商工委員会 第3号
- 発言数
- 169 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/03/29
会議録
○委員長(佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。 まず、経済企画庁長官から、経済企画庁の基本施策について所信を聴取いたします。小坂経済企画庁長官。
○国務大臣(小坂善太郎君) 第七十一回国会におきまして、参議院商工委員会の皆さま方に対しまして、ごあいさつ及び所信を申し上げます。 わが国は、去る二月十四日、変動相場制に移行いたしました。その後も国際通貨情勢はマルクの切り上げ、EC六カ国の共同変動相場制の採用等動揺を続けており、拡大十カ国蔵相会議、二十カ国蔵相会議等国際的な場におきまして通貨安定のための多大の努力が払われております。安定的な国際通貨体制を再建するためには、なお時日を要するものと思われますが、わが国としては、国際協調の精神にのっとり、国際通貨安定のための努力に積極的に参画し、早期に国際通貨情勢が平静を取り戻すようつとめてまいる所存であります。 最近のわが国経済は、生産・出荷が高い伸びを示し、設備投資にもかなりの動意がみられ、卸売り物価が上昇を続けるなど本格的な景気上昇過程にあり、また、輸出の増勢も依然として根強いものがありますので、今後の経済運営については慎重に対処する必要があります。 変動相場制移行によりまして、物価や国際収支の面には好ましい影響が生じることが期待されますが、輸出関連産業、特に中小企業にはかなりの影響を受けるものが出ることも懸念されます。政府としては、先般、為替、金融、保険、税制等の面において輸出関連中小企業に対し緊急対策を講じたところでありますが、今後とも必要に応じ万全の措置をとってまいる所存であります。 今後の経済運営にあたりましては、福祉指向型経済の実現を目ざして、従来の生産、輸出重点の資源配分を国民的福祉の向上に振り向けていくことをその基本的態度としておりますが、今回の変動相場制移行の事態に徴しましても、この要請はますます強まっているものと思われます。 このため、社会資本、社会保障のより一そうの充実と、週休二日制の推進等による労働環境の整備をはかるとともに、公害防止投資の充実等を通じて産業構造の変革を進めるなど、福祉指向型の経済運営を一段と推進してゆく所存であります。 ひるがえって、最近の物価動向を見ますると、昨年の秋以降、卸売り物価の騰勢が強まっており、また、比較的落ちついた動きを示しておりました消費者物価は、本年に入り、一部の商品を中心として上昇傾向に転じておりますので、今後の物価動向を十分注視するとともに、各般の施策を強力に推進する所存であります。 このため、まず、生活必需物資の価格の安定をはかるべく、流通機構の改善を進めるとともに、輸入政策をさらに積極的に活用していく考えであります。 なお、変動相場制への移行によって円の実勢が高まることは、物価の観点から見れば、輸入品の直接的な価格低下をはじめとして、その安定に寄与し得るものであります。政府としては、今回の措置が物価の安定に十分結びつくよう、主要輸入物資について、輸入価格の低下分を適正に消費者に還元するための施策を積極的に講じてまいる所存であります。 また、低生産性部門の合理化によって生産性の向上をはかり、国内の競争条件を整備することも、物価対策上重要であります。 公共料金については、物価全般に及ぼす影響を考慮し、その引上げを極力抑制する方針であります。ただ、これにより公共サービスの低下を来たし、国民の福祉が阻害されることのないように配慮することも必要であります。 一方、地価や一部商品の価格高騰の一因となっている過剰流動性につきましては、先般来、二度にわたる預金準備率の引き上げ、窓口指導の強化等、金融面の措置を講じてきたところでありますが、商品相場の急騰の背景には投機的な動きもあるように見受けられまするので、その抑制をはかる観点から生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置法案を今回会に提出いたしました。 また、物価対策を一そう強力に推進するため、経済企画庁に物価局を新設することなどを内容とする経済企画庁設置法の一部改正案を国会に提出いたしております。 さらに、物価の安定とあわせて、消費者のための行政にも特に力を入れることとし、商品等の安全性の確保をはかるとともに、各種サービス、販売等の分野においても消費者保護対策を充実いたします。 最近のわが国をめぐる国際経済環境は、国際通貨情勢が依然として流動的であり、日米貿易関係の改善を迫る動きが強まるなど、一段ときびしいものがあり、変動相場制に移行した今日においても、国際収支の不均衡是正は引き続き緊急な課題であります。 政府は、一昨年来、三次にわたる対外経済政策を策定し、輸入の拡大、輸出の適正化、資本の自由化、外貨の活用等をはかってきたところでありますが、今後とも、一そう強力かつ確実にこれらの施策を推進することが必要であると考えております。 また、わが国が、今日速成された経済力にふさわしい開発途上国援助を行なうことは、国際的責務であると考えます。政府は、今後、政府開発援助の量的拡大に一そうの努力を払うとともに、その質的改善にもつとめてまいりたいと思います。 現代の経済社会及び国民生活の諸問題を解決するためには、経済、社会、技術等に関する各種の専門的な知識を結集することによって行なわれる総合的な研究開発を推進する必要があります。 このため、内閣総理大臣の認可法人として、総合研究開発機構を創設し、わが国における新しい研究開発体制の整備をはかるべく、所要の法案を提出いたしております。 わが国の国土利用の偏在、過密・過疎問題の激化、公害問題の深刻化等の現状にかんがみ、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全をはかりつつ、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展をはかることが急務となっております。 このため、全国土にわたる土地利用基本計画の策定、土地取引の届け出・勧告制、特別規制地域における土地取引の許可制、特定総合開発地域の指定措置等を骨子として、現行の国土総合開発法を全面的に改正すべく、その法案を提出することといたしております。 政府は、二月十三日、国民福祉の充実と国際協調の推進を柱とした経済社会基本計画を決定いたしました。 本計画は、内外諸情勢の急激な変化を背景として、わが国経済社会に内在する国民の活力を生かしつつ、今後長期にわたる発展の道を切り開いていくために、新しい時代にふさわしい新しい経済社会のあり方を追求したものであります。 すなわち、環境、資源の有限性に着目し、従来の設備投資競争と使い捨ての経済を反省し、浪費をしない、物を大切にする、環境をよごさない経済行為と消費態度を打ち立てなければならないと思います。 そして、豊かな環境の創造、ゆとりのある安定した生活の確保、物価の安定及び国際協調の推進の諸目標を達成するための斉合的かつ具体的政策体系を提示いたしております。 政府としては、国民の連帯意識に基づいた協力を得つつ、活力ある福祉社会の実現を目ざして、本計画を強力に推進してまいる所存であります。 以上、私の所信の一端について申し述べました。本委員会及び委員各位の皆さま方の御支援と御鞭撻をお願い申し上げて、私のごあいさつといたします。
○委員長(佐田一郎君) 以上で経企庁長官の所信の聴取は終わりました。 —————————————
○委員長(佐田一郎君) 次に、去る八日に聴取いたしました通商産業大臣の所信等について質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大矢正君 私は、現在、国際間におきまして重要な問題となっております国際流動性の問題にからみまして、以下若干の質問をいたしたいと存じます。 まず、通産大臣にお尋ねをいたしますが、私は、昨年の八月三十一日の本委員会におきまして、わが国の貿易収支そしてまた国際収支の黒字傾向が、ますますわが国の外貨蓄積となり、それが原因となり、世界各国から円の再切り上げを押しつけられる懸念がありますので、かつて、一九七一年の十二月に行ないましたような一八%近い円の切り上げ、同時にまた、変動幅の拡大を含めますれば二割、二〇%に及ぶ円の実質的な切り上げ、こういうような極端な大幅切り上げは、わが国の産業、特に中小企業にとっては重大な問題になるので、そういう面からも、どうしてもわが国が円の切り上げを避けることができないような情勢が見通されるならば、この際一挙に二割あるいは三割というような極端な、衝撃を与えるような大幅切り上げではなしに、小幅な切り上げも考えるべきではないかという質問をいたしました。その際、大臣からのお答えとしては、速記録によりますと、「円の再切り上げには反対であります。はっきりここで申し上げておきたいと思います。なぜならば、いま円の再切り上げを万一やられるというような情勢になれば、中小企業とか、下請の中では相当ばたばた倒れるものが出てくる危険性がございまして、その中から失業者が出るという危険性もあるわけでございます。」これはなおこのあとにも続いておりますが、速記録のとおり読みまするとこういう御答弁であります。 そこで、まず私がお尋ねいたしますることは、あなたがここでおっしゃっております円の再切り上げには絶対反対であるということ、私ももちろん、好んで円の切り上げをするなどという考えを持っているわけではありませんが、このあなたの御発言と、昨日のドルの直物相場の新聞に載りました数字を見ますると、当日渡しで高値が二百六十五円八十銭、一五・八七%の円高、安値で二百六十五円五十銭、一六%の円高、こういう数字になってあらわれております。あなたが昨年の八月三十一日におっしゃった、円の切り上げには絶対反対でありますと強調されたことと、それから、いま私が申し上げました今日のドルの相場との関係について、あなたはどういうお考えを持っておられるか、判断をされておられるか。この時点の答弁と現状とを対比してあなた自身どのような感想を持っておられるか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) あの当時は、一六・八八%の切り上げをやりましてまだ半年か七、八カ月たったばかりでありました。この情勢を見ていたほうがよろしいと、日本側から円の切り上げに賛成とかなんとかという議論を出すことは適当でない、スミソニアン体系を維持しよう、そういう国際合意でせっかくスタートしたのでありますから、スミソニアン体系を維持するというその体系の中で日本は進んでいくほうがよろしい。特に切り上げが再度行なわれるということになれば、前回の切り上げに次いでかなり短い期間にまた切り上げが行なわれるということになって、中小企業等の苦難はかなりのものが出てくると想像したわけでございます。今日の時点において三百六十五円直物相場という事態が現出しているのを見まして、私は、あの当時においてはああいうことを考え、そういう政策を実行するのは正しかったといまでも思っております。 と申しますのは、その後補正予算を組んだり、あるいは十四兆円の予算を組んだりいたしまして景気の回復につとめました結果、かなりの抵抗力が中小企業その他についてきたわけです。つまり、内需に転換する素地が八月ぐらいから非常に大きく展開してまいりました。そこで、今回切り上げが事実上行なわれるような状態になりましても、その内需転換及び景気回復というバックがございましたから、中小企業はそれでもまだある程度持ちこたえられておられるのだろうと思います。自動車その他を見ましても、対米輸出は停滞いたしましたが、国内需要がかなり出てきましたために、そのために下請にくる重圧がやや緩和されているというのが現状であるだろうと思います。あの景気回復を待たずに、再切り上げが行なわれるというふうなことになると、中小企業に対するショックはいまどころではない、そういう気がいたしておるのでございます。そういう面からいたしまして、私は、あの当座スミソニアン体系を維持する、そうして再切り上げには反対であるという考えを持ったことは間違っていないと思います。 しかし、今日の時点になってみますと、意外にアメリカのドルが脆弱であったということであります。それから、国際的にいろいろドルの周辺について解決すべき問題が非常に多く出てまいりまして、その問題を解決せずして固定相場に直ちに復帰しても、固定相場自体がまたくずれるという危険性が出てきております。ですから、今回の固定相場復帰ということは、ドルの周辺にまつわる諸般の国際的な問題を解決するか、解決するめどをつけないというと、非常に不安定な再切り上げに終わるという危険性があると思います。ですから、いまわりあい長期的な変動相場制あるいはECにおける共同フロート制という問題がとられているのだろうと私は思います。しかし、国際通貨体系全般を考えてみると、やはり長期的体系としては、固定相場に復帰して、そして金の交換性を回復するということが望ましい姿でありまして、その方向にわれわれは指向していくべきものとは思いますけれども、今日の時点においては変動相場性がとられていることはやむを得ない、こういうふうに考えます。
○大矢正君 あなたはいま御答弁の中で、実質的な円の切り上げというようなおことばを使われたんでありますが、なるほど、多国間における平価の変更協定というものができ上がっておるわけではありませんから、すなわち、言ってみれば、変動相場制でありますから当然のことながら、表向きは円の切り上げではないかもしらぬが、事実上はこれは円の切り上げであることはもう間違いないわけですね。たとえば中小企業が、本来でありますれば三百八円を中心として変動幅の上限と下限を見ましても、三百一円七銭、あるいはまた下限では三百十四円九十三銭と、この範囲内において結局のところ商取引が行なわれると同時に、また、かりにドルを売り渡す際に、この範囲内において円が返ってくるというそういう判断のもとに取引をしているわけですね。ところが、現実にはいまここにありまするとおりに、二百六十五円しか金が手に入らないということは、言いかえれば、完全にもう変動相場制というような、言ってみれば、国際間における一つの通貨のあり方の問題、通貨の測定の問題、そういう問題はあるといたしましても、結局のところ中小企業にとりましては、重大な影響を及ぼしていることはもう事実ですね。 で、あなたがその円の再切り上げは絶対にやらないとおっしゃるけれども、しかし、それならばさっき私が申し上げたように、三百一円七銭から三百十四円九十三銭の間で一ドルを買って、日銀なり為替銀行が買うのかといったら、買わないわけでしょう。そういたしますると、これはあなたが幾ら再切り上げではない、再切り上げではないと言っても、現実に金を受け取るほうから見れば、これはもう切り上がったと同じことですね、結果論的には。それは理屈から言えば、国際間において為替平価の変更が行なわれたわけではないから、表向きは変わっちゃいないかもしらぬけれども、変動相場になったこと自身がもうすでに円の切り上げをやったと同じ結果を及ぼしているわけでしょう。ですから、あなたが言っておられる、円の切り上げを自分は絶対やらない、やるべきではないといって強調をされたこと、それからいまおっしゃったように、自分はスミソニアン会議の結論というものを何としても守りたいと、こうおっしゃる。 ところが、あなたが守りたいとおっしゃられるそのスミソニアン会議の合意事項というものは、これは目的ではなくて、あるいはそれは到達すべき内容のものではなくて、単なる手段、方法であって、あなたが考えられる目的というものはあくまでも中小企業がこれ以上苦しんでは困る、したがって、その手段として、方法としてスミソニアン会議の結論というものを、合意というものを守り抜いていかなきゃならぬ。したがって、円の切り上げというものについては反対なんだと、こういう判断になるわけでしょう。スミソニアン会議における合意事項というものが、これが目的じゃなくて、あくまでも中小企業を守る、わが国の経済を守るための手段であり、方法にすぎないんではないかと私は思うんです。ところが、あなたはスミソニアン会議の合意事項というものが、あたかもそれが目的であるかのような印象を私は受けるんですがね。いま私がいろいろ並べました内容とあわせ判断をして、どういう判断を持っておられるか、もう一回お答えを願いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) あの当時も、スミソニアン体系を守ると、そういうことを申し上げましたが、もちろん、それは日本の中小企業を守るという目的の手段として、一つの手段としてそういうことを申し上げたわけでございます。いまの状態は固定相場による切り上げではございませんが、変動相場による事実上の切り上げが行なわれている、そう思っております。
○大矢正君 それじゃ具体的に、端的にお伺いをいたしますが、あなたとしては好ましくない結果がいま出ているわけですね。円の切り上げという、言ってみれば、固定相場に基づく為替平価の変動は起こってはおらぬけれども、事実上、変動制に基づいて円が大幅に切り上がったような状態になっていること自身に対して、あなたは、これはまことに残念なことであると、こういう御判断は持っておられることと思うわけです。これは一体どこが悪いんでしょうかね。こういうような言ってみれば、あなたが再三言われる中小企業はたいへんな状態におちいっているというような事態を起こしているフロートの問題、これを考えてみた場合に、これはアメリカが悪いのか日本が悪いのか、アメリカが悪いとすればアメリカのどこが悪いのか、日本が悪いとすれば日本のどこが悪いのか、具体的にひとつお答えを願いたいと思う。
○国務大臣(中曽根康弘君) こういう外貨の調整という問題は複合的に合成されてくるもので、一国だけの理由ということを言うことはなかなかむずかしいと私は思います。しかし、日本側の事情を反省してみますれば、日本のドルがどんどん蓄積して累増していったと、貿管令を発令したり、第三次円対策をやったり、いろいろ努力はしたけれども、しかし、日本の輸出力は強くってドルの黒字がさらに累積していった、そういう点も一つの原因になるんではないかと反省いたします。 しかしまた、他面見ますと、アメリカのドルあるいはアメリカの経済の内部にむしばむものがかなり深いものがあったと、それはアメリカのインフレであるとか、あるいは労働生産性の非常な弱小化であるとか、製品の粗悪化であるとか、そういう問題もございますし、ユーロダラーの存在あるいはアメリカにおける多国籍企業の存在、あるいはさらにアメリカ自体の、何といいますか、通貨問題に対する意思というような、ニクソン政策というようなものもこれに出てきているんだろうと思います。つまり、ニクソンさんが第二期の大統領になりまして、彼がどういう政治目標をこの四年間にやろうとして持ったか、そういう彼のプログラムもあるだろうと思うんです。そういうようないろんな要素が合成されてあのときにああいう事態になってきたと、その導火線をなしたものは、マルクを直撃したということだと思います。それはユーロダラーを中心にマルクの直撃が行なわれた。しかし、その前にすでにイタリアのリラとか、あるいはスイスフランとか、そういうものに初期微動みたいなものは出てきておったわけですが、決定的なことになったのはマルクに対するユーロダラーの直撃から始まった、そういうように考えます。
○大矢正君 アメリカが一〇%のドルの切り下げを行なったのを、わが国はそれを肯定をしているんですか、それとも否定をしているんですか。けしからぬと、アメリカの一〇%のドル切り下げはけしからぬという立場なのか。いや、まあいまの円とドルの実勢から推してやむを得なかろうという判断をしているのか、どっちなんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) もう、なったことはしかたがないと思いますが、あの当座、私らは非常に迷惑であると思いました、しかし、アメリカが自分でともかく、ドルを一〇%切り下げるということはかなり思い切った措置で、ニクソンもずいぶん思い切ったことをやったなと、そういうことも実は感じたのは、正直なところであります。
○大矢正君 正直なことというよりも、一〇%アメリカがドルの切り下げを行なったこと自身が、これはわが国のこの円の実勢、それからわが国の経済的な体質、海外における競争力等から見てこれは文句をつけられる内容ではない、やっぱりまあやむを得ないというあなたお立場なのか。いや、そうではないと、まあ為替平価を云々する権限は、それは一国の主権に属することであるから、アメリカがやるのはとめようがないけれども、日本としては全くけしからぬと思っておるという立場なのか、どっちなのかと聞いておる。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはアメリカの主権的事項でございますから、アメリカがやるということはやむを得ないことであると私らは思いますけれども、日本のわれわれから見ますと、スミソニアン体系をもっと維持していったほうがわれわれにはよかったと、そう思います。
○大矢正君 スミソニアンの合意事項が正しく、あの一九七一年十二月における平価の変更というものが、これがやっぱり実勢をあくまでも反映しているものであるということであるならば、アメリカに一方的に一〇%ドルを切り下げる主権があると同じように、日本も、自分の国の金の価値を国際的にどのように是正するかという主権もあるわけだから、アメリカがかってに一〇%やって、それをけしからぬというなら、日本も一〇%、いや、一〇%がまずければ八%でもそれじゃ日本の円を切り下げるという、そういう対抗措置というものはやってやれないわけはないわけでしょう。それをなぜおやりにならないんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) さっき申し上げたことに関連いたしますが、もう少し時間をかしてくれれば日本の黒字も減っていったと、現に一月、二月の輸出入の数字を見ますと、かなり輸入がふえて輸出が減ってきておるのであって、アメリカもせっかちなことをしてくれたと私は思ったわけです。半年あるいは一年ぐらいの時間的余裕をかしてくれれば、そういうドルの蓄積に関してバランスを回復できるという考えが私たちにあったわけであります。そういう意味で迷惑であると、そういう気がしたわけであります。 それから、しからば、日本の円を切り下げたらどうかと、そういうお話でございますが、これは世界的に関係することで、日本の円を切り下げるということがヨーロッパやあるいは後進国、LDC諸国に対する影響ということがまた非常に出てくるわけでございます。むしろそのことが、日本がさらにまた輸出力をもって世界に挑戦しようとしてきておるという国際的非難を呼ぶという危険性もなきにしもあらずであります。そういういろんな反応を考えてみると、アメリカのドル自体が非常に弱くなって、アメリカのドル自体がみずから処理したという形でありますから、この陥没に対して世界がどう対応するかということは、国際的に相談してやることが賢明ではないかと思うのであります。
○大矢正君 あなたは肝心のことに答えないで、国際的な話し合いがいいとかいろんなことをおっしゃいますが、そこでお伺いをしますが、そうするとあなたが考えてみて、あなたが何回も言われている、速記録の中でもはっきり言われている、円の切り上げをどんなことをしても阻止をしなければならぬ最大の目的は、自分は中小企業対策にある、これはもうはっきり言っているのです。この中で。それはもう何回も強調されているのですよ、読み上げてもいいけれども。 そうしますと、たとえば大きな商社であるとか、あるいは造船であるとかというような、言ってみれば、対外貿易の上において、かりに為替の変動によって大きなリスクを受けるような中での大企業というものは、それなりに企業規模が大きいし、結局、いまはやりの国内の投機なんかで商社の場合にはずいぶんもうけて、そのほうで相殺をしてしまうということもありますからいいのですが、中小企業の場合には、一体、いまのような変動相場制のもとにおいては、どの程度をめどにして取引を行なえばいいんでしょうか。たとえば、私が申し上げたように、きのうの安値でいけば二百六十五円五十銭という数字になっております、ドルが。あなたがいまお考えになって、そういう中小企業か——これはきょうあすの決済の問題じゃない。将来にわたって考えていった場合に、一体、中小企業はそのドルと円との関係についてはどの程度に目安を置いて商売を考えればいいのでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、一般的に申し上げれば、やっぱり三百八円が一番よかったと、低くても三百一円ということになります。しかし、こういう事態になって、やむを得ず考えるという第二段の考慮になりますと、これは、業態によってみんないろいろ変化があるだろうと思います。燕の場合、あるいはシューズの場合、あるいはグラブ、ミットの場合、あるいはスカーフの場合、みんなおのおの生産費その他がございますから、一がいに幾らということを私が申し上げることは、非常に危険であると思います。
○大矢正君 いや、あなたの言うことだと、中小企業は商売できないですな、先のことは全然わからないのだから。一体、中小企業は外国と取引をする際に、一ドルを幾らにして計算をして取引を行なえばいいのでしょうかね。何回も聞くようだけれども、通産大臣として中小企業の経営者から聞かれた場合に、あなたはどうお答えになりますか。私はかわって聞いているのだよ、いま。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、業種によって生産コストあるいはアメリカや外国における需要の強さ、うまり、彼我の腰の強さというものがみんな違うわけでありますから、一がいに幾らということは申し上げられないと思うのです。しかし、一般的に申し上げられることは、この変動相場制によって中小企業は非常に迷惑もしているし、苦難におちいっている、そういうことは言えると思います。ですから、政府は先般、中小企業金融対策として約二千二百億円に及ぶ三機関の融資とか、そのほかの諸般の対策を講じたところでございます。 しかし、その中でも一番中小企業がいま迷惑に思って困っているのは、いま大矢先生おっしゃった幾らを基準にするかという問題だろうと思うのです。先物予約をするという場合に、ヘッジの基準というものがございません。おそらく中小企業は仮渡しか仮値をきめて、そしてあとで清算するとか、いろんな便法を講じてやっているんだろうと思います。そういう苦難の中にあるということを私たちもよく認識しておるわけでございますけれども、こういう情勢のもとに入ってしまった今日においては、やはり正式に固定相場に復帰するまでは、幾らというようなことは私たちは申し上げられない立場にあります。
○大矢正君 わが国自身がどういう態度をとるかということにもかかっておりますが、将来、固定相場に復帰をしなければならぬと考えておるのか。それから、考えておるとすれば、その時期は一体いつなのか。これはそう端的に聞いても、あなたは簡単には答えないと思いますがね。そのことと、これからの中小企業が対外取引をするということとは非常に重要な関係があるんじゃないんですか。 きのうのたとえば二十カ国蔵相会議等の結論なんかを見ますれば、変動相場制は当初考えていたよりももっともっとやはり通貨不安が深刻で、これから先一年もあるいは変動相場のままいかざるを得ないのではないかとか、あるいは固定相場にいたしましても、ほんとうの意味の固定相場ではなくて、かなり大幅なワイダーバンド、すなわち、変動幅を持った言ってみれば固定相場というような、固定相場のワクからはみ出たようなそういう為替のあり方、平価のあり方にしていかなければ、実際問題としてはなかなか二十カ国の合意が得られないというような話すら出ておる中で、あなたの言うように、まあ困ったものでございますなといっていつまでも商売を放棄していくわけにはいかないわけですからね。やはり中小企業を守る直接の責任官庁である通産省、その最高責任者であるあなたが、海外取引をする中小企業に何らの指示も与えられないということは、一体、どういうことだと言いたくなるわけですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、やはり今度の為替調整の問題について、いろいろ複雑なドルの周辺にまつわる問題が解決しない状態では、なかなか各国とも危険で、固定相場に急に復帰するということをちゅうちょしている情勢だろうと思うのです。 たとえば、これはまあ、お帰りになった愛知さんから直接お聞きになっていただけば正確だと思いますけれども、各国の不安の中には、かりに固定相場に返った場合でも、強い通貨に対していつユーロダラーが直撃してくるかもわからない。そういう意味においで、ユーロダラーに対する規制なり何らかの国際的な理解、了解というようなものができないと、いつ復帰した場合といえどもまた危険性が生まれてくる、そういうことはあり得ます。あるいはアメリカのいろいろ国内政策あるいは通貨政策というものに対して、国際的な信認が回復するにはまだ時間もかかると思います。たとえば、多国籍企業に対する規制にいたしましても、何かの措置をとるような、項目にはこの間の二十カ国蔵相会議で載っておりますけれども、具体的にどういう措置がとられるのか、まだ内容もはっきりしておりません。 そういうような幾つかの問題点があるわけですから、そう急に固定相場に復帰するということを各国がなかなか決意しないんだろうと私は思います。日本も同じような立場に置かれているだろうと思うのです。そういう日本だけの事由によらざる国際的な、あるいはドルの事由にかかわることの多い状態のもとに、こういう変動相場制を維持していくという、事態としては非常に困った事態が続いておるわけでございますが、これは与えられた環境のもとに中小企業を擁護していくために、私たちとしては最善の努力を尽くしていく。そういう考えに立っているわけです。その中で大事なことは、やはり為替の予約ということで中小企業が成約ができるようにしてあげる。そういうことでかなりのドルを外貨預託いたしまして、為替の予約をやれるようにした、そういうことを中心にして努力しているわけであります。
