商工委員会 第22号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/08/30
会議録
○理事(剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 中小小売商業振興法案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○藤井恒男君 最初に大臣にお伺いいたしますが、最近におけるわが国の経済は異常な物価上昇のもとに置かれておるわけです。物価は、昨年の後半からにわかに騰勢を強めまして、本年七月には御売り物価が対前年同期比一五・七%、消費者物価が同じく一二・二%、これは異常な高騰ということになっておるわけです。今回の物価上昇については、経済白書が指摘しておりますように、平時としては異例の速度である。しかもそれが全面的であるという点で、これまでの物価上昇とは様相を異にしておる。この基本的原因としては、需給の逼迫、さらに各種の要因が重なって値上がりを大きくしておるわけでありますが、その要因の一つとして、需要構造の変化、それからカルテル、輸入物価の上昇、通貨量の増大あるいは投機などがあげられております。短期的に見るならば、まさにこの経企庁が指摘しておるとおりでありますが、少し長期的に見る場合、流通部門の非近代化ということも物価騰貴の大きな要因を占めておるというふうに思うのですが、この流通部門の非近代化の問題と、それが物価高騰に及ぼしておる現状について大臣はどのようにお考えであるか、まずその所見をお伺いしたいと思うわけです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の場合、物価における流通部門の問題というのは、御指摘のとおり、私はかなり大きな比重があるだろうと思います。ただ、そういうことが行なわれなければならないということには、やはり日本社会特有の社会的理由もございまして、一がいに一刀両断のもとにそういうものを整理することはむずかしい点もあると思いますが、ともかく鉄鋼にしてもあるいは塩ビ電線にいたしましても、その他の物品にいたしましても、特約店とか問屋とか指定販売店とか、いろんな名前で何段階かがありまして、そういう過程においてかりにも多少ずつ手数料なりあるいは少し買いだめをしたところで、それが膨大な数量に各段階を集計すればなるわけでございますから、そういう意味において、物価問題におけるこの流通問題というものはわれわれとしてこれから究明するとともに、改善しなければならぬ一つの大きな部面であるだろうと思います。
○藤井恒男君 製造業という面から見ると、欧米とわが国とを比較した場合に、製造業それ自体の部門としてながめると、もはや、あまり欧米に見習うものはないというところまで私は発達しておると思うんです。まあ国が小さい、資源がないというようなところからのいろんな過密、過疎の問題であるとか、あるいは公害というようなものを余儀なくしておるものの、製造それ自体は欧米に比較して劣るものはない。ところが、一たん製品化されたものが消費者の段階に移る過程、いわゆる流通、これがまさに迷路の状況を示しておる。したがって、製造現場で働く者が、みずからがつくり出す品物を今度はみずからが消費者としてそれを使用する場合に、実にばかげておる、そういったところから働く意欲といいますか、自分がつくる商品に対する愛着というものも薄れていくし、産業というものに対するものの見方がうとんぜられていく。 日本の長い商習慣の中から生まれた流通とはいうものの、欧米の人たちがわが国に来てまずびっくりするのは、この流通の複雑怪奇さ、ことばをかえて言うなら、生産過程は一本のたんたんとしたアスファルト道路ができたけど、それから消費者にいく段階はまさにこれは迷路だ、ここに一本コンクリート道路を打ち抜かん限りは近代的な社会とは言えない、こういうことを私も聞かされたことがたびたびあるわけです。 生産現場で幾ら生産性を向上し、あるいは機械を近代化し、あるいは集中化してコストダウンにつとめようとしても、もう限界にきている。労働生産性を高めるというだけでコストはダウンしない、あとはばく大な金を入れて機械を大型化するかスピードアップするか、いずれかの方法をとらなければコストは下がらないというところまできているんだけど、その上なおコストを下げる努力をしても、全部それが流通段階で食われてしまう、消費者には響かない、それどころか消費者の段階ではむしろ値上がりする、こういう現象がきておるわけなんです。私は、ただ単に日本の商習慣の古さというようなだけじゃなく、この面を担当する通産省として真剣に考えなければ、いかに生産段階で労働者が賃上げをする、その賃上げ分を吸収するために生産性を高める、必死になって努力しておるけれども、そのことが全部消費者へは逆の波及効果を及ぼして物価高を生んでいる。この点をもう少し真剣に考えていただきたいというふうに私は思うんです。それを第一点として再度お伺いしたい。 それから、政府の物価安定の施策の一つとして、いまも申しておりますように、流通費用の縮減という項目が掲げられたことがあるわけですが、この流通費用の縮減ということについてこういうふうに言っておられるわけです。最近の消費者物価上昇には流通マージンの増大も大きく寄与しており、これを縮減するための環境を整えることも政府の大きな役割りである、このように政府の見解として出されておるわけですが、一つの資料について申し上げますと、流通マージンの動向ということで産業連関表を用いて推計してみますと、民間消費支出に占める流通マージンの割合、これは昭和三十五年の二〇・八%から四十年には二六・二%にふえておる。この傾向がこの間の消費者物価上昇に寄与しておる比率を言いますと、三十五年から四十年間では二五・九%、四十年から四十三年の間では二八・九%、これだけのものが消費者物価上昇に寄与しておるわけです。政府では最近、この種のデータがないわけなんだけど、なぜ流通の縮減ということが政府の大きな役割りであるといいながら、流通マージンが占める物価への波及効果というものを、継続的にこれはやはりデータを出して国民に示し、また、流通業に携わる方たちにその実態を示して、そして行政する指導があると思うのですけど、この辺を怠っておる理由をお聞きしたい。 以上、二点について。
○政府委員(森口八郎君) おっしゃいましたとおり、商業マージンは、一般の小売り価格の中で卸マージン、小売りマージン合わせまして約四〇%近くを占めておりまして、人件費の上昇等によります流通コストの増大は消費者物価の上昇に結びつくというおそれがあるわけでございます。通産省といたしましては、かねてから物資別に価格形成の実態について、四十四年から調査をしてきたところでございますけれども、その内容を見てみますと、やはり網羅的ではない、あるいは経年的ではないというような点で、必ずしも御指摘のように十分な調査が行なわれておらないというように考えておるわけでございます。こういうような点がございますので、四十八年度からおもな商品につきまして総合的に調査をしようというようなことで予算を計上しておるところでございますが、四十九年度におきましても、やはり同じような考え方でこの構造調査をさらに実態的に進めていきたいというように考えております。
○藤井恒男君 そうしますと、この種の調査は継続的に行なうということですか。
○政府委員(森口八郎君) 若干細部に入るわけでございますが、私のほうといたしましては、約二十品目程度の重要な物資を選定いたしまして、このうちから毎年五品目ぐらいずつの品目をやる、しかも四、五年たちますと、またもう一度返って五品目を取り上げるというようなことで、二十品目ぐらいを系統的、反復的に調査をして、流通価格の実態を明らかにいたしたいというように考えております。
○藤井恒男君 この四十年以降ですね、いま私がちょっと古い資料で申した流通マージンの問題ですね、昭和三十五年の二〇・八%、四十年の二六・二%、これ以降この種の調査はできておるんですか。
○政府委員(森口八郎君) 私のほうで小売り、卸のマージン等を調べます基本的な調査といたしましては、商業実態基本調査あるいは流通経路別統計表というものを基本にいたしまして、商業マージンを算出するわけでございますが、いずれも大規模な調査でございますので、三年ないし四年ごとに行なわれるというような調査でございますので、今後とも、そういうような基本的な調査を通ずるマージン調査というものは、そういう基本調査から導き出してつかんでいきたいというように考えております。
○藤井恒男君 三ないし四年というのはわかるわけですが、私のお聞きしておるのは、四十年に出たデータ以降、最近のデータは何年のがあるんですか。
○政府委員(森口八郎君) 最近については特にございません。
○藤井恒男君 通産大臣、先ほどの第一点についてはお答えがないわけですが、結局この四十年のデータを見てもわかるように、流通マージンが物価騰貴に及ぼす影響というのはきわめて大きい。で、この流通の非近代化というものについての行政指導というものもきわめて重要である、大臣もそうおっしゃるものの、具体的にどう行政指導をしておるのか。その行政指導をするにあたっての基礎データというものが、いま答弁にあるように、四十年以降現在までの間一つも調べられておらぬ。三、四年に一回というけれども、八年たっておる。このことは、まあ口では流通というものは非近代化で何とかしなきゃいかぬと、大切だと言いつつも手をこまねいておるんじゃないかというふうに言われてもしかたない。そしてそのあげくが、物価騰貴というものは生産現場における賃上げだと、賃上げが波及効果を及ぼすんだということであれば、これはたまったものじゃないと思うんです。 賃上げを行なう生産現場においては、正常な労使関係においては、賃上げ分はやっぱり吸収すべく生産性の向上に労使ともにこぞって当たっておるわけですね。そしてそれを吸収しておるわけですよ。その吸収計画というものを、賃上げが終わると一六・五%の賃上げをやった、一六・五%のコストアップになると、そのまま放置しておれば。それを、いかにしてコストダウンして一六・五%というものを消化するかという生産性向上の計画を立てて実践しておるわけだ。そのことが直ちに消費者物価高騰へつながっておるというのは、私は皮相なものの見方だと思う。むしろそれは生産という直接的なものを行なう流通の複雑さ、怪奇さが消費者へ物をマージンとして送り込んで、それが物価高に拍車をかけておる。そのきわめて重要なデータというのが、私らが調べてみても、四十年までのデータは拾うことができるけど、その後はない。このことを私ははなはだ遺憾なことだと思う。行政指導の面と、その種のこれからの施策について再度大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのような大切な資料が欠除しておりますことは、たいへん遺憾に存じます。何と申しましても、最初にお話がございましたように、この流通段階の合理化ということを通しまして経費の削減、物価引き下げと、そういうところへ努力しなければならぬ問題だと私も心得ております。それを行なうにつきまして、これはいろいろ協業であるとか、あるいは商店街におけるいろいろな共同行為であるとか、いろんなそういう点もございますけれども、各段階に重層的に縦の関係でつながっている関係をどういうふうに整理あるいは合理化していくかという点に問題はあるようでございます。各業態の実態に応じまして、一つ一つこれは検討を加えていきたいと思います。まあ生きている人間がやっていることでございますから、あまり急激にやることは多少反応が強過ぎるようにも思いますけれども、何か適当な合理的な目標をつくりまして、各部門について検討を加えていきたいと思います。
○藤井恒男君 それじゃ、次の質問に移りますが、本法が提出されるまでの経緯について若干お伺いいたします。 小売り商業の振興については、すでに昭和三十二年に内閣に設置された中小企業振興審議会というところの答申で、次のように言われております。「小売商の過当競争による資本と労力の浪費を排除し、小売商以外のものの小売行為を調整するため、」、「小売商の登録」、「生産業者の小売行為の規制」、「行政庁の勧告等」、「小売商の閉店時刻および休日の規定」等を内容とする小売商振興法、これは仮称ですが、を制定する必要がある、これは三十二年の内閣に設置された中小企業振興審議会の答申です。 このような答申がなされておるにかかわらず、本日まで政府の強力な助成あるいは施策というものがなされないまま推移した理由はどこにあるのか、御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(外山弘君) 昭和三十一年十二月の末に、当時の中小企業振興審議会が中小企業の振興策全般にわたる答申を行ないましたが、御指摘のように、そのうち小売り商業に関しまして小売り商の登録制、あるいは小売り市場、生協等の活動に対する行政庁の勧告制度、こういったことを内容としまする小売商振興法の制定ということが提言されております。 この答申で考えておりました小売商振興法というものの性格は、一般の中小小売り商の事業機会の確保と申しますか、あるいは事業活動の保護とか、そういったことをねらいとして他の事業者の活動を調整しようということに中心があるわけでございまして、その内容は、その後制定されました小売商業調整特別措置法、これによりましてほぼ実現されているというふうに考えております。 一方、この答申で提言されました小売商振興法の中には、中小小売り商に対しまする積極的な助成措置が含まれておりません。これについては、中小企業一般についての金融、組織化、合理化といったような施策の一環として考えられていたわけでございます。で、私どもといたしましては、これら中小小売り商に対する助成措置を中小企業一般に対する施策体系の中で推進しまして、逐次その強化をはかってきたというところでございますが、最近のような中小小売り業を取り巻く環境の変化ということに注目いたしまして、これに対応する施策を抜本的に強化しようということが、ここで今回御提案申し上げておりまする中小小売商業振興法を制定するというところにまで至りました経緯でございます。これによりまして、ここで総合的な施策の展開をはかることにしたいということが本法を出すに至りました経緯でございまして、出すまでに至ります経緯につきましては、いまのようなことで私どもとしては考えていた次第でございます。
