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71回国会参議院1973/07/10

社会労働委員会 第18号

発言数
65
登壇者
10
会派数
2
開催日
1973/07/10

会議録

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る七月五日、杉山善太郎君が委員を辞任され、その補欠として藤原道子君が選任されました。  また、昨七月九日、鹿島俊雄君が委員を辞任され、その補欠として塩見俊二君が選任されました。     —————————————

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、前回質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。——別に討論もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

須原昭二日本社会党

○須原昭二君 私は、ただいま可決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四派共同提案による附帯決議案を提出いたします。    戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について、格段の努力を払うべきである。 一、国民の生活水準の著しい向上にみあつて援護の水準をさらに引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努力すること。なお、戦没者遺族等の老齢化の現状にかんがみ、一段の優遇措置を講ずること。 一、戦傷病者に対する障害年金等の処遇については、さらにその改善に努めること。 一、戦後三十年近くも経過した今日なお残されている未処遇者について、早急に具体的な解決策を講ずること。 一、生存未帰還者の調査については、さらに関係方面との連絡を密にし、調査及び救出に万全を期すること。 一、遺骨の収集について、さらに積極的に推進すること。 一、旧防空法に基づき、命令を受けて防空に従事した警防団員及び医療従事者を、昭和四十九年度に必ず準軍属として措置することとし、あわせて所要の予算措置を講ずること。 一、特別支出金の支給をうけた旧長崎医大の学生等の遺族の処遇改善についても、実態を調査したうえ善処すること。 一、戦没者の妻及び父母等並びに戦傷病者等の妻に対する特別給付金の支給範囲を満州事変中の関係者にも拡大すること。 一、一般戦災者に対し、戦時災害による負傷、疾病、障害及び死亡に関する援護の検討を目途として、その実態調査を実施すること。 一、戦傷病者相議員及び戦没者遺族相談員の処遇の改善をはかること。  右決議する。  以上であります。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) ただいま須原昭二君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 全会一致と認めます。よって、須原君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、齋藤厚生大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。齋藤厚生大臣。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、国民年金等の積立金の運用に関する法律案、医療保障基本法案、以上の各案を議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。  なお、各案中、衆議院における修正部分については、それぞれの趣旨説明聴取の際、修正案提出者、衆議院議員橋本龍太郎君から説明を聴取いたします。  それでは、齋藤厚生大臣。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  医療保険制度の問題につきましては、財政の健全化をも含めた抜本的な改善がかねてから重要な課題となっているところでありますが、制度の中核的存在である政府管掌健康保険が現在まで十年間深刻な財政難を続けてまいりましたこともありまして、昭和三十六年の皆保険達成以来健康保険においては見るべき改善が行なわれないまま今日に至っております。医療保険の分野では関係者の間で利害がいろいろと錯綜し、問題の根本的な解決をはかることが困難なものが多々あることも事実でありますが、これを何とか解決の方向へ導く努力の積み重ねが必要と考えるものであります。  今回は、これまでの経緯にかんがみ、また、関係審議会の意向等を尊重いたしまして、国民の福祉水準の向上を求める要請にこたえるべく、福祉重点施策の一環として、実現可能なものから段階的に制度の改善に着手するとの見地に立って、改正を行なうこととしたものであります。  すなわち、今回の改正は、制度創設以来三十年間改善されないままになっている家族療養費の給付率の引き上げ、高額療養費の支給等家族医療給付の改善を中心に、国民医療の確保に関する医療保険の側での対策を充実強化するため給付改善を行なうとともに、保険の運営上重要な問題である保険財政の恒常的な安定を確保するための諸施策を講じようとするものであります。この改正によって懸案の抜本改正の第一歩が踏み出せるものと確信いたしておる次第であります。  まず、健康保険法の改正について申し上げます。  第一は、医療給付の改善でありまして、家族療養費の給付率を五割から六割に引き上げますとともに、高額な医療につきましては、家族療養費にあわせて高額療養費を支給し、自己負担とされているもののうち一定限度額をこえるものを保険から全額給付することとしております。  第二は、現金給付の改善でありまして、本人分べん費の最低保障額を現行二万円から四万円に引き上げ、さらに配偶者分べん費について現行一万円から本人分べん費の最低保障額と同額の四万円に引き上げるとともに、家族埋葬料につきましても改善をはかることとしております。  第三は、標準報酬の改定でありまして、その等級区分が最近における給与の実態と著しくかけ離れるに至っておる結果生じている負担の不公平を是正するため、現行三千円から十万四千円までの三十六等級でありますのを二万円から二十万円までの三十五等級に改めるものであります。  第四は、保険料の改定でありまして、政府管掌健康保険の保険料率を七%から七・三%に改定するとともに、当分の間の措置として、現在保険料の算定の基礎とされていない賞与等について、支給のつど、その一%を労使折半により特別保険料として徴収するものであります。なお、この特別保険料は、報酬月額五万円未満の者からは徴収せず、賞与等が五十万円をこえるときは、五十万円として計算することとしております。  第五は、国庫補助の拡充でありまして、財政基盤の脆弱な政府管掌健康保険に対して、これまでの定額国庫補助を改め、定率制の国庫補助を導入することとして主要な保険給付に要する費用の一〇%を国庫補助するものであります。  第六は、保険料率の調整とこれに連動した国庫補助率の引き上げの問題でありまして、政府管掌健康保険の保険料率について、厚生大臣は必要あるときは社会保険審議会の意見を聞いて、法定料率の上下〇・七%の範囲内でこれを調整できる規定を設け、同時にこの規定により法定料率をこえて保険料率を引き上げた場合は、さきに述べました定率国庫補助の割合を料率〇・一%につき〇・四%ずつ増加することとしております。  第七は、健康保険組合関係でありまして、それぞれの組合の規定で定めるところにより、特別保険料を徴収できることとするとともに、保険料率の調整幅が現行三%から八%までであるのを三%から九%までに、被保険者の負担料率の限度が現行三・五%であるのを四%にそれぞれ改めることとしております。  次に、船員保険法の改正について申し上げます。  船員保険の疾病部門につきましても、さきに述べました健康保険の改正に準じ、家族療養費の給付率の引上げ等保険給付の改善を行なうとともに、標準報酬の改定等所要の改正を行なうものであります。  また、国民健康保険法の改正につきましては、健康保険法の改正に準じて高額療養費を支給することとしております。  次に、厚生保険特別会計法の改正について申し上げます。  この改正は、昭和四十八年度末における政府管掌健康保険の借り入れ金にかかわる債務をたな上げするとともに、新規の借り入れを限定し、また、昭和四十八年度以前に健康勘定において生じた損失を一般会計からの繰り入れによって、補てんする方途を講ずるものであります。  なお、この法律の実施時期につきましては、本年四月一日からとしておりますが、高額療養費の支給に関する部分につきましては、諸般の準備手続等を考慮いたしまして本年十月一日から実施することとし、また国民健康保険法の改正は昭和五十年十月一日からとしております。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、この法律案につきましては、衆議院において健康保険法については家族療養費の給付率、特別保険料並びに保険料率及び国庫補助の調整規定に関し、船員保険法については家族療養費の給付率等に関し、厚生保険特別会計法については厚生保険特別会計の借り入れ限度に関し修正が行なわれたほか、実施時期等に関しても修正が行なわれたところであります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 衆議院議員橋本龍太郎君。

橋本龍太郎自由民主党

○衆議院議員(橋本龍太郎君) 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について私からその内容を御説明申し上げます。  その要旨は、第一に、家族療養費の給付率六割を昭和四十九年十月一日より七割とすること。  第二に、特別保険料の徴収規定を削除すること。  第三に、料率の調整規定によって保険料率を変更する場合、社会保険審議会の意見を聞くこととなっておるのを社会保険審議会の議を経ることに改め、料率を変更した場合、政府はその旨を国会に報告することとするとともに、料率の引き上げの申し出は、給付内容の改善または診療報酬改定の場合に限ること。  第四に、料率の調整規定によって保険料率が引き上げられる場合の国庫補助率の増加は、料率千分の一につき千分の四を千分の六とすること。  第五に、厚生保険特別会計の借り入れ制限を緩和すること。  第六に、船員保険、各種共済組合についても健康保険に準じて修正すること。  第七に、施行期日を、昭和四十八年八月一日に改めること等であります。  何とぞ、本院におかれましても委員各位の御賛同をお願いいたします。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 齋藤厚生大臣。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  わが国は、急速なテンポで高齢化社会を迎えようとしているのでありますが、他面、核家族化の進行や扶養意識の変化などにより、わが国の老人を取り巻く環境は著しく変貌しつつあります。このため、老人問題をめぐる国民の関心はかつてない高まりを見せており、中でも老後保障の柱となる年金制度に寄せる国民各層の期待は、きわめて大きいものがあります。  さらに、経済社会の発展の成果を各世代を通じて均てんさせる上からも、老人が安心して老後を送ることができる年金制度の確立をはかることは、今や内政上最優先の課題の一つと申すべきであります。  今回の改正法案は、このような趣旨にかんがみ、わが国年金制度の大宗をなす厚生年金及び国民年金を中心に、老後生活のささえとなる年金の実現を目ざして、年金給付の水準を大幅に引き上げるとともに、年金額のスライド制を導入する等各年金制度の改善充実をはかろうとするものであります。  まず、年金額の水準につきましては、厚生年金について最近の被保険者の平均標準報酬の六〇%程度を確保することを目途に、改正後新たに老齢年金を受ける場合の標準的な年金額をおおむね月額五万円に引き上げるものであります。国民年金につきましても二十五年加入の場合の年金額を付加年金を含めて夫婦月額五万円の水準に引き上げることといたしております。  また、多年の懸案であったスライド制につきましては、年金額の価値維持のため、新たに物価変動に応ずる自動的なスライド制を導入することとし、あわせて財政再計算期に従来どおり国民の生活水準その他の諸事情を勘案して年金額の改定の措置を講ずることにより、将来にわたり適正な年金額の水準の確保をはかることとしております。  以下、改正案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。  まず、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。  第一に、年金額の水準につきましては、定額部分を大幅に引き上げるとともに、報酬比例部分について過去の期間の標準報酬を最近の標準報酬の水準をもとにして再評価することとしてその飛躍的な改善をはかることとしております。  その他、妻の加給年金の額並びに障害年金及び遺族年金の最低保障額の引き上げ、在職者に対する老齢年金の支給範囲の拡大等の改善を行なうこととしております。  第二に、年金額の自動的改定措置、いわゆるスライド制の導入についてでありますが、年度平均の消費者物価指数が五%をこえて変動した場合には、その変動した比率を基準として、政令で定めるところにより、年金額を改定することとしております。  第三に、標準報酬の改定についてでありますが、最近における賃金の実態に即して二万円から二十万円までの三十五等級に改めることとしております。  第四に、保険料率の改定についてであります。給付水準の引き上げに伴ってその改定を行なうこととし、今後受給者が急激に増加することが見込まれているため、将来にわたる保険料負担のなだらかな増加を期するとともに、長期的な財政の健全性を確保するという見地に立って、保険料率を千分の十五引き上げることとし、以後段階的に引き上げをはかっていくこととしております。  なお、以上の改正は昭和四十八年十一月から施行することとし、現に支給されている年金につきましても、同様に年金額の引き上げをはかることとしております。  次に、船員保険法の一部改正についてでありますが、厚生年金の改正に準じて、年金額の大幅な引き上げ、スライド制の導入その他所要の改正を行なうこととしております。  次に、国民年金法の一部改正について申し上げます。  第一に、拠出年金の額についてでありますが、その水準の大幅な引き上げをはかることとし、現実に支給されております十年年金については、現行の月額五千円を月額一方二千五百円に引き上げ、また、五年年金については、現行の月額二千五百円を月額八千円に引き上げることとしております。  その他、付加年金の額を引き上げ、障害年金の最低保障額及び母子年金等の額の改善を行なうこととしております。  第二に、年金額の自動的改定措置についてでありますが、拠出年金について、厚生年金と同様のスライド制を導入することといたしております。  第三に、保険料及び国庫負担についてであります。今回の給付水準の引き上げに伴う保険料の急激な増加を避け、さらに将来にわたる財政の健全性を確保する見地から、保険料は月額九百円とし、昭和五十年一月以後段階的に引き上げをはかっていくこととしております。同時に、十年年金、五年年金等の経過的な老齢年金について、国庫負担割合の引き上げを行なうこととしております。  第四に、高齢者の任意加入の再開についてでありますが、任意加入の対象とされた年齢層で加入しなかった人を対象に、申し出により、再び五年年金に加入できる道を開くこととしております。  なお、以上の改正による年金額の引き上げは、昭和四十九年一月から実施することとしております。  次に、福祉年金の改善について申し上げます。  各福祉年金の額につきまして、昭和四十八年十月から、老齢福祉年金を月額五千円に、障害福祉年金を月額七千五百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金を月額六千五百円にそれぞれ引き上げることとしておるものであります。  最後に、年金福祉事業団法の一部改正について申し上げます。  年金福祉事業団が設置運営する施設として、保養のための総合施設を明示いたしますとともに、新たに、被保険者のための住宅資金の貸し付けを行なわせることといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由でありますが、この法律案につきましては、衆議院において老齢特別給付金の支給、厚生年金の基本年金額の定額部分の額、障害年金及び遺族年金の最低保障額、厚生年金の保険料率並びに障害福祉年金の支給対象等に関し修正が行なわれたところであります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 衆議院議員橋本龍太郎君。

