P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
71回国会参議院1973/07/17

社会労働委員会 第20号

発言数
155
登壇者
14
会派数
2
開催日
1973/07/17

会議録

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上四案を一括し議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私は、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案についての質疑をしたいと思うんですけれども、最初に、厚生大臣に基本的な理念についてのお尋ねをするつもりでしたけれども、いまお席においでになりませんので、それでは年金局の方に、今回の五万円年金といわれているものが、厚生省の発表によりますと、大体対象者が八十五万人のうちの八万人ぐらいにはなるだろうということでございますが、その根拠ですね、計算の根拠は一体どのくらいか、はたして私はそういうふうにたくさんの人が対象となるかどうかというふうに思うんですけれども、その数の計算の根拠をお示し願いたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 今回の厚生年金の給付水準の改正の問題でございますが、御指摘のように、二十年以上の加入の方の標準的な金額が、妻の加算を含めましておおむね五万円と、こういうふうなことになっております。それで問題は、五万円年金を受ける方が現実にどれぐらいいるかというその数の計算の根拠ということでございますが、二十年以上の加入期間を持っておられる方につきまして具体的なケースから引き出してその平均でもってどうなるかというふうなそういう計算をいたしております。したがって、どのような根拠で、どうなったかという点につきましては、現実に二十年以上の方でもっておやめになる方の平均的な標準報酬を、御承知のような再評価等のやり方でもって実際に標準報酬を計算をいたしまして、その結果、五万円以上の方が何人と、そのような計算をいたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま、よくはっきりしないんですがね。そうすると、計算では、対象になる人がどのくらいあって、そのうちの何人が五万円相当の年金を受けるようになるかという数をちゃんとおっしゃっていただきたい。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 根拠ということでございましたので、そのやり方だけを申し上げましたが、数を申し上げますと、四十八年度末に老齢年金を受ける方、八十万四千人、そのうち、加入期間が二十年以上である者が四十六万一千人、その中で五万円年金を受ける者が八万五千人、こういう数でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その計算の根拠ですね、つまり、モデル計算ですか、それを説明していただきたいわけなんです。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) これは標準的な加入期間を持っておる方で、標準的な報酬の方の年金額が幾らかと、こういうことでございまして、で、この場合の標準的な加入期間と申しますのは、四十八年度末におきましてはちょうど二十年以上の標準的な方の平均の加入期間が二十七年になります。したがって、期間の計算といたしましては、二十七年を基礎にとっております。それから標準的な報酬につきましては、御質問があれば詳しくお答え申し上げますが、四十七年度の価額でもって過去の標準報酬を読み直して、その結果の標準報酬の月額というものが八万四千六百円になります。したがって、二十七年の加入期間について八万四千六百円の報酬の方の年金額というものが五万八十二円である、こういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 これは実はわれわれ野党四党のほうの年金法案も、それから厚生省のモデル計算も、やはり、八万四千六百円という標準報酬の平均をモデルとしてとっているわけなんですね。それで、それについて私は疑問を持っているわけなんです。たとえば、これは民間の企業の調べなんですけれども、昭和十九年の十一月に厚生年金に加入して、昭和四十六年十月に五十八歳で定年退職するまで二十七年間被保険者であった人、これがあるんですね。その人が昭和四十八年十一月に六十歳になって新規の裁定者になる、その場合、昭和三十二年十月以降昭和四十六年十月まで百六十九カ月間の男子の平均標準報酬と同じ賃金を取っていると仮定して、で、男子の平均標準報酬に見合う保険料をかけ続けてきたとしますと、六万四千八百三十二円という報酬額が出るわけなんですけれどね。それをまあ、いまのさっきのお話では、見直しをした、再評価をしたから八万四千六百円になったというふうなお話なんですけれどもね、これ、はたして八万四千六百円というのが妥当かどうかという、私は、つまり少し高めに厚生省は見て、そして数の上では五万円年金を受けとる者が八万人余も出るかのように思わせている感じがする。これは昨年の暮れの選挙中に五万円年金、五万年金という宣伝をなさった。これはまあ大臣に言うべきことだと思います。その五万円年金というのは、ことしからすぐに五万円年金がもらえるかのようなイメージを与えたわけですね。ですから、厚生省の方にこのことを言うと、いや五万円年金なんてわれわれは決して言っておりませんよ、五万円水準の年金を目ざす制度だということなんだと、こういうふうに言ってらっしゃる。たいへんこれは選挙用に使うことばと厳密に言うことばとは違うと思います。だから、私どもがまぼろしの五万円年金というわけなんですけれども、その計算の根拠も、これはわれわれ野党のほうの計算も八万四千六百円をモデルにしているということについて、やはり私、幾らか疑問があるんですけれどね。もし、それを解明していただければ私もはっきりするんですが。で、さっき申し上げた事例で計算していきますと、妻の加給まで含めても四万四千七百幾らになるわけなんですね。その辺をそうじゃないと、確かに厚生省の計算したその方式は正しいんだということをよくわかるように説明していただきたいのです。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) この八万四千六百円の根拠につきましては、先ほども申し上げましたように、現実の記録から引き出しまして、それを再評価をいたして平均をいたしたものが八万四千六百円でございますので、何ら操作は加えてないわ  けでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 全然いまの説明では私よくわかりません。しかし、いま大臣がお見えになりましたので、そういう技術的な問題はまた別の機会にしたいと思います。  大臣、去る四月の二十五日に、私、本会議で年金法案に関する代表質問をいたしました。その席上で、政府側の一番先に私は社会保障の基本理念についてどう考えているかということをお尋ねしましたところ、たいへんそのお答えは私は粗末であったと思う。社会保障というものに対して厚生省やそれから総理大臣は、ことしは福祉の年と言われるならば、ほんとうに高い理念があってしかるべきだと思うのですけれども、厚生大臣は、高齢化社会を迎えるにあたって、年金制度の確立をはかることは、いまや内政上最優先の課題の一つと申すべきである、ということはおっしゃっているわけですね。それからまた、別のところでは、年金が一番おくれているんだともおっしゃっている。私は、いまの新しい政府の新長期経済計画ですか、「経済社会基本計画」、あれなんかでも「活力ある福祉社会を目ざす」というふうにおっしゃっているのですから、それならばもう相当大きな政策の転換がなければならないと思うのです。確かに何歩かの前進があったことは私も認めます。それですけれども、五万円年金水準じゃなくて、ほんとうに五万円年金がないと老人は困るわけなんですから、そういうことをするためには、たいへん、相当ドラスチックなことをしなければならないはずだということを最初に申し上げたいのでございますが、その辺で、厚生大臣はいろいろの面で相当の改正を加えたというふうにおっしゃっておりますけれども、いままでの厚生省の社会保障に関する行政の線の上に上積みしていっているわけなんで、もっとドラスチックな、基本的な改革を加えていくお考えがないかどうかを初めに伺いたいわけなんです。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) まあ、わが国の社会保障のうちで、社会保障は全般的に申しますと戦後二十八年の間にいろいろの制度、仕組みができてまいってきておりますが、そのうちで、やはり一番私はおくれておるのは年金であったと思います。御承知のように、国民年金にいたしましても、厚生年金にいたしましても、現行の二万円水準ということであったわけでございます。そこで、この年金額を何とか老後の生活をささえるに足る年金額に上げるということが私は一審大事なことであろうと、こういうふうに考えまして、先ほども年金局長からお話があったかと思いますが、過去の標準報酬の平均額、すなわち八万四千円というものの大体六割というものを年金額ということに定めるようにしようではないか、こういうことにしたわけでございまして、この平均標準報酬の六割ということになりますと、いろいろな年金に関するILOの条約と申しますか、そうした条約の上からいってもおくれた金額ではない、西欧先進諸国並みの水準に近づけた額になる、こういうふうに考えられるわけでございます。そういうふうなことで、私どもの当面の目標は、まず西欧先進諸国並みの社会保障というものを実現したい、これが私のさしあたりの起点でございます。この点につきましては、先般の予算委員会等でもお答えをいたしたことがございますが、たしか一九六六年における社会保障の給付費というものは非常に、まあ六%、国民所得に対する社会保障の給付費というものは六%ということで非常に低い。西欧においては一四、五%までになっておるという状況でございます。そういうふうなこともあわせ考えまして、先般の二月に閣議決定になりました「経済社会基本計画」では、振替所得の国民所得に対する比率を六%から八・八%に高めよう、かりに八・八ということになりますと、社会保障給付費の国民所得に対する比率はどのくらいになるかといいますと、大体一〇%ないし一一%になるわけでございます。そういうふうな水準でわが国の社会保障がその後の五年も進むとなりますと、すなわち十年後ということになりますか、十年後ということになりますと、まさしく社会保障給付費の国民所得に対する比率は一五%をこす水準になるわけでございます。そういうふうなことを考えてみますと、私どもは今回の厚生年金あるいは国民年金の改正によって水準を西欧並みに近い水準に高め、そのほかのもろもろの社会保障の体系もそういうふうに高めていくならば、今後五年間に給付費の国民所得に対する比率は一〇%、十年後には一五%、こういうことになると考えておるわけでございまして、今後とも私どもは、制度はありましても内容のおくれておる点、そういう点にやっぱりできるだけ力を注いで一日も早く西欧先進国並みの福祉社会というものを建設するように努力していかなければならないと考えておるような次第でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ですから、いま大臣が言われたことでもわかりますように、五年後に振替所得八・八%、それから十年後になったら一五%ぐらいになる予定だというふうにおっしゃいましたので、大体十年後に西欧並みを目ざして出発していくということであって、五万円年金が即座にことし実現するわけではない。つまり五万円年金は先ほどの計算でも八万五千人くらい、うち一〇%ですね。対象者の一〇%ぐらいがどうにかもらえるだろうという計算なんです。私は、これはちょっと甘い計算だと思うのです。さっきそのことで最初にああいうことをお尋ねしたわけなんですけれども、実際にはそれよりきっと少ないだろうと思う。来年の国会でちゃんと報告していただいたらわかると思うのですが、それにしましても、そういう方向に向かっていくということはいいことですが、それをもっともっと早めないと、十年老齢者は待っていられないということ、このことで私どもは、野党はことしからすぐにでも五万円ないし六万円年金、六万円年金と私ども言っておりますが、実施すべきだということを言っているわけなんです。それから、これは社会保障の一番基本の理念としては、いまは憲法二十五条を根拠にしているわけでございますが、あの憲法二十五条は、国民の生活権や生存権を保障していて、そして国の責任が、そこに義務が課せられておりますね、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と書いてあって、年金だけで西欧並みに追いついても、ほかの医療もあります。それから社会福祉全般もありますことですから、年金の水準あるいは制度において欧米に劣らないものになったといわれるときに、十年後ということは、私、まずつけ加えなければいけないし、それから水準とか制度がそうであっても西欧諸国の場合、特に社会保障、社会福祉の進んでおります諸国に行ってみますと、年金額がきちんとあるというだけではないわけでございますね。医療なんかが公費負担の部分が非常に多いと、入院した場合には公費負担の部分が多いとか、出産費が全く公費であるという国がたくさんあるし、それから住宅、そのほか教育費、すべてが一緒になって国民の福祉がはかられておりますので、そういう点、長い間のストックの財産を持っております国々に比べて、日本は非常に急速な努力をしないといま困る者は非常にふえていくだろうと、そういうことを初めに申し上げておきたいわけなんです。そこで、現在の日本は資本主義国でございますから、富は偏在しております。何十億も脱税できる人もいる。しかし毎日の物価高で家計費が非常に苦しいという者も一ぱいいるわけなんですね。こういう社会で社会保障や社会福祉を実現するためにはこれはどうしても社会保障というものの考え方をその所得の再配分をする方法なんだというふうに割り切らないとだめじゃないかと私は思うわけなんです。私たちはまた別の、たとえば働く者が生み出した富全体を国民全部に分ける社会主義社会というようなものを理想に描いておりますけれども、現在私どもの住んでおります社会は資本主義社会ですから、ですから大企業は幾らでもどんどんもうけるような仕組みになっているし、そうして働く者は、中で、老後の不安におびえている者が一ぱいあると、こういう状況の中では所得が不平等であることに対して、それを再配分していって、もう一ぺん取り過ぎた人からは取って、そうしてなるたけバランスをとろうとしていく、これが資本主義社会の中での社会保障の考え方だろうと思うのですけれども、その辺についての考え方、この前も私はお聞きしたのですけれども、総理からも、厚生大臣からも社会保障のその基本理念を、そういうふうに、どう考えられるということについて御返答がなかったわけなんです。ですから、その基本的な考え方をお伺いしたいわけです。   〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 私どもは、社会保障の水準というものを、西欧先進諸国並みに高めようということでございますが、それはもとより年金だけで問題を解決するものではないことはお述べになりましたとおりでございます。そのほかの、もろもろの社会福祉施設の整備、そういう方面に力を入れていかなければならない、これはもう当然のことだと考えております。そこで、社会保障のいろいろな財源的なお話でございますが、社会保障の考え方は、お述べになりましたように、健康にして文化的な生活を保障するという国の保障ということから出発し、そうして、そうした大道に沿うて進んでいかなければならないことはお述べになりましたとおりでございまして、そういうふうな社会保障の充実にあたりましては、資本主義社会にありましても、富の再配分といったふうな色彩は私は徐々に強くなってしかるべきものではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。