○藤井恒男君 三十二年に出されたこの答申に基づくその後の経緯、それに伴ういろいろな助成についていま御答弁があったんですが、そのこと自体は日本に数多く存在する中小企業者に対する助成であって、比重は、どちらかといえば製造業にかかっておる。中小小売り商、いわゆる商人に対する助成というのは製造業に比してうとんぜられたといえばこれは語弊があるかもわからぬけど、非常に比重が低いとみなして差しつかえないと思うんですが、その点どのように過去を振り返ってお考えであるか、お聞きしたいと思うのが第一点と、それから、今回提案されているこの中小小売商業振興法案は、三十二年の案に比べますと小売り商の登録ということについては何も触れておらない。この点についてどのように判断したらいいのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(外山弘君) 第一点の御指摘でございますが、私も率直に申しまして、そういう傾向があったというふうに言えるかと思います。確かに中小製造業に対するいろいろな構造改善対策を中心とし、かつ国民経済の合理的な発展ということの中に占める中小企業の役割りということから、中小企業製造業に対する施策が逐次強化されてきたということは言えると思います。 それから同時に、中小商業、特に小売り商業に対する施策も先ほど申しましたように逐次強化はされておりますものの、どちらかといいますと、最近に至りまして、ようやく振興策もだんだんとその内容の充実をはかられてきているというふうに考えるわけでございまして、その経過につきましては、あとで指導部長からまた御説明したいと思いますが、若干御指摘のような傾向があったということは指摘できるかと思います。 それから、もう一点の登録制の問題でございます。 確かに、先ほども申しましたように、三十一年末の中小企業振興審議会の答申の中では、小売り商の保護をねらいとする小売商業振興法の内容として小売り商の登録制ということが、つまり、「小売商は必要と認められる地域業種につき行政庁に登録するものとし、登録しなければ小売行為を行い得ないものとする。」ということが提言されております。で、私どももその答申の内容を受けまして、その法文化を検討したことは事実でございますし、いろいろその当時も各方面からの検討を加えたわけでございます。 で、申し上げられますことは、一つは、かりに登録を制限登録というかっこうにいたしますと、憲法に保障する職業選択あるいは営業の自由といったものとの関係上疑問が出てくる、で現在の経済体制の基本に抵触する懸念がありはしないかというふうな問題点があったかと思います。それから、逆に今度は無制限登録ということにいたしますと、実態調査以上の意味がない、行政庁の事務負担がいたずらにふえるだけではないか、政策的意義も乏しいんではないか、こういうふうな考え方があったかと思います。このような理由から、その法文化は見合わせようというのが当時の経緯であったと思います。 で、私どもといたしましては、このような考え方は現在でも基本的には変化はないんじゃないか、しかも、近年就業構造といったものが流動化してくる、小売り業がいわば生きがいのある就業分野というふうなところから再評価されているというふうな点も出てきているわけでございまして、登録制度といったことによりまして営業の自由を制限するというふうなことには、やはり不適当な点が多いのではないだろうかというふうな考え方でいまのところいるわけでございます。
○政府委員(栗林隆一君) 先生御指摘の商業関係対策、これにつきまして、製造業に比べまして非常に対策自体がいままで弱かったという御指摘でございますが、いま長官から申し上げましたように、率直に申しまして、そういう点が過去あったんではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。 ただ、小売り商業につきましては先生御承知のとおり、商工会、商工会議所等に経営指導員というものを配置いたしまして、私どもは経営指導という面を年々強化してまいっております。この対象といたしますものの中には、小売り商業関係、これが非常に多いわけでございまして、こういったものの経営改善というものの指導を強化してまいったわけでございます。また、小売り商業が地域的に集団的に立地しております商店街、これにつきましては商店街振興という観点から種々の措置を講じておりまして、中小企業振興事業団、ここから商店街の改造計画、こういったものに対して低利の必要資金の供給というようなことを実施しておるわけでございます。また、中小企業団体中央会というものが各県に置かれておりますし、中央に全国中央会がございます。ここにつきましては商店街指導の専門の指導員を配置いたしまして、商店街の経営の安定あるいは振興という点の指導も実施しておるわけでございます。また、これは商業対策としまして卸関係でございますが、これにつきましては卸団地の造成という点で指導しておりまして、そういったものが流通センターあるいは配送センターというような集団的な立地をいたしまして、流通の合理化という面で指導を行なっておるわけでございます。 以上、簡単でございますが、現在とっております施策について御説明申し上げました。
○藤井恒男君 確かにいままでの施策としては、どちらかといえば生産第一主義ということにもあらわれておるように、製造業に比重のかかった中小企業振興であったと私は思います。で、後ほどもちょっと触れますが、このたびそういった面から立ちおくれておる小売り商業のほうに比重を置いた振興策を講じようということになっておるわけですが、ただいま長官から御答弁のありました登録の問題、お説によれば、憲法による営業の自由を制限する行為になりかねないということでございますが、言うまでもなく、現在の小売り商業の実態は店舗数で百九十万という多きを数えておるわけで、しかも中小小売り店の実態を見てみますと、常時従業者五人以下の小売り店が九〇%、雇用従業者を使用しない個人商店がそのうち約八〇%、大規模小売り店に比して一人当たり年間販売額は平均四六・二%、零細規模の小売り店では三〇%、まあこういった意味で、この小売り商の中には営業と家計の分化がしきれないというようないろいろな問題が介在して、企業的な意識もないというようなところが多い。 ことばをかえて言えば、だからそこになりわい、いわゆる生業としての営業が可能であり、そこに生きがいを求めるんだということもわからぬではないわけだけど、私は、登録制をやれという意味から言うわけではございませんが、登録制が、憲法に保障される営業の自由を制限するからだめだというなら、卑近な例で、つい先日本会議を通過したいわゆる無籍織機の問題、これは登録制によるものです。総合的にわが国における総需要と生産との関係を調べて、あるいはそれを長期的に並べてみる、しかも世界各国の動向を見た上で、はたしてこれは適正規模であるかいなか、まさに営業の自由という側面と同時に、現在行なっている企業というものを安全に成長せしめるための措置として登録制というものがしかれておるわけなんです。いまあるものは百九十万というほどの店舗が茫とある。それはもう憲法で保障しておる営業の自由だから全くそのままでいいんだと、かりにこれがどんどんふえていこうとしても、それは営業の自由だからいいんだと、そしてどんどんどんどんふえていく。片方、そこに集中して生産性を高める大規模店が出ていく。それとの競合の問題が出るから、いやそこに助成金をやるんだと。これは一つの施策、一つの助成という体系の中からはたして適切であるのかどうか。いまある姿をとにかく処置しなきゃいかぬのだという場当たり的なものならともかくとして、長期的な展望に立っていくとき、いまおっしゃるような、ただ、憲法との関連において成文化がむずかしいからいまあるままにしたんだ、登録はやめたんだと、そういうことで済まされるのか、将来の展望の上からひとつお聞きしたい。
○政府委員(外山弘君) 私が先ほど申しましたのは、タイプ分けをいたしまして、その問題点の所在について、そういった片方の考え方をとるとそういった懸念があるということを申し上げたわけでございまして、いかなる登録制であっても、制限的なものであればすべて憲法に問題があるんじゃないかというふうなことではないわけでございまして、つまり問題は、登録制という内容の中でどのような制限性を付加することが適切であるかということ、その適切なものの制限的な内容がやはり憲法との関係でどのように関係づけられるかということ、こういう点に焦点があるのだろうと思うんです。 ですから問題は、登録ということの内容をどうきめるかということによって、それが妥当性を持つということになるわけでございまして、憲法上妥当性を持つものならば、小売り商業の登録制として適切なものに足りるかどうか、あるいは逆に、小売り商業の登録制として制限的なものにすればするほど憲法上の問題に対する懸念が大きくなりはしないか、こんなところに問題の所在があるんだろうと思います。私もまだ十分最近の事情につきまして勉強をしておりませんけれども、その辺の問題点を踏まえまして今後も勉強してまいりたいと思いますが、ただ、登録制がすべていかぬという意味で申し上げているんではないということをお話ししておきたいと思います。
○藤井恒男君 今回のこの法案について、長官は、小売り商業というものを経済的な振興を策すという意味から今回の法案を出したのか、あるいは社会救済という対象に比重があるのか。と言うのは、先ほど申したように、中小小売り店の実態というのが、常時従業員五人以下の小売り店が九〇%ある。そのうち雇用従業者のいない小売り店が八〇%を占めておる。こういう状況にかんがみて、しかも、小売り店を取り巻く環境が日々変化しておるという状況の中で本法が施行されるということは、小売り商業を、さらに経済的な振興という位置づけのもとにこの助成策を講じていくのか、いま言う、ことばが適切じゃないかもしらぬけど、ばばママストアとかパパママストアとかいわれるストアを社会救済といわれる一面からやっていこうとしているのか、そのバックグラウンドを一ぺん聞かせてもらいたい。
○政府委員(外山弘君) 冒頭御指摘もございましたが、流通部門の中で中小小売り商は非常に大きなウエートを占めておる。で、その経営形態の近代化がおくれているために全体としての流通コストといったものが大きくなっている、そういう側面もあるというふうに考えます。こういうことから中小小売り商を近代的な経営形態に脱皮させる、そして効率的な経営ができるようにするということがあくまでも基本のねらいでございまして、この法案はそういった趣旨で運営してまいりたい、また、そういった趣旨で提出したというふうに私は理解をしております。今後は本法に基づきまして中小小売り商の近代化のための施策を総合的に推進してまいりまして、流通の合理化と物価の安定に寄与する、中小小売り商の体質強化をはかっていくということが、やはり今後の進め方の基本であるというふうに私は考えております。 ただ、御指摘のように、確かに生業的な中小小売り商が多いということも半面の事実でございます。経営の近代化とかあるいは体質の強化と申しましても、その内容はおのずからそれぞれの事情に即した面が非常に大事でございまして、どちらかというと、合理化というよりも安定化という点にねらいのあるような、またそういったことを内容とするような施策が伴っていかないといかぬというふうに私は考えております。小売商業振興法でそのすべての施策が網羅できるかどうか、これは、ことにこの条文の中にも小企模企業への配慮というふうなことをわざわざうたっているわけでございまして、そめ辺の趣旨も考えまして、基本はあくまでも経済合理性の範囲内で体質の強化をはかっていきたいと考えますが、やはり小企模企業の特有の問題点、そういったものに根ざした安定的側面の多い施策ということも大事ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○藤井恒男君 概要でけっこうですけど、ちょっとお聞きしたいのだけど、商店数ですね、商店の数の増減と、これは店舗がふえれば従業員もふえていくわけですが、売り上げとの関連はどうなるか。私は必然的に、商店数がふえ、従業員がふえていくに従って売り上げというものはふえていくと思っておるのです。そういった点で間違いないかどうか、お聞きしたい。
○政府委員(栗林隆一君) わが国の小売り業の店舗数でございますが、これは昭和四十五年の商業統計によりますと、全店舗が約百九十万店舗でございます。そのうち中小企業が百八十九万一千店、全体の九九・七%という店舗数になっております。また従業者数、これは全店舗で六百六十一万六千人ということでございまして、そのうち中小企業の従業員は五百九十四万二千ということで、八九・八%という状況になっております。 なお、つけ加えさせていただきますと、一商店当たりの従業員数でございますが、中小企業は平均で三・一人、大企業は百十九・八人、約百二十人という統計になっております。そういう実態でございます。
○藤井恒男君 いまのは平面的な状況ですが、私の問い方が悪かったのかわからぬが、たとえばスーパーなどながめる場合に出店数が多い。出店数が多くなればそれだけ従業員が多い。それに比例して売り上げ高が伸びていく、完全比例じゃないにしても、とみなして差しつかえないと私は思うのです。この点どうですか。概要でけっこうですけど。
○政府委員(栗林隆一君) それではちょっとこまかく相なりますが、御説明申し上げたいと思います。 昭和三十九年のデータによりますと、たとえばスーパーの店舗数は千二百九十七店でございます。これの年間売り上げ、これが二千六百五十億円でございます。これを四十五年で見ますると、スーパーの店舗数が三千九百七十八、約四千でございます。これの年間販売額、これは一兆二千百億というふうに変化をいたしております。
○藤井恒男君 結局このことは、生産性という上から経済性の高いものと低いものとの格差というのは、上位集中という現象においてなされていくというみなしができると思うのです。要するに、いまこの数字が示すようにスーパーに例をとってみるなら、三十九年と四十五年の間に約三倍までいかぬけど、それぐらいの出店数がふえれば売り上げが倍になる、こういう数字が現に出ておるわけですね。だから中小小売り商に例をとってみた場合に、近代化あるいは経済合理性を追求するために今回振興法を制定するということであるが、これは後ほどまた提案され審議されていくんだけど、中小小売り商の経済合理性と、そして、近代化を促していくために共同化もやれというようないろいろなことをやっていく、その助成をするんだけど、一面、今度は大規模店というものには制限を加えていく。これはそれぞれの持ち場における企業、営業の機会を保持するためだと言えばそれまでのことだけど、この辺ちょっと矛盾するようにお考えになりませんか。 たとえば消費者の側からながめた場合、消費者という立場からながめれば、商品を安く、品ぞろえも完全にできて、そしてその商品を安易に手に入れるということを望んでおるわけなんで、確かに中小小売り商はその欲求を満たすという側面も持っております。しかし同時に、またそれは大型化することによって、大量仕入れなどによるより安い商品を品ぞろえすることもできるわけです。だけど、片方立てば片方が立たぬということもありましょうが、二つのこの法案は、同じ商業という部落をながめた場合に混乱を生じないか、整理ができるのかどうか、その辺のところを聞きたいと思います。