○大矢正君 その為替の予約によって一時的に中小企業の金融という問題が解決いたしたとしても、将来、固定相場にはたして返るのかどうか。それから返った時点ではどうなるのか。あるいは変動相場がこのまま続いてかりにいったとして、半年後に一体、いまと同じように二百六十五円のままの状態でいくのか、あるいはそれより安くなるのか、高くなるのかという問題とは、これはおのずから別の問題でしょう、そうじゃございませんか。あなたがいま為替銀行を通して先物予約を中小企業にしてやるということ、それはそれなりに私は効果がないと言っているんじゃない、ありますよ。ありますが、通貨に対する全体的な見通しの問題ということとはおおむね私は違う、異質の問題でないかと思うのです。商売を続けていけるかいけないかという問題では、金ぐりの問題上、あなたのいま言われるような予約をやってやることによってそれはできるでしょう。しかし、企業が将来に対して利益があるかないかということの判断を通貨体制全体の中で判断をしていこうとする際の役割りにはそれはならないわけでしょう。 だから、私が聞いておるのは、そんな預託をして先物を云々するというような話ではなしに、あなた自身がどういうはっきりした態度を持っておられるかということが中小企業にとっては大事なんじゃないか。特に、日本の場合にはヨーロッパ各国と違って、アメリカとの間における貿易量というものが圧倒的に多いという事実と、それからいま一つは、やっぱりドルの決済が多いという貿易上の事実から見て、ヨーロッパ各国にまかせて、ヨーロッパ各国の主導のもとに国際流動性の問題が話し合われるというのではなしに、これはアメリカのドルの弱さに起因をして通貨不安が起きている。とすれば、そのアメリカと非常に、密接な貿易上あるいはいま言ったような貿易における決済の問題上からいって関連のあるわが国自身が、一体、どういう態度をとるのかということが出てこなきゃならぬが、それが一つもまだ出てこないわけですね。私は、中曾根通産大臣は、閣内においてもかなりの実力者であるというふうにかねがね思っておりますからね。大蔵大臣がどういう判断を持とうが、私は、自分としてはこうだというような判断が述べられてしかるべきだと、こう思うのでありますが、重ねてくどいようですが、お尋ねをいたしたいと思う。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは愛知大蔵大臣が帰ってきて、最近の二十カ国蔵相会議の空気やら内容を聞いてみないとわかりませんが、私の感じでは、やはり変動相場制というのはある程度長引くのではないか。また、いまの情勢からいうと、長引くのもやむを得ないのではないか。と申しますのは、ドルの実勢——円・ドルの関係の実勢というものがどの程度であるのかという実態かまだよく見きわめられません。私らの感じでは、ドルは回復してくるという感じがしております。 〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕 したがって、ある程度時間をかければ二百六十円、二百六十五円、あるいはもっと二百七十円に近づくかもしれませんが、ともかくあんまり過早にやって、そして切り上げ率をうんと高くすると中小企業の苦難がもっと多くなりますから、そういう意味においてほんとうの意味の実勢に近いところで切り上げの固定ということが行なわれることが望ましい。時間をかければかけるだけドルは回復してくるのではないかという感じが私はしております。でありまするから、あまり過早に急がないで、ほんとうの実勢を見きわめるという考えでいったほうが日本にとっては有利であろう、不当に円が過重評価されているという、過大評価されているという向きがなきにしもあらずです。今度の春闘等によって賃金がまたかなり上がるとか、あるいはそのほかいろいろな経済、政治条件等々とも考えてみますれば、円がそれほど強いということがいつまで続き得るか、あまり楽観してもおれないという条件があるという気もいたします。そういう面からいたしまして、変動相場制がある程度続くということは、日本にとって必ずしも不利ではないし、その実勢に近づけるという考え方をもってすれば、そういうことも一つの方法である、そういうふうに考えるわけであります。 そういう中にあって、じゃ、幾らを基準にして中小企業は商売をしたらいいかと仰せられますと、これは幾らということは私は申し上げられる立場にないのであります。これは実勢がきめることであります。それから、日本の企業の中では自由経済でやっておりますから、企業の責任においてみずからのリスクでこれはやってもらう以外にはない。そして、中小企業がそのために非常な苦難をしょったとか、非常に困ってきたという場合には、政府は落穂は拾うと申しますか、そういう苦難に対してはいろいろな手を差し伸べて、もう一回挽回できるように政府も積極的に施策を講じていきますけれども、商売をどうするかという決断は企業者自体がやはりきめてもらわなければできないことである、そういうように思います。
○大矢正君 あなたの言う話を聞いておると、経済評論家が言いたいことを言ってるような話に受け取れてしようがないのですが、まあこれ以上議論してもしようがありませんが、ただ、あなたの発言じりをとらえて言うのじゃなくて、あなたがおそらくこれくらい真剣に考えているであろうという気持ちを私が察して、速記録の一節を読ましていただけば、先ほどの読み上げました速記録の続きになりますが、「こういうような失業が出るという危険性のあることは、絶対われわれは回避する必要があると考えているからであります。この前の円の切り上げでそういう中小企業、下請産業等は非常な苦難に入りましたが、しかし、金融措置で切り抜けました。そのときに担保を出しておるわけです。今度そういうことをやられたら、出す担保ももうないという状態で現実はおるわけです。そういう冷厳な現実を考えてみますと、円の再切り上げというようなことは、われわれは全力をふるって回避しなければならぬ、そういうように私は考えておるからであります。」 〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕 と、こうあなたは御答弁になっておりますね。まことにけっこうなことです、中小企業のことをこれだけ考えるならばですね。 そこで、全体的な国際流動性の問題に関してわが国がどうあるべきか、あるいはどういう方向が望ましいかというような議論は、いままでわずかの時間でありますが行ないましたが、具体的に考えてみた場合、いまあなたのおっしゃっておられる中小企業の問題を考えてみた場合、一つには金融の措置を講ずる、税制上の措置を講ずる、あるいはまた転廃業その他すでに政府がやられておる問題点をそのまま実行されること、それから為替銀行を通してこの間来、これまた実行いたしておりまするような外貨預託に基づいて先物をある程度予約をするというようなこと、しかし、そうはいってもできない中小企業もありますよ、先物の予約を。やってもらいたくてもやってもらえない中小企業も現にありますからね。そういう問題をどうするかという問題はもちろん残りますが、しかし、それ以外にもやはり幾ら金を借りてみても、金融をつけてもらっても、それだけでは済まない問題がありますね、現実にこれは多額の損失が出るわけですから。商社やあるいは造船会社のように、損金としてそれを決済をすることができるような企業であれば別でありますが、中小企業はそんなことはできない。そこでこれは一とき、通産省が為替変動に伴うやはり補償を保険制度としてつくったらどうか、こういうようなことが言われておりますが、しかし、いろいろ外国のわが国に対する批判等もあって、何かあまりはっきりしておらぬようでありますが、これは、具体的にこの問題についてはどういうふうに考えておられますか、その中小企業に対する為替変動に伴っての措置として。
○国務大臣(中曽根康弘君) 為替変動保険制度及び為替変動準備金というような制度をぜひつくりたいと思いまして、私も予算編成の際に努力をいたしましたが、大蔵省との間で合意を見ることができないで、それはできませんでしたけれども、この機会にぜひその制度をつくりたいと思っております。先般変動相場制に移行しましたときに、愛知大蔵大臣に話をしまして、ぜひこれをやってもらいたいと言いましたら、大蔵大臣も、この段階になったら前向きに両省で話し合いをしようと、そういうことになりまして、大蔵大臣が帰ってさましたら、正式に両省でそういう制度をつくる話し合いをやろうと思っております。
○大矢正君 いま大臣が申されたのは、それは大企業を含めて全体の為替変動ということでおやりになるのか。それとも中小企業、特に輸出に関係のある中小企業、それは定義はいろいろむずかしい問題がありましょうがそういうものに限定をされてやろうと考えておられるのか。 それからもう一つは、当然、それは法律を必要とすると思われますが、そういうものを早急に出すという考え方がおありになるのか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは中小企業も、あるいは大きい企業も含めてやりたいと考えていることと、それから、間に合えば今議会にも間に合わせたい、そういう気持ちでおります。
○大矢正君 大臣ね、これは立法のたてまえとしてはいろいろむずかしい問題はあるかもしれませんが、大きな企業に対してまで言って見れば為替変動に伴う措置をするということでは、かなり外国からもいろいろと批判を受ける心配はありますが、中小企業に対してそういう措置を講ずることについては、私は、それほど諸外国から非難を受けるようなものではないではないかという気がいたします。大企業を含めてそういうことになっていくということになると、この国会に間に合わないと、次の国会でなければならないということになってきたんでは、いかに長期に変動相場制が続くといたしましても、これは現にいま起きている問題でございますから、私は、やはり大企業と中小企業というものとを分離をして、中小企業問題は中小企業問題としてすみやかにこの国会にそういう措置を含めた法律の改正を提案をすべきだ。これから検討するというんじゃなくて、お約束していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私のほうはもう大蔵大臣に申し入れをいたしまして、積極的に進めようとやっておるんでございまして、私も御趣旨を体して、さらに強くこれをやるように取り運んでいくつもりであります。ただ、大企業、中小企業の問題につきましては、これは一種の保険制度でございますから、これは大、中となくそういう関係企業について適用すべきものであると思います。現にドイツそのほかの国におきましては、もうすでに実施していることでありますから、それが輸出奨励になるというふうに解釈されることはないだろうと私は思います。
○大矢正君 間違いなくこの国会に提出してもらえますか。それは大臣、大蔵大臣と相談をしてなんというようなことでは答弁にならないんで、私は、大蔵大臣よりあなたのほうがずっと力があると思っておりますから、私は、あなたの力で必ず出していただけるものと実は確信しておりますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) なかなか大蔵省は頑強なところがありまして、一生懸命努力してみたいと思いますが、私の非力をもってしては、はたして今議会に間に合うかどうか疑問であります。しかし私は、前線に立って一生懸命努力してみたいと思います。
○大矢正君 それじゃ次に、大臣にお伺いをいたしますが、いま盛んにいわれております商品取引にからむ投機の問題についてであります。通産省は先般来、特に大手商社を中心として過剰流動性と申しますか、どこまでが過剰なのかということになると、いろいろ議論のあるところでありますが、商社における手元流動性というものが、最近、急速に高まってきており、それが投機の一つの大きな原因となっているというような指摘のもとに調査をされたということで、私がいただいております資料を見ましても、かなりこの流動資産の中における有価証券の金額がふえておりまして、こういう面から見ましても、大手商社における手元流動性というものは、かなり多額にのぼるものであるということが判断できると思うのであります。そこで私は、時間がありませんから端的に申し上げまして、三つの問題があるのじゃないか 今日の大幅な商品投機の問題にからんで、その原因を探求いたしますれば、こまかい面まで見ますれば非常に数多くの問題がありますが、一番大きな問題は、やはり何と申しましても、現実に戦後最高といわれるこの御売り物価の連続高騰ということ、それから、もちろん消費者物価もありますが、こういうようなことと、それからいまの政府の行なっております列島改造というものとに関連をしたこのインフレ、現実にインフレが起きている。それからまたさらに、インフレが進行するというそういう判断に基づく投機性。 それから第二の問題は、いま申し上げました、たとえば商社の過剰流動性と申しますか、手元流動性と申しますか、そういうような、その裏を返して言いますれば、銀行等を通じて貸し出される資金の潤沢な問題等がありますが、こういった過剰流動性の問題。 それから第三番目は、たとえば株式で申し上げますと、新しく増資する際に、特に時価発行の際には特定の企業に割り当てをして引き取らせる。したがって、実際に増資をしましても、増資をした部分の株式が市中に出回るのはほんのごく少量である。そういうことからくる、いわゆる品薄からくる株高現象というものがいま起きているわけでありますが、商品投機におきましても同様な、言うならば買い占めをぐっとする、そして実際に出回るのはごくわずかしかないという、その株と同じような現象があらわれて、これによって値動きが非常に激しいという、大体この三つのものが今日の商品投機において考えられる原因だと、私自身こう思っているわけでありますが、大臣、いかがでしょう。私が申し上げましたその三つの問題点についてどういう御判断を持っておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大矢先生の申されたような原因で、商品投機が行なわれていると私も考えます。
○大矢正君 そこで、いま申し上げました内容から判断をいたしまして、特に、まあこれは単に通産省だけの関係ではない。たとえば雑穀とか生糸とか、そういうものを含めますれば、これは農林省の関係にもなりますし、取引所自身が農林省の所管にもなりますから、いろいろありますが、しかしながら、毛であるとか、あるいは綿であるとか、綿糸であるとか、綿布であるとか、そういうようなものはこれは明らかに通産省が所管とするものでありますので、そういうものの立場から考えてみましても、かなり投機として今日その商品が扱われておるという問題点について、通産省自身がどのような措置を講じてこれを防止されようと考えておられるのか。先般本会議におきまして、この問題に限って本会議の緊急質問もなされましたが、その後もさほど大きな変化が見られないというように言っても差しつかえないんじゃないか。それからまた、いつこれが爆発するかわからない。まあ、毛糸の取引のように現在停止をしているものもありますが、これが再開されてはたして落ちつくかどうかというような面におきましては、まだまだ懸念されるところがありますが、どのような措置を講じようと考えておられるのか、お答えをいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) ある調査によりますと、毛糸は、日本の国内に洋服にして一千万着分ぐらいあるようです。ところが、日本の国内における洋服の需要というものは七百万着から八百万着あると。ですから持っているものは、原料はあるんですから、秋になったら洋服が高くなるというのは、原料をうまく吐き出させれば高くならないかもしれません。そういう意味の手持ちや何かを吐き出さして民衆の需要に合うように誘導さしていくということが、私は非常に大事な政策ではないかと思います。いまの毛糸の話は、私はある資料として見たことでありまして、それがどの程度確実であるかわかりませんが、しかし、当たらずといえども遠からずという現象ではないかと私は思っております。 それで、これらの卸売り物価等を中心にする対策といたしましては、一般的に過剰流動性を抜く、ほてっているのを冷やす、それはやっぱり大事だろうと私は思います。そういう意味で、政府は、土地投資を厳重に規制してまいりました。特に、商社その他がやっている土地に対する投資はもう金額をふやさない。いままでの三分の一ぐらいに減らしています。これはかなり最近きいてきているように思います。それから、銀行に対して準備率の引き上げをやりました。それから、公定歩合の操作というようなものも考えているのではないかと思われる節もあります。そういういろんな政策で瀉血をする、それで血圧を下げる、一般論としてそういう政策をいま強く打ち出してきておるので、これはある程度私はきいてきているだろうと思っております。今後もそういうふうに一般論としての金融政策を適正に行なっていくということが大事だと思います。ただし、この際、中小企業に対する金融はこれは別個の問題でありまして、これは十分見てやる必要がある、そうわれわれも考えております。 それから今度は個別的に、商品別に念入りに対策を講ずるということが非常に大事であるだろうと思います。たとえば、いま一番逼迫しているのはセメントがございます。ダンボールのようなものもあります。それから綿類、特に包帯とかガーゼ類がございました。そういう一つ一つの個別商品についてわれわれが念入りな手当てをしていくということが大事だろうと思っております。セメントのような場合につきましては、いろいろ需給協議会をつくったり、韓国から緊急輸入をしたり、それから各四半期別、地域別に物動計画のように需要と供給の調整を行なうようにいま始めているところであります。そういうような一つ一つの品物についての個別的な念入りな政策を実行していく、そういうこと以外にはないだろうと思って努力しているところでございます。
○大矢正君 二十五分に、大臣が本会議に出るために出していただきたいということのお話がございましたので、打ち切らざるを得ませんから、これで終わりたいと思いますが、ともあれ、先般行なった商社に対する検査と申しますが、現行ではこれは検査の権限というのは、通産省にはおそらく私は法律上はない。今度の新しい法律ができ上がれば、ある程度それは可能とはなるでしょう。なるでしょうが、現在のところはないというような問題等があって、詳しく商社の実態等を調べることは非常にむずかしいが、それでもなおかつ出てきている資料によりますれば、有価証券の売却益等もかなりこれはあり、相当な手元流動性を持っておりますから、これはたいへんなもんだと思いますですね。と同時に、たとえば、商社等に対する立ち入り検査を今後やるといたしましても、いまの通産省や経済企画庁の両省の若干の人員だけの能力でそういうものをきびしく取り締まり、あるいは検査をして、そうして投機に走らせないようなことは、はたしてできるかどうかということになりますと、残念ながら私の判断はそんな甘いものではない。簡単にいくものではないという懸念もあります。時間がございませんから申し上げますが、そういう点も十分ひとつ御判断をいただいて、今後、この商品投機における商社等の暗躍を厳に取り締まるよう最善の努力をしていただきたいということを申し添えておきたい、こう思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大いにその線に向かって努力をいたします。
○阿具根登君 通産大臣が本会議に行かれましたので、この間、公取委員長、おいでになったばかりですけれども、一、二質問申し上げたいと思います。 最近の新聞での不当景品類及び不当表示防止法に関する主婦連合会代表の不服申し立てに対する却下につきまして、その理由、経過を一応説明していただきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 果汁規約と通常いっておりますが、これはすでに公正取引委員会が認定したものでございます。それに対しまして直ちに、三十日以内でございますが、審判の請求が主婦連からございました。主婦連並びに個人である主婦連会長として、両方から不服の申し立てが出たわけでございます。これに対しまして、当委員会、私どもの公正取引委員会といたしましては、先般、審決によりまして、原告の適格がないという理由でこの申請、この不服の申し立てを却下したわけでございます。これは言ってみれば、実体そのものからくるものではございませんで、あくまで訴訟の手続という面からとらえたわけでございまして、これはやむを得ないことであると私どもは考えております。と申しますのは、これらの公正競争規約というものは、それぞれの業界が自主的に、みずから積極的に不当な表示を防止しよう、あるいは懸賞を防止しようというふうな趣旨でございますので、その規約を認定したことに対する不服の申し立てがいかなる性質のものかということを考えてみますと、これは言ってみれば、その後、もしさらに不服があれば司法の救済に、司法裁判所の救済につながっていくものでございますので、したがいまして、いわゆる行政処分に対する争訟手続の一環として考えなければならない。まあ言ってみれば、行政事件訴訟法というのが現にありますが、それのどこかに該当するものでなければならない。 といたしますと、若干少し法律的になりまして何でございますが、一応行政事件訴訟法の中には訴訟の種類が四つだけ掲げられておりまして、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟、この四種類に限られております。で、私どもが考えまするに、このうちで当然当事者訴訟には該当いたしません。また、機関訴訟でないことも言うまでもありません。民衆訴訟につきましては、この機関訴訟とともに、法律に定める場合において、法律に定めるものに限り、これを提起することができるということでございますので、それぞれの法律に特別にそういう趣旨がうたわれてない限り、これを提起できないという規定になっております。 で、そうしますと、これはいわゆる第三条に規定しますところの抗告訴訟に当たるということになります。この抗告訴訟の性質等いろいろくどくど申すと何でございますが、それにつきましては、同じ行政事件訴訟法の第九条に原告適格が定めてございまして、行政庁の処分あるいは裁決の取り消しを求めるにつきまして、法律上の利益を有する者に限り、これを提起することができるという規定がございます。ここにいうところの法律上のその救済措置、「取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」は何であるかということになるのでございますが、公正競争規約を定めるにあたりましては、十条の規定の中に幾つかの要件がございまして、この中に「一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。」という条項があります。これをもとにして主婦連等が不服の申し立てを行なったのでありまするが、そこに述べておりまするところの一般消費者等の利益を不当に害するおそれがないということは、直ちにそれが「法律上の利益を有する者に」というふうな解釈にならない。ここにまあ問題の争点があろうかと思います。 この点につきましては、私のほうもいろいろ専門の者がおりますので、最高裁の判決、判例を調査いたしておりますが、いずれの場合におきましても、具体的、個別的な利益の侵害かある、あるいは必然的にそれを受けるおそれがある場合におきまして、それの回復を、あるいはそのおそれをなくするという法律上の利益、これはことばをかえますと、もう法律上の権利と解してもいいんでございますが、しかし、必ずしも権利そのものでなくても、ほとんど権利とひとしい範囲で、ひとしい程度に法律で保護していくものという、ただ単なる反射的利益ではなくて、具体的で個別的でなければならない、必然的なおそれがなければならない。そういうものについては、そういう非常な厳格といいますか、ややきびしいかと思いますが、そういうふうなものだけが行政訴訟の中の抗告訴訟を提起し得ると、こうなっておりますので、まあ現在の段階におきまして、私どもが行政訴訟の手続の、争訟の手続の一環としては、どうしても原告の適格を認めることができない、こういうことでございます。 なおまた、つけ加えて一言申しますれば、こういう公正競争規約というものは、私どもが不当景品や不当表示を防止する政策の上できわめて重要な役割りを果たすのであります。それぞれの業界にむしろ私どものほうから指導といいますか、お願いをして、自主的につくっていただくようにしむけているわけです。でございますので、命令でこれをやりますと自主的な協力が得られません。あくまで自主的に、積極的に公取のいわゆるこういう政策に協力しようという種類のものでございますから、それらのものについては、まあ、今後も次々とたくさんつくっていかなければなりませんので、消費者の意見を十分尊重するという実質的な面では、私どもは何らこれを恥じるところはないと思っておるのでございますが、争訟の手続によってその意見を貫くといいますか、主張することを認めることについては、これからの業者側がもうやる気を失う。そういうふうに一々訴訟でもし不満があれば、これは高裁や最高裁にも行き得るわけでございますから、そういう場合に非常に何といいますか、自分たちの業界としては難題と思われる問題を一々訴訟で争われたのではかなわない、では公正競争規約をつくるのをやめておこう、つくらなくても何ら処罰規定もございませんし、当然これは自由でございます。 そうすると、私どものほうが数多いあまたの業種についてすみからすみまで目を光らすということは、もうほとんど不可能に近い。やっぱり公正競争規約をたくさん充実していきまして、そうして自分自身で不当な表示などをやめる、やったものに対しては制裁金を課する、そういう制度を育成していく必要があると思いますので、また、立法論的な意味におきましても、一般消費者の言い分を聞くという実体的な面では何ら私どもが手落ちのないようにいたすつもりでございまするが、しかし、訴訟で争うという点については、民衆訴訟になりますから、これは民衆訴訟を認めている例は、われわれの知る限りでたった二件しかございません。したがいまして、まあいままでのようないきさつから原告の適格が認められない、そういう理由で申し立てを却下したので、実体とはこれは問題は別でございます。
○阿具根登君 そこなんです。おっしゃるとおりで、法律的にかたく解釈されればそうだと思うのです。しかし、実体的にはおっしゃったように、結果は主婦連の不服が一応満たされているという形になっておるわけなんですね。この場合でも中身は詳しく知りませんけれども、主婦連というものは一体なんであろうか。少なくとも消費者の一部を代表している。そうして今日まで相当な消費者の代弁者として活躍されたことは、これは周知の事実なんです。その人たちがたとえばこのジュースの問題についても五%以下ですか、あるいは入っておらない、こういうような不当表示について不服を申し立てたが、法律的に君たちの取り上げられ方はまかりならぬ、却下する、こういう冷たい態度をとっている。そうして命令はできないから、業者に相談ずくで協力をしていただく。消費者にはそういうきびしい、却下というようなきびしい法律のたてまえから退けられた、そうして業者に、命令はできないから協力をお願いしたい、こういうように私はいま解釈したのですが、そういう意味なんですか。
○政府委員(高橋俊英君) 主婦連が一般消費者の一つであることを私は何も否定しておりません。それから、一般消費者という観念は非常に次元が高いといいますか、これは日本人に限りませんで、外国人であっても、だれであっても消費者の立場になれば国民すべてが、あるいは外国人においてもこれは一般消費者と言われるのでございます。ですから、それが法律上の、まあ法律において私どもは公正競争規約を認定するにあたって、そういうものの利益を不当に侵さない、侵すおそれがないということを、法律の上において公取が責務を負っているわけです。公正取引委員会がその責務を負っておりますから、事実上この景表法にはありませんけれども、ちゃんと公聴会は開いております。その場合には、各界の業者側はむろんでございますが、消費者を代表すると思われる者の何名かを私どもはその場に呼んで、それから学識経験者も入れまして意見は十分聞いておるわけです。そのほかになお、事実上連絡会を持ちまして双方の言い分ですね、これは事業者側が、そういうきびしいものでしたら私どもはつくりませんというふうに言われますと、これはいまのことばの表現の問題でございますが、積極的に業界が不当表示の防止に協力をするという趣旨のものでございますから、いやいやながらやむを得ず従ったが事実はもう公取に取り締まりをまかしておけと、こう出られたんでは身もふたもないわけです。ですから、業者側の言い分を聞くといいましても、それは決して業者のわがままを聞くという意味じゃありません。できるだけ消費者のサイドに立って私どもは処理しているつもりでございます。 そういう点におきまして、この訴訟を、不服の申し立てをするかどうかということは、これはきわめて法律的な見地から論議さるべきことでございまして、私どもは、実体的に主張がもっともであると思えばこそ、相当程度にその取り入れた部分を、ほんとうは公正規約を一たんスタートさせておきながら、あとで事実上五%未満の部分についてはこの四条三号による指定を、これはいままで全然行なったことはございません。それを初めて適用いたしまして、事実上直さしたような形になっておりますから、そういう点では内容的に主婦連の側の言い分も実は取り入れているわけでございます。しかし、訴訟の手続上資格があるかないかということは、公取自身の見解で定めるべき問題ではないと私は思います。これはもし争うんでしたら、やはりその手続に従いまして、高裁、さらには最高裁に行ってその当否を争うべきものでないか、こう考えるわけでございますが、立法論的には先ほども申しましたが、あくまで訴訟で争わないで実体で公取が十分消費者側の言い分を裁量、配慮するというふうになればよろしいのでございまして、訴訟で争うという点にちょっと問題があろうかと思います。 と申しますのは、民事訴訟法というものは非常に厳格にしか解されておらない。道は開かれておりません。そこで、この場合についてやるとすれば、これは民事訴訟になります。民事訴訟をこの場合に認めるかどうかということは、法の体系上、訴訟法の体系上たいへん重大な問題である、こう考えざるを得ないわけでございます。
