大蔵委員会 第7号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/03/13
会議録
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、有価証券取引税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題といたします。 前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
○戸田菊雄君 きょうは相続税法と証券取引税法の二法案が議題となっておりますが、主として相続税法について質問しでまいりたいと思います。 本論に入る前に、これは政策的な問題もあるわけですけれども、主税局長にひとつ見解をただしておきたいと思うんですけれども、それは財政、税制の四十八年度の運営の中心ですね。これは田中さんの「日本列島改造論」、これの五ページから六ページにかけて、財政との関係について今後の運営の中核と思われるような内容がここにあるわけですね。こういうものを踏まえて、おそらく四十八年度の税制、財政の各種策定というものをやったんだろうと思うんですけれども、それはどの辺に中心を置いて四十八年度の一般会計予算の中に占める財政、税制の運営というものをやっておるわけですか、その辺の見解についてひとつ確めておきたい。
○政府委員(高木文雄君) いま手元にその書物を持っておりませんので、五ページ、六ページ、よくわかりませんのですが、四十八年度の税制改正といたしましては、やはり漸次、産業中心的であるといわれております税制の性格を変えていくということが一つの意識にのぼっておることは事実でございます。 それからもう一つ、ただいま御指摘がありました、いわゆる日本列島改造との関係におきましては、しばしば世上追い出し税というようなことがいわれておりまして、都市集中を排除するということのために何らか税制で考えるべきではないかという議論がございましたが、この点につきましては、歳出、歳入その他を通じまして、必ずしもまだ——いわば俗に受けざらといっておりますが、都市集中は好ましくないといたしましても、しからばどういう地域にどういう手順をもって産業なり人口なりの分散をはかるべきかということが明確でございません。そういう関係で、いわゆる追い出し税等はまだ時期尚早であろうということを考えたわけでございます。よって、それに関しての御提案は一切いたしてないということでございます。ただ、直接これと関係があるかどうかわかりませんが、土地の問題がいろいろ社会的な問題として大きくクローズアップされましたので、これに対応する税制を整備するということについては、かなり精力的に制度の整備につとめたつもりでございます。その他の点につきましては、御案内のように、所得税の減税なり、物品税、入場税の手直しなりということを考えておりますが、これは必ずしもいわゆる改造論とは直接関係がなくて、年々の税制改正の考え方に従って進めたつもりでございます。
○戸田菊雄君 本論には関係ないからそう詳しくは聞きません。大臣もおりませんから、政策的な内容も入りますから、それは遠慮しますけれども、ただ改造論ではこういうことをいっているのですね。いろいろいわれておりますけれども、六ページですね。「財政資金を先行的・効率的に運用するとともに、税制の機能を活用し、」——この二本柱を国土改造を推進するにあたっての中心として今後の財政、税制等については考えていく、こういうことをいわれている。 ですから、財政全般については後刻に譲りまするけれども、主として税制問題についてこういうことをいわれているのです。「これまで財政の補完的役割にとどまっていた税制の積極的活用が必要になってきた。大都市の機能を純化し、地方開発を促進するには、税制の政策的な調整機能、すなわち禁止税制と誘導税制を有効に活用しなければならない。大都市では受益者負担あるいは原因者負担の原則のもとに集積と開発の利益を吸収して新しい国づくりの資金にあてるとともに、高層住宅の建設などについては税の減免措置をとるという弾力的な税制が必要になっている。」こういうことを明確に指摘しているのですね。それで、「一方、大都市のように集積の利益を享受できない地方にたいしては、生活・産業の基盤整備、工場の新規立地などについて思い切った優遇措置がとられなければならない。」すなわち三つの要件があるのですね。「電力料金については過密地域と過疎地域とのあいだで料金差を設ける。工業用水道についても同じような政策的な配慮を加える。住民税についても過疎地域のほうが相対的に安くなるような配慮をする。過疎地域へ立地する企業にたいしては、固定資産税の二十五年減免を行ない、それによって税収の減る関係地方公共団体にたいしては、別に国が交付金などの形で減収分を埋め合わせる措置をとる。こうした多角的な施策を検討し、実施しなければならない。」 これが六ページ、七ページにいっている税制上における列島改造論の基本的な精神なんですね。こういうものが今回の税制改正についてどれほど一体事務当局で検討されたのか、具体的にどういう問題があるのか。これはいま四十八年度の税制改正全般の大綱を見ますると、一つは、大幅減税だといって、平年度で三千七百八十億円でしょう、初年度で三千三百五十五億円。こういう減税体制はとっていますけれども、決して私は——年次別の、たとえば、四十年以降の減税体制で見るならば、減税額だけを見た場合には、必ずしも少ないとは言いませんけれども、しかし、たとえば、三十二年の減税体制——当時一兆円の予算総額ですね。こういう中で一千億円の減税をやっているんですね。こういうのは私は確かに大幅減税だと思うのです。しかし、今回十四兆二千八百四十億円の中で、あるいはもっと——財投約七兆円でしょう。地方財政全体でもって、これは地方と複合する分もありますけれども、十四兆五千億でしょう。総体三十五兆五千億もあって、それでこのくらいのわずかな減税では国民は了承しないと思うのですね。だから、列島改造論でいう、田中さんも選挙前にあれほどアピールして、国民に公約をしたんですから、そういうものが今次の税制改正の中にいささかも反映されないということは、私はどうも納得いかない。同時に、全く、四十八年度の予算の総額を見れば、まさしく超大型予算でしょう。インフレ予算でしょう。こういう状況の中で、わずかこれだけの減税しかやらないということは、国民を私はばかにしているんじゃないかと思うのですがね。こういう面での政策的な見解、これは政務次官おりますからちょっと伺っておきたいと思いますし、事務当局として具体的にどういう点に一体こういうものが生かされているのか、あればこれは具体的にひとつ説明していただきたい。
○政府委員(高木文雄君) いわゆる列島改造論と四十八年度の予算ないし税制との関連につきましては、ただいまるる御指摘のとおり、税制の誘導的役割りあるいは禁止的税制というものをもっと考えたらどうかという、まあ従来からもないわけではございませんが、かなり思い切った提案が改造論でなされておるわけでございますが、その点につきましては、しかし、私どもの理解では、改造論というのはやや長期的なものとして、一種のビジョンとして提示されたものと思っております。それを具体的にどう実施していくかということにつきましても、直ちに四十八年度からというわけにもなかなかまいらない点が多々あるわけでございまして、今後相当長期にわたってそういう方向を考えることは重要な問題であろうかと思います。御参考までに申しますが、最近きめられました経済社会基本計画におきましても、次のようにうたっておるわけでございます。「経済政策の一環としての税の誘導抑止機能は高く評価されねばならない。他の政策手段との整合性を保ちつつ、土地問題について税制を活用することとするほか、過密過疎問題等についても税制のはたすべき役割を検討する。」というようなことを触れておりますが、私どもだけでなくて、政府全体として、やや長期の問題としては、いまの税の誘導機能、抑止機能というものを考える必要は十分あろうかと思いますが、しかしながら、それにはやはり相当のいわば国民のコンセンサスを得る必要があるわけでございまして、四十八年度として直ちにこれを具体的にどうするということまでには至っていないわけでございます。 それから次に、減税規模全体が小さいではないか、いわば発想の転換が見られないのではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、先ほど御指摘の三十年代末あるいは三十年代ないし四十年代には確かに非常に大きな減税を行なった年がございますのでありますが、最近の問題は、やはりだんだん福祉をふやしていかなければならないということでございます。福祉をふやしていくということになりました場合に、しいて高福祉・高負担ということを申し上げるわけではございませんが、必然的にやはりそれに伴う財源は必要となってくるのはやむを得ないところでございます。その点につきましても、経済社会発展計画におきましても、また税制調査会等におきましても、税負担ないし社会保険負担等は漸次上がっていく方向にあるということでものを考えているわけでございます。そういう大きな流れからいたしますと、福祉の充実ということ、これまた一挙にはできませんけれども、非常に大きな流れとしてはこれをふやしていく、ふやしていくのは、主として歳出サイドの問題になろうかと存じます。そういう長期の流れを考えますと、今後におきます税負担につきましては、やはりただいま申しましたような方向にならざるを得ないというふうに考えられるわけでございまして、現段階において、先ほど御指摘のような一兆円の歳出当時の千億の減税であるというような感じの転換ということは現時点ではそぐわないのではないか、当時の税負担の重さというものを考えてみましても、今日よりはむしろ重かったわけでございますので、その意味とも考え合わせますならば、これからの税制のあり方といたしましては、必ずしも減税ということだけが一つの方向ということではないのではないか、負担の公平ははかっていかなければなりませんし、また所得税等におきましては、今日なお非常に負担が重いというのが実感でございますから、今後とも減税のことは考えられなければなりませんが、さりとて三十年代にありましたような、そういった思いきった改革の方向とは、やや置かれている環境を異にするのではないかというふうに理解いたしております。
○政府委員(山本敬三郎君) ただいま戸田先生のお話しのように、「日本列島改造論」は総理の私的意見として出たものだと思います。しかし、それはやがて列島改造審議会等で議論になったのは事実でございますが、今日顧みてみますと、この間大蔵大臣が言われましたように、あるいは総理も予算委員会で答えておりますけれども、半年くらい、私は政策のテンポがおくれたということは、あらゆる面においておおいがたい事実ではないかというふうに考えます。 それから、いまの時点は形式的な公平が必ずしも公平にはなっていないのではないか、そういう点も、私見にわたりますかもしれませんが考えているわけであります。しかし、事実問題として、昨年日中の問題を取り上げ、やがて選挙に入っていくという過程で、長期的なビジョンというものが政策に実現するテンポが非常におそかったという点は確かにあったというふうに考えております。しかし、本来は税制というようなものも担税力だけを目がけていくのではなしに、税制そのものの持つ政策的機能というものを活用すべきような段階にきているのではないかというふうに考えるわけでございます。
○戸田菊雄君 いずれ大臣の出席のあったときにさらに詳しく質問してまいりたいと思います。 それで本論に入るわけですけれども、相続税の問題です。大蔵省の各種調査によっていろいろこまかい事務面について若干質問してまいりたいと思うのでありますが、今回の相続税の改正の中心は、一つは中堅の財産階層、これを中心として負担の軽減をはかる、これが一つ。もう一つは、延納制度の合理化をはかる、大体二つに骨格を置いて、それぞれ改正の内容というものがきめられておるようでありますが、中堅財産階層というものは一体どの程度をさしていっているのか、これは税法上明確にそういうものが定義づけられておるのか、それともまた主税局として今回改正にあたって、そういう内容について一定の限界を引いたのか、その辺をこまかいことですが、一つはお伺いしておきたいと思うのです。 それからもう一つは、いわゆる延納にかかる利子税の改正の中で、「不動産、不動産上の権利、立木、事業減価償却資産、同族非上場株式の合計額が相続財産の五〇%以上の場合」、これが延納期間のということで改正になっているようでありますが、その中で、「立木が相続財産の三〇%以上の場合の立木部分」については、「現行」「改正案」この利子税の改正の措置をやられているわけです。そして、ことに森林施業計画にかかる立木が相続財産の五〇%以上、こういう場合には年四・八%に改正するんだと、こういうことでやっておりますね。現在、山持ちが主だろうと思うのでありますが、そういう五〇%以上に該当するような立木を持っている階層というものは全国的に一体どのくらいあるのか、この内容についてひとつ事務的にお伺いをしたい。 それから、これは大蔵省の調査でありますが、おそらく四十六年度分の統計ではないかと思うのでありますが、遺産額の配偶者の取得額、あるいは配偶者の負担、あるいは子供四人全員の負担の場合にどのくらいかかるかという、いわば改正案による相続税負担状況というものがあるんですけれども、これは全体として、主税局としては、この捕捉状況はどの程度までいっているのか。完全にいっているのかどうか。これはいろいろ統計はありまするけれども、これは四十六年度の統計でいっているのか。その辺の見解をひとつ教えていただきたいと思うんです。 それからもう一つは、「昭和四六年分の相続財産価額階級別及び財産種類別表」というものがある。これはいろいろ、一千万円以下とか、あるいは一億円以上で区切っておるようでありますが、この内容を見ると、どうしてもやっぱり一億円以上というものが、被相続人の数は少ないのでありますけれども額の面では非常に大きいんですね、いわゆる納税額については。だから、それだけ財産を持っているということだと私は思うんですけれども、この辺に対する税率の、いわば引き方ですね、こういうものが妥当なのかどうか。あるいはまた、その課税価額階級の平均値というものは一体いまどの程度にあるのか。その辺ひとつ事務的にまずお伺いをしておきたいと思うんです。
○政府委員(高木文雄君) 第一の御質問は、中堅財産階層というのはどの辺を置いているかということでございますが、これは必ずしも明確に、どのくらいの財産を持っている者を、何百万円、何千万円の財産を持っている者を中堅財産階層と考えるかという明確な概念を持っておるわけではございません。ただ、現行相続税は四十一年に改正がございまして、それ以来改正を今日まで行なっていないわけでございますが、四十一年当時の状態において、現行の課税最低限をきめましたときの考え方も、大体今回と同じように、いわば中堅の財産階層というのは、相続税の課税対象にならないようにという思想で、現行のいわゆる課税最低限と申しますか、相続人が五人の場合に一千万円の財産であれば課税にならないという程度に目安を置いたものと思います。ところが、その後、主として土地の値段を中心として相続財産額が上がってまいりましたので、当時はこの程度までは課税にならないようにというふうに考えましたのが、特に最近の急激な土地の値上がりによりまして課税対象に入ってくるということになりますので、その土地の価格上昇を勘案をいたしまして、当時考えておった程度の財産階層であれば、今後も課税の対象にならないようにということを考えたことが、中堅財産階層というような表現でいっておるわけでございまして、その点は必ずしも明確に、金額的にどのぐらいということはお示しすることはできないわけでございます。 二番目に、山林の所得者の状況でございますが、この相続税のほうの資料はいま手持ちがございませんが、ちょっと、御質問に対するお答えとして必ずしも合わないかもしれませんけれども、施業計画と申しますのは、現在について申しますと、現在、全国の私有林は約千六百万ヘクタールというふうに理解をいたしておりますが、そのうち、いわゆる森林施業計画というものが立てられて、そして、それを認められている面積は、約一割に当たりますところの百八十六万ヘクタールでございます。その百八十六万ヘクタールは、個人有のものと法人有のものがございますが、これを区分いたしますというと、個人有のものが九十八万ヘクタールあるということでございますので、この九十八万ヘクタールのものについて、もし相続税が起これば、それがただいまの延納の利子の特例の適用を受ける可能性のあるものであるということは言えるかと思います。ただ、相続財産全体の中で立木の占めるウエート、そして、そのうち、さらに、森林施業計画の認定対象になっているものがどのくらいになっておるかという数字は、ただいま手元に持っておりません。 それから、相続税の負担状況でございますが、これは、ただいまお示しになりましたのは、当委員会調査室でおつくりになった「参考資料」の付表のことであろうかと思いますが、これの八ページにありますところの「負担状況」といいますのは、これは、もとは私どものほうで作成したものでございますが、これは実績ではなくて、改正による負担軽減割合を示したものでございまして、この八ページの一番右の欄にありますところの「軽減割合」というのは、現行制度との比較を示したものでございまして、今回、御提案申し上げておりますところの改正案によりますれば、この欄にありますような程度に税額として、あるいは割合として軽減されるということを示すものでございます。したがって、最近におきますところの相続税の負担状況を示した表ではないわけでございます。 それから……。
○戸田菊雄君 局長、ちょっと、いまの問題ですが、国民の遺産評価額の平均はここにいろいろ出ているからそれはわかるんです。私がここで聞きたいのは、国民の財産形成の平均はどのくらいになっているのか、それを主税局でわかっているのかどうかということです。どのくらいですか。
○政府委員(高木文雄君) その点が、実は、先ほどの中堅階層というものを見つける場合にも、ほんとうは私ども自身もそういう種類の調査ないし統計をほしいわけでございますが、現在、いわゆる国富調査というふうな式のものがわが国の場合にはございませんものですから、そこで、私ども自身、この相続税案件についてはわかりますけれども、一般的に、皆さんが持っておられる財産がどういうふうに分布しておるかということは、非常に困るのでございますが、ないわけでございまして、私どもも、やむなく、相続税の課税実績の数字から大体分布状況を推定しているということでございまして、一般的に御指摘のような資料は大蔵省あるいは主税局という意味でなくて、一般的にないわけでございます。
○説明員(吉田冨士雄君) 最後に、相続税の捕捉率と申しますか、脱税率と申しますか、ということでございまして、これはなかなか本来はつかみにくいものでございますが、一応推定の材料といたしまして数字を申しますと、御案内のように、四十六年分の総遺産額は九千九百五十八億円でございます。これは必ずぴたりとそれに合わないのですが、大体四十七年の調査による相続税の増差額、これは約一割の九百五十一億円でございます。大体われわれとしてつかんでおりますのは約一〇%弱ということになっております。
○戸田菊雄君 そうすると、局長、非常に心もとのない回答なんですが、国民の財産形成もわからない。根拠もわからない。しかし、一貫して相続税は課税をされて今日までずっときているわけですね。それが年々ウエートが重くなって、いわば増収体制になっていますね。こういう状況の中で、今回の相続、贈与税の減税それぞれ行なわれたわけですね。一つは、遺産にかかわる基礎控除、現行四百万と八十万に法定相続人数を乗じた金額との合計額、これは具体的には六百万円と百二十万円、こういうことに改正になった。 それから、遺産にかかわる配偶者控除の場合は、従来最高四百万、四十万に対して、婚姻期間十年をこえる一年につき六十万、そして、今回は最高六百万。 それからもう一つは、未成年者の控除がある。二十歳までの一年について一万円が、二万円になった。 それから、障害者控除。これが従来一万のものが、重症障害者に対しては四万円。七十まで一年につき、別な者には二万円、こういうものが改正になった。こういうことで、一定の各種控除というものが引き上げになったけれども、これは実際、いま局長が説明されたように国民の財産形成も、そういう中産階級の、いわば表現としては中堅財産階層、こういうものを標準としてはならない。何を一体基礎にしてこういう引き上げの積算が計算をされるか。基本的にそういうものを土台にして、こういった積算基礎でなくてもけっこうですから、それはいまそれを求めてもおそらく主税局長こうだということは言い切れないと思うのですね。しかし、現実、引き上げられているわけですから、そういう引き上げられた額の一体積算基礎になったのは、どういう要因がここに横たわっているのか。それをひとつありのままに説明してくれませんか。
○政府委員(高木文雄君) 今回の改正の焦点は、ただいま御指摘のように、課税最低限を大体五割上げるということにあるわけでございます。そういたしますと、大体どのぐらいの結果になるかということをいろいろな角度から見てみますと、一つは、課税案件がどのぐらいつまり減るかということが一つの結果として出てくるわけでございますが、四十六年度の課税状況で申しますと、これは四十七年はまだ進行中でございまして数字がそろっておりませんから、四十六年度の課税状況で申しますと、死亡者、なくなった方の数が約六十九万人。それに対して相続税を納めていただいた計数は、被相続人の数で二万六千人。したがって、どなたかに御不幸があった場合に、どの程度の方に相続税を納めていただいているかというと、その率はただいまの割合から三・八%になっております。 ところが、その後四十七、四十八と相続財産の評価額のほうがふえていきます関係で、この三・八という割合は、このまま放置いたしますれば相当ふえるであろうということが予測されます。その予測値がどのくらいになるかということは、非常に申しわけないのでございますが、よく正確にわからない。その事情は、四十七年度の税制改正におきまして、妻に対する遺産分与が三千万円までであれば、それは非課税になるという、かなり大規模の改正が行なわれました関係上、四十七年であの規定適用を働かして相続税を納めないで済むような道を選ばれる方がどのぐらい出てくるかということが見当がつきませんものですから、よく正確には予測が非常につきにくい。従来の傾向とか、土地の価格の上昇率で延ばしてみるわけにいかないわけでございますが、まあいろいろな推定を置きまして、四十八年度に大体五%弱ぐらいにいま申しました三・八がふえていく可能性があるのではないか。それは、かなり土地の価格の急上昇により相続税評価額が上がっていくということの影響でありますので、それをスローダウンさせる必要があるということが言えるわけでございますが、今回お願いしております改正が成立いたしますならば、その五%弱という数字が大体四%になるかならぬか。つまり、先ほど申しました四十六年の三・八という率とほほ前後するところにおさまるのではないかというのが、一つの目安でございます。 それから第二は、相続税によりまして、いままで相続税は本来所得税の一種の清算という意味を持っておりますから、相続税を納めていただくということは、何らかの形において財産の処分を余儀なくするという要素があるわけでございます。それば、ある意味においては非常に困ることでございますが、また一面におきましては、所得の清算という意味からいいますと、やむを得ないことであると思っておりますが、それにいたしましても、たとえば、現に夫婦で住んでおられる家を売らなくちゃならぬというようなところまでいっては非常に困る。あるいはまた農業のように一定面積の農地があって初めて成立する場合に、それを売らなくちゃならぬということでは非常に困る。その辺が一つの具体的なものが目安になるわけでございまして、過去におきましても、具体的なポイントをとりまして、たとえば東京でございますと、世田谷区とか杉並区とか板橋区というところの居住地を一つとりまして、そういう地点で、まあまあいわば最小限度の宅地なり、最小限度の家屋なりを持っておられる場合に、その評価額から見てそれがどういうことになるかということを見てみまして、相続税のために直ちに家を売らなきゃならぬという関係になってはぐあいが悪いということで、私どもが税制調査会にもお示しをいたしましたが、そういう地点において、たとえば、五十坪程度の土地を持ち、二十坪程度の家を持った場合に、幾らぐらいの評価になるか。それが過去の評価との関係においてはどういう経過になるか。それから、同じ地点で七十坪程度の土地を持ち、三十坪程度の家を持っている場合に、どのぐらいの評価になるかというような点を見まして、たとえば、都内の非常に土地価格の高いところというような場所であれば、相続税のためにそれを場合によっては処分していただかなきゃならぬことになってもやむを得ないかもしれないが、まあまあ大体通勤距離で都心から見で一時間前後の地点で、あまりいわばぜいたくでない家屋にお住まいのような場合にはそれが課税にならぬ。しかもこれは、制度でございますから、ことしだけでなくて、少なくともここ一、二年、二、二年は課税にならぬというような目安を一つ置きまして、チェックをしてみるということをやっております。 農地につきましては、宅地に介在している農地であるとかというものは別といたしまして、少なくとも純農地なり、あるいは中間農地なりにつきましては、かなりの面積を持っておられても、それが課税にならぬということにならぬといけませんので、そういう点をチェックをいたしております。 で、まあ一応課税最低限の改善幅は、今回御提案申しましたように、五割アップということにするということに絶対的な意味を持つものではございませんが、その結果どういうことになるかというチェックはいたしまして、まずまずこれならば、所得の一生清算という意味も果たしながら、同時にまたそれが相続人の生活基盤の破壊にならないようにという線に当たっているかどうかというチェックをしておるということでございます。