やっぱりお互いに助け合うという精神、そういう精神が基礎でありますことは、これはもう事実でございますから、その上に立って再配分的な考え方というものを徐々に強めていくということは、私は世の中の趨勢であろうと、こういうふうに考えておりますし、政府としてもそういう方向で心がけていかなければならぬ問題ではないか、こういうふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 所得の再配分、——社会保障、所得の再配分と考えるべきだということについては一応御賛成いただいたと思うのですが、そこで、日本のように一部の大企業は、もうたいへんなもうけをあげている。それから、大多数の働く人たちは物価高で非常な苦しみを持っていることと、それから、特に定年退職後の老齢者は非常な不安を持っている、こういうようなときには高額所得者から相当高い累進課税をとっていく、そうして、それで再配分していくと、一般のその入ってくる税金、これまでの税金の体系の中で配分していくと、これはそれだけじゃありません、社会保険の拠出金なんかも使うわけなんですが、それだけでは再配分の機能を十分に尽くさないと思うわけなんです。で、総理大臣も、それから厚生大臣も、よく国会の、衆議院やそれからその他参議院の中でもおっしゃっているのですが、拠出金のいかんにかかわらず、一様に五万円年金を保障するのはきわめて適切を欠くというふうにおっしゃっているんですね。つまり、拠出金は少ししか出さない者は少し受け取るのがあたりまえであって、たくさん掛けた者はたくさん受け取るべきだというこの考え方は、いま最初に言われた、その所得の再配分の機能という考え方に矛盾すると私は思うんです。で、一ぺん、非常に不平等な富の配分をしてしまった、ある者はたくさん、高額な所得がある、ある者は少ない。それを今度ならしていくときには、少ししか出さないからもらえないという観念はもう困るわけです。これは、そもそも社会保障の観念にもとると思うんですけれども、これはどういうふうにお考えですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) この点は、私は、その所得の再配分的な問題とは別個の問題だと考えております。すなわち、こういうふうな国民年金が一番の対象になるわけでございましょうが、国民年金制度というものはそもそも最初から保険制度でいこうではないか、こういうことで出発をしておるわけでございまして、その保険制度の中に、はいれない方々に対してどうするかという経過的な、過渡的な措置として、老齢福祉年金、その他が出ておるわけでございまして、いま申しました所得の再配分的なものという考え方では割り切れない問題だと考えております。これは、やっぱり一つの保険制度というものをとっているならば、その保険料をある程度納める期間なり、あるいは厚生年金は、保険料は定額でございますが、厚生年金等につきましては、その俸給額、さらに保険料を納める年数、それによって差がついていくというのは、私は、これはもう当然のことでなければならない、かように考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 少し観点が違うと思いますけれども、保険主義、つまり保険制度をとっているから、なるたけ平等の年金がもらえるようにならないというものではないということを申し上げたいわけです。欧米諸国、ほとんどみな保険制度ですね。スウェーデンとかカナダあたりを除いたら、みな保険主義でやっているわけです。しかし、最低額の定額の部分は、みんな暮らせるだけのものをまず保障してやる。そうして、そのあと、所得比例部分で幾らかの差がついていくということであって、どんな人でも、ある一定の年齢になったら、働かないでも、全部お互いのその所得の再配分で暮らせるという保障をしていく。この観念がありませんと、私は、大臣が言われた、拠出金のいかんにかかわらず、一様に五万円年金をやるのは不適当だというものの言い方に非常に危惧の念を抱くものですから、もしもそれが、最低生活費はまず保障するべきであると、その方向に向かって、これまで年金をかけるチャンスもなかった者、あるいはかけられなかった者、あるいは低額所得でとうてい税金も納められないような者にも、みんな一様に暮らせるだけのものは保障する。そうしてそのあとの部分は、勤続年数やら、それから所得に比例した部分を付加していくと、こういう考え方で外国の保険方式ができ上がっております。ですから、私は、そこのところが、もともと少ししかかけない者はそんなに取る資格はないというふうな考えであっては困ると思うものですから、念を押しているわけなんです。いかがですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) これは、先ほども申し上げましたが、老齢福祉年金等については一応、保険というワクの中には、はいれぬけれども、それだけの生活もある程度のささえをいたしましょうということでできておるわけでございまして、これは経過的なものでございます。今後何年かたちまして、すべての国民が拠出制の国民年金ということでこれはみんななっちまうわけですから、その段階においては、ちゃんと全部の人が五万円なら五万円ということになるわけでございましょう。したがって、現在、過渡的な、そういう福祉年金という制度がありまする際に、その人たちにも同じように五万円なら五万円出したらどうだ、こういう議論は、私どもはいま賛成しかねるということを申し上げておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その経過的なものに手厚い手だてをしなければ、私は、日本の年金制度はなかなか欧米諸国に追いついていけないということ、さっきの五万円も、政府の計算で八十五万人の対象者のうち、わずか一〇%の八万人余しか五万円はもらえないという状況を急速に縮めていきますために、そうして、福祉年金という形でありますものの年金額も、それから国民年金の年金額も、厚生年金の年金額も、できるだけバランスをとっていくようにするためには、経過措置をたいへん大きくやらなきゃならない。相当思い切った金を出しませんと、十年先まででようやく追いつくということでは、非常にいまの老人が苦しみますので、それで私は申し上げているわけで、経過的な措置をとる場合には、いつかも申し上げて恐縮ですけれども、アメリカの、例のニューディールのときに、一九三〇年代ですけれども、これまで全然掛け金をしたこともない人たちに、みな一斉に六十五歳以上の者にはその所得の六〇%近いものを保障した。こういう経過措置をとるということが、ある時点では必要なんでございますね。今回も経過措置がないとは申しません。一生懸命に苦労してやっていらっしゃるんですが、これには思い切った金を出さないと日の当たらない部分がまだまだ残っていくということなんです。ですから、今回、経過措置として、五年年金とか十年年金に対してある程度の幅は上げられたけれども、これをもっと大幅に上げていく気がおありにならないかどうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) こういうふうな経過的年金でございますから、さればといって、それが、金額が少なくていいという考えは私どもも持っておりません。できるだけ五万円という拠出制年金の水準に近づけるような努力をしていかなきゃならぬ。これは、私は当然だと思います。しかしながら、私どもは、そういうふうな考え方から、今回、御提案申し上げておりまする十年年金等につきましても、二・五倍にはね上がりまして二万五千円、あるいは五年年金につきましても相当に引き上げる、さらにまた、福祉年金等につきましても三千三百円から五千円、さらに来年は七千五百円、五十年度には一万円にしましょうと、こういうわけで努力をいたしておるわけでございますが、いま直ちに五万円ということを全額みんな同じにするということは、やっぱり、まだ社会通念上熟していない、こういうふうに考えられるわけでございます。できるだけ額を大きくしていくということ、私もその趣旨においては大いに理解もしておるわけでございますが、いま直ちに同額にするということは、やっぱり社会通念上熟していないんじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 要求は熟しております。  それで、私たちの四党案も、たとえば福祉年金を一ぺんにことし五万円にしろなんて言っておりませんですからね。それは、多少の経過というものが必要であるということで。ですから、六十五歳から福祉年金を適用させなさい、六十七歳から九歳までの人は谷間になっているから、それも含めて福祉年金にしなさい、そうして、第一年度は、六十五歳から七十歳までの間は一万円、次の年は一万五千円、次は二万円というように、福祉年金に関しては二万円ということを提唱しているわけですね。それから、その他の五年年金、十年年金も、政府の考えているよりはもう少したくさん出して、そうしてお互いにだんだん近づいていくように、そうして、やがてそういう福祉年金というものがなくなっていく時期がくるわけですね。そうすれば、老後の不安が一番不安な人から助けられていくということを申し上げているわけなんです。  そこで、よく、これは総理大臣が記者会見でも言われたし、たびたび言っていられるんですけれども、年金も高くしろ、医療もたくさんよこせ、——社会保障をたくさんするのには金がかかるのだと、スウェーデンを見てごらんなさい。スウェーデンは税の負担率がものすごく高いし、五〇何%だ、日本は税の負担率は二〇%以下じゃないか、それを見てもほんとうに福祉をよくしてもらおうと思うならば、税金をもっとたくさん出しなさいと言わんばかりの言い方をしていらっしゃるんです。このことについては厚生大臣はどうお思いになりますか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 私は、やっぱり年金なりこういうふうな保険のシステムの上に運営される制度につきましては、より高い福祉を受けるならば、それ相当のやっぱり国民は負担をするという考え方が私は一番大事なことではないかと、かように考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、高福祉・高負担という言い方だろうと思うのです。ところがおっしゃっていることが間違っているのです、実は私も北欧にはちょっと社会保障の勉強に行っておりましたものですから。スウェーデンの例をとって総理大臣は五〇%以上というけれども、あそこは非常な累進課税ですよね。所得が高くなっていくと、年間所得六千クローネ、四十万くらいですね、それ以下のものは所得課税対象になりませんですね。そして、それ以上のものはずっと累進をしていきまして、そして年間十五万クローネ、これ、ちょっと計算するのがめんどうくさいけれども、十五万クローネになりますと税率六五%ですね。ですから、ずっと平均のところまでは二〇%以下ですよ、一五%ぐらいです。それから、年金税というのはそのほかに五%の年金税をかけているのです。そして所得税を納めない人は、納める対象でない所得の人は年金税も納めなくてもよろしいのです。しかし、納めなくても定額の年金をもらうことになっております。いまの計算でいくと月三万五千円か四万近いかと思いますけれども、夫婦だったら六万円ぐらいだと思いますが、そういう定額の部分は国の負担で出している。そうして、そのほかに所得比例部分が付加されていくわけです。私は、これは厚生省が資料をおあげになって参議院の調査室でつくったんだと思いますけれども、これには必ずしも十分に資料は出ておりませんです。それで、何だ、いい社会保障をしてもらいたいならたくさん税金を出せと、五六%もあるいは六〇%も税金を出しているぞと言われるのは、これは間違っているということを訂正していただきたい。つまり、最初に申し上げましたように、所得の再配分ということを徹底的に考えている福祉国家では、低所得者層は全然税金も課せられないし年金の拠出金もしないでもちゃんと暮らせる部分、最低生活のできる部分が保障されているということなんです。厚生省の方が来てお話を聞いていると、年金でもいまや日本はもう西欧並みで、そのほか福祉も西欧よりもっと進んでいて何もかもいいような話ばかりなさるけれども、これは生活権とか社会福祉とかということはさっきも申し上げましたように、所得の保障とそれから病気のときの医療の保障とそれから福祉制度が全部が一緒になって、そしてささえられているものでございます。  それから、教育だって、高等教育までほとんど学資を育英資金のようなものでいくことができる状況になっている。そういう全体の中で保障されているということなんであって、その点でたいへん日本はおくれているから振替所得も六%にしかいまだになっていないということでございますので、その辺の考え方を改めていただきたいと思うのです。いかがですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 福祉の問題は、先ほども申し述べましたように年金制度の確立だけでは十分でございませんで、医療保障の問題なり、あるいは社会福祉施設の充実なり、あるいは教育の問題なり、あるいは、われわれのまわりの地域的な生活環境の整備なり、そういう問題全部をひっくるめて豊かな生活ができる、そういう社会でなければならぬ、こういう点につきましては私も同感でございます。ただ問題は、先ほどもお話がちょっとありましたように、そうした福祉というものをより高く亨受しようとするならば、国民もやはりある程度のこれに見合った負担はしなければならぬのだと、何でも国だ国だ、国費国費と言われましてもこれはすべてやっぱり税金でございますから、その点については、高い福祉というものを亨受しようとするならばある程度のそれに見合った負担というものは国民は覚悟しなければならぬ、これは私はやっぱり一番大事なことではないか。まあ、その程度についてはいろいろ議論のあるところだと思いますが、私はさように考えておるものでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それは私も否定しないわけです。ですから、住宅もそれから教育も、病院も、それから所得も全部保障してくれるんだったら相当の税金を払ったって心配なくて、日本人のようにむちゃくちゃに一生懸命に無理な貯金をして、借金をしながら貯金をするという必要がなくなるわけですから、そういう保障ができている社会の税金が相当高いこと、これは事実です。私は総理大臣が五〇%とおっしゃるのはあれは間違いで、平均したら二五、六%になるかと思いますけれども、それは相当高い税負担ですね。それだけの税の負担をしてもいいような福祉の社会をつくっていくということを考えていっていただきたいと思うわけで、国費という場合も、これも国民の税金でございますから、税金の使い方をもっと福祉に、国民の生活のほうに向けてほしいと、こういうことを申し上げているわけです。その上、年金の財源のほうはこれは国民の税金と、それから保険の掛け金、拠出金、それから郵便貯金なんかを使っているわけです。つまり大衆の汗とあぶらの結晶を使うわけなんです。そして、その使い方が、国民の老後を保障するためには惜しいことはないと私は思うし、生活を保障していくためには惜しんではいけないということを繰り返し申し上げて、その上、むしろそういう国民の社会保険の拠出金、まあ、厚生年金、国民年金、それから簡易保険の掛け金、郵便貯金、こういうものは国の大きな財源となって、財政投融資資金の財源となってこれまで産業の開発、あるいは日本の高度経済成長のためにずいぶん大きく使われてきたわけなんですね。私は、この問題について、もう何回も予算委員会で議論をしておりますので、ここでそれを繰り返す気はないのですけれども、非常に巨大な額にのぼっている国民の年金の積み立て金の残高、もう、ことしの末には、四十八年度末には九兆九千億にもなるだろう、そういう大きなものが財投資金の中に繰り入れられて使われている。そうすると、税金でもって年金に返ってくる部分がまだまだ少ないのに、一方掛け金のほうは公団、公社、公庫、まあ、政府関係のそういう機関、あるいは日本開発銀行とか輸出入銀行、あるいは特殊会社というようなところ五十ぐらいありますね、こういうところをトンネルにして、そこから先貸し出されていって、まあ、ひどいことばで言えば大衆収奪に使われると、こういう状況であるということを私はここで指摘しておかなければならないと思います。ですから、年金の資金というのは、過去に掛けてきた資金がもうすでにそれだけたくさんある。そして、それが投資に回っている。この際、税金の中から向ける部分も、それからこれまで掛けてきた、そして毎年掛けている拠出金も、もっと年金のほうに戻す私は義務が政府にもあると思いますし、私たち国民がそれを要求しているんだと思います。ことし、四十八年度ですね。厚生年金、それから国民年金の拠出金が幾らになっているか。それから保険の給付費ですね、これが幾らになっているかをちょっと述べていただきたいと思います。

