大蔵委員会 第12号
- 発言数
- 185 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/04/03
会議録
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二日、沢田実君が委員を辞任され、その補欠として多田省吾君が選任されました。
○委員長(藤田正明君) 次に、理事の補欠選任の件についておはかりいたします。多田省吾君が一時委員を異動したことに伴い、現在、理事が一名欠員になっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に多田省吾君を指名いたします。 —————————————
○委員長(藤田正明君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、前回、趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これにより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○川村清一君 ここに「酷税白書」という本があるわけですが、これは国の税、国税でなくて、残酷の「酷税白書」です。これは総評が出した本ですが、これは現在、労働者やサラリーマンが、いかに重税に苦しんでいるかというその実態を訴えたものなんですが、国民は現在とどまるところを知らない物価の高騰と重税に苦しみ悩んでおる、こう言っても過言ではないと思うわけであります。 そこで私が、まず、これは大蔵省の役員の皆さま方にお聞きしたいのですが、二、三人ではしょうがないのですが、まあ大蔵省のお役人さんは、エリートの誇り高いお役人さんでございますけれども、やはりこれは勤労者であることには間違いないのでありまして、税制をつくられたり、あるいは徴税行政に当たっておられる大蔵省の役人さん方が、御自分の生活実態の中から、現在の税制、重税というものをどういうふうに感じとられておるか、皆さん方がやられておる行政の中において、自分のいわゆる実感というものを、まずここでお聞かせいただきたいのです。率直にお聞かせいただきたいのです。
○政府委員(大倉眞隆君) 私、若干個人的な感じにわたりまして恐縮でございますが、かなりの年数税を担当してまいりました。ただいまの川村委員の御質問に関しましては、私自身の実感は、ここ数年、所得税としてはかなり軽減ができてきたという感じを率直に持っております。実効税率にいたしましても、現在の水準ならば、いまの所得水準に対応しては、ある程度御納得いただけるものになっているのではないか、さように考えております。ただ、ときどき私どもの部内で、もっと若い人とか、あるいは経験その他の違う人たちとかという人と話しておりまして、まあ毎月の負担がかなりきついと感じておられる人が若い方にときどきあるようでありますが、それはよく聞いてみますと、やはり手取りと、税込みと比べた場合に、社会保険料負担でございますとか、地方税負担でございますとか、そういうものすべてがいわば所得税に集中して議論をされている。もう少し申しますと、社会保険料を引かれ、所得税を引かれ、住民税を引かれて手取りができておる。その引かれているものが全部所得税であるかのような誤解がどうも一部にあるような気がいたします。それが一つと、やはり源泉徴収の技術の問題ではございますが、毎月はほとんど引かれていないのだが、期末の手当などのときに引かれる分が大きい。毎月ほとんど引かれていないという実感から逆に、ボーナスのときには所得税がこんなに引かれるのかという感じが出てくるという問題もあるようでございます。まあ、役人という狭い社会の感じでございますけれども、御質問に対して率直にお答えすれば、私としては以上のような感じを持っております。
○川村清一君 大蔵省のお役人衆といえども、決してかすみを食べて生きているものでもないと思うわけで、やはりまあ勤労者でございますしね。ただいまのお答えによりますと、まあ、あなたは官僚でも高級官僚の部類に属する方と存じますので、まあたいした重税感というものは生活を通してお感じにならないかもしれませんけれども、やはり大学を出てすぐ役所に入った独身の方、それから妻帯されましても勤務年数のまだ短かい、給料の安い方々はですね——それはあなたのただいまの御答弁によりますというと、確かにこの税制そのものは違ってきたと、そういうふうに高くはないと、御自分がつくられて徴税もされておられる方々でありますから、そう言われるかもしれませんけれども、これはまあ生活というのは、やはりいろんな生活環境の中における経済動向というものの中で生活しているわけですからね、なかなか、物価はどんどん上がっていく、家賃は高い、交通費もかさばると、いろんな経費の増高に伴いまして、税というものを考えてみたときに、やはりそれは科学的に、こう緻密に分析していけば、税そのものはそう高いものでないのかもしれませんけれども、まあ、そんなふうにあなたはお答えになると思うわけでありますが、しかし、全体的な暮らしの中における税というものは、やはり重税感としてひしひしと感ぜられておると。税金というものは、もうこれは本来からいうならば、国民としてある意味においては義務感を持ち、喜んで出すものかもしれませんけれども、見在の勤労者、労働者の立場から言えば、税金なんというものは、全くむしり取られているんだというような感じを持っているのが、これがまあ実態ではないかと思うのです。ですから、総評では「酷税白書」というものを出して、そして春闘の戦いの柱として、一つには賃上げ、そして減免、それから年金、いわゆる生活闘争というものをやっているわけですね。この点をあなた方もそれをしっかり受けとめて、そして税制をつくられるなり、あるいは税行政というものに当たっていただかなければ、私はいけないと思うわけなんです。まず、そういうことを申し上げて、所得税の基本的な問題について二、三お伺いいたしたいと思うわけであります。 そこで、最初にお尋ねすることは、昭和四十六年八月に答申されました、税制調査会の「長期税制のあり方について」という答申があるわけでございますが、その答申にうたわれておりますことは、このようなことがいわれておるわけであります。ちょっと読んでみますと、「わが国経済がなお相応の成長を続けていくとした場合には所得税はかなりの自然増収を生み出すものと予想されるところでもあり、」「所得税負担の累増を緩和するため租税政策の運営上所得税の減税を重視することが必要であると認められ、所得、物価水準の動向や財政事情等をも総合勘案しつつ、所得税負担の適正合理化に努めていくことが適当である。この場合において、所得税の負担率は従来と同様になだらかな上昇を示すこととなろうが、それが所得の増加に応じて無理なく行なわれるものである限り、これまでの経緯からみてもある程度の上昇はやむを得ないものと思われる。」こう述べているわけでありますが、この税制調査会の「長期税制のあり方についての答申」に照らしてみて、今回の所得税法の改正をどういうふうに評価されておるか、この点をまずお聞きしたいので。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいま川村委員御指摘の税制調査会の答申の考え方と、現在御審議を願っております所得税法の改正とは、その基本的な考え方において一致するものであると私どもは考ております。ただいまお読み上げになりましたとおり、長期的に見ました場合には、やはり所得水準全体が上昇していくに応じまして、所得税の総体としての所得に対する負担率というのは漸次なだらかに上がっていくという方向にならざるを得ないであろう。ということは、その裏側に、長期的に見て振替支出に代表されますような、国からの社会福祉的な歳出というものが今後増加していくと、それをまかなう税の基本としての所得税のあり方としましては、ただいまお話しにありましたような方向をとらざるを得ないであろうと考えます。したがいまして、今回は、今回のいま御審議願っております改正案も、限られた財源配分の中で、集中的に所得税減税を行なっておりますものの、なお基本的な方向としては、順次個人所得に対する負担率としては上がっていくと、その上がり方がこの程度で妥当であるのかどうかという点を御審議いただきたい、かように考えます。
○川村清一君 そこで、二、三数字をお聞きしたいのですが、四十八年度の所得税の自然増収は二兆四百億とも二兆五千億ともいわれておるのですが、平年度分を合わせてどのくらい見込まれておるわけですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 四十八年度の国税の自然増収、減税前の自然増収の総額は、二兆五千六百五十六億円と見込んでおりますが、そのうち、所得税の自然増収額は一兆一千五百九十六億円と見込んでおります。
○川村清一君 所得税の減税額は、これも会議録を読みますと、田中総理や愛知大蔵大臣は三千百五十億と言っておるわけですが、調査室のほうから出された資料を見ますと、三千三百五十五億となっておりますが、どちらのほうが正確ですか。
○政府委員(大倉眞隆君) あとでおっしゃいました三千三百五十五億円と申しますのは、所得税減税以外の減税を加えまして、さらに、たとえば、有価証券取引税の増税を差し引きまして、国税全体といたしましてのネットの減税額をお示ししたものが三千三百五十五億円でございます。また、最初のほうの数字の三千百五十億円と申しますのは、所得税の一般的な減税、一般的な所得税減税額の合計額でございます。
○川村清一君 そうしますと、自然増収は総額二兆五千六百五十六億円、このうち所得税分は一兆一千五百九十六億円、これに対しまして所得税の減税は三千百五十億、所得税以外も含めて三千三百五十億と、そうしますと、所得税だけ考えてみますというと、自然増が一兆一千五百九十六億に対して減税は三千一百五十億と、こういう数字になりますか。
○政府委員(大倉眞隆君) そのとおりでございます。
○川村清一君 それからもう一点、課税最低限でありますが、夫婦子供二人、これが百十二万一千二百六十円、資料を見ますとそういうことになっておりますが、これに間違いはないかどうか。もちろんこれは平年度分になりますと、百十四万ということになりますが、それが四十七年度における課税最低限金額が、前年度に対する伸び率、これは四十七年度は三・四%ということなっておりますが、四十八年度は何%になりますか。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいまお示しの数字の四十七年分の夫婦子二人の給与所得者の課税最低限百三万七千八百六十円に対しまする四十八年、初年分の課税最低限の上がり率は八・〇%でございます。
○川村清一君 そこで、百十二万千二百六十円という課税最低限、これはいいんですね、この数字は、これが前年度に対して八%伸びておるということですね。そこで、これは田中総理も、愛知大蔵大臣も本会議で盛んに言っておるわけでありますが、課税最低限が、これはまだ低いのではないかという野党側の質問に対しまして、これは低くないんだと、それは物価上昇率を五・五%と見た場合に、物価の上がりが五・五%なんだから、課税最低限というものは八%高まっているんだから、決してこれは低くないんだというような御答弁をされております。これはやっぱり間違いないですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 予算編成をいたし、税制改正をきめました段階で、消費者物価の伸び率は五・五%と見込まれておりまして、それに対しまして、ただいま御指摘のとおりの課税最低限の上げ率八・〇%は、物価という面から見れば相当に高いものではないか、十分なものと考えるというような御趣旨の答弁をなさっていると思います。
○川村清一君 そこで、あなたにお尋ねするわけですが、四十八年度のことしの物価上昇率が、政府は五・五%ということを見込んで予算編成されておりますが、五・五%以内にとどまるというふうにあなたは正直にお考えになられますか。これは政務次官でもいいです、どうですか。五・五%で、いまの状態の中からとまりますか、一体。
○政府委員(山本敬三郎君) 昨年末の経済見通しをつくった当時から今日までの変化を見ますと、対外的に外国からの輸入物資の値上がりが非常にきついという点も出ておりますし、また国内においても、需給の関係から値上がりが出てきている。現状の見通しにおいてはなかなかむずかしい問題になりつつある。企画庁長官等も、他の委員会やその他でそういうお答えもしておるようであります。しかし、ただ景気の見通し等が金融引き締めその他の手段によって、下半期その他においてどういう変化を来たすか、まだ予見しがたいものもありますし、年度間を通じてさだかに五・五%をはるかに上回るかどうかということについては、まだまだ的確な予測をすることは困難ではなかろうか。現状においてはなかなか五・五%では困難なような様子が現状では見える。年度間を通じてはさだかには予想できない、そういうふうに考えます。
○川村清一君 政務次官ね、次官もお認めになられておりますが、いま、ことしの消費者物価上昇率五・五なんということを言われても、はあそうですがなんて、それを信ずる国民なんかだれ一人いないと思うのです。これはもう、最近の新聞見ますというと、東京都の消費者物価は、これ三月は、もういままでかってないくらいの高騰をしておる。いままで政府のほうは、消費者物価は上がっているけれども、卸売り物価が横ばいであるからたいした心配はないんだということを言っておりましたが、今度は、消費者物価ではなくて卸売り物価そのものが、もう未曽有の高騰をしておる。まさにこれは、幾ら政府がインフレでないと言ったって、これはインフレですよ。どういうものか、政府のほうは日本はインフレでないと言う。外国のほうは一生懸命インフレだ、インフレだと言っているんですね。まことにおかしな論議だと思うのですよ、完全に、これインフレですよ。こういう中で、ことしは五・五%しか上がらないんだと、だから所得税の改正はこれでけっこうなんだと、前年度に比べて課税最低限が八%も上がっているじゃないかというようなことを言っても、これは私はへ理屈だと思う。 そこで、前に返って恐縮でございますが、いまここでいろいろ質問をしたこの事実を、また逆に向こうへ返って、そこで税制調査会の答申の中にある「わが国経済がなお相応の成長を続けていくとした場合には所得税はかなりの自然増収を生み出すものと予想される」、 これは所得税だけで一兆一千五百九十六億円今年度の見込みとしてはふえているわけです。それ以外の税を含めますと、実に二兆五千六百五十六億円も自然増があるわけです。こういうふうに、この長期見通しのとおり、これはもうかなり以上の自然増収があるわけです。そこで、その次の文句として「所得税負担の累増を緩和するため租税政策の運営上所得税の減税を重視することが必要であると認められ」と、こういうことです。そこで所得税の減税を重視することが必要だというのです。この答申に応じて減税を重視してやったと、こうお答えになるでありましょうけれども、その減税の幅がそれじゃ妥当であったかどうかということが次の問題になってくるわけですね。そこで「所得、物価水準の動向や財政事情等をも総合勘案しつつ、所得税負担の適正合理化に努めていくことが適当である。」こういうふうになっておる。そこで、「物価水準の動向」というものは、いまお話し合いしたみたいに、これはものすごい水準、上がってきているわけですね。ですから、この側面からいうならば、もっともっと下げなければならない。ところがその次に「財政事情等をも総合勘案し」、そこで、財政事情ということがことしの予算編成におきましては、社会資本の充実というようなことから、公共投資あたりにばく大な歳出を見ているわけですね。いままでかってないような国債も発行するわけですね、そこで、結局そういうような歳出増に見合って歳入増を考えてみなければならないので、物価水準の動向の側面から考えるならば、もっともっと減税してしかるべきものを、ところが、財政事情においては、いわゆる歳出に見合う歳入の財源を求めなければならない関係上、その分はセーブされておると、もっと高めなければならないものをそこで縮めてしまったと。本来からいうならば、所得税だけで一兆円以上の自然増があるわけですから、その所得税の減税がわずか三千百五十億円と、三〇%に満たないわけです。これで一体妥当かどうか、一兆円以上取り過ぎているわけですよ。だとするならば、少なくとも所得税においてもっと減税すべきではないかと、これは予算編成期のころに、自民党では一兆円減税なんということを、ほんとうにいったのか言わないのかわからぬけれども、新聞に盛んに出ておったんです。ところが、本会議では、田中さんも、愛知さんも、一兆円なんて言った覚えはないんだと。そこで、国税、所得税、それから、地方税を含めて五千億は減税しておると、われわれは五千億減税ということを言ったんであって、一兆円なんて言った覚えはないということを盛んに弁解しているわけですね。しかし、私どもは新聞で承知して確かに言っておったんです。そういう点から照らしてみても、もっともっと減税してもよかったんではないかと、課税最低限の百十二万、平年度にして百十四万というこの数字は、妥当なのかどうか、この点もう一度御答弁いただきたい。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの御指摘は、予算編成の過程におきましてあらゆる角度からいろいろと御論議が集中しておったわけでございます。まず第一に、歳出面の御指摘がございました。これは、御承知のとおり、一般会計の四十八年度予算の対前年当初に対する伸び率は二四・六%に相なっております。その二四・六%の中で、特に、社会保障関係費の伸びなどは二八・九という非常に高い伸び率を示しておるわけでございます。一般的な、名目的な経済の成長率が一五前後という場合に、歳出をそこまで伸ばすということは、ある意味では、よくいわれます財政を通じての福祉の向上、財政主導型経済への転換ということを意味するものであろうかと思います。そしてその場合には、やはりその裏といたしまして、税収総額も、一般の経済総体の伸び以上に伸びた姿で財政をささえていく以外にはないんではなかろうかと、その点が一番最初に御指摘がございました。今後所得水準が上昇するにつれて、負担率はなだらかに上昇せざるを得ないであろうという、やや長期的なものの考え方に即して予算編成が行なわれておるということであろうかと思います。その場合に、減税については所得税に重点を置く。これば税制調査会もそう申しておりまするし、私どももさように考えておりまして、したがって、ネット減税三千三百五十五億円の圧倒的大部分を所得税減税の三千百五十億円に振り向けておるということに相なっております。また、この一兆一千五百九十六億円という所得税の自然増収に対しまして、所得税の一般減税三千百五十億円が少な過ぎるんではなかろうかという御指摘も入っておったと思うんですが、これは比率にいたしますと二割七分を若干上回るということに相なりますが、過去数年の所得税減税の姿から見まして、非常に大きいということはもちろん申せませんけれども、まずまずの姿ではなかろうかと、かように考えます。また、課税最低限の百十二万円なり、あるいは平年度の百十四万九千円——ほとんど百十五万円でございますが、これにつきましては、本会議あるいは他の委員会でもたびたび御質問が出ておりますが、一つのサイドチェックといたしまして、よくいわれることでございますが、国際的な比較を見てみますと、まあアメリカには及びませんけれども、他の先進国をほぼ抜き去りまして、まずまずの水準まで来ておるということが申せようかと思います。この数字、お手元にあると思いますけれども、念のために申し上げますと、日本の百十二万一千二百六十円に対応いたします数字は、アメリカで百三十二万四千円でございますが、イギリスでは八十四万五千円、ドイツでは七十七万二千円、フランスでは百八万七千円ということでございまして、しかも、これは私ども、実は本年一月一日現在のレートで換算いたしております。最近の実質的なレートで申しますと、先方がもう少し下がるわけでございますが、まあ、そのようないろいろな角度から見まして、私どもとしましては、いま御提案申しておる所得税改正は、ことしの状況のもとにおいては妥当なものであると考えて御審議をお願いしておる次第でございます。
○川村清一君 御提案されていらっしゃる政府のほうで、妥当でないなんということは、これは言えるものではありませんけれども、妥当であると信じて出しておると、こうお答えされるのが当然だと思うわけでありますが、受ける国民側といたしましては、そういう考えを持たないわけです。 そこでもう一点お尋ねしますが、かりに政府の見通しどおり、ことしの消費者物価の上昇率が五・五%といたしましても、その五・五%消費者物価が上昇するその分を、いわゆる物価調整減税という立場から、所要額を試算した場合にはどのぐらいの金額になりますか。
○政府委員(大倉眞隆君) 消費者物価の上昇率を五・五%と前提いたしました場合、これに見合って課税最低限を引き上げるための所要減税額は、約一千三百七十億円ということに相なろうかと思います。
○川村清一君 そうしますと、その分を考えてみても、かりに五・五%上がると、ところが課税最低限のほうは八%高まったんだから問題でないというお答え。しかし、その五・五%にとまることは絶対にない。それはお認めになっている。かりに五.五%でとまっても、五・五%上がった分、これを物価調整減税というもので所要額を試算してみるというと、いまお答えのように千三百七十億円になるだろうと、そうすると、ことしは所得税において三千百五十億円減税いたしたとしましても、物価がそれだけ上がってるくるわけですから、その千三百七十億円というものをこれから差し引くならば、これはあなた、千五百億ぐらいしか、この部分は実際的には減税しておらないと、物価の分で取られているわけですから。そういう計算が成り立つ。本来ならば、この一千三百七十億円というものを、三千百五十億円にプラスした分、これを減税してしかるべきだと、私はそう思うわけですよ。 そこでまた、税制調査会の「長期税制のあり方の答申」に戻るわけでございますが、いま、これを中心にしていろいろ議論やってきたわけですね。そこで、この「所得、物価水準の動向や財政事情等をも総合勘案しつつ、所得税負担の適正合理化に努めていくことが適当である。この場合において、所得税の負担率は従来と同様になだらかな上昇を示すこととなろうが、それが所得の増加に応じて無理なく行なわれるものである限り、これまでの経緯からみてもある程度の上昇はやむを得ないものと思われる。」、こういうふうに「ある程度の上昇はやむを得ないもの」と、税制調査会はそういうふうに答申しておるわけでありますが、そこでお尋ねしたいことは、今後、これからの展望でございますが、所得税の負担率というものは、どのように上昇していくのかと、税制調査会は、なだらかに上昇しつつ、ある程度の上昇はやむを得ないといっておるんだが、しかし、国民側にすれば、これはまだまだ上がっていくのだと、こういうふうにね。そこで、一体大蔵省のほうで、政府のほうでは、この所得税負担率という、これの上昇をどのように考えているのか。一体早さ、程度、こういうものについて、今後の展望というものを、ここでひとつ明らかにお示しいただきたいと思う。
