大蔵委員会 第13号
- 発言数
- 268 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1973/04/05
会議録
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、青木一男君が委員を辞任され、その補欠として初村瀧一郎君が選任をされました。
○委員長(藤田正明君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○野々山一三君 まず最初に、税務行政全体の、全体というよりも税務行政のことについて伺いたいのですけれども、たとえば給与所得者、これは国税庁にかかわることですが、源泉徴収を受ける人はたくさんいるわけですね。ところが実際は、源泉徴収を受ける人というのは、私はこう取られておりますということを、年末調整の際に通知をもらうだけですね。ところが実際は、たとえば、住宅控除だとか、やれ医療控除だとかいうものの数多くのものがございます。そこらについてはほとんど言われっぱなし、取られっぱなし、紙切れもらいっぱなしというのが率直な言い方なんです。したがって、もう少しよくわかるようにPRをするということが必要だということをしみじみ感ずる。たとえば、源泉徴収を受ける諸君が税務署へ伺いに行っても、それはそんなことはたくさんおってというわけで、親切味のある説明をしてくれるということはほとんどないわけでして、それから、たとえば、それ以外に申告をする人でも、二月十六日から三月十五日までの間に申告をしてくださいということを、お知らせするという以外に何もないわけです。そういうために、一体おれはどれだけ税金を払うのがあたりまえだろうか、あるいはどれくらい控除できるのだろうかということがよくわからないということが実情だということを、率直に申し上げていいんじゃないか。私は、一つ、ずばり提案なんですけれども、意見を伺いたいのですけれども、源泉徴収の者及び申告をする者についても、もっと明白にわかるような具体的な知らせ方というものをおやりになっていただく気持ちはないか。そこで、たとえば、源泉徴収でも、それから報酬などなど申告の際にというか、通知がありますね、徴税義務者から。その票そのものの下に、端的に言えば二センチか、三センチぐらいの紙を大きくして、こういう方はかくかくしかじかになるんですよという、具体的な控除なら控除の例ですね、こういうものを明示して、すぐ見ればだれでもわかる、あとは月給袋しかわからぬわけです。ですから、そういう具体的な処置をおとりになる気持ちはないか、以上のこと、提案を含めて見解を承りたい。これは金銭的にもたいしたことじゃないし、事務的にもたいしたことじゃないんでということが一つ。 それからもう一つは、できるならば、徴税義務者が源泉徴収票を出す、年末調整の際に。その際に、別表で、全源泉徴収の徴税を受ける人に渡すということによって周知徹底をはかるという二つの案なんですけれども、ほんとうは第一の考え方がいいと思いますけれども、お考えを承りたい。
○政府委員(高木文雄君) 直接には国税庁からお答えすべきことかもわかりませんが、先に私からお答え申し上げます。 源泉徴収を受けられた方、したがって、年末調整を受けられた方といえども、ただいま御指摘のように、いろいろ、三月十五日の確定申告のときに御申告を願えれば、逆に税は戻る例がいろいろございます。それをどうやって周知徹底をはかるかということは、私も国税局におりましたりしましたときにも、いろいろ自分ながら努力はいたしたつもりでございますが、どうも役人の仕事であるためか、へただというか、うまく徹底してないということは否定できないのでございまして、年を追うていろいろテレビを使うとか、新聞を使うとか、いろいろなことはくふうはしておりますが、まだまだおっしゃるとおりなかなか徹底していないということでございます。たとえば、ごく最近は、各会社にお願いをして社内報等を通じて知らせてもらうというようなことも一つの伝達といいますか、周知の方法ではないかというようなこともやっておるわけでございますが、まだまだとてもわれわれの努力が足りないというか、及ばないのは事実でございます。本年度、この三月のときの還付の状況を見ましても、四十七年から適用することになりました持ち家についての住宅取得控除の制度、年額二万円返ってまいりますが、この制度等について還付の申告のある方が多くて、かなりありまして、それで税務署は、そのことで、いつもに比べると都市近郊の新しく家が建った戸数の多い地域においてはかなり忙しいというような話も聞いておりますし、相談があったということも聞いておりますが、それにいたしましても、まだまだそれは何かどっかから話を聞かれた方が見えるわけであって、まだそのことを御存じない方もあるわけでございますので、今後とも周知徹底にはなお努力しなければならない。これは国税庁とか、主税局ということをいわずにやらなければならぬと思っております。その方法の一つとして、ただいま一つの御示唆がありました点につきましては、これはきわめて具体的なあれでございますので、国税庁のほうから答えてもらいますが、これも一つの御提案であり、またほかにもいろいろ御提案があろうかと思いますので、今後ともそういう努力は積極的にやっていかなければならぬと思います。
○説明員(吉田冨士雄君) 基本的な考え方は、いま先生のおっしゃるとおり、また主税局長のおっしゃるとおりでございまして、私どもなお努力、一生懸命やっておりますが、足らない点は多いと思います。それにつきまして十分これからもやっていきたいと思います。特に、ことしは、住宅取得控除につきまして新聞等で大きく取り上げていただきましたので、たとえば、千葉の税務署とか、八王子の税務署とか、大体一万人近い、それぞれ何千人、九千人、七千人というオーダーでそのために皆さんいらっしゃいまして、比較的目玉がございましたものですから、非常に周知がよかったわけですが、ことしはそうだからといって、来年もなおわれわれとしては努力しなければならないと考えておりまして、いまでは、たとえば、テレビとか、週刊誌とか、それから源泉徴収義務者自身に対していろいろこういうものでございますというお知らせとかという努力はしておりますが、ただいま先生のおっしゃいました点、紙のスペースなり、大きさなり、技術的な問題がございますので、なお、十分検討さしていただきたいと思います。
○野々山一三君 これは非常にささいなことですし、テレビ、新聞というのは、見るようで見ないといえば語弊がありますけれども、率直にいって、これをテレビでぱぱっと言ってみたところで、メモしている間に終わっちゃうというのが実情です。あれに使う金を考えてみれば、実際問題として紙に書けばすぐわかる、それで何べんでも見れるということによって、親切味というものが生きてくるわけですね。ですから、検討ということばを一歩進めて、やりますという立場で、もう一ぺんお答えを願いたいと思います。
○説明員(吉田冨士雄君) 非常によいアイデアと思いますので、やるという方向で考えていきたいと思います。なお、技術的な問題いろいろあると思いますので、そういう意味で検討させていただきたいと思います。
○野々山一三君 次に、若年労働者の、特に、未成年労働者の問題について、衆議院のほうでは、総理も次から考えるという趣旨の答弁のようですし、それから、東畑税調会長も、私的なということなんでしょうか、そういう考え方を示されたようですけれども、私は、平ったい話で恐縮ですけれども、たとえば、学校へ行きたくても行けない、そういう諸君が働きに出る、そういう諸君こそ今日では文字どおり少なくて目玉労働者と言われている人なんですね。そういう諸君が税金がかけられる。そして、学校に行っている諸君はかからない、ずばり言えば。そういうことは、これからの社会政策全体から見ましてもいいかどうか、あるいは教育政策全体から見ましてもいいかどうか、あるいは労働力確保、まじめな意味の専門技術家というものをつくり上げるという意味でいいかどうかという点からみますと、やっぱり特別措置的な考え方をもってして税をかけないようにするということがひとつ言えると思うのです。それから、いまの状態ではどんどんどんどん正直いって税金がかかる若い諸君がふえるという、そういう状況は根本的な問題ですけれども、そういうことなど、時間がありませんから詳しく言っているつもりはありませんけれども、それこそ文字どおり特別措置的な考え方で、若年労働力を確保する、養成するということと同時に、申し上げたように、まじめに働く若い、学校にも行けない諸君こそ税金がかかるというようなことは不公平だ、税の公平の原則にも反するのではないかという立場から、これは総理も、あるいは税調会長も、来年からという趣旨ですけれども、文字どおりこれもやっぱり前向き、積極的に、来年から中止するという考え方を進めてもらいたいというのが私の注文ですけれども、あらためて申し上げた意味において見解を承りたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 最近、大体二、三年と申し上げてよろしいか、三、四年と申し上げてよろしいか、そういう意味での最近におきまして、初任給の引き上げのスピードと、いわゆる課税最低限の引き上げのスピードが相伴っていないということから、中学を卒業して就職をされた方でも、納税者になるという可能性が非常に高まってまいりました。で、御存じのように、普通、就職は四月でございますから、最初の年は九カ月分の給与になるわけなんですが、一方、税のほうのもろもろの控除は九カ月の勤務であっても、一年分が認められるということになりますので、少なくとも初年度はあまり課税にならぬということで今日まではきておったわけですが、それすらだいぶ課税になるケースが出てまいりました。で、そのことについて私どもたいへん気にしておりまして、実は、私も、昨年たまたまほかの仕事でヨーロッパへ行くことがございましたので、向こうの税の担当者に聞いてみたのでございますが、一つは、ヨーロッパではというか、諸外国では、もともと給与体系が日本の場合と違っておりますから、就職の最初からわりあいに給与が高いということは昔からそうであったということがあって、したがって、あまり気にしてないという話が一つと、それからもう一つは、イギリスのような場合は失業者がまだある、学校出てすぐつとめられるということはむしろハッピーだという感覚があって、日本のように失業者か全く——まあ若年労働者は引く手あまただという状態とは違っておるということもあるのが、非常に大きな感覚の相違を生じてくるものと思いますけれども、そういう問題は、諸外国の制度ではあまり問題になっていないということでございます。それはしかし理由に、ある意味ではならない。逆に言えば、日本の特殊性を考えてどうしたらいいかという問題が出てくるのだと思います。昨年の当委員会におきましても、その点をだいぶ御指摘を受けまして、実態などを調べ始めているところでございます。先般来衆参を通じ、各委員会を通じてそういう御意見がだいぶ高まってきておるわけでございまして、私どもも、基本的な考え方としては、そういう方向で考えるべきである。ただ問題は、御意見の中にも、およそ未成年者は全部何か考えたらどうだという御意見であるとか、それからまあ一方で、いま野々山委員がおっしゃいましたように、いわば親のすねをかじって学校に行っている人がいて、同年輩でそういうことができない人がいると、そのことに着目して、中学なり高校なりの卒業直後の何年かについてだけ考えたらどうかという御意見の方もありますし、一挙にそこまでいけないから、せめて中学なり高校を卒業して、要するに就職年齢に当たる者についてだけそういうふうにならないように考えたらどうかという御意見の方もありますし、要するに、徐々にそういう方向に行くべしという御意見が強いということを承知をいたしておるわけでございます。具体的に、さてそれをどう取り上げるかということにつきましては、ただいま野々山委員がおっしゃいますように、特別措置として何らかの措置をとるという場合に、特別の控除を設けるということがいいのか、あるいは特別の控除ということでなくて、全般としていわば課税最低限がまだ低過ぎるからそういう問題を起こすわけでございますので、特別措置ということで考えるのではないが、課税最低限をいわば思い切って引き上げることによって処理をしたらいいかという問題があるわけでございます。そのあたりにつきましては、まさに来年度の税制改正の一つの焦点になるわけでございまして、まあ、来年度税制改正としては、総理以下も表明しておられますように、やはり今年度と、いままでないし今回の場合と同様もしくはそれ以上に、所得税の減税にウエートを置くべきであるということについては、大体各方面の御意見もそういう方向にあると思いますが、その場合に、いわば、何といいますか、パイの大きさをどのくらいにするかという問題があり、それをどういうふうに分け合うかといいますか、制度的に見ますと、給与所得控除のようなところに重点が置かれていくのか、それともむしろ課税最低限のほうに重点が置かれていくのかという問題がありますが、それこそ来年度の税制改正の中心課題になる問題でありますし、その問題をいよいよ最終的に来年度税制改正をきめる時期までに詰めていくと同時に、ただいまの——それではうまく片づかぬという場合には、ただいまの御提案のようなことも考えなきゃならぬかというようなことをあれこれいまの段階では考えているところでございまして、いずれにしても、若年労働者、勤労者層について相当傾斜した減税が行なわるべきであるというつもりでおります。
○野々山一三君 結論的には、課税最低限でやるか、あるいは控除でやるかということに問題はあるけれども、積極的に税を受ける人を少なくするという立場で処理をするというお考えと受け取っていいわけですね。
○政府委員(高木文雄君) けっこうでございます。
○野々山一三君 次に、寒冷地手当について伺います。で、申しわけないですけれども、いろいろ長いおしゃべりをしていただくと……、私もできるだけ短くしますけれども、いろいろ聞きたいんで、簡潔そのものに答えてください。寒冷地手当というのは、あなたも御承知のように、終戦後つまり石炭手当、薪炭手当というものであったわけですね。それが今日的にいえば給与体系の中に入っているというかっこうになって、寒冷地手当として、給与として税金をかける、こういうことになってしまったわけですね。そういう歴史を考えてみますと、昔は、私も実は日本で初めて労使関係が問題になった当時から、この手当の問題で非常に具体的な話があった。石炭の値が上がったから銭をふやせ、値が下がったから銭を下げますと、こういうことを言ったのは当時の役所ですね。つまり現物給与であるという考え方だということが言われております。これを寒冷地手当というふうに名前を変えちまったものですから、そうするとすぐ税金がかかっちまう、こういうかっこうになっているわけでしょう。これは、私は本来、たとえば、北海道なら北海道の人、これは国なら国がヒーターをどんどん送ってくれるような設備をして、そしてそこに人間は住みなさい、労働者はそこに住みなさいということであるならばいいわけですけれども、そうじゃないわけで、自分で、まあ銭はもらうけれども、石炭を買い、まきを買ってあったまる。そのあったまっていく理由というのは、これはいわゆる労働力を正常に維持するということでしょう。そういう本来は現物であるものを金にしたということなんですね。そういう意味で言うと、こういうものはまさに実費を差し上げますよというのが寒冷地手当という名前になっているものの歴史的な意味と性格だ。それを税金をかけるという考え方は不公平ではないかということになります。そういう意味では、これは石炭手当、薪炭手当という現物給与的な歴史的な意味、そういうものからいって税金をかけないということにするのが本来ではないか。昔に戻るような話じゃないので、もともとがそういうものなんでという考え方が私は正しいと思うんですけれども、具体的な処置策について、あるいは見解について承りたい。
○政府委員(高木文雄君) 原則として私どもの考え方では、手当という名目が付されておるものでありましても、やはり給与と観念すべきものではないかという考え方でございます。いま野々山委員がおっしゃいますように、歴史的というか、経過的にはいろいろな経過があって、現物支給であったものが手当に変わってきたわけですが、これは戦後非常に物がない時分にはいろんな形で現物支給がありまして、食料、食費なんかについても昼めしをたとえばつとめ先が供給するというようなことがあったわけですが、だんだん現物支給がなくなって手当に、給与の中に織り込まれていくという体系に変わってきたわけです。で、その場合に、税の立場といたしましては、実費支弁的なものであれば課税しないという精神は、たとえば、旅費については課税をしないということでわかるようにとっておりますし、実費支弁的でなくて、定額支給的であれば、これは課税するというところあたりに境目を引いているわけでございます。 〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕 それでもろもろの手当について非課税にしたらどうだという御意見がいろいろございますが、そのちょうどボーダーラインというか、境目にあるものの典型的な一つが寒冷地手当でございます。で、私どもは、この問題については、要するにどこに線を引くか、どっかで線を引かないと、際限なくどこまでも非課税にしなさいという、こういう議論になってきますので、どこで線を引くかという問題でございまして、せっかくの御意見、おことばではございますが、現在のところ私どもは、やはり寒冷地手当は、手当制度をとっている以上はちょっと非課税にするということはむずかしいのではないか。それが歴史的にはそうだからいいではないかということ、それからまた、歴史的であるのみならず、現実的にも寒冷地手当ぐらいよりも多くの金額が暖房費等に充てられているという事実があるではないかという御主張が、重ね重ね各方面から寄せられているわけでございまして、どうもこの手当のうちの一部を非課税にするということになれば、その非課税となる手当を、同じ給与をふやすならば、その種の手当をふやすということが受けるほうからいうと有利だという形になってくるものですから、ある種の手当を非課税とし、ある種の手当を非課税にしないということにしますと、いわば税のほうが、逆に給与のあり方について干渉する形にも、影響してくるわけでございます。そこらほんとう言って、正直なところどこで線を引いたらいいかということは、これは非常にむずかしいことでございまして、私どももおよそ寒冷地手当を非課税にするのは理論的になっていないとか、頭からおかしいとかいうふうには考えていないわけなんでございますけれども、どっかに線を引かなければならないというところから、現在のところは非常に実費支弁的性格の強いものであっても、手当名義のものについては、原則としては課税する。ただ夜食料とか、そういうものから転化をしてきたもので、なお、慣行的に若干そこのところが税法上は課税なんでございますが、税務の執行上あまりぎりぎりしないということで、非課税にしている部分も若干残っております。そういうことで非常に境目のところで明快でないのですが、そういう扱いになっております。で、私どもは、いまのところ現段階では、やはり寒冷地手当を取り出して非課税にするのはちょっと困るのじゃないかという考え方でございます。
○野々山一三君 線の引き方がむずかしいので困る。そういうたいへんけっこうなあなた方には都合のいいことばなんですが、線の引き方で税金を取らないということにすればいい、それこそそれは政治というものではないですか。お役人さんは、昔はこうで、こうで、こうでというのがお役人さんの仕事、政治というものは、線の引き方をここですると、こういうことは政治でしょう。論理的にはいろいろな矛盾のあるものは一ぱいありますよ、全体から見ますと。それは、要するに、線の引き方というもの、ここで何をするかということの考え方から出発をするわけで、あなたのおっしゃることはどうもわからない。そこで、手当という名前になってしまっておるのでということがあなたの理由なんですね。その線の引き方がむずかしいということね、二つ例を申し上げましょう。たとえば、船員や海上自衛隊員の航海日当、これは税金かけないことになっていますね。月額三万三千三百二十五円までは非課税、ところが、むずかしいことと言ってもしようがないからずばり申し上げますけれども、近海の船に乗っている人、端的に言えばですね、あるいは海上自衛隊の人だって近海を乗ることがございます。これで手当をもらえば、これはいま申し上げた数字、三万三千三百二十五円までは税金はかからない。ところが、青函連絡だとか、ああいうところに乗っている人だとかいうのは、みなこれは税金がかかるようになっている。これは矛盾でしょう。何であっちの人だけがよくて、こっちの人が悪い。それ一ぺん教えてください。明確に教えてください。これは行政通達で何か出ているようですね、国税庁の。これは全くいま主税局長のおっしゃる趣旨からいっても矛盾がある。 〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 こういうことですから、そっちの中に加えたらいい、通達の中に。通達でやれるなら通達でやればいいじゃないか、こういうことになるわけです。そういうことは役所でかってに通達でやられるわけですからね。それは今度はこういうところへくると、いや線の引き方がむずかしい、そんなばかな話はないですよ。これが一つ。 それからドイツなんかで言うならば、超過勤務手当だとか、あるいは危険労働に対する手当、そういうようなもの、寒冷地手当、通勤手当というものは、一年間に二万四千マルクまでは税金がかからぬということになっておるわけです。超過勤務手当についても。日本では、あなたもよく言われる外国へ行くという話、外国の話を都合のいいときは日本へ来て使われる、都合の悪いときには外国の話は別です、そうおっしゃる。こんなばかな話はない。これは少なくとも通達でやれることですから、通達でやるということにしたらどうですか。政務次官、国税庁直税部長、率直にこれに答えてください。
○説明員(吉田冨士雄君) 航海手当、航海日当の問題でございますが、まず、先生のおっしゃいますように、国家公務員が、たとえば、定点観測で運輸省の方が行かれるとか、いろいろ船に乗って出かけられるケースが多いわけでございます。これは御承知のとおりに、旅費として旅費法の規定で示されておりまして、われわれといたしましても、所得税法の九条の四号の旅費ということで非課税にしております。それから、船員の方で外国へ、あるいは内国に出かけられる方が航海日当というのをもらっておられまして、これにつきましても、ただいま申しました非課税の旅費ということにわれわれとしては見まして、内国の場合にも、外国の場合にも、それぞれ非課税にしております。問題は、ただいま先生のおっしゃいましたように、非常に短い、たとえば、高松と宇野とか、あるいはそういうところは航海日当ということは旅費ということではなくて、むしろ食事的な意味である程度お金が出ておるようでございます。これはわれわれはむしろ旅費として見れるかどうかということでいろいろ検討しておりますが、具体的にケース・バイ・ケースでそれを判断しております。 たとえば、それに似た問題といたしまして、トラックの輸送される方が、長距離輸送の場合には、途中で宿泊するとか、あるいは食事をとるとかという場合にも、やはりそれは旅費的なものじゃない。あるいはたとえば、もう少し、私鉄でもあるいは国電でも、非常に短い期間の場合にはどう考えるかといろいろございますので、われわれとしては、この九条の四号に旅費として見られる限りは、できるだけあまりその点は少額不追及と申しますか、できるだけその辺は弾力的に考えるようにいまいろいろ検討したいと思っております。
○政府委員(山本敬三郎君) 通達でできることだから、政治的に考えよというお話でありますが、確かに税務執行上の非常に技術的なむずかしい問題だと思います。ただ、手当という名のついたものを非課税にしてきますと、会社によっては、それでは給与の分を少なくして、そっちにやれば非課税になる、こういうことで、税制のあり方が給与そのものの形態に影響するという弊害を生む場合もあるというようなこともありますので、ここしばらく検討さしていただきたいというふうに考えます。
○野々山一三君 通勤手当の話は、栗林委員からも先日非常に明確に御質問があって、どうもあの答弁を聞いていると、あれに税金かける理由はないなということは、これは皆さんしみじみ思われたと思うんですね。それでいまの手当という名前をつけると、それは賃金給与体系なので、そいつには税金をかけるのはあたりまえだということの中で、私も率直に申し上げまして、たとえば、都市手当というのがありますね。こういうものと、たとえば、寒冷地手当、そういうものとは性質が全然違いますね。だから、夜勤加給でも、これは基準法によって何割増しますと、夜働く人は二割五分増しますね。これは賃金としてそれだけ夜働いたものに対しては云々というわけで、根本的に法上給与体系の中、つまり労働基準という基本の中に含まれているものですから、こいつは税金をかけないということでもいいというふうに私は思うのでございます。そこが境だ、線の引き方というお話がありましたが、そこが境だということは、きわめて明確じゃないかというふうに思うんですがね。 それで、時間がないからずばり聞きますけれども、たとえば、何々会社の何とか課長とか、何とか部長という人は、会社の車で一時間かかろうと二時間かかろうと通いますね、これは会社のほうは税金かからぬでしょう、経費でしょう。その人は手当もらわないけれども、ただで車に乗ってくる、あなたもどうです。政務次官どうです。あなた方みたいにえらい人は税金がかからない。それで車もらえる、自分のほしいときに通える。一般の月給取りは、銭をやるけれども、そのかわり税金払うのはあたりまえじゃないか、こういう考え方は、あなた自身の自分の地位と自分の立場、それから、そういう会社、会社といったら悪いけれども、そういう社用の車で通う人は、車もらって税金はかからない、ほしいときに行ける。ところが、一般的月給取りはそんなふうにはなりませんね。アンバランスというのは一体どうしますか。あなた銭払いますか、ちゃんと答えてください。そうでないなら、そういうものは経費として認めるというようにするのはあたりまえじゃありませんか。経費控除の中に入れるのはあたりまえじゃないかということは、きわめて市民的に——あなた方も、市民のことを考えるのは、あなた方の仕事でしょう。わしらの仕事も、国民のことを考えるのは、わしらの仕事でしょう。違いますか。そういう点で、自分はどうだ、みんなはどうだということをはっきり言ってください。私は、むずかしい理屈は要りませんよ。
○政府委員(高木文雄君) ただいま御指摘の、通勤についての事業主負担の形式になっているものについてどう考えるかという問題は、しばしば私どもも議論をしておるところでございまして、問題は、ただいまは、通勤の場合について事例を引かれましたが……。
○野々山一三君 いや、全部手当という名前がつくと、という話ですから……。
○政府委員(高木文雄君) 現物給与で支給をされるものについて、実際上利益の支給を受けている私どもでございましたら、私どもがそれだけ便宜を受けておりますから、その意味において何らかの課税があってしかるべきではないかという議論は、一方においてあるわけです。あるわけですが、今度は現物支給の場合に、どこまでそれを評価をして課税をするかという問題がありまして、たとえば、社宅に非常に安い家賃で人が住んでいるという場合に、どう評価すべきやとか、あるいは食事を会社で支給する場合に、大量に支給されるから比較的安く提供されるものについてどうすべきかという問題がございまして、現物給付の問題はまた一つ非常にむずかしい問題としてあることは承知をいたしております。 先ほどのもう一つのほうの、ずばり手当という名前をつければ、というところで線を引くのはおかしいではないかということは、おっしゃるとおりでありまして、私も、原則としてということを申し上げたつもりでございまして、手当の中にも、先ほど御指摘のように、通勤手当の問題とか、それから、日直・宿直手当とか、そういう特殊なものについて、これは非課税にしていることはよく御承知のとおりでございます。ですから、あくまで手当というところで一応線を引いておりますといっても、またこれは原則論でございまして、ものの考え方を完全に名前だけで割り切ってしまっているわけではないわけでございます。で、ございますから、先ほど申しましたように、もとへ戻りますが、寒冷地手当等につきましても、確かに先ほど例に引かれたいろいろのところで線を引けばいいのであって、単に手当という名前がついているからという理由だけで、これは非課税にできないというわけのものではございません。そこはおっしゃるとおりでございます。ただ、一般的な基準としては、それでは寒冷地手当を、今度はその実費性というものを強く見て非課税としますならば、他にもいろいろ問題があるということでございまして、そこで、際限なくどこまでも非課税にしようということになりますから、いまのところはそういう立場をとっておるということを申し上げておるわけでございます。
○野々山一三君 原則的に手当というものについて課税をしているという、原則的にだから例外のものもあると、こういうお話ですけれども、その点は私もわかります。その例外というやつをふやすということが、大幅減税ということばに忠実にこたえていることではないでしょうか。これはあとで総理もお見えですから伺いますけれども、政務次官、とりあえず、あなたの私心でもけっこうです、率直な見解を承りたい。
○政府委員(山本敬三郎君) 非常に技術的なむずかしい問題でありますし、それから、他の課税しているもの、していないものとの均衡の問題、それから、例外をふやしていくと際限なく広がっていくという場合のおそれもあるというような点で、しばらく検討さしていただきたいと思います。
○野々山一三君 もう一回申し上げますけれども、何かお話を聞いていると、一ぱいあって、このうちのちょこっとが原則外で、こいつを広げていくと無限大になんと言うと、山ほどあるみたいに聞えますね。どれだけ、何がありますか。どれだけのものが、何という名前の何というものが原則外で、何という名前と何という名前と何というものは手当として課税するんだということですか。一つ一つ、絶対間違いないように答えてください。そんなにたくさんあるわけじゃないんですよ。それでしかも、その境目というやつは非常に理屈がわからぬ。全くわからぬ。わからぬのがいいんです。そこが線を引くというやつです。そこが決断というものを実行することです。違いますか。もう一ぺん伺います。
○政府委員(山本敬三郎君) 私も、こまかい技術的な、限界外のものが幾つあるかというようなことは詳しくは存じません。存じませんし、また、非常に、境目をどこにするかというところに政治的判断の要る点でもあるということもよくわかります。よくわかりますけれども、税務執行上の非常に技術的な問題でありますから、にわかにここで、おっしゃるようにいたしますというふうにも私としてはお答えするほどの自信がございません。ということであります。
○野々山一三君 私は、何回も自分自身で実際にやってきた。昭和二十一年以来、実際にやってきた歴史を全部知っています。月給をきめるきめ方の審議会にも出たし、それこそ労使の、公務員の、公共企業体の諸君の一つ一つの問題について自分で全部やってきたわけですから、全部知っていますよ。そういうことを考えてみますと、昔はすっとできたことが、いまになってどうしてできないんですかという問題があるんですよ。 したがって、これはもう時間がないから詰めますけれども、石炭手当、薪炭手当は現物給与なんだという考え方で対処をしなさい。これが一つ。 それから第二に、たとえば夜勤手当などですね、あるいは日直手当というものなどは非課税だというんですけれども、たとえば、七百円だか八百円だかまではいいという夜勤、これはめし代のかわりという考え方。この基準を上げなきゃいけないということも、税金をかけない分を上げるということを具体的に処置すべきであるということを申し上げたい。 それから通勤手当、これもいまは、六千円ですね、までは非課税。これはやっぱり少な過ぎる。もっと——すく汽車賃が上がる話がいまありますね。それなら、いまはいいけれどもすぐこれはだめになるんじゃないか。やっぱりもっとこれを拡大する。もっと原則的に言えば、ドイツみたいに税金をかけないようにするということの立場で対処するというふうにしてもらいたい。 それから、船の人ね、たとえば、わしが青函連絡と言うたら宇高連絡船だと、そんな話をする。遠い話をすると近い話をする。内航であることに変わりがないじゃないですか。変わりがない。それと自衛隊の人だって内航である場合がある。あるいは船でお天気のぐあいを見に行く人も内航である場合がある。変わりがない。もし、台風でも吹いてごらんなさい。どういうことになりますか。同じですよ。海の水はおまえは別だなんてそんなわけにはいきませんよ。ちゃんと同じことになるわけです。居どころが変わる人あるいは不明になる人についてだけ免税するというような通達ですね。だけれども、内航、外航ということを問わず、これは具体的に船に乗ることには変わりがないんですから、内航ということにも変わりがないんですから、行政通達でやられているんですから、これは、そういうことで処置をするという方向で、あなたのいまの答弁を受けとめてよろしゅうございますか。
○政府委員(高木文雄君) おっしゃるようにいろいろ問題がございます。手当制度については、企業ごとに業種、業態、労務の形態が違いますから、いろいろの名前でいろいろな手当が支給されます。ただいま公務員あるいは公社等の話がございましたが、民間でもいろいろな産業によっていろいろな手当が出るわけでございます。そこで、手当の問題は、率直に申しまして、主税局の制度で考える場合と、それから、国税庁の執行で考える場合とを問わず、何といいますか、非常に悩ましい問題でございまして、決して場当たり主義ではないんですけれども、やはりどこかでバランスを考えなけりゃなりませんので弱っておる状態でございます。おっしゃるとおり、日ごろからそういうこともございますし、ただいまも御指摘ありましたから、なお、もう一ぺん全部横に並べていろいろ考えてみたいというふうに思います。その結果、いわば、どこに線を引いたらいいか、何かいい方法があるかどうか、もう一ぺん考えてみたいと思います。
○野々山一三君 困っておる、悩んでおる、検討いたしますと。あなた方にとってはたいへん都合のいいことばですけれども、減税ということば知っていますか。大幅減税するのはあたりまえですとおっしゃった総理の答弁もう一ぺん読みましょうか。時間延ばしてもらったらずっと読みます。いいですか。おわかりでしょうか。ちょっと減税という日本語をひとつ解説してください。そしてそれをやる立場で処置をします、というふうにお答えになる気持ちはないかということです。
○政府委員(山本敬三郎君) 総理も言われたように、来年度に際しては、国民の要請にこたえてさらに積極的に減税をしていくという考えにはだれも異存はないところだと思うわけでございます。そういう減税の中で、ただいま言われましたような問題は、主税局として制度として考える問題、それから、国税庁で税務執行上考える問題等とを結びつけて減税の一つの中で取り上ぐべきかどうかということにつきまして、私は、いままでこういう点についてはまことに不勉強でありますが、真剣に検討してみたいと考えております。
○野々山一三君 「真剣に」というのをぜひ忘れないで、政務次官という地位を執行するために最善を尽くしていただきたい。あとで大臣にも伺います。これは注文として申し上げます。 それから、あと幾つかありますけれども、たとえば、労働組合費というのがありますね。労働組合員が組合費を納める金。たとえば、商店なら商店が、あるいは中小企業の人が何々団体、業界、業者団体というものに金を納めますね。法人であると個人であるとを問わず、これは経費であるわけですね。それで、労働組合費——これは何も労働者だからというわけじゃないんですけれども、たとえば、三千五百万人くらいいるでしょう、労働者が、近代労働者が。その中で、一千二百万人から一千三百万人くらいの労働者が組織されている。これらの人たちが通常納める組合費というのは、一体、個人であると法人とにかかわらず、事業をやっている人たちが自分たちの属する団体に会費として納めるのは経費でしょう、税法上から見て。そうすると労働組合の組合員が組合費を納めるというのは、これは税金がかかるほうの部類に属するわけですけれども、これは税金をかけないということにするお考えはないか。これは私に言わせると、憲法の問題を取り上げる必要もないが、憲法に基づいて団結することがいいことだと書いてあるわけですね。そうでしょう。それで団結する。そっちのほうに団結した人たちは銭かけても税金とられる、そうでない人たちは団体に銭払っても税金はかけられない、簡単に言えばそういうことですね。不均衡でしょう。それから、やっぱり労働力安定ということが必要でしょう。それから、自分たちの生活をよくするためにというだけじゃなくて、近代的労働者になるために、必要な目的を達成するために、労働組合というのはつくられているわけでしょう。組合法に書いてある。その目的達成のために組合をつくり、組合に入るということはいいことなんですね、国家政策としても。それに払っているものは、この組合費が税金の控除の対象にならないというのは不均衡でしょう。だから私は、時間がないからずばり言いますけれども、もし、それを根本的にずっとそうするということがむずかしいというなら、特別措置でもいいと思うんですよ。免税の対象にするということを提起しながら見解を承りたい。
○政府委員(高木文雄君) 労働組合の組合費は、労働者にとって当然経費でございます。ただ、その経費を、どうやって労働者、勤労者について見るかということについては、御案内のように現在給与所得控除制度ということで見ておるわけでございます。収入金額の一定割合ということで、給与所得控除制度ということで見ておるわけでございます。で、御質問は、あるいは給与所得控除とは別に、別建てで見るべきではないか、こういうことになるかと思いますが、私どもの考え方では、労働組合費のような経費は、まさに給与所得控除で見らるべきむしろ逆に典型的なものではないか、労働者、勤労者にとっては組合に入ることは当然のことでございますから、それに属するために所要の経費というものは、これこそ給与所得控除でまず見るべきものではないかという考え方のゆえに、別建てになってないということでございまして、営業者がいろいろ商工組合とか、そういうところへ入る経費は、これは必要経費として見られますが、営業者については御存じのように概算的に必要経費を引かないで、個別的に引いている。給与所得者については概算的に引いている。そこの差から出てくるものというふうに考えているわけでございまして、そういう意味で、観念的には必要経費として見ている、ただ見方が、概算的な経費の中の一環として見られているという考え方でございます。
○野々山一三君 先ほど私申し上げたように、正当な組織に入ってないものは、そうすると給与所得控除の中にその分だけ減らされるんですか。そうじゃないんでしょう。入っておらぬほうが得だということになっておるんでしょう。そんなことは不均衡でしょう。憲法で団結することが当然であるといっているわけですから、そしてそれが権利だといっている。そのためにやっておったら、やっておったらというか、組合に入って組合費を納めておったら、それは給与控除の中に入っておるものでございます、そんな話では非常にびっこでしょう。いつもあなた方が使うじゃないですか、バランスがこわれては困るので——まさにバランスをこわしていることをいいことにしているというのが、典型的な話じゃありませんか。違いますか。ずばり答えてください。
