社会労働委員会 第17号
- 発言数
- 228 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/07/05
会議録
○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨七月四日、藤原道子君が委員を辞任され、その補欠として杉山善太郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(大橋和孝君) 港湾労働法の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続き、質疑を行ないます。道正局長。
○政府委員(道正邦彦君) 全国港湾と日本港運協会との間で行なわれました予備折衝の結果について御報告申し上げます。 全国港湾と日本港運協会との間の中央団交の再開と、三・二二協定の取り扱いをめぐる予備折衝は七月四日午後一時よりきわめて友好裏に日本港運協会会議室において行なわれた結果、次のとおり妥結をみました。 一、中央団交を七月十三日に日本港運協会会議室で再開する。 二、三・二二協定については右の中央団交で確認する。 ことにつき合意を見ました。 なお、予備折衝の出席者は、全国港湾側は植草事務局長、牧事務局次長、日本港運協会側は高嶋会長代行、斎藤業務委員長の四氏であります。
○須原昭二君 ただいま局長から、昨日の予備折衝の結果について御報告がございました。とりわけ、友好裏に以上二点について合意を見たと、こういう御報告でございますが、まずお尋ねをいたしたいのは、局長みずからこの当事者四名に御確認になったことかどうか、この点、まず。
○政府委員(道正邦彦君) 港湾労働法の主管課長であります永場特別雇用対策課長が労使から直接聴取した結果でございます。
○須原昭二君 そういたしますと、永場さんから間接的に御報告受けられたことと解釈してもけっこうですね。
○政府委員(道正邦彦君) そのとおりでございます。
○須原昭二君 じゃ、ひとつその前提の上に立ってお尋ねいたしますが、中央団交が七月の十三日、金曜日に日本港運協会の部屋で再開をすると、こういうことになっておるようですが、実は私、巷間伝えられておることを聞いておりますと、労働組合側は六日、七日に主張した。業者側は十三日を主張した。なぜ十三日かというと、その前日に理事会を開いて、このようなことを承認を得てからだ、そういう前提が要るから十三日だと、こういうことでお互いにこの問題については保留をして帰って相談して、再び返事をすると、こういうことであるというふうに聞いておりますが、その点はどうなっておりますか。
○説明員(永場久治君) 私が予備折衝終わりましたあと、日本港運協会、それから全国港湾側のそれぞれの出席者から聞きましたところによりますと、まず日本港運協会のほうからは途中の折衝の過程におきまして、全国港湾側から六日、七日とこういう意見が出ております。それで先ほど先生からお話がございましたように、日本港運協会のほうから、やはりこういった問題についてまた再び変なことにならないようにということで、七月の十二日に予定しております理事会にはかってきっちりした形で臨みたいという説明をしたということで十三日になったと、こういう説明が日本港運協会側からあったわけです。 一方、事務局長の植草さん、それから牧さんからお尋ねしました全国港湾側の意向によりますと、やはり組合側から六日、七日ごろにやってほしいと、こういうことを言った。ところが、それに対しまして日本港運協会のほうからはやはり理事会にはかって、その翌日やりたいというふうな主張があった。それで、事務局長のお話によりますと、私としてはやはり十二日の理事会にはかって、きっちりした形で業界として意思統一した上で十七日に交渉をやったほうが望ましいと思って、この点についてはやむを得ないと思っていると。それでまたこの点につきましては、鎌田委員長にその辺の了承はもらいたいと思っておるけれども、私としてはこの予備折衝の場に臨んで十三日というのは筋として合っていると思う、こういう説明でございました。 以上でございます。
○須原昭二君 そういたしますと、十三日という日にちがきめられておるけれども、その前提条件として十二日に理事会の了承、すなわち理事会できちんとしなければ十三日が発効しない、こういうふうに解釈せざるを得ないんですが、そうですか。
○説明員(永場久治君) この点につきましては、港運協会側としましてはその方針と申しますのはこれは変わりはないようでございます。ただ、やはり順序といたしましてその道をすっきり通しておきたい、そして皆さんに経過報告としてやっておきたい、こういうふうな趣旨でございました。
○須原昭二君 なぜ、私はそういうことをお尋ねするかといいますと、名古屋を除いて五大港、東京、横浜、大阪、神戸、それから門司ですね、この五つが団交に入っているわけなんですが、この団交に入るべき要件のあるところの門司の業者、特に船内業者の多いこの門司の業者は、団交に入ることを拒否してますね。そういう状態がある。なぜ入らないかといえば、高嶋さんの地元の伊勢湾海運ですらこの問題については全然触れておらない。自分のところは何も関係ないから、よその地域の業者ばかり押しつける、こういうことに反発をして、門司の業者は団交に入らないと、強い態度をとっているわけですね。一つくずれればあと全部くずれて、一つ一つくずれていく可能性があると思うんです。したがって、十三日にこの団交を再開をするといっても、十二日は非常に荒れる見通しがあるんじゃないかというふうな疑念を持たざるを得ないわけです。この点を一つ。 さらに、三・二二協定について次の団交で、右の中央団交で確認をすることに合意をしたと、こう言われておりますが、これはいつ実施するのか、この点は明らかになっておらないような気がするんですが、その点はどうですか。
○説明員(永場久治君) 先ほどの関門のお話が出たわけでございますけれども、これにつきましては業界側からはその問題につきましては船内の問題が非常にあるので、今度の団交再開の際には船内の専門委員会を設けて、そして全体の中央の統一交渉の場のほかに、専門的な場を設けてそこでやっていきたいというふうな話がございました。一方、全国港湾の植草事務局長のお話によりますと、そういった提案があったと、これは先生、御指摘のような問題が下部にございまして、たとえば全国港湾と申しますのは、事務局長の話によりますと、船内の五〇%ぐらいカバーしていると。そのほか同盟系の組合だとか、未組織労働者がいる。労働時間短縮問題ということになると、五〇%のカバー率にすぎない全国港湾の組織の状態から見まして、その専門委員会の中に末組織あるいはその他のものも含めて解決できるような場がほしいと、こういう提案があった。そうすることによりまして、船内の取り扱いというものをスムーズに処理するようにしたいと、こういう提案があったと、まあ、これが団交の再開後の一つの問題であると、これはどういうふうに中身をきめていくかというのは大きな問題だと、こういう御説明がございました。それ以上私どもは立ち入っておりませんけれども。 それからもう一つの主要団交で確認するという点につきまして、今後どうなるのか。こういう見通しにつきましては、私ども日本港運協会側からは何も聞いておりません。むしろ全国港湾の植草事務局長のほうから、この確認した上でいつ実施するか、こういった問題についていろいろ意見が出た。組合側はどうなんだということを逆に業界側から聞かれて、まあ準備期間としては二、三カ月必要じゃないか。こういうふうなことは述べておいたというふうな程度でございます。したがいまして、この団交で確認されたのち、いつ実施するか、こういったような問題につきましては、団交再開後の労使の話し合いの問題になろうかと思っております。
○須原昭二君 その門司の関門の業者が団交を拒否している理由は、先ほども申し上げましたのですが、この実は中央の協会側は、門司の業者を説得をすると言っているんですね、いまでも。労働組合に対して、おまえたちから突き上げてくれとこう言うんですね。その労働組合に突き上げてくれって、従来から団交再開せよと言って叫んでいる労働組合は当然なことであって、協会も自分に自信がないから労働組合にも突き上げてくれと、こう言っているんじゃないか。こういう点から見ると、この十三日の再開をするという要件は、非常に軽薄に私たちは考えざるを得ないわけです。 さらにまた、三・二二協定の確認をするということについても、いつから実施するか、この点についてはしばらく待ってくれと、しばらく待ってくれでは困る。すでにこの協定は五月二十八日でしたか、十八日でしたか忘れましたけれども、いずれにしても過ぎ去った時限できめられておったわけですね。それを、今日の時点に、なおまだ二、三カ月延ばしてくれということになりますと、こういう合意というものは、われわれはまさに軽薄的、一日延ばし、またこういう機会があれば暫時延ばしていこうという意図がここにあらわれておるんじゃないかと思うわけで、この問題についてはやはり労使との関係の中で、予備折衝ではございますが合意を見たというふうに断定をすることは、われわれは認めがたいというような感じがしてならないわけです。その点はどうですか。
○説明員(永場久治君) 基本線といたしまして、三・二二協定につきまして、この段階の冒頭におきましてこれは確認すると、前の協定を確認すると、こういう点については非常に明確な双方の意思で合意をされた。こういうふうに私ども両当事者から聞いておるわけでございます。 それから、先ほどお話がございました実施時期の問題でございますけれども、現協定におきましても二カ月間の猶予期間をもって、その間に具体的な協議を進めて実施していくと、こういう仕組みになっておったわけでございます。したがいまして、深夜業だとか、こういったものの体制への切りかえ、新しい体制への切りかえ、こう申しますと、やはり各港別にいろいろ準備期間、こういうものが必要になるわけでございます。そういったことを踏まえまして、先ほど、御披露申し上げましたような植草事務局長の発言があったかと思います。その辺につきましては、今後の団交の冒頭からの精力的に労使が話し合いをすべき事項だと思っております。
○須原昭二君 まあ、異例の私たちこの当委員会で確約書を取っていただき、さらにまた、念書までこれ、つくって全委員会でこれほど異例な措置とまでいわれているようなまあ誓約を取っております。しかも、道正局長は四日の一時から再開される予備折衝で団交再開と三・二二の確認について必ずめどをつけてみせると、これまで断言をされたにもかかわらず、いま聞いておりますると、どうもこの内容というのは明確で私はないと思うわけです。明確ではないと思います。その点はどうですか。このような労使側の、私たちは労働者側の立場の意見も聞いておりますが、この問題について確認を見たとは言っておらないと思う。合意を見たとは絶対に言えないと思う。こういう言辞をわれわれは聞いておりますが、どうもおたくのほうは私の耳と、あなたの耳と発音のしかたによって変わってくるかもわかりませんけれども、どうも私は理解ができないわけですが。
○政府委員(道正邦彦君) 前回の当委員会におきまして、私と港湾局長が責任を持って、再開に努力をするということは、念書をもって委員長あてに御提出申し上げたとおりでございます。私どもといたしましては、責任をもって努力をしたつもりでございまして、要するに中央段階は再開すると。それから三・二二協定については確認をするということを七月四日の両団体の責任者がそれぞれ永場課長に言明をしておるわけでございますので、私は、先ほど御報告申し上げた経過は間違いがないと思います。いろいろ労使に意見があるわけでございますので、先生がお聞きになったようなことも、あるいは一部の意見としてあるかもわかりません。しかしながら、少なくとも昨日の予備折衝の結果につきましては、私は間違いないものと思っております。今後は労使が話し合いをするということでございますので、私は労使の自治という原則にまかせまして、両当事者の話し合いにまかせることは行政当局として当然じゃないかというふうに思っておりまするし、私どもといたしましては話し合いが円満につくことを心から期待し、また期待することは間違っていないというふうに思うわけでございます。ただ、まあいろいろ今後またトラブルが起きるというようなことも、将来の問題としてあり得るかもわかりませんが、その際にはまた責任を持ってその解決に努力することはやぶさかでございませんけれども、いまの段階におきましては私は円満に話し合いがつくものと心から確信をするわけでございます。