八木哲夫社会保険庁年金保険部長

○政府委員(八木哲夫君) 四十八年度の予算におきます保険料収入につきまして、厚生年金につきましては、一兆三千四百四十八億を予定しております。それから国民年金につきましては、千八百七十一億でございます。それから給付費の関係でございますが、厚生年金におきます保険給付費といたしましては三千二百三十五億、国民年金におきましては、拠出関係が七百五十九億でございます。なお、福祉年金関係が二千八十五億でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま申されましたように、今年度一年だけで、四十八年度で、厚生年金の保険金の徴収される、収入のですね、徴収額は一兆三千四百四十八億、そしてその一般会計からの受け入れその他を入れまして、歳入合計一兆八千五百七十一億という金が厚生年金の特別会計には入ってくるわけですね。それから今度、給付金のほうは三千二百三十五億、年金として支払っているのは三千二百三十五億ですか。そのほか福祉施設費業務勘定への繰り入れ、諸支出金、予備費を計算に入れますと、歳出合計は三千八百五十五億になります。ですから、差し引いて一兆四千七百十六億が残るわけですね、ことしの徴収額の中から。まあ私たちはことし六万円年金にして、そして対象者に支払ったとしても、おつりがまだ来るという計算になるわけです。そのくらい毎年毎年厚生年金は働く人たちから徴収しております。それに国民年金を加えて、それで、それだけが財投の原資となっていく、財政投融資資金に繰り込まれる額は幾らでございますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 御指摘のように、今年度は財投に預託いたす予定の金額は、厚生年金につきましては一兆四千四百八十億、それから国民年金については二千六百億でございますが、これは当分の間、こういった単年度の収支の剰余金は財投に預託されてまいります。そのような年金財政の設計をいたしておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、過去の累積残高、つまりこれまで、昭和十七年から厚生庫金は始まっているわけです。それから国民年金は昭和三十六年から徴収しているわけなんです。これまでの徴収した累積している残高ですね。これを四十七年度末で幾ら、四十八年度末で幾らになりますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 四十八年三月三十一日現在では、厚生年金が六兆五千七百八十八億円、それから国民年金が一兆一千二百二十四億円、合計いたしまして七兆七千十二億円でございます。四十八年度末の見込みにつきましては、厚生年金が八兆一千五百十三億円、それから国民年金が一兆四千二百六十一億円、合計いたしまして九兆五千七百七十四億円でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまお聞きになりましたように、これまでそんなにたくさん年金の掛け金は徴収して、集めて、累積して、そしてこれは投資に回っているということなんですね。で、これは私は財投の問題としてしばしばもう議論しましたから、あんまり深くここでこのことは申しません。しかし、少なくともそれだけの金を徴収しているということ、そうしてもう厚生年金が始まってから三十年もの間徴収して、これを投資に回しておりますが、いま言われた九兆五千七百七十四億円という累積額は、やっぱりそれだけの間にインフレや物価高で値打ちが下がってきているでしょう。私は働く人から徴収した貴重な財産だと思うんですけれど、これの値打ちがそのままの元利の合計だけで残っているということに対して、非常にこれはもう一種の憤りを感じるわけです。しかも、これを回して使っているほうの企業というのは、そのつど、どんどんどんどんそれから大きな収益を得ていっているわけですね。そのことを考えますと、年金の資金に、こう財投に入れておくというのではなくて、これを年金の資金として取り戻す、こういうことを私たちが主張するのは私は当然だと思うんですけれども、厚生大臣は大蔵省と全く考えが一致していて、大蔵省の線だというふうにおっしゃいますが、これはもう厚生省が計算しているような昭和八十五年、いまから三十年も先まではずっとその方針でいくというお考えなんでございますか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) この点につきましては、予算委員会等でたびたび御質問をいただきまして、お答えをいたしたわけでございますが、こうした積み立て金は、将来給付として支払わるべき性質のものでございますから、確実に有利に回し、確実にこれを積み立てていくというたてまえできておるわけでございます。その運用につきましては、これもたびたびお答えいたしてありますが、これは産業や貿易関係の投資には一切使っておりませんで、国民生活に関連のある事業について投資をいたしておるわけでございまして、したがって、いまのような資金運用部という制度がありまする以上は、私はやっぱりここで一括して確実に有利に運用していただく、こういうことでけっこうではないかと、かように私は考えておるわけでございますが、しかしこの金は、たびたびお話しのありますように、被保険者の方々の零細なお金の集積でございますから、被保険者の方々の御意向がその運用に十分反映できるように、この点は私は努力をしていかなければならぬ問題であろうと、かように考えておるわけでございます。そういうふうな考えもありまして、今後私どもは厚生省にも、この被保険者の方々、公益の方々をお集まりいただいたような懇談会をつくりまして、この積み立て金の運用についてのいろいろな考え方をまとめ、それを資金運用部において最終決定するときに反映させると、こういうふうな仕組みを考えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。したがって、資金運用部という制度がありまする今日においては、私はその一括運用でいいんではないかと思いますが、やはり被保険者の御意向が反映できるように、もっと努力をしていかなければならぬ、これは私もさようにあるべきものだと考え、今後も努力をいたしてまいりたいと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私、あまり財投のことに今回は入っていきたくなかったんですけれども、いまのお答えを聞いておりますと、やっぱり一言言わなければいけないと思うんです。産業投資、産業開発には一切使っていないと言われたけれど、それは全くそうではないんですね。それで、ことにことしの四十八年度から、これは大蔵大臣も、その予算の使途の分類、「(1)〜(6)」分類で使っているとおっしゃったけれども、そうではないんですね、資金運用部資金ですね、四十八年度政府の出した予算の説明書の中にもありますけれども、   〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕 過去においては開発銀行だって海外経済協力だってみんな投資しておったわけですが、今年度は国民の福祉に合致するような資金の運用のしかたをしますとおっしゃっているんですけれども、しかし四十八年度の資金運用部資金の使途別分類表というのをごらんになりますと、「(1)〜(6)」というのだけじゃないです。「(1)〜(6)」というのは住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業まで入って「(1)〜(6)」分類というんですね。ところがその中身が国土保全・災害復旧、道路、運輸通信、地域開発まで入っておりますので、決してこれは産業の開発に関係ないなんていうような使い方じゃありません。ことしも私はそういう使い方がされているということについて問題にしなければいけないと思いますが、過去においてはもう基幹産業の部分までもみんな使っていたわけでございます。ですからせっかくさっきから言いましたもう九兆——ことしの四十八年度末に九兆四千億とさっきおっしゃったので、私は九兆九千と言ったのを訂正しますけれども、九兆四千億にもなるほど国民の年金の資金を徴収してきて、そして、しかもそれの貨幣価値が下がるのにそのままの元利合計の累積になっていて、そしてそれは産業の開発にも投資してきた。それならばもうそれがはたして有効な使い方か、いま私たちは老齢者の年金にこの資金を取り戻す方法を考えるべきだというふうに考えているんです。これは何べん言ってもそのことについては、厚生大臣のお答えはそのとおりだ、いままでのとおりだと思いますので、この際はそれだけにしておきますけれども、問題は結局、私たちの言う賦課方式ですね、積み立て方式じゃなくて賦課方式にするためには、そういう徴収した資金を使う必要があると、そう考えるからであって、そして、それは財投から分離していって、資金運用部資金の中から厚生省が自主的に運用できるような会計に分離すべきだという考え方から申し上げているわけなんです。で、その問題はもうちょっとあとで私やりたいと思います。  次に、老齢、——退職者ですね。私、年金制度というのは、日本の非常に若い定年退職の制度と年金の制度との間にギャップがあるということが非常に悲劇的な問題だと、ですから、定年とそれから年金制度とはもうつなぎ合わさっていなきゃならない。それでないから、いま働いている人たちはみんな非常に老後の不安を持っているわけです。五十五歳定年なんていうのは全く驚くべき低い定年で、外国にはないです。五十五歳といえば働き盛りのときなんですね。それで、しかも厚生年金が六十歳、国民年金が六十五歳、福祉年金が七十歳と、それぞれ年金の年齢が違っていて、その間のギャップをいかにして埋めるかという問題があると思うのです。一体ことしの春闘で労働者が年金ストとか、それから定年制の延長ということを非常に強く要求したのは、私はそういうことだと思うのです。当然のことだと思うのですが、労働省と厚生省とこの問題について、一体どういう話し合いをしているか、協力をしているか、どういう方向で一歩でも問題を進めているか、そのことをこの前本会議の代表質問でもお尋ねしたのですけれども、具体的に御説明をいただきたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) この定年の問題と、年金の受給開始年齢との関係でございますが、原則論といたしましては、私ども厚生省といたしまして定年と年金の受給開始年齢との間に開きがあってはならない、こういうふうな考え方を持っております。その場合に、定年を延ばすのか、年金の受給開始年齢を延ばすのかという問題がございますが、ただいま先生も御指摘のように、諸外国におきましては、むしろ年金の受給開始年齢はわが国の厚生年金よりもおそいわけでございます。つまり六十歳という年齢は、まだ現役の労働者である場合が非常に多いわけでございます。したがって、ILOの年金の基準等につきましても大体三十年勤続で六十五歳の場合にどのような水準でなければならないかというふうなそういった考え方をとっております。そういった考え方から、労働省と再三再四いろいろな形で会合を持ちまして、定年延長の問題と、年金受給開始年齢とを一緒にするような、そういった検討をいたしておるわけでございます。それから年金サイドから申しますと、ほんとうに働けなくなってから手厚い年金を出すというのが、やはり年金制度の設定の際には最も大事なことでございまして、現役で働いておられる間はもちろん、現役ではないけれども、ある程度働いておられる場合には、やはりそういった賃金に依存する部分というものがあってしかるべきだと思いますし、年金というのは、やはりほんとうに働けなくなった場合に、相当手厚くする、そういった考慮をすべきだと思います。たとえば年金の受給開始年齢を五歳ぐらい上げたり下げたりいたした場合に、年金財政にどのような影響があるかという点でございますが、いろいろな計算のしかたがございますけれども、大体五歳ぐらい上げ下げすることによりまして、三割程度の年金の費用の増減の影響が出てまいります。それからまた現実に六十歳の受給開始年齢に厚生年金の場合はなっておりますけれども、実際に受給される方の年齢の平均は大体六十三歳ぐらいになっております。そんなこんなを考えますと、できるだけ現役で働ける間はそちらのほうで働いていただいて、ほんとうに働けなくなった場合には、年金で手厚くという考え方から定年の問題と年金の受給開始年齢を一致させる努力を両省間でいたしておる次第でございます。

廣政順一労働省労働基準局賃金福祉部長

○説明員(廣政順一君) ただいま、年金局長からお話しがございましたように、厚生省との間では、私ども、この問題について常時連絡をとってやっておるところでございます。私どものほう、労働省といたしましては、定年が先生御承知のとおり、約七割の企業が定年制を現在とっております。その中で五十五歳定年が約六割ございますということでございまして、五十五歳ということでは現時点でいわゆる老人という仲間には入らないのじゃないかという基本的な考え方のもとに高齢労働者の福祉あるいは働きがい、生きがいと申しますか、を見つけて差し上げる、それからまた、同時にこれからの労働力需給の状況も考えまして、五十五歳定年を何とか伸ばしていく道はないだろうかということで、昨年来定年延長ということを主唱いたしまして各方面にいま働きかけもいたしているところでございます。その場合に、当然ただいま先生御指摘のとおりでございまして、年金受給年齢とのギャップということも、問題意識の中で当然出てくるわけでございまして、少なくとも私どもといたしましては、ただいま、ことし二月に閣議決定されました「経済社会基本計画」の中でも、当面六十歳を目標にして定年延長をはかっていく、こういうことを考えて、ただいま、都道府県あるいは労働基準局にも指示いたしまして、その方面の指導を進めておる、こういうところでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ことし定年到達者がどのくらいあって、定年退職した人たちの生活の実態はどういう状況であるかということを把握していらっしゃると思いますけれども。

廣政順一労働省労働基準局賃金福祉部長

○説明員(廣政順一君) 全国的にこの定年到達者がどれぐらいあるかという数字については、ただいま私ども手元に持っておりません。ただ、定年退職者がどのような生活状況にあるかというような点につきましては、実は四十五年に調査いたしまして、その後いたしておりません。ことしまた、この調査をいたしたいと思いまして、ただいま調査の設計中でございますけれども、四十五年の結果に基づきまして申し上げますと、定年到達者のうち八七%の者が定年後もどこかの職場で働いているということでございまして、まあ、その大部分の者が生活のために働かなければならない、こういう状況になっております。と申しますのは、この家族構成を見てみますと、定年到達者の平均家族数が四人弱でございまして、その中に三分の一強の者がいまだ在学生をかかえている、こういう状況でございます。そのことが何と申しましても、ただいま申し上げましたように、大部分の者が働かなければならない、こういう状況にあるということでございます。  定年到達後に、それでは収入がどうなっているかということでございますが、約七割の者が現在もらっている給料が定年前にもらっておった給料よりもダウンする。定年前に比べますと、大体平均的に見まして四分の三程度の収入を得ているというのが四十五年時点での調査の結果でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま、定年到達者の調査を、四十五年の結果のお話がありました。その結果で見ましても、平均家族四人で、そうして三分の一がまだ大学へ行っている、あるいは学校へ行っている子供をかかえている。一番金の要るときに定年退職になるわけですね。だから再就職しているわけなんですけれども、退職金というのがありますね。退職金は一体どのくらいもらっているかということ。