○政府委員(高木文雄君) 勤労者にとっていろいろな必要経費は、同じ勤労者といいましても、いろいろの職種、体系によって違うわけでございます。労働組合に入って、そして労働組合費を納めている人もあり、納めていない人も確かにございます。しかし、他の必要経費、たとえば、学校の先生であれば、どうしてもある程度の図書費が必要だという関係がございます。その必要経費が、いろいろな職種によって——サラリーマンの中、勤労者の中でいろいろ職種によって違いますのを、概算的に収入金額に比例してきめているのが給与所得控除制度でございまして、これに対応して、給与サラリーマンについても実額控除制度にしたらどうかという御議論がございます。ございますが、現在のところはそういう収入との関連において必要経費を概算的に見るというやり方をしておるわけでございまして、おっしゃるように、労働組合費だけを取り上げますれば、入っている方と入っていない方、それから、労働組合費の高い場合と低い場合、それによってアンバランスが出てくるわけでございますが、他の経費についてもそういう問題がありますところから、概括的に見ておるという仕組みになっておるわけでございまして、現在の仕組みから言いますれば、個別的にあまりにも違いますのを、包括的に概括的にきめているということの可否が、あるいは御批判があろうかと思いますが、現行制度としては、そういう立場をとっておるわけであります。
○野々山一三君 つかみにくいものは困るという、整理のしかたがむずかしいので、包括的に給与控除で税を取らないようにしていますと、その中にたとえば、組合費というのも給与控除の中に見ているのです、こういうのがおたくの考え方ですね。そうですね。 そこで、時間がないから三つ四つ一ぺんに聞きますけれども、たとえば、大工さんの経費ですね。かんなだとか、のこぎりだとかずっと一ぱいある、あれがなければ商売にならない。仕事にならない。所得がない。こういうものについては当然経費として見るというのはきわめて明白ですね。これはやはり根本的に必要な道具というのはきまっているわけです。きまっているというより、多少新しいものが出てくるから、基本的にきまっているわけですけれども、こういうものを、理屈を言えば道具の償却年数というものをきめて、経費として見ていくというのは当然ではないかということが一つ。 それから共かせぎの人たちの、たとえば奥さん、この人が働いている。子供がある。子供を連れて会社に行くわけにはまいりませんね。働く場所へいくわけにはまいりませんね。そのとき、その人がだれかに子供を預けなければなりません。そういう子女養育費というものは、当然の経費としてなければ、婦人労働者を労働市場に確保いたしますということはしょっちゅうおっしゃるけれども、確保しようったって子供を連れた者は因りますという、そんならやはり子女保育費というものは当然の経費として見て、そうして労働力を樹立するということが必要ではないか。政策上からもそういう必要がある。それから、本質的にも経費で見る必要があるということが私の要求なのです。そのことについてお答えをいただきたい。 それから、ずばり今度は本物を国税庁に示しながら伺いますけれども、九州の博多です。相生町三丁目四番地の山内照夫という人がいる。この所轄税務署は博多税務署、この人はサラリーマンでございます。申告をいたしました。その申告内容には、食料費、光熱費被服費、教育費、組合費、通勤費研修費、雑費、これを経費として控除されるべきものとして申告をいたしました。そしたら、結果として税務署は、所得税額は別として、支払い、つまり還元されたものが七万八千百円でございました、そういう経費を認められて還元されたのが。これは私どもが言っておる申告か源泉徴収かの選択をすべきであるということが一つ。 それからもう一つ、諸般の労働力提供のために必要な経費はこれは認めたと、認めるべきであるということを税務署はちゃんと認められた。だから、還付金が先ほど申し上げた根拠に基づいて七万八千百円返ってきたのです。これは一件だけではございません。まだあります。これは同じように九州にかかわるのでしょうか、西福岡税務署、ここでもやっぱり五万一千七百円、申し上げたような論理に基づいて申告して、経費が認められて還元金が五万一千七百円返ってきています。これは私どもの要求もさることながら、国税庁は態度としてこの要求を、へい、よろしゅうございますと示された証拠でございます。なぜそれなのに、いままでおっしゃったような経費は認められないということをおっしゃるのでしょうか。申告制はだめなんでしょうか。この事実はうそでしょうか。 この三つについて、束にして、前段のやつを含めて一括お答えをいただきたい。
○政府委員(高木文雄君) 第一の大工さんの問題は、大工さんは原則としては事業所得者ということになっておりますから、事業所得者である場合には、道具等は個別に計算して経費として引かれるということになります。しかし大工さんの中で一部、何といいますか、一人親方というような制度については、給与所得者として認めてほしいという御要請が十七、八年前にありまして、そこで一定の基準のもとにおいて、大工さんでも給与所得者扱いをするということが行なわれております。給与所得者扱いにする場合には、今度はその道具は必要経費の概算控除である給与所得控除の中で一括見ると、こういうことになりますから、その場合には道具の償却費を個別に積み上げることはしないと、こういうことになるわけでございます。大工さんの中で一番典型的には、お客さんから請け負って、材料費まで全部持って、そして幾らで請け負うという場合は、典型的な事業所得者でありますし、契約内容によって材料その他はお客さんのほうか全部注文を、——自分で材料を別途買ってきて、そしてこれで建ててくれという場合には、経費があまりかからないわけでございますけれども、まあそれでもいろいろかかりがあると、一々事業所得者として書き出して主張することがない場合に、これは給与所得者でもいいではないかという主張があり、国会でいろいろ議論をしていただいた上で、こまかいことはいま手元に持っておりませんが、一定の基準のもとに給与所得者扱いにするということが行なわれておりまして、その場合には道具の償却は見ない、それは概算控除のほうで見ると、こういう形になっておるわけでございます。 それから、共かせぎの問題の子女養育費の問題も、婦人労働問題としてかねがね強い御要請がある問題でございますが、実は一つ問題がありますのは、共かせぎの場合と、片働きの場合のバランスの問題がございまして、片働きの方は、いわば亭主が働いて、そしてその亭主の収入から奥さんの分は配偶者控除という形で収入から引かれますけれども、そして所得が算出されますけれども、その算出されたものに税率が掛かるわけでございます。ところが、共かせぎの場合には、夫の収入と妻の収入を合算することはいたしませんで、別個に収入から基礎控除等を引きまして、そして税率を掛けて算定をする。したがって、かりに百なら百の収入がその家全体としてあります場合に、亭主が一人で働いて百の収入がある場合と、妻と亭主とが、たとえば六十と四十ずつ収入を得て家全体としては百ある場合とでは、累進税率の関係で六十と四十と分けて課税を受けたほうが有利だという関係がありまして、そういう意味からいいますと、片働きの方の妻のほうの主張としては、それは共働きのほうが有利ではないかという主張がありました。それが、いわゆる二分二乗論という形で主張されておるわけでございます。そこで、共働きと片働きと両方からそれぞれの御主張がありまして、いまの子女養育費のほうは、共働きのほうからの主張であるわけでございますが、片働きのほうからの主張もなかなか強いわけでございます。そこは、いまの課税制度が、家計単位、消費単位で収入を見て課税をするということをしないで、稼得者単位、つまり受けてくる収入の単位ごとに課税をしておるということから発生してくる問題でございまして、稼得者単位がいいか、消費者単位がいいかは、非常にいわゆる課税単位の問題として論議がいろいろあるところでございますが、女性問題として、両方からそういう主張がありまして、なかなか解決つかないまま、また諸外国でも、実はあっちへいったり、こっちへいったりして、制度を向こうへやったり、こっちへやったりしているところでございます。確かにこの子女養育費につきましては、先ほどの実額経費問題とも関連をして、給与所得の概算控除ではなかなか見られないものであるとして、いまの課税単位問題まで入らなくても、何か考えられる問題ではあるわけでございますけれども、その背後にやはり そういう共働き片働きの議論もございますので、そういう論議を背景としている現状においては、なかなか簡単に片づけがたい問題だと思っております。 第三の問題につきましては、国税庁のほうから答えていただきます。
○説明員(吉田冨士雄君) 博多、福岡税務署管内の問題についてお答えいたします。 これは還付請求の問題でございまして、一般論といたしましては、御承知のとおりサラリーマンがまず源泉徴収で税金を納める。それから、先ほどお話のありましたように、たとえば、住宅取得控除あたりで申請なさいますと、その分は還付するわけでございまして、これは百二十二条の還付請求書が出ますと、すみやかに還付しなさい、まず還付しなさい、で、またその場合に、その内容を見まして、またいろいろ逆に問題のあった場合には、更正なり修正、更正を打つわけですが、それはまたあとで更正を打ちまして税金を納めていただくというかっこうになっておりまして、とにかくまず還付請求がありましたならば、原則としてすみやかに還付しなさいということになっておるわけで、非常にいま大量の還付が行なわれているわけでございます。ところが、いま御指摘のように、いわゆるわれわれサラリーマン減税と言っておりますが、数年前から仙台で始まりまして、現在ことしは数局で約千五百件ほどサラリーマンの減税の還付請求が出てきております。これはただいま先生のおっしゃいましたように、給与所得控除を適用せずに、サラリーマンとしてのこまかい必要経費を全部書き上げられまして還付請求されております。その場合にも、理論的には還付して差し上げて、しかし、内容は、法律では認められておりませんので、また更正を打ちまして、そしてまた税金を納めてもらうというかっこうになるわけですが、それは非常に二重手間になりますので、われわれがチェックができました範囲内では、これは還付せずに、そのまま更正の処理をしていることが通例でございますが、たまたま原則的には還付しろという線で、大量に還付で流れていった場合もあるかもしれません。少なくとも私の聞いておりますのでは、そういう還付しそうになったんだけれども、相手にお話をして、それをやめたというケースを福岡で聞いておりますが、相手までお金を返すというケースはまだ聞いておりませんが、法律的には還付をしてそれからまた更正を打って納めていただくというのが本来でございますが、明らかに還付額が過大になるというときには、返さなくてもいいように政令で書いてございますので、そういうケースではないかと思っております。
○野々山一三君 時間がないからあと一括して伺いますけれども、要するに源泉徴収者は、申告をやったことは認められるわけですね。それが一つ。申告制は当然であるということがたてまえでないと、還付請求があった場合に還付するということにはならないわけですね。したがって、還付請求の前提は、いわゆる申告が、源泉徴収やられたものはそれでおしまいということじゃなくて、いまの住宅何とかというのは別ですよ。普通の勤労者の諸経費控除を加えて申告しているわけなんですから、申告を認めている、たてまえは。そういう前提でなければ、あなたの答弁はくっつかないわけです。それが一つ。だから、申告制は自分の選択にまかせるということでよろしいですねということを聞いておるのです。もう一回伺います。 それから、還付請求とおっしゃるけれども、還付請求というものは何も別に還付請求書を出すわけじゃございませんね。ここにちゃんと書いてある。これは本物ですか、うそですか答えてください。私どもの知るところというお話ですけれども、知るところじゃない。私のほうがよく知っている。見せますよ、そこへ持っていって。おいでにならなければ持っていきましょう。——そうすると、これは次に引き続いて申し上げますけれども、もう一ぺん更正をして、そしておまえに返してやったのをまた返せと、こういうことになるんですか。使っちゃったらどうなりますか。これはあんたのほうの役所が返して、これでけっこうですと言わない限りは、還付請求といって返すわけないですね、銭を。私なんかも山ほど何回も経験しております。よろしいということでなければ銭返ってきませんよ。呼び出されたり調査に来られたりして、そうしてよろしいということになって返ってくる。あるいはこれだけ出します、こういうことになっているのが実情でしょ。ですから、そういう事務的なお答えでは、これは話にならないわけで、つまり、もう一回繰り返しますよ。いまごらんに入れたものは事実ですよ。いかがですかということを伺いたい。申告制は認めるんですねということを伺いたい。 それから、正直いって、ここに修正申告のおすすめというやつが税務署からきている。おすすめがございましても、私はけっこうでござんすといったらどうしますか。その点について責任ある回答をしてください。これは非常に具体的な銭金の話ですからね、率直に申し上げて。 それから次に、このごろは不服審判所で検査案件が一ぱいございますね。これはおたくの関係じゃないかもしれませんから、政務次官にお答えをいただきたいんですけれども、何百件、何千件とあっても、一年に三件も進まない。こんな不服審判所というものをつくったはずがない。私も、昔この法律をつくるときに関与しでおりましたが、こんなものじゃない。何で仕事をやらないのですか。その根拠、そいつをひとつ明らかにしてもらいたい。あとはもう、先に申し上げておきますが、なかなかはっきりしたお答えがないから、ずばりのお答えがなければ、次に大臣なり総理なりに伺います。以上のことを明確に答えてください。返さなくてもいいならいいと。
○説明員(吉田冨士雄君) そういうサラリーマン減税の申告書を受け付けるべきかどうかという問題については、かつて議論がございましたけれども、現実問題としてわれわれとしては受け付けております。それで先ほど申しましたように、仙台では数年以来そういう処理をいたしております。それは先生の、いま拝見いたしましたとおり正しい申告書だと思います。その場合に、先ほど申しましたように、とりあえず修正へのおすすめをいたしまして、修正申告に応じられない場合には、更正という処理がございますので、更正いたします。 それから、不服審判所のほうの審理でございますが、これは非常に一件別に丁寧に三人の審判官、副審判官で見ておりまして、かなり最近はいろいろな関係の異議申し立てが多うございまして、それによりまして非常に山積しておりますものですから、われわれとしてはできるだけ早く仕事を進めるようにお願いしているわけですが、なかなかその点はかどらない。できるだけ早く進めるよりにお願いしている段階でございます。
○野々山一三君 最後に一つだけ。ずばり申し上げましょう。仙台の場合に三百件のうち三件が一年かかっても進まないのです。一体、それでああいう制度をつくった価値がありますか。それで、かりに不服審判が認められたとして、主張が認められたとして、金が返ってくるというときには、何年も何年も先でございますよ。ところが、今度逆にこの事件が、これは銭を返すという、この具体的に示した事件が、銭を返すというときになったらすぐいらっしゃるでしょう。そんなものは返せませんよといったらどうしますか。全く血も涙もないというか、御都合主義というのはこのことが典型じゃございませんか。責任をとってもらいたいと言いたいくらいなんです。 それから最後に、主税局長、あなたが大阪国税局長時代に、ある問題について判こを押して、法律改正をいたしますといった問題を御記憶でしょうかね。御記憶でなかったら正式な文書をまたあなたにお示しして——法律を改正いたします。何々控除をいたします。こういうふうに四、五年前にちゃんとあなたの判こを押してあるやつがあるのです。——示しましょうか。頭を振るなら示しましょうか。そういうことをおっしゃっているあなたが、いままで私に答えたことを信じよといったって信じられますか。ほんとうに率直に責任の所在を明示して、この具体的な問題は言いませんけれども、おわかりでしょう。自分が判こを押しているのだから。大阪国税局長の当時です。そのことについて考え方をひとつ述べてもらいたい。お考えによったら総理に伺います。
○政府委員(高木文雄君) 判こを押した書類というのは私はわかりません。
○野々山一三君 それなら一体あなた、ここで言えないことだろうかもしれないから、あらためて秘密理事会でもけっこうです。理事会に一ぺんあなたに出てもらって、現実の問題の処理について伺いますよ。ありませんなんていうことはありませんよ。あるから言っているのですよ。証拠を示されたらどうしますか。政務次官答えてください。
○政府委員(山本敬三郎君) 事実関係がわかりませんので、私からは何ともお答えできないのですが、局長のときは、いろいろ判を押したこともあるだろうと思いますが、どういうケースで、どういう判を押したかということは私にはわかりませんので、ちょっとお答えできかねます。
○委員長(藤田正明君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(藤田正明君) 速記入れて。
○竹田四郎君 退職金の今度の改正でありますけれども、大蔵省からもらった資料によりますと、二十年、二十五年、三十年、三十五年、これによって、今度の改正案でも、それぞれの控除額の限界をオーバーしたものが相当あると思うのですね。たとえば、人事院の数字にあるわけでありますが、二十五年で会社を都合によって——大学卒の場合に、今度の改正案では四百五十万、ところが、実際四十五年十月から四十六年九月まで人事院の調べによりますと、平均で五百二十二万八千円と、こういう数字が出ております。三十五年では八百九十万五千円。中央労働委員会の調査でも、たとえば三十年、今度の改正案で六百万のところが、大卒で八百八十六万六千円、六百三万六千円、こういう数字になっているわけですが、現実的に三十年、三十五年働いて、それで退職金をもらう。せめてもの、何といいますか、家族の住まう根拠くらいは何とかしたいと、こういうことですが、現実にいま一つのマンションですら一千万ぐらいの金を出さないと買えないわけですね。そうすると、今度改正されても、それによって何とか老後の住まいを手に入れるということは、これではなかなか現実にできないと思うんですよね。で、これからの老後の問題を考えてみれば、定年退職する、あとはおそらくなかなか食っていけないというのが実態だと思うんですがね。そうすると、どうも今度のこの退職金の控除の金額というものが少な過ぎるんじゃないか。まあ昔ならば退職金で貸し家の二、三軒は建って、その家賃でけっこう食っていけるというのが戦前の実態だと思うんですね。いま自分の家も建てられないということであれば、これは私は問題だろうと思うんですね。だから、少なくとも私どもは、公団、公社の総裁をやって、やめたときに三千万、四千万の退職金をもらうという例も聞いているんですが、そんなところは別として、この三十年、三十五年働いて七百万、八百万くらいの退職金というのは、決してそういまの時代において多過ぎるとは私は思わないんですよ。だから、これどうですか己もう三十五年で一千万円くらいの金額までに私はすぐ引き上げるべきだと思うんですよ。おそらくいま働いて退職金をもらって、いつになったら退職金の限界内で新しい自分の住まう家が持てるかどうか。これおそらく持てないと思うんです。だから、いま出している三十五年で八百万円ですか、これ即時、私、引き上げてもらいたいと思うんですね、修正して。こんなことでこの一年、また定年退職で打ちしおれている人たちを延ばしていくなんというのは、その間に貨幣価値もまた違うでしょうし、あまりにも少な過ぎると思うんですが。少なくともことしの段階で、四十八年度の段階で一千万円くらいにはすべきだと思うんですがね。具体的に、国税庁なり何なりで、そのそれぞれの二十年、二十五年、三十年、三十五年で、今度の改正の限度内におさまる退職者が一体どのくらいあるのか。それからはずれて税金を具体的に取られる人員は、四十六年度の実態でけっこうだと思うんですがね、どのくらいあるのか。そういう数字もひとつ発表してみてください、ここで。どうもこの辺おかしいと私は思うんですが。
○政府委員(高木文雄君) 退職給与の所得の非課税限度をどの程度にすべきかということについては、ただいま御指摘がありますように、いろいろ金額水準を幾らにすべきかについては問題があるところでございます。それで私ども、原案を作成いたします段階におきましても、現行の五百万というものの五割増し見当というのが、今回の御提案申し上げた一つの目安でございますが、従来から一つには、先ほど御指摘のように、高等学校卒業後三十五年勤務ぐらいの方が受けられる給与までは、大体課税にならないようにするということで、過去において、四十二年でございましたか、現行退職所得の基準がきまりましたときにはそういう目安でございましたので、大体ほぼその辺を目安とするということを基準とし、それから、実は他のもろもろの税制改正におきましての改善幅、たとえば、相続税の改善幅、課税最低限の改善幅も五割増しぐらいのところに置きましたこととも関連をいたしまして、そこでいまの三十五年で八百万というあたりの水準に置いたわけでございます。で、それにつきましては、確かにサラリーマンのほうからいいますと、長年の間汗して働いて、その最終的な結果としての退職金でございますから、これはなるべく非課税限度が高いほうがいいということではございますけれども、一面において、実は事業所得者のほうからいいますと、退職金という制度はないわけでございます。個人の事業所得者については、やはり長年の間働いて、そうして現在は制度上なくなりましたが、いわば隠居のようなことで、子供さんにそれを譲るという場合に、長年働いたことに対応して、何か非課税の所得をそこで得るという方法がないということから、個人事業者のほうからは、しばしば、たとえば、クロヨンとかなんとかということで、サラリーマンが非常に不利だと言われるけれども、たとえば、退職控除制度というようなことを考えれば、必ずしもそうでもないというようなことで、この制度が引用されるわけでございますので、まあ、ほどほどのところまでは上げなければなりませんが、そのほどほどというのをどの程度にするかということについては、やはり多ければ多いほどいいというわけになかなかまいらぬのじゃないかという考え方をとらざるを得ないわけでございまして、そういういろいろを考えあわせまして、ただいまの八百万という水準で御提案を申し上げているわけでございます。 なお、人員等につきましては、新しい数字がないのでございまして、実績として四十六年度の数字がございますが、これは課税をされた方が二百三十五万人……。
○竹田四郎君 そんなこと聞いているのではないですよ。余分なことはおっしゃらなくていいんです、時間がないですから。そういう数字はもらっているのですから、そんなのいいんです。はずれている人は幾らかということを聞いているんだから。
○政府委員(高木文雄君) はずれている方の数字は、いまここには持ち合わせておりませんので、後刻すぐ調べてお答えいたします。
○竹田四郎君 私の持っている資料は、四十五年の十月から四十六年九月ですから、たいへん昔の資料ですよ。それにいたしましても、高校卒で、三十五年で七百三十九万ですから、これもおそらくかなり上がっているでしょう。そうすると、ことし税制改正で八百万にしても、これはおそらくはずれるだろうと思うのです。はずれる人はかなりいると思うのですよ。だから、いつも取られるほうはどんどん取るのだけれども、まけてくれるほうはいつもおくれている。ここに私は、不満があると思うのです。だから、政務次官、これ八百万円でなくて、一千万円ぐらいにことしの四十八年度から直していかなければ、要求に合っていかないと思うのですよ。それはいま事業者所得のことを言いましたけれども、事業者所得の場合は、ある程度財産もできていますよ。勤労者の場合には、ほとんど財産というのは、それほどできているとは考えられないわけですよ。しかも、毎年毎年家族の諸問題こういうものが変わってきておりますよ、年寄りというものがはずされてしまって。こういう形というのは、毎日の新聞に出ているとおりなんです。少なくともその辺考えたら、少なくとも老後の生活ができるぐらいなものがあって、私はしかるべきだと思うんです。そういう意味では、早急に私は変えるべきだと思うんですが、どうですか、来年を待たずに。修正していいんですよ。
○政府委員(山本敬三郎君) 竹田委員の御主張もよく理解できるところです。大臣が、衆議院のほうでも、来年度では御期待に沿えるようにしたいということを申し上げているところであります。私も、来年度には御期待いただきたいと思うわけでありますが、ことし直ちに修正するというようなことについては、他の税制改正とのバランスもありますので、にわかに賛同申し上げるわけにはいかないと考える次第でございます。
○竹田四郎君 いいことは即時やったらどうですか、そんなに、一年も延ばさないで。来年を待たず、私はやるべきだと思うんですけれども、大臣が衆議院でそう言っているというと、次官はそれに拘束されるでしょうからね、おそらくここの答弁は。内部ではどうか知りませんけれども。しかしそれは、次官、いいことは早くやったらどうですか、これだけ困っている世の中ですから。国民の頭、カリカリしているんですから、いま。だから、いいことは、少なくとも田中内閣の名声、支持率をあげるためにもどんとやったらどうですか、早く。それが決断と実行の国民に約束したスローガンだと思うんです。来年でなければできないなんて、そんなばかなことないと思います。いま法案審議中ですよ。ここで直して衆議院へ送り返してやったら、それで済むことじゃないですか、来年を待たずして。どうですか。
○政府委員(山本敬三郎君) おっしゃることはよくわかります。よくわかりますけれども、昨年度の限界が五百万円でありますから、それとのバランスも考えなければならぬという点もあることを御理解いただきたいと思います。一挙に倍額にもなるというようなことは、昨年度の人との間のバランスの問題もあります。また、本年度の他の税制改正とのバランスもありますので、いいことは早くやれというのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、大臣の、来年度からは積極的にやりたい、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
○竹田四郎君 時間がありませんから、もうその点については質問しませんけれども、とにかくいまの時間というのは、月と地球との速度を考えてみてもわかるわけですよ。いまの一年というのは昔の計算でいえば五年、十年に当たるんですよ。ですから、決断と実行を国民に約束された自民党内閣、いいことはすぐやるべきだと思うんですよ。 その次へ移りますけれども、これは、特に政府関係機関の職員の場合ですが、公務員の退職手当の改正案というものが、おそらく衆議院を通過したと思いますが、私は、それに伴って、政府関係機関で働いている人たちの退職金というものも、この際、公務員並みに引き上げるべきではないか、こういうふうに思うんですけれども、たとえば、公務員の場合に、勤続二十年以上の場合には、現行支給率を二〇%加算をする、支給率の上限を六十九・三カ月にする、こういうふうになっているんですが、政府機関の職員というのは、これは年金にしても共済年金でなくて厚生年金、あるいは定年制が一方ではあるし、一方はない。あるいは設立の日の関係、あるいは最近における、こうした政府関係機関の仕事というものが非常に多くなっている。こういうことから考えてみますと、やはり実際には、これは公務員と同じ仕事をやっているといっていいわけです。ただ組織的に公務員でないということでありますから、あるいは実際の仕事は公務員よりよくやっていると私は思うんです。公務員の能率性に比べれば、こういう関係の人たちの仕事の能率というのはもっとあがっているわけです。そういうふうに考えてみますれば、まあ少なくとも退職手当についても、公務員並みに直すべきだと思うのです、公務員のほうが直っているんですから。その辺はどう考えますか。
○政府委員(吉瀬維哉君) すでに竹田委員御承知のとおり、現行の政府関係機関の退職金の支給規定によりますと、公務員の率よりも高い率が支給されているわけでございますが、なお、給与ベースがまた公務員よりも高くきめられている、水準といたしまして。ということから、現在の退職金の支給規定によりますと、有利にきめられていたわけでございます。ただ、今回の政府関係の、政府の職員の退職手当法の改正によりまして、若干その関係が支給率において長期勤続者につきましては、変動が生ずる。ただ、私どもただいま御説明いたしましたとおり、政府関係機関の職員の給与ベースが高いということから、実際には支給率に——長期勤続者につきましては、変動が生じましても、受け取る退職手当の額は政府関係機関の職員のほうがまだ高いのじゃなかろうか、こう考えております。 なお、今回の退職手当法の支給率の改正でございますが、人事院の民間企業の退職手当の実態調査に基づきまして、給与額掛ける率——率に着目したわけではございませんので、全体の額に着目いたしまして、改正しているという事情がございまして、その点につきましては、私ども、なお、政府関係機関職員の皆さんのほうが政府の一般公務員よりも高いのではなかろうかと考えます。ただ、政府関係機関の幾つかにつきましては、いろいろな不利なケースがあるいは出てくる場合も考えられますし、こういう点につきましては、ケース・バイ・ケースで将来にわたって慎重に対処していきたいと考えている次第でございます。
○竹田四郎君 給与が高いというのですが、具体的にどのくらい高いのですか。確かに前には暫定手当分を含んでいるとか、最近では調整手当分が本俸に繰り入れられているというわけですが、退職金の計算の場合には、本俸月額を百五分の百という形だろうと思うのですが、調整手当分というのは、具体的に、数字の実質的な点で、規定の上じゃなくて、どのくらい違うのですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) たとえば、現行の規定でいきますと、国家公務員が二十年勤務の場合、これを四条適用いたしますと、三一・五支給割合、それに対しまして現行の政府関係機関で三五でございます。また、政府の一般公務員の場合につきましては、改正後の規定で三一・五、それに対しまして政府関係機関の退職手当の支給率は三五、二十五年になりますと、政府関係機関のものが四五でございます。それに対しまして今度の改正によります一般公務員が五一、ここら辺に逆転関係が出てまいります。ただ、先ほど申しました給与ベースの差が大体平均的に一〇ないし一五%くらい、あるいは場合によっては二割くらいいっているところもあるかもしれませんが、そのくらいの差がございますので、支給額といたしましては、なお、政府関係機関の数字のほうが高いという形になります。
○竹田四郎君 私なんかの計算ですと、いまの三十五年ですか、これで六%くらい違うわけですが、実際にはそんなに違っていないわけですよ、計算すると。ですから、その点では、いまの百五分の百という率を掛けるということ、この数字はひとつ考え直してもらわなければいかぬじゃないか、こういうふうに思いますよ。確かにあなた三十五年というのですが、政府関係機関ができてからそんなになっていないんですよ。架空の数字をあげて言われても、現実にもらう人たちは、そんな架空な数字言われたって、自分がもらう数字じゃないですからね。三十五年というとまだ先の先でしょう、政府関係機関ができてから。だからそうした架空の数字を言われても、この点はあまり意味ないんじゃないですか、現実の数字を言わなければ。だから、そういう点では、現実的には、そんなにおっしゃるように離れていない。だから、そうした支給率の、掛けるほうの数、これは私は直すべきだと思うんですよ。それに現実に仕事量だってものすごくふえているんですよ。本来なら国家公務員がやる仕事を全部そっちへやっているわけですからね。たとえば、国民金融公庫の人たちの仕事量だってものすごくふえているわけですよ。ところが、人間のほうはちっともふえてないですよね。だから、国民金融公庫の場合でも、腱鞘炎をはじめとするいわゆる職業病患者というのは、最近もう非常にふえてきているわけです。仕事量はふやして、そして給料はそのわりに上げてくれない、退職金もどうも悪い、と。そうして、公務員のやる仕事を全部そっちへ押しつけてしまっているというのが私は現実だと思うんです。道路公団なんというのは、私はいい例だと思うんです。本来ならば政府が国道としてやるべきものを、有料道路といって道路公団にやれ、それ何々道路公団にやれ、何々道路公団にやれ、と。そういうやっかいな仕事は全部ひっかけておる。これじゃ、日本列島改造論もうまくいかないですよ。政府関係機関も、同時に、国民に対して親切な機関じゃなくて、恨みの機関になるわけですよ。中小企業に対してだって、そんな、親切に公庫の人が仕事するわけないですよ。この辺は次長、再検討を——退職金もそうだし、給与もそうだし、人員の問題も、私は、再検討をすべき時期にきていると思うんです、明らかに。人員なんかも四十二年からほとんどふえていませんね、公庫の場合に。件数で言うと四四%ふえているんですよ。一倍半に仕事がなっているわけです。それなのに人員は少しもふえていない。これじゃ困るんじゃないですか。これは政府の外郭機関ですから、最終的に政府が責任を負わなくちゃならぬということに、私はなると思うんですが、どうですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 最初に、先生が御指摘になりましたとおり、現実の公庫等、政府関係機関ですが、二十年をこえるものは八十六法人中十九というふうなことで、まだ、現実問題として退職手当の永年勤続者に対するアップというものは、それほど大きな問題になっていないと思います。 ただ、ただいま御指摘のありましたいろいろな諸点、特に事務量の増加でございますね。政府関係、特に金融機関につきましては、貸し出しの件数とか、それから、資金額そのものが相当ふえていることも事実でございます。私ども、それに対応いたしまして、事務の機械化とか、あるいは電算機による処理とかということによりまして、鋭意対応しているわけでございます。 なお、一般的に、国家公務員及び政府関係機関の人員をできるだけ合理化するという一つの大方針もございますけれども、特に、いま御指摘がありましたような国民金融公庫などにつきましては、小企業の経営収支の改善資金とか、相当手間を食う仕事が追加されたというようなことの事情も考慮いたしまして、本年度は百二十七人定員増になっておる。この絶対量につきましては、なお、御批判もあろうかと思いますが、御指摘のような点も踏まえまして、私ども全体のバランスを将来にわたりまして検討いたしたいと考えております。
○竹田四郎君 とにかく、自分たち働かないで、ほかのほうにしわ寄せさせていくということが、こういう原因になっているわけですからね。ですから、公務員と同じ仕事を実際はやっているわけですよ。だから、そういう点も、私は、公務員と同じような形にしていくべきだと思うんですが、いまも電算機を入れる、何々を入れると言うんですが、国民金融公庫じゃもうずいぶんたくさんの腱鞘炎の人が出ているんですよ。なお、それにそのキーを打つ仕事をたくさんさせると、もっともっと腱鞘炎が出てくるわけですよ。これは一般の銀行でも出ておりますよ。だから、何もそういう合理化だけで問題は解決しないと思うんですよ。ですから、人をふやして、人間のやり得る仕事というものは一定の限界があると思うんですから、それに応ずるような定員増を考えてもらわなければいかぬと思うんですよ。給与も同様だと思うんです。これはひとつ、早急に考えていただいて、組合側と十分話し合って是正していただきたいと思うんですが、そういうおつもりでございますか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 予算の成立を直前にいたしました現在でございますので、現在の予算の内容をすぐ変更するというわけにはなかなかまいらぬかと思いますが、御指摘のような点を踏まえまして、十分各理事者が、職場の条件改善のために率直に話し合えるような雰囲気をつくっていきたい、こう考えております。
○委員長(藤田正明君) 午前中の質疑はこれにて終わります。 午後は、大蔵大臣の出席と見合いまして、十二時四十分再開といたします。 暫時休憩をいたします。 午後零時七分休憩 —————・————— 午後一時十一分開会