橋本龍太郎自由民主党

○衆議院議員(橋本龍太郎君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について私からその内容を御説明申し上げます。  その要旨は、  第一に、拠出制の年金制度に加入する道が閉ざされていた明治三十九年四月一日以前に生まれた者に、昭和四十九年一月から月額三千五百円の老齢特別給付金を支給すること。ただし、その者が老齢福祉年金の受給権者であるときは、除くこと。  第二に、厚生年金保険の基本年金額の定額部分は、改正案の被保険者期間一カ月につき九百二十円を千円とし、厚生年金保険の遺族年金、障害年金、国民年金の障害年金の最低保障額等は、改正案の二十二万八百円を二十四万円とすること。  第三に、厚生年金保険の保険料率の改定は、改正案の一般男子千分の七十九、女子千分の六十三をそれぞれ千分の七十六、千分の五十八に引き下げること。  第四に、障害福祉年金の支給対象を拡大し、二級障害の者に対し、政令で定める日から障害福祉年金を支給する方途を講ずること。  第五に、女子に対する脱退手当金の支給の特例を二年間延長し、昭和五十三年五月三十一日までとすること。  第六に、年金給付について、別に法律で定めるところにより担保に供する道を開くこと。  第七に、船員保険について、厚生年金保険に準じた修正を行なうことであります。  何とぞ、本院におかれましても、委員各位の御賛同をお願いいたします。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 齋藤厚生大臣。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  日雇労働者健康保険につきましては、昭和三十六年以来法改正が行なわれないまま今日に及んでおりますので、給付内容をはじめ制度面についての改善が緊要な問題となっておりますが、一方、その財政は、今日、非常な悪化を来たしております。  このため、政府といたしましては、日雇労働者健康保険の財政健全化をはかりつつ、順次その給付内容を改善する方針のもとに、今般、給付期間の延長、現金給付の引き上げを行なうとともに、賃金実態に即して保険料日額の改定を行なう等の制度の改善をはかることとした次第であります。  次に、改正案の内容について申し上げます。  まず、給付内容の改善につきましては、第一に、療養の給付期間現行二年を三年半に延長し、また、その後においても、所定の保険料が納付されていれば、引き続き給付が受けられるようにいたしております。  第二に、傷病手当金の支給期間は、現行二十二日でありますが、これを三十日に延長し、また、支給日額も現在二百四十円、三百三十円の二段階でありますが、これを納付保険料に応じて最低八百円から最高二千六百四十円までに引き上げをはかることとしております。  第三に、出産手当金につきましても傷病手当金と同様に、その支給期間、支給日額の改正を行なうこととしております。  第四は、埋葬料につきまして、被保険者本人に対する支給額を現行四千円から一万円に引き上げることとしております。  第五は、分べん費につきまして、被保険者本人分べん費を現行四千円から二万円に、配偶者分べん費を現行二千円から一万円に引き上げることとしております。  次に、保険料日額につきましては、昭和三十六年以来賃金日額四百八十円以上の者は二十六円、四百八十円未満の者は二十円に据え置かれてまいりましたが、その後の賃金の上昇を考慮し、賃金実態に即して合理化をはかることとし、賃金日額に応じて五十円から二百円までの四段階に改定することとしております。なお、賃金日額四百八十円未満の被保険者につきましては、現行どおり二十円に据え置くこととしております。  最後に、この法律の実施の時期に・つきましては、昭和四十八年四月一日からとしております。なお、昭和五十年三月三十一日までの間は傷病手当金及び出産手当金の支給日額の最高は千八百円とし、保険料日額は五十円から百三十円までの三段階とする経過措置を講ずることとしております。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、この法律案につきましては、衆議院において実施時期を昭和四十八年八月一日とする修正が行なわれたところであります。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  児童扶養手当及び特別児童扶養手当制度については、母子家庭及び心身障害児に対する手当制度として、逐年その改善につとめてきたところでありますが、福祉の充実が重要な課題となっている今日、母子家庭及び心身障害児に対する福祉施策の向上をはかる必要性は一段と高まっております。  今回の改正法案は、このような趣旨にかんがみ、手当額を大幅に引き上げるとともに、公的年金給付との併給制限を大幅に緩和することにより、これらの制度の充実をはかろうとするものであります。  以下、改正法案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額を、昭和四十八年十月から、児童一人の場合、二千二百円増額して、月額六千五百円に引き上げるとともに、さらに児童扶養手当については、昭和四十九年一月から、児童二人の場合の加算額を四百円から八百円に引き上げることといたしております。  第二に、特別児童扶養手当について、昭和四十八年十月から、原則として公的年金給付と併給するとともに、児童扶養手当については、老齢福祉年金及び障害福祉年金との併給を行なうこととし、受給者の福祉向上をはかることといたしております。  なお、以上の法律事項のほか、扶養義務者の所得による支給制限について今回大幅な緩和をはかることといたしております。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 発議者衆議院議員八木一男君。