○矢山有作君 関連。いまの須原委員とのやり取りを聞いておりますと、私はやはり労働省のほうはこの法案を通すことを中心にものを考えておるから、労使間の問題というのを楽観的に楽観的に解釈していきよるんじゃないかと、そういう感じがするわけです。特に、いまのやり取りの中で問題になるのは、とにかく十二日に理事会を開いてみなければ、十三日の団交はどうなるのかわからぬというのが、業者側の私は率直な意見だ。そういうふうな受け取り方をせざるを得ぬわけです。そうなると、十三日になるほど団交は開く。団交は開くが、肝心かなめの破棄した協定の始末はどうなるのかということについては、名古屋港の問題や門司港の現状の問題から考えるなら、きわめて不確定要素が強いんじゃないか、こう私どもは判断せざるを得ないわけですよね。 そういう不確定要素を多分にかかえておる中で、あなた方は予備折衝の結果がうまくいったと。これでもう万事解決なんだというようなオーバーな表現で、それぞれの方面に非常に強力な働きかけをしておられます。これは私どもはその実態をみなつかんでおる。いささか不謹慎じゃないかと思うのですよ。予備折衝の結果に基づいて委員会を開いて、そうして、それをただしながら法案の審議を進めていくというのが、国会の立場、あなた方が尊重しなければならぬ委員会審議なんでしょう。それを、四日の予備折衝の問題をきわめて楽観的にとらえて、そうして、いかにももうこれで問題が片づいたというような受け取り方をして各方面に働きかけていく。そういうようなよけいな工作はやめてもらいたいんです。私は委員会の審議は委員会の審議としては十分尽くす。そういう姿勢を政府に持ってもらいたい。そうして、しかも問題は法律だけ通したらそれで事が済むということではない。その法律を生かしていくためには労使間が真に正常化されていかなければならぬわけです。その一番基本のところが不確定なまま、かってな動きをしてもらっては困るし、法案だけ通しさえすればわが責めは終われりというのでは困る。そのことを私どもは強く忠告をしておきます、これは。 それから、もう一つお伺いしておきたいのは、そちらから説明をしてもらいたいんですが、団体交渉をもう今後やらないという。あるいはまたせっかく結んだ協定を一方的に破棄する。そういうようなことが起こった場合に、一体労働省がやり得る限界はどこなのか、労使間に立って。そのことをそちらから明確に示してもらいたいと思うのです。
○政府委員(道正邦彦君) 労使間の問題は労使自治の原則で、話し合いで処理をされるというのがたてまえであろうと思います。しかしながら、いろいろケースによりましては労使関係が紛争、紛叫するという場面がございます。そういう場合に労働省が労政の立場で労使の間に入っていろいろあっせんをするということは、事実問題としてあるわけでございます。今回もそういう立場で、労使自治の原則を侵害するつもりはございませんけれども、三・二二協定をめぐりまして労使関係が紛叫したわけでございますので、そういう意味であっせんをして、今回まあ、ある程度の効果は出てきていると、労使は団交を再開するという機運か出てきたことを喜んでいるわけでございます。
○矢山有作君 私の質問に対して的確に答えてもらっておらぬのですがね。じゃもう少し具体的に言いましょう。 この全国港湾と日港協の間で、まあ労使間の正常化をやろうというので団交をやることがきめられて、そして、それに基づいていろいろな交渉が行なわれ、そして、まあ三・二二の協定を中心としてこれが結ばれてきたと、そういう経過を踏まえてきたのに、その後賃上げ交渉の問題で労使双方が決裂した。賃上げ交渉で決裂したときに、とたんにもう、今後団体交渉もやらないんだと、三・二二の協定をはじめ一切の協定は破棄だと、こういう出方を業者側がしたわけですね。そういうときに労働省は具体的に何をやり得るのかというんです。何もやれ得ないんでしょう、そのときに。労働省がやり得る決定的なきめ手というのはないわけでしょう。これはまあいままでのあなた方の答弁をいろんな場合に聞いておると、これは地労委の問題だ、中労委の問題だ、最終的には裁判所で決定される問題だと、こういうことなんです。いわばね、そういうふうに、従来の慣行を尊重し、労使間の正常化を真にやろうという使用者側のそういう腹づもりがなければ、一方的に団体交渉をやらないと言い、あるいは結んだ協定をすべて破棄されても、労働省は何もできないということなんです。そういう実態を踏まえながら、今度の日港協側のとった態度を見ておるときに、はたして労使間の正常化の上に立って今後の問題の処理ができるのかということについては、われわれが疑問を持つんでなしに、常にその衝に当たってこられた労働省自身がその点について自信がないわけでしょう。そういう経緯があるのに、四日の予備折衝を踏まえて、もうこれは労使間正常化ができるんだ、だいじょうぶだと、こういうなのはあまりにも即断じゃないか。おそらく私は十二日の理事会でまとまらなかった場合、特に門司の業者のとっている態度等からまとまらなかった場合には、十三日に団交が開かれても、何もできない、こういうことになるわけでしょう。そのときに労働省は何か果たせる役割りがあんですか、決定的な。ないんでしょう、果たせる役割りというのは……。ない。そうしたら十三日に協定の問題は片づかない。これはパーですわ、それで。そういう状態でまた労使間は不正常な形になる。あなた方のおっしゃるように、労使間が不正常であるなら、この法律はつくってみても砂上の楼閣だと、こうなるわけですよ。きわめて自信のない、定見のないやり方じゃありませんか。なぜここまでにくるまでに、この法律をつくる、その法律が生きて活用できるような基礎固めをもっとやらぬのですか。その基礎固めができてないで法律だけをつくることだけを急いでみても、どんなにあなた方が活動をして、根回しをして、急いでみても意味はないんじゃないですか。そのところをはっきりしておいてもらいたい。
○政府委員(道正邦彦君) 法律の改正をいたしましても、労使関係に信頼関係がない場合に、運用が所期の法律の改正どおりに動かないと、これは先生御指摘のとおりでございます。しかるがゆえに、私ども港湾調整審議会の場におきまして、港湾労働法の改正が審議されました約一年前から、労使関係の正常化と申しますか、近代化について側面からいろいろ労使に呼びかけたわけでございます。その結果、過去一年の間、かなりひんぱんに労使交渉が持たれております。で、いろいろございますけれども、その集大成が三・二二協定であり、私ども港湾労使が三・二二協定まで締結するに至ったかということで実は喜んでおったわけでございます。それだけに私ども三・二二協定の順守については関心を持ち、特に使用者側に順守方を強く呼びかけ、いろいろございましたけれども、昨日の予備折衝で、先ほど御報告申し上げましたような話し合いになったわけでございます。私は、労使の少なくとも責任者の双方から聴取いたしましたままを御報告申し上げておるわけでございますので、昨日の予備折衝の内容につきましては、いまの段階でこれはそのとおりだというふうに申し上げて間違いはないと思います。要は、今後中央団交が予定の十三日に再開され、三・二二協定について確認されることを心から期待しておるわけでございまするし、そういうふうに期待して間違いないというふうに私たちとしては考えるわけでございます。
○矢山有作君 まあ、結局、こういうことになろうかと思うのです。十三日にたとえ団体交渉が開かれて、そして三・二二協定の破棄その他について問題が解決をして、一たん正常化の軌道に乗ったとしても、将来また、賃上げの交渉その他で山に差しかかったときに、いままでの業者側のとった態度から見るなら、また一方的に協定破棄だ、団体交渉もうやらぬと、こういうような出方をしてこないという保証は一切ない。そういう出方をした場合に、労働省は何ら有効に打つ手はない、こういうことはもうはっきりしておると思います。しかし、それにしても、その点はしばらくおくとしても、問題の解決というものは十三日の団体交渉の結果を見なければ見通しは立たぬわけです。十二日に理事会を開くという、もし、その理事会で門司の事者からきびしい抵抗が出てきた場合には、予備折衝で約束されたことは一切パーになるわけです。そうすると、十三日の団交というのは、開かれるか開かれぬか、それすらわからない。開かれたとしても実がのったものになるのかならぬのか、それもわからない。きわめて不確定要素を持っておる状態です、いまは。そういう状態の中で、もしその十三日に問題がすべて結着をして、労使間が正常化しないとするなら、常に言われておるように、この法律をつくってみても、まさに砂上の楼閣だ。そうすれば、十三日待ちということになるわけです、すべての問題は。したがって、審議をいたずらに急いで、法律だけを五日じゆうに成立させればいいんだ、五日に成立しなければ十二日に成立させればいいんだ、それで労働省の責任はのがれるんだ、法律をつくることだけが労働省の仕事だというんでは困るのです。そのつくった法律が生きていくようにするためには、あなた方自身が言っておるような、労使間の問題が正常化されなければいかぬ、その正常化の状態が守られなければならぬという前提があるわけです。したがって、すべての事態は十三日待ちと、こういうことになります。したがって、いたずらに審議を私は急いで、法案さえ通せばいいという、そういう労働省の態度は改めていただきたい。そのことを強く私は申し上げて、御所見を承りたいと思います。
○政府委員(道正邦彦君) たびたび申し上げておりますように、労使関係の近代化あるいは信頼関係の確立、これがございませんと法律の運用がうまくいかないということはもう御指摘のとおりでございます。その点は昨年十一月十七日の港湾調整審議会から大臣あてにいただきました建議におきましてもいただいておるわけでございます。私どもも、法律だけ通せばそれでいいというふうには毛頭思っておりません。労使間の改善につきましては、側面から今後とも努力をしていくつもりでございます。
○矢山有作君 労働大臣から。
○国務大臣(加藤常太郎君) 私のまあ信念というものを申し上げますが、大体いろいろ役所の仕事は法案さえ通せば責任がのがれるというような気は私には毛頭ありません。そういう意味で衆議院でも、速記録をとっていただけばわかりますが、やはり法案に並行いたしまして、行政面で相当強力な指導をしなくちゃ法案そのものも円満な、円滑な運用はできないと、こういうようなかたい決意を持ちまして、この法案の提案をいたしました初頭から、この点を特に実際家として、これを強力に私の信念で主張いたしまして、先般もこの委員会で港運協会の責任者の確約書、労働省並びに運輸省の事務当局の責任者の念書、それに労働省並びにやはり協会のほうは運輸大臣の関係もありますので、運輸大臣と労働省の大臣がこれに裏書きをしたと、こういうのはかつて見ざる、委員会の審議にもあまり例のないことでありまして、ただ、この法案を通せば労働省はそれで事足りるというような気持ちは毛頭ありませんので、やはり大臣としてただ法案を通すための、その場のていさい上これを出したというような意思はもう初めからありません。最初衆議院のこの法案が出たときにも、現状が、いまの港湾労働法が完全にいけば、これはいっておるのならば、この法案を通す必要ないのでありますけれども、この港湾労働法を通しましても、その後の不就労の問題、やみ雇用の問題、いろいろな関係がこれは、私は役所も悪いし、労使間も悪いし、特に、事業主がその認識を欠いておる。これを是正するために、この法案が審議会から提案されたのでありますが、この内容を見まして、この裏づけは何といったって、労働省だけでなく運輸省も重大な決意を持ってこれに対処しなくてはならぬと、これを私が法案を出したほうから、その当人がそういうような発言をいたしております点から考えまして、やはり三.二二協定の問題もこれはぜひとも並行して、必ずこれが完全な妥結を見なくちゃならぬと、労働省のほうは法案を通せばいいと、また組合側のほうはこの法案通す前にいろいろな問題を全部解決すると、こう言うたのでは、なかなかこれは、最初この委員会で発言があったときにも、やはりなかなかその場に立って無理が出てきてかえって妥結は見ないと、しかし法案が通りましても通ったあとはどうでもいいというような意思は毛頭ありません。この内容を見ましても相当これに対する労使間、特に事業主に対しましては、協会に対しましてもがんじがらめの行政的な措置ができるような関係に法文も明記されております。ただ労使間の交渉の中に入って命令的なことは言えませんけれども、やはり行政的ないろいろな内容を十分に活用した場合には、これは運輸省と労働省は一体化した場合には三・二二協定の問題も私は不日解決することは間違いないという確信を持っておりますので、まあこれは、かようなことを申すのは、私はほんとうは差し控えなくちゃならぬのでありますけれども、この法案を通したあとの行政的手法を並行してやった場合と、法案が通らない場合と、こういう点を考えますとこれは法案通して、それに対して強力な行政指導をやったほうが現下の港湾行政についてもよりベターであると、こういうような絶対的な確信を持っておりますので、この法案を御審議を願ったゆえんでありますので、この点はいま、矢山さんなり須原さんからいろいろ御質問がありましたが、疑義もありましたが、この席上でも私なり、運輸大臣が確認を言明いたしておりますので、要は両最高の責任者にひとついろいろなことを御信用していただいて、この法案の審議について、御慎重な御審議をいただくことをお願いする次第であります。