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、所得税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○竹田四郎君 まず今回の税制改正でですね、まあその税制改正に入る前に、たとえば税制調査会が医師の所得の場合、七二%損金算入というような特別措置、こういうものはやめるべきだという税調の意見があったにもかかわらず、今回もそれを残した。あるいは事業主の報酬制度、こうしたものについても、負担の公平を害するから、考えなけりゃいけないというので、税調は、最後までこの点については答申を出さなかったわけでありますが、ただ原則の中に入れないということで、特別な形でやるということで妥協をしたということでありますし、また、最近は、農地の宅地並み課税に関連して、個人の土地の譲渡所得に対する税率を引き下げるというような話もある。こうしてみますと、税というのは、その額の高い、低いということが問題であるよりも、まず、税の負担の公平ということがやはり一番大原則なはずだと思うのです。しかし、現実には、このように、負担の不公平というものが、むしろますます顕著になってきている。一方において、最近の経済変動の中で、金持ちのところに土地も株も金も集中するという形が現在の情勢だと思うのです。株式の保有を見ましても、個人の保有というのはもう最近ぐんぐん下がってきている。この辺が私は、政治の一番大きい問題点だと思うのですけれども、そういう点に対して、大蔵大臣は、こういう今年度の税制改正、そのまま放置をしておくということになれば、負担の公平というものは著しく阻害されていくと、こういうふうに私どもは思いますけれども、政府としては租税負担の公平の原則というものは守られているのかどうなのか、現状をどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 四十八年度の税制改正についてはもちろんでございますが、公平の原則ということはもちろん念頭に置いて税制改正案をつくったつもりでございます。たとえば、いまおあげになりました医師の問題、それから事業主報酬制度の問題等々につきましても、医者の問題については、これは長年の懸案でございまして、税制調査会としてもこの改善策といいますか、対処策については引き続き検討するということになっておりますし、政府といたしましても、そういう税制調査会の御意向も受けてひとつ検討を進めたいと考えておる次第でございます。これはまあ結論が出ませんでして、その点は念に思っております。 それから、事業主の問題については、サラリーマンの税の負担の状況、あるいはその他の相互関連等をよく検討いたしまして、当初考えられたような案からはだいぶ調整をしているというようなところにも、政府としての配慮がある次第でございます。 それから、あるいは現今のこの社会情勢に照らして、たとえば、大企業その他、土地の問題等について再評価課税であるとか、あるいはキャピタルゲインに対する課税であるとかというような点も含めての御意見かと思いますけれども、こういう点につきましては、ただいまの状況から四十八年度の税制についてはこの原案でやってまいりたいが、同時に、四十九年度以降の税制につきましては、いろいろの御意見を積極的に伺いながら、ひとつある程度の、これは税制のことでございますから、時間をちょうだいしたいのでありますけれども、積極的なかまえ方でさらによりよき税制で国民感情にも合うものを創造したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 そうしますと、今日における、たとえば、給与所得者を中心にして考えてみると、租税の負担は決して公平な状態が保たれていない、こういうふうに大蔵大臣も考えているというふうに認識してよろしゅうございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 四十八年度の税制については、たとえば、個人の勤労者等に対する課税は、課税の最低限度の、われわれからいえば、大幅の引き上げということによってつり合いがとれていると、現状においては信じておるわけでございます。しかし、もっと将来を展望した場合に、税制をよりよきものにしたい、たとえば、直間の比率配分をどうするかとか、あるいはその中において、法人税と所得税の関係をどうするかというような点については、いろいろの御意見等もとくと謙虚に検討して、ひとつより一そうよい考え方があれば、これを取り上げたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○竹田四郎君 課税最低限の引き上げで、それでいいのだというようなお話でありますけれども、しかし、課税最低限の引き上げによって、なるほど幾らか税額そのものとしては差し引かれるわけでありますけれども、しかし一方、それだけの税金が差し引かれても、一方物価の高騰というのはすでに東京都で三月で九%というわけであります。おそらく政府の見通しから考えてみますと、たいへんな違いだろうと思います。そうしてみますと、その課税最低限が引き上げられたくらいではおそらくおさまらないと思うのですね、物価の値上がりを考えてみますと。そうしますと、課税最低限の引き上げ方が少ない、こういうふうに考えざるを得ないと思うのです。 それともう一点は、何か本格的な根本的な税制改正を先に延ばすというような考え方でありますけれども、いま国民感情というのは、私は、そんなに政府の言うことをすなおに聞くような生活の感情ではないと思うのです。片方では物価が上がってたまらない、税の引き方はわずかだ、金持ちにはたいへん減税をしているけれども、汗水たらして働いている勤労者に対する減税は少ない、こういうことでは、私は納得できないと思うのです。今回の場合の、たとえば、給与所得の定額控除にしても、現行十三万円が十六万円、たった三万円上がるだけなんです。まあ定率控除も幾らかあるわけでありますけれども、こういう不均衡な状態というのは、早急に解決をやはりしなければいかぬ、こういうふうに思いますけれども、たとえば、給与所得の定額控除ですね、こうしたものは大幅にもっと引き上げなければ、おそらく勤労者の所得税の負担というものは私は高まっていくと思う。その辺は大蔵大臣どう考えますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 将来の考え方としては、所得税の定額控除というようなものを、私は、相当考えていきたいものと考えておりますが、同時に、財政需要というものも非常に大きくなっておりますし、歳入の関係というものも考えなければならぬ。それから、物価の点もお話がございましたが、現在において消費者物価が思わざる高騰をしておりますことは、残念でございますけれども、年度間を通じて経済の見通しからすれば、五・五%にとどめたいということで、ちょうど年度も始まったばかりでございますし、諸般の対策、財政、金融あるいは特別の立法その他のいろいろの措置が集中いたしまして、年度を通じて見れば、この物価の問題というものには、政府としてはさらに大きな期待を持っているわけでございます。これに比べて、課税最低限度の引き上げは八%をこえているわけでございますから、これが私は、現在においてとるべき適切な措置であると、こういうふうに考えております。で、感覚的には、いろいろの議論があり、また国民大衆がどういうふうに思っておられるかということは、十分に政府としても了解し、かつ、これを政策の基準にしなければならないことは当然でございますけれども、同時に、感覚的にだけは、税制というようなものは非常に複雑でもあり、相互のバランスということもあり、これには相当の改善を加えるということを理想に置きながら、具体案としては慎重に相当の時日をかけて積み立てなければならない。また、税制調査会等も、かねがね熱心に御検討いただいておりますから、それらの関係も考慮いたしまして、政府としては、かねて——きょう総理大臣も出席をすると思いますけれども、政府全体として、来年度においても新たなる構想を立てたいと、さっそくにも検討を開始したい。ただ、相当の時間がかかりますから、四十九年度においてはその成果をあげるようにしたいと、こういうことを率直に政府として申し上げている次第でございます。
○竹田四郎君 確かにあちらこちらのバランスのあることは、これは当然だろうと思うのですけれども、いまそういうようなことを考えている時期ではないと思う。ですから、これは早急に新しい負担の公平をはかるための税制というものをつくるべきだ、こういうように思うのです。特に昨年は、新しい減税というものが一切なかったわけです。で、ことしの減税が三千百五十億という、自然増に比べて非常にわずかな減税である。物価の値上がり、あるいは賃金の値上がりというものから考えてみますと、減税になっていない、実質的な増税になっている、金額の上では減税でしようけれども、実際の家計上から見れば、増税になっていると思うんです。前々回の戸田委員の御発言の中にも、弾性値を中心とするそういうお話があったわけであります。ですから、私は、来年を待たずに、そうした税制の根本的な改革というものを早急にやっていかなくちゃいけないだろうし、それから特に、所得税の減税というのは、来年を待たずにもう一回年度途中においてやるべきだと、こういうふうに思いますが、どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 御意見はよく承っておきますけれども、政府としては、四十八年度中に税制に手をつけるという考えは持っておりません。
○戸田菊雄君 関連。いま大臣が直間比率の配分を検討しなければいけないと、こういうことを言われたんですが、ことしの直間比率を見ますると、毎年直間比率の割合というものが直税にどうしても置かれて、間接税は引き下がってきているのですね。ですから、これは大蔵調査室の資料でございますが、その中で直接税と間接税の推移というので一定の資料が出ておりますけれども、これを拝借をいたしますが、三十年には直接税五一・四%、間接税は四八・六%で、やや接近値ですね。ところが三十五年になって、やはり直接税のほうが若干上回ってまいりまして、四十年ではほぼ同等ぐらいまで接近したんですけれども、四十五年になって六六%、間接税が三四%、四十八年は六九・六%、そして間接税が三〇・四%こういうことになると、この比率は七対三、こういう程度まで離れてきておりますね。ですから大臣、今後、この直間比率の推移等から考えまして、どちらに一対ウエートを置いて今後の税制改正というものを考えられていくのか、これは内閣総理大臣も、いろいろと四十九年度の税制改正の方向等について一端の考えを明らかにしておるところですけれども、この辺の直間比率については大臣はどちらにウエートを考え、今後対処をしていきたいという考えを持っておるのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) この直間の比率にも触れて、私は、今後の税制について考えていきたいということを申したわけでありますが、これはしかし、直接税の内容あるいは間接税の内容として、どういうものが考えられるかということと関連して考えてまいらなければならないと思います。たとえば、間接税の比率をもう少し上げようとすると、それなら付加価値税でも考えるのかと、これは反対であると、こういうふうな考え方が相当強いわけでございますから、また直接税につきましても、考え方としては、法人に重く、勤労課税には少なくという気持ちを強く持っておりますけれども、これが税収の関係にどういうふうなかっこうになるかというふうなこともございますから、いまにわかにこれは七対三がいいとか、あるいは五対五に接近するようにしようとかいうことは、いま直ちにまだ申し上げるほどの考え方は持っておりません。
○戸田菊雄君 委員長……。
○委員長(藤田正明君) ちょっと待ってください。三十五分までしか社会党の時間がございませんから、関連は簡単にしてください。
○戸田菊雄君 ただ、いままでの歴代内閣の大蔵大臣は、間接税にウェートを置いて今後改正をやっていきますよというのが、水田大蔵大臣や福田大蔵大臣当時の考えであった。そういう考えは今後変えるのですか、どうなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは現下の状況下において、いろいろまた新しく考えなければならない要素があると思います。ですから、従来からのわれわれの考え方というものは、原則的にこれを踏襲していきたいと思いますけれども、これは税目を何を選択するか、それから国民的の感情からいって、どういう選択がいいかということについては、慎重に検討を要するものと思います。
○竹田四郎君 時間がありませんので、実は予算委員会で提案したことについて議論したいと思いますが、あと五分しかありませんから、これは次の機会にひとつ譲りたいと思うのですが、私の案だけを申し上げて、大蔵側でも検討していただきたいと思うのですけれども、その一つは、最近の商品投機、こうした問題から考えてみますと、ある意味では、金融政策ということで貸し出しを締めていくということは、これはよくわかるわけです。で、これはむしろやり足りない。去年もわざわざ預金準備率を一〇%の限度を二〇%まで上げたわけでありますが、しかし、現実には預金準備率というものが非常にまだ低い。ですから、もう少しそうした意味で量的規制をもっと進めなければいけなかった。あるいは公定歩合の引き上げについても、もっと早い時期にこれは引き上げるべきであったけれども、これができなかった。そうして企業の手元の流動性を非常にだぶつかせた。これが私は、今日の商品投機の大きな根源であろうと思う。この根源を引き上げるという方法は、なかなか金融的な手段だけでは引き上げられない面がかなりあります。そうした面では、特に法人税というものを一期分予納をしていく。こういう措置によって企業の手元流動性というものを引き揚げていく。目一ぱいに引き揚げれば一兆円ぐらいこれによって引き揚げることができるだろうと思うんですけれども、そういう措置を一回検討して、一方で税金も下げもしないで、片方で商品を高く売らしている、まあ売らしているわけじゃないけれども、現実的にはそういう結果になっているわけです。でありますから、税負担とそうした面との関係を見ますとたいへん不均衡になっている。で、この問題については、きょうは時間がありませんから詰めませんけれども、ひとつこの問題については検討をしていただいて、税金で悪ければもっと金融で締める、こうした方途をひとつ考えておいていただきたい。 それからもう一つ、最近自民党で検討をされているようでありますけれども、宅地供給促進法案というのを何か出すようなお話であります。これによりますと、個人の農地の長期譲渡所得、こうしたものについては、かなり優遇措置をとるというふうに聞いておりますけれども、具体的にこの辺はどのようにお考えでございますか、お考え方を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) まず、前段のお尋ねでございますが、そういうお考えも一つのお考えであろうと思いますけれども、これは、たとえば、対象をどういうふうにとるかということを一つだけ考えてみましても、全般について繰り上げというようなことは考えられないことと思いますし、またかりに対象の限定というようなことができるとしましても、私は相当ドラスティックなやり方過ぎるのではないかと、私としては直感的にそう考えます。やはり過剰流動性の対策としては、そもそもが過剰流動性というものが起こってきた、そしてなおかつこれは当時としてはそれなりの意義があったし、それなりに評価されていいと思いますけれども、結果として起こってきたことは、それにもかかわらず、金融機関の貸し出しというものが圧倒的な比重を持っておった。やはり具体的にそこに焦点を合わせて、主として金融政策で対処していくべきものであると、こういうふうに考えるわけでございます。 準備率の引き上げ方が足りない、公定歩合の引き上げがおそきに失したというような御批評、御批判等に対しては、謙虚にこれを伺ってまいりたいと思います。同時に、これからも状況の推移に応じて、金融政策においては機動的にさらに次のステップを考えていくべきであると、こういうふうに考えます。これは、さらに一そうの緊縮をやるべきか、あるいは場合によればこれをゆるめるほうがいいかというような問題もあり得ると思います。それから、金融政策におきましても、やはり中小農業、あるいは住宅関係というものは予算の上でも御審議をいただいておりますが、広い意味の特利として、これは金利を安くして貸し出しをするというような、きめのこまかいところを金融政策としては発揮し得るであろうと、こういうように考えておるわけでございまして、過剰流動性に対しては、繰り返すようでございますが、税よりも金融で政策のかじをとるべきであると、こういうように考えておる次第でございます。 それから、宅地並み農地の課税につきましては、何とかして好ましい土地の供給を促進するという意味で、税の面においてもさらに一そうのくふうがないであろうかというようなことで、年度を分けて、四十八年度中は幾ら、四十九年度、五十年度においては税率を上げる。本来予定されておりましたよりも、四十八年度におきましては、たとえば、一〇%の税率にする、あるいはその後二年間においては一五%にするというような考え方を盛りました法案をすみやかに国会に提出いたしたい、こういうように考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 あとの問題、御答弁が具体的になかったわけですけれども過剰流動性の問題ですね、金融政策で締めるかゆるめるかというようなお話もありましたけれども、これはお答えは要りませんけれども、いまのような商品投機というようなものがあれば、これは国民は頭にきますよ。三倍、四倍上がっている品物はうんとあるわけですからね。ですから、税金がだめだというなら、金融関係でぐっとその辺は締めて、買い占めているものをどんどん出させるような手段をなぜ政府は講じないか、これについては、私は、国民全部がいま怒りを持っていると思うのです。税金はだめだ、金融はだめだ、これはすぐ措置を、もう少し品物が安く出てくる措置をひとつとってください。これは御答弁要りません。
○多田省吾君 私は、初めに消費者物価の上昇と、年度内所得税減税についてお尋ねしたいのですが、最近の物価上昇は非常に激しいものがある。東京におきましても、三月末の東京都の消費者物価が、前年同月比の九%急上昇ということでございます。また、いま竹田委員からもお話があったように、一部の商品投機による値上がり、あるいは土地が一年間で三十数%値上がりしている。こういう全般的なインフレ傾向の中で、政府経済見通しの消費者物価上昇率五・五%におさまる見込みは、私はないと思います。小坂経済企画庁長官も、参議院の予算委員会で、わが党の阿部憲一議員の質問に答えて、まあ七、八月ごろ国会が終わったら、また消費者物価の上昇率を見直ししたい。五・五%ではおさまらないだろう。こういう見解も述べておるわけです。さきに大蔵大臣は、衆議院予算委員会でも、消費者物価上昇率が、政府見通しの五・五%を上回る情勢になった場合は、年度内所得税減税も検討するとおっしゃいましたし、また衆議院の大蔵委員会に参考人として出席した東畑税調会長も、大蔵大臣と同じような趣旨の発言をしているわけでございますが、大蔵大臣は、この消費物価上昇率が五・五%を上回るような情勢になった場合は、やはり衆議院でお答えになったように、年度内所得税減税を検討なさるお考えございますかどうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 経済の見通しについては、前例もございますし、年度の途中で、やはりそのときの状況に応じて、こういうように変えたほうがよろしいということで、変えることも私は適当な措置であると思います。 それから、消費者物価と税の関係でございますが、消費者物価、五・五%以内ということで、税制についても税制改正案の御審議を願っておるわけでございますが、五・五%というのは、先ほど申しましたように、年度を通じての見通しでございます。そしてこれが年度の終わりごろになって、この見通しが相当はっきりすると、その要素は、来年度の税制改正において、これは大きな資料にしなければならないという趣旨で申し上げましたわけで、年度内に五・五%をこえたから、直ちにそれをもって年内に減税案を実施するということをお約束したわけではございません。
○多田省吾君 重ねてお尋ねしますが、東畑税調会長ははっきりと五・五%を上回るような情勢になった場合は、年度内所得減税をすべきだと、このようにおっしゃっているし、また小坂経企庁長官は、今度の国会が終わったら、七月、八月ごろだと思いますが、政府見通し五・五%を見直ししたいと言っておるわけです。もし、それじゃ小坂長官が七、八月ごろ五・五%をこえるような見直しを経企庁でやった場合、政府でやった場合は、年度内所得減税を考慮いたしますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、現状におきましては、物価の見通しについては、企画庁がいろいろと見通しを立てられると思いますけれども、まあ、時間の関係もございますから、多くを申しませんけれども、現に年度も変わりましたばかりで、一面変動為替相場の現在の状況等から申しましても、理論的には相当のいまの異常な状況は是正されると、こういうふうに考えておりまするので、現在私としては、年度を通ずれば五・五%以内にとどめ得ると、またその努力を総合的に強力に施策を展開していくべきであると、こういうふうに考えておりますので、先ほど申しましたように、年度中に五・五%の値上がりというようなことが実績的にあらわれてまいりますような場合には、当然これは減税案の用意をしなければならない。しかし、これは年度内にそこまで行き切るというほどの考え方は現在持ち合わせておりません。
○多田省吾君 ですから、私は、仮定でございますけれども、経企庁のほうで小坂長官も予算委員会で明言しているんですから、五・五%以上の見直しがあった場合はどうなさるおつもりなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) それは仮定の問題であり、かつ企画庁のほうの作業いかんにもかかっておりますが、現在の私の立場では、年度中に減税案を国会に御審議をお願いするということは考えておらないということを申し上げておる次第でございます。
○多田省吾君 押し問答になりますので、次にまいりますが、最近、これは税金との関係がある問題ですが、ビールの値上げがいわれているわけです。で、何ですか、きのう、サッポロビールに続いて、朝日麦酒の高橋社長も、名古屋市内のホテルで、できるだけ早い機会にビールを値上げしたいと、十円ほどの値上げを考えているようなことを言いました。ビールは四十五年十月に十円値上げされているわけです。そのときも管理価格ではないか。もう二、三日おきに四社が次々に上げた。今度もそういう事態が考えられます。非常に他の酒類の値上げの波及も予想され、また消費者物価値上がりの中で、大衆化しているこのビールの値上げというものは、非常にこれは大問題だと思うのです。大蔵省はこういう問題に対してどういうようにお考えになっているのか。四十五年のときには、経企庁長官が値上げしないようにと勧告した推移もあるわけでございます。 それからもう一点は、ビールに対する酒税というものが非常に日本の場合は高いわけです。いま現在大びん一本当たり小売り値百四十円に対して六十七円と、課税率は四七・九%です。これが、御存じのように、これは大蔵省で調べてもらったんですが、日本の場合は一リットル百六円だと、これは税金です。アメリカの場合は一リットル二十円五十四銭、イギリスは四十一円七十三銭、西ドイツは十三円六十一銭プラス一一%の付加価値税、フランスは四円六十三銭プラス一七・六%の付加価値税と、まあ、諸外国と比べても非常に高いわけですが、やはり私は、若干、ビールに対する酒税は減税したほうがよろしいと思いますが、そういうお考えは毛頭ないのか。その二点をお伺いしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) ビールの価格は、御案内のように自由価格でございますから、許可とか、それに類するようなことはございませんので、まだ私も十分承知いたしておりません。 それから、ビールの税金の問題でございますけれども、これも御案内のように、従量税でございますから、価格との相関関係においては、価格がかりに上がるとすれば、上がるにつれて税負担が安くなるわけでございますから、そういうところも勘考して考えなければならない問題であると思いますが、御意見は十分承ってまいりたいと思います。
○多田省吾君 もう一点所得税でお伺いしたいのは、この前も局長にお尋ねし、また大蔵大臣代理であった小坂長官にもお尋ねしたんですが、はっきりした御答弁いただけませんのでお伺いします。 これは、所得税法の第九条の中に非課税所得が二十二あるわけでございます。で、この中で、第十一項目のいわゆるキャピタルゲインの非課税と、それから二十二項目の選挙時における法人からのいわゆる陣中見舞いに対しては、これを受けた場合非課税と、この二点が、ほかの二十項目の非課税と非常に趣を異にしているわけでございます。で、キャピタルゲインの課税につきましては、取引税のときもいろいろ質問しましたが、これはもう当然税の公平を期する上にもやるべきであると、このように思います。で、この前野末議員も、昭和四十年ごろはこの有価証券譲渡所得の非課税という項目に、四十年度で七十億円の減収と、このようになっていますが、その後その分類のその他に含められて、四十六年度は十億円程度しかなっていない。ところが、アメリカの例なんかを考えますと、大体もう最近は四%ぐらいがキャピタルゲインの課税で、所得税の中に組み込まれているわけですね。大体九億ドル程度だと思います。ですから、やっぱりわが国においても、昭和四十年所得税が九千七百三億円ですか、その当時、一応このキャピタルゲインの非課税部分が七十億円といわれたんですから、その率からいっても、ほぼ所得税は五倍になっていますから、三百五十億円ぐらいの非課税がある。またアメリカ並みに所得税の四%ということを考えれば、千六百億円ほどであるんじゃないか。私はこの三百五十億と千六百億円の中間に非課税になった部分があるんじゃないか。これは膨大なものです。ですから私は、いろいろ問題はありますけれども、早急にこのキャピタルゲインの課税をすべきであると、このように思いますが、大臣はどうお考えになりますか。 それからもう一点は、この所得税の非課税の項目から、その他の二十項目となじまない、先ほど申しましたキャピタルゲイン課税、それから選挙時における法人の陣中見舞いを受けた場合、この二つは、与えていっても、これは租税特別措置の中に入れるべきであって、所得税の非課税の中に入れるべきじゃないと、このように思いますが、どう考えますか、この二点をお願いしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 多田委員の二点の御質問ですが、私はごもっともな点があるように思うわけであります。 第一の問題は、これはもういまさら私が御説明するまでもないと思いますけれども、昭和二十八年以来でございますか、原則的に非課税になっていますが、これは、そのこと自体に御批判がありますことも十分承知いたしておるわけでございます。そうして税制調査会でも、この問題についてはずいぶんと御審議を重ねていただいておるわけでございます。まあ要するに、いままでの考え方というものは、譲渡損というものをどう見るのか、それらに関連して、前提とする条件が整わないからというようなことが事由で、非課税ということになっておりました。そうして場合によれば、公平感にかえって反することも起こり得るのではないかという議論が相当強かった関係で、今日に至っておるわけでございますが、今後ともひとつ慎重に検討を続けてまいりたいと思います。 それから、公職の候補者の問題でございますけれども、現在は、選挙管理委員会に選挙運動に関する収支の報告を行なっていれば、所得税または贈与税を非課税にするということになっておるのは御指摘のとおりで、これも沿革を調べてみますと、選挙運動は公的な政治活動であると、民主政治の基本となるものであると、それから、寄付を受けた金品は、こうした公的活動に充てられるものであるというような点が考慮されて、選挙法に規定する収支報告に明らかになっていれば、これを非課税にするということになっているのが沿革的な理由と私も承知いたしております。 で、これを、ただいま御指摘のように、所得税法の中で規定するということはおかしいではないかという御意見は、私はごもっともな点があると思いますが、要するにこれは、沿革的なことであって、必ずしも税法上の問題としてはなじまないかもしれませんけれども、ひとつお互いに国会の立場からもこうしたことはあるいは置くことがいいとしても、選挙法関係とか、あるいは特別措置法のほうに置くとしても、譲ったほうがいいというような御意見につきましては、これはひとつお互いに検討いたしてみたいと思います。
○栗林卓司君 大臣は時間になりましたらお帰りになってけっこうでございます。できたらお出になる前に一言だけお答えをしてください。 今回の改正で、再分配という問題については、所得税ですけれども。どの程度の比重でお考えになりますか。——お時間ですからけっこうです。質問続けて政府委員のほうから伺います。
○国務大臣(愛知揆一君) それじゃちょっと衆議院の本会議に……。また戻ってまいります。
○委員長(藤田正明君) どうぞ。
○栗林卓司君 それでは、あらためて伺いますけれども、所得税の場合に、所得の再分配機能が大きな役割りを果たすと言われております、という点でお伺いするんですけれども、その所得の再分配というものを考えるときに、所得の絶対額の水準、これも一つの足がかりですね。 それからもう一つは、いろんな所得のランクがありますけれども、ランク別にどのような分布になって、どのように負担しているのか。両方だというお答えだと思いますけれども、実際にはいま申し上げたあとのほうです。これが、税率のことをお伺いしているわけですけれども、所得の再分配ということを考える場合には、大きな考える要素になるのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
○政府委員(高木文雄君) 所得税の場合には、所得金額から一定額を控除してそれに税率を掛けますので、かりに、税率区分を変えませんでも、控除の額をふやしますと、下のほうの階層も減税にはなりますが、上のほうの階層にも減税になっていくわけでございまして、そういう意味からいいますと、控除を直すだけでも、若干再分配の関係が変わってくる。しかし、より税率のほうが明確になってくるわけでございます。そういう意味で、御質問の趣旨がもう一つよくのみ込めませんが、再分配機能を働かすためには、結局税率だけでどう、控除だけでどうということでなしに、控除と税率の組み合わせによってその姿が変わってくるということではないかと思います。
○栗林卓司君 お伺いしている意味をもう少し補足します。 給与所得者の階層別分布を年度別に並べてみますと、たとえば、かりに年収百五十万を見ます。そうしますと昭和四十三年の場合は三百三十九万人、昭和四十六年の場合は六百九十万人、四十七年、四十八年は手元に数字がありませんけれどもそれぞれ増加している。日本の賃金水準の上昇を考えますと、だんだんと上がりながら百五十万円前後にきたんです。したがって、その百五十万円に相応する税率で税金を納めなさい。こういう仕組みになるわけです。ところが、給与所得者の中の比率を見ますと、百五十万円年間に得ている人の数というのは相対的にふえている。そういうことを考えて税率を見直す必要があるのではないかということでお伺いしているんです。
○政府委員(高木文雄君) これは、おそらく手元に私どものほうで調製いたしました表をお持ちかと思いますが、この表は、左側のところは、所得階級区分でなくて、収入階級区分で出ておりますので、この分布は、収入階層の増加が直に階層区分に出ておるわけでございまして、給与所得控除を引いたあとの、また基礎控除等を引いたあとの課税所得階級区分には実はなっていないわけでございますので、そういうふうな表をつくりました場合にどういうふうにあらわれますか、いますぐ私の頭に浮かびませんが、この表自体は、どうしても収入階級区分の階層に入っている人の人数がふえれば、自然その人数がふえるということでしかない結果になるわけでございまして、それで課税最低限が、たとえば、百万円なら百万円のところまで上がりますれば、それはそこのところはゼロになりますが、そういうことでない限り、どうしても収入の増加によって上の階層のほうにだんだんシフトしていくという結果になるのはやむを得ないのであって、ちょっとこれと税負担との関係は直にはつながらないというふうに思うわけでございます。
○栗林卓司君 それはいま言われたとおりだと思います。ただ、上のほうにだんだんシフトしていく、だから、それに相応した累進税率がかけられていいということで、検討がとまっていいんだろうか。そのときに、ある想定された給与所得者の数の中で、それぞれの累進税率が適用されているものが、たとえば、高率のものは大体一割ぐらい、その次はこうだという検討が必要ではないのかという質問なんです。
○政府委員(高木文雄君) おっしゃるように、本来収入区分別に、たとえば、五分位なら五分位に分けて、どの分位の方が全体の所得税の中の何%を負担してくることになるかというような検討は、絶えずやっていかなければならないことだと思います。
○栗林卓司君 それで、そういう検討を今回の改正にあたってしたのですかという質問なんです。
○政府委員(高木文雄君) 今回の改正の場合には、もっぱら給与所得控除の引き上げということに中心を置き、それと物価上昇率にやや対応する程度の諸控除、人的控除の引き上げを行なったということにとどまりまして、本来税率にどの程度ウエートを置き、控除にどの程度ウエートを置くかというような作業をいたします場合には、いまのようなことは、非常に重要なポイントになりますが、今回の場合にはそれに触れませんでしたものですから、おっしゃる点は十分検討いたしておりません。
○栗林卓司君 それで、私の質問は、なぜそれが検討されなかったのかを伺いたいんです。減税というと、人の控除の引き上げということだけで済むんだ——物価というのは、それぞれの国民生活の実態に照らして、四十代は四十代なりに、三十代は三十代なりの響き方をするわけです。それを一律下から上げてくる。扶養控除をふやす。それだけで物価に対する対応にほんとうになるんだろうか。なぜ税率ということがそっくり抜けてしまったのか。税率というと、何となく所得の再分配なんだ、高いところから取るんだということでとまってしまうのかなんです。 で、ひとつ重ねて伺いますけれども、賃金水準がだんだん上がってまいります。累進税率というのは、高いところからより多くを取りながら、より少ないところに分けていく。これは間違いないと思います。そこで、一般の民間企業の場合を考えますと、賃金の上がり方というのは、賃金水準が高い場合、総体的には年齢層が高いわけですが、それと若年層というのが、同じような上がり方をしておりますか。実際の例に照らしますと、下のほうは上がりますけれども、上のほうの上がり幅は少ないのです。そこだけでも再分配機能はすでに働いてしまっているんです。さらに、累進税率をかけたら二重にきいてくる。しかも、そこのところに教育費を含めて、物価高の影響というのは集中的に出ている。そういう検討はさるべきではないのか。何となく控除を上げるからいいんだ。それはあまりにも官僚的な仕事のやり方だと思えてならないので、あらためて、なぜ税率が十分な検討対象にならなかったのか、お伺いします。
○政府委員(高木文雄君) それは、そういう御指摘でありますれば、給与所得控除の引き上げに重点を置かるべきか、あるいは基礎控除と人的控除の引き上げに重点を置かるべきか、あるいは税率に重点を置かるべきかという基本的な考え方の問題だと思いますが、今回の場合には、さっき申しましたように、給与所得控除等諸控除の引き上げに重点が置かれたわけでございますが、その際に、給与所得控除の引き上げを行なうのにあたりまして、従来給与所得控除の適用対象は、定額の上に積みます定率の及ぼします幅が四百十三万円までのところであったわけでございますけれども、たとえば二〇%の給与所得控除適用幅は十三万円超−百十三万円のところから、今回の改正で、十六万円超−百六十六万円のところに直すというようなことを通じまして、給与所得控除の適用幅を拡大をいたしておりますので、そういう意味におきまして、税率そのものは直しておりませんけれども、給与所得控除の適用対象を四百十三万から六百十六万まで広げました結果といたしまして、中堅の階層大体いま百五十万から六百万ぐらいまでの階層に至るまでかなり広く減税効果は及んでいると考えております。御指摘のような意味におきまして、いわゆる収入階層別、あるいは所得階層別の減税幅がどこにより重点が置かるべきかという点は、あるいは十分にできていないと言わざるを得ないと思いますけれども、いまのような給与所得控除の定率部分の拡大を行ないますならば、実質的には、税率をそれらの階層について改めると同じ効果があるわけでございますので、今回はそれに重ねて税率の手直しということはしないということにしたわけでございます。
○栗林卓司君 私は、どのような税の控除をすべきかという理屈の話をしているのではなくて、生活の実態に照らして、どういう直し方がいいのかを考えてもらいたいと言っているのです。 これは昨年のことになりますけれども、税制調査会の参考人の方においでいただきまして、そのときにある大学の先生が——まず四十代の方とお見受けしました。私の口から申すのは何でございますけれども、お考えいただきたい、四十代が一番つらいんです。そこをひとつ見ながら、下の底上げと、率と、生活実態に照らしてお考えいただきたい。私は理屈の話を申し上げているんではないのです。 時間がございませんから最後にもう一つお伺いしますけれども、今回の減税に取り組む考え方というのは、わが国の課税最低限は、先進諸国の課税最低限に比肩し得る水準に達したんだというのが一つの前提になっております。そういうお答えがございました。そこで聞くんですけれども、日本と先進諸国を比べた場合に、必ずそこで出てくるのは、日本における社会資本の不足という問題です。社会資本の充実を、たとえば、かりに住宅をとらえてみます。だれが住宅の充実をさせるかというと、自分で持ち家をしよう、建っているものを借りよう。その借りる家賃というのは、原価主義できまってくるわけですから、どっちにしても個人が負担せざるを得ない。日本と外国をもしかりに比べるのだったら、そういう要素も忘れないで見ておいてもらわなければ困ります。そうすると、わが国の課税最低限は、先進諸国の課税最低限に比肩し得るだけでは足りないはずなんです。それを大幅に下回っていい日本的な特色があるはずなんです。これがある意味では、家賃を含めて必要経費をはずせという議論になります。片方では、下を上げろという主張になるわけです。ところが、伺う見解というのは、わが国の課税最低限は、先進諸国の課税最低限に比肩し得る水準に達した。いいところだけのつまみ食いというのは私はけしからぬと思う。その意味で、ほんとうにいま申し上げた、比肩し得る水準という発想で取り組んだのか、日本には日本の事情があるんだということで取り組まれたのか、そこだけお伺いして質問を終わります。
○政府委員(高木文雄君) ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほどの答弁、若干不十分な点がありましたから補足させていただきますが、収入階層別に今回の現状がどういうことになるか、所得階層別にどういうふうな減税割合になるかということは、十分見ております。そうして各階層別に、いわば低所得層に厚く、上層に薄く、ある適当なカーブになるようになっているかどうかというテストといいますか、そういう意味でのチェックはいたしておりますので、そのことだけ追加をいたしておきます。 それから、課税最低限の問題につきましては、おっしゃる点が非常に問題でございまして、従来は、いわば諸外国に比べてわが国の制度が不十分でございましたから、比較的表面的な見方といいますか、計算上の見方で比較をして、それに追いつけ追い越せと、こういうことできているわけでございますが、それではこれでもういいのかというと、決してそうでないという実感であることは承知をいたしております。 さて、それじゃどういう程度に上げていったらいいかということを考えます場合に、やはり重要な要素としては、諸外国におきますものとどういう関係にあるかということも一つの参考であろうと思いますので、その場合の諸外国というのは、単にノミナルな額だけでは困るのであって、その国々で課税最低限の持つ意味が、たとえば、どのような生活水準と合うかというようなことを検討する必要があるわけでございます。その点については、実は数年前からこういう時期がくることを予測いたしまして、まだ私ども直接ではございませんが、学者の先生その他にお願いをして、調べていただこうということで努力はしておるわけですが、どうもいままでのところでは、たとえば、家計費調査というようなものが、必ずしも日本の水準まで先進国といえどもいってないような状態でございまして、実はなかなかデータが得られない。しかし、データは簡単に得られないにしても、何かの形で、そういう角度から見て、アメリカの課税最低限というこはどういう意味を持つか、フランスならフランスの課税最低限というのはどういう意味を持つかというようなことで、別途何か検討しなければならない。そうでないと、今後の課税最低限のあり方の問題を議論するのに、一つの尺度となるべき外国の制度の持つ意味というのが十分理解されなくなるということで、その点は研究をしなければならぬ重要なポイントであるというふうに思っております。