○阿具根登君 確かにその法の体系上問題のあることはいわれますけれども、その前に公聴会も開いた、話し合いもしたと、その際にもジュースの問題は出ておったと私は聞いております。そうすると、公聴会で主婦連の代表を消費者の代表として呼ばれて、公聴会で意見を聞かれたけれども、そこでも意見はいれられなかった、またいろんな連絡をやっておるその会議でやられたけれども、意見はいれられなかった、だから公聴会で言ってもこちらの意見はいれられない、それなら訴訟に踏み切るんだと、こういうことになっておると私は思うんです。それがあなたのいまの説明でも、一方に対してはつくらぬと言うたらどうするか——つくらぬと言ったらどうするかと。私は、それはおかしいと思うんです。ジュースが、実際くだもののジュースがどのくらい入っておるというのを明示してくれというのに、そんなこと言うならつくらぬと、そういうわがままな業者を許していいかと思うんです。あたりまえじゃないですか。どのくらいジュースが入っていますというのを明示するのはあたりまえじゃないですか。それを、そういうことを言えば業者がつくらぬと言ったらどうしますか、協力しなければなりませぬと、一方、主婦連のそれじゃ、この公聴会において述べられたことについては全然聞いておられない、だから訴訟に行ったと、その訴訟は手続上これはあなた方のやつは却下する、却下されたけれども、あなた方の言い分はわかったから、だからこれは取り上げましょうと。だから、そういうふうにしなければならないように来た道順があるんじゃないですか。そういうふうに思えてしようがないんです。だから主婦連は訴訟に踏み切ったんだ。結果としては訴訟は却下されたけれども、主婦連の主張は通された、こういうことになっているような気がしてしようがないんですが、どうですか。
○政府委員(高橋俊英君) この事件そのものは、果汁に対する公正競争規約を準備を始めたといいますか、大体、これはもちろん消費者側の申し出があった場合もそうでございますし、公取が自分自身の判断で業界に働きかける。これは昭和四十二年十一月ごろの話なんでございます。相当時間かかかっております。四十二年十二月——十一月ごろにその準備にかかりまして、実際に規約の認定を申請をするという段階に至りましたのが二年半以上経過いたしておりました四十五年の六月なんでございます。ですから、優に二年半以上の日数を要しておる。この間において消費者側の主張、つまり五%以下のものについては、あるいはゼロのものについては、きびしく無果汁と書いたほうがいいと、こういう主張は十分あったようでございます。ところか、その件について、業界——これは業者の数もかなり多いのでございます。ただ、そのうちのだれが反対したということは私はわかりませんけれども、かなりその抵抗はきびしいものがありまして、すなおにいっていればこの問題は起こらなかったわけであります。ですから二年半かかっても、結局、両者の完全な一致はなかった。 そこで公正取引委員会といたしましては、とにもかくにも、ほぼ九〇%以上適正であると、優に役に立つと思われるからこそ、七月に公聴会を開きまして、四十六年の三月に認定をいたしました。ですから四十六年の三月に認定をして直ちに不服の申し立てが四月に行なわれたわけでございますが、要するに、この間において争われた点は、日本ではゼロと表示しろというけれども、これはアメリカの場合にはそういうふうになっていない。ゼロと書くことは、それは業者が書くことはいいですけれども、ほかの表示でもいいということになっているんで、それを日本語に訳したといいますか、翻訳でございますが、合成着色飲料あるいは香料使用というふうに表示すれば、これは五%未満のものであるということになる。で、それ以上のものは全部五%刻みあるいはそれから一〇%刻みで、全部パーセントが、含有率が記入されることになっております。でありますから、パーセンテージの書いてないものは、もしこれが定着した場合は、どんなことばが使ってあろうが、とにかく、五%以上の数字が書いてないものはみんな未満である、ゼロか、まあゼロにひとしいわけでございます。嗜好飲料でございますから、これは薬と違いまして、薬ほど効力がどうこうという問題じゃありませんので、嗜好飲料の中に本物のジュースがどれだけ入っているかというような問題でございますから、五%未満のものは数字が書いてない。名前は何であれ、とにかく、数字が書いてないものはないにひとしいんであると、こういうふうなことが定着するというふうに考えたわけなんです、当時の人は。その辺で、いってみればある程度妥協もやむを得ないということであったわけでございます。そうしなければいつまでたってもらちがあかないということであったように私は聞いております。 で、とうとう妥協というふうな意味で、数字が書いてないものは、これはそのうちゼロと判断していいんだというふうになればいいと思ってやったところが、直ちに不服の申し立てが出まして、それから延々と審判を通じて争ってきておる。そのために最初からつまずいたような形になりまして、何か合成着色飲料というふうな表現は不当な表示じゃないか、少なくとも表示としては不適当な表示なんだというふうな印象さえ与えてしまったような感じになっておるもんですから、そこでそれは実態的にはまああまり争っても意味がない。果汁飲料だけでなしに、ほかのものも含めて、アイスクリームやシャーベットまで含めて七品目について全部今度は一律に四条三号によって指定を行なってしまいましたから、これは文句なしにゼロ表示をしなければいかぬということにいたしたわけでございます。 私どもとしては、やはり消費者の立場というもののほうにどちらかといえば重点を置いて考えているという点は御理解は願えると思いますが、訴訟の手続としては、私どものほうは民事訴訟は認められていないので、かってに民事訴訟というふうにはできませんし、抗告訴訟の要件として、法律上、そのものが反射的利益ではなしに具体的な法律上の利益を有するというふうに判断されない以上は、どうしても手続上却下せざるを得ない、こういう事情でございます。
○阿具根登君 まあわかりましたがね、少しあなたと私との感覚の差は、あなた方は専門家でそういうふうにやっておられるから、表示がしてなかったならばこれは果汁が入っておらぬのだと、五%以上と書いてあればこれは入っておるけれども、それが入っておらないやつは無果汁だとおっしゃるけれども、私自身それは知りませんでした。ちゃんとジュースの名前が書いてあって、絵がかいてあって、そしてそれに入っておればそれは果汁か入っているものと思って私自身——これは私、一番知らなかったのかもしれませんけれども、しかし、大部分の国民の方はあなたのように、書いてなかったならばこれは果汁が入っておりませんよ、そういう考えはなかったと——主婦連のおっしゃるのが正しいと私は思うんです。 手続、法律上の問題は、あなたのおっしゃるそれがほんとうでしょう。ほんとうでしょうけれども、あなたのその常識は一般の大衆には私は通じないと思うんです。やはり無果汁なら無果汁だと、ゼロならゼロだと、最後に言われたように、それが私は一番親切であったと、そうしたら訴訟もなかったと思う、それをやっておられれば。ところが、あなたのおっしゃったように、そういうことで出されれば、あるいは皆さんから見れば常識かもしれませんが、しかし、一般消費者でそこまで考えて買うのは、それは相当な人なんです。だから私は、主婦連が言ったのが正しいのであって、最初からそれを取り上げていただいていたならば、訴訟問題とか却下とかそんなものはなかったのじゃなかろうか、こう思うわけなんです。 で、時間がありませんから、もう一つ、ひょっとしたら公取委員長のところじゃないかもしれませんけれども、最近、歯みがきの問題では、私はもう非常に感じておったことを公取は直接やられて、非常によかったとこれは思っております。私どもテレビを見る場合に、何か歯槽膿漏でもあれを使えばすぐなおるとか、歯ぐきがすぐピンク色になるとか、歯槽膿漏のためにはこの歯みがきを使えとか、ああいうの、私も歯槽膿漏で医者にかかったことがあるのですけれども、なかなかなおる薬がないのです。それが歯みがきでなおるなら、これは薬じゃないかとぼくは言っておったのですけれども、公取のほうでうまくやられたからこれはけっこうだと思うんですけれども、もう一つちょっと疑問に思いますのは、これは厚生関係でずいぶんやってだいぶ変わってきましたけれども、テレビのコマーシャルを見ていると、薬の宣伝が一番多いのですな。 薬の宣伝を医者がやられるなら私はやむを得ぬと思うんです。ところが、医者じゃなく有名芸能人が薬の宣伝をやられるのですな。ぼくはどうしてもこれはぴんとこないのです。なぜかならば、薬は一般の人は売ることができないのです。薬剤師であるか、あるいは許可をとった人であるか、あるいはお医者さんでなかったら薬を売ることはできないときまっているのです。それを有名人が、胃が悪かったらこの薬を飲みなさいとか、二日酔いしたらこの薬を飲みなさいとか、いろんな宣伝をすればこれは薬事法なんか要らないようになるわけなんです。このごろは非常に巧妙になってきましたね。私もだいぶんひどく言いましたが、このごろは有名人の方がこれを飲みなさいということは言いなさらぬです。しかし、薬が出ると巧みに動作をして、やっぱりあの人も飲んでおられるからあんな元気なんだな、それじゃあれ飲もうかな、という印象を与えるようにやっておられるのだが、薬の宣伝というものは一体どういうものなのか。もしもその宣伝の薬で——つい最近は、「注意書をよく読んでからお飲みください」と親切に書くようになりましたが、もしも、その宣伝で飲んで副作用があったり、あるいはきかなかったり、そうした場合は一体だれの責任になるだろうか。それ以前に、薬というものはこれは専門家、国の認めた人間でなからねば人間のからだに薬を飲ませることはできないはずなんです。それを他の人が宣伝して、あのばく大な宣伝費をかけて、民に、いかにもこの薬は絶対きくんだというようなことを言うのはいいのか悪いのか、あなたの所管であったら教えていただきたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 本来的には、これは薬事法の規定がちゃんとございますので、厚生省の所管であると言えるのですが、しかし、いわゆる誇大広告あるいは誤認させる広告である場合には、やはり公取の所管でもあるわけでございます。有名人が薬の宣伝をすること自体は、そのことだけでは薬事法でひっかかることにはなっておりません。有名人がやったから必ず薬事法違反だということにはなっていないのですが、しかし、私どものほうの解釈では、有名人が実際にはあまりその薬を使っておらない、で、別に使用したから効果があったともほんとうは思っていない。しかし、実際には効果がないのに、あたかも、その薬がきいてこういうりっぱなからだになったんだというようなふうに誤認させる広告がある場合には、これは実際にはすれすれのものがあると私は思うのでございますが、これは不当表示になるおそれがございます。確かにこれを飲んでこのようなりっぱな体格になったり、運動のあれになったということ、そういうことを、これを見た人が誤認するというおそれがあれば、やはりこれはいけない。なるべくそれにかからないようにすれすれに取り扱っているように私は見受けるのでございますけれども、もし受け取るほうで、これはおかしいというふうな人が非常に多ければ、やはりこれは慎んでもらわなければいかんのじゃないかと思います。 大体、医薬品の虚偽の広告とか誇大な広告というのは、薬事法の第六十六条で明文をもって禁止されております。どんな場合でも何人も虚偽または誇大な記事を広告したり、記述したり、または流布してはならない、これは六十六条に医薬品等についてすべて述べられておりますし、またさらに、三十九年八月十日の薬務局長通達というのがございまして、「医薬品等適正広告基準について」というのがございます。簡単でございますから申しますと、「効能効果を保証する表現の禁止 医薬品等の効能効果について、具体的効能効果を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。」それから次が、「本来の効能効果と認められない表現の禁止 医薬品等の効能効果について、本来の効能効果とは認められない効能効果を表現することにより、その効能効果を誤認させるおそれのある広告は行なわないものとする。」、広告基準がこうありまして、こういう点では厚生省もわがほうと同じく、広告のいかがわしいものについては当然取り締まりをなさるものと思いますが、わがほうといたしましても、いま御指摘のものにつきましては、しさいにもっと実情を検討いたしまして、不当な表示ではないかというおそれのあるものについては、注意をして是正させることといたしております。内容をまだ詳しく私存じませんものですから、抽象的にそういうお答えを申し上げておきます。
○阿具根登君 通産大臣がお見えになりましたのでお尋ねいたしますが、けさの新聞でも、アメリカのニクソン大統領がアメリカの石油輸入について規制を撤廃した、こういうのが出ております。まあ、最近の新聞その他で日本でもずいぶん問題になっておりますが、エネルギーに対して非常な危機が訪れたということで、産油国であるアメリカが非常に心配をし、大統領みずからがエネルギー教書というものを近々出すのだと、その草案が盛んに練られておる。こういう実態の中で、日本のエネルギーの長期対策はどうなっておるのか、短期対策はどうなっておるのか、中期にどう考えておられるか、日本のエネルギー対策をお尋ねいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本のエネルギー対策の前途を考えますと、なかなか重大な問題が包蔵されているように思われます。昭和四十六年度におきまする現状を見ますと、総エネルギー需要は、石油に換算いたしまして二億九千万キロリッターでございます。そのうち原子力が百四十四万キロワット、国内炭が三千百七十三万トン、輸入原油量が二億二千四百二十六万キロリッター、国産原油が八十七万キロリッター、液化天然ガスが九十七万トンということでございまして、これをパーセンテージで分けますと、石油が七三・五%、それから石炭が一七・五%、その石炭のうち国内炭が六・三%で輸入炭が一一・二%になっています。それから水力が六・七%、原子力が〇・六%、その他が一・七%。それで、海外依存度が八四・九%ということになっております。 これが五十年度の見通しを申し上げますと、大体、総エネルギーの需要量は四億三千八百五十万キロリッター、約倍に近くなります。そして、原子力が八百六十六万キロワット、それから国内炭が二千万トンないし三千六百万トン、輸入原油量が三億二千百八十万キロリッター、国産原油が九十万キロリッター、液化天然ガスが三百四十万トン。それで、このパーセンテージを見ますと、石油が依然として七三%、石炭が一八・一%、それから水力が四・五%、原子力が二・二%、その他が二・二%。海外依存度は八七・四%と上がります。 これが六十年度の見通しを申し上げますと、総エネルギー需要量が九億ないし十億キロリッター、現在の五倍近くになります。そのうち原子力が六千万キロワット、国内炭が二千万トンないし三千六百万トン、輸入原油量が六億キロから七億キロの数字になります。そのうち、また国産原油が六百三十万キロリッター、それで液化天然ガスが千四十万トン。これを各比率で見ますと、石油が六七%−六九%に落ちてまいりまして、石炭が一六%、原子力が上がってきまして、九・九ないし九・一、水力が二・五ないし二・三これは下がってまいります。それで、その他が三・一ないし二・八、これは地熱発電その他が入ってくるわけです。で、海外依存度は八三ないし八四%。一応こういうエスティメーションがあるわけでございます。 それで、現在の事態を見ますと、一番大きなファクターはアメリカの動きでございます。お説のように、アメリカは、ことしの二月にデント商務長官が四万三千の全米企業に手紙を送りまして、石油その他を節約してくれ、そして石炭と混焼するとか、あるいはサーモの温度基準を下げるとか、ともかく、いろいろ節約方を訴えております。それで、アメリカは六十年ぐらいにはおそらく五〇%以上輸入に変わるであろう、石油が。そういわれておるわけです。そうなりますと、おそらくアメリカが一九八〇年ごろには、つまり昭和六十年ごろには大体十三億キロリッターぐらいの油が要るだろう。そのとき日本がいま申し上げましたように六ないし七億キロリッター要る。そうすると、ほとんど世界じゅうの需要を日本とアメリカで占めざるを得ない。EC——ヨーロッパがおそらくアメリカと日本の間ぐらいになるだろうと思います。それで、需給関係を見ますと、世界じゅうが不足になりまして、余っている国はソ連だけという数字になっております。 そうなりますと、石油の事情というのはますます窮屈になってまいりまして、御存じのように八〇年、八一年にはアラビアそのほかの中近東の油の原産油国がその産出油の五〇%以上の権利を持つわけであります。そうすると、いままでメージャーが握っていた油の半分以上を原産油国のカタールやアブダビやクウェートやイランの国が売り出せるという形になりまして、これが世界の石油戦線に非常に大きな変化を与えてまいります。いずれにせよ、しかし、それらの原産油国も、一時に出してしまわないで、長期間にわたって少しちびりちびり出しながら財政需要をまかなっていくという形に変わるという可能性もありますから、特にまたユーロダラーなんかの蓄積で世界じゅうからも制約が起きてまいりますから、そうなりますと、供給量はそうふえるとは思えない。現在、大体世界の石油の埋蔵が三十億トンぐらいだとかいっております、これがまた発見されれば別でございますけれども。三十三年間ぐらいの、いまの消費量で見ると持続ができないということだそうであります。新しいものが出てくれば別です。 そういう点を見ますと、石油は高くならざるを得ぬし、それから窮屈にならざるを得ぬ。日本は石油に八〇%以上負っておる国でございますから、これは非常に大きな問題になります。そういう面からして石炭の価値がまた見出される、国内炭の価値が見出されるという時代がないとも限らないと私、考えておるわけです。そういうような諸般の情勢をよく見ながら、われわれとしては、まず第一に、世界じゅう東西南北にわたってその資源を確保していくということ、そして、これはウラニウム、油、ガス、あらゆる種類のものを手当てをするということ、それから国際協調でやって国際的トラブルを起こさないようにするということ、そういう二つの原則を持っていま懸命な手当てをやろうとしておるわけであります。 最近シベリアのチュメニそのほかのガスや油に対するわれわれの関心、あるいは中国からの油の産出に対するわれわれの関心、あるいはインドネシアやオーストラリアや、あるいはアフリカその他に対していろいろ手当てしているということは、みんなそういう政策に基づいているわけであります。ただ、ここで大事なことは国際的に非難されるような海賊行為的な油の取得をやってはならないということであります。それは一面、短期間では、成功したように見えるかもしれませんが、長い目で見ると、日本の安定供給についてやはり障害が出てくると思われますので、長期的安定を国際協調で手当てしていく、そういう方針に基づいて実行していきたいと思っております。
○阿具根登君 大臣の御説明を聞いておりますと、全くそのとおりで質問の余地がないくらいなんです。しかし、現実と全く遊離しておることもまた、まことにはっきりしておるわけなんです。大臣がいま言われましたところを私も全部勉強しておるところなんですが、それが事実なんですが、そうするのは、そういうものを踏まえて——アメリカはいま二〇%から二五%の輸入をやっておる。そうしてこの十年先には、八〇年には五四%ぐらい輸入しなければならぬ。これは国家安全保障から考えてもたいへんなことになると、だから油に対しては極力節約をしなさい。特にことしはずいぶん詰まったようですけれども、それを一国の大臣なり、あるいは総理に当たる人が全国民に対して、少しでも戸のすき間があったら、そういうところはひとつ張って暖房が逃げないようにして、そして節約してくださいと、こういうことを呼びかけておるし、現在六億トンから使っておる石炭は、十年後に十億トン使うようになるかもしれません、だから石炭に対して十分関心を持ってくれと、いままではガスが高くなるといけないので押さえておったから、非常に安いエネルギーをアメリカ国民は満喫してきたと。しかし、これからは安いエネルギー等はありませんぞ、高くなりますよということも親切に言っておる。そして、きょうの新聞では、輸入を制限しておったのを撤廃してしまった。こういう非常な、日本から見ればアメリカは十年先のことを今日、いまやっておるようなもんである。 日本はいまやらねばならないことを全然やっておらない。通産大臣は考えておられるけれども、政策面には全然あらわれておらない。これが海賊行為かどうかしりませんけれども、国の政策以前に、まず商社がどんどん仕事をしていっている。そのあとについていく。アブダビでも、結果のことは私はよく知りませんけれども、七億八千万ドルの金がつぎ足されている。七億もの金がつぎ足されておるとするならば、結局それは一体見通しはどうなのか、どのくらいあって、どうするのかと。株は確かに三〇%ぐらい手に入れられたらしいんですけれども、そういうやつもわれわれにはわからない。シベリアのやつもけっこうです。けっこうだけれども、国境線のパイプラインは、一体、中国とどうなるんだろうか、こういうやつもわれわれにはわからない。国民にはわからない。そうすると、一番心配しておるのは国民ではなかろうか、こう思うわけなんです。 特に、石炭についても見直さにゃならぬといまおっしゃったけれども、二千万トンを下らないという政府の大前提のもとに、二千万トンの線で着々といまいっとるわけなんです。実際二千七百五十万トン、ことしで三百万トン閉山すると、そうすれば二千四百万トンになる。二千四百万トンというのは現実の問題であって、石炭は掘れないようになる現実がたくさんある。そうすると、そのままほっておいても二千万トンを下っていく。そのころになって、やあ油が高くなった、油が入らないようになった、石炭を掘れといっても掘ることはできないんです。いまの場合になぜもっと考えないのか。あるいは十年なら十年先に、石炭はこのままでは公害がある、石炭の生だきは困ると、それならこれを液化する、ガス化するということがアメリカでも盛んにもう研究されておるんです。 〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕 そうして、これが五年後には、石炭はガスでたこう、液化しようということになって石炭を全部確保しておるのに、日本は、どんどんつぶせつぶせといっておる。そうして質問すれば、大臣は、ちょうど評論家が言われておる、あるいは新聞等で指摘されておることを率直に言っておられるけれども、政策面では何もあらわれておらない。私、これが一番心配なんです。だから大臣は、先ほどおっしゃられたような気持ちならば、一体どうするんだということをはっきり言ってもらわなければ困る。油が七億キロも八億キロも十年後入ってくる見通しがあるのかどうか。また、そういうのに、それだけわれわれは経済の動脈を向こうに握られてしまっていいのかどうかと。そのためには、日本の国内資源というものは極力いま守らなければ、守る時期が失してしまうんじゃないか、私はこう思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も同感でございます。いま申し上げましたように、需給関係を見ると、大きな油田が世界のどっかにでも発見されない限りは、非常にきつくなってくると思いますし、それから値段も高くなってくるという危険性もございます。したがって、エネルギーの総合的活用ということをいまから考えなければならぬ時期でありまして、その中には資源の節約ということも入ってくるわけであります。そこで、火力、水力、石油、それから原子力、あるいはそのほかの燃料等について、大体、どういうスケールでこれを開発して、確保していくかという大まかな計画をつくってみて、そしてそれを追求していく、そういう考えに立っていきたいと思っているわけです。それで大体、産構審等におきまして、エネルギー需供等の計算をし、またエネルギー関係の委員会におきましても、大体のエスティメーションをしているわけでございますけれども、いま申し上げたようなラインが大体のラインであるわけです。ですから、このラインに沿って、いろいろな各部門部門について懸命に手当てをしていくということをやっておるわけです。 この中でウラニウムのことがあまり出ておりませんが、ウラニウムも非常に重要なファクターになって、これはアメリカとの間で共同濃縮工場をつくるという話を、いま、そろばんが合うか、話が合うかやっているところでもあります。ともかく、そういうふうに、日本のエネルギー問題というものは日本の存立にかかわるような大問題に発展する可能性もございますから、われわれは通産省内部においてもそういう基本的体制を固めようと思いまして、今度はエネルギー庁をつくって、そのエネルギー庁で本格的に取り組む体制をつくらせたい、そう思っておるわけです。できるだけ早い機会にエネルギー白書のようなものを通産省でもつくって、国民にも訴えて、そして官民おのおのどういうことをやったらいいか、事態の真相を国民に知っていただくと同時に、われわれの努力の目標を明らかにしたい、そう考えておるわけでございます。
○阿具根登君 その大臣の考え方は、私、まことにけっこうだと思うのですけれども、まあ、エネルギー庁ができるのも今国会できまるでしょう。それもけっこうだけれども、それから対策を考えていくんだではもうおそいと私は言うわけなんです。ここでやっぱり一つの決意を持って、どうあるべきだということを打ち出しておかねば、私はいつでもおそいと思うのです。だから、もう理想だけは非常にいいのです。列島改造論と、こう非常に歯当たりのいいことを言って選挙された。ところが、土地には何の対策もなかったので、土地はぼろくそに上がってしまった。上がることはわかっているのです。上げろと言わぬばかりの政策なんです。今度は、まあ物価が非常に高くなった。大豆がどうなったと、とうふが五十円が百円になったと、そうしたら今度はあわてて、商社が買い占めをやったからどうだこうだとなるわけなんです。あたりまえのことなんです。何でも後手後手で、一応もうけるだけもうけさせてしまって、国民がみんな塗炭の苦しみになってきてから、どうするんだ、ああするんだと、こう言っておられる。私は、燃料の問題もエネルギーの問題も、そうなりはせぬかと思うから言っているわけなんです。 ちょうどこの物価高の問題も商社の問題もそのとおりです。モチ米まで買い占めをやる。うまいときたら国民の食う米まで買い占めますよ、日本の商社なんというのは。国民を犠牲にして、そして自分たちがもうければいいというような悪どいやり方をやっている人がおるんです、全部じゃないけれども。国会でもうんと指摘されておるんです。そうすると、油だってそうなってくると私は思うのです。日本は外国に行って、アニマルといって笑われておる。悪徳商人と言われてますよ。そういうやり方をやらねばならぬようになってくるのが私は見えておるような気がするから、いま何とか大きな手を打ちなさらぬか。エネルギー庁ができてもけっこう、それから今度スタッフを集められて研究されるのもけっこう。しかし、そのときはもう手おくれになってきますよ。私はそう思うのです。だから一いまどう打つんだ、短期にはどうするんだ、中期にはどうするんだ、長期にはどうするんだと。それは中期以上には太陽の熱もあるでしょう、地熱もあるでしょう、あるいは海水もあるでしょう、そういうやつがたくさん出てくるようになってくると思います。 しかし、そういう夢ばかり与えておっても、現実、油が来ないようになったらどうするか。アメリカがこういう政策をとってくれば、中近東の油は、おそらくアメリカが相当な力でアメリカに持っていくと思うのです、私は。いろんなものを見ても大体書いてあります。そうした場合に、日本は一体どうするのか。石炭はつぶすだけつぶしてしまった。ドイツで一億トンですよ、いま使っておるのが。英国で一億四千万トンですよ。アメリカで六億トンです。それが日本では二千万トン。そうして、おっしゃったように八五%油を輸入せにゃならぬ。一番輸入せにゃならぬ日本が一番石炭を押えてしまっている。フランスでさえも二千四百万トンたいています。どうしてこれがこのままやっていって、そうして、いや、エネルギー対策考えております、こういうことを言えるかと思う。現実に全然合っておらない、こう思うのですが、間違いでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) お説のとおりであると思います。私は私なりに自分で考えて、また事業にいろいろ指示をしてやっておるのでございますが、まず第一に、油の問題については石油公団を中心にいろいろ調節させまして、海賊行為が起こらないようにしながら交通整理をやらしてやっておるのです。しかし、やっぱりいい話というものは、商社やそういう人たちがつかんでくるものでありまして、国際的な商行為の中でそういう利権やらコンセッションというのは出てくるものでありますから、これはできるだけ自由にして、情報だけは大体石油公団を中心に一カ所に集中して、そして能率的にこれを獲得できるようにいまやっております。最近、いろいろそういう思い切った、どこからでも情報を手に入れて、ともかく、当たるだけ当たってみろという方針でやっておりますので、油やガスの問題がかなり方々じゅうから話として入ってきておりますけれども、しかし、確実なものというものはそう数あるものではござ いません。それをえり分けながら、毎回毎回その情報のストックをふやしながら積極的にやらしておるというのが現状でございます。私は、着任してからずいぶんいろんなそういう話を聞いて、当たらしたり、突っ込んだりやらしておりますが、わりあいにいろんな面で芽が出てきているように思います。 それからウラニウムの問題は、先ほど申し上げましたように、これもアメリカ、フランスとの間で協定を結び、またオーストラリアとも協定を結びまして、国際的にある意味においては牽制させながら低廉なウラニウムを獲得するということをやっておるわけです。また、一面において、国内の遠心分離法を発展させることによって、こちらのネゴシエーションの立場も強めておかなきゃならぬ。そういうことで遠心分離法にも実はかなり力を入れてやっておるわけであります。それで、アメリカとの関係では、アメリカが濃縮ウラン工場を民間に移譲するという方向に政策が変わってまいりまして、その移譲先やら移譲の条件がまだアメリカではっきりきまっていないのです。こちらのほうはちゃんとそういう調査会及び交渉機関をつくりまして、藤波君という科学技術庁の前事務次官をリーダーにしまして体制ができて、アメリカに二回ぐらい渡ってそういうネゴシエーションを始めておりますが、これもやはり原子力の濃縮ウラン、特に、一九八〇年代以降の燃料を確保するためにやっていることであります。 それからガス及び油につきましては、ただいま申し上げましたが、これはシベリア、あるいは中国、あるいはオーストラリア、あるいは南米のベネズエラやあるいはペルー、ともかく、世界じゅうから国境を越えてこれは獲得するという算段をやろうということでやっておりまして、シベリアの開発についても、そういう取引条件が合えばわれわれは積極的に推進していく考えを持っておるわけであります。中国につきましても、良質な油がだいぶ増産されてきたようでありますから、できるだけ多量に日本にも供給してもらえるように話を進めておるところでもあります。 それから石炭の問題、先ほどお話になりましたが、私もそういう点では同感のところがあるのであります。やはり国の存立に関する基本的な問題というものは、一時的な雲烟飛動によって妨害されてはならぬのでありまして、たとえば米の問題にしても、一時、米が余って困った困ったといっていましたが、最近またこういう状態になって、ある程度の恒常的ランニングストックを持っておらなければ、国家の存立自体にかかわるということがはっきり出てまいりました。あるいは鉄道にしましても、赤字線がいかぬとか何とか言っておりましたけれども、最近は自動車のはんらんにつれて、地方線というものが開発あるいはその他の点でも見直されてきておるわけであります。基幹的な要素というものは、明治以来ずっと続いてきたものの中には非常に大事なものがやっぱりある。 石炭の問題も同じであって、一時、石油とかその他が安くなったというので、幻惑されがちでありますけれども、いざというときのことをいろいろ考えてみますと、日本の国内の非鉄金属にしても石炭にしても、非常に重要な資源である。必ず見直されるときが私は来ると思います。そのときになってあわてふためいてやるのでは政治ではないと、そういう気がいたしまして、第五次答申というものは最低線として、あれより上に新しい世界のエネルギー事情の変化に対応するという考えをもって第五次答申というものを解釈しながら進んでいかなければいかぬと、そう私は考えておるところであります。