八木一男日本社会党

○衆議院議員(八木一男君) 私は日本社会党、日本共産党革新共同、公明党及び民社党を代表して、ただいま議題と相なりました国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案並びに国民年金等の積み立て金の運用に関する法律案について、提案の趣旨並びに内容の大綱について御説明申し上げます。  社会保障制度の確立は声ある者、声なき者を問わず全国民の切実な願いであります。そしてまた、このことは、憲法がその第二十五条第二項において、国に対して明確に責務を課しているところであります。にもかかわらずGNP世界第三位、成長率世界第一位と呼号するわが日本において、その社会保障制度が西欧諸国よりはるかに低位にあることは低賃金、高物価、公害と並んで、憲法を軽視し、大資本に奉仕する自民党政権の冷酷きわまりない政治の代表的なものというべきであります。  ことに、医療保障とともに社会保障制度の重要な柱である年金制度の劣悪な現状は、全く国民を無視したものといわなくてはなりません。ウナギ登りの物価上昇で大部分の国民の生活が異常に圧迫されておりますが、その中でも障害者や母子家庭等は苦しい生活にあえぎ、多くの老人はきわめて暗い生活を送っております。戦前からの老後のための貯蓄は、戦後のインフレで完全に消え去り、さらに、家族制度が音をたてて崩壊をしております。そうした現状の中で明治・大正・昭和と続いた圧政と苦難の中を生き抜いてきたわれわれの先輩に対する今の政治は、きわめて冷酷であり怠慢であります。  住宅、医療等々老人等のために対処すべきことは多々ありますが、年金制度の確立こそがその中心であることは、何人も否定できないところであります。しかしその現状は、全く、お話しになりません。ちなみに昭和四十七年度の六十歳以上の人口約一千二百万人でありますが、そのうち、老齢年金の受給者はすべての制度を合わせて約六百五十三万そのほぼ半数にしかすぎません。しかもその六割が年金という名に値しないあめ玉年金、すなわち月三千三百円の老齢福祉年金の受給者であります。厚生年金の受給者ですら平均月一万六千五百円、老人の暗い生活の嘆きがこの数字で裏書きをされているといえましょう。  われわれは、昭和三十三年政府が全く放置をしておった国民皆年金を実現するため、抜本的国民年金法案を国会に提出をしたことをはじめとして年金制度確立の先駆的役割りを果たすため努力を続けてまいったのでありますが、老人等の生活の現状と人口老齢化の進行を重視をし昨年総選挙での公約を果たすべく四党一致して、ここに、本二法案を提出したわけであります。  そのうち、まず、国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。本法案は国民年金法・厚生年金保険法、船員保険法並びに年金福祉事業団法の一部を改正しようとするものでありまして、先ほど提案理由の説明のありました政府提案の厚生年金保険法等の改正案と主要点において対比しながら御説明を申し上げたいと存じます。  本法案の目的とするものは、まず第一に、老人、障害者、遺族の生活を保障するに足る年金制度を、いわゆる月六万円年金として確立しようとするものであります。これは厚生年金では、被保険者期間二十年、国民年金では二十五年の人を計算の中心点として六万円年金と称するものであります。これに対し、政府案は、厚生年金では、被保険者期間を二十七年に引き延ばして上げ底とし、五万円年金と称し、国民年金では附加部分を加えて夫婦月五万円年金と称するものであり、これを本案と正確に比較すれば、厚生年金において三万六千八百円、国民年金において、夫婦四万円としか称し得ない内容であり衆議院において修正されたものでも厚生年金三万八千四百円としかいえないのであります。  野党四党案が誇大宣伝の政府案とは違い、真に充実した内容であることを明確にしておきたいと存じます。  第二に、年金の最低保障額の確立とそれに見合った福祉年金等の改善であります。  厚生年金、船員保険中老齢年金の最低保障額が妻の加給を入れて現行法月一万二千二百円政府案月二万四千八百円衆議院修正月二万六千四百円であるのに対し月四万三千円とし、それに見合い、老齢福祉年金について現行法三千三百円政府案月五千円を月二万円、すなわち夫婦月四万円とし、さらにこれを上回り二十五年年金額に近い五年年金、夫婦四万六千円、十年年金夫婦五万一千円を実現しようとするものであります。  さらに、現行法では月八千八百円並びに八千四百円政府案では一万八千四百円衆議院修正では二万円であるのに対し月額三万三千円を最低保障額とする障害及び遺族関係の年金、並びにこれに準じた各福祉年金額の飛躍的引き上げをはかるものであります。これこそ「今すぐ、生活できる年金を」と叫ぶ国民の要望にこたえる道であると確信をいたします。  第三に、年金の支給対象を大幅に拡大し、年金を必要とする全国民に制度を及ぼし、かつまた、全労働者に被用者年金を適用しようとすることであります。  すなわち、国民年金においては、六十五歳から老齢福祉年金の適用、二級障害福祉年金制度の創設、福祉年金の扶養義務者並びに配偶者の所得制限の撤廃であり、国民年金保険料免除者に対する年金の大幅増額なども同じ趣旨の改正であります。  厚生年金においては、五人未満雇用事業所の労働者への強制適用、日雇い労働者に対する厚生年金適用促進、在職老齢年金制度の拡大及び改善、五十五歳以上退職者の繰り上げ減額年金制度の創設、船員保険も含めて、保険料掛け捨て及び脱退一時金受給者の年金受給権利の確立の推進であり、各制度を通ずるものとしては、遺族年金・障害年金の通算措置の促進であります。  これに対し政府案では、福祉年金の所得制限、在職老齢年金について、わずかな改善を行なおうとするのみであり、その他の多くの事項については、一切取り上げられていない点を明らかにいたしておきたいと存じます。  なお、衆議院の修正で六十七歳から六十九歳までの老人に対する老齢特別給付金制度並びに二級障害福祉年金制度の創設がつけ加えられたことは各位の御承知のとおりであります。  以上の第二、第三がいわゆる、谷間問題の解決等、社会保障の理念に従い賦課方式の考え方に基づき、多くの国民のため、年金制度を質的に改革をしようとする本法案の特徴であり、社会保険主義の弊を改めようとせず、日陰にいる人たちにきわめて冷めたい政府改正案とは、全く考え方を変えた抜本的な改正案であることを明確にいたしておきます。  第四に、賃金自動スライド制を実施することであります。本案は厚生年金、船員保険はもとより国民年金にもことに各福祉年金を含めて賃金自動スライド制をとることにいたしております。  自動スライド制が年金制度に欠くことのできないことはもはや申すまでもありません。しかし、政府案のように物価スライドでは現在の苦しい国民大衆の生活水準、その中でもつつましい年金生活者の生活水準を維持するだけにとどまるものでありまして、私たちは活躍中の青壮年と同様に先輩の生活が豊かになるよう賃金スライドが絶対に必要であると確信してこの事に踏み切ったのであります。ちなみに昭和四十七年度に、政府の推計では消費者物価上昇率は五・七%、賃金上昇率は一五%と推定され、賃金自動スライドのほうが年金受給者の生活保障にきわめて有効であることをつけ加えておきたいと存じます。  第五に、保険料の捉え置きと国庫負担の増率であります。  年金制度の充実を推進するのに対し、国民生活の現状から見て保険料の値上げは、断じて避けなくてはなりません。  わずかな年金の充実を計画する際にこれを国民の負担増でまかなおうとする政府案とは違い、本案は、保険料の値上げなしに年金の飛躍的充実改善を実現しようとするものでありまして、国庫負担は、厚生年金の基本部分の二割を三割に、船員保険及び厚生年金第三種の二割五分を三割五分に、国民年金の保険料の五割すなわち給付に対する三分の一の国庫負担を保険料と同額すなわち給付に対して五割に増率することとし、厚生年金、船員保険の保険料の労使負担区分を使用主七、労働者三に改めることにしたのであります。各年金の保険料を引き上げ、しかも引き続き一そうの引き上げを計画し、国庫負担増率をしない低福祉・高負担の政府案に対し、四党案は、高福祉・低負担、「社会保障充実は、国と、資本家の負担で」の国民に対する公約を果たすものであります。  第六に、年金財政を現行の積み立て方式より賦課方式に転換することであります。政府はこれに対し、後代の負担との均衡をはかるべきであるとの理由のもとに積み立て方式を主張しております。しかしわれわれは高物価、低収入で保険料負担が苦しい現状と、物価が安定し、十分な収入が保障され、年金のための負担に痛痒を感じない、将来あるべき状態とを考慮したとき、政府のように形式的均衡論はとるべきでなく、実質的均衡論こそ、重視さるべきであると、確信をいたします。ことに、政府の積み立て方式論の真の意味は、高い保険料を吸い上げばく大な積み立て金を大資本の設備投資や産業基盤をつくるために利用しようとするものであり、目的と手段を混同、いな逆転させ、インフレによって、国民を収奪しようとするものであり、その意図は断じて、粉砕されなければならないと信じます。  積み立て金制度を継続しようとすれば、たとえ政府が言うごとく、その修正度を、幾分増大し、さらにわれわれが主張するように国庫負担の増率及び労使負担区分の変更を行なっても、国民年金の被保険者及び厚生年金、船員保険の労働者の近い将来の負担は、耐えがたいものになることは必至であります。したがって、われわれは、この際賦課方式に向かって踏み切り、現在並びに近い将来の国民の負担の増大を避け、年金制度の飛躍的充実をはかることにいたしたのであります。大資本の立場に立った、俗論を排し、深い国民的視野に立って、断固として、賦課方式に踏み切ったことを明確にいたしておきます。  第七に、本案は、国民年金と、厚生年金、船員保険の各制度間の均衡をはかる考え方のもとに、構成されたものであり、さらに、すべての年金制度充実の過程において、他の被用者年金制度と、早急に肩を並べるようにする考え方のもとに、つくられたものであることを明らかにいたしておきたいと存じます。  次に、本案の具体的内容を要約して御説明申し上げます。  まず、国民年金法の改正についてであります。  その第一は、年金額の引き上げ及び支給範囲の拡大であります。  第一点は、老齢年金の引き上げでありまして、夫婦で月額六万円の年金を実現しようとするものであります。このため老齢年金の額は、現在保険料納付済み期間一カ月につき三百二十円で計算しておりますものを、千二百円に改め、加入期間が二十五年の場合、現行法では月額八千円、政府案では二万円であるのに対し、これを月三万円、すなわち夫婦月六万円に引き上げることにいたしました。  また、ただいま支給が行なわれている経過的年金の額につきましては格段の配慮を払うこととし、十年年金については、現行法の月額五千円、政府案では一万二千五百円を月二万五千五百円に、すなわち夫婦月五万一千円に引き上げ、近く支給が開始される五年年金につきましても、現行法の月額一人二千五百円、政府案では八千円を、月二万三千円、すなわち夫婦月四万六千円に引き上げることにいたしたのであります。  なお、この際保険料免除期間の取り扱いを改めることに踏み切りました。心身障害者、生活保護世帯など、保険料納付を免除された人たちこそ、特に年金を必要とするのでありまして、これらの人たちの年金額が他の人に比較して、はるかに少ないことは、現行制度の大きな欠陥であります。したがって、現行の保険料免除期間は、年金額の計算上保険料納付期間の三分の一と評価されておりますが、これを四分の三の評価とし、日陰の人たちの年金を大幅に引き上げることにいたしたのであります。  第二点として、老齢福祉年金につきましても飛躍的な改善を行なうこととし、いわゆる谷間問題を解決するためにその支給開始時期を現行の七十歳から六十五歳に引き下げるとともに、その額をあめ玉年金、お小づかい年金としかいえない現行の月額三千三百円、政府案五千円に対し生活保障年金を実現するために飛躍的に引き上げ月二万円夫婦月四万円にすることにいたしました。ただ、七十歳未満の人につきましては、施行日から一年間は月一万円、その後一年間は月一万五千円にとどめ三年目から月二万円とすることにいたしております。  第三点は、質的に見て最も所得保障の必要の度の多い障害者のための障害年金の改善でありまして、その額を老齢年金の改善に準じて引き上げるとともに、その最低保障額を障害の程度が二級の者で現行法の月額八千八百円、政府案一万八千四百円(衆議院修正二万円)に対し、大幅に引き上げ月三万三千円にすることといたしました。  第四点は、障害福祉年金の支給範囲の拡大と、年金額の増額でありまして、この点は、現在拠出制障害年金制度から除外されている障害者のために、特に欠くことのできない改正点であります。すなわち新たに障害の程度が二級の者にも支給することとし、その額は一級にあっては現行の月額五千円、政府案七千五百円に対し、飛躍的に引き上げ月三万三千円とすることとし、二級にあっては月二万四千七百五十円とすることといたしたのであります。  第五点は、母子年金、準母子年金及び遺児年金につきましても、現行法の月額八千四百円、政府案一万八千四百円(衆議院修正二万円)に対し、月三万三千円に引き上げることといたし、また、母子福祉年金、準母子福祉年金の額を現行の月額四千三百円、政府案六千五百円に対し、月二万四千七百五十円に引き上げることとするとともに、子や孫が二人以上ある場合に支給される加給金の額を一人につき月額千円に引き上げることといたしました。  第六点は、扶養義務者並びに配偶者の所得による福祉年金の支給制限は、一切これを撤廃することといたしたものであります。  その第二は、年金額の賃金自動スライドであります。  第三は、年金の財政方式でありまして、現行の財政方式は、いわゆる積み立て方式によることとされておりますが、今後は、賦課方式を原則として、年金財政の運営に当たっていくべきことといたしております。  第四は、国庫負担の増額であります。現行の保険料に対して二分の一の国庫負担を保険料と同額とするものであり、これは給付に対して三分の一の国庫負担が二分の一になることは各位の御理解のとおりであります。  その他、今回の給付改善に伴う支出増の過半を国庫負担することとし、また、インフレ等に伴う整理資源について、別途国庫負担ができることといたしたのであります。  第五は、既裁定年金の扱いでありますが、改正後の規定に準じて、大幅な年金額の引き上げが行なわれるようにいたしました。  次に、厚生年金保険法の改正について申し上げます。  その第一は、年金額の引き上げ及び支給要件の緩和についてであります。  第一点は、老齢年金の引き上げでありまして、これは本年十一月、新たに老齢年金を受けることになる者に加入期間二十年で妻の加給を加えて月額平均六万一千円の年金を支給しようとするものであります。  そのため、まず、基本年金額の定額部分の算定基礎額四百六十円を千六百五十円に引き上げ、報酬比例部分につきましては、その乗率を現行の千分の十を千分の十五に引き上げるとともに、平均標準報酬月額を計算する場合において、過去の低い標準報酬月額を現在の水準に合うように再評価することといたしました。  また加給年金につきましても、妻については月額四千円に、子については、千五百円に引き上げることといたしたものであります。  第二点は、老齢年金及び通算老齢年金の在職支給の要件の大幅な緩和であります。  第三点は、老齢年金を五十五歳から本人の請求により繰り上げ減額支給する制度を新設することであります。  第四点は、障害者の所得保障を重視し、障害年金の最低保障額を老齢年金の改善に準じて、引き上げることとし、三級の場合で現行の月額八千八百円、政府案一万八千四百円(衆議院修正二万円)に対し大幅に引き上げて、月三万三千円といたしました。  第五点として、遺族年金の最低保障額も、現行法の月額八千八百円、政府案一万八千四百円(衆議院修正二万円)に対し、月三万三千円に引き上げることにいたしました。  その第二は、年金額の賃金自動スライドであります。  第三は、標準報酬の下限を二万円、上限を二十万円に改定することであります。  第四は、財政方式であります。国民年金と同様、現行の積み立て方式から賦課方式に移行すべきものといたしております。  右の原則にのっとり、保険料率は現行の率を維持することにいたしました。また、現在折半負担となっております保険料の負担割合を労働者側三、使用者側七の割合に改めることといたしましたが、当分の間は、従前どおり折半負担を続けることにいたしております。  国庫負担につきましては、現在一般的に給付時における二〇%、第三種は二五%の国庫負担がなされておりまするのをそれぞれ三〇%、三五%に増率することとし、さらに、インフレ等に伴う給付改善の結果必要となる整理資源について、別途国庫負担する道を開くことにいたしました。  第五は既裁定年金の扱いでありますが、改正後の規定に準じて、大幅な年金額の引き上げが行なわれることにいたしました。  第六として五人未満の事業所の労働者についても、強制適用に踏み切ることといたしたものであります。  次に、船員保険法の改正について申し上げます。  船員保険の年金部門につきましては、厚生年金保険法の一部改正に準じて所要の改正を行なうことにいたしました。さらに、年金福祉事業団法の一部改正について申し上げます。その内容は、年金福祉事業団に被保険者に対する住宅資金の貸し付け等の事業を行なわせることとするものであります。  なお、年金制度につきましては、今回取り上げた事項のほかに困難かつ深刻な問題が山積をしていることは、議員各位のすでに御承知のとおりであります。たとえば、各種公的年金の統合の問題、妻の地位の問題など非常に大きな問題がありますが、この法律案は、緊急に措置されなければならない重要事項として、三つの事項を提示し、政府にすみやかに実現する責務を課するものであります。  その一つは、日雇い労働者の厚生年金制度適用であり、第二は、かつて、厚生年金等の被保険者であった者をできる限り年金給付に結びつけるためのいわゆる掛け捨て並びに脱退一時金受給者の救済措置でありまして、第三は、各種公的年金における遺族年金及び障害年金の通算措置を講ずることであります。  終わりにこの法律の施行は国民年金については昭和四十八年十月一日、厚生年金や船員保険については同年十一月からであります。  次いで国民年金等の積み立て金の運用に関する法律案について申し上げます。  現在、国民年金、厚生年金保険、船員保険の特別会計の積み立て金についてはその大部分が資金運用部に預託をされ、直接間接に大資本の利益のために用いられ、被保険者のために用い得る資金は、増加資金の四分の一程度に限られていたわけでありますが、これは全く不当なことであります。これはこの運用に関し被保険者代表の意思を表示する制度がなく、また、運用の主体が全部大蔵省に握られていることに、基因をいたしております。  元来、積み立て金というものは、老齢または、障害の場合、被保険者が死亡の場合、遺族に支給されるものであり、当然その全部が被保険者のものと考えることが至当であります。たとえ、国または、資本家がそのうちの一部の金額を負担していたとしても、積み立て金となったときに、被保険者のものになり、国や資本家には、絶対に戻らないものでありまして、これに対して、介入する権利は断じて認めるべきではありません。  こうした明確な立場に立ち、四党は、積み立て金の運用は、被保険者の意思によって、決定され、被保険者のためになされるべきであるとの見地から本法案を提出したわけであります。  本案の主要な内容は、国民年金等、積み立て金審議会を設置をし、その構成は、被保険者代表者が十名、学識経験者五名、政府側三名とし、被保険者の意思が、完全に反映できるようにしたことであります。この審議会の決定に基づき、厚生大臣が、積み立て金を福祉資金と一般資金に分かち、福祉資金は、審議会の議にはかりつつ、運用することにしてあります。被保険者の意思により一般資金については、急速に減少し、福祉資金が、真に、被保険者のために役立つ運用がなされることを確信をして、本法案を提出した次第であります。  以上で四党提出二法案の提案理由の説明を終わるわけでありますが、いずれも、年金制度充実及び整備が内政の急務であることにかんがみ、国民のために、これだけは、絶対に必要であるとの確信のもとに四党が一致して、提案したものでありまして、さらに、四党とも、一そうに年金制度向上確立のため邁進する決意を持つものであることを明らかにいたしておく次第であります。  全議員各位、われわれ四党は即時生活できる年金をと叫ばれる国民の声、将来を安心できる年金制度をと求められる国民の意思を体して、強い決意を込めて提出をいたしました。この二法案を熱心に御審議を賜わり、満場一致御可決されることを強く要望をいたしまして、提案の趣旨説明を終わります。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 発議者、須原昭二君。