廣政順一労働省労働基準局賃金福祉部長

○説明員(廣政順一君) 退職金につきましては、先生御承知のとおり、いろいろの条件によって退職金が違うもんでございますので、全般的に退職金がどれだけ出ておるかという調査は、私ども労働省ではいたしておりませんけれども、ただこの退職金を、私どもの賃金、労働時間制の調査によりまして、モデル的にどの程度の退職金が出ておるかということを調べたことがございますが、学歴あるいは職種それから退職の理由によりましてそれぞれ異なっております。異なっておりますが、いま先生御指摘の、定年退職の場合にモデルとして調べたものがございますが、それによりますと、たとえば旧制中学卒で事務あるいは技術労働者という場合に、調査産業全体でございますと、その場合に退職一時金が三百六十五万というモデル賃金が出てまいっております。これはモデル賃金でございますので、必ずしもこのとおりであるということにはならないかと思いますが、大体三百万から四百万というあたりに、いわゆる並み数と申しますか、寄っているんではないだろうか、そのように考えられます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまおっしゃったように、退職金が二百万から三百万、いまちょっとよけいになっているところもありますけれども。ことしの春、総評が出しました資料で見ますと、定年退職者実態調査というのをやっておりますけれども、退職金三百万程度ですね。そしてその退職金の使途は、住宅資金に充てる者が四〇%、老後の生活資金に充てる者が二〇%、子供のための学資、結婚費用二〇%、ほとんどみんなこれ、飛んでしまうわけですね。  大和銀行が老後の生活費試算というのをやっております。これによりますと、一九七〇年に世帯主が六十歳の男性であるその老夫婦、余命十五年、一九八五年までですね。男子平均余命約十六年といっています。それまでの標準生活費は約二千万円要ります。最低生活費でも一千万円は要る。それに子供の学資、結婚資金、住宅資金なんかを考えますと、退職金とか退職年金だけではとてもやっていけるものじゃない。そういう状況に老齢の者——老齢というよりは、定年が非常に早くてそしてその後の生活が非常な苦しい状況にある。  こういう状況にありますので、私はこれは厚生大臣も、定年後の生活の不安ということはみんなひしひしとあるんです。ですから、年金の問題を、対象者わずか一〇%が五万円、ことし実施されれば受けられるようになるというような、のろいスピードではとても間に合わなくなってくるんです。ですから、定年後の生活の不安の問題というのは、年金の水準をずっと上げるということ、それから年金を受け取る年と定年退職の年とをリンクさせる、この二つがどうしても必要だと思うんですね。これに関してILO百二号とか百二十八号条約とか、こういうものがありますけれども、これは本会議席上で、たしか労働大臣でしたか、批准に向かって努力しつつあるようなことをおっしゃったと思うんですけれども、この辺のことは厚生大臣、労働大臣お話し合いをしていらっしゃいますでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 社会保障の最低基準の問題、その他、百二号が最低保障の条約でございますね、それから百二十八号、この二つの年金等を含めた社会保障の条約につきましては、先般本会議なりあるいは予算委員会でお答えいたしましたように、来年度の通常国会において批准をしていただこう、こういうことを考えていま事務的に検討をいたしておる次第でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 来年度批准をする準備をしていらっしゃるということなんですが、批准をします条件が条約上の、まあ法文上の条件が整ったと、実際に暮らせるようにしなければいけない、国内の制度やら法律がちゃんとならなければ私はいけないと思うんです。その百二号条約では男子労働者の賃金の四〇%以上の給付を行なう、百二十八号のほうは四五%ですね、その両方とも批准をなさるおつもりなんですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 水準の問題で申しますと、老齢年金につきましては、今回改正の水準はおおむね四五%でございますから、百二十八号条約の水準に大体匹敵いたします。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、これはどの条約もみんなそうですが、条約は批准しても実質が伴わないということが非常に多いんで、文字の上ではうまく合うけれども、実際にさっきから、最初から申し上げておりますように、対象者全部がそれだけのものがもらえなければいけないという条文になっていないものだから、だから批准もできるかもしれない。しかし問題は、いままで申し上げましたように非常に苦しい老齢期、まだ老齢といわない定年退職後の生活がちゃんといくようにするための努力というのは、私は積極的にこれは厚生省と労働省とやってほしいんですね。で、年金だけで老後が暮らせるようにというようなこと、それから老後という場合に、たとえばスウェーデンなんか六十七歳から年金受給の年ですね。六十七歳まで働ければ非常に私はしあわせだと思うんです。しかし、イギリスは六十五歳、だけれども、からだが弱くてもっと早く休みたいときには減額年金の制度がありますね。六十三歳からもう年金を受け取って仕事をやめている人もある。そうかと思えば、年金の年がきてもまだあと一年は働いてもいいというような制度もある、こういうふうなことなんですね。それで、これはいろいろ議論のあるところで、六十歳まで延ばせばいいというように簡単には私は言えないと思います。これは第一段階で六十歳まで定年を引き上げ、さらに六十五歳まで引き上げる努力をしてもらわなければいけない。そして、それまでの間でからだの悪い人はいつやめても年金が支給されるような措置、こういうふうに考えていただきたいんですがね、厚生大臣いかがですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 私、お話を承りましてまことにごもっともだと実は考えておるわけでございます。五十五歳定年なんというもので済まそうなんということはほんとうにこれは適当なことではありません。あくまでも元気なうちは社会のために働いていただくということが一番望ましいことでございまして、そうした定年制の延長ということはできるだけ勧奨していくべきものだと思います。ただ、それにはいろいろな年とったあとの賃金体系の問題等もありますから、一概には言いにくいことではございますが、できるだけ元気なうちは働いていただく、そして働けなくなったら年金で暮らせるようにする、これが筋だと思います。したがって、諸外国においても大体六十五歳、六十七歳というのが年金の開始年齢でございますから、日本もほんとうは六十五歳、六十七歳、そうした退職された方々に年金の額がたくさんいくように、こういう仕組みに持っていく、これが私は一番望ましい形だと思います。今後とも元気なうちは働けるようにしていくという政策につきましては努力をいたしてまいりたいと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、五万円年金といっても、事実受け取る人の数は少ない。私たち野党が六万円年金といっておるけれども、それでも年金だけで暮らそうということになりますと、夫婦で五万円ないし六万円、相当苦しいです、いま。これは四月二十日の日本経済新聞ですが、「月収十万円では赤字」というふうな記事が載っております。これは都民の暮らし楽でないと。東京の勤労世帯のうち月収十万円から十四万円の世帯が三五%と最も多く、収支がとんとんだということが報告、——これは東京都の実施した生計分析調査の結果が出ているわけですね。それで、第一階級といいますか、比較的所得の低い層、つまり四万九千円の層ですね、この層ではエンゲル係数五〇%ですね。ですから食費に半分はもちろん使う。いま四万九千円の生活というのは非常に苦しいと思います。第二の階層でも四〇%、十万円の階層で三一・九ですか、たいへん物価がどんどん上がっていきますから、十万円の収入でも苦しい。こういう時期ですので、五万円年金というのは私はそのつど年がたつにつれてこれはやっぱり修正していかなければいけない数字だと思いますね。現時点での五万円水準の年金というふうに解釈してよろしいですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 現時点での五万円年金ということではございませんで、平均標準報酬の六割を年金の水準として適正なものと考える、こういう考え方でございます。たまたま四十八年度の賃金体系につきましては、先ほど申し上げましたように、八万四千六百円の平均標準報酬で、二十年以上の方の平均の加入期間が二十七年でございますので、たまたま五万八十二円になる、こういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それでは五万円年金というのは通俗のことばということにして、標準報酬の六〇%という考え方だというふうに確認しておきたいと思います。  そこで、その次に年金だけで老後が暮せる水準にするためには私は賦課方式にしなければ、いますぐ老後が暮せるようにするためには賦課方式に切りかえなければ年金の財政方式はいまの積み立て方式ではだめだろうと思うんですが、その点はあくまで政府の側は積み立て方式ということを主張していらっしゃる。これは衆議院の社労委員会かなんかの決議にあったと思いますけれども、将来賦課方式に移行することも検討する必要があるというようなことがあったと思うんですがね。厚生省の中には賦課方式に切りかえる考え方というものは全然ないでしょうか、どうでしょうか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 賦課方式か積み立て方式かの問題でございますが、実はどちらの方式を選ぶかということが先決問題ではございませんで、現在の年金の成熟度合いと申しますか、被保険者に対する受給者の割合ということを考える場合には、相当高い水準の年金を実現するためにも何も賦課方式を即時採用する必要はない、こういう考え方でございます。端的に申しますと、昭和四十八年度では老齢福祉年金をもらう受給者は被保険者に対しまして三・六%、これが成熟いたしますと、御承知のように二七、八%から三〇%近いそういった数字になるわけでございまして、そうなることが目に見えておるわけでございますので、そういった段階になりますまでの間、ある時期において急激な保険料の増高を来たすような、そのような年金制度の設計は避けましょう、こういうふうな考え方でございます。ですから厚生年金なら厚生年金という一つの年金のシステムの中でどのような方式をとるかということは、結局は受給者と被保険者の割合というもの、それからどの程度の給付水準を確保しなければならないか、そういったことから逆算されてくる問題でございまして、どのような方式をまず選んで、その結果、どういうふうな年金の姿になる、そういう考え方ではないのでございます。ただ、問題は世間一般と申しますと非常にぼうばくといたしますが、いわゆる賦課方式論というものがございまして、福祉年金の財源等も厚生年金の積み立て金等を財源として一挙に相当の水準に上げるべきであると、こういうような御議論がございますが、そういった点につきましては、実は、私どものほうの政府原案をつくりますまでの間、社会保険審議会等で十分の御議論をいただいたわけでございますが、そのような考え方はとるべきではないという御結論でございますので、そういった国民全般を対象にしての、言うならば、画一的な年金制度の財源として積み立て金を放出する、そのあとの財政方式については、したがって積み立て金はゼロになりますから賦課方式に移ると、そういった意味合いの賦課方式論というのは、審議会段階においてとるべきではないと、こういう御意見をいただいておりますので、私どももさよう承知いたしまして、そのような考え方でもって原案をつくっておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私も、年金だけで老後が暮らせる水準にできるだけ早くするために賦課方式をとれと言ってるわけであって、賦課方式対積み立て方式で対立をしているというような、そういうことじゃないわけです。何か厚生省はたいへん積み立て方式に固執しておられる感じがいたします。一番肝心なことは、いま局長も言われたのだけれども、みんなが年金で老後を安心して暮らせるようにするということですね。ただ、厚生省の側は、財政計算をしていって、どうも積み立て金がなくなってしまって急に保険料をたくさん上げなければならない時期が来るということを、いつもいつもおっしゃるわけなんですが、それは計算方式を私は変えたらいいと思います。いまのままで労使折半で、国庫負担もいまのままでという考え方の計算でしておりますと、いまおっしゃったように残高がなくなってしまって、非常に突如として保険料を高く上げなきゃならない時期が来るということになるのだと思いますけれども、その辺をもう少し考え直すことはできないのかどうかということが一つと、それから福祉年金の財源を厚生年金や国民年金の積み立て金から出せというようなことは私たちは言っておりません。福祉年金は無拠出年金だから一般会計から当然出すべきものだと考えております。その辺でいまの財政計算方式を、野党が提案しておりますような方式についてはどういうふうに考えていらっしゃるか、その意見を聞かしていただきたいと思います。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 野党の御提案の財政の見通しでございますが、まあ大体成熟期において——まあ成熟期においてというよりも常時、大体半年、単年度の支払いに要する金額の半分ぐらいは準備金として持つような、そのような財政設計ということが大前提のように承っております。そういたしますと、私どもも責任のあるぴちっとした計算をいたしておるわけではございませんけれども、いわゆる成熟期というふうに私どもが考えております昭和八十五年あたりになりますと、御提案の内容の保険給付をいたしました場合に、大体単年度の保険給付のための必要な経費が二百四十兆円ぐらいになります。したがって、年度末の準備金と申しますか、積み立て金はその半分でございますから大体百二十五兆円、こういうことでございます。それで私どものほうの御提案申し上げている計算によっての財政見通しについて申し上げますと、同じく八十五年度につきましては、単年度の給付に必要な支出額がおおむね百三十八兆円でございまして、私どもは大体三年分程度の積み立て金を持たなければ、これだけ大きい支出額をかかえる年金財政を維持することは困難であるというふうな考え方をとっておりますので、この八十五年度におきましての積み立て金が四百十一兆円でございます、ですから、そこに移るまでの間、どのようなパスのしかたをするかという年金制度の財政面についての設計の問題でございまして、野党の御提案では単年度の給付に必要なものの半分程度を積み立て金として持てばよろしいということでございますので、さしあたっては現行の料率を維持しておりましても、現在の給付と積み立て金の割合から見ますと、相当多額の積み立て金を持っておりますから、一向かまわないということで、大体千分の六十四の水準を維持できますのが昭和五十六年くらいまでの計算になるようでございます。で、五十七年からは保険料を引き上げませんとその水準が維持できないということでございまして、八十五年度におきましての保険料率は千分の三百十一になりまして、ただしかし、これは国庫負担の三割という前提に立っておりますから、国庫負担の三割が二割のまま据え置かれるということになりますと千分の三百四十七という計算になるのではないかと思います。まあ、それに対しまして、私どものほうの財政設計は、たびたび申し上げておりますように、大体千分の二百程度でもって成熟期以降は横ばいになる、そういう考え方でございますので、相当多額の保険の給付を必要とする、そういった成熟期の段階になりまして、はたして千分の三百四十七の保険料の負担がよろしいのか、あるいは千分の二百程度の負担で横ばいになるという設計がよろしいのか。それからまた給付に対する準備金の保有高といたしまして一体半年程度で間に合うものなのか、二、三年程度を持たなければ不安定なものなのか、そういった問題につきましての選択の問題であるというふうに私どもは考えております。たとえば二、三年間引き続いて相当の不景気が到来するというようなことになりますと、年金生活者に対しましては、その不景気の波をかぶらせないようにするために準備金というものが作用するわけでございますが、私どもの計算で百三十八兆円、野党の御提案では二百四十兆円、こういった必要な給付額をかかえる年金財政が、数年続いての不景気等にあった場合に、はたして半年程度の準備金で間に合うかどうか、そういったこと等を考えますと、私どもがやはり御提案申し上げておりますような三年程度の準備金を持った形での年金の財政の設計というものを考えたほうがよろしかろうということで、このような選択をいたしたわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 厚生省、おたくのほうから年金保険の収支の見通しの計算を出していただきましたですね。それで、いまのお話しがありましたように、年金制度が成熟するのが三十年後の昭和八十五年である。昭和八十五年までずっと積み立てていくと、おたくの計算では四百十一兆円積み立てることになるわけですね。四十九年度がこれでは九兆九千億円になる——さっき九兆四千億円とおっしゃいましたけれども。それから五十二年が十七兆円、積み立て金の残高ですね。六十年になりますと五十八兆円。昭和七十年で百七十五兆円ためるんですね。そして八十五年で四百十一兆円。まあ三十年間積み立て金をずっと積み立てていって、しかもこれは財投資金としていままでのように使っていくわけですね。そうしますと、その間に、いま言われた標準報酬の六〇%の年金を保障される人口ですね、対象者の比率は、これはこの三十年間にどんなふうになっていきますか。私たちは、いますぐ困る老人に保障せよということを言っているわけですね。だから、将来の計算の中にいまおっしゃったような、あなた方のほうの計算できちんと二、三年分ためておかなければいけないというような考え方じゃなくて、私たちはもっと動的に考えているわけです。ですから、国庫負担分もふやす必要があればふやすし、それから保険料をもうこんりんざい上げちゃいけないなんて言っていないのです。もし国民がみんなコンセンサスがあって、これだけは上げなければならないということがあれば上げる。給付が十分であれば、さっきも言いましたように、税金が高くても見返りが多かったら出すという国々が幾らでもあるわけですね。ですから、そういうこともあるし、それからいまのような保険料の徴収額に対して労使が半々というのではなくて、足りなくなってきたときには今度は使のほうにもつと負担を持たせるとか、そういうことも考えていく、あるいは国庫負担をふやすとか、そういうようなことで考えていいのではないかと思っているのですがね。  そこで、いまの三十年間の間にどのくらいの比率で六〇%の年金の支給を受ける人間がふえていって、昭和三十年の成熟期には全員がもらえるということなんでしょう。——それまでの順序は。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 典型的な年金でございます老齢退職年金につきまして申し上げますと、昭和四十八年度は受給者が八十三万九千人、被保険者数に対しまして三・六%でございます。これが昭和六十年になりますと二百五十万二千人、その割合は九%でございます。七十年になりますと四百七十三万二千人、割合は一五・七%、八十五年になりますと八百二十二万六千人、割合が二七%、大体十人の被保険者で三人の老齢退職年金の受給者をかかえる、こういうふうな形になります。  そのほか、もちろん通算老齢年金でございますとか障害年金でございますとか、遺族年金でございますとか、そういったいろいろな年金がございますので、受給者全体といたしましては、数の上でも、それから受給の金額の上でも相当大きなものになります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私、積み立て金の金額も、これはあくまで推計ですから、きっと違ってくると思います。ベースアップもあるし、そのベースアップのしかたも、たとえばことしは二〇・九%ですか、大きいでしょう。これまでの厚生省の計算をしていらっしゃった一四、五%というものに比べればはるかに大きいわけですから、保険料の徴収額もずっとふえていくわけですね。そういうようなこともありますので、いまあげられている数字はあくまで仮定の数字だと思いますけれども、三十年先にこの制度が成熟化して外国並みに年金をもらう比率がふえた、そういうときまではこの方式でやっていくのだという動かしがたいものが厚生省の中にあるのですがね。それは野党の側からの提案しております方式が決定的に欠陥があると、こういうような考え方に立っていらっしゃるのじゃないかと思うのですけれども、こういう問題は、計算上非常に完全を期して、そのときまで待っていくというよりは、現在未成熟だということ自体が私たいへん問題だと思うのです。年金の必要な人口いっぱいいるのに、受け取る人が少ないということ自体が問題だと私は思うのですよ。ですから、なぜ、そんなに日本の年金が未成熟なのかということですね。なぜだとお思いになりますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 成熟度合いの問題は二つあると思います。一つは、給付水準の問題でございますし、それからもう一つは、受給者の数の問題であろうと思います。  それで、未成熟である原因は何かと言われますと、まず第一には、年金制度の発足がおそかったということがございます。厚生年金の場合で昭和十七年、しかしホワイトカラーまで入れましたのが昭和十九年からでございますから、来年でもってやっと三十年、その間には御承知のような相当長期にわたる戦争の期間がございまして、一つの会社あるいは一つならず二つ、三つでもよろしいわけでございますが、ずっと被用者年金の対象期間を充足してきた方は非常に少ないということがございます。それから、被用者以外の農民、自営業者につきましては、御承知のように年金制度が発足いたしましたのが昭和三十六年でございまして、ことしでわずか十二年でございます。そういった歴史が浅いということが決定的な理由であろうかと思います。  それから給付の水準の問題につきましては、これは歴史の浅さというものといろいろ密接にからみ合ってくる問題だろうと思いますが、年金に対する国民全般の依存したいというその意識が必ずしも十分でなかったというようなことから、やはり水準自体は現在までのところ必ずしも十分高い水準であったとは申せなかったと思います。それで、その水準の高さかげんというものは今回の標準報酬の六割水準、外国流に計算いたしますと、先ほど申し上げましたように、百二十八号条約の四五%水準に匹敵する水準でございますので、水準の問題については、おおむね適正な水準を確保する体制についた、こういうことが言えるかと思います。  それで、これから先、年金の受給者の数をどのようにしてふやしていくかという問題でございますが、これは実はなかなかむずかしい問題でございまして、従来において被保険者であった期間を持った方については、できるだけ本来の年金権に結びつけるような努力をどのような形でするかという問題がございます。それで、この点につきましては、実は昭和三十六年に御承知のような通算制度をつくりまして、いろいろな制度を異にする年金を渡った場合におきましても、それが全部通算されるという、そういう措置を講じてございますが、これなどは数の上での受給者をふやす成熟化対策の最たるものであるというふうに考えておりますが、これから先、どのような手段、手法によってさらに成熟化対策を進めるかということは、私どもも真剣に検討を要する問題と心得ております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 年金制度を持っていなかった事業場なんかの過去の勤務についての計算、これはどういうふうにしようと思っていらっしゃるか。  それから中途から加入してきた者の経過措置がもっとやられれば、もっと年金受給者もふえてくるはずだ。  それから三十年前にスタートしているけれども、年金制度がなかなか成熟してこなかったものの原因の中には、女子労働者が入っては途中でやめてしまって掛け捨てるというものも相当あると思います。それは退職年金みたいな形でもらったり、それから通算年金の制度にいま結びつけつつあると思うのですけれども、でも、まだ私は相当掛け捨てがあると思うのですが、この掛け捨てに関してはどのくらいの件数というか、金額というか、計算されたことがございますか。つまりお金のほうは出しているけれども、もらわないでしまったというのがあると思うんですよ。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) いろいろたくさん御指摘の問題がございまして、聞き漏らしがあったかもしれませんが、お許しをいただきまして。年金制度がなかった時代の期間を年金制度の加入員期間にどのようにして計算をするかという問題でございますが、まあ、この点につきましては現在の制度では、そういった過去勤務の期間というものは年金の加入員期間に計算いたしておりません。  それから女子労働者が特に短期でもって退職をするということでございますが、まあこういう問題もございますので、御承知のように女子労働者につきましては年齢制限なしに二年勤務いたしました場合には脱退手当金を出すということにいたしておりまして、その特例期間が昭和五十一年五月末までになっているわけでございますが、そういう期間さえ満たなかった方につきましては、まあ御指摘のように掛け捨ての問題が出てまいるわけでございます。ただ問題は、そういった掛け捨ての問題を全部なくしてしまうということが年金制度として可能かどうかという問題でございますが、掛けた金は全部何らかの形で勤務年数のいかんにかかわらず戻されると、払い戻されるということになりますと、おそらくこういった拠出制年金の財政の設計というものは成立すること自体が非常にむずかしいという問題もあろうかと思います。したがって、私どもの考え方といたしましては、まあ不合理な掛け捨てを防止いたします最大の問題は年金権の上に眠っておる方があるいは相当いらっしゃるのではないかということでございます。たとえば通算年金をもらえる方がその手続を怠ったり、あるいはまた脱退手当金をもらえる方がその手続を怠ったりすることによりまして、せっかくの権利を結果的に放棄せざるを得なくなるようなそういったことを防止いたしますために、相当この年金権の問題につきましてはPRをいたしまして、そのような意味での掛け捨てがなくなるような行政努力は十分にいたしたいと思いますが、およそ年金について保険料を払った以上はいかに短い期間の加入員期間であってもそれが払い戻されるというふうな体系の年金制度というものはなかなか制度として設計することは困難であろうかと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、そのいま言われることはわかるんですけれども、じゃ拠出しなかった者にも年金は与えていくという、その原則は私はもっていかなきゃならないものだと思うんですね、将来の年金については。それで、じゃ、いままでの年金で掛け捨てになったものがどのくらいあるかということの把握はしていらっしゃらないわけですね。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 年金の場合には、請求があって、請求があった方に対して年金の支給をすると、こういうたてまえにいたしておりますので、はたしてどの方々がどういう年金権を持っておられて、あるいは年金権発生に至らずしておやめになってというふうな実態につきましての詳細な把握というものはございません。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 まあ、私は年金制度が日本はなかなか成熟化しないんだと、厚生年金でまだ二・七%しかないと、国民年金では一%と、この間、昨年の計数では一・六%ぐらいですか、というような状況なので、なるべく早く成熟化させるということに努力を私はしなきゃならない、その中にはそういう、いま年金の権利は眠っていて請求しなかったとか、通算年金を要求しなかったとかいう者があると言われたんですが、たとえば、これ、ある六十七歳の方ですかね、厚生年金というのは強制的に掛け金を労働者から取り上げて、それでその支払いは十五年とか二十五年とか長い年月が過ぎてから支払われますが、収入五、六万の安い給料の中から二千円以上も徴収されておりますと、で、社会保険は疾病のときには補償してくれますが、厚生年金は取りっぱなしで返りません、私は六十三歳のときに就労しまして四年間勤務、六十七歳に退職しました、その間十万円以上の厚生年金を徴収されていますが、何ももらえない、で、女性の場合は二年以上ですね、一年以上ですか、何年でも中途でやめると金が返ってくるけれども、男女不平等ではないかというような——これは年をとっていられるから何とかする方法はないのか、つまり四年ですね、この方の掛けた期間というのは。五年以下ではまあ返せないという規則があるから返せないんだということはわかりますけれども、こういうものがずいぶんあるんじゃないかということなんです。それを把握していないというのは——それは把握のしかたがしにくいかもしれないけれども、こういう人の苦情を聞いて、相談を聞いて、そして、もう六十七歳になっていますから、今度は例の谷間の老人のところでもらえるようになるかもしれないと思いますけれども、その辺はどういうふうにすべきだ、こういうような人の場合にはどういうふうにすべきだとお考えになりますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) いま、例としてあげられましたのは、おそらく厚生年金に四年加入しておられて、それで現在は六十歳をこえておりますから国民年金の拠出制年金の被保険者期間は今後においては持ち得ないと、したがって通算年金の対象にもならない、おそらくこういう方だろうと思います。ですから、そういった方につきましては、端的に申し上げますと、そのような拠出制年金に結びつくことができなかった方については、所得の状況にもよりますけれども、七十歳から老齢福祉年金と、このような考え方、端的に申しますと、そういう考え方でございます。ただ、厚生年金制度自体において、過去においてある程度の被保険者期間を持った方に対して厚生年金として何らかの措置をすべきではないかというふうな御議論も実は審議会の審議の過程等においてはございましたが、なかなかそういった制度を現実に制度化いたしますことは困難でございますので、今回はその問題について厚生年金サイドからの解決方法は講じられなかったわけでございます。しかし、非常に大事な問題でございますので、結論がどのようなことになるかは別といたしまして、相当前向きに検討はいたしたいと考えております。ただ、繰り返しになりますが、現在のところは、こういう方に対する対処の方法は老齢福祉年金であるということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 じゃ、一応これまでで……。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 四案に対する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後一時四十八分開会