○矢山有作君 最後に誤解があってはいけませんからもう一つだけ申し上げておきますが、私はこの法案の審議に関連をして、組合側がいろいろなすべての要求を通そうというような、そういう態度に出ておるのではないと思うのです。私の認識しておるのは、政府側が言われておるように、この法律が生まれたときに、効果的にこれが運用されていくためには、その前提として労使間の正常化がなければならぬと、このことは政府みずからが言っておられることでありますから、したがって、その正常化をまず達成しなければならぬ、そうして、その正常化が今後も守られるような保証がなければこの法律が生まれてくる意味がないから、そこで一たん賃上げの交渉に入ったら、賃上げなどというのは応じられるかよと、もうそんなら団体交渉もやらぬ、いままで締結した三・二二の協定はじめ一切の協定破棄だと、そんなでたらめな、一方的な業者であるだけに、正常化の問題が気にかかるわけです。したがって、そこのところを組合側が問題にしているわけで、とにかく労使間の正常化がなければ、まずこの法律の基礎がくずれるのだ、したがって、それが焦点になっておるのですから、この法律の審議にかこつけて、組合側はすべての要求を達成しょうというようなそんな考え方ではない。この点は、大臣に十分認識をしていただいて、そして問題は十三日の双方の団体交渉でなければ一切の見通しは立たぬというような、基本的な条件にあるということをお考えになるなら、いたずらに法案の成立だけをあせられることではないと、いま大切なことは、なるほど提案された法律でありますから、政府はそれを成立させたいでしょうが、同時に成立した法律の運用の成果を期していくためには、どうしてもその前提条件をそろえることに政府としては全力をあげなければならぬのだと、このことを私は強調しているわけでありますから、その点誤解のないように願います。
○国務大臣(加藤常太郎君) 矢山さんの御指摘の点もよくわかりますが、やはり国会の会期もありますし、その点も、ただ、この法案を通すためにいろいろなことを私は約束したという気持ちは毛頭ありません。やはりいろいろな交渉の場合にも、多少の日時は要することはもういたし方ないのでありまして、会長を呼んで私が直接聴取した場合にも、私はただ役所、役人気持ちでなく、君ができないのであればもうできないと言ってくれと、こう言ってよく高嶋君とも折衝いたしましたが、決してこの法案と関係してでなく、労働省のおっしゃることも聞きますと、その以外の問題についても私言明いたしておりませんが、この法案が通ったときの、あとのいろいろな従来の手配師のやり方とか、職員のやり方では納得せぬと、これも私と御本人と秘密にこの法案が通った場合には、ただ、いままでの役所のやり方では私は納得せぬと、今後のいろいろな運営についても相当君たちが考える以上な、強力な行政指導をする所存であるから、それは覚悟してくれと、こういうことを、いろいろな点も私はただ大臣とか、役所とかいう以外に、多少従来の経験からいたしましても、いろいろなまあ微妙な心理も把握いたしておりますので、この点は、私は確信を持っておるのでありますが、ただ、でき得べくんば昨日の交渉で私はやってもらいたかったんでありますが、やはり会長といたしましても傘下の事業主全体の了解を得るという関係で、なかなか昨日最終的なむね上げができなかったことは遺憾に思いますが、ただ、役所の課長なり局長はやはりこの法案を通したいという気持ちは御指摘のとおりであります。私は必ずしもこの法案が世上いうような対決法案でもありませんし、これが通る通らぬが私のいろいろな問題には関係ありません。ただ、やはり港湾の行政をいまよりはよくしたいと、それにはこの法案を通して、それに強力な行政指導をやるし、新谷運輸大臣ともよく話したんでありますが、いままでのこれは港運協会の監督もこれはいいか悪いかという点ももう少しこれは考えてもらいたいとこう言ってよく懇談いたしておりますので、これは日にちが、相当国会の会期もあれば、これはあなたの言うとおりでいくんでありますけれども、十三日、四日、五日ということになってくると、通らぬということを仮定すると通るほうがいいと、こういう意味からいまうまくいっておるんであったらもうあなたの言うとおりで私はけっこうでありますけれども、やはりよくするためにはこの法案を通して、それにいままでと違った強力な行政指導を、これを並行して行なうと、ただ日本の行政関係のほうは法律通ったらあとはまあというようなことがなきにしもあらずでありますが、私はさような気持ちがなく、これに対する行政的な考え方は先般もここでああいうような経過をたどったんでありますが、私は自信を持って皆さんにお約束いたしたのでありまして、どうかこの点は課長、局長の答弁ではもの足らぬと思いますが、ひとつ加藤大臣を御信用くださって御審議くださらんことをお願いいたします。
○須原昭二君 関連。いま矢山委員から、何といっても労使の正常化が前提条件である、この法案を審議をしていく、成立させるさせない、この問題点の前提は何といっても労使の正常化が前提であると、こういう立場で非常に強調されましたが、要は、十三日のこの団交再開の問題について、いま局長からお話がございましたが、念書まで入れた異例な措置をとったこの問題で、少なくとも私は言いたいことは永場さんが——特別雇用対策課長、あなたに能力があるとかないとかは言いません。そういうことを言っているわけではございませんが、道正さんみずからが念書に捺印をして記名をされたのですから、少なくとも局長自身が当事者に会って、そして確認をされることは当然の私は義務だと思います。したがって、第三者をまた通じてそのお話を聞きますと、ことばというのは大体飛躍していくもんですよ。ですから、私たちが聞いておりまする全港湾と、したがって日港協——日港協のお話は聞きませんけれども、全国港湾からのお話を聞いていますとニュアンスがたいへん違っているわけであります。特に問題点は十二日に、十三日の団交を再開する前提として十二日に理事会を開いた上で確認をするというその前提条件がさらにあるわけでありますから、その十二日ですら関門の業者はこの団交に入らないといまなお言っておるのですから、六大港の中で二港入っておらないのですから、そういう前提に立ちますと、この十二日の理事会の動向いかんによってわれわれはこの審議というものは非常に重大な段階になるということを前もってここで強調しておかなければならないと思います。したがって、信頼をせよ信頼をせよといま大臣はおっしゃいますけれども、どうも私たちはその信頼をするわけにはまいりません。しかし、時間を空転をすることは、われわれは審議拒否をするわけでございませんから、審議は進めていきます。しかし、十二日のこの時点というものについては非常に重大な私たちは関心を持っておるということをここに強調しておきまして審議を継続してまいりたいと、かように思っております。
○田中寿美子君 私も関連して念のためですね、いま大臣はたいへん率直に、こういう法案大して対決法案でもないので、まあ、ほんとうは港湾労働者の立場から問題は考えるべきだというようなニュアンスのことばをおっしゃったと思いますが、今度の港湾労働法の改正案の一番の目玉というのは、その共同雇用体制のことでしょう。その共同雇用体制の主体になる港運業者の団体ですね。それが日港協ですね。そうして、その業者の団体がばらばらと言ってはあれですけれども、たとえば名古屋港も門司港もそういう状況にある。それから特に船内荷役業者においては必ずしも協調的ではないという、こういう状況にあって、これがはたして共同雇用体制をつくれるかというもう一番の大前提のところでまだ問題があるわけですね。ですから、むしろ現在の現行法で、公共職業安定所があそこで指導をしているわけですから、むしろね、労働行政の強力な指導というのは現行法ならできるわけなんですね。そういう点からいって、非常にこの法案を提出してきた大前提が全く心もとない状況にある。さっき永場さんも今後に問題が残るというふうに言われた。今後に問題が一ぱい残っているものに共同雇用体制をつくらせるということを目玉にした改正法案を出すということ自体がたいへんこれは問題だと思う。 それから労働大臣ね、その港運業者というのは当事者能力があるのかどうか。まあ背後に船主、荷主がいるけれども、そういう人たちの意向も反映して動いているのか。あるいはそこまでもいかないで、さっきのようにばらばらで、団体交渉の相手にもなる資格は十分ないのかどうか、その辺をどう考えていらっしゃるのか、このことを伺いたいのですね。
○国務大臣(加藤常太郎君) 日港協の傘下の事業主でありますが、まあ労働省といたしましては、日港協に対しましては監督指導の権限がないし、現行法の港湾法でもこれはありません。まあ運輸省のほうが日港協の傘下の事業主に対していろいろ認許可権を持っておりますし、指導がありますが、従来の港湾労働法が七年前にできたときにはこれはうまくいくという前提でいったんでありますけれども、その後の経過を見ますと、やはりこの日港協は運輸省の管轄、労働省は労働者の立場でこれいろいろ指導をすると、これはまあ日本の行政の、まあ国鉄であろうが、電電公社でありましてもそうなっておりますが、やはり労働者の立場と事業をやる方の監督と、運輸省の場合にも国鉄に対しましては労使関係を監督いたしておりますが、労働省は勤労者のためにこれをいろいろこう指導すると、行政指導すると、こういうような、まあいまの行政の立場がそうでありますから、港湾のいろいろな安定、——雇用の安定とかいろいろな福祉の問題をやる場合にも、現行法でどうもこの事業主の自覚が足らぬと、これを今回の改正では相当われわれの力もそれに力がいたせると、こういうような骨子になっておりますので、従来以上にいろいろな問題に対しましても事業主の自覚を促せるような方向に持っていく所存であります。
○田中寿美子君 労使関係についても、労働省は監督の義務があるのですよ。だからもしこの前の中央団体交渉ですね、正当に結ばれたものであるとすれば、一方的に使用者側が破棄したら、これはほんとうは不当労働行為ですね。そういうことは労働省も監督の義務があるはずですね。それで、今度の改正案の中身になったら、あとで私、議論しますけれども、今度のほうがなお監督がうまくいくなんていうようなものじゃない、手を抜くようになる。
○政府委員(道正邦彦君) 現行法のシステムは、田中先生御承知のとおりでございます。で、そのシステムではうまくいかない、どうやって改善するかということで、約一年かけまして港湾調整審議会の場で検討をしていただいたわけでございます。その場には労使もお入りになっております。また、船社、荷主も入っておられます。学識経験者も入っておられます。で、いろいろの議論のやりとりございましたけれども、結論としてまとまりましたのが、昨年十一月十七日の港調審の建議でございます。その建議の中には、今回御提案申し上げております内容が盛られておるわけでございまして、私どもは法律技術の許す限りこれを忠実に法文化したわけでございますので、詳細は後ほどまた御質疑にお答えする形で申し上げますけれども、こういう法案がいいんだという点につきましては、労使を含め満場一致できまったものでございます。
○杉山善太郎君 委員長、ちょっと速記をとめてくれませんか。
○委員長(大橋和孝君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大橋和孝君) 速記を起こして。
