまり石炭産業のことをいろいろ申し上げることは私ははばかりたいと思うのですけれども、そういう意味で、やはり石炭部としてお残しになっておるということも、これは一応納得できる。ところが、公益事業局というのは、二次エネルギーのガス、電力というものは原子力を含めてこれほど危機が叫ばれ、重大な政治課題になっておるのに、これは課になっておるのですね。公益事業部として公益事業局から質的には格下げをされて、そして課になっておる。部の課になっておるのですね。これは全くどうも私はいまの時代に逆行をするように思いますし、はたして、通産省の姿勢といいますか、お考えが那辺にあるのか、はなはだどうも納得しがたいのですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(井上保君) 公益事業局が部として資源エネルギー庁に入るという点でございますが、いまの公益事業行政というものの中を分けてみますと、これは公営企業規制という問題が中心でございますけれども、それはさらに、安全性の確保の問題それからいま一つは、いわゆるエネルギーとしての電力というものをプッシュする、そういう点と、それから公営企業規制というような点と三つに分かれるのじゃないかと思います。それで、従来は局で所掌しておったわけでございますけれども、現在、一番問題が大きく出てまいりましたのは、これはやはり一次エネルギーとの関係における電源開発の問題あるいは公害の問題等、非常に他のエネルギーとの関係が多い分野がだんだんと仕事としてふえてまいっておるわけでございます。したがいまして、今回の改正では、安全性の確保の問題につきましては別に審議官を置きまして、そこで、これは政策マスターと申しますよりも非常に技術的なウエートの重い分野でございます。したがいまして、もちろん公営企業規制の一環として見る必要はありますけれども、しかし、やはり、その技術的なウエートが重いという意味におきまして、審議官を置いてそこで一応統括することができるというふうに考えます。 それから、公営企業規制の問題につきましては公益事業部が中心であると思いますが、それ以外に、やはり他の燃料、他のエネルギーとの調整の関係等につきましては、これはやはり一人の長官の下で見ていったほうが非常にスムーズになる。それから、実際局長はいなくなりますけれども、長官あるいは次長というのがおりまして、全体として見れば仕事がはるかにプッシュされるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。実際仕事をやっておりましても、私のところにも非常に石油会社の人がたくさん来たりいたしまして、これはやはり一つの機構にまとめるほうが全体としてうまくいくのではないか、こういうふうに考えております。
○中村利次君 技術系統は審議官を貫くという御答弁でしたが、これは公益事業部に審議官をお置きになりますか。
○政府委員(井上保君) 現在、審議官は庁に置くというかっこうになっておりまして、そこで技術系統を総括するというような案になっております。
○中村利次君 庁に置くということは、これは長官官房に置くということでしょう。違いますか。
○政府委員(和田敏信君) 審議官は、長官の命を受けて、資源エネルギー庁の所管行政に関しまして、重要事項に関しまして企画立案、総括調整をする任務になろうかと思っております。したがいまして、資源エネルギー庁に置かれるわけでございます。
○中村利次君 これは図式を書いてもらったほうが非常にわかりいいと思うのですけれど、庁に置くというのはどういう意味ですか。庁に長官、それから次長がありますね、そこへまた審議官というのがあるのですか。
○政府委員(和田敏信君) 審議官は資源エネルギー庁長官官房に貫くものでございます。
○中村利次君 そうでしょう。ですからこれ、私は何もひねった質問をしようとは思わないのですよ。違うのですよ、やはり答弁が。ですからこの質問に対して、何か国会対策しの適当な御答弁というのは私は困ると思うのですね。これは長官官房にありますとできますか。この間も経済企画庁の設置法の一部改正案のときに、これは役所の機構なんていうものはいままででも、たとえば勧告権だとか、総理に対する具申権、そういうものは、何もいままでだってできたのではないのかという質問に対して、なかなかどうも役人というのは、そういうものじゃございません、口頭で言うよりもやはり文書でやったほうがたいへんにこれは違うのですと。私は役所の体質はそんなものだと思う。そうなりますと、長官官房とそれから石油部、石炭部、公益事業部というものは並列しているのでしょう。どうやって、あなた、統括できるのですか、技術的なことを、まして、いわんや先ほど指摘をいたしましたように、とにかく原子力、火力のみではありませんよ きわめてそういう立地問題は深刻化しておる、技術関係なんというものはきわめて深刻化するだけでなく、重大な事態を迎えているんですよ。そういう処理を私は——だから、ただ局の課であったのが部の課になったということだけではなくて、内容的にもやはりたいへんにこれはむしろ機能が低下をする、そういう解釈をせざるを得ないのです。これは必ずそうなります。いかがですか。