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  連合審査会に関する件についておはかりいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案について、地方行政委員会、大蔵委員会、公害対策及び環境保全特別委員会及び物価等対策特別委員会から、また厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について地方行政委員会及び農林水産委員会からそれぞれ連合審査会開会の申し入れがございますが、これを受諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。  発議者和田静夫君から趣旨説明を聴取いたします。和田静夫君。

和田静夫日本社会党

○委員以外の議員(和田静夫君) 私は、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、医療法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。  「おらが病院づくり」、これは経営難から統廃合へと進む全国の自治体病院関係者が、住民とともに立ち上がるときの合いことばであります。彼らは統廃合反対、住民医療の確保の運動の中で、すでに、自治体病院のあるべき姿について、きわめて鋭い問題提起をしております。それは、第一に、民間病院でやれないことをやること、第二に、民間病院でやっている悪いことをやめること、第三に、患者にとってよいことを率先してやること、というものであります。  民間でやれないことをやるとは、診療だけでなく、研究及び各種医療担当者の研修などを一体的に運営して、高い技術水準を維持することであり、無医地区への医療供給に責任を持つことなどでありましょう。民間でやっている悪いことをやめるとは、必要もない薬剤の過剰投与や差額ベッドをやめることであり、また患者にとってよいことを率先してやるとは、患者を各科でたらい回しするのでなく、一人の患者のまわりに各科の医療担当者が集まるシステムを採用したり、外来の待ち時間を少なくしたりすることでありましょう。  これらは、いずれをとってみましても、公的医療機関としては当然の機能であり、医療の公共性を発揮するための最低の条件というべきであります。しかるに、今日の公的医療機関は、その定義や基準が全くあいまいで、実態としては、何ら私的なものと変わりがないのみならず、公私の間で患者の奪い合いさえ行なわれる一方で、公的病床規制という奇妙な束縛までも受けているありさまであります。  公的医療機関というならば、それは医療供給の中心的な役割りをになうべきであり、採算を度外視して、必要かつ十分な医療を提供すべきでありましょう。ところが政府は、公的医療機関といえども、独立採算の原則の中に放置し、これに対する国の財政責任は、全く果たそうとしていないのであります。  すでに政府は、四十九年度を初年度とする社会保障計画を立案中であり、この中で、医療供給体制の体系的整備を行ない、自治体病院などを地域医療の中核にするとしております。しかしながら、いうところの中核的機能とは何であるか、またこれに対する国の財政責任はいかにして確立するのか、今日に至るもなお明らかにされておりません。私たちは、ここに本案を提起し、今後の政府施策の基本とすることを要求するものであります。  次に本案のおもな内容について御説明いたします。  本案は、去る七月十日、本委員会において社会、公明、民社三党の共同提案になる医療保障基本法案の精神にのっとり、地方公共団体、日赤、社会福祉法人その他公益を目的とする法人が開設する病院を公共病院として位置づけ、国立病院及び公共病院の機能、公共病院の人員及び施設の基準、公共病院等に対する国の補助を定めることによって、医療供給における国と地方公共団体の責任を具体化することにしております。  まず、国立病院および公共病院の機能については、1包括医療の供給、2医療に関する教育研究、3オープン・システムの三機能を必須のものとし、特に厚生大臣の指定する特定公共病院は、この三機能のほか、救急医療または無医地区への医療供給を担当するものとしております。  公共病院の施設及び人員については、このような機能上の条件と対応して、新たに基準を設けることとし、たとえば、現行法第二十二条で総合病院が有すべき施設としてあげている諸施設のほか、作業療法室、理学療法室、栄養指導室、医療相談室などを、すべての公共病院が必置とすることにしております。  次に、公共病院に対する国の補助についてでありますが、まず、地方公共団体が開設する公共病院の設置及び整備に要する費用については、その二分の一を、公共病院の一般的な運営費については、その一部を、公共病院が行なう各種医療担当者の研修修練に要する費用については、その全額を、特定公共病院の救急医療または無医地区の医療のための人員の確保及び施設の整備に要する費用については、その全額を、それぞれ国が負担することといたしております。  公共病院以外に対しても、救急医療または無医地区における医療を供給する病院、診療所については、救急医療または無医地区に医療を供給するに必要な費用の一部を補助することができることとしております。  なお、現行法第七条の二に定めるところの、いわゆる公的病床規制については、公共病院に採算を度外視した医療供給を義務づけ、これを中心とした医療供給体制の再編を目ざす立場から、完全撤廃することといたしました。  以上をもちまして、本案の提案理由説明を終わります。何とぞ、慎重御審議の上、一日も早く成立を期せられんことをお願いする次第であります。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  本案に対する自後の審査は後日に譲ります。     —————————————

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題とし質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 午前中お尋ねしたことに関して、一つ聞き漏らしたことで、四十八年度の厚生年金徴収額ですね、つまり保険料収入ですね、それから国民年金の収入額のこと、けさほど金額をあげていただきましたし、それから四十八年度予算にもそういう金額は出ているわけですが、実際に徴収される金額はたいへんベースアップもあったから増収するだろうと思うんですね。その増収額はどういう扱いをされますか、そのことを聞きたい。

八木哲夫社会保険庁年金保険部長

○政府委員(八木哲夫君) お答え申し上げます。  四十八年度の保険料収入につきましては、従来の実績等から見ましてもある程度の標準報酬の上昇というのを見込んだ予定額でございます。したがいまして、まだ実績等出ておりませんが、従来の実績等から見ますと一〇%以上の標準報酬の増というのは見込んでいるはずでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それはわかってるんですね。保険料収入を計算なさるときには、その前の三年間の平均の伸び率、賃金、収入の伸び率ですね。標準報酬の伸び率ですか、その伸び率で計算をなさるわけです。それで、昭和四十八年度は非常にベースアップが大きいから、二〇%をこえているから、保険料収入もずっと多くなると思うのですね。それで、その辺をどういうふうに計算していらっしゃるかということと、それはまあ自然増収といいますか、そういうものはどういう扱いをなさるか、来年度の中に入れるんなら入れる、どういう項目で入れていくのですか。

八木哲夫社会保険庁年金保険部長

○政府委員(八木哲夫君) 四十八年度の予算におきましては、先生御指摘のとおり最近の実績を元にいたしまして、それから従来の平均の上昇率等を見まして予算を計上しているわけでございますので、四十八年度の歳入というのは最終的に年度を終わりませんとわからぬわけでございますけれども、もし、予算額以上に保険料の収入があったという場合には、当然保険料の収入増ということで積み立て金の中にその分だけふえるということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その計算もまだしていらっしゃらないわけですね。従来の伸び率でこの予算はできていると、こういうふうに考えておいていいですね。それと、それから、予算に計上したその一兆三千四百四十八億という保険料収入は、これは保険料値上げの予定で計算してあるのですね。

八木哲夫社会保険庁年金保険部長

○政府委員(八木哲夫君) 御指摘のとおり、政府の国会に御提案申し上げました料率で計算いたしておるわけでございます。  それから実績につきましては、まだ年度に入って間もないわけでございますので、これからでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 たぶん、厚生年金の会計で見ると、「その他」という収入のところがございますね。そこへ入れるんだろうというふうに私は想像しているわけなんですが、おそらく来年度に徴収額が予算より多くなった場合にはそこに入れていくんだろうというふうに私は理解いたします。ですから、つまり積み立て金の額がそれだけふえていくということですね、予定より。  それから、けさほど総理大臣が、高福祉なら高負担するのはあたりまえで、スウェーデンを見なさい、五〇%以上の税金を取っているじゃないかと言われたことに対して、五〇%という大ざっぱな言い方は間違いだと、所得税の課税対象とならないものは何もかけなくたってちゃんと年金はもらえるようになっているんだと、累進課税だというお話をしたんですが、もう少しきちんと申しますと、私の調べたところで申しますと、スウェーデンの税制は総合課税がもう徹底しているということ、それから財産課税が徹底している、財産税を取っているのですね。それから配当課税を別個にちゃんと取っている、そういうふうなことです。所得税の累進課税がさっき言ったように一〇%から六五%まで累進課税、そうして最高八〇%までになっているわけですね、全体としての課税が。だからある人はつまり収入の、高所得の人は八〇%まで取られるし、低所得の人は何も取られないでも、無拠出で年金の定額分は全部同じにもらえる、こういうことだということをもう一つつけ加えておきたいと思います。  では、還元融資のことについて私は御質問したいと思いますが、還元融資というのは、徴収された年金をみんなが掛けたその額の中から一定の比率、厚生省にまかせて、そして拠出者の福祉のために使わせる融資でございますね。で、昨年の夏、還元融資の比率をふやしましたね。これまで四分の一でございましたのを三分の一に引き上げることにした。その際還元比率を預託増加額の四分の一から三分の一にした、こういうことですが、これは三分の一にしたんだからよろしい、つまり掛け金をした保険者たち、働いている人たちのために特にそれだけワクを設けて厚生省が指定した使い方ができる部分をふやしたというのですから、それは一歩前進なんですけれども、これ、一体厚生省は大蔵省との間にどういうような取りきめをなさるのか、厚生省がどの程度の自主性を持って、主体性を持って使うことをきめられるのかということを伺いたいわけなんです。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 御指摘のように、昨年の夏に新たに預託増加額——新たに預託金の増加する金額の三分の一を還元融資のワクにすると、そういうふうな話し合いになったわけでございまして、形式的には厚生大臣、大蔵大臣が話し合いをなさいまして、その細目につきましては、私と理財局長との間で文書による覚え書きを締結してやっておるわけでございまして、この使い方につきましては厚生省の意向を十分に尊重してもらうようにという一項目も新たに加えまして、両省合意の上でこの趣旨に沿うような使い方をするということになっております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 大蔵省のほうからも伺いたいのですが、いま局長の文書の交換によってと言われましたね、文書ができるまでにどういう手続をとってきめられるのかということです。で、たとえばことし四十八年度還元融資額は五千七百二十四億円ですね。それの使い道について大蔵省と厚生省のそれぞれの担当局長が文書交換によってきめるということですか、大蔵省のほうはどのくらいタッチしていらっしゃるんですか。