須原昭二日本社会党

○須原昭二君 私は、日本社会党、公明党及び民社党を代表して医療保障基本法案について、提案の趣旨並びに内容の大綱について御説明申し上げます。  すでに国民は、今日の医療を売薬医療とか、保険あって医療なしとか、ついには人体破壊の医療とまで批判するに至りました。しかるに政府は、健康保険財政の破綻を国民負担によって切り抜けようとするのみで、総合的かつ抜本的な医療改革の断行については、逃げの一手であると言わざるを得ません。このような政府の態度は、所得保障と並んで社会保障制度の根幹をなす医療保障の確立に対し、国の責任を回避しようとするものであります。  われわれは、医療保障とは、すべての国民に、いつどこでも適切な医療を保障することであると考えます。この見地から現実を見れば、医療機関は大都市に集中し、無医地区の数は三千を数えるとともに、提供される医療は、医学・薬学上の必要性から判断されるのではなく、むしろ、より点数の高い医療を、あるいはまたより利ざやの大きい薬剤をと選択される傾向にあるのであります。すなわち、国民の生命と健康に最も直接的にかかわる分野が、営利性または採算性によって、重大な拘束を受けているということにほかなりません。  このような事態を黙過してきた責任は、あげて自民党政府にあります。このことは、たとえば、病院・診療所総数の実に九割以上が私的経営によるものであり、政府はこれに依存する姿勢を貫いてきたこと、またたとえば、採算を度外視して医療を提供するはずの公共医療機関さえ、独立採算をたてまえとする事業体として位置づけてきたことなどが如実に示しているでありましょう。  このような営利性・採算性を基礎とする医療制度を克服する道を、われわれは、医療の社会化と呼んでおります。すなわち、医療の社会化とは、医療の私的営利的性格を克服して、その公共性を最大限に発揚するため、現行制度に公的・民主的コントロールを徹底させようとするものであります。  本案は、医療社会化を目ざす具体策が提起されておりまするが、これらの社会化の手段に本来の効果を期待するためには、「医療を国民の手に」という方向で活発な世論が湧き上がってくることが不可欠の要件であります。なぜならば、医療の社会化とは、真の意味での国民医療体制を築くからであります。  およそ以上の観点が、本案を提案する趣旨であります。  次に、本案のおもな内容を、次の構成に従って御紹介いたします。すなわち、  第一章 総 則  第二章 健康管理体制の確立  第三章 公費負担医療の拡充及び医療保険制度の改革  第四章 医療機関の体系的整備  第五章 医療担当者の確保  第六章 医療制度の改革  第七章 医療事故に係る原因の判定及び被害の救済  第八章 行政機構の改革以上の順序であります。  第一章の総則においては、まず本案の目的が、医療保障に関する国と地方公共団体の責務を明らかにすることにあるとし、さらに医療保障の基本理念は、すべての国民が、生活の不安を伴うことなく、ひとしく適切な医療を受けることを保障することであるといたしております。国と地方公共団体は、この医療保障の基本理念に基づいて、医療の公共性、民主性、地域性、一貫性及び予防優先などの原則を指針として、総合的かつ計画的な施策を策定し、これを実施しなければならないものであります。  さらに、医療担当者のあり方についても一条を起こし、各種医療担当者相互の立場を尊重しつつ、医師を中心として有機的連携のもとに一体となってその任務を達成するものとし、世にいうチーム医療の原則をうたっております。  また、医療の範囲について定義を与え、健康の保持増進からリハビリテーションに至るすべてを包括し、また助産も含むことを明らかにし、いわゆる包括医療の原則を確立いたしております。なお、第三章において、ここで定義された医療のすべてを、公費負担によるか、または社会保険によって給付することになるのであります。  なお、当然のことながら、国は、医療保障に要する財源を優先的に確保しなければならないことにしております。  第二章の健康管理体制の確立については、新たに健康管理医の制度を設け、この健康管理医と保健所との有機的連携のもとに、すべての国民に対し、健康の保持増進、疾病の予防、早期発見、早期治療などのために、健康診査、健康指導、栄養指導、健康相談、予防接種、及び健康に関する知識の普及などの措置を行なうことにいたしております。  健康管理医については、診療所の医師、歯科医師のうちから委嘱するものとし、健康管理業務に対する報酬は、その担当する住民の員数及び経験年数を考慮して定める固定報酬とし、その財源は、社会保険診療報酬によるものではなく、国と地方公共団体の負担といたします。  また、この健康管理医が、その機能を効果的に発揮するため、保健婦、栄養士等の保健所職員に対し、継続的な訪問指導を要請することができるようにするとともに、住民の生活環境や労働環境に対し、地方公共団体または事業主に対し、健康管理上必要な措置を講ずるよう勧告権を与えております。  さらに、すべての国民に健康管理手帳を交付することとし、これに健康診査、予防接種、診療、投薬の記録など、健康管理に必要な事項を記載することとし、重複診療や薬剤の重複投与を防止しつつ、健康管理の実効をあげようといたしております。  第三章の公費負担医療の拡充及び医療保険制度の改革においては、まず、将来目標としては、医療のすべてを社会保険制度によらず公共サービスとして公費負担によって給付することを明らかにした上、当面の公費負担医療の範囲を定めております。すなわち、すでに見た健康管理の措置、老齢者、乳幼児及び重度心身障害者の医療、原因不明及び治療が著しく困難な疾病の医療、すでに一部または全部が公費負担で給付されている医療であります。  次に、医療に関する社会保険制度の改革についてでありますが、第一に、全面十割給付を目ざして、当面は、入院医療をすべて十割給付とし、通院医療は、国民健康保険で九割、被用者保険の家族を八割とすること、第二に、被用者保険の保険料率を、各制度を通じて同一のものとするとともに、報酬の額による累進制をとること、第三に、被用者保険の保険料負担割合は、労使三対七とし、小規模事業の使用者負担について七分の二を国庫負担とすること、第四に、国庫負担の大幅な増額を行ない、政府管掌健康保険については二〇%とすること、第五に、診療報酬は、各種医療担当者それぞれの技術に対応する体系に改めるとともに、人件費、物価その他経済事情の変動に応じて適切な改定を行なうこと、第六に、保険医療機関は、公費負担の医療及び保険医療以外の医療を行なうことができないものとすることなどを提唱しているのであります。  第四章の医療機関の体系的整備については、まず、病院と診療所の機能を分化させ、病院は、診療所の医師または保健所の要請がなければ、原則として通院治療は行なわないものとし、診療所は、入院治療を行なわないことを原則とするとともに、国は、病院の施設及び人員配置の基準を定め、特に、教育研究病院、救急病院、小児専門病院、老人専門病院等について特別の基準を設けることとしております。  また、体系的整備は、主として、国公立及び公益法人立等の公共医療機関の新設または整備拡充によって行なうとともに、おおむね人口二十万を単位とする地域ごとに、医療ネットワークが成立するようにし、その中枢には、総合病院たる公共医療機関を地域基幹病院として配置することとしております。  公共医療機関たる病院は、総合病院か否かを問わず、原則としてすべて診療、研究及び教育が一体として行なわれる教育研究病院とし、そのうち、総合病院はすべて救急医療を義務づけ、また、地域基幹病院には、無医地区への医療供給について責任を負わせるものといたしております。  医療機関の設置または整備、及びその運営に要する費用については、まず、公共医療機関については、国と地方公共団体が財政上の責任を負うこととしております。これは、公共医療機関の行なう医療、とりわけ医療に関する教育研究の公共性と非採算性を勘案した結果、その独立採算制は否定されなければならないと考えているからであります。  なお、公共医療機関以外に対しても、それが教育研究機能を持つか、またはすでに見た健康管理や、救急医療及び僻地医療を担当する場合には、国と地方公共団体が財政上の責任を負うことといたしております。  第五章の医療担当者の確保においては、まず、各種医療担当者の養成は、すべて各種学校による職業教育を廃止して、大学の課程によるものとし、このために、各都道府県ごとに、各種医療担当者を総合的に養成するための総合医療大学を設置することといたしております。ただし、当面は、医学部を置く大学の皆無の県に、医学部を置く国公立の大学を設置するとともに、医学部を置くすべての国立大学に、医師、歯科医師、薬剤師以外の各種医療担当者の養成課程を置くようにいたしております。なお、私立のものに対しては、入学金、寄付金、授業料等が不当に多額なものにならないよう規制することにいたしております。  次に、各種医療担当者の業務、資格の要件等につき再検討を加えた上、必要な改革を行なうことといたしておりますが、当面、さきに述べました教育研究病院において、各種医療担当者の資格取得後の定期的研修を行なうものとし、また、医師が医療を担当するには、担当診療科目につき相当期間の臨床研修を経ることを要件といたしております。  第六章の医薬制度においては、まず、医薬品の開発、製造、及び流通に対し、改革を加えることであります。  具体的には、第一に、その製造承認基準を厳格化し、有効性や副作用について十分な確証の得られた医薬品に限って承認するとともに、有効性、安全性について製造業者と国の責任を明確にすること。第二には、特許制度を現行の製法特許から物質特許制に改めること。第三は、製造業者または輸入販売業者に対し、効能、副作用、使用方法、製造年月日、有効期限、製造業者名等の表示義務を課すること。第四は、医薬品に関する一般向け広告は、原則として禁止すること。第五は、剤型について規制を加えて、複合剤の製造を最少限度のものにすること。第六は、処方せんを要しないで購入できる医薬品も、すべて薬剤師の関与を経なければならないこと、などであります。  次に、薬価の適正化をはかるため、医療用薬剤公団を創設して、これが医療用医薬品を独占的に買い上げ、調剤専門薬局及び新設の薬剤備蓄センターに独占的に供給することといたしました。  医薬分業の達成については、調剤専門薬局の制度を設けるとともに、保健所区ごとに薬剤備蓄センターを置き、調剤専門薬局が不足する地域には、公営のものを配置すること。当面、特別区及び指定都市の地域から実施するものとし、その地域で調剤専門薬局を希望する薬剤師の再研修を直ちに行なうこと、などを定めております。  第七章の医療事故にかかわる原因の判定及び被害の救済においては、国が、医療事故審査会を設置して医療事故の原因を判定するのをはじめ、被害の救済制度を創設することにいたしております。  第八章の行政機構の改革においては、まず国の施策を総合的、計画的に推進するため、行政委員会たる中央医療委員会を設け、そのもとに国民保健庁を置き、国民保健庁には、医療保障審議会、医療事故審査会、薬効審査会等を設けることといたしております。  地方における行政機構の民主化は、都道府県及び指定都市に地方医療委員会、それに保健所区ごとに健康管理委員会を設けることといたしております。すでに第二章で見ました健康管理体制は、住民が過半数を占める健康管理委員会の策定する地域健康管理計画を、主として保健所が健康管理医との有機的連携のもとに実施することによって推進されるわけであります。  なお、この法律は、公布の日から施行することにいたしております。  以上をもちまして、社会、公明、民社三党共同提案になる医療保障基本法案の提案理由説明を終わります。何とぞ、慎重御審議の上、医療の総合的かつ抜本的改革のために、本案の成立を期せられんことを切にお願いする次第であります。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) 以上で、各案の趣旨説明及び衆議院における修正部分についての説明聴取は終了いたしました。  では、午後三時まで休憩いたします。    午後二時十六分休憩      —————・—————    午後四時十九分開会