○戸田菊雄君 いろいろと考慮されて今回の各種控除の引き上げというものをやられたようですけれども、必ずしも私は、その積算基礎というものは科学的に、われわれが納得できるような、ものではないですね、いまの局長の説明を聞きますと。これはやはり個々の問題になりますけれども、何かもう少し合理的に、科学的に検討して国民が納得できるような、積算基礎というものをつくり上げていかなくちゃいけないんじゃないかと思うんですが、その辺の見解はどうでしょうね。
○政府委員(高木文雄君) 私どもも、今回の改正作業の過程において、いろいろ反省させられる点があったわけでございまして、特に最近におきましては、土地の価格が異常に上がっております関係上、相続財産の評価額がふえていくということに問題がございます。 そこで、先ほど御指摘のように、財産分布というものについて何らかの形での、完全なものでなくても、見当をつけ得るような資料を持っておりませんと、いろいろ御指摘の点について明快にお答えできない現状にあるという点が最も問題でございまして、今回の改正の作業をやってみまして、私ども自身そういう感を深うしておることでございまして、今後とも、そういう点は何らかの形で、資科整備と申しますか、調査と申しますか、そういうことをやった上で見当をつけていかなきゃないぬというふうに思います。
○戸田菊雄君 そこで問題は、現行の相続税法のたてまえからいけば、課税というものは、やはり時価方式をとっているわけでしょう、一つは。もう一つは、総合主義ですね。だから、こういうことからいけば、いま主税局長がいろいろ説明をされたようなことで、全国的に一元化方式をとっているわけですから、非常に私は、たとえば東京あたり、いま主税局長が指摘をされたように、土地五十坪、建て家が二十坪、あるいは土地が七十坪で建て家が三十坪、これは最低の勤労者のマイホームですよ、これは一つの夢ですね。ところが、そういうものは東京都内とか、あるいは大阪までの太平洋ベルト地帯を含めてもけっこうですけれども、この沿岸地帯で、いまとても五十坪の土地に二十坪の建て家を持てるなんという状況は私はないと思うんですね。やはり千葉とか埼玉とか、そんな奥に入った方向ですね。こういうところで、あるいはかろうじて確保できるかもしれません。私が住む仙台だって、駅前付近なんというものはとても坪百万円以下なんというのはないんですからね。造成地へ行ったって、それはもう一坪五万円以下というのはないですよ、市内では。こういう状態になってきて、たとえば、かりに五十坪買ったって、これで二千五百万吹っ飛んじゃう。最近木材の値上がり、これは投機その他でぼんぼん上がっているでしょう。建築資材が暴騰している。こういう中で、一千万円でちょっといま普通のマイホームの三十坪や二十坪建ちませんよ。そういう状況になったら、いま財産の中産階層といわれる、これは三千万で一応いっているわけですけれども、こういうやっぱり機械的な減税措置というものは、はたして国民が要望するような方向でやられているのかどうかということになれば、たいへんな私は疑問だろうと思いますね。だから、そういう面について、何か特別立法的な方策を立てて、今後の経済はより一そう——土地投機その他何にも政府が抑制できないんですからね、むしろ政府主導型でどんどん上げていっているわけです。こういう状態を考えれば、今後の経済動向を一つ見たって、これはたいへんな状況だと思うんですね。だから、今回の改正が、そういう前提のものも含めて、私は、十分国民が納得できる改正要旨でなければ了解できかねると思うんですね。その辺は一体どういうふうに判断されていましょうね。
○政府委員(高木文雄君) いままさに御指摘のとおり、新たに土地を取得し家を建てようということになりますと、御指摘のように非常に金額が張るわけでありまして、今回お示ししているような千八百万とかなんとかという程度ではなかなかむずかしい場合が多々あるわけであります。ただ土地の値段というのは、非常に、買い手の値段と売り手の値段との間に差があります。そこで、現在の評価額は、公示価格で見ましても、いわば呼び値よりはかなり低いところにあるわけでございますが、現在の相続税評価額は、いわゆる公示価格よりもさらに低いところにございます。と申しますのは、相続税法のたてまえでは時価ということになっておりますが、では時価でいつでも売れるかということになると、そうはいかないわけでございまして、いざ売るということになると、いわゆる相場ではなかなか売れないという関係がございますので、評価としては、売買実例等を基準として算定しております、いわゆる時価というものの大体七割ということを目安に置いて相続税評価額が組み立てられているわけでございまして、そういう面から申しますと、実は相続税の評価額は、いわゆる市場の値段よりははるかに低いわけでございます。でございますから、先ほど申しましたように、都心通勤圏一時間前後というところであれば、これはかなり十分余裕を持っていまの千八百万という額でカバーできるわけでありまして、一般的な地価の概念あるいは建物を新築する場合の概念として頭へ入ってくる数字よりは、はるかに低いものが相続税評価額になっておりますから、したがって、先ほども申しましたように、規模が大きければ別でございますが、ほどほどの住宅の程度であれば、それは間違いなく課税にならないという水準でございますことを申し上げておきたいと思います。
○戸田菊雄君 くどいようですけれども、局長は公示価格でいけばその七〇%だから、いわゆる実質時価よりは三〇%安いですよと、具体的にこう言っているわけですけれど、しかし、これは経済動向、土地騰貴、そういう状況を考えれば、もういま大都市の近郊の造成地帯に対しては大手企業が、不動産——三井、三菱、東急とかこういうものがどんどん入ってきて、大手業者同士が値段をせり上げているんですよ。そしてベッドタウン方式でどんどんやっているわけですから、これは地価が下がることは考えられないですね。今後の土地騰貴ですね、この状況でいったらどの程度まで一体上昇すると思っておりますか。その辺の判断どうですか、政務次官ちょっと聞かせてください。
○政府委員(山本敬三郎君) 先ほどからお話を承っておりましたが、局長のお答えいたしましたのは、四十八年でいきますと死亡者百人のうち四・九人になるものを四%までぐらい下げたいと、こう言っているわけです。しかし、もう一つのデータとしますと、昭和四十一年には死亡者百人のうち一・四人しか相続税の対象、被相続人件数はなかったと、それがやっぱり基本的には国民の常識であったような時代もあったんではないかと、こう思いますので、私は今度の相続税の改正が、先生のおっしゃるような点で必ずしも満足なものではない、こういうふうに考えていることは事実であります。 それから土地の問題につきましては、相続税の中で一番大きな分野を占めるものが、七〇%くらいが土地関係であり、それがいま果てしなく上がっているわけであります。ただ、しかし、土地がこのまま上がっていくかどうかという点については、今後やっぱりいろいろ制約する作用が出てきている。実は国の法律よりも優先する形で千葉県知事が、これから開発する場合には、取得原価、造成費、一般経費等を出してそれを公表すると、しかも、県庁内につくった調査委員会で、その正否を所在市町村長の意見を聞いて明らかにして、それによって開発を許可したりしなかったりと、こういうようなことをやるような、そういう、何といいますか、住民パワーといいますか、あるいは生活者としての市民というものをバックにした、そういう制御の力が出てきているということは私は非常に重大に考えなきゃなりませんと思います。したがって、はたしてこのままいくにまかせるような状況で進むかどうかということについては、私はそういう方向に大いに期待して、いまのようなばかな土地の値段の上昇がないようなことが来たされれば一番いい、こういうふうに考えておりますので、いままでと同じ形で上がっていくとはにわかには言えないのではないかと、こういうふうに考えます。ただ、百人中四・九人というようなものと、この前の相続税改正のときの昭和四十一年の一・四人ですか、これとの間にやっぱり生活にかかわるような相続税の課税が行なわれているというふうに、国民サイドで理解しているということ自体は、私はおおいがたい事実だというふうに考えます。
○戸田菊雄君 ですから、それはそういう見解はあるでしょう。私は別な角度からもう一つ課税価格の問題について、これは非常に重要な問題ですからね。相続税法でいけば総額主義をとっておると、その総額の積算基礎ともなるいま主税局長が言われた公示価格、これの七〇%、これを評価額として出すと、こういうことになっておるんですけれども、いまのようにどんどん土地が騰貴をしてきて、それで課税価額というものを決定をしていく、そういう場合に、原則的には慣習とか、あるいは人情、そういうものも考慮するということになるわけですね、一応入ると思うんですよ、税法上のたてまえは。そういうことで最終的な課税価額というものを決定をされていると、だから、私が言うのは、いまの総合主義なり時価方式なり、相続税法のたてまえからいくこの根底に人情あるいは慣習、こういうものも入れて課税対象というものを、課税価額の決定をしていくのですから、そういう意味合いからすれば、何かやっぱり一連的じゃなくて、都市に対しては一定の特別立法的なもので当面の赦済措置をとっていく、もっと言えば、この非課税最底限というものを引き上げると、思い切って。たとえば、東京とか大阪の太平洋ベルト地帯については五千万円まで無税だと、このくらい思い切った措置をやらなければ、とても、このわずかな勤労者のマイホーム主義というものは、実現できないじゃないか、このままいったら、私はもう、そのことだけで、これは勇ましいことを言うようだけれども、たいへんな国民の不満を買うんじゃないかと思うんですよ。それすら実現できない。だから、そういう面についての立法体制というものを、政府としては当然この時期にくれば検討せざるを得ないじゃないか。なぜかといえば、社会福祉充実、資本の充実、社会保障の充実、いろいろいっているけれども、四十八年度の予算大綱見たら、やっぱり従来の高度成長政策のこのパターンをより拡大していっているわけでしょ。そして物価はどんどん上がっている、最近は商品投機までいっている、こういう状況でしょう。これは押えられないでしょう、いま。だから、長い展望で見れば、それはこういうことでひとつ長期計画を立てわれわれはやっていきますよといってもね、そこことからくるひずみ現象というものは住宅にいき、消費生活にいき、国民はえらい迷惑を受けているわけですから。そういう住宅関係一つをとらえてみても、やっぱり税制上政策的に判断をするというならば、もう少しやっぱり国民に対する善意ある態度をとってもいいじゃないか、そういう点についてはどうなんですか。
○政府委員(高木文雄君) 今回の課税最低限の引き上げの、いわゆる幅と申しますか、程度と申しますか、それが不十分ではないかということに尽きるかと思いますが、その点については私どもも決してこれが十分であるというふうには考えていないわけでございますが、ただ問題は、制度の改変をいたしますと、やはりその改変をした時点において非常に激変が起こるわけでありまして、具体的には、四十七年に御不幸があった方と、四十八年に御不幸があった方でずっと段差がつくということが起こりますので、片一方においては、やはり相当思い切った引き上げが必要であるということが考えられます場合におきましても、なかなかそう飛躍的に一挙にそこを動かすということになりますと、実はいろいろ摩擦現象を起こすわけでございます。この点につきましては、先般来衆議院の御審議の段階でもしばしばいろいろ各方面から御指摘があり、それとの関連で大蔵大臣は、従来のように、今回は四十一年以来の改正というようなことになるわけでございます、途中に手直しはございましたが、大幅改正は四十一年以来ということになるわけでございますが、少なくとも前回から今回まで途中七年もあるということでは、最近のような相続財産のうち非常に大きなウエートを占めます土地の価格の上昇が激しいときには対応していかれないということから、今後しかるべき時期に——という意味は、従来のように七年間もそのままにしておくということでなしに、もう少し随時改正をするというようなことをもって対応していかなければならないと思うという旨の答弁をいたしておりますが、私どももそういう方法で対処していってはいかがかと思っております。 なお、ただいまの御質問の中に、地域によって若干何か差を設けるということを考えてはどうか、それから、財産によって差を設けてはどうかという御示唆がございましたが、この点はしばしば各方面から寄せられる御意見ではございますが、実は地域によりまして差を設けますという点につきましては、かなりまたそのどこか差を設けるということになりますと、一種の線引きが必要になってくるわけでございますので、そこで非常に問題が起こるということがあり、また被相続人は一人でありますけれども、相続人は複数でありまして、そしてその被相続人が持っておる財産が一つであればよろしいが、分散しておるというような点がありますとなかなか複雑な問題を生じます。 それから、財産によって若干評価の方式を、評価といいますか考え方を変えてはどうかという点につきましては、やはり土地なり建物なりを持っておられて御不幸になった状態と、それから、何らかの御都合によってそれを御不幸の直前に他のものにかえた、株なり金に、預金なりにかえられたというような問題があります場合に、その両者間の差等の問題がありますので、私どもは各方面からそういう御意見を寄せられておりますが、地域により、あるいは財産により特別な扱いをするということについては、率直に申し上げて消極的でございまして、今回御提案申し上げておりますような方式で、しかしながら、相続人が五人の場合に千八百万ではいかにも額が少な過ぎるということであれば、そちらの額の置き方をどこへ置くかということで変化に対応していくということであるべきではないかというふうに考えております。
○戸田菊雄君 この点はあと検討ということで要望を申し上げておきたいと思うんですが、局長、やる気なら私はできるだろうと思うんですよ。それはなぜかというと、森林施業計画にかかる立木が相続財産の五〇%以上である場合、その立木部分は年四・八%とする改正が別途、これは租税特別措置の中で処理されているんですね。おそらくこの点は森林団体の圧力があったかどうか、私はわかりません。しかし、いずれにしても、私たちが想定するに、これは大山持ちのそういう階層だろうと思う。そういうものに対しては、遺憾なく特別措置を適用して立法措置をやっていくんですよ。ところが、勤労者の一般国民に対しては、そういう親切はあまりやられていない。だから、これはもう少し、いまの相続税法のたてまえ上からいけば制度上の改正ということになるけれども、もう少し親切に別途立法措置等を講じて検討すべき問題ではないだろうか、こういうふうに考えますので、それは要望としてひとつ検討をお願いします。それから、そういうことを質問してまいりますと、私は昭和四十六年八月の「長期税制のあり方についての答申」にどうしてもひっかかってくるんですよ。というのは、当時の答申の内容を今回必ずしも実現をされていない。いわば三つの控除引き上げをやって、あるいは森林等に対する税、利子問題の若干の引き上げをやった程度でありますから、まさしくその点では答申尊重というかっこうになっているんですね。たとえば、一つにおいてこういうことをいわれているんですね。「相続税は、富の再分配を図るという重要な機能を有するほか、所得税の補完税としての役割を果しているが、家計における財産蓄積の状況等を見ながら、今後適宜その負担の適正化に努めるべきである。」こういうようにいわれておる。今回の各種控除の引き上げによってこれが適正であるかどうかということは、いまの具体的な事例と照らし合わせた結果、私は、きわめて不適当だと思う。だから、こういう点については、今後も具体的に検討していく必要があろうというふうに考えますが、この点はいかがですか。 もう一つは、同じようにこの長期答申の中に、課税最低限についてのあり方について答申をしている。で、どういうことをいっているかというと、「今後も財産蓄積の水準及び資産価格の推移に応じて適宜その調整を行なう必要がある。この場合の課税最低限を定めるに当たっては、ゆとりのある家計の基礎となる財産形成に資するよう配慮」すべきだ、こういっておる。現下の状況からいって、基礎控除を四百万を六百万に引き上げた。法定相続人数八十万を百二十万に引き上げた。あるいは遺産にかかわる配偶者控除を最高四百万を六百万に引き上げた。それぞれ二百万円見当引き上げておりますね。しかし、この配偶者控除の引き上げは、これは贈与税控除は四十六年改正ですね。この関連で若干引き上げられておる。前段の問題については、これは四十一年以降一回も改正しないで今回にきた。だから、六年ぶりで改正になっている。贈与税の場合は、三十九年に改正して四十六年の改正ですから、これも六年ぶりですよ、いまのきわめて急変する経済状況のもとで、そうしてその財産価額の評価が逐次変わっている、こういう変動に応じて六年に一回ずつの改正しかやっていないで、これではたして適当といえるかどうか。あるいは長期答申からくるそういう尊重部面において、必ずしも私は妥当だとは言えない、この辺の見解をどういうふうに考えますか。
○政府委員(高木文雄君) 御指摘のように長期答申でも、適宜調整を行なえということでございまして、私どもとしては、その線に沿って今回改正をお願いしているつもりでございますが、御指摘は、改正の程度が不十分だということであろうかと思います。その点については私どもも決して、先ほど来申しておりますとおり、最近の土地の価格の上昇等の関係から申しまして十分であるとはなかなか言い切れないわけでございまして、本来、今後とも引き続いて、この答申は長期答申でございますから、四十八年度税制改正だけの問題に触れておるわけではないのでございますので、今後ともそれを頭に置いてその趣旨で調整をはかるべくいたしたいと思います。 それではなぜ今回の課税最低限の改定の幅をこの程度にとどめたかという点につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、やはり急激に動かしますことについては、それなりにまたフリクションを起こしますので、その意味でこの程度にとどめたわけでございまして、御趣旨を体して今後ともこの調整にはつとめてまいりたいというふうに思います。 それから第二の問題点の贈与税の点につきましては、これはいささか実は戸田委員のお考えと必ずしも同じというふうに申し上げにくい点があるわけでございます。と申しますのは、今回どうして贈与税の課税最低限二十万円なり四十万円なりというものを直さなかったかという点でございますが、これは確かに物の価格の変動という点から申しますと、やはり動かすべきだということは通常言えるわけでございますが、一方におきまして、最近どうもこの贈与税の課税最低限といいますか、非課税制度をかなり利用する、当然のこととは言いながら、租税回避行為が出てくるわけでございます。それで、夫婦間の問題であればまあ問題は別でございますが、あまり適当なことばではございませんが、世代の変わらない水平的贈与であればそれほど気にする必要はないと思いますが、垂直的贈与の場合、親から子への贈与の場合で考えてまいりますと、毎年計画的に小額のものであっても株なり預金なりを順次贈与していくという形式をとりますというと、この二十万とか四十万とかという金額は受贈者一人当たりの年間の最低限でございますから、子供さんが四人あれば、二十万なり四十万なりの四倍というふうに働いていきますので、これはかなり綿密、計画的に行なわれますならば、かなりの高額になる。本来贈与税ば相続税の補完税であるという性格からいたしまして、その点をどう考えるべきか、税の執行にあたっております国税庁をはじめといたしまして、税務のほうでもたいへんわずらわしい仕事が数がふえていくものでございますから、一面において直してはどうかという意見は内部からすら出ておりますけれども、一方においては、またいまのような問題がありますので、今回は留保さしていただいたわけでありまして、この点は、それにしてもしかし物の価格が上がっているのだから、変えてもいいのではないかという御意見と、両々あるわけでございまして、少しくこの点は検討させていただきたい。そういう意味で、一般的に相続税の課税最低限が少し、せっかく直したにせよ直し方が少ないではないかという御指摘は、私どもも根底においてそういう気持ちを持っておりますが、贈与税のほうは二つの意見があって、いずれによるべきか、ちょっといま最終的な結論を出しがたいわけでございまして、そのゆえに今回の改正案にはそれを取り込まなかったという事情でございます。 なお一言つけ加えさせていただきますが、先ほど森林の延納の率の問題についてお触れになりましたが、これは必ずしもたくさん山を持っている方にとって有利な方法ということでなくて、むしろ小規模に山を持っておられる方を主としてねらいにした制度でございます。と申しますのは、山の木をうんと持っておられる場合には、毎年毎年切っていくわけですからかまわない——かまわないと言ってはいけませんが、まあ比較的相続税による圧力がそれほど多く感ぜられないわけですが、小規模に山を持っておられると、毎年木を切らないで、木が成育してから十年先に納める、あるいは今回の改正で十五年まで延長いたしましたが、十五年の間に木を切って税を納めていただく、こういう思想になっておりますので、むしろせっかく幼齢林がだんだん育っていって、まだ切る木に達していない時期に、相続税のために切らなければならぬということはぐあいが悪いということがいろいろありまして、そういうことから、従来からあった制度でございますので、むしろこれは山林というものの木の成長に非常に時間がかかるという特殊性から発するところのものであるというふうに考えておるわけでございまして、その点一言つけ加えさしていただきます。
○戸田菊雄君 私の持ち時間ありませんから、あとでまた残された分は質問してまいりたいと思います。 最後に、今回の改正の重点は、私は、課税最低限の引き上げにあったというふうに考えておりますが、これは今後もそういう方向でいくわけですか。というのは、課税最低限、税率の改正は全然入っていませんね、今回は。ですから、そういう面で今後も押し通していくのか、もしこの税率の改正があるとすれば、どういう階層を中心に今後はやっていきたいと思うのか、その辺の二つの見解をお聞かせいただきたい。 それから、夫婦間の財産移動に対する課税についてなんですが、これも長期答申では明確に一定の答申をやっているわけですが、それは内容は省略いたします。ただ具体的にいって、同一世代の相続、贈与については、さらに軽減措置を進めて、その全額ないし二分の一を非課税にしてはどうか、こういう明確な答申がなされているのですけれども、その辺に対する配慮は今回やられておりませんが、今後将来そういう面についての検討も余地はあるのか、こういう問題についてひとつ。 それからもう一つは、葬式のいわゆる課税内容についてですけれども、これは相続税法のたてまえでは非課税財産ということで、無条件に非課税財産とされるもの、それから、条件つきで非課税されるものと二通りでございますね。その中に「墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの」、こういうことで明確になっているのですけれども、実際の省令、通達等によって、葬式の中身でも、これとこれについては課税対象になりますよという区分けをされていることは、相続税法のたてまえ上からいって、私はおかしいのではないか。これはあとで時間があれば明確にやっていきますが、少なくともイギリスはゆりかごから墓場まで社会保障が充実されているといいますが、日本はゆりかごから墓場まで全く税に押しつぶされている状況でしょう。この辺の内容については、もう少し検討する余地があるのではないか。きょう私は質問時間がないからこれでやめますが、この骨格の法律上のたてまえについて明快な回答を承っておきたいと思うのです。