○政府委員(大倉眞隆君) 非常に広範にわたります問題で、なかなかぴたっとしたお答えができないかと思いますが、一つの手がかりといたしまして、やはり今後の日本経済全体の見通しの問題がまず前提になろうかと思います。その意味では、本年に入りましてから閣議決定になっております新経済社会発展計画を土台として、私ども、これから先のものの見方を整理いたしてまいるということになるわけでございます。 御承知のとおり、今回の計画は、昭和五十二年度までの五年間にわたります見通しであり、計画であるわけでごごいますが、この間におきまして、租税及び税外負担がどの程度計画期間中に上昇するであろうかということが見込まれております。これは計画期間中に対国民所得比で約三%ほど上昇する。また上昇することがやむを得ないであろう。もちろんその前提といたしまして、政府から個人への移転所得を従来にない早いぺースで増加させていくと、また民間公害防除投資なども非常に高い率で伸ばしていくというような、いろいろな前提を組み入れて、マクロモデルによりまして試算されておるわけでございますが、まあ結論といたしまして、三%程度、今後五年間に租税負担率が対国民所得比で上がっていくことはやむを得ないであろうというのが現在の政府の考え方でございます。したがいまして、所得税の負担が上がっていきますのは、そのワクの中にあるということはまず申せると思います。 その次の問題は、ほぼ三%上がっていくのが、一体税制としてどこで上がっていくのかという点、そこに御質問の中心があろうかと思いますが、その点は実は経常的に計画を立てるということはいたしておりません。やはり毎年毎年の経済成長を見、自然増収を見ながら全般的な角度の検討を加えて結論を出していくという以外になかろうと思いますけれども、しかし、やはり御指摘の税調答申にもございましたように、所得税そのものの個人所得に対する負担率というものも、漸次なだらかに上がらざるを得ないであろう。ただ、その総額としては、租税全体の対国民所得比で大体三%程度のアップにとどめて、経済計画をつくる。社会保障もふやしたいし、公害防除もしたいけれども、全体の姿としてはそこにとどめたいということが、いまの政府の考え方であると申せるかと思います。
○川村清一君 所得税につきましては、取られる側からいろんな要請があるわけですね、要請といいますか、要求といいますか。たとえばサラリーマンの中でいうならば、ぜひサラリーマンとして仕事をする必要経費を落としてもらいたい。たとえば、服だとかその他の必要経費を落としてくれとか、あるいは子供を教育していく場合、その教育するに必要な経費を落としてくれとかいろいろありますね。そういうことを要求される側のお話を聞くと、もっともな話なんで、私どももそれを実現するように努力しなければならないと思いますけれども、またそこにいろいろな問題があることも承知しておるわけです。 そこで、政府側のほうとしては、終始一貫言われておりますことは、いわゆる課税最低限額の引き上げによってそれに対処していきたいということを常に言っておるわけですね。そこで、そうだとすれば、課税最低限というその額のいわゆる数字が妥当であるかどうかということが大きな問題だと思うんですね。それから、控除額、これもことしの——法案内容についての質疑はあとでやるといたしまして、いろいろ変わってきているわけですね。そこで、その控除額の改正というものもほんとうに妥当なのかどうか、合理性があるのかどうかということが問題なんですね。 そこで、課税最低限というものを、私どもは百五十万にすべきだということを強く主張しているわけです。ところが、政府のほうは、ことしは百十四万まで上げた、いずれ百五十万というものを目途にして進めていくけれども、ことしは百十四万で妥当なんだというお答えなんです。 お尋ねしたいことは、四十八年度で百十二万、平年度で百十四万というこの数字がどうして妥当なのか。皆さんも、いま私が冒頭申し上げましたようないろんな要求を持っている。その要求に対処する数字として妥当なのかどうかということですね。これをひとつ説明していただきたい。
○政府委員(大倉眞隆君) 課税最低限そのものが、金額的に幾らでなければならないかという絶対的なきめ手は実はないんであろうと思います。やはりこれをいろいろな角度からサイドチェックをしてみて、まずまずどの角度から見ても、これでいいんではないかというふうな判断を、総合的にしていくという性格のものであろうかと考えております。 その意味におきまして、先ほど来の御質問あるいは御質問に対する私のお答えで出てまいっておりますポイントは、前年に対する上がり率がどうであろうかという点が一つ、それから、ほかの国に比べてどうであるかという点が一つ。その辺につきましては、くどくて恐縮でございますが、私どもとしては、それなりに今度の改正で妥当であると考えておるのですが、もう一つのサイドチェックといたしまして、標準生計費と課税最低限というものをどう考えたらいいか、それがいまのお尋ねの中に入っておるもう一つのポイントであろうかと思うわけでございます。標準生計費というもの自身が、必ずしも統計的なデータが多いわけではございません。私どもの手に入りますものといたしましては、人事院調査の標準生計費というものが一つございます。これで夫婦子二人の給与所得者の場合を見ますと、四十七年分で月当たり七万五千円ということに相なります。四十七年分の所得税の課税最低限を月に割ってみますると、これは八万六千四百円ということに相なります。こういうサイドチェックをいたしてみましても、まずまずいまの課税最低限というものは納得していただける水準にきているのではないか、私どもとしてはさように考えている一わけでございます。
○川村清一君 いまの御答弁によりますと、課税最低限の妥当性というものを、まず第一に、前年度に対比して上がる率、要するに八%上がったと、その八%という数字がまず妥当である、それは物価上昇指数と合わせて五・五%に対して八%であるから妥当である、これが一つ。もう一つは、外国と比べて妥当である。それは百十二万あるいは百十四万という数字は、アメリカに比べては低いけれども、あと西欧諸国に比べては高いんだ、だから妥当だという御説明です。しかし、これは議論すればそれに反論するものがたくさんあるんですが、それはあえて言いません。その次に、標準生計費に比べて妥当である。こういうお答えです。 〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕 で、この標準生計費も、妥当かどうかという問題は、これは問題があると思うんです。で、これはちょっとこの間の本会議のやりとりを会議録で見ますというと、これは社会党が言った議論ではなかったんですけれども、われわれと同じように百五十万という数字を出して、百五十万に上げるべきだと、こういう質問をしました。それに対する愛知大蔵大臣の御答弁は、こういうことを言っているんですよ。ちょっと読んでみますから政務次官もよく聞いておってくださいよ。百五十万という数字は、総理府の昭和四十六年度の家計調査で消費支出が百二十万円程度になっている。で、これは四十六年の調査ですから、それに一つの指数を掛けて、四十八年度は百五十万程度と、こういう数字を出してあります。ですから、いわゆるこの総理府の家計調査の消費支出が百五十万になっておるんだから、当然百五十万にすべきでないかという議論なんですよ。この議論に対してどういう御答弁をされたかというと、これがいただけないんですね。「この家計調査の中の消費支出の中には、たとえばレジャーに向けられる支出も、あるいはたとえばカラーテレビの購入費というようなものもあるわけでございまして、これが最低の生計費ということにはならないのではなかろうか。」と、こういうことなんですね。こういう御答弁なんですよ。これは大蔵大臣の答弁なんですよ。いわゆる総理府の家計調査の消費支出は百五十万になりますよと、だから、当然控除すべきではないかという問いに対して、その百五十万という数字を生み出した調査の中には、レジャーの支出、カラーテレビを買った支出、こういうものがある、それは最低生活じゃないでしょうと。いま、あなた、経済力が世界第二位だなんていばっている経済大国の大蔵大臣のおっしゃっていることばとしては、これはどうですか、一体。労働者も週休二日になるという、週休二日。これにレジャーにかけた費用が入っているとか、一体カラーテレビ買うのがぜいたくですか、これはいま。だから、憲法でいう最低生活というのは、あの保障されている最低生活というのは何なんですか。これは大臣がいないからしようがないけれども、これはちゃんと会議録に書いてあるんです。これであなた、百五十万なんて必要ないんだと、それで百十二万でたくさんだ、百十四万でたくさんだなんていう、このいう議論をされたら、これはあなた、もう国民をばかにしているものだと私は思う。経済大国の大蔵大臣の発言ですからね。こういう点、一体、政務次官どう思いますか。まあ、大臣のほうにもあとでまた聞きますけれども、ちょっと答えてください。
○政府委員(山本敬三郎君) 大臣のお答えになった気持ちは、どういうことであったかは、私そんたくする限りじゃないんです。しかし、率直に申し上げます。率直に申し上げますと、四十八年の標準生計費は百三十万くらいと推定して、それに対して課税最低限が百十二万ということは、正直申し上げますと、四十六年の標準生計費ですね、家計調査における。生計費が百九万五千円に対して、そのときの課税最低限が百万三千円なんです。その比率をとりますと九一・六%。今度の場合には、百三十万に対して百十二万一千円ということは、八六・二%、平均標準生計費に対して課税最低限のほうが落ちているということにはなっております。それからもう一つの問題は、外国と比べて日本はかなりの水準になっているではないか、こういう答弁をいま審議官もいたしましたし、大臣もいたしたかもしれませんが、これは私見にわたるかもしれませんけれども、私自体は、実は、アメリカや西欧と日本とは生活の態様が違うんじゃないかと。最初に御質問のありましたような、生活を通じて重税感がないかということですが、私は、国民一般とすれば、重税感があるということを実は認めざるを得ないんではないかと。それは、単純に西欧と比較した数字だけで、日本はアメリカ以外よりは上だからいいではないかとは言えない。というのは、日本における貯蓄性向が高い、その意味は何であるかと言いますと、住宅のナショナルミニマムが満たされてない、医療のほんとうの給付体系が十分になっていない、教育がヨーロッパに比べると杉だけが非常に高度であって、教育費負担が非常にかかる、そういうような各種の問題が実は隠されているわけでありますから、そういう点で見ますと、ただ単にこの数字だけを比べて日本が相当であるとだけは言っていけない。したがって、国民全体の中に、いまの税金に対する重税感があるということは事実として私は認めざるを得ないんではないか、こういうふうに考えます。これは、私見にわたるかもしれませんが、実感としてそういう感じを持つわけであります。大臣のおことばに対してはそんたくする限りでございません。お許しいただきたいと思います。
○川村清一君 もう一点だけお尋ねして私の質問はきょうはやめたいと思います。 それは、いま、課税最低限の問題を中心にして議論してきたわけであります。給与所得者に対する減税の場合、いまいろいろとやりとりをしました課税最低限と、もう一つ給与所得控除があるんですね。そこで、給与所得控除の問題についてお尋ねしたいんですが、これについてもいろいろ問題があるわけです。いろいろな要求、要望もあるわけです。そこで、現在の給与所得控除というものは一体これは何なのか。これはどういうふうに定義づけるのかということが一点。それから、給与所得者に対する減税、これは大事な二本の柱の一つでございますから、この控除というものに対して基本的にどういうお考えを持っておられるか。いろいろな控除というものについて、国民側から、こういうものを控除せい、こういうものを控除せいといういろいろな要求がありますね。そこで、給与所得控除というものは、これはどういう基本的な考え方のもとになされるのか、どう定義づけるかという点が基本的な問題として大事だと思います。これをお尋ねいたします。
○政府委員(大倉眞隆君) 御質問の点は、長年にわたって論議されてきた問題でございますが、従来の説明でいろいろのことが言われております。それらを総合いたしますと、やはり主として給与所得者としての必要経費を概算的に控除するという性格が一番強いであろうと。しかしそれが全部ではない。そのほかに言われておりますことを申し上げますと、たとえば、源泉徴収によりまして毎月納めていただくという意味で、いわば前払いの部分がある、申告所得者に比べて納付の時期が早いということ、その利子分を調整する意味もこれに含まれております。それからもう一つは、他の所得の場合には、純粋に個人の労務の提供というものだけから生ずる所得ではなくて、同時に、事業用資産を持ち、それによって生じてくる部分もある。それに対して、これは、いわば、本人が死ねばそれっきりという性質の所得であると。それなりに担税力のしんしゃくをする、それを給与所得控除という形で受けとめておるんだという説明がなされることもございます。さらにこれは、制度的にそういう説明が可能かどうかは別といたしまして、実体的な議論の中には、給与所得の場合には源泉徴収という技術を通じて捕捉率がほぼ一〇〇%であると。ほかの所得の場合には言うべくしてなかなかそういうことにはならないから、その辺の格差もしんしゃくして、給与所得控除という形で、給与所得者の負担と他の所得者の負担とのバランスをとるのだという説明がなされることもございます。ただ、これは給与所得控除の中で、それではいま私がいろいろ申し上げたような要素がそれぞれ量的に幾らあるかということになりますと、これはなかなか、何と申しますか、定性分析はできても、定量分析ができないというような性質の問題であろうかと思っております。
○川村清一君 そこに問題があると思うんですね。必要経費の概算を控除したという意味、これはまあ一番大きな意味を持つ。さらに源泉徴収にかかわる金利差を調整するとか、いろいろありますけれども、それはわかりますけれども、そこで、現行二十万を二十一万円に改正したり、十四万円を十六万円に改正する、十三万円を十六万円に改正した、この数字を見れば一万円、二万円上げておりますね。しかしながら、しいてこれは何ですかといえば、いま言われたような意味を持っているけれども、しかし、それではこの分は幾らなのか、この二万円上がったのは、この二万円を分析して、これはどういうことになるのかといったら、それはわからないわけですね。きわめて科学的な合理性はないわけですね。要するに、何といいますか、つかみ金というのか、こういうことになりますね。そこで、サラリーマンの皆さん方が要求される、たとえば、サラリーマンとして必要経費はぜひ控除してくれ、あるいは子弟を教育している場合には、教育経費をぜひ控除してもらいたい、いろいろ立場立場において要求されますね。サラリーマンは非常に重税に苦しんでおるから、ほかの業種の方に比べて苦しんでおるから、ぜひこれは当然控除すべきじゃないか、こう言いますね。ところが、それを控除という個々の問題をやるとすれば、いろいろな問題がある。問題があるから、私もこれはすべて賛成もできないのですよ。ですから減税をしてもらえばいいわけです。減税は何でするかというと、一つは、課税最低限を上げることによって減税する、一つは、控除によってやるのだ、こうでしょう。この二本の柱でやるわけですね。ですから、やはりこの勤労者の要求をいれて減税をするとするならば、いわゆる課税最低限額を上げるにしても、それから、控除をするにしても、もっともっとこれを、何といいますか、合理的に、それこそ物価水準とかいろいろ経済情勢を勘案してやるべきでないかと私は思うんです。 そこで、これを全部引っくるめて、最後に私お聞きしたいことは、課税最低限百十二万あるいは百十四万ときめるのがまず行なわれるのでないですか。方程式でいうならば、物価とかなんとかいろいろ勘案して、その中から、それに相応する控除なりいろいろやっていって、計算していって、最後相に百十二万とという数字が出てきたのでなくて、昨年の課税最低限額はこれだけであった、ことしは諸般の情勢を勘案して何とかまあ一〇%ぐらい、あるいは八%ぐらい上げたい——実質的に八%になっておりますから。八%昨年より上げたい。八%を計算するというと百十二万になる、百十四万になる、それに当てはめて、今度は控除額も、ここのところは一万円上げる、ここのところは二万円上げる、こういうような計算で、いわゆる帰納的にいくのでなくて、演繹的に、まず百十二万を先につくっておいて、イコールこちらの数字をいじっていってそして左右を合わせる、こういう方程式をつくっているのじゃないですか。私はそういうふうに取られるのだけれども。
○政府委員(大倉眞隆君) たいへん鋭い御指摘なんでございますが、実察の私どもの作業の過程は、実は必ずしもそういうことではございません。やはり私どもが作業いたします過程で、各方面からの御要望がずいぶん出てまいります。税調での御審議もございます。その中で、特に本年度の改正の一つの特徴は、サラリーマン減税に重点を置きたい、したがって、給与所得控除の引き上げに重点を置きたいということが強く申されましたし、私どももそれに沿った改正になっておると思いますが、これにつきましては、まず数字を申し上げますと、先ほどの三千百五十億円の減税の内訳といたしまして、基礎控除その他の人的控除の引き上げが千百六十三億円でございます。それから、給与所得控除の定額の引き上げ、定率の拡大合わせまして、給与所得控除の拡充によります減税が千七百億円余でございます。三千百億円の中で、給与所得控除の拡大に非常に重点を置いておる。これは従来あまり例を見ない姿であると私思いますが、それをひとつ申し上げたい。ただし、給与所得控除に全力をあげて、いわば極端に申せば、三千億全部を給与所得控除に使うという場合に、どういう問題が出てくるか、それは申すまでもなく、事業所得者とのバランスがどうなるか。もう一つは、給与所得控除を、特に定額控除に重点を置きますと、独身者の税の負担の軽減率が一番高くなりまして、家族持ちの負担軽減率が相対的に低く押えられます。それらを考えれば、やはり扶養控除というものにもある程度力点を置かないと、まさしく御質問の中にありました教育費これは必要経費だと私思いませんけれども、家計における負担であることは間違いございませんから、教育費が一番かかるのはやはりむしろ多人数世帯、ある程度所得の大きい人ということもございましょう。その辺をいろいろ考えあわせながら、いろいろな案をつくりまして、その案をまた世帯別あるいは所得別にはめてみまして、全体の負担軽減の姿が、あちこちからながめて、まあこの辺ならいいかというようなことを考えながら作業をいたしてまいります。したがいまして、固定的に課税最低限をまずきめて、それを適宜ならして組み立てるということでは必ずしもございません。
○川村清一君 最後に、これは私の考えを述べて、もしそれに異議があったら反論していただきたいのですが、いみじくもいまあなたおっしゃったですね。私の言っていることと同じことをおっしゃっているのです。と申しますのは、サラリーマンはほんとうに重税に苦しんでいるのですから、サラリーマン減税をするためには、まあ、こうこうこういうことをやっていかなければならない。サラリーマンはいろいろ要求されているのです。その要求をいれて、控除額にもそれを十分取り入れる、そうして課税最低限というものをきめていく。その場合に、独身者はずっと出てきますよ。そうしてまた階層別に出てきますよ。それで、一番標準の夫婦子供二人、四人家族でこうこうときめていく、それを妥当なものをつくり上げて、そうしてだんだん積み上げていく、これが、私は税をきめていく場合の一番大事な姿勢ではないかと思うのです。ところが、いまあなたがおっしゃっているように、いわゆる国の財政という面から税を考えていく。これはもう財政ということは、ことしは大体歳入歳出、予算規模ですね。十四兆二千八百億か——十四兆なら十四兆の規模の予算をつくる。その場合に、ぜひことしは五千億ぐらいの減税をしたい、もっと言えば、田中内閣の人気をあげるために、まあかりに一兆円ぐらいの減税をしたいと、こうだれでも思うと思うのです。最初は、総理大臣も、確かにそう思ったと思うのですよ。ところが、一兆円減税したのではとても財政をまかなえないというところで、五千億円。五千億円じゃなくて、所得税の場合は三千百五十億円になった。三千五百億円といいますものが完全に出てくるわけです。出てきて、これに合わせて減税三千百五十億円と。まあ三千億なら三千億という減税額に合わせて、今度下へおりてくるわけです。そこで、所得税は幾らか。その場合、いろんな条件からそれにつじつまを合わせるためには、控除額を幾らにするとか、課税最低限を幾らにするとかという数字に持ってくるわけです。ほんとうにサラリーマン、勤労者の望んでいるのは、そういうことじゃないんですよ。税金が苦しいんだからこうしてくれと、こういう税制をつくってくれと、こういうことなんですよ。それを入れていったら、とても減税が三千億円や五千億円じゃおさまらないと思うんです。そうするとね、財政運用できなくなるから、そこでこれいれられないと言って、結局、合理性も何もない、理屈をしいてつければ、理屈がつくかもわからないけれどもだね、そういう控除額というさっぱり合理性のない控除額をきめていって、そうして最終的にはそういう数字をつくり出していく。これがいわゆる税法改正の姿勢でないかと思うんですが、これは間違いですか、私はそう思うんですが。私の言っていることに間違いがあったら、それは反論してください。これで質問を終わります。