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 私はまず、健康保険の改正法案をめぐりましてのことでお尋ねをしたいのですが、初めに国民の健康管理体制に関しまして二、三お聞きしたいと思います。  もう申すまでもないことですが、国民福祉の基本となりますのは、われわれ国民が常に健康であると、あるいは健康が守られておるということでなければならないと日ごろ考えておるわけでございますが、今日第三水俣病でございますとか、あるいはPCB汚染などなど多発いたします公害によりまして人々の健康が日々にむしばまれていくというような状況にございます。このような公害問題に政府は一体どのように対処しようとしておられますのか、簡単でけっこうでございますが、お伺いしたいと思います。

加倉井駿一厚生省公衆衛生局長

○政府委員(加倉井駿一君) いま御指摘がございました公害による健康被害につきましては、私どもといたしましても非常にこれは保健衛生上ゆゆしい問題ということで真剣に取り組んでまいるつもりでございます。特に、私どもといたしましては、やはり環境汚染をできる限り防止するということが第一義だというふうに考えておりますが、そのためにはやはり各種の情報を厚生省といたしましてはキャッチいたしましてそれに対する対応を高めていかなければならないというふうにも考えております。したがいまして私どもといたしましては全国的にこの情報を早期にキャッチする体制をまず取り上げなければいけないと思います。ただ、公害にはっきり起因するということになりますと、現在のところ環境庁が主体になりまして、これが関係各省をあげてその対策に取り組むという体制ができておりますので、その場合には厚生省といたしましても全面的にこれに協力をいたしまして、その被害というものを未然に防ぎ、あるいはさらに拡大することを防止すると、こういう体制になっております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 まあ、取り組んでおられますことも一応承知をいたしておりますけれども、もうとにかく今日では多くの国民はもう自分の手では自分の健康は守れないというところまでいってしまっているわけでございます。このような事態を踏まえまして政府は一体どういう、——特にこれは厚生省ということになりますが、局長さんのお立場で、あるいは大臣のお立場でどのような健康管理体制を進めようとしておられますのか。たとえばとりあえず全国的な規模で健康調査などを実施するとか、何か具体的な当面の問題について何かお持ちになっておられましたらお聞きしたいと思うのでございますが。

加倉井駿一厚生省公衆衛生局長

○政府委員(加倉井駿一君) いまお話がございました全国的な規模において国民の健康調査を実施するということはこれは非常に重要なことだとは存じますけれども、やはりもし公害に起因する疾病ということになりますとやはりその起因物質によりまして健康診断の方法あるいは健診項目の内容等が非常に多岐にわたるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、まず国民の健康状態がどのような変化が起こっているかと、そういう事態を早くキャッチする体制をとらなければならないというふうに考えております。したがいまして、そのためには従来これを、仕事を担当いたします第一線機関といたしましては保健所であろうと思いますが、保健所が従来の疾病、特に伝染病対策を担当いたしておりましたけれども、そういうものを行ないつつ、さらに新たな、いま御指摘がございましたような健康被害の問題に取り組まなければならないという情勢になってまいりましたので、これは大きくやはり厚生省といたしましても保健所のあり方ということに関連いたしまして対策を立ててまいりたい、かように考えております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 いま、局長も申されましたように、確かに地域住民の健康管理体制の第一線、全くどう言いますか、前線基地にありまして食品公害の問題、あるいはまた保健指導等々、取り締まりと指導の二つの役割りを持っている保健所でございますが、現在、ただいまの保健所の実態を見ておりますと、ほんとうにあの人員で、あの設備で一体何ができるんだろうかというような私ども自身非常に心細い思いをして見ているわけでございますし、働いている皆さんはたいへんな苦労をしているのが現状でございますので、もうこの問題はこれから考えますというのじゃなくて、保健所等のほんとうに機構の抜本的な改革と申しますか、そういうのがここ両三年来かなりどう言いますか、論議されてきておりますので、私はことしあたり思い切った対策がとられるのかなという希望を持っているわけなんですが、一体どういうことでございましょうか、その辺は。

加倉井駿一厚生省公衆衛生局長

○政府委員(加倉井駿一君) 御指摘がございましたように、保健所の体制につきましては全国的な視野に立ちまして見た場合に不十分な点がございます。しかしこの問題につきましてはすでに保健所問題懇談会等の御意見、基調報告もいただきました。その基本的な考え方に立ちまして保健所の内容、業務等につきまして抜本的な改革をいたさなければならない、すでに手をつけておらなければならない状態でございます。したがいまして私どもといたしまして、すでに春、開かれました衛生主管部長会議等も通じまして従来の考え方を改め、新たな観点に立ちまして地域の保健のニードに対応できるような体制をつくるよう指示をいたしております。ただ、従来行なわれておりました結核あるいはその他の伝染病対策もこれは手を抜くわけにはまいらないわけでございまして、それと並行しながらやはり頭の切りかえをしてまいるということは非常に——やはり従来の体制との関係もございまして早急に望むべき状態に到達することは若干時間がかかるとは思いますけれども、すでにそういう体制を踏まえまして数府県におきましては保健所の体制整備にも移ったところもございます。したがいまして私どもといたしましてはこれは残った保健所につきまして早急に体制をとらせるべく指導をしてまいりたい、かように考えております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 このことで大臣の御所見を承りたいんですが、昨年食品衛生に関する法律の一部改正がありましたときに、私どもはあのようなわずかな監視員ではとても、ちまたの食品問題の取り締まりはできませんと、あるいはまた現に保健婦等の訪問指導も必要なんですが、これもできかねると、どっちを向きましてもさっぱり仕事の前進ができかねる現状であるわけなんです。局長も非常に憂慮されて前進をはかる御希望を持っておられますけれども、大臣、これは非常に何といいますか、中間的な、病気ではない、健康なんだから、その健康を守るための役割りをするものの、どう言いますか、充実化はややおくれるどころか非常におくれをとってしまっておりますので、私はやはりもう早急にこの手をお打ちいただきませんとどんなに公害問題対策だ、それ難病対策だと言われましてもとてもこれが手がついていかぬのじゃないかというふうに思うんですが、いかがでございましょう、大臣の御所見を承りたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 国民の健康を守るということは厚生省のなさなければならない重要な任務でございまして、この健康を守るための健康管理体制をどうやって整備していくか、これは非常に重要な問題でございます。お述べになりましたように結核だ、伝染病だということから始まってまいりまして母子保健の問題、それから最近におきましては環境の汚染からくる公害の問題、さらにまた最近の食品衛生の問題、こういうふうに社会のいろんな情勢の変貌と申しますか、それにかわりまして、健康管理体制をしくにあたりましてのその目標が非常に多岐にわたってきているということでございます。この多岐にわたっておるいろいろな地域住民の要請に対して、国民の健康を守るためにどうやってやっていくか。仰せのごとく、その中核をなすものはまさしく保健所でございますが、これは私も率直にお答え申し上げるのですが、保健所の機能がこういうふうな多様な住民のニードにこたえ得る体制になっているかどうかということになりますと、私、責任の立場にある者としてまことに十分でない、不十分の点が多々あることを私も反省せざるを得ないと考えておるわけでございます。  言いわけをするわけではございませんが、今日までの厚生行政全般というものを見渡しますと、こういう非常に大事な、しかも非常にじみでありますが、非常に大事な仕事にとかくいままで予算をつけにくい状況にあったということを、実は私も反省しておるわけでございます。幸いに、今回、健康保険法等の改正をお願いいたしておりますので、健康保険法とか、あるいは年金とかばく大な国費を使わなければならぬような、こういう大きな問題が、皆さん方の御協力によって成立いたしますと、今度は十分の力をそちらに注ぎ込むことができるということになるわけでございます。そこで、これは医療供給体制の整備の問題と相まって、最重点の事項として今後は進めていかなければならない、こういうふうに私は考えているわけでございます。そこで、御承知のように、社会福祉長期五カ年計画というものを、一応の草案を八月末までにつくることにいたしておるわけでございますが、その大きな柱は、健康管理体制をどうやって整備していくか、その中核である保健所というものがその任務を果たして、遂行できるような体制に持っていくにはどうすればいいんだということが大きな問題。二番目には医療供給体制の問題。こういうふうに、健康管理体制と医療供給体制というものを、今後の厚生行政の中核の目標として大いに努力をしていきたいと考えております。  現状はどうかと言われれば、先ほども申し上げましたように、なかなかいま地域住民のニードに完全にこたえ得る状態にないことはほんとうに遺憾とするところでございますが、今後はこういう点に厚生行政の重点を置いて、国民の健康管理体制、医療供給体制の整備に全力を尽くしてまいりたい、こういう決意でございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 いま、大臣、今度の健康保険の改正に伴いまして、そういうものを充実していきたいと申しておりますが、これはたいへんおかしな言い方ですが、もしこれが通らなんだら、それでは据え置かれるのでしょうかという私の心配が一つと、それから、いま大臣の申されました、どんなに健康管理体制がかりに充実化いたしましても、医療供給体制が整いませんと、またこれはかたわになってしまいますので、このことにつきましては、昨年来、国または都道府県立以外の公的医療機関に、本年度でございますが、わずかでございますが、経済的な援助が実現いたしまして、私は喜んでいる一人でございますけれども、この機会に、やはりこの医療供給体制の整備ということが、いま申されましたように緊急の問題でもございますので、お願いしておきたいし、御意見も聞きたいと思いますのは、それでは、こういう医療機関、まあ主として公的医療機関と申し上げたいのですが、この整備とか、そこで働きます医師、看護婦などのような医療従事者の問題でございますが、こういうふうなことに対しまして、国は財政援助を積極的に推し進めていっていただけますのかどうか、このことをただいま確認しておきたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 医療供給体制は現下の保険の上からいって、最大の実は問題でございます。今日まででもそれ相当の努力はいたしてまいったつもりでございます。特にガンなどに対しましては、全国的に体系的な整備もいたしてまいったわけでございますが、これだけでは十分ではございませんので、今後は広域医療地域というふうなものを確定いたしまして、その中で国公立病院の総合病院、そういうものを中心として、ガンなりあるいは精神病なり、あるいは救急医療なり、こういうふうな問題の専門病院をそれに配置いたしまして、総合的な医療供給体制というものを整備する。それと同時に、問題でありますところの僻村、僻地における医療をどうするかというふうな問題も十分頭に描きながら整備をしていかなければならぬと考えております。それがためにはやっぱり思い切った財政投資ということが絶対に必要であります。ことばだけで整備ができるものでないことは私も十分承知をいたしております。  そういうふうな施設に対する財政投資ということと相並びまして、それから人的なやっぱりマンパワーの確保ということがいま一番の基本だと思います。医師の養成等につきましては文部省が医師の養成計画をはっきりと確定しておりますから、大体それ相当の成果をあげ得るような順調な進捗状況を示しておりますが、問題は看護婦でございます。  そこで看護婦の問題については、これは一般質問でたびたび私もお答え申し上げましたが、質量両面にわたってやっぱり看護婦の養成対策を進めていかなければならない。すなわち、質的には待遇の改善、あるいは潜在的な看護婦を掘り起こすようにするとか、看護婦さんがなるべくやめないようにするためにはどうすればいいか、そういったふうな処遇の改善なり勤務条件の改善、それと相並んで、数的には養成施設を増設をはかっていくとか、そういうふうなことと相まって、施設とマンパワー両々相まって医療供給体制の整備というものに全力を尽くしたい、こういうふうに計画を立てておるわけでございます。先ほども申し上げました社会福祉長期五カ年計画の中の一環としてこれを整備したいと考えまして、その懇談会に一応のこちらの案も示しながら各界の御意見をいま承っておるところでございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 医務局長さんにお伺いしたいと思いますが、いま大臣が、地域医療、特に辺地医療等につきましてもしっかり考えておりますと、また考えると申されておりますが、この辺地医療の確保がだいぶ前から騒がれておりますが、なかなか困難でございます。あわせて、今日になりますと、大都市のまん中に住んでおりましても、医師はたくさんそこに医業を開業しておられるのですが、夜間の診療と休日の診療というものがほとんど自由にわれわれ受けることできませんので、あたかも無医地区がぽっかりぽっかりできたかっこうになっておるのでございますが、この辺をどのように対処しようとしておられますのか。このこととあわせまして、医療機関相互間の、どう言いますか、機能的な連携と申しますか、そういうことと、あわせて関係団体、主として日本医師会ということになるかもわかりませんが、そういうところとの協力体制とでも申しますか、そういうふうなことについてもどこまでお考えいただいておりますのか。これはほんとうにいっときも、今晩といえどもゆるがせにできないような状況下にありますので、御所見と現状を承りたいと思います。