○政府委員(高木文雄君) 将来の改正の動向として、課税最低限と税率の関係をどう考えるかということでございますが、これは今日の段階でお答え申し上げるのは非常にむずかしいわけでございますが、先ほど来お答え申しておりますように、課税最低限については、やはりどうしても漸次引き上げていかなければならない。特に土地の価格の変動との関係でその必要性を痛感する次第でございます。さらば税率のほうはそのままでいいかということについては、税率については二つの問題がございます。 一つば、税率は四十一年当時の税率と、現在の税率とを比べてみますと、実はこれは直接あまり意味がないという意見もありますが、相続税の税率と所得税の税率には、あるバランスがあってしかるべきではないかという議論がありまして、そうして所得税の税率のほうは、四十四年、四十五年、四十六年と、三カ年税率が直されましたものですから、四十一年当時と比べますと、相続税の税率がこのまん中辺といいますかのところでちょっとカーブのかっこうが非常にぐあいが悪くなっておりまして、そこで、あるところで急にカーブが上がっておるという点がありまして、所得税の税率を変えましたこととの関連上、相続税の税率についても一部カーブのまん中辺のところを調整すべきではないかという問題が一つございます。それから、上のほうの問題につきましては、所得税のほうの最高税率は七五%であるのに対して、相続税は七〇でとまっておるということとの関連上、これは手直しをすべきではないかという意見が一つございます。同時に、この課税最低限のみならず、税率のほうにつきましても、価額の変動がありますわけでありますから、やはり幾らから幾らまでは何%という基準を直さないと、昔の五千万円の持っていた意味と、いまの五千万円持つという意味が違うわけですから、それについて税率を動かさないのはいかがかという問題もございます。 そこで、税率問題はいろいろあるわけでございますが、これはまさに先ほど御指摘になりましたような、財産の分布状況等がもう少しよくわかってきませんというと、一体どういうふうに考えるべきかという問題がございますので、私は、税率の問題も課税最低限の問題と同様に、今後の課題になるというふうにお答えせざるを得ないと思いますが、さて、どっちをどうウエートを置いていくかという点については、いまこの段階でちょっとお答えいたしかねる。ただし、先ほど来お答え申しておりますように、課税最低限の問題は、今回の改定の過程を通じても決して十分なものでないという感じがございますので、このほうの問題はかなり早い時期に考えなきゃならぬ問題であるというふうに考えております。 それから、夫婦間の財産移転のほうの問題につきましては、これは、非常に長年の問題でありますと同時に、各方面からこれまた何か手直しをせいということを言われておるわけでございます。 ところで、現在法務省の法制審議会に身分法小委員会というのがありまして、そこで高名な民法学者であります我妻先生が座長といいますか、委員長になられて、相続に関連するもろもろの紛争のようなことを実例等を見ながら、夫婦間相続についての現行民法の規定がいいかどうかをかなり長期にわたって慎重に議論されております。 相続税のあり方は、民法のあり方と全く離れてきめることができるかどうかという点については両論ありますけれども、できますならば、やはり民法におきますところの相続のあり方について改変の必要があるという認識が広まっておる現状でございますから、でき得ればまずそれの早期の結論を待って相続税のほうも対処してまいりたい。方向としてはどういう形で夫の財産形成に対する妻の寄与度、貢献度というものを考慮に入れた相続制度にすべきかということが中心で議論されておりますので、その結論を待ちたいと思います。 それから、最後の非課税規定のところにつきましては、これはまあどっちかといいますと西欧各国の扱い等におきましても、葬式といいますか、墓所とか、そういう宗教的なものに関連するものにつきましては、あまり課税をすべきでないという思想が、日本でも昔からあるようでございますが、西欧では特に強いわけでありまして、それを踏襲してやっておるわけでありますが、ただいま御指摘の、一部法律で課税をしないことにしておるのに、扱いその他で課税をしておる実例があるというふうに御指摘がありましたが、その点はもう少し明確に御質問いただいて、お答えをいずれの機会にか申し上げたいと思います。
○説明員(吉田冨士雄君) いずれもう少し御明確な御質疑がありましてから御答弁いたしますが、葬式費用、お香典その他につきまして、現在とっております通達のたてまえをちょっと御説明したいと思うのですが、お香典あるいは自分が出している葬式費用については、一切現在としては相続税の課税財産に入れておりません。問題は、会社から弔慰金等という名目でもらいました場合に、御案内のように退職金の場合には、これはみなす相続として課税しておるのですが、退職金と弔慰金との区別がわかりませんためにしばしば問題が起こりますので、一応通達上は業務上なくなったときには月給の三年間分、それからそうでない場合には月給の半年分というものまではわれわれとしては弔慰金と見る、それ以上は退職金類似と見るという取り扱いをいたしております。
○戸田菊雄君 それはわかっているんだけれども、みなし財産として別途設定をしておいて、さらに条件的にそれは絶対課税はしないということの中に、いま言ったように霊廟とか墓所とか、そういうものは一切含まれるんだと。ところが、それは省令、通達でもって別な課税でいっているから、——きょうは時間がないからこれはあと参りますが、その辺おかしいんじゃないかと、こう言っているわけで、いまの答弁じゃちょっと納得できかねる。いいです、次回やりますから。
○成瀬幡治君 ちょっと速記をとめてください。
○委員長(藤田正明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(藤田正明君) 速記を入れて。
○野々山一三君 時間がないので簡単に質問いたしますけれども、有価証券にからむ問題ですけれども、総理がキャピタルゲイン課税は、理論上、徴税技術上むずかしい点が多いので、有価証券取引税をさらに二倍にするなどの方法を考えたい。こういうことを答弁されたわけですね、衆議院で。そこで、これによると大体来年という印象を深めるわけですけれども、一体ことばなのか、中身なのか、実際にやるのか、そういう点をまず伺いたいんです。政務次官、あなたいかがでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) ちょっと私から……。 衆議院の予算委員会で総理大臣が御答弁になりましたときに、私も政府委員席におりましたので、そのときの状況を御説明いたしますが、総理大臣に対する御質問は、株のキャピタルゲイン課税をすべきであるという御質問に対してのお答えとしてなされたわけでございます。そのときの御質問は、たしか、正確ではないかもしれませんが、キャピタルゲインだけではなしに、配当の課税の問題とか、それから、所得税におきます配当控除の問題とかをからめて御質問があり、なかんずくキャピタルゲインの課税について御質問があったに対する答弁でありましたが、総理の答弁された感覚、感じとしては、理論的にはキャピタルゲインも当然課税すべきものであろうけれども、自分の承知しているところでは、なかなかうまく税務署でつかみ切れないというのが実態であるようであるので、もっと株の取引に関与している人に税負担を求めよという議論であれば、私はどちらかというと、キャピタルゲインに直に課税するということよりは、今回提案して二倍にしている有価証券取引税を、さらに来年でももう一ぺんまた二倍にするというような感じで処理をするほうが現実的ではないかと思うがと、こういうふうに言われたわけでございます。私どもといたしましては、今回有価証券取引税を、昭和二十八年創設以来初めて税率を変えさしていただくわけでありまして、その場合、どの程度に上げるべきかということは、いろいろ議論があったわけでございます。それで今回の案のように二倍にするのでなくて、従来の万分の一・五を万分の五ぐらいに三倍ぐらい上げたらどうかという議論がありました。それはOECDの租税委員会におきまして、ヨーロッパ各国の税率をある程度統合しようということから、いろいろ各国の税務担当者の間で議論をしましたときに、あまりにも各国がばらばらであり過ぎるので統一するとして、一つの目安として〇・五%ぐらいのところでそろえたらどうか、あまり上げると株式の取引を阻害し、資本市場育成にマイナスに働くかもしれないが、その程度であればいいのではないかという議論が進んでおります。ただ、同じくOEDCの資本市場委員会のほうでは、逆に有価証券取引税は全廃すべきではないか、こういう議論がありまして、OEDC全体としては、二つの異なる委員会で相反するいわば意見が出ておりますので、いまなかなかきめかねておるという、こういう現状でございます。そこで、今回の改正にあたりましては、〇・五%ということになれば、大体三倍程度に引き上げることになるわけでございますが、そういう案と、きわめて常識的で恐縮でございますが、倍といえばかなり上げたことになるから、倍という程度でどうかという案と、いろいろありました結果、あまり激変を、確かに最近のように株が過熱している現状からいえば、それを冷やすという意味もあり、それからまた、担税力も予想されるから、もっと求めてもいいという意見もありましたが、一方において、やはり増税というのは、二十年間据え置いたことでもあり、倍というのが最高限度ではないかという一つの常識とがありまして、政府の税制調査会等での議論でも、証券関係の委員の方々の意見とかなんとかいうことではなくて、その他の方の意見としても、大体倍というのがまずまず相当な刺激であろうということでなったわけでございます。でありますから、今後どういたしますかということにつきましては、総理のお気持ちは十分つかんでおりませんけれども、私どもといたしましても、十分キャピタルゲイン課税の問題とも関連させながら、検討に値する問題だというふうに事務屋としては認識をいたしております。
○野々山一三君 あなたのお答えも、衆議院の予算委員会における総理のお答えも、前向きに今後二倍くらいにしたいと言いながら、あとのほうではむずかしいからこの程度と、こういうわけですからね、一体むずかしい理由を聞きたいのです。これが一つ。 それからもう一つは、皮肉じゃありませんけれども、最初に言っていることと、おしまいに言っていることとまるきり正反対のことを言っている。これは無責任、その責任を十分——責任論じゃないですけれども、この点のあなた方の心境をまず伺いたい。たいへん横着な話です。前のほうでは上げたい、うしろのほうでは上げられぬ。 第三番目、OECDの話をするが、都合のいいときには外国の話をする、うちへ帰ってくると日本の話をする、何という態度ですが、これはあなた方が答えられなかったら、大蔵大臣にひとつ善処してもらいたい、この三つ、まずお聞きしたい。
○政府委員(高木文雄君) お答えになるかどうかわかりませんけれども、増税する場合にどの程度であるべきかということは、二つの意見があったわけでございまして、二倍程度というのが、増税の過程としては最大限ではないかという意見と、それから、最近の株の過熱状況からいえば、もっとふやしてもいいではないかという意見があったわけでございまして、これは税制調査会に私ども責任を求めるわけではありません、私ども責任を逃げるわけではありませんが、その二つの意見の結果として、どちらかといえば、二倍程度にするのがまず限度であろうかという御意見のほうが多数を占めるということでありましたので、私どももそれに従ったわけでございます。この税の問題は、各方面の御意見を聞いてきめるということにならざるを得ないのでございまして、私ども自身として、絶対にこれが真理であるということになかなかいかないわけでございまして、その点はひとつ御了解いただきたいと思います。 それからOECDの問題につきましては、これはわが国だけでなくて、各国の間でそういう意見があるということを御紹介しておるにとどまるわけでありまして、それゆえに日本の税制として直ちにどうあらねばならぬということではなくて、しかし、株の取引というのは、他のものと違いまして、世界をまたがって動きますから、その意味においては、おことばではありますけれども、外国の水準というのも、ほかの税の場合よりはやはり参考とする必要があるのではないかというふうに思っております。 答弁が矛盾していると言われますのは、現に二倍にするということを前提として御提案を申し上げておりながら、一面においてはそういう二倍が絶対的なものではないという気持ちが動いておりますものですから、矛盾をいたしておるかもしれませんが、そこはごかんべん願いたいと思います。
○野々山一三君 そうすると、総理の前段の答弁、つまり今後は二倍にしたいと思う、こういう答弁はうそだったというふうにあなたは言われるわけですか。はっきり答えてください。もう余分なことを言わぬで、時間がないんだ、ぼくの。
○政府委員(高木文雄君) うそだとも思いませんが、総理もそうするとはおっしゃっていないので、やるならそっちの方向でというふうにお答えになったように私は思います。
○野々山一三君 あなたは、総理の答弁を結果的に取り消すことになる。あなたがつぶしてしまうことになる。そうでしょう。これはあなたでは答えられぬことでしょう。つぶしているんじゃありませんと言うなら、つぶしているんじゃありません。こう答えながら——総理大臣なり大蔵大臣に私は聞きたいんです。政務次官いらっしゃるから、政務次官で十分だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(山本敬三郎君) 総理の言われたのは、私まだ読んではおりませんけれども、本来、流通税であるべきものと、それから、国民が非常に注目しているキャピタルゲインに譲渡所得税をかけるという問題とは、本来私は別の問題だと、こういうふうに考えております。しかし、キャピタルゲイン課税というのが非常にむずかしいということを総理がよくよく考えておりましたために、あたかもそれに代行するがごとくにそうおっしゃったんだと、こういうふうに思うわけです。しかし私は、代行するということは、私見にわたるかもしれませんが、これは決して国民の期待に沿えるものじゃないと、流通税を高くしたからといって、それでキャピタルゲイン課税が行なわれるものではないと、こういうことに考えますけれども、総理自体が上げたいというようなことをお考えになるなら、それは別個の問題として、取引税のほうも上げ、それから、キャピタルゲインについても考えるという考え方もあり得るんじゃないかと、こう思うわけです。
○野々山一三君 捕捉のしかたがむずかしいということに落ちるんじゃないかと思うんですよ。そうでしょう。結局、だからあなたのほうが幾らことばでおっしゃっても、実際は株は持ったほうが得ですよ、するすると通したほうが得ですと、こういうことが投機ということにつながっていくわけですよ。したがって、根本的にはこれはやっぱりとらえるということですね。そうでしょう。とらえることについて税務当局として正確にとらえるということをまず考える。これが一つです。 それから、総理の言われるように、これだけどんどんどんどん上がる、そして投機熱をうんとあおり、そしてインチキな会社——インチキと言っちゃ悪いけれども、商社がどんどん余っている銭をそれにどんどんやっている、買っている、そし七もうける。ところが、もうかりたことば事実だけれども、途中は税金は取れない。そんなことでは、これは株の民主化というようなこと、庶民性、大衆性ということがいわれていながらも、たいへんな不信感というものにつながるのじゃないでしょうか。これは率直に申し上げて、いまの答弁を何べん聞いておっても、これはどうも答えにはならぬようですから、次に大臣のいらっしゃるときにその点をはっきりしたいと思います。よく検討をしておいていただきたい。初めの話としまいの話とが違う話はもうけっこうですから。どうぞその点をよく一ぺん胸にたたき込んでおいていただきたい。 第二番目。今度その二倍程度と言うんですけれども、二倍程度と言うのは二倍にするというわけですね。二倍の根拠をひとつ正確に、私らにわかるように資料なり何なりを出していただきたい。そして答弁をしてください。そうしないと、二倍というのは、二倍という話もあるが、三倍という話もあるが、六倍という話もあるが、まあまあその程度かいいだろうなんということばは——こういう税金の話ですから、通用すると、今度はへんてこな話がよけい出てくるわけじゃないでしょうかね。この点の根拠を、先ほど申し上げているように示していただきたい。二倍というものの理由、根拠、これを正確にひとつ調べてください。お答えをいただきたいと思います。私は、二倍というのは、やっぱり世界的な傾向なども全部調べてみましたよ。OECDというやつに私はかかわり合いがずっと昔からありまして、こういう会議にも出たこともありますから、それなりによく知っておりますよ。おっしゃる話だけではどうも信用できないんですね。ということと、日本のいまの現状というものを正確にとらえて対処しなければいけないという意味から、来年は——ことしはこれは二倍と言うんですから、かりに二倍なら二倍ということであったとしても、来年はどうするということについて見解を承りたい。一体、その直す気持ちはないか。二倍というやつを直す気持ちはないか。これは、根拠の言い切れないあなた方に直す気持ちはないかと言っても、答えられぬだろうということで、私が先にあなた方の立場をこうしゃべりますがね、そんな無責任なことはないですよ、ということになるんです。その点の見解を承りたい。
○政府委員(高木文雄君) 資料は、今回改定をいたしますことに関連いたしまして、いろいろ参考といたしました資料は御提出いたします。ただ、それが正確に二倍ということでなければならぬという資料はございません。それはいまからお断わりをいたしておきます。
○野々山一三君 その正確に二倍というところをえらい大きい声を出されましたが、(笑声)笑い話みたいな話ですね、これは。根本的に私も正直言って、それは、あなた方の言いにくい、答えにくい、正確にこうこうしかじかの理由でということが言いにくいという気持ちは、気持ちというか、材料しかないということはわかるような気がするんです。したがって、先ほどの成瀬委員のお話しのように、ずっと正確に系統的に秩序正しく調べれば、私は捕捉はできるはずである こう思うんです、私なりの勉強によると。それを踏まえて今後どうするかということについて、もう少し積極的なお答えはありませんか。御質問をいたします。
○政府委員(高木文雄君) キャピタルゲインの課税の問題につきましては、これは税の公平の見地からいいましても、どうしても何とかしなきゃならぬ問題だと思っております。 その方法としましては、しかし、現在、非常に多数の株が日々売買されて市場を中心として動いておりますので、これを漏れなく、税務官庁が漏れなくというところまでいかなくても、ある程度でも把握することはほとんど不可能に近い。そこで、申告に期待できるかというと、現在の段階ではなかなか申告に期待できない状態ではないかと思っております。 法人のほうは、御存じのとおり、株式の譲渡については非課税になっておらないわけでございますが、こちらのほうは、幸いにして帳簿組織がたいへん一この制度が個人のほうについてなくなりました二十年前と比べますと、法人の帳簿組織ばかなりきっちりしたものになってまいりましたので、法人のほうはたてまえどおり課税になっていると思います。ただ、個人のほうについては、本来、記帳慣行というものもございませんし、これを申告に依存するということは、現段階ではほとんど不可能に近い。そこで問題は、それをあまり極端なものだけはせめて何とか把握する方法を考えたらどうかと、うことで、現行あります制度の、年に五十回かつ二十万株以上の移動の場合には、これは非課税にはしませんという規定、これが実は正直申し上げて、実効上うまく動いていないわけでございます。こっちのほうの規定をどういうふうにか整備をしていくということが、当面私どものこの問題に関する研究の中心課題にいまのところはなっておるわけでございまして、今回の税制改正にあたりましても、何か方法がないかということで下準備はいたしましたが、税制調査会に意見を聞くに足るだけの準備ができるまでの前のところで時間切れになったようなわけでございまして、今後ともそのあたりを中心に検討を続けていきたいと思っております。
○野々山一三君 今後どうするかについて対処しなければいけない、こういう趣旨ですね。そこで、下準備というものをしたけれどもとおっしゃるわけですね。その下準備をしたけれどもというポイントですね、要綱みたいなものでしょうか、そういうものを、どういうものなのかということを、きょうもう時間なくなっちゃったから、次の機会に大臣にも聞きたいと思いますけれども、ひとつ紙に書いたやつを出してください。資料みたいなものですけれども、紙に書いて説明してください。音ではちょっと聞きにくいのです。わかりましたか。
○政府委員(高木文雄君) はい。
○野々山一三君 それじゃ、それをひとつお願いをしておきます。 それからもう一つだけ、あと問題三、四点ありますけれども、もう一つだけちょっと聞きますけれども、この前もちょっと聞いたのですけれども、土地——農地なら農地を子供に相続する。ところが、これは、おなくなりになったときでなければ、この税金は捕捉できないわけですね。税金で払うわけはないですね。ところが、この土地は、そうすると名前が変わってしまうわけですね。そうでしょう。おやじとむすこと娘というようなぐあいに変わりますね。その土地を、変な話ですけれども休耕をする、休耕用地。ところが、休耕補償をもらえます。そうすると、この土地を、補償はもらうわ、今度はある会社に駐車場ということで貸すわ、それを今度は、銭はうんと高いわけですね。二重にもらうわけです。こういうやつの中で、ずばり言うと、一つは、買った会社の側からいうと、これは交際費でやったり、あるいは経費で落としたりというようなことでやります。したがって、もらったほうの側は、税金の対象にはならないのです。申告もしないわけですから。それで、言うならば、二重得をするわけです。そうして税金のほうは免除される、休耕補償の免除をされる。三重得ですね。これは、この前農林省にも要求して、資料を出してくれ、事実を調査してくれと言いましたけれども、こういう問題についてはどうなさるおつもりでしょうか、この処置についてですね。これは相続に関係する問題です。そうでしょう。これをひとつぴしゃりやらないと、特に市街地域だったら、ほとんどこれが休耕にしてしまうわけです。そうすると、持っている者は得をするという話が先ほど戸田委員からありましたが、全く持っている者は三重得になるわけです。これを、税務署なり国税庁としては、どういうふうに捕捉されているのでしょうか。その点をひとつはっきり聞きたいわけです。これはこの前も申し上げましたけれども、私も税務署にも何べんも行って聞きましたよ、どういうことでしょうかと。つかまりませんと、こういうことばに尽きるわけです。そうでしょう。それらしい感じがするのです。会社のほうは、渉外費だとか、経費だとかいうやつ、もっと悪いやつはトンネルをやるのです。従業員一人一人から、君は幾ら幾ら払いなさい、それを会社が全部集約して、持ち主である人に払うわけです。そのときピンはねもするわ、会社のほうは。それで全部休耕補償を受けている土地をそういうふうにうまくするというふうなことは、たいへんな悪質だと私は思うのです。こういうことがどんどんどんどんはやってくると、これは税体系ももちろんのこと、それから、相続というものをうまくやるということによって、一そう持っている者が得をする。土地の価格が上がるということになってくることは、たいへん普遍的な話をして申しわけないですけれども、必然的な結果としてもう現実に起こっているのです。つい七、八年前までは五千円の土地が、いまは七万円、十万円、十五万円でしょう。それでしかも、そこが全部休耕地なんですね。それで会社のほうは、年に五十万円ぐらい銭を払うわけなんですから、一そうこの値が上がるということ。これをひとつどうやって捕捉するのでしょうか、ということが一つ。 それから、捕捉のしかたについて、どういうふうにお考えなんでしょうか。それと相続との関係をどういうふうに関連を持たしていくのか、これが私のいまの問題に対する質問の趣旨です。