○政府委員(大倉眞隆君) 私がお答えするのが適当かどうか、必ずしもわかりませんけれども、実際に私どもが仕事をいたしております過程は、必ずしもいま先生のおっしゃったような姿ではないわけでございまして、何と申しますか、税制当局は税制当局としての主張をし、予算編成に当たります主計局は主計局としての主張があり、財政投融資及び国債管理を担当しております理財局は理財局としての立場があり、それらすべてを総合いたしまして、いわば連立方程式として解かれておるわけでございまして、どこから、先にきまって押しつけられたというふうには、私は考えておりません。
○戸田菊雄君 所得税の本論に入る前に、先日の理事会で決定をされました財政投融資計画等に対する質問については、一部保留という形で、自後適当な機会に質問をやっていくと、こういうことについて了承したと思うんですけれども、その考えには政務次官間違いありませんか。
○政府委員(山本敬三郎君) 財政投融資計画の資料のうち、私がお願い申し上げたいのは、運用先はそれぞれの所管官庁があります。運用先についての資料を財政投融資計画の中にも書いてございますし、この間問題になりました執務資料の中にも書いてありますけれども、その資料の数字の積算根拠等について御質問をいただきましても、理財局としては責任を持ってお答えすることが不可能なのでありますから、国政調査権によって、当該官庁に向かって運用先の内容についての資料を求められるという方向をとっていただければ、きわめて合理的ではなかろうかと、こういうふうに考えているわけであります。
○戸田菊雄君 ちょっと政務次官、答弁に錯覚起こしているんじゃないかと思うんですが、私の言っているのは、財政投融資計画はまだ質問が保留してあります。このことは了承していますか。このことです。
○政府委員(山本敬三郎君) 了承しております。
○戸田菊雄君 いまと、前段で答えられたその資料提出の件については、資料提出の件は、その点は了解いたしましたけれども、しかし、責任の所在は所轄官庁は大蔵省ですからね、これは明確ですからね。だから、その点は明確にしておいてください。
○政府委員(山本敬三郎君) たとえば、金融機関等の場合は大蔵省でありますが、社会福祉関係等では厚生省とか、郵政省とかというふうに認可及び監督官庁が違う場合には、そちらのほうへひとつ資料提供を求めていただきたい次第です。 〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
○戸田菊雄君 その点は、それはいいですけれども。 それで、実は所得税の質問に入るんですけれども、政務次官どう考えます、こういう国会審議の状況は。私はこういう状況では単に意見のある者はものを言えと、こういう程度じゃないですか。それは確かにですよ、大臣の副大臣である次官もおれば、それはベテランの大倉審議官もおります。しかし、今まで何回か審議をやってきましたけれども、こういう審議の状況はないですね。これではたして国会審議に値する状況だと思われるんですか。どうなんですか、その見解は。
○政府委員(山本敬三郎君) 本日は、大臣は予算委員会の分科会に出ておりますし、それから、主税局長は衆議院の大蔵委員会にも出ております。そういう関係で、審議官に来ていただき、うしろのほうに担当の人たちに来ていただいている、こういうことでございますが、国会の審議が、各委員会ごとに重なっておりますので、まことに余儀ない次第でございまして、遺憾に存じます。
○戸田菊雄君 これは国会全般の問題に影響しますけれどね、私はどだいこういう審議を計画する自体が無理だと思う。予算委員会をやっているね。大臣は必ず出なくちゃいけない。主要局長も出なくちゃいけない。そして大蔵はまた衆議院でもやっているというんでしょう。これはどだい無理じゃないですか、こういう審議のほうが。まさしく立法府の私は軽視もはなはだしいと思う。どう考えますか。
○政府委員(山本敬三郎君) 税法は日切れ法案といいますか、国民の生活に直接かかわる問題でありますために、慎重審議が当然お願いしたいところでありますけれども、できれば国民のために一日も早く成立さしたい、こういう二つのかね合いで、余儀なき事態でこういうことになって、非常に遺憾には思いますけれども、余儀ない状況であることを御理解いただきたいと思います。
○戸田菊雄君 了解できかねます、私は。それは、確かに国民の減税に対応するということ。いま国民が関心を持っているということは私も理解しています。しかし、税法からいけば、所得税は一番中心ですよ、これは。そういう重要な審議に対して、こういうぶざまな状況では了解しかねます。どうします。
○政府委員(山本敬三郎君) 次回の委員会には大臣も出てまいりますし、それから、次回またはその次の委員会には、総理にも出てもらう。こういうふうに実は考えまして、きょうだけの審議でなしに、次またその次も含めた三日間くらいの審議におきましては、大臣及び総理大臣をも呼ぶというふうにいま手はずをいたしておりますので、そういった点もひとつ御理解をいただきたいと思います。
○戸田菊雄君 とても、そうやっておってもあれですからね、次回、委員長・理事会でこういう状況のないように、私は厳重に要請すると同時に、そういった審議態様について少し検討していただきたい。そのことを要望して質問に入りたいと思うのですけれども。 まず、資料の関係でちょっと教えていただきたいんですが、この四十八年度の「税制改正の要綱」の一四ページですけれども、「給与所得控除の拡充」ということで、平年度において一千九百四十五億円、初年度において一千七百一億円、これは減税総額割合として何%になっていますか、これが一つ。 それから、この同様の資料の四十八年度の「租税及び印税収入予算の説明」の中で、目次がありまして、その次の一ページ、この総説の中にそれぞれ説明がございます。これの主要項目だけの割合をひとつ教えていただきたい、何%。 それから、もう一つは、二ページの源泉所得税、この説明書きがございます。賃金約一五%上昇見込みというやつ、これはそういう理解でいいんですか。この三点まず質問しておきます。
○政府委員(大倉眞隆君) 御質問の比率につきましては、ただいま計算いたしまして、計算でき次第申し上げたいと思いますが、第三点の賃金一五%の点でございますが、これい一人当たり賃金の上昇率約一五%と見込んでおるということで間違いございません。
○戸田菊雄君 この一五%見込みというのは、どこの資料ですか。大蔵省の判断によるのか、それとも労働省等で前途の状況を見てやっているのか、その辺はどういう根拠を持っていますか。
○政府委員(大倉眞隆君) これは企画庁が策定いたします四十八年度の経済見通しの計数に基づいております。
○戸田菊雄君 企画庁というと、これ企画庁来てないからわからぬのですけれども。今年度のべースアップ状況というものは、現実実行したところでも二〇%こえておるところがありますね。またそのくらい大幅賃上げでいなければ労働者の生活は保障されない、ものすごい物価高騰ですから、インフレ促進ですから。こういう状況の中で、従来どおり程度の生活を保持していくためには、その程度の賃上げをやらなければいけない。そういうことになりますと、賃金のいわゆる上昇見込みというのはもっと上がるんじゃないか。上がると仮定すれば、その分やはり税収としては自然増収がもっとふえてくるんじゃないか、こう考えるのですけれどもね。だから、いまの査定では必ずしも適切だとは言えないんじゃないかと思うんですが、自然増収の増徴二兆五千六百五十六億、この額について若干疑問を持っているのですけれども、その辺はどうですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 現在以降の賃金の動向につきましては、私よりもむしろ戸田委員のほうがずっと詳しいと思います。私が一五%にとまるであろうとかなんとかいうことを申し上げるだけの知識も材料もいま持ち合わしておりませんが、私どもといたしましては、やはり政府全体が公式にいたしております見通しに基づいて税収を見積もるということ以外ちょっとよるべき基準がないという立場をひとつぜひ御了承いただきたいと思います。
○戸田菊雄君 これはもうすでに大倉審議官も了解をしておるんだろうと思うんですが、この総理府の、四十五年一月から五月、非常にサラリーマン減税の声が強いんですね、そういう状況を踏まえまして、総理府でもって労働者に対して現在の税制というものが重いか軽いかという世論調査をやった。その回答が実は出ているんですよ。事務労働者で六三%が重いと、それから、現場の労働者で五二%、いわゆる半数以上ですね、これらの人がいずれも税金は非常に重い、非常にですよ。こういう世論調査になっておるんでありますが、さらに、事務系で八一%、相当これは高率です。それから現場労働者の六八%、平均で七五%、これらの人がいずれも税金は非常に重いと、こういう最終結論を出しておるんですけれども、四十八年度のこの減税の実態を見て、一体政務次官、これそういう非常に重税感を持っておる労働者の皆さんに対して、これで十分だという、こういう考えを持っていますか、どうですか、具体的に今度の減税策。
○政府委員(山本敬三郎君) 大蔵当局としてお答えいたしますときには、標準生計費との関係あるいは諸外国との関係で課税最低限、必ずしもそう高いものではないということをお答えするのがきまりになっておりますが、多少私見にわたりますが、先ほど申しましたように、日本の場合には特殊な事情があって、社会保障や医療保障や、あるいは住宅問題等が満たされてない。そういうことを前提にいたしますと、国民の間にやはり重税感があるという事実は認めざるを得ない、こういうふうに思います。
○戸田菊雄君 その点は、先ほど川村委員の質問に対しても同様の趣旨の答弁がありましたから、了承するんでありますが、そこで問題は、四十三年の税制調査会答申で、四十四年以降、それぞれ税制改正をやってきたんですが、これ、政務次官、何回改正やりましたか。
○政府委員(山本敬三郎君) 五回やってきているそうであります。
○戸田菊雄君 まあその当局の説明によると、大改正だと、こういうことでやってきたわけですね。しかし、その改正のその後の税金の状況を見ますると、非常に基礎控除、配偶控除あるいは扶養控除、それから、給与の定額控除ですね。こういった各種控除の控除額引き上げというものはきわめて申しわけ程度の増額なんですね。で、結果的には実質増税になっているんです。これは単に額の増税ばかりじゃなくて、衆議院の大蔵委員会の提出資料の中で、武藤山治議員の要請による資料でも明らかなように、納入人員もきわめて増加の傾向をたどっておるのですね、このとおり。額はそういうことで、実質増税になっている。だから、いままで改正をした内容というものは、一貫して大衆重課の方向で、いわば重役軽減税と申しますかね、そういう高額所得者に対しては一定の改善措置をとっていますけれども、大衆に対して、低額所得層に対しては何らこの減税体制というものはとらえていない、こう言っても私は過言じゃないと思います。そういう結果が、具体的な事実としてあらわれているのでありますから、それを一番適切に指摘する方法は、何といっても弾性値がどういう状況になっておるか、これが私は大事なところだと思うんですね。だから、その弾性値について具体的に私は説明していただきたいと思うんですけれども、四十三年、夫婦者ですね、二人。夫婦者の場合に四十三年で七十万円収入の人が、これがこの税額は一万二千六百三十五円。四十七年になって、五カ年の中で、その所得収入増が一五%上昇と見て四十七年の総収入が百二十二万五千円、こうなった場合に弾性値は幾らか、ちょっと教えてください。 それからその反対に、これは非常に、前にも指摘したように、高額所得者、大体三百五十万円以上見当、この辺からが税率改正によって非常に優遇措置を受けていると、こういう状況なんですけれども、その具体例として四百三十七万五千円ですね、四十三年収入が二百五十万、これが四十七年同じように総体七五%の収入見込み増、こういうことで計算をして一体弾性値がどれだけか、その内容について具体的に教えていただきたい。
○政府委員(大倉眞隆君) とっさのお尋ねでございますので、あるいは精密に計算いたしますと、若干動くのかもしれません。また、社会保険料控除などを計算する時間的余裕がないままの数字でございますが、ただいまの戸田委員の御指摘の数字をそのままはめまして、四十三年分の収入が七十万円であった夫婦の給与所得者の場合、これは四十三年分の税額は一万六千二百十二円、四十七年分に七十万円が七五%アップという計算をいたしました収入が百二十二万五千円、この場合の四十七年分の税額が五万二百六十円、こういうことになるようでございます。したがって、これを弾性値と申すかどうかは別といたしまして、税額の上がり方を収入の上がり方で割ってみますと、二・八ということになるようでございます。
○戸田菊雄君 その反対の場合は何ぼです。
○政府委員(大倉眞隆君) もう一つの二百五十万円の場合でございますか。
○戸田菊雄君 ええそうです。二百五十万円で、四十三年、四十七年が四百三十七万五千円の場合。
○政府委員(大倉眞隆君) 四十三年が二百五十万円、夫婦、子二人の場合の税額が四十万五千三百円、四十七年分を七五%伸ばしますと四百三十七万五千円になりまして、税額は六十一万六千百五十円、これを先ほどと同様に割りますと、〇・六九ということになるようでございます。
○戸田菊雄君 ちょっと前段のほう——後段はやや私の計算と近似するのですが、前段の場合は、七十万で、四十三年収入ですね、税額が一万二千六百三十五円、それで、四十七年収入が百二十二万五千円でありますから、四十七年の税額に引き直してみると四万三千七百三円、そういうことになりますと、この差が三万一千六十八円であります。そうすると、三万一千六十八円割る一万二千六百三十五円は二四五・八八%、これを収入伸び率でもって、いわゆる七五%ですね、それで割って、三・二七が弾性値になる、こういう計算にたりませんか。
○政府委員(大倉眞隆君) ちょっともう少し時間をいただいて精査させていただきたいと思いますが、いま数字を伺いました第一感といたしましては、税の伸び率を収入の伸び率で割るんでございましょうから、むしろさっき私が申し上げた二・八よりは少し下がるんではないかなという気がいたしましたけれども……。
○戸田菊雄君 上がります。
○政府委員(大倉眞隆君) お手元の数字をいただきまして調べさせていただきたいと思います。
○戸田菊雄君 まあ、かりにいま大倉審議官の発表した弾性値比較においても、これは高額所得者のほうが〇・六九ですからね。片方は二・八%でしょう。だから、非常に低所得者層は重税だということは、これではっきりしているわけでしょう。これは一体どういうところに原因があると思うのですか。
○政府委員(大倉眞隆君) これは、何と申しますか、所得税のいまの仕組みそのものから、どの階層をとるかによりまして、ある程度こういう姿は出てまいります。極端に申しますと、つまり弾性値というものは、そもそもそういうものなんだと私思うのでございますが、課税最低限すれすれの方が二〇%収入がふえますと、課税最低限は二〇%は上がりませんから課税が出てくる。その場合には、いわば弾性値は無限大なわけでございます。ゼロから——ゼロの税額であった場合に比較いたしまして、翌年は収入がふえ、課税最低限が上がったけれども、課税の中に入ってきたという場合には、弾性値は無限大になるわけでございまして、それが一番極端な例でございますが、課税最低限すれすれで、たとえば、課税所得が昨年は五万円であったと、そうすると税額は一割でございますから五千円でございます。それが収入が伸び、課税最低限を調整しても、課税所得は十万円になったという場合には、その収入がかりに一割伸びて十万円になったといたしましても、税額は、五千円が一万円になりますから二〇〇%になる。したがって、それを弾性値表示いたしますと、つまり課税最低限すれすれにいる方の所得弾性値というものは非常に大きな数値として出てこざるを得ない。そういう点があるものでございますから、どこのブラケットをとって比較するかによりまして、御指摘のような姿が結果的に出てくるということはあると思います。
○戸田菊雄君 どう弁解しようと、収入増よりも税金のかけ方の歩合が多いということだけははっきりしているわけでしょう。その割合がこれでしょう。だから、そういうことから見ていきますと、大体独身者の場合でも、全部一定の計数は私は学者のはじいたやつを見ているのですけれども、それを見ますと、たとえば、独身者五十万、四十三年収入で、四十七年八十七万五千円、いずれも七五%収入見込み増と計算してですよ。それで二・二一です、弾性値が。それから、同じ独身者で七十万、四十七年で百二十二万五千円、こうなってきますと、一・八四%ですね。ずうっといま指摘したように、夫婦者が三・二七%で、これは七千万、最終の七千万で一・一二%ですよ。全部下がっている、これが。だから、この税率改正の大蔵省のそのやり方自体が私は問題だろうと思うのですよ。それでは、一般の低所得者層の減税策を税率一本でいけるかというと、私はそう理解はしません。だから、それを減税措置にもっていくということになれば、どうしても定額控除の増大をはかっていかなければ私はだめだと思います。だから、いままでのように、指摘されたように、四十二年から五回の大改正をやって、なおかつ重税感を持っているということ、実際重税になっていると、そういう姿はなぜかというと、ここに起因しているのだと私は思うのだ。確かに定額控除を引き上げないとは言っていませんよ。今回だって、たとえば、この所得控除の引き上げで、基礎控除現行二十万円が二十一万ですから、一万円上がっているのですね。配偶者控除、二十万から二十一万、これも一万円上がっている。扶養控除十四万から十六万、二万円、それぞれこれも上がっている。しかし、いままで改正したように、各種控除というものは、全く申しわけ程度の減税措置しかやっていないでしょう。こういう現状に対してどういうふうに一体考えているわけですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 二つ問題があろうかと思いますが、まず後段のほうから申し上げますと、控除の引き上げによる減税と、税率引き下げによる減税とがどんなぐあいになっているかと、きょうそういう御指摘があるというので急いで計算させてみましたのですが、四十年から四十八年までの平年度減税額の累計の中では、控除引き上げによる分が八二%、税率引き下げによる分が一八%、そうなるようでございます。 それから、弾性値の御指摘でございますが、これは少し時間をいただいて、詳しく申し上げないといけないんだとは思いますけれども、所得弾性値というものは、申し上げましたように、収入なり、課税対象の増加額に対応する税の増加額を比率であらわしたものでございますから、これは課税最低限を引き上げれば所得弾性値は上がるわけでございます。所得弾性値を下げるために、課税最低限を引き下げるということにはならないわけでございます。したがって、弾性値によるサイドチェックというものはもちろん必要でございますけれども、やはり実質の負担を見ます場合には、実効税率がどうなるかという角度からも吟味をしていただくということに相なろうかと思うわけでございます。非常にややこしい話でございますので、なお御質問があれば、もう少し詳しく申し上げなくてはいかぬかと思いますけれども、要するに、課税最低限を引いた残りが課税所得、課税所得の大きさに対して、その次ふえた部分は、課税最低限をかりに据え置けば、もろに所得がふえまして、それに対する税がふえまして、弾性値が出てまいります。そういう関係にございますから、所得税の総体的な弾性値が現在おそらく二前後になっておると思います。課税最低限を引き上げないでじっとがまんしておりますと、この弾性値は下がってまいります。課税最低限を上げますと、上げ方によっては相変わらず二ぐらいの弾性値になる。それを思い切って上げますと、上げました時点から次の年に移る時点では、弾性値は二よりかなり高くなる、そういう性質の数字でございますので、やはり実効負担としましては、弾性値によるチェックもさることながら、実効税率が幾らになるか、現在の負担に比べて、改正後による負担の軽減が幾らであるかという角度からも、ひとつ御吟味をお願いしたい、かように考えております。
○戸田菊雄君 後刻いろいろと検討を進めてまいりたいと思うので、資料を——これはきのう来たんですけれども、私は帰ってきたばかりで、質問通告の余裕なかったものですから、だから、詳細な資料を要求しておきます。それから、じゃ本格的にやろうと。 それで、四十三年と四十七年度の所得税の増額比較で、いま私が申し上げましたように、四十三年から収入見込み増一五%、これで四十七年度まで、四十八年度の弾性値もできればこれは出してもらいたいと思う。 それで、一つは独身者ですね、いま言った五十万の四十三年収入、これが一五%ずつふえていくわけですから、四十七年度、八年度、こういうことでひとつ出していただきたい。それからもう一つは夫婦者ですね。これの四十三年が七十万の収入の場合、それから、子供一人百万の場合、それから、子供二人百二十万の場合、これを全部ひとつ四十八年度まで詳細に資料で輝出をしていただきたい。それをお願いしておきたい。 それから、これも資料にかかわってくる問題でありますので、ただ、新就職者の、新規学卒ですね、これの四十三年の課税最低限、それから、中卒の初任給が幾らで、それから、税額が幾らで、それから、高卒が初任給幾らで——初月給です。同じように税額が幾らで、大卒の場合の初月給が幾らで、同じように税額が幾らで。四十三年と四十八年まで、おそらく八年は見込みということになるでしょうが、それで資料をひとつ出していただきたいと思うんです。 いろいろと資料を調べまして見ますると、四十七年以降は中学卒初月給が三万三千円見当になる。これは労働省調べの全国平均統計はまだ出ておりません。東京都の労働局調査です。それから、東京商工会議所の求人の、求める額等々の参考にしている問題ですから、政府一体でもってそういうものができるだけ最近の、この四十八年に近い統計資料でもって、でき得ればそれの統計資料というものを提示をしていただきたい、これが一つ。いまの点どうですか、資料は。