○多田省吾君 主税局長にお尋ねしたいのですが、大臣にもお尋ねしましたけれども、ちょっと時間がございませんのではっきりしたお答えは得られませんでしたけれども、前にも野末議員も質問されましたけれども、いわゆるキャピタルゲインの非課税措置が昭和二十八年からとられているわけです。で、昭和二十一年からキャピタルゲイン課税がわが国においてとられて、しかもシャウプ勧告で全額課税すべきであるという勧告も行なわれて、昭和二十五年にも改正された。そういういきさつから見まして、取引税のときにもお尋ねしたんですが、どうしても主税局長のおっしゃること、なかなか納得いかない。一つは、実際いま課税したらどの程度取れるものか、試算は少しもないのかどうか。先ほど私も申し上げましたように、昭和四十年で約七十億と一応推算すれば、昭和四十年のときの所得税が九千七百三億円、現在四十八年見込みが四兆二千四百十九億円、約五倍になっておりますから、それで計算してもやっぱり三百五十億ぐらいはあるのじゃないか。またいま非常に証券市場がアメリカやイギリス並みに近づいておりますから、もっと上回るのじゃないか、あるいはアメリカ並みに最近四%くらいに落ちついていますので、四兆円の四%とすれば日本においても千六百億円ほどあるんじゃないか、こういう見通しも立つわけでございますが、これ全然見通しが立たないものかどうか、これが一点。 それから第二点は、いま大臣も、課税措置にするには、キャピタルロスの問題なんかあると、こういう難点をおっしゃっていましたけれども、これはアメリカ、イギリスだってそういう問題が当然あるにもかかわらずきちっとやっているわけです。アメリカなんかでは、キャピタルゲインに対するキャピタルロスは当然フルに相殺して、それでも足りない場合は、他の所得に対して年間千ドルまでは相殺してもよろしい、キャピタルロスの計上には制限を置いているわけですが、こういうやり方は当然考えられるにしましても、できないことじゃない。それから捕捉が困難だといっても、この前の質疑にもありましたけれども、これだってわが国においてはだんだん捕捉がきちんとされつつあるわけですから、これもやろうと思えばできるわけです。こういった観点から、やはり私は、前向きにやる方向で相当検討すべきだと思いますけれども。 その二点をひとつお伺いしたいのです。
○政府委員(高木文雄君) キャピタルゲインの課税をした場合に、どのぐらいの税収が期待できるかということについては、まずその前提として、どういう前提でものを考えるかということでないと計算ができないわけでございます。言うまでもなく現在は、申告納税制度でございまして、税務署は極端に申告水準が低い納税者についてだけ、ごく一部調査をしておるという現状でございますから、株式について、はたして現在申告を期待し得るかどうかということになりますと、残念ながら、現在の日本の納税思想を前提といたします限り、非常に少ない水準の申告しか予定できないのではないか。昭和二十八年のときに譲渡所得の非課税をやめましたのは、非常に申告水準が低かったからでございまして、その結果、かえって課税の不公平が出る。で、とうていこれを逐一税務署で調査をすることはできませんから、相当程度申告があって、一部の方が申告してくださらないという場合のみ、調査ができるわけでございますので、これでは何とも不公平でならぬということで、つまり極度に正直者がばかをみるという結果になるということでやめたわけでございます。当時と今日とでは、申告の状態はまるきり全体としては変わってまいりましたけれども、たとえば、株の譲渡所得というような場合について考えますと、場合によってはやってみなければわからぬじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、私どもの考えますところでは、株の譲渡所得について、そこそこの申告が期待されるということは非常にむずかしいことであると思います。そこそこの申告を期待するためには、いざというときには税務署が調査できるという状態でなければいけないわけでございますが、株の取引は非常に大量でございますし、かつまた無記名等で行なわれているのがむしろ実態でございますし、必ずしも株主権の行使を予定して、つまり株主総会に臨む権限とか、配当を受領する権限とかいうことを予定して、株の取引が行なわれていない実態からいたしますと、株主名簿をたよりにして課税を行なうというわけにもいかないという実態でございますから、非常にむずかしいわけであります。そういう実態を考えますと、御指摘のようにこれを課税したら幾ら収入が上がるかと言われましても、ちょっとなかなかわからない。つまり皆さんが完全に申告してくだされば幾らになるであろうという計算はできますけれども、それは全く架空のものでありまして、幾らになるであろうかという税収としてとらえる場合には、現実にどのくらいの申告がありそうかということの要素が入ってくると思いますが、入ってこなければ、税収とつながらないわけでありますが、それは非常にむずかしい。で、四十年ごろまで租税特別措置の計算上、そういう計算はいたしておりましたけれども、実はその後いろいろ、その当時でございますが、毎年計算はやっておりますものの、あまりにも前提となるところの、仮定の数字が多過ぎるということで、それ以後そういう計算をやることをやめてしまったわけでございます。 今後の問題といたしましては、一挙におっしゃるように、そうかといって、全然株式の譲渡所得についてはいつまでもほうっておくんだというわけにはまいりませんから、先般も、有価証券取引税の際に、どなたかの御質問にお答えいたしましたように、全般的に株の譲渡所得について課税とするということにするのではなくて、やはり現在五十回、二十万株の場合には課税だという制度がありますが、あれも実は必ずしもうまくいっておりませんけれども、むしろあの思想を若干発展をしていって、非常に目立つものから特別に課税をするという方向に入っていくべきではないかというのが、私の考えでございまして、どうもまだ現段階で、株の譲渡所得について、一般的に非課税から課税に持ってくることは困難であると思っております。
○多田省吾君 そうしますと、主税局長のお考えでは、全般的になかなかできないので、五十回、二十万株という、いま規定がありますけれども、それをもう少し下げる、それで大所得者に対してのみ考えていきたいと一こういうお考えでございますか。
○政府委員(高木文雄君) まだ、やや私の個人的な思いつきのような程度しか出ませんので、あまり明確な御答弁はいたしかねますけれども、私が申します意味は、一般的に株の譲渡所得非課税をやめて、それを全部課税するということはどうも現実的でないと考えますし、一方においてこれをいつまでもほうっておくということもいけないということを考えますと、何かやはり現在あります制度をだんだん強化していくというあたりが、手がかりではないかということを申し上げているわけでございます。
○多田省吾君 国税庁の江口次長にお尋ねしたいんですけれども、この前このキャピタルゲインの課税対象になっているところの五十回、二十万株以上という件で、十億円ほど脱税を見つけてやっていましたけれども、ああいうものは今後もきびしくやっていくおつもりなのかどうか。それに該当する人は私はもっと多いんじゃないかと思いますが、その点はどう考えておられますか。
○政府委員(江口建司君) 過日たしか成瀬先生からの御質問がございましたので、私、昨年まで直税部長をやっておりましたので、直接手がけましたものについて一応御披露いたしました。庁で直接手がけますものは、内容がきわめて複雑なもの、それから、きわめて金額の大きなもの、あるいは株数二十万株というのはほとんど問題になりませんが、五十回という回数計算がいろいろ問題が生じやすいというようなことで、そうした問題のあるものが上申されまして、私が直接指揮をとりまして、かなり綿密な追加調査をした分だけで十数件ございまして、それの把握所得金額が約十一億でございます。というふうにお答えをしたわけでございます。 そのほかに、私の経験では、直税部長になりましてから、確かに四十六年のドル・ショック以後にかなり急激な株式の動きが把握されましたので、株の譲渡所得等につきましては、特に継続的に繰り返えされる譲渡につきましては、非課税の規定からはずされておりますので、この点については全国的に特に注意をするように、中でも東京、大阪、名古屋のような大都会を控えた取引所等につきましては、綿密な調査をできるだけするようにという指令を出しまして、しばしばその指令に基づく調査の技法等についての会議あるいは研修等もいたしたわけでございます。その結果全局から事績検討会ということで、代表的な事案等につきまして報告があり、またそれを他局の参考にするために、いろいろ苦心をした結果を報告してもらうわけでございますが、その中に、必ず法人税あるいは所得税の関係で株式の譲渡所得についての事案が報告され、検討されるようになったというような事態から、かなり全国的には株式の譲渡についての意識が高まっておりますということを申し上げた記憶がございます。 どの程度これからやるかということにつきましては、いろいろだだいま主税局長から申し上げましたように、実務的には非常にむずかしいケースの一つに入っておりますが、たまたま法人の中でも、特に同族法人等の場合には株式の移動等についてその資料を収集するという体制もとっておりますし、あるいは特定の業種等につきまして、可処分所得の使用方法等につきましてもいろいろな資料を集めるという苦心をいたしまして、それらに基づいて株式の移動を把握するということに努力しておるわけでございますので、いまのような株式の状況であるとすれば、従来以上に第一線のほうもだんだん技術的な面の向上がはかられてまいっておりますので、相当程度の把握の向上が期待できるものと、われわれは考えております。
○多田省吾君 まあ、学者の書いた本を見ますと、アメリカで、一九五〇年に総所得の中でキャピタルゲインの占める割合が二万五千ドルから五十万ドルの所得層では二二%であるが、五十万ドルから二百万ドルの所得層ではもう三一%に達している。また二十五万ドル以上の年所得者は、七〇%以上がキャピタルゲインを申告していると、こういう具体的な数字が出ているわけです。これは毎年統計が出ておりますから、かなり正確だと思います。結局、アメリカにおいてもわが国においても、高額所得者は特にこのキャピタルゲインが集中している。そうすれば財産が集中する。これに対して、こういう担税能力のある人に対して全然課税されてないというのは、もうどう考えたっておかしい。それから、いま主税局長は、申告納税制であるとか、無記名が前提であるとか、いろいろおっしゃっておりますけれども、また大臣は、キャピタルロスが問題だなんておっしゃっておりますけれども、これは理由にならないんです、アメリカでもイギリスでも実施されているんですから。先ほど申しましたように、キャピタルロス問題だって、キャピタルゲインとキャピタルロスが相殺されれば相殺してもいいんだし、それ以上のロスに対しては、ある一定限度を設けてマイナスにしてもよろしい面もあるわけでしょう。こういったことは技術的な問題です。それから、この前、渡辺委員も、この無記名という問題で相当質問されておりましたけれども、これだって決定的な、できない理由には私はならないと思います。ですから、これをやはり課税する方向でいけば、アメリカの例にもあるように、これはある程度申告は出るし、申告しない場合は、これは国税庁にお願いして、今度は五十回、二十万株なんという限定がないんですから、幾らでもこれは追及できますよ。こういう大問題です。私たちは、これは年に数千億円あると思うんです。こういう財源を放置しておいて、そして所得税減税はわずかことし数千億、こういうみみっちいことをやっている。そして独身納税者なんかに対しても、年に四十三万九千九百円ですか、そのくらいの所得があれば課税される。そういう不公平は、私は放置できないと思うんです。だから、主税局長から、もう一回決定的にこれは課税できない理由ですね、ひとつむずかしいのから、こういうわけでできない、こういうわけでできないという、難易度の順に、むずかしいのからひとつ理由をもう一回あげていただきたい。
○政府委員(高木文雄君) 最大の理由は、申告を期待できないということでございます。まあ、しばしばいろいろな機会に諸外国の税務担当者と顔を合わせたり、行き会ったりする場合かございますが、たとえば、アメリカの担当者に、おたくでキャピタルゲインの課税がうまくいっているのについてはどのようなうまいテクニックがありますかと聞きますと、いや、ほとんど全部申告になりますという返事だけ出てくるわけでございまして、そこは基本的に納税思想の問題、各国によって非常に違いますが、大体大陸系の国と、それから英米系でだいぶそこは違うとしばしば言われております。言われておりますが、そういうことも背景にして、株に限らず、一般的に納税思想のいろいろ各国で相違があるわけでございますが、わが国の場合は、決してそう悪いとも言えませんけれども、とても自主申告の水準という点においては、アメリカにははるかに及ばないということでございまして、もろもろの点でそういう点があるわけでございますが、土地等につきましては、具体的に物件がありますし、登記という制度もありますし、いろいろ手がかりがあるわけでございますが、株のように膨大な数のものが、どこにもレジスターされずに動いておるというものについては、申告があまり期待できず、かつ国税庁にたのむと申しましても、その手がかりがなかなか得られない。先ほど国税庁次長からお答え申しましたように、最近は非常に努力はいたしておりますが、それはごくこの一部が、ある端緒があった場合に把握できるということでございまして、一般的に金額の大きい方から順番に調べられるというふうなことになっておりませんので、非常にむずかしいのでございます。重い順から言ってみろということでございましたが、まあ私は、第一は、納税思想水準の問題であり、第二は、現在の株の取引制度では、端緒がなかなかつかめないということ、それから第三番目に、あまりにも取引の量が多過ぎて、一々これをとらえることがむずかしいということから、現在はやってみてもうまくいかないというふうに考えますし、それよりも、いわばおっしゃるように、ある程度の申告は期待できるかもしれませんが、期待できたといたしましても、それが結果として、正直者がばかをみるようなかっこうになりますと、税法全体の信頼を失うことになりますので望ましくないというふうに考えるわけでございます。
○多田省吾君 申告にしましても、アメリカほどうまくいかないだろうとおっしゃいますが、アメリカではもう二十五万ドル以上の年所得者が七〇%がキャピタルゲインを申告しておると、こういう状況がはっきりあるわけです。これはやはり高額所得者ほど問題でございますから、これは日本でもできると思いますし、また手続制度の問題といいましても、これからそれを強めれば決してできない相談ではない。取引量が多いからこそ、これは財源として放置するわけに、私はいかないと思うのです。で、せめていま主税局長がおっしゃったように、五十回、二十万株をもっともっと下まで引き下げて対象を多くしたいと、これは早急に私は、やらなくちゃいけない問題じゃないかと、このように思います。 次に、所得税非課税の中にあるところの、選挙における法人からの贈与で取得した金額には税金はかからないという問題がありますが、国税庁としてこういったものをどのくらいつかんでいらっしゃるのか、また、全然つかんでなくて、自治省のいわゆる選挙時の報告だけにまかしているのか、その辺ひとつお答え願いたい。
○政府委員(江口建司君) 政治資金の関係につきましては、御案内のとおり、公職選挙法に基づくものと、政治資金規制法に基づくものと二つございますが、いずれも、参議院等の場合には、全国区と地方区とあって、届け出をする相手方が全国区の場合には自治省であり、地方区の場合には都道府県の選挙管理委員会ということになっておりますが、これらにつきましては、いずれも官報に公示されておりますので、それらを全部われわれのほうではチェックいたしております。 それから、政治資金規正法関係につきましては、これはほとんど自治省のほうに報告が出てまいりますので、これも全部資料化いたしまして、関係の局、署のほうに流しております。これはどういうふうに使っておるかということでございますが、もちろん確定申告のときに出てまいりました申告書に添付されております内訳書、それらについてチェックする、あるいは法人を調査をいたしました場合に、政治資金等として献金あるいは寄付されたものにつきましては、金額の大きいものについてこれを資料化するという方法をとりまして、これらによってもチェックをするということで、かなり綿密に四十一年以降やっておるわけでございます。初めこの政治資金の関係につきましては、なかなか所得税法上取り扱いがむずかしい、解釈上もいろいろ問題があったわけでございますが、その後この点について国会の事務局等を通じまして、各先生方にも現在の所得税法上の仕組み等を詳しく御説明をし、また申告の時期には、御案内のとおりパンフレット等もお配りをいたしまして、御理解をいただくようにつとめたわけでございますが、おおむね二年程度そうした状態を繰り返しておりまして、大体理解の内容が高まってまいったというふうにわれわれ承知されましたので、四十三年以降は、庁のほうで全国的な報告を求めて集計をするという措置をとっておらないわけでございます。なお、大法人等につきましては、特に局が担当しております関係上、政治資金にかかわりのある部分につきましては、 〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕 国税庁のほうに一たん報告を求めまして、これを所得税課のほうに回付し、所得税課のほうから関係の各局に、資料調査課あるいは所得税課のほうに通報をするということで、資料の管理はある程度大法人につきましては、国税庁がみずからしておるということでございますが、その結果につきましては、一々報告をとっておりませんので、どの程度の実績が今日あるかということは、四十三年度以降は把握していない状況でございます。
○多田省吾君 その場合、これは二十二項目は、選挙時における陣中見舞いについて述べているわけでございますけれども、いわゆる報告が自治省あるいは選管になされるわけですね。その結果で、法人からこれだけ陣中見舞いをもらっているという報告が出されるわけです。その場合にはあれですか、法人の場合はほとんど寄付ということで落としているんですか。
○政府委員(江口建司君) いま申し上げたような資料収集の結果に基づきまして、これを各法人を調査しますときには、照合をいたします。それから照合されたもの以外に、寄付金あるいは交際費あるいは顧問料というような、いろいろな形で法人から支出されておるものがございますが、少なくとも公職選挙法にかかわりのある法人のほうの支出につきましては、ほとんどが寄付金というふうに御理解をいただいてけっこうだと思います。
○多田省吾君 その場合、選挙の陣中見舞いに法人が出す場合ですね、寄付というのはなるほどわかります。だけれども顧問料とか、交際費の中から出すというのはこれはおかしいんじゃありませんか。
○政府委員(江口建司君) 顧問料の場合には、ある程度の目的があって、顧問の分担される事項があってという場合と、それから、われわれにはその内部事情はよくわかりませんが、いろいろな従来の経緯があって顧問に委嘱してあるというような説明を受ける場合があるわけでございます。なお、いまの交際費に該当するような内容につきましては、正直に申しますと、比較的使途不明資金となる場合が多うございます。この場合には、税法に基づきまして使途がどうしても明らかにできない、いろいろな事情があろうかと思いますが、どうしても明らかにできないものにつきましては、税法上の取り扱いとしては支出経費となることを否認するということで、法人税をその分については賦課するという措置をとっております。
○多田省吾君 その場合、法人を調べた場合、候補者のほうでは確かに法人からこれだけ陣中見舞いをもらっておる。ところが法人のほうでは、寄付でも落ちていない、交際費からも落ちていない、あるいは顧問料からも落ちていない、こういう場合はどういう取り扱いをしますか。
○政府委員(江口建司君) いま申し上げましたように、使途不明資金ということになりますので、これは当然法人税法上否認をするということになります。
○多田省吾君 時間もありませんので、最後に主税局長に一つお尋ねしたいのですけれども、一つは、所得税課税のときに、最近は教育費の控除をしたらいいじゃないか、この問題がやはり子弟を大学に行かしているような家庭の方からは非常に強く言われておるわけです。特にわが国の私学補助というものは非常に少ないわけであります。まあイギリスなんかほとんど私学でありますけれども、公立大学並みに私学補助もありますし、まあ、わが国も、三、四年前から私学補助が行なわれるようになりましたけれども、まだまだ少ない。最近は、入学時に、医学部、歯学部の私立大学等においてはもう二千万円、三千万円も払わなければ入学できないと、こういう問題がやはり医療問題なんかにかぶさってくるわけでございます。それでまた、公立大学と私立大学との格差の問題もあります。せっかく父兄が税金を払ってるのに、それがほとんど公立大学のほうに使われて、私立大学に通わしている父兄の方は税金と、あるいは膨大な教育費と、二重に出さなければならないというような不満が非常に強くなっているのでありますけれども、大蔵省として、この教育費控除のことは全然考えてないのかどうかですね。
○政府委員(高木文雄君) 教育費控除という制度を設けてはどうかという御提案は、ずっと古くからございますし、毎年の委員会におきましても繰り返し承っております。確かに最近も、なお教育費の水準はかなり高いわけでございまして、それが子供さんを持っておられる家庭の家計費の負担になっておるということは承知をいたしておるわけでございますが、一つには、やはりこの教育費を、いわゆる課税最低限というもので平均的に見るということでありませんと、教育費以外にも、いろいろと特殊の経費がかかる家庭があるわけでございますので、教育費だけをとり出して別の控除としてあげるということは、教育費はかからないけれども、他にもろもろの経費がかかっておると、通常の人的控除ではまかない切れない程度のもろもろの金額がかかっておるという家庭とのバランスの問題が起こってくるわけでございますし、 〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 これに関連をいたしまして、教育のためにいろいろかかる家庭のほかに、たとえば老人をかかえておられるとか、あるいは先ほどもちょっとお触れになりましたが、保育所等に預けなければならない幼児をかかえておる家庭があるとかいうことで、いろいろと諸控除の御要求があるわけでございまして、教育費自体について何らかの措置をするということには、決して基本的に絶対だめだということの問題ではございません、政策の問題でございますから、絶対だめという考えではありませんけれども、まあいわばバランスの問題として考えます場合には、いろいろと、そういう各種の御要求からうかがわれますように、いろいろの経費がかかっている家庭というものはあるわけでございまして、そういう意味で教育控除だけを取り出して特別控除とするのはいかがなものかというのが、従来からの考え方でございます。
○野末和彦君 最近、新聞でサラリーマンの大幅減税というような記事がだいぶ目につきまして、具体的に衆議院の大蔵委員会でどういうふうなやりとりがあったのかは、議事録がまだきょう手に入りませんので、見てなくて不勉強で、それをひとつお聞きしたいと思いまして、総理は——主税局長はそのときいらっしゃったんですか。
○政府委員(高木文雄君) はい。
○野末和彦君 総理は、いわゆる大幅減税ということに対して、具体的にはどういうような内容をお答えになったのか、それをちょっと話していただきたい。
○政府委員(高木文雄君) 衆議院での総理へのこの問題についての御質問では、新聞紙上等で橋本幹事長構想というようなものが伝えられているけれども、それについてどう考えるかというようなことが中心でやりとりが行なわれました。橋本幹事長構想は、収入の三割を一律に引くということにしてはどうかというのが、まあ基本をなしておるわけでございますが、現在でもすでに給与収入で百二十八万円以下の場合には、三〇%以上の給与所得控除が働いているわけでございますから、橋本幹事長の言われる三割の一律控除というのは、まあ一種の御提案として出ているわけでございまして、その辺のところを中心にして、もし橋本構想をとるとすれば、上の階層給与収入が非常に大きい階層については有利になるけれども、低い階層については逆に不利になるので、そこらはどう考えているかというような御質問が総理大臣にありまして、総理大臣は、それについて、いやそれはまあ一つの構想であって、一つは、わかりやすい制度にしたいということが一つと、それからもう一つは、戦前は課長さんとか部長さんとかいう方は自分のポケットマネーである程度のことができた。ところが、現在は、給与所得控除が現行制度では四百十万のところでとまっていることでありますので、中堅階層の家計が非常に苦しくなっているということもあって、かえってそれがまた反面社用経費をふやすということにも連なる問題になっているので、そういうことを頭に置きながら、幹事長が言っているようだが、その内容はとにかくとして、これは今後詰めるべき問題であるけれども、しかし、一つの重点としてそういうものを取り上げようという意図は、私も幹事長も同じであって、今後ともそれを中心に進めていきたいが、具体案については、今後検討させる問題であるというふうな形の答弁が大筋のところであったと思います。
○野末和彦君 そうしますと、まあ、技術上あるいは理論上のいろんな問題は、大蔵当局にこれから検討させるということだが、総理自身は、それではただ大幅にやりたいという程度のお考えと受け取っていいわけですね、いまの答弁から言いましてね。
○政府委員(高木文雄君) そのとおりでございます。
○野末和彦君 そうしますと、いままでは、ぼく総理に会ってこの話ししたときも、いや君もういい線きているんだと、いろんな国と比較したっていい線きているんで、これ以上やれないよというのが、ことし一月そういうことを総理が言っていて、突然今度はサラリーマン減税に重点を置こうじゃないかということになりますとね、じゃいままでは重点を置いてなかったので、いやな言い方をすれば、いままで、不十分で、その不公平が目立ってきたので、ひとつここらでもって、不満がだいぶ出てきたから、これは重点を置いてやらなければいかぬぞというふうにもとれるわけですね。内容がはっきりしないのに、ただやりたいやりたいというだけではね。ぼくはそういうふうに考えまして、どうも人気取りに言ったにしても、ことしはサラリーマン減税あたりに重点を置きたいということになれば、その裏では、どうもいますでにサラリーマンにかなり不公平になっているということを認めているとしか思えないのですがね、どうですか。認めてないんだったらやる必要ないでしょう。サラリーマン減税なんて重点を置く必要がないので、ほかの職業の人だって減税しなければいけない。どうもここがおかしいのですがね。
○政府委員(高木文雄君) その際に、なお、サラリーマンもさることながら、サラリーマン減税というとすぐ話が給与所得控除と結びつくわけでございますけれども、むしろ給与所得控除もさることながら、いわゆる人的控除のほうもやはり問題であって——ということは、人的控除によって一般的減税をすることも問題ではないかということについての御質問もあったと思いますが、そのことも総じてサラリーマンに重点を置きながら、全体として所得税の減税をやりたいという感触のお答えでありましたと思います。 なお、以前どういうふうに言っておられたか、最近急に変わられたのか、その辺のところは私はどうもちょっとそのときのやりとりに関する限りは明らかでございません。
○野末和彦君 その財源に今度は法人税という話がまた出てきまして、これも新聞にはかなり出ておりまして、大蔵大臣は、ことしは税率のアップよりも、租税特別措置をまあ二、三いじったということであったのですが、この税率のほうも、総理は、上げるとはっきりお答えになったわけですか。
○政府委員(高木文雄君) 税率については、かなりこまかいやりとりがありまして、現在の特別措置によります臨時税率を基本税率に組み入れるほか、その上に若干積み増しをしたいという感じの御答弁がございました。
○野末和彦君 それからまたお聞きしますが、さっき必要経費三〇%という話出まして、もちろんあれはずいぶん乱暴な話だというふうに思えるのですが、必要経費の問題ですが、今度小規模の事業主に給与所得控除を認めることになりまして、そうするといままでの給与所得控除というものの意味が変わってくるというふうに思えるわけですね。この委員会でも再三、いわゆる給与所得控除の意味はどういうものかという質問がありまして、それに対していろいろお答えがあったのですが、その三点ぐらいにしぼってお答えあったと思いますが、少なくもその意味は変わってきたというふうに考えられるのですが、それはいかがですか。
○政府委員(高木文雄君) 中小企業でご商売をなさる方の場合に、法人経営で事業なさる方と、個人経営で事業なさる方があります。法人経営で事業をなされば、会社の代表者、社長さんということで、会社から給与を受けられるという経理になります。給与を受ければ、その給与については、給与所得控除が働くことになりますから、まあ、かなり小規模の企業でありましても、法人形態であれば、給与所得控除が代表者給与には適用されておったわけでございまして、今回は、中小規模の企業の場合に、個人経営でありましても、したがって、商法上の会社にならなくても、税法上は法人として、なった場合と同じような税額計算になるようにするというのが今度の事業主報酬制度でございますので、そのことからだけでは、給与所得控除の意味が違ってきたということにはならないと思います。いわば法人経営組織をとらなければ、代表者に給与所得控除が働かなかったのが、個人経営でも給与所得控除をみなし給与という形式をとることによって働かせるということにしたわけでございまして、給与所得控除そのものの本質には触れないで処理をするということでございます。
○野末和彦君 しかし、そういう説明は、一般のサラリーマンにはわからないと思うんですよね。やっぱり一般のサラリーマンというのは、いま何が大事かというと、非常に不公平になっていて、一番しわ寄せは自分たちが食っているのだという実感なわけで、それをやっぱり納得させることのほうが先ですから、そうなりますと、給与所得控除というのは、サラリーマンのためにあるものだと、サラリーマン独特のものであるというふうに考えているわけだと思うんですね。そこで、そういう意味もあったかと思うんですが、税調の答申ではあまり事業主報酬というのはしないほうがいいというふうに書いてあったと思うんですよ。基本税制の中には取り入れるなということでしたか、書いてあった。やはりそれを、基本税制ではなくても、ともかく取り入れちゃったことは、やはりここに給与所得控除を中心としたいままでの考え方の違いを、ことしの税制がはっきり出しちゃったことになる。だからぼくは、これはサラリーマンのために特別に何かもう一つ考えなければ、絶対納得されないんじゃないかというふうに考えるのですが、これは間違っていますか。
○政府委員(高木文雄君) おっしゃいますように、給与所得控除は、サラリーマンに適用にはなるものでございますけれども、しかし実は、中小企業の法人の代表者にも従来から適用になっていたわけでございます。そこで、クロヨンというような議論があります場合には、しばしば事業経営者とサラリーマンとの間のバランス、これが問題になっていたわけでございますが、別途法人組織による経営者と、個人組織による経営者の間のバランス問題というのも、かねがねあったわけでございまして、あとの問題は、事業主報酬問題として具体的にクローズアップしてきたわけでございます。でありますから、その結果として、いわゆるサラリーマン、会社の代表者等を含まない意味でのいわゆるサラリーマンと、それから他の所得者との間のバランス問題としては、確かに事業主報酬制度の採用によって新しい問題が起こってきたということであろうかと思います。その問題は、負担論、負担公平論という見地からいたしますというと、今後の所得税のあり方を考える場合に、どうしてももう一度新しい事態のもとにいろいろ考えなきゃならない問題として発展をしていく可能性のある問題だというふうに考えます。
○野末和彦君 さっきの、じゃ、税調の答申の話に戻りますがね、あれを結局、普通常識であの事業主報酬に関する税調の答申を考えますと、あれはどうも好ましくないんで、やってはいかぬというふうに取れるんですね。主税局長としては、あれはどういうふうにお取りになりましたか。
○政府委員(高木文雄君) あの答申には、基本税制として組み入れることは適当でないと、こう書いてあるわけでございますが、あの文言にまとまりますまでの間では、委員さんの間でいろいろ非常に白熱の議論がございまして、それで基本税制として組み入れるのは適当でないということは、政策論としてやるならばともかくというふうな見解の方と、そういうところも含めて負担論に影響があるから望ましくないという意味の方とあります。税制調査会の答申の文言それ自体は、いま言ったような二つの意味で受け取られるわけでございまして、そのどっちにより重点を置いて理解するかということは、各委員さんの間で若干の、それぞれ個人個人によって受け取り方は違うだろうと思います。あの文言の読み方はたいへんむずかしいわけでございますが、私どもは、その二つの意味を持っておるというふうに理解をいたしております。
○野末和彦君 そうしますと、基本税制に取り入れなければ、ともかくまあいいとしても、そこに負担の公平論で新しい問題ができてきたとなれば、そのほうも解決しないで、そういう問題が起さるの承知の上で、片方だけ、事業主報酬だけとにかくつくって、サラリーマンとの問題で起きた新しい問題はそのままにしておくというのはちょっと納得できないんで、両方を、新しい問題起きたなら、はっきりそれがわかっているなら、それを解決した上で、両方、何というのですか、両方というのは、事業主報酬も認め、サラリーマンに対しても不公平感が新たに起きないようにしてやるべきではないかと思いますがね、いかがですか。それを来年やろうということなんですか。
○政府委員(高木文雄君) その議論が確かにありまして、その議論からは、現行給与所得控除を分解をして、そして事業をやっている方に適用さるべき一種の控除と、人に雇われている人に適用されるべき控除とは何らかの差別を設けるべきではないかという議論があります。それは事業主報酬制度の組み立てを論じます過程におきましても、そういう議論はあったわけでございますが、結局現在の段階は、特別な政策的なものであるということと、五年間臨時的にやってみるという意味のものであるということ、その二つから、給与、いわゆるサラリーマンに適用されるべき控除と、事業主等に適用されるべき控除とは、同額として、いま組み立てておるわけでございまして、これは五年間の検討課題として、重要な問題として今後に預けられた、いわば宿題のようなものになったものと思っております。
○野末和彦君 そうしますと、さっきから出てきました来年度はサラリーマン減税を重点的にやらなきゃいかぬという話と、この事業主報酬を実現したからここに起きた新しい問題を解決するために、やっぱりそれもやらなきゃいかぬ、これ結びつけることは違うんで、別にお考えになっているわけですか。これとは別にサラリーマン減税だと……。
○政府委員(高木文雄君) まだいま制度の御審議をお願いしている段階でございまして、それが終わりまして、あの制度が施行になりました場合に、事業主がはたしてどういうふうにしてあの制度を利用されるかどうか、非常に利用者が多いかどうか、つまり選択をするかどうかということはよくわからないわけでございます。一方におきましては、あの制度は必ずしも個人事業者にとって決してさしたる有利なる制度ではないという考え方もありまして、あれでは不十分だということが事業主サイドからも言われているわけでございます。で、ありますから、あの制度がしばらく動きまして、その結果、運用されていく状態を見てどういうことになるかというのを見てみませんというと、もしあの制度が非常に事業主に有利に働くということであれば、今度はサラリーマンのほうに問題が、不公平ではないかという問題を起こしましょうし、あれがあまり利用されないということであれば、あの制度そのものをもう一ぺん何か手直しをすべきだという議論が起こりましょうし、その辺のところを見てみませんと、その辺のバランスがあの制度によってくずれたか、くずれないかという議論も十分にはできないわけでございます。ですから、少なくとも四十九年度の問題は、あの制度と結びつけて給与所得控除のあり方を議論するのにはまだ時期として適当ではないのではないかと思っておりますが、基本論としては、給与所得控除のあり方問題が、事業主報酬制度の創設とからんで、基本問題として起こってきたということを先ほど申し上げたわけでございます。
○野末和彦君 この問題はまたお聞きするチャンスがあると思いますので、いろいろと教えていただきたいと思いますが、総理がお見えになる時間ですので、もう一回総理の話に戻しまして、先ほどの必要経費、もし三〇%を一律に適用するとすれば、下のほうはすでに三十何%になっていると、あるいは上のほうに有利になると、そういう論議が出た際に、総理はその点はもうおわかりになって、三〇%はもう無理だなという感触だったんですか。
○政府委員(高木文雄君) 単純に三〇%というようなことではおかしなことになるということはよく承知をしておられます。
○野末和彦君 それから同時に、それでは、課税最低限というような問題が出たようにも新聞に書いてあったんですが、これを、幾らでしたか、百五十万円くらい、課税最低限をね。百五十万にするという意見に対しては、総理はどういうふうにお答えになっていましたか。
○政府委員(高木文雄君) 現行でいいとは思っていないし、課税最低限はさらに引き上げられるべきだとは思っておるけれども、野党で提案をしておられる百五十万円という水準に一挙にいくのは、財政需要その他からいってもなかなか簡単でなかろうと、一つの努力目標としては理解をすると、こういうお答えでございました。
○野末和彦君 しかし、努力目標にするったって、毎年少しずつは上がっているわけで、上がり方がもうお粗末だというところなんでね。百五十万を努力目標にして、また、ことしと同じ程度の上がり方だとすれば、大幅減税とかいうことじゃないとは思いますがね。総理もまだそこまでお考えでないとすれば、期待するしかありません。 あと税率の問題がありますね。それはやはりお話で出ましたか、税率を緩和していこうという、累進税率を。で、特に何か中堅所得者、部課長クラスがかなりつらいのじゃないかと。いま主税局長のお話がありましたね。総理が、その程度ならポケットマネーで出せたのに、いまは出せないとか、その層にかなり同情しているような感じもしまして、そこで当然累進税率がきついのじゃないかと、これを中堅どころ、三百万なり四百万なり、その辺をゆるくするという話あったですか。
○政府委員(高木文雄君) 税率の問題はございませんで、むしろ感じとしては、給与所得控除の適用対象が今度四百十三万から六百十六万まで広げましたけれども、そのことに関連して、もっと給与所得控除の対象範囲を広げてもいいというようなことを前提としたやりとりがあったように思います。
○野末和彦君 それから、大蔵委員会のことばかりお聞きするようですが、そこでは、いわゆる審議官の、負の所得税でしたね、という表現でしたか、そういう話はありませんでしたか。つまり減税の恩恵を受けない人たちに対する処置……。
○政府委員(高木文雄君) 負の所得税の問題はそこではたしか出なかったと思います。
○野末和彦君 そうすると、総理もまだそういうようなものを検討しろというような指示ないしはそういう発言というのは全然ないと思っていいわけですね。
○政府委員(高木文雄君) 私どものほうにも負の所得税の話はまだ承っておりません。
○野末和彦君 この辺にしておきます。