○政府委員(高木文雄君) 私から、制度だけ御説明いたします。 農地の一括贈与をした場合には、一応贈与税は課税になる、しかし、その徴収を猶予しているという形になりますが、それを今度は贈与を受けた方が農業を続けないと、いまのお示しの例のように、駐車場に使っているという場合は、その面積が二割以上をこえました場合には、贈与税の延納を、猶予しているのをとめるたてまえになっております。それから二割に満たない場合には、その対応する部分割合だけについては贈与税を納めてもらわなければならないというたてまえになっております。しかし、そのたてまえのとおりになかなか動いていない心配は十分持っております。執行の状況については、国税庁からお答えいたします。
○説明員(吉田冨士雄君) ただいま局長のお話しになりました七十条の四の執行の状況でございますが、これはこの制度によりまして現在贈与税の延納を認めております件数は、実件数で約二万八千件ございます。ところが、毎年毎年の実際認めました累積をいたしますと三万六千件でございまして、三万六千件と二万八千件の差は、その後になくなって相続になったり、あるいは二割以上売って取り消したりという、そういう数字になると思います。ただ、その内訳については、税務統計で分けてございませんので、ちょっとわかりかねます。 それから、もう一つの問題の、ただいま先生のおっしゃいました所得税の把握の問題でございますが、これはおっしゃいますように、なかなか把握が、実情といたしましてうまくいっていないというのが実情のようでございます。制度といたしましては、御承知のとおりに、その休閑地を法人、会社に賃貸いたしまして、その法人がそれを駐車場といたしましたときには、不動産貸し付けに当たります場合には、法人から年五万円以上ですと、法定調書が参ります。法定調書が来ましたときに、その農家の方の申告と大体四月、五月ごろに資料総合いたしましてチェックするわけでございますが、その法人の法定調書が必ずしも守られていないということと、もう一つは、法人ではなくて、個人に回した場合には、法定調書は参りませんので、この場合には、今度は税務署員が、申告が正しく出てない場合には、足でさがして歩かなければならないという問題になっております。で、その際、われわれといたしましては、御案内のとおりに、非常に限られた人員で大ぜいの納税者を処理しておりますので、どうしても大きいほうからやっておりまして、営業の場合、庶業の場合ですと、大体二百万円以上の場合には、申告が出たあとで、ただいま申しました資料総合をして、なおあやしい場合には、そのうちの、これもごくわずかでございますが、選びまして、実地調査をやりますが、それ以外は概況調査と申しまして、ずっと戸押しにやって調べているわけでございますが、ただ、戸押し調査は、ほとんど現在のところは商店街を中心にしてやつでおりますものですから、ただいまお話しのように、少し離れたところの駐車場あたりまでなかなか手が及ばないというのが実情でございますが、先般来のお話もございますので、今度の事後調査あるいは概況調査の際には、その点もわれわれとしては十分注意してやっていきたいと考えております。
○野々山一三君 もう一つ、これはずばりな話を伺いますから、こういう例が多いという意味で、国税局の方に伺いたいのです。 たとえば、土地を買いますね。一千万、銭を払いなさい、ただし税金もあるので、六百万の領収書しか出しませんというやつが一ぱいある。これはどういうことなんでしょうか。それをどういうふうに処理するんでしょうか。もっと悪いことばで言うと、不動産屋は、それが当然のことのように常識化している。私の感じで言うと、取得税ですね、これなんというものはわずかなものだ。わずかと言っちゃ悪いですけれども、その額と、先ほど申し上げた一千万が六百万というようなものと比較すると、これはとても比較にならないほどの大枚な金を不動産屋は領収書を出す。つまり不動産屋はそれだけの申告しかしないわけです。そうでしょう。こういうものをどう取り締まるかということについては、これはおたくだけの問題じゃないと思いますけれども、これは決定的な問題だ。東京都における不動産業者、一万七千軒ぐらいありますか、この中で協会に入っている人は八千ぐらい。この協会の指導者にもぼくは直接会いました。そんなことはしないようにいたしますと、こういうことをおっしゃるけれども、さて実際の売買を見ていますと、全部そうなんです。これは贈与とかそういうことにかかわる問題じゃございませんけれども、たいへんなこれは問題点。これはまず一つは、そういうものを取り締まることを、ひとつ政務次官、関係各省とよく話してください、これが一つ。 それから、そういうものに対して、取り締まるだけじゃなくて、どう捕捉するかという問題を、制度的に考えなければ解決ができないということ。土地はほしい、極端に言うと、自分が長いこと四十年も借りて住んでいる、ところがこの際、土地を買ったほうがいいということで買う人は、ほしいために銭はうんと出す、領収書はわずかなもの、こういうことになる。こういう問題は、これは警察当局としても——私、正直に申し上げて、警察当局とも話しましたよ。これは売買のことですから、私どもは防犯上の観点しかございませんと、こうおっしゃる。そうすると、ほしいために起こる泣き寝入りということになる。こんなことが、土地の価格の引き上げというものに必然的に起こってくるし、脱税を堂々とやらしておるということになるんじゃないでしょうか。この点についての処置を、これはどうするかということについて、具体的に示していただきたいということ。
○政府委員(高木文雄君) 土地の譲渡価格は、土地の譲渡所得税という形で申告されるわけでございますが、その譲渡価格が非常に公正でないということは御指摘のとおりでございます。それで、現在先ほどもちょっと触れましたが、土地を取得する人が法人である場合には、法人は取得した土地について資料を提供することになっておりますから、まだ制度的に十分ではありませんが、ある程度の措置はできておりますが、個人の場合には、資料を提出するということになっておりませんものですから、取得者サイドから資料をいただいて、そして譲渡者が正しい申告をしているかどうかということが十分確認できないわけでございます。かつて個人であっても、取得者サイドから資料を提出していただくことによって、何らかの形で土地取引の公正化に役立つのではないか、また特に税の公平化に役立つのではないかということを制度的にできないかということを研究いたしたことがございますが、土地を買われた個人の方について、そういうものを法律上の義務とすることは、やはりいかがなものであろうかということになりまして、現在の段階では、残念ながら取得者サイドにつきましては、法人についてはそういう資料提出が義務づけられておりますが、個人のほうは義務づけられてないままになっております。 そこで、あとは税務調査の段階で、先ほども吉田部長から申しましたように、限られた人員の中でどの程度そういうものについて重点的にウエートを置いて調べていくかということでいま対処しておりますが、土地の譲渡を 詳しくは直税部長から御答弁申し上げますが、現在のところ土地の取引件数が非常に多い関係上、土地の取引そのものを全部追及することもなかなか容易でないわけでございまして、残念ながらいまのところ主税局といいますか、制度を担当いたしますわれわれのサイドといたしましては、国税庁に非常に負担がかかっているということを認めながら、現在制度的にそれをもう少し負担を軽減しながら、かつ公平を確保するための手だてというものを制度化することについては、恐縮でございますが行き詰まっているというのが現状でございます。
○野々山一三君 最後に一つ、ついでに答えてください。 いま法人のほうは申告に基づいて捕捉できるとおっしゃるけれども、私が持っている材料の七つも八つも九つも全部法人なんです。もし何でしたら証拠をお見せします。結局あなたのおっしゃる話は、法人として幾ら幾らで売り買いしたということの証拠は、領収書ですよね、そうでしょう。その領収書が一千万のものが六百万の領収書しかないわけですから、その領収書を幾らとらえてみたって、これは何にもならぬのです。そうでしょう。法人は申告によって捕捉するとおっしゃるけれども、実際はちょっとも正確な捕捉ではないんです、申告ではないんです。もし何でしたら、ずばり本物の証拠を見せます。そういう事態なので、これはやっぱり、私はよく制度的にはわかりませんけれども、業者を呼んで、徹底して売った価格は売った価格、取った金は取った金、それをきちんとするというような一例ですよ、そういう行政指導なり通達を出すなりして、いまおっしゃることばだけでは——制度的には私はわかりますよ、しかし、実態を捕捉するということをなさらなければこれはだめだということになるんじゃないか。 それからもう一つ、買った側の人のサイドを云々ということは言いにくい、こうおっしゃるわけでございます。これは、私はやっぱりこういうものを買った、売ったということですから、自分で銭出すんですから、おてんとうさんから落ちてくる銭を持ってくるわけじゃないですから、ちゃんと大事な大事な金を使うわけですから、そういうものについても、やはり事実私はこうですということが、法人の側であろうと個人の側であろうと、裏打ちされるたてまえというものをとらなければ、これは解決にならないんじゃないかというふうに思うのでございますよ。そのことを意見として述べながら両者のお答えを聞いて質問を終わります。
○説明員(吉田冨士雄君) その点について執行面からお答えいたします。 おっしゃいますように、なかなか土地売買は二重契約が多いし、またよくいわゆる中抜けと申しますか、というものが多くて非常に苦労しているわけでございますが、われわれのやり方といたしましては、まず大体売買実例その他からこの土地は幾らであるか、ただいま先生のお話ですと、たとえば、一千万であるべきのが六百万という申告が出てきたというものにつきましては、やはり見込み時価からいろいろチェックいたしまして調査対象にいたします。その際にいまお話しのように相手を呼びましてまずいろいろ話を聞くわけでございます。それといま簡易調査、それでもなかなか二重契約をもってがんばるという場合には、売ったほう、買ったほうの銀行調査、資金出所の調査をやります。これは実地調査でございます。その点はかなりきつくやります。全部そういう調査をやりまして若干の指導をするわけでございます。四十六年八月までの一年間の数字しか一番新しいのがございませんが、全部で二十一万二千件の調査をいたしまして、そのうちの四二%が明らかに被疑がある。さらにその中に、先ほど申しました銀行調査をやった、徹底した調査をやりますと、約六五%から七〇%くらいが被疑があるということでございまして、これを一件当たりで見ますと、一件当たり大体申告は二百六十万と出ていたのが、調査をいたしますと四百七十万、約倍近く、八割ぐらいの増差が出ているというのが調査の実態でございます。
○野々山一三君 最後に、いまのあなたの直税部長のおっしゃったお答えの数字だけをもってしても、六割、七割というものが間違いである、こういうことでしょう。いかに法人というものが——間違いないということを主税局長ですかおっしゃられましたけれども、紙に書いてある制度であるというと、言い方は極端な言い方ですけれども、大きな間違いがここに起こっているということを直視すれば、これはやはり行政的に抜本的な処置を講じなければ、この土地価格の問題の解決はできないんじゃないかということを思いますね。最後に政務次官の見解をひとつ伺って、あとはお答えのしかたによって了解します。
○政府委員(山本敬三郎君) いまの国税局でお話ししましたのは、非常に捕捉率が悪い、主税局長は法人の場合にはそういうたてまえになっているという答えがありましたが、現実には非常に悪いということがいま明らかになったわけであります。これを捕捉するためには、土地取得者に申告させる義務をつけていいかどうかという問題は、どうも人情からいってもいままでは問題があるところでございましたでしょうし、非常に問題があるところではありましょうけれども、やはり土地問題を解決するためには、そういったものも考えてみる必要があるのではないかというふうに私自体は考えます。
○委員長(藤田正明君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時四十分より再開をいたします。 午後零時五十五分休憩 —————・————— 午後一時五十八分開会
○委員長(藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き有価証券取引税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○多田省吾君 私は、最初に有価証券取引税法の一部を改正する法律案について御質問したいと思います。 この有価証券取引税法は昭和二十八年にできたわけでございますが、これは申すまでもなく、有価証券譲渡課税を廃止したのに見合って、こういった担税能力のある者に対して流通税として全く新たにつくったものでございますけれども、現在の市場の状況から見て、この前、衆議院の野党修正案では当然六倍ぐらい税率を引き上げるべきである、こう言われておりますけれども、今回政府の二倍税率引き上げが適正であるという、この根拠をまずお示し願います。
○政府委員(高木文雄君) 午前中の御質問でもお答え申し上げましたとおり、二倍という倍率が何か非常に権威があるといいますか、根拠があるといいますか、そういうことではなかなか説明できないものでございます。 御存じのとおり、二十八年度から比べますと、全体として株の価格も上がっておりますし、取引量もふえておりますし、したがって、その背後にある担税力はふえているということがわかるわけでございます。したがって、増税をしてもよろしいという状況ではないかと確信をいたしますが、さて、どの程度にすれば妥当であるかという率につきましては非常に議論があるところでございまして、私どもが事務的に検討いたしました段階では、二倍よりもう少し上げることも考えられるんではないかという考え方と、それから一般的に、増税であるから二倍というのは相当なものであるという考え方とがあったわけでございまして、両方の議論の末で、まあ、あまり急激な変化はいかがかということで、二倍にとどまったという以外に決定的なきめ手となるような根拠はないと言わざるを得ないわけでございます
○多田省吾君 その問題は、また後ほど質問しますけれども、この有価証券に対する課税は、有価証券取引税、それから有価証券の譲渡損益に対するいわゆる課税、それから有価証券にかかわるいわゆる利子配当に対する課税と、こういう、大きく分けて三つの種類があると思うんです。しかしながら、利子配当に対する課税は、これは前は分離課税でございましたが、この前から源泉分離、まあ、選択課税になったわけですが、それすら非常に、選択課税ということで総合課税じゃありませんから矛盾がある。独身の男性あたりで月四万円程度の所得があればたいまち所得税課税になるのに、平均世帯でも二百数十万のいわゆる配当の所得があっても課税されないというような、そういった矛盾もここから生じてくるわけです。この分離課税をやめようということに対してせいぜい政府がやったことは選択課税にしたことである。これじゃ、ほんとうの手直しにはなっていない。それからもう一つは、いわゆる有価証券の譲渡所得課税にしましても、昭和二十八年に税務執行上無理だというようなことでこれを廃止した、その結果、個人のいわゆる有価証券譲渡所得課税は非課税になったために、これまた大きな矛盾が生じているわけです。 それから、この有価証券取引税に関しましても、イギリス等と比べると非常に低いわけです。ですから、昭和二十八年ごろいろいろ理由をつけたかもしれないけれども、結局こういう証券市場が確立された現在において、これでは非常に不公平ではないかという、税公平の原則から見て非常によろしくないという議論が最近は非常に多くなっているわけです。 その点から質問をしますけれども、昭和二十八年に有価証券の譲渡所得課税が廃止された。その理由として当時の主税局長あたりは、証券業界の発達の程度が低いからだとか、証券の移転手続が整備されていないので証券業界に与える影響が大きく公平を期することができないとか、また、その裏側には、やはり証券市場が確立されていないというようなこともあったんでしょうけれども、こうなったら、個人の有価証券の譲渡所得課税をこれはもうアメリカ、イギリス並みに課税すべき段階に来ているんじゃないか。前々から課税すべきだと思いますが、当然いまの段階で課税すべきじゃないか、このように思いますけれども、主税局長はどのように考えておりますか。
○政府委員(高木文雄君) 株の譲渡所得が昭和二十八年に非課税になりました事情につきましては、ただいまもお触れになりましたが、さて、現在の段階でこれを課税のほうに持っていくということにいたします場合に、それがうまくいくかどうかという第一の前提条件は、譲渡を課税といたしました場合に、それに基づく相応の申告が期待できるかどうかということでございます。で、イギリスなりアメリカなりの点にお触れになりましたけれども、いずれも、われわれとしては非常に残念なことでございますが、わが国の場合よりは申告水準が高いといいますか、納税思想が広がっているといいますか、そういう形にあるかと思います。で、現状におきますところの申告の状況を前提といたしますと、相当程度税務署の調査等通じて間接的に刺激を与えと、それによって高い申告を期待しなければならないわけでございますが、御存じのように、株の取引はたいへん多量でございます。毎日、何億という株が動いておるわけでございますし、それをチェックするといいますか、登録をするといいますか、そういう手続がないわけでございますので、これを現状において課税するということになりました場合には、場合によりますとかえって不公平が生ずる免険がある、これは他の所得者との不公平ではなくて、株の譲渡所得がありました方々相互間の不公平の問題を生ずる心配があるわけでございます。と同時に、譲渡所得でございますから、その株の取得原価がわかっていなければいけないわけでありまして、何年か前に、あるいはその年の何月かに幾らぐらいで取得したものを幾らで売った、その差額がキャピタルゲインでございますから、その取得価格が把握されなければならないわけでございますが、これまた大部分のものが申告され、一部のものについて調査をするという場合であればともかく、現状ではその申告がなかなか期待できないのではないかと思われますので、それを考えますと、その譲渡の事実をとらまえることがなかなか容易でなく、また、さらに加えて譲渡原価を正確に把握できない心配がございます。で、譲渡益の課税の場合には、場合によりますと当然に譲渡損の問題も出てまいりますが、昭和二十八年当時の経験では、譲渡損のほうの申告はどうしてもちゃんと出てくるというかっこうになるものですから、どうもうまくいかないということであったわけでありました。それこれ考えますと、私は、現在の段階では、まことに残念ながら、何か取引そのものについてそれをもう少し、取引があった事実が、何かの形で少なくともその取引があったという事実だけはわかるという組織、制度になってまいりませんと、これを一般的に課税とすることは困難ではないか、かえって不公平を招くのではないかというふうに思っております。
○多田省吾君 いま局長は、税負担の公平の点からじゃなくて執行上の難点の上からどうもわが国の現状においてできにくい、アメリカ、イギリスはそういう体制が、あるいは国民感情が整っているからだと言いますけれども、イギリスだって一九七一年からこれやっているわけです。そして、いろいろ申告がどうのこうのと言いますけれども、わが国の税制においても、いわゆるクロヨンとかトーゴーサンとか、なかなかつかめないのも中にはあるわけですよ。ですから、私は、すでにアメリカ、イギリスがやっている以上、外国もやっている以上、そういうことで言いのがれするのは——もう言いのがれてきない段階に来ているんじゃないか。政府自身がほんとうにやる気があれば、決して不可能ではないと私は思うのです。当然今後、ことしとか、現状においてはやれないというお答えでありますけれども、今後再検討するお考えはないのかどうか。
○政府委員(高木文雄君) 課税の公平と申しますか、そういう見地から言いまして、株のキャピタルゲインが非課税になっていることが、非常に税の公平感の見地からまずいという点はまさに御指摘のとおりでありますし、私どもも、日ごろ非常にまずいことだというふうに心から思っておるわけでございますが、何といたしましても現在の取引状況、取引の仕組みをもってしては、どこでだれがどこに売ったのかということはわからない仕組みになっておるわけでございます。非常に流通性の強いものになっておるわけでございますから、したがって、それが一種の社会的常識として当然に申告になる部分が大部分であるという状態になりませんというと、実際問題として制度はできたが動かないということになる心配が非常に大きいというふうに考えているわけでございまして、午前の御質問にもお答え申し上げましたように、それではどうすればいいかということにつきましては、現在の、よくいわれております二十万株、五十回というあの制度について何か仕組みを考えるということは考えられるかと思いますが、一般的に株式の譲渡所得の非課税を全部課税にするということは、制度は生まれましても運用がうまくいかないのではないか、繰り返しになりますが、そうお答えせざるを得ないと思います。
○多田省吾君 私は、いま局長おっしゃったいわゆるキャピタルゲインの課税については、当然アメリカ、イギリスが課税しており、その他西ドイツとかフランス、イタリアも、特定の投機売買については課税しておるわけです。日本の五十回、二十万株以上のきびしいこれは課税が加えられているわけでございます。ですから、一般的に現在できないと仮定したとしても、特定の投機売買に対する課税とか、もっとこれを強化するとか、あるいは大口のこういうキャピタルゲインに対して課税するとか、そういう方向はとれるのじゃないか。で、この有価証券取引税なんていうのは、これは各国全部、キャピタルゲインの課税いかんにかかわらずやっていることですから、これが代替策として昭和二十八年にとられたということすら私たちは納得できないことです。ですから一般的に現在困難だと仮定しても、特定の投機売買に対する課税あるいは大口のこういうキャピタルゲインの課税というものを強めていくという こういう再検討のお考えはないのかどうか。
○政府委員(高木文雄君) おっしゃるように、有価証券取引税とキャピタルゲインの課税、非課税の問題は、たまたま昭和二十八年に時を同じゅうして、片一方を非課税とし、片一方の制度を創設いたしましたので、相互に関連がないとは言えないわけでございますが、制度といたしましては、キャピタルゲイン課税と、有価証券取引税のような流通税とは全く別のものであるというふうに考えております。したがいまして、今回、有価証券取引税の税率を改訂することを御提案申し上げておりますけれども、それだからといって、株の譲渡所得の非課税制度は全く現在のままでよろしいというふうにも考えていないわけでございまして、ただいま御指摘のような、大口であるとか大量であるとかいうものについて、せめて何らかの方法で捕捉する技術が見つからないものかということは日ごろから考えております、検討いたしておりますが、特に最近ではこういう株の取引、異常でございますので、一そう何とか方法がないかということを焦点に当てて研究をいたしておるところでございます。
○多田省吾君 所得税法の第九条には、非課税所得の内容をいろいろ列挙しているわけでございますけれども、いわゆる有価証券の譲渡所得に関しては、これは当然資産の移動、資産の譲渡でございますから、所得税にかかわる問題でございます。ですから、これを所得税法第九条に非課税の所得として、担税力があるのに税務執行上からの理由で、いわゆる行政上の便宜から、これを非課税所得としているのは税法上なじまないのじゃないかという議論があります。すなわち、所得税法九条で非課税にするのじゃなくて、これは当然租税特別措置法とか、そういう法律で、非課税にするにしても、そういう書き方をするのが当然じゃないかという、こういう議論があります。それはいかがですか。
○政府委員(高木文雄君) おっしゃるような面、性格があると思います。したがって、有価証券の譲渡非課税規定を所得税法の本法のほうで規定するか、租税特別措置法のほうで規定するかというのは両論あり得ると思います。ただ、特別措置はどちらかと申しますと、非常に政策的なものをあげておるわけでございまして、この譲渡所得の非課税措置といつのは、何か特別の政策目的があってそうしていると、確かに有価証券の取引の円滑化という点もないわけではございませんでしょうけれども、そういう点に着目して非課税にしているというよりは、現実に、現行制度上執行の問題ともからめてそうせざるを得ないということになっているわけでありまして、そういう後者の角度を重く置いて、現行税法上は所得税法のほうで非課税にしているわけでございます。しかし、考え方として、それは租税特別措置のほうで規定するということでいかぬかという点については、それは即座にちょっとお答えいたしかねますが、そういう考え方もあり得るという感じを持っております。