○政府委員(大倉眞隆君) 最初の二項目につきましては、できるだけ早く調製いたしましてお出しいたしたいと思います。 最後の項目につきましても、できるだけ広くいろいろなところを聞いてみまして、お出しできる数字があればお出しいたしたいと思います。
○戸田菊雄君 それで、今回のこの改正の要点は、税率と定額控除、この二つでやってきているんですね。で、その控除額はさっき言ったような状況ですけれども、定率控除、これは百万円まで、それを百五十万円まで二〇%適用、以下三百万円までは一〇%、六百万円までは五%、こういうことで両面適用でやっているんですけれども、私が前段指摘しましたように、どうしても重税感があって実質増税になっているという現状は、やっぱり定額控除をもっと引き上げていかなければ、私はだめだと思うんです。ですから、そういうことからいけば、定額、定率というものの一体どっちに今後改正をする場合にはウエートを置いてやっていくのか、この辺の方向をひとつ明確に教えていただきたいと思います。田中総理は、過日のやつで、大幅減税、それは来年もやりますよと、こう言っているんですから、大蔵省事務当局として、どういう方向でいったらほんとうに低所得者層に減税に見合った実感をわかせるような減税対策ができるのか、そういうためにどこに一体ウエートを置いてやるのか、そういう方向をひとつ示していただきたい。
○政府委員(大倉眞隆君) 今後の方向といたしまして、低額所得層の負担の軽減にもっぱら重点を置くという方向が打ち出されるといたしますれば、これは基礎控除その他の人的控除及び給与所得控除の中の定額控除を引き上げるという方向になろうと思います。ただもっぱらそこのみを行ないました場合には、たとえば、年収二百万円とか、二百五十万円とか、三百万円とかいう——まあいまやそこは中堅ではないのかもしれません。中堅より若干下かもしれませんが、その辺のところに減税の恩典がきわめて薄くしかいかないという問題がどうしてもつきまとうわけでございまして、まあ、四年か五年がかりで改正するんだから、一年一年のことを言うなというふうに割り切れれば、ある年には定額控除へどかっといく、ある年には定率控除へどかっといくということができないことはないと私は思いますけれども、少なくとも、従来のいろいろな御審議の過程では、やはり改正のつど、それが階層別にどうであるか、世帯人員別にどうであるかということが対前年比で常に御議論の一番大きなポイントの一つになりますものですから、なかなか一つの項目にもっぱら力点を置くという改正は思いながらもやりにくいなというのが私の率直な感想でございます。しかし、いずれにしましても、どこに一番国民の期待する減税のウエートを置くべきかということは、もちろんその毎年の改正におきまして十分考えなくてはいけない問題でごごいまするし、たとえば、いまたまたま御指摘ございましたが、いまの給与所得控除が非常にわかりにくいから、もう上から下まで一律に控除したらどうかという構想も現にござます、ある方面でございますけれども、まあそれをやりますと、逆に一番低い階層はむしろいまよりも増税になってしまうというようなことになるんでございますよと申し上げて、それはわかっていただいておるわけでございます。したがって、いま言っている構想というのも、一つの考え方を示しておるんだから、そういう考え方をはめてみて、階層別あるいは収入別、あるいは世帯人員別に無理がないようにおまえら知恵出せと、こう言われておるわけでございまして、まあ、具体的に四十八年改正にどういう姿になりますか、これはなお少なくとももう三、四カ月お時間をいただきませんとなかなか結論は出てこないかと思いますが、くどくなりまして恐縮でございますけれども、低所得者重点であれば定額、中堅を考えるんなら税率なり定率ということ、これは申し上げられますけれども、それをどう組み合わせるかということにつきましては、来年改正までに十分検討さしていただきたい、かように考えております。
○戸田菊雄君 まあ、今回の税収歳入等についても、間接税約三分の一を占めていますね。これはいままでも何回か指摘をしてきましたけれども、全く逆進性の強いものですから、そういうものが大部分の大衆課税でもって、九割が大衆から吸い取るというかっこうになりましようね。だから、二重、三重の重苦を低所得者層というものはそのことによって負担をしているわけですね。これはたばこ一本吸うんだって、まさか松下電器の会長さんといえども、われわれとあまり変わりないですからね、消費は。そういう面からいけば、この分ぐらいほんとうは所得税の関係で、まあこの分ぐらいと言ったら、これは歳入がなくなってしまうからとってもできませんと、こういうことになるでしょうけれども、何かそういう点で、私は、もう少し検討してもいいんじゃないか。とにかく大幅減税をこれからやると総理自身も言っているんですから、抜本改正をやって、そうしてやはりこれならばまあ何とか政府のやり方も理解、納得いくわいというような状況に私は、もっていくのがいいんではないかと、こう思うんですね。 さっき資料を提示をしましたけれども、少なくとも、四十七年からは中学校卒業者がもうすでに税金かかっているんですね。それは微々たるものですよ。微々たるものですけれども税金がかかっている。中卒三万五千円で三百十円ぐらい税税かかっていますよ。課税最低限は三万三千円ですから、中卒の初月給が三万五千円。それから、高校が四万四百五十円ぐらいです。税金が七百十円ぐらいであります。大学卒で四万九千八百五十円ですから、一千四百三十円ぐらい税金がかかっている。これは四十八年以降もこういう状況はずっと今後継続されていく状況ですが、こういうことになると、私は、証券労働者、まあいま一番株投機その他でもって非常に会社の経営がいいといわれておりますが、この証券会社の大学卒で、そして三十三年つとめて生涯労働の収入額どのぐらいあるか調べてみた。ちょっと発表しますけれども、全くこれが労働者の生涯の収入かと思ったら情けなくなりましたね。そういうことは大蔵省につとめている皆さんだってそういう状況になっているんだから、よほど真剣に考えなければこれはだめだと思うのですよ。たとえば、四十七年賃金で計算すると、学卒三十三年勤続の者で、これは各社の有価証券の報告書がありますからね、それを土台にして、十五万一千四百六十四円ですよ。平均年齢が三十六・二歳。それに十二カ月掛けて、三十三年勤続で掛けて、退職金一千万と見て、その合計は五千九百九十七万九千八百二十三円です。これが証券会社、いいといわれる四大証券、大和とか山一とか、そういうところにつとめている大学卒業労働者の実態ですよ。これは公務員より上ですよ。この時期で、三十六・二歳で。これで大体、賃金の仕組みもありますけれども、三十六歳から十五万円ぐらいになって、四十歳ぐらいで格差が激しくなってくるんですね。あと大体上級幹部にいくわけですけれども。そういうことで、生涯賃金おおむね七千万円ぐらいしか入らない。それから今度差っ引きは源泉、国税、地方税で約一〇%引かれるんですね、七百万。 それから、三十七歳で持ち家、かりに十五年間で月賦支払いをしてやっていくというようなこと、あるいは借家、そういうことで家賃を払って生活をしていく。それから、かりに五人家族として子供三人、そういうものの平均教育費が一人大体大学卒業まで四百万見当だ。しかし、いま医料大学なんか希望すると、これはとても一千万円以上寄付しなければ学校に入れないというかっこうになるでしょう。だから、とてもこんな計算はほんとうにささやかな計算になっていくわけですけれども、たとえば、結婚費用というものも含めてずっと差っ引いてまいりますると、この人の生涯消費生活に回っていく経費というのは一千万円ぐらいしかないんですよ。五人家族で月平均消費生活はどのくらいあるかというと四万五千円見当ですよ。これがいまの実態ですよ。 そういうものに過酷な七百万も税金かけているんですからね。まさしく生活費に徹底した課税です。これは税法からいったって、課税の実態からいったって許されぬことだと思うんですね。こういう現状なんですからね。だから、思い切って抜本改正をするというならば、今後やはりそれに見合うような減税措置をとっていくべきだ。それがなければ自民党急速にもっと下落しますよ、正直言って。忠告をしておきますがね。何も私自民党に応援するわけじゃないけれども、真剣にやはりそういう勤労者、低所得層に対して、いまこそ発想の転換や考えを新たにして取り組む必要がある。机上計画どうのこうのやっている状態じゃないと思うんですよ。 いま実際ハイヤーなんかに乗って運転手と話してみてください。頭へくると言うんだから。もう物はどんどん上がるし、ギャンブル体制は多くなっていくし、金持っておったって、これはとても価値のあるものじゃない、あしたどうなるかわからない、こんなばかくせい世の中ないじゃないかと、端的にそういう考えを持っていますね。これはまさしく政治不信ですよ。だから、そういう面からいって、真剣にいま考えていかないとたいへんなことになる。そういう情勢に対して政務次官ひとつ大方針示してください。
○政府委員(山本敬三郎君) 私から大方針を示せと言われましても、それはたいへん酷なことでございます。しかし、先ほど申しましたように、私は、国民の生活実感からいって、やっぱり酷税だというように考えているということは、事実としておおいがたいというふうに考えまして、実は、愛知大臣にも、来年度思い切った税制を、もう一ぺん減税を考えるべきじゃないですかということを申し上げ、大臣も、予算でも上がったら早急に来年度についてひとつ発想の転換をはかるようなつもりでやっていこうではないか、こう言われている現状であります。 それから、先ほど来何回もお話がございましたが、ことしの減税は、中小所得者に対する調整という点に主体を置きましたから、先生のおっしゃるように、百五十万階層が一五%月給が上がった場合に収入のふえた分に対する増税分はどうかといいますと、概略計算して五%ぐらい、二百万になりますと七%ぐらい、そして三百万階層になると二%、確かに上へいくと減税の度合いがきつくなるという形になっておりますけれども、これはやはり税率調整をやったという関係だと思います。 それからさらに、来年度の問題につきましては、東畑会長からも初任給等について云々ということも言われておりますし、本年度の独身者の課税最低限を見ましても、ボーナス二ケ月と仮定しても、三万一千四百円が課税最低限ですから、現在中卒以上みんなかかるというようなことは、東畑先生も好ましいことではないということも言っておられますので、そういった点をも含め、また中小所得者に持っていくべきか、低額所得者に持っていくべきか、それで減税額はどの程度か、それから、物価の上昇と見合わしてどうすべきかというような問題について、思い切ってやっていただく必要があると、そういうふうに大臣に助言を申し上げたいと、こういうふうに考えております。
○戸田菊雄君 これは大臣の出席があればあとまた詳しく要請いたしますけれども、四十七年で大学卒の初月給四万九千八百五十円ですよ。いま東京へかりに一人就職してきたといったら、自後三カ年間くらいは親はやっぱり学資を送らなければ生活できないという状況ですよ。アパート借りて、あるいは下宿に入って——つとめる場所にもよりますけれども、いまたいがい通勤費とかなんかというものは、実費負担でやっておりますけれども、それだって学資分ぐらいはやっぱり仕送りしないと生活できない。新しいせびろの調達もあれば、いろいろあるのですから、そういうのがいまの実態じゃないですか。だから、せめて中卒とか高校卒は、五年ないし十年は就職しても税金はかからない。大学卒でも三年ぐらいは最低かからぬとか、このくらいのやっぱり所得税減税体制というものを具体的にやっていかないと、私は国民生活が高度経済成長第二位た、どうのこうのがんばったって、やっぱり一貫して二十一位から上がれないとか、十九位から上がれないとか、その間のもうけはだれが持っていっているのかといったら、みんなこれ大企業へいっちゃているんでしょう、正直ね。だから、そういうきわめて格差拡大の現行の経済、政治各般のこの実情というものをやっぱりほんとうに直していかなければ、私はだめだと思う。だから、そういう意味合いにおいてこれは強くひとつ次官からも要請をしておいていただきたいと思うのですね、 そこで、問題は、労働の分配率は大蔵省で資料としてはこれは無理だろうと思うのですけれど、通産省ということになるだろうと思うのですが、これはあとで資料を担当省に要求はしますけれども、いずれにいたしましても、最近、労働分配率が非常に下がってきている。一面、高度経済成長は非常に伸びていっているわけでしょう。だから、若干ドル・ショックその他でもって停滞期にあったけれども、安定成長、ことしの経済見通しからいっても、それをはるかにオーバーしている。大体当初大蔵省では三案を持って検討したんでしょう。九%程度がいいか、八%程度でいいのか、それとも七%で押えるのがいいのか。ところが、結果的に出てきたのは一〇%をこえちゃったでしょう。そのくらい高成長を遂げているわけです。そういう被害というものは、公害とか各種ひずみ現象に一ぱい出ているわけでしょう。これを置き去りにしてやっている、いまも、四十八年も。同じようなパターンでいくわけですから、だから、そういう中においてすら労働分配率が下がってきている。だから、もう少しそういう意味合いでは税全体としては法人税に思い切った課税措置を私はとるべきだと思う。そうでないと、大資本はもっともっと自己資本の蓄積にいくし、それから一面は、株の配当やそういうところにいくんです。あるいは交際費その他、そういうとろにいくんですよ。そういうものが非常に社会全般を退廃、そういう方向に追いやっているんですから、この辺はやはり全体を考えて、そしてやっぱり法人税率というのは思い切ってやるべきだ。そういう点は一体どういうふうに考えているか。これはあとで詳しくやります。
○政府委員(山本敬三郎君) 私の記憶によれば、労働分配率は確かにおっしゃるように下がっていると思います。それから、国民所得計算の中での消費支出は五〇%ぐらい。欧米諸国の六〇%台に比べて非常に低いということも事実であります。したがって、日本は、企業成長に最も似つかわしい形で今日まで突っ走ってきたわけでありますが、もう国内の情勢もそれを許さないというところに来ておりますから、前にも申し上げましたけれども、私は大臣に法人税は上げるべきだと、実は昨年から、私見としては法人税は上げるべきだという考えを持っておりましたが、大臣にも申し上げて、大臣も来年は法人税を上げようという考えを言っておられて、先ほど申しましたように、ことしはなるべく早くからひとつ来年度の対策を考えようではないかということを言っておられるような状況であります。
○戸田菊雄君 山本次官のほうが大臣になれば、もっと積極的にそういうのをやりそうだから期待をしますけれども、まあ実際に私はやってもらいたいと思う。ただし、いま全般的に金融政策が引き締め状況に入りましたから、公定歩合、各種金利引き上げ、そういうことでやっている。相当やはり金はだぶついてくるでしょう、また。だから、そういう意味合いでは、税制的なそういう経済全体がかじのとり方によってはいくでしょう。そういうことになると、またいま言ったようなことが帳消しになっちゃってどうにもならないということだから、経済政策の操作をはじめ、そういう答弁をした内容のいいことについてはもうずばり実行していく、こういうことでひとつこの面は、先のことじゃないですから、来年ないし年度内でもけっこうなんですから、そういうことでぜひ私は希望しておるわけなんです。 きょうは時間も来ましたから、これで私の質問は終わりたいと思います。
○委員長(藤田正明君) 午後一時半再開とし、暫時休憩をいたします。 午後零時十六分休憩 —————・————— 午後一時四十八分開会
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、所得税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○多田省吾君 所得税に入る前に、まず、歳入関係につきましてお尋ねしたいと思います。 四十八年度の歳入予算額は、前年度の当初予算に比べまして二兆二千三百億円増加いたしまして、十四兆二千八百億円という超大型予算になったわけでございまして、前年度対比二四・六%という伸びでございますが、四十七年度予算と比較しまして、歳入構成の中で最も変化しているものは何と何か、まず、その点をお伺いいたしたいと思います。これは簡明にお願いします。
○政府委員(大倉眞隆君) 歳入予算の構成の中におきましては、最も大きく変化いたしておりまするのは、前年度剰余金受け入れと申せるかと思います。前年の構成比が〇・九でございましたものが一・五となっております。続きましては、租税及び印紙収入が構成費七七・二が七七・六というふうに変わっております。その理由は、租税印紙収入が、対前年伸び率で一二五・二という姿であり、また、前年度剰余金受け入れが対前年比二二〇・八という姿であるのに対して、歳入予算総額は一二四・六という伸びになっているからでございます。
○多田省吾君 その中で減収したのはありますか、減収を計上したものはありますか。
○政府委員(大倉眞隆君) 歳入項目全体の中では、官業益金及び官業収入の項目が対前年八億円減少となっておるようでございます。
○多田省吾君 あとは全部増収になっているわけでありますが、その中でまつ先におっしゃった前年度剰余金受け入れ、これは大体どの程度の額でございますか。そしてこういった二千億にものぼるような増収になった理由ですね、これをおっしゃってください。
○政府委員(大倉眞隆君) 剰余金受け入れの実額で申し上げますと、四十七年度予算、当初予算に計上いたしました数字は九百九十五億円、これに対しまして、四十八年度当初予算では二千百九十七億円計上いたしておりますので、差増額は一千二百二億円、伸び率といたしましては先ほど申し上げました二二〇・八、つまり一二〇・八%の増加になるということでございますが、その内容を見ますと、税収が決算剰余として一千六十七億円、税外の決算剰余が六百二十四億円、この内訳は、財産売り払いで百四十三億円、罰科金百三十三億円、中央競馬会納付金百十二億円、専売納付金六億円、こういうことでございます。なお、国債発行収入は、決算上は予定よりも減っておりまするので、国債発行収入の減が三百二十九億円。以上を相殺いたしますと歳入面で千三百六十二億円の決算剰余がございまして、このほかに歳出面におきまする不用額が八百三十五億円、この両者を合わせますると二千百九十七億円、こう相なるわけでございます。
○多田省吾君 この剰余金の中で、国債償還なんかのために国債整理基金特別会計へ繰り入れる額はどの程度か、また四十二年以降の定率繰り入れ及び剰余金繰り入れ等による国債償還費の累計額、それから公債残高、これはどの程度になっておりますか。
○政府委員(後藤達太君) お答え申し上げます。 二千百九十六億円の剰余金のうち、国債整理基金特別会計に繰り入れますのは地方交付税の財源充当、こういうものを引き算をいたしまして、その半分を繰り入れるシステムになっておりますので、四十八年度予算におきましては九百七億円でございます。 それから、その次にお尋ねの四十二年度以降の繰り入れ額等公債残高ずっと申し上げますと、四十二年度におきましては、定率繰り入れが四十一億円でございまして、以下四十三年度百四十八億、四十四年度二百六十四億、四十五年度三百山十六億、四十六年度四百億、四十七年度はまだ見込みでございますが四百五十一億、四十八年度の予算が六百三十一億となっておりまして、合わせまして二千二百七十一億となっております。それから、剰余金の二分の一を繰り入れておるほうの額でございますが、四十二年度が八億でございます。以下四十三年度百十四、四十四年度百十四、四十五年度七十七、四十六年度三百四十九、四十七年度、見込みでございますが、三百六十六、並びに四十八年度、先ほど申し上げました九百七の予算でございまして合わせまして千九百三十五億でございます。 それから、公債の残高でございますが、四十七年度末におきましてこの定率繰り入れの対象となっておりますもの、いわば普通国債でございますが、それが四十七年度末におきまして六兆五百四十四億でございます。並びに四十八年度末の予算案によります見込みを申し上げますと八兆三千四百十六億、こういう予定に相なっております。
○多田省吾君 四十八年度の国債発行額は依存度を前年度当初の一七・〇%から一六・四%と落としてはおりますけれども、発行額は三千九百億円増の二兆三千四百億円を予定しているわけですね。これは財政法の許容限度額の八〇%を占める大量発行でございます。このように好況下で自然増収が量に見込まれているにもかかわらず、好況期に国債を減額すると、不況期に増額するという、従来は景気調整的な考え方もあったと思いますけれども、これを無視してまで、こういう膨大な国債発行をしたということはわれわれもちよっとうなずけない、これはどういう理由ですか。
○政府委員(長岡實君) 四十八年度の予算におきまして、国債の発行額が、相当な規模にのぼっておりますのは、公債政策の目的と申しますか、そのねらいとするところは、多田委員御指摘のような景気調整政策の観点から金額を決定すべき面があることは申すまでもございませんが、あわせて財政の面からの資源配分機能を発揮させるというような性格も帯びておりまして、四十八年度の予算編成方針にも、四十八年度の財政規模を決定いたします際に、積極的に国民福祉向上の要請にこたえ得る規模のものを想定をいたして予算の編成に当たったわけでございますが、そのように公債を通じまして公・私部門間の資源配分の是正をはかることが現在急務であるというふうに考えまして、四十八年度の公債発行の規模がきわめられたという経緯がございます。ただし、四十七年度の公債依存度は、御指摘のとおり、国際的に見ましてもすでに一七%というのは、相当な水準に達しておりますので、税の自然増収が相当程度見込まれる四十八年度におきましては、財政規模に占める公債の依存割合は四十七年度の当初の一七%を少しでも下回るようにという角度から検討いたしまして、十六・四%にとどめたような次第でございます。
○多田省吾君 いま資源配分的あるいは国民の福祉向上とおっしゃっていますけれども、まあその面はわれわれにとってほとんど向上がない、残念ながら。しかも、こういう大量国債発行に伴う大型予算によってインフレの懸念性が非常に増大するという点から、われわれにはどうしても納得できない。 で、次にお伺いしますけれども、昭和四十八年度の税制改正前の租税及び印紙収入額は十一兆四千百四十一億円、そのうち四十七年度当初の租税印紙収入から差し引いた自然増収額は二兆五千六百五十六億円だと思います。一方四十八年度の歳出増加額が二兆八千百六十三億円となっております。そうすれば、差し引き二千五百七億円が四十八年度に新規に追加される国債発行部分のはずでありますのに、なぜ三千九百億円を追加したのか、その点をひとつ御説明願います。