○政府委員(和田敏信君) 政令段階ではございますが、審議官は長官官房に置かれまして、命を受けて、資源エネルギー庁の所管行政のうち重要事項の企画立案に参画し、並びに関係事務を総括整理する。さらに重要事項に関しまして、原子力及び技術に関する重要事項ということを現段階では考えております。それで、図を見ますと、なるほど石油部、石炭部、公益事業部と並んで長官官房があるように見えますが、この長官官房におきましては、石油、石炭、公益事業部のすべての事業の総括整理を行なうというたてまえでございますので、この際審議官が長官官房に設けられたことによりまして、資源エネルギー庁の行政の効率は確保せられるのではないかというふうに判断をいたしております。
○中村利次君 全く違います。それは。石油あるいは石炭あるいはガスあるいは電力、この技術をあなた一緒くたにして一審議官でカバーをしようなんということが事実上できますか。できませんよ、それは。だからこそ公益事業局に技術長というのを置いたんでしょう、置いたんですよ、これは。必要がなかったら置く必要ないんです。これはね。ところが現行機構では、これはやはり困るぐらいに問題は山積をしてきたんですね。技術的な面も含めて、立地問題も含めて、政府がやはり姿勢を正して取り組まなければならないたいへんに重大な政治課題になってきた。ところが、内容が落ち込むなんということはこれは全くどうも、何というんですかね、私は機構づくりをやって、仏つくって魂入れないのならまだがまんができる。低下をする、機能が低下をするっていうのは、これは断じて私は納得できません。どうですか。
○政府委員(和田敏信君) 公益事業部は、資源エネルギー庁の三本の柱の一つとして、今後石油、石炭、さらに原子力関係と緊密な連絡のもとに、資源エネルギー庁行政の一端をになうものでございますが、従来の公益事業局の所掌事務といたしまして相当なウエートを占めておりました他省との折衝事務、たとえば国土開発推進本部あるいは経済企画庁等が他省の中のおもな交渉相手でございますが、そのような他省との折衝事務につきましては、今後は長官官房がこれを行なうこととなりますので、従来の公益局長の任務は長官、次長というさらに高いレベルの、まあ次長はともかくも、長官という高いレベルのところでその任務の肩がわりが見られます。さらに、長官官房に設けられまする総務課におきまして、これは課ベースでございますが、公益事業局の従来の管理業務というものが肩がわりを見ますので、なるほど御指摘のように公益事業局から公益事業部というふうに局から部へなったという姿に関しては、先生御指摘のような、局が部になったという御批判もあろうかと思いますが、公益事業部が資源エネルギー庁の中の三本の柱の一つとなりましたことによりまして、それらの間のシステム化によります効率性の発揮によりまして、従来の公益事業局の果たしておりました任務は今後の新機構によりましても十分に達成されるものと判断をいたしております。
○中村利次君 これはだめなんですよ、そういうことをおっしゃっても。はなはだ失礼ですけれどもね。資源エネルギー庁の三本の柱だとおっしゃるけれども、いままでは局として、二本の柱だったんですよ。二本の柱だったんですよ、鉱山石炭局と公益事業局という。二本の柱でこれはやはりどうも不十分であるというのを、三本の柱にして十分であるという、これはつじつまが合わないですよ。これは私は最終的には大臣に御答弁、御答弁というよりも、今日以降どういうぐあいにこれに対処をされるのか伺いたいと思いますけれども、行管も来てもらっておりますから、私は行管にもこれについての御答弁を求めたい。
○政府委員(平井廸郎君) 公益事業局か公益事業部になることによって、実質的な格下げになり、機能的に弱体化するのではないかという御質問でございますが、先ほど通産省官房長からもお答えがございましたように、現在の局長の各省庁及び省内各局との調整事務、一般管理事務等につきましては、エネルギー庁の長官官房というものが新たにできることによりまして、これらの事務を長官官房が代行することになりますので、かなりの程度の軽減が行なわれるであろうということが一つございます。 それから第二点といたしまして……。
○中村利次君 委員長、いまの答弁に対して私は問題がある。 かなり荷が軽くなるというんだったら、石炭部や石油部はどうなんですか。荷が軽過ぎるんですか。そういう答弁を私は求めているんじゃないのです。行管というのは、必要があっても機構をとにかく縮小さえすればいい、人減らしをすればいいというものじゃ私はないと思う。人減らしもけっこうですよ。国民的にはこれはそういう期待がある。しかし、時代に即応してどうしてもやらなければならない、強化をしなければならないものを、いまみたいな答弁で、長官官房ができて荷か軽くなる——そんだったら、三本柱とさっき官房長が答弁になった二本柱はどうなんですか。荷か軽過ぎて——そんなものはやめればいいんですよ、課にすればいいんですよ。そういう答弁では、これはやはり国会用の答弁であって、ほんものの答弁ではありません。もっとしっかりした答弁やってください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 資源エネルギー庁をつくりまして、強力な長官を配置して、そのもとに次長を置いて、この三部を統括しながら、どっちかといいますと、これはトップマネージメントの姿に変えていこうという気持ちが私にはあるのであります。それで、資源エネルギー庁におきましても、いま通産省が本省大臣官房でやっておりますように、官房にかなりのそういう統合能力を与えて、そして庁も同じように官房で力を持たしてやりたい。さもないというと、エネルギー行政がばらばらになりますし、いろいろほかの役所との調整の問題等についても、いま考慮すべき点もあるように思うのであります。その際に非常に大事なことは、技術的な部面であります。それで、長官官房の中に審議官を置きまして、それが主としてそういう技術的な面を担当させたらどうか、そうして、まあいままで技術長ですか、公益事業局におりました、あれは技官としてはかなり高い一つの地位でありまして、かなりの力を持っておりましたが、やはり今度審議官がその仕事も兼ねて、そして格から言ったらこれは部長クラスの格であるだろうと思います。これがそういう技術関係全般を統裁しながら長官官房を引っぱっていくと、そういうアイデアがあるわけであります。