○多田省吾君 先ほどキャピタルゲイン課税ができない理由をいろいろ局長は述べられましたけれども、昔は、いわゆる市場が狭いとか、基盤がなかったとか、こういう理由もあげていたわけです。しかし、今日においては当然そういうことは言えなくなったと思います。 それからもう一つは、局長がいまおっしゃったように、証券の移転手続が整備されていないから、どうしても申告制だといろいろ問題が起こるということでございますが、この移転手続がきちっとなされれば、じゃ局長はあれですか、キャピタルゲイン課税もできると、こういうお考えですか。
○政府委員(高木文雄君) 株式は、本来株主は、株主名簿に登載されているというたてまえでございますが、しかし、取引はその委任状等を通じて転々と流通しているわけでございます。その転々流通の状態が何らかの方法で一般に明らかになっておるということであれば、それは当然課税可能ということになってこようかと思います。ただしその場合には、転々流通というのは、株式の基本的な、一つの株式そのものの持つ本来的な性格のものでございますから、それとの関係はどうなるかといったような問題がいろいろ出てこようと思います。いずれにしても、その点を除きましてそれが公然とどこかに明らかになっておるという仕組みになれば、課税は可能になってくるということではないかと思います。
○多田省吾君 ですから私は、局長のできない理由は非常に根拠薄弱だと思う。当然わが国においてはやっぱりアメリカ、イギリス並みにキャピタルゲイン課税はやっていくべきであると、このように思います。これは租税理論とかそういった問題じゃなくて、税務執行上の理由からだけで、そういうことができないということは私は納得できない。 それからもう一つ、お尋ねしておきますけれども、利子・配当に対するいわゆる選択課税の結果、理論上、平均世帯で四人家族で配当だけの所得の場合は、大体非課税の最低限度はどのくらいになっておりますか。それから、今度の税制改正で、独身の場合のいわゆる所得税がかかる最低限はどのぐらいになっておるか、その二つをひとつおっしゃってください。
○政府委員(高木文雄君) 株式の配当だけしかない、ほかに所得は全くない、そういう方は現実にはおられないだろうと思いますが、まあ、そういう方があったとした場合に、その場合幾らから課税になるかという点は、夫婦と子供二人の場合でございますと、二百七十五万七千円の配当所得の方までは課税にならないということになります。なお、これは本年から配当控除率が下がる結果でございまして、従来でありますと、三百四十三万一千円であったわけでございます。それから、独身者の課税最低限というのは、これは配当と関係なく、普通の独身者の課税最低限のお尋ねだと思いますが、給与所得者について申しますと、給与収入四十三万九千九百円ぐらいから下が非課税になる。課税最低限は四十三万九千九百円であるということでございます。
○多田省吾君 ですから、こういった点から、私は、不労所得者が、こういう利子・配当に対する選択課税の結果、少しずつ是正されているとはいっても、まだ相当の国民感情の上からも、独身者の課税最低限、それから配当のみによる家族の課税最低限、非常に開きがある、こういったことからも、私は、やはり不労所得者に対して非常に税金がゆるやかじゃないかと、こういうことがあるわけです。それから、いま言ったキャピタルゲイン課税につきましても、個人が幾らそういう譲渡所得があろうともほとんど全然課税されていない、こういう問題もあります。こういった点から見て、有価証券取引税はどうかといいますと、やはり対外的に見まして、非常にわが国の場合は少ないわけです。イギリスとかフランスはわが国の数倍になっております。ですから、当然野党修正案のように二倍じゃなくて六倍にせよというような意見も出てくるわけでございます。 それで、本法に戻りまして、そういった点から、先ほど局長が、二倍税率引き上げの根拠というものはほとんどないんだというような御答弁でございましたけれども、野党が主張するように六倍ぐらい税率を引き上げてもよろしいんじゃないですか、いかがですか。
○政府委員(高木文雄君) それば、何倍にすれば、どういう影響があるかということが正確に測定できませんので、二倍では低いと、それでは三倍にしたらどうだ、あるいは六倍にしたらどうだという御意見はいろいろあろうかと思います。ただ、先ほど来、イギリスの例をあげておられますが、午前の委員会のときにも申し上げましたように、この有価証券取引税については、現在各国の間でいろいろ議論がございまして、それでイギリスの一%、あるいはフランスの一・二%というのは、少し高過ぎるんではないかという議論が起こっております。現に、フランスは現在の最高税率一・二%を最近〇・六%に引き下げる、半分にするという方向で税制改正が進んでおるという状況でございます。で、わが国の場合は、東洋に離れておりますから、直接にはさほどの影響はございませんが、ヨーロッパのように取引所が比較的近いところにいろいろありますときには、有価証券取引税の税率というのはいろいろ問題がありまして、税率が高いとその取引所には株の取引が減ってくると、こういうことになっているわけでございます。二倍で〇・三%というのが絶対的なものだということは申し上げませんが、さりとてどこまでも高くていいというわけになかなかまいらぬのではないかというふうに思います。
○多田省吾君 次に、所得税法第九条第一項十一号の規定というものは、いわゆるキャピタルゲインの非課税措置をうたっておりますけれども、所得税法施行令の二十六条二項の規定は、譲渡益に対する課税を定めているわけでございます。この場合に、この有価証券の売買による所得というものは事業所得とみなしているのか、雑所得とみなしているのか。 それから、この規定に該当する前年度の対象仕数は何件くらいあったか、また、税収額はどのくらいあったか、ひとつお答え願いたい。
○説明員(吉田冨士雄君) 最初に何所得に当たるかという点ですが、これは通常は雑所得に当たります。非常にくろうと筋でやられる場合には、事業所得の場合もございますが、通常は雑所得でございます。 それから件数でございますが、実は国税庁のほうでは所得種類別にしか税務統計をとっておりませんので、その事業所得あるいは雑所得の内訳はちょっとわかりかねます。
○多田省吾君 国税庁でわからないそうですが、主税局のほうでは大体どの程度であるか、概略もわかりませんか。
○政府委員(高木文雄君) ただいま国税庁から御答弁申し上げましたように、統計上はわからないわけでございます。ただ、私が過去におきまして現場等において経験いたしました感じから申しますと、この規定が働いて課税になっている件数はきわめて少ないと言わざるを得ない現状でございます。
○多田省吾君 ですから、この施行令の二十六条二項に規定する売買回数五十回以上、それから株数二十万株以上と定めた根拠はどういうところにあるのか。結局、いまきわめて少ないとおっしゃった以上、外国の例と比べて税の執行上これは死文化しているんじゃないか、このように考えられますけれども、どうですか。
○政府委員(高木文雄君) 昭和二十八年に有価証券の譲渡所得は一般的に非課税とされましたけれども、それは営利を目的として継続的に売買を行なっている場合、つまりいわば俗語で商売として行なっておる有価証券の譲渡については、非課税とする趣旨ではないわけでございます。 そこで、当時から、たてまえとしてはこの種のものは課税だということになるわけでございますが、税の執行上どのようなものであればいわば商売として行なっているということが言えるかということとの関連上、何かメルクマールをつける必要がありますので、税務執行上は保有期間が六カ月未満の株式を年五十回、二万五千株以上取引した場合には継続的取引である。言ってみれば、商売として行なったものであるということで、税務の執行上取り扱ってまいりまして、それをただいまのように政令の上で規定するようになりましたのは昭和三十六年でございますが、そのときに規定を整備いたしました際に、現在の五十回、二十万株という基準を定めたものでございます。その五十回、二十万株という基準を定めました根拠はさだかでございませんが、先ほど前に御説明しました五十回、二万五千株という税務署等現場におきます取り扱い基準、これが一つの重要な参考に、なったものと思います。
○多田省吾君 まあ、私は、やっぱりこの根拠もですね、営利を目的として継続的に商売しているとみなして課税対象にするというようなおことばでありますけれども、いわゆる株式証券の売買そのものが本来営利を目的としたものでありますので、こういった規定は非常になまぬるいと、このように思うわけです。 それから次に、有価証券取引税に関して御質問しますけれども、税調の答申では「有価証券取引税は、有価証券の取引に際し、その取引の背後にある担税力に着目して課税する流通税である。」と、このようにありますけれども、この取引の背後にある担税力について、具体的にどのような認識と評価をしているのか、まずその点をお伺いします。
○政府委員(高木文雄君) この「背後にある担税力」というのは、そうむずかしいことをいっておるわけではないわけでございまして、株が売ったり買ったりされると、その中で特に、株が売られる場合には、その株は、昔買った価格以上で売られる場合と、以下で売られる場合がありましょうが、大体の趨勢としては、株価が大数観察的に見ますと、絶えず上がっておりますから、そこに何らかの所得があるであろうと、何らかの所得があるであろうから、よってその株を売った方には担税力があるというふうに考えていいで、あろうという趣旨でございます。
○多田省吾君 先ほども、まあ、二倍の問題でありますけれども、昭和二十八年当時の暦年の平均ダウは三百九十円九十銭、株数は三十八億三千九百万株、四十七年の暦年のダウ平均値は三千七百五十五円十三銭、売買株数は千三百五十四億七千三百万株、株価平均でも約十倍です。売買株数は約三十五倍と、このように非常な伸びを示しているわけですが、まあ、取引税率のほうは二十年間も据え置きになったままでございます。今回二倍に引き上げるわけでございますけれども、私はやはり、こういった市場の現状から見ても、二倍に引き上げるという引き上げの根拠は非常に薄弱である、私たちは、やはり六倍ぐらいにすべきじゃないかと、このように思いますけれども、この点はいかがでしょう。
○政府委員(高木文雄君) 確かに上場の株式の数であるとか、株式の売買高であるとか、株価の指数であるとか、そういうものを見ますと、年々増大をしておるわけでございます。しかしながら、これが二十年間据え置かれてきておりますから二十八年と比較するというわけにもなかなかまいらないわけでございまして、だんだんこの株数も、売買高も、株価指数もふえておるわけですから、そして、それが二十年間同じ税率であったわけでございますから、やはり一挙に二十八年とだけ比較するわけにもまいらぬということもあるわけでございまして、その株価、あるいは株式数、売買高、倍率というようなものだけで取引高税の税率をきめるわけにもまいらぬのじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○多田省吾君 時間もありませんので、次に進みますけれども、四十六年度中の株式及び投資信託の売買総額が二十兆八千六百九十一億円、公社債等の売買総額が十三兆二千四百七十四億円、単純合計しても三十四兆一千億円、これが四十七年度においてはまた格段に伸びておると思います。この四十六年度の課税標準総額に対する税収は幾らになっているのか。まあ、四十七年は出ないと思いますが、また四十八年度の株式等の売買額見積もりが二十六兆四千六百六億円、それから公社債等で十五兆百十二億円を見込んでおりますけれども、その根拠というものは非常に過小評価しているんじゃないかというような感に打たれますけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(高木文雄君) 四十六年度の有価証券取引税の実績は二百七十六億円でございます。で、この有価証券取引税の税収の見積もりというのはなかなかむずかしいのでございまして、まあ金額がさほどでございませんので、これでもあまり大きな問題になったことはございませんが、実は税目別の歳入の中では一番見込みがむずかしいと、あるいは見込みましたものが、いわば結果と食い違いが非常に大きいという種類のものでございます。たとえば、昭和三十七年には税収が百三億でございましたのですけれども、三十八、三十九、四十、四十一、四十二年というのはいずれも百億を割っておりますし、三十九年には五十七億というような小さい金額であったときもございます。で、毎年こう時系列的に並べてみますと、極端に申しますと、前年度に比べまして倍になったり、半分になったりする、こういう現状でございます。これはなぜかと言えば、言うまでもなく、株式の取引が、ある時期は非常に活発になり、ある時期はあまり活発でないということの反映なわけでございまして、まことに税収の立て方が適確にいかないという点は申しわけないと思いますが、さりとてこれは課税標準になりますところの株式取引額そのものがおそろしくフラクチュエーションを起こしておるわけでございますので、この点は御了承願いたいと思います。
○多田省吾君 いまおっしゃるように、取引税収というものは、株式の売買額や譲渡額の伸びに比例して反映するということはむずかしいかもしれません、言えないかもしれませんけれども、これは一応の目安になることは当然でございます。そして、こういう市場に大量に流れ込む資金の大半というものが、いわゆる大法人でございますので、そういう大法人の担税能力からしても、私は、二倍程度じゃなくて、税率はもっと引き上げるのが可能じゃないかと、このように思いますけれども、どうですか。
○政府委員(高木文雄君) 可能かどうかというふうに言われますと、まあ、これが何ぶん、二倍にいたしましてもまだ万分の三十というような率でございますから、それを若干動かしましても、株の譲渡者、これが全くいわば担税力がないというか、そのことのために取引そのものを著しく阻害をするということにはならないであろうかと思います。可能、不可能という御質問に対してはそういうお答えになろうかと思います。
○多田省吾君 一点、証券局長にお尋ねしておきたいんですけれども、このたびの協同飼料の事件にからんで、昨年の一兆三千億円以上のいわゆる時価発行に対して、株価がぐんぐん上がる時期に、そういう時価発行をしてプレミアムをたくさん取って、それがいわゆる過剰流動性に流れたんじゃないかというようなこと、これが強くいわれているわけでございます。で、今回大蔵省の監督を強くするということでございますけれども、いままでだっていわゆる見積もり書とかそういったものは時価発行の際のはとってたんじゃないかと思う。それがどうして、調べてみますとそのもくろみのようには使われてないで、いろいろ投機のほうに使われているというような結果が、あるいは株式売買に使われているというような結果が出ているわけでございますけれども、じゃ、いままでの監督が不十分、あるいは悪く言えばなれ合い、このように言えるんじゃないかと思いますが、その責任はどうお考えですか。
○政府委員(坂野常和君) 時価発行本来の趣旨から申しますれば、企業の自己資本を充実するというためには非常にいい資金調達の方法であります。しかし、お説のように不要不急の資金を時価発行により調達するとか、あるいはその資金繰りが十分豊かなのに株の高いうちに時価発行を行なうというような風潮が一部にあったといわれておりました。また、それを引き受け証券会社が誘引したのではないかというようなことが世の中の批判を受けておるわけであります。そこで、私どもとしましては、引き受け証券会社がその資金使途、資金繰り等を十分注意するようにということはかねがね申しておりましたけれども、なかなかその趣旨が徹底いたしませんので、昨年十二月以来申し合わせをつくらせまして、そして引き受け証券会社の申し合わせによってそういうことをきびしくしていく、さらに、本年四月以降はその点を一段と強化いたしまして、時価発行増資をめぐる資金調達のやり方について世の中の批判を招くことがないようにということにいたしております。またさらに、時価発行は直接——法令を守ることはもちろん、大きな資金を調達するわけでありますから、株主優遇その他、道義的にも投資者保護にもとることのないようにということで、今後引き受け会社の時価発行引き受け基準という中に詳しくそういうことを盛り入れまして、時価発行増資が真に正しい姿で発展しますような、そういう措置をとっております。
○多田省吾君 衆議院でも、いわゆる証券業界からの与党に対する政治献金が、規約に反して関連団体というような名目で派閥にも政治献金されているというようなことで、マスコミにも出たわけでございますけれども、そういう疑惑も出ているわけです。それから、旧大蔵省官僚の管理職以上の方々の最近の証券業界に天下るという数が非常に多いわけですね。その点からもいわゆる癒着が云々されていると思いますが、四十年以降証券業界に管理職以上の方でどのくらい就職したのか、数がおわかりでしたらちょっとおっしゃっていただきたい。
○政府委員(坂野常和君) 最近五カ年間におきまして証券業界に大蔵省の管理職以上であった者が直接証券会社に入りました者は一名であります。それから、現在証券会社に籍を置いておる者、これはかつて大蔵省で管理職以上の地位にあった者も一名であります。
○多田省吾君 それから、東証では、昨年ですか、時価発行は年一回というようなことを内部できめているわけでございますが、その点に関して大蔵省はどう考えているのですか。
○政府委員(坂野常和君) 先ほど述べました大手四社の時価発行の増資基準、本年四月以降に特に厳格化いたしましたその基準の中に、時価発行の間隔一年以上ということを定めてあります。したがいまして、今後一年以内に続けて時価発行を行なうというような計画をかりに発行会社がいたしましても、引き受け証券会社のほうで引き受けはいたさないということになっております。
○多田省吾君 最後に、主税局長にお尋ねしたいのですけれども、先ほどからの御答弁では、いわゆる株式のキャピタルゲイン課税の最大の困難性は、取引の状態がはっきりつかめないと、こういうことを言っておりますけれども、非居住者は別としても、一〇〇%近くわが国においては、法治国家である以上は戸籍もあるわけですから、株式の売買の際には住所、氏名、電話、きちっと押えられないわけはないわけでございます。そういった点から見て、キャピタルゲイン課税というものは、先ほどから再々の御答弁ではありますけれども、要は、政府がほんとうにやる気があるのか、ないのかという一点に帰せられると私は思うのです。そういった点から見て、今後の再検討の課題として私は前向きに進むべきだと思いますが、ひとつ主税局長、それから政務次官のお答えを最後にお聞きしたい。 それから、政務次官には先ほどから言っておりますように、この二十年間据え置かれている取引税の税率、二倍程度じゃ少ない、野党が言うように六倍程度にはすべきじゃないかと、こう思いますけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(高木文雄君) 株式の取引に際しまして、たとえば氏名、その他が何らかの形でどこかに登録されるというようなことがもし考えられますれば、キャピタルゲインの一般的課税は可能であろうかと思います。しかし、株式流通の特殊性といいますか、その性格からいたしまして、それを、取引者の確認といいますか、そういうことを行なうことが可能かどうか、また、適当かどうかという問題は別途あろうかと思われますので、それが私どもは、いわば受け身のようなかっこうになって恐縮でございますが、それが整備されない限りは、一般的に譲渡所得を課税にするということは困難というか、ほとんど不可能に近いという感じを持っております。
○政府委員(山本敬三郎君) 先ほどからのキャピタルゲインの問題でありますが、このごろの国民感情の中に、租税の不公平ということが非常に大きく拡大してきているという事実を、私は厳然たる事実として認めざるを得ないと思います。そのよってきたる理由はどこかと言いますと、一つは株式からであり、一つは土地の軽課からである。したがって、午前中問題になりましたような、たとえば土地を買いますときに、表の値段と隠し値段とを合わせていくというようなことがありました場合に、税務署がこれをトレースしようとしてもトレースできない理由は、やはり税務署がトレースできない金が一般に非常に流れている、そういうところに原因があると思いますし、先ほど局長から言いましたように、非常に技術的にむずかしい点があり、また、現状のままやりますと、課税される人とされない人との不公平という問題もありましょうけれども、それ以上に大きな不公平というものを目をおおっているわけにはいかないのではないかと、そこで、技術的には非常にむずかしいかもしれませんが、五十回、二十万株というようなことではなくても、もっと上のほうだけでもいいからこれはやはりつかむということの前向きの努力は絶対にすべきだ、私見にわたるかもしれませんが、私自体はそう考えております。 それから、先ほど二倍ではいかぬではないか、六倍にしたらどうか、こういうお話でありまして、局長からお答えいたしましたように、二倍でなければならぬという積極的な根拠はなかなか申し上げることがむずかしい。しかし、おしかりをこうむるかもしれませんが、OECDのほうの意見等を見ましても、最高限一%を上回ってはならない、できれば〇・五%ぐらい、万分の五十ぐらいというような意見も出ておるわけであります。確かに二十年前と今日との関係をとりますと、担税力はもうばく大な違いでもあるとも考えますが、せっかく二倍ということできめたことでありますから、今回はひとつそれで御理解をいただきまして、こういった問題については、時代が全く大きく変わっていくテンポでありますから、今後は二十年なんかほうっておくことなしに、相続税の場合と同じように、やはり年々あるいは二、三年おきにさらに合理的なものに、時代の要請にこたえるように前向きに処理していくべきだろう、こういうふうに考えるわけです。
○多田省吾君 次に、相続税法の問題で若干お尋ねします。 先ほども質疑があったわけでありますけれども、提案理由説明の中に「中堅財産階層を中心として負担の軽減をはかる」とありますけれども、この「中堅財産階層」というのは、具体的にどうかという問題でございます。特に、「標準的な住宅地において土地と家屋のみを所有する世帯の相続財産」というふうなことでございますが、具体的に言えばどうなるのか。また、大臣なんかは衆議院のほうで、もし相続人が個人で課税最低限を千八百万円に置いた資産というのは、都内の住宅地、敷地が五十坪建物二十坪が一応のポイントだ、こういう見解もあったわけでありますけれども、じかに敷地五十坪、建物二十坪というのは大体都内のどの辺をさしているのか、その辺のことを少し具体的におっしゃっていただきたい。
○政府委員(高木文雄君) いま御引用になりましたように、衆議院の段階でもたいへん御議論がございましたのですが、私ども事務局から政府の税制調査会のほうに提出いたしました資料の中に、「標準的な住宅地において土地と家屋のみを所有する世帯の相続財産調」、評価の調べの表がございます。「この標準的な」という表現が非常に不適当でございまして、この点は直さしていただきたいと思いますが、ここであげておりますのは、世田谷区の成城、それから経堂、上馬四丁目、それから同じく世田谷の船橋二丁目、杉並区の上高井戸二丁目、同じく杉並区の本天沼二丁目、板橋区の常盤台一丁目、練馬区の上石神井一丁目、それから、大阪で帝塚山中一丁目、名古屋の千種区の上野町四丁目というようなところが例としてあがっておるわけでございます。これは、実は今回に限りませず、時系列的に様子の変化を見ますために、かなり古い時期の税制調査会から同じ地点についての変化の表を出してきたものでございまして、別にこの地点に特別の意味を持っているわけではないわけでございます。それで見ました場合に、ただいま申しました地点は、地区によって若干の違いがありますが、宅地が五十坪で家屋が二十坪の場合で、現在の相続税評価額によって評価いたしますと、ただいま申し上げました各地点の評価額は、七百万円から千四百万円ぐらいになります。それから、土地七十坪、家屋三十坪で見ますというと、一千万円から高いのは二千万円ぐらいになります。この二千万円になります地区は、最近では非常にいわば上流といいますか、高級といいますか、そういう住宅地になっているところでございまして、二千万円というは、これは板橋区の常盤台でございますが、それ以外のところは、大体千五百万から六百万ぐらいになるかというところでございます。そこで、これらの地区につきましては、過去におきましては、この辺はいわば課税の対象にならないようにという配慮の目標、つまり課税最低限のときに、これが課税対象にならないようにという目標で、かつて選ばれた地点でございますが、その後交通の事情とか、その他開けてきた事情とか、それから土地柄とそういうものからいいますと、私どもはこのぐらいの地点のうち、中には今後は課税最低限以上になりましてもやむを得ないという地区もあるのではないかというふうに考えておるわけでありまして、ちょうどいまあげましたような地点が課税になるか、ならないかのすれすれ、ないしなる場合あり、ならぬ場合ありというふうなぐらいなところではないかというふうに考えているわけでございます。それが先ほど御指摘ありました標準的な体宅地において土地、家屋のみを所有するものの財産の価格の大見当でございます。