○杉山善太郎君 前回に引き続き、審議に入らしていただくことにいたします。審議拒否でなくて、大臣御心配なく、審議協力でありますので。 申すまでもないことでありますが、すでにジュネーブにおいても、言うならば、港湾労働の近代化の条約が採択されておりますので、それが批准されておるとかされていないとかということはこれは度外視いたしまして、かてて加えて、三日の日でしたか、労働大臣は、かなり質的な内容を持った労働白書もすでに天下に発表されておられると、そういうような状況下でありまするので、いわゆる港湾労働の近代化というものは、わが国が批准をしておるとか、あるいは批准してないかということは別の問題として、これはもはや時勢である、時の動きであるというように把握をしていただいて、もうこの辺で、わが国においても、やはりこの労働基準法に定める八時間労働で、外国にも例のない深夜業もしないという世間一般の常識的な労働を六大港でやることになったとしたならば、港湾労働者はいままでよりもどのくらいふやさなければならないか。この点は大事な点でありまするので、これは先回お聞きしたわけでありますが、きょうはひとつ運輸省と労働省から、推計、推定で、ひとつこの程度ふえていくんじゃないかと。もちろん港湾労働の波動性ということは私も私なりに心得ておりまするが、そういう点で、ひとつ運輸省のほう、先回参事官もお見えになりましたが、きょうは岡田港政課長も来ておられるようでありますが、どちらが先かはあれでありまするけれども、推計というかっこうで一応お答えいただきたいというふうに考えておるわけなんです。
○説明員(永場久治君) 先生の設定なさいました条件が八時間労働でということでございますので、それを前提にして推計いたしますと、現在、港湾労働者の労働時間調査につきましては、屋外労働者職種別賃金調査——私ども略して屋外賃金と言っておりますが、これは八月の調査でございます。これによりますと、船内、沿岸、はしけと、こういった港湾の荷役作業員の平均の労働時間が九・二時間になっております。したがいまして、これを平均的に八時間という線で出しますと一一・五%の増になるわけでございます。ただ、八月の月と申しますのは、六大港について見ますと、ことに横浜港、神戸港を基準に考えますと、各月の荷役量の平均をちょっと上回っているわけでございます。したがいまして、それを勘案いたしまして労働力の需要増に還元いたしますと、おおよそ八%ぐらいの増になる、こういうふうに私ども見ているわけでございます。したがいまして、実働八時間を前提にしますと八%、こういうふうに私ども見ているわけでございます。 以上でございます。
○説明員(高橋全吉君) 私ども運輸省といたしましては、労働省からただいま御説明ありましたようなデータをいただいております。平均九・二時間というデータもいただいておりますが、いま永場課長の御説明のように八時間という前提ならば一一%を上回るような数字になるかと思いますが、この前、先生のお話ありました、港湾局の岡田港政課長が五〇%ぐらいふえるだろうというようなことをどこかでお話ししたということでございますが、ILOの会議から帰りましたので、私、ここに本人がおりますが、聞きましたら、彼はそういう記憶はない、こういうことでございます。
○杉山善太郎君 それは、もちろん、これは推計であるから、確定的なことは求めるほうも無理であるし、答えられるほうでも確定的には答えられないということがあろうかと思いまするけれども、それなら——岡田港政課長お見えになりますね。——それを言ったとか言わぬという論議をふっかけるわけじゃありませんが、ニュアンスとして、あなたが全港湾の労働組合の中で、お行きになったときに、つれづれの話の中で、これは四十七年の七月の一日でありますが、そこで組合三役にお会いになったことがあると思いまするが、そういうつれづれの中で、港湾運送事業法や今後の港湾のあり方等の問題等も含めて懇談をされたのか、あるいは運送事業法の問題等々についてレクチュアに行かれたのかは別といたしまして、そういうニュアンスの、大体、港湾労働の近代化等も考慮に入れて、何か、そういうような数字めいたことをおっしゃった記憶とか、そういう事実は絶対にありませんか。
○説明員(岡田専治君) 港政課長の岡田でございます。 ただいま先生の御指摘の点でございますが、私も、公務員といたしまして、あらゆる会合には積極的に出るように心がけております。昨年の七月でございますとほぼ一年前でございますが、その際に、そういう四割とか五割とかいう具体的な数字を言ったかどうか、きわめて記憶は確かではございません。ただ、私がいま考えておりますことは、この港湾労働者の必要数でございますけれども、過去の統計を見ますと、港湾労働者の生産性というものは年々向上しております。また、したがいまして、そういうような生産性の向上でありますかと、それから当然日本経済の発展に伴います貨物の取り扱い量の伸び、このようなものを相互に考慮いたしますと、——まあ、これは予想でございますので、非常にいろんな条件はありますけれども、ほぼその生産性の向上と貨物量の伸びがまあまあマッチしておる、そして、現実に過去の統計が示しますように港湾労働者の数というものはほとんど横ばいでございます。一方取り扱い貨物量というものは年々いろいろ波はありますけれども、全体として増加傾向線を一途にたどっておるわけでございます。そういうようなことから考えまして、先ほど永場課長のほうからお話がございましたけれども、今回の新しい労働条件の改定、特に労働時間の短縮ということに伴う必要数はこれはまあいわばエキストラの要因として入ってきておるわけでありますけれども、この辺の考え方につきましては、ただいま労働省さんのほうから御説明がありましたのと全く同じ考え方を持っておりますことをこの機会に申し上げさしていただきたいと思います。
○杉山善太郎君 この点でことばのあやややりとりや、そういうことをどうこう追及することは差し控えますが、まあ言うならば、技術革新の荷役のウエートは今後増大するとしても、取り扱い貨物量全体の増加の中では在来型荷役の対象物量は急減するとは考えられないが、港湾労働者の労働時間は今後社会的に平均水準に至るまで漸進的に短縮されなければならないことを考える、在来型荷役に従事する労働者数はむしろ増加すると想定されるというようなニュアンスの中で、これは運輸政策審議会の物流部会で港湾運送特別委員会専門委員会でレクチュアのような機会であろうと思いまするけれども、私もそれをそれなりに見てあなたは相当に勉強しておられるなと、そういうかっこうでまあ私なりに評価しておるわけでありますが、しかし、五割と言ったとか言わないとかいう、推定では言ったと言わないとかいうことをせんさくしたり、ことばじりをとるという考え方は毛頭もありませんが、これはもちろん港湾という状態に置かれておる位置づけからいって労働省であれ、運輸省であれ、大体平均値が推計の上では一致をして、やはりこれは処理されるべき、また方向づけが位置づけられなきゃならない、こういうふうに判断をしておるわけでありますが、職安局長、この辺についてどういうふうにお考えですか。
○政府委員(道正邦彦君) 今後の港湾労働者の数がどういうふうになるかという点は、先生御指摘のように労働条件の改善によっても大きく影響を受けまするし、また港湾労働を取り巻く機械化、近代化、省力化の進展ぐあいにもよるわけでございますので、今後の見通しをいまここで断定的に申し上げることは非常にむずかしいと思います。ただ、港湾労働の定数というのは毎年審議会の意見を聞いてきめることになっております。そういう場におきましては、私どもは労働条件の改善というものを十分大きなファクターとして検討すべきものというふうに考えております。
○杉山善太郎君 労働条件が改善をされて、基準は労働時間ということが非常に大きなファクターを持つと思いますが、私の記憶では、職安局長は先回およそ一割ぐらいだと、いま八%ぐらいだと、だんだんとどうもしりつぼみになるのでこれははなはだ遺憾でありますが、しかし協力するという意味で先へ進めます。私、不本意でありまするけれども、あまり多く時間をいただけないだろうと思いまして大体手ぎわよく書いてきておるわけでありまするから、質問の中身へ漸次入っていこうと思います。 港湾労働者の定数を定める場合ですね、労働時間の押え方をどのようにしてきたか、当然基準法の八時間労働が基本になされてきたと考えているがどうなのか、この点はひとつ具体的に説明をしてほしいと思うのです。
○説明員(永場久治君) 港湾雇用調整計画の中におきまして定数をきめているわけでございます。定数を定めるにあたりまして、労働時間をどのように解決していくかという点でございますが、四十七年度の定数は策定に当たりましては、労働時間というのが非常に一挙に大きく動かない、こういう前提で、労働時間につきましては横ばいということで数を策定してございます。それから四十八年度の定数におきましては、これは四十七年度の横ばいという考え方で四十八年度の定数を定めたわけでございます。なぜ四十八年度につきまして、四十七年度の定数を横ばいにしたか、こう申しますと、当時策定の際に検討いたしましたのが本年の三月でございます。港湾調整審議会の審議におきましてこれが検討されたわけでございます。その際、四十七年度の定数を常用、日雇いども一割強を下回っておったわけでございます。日雇いにつきましては当時一四%くらい下回っておりました。それから常用につきましては一〇%くらい下回っておりました。そういった定数としてあきがある、これが一つございます。それから一方労使間におきまして、労働時間短縮の交渉が進められておったわけでございます。そこで定数のあきがある、そういう前提で、しかも登録日雇いにつきましてはかなり就労日数も悪い、こういう事情があったわけでございます。先ほど申しましたように、労働時間の交渉も進められる、こういう前提で、労働時間問題が解決されても、こういった定数で処理できるのではなかろうか。一方におきまして経済の見通しというのが一つ出てくるわけであります。経済の成長が非常に高まりますと、港湾の荷役量もまた多くなる、こういうこともございましたけれども、当時の、四十八年度の経済見通しと申しますのが実質成長率におきまして、四十七年度と大差ない、こういうふうな状況でございまして、そういった諸要素を勘案いたしまして、四十八年度の定数は四十七年度と同数、こういうことにしたわけでございます。したがいまして、両年度とも労働時間は一応おいた形になっておりますけれども、四十七年度におきましては、そういった労働時間短縮の交渉というものを横目で見ながら、そういう相互勘案をいたしまして同数ということにいたした、こういうことにしたわけでございます。
○杉山善太郎君 現行法第四条に、港湾労働者にかかわる適正な労働時間就労日数などのもろもろの条件を省令で定める業務の種類ごとに考慮して常用、日雇いの数を定めるとなっているが、この場合政府当局の立場として基準法を守らせるという立場があるんじゃありませんか。したがいまして、当然最低基準の八時間労働を基礎として定数の策定をしなければならない。また実際上、仕事上も八時間労働をさせるという指導を強力に推進しなければならない責任が当局にある、このように考えますが、どのように指導しておられますか。特に日雇いの場合でありますが、労働保護の面から当然なことだが、基準法の精神を生かしてこられたかどうか。もし、基準法どおり港湾労働者が働けば、港湾はまだまだ労働者が必要だ。特に日雇い労働者が基準法どおり働けばもっと必要になると思うのです。ところで日雇い労働者が基準法どおり働くことになると、労働条件がよくなって、常用よりも日雇いになるほうがよいということにも通ずるのではないかと思います。そのため同じ第四条では、「日雇い労働者の数を定めるに当っては、常用港湾労働者の雇用の促進が妨げられることとならないようにするための配慮を加える」という条文がつけ加えられておるわけであります。これはたいへん法体系としては珍しい条文だというふうに私も読んでおるのでありまするが、これは実際はどういうふうに読むのか。この条文は常用労働者が基本法で基本どおり働かされていないということを認めた条文であると思えるのですが、言うならば基準法以下で働くという常用労働者以下の状態に登録労働者をワク組みの中にはめ込んでしまうというようなふうにも、そういう側面があるのではないかというふうにもうかがえるわけであります。したがいまして、現行法の目的の中には、港湾労働者の雇用安定と福祉の向上をうたっているが、この条文と現行法第四条とは矛盾しておるというようなふうに実は思えるふしがあると思うのでありますが、それは私の錯覚であるか、そういうことは全然ないんだというような、そういうふうに判断されるのか。ともかくもこの第四条は私も実は、この港湾労働法の一部改正する法律案の関係資料の中でいろいろと書いてありますけれども、第四条がありませんので、まことに虫めがねをかけて小さい港湾六法を読んで初めて第四条というものはなるほどこういうことかというふうに考えたわけですが、これは雇用対策課長からでけっこうですが……。