○政府委員(大倉眞隆君) 多田委員ただいま御指摘の数字を根元にいたしまして過程を御説明いたしますと、税制改正前自然増収、これは御指摘のとおり二兆五千六百五十六億円でございます。これに対しましてただいま御審議をお願いいたしております諸法案によりまして、減税をグロース三千六百六十七億円、増税を三百十二億円という税制改正を予定いたしておりますので、差し引き純減税額が三千三百五十五億円ということに相なります。したがいまして、減税後の税収の増加は、二兆二千三百一億円ということになるわけでございます。さらに、税外収入の増を七百六十一億円見込み、また先ほどお話のございました前年度剰余金の増が、増差額といたしまして、千二百二億円ございますので、これらの項目すべてと、御指摘の公債発行金収入増三千九百億円を合わせますと、歳出増加額と一致すると、こういうことに相なっております。
○多田省吾君 次にお伺いしたいのは、租税及び印紙収入の対前年度伸び率二五・二%、それから公債金の伸び率二〇%という比率について、これを政府はどう考えておるのか、また将来これがどのように推移するとお考えなのか。
○政府委員(長岡實君) ただいまの御指摘は、租税及び印紙収入が前年度に対して二五%も伸びておるのに、公債の発行額をまた対前年度二〇%伸ばすというような比率はどうなんだろうか。租税収入が伸びる場合には、公債の発行額はある程度押えるべきではないかという御指摘であろうかと存じますが、先ほどお答え申し上げましたように、四十八年度の財政の規模を策定するにあたりまして、積極的に国民福祉の向上に資するような、そういう要請にこたえ得る程度の規模ということで、対前年度二四・六%の増加を考えたわけでございまして、租税、印紙収入の増加が非常に大きいことは、十分に私どもも踏まえながら、公債の発行規模をきめたような次第でございます。ただ、いかに財政の面で積極的に国民福祉の向上にこたえる必要があると申しましても、当然公債発行にはおのずから限度がございますので、先ほども申し上げましたように、公債の一般会計の財政に占める依存率と申しますか、比率を四十七年度よりも下げて、若干でも下げるように努力をした次第でございますが、今後とも経済社会基本計画等にうたわれました、長期的な国民福祉向上等の施策を、財政面でいかに実現していくかということを考えながら、また一方においては、当然租税及び印紙収入の対前年増加割合を考えながら、公債発行の規模をきめていくことになろうかと、かように考えております。
○多田省吾君 毎年言われることでありますけれども、もう一つは、いわゆる自然増収の見込みが、いつも景気がいいときにもかかわらず、税収の伸び率というものを意図的に低く見ているきらいはないかと、こういう点でありますけれども、四十八年度の自然増収見込みも、いろいろ論議はありますけれども、ちょっと低く見積もっているのじゃないか、このように考えられますが、その点はどのようにお考えですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 四十八年度の自然増収見込みは、政府が予算編成と同時に決定いたしました四十八年度経済見通しを基礎にして作成いたしたものでございまして、意図的に低く見るということは一切いたしておりませんが、これがやっぱり低いのではないか、こういう御指摘かと思いまするが、私手元の数字でいままでの傾向を申し上げて御参考に供さしていただきたいと思いますが、たとえば、四十二年度は、伸び率だけを申し上げます、自然増収が二三%と見ておりました。四十三年度は二四・九、四十四年度は二五・三、四十五年度は二四・〇、四十六年度は二一・六、四十七年度は初の一般的通貨調整ということで、六・九という見方をしておりましたが、こういう従来の流れに対応して考えてみますと、四十八年度の自然増収減税前二兆五千六百五十六億円という見込みは、二九%の伸びを見込んだことになっておりまして、過小とは申せないというふうに私どもは考えております。
○多田省吾君 ちょっと大きな問題ですが、四十八年度の予算は、最重要課題といたしまして、福祉向上、物価安定、国際収支の不均衡是正という、いわゆるトリレンマの解決というものを最重点に考えたといわれ、大蔵大臣も、これまでに例を見ない財政金融政策に対する新たな試練云々と言っておりますけれども、これまでに例を見ない財政金融政策というのは、どういうことをおっしゃっているのか。 それから、税制上特に留意した点、この二点を具体的にお伺いしたい。
○説明員(田辺博通君) 前段の御質問に対して私から申し上げます。いわゆるトリレンマと称されておりますけれども、御質問の点の、同時にこの三つの課題を解決することは、これまでに例を見ない財政金融政策に対する新たな試練である、こういう意味でございまして、と申しますのは、従来のわが国の経済の形でございますと、景気が非常によくなりまして、過熱ぎみになりますと、国際収支が赤字傾向になってくる、いわゆる国際収支の天井というものがございまして、その場合には景気が過熱しないようにこれを引き締めを行なう、それによりまして、今度は黒字基調に転じてきた、こういうことを繰り返しておったのでございますが、昭和四十二、三年ごろから様子がだいぶ変わってまいりまして、現在の状態は、御承知のとおり、国際収支がかなり大きな黒字基調にある、その点に留意いたしまして、一方国内におきましては、国民の福祉の向上、たとえば、社会資本の整備をはかることは急務である、あるいは社会保障の充実を一そうはからなければならない、こういう課題がございますが、財政に課されましたその課題を十分に達成していこう、こういたしますると、財政からの景気の浮揚力と申しますか、そういう刺激が起こります。そうしますと、あまりそれをやりますと、また同時に、民間の企業活動が一緒に盛り上がってまいりますと、景気が過熱になってくる。その場合には、物価の問題に直面せざるを得ない、そのことは、国際収支の黒字幅を縮小する方向には働くのでありますが、片一方立てようとすると片一方が立たない。たとえば、そういう問題を同時に解決をしたい、これはいままでのわが国の経済の形になかった新しい財政金融政策としては試練である、こういうことを申し上げたわけでございます。
○多田省吾君 先ほども、国債発行につきましては率は昨年よりちょっと下がったといっても、非常に膨大な国債発行でございます。まだ二八%以上の依存度がございますけれども、先ほどは資源再配分の問題あるいは福祉向上のためにというお話でございますけれども、社会保障費あるいは福祉予算だけが、格別に急上昇したということは今度の予算でないのでございまして、そういう考えから、どうも国債依存度という問題も、もう一七%、二八%という、先ほども局長がおっしゃったように、国際的にも決して低くないという姿にもう定着してしまっている。四十二年十二月の国債導入がはかられた当時の財政制度審議会の意見は、国債依存度は五%以下に引き下げたいという考え方を出されましたけれども、この考え方はもう現在政府としてなくなっているのか、それとも、安定成長のような事態になったときにこの五%に引き下げる考えがあるのか、その辺はどうなんですか。
○政府委員(長岡實君) 四十二年十二月の財政制度審議会の報告におきまして、御指摘のように五%という水準が示されたわけでございますが、この報告は景気の動向に応じまして、景気の上昇期には、税の自然増収に応じて公債依存度を引き下げて、景気停滞期においては、また公債政策を活用する余地をつくり出しておくことが必要であるという考え方に基づきまして、その場合の依存度引き下げのめどとして五%という水準が示されたわけでございます。そのような考え方は、現在におきましても、いわゆる財政の健全性、弾力性というものを確保する見地からは、当然私ども忘れてはならない考え方であろうかと存じておりますが、同時に、先ほど申し上げましたように、四十八年度の予算編成の基本方針の中で、財政規模を決定いたします際に、国民福祉の向上というようなことにこたえ得るような財政規模という角度から、公債の景気調整機能に加えまして、先ほど申し上げましたような資源配分機能をも活用させるという角度から、今回の財政規模がきまったような次第でございます。ただ、その資源配分機能の活用という角度から、財政需要が大きければ大きいだけ公債を幾らでも発行するかというような考え方は私どももとっておりませんので、そのときどきの経済情勢の推移を見きわめ、また税の自然増収等の傾向も見きわめながら、おおむね妥当な範囲内に公債依存度を押えようという努力は今後とも続けてまいりたいと、かように考えております。
○多田省吾君 次にお伺いしたいのは、今回の税制改正の目玉の一つが、事業主報酬制度の創設でありますけれども、この制度が所得税の基本税制の本法の中に入らないで、これから出る特別措置の中に入れた理由、これをまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(大倉眞隆君) 事業主報酬制度の創設につきましては、かねてから非常に時間をかけ、また複雑な問題として、税制調査会でも特別の部会を設けていただいて、詳細な御検討をいただいたわけでございます。昨年暮れの税制調査会の答申におきましては、やはりこの制度を創設いたしますと、給与所得者と事業所得者の間、事業所得者の中で、青色申告者と白色申告者の間、さらには、問題の波及いかんによりましては、同族会社の代表役員ないし家族従事員と個人事業者の間に、いろいろ複雑な負担関係の変化がやり方によっては起こり得るから、そういう問題を考えると、いまこの機会にこの問題を所得税の基本的な仕組みの中に取り入れるのは適当でないという答申をいただいたこと、これは多田委員よく御承知のとおり、またそれを踏まえての御質問だと思うわけでございますが、それを受けまして、政府といたしましては、一方、何年来の懸案であり、特にこの制度創設を主張しておられます側からの一つの最大の問題点でございまする個人事業主と、同族法人経営との間の税制上の取り扱いの差異を、何としてもこの際解消すべきではないかという問題がございまして、その最後の角度を取り上げて、青色申告を一そう普及助長し、青色事業者の経理の明確化をはかる、それによって個人事業経営の明確化、近代化をはかるという特別措置として本件を採用するのが適当である、かような判断に達した次第でございます。
○多田省吾君 次に、事業主報酬制度創設そのもの自体は、一歩前進の評価はできるわけでございますけれども、三千万人に近い給与所得納税者との格差というものは、従来より一そう開くことになりますが、以前から問題になっておりました給与所得者との格差是正のための特別控除、これをなぜ今回の改正で盛り込まなかったかという点、これはどうですか。
○政府委員(大倉眞隆君) この問題の議論の過程におきまして、確かに御指摘の要素が非常に大きく論議されたわけでございます。したがいまして、税制調査会での審議促進のための一種の仮案が提示されました段階では、みなし法人課税を行なう場合においても、事業主報酬部分については、給与所得控除を二分の一適用してはどうかという考え方もあったわけでございます。しかしながら、今回の御提案申し上げております内容は、その二分の一ということをいたしておりません。なぜかと申しますと、それは、二分の一という扱いをすれば、私先ほど申し上げました、個人企業と法人企業との間の税制上の取り扱いの差異というところが、そこでまた食い違ってまいります。それを調整するためには、むしろ同族法人の代表者給与について、給与所得控除を削減するという方向で調整するのか、あるいは、みなし法人課税のもとにおいては、同族法人給与の取り扱いと全く同じように、給与所得控除を全額与えるということで調整するのかという点が、最後まで議論となったわけでございますが、結論といたしまして、今回は、経営実体が法人企業と全く同じであるというところまで判断できる場合には、税制上の取り扱いもほぼこれをひとしくする——厳密に申せばまだ差異は残っておりますけれども、ほぼこれをひとしくするということに、青色申告の育成助長の視点を求めたということでございます。したがいまして、バランス問題としては何が起こったかと申しますと、いままでの制度のもとで、一般のサラリーマンと同族法人の代表者ないし役員の負担との間にもしバランスがくずれていたとすれば、その同じバランスのグループの中に青色が入ってきたということはいえようかと思いますが、いままでの同族法人の扱いと、一般サラリーマンの負担というものは、まあ、長年そういう仕組みのもとで、それはそれなりにある落ちつきを持っておったということも申せましょうから、その意味で申せば、いわば個人の青色企業でこの制度のもとに選択をする方々は、私法上は法人になっていないけれども、税法上は法人になってしまったというふうに考えるということになろうかと思います。
○多田省吾君 次に、従来から、この個人事業、それから、法人企業の税負担の均衡のために事業主報酬制度を設けるべきであるという意見がありましたけれども、政府は国会答弁で、いままではこのように言っております、 事業主報酬といっても、事業の経理上事業主が自分に対して報酬を支払うことを想定するものであり、報酬を支払う者と受け取る者とは同一人たる事業主であって、経済的実体は何ら変わるところはないにもかかわらず、報酬を支払うという擬制をとることによって税負担だけを変動させようというものにすぎない。しかも、事業主報酬の額のきめ方いかんによって税負担が変動するというのも問題がある。と、このように答弁してきたわけでありますけれども、こういう考え方がいつから変わったのか。 それからまた、税制調査会では、事業主報酬制度の創設は、事業所得者と給与所得者の税負担が一そう不均衡になるとして創設には反対した。と、このように聞いておりますけれども、その真相はどうなのか。 この二点お伺いしたいと思います。
○政府委員(大倉眞隆君) 従来の政府答弁で、ただいまおっしゃいましたようなことをお答えしておったと思います。ただ、その前提は、今回御提案いたしておりますような、みなし法人課税制度ではございませんでした。個人所得税の中の事業所得につきまして、事業主報酬と思われる部分について給与所得控除を適用し、残額については通常の事業所得課税を行なうという考え方での事業主報酬制度についての問題点をお答え申し上げておったんだと思います。そういう制度でございますると、いままでのお答え申し上げておったことは、やはりそのまま問題点として残されておるだろうと思います。 今回の制度は、みなし法人課税を選択した個人事業主につきましては、もはや事業所得という概念が分解されまして、給与所得部分とみなす法人所得部分に分解される。その意味で、私が申し上げましたように、税法上だけ法人になってしまったという制度で押えますので、この制度につきまして、必ずしも、従来と同じような非難と申しますか、が適用する、というわけでもない。かたがた、ある程度自分で任意に報酬をきめられるという仕組みはもちろん残っておりますけれども、それを年末なり、申告時期になって、自分の所得の大きさに応じて上げ下げして負担を変えるという制度にはなっておりません。これは、事前に自分で妥当と思う報酬額を届けていただいて、それを届け出どおりに毎月経理していただき、源泉徴収もしていただくという制度になっているわけでございます。 なお、税調での審議の模様につきましては、詳しく昨年暮れの答申の中に書かれておりますが、特にはしょって申し上げますれば、先ほど来御指摘になっております、一体、所得種類別、あるいは企業形態別の負担というものが、これによってどの程度動くのか。ここのところになお問題ありということで、基本税制に取り入れるのは適当でないという御意見のほうが数としては、圧倒的に多うございました。もちろん中には、この制度をとにかく青色育成のために採用すべきだという御意見の委員もおられたわけでございますが、税制調査会は、従来から、少数意見を特記するとか、あるいは採決によるとかいうことをいたしておりません。多数意見のおもむくところで結論を出すという運営をしてきておられますので、税制調査会の結論といたしましては、いま申し上げたような結論になり、それが答申の内容に盛られておる、そういうことでございます。
○多田省吾君 この個人事業主の税負担を法人並みの水準に引き上げて格差を是正する、こういう方針ならば、現行の青色申告控除、あるいは個人事業税の事業主控除、こういったものを引き上げて調整するのが普通ではないか、常道ではないかと思いますけれども、この点はどうお考えですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 正直に申し上げまして、税負担の問題であるならば、四十六年改正で行ないましたような青色準備金というやり方もあり、あるいは四十七年改正で創設いたしました青色申告控除という考え方もあるんだと思います。負担の実態を見ながら、青色申告控除の額をきめていくということで税負担としては解決できるんだと、私は依然として思います。ただ、問題の所在が、先ほど申し上げましたように、繰り返しくどくて恐縮でございますが、個人企業と法人企業との税制上の取り扱いの差異を解消してくれというところにもっぱら力点がございまして、これによって減税を求めているのではないかということまで言い切っておられるわけでございますので、その意味では、今回のような制度改正という解決の方法しかなかったというふうに御了承いただきたいと思います。
○多田省吾君 国税庁の方にお尋ねしたいのですが、昨年、国税庁に納税者の声を聞く旬間というものを中心に、いろいろ不服や要望がたくさん寄せられたと思います。本にも何だか一万二千五百四十六件なんて書いてありまして、その中には、税制に関するものも非常に多いわけでございますが、その中で、所得税に対して非常に不満が強いものは、資料あるかないかわかりませんけれども、大体どういうことがわかったのですか。
○説明員(吉田冨士雄君) ちょっと手持ちの資料はございませんが、私の記憶しているところでは、税制とからめまして、税の負担の不公平の問題が一番多かったと思います。それを税制サイドで申しますと、医者の特別措置の問題、それにからめまして、なお税の執行でも、医者については十分な把握が行なわれているかどうかという点が一点でございます。 それからもう一つは、最近の不動産売買の実情にかんがみまして、不動産の取引の実態をよく十分に把握してほしいという点が第二点。 もう一つは、サラリーマンの問題でございまして、いわゆるただいま申しました税の把握とのからみもございまして、サラリーマンの負担はほかの所得に比べて非常にきつい。したがって、そういうものに対するサラリー以外の所得の把握については、一般論として、かなりしっかりやってほしいというような点が、一番大きなポイントだったというふうに考えております。
○多田省吾君 いまおっしゃるように、税制関係の、特に所得税関係の不満では、納得できる公平な税制、すなわち税の不公平を非難するものが二百五十九と、件数としても一番多かったですね。その次多いのがサラリーマン減税をせよ、こういう件数、これが二百二十八。そのほか所得税の減税として給与所得控除の引き上げ、あるいは有吉さんの問題にからんでいるかと思いますけれども、寄付金控除の適用範囲の拡大、こういったものもあったわけでございます。特に、やはり納得できる公平な税制というものも、そのほとんどがやっぱりサラリーマン減税ということを強く求めているんじゃないかと、このように思われます。 そこで、数字上の基本的な問題でありますけれども、昭和四十六年のしかまだ出ていないと思いますが、所得税納税者の数、それから、その中で給与所得者納税者の数、これが大体どの程度になっているかおっしゃってください。
○説明員(吉田冨士雄君) 四十六年分でございますが、確定申告者の数は四百三十七万人でございます。それから、いまおっしゃいました給与所得者の数は、われわれとして把握していますのは、源泉徴収義務者の段階で把握しておりますので、 給与の源泉徴収義務者は百九十五万人でございます。 それから、いまおっしゃいました給与所得者自身は、実は税の統計としてはまっすぐ把握しておりませんが、われわれが推定いたしておりますのは、二千四百三十万人でございます。
○多田省吾君 昭和四十六年度の給与所得者の数が二千四百三十万人。そうすると、所得税の納税者全員は、まあ三千万人近いと思いますが、その数はどうなっていますか。
○説明員(吉田冨士雄君) それじゃ、見積もりも入っておりますので審議官のほうから。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいま国税庁直税部長が申し上げました四十六年の数字と同じようなつかまえ方をいたしまして、見込みを立てております数字を申し上げますと、四十七年の見込みでは、源泉分の納税者が、二千六百七十九万人、申告分が四百三十七万人、それを合計いたしますと三千百十六万人。なお、今回の税制改正後の四十八年の見込みといたしましては、源泉分の給与所得納税者が二千八百四十七万人、申告分が四百五十万人。これを単純合計いたしますと三千一百九十七万人ということに相なりますが、御質問は、その納税者総数ということであるといたしますと、実は給与所得の源泉徴収を受けて、なおかつ申告をするという方の数が近年だいぶふえておりまして、申告所得者の中に相当数そういう方がいらっしゃると思いますので、総納税者数は、正確なことはわかりませんのですが、ただいま申し上げた単純合計マイナス。アルファというふうに御了承いただきたいと思います。