○政府委員(外山弘君) 商業にはやはりいろいろな特色があると思います。一つは地域性ということが非常に強い。小売り業の存在ということも単なる全国的な規模、全体的な数字上の差だけでこれが伸びたり縮んだりするだけではなくて、やはり地域性に根ざしたメリット、デメリットということが非常に大事な要素になってくるというふうな点が一つあると思います。 それからもう一つは、消費の多様化というものにどうこたえていくか。安くていいものが豊富に出回るということが一番いいわけでございますが、しかし、消費生活というものは必ずしも単純ではない、いろいろな多様な商品を多様な内容で求めるというふうな傾向がございます。その顧客の需要に応じたあり方ということがもう一つ商業には大事な点であろうと思います。もちろん御指摘のように、全体の合理性の比較から見ると、大規模店のほうがずっと有利になっているではないか、あるいは数字の上でも、生産性格差、売り上げ高の上で見られる格差といった点が非常に大きいではないかということが言えると思いますが、同時に、先ほど申しましたような地域性とか消費に対する応じ方とかいう点から見ますと、必ずしもそれだけでは割り切れない、商業にはその機能として要求されているという面があると思います。したがいまして、数字の上での差があるから存在は価値がないというふうには割り切れないということがあると思います。そういった点をあわせて考えますと、もう一つ事業活動の調整ということもそれなりの合理性を持ってくるのではないだろうか。 やはり、事業機会の確保ということが長い目で見てその小売り業なり商業の存立を全うさせる、そして一時的に出てくる大規模店の進出に対して一つの調整措置を講ずる、保護措置を講ずるということも大事なねらいになってくる。これはもちろん保護ということになると思いますけれども、その保護の性格が単なる救済ではなくて将来の発展につながるような調整であれば、それはそれなりの合理性もあるというふうに考えられるわけでございます。具体的な問題ごとにそういう点は考えていかなければならないという面が非常に多い分野の問題だと思いますが、いろいろな公益性からの観点、消費者の保護とか流通の合理化とか、あるいは小売り商業の近代化とか、そういったいろいろな要素を考えて個別的に処理していかなければならない問題と、それから、全体的に推進していかなければならない問題と、両面があるのではないかというふうに考えております。
○藤井恒男君 現在ある大規模店、まあスーパーなどの場合も、電鉄あるいは百貨店、金融資本というところが母体になっておるところを除けば、もとはといえば、これはやはり中小もしくは零細企業であったわけなんです。その中小零細企業が時代の要請というものを的確にやはり把握した、要するに経済成長と所得水準が上がったということ、価値観が変化した。コンシューマリズムの台頭、物価の上昇、大量生産体制の確立と競争力の激化、労働力の不足、人口移動と都市の過密化、地価の高騰、国際化の進展、これが商業状況を取り巻く環境の変化を全部言い尽くされておると思うわけだけど、これを敏感にとらえて、この要請にこたえる企業努力、要するに、自力振興というものを果たしてきたとスーパーのほうでは自負しておるわけですね。私も立ち入っていろいろ調べてみるわけだけど、確かに、いまはもう疑似百貨店どころか在来の百貨店よりも規模が大きいというようなスーパーであっても、そのもとはほんとうの小売り商人、大八車を引っぱって走っておった人、その人たちが時代の要請を的確に見つめて、自力振興のもとに大きな形をもってきておる、こういう状況を私もある意味で否定はできないと思うんです。しかし、そういう中でやはり事業機会を与えるということも行政として必要だと思うのだけど、本法を見るときに幾つかの問題点が私はあると思う。 その一つは、従業員が家族で占められている商店についてこれを振興するというけど、従業員が家族、先ほど言ったように八〇%を占めておるわけですね。常時従業者のない商店、これに永続性というものを期待しておるのかどうか。要するに、後継者というものがはたしてあるのかどうか。振興というからには、必ず永続的でなければならないというふうに思うのだけど、この点をお聞きしたい。この永続性がないという状況の中で振興をはかる、助成を行なうということになれば、これは経済発展ということじゃなくて、むしろ社会救済ということになるだろうというふうに思う。これは一番最初に、本法はその両面のどちらにウェートがあるのだということになるわけです。 同じように二番目は、生業と企業との分離というものが必要だと私は思う。要するに企業意識ということなんだけど、この点について、この法案に直接的な訴えがないのだけど、それをどのように考えておるのか。 それから三番目には、この法案の適用を受ける、いずれもこれは小規模のものをさしていっているのだけど、この適用を受ける商店のいわゆる履行義務というものがあるのか。これは適用資格を満たしておるということが前提になるわけだけど、返済義務その他も問題になってくるのじゃないか。あるいは企業努力、先ほど私申したが、それを何らかの形で明示してやる必要がないのか。たとえば家計と企業会計を分離せしめるとか、あるいは一定金額の自己資金を積み立てる、あるいは減価償却というものを行なう、こういった、これはもう生業なんだから、従業者がいないのだから、とにかく困っておる者には助成するのだというだけでいいのかどうか。この辺の経営者教育というものを考えておるのかどうか。まあ第八条に研修事業というのがあるのだけど、どういう頻度でやるのか。 あるいは、これは私の聞き及んでいるところだけど、一昨日、前回の質問にもお答えになっておりましたけど、経営コンサルタントを配置する、ふやすというようなことをおっしゃっておられた。この経営コンサルタントというのが、ともすれば寄生虫的になるという声も聞かぬではないんです。これは私はたいへんな問題だと思うので、その辺についてどう考えておるのか。 あるいは経営者教育、従業員を五人以下持っておるところもたくさんあるわけですから、そういったところの職業訓練所というようなものを政府の出資によって、たとえば別法人でそういったものを設置して強力に教育をしていくというようなことは考えられるのかどうか、まとめてひとつお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(外山弘君) あとで指導部長からも補足していただきますが、まず第一の、生業的な小売り業についての方向づけでございますが、生業的な小売り業と申しましても、やはり近隣の消費者の利便のためには欠かせない存在である、また、経営的にも根強い競争力を持っているというものが多いと思います。他方、生業的な小売り店は、将来の確たる経営方針を持たないというものが多く、また、消費者の欲求がどういうものであるかというふうなことを的確につかんでいないものも多いと思われます。これらの生業的な小売り業が今後計画性を持っていく、あるいはみずからの事業の充実をはかる、そうして消費者の期待にこたえるというふうなことが基本的には大事だと思います。これは先ほど御指摘のとおりだと思いまして、そういうふうな方向で基本的に指導していくことが必要だろうと思います。 したがいまして、第二点として御指摘がございました企業会計と家計の分離ということ、あるいは企業意識を持って、いま申しましたような将来への展望を持った経営に踏み切っていくというふうなことについては、そういった方向の指導づけ、これがやはり必要だろうと思います。 なお、第三点の、適用を受ける商店についての履行業務というふうな点の御指摘がございましたが、ここにございまするいろいろな方法によりまして振興策を講ずる場合に、それはそれぞれの機関が融資というふうなかっこうで実行するわけでございますから、振興事業団にいたしましても、政府系三機関にいたしましても、個別の相手に対してそういった意味の金融上の相手方としての義務というふうなことが課せられているわけでございます。したがいまして、あえてこの法案にそういった点を指摘する必要はないというふうに考えられるわけでございます。 それから経営コンサルタントの話は、私もちょっと承知しておりませんが、基本的にはそういったことを内容とした経営指導員の指導ということが非常に大事だろうと思います。もちろん、経営指導員というのは、あくまでも経営改善事業ということでよき相談相手になるものでありまして、そこにあまり癒着したかっこうで、利益代弁的なかっこうにだけ徹するということは必ずしも適当でない、その辺はよく指導をしてまいりたいと、こう考えるわけでございます。 それから、もう一つの御指摘の職業訓練の問題でございますが、いまのところ特にこれらの人たちのために特別の職業訓練所を設けるということは考えておりません。しかし、労働省当局におきましてもいろいろな施設を持っており、いろいろな職業訓練の指導をしているわけでございますから、その中に私どもの要求を、適当な内容を盛り込みまして、これからも勉強して労働省当局と協力して、御指摘のようなことが必要があれば進めてまいりたいと思いますし、また研修につきましては、これは私どもの問題でございますが、法文にも明記してございますように、今後研修業務はますます強化する必要がある。いろいろな多様な要請に応じてどう対応するかということは、それなりに複雑さと内容の豊富さを加えていく必要がございます。したがいまして、研修もそれぞれの目的に合った研修コースを漸次ふやしているわけでございますが、今後も、その生業的な小売り業者のための研修はどういう研修が必要であるかというふうなことも含めましてよく検討し、また強力に進めてまいりたい、こう考える次第でございます。
○政府委員(栗林隆一君) ただいま長官がお答えになりましたものに、若干つけ加えさしていただきたいと思います。 経営コンサルタントというお話がございました。いま長官申しましたように、商工会、商工会議所の経営指導員、これももちろん経営改善という点で指導を行なっております。それと同時に、各県におきまして診断、指導事業というものを実施いたしております。いわゆる商業診断、これを実施いたしております。これは年々強化されておりまして、もちろん個別商店の診断、指導という事業を実施しておるわけでございます。 また、研修事業につきましては、現在中小企業振興事業団、ここにおきまして、経営者あるいは後継者等の研修事業を実施しておりますが、これにつきましては、事業団の研修所の能力等からいきましてある程度の限定がございまして、必ずしも全体の需要に応じておるという状況ではございません。今後ともこの研修事業につきましても、強化拡充の方向で考えてまいりたいというふうに考えております。
○藤井恒男君 それじゃ、角度を変えて今度はお伺いしますが、今回の法案で、経営の近代化の目標、経営管理の合理化、施設及び設備の近代化、事業の共同化等に関する事項、その他中小小売り商の振興をはかるための中小小売り商に対する一般的な指針を定める、こういうことになっておるわけですが、この指針にも乗れない、高度化事業にも乗れないような中小の小売り商に対しては、従来の中小企業金融公庫、国民金融公庫による流通近代化貸し付け制度などが適用されるのみになるのではないか。要するに、指針にうたうところの近代化というものに乗れない中小小売り商、これは立地条件などもあろうと思うんです。辺地におけるいわゆるよろず屋というようなものもありましょうし、そういったところについては、いま言う流通近代化貸し付け制度あるいは中小企業金融公庫、国民金融公庫、こういった点しか適用されないのじゃないかと思うんだけど、こういった人たちあるいはこういった店舗に対しては、さらに助成の措置はあるのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(栗林隆一君) ただいま先生の御質問のとおり、まず個別店舗につきましては、中小公庫、国民公庫、これの流通近代化貸し付けあるいは流通安全貸し付け、生鮮食料品等小売り業近代化貸し付け、小売り商業高度化貸し付けといういろいろな金融制度というものを考えておるわけでございます。またそのほかに設備近代化資金、あるいは公社からの設備貸与という措置も考えておるわけでございます。さらに、先生御承知のとおり、本年度から小企業経営改善資金融資制度というものを、国民金融公庫から指導員の指導を受けた者につきまして、経営改善のための資金というものを無担保、無保証で融資をするという制度を創設いたすことにいたしておりますが、これの対象につきましては、その相当部分が小売り商業者ということに相なるわけでございまして、この融資制度につきましても、本法案の趣旨を体しまして運用をしてまいりたいというふうに考えております。
○藤井恒男君 次に、中小小売り商における労働条件についてお聞きしたいんですが、衆議院ですでに修正されたように、中小小売り商に従事する者の福利厚生の問題、これは従業員対策としても非常に重要な問題であるわけですが、この福利厚生の問題を大規模店と比較した場合に、中小企業の福利厚生の状況は非常に私は劣悪だと思います。たとえば退職金の費用であるとか、あるいは教育訓練の機会、あるいは費用であるとか、さらには法定外福利厚生費ですね、こういったものが非常に劣っている。そして、ことに住居あるいは医療保険に関する費用というものも、大規模店と中小小売り商ではたいへんな差がある。このような点について、なお中小小売り商業で働く方たちに魅力のある、働きがいのある職場ということで満足して働いていかすために、私は何らかの施策が必要だと思うわけなんだけど、衆議院でももう修正されて日がかなりたっておるわけですから、長官としてこの辺のところをどういうふうにしていこうとしておるのか、その点まずお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(外山弘君) 従業員の福祉対策という面では、御指摘のように、中小企業と大企業の間にはかなり格差があるということは、遺憾ながら事実であるというふうに考えます。このような大企業との間に見られまする格差を解消するためには、基本的には中小企業の生産性の向上、あるいはこれら福祉の向上が可能となるような企業体質の強化、こういったことが必要であるというふうに考えられますので、私どもといたしましては、従来にも増して中小企業の近代化、高度化というための施策の推進をはかっていく、そして、それによって従業員福祉の向上につとめていきたいというふうに考えるわけでございます。 持ち家の促進をはかるために、労働省におきまして四十六年度から勤労者の財産形成制度が導入されております。また、中小企業振興事業団におきましても、これまで工場等集団化事業等の一環として、福祉厚生施設についても融資対象事業としてまいりましたけれども、昨年度からは、福利厚生施設のみを共同施設とする場合でもその融資対象にしようということで、若干その対象を、福祉対策に対する施策を強化したわけでございます。いまのところ、私どもの手でやりまする福祉対策の具体的な推進策という点ははなはだ乏しいわけでございますが、非常に大事な問題点であるというふうに考えますので、今後とも施設の拡充につきまして努力をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