滝沢正厚生省医務局長

○政府委員(滝沢正君) 地域医療の中で最近特に休日、夜間、いわゆる規定の診療時間以外の診療問題が非常に重要になってまいりましたが、これは最初と申しますか、三十九年に消防法の定めによっていわゆる交通事故の救急医療というものについて告示病院ができ、診療所ができ、そうして消防隊による運搬ということでやりまして、それが交通事故以外の一般家庭内に起こる急病患者もサービスして運ぶ、こういうことでございまして、告示病院が非常に多量な患者のさばき、あるいはこれに対応できないような状態も地区によってはございます。そのうちに、最近は特に休日、夜間の一般家庭内の急病等は地域の医師会等が中心で受けとめよう、こういう機運が非常に強くなってまいりました。最近の具体的な例では、東京都と東京都医師会との関連による、契約によりますところの休日の当番医制による診療活動、こういうのも具体的でございますが、ただいまわが国人口の大体六〇%ぐらいは医師会を中心とした地域の医療の、当番医制を中心とした制度でカバーされておりますが、しかしながら、これは実は、当番医というのも、個人個人の開業の先生にとりましては家族ぐるみ一つの緊張状態を持たなきゃならぬものですから、われわれは、一部地区で実現しつつございますように、やはり休日、夜間の診療所というものは別に一つ建物を整備するということを考え、そこに医師が輪番で行っていただこう、そのほうが全体として、内科、外科、小児科等がそろって、総合的な力も発揮できると、こういうようなことで、これを、地方自治体を中心にして医師会に委託するというような形のものが生まれつつございまして、これに対して積極的な助成策を考えたいというふうに思っております。したがって、先生御指摘の医療関係の団体との協力体制というものは、これはもう基本的になければこのような問題はできませんので、一部、公的病院と私的病院との役割りの問題が区分けして論じられる場合もございますけれども、実際の地域医療というものを考えたときには、もう公私別なくこの問題の体制は、先生御指摘のように、それぞれの機関の機能に応じて連携をしていきませんと、その連携するときに、きょうはどういう病院がどういう機能を持っているということは、やはり、相互連絡と申しますか、これが今後の情報システムの開発ということに非常に大きなウエートがあると思うのでございまして、この点についても、いままでのところ不十分な場面につきましては、来年以降の計画の中で、その情報の問題も含めて、地域ごとにこの問題を解決していくように予算要求し、また具体的に施策を講じていきたいと、こういうふうに考えております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 重ねましてちょっとくどいようなことを申しますが、きつき大臣も医療機関の中の職員の充足方については、特に看護婦の問題ではたいへんな苦慮あそばしておられるように承ったわけでございますが、このことにつきましては、たびたび関係団体であります日本看護協会等からも、多くの国民の皆さまの命を安全にお預かりいたしますためには、いまの処遇ではとてもみなが居つきませんので、使命感を完全に果たし得るような処遇の改善をお願いしたいということをたびたび申し出ているわけでございますが、今度、この健康保険の改正によりまして、そういうものがある程度要求の線まで実現できる可能性があるものでしょうかどうでしょうかお伺いしたいと思うのですが、これは局長さんからでも……。

滝沢正厚生省医務局長

○政府委員(滝沢正君) 先生のお尋ねの趣旨は、医療保険の原案が成立して財政的な安定が得られるものならば、医療従事者の処遇改善が可能になるのではないかというお気持ちを持ったお尋ねだと思うのでございますが、われわれといたしましても、確かに基本的には、この医療従事者の処遇を改善する根本には、やはり診療報酬の適正化をはかっていただいて、それによってやはり医療従事者の確保をはかっていくということが必要になるわけでございます。したがって、大臣にも人事院総裁にお会いいただきまして、看護婦の給与改善につきましては、特に本年の人事院勧告には特段の御配慮をいただくようにお願いしてございますし、また、関係の各団体等からもそのような意思表示が人事院になされているように承っております。で、問題は、まあ、どちらが先かというようなことで、常にこの問題は議論されます。たとえば、夜間看護婦手当千円、国の看護婦には出すようになったが、民間はどうしてくれるんだということは、われわれいつも尋ねられる問題でございます。そのときに、私はやはり、診療報酬の適正な改定のときに、その点について十分御配慮もいただけるであろうし、またそれを期待いたしておりますということをお答えしておるわけでございまして、やはりこの問題は処遇の改善ということができるようにならなければやれないということでは、いつまでも看護婦の確保ができませんので、われわれはやはりある程度の適正な社会的な評価を看護婦の職種に与えることが当然のことだと思うのでございまして、それに応じたやはり診療報酬の設定ということを御配慮いただきたいというふうに思うわけでございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 いませっかくよい御意見いただきましたが、これをちょっとひっくり返すようなことを申しますが、もし万が一、医療経済が今日のままに据え置かれたといたしました場合でも、正当な働く人々の労働賃金というものはやはり確立していかなければいかぬじゃないか。どっちが先かということになりますと、これはどっちもどっちだという理由があるかわかりませんが、日ごろ私ども、いつもかってを申しておりますけれども、やはり正当な労働賃金を確立いたしまして、それと同時に、これが発足していってほしいという欲望を持っているわけですが、もし、ならなんだ場合はどうなるでしょうか。それを、たいへんおかしなことを聞くわけでございますが、そのままやっぱり、それじゃしかたがないから据え置いていこうということでございますのか。いや、医療費の問題を抜きにしても、そういう医療機関に働く職員等の処遇は処遇として正当に進めていきたい、いくんだということでしょうか。ちょっと、その辺を聞かしていただきたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 提案を申し上げております法案は必ず成立させていただけると、こう考えておるものですから、あまりそういうことにこだわらないで、私お答えをしておるわけでございますが、問題はやっぱり看護婦さんの地位を高めるということが一番これは大事なことでございまして、先般も人事院総裁にもお願いいたしまして、学校の先生方と同じような昇給カーブを描くように処遇の改善に力を尽くしてくださいということをお願いしてまいりました。看護婦さん方の初任給のほうは比較的いいんでございますが、そのあとの昇給カーブが非常に落ちてきておるわけでございます。ですから、そういうふうな待遇改善ということが、やっぱり看護婦さんの地位を高める上に一番大事なことであり、看護婦確保の一番の大事なことでございますから、私どもは処遇の改善、勤務条件の改善、そういうことを中心に今後とも努力をいたしてまいりたい。  これはまあ、法律は必ず通していただけるということを期待しておりますから、それが通らなければどうなるなんということを考えて申しておるものではございません。

石本茂自由民主党

○石本茂君 老婆心で、たいへん失礼なことを申し上げたと思いますが、私も絶対通るということを信じておりますけれども、もし万が一という心配があったものですからこういうことを申し上げました。お許しください。  次に、老人医療対策について、関連でございますからお伺いしたいんですが、幸いに七十歳以上の方々は医療の無料化ということによりまして非常にお年寄りの皆さん安心して医療を気やすくお受けになっていらっしゃいます現状につきましては、私も心から喜んでおるわけでございますが、その半面、またいろいろな問題が出てまいりまして、緊急医療に差しつかえますとか、あるいは一般の人々の診療に阻害があるとかというようなことを、現に聞くだけじゃなく、実際に見ているわけでございます。これとあわせまして、この際一般の人々の診療の機会というものも確保することと、老人の専門病院のようなものを積極的にお進めいただけるものかどうか。できますことなら、私は緊急医療を阻害しましたり、あるいはまた青壮年の働き盛りの方の医療に阻害を来たすようなことなく、やっぱり御老人は御老人なりに安心して、医療をするほうも安心をして存分の医療ができる、手当てができるというような方向づけがぜひ好ましいのじゃないか。そういう意味で、老人専門病院というものの設置方を希望するわけでございますが、いかがでございましょうか。

滝沢正厚生省医務局長

○政府委員(滝沢正君) おっしゃるとおり、今後のわが国の老齢人口の増大の予測は十分立つわけでございますので、しかも医療の無料化というものに関連いたしまして、医療供給の立場から老人の医療機関の受け入れをどうするかということはたいへん重要な問題でございます。結論として申しますと、先ほど申しました長期計画の中で老人病棟というものを、——病院というものを専門的につくるということについては、これはまだ必ずしも私方向づけとしては老人の専門病院を、いわゆる何といいますか、従来の医療機関との、あるいは社会福祉施設との中間型のものが生まれるならば、これも一つの考え方でしょうけれども、各科の専門家を、老人の専門家を集めた老人専門病院というのは非常に現状ではむずかしかろうということで、当面公的の総合病院等に老人病棟を積極的に設置する。で、御指摘のように老人のやはり病棟というものは御不浄一つにいたしましても、それから手すりをつけるとか、あるいはベッドの高さ一つにしてもやはり配慮をする必要がある、こういうようなことを踏まえた老人病棟の設置に積極的な国庫の補助を推進してまいりたい。それによって計画的に各県に、あるいは各地域に老人病棟の確保をはかって、そして一般の従来の病院機能というものとの関連を踏まえて、先生おっしゃるように全体としての医療の機能がそのために大きく阻害されると申しますか、十分な活動ができなくなるような医療機能にならぬように病院というものの老人の受け入れ問題、これはなかなかむずかしいことですけれども、そういう考え方でおります。それともう一つ、外国などでデーホスピタルというような形で、考人を家庭から病院にリハビリテーション、あるいはいろんなレクリエーションを兼ねて老人を送り迎えするという仕組みがございますので、これを十分検討した上、わが国でも地についたものとなるならば実験的に試みて普及してまいりたいというようなことも踏まえまして、外来治療と老人の問題が医療機関の機能として十分結びつくように考えてまいりたい、こういうふうに思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 当面の構想につきましてよく理解することできましたが、ただ私、なぜ老人専門病院というようなことを言ったかと申しますと、入院ベッドにつきましてはいま申されましたことで解決がつくと思うのですが外来にたいへんな人が来られまして、しかも、あなた、あした来るなら私もまたあした何時に来ますという打ち合わせをして、お家にいても話し相手がございませんものですから……。そういう実態がものすごくふえまして、いわゆる外来診療に一般の人が非常な長い時間待たなきゃならないというものが現にあるわけでございます。私も実際を見て聞いてちょっとびっくりしたんですが、事実そういうことが出てきておりますので、そういう意味で老人の方を安心して心あわてなく見ることもできるというふうなことを申し上げたわけでございますので十分御検討願いたいと思います。  それから次に、お伺いしたいと思いますのは、先般、この委員会で、六月の二十一日でございました、心身障害児・者に対します施策の推進方ということで決議がされました六項目がございます。このことにつきまして政府御当局はどのように受けとめられて、それをどのように対処していただけますのか、この機会にお尋ねをしておきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○政府委員(加藤威二君) この六月二十一日に、この当委員会におきまして、心身障害児・者に対する決議がなされたわけでございますが、これは大きな項目、六項目でございますが、こまかい項目に分けますと三十項目ばかりになります。しかも、それは厚生省はもちろんでございますが、文部省、労働省あるいは運輸省、建設省、警察あるいは郵政省というように非常に多くの官庁に関係いたしておりますので、私どもそういった官庁と十分連絡をとりながらこの御決議の線に従って施策を伸ばしてまいりたいと思います。私ども身体障害者あるいは心身障害児対策をやっておりますと、老人対策に比べましてやっぱりまだおくれておるという感じがいたします。そういう意味で少なくとも来年度におきましては身体障害者あるいは心身障害児、そういった人たちの対策に重点を置いて予算を組んでまいりたいと思います。その際にはこの御決議の線に沿いまして、一挙にこれは全部というわけにはなかなかまいりませんけれども、最大限の努力をいたしましてこの御決議の線に沿って努力をしてまいりたいというぐあいに考えております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 ぜひひとつ、これは厚生省所管分につきましてでもいま申されましたように思い切った対策等をお立ていただけますことを心からお願いいたしておきます。  それから次に、公費負担医療に関しまして一つ、二つお聞きしたいのですが、この公費負担の医療というのは、これはもう絶対に必要とする医療体系の中の人々への国の援助手段でございますが、年々ふえていくと思います。それから同時にこの難病、奇病といたしましても、種類はふえるかもわかりませんが、私は国の予算措置対象になっております疾病を、もし、できるものなら法的に明確化する必要があるのではないかと思うわけでございますが、この辺の御意見はいかがでございましょうか。  それからまた、この難病、奇病といわれております疾病群に対しまして、もうすでに研究あるいは調査等が進められておるのでございますが、やはりこの際、思い切って何か総合研究所のようなものを、国立のものとして何かお考えになっておられますかどうか、その辺をちょっとこの機会にお伺いしておきたいと思います。