○多田省吾君 いまおっしゃるように、正確な数はつかめないかもしれませんけれども、いわゆる納税者が三千万人をこえるような、あるいはほぼ三千万人に近いようなそういう数は、全人口の三分の一に近いわけでございますけれども、しかも、先ほどあげましたように非常に苦情が多い、税の不公平を嘆く声が多いというのは、やはり負担力の高い大法人の法人税が非常に低い、あるいは高額所得者に対する所得税が低い、その他のいわゆる租税特別措置等もたくさんあります。また、負担力のきわめて低い勤労者に対する課税が非常に厳格であり、また十割全部取っていくというような姿があるわけです。そこからトーゴーサンとか、いろいろな問題も起こっております。で、いままでの所得税は、取り過ぎ分を一部調整すると、こういうやり方でございまして、物価上昇を考えれば、きわめてこれは不満のあるものでございます。所得弾性値を考えましても、午前中も論ぜられたそうでございますけれども、所得のふえ方よりも、税負担の増大のほうが大きい、所得の低いほどその度合いが大きいと、こういうことになっております。当然、この前も田中総理等も、衆議院において、いわゆる給与所得控除を大幅に引き上げるようなことも申しましたけれども、本来ならば、この四十八年度の税制改革でたされなければならない問題であります。これがこのようになおざりにされている。非常に残念でございます。 それで第一番目にお伺いしたいのは、免税点の引き上げということでございますが、昭和四十八年度は、標準家族で百十二万円。しかし、昨年九月の電機労連の標準生計費調査なんか見てみますと、月十六万六千二百二十五円、年に百九十九万四千七百円もかかると。こういう実情からいたしますと、私は、まだまだ今後免税点の引き上げということは持続して考えるべき問題である。各野党はともに百五十万円を主張しているわけでございますけれども、昭和四十九年度以降どのようにお考えになっておるのか、まずこの点をお伺いしたい。
○政府委員(大倉眞隆君) けさほど来、所得税の課税最低限につきまして集中的に御論議をいただいておるわけでございますが、私どもの考え方といたしましては、いままで毎年努力して、ずいぶん、ある意味ではいいところへ来たなということは、これはまず申せるのだと思います。従来の経験からいたしましても、四十五年ごろには、何とか夫婦、子供三人で百万円というふうなことを議論され、それがいまや夫婦、子二人で百万円を突破し百十五万円になり——平年度でございますが、また、けさほどの御討議の過程で出ましたように、国際的に見てもまあまあという水準にとにかく来たと。これは毎年の税制改正の積み重ねの成果であると思いますけれども、しかし、これでいいという意味ではございません。今後とも、所得が上がり、あるいは物価が動くということに応じまして、課税最低限の引き上げは、毎年の所得税改正の大きなテーマとして引き続きその引き上げに努力してまいりたいということは、私どもとして考えておるわけでございます。
○多田省吾君 次に、税率の問題でありますけれども、いまの税率では、低所得者層ほど税率が急上昇していくような構造があるわけでございます。現在、四十万以下が一〇%、八千万を超過すれば七五%、十九段階になっております。下のほうから二%区切り、三%区切り、あるいは上のほうは五%区切りと、こういう刻み方でございますけれども、低所得者層ほど小刻みである。これは弾性値を考えましても、非常にこの辺は負担が急上昇する傾向にあります。これは当然、所得の増加に伴って、一つには税率を変更する必要がありますけれども、この税率区分も、高所得者部分ほど急上昇するような方式に改めたほうがよろしいんじゃないか、また改めるべきではないかと考えるのでございますが、この税率の問題は、将来の問題としてどうお考えでございますか。
○政府委員(大倉眞隆君) これは所得税の基本的な構造の問題の一つでございまして、詳しく申し上げれば相当の時間がかかると思いまするが、多田委員よく御承知のとおり、シャウプ税制ができまして以後、四十五年改正まで長いこと所得税の税率は五%刻みでできておりました。また、その五%を適用する階層——私どもブラケットと申しておりますが、そのブラケットの刻み方を、いわば幾何級数的に刻んでおりました。端的に申せば十万円、二十万円、四十万円、八十万円、百六十万円というような刻み方をしておって長く続いておったわけでございます。そういう構造に伴って出てまいります問題点というものをしさいに吟味していただきましたのが、四十三年夏の税制調査会の答申でございまして、これを受けまして改正いたしました後の姿が、いまおっしゃいましたように中以下の階層につきましては限界税率の上がり方の幅を小さくする、つまり二%刻みにする。まん中へいって三%刻み、上にいって四%刻み、一番上で五%刻みにするということにし、しかも、適用のブラケットのつくり方をいわば算術級数的に置きかえる。三十万でつくれば六十万、九十万。それを改正して四十万でつくり八十万、百二十万というふうに、いわば算術級数的につくる。そういう技術を用いた結果がどうなったかということは、中以下の階層におきまして累進度が非常に緩和されたわけでございます。それが実効税率のカーブとしてごらんいただけば、四十三年以前の所得税の実効税率のカーブ——カーブの傾斜そのものは税負担の総額によって左右されますけれども、カーブの描く姿は、累進税の累進度が中以下の所得層において大きく緩和されるという姿の改正を二年がかりでやらしていただいたわけでございます。したがいまして、今後とも所得税の構造のあり方としては、私は、いま持っておりますような構造のほうが、昔の日本の税のような、あるいは一部の国にあるような税率の階段を、階段と申しますよりも限界税率の刻み方を大きくしておいて、適用ブラケットを幾何級数的にふやすというものよりはいいだろうと。この私どもが採用さしていただいておる税率が、実効税率の累進度をながめる場合には最も難のない姿になっているのだろうと思いますけれども、なお、この問題は、今後とも基本問題でございますから十分研究さしていただきたいと思います。 なお、もう一つ御指摘の中にございました、所得が動き物価が動いた場合に税率のブラケットをいまのままにしておいてはいかぬではないか。と、これはそのとおりだと思います。これは御指摘のとおりだと思いますが、まあ、しかし、この税率のほうは、毎年毎年手をつけるというわけにもなかなかまいりませんが、適当な間隔を置きまして、終始その時点での所得水準なり所得階層の大きさに応じた調整を加えていくべきものと、このように私どもは考えております。
○多田省吾君 このたびの改正で事業主報酬を認めたわけでございますが、今後はサラリーマン減税を、四十八年度では非常に少なかったわけでございますから、四十九年度は根本的にはかるべきである。あるいは税制に関する国税庁に対するいろいろな要求にしましても、給与所得控除の引き上げとか、あるいは税率の問題も出ているわけです。田中総理も、衆議院で、四十九年度改正では大幅にサラリーマン減税をしたいと、こういう考えを述べたといわれておりますけれども、中には、収入の三〇%を一律に控除するんだとか、あるいはことしに引き続いて課税最低限の大幅引き上げとか、また税率の問題、いろいろな改正のしかたがあるわけでございますが、大蔵省としては、四十九年度改正、サラリーマン減税の方向はいま現在どのように考えておられるのか。
○政府委員(大倉眞隆君) 四十八年度改正を御審議いただいておる最中でございまするので、四十九年度改正についての具体的な作業は申しわけございませんがまだ進めておりません。しかし、考え方といたしましては、大蔵大臣も何回か御答弁申し上げておるように、所得税減税はできるだけ考えたい。その場合、サラリーマン減税が中心になるという考え方でやってみたいということをおっしゃっておるように思います。その具体的な方法といたしまして、けさほども実は御議論出ておったかと思いますが、一律三割控除というのは、いまの制度が複雑過ぎる、わかりにくいという意味で、確かに一つの御指摘であろうとは思うんでございますけれども、多田委員よく御承知のとおり、いまの給与所得控除の仕組みは、たとえば、年収五十万円でございますると、控除割合といたしましては四五・六%になっておりまして、年収百万円では三二・八%になっております。大体年収百二十八万円までのところは三〇%よりも多いわけです。したがって、一律に三割控除を適用するというのは、実は年収百二十八万をこえる人だけに減税があって、その下の人はほうっておけばむしろ増税になると、そんなことできないと思いますけれども、ほうっておけばむしろ増税になる。百二十万円の人は増税も減税もなし、ゼロと。こういうことになりますので、いまの御提案をなさっておる向きに対しましては、私ども実はこういう問題が隠れておりますから、階層別に収入金額別にいままでの負担に比べて無理がこないように、しかし、趣旨としてはなるべくわかりよくして、しかも、中以下の所得層に減税がいくように、そういう姿でひとつくふうさせていただきたいということを申し上げておるのがいまの段階でございます。
○多田省吾君 先ほど申しました国税庁に対する不満の中で、当然必要経費の実額控除と、これが一番大きな問題でございます。それがなかなかできないということで、こういったいろいろな方法が考えられるわけでございますけれども、これは当然あってしかるべき問題でございます。 それから、申告納税にせよという問題、これもいろいろな理由を設けてなかなかやろうとしない。そのほかサラリーマンからは、現物給与の非課税限度額引き上げとか、あるいは通勤手当の全額非課税とか、あるいはパートタイマーへの所得税減税とか、こういったものも非常に強く要求されておりますけれども、こういった要求に対してどうお考えになりますか。
○政府委員(大倉眞隆君) 非常に多岐にわたる御質問をいただきましたが、まず必要経費の実額控除という考え方、これは長年議論され、また近来特にその声が強くなっておるということは、私ども十分承知しておるつもりでございます。ただ、またそんなことを言って逃げまわるといっておしかりを受けるかもしれませんが、そういう意味でなしに、ほんとうは必要経費というのは一体何であろうかと、どこまでが必要経費であろうかということが、実はまず解決すべき最大の難問でございます。せびろを買ったらそれは全部必要経費だとか、あるいはワイシャツの洗たく代というのは、どこまで必要経費だとか、外で食事をしたらどうなるのかというような、もろもろの問題がすべてある程度のコンセンサスができてまいりませんと、実額控除というときに、いたずらに争いばかりが起こってしまうという危険がある問題でございまするので、私どもなりに給与所得者の必要経費というのは、一体どの範囲までのものであるのかというのを一生懸命勉強はいたしておりますけれども、遺憾ながらなかなかこれだという結論が出てこない。したがって、そういう情勢のもと におきましては、先ほども申し上げましたように、かなり高い控除割合にすでにいまの給与所得控除がきておりますので、この給与所得控除の中で、言われております必要経費というものは、ほとんど完全に吸収しきれておるんではないかと私ども思っておるもんでございますから、その意味で、給与所得控除という方式を用いたほうが現実的ではなかろうかと思っておるわけでございますが、しかし、最初に申し上げましたように、ますますその声の強くなってきておる問題でございますから、今後とも私どもとしてできるだけの勉強は続けさせていただきたい、かように思います。 第二点の、現物給与の問題につきましては、これもまたおしかりを受けるかもしれませんが、実は現物給与というのは、相なるべくは現金給与に切りかわっていくということのほうが、いろいろな意味でむしろ望ましいんではなかろうかなという気もいたします。まあ、しかし、それは賃金体系の問題でございますから、税のサイドからとやかく申すのはおかしいのかもしれませんが、現物給与についての非課税限度というものを、税でどんどん引き上げていくということは、それは税制としてもやや疑問があると、むしろ現物給与といえども、それは給与としてその方の所得を構成する、その大きさに応じて負担をしていただくということにならないと、現物給与の形をとれば、実質所得がふえても、税を払わないで済むということは、必ずしも制度として万全とは申せない、むしろ現物給与の非課税というのは、ある意味での少額不追及と申しますか、そこまで重箱のすみをつつくようにして、おまえこれは現物給与じゃないかとまで言わなくてもいいじゃないかというような感覚でできておる制度ではなかろうかと私どもは思っております。 通勤手当の問題は、御承知のように、現在通常必要であろうと思われる部分までは非課税ということにいたしておりまして、通常必要であろうと思われる部分というのが、またなかなか税務だけでの判定もむずかしいということがございまして、原則として人事院の国家公務員に対する通勤手当の勧告にそのまま税が乗るということで処理させていただいておるわけでございます。
○多田省吾君 それからパートタイマーは。
○政府委員(大倉眞隆君) 失礼いたしました。 パータイマーの問題は、おそらく御指摘にあります中心の問題は、奥さんの収入がどの程度までならば、だんなさんの税がどうなるかというあの問題だと思うのでございますが、現在は、奥さんの所得が十五万円までの場合には、だんなさんのほうにも配偶者控除を認めるということになっております。その十五万円というのは、給与換算いたしますと——ちょっといま正確に申し上げますが、所得で十五万円でございますので、給与の収入としてはもっと大きくなるわけでございます。そこまでは奥さんはもちろん課税されないし、だんなさんのほうも配偶者控除を与えられる、そこよりも上になりますと、奥さんのほうはまだ課税は起こらないんですが、奥さんのパートタイムの収入には所得税はかからないんですが、だんなさんのほうの所得税について配偶者控除がなくなってしまうという問題があります。おそらくその点の御指摘だろうと思います。先ほど申し上げました十五万円というのを、給与の収入に換算いたしますと、今度の改正案の平年分では三十四万八千円でございます。したがって、階段がいわば二つあるわけでございまして、三十四万八千円までならば、奥さんの税はかからず、だんなさんにも配偶者控除がある。それから、独身の課税最低限でございます、約四十四万円だったと思いますが、平年分で。そこまでであれば、依然として奥さんは税金はかからないけれども、だんなさんの配偶者控除がなくなって、だんなさんの税が、配偶者控除額掛ける限界税率分だけふえる、こういう問題がございます。これは収入がちょっとふえたら、だんなさんの税が変わるという問題を基本的に解消するためには、むしろ、奥さんの所得額を、だんなさんの配偶者控除額から差し引くということにいたしますと、ある水準を越えたときに、急に一つの段差ができるという問題は片づきます。事実シャウプ税制のころの考え方はそうでございました。奥さんにかかわらず、扶養親族でございましても、扶養親族の所得があれば、その所得の分だけは扶養控除を減らしていく、所得がふえるに従って落ちる、そうすれば段差は消えるのでございますが、それはそれなりに非常に複雑な制度でございまするし、そこまでいわなくてもいいではないかというふうに割り切っているのがいまの制度でございます。したがいまして、この問題は今後とも、十五万円という所得限度がいいか悪いかという問題とあわせまして、制度的に改正するかどうかを考えさせていただきたい、かように思います。
○多田省吾君 次に、未成年勤労者あるいは勤労学生に対する所得の非課税措置、これが四十八年度の税制改正でなぜ検討されなかったのか、これが一点。 それから第二点は、今度東畑会長が、四十九年度税制改正では、未成年勤労者を非課税にしたい、こういう意向を漏らして、田中総理も前向きに検討したいというような答弁をしているわけでございますけれども、その場合、勤労学生についてはどういう考えなのか。これは総理じゃないとわからないと思いますけれども、大蔵省として、四十九年度の改正で、未成年勤労者とともに、勤労学生に対してどういう考え方を持っているのか。この二点をお伺いします。
○政府委員(大倉眞隆君) 未成年者問題は、かねてからいろいろ御論議をいただいておりまして、四十八年度改正におきましても、なおざりにしておったというわけではないのでございますが、諸般の経緯から、四十八年度改正におきましては、この問題を特に取り上げるということはなされておりません。先般来、当委員会でも御質問があったかと思いまするし、衆議院大蔵委員会、あるいは予算委員会などでも御論議が出ておりまして、総理大臣、大蔵大臣ともに、未成年の給与所得者が、相なるべくは所得税を負担しないで済むことができれば、考え方としては非常に望ましいことだと思う。一挙にそこまでいけるかどうか、これはまたおのずから全体の姿を見ながらやらなくてはならぬと思うけれども、方向としては、そういう気持ちを胸に持ってやっていきたい。という趣旨の答弁をしておられると思います。ただ、それが具体的なやり方といたしまして、未成年者控除という特別の控除をつくることによるのか、あるいは未成年者の実際の給与水準を見ながら、いわば独身の給与所得者の課税最低限を引き上げて、実質的に所期の目的を達する方向へいくという方式のほうがいいのか、その辺はもう少し研究をさせていただきたいということもつけ加えておられると思います。 いずれにいたしましても、この問題はやはり御論議をいただいておるわけでございまするし、四十九年度税制改正におきましては、形はどうであれ、そういう思想をできるだけ織り込めたいし、そういうものとして、四十九年度の所得税改正を考えてみたいという気持ちでございます。なお、その場合に、勤労学生控除なり、勤労学生の負担がどうなるかという問題もあわせて研究いたすことになろうと思いますが、かりに、独身の給与所得者の課税最低限を、いま申し上げたような感じで引き上げの方向に努力するといたしますると、そのことは同時に、勤労学生の課税最低限を、いわば自動的に引き上げていくことになります。それが一つの解決である。かりに、未成年控除というふうな特別の控除をつくるとなれば、その控除額がいい悪い、またその控除と勤労学生控除との重複関係をどう考えるかというような、ある程度技術的な問題になろうかと、さように考えております。
○多田省吾君 次に、寄付金控除でございますが、これは控除限度額を所得の一五%から二五%に引き上げたわけでございまして、昭和四十六年における寄付金控除の適用状況、これは何も階層別でなくてもよろしいのですが、大体何人くらいあって、金額はどのくらいか、それから、寄付金控除額はどのくらいか、それから、できれば項目、いろいろあると思うのですが、その項目は大体どの程度になっているのか、可能な限りひとつ簡明にお答え願いたい。
○政府委員(大倉眞隆君) 私どもでわかる限りの資料を調査室のほうへお届けいたしましたので、当委員会の調査室でおつくりになっておられます参考資料の二一ページに入っておるようでございます。これで申し上げますと、四十六年分の所得税の寄付金控除の適用を受けられた方の総人員は五千三百六十人、寄付金額の総合計が三十一億九千六百万円、これに基づきます寄付金控除額が十六億四千万円ということでございまして、一人当たりの寄付金は五十九万六千円、一人当たりの寄付金控除額は三十万六千円。なお、階層別もある程度わかっておりまするので、なお、御質問があればお答えいたしますが、寄付の相手方別の統計というのは実はございませんので、その点は資料の持ち合わせはございませんので、御了承いただきたいと思います。
○多田省吾君 いろいろな項目はわかりませんか、どういうものが一番多いかというような。
○政府委員(大倉眞隆君) 税務統計では、申しわけございませんが、そういう統計項目をとっておりませんものですから、総体としてどうかということが遺憾ながらわからないのでございます。ただ、両三年前に都内の一、二の税務署である意味の実態調査的なことをやったという記憶があるわけでございますが、そのときには、やはり社会福祉法人とか、学校とか、そういうところへの寄付が非常に多かったという印象を持っておるそうでございます。
○多田省吾君 所得税法第九条に規定する非課税所得というものは、この前も質問いたしましたけれども、社会保障政策的なもの、あるいは担税力のきわめて乏しいもの、実費弁償的なものをあげて規定しておりますけれども、十分な担税力がありながら、所得の捕捉が困難であるとか、あるいは税務執行上の面、行政上の便宜から非課税所得をしているというものが二つあるわけです。これはこの前のいわゆるキャピタルゲインに対する課税、有価証券の個人の譲渡益と、それから、選挙時における立候補者に対する政治献金だと思いますけれども、この二つは、これは性格から考えても、特別措置法に規定すべき問題です。それから、できればこの二つとも非課税にしないで、課税してもよろしいのではないか。立候補したときの陣中見舞についての非課税なんということは、そんなに適用されておりませんし、実際、こういうものが適用されているかどうか、つかんだことがあるのですか。 それから、キャピタルゲインの課税、これは前からいわれているように、これは当然課税すべきだということが多いわけですからこの二つは、やはり非課税じゃなくて課税する、課税するにしても、これはこういう本法に入れておくべき性質のものじゃない、別途特別措置に規定すべきものではないかと、このように考えますけれども、どのようにお考えでございますか。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいまおっしゃったような御議論は確かにあろうと思います。特別措置というふうに呼びならわされておりますものの中でも、規定の場所が必ずしも特別措置法にあるとは限らないというのが現状でございます、その意味では、今後の問題といたしましては、規定すべき場所をどこにするかというのは御指摘のような趣旨も体しまして、そのつど十分慎重に判断いたしたいと思います。まあ、譲渡所得の非課税はずいぶん前、もう二十年ぐらい前に入った規定でございまして、そのころには、必ずしもそれを所得税法に規定するか、措置法に規定するかということを、それほど詰めて議論していなかったのかもしれませんが、今後は、御指摘の趣旨を含めまして、そういう角度からも法案の立案に十分注意いたしたい、かように思います。
○多田省吾君 次に、人的控除の引き上げの問題ですが、今回のは、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除、これは現行の十二万円から十三万円、一万円アップ、非常にこれはみみっちいわけです。障害者控除も十二万円から十三万円、一万円アップ。老人扶養控除は十六万円から十九万円、三万円アップですか、それにしても、非常に少な過ぎる控除引き上げではないかと思います。これは四十九年度からは、この控除の引き上げをもっと大きく考えるべきだと思いますけれども、これはどうお考えになりますか。