○多田省吾君 最近、昭和四十六年でけっこうですけれども、国税庁調べで相続税の滞納、延納等の最近の状況を御説明願いたいわけです。件数、滞納、延納の金額、そのほかに国税庁が申告が怪しいとにらんで六千二十九件を調査したが、九一%に誤りが見つかって、予算額で五百七十三億円にのぼって、二百八十億円を大体は追徴したというように聞いておりますが、その点はどうなのか。それから私は、こういういわゆる滞納、延納等も非常に多いというのは、相続したために土地を売らなければ税金が払えない。あるいは居住用財産を処分しなければ税金を払えないという点から、相続貧乏というようなことばも出ているわけでございますから、そういう点における配慮も非常に必要ではないかと、このように思うわけでございますが、それを主税局長はどのように見ているのか、その点をひとつ、国税庁、主税局長にお尋ねしたい。
○説明員(相原三郎君) 相続税の延納、滞納の状況について御説明申し上げます。 まず、延納の状況でございますが、四十四年から四十六年にかけまして、延納利用率という形で御説明したほうがわかりやすいかと思いますが、率で申しますと、四十四年が五八・五%、四十五が五四・二%、四十六年が五六・九%と大体半分強の利用率を示しております。 それから滞納状況でございますが、これは贈与税を含んだ数字でございますが、年度末の総滞納を申しますと、四十四年度が三十四億五千九百万、四十五年度が四十五億三千万、四十六年度が六十二億五千六百万とだんだんふえております。しかし、これは滞納状況が悪化したということではございませんで、徴収決定額がふえてきているという事情によることが多いのでございまして、それを徴収決定額に対する遅滞額という意味で、滞納の発生率で見ますと、四十四年が九・一%ございましたが、四十五年が八・五、四十六年が八・〇と発生率自体は低下しております。 それで、先ほどのお尋ねにどういう理由があるのかというお話がございましたものですから、お答えいたしますと、これは詳細に調査したわけではございませんが、相続税の滞納になっている理由の中に目につきますのは、相続財産をめぐる争いが相続人間であって訴訟中であるとか、あるいは相続人以外のものとの間に財産をめぐる争いがあるとか、あるいは遺産の分割の協議が不成立になっているとか、そういうような相続に伴う法律上のいろいろなトラブルが要素になっている面があるようでございます。
○説明員(吉田冨士雄君) 相続税の調査のことでございますが、まず件数で申しますと、四十六年分が一番新しい数字でございますので、それについて申しますと、死亡者が六十九万人のうち納税者が七万八千人でございまして、その被相続人について申しますと二万六千人になる。この二万六千人につきまして、簡単な場合、非常に税額の少ない場合には簡易調査をやっておりまして、かなり込み入った場合には実地についての実地調査をやっております。簡易調査は約一万一千件やりました。それから実地調査のほうは約六千件やっております。その結果、増差といたしましては九百五十一億円というものが増差額で出ております。で、遺産額が申告では約九千九百五十八億円でございますので、その約一〇%弱が調査の増差額になっております。
○政府委員(高木文雄君) 相続税に延納を利用しておられる方がかなり多く、また滞納も他の税に比べて決して低くないということは事実でございます。で、それはなぜかということでございますが、所得税、法人税の場合と違いまして毎年毎年の税ではございません。突然起こるわけでございますし、もともと所得にかかる税ではなくて、財産にかかる税でございますから、その相続財産の種類等によりましては金納を前提といたします現行の税の納付について困難を感ぜられる方が多いのもまたやむを得ないことではないかというふうに考えます。それがために延納なり物納なりの制度が相続税については特にあるわけでございます。 一方、この延納、滞納が多いということから、相続税が重いのではないかという御議論があるわけでございますが、それは御指摘の面が一面においてあることは私も否定はいたしません。ただ、もともと相続税というのは、ある方の所得の一生の分の清算の税であると、そういう意味において、所得税の補完的税であるという性格を持っておるわけでございますので、かなり大きな財産をお持ちの方でも、なおかつ相続税を納めにくいという場合があるわけでございまして、その一生所得の清算という相続税の使命から考えますならば、若干いわゆる相続貧乏ということがありましても、つまり一部財産を処分しなければ納められないということがありましても、これは相続税の本来の性格からお許し願わねばならぬのではないかというふうに考えております。ただ最近は、土地の値上がり等の関係で評価額が上がり、相続の件数がふえ、相続税額がふえておるという現状でございますので、かなり難渋をしておられるというか、御迷惑をかけている場合があろうかと思います。今回の減税をいたしますならば、当面はその大部分が救われることになるのではないかと思っております。
○多田省吾君 時間もございませんので、最後に一括して御質問しますけれども、一つは、大都市においては地価が非常に高騰しているために、サラリーマンが通常の居住用財産として敷地と家屋を所有している。その財産からの収入は皆無である。それにもかかわらず、その財産を相続した場合に結局、相続税を徴収されることによって相続人の生活基盤が根底からくずれてしまう。家屋なり敷地なりを処分しなければ納税できないということが、最近非常にそういうおそれが強くなっておりますし、現在そうなっています。またサラリーマン等がせっかく何十年も働いて、あるいは銀行ローン等によって自分の家を持った。ところが、いよいよそのローンが終わって自分の家になった家、これを死亡した場合等相続税によってまた売却をしなければならない。そういういわゆる悪循環がこれからもずっと続くのじゃないかと思う。こういう点でやはり私たちは、この最低限はもっと引き上げるべきであるし、また多くの財産を持っているのは、これは生活上、当然生活ができるわけでございますから、高額資産家に対する課税率も上限がむしろ低過ぎる、このように思うわけでございます。そういう点を今後どのように改善していこうとなされているのか。 それからもう一点は、やはり農家の問題です。純農村地域においては相続税の課税対象にならないけれども、平均標準財産をどの程度見ているのか。また、農家経営においては、被相続者が生存中に一括贈与するという特例を認めているけれども、この問題を民法上、税法上どのように考えておられるのか。 最後に、いわゆる夫婦間の贈与税の問題でございますけれども、これはあとで質問しますが、その二点をひとつお答え願います。
○政府委員(高木文雄君) 大都市周辺にお住いの方の宅地なり建物について、それからまた、大都市周辺の農地について、現行の課税最低限ではかなり課税になるものが出てくる。また今回の改正をもってしても、なおかつ全部が解決するわけではないという御指摘はおっしゃるとおりだと思います。今後とも私どもは、相続税の評価額の推移、ということは土地の価格その他の推移の反映でございますが、その推移を見ながら、いわゆる課税最低限を漸次引き上げていくという方向で考えなければならないというように考えます。 税率の問題につきましては、午前中にもお答え申し上げましたとおり、二点において考えなければならない点があるわけでございますが、ただいま御指摘の最高税率につきましては、これを引き上げよという御意見がいろいろあるわけでございますけれども、しかし、評価額が上がってまいりますと、たとえば現在、課税取得財産額一億五千万円超七〇%ということになっておりますが、この一億五千万円超というものが持ちます意味は、五年前、十年前とはたいへん変わってきておるわけでございまして、つまり一取得財産で一億五千万円という方は十年前にはあまりいなかったわけでございますけれども、最近はそういう方も出てきておる、その出てきておる中で、富の集中の結果であるというものもありましょうけれども、いわばノミナルに変わってきておる面もあるわけでありまして、そういう面から申しますならば、いわば特別に改正をしなくても結果的に税率が高まっておる結果になっておるわけでございますので、はたして上のほうの税率についてさらに重くするというようなことが妥当であるかどうかについてはいささか疑問を持っておる次第でございます。 それから、農地の問題についていろいろ御議論がございますが、たとえば、純農地でございますと、農林省の農家経済調査によりますところの平均的な農地を所有しておられる場合を考えてみましても、現在の評価額から申しますと、五百万とか六百万とかいう程度にしかならないわけでございまして、都市近郊農地については若干問題がありますが、純農地については現在のところまずまずよほど大農でないと課税の問題は起こらないのではないかというふうに考えております。
○多田省吾君 私は、まあこれば税率の問題は四十一年の改正から八年間も経過しているのに、また状況も相当違っているのに、税率の見直し、再検討が全然なされていないということば非常に不可解でございます。よろしくないと思います。また、この前、日本生産性本部なんかの調査でも、最近のやはり所得の状況がますます最低と最高が開いていると、もうスウェーデンなんかは数倍しかなってないのに、わが国においては何十倍、何百倍となっているわけです。それが最近ますますこの二、三年間で開いているわけですね。そういう富の再配分ということを考えれば、当然最高率をもっと引き上げるとか、そのほか地価高騰にからんでいろいろ対策を考えなくちゃいけない、このように私は思います。 また最後に、時間がありませんので、夫婦の財産の所有権について、明治維新だって共有制を認めておりませんけれども、夫婦の共有については諸外国の例もあることでございますが、この財産移転のあり方について、発想の転換をすべきときが来ているのではないかという議論が強くございます。ですから、夫婦間の財産移転については、相続税という形の負担を認めるべきじゃないという考え方ですね、これを今後どう再検討していくおつもりなのか、これを最後にお尋ねして終わりたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 夫婦間の財産の問題はきわめて複雑な問題でございます。で、現在の民法では、相続の場合に、本来関係者の合意によって財産の分配がきまるわけでございますけれども、それが明らかでない場合は、妻もしくは夫、すなわち、配偶者の取り分は三分の一ということになっているわけでございますが、このことについて最近いろいろ問題がありまして、各方面から意見が寄せられておりまして、午前中申し上げましたとおり、法務省の法制審議会の身分法小委員会においてきわめて頻繁に御熱心に御議論が繰り返されておるところでございまして、先般の本会議での法務大臣の御答弁でもございましたように、相当法務省では真剣に取り組まれているところでございます。で、相続税のあり方として、民法との関係をどう考えるべきかについていろいろ議論はございますが、つまり民法に関係なく、相続税だけで何とか考えてはどうかという御議論もあるのでございますけれども、今日の段階はかなり民法のほうの御研究が進んできておりますのでありますから、せっかくそういう状態でございますので、私どもはもうしばらくその様子を見さしていただいて、もし、それで結論が出れば、それと整合性を保ちながら相続税についても考えてみたい。また、それがなかなか結論が出ないようであれば、また場合によっては税法独自の問題として考える必要があろうかとも思っておりますが、一面におきまして、昨年お願いをいたしまして改正いただきました三千万円の非課税制度というのは、かなり有効に働いているようでございますので、その辺の影響も見た上で結論といいますか、研究を進めてまいりたいと思います。
○栗林卓司君 有価証券取引税のことからお伺いしたいと思いますけれども、御提案の理由説明の中に「近年における証券市場の状況等に顧み、」とございますけれども、この「近年における証券市場の状況等」というのは、主として担税力が増したという点に着目して御判断になっているのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) そのとおりでございます。
○栗林卓司君 そうしますと、担税力が増したんだということは、言い直してみますと、現在の株価水準が今後とも安定的に向上していくんだということを含みとしている、当然そうなるんだろうと思いますが、そういうことでございましょうか。
○政府委員(高木文雄君) 四十七年の状況は非常に異常であると思いますが、もう少し長期にとってみましても、やはり株価水準はなだらかながら上がっていっておりますので、そのなだらかながら上がっていっております株価水準を見ますというと、それはこの程度の税率の税であれば十分担税力があると推定されるという意味でございます。 それで、今後の株価がどういうふうに動いていくかということは、最近のような異例の現象は別といたしまして、長期的にどういう現象になるかということにつきましては、私どもさだかにはわかりませんけれども、大体においてやはり国民所得が大きくなりますようなスピードと少なくとも同じようなスピードで、株価水準といいますか、全体のこの株の取引総価格というものもふえていくのではないか、過去からいいましてそういう傾向にあるのではないかというふうに考えますので、それらの数字からながめますならば、一万分の十五というものでは低過ぎるということだけは言えるのではないかと判断しておる次第でございます。
○栗林卓司君 一般論は、おっしゃるとおりだと思いますけれども、問題は最近の株価は異例なんですと分けて取り出すわけにいかないんです。最近の株価は異常で、しかし長期的にベースを見ればということになると、異常が一ぺん是正されるということは含みになるわけです。是正されるということは、去年一年間の株価の、簡単にいって倍近いダウ平均の値上がりを考えると、相当の是正が予定されていたのを御説明になる、そういった意味で、昨年一年間の株価は異常なんで別ですけれどということなんですか。それとも現在の五千円がらみは引っ込むことはないので、それから全体としてやっぱりなだらかな上昇なのか、この辺はひとつはっきりさせておいていただきたいんです。あらためてお伺いします。
○政府委員(高木文雄君) 有価証券取引税は譲渡者に担税力がある、株の取引を通じて何がしかの所得があったと推定され、そうしてそこに担税力を求めるわけでございますから、一ぺん上がりますと、その翌年は全く上がらなかったということになりますと、ほんとうはそこに担税力があるのかどうかという問題が起こってまいります。いつ買った方が売られるかということはわかりませんけれども、しかし急に一ぺん上がりまして、それからむしろ横ばいないし下がったという時点を考えてみますと、一体そのときに売った方は買ったときと比べて上がっているのか上がっていないのかという問題が起こりますので、そういう意味では流通税として、所得があろうとなかろうと、益があろうと損があってもいただくことになっている税の性格から言いまして、はたして担税力があると言えるのか言えないのかという問題が起こってまいるわけでございますので、臨時的に何か税をいただくということでなしに、経常的に制度として流通税を考えるという場合には、経常的に少しずつそこにやはり所得が発生をするというか、そこに益の場合のほうが、損の場合よりも多いであろうという場合でないと、流通税としては理論的に成り立たないわけでございまして、そういう意味で、私どもは、制度として有価証券取引税の税率を考えます以上は、ある年に異常に上がったとかなんとかということはあまり引き合いに出す筋のものでなくて、経常的な動きというのが、やはり有価証券取引税の税率を議論する範囲内の問題としては主たる要素として考えるべき問題ではないかというふうに考えます。
○栗林卓司君 よくわからないのですけれども、おっしゃるように、流通税ですから、担税力があろうとなかろうと、とにかくいただきます。これが本来の筋道です。ただ、今回の引き上げというのは、昨年の異常な株高も重要な配慮に置きながら、そうした中で、担税力ありと認めて今回約二倍に引き上げますということですから、そのことばじりだけを受けて考えると、いまの株価は大きくは下がらない。これを踏まえながら、なだらかに上昇していくということを政府みずからが予定していると言わざるを得ないと、お答えずらいと思いますから、関連して次に伺うんですけれども、現在一般に、まあある程度のお金を持っているとします。収益性だけを考えて株式を買う人がいるんだろうか、逆にまたこれは何かに運用したいんだ、しかし、株は御承知のとおり、収益率は一%か二%なんでとても割りに合わない。その資金はどこへ流れていくんですか。この辺についての御判断はいかがですか。
○政府委員(坂野常和君) 御承知のとおり、まあ昨年の当初から最近に至るまでの株式市況を見ておりますと、従来のように、発行企業の収益性のみに着目しているとは思われないような株高というものがあったことは事実であります。これは、一つには、法人の株主安定工作、これが非常に進みまして、市場の株が稀薄化、少なくなっていった。それに例の金融緩慢で法人の株式売買の活動が非常に活発になった。個人もまあ投機資金がふえてまいりまして、それが入ってきたというようなことになっております。したがいまして、そういう状態になってまいりますと、必ずしも企業の収益性というようなことに着目しないで、むしろキャピタルゲインと申しますか、あとでより高く買う者がおれば幾ら高くてもいいというような感じの株価形成というものが行なわれたことは事実であります。したがいまして、そういう状態になりますればなりますほど、この株式投資の危険というものもふえてまいります。そういう点について証券市場が極端なことにならないように、そのまた反動ということも考えますと、非常に危険もはらんでおりますので、できるだけ価格形成を公正なものにしていくようにというような指導をやってまいったわけでございます。
○政府委員(高木文雄君) ちょっと栗林委員の先ほどの御質問に対するお答えが間違っている点がございますので訂正さしていただきます。 この流通税の性格との関連で、私は、若干株価がだんだん上がっていくから、したがって、絶えず所得が発生する可能性があるから担税力があるというふうな論旨で説明をいたしましたが、これはどうも所得税と違いまして、流通税の性格を持っております有価証券取引税の問題としては、そういう認識は若干誤解を与えるといいますか、むしろ誤りであるというふうに考えます。流通税の性格は、そもそも財貨の流通ということがありましたならば、そのこと自体からそれだけの財産といいますか、品物を動かし得る能力がある人というのは、相応の担税力があるだろうという観点から、流通税が課せられているわけでありまして、たとえば、印紙税であるとか、家屋等の場合の登録税であるとかというものをお考えいただきますとおわかりいただけると思いますが、それと同じように、これらも印紙税や登録税も流通税でございますと概念されておりますが、有価証券取引税もそれと同じでございまして、ものが動くということから、直ちに背後に担税力ありと推定するわけでございまして、その所得が何がしかそこにくっついてくるということとは本来流通税は関係のないものでございます。ただ、今回改正を御提案いたしておりますのは、やはり二十八年当時と比べますれば、株の取引総量がふえておりますから、今度は税率を考えますときには、その財貨の大きさというものを見る必要があるという意味で、改正に値すると判断しているわけでございまして、そこをちょっと不正確に申し上げましたので、恐縮ですが、訂正さしていただきます。
○栗林卓司君 それで先ほどの価格の問題ですけれども、公正な価格であることを期待するということは、問題はいまの価格が公正なのかどうなのか、どうしてもここから議論が離れない気がするんです。 そこで、御判断をお伺いするのは、いまの株価を表づら見ておりますと、何かしら下方硬直性を感ずるんですけれども。という意味は、普通だったら悪い材料があったら相当落ち込む、いい材料があったら上にはねていく。それがなかなか予測ができないところがむずかしいんでしょうけれども、一般的にはそんなものなんだといわれてまいりました。ところが、円が変動相場制に移行しようと、市場が締めようと無関係と言うと言い過ぎですけれども、あたかも下方硬直的であるかのごとき動きになっている。それに対して、公正ということばでお考えになりますか。しかも、それはいまの動きなんですから一どうしたらいいとお考えになりますか。
○政府委員(坂野常和君) 確かに、つい最近の情勢は、まさにそういった感じがいたします。と申しますのは、やはり浮動株が非常に減っておりまして、市場で売り買いされる浮動株が非常に少ない。法人が極端に株を集めてしまった結果、そういうことになっております。また、新規の株式は時価発行等が盛んになっておりますが、これも御承知のとおり、資本金になる部分はごくわずかでありまして、大部分がプレミアムになっておりますから、株式の供給としては、ふだんの年よりもまあどっちかといえば少ないぐらいの傾向です。そういうことで株が少なくなっている。そこへやはり投機資金と申しますか、株を買おうとする資金量は、法人もさることながら、個人もたいへんたくさんそういう資金が流れ込んできております。したがいまして、下方硬直的なことは、そういった現在の状況から起きてくると、こういうふうに判断しております。 そこで、お説のどうすればいいかという問題でありますが、諸外国の株式流通市場を見ておりますと、機関投資家が先に立って売り買いをいたします。非常に高いと思えば売ると、非常に安いと思えば買うと、これはあたりまえの話なんですが、そういった合理的判断で機関投資家が動いておりまして、個人投資家はむしろそのあとへ従って売り買いをやっていくというようなこと、あるいは投資顧問というような制度が発達しておりまして、これが個人投資家にいろいろ情報を教えるというような行き方をしております。わが国の場合は、そういった機関投資家の合理的な売り買いというものが、いまだ、十分に発揮されておりません。目下のところは安定株主工作、まあいろんな名前で集めるほうは集めますが、高いからといってそれを売って株式市場を正常化するとともに収益をあげるというような、そういう合理的な動きというものは、まだ、あまり見られておりません。そこが、わが国の株式流通市場の一つの欠陥であると、したがって、どうすればそういうふうになるか、これはなかなかむずかしい問題でありますが、理想の姿としては、機関投資家の合理的判断による売り買いというものが出てこないとなかなかうまくいかないのではないか。かつては、それを証券会社とか、投資信託がそのかわりをしようと思ってたいへんに失敗した実例もあるわけなんで、これはたいへんむずかしい話でございます。私はそういうふうに考えております。
○栗林卓司君 機関投資家がなかなか先立って正常化の活動をしてくれない。その辺、こういう説明もできるのでしょうかということで伺うのですけれども、たとえば時価発行します。そうすると、当然のこととして時価の割引率は一五、六%ですか、あるとしても、少なくも現在以上に時価を高めていかなきゃいかぬというまず方向性が生まれてくる。また、時価発行のときの親引け、あるいは第三者割り当て、それぞれ義理と人情のしがらみといっては言い過ぎですけれども、何らかのかっこうではめ込んでいくということになると、そこに入っている帳簿価額に対して、やっぱり維持し、上回りをしていかなければならぬ、こういう方向性がやっぱり出てくる。昨年一年間の有償増資を見ますと、おっしゃったように、時価発行の比率が異常に高くなっている、そうなってくると、わが国の機関投資家とすると、株価水準を下げるというのはむしろ任務の怠慢であって、これを高めることにのみ自分の役割りをせざるを得ない、そういう立場に立たされて——まあ好んで立ったのか追い込まれたのかわかりませんけれども、立たされていると言わざるを得ない。おっしゃるように、機関投資家先に立ってがんばれと言ってもできないんです。担税力の有無という議論は置いておいて、だれが見ても異常だと思うような株価水準を下限にしながら上に動いている、しかも、それは収益的な投資対象にもならないんです。そうするといわゆる一般大衆株主というのは参加できない株式市場が徐々に徐々に形成されていってしまう。これは中の人がどうあがいてみてもしかたがない仕組みとしてでき上がっちゃったんじゃないか、そう思えるんですけれども、この点の御判断いかがでしょうか。