○説明員(永場久治君) 先生御指摘のとおり、港湾労働法の目的と申しますのは必要労働力の確保、それから港湾労働者の雇用の安定、福祉の増進、ここに大目的があるわけでございます。これはもちろんでございます。ただ、四条で書いてございます労働時間、その他いろいろな、もろもろの要素を考慮して定数を策定すべきだ、こう書いてございますのは、やはり定数を大きく定めますと求人がそれに見合っておりませんと、非常狂に就労日数が下回ってくる、こういう問題が実はあるわけでございます。したがいまして労働時間につきましては「適正な労働時間、」こう言っているわけでございますけれども、もちろんこれは労働基準法に基づきまして労働時間延長等を行ないます場合には三六協定によりまして、そういった適正な措置をとらなければならないことはもちろんでございますけれども、そういった現実の労働時間、こういったものを踏まえながら定数を策定いたしませんと、その辺をあまりに理想に走る、こういうことになりますと、非常に定数が多くなって、したがいまして求人に対します労働者の数が多く、そしてあぶれが多くなる、こういう問題が出てくるわけでございます。したがいまして基準法のものの考え方、保護法の立場というものは当然前提にしておるわけでございますが、定数の策定にあたりましては、そういった労働時間の動き、こういうものを考慮して定めている、こういうことでございます。なお、労働時間の問題につきましては、港湾におきましては非常に深夜業が多い、あるいは半夜業が多い、こういったような長時間労働の問題がございますので、昨年の十一月の十七日に労働大臣あてに出されましに建議におきましても、長時間労働の解消、こういったものにつきまして関係者は努力せなければならないというふうな建議が出ているわけでございます。そういったような建議を踏まえまして、労使間におきましても先般来本委員会でも御議論がございます時間短縮の協定、こういったようなことになったんだと、こういうふうに理解しているわけでございます。したがいまして、私どもは定数の策定問題という問題を切り離しましても、労働時間の短縮問題というものは港湾におきましては非常にこの面の改善が必要である、こういうふうに考えている次第でございます。
○杉山善太郎君 先へ進むことにいたしますが、もちろん労働基準法の時間というものと港湾労働者の雇用の安定とか福祉の向上というものは密接不可分な関係であるということは十分御認識の上で言っておられるというふうにそれなりに理解をして次に進むことにいたします。 基準法以下で常用、日雇いを使うという労働力確保が現実に失敗しておるというよい例があるわけであります。これは職業安定局参事官室から出ている「目でみる港湾労働——問題点とその対策」というものの中の五ページでありますけれども、私はこれを拝見したわけでありますが、言うならば、基準法以下で常用の日雇いを使うという、労働力確保が現実に失敗しておるという一つの例がこの中に出ているんじゃないかと思います。政府資料というのは、私はこれを指しているわけでありますが、離職常用労働者の在職期間の調査表だと思いますが、これによれば、六大港の常用労働者で六カ月未満でやめる者が全離職者の四三%もある。一年未満でやめる者は六三%にも達しておる。この調査は一体何年度のものか、何カ年間の平均であるか。当局は港湾労働法ができたおかげで常用化が進んだと言っておるが、中身は出たり入ったりではないかというふうに、どう説明しようが、言うならば、出たり入ったりでは数の上ではつじつま合わせばできると思いまするけれども、港湾に優秀な労働者は確保されていないというのが現実じゃないかと思うのです。当局はこの失敗に責任を持とうとはせずに、今回六カ月未満の労働者を日雇いに直そうとしておる、常用化ではなく、基準法以下の日雇いを定着をさせようとしておる、そういうふうに思われる節があるわけであります。 港の労働者やあるいは労働者の自主的な組織である労働組合が、従来港湾は常用三、日雇い七と言ってきたのでありますが、ところが港湾労働法施行後はわずか二年で八〇%が常用になった、そういうような状態にあるわけであります。この常用は「新常用」と呼ばれておるわけでありますが、現在は「現金常用」ということばが港では通用しておるわけであります。いわゆる擬装常用がこの部類に属するのではないかというふうに考えるわけでありますが、この表についていま私が申し上げた点についてひとつ御説明いただきたいと思います。
○説明員(永場久治君) この表は左の欄にございますのが一年間に港湾運送事業から離職いたします者の数が斜線のついた棒グラフで出ております。これは一年間に四六年度で四四%の離職があるというふうになっております。一方、全産業で見ますと二一・五%、こういうことになっております。したがいまして港湾は全産業の平均から比べますと二倍ちょっと上回っておる、こういう離職の状態になっておるわけでございます。この四四・二%の離職者が雇用期間が何カ月ぐらいでやめていっている者がいるのかというのが右の欄の棒グラフでございます。したがいまして、六カ月未満の者が四三%でございますので、これは全体の離職者四四%のうちの四三%、おおよそ二割弱、こういった者が六カ月未満、こういうことになろうかと思います。それで、先生御指摘のように一年以内の雇用期間でやめます者が全体の離職者のうちの六三%ぐらい占めている、こういうことになるわけでございます。ただ、先ほどの左の表にございます四四%、この数字につきましては私ども四十六年度以来、季節雇用の中止、使用の中止と、こういったような行政指導を業界側に強くやりまして、この数字が四十七年度では三〇%、四四・二%という離職率が三〇%と、こういうふうに非常に大きく減少してきているわけでございます。したがいまして、これは業界もやはり季節雇用というふうな好ましくない雇用の形というものを是正して、登録労働者の雇用期間の確保と、こういう面に努力したあらわれであると、こういうふうに見ているわけでございます。こういった問題につきまして単に指導のみでやっていくということにつきましては、かなりの限界があるわけでございます。したがいまして、今回の改正案におきましては、登録日雇いを含めまして日雇い労働者の範囲を二カ月から六カ月に広げる、そしてさらに六カ月未満の短期におきまして離職する者につきまして納付金の事業主負担の対象にすると、こういうふうな措置もとっておるわけでございますので、今回の改正案によりますと、こういった短期間にやめていく者、こういう者が非常に少なくなるのではなかろうかと思っております。ただ、先生御指摘の擬装常用と申しますか、「新常用」というおことばでお述べになりましたのですが、そういった人たちがどの程度いるか、この点につきましては、全産業でも年間に二一・五%実際には移動があるわけでございます。したがいまして、この差が即そういうものであるということにはなかなかならないのじゃないかと思いますけれども、たとえば建設業におきまして一年間の離職率というものは三五、六%から八%ぐらいになっているわけでございます。まあ屋外産業に共通したような傾向が見られるわけでございます。したがいまして、この差が即にはならないと思いますけれども、やはりまあ納付金制度、こういったような制度がございます港湾労働につきましては、先生御指摘のようなものがないということは断言できない、私どもはあると、こういうふうな考え方で港湾調整審議会でも申し上げ、そして、先ほど申し上げましたような制度改正を内容とします建議をいただいたような次第でございます。
○杉山善太郎君 まあ、率直にそれなりにそういう擬装常用なるものが、たとえば「現金常用」といっても、これは「新常用」といっても五十歩百歩でありますが、通念上、そういうものが港に白昼公然として横行しておるわけでありますが、一例を申し上げておきますが、ここに古い例ではありますけれども、東京港の新常用に対する雇用契約書の写しを私は持っているわけです。まあ、念のためにこれは大臣も耳にしておいていただけばいいわけでありますけれども、なかなか手が込んでいるわけです。 雇用契約書 富士港運株式会社は、高橋章を昭和四十一年 七月九日より昭和四十二年七月八日迄の満一ヶ 年間嘱託労務者として採用する 給与条件は、昭和四十一年六月三十日現在の 賃金とし、退職金は支給しない。 昭和四十一年七月九日 富士港運株式会社取締役港運部長 新道信儀マル印 右に異存ありません 高橋 章マル印ということで、置名捺印がしてはあるわけでありますが、このような例は数え切れないほどあるのが通念なんです。おまけに新常用の健康保険の証書を本人に渡さず、足どめ用として会社が一括保管しているという悪質な例もあるわけであります。で、会社で一括保管しているという悪質例があるばかりではなくて、頭数さえそろえばよいという職安や当局の怠慢行政に上乗りをしておる、そういう一つの悪い面が露出しておるのではないかというような面もこれはうかがい知ることができると思うのであります。まあすべからく、この擬装常用ややみ雇用、あるいは出かせぎ労働者を使って、ざる法といわれる現行法をさらにざる法にしているのが業者だと思います。登録労働者が雇われず、今日労働力の確保ができず、不就労が増大した真の理由がここにあるのじゃないかと思うのでありますが、この辺のところは当局はどういうふうに受けとめておられるわけでありますか。
○説明員(永場久治君) 先ほども申し上げましたとおり、まあ擬装常用と、こういったものが存在するという点につきましては、私どももそのように認めておるわけでございます。でそれは、現在の雇用調整手当の事業主負担でございます納付金と申しますのが、日雇い労働者を一日雇います際に六百六十円という非常に高額の納付金になっておると、こういったことから必然的にこういったことが伴って出てくると、こういうふうに思っているわけでございます。私ども、そういった擬装常用、これは法律違反の雇用形態でございます。立ち入り検査をやっておりまして、これは各企業ぐるぐる回りながらやっておるわけでございますが、ほんとうにその常用の形をとっていない労働者につきましては、たとえば賃金の支払い形態、あるいは常用というふうな名称にはなっておりましても、他の一般の常用労働者に比べまして、給与規定あるいは就業規則の取り扱い、そういったものが違っていはすまいか、あるいは各種の社会保険に入っていないのではないか、こういったようなもろもろの点を検査いたしまして、総合的にこれは擬装常用であると、こういうふうな判定をいたしまして、そうしてそういったことの是正を求めていると、こういうふうな立ち入り検査業務を実際にやっているわけでございます。したがいまして、そういう検査の中におきまして、徐々に是正されておるわけでございますけれども、しかしながら、こういった擬装常用的なものがなお残っていると、この点につきましては、私どももその点は認めておるわけでございます。先ほど申し上げましたとおり、港湾調整審議会の御建議に基づきまして、今回の法案におきまして、制度的にそういった面につきまして解決をみたいということで、日雇いの範囲の拡大あるいは短期離職者に対します納付金の賦課、事業主に対します納付金の賦課、こういったような措置も講じている次第でございます。
○杉山善太郎君 港に必要な労働力はただ頭数をそろえればいいというものじゃないでしょう。したがいまして、優秀な労働力をあるいは労働者を港に定着させねばならないのが法の精神であるし、たてまえでなければならぬと思うのですよ。しかし、現実には常用港湾労働者ですら離職率が一般の産業に比べてみて高い。どんな配慮をすれば港湾労働者として港に働きに来るか。職を求めて港に来た労働者が飯場の中に縛りつけられたり、あくどい足どめ策を唯一のやはり方法と考えているのか。そういうことがあってはならないと思うのであります。したがって、業者の対策は、現在一体どうなっておるのか。当局はどんな指導をしておるのか。いまのことばじりをとらえるわけではありませんけれども、やはり立ち入り検査もしておるというふうに言っておるの外、それは法の精神や基準法その他港湾労働者の福祉増強というものを踏んまえた上で、あたたかい、まあ精神のこもった立ち入り検査をきびしくやっておられるかどうかということを、ただおざなりに通り一ぺんで立ち入り検査をやっておるのだという、たるんだやり方であるかどうか。 また、港湾労働者の供給源としての日雇いの登録制度はどんな機能を今日まで果たしてきたのか。たとえば、未経験者が日雇いとして登録を受ける、そうして訓練を受けながら一人前の労働者として育ち、日雇いから常用へというコースが当然考えられるわけでありますが、この法ができてから七年間という月日が流れているわけであります。世の中のことばにも三年たてば云々がありますけれども、七年間がたっておるわけでありまするが、あまりに実は無為無策ではなかったかと思うのであります。あとで一例を申し上げますが、この間の事情をひとつお聞きいたしたいと思いますが、これは時間がかかるわけでありますけれども、この辺のことについて、まあ当局側の事情を、——職安局長もたまには答えてください。