○阿具根登君 おっしゃるとおりですがね、第五次答申の中心になっております二千万トンを下らないというのは、いまの総理大臣の田中さんが通産大臣のときにここで約束されたわけなんです。これは非常に政治的な意味があると思います。そうしませんと、せっかく審議会が苦労して出していただいた線が、ぴたっと二千万トンなら二千万トンと、二千五百万トンなら二千五百万トンとこうやっておればなかなか動きにくいから、私は、その幅というものを非常に期待しておったわけなんです。ところが日本は、いまおっしゃいましたように、石炭はわずか総エネルギーの一〇%足らずですね、外国から輸入しておる石炭なんかもありますから。そして、日本の石炭の埋蔵量は大体二百億トンといわれております。そうすると、事エネルギーに関する限り、現在で一番安定しているのは石炭だと思うのです。その石炭を閉山のほうに持っていって、合理化ということで閉山に金をふんだんに使われて今日まできたわけなんです。だからその趣旨に沿って経営者諸君みなが非常な石炭に対する魅力を失ってしまった、こういう状態なんです。 そうすると、二百億トンもある日本の石炭は見返りもせずに、手っとり早い外国の石油だけに依存していく。こういうようになってくると、外国から石油を買うのをやめろというわけではありません、当然足りないやつは買わねばなりませんが、しかし、アメリカで言う意味と日本で言う、私の言う意味とは違いますけれども、アメリカは二五%しか輸入していないのが五〇%になったならば、国の安全保障の面からもたいへんなことだといって国民は騒いでおるわけで、大統領はこれを言っておるわけなんです。責任のある長官はそれを言っておるわけなんです。だから、国内の資源があるんだから、石炭にすれば気の遠くなるほどの、何兆というぐらいあるわけなんです。六百年分かあるということが報道されております。だからそういうものを使おうじゃないかということで、逆に十年後にはいまの倍近い石炭を使いますよと、こういうことを言っておるわけなんです。 で、いままでは、石炭が高かったけれども、これからは油が高くなりますよ、重油が高くなります。そして外国から買わねばならぬようになるから、石炭に投資してもこれは決して損ではありません。これは英国でも言っております。石炭保険だと言っております。そういう現実の問題から踏まえて将来の問題を日本よりもたくさん資源を持っておる国がやっておるのに、資源のない日本がたった一つの資源の石炭を二千万トンでぶち切ってしまうと、こういうことをやっておって、さあ油が足らぬから石炭よといった場合に、石炭が出るか、出ません。今日のようにみじめな姿になされた石炭は、おそらく出してくれる労働者も少なくなるでしょう。おらないでしょう。また、今日のような状態であるならば、おそらく私は、いよいよ油が窮屈になってきた、これはたいへんだというようになってきてから石炭を出せといっても、これは間に合うものではありません。そこにあるものを取るようなものではありません。だから、外国でさえそうやっておるのに、一番資源のない日本が日本の資源を何にもならないような、使いものにならないような今日のこの姿勢というものは、おそらくはんとうに私は悔いを残す結果になりはしないか、こう思うわけなんです。 大臣は教科書を読むように言われるけれども、そういう問題ではないと、もっとせっぱ詰まって考えていいのではないか。アメリカは、何回も言うとおりに大統領でさえエネルギー白書を出すと言っているんですよ、教書を出すと言っているんです。そして、長官は国民に訴えている。英国は英国で石炭に相当な金をかけておるけれども、これは長い将来で見てください、保険をかけておるようなもんで、英国のエネルギーをこれで確保しますということを言っております。ドイツだって一億トンの石炭を確保しなければならない、こう言っておるんですよ。それなのに日本はひとつも進歩がない。言うことだけは言うけれども、石炭をどんどんつぶしていっておる、こういう状況なのです。で、それは審議会からの線も出ておりますし、大臣がここでこれを幾らにしますということは、これは言えないでしょうけれども、しかし、ものの考え方なんです。いまから先の石炭をこれ以上閉山していくならば、おそらく私が心配しておるように、二千万トンから切るような状態になります。二千万トン確保するとおっしゃっても、当然つぶれる炭鉱はつぶれていくんです。石炭がなくなれば掘るわけにいきません。危険が増大すれば掘るわけにいきません。だから、相当の余裕のあるところでとめておかなければ、二千万トンの線ですらあぶないです。それをとんとんと合理化方面に持っていかれるから非常に災害も多くなってくる、日本の将来の経済面から見ても非常な不安があると、こういうことを強く大臣に私は申し上げまして、私の持ち時間も終わりましたので、いずれ機会を得ましてウランの問題もやりましよう、太陽熱の問題もやりましょう、地熱の問題もやりましょう、海水の問題もひとつうんと論争してみようじゃありませんか。しかし、現実の問題を忘れずに論争してみたいと思います。 以上につきまして、お考がございましたらお示し願います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 阿具根委員の考えには私も非常に共鳴をいたします。私は行政の責任者でありますから、単に考えだけ持っておってはならぬものでありまして、そういう考えを基本に置いて、ぜひ政策として実現するほうに努力してみたいと思っております。
○中尾辰義君 私は、先ほどもこの生活必需品の問題で、商品投機の問題で質疑がありましたけれども、最近の値上がりはもう本会議、予算委員会等でも論じられておりますけれども、非常にこの消費者あるいは業者のほうから、政府の行政、通産行政等に対する非難が多いんですね。私ども国会におりましても、地方からどんどん電話がかかってくる。これじゃ仕事ができないじゃないか、買おうと思っても品がない、当分商売は休みだというようなことで、これはもう早急に何とかならないのかというような、非常に強い不満の声があるわけです。政府のほうもいろいろ講じてはいらっしゃるでしょうけれども、ここは商工委員会でありますから、この間の投機の原因、それから最近の市況の動向、それから今後の需給の見通し、緊急対策というのはどういうことをやるのか、その辺をセメント、紙、生糸、羊毛、こういう品目別にひとつお答えを願いたいと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 具体的な御説明は政府委員からいたさせることにいたしまして、概況を申し上げてみたいと思いますが、不足の原因はどこにあるかということがまず第一点であります。 〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕 これは物によっていろいろ違いますが、一つには国際的な品不足、たとえば羊毛のようなものについてはそれに当たります。豪州において羊の減産ということが響いてまいりまして、そこに加うるに豪州ドルの切り上げというような問題が入ってきまして、そしてさらに、世界的に天然繊維に対する需要がかなり起きてきた、そういうところから日本の商社等がかなり先物で買い付けまして、それが値上がりを多少誘発したところもありますが、しかし、これはやっぱり実需がかなりあって、そうしてそういう現象、品不足という面から値が上がってきたところもあります。それが日本へ入ってまいりますと投機の対象になってきまして、一月以来ストップ相場になってきておるわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、大体手当てはかなり済んで、たぶん一千万着分ぐらいの洋服に当たる毛はもう日本の国内にはあるのではないかと思われます。したがいまして、金融が詰まってくるとか、あるいはいろいろ調査その他が進んで手元に置いておくことがむずかしくなるという情勢を早くつくり出して吐き出させると、そういうことを私たちは心がけてやりたいと思って、現にやっておるところでもあります。 それから、木材その他につきましては、これは国内の生産計画のそごというものもありましたが、これはまあ輸入を促進いたしまして、少し小康状態を呈してきております。まあ、概して通産関係の品物につきましては、需給の協議会をつくりまして、需要者と供給者を各通産局別に集めまして、いろいろ文句を言わせ、どこに隘路があるかということを相談させ、それで通産当局がその間を調整して需給を円滑にすると、そういうことを各地でやらしたり、それから品物のあっせん所をつくりまして、そのあっせん行為をいまやっております。 それから、セメントのような場合につきましては、そのほかに韓国から一万トンばかり緊急輸入いたしまして、それで中国地方の不足しておるところへ張りつけたりさせております。一部、セメント等のようなものの場合には、この間の鉄道のストライキ関係で貨車回りが悪くなって、それで需給が逼迫したという点もございます。 綿糸、ゴム等についてもいろいろ問題がございますが、そういう具体的な問題、こまかいところについては政府委員から答弁させます。
○政府委員(齋藤太一君) セメントの需給状況でございますけれども、例年一月、二月はセメントの不需要期に入りまして、大体、前年比で申しますと一〇%以下の伸び率にとどまるのが例年の通例でございましたが、ことしは暖冬異変の関係もございまして、ずっと、冬場になりましても工事が非常に活発でございます。加えまして、年度末で非常に公共工事関係が増大をいたしておることもございまして、全国的にこの一−三月需要が急増いたしまして、たとえば一月は前年同月比二二%増、二月は二五%増、三月も大体二五%増の見込みでございまして、こういうふうに非常にまあ需要が予測よりも急増したという事情にございます。 で、こういう状況でございますので、セメントメーカーに対しまして、私ども、フル稼働を行なうように、生産の増大、出荷の促進を指示をいたしたところでございますけれども、たまたま先月から国鉄の順法闘争等かございまして、そのため、ただいま大臣申し上げましたように貨車繰り等が、若干荷繰りが悪くなりまして、そういう影響もまじって出てまいったわけでございます。こういった面に対処いたしまして、私どもは、通産省当局としましては、輸出を今年度大体二百万トン見込んでおったのでございますけれども、これを秋口から輸出をずっと減らしまして、従来月ベースで十七、八万トン出しておりましたのを、ただいまのところどうしても契約の切れない分四、五万トンに押えまして、年度間で百万トン以下に輸出を押えるということで、輸出向けを内需に振りかえております。 それから、災害復旧でございますとか、治山治水といった当面急ぎます工事につきましては、優先的に確保するということで各地方通産局ごとに県当局と協議をさせまして、県から提示されましたこういった関係の工事には、間違いなくセメントをお届けするように取り計らうようにいたしております。そのほかセメント各社間の製品の融通等さらに促進いたしましたり、同時に、業界に対して価格が高騰しないように配慮するように要請をいたしたところでございますが、さらに、今月の上旬に韓国から袋物の輸入を、当面四月までに一万トン入れるようにいま手配中でございます。さらに、この三月が非常に年度末で工事が集中しておりますので、その時期の切り扱け策といたしまして、官公需の中で災害復旧あるいは治山治水といった、当面急を要しますもの以外につきまして、若干官公需を繰り延べるといったような措置につきまして、ただいま関係各省と協議中でございます。また、基本的には業界の設備能力を増強することが基本的な対策でございますので、明年度中に、現在、八千五百万トンの製造能力を持っておりますが、一千万トンの能力増を行なうように指示をいたしまして工事を急がしておりますが、九月ごろまでに七百五十万トンぐらいの能力の増加は可能ではないかというふうに見ておるところでございます。 こういうふうな状況でございまして、この四月、五月、六月は、例年ですとまた若干不需要期に入りますので、こういった設備の増設、あるいは国鉄の順法闘争も解決いたしましたので、逐次需給の逼迫は鎮静化していくのではないか、かように考えておるところでございます。
○中尾辰義君 私、セメントだけ聞いているのじゃないですよ。あと、紙と生糸と羊毛と答えてください。
○説明員(芦野道夫君) 生糸の騰貴の原因につきまして申し上げます。 生糸の需要が最近非常にふえまして、その原因といたしましては、絹織物の消費層の拡大でございます。それから絹織物の高級化に伴いますところの生糸の消費の増大、これが基調になりまして、最近では天然繊維の見直しブーム、それから金融緩和などによりましてきわめて堅調に伸びております。昨年におきましては、四十六年に比しまして二四%増、約五十万俵に達したわけでございます。供給不足の見込みというようなことから価格が騰貴したわけでございます。 それで、価格がどんなふうに推移するのだろうかということでございますけれども、現在、国内の繭、生糸の増強を進めております。さらに外国生糸の輸入の促進をはかっておるのでございますけれども、本生糸年度と申しますと、生糸年度は六月から五月が生糸年度でございまして、ことしの五月までの需給の見通しについて申し上げますと、こういうような供給の増加をはかっておるのでございますけれども、輸入は中国、韓国とも前年とほぼ同じぐらいな輸入しか得られないのじゃなかろうか。それから国内の生糸の生産につきましても、大体、前年と同じぐらいではないかというようなことから、需給につきましてはやはり逼迫ぎみで推移するのではないか。したがいまして、価格も比較的高い水準で推移するのではないかと見ております。しかし、生糸の価格につきましては、一時キロ一万五千円までに上がったわけでございますけれども、次第に鎮静化いたしまして、一万二、三千円のところで現在のところは推移しております。 それで、来生糸年度、ことしの六月から以降の来年の五月までの生糸年度でございますけれども、この見通しにつきましては、需要につきましては昨年、前年よりも大幅に増加するとは考えられませんので、需要は少し減るのではなかろうか。一方、供給のほうでございますけれども、国内におきます繭、生糸の生産対策を現在強力に進めておりますので、供給は、国内の生産は前年よりもややふえるのではないか。増産されることを期待しております。 それから、中国、韓国からの輸入につきましては、極力その輸入生糸の確保につとめることにいたしておりますので、来生糸年度につきましておおむね需給の均衡が保たれるのではないか、こういうふうに見ております。
○中尾辰義君 紙が出ていない。農林省、お見えになっておりますか。
○委員長(佐田一郎君) 木材関係の人、中尾さんの質問に対して……。
○国務大臣(中曽根康弘君) 木材につきましては、現在、商社から問屋への丸太の販売価格は米材、北洋材、南洋材とも製材市況の軟化を反映して下落傾向にあります。一方、商社とも昨年後半の木材相場の高騰等に対処するため積極的な輸入態度を示しましたので、本年三月末から五月にかけて相当量の木材が日本に到着する見込みであります。したがって、四十八年の輸入量は四千六百万から五千万立方メートルとなり、四十七年に比して三ないし一二%増しになると思われます。このように外材の輸入は円滑に行なわれるものと思われますが、木材輸出国の動勢に注意しながら、さらに輸入体制の整備等適切な措置を講じてまいりたいと思っております。
○中尾辰義君 紙。
○国務大臣(中曽根康弘君) 紙はいま呼んでいるそうです。
○中尾辰義君 総括的な答弁は本会議等でも聞いているのですから、商工委員会においてはああいう現地の地元の商売人、業者が納得するようなこまかい答弁をいま私は求めているわけですから、いいかげんじゃ困るんですよ。私らはやはりこれは国民の代表として、地元へ帰りますといろいろなこういったような問題で、一体、通産行政何やってんだとしょっちゅう言われているわけですからね。ですから、きょうはこまかい質問になりますけれども、それを私は求めておるわけですから、めんどうですけれども、会議録にも残しておきたいし、お答え願いたいと思います。 それじゃ紙のほうはあと回しにいたしますが、二、三日前の新聞にも、今度は石油まで火がついちゃって、東京都庁の灯油なんか非常に値上げを要求をしてきているということですが、これは新聞にも出ていますが、これは事情はどういうことなんですか。
○政府委員(外山弘君) 灯油につきましては、ことしの冬は暖冬ぎみに推移しておったものですから、需給がゆるみがちでございまして、在庫も三月一日現在では約百七十万キロリットル、二十三日分に当たる数字が確保されておったわけでございます。ただ、三月中旬以降になりまして、寒い日が続くというふうなこともございまして需要が高水準に推移していった、そのために在庫水準は急激に減ってまいりました。このほか、灯油の需要期も終わりに近づいたために、小売り店からの注文がほとんど小口になってしまい、小口の配送業務がふえて、その反面ローリー車の配送効率が低下しているというふうなこともございまして、一部の地域に品がすれの傾向が見られるということは事実でございます。しかし、私どもの調査によりますれば、灯油の在庫は、三月二十日現在でもその当初よりは若干減りましたけれども、なお百十万キロリッター、十五日分が確保されておりますし、当面の需要には対処し得るものと考えております。 なお、地域的にそういう問題もございますので、一そうの円滑な供給を確保するために、供給する元売り各社に対しまして出荷、配送の一そうの効率化あるいは緊急増産の指示をしておるわけでございます。で、一部の地域に起こっておる問題も、そうした努力でやがて解消していくというふうに考えております。
○中尾辰義君 とにかくこれは、政府に対する評判が非常によくないです。まあ、先ほど大矢君からの質疑にもありましたけれども、これは投機といえば投機でしょう、きたないことばで言いますと、これはばくちですよ。そしてまじめな業者が仕事ができないということでは、まことにこれは大きな社会問題を起こしておるわけです。ですから、根本の元凶は何だといいますと、それはやはり政府のいろいろな、まあ、通産大臣を前にしてうまくないのですけれどもね、調整インフレ的な、あるいはそういうようなことを見越して先買いでやっているのですからね、政府に責任があるのですよ。しかし、いまどうも取り締まる法規もないし、行政指導しかしようがないと、そういうようなことを言っても国民は納得しないのですよ、こういう点。ですから、非常にたいへんでしょうけれども、ひとつ強力なる指導ですみやかに——これはすみやかにと言っても無理かもしれませんが、ひとつなるべく安定するようにやってもらいたいのです。このことについてひとつ通産大臣の答弁をお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろ国民に御迷惑をおかけして、まことに申しわけないと思っておるところです。 一般的に見まして、やはりインフレマインドというものが一面において起き、また一部商社等において投機行為というものによって売り惜しみというような情勢で値が上がっている向きもなくはないと思われます。したがいまして、そういうような屯積類似の行為についてはこれからさらに調査を厳重にして、そういう品物を吐き出させるようにわれわれとしては積極的に努力をしてまいりますとともに、やはりインフレマインドを消す、そういう点についてはある程度金融をセーブして、中小企業のような必要な部分については金融は潤沢にやらなければなりませんが、それ以外の点についてはある程度金融を引き締めながら、そういうインフレマインドを消していく、そういう政策を進めていきたいと思っております。
○中尾辰義君 いろいろと議論はそれはありますけれども、長くなりますので、次に聞きますがね、通産省のほうで商社の買い占めの調査をこの前からやっていらっしゃるようですが、その結果はまだ出てこないですか。大体の概要がわかっておればお伺いしたいのです。
○政府委員(山下英明君) 三日間にわたりまして、六社から事情聴取の形で調査をいたしました。その資料等も、対象が商社の金繰り、それから土地、証券、かつ、主要な投機による高騰があると思われる品物別に聞いたわけでございますが、何といっても対象が大きいものですから、その後追加資料の要求等をいたしまして、現在、一応打ち切りました三日間の調査の総まとめをしておる段階でございます。
○中尾辰義君 それでは、二、三日うちにできるわけですか、今月いっぱいに。できましたらひとつ資料をお願いしたいと思うのですが。
○政府委員(山下英明君) この実態把握という観点からいきますと、非常に困難な仕事でありますので、どこまで追跡追加をしていくか、しかし、そう言っておっては切りがありませんので、どこかの段階で一応打ち切りまして中間報告さしていただきたいと、こう思っております。
○中尾辰義君 それから貿易収支の見通しと今後の円対策、こういった問題について大臣にお伺いしますが、四十八年度の貿易見通しは、輸出が三百三十三億ドル、輸入は二百五十二億ドル、八十一億ドルの黒字とこういうことになっておりますが、これは変動相場移行後どうなりますか。見通しだからこの程度でということなのか、その辺のところをまずお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近の変動相場制後の情勢を見ておりますと、輸出の停滞がさらに顕著になり、輸入の増大がふえてきております。この傾向は当分ずっと続いていくだろうと思います。中間的な数字でよろしければ事務当局から報告させます。
○政府委員(増田実君) 変動相場には二月から入りまして、それから一時中断がありまして、三月、市場が再開になったわけでございます。従来の輸出の先行きにつきましては、三月十九日から再開になりましたあとの輸出傾向というものにつきましては、成約が非常に落ちております。先行きを若干ながめたいということで、成約が落ちております。そういう関係で、ただいま大臣から申し上げましたように、輸出が相当落ちるというふうには私ども思っておりますが、具体的にそれでは今年度の輸出予想数値に対して何億ドルぐらい落ちるかということにつきましては、変動相場の動き、それから欧州のフロートの動き、その他全部勘案しなければなりませんし、また、現在のところ、商社その他の成約が非常にとまって模様ながめになっておるということで、何億ドルという数値というものはまだ計算いたしておりません。ただ、大勢といたしましては、輸出が相当落ち、また輸入のほうが、変動相場で実質的にはドルが安い円で買えるということによりまして、相当大幅にふえるという傾向は出ておりますが、具体的に現在の輸出見通し、あるいは国際収支見通しがどれくらい変わるかということは、三月末の現在では計算ができておりません。 以上でございます。
○中尾辰義君 それじゃ、八十億ドルの黒字ですが、これは地域別のあれを見まして、どういうような数字になりますか。特に日米貿易の収支の見通し、こういう点をひとつ。
○政府委員(増田実君) ただいま中尾先生のおっしゃられました黒字は、これは総体の黒字だけを出しておりまして、市場別には出しておりません。ただ、従来の傾向からいいますと、大体アメリカに対する輸出の、総輸出に対する率と申しますか、パーセンテージというものがありまして、これによりますと三十億ドルと四十億ドルの間という数字の貿易収支という数になりますが、ただ、御存じのように、今度の変動相場、これはアメリカに非常にひどく大きく出ておりまして、少なくとも昨日の相場からいいますと二百六十五円、約一五・数%というのはこれは対米貿易に響いてくるわけですが、欧州のほうにつきましては、欧州も一応変動相場に移りまして、日本との間の格差はそれほど開いておらない。そうなりますと、従来アメリカへ輸出されたものが、輸出価格が不利になった場合にはどうしても欧州のほうに移るということになります。その意味で、アメリカとの間の貿易収支というものは、この変動相場移行によりまして相当な影響を受けるということが言えると思います。
○中尾辰義君 私がちょっと見たこの数字は、日米貿易の収支は、一九六〇年が二億ドルのこれは輸入超過になっていますね。それから七〇年代になりまして、ずうっとふえて十二億ドルの輸出超過、七一年が三十二億ドル、七二年は大体四十億ドル前後ではなかろうかということですが、こういう点から見てどうお考えになりますか。
○政府委員(増田実君) ただいま先生のおあげになった数字のとおりでございまして、四十七年度、つまりことしの三月をもって終わります年度の日米貿易というものは、四十億ドル近くなるというような数字になっております。 それから、従来、対米貿易につきましては、過去は日本の大幅赤字であったわけでございまして、御指摘のように、四、五年前からこれが黒字に転換いたしまして、それが非常に大きな数字になっておるというのが現在まで来ました日米貿易の推移でございます。ただ、今後の問題といたしましては、私どもは、日米貿易のバランスというものが改善の方向に行くと、こういうふうに考えております。
○中尾辰義君 変動相場といいましても、実質上の切り上げということですけれども、スミソニアン合意以後すでに一年数カ月を経過しているんですか、各国は——各国、特に日本かこれは一六・八八%の切り上げ、ドイツもあるいは米国にいたしましても、それぞれ調整をしておるわけですけれども、この一年間にどういうような経過をたどっておるのか。いわゆる切り上げの効果というものを私はいま聞いているんですがね。それはまあ通産大臣が、円の切り上げなんて、そういうものはすぐ結果が出るものじゃないとよくおっしゃっている。二、三年ぐらいはかかるんだと、こういう答弁をよく承っておるわけですが、それを裏書きするように、昨年はかなりの日本は黒字を出しておるわけです。じゃ、外国はどうなんだ、それが一つと、円切りをやっても二、三年の間はなかなか輸出が減るような数字が出てこないというのはどういう理由に基づくのか、その辺のところをちょっとお伺いしたいのですが。