○政府委員(坂野常和君) お説のようなことになってしまうと、株式市場はその本来の機能を失墜すると申しますか、機能を失っていくわけであります。と申しますのは、新規に発行される証券の価格、価値というものはどうやってその信頼性を得るかという問題です。これが時価発行でありますから五百円とか六百円という額面に比べますと高い価格で発行されておりますが、その証券の価格がそれでいいんだと、それだけの価値があるんだというふうにみんなが判断いたしますためには、やはり市場でいわゆる価格形成がフェアに行なわれる——フェアに行なわれるという意味は、大ぜいの人の合理的判断がそこに投ぜられまして、そうしてできた価格であるからだいじょうぶなんだという、そういう信頼感というものがなければいけないと、これは市場の基本の原理だと思います。で、お説のように、法人が株を持ち合う、あるいはその時価発行のために株価が高くなるようないろんな仕組みをがんばる、しかも持った人は、お互いの持ち合いだからそれを売らないようにしてがんばる、そういう組織で株価を一定の水準に保とうといたしましても、それはある時期においてそういうことはできるかもしれませんけれども、長期的には非常にむずかしいことになると思います。そういうことでがんばっておって、あるときに証券の価値、価格というものに対する信頼性というものがなくなるようなことが起きますと、これはたいへんなことになるわけでありまして、そういうことでは証券市場は本来の機能を失ってしまう。したがいまして、その証券会社が、対営業活動を昨年非常に活発にやったんですが、それはみずから証券市場を狭めていって、そうしてみずから証券界は自分で自分の首を締めるような結果になるんじゃないかということを私どもは何回もやかましく申してきたわけであります。さりとて、こういう株価水準の高い時期に、個人営業を活発にやるといいましても、お説のようにそれは現在はなかなかむずかしい、へたをいたしますと、間違ったことを教えたといってあとで非常にしかられる、そういうことはまた証券界の信頼を失墜いたします。ですから、いままでやってきた法人活動のやややり過ぎ、過度ということに対する反省は大いに証券界もいま持っておりますが、これからどういう形でそれを少しずつ引き戻していくかというのは非常にむずかしいやり方だと思います。しかし、どうしてもそっちへもっていかなきゃいかぬ。特に法人の場合は、昔買った安い原価の株を持っておりますので、高い値段で買いましても平均すればまだコスト的に合うと、個人の場合はもういま高い値で買えばそれが即コストになるわけであります。これは大違いだということから、いますぐ個人にどんどん営業活動を活発化するということはたいへん一方危険も伴うわけでありますから、やはりこの辺で反省して、どうしてもじみちな努力をこれから続けていかなきゃいかぬ、そういうふうに考えております。
○栗林卓司君 結局は、いまのように換物思想がたいへん行き渡っているときには、いまの異常株高の状況でもいいんですけれども、一たん緩急があって換金売りが怒濤のごとく来ると一挙にくずれる、何かそんなこわさをほんとうに感ずるんですけれども、それを解決する手段の一つは、やっぱり株の売り買いと申しますか、流通度を高めること、これはやはり一つの大きな対策なんだ、こう思いますけれども、その点は異論ございませんか。
○政府委員(坂野常和君) それも一つの方法であり、また現に、ごく最近は別といたしまして、いま市況はこの一、二週間ちょっと鎮静しておりますが、その前までは非常に高い流通度であったわけです。ただ、その流通度が非常に高いのは、一部の株式が活発に回っているだけでは、やはり先ほど申し上げましたようなことにならないわけでありまして、やはりその全体が動くというわけにいきませんけれども、やっぱりじっとしている株が非常に多いという状態でなく、そういう意味で流通度を上げていくということが必要かと思います。 〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕
○栗林卓司君 いまの点、あとでまた返ってお伺いしますけれども、時価転換社債ですけれども、これは個人引き受けが、個人が消化している率が全体の消化率の中で逐年傾向的には高まってきているようです。数字で申し上げますと、四十一年が約半分五三・四、四十四年が四五、四十五年が六一・〇、四十六年七二・四、四十七年上期が六七・五、多少でこぼこありますけれども、個人の消化率が時価転換社債については上がってきておりまして一昨年の起債額を見ますと、株式には及びませんけれども、二千九百億円、前年度比で三・五倍にふえたと、この辺の背景というのは、異常な株との見合いで何か関連があるんでしょうか。
○政府委員(坂野常和君) お説のとおりでありまして、時価転換社債が非常に発行額がふえておりますのは、やはり昨年の株高に関係がございます。と申しますのは、御承知のとおり、転換社債は一定の価格で株式と転換するという条件をきめるわけでありますが、その際、株がどんどん上がっていけば、転換社債としての価値が上がるわけでございまして、転換した直後にそれを売れば立ちどころにプレミアムが取れるということでありますから転換社債の価格も上がっていく、取引価格も上がっていくわけです。そういうときは非常に発行しやすいわけです。したがいまして、発行量が非常にふえていきます。私どもとしましては、これも企業の資金調達の方法としては非常にいい方法なんで、こういう制度を早く日本でも定着させ、また、相当量の資金調達ができるような仕組みにしたいと思っておりますが、これまた、株高に便乗して一時的に急増いたしますと、あとでいろんな弊害も生ずるおそれもありますから、これにつきましても、新年度からは相当シビアな選別基準というのをやって、あまり一気に走らないような仕組みを考えております。
○栗林卓司君 そこで、取引税に戻るんですけれども、転換社債の場合も一般の株式と同じように、企業の資金調達源として、なるほど歴史はそう古くはありませんけれども、最近では相当な部分を占めてまいりましたし、今後ともそれは占めていくであろうと期待されているところだと思いますけれども、今回の取引税については、まあ株式が対象になりますけれども、社債については引き上げ対象から除外されました。この辺の理由は何なんですか。
○政府委員(高木文雄君) 今回の有価証券取引税の改正は、株式にかかる税率だけに限っておりますが、それは証券市場が次第に大きくなってまいりまして、株式等につきましては、その取引の状態から、その背後にある担税力がふえてきたということが推測できるということで、御説明いたしているとおりでございます。ところが、一般的に公社債につきましては、昭和三十一年でございますか、流通市場が開かれましたけれども、今日までいまだ流通市場そのものはどうも十分に成長するに至っておらないわけでございます。で、現在の公社債の取引は、新規発行債を購入した人が売ります、中小金融機関等が買いますということで、流れがいわば一方的になっておりまして、株式市場のように売りと買いが、需給がそこで交流するという関係にはどうもなっていないようでございます。このように、公社債の市場は株式の市場に比べますとなお未発達だと言わざるを得ませんので、こういう段階におきまして、いま税率を上げるということはどうか。で、御参考まででございますが、最近の証券取引審議会の答申におきましても、なお一そう公社債市場を育成しなければならぬということが指摘されておるような現状でございますので、いまここで有価証券取引税を上げることはいかがかと判断した次第でございます。ただ、転換社債の問題があることばまさに御指摘のとおりでございます。ただ、株式と社債等によって税率を分けておりますその境目は、確定利付債券であるかどうかということで、株式と社債とを分けておりますものですから、したがって、制度として株式と公社債とで税率を分けておりますと、転換社債につきましても、これが社債である以上は、どうも公社債並みに扱わざるを得ない。そこには転換社債の経済的実態と申しますか、最近の取引の実態から申しますと、若干問題があることは御指摘のとおりでございますが、どうも法律的には社債と株式とを分けますと、それは社債のほうに入れざるを得ないということで、うまい解決方法がないということになっているわけでございます。
○栗林卓司君 あげ足をとるような質問をするつもりはないのですけれども、公社債市場は流通市場として未発達、したがって、というお話がございました。ところが、現在の株式市場は発達しているというにしてはあまりに未整備な面が多過ぎるということになると、健全な株式市場の育成ということから考えて、今回の取引税の引き上げというのは、健全な市場の育成に貢献するのかしないのか。しかも、昨年異常な株商があった、これは下方硬直性みたいにして、なるほど下がらないと思いながらほうってはおけぬ。しかも、収益性はだれが見たって、投資対象に値しなくなったというときに、総体の動いている量だけに着目して担税力がある、したがって、上げるのだということが株式市場の健全な発展という政策の面で貢献するのかしないのか、私はだから上げるのおかしいと言っておるのじゃないですよ。そういう点についてはどうお考えですか。
○政府委員(高木文雄君) 私どもの税のほうの立場から申しますと、有価証券取引税の引き上げが株式市場の正常な発展に少なくとも役立っとは言えないと思います。ただしかしながら、現在の状況から、ただいま栗林委員もおっしゃいましたように、現在の状況から、従来よりは担税力があるということで判定せざるを得ないということでございまして、そしてまたそれは株式市場の育成発展に、この程度の税率の引き上げであれば、マイナスとして働くことはあるまいという判断でございまして、少なくともそれを促進するとか、プラスの上に働くとかいうことには結びつかないのではないかと、われわれは判断をしておるのでございます。
○栗林卓司君 とにかくよけいなものを乗せるわけですから、流通にプラスになるとは、これはだれも言えないと思います。で、今回、取引税の引き上げということが取り上げられ、まことにもっともである、もっと上げるべきだということも含めて議論されているのは、先ほど主税局長が言い直されましたように、昨年の株高というものがどうしても頭から抜けない。といってこの際キャピタルゲインはむずかしい。こういうものがやはり底流にあったと思うんです。しかし、そういったことと、取引税が市場の育成という面から見ていいかどうかということは、同じ比重でやっぱり冷静に考えなければいかぬのじゃないか。特に、昨年あれだけ異常に上がったということは、それだけ相当の不安定要因をかかえてしまった。そうなるとあれを足場にして、将来モデレートということは、政府として考えるべきじゃない。むしろ、いま考えるべきことは、一般、これはある日突然の資金ぐりの圧迫から換金化の動きになったらどうするかということを節序を立てながら考えざるを得ない時期じゃないかという気がいたします。 そこで、実はキャピタルゲインということで先ほど来もいろいろ議論があったんですけれども、これも御判断を伺いたいのですが、キャピタルゲインがどうしても異常な所得の不公平を正すという意味でやりたいのだということは、その面ではそうなんですが、しかし、それぞれが全部いろいろの流通過程にからんでいるということになると、単に徴税技術を離れてほんとうにそれをその段階でとっていいんだろうかという配慮が私はありそうな気がする。この点については、先ほど来徴税技術の面からの御説明しかなかったのですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
○政府委員(高木文雄君) 所得税の中で資産所得と、それから勤労者所得と課税の面でどう位置づけるかということからいたしますと、勤労所得よりは資産所得にある程度の重課を求めるというのが本来の筋合いであろうかと思います。 〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 そこで、貨幣価値の変動なり経済の拡大なりその他の事情によって、資産の価値が上がっていくという場合に、これを放置していくということは、やはり先ほど来各委員から御指摘のように、勤労所得との関係から、公平感から好ましくないものではないか。本来どの程度にキャピタルゲインに課税すべきかという、程度の問題はございましょうけれども、やはりキャピタルゲインについては、勤労所得と区分しつつ、何らかの意味においての課税が行なわれなければならない。程度の差はありましょうけれども、そうあるべきではないか。ところが、現在株については逆に全く技術上の理由でございますけれども、非課税になっているというのは、いかにも逆ではないかというふうに私は考えております。
○栗林卓司君 現状非課税をどうやって、正すかということは、私も同感なんですけれども、ただ、キャピタルゲインをそれぞれの原因が発生したつどっかまえていって徴税をするということになると、実は手続、徴税技術上むずかしいのだという御説明が先ほどございました。その説明をそのまま受けて考えますと、結局キャピタルゲインを何とかして把握しながら負担の公平化をはかりたいということは、とどのつまり、最終的にその所得が帰属した姿、平たく言うと富裕税的なところに求めていかないと、どうもつかめないという気がしてならないのですけれども、その富裕税そのものもまたむずかしいのだという御議論は伺いました。今後その面のキャピタルゲインをどこでつかまえていくのかというのに、富裕税的なものと流通段階でつかまえていくのだというものと、どちらで——どちらもむずかしいのですけれども、どちらで大蔵省としては今後臨んでおいでになるのか。
○政府委員(高木文雄君) 非常に微妙な御質問でございます。と申しますのは、技術的にも、また、制度論としてもなおよほど詰めて議論しなければならない問題だと思います。しかし、徴税技術的にどちらが可能性があるかという問題も考えないと、ただ、理論的に所得として把握していくべきか、それとも財産として把握していくべきかという議論だけではどうも問題が解決しませんで、現在のもろもろの資産の取引実態を見ながら、いずれのほうが徴税技術的に可能性があるかということを含めながら考えていかなければならないのではないかと思っております。これはもう全く個人的なものになりますが、私がいまぼやっと考えておりますところでは、やはり財産税的なものを、いま全くございませんけれども、それを部分的にでも、また、税率等は非常に低いものであっても、導入をしていくことが、一方において所得的に把握するのにも役立つということを含めて、従来は久しくやっておりません財産課税方式について十分検討を早くするということをやってみたいと、やる必要があるのではないかというふうに考えております。
○栗林卓司君 時間がなくなりましたので、相続の問題に関連してあと一つだけお伺いして終わりたいと思うんですけれども、その財産税の方向に検討していきたい、とは言うものの、なかなかむずかしい問題があるというお話が先ほど来ございました。その財産の把握がむずかしいということと、相続財産はあたかもつかめるかのような前提で、基礎控除の問題が議論されておるんですけれども、この辺のかね合いというのは実際にはどうなんでしょうか。やっぱり相続財産、これも申告でやるわけですけれども、どのくらいがほんとうの実態的な相続財産なのかという確定自体が実はむずかしい、これが現実の姿なんじゃないか、その点についてはいかがでございましょうか。
○説明員(吉田冨士雄君) 相続税の遺産総額の把握ということにつきましては、やはりなかなかいろんなむずかしい問題がございます。ただ、まあ仮定されています富裕税の場合と考えますと、相続税のほうがわりあいに単発的と申しますか、調査のほうから申しますとわりあいに集中的にやれるという面はあると思います。で、相続税のほうの遺産総額、これは申告ベースで申しますと、全体で九千九百五十八億円のうちで、わりあいにつかまえにくい、われわれは不表現資産と言っておりますが、有価証券が九・八%、それから預貯金が七・八%、それから、その他生命保険とか退職金とか、そういうものが若干ございますが、その程度が申告ベースで出てきているわけでございます。で、私どもといたしましては、先ほどもちょっと申しましたが、二万六千件の被相続人、相続税の対象の中で、全体で約一万六千件ほど調査しているわけですが、その中で精密なかなり調査期間を長くやります実地調査、これが約六千件あるわけでございますが、この場合には主としてこういう有価証券とか、あるいは預貯金とか、場合によれば書画、骨とうとか、こういうなかなかむずかしい不表現資産を中心に調査をやっているわけでございます。その結果、われわれといたしましては約一〇%弱のものが、要するに、九百五十一億円というものが四十七年の調査で増差額が出ているわけでございますが、これは全部とは申しませんが、かなりの部分はそういう不表現資産を把握していると思います。その場合に、どうしてもかなり前から時系列と申しますか、期間を追って調査しないと、なかなかそういうものは、資金の流れを追って調査しないとつかまえられない、なくなった前に不動産を売っておられて、その資産がどこかである程度消えているというのをずっと追っていくというやり方とか、あるいは預貯金を持っておられて、そこに現金の出入りでどうも解明できない部分があるというものをつかまえて、それははたしてどこから出てきているかということを追っかけまして、把握するとかいうようなやり方でやっておりますが、その点で、不表現資産の調査についてはわれわれ努力いたしておりますが、なかなかむずかしい問題がございます。
○渡辺武君 私は相続税の問題について伺いたいと思うのです。 私は、この相続税も含めてですね、すべての税制は憲法第二十五条の趣旨、つまり別のことばで言えば、「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利」があるという条項の趣旨にのっとってやるべきではないかというふうに考えます。したがって、具体的に言いますと、相続税の場合で言えば、普通の国民の通常の生活に使われる財産ですね、それについてはやっぱり原則として相続税は課すべきでないということではないかと思うのですが、まず主税局長にその点のお考えを伺いたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 大筋においてはおっしゃるとおりだと思います。ただ、相続税は普通二つの面があると説明されております。一つは、被相続人のほうの一生所得の清算であるという面と、それからもう一つは、相続人のほうの一時的偶発的な財産取得に対して担税力を見て課税をするという面と、その二つが合体したものであるというふうに私どもは考えております。 そこで、おっしゃいますように、税は、健康な国民生活を営むところに入り込んではいけないというのは御指摘のとおりであると思いますが、ただ、一面におきまして、親御さんがまあ財産をある程度ためられたと、それをお子さんが相続という時点で一時に受けられるわけですが、その受けられるところがやはり偶発的、一時的なものがあるわけでございますから、そのことはやはり念頭に置く必要があるのではないか。よって、その一定水準の生活を営むために必要なものまで相続税の課税対象にするのはいかがかという点は、ある面でおっしゃるとおりでございますけれども、ある面でやはりそれだけの財産を親御さんから引き継がれるということはそこに偶然性があるわけでございますので、その点でいいますと、そうしかく簡単に相続税の課税最低限が低ければ低いほどいいというわけにもまいらぬのではないか、その辺の水準をどこに置くべきかという点が相続税の一番むずかしい点ではないかというふうに考えます。
○渡辺武君 一時的、偶発的な所得だという点は確かにそうなんですけれどもね、しかし、普通の家族生活の実情を考えてみれば、それは親というものはこれはいつかは必ず死ぬもので、したがって、その親の財産はこれはだれかが相続するということもすでに織り込み済みの生活をやっているというのが、これが普通の実態だと思うのですね。ですから、そういう点からして、やはり大筋では賛成だというふうにおっしゃったけれども、やっぱりこの憲法の条項というのは動かすことができない問題であって、普通の人たちが通常の生活を営むのに必要なこの資産の相続ですね、これはやはり原則的には非課税という見地で進むべきじゃなかろうかというふうに考えるのです。特に現在のように物価の上昇が非常に激しくて、生活上いろんな問題が生まれてきているというような時期には、その点を特に留意してこの相続税制の問題も検討しなきゃならぬじゃないかというふうに考えます。私どもは、その趣旨に立って今度の改正案で、基礎控除、配偶者控除などのこの一定の引き上げが行なわれましたので、この法案自身には原則的には賛成なのでございますけれども、しかし、この引き上げ自体がそれでは全然問題がないかというと、私はなおかつ問題が残されておる。この控除額の引き上げがあまりに小さ過ぎると、もう少し引き上がるべきじゃないかというふうに考えております。その点から伺いたいと思うのですが、ここに主税局が去年の十月の二十日に税制調査会に提出した「相続税関係資料」というのがございますが、その一三ページの、「標準的な住宅地において土地と家屋のみを所有する世帯の相続財産調」というのがございます。これを基礎にしてちょっと伺いたいんですけれども、四十七年度の場合で、土地が五十坪、家屋が二十坪というケースで、成城ですね、これが四十七年度千五十万円、経堂の三丁目が一千万円、上馬四丁目一千万円と、こういうことになっております。もしこの一年間に地価が大体二割くらいの上昇というふうに見るのは内輪の評価ですけれども、大体そのくらいと見で計算してみますと、成城の場合が千二百六十万円、経堂の場合が千二百万円、上馬四丁目の場合が千二百万円と、こういうことになるんですね。さて、それを前提条件として、今度の措置でこの三つのケースで課税の状態がどういうふうになりますか、それをちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) これは家族構成によって違ってくるわけでございまして、相続人が、お子さんが四人あって、ほかに奥さんがおられる。その奥さんが過去において居住用財産の贈与を受けたことがないということになりました場合のいわゆる課税最低限が千八百万でございますから、もしそういう御家族であれば、他の財産があと——ただいまお示しの千二百万ということであれば、他の財産——土地、家屋以外の財産が六百万までであれば課税にならぬと、こういう関係になるわけでございます。しかし、必ずしも、すべての場合に奥さんが存命で、しかも過去において贈与を受けてないという例ばかりではないわけでございますから、ちょうどいまお示しの事例あたりが、家族構成や、かって贈与を奥さんが受けられたかどうかということによって課税になったりならなかったりする限界点といいますか、すれすれのところになるのではないかという感じでございます。