○政府委員(道正邦彦君) 法施行後、約六千人の方が常用化されております。これは衆参両院の附帯決議にもございましたわけでございますが、七年間の間に六千人の方が常用化されているというのが実績でございます。 前段で、立ち入り検査について労働者保護というあたたかい立場でやっておるかというお尋ねがございましたが、従来とも立ち入り検査の励行につとめておったのでございますが、従来は、検査は都道府県知事の責任でやってもらっていたわけでございますけれども、四十六年七月以降はすべて本省に報告をさせまして、私どものほうでチェックいたしまして、たびたび法律違反を繰り返すもの、あるいは違反としては一回目だけれども、複数の港にまたがって違反をしている事業場、こういうものにつきましては厳重な警告を発し、当該事業場に対して警告するのみならず、事業主団体を通じましても警告をするという措置をとっております。なお悪質なものにつきましては司法処分をするということで臨んでおります。 御指摘のように、私どもといたしましては、法律が法律の立法目的に沿って運用されるように、そのためには脱法的な行為あるいは違法行為、これはあってはならないわけでございますので、従来ともやってまいりましたけれども、法律改正の暁におきましてはさらに一段と立ち入り検査の励行につとめ、悪質なものについては適正な措置をしてまいりたいと思います。
○杉山善太郎君 登録日雇い労働制度を、単に失業者のため池や機械の部分品のように、間に合わせで使ってきたというようなきらいがないではないと私なりに判断をするわけであります。登録制度が供給源としての機能を発揮しない理由となっているのではないかとも思うわけであります。 これに関連して、職安から紹介されても労働者の資質がわからない不安があるから求人をしない、というのが不就労増大の原因であり、法改正の一つの理由ともなっておるというふうに法改正の理由の中にうたっておるわけでありますが、具体的には私、ここに表を持っておるわけでありますが、四十八年の一月における横浜職安の実績を見ると、登録日雇いは七千六百十六名で一般の日雇いが七千八百三十名で登録労働者を上回っておるわけであります。他の月でも大同小異だと思うのであります。一般の日雇いは常識的に登録日雇い労働者よりも資質が落ちるはずであるにもかかわらず、登録日雇いよりも多く使っておる。したがって不就労拡大の原因とは考えられないと、そう思うのであります。要は、登録日雇い労働者を干し上げることばかりが頭にあって、大切な供給源だという認識がこれは業者側にも当局側にも足りないんじゃないかというふうに私は指摘したいわけであります。したがいまして、当局は登録日雇い制度が港湾労働者の供給源だという認識の上に一体立っておるのかどうか。立っておられることを私は期待いたしますし、そう信じておるわけでありますけれども、現象面では、逆な面が出ておる。同時にそのための施策を今後も遂行するという約束ができるか。労働力の確保というのは、就労の確保だけではなく、もっと広義なものを含んだ、たとえば港湾労働の近代化、新しい時流の動きの中の近代港湾としての役割りを果たすにはやっぱり労働者の資質というものが必要じゃないかと思うのでありますが、この辺の見解について伺いたいと思います。この表は、「港湾特報」というものがあるわけでありまして、四十八年三月九日の表でありますが、横浜の例をこれは、六大港というものがみんなうたってあるわけでありますけれども、横浜の例が一つのこれは大体の代表的な数字じゃないかと思うのですが……。
○説明員(永場久治君) 先生のお述べになりましたこの日雇いの就労の状況につきましては、これはおおよそそんな数字になっておるのじゃなかろうかと思います。私どもちょうどいまここに資料がございませんので、たぶんこのような数字ではなかろうかと思っております。横浜につきまして登録日雇い労働者以外の日雇い労働者の就労の割合が高いという点につきましては、横浜の非常に特殊な事情が実はあるわけでございまして、全国的に見ますと、登録日雇い労働者の就労率と申しますのは、これは全体の日雇い労働者の就労の中に占めます割合は七五%ということでございます。したがいまして、登録外は二五%程度と、こういうことになっておるわけでございますが、横浜につきまして五〇%も登録外の労働者が就労している、こういった事情につきましては、実は率直に申し上げまして、これは求人が非常に多く出ますと登録労働者の出頭が悪くなる、それから求人が逆に少なくなりますと出頭が非常に多くなる、こういったような事情が実はあるわけでございます。さらに端的に申しますと、雨天日等におきましては港湾荷役というものはほとんどやられないわけでございます。そういった場合におきまして出頭は、登録労働者の出頭はもう全数に近い出頭になっておる、こういう事情があるわけでございます。そういったその求人が多くなりましたときに出頭は少なくなる、こういったような事態が出ました場合には、求人に対しまして安定所に出ております一般の日雇いの求職者に紹介を行なう。それから、それでなおかつ不足する場合には、直接雇い入れというふうな手段を講ずるわけでございますけれども、今回の法改正におきましては、この直接雇入れ、こういうものを禁止する、こういうふうな措置を講じておるわけでございます。したがいまして、この法改正によりますと、こういった事態というものは大幅に改善を見ると、このように思っておるわけでございます。 それから、港湾労働の近代化の必要性、港湾労働者の資質の向上というものが大事ではないか、この御指摘につきましては、全く同感でございます。昨年の十一月の十七日に御建議いただきました中におきましても、港湾労働者の安定的確保、資質の向上と、こういった面が非常に強くうたわれておるわけでございます。その中におきまして長時間労働の解消、それから労働災害の解消と、こういったことにあわせまして港湾労働者の処遇の改善、こういった面に配慮すべきであるというふうな強い指摘があるわけでございます。私どもといたしましては、こういった建議の趣旨に沿いまして、根本的には労使がみずからこういった事態をつくり出すように努力すべきでございますけれども、側面的にこういった港湾労働を魅力のある職場にしていく、こういったような措置が必要である、このように思っておるわけでございます。 それから資質の向上につきましては、最近におきます港湾における輸送革新の進展、こういうことを考えますと、港湾労働者の技能というものを輸送革新の進展に即応して高めていかなければならない、これは十分そのように痛感している次第でございます。今回の港湾労働協会の業務といたしまして「登録日雇港湾労働者の訓練」と、こういったものにつきましてその業務にすると、こういうふうに改正法案でうたっておりますのもこういった必要性が非常に高まってきたからというふうなことから出しておるわけでございます。
○杉山善太郎君 しかし、現実はあなたたちの意図されることと、それから、あなたたちが努力というものをそれなりに払っておられると思いますけれども、なかなかうまくいっていないのが現状じゃありませんか。具体的に申し上げまして、この問題については現に登録をしておる六大港の労働者たちが、一体肌で、からだでどのように判断をしておるかと、もちろんこれは港湾労働法でありまするから、港湾で働く労働者がともかくも、よりまし論でなくて、あってよかったと、なるほど港湾労働法が制定されて非常にわれわれもその恩恵に浴し、働きがいがあるんだという、心からそういう気持ちになっている者は、口はばったいようでありまするけれども、一人もありませんよ。だから、この日雇い労働者というものはさることながら、やはりこの登録労働者なり、港湾で働く常用労働者なりはそれなりの多くの不平や不満を持っておるわけであります。具体的には法の制定後、登録労働者に対し、当局はやはりそれなりに督励といいますか、指導といいますか、また、いま課長が言ったようにそれなりにやはり努力はしておられるんでありましょう。したがって、就労すれば即雇用の安定だと言わぬばかりの指導もそれなりにしておるわけであります。しかも、今日続いておる劣悪な労働条件、決して港湾労働者はその労働の質と密度というようなものの関係から、労働条件というものも、作業環境というものも非常に悪いし、非近代的な使用者の体質をそのままにしておいて、労働者が喜んで働くわけはないというふうに私は思うわけであります。もちろん港運協会ではそれなりにやはり苦悩しておられるとは私どもも推察はいたしておりますけれども、今日の日雇い労働者は過去の労働者の姿ではなくて、意識的には、はっきりと権利意識に目ざめた労働者であります。その中軸はやっぱり組織労働者でありまするが、ここに法制定当時の全面施行になる四十一年の四月の大阪府労働部と職業安定所の広告ビラがありまして、これはまことに当時の時点としてはこのとおりにいくべきであり、こうあるべきであるというふうに私どもも思っておるわけでありますが、これはことしで港湾労働法が設定されて七年目になりまするけれども、昨年、大阪では、この登録日雇い労働者は、からだでこの港湾労働法の実情等、あり方についてこのようなことを言っているわけであります。これは大体職安局長や課長は御存じだと思いまするけれども、一例でありまするので、各委員にも認識を深めるため、時間をさくおそれがありまするけれども……。これは大阪府労働部の大阪港労働公共職業安定所でありまするけれども、これはそこだけではなくて、おそらく適用対象港である六大港の中でも、「港湾の仕事に働く皆さんへ!!」というかっこうで、たいへんこれはよくできておると思うし、法の精神はここにあると思うんであります。ちょっと読んでみますが、 四月から新たに登録制度になります。これは四十一年の四月のことをいっておるわけでありますが、 皆さん公共職業安定所に登録しましょう!新 しく港湾労働法という法律により、これから は、公共職業安定所に登録した人でなければ 、港湾荷役(船内、沿岸、いかだ、はしけ等 の作業)の日雇仕事に就労することはできな くなります。 港湾の仕事には公共職安定所の紹介で働きまし ょう! 公共職業安定所以外の人が、港湾の仕事に日 雇労働者を紹介することは固く禁止されます 。もし、違反すれば処罰されます。港湾業者 の方も、安定所に登録した日雇港湾労働者を 、安定所の紹介によって雇い入れなければな らないことになります。 公共職業安定所に登録し登録手帳の交付を受け た人は その人に適した港湾の仕事に優先して紹介を 受けることができます!賃金、就労時間、仕 事の内容等、条件のはっきりした職場に就労 することができます!登録した人が、安定所 に出頭しても紹介されず仕事にアブレたとき は一日最高八〇〇円程度の手当が支給されま す。病気か怪我のときは健康保険・労災保険 で治 療がうけられ、港の仕事をやめるときには退 職金がもらえる制度も考えられています!安 い料金で食事、入浴等、港で働く人達だけの 福祉施設が利用できます! このように、港の仕事に安心して働いていただくために、港湾労働法が生れたのです。港で働く人は一人残らず安定所に登録しましょう。 登録にはむつかしい手続きはいりません。 “登録手帳をもって安定所の紹介で安心して働きましょう” と、こういうふうに、私は、この法律をつくった当時、社労の理事という立場と、附帯決議については、やはりこれは法体系としては、これはなかった法律が新しく日の目を見るのであるから、少なくともこれに魂を吹き込むために、しかも御承知のとおり、法体系の中で——公布の日から施行、実施が一年間という余裕期間かあることはあまり例がありませんが、まあ、この港湾の水ぎわ作戦で、暴力団等の、手配師等の介入があって、それなりに港湾の状況を精密に行政ルートでも把握する必要があるのだという点で、そういう予備期間が置かれておりますし、法体系からいっても、これは決して職安がうまいことを言って、羊頭を掲げて狗肉を売るようなビラではなくて、確かに良心的な——ところが、今日経過がたって、これは大阪でありまするけれども、これはほとんど六大港で働く人たちが思っていることだと思いまするが、百聞は一見にしかずという論理で申し上げますが、これは四十七年の九月二十七日に大阪でこういう一つの、日雇い登録労働者の集団でまかれておるビラがあるわけであります。