滝沢正厚生省医務局長

○政府委員(滝沢正君) あとのほうのお尋ねの医療機関の問題につきまして私からお答えをいたしますが、実は、この難病対策については患者サイドからも前々非常に信頼のおける最終的な診断を下すことのできる機関がほしい、こういう、それがその診断のむずかしいところに難病のゆえんがあるわけですけれども、そういうことで先生お尋ねの中心になるような総合的な研究機関としては東一を医療センターに模様がえいたしましてセンターとして研究所を付設し、病院と研究所と両方持ったものにいたしまして、これを難病あるいは中毒症等の一部公害等の研究機関として発足させたいということでございます。そのほかにも国立相模原にリューマチセンターをつくる、国立の名古屋病院に血液の関係の難病対策の一環としてのセンターをつくる、センターと申しますよりこれは若干東一型ではございません、病院に付設して研究ができるようにしたい、こういうような構想で逐次公衆衛生局の難病対策に対応いたしまして国立施設がこれらの患者さんの要望にこたえるように対策を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 そういたしますと、東京第一病院では総合調査研究というものがもう始まっていると考えてよろしゅうございますか。そうじゃなくて、これからあそこを重点的な中心地として進めていくということか、その辺ちょっとお伺いしたいのと、もう一つ、これはあわせて関連でございますが、この公費負担の医療の拡充に従いまして非常にこの医療機関の中では事務的な量ですね、事務量が、しかも請求事務などでたいへんな繁雑化をしているわけでございます。こういうものをこの機会に何か行政のぺースで簡素化できないものかどうか、これもあわせましてお伺いしておきたいと思います。