○委員長(藤田正明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(藤田正明君) 速記を入れて。 総理並びに大蔵大臣に申し上げます。 いまからの質疑の順序は、総理に対する質問を百三十分といたします。社会党六十分、公明党三十分、民社党十五分、共産党十五分、第二院クラブ十分。よりましておおむね五時半には総理に御退席を願えると思います。その後大蔵大臣には残っていただきまして、締めくくり質疑を続行いたします。その後に討論、採決。所得税法に関しましては、本日、討論、採決をいたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○野々山一三君 まず、総理に政治姿勢の問題で最初に伺いたいんです。 選挙後の——本会議における総理のお答えの中に、一言に言うならば、こういうことを申されておるんです。「総選挙を通じての政治に対する基本的な考え方、国民の声を謙虚に聞く誠意があるかという御質問でございますが、施政方針演説でも述べましたように、私は、さきの総選挙を通じて、国民の政治に対する期待や不満を痛いほどに感じておるのでございます。内に外に変革期の課題は山積しております。私は、国民の声にすなおに耳を傾け、衆知を結集して、新しい時代の課題に挑戦し、決断し、実行してまいらなければならないという基本的な姿勢をとってまいります。」、こういうふうに述べられているわけです。私は、きょうこのことを最初に伺いますのは、税体系など、各般の税制及び土地問題、投機問題などをめぐりまして、政治的には非常に、社会的にも非常な大きな問題を持っておるわけであります。具体的な問題で二、三を述べたいと思いますが、ただ、この委員会でも、退職金の減税、いままで五百万が八百万になり、これを一千万にしたらという話は、与野党通してほとんど一致しておるんです。残念ながら通らない。なかなかそれをやりましょうというふうにはおっしゃらない。議会の場で国民の意思を代表して対立する点を解決していくことを通して信頼を得ようというのが、総理のお考えだと私は受けとめたいのでありますが、この先ほど申し上げた一月三十日の答弁、ないしはそれと同じように四十七年の十月二十八日に、やはり同じような趣旨のことを述べていらっしゃいますんですが、そういうような政治的に解決すべき問題について、いろいろ議論をして、まあこれならばいいではないかという段階に至っても、なかなか法律改正ができないなど、そういうことが起こりますと、やはり総理がせっかくおっしゃっている国民の意思を十分に聞いて、直すべきは直し、すべきはなしていくべきである、こういう気持ちが消えてしまうのではないかという感じがするんでございます。あらためて、これからの政治姿勢全体についてのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 政治に対する基本姿勢は、本会議の施政に関する演説で述べたとおりでございます。政治はたがためにある、もちろん国民のためにあるわけでございまして、行政府やその他のものに存在するわけではないわけであります。憲法及び法律に基づいて国民が必要とする政治を委託されておるのでございますから、主権者である国民の多数の要請にこたえて、政治がスピーディーに、合理的に、効率的に行なわなければならないということは当然でございまして、政治の責任でもあります。その意味で、まあ例をあげられて、そうであるならば退職金八百万円を一千万円まで免税してはどうか、御発言の趣旨は十分理解をいたしておりまして、何ら変わりはありません。ただ、政治は継続をしておるものでございまして、いますぐ行なうということと、明年度行なう、明年度行なえなくとも、明後年行なうというようなことも具体的にあるわけでございます。税に対しましては単年度主義をとっておりますのと、税制調査会の議を経てやらなければならないというような拘束のあることも事実でございまして、また権衡の問題もございます。いろいろ広範な立場にわたって税が検討され、政府案が最終的に決定し、国会に提案をされておるものでございますから、これをまた来年度、再来年度においてもこれが実現しなかったということになると、政府の責任を果たすゆえんでないと思いますが、大蔵大臣もお答えになっておると思いますが、国会におけるこの種の御発言に対しては、政府も同感の意に近い理解を示しておるわけでございますし、八百万をきめるときも、千万円との議論を私自身がやったわけであります。八百万円とか九百九十万円とかいうことは、どうも政治的な効果がないということで、千万円にしてはどうか、百十四万九千円というのも、百十五万にすることが政治的なそのものの価値があるのだ。だから、米は一万一円ということできめたこともございます。これは九千九百九十九円と一万一円というのかいかに政治的効果があるか、政策的効果、国民の意を迎えるものであるかということをやったこともあるので、こういう問題に対しては、いますぐ修正ということには、必ずしも応じがたいと言わざるを得ないわけでございますが、国民多数が要望しておることでございます。増税ではなく、減税でありますから。政治としては実行するということでなければならない。ただいま出ておる法律案を修正するということではなく、これは次回には当然考えますということでひとつ御理解を賜わりたい、こう思います。
○野々山一三君 いまの問題で、若干重ねて伺いますけれども、具体的な退職金の減税措置の問題ですね、これは与野党とも八百万を一千万にするということはほとんど一致しておったのです。総理は、総理としてこれを出しておる法律を通してほしい、今後については実行するよ、こういう立場でお答えになった気持ちはわかるんでございますが、同時にまた、総裁田中角榮という、自由民主党総裁としての立場で、与野党間が一致しているものが、なぜ一体決断をされないだろうか、これは私の重大な疑問なんです。 率直に申し上げましょう。党にはかったならば、総理も一千万でよろしいと言っていらっしゃったのだから、相談してみたが、この際はかんべんしてくれ、つまり改正をしないでくれ、こう言われるのであります。議会で与野党を通して話をつけた。総裁としてそれを党議にはかったらだめだったというようなやり方は、これはやはり議会制民主主義を否定していることじゃございませんか。それならば、議会は政府が出してくる法律はすべて通せばいい、処理すればいい。そういうものではないでしょう。 その点からいって、私は、具体的な問題をこれ以上詰めませんけれども、この際やはり、与野党で話がついた問題は、せめて総裁としてそれは決断をすべきであるというふうに考えるんです。あらためて、簡単でけっこうでありますから。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、政治は継続しておるのでございますということでございまして、もうすでに四月の一日から新年度は始まっておるのでございますので、議論をした問題でもございますし、また皆さんのお気持ちも十分理解できますし、国民多数の方々に問うても同じ結論が出ると思います。 そういう意味で、今回いま御審議をいただいております法律の中で、修正はできなくとも、次回は、この問題の実現のために最善の努力をいたしますということで御理解を賜わりたい。
○野々山一三君 具体的な問題については、各般の問題を提起して、私ども、提案をして解決策を求めておるんでございます。きょうは時間がありませんから個々には申し上げませんけれども、いまおっしゃられるように、来従は必ずやるという中に議論をいたし、提起をいたしております問題がございますので、それをぜひ実行していく、そういう立場でいまの御回答があったものと、こう受け取めて次に進めさせていただきます。よろしゅうございますね。 第二は、税、特に所得税に対する問題と直接関係がございますし、税体制全体の問題にも関係がございますが、このごろの物価の上昇、これは非常なものでございますね。 そこで、私は、本会議で党を代表して質問いたした際に、経済見通しというものは、政府としては、卸売り物価は二・二%、そして消費者物価は五・五%ということを前提にして税の体系全体を考える。したがって、課税最低限も、それを考慮して、それを前提として考える。そういうことなんだという立場で御説明もあり、お答えもあったわけでございます。 そこで伺いたいのは、一体今日の経済事情はどういうことだとお考えなんだろうか。これがまず前提でございます。歳入の根本である卸売り物価——根本といいますか、基本でもありますね——あるいは消費者物価を五・五で計算してもかくかくしかじか課税最低限というものを変えるべきであるということを求めながらお答えを伺ったんでありますが、実は、三日の参議院予算委員会で、小坂経済企画庁長官は、この見通しは完全に——完全にということばは別として——くずれました。こういうことを述べておられるのであります。予算の審議の最中でございます。税体系全体を議論している最中でございます。そのときにもはや——五・五%というものの物価上昇で押えていきます、そういう計画でございますということをたてまえにして、起案されたものでございます。それがくずれたと経済企画庁長官はおっしゃったわけであります。総理の見解はいかがでございましょう。
○国務大臣(田中角榮君) 小坂経済企画庁長官がどのように述べましたか、本人からまだ報告を受けておらないわけでございますが、昨日の夕刊でございますか、朝刊でございますか、いずれにしても、そのような発言があったという記事は確かに見ております。その質疑の経緯をよく承知をいたしておりませんから、どのような観点において、どのような答弁をしたのかさだかでありませんが、いま御審議いただいております総予算そのものが、一つの経済見通しを立てて、しかも、この予算を執行していく過程において、望ましい目標を数字として国会に提示をされたものであることは事実でございます。四月一日になってからまだ幾ばくもたたない今日、もうこの数字は問題になりませんということを述べたとすれば、問題あると思いますが、一体、ほんとうに、昨年の末から今年一−三月の卸売り物価及び東京都内における消費物価等の指数を見ると、まあげたが非常に大きくなっておりますから、年間を通じて五・五%に押え得るのか。押え得るならばその数字の根拠を示せと、こういうふうにたたみ込まれてまいりますとね、確たる数字は示せないということで、そのような発言になったかもしれません。しかし、やはり物価というものは、初めから、上がる上がると言っておれば上がるのでありまして、これはやはり、政策を適時適切に行なうことによって、物価というものは押えるべく努力をしなければならないわけであります。これは、年度予算が通過をしても、年度予算の弾力的執行もあります。また、公債の発行の状況をどうするかということもあります。金融政策の行ない方によっては、急速に不況化ということもあり得るわけであります。もう公定歩合を上げて二日、三日でもって、百円近い証券市場は暴落を示しておるという事実を一つ見ても、これは実にむずかしい状態にございます。三倍になった大豆や生糸や羊毛が、ストップ安を演じておるわけでございます。それはそれなりの政策があるわけでありまして、これは国際的な要因とかいろんなものがあります。いろんなものがございますが、しかし政策効果というものは、いままでの指数だけを見て判断はできないと思うんです。ですから、小坂経済企画庁長官がどうお答えをしたかは私もつまびらかにしませんが、困難な問題であっても、これが実現のために挑戦をしているんだという政治姿勢だけはひとつお認めをいただいて、それなら、経済企画庁長官と、閣内不統一の発言をするのかというところまでおっしゃらないで、ひとつほんとうに、これは、やがてこの目的が達成されなければ、国会でおしかりを受けるわけであります、御指摘を受けるわけでありますから、そういう意味で、政府全体としましては、これは政府のメンツとか、そういう問題じゃありません、国民生活に直ちに影響する問題でございますし、国際競争力にも直ちに反映する問題でありますので、所期の目的達成のために最善の努力を誓います。——誓いますというより、やってまいります。こういうことでひとつ御理解をいただきたいと思います。
○野々山一三君 あとで申し上げますけれども、たとえば、ずばり申し上げて、大手商社六社でもって九千百五十億の流動資金を持っていたことが、通産省の調査によって明らかになったわけですね。それで非常な物価高になっておるということはもう明白なんでございます。それを押えた、あるいは調査に入ったということはいいことですけれども、それが逆に物を放出するということになった要素は、私はある程度認めていいと思います。 しかし、それはそれといたしまして、経済企画庁長官は、こういうふうに新聞を通して——まだ速記録が来ておりませんから新聞を通して見るわけですけれども、卸売り物価は政府の見通しの二・二を上回って三%をこえますと、こういうふうに述べていらっしゃる。そして、同時に、消費者物価は五・五%を前提にしておったけれども、これはとてもそれではおぼつかないという趣旨のことを述べていらっしやる。そこで、総理のおっしゃる、最善を尽くして物価を押えるための処置をする、責任をもってやる。おっしゃることはわかるのでございます。同時に、私はこの際、このように物価が、しかし、上がってまいります現状のもとにおいて、かりに一年間とはいうものの、物価がどんどん上がってまいります状態のもとでは、やはり税体系全体も、減税措置をも講ずるという、裏と表の処置を講ずるのは当然じゃないかというふうに私は考えるんです。そうしなければ、物価はどんどん上がっちゃった、ふところの中の金はなくなっちゃった、あとから手を打ったでは、これは間に合いませんね。そこに私は政治が生きているということが言えるんだろう、すぐ手を打つことが。そういう意味で、率直に申し上げて、これほど価格が上がっておるのでございますから、押えることの努力はされるでしょう、それを期待いたしますが、やはり年度内でも減税措置を講ずるというような処置が必要ではないかというふうに提起をしながら、あなたの勇気を持って実行いたします、誓いますとおっしゃった、その誓いますという中身を、そういうことで答えていただけませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 私も、久しぶりで参議院大蔵委員会にお呼び出しをいただきましたわけでございますので、ちょっと来るまでの間に二、三指数を当たってまいりました。これは、繊維などは非常に高くなっておったわけでありますが、綿糸は二月の二十六日にポンド当たり三百三十二円であったものが、四月の二日には二百六十九円に下がっております。三十番手は三百七十円が二百八十八円に、四十番手は三百八十円が三百十七円にと、これは暴落をしておるわけでございます。それから、羊毛に対しましても、豪州羊毛は三月二十七日、五百九十五セントのものが、四月三日には四百四十五セントという大暴落、ストップ安を続けておるわけでございます。しかも、商社の思惑買いということが一体どのようにあったのかということでしさいに調査をしたわけでございますが、羊毛、生糸、それから毛糸、綿糸等に対しては、これは商社が幾らか先買いを行なったという面が認められるようでございますが、綿花、木材、大豆等に対しては、これは商社ではないという具体的な数字もつかんでおるわけでございます。また、灯油が非常に値上がりをしておるようでありますが、供給力は十分でございまして、平均価格は横ばいでございます。で、また、これから地域的な問題等がございますが、これはまあ鉄道のスト等の影響もありまして、これは十分供給できる態勢にございます。軽油に対しても、納入価格の調整問題でもって少しごたごたしておるだけでございまして、供給力は十分ございます。それから、石油も、上期、多少不足ぎみでございますが、下期は過剰ぎみでございます。それから、セメントに対しては、十分調査をいたしましたが、年度間を通じ、すべてのものを消化して、多ぎみに見て年間八千八十万トンでございまして、生産余力は十分ございます。韓国から輸入しなきゃならないというような状態は、いまだけのものでございます。なぜ千円もするような状態が一部にあるのかということを手を入れてみましたら、総量の二〇%が袋ものでございまして、市販されているものはわずかに三%のシェアしか持っていないわけでありますが、これでございまして、この袋ものを三百円程度にするように増産体制をいま指示しておるわけでございまして、これは昭和九年当時、袋当たり九十銭でございましたから、これは鉄道運賃と比較してみて一番安い。セメントが一番安い。その次が鉄道運賃、その次は鶏卵、鶏肉と、こういう順序になるのでございまして、はがきなどは六百倍ということでございますので、そういう意味から言っても、現状で十分でございますが、しかし、公共事業を一部繰り延べなけりゃならぬという議論さえあるのでありますから、八千八十万トンというような数字に合わせて生産を行なうことによって一部に品不足を認めるようなことになっては困るので、九千万トン程度まで上げろと、こういう指示をいましておるわけでございまして、セメントよりも問題は何かというと骨材不足であるということでございます。これは河川維持のために非常に手きびしい骨材採取を規制しておりまして、山砂利にたよっておるわけでございますが、山は乱開発を禁止するということで、どうにもならないということで、公共事業が進まないというような面があります。そういうような問題もありますので、これから予算執行の過程において、一つずつきめこまかくやっていくことによって物価問題に対しては十分ある程度の対処はできるという私は感じを持っております。ただ、いまのような状態が続くということになれば、これは原則的にインフレ傾向ということを認めざるを得ないわけでございますから、インフレ傾向まではどうしても阻止しなければならないということでございまして、インフレになったら調整減税を行なうかどうかという問題はその後の問題でございまして、これは、もし、臨時国会でも召集しなけりゃならないようなときがあれば、それまでにはちゃんとしたことをやっておかないと、政府はいまの御質問にはどうにもお答えできなくなるわけでございますので、そういうことがないように全力を傾けてまいりたいということで、いま、四十八年度の予算審議をいただいており、税制審議をいただいておるわけですから、インフレ傾向がおさまらなかった場合、調整減税をするかどうかというような問題は、これはひとつあとの問題にしていただきたい。これは、私は衆議院の大蔵委員会でも述べましたし、この間一予算委員会でも述べましたか、今度は、年度末になってから、経済見通しをつけて税制改正などをやるのではなく、予算が終わったら、この国会が終わったら、その後でも直ちに皆さんの御意見を全部収録をして一覧表にしておいて、そして大蔵大臣と大いにひとつ四十九年度減税案を勉強しようと。税制調査会を随時開いて御検討願おうと、こういう姿勢でございますので、そういうところで御理解を賜わりたいと、こう思います。
○野々山一三君 前段と後段とのおっしゃり方がどうも違うようでございます。前段のほうでは、インフレ的傾向にあると言わざるを得ない、したがって、そういうときには処置を講じなければならぬというニュアンスのお答えだったと思います。私はそれを大事にしたいわけです。つまり、あなたもそのインフレ的傾向という事態にあり、物価がどんどん上がってくるときには、調整減税もしなければならぬだろうと、ならぬだろうということをはっきり言われて、それをまくらにいたしまして物価を抑制するための政治をやると。それは、私は政治としての価値がある、政治家としての責任である、それが政治の先取りである、こういうふうに申し上げるのは無理でしょうか。後段のほうのお話は、いろいろみんなの意見を聞いておいてあとでよくやるわいと。そこへ全部逃げられてしまうから、田中何とかというふうに言われるわけです。あなたとのおつき合いはもう二十年を越えているわけですから、この際、田中角榮という者が政権を取ったら、国民の言ったことはちゃんと形になるわいというような角度で、調整減税もやるわいというように述べられるべきじゃないでしょうか。私はあらためて……、簡単でけっこうですからお答えいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) ひとつ、大いに物価抑制策に全力を傾倒してまいります。物価がうまくいかなかったら調整減税をどうするかという、いくように努力をしていくわけでございますから、しばらく、かすに時をもってしていただきたい。
○野々山一三君 水かけ論になりますから……。私は、おっしゃった気持、つまり、物価を何としても押えるべきであると、こういうふうにおっしゃったものだと解して、今後、積極的にこの物価抑制策について私どもも対処していく考え方を持ちたい。そのために提起をいたします。 私は、商社が買い占めをしているという問題をこの前問題にいたしました。モチ米です。やった結果、確かに調査をされました。そしたら相当量のものがあった。木材もそうです。これらのものについてびしびしと調査すべきは調査する。そして摘発すべきは摘発する。そういう具体策が伴わないと、この抑制策は生きてこない、というふうに考えるのは私の単なる見解ではないだろうと思います。ぜひひとつ、そのことを受けとめて対処してもらいたい。 その次に、土地の問題について、土地税制全体の問題もございますが、率直に私の見解を述べながら伺いたいと思います。 いま、勤労者層及び市民の大半はやっぱり土地がほしい、うちがほしいと。これは私は、まさに文字どおり悲願だと思うんですね。ところが、実際正直申し上げて、四十四年ですか、に所有の土地の売買というものをかご抜けしたようなかっこうでやったために、法人の土地というものはもう山ほど持っているという、ことばは悪いかもしれませんが、現状ですね。そのために土地の価格というのはうんと上がっておる。これは率直にお認めになるでしょう。そして今後は税金だけで処置をするとかりに考えたら、まことに申しわけないけれども、税金分だけ土地の価格を上げて売りつけるということになりますから、いよいよ土地は夢のようなものになるということは火を見るより明らかで、もう現にそういう事態なんですね。これは私の率直な意見なんです。そこで、こんなに上がっている土地を求める国民の悲願に対して、私は率直に言って、総理、宅地開放といったようなことばが当たるかどうか知りませんが、そういうような措置を講ずべきではないかというのが私の見解なんです。抽象論でございますけれども、まずそこの所見を伺いたいこと、これが第一。 それから第二に、先日私はテレビを通して、総理が、都市を改造するという表題のもとにテレビ対談をなさったのを全部聞きました。たいへん興味を持ったわけです。で、テレビだとああいうふうにおっしゃるのだけれども、国会ではなかなかというようなことでは困るので、あらためて伺うわけです。その中で、都市改造、都市政策に取り組まないと責任を果たすゆえんではない、こういうふうに申された。私はメモですから、多少のテニヲハの違いはあるが、ずばりそういうふうに言われていると思います。また、責任だけで解決できる問題じゃない。 そこで、都市政策、土地利用についてずばり申し述べられている点がございます。それは、おおむね次の五つ、六つを土地問題でいわば指摘されている。その中で、重視すべきは、憲法二十九条によって私有財産権というものを規定しているけれども、それはそれとして、私有財産権を剥奪するわけじゃないけれども、その上にもっと大事なことは、使用権、利用権というものを担保すべきである、こういうふうに申されたわけです。これはたいへんいいことのように受けとめました、テレビを通して。そしてあなたは、つけ加えられて、これはきびしい方法をとらなければいけない、こういうことを強調されているんですけれども、その手きびしい方法とは一体どんなことをお考えになっていらっしゃるのか、これが第一。具体的な法律をどうするか、対策をどうするか、内容をどうするか、このことが第一の具体的な問題についてのお伺いであります。 それで、第二に、勤労者に土地を与えなければいけない、住むところを与えなければいけない、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、時間がありませんから、そこはどういう考え方なのかをあらためて伺いたい。 それから、使用権というものは一体性格的にはどんなふうにお考えなんでしょうか。公権的なあなたの見解を承りたいわけでございます。その中であなたがおっしゃっていられる公益優先ということが、法律によってようやく日の目を見るようなった、こういうことばを使われております。私は、ある意味でその使用権というものに非常な価値を認めるのです。つまり、具体的に申し上げましょう。東京なんかでいうならば、アパートに住んでいる人が一ぱいおる、マンションに住んでいる人が一ぱいおる、二年で全部契約が更新される、更新料は取られる、そのときにはどんどん上がっていく、ということになるのが現状なんです。そこで、この使用権というものがどういう地位にあるのかということが、私の興味の的になるのです。もし使用権というものが、かつての借地権、借家権というものを越え、憲法でいうところの財産所有権というものを越えて——越えてという、あなたのことばでは。それを認めるけれども、それをより高い次元からとらえて、使用権というものを担保することによって、人間の土地というものが、労働者の土地というものが、市民の土地というものが、住宅というものが保障されるということによって都市を改造することが必要なんだ、それをやるべきだ、こういうふうにおっしゃっていらっしゃる。そうすると、私の推論ですけれども、二年ごとくらいに全部契約しています。契約させられるのです、入りたいから。二年たつと契約更新料を取られる。そしてそのときは必ず値を上げられる。こういうものと、その使用権とは一体どういうものか、こういうことが土地の問題とからみまして居住の問題と同じことになる。勤労者、国民の生活はそれによって脅かされていくばかりです。抜本的に解決すべきが今日の課題ではないかということがしみじみ考えられるから申し上げたわけですが、以上とりあえず四点について時間がなくなりましたから簡潔にお願いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 土地、特に、住宅地が非常に国民に要望されていることは御指摘のとおりでございます。特に、住宅用地というのはどこで要求されておるかというと、大都市及び都市周辺でございます。それは、まま申し上げておりますように、日本の総人口の三分の一が国土の一%というところに集中しておって、その集中がいまだ続いておるというところでございます。 もう一つは、その過度集中の大都市も、世界に類例を見ない平面都市であるというところに問題がございます。ですから、私が都市政策大綱の中で述べました一つの例をとりますと、昭和五十年度に、首都圏の人口は三千万人になると推定をせられる。これは昭和五十年度を展望したわけですが、四十五年度で三千百万人になっておるわけであります。この首都圏の標準世帯に公共用地を含めて、五十坪ずつの宅地を与えるとすると、三千七百平方キロになる。それは全関東平野の六二・五%、こう述べております。まさにそのとおりでございます。そういう結果、宅地が不足をしておるということは、これはもう言いようのない事実でございます。住宅というものは、戦後相当建てられております。おりますが、いつまでたっても千万戸近い住宅を必要としておるということは、過度集中の速度が進んでおるからだというべきでございましょう。そういう意味で、平面都市を是認する限り、集中を是認しておる限り、宅地の需給状態は逼迫してまいって、地価が上がってまいるわけでございます。 そこで考えなければならないのは、憲法二十九条の解釈でございます。まあ新しく考えるなら、よその国はどうしておるかといえばすぐわかるわけでございます。これは憲法二十九条のような私権は、そのまま私権、財産権は認めておりますが、所有権はこれを公共の用に供せしめておるわけでございます。これは日本にもそういう法律がございます。三分の二の承諾があれば区画整理を強行することができるわけでございますし、公共の用地は、収用法によって収用ができるわけでございます。今度は、収用も公示と同時に代執行が行なえるような法律を用意しろというようなことでございまして、しかし、憲法二十九条にいう財産権を侵さないために、最終的法律の判断が示された場合には、収用者はこの判断に従わなければならない。いうまでもないことでありますが、法律に明文を置こうという考え方で勉強を続けておるわけでございます。そういう意味で、やっぱり二十九条の精神は守らなければならない。しかし、公共のために利用できる、憲法には同じ条文として公共のために、しかし、それは対価を払ってということを前提として書いてあるわけでございますが、対価を払わなくても、これは利用権は制限をすることができる。こういうことで、都市計画法や、区画整理法の改正案もいま勉強中でございますし、今度国会でもってお願いをしております市街化区域内の宅地並み課税においては、いろいろな誘導政策をやっておりますが、ある時期がきて建てない場合には、その恩典を停止をすると同時に、代執行を行なう。こういう制度を導入しておるわけでございまして、こうしなければ、既存市街地の改良はできない。これを最も的確にやっておりますのはハワイの不良街区改良法。これは明確に規定しておるわけでございまして、いまよりもいい住宅を提供して移れるようにしておいて、工事をした日から収用に応じない人は、どんどん収用価格が下がっていくという例もございますし、ニューヨークのマンハッタンの首の部分が、合理的に改造が行なわれておるという例に徴すれば、日本もその道を選ばざるを得ない時期に到達をしておるという意味のことを述べたわけでございます。 勤労者住宅に対しては、今度の公営住宅法の改正等によりまして、これは議員立法として私が各党の代表者になって提案した法律でございますが、これは厚生住宅法、労働住宅法、公営住宅法を一本にして公営住宅法にしたわけでございまして、労働者住宅の入居条件については、労働大臣に協議をしなければならない、厚生用のものは、厚生大臣に協議しなければならないというふうに現行法はなっているはずでございまして、これは低利長期という道をもっと推し進めることによってできるわけでございますが、それだけではなく、国土総合開発法の改正案というものを進めていく過程において、都会から出ていく人が一番困るのは、住宅の問題でございますので、やはり労働者住宅というものが、工場用地より以上に低廉、合理的に供給をされなければならないというような制度をつくるつもりでございます。 それから、使用権とはいかなるものかということに対しては、いま申し上げましたとおりでございまして、これは東京や大阪の道路の三分の二が区画整理によって無償で提供されておるという事実を考えれば、これはもうそういうことを実行する以外にないわけでございます。ニューヨークの道路は、市街地面積の三五%でございますし、それからワシントンは四〇%でございますが、東京、大阪は一二・五%でございます。だからきょうも、四十何万台一カ月に車がふえておるといいますが、年間三百万台以上は確実にふえるわけでありまして、二千三百万の保有は、十年をまたずして、四千万台をこすということでございまして、十年たたないうちに、来年のいまごろは東京都内の通勤の速度は二分の一以下に落ちる、こういうことでございますから、そういう意味において疎開をさせるのか、入ってこないようにするのか、しからざれば、道路を広げるのか、三階建てにするのかしなければならない。そういうことを税によってまかなうわけにはまいりませんので、土地の高度利用によって、公共用地は供出せしめる。先人がやったことをわれわれがいまこれだけ混乱しておる中でできないはずはない。こういう考え方で諸般の政策を進めてまいろうということでございます。 それから、公益優先というものが日の目を見るようになったというのは、先ほど申し上げましたとおり、まあ何だかんだ言っても、土地の税も分離二〇%というようなことを自然とのんでいただけるようになっておりますし、普通ならたいへんなんですが、野党の皆さんには、これじゃ安過ぎるぞという御激励も受けておるわけでございまして、こういうような公益優先思想を貫くには、一つのチャンスでもあるし、これはやっぱり推し進めていかなければならないということで、諸般の立法をいま御審議いただいておるということでございまして、これはほんとうに普通ならガソリン税を目的税にすることさえも、有料道路法の制度をつくることも、憲法違反だと学者は言った時代もあったわけでございますから、考えれば今昔の感にたえないわけであります。そういうような状態でございまして、公益優先思想というものが法制上の日の目を見るようになったということを明確にしたわけでございます。 それから、借地、借家権、こういうものが二年間とか、三年間とかいうのは非常に問題がございます。そして借地権に対しての権利というものが幾らあるのか、地上権が幾らあるのか、借家権が幾らあるのか、これは判例はみんなまちまちであります。確かにそうなんです。土地というのは、御承知のとおり、同じ番地の土地でも倍も三倍もするわけです。隣の人がもう一メーター隣地を買えれば十階建てが建つのに、いまの境界線のままで建てれば七階しか建たない。その場合は隣地は倍で買えという昔から法則がありますように、土地はなかなかしかく一律ではまいりません。そういうところに、戦後の混乱期において家賃統制令があったために借家もできなかったという面もございます。それを補なう意味で公営住宅法によってカバーしてきたわけでございますが、今度はやはり都市改造を行なうというような場合ですね、職住の近接ということはどうしても必要でありますから、六時間、七時間働くのに三時間も住復かかるということでやれるわけはありません。ですから、そういう意味で、どうしてもやっぱり若いときには借家でいくべきなんです。そうでなければ、工場の二階でも一番いいわけです。銀行は、銀行の上にアパートがあれば、上から下へおりるわけですから、上がるわけじゃないんですから、それは非常に合理的なんですが、立体化をはばんでおるためにできないわけです。そういう意味で、やっぱり借家でないと——結婚したときには小さい家でいい、子供ができたときにはB級に入りたい、子供が三人になったときにはCに入りたいという弾力性が全然日本にないわけでございます。そういう意味で、公営住宅法の活用をしながら、都市の中においては底地権、それから借家権、借地権というものの、できれば法制化を行ないたいという考え方を持っておるわけですが、これは裁判の確定を待たずして行なえる土地委員会制度が法制化されない限り、なかなかむずかしい問題でございます。そうでなければ、一坪地主の裁判でも受ければ十年間やれるわけですから、それで宅地の利用権が確保されるはずがありません。ですから、問題は、道路とか公共用地等、宅地という個人の所有するものを、時代の要請によって個人の所有する借地も、特に勤労者の借地は、戦時中は軍用だったんです。そういう立場で、社会的な要請によって収用の対象になるようにウエートが上がっておるんだという解釈を行なえばできるわけでございますので、そういう意味で、世論の理解を求めながら、だんだんと新法則を整えてまいりたい、こう述べておるのでございまして、これは私見ではなく、まあ一部私見でございますが、(笑声)しかし、これは公の立場によって述べておるのでございますから、私自身も立法できるものから立法化を行ないたい、こういう考え方でいませっかく勉強を続けております。
○野々山一三君 時間がないのに、総理からあまりこういういろいろおっしゃるものですから、聞きたいことが聞けなくなって、申しわけないんですが、簡潔に言いますから、これはどうするというふうに答えていただいたらいいと思います。 たとえば、おっしゃっている中に、いい悪いはいろいろありまして、たとえば、いまの説——いまの説ですよ、ばかりを承っていると、一生涯、年じゅう引っ越ししていなければならないということになるんです。ここにやっぱり市民の悲願というものが、悲劇というものがあるわけですね。やっぱり小さいものでもいいから、自分のものを持ちたいという、これはおわかりでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) わかる。
○野々山一三君 それをやはり土台にして、私は土地開放ということの考え方でおやりになる気持ちはないかということを伺ったんです。あらためて簡単に……。
○国務大臣(田中角榮君) わかりました。それ、一番最後に述べようと思っておりましたが、少し長くなったので申しわけなかったのでございますが、その土地を持とうというのには二つの考えがなければだめなんです。これはまあ土地というものは、その国の生産性と密着しております。これは旧幕時代には、三代かからなければ家にならない。明治時代は二代かかる。昭和の初年は一生かかれば家ができたということでありますが、いま、戦後の無蓄積からようやく今日になった日本は、いま結婚すれば直ちに家がほしい。しかし、これは先ほど申し上げたように、一生住める家にはならないわけです。なれるわけがないんです。二十五歳でもって一生住める家に入れるわけがないんです、それは。ですから、そうなると結局どうするか。しかも転勤するんですから、子供がふえるのですから、そういう状態からいいますと、宅地や家というものには二つの考え方で割り切るべきなんです。働かなければならないときには、職住の近接で消耗しないような合理性を持ったものでなければいかぬ。そうすれば、当然借地になり借家になる。そうして一生のうちに家が持てないというのでは困るので、少なくとも千万円などでは困るんですが、退職料が手に入ったときには、狭いながらも楽しいわが家がつくれなければいかぬ。そのときには、土地がついておらない家というのでは、それはもう話にならぬというふうに分けないと、分けてものを考えないからごっちゃになるんです。そうでなければ、これはもうちゃんとした、これはもう政府もそういうことの政策は区別してやるべきだと思うんですが、今度はそういうふうにすると、そうすれば、あなたも北海道から、私も新潟から考えますと、この間も計算してみたんです。柏崎から上野までは三円九十銭です。そのときには三等でもって十一時間もかかってきましたが、三円九十銭は米の三斗五升でした、当時の。しかし、そういうことから考えますと、新幹線、四十五分から一時間のところから通えるというと、全国至るところから通えるようになるのです。それよりも六倍以上に収益がふえているのですから、そういうような計算をして、一体日本の宅地というものをどうするのかということを考えないで、東京のまん中で四十何階の家があって、隣りには一階のシルコ屋がある。そういうものを全部の都民や市民が得ようとすることはそれは無理です。ですから、ある一定の限界以内は現実的な手はあるんだ。それは相続税率をうんと上げれば二代でもって全部国のものになる。(笑声)しかし、そんなことはしないで、少なくとも利用権だけは公に開放しなさいという理論は説得力がある、国民の理解を得られる。そういうことによって、いわゆる土地を持ちたいという、生涯かかる希望というものと、現実的に嫁をもらったからすぐ庭も、土地もあるというものを混淆した議論というものには、これは際限のない話である、遺憾ながらそう思わざるを得ない。ですから、政府も、ちゃんと区分をした住宅政策、宅地政策というものを明らかにしてまいりたいと、こう思います。
○野々山一三君 たとえば、六大商社だけで、先ほど申し上げたように、九千百億をこえる金額を持っているわけでございますね。そしてそれが土地をどんどんどんどん買っている。これがいろいろ、いまあなたと私とは議論しましたけれども、大きな土地の価格の沸騰の要因になっていることは間違いないだろうと思いますね。それをどう思うかということが一つ。 それから第二は、この企業というのはやっぱり過剰流動性を吸収するために、私は率直に言って中間申告で税金を取りますね、法人の場合。これをもっと早く取るということを通して、税を早く取るということを通して、そういう過剰流動性というものを吸い上げるという策を考えたらいいではないか。これが第二。いまそういうものは一体何をやっているかというと、土地成り金であり、株をうまいこと動かしてもうけており、そしてそういうことを含めた、他のもの全体を含めて投機の利益というものを非常に得ているわけでございますね。これがやっぱり物価をつり上げたり、経済体制全体を片寄ったものにさしているということは事実だと私は思う、通産省の調べでもそういうふうに言っているわけですから。こういうものを現実的に処置していくということが必要ではないかということを第二に伺いたい。したがって、そういう企業がもうけておる投機的な土地の取引というものはやめさせるべきであるというのが私の提案なんです。これが一つ。 それから土地を商品なんというふうに考えるということは、先ほどのあなたの御見解から見ても、商品だと考えるという考え方はもう時代に合っていないんだというお話だと思いますけれども、私はその考え方を実行の上で具体化してもらいたい。それから開発許可制、投機禁止制というようなものを、これは仮称でございますけれども、そういうものを制度的に、法律的にもぴしっと手を打っていくことが、今日の日本経済を安定させる道ではないかということを考える。 その三点を提起しながら、あなたの見解を承って、私の質問は終わります。