○藤井恒男君 実は、繊維などが中小小売り商と同じように零細な企業が多いわけです。これは産地を形成しているわけです。人手不足というところから採用難におちいる。大企業に行けば、若年労働者を入れる場合に近代的な寄宿舎がある。居室も、かつては十人ぐらいの雑居部屋であったのが、二人ほどの個室化されたような寄宿舎、また、福祉としても学校を経営するとか、あるいは若年層であるから、定時制の高校に通うというのであれば機会を与えるし、スクールバスをつくる、たいへん大規模では充実しておる。したがって、人手も全部そこに流れてますます格差が広がる。こういうような状況に見舞われて、産地ごとに共同した形で鉄筋のりつばな寄宿舎をつくる、あるいは学園をつくる、こういうことを行なってかなり成功しておる例があるのです。これは製造業に関する問題なんです。 しかし私は、商店においても同じことが言えるだろうというふうに思うのです。三人、四人の従業者を集団就職のときに旗を持って迎えにいく姿がよくテレビで映し出されるわけだけど、行ってみれば、二階にそれこそざこ寝して働かなければならない、そういうところからいや気をさして、就職してもすぐやめていく。たいへん困っているわけです。こういう点、労働省の福利厚生に関するもののみにも助成措置を講ずるようになったということだけど、これはやはり、中小企業振興事業団などがこういった面についてもっと低利の融資をするなどの強力な助成措置あるいは行政指導を行なうというようなことが考えられないのか。中央などにおいては、労働省がそういった大企業じゃない中小に分散しておる方たちのために一つの建屋をつくって、手厚い施策も考えられておるわけだけど、地方都市などの連鎖店などでこういうものができないのかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(外山弘君) 私の申し上げ方が悪かったかと思いますが、実は四十七年度からということで御説明したのは、中小企業振興事業団が福利厚生施設だけを共同施設とするようなものでも融資対象にいたします、ということの改正をしたということでございます。したがいまして、御指摘のような点はすでに始まっているわけでございますが、その実施状況をまだつまびらかにしておりませんが、いま先生が御指摘のようなケースはこれに当てはまりまして、かなりの低利でそういった施設の実現が可能であるというふうに考えます。
○藤井恒男君 その点わかりました。ひとつ強力に今後も施策していただきたいと思うわけです。 それから、従業員の立場から見た場合、賃金の引き上げという点についてももちろんこれは大きな問題でありますが、同時に、労働時間の短縮ということも大切な問題ということになるわけです。それも一日当たりの労働時間の短縮というよりも、たとえば夏季休暇、さらには週休二日制ということに及んでいくわけでございますが、この問題についてやはり小売り商の場合、この週休二日制あるいは夏季休暇などを導入しようとすれば、勢い売り上げの減少、あるいは顧客との関係、他の店舗との競争の問題などに対して不安が生じ、それが障害になるというようなことが容易に想像されます。こういったことをやるためには商店街全体で歩調を合わすとか、あるいはその地域におけるデパート、スーパーなどの大型店が率先するというような施策が私は必要であろうと思うんです。 これらの点について通産大臣は、まあ衆議院などにおいても、週休二日制の問題は、大企業がどんどん週休二日制を実行していくと中小企業からどんどん人が引き抜かれて、人員不足で非常に困るという問題が起きるので、国が手を差し伸べなければならない、そのような計画を進めなければならないということを答弁なさっておるわけだけど、まあ率直に言って、隣合わせている大企業で週休二日制をやれば人がいなくなる、かといって自分の店は顧客との関係があるし、他との競争がある、たいへんなジレンマがある中で従業員が去っていくということに結びつくわけなんです。強力な施策が必要だし、助成が必要だし、それを計画しなければならないという大臣の御答弁があるんだけど、具体的にこの種の中小小売り店舗に対する週休二日制について大臣はどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大企業における週休二日制が進むにつれまして、中小企業における対策も真剣に考えなければならぬものであろうと考えております。具体的には、やはり地域別及び業種別にその地域の中小企業団体等とも相談をして誘導していくと、そういう考えに立ちまして、労働省とも相談をして、順次、大企業との関連を見つつ政策を進めていきたいと考えております。
○藤井恒男君 なかなかむずかしい問題だと思うし、抽象的な答弁で不満足だけど、ひとつ十分施策していただきたいと思います。 時間の関係で先に進みますが、フランチャイズシステムについて、私、多少疑問を感じておるので率直に申し上げますから、御解明いただきたいと思うんです。 このフランチャイズシステムということについて、本法でも触れております。それはフランチャイザーとフランチャイジーとの契約上の問題点を浮き彫りにして、それを解消をするという方向での定義づけといいますか、法案の盛り込みだと私は思うんです。それはそれなりに私もわからぬではない。角度を変えて消費者側から見た場合に、このフランチャイズシステムというのは、価格との問題でどのようになっていくんであろうかと、かりに強力なフランチャイザーがおって、しかも、ばく大な資本力で全国にフランチャイジーをずっとバックするというようなことになったときに、そこにおける中小小売り商との公正な競争関係というものは維持できるのか、また、そうなった場合に、価格はどうなっていくだろうか、消費者側から見たときに、はたしてそのことが消費者に有利に作用するのであろうかどうか、この辺のところをまずお聞きしておきたい。
○政府委員(外山弘君) 本法案の目的が、「共同化等の事業の実施を円滑にし、中小小売商業者の経営の近代化を促進する」ということによりまして、「中小小売商業の振興を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する」というふうに書かれているわけでありまして、御指摘の第十一条を置いた趣旨も、この法律の目的に照らしまして、中小小売り商業の振興に役立つ健全な特定連鎖化事業といったものの発展をいわば誘導的に促進しようとすることでございます。このために特定連鎖化事業、すなわちフランチャイズ事業の本部に対し、契約締結前の書面交付等の一定の義務を課しまして、そして、本部と加盟店が十分納得した上で契約を締結できるようはかったわけでございます。この点が法文の上ではっきりしているわけでございますが、フランチャイズシステムの本来の性格は、小資本で参入を容易にするというものでありまして、きわめて競争刺激的な側面がございます。 現実のフランチャイズ事業で売られている商品も、一般的に安く、品質がすぐれているものが多いというふうにも言われております。したがって、フランチャイズ事業において加盟店に対する指導の一環として、あるいはフランチャイズシステムの統一性の確保ということのために、本部がある商品の小売り価格として標準的なものを示すことがあると思います。しかし、御指摘のように、これが直ちに消費者にとって価格の引き上げにつながるというふうには考えていないわけでございます。ただ、今後フランチャイズシステムの普及指導にあたりまして、御指摘のような消費者にとってマイナスになるような、価格の引き上げになるようなことがないように、十分その点は配慮していかなければいけない、こう考えている次第でございます。
○藤井恒男君 これはわが国の——わが国というより、これは国民性かもわからぬけれども、契約の概念がきわめてうすい。そういう中からフランチャイズシステムにおけるいろいろなトラブルが出ておる、その点にともすれば目を奪われておるのじゃないだろうか。フランチャイズシステムというのがまだまだ緒についたばかりだと、優良なフランチャイザーによって運営されておる現状だと、ただ問題は、フランチャイジーが契約概念がないために、やってみて、しまったということになる、その保護策だというふうに私は見るわけだけど、これがどんどん外国系の資本などが日本にも入ってきて、フランチャイズシステムというものが施行されていったときに、いわゆる中小小売り商というものが席巻されていくんじゃないだろうか。 たとえば、地方都市におけるスーパーが一つ出店する、そのこと自体で、その駅前の商店街というのがトラブルを引き起こすようなことになるわけなんだから、同一商標、同一商品名でずっとこう押して、あるいは価格においても、それが再販価格というようなこととはまたおのずから別かもわからぬけれども、やはり価格統制というものが全国的に流されていくわけなんだ。そうなっていくと、地域における特性を持つ中小小売り商というキャッチフレーズがなくなっていくだろうと、全部が単一色に変わっていく。そうすると、本来の生業である中小小売り商の生きがい論だとかそういったものも阻害されていくことになる。そういった側面を私は危惧するわけだ。そういった点をどのように見ておるのか、十分私は注意していただきたいと思うわけなんです。いまの問題じゃなくて、その辺のところをもう少し聞かしてもらいたいと思います。
○政府委員(外山弘君) 確かにフランチャイズシステムにつきましても、その価格の問題以外に、他の小売り業者との関係という問題での御懸念の表明があることは、私どもよくわかると思います。小売り商が店舗の共同化をいたしますにしましても、同じような問題点はあるだろうと思います。それは先ほど言いましたように、小売り商の地域性ということからくる一つの問題点でございまして、せっかく中小企業者が努力して共同化の実を上げれば上げるほど、それに加わわらない他の人との関係が問題になるということは、一般的に地域によっては、また業種業態によってはあり得るということは十分考えられるわけでございます。 本質的に中小商業というものをどう持っていくか、その中で事業機会の確保とか、経営の近代化ということをどう調和していくかという問題点になると思いますので、具体的な問題として私どもとしてはとらえていきたい。そして、いま御指摘のような問題点が、今後フランチャイズシステムが非常に普及していくときにそういう問題点がある場合に、小売り商の生き方としてどう考えるべきか、あるいは他の小売り商業への影響をどう考えるべきか。ものにはどういう場合でも両側面があるわけでございますが、その点の調和を地域的に解決するというふうなことも大事な問題点であるというふうに考えて指導をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
○藤井恒男君 それじゃ、齋藤長官がお見えでございますので、特許庁にお伺いいたします。 最初に大臣にお伺いしたいわけですが、昨年八月に出された「七〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」という中小企業政策審議会の意見具申の中に、「知識集約化と多様化の時代における中小企業のあり方」として、いわゆるシステム化を強調しておるわけですが、その中で特に次のようなことが強調されております。「今後の消費の高級化、ファッション化傾向に対応し、自分でできる範囲内で、コンバーター機能を発揮し、産業構造の知識集約化のオルガナイザーの役割を目指すべきである。」と、この点について通産大臣としては、知識集約化時代における商業のあり方というものをどのように考えておられるのか、また具体的には、第三条の「振興指針」に基づいてつくる一般的な指針についてはどのようなことを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小企業のみならず、日本全体の産業構造を知識集約型あるいは付加価値の高い方向に持っていこうというのは、われわれの基本的な考え方でございますが、特に中小企業につきましては、一面において関連大企業の知識集約に相応じて知識集約型にいかぬと、大企業自体の知識集約もできないという連帯性を一面において持っております。また一面においては、商業というような部面におきましては、ファッションあるいはそのほかにおいてみずから知識集約型を開拓して、そして大企業がこれに追随させるという可能性もございます。そういうような両面からの知識集約ということを私たちは考えておりまして、特に商業の場合におきましては、大衆の需要と申しますか、お客の嗜好というものを先取りするとともに、いわゆる専門店的な感覚を発揮して、ファッションその他デザイン等において斬新な、ニードに合う、あるいは国際社会において需要されるような形式のものを多量につくっていく、そういうような考え方に立って知識集約型を推進していきたいと思っているわけでございます。
○藤井恒男君 いま大臣がお述べになったように、知識集約化時代にあって、商業者などはチェーン化などの推進によって情報が容易に手に入る、情報の総合化というものが積極的に行なわれておる、そういった中でデザインなどの開発を盛んに行なう。現に能力のある中小の商業者にあってもこれに取り組んでおるわけです。 そこで、長官にお伺いするわけだけど、意匠、商標の登録の問題にかかわることですが、まことに遺憾なことですが、こういった客観情勢の中で他人のデザインを盗用するというようなことがしばしば行なわれておるわけなんです。で、そのことが結果的に、まじめな者がばかを見るようなことにつながって、開発意欲というものをそぐ結果になりかねない。これは中小商業者間の問題、あるいは中小商業者と大規模の関係、いろいろ入り組んでこういった問題があるわけです。 で、どうしてそういうことになるかというと、せっかくデザインなどの開発を行なっても、これを保護する登録の審査が非常におくれておるわけです。御承知のように、これは衣服なんかの場合だとおよそ一年で周期が来るわけです。早く登録しなければならない。最近のこの情報化時代の中 ですから、玩具、おもちゃなどにあっても同じことが言い得るわけです。したがって、ばかばかしい、そんなに時間のかかることをやめて、ぽんと当たったものをまねてつくればいいじゃないか、こういうようなことになりかねないわけです。登録というのはデザインを設定した人を保護する施策であるわけだけど、その審査がおくれる、間尺に合わぬということについて、特許庁長官としてはどのようにお考えか、お聞きしたいと思うのです。