○政府委員(増田実君) まず、日本における効果と申しますか、スミソニアンの合意によりまして一六・八八切り上げをやりましたあとの結果の数字について簡単に申し上げますと、昭和四十七年、つまり、昨年の一月から十二月の全体の日本の輸出を申しますと、一九%の伸びでございます。この意味におきまして、スミソニアン合意で一六・八八の大幅な切り上げになったにもかかわらず、輸出はあまり減らないじゃないかということが普通いわれております。ちなみに四十六年を申しますと、二四%アップでございますから、その次のスミソニアンの合意以降の一年間がいま申し上げましたように一九%アップというのはそれほど減っておらないと、こういうことが一応出ております。ただ、これはドル価格で計算いたしておりまして、円価格で計算いたしますと、四十七年の一月から十二月の一年間の前年対比の輸出の伸びは四・九%ということになっております。ですから、その意味では、実質ベースではそれほど輸出が伸びておらない。ただ、切り上げがありましたために、それぞれ輸出単価が上がります。その結果、輸出金額をドルで表示いたしましたときには一九%アップということになっております。 なお、輸入について申し上げますと、輸入も一九%の伸びでございます。ただ、これは、四十六年の一年間の輸入はわずか四・四%アップ、これは不況の影響もございましたのですが、輸入については相当な伸びが一応出ております。 それから、ただいま先生のお尋ねのように、切り上げやれば直ちに効果が出るはずなのに、実際にはその効果が非常におくれて出るということでございますが、私どもがいろいろ聞いておりますところでは、従来の切り上げ、切り下げをやりました欧米諸国におきましても、切り上げ、切り下げの直後はむしろ逆に出てくるということで、いわゆるJカーブ・エフェクトということがいわれておりますが、切り上げをやりましても、貿易収支の黒字というのが減らない、あるいは切り下げをやっても赤字が減らないで、かえってふえるという効果が数カ月出てくるのが従来の経験から実績として出ております。私どもは、一応切り上げ、切り下げの効果はやはり一年半後に出てくる。それで、その理由といたしましては、値上げをいたしまして、それが向こうの市場で拒否されて、そしてほかの国から買うという転換までには相当な期間かかるということで、直ちに切り上げ、切り下げの効果が出てこない、つまり市場転換のタイムラグというものが相当期間を要するということであると、こういうふうに解しております。
○中尾辰義君 いま繊維局長がお見えになりましたので、紙と羊毛のことについてひとつ……。 それでは大臣にお伺いしますが、要するに、円切りをやりまして、事実上の変動相場が円切りになるわけですけれども、これは二、三年の間はなかなかそう貿易の面にはっきりした数字が出てこない、見違えるような数字は出てこないということはよく承っておりますけれども、それならば、やはりいつまでも日本が大幅黒字をやりますというと、通貨調整の会議の場においていろいろまた非難も絶えぬのは当然であるし、かつまた、今後の大幅切り上げというようなことの理由にもなるわけですから、今後、円切りをやったから、貿易の面における規制という面をどういうふうにお考えになるのか。第三次円対策もことしから行なわれておりますけれども、自由化の問題あるいは貿易管令の問題等も、どうも新聞等を拝見しておりますというと、はっきりした線が出ておるような出てないような、貿管令をとりましても、変動相場になったからもうやめようかと、しばらくするとまた財界から圧力かけられて、しばらくは続けようとか、そういうような、どうもはっきりしてないように思いますので、円が変動相場に向かいました今日における円対策ですね。輸入の自由化、あるいは貿管令等をどういうふうに推進をなさっていかれるのか、その辺、ひとつお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 貿管令は、当分の間このまま持続していきたいと思います。実は、貿管令をやるときに、関係業界を説得します際に、平価調整があった場合にはこれはやめると、そういうことで説得いたしました。そういういきさつがありましたものですから、ああいう円調整がありましたときに、すぐ続けるとは言い得なかったわけです。業界やそういう関係業者に対して、こういう状況だから続けるという理解をしてもらう時間が要るわけでありまして、それですぐに持続するとは言えなかったわけであります。しかし、大体話も終わりまして、このまましばらく続けていくということで御了解願いたいと思うわけであります。 それから、貿管令をしばらく続けていくと同時に、やはり日本の円の切り上げ率をあまり大きくしない、そういうことが必要でありますという見地から、これは貿管令の問題も持続するというふうに考えておるわけでありますが、それは、アメリカが拡大通商法を提出してそれを実施するという場合に、日本に被害があまりこないようにしたいという気持ちからであります。拡大通商法の内容はまだはっきりしませんが、おそらく、大統領にガットの交渉権を与えるに際して、たとえば輸入輸出、輸入の際の関税の増徴、あるいは割り当て制度、あるいは課徴金制度、そういうようなものを与える可能性があります。そういう場合に、日本だけを目ざした差別的な制度をやられるということはわれわれとしては適当でないと考えております。そういうことをやらせないという意味もあって、アメリカの態度をわれわれは非常に注目しておりますけれども、日本としてやるべきこともやっておかなければならぬ、そういう気持ちも反面あるわけです。したがいまして、一面においては貿管令を持続するとともに、このコンピューターや、あるいは電算機の自由化の問題についても、いままでアンタッチャブルであったものをこれを手をつけると、そういう決心をしまして、国際水準並みの方向に移動していこうと考えておるところであります。ただ、いつ、どの程度やるかということは、相手もあることでありますから、いろいろその動向も見守りながらわれわれは総合的な対策の一環としてその処置をしていきたい、そう考えておるところでございます。
○中尾辰義君 貿管令をいつまでやるか、しばらく続けるということですが、しばらくというのは、新聞等を見ますと、まあ八月ぐらいというようなことも書いてあるようですが、その辺はどうなのか。なお、ことしの秋は、アフリカのナイロビにおきましてIFMの総会もございますし、その辺の牽制策になるのか、お答え願いたい。 それともう一つは、これは大臣の真意を聞きたいんですが、十三日の閣議後の記者会見で、あなたは、電算機あるいはICの輸入自由化は単独では決めず、資本自由化などを組み合わせて総合的な対外経済政策の一環として実施したいと、こういうような趣旨の発言をしていらっしゃるわけですが、これは大蔵、農林省関係を含めて総合的な第四次対策をと、そういうようなお考えになっていらっしゃるのか、その辺のところをですね、真意を聞きたいんですが。
○国務大臣(中曽根康弘君) あのころは、一体、円の変動相場制をいつごろまで持続させるものか、そういうことをいろいろ考えておりまして、いつまでもそう持続させることが適当ではないんではないか、国際関係がそういうふうになってくるんじゃないかと、こういう気持ちもいたして、観測をしておったわけであります。それでまあ、でき得べくんばアメリカの拡大通商法その他に対する影響等も考えて、ばらばらに政策をやらないで、一括して政策を出したほうが効果がある。そういう意味で、輸入の自由化、資本の自由化、あるいはそのほかの必要な措置ということも並べたてたらどうだと、正直に申し上げますと。それで、その中に、コンピューターやICのようにアメリカが非常に欲しておるものについてももはや踏み切って具体策を考えよう、そういう姿勢をまず示そう、そして業界にもその辺をきめさせよう、そういう考えでああいう発言をしましたし、また、それを実行しようと思っておるところでございます。ですから、コンピューターやICだけを切り離してやるというよりも、諸般の政策と一括してワンパッケージでそういうものを出すほうが適当ではないか。たとえば資本の自由化の問題もございますけれども、そういうものもやるなら一緒にやったほうが適当ではないか、そういうふうに考えておるわけであります。
○中尾辰義君 そうすると、大臣のお考えでは、第四次の円対策といったようなものを出したいと、これにはかなりのいろんな抵抗もあるんじゃなかろうかと思いますが、それは私はきょうは聞きませんけれども、出すという方向、そういうようなお考え、決意等持っていらっしゃるわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) そうです。
○中尾辰義君 時間がありませんので、最後に一つ。 これは日中貿易協定のことですが、これは、先般、あなたも中国に行かれましたし、なお、中国大使もお見えになったようでありますし、今後どういうような進め方をおやりになるのか。まあ、平和条約の前にやるのか、それとは関係なしにもうどんどん進めていかれるのか、その辺の見通し等をひとつお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関係なしにどんどん進めていきたいと思っておるところです。それで、先般、参りまして、両方で案を出し合おう、そういう話がありまして、事務的に、大使も参りましたから、詰めていこうと思います。で、できたら夏ごろまでに事務的な折衝を一応終えて、覚え書き協定が一年しかもちませんから、やはり九月、十月ぐらいは政治的レベルでもし案件が残っておれば解決しなければならぬと、そんな段取りでものを考えております。
○中尾辰義君 それじゃこれで終わりますが、繊維局長、さっきの紙と羊毛につきましてお答え願いたい。それは最近の騰貴の原因と市況の動向、今後の対策、そういったものを、一括して、要点だけを言ってください。時間がありませんから。
○政府委員(齋藤英雄君) 羊毛、毛糸の点につきまして最初に申し上げます。 現在の原毛の価格でございますが、四十六年の十月当時おおむね百三十セント程度でございます。ポンド当たりでございます。それが現在は、おおむね五百セントないしは場合によっては六百セントをこえておるという、相当高騰しておることになっております。それで、その原因は、世界的な景気動向と申しますか、によりまして、羊毛、原毛の需要が国際的に非常にあったということが一つでございますが、それに、その中で特に天然繊維に関するブームが非常にあったということでございます。 それから二番目には、ことに豪州の特殊事情でございます。豪州におきましては、一昨年から羊の飼育頭数がかなり減ってきております。それは、一つは、その当時原毛が安かったということがございますと同時に、干ばつが相当長い間続きました関係で羊の飼育頭数が減ったわけでございます。したがいまして、需要の面は強くなり、供給は減ると、こういうことでそういうふうな高騰になったわけでございます。なお、それにつけ加えまして、これは日本だけではございませんけれども、各いろいろな商社がやはり先高を見越しましてかなり買い進んだということも、これは見のがせない点であろうかと思います。それが原毛でございますが、それに従いまして、当然毛糸も同じように高くなってきております。 毛糸は、四十七年の一月ごろおおむね千円前後でございましたものが、最近、取引所が三月に至りまして閉鎖されておりますが、気配で申しますと、やはり三千円をキログラム当たりこえておる、こういう値段でございます。私どもから見ましても、これはかなり高い値段ではなかろうかと思います。これは先ほど申し上げましたような原因、原毛が高いということ、それから毛糸自身につきましても、やはり天然繊維ブームということで非常に毛糸の需要が高いということ等でございます。そういうことで非常に高くなりました。それにつけ加えまして、やはり国内の景気上昇等の原因によりまして、国内でも毛糸がかなり買い進まれたということも、これも一つであろうかと思います。そういうふうな原因で高くなってまいりました。 私どもはそれに対しまして、まず、商品取引所におきまして種々の過当投機の防止対策をとってまいりました。たとえて申し上げますと、四十七年の九月からすでに証拠金の割り増しをいたしましたし、それから本年の一月では当限だけでございますけれども、実質的な丸代金の徴収をいたしました。それからことしの三月には臨時の立ち会い停止をいたしました。現在、取引所は一応臨時閉鎖をしておるということでございます。なお、これは四月の二日に一応再び開始をいたす予定になっております。 それから二番目に、そういうふうな過度のいわゆる買い進みがあるということでございますので、私どもは原毛の輸入業者あるいは羊毛紡績の両業者に対しまして、これは原毛の輸入業者には平均して買い付けをするようにという、いわゆる自粛通牒を出しております。と同時に、買い付けの実績を私どものほうに報告をするようにということで協力を願っておるわけでございます。それから毛紡績の皆さんに対しましては、やはり同じように、現在そういうふうに高くなっているということに関しまして、やはり紡績業者としては社会的責任を感じて、これは自粛をするようにということを申しております。 三番目に、そういうふうな高く、かつ、いろいろ場合によりましては、品がすれという声も聞くわけでございますので、私どもといたしましては、原毛のあっせん所を新しく開設をいたしまして、ことに中小企業者が現に糸が足りないという場合には当該組合を通じて申し出をすれば、これはあっせんをするという制度を新しく設ける予定でございます。これはすでに要綱ができ上がっておりまして、近日中に発足する予定でございます。 それから四番目に、毛糸に関しましても需給協議会というのをつくりまして、これは実はあしたやる予定でございますけれども、現在の生産、需要等の状況を需要者、供給者それぞれ寄りまして協議をいたしまして、この鎮静化をはかるということを私どもは心がけておる次第でございます。 羊毛、毛糸は以上でございます。 紙のほうの事情につきまして、簡単に申し上げます。 紙は、値段の状況を申し上げますと、一番従来ポピュラーな品種といたしまして、いわゆる印刷用紙の上質紙というのが一番ポピュラーでございますが、その値段は、四十六年の十月当時おおむねキログラム当たり九十円前後でございましたものが、現在百円をちょっとこえておるということでございます。それ以外に産業用紙といたしましては、両更クラフトあるいは中芯原紙等ございますが、ことに中芯原紙は非常に需給がタイトになっております。 この原因でございますけれども、これは一つには、過去数カ月にわたりまして、やはり原料になります原木がかなり高くなったということが一つと、二番目には、やはりこれは当然公害対策ということをいたさなければいけませんので、その公害対策費にかなりの金をつけておるということが一つ。それから三番目には、やはり最近、需要がかなり旺盛になってきた、こういうふうないろんな原因、コストアップと需要強化、こういうことが重なりまして、値段が高くなっておるわけでございます。 それで、これを私どもは現在いろいろな手段を考えておりますけれども、たとえば原木につきましては、これは海外からチップとしてかなり現在も二割くらい輸入されておりますが、この量をもう少しふやして、海外からの原料の輸入の増加をはかるというようなことも考えております。かつ、現在、これもいまやっておりますが、段ボール関係におきましては需給協議会を設けまして、それで需要供給の関係を精査をいたしまして、かつ、消費者の皆さんの声を聞いてそれに応ずるようにということで、いま現在もやっておりますが、そういうことの協議会を設けて進んでおるわけでございます。将来、設備の増設の点につきましては、いまの公害問題等がございますので、そうはかばかしくいくというわけではございませんけれども、足りない品種を、転抄と申しまして同じ機械で足りない品種のほうに転換をしてすくというふうなことも考えております。そういうふうなことで、供給面につきましても増加をさせるようにということを心がけておる次第でございます。 簡単でございますが、一応御説明を終わります。
○委員長(佐田一郎君) これから峯山委員の質問に移りますが、その前に、政府側に、ひとつ懇切丁寧な御説明もけっこうでありまするけれども、非常に法案もことしは多いことでございますし、また、委員さんにもそれぞれ時間の制限をしておりますので、要点のみ簡潔にひとつ満足のいくような答弁をしていただきたいと思います。ひとつお願いをいたします。
○峯山昭範君 いま委員長からもちょっとお話がございましたけれども、私は、十分で終われ、二十分で終われと言われながら質問するのはほんとうはいやなんですけれどもね。委員長、やっぱり総括質問というか、予算委員会でいうたらそんなものですよ。所信表明に対する質問なんですからね、もうちょっと余裕を持って二、三日やったらどうですか。それは理事会できまったとおりやらなければならぬと私は思うのですよ。それはそのとおりだと思うのですけれども、大臣の質問に対して少なくとも二、三日とって、法案に入る前にあと二、三日やればいいのです。そして、それぞれの商工委員会の委員の思っていることをやっぱりこの際、法案もたくさんありましょうけれども、初めにがっちりやってもらったほうがいいと思うのですよ。それはそういうぐあいにやってもらいたい。私は、委員長にそういうぐあいに要望しておきます。 それでは、時間の関係もありますので、さっそく質問に入りますけれども、端的に申し上げます。まず、大臣の所信表明の中の「国内における重点施策」というのがありますが、このまず第一点と、第二点及び中小企業の問題であります第四点についてお伺いしたいと思います。 それで、大臣が所信表明の中で述べていらっしゃることは、私は、文章上は非常にりっぱなことだと思います。文章上だけではなくて、実際もこういうぐあいに考えていらっしゃるだろうと私は思うのですけれども、まず第一点の「健康な国民生活と美しい国土の回復を目ざし、産業活動等に伴って発生する公害を徹底的に防止し、無公害社会を建設することであります。」と、こうあります。その続きももっとあるわけですが、初めに大臣、この問題についてお伺いをしたいのですが、最近、特に公害問題がやかましくなってまいりました。特に私は、通産省のいわゆる通産行政として言えますことは、最近の水俣病を中心にしまして、ああいうふうな公害の問題ということになってまいりますと、いわゆる企業の生産増強といいますか、そういうふうなものと、それからもう一つは、人間の生活あるいは生命を守るという点と二つがやっぱり競合してくると私は思うのです。ここら辺の問題については大臣はどういうぐあいにお考えになっていらっしゃるか、初めに、所信表明の中にも明らかではありますけれども、あらためてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) もちろん、福祉を優先させて考えていきたいと思います。
○峯山昭範君 そうしますと、大臣、私はきょうは端的に例をあげたいと思います。時間の関係もありますので簡単に申し上げますが、まず、大臣、最近非常に大きな問題となっておりますものの中に洗剤の問題があります。先般から、閣議等でも取り上げているようでございますが、洗剤については大臣は、あれは、洗剤といいますとあれですから、もう少し具体的に申し上げましょう。いわゆる、もう少し具体的に申し上げますと中性洗剤ですね。もっと申し上げますとABSにしぼりたいと思います。まあ、LASでもけっこうですが、これは安全であるとお考えでしょうか、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中性洗剤の毒性については、衆議院の科学技術特別委員会でこれを問題にしたことがございまして、私もその点については非常に関心を持ちました。都の衛生試験所の柳澤博士という人がまずこの問題を唱え出しまして、その論文も私は読んでみました。そして、血液中に混合して変化しているといういろんな理論を本人からもいろいろ聞いたりして、そして厚生省等にも問いただしてみました。しかし、厚生省側の見解は、毒性がないと、そういう見解でありました。私は、はたしてそれでいいのかなという気がいたしましたが、しかし、一応そういう官庁の専門家がそういうことを言っておったもんでございますから、その議論に一応服してきたというのが正直な現状でございます。しかし、洗剤を使うと手が荒れるとか斑点ができるとか、そういうことは前からも言われておりました上に、最近は化繊に対するいろいろな影響等々考えてみたり、井戸に対する浸出状態というものを考えてみると、やはり洗剤の問題もこの際取り上げる必要があるんではないかと。先般、田中総理が閣議におきまして、官庁技術者というものは拒絶反応ばかりして、いままで自分が言ってきたことをひっくり返すことは非常に自分の職務に関係することになるので、常に拒絶反応ばかりやるのはいかぬと、この問題をもう一回洗い直してみたらどうかという発言がありまして、厚生大臣もそういうことで、やりますということを言っておりましたが、私もそういう方向で検討してみたいと思います。
○峯山昭範君 大臣、私は、非常に大臣の答弁を聞いておりますと無責任だと思うんですね。なぜかといいますと、大臣が科学技術特別委員会で質問されてきた議事録も、私、読みました。そこらへんの研究もやっていらっしゃることはよく知っております。しかし、今回、中性洗剤が問題になっておりますけれども、いわゆる中性洗剤が安全であるというのは、厚生省の見解ということをいまお話がございましたが、厚生省の見解がなる前には、やっぱり食品衛生調査会とか、そういうところのデータがもとになっていると私は思うんです。しかし、実はきょうも私は電話で、当時のこの問題について取り組んだある一人の人に話をしましたし、また、この問題について安全であると相当述べてきた、いわゆる国の機関の、現実にこの問題に取り組んでいる人でありますが、そういうふうな人の話を聞きましても、いわゆるこういう「日本の合成洗剤」というようなメーカーサイドで出している本がありますね。こういうふうな本の中に、現実にその人の学説として、安全である、飲んでもだいじょうぶだなんという話がずいぶん出ております。 その人に直接お電話をしていろいろ学説を聞いてみますと、あなたは昭和三十七年当時こういうような論文を発表され、かつ、これが安全だということになっておりますけれども、あなたはいまでもその学説は変わりませんかと、こういうぐあいに聞きますと、いや、私はそういう学説は発表した覚えはないと、いや、何を言っているんだ、載っているじゃないかということになってきますと、それじゃ、これは食品衛生調査会における論議を全部読んでもらいたい、全部読んでもらえば、総合的に私はそれが安全だということは言ってないと、局部的には言っているけれども、全体を読んでもらえば、そのとりようによってはどっちにもとれるというような言い方をしているということなんです、結局は。 そういうぐあいになってくると、これは非常に——実際私がこれから指摘しようとしておりますのは、いわゆる厚生省、労働省、通産省、科学技術庁合わせてこの洗剤が安全であるということを確認をして、その確認に基づいて厚生省が全国の都道府県に通達を出しておるわけです、現実に。ということは、通産省もこれに一枚かんでおる。そしてしかも、今度は各都道府県では、現実に各都道府県のことしの三月の議会でもこれは相当問題になっておりまして、たとえばある県のあれでは、衛生部長は、いわゆる国のほうの通達をたてにして、絶対心配ありませんと、ところが、同じその県の環境衛生室長というのは、これは非常に危険であるからやはりチェックすべきだ、こういうふうな同じ県でもそういうふうに混乱が起きまして非常に問題になっておる。 だから、こういう点から考えまして、私は、特にこの洗剤の安全性の問題につきましては、安全性そのものは、これは厚生省がやるんでしょうけれども、やはり生産をやるほうはどうしても通産省の管轄でありますし、そこら辺の指導といいますか、問題は、これはどうしても通産省側が行政指導していかないといけないんじゃないかと思うのですけれども、ここら辺の取り組む姿勢ということを考えてみますと、大臣が先ほど言いました、いわゆる所信表明の中に言っていることと私は矛盾すると思う。少なくとも、生命に幾らかの危険でもあるものならば、やはり生産とか、そういう問題についても一考していかないといけないんじゃないか、こう思うんですが、ここら辺のところはどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 厚生省の責任ある機関の者が安全であると、そういうことを科学技術の特別委員会においてもたしか答えておりましたし、また、官庁間の協議の場合でも、厚生省の責任ある者がそういうふうに答えておりますので、われわれはやはり専門機関である厚生省の言明を信用して、そして行政を実行しておるわけであります。通産省がそういう化学実験やその他専門の機関もなくしてこれに対して危険であるとか何とかということは、ちょっとそれは言い得ない立場にあります。でありまするから、やはり問題は、厚生省の実験なり観察というものがはたして正しいか正しくないかということをいろいろな場面において究明するということが大事で、その点を今度閣議でやろうと、そういうことになったわけであります。
○峯山昭範君 そうすると、通産省では、通産省関係のいろいろなメーカーがいろいろな製品をつくっていますね。その品物が安全であるかどうかというのは、非常に危険なものであったとしても、これは通産省としては全然責任はないわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今度は通産省の所管にかかわるものにつきましては、新たに法律をつくりまして、化学物質あるいは製品安全法、そういう法律によりまして一々チェックすることにしたわけであります。これは今回の国会で立法をお願いしておるわけであります。
○峯山昭範君 いや、それは大臣、いま大臣のおっしゃるように、そういう法律をつくってちゃんとしょうということは、これは非常に重要な問題だと私は思うんです。しかし、実際問題、いままでもいろいろな問題があるわけですね。いままですでに危険なものは一ぱいありますよ。具体的に言いますと、たとえば、私は何回か指摘したことがあるんですけれども、ベンジジンとかべータナフチルアミンなんというのがあります。こういうような問題もありますが、実際問題としては二十何年前から相当指摘されて、膀胱ガンの問題で職業病等でも指摘されてまいりました。しかし、さんざん国会で言いましたけれども、なかなか製造中止になりませんでした。ずいぶん国会でも何回も何回も取り上げて、ようやく昨年ですか、おととしの十二月ですかね、製造を中止いたしました。よほど生命に危険を及ぼすとか、具体的な事例が出てこないといわゆる生産を中止しなくちゃならないというんじゃなくて、少なくとも、やはりそういうふうな危険な事態が出てきたならば、通産省としても何らかの行政指導なり何なりが必要ではないか、こう思うんですが、大臣どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり科学的な究明ということが非常に大事でありまして、そういう点で科学的究明に十全なデータを確認した上で処置をする、こういうことが大事だと思うんです。それで、こういう問題の取り扱いについては、やはり時代の流れとか、あるいは行政の方針というものが非常に影響を与えておるものでありまして、私らは水俣病そのほかの経験にもかんがみまして、今度は疑わしきはやらぬほうがいいと、方針としてはそういう方向にいま動きつつあるわけであります。でありまするから、この間のPCBの例その他のいろいろ経験を重ねてまいりまして、そういう立法行為によって検査し、あるいは禁止する権限を獲得しよう、そう思って行政が動き出したということであります。 具体的な問題につきましては、ここに局長が来ておりますから、御答弁を申し上げます。
○峯山昭範君 大臣ですね、私は、大臣の議論はやっぱり本末転倒してるんじゃないかと思うんです。何でかといいますと、大臣、人体に非常に危険であるとかいろんな問題というのは、これはやっぱり突発的に出てくるんだと私は思うのです。突発的というか、何らかの現象がわれわれの目の前にあらわれてくるわけですね。それからそれがほんとうにどういうぐあいな因果関係で、どういうふうな影響を及ぼしたかという科学的なデータというのは、よほどあとにならないと出てこないと思うのですよ。そうしますと、やはり大臣は、後段のほうでちょっとおっしゃいましたけれども、疑わしきは製造をやめるとか何とかいう話ございましたけれども、そこのところが私は非常に重要になってくると思うのです、実際問題としてはね。そういう点から考えますと、今回のこの洗剤の問題についても、やはり非常にいろんな問題を含んでいると私は思うのです。 現実の問題として、昭和三十七年当時、これはABSそのものでありまして、当時はまだソフト化なんという話はなかったと私は思うのですね。そうしますと、現実にソフト化されたにしても、やっぱりいろんな害という問題についてはもういろんな学者もずいぶんいろんな面からやっておりますし、そういう点から考えましても、私は、通産省としてもこの問題については、何というか、どこの時点で規制をするかということは非常に判断がしにくいと思うんですけれども、やはり問題が提起されたら、その問題について本格的に取り組む機関なり何なりというものがなければいけないんじゃないか。通産省自身が、それじゃ厚生省にまかせて何らかの機関で完ぺきに調査ができてくるというのは、ずいぶんあとになると私は思うのですね。そういう意味では、やはり危険なものということについては相当本格的に取り組んで、そうしてほんとうに健康な国民生活、無公害社会の建設というのはそういうところから取り組んでいかないと、大臣のここで言っていることは、私は、ほんとうに空文化するんじゃないかと、こう思うんですが、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう福祉を優先させ、無公害社会の建設ということを中心に行政を動き出させる、そういう意味で、第一に無公害社会の建設というのを私の施政方針の冒頭に掲げたわけであります。その具体的な発動として、ただいま申し上げましたような特定化学物質とか、あるいは製品安全法とか、そういう法律も御審議願いまして、権限を獲得して、その実行行為に入ろう、そうしておるわけでございます。