○国務大臣(田中角榮君) この機会に簡単にひとつ、土地はなぜ上がったかという追跡調査等の結果を申し上げますと、これは確かに商社も手をつけております。これはなぜかというと、外貨が積み増されました。そのときに裏づけの円が手元流動性を潤沢にしたわけであります。そのときには、企業の借入金を返済をまずすべきでございましたが、円はお返しにならないほうがよろしいということでございまして、これは企業が弱いので、どうしても要らかいから返すというわけにはまいりません。いま外貨が二百億ドル近くなったときに、九十億ドルの外国からの借入金がございますから、それを返せばもうすぐ百億ドル割るわけであります。しかし、それは商道徳として、必要なときだけ借りて、要らなくなったから返すんだというわけでは商売やっていけないわけでございまして、そこに一つの問題があった。これは政府の金融政策をつかれてもやむを得ません。そして普通はそういうときには必ず設備投資に回ったわけでありますが、設備投資に回らなかったんです、これは。回らないから、かっこうの投資先がなかった。それは何か、土地と株式だったということか一つございます。もう一つは、市場でもって金融機関を通じないで金を集められる時価発行制度というものが乱用、乱に流れたと思うくらいあったわけでございます。しかも、株価は急速に上昇してまいりました。それは法人株主と、個人株主の六対四が、半年でもって逆転したわけでございますから、そうすると、株はそれだけ減資をしたと同じかっこうになっておるわけでございます。両方が五十万円ずつ持てば実際の額面は百万円であっても、現実的に流通するものは五十万円でしかない。しかも、それは両建てだから流通しないと、こうきておれば株価は上がるにきまっております。ですから、そういう意味で、金融機関は一〇%以上持っちゃいかぬとか、外人株主の保有を禁止したり、いろいろな措置をしておったにもかかわらず、株式市場がこのようになった。もうその株式市場はこうなっておりますから、時価発行は非常にできるわけでありますし、転換社債も円滑に行なえるわけであります。そういう状態で、大蔵省が考えたよりも、われわれが考えたよりも、時価発行という資金が提供された。その時価発行を提供するだけの金融緩慢基調が背景にあったということと、家にはならないが車は買える、車にはならないけれどもレジャーは楽しめるという金は総トータルするとすごく大きいものでございます。流通しておる紙幣が六十兆円ということを考えれば、九千億や六十兆円というものの比較は、もう九千億でもって六十兆円の経済が動くわけはありません。そういう意味から考えてみまして、国民全体が的確なる投資ができないにしても、そういう背景があった。それはなぜそれを締めなかったかということでございますが、これは史上初めての多国間調整というものがあって、これはもうたいへんなんだ、こんな中小企業対策でどうするのだ、こういう状態でございましたし、やはり万全の対策をせざるを得なかったということでございます。その結果二つの現象が出ました。一つは、思わざる結果が出て好況は回復して、景気は行き過ぎであるというくらいに、中小企業の倒産はなかったわけです。こういうメリットがあった。同時に一部において買い占め、売り惜しみのような社会的現象を誘発したというまあプラスマイナス面があるのでございまして、差し引きプラスになるかどうかというのは、これからの政策の運営にかかっておるわけでございます。そういうわけでございまして、金融政策等、適切に行なっております。もうすでにその現象は株式市場等においても顕著に出ておりますし、いまちょうど一—三月が輸入期であるし、しかも、財政対民間収支揚げ超期でありますし、それから三月から五月までには納税期がきますし、そういう意味でいま見ますと、いま手持ちのものを売るという、売らなければ資金繰りがつかないというようなものは、土地業者だけだと思うのです。これは非常にきいております。これはもう契約したものが払えないで、住宅公団に持ち込んでおるというような現実に徴してみれば、これはよくわかるはずでございます。しかし、まだ、法人が買った土地というものに対して放出がという問題までには至っておらないようでございますが、これはいま大蔵省でもって全部企業別、銀行別に見ておりますから、そうして土地を四十六年から四十八年の現在までに買ったもので換金できる資産を持っておるものに対しては、窓口規制を行なっておるわけでありますから、これは必ずきかないはずはありません。ですから、そういう意味で、まあ政策は広範な政策を実行しておりますので、私は四月に入ってきたら、花が咲くころにはと思っておったのです。そういう考え方で、これからは相当きいてくる。これはある場合によってはきき過ぎるので、専門家はしさいな数字を毎日日報で見ておらぬと、思わざる破綻が起こるおそれがあるという指摘も現にあります。ですから、そういうような事態でありますので、これからはひとつ十分土地の放出、その他実効をあげるようにしてまいりたいと、こう思います。ですから、あなたがいま御指摘になったように、前受けでもって税金を徴収したらどうかとか、いろんな特定なことを行なわなくとも、十分効果をあげ得るというふうに考えておるわけでございます。 最後に一言申し上げますと、今度の国総法を通していただければ、今度値上がりをもくろんで買ったものでも、知事が特定地域に指定をすれば、そこは開発も禁止されますし、移動も禁止されますし、どうにもならなくなるわけでございますので、まあ綿糸や羊毛が暴落しておるというほどにならなくとも、暴利を考えて、高い値上がりを考えておったようなものは、当然調整をされる制度をいま御審議いただいておるわけでありますので、せっかくの御指摘でありますが、税の問題等直ちにいま別な処方を採用しなくとも、相当の調整効果をあげ得るという見通しでございます。
○成瀬幡治君 大臣、非常に簡単に二点だけお尋ねします。 その第一は、やっぱり税に対しての不公平が多いということであります。そういう中で、日米の大企業の税負担がどのくらいかということを、これは法人税とか地方税、それから雑税と申しましょうか、自動車保険まで含めて全部比較してみますと、大体アメリカが一〇〇負担しておりますと、日本が大体五三・九%という負担率になるわけです、全負担率ですね。アメリカのほうが非常に高くて、日本のほうが非常に少ないということ。それから、これは大企業と中小企業で言えば、租税特別措置法、法人税というものの比較がございますから、この比率は中小企業と大企業との比率とも言えると思うわけです。そこで、日本がなぜ低いかというと、租税特別措置法があるということが一つと、法人税の税率が非常に低いということが最大の原因でございます。そこで、総理大臣はどういうふうにされるのか。まあ田中さん、大蔵大臣を何べんもやっておみえになって、答弁は非常に前向きになっておりますが、今度は総理は——あのときは前向きの答弁たったんですけれども、案外やっておみえにならぬ。今度は、総理は決断と実行ということがついたのですから、これをどうされるかという点が一つ。 二つ目にお尋ねしておきたい点は、財政投融資の残が二十三兆あって、今度大体六兆七千億円ですから、大づかみに言って四十八年度残が三十兆、そうすると四十九年は四十兆ぐらいになる、残がですね。四十八年は残が三十兆ぐらい、それから四十九年は四十兆ぐらいになるわけです。それから、五十年になれば五十五兆というような財政投融資の資金運用部資金等の残がそうなってくるわけです。そうすると、都市銀行よりも残が多くなってしまうということは、日本の産業的政策なり、あるいは財政的政策に及ぼす影響というものは、全く理財局が扱っておるこれのほうが大きくなっちゃう、ですから、たいへんなことになると思うときに、いま大蔵省の理財局で扱っておるだけですね。そういうことがはたしていいのか悪いのか、どうなんだということを私はいまから考え直しておかぬと、たいへんなことになると思うんです。ですから、そういうようなことについて先取りでございます、あとから追っかけるわけじゃございません。どういうふうにお考えになっておるか、この二つだけお尋ねしておきます。
○国務大臣(田中角榮君) 税は逐年減税を行なってまいっておるわけでございますし、また国民所得、国民総生産は非常に大きく急速に伸びておるにもかかわらず、税に対する不公平感や重税感があるということは、これは御指摘のとおりです。これはなぜかというと、法人税に入る前にちょっと申し上げますと、やっぱり直接税中心主義をとっておるというと、これはどうしても、いつでも——それと税法には体罰がございますから、そういう意味で、いつでもふところに手を入れられるような感じであって、直接税にウエートがかかっている場合には、どうしても重税感というのは、これは払拭できないわけでございます。アメリカにおいても、非常に重税感があります。われわれより三倍も所得がありながら、その残りを考えると——ちょうど日本でもよく言っているわけです、課税最低限を上げるのと、二億も三億も年収のある人は、七五%取られてもまだ残っておるものの額が違うじゃないかということをよく言うんですが、これは重税感という意味からいうと、所得税中心の場合はもう当然重税感があるんです。これはもう相当税率を下げてもあります。ですから、ほんとうの重税感というのは、フランスのように間接税が六七・五%と、非常に大きくて、しかも直接税が三二・五%もありながら、法人税率においては五〇%だというようなところは、法人は非常に重税感を持っておるわけです。それだけに国際競争力もつかないわけです。ですから、ここに日本よりも高い国を申し上げますと、フランスの五〇%、アメリカの五一、西ドイツの四九・〇五、イギリスの四〇とありますが、ちょうど国際競争力は、これと日本の法人税比率ぐらいの比率があるわけです。ですから、その意味で、悪い面から意地悪く、日本の国際競争力というものがついたのは、ドルがたまったのは、法人税率が低いからだという見方もございますし、同時に戦後人類の歴史の中でなかったように、四半世紀で今日一億の人間をささえてきたですな、今日というものは、やっぱり政策というものは、いままでは的確に功を奏しておったということも言えるわけです。これは両面あるわけです。たての両面のようなものでございます。ですから、さて今日の段階からいいますと、もう重化学中心とか、輸出中心とかというものでは、国の内外の要請にこたえ得ないということでありますから、今度は福祉政策に転換をしなけりゃならないということになると、法人税というものを新しい視野と立場と角度から見直さなきゃならないという問題が一つと、直接税と間接税というもののウエートをどう変えるかによって、重税感をなくしようということでなけりゃだめなんです。法人税率だけ幾ら上がっても、自分の税率が下がらなければ、もう重税感は全然とれません。ですから、そういう意味で、不公平感、重税感というものに対しては当然なくするように制度上も運用上も考えていかなきゃならぬということは、もう私たちもそう考えております。ですから課税最低限の引き上げを行なったり、もうアメリカを除いては一番もうこれで日本は高いですなどということで安住してはいけません。そういう意味で、これからもなお適切なる税制改正を行ない、その過程において所得税の減税を行なうということは、そのとおりでございます。法人税は、まあとにかく一・七五の暫定税率が四十九年の四月三十日に切れるわけでございますから、これはもう元に戻すなんて申し上げませんで、暫定税率を基本税率に繰り入れるということになれば、三六・七五が基準税率になるわけであります。その上に幾ばくか付加するというか、どのように付加するかは、ちょっとこれから経済情勢も考え、税制調査会の御意見も聞きながら、皆さんの、まあ野党の皆さんは四〇%引き上げなさいと、四〇%に引き上げるというと、二十七年から三十三年までの間は四二%から三八%だったわけでありますから、そういう財政事情が非常に困ったときの状態まで引き上げるべきだという御議論も承知しておりますが、そういうことがいいのか、そうではなく、まず一・七五を基本税率に繰り入れて、その上どの程度かさ上げがされて、他に減税をしながら間接税というか——いままでやられておるものもあるんです。証券取引税が倍になりましたし、不動産取引税の分離を行なったら、八百億が三千億になりましたし、それから今度の法人から二〇%の分離も行なうわけですし、ガソリン税の目的税によっていま道路財源が確保されておるわけですし、そういうものが過去にお互いにやったわけでありますから、そういうようなものをどういうふうにするかというものとにらみ合わせながら、新しい税改正案というものをやっぱりつくり上げるべきだろうというふうに考えております。その過程において法人税率を幾ばくにするかということを決定すべきであって、法人税率だけを目のかたきにしておりますと、これは思わざる批判があるんです。法人税率がいまから四〇%になるなんていっておったら、もう春闘もストップだと、(笑声)こういうことになっちゃ困るのであって、これはよほど慎重にかまえていかなければならない、こう思っておるわけでございます。 それから、財投の問題は、これはもう御指摘のとおりでございますが、これは、数字はそのとおりでございますが、ただ、時期的には二つやっぱり考えなければいかぬ。御指摘のように理財局、まあ昔の国庫というような考え方で、財政を補完する財投だけ考えていいのか、それから民間の、普通の立場から言うと、民間金融の圧迫になります。そういう意味で、自主的な民間金融との間をどう調整するかという問題があります。ありますが、いまちょうど時がいいのは、いままでのように政府が一五%の——一〇%の成長を考えておったら投資は三〇%も行なわれたというようなことは、民間の自由な態度にまかしておったわけであります。ところが、まあこれからはそうではなく、一五%も十何%も高い成長では困るんだと、国の内外の要請にこたえるためには、成長率を安定成長率に置かなきゃいかぬ。——九%と押えたわけでありますが、五十二年までの九%でも高いという御指摘がございます。しかし、その中には、二次産業の成長率のウエートを占める、全部合わせた中の九%よりも、流通段階とか、社会保障とか、そういう面のウエートを高めた内容であれば、質的には同じ九%であってもいままでの一〇・四%十カ年間成長というものとは内容が全く違うわけであります。そういう意味で社会資本の蓄積や、社会保障に転換していく限りにおいては、やっぱり財政主導型ということはある程度続けていかないと、社会資本の蓄積や、それから、社会保障の拡大はできないわけであります。民間の次心意にまかしておけば、これはもう輸出が大きくなるにきまっておるんです。そういうことよりも、それは押える、そのかわりに、政府が年次計画に従って社会保障や社会資本の蓄積率を逐次逐年伸ばしていくということになると、財政が主導的な立場にならなければ——ならざるを得ないわけです。これはどうにもなりません。そういう意味で、財政の補完的な任務を持っておる財投が、大きい、五十兆円、——確かに四十兆円から五十兆円になる趨勢にございますが、これは中身が今度違ってきましたから。これは財投でなければ、財投でないとこれはできなかったわけですが、財投というものは、いままでは輸出優先のときは輸出に八〇%行ったわけです。今度は、ことしの予算を見ていただいてわかりますとおり、財投の中身はがらっと変わって、社会保障や社会資本の蓄積に振り向けられるもののウエートが非常に高くなっておる。これは国会の御審議で御指摘になれば、逆に七、三−八、二となっていくわけですから、そういう意味では、民間の資金の流れにまかしておけないといういまの立場から考えますと、財政プラス財投ということで、少なくとも五十二年までに、六十年展望の財政及び財投の見通しというものをつけなきゃならないだろうし、つけ得れば単年度予算主義をとっておっても、相当長期にわたって社会保障が年次どう拡大されていくかということがわかるわけでございます。今度の社会保障の年次計画を公にする場合には、一般会計だけではなく、あわせて財投計画の実行上の数字を出さなければ、これは年次計画できませんから、これはそういう意味では財投に対して在来のような考え方ではなく、新しい意味での財投の価値というものは十分評価できると思います。いまこれを直ちに変える必要はないという考えであります。
○戸田菊雄君 時間がありませんから、一点だけ関連して質問しますが、いま総理、いろいろ法人税の問題で説明されましたけれども、結論はどうやっていくかは、暫定措置の繰り入れまでは話をしましたが、それを具体的に今後一体取り扱いをどうするかの構想はまだ出てません。回答がない。そこで、いろいろ言われておりますけれども、金融部面についても税制部面についても、法人税については全くこれ至れり尽くせりの優遇措置をとっていることは間違いないですね。ただ、これ四十六年度の通産省の企業局、世界の企業の経営分析、昭和四十六年版、一九六九年分の調査、これで明らかなように、純利益の、アメリカと日本の比較が出ているんです。政府の統計資料です。これによると、税引き純利益、これは日本の場合は二二・三四、アメリカは一三・九二ですね。それから、租税公課、これは日本が一五・三四、アメリカ二五・三五です。金融費用については日本が五・三五、アメリカ〇・四二です。人件費は日本が三八・三五、労働分配率が非常に低いんですよ、アメリカは四八・一二ですからね、約半分に近い。こういう統計が明らかに政府の統計に出ているのですよ。ですから、三六・七五%に上げても、まだまだもうかっている、実態は、これは明らかです。所得別階層を見たってこれは明らかなんです。だからもっとやはり法人税率については抜本的な措置をとってもいいじゃないか、こういうのがわれわれの主張です。ですから、われわれが出しておる四〇%というものは、妥当かどうかは別にいたしまして、やはり暫定措置を組み入れて、さらに法人税態容というものを全部洗い直して、そうして適正な——私は商売やっているんだから一銭ももうけるなとは言いません。だから、適正利潤を配置することはいいことだと思う。現行のところはあまりにも恵まれ過ぎている、こういう点について明確な政府の対処策があってもいいんじゃないか。総理の考えを一点だけひとつ。
○国務大臣(田中角榮君) 法人税率につきましては、明確に申し上げ得ることは、来年度、ですから四十九年度ですね、四十九年度予算編成までには、一・七五の暫定税率を基本税率に繰り入れる。その上何らかの積み増しの方向で検討を進めたいと考えます。こういうことでひとつ御了解をいただきたい、こう思います。これはいま明確に申し上げられないのです。それは実際バラックの中で仕事をしておるのですし、工場危害が起こっているのです、どうにもならないのです、公害防除をやらせなければだめなんです。それから、国からの公害基金とかいろいろな問題の負担率をきめていかなければならないのです。そういう先進工業国と違う、中小企業に毛のはえたような日本の状態、そういうものがあって、労働者には寄宿舎もない、こういうことで、今度やはり労働者に対しては労働者住宅法をつくるときに、負担を幾らしなければいかぬかという問題と、減税幅はちゃんとからんできているのです。これはもううらはらなんです。そういう問題で、にわかに過去の税率においてどうするかということを単純に答えられないいま立場にあります。これはしかし、非常に積極的に前向きに考えております。 最後に一言申し上げますと、法人は税をまけておるようでございますが、法人が幾ら蓄積をしておるかということはちゃんと記録にございまして、国家危急の場合は、直ちにこれが財源として振りかわるという有利な条件にあるということは、ひとつ個人とは違うのですから、そういう意味でも十分ひとつ理解いただきたいと、こう思います。
○多田省吾君 総理にまず最初にお伺いしたいのは、租税の基本原則から言って、どうしても一番大事な問題は、租税負担の公平の原則を貫くことだと、このように思います。これは世論調査によっても、あるいは国税庁に対する苦情、これらいろいろの問題から考えて、租税特別措置の問題、あるいはいま言った法人税の安過ぎる問題、配当の選択分離課税の問題、あるいは個人のキャピタルゲインの非課税の問題、さまざまあります。で、法のもとに平等という憲法の精神がいまいろいろな面で再認識されているわけでございますが、こういった国民の間に現行制度に対する租税不公平という根強い不満、これに対して総理は、これをどのように受けとめて、どのように今後考えていこうとなされるのか、まず基本的な問題からお伺いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 税は、かつて三大国民の義務であったわけでございますから、税に不公平感を持つことは、政治に対する不信感を醸成することであって、これは厳に慎まなければならぬことは言うまでもないことでございます。税は公平の原則を貫くということは、税の第一ページでございます。過去も現在も将来もそのように考えてまいりたいと、こう思います。ただ公平ということは、数字でもって公平ではなく、これはだれが見ても、政策的に公平であるという判断にまたなければならない。ただ、片寄ったものさしだけでもって公平論をやると誤るというのでございます。これは、政治を行なう場合の手段としては、財政をもって行なう、財政投融資をもって補完的任務を果たさせる金融政策を行なう。これはあるわけです。これは金融政策に対しても、中小企業に対しては無利息のお金も提供しなければならないということでございまして、これは無利息と、一般が高い利息で借りておっても、公平論は起こらないわけであります、これはもう当然の政策的要求でありますから。そうしてあとは、税が使われるわけでございます。まあ財政で直接補助をするというのは、低開発方式と言われているわけでございます。これは社会主義国のようにして、国が全部行なうということが前提であれば、これは全然別でございますが、自由主義経済のもとで、直接財政でもって補助をするというのは、低開発方式であることは事実でございます。それは民間のいい知恵を助長するように、いかに誘導政策を行なうか、いかに禁止的なものを行なうかということは、禁止的には罰だけでございますが、これは罰だけでは政策効果を得られません。その意味で税制を使うのです。税制はみな使っているわけです。ですから、いままでのようではなく、これから社会が高度化し複雑化してくると、税というものが誘導政策、禁止政策として使われるということを、これは理解をしていただかないと、画一、一律的な公平論では律しられないという問題でございますので、念のためでございますが申し上げておきたい。しかし、公平論を貫くというのは税の大本であるということは申すまでもありません。
○多田省吾君 先ほども野々山委員から質問があったのでございますが、重大な問題なので、さらに重複して質問したいと思います。それは、消費者物価の上昇と、それから、年度内所得減税という問題でございます。総理は、衆議院の大蔵委員会では、年度内減税で対処すべきではない、このようにお答えになったようでありますが、きょうの御答弁を聞いておりますと、インフレ傾向になったらその後の問題だ、あるいは臨時国会召集でもあれば考えましょうと、そういうふうに私は記録しているのです。まあこの消費者物価の上昇は、最近非常に激しいわけです。総理が先ほどおっしゃったように、東京では三月末で前年度同月比の九%の上昇、あるいは土地は一年間で三〇%以上あるいは過剰流動性は学者は七兆円以上だろうと、これを引き締めるのに一年以上かかるだろうと、あるいは商品投機による値上がりと、こういったものが全部山積しまして、小坂経企庁長官も、四月三日の参議院の予算委員会で、阿部議員の質問に答えまして、この五・五%という目標を達成できるかどうかやっかいなことになった、あるいは国民生活局長も、政府見通しの五・五%以内に押えるのはむずかしくなっているのは事実だ、あるいは小坂経企庁長官は、国会が終わった段階で見通しについて再検討したいと、こういう答弁を行なっているわけでございます。総理は、物価抑制に全力を傾倒するとはおっしゃっていますけれども、これ以上物価が上がったら、政府の責任を追及されてもやむを得ないとも答弁されております。責任ということを考えれば、やっぱり実際にあらわれた場合の責任ということで、もし経企庁で国会終了後再検討して五・五%以上の見通しになった場合は、これは総理として責任をとって、これは年度内減税もやりますと、そのように約束されたほうが総理らしいと思うんですけれども、これはどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 公式に誤解のないように申し上げておきますが、いま四十八年度に入ったばかりでございまして、四十八年度総予算の御審議と、いま税法の改正案を御審議いただいておるわけでございますから、そのような状態において、物価が上がったら、年度内調整減税を云々するようなときではない、これはもう事実でございます。これから通していただく予算の執行によって実をあげようと、こういうことでございますから、ですから、それはもうそれ以上の発言を求めることは無理なことでございますから、これはよく御理解いただきたい。 もう一つ、ここで言わずもがなでございますが、物価をほんとうに抑制するためのオーソドックスな議論というのはどうなのかというと、それは生活の面から見れば、これは補正予算を組んだり減税をしたりしなければいかぬという面がございますが、物価論争から言えば、物価をとめるにはどうするか、月給をストップして増税をするというのがオーソドックスな議論であって、これはそういう問題もありますので、いまにわかに調整減税を行ないますというような、物価に拍車をかけるような議論をいまできるはずはないんです。これは絶対にできません。これ、場合によれば、ほんとうに金融をうんと引き締めて、とにかく賃金ストップを行ない、物価の統制を行ない、増税を行なうというのがイタリアでやった物価抑制政策でございますし、これはもうオーソドックスな政策はそういうことでございますから、一面から見てだけ物価調整減税を行ないますということを言えるほどの状態ではないわけでございまして、これはもう国民生活を守らなきゃならない立場を持っているとともに、物価を抑制し、全国民の生命、財産を守らなきゃならぬという立場にあるわけでございますので、これはひとつ皆さんのお力添えを得ながら、施策に全きを期してまいりたいということで御理解をいただきたい、こう思います。
○多田省吾君 総理は、衆議院の大蔵委員会でも、ことしはできないだろうけれども、四十九年度の減税を考えるときは物価上昇を考慮しなければならないと、はっきりおっしゃってますね。そうしたら、年度内だってそういう、増税増税なんてそれは別の問題だ。ことしも予算を立てるときに経済の見通しを根底にして、やはり減税を、所得税減税をきめたわけですから、当然私は——また衆議院の大蔵委員会でも東畑税調会長も、やはり同じように年度内所得減税はすべきであるというような趣旨の発言もしているわけですから、これはもう私は、総理として先ほどはいろいろ臨時国会が開かれたらとか、あるいはインフレ傾向がおさまらないときにはその後の問題として考えると、ですから私は、具体的なあかしとして、小坂経企庁長官がせっかく物価見通しを、国会後再検討したいと言っているのですから、その物価見通しの再検討後、五・五%を上回るような姿になったときには、先ほどの野々山委員に答えられたように、これは当然インフレ傾向がおさまらないときであり、これはもう私は、年度内減税を公約してもよろしいんじゃないかと、そういう意味で申し上げている。もう一回お伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) いま四十八年度の減税法案を御審議いただいておるのでございまして、そのときに、これが通ったらまたやりますなどということは、もうそういうこと申し上げられる立場にはありません。年度当初でございます。ですから、政策は、皆さんの御意見も十分聞きながら、物価抑制のために全力を尽くしていくということ以外にはないわけでございます。四十九年度に対しましては、逐年減税を行なってまいってきた歴史に徴しても、減税は当然行なうべきでございます。これは申し上げられます。これは四十九年度は、引き続いて減税を行ないたいということは、これはもう法人税の引き上げの方向にあると同時に、一般的な所得税を中心にした減税を行なわなければならない、こういうことは申し上げられます。しかし、年度間においてということは、ちょっと申し上げられません。これはもう、これがいま、現実的法律案を御審議いただいておるのでございまして、そんなことならば予想を立ててこれを修正しなさいと、こういう議論になるわけでございまして、そういうわけには遺憾ながらまいりません。
○多田省吾君 先ほどの野々山委員に対する答弁を聞いておりましたら、たいへん調子のいいことをおっしゃっている。それでそれを詰めるとたちまち後退する。私は総理の、いつもそれは常套手段じゃないかと思う。私が質問しなかったら、ちょっと国民もこれは期得するんじゃないか、このように思われるような思わせぶりな答弁です。非常に私は残念でならない。 もう一つ、それじゃ物価抑制の問題をお聞きしたいと思いますが、総理も、物価抑制に全力を傾倒すると、・このようにおっしゃっています。具体的にビールの問題ビールは自由価格です。しかし、四十五年の十月、この前十円値上げになったときには、当時の経企庁長官が説得したわけです。勧告したわけです、上げないようにということで。国民生活に重大な影響をこうむらせるという意味で、政府として、経企庁長官として勧告したわけでありますけれども、またこのビールの値上げがささやかれているどころか、サッポロビールに続いて朝日麦酒の高橋社長が名古屋市内のホテルで、四日、きのうです、できるだけ早い機会にビールを値上げしたい、こういうようなことを言っておるようでございます。これは他の酒類の値上げにも波及するおそれもありますし、一般大衆化しているビール、毎年ものすごい激増を示しているビール消費にかんがみまして、これは各種公共料金の値上げとからんで、これはダブルパンチでございます。私は、やはり総理として経企庁長官等に命じて、ビールの値上げは極力なすべきじゃないと、こういうようなやはり指導をすべきであると私は思いますけれども、総理はこの点どう考えますか。
○国務大臣(田中角榮君) まだビールの問題は私は聞いておりません。おりませんが、そういう発言があるとすれば、何かそんな動きがあるのかもしれません。ビールも、これから寒くなる時期ではなく、あったかくなる時期でございますから、あったかくなる時期にビールをあれするとか、酒もどうにもならなくとも、花見を前にして酒が上がるということと、花見が終わってからということは、政策的に考えても当然配慮しなければならない問題でございます。これはもう軽々に出してきたものをすべて認めるというようなことは大蔵省もやらないと思いますし、国税庁のこれは仕事でございますが、これは十分内容を調査しながら、やっていけるものであれば、値上げを政府が勧奨するような気持ちは全くありません。これはどういう状態になっておりますかはつまびらかにしておりませんが、事情は十分聴取をしてみたいと、こう考えます。
○多田省吾君 また、このビールの値上げに関しましては、いつも管理価格の疑いがあるということを言われているわけですね。一社が上げれば、二、三日たてばまた一社が同じ値段だけ続々と、いわゆる寡占四社が次々に値上げすると、そういう姿がとられているわけです。これともあわせてやはり総理として、それじゃそういう値上げするような姿になったときに、経企庁長官等に命じて指導勧告するかどうかですね、それをお伺いしておきたい。
○国務大臣(田中角榮君) ですから、私はまだ事情をつまびらかにしておりませんので、これは十分調査をしてみます。調査をしてみて、幾ばくか値上げをしなければならないというような状態であって、それをとめるということで一般会計から入れるわけにもまいりませんし、だから、それはやっぱりそういう事情を十分調査をしなきゃならぬわけであります。それから、応益負担という面もございますし、これは賃金も当然上がるわけでございますし、公害問題もあるわけでありますから、そういう公の企業の責任というものも十分しんしゃくをしながら、何も上がるからビールも上がるんだというような、安易な態度はとらないということだけは申し上げられますが、ここでもって経済企画庁長官に指揮権を発動して、認めてはならないと——これは経済企画庁じゃないんです。これは国税庁でございます。国税庁長官でございますから、独立権限を持っているわけでございますが、これはしかし、政府機関でございますので、大蔵大臣とも十分——いま大蔵大臣ここでもちゃんと聞いておりますし、主税局長もちゃんと聞いていると思いますから、そういう意味では慎重に調査をいたします。
○多田省吾君 何もこれは国税庁の管轄だといっても、国民生活あるいは物価の問題ということに関連すれば、経企庁が指導してもいいわけでございます。この前は経企庁長官が指導したわけでございます。ですから、総理の今後お調べになって、利潤率も相当上がっていると、また需要も上がるようだと、公害等のことも考えて、ここで国民生活にとっても重要な問題だから上がるべきでないとお考えになったときは、それ相応の総理としての対策をとられると、こういうことでございますね。
○国務大臣(田中角榮君) それはもう物価抑制に全力を傾けなければならない内閣の使命でございますから、安易に値上げを認めると、すべての値上げに対して安易に認めるということになれば、何でも認めなきゃならないということになるわけでありますから、そういう意味では、内容を十分調査をして、認めざるを得ない場合でも、真にやむを得ざるもの、国民が理解をいただけるものでなければ、これを安易に認めるというような手続はとらないようにしてまいるというのが原則でございます。
○多田省吾君 これは税金の関係で前から言われている問題ですが、こういうビールなんかは日本が世界じゅうでも一番税金が高いわけです。いま大びん一本当たり小売り値が百四十円に対しまして、六十七円の税金、課税率は四七・九%、半分近くが税金だということでございますが、欧州先進国と比較しますと、これは大蔵省でちょっと調べてもらったら、日本はビール一リットル当たりの税金が百六円、それから、アメリカは二十円五十四銭、イギリスが四十一円七十三銭、西ドイツは十三円六十一銭プラス一一%の付加価値税、それからフランスがわずか四円六十三銭プラス一七・六%の付加価値税と、諸外国と比べましても、極端にいわゆる大衆飲料となってきたビールに対して税金が高いわけでございますが、これは今後何らか考える必要があると思いますが、どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) ビール、俗にいう酒税が高いということは、これは販売価格の中に占める税のウエートを計算すれば、もう高いということはわかりますが、わかりますが、この税は、財源としては非常に貴重な財源でございます。そういう意味で、この大衆酒それからビールというようなものは、大衆課税だからということでひとつ考えなければならない面がございますが、これはやはりビールの税金をまける前に、直接税の、自分の自由な意思によって使えるというふうな資金をふやすために、所得税の減税が先なんです。ビールは飲みたくなければ飲まなくとも、まあそういうことを言っちゃ悪いのですが、ビールというのは、ほんとうに家族全部が飲むわけではありません。やはりそこがめんどうなんです。これは非常に税金でそのときのウエートをどっちにおくかということで、私も、ビールや酒税に対しては強い、大蔵大臣当時から要求を受けているわけでありますが、間接税にウエートを置くというと、やはりビールの減税とか酒の減税はなかなかむずかしいというところがございます。これはあなたの言うことよくわかるのです、私も大衆ですから。ですから、そういうようにさんざん議論をしておるのですが、高いという事実は私も是認をします。これは事実数字でもって明らかになっておりますから……。ただ、やはりビールが大衆的な飲料であるから、直ちにどうするかということには、いまにわかにお答えできません。これは高い税率にあるということはわかりますが、これは間接税にウエートを移していくということになると、こういう議論が各所に起こってまいるわけでございまして、まあこれはひとつ十分また国会の御意向も承りながらということでございまして、ビールの税をどうするということは、いま明確にお答えできません。
○多田省吾君 私は、時間もないので、くどくど申し上げませんけれども、やはり大衆課税云々という観点から申し上げているわけでございます。直接税、間接税、そういった比較、これはちょっと議論外だと思います。物品税だって、やはり大衆課税で安くすべきもの、また高くすべきもの、これはいろいろあります。ゴルフ用品、あるいはこういったいろいろ間税問題、こういった問題、そういうものは高くすべきだという国民の強い要望もありますし、また砂糖とかビールとか、そういうものは少しでも安くしてほしいという国民生活からの要望もあるわけです。そういう観点で申し上げているわけでございまして、直接税、間接税まで話されたら、こっちの質問もできなくなります。観点が違います。 それからもう一つ、所得税関係で第九条、非課税所得、これは二十二項目ありますけれども、所得税法に規定する数多い非課税措置の中身を見てみますと、大部分が、学童が学校で行なうところの貯金の利子だとか、あるいは傷病、あるいは遺族の方々の恩給、年金、こういった社会保障政策的な配慮によるものが非常に多いわけですね。その中で、ばく大な利益を得ても、営業的なものでない限りは課税しないという、いわゆる個人の有価証券譲渡益、これは非課税になっております。 それから、二十二項目では、選挙のときに法人から受けた陣中見舞い、これは個人として非課税だと、これが二つ異質のものが入っている。私は、この二つは、もう課税したほうがいいんじゃないかと思うのです、はっきり言って。課税しないまでも、租税特別措置のほうに移行すべきである、このように思います。なぜ課税したほうがいいかといえば、これはキャピタルゲインの課税の問題は総理も十分御承知ですからくどくど申し上げません。まあしかし、アメリカ、イギリスですでにやっている、また先ほども主税局長にお伺いしたときにできない理由として、申告納税だからできないのだとか、あるいは無記名が前提だからとか、まあ手続的な問題を申されましたけれども、これは私は、やろうと思えばできると思うのですね。これは昭和四十年の大蔵省の発表では、この非課税部分が大体七十億円あると、こういう発表でありましたけれども、現在は、私は、数千億円に及んでいるんじゃないかと思います。なぜならば、アメリカでもやはり所得税の四%はこのキャピタルゲインの課税でございます。だから、わが国においても、当然、一千億円をおえていると思う。そういう担税の能力のあるものを、いつまでも非課税だということは納得できない。 それからまあ、法人の選挙時、あるいはそれ以外の政治献金の問題にしましても、もうあの第五次選挙制度審議会、四十二年でさえ、五年後はもう政治献金は個人に限るべきだと、こういう答申を出しているわけです。もうそれから六年たっています。ですから、やはり、せめて法人の政治献金に対しては、やっぱり、非課税ということはやめたほうがよろしいんじゃないか、このように思います。どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 株式の譲渡所得に対してというような、これはいろんなことで御答弁しておるようでありますが、積極的に申し上げると、これはキャピタルゲインに対しての課税ということは、いくら勉強しても壁にぶつかる問題があるんです。これは、この事業として、業として行なっておるものに対しての課税はしておるわけでございますが、個人に対しては制限をしております。回数の制限とか、金額の制限とか、数の制限とかしております。それで、これは利益があったときにこれを徴収するということになれば、当然損失をしたときにはどうするのかということになりますと、五カ年間通算をしてという問題が起こってくるわけです。ですから、競馬の、馬の課税がそうなんです。これは利益があったときだけは課税対象になりますが、損失は認めないと、こういうことでもって損失のときには課税しないと、こういう、やっぱり課税上はいろいろなその現状に即したやり方がございまして、それはよそでやっておる例もあるというんですが、これは課税対象にすること自体が非常にむずかしい案件であるということで、ひとつ、御理解をいただきたいと、こう思います。 もう一つ、政治資金の問題は、これは個人に限らるべきである。これは理想である。理想に向かって、現実を直視しながら一歩一歩理想顕現に努力をするということでございまして、現実的には交際費の非課税が七五%に上がりますと、これは政治資金というものがほとんど課税の対象になっておると、これは限度がございまして、四百万円プラス幾らということで限度があるので、現実的には、いま、完全に非課税、損金算入を認めておるものは、これは広告費だけだと思うんです。一兆円の広告費だけは全額損金算入に認められておりますが、他のものに対しては限度をこせばすべてが課税対象になっておるというのが現実でございます。これはまた、政治資金規正法のときに十分御意見を拝聴したいと思います。