○政府委員(齋藤英雄君) ただいま御指摘がございましたように、知識集約化という時代でございますので、デザインの重要性というのはますます増してきたわけでございます。その関係でいわゆる意匠の登録という問題は、従来にも増して重要性を増してきておるというふうに私どもは考えております。 最近の意匠登録の審査の状況でございますが、御指摘のように、遺憾ながら相当の時間がかかっております。たとえば四十六年では、出願をいたしましてから処理が終わりますまでと申しますのは、登録になるまで、あるいは拒絶査定になるまでの間、大体二年八カ月ぐらいの期間がかかっております。四十七年ではその期間がさらに延びておりまして、二年十カ月ぐらいかかっております。こういうふうな事態で私どももいろいろ対策を講じておりますが、たとえば審査官の増員をはかるとか、これも思うようにはいっておりませんけれども、というふうなことで努力をしております。なお、それ以外にも事務の合理化等、いろいろ具体的な問題も私どもは考えてこれに対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○藤井恒男君 大体私も、意匠登録の平均処理必要年数が二、三年かかるということを聞いておったわけだけど、これではいま言うファッション性がとみに増しておる繊維関係などにあっては、デザインのようなサイクルは非常に短いわけです。全くこれはもう意味をなしていない。で、現在の意匠登録件数、審査件数、そして未審査件数というものが数字的にどうなっておるか、ちょっと聞かしてもらいたい。
○政府委員(齋藤英雄君) 昭和四十七年度について申し上げますと、出願の件数は五万三千九百二十九件、おおむね五万四千件でございます。これに対しまして処理の件数は四万四千二百二十一件でございます。年度末のいわゆる、私どもは滞貨と申しておりますが、未処理件数でございますが、これは十二万三千八百四十二件でございまして、先ほど申し上げましたように、これを平均の処理期間で換算をいたしますと、二年十カ月ぐらいというのが平均の処理期間になるわけでございます。
○藤井恒男君 長官が率直に認めておるので質問しにくいわけだけど、これは全く意味をなしていないわけですね。滞貨が十二万件もある、またこれが二年も三年もかかっていくということになるわけだけど、この審査方式の改善をどう考えておるか。たとえば特許、実用新案と同じような審査請求の方式を採用するというようなことが考えられるのか、技術的にどうなのか。こんなばかな話ないといって出願しなければ話は別だけど、やはり出願していこうとすると、今後ますます出願件数というのは減るわけはないのでね、どんどんふえていく。どんどんふえていけば滞貨は山のように積まってくる。いままでと同じようなやり方をしておったら処理できるはずがない。しかし、特許庁というデパートメントをかかえてこれはかまえておるわけですから、全くナンセンスということになるわけです。一体何が原因か。審査官が足りないのか、能率が悪いのか、サボっておるのか、あるいは技術が悪いのか、やり方が陳腐化しておるのか、この辺もうちょっと大胆にメスを入れてもらわなければ、まさに法律をつくって喜んでおるというだけのことになりかねないと私は思うのですよ。どうですか、この辺。
○政府委員(齋藤英雄君) ただいま申し上げましたように、非常に審査の期間と申しますか、平均処理期間が、滞貨と申しますか、これがたくさんありまして、長くなっておるということは御指摘のとおりでございます。私どももこういう問題に関しましては、いろいろ具体的な方法をいま検討いたしておりますが、何と申しましても出願の件数がかなり多いわけでございます。これは毎年、たとえば商標の例で申しますと、四十六年対四十七年の伸び率はおおむね二四%ぐらいでございます。そのくらい伸びております。したがいまして、本来でございますと、それに相応するだけの審査官の定員がふえるならば、そういうふうなことでつじつまが合うわけでございますが、これはいろいろ事情がございまして、やはりそういうふうにもまいりません。したがいまして、審査官の定員増だけに私どもはたよるわけにはいかないわけでございます。それ以外にいろいろ方法を考えなければいけないわけでございます。たとえばでございますが、意匠につきましては、私どもは現在部内でいろいろ検討会を持っておりますが、民間にいろいろ意匠につきまして意匠センターという、これは輸出品が主であるところが多いのでございますけれども、意匠を登録をし、あるいはそれらの認証作業というのをやっておるところがございますが、そういうところにある程度の事務を委託をすることができないだろうかというふうなことも考えております。 それから、なお商標につきましては、やはり現在の商標の出願が、これはいま申しましたとおり非常に多いわけでございますので、これをやはり機械化をして機械検索をするようなことができないだろうか。たとえば、電子計算機にいろいろのデータを入れまして、これは類似であるか類似でないかということがすぐ出てくるような、いわゆる一種の機械化でございますが、そういうことで能率をあげられないだろうかというふうなことも考えております。それで、いろいろそういう施策をやりましても、なお現在のような状況が、まあ改善はいたしますでしょうけれども、改善の度合いがまだ不十分であるという場合には、先生いま御指摘がございましたように、あるいは、ことに商標についてでございますけれども、いわゆる法律改正と申しますか、制度改正と申しますか、そういうものもこれは考えなければいけない時代になるんではあるまいかというふうな、そういう気もいたしております。したがいまして、いま申し上げましたようないろいろそういう施策を総合いたしまして、処理期間を短縮をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○藤井恒男君 大臣、お聞きのことと思うので、まあ大臣は鋭敏な方ですから、びっくりしておられると思うのだけど、この意匠の審査、いま言ったように平均して二年十カ月ぐらいかかっておる。これが審判ということになると、さらに平均処理期間が大体五年ぐらいというふうに聞いておる。まあこれだけの問題でもたいへんなところに加えて、いまのは意匠の問題だけど、それ以外に特許、実用新案、商標、PCT、物質特許、いろいろな問題がこれは山積みにされておるわけなんです。そういった中で、中小商業の知識集約化のためにも、意匠登録の審査というようなものはどんどん推進していかなければならない。したがってこの運用の改善、いま長官は一例を示されたわけだけど、運用の改善あるいは制度の抜本的な改正というものに取り組む必要があるのじゃないだろうかというふうに私は思います。 そこで一つの考え方として、工業所有権制度というものなども考えた場合に、この意匠登録の審査及び審判があまりにも長いということについての解決方法として、繊維雑貨のようなサイクルの短い業種では、業界内部での話し合いによって問題を解決する。玩具なんかには、あるいは雑貨では、業界で独自に意匠の保護を行なって成功しておるような例もあるんだけど、繊維業界などでも通産省が指導をしてデザインの盗用を防止する、あるいはまた積極的に保護をはかる、あるいは問題が紛糾した場合には、業界の中でこれを解決するような方法を講じせしめる、こういうことを積極的に行政指導する必要があるんじゃないだろうかという気がするわけです。したがって、この特許にかかわる問題は、特許庁自体が特許庁の中での人員増の問題であるとか、あるいはいま言ったよりに、やり方を変えてしまうとかいうような一つの抜本的な改正というものが見られると同時に、通産省として業界ごとに、各部落ごとにこの種の問題を処理する方法を弁じせしめるというようなことも一案じゃないかというふうに思うのです。これは、まあいずれ考えてやりましょうというようなことじゃなく、早急に手を打つべき事項だと思うので、大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 十二万件余という大きな滞貨の現状を見ますと、早晩何か思い切った手を打たなければならぬ現状であるように思います。業界別に自主規制が可能である分野については、そういう御意見も非常に取り上げるに値する御意見ではないかと、そういう気がいたしまして、検討を命じたいと思います。
○藤井恒男君 最後に大臣にお伺いしますが、昭和四十六年八月に第四次自由化で、小売り業の資本自由化が取りきめられ、翌四十七年の七月の日米箱根会談で店舗数、取り扱い商品の制限つきということではございますが、一〇〇%の自由化ということが約束されたわけです。で、これに基づいてすでに米国の外資が商業面にどんどん進出してきておりますし、今後外資の進出が一そう活発になるというふうに予想されるわけですが、この外資の進出というものが中小小売り商業にどのように影響していくのであろうか、どういうふうな要件を大臣としてはお持ちであるか、これをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際的な自由化の趨勢、アメリカとの関係等も顧みまして、小売り商業における自由化は段階的に行なおう、そういうことで先方とも話し合いまして、ある期間の余裕を持って逐次やっていくという考えに立っております。その間に日本の小売り商業の抵抗力を強めておかなくてはならない、そういう考えに立ちまして、今回は中小小売商業振興法のような法律、あるいは無担保、無保証の融資制度、あるいはそのほかの税制の改正等をやっておるわけでございます。最近、いままでの例で見ますと、まだ外資で進出してきているというのは二、三の例にとどまっておるようでございまして、先ほどお話がありました日本の流通業界というもののむずかしさに、なかなか手が出ないという様子もなきにしもあらずのようであります。しかしいずれにせよ、合理化して大衆消費時代に相応するような流通体系に変えていかなきゃならぬときでもございます。そういう面からいたしまして、小売り商業自体を強化していく、抵抗力を持たせるということが非常に重要なことでありますから、そういう政策を今後とも私たちは持続的に強化してまいるとともに、外資がどの方向にどの程度の強さをもって出てくるか、よく注目しつつ、関連業界の抵抗力強化という面について私たちも考えていきたいと思っております。
○理事(剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時十二分開会
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 午前に引き続き中小小売商業振興法案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は御発言を願います。
○大矢正君 具体的なこの法律の内容の質問に入りまする前に、この法律の対象となっておりまする中小小売り商業の位置づけと申しましょうか、今後小売り商業全体の中でどのような位置を保たせていこうとするのか、この点についてお尋ねをいたしたいと思うんであります。 通産省からいただいておりまする資料等を見ますると、私の記憶に間違いなければ百九十万からの中小小売り商業を含めた小売り商業があり、アメリカの百七十万よりもさらに多いという、非常に人口的から見ても、また、地理的な条件から見ても違いのあるアメリカと比較をしてみても、数の上で百九十万からの小売り商業があるということ自体、その対策といいましょうか、対応策というもののむずかしさはそれなりに私どもも理解をするのでありますが、いまの国会で問題になっておりまする百貨店法の改正、まあ正確には百貨店法じゃございませんが、従来の百貨店法の大幅改正、それからそれ以外にスーパーその他を含んだチェーンストアの発展状況、それからチェーンストアとある意味においては似ているんでありますが、ボランタリーあるいはフランチャイズ、そういうもの、いろいろありますが、それら全体の中においてこの法律の対象となる中小小売り商業というものを、今後どういう位置づけをしようとしておられるか、大臣でもあるいは長官でもけっこうでございますから、まず基本的な点としてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小小売り商業は、役割りといたしまして店舗の場所、それから営業時間、商品の品質、価格、品ぞろえ、対顧客サービスなどの面で、きわめて多様な消費者の欲求を補完しつつ充足させておる特殊な機能を果たしております。それから、狭い小売り商圏において過度に度に支配力を強めると自由な競争力を阻害するおそれのある大規模小売り店に対する対抗力、牽制力ともなっておりますし、さらに大きな就業の場となり、能力と努力によって発展を期待できる、働きがいのある職場となっていることなどが社会的な機能として特に指摘されるところであります。 中小小売り商業はこれらの役割りを十分果たして、わが国流通機構の中にしっかりした根をおろしていくためには、商店街ぐるみの近代化や店舗の共同化等によって大規模小売り業並みの顧客吸引力を備え、その規模の利益を追求していくとともに、また一面において、個々の店舗にあっては、土地や業種や業態等の各種条件に即応した中小小売り業でなければできないという、その特色を一生かした消費者の欲求にこたえていく商売を行なう必要があると考えております。政府としては、そういう方向で中小小売り商業の育成に努力していきたいと思っておるのであります。 最近の統計によりますと、商店数を見ますと、百貨店は三十九年以降〇・〇三%で横ばいでありますが、スーパーは三十九年の〇・一%から四十五年には〇・二七%へとかなり上昇してきておりますが、中小小売り店は三十九年の九九・八七%より若干低落傾向にありますが、依然として九九・七〇%で、商店数から見ますと圧倒的なウエートを占めております。 売り上げ高を見てみますと、百貨店のウエートは三十九年の一〇・一%から四十五年一一・一%へと若干上昇傾向を示していますが、スーパーは三十九年の三・二%から四十五年六・八%へと急上昇しております。その結果、中小小売り店のウエートは三十九年の八六・七%から四十五年の八二・一%へと低下しております。これはスーパーが非常に進出してきたという計数にもよりますし、四十五年の統計でありますから、四十六、四十七、四十八とその後の情勢を見ると、この趨勢はさらに増幅されているのではないかと思います。こういう傾向を見ましても、中小小売り店の補強ということは非常に当面の重大な仕事であるように思われます。