山口光秀大蔵省理財局資金第一課長

○説明員(山口光秀君) 先ほど厚生省の年金局長からお答え申し上げましたのは、そういう還元融資にかかる資金の運用につきましては、厚生省の意見を尊重するというそういう趣旨の合意につきまして覚え書きがあるのだということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 この還元融資というのは、少なくとも私はずっと言っていることは、年金を掛けた者に、年金の積み立て金や掛け金を使えと、そうして年金の内容を多くせよということを主張しているわけですね。だから、その中でも少なくとも今年度五千七百二十四億だけは厚生省が指定して使うことができるというワクのある金である、還元融資という名前で還元される、拠出者に還元される金なんだと、そこで、それに関しては大蔵省と厚生省の間でどんな話し合いをなさるのですか、ということについてまだお答えがないわけです。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 還元融資の使い方でございますが、これは大きく分けますと三つございます。一つは年金福祉事業団を通じまして還元をいたしますものと、それから第二番目は、地方公共団体に対しまして特別地方債の形で融資をするものと、それから、その他といたしましては医療金融公庫、社会福祉事業振興会、国立病院特別会計、公害防止事業団、こういったところに対する融資と、大きく分けますとこの三つになるわけでございます。この三つのそれぞれにつきまして総ワクをどうするか、その内訳をどうするかということにつきましては、年度初めに大蔵省と私どものほう、それから自治省も入っていただきまして十分協議をいたしまして、その結果いま申しました三つのルート、それからそれぞれの三つの中でのこまかい内訳、たとえば年金福祉事業団で申しますと、住宅についてはどれだけ、医療用施設についてはどれだけ、厚生福祉施設についてはどれだけといった、そういうふうなワクを設定いたしまして、そういったワク内で個々の申請を待って処理をすると、こういうふうなことになっておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうしますと、その計画はほとんど厚生省の主体性できめて大蔵省はそれを承認するという形でございますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) やっぱし還元融資につきましては、厚生省の意向というものを十分尊重していただく必要がございますし、それから、これらの問題については私どもは専門的な役所であるということでもございますので、十分御納得のいけるような原案をつくりまして御相談をいたしておる、こういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 年金全体を取り戻したいわけだけれども、中でもせめてその年の新たに徴収した額の三分の一だけは厚生省のイニシアで使う、こういうことになっていると言われるので、私どもは、どこの省も大蔵省の顔色を伺っておりますので、厚生省はよっぽどこれに関しては自主性を使っていいはずだと思っているわけなんです。厚生大臣、還元融資の問題については、強い態度で全面的に厚生大臣の考えにまかさせるという自信がおありでございますか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 還元融資の金につきましては、たびたびお答え申し上げておりますように、被保険者の意向を十分反映させるということが基本でございまして、特に還元融資の問題につきましては、大蔵省も私どもの言い分はよくわかっておりますから、いままであまりたいした争いをしたこともなく、厚生省が原案をつくれば、理財のほうではあまり文句を言わない、こういう慣行ができておりますから、この点はどうか御心配のないようにお願いいたしたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その厚生省のプランが心配なんです、実はね。だから念を押しているわけで、大蔵省の圧力で厚生省がうまく使えないのではないとすれば、厚生省に全面的に責任が私はあると思います。  で、いろんな問題がありますが、大体、簡易保険の簡保資金、これのほうは郵政省が非常にしょっちゅう文句言っているわけです。これはたくさん委員会の議事録なんかもありますがね、逓信委員会なんかでもたびたび議論されております。かつては簡保資金というのは、簡易保険の掛け金というのは自分たちが持って自分で自主運営していた。ところが戦時中に取り上げられちゃって、全部財投の中に突っ込まれた。だから、返してくれという交渉が絶えず郵政省からはやられているんですね。いまの郵政大臣新谷寅三郎さん、昭和四十七年、まだ大臣じゃないときに、その当時の郵政大臣にこんなことを言っておりますよ。「ちょっと関連で。」と、関連質問をしている。社会党の森勝治さんの質問に対して関連しているわけです。「ちょうどいい機会ですから、同じことですけれども一つ聞きたいのは、これは、御承知のように、戦前はこんなことじゃなかったんです。郵政省には、簡保資金の運用の審議会というのがありまして、すべてそこで、どこに、どういうふうに貸しつけたらいいか、これは公共団体が多いんですが、やっておったのです。戦争中に、いまあなたが言っておられた、一本にすればいい、一本にしたいというので、それで統一されたんですよ。戦争が済んで、また本来の元の形に直そうという、その当時、次官同士の覚え書きがあるのです。これはあなたが入っておられないときですが。それにもかかわらず、とうとうそのままで、ほおかむりでやっちゃったのが今日の姿で、それで、終戦後、私は、一ぺん大蔵省関係の次官や局長を呼んで——緑風会のときです。これじゃ困るというので、だいぶ強い意見を出したことがあるのです。それはもっともだということで、順次、還元しましょうということになったのですけれども、ここはいまでも残っていると思います。三省の次官の覚え書きを秘密でやっちゃった。」云々とあるわけですね。郵政省は郵政省で、簡易保険の資金、簡保資金、これを財投の中に入れ込んで、そして国が大きな企業——この簡保資金は基幹産業にも投資されていますよね。ですから、大きな企業にどんどん金を貸すのに使われているのは不当だ、簡易保険の掛け金を掛けた人の拠出者に戻す使い方をさせてくれということを絶えず申し入れをしている。厚生省は還元融資だけじゃなくて、厚生年金、国民年金に関して、自分たちの年金のためにあるいは厚生福祉のためにこの年金資金は戻せというような、あるいは自主運営をさせろというようなことを申し入れられたことはございますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 過去におきまして審議会の御意見等を受けて、そういったことをやった事実はあるようでございます。ただ、還元融資の問題がはっきりと事実上制度化いたしましたのは昭和三十六年からでございまして、これから以降は拠出者の意向を十分に反映するようにということ、それから還元融資の資金ワクをできるだけふやす、そういったことに大体主張を集中いたしまして、十年間いろいろ折衝いたしてきたわけでございます。で、その結果、今年度、昭和四十八年度の還元融資の問題につきましては、御指摘のように新しくふえる分の三分の一というようなワクの拡大、それからまた、同時に、従来から事業主あるいは被保険者から非常に要望の強かった個人貸し付けというものを年金福祉事業団の貸し付けの対象にする、それはいろいろ何を選択するかという問題があったのでございますけれども、一番需要が高い住宅資金について、国民が住宅をつくる場合の貸し付けを還元融資の中でやりましょうというようなことを新しく考えたり、それからまた、先ほどからいろいろ御指摘のございました直接間接に国民の福祉向上に役立つ、いわゆる「(1)〜(6)」分類というものに対する融資の割合を八五%まで高めるというふうな問題、それから全体といたしまして、厚生省の意向をより十分に尊重してもらうというような、そういった内容のことについて十分な合意に達して今年度になったわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 さっき私、新谷寅三郎さんを郵政大臣と言ったのは間違いで運輸大臣です。  それで、いまおっしゃったように、還元融資の使い方、増額について努力されたことは認めますんですけれども、これ、厚生大臣、やっぱり厚生省に意欲がなければ困るわけなんですよ。拠出者の利益になるようにということは、拠出者に返すことが一番大事なことなんです。そういう点で、四分の一が三分の一になった当時、大蔵省理財局長と厚生省年金局長の間で覚え書をかわしているわけですね。で、今後三分の一にすると。「厚生年金及び国民年金の積立金の資金運用部預託増加額の三分一を、還元融資として、保険料の拠出者等の生活の向上、福祉の増進に直接寄与する対象に対し、できる限り低利に運用するものとする。」、直接福祉に寄与するように使うということを言っているわけなんです。ここで問題なのは、こういうことを局長同士の覚え書できめていいものなんでしょうか、これはどういうことですか、これは昨年の八月三十日ですね。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) それは、先ほども申し上げましたように、この問題について結着をつけます際に、両大臣の間で十分話し合いをされまして、ただ、将来のため間違いのないように、念のため両局長間でそういう文書を交換した、こういうことでございます。  それからただいまの御質問に直接関係ございませんが、積み立て金に対する私ども厚生省の考え方と申しますものは、なるほど御指摘のように、被保険者なり事業主に対する福祉の還元、これは非常に大事なことでございますが、やはり一番、積み立て金というものの持つ意味合いと申しますものは、給付財源をどのようにして長期にわたって確保するかと、こういうことでございます。したがいまして、積み立てました金を資金運用部に預託するにつきましては、最も有利な運用が長期にわたってなされるようにということが第一のねらいでございまして、そのような点から考えますと、実は昨年御承知のように、低金利政策の一環といたしまして、従来六・五%でございました利率が六・二%に引き下がったということがございますが、これまた今年に入りましてから、六月一日でまた六・五%に復活をした。私どもが一番関心を持っておりますのは、せっかく将来の給付財源としての大事な積み立て金でございますから、できるだけ有利に運用されてその蓄積の額が大きくなること、これが第一でございます。ただ、けさほどもお答え申し上げましたように、現在の時点、それから、これから相当長期にわたるその期間内におきましては受給権者の発生があまり多くございませんので、その期間内においては相当大きな積み立て金が現に存在する、ですから有利に運用してその金額をふやすということが第一でございますが、同時に、それだけたまっております資金の運用の方法といたしまして、被保険者、事業主が望まれるものにできるだけ還元融資のワクを広げると、こういうことでございます。それで、還元融資となりますと、やはりこれは一般の金利よりもできるだけ低く回すことが必要でございますので、その意味におきましては、有利運用というものと福祉還元というものは、ある意味では二律背反的な意味も持つわけでございますが、その辺のかね合いを考えまして、大体当該年度においてふえてまいります預託金額の三分の一程度は福祉還元ということで運用するのがよろしいのではないかと、こういうふうな結論になってそのような合意をいたしたわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま、私がお聞きしょうと思っていることを少し先回りして言われたのですけれども、一つは、昨年三分の一に還元融資をふやしたとき、その当時の新聞の記事によりますと、ちょうどそのときに田中内閣ができて、そして金融をゆるめたでしょう、すごくお金をだぶつかしたと思います。それで、そのときに、還元融資、資金運用部資金の利率も六分二厘に下げたのですね。そうしておいて今度は金融引き締めになるというので、たった六カ月間でまた今度六分五厘に戻した。六カ月間でまた戻しているわけです。つまり、公定歩合が引き締めになるとこっちも引き締めるというような関係にあるかと思うのですが。ちょうど昨年還元融資を四分の一から三分の一に引き上げたときに、金利を引き下げる、六分二厘にする、そうすると、せっかく拠出者が掛けたお金を回すのだから、だから六分二厘と六分五厘ではたいへんそこに、十億ぐらい少なく収入が入ってくるという計算を厚生省のほうではなすった。それで、それでは四分の一を三分の一にしてくれと、こういう話し合いになったというような情報が新聞紙上では伝えられているわけなんですね。それで、そういう、利率もたった六カ月の間に下げてまた上げるというたいへん不見識なことをしているが、これは一体、そうしなければならなかったものなのかどうかということが一つ。  それから、四十七年、昨年の六月十六日に参議院の社労委員会で、それから六月九日には衆議院の社労委員会で資金運用部の預託増加額の三分の一の還元融資についての議決をしたときに、附帯決議が出されておる。その附帯決議の中に「年金積立金の管理運用については、」云々となっているわけですね。それではその預託金の増加額というふうになっていないんですよ。「年金積立金の管理運用について」ということは、過去のずっと積み立ててきた残高全部の管理運用についてはどいうふうに私は解釈できると思うんです。ところが、局長同士のこの覚え書きというのは「資金運用部預託増加額の三分の一」というふうにしていますね。そして、これは国会できまる前に局長同士が覚え書きをかわしているわけなんです。何か先にそういうことをきめてしまっているんですけれどもね。私は、いま還元融資の話をしているわけだけれども、還元融資だけじゃなくて、年金積み立て金の運用について被保険者の意向が反映させられるように全体のうちの還元されていく部分をふやせというのが私は附帯決議の趣旨だったと思うんですけれども、その点。  二点です。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 第一点の金利水準と資金運用部資金の預託利率の問題は、これは大蔵省の御所管でございますから、そちらでお答えいただくといたしまして……。  それから私と理財局長との間の覚え書きの問題は、主としては還元融資のワクをどうするということ、それに重点を置いて覚え書きを結んだわけでございまして、この四十七年六月十六日の附帯決議の線からいけばその一部分でございます。ただ問題は、その覚え書きの中にもございますように、年金積み立て金の運用の問題といたしましては「(1)〜(6)」分類が八五%になるようにと、これは還元融資だけの問題ではございませんで、資金運用部資金の原資としての厚生年金、国民年金の積み立て金の運用といたしまして、そういった使途に集中的にたくさん使っていただく、そういうことももちろん含まれておるわけでございます。ただ、それだけでもってこの附帯決議にございますような年金積み立て金の管理運用全般の問題になるわけではございませんので、この附帯決議の御趣旨は資金運用部資金としての厚生年金、国民年金の使い方というものについて、よりよく被保険者の意向が反映されるようにということでございますので、これはけさほど大臣のお答えの中にもありますように、そういった意向を反映するための手だてをどのようにするかということにつきましては、私どもも大臣の御指示に基づきまして目下検討いたしておる段階でございます。

山口光秀大蔵省理財局資金第一課長

○説明員(山口光秀君) 資金運用部の預託金利でございますが、資金運用部資金の大宗を占めております郵便貯金の金利が上下いたします場合には、郵便貯金特別会計でその影響を遮断できます場合もございますが、とてもそれでは遮断できないという場合には資金運用部の預託金利を上下せざるを得ないという関係にございます。その際には、資金運用部は、預託金利につきましては平等の原則ということでやっておりますので、ほかの預託金も右へならえするということに相なろうかと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その点はわかりました。つまり田中内閣の金利政策が昨年の夏からは金融をゆるめてどんどん金を貸して金利を下げたからこっちもそうしたと、しかし、この春になったら今度は金融引き締めになったので、それに応じてこっちも引き締めた、こういうことであるということがわかったんですが、それでは、いま、現在六分五厘で貸し付けするわけですね、還元融資もそうだし、資金運用部資金の。特にその還元融資の五千七百二十四億がことしワクがあるわけですが、これを貸し付けて、資金運用部資金には六分五厘の利子を払わなきゃいけないわけですが、それよりもっと安く貸し付ける場合もあると思いますね。そういう場合には一体利子補給というようなことをなさるんですか、どうですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) その問題につきましては、たとえば社会福祉事業振興会等で貸し付けているものは逆ざやになっておりまして、その分は一般会計で利子補給をしてもらっておるというものもございます。それから、年金福祉事業団で融資するものの中でも個人住宅に対する貸し付けの問題につきましては、同じような問題が出かかっておりますので、これの処理につきましてはいろいろ御相談をいたしておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もう少し具体的に言ってください。たとえばどういうものには幾らで貸しているとか、そしてそれの利子補給をしているとか、出資をしているとか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、この被保険者住宅資金の貸し付けの問題でございますが、これは六分二厘の利率でもって貸し付けをするというふうにいたしております。したがいまして、預託金の利率が六分五厘に上がってまいりますと、そこから年金福祉事業団が借ります場合には六分五厘の利息を払わなければならない。そこで、三厘の逆ざやになるわけでございますが、その逆ざやの問題につきましては、年金福祉事業団に対する交付金の中でこれを処理するような方向で話をいたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 まあ、過去の昭和三十四年三月十九日衆議院、それから三十六年十月三十一日参議院社労、何回も何回も、年金積み立て金については、その特殊性に即した運用をはかるため、資金は特別勘定を設けて、そして拠出者のためになるような使い方をせよというような決議もされてきているわけなんです。それで、まあ、これは財投の中に組み入れてしまっている現在、少なくとも還元融資だけはワクが別にあるんですね。この還元融資、せめて年金全体を別ワクの勘定に私はすべきだと思うし、あるいは年金の特別勘定を設けたらいいと思うんですけれども、そこまでの勇気がないとすれば、せめて還元融資に関しては分離勘定というか、別ワクの勘定に持っていくという気がおありにならないかどうか。これは厚生大臣の意思の問題であり、厚生省の考え方の問題。それから大蔵省では、これはそういうことは可能だと思われるかどうか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 還元融資の分は、五千億なら五千億という総ワクの中で、年金福祉事業団に幾ら、医療金融公庫に幾らと、こういうふうに配分が大蔵省と相談してきまるわけでございます。きまりまして、その金が厚生年金事業団、あるいは医療金融公庫というところで現実の貸し付けをやるわけでございますが、自後の運営は全部医療金融公庫なり厚生年金事業団なりがそれぞれやっていくわけでございますから、その点については完全に自主的に運営をしていくと、こういうことになるわけでございます。そういうふうなことでございますから、お述べになりましたような趣旨は、一応年度当初総ワクで金額がそれぞれの機関に配分され、そして配分された医療金融公庫なら従来の貸し付け金の返還金、そういうものと合わせて自主的に管理をしていくと、こういうことになるわけでございまして、その点につきましては、りっぱな自主的な管理が行なわれていると、こういうふうに申し上げることができると思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私はそうでないと思います。大蔵省の方どうですか。還元融資は別ワク勘定になっていない、分離勘定になっていないのです。どうですか、大蔵省。