○峯山昭範君 まあいずれにしましても、この問題については法案そのものが出ておりますので、法案の審議の際に詳細にやりたいと思います。 それで、次に中小企業の問題についてやはり二、三聞いておきたいと思います。中小企業の問題については、今回のドル・ショックを含めまして、先ほどからいろいろと質問がございましたので、簡単にいきます。 すでに中小企業庁では、今回のドル・ショックの影響についていろいろ調査を進めておると思いますけれども、いままでどういうふうな調査をやっていらっしゃるのか。また、前回のドル・ショックの場合と比べて、今回の国際通貨問題等を一切含めて中小企業にどのような影響を与えていたのか。また、今回はどのような特色が見られるのか。そういう点を含めて初めにお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私から概略を申し上げまして、あとは中小企業庁長官から申し上げます。 前回の際は、かなりの苦難が中小企業を襲ったわけでございますけれども、その後景気が上昇基調にあって、内需が旺盛に変わったということと、それから、金融緩和基調を反映して手元の流動性が中小企業にもあったということ、それから、業界みずからが内需への転換、製品の高級化あるいは生産設備の改善等に非常に努力をしてくれたということ、それから、やはり政府の中小企業施策がタイミングがうまく行なわれた、そういうような諸点から見てある程度のショックを緩和することができたと思うんです。 しかし、今回の場合は、すでに前回のような余裕がないということと、もう一つは、為替相場が予想外に大幅な円高に現実になりつつある、そういう面から見て、前回以上かなりの影響が出るものと懸念されております。特に、輸出比率の高い業種、中小企業等においては、最近の原料高、労働力需給のきびしさと相まって事態はきわめて深刻であると考えております。
○政府委員(莊清君) 前回と今回との大きな差異については、大臣からいま申し上げたとおりでございます。私からは調査の問題について申し上げます。 中小企業で特に影響が大きく出るであろうと私どもが考えておりますのは、いわゆる輸出産地といわれるものでございます。こういうものは繊維とか雑貨とかいうふうな労働集約的な製品を主としてつくっておるという地域でございまして、特に影響を受けるわけでございます。 全国で九十八の中小企業輸出産地を選びまして、二月中旬から三月上旬まで地方通産局、県を使いまして調査をいたしました。 それで、その当時はまだフロートに入った直後でございまして、業界のほうもなかなか先行きの見通しを的確には立てにくい時期ではございまするけれども、いろいろ調査をしました結果、大体二百六十五円程度という場合で、その産地だけでございますが、四十七年、年間の輸出金額に比べて大体二一%強ぐらいはどうしても減るであろう、こういう見通しを得たわけでございます。 その後、大体一月半全部でたっておりますが、為替市場が閉鎖になっておった時期を除きましてもフロート後約一月たちましたので、三月末現在で一体どのくらい輸出成約がはたしてその後できたか、あるいは既存の輸出契約残について価格の引き上げ交渉というのを各産地やっておりますが、バイヤーとの関係でどういう落ちつきになってきておるか、なかなか難航しておるようでございますが、そういうものを、今月末現在でもう一度これらの産地について全国的な調査をするよう、現在、地方に連絡をしておる、こういう状況でございます。
○峯山昭範君 それじゃ、もう時間の関係もありますので、あと一つ、二つ聞いて終わります。 もう一つは、今回の輸出関連の中小企業の中でも特にたとえば大阪なんかでは人工真珠とか、奈良県のグローブとか相当な、強烈なショックを受けまして、中にはもう輸出自体が非常に困難な実情にあります。また、特に大阪なんかでは、いままでアメリカへ輸出しておったのをもうアメリカがとてもだめになったというので、最近はヨーロッパに調査団を出そうとしております。しかしながら、実際、その実情を聞いてみますと、非常にヨーロッパのほうも不可能じゃないかというような問題等も起きてきつつあります。 そういうような中にありまして、特に倒産という問題もたくさんあると思うんですが、その実情もあわせて——いわゆる、こういうふうに輸出か非常にやりにくくなってきたというふうな中小企業に対して、今後どのように処置をしていくつもりか。そこら辺のところをひとつお伺いしたい。 それから、続けて質問しておきたいと思うんですが、先ほど大臣は、二千二百億の融資のワクの話がずいぶん出てまいりましたけれども、実際問題、現地のほうとしましては、前回のドル・ショックのときにいわゆる担保なんかも全部もう出してしまって、担保にするようなものは全くないと、それでお金を借りようにも借りることができないというような実情にあるところがずいぶんありますし、また、そういうふうな点から考えてみますと、いわゆる為替差損といいますか、そういうふうなものの補償というのがありますね。非常にむずかしい技術的な問題もあると思うんですけれども、そういうふうなことについて何とかしてもらえないかという声がずいぶんあります。こういうふうな点についてはどうお考えか、そこら辺のところもあわせてお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(莊清君) まず、倒産の問題でございますが、大臣先ほど申し上げましたような事情もございまして、前回のドル・ショック後、四十七年末までの輸出関連企業の倒産というのは、あるにはあったわけでございますが、非常に少なかったと考えております。一年間で負債額一千万円以上の倒産というのが全国で七千百ばかりございました。この七千百というのは、四十六年に比べますと、件数でも二二%ほどの減少になっておりますし、負債金額でも三割ぐらいの減少になっておるわけでございますが、その中でドル・ショックによる倒産というのは、昨年一年の間で約六十件ある程度でございます。雑貨とか、繊維とか、あるいは一部の金属等でございます。これは、先ほど大臣が申し上げたようなラッキーな客観情勢がございましてこの程度で済んだと思っておりますが、今回、二月十四日後で、いわゆる輸出関連企業がドル・ショック倒産したものとして私どもがいままでに把握しておるものは、商社が一つと、それからクリスマス用品関係が一つ、合計二つは把握いたしております。まあ、調査漏れもあるかもございません。 今後、先ほどお話もございましたが、金融が全般的に締まるというふうな傾向等もございますけれども、中小企業に対しては、これは大蔵省も一緒になりまして、市中銀行にもきびしい督励をやっておるということでございまして、中小企業向け金融は、中小企業三機関から思い切った緊急対策融資をするほか、市中銀行からもやらせると。そのために、出せ出せと言うだけじゃいけませんので、担保の問題もございますから、市中銀行が貸しやすいように、今度、ドル対策法の改正法案を今国会にお願いすることにいたしておりますが、それで信用保険制度というものを拡充いたしまして、それを使って銀行から借りやすくすると。その場合に、無担保で信用保険が利用できるような方法というものに特に重点を置いて制度改正をいたしたい、かように考えております。 それから、グラブ、ミットとか真珠の業界というのは、私どももほんとうに頭を悩ましておる業種でございまして、新規の輸出契約というものは、今回のフロート後、おそらく、全然、全くゼロではないか。で、今後の見通しも、後進国の追い上げ等ございまして、非常な困難が予想されるわけでございます。緊急対策として閣議決定されました諸施策は、これらの最も問題の多い産地について特に重点的に実施をするということは当然でございますけれども、緊急対質だけでなくて、特にこういう種類の産地につきましては前向きの構造改善というものを進める。内需に転換させるとか、あるいは既存の技術を使って、あるいは設備をなるべく使うような形で新製品をやっていき、内需、輸出に向かせるということが根本的かと思います。そこで、県と連絡をいたしまして、近くこれらの産地に重点を置いて、長期的な観点から、また、国際的な配慮も十分入れまして、こういう産地を長期的にどう持っていくかという基本的な計画を一応国と県のほうで考えまして、それを業界のほうに参考に示して、業界のほうでそれを一つのたたき台に考えていただく。それに対して出てきた業界の計画案というものに対しては思い切った助成をする、こういう態勢をとっております。これはもうすでに県のほうに通牒も出しまして、四月早々動かせることにいたしております。 それから、為替差損の問題でございますが、三百八円から二百六十円になったということで、その差額について、たとえば、一般会計から補てんするというふうなことは端的な二重為替にもなりますし、輸出補助金ということで国際的にもなかなか実行し得る性質のことじゃないと存じますが、今回の緊急融資では、実は、こういう差損なども受けたということ、あるいは在庫がふえた、操短するとかいろいろなことで赤字金融がどうしても要るというものを全部かかえまして、ひとつ思い切って金融をつけようということを一つ考えております。 それから、税の関係では、赤字になればそれの繰り戻しを認めまして——これは法律改正が要りますが——そして、税の面からも、すでに納めた税があればそれを返すというふうな措置、あるいは先ほどから話も出ておりましたが、前向きの助成策ということで、新規契約がとれればそれについては輸出予約ということを外貨預託でやらせる。これは市中銀行が窓口で提示しておる予約レートよりも円安で、中小企業者だけには有利な条件で予約をしてあげる。いろいろな方法ございますが、これらを総合して、為替差損を受けた中小企業についても、それによってつぶれてしまうというふうなことが何とかないように、いろいろの措置を組み合わせましてこれからやってまいりたいと、かように考えております。
○中尾辰義君 ちょっと関連。 中小企業庁長官は、信用保証協会を通じて無担保で貸してやるということをおっしゃられましたが、無担保というのは、限度は大体どの程度までですか。
○政府委員(莊清君) 今回は、別ワクで四百五十万円という線を考えております。御案内のように、無担保保険というのがございますけれども、それは三百万円まででございます。それが信用保険法できまっておるワクでございます。前回のドル・ショックのときには、その同じ額である三百万円を別ワクとして、ドル・ショックを受けた人にはもう一つ三百万円だけ無担保で信用保証協会が使えますということをドル対策法にうたったわけでございます。今回はその三百万というところを四百五十万というふうに改めたい、これを国会で御審議いただきたいと考えております。
○峯山昭範君 もうこれで終わりますけれども……。すみません。もう一つお伺いして終わりたいと思います。転廃業対策について簡単にお伺いしておきます。 特に人工真珠なんかの場合は、もう転廃業やらざるを得ないというところに追い込まれておると思うんですけれども、そういうような転廃業に対する政府の対策をちょっとお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(莊清君) 先ほども申し上げましたが、業界でもどうしたらいいか困っておるということが実情でございますが、いまお話がありましたように、業界自身、前回と違いまして前向きに転廃業して、産地というものをつぶさずに新しくやっていきたいという非常に強い意欲をせっかくお持ちでございます。政府や県のほうでは、いい計画が出てきたら金を貸しましょうということでは私どもはいかぬと思っておりまして、先ほど申しましたように、国と県のほうで診断もして一つの案を参考に業界のほうにお見せする。それを一つの基礎資料として業界自体で自主的に考えていただくと、それができれば助成をすると、こういうことで動かし始めております。それで、転廃業につきましては、中小企業金融公庫からの融資でございますとか、御案内のように、中小企業振興事業団からの設備スクラップに対する八割無利子融資とかいろいろな制度がございますけれども、こういう計画がこれから全国的にずっと年度の中ごろまでには出てくるわけでございますから、はたしていまの道具立てだけで十分やれるかどうかというふうなことも、私ども、県とも十分打ち合わせの上で考えまして、所要な改正を要するものがあれば前向きに取り上げていく。資金の量でも不足であれば、年度の途中でもどんどん補正をしてでもやっていくと、こういうつもりで取りかかっておるわけでございます。
○藤井恒男君 まず、繊維の問題についてお伺いいたします。 最初に、ただいままでの国際的な動きと、それからその経過、バックグラウンドについて、私、少し申し上げて確認いたしたいと思うわけですが、いわゆるLTAが本年の九月で期限切れになるということに伴いまして、昨年の六月CTCが開催されたわけですが、これは事実論議に入る以前にたな上げのような状態で、現在までCTCが開かれていない。その間、四月ごろから関係国間で非公式折衝が重ねられて、綿、毛、化合繊の種類別、加工度別に世界の繊維貿易の当面する経済的、技術的、社会的、商業的要素を調査して年内に理事会に報告するということが六月二十七日に決定され、昨年一ぱいいわゆるWPが開催され、四回にわたる会合を経て、二月五日の理事会に報告し、それが採択された。この間、繊維の主要国間では非公式な会合がさらに継続されて、主としてアメリカからWPが事実上任務を終えて終了したわけですから、九月の期限切れまでの間に毛、合繊を含むところの包括的多角調整をすべきであるという申し出に基づいて、新たな繊維作業部会を設置すべしという提唱が行なわれた。これを受けてガットのロング事務局長は、新たな任務を付与すべきであるという主張に立って各国に呼びかけ、それが現在まではっきりせぬままに、四月四日に第三回の非公式会談を迎えようとしておる。これがいままでの経過だと思うんです。 なお、この間わが国のとってきた態度は、CTCに関しては前の通産大臣である田中さんが、議会におきましても、七一年十月にこのLTAに中途参加する際、これは七三年九月末の期限どおり廃止されるべきものである、LTAの再々延長には応じないということを各国に通達した上でLTAに参加するということを言明しておられて、なお、現在の中曾根通産大臣も、前任者の答弁についてこれを尊重すると言ってこられたと思うんです。したがって、LTA問題は国際的にはたな上げされているものの、九月で期限切れになるならば、わが国はその再々延長はしないという態度が現在生きておる、少なくとも国会においては生きておる。それから一方、WPの問題につきましては、これも私自身、田中前通産大臣にお伺いしたんだけれども、あくまでも研究というこれをテーマにしたWPには参加するけれども、アメリカが言うところの多国間の調整をこの際するのだという目的を持つなら、わが国は席をけって帰ります、そういうものには応じませんということを明言しておられます。 一方、昨今の状況を見てみますと、EC諸国、アメリカはもちろんのこと、ほとんど全部がこのアメリカの提唱するところに右へならへをしておりまして、しかも、ロング事務局長は明らかに、新たな任務を付与した作業部会というものを設置すべきだ、新たな任務というのは毛、化合繊を包括したところの多国間調整を行なう前提における作業部会を設置すべきだということを主張しております。これに対してわが国は、いままでの段階では、少なくとも二月二十四日、政府は、ロング案に反対の態度を表明しております。これはいままでの大臣答弁と全く一致するところです。さらに三月十五日、通産大臣は日本繊維産業連盟と会談をなさり、また、雑貨局長は記者会見で、WPの目前に迫った問題等について所感を述べておられるわけだけれども、いま私が申した経過というものに間違いがないか。間違いがないとするなら、現時点においてはLTAの再々延長には日本は依然として反対であり、WPが新たな任務を持って設置されるということについても反対である。もちろん、毛、化合繊を含めたところの多国間調整というものに反対だという態度は不変のものだということになるわけです。この辺のところをまずもって大臣に確認いたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が着任する前のいろいろな経過については、繊維局長から答弁させます。 いまおっしゃったことは、おおむね私が考えておることと同じであります。ただ、最近の事態につきまして、繊維関係の団体の皆さんとも会合いたしまして、ロングの案に対してはいまの国際的な情勢を見ると、日本が孤立する危険性がなきにしもあらずという情勢のようにも心配されます。そういうワーキンググループをつくる。ただし、ノン・コミッタル・ベースといいますか、そういうある協定をつくるとかなんとか、解決策をどうするとかという、拘束されないという意味の解決策を研究し検討するという程度の委員会ならば、日本も席に着くことを拒否することは考うべきではないか。もし、それを拒否するというと、現在の国際情勢からすると、日本だけが非常に孤立する危険性がある。ヨーロッパの国々、北欧の国々はアメリカに全部同調しているし、わりあいに異論を唱えているのはブラジル一国にすぎない。それからいわゆるLDCの諸国も態度はぐらぐらぐらついてきている国がある。そういう情勢のもとに日本の立場を有利に今後展開していくテクニックの問題として、いままでどおりの立場ではたしていいかどうか。そういうノン・コミッタル・ベースの場合には、会議の席に着くということはやむを得ないではないかという議論が最近ありまして、私は、そういう程度のものであるならば席に着くこともいいだろう、そういうふうに考えております。ただし、それが多国間調整及び解決策をつくる、それによって拘束されるというものであってはならない、そういうふうに考えております。その点が一つ違います。 それから、LTAの延長の問題でございますが、基本的にはいままでと考えは変わりません。しかし、最近、日本の業界の内部にはいろいろ議論がありまして、延長してもいいのではないかという議論も出てきております。そういう最近の情勢変化をどういうふうにわれわれがとらえて、日本の立場を有利に展開していくかということは、今後に課せられた課題でありまして、その点も検討すべき段階である、こう思います。
○政府委員(齋藤英雄君) 従来の経緯につきまして藤井先生からいま詳しいお話ございましたが、私が覚えておりますところによりますれば、いままでの経緯は先生のおっしゃったとおりでございます。
○藤井恒男君 四月四日のジュネーブで行なわれるところの第三回非公式会談で日本の態度待ちというのが、現在の国際情勢だと私は思うのです。四月四日というのはもう目の前に迫っておるわけで、代表を派遣するとすれば、四月の初めには行かなければならない。本日のこの時点から見るともう幾日もないわけです。いまからイエスかノーかという段階にきて状況を判断してということは、私はあり得ない。すでに考え方は固まっておらなければならない。そうだとすれば、少なくともいま雑貨局長がおっしゃったように、いままでの経過、バックグラウンドを私が申したとおり間違いないと言われることであるなら、LTAの延長反対、WPについても、それが多国間協定を前提とした研究機関であるなら席に着かない、この態度を維持しなければいけない。いま大臣の御答弁によりますと、その間、御就任になってから現在までの間に業界の動き、あるいは他国の動きという客観情勢の変化があったから、その点考慮しなきゃいかぬということは、これはいままで取り続けてきた態度を変化する、変化せしめるのだというふうに解釈していいかどうか、この点をはっきりさせてもらいたい。 いま一つ、実は昨年、一昨年ですか、日米繊維政府間協定を結ぶおりに、常にこれは通産省当局が申しておられたことだけれども、同じようにLDC諸国がぐらぐらしておる、がんばっておるのは日本だけだ、こういうことになると日本はピンチに立つ、国益ということを考えると、この際、日本もテーブルに着かなければいかぬのだということをおっしゃったわけなんだけど、あとから私自身、韓国あるいは香港、台湾、そういったところの方たちからいろいろ聞いてみると、向こうの側から見れば、日本がぐらぐらしておるからわれわれもついていかざるを得なかった、こういうことなんで、やはり日本がこれだけの経済大国、しかも繊維王国ということになれば、ただ、ぐらぐらしておるから日本がそれにひっついていくんじゃなくて、き然とした日本の態度を示さなければならないし、同時に前回の場合には、沖繩と繊維というものがバーゲンの形になっておったことは、これは公知の事実。今度は借りがないわけなんだから、私は、もっと明快にやる必要があろうと思います。 時間がないからあわせてお聞きしますが、LTAについて現在業界の中でも、当初の考えを変更して再々延長をやってもいいんじゃないかという考えがあるやにお聞きするわけだけど、そうした場合、LTAを延長するということをいままで政府は、田中さんも絶対やらないと言っておったんだけれども、それをやることについてのメリットとデメリットがあると思うのです。だから、やってもいいというならば、これはメリットもあるはずだと思う。その辺をどのように分析しておられるか、お聞きしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 席に着くという、会議の席に着くということは、さっき申し上げましたように、ノン・コミッタル・ベースで着くことはやむを得ない。その点は私は、日本の代表者に対してそういう指示をして、やろうと思っています。 それから第二に、LTAの問題につきましては、まあ、LTAの日本の消化量が綿製品については全部消化しないでだいぶ余裕がある。もちろん、理由はあります、それは。四半期別割り当てでシップメントができないとか、間に合わないとか、いろいろそれは理由がありますけれども、とにかく、現実においてかなり日本が全部消化し切れないというような情勢もある。変なものを押しつけられて、割り当て量が減るとか、変な事態に動かされるという事態が出るよりも、いまのほうがましだという議論も業界の内部にあるわけです。したがいまして、これは包括的に、先方へ行って情勢がどういうふうになっているかよく見た上で判断をしたほうがいいので、いまどちらというふうにきめないで、一応はいままでの態度を基本的には持っておりますけれども、弾力性を持ってこれを見ていく、そういう立場が賢明ではないかと私は考えております。
○藤井恒男君 そうしますと、大臣のおっしゃることは、いままでだとWPというものは現に消滅したわけなんです。現実にはガットに報告して消滅したわけなんです。新しい任務を付与してテーブルに着こうじゃないかというロングの提案に対して、いままでは忌避してきた。今回、日本が孤立するから、だから条件つきでテーブルには着こう、テーブルに着くことはそれは多国間協定に結びつくものではない、多国間協定については反対だ、こういうふうにいままでの政府の姿勢が変わったと見て差しつかえないかどうか、確認したいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) ロングの提案を条件つきで採用すると、そういうことで、いま先生がおっしゃったように、多国間協定をつくるというオブリゲーションは負わない、そういうことであります。
○藤井恒男君 技術的な問題ですが、LTAというのは有限のものであって、九月にはこれは切れるわけですね。いまから大臣がおっしゃったような作業部会というのが設置されるとしたら、これは国際的な問題なんだから、今度はLDCも入れるということですから、九月までにその作業が完了するとは常識的に考えられない。だとすれば、LTAと、いわゆる新たに設置されるWPとを切り離して、LTAを先議せしめて、九月までに決着し、WPの問題はそれと並行して、ロングランでながめていくというようなことに私はなるんじゃないか。まあ、その間にLTAとWPとの関係というものが、いろいろ問題出てくるとは思います。一応整理としてはそういったことは可能だと思うんだけれど、その辺の論議はいままで全然出ていないように思うのですが、わが国としてジュネーブに臨むにあたって、そういったようなかみ分けというものができないのかどうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはジュネーブにおける国際委員会のかけひきの問題にも非常に影響されてくるところで、いま日本がどういう態度をとるかということを表に出すということは、必ずしも得策でないと思います。ただ言えますことは、われわれのほうのそのLTAに対する基本的考え方というものは、何のためにそれをやるかという理由ははっきりしておるわけです。それは守れと。それを具体的にどういうふうに処理するかということはほかの問題、全部包括的な問題としてこれはおそらく論ぜられると思われますので、そのたびごとに政府に訓令を仰いで、政府は、業界ともいろいろ意見を聞いてみて処理してみたい、そう思っております。
○藤井恒男君 そうしますと、まあ、かけ引きもありましょうし、相手国の出方もあるわけだから、明確な打ち出しというものを、戦略戦術をさらけるということは得策じゃない。しかし、新聞などで報道されておるように、また、局長自身が記者会見でも申しておられるように、観測気球が上がっておるわけです、幾つも。たとえば、LTAにはこれはもういいじゃないかと、これはもう事実上そうなっておるわけなんだけれども、そのような心証でおっていいかどうか。大臣がこうですという答弁がしにくきゃ、私が先ほど来申しておるようなことでいいかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私と藤井先生の立場は同じ立場でありまして、ただ、政府当局と国会議員さんの立場が違うだけであって、日本の国益を守り、日本の繊維産業を守るという点においては完全に一致しておるはずであります。したがいまして、これからどういう事態が開展してくるかということは、そのたびごとにその国益を守ろうという精神で、よく情勢によっては御相談もいたしますし、いわゆる労働組合や業界の皆さんの御意見も拝聴して、最善の措置をとりたいと思っております。そういうことで御了解願いたいと思います。
○藤井恒男君 わかりました。ただ、私、ころばぬ先のつえでございますが、とかく過去の経験に徴してみても、まあテーベルに着けば、これはもう向こうはしめたということで、ずるずる研究した内容が包括的に多国間協定に入っていくということになるだろうと私は思うのです、ならざるを得ない立場に追い込まれるだろう。だから席に着かぬということを田中さんもしきりに言っておられたわけです。 それから、いろいろな情勢もあることだし、いま大臣がおっしゃったように、あくまでも国益と産業を守るという立場で、き然としてそれをふるい分けされるということですから、私も御声援を申し上げたいし、その約束をぜひひとつ守っていただきたいというふうに思います。 その次に、多額の国の費用を使って、昭和四十二年からいわゆる特定繊維工業の構造改善というものが進められてきたわけですが、本年度をもって一応のピリオドを打つ段階になったわけなんです。そういった意味で、産構審あるいは繊維工業審議会のもとに、基本問題小委員会というものが設置されて、繊維工業の抜本改正というものを鋭意検討されておるそうでございますが、大体、六月ごろにはこの結論が出ることになっておるわけなんです。で、御承知のように、繊維産業はドル・ショック、円の切り上げ、あるいは対米繊維輸出規制というような、俗にいう三重苦を背負わされて、たいへん苦難な道を歩んできておるわけですが、いままた国際的にこのような問題が惹起しているし、あるいは人件費の問題あるいは価格の問題、原料確保の問題、輸出市場の変化の問題、さらにはLDC諸国との競合の問題をかかえておるわけで、そこで、これらの問題を全部包括した形でこの基本問題小委員会が運営されなければならないと思うのだけれど、私が仄聞するところによれば、基本問題小委員会というものはあくまでも体制をきめるのであって、いまのような今日的な問題をそこに加味していくことは、技術的にそれはむずかしいというようなことも耳にするわけなんだけれど、それでは形づくって魂入れずということにもなりかねない。したがって、これからも十分注意してこの基本問題小委員会の出方というものを見詰めていきたいと思うのですが、少なくとも現状どういう方向にこれが進んでいるか。それらについてお聞きしたいと思います。
○政府委員(齋藤英雄君) いま先生からお話がございましたように、特定繊維工業構造改善臨時措置法は来年の六月末をもって一応期限満了となるわけでございます。したがいまして、そのあとのいわゆる私どもポスト構革と言っておりますものに備えますために産構——産業構造審議会と繊維工業審議会の合同で基本問題小委員会をつくりまして、そこで現在審議をいたしております。 それで現在までに審議をいたしております内容でございますが、まず最初に現行の構造改善というもの、従来やってきましたものの評価を一応私どもはいたしまして、これは従来はいわゆる紡績、織布が中心になっておることはいなめない事実でございます。今後、この問題につきましてはあるいは染色、メリヤスも指定はされておりますけれども、いわゆる繊維でいいますダウンストリームについてどういうふうに考えるかということが、今後、構造改善の一つの問題点になろうかと思います。それから二番目に、従来から考えておりましたいわゆる労働力の需給関係につきましては、私ども数年前に考えておりましたものとは違いまして、かなりこれは需給がやはりタイトになっておるという感じでございます。それから三番目に、繊維全体の需給動向、かつての需給動向と、現在のものを計画をつくりました当時と比較をいたしてみますと、やはりこれはかなりの面において違っております。たとえば輸出につきましては、やはりわれわれが考えておるほど伸びておりませんです。逆に輸入はわれわれが想定しておりますよりかなり伸びております。そういうふうな需給関係でもかなり変化がございます。したがいまして、そういうふうな内外の環境の変化等を従来私どもはトレースしていきまして、いわゆる事実についての調査、研究を従来までいたしております。現在は、先行きの需給問題についていま検討を加えているのが現状でございます。 いま先生から御指摘がございました今日のいろいろなそういう問題につきまして、これは需給見通しはおおむね五年先、場合によりましては十年先を一応推定をして見通しをすることになっておりますので、現在の状況いかんということは、これは当然その需給を見通す基礎としては入るわけでございますが、ただ、五年先、十年先になりますと、その影響そのものがここ一年先、二年先とはやはり直接的にはあまり出てこない。影響がやや薄いということは言えるかと思います。しかしながら、いずれにしましても、需給関係、需給問題では国際環境というものは当然頭の中に入れてこれは検討せざるを得ないということでございます。それで、今後は一応ここ一、二回でいわゆるファクトファインディングと申しますか、そういうものの検討を終わりまして、これからいよいよ将来の繊維産業のビジョンはどうあるべきかということを検討する段階になろうかと思います。それで、最終は、いまお話しございましたように、本年六月末ということを目標にして審議を進めておるということでございます。