○大矢正君 この産業構造審議会の流通部会の答申、四十年の九月にはボランタリーチェーン化の推進、これによって協業化路線を進め、協業化で小売り機構の近代化をすることが基本的な政策とならなきやならぬと、大体私なりに解釈するとそういうような内容の答申があり、さらに四十三年の八月には、同じく流通部会の答申としていろいろ書かれておりますが、この法律に関係の深い部分としてはボランタリーチェーン化、それから小売り商の店舗の共同化、商店街の再開発あるいは新しい建設と、まあ卸商その他いろいろございますが、直接この現在審議中の法律に関係のある部分の特に重要だと思われる点は、組織化あるいは協業化として次のようなことがあげられておるわけですね。おそらく、こういうような過去における産業構造審議会の流通部会の答申に基づいてといいましょうか、この流通部会の考え方をある程度具体化したのが今度のこの法律ではないかという感じもするわけですがね。 そこで私は、具体的な事例の中からどうもこの法律というものが、この流通部会の答申にあるとおりの、あるいはあるような内容の効果をあらわすことができるかどうかということについて非常に多くの疑点があります。極論をすれば、この法律がなくても差しさわりがないんではないかというくらいな、そういう感じすら受ける。なくてもという意味は、私は、ないほうがいいという意味で申し上げているのではなくて、この法律自体は、あまりにも内容が訓示規定ばかりに片寄っていて、この法律自身の持つ法律効果というものが非常に少ない、その部分が。しいてあげるならば二、三ないわけではないが、たとえば資金の問題にいたしましてもその他を見ましても、もうほとんどが訓示規定、努力規定といいいましょうかね、そういう内容で、しいてこの法律がなければできないような内容のものではなくて、現在の行政の中で十分やっていけるような内容しかこの法律の中にはないという感じがするわけです。 私は、実は昭和四十二年だと記憶しますが、中小企業振興事業団を組織する際の法律の審議のときに質問したことがありますが、この中小企業振興事業団が、四十二年だったと記憶しますが、発足をいたしまして、四十三年にこの中小企業振興事業団が、中小企業振興事業団というものはこういう内容の仕事をするのですよということをパンフレットにして出したのが、実は私の手元にあるわけです。これは当時質問をしたときに出たわけじゃなくて、その後に出たわけですが、四十三年の一月に中小企業振興事業団から出されたものが、たまたま今回、若干質問をしようと思いまして、昔の資料をほじくり出してみましたら、これがあった。たまたまこの中に「商業編」というのがありまして、「手をつなぐ仲間たち」、「中小企業高度化施策のあらまし」、こういう内容のパンフレットが、四十三年三月一日ですかな、これが中小企業振興事業団の事業のあらましという形で出ているわけです。今日この法律の中に書かれたり、ある程度政府が考えて実施をされておられる内容というものは、この中にもう全部盛り込まれている。 これを一つずつたんねんに拾って、そうして私はこの法律と法律の考え方、あるいはまた法律を展開した場合における一つ一つの内容を合わしてみますると、もうすでに四十三年の中でこれが書かれておる。それが今日五年たってやっと法律になってきているというだけであって、しかもその法律の中身たるや、これは大部分、もう極端なことを言えば九割までが訓示規定、努力規定で、あえてここに法律をつくらなければならないほど重要な内容を持っているとはどうも思われない。中小企業の法律というのは、申すまでもなくかなりの数ありますね、調整法的なものももちろんありますが、それ以外に前向きの近代化、高度化等の法律ももちろんあるわけですから、私はこの程度の内容のものなら、あえて中小小売商業振興法と銘打って、中小企業の中でも特に小売り商業に対しては重点的にかくかくの施策をやっておるのですというようなことを、ことさらに言えるほどの内容のものではないんじゃないかという感じがいたすわけでありますが、この点についてのお答えをいただきたい。
○政府委員(外山弘君) 四十二年に中小企業振興事業団が設立されまして、そのときに、いま御指摘のような商業対策につきましての序述があったことはそのとおりでございます。で、振興事業団も、設立されて以来、高度化事業を実施いたします中小企業者に対する長期、低利の資金の融資、あるいは中小企業者の依頼に応じました指導、援助等、中小企業者に対する近代化施策といったものは、この事業団を通じまして大いに強化がはかられてきたというふうに考えるわけでございます。中小企業基本法十四条におきまして、中小小売り商業につきましても、その近代化施策の必要性が規定されております。で、中小企業の近代化を促進するための施策が根拠規定を持っているわけでございますが、先ほども御指摘がございましたように、中小企業の近代化と申しましても、とかく、いままでございました中小企業近代化促進法、これは製造業分野での近代化の促進にはなじみやすい、法的には商業も入るわけでございますけれども、内容がどうもそういう製造業になじみやすい、で、地域的な性格の強い商業にはどうもなじみが薄かったというふうなこともあったかと思います。で、今回の法案は、中小小売り商業に対する施策を体系的に、かつ強力に行なおうとするためのものでございまして、本法の施行によりまして、中小小売り商業に対する施策をこれから大いに強化していきたい、こういうことを考えているわけでございます。 なるほど訓示規定が非常に多い、あるいは内容的にも法律事項が少ないのではないかという御指摘がございます。しかし、私どもといたしましては、中小小売り商業振興の根幹となるべき法律といたしまして、単に訓示規定だけではなく、内容にもいろいろな新味を加えているわけでございます。たとえば、本法の重要な柱となっておりまする高度化事業の助成に関する諸規定、これは税制、信用保険等の面で具体的な法律効果を伴っております。また、特定連鎖化事業に関する諸規定も同様なことが言えるかと思います。それからまた一般の中小小売り商業者の振興に関する規定、この点については、訓示規定が多いわけでございますが、すべての業種、業態を通じ必要な施策について規定したためそういうことになりがちでございまして、これらの規定の実行のため、具体的な各種の施策をこれからも用意してまいりたいし、決してこれを無意味に終わらせたくない、こう考えているわけでございます。で、中小小売り商業の振興に関する国の姿勢、あるいは各種助成法を立法の形で総合的かつ体系的に明らかにする、こういった意味で、私どもとしては、この法律自体にそれだけの意味を持たせたい、こう考えている次第でございます。
○大矢正君 いま、長いいろいろな内容の御答弁がありましたが、長官、私が先ほど申し上げたように、五年前の、正確に言えば五年半前の中小企業振興事業団の業務内容それ自身の中に、たとえばこの法律の中で高度化事業と呼ばれている内容のものは全部出ておるわけですわ。おそらくこれはあなたも御存じないわけはないと思うので、高度化の一つとしての公共的な商店街地域の、何といいましょうか、改造計画、たとえばアーケードをつくるとか、あるいは駐車場をつくるとかいうような内容のことをこの法律の具体的な運用の問題として今後考えていくのだというようなことも、通産省の文書の中に出ておるわけです。しかし、そんなことはちゃんと五年前にこの中にも出ておるわけですわ。ことさらにここで法律にしなくたってもう出ているし、現に行なわれて、そのための融資もされているわけでしょう。 だから、私が申し上げるのは、それじゃ、この法律の中に何があるかということになれば、しいて拾えば、法律効果として考えられるものは、十分の一の特別償却の問題と、それから土地保有税に関する課税を免除するというこの二つが法律効果としては考えられるだけであって、それ以外には、あとはたとえば融資の比率がどうとか、利率が安いとか、あるいは無利子云々とかいうようなものは部分的には出てきても、それは何も本来的には法律内容に出てくるようなものではないし、法律がなければできない内容のものではない。現にやっていることを多少中小企業者に有利にするというだけの話でありまして、法律があったから、あるいは法律があるからできるとかできないような問題ではない。 ということになると、単に十分の一の特別償却を認めるという問題に限っていえば、それはそれに類するものの中でやればいいし、あるいは土地の保有税免税の問題があれば、それはそれなりでまた租税特別措置なりその他でやればいいとか、ことさらに法律を必要とするほど重大な内容のものでもなさそうに思う。そういう私の考え方というのは間違いでしょうかな。もっと、何と申しますか、本質的に中小小売り商業というものをほんとうの意味で振興するという新しい一つのアイデアなり考え方といいましょうか、方向づけというものが出ていない。しいて言えば、それは五年か十年先を見越した第何条ですか、「振興指針」、この中で何が書かれるかということだけが問題であって、この法律の条文の中には、とりたててこの法律はまことにいい法律であるといってもろ手をあけて喜ばなきゃならぬような内容のものは一つも出てこない。極論だかもしらぬけれども、私はそう考えるんですけれども、いかがでしょう。
○政府委員(外山弘君) 確かに施策の内容につきましては、従来方向づけのございました点を今回の法律を機会に税法上の恩典を加えるということ、あるいは高度化融資の対象に融資比率や条件の点でさらに助成措置の内容を強化したいということ、こういった点はございますけれども、方向としては御指摘のとおりだと思います。ただ私どもといたしましては、中小小売り商業の近代化、経営体質の改善といった方向の中で考えられるべき問題点は、すでに基本法なり事業団の発足なりのときに示されているものの、その後の環境の変化と申しますか、内外の情勢が非常にさびしくなっている、そして新たに展望される今後の情勢も加えて、ここで一段と中小小売り商業に対する従来の方向をさらに確認し、さらにその施策の強化をはかることによってそのテンポを早めるということも非常に大事なことでございます。そうした機会に、この際、振興指針というふりなかっこうで中小小売り商業全体としての指導指針というものを明らかにし、その中で高度化事業についても十分な助成の強化をはかっていく、こういった意味で、全体としての振興指針がこういう内外の情勢の多様化の中で、きびしさを加える中でさらに必要であろうというふうな考え方に立っているわけでございますし、またそうした意味で助成の強化をはかる、その際に施策の体系を明らかにして、私どもの考え方を明らかにして中小小売り商業者が向かうべき道をここで再確認するとともに、新たなる覚悟をもってやっていただきたい、こういうねらいも含めてこの立法を考えているわけでございます。もちろん規制法ではございませんで、助成法でございます。助成法の性格上どうしても御指摘のような問題点があるかと存じます。しかし、私どもとしては助成法は助成法なりに法律化することが、これがやはり一つの意味を持つのではないか、こう考えているわけでございまして、先ほど申しましたような趣旨で今回の立法を考えたわけでございます。
○大矢正君 いまの長官の御答弁ですと、これは具体的な実施法というよりも、ある意味でいうと中小企業基本法はもちろんであるが、中小小売り商業の基本法的なものである、そういう一つの解釈だと、そういう意味でひとつ理解をしてもらいたいというふうに私は受け取るんだが、それならばたとえば第十一条、十二条に「特定連鎖化事業の運営の適正化」に関する項がありますが、こういうような内容のものはそういう基本法的なもの、中小小売り商業の基本法的な意味における法律、言うならば、よりどころとしてこれを具体的に展開をしていく、実施していくものをさらに考えるんだというんであれば、あるときは非常に大まかなことを書き、ある部分では非常にこまかいところまで書いてみたり、そうすると、法律の立て方自身にどうも私自身に納得のいかないものがあります。ですから、一応御答弁は御答弁として承っておきますが、私は納得できかねる。 私は、ずっとこの一条から十六条まで、罰則の項まで全条にわたってノートして、自分で疑問点をいろいろ書いてみたのですが、そこで四十八年度、本法の認定を受けた案件に対する事業団の融資ワク、かりに本法が成立した段階におけるですね。法律の中小企業振興事業団の融資ワクというのは十億五千万円、事業規模で二十五億円とこういうふうに私は聞いておりますが、だといたしますと、確かに法律は、これはもうすでに八月になっておりますから……しかし、本来はおそらくあなた方のほうは、四月一日から本法が成立すれば実行したいという考えで立てられたものだと思うのでありますが、事業規模で二十五億円、実際に事業団で貸す金が十億五千万円ですね。これで中小小売り商業の振興ができるんだとか、あるいはやっているんだとかいうふうに考えること自身がどうもみみっち過ぎるような気がしてしようがないのですが、たった十億五千万円しか事業団の融資ワクがないという問題が一つある。 それから、現在までの中小企業振興事業団の融資実績というものが、これを項目別に拾ってみると、商店街の改造十二件で十四億円というのがなるほどありますが、これは三十九年から四十六年までのトータルでしょう。その次に環境施設の設置二百五十二件、件数はものすごく多いんだが、この金がわずかに三千九百万円、これは四十二年から四十七年まで、店舗の共同化二百十四件、これは三十八年から四十七年までで、金額にしてわずかに一億八百万円、ボランタリー十九件、これが四十一年から四十七年までで一億一千百万円、こういう内客のものですね。昭和三十九年から四十七年まで、あるいは三十八年から四十七年までという非常に長期の期間でわずかこの程度の金しか出していない。しかも四十八年度に、では予算ワクはどうか、この法律ができ上がったという前提で融資をするという場合における融資ワクはわずかに十億五千万円である。これでこの法律というものは重要な役割りを果たすんだと、あるいは大きな効果をあげるんだというようには私自身考えられないのですが、いかがなものでございましょう。
○政府委員(外山弘君) 冒頭お話がございました中小小売り商業の数あるいは分布、そういった点を考えますと、いまの私どもが予定しておりまする予算額が少な過ぎるんじゃないかという御指摘は、そのとおりだと思います。ただ、今回の法律を機会に、やはり中小小売り商業がこうした方向にいくことが非常に大切であるということを、私どもとしてもこれから大いに指導の上で推進してまいりたいし、また、小売り商業者の自覚も促すようにつとめてまいりたい、こう考えるわけでございまして、当面四十八年度に組んでおりまする振興事業団のこの部分に関する予算は、実際問題として各都道府県からのヒヤリングというものを参考にいたしまして一応きめているわけでございますが、今後その需要の増加を期待いたしまして、ますますふやしていくように努力をしてまいりたいし、また、ふやしていってそれが実行されるということが大切でございますので、そういった意味でも需要面の指導ということを私どもとしても大いに強化していかなければいけない、こういうふうに考えるわけでございます。 第二番目に、実績も非常に少ないではないかということは、まことに御指摘のとおりでございまして、店舗の改造といったような点は非常に少ないし、協同組合の共同施設というかっこうでかなりの件数はございますけれども、何と申しましても、私どもが今後に方向づけを考えておりまするいろいろな高度化事業の実施ぶりというような点になりますと、中小小売り商業の多さに比べてまだまだ実績が非常に乏しいと、カバレージも非常に少ないというふうに考えます。これは先ほども申しましたように、今後の予算の拡大等によりましてまた需要を喚起いたしまして、そして環境のきびしさとともに中小小売り業者も自覚が出てくる、こういうことも期待いたしまして、大いにこの法律の通った機会にこの方向の実行の強化をはかっていきたい、こう考える次第でございます。