山口光秀大蔵省理財局資金第一課長

○説明員(山口光秀君) 資金運用部の経理に関します限りは、分離融資といいますか、別ワク勘定になってないわけでございます。その点につきましては、かなり基本的な問題でございまして、前に田中委員の御質問受けまして、愛知大蔵大臣からお答えしているとおりでございまして、資金運用部ということで政府の資金を一元的に運用するのが最も効率的であるというのがただいまの政府の立場でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま大臣じゃないから、これを分離勘定にするとかいうことはお答えになることができませんので、現状の説明があったと思います。還元融資もやはりワクをとって、これとこれはこういうふうに使いますというところまでは厚生省がプランを立てるけれども、あとは一切大蔵省におまかせなんですね。ですから、戻ってくる金の回収も、還元融資に関してもちゃんと把握していらっしゃらないわけなんです。それで、私はせめて還元融資に関しては今後別ワクの勘定にしていくだけの意思がおありにならないかどうかということをお尋ねしたわけなんですが、厚生大臣、重ねていかがですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) いままでのところ、そうたいして問題もないような気がいたしておるわけでございますが、それぞれの事業団に還元融資として事業団に入った金の回収金の問題でございますね、その問題につきましては、まあ、将来またいろいろ考えてみたいと思いますが、いまのところ、そうたいして支障を来たすような問題が起こってない、こういうふうに理解をいたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 不正が起こったらたいへんなんです。そんなことを言っているんじゃありませんので、あくまでもこれは年金を出している労働者、一般の国民、拠出者、この人たちの金ですから、最もよくその拠出者に利益になるように使うために分離したらどうですかということなんで、これは、いま厚生大臣としてはそういうことをしたいというふうにお答えにはなれないだろうと私はお察しいたします。しかし、私、予算委員会で財投の中の資金運用部資金の問題を議論しておりました当時に、大蔵省の係官の方たちと何回も説明もしていただいたりお話も聞いたりしました。その過程で、もしも厚生省にその気があるならば、年金資金の運用ぐらいは自主運用できないことはないという考え方を述べている人もあったわけです。私は、厚生省のほうにむしろその意欲がないのを非常に残念に思っているわけなんです。もちろん大蔵省にまかせれば一番じょうずに運用してくれるからということだろうと思います。しかし、そのことと、やはり年金を掛けている者の資金を今後、いままで財投の中の金、資金運用部資金の金は、年金関係はもう九兆円近くもあるのに、それが一体幾ら戻ってきて、ことしどこから幾ら返ってきたという回収の状況もつかめないように全部一緒くたに財投の中で使われて、そして企業への投資にどんどん流れていっているということに対して、整理してほしいと、そういう意味で私は申し上げているわけなんです。それで、不正があるないなんということじゃないわけです。ところが、この還元融資、四十八年度の積み立て金の還元融資の計画を私、いただきましたけれども、四十七年度の還元融資計画の実行状況、これをちょっと簡単に説明をしてください。四十七年度は三千六百七十八億あったわけですね。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 四十七年度の還元融資の実行状況でございますが、計画額が三千六百七十八億円でございまして、それから実行額が千七百九十一億円。それで先ほど申しました年金福祉事業団、特別地方債、その他というふうなことで申しますと、年金福祉事業団につきましては、計画額が八百五十億円に対しまして、実行額が四百五十億円、それから特別地方債は二千百四十八億円に対して六百六十一億円、それから、その他のほうは社会福祉事業振興会が九十四億円が九十四億円実行されておりますし、それから病院特会は八十二億円が八十二億円、それから医療金融公庫は二百三十一億円が二百三十一億円、公害防止事業団が二百七十三億円。ですから計画額と実行額の開きが大きいのはこの年金福祉事業団と特別地方債でございます。年金事業団につきましては、実は前年度の四十六年度という年が、御承知のようにいろいろな経済基調の変化がございましたこと、それに対して金融情勢を大幅に緩和するというようなこと等がございまして、借り入れの申し込みが非常に少なかったわけでございます。それからまた、資材の値上がり等によりまして、貸し付け決定後この事業の実行をおくらせるというふうなものも出てまいりましたなどの理由によりまして、いま申しましたように実行額がある程度低かったと、こういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 つまり還元融資としてせっかくワクを取った三千六百七十八億のうち、半分ぐらいしか使えなかったということですね、四十七年度は。そして、四十八年度に繰り越している。で、繰り越し、これは財投全体がそうですから、私はそうだろうと思います。財投全体が六兆四千億のうち一兆七千億も使えないで繰り越しになっているわけですから。ですから還元融資もそうです。繰り越し額のほかに不用額といってとうとう使わずにしまって、またもとへ戻す金額がありますね、それはどのくらいその中でございますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) まず、年金福祉事業団の問題でございますが、さっき申したような事情がございますので、ある程度低かったわけでございますが、こういうものは翌年度においてこれを繰り越して使うというようなことになりまして、大体年金福祉事業団の場合は、資金ベースと、それから計画ベースとございまして、資金ベースの点ではある程度の金額が翌年度に順繰りに送られる、こういうかっこうになっておりまして、あまり全体を通じましての不用額の問題は出てまいりません。それから特別地方債はいま申しましたように計画額と実行額が三月末現在では非常に大きく開いておりますけれども、これは出納整理期間内にこういったものが消化されるというようなことでございまして、不用額が多額に生ずるというふうな問題ではないと承知いたしております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 年金福祉事業団に八百五十億円ですね、これは四十六年度事業計画の中で四十七年度に繰り越して支出したものが三百七十億、四十七年度事業計画中、年度内支出を予定したものが四百八十億、このうち三十六億が繰り越しになって、三百六十四億円が不用額になっておりますね。そうじゃいですか。——あのね、不用額、せっかく、惜しいことだと思うんですよ、拠出者のために特にワクを広げて還元融資いたしますという、年金福祉事業団という福祉の事業に割り当てる金が不用額をたくさん出してしまう。こういう状況は、いま説明されたように、あまり借りたがらなかったとか、不況のために借りなかったとか、資材が高くなって使えなかったとかいうようなことで、であればほんとうにもっと拠出者の福祉になるようなものに振りかえるべきだと思うんですがね、いかがですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) それは確かに数字の上では年金福祉事業団がある程度の不用額が立った形になっておりますが、その部分は四十八年度において使いますので、決してそれは還元融資のワクとして不用になって、不用のまま切り捨てるということにはなっておらないわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それはおかしくないですか。還元融資というのは別ワク勘定じゃない。だから財投に戻るんじゃないですか。資金運用部資金のほうに戻るんじゃないですか、不用額になったら。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 先ほど申し上げましたように、その年度年度におきまして還元融資の額を幾らというふうにきめますが、それはその当該年度において新しくふえる分の三分の一、それから前年度から繰り越してくるものはそのワクの外でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 繰り越しのことを言っているんじゃないのです。私は繰り越しは相当あるということはこれはもうわかります、財投の場合はですね。だけれども、不用額というものはもう使わないで、これは財投全体にもう相当あるわけですが、それは還元融資の場合はどこへ行くのですかということを聞いているのです。だから年金福祉事業団が三百六十四億円の不用額を出していると、それは一体どこへ行くんですかということです。戻るんですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) ですから、これは不用になった分というものは翌年度の資金のワクとしてそれを使うわけです。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 還元融資の資金ですか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) はい、そのとおりでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それでは還元融資というのは、別のちゃんと全体の特別会計を持っているわけですか。さっきはそうではないということだったですね。最初にワクの割り当てだけは還元融資の割り当てをする、しかし運用は大蔵省にまかせている。そして、不用額が出た場合は、私は資金運用部資金に戻っていくんだと思うんですけれども、そうではないんですか。

山口光秀大蔵省理財局資金第一課長

○説明員(山口光秀君) 不用額は使わないわけでございますから、一般の財源と申しますか、何と申しますか……。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 戻っていくんでしょう。

山口光秀大蔵省理財局資金第一課長

○説明員(山口光秀君) ええ、貸し出しとはならないわけでございます。ただ、年金福祉事業団につきましては、四十八年度の計画額は千三百七十一億、非常に大きな数字になっております。従来八百四十億とか、八百五十億とかいうオーダーでございますから、それに比べて大きなワクになっておりまして、その辺を考えて新しい計画をつくったわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 まあ、かばい合うからほんとうのことをおっしゃらないのですけどね。私は、わざわざ苦労して四分の一から三分の一まで還元融資のワクを広げておいて、そしてそれを使いませんでしたといって、また資金運用部資金に返すなんという、そういうばかなことはないと、だから、別ワク勘定でそこに置いておけば、これからの貸し出すものもはっきりわかるし、回収してくれば、またその別の勘定をもって、それを年金の資金に充てていくこともできるし、福祉にも充てられるんじゃないかと、そういうことをもう繰り返し言っているわけですが、らちがあきませんので、そのくらいにしておきますけれどもね。まあ私は、ことし、いまおっしゃったように千三百七十一億の年金福祉事業団の割り当てがあるわけですね。それでそのワクは非常に大きいわけですから、ですから、これはあれですか、繰り越し別でしょう、繰り越しが四百五十億ぐらいまだありますね。繰り越し入ってですか、入れてですか、繰り越しも加えたらもっと多くなるんじゃありませんか。それで、今度は、それを使うためにまあ、いろいろとプランをおつくりになったわけですね。それで、昨年度、せっかくの還元融資、年金福祉事業団がその金を使うことができなかったのは、住宅の貸し付けなんというのに、会社に貸し付ける、その会社につとめている一人一人の労働者に貸し付けることをしないで会社に貸し付けたから、それじゃ、社宅じゃ入りたくないというのはまあ私このごろの人の通念じゃないかと、自分自身のマイホームのために土地を手に入れたいとか、家を買いたいとかいうことのために貸してくれるんだったらもっと使えたかもしれないということもあるかと思います。それでことしは還元融資の中でも年金福祉事業団の住宅の貸し付け金は会社の個人に貸すんですね、そういうふうに変わったんでしょう。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 全部が全部そういうふうに変えたわけではございませんで、被保険者個人に貸す分を三百六十五億円計上したと、こういうことでございます。それで、この貸し付けのやり方でございますが、まあ還元融資でございますから原則といたしましては事業主がそのような融資事業をやっております場合にそれに対する原資の提供ということで事業主に貸し付けをすると、こういうことが原則でございます。ただ、問題はその事業主によりまして、そのような個人住宅の貸し付けの制度をとっておらない事業主等もあり得るわけでございますので、まあ、そういった場合は労働者団体を通じての貸し付けでございますとか、あるいは個々に被用者に対する貸し付けを住宅金融公庫を通じて実施するとか、そういった道も講ずることにいたしております。そのようなことによりまして、いま申しました三百六十五億円程度を個人貸し付けに融資をするという考えでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 こまかくいろいろあるけれどももう時間をあれしますので、その還元融資の使い方をもっと研究していただきたいんです、大臣ね、ことに。その還元融資の中に使われている中身を見ますと、まあ、厚生省所管の業務全体にわたっているんですよ。たとえば屠畜場、簡易水道、一般廃棄物処理、産業廃棄物処理、同和対策、下水道、上水道と、私は還元融資は、特に保険金を出している拠出者の直接の福祉のために使えというのが趣旨ですから、厚生省の所管の業務全般にわたらないで、もっと限っていただきたい。ほんとに直接福祉に関係あるものに、たとえば年金福祉事業団の中の住宅、療養施設、厚生福祉施設、被保険者住宅資金貸し付け、——大規模年金保養基地というのが今度からありますね、そういったものとか、病院だとか、厚生福祉関係、まあ、そういうようなところに限られれば日本の福祉のおくれだって施設の面からはずいぶん改善ができるはずなのに何で一般会計から当然まかなうべき上下水道までね、簡易水道とか——それは広くいえば公衆衛生に関係があるから福祉ですというふうに、そういうことを言ったら、すべてもう何もかもみんな拠出者の福祉のためですということになってしまう。そうすると、還元融資のワクを取った意味がなくなってしまうと思うんで、これはもっと厚生省全体にばらまいたりしないで、集中するお考えは将来おありになりませんか、厚生大臣。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) まあ、還元融資の使い方についてはいろいろやっぱり御意見はおありだと思いますが、被保険者に直接というふうな考え方を強く出される方もございますが、市町村等の事業に対しましてお貸しすることもこれはやっぱりやむを得ないものも私はあると思うんです。すなわち厚生年金事業団あるいは医療金融公庫、それは主として個人に貸し付けるのが多いんですが、市町村もやはりこういうふうな福祉施設をつくることに非常に熱心になってきておる際でございますから、市町村にも貸さぬというわけにはいきませんが、今後ひとつ十分被保険者の御意見がやっぱりこの還元融資の使途については反映されるように今後とも努力いたしたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 市町村に貸すなと言っているんじゃないんです。大いに貸したらいい、ただ、その中身をここにあるように、老人の拠出整備費だとか、病院だとか、福祉関係だとか、レクリエーションくらいまではこれは大いにいいと思うんです。貸し付け方がまずかったので、あるいは経済情勢がおかしかったので余ってしまって、どうにもこうにもならないほど不用額が出たという状況じゃないかと私は思うんですがね。それで、ことしは大規模年金保養基地というのを考えていらっしゃいますね。これは老人対策だと思うんですが、これはがさっと大きくお金が要るような計画だと思うんですけれども、この計画の中身はどんなものでございますか。