○多田省吾君 いまの問題でも、キャピタルロスの問題もアメリカではきちんと解決しているわけです。キャピタルゲインとロスを相殺するとか、それ以上のロスに対してはほかの所得からも一千ドルまでは差し引くとか、これは可能だと思うんです。 それから、いまの政治献金にしましても、先ほど江口次長から聞きましたら、法人は、寄付、それから交際費、それから顧問料なんという名目でまで陣中見舞いを出していると、非課税だと、これは全く論外だと思うんです。こういう問題もやはり考えなくちゃいけない。 時間がなくなりますから別の問題を申し上げますが、この前、総理がNHKのテレビ対談で、大都市政策のあり方についていろいろ構想を述べられたわけです。特に、大都市財政のあり方、特に、東京という首都の財政のあり方について、この前、わが党の藤原議員が美濃部知事に質問したときに、いわゆる法人住民税を、地方税法の制限税率まで一ぱいに引き上げたい。あるいは法人事業税も二、三%引き上げたいというような考え、また府県均一にしたいというような答弁をしたらしいのでございますけれども、まあ、こういう大都市がかかえるさまざまな問題を解決するために、地方自治体としましても、集積の利益を受けている大企業に対して、環境破壊や通勤難あるいは集積の不利益を除去するための社会資本の充実、こういう目的で中枢管理機構を持つ東京の大企業に対して、社会的責任を分担する形で超過課税を行なうという方針を述べておりますけれども、総理は、これをどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 税で都や区が事業主体となって行なう事業のウエートが高くなれば、これは財源は特別考えなきゃならないと思います。その場合に考えられるのは、人頭税とか、それから、固定資産税とかいう一般的なものは、すべてのものにかかりますから、そういうものをやっぱり考えるよりも、事務所税とか、事業所税とか、そういう構想が採用さるべきであろうと、これはまあ大都会が混雑しておる場合には、大都会に対して有しておる工場の固定資産税を上げる。これはまあ俗にいう追い出し税ということにもなりますが、そういうようなことで考えべきだと思います。そうすることによって財源は得られると思います。それでまた都や区、地方公共団体が主体でなく、誘導政策を法律によって行なうことが可能であれば、それは都や区の負担でなく、道路も公園もできるわけでございます。それは先ほどからもるる申し述べておりますように、法律がいままでは三分の二の多数でなければならないということでございましたが、都市改造のもとをなす全面的区画整理事業が、今度の国土総合開発法の手法をもってすれば、特定地域に指定すれば、そこは全部できるわけでございますから、そうなれば、税金をもってまかなわずして道路は拡張できるわけでございますし、そういう制度をどうかみ合わせるかという問題になってくるわけでございまして、いずれにしても、都市改造というものは日本の心臓というのではなく、もう六十年になれば八五%が都市生活を希望するという、アンケートに答えておる、意識調査に答えておるのでございますし、ある社の意識調査では、八五%までが都市生活を希望する、こういうことでありますので、そういう意味では、大都市の財政強化のためにいろんな施策をあわせ考えなきゃならないということに対しては、私も理解をしております。
○多田省吾君 最後に、先ほども言われましたけれども、やっぱりこういった問題が起こるのは、法人税が安過ぎるんだと、こういうことも関連しているわけでございまして、野党がいっているのは、やっぱり四二%あるいは四三%に上げるべきだと、しかし、さしあたり、ことしは四〇%ということでございまして、四〇%が目標じゃないと思います。それから、三八%は、大体三十九年ごろまで続いたわけでございますが、三六・七五%に少し積み上げるとなりますと、三八%ぐらい考えておるのかなと思わざるを得ないのですが、私は、やはり来年ならせめて四〇%ぐらいにすべきだと、こういう考えでございます。 それからもう一つは、所得税減税で、総理は来年からもう一回税調に答申してやりたい。それで一律に三〇%ということも考えておられるようですが、これは御存じのように、百五十万円の人は一万五千円減税になりますけれども、三千万円所得の人は一千八百二十六万円から一千百八十二万円と、六百四十四万円も減税になるということで、一律三〇%ということは、これはちょっとおかしいと思うんで、定額控除をもう少しふやすとか、それから定率控除も段階的にやるとか考えざるを得ないと思いますが、この点ですね。 それからもう一つは、未成年の勤労者、これはいまでも四十三万九千九百九十九円ですか、ですから、ボーナス等も考えれば、月給三万円をこえれば課税されるという非常にたいへんな問題でございますが、これは東畑税調会長も、来年あたりは、ということを言っていますけれども、総理もこれは非課税にすべきだと思いますが、どう思いますか。
○国務大臣(田中角榮君) 二点に対してお答えいたしますが、一つは、所得税の減税でございますが、所得税が重税感を持っておるということと、いまの所得税、どう考えてみても中だるみなんです。いまの未成年の問題、あとから申し上げますが、これは人生においてちょうどよわい五十歳に近くなった。子供はまだ大学に行っておる。下の子供も全部これからちょうど中学に入ったんだというような、そういう人たちが一番重税感でございます。ですから、そういう人々に焦点を当てて、もっと国民的エネルギーが効率的に活用されるような税制でなければならないと思うんです。これは年をとれば、社会保障が拡充されれば、当然国家的恩恵、社会連帯において解決ができるわけです。ただ一番国のためにも、社会のためにも、わが家のためにもなるようなときに、その税の恩典が受けられないということに対して、どうしてもその税制を改正しようということで十年来検討しておることでございます。ですから、その一番わかりやすい例としまして、税率を二分の一にすると、こうすれば一兆九千億の財源が必要であるということになりますから、これはまあ一兆九千億、いかに何でもやりたいとも、いますぐ申し上げられないということでございまして、一律三〇%控除をすれば幾らかと試算をしてみたんですが、四千三百億円の財源があればできるわけであります。一律三〇%控除というのは、やればできるんだなという感じはいたします。そうすると、現在低所得者はすでに三五%の控除を受けておる者もございますから、これはそのままで済むわけはありません。それは四〇%に上げなければならぬというようなことになると、これにどうしても千億や二千億積み重ねになる。そうすると、実情を十分承知しながら、不公平感をなくし、そして三〇%控除を行なうと、これは三〇%控除というのは、まあ、きようは御質問に出ませんが、医者の何%とか、個人事業主とかという問題がみんなからんでいる問題がありますから、それで新聞記者は二〇%か幾らかしか認められないで、文士は五〇%も認められるという不公平感、こういういろんなものをここで一つに整理をするには、これはだれでも自分が働けば三〇%は控除を受けるんだというのは、一番これは重税感をなくすることでありますから、そうすると幾らになるかというと、五千億ないし六千億の財源が必要であると、これはやってできないことではない、こういう判断をしておるわけでありますが、そこであなたが言うように、そうすると一億円もある人はどうだと、これは課税最低限を引き上げるのと、そこにだけ目をとらわれておりますと、みんな働かなくなるんです。働いても、幾ら知恵を使って発明をしてもだめであるというなら、これはなかなかむずかしいんです。そういう意味で、いま私は卑近な例を申し上げますと、どこかでもって飲んでおっても、課長は一万円しか持っていない、新卒で入社したばっかりの人は十万円持っておると、こういう状態でやれるものではないんです。ですから、やっぱり働くということは、働かせるということは、惰眠政策につながらない税制ということは、政治の上で当然考えなければだめなんです。それでなければ、それは昔は、納税者は功労者として表彰を受けたんです。いままで働いて納税してもあたりまえであるという感じでは、私は、財源確保はできないと思うんです。そうして働かしておいて、蓄積をしたら、その過程において他の税で徴収をするとか、相続税率をうんと引き上げるというような手段があるわけでございまして、私は、それはただやることを前提にして述べておるんじゃありませんが、ただ一律に課税最低限を引き上げるという尺度でだけ減税を考えると、社会で一番必要としておる階層の減税ができないということにもなりますので、それら広範にわたって、各国の例も徴しながらいま勉強をしておると、こういう状態でございます。
○多田省吾君 未成年はどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 未成年に対しましては、これは未成年なるがゆえに、収益があるということで、課税対象からはずすということは理論的にはむずかしいと思いますが、未成年者から徴税をするということ自体に対するお気持ちは十分理解をしております。私はあなたと同じ気持ちでございます。税調会長もこれはやりたいという意思を表明されたようでございますが、これ、やり方に問題があるのです。未成年なるがゆえに減税をするということではなく、課税最低限を引き上げることによって、未成年者の収入が、課税対象からはずれるということが本道でございます。そういうような状態でどこまでできるのかということを勉強してまいりたいと、こう思います。
○栗林卓司君 総理に伺います。 物価と所得税という問題の関連で伺うのですけれども、税制とか金融、財政あるいは国際通貨ということになると、大蔵大臣の所管でございます。物価、経済見通しということになれば経済企画庁長官、そこである問題聞きますと、あるところから先はこれは企画庁の所管でございます。これは大蔵省の所管でございます。そこから先が聞きたいというときに、ドアを締められる感じになりますから、質問する側は永久に欲求不満でいらいらします。これがいまの姿だと思うのです。私の記憶に間違いなければ、アメリカの場合、シュルツ財務長官は物価の委員会、たしか生計費委員会だと思います。その長を兼務しております。人の国のことですから細部はわかりませんけれども、なるほどと思わせる分担だと思う。こういう点について総理はどうお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) これは法制上または組織上、いま御指摘のような状態にございますが、これは御質問をするときに、経済企画庁長官としてお答えを求める、大蔵大臣として答えを求めるという場合には、これは私の所管でございませんので、いずれ通じておきますということでございますが、第二問日に、国務大臣として答えられたいと、こう言えば、これは答えなきゃならない立場にございますから、これは法制上国務大臣として答える場合には、大蔵省所管外でもお答えをいたします。で、まあ、大体お答えできないのは、閣議に相談をしてお答えをいたしますという御答弁になると思いますが、いずれにしても、所管が違うということで、国務大臣としての答弁を免かれるものではありませんから、これは十分ひとつ御利用をいただいてけっこうでございます。それで答えられない場合には——答えられないというか、慎重を要する場合には、いずれ閣議で御相談を申し上げ、内閣として正式にお答えをいたします、こう申し上げますから、これはまじめに検討いたしまして、その結果を御答弁することにいたしますので、どうぞひとつその間は臨機応変にお願いいたします。
○栗林卓司君 ある意味ではたいへん無責任な人の悪いお答えだったと思いますけれども、悪のりをして、愛知大蔵大臣にお伺いします。国務大臣としてことしの物価見通し、責任ある御見解を伺います。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、先ほど来総理からも言われておるように、四十八年度がいま始まったばかりなんです。私は、国務大臣として、経済見通しが五・五%の範囲内でとどまるように全力をあげていきたい。財政の考え方も、金融政策も、あるいは通貨問題もそういうことでいま努力をしていることは御承知のとおりでございます。
○栗林卓司君 私は、小坂国務大臣が、五・五%が見通しとしてはむずかしくなるのではなかろうかということを発言したところにいたわけでありません。したがって、ある書かれたものを材料にして聞くしかないわけですから、いまそういうお答えを伺いますと、あともうこれ以上言えないわけです。そうなると、今度は小坂大臣呼んで来てくれ、そうなります。ということは、大臣がそろわないと質問が何にもできなくなる。大臣のがん首そろえるということ一番御苦労されておるのは総理、あなたでしょう。そのことを私は伺っているのです。国務大臣としてお聞きなさいというのは、ずいぶん私は無責任だ。なぜこの日本の審議というのは、がん首が並ばなきゃ審議ができないのか。なぜ向こうでは効率的にまとめられるのか。総理としてどうなんだと伺っているのです。
○国務大臣(田中角榮君) 私は、私が出席をしておりますこの席で、日本の行政機構が横割り行政であるので、どうも的確な判断が聞けないという御不満に対して、私は、法制上の問題をお答えしたわけでございまして、そうでなければ、これは私が出ておるわけでございますから、これはもうお答えを私がいたします。そういうことで、すなおに御理解いただきたい。私もすなおな人間でございますから、そんなに曲がった答弁なんかしたり、すれ違いなどやるつもりは全くありません。そんなことで政治の責任果たせると考えておりません。まあ物価の問題は、小坂君がどういう御答弁をしたか、私先ほど申し上げたように、新聞を見て知っただけでございまして、あした閣議がございますから、閣議があるときには、いろいろな問題になった発言等に対しては釈明があります。ですから、あしたあると思いますが、まだそういうことは内容をつまびらかにしておりませんのでということで、先ほどからお答えしておるわけでございます。 まあ、すなおに申し上げますと、昨年の暮れから卸売り物価がずっと上がって、消費者物価は、東京都の消費者物価指数は九%にもなっておるということから考えてみて、年度間を通ずると、もう年度当初におけるげたが非常に大きくなっておりますから、これに積み重ねていくんですから、もっと下半期に下がるんだと、うんとデフレ的な要因が働くんだということでも明言しない限り、計算上からいえば五・五%におさまらないかもわかりませんという常識的なきっと答えを述べたんだと思います、私自身は。しかし、いま予算を御審議願っており、そうしてまだ年度に入ったばかりでありまして、これから相当な福祉政策を行なわなきゃならぬわけであります。いままでは一—三月の輸入期であったとか、国庫と民間対収支を考えると揚げ超期であるとか、それからやっぱり変動相場制に移ったために中小企業に影響があってはならないとか、また輸出を内需に転換させなきゃならないというような、いろんな問題がありましたので、なかなか慎重にということでございましたが、これからはもう物価問題に対しては一本やりでいかなきゃいかぬということで、史上初めてというぐらい〇・七五%の公定歩合の引き上げも行なったわけでございますし、窓口規制も現に行なっております。予算の弾力的執行も行なわなければならないかもしらぬ。だからその場合どうなるのかということまで検討しており、さっきも申し上げたとおり、一切セメントや鉄鋼がどういう状態になっておるか、すべて問題を積み重ねておりまして、どうしても物価が上昇過程に入るような状況のものは押えようと、こういういま施策を勉強中でございますので、いま小坂経済企画庁長官がどういう答弁をしたか知りませんけれども、そのままでもって五・五%以上に五・五%で押えられるとは思いませんのでというような答弁はできませんし、これはそれに押えるために、全力を傾けるといういまの愛知大蔵大臣の答弁は、これは政府全体がいま考えておる、ほんとうに真にそういう腹がまえで、そういう態度で物価問題に対応しておるわけでございます。
○栗林卓司君 私は持ち時間が少ないものですから簡潔にお答えいただきたいと思います。 そうすると、あした閣議があるそうですから、その閣議で政府としての物価の見通しについてあらためて確認され、発表されると理解してよろしいですか。
○国務大臣(田中角榮君) これは、小坂経済企画庁長官がどういう意思でどう述べたのかということを聞いて、それから、また引き続いて物価対策を行なうということでございまして、その結果すぐどうであるという政府の見解を申し述べる段階ではない、こう思います。
○栗林卓司君 話がもとに戻りますけれども、この席は私が出席しておりますのでと、御発言がございました。総理は一人しかいないんですから。この委員会にも今国会初めて御出席になった。そういう中で、たまたまきょうはいるからいろいろ将来の総理の展望、構想まで聞けたわけです。それを、総理が出て来ないとやっぱり聞けないんです。国務大臣というかっこうで聞こうとしても、なかなかそれは実際問題、無理なんです。がん首そろえて聞けるかということになれば、やっぱりそれぞれに御遠慮がありますから聞けない。それは行政機構全体の問題だと、確かにそれは教科書的にそうなんです。ただ、私が申し上げたいのは、とにかく物価を下げるんだ、力一ぱい取り組むんだというこのスローガンは一応おきまして、具体的な目標、具体的なアプローチの方法、これをやはり詰めて閣内で議論して、共通のステージを与えてあげれば、全部がそれに立って議論できるわけです。これはそういうステージをつくることが必要なんではないか。物価と所得税がなぜ問題になるかということになると、たとえば、一般的にそういうステージをつくるんだということになれば、物価が問題になるし、失業率だし、賃金だし、同時に経済成長率です。日本の場合はどうかということになると、ほぼ完全雇用が達成されておりますから、物価と成長率だけが議論されて、抜けているのは実は賃金なんです。そこのところが抜けているから、結局、堂々めぐりの議論になるんです。私は、先ほど来申し上げている意味は、政府としての賃金政策を持つべきだ、それは民間企業にそうせいということではないんです。政府としては、こういう展望においてやっていくんだ、したがって、この際、減税はこの程度であっても、また物価はこう上がったとしても、皆さんの生活はこうなんですと言えるはずなんです。ここのところがない。それをお伺いしているんです。
○国務大臣(田中角榮君) それは、十分御発言の趣旨は理解をいたします。いままで、賃金論争ということは、タブーのようにされておったわけでございます。これは日本の国際的な比較から考えてみて、賃金が最上の状態になっておらない、まだ過程にある、これが十年たって初めてアメリカ並みになると、こういう一つの目標に向かって努力を続けてきた過程でありますので、なかなか賃金問題ということは、申し上げられないわけでございますが、先ほど私は、はしなくも申し上げたわけでございます。オーソドックスな物価対策から考えれば、賃金の抑制、増税、消費の抑制というようなものが、これから当然、教科書どおりといえば、考えられるわけでございますが、そういう問題は横にしておって、結局、物価が上がった場合には、直接影響を受ける庶民大衆に対して減税をどうするかという問題にしぼられておるわけでございますが、少なくとも賃金の中で、あなたは非常に配慮をされて、民間の賃金は、これは労使の自由な裁量によってきめられるものでございますから、こういうものには触れるべきではない、政府は、国民全体の物価対策を考える上においては、政府が所管する官公労の賃金でもどうするのか、こういうポイントをつかれたわけでございますが、これはまあなかなかこういう問題もいろいろ勉強しておっても、これは破局的な状態になるとすれば、もう国会の御意思を求めて、それはアメリカがやったように、非常の処置を必要とすることは、これは言うをまたないと思うんです、やらなければ、政府の責任を全うすることはできないわけですから。そういうことになりますが、そういうことにならないように、いま全力を傾けようという決心でおるわけでございますので、いま官公労の賃金政策に言及をして、この場合には、こうせざるを得ませんというような段階だとは考えておらないわけです。 で、まあ特に、賃金に対してはいま制度がございまして、民間の賃金の動向を見て、人事院が勧告をするということになっているわけです。勧告を受けたときに政府は、物価の状態やなんかでもってやれるかというと、そうではなく、資金上の問題がある場合には、国会でもって疎明をすることによって実行はできない、実行しないでいいんだということもございます。これは、まあその判断は政府が行なわなければならぬわけでございます。しかし、いま春闘を前にして、政府がそれに水をかけるような発言は厳重に慎みたいと、こういうことでございますので、そこのところはひとつ御理解をいただきたい。
○栗林卓司君 私は、政府に賃金政策がないと申し上げたのは、賃金政策というと、賃金抑制政策と早とちりをするんです。所得政策というと、所得抑制政策と早とちりをされるんです。そうではなくて、私が賃金政策と言ったのは、妥当な水準を求めていくのだし、いまの賃金は上げていかなければいけないんです。そのための客観条件をどう整備するか、それを考えていくわけですから、賃金を抑制しろ——ただし、物価と賃金がトレードオフの関係にあることは、これは事実ですから、どうするかということは、それは率直に認めます。だから、関連する政策が必要なんです。ですから、賃金政策というと、春闘を前にして水をかけるのじゃなくて、火をあおったっていいわけですから、そういう角度で賃金政策というものを政府として勉強して持っていただきたい。それがないと、政策が一貫いたしませんし、いつも窓口のところであの大臣が何言ったという、わけのわからぬ議論しかせざるを得ない。 時間がなくなりましたから、最後に一つだけお伺いします。ちょうど一年ぐらいになるんですけれども、この大蔵委員会に前の佐藤総理大臣が御出席になりまして、私は、例の七二%、保険医の問題について触れました。そのときに、当時の佐藤総理は、こう答えられたんです。たまたまある仕事についているからということが理由で、税の取り扱いが不公平になるということは、社会的に見て正しくないと思う。しかし、いかに私でも、私の蛮勇をもってしても、こればかりは何ともできない。——同じ質問をいたしますが、田中総理はどうお答えになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 医師は七二%の税法上の控除を受けておることは御指摘のとおりでございます。これはいま税制調査会でもって問題になって研究が進められております。これは税制調査会の結論待ちということは、公式にはそういうことでございます。政府だけでも、税制調査会に対して諮問をしておる立場で、政府の見解いかんと問われれば述べなきゃならぬわけであります。これをいつ述べるかということに対しては、その及ぼす影響とか、それから他との権衡とか、いろんなものを勉強してまいろうと思っております。 それで、四十九年度の税制の政策を行なえるまでには、この問題に対して、やっぱり結論を出さなければならないと思うのです。私は、個人的にはそう思っております。公の立場でも半ばそう思っております。それは、だから、医師というものに対して世論がきびしくなるということは望ましいことではありません。しかも、われわれ自身が、その医師に生命を預けるのでありますから、これはもう非常に危険なことでございます。そういう意味で、やっぱり世論を背景にして、ちゃんと納得できるような、生命を預ける医師でありますから医師の不足で無医村は困っておるのです、そういう状態も考えながら、一体合理的なものはどうあるべきかということは、医師が七二%だからすべてを七二%にしろと言ったら、これは世論は承知をするはずはありません。だから、そういう意味で、医師に対する一つの優遇策というもの、必要経費としての限界を定めるときには、その多寡は論じられても、必要性は認められたから、この制度ができたんだと思います。ただ、それが多過ぎる。権衡を失しておるというところに問題があると思いますので、これは真剣に政府としても検討いたします。 —————————————
○委員長(藤田正明君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま鈴木一弘君及び渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として藤原房雄君及び星野力君が選任されました。 —————————————
○委員長(藤田正明君) 星野君に申し上げますが、共産党は、十五分の割り当てでありますので、時間を厳守していただきたい。 総理に申し上げますが、五時半と申し上げましたが、おおむね五時四十五分になると思います。御了解いただきます。
○星野力君 私、時間が少のうございますので、一つの問題だけについて、それもかけ足でお聞きいたしますので、御答弁もひとつ簡潔にお願いいたします。 所得税法に、勤労学生控除の制度がございます。ところが、昼は工場などで働いて、夜間の大学などに通っておる勤労学生の中に、勤労学生控除が受けられないという不満が非常に強いのでありますが、税法上の勤労学生というのは一体どういうことであるか、その定義を教えていただきたいと思うのであります。
○国務大臣(愛知揆一君) 勤労学生控除の課税所得は、三十四万円以下ということになっております。三十四万円以下という制限がございます。
○星野力君 三十四万円以下ということでありますが、これを年の収入にしますといかほどになりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは四十八年分について言いますと、五十七万八千円未満。それから四十九年分になりますと、税法の改正を組み入れて五十八万六千円未満、こういうことに相なります。
○星野力君 人事院の計算しました民間における初任給、それを見ますと、中学卒で月に三万二千百九十六円、高校卒で三万六千六百十八円、こうなっておりますが、年に四カ月のボーナスということにしますと、年額にしてどれだけになりますか。算術の問題です、これは。
○国務大臣(愛知揆一君) 人事院調べの民間給与の実態調査によりますと、昭和四十七年四月一カ月分の給与は、中卒で三万四千百十一円、高校卒で三万七千九百八十八円ということに相なっております。それから、新規のこうした卒業者の年間収入をどの程度と見積もるかにつきましては、千差万別に企業別によってなりますので、一律に見積もることは困難でありますけれども、大体大ざっぱに言えば、人事院のこの調べを基礎にして、賞与三カ月分と計算いたしますると、中卒で四十万九千三百三十二円、高卒で四十五万五千八百五十六円、かりに三カ月分と仮定いたしますとそういうことに相なります。
○星野力君 高校卒で四十五万でございますか。五十五万じゃないですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 四十五万五千八百五十六円でございます、三カ月分と計算して。
○星野力君 そうしますと、先ほど言われた所得金額三十四万円以下、年収入にしまして四十九年度五十八万六千円と言われましたが、それよりも人事院の計算ははるかに低いことになるんじゃないかと思います。ことに、人事院の計算というものは、全国の全企業の平均でありますから、勤労学生は大部分大都市、ことに東京におるのでありますから、私たちが大体見当をつけてみますと、中学卒一年ぐらいだけが控除の対象になる、そういう実情ではないかと思いますが、そう見てよろしゅうございますか。
○政府委員(高木文雄君) 課税統計では、現在就労しておられる学生の中で、どのぐらいの方が適用になり、どのぐらいの方が所得制限の結果適用になっていないかという数字は、課税統計上はわかりませんのですけれども、最近において、四十七年五月に文部省が行ないました学校基本調査の資料等をもとにして推定をしてみますと、高校生の場合で、中学生の場合はちょっと卒というのが、中学卒、高校卒との関係がちょっとこの関係の統計からは出てまいりませんのですが、現に高校の学校に通っている方で、大体適用のほうが六五%ぐらい、それから大学生で適用になる者が四割ぐらいという見当ではなかろうかと思っております。
○星野力君 私、その見当というのはだいぶ狂っておるのではないかと思うんです。ここで高校、大学の学生としての必要経費それをお聞きしたかったのでありますが、文部省の方が文教委員会のほうに出ておいでになるそうでありますから、いただいた資料で私申し上げますと、大学の夜間部で学費が八千三百円、生活費が二万三千百円。これは昼間に通っておる人よりも、下宿などをしておる人が多いために、生活費のほうが多いのでありますが、合計して三万一千四百円。それをどこで捻出しておるかという数字も持っておりますが、これは「文部公報」の五百四十五号でございます。大学夜間部、私立に通っておる学生の場合に、アルバイトでもって一二・七%、定職その他で七〇%、合わせて八二・七%、それらの学生諸君はどこかへつとめ、あるいはさらにアルバイトをやって学業と生活の資金をかせいでおる。非常に苦労して学校へ通っておるわけです。そこからがっぽり税金もかかる、こういうことです。 私、総理にひとつ聞いていただきたいのでありますが、私たちのところへ、夜間の私立大学に通っておる学生から手紙がきております。収支、給与の支払い明細書というものも張りつけて、かくのごとくと言って訴えてきておるのでありますが、要するに、保険料、年金、税金、こういうものがもっと安くならぬものでしょうか、無理なお願いかもしれませんが、ひとつ政府に言ってください、こう書いてあります。一部読んでみますと、「私は、五年前に、長野で中学を卒業してすぐに、上京し、都立台東商業高校の定時制に入学しました。と同時に、台東区清川にある」〇〇工場——工場の名前が書いてあります。「に入りました。」「昨年は、勤務してから四年目になりました。一月から七月までに、給与三十五万円、勤労学生控除が受けられず、税金を三千六百円、社会保険料などを一万九千二百二十一円という具合に、給料が安い割に税金とか社保料などが、非常に多く取られました。あまりにも安いうえに、引かれる金額が多いのでいつも会社に文句を言っていました。」「明治学院大学に入学して、昨年の七月には、とうとうやめてしまいました。そして、友達の紹介で、文京区にある〇〇工業という会社に入社しました。しかし今の会社でも、給料は安く、月に本給が四万四千円、その内税金が月八百三十円、保険料などを三千五百五十円と、基本給の一割もひかれるありさまでした。そして昨年の十二月の源泉徴収で、税金を六千七百三十五円、賞与が八万八千でしたが、賞与で税金を、五千二百四十五円と、昨年十二月だけでも一万二千円近くも税金を取られてしまいました。私が今、東京で、四万四千円の給料で、三畳のアパートを借り、家賃を毎月四千円(一月から四千五百円)、学費だけで月五千円、そして食事は、外食の為、物価の値上がりとともに、食堂のメニューも値上がりしたため、朝は食事をぬき、昼、夜は、外食だから月に一万五千円前後かかります。やはり学生であるために本なども買わなくてはならないし、また仕事上のつきあいもしなくてはなりません。給料が安いため自分の好きな遊びもあまりできず着る物も欲しいように買うこともできません。当然のことながら、万一のための預金などとうてい無理です。私はいつも、思うのですが、税金とか、保険料などを取られなかったら、少しでもたすかるのですが無理なお願いでしょうか。」、こういうふうに言ってきております。明細書も、これは非課税の三千四百二十円という通勤費を入れまして四万八千百五十六円、そのうちから、健康保険が千六百八十円、厚生年金が千五百三十六円、失業保険が三百三十五円、課税対象が四万四千六百五円で所得税千三十円引かれる。手取りは交通費を含めまして四万六千九百九十五円、こういうことでございます。私は、これを総理に聞いてもらいたいと思ってきょうは質問いたしたわけでありますが、こういうことでは、ほんとうに学問をしたい、教育を受けたい、大学教育を受けたいといっても、思うにまかせないわけです。庶民宰相といわれる田中総理、この学生の心情はおわかりだろうと思うんですね。私多く申し上げるわけじゃありませんが、この税金の問題を実情に合ったようにひとつ最低限を引き上げていただきたい、あるいは控除をもっと大きくしてもらいたい、こういうことを、こういう思いを持っている多数の勤労学生にかわって申し上げる次第であります。いかがでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 私も若いころ夜学に通っておった経験を持つものでございまして、いまでいう勤労学生であったと思います。そういう意味で、いま御指摘になられたような実情が存在することは私自身も認めます。特に考えなければならないという面は、その就学の過程において明治学院大学をやめなければならないというような、気折れがするというようなことを考えれば、この学業を続けさせてやるように政策が行なわれなければならないということは、私自身もよく理解できる問題でございまして、勤労学生控除という面の拡大も一つの方法でありますし、また、そういう学生を持つ家庭というものに対して手段を講じなければならないということもまま論じられておるところでございますが、やはりそのような低所得者、若い人たちが、課税対象外になるように、課税最低限を引き上げられるということが一番望ましいわけでございます。課税最低限をできるだけ引き上げることによって、これからも初任給や給与ベースが上がってまいりますが、上がっても、やはり未成年であって、そうして勤労学生として働きながら学校へ通っておるというような人たちは、勤労控除と合わせれば必ず課税対象外になる、課税はされないというようなところまでは、やっぱり引き上げていくための最大の努力をしなければいかぬ、これは私もすなおにそう考えておりまして、これからも減税を検討する場合、最重点の一つとして検討してまいりたいと、こう考えます。
○星野力君 委員長、もう一問。
○委員長(藤田正明君) 時間超過ですよ。
○星野力君 ただいま読みました手紙の主の学生は、一ヵ月四万八千百五十六円と、こういう給料でございます。ボーナスを四ヵ月分にして、私計算してみましたら、七十七万円余りになりますが、今度春闘の中で、皆さんも観測しておられるように、一五%ぐらい上がるとして幾らになるかと思って計算しましたら、百十三万四千三百十四円になる。これにまたかかってくる、こういう実情ですからね。こういう人たちに対して年収入百万円程度までは税金かけない、どうですか。 それから、ついでに申し上げますが、ひとつ年度内にもこれ減税やっていただきたい、それをお聞きして質問終わります。
○国務大臣(田中角榮君) 端的に百万円までは税金をかけないということに対しては、にわかに御答弁できません。 第二点の、年度内にこれを行なうべしということに対しては、先ほどから申し上げておりますとおり、いま四十八年度の総予算を審議していただいておるわけでございますし、減税案も御審議をいただいておりますし、今度は年度末になって財源対策を考えてから、ばたばたときめるというようなことをしないで、年度を通じまして、まず政策の重要性をちゃんときめて、そうして税調の諮問も仰ぐというような姿勢で勉強してまいりたいということを述べておるわけでありますので、それでひとつ御理解を賜わりたいと思います。
○野末和彦君 きょうは非常に総理に親しみを感じていまして、というのは、おととし初めてこの大蔵委員会で私が質問したのが、ちょうどこの未成年の勤労者から税金を取るのはよろしくないという主張だったわけで、もちろんそのときは賛成は得られませんで、全然相手にされませんでした。総理にことしの一月お会いしたときも、それはおそらく総理は乗り気ではなかったのですけれども、非常にこの問題に積極的に総理が取り組んでおられるという決意を聞きまして、非常に嬉しい。その上にこのサラリーマン減税を一様に来年は大幅にやろうではないかというようなおことばがあったように新聞記事などで読みまして、サラリーマンも非常に喜んでおると思うわけです。期待をしておると思うのです。 そこで、確認しておきたいのですが、このサラリーマンの大幅減税の構想ですが、技術上、理論上の詰めは、先ほども主税局といろいろ意見をかわしました。しかし、この減税のスケールですね、これは、総理、やはり四十九年度大幅にやってみようと、重点的にやろうと言うからには、かなりの腹案があるわけなんで、その減税のスケールをここでお示しいただきたい。いままでのようにちょぼちょぼした減税では、毎年やるやると言ったって減税のうちに入らないと思うのですね。そこで、たとえば、総額が一兆円以上やる、あるいは夫婦子供二人で課税最低限は百五十万は一挙にやってみせるというような意味で、およそのめどでけっこうですから、減税のスケールを示していただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) これは、衆議院の大蔵委員会では、三時間十分にわたって質疑に応じたわけでございまして、その非常に部分的なものだけしか報道されないわけでございます。私は、私のほうから申し上げたのではなく、これからの税というものに対してどう考えるかという各般の質問、六人の方の質問に答えた中で、計算をしておることをすなおにそのまま申し述べたわけでございます。こうすればこうなります、こうなればこうなりますということでございまして、いまあなたが御指摘になったように、一兆円以上にやりなさいとか——やりなさいという気持ちはわかります、わかりますが、私が来年度の問題に対して、いま予想金額を申し上げる、数字を申し上げるというような段階ではないわけでございまして、とにかく来年度も引き続いて減税をやる、やりたいという姿勢に基づきまして鋭意検討し、努力をしてまいりたいということで、ひとつ御理解を賜わりたいと、こう思います。特に、サラリーマン減税というものが中心であり、しかも、人生における一番効率的に——年をとってから恩恵を受けることも、それはいいけれども、最も国家的にも、自分の人生においても、効率的な年代における人たちに手厚い減税というものができないかということをまじめに考えながら検討してまいりたいと思います。