○大矢正君 いま金の話を出しましたから、ついでにお伺いをいたしておきたいと思いますが、この中小企業振興事業団の融資の特例として、商店街整備計画に基づいて取得される公共性の強い共同施設、たとえば駐車場であるとかその他街路灯、あるいはアーケードというのですか、いろいろありますが、その種の程度のもの、それから、 この店舗共同化計画に基づいて取得される従業員五人以下の例の小規模企業、これについては五分の四以上が小規模店であって、共同店舗をつくる場合、その際においては融資比率八割の無利子と、こういうことですね。この八割無利子というのは、この金はこれは国だけではないんでしょう。国というか事業団だけじゃなくて地方にも出させるわけでしょう。そういうことですね。
○説明員(栗林隆一君) 先生の御質問のとおりでございまして、国と県、両方で合わせまして八割を無利子で貸し付ける、こういうことでございます。
○大矢正君 これは人のふんどしで相撲をとるという話がありますが、表向き見ますと、全部国がこうやりました、ああやりましたというふうに聞こえるんだが、その半分はこれはちゃんと都道府県に負わせているわけですね。これだけじゃないですよ、ほかにもありますよ。そうしておいて国がこういう施策をやっております、こういう施策もやっておりますと言う。半分やっていますと言うなら話はわかりますけれども、表向きはまことに国がやっていますというふうにしておいて、実際は半分は都道府県に金を出させるという、こういうやり方というのは、私は極端なことをいえば詐欺的な行為じゃないかと思いますよ。おかしいと思う。しかし、これは何も私はやっちゃいけないという意味で質問しているんじゃなくて、こういうことをやらないで、やはり国が全額金を出してやるべきではないかという意味で申し上げているんであって、その点はひとつそういうことで御了承願いたいと思います。 次に、中小小売り商業の問題につきましては、この法律である程度の方向づけが出てくるでしょう。どういう振興指針がつくられるか、五年から十年先の指針をつくるということでありますから、相当通産省もりっぱな見通しをお待ちなんだと思いますが、これはできてからでないとわからぬし、どういうものをつくるんだと私が聞いても、おそらくここで御答弁はなさらぬだろうと思いますから、これは聞こうとは思いません。しかし、この種の内客としては、たとえばサービス業がありますね、それから流通全般として考えてみますれば、まあ百貨店とかあるいはスーパーとかいろいろございますが、それだけじゃなくて卸の問題がありますね。 卸売り業を一つとって見ましても、卸売り業それ自身にもいろいろと分類をすれば違った性格のものがありますね。たとえば同じ卸をするにいたしましても、ほんとうに最終消費者に直接売る、言うならば小売店、これにおろす卸もありましょうし、それからそうじゃなくて、問屋同士でもってやる場合もあるでありましょうし、それから、他にまたそれを売ることによって、買ったほうがまた新たにそれをもとにして製品にするとか、いろいろ卸それ自身を見ましても分類的には数多くに分かれると思いますね。 こういうように、中小企業はなるほど千差万別で、特に小売り商のごときは長官の御答弁のとおり、立地が一番問題であって、立地を除いて小売り商業というものは考えられない、これはそのとおりでありますが、流通機構全体を考えてみますると、単に小売り商業だけの問題ではなくて、あるいは大型店舗に対する規制が新たに今度は法律を改正されてでき上がるからそれでいいというものでなしに、卸売り業を含めたいろいろな問題がありますね。今後どうなさるおつもりでしょうか。中小小売り商業の問題についてはここで法律になりますがね。しかし、サービス業もあるでしょうし、それからいま言ったように、非常に分類もこれまたしにくい卸売りというものがありますね。それからまた同じ小売りと申しましても、まあこれは最近、川下作戦と俗に専門家の間で言われている、メーカーが直接自分で品物を小売りするという形がありますね。繊維製品であるとか、あるいは電気製品もそうですが、そういうようなところがありますね。こういう問題等もありますが、今後そういう流通機構全般にわたってどういう一つの構想を持って臨んでいかれようとされるのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(外山弘君) まず、サービス業を別にしているという点でございますが、やはりサービス業は小売業と違った特殊の性格を持っていると思います。また、サービス業自身が非常に内容が多種多様でございまして、なかなかこれを今回のような法律の中でとらえるということは、それだけの実態をまだつかんでないという段階で非常にむずかしいという点もございました。そのような観点から、今回はサービス業については何ら触れないというふうなことで立法を考えたわけでございます。もちろん、商店街の一角の中にサービス業が入ってくるというふうな限度において、それが助成の対象になるということばあり得るわけでございますが、サービス業自体を直接にとらえた振興策ということにつきましてはまだ時間がかかるのではないだろうか、こう考えている次第でございます。 それから第二番目の、卸の問題を含めあるいはメーカーの直接売りの問題を含め、流通近代化と申しますか、流通合理化の問題をどう今後考えていくんだろうかという御指摘でございます。これはもちろん、私どもの立場だけでこれを判断すべき問題ではございませんが、幸い現在、産業政策局のほうで流通のシステム化というふうなことを含めていろいろ今後勉強をしていくことになっております。すでに産構審の中で流通近代化に対する答申もございましたし、その後七〇年代の通商産業政策の中でも、知識集約化といったような方向、あるいはシステム化を推進するといったような方向の重要性が指摘されております。そういったことを踏まえて、流通近代化に対してどういうふうな考え方を具体的にとっていくかということを、これからも検討していくというふうな段階にあるわけでございまして、もちろんその際にも、中小小売り商業のあり方というのは、今回御提案申し上げているような方向づけがその中に位置づけられるというふうに考えられているわけでございますが、全体の問題につきましてはより研究を深め、また、方向を明らかにして今後勉強されていくというふうに考えている次第でございます。
○大矢正君 この法律の第十一条、第十二条の中に特定連鎖化事業の運営の適性化、具体的に言えばフランチャイズの問題、あるいはボランタリーの問題等を意味しておるものと思われますが、アメリカで発達をしてわが国に導入をされておりますフランチャイズチェーンの問題はいろんな意味で問題を起こして紛争が起き、通産省の資料でも、アメリカ自身が、これは各州それぞれフランチャイズチェーンのあり方等について法律化して、フランチャイザーをある意味で法律的に縛って、後々紛争が起きないような方法をとっておるということを言われております。通産省自身が資料として出されておりますが、これはわが国は、おそらく、この法律の中でそういう部分を規制をしようという意図があると私は思うのでありますけれども、フランチャイズチェーンのあり方、それから、これが中小小売り商業者にとって好ましいものなのかどうか、それから、こういうものに対して政府としてどういう措置をとっていこうと考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府要員(栗林隆一君) フランチャイズシステムにつきましては、本法案の十一条に規定してございますように、フランチャイザーとフランチャイジーとの間の契約、この内容につきまして、あらかじめフランチャイザーはフランチャイジーにその内容を説明をする義務を与えておるわけでございます。で、その契約の方法が、フランチャイジーにとりましてきわめて不当な契約方法であるというような場合にに、大臣はその契約方法につきまして変更を勧告することができるという規定になっております。したがいまして、フランチャイザーとフランチャイジーの間に正当な契約条件によってフランチャイズシステムを形成していくということをここではねらっておるわけでございます。
○大矢正君 自民党の議員さんもだいぶ集まってきたようですから、あまり長く質問をすると採決が延びるからそろそろやめますが、大臣いかがでございましょう、何をするにあたっても、この種の前向きの近代化なり合理化をするとすれば、やはり先立つものは金ですよね。ところが、さっき申し上げたとおりに、半分は都道府県から出させる、これもまあやむを得ない面があろうとは思いますが、それにしても、全体のワクというものは決していばれる内容のものではないわけであります。で、八〇%無利子といいましても、それは先ほど来申し上げておりますように公共的なもの、それから五人未満の例の小規模企業の、しかも五分の四が小規模企業で占められる共同店舗という二つのものに内容が限定されている。それ以外のものはこの八〇%無利子というような非常にありがたい恩典には浴せないということですが、私はもっと積極的に、たとえば無利子融資等において中小小売り商業を振興しよう、あるいは力をつけてやろう、あるいは競争の激しい今日の中で、なお生き残れるような道を開いてやろうとお考えになるならば、やはり思い切った予算措置というものを必要とするのじゃないかと思うのでありますが、四十八年度予算はすでに成立を見ておりまするので、これはもうやむを得ぬとは思いますが、明年度からは、この法律が成立を見ますことでもありますから、積極的に資金確保の面に向かって、もちろん法律の中にも努力規定として書かれてはおりますが、一そうのひとつ努力を願えるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 資金量並びにこの事業の成果を見ますと、確かに御指摘のようにわれわれとしてはざんきにたえないような数字になっております。これは一面指導力の不足というところが非常にあるように思います。中小企業庁及び地方の通産局、府県等における業界に対する指導力、親切な誘導力、そういうものがかなり不足しておるのではないかとも思います。そういう面を充実させて、一緒になって相談しつつ向上させていくという措置をとりつつ、資金力につきましても、さらに大いに拡充強化するように努力いたしたいと思います。
○委員長(佐田一郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(佐田一郎君) 速記を始めて。 ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(佐田一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。 林田悠紀夫君が委員を辞任され、その補欠として上田稔君が選任されました。 —————————————
○委員長(佐田一郎君) 次に、輸出硫安売掛金経理臨時措置法を廃止する法律案を議題といたします。 本案についての趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○大矢正君 廃止する法律でありまするからして、長時間にわたって質問することの必要もないと思いますので、とりあえず一点だけ質問をしておきたいと思いますが、この売り掛け金の問題を特別に措置をすることによって、硫安工業というものが、また肥料工業というものが再建あるいは合理化をする上におきまして、具体的にどういう効果が結果論としてあったのか、この際御説明を願いたいと思います。
○政府委員(飯塚史郎君) 輸出硫安売掛金経理臨時措置法は、三十八年の六月に制定されたわけでございますが、当時の硫安工業の現状を申し上げますと、輸出の赤字を主たる原因といたしまして、硫安工業が非常な危機的な状態に立ち至っていたわけでございますが、硫安工業の健全な発展をはかることによりまして、わが国の農業のかなめともいうべき肥料の安定確保に役立つわけでございますので、当時、政府といたしましては、硫安工業対策というものを三十七年の十二月に閣議決定いたしたわけでございます。 この中の一つの柱といたしまして、硫安の売り掛け金の経理臨時措置というものが法律によって措置されることになったわけでございますが、当時は肥料の輸出の赤字によりまして、硫安メーカーが日本硫安輸出株式会社という肥料の一手輸出機関に対します輸出の売り掛け金が二百十五億円に達したわけでございます。で、一般の商法の原則によりますと、これを一気に赤字として処理しなきゃいけないことになっておるわけでございますが、こうしますと硫安工業は純資産が急減しますし、また、任意の準備金等を取りくずすというようなことも限界がございますし、決算上の大幅な赤字ということで健全な経営ができない、金融機関からの借り入れもできないというような状態になるわけでございますので、これを救済するためにこの措置を講じたわけでございまして、十年間にわたりまして、この二百十五億円の輸出の売り掛け金を長期にわたって償却をするということを認めたのがこの法律でございます。 この法律の施行後、硫安メーカー十八社におきましては、この法律に従いまして赤字の償却をやったわけでございまして、本年の三月の決算期には全部償却が完了いたしたわけでございます。これによりまして、膨大な赤字のなしくずし的な償却によって硫安メーカーの経理の面の不健全化を免れたわけでございますが、この措置と併行いたしまして、三十七年十二月の閣議決定の硫安工業対策は、そのほかに硫安の合理化対策等も決定したわけでございまして、具体的には開銀からの融資によりまして、硫安メーカーの合理化、それからアンモニア設備の大型化に寄与せしめるということで措置いたしたわけでございます。 この経理臨時措置法に基づきます十年間の繰り延べの償却と、それから開銀資金等をてこといたします合理化措置によりまして、現在硫安メーカーとしても肥料の供給者としての健全な経営ができ、かつ化学工業としても健全な発達を現在まで進めておるという実情でございます。