横田陽吉厚生省年金局長

○政府委員(横田陽吉君) 本年度の新たな年金福祉事業団の還元融資の事業といたしましては、先ほど申しました個人住宅の融資と並びまして大規模年金保養基地がございます。これは一口で申しますと、主としては老人の保養、それから健康増進、さらには労働の場、その三つを総合的に提供をすると、こういう考え方でございます。それから、同時にまた、老人がそういった施設を利用するについて、その老人の子供なり孫なりが一緒にその施設を利用することによって、老人と若い者との間の交流の場にもあわせ寄与することができると、そういったことをねらったものでございまして、それで今年度の計画といたしましては、三カ所これを設置することにいたしております。ただ、相当広大な敷地を必要といたしますし、それから、この種事業はわが国においては初めての事業でございますので、単年度でこれを完成することはなかなか困難でございますので、おそらく三年ぐらいかかってこれを仕上げるという考え方になっております。で、大体の規模から申しますと、一カ所土地は百万坪、その上にいま申しましたように各種の施設を設置いたすわけでございまして、土地の取得、造成費、それから施設の設置費を含めまして一カ所おおよそ二百億円という見当で考えております。この設置、運営の主体は年金福祉事業団にいたすつもりでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 百万坪で一カ所二百億の非常に大きなセンターができるという見通しで三カ所考えていられるわけですね。ことしの八十一億というのは、土地取得のためのおもに費用である、あるいは研究する、プランをつくる費用であるというふうに聞いております。これは年金を拠出しているいまの普通のサラリーマン男女にとってやっぱり利用できる、つまりいままでの特別養護老人ホームとか、養護老人ホームというふうなのではない、有料の一般のだれでも拠出者が使えるというものにするというふうに話を聞いているんで、それはそれでたいへん緊急に必要になっているわけですね、両方とも必要なわけです。  そこで私、最後に、いろいろまだ問題ありますけれども、これで最後にしたいと思いますが、私どもの友人の中に独身の婦人がたくさんおります。これは戦争の犠牲者でしてね、ちょうどいまごろ五十歳こえ、初老に差しかかるというような人たちですね、相手がいなくてやむを得ずひとり身のまま過ごした女性が相当います。そして、みんなたいていの場合、職業についているわけなんです。で、その人たちは非常に老後のことを心配しております。これは、けさほど申し上げましたように定年退職後の老後の不安を持っている世帯主である男性もたくさんいるけれども、女性の中に非常にたくさんおります。で、まあ戦争当時から戦後にかけて二十歳から三十歳ぐらいだった人、いま四十五歳から五十九歳くらいまでの間の女性で、一体、年とってしまったらどうしようかしら、もういまや、かつてのように家庭にたよるわけにはいかない。その年齢層は女のほうが二百六十二万人多いんです。だから独身で終わっちゃったわけなんです。適齢男性が死亡したということですね。そこで、戦争の犠牲者と考えていいわけなんで、この人たちから私も陳情も受けたわけです。厚生省にも陳情に行ったはずでございますけれども、老後に、何人か一緒で、同じような境遇にある独身の女性三、四人が一緒ででも入れるような家を手に入れたい。つまり、大きな老人ホームというのはもういまや理想じゃないわけで、家庭らしい雰囲気をつくっていく。しかし、土地の取得もむずかしければ、もうあらゆる面でむずかしい。自分たちがわずかにためている金と退職金で、はたして老後が暮らせるかという不安におののいているわけなんです。それで、それからもう一つは、病気になったらどうしようかという心配も持っております。自分たちがもう一人暮らしの老人とか、寝たきり老人になる姿を想像すると、夜も眠れないと言っている人たちもいるわけです。で、大規模年金保養基地なんというものをお考えになるときには、そういう人たちもたくさんいるということを考慮に入れて、これはイギリスなんかでも私は見ましたけれども、年金者同士が四、五人で一軒の家を借りて、そして家庭として暮らしているというのがずいぶんありますが、そんなようなこともできるようにあわせて考慮してもらいたいということを要望いたします。大臣、そういうことをお考えくださいますか、どうですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいまのお話、非常に、私、けっこうな話と承りました。そういう方々がやっぱりたくさんおられるわけでございますから、こういうふうな大規模保養基地をつくるにあたりましては、そういうふうなことを十分計画の中に、頭の中に入れて実施するように考えたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 じゃ、もう、妻の年金権とか、女性の権利の問題は、先般本会議で中沢委員がなすったし、私もそれに触れたいと思う問題たくさんありますが、今回はこれで私の部分は終わらしていただきます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案について御質問したいと思います。  まず第一に、基本的条項。日雇い健康保険法は、制度発足した昭和二十八年当時から、給付内容が、他の医療保険と比較して社会保険としての体をなしていないといわれる劣悪な内容であったが、今日までどのようにその内容の充実に努力してきたかという点について、まずお伺いをしたいと思います。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) ただいまお話しのとおり、日雇い健保は昭和二十八年に発足いたしました。で、当時、日雇い労働者の方々から、皆保険でございませんので、ぜひ健康保険制度をつくってほしいという強い要望がございまして、たしか二年か三年かかってできたのが現行の制度のものであります。その後、先生がおっしゃいましたとおり、きわ立った改正はございませんでしたが、三十六年に現在のような姿に改正をされたわけでございます。  で、現在までの状況は、御承知のように、非常に給付水準も健保に比べまして低く、また、財政の状況も、歳入面についても賃金の低いこと、したがって、保険料が少ないこと等によりまして、歳入も少のうございます。それから、歳出のほうも、大体、日雇い健保の被保険者、家族も含めまして、かなり有病率も高いわけでございますから、両面から財政状況は非常に悪化をしたままの状態で現在までやってまいったわけでございます。この間におきまして、政府といたしましては、やはり健康保険としての日雇い健保でございますので、ぜひともその改善をはかりたいということで、過去において、四十四年と、それから四十五年の二回にわたって、日雇い健保法の一部改正案を国会にお出しをいたしまして御審議をわずらわしたわけでございますけれども、残念ながら、合意を得るに至らず、廃案のままになりまして、今日に至ったような経過があるわけでございます。  で、現在までの改善の状況と申しますと、大体私がただいま申し上げましたようなことでございまして、要するに、三十六年の改正以後、改善の計画はいたしましたが、実現をしないまま、今回の改正案を提出するというふうな状況まで至っておる、こういうことでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 いろいろな事情を言われるけれども、とにかく、昭和三十六年以来、給付内容の改善が行なわれていない。十二年間も放置してきたことは、政府の怠慢のそしりは免れないと思うのです。  今回の改正案は、当面の財政対策を主眼としたものであって、給付内容は、単に申しわけ的なびほう策を行なっているにすぎないと私は思いますが、どうですか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 今回の改正についての御批判でございますが、いま申し上げましたような現在までの日雇い健保の状況にかんがみまして、今回の改正は、財政の健全化をはかりながら順次給付の内容を改善をしていくと、こういう方針のもとに、御審議をいただいておりますように、当面最も要望の強い給付期間の延長、あるいは保険金給付の引き上げ、こういったものを行ないますと同時に、長年賃金実態から非常に隔絶をいたしておりました保険料日額についてもその改定を行なう、このような改正を主眼としたものでございまして、今回の改善案につきましては、当面、できるだけ早い機会に、この内容について実現をはかるようにという、昨年六月の社会保険審議会の全会一致の賛成答申のもとに立案をいたしたようなわけでございます。したがいまして、そういう状況でございますので、ただいま、その内容については財政対策が主眼ではないかという御批判がございましたが、いま申し上げましたような関係者の間で一番強い要望のあるものを中心にして、当面、まず改善すべきものを改善をすると、また、それに従った負担もお願いをすると、こういうことで、関係審議会で合意を得たものでございますので、そういうような長年むずかしかった問題をそういう形でまずワンステップを踏み出したと、こういうふうに御理解をいただければ幸いかと思います。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 この日雇い健保に対してはずいぶん陳情が出ているはずです。田中総理に対してもいろいろと、ここに私も拝見しておりますけれども、たいへんな陳情が出ている。今度あなたがおっしゃったように改正を出した。ところが今回、健康保険法をはじめとして他の医療保険はさらに給付内容を改善しているのでその格差はますます拡大されてる、日雇い健保との。その格差はますます拡大されているが、改正案が段階的改善と言われるならば、まず、現行の健康保険並みの給付水準に近づける改善をすべきではないかと私は思いますが、この点はいかがですか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) いまも申し上げましたように、日雇い健保は保険制度として歳入は非常に少なくて三五%という高率の国庫負担が入っておりますけれども、歳出面はまた逆に非常にかさんでくる要因が多いわけでございます。そういうわけで、現在までこの改善につきましてはいまるる申し上げましたが、国会の場におきましても、また審議会の場におきましてもいろいろと複雑な問題があって、なかなかに合意が得にくかったわけでございます。しかし、ただいま先生も御指摘のとおり、とにかく段階的にしろ、逐次改善をはかっていくということはまことに急務でございますから、そういう意味合いで、今回の日雇い健保の改正は、昨年の社会保険審議会で合意を得ましたところについて、しかも一番要望の強いところについてまず改正をすると、こういう考え方でございます。したがって、今回別途お願いをしております健康保険の改正との格差が開いてくるではないかと、こういう御指摘はまことにごもっともでございます。ごもっともでございますが、とりあえず、私どもは、まず、少なくとも現行の健保並みに近づける、それからこの改正を御承認いただきましたあとできるだけ早い近い機会に、今回の改正をお願いいたしております健康保険法が御承認をいただきますならば、その水準に近づけるようにできるだけの努力をいたしたい。なお、その際にも、しかし日雇い健保の財政状況というものは非常に劣悪な条件にあるわけでありますから、そういうことも勘案をしながら、今後の問題として本法案を御承認いただきました後において、また健保改正案を御承認いただきました後において、十分ひとつ考えてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 日雇い健保は十数年も改正されなかったんですよね。それで、医療保険制度の抜本改正と関連して、給付内容や保険料のあり方、国庫負担の増率をはじめとして、制度全般についてこの際抜本改正を行なうべきではないかと私は思うんです。そこで、今後の日雇い健保の抜本対策の実施計画がおありでございましょうか、それを伺わしてほしい。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) ただいま申し上げましたように日雇い健保につきましては、保険としてこれを将来伸ばしていくにつきまして、いろいろむずかしい要因が歳入歳出また国庫補助、いろんな面であるわけでございます。そういう意味合いで、とにかく昨年の六月に社会保険審議会からちょうだいいたしました全会一致の答申に基づいて当面の急務である強い要望のある事項、こういうものをまず、今回の改正でお願いをしたいと、こういうふうに考えておるようなわけであります。したがいまして、先生がおっしゃいました制度の抜本改正ということになりますると、これは、単に日雇い健保だけの問題ではなくて、あるいは医療保険制度全般のいわゆる抜本的な改革ということにも関連するかもしれませんが、そういうこととの関連も考えながら、また先ほども申し上げました、現在、審議をお願い申し上げております健康保険の改正が御承認をいただきますならば、それとのかね合いも考えながら、今後日雇い健保につきましては、さらに一段と今後の改善について検討をしてまいりたい、このように考えておりますのが現在の実情でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 いまの健保が通れば云々とおっしゃった。だって、健保を出すには通ると思って出したんでしょう。その健保と同じように日雇い健保が出た。そうすると健保が通ればそれに準じてといういまのことばは、じゃあもうこの健保は通らないことを見通してやっておいでになるのですか、この点はっきりしてください。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 私のお答えのしかたについて、非常に日本語の使い方が不十分でございましたので、まことにその点は遺憾でございますけれども、決してそういう意味で申し上げたわけではございません。とにかく現在の健康保険で改正をお願いいたしておりますものは、かなり大がかりな、大まかな改正でございますので、この改善が御承認いただきますことを前提にして、それを近づけると、将来。そういうことを申し上げたわけでございます。どうぞ、私の申し上げたことに誤解をいただきませんように御了承をいただきたいと思います。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私はあなたを信頼しているのよ、ふだん。とんでもない答弁だからもうがっかりしちゃった。そこで日雇い労働者の実態はどんなふうかお伺いしたいと思います。——どうしたの、わかんないの。

加藤威二厚生省社会局長

○政府委員(加藤威二君) 先生の実態という御質問がどういう意味かはっきりいたしませんが、私のほうで日雇い労働者の世帯、日雇い労働者のうち、被保護世帯、非常に生活の最低線にあるというのが約三万五千世帯ということでございます。日雇い労働者世帯のうち、生活扶助を受けておる世帯が二万六千世帯、医療扶助を受けている世帯が二万七千世帯、こういう推計が出ております。したがいまして、日雇い労働者の生活の実態というものは相当苦しいであろうということが推定されます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、厚生省が資料として日雇い労働者健康保険被保険者実態調査報告、四十七年四月の、これをぜひほしいと思ってたびたび要求するけれどもいただけないんです、どういうわけでしょう。労働省には資料を要求したらさっそく届けてくれた。私はこの質問をするにあたって、日雇い健保の実態についての資料、それから日雇い労働者の生活扶助、医療扶助の適用の条項、これは速報になっていますね、「生活保護速報」、厚生省の。これもちょうだいしたいと言ったけれどもいただけない、どうしてくれないんですか。それをまず聞きたい。

江間時彦社会保険庁医療保険部長

○政府委員(江間時彦君) 先生がいまおっしゃいました調査は昭和四十七年四月に行なった実態調査であろうかと思います。この調査は日雇い労働者の就労状況であるとか、あるいは年齢構成、あるいは被扶養者の状況あるいは賃金、そういうものの実態を調べまして、事業の健全な運営をはかるための基礎資料にしたいということでやったものでございます。この調査は、各社会保険事務所に備えられております被保険者原本、それからその更新、あるいは返納、回収された日雇い労働者健康保険の被保険者の手帳、そういうふうな事項から調べる方法をとりましたために、調査の集計にかなり日時を要しまして、現在、大体できておるのでございますが、内容分析をもう少しやりたいということで、まだ外部に発表する段階にまできてないわけでございます。大急ぎで完了いたしまして、先生のお手元に早急にお届けしたいと思っておる次第でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 四十七年の四月に調査しているんですよね。ことしは何年なの、やがて一年半になる。それでまだそれができ上がらないというのは一体何をしているんですか。それならそれで、まだできませんからとか、何とか言えばいいけれども、要求したっててんで知らぬ顔している。私は、うんとしゃくに触わっています。  そこで、日雇い労働者が就労しながら生活保護を受けているのはいま何人とおっしゃいましたか。

加藤威二厚生省社会局長

○政府委員(加藤威二君) 日雇い労働者で生活保護を受けておる人員、十二万人でございます。家族を含めましてでございますが、その世帯全体が十二万人でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 日雇い労働者の実態にかんがみて、日雇い労働者の健康保険法の適用漏れがあるのではないかと思う。その対策はどのように行なっているか。

江間時彦社会保険庁医療保険部長

○政府委員(江間時彦君) 先生のおっしゃる意味、必ずしも十分とれてないかと思いますが、現在、日雇い関係の団体の方から聞いております最大のネックは、日雇い健康保険の適用事業所というものが健康保険の適用事業所と同じになっておるため、必ずしも十分でない。この点を考えてくれということは十分聞かされておりますし、われわれもこの点につきましてはできるだけ条件を緩和する、その他いろいろ検討してみたいと思っておるわけでございます。このほか、いわゆる零細企業に属します方々の被保険者の問題、この問題ともこれは大いにからんでおりまして、今後十分検討してまいりたいと思っておるわけでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 じゃ、いままでは検討してなかったんですか。今後検討すると、だから日雇い労働者を軽視しているということはそういうところにも出ている。

江間時彦社会保険庁医療保険部長

○政府委員(江間時彦君) 検討してなかったというわけではございませんが、御承知のように、日本の健康保険の体系といいますのは、被用者とそれから自営業者というふうな基本的な二本立ての制度になっておりまして、企業の規模が小さくなるに従いまして、この両者のけじめが必ずしも明らかでない、というような問題もございまして、なかなか適用上むずかしい問題を含んでおるわけでございます。しかしながら、いつまでもそういうことを言っておれません。われわれできるだけ早急に努力をいたしまして、結論を得たいと思っております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 そこで、今度は建設国保が昭和四十五年にできたですね。擬制適用が打ち切られたことにより国民健康保険組合を設立したと、その建設国民健康保険組合の状況はいかがですか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) ことしの四月一日現在で組合数は三十六でございます。それから被保険者数が八十四万八千人ということになっております。  で、具体的なこの組合の経営状況でございますが、現在まで私どもが的確に把握しておりますものは四十六年度まででございまして、四十六年度の状況を申し上げますと、四十六年度では三十九の保険者がありましたが、この中で黒字の保険者が三十三で、赤字の保険者が六。大体以上のような状況でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 この建設国保組合の陳情書の中に、「昭和四十五年私たちの生命の綱であった日雇健康保険の擬制適用が打切られました。その日稼ぎの建設労働者、職人にとって、本人の十割給付と傷病手当は、自らの生命と健康を守るために欠かせないものでした。そこでやむをえず、国民健康保険組合を設立し、日雇健康保険組合なみの給付を維持することにしました。そして今日まで、自ら診療を制限し、再三にわたる大幅な保険料の引上げなど、その運営に文字通り血のにじむ努力をしてきました。」、こういうふうなことがいろいろ書いてきているのでございますが、「この間、国保組合への国庫負担二五%を市町村なみの国庫負担(四〇%)にすること。併せて当面の措置として臨時調整補助金の増額を政府に要望してきました。」、これらについては一体どうなんでございますか。「しかし、最低限の望みをたくしていた昭和四十八年度の臨時調整補助金は七十一億六千万円の厚生省要求が大蔵省第一次査定で三〇億円、最終的に十三億円増の四十三億円に止まりました。」——こういうふうなことが書かれているんですが、厚生省はこれを認めて七十一億の要求をなすった。大蔵省がこれをこれだけばく大な削減をなさいましたのはどういうわけでございますか。

辻敬一大蔵省主計局次長

○政府委員(辻敬一君) 国保組合につきましては、二五%の定率の補助のほかに、ただいま御指摘のように臨時調整補助金がございまして、財政基礎の脆弱な組合に対しまして定額補助を行なっているわけでございます。四十八年度におきましては、予算折衝のいろいろな過程においては経緯があったわけでございますが、最終的に政府としてきめましたのは、先般御審議をいただきまして成立を見ました四十八年度の予算のとおりでございまして、金額にいたしますと四十三億円、前年が二十五億円でございますから、率にいたしますと七二%の増額ということに相なっております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 それは七二%の増額か知りませんけれども、いまの現実の状態を見れば、やはりこれは専門に扱っております厚生省の要求されたものを私は大蔵省で認めてやってほしかった。今後もこの組合が何とかやっていけるようにひとつお考えを願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

辻敬一大蔵省主計局次長

○政府委員(辻敬一君) 御承知のように、国保組合の中におきましては、ただいま藤原委員の御指摘の、いわゆる建設国保、従来日雇い健康保険の適用を受けておりまして、先般国保組合を設立されたグループと、そのほかに既設の国民健康保険のグループもあるわけでございます。その間、相当収支の内容も違っておりますので、臨時調整補助金の配分の問題もあろうかと思うわけでございますが、なお、今後とも国民健康保険組合の実態等も考えまして、適切な予算措置を講ずるようにいたしたい、かように考えております。

斎藤十朗自由民主党

○斎藤十朗君 ただいま議題となっている四法案の質疑終局の動議を提出いたします。   〔「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり〕

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) ただいま提出されました動議は、きわめて重要な提案だと思いますので、直ちに委員長といたしましては理事会を開いて協議をいたしたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後三時三十二分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