○中村利次君 大臣以下の御答弁は、そっくりそのまま私はすなおに受け取りますと、これは鉱山石炭部、公益事業部、これでいいということになるんですよ。原子力発電だとか、いまあんた、環境問題安全問題公害問題、いろいろな課題があって、やはりこれは何とかしなければならない国民的な政治課題がある。そういうたいへん重大な問題があるのに機構を縮小するのは、私は納得できないというのです。機構は縮小しませんと、こういうお話ですけれども、縮小をしませんという御答弁ですけれども、そんなことはないでしょう。現実に縮小しているでしょう。そういう答弁では納得できません。何か前向きの——これを修正されないならば、これは今日以降の構想でして、こういうことをやるという御答弁でもあれば、これは私は納得します。
○政府委員(和田敏信君) 先生御指摘のように、公益事業局が公益事業部になるということは、これは確固たるわれわれの示しました案でございまして、その点に関しましての公益事業に関する通産省の姿勢はだいじょうぶであるかという先生の御懸念に対しましては、局が部になったという点に関しましては何ともこれ以上の御答弁をいたしかねますが、先生最後に御指摘の、われわれのしからば今後何を考えているか、または先生が言及されました火力、原子力部門に関する将来の行政需要の拡大という問題に関しましては、われわれも今回の資源エネルギー庁の設置に際しまして、OPEC等の問題で石油の事情がこのようになっておりますので、ことに原子力部門の設置につきましては、あるいは原子力部門の拡大につきましては、最大の努力を今後傾注していきたいと思っております。さしあたりましては、原子力発電、核燃料につきましては新しく設けられます資源エネルギー庁の各課あるいは各部でこれを実施してまいり、将来原子力部の設置につきましても、われわれは原子力の産業化の進捗状況を勘案しまして、今後さらに国会において原子力部の新設等をお願いするような事態がいつ参るかということを今後引き続き検討さしていただきたいと思う次第でございます。
○中村利次君 これは私は当然のことだと思うんですよ。なぜ資源エネルギー庁をつくらなければならなかったのか、たいへんに事態は重大ですよ。ですからこのことについては基本姿勢として私は賛成をしておる。ところが、中身がやはり機能低下があるというんですから私は、国会用の答弁じゃなくて、今日以降そういうものは修正をする、これは私は大臣と、最終的には、ほんとうは福田行管庁長官に私はおそろいでそういう前向きの検討を約束をしてもらわなければ、質問はやめられないと思っていたんですけれども。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のように原子力部というものは非常に重要性を持っていると思います。これからのエネルギー問題を考えますと、いま開発しているファーストブリーダーだとかあるいは核融合の問題が当然日本には出てくるのでございまして、そういう現実的工業化というものは通産省が担当することになります。そういう意味において、まさに御指摘のとおりで、将来のことを考えるというと、必ず置かなければならぬ事態なのだろうと思います。その点の御指摘はわれわれ肝に銘じておきます。それで、私の考えでは、いまの動力炉の開発の状況等もにらみ合わせながら、できるだけ早期にそういう部をつくるように努力していきたいと思います。
○中村利次君 最後に、まあそういう前向きの努力をされるということで一応納得をします。これはぜひ、国民的課題ですから、必要なんですから、ひとつこれは部を二つに分ける、当然のことだと思います。それから、それまでの間は、運用上私は申し上げましたけれども、これはやはりたいへんに技術的には、そんなあれもこれも、これもあれもというような、そういう片手間仕事ではできないはずです。ですから、これはぜひ大臣、運用上実質的に審議官が専門でできるように、役所の機構なんというものは、どうも縦割りでなければなかなか仕事がやりにくいというのは、これは私たちが法案審査をやって至るところでそういう実感を味わうわけですから、これは大臣はひとつ運用上そういうことにならないように御努力をお願いしたいと思います。 以上で、まだ一ぱいありますけれども、きょうは……。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘の点を心に銘じまして、できるだけ早期にそのように改革いたしたいと思います。
○委員長(高田浩運君) ほかに御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。 これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決を行ないます。 通商産業省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高田浩運君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時六分散会