○峯山昭範君 私も、輸出硫安売り掛け金のこの法案を廃止するにあたりまして、二、三質問をいたしたいと思います。 初めに、大臣に一言ちょっとお伺いしておきたいのでありますが、日本のいわゆるこの農業生産といいますか、そういうふうな面におきます肥料の占める割合というのは非常に重要な役目を果たしているわけでありますが、特に反当たりの収穫を高くするために、世界的に見ましても相当量の肥料を日本では使っているわけでありますが、そこで、いわゆる化学肥料工業といいますか、これはいま公害の問題等も含めまして非常に重要な岐路に立っていると私は思うんですが、いわゆる日本における化学肥料工業の将来のビジョンといいますか、そういうようなものについて、ちょっと一ぺん大臣にお伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大まかに申し上げまして、公害を防除しつつ無公害の工場生産のもとに化学肥料工業を振興していこうというのがわれわれの考えでございます。基本的には、日本農業を振興するために低価格の上質の肥料を提供するということと同時に、それと相伴いまして、肥料のような装置産業は生産量が多ければ多いだけ値が下がるということでございますから、そういう意味において多量生産ということは不可欠であるように思います。 化学肥料工業の今後のあり方につきましては、本年二月の産業構造審議会化学工業部会の答申の線に沿いまして、産業としての一そうの質的充実をはかってまいりたいと思います。すなわち、アンモニア肥料工業については、化学肥料工業の中核として第一次、第二次の大型化計画によりその生産体制の合理化を終了しましたが、生産の大半が市況の変動しやすい輸出に依存し、企業経営の不安定要因となっているので、今後は輸出依存度の適正化、輸出市場の安定化、経営の多角化等により経営基盤の一そうの安定化をはかってまいりたいと思います。 燐酸肥料工業については、近年、内需の中で大きなウエートを占めつつある複合肥料のうちその中核である燐酸工業については、地域ごとに生産面、流通面等を含んだ総合的な合理化対策を進めることとしたいと思います。 発展途上国に対する経済協力についても、一方でわが国の内需確保をはかりつつ、極力発展途上国の要請にこたえていくことといたしたいと思います。その際、これまでのような輸出増大のみに重点を置かず、それらの国における肥料自給政策の推進や肥料の有効利用に資する施肥技術の向上等の多面的な協力を推進いたしたいと思います。
○峯山昭範君 大臣、私は特にきょうは一点だけ、法案とはちょっと違いますけれども、ただいまの大臣の答弁の中にもございましたけれども、特に過燐酸石灰等におきましては、いわゆる肥料の中に有害な重金属等がずいぶん含まれているということで、前々から何回か予算委員会等でも問題になりました。たとえばカドミウム等の除去ですね。肥料中からのそういう重金属の除去に対しては、それを取り除くための努力ですね。これは当然私はしなくちゃいけないと思うんですが、その努力をどういうふうになさっていらっしゃるか、そこら辺のところをちょっと一ぺんお伺いしておきたいと思います。
○説明員(兵藤節郎君) 肥料の有害性についてはいろいろ問題があるわけでございますが、農林省におきまして、肥料取締法という法律のもとでこういった有害性についていろいろの規制をやっておるわけでございます。したがいまして、この有害性についての有権的な説明につきましては、私どものほうからとやかく言えるわけでございませんが、われわれ通産の立場といたしましては、農林省の定めている一定規格に従いましてこれをメーカーに順守させるよう極力指導している、また、カドミウム等そういった重金属をできるだけ含まないような燐鉱石等を使用するということで、燐鉱石の輸入先についてもいろいろと業界を指導しましてカドミ分の少ないものを輸入する、こういうような方針でおるわけでございます。
○峯山昭範君 それでは、いずれにしましてもこの安全基準等は農林省の管轄かもわかりませんが、基本的にその素材を輸入する場合には、やっぱり基本的なあれがあるわけですね。カドミウムが非常にたくさん入っている燐鉱石もありますし、非常に少ないものもありますね。そういうような場合は、通産省としましてもそういうふうなあらゆる面を配慮してやっていただきたい、そういうふうに思います。この点は要望だけしておきます。 それから、今回の法案を運用しまして、先ほどもちょっと経過等について説明がございましたが、肥料業界の体質改善が行なわれたであろうと私は思うんですが、大体どういうぐあいに行なわれたかということが第一点。 それから第二点としまして、最近、国際的に化学肥料の需給が相当逼迫しているということを私は聞いておりますんですが、国内における肥料の需給状況については実際問題としてどうなのか、この点をちょっとお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(飯塚史郎君) 硫安工業の合理化によりましてコストを引き下げ、内需用の肥料の価格を引き下げるというのが通産省並びに農業所管官庁でございます農林省の目標でございますが、このために三十七年の十二月の閣議決定におきましても開銀から百三億円の融資をいたしまして、これによってアンモニア設備の大型化に寄与せしめるということで指導してまいったわけでございます。現在まで第一次及び第二次のアンモニアの大型化を行ないまして、第一次におきましては三十九年度から四十二年度、第二次は四十三年度から四十六年度と、二回に分けて実施したわけでございますが、この第一次におきましては、アンモニアの設備を日産五百トンということで措置をいたしまして、第二次は千トンの設備をつくらせるということで指導したわけでございます。この結果、現在のアンモニア設備の八割方が五百トン以上の大型設備になったわけでございます。これによりまして、アンモニア工業の合理化は非常に推進されてまいりまして、コストも非常に低減をしたわけでございます。これによりまして、国内の農業界に対する供給価格も下がってきたわけでございます。 国内の肥料価格につきましては、肥料の臨時需給安定法によりまして、農業団体とメーカー団体との話し合いによって価格をきめることに法律上措置されておりますが、その際に通産、農林両省に対してコスト等の資料の提示を求めることができることになっておりますが、通産、農林両省におきましてアンモニア工業の原価を査定いたしましたものを農業団体等に提示をいたしておるわけでございます。コストが下がるに従いまして、実際の毎年の肥料価格というものは下がってきておるわけでございます。
○峯山昭範君 相当設備も大型化して価格も安定してきたようでございますが、先ごろ日中肥料交渉ですか、というのが行なわれたようでありますが、新聞報道等によりますと、「日中肥料交渉まとまる」、「価格引上げに成功」と、こういうような記事が出ておりますのですが、今回の契約の特徴ですね、そういうようなものと、それから今後の日中肥料貿易のあり方及びその長期契約等についてはどういうようになっているか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(飯塚史郎君) 中国との肥料の輸出契約につきましての御質問でございますが、実は私、先ほど先生の御質問の中の第一点だけ答えまして、第二点の輸出の状況等につきましてお答えを忘れてしまったわけでございますので、ごく簡単に先に答弁させていただきたいと思いますが、最近は、国際的に化学肥料の需給関係がかなりタイトになってまいりまして、四十六肥料年度までは実は需給はかなり緩和しておった状態でございました。したがって、輸出価格も四十一年から四十六年に至りましてどんどん低落しておったわけでございますが、その後、にわかに国際的な需給関係が逼迫いたしまして、現在は価格等におきましてもかなりの上昇を見ている状態でございます。 引き続きまして中国との輸出契約の問題でございますが、ことしの五月十二日に中国との輸出契約は調印されたわけでございますけれども、これは日中国交回復後最初の肥料交渉ということになると思いますが、三月の二日に中国側の中国化工進出口総公司の代表団が日本に参りまして、約七十日間にわたって日本側と交渉をやったわけでごいます。 取りきめました概要を申し上げますと、まず総量は、硫安換算で三百八十四万トンでございます。内訳は、硫安が六十万トン、尿素が二百五十三万トン、塩安が七十一万トンということでございます。これを金額にいたしますと三億一千万元でございますが、円価に換算いたしますと約四百十一億円になるかと思いますが、決済につきましては元建て契約の円払いでございまして、アットサイト、つまり現金払いで支払いをするということになっておるわけでございます。 それからこの数量につきましては、積み期は本年の七月から来年の六月まで、つまりわが国でいいますと、四十八肥料年度中の引き渡し量ということになるわけでございます。 今回の肥料交渉の特色というものを考えてみますと、まず価格につきましては、従来はかなり中国はきびしい態度で臨んでこられたようでございますが、最近の肥料の国際的な需給のタイト状況というものを中国側も認識理解をしていただきまして、昨年に比べまして硫安につきましては四二%のアップ、尿素は三二%、塩安は四四%という値上げを先方が承諾したわけでございます。また、通貨変動リスクを回避するという意味から申しまして、中国側もこれにつきまして理解と協力を示してくれまして、従来は船積み後百八十日のあと払いということであったわけですが、先ほども申しましたように、現金払いということで決済条件が改善されたわけでございます。 以上が今回の価格交渉の内容でございますけれども、お尋ねの今後の中国への肥料の輸出見通し等でございますが、中国は、今後も大量の化学肥料を消費するということが見込まれますので、わが国にとりましては中国市場というのは非常に大きな輸出の市場になるかと思います。かつわが国は、中国とは地理的にも非常に近い関係にございますので、将来にわたりましても中国側の要請には可能な限りこたえていきたいというのが関係業界の意向でございますし、また、私どももそういうふうなつもりで指導してまいりたいと思っております。
○峯山昭範君 最近のインドやインドネシア等国際的に食糧不足が非常に深刻化してまいっておりますが、これに関連しまして、特に東南アジア各国からの経済協力強化の要望も私は強いと思うんですが、これらの諸国に対するわが国の肥料関係の経済協力の状況と、今後のこれに対する対策につい実体どういうぐあいになっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(飯塚史郎君) 東南アジアを中心といたします発展途上国におきましては、わが国に対する肥料の要請というのは、非常に強いことは御指摘のとおりでございますが、わが国といたしましては、従来から肥料の輸出、あるいは商品援助によります肥料の供給等を行なってまいりまして、たとえば商品援助によります肥料の供給につきましては、四十七肥料年度におきましては三千六百六十万ドル程度のものを出しておりますが、インドネシア等を中心として商品援助をやっておったわけでございます。ただ、今後のことを考えますと、単に商品援助の経済協力だけでは十分とは申せませんので、発展途上国みずからが化学肥料を生産する能力も出てまいりましたし、また、わが国の技術その他の援助によりまして、可能な限りすみやかに化学肥料工業が育成できるような措置を講ずべきではないかと私どもは考えております。 同時に、化学肥料につきましては、生産から流通まで幾つかの流通経路を通っていくわけでございますので、流通機構の改善等の問題も発展途上国においてはあるように見受けられますので、この面についてのお手伝いもする必要がありますし、また、これは農業面でございますけれども、施肥技術の指導というようなこともいたしまして、多面的な経済協力を通じて化学肥料工業の育成並びに農業の健全な発展に貢献すべきではないか、かように考えております。
○峯山昭範君 これで、もう一点お伺いして終わりますが、先ほどの中国の肥料交渉でもありましたが、いわゆる最近の肥料の輸出価格が中国の場合三五%上昇したということでありますが、こういうぐあいに輸出価格が非常に上昇すると、これは私たちにとりましてはいいことでありますが、これによっていわゆる国内の価格も引きずられて一緒に上がるんじゃないか、高くなるんじゃないか、こういうおそれがあるわけですが、この辺のところは一体どういうようになっているのか、ちょっとお伺いして私の質問は終わりたいと思います。
○政府委員(飯塚史郎君) 国内の肥料価格につきましては、法律に基づきまして生産者と購入者でございます全農との間で価格取りきめをやっておるわけでございますが、その際に基準となりますものは生産コストであると思います。生産コストにつきましては、化学肥料工業の合理化によりまして年々低下いたしておるわけでございますが、これを通産、農林両省がコストを査定いたしまして、価格交渉の基礎資料として提示をいたしまして、これをもとにして価格交渉が行なわれるわけでございますので、この輸出価格の国内価格へのはね返りというものは、仕組みの上からいきましても防止できるのではないかと思います。かつ、わが国の内需並びに輸出の関係から申しますと、四十七肥料年度におきましては、総生産の七割程度は輸出でございますが、内需につきましては、これは内需を優先にいたしまして、なおかつ余りがあるものを輸出に回しておったような状態でございまして、生産能力からいいますと、内需をまかなうのに十分な力を持っておるわけでございますので、いま御指摘のような心配はないものと思いますし、かりにも輸出価格につられて国内価格が上がるというようなことになりますと、農業政策としても非常に大きな問題でございますので、私どもは農林省と緊密な連携をとりながら、そういうことにならないように指導してまいりたいと思っております。
○委員長(佐田一郎君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 輸出硫安売掛金経理臨時措置法を廃止する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐田一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(佐田一郎君) 次に、中小小売商業振興法案を再び議題といたします。 本案は、先刻質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 中小小売商業振興法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐田一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十七分散会 —————・—————