○野末和彦君 そうしますと、あれは新聞が大きく書いたんであって、しかも、ほかの人がいろいろ言ったことで、総理自身が思い切った減税を大幅にサラリーマン重点にやろうと言ったわけではないということで——そうですね。ただ、引き続きやっていきたいと、つまり詳しくは検討中と、こういうことでいいですね。 じゃ、法人税率、さっきから出ましたが、四二%ぐらいにすべきだと思うんですよ。昭和二十年代にそういうところもあったんですから、そういうふうに財源を出してこなければ、サラリーマン減税、口で大幅にすると言ったって、できっこないわけですからね。 そこで、お聞きしますが、企業もかなりもうけていますから、改造論か何かの影響もあるでしょうが、かなりもうけているわけで、もう取ったっていいと思うんで、来年四二%ぐらいをめどに上積みしていくというのはこれは全然無理ですか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども述べましたが、一律二分の一に税率をすれば、一兆九千億の財源が必要でございます。三〇%一律控除にすれば、四千三百億円でございますが、低所得者により厚い手当てをなさなければなりませんので、これをやるとしても、五千億ないし六千億の財源を必要といたします。課税最低限を十万円引き上げると二千三百億円の財源が必要でございます。で、ございますので、百五十万円ということを御指摘がございますが、一挙に百五十万円にはできないと思いますが、高い目標に向かって一歩一歩前進を続けてまいりたいというのが私の考えでございますと、こう述べておるわけでございます。 それから法人税の問題に対しては、四十九年四月三十日で期限の切れる暫定税率一・七五を、基本税率に繰り入れるということはこれはここで申し上げられることだと思います。それは世論も——税調にも御相談をしておりませんが、これは理解がいただけるものだと思います。それに幾ばく積み上げができるかという問題をこれから勉強してまいりますと、こう述べておるのでございまして、いま四二%、この間まで野党の皆さんは、四〇%上げろとこう言ったら、今度は四二%という議論が出ましたので、減税は多いにしくはない、しかし、あくまでも現実と理想と、理想に向かって現実をよりよく進めてまいるということは不可避のものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○野末和彦君 いまの内容は、大体さっき事務当局と全部やって終わったことなんで、そんなの聞くためにわざわざ総理に来ていただいているわけじゃないんですよ。そんな理想と現実がどうとか、検討中とかいうのは、まあみんなが言うことで、総理はもう最高責任者なんですから、やれと言ったらやるわけでしょう、ほかの人は、主税局は一生懸命。そういう答えをここでおっしゃらなければ、下がりかけたあなたの人気なんてまた元へ戻らないですよ。だから、国民の支持を得たいというんなら、やはりそこではっきりした姿勢を示すことが期待にこたえることだとぼくは思っているわけですがね。とにかく減税構想というのが非常に内容がまだあいまいで、努力目標にもなっていないような感じがしまして、まあ新聞がオーバーに書いたんだと、それを期待したサラリーマンはばかをみるのかもしれませんけれども、来年のことですからね。 じゃ、ことしのことを聞きますがね。ことし減税がありました。しかし、例年減税の恩典を受けない層というのがいるわけですよね、収入的に。で、ことしで言いますと、この間この委員会でもやったんですが、たとえば、百万円ぐらいですね、いわゆる課税最低限に満たないという層が千九百万人。その中で生活扶助を受けている人は百十六万人そこそこである。つまり千九百万人、ほとんどの人というのは、減税があったところで恩典は受けない。しかも、物価上昇の波はまともに食うと、これは踏んだり蹴ったりのわけですよ。ですから、減税を考えるときには、こういう減税の恩典を受けない人たちに対することも同時に考えなければいけないわけで、税制上考える必要ありませんが、総理大臣としては、その人たちに対してどういう配慮をしたのか。ことし何をやったのか。やらないまでも、こういう人たちはこういう方法で救わなければいかぬと、ただ別にお金上げるのが能じゃないですから。少なくも配慮がことしの予算でもってあったのかどうか。この減税の恩典を受けない人たちはどうする気なんですか。それをお答えいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 減税、減税案の中ですべてを片づけようとすることは間違いでございまして、あなたもいま理解されたようでございますが、減税政策と社会保障政策その他は、これはもう平仄を合わせながらやっていかなければならぬことでございまして、これは生活扶助費の引き上げを行なったり、社会保障を拡充したり、年金の拡充を行なったり、そういうことで失業対策費の単価を上げたり、そういうことを、いろいろな諸般の政策を行なっておるわけでございまして、これはもともと課税対象になっておらない人でありますから、別な政策で手厚くこれに対処していく、こういうことでございます。
○野末和彦君 じゃ、別の政策で手厚くことし対処しているわけですね。
○国務大臣(田中角榮君) そうです。
○野末和彦君 そうですか。
○国務大臣(田中角榮君) やっていますよ。
○野末和彦君 ああ、そうですか。じゃ、まあいいでしょう、時間がなくなりましたから。 しかし、どう考えましても、まあ、さっきの減税の話も、どうも人気取りの誇大広告のようにも思えますし、まあ御自分でおっしゃってないと言えばそれまでですけれども、いまの話も、手厚くいろいろしていると、手厚くしていると言ったって、まだまだ不十分であって、予算見てもそんなに手厚いとは思えません。 最後に聞きますよ。総理、どう考えても、何か総理は庶民のために、あるいはサラリーマンのために、そういう人のために一生懸命に本気でやっているというふうには思えない、私は少なくも。で、私は、ごく平均的な大衆の一人ですから、国民はほとんどがそう思っていると思う。結論を言いますと、総理はおそらくサラリーマンあるいは恵まれない一般庶民のためのことを本気で考えているような政治家ではないなと断定せざるを得ないんで、そう断定しても全然かまいませんか。
○国務大臣(田中角榮君) それは憲法は自由を許しておりますし、国会議員には国会の発言に対して院外でその責めを問われないという特権を与えられておりますから、あなたがどう判断されようと一向に差しつかえありません。ありませんが、私も政治の最高の責任者として、恵まれない人、みずからかつて恵まれなかった社会のどん底に生まれ育ってきたものでございますから、それは政治の責任を果たす上で、そこに焦点を合わせて重点的に施策をやらなきゃならぬ。しかも、その責任を果たさなければならない責任の地位にあるという考え方を政治の基本にしております。ただ、しゃべっていることだけではありません。行なわなければならないということでね、しゃべって人気を取るだけとは思っていないんです。やらなきゃいかぬと思っているんです。
○野末和彦君 最後に、じゃ、やってください。もしやれなかったときに、やれなかったときに、じゃ、庶民がどういう気持ちになるか、それはもう御想像にまかせましょう。
○国務大臣(田中角榮君) 国民が判断します。
○委員長(藤田正明君) 総理に対する質疑は、これにて終ります。 引き続き、大蔵大臣に対する質疑を続行いたします。順次御発言を願います。
○山崎昇君 もう長い時間事務当局に対する質問がありましたし、最高責任者の総理に対する質問もございました。しかし、締めくくりで二、三質問をせよというお話もございましたので、まとめて私は四点伺います。 第一点は、発想の転換ということを盛んに言われますが、この内容はあいまいもことしてわかりません。したがって、発想の転換とは何か、具体的にひとつ設明を願いたいということが第一点。 それから第二点は、先ほど来ずいぶん議論ございましたが、税の公平についてもう一度伺っておきたい。それは具体的に、私のほうから例申し上げますが、先般漫画家であります近藤日出造さんがテレビに出られまして、こういう発言がなされております。それは、漫画家は、新聞社あるいは雑誌社にいろいろ原稿依頼されたりするために、収入が明確である。したがいまして、税金は隠すことなく全部取られる。だが一方、同じ文化人でありましても、画家、特に洋画家の場合は、絵の値段があってないようなものである。そして個人販売であるから、申告をごまかしたとは言わないが、税についてはまことに不明である。言うならば、同じ文化人であっても、漫画家と画家ではこれだけの差がある。一体こういう税の不公平というものについてどうされるんだろうか、こういう質問がありました。特に最近トーゴーサンだとか、クロヨンだとか、いろいろな呼び方をされておりまして、この税の不公平の問題についてはたいへん議論の多いところであります。したがって、大蔵大臣としては、次におそらく所得税等の改正案が出されるものと私は思いますが、こういう税の不公平についてどういう処置をとられるのか。 またもう一つ具体的にお聞きをしておきたいと思うのですが、それは先ほども議論ありました、たとえば、個人病院であれば七二%まで免除される。だが、同じ医者でありましても、大学病院等に勤務する医者については何もない、言うならば、源泉徴収ですべて持っていかれちゃう。したがって、私は、同じ医師であるならば、かかることについては、たとえば、研究費にいたしましても、あるいは図書にいたしましても、あるいは学会に出るにいたしましても、かなりかかるものと思われる。しかし、個人病院と大学に勤務する医者と全く同じにせいとは私も言わないつもりでおりますが、いずれにしても、実じ医師という任務を負いながらも、そこに差がある。こういうことを考えるときに、この税の不公平という問題については、私は、やっぱり大蔵省で具体的に検討されて、そして対処すべきものだと思うんですが、これに対する見解を聞いておきたいと思うんです。 第三にお聞きをしたいのは、所得税でございますが、これにつきまして、いま累進税率をやっておられます。しかし、ここにまた問題が一つありますのは、かつて国税庁の長官やられました泉さんという方の本を読んでみますというと、この累進税率についてはたいへん問題が多い。三点に集約をいたしております。一つは、課税最低限が低いということ、第二は、累進税率がかなり低いところで急激に上がるということ、第三は、税率適用区分の所得間差額、ブラッケットが小さい。そのために多少所得税が下がったとしても自然増収がきわめて多くなる一つの原因ではないかということが指摘されています。そこで、これは四十七年の例でありますけれども、この泉さんが具体的に例を出して計算をされています。それは年収百十万の者は、これは四十七年でありますから、ことし改正されれば少し違う。しかし、四十七年の例でいえば、百十万のものはわずか税金四千六百円で終っておる。しかし、これが一〇%所得がふえますというと百二十一万になりますが、その者は、一万三千九百円の税金になるという。したがって、わずか所得が一〇%上がったために税金のほうは三倍にふくれ上がるという、ここに、言うならば自然増収のかぎがあると、こう泉さんは説いているわけでありますが、こういう具体的なことを計算をされて、私はこの累進税率等の問題についてももっと考えてしかるべきではないかと思うんですが、それに対する見解を聞いておきたい。 さらにこれはまあアメリカの話でありますけれども、かつてニクソン大統領が、物価の値上がりというのは、不公平な増税であるということばをはきまして、税金を納められない者については、マイナス所得税ということを考えておるということを言われたことがあります。したがって、大蔵省につきましても、言うならば、生活保護法等の適用者等につきましては、この物価が値上がりをするということは、所得税を取られるよりも、もっと私はきびしいと思う。そういう意味でいうならば、このマイナス所得税という考え方がわが日本でとられないものかどうか、この点についてお聞きをしておきたいというふうに思います。 その次に、税に関連をしてもう一点お聞きをしたいのは、実は、これ財政政策と関連をいたしますが、学者の説くところによりますと、乗数効果というのがありまして、それは公共事業費をふくらますことが一番乗数効果が大きいという。二番目には、所得税というよりも、むしろ法人税率というものを下げることが乗数効果が高いといわれている。一番乗数効果が低いのは、所得税の減税だと、こういう。したがって、ことしの予算案を見ましても、言うならば公共事業費がものすごくふくれておる。そしてまた法人税率についてはさほど手をつけられておらない。所得税は先ほど来議論されておりますように、スズメの涙程度である。こうなると、私は冒頭に申し上げた発想の転換とも関連ありますが、財政政策を改めるというならば、一番乗数効果の低いといわれる所得税等の減税に力点を置いた財政政策をとらなければ、発想の転換にならないのではないかと私は思いますが、あわせてお聞きをいたしたい。 最後にお聞きをしたいのは、デノミネーションでありますが、これはかつて大蔵大臣が福田さんのときには、やられないという答弁がございました。そしてまたいま変動相場制でありますから、いじられないのかもしれませんが、やがて固定相場制等に復帰する場合には、私はデノミネーションというものは考えられる問題点ではないだろうか、こう考えている一人なんですが、このデノミに対する大蔵省のお考えを聞いておきたい。 本来ならもっともっとたくさん聞きたいのですが、もうすでにかなりな時間たっておりますから、以上四点にまとめまして大蔵大臣の見解を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
○多田省吾君 関連して一間だけお伺いします。 簡明に申し上げますが、先ほど総理大臣は、所得税減税四十九年度案として一律で、まあ二分の一で一兆九千億円、二番目の一律三〇%で四千四百億円ほど減税になると、こういうことをおっしゃって、それでこちらは、それに対して一律三〇%ですと、高額所得者が三千万円ほどの所得の人は六百四十四万円も減税になるじゃないか、これはよくないということを言ったのに対して、まあ働いて働きがいがあるようにしたいとか、それから、中小所得者に対してももっと減税して、五千億とか五千五百億円減税すれば済むところだ、こういう、例にあげられたのならいいのですけれども、そういうふうに総理大臣考えているとすれば、これは大問題だと思います。いま新聞にも投書が出ていますよ。一律三〇%なんというのはおかしいじゃないか、高額所得者に対する大幅減税じゃないか、怒りの投書ですよ。こんなことが衆参の大蔵委員会でまじめに論議されているのはおかしいと思う。三千万円所得ある人が六百四十四万円も減税になるような一律三〇%減税なんということは、そして主税局長だって、それは無理だとはっきりおっしゃっているのじやないですか。主税局長が専門的な立場から無理だとおっしゃっているのに、総理が一律三〇%と、まだ何回も言っているじゃないですか、私の質問に対しても、野末議員の質問に対しても、一律三〇%と。かりならいいんですよ。だけれども、その答弁の合い間合い間に、さもそれができそうなことを言っているのです。働いている人が高額所得者でしょう。所得があったら、働きがいのあるようにしたらいいとか、その上にまた中小、減税やれば五千億円で済むとか、それを前提にして言ってるのです。かりに言ってるならいいですよ。それができそうな雰囲気でおっしゃっているところに、問題があるのであって、これははっきりひとつ大蔵大臣、真意を説明してください。簡単ですか……。
○国務大臣(愛知揆一君) 四点という山崎さんのお尋ねでございましたが、もう少し分けると五、六点になりますが、お答えを申し上げたいと思います。 第一は、発想の転換というお尋ねで、これは税制の問題だけでなく、財政政策一般についてのお尋ねかと思いますけれども、これはたくさん申し上げますとまた時間かかりますけれども、要するに時代が変わっておる。そしてわが国としても非常な転期に際会している。たとえば、いままでの輸出優先とか、それに関連して、ともすれば大企業偏重というような批判のありましたようなところを大きく転換しなければなるまいと、財政の面におきましても、そういう国民の要望にこたえ、あるいは国際的にも日本の立場を考えて、財政政策にも発想の転換が大いに必要であると、こういう考え方でございます。 それから第二は、たとえば医師の課税問題を具体的な例として、非常なアンバランスがあるではないか、全くこれはごもっともだと思います。ことに医師の診療費課税あるいは七二%控除の問題は、御承知のように、税制調査会でも非常な御議論があり、特に調査会会長としての東畑先生としては、特に執念を燃やされるという表現を使ってもいいほど、この問題には御熱心でございますが、われわれも、この是正については、大蔵省としても努力を尽くしたつもりでございますけれども、税制調査会においても、コンセンサスが不幸にして得られなかったというようなことで、これは引き続きですね、ひとつ徹底して改善策を講じたい、こういうふうに考えております。まことに医師の関係にいたしましても、大学の勤務のお医者さん、あるいは病院の勤務者と、これはその間においても不公平であるということは、もうこれ世間周知の事実といってもよろしいほどでありまして、このままに放置することはできない、同時にこれは、税制以外の面もあわせて、総合的な対策もあるいは必要かと思っております。 それから、この全体としての公平の問題でございますけれども、税制の体系の上において、水平的な公平、それから、垂直的な公平ということばがよく使われますけれども、その両面において、われわれとしては、先ほども申し上げましたけれども、四十九年度ではよりよき体系の税制をぜひつくりたいというふうに考えておるわけでございます。 それからその次は、累進税率の問題で、泉氏の所説を御披露になりましたが、あるいは専門的な立場からは主税局長から補足して答えてもらいますけれども、私、個人的に申しますと、泉氏の所見が全部妥当であるとも必ずしも言えないと思いますけれども、先ほど、これは総理も言及しておりましたけれども、税率の取り方が、やはり一番負担の多いところにともすると重圧がかかっていると、この点も相当注目していかなければならないと思います。一方におきましては、勤労学生とか、若い人たちの立場というものをやはり十分考えていかなければならない、これらの点につきましては、特に自然増収の問題に関連してのお話がございましたが、とくと新しい税制の場合には、謙虚にこういったような建設的な意見を取り上げてまいりたいと思います。 それから第四点は、いわゆるマイナス所得税の問題でございます。これは確かに外国でもこういう所見が最近明らかにせられておりますが、この点は、マイナス所得税という観点よりも、これは私の現在の私見としては、やはり社会保障というような点から取り上げていくべき問題ではなかろうかと、こういうふうに考えておるところでございます。 それから第五番目は、乗数効果に着目して、特に、所得税、勤労階級の所得税の減税ということを取り上げるべきであると、この点は、所得税の改善、勤労階級の減税ということをこの次には一段と進めたいと思っておるわけでございます。 それから最後のデノミネーションの問題は、私は、現在頭の中にございません。デノミネーションは考えておりませんということを一言申し上げておきます。 それから、多田さんの御関連の御質問ですが、三〇%一律減というのは、ただいまも私もここにおって聞きましたし、総理の衆議院大蔵委員会のときには私はおりませんでしたのでございますが、田中さんの言っていることは、一律三〇%減にすれば四千四百億円の減税になると、こういうことを仮定として申し上げておるわけでありまして、今日、この場におきまして総理からいろいろお答えをした中にも、一律三〇%の所得税の減税をやるというようなことは……。
○多田省吾君 三〇%控除ですよ、控除。
○国務大臣(愛知揆一君) ああ、三〇%——失礼しました、控除ということを考えているわけではないことは、この累次の答弁の中にこの点がにじみ出ているというふうに承知、ここにおいても承知いたしておりましたし、それから、私が税の問題で、なかなか総理も詳しいし、意見もあるもんですから、しょっちゅう私も話し合っておりますけれども、一律三〇%控除ということを新しい税制でやろうと、あるいはやりたいという気持ちは持っておりませんことを私から、間接でございますけれども、かわって御答弁申し上げておきます。
○山崎昇君 私も、大蔵委員会はことし初めてで、しろうとでありますが、やがてもう少しこまかに私のほうも資料を提示して議論してみたいと思いますから、後日に譲りたいと思うんです。ただ、日本人の一つの癖として、政府が何か発想の転換といっただけで、何かいいような政治がすぐ行なわれるような錯覚になる。したがって、いま大蔵大臣から、生産第一主義から福祉に転換をするんだと、こういう。しかし、中身はほとんどわからないんですね。一体、どういうことが福祉になっておるのか。ただ、年金が多少上がる、あるいはいまの法律でいえば、多少家族給付が上がってくる程度のものでありまして、ほとんどこの発想の転換といったって、中身がさっぱり伴っておらないというようなこともありまして、近く私も私なりの見解で議論してみたいと思いますが、いずれにいたしましても、いまこの税というのは、すでに言われておりますように、租税の経済理論家だとか、多くの学者からいろんな形で議論されています。そういう意味では、これからの日本の国政の上でこの財政政策というのはたいへん重要な課題でありますから、私どもやりますが、ぜひ先ほど申し上げましたような点については、大蔵省としても謙虚に私は検討していただきまして、やはり国民に公平を欠いているという感覚のないようにやってもらいたいということだけ特に申し上げて、質問を終えておきたいと思います。
○委員長(藤田正明君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。 土屋義彦君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容は、お手元に配付のとおりでございます。 この際、本修正案を議題といたします。 土屋君から修正案の趣旨説明をお願いいたします。
○土屋義彦君 修正案の趣旨について御説明申し上げます。 この法律案によりますと、施行期日が「昭和四十八年四月一日」となっておりますが、同日はすでに経過しておりますので、これを「公布の日」と改めたるものであります。 以上であります。
○委員長(藤田正明君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議案となっております所得税法の一部を改正する法律案について、反対の討論をするものであります。 昨年の総選挙という国民の大きな批判を受けて、今国会のなすべき役割り、政府の新しい時代に応ずる新しい政策を実行すべききわめて重要な段階に立っていると思います。その基本は、国民福祉の充実であり、福祉元年とさえ言われているものであるのもけだし、当然であります。したがって、物価の安定、貧富の格差是正の方針が打ち出されなくてはなりませんし、租税を通ずるところの所得の再配分、資源の再配分を画期的に行なわなければならないのは、まさに時代の要請であり、かつまた国民の大きな願いであります。したがって、所得税等の改正に寄せられている国民の眼はきわめてきびしいものがあります。しかるに、討論されてまいりました、医師所得の七二%の損金算入、事業主報酬制度の導入、あるいは土地の長期譲渡所得に対する特例など、租税の負担はきわめて不公平になりつつあります。したがって、抜本的な税制改正を行なう必要があります。 以下、反対理由を申し述べたいと思います。 まず第一に、所得税の自然増収が二兆数千億円あるというにもかかわらず、所得税の減税分は、わずかに三千百五十億円でありまして、減税分があまりにも少な過ぎるわけであります。この減税分をさらに大幅に引き上げるべきであると思うのであります。 第二には、課税最低限を大幅に引き上げるべきであります。今回の改正案のねらいは、中小所得者の負担軽減をはかることを目的としていると述べられているわけでありますが、最近の物価騰貴の現状を考えてみると、国民の生活はたいへんなものであります。政府の物価見通しによって計算しましても、夫婦子二人の年収二百万円の世帯においても、生活費の支出増は十万円以上になるのでありまして、減税額は初年度においてわずかに一万三千円にすぎません。しかし、消費者物価は五.五%におさまるはずはないのであります。税金部分が大きく生計費に食い込むことになるのでありまして、当然課税最低限を大幅に引き上げるべきであります。さきに衆議院予算委員会において野党が一致して提出しました組みかえ案にありますように、即時に所得税の課税最低限を夫婦子供二人において百五十万円にまで引き上げるべきであろうと思います。特に、給与所得控除の定額分につきまして、改正案で十六万円でありますけれども、最小限三十万円程度に引き上げるべきであろうと思います。 第三に、退職給与の所得控除を三十五年勤続の場合に、一千万円まで引き上げるべきであります。これを基準にして退職所得の控除の引き上げを直ちに行なうべきであります。三十五年もつとめたら、税金の、心配もなく、退職金で一家が安心して生活でき、老後をのんびりと住めるような住宅一つぐらいは建てられるようにすべきであります。また、寒冷地手当や通勤手当、乗船手当、特殊勤務に基づくところの夜勤手当、労働組合費等についても、特別控除の措置をすべきであろうと思います。 第四番目に、一般の給与所得者に対しまして、今日たてまえ上源泉徴収で無理やりに一方的に取られてしまっておりますけれども、宮城県をはじめ各県で行なわれておりますように、当然申告所得の選択もし、それによってサラリーマンの必要経費の控除をはかっていくべきであろうと思います。 第五に、勤労年少労働者の給与につきましては、先ほど討議がござ、いましたように、所得税を取られている部分が多くなっておりますけれども、未成年者に対しては非課税にするように措置をすべきであろうと思います。 最後に、一言つけ加えておきたいと思いますが、課税最低限以下の低所得者に対しては特別な配慮を加えていくようにすべきであると強く要望して、討論を終わりたいと思います。(拍手)
○嶋崎均君 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題となっております所得税法の一部を改正する法律案につきまして賛成の意を表するものであります。 本法律案は、税制調査会の答申に基づき、昭和四十八年度税制改正の一環として初年度三千百五十億円に及ぶ所得税減税を行なおうとするものであります。 昭和四十八年度の所得税減税額が少ないのではないかという議論もあったようでありますが、これは、所得税の自然増収額の二七・二%を占めており、また、初年度三千億円をこえているという規模は、今回が初めてであります。福祉国家を目ざし、社会保障、社会資本等財政需要拡大の強い要請を受けている今日のわが国財政の実情から見て、これは政府において最大の努力を示したものであると考えます。 また、今回の改正案の具体的内容を見ましても、中小所得者に重点を置いて、基礎控除、配偶者控除を各一万円ずつ、扶養控除は二万円に引き上げ、また、特に給与所得者に重点を置いて、給与所得控除の拡充をはかっております。この結果、夫婦子供二人の給与所得者の場合、課税最低限は、平年度で百十四万円となり、欧米諸国と比較しても最高の部類に属する水準となっているのであります。 このように、今回の改正案の内容は、中小所得者、特に、給与所得者の負担軽減をはかるというまことに適切なものであると考えます。 以上、本案は、今日の財政事情から見れば、その減税規模、内容、いずれをとってみても十分国民の納得を得られるものと確信をしております。 簡単でありますが、所得税法の一部を改正する法律案に対する私の賛成討論といたします。(拍手)
○多田省吾君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました、所得税法の一部を改正する法律案について若干の理由をあげ反対の討論を行なうものであります。 理由の第一は、四十八年度の所得減税は、大幅な減税をうたいながら、その中身は物価調整減税にも足らず、おりからの急上昇する激しい物価攻勢を見れば、明らかに減税どころか逆に実質的な増税であります。四十八年度の租税の自然増収が二兆五千六百五十六億円をこえると見込まれた中で、所得減税はわずか初年度で三千百五十億円にすぎず、国鉄、健保をはじめとする各種の政府主導による公共料金の大幅な値上げが予想される中で、勤労者の家計は苦しく、加えて、大手商社や大法人の各種商品の投機買い占めで、食料品、衣料等、国民生活の必需物質の異常な値上がりは国民生活を一そうの苦境に追い込み、いまや国民のふんまんと激しい怒りは爆発寸前の限界に達しております。しかも、政府の経済見通しの物価上昇率五・五%は、四十八年度の予算審議を待たずしてすでに大幅にこえており、国民のだれ一人これを信ずる者はなく、政府自身、これを認めながらなお改訂しようとしないのであります。年々経済規模が拡大し、弾性値の高い所得税を中心に自然増収が大幅に増大するおりから、減税規模はさらに大きくなるのは当然であって、史上最高の減税を行なわなければ実質的には減税にならず、したがって物価調整を見ましても本来の減税にはほど遠く、生活費非課税の原則からしても大幅に課税最低限を引き上げ、夫婦子供二人の標準世帯では百五十万円まで引き上げるべきであります。 第二の理由は、各種控除の大幅な引き上げであります。高物価の中で勤労者に重い税の負担をしいる現行の所得税制を根本的に洗い直し、所得の量的な側面と質的な向上をはかり、いやしくも資産所得や不労所得等が勤労所得をはるかに上回る優遇措置を、受けるという矛盾と不公平を改め、総合所得算入、総合累進課税の原則を貫き、高額所得 者には高税率を、資産所得者には勤労所得者より担税力が大きいと見て高負担を求め、均衡と負担公平を守り抜く必要があります。また、中学卒の未成年勤労者の所得を非課税とするほか、老人、寡婦、身障者、勤労学生等の控除を大幅に引き上げるべきであります。特に、今回の改正で事業主報酬制度が導入される以上、当然給与所得者の給与所得を大幅に引き上げる等、新たな特別控除がされない限り、従来からの事業所得者との格差は一そう開くばかりで、ますます片手落ちになるばかりであります。 第三の理由は、ばく大な利益をあげ、担税力が十分ありながら、所得の捕捉が困難だとする個人の有価証券譲渡益であります。所得税法に規定する非課税所得は、学童預貯金の利子とか学資の仕送りとか、あるいは遺族、傷害等の年金、恩給等の社会保障的性格の強い生活保護費や生活必需品等を対象とし、あるいは実費弁償的なものが多く、真にやむを得ない理由のあるものばかりであります。しかるに、ばく大な利益をあげ、しかも、担税能力がある株の譲渡所得を非課税にすること自体が問題であり、キャピタルゲイン非課税そのものに反対であります。このように膨大な利益をあげる譲渡所得に課税せず、二十年間も放置してかえりみず、野党の再三の要求と意見にも耳をかさず、過去の遺物を今日まで温存したこと自体大きな誤りであり、キャピタルゲイン課税はもはや時代の要求であります。 次に、本日の審議を通じて申し上げたいことは、総理が給与所得控除を四十九年度から一律三〇%控除したいというような案を例とはいえ申されましたけれども、私どもは、課税最低限百五十万円まで引き上げ、あるいはそのためには定額控除を大幅に引き上げるとかすべきであって、三〇%控除という問題は、たとえば、二百万円までは三〇%適用とか、そうすべきであって、いま高額所得者、今度の改正でも六百万円までは改正案で五%の定率控除でございます。それを一率に三〇%控除という例を引くこと自体がおかしい次第でございまして、こういう私は、総理の御答弁では、何としても納得できないし、大蔵大臣の真意の御説明がありましたけれども、例とはいえ、そういうことは引いていただきたくはないと、このように私は感じます。 以上の理由をあげ反対の討論を終わります。(拍手)
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、所得税法上の一部を改正する法律案について、反対の討論を行なうものであります。 元来税は、減税とか増税とか、いわば税をまけるかまけないかの角度からだけで議論すべきものではありません。あくまでも社会が必要とする公的費用を、社会を構成する法人及び個人がどのように負担するかの立場から論ずべきであり、その中心課題が、公的費用の適正な配分とあわせて、公正な税負担の確保であることは、いまさら申し上げるまでもありません。しかし、残念ながら、今回の改正案の審議を通じて、公正な税負担の確保についての納得のいく解明はほとんどなかったと言わなければなりません。しかも、逆に税負担の公正という観点から指摘された諸問題が、単に税をまけるかまけないかの立場で取り扱われたうらみなしとしません。もしかりに、今回の改正案の基礎となる昭和四十七年度の所得税が、税負担の公正を確保するものであるとすれば、そしてまた以降一年間に国民の経済生活が大きく変化しなかったとすれば、今回のように部分的改正を、部分的に議論することで十分と言えるのかもしれません。しかし事実は、この一年間国民の経済生活は物価、賃金、消費水準、居住条件等広範な分野にわたって大きく変化してまいりました。しかも、この十年間をひるがえって考えれば、この変化は毎年続いてきたと言わなければなりません。所得税が毎年こま切れ、部分的な改正に終始してきた間にであります。その結果、われわれは、今日所得税が、国民生活の実態とどのように結びついているのか、その間にあって、他の諸税との見合いも含めて、税負担の公平がどのように確保されているのかについて、全く信頼を持ち得ません。今回の改正の程度では、不公平がさらに拡大するのではないかという危惧に対しても、十分な回答はありませんでした。むしろ逆に、現状が妥当であるという政府の見解は少なく、今後継続的に修正すべきであるという見解が強く述べられました。しかし問題は、毎年のこま切れの修正で追いつけるようなゆっくりした国民生活の変化であるかどうかにあります。この際、政府に要望したいことは、所得税の抜本的な見直しであります。先ほど政府は、税の抜本的見直しが必要であり、そのために十年来努力して研究してきたと述べられました。そこで、提起された仮の案は別として、その問題意識の持ち方そのものについては、私は理解し、賛同いたします。そして、そうであればあるほど、その問題意識と、今回の改正案がなぜかくも著しく乖離したのか、全く理解し得ません。大切なことは、スローガンではなくて実践であります。誠実かつ責任ある具体的な取り組みを政府に強く要請し、またその間にあって、国民各層の意見に謙虚に耳を傾け、政策に反映させることを要望して反対の討論を終わります。(拍手)
○星野力君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案に反対の討論を行なうものであります。 反対の第一の理由は、政府の所得税減税三千百五十億円では、昨年度の所得税一般減税ゼロを償わないばかりでなく、今年度においても、実質的には国民大衆に増税と重税を課することになるからであります。たとえば、政府資料によっても、白色の事業所得者の夫婦子供二人の場合、課税最低限七十五万六千二百八十八円は、東京都の家賃扶助を含む生活保護費以下であり、この一つを見ても、いかに生活費に食い込む重税になるかを示していると言わなければなりません。また給与所得者の納税人口が、政府資料でも四十八年度で二千八百四十七万人にものぼることは、いかに低所得者層にも重い税金がかけられるかを示す指標であります。わが党は、人的控除だけで夫婦子供二人の給与所得者の場合、課税最低限を百五十万円に引き上げて、年間一兆円の所得税減税を断行すべきことを主張するものであります。 反対の第二の理由は、今度の所得税減税のうち、半分以上の一千七百一億円が給与所得控除の引き上げによるものであり、しかも、その限度額を現行の四百万円から六百万円へ引き上げるなど、ますます部課長以上の高所得者への減税に重点を移しているからであります。一方で、低所得者に対しては生活費課税を行ないながら、他方では高額給与所得者に対する減税を強めることには反対であります。 反対の第三の理由は、今度の改正では、勤労学生控除など各種控除について、所得控除額とその限度額を若干引き上げていますが、最近の物価の急上昇などから見ると、所得控除額及び限度額ともにきわめて不十分であります。これら担税力の弱い人々には、きわめて重い課税になっているからであります。わが党は、これらの所得控除と限度額を大幅に引き上げ、また退職所得も一千万円まで非課税にすべきことを主張するものであります。 以上のように、政府の今年度の所得税減税は、国民の大幅減税の要求に反し、国民に対する重税と増税をしいるものになっているので反対するものであります。
○委員長(藤田正明君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。 それではこれより所得税法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず土屋君提出の修正案を問題に供します。 土屋君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤田正明君) 多数と認めます。よって、土屋君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤田正明君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定をいたしました。
○山崎昇君 ただいま修正議決されました法律案に対し、各派共同提案にかかる附帯決議案を私から便宜提出いたします。案文を朗読いたします。 所得税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一、政府は、給与所得の課税上における特殊な性格にかんがみ、その必要経費を十分賄えるよう所要の諸措置を講ずるとともに、老後の生活安定を図る見地から、退職所得の特別控除額の大幅引き上げ、および各種年金の課税軽減に努めるべきである。 一、政府は、最近における社会事情の変化にかんがみ、年少の新規学卒者について直ちに所得税の課税負担が生じないようその改善に努めるとともに通勤費など実費支弁的な給付に対する実態に即した課税の軽減に努めるべきである。 一、政府は、共働き世帯の実態に即応するよう課税方法等についてさらに検討を進め、その改善に努めるべきである。 右決議する。 以上であります。
○委員長(藤田正明君) ただいま山崎昇君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤田正明君) 全会一致と認めます。よって、山崎君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、愛知大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。愛知大蔵大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
○委員長(藤田正明君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田正明君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 あすは、十二時三十分大蔵委員会を開くことになっておりますので、よろしくお願いいたします。 本日はこれにて散会をいたします。 午後六時三十三分散会