○藤井恒男君 昨年のいまごろは、日米繊維政府間協定ということで騒いでおったのだけれども、昨今は、アメリカからポリエスタールも買い付けておるというような状況でございまして、しかも、アメリカヘの輸出というものは約五〇%が未達というようなことで、あまりにも国際環境の変化というのが大きゅうございますので、局長おっしゃった五年先、十年先ということは、なかなかこれは予測できないことなんです。したがって、ビジョンを策定するときには十分慎重にやっていただきたいことをつけ加えてお願いしたいと思います。 次に、公取委員長お見えでございますのでお聞きしますが、さきに、合繊メーカーに対する独禁法違反の容疑で立ち入り検査をされたわけでございますが、その後、その経過、決着はどのようになっておるか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) 初めに、できるだけ簡略に一応の経過を申し上げます。 昭和四十七年、昨年の五月三十日と三十一日に合わせて十七カ所の立ち入り検査を行ないました。これは国内的には減産、つまり数量制限の協定を行なった疑い、もう一つは国際カルテルの疑いでございます。 その調査いたしました結果の措置としまして、昨年十一月二十一日に勧告をいたしまして、十二月の十五日に審決に至っておりますが、まず国内のカルテルにつきましては、ナイロン糸の、これは三種類ございまして、東レほか五名といいますか五社、これについてはナイロンの糸の減産協定、帝人ほか七名につきましては、これはポリエステル綿糸の減産協定でございます。ポリエステル綿糸でございます。それからアクリル綿の減産協定というのがありまして、これが三菱レーヨンほか二名、この問題は、実は私どものほうで国内カルテルと国際カルテルと同時に勧告、審決を行なうつもりでおりましたけれども、国際的なかかわり合いに対する配慮もございまして、と申しますのは、相手国からどらも要請されてこういうふうな国際カルテルを結ぶに至ったのじゃないかということがありまして、それならばなるべく日本の事情、相手方の事情を表面に出しまして、日本側としてはいわば輸出カルテルを表面化する、正式には認可を受けるようにする。そうしておいて相手の国に悪い刺激を与えてはならない。特にヨーロッパ向けでございますから、西欧諸国、ことにECを中心とした場合に、いろいろなやりとりが実はあったわけでありますから、それでそういった動向をも考えまして、なるべく通産当局等にお願いいたしてしかるべき措置を早くとっていただく、そういうために、国際カルテルの審決はそういう事情を考えて実はずらしました。 実際には十二月の十五日に勧告をいたしまして、同月二十七日に審決ということになっておりますが、国際カルテルにつきましては五件ございます。まず第一は、レーヨン糸の国際カルテル、これは旭化成ほか二名。第二番目は、スフの国際カルテル、これは三菱レーヨンほか十名でございます。第三番目は、ナイロン糸の国際カルテル、東レほか五名。四番目は、ポリエステル糸の国際カルテル、帝人ほか五名。五番目は、アクリル紡績糸の国際カルテル、これは東洋紡ほか四名ということでございまして、国内のカルテルにつきましては減産協定をまず破棄いたしました。取引先販売業者と需要者への周知徹底をはかること、四十七年十二月以降六カ月間の生産数量を報告せしめる、こういう措置をとっております。さらに、国際カルテルの分につきましては、協定の破棄を命じ、これは五件とも共通でございますが、次にポリエステル糸及びアクリル紡績糸については輸出限度量協定の破棄を命じております。そういうふうな経過でございます。
○藤井恒男君 大臣にお伺いしますが、この国際カルテルの問題、そして、これが国内で大きく取りざたされたことが、EC諸国をして多国間協定を締結する方向へ導いたというような心証を与えたということになってはおらないかということが一つと、それから立ち入り検査のおり、私、通産大臣にもお伺いしたわけだけど、一つの主務官庁で、片方でオーダリーマーケティングを行政指導し誘導しておって、片方でそれを取り締まるということは、これは矛盾撞着である。したがって、独禁法それ自体の進め方というものについてもう少し幅広い検討を加えたい。さらには、この問題が結審する以前に、十分公取とも相談して対処したいという答弁を私は得ておるわけなんだけど、その辺について今度の問題をめぐってどのようにお考えであるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 独禁政策に関する見方は、日本の国とヨーロッパの各国と必ずしも一致してないところがございまして、そのために矛盾が起きたり、あるいは業者が迷惑を受けるということはあるわけでございます。特に、ドイツの場合でそういう問題がございました。この問題もそういう類型の中に入るかもしれません。しかし、いずれにせよ、よく関係国と理解し合って、そして理解し合えば、まあわかってくれると思いますが、よく理解させる努力が不足しているという部面もなきにしもあらずであると私は思います。私は、それがEC諸国の今回の態度にどういう影響を与えたかよく知りませんが、いずれにせよ、国によって独禁政策の視点が違うということをよく認識して、そしてよく了知徹底させて、まあ、はからざる摩擦を起こさないように事前に手当てをするということが非常に大事だと思います。
○藤井恒男君 大体私の持ち時間、来たようでございますので、そう大幅に延長せぬように私はやりたいと思います。 実は大臣、一月二十二日から二十五日までの間タイ国を訪問なさったわけでございますが、ちょうどその時点は、例の日貨排斥運動が起きた直後であったわけです。大臣、行かれて、わが国の進出企業、それから並びにわが国の輸出品ですね。向こう側から言えば輸入品の状況、あるいはわが国とタイ国の間では非常に大きな貿易のアンバランスを生じておるわけですが、そういう問題について、さらにはタイ国の国民感情、こういうものについてどのような心証を持ってお帰りになったか、それをまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) かねて、こういうものであるかもしれないと思って実は行ったわけでありましたが、はたしてそのとおりであったということです。まあタイのような、日本とは戦争がなかった同盟国だった。で、最も親日的な国でそういう日本を排斥するような運動が起こったということは非常に大事なことでありまして、これには政府も商社もともに反省すべき点があったように思います。しかし、タイの人々、特に、政府関係や商社の向こうの心ある人々は、やはり日本と提携しなければタイの繁栄はないということは、実によく知っておるようですけれども、しかし、日本の、特に日本の商社等の心足らざるいろんな行為等が向こうの民族感情をさかなでするようなことが起こったりして、そしてああいう問題に発展したと、こういうふうに考えました。それで、ああいう問題は伝播性がありますから、タイに起こったことがインドネシアに起きないとは言えないし、フィリピンに起きないとも言えない。そういう点から、これを機に大いに戒心して、日本の対外経済協力政策を洗い直す必要があるんではないかという気が実はしたのであります。日本の前途を見ますと、国際社会におけるセールスポイントというものは、軍事でもなければ文化力でもない、実際は経済協力があるだろうと思うんです。その大事な経済協力において国際的にスポイルされて排斥されるというようなことになりますと、日本の青年の前途はないわけであります。そういう点も考えて、いまのうちに直すべきものは直しておかなければならぬとも感じました。 具体的な点で見ますと、やはり対外経済協力に対する基本憲章みたいなものが要るんではないかと、それで政府はこうすべきである、民間はこうすべきである、政府と民間は協力してこうすべきである、経済協力の基本精神はこうあるべきである、そういうようないわば教育基本法みたいなものでもいいと思うんです。そういう基本的なかまえをしっかり確立してやりませんと、やる政府も出ていく商社もふらふらな気持ちで、多少の倫理的お説教でこの問題が解決されると思わない。長い間には必ずスポイルされて同じような事件が出てくる、そういう憂いを持ったわけであります。 そこで、政府で反省すべき点はどこにあるかと言えば、それは、政府が直接する援助の部分が非常に少ない。まあ、われわれは道路五カ年計画とか下水道五カ年計画とか持っておりますけれども、経済協力五カ年計画というのはないわけです。それでOECDがきめているような、まあGNPの一%、その中で政府援助というものは〇・七%まで持ち上げようという一応のメルクマールがありますけれども、日本の現状は、去年はおととしより減っているわけです。〇・二三%か二二%ぐらいに減っていると、こんなこといつまでもやってたらどうなるかと、だからやっぱり五カ年計画なら五カ年計画をつくって、何年目にどれくらいふやして、そして政府援助を〇・七%にいつ持っていくと、そういう計画行為が、私、必要じゃないかという気がしました。大蔵省は抵抗するでしょうけれども、やはりそういうことが必要である。 また、民間にとってみたら、現地へ進出しても、得たお金は日本へすぐ送金しちゃう。あるいは現地で有能な人を重役にしない。ところが、イギリスとかフランスとかオランダなんていうのは百年の植民政策の歴史があるもんですから、実にそういう点はうまいし、余裕を持ってやっている。日本人は、満州国へ乗り込んだ成金みたいな要素がいまの商社にもなきにしもあらずです。現地の支店長に聞いてみると、本社を言ってくださいと、こう言うのですね。確かにそうだろうと思う。それで、日本に留学したタイの学生がどういう処遇を受けているかと言えば、ほかのイギリスとかフランスのような場合には、かなり課長とかいいポジションにまでいきますけれども、日本の場合には、高校出のほうが安いというので現地の高校出を採用して、日本に留学したせっかく日本語を教わった人があまり採用されない。そういう連中は自動車の運転手なんかやっている。そうなれば反日になるのはあたりまえですね。そういうようなあらゆる点で反省すべき点もあると思います。 第一、ゴルフ場というのは日本の商社が日曜や土曜日には占拠してしまって、そして日本でやるような大声をあげて、まるで自分の国の自分のゴルフ場みたいにわあわあ騒いでやって、終わるとクラブハウスへ来て賞品をやったり、やれブービーだ何だかんだわあわあ騒いでパチパチ手をたたいて、まるでタイの国のゴルフ場か日本人のゴルフ場かわからぬような傍若無人の態度もなきにしもあらずです。これは考えられることです。そういう民族感情をさかなでするような無意識の行為が非常に悪い結果を及ぼしておる。これはやはり、日本のそういう海外交際の歴史の浅さからきておるところであると思うのですけれども、そういう点を考えてみますと、やはりこの際、そういう経済協力活動に対するチャーターみたいなものをつくって、精神規定でもいいと思うんです。そして、それを具体的に法律化すべき必要があった場合には、それを一つ一つ法律化して規制していったらどうか、そういう気持ちがしたのであります。
○藤井恒男君 もう終わります、これでちょうど十分超過ぐらいになりますので。 私の感じたのは、私も、ちょうど大臣が行かれる直前にタイ国におりまして、日貨排斥運動を私なりに調べてきたつもりです。また機会を見てそのことを申し上げたいと思うんですが、まずやっていただきたいことは、たとえば、外務省の情報文化局というのは、日本の経済進出に関する海外論調、こういうりっぱなものを収録しております。これを読んでみると、いかに日本が広報活動をやっておらないかということが一目瞭然にわかる。インドネシアに行って、インドネシアの大使館でも聞いたんだけれども、日本から映画が来る。何やっておるかと言えば、新幹線が走って、富士山が写って、桜がちらちらとする。どこへ行ってもそれしかない。一体何をやっておるのだろうと、出先ではそう言うんです。広報活動が全くなっておらない。だから、りっぱなデーリーでも、あるいはニューヨーク・タイムズでも、社説にむちゃくちゃなことを書いているんですね。これに対する反論もない。日貨排斥運動の中にも、そういう問題が私はあったと思います。この辺をよく注意して、せっかく在外公館があるんですから、しかも通産省からも出向いておるし、ジェトロもあるんだから、もっと広報活動を徹底すべきだ。そして、正しいことは正しいと、やっぱり私は主張すべきだと思うんです。 それともう一つは、秩序のある投資をやるべきだろう。一つの企業が進出して、当たると、日本の悪い癖だけれども、ネコもしゃくしもそれに集中してしまう。そして、かの地において企業間競争を行なう。これが、やっぱり向こうの国の人にして見れば、われわれの座敷に来て取り合いしておる、こういうふうに映ると私は思うんです。この辺の調整をやっぱりすべきじゃなかろうか。この競合を何とか避けるべきだ。現地の人に聞いたのだけれども、われわれができる商売まで取ってくれるなということを言っておりましたが、いみじくも昨日かの新聞で、シンガポールが、日本の商社が小さな入札までやってしまう、入り込んでしまう、こういうことをいって非難した記事がこれ載っておるわけなんです。同じことだと私は思うので、その辺のえりを正すことを考えるべきだ。 それからもう一つ、これからの問題は、インドネシアでもタイ国でも、LDCの中ではやっぱり労働問題だろうと思うんです。これはタイのバンコク日本人商工会議所が出した「所報」でございますが、これによると、一九六〇年には争議件数が二百五十四件、うちストライキ件数が二件、人数が二十三人、延べ喪失日数が六十四日、それが一九六五年になりますと、争議件数が三百六十六、うちストライキ件数が十七、人員が三千七百五十三人、延べ喪失日数が六千五百六十六日、これが一九六九年になるとさらにふえまして、争議件数が七百六十九、それからストライキ件数が十八、人数が五千三百四十五人、それから延べ喪失日数が二万三千五百九十三日、こういうふうになっておるわけです。で、タイ国自体、いままでのような奨励投資の法律を改めて、今度、いまやっておることは、全く趣を異にした形で、外国人の職業規制、そして移民法も扱うし、さらには日本の登録企業についてもチェックする、いわゆる外国企業規制法、外国人職業規制法、これは移民法を適用していく、こういうことで、現地人の登用ということを強く訴えてきておるわけです。これを処理していこうとすれば、必然的に私は労働問題というものが出てくる。そうなったときに、どこがそれを処理しておるのだろう。各企業がまちまちでやったところで、わずかな人しか行っていないのでどうにも動きがとれない。この辺のところを、私、心配しております。たまたま今度、ジェトロのもとに労働インフォーメーションというようなものが予算でつけられたということを聞いておるわけなんで、この辺のところを通産省として十分チェックしていかなければ、これからの問題として重要になると私は思っておるのです。 この辺のところで、私の質問をきょう残念ながら終わらざるを得ないわけですが、ひとつまとめて大臣の御所見を承りたいと思います。 それと、最後にもう一つだけ、香港の特恵問題、これが香港において一番やはり問題になっておる。口を開けば差別するということで、まあ、出先では一番痛いところということになっておるわけなんです。このことは、おそらく大臣のもとにも総領事館から、早く何とかしてくれという要請がたびたび来ておると私は思うのですが、この辺についても、現在の香港における競争を、そして香港と韓国の状況などを考えれば、もうちょっと手の打ちようがあるのじゃなかろうかというふうに思うので、つけ加えて御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 海外経済協力に関する御指摘になりましたことは、私も全く同感でございます。 この問題は、われわれの民族の非常に大きな問題点として、一通産省の問題のみならず、やはり政府全体で考うべき問題としてじっくり取り組んでやってみたいと思います。私は、大慈弥前次官に特に頼みまして、この海外経済協力の問題とエネルギーに対する政策とじっくりひとつ答申を書いてくれ、そう言って頼んでおるところなんであります。 それから香港の問題は、香港がLDCの国と先進国の間くらいにいまきておりまして、なかなかデリケートな問題があると私は思います。具体的な処理については、ここで明確な答弁を申し上げられないのを遺憾といたしますが、御発言を持って帰りまして、よく検討してみたいと思います。
○須藤五郎君 大臣、いろいろあなたの経綸を伺ってきたわけですが、そこで私も少し質問したいわけですが、この主要通貨の早期固定相場制復帰は事実上不可能で、変動相場制は短くて一年、長ければ数年と、こういう消息がワシントンの二十カ国蔵相会議から伝えられてきております。通産大臣は、変動制がこのように長引くことを予想しておられたかどうか、その点をひとつ伺いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、今回はかなり長期になるだろうという感じがしておりましたし、また、それが好ましいと思っておりました。好ましいという意味は、当時、変動に移りましたときに、円がどうも不当に高く評価され過ぎていたのではないか。二百五十何円とか、あるいは二百五十円を割るといわれたことすらありました。それで、あまり過早にやるというと、これは非常に円切りの率が高くなり、これは中小企業はもっとひどいひどい目にあう。したがって、少しじっくり変動させてみて、その間に彼我の実勢が正直に出てくるだろう。投機筋もくたびれてくるし、そういう意味で少し長期間変動さしてみて、正直な実勢値でこの円問題が最終的に処理されることが好ましいと思っておりましたので、大蔵大臣にも、これは急がないで少しじっくりやったほうがいいぞ、そういうことを言った記憶がございます。 そのほかに、先ほど御答弁申し上げましたように、ドルに付随するいろいろな問題点がまだ解決しないで残っているわけです。そういうアメリカのインフレーションの問題から、ドルのたれ流しから、多国籍企業から、ユーロダラーの直撃問題とか、そういう問題がある程度見当つかないと、これは国際的にもなかなか決定しにくい要素があるだろうと思います。そういう意味において、私は、ある程度長引くであろう、そういう予測をますます強くしている次第であります。
○須藤五郎君 きよう、私は、大臣とこの円・ドル問題で突っ込んだ論議をするということは考えていないのですが、そういう時間もありません。これはまた別の機会にやったらいいことだと思うのですが、そうすると、大臣は、長期化するという予測を立てておったということなんですね。それなら、おそらくその長期化した場合の対策全般について、いろいろその腹案を持っていらっしゃるだろうと思うのです。ちゃんと準備を整えていらっしゃるだろう、長期化のために日本の業界がどういう打撃を受けるかという点についても、いろいろ考えを持っていらっしゃるだろうと思うのですが、現在、一ドルが二百六十三円から二百六十五円、そうですね。変動制が長期化すれば円高相場になると、こういうふうに見られておるわけなんですね。この場合、中小企業への影響は一そう大きくなることは明らかだと思うのですが、その点をどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 長期化すると私は円安になるだろう。つまり、ドル高になるだろう。つまり、二百六十円前後というものが日本の経済力から見れば二百六十五円とか、あるいは二百六十八円とか、そういうふうに円の価値がいままで考えていたよりも安い、少ない、そういうふうに是正されてくるだろうと。特に、春闘なんかを経験いたしまして、賃金の上昇はどの程度になるかわかりませんが、春闘を経験すること自体によっても、日本の経済力というものは、考えられているよりもコストは上がってくるかもしれませんし、弱みが出てくるわけです。そういう経済の実勢値が如実に反映されるということが、長続きのする固定相場を次の段階に生むゆえんであると、そういう気がいたしまして、これはある程度長引くだろうという気がしておったわけです。
○須藤五郎君 それは、変動制相場が長期化というのも程度があると思うんですが、あなたのおっしゃるような円安になるということも、今後何年か後にはあり得るかもわかりません、あり得ないかもわかりませんが、しかし、そんなゆうちょうなことを考えていらしても、今日の問題、中小企業は今日の苦しい問題をどうするかというせっぱ詰まったところに追い込まれておるわけですね。だから、そんな円安になればこういう問題は解決していくんだというふうに、のんびり通産大臣たるものが腰を据えておったんでは、中小企業は困る。もしもそれならば、非常に長期というか、相当長いこと続くというならば、それに対する対策を立てていかなければならぬと思うのですね。 そこで伺うんですが、輸出関連中小企業の最近の成約状況ですね、前年同期に比べてどういうふうになっておるか。特に変動制になってからの状況はどういうふうになっておるか、知らしていただきたい。
○政府委員(莊清君) 輸出関係の産地について、フロート制移行後、直ちに約九十八産地について調査したわけでございますが、その当時約二百六十五円程度ということを前提に業界から聞き取ったところでは、二〇%以上減るだろうというふうな調査結果でございます。これはいろいろ産地がございますから、比較的軽いところもあれば、五〇%以上減るというふうな非常に打撃の多い産地も、これは内容的にはいろいろございますが、金額的に加重平均してみると、いま申し上げたような一応の調査がございます。それはドル・ショック直後の状況であるというふうに御了承いただきたいと思います。 その後、いろいろ業界のほうでは輸出契約残について、ドル価格を引き上げる交渉等を海外と進めておりますし、それと並行して、価格がきまったところで、新しいものをそれじゃ幾ら買ってくれるのだというふうな並行した交渉を盛んにやっておりますが、一部の業界では、にっちもさっちもいかないというふうな状態が残念ながら実は続いておるようでございます。で、雑貨でも、たとえば、比較的いいと言われるライターとか金属玩具、ギターというふうなものを拾ってみますと、最近一カ月半の間の新規の契約というのは、昨年同期の七割ぐらいの水準まではとにかくいっておるというふうなことも言っておりますけれども、片方、グローブであるとかはきものなんというのは、全然新規はない、というふうなことを言っておるのもございます。それから繊維なんかでは、綿糸とか人絹、スフ糸、合繊糸なんというのは、LDC向けが相当伸びまして、昨年同期よりもはるかに多いというのも片一方ございますけれども、織物関係あるいは二次製品なんかでは、非常に苦しんでおるという実態もございます。それから機械機具関係でも、作業工具なんかは昨年同期の七五%ぐらいは何とかいけるだろうというふうな状況もあるようでございますけれども、バルブなんかは、三分の一しかどうしてもやれぬとか、こまかく申しますといろいろあるわけでございます。 そこで、ちょうど変動制に移行してから一カ月半たっておりますし、それから為替市場が閉鎖しておった半カ月を除きまして、ちょうどまる一カ月たったというところでございますから、一回調べました百ばかりの産地について、実はこの一カ月半に契約条件の改定なり新規契約の締結がどうなったか。これは百ほどの産地というのは、私ども、影響が比較的強いと思っておる産地でございますから、ライターみたいにどんどんいけるところは、もちろん、調べはしますけれども、百産地に重点をしぼって三月末現在で調べるようにという指令を地方通産局のほうに最近出したわけでございます。この調査は、実は当分の間、毎月末現在というふうにいたしまして、ずっとトレースしてやっていこう、こう思っております。これによって初めて影響の強さというものが一番強い局面についてはっきりわかってくるだろう、かように思っておるわけでございます。全体として中小企業の輸出が、去年は大体年間で百億ドルあったけれども、どうなるだろう、この一カ月で幾ら成約できたろうということは、実は統計的にまだつかまえておりません。 こういう状況でございます。
○須藤五郎君 まだつかまえてないのをここに出せと言っても無理な難題だと思うから、そこまでは申しませんがね。できればすぐ資料として出してもらいたいということが一つ。 そして、いまの話を聞いておりましても、変動制になってから伸びてはいないと思うんです。非常に苦しいことがずっと続いてきておると思うんです。それで、だんだん落ち込んでいくんじゃないかという感じが私はするんです。しかも、この変動制が長いほど長期にわたるのだという大臣の答えだと、これはとても長いこと日本の中小企業は苦難にさらされなければならぬということが私は言えると思うんです。 そこで、次の質問に私は参りますが、政府は、「変動相場制移行に伴う当面の緊急中小企業対策」という、これです、ここにあるもの、これを三月中旬、決定しておられますが、変動制の長期化という新たな情勢に応じまして、この対策はさらに私は拡充されるべきものだと思いますが、大臣、どういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 長期化というのが、一カ月か二カ月か三カ月か、その基準点がまだばく然としてよくわかっておりません。これは愛知外務大臣が帰ってきまして、その感触を聞いて私たちもその長さの観測を自分でもしてみたい、こう思っておるわけでございます。しかし、いずれにせよ、一般に考えているよりも長い間変動制というのは続く可能性がありますから、それに伴う政策も必要であります。特に大きな問題は、早く成約させるということで、成約させるという点について大事なことは、やはり為替の予約という問題だろうと私は思うのです。そういう問題について必要ある場合には、新たなるいろいろな構想もめぐらしてみたいと思います。
○須藤五郎君 かって、私、この委員会で中曾根大臣に、燕の金属食器の問題を取り上げて、私が金属食器の調査に参りましたとき、あそこの理事長が、自分が現在アメリカに契約しておる、もう売れることはわかっているその分だけでも、政府は二百億ドルも金を持っておるのだから、その金を貸してもらえないか、それでアメリカから来ればそれをお返しするから、貸してもらえないか、そうしたら、貸してもらったドルを自分たちは早く円にかえておきたいのだと、こういうことを申しました。そのことを私があなたに言ったら、それも一つの方法ではある、しかし、それを今日やるというと、円の切り上げというものがはっきりあらわれてくるから、そういうことを今日やるわけにはいかないけれども、それも一つの方法だと思いますと、こういうふうなお答えだったと思うんですね。そうすると、これ、相当長くかかるなら、やはりそういうことも含めて、大臣としては中小企業を守る立場に立って考えていってほしいと私は思うんですね。そういうことに対する大臣のお考えもあとで御回答願いたいと思いますが、今回の変動制移行にあたりまして、各地の中小企業者の共通の要求は次の三点なんです。これをよく聞いておいてほしいと思うんですね。 一は、既往融資の返済猶予、この問題はここで回答が出ております。そのとおりにするという回答が出ております。二番目は、返済猶予中の利子のたな上げです。三番目は、無担保、無保証人、無利子融資の実施、この三つを中小企業者はいま非常に希望しておるんです。事業活動が困難にだんだんおちいっておる、利子の支払いも大きな負担になることを考えますならば、当然、私は、利子たな上げは、また返済猶予と組み合わせて実施すべきことだと考えるんですね。利子たな上げを行なうことをひとつ大臣として検討してもらいたいと思うんですが、どうですか。——大臣が答えなきゃだめですよ、こんな重大な……。
○国務大臣(中曽根康弘君) 答えてから答えます。
○政府委員(莊清君) まず、返済猶予でございますが、その期間中といいますと一年でございます。一年間の返済猶予でございますから、第一回のドル・ショック融資の残高について一年間だけ利子をたな上げしてほしいと、これはあとでまとめて払うということであるのか、あるいは徳政をしいてしまえということなのか、ちょっとわかりませんですが、実は私ども、一番今回も気にいたしておりますような産地の零細企業、これは労働集約的な企業でございまして、ほんとうの零細企業でございます。そういうところは大体国民金融公庫と取引がございまして、第一次のショックでも国民金融公庫から融資を受けたということでございますから、大体二百万円ちょっとを借りております、一企業平均で。したがいまして、まあ、一%の利子というのは年二万円というふうな金額でございます。私は、年二万円、月二千円足らずというのはどうでもいいというふうな不遜なことを決して申し上げるつもりはないわけでございますけれども、業界から私どもいろいろ陳情も受けましたが、とにかく、元本を返すというのは非常に困るんだ、元本の返還というのは利子の支払いに比べますと非常に巨額でございますから、これは一番こたえる。だから、一回目の借りた分の返済猶予はもちろんのこと、今度新しく貸してくれる、結果として二千二百億になりましたが、それの返済期間はもう思い切って最初から延ばしてほしいんだ、元本を返すというのはもう非常に一番金繰りが苦しくなる。利子は年ある程度のものでございます。元本となるとそれの十倍、一十倍になりますので、というような強い御要求がございまして、それで、政府関係機関の返済猶予というのは、いままでもおりに触れてないわけじゃございませんけれども、なかなか利子をまけてしまうとかいうふうなことは、実は行なわれたことのない点でございまして、財政当局ともいろいろ話し合ってみたんでございますけれども、まことにこの際実施に踏み切りにくいということでございまして、いたし方ございませんが、そのかわり新しい二千二百億については、もう最初から二年間元本は返さぬでよろしいというふうなことをして、これはもう前回の融資よりも進んでおるというふうにひとつ御理解をぜひ願いたいと思うわけでございます。 それからついででございますが、無担保、無保証、無利子というものに新規の融資をしろと御要求のお気持ちは、私ども、業界の実情もいろいろ聞いておりますからわからぬわけじゃございません。