加倉井駿一厚生省公衆衛生局長

○政府委員(加倉井駿一君) 先ほどの御質問の前段につきましてお答え申し上げたいと思います。  いわゆる難病というものは非常にこれはむずかしい問題でございまして、どこまでが難病かということにつきまして私どもいろいろ判断に苦しんでいるところでございます。しかしながら、現在の段階におきましては、スモン、ベーチェット等につきまして、特定疾患懇談会の御意見を伺いまして、これはとりあえず公費負担にすべきであるという御意見のもとに予算措置を講じておるわけでございますが、これを法的に規制するかどうかということにつきましては、やはり基本となります現行医療保険のあり方というものと非常に関連の深い問題でございまして、これは今後慎重に検討してまいらなければならないというふうに考えております。  それから、ただいまの御質問のいわゆる公費負担医療が拡大してまいりますと、当然やはりこれは公費負担の請求事務がふえてまいるわけでございまして、私どもといたしましては、患者はもちろん、医療機関の犠牲においてこの制度が進展するということは非常に心苦しいところでございまして、できれば請求事務を簡素化いたしまして、どちらも負担のない状況におきまして医療保障が達成される、医療費保障が達成されるというのが望ましいわけでございますが、現在、この問題につきまして、従来からやはり簡素化の問題が省内におきましても強く要望されておったところでございますが、やはり早急にこの問題につきまして結論を得べく現在、省内の関係各局におきまして、担当官が集まりましてプロジェクトチームを設けまして、具体的に検討をいたしておるわけでございまして、近いうちに結論が出るというふうに私どもは期待をいたしてございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 ぜひこの両方の問題につきましては、早急に何らかの方法で解決していただけるようにお願いしておきたいと思います。  次に、このたびのこの健康保険の改正に関しましてでございますが、いまだに一部におきましては、このたびの健康保険法の改正はいわゆる値上げ法案であるということがやはり批判されておりますので、この辺加入者負担の実態は一体どうなるのか、もう一度ここでお示しを願いたいと思います。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) ただいまお尋ねの今回の改正による負担の増加、いわゆる保険料率等の引き上げによる状況でございますが、例示を申し上げますと、次のような状況になろうかと思います。つまり単位を切りますと、一万円について被保険者の負担の増加は十五円、それで政府管掌健康保険の場合で申しますと、四十八年度の平均標準報酬月額見込み額が約七万二千円でございますので、七万二千円の方で負担増になりますのが一カ月で百八円ということになるわけでございます。したがいまして、いまお話にございました値上げ法案であるという御批判でございますけれども、今回の改正は七割給付というようなこと、あるいはまた、家族の高額療養費の支給というようなきわめて大幅な給付の改善を盛っておりますので、これに見合う分といたしましては、いま例示として申し上げました程度の御負担の増加につきましては、具体的な問題として御理解をいただけるのではないか、このように考えておるような次第でございます。  なお、また、今回の改正で標準報酬の等級につきまして、現行の十万四千円という頭打ちを現在の賃金実態に合わせますために四十一年以来の改正として二十万円まで上乗せをいたしますが、これはいわゆる単なる値上げということではなくて、保険料負担の被保険者相互間の不均衡というものを是正するためのものでございますので、これはだいぶ性格が違うと思うわけでございます。現在の状況でございますと、十万四千円で頭打ちでございますから、いわば被保険者部内の負担の実態は相対的に給与の低い方々がむしろ相対的には高い負担をしているというふうになるわけでございますから、そういう意味を今回の標準報酬等級の改定でもって是正をしていく、こういうことになるわけでございます。  なお、つけ加えて申し上げておきますと、標準報酬の上限改定は、現行の報酬月額が十万四千円未満の方々については全く関係のない問題でございまして、政府管掌健康保険の場合で申し上げますと、今度の標準報酬改定が影響受けます方々は全被保険者のおおむね一割程度のものにすぎないものでございますから、そういう意味合いで今回の保険料率の改定、あるいはまた標準報酬の改定というようなことについて十分な御理解をいただければ幸いかと存じます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 そういたしますと、単純なものの考え方でございますが、いわゆる収入に対します今日までの加入者の負担率の不均衡を是正することが第一点でございますね。それからいま申されましたように、むしろ十万円まで、七万何千円がちょうど平均になっておるかわかりませんが、その辺については確かに金額的には百円なり百五十円なり、あるいは二百円なりの増はございますけれども、見返りが非常に大きくなってくるので、それはむしろ負担者の立場、加入者の負担率というものは、金額的には何円なり何十円なり何百円なりは増額するかもしれないけれども、いま申しておりますように、この保険そのものの中身と自分の疾病あるいは自分の健康というものの対策等考えたときには、決して値上げというものにはならないのだというような、へたなこれは質問のしかたでございますが、そういうふうに理解していいわけでございますね。むしろ納める金額が少なく、いままでより多くなるけれども、量的には、率的には少ない、しかしながらはね返ってくるものは大きいのだというような単純な方式でございますけれども、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。私は、そういうふうにいま受け取ったし、いままでもそう思ってきたわけでございますが、そうでございますね。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 石本先生のお尋ねが、いわば単なる値上げ法案であるというようなそういう批判があるがどうか、こういうお尋ねでございましたので、それに対しましては、いま私が例をあげて申し上げましたような負担増の実態でございますから、それとの見合いで申しますと、今回の六割ないし七割というふうな家族の給付率の改正あるいはまた家族の高額療養費の支給ということは、これはたいへん大きな給付の改善ではないか。まあ、つまり最近の五割給付ということは、これは昭和十八年以来でございますし、特に皆保険以後は何とかして五割の壁を突き破ってその上へ出よう、少なくとも国保の七割水準まで持っていこうと、こういう要請が非常に強かったわけでございます。でありますから、そういったことを考えますると、給付の改善とのかね合いにおいて、それぞれの負担について考えてみますと、決してそれは大きなものではない。また、先生の御批判にあったように、単なる値上げ法案であると、そういうようなまあ単純な批判は当たっていないのじゃないか、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございまして、先生のおっしゃるとおりでございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 はい、ありがとうございました。  そこで、いまもお話がありましたように、この医療保障の面では相当程度現在よりは非常に向上するということは、私なりによく了解できるわけでございます。しかし、この健康問題はこれでよいというようには私は考えません。これはもちろん自由民主党におきましてもそのとおりであるわけでございますが、そこでまず今回の改正が実現した後もさらにこの残された諸問題、たとえば家族給付が六割が七割になり、七割が八割、九割になってもなおかつ一〇〇%ということになるかもわかりませんが、そうしたあらゆることを含めまして、さらに検討を進めていただいて、今回のは一部の改正じゃなくて、単なる改正でございますが、抜本的な改正ということに向かってさらに大きな前進を続けていただけるものかどうか。私は続けていただけると思うのでございますが、その辺の御見解とあわせまして、これは非常に愚鈍な質問になると思うのですが、やはり多くの国民の皆さまの中には、一部の方の中には医療はすべて国営化するべきである、そういうような議論もたびたび出ておりますし、私自身もかつてはそういうことを考えた人間でございます。病気になったときぐらいは安心して、心配なく国が全部めんどうを見てもらえないものだろうかというようなことを思ったこともございますが、いわゆる医療国営化というようなことに対しましてもどのようなあわせて御見解をお持ちなのか、お聞きできるものなら聞いておきたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○国務大臣(齋藤邦吉君) 私も医療保険制度の抜本改正ということを目ざしておるのでございまして、ただ、抜本改正ということをやろうといたしますと、いろいろなむずかしい問題がたくさんあるわけでございまして、いま直ちに国民的コンセンサスを得ることは非常に困難な状況に置かれておることはすでに御承知のとおりでございます。そこで、そういうふうな抜本改正への一つの足がかりをつかもうと、そこで各保険制度において給付が非常に不統一でありましたので、この際、給付の改善をはかり、そして抜本改正への足がかりをつくろう、こういうことで今回の法案を提案をいたしたわけでございまして、この法案が幸いに皆さん方の御協力によって成立いたしました暁には、これを足がかりとして、さらに各保険間における不均衡是正の問題、給付の改善の問題、そのほかたくさんの問題がございます。そういう問題を目がけて今後とも努力をしていきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。  なお、先ほども保険局長から申し上げましたように、今回の改正というのは、私どもは値上げ法案などとは夢にも考えていないんです。これは給付改善なんです。すなわち、政管健保においては今日まで長いこと家族の給付を五割に据え置かれているわけです。そこで、この家族の給付を改善しようということが一番のねらいでございます。これは、その家族の給付を五割を六割にし、さらにまた衆議院の段階で七割給付ということに高められるようになったわけでございまして、これはもう国民健康保険と同じ給付率になるということでございます。こういうふうな給付の改善、それから分べん費等の増額、さらに高額医療の問題、こういうふうな給付改善をやる。それがねらいでございまして、それをやるために、保険という主義をとっている以上は、ある程度の保険料の御負担はお願いしたいと、お願いをしているにすぎないのであります。しかも、見合ってと先ほどもお話がございましたが、その給付に見合っての、奥さんや子供さんが病気になったときの、こういう給付の改善に見合って、だんなさまに納めていただく保険料は十万円の方は百五十円でございますよと、こう申し上げておるわけでございます。数字的にもはっきり申し上げますと、この一年間における保険財政全体を考えてみまして、保険料だけには依存しないことにしましょうと。すなわち総医療費については、給付費については一〇%国が負担いたしますと。国が一〇%負担いたしますとなると、八千八百億の八百億を国が出しましょうと。給付改善はこれだけの金でございますと。保険料としては千分の七十を七十三、これは十万円の方が月百五十円納めていただいて、奥さんや子供さんの医療費というものの軽減をしていただきたいと、こういうわけで、はっきり数字を申し上げますと、これははっきりおわかりいただけると思いますから、後ほど保険局長からはっきりした数字を申し上げてけっこうだと思いますが、給付の改善に見合ってある程度の保険料、その保険料の値上げというものも最小限度におさめたい、こういうことで提案をいたしておるわけでございます。それで、保険料の値上げの分だけ取り上げれば多少値上げになることは確かです。しかし、値上げに伴ってどれだけの給付が、見返りがあるか、これを十分私はお考えいただければ非常に幸せだと思うのでございます。しかも、この保険料の千分の七十が七十三になるということは、物価の上からいいましても、消費水準には何の影響もない、こういうことをはっきり経済企画庁が統計的にも言っております。そういうことでございますので、その部分だけ取り上げれば、なるほど千分の七十が七十三になるんですから値上げに間違いありません。けれども、それに伴って給付がどうなるか、それとの比較において御判断をいただければ幸せだと思います。  なお、医療の国営ということについては私どもは全然考えておりません。これだけは、はっきり申し上げておきたいと思います。あくまでも、わが国の医療は自由主義体制の中における医療ということを頭に描いておるということでございますから、十分その点は御理解いただきたいと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 大臣のおことばによりましてよく理解できました。これはあくまでも給付の改善なんだという大目標のゆえにこの今日の問題が出てきているということ、よく了解いたします。  次に、いま大臣も申されました家族の高額療養費制度でございますが、これは被用者保険では共済組合なども含めまして本年の十月から実施される予定であるということになっておるわけでございますが、国保の場合でございますが、三カ年計画で行なわれることとされておるということでございます。そうなりますと、完全実施ができるところは結局五十年度以降になるというふうに考えられるわけでございます。で、私、非常に心配しますのは、国保の実施主体というのは三千数百をこえております市町村でございまして、しかも、この市町村財政というのはまちまちな状況にございます。で、そうなりますと、本年から一斉に行なうのは無理といたしましても、実施を希望する市町村には何らかのかっこうで積極的に財政面の援助措置というものをお考えいただけますものか。これはやっぱりその全市町村が一日も早い機会に実施するためには、それぞれの市町村当局が財政のことについても考えなさいということでございますのか。私がまあ一番心配するのは、先日やはりある僻地に参りましたら、あまり今度そういうものができてもわれわれは、私の村では、私の町では非常に貧困な国保の財政でございまして、ちっともうれしくないんだと、家族のやはり医療費は医療費として、いままでどおり借金をして、うちの者は食うものも食わぬでも見ていかなきゃならぬようになると思うんですが、国は片手落ちですね、というようなことをちょっと申されましたので、たいへん気になりましてお伺いするわけでございます。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) ただいまお尋ねの高額療養費の制度を国民健康保険で年次計画でやるということにつきましては、私どもは大体いま先生が言われたようなことを実は考えておるわけでございます。で、高額療養費の支給制度が、現在の疾病構造と申しますか、社会環境と申しますか、そういう意味から申しまして、現在的な意味で非常に効果のある制度であることはこれは御評価願えると思うのでございますが、その場合にも、いま仰せのとおり、国保の保険者は何ぶんにも財政状態がきわめて区々にわたっておりますから、そういう意味合いで、この制度を一挙に実施いたすこともいかがなものであろうかということで、実は、今年の十月から五十年の十月までかけまして、三カ年計画と申しましても実質をとらえますとまあ二年というふうにお考え願ってもいいわけでございますけれども、そういうことで実現をはかろうと、このように考えているわけでございます。また、そのために、財政的な補強の意味で、今回も四十八年度予算におきましては、制度を実施いたします保険者に対しましては、療養給付改善特別補助金によってその実施を促進しようと、こういうような措置が予算上もとられておるところでございます。しかし、この制度の実施を希望する保険者が多数にのぼります場合におきましては、やはり当該保険者、当該市町村の財政の健全性ということを維持し得るかどうかということも十分見きわめた上で、できるだけまあ多くの保険者がなるべく早い機会にこれを実施ができるように私どもは十分な配慮をしてまいりたいと、このように考えておるのが現状でございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 そうしますと、財政的な援助につきましては、国におきましても十分に考えていくというふうにこれは受けとめてよろしゅうございますですね。  次に、さっき大臣も申されましたが、今度、分べん費が本人の場合でも倍、家族の場合ですと四倍ということになるわけでございますが、やはりちまたを歩いておりますと、いまごろ四万円ぐらいになりましても、とても分べんの費用に充てるということになりますとこれはまことにお粗末なものだと。実際都会におる者は十万円もかかるのだというようなことを再三申されているわけでございますが、四万円の基礎算定というものはどこにありますのか、もう一ぺんお示し願いたいと思うのでございます。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 分べん費につきまして、御参考までに今回四万円に最低保障を上げますまでの現状を申し上げますと、次のとおりでございます。四十四年の改正で分べんに要する標準的な費用を考えまして、その最低保障額を二万円に引き上げたのであります。これは御承知のとおりであります。今回四万円といたしましたのは、一つは本人の分べん費につきましても、最低保障を四万円とする、これが第一点。それから第二点は、配偶者につきましても、現行は一万円でございますが、これを本人の最低保障並みの四万円まで引き上げた、こういうことでございます。で、これの算定の根拠といたしましては、いろいろあるわけでございますが、また分べんに要する費用そのものが、これはもう先生のほうがお詳しいかもしれませんけれども、相当施設による差違とか、あるいはまた地域による差違とか、そういったものがあろうかと思います。したがいまして、今回の算定にあたりましては、そういったものを考慮いたしまして、国立病院等における各地域の平均的な分べんの費用というものを調査をいたしまして、現在の診療報酬点数表にありますものにつきましては、たとえば看護料とかあるいは基準給食、基準看護、基準寝具あるいは入院時の医学管理料、新生児の介護料と、そういった点数表にあるものにつきましては、その点数表によって算定をいたしました。それ以外の分べんの介助料あるいはまた胎盤処理料とこういったもの、すなわち点数表にないものにつきましては、それぞれいま申し上げました病院等における現実にかかっております費用を参考にいたしまして、標準的なものとして四万円というものを算出をいたしましたような次第でございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 算出の根拠につきましては、一応了解いたしました。  なお、今後とも、分べんということは、ただ何となしに自然的に行なわれるように思われておりますけれども、まつわる経費が大きゅうございますので、安心して分べんをし、安心して子供が育てられるというような方向一つけのためにもまた次の時期には正当なものをお組み合わせ願いますことをこの機会にお願いをいたしておきます。  次に、お伺いしたいと思うのは、共済組合あるいは健康保険組合あるいは失業保険というものでは、弾力条項の運用がかなり自由になっておりますのに、この政府管掌の健康保険だけが非常にきびしくしてございます。この必要性といいますか、なぜ、あんなにきびしくしてあるのですかということをお伺いしたいのでございますが。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) ただいまのお尋ねの中にございましたように、共済組合におきましては、もとよりこの弾力調整というような規定もございません。各組合において運営審議会の議を経てそれぞれきめるわけでございます。それから失業保険あるいは健康保険組合におきましては、一定幅の弾力調整はきめてございますが、健保組合の場合には組合の議決を経て厚生大臣の認可を経ると、それからまた、失業保険の場合には、中央職業安定審議会の意見を聞いてきめると、労働大臣が告示をすると、こういう仕組みになっているわけでございます。今回の政府管掌健康保険の場合につきましても、これは先生方も御承知かもしれませんけれども、四十一年改正前には、やはりこういった弾力調整規定があったわけでございます。で、これはやはり短期保険の性格から申しましても、単年度の収支の均衡をはかるということはきわめて必要なことでございますし、これによってやはり保険は財政を無視してあり得ないわけでございますから、保険財政の恒常的な安定をはかっていくと、こういうためにこの規定を設けているようなわけでございますけれども、何ぶんにも、政府が管掌いたしております健康保険でございますし、その運用につきましてはできるだけ恣意にわたらぬように慎重な手続、手はずを踏んで、そうして本来のこの短期保険の財政安定という趣旨をそこなわないように取り扱っていくと、こういう趣旨で今回のような形にしたわけでございます。なお、そういう意味合いでございますけれども、従来のいろんな経緯もございまするし、また、いま申し上げましたように、この弾力調整規定が恣意にわたることがないように、衆議院の審議の段階におきまして、この規定の援用は給付の改善あるいは診療報酬の改定の場合に限られると、しかもまた、国会報告を義務づけると、こういうふうな相当、程度のきつい縛りを受けたような次第でございまして、われわれは政府の管掌しております健康保険でございますので、それの実際上の運用をチェックいたしますのは、社会保険審議会でございます。その社会保険審議会の議を経ると、しかもいま申し上げましたような相当程度援用する場合を限定をして、なおかつ援用しましたあとにも国会報告をするというふうな、こういうふうな衆議院の御意思によって、この規定の正確な、的確な運用を期すると、こういうことをやったわけでございますので、その辺の事情はおっしゃるとおりほかの保険に比べて、相当厳格になっておりますけれども、政府管掌健康保険でありますだけに、こういうふうな仕組みをとったと、そういう点について御理解を願いたいと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 運用の適正化をはかるという意味できびしい措置がきれているということ、よくわかりました。  そこで、お伺いするのがちょっと別になりますが、衆議院で弾力条項の連動につきまして、国庫補助率の上乗せ率が〇・四%から〇・六%に修正引き上げということになったわけでございますが、これはどのような意味がありますのか、この機会にお伺いしておきたいと思います。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 弾力調整規定を援用いたしました場合に、国庫補助がこれにリンクをしてついてくるという点でございますが、まず私は、この点について先生の十分な御理解を願いたいと思います。ほかの保険におきましては、いま、先生御指摘のような共済組合にいたしましても、あるいは失業保険、健康保険組合等におきましても、こういった料率を上げた場合に、国庫補助が連動するということはないわけでございますから、まず一つの意味は、先ほど申し上げました、診療報酬の改定とかあるいは給付の改善の際に保険料率を上げますと必ずいまおっしゃった〇・六%の国庫補助がリンクをしてくると、こういう点は政府管掌健康保険に特有な、きわめてプロパーな仕組みだと思います。  それから、いまお尋ねの〇・四%から〇・六%に衆議院によって修正をされました点は、実は計数にわたる問題でございますけれども、大体四十八年度ベースで考えまして、料率を〇・一%引き上げます場合に、その引き上げました額は約百十億円でございます。百十億円でございますから、労使折半で五十五億円ずつの負担になるわけでございます。それに対しまして〇・四%の国庫補助がリンクをいたします場合には、その国庫補助予想額が約三十五億円、今回の修正によって〇・六%になりまして約五十二億円を少し上回る程度のものになるわけでございます。したがって、結果的に申し上げますと、料率が〇・一%上がった場合には労使の負担がそれぞれ五十五億、それから国の負担が五十二億から三億の間ということで、いわば三者がほぼ同額を負担をすると、こういうかっこうになりまして、先ほど申し上げましたこの国庫補助がリンクをするというプロパーな仕組みのほかに、国も労使とほぼ同額程度のものを必ず負担をする、こういう仕組みになっておるわけであります。でありますから、修正の趣旨は、労使負担と大体同程度のものを国がリンクをして負担をすると、こういうふうにされましたことが衆議院における修正の趣旨であろうかとわれわれは考えております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 よく御趣旨はわかりました。三者が調和のとれた、どう言いますか、出資をしようということだというふうに理解いたしました。  そこで、私、先ほどから幾つかのことをくどくどとお伺いをしたわけでございますが、とにかく、今度のこの改正というのは、あくまでも給付の改善にあるんだということから考えましても、一日も早く、特に病人をかかえております人、また、病院などで勤務をいたしておりました私どもにとりましては、ほんとうに一日も早い実現を心から希望するわけでございますが、きょうは私、行政当局、大臣をはじめ皆さまにもお願いをしたいのですが、異例かもわかりませんけれども、きょうお出ましの野党の先生方にもやはり苦しみを持つ国民の側に立って十分に御検討願いまして、やっぱり一日も早くお通しいただきませんと、苦しむ者はだれか、国民であるということを御承知いただけたらしあわせだなと思って、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。

大橋和孝日本社会党

○委員長(大橋和孝君) それでは四案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十九分散会      —————・—————

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