「六年前の大ウソ(だまして登録し)いま政府の企んでいること」という、そういう見出しでありますが、中身はすべて申しませんけれども、代表的に、労働者が心からこの現行法の処置というものに肌で喜んでいないのだと、むしろ苦脳しておるのだという点の例として受けとめていただいてけっこうでありますが、「六年前についたウソ、四一年七月一日に港労法が施行されたが、そのとき大阪府労働部と大阪港職安がまいたチラシにどう書いてあったかその内容、港労法という法律により、これからは、職安に登録した人でなければ港湾の日雇仕事に就労できません。六年たった今でも手帳なしで働けるじゃないか。」と、すなわち手帳がない者は働けないというようなことはうそであったと、「職安以外の人が、港湾の仕事に日雇労働者を紹介することは固く禁止されます。もし違反すれば処罰されます。」と、こういったようなことが次から次へと……、つまり前段の、職安がこの法体系を守って、この登録労働者が、日雇い労働者のまあ、ため池であるとか、あるいは機能を喪失した機械の一部分であるとかいうことでないようなことを祈念、期待して、また附帯決議もそういう意味をやはり五本の柱の中に盛り込んでおるわけでありまするので、こういうものについて、多く申しませんが、論よりも証拠で、港湾労働者が、ほんとうに実は心から登録労働者が喜んでおるかどうかという点についてひとつお答えをいただきたい、こう思うわけであります。まあ、喜んでいるとかいないとかいうことではなくて、現状認識について、法を改正するということについて、一体どういう意図的なこの辺の現実というものをとらえておられるかということを、ひとつ率直に歯にきぬを着せずお答えいただきたいと、こう思うのです。
○政府委員(道正邦彦君) 法施行の際に、先生御指摘のようなビラを職安の職員が関係の労働者の皆さんにお配りしたというのは実事でございます。その内容は、先生も御指摘がございましたように、ほんとうに法の精神を生かして、せっかくできた法律をりっぱに施行していきたいという善意のあらわれ、熱意のあらわれがビラになったわけでございます。その後の経過におきまして、そのビラにありました中で退職金共済のことがございました。これが、まことに申しわけなかったわけでございますけれども、法施行と同時には実施されませんで、四十四年度から同施されたわけでございます。あとは制度的に、まあ説明としてはそのビラは間違いないと思っております。 ただ、実績は、いろいろの原因がございましたけれども、とにかく月の三分の一の不就労、要するに十日を上回る不就労に最近はなっておるわけでございます。特別法をつくりまして政府が介入をして進めてまいりましたにもかかわらず月の三分の一不就労と、これはゆゆしき問題でございまして、放置できないというのが、労働者の皆さんももとよりでございますけれども、関係者の一致した認識でございした。これをしからばどうやって改善するかということで、港湾調整審議会の場で御審議いただきましたその原理が、共同雇用体制を確立すべきであるということにあったわけでございます。 共同雇用体制と申しましてもいろいろ仕組みがございます。これは外国の例を見ましても、西ドイツ、オランダ、ニュージーランド、オーストラリアのように、使用者の団体をもって構成する機関が登録、紹介等を行なう例もございますれば、アメリカのように労使の協約によりまして、労使をもって組織する機関が登録、紹介等を行なうケースもございます。これはそれぞれの国の経済的、社会的あるいは労使関係の現状等からそれぞれ違いが出てくるわけでございます。 しからば、日本の場合にどういうパターンに従うのがいいかということが一番問題になったわけでございますが、アメリカの場合と違いまして、日本の組合の組織率というのはアメリカほど多くございませんので、いまの日本の現状から見るならば、まあ西ドイツパターンにならったような制度がいいだろうということで十一月十七日の建議をいただいたわけでございます。今回、御提案申し上げているのはそういうパターンに従って、審議会の満場一致の御建議に沿った改正案になっておるわけでございます。 いろいろ過去の経過を見ますと、それなりに法律制定の効果をあげてきている面もございますけれども、何と申しましても、不就労が月の三分の一を上回るというような現状を放置できないということで今回改正を企画したわけでございます。私どもといたしましては、改正法成立の暁にはいままでの問題点は大幅に改善されるものと、またそれに向かって行政当局としてもできる限りの努力をしてまいりたいというふうに思います。
○杉山善太郎君 いみじくも職安局長は外国の例を申されましたけれども、そこへまで、業者のあり方にしても労働組合のあり方にしても、あるいは業者である般主協会であるとか、あるいは荷主の集団にしても、かっきりと歯車がかみ合っておれば、これはかてて加えて、すでに「港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約案」というものが、これはやはり国連の一機構としての、しかも重要な役割りを果たす条約案というものが採択されておる今日的なそういう段階、現状でありまするけれども、しかし、私どもが、いまこの御提案になっておる法案を審議する過程の中で一応尽くすべきは尽くし、言うべきは言ってみないとならないから私は執拗に食い下がるという意味ではありまするけれども、いま道正局長や対策課長が言っておられるように、しかし言われておることは、要するに過去七年間の経過に照らして私は言いたいわけであります。労働者の基本的権利の擁護という血の通った配慮が行政面でほんとうに具体的に浸透し、これが施行実施されてきたかどうかというところに、実は六年という日月はそうなまやさしいこれは時代ではないのでありますから、そういう点を私は指摘したいんでありますると同時に、労働者の求めているのは雇用の安定なんですよ。 法は、登録日雇い労働者に他の日雇いに先行して求職紹介を最初に行なうと、いわゆる優先紹介を保証しているのにすぎないのであって、賃金や条件が満たされなければ働かないのは、これは労働者にやはり保障された選択の自由、権利でありますよ。その権利を行使すれば、あぶれ手当はもらえないということになっておるんじゃありませうか。 求人札が御承知のようなかっこうで掲げられておるわけでありまするけれども、これが労働者や労働組合が合意の上のものならば、これは何をか言わんやで話はわかるわけでありますけれども、そうでない場合は、日雇いという身分なら、その日その日の賃金や労働条件というものの選択の自由と権利というものが保障されていなければならぬのですよ。この権利を一体なぜ認めないか。 調整手当にしても、失業保険制度のこれは延長じゃありませんか、実質的には、法体系だとか法理論というものは別に離して。 日雇労働者諸君は、賃金の六〇%を保障せよと言っておるが、現行制度ではあぶれが続けば手当が下がるというような仕組みになっておるんです。先ほどおっしゃいました、雨の日には出頭が増加する。あぶれ手当ほしさに出頭するのがけしからぬというのならば、そういうことをしなければならないようにだれがさせているのだと言いたいのが労働者の言い分だと思うんですよ。現在でも依然として業者間で相談した、いわゆる業者間協定の低い賃金が一方的に日雇い労働者に押しつけられておるというのが現状じゃありませんか。ただ、港湾の波動性と特殊性からいって、需給関係を割ったときには、それは賃金が水増しされるということはあり得るというのが事実でありまするけれども、およそ港湾労働の秩序は少なくともよくならないと実は思っておるわけであります。 言うならば、結局のところ、過去の法運営をながめてみるに、就労の確保に重点をかけて、労働者の要求であるとか、雇用の安定のための施策はなおざりにしてきたと言わなければならない、そういうふうに、私は私なりにこれを受けとめているわけであります。 たとえば、港湾整備五カ年計画など相次いで港湾の合理化が進み、コンテナ船など港湾労働者がごくわずかでよいという事態となったときにこそ、労働時間の短縮であるとか、荷役の廃止であるとか、あるいは休日の増加など、常々労働者が要求していることを取り上げ、労働者を減らすことなく就労と賃金を保障するようにすべきであったのが、私は、そのためにこの法律を役立てて利用することが雇用安定と労働確保に結びつくと考えていたのでありますが、現在でもそう信じておるのでありまして、先々のことについて、たとえば今度の改正法はそういうことをなくするために協会をつくるんだというようなことを——先へいってその点にも触れますが、そういう言い回しだろうと思いますが、現実には法改正の理由の一つとしてそういうような状態があるわけでありますが、この辺について、ひとつ、あまり先走ったことではなくて、現実を一体どういうふうにお考えになっておるか。私の言ったことに対して、反論でもいいし、また現状認識に見解の相違があるんだという見方もありましょう。その辺について、お答えいただきたいと思います。
○説明員(永場久治君) 現在、公共職業安定所が行なっております登録日雇い労働者に対します紹介につきましては、これはたとえば非常に危険な仕事であるとか、あるいは特別の技能が必要であるとか、そういったような特殊の荷役につきましては、これは紹介方法といたしましては、希望紹介にしておるわけでございます。——希望紹介と申しますのは、本人がつきたいという場合だけ紹介する、こういう方法でございます。その他につきましては、賃金との関係がございますが、賃金につきましては港ごとの協定賃金というのが基礎になっておるわけでございまして、求人につきましては、それを最低限といたしまして、それに刻々の一般の労働市況の賃金、こういうものを加味勘案されながら求人がなされている、こういうことでございます。したがいまして、やはり労使間の賃金交渉、これを基盤にしまして、その上での賃金に対します職業紹介、こういうことに相なっております。したがいまして、私ども、特に本人の能力のない仕事、あるいは一般的に非常によごれだとか危険、こういったような業務につきましては、希望紹介扱いをしておるわけでございます。 それから次に、手当の問題でございますけれども、法施行当時八百円程度の手当でございましたけれども、現在はこれを毎年改善してきてまいっておるわけでございまして、現在は最高額が二千二百五十円ということになっておるわけでございます。しかも、失業保険と比べますと、雇用調整手当につきましては、たとえば前二カ月の間に何日以上働かなければならない、こういったような資格制限がない形になっておるわけでございます。したがいまして、点数制をとっておりますので、就労が少なくなりますと手当の額が少なくなる、こういうことはあるわけでございますけれども、非常に手厚い手当制度になっておると思います。 それから、私ども確かに、港湾労働法の目的でございます雇用の安定、それから福祉の増進、こういう立場からいたしますと、何にもまして就労機会の確保、こういうことが大事であるという考え方に立ちまして、就労機会の確保につきまして、これを非常に重点業務として安定行政を進めておるわけでございますけれども、単にこういった就労機会の確保のみならず、手当の改善、こういったことにつきましても、毎年毎年改善を重ねてきている次第でございます。 なお、今後の合理化問題につきましては、これは昨年の十一月の十七日に出ました港調審の建議におきましても、輸送革新の進展に伴います労働者の雇用面への影響、こういったことにつきまして十分配慮して行なうように、こういう指摘もあるわけでございます。したがいまして、労働省といたしましては、運輸省と十分密接に連携をとりまして、この面の配慮につきまして意を尽くしてまいりたい、こう思っている次第でございます。