○須藤五郎君 わかったら言ったらいい。
○政府委員(莊清君) それで、わかるんでございますけれども、やはり財政投融資の原資は、国民からのお預かりしたお金でもございますし、いろいろ資金運用部としてもこれは利益のあがるかっこうでございませんと、資金運用部そのものが成り立たないというふうないろんな大きな問題もあるようでございます、これは財政当局が考えることでございますけれども。そこで今回は、やはり完全な無利子というふうなこと、あるいは無担保、無保証、何にもないというふうにはいたしておりませんけれども、利子も裸コストの六分二厘ぎりぎりということにいたしておりますし、私ども事務当局もいま研究しておりますけれども、今回、郵便貯金も利上げになる。貯金の利子がふえるのはけっこうでございますが、そうなると、御案内のように、預金部というものがそれだけかせがないと郵便貯金の利子が上げられないということで、ほっておけばこの六分二厘の金利というものは上に上がっていくだろうと思いますが、これは絶対に上げてはいかぬということで、私どもは大蔵省に事務的に頼みにいっております。これから本格的な問題になると思いますが、そういうことについて六分二厘というものはぜひ守りたいというふうに、実はかたく私ども事務的に決意しております。 それから、担保保証の点でございますが、やはり政府機関でございますから、何にもなしにこれだけの大量の金を、赤字金融をお申し出があれば、まああまり査定めいたこともせずにスピーディーに一律にお貸ししていくという場合に、担保も保証も一切ないということはまた問題がいろいろあるわけでございますが、信用保証協会を大いに活用していただいて、政府機関からの貸し出しについても物的担保は出さないでいい、信用保証協会が保証に立てばいい。その信用保証協会が保証に立つときに、保証協会に担保を取られずに済むように無担保保険というものを今回は拡充したい。そういう意味で、ドル対策法の改正というものを別途お願いする、こういうふうな考え方でございます。これは先生からごらんになれば、非常にみみっちいとおしかりを私は受けるだろうと思うのですが、最大限の努力をして一生懸命やっておると、私、かように答弁さしていただきます。
○須藤五郎君 大臣、あの答弁でいいのですか。あなたの気持ちはあのとおりなんですか、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現状においてはやむを得ないと、そういうように思います。
○須藤五郎君 案外大臣もみみっちいですね。 〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕 それではお尋ねしますが、あなたは、三月十日の衆議院の予算委員会におきまして、私たちのほうの神崎議員の質問に対しまして——時間がありませんから、その質問とか詳しいことはここでは言うのを避けますが、あなたの答えの中心だけ申しましょう。「廃業するとかあるいは事業転換をするという場合には、無利子というようなやり方もございます」と、こうあなたは答弁しているのですが、これは間違いございませんか、確認しておいてください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小企業振興事業団の中から共同して廃業するという場合には、お金を出していまのような措置がとられることになっておりますし、転業するという場合にはたしか二分七厘でしたか、非常に安い金利でお貸しするそういう制度がございます。それをさしておるわけでございます。
○須藤五郎君 その考えの奥には、私は、いつも通産省がよく言った中小企業対策、いわゆる中小企業が多いから減らしてしまえ、つぶしてしまえという、だから、つぶれるなら無利子の金も貸しましょうと、裏返せばそういう解釈すらもできるのですね。だから、つぶれていくものに無利子で貸してもしようがないので、ほんとにつぶれない、転業しない人たちにも無利子の金を貨してその仕事を大きく発展さしていくというこの姿勢が、私は、通産大臣としては必要だと思うのですよ。それでなかったら、変動制が長く続いたほうがけっこうなんだとか、そのうちに円安が来るんだというようなこと言ったら、そうしたらもう中小企業はどうしますか。どうも立ち行かないところに追い込まれてしまうんじゃないですか。それならもう少しあなた、それに対する対策として、こういう人たちにはこれだけのことをやりますと、われわれの納得するようなことをちゃんと言ってもらわなきゃ、言うだけじゃなしにやってもらわなきゃ、あなたみたいにそれはわかっていますが、気持はわかっていますがと言って何もやらないんでは、無能といわれてもしかたがないということだと思うんです。 まあ、こういうことを申していても時間がたつばかりでございますから、次に移りますが、無利子で金を貸したことはないというふうに言っておられますが、私が調査したところによりますと、とんでもない金が無利子で出ているわけなんですね。この「石炭鉱業に対する融資及び助成実績」という表を見ますると、石炭鉱業にこういう金を出したことが悪いとかいいとかというその意見ではないんです。事実を私は申し上げるんです。補助金等の合計を見ますると千七百十億円ですね、これは政府資料ですから間違いないと思うんですね。 〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕 これは本来ならば質問して、あなたのほうから数を出してもらうところなんだけれども、時間がないから私が申します。それから閉山交付金ですね、これが千三百三億円です。合計三千十三億円余りですが、これは無利子どころじゃないです、ただやった金でしょう。そうでしょう。石炭鉱業にただ金をやったことがけしからぬと言うと、またおこられる方も出てきますから、そこまでは私は言いませんけれども、事実ですね、これはね。事実、三千十二億円の金をただやっている。いいですか。そのほかに無利子の金もあるわけです。近代化資金、整備資金、再建資金、開発資金、これを合計しますと無利子の金が千二百四十六億円です。石炭鉱業に対してはこれだけの手厚い扱いをしておるわけですね。それから、金利でも低利の金が千百十三億円出ておりますね、合計。こういうふうにたくさんの金をただやったり、無利子にしたり、低利長期の金を石炭には出しておるわけです、またこれからも出すとは思いますが。 それからもう一つは、外航船舶建造融資利子補給です。造船所に対しましては利子補給の名前で、四十四年から四十八年までです、これは。もっと先にもあったはずだと思うんですが、私のところに、資料要求したらこれだけの資料しか出てきませんが、その資料によりましても七百二十七億円の金を利子補給の名前でくれてやっているんです。造船には七百二十七億円ただくれてやる、石炭には三千十三億円ただやる、無利子の金は千二百四十六億円出す。それで中小企業に対しましては無利子の金をなぜ出さないのですか、ただやる金をなぜ出さないのです。中小企業にあまり冷たいじゃないですか。そうして、フロートは今後も長く続いたほうがいい、円が安くなる、そういう考えはどうしても私は納得できないんですよ、中曾根さん。どうしますか、こういうことを。どう説明しますか、これを。中小企業にあなた、どういうふうに説明なさいますか、この事実を。
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの石炭やあるいは造船の場合には非常に多くの従業員の生活がかかっていることがありますし、そういう点でも特別の政策としてお考え願いたいのです。中小企業の場合でも、今度無担保、無保証の新しい制度をことし始めます。これは今度の議会で御審議願っているところであります。やってないわけじゃないんで、やっているわけです。しかし、この問題につきましては、商売をおやりになっていると、転廃業されないという場合にはやはり営業は継続してやっていくのであって、いずれまた景気がよくなるとか、商売が緒につけば、それでまたお返し願える、そういう借金はいま返せなければ延期することもあり得るでしょう。そういうことで、とにかく、商売というものは借りたものは返すという原則が原則として通用すべきものである。しかし、やめて転廃業なさるという場合には、これは商売が継続しないんでありますから、それはもう利子を取らない、そういう形で転換をお考え願う、そういう精神だろうと思うのです。それは、貸す金は全部利子をなくしちまったらこれはいいかもしれません。いいかもしれませんが、やはり税金を出している国民の側の立場もまた一面考え、公平ということも考えなければ御政道は成り立たない、そのように思うのであります。
○須藤五郎君 私が言うているのは、大企業、大資本にはこういう金はただやって、それで無利子で金を貸しているじゃないか。ところが、中小企業に対してどうして同じことができないかと言っているんです。やはりあんたたちの腹の中には、中小企業なんかつぶれてしまってもかまわないんだ、一向差しつかえないんだと、大資本は守っていかなきゃならない、大企業ら守らなきゃならぬという、そういう考えが腹の中にあるからこういうことが平気で言えると思うんですよ。だから、これだけの金を大資本には出せるならば、なぜ中小企業にもただ金をやり、また、無利子の金をなぜ貸さぬかと、ここを私はあなたに言っているわけなんです。あんた、造船にはたくさん労働者がおる、炭鉱にもたくさん労働者がおる、それはそのとおりです。しかし、中小企業に働いている労働者だってそんなに少なくないんですよ。そうでしょう。中小企業だってたくさん業界はあるんですよ。労働者もたくさんありますよ。その人たちはいいんですか、ほっといて。
○国務大臣(中曽根康弘君) 炭鉱や造船の場合、これは炭鉱のような場合は配当もありませんしね、会社自体が破産に瀕しているという状態で、やはり従業員の運命が直接かかってきている。六分とか、八分とか、一割とかという配当をしている場合は別といたしましても、それは会社自体が破産状態にあるわけです。だから、大資本にやるということであるよりも、やはり従業員の皆さまの生活を救い、また炭鉱業自体を国家の政策として継続さしていく、そういう考えがあるわけです。造船の場合でも、その場合は無配です。そしていろいろ監査を受けて、私企業の自由にできない部分がその場合には非常にあるわけであります。ほとんどあの場合には国家管理みたいな関係を受けておりました、造船利子補給の場合には。そういうような拘束を受けてやっているので、何でも大資本だからといって優遇してやっているというわけではないんです。
○須藤五郎君 くどくなりますがね、大資本に優遇する、そういう気持ちがあるならば、中小企業もそういうふうにしてやったらどうだということなんですよ。中小企業だって倒れちまったら、そこに働いている労働者は困るんですよ。つぶれてしまう。もうまさにつぶれていくんじゃないですか、こういう状態が続いていくならば。そうでしょう。堺のほうの新受ですね。もうゼロになっちゃったでしょう輸出。そうしたら、そこに働く人たちはどうするんですか。だめになっちゃうじゃないですか。そういう人にはあなたは目をくれないで大資本、大企業に対しては手厚い保護対策を、補助対策をやっていこうと、こういうことをあなたが言うから、中小企業にももっと手厚いことをやったらどうか、無利子の金を貸しなさい、また場合によっては金を上げなさい、ただで上げなさい。石炭や造船にはただの金を何千億と出しておるじゃないか。だから中小企業も出したらどうだ、これが私の意見なんです。あなたがそれは反対ならば反対とおっしゃってくださったらそれでいいんですが、あなたの気持ちにはそういう気持ちがないんでしょうか、どうでしょうか。あなたの気持ちを伺いましょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり政府は税金を出している人たちのことを考えなければならんので、結局……。
○須藤五郎君 みんな税金の金で、どっちだって、炭鉱の利子補給だって、造船の利子補給だってみんな税金の金じゃないんですか。そうでしょう。みんな同じですよ、税金といえば。
○国務大臣(中曽根康弘君) でありまするから、炭鉱のような場合には、ほとんど炭鉱自体は無配で、そして破産状態に近い状態にあるわけですよ。だからやむを得ず政府は肩がわりをして、いまの何百億というお金を、国民の税金をそちらに回して埋めているわけです。これは何も炭鉱の企業家を救うという意味でやっているんじゃないわけです。それから、造船利子補給の場合も同じことであります。中小企業の場合も、中小企業という、そういう特殊の自営形態の営業でありますから、ですから最大限の国の助成を行なう。そしてそれを猶予するということもやっておるわけです。実際、須藤先生、御商売なすったことがない。芸術家ですから、御商売のことはあまり御存じないかもしれませんが、私らみたいに商人の家に生まれた者は、金を借りるということが一番うれしいことなんです。利子を払うということはそれほど苦痛じゃないんです。貸してくれるということがもっと大事なことなんです。そういうふうなことで、今度は二年も返さないでいいという、いままでないような思い切ったことを実はやったわけです。利子の問題というものは実際借りる側の立場に立ってみますと、それほど大きな問題じゃない、私はそう思います。
○須藤五郎君 現状は、中小企業の置かれている現状は、そのようななまやさしいものじゃないですよ。だから、三つの条件を求めているわけですね。私がさっき申しましたでしょう、企業融資の返済猶予、返済猶予中の利子のたな上げ、無担保、無保証人、無利子融資の実施、この三点を強く中小企業は要求しておるわけですね。そのことを私は重ねて申しておきましょう。 それから、あなた少し誤解していらっしゃるようですが、石炭に、炭鉱を救うために融資したことをいかぬと私は言っているわけじゃないんですね。いい面もありますよ。また、借りた金の使い方に対しては、私は意見を持っていますよ、炭鉱会社、それから造船も同じように。だから、それはいかぬと私は言っているんじゃなしに、そういうことをしているじゃないか、政府は、だから中小企業に対しても同じような手厚い待遇をしたらどうだと、手当てをしたらどうだと言っているのが私の気持ちなんですよ。その点、あなたは少し誤解していらっしゃるように思いますが、そうではないんですから、そこをはっきりしておいてください。 それじゃ、次の質問に移りましょう。無利子の要求に対しまして、金利六・二%ですね、今度のこれの措置が。無利子にやってくれというのに六・二%の利子を取るぞ、これは私は少し高いと思うんですね。中小企業金融制度の中に近代化資金など無利子のものがありますね。また、中小企業振興事業団による設備共同廃棄事業は無利子で十六年間という、こういうことになっておりますね。これも事実です。今回の変動制によります緊急融資も、無利子とすることは決してできないことではないと私は思うんです。やる気があればできないことはない。政府が一般会計から利子補給を行なえばできることだと思いますよ。無利子にすべきではないでしょうか。重ねて申します。どうですか、できないですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、中小企業というものは非常に大ぜい、多くの業態があるわけでございますけれども、元来、自営というものを中心にして、そして自分の危険負担で生き抜いていくというのが営業、企業というものの性格であります。したがって、転廃業するというような場合には、無利子というようなことも考えられますけれども、営業を続けていくという限りは、もうけるチャンスも次に生まれてくるんですし、政府としては、二年間も元本を返さないでもいいと、そういう猶予期間する設けているんですから、その間で一生懸命がんばってもらって、そうして返済するチャンスをつくっていくと、これがやはり自力更生の精神を持っておる企業というものの考え方だろうと私は思うんです。国営企業にしてしまったら、これは全然別であります。そういう国営企業的な考え方というものは、われわれ自由民主党はとらないんです。やはり自由と創造と、そのかわり責任もある、そのかわりおもしろみもある。そういうような企業の非常に活発な社会構造というものをわれわれは考えてやっているわけであります。そのぎりぎりの線で利子というものも考えておるわけでございます。利子を取ったらいいか悪いかというのは、いろいろ経済学上の論争もありますし、社会学説もありますけれども、われわれはそのように利子を取って、そうして経済活動を活発に行なっていく、そういう立場に立脚しているわけです。 それで、先ほど申し上げましたように、借りる側から見ますと、利子を払うということは、それほど——負担には負担ですよ。しかし、これ、何億借りたという場合には、何千万とか何百万という利子が出るわけですけれども、二百万とか三百万という場合の利子の場合には、これはまず、たいてい天引きされてもらうわけです、そのときは。それで得た分は、二年は返えさぬで、これを元手にしてやれるということ。その借りるというほうがどれくらいうれしいことか、実際、営業をやっている人の気持ちはそういうことなんです。私は実際は商人の家に生まれているから、そういうことはよくわかるんです。ですから、そういう自力更生、企業というものの自由性というものを考えて、そういう精神を生かしてやってみたいと思うわけであります。
○須藤五郎君 それはせっぱ詰まったとき金を貸してくれりゃ喜びますよ。喜んだけれども、さあ利子を払うとなると、今度は、利子はただだったらよかった、いいのになあとこう思うんですよね。それはただなら一番いいじゃないですか、利子払わないで。今日はもう貸してくれることもうれしいが、利子を払うことがつらいというほど、それほど苦しいところに置かれておる。あなた、金を借りて利子を払うのが苦にならなかったというのは、よっぽどあなたは幸福な商売をしてこられた、順調な商売をしてこられた、こういうことになると私は思いますよ。無利子はどうしてもやらないかぬ。とこうおっしゃるならば、六・二%の金利はもっと引き下げるべきだと、こう思いますよ。六・二%という利子は、今日のあの人たちの立場では非常に高い利子だと思うんですね。中小企業振興事業団によります共同転換事業は、十六年間二・七%で融資する制度があるわけでしょう。何も一六・二%取らなければならぬことはないと思うんですね。 また、三月二十七日発表されました政府の市街化区域内農地の宅地供給促進臨時措置法の、この法案要綱によりますと、地主が賃貸し住宅や分譲住宅を建設する場合、住宅金融公庫などから長期低利融資をする。利率は、田中総理は四・五%を主張、大蔵省は確答しておりませんが、ほぼ同程度の低利になる模様と、こういうふうに私は聞いております。 低利の融資、まことに私はけっこうだと思います。こちらへ低利でできるのであれば、中小企業向けの緊急融資にも同様の金利でできるはずなんです。まして、総理が、通産大臣をはじめ政府は、変動制移行に伴う中小企業対策につきましては万全を期すると、こういうふうにおっしゃっていらっしゃるわけですね。それならばなおさら、低利で融資を行なう責任が私は政府にあると、こういうふうに思います。一体、住宅金融への金利より、中小企業への緊急融資金利を高くする根拠はどこにあるのか、伺っておきたいと思う。
○国務大臣(中曽根康弘君) それはやはり、政策的緊急性というようなものもあるんだろうと思います。都会における若い人たちのために住居を提供してやるという、そういう政策的な緊急性があるのだろうと思います。中小企業の場合は、もちろん苦難ではありますけれども、ともかく、二年というものは返さぬでも、それを元手にしてもう一回商売を挽回する、新しい販路を見つけていく、その間にはまた好況もくるかもしらぬ、景気も回復するかもしらぬし、そういういろんな可能性が秘められてあるわけであります。商売というものは、やはりそういう可能性に挑戦していくところに商売があるので、国からまるがかえで恩恵的にものをすべて受けるということは、必ずしも商売の本旨に合うものであると私らは考えません。
○委員長(佐田一郎君) ほかに御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(佐田一郎君) 次に、機械類信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曾根通産大臣。
○国務大臣(中曽根康弘君) 機械類信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 機械類信用保険制度は、中小企業の設備の近代化と機械工業の振興に資することを目的として、昭和三十六年に発足した国営の保険制度であります。発足の当初は、機械類の割賦販売のみを対象としておりましたが、その後、中小企業向けのローン保証販売の増加に伴い、これを保険の対象に追加し、今日に至っております。 本保険制度は、発足以来すでに十二年近くを経過いたしておりますが、この間、割賦販売等に伴う代金不払いのリスクを保険することにより健全な割賦販売等を促進し、中小企業の設備の近代化と機械工業の振興に大いに貢献してきております。すなわち、本年度について見ますと、本保険に付保される機械類の販売は件数にして約一万五千件、金額にして約四百億円にのぼる見込みであり、また保険に加入している製造業者等の数は約五百五十社に及び、中小企業者、機械工業界の双方にとって重要な施策の一つとなっております。 今回の法律改正の趣旨は、本保険制度を拡充し、新たに機械類のリースによる取引につき信用保険を行なうことであります。 リースは、所有権を譲渡することなく、使用権のみを長期間にわたって特定の相手方に与えるもので、近時、わが国におきましても機械類のリースによる取引が増加しつつありますが、特に中小企業におきましては、資金の有効活用、技術革新に伴う機械の陳腐化の防止、会計事務簡素化等の利点を有しているため、リースの利用はその設備の近代化をはかる上で有力な手段の一つとなるものであります。また、リースの利用が進みますことは、機械工業の側から見ましても新型機械の普及等の面できわめて有意義なものであります。 しかしながら、中小企業にはまだ信用基礎の確立していないものが多く、長期間にわたるリースを受ける場合には、その使用期間中における景気変動に伴いリース料不払いの事態等が懸念されますため、リース業者も中小企業にリースすることをためらいがちであり、中小企業向けのリースは円滑さを欠いている実情にあります。 このため、政府がリース業者を相手方とする保険契約を締結し、万一リース料不払いが生じたときは、その損害の二分の一を補てんすることを内容とする信用保険を実施し、中小企業の信用力を補完することによりまして機械類のリースを普及し、中小企業の設備の近代化と機械工業の振興に資することとした次第であります。リース信用保険の保険契約、保険金等に関する制度の基本的仕組みは、現行の機械類信用保険と同様であります。 今回の改正によるリース信用保険制度の創設は、以上申し述べましたとおり、今後、中小企業が設備の近代化をはかっていく上できわめて有意義な施策であり、全国の中小企業関係団体からも強い要望が出されているところであります。ぜひ本制度の実現をはかることが必要であると信ずる次第であります。 以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。何とぞ慎重ご審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(佐田一郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。山形重工業局長。簡単にひとつ。
○政府委員(山形栄治君) 機械類信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。 現行法は、機械類の割賦販売契約及び購入資金借り入れ保証契約による取引について信用保険を行なっているものであります。御高承のとおり、割賦販売は、代金を一定の期間と回数にわたって分割受領することを条件にして機械類を販売するものであり、また、購入資金借り入れ保証販売は、機械類のローンによる販売を行なう際に、金融機関に対して購入者のローン債務を保証するものであります。現行制度は、これらの取引に伴う代金等不払いのリスクについて保険を実施することにより、健全な割賦販売等の拡大をはかり、もって、中小企業の設備の近代化と機械工業の振興に資することを目的としているものであります。 本保険事業の実績と利用状況を見ますと、まず、保険対象機種につきましては、昭和三十六年度に五機種で発足いたしましたものが、その後逐年追加がなされ、本年度には排水処理装置等の公害防止関連機器をも追加するなどにより、現在三十三機種が保険対象となっております。 これに伴って、引き受け保険金額も拡大し、本年度は対前年度比一九%増の二百十二億円、すなわち、本保険に付保された機械類の販売額で見ますと四百億円強にのぼる見込みであります。 また、本保険の利用状況を見ますと、本年度は約一万五千件に達する割賦販売等が本保険に付保される見込みであり、しかも、このうち、九五%程度は中小企業向けのものとなっております。 以上申し述べましたとおり、本制度は、法律の目的である中小企業の設備の近代化と機械工業の振興に大いに寄与しているところであります。 ひるがえって、わが国における機械類の流通の態様を見ますと、従来の割賦等の購入形態に加えまして、最近では、リースによる取引形態が中小企業の分野におきましても急速に増加しつつあります。 リースは、中小企業にとりましてはその設備のの近代化を進める上で、また、機械工業にとりましては新型機械の普及等の面で、いずれの場合にもきわめて有意義であると考えられますが、反面、リースの普及の実態を見ますと、ユーザーである中小企業には信用基礎の確立してないものも多いため、残念ながら、中小企業向けのリースは円滑さを欠いているのが実情であります。 したがって、政府としては、今後中小企業におけるリースの利用を円滑化することにより、その設備の近代化を促進するとともに、あわせて機械工業の振興にも資する必要があるものと考えまして、今回、法改正を行ない、機械類のリースによる取引に対しまして、大要次に申し上げるような保険制度を実施しようとするものであります。 まず第一に、本保険の対象となる契約は、リース契約であります。本法において、リース契約とは、機械類を使用させる契約であって、機械類の使用期間が三年以上の長期にわたるものであり、かつ、その期間中の中途解約ができるものでないこと、使用の対価を政令で定める一定の回数以上に分割して受領すること等の要件に適合する契約をさしております。 第二に、本保険の保険契約は、政府が、会計年度ごとに、リース業者を相手方として、機械類の区分を単位として包括して保険契約を締結することとなっております。この包括保険制度とは、契約年度中に保険対象機種をリースした場合には、これをすべて付保することを約するものであり、その結果、危険分散が可能となり、保険契約者にとっては安い保険料で付保できることとなるとともに、きわめて多数のリース契約について、個々に付保すべきかどうかを判断するという事務の繁雑さから免れることができるなど、保険契約者が当保険を利用しやすいという観点から、従来の割賦等に関する保険にならって、包括保険制度をとることとしたものであります。 第三に、本保険の保険関係の具体的内容でありますが、保険契約者となったリース業者は、支払い期日において支払いを受けることができなかったリースの対価について、その実損額の五〇%をてん補されるという関係が、政府とリース業者との間に生ずるわけであります。 第四に、回収金制度でありますが、現行の割賦等に関する保険の場合と同様、保険金の支払いを受けたリース業者は、保険事故にかかる対価の回収につとめる義務があるとされ、実際に損失額を回収したときは、回収額の五〇%を国に返納するという制度を設けております。 以上が本保険制度のおもな内容でありますが、これらの具体的な運用にあたりましては、本保険制度の趣旨を中小企業及び関係業界に周知し、その利用の拡大をはかることが肝要であると考えておりますので、特に中小企業ユーザーに対しましては、それぞれの経営の実態に応じて最も適切な機械導入の選択ができるよう、割賦販売、ローン保証販売及びリースのそれぞれの特色、利点等について積極的に広報活動と指導を行なうとともに、保険契約者たるリース業者に対しましては、リースに伴うもろもろのサービスの強化をはかるなど、真に中小企業ユーザーの利益に沿ったリースを行なうよう十分な指導を行なうこととし、今後、本制度がなお一そう利用しやすい制度となるようつとめてまいりたいと存じます。 以上、簡単ではありますが、、本法律案に関する補足説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(佐田一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。 本法案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十九分散会 —————・—————