○政府委員(大倉眞隆君) こういういわゆる補充的人的控除と申しますか、そういうものについてもそれぞれのお立場から、たとえば、寡婦控除をもっと上げろ、あるいは勤労学生控除が一番大事だとか、あるいは障害者控除こそ大事であるというふうないろいろの御意見がございまして、それらを最後に、今回の提案いたしておりますような姿にまとめさせていただいたわけでございますが、まあ、別になまいきなことを申すつもりは毛頭ございませんけれども、給与所得中心ということになりますれば、どうしてもそちらまで手が回らず、また、そちらへ手を回すとすれば、それなりにまたよそがうまくいかないというふうな全体にそれぞれからみ合った問題でございますので、しかし、こういう補充的人的控除も、ほうっといていいんじゃないという御指摘として十分承りまして、来年の改正の作業をやらしていただきたいと思います。
○多田省吾君 時間ですので、最後に、物価との関係で二、三まとめてお伺いします。 第一には、消費者物価上昇に伴う所得税の物価調整減税の所要額は、四十八年度では千三百七十億円程度を試算しておるようでありますけれども、この額は、所得税の課税最低限を、消費者物価の上昇率だけ五・五%と見通して引き上げるとした場合の試算でございますが、これは物価上昇による名目所得増により、新たに課税最低限を越えるもののみを調整するだけでございます。納税者全体の物価上昇による負担急増を考えますれば、この試算でははなはだ少ないんじゃないか、これはもっと大幅にこの物価調整減税というのは考えなければならない問題じゃないか、これが第一点です。 第二点は、これ関連した問題でございますけれども、最近のいろいろな経済指標にあらわれた物価動向というものが、非常にしり上がりに多いわけです。それから、最近は、特にいろいろな大商社の買い占め問題、こういったことも起こっておりますので、三月末の東京都の消費者物価が前年同月比の九%、このように急上昇している。東京の消費者物価に限っては、四十年来最高の上昇率でございます。これは一部の商品投機のみじゃない、もう全般的なこれはインフレとも考えられます。で、政府経済見通しの五・五%におさまる見込みは全くない。そうしますと、五・五%の試算基礎は、もうくずれ去ったと見るべきで、こういう点からもっと物価調整減税所要額を改正すべきじゃないか。それから東畑会長なんかも、四十八年度補正予算において云々と言っておりますけれども、田中総理はこれを否定しておるわけでございますが、これは当然考えていい問題だ。 それから第三点は、二兆五千六百五十六億円をこえる自然増収が予想される中で、四十八年度の所得税減税は、初年度でわずか三千百五十億円、給与所得の自然増収額は七千百九十九億円でありますけれども、これに対する減税額はわずか二千七百六億円、こうなっております。ですから、年収二百万円程度の四人家族で見ますと、毎月わずか千円程度の減税でございます。ところが国鉄、健保、年金掛け金あるいは公共料金の大幅値上げ、あるいはものすごい消費者物価の上昇、こういったことを考えますと、サラリーマンの生活というものは、ますます増大する一方で、苦しくなります。で、このような毎年五%あるいは五・五%をこえるような物価上昇の中でのこういうわずかな減税、わずかな福祉政策では、もう全然国民生活は苦しくなる一方だ、こういう点から考えればもっともっと物価上昇期における所得税減税というものは大きく考えるべきじゃないか、このように思います。これは消費者物価から見たものだけでもそういう考え方になるわけでございます。こういう物価と所得減税に対する考え方をどのように考えておられるのか、この三点について簡明にお答え願いたい。
○政府委員(大倉眞隆君) 一番最初の千三百七十億円という計数は、これは五・五%という前提で、諸控除を引き上げた場合の所要減税額でございまするので、新たに納税者に入ってくる方々についてのみの調整額ではございません。全納税者を対象として計算してみた数字でございます。物価が現在の政府見通し以上に急増するようなことがあった場合には、年度内ででも減税をすべきではないかという御質問が、衆議院予算委員会でございまして、その委員会の席に私も入らせていただいておりましたが、大蔵大臣は、とにかく政府としては、五・五%におさめるために最大限の努力をするので、いま五・五%を突破したというときの御返事をいたす用意はございませんということを繰り返し申しておられたわけでございますが、御質問が何度も重なりまして、もし、そういうことが起こったら必要な措置をとるのか、こう言われ、それは必要な措置を考えるということになりますと答えられ、その必要な措置には減税も含むのかと言われて、減税を含んで検討いたしますというふうにお答えになったと、そういう経緯がございます。それを受けまして、衆議院大蔵委員会では、田中総理大臣に対して同様の御質問がございました。田中総理大臣は、減税そのものはやはり予算編成の一環として各年度で考えるというのが筋だと思う。したがって、物価の動きには十分注意を払うけれども、そういう問題を含めて減税というものは年度改正において考えたい、こうおっしゃったのでございますから、二人違うではないかという御指摘かとは思いますけれども、基本においてそう違っておるわけでもないんではないかという気もいたしますが、その辺はしかし、それぞれの大臣にもう一度お確かめいただくしかないのかもしれませんですが、今後も、しかし、物価の動きというのは常に税負担のあり方に関連して非常に大きな要素であるということは、これはもう申し上げるまでもないわけでございまして、今後の税制改正につきましては、この物価水準の動向というものを十分考慮して、適切な改正をやらしていただきたいと、かように考えております。
○栗林卓司君 今回の改正の御提案を含めて一言で言いますと、所得税の仕組みそのものは大きく残しながら、いろいろ問題があるので緩和をしたい、こういうように受け取れるわけです。しかし、その仕組みを残しながら緩和ということだけではなくて、全体についていまの時代から見てどうなんだろうか、そういう見直しもそのつどしてみるべきではないんだろうか。そんなところから、具体的に通勤手当を例にあげてお伺いをしたいと思います。 まず、最初にお伺いしたいのは、通勤手当が所得税の課税対象になる理由についてはどうお考えでございますか。
○政府委員(大倉眞隆君) 仕組みとしての考え方は、むしろ通勤手当も給与の一形態であって、これを給与の収入に取り入れて、収入の多い人は多いなり、少ない人は少ないなりの負担を求めるという考え方がまずあるだろうと思います。そうしておきながら、それを必要経費なり、あるいはそれにかわるものとしての給与所得控除というもので調整する、それが一つの考え方であろうと思います。しかし、現在の制度はそうなっておりませんで、通常必要と思われる部分の金額は、これは特に非課税として、そもそも取り出して非課税としてしまうという仕組みになっておる。それは御承知のとおりでございます。
○栗林卓司君 いまのお話、繰り返すようですけれども、課税最低限はきまっております。これが改定後六千円ということですけれども、一応課税最低限がきまったといいながら、たてまえはこれは給与の一部である、したがって、課税をいたします。ただし、六千円をどう評価するかは別にして、この額については控除します、たてまえは課税ということに立つわけです。その課税ということに立つ理由を実はもう一ぺんお伺いしたいんです。お伺いする理由というのは、従来通勤手当がそのように扱われてきた理由というのは、たとえば、つとめている雇用関係で考えますと、ある人は遠方から通ってきている。したがって、通勤手当がたくさん出る。ある人は近いから通勤手当がほとんど発生しない。果たしている業務の役割りに差がない。したがって、これは雇用している企業側から見ると、よけいに給与を払っている、こういうものが話の出発点の前提にあるんだ。そうかどうかまずお伺いします。
○政府委員(大倉眞隆君) これは、非常にむずかしい問題を御提起になっていると思うのでございますが、給与体系の考え方自身に実は二つあるんではないかと思います。何と申しますか、荷物扱いしては恐縮でございますが、自宅渡しと工場渡しというような——荷物扱いなんてまことに比喩が悪くて恐縮でございますが、給与というものは、職場に来てから働いてもらう、その部分に対して払うだけなんだという考え方と、そうではなくて、自宅からここへ来てもらうまでの費用もカバーするようなものを払うのが給与だという考え方と、どうも両方あるたうでございます。私の乏しい知識の中では、前者のような考え方は、比較的欧米には多いようでございます。しかし、日本の場合にはどうも後者のほうが圧倒的に多い。まあ、そういう現実を踏まえながら、税のほうも仕組んでいくということになるのではないかと思っております。
○栗林卓司君 おっしゃるように、欧米のほうでは、どのような通勤手段、どのような距離から通おうとも、それはおまえの負担だ。あくまでも、給与というのは、働いている事業所の仕事のやり方できめるんだ。これが欧米に強いやり方だ。賃金というのは、それぞれの国の歴史をしょうわけですから、欧米がそうだから、日本でもそうだということにはなりません。したがって、通勤手当を、全額か一部かは抜きにして、とにかく負担をしてきた。これは事実としてまず認めなければいけませんし、負担をしてきたものを所得税の対象だとまず見たわけです。その見た理由というのは、実は可処分所得がそれだけふえた、そういう読みかえをしたわけですか。
○政府委員(大倉眞隆君) その角度からの分析といたしましては、栗林委員がおっしゃるとおりだと思います。ただ、それが給与であるかどうか、これはまあ実態に応じて判断する問題である。それからまた、可処分所得が減っておるというところも、これもまあ、確かでございますが、その可処分所得の減っている部分が、一体生計費の一部であるのか、必要経費的なものであるのか、これはまたおのずから別の議論が出てこようかと思います。むしろ、元に戻って恐縮でございますが、そういうものは自己負担であるべきだという考え方をたどっていきますと、それは通勤時間の近い方はそれなりに、たとえば、住居費が高いかもしれない。遠くなれば遠いなりに、住居費は割り安であるかもしれない。それらすべては、被用者の判断としての所得の処分の形態の問題であって、必要経費の問題ではないんだという、まあ冷たいと申しますか、何と申しますか、そういう突っぱねたものの考え方というものはやっぱりあるであろうと思います。
○栗林卓司君 この問題というのは、そういう議論が出てきます。そこで、そのつど見直しの必要はあるまいかということで、質問しているのはそこなんです。それが通勤費というのは、個人が負担すべきものである。あるいは企業が手当てをして負担すべきものでる、云々という議論というものは、実はそのときの状況から見ますと、勤務と自分の住居の関係がそれぞれ自由に選択できる場合、これはおまえの負担だと言われてもあまり文句が言えないんです。ところが、いま日本の企業というのは、いまに限らず、終身雇用です。終自雇用している会社がどこに立地をするかということは、働いている人は参加もできなければ、決定権にあずかれないんです。したがって、まずつとめたら、それっきり。あとは、どこに立地されるかはわからない。加えて配置転換ということになりますと、これは完全にもう自分の自由意思を抜け出ている。加えて、自分の住居を求める、自由に選択できますか。両方とも不自由なんです。そうなっていった場合に、この通勤手当というのはどう見たらいいのだろうか。確かに所得税ということになりますと、よくいわれますように、これは国民の負担能力に適した租税である。所得の再分配に効果的に寄与し得る租税である。そういうものになじむ所得なんだと、もうこれはいまおっしゃったことは、十年前の理屈ならよくわかるんです。そのころよく言われました。住宅手当、家族手当あるいは通勤手当ということが、当時のたいへん新しがり屋の経営学者がたくさんいたころ問題になった。いまになりますと、両方とも選択できない。そのときに、これが所得税の対象としてほんとうになじむのか、あらためてお伺いしたい。
○政府委員(大倉眞隆君) まことに鋭い御指摘なんでございますが、やはり私は、いわば青天井で、幾らかかろうとも、どのように多額であろうとも、それはそもそも給与の一形態ではない。したがってまた、本来収入と考えるべきものでないというところまでは割り切れないというふうに感じております。
○栗林卓司君 大蔵委員会の議題から少し離れるかもしれませんけれども、個人が負担したほうがいいのか、雇用主である企業が負担したほうがいいのか、この辺について、一つの例をあげながら御意見を伺いたいと思います。 四十五年度の国勢調査によりますと、一日、東京都区部に外から入ってくる人、通勤、通学者、百九十万人。都区部から外に出ていく人、三十一万人、合計すると二百二十一万人という人が動くわけです。ところが、東京都区部に住んでいる人が、東京都区部に勤務地をかりに求められたとしたら、三十一万人は出ていかなくていいんです。したがって二百二十一万人動いていた数というのは百五十九万人に減るんです。何とそれだけで三割減なんです。これがいまの過密問題であり、交通問題であり、きわめて今日的な都市問題になっているわけです。そのときにこれをどう解決するかということになると、住宅政策をどんなにいじったってだめなんです。これは雇用先と住居との非常に錯綜した関係で成り立ってくるわけです。たいへん議論するようですけれども、そのときにこの問題を解決するきめ手というのは、企業の立地政策、雇用政策の中に、どこから通っているんだ、どのぐらい遠くにいるんだということが織り込まれてないといけない。そうなりますと、この通勤費というのは、実は所得税の対象で所得なんだとかっては言ってきたんだけれども、これからは、営業経費の一部として全額見なさい、遠くから通っているんで、たいへん経費がかさむんだったら近くに移ったらどうか、あるいは近くの人と職場を交代したらどうかということまでしていかないと、ほんとうは解決できないんですという、今日的な面もあわせて考えて、従来はなるほど欧米流の考え方をすれば、それは本来個人が負担すべきものだ、それを恩恵的に企業が負担してきたんだ、したがって、給与の一部なんだから、ある額は限度として設けるけれども、基本的には課税対象なんだと言ってまいりました。しかし、これからは見方をもう変えていかざるを得ないんじゃないかという点について、この大蔵委員会の議論からははずれるかもしれませんけれども、しょせんそうした森羅万象を扱って税になるわけですから、いかがお考えになりますか。
○政府委員(大倉眞隆君) ちょっと、申しわけないんですが、栗林委員のおっしゃっております、なるべく職住近接ということで企業を指導し、あるいは今後の企業立地、住宅開発を考えれば、実質的にいまの過密問題のかなり大さな部分が、そのことによって解決し得るんではなかろうか、その点は、私も、しろうとなりにそうだろうなと、こう思うんでございますが、ちょっと、申しわけないんですが、そのことと、通勤手当はすべて給与とすべきでないということとのつながりを、おそれ入りますが、もう一度、ちょっと、おっしゃっていただければたいへんありがたいと思います。
○栗林卓司君 問題意識としてとどめて、次の聞き方をします。 現在、通勤手当の非課税限度というのは、交通機関を——これは鉄道です——交通機関を利用する場合は六千円、自転車を利用する場合には片道二キロ以上十キロ未満が千円、片道十キロ以上が千八百円、こうなっていると思う。自動車はどうなりますか。
○政府委員(大倉眞隆君) これは、国家公務員の場合の取り扱いは、自転車と自動車は同じだそうです。自転車と同じだそうです。
○栗林卓司君 これは、実はお伺いしている理由は、あるところで税の調査で摘発された。どういうことかと言いますと、四十五年の調査でもそうだと思いますけれども、こういう都市部は別にしまして、地方に参りますと、自動車しか通勤手段がないんです。想像以上に非常に高い率の人たちがマイカーで通っている場合があるわけです。企業のほうはどうするかというと、マイカーだからといって、何もかも持つわけにいかぬ、そこで公平を期する観点から、あなたが鉄道を利用したとすれば当然かかるであろう額までは見ましょうと労使が交渉してきめて払っていた。税務調査が参りまして、けしからぬ。自動車は自転車と同じなんです。これまで六千円くれていたものが否認されました。千円、千八百円。大体、自転車の通勤手当というのはおかしいんです、これはもともと。チューブ代をどうやって計算するのか知りませんけれども、完全におかしい。そういった意味でも何か見直しがされてこなさ過ぎたんじゃないか。いまの質問に関連して、将来、これ御検討になりますかどうかお伺いします。
○政府委員(大倉眞隆君) いまの政令の仕組みは、第二十条の二の第二号で「自転車その他の交通用具」ということになっておりますので、具体的にそういうケースが起こった、それは現行法令のもとでは、それはそれとしてやむを得なかったとは思いますけれども、ただいま御指摘の問題は、今後あまり大量交通機関がないような場合とかなんとかということにあり得ることであろうとは思いますので、そういう場合の、そもそも手当として自転車並みでいいのかねという話もあるような気はいたしますけれども、その辺をなお手当としまして——ですから、その辺のところもにらみ合わせながら、なお研究させていただきたいと思います。
○栗林卓司君 要するに何のことやらわからない。そこで、いま、ここでお立場上即答することができないとしても、これもそのつど見直す必要があるんじゃないかという一環なんです。従来はそういったかっこうでやってまいりました、やっぱり変わってきた、そのつど、いいんだろうかということは見直していただきたいと思いますし、いまの件については至急御検討いただきたい。 で、関連して伺うんですが……。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいま、まことに歯切れの悪いことを申しまして恐縮でございましたが、ちょっと、私の頭の中にございました点だけ申し上げて重ねて御了承いただきたいと思いますのは、実は、先ほど他の委員の御質問にもお答えいたしましたときに、通常必要とする通勤手当の額まではそのままこちらもそれを受けとめて非課税としよう、違う基準を持ち込むと、なぜ、手当はこうなのに、税はこうなるんだということになるものでございますから、その意味では、いままでもそうであったように、人事院勧告にすぽっと乗れるということが一番まぎれが少ない、そういう意味で、人事院勧告自身がちょっとどこか変なのかなという、そんな気もしたものでございますから、まことに歯切れの悪いことを申し上げましたが、まあ、しかし、それはそれといたしまして、税のほうでも、もっと合理的な説明がついて、もっとそこが直るということができないかどうか研究させていただきたいと思います。
○栗林卓司君 いまの人事院勧告のことは次に伺おうと思っていたのですが、これ、税の非課税限度の問題なんです。それがなぜ、人事院勧告という特定の目的をもって、しかも時期的には、今日の審議に間に合わない機関の決定が基礎になる。国鉄運賃が上がるということが議論されている。しかも、政府は上げるんだと提案しているわけです。そのときに六千円どうするんだ、話が、ここでなくてあれは人事院勧告できめるんです、これが税の議論です。まことにおかしいと思うのでお伺いします。
○政府委員(大倉眞隆君) なぜ人事院勧告に乗っておるかという理由につきましては、繰り返しになって恐縮でございますが、一般的にどこまでが妥当であるという基準がなかなか求めにくい、それこそ企業立地なり何なりに応じて非常に千差万別であろうと思いますので、かなり広い範囲の調査をしてきめておる人事院勧告というものが、税の扱いの基準になっていくということが、何と申しますか、一番まぎれが少ないと申しますか、そういうやり方ではなかろうかと思っておるわけでございます。で、これは、この非課税の額の限度の規定は、政令で規定いたしておりまして、ただいま御指摘の運賃値上げとの関連では、運賃値上げが行なわれた場合には、いわば当然に人事院勧告もなされるであろうという考え方があり、また人事院勧告がなされた場合に、従来の経緯では必ずしも勧告時期からでなくて、実際に公務員給与の改正法が通ったあと、大体暮れになっておりましたが、その年の暮れになってから、この通勤手当を直すということをやっていたこともございましたが、最近はそうではなくて、人事院勧告が出されて、政府がこれに従うという意思決定をいたしますれば、人事院勧告以後の時点について、政令改正を直ちにいたしまして適用をするというような扱いにいたしてきております。税制として人事院勧告にそのまま乗っかっているのははなはだ見識がないではないかという御指摘は、まことにそうおっしゃられればしょうがないのかもしれませんですが、ほかによるべき基準というものがあるかどうかを含めまして、なお研究はさせていただきたいと思います。
○栗林卓司君 これで質問をやめますけれども、人事院が少しおかしいのじゃないかとあなたさっきおっしゃった。しかも、人事院によること自体もどうかとおっしゃることになりますと、結局言えることば、一切がっさいそういう従来の流れにまかしちゃって、通勤費の実態がどうなのか、民間がどうなのか、何にも調べてこなかったということでしょう。重ねては言いませんけれども、この問題も含めて、税というのは従来のかっこうの緩和だけを恩恵的にすればいいという問題では私はないと思います。このこまかい問題も含めて見直しをしていただきたいということを申し上げて質問を終わります。
○政府委員(山本敬三郎君) 先ほどお話のありましたように、ある会社と組合とがそういう合意に達したのを、国税庁が行って否認するというようなことは、現在の政令のもとではやむを得なかったとしても、こういう常識から考えたら不合理なことにぶつかったということが、国税庁の中で上まで上申されるような役所になってほしい。したがって、おっしゃるように、是正すべき点については見直し、検討をしたいと考えます。
○野末和彦君 初めに資料のことでお願いしておきますけれども、審議官に、前回、例の株のもうけの非課税ですね、それによる減収どのくらいかということをお聞きしまして、自信がない数字だということで、しかも四十七年、四十八年はやってない、数字を出してないということでしたが、自信がなくてもいいんですけれども、いままでとやった同じ算式で、四十七年、四十八年も数字が出るかどうか、出していただいて、ここ三十年ごろからずっと毎年の減収額をひとつ資料であらためて出していただきたいのですが、できますか。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの野末委員のおっしゃったような意味で、正確にそれが減収額だとは言い切れないという前提におきまして、そういう仮定計算をいたしてみるということで、できるだけ早くお出しいたしたいと思います。ただ、私が、その節に御説明いたしましたようなやり方でございますものですから、四十八年分はちょっとダウがどうなるかなというところが実にあやふやでございますので、四十七年までということでごかんべんいただけないかということでございます。