○杉山善太郎君 ところが、現実は、法改正の理由の一つとなっておる、最近において、コンテナ輸送の拡大など、輸送革新の進展により荷役の機械化が進み、そのため日雇いの就労が増大したと、平然と書いておるわけですよ。それどころか、仕事が少なくなったといって、新規登録を認めず、首さえ切っておる。大体、日雇い労働者の首を切るというのは、法律的に一体どういうことになるのか。 それだけではなくて、昨今では、港は船込みで人手不足となり、登録日雇いよりも一般の日雇いの就労が多いということとなり、何のために港労法があるのか、全く判断に苦しんでおるわけであります。御承知のとおり、最近では、貿易構造や輸出入構造が変わってきておりまするけれども、輸出から輸入というかっこうで、六大港というものは、その消化をし切れず、借りばしけもとにかく倉庫がわりに利用しなければならないというようなぐあいに、繁雑をきわめておるわけでありますが、そういう点について、現実と法改正の意図というものは食い違っておるじゃないかというふうに考えておるわけであります。 さらに論理を進めますが、港が合理化されて、港湾労働者は長時間重労働から解放され、世間並みの生活が保障されていくというのが社会の進歩というもので、この六月、ILO総会で討議された「新しい荷役方法の社会的影響に関する条約」も、いま私の述べた方向で港湾労働者の保護を各国政府、資本家に求めているじゃありませんか。現行法がそのようになっていないというならば、まさにこの点を改正すべきだと思うのでありまして、先ほど、いみじくも職業安定局長は外国の例を言ったわけでありまするけれども、そういう方向を指向していくのでなければ、——現実だけを見て、そしてこの法体系の発想の精神、これはうまくいくことを期待するが、なおかつ、心配であるからというかっこうで、運輸大臣や労働大臣も含めて、念には念を押して、附帯決議までつけておる。そういう背景を考えてみるならば、何か錯誤を起こしておられるわけではないかというふうに考えるわけであります。しかもこの種の法律は、通常の事業法と違って、労使の利害がからむために、十分な双方の合意の上に制定されなければならないことはもちろんでありますが、利用者と称する船主、荷主も、業者も、大体この法改正には賛成だというふうにとらえておるというふうに、私は私なりに受けとめておるわけでありますが、ただ、肝心かなめの体系の対象になる日雇い労働者は、先ほども、おれたちはだまされたんだ、私どもはとにかくごまかされておるんだ、正直者がばかを見ておるんだというかっこうで、日雇い港湾労働者は、だれ一人これは賛成していないんですよ。むしろ、現行法を、いま時勢の風潮にも増してILOのこの港湾労働の近代化の方向を指向しながら、段階的に、漸進的でもいいから、そういう方向へ進んでもらいたい。この改正案が現行法よりもさらに労働者にとって不利益なものであることを、労働者ははだて——労働者といっても、いま申し上げた六大港の職安に集まってくる労働者が、先ほど、七年前に、つまり職安が忠実に書いた、ばかりでなく、これを一つのきざしとしてまかれたビラと、六年後にはだで感じて、先ほどの非常にたくさん書いてあるわけですよ。あれはみんなうそであった、ごまかされたというふうに大阪弁でビラに書いてあるわけでありますが、そういうふうな点について、一体この法について、問題はどういうふうに、何か錯誤を起こしておられるんじゃないかと思うんですが、どういうふうに受けとめておられますか。
○政府委員(道正邦彦君) 港湾労働に波動性が伴う、これは七年前港湾労働法が施行になりました時点と現在においても、基本的に変わりがございません。また、諸外国の港を見ましても同じでございます。これにどうやって対処するかという考え方といたしまして、共同雇用の理念、一種のプール制を何らかの形でとるというのが各国共通の対処のしかたでございます。そういう意味で申し上げますならば、現在の法律も職業安定所にプールするという意味では、広い意味の共同雇用の理念に立つ制度でございますが、先ほど来申し上げておりますように、いろいろ私どもも努力し、関係の皆さんも御努力いただいたわけでございますけれども、現状のまま放置できないということになったわけでございます。この危機意識は労使、関係者一致しておるわけでございます。そういう意味で共同雇用の理念をさらに一歩進めまして、事業主をもって構成する地区協会に登録、紹介をしてもらうというシステムをとろうとするわけでございます。ちなみに、外国の場合、現在の日本のように職業安定機関が登録しているという制度をとっているのは先進国にはございません。そういう意味で、私どもは共同雇用の理念の方向で一歩前進した改正案というふうに思っておるわけでございます。また、この点につきましては、ILOで審議されました条約の趣旨に背馳する点はないものと考えております。また、荷主や船社等の協力がなければならないという点も、御指摘のとおりでございまして、これは昨年十一月十七日の港調審の建議にもうたわれております。その建議の趣旨に沿いまして、関係者もそれなりの御努力を願っておるわけでございます。 まあ、だまされたというお尋ねがございましたけれども、私は不敏ではございますけれども、人をだますようなことは絶対にしたことはございません。全港湾の役員の方々は、委員長はじめかなり長くお付き合いしておりまして、私がかりにだまそうと思ってもだませるような相手じゃございません。むしろ、いまのまま放置していいのか、やっぱり共同雇用をさらに一歩進めろというふうに一番強く主張されたのは、組合の皆さんであったわけでございます。で、十一月十七日の中間建議を一番熱心にお求めになったのも実は組合の代表の方々であったわけでございます。そういう趣旨で、私は、今回の改正案は、関係者の英知を集めた、いまの時点で考え得る最高の改正案ではないかというふうに思っておるわけでございます。
○杉山善太郎君 質問の真意が理解されないので、すれ違いでありますが、それはそれといたしまして、改正案で最も重大なポイントは、職業安定所の職業紹介業務を業者団体にゆだねるというところにポイントがあるというふうに私は考えるわけであります。自分が雇用する労働者の紹介を自分がするという労務、これは言うなれば、ILOの八十八号条約の労務供給違反じゃないかと思うのでありますが、要するに、こういうやり方はきれいなやり方じゃないというふうに、私は私なりに批判せざるを得ないのであります。たとえば、どんな歯どめの条項を法の中に入れても、業者が生殺与奪の権を持つことに変わりはないと思うのであります。すでに港ではこういう評判がたっていますよ。十月になればこちらのものだと、全港湾の労働組合に限らず、港湾労協に属する労働組合にいる連中についても、もう十月になれば労働組合を抜けてこなければこれは使わないぞと。公然とこれをだれが言った、かれがいったということではなくて、素朴な労働者はそういうことを耳に入れてわいわい騒いでおるということも一つのこれは現実の事実なんですよ。そこで、労働法転じてこれが組織弾圧法になるということになれば、これはたいへんなことだと思うのです。この辺の騒ぎについては、あとで労働大臣にもお答えをいただかなきゃなりませんが、しかし、労働組合は結集して港の暴力追放や民主化を戦ってきたのであって、港湾日雇い労働者もその例外じゃないのでありまして、したがいまして、日雇い労働者は断じて承服することができないのだというふうに言っているわけであります。その上、港湾労働協会が一体どういう組織と機構と機能を持つかということは、今後の問題でありましょうけれども、私はそうでないことを念願いたしまするけれども、かりに労働者の役人が天下ってきたのでは、政府と業者がいままで以上に労働者を無権利にすることを容認するようなことにもなりかねないというふうに判断をするのでありまするが、そういうことは絶対にありませんか。その辺のところはどういうことに……。 先々のことで答えられなければ答えられないでいいわけでありますが、私の言わんとするところは、そもそも港湾労働協会は登録日雇い労働者の雇用相手なのか、雇用相手であるなら、筋としてはある程度理解できます。それなら日雇い労働者との団体交渉の相手方にすることができるかどうか。雇用の相手方ではなく、いわゆる調整業務だけをするのであれば、労使対等の構成の協会か、もしくは行政、言うならばやはり労働省ですね、それから、港湾管理者ですね、あるいは利用者——船主や荷主、それから港湾労働者、それから通上の協会に属せられる業者の使用者、こういう四者構成でなければ、労働者の自主性と権利というものは守ることができないのじゃないかというふうに思うのでありまするが、一体その協会というものを——中央に中央協会あり、地方に地区協会があり、その構成単位がみんな業者であり、それがどういうふうに機能する、一体どういう人たちがその辺の雇用の相手であるのか、そして話し合いの対象になるのかどうか。その辺については法体系を整備をして、改善をするという限りにおいては、そういう点は今日もう煮詰まって、固まっておらなければならぬと思いますが、どんびしゃりでひとつ答えていただきたい、こう思うのです。
○政府委員(道正邦彦君) おっしゃるように、その点は大きな問題点の一つでございます。その点について労使が話し合いをされまして、昨年の九月二十五日に協定書をとりかわされております。労働条件その他については従来の労使団体で行なうということで労使双方合意されておりますので、この協会が労働条件について話し合いをするということはないというふうに思います。ただ、現実に登録制度をしき、紹介をするわけでございますので、いろいろ労働条件に関連して事実上の話し合いが行なわれるということはあり得ると思いますけれども、いわゆる労使交渉というのは従来の労使団体が行なうということを労使双方が合意されておりますので、そういう方向で処理されるものと思います。
○杉山善太郎君 時間も非常に催促されておりますけれども、言うことだけはひとつ言わせてもらわないと……。 今日の港湾の労使のあり方を含めて、労使関係が円滑に動かないのは、港湾業と、この労働組合との間で協定を結んでも、利用者といわれる船主荷主の了解がなければ万事がうまくいかないというのが常識であります。現にこの委員会のきょうのしょっぱなにおいて須原理事やその他の委員が言われ、矢山委員も言われておるように、問題はこの背景というか、背後で糸を引くのがあるんだと。そういうものを舞台の表に出してくる必要があるんじゃないかと思うのです。きょうは運輸省の参事官と岡田港政課長も来ておられまするので、このことを言いたいために、また聞きたいために来ていただいたので、ひとつ、うんちくのある御回答をいただきたいと思います。回答でなくても、考え方をお聞かせいただけばいいと思うのでありまするが、具体的には港湾運送事業法の改正をいま検討しておられると思います。私、運輸委員会に席を置いておりますので、昨日港湾法は上がったわけでありますけれども、しかしこの改正の検討中である中で、一体中身については将来免許制をなくする方向だと聞いておるが、これに関連して、四十七年十二月六日、東京の健保会館で労働組合に対する一つの説明会といいますか、その席で港湾局の岡田港政課長は、港湾運送事業者は、本質的には生産手段を持っていない、という趣旨の発言をしておられるようでありますが、それはそれといたしまして、私も実はそう思っておるのですよ。運輸省に尋ねますが、港運業のあり方とか、一体今後の方向について、改正された港湾法も含めて、具体的には港湾労働法は労使関係の次元の問題ということで局面的にはとらえますけれども、今後における運輸省所管の港運業のあり方と今後の方向というものについて、どういうふうにとらえておられるかということが重要なこれは今後の課題になるんじゃないかというふうに思えておりますので、ひとつ見解なり所信、まあ所信はいいですが、見解なりをひとつお答えいただきたいと、こう思うのです。
○説明員(高橋全吉君) いま先生のお尋ねの港湾運送事業法の改正の方向でございますが、御承知のようにコンテナ輸送あるいは大型荷役機械の導入等によりまして港湾運送事業といいますか、港湾運送の形態が非常に変わってまいりましたので、運輸省といたしましては四十六年の六月以来、運輸政策審議会に諮問をいたしまして、新しい、こういう近代化に伴う港湾運送事業のあり方ということについていろいろ御審議をいただいておりまして、それは専門委員会でやっておりましたので、大体専門委員会の結論が昨年の八月に出ておりますが、正式の運輸政策審議会の答申といたしましては、ことしの三月二十日に答申をいただいております。それで、その答申の内容を申し上げますと、このような革新荷役の導入によりまして、輸送革新に伴う港湾運送のあり方については、やはりコンテナ等のいわゆる大型荷役機械を入れましたそういう埠頭におきまして免許制度というものを弾力的に考えたらどうかという点がまず第一点でございます。 それから第二点といたしましては、これは港湾の構造上の問題でありますが、はしけが余剰化してくるからこれの対策を講ずべきである。 それから第三点といたしましては、港湾運送事