○渡辺武君 なかなかうまい答弁をされましたが、私幾つかのケースで計算してみますと、たとえば、配偶者がなくて、そして子供だけで四人が遺産の相続をしたという場合はほとんどぎりぎりという状態ですけれども、子供が三人の場合ですね、配偶者がなくて、その場合は、かつては課税されていなかったが今度は課税の対象になるという計算が出てまいります。これは土地の坪数も少なければ家屋の坪数も少ない場合ですが、同じ提出資料で、土地七十坪、家屋三十坪だけの場合、この場合ですと、成城の場合ですね、七十七年度で千四百八十万円のところが四十八年度では千七百七十六万円になっている。そうして、その場合は配偶者がなくて、子供四人の場合で課税される、こういうような状況が出てくるわけですね。私は、ここに一つ大きな問題があると思うんです。つまり、生活の実態という面からすればこれは変わりはない。同じ家を使い、同じ土地を使っている。しかし、地価が急速に値上がりしているという、つまり、本人たちの何の関係もない事情によって、以前は非課税であったのが今度は課税の対象にされてしまうというところに、ここに現在の相続税制の根本矛盾の一つが横たわっちゃいないだろうか。だから、その点を十分に考慮して、そして課税最低限をもっと上げていく、実情に合ったように上げていくということが必要じゃないかと思うんですね。今後課税最低限を実情に合ったように上げていくという御意思があるかどうか、それを伺いたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) その点は、今回の改正で必ずしも十分とは思っておりませんので、先般衆議院の御審議の段階で大蔵大臣が御答弁いたしておりますが、過去においては、四十一年に改正して、今回七年目でございますけれども、最近の土地の上昇傾向等からいいますと、七年も変えないで置いておくというのはいけないのであって、相続財産の価額が上がっていく現状においては、従来よりはもっとしばしば直さなければならないのではないかと思っておるという旨の答弁を大臣がいたしておりますが、まさにそういう状況に置かれていると思います。その場合に、御指摘のような点は、ひとつやはり重要な点として考慮すべき問題と思います。ただし、渡辺委員のお持ちのその表によりますと、四十一年に五十坪、二十坪という場合の成城の例でございますと、四百五十万円であったわけでございますから、その当時の課税最低限の改定は、千万円に改定したわけでございますから、大体課税最低限とこの成城の場所との関係は半分という関係、五人家族でいえば半分という関係になっておりますのに対しまして、ただいま御指摘のように、ことしで見ますと半分でなしに三分の二ぐらいのところにきておるわけでございますから、そういう意味からいいますと、四十一年改定水準と四十八年改定水準は、若干今回のほうが辛くなっておるということでございます。そのことをどう解すべきかということなんでございますが、それはもう一つお考えいただくことが必要かと思いますのは、また私どもが多少判断の中にそれを入れておりますのは、四十一年におきますところの成城というものの位置と現在における成城の位置というものをどう考えるべきか。つまり、どなたでも現在たとえば、東京の都内で家をお持ちの方については、課税になってもまあまあしょうがないかなという方が多いのではないかというふうに思っておりますけれども、その場合にどの辺の周辺を一つの基準に置くべきかという場合に、成城なら成城という、これは具体的にはもう少しあるポイントをつかまえて評価額をとらえているわけでございますが、その場合に、この間に成城というものが一般的な地価の値上がり率以上に上がっているという事実がございまして、そのことは、そういう地域がより利便であり便利であり、よりいわば高級といいますか、だんだんそういうものの扱いとして見られるようなところになっております関係がございますので、でありますから、私どもは前回はちょうど倍、半分であり、今度は二対三の関係になっておりますけれども、それは現時点では、必ずしも四十一年改定の場合と比べて著しくバランスを失したものとは考えていないわけでございますが、しかし問題は、この成城も、なおまた年々上がっていくということが考えられますから、そういう点からいたしますと、まさに渡辺委員御指摘のように、あまり長いことこのままほうっておくわけにもいかない状態にあるということではないかというふうに考えております。
○渡辺武君 今後ひんぱんに改定していくということで、私、きょう時間ないんで、次の議論に移らざるを得ませんけれども、とにかく実情からいいますと、いまおっしゃった昭和四十一年度の一千万円ですね、これで大体地価の値上がりを年率二〇%というふうにかりに考えて計算してみますと、四十八年度は三千五百八十万円になるんですね、三・六倍近くになるんですよ。ですから、その辺から考えてみましても、今度のやはり基礎控除、配遇者控除の引き上げが、やはり実情に十分マッチしたものじゃないんじゃないだろうかという点は十分に考えていただきたいというふうに思います。 さてその次の問題ですが、いまの主税局長の御答弁とも関係するんですけれども、その地価の値上がりの問題ですね。それで成城などは特に急速度に値上がりしているし、その背後にあるものは生活上の利便その他があるんじゃないかというような御答弁だったわけですが、この地価の評価ですね、ここは私は問題の一つがあるんじゃなかろうかというふうに考えます。つまり、課税最低限の引き上げ、これが必要であると同時に、やはり相続財産の特に土地ですね、土地の評価のやり方、ここにも一つ問題がありゃしないかというふうに考えます。そこで、現在の相続財産、特に市街地の宅地ですね、これの地価の評価方法というのはどういう形でやられておりますか。
○説明員(吉田冨士雄君) 相続税の財産の評価は、御案内のように、基本的には相続税法の二十二条の規定、時価主義によっております。これは土地にしましてもあるいはその他の財産にしましても、やはり共通の尺度ということで、時価主義でわれわれやっております。ただ、土地の評価につきますと、まず方法でございますが、売買実例、それから精通者意見というものを参考にいたして決定しておりまして、先生御案内のように、土地の評価自身については非常に幅がございます。精通者の場合にも売買実例の場合にも、本来の正しい価格を幾らにするかということにつきましては、上下かなり大きな幅がございまして、大体呼び値の二割ないし二五%ダウンぐらいのところがいわゆる仲値と申しますか、建設省でやっております公示価格になっているわけでございますが、また、下のほうのかた目に評価します際には、さらにその下の二割、三割というところに評価額が落ちつくこともございます。精通者の皆さまの意見が非常にばらつきがある。そこを収斂いたしまして、われわれは大体公示価格近くを仲値と考えておりまして、相続税はやはり課税評価でございますので、かた目にその七〇%というところを基準にしてやっております。その際に、宅地、特に市街地の宅地につきましては、難常の場合には路線価方式でやっておりまして、先ほども申しました売買実例あるいは精通者意見から標準地の値段をかた目に評価いたしまして、各路線につきまして路線価をつけております。で、市街地でも若干周辺のところは固定資産税と比べまして固定資産税の何倍というぐらいな倍率地域のところもございますが、市街地区はまず大部分が路線価方式でやっております。
○渡辺武君 建設省からおいでいただいていると思いますが、建設省の地価公示価格、これの評価方式ですね、これはどんなふうにやっておられますか。
○説明員(河野正三君) 建設省の地価公示法に基づきます公示価格を出す際の方法でございますが、一応法律で正常価格を求めるようにきめられております。正常価格と申しますのは、売り主の売り急ぎ、あるいは買い主の買い進みというような特殊な事情のない市場における価格をいう、というふうにいわれております。 そこで、仕組みでございますが、建設省に置かれております土地鑑定委員会が一地点二人以上の専門家である不動産鑑定士を使いまして、一地点につきまして二つの鑑定評価書を求めます。で、この二つの間の調整を土地鑑定委員会がはかりまして、最終的に鑑定し、官報で公示をするという形をとっております。この専門家である不動産鑑定士が鑑定評価をいたします際の方法はいかん、まずこういうことになるわけでございます。不動産鑑定評価基準というのがございまして、この基準に従いますと一応三つの評価方法があることになっております。 一つは取引事例比較法と申しまして、市場におきます類似の土地の取引の事例を相当数集めまして、その一つ一つの取引につきまして買い進みがあったかどうか、あるいは売り急ぎがあったかどうか等々の事情補正を行ないましてある種の数字を出します。 それから第二の方法は収益還元法でございまして、これは地代その他の収益から元本価格を出すわけでございますが、これが主として適用されますのは商業地区等でございます。 それから第三が複成式評価法という方法をとっておりますが、これは田畑の素地価格に対しまして造成コストを積み上げまして適正な価格を一応出すという方法でございますが、主といたしまして、山林地その他の新しい造成地についてこの方法が用いられるわけでございます。お尋ねの既成市街地内の住宅宅地の点になってまいりますと、この三方式の中では中心にいたしますのが取引事例比較法でございまして、補完的には収益還元的なものをも参考にするという程度で行なっているようでございます。
○渡辺武君 いま大蔵省のほうでは路線価方式という方式をとっているというお話がありましたが、地価公示価格の評価の場合は、この路線価方式は取り入れていないわけですか。
○説明員(河野正三君) 私どものほうでやっておりますのは、標準地の密度が一平方キロに一地点というようなことで、非常に独立した個別性、土地の個別性の強い鑑定方式でございますので、路線価的なものは一応考えておりませんが、しかし、前提といたしまして、固定資産税評価額やあるいは相続税評価額等も参考にはいたしております。もう少し密度が密になってまいりますというと、路線価的な方式に近づいてくるかと思いますが、いまは非常に一地点、一地点が飛び離れておりますので、個別式の評価方法をとっているようなわけでございます。
○渡辺武君 先ほど大蔵省のほうからのお話の中にもありましたけれども、評価をする人によって評価が非常に違うんだと、そういうお話もあったわけですね。私はここに一つ大きな問題点がありはしないかというふうに思うんです。特に、いま伺いますと、建設省のほうでは、現在の公示価格の評価にあたってまだ路線価方式をとっていないということを言っておられる。この公示価格の評価、これは建設省が最もこれは信頼に足るものだということを言っておられるものであって、それと違った評価方式を、これを大蔵省が相続財産の評価の場合にとるという点は、先ほどのそれぞれの評価担当者の評価が非常にまちまちだということとあわせて、非常に私、疑問に思うんですけれども、はたして適正な評価ができるのかどうかですね。
○政府委員(高木文雄君) 現在土地の評価に関しましては、相続税についての評価と、それからもう一つ、地方税の固定資産税についての評価と、それからただいま御指摘の公示価格と、三つに分れております。で、税制調査会の答申等におきましても、この評価はだんだん統一をしていくべきだということになっておりますし、われわれも方向としてはそうあるべきものだと思っております。ただ、現実には固定資産税の評価なり相続税の評価なりという問題は、毎年毎年、現実問題として昔から長い間起こってきている問題でございますので、そのいわば積み上げといいますか、そういう歴史的背景を持って全国的にできておるわけでございますが、公示価格制度は、御案内のようにまだ歴史が浅いということもありますし、それから、少なくとも問題は、公示価格が必要とするこの鑑定士の基準になるものであるとか、あるいは国が公共事業等のために土地を買収するための基準価格になるとかということの性格上、若干地点がまだいまのところは都市に片寄っているわけでございまして、将来公示価格制度が広がっていきますならば、御指摘のようにいろいろの評価があるのはおもしろくないということもございますから、漸次それらの収斂をはかっていく必要があろうかと思っておるわけでございます。ただ、現在のところは具体的に毎年二万件余りの相続がございますので、それに基づく評価はどうしても必要でございますが、いまのところは公示価格は全国に及んでおりませんので、それによりがたいということになっているわけでございます。
○渡辺武君 もう一つ伺いたいんですが、いま公示価格の評価方式、第二点として収益還元法ということを言っておられますけれども、大蔵省の場合は、この収益還元法というのはどういうことになっておりますか。
○説明員(吉田冨士雄君) 大蔵省のほうは、先ほど御説明いたしました売買実例を中心にいたしまして精通者意見を聞いておりますので、先ほどの建設省のほうのルールで申しますと、取引事例比較法というのを中心にしてやっております。
○渡辺武君 最近東京都内で従来の住宅地に次から次にマンションが建てられる、こういう事例が非常に多いですね。したがって、日照権の問題などが非常に大きな問題になっておりますけれども、同時に、日照権の問題だけではなくて、そのことによって周辺の地価が急速に暴騰するというような事態が起こってきているわけです。さてその場合に、いまおっしゃった売買実例という場合、そういうような事態が当然これは売買実例の中に織り込まれてくると思いますけれども、その点、どうでしょうか。
○説明員(吉田冨士雄君) その場合、当然織り込まれてくると思います。
○渡辺武君 私は、そこに一つ大きな問題があると思うんです。先ほど、評価は時価主義でいくというふうにおっしゃいましたけれども、大蔵省の資料を見てみますと、この時価主義について次のようにいっておりますね。不特定多数の当事者間で自由な取引が行なわれる場合に通常成立すると認められる価額と、こういっておりますね。つまり、取引されるということを前提条件として地価の評価をやっておる。ところが、取引されるというその事態の中に、いまおっしゃったように、マンションが建てられる、それによって地価が上がる、こういう事態も含まれてくるわけですね。ところが、通常そこに居住している人たちで、そこの世帯主が死んでその遺産が子供に相続されるという場合、これは、以前と同じように生活用の土地及び建物として使われる場合がかなり多いんですね、これが通常普通だと思いますよ。ところが、この地価の評価に、マンションを建てる、つまり、別のことばで言えば、これは利益を、利潤を目標にしてのマンション建設でありますから、したがって、建設省の言われた収益還元法というものによって地価がほぼ設定されるということは、これは当然なことだと思うんですね。そういう評価が入り込んできて、そうして生活用地の評価にまで及んでくる、こういうことになってまいりますと、さっき上馬の例で申しましたけれども、生活の実態は変わらない、しかしながら、周辺の変化によって時価方式でその生活用に使われている土地が非常に高く評価されて、そうして相続税がかかってくるという事態が当然生まれてくると思うんですね。これでは、先ほど私一番最初申しましたけれども、通常の人たちの通常の生活を維持するという原則に立っての評価とは違った評価、つまり、営利ということを目的としてマンションをつくって、そのために地価が大幅に引き上げられるという問題がその評価の中に入ってくる。これは原則的に大きな問題になりはせぬかというふうに思いますけれども、その点、どうですか。
○説明員(吉田冨士雄君) 最初申しましたように、相続税の課税財産の中には、土地だけではなくていろいろな財産すべて入っているものですから、そこに共通の評価の尺度ということをとれば、やはり時価主義にならざるを得ないと思っております。したがいまして、われわれとしては、時価というのは先ほど先生の御指摘のような線から出発しておりますが、しかし、それにしましても、土地評価にはかなりの幅がございますので、かた目に評価しておりまして、おおむね公示価格の七掛けでやっておるわけでございます。したがいまして、もし先生のおっしゃいますように、居住用の財産を大部分相続した人と、その他の預金あるいは土地以外の財産を相続した人と評価の尺度を変えますと、そこにかなりアンバランスが出てくる。それは相続財産全体の財産構成においてもやはりアンバラスが出ますし、その財産をどの部分を相続するか、相続人サイドから見ましてもアンバランスが出ますので、われわれとしては、共通の尺度として、やはり先ほど申しましたような時価主義でやっているという考えでございます。
○渡辺武君 まあ一応の答弁にはなっていますがね、しかし、たとえば、大蔵省の資料によりますと、財産種類別の課税状況というのがあります。つまり、相続財産の課税の中で何に対する課税が一番比重が大きいか。いわば土地ですよ。七〇%までは土地に対する課税です。ですからね、ほかの種類の財産との振り合い上と言うけれども、一番大きな比重を占めているこの七〇%を占める土地の評価。ここのとこから直していかなければ、ほんとうに生活の実態に合ったような課税にはなっていかないと思うんですね。だから、ほかの財産のことは全然考慮しなくてもいいということじゃないけれども、しかし、最も重要な地価の評価、これについて、もう少し生活実態に合ったようなものにすべきじゃないか、こういうように思うんですね。別のことばで言えば、問題は、つまり土地を売買する人ならいいですよ、これは。売買実例を基準にして評価するということはあるいは適切かもわからない。しかし、売買するんじゃない。生活用の土地として相続している。生活の実態については変わらない。ところが、地価の値上がりというのは、主としては、利潤を求めてマンションをつくったり、あるいはまた店舗を広げたりということを原因として急速に上昇しているのがいまの実態ですよ。だとすれば、その客観的な事実にそのまま追随して地価をやると。しかも、そのこと自体が、評価の担当者自身が非常にまちまちな評価を出すように、まことに不確定な評価のやり方をやっているというようなことで出されてきて国民に重税がかかってくるということはやっぱり問題にしなければならぬことじゃないでしょうか。特に、いま大蔵省がとっている路線価方式によれば、道路沿いの土地の価格は一番高く評価されて、奥——道路から引っ込めば引っ込むほど一応価格は低く評価されると、こういう形になっておりますよね。道路沿といえば、常識からいえば、これは便利だということにすぐにはなるでしょうけれども、近ごろのように大きな自動車用の道路をつくるというような場合には、道路沿いの家ほどこれは騒音や大気汚染の公害を受けて、生活実態からすればますます不便になってくるというのが実情だと思う。私はこれは生活用の宅地だけじゃないと思う。町の小さな商店でも同じことです。昔の甲州街道ぐらいの狭いところならば、両わきに店が並んでいて、通る人は両わきから買っていく。だから、売れ行きは、人口がふえればそれだけ売れ行きがふえるようなことが見込める。しかし、最近のようにどんどん道路の幅を拡張されますと、道路の片方の側両では、その側面を通る人だけがお客になる。こういう状態になって、売れ行きという点ではかえって非常に不利だというような事態が起こってくる。それにもかかわらず、路線価方式によれば、そうしてまた、あなた方の現在の時価主義によれば、最も高く評価されるという事態が出てくる。これは不合理じゃないでしょうか。その点、検討される余地がありますか、お気持ちは。
○説明員(吉田冨士雄君) その点は十分検討する気持ちはございます。また、現実問題といたしまして、非常に自動車道路が発達しましてかえってその辺の利用価値が下がったといった場合には、それは売買実例に反映いたしまして、われわれの評価額としても下がるということがあり得るわけでございます。
○渡辺武君 それは、評価の方式の手心じゃだめだと思う。評価方式そのものをやっぱり生活原則に立って——営利原則ではなくて生活原則に立って、もう少し適切なものにすべきじゃないか。これはやはり検討の余地のある問題だと思うけれども、その点どうです、重ねて、主税局長、どうですか。
○政府委員(高木文雄君) 御指摘の点は相続税評価額の立て方がいかなる基準によるべきかということだと思いますが、しかし、土地の価格というものを、現にそれが何に使用されているか、たとえば現に居宅に使用されているという場合と、現に店舗に使用されているという場合と、それによって評価が異なるというのもなかなかむずかしいことではないかと思います。と申しますのは、どなたかがお店をやっておられると。それで、一部にはその相続人とは別の相続人がまた居住をしておるというような状態もあるわけでありますし、それから、その相続財産にはそれは入っておりますけれども、相続人の一部は全然別のところでほかの職業をしておられるという場合もあるわけでございますので、財産の評価は財産の評価として考えなきゃなりません。その財産が直ちにすべての相続人の方にとっての居宅という関係になってきませんものですから、被相続人にとってはそれは居宅かもわかりませんけれども、相続人のほうから見るとそれは単に財産であるにしかすぎないのであって、そこに住むという関係の方と、そうでない方とにごきょうだいで分かれていってしまうものですから、そこで、その評価をする場合に、そのなくなった方がかりに居宅に使われておるからといって、あるいはその配偶者がそこに住んでおられるからといって、それを他の財産と区分するというのはなかなか現実問題としてはむずかしいのではないかというふうに考えるわけでございます。 それで、先ほど来公示価格と相続税評価額との関係でいろいろ御議論ありましたが、私どもも、その点は直接には国税庁の問題でございますが、私どもとしても非常に関心のある問題であり、先般衆議院の段階でもその点がたいへん問題になりましたんですが、ごく数少ないサンプル調査の結果でございますけれども、公示価格を一〇〇といたしまして、相続税の評価額の実態は、たてまえとしては国税庁では七割ぐらいと言っておるわけですけれども、具体的な事例で調べてみましたところでは、大体六五%くらいのところにきております。それから売買実例のほうは、公示価格に比べて非常にその開きが多うございますが、二割五分増から五割増しぐらいのところにきております。ということは、公示価格を建設省のほうでいろいろ御指導願っておきめ願うときに、どうしてもここにマンションをほしいとか、どうしてもここに店舗をほしいとかいうことで、特別な価格がつけられる場合は、その部分を排除した上で取引事例を参考にしておられますから、どうしてもそう異常価格が公示価格に反映するということにはなりませんで、公示価格と売買実例の間では、いま申しましたように、二割五分ないし五割というように非常に開いた形で現実例を調べてみますと出てまいりましたが、これは例が少ないのであまり強く申し上げられませんけれども、相続税と公示価格の間ではかなりバランスがとれていると申しますか、そういうかっこうになっておるわけでございます。しかし、そうでございましても、なおかつ、この問題は非常に重要な問題であり、この課税標準のきめ方で税負担がきまってくるわけでございますので、ただいまのような点、これだけ土地の価格が上がってまいりますと、評価のやり方というあたりも、なおなおいろいろ今後研究を重ねる必要があるかと思いますので、ただいま御提示の御意見もひとつ大いに参考にさしていただきたいというふうに思います。
○委員長(藤田正明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(藤田正明君) 速記を入れて。
○渡辺武君 まだ幾つか伺いたいことがあるが、時間がもう過ぎたそうですから、最後に一言だけ伺いたいと思います。 いま主税局長の御答弁を伺っておりまして、まあ、再検討の余地があるということでけっこうなことですけれども、この点について、衆議院の大蔵委員会でわが党の議員が、相続税はこれは申告税ですね、そのたてまえからしても、自分で評価ができない、税務署へ行って聞かないというと相続を受けた財産の額がどのくらいか、特に地価がどのくらいかということがわからぬというようなことでは、申告納税制度の基本的な原則に著しくはずれることになるんじゃないかということを指摘いたしましたが、その点も含め、また、いまの地価の評価のやり方、これが現状では非常に不適正な評価が出てくる可能性があるということも含めて、私はやはり納税者も含めた民主的な地価評価の委員会をつくって適正な評価をやるべきだということを考えます。その点どうかということが第一点。 第二点としては、同時に、やはりいまの御答弁を伺いましても、この評価の問題というのはなかなか複雑で、適正な評価を引き出すということは非常に困難だろうと思うのですね。したがって、個人の、普通の国民の通常の生活を維持するような財産について相続税をかけるということは、これは再検討する必要があるんじゃないか。 この二点について御意見を伺って私の質問を終わりたいと思うのですが。
○政府委員(高木文雄君) 評価の方式については、ただいまお示しのような案というわけでなしに、全体として検討すべき問題がいろいろあろうかと思っております。で、私どもは、だんだんこの公示価格が一般的になってまいりましたので、これが五十一年でございましたか、五十二年までには、全国的にかなり多くの地点で整備されてくることになっておりますから、直にこれが相続税の評価額に使える使えないは別問題にいたしまして、かなり有力なる参考としては確実に使えますし、さらに場合によりましたならば、これにすっかり乗ってしまうということも考えられるわけでございまして、ぜひとも公示価格制度がなるべく早くある程度普及することを期待をいたしておると同時に、われわれ自身としてもいろいろ研究をしてみたいと思っております。 それから、いまの、居宅についての課税が起こらぬようにすればこういう評価問題のトラブルもなくて済むのではないかということでございますが、この点につきましては衆議院の段階でもいろいろ御議論ございましたが、私どもは、どうもまだ現在の段階では居宅についてだけ、たとえば、特別控除制度を求めるとか特別評価制度をつくるとかいうような感じのことについては、申しわけございませんが、なお消極的でございます。ただ、冒頭来いろいろ御議論がありましたように、課税最低限の引き上げ幅が少ないではないか、四十一年以来全く手をつけないであってしかも、上げ幅が五割というのでは少ないではないか、よってもって、居宅その他にも課税の事案がだんだん出てくるではないかという御指摘がございますのは、今朝来の御議論でございますので、その点は、明年度以降の問題として十分研究さしていただいて、御趣旨に沿う方向で考えさせていただきたいと思っております。
○委員長(藤田正明君) 両案に対する本日の質疑はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十八分散会