○野末和彦君 それでは、先ほどからいろいろ議論がありますので、重複するかもしれませんけれども、二、三質問します。 最初に、今度勤労学生控除が一万円上がりましたね。そこで、この勤労学生控除の適用を受けている、勤労学生といっても年齢がいろいろありますからね。二十過ぎているのもいますし、いろいろありますが、この適用を受けている納税者、どのくらいいるか、そういう資料はありますか。
○説明員(吉田冨士雄君) これは実は衆議院でもお尋ねがありまして、国税庁では税務統計は何もとっておりませんので、いろいろ民間給与統計あたりを調べてみましたけれども、なかなかわかりかねます。ただその際に、文部省のほうで、その同じ問題について参考的に勉強されたケースがございまして、その際の御答弁では、大体高校生で約八割、それから大学生で約四割の方がこれを受けて、適用除外、税金を払わなくて済んでいるという調査があるということを答弁しておられるのを私聞いておりますので、御参考に紹介しておきます。
○野末和彦君 なぜお聞きしたかといいますと、最近高校生でも、大学生でも、とにかく所得が上がりましたから、この適用を受けられないぐらいに所得がふえているんじゃないかと思って、それをお聞きしたわけなんです。ですから、八割もし受けていれば、これは思ったよりも多いという気もしますが、それは、大蔵省として勤労学生控除を一万円引き上げるときの資料にそれを使ってやったのですか、それとも、、そういうたいした資料がなくて、何となく一万円上げたとか、その辺はどれなんですか、前からたいへん疑問に思えてしょうがないのです。
○政府委員(大倉眞隆君) これは、税制改正案を作成いたします過程での、議論の経緯を申し上げてお答えにかえたいと思うのでございますが、まず、税務統計にないというのは、実はこの控除が適用になりますとそも、そもそも納税者でなくなる。したがって、納税者の中に何人というふうにつかまえられない。それから、また収入が多くなりまして、そうすると控除そのものが適用がないものでございますから、もし収入が少ないとすれば、適用になっていたであろうという人数、というところがわかりかねるということで、私どものほうに実数を把握する手がかりがないわけでございますが、文部省をはじめといたしまして、教育問題に非常に関心の強い方面から、この控除をもっと上げてほしいという御要望がかなり強く出されまして、そのときにむしろ私どものほうからお願いをしたという経緯がございます。その実態を何とかして調べていただけませんかと、まさしく野末委員のおっしゃったように非常に年とった方がいるかもしれない、あるいはまた勤労学生の適用対象が、大体学校法人はすべていい、各種学校でもいいというふうにだんだん広がっておりますために、かなりの所得がありながら通っておられるという方もかなりいるのではなかろうか。その辺の実態が、どうも税務のほうからの手がかりがない。こういう御要望について、ことしの一万円控除を引き上げましたのは、他の控除の上げ方とのバラスということだけで上げておるのが正直なところでございます。こういう実態だから、ここまであげなくてはならないという調査が行き届いておりません私どもとして、そういう判断をするところのデータをつくる、ぜひ調べていただけないであろうかということを、むしろこちらからお願いして、それでは、それを大いに勉強してみるから、来年もしそれで何らかの姿がはっきりしたら、十分検討してくれよとおっしゃられて、ことしは一万円引き上げて、他の所得と合わせて一万円引き上げで改正案を提出した、そういう経緯でございます。
○野末和彦君 これを持ち出したのは、先ほどから議論になっています勤労未成年者の控除という話が出てくれば、これは文句がなくなるわけで、あれがだめだった場合に、一万円の引き上げではもう実情に合わないんじゃないかというふうに思っていたわけなんです。 そこで、勤労未成年者控除の話に移るんですが、審議官のお答えの中では、これを四十八年度の改正の中でも、一応検討して、諸般の経緯から今回は、はずしたというようなお答えのように受け取ったのですが、実際にかなり検討して、どういう経緯で今回は見送られたのか、その辺具体的にちょっとお答え願いたい。
○政府委員(大倉眞隆君) 先ほどお答え申し上げましたことの内容といたしましては、未成年者控除というものをつくるべきではないかという考え方が出されまして、そういう控除がいいかどうかという点はかなり議論されたわけでございます。これにつきましては、残念ながら今度の改正に織り込まなかったというのは、やはり二つ理由がございまして、一つは、人的控除と、補充的人的控除の中におきまして、補充的人的控除としては、いま、御承知のように、寡婦控除、障害者控除、老年者控除、勤労学生控除がございます。それに若干、バリエーションといたしまして老人扶養控除があり、また配偶者のいない世帯の一人目の扶養控除というものもございます。これらはいずれも、担税力の減殺要因として、追加的費用がある程度かかるであろうというところに、いままでは説明のよりどころが求められておった。追加的費用がある程度かかるであろう。たとえば、配偶者のいない場合には、やはり子女世話と申しますか、そういう負担が、計量的にはつかまえ切れないにしても、何らか、老人の方でみずから所得を得ておられる方は、それなりに壮年の、あるいは青年の労働しておられる方に比べて、身体的な条件が弱くなっているということで、追加的費用があるであろうとか、いろいろな理由をつけて、そういう補充的人的控除を認めてきておるので、未成年者控除の場合には、未成年であるための追加的費用ということが何かあるかなということでございまして、なかなかそういう角度から、こういう人的控除をつくるという制度的な説明がやりにくいんではなかろうか、それが一つございました。もう一つは、未成年者控除をかりにつくるといたしますと、額の大きさにもよりますけれども、成年に達したときに手取りが減るという問題があります。これは未成年者控除がなくなっても、カバーして十分なほど未成年から成年になるときに給与がぐっと上がってくれればいいのですけれども、どうも、初任給は非常に高くなっておりますが、そこからあとの上がり方の問題でございますから、何と申しますか、たとえば、野末議員がしばしば御指摘になっております、入学とか結婚とか、そういう一つの節目には、税でできることなら何か考えてやりたいなという、それは一つのお考えとして私ども承っておるわけですが、その意味でいいますと、どうもこの未成年控除というタクティックスが、逆に、未成年である間はいいのですけれども、成年になったときに手取りがすとんと減るという要素を持ちかねない。そこでいろいろ考えてみたけれども、結局は、未成年の方の給与の実態を見て、その方々が現実に税を負担しないで済むというやり方のほうが、むしろいいんではなかろうかというふうにいまの気持ちは傾いておりまして、そういう意味で、課税最低限、特に独身の給与所得者の課税最低限ということでやってみたい。で、四十八年度改正では、それが、いま御指摘の未成年の給与所得者というものについていえば、初任給の上がり方にいわばとても追いつけない。そのために大部分の中卒、高卒の若い人たちに、わずかとはいえ所得税を負担していただかざるを得ないことになっているので、これは四十九年以降の改正で、何とかいま申し上げたような方向で積極的に解決をはかりたい、そういう経緯をたどってまいったわけでございます。
○野末和彦君 よくわかりました。確かにぼくも——ここで主張しても全然相手にされなかったようなことがありますから、去年。むずかしいのはわかっているのですが、ただ去年は、大蔵大臣も主税局長も全くあの話に乗らなかったわけなんですよね。検討しているということすら言わなかったので、所得あるところに税ありと、年齢的なことは、絶対にそういうものを加味して、税制の中にそれを取り入れることはできないのだと言って、ぼくが未成年勤労者の税金を免除するなり、まけることをおやりになったらどうかという質問をしたときに、そうお答えになったわけで、とてもこんな早くこの話が出てくるとは実は思わなかったので、まあうれしいというか、驚いているというか、その辺で検討のプロセスが聞きたかったのです。で、お聞きしますと、当然のことで、未成年だからといって税金をまけてやらなければならないという、単純な理由というのはなかなかないのでむずかしいとは思うのですが、もし、それほどいろいろ検討されているとすれば、少なくとも来年は何とかして、少しでも税金がかからないようにする方向で検討しようということになっているとすれば、参考にいろいろよその国の実情なども当然資料として持っていらっしゃると思うので、こういう未成年の勤労者の税金に対して少しでも減免措置をやっている国はどことどこがあるのでしょうかね、それをちょっと教えていただきたい。
○政府委員(大倉眞隆君) その問題も、ちろんなお念を入れて精査いたしたいとは思っておりますが、いま私どもの手元にあります資料の範囲内ではないようでございます。
○野末和彦君 そうなりますと、ますますこれはわが国だけの独特のことをしなければならないわけで、そうしますとなおむずかしいと思うのですよ、実現するには一体どういう根拠で実現するかということが。総理とか税調会長がこれを何とかしたいと言われているその根拠は、ぼくもよくわからないのですけれども、何か所得が上がってきて、中卒や高校卒からも税金取るようになって、何となくこれはかわいそうだから、どうだろう、まけてやろうという程度の根拠なんですか。それとも、もつと税制の基本に何か触れてくるような、はっきりした根拠があって検討という段階に入ったんですか。これは大蔵省のほうでどうなんですか。それがお聞きしたいのです。
○政府委員(大倉眞隆君) その点は、率直に申し上げまして、制度としては、やはり担税力を測定するのは所得の大きさというところを変えたとは私思っておりません、考え方といたしましてですね。したがって、むしろ問題は、実体論と申しますか、中卒の方々がすぐその年から所得税納税者に入ってくるということは、そうでなくても、所得税納税者が年々ふえつつございますので、せめてそこは、少なくとも、就職の年はかからないで済むようにできないかないというような、そういう現実的なものの考え方から、何とかこれを前向きに検討いたしたいというお答えが出てきておるように私は理解いたしております。
○野末和彦君 まあいずれ大蔵大臣と総理がお見えになるそうで、そのときに最終的なことを聞こうと思うのですがね、そのいまのお話もぼくはずいぶんおかしいと思うのですよ。だって、就職の年はせめてかからないようにしたいと思ってとおっしゃるが、ぼくが出した質問主意書なり、去年この席で主張したことはそのことで、それを主張したときに、だれ一人そういう答弁しなかったわけですよ。これはぼくに言わせれば、まるでいいかげんなんで、人気取りで田中さんが言い出した、それ乗れというのでやっているとしか思えないのですね。現にことしの一月出した質問主意書にも、就職初年度は少なくも税金かからないようにしてほしい、未成年の勤労者から税金を取るというのは間違っているということをぼくは書いているわけですよ。それを、そちらから返ってきた答弁には、そういう個人の事情はしんしゃくしないと言っているわけですよ。ましてや、去年の大蔵委員会の大臣と主税局長のお答えは、そちらで速記録をお調べになればわかりますけれども、少なくもいまの未成年勤労者控除というような考え方自体を、全然否定しているわけですよ。ぼくはその辺で非常にいいかげんだというふうに思えるんですが、もちろん実現されればけっこうですよ、喜びますが、しかし、何でもかまわないから、とにかく実現をして人気を取ればいいというものじゃないのですから。そういう考え方で税制をいじくるから、いろんないいかげんな特別措置だって出てくるような気もしますから、その点どうなんですかね、これ。もう一度確認しておきたいですね。ことしの一月と、ことしの——いま四月ですか、極端に変わった理由はどこにあるのですか。
○政府委員(大倉眞隆君) おことばではございますが、私どもの基本的な考え方がそこで変わったというふうには思っておりません。ここでも書いておりますように、応能負担の見地から一定の所得がある場合には、所得に応じた負担を求めることを基本的たえまえとしており、このような所得税制において個別の事情をしんしゃくすることにはおのずから限度があるものと考える。と、この考え方は変わっておらないと思うのです。そういう前提の上で、なおかつ、負担をどの程度の所得から求めるべきかという一般的な処理方法といたしまして、つまり独身の課税最低限はどの水準が妥当であろうかということを判断するに際して、この中卒の方の就職初年度の給与水準、それは独身者の課税最低限としてカバーし得るようにできれば、そのほうが現実問題として望ましいんではないかという趣旨であると思いまするし、したがって、この課税最低限を上げる場合にも、——こだわって恐縮でございますが、それは未成年の方の課税最低限を上げるんではなくて、その成年も老年も一律に適用になる課税最低限を上げて、その結果として、未成年のいまおっしゃったような事情の方が納税者になってこないように考えたらどうかという趣旨で申し上げておると思いますので、基本的な考え方が大きくここで変わったということではないように思います。
○野末和彦君 それは確かに一理ありまして、当然ぼくのほうにも疑問があるわけですよ。未成年者だけ優遇するのはどうしてかと、課税最低限を全般に引き上げるほうが先じゃないかと思っていますからね。いまのお答えはわかりますが、それにしても、それだったら、勤労未成年者控除なんという考え方は出るわけないんで、課税最低限全体を上げるのが当然なわけですよ、百何十万円。なぜ勤労未成年者控除なんていうのを検討してるか。そこはやっぱりぼくらに言わせれば特殊の扱いをしているわけでしょう、勤労未成年者というグループを。ですから、幾らさっき申し上げた基本方針には変わりないと言っても、そのグループだけをとりたてて検討している以上は、審議官が幾ら弁解なさっても、やはりそれはあくまでも弁解であるとしか思えない。それはいいですよ、あまりここでごちゃごちゃ言ったって、やってもらいたいんだから、実情は。だから、それは実現されることは望ましいんで、いろいろ言うてけちつけるわけじゃないんですから。ただし、具体的にどうなるか、それはもちろんわかりませんから、そちらの検討を待ちますがね。やはりこの、さっき言ったように、未成年だけの、衆議院の野党の出した修正案ありますね、あれは未成年者の控除を認める——二十万円ぐらいですか、控除を認める形でした。それから、しかし、課税最低限全部を上げて、実質的に未成年の勤労者が税金かからないようにと、これでも、どちらでもそれはかまわないんですがね。問題は、これ検討していて、結局何となくやっぱりむずかしいっていうんでおかしくなっちゃって、来年全体に課税最低限上げたからということになると困るわけなんですけどね。これはだいじょうぶですか。かなり実現する可能性というのはあるんですか。それだけをお聞きして、次に移りたいんですがね。
○政府委員(大倉眞隆君) どうも私の説明がはなはだ舌足らずでございまして、かえって誤解を招いたのかもしれませんが、私どもとしては、やはりそういう問題を処理する方向としては、一般的に独身者の課税最低限を上げる方向のほうがベターだというふうに考えております。ただ、それなればそれで、なぜ未成年者控除を取り上げて勉強したんだと、こうおっしゃられますけれども、それはやはり院内でいろいろな委員からこういうものを考えるべきだという御意見があれば、私どもとしては当然それのよしあしを検討さしていただいておるわけでございまして、それをやるつもりないからほうってあるということでは全くございません。そういう意味で申し上げたつもりでございますので、ぜひ御了承いただきたいと思うんでございますが、ただ、来年どこまでできるかと、たとえば、未成年の、二十になるまでの人は、給与である限りは、それはみんな課税最低限の中に入ってくるということまでやれるかという御質問であるとすれば、それはちょっといまどうにもお答えができない。方向としてなるべくそうなるように努力をいたしたいとまで申し上げられるとは思います。で、衆議院大蔵委員会などでの御議論も、一ぺんにそこまでいくのは無理だろうが、せめて中卒は、という御意見の御質問もありまするし、私どもとしてはできるだけ努力いたすということでやるつもりでございます。
○野末和彦君 じゃ、今度大臣が来たときにもう少し聞いてみますから、この話は少し先にしますが、それにしても、さっきの勤労学生控除のこともそうですし、それから、いまの問題もそうですが、資料が不十分であって——もちろん資料がなければすべて税制改正のあれができないわけでもないと思いますけれども、例の、私がお願いしていた資料はいつごろまでにはできそうですか。勤労未成年者の実態に関するサンプル調査をお願いしまして、いま待っているところですが、いつごろできそうですが。予定だけ聞かせてください。
○政府委員(大倉眞隆君) かねてから野末委員からおっしゃられております未成年の給与所得者の実態、これなかなか全貌をカバーするものはできないということを申し上げておったようでございますが、ある程度のサンプルをとりまして集計が進んでおりまするので、できますれば、明後日の当委員会の御審議までには間に合うようにお出しいたしたいと思います。
○野末和彦君 時間がなくなりましたので、次回に譲りたいのは、例のサラリーマンの減税で一いまの未成年の勤労者もサラリーマンの一つですけれども、これについてお伺いする前に、減税、減税と毎年ありますが、減税の恩典を受けない層が常にあるわけで、課税最低限が引き上がっても、全然もう前からそれ以下であるという層はかなりいると思うのですが、ここにそちらから出ている二、三の資料を見ましても、大体人数はどのくらいだということはわかるのですがね、ひとつ今回の減税の恩典を受けない層——給与所得者で、大体どのくらいいるものですか。そうして、その人たちの平均年収というのはどのくらいのものですか。ちょっと教えていただきたい。
○政府委員(大倉眞隆君) はなはだ大ざっぱなお答えになって恐縮でございますが、四十八年べースで申しますと、見込みで、就業者総数が五千百九十万人でございます。それと、先ほど御議論にありました納税者の単純合計、これは実員より多く見えていると思いますが、これが三千二百九十七万人。したがいまして、その差約千九百万人が、これが減税という方法では恩典が及ばないという方々、こう考えていいのではないかと思います。
○野末和彦君 この人たちの平均所得は。
○政府委員(大倉眞隆君) これは実は課税最低限よりは低いはずでございまして、平均という統計はないのかもしれませんですが、少なくとも課税最低限以下の所得の方々、そういうことであります。
○野末和彦君 そうしますと、課税所得より低いわけですから、そういう、この人たち千九百万人——もちろんこれは給与所得者ですからね、ほかにもたくさんいるわけでしょうが、この人たちは、価物上昇分のあおりをまともに食らうわけで、減税もないとなると、減税になっても、実際、先ほどの議論で、増税じゃないかというのもありましたが、この人たちに対する税制上の措置は、そんな簡単にできるものじゃないと思いますけれども、これ、どうなんでしょうね。いまの政府のやり方でいきますと、減税、減税と騒いだが、この千九百万人には全然減税のゲの字も関係ない、しかし、物価はどんどん上がっていくんだ、この人たちが一番の被害者なんで、この人たちに対する何らかのことを考えなければいけないように思えるわけで、税制上でも何かそういうことをしなければという考えはあるのですか。それとも、それは全然別のところでやるべきことですか。どうなんでしょう。
○政府委員(大倉眞隆君) 御指摘は、ほんとうに大事な問題だと思うのであります。で、従来から言われておりますことは、この千九百万人、これ実は給与所得者だけでございません、総就業者数と納税者の差でございますから、給与所得者だけではございませんが、この方々のうち、いわゆる最低生計費までの収入もないというグループについては、これは生活保護というような形での救済の手が差し伸べられる。問題は、生活保護水準と課税最低限の水準との間にある人、この人々にはプラスの恩典がいかない。減税の恩典も、そもそも税を納めなくていい方々でありますから、税という手段では恩典がいかない。それをどう考えるのかと、こういう問題になると思います。この問題を解決するために、アメリカの学者が言いましたり、あるいはイギリスで政府の一種の白書のようなものが出ております問題に、御承知の負の所得税、あるいは逆所得税という構想があるわけでございます。そのネガティブ・インカム・タックスと言われておりますものは、実は税という名前を使っているだけでございまして、その本質は歳出でございます。歳出でそういう階層に社会福祉的支出をやりましょう。それは、その窓口は税務署が窓口になっているという意味で、税という名前が使われているということであろうと私は思います。ただ、まあ、ネガティブ・インカム・タックスという構想が出てまいりました背景は、実質的に、いま野末委員のおっしゃるこの中間にある階層をどうするのかという問題も、もちろん大きな問題でございますが、もう一つは、やはりそれぞれの国の社会的な制度から出てまいりまして、非常に複雑である社会保障給付を一本化して、単純化して、こういう制度に吸収したらどうかというバックグラウンドを持って出てきている提案であるように思うわけでございます。したがいまして、税という名前を使う使わないにかかわらず、この問題は、やはり歳出と申しますか、社会保障給付というものをどういう制度で、どういう階層に、どのように与えるかという問題として考える以外にない、そういう問題であろうかと、私は思っております。
○委員長(藤田正明君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。 本日はこれにて散会をいたします。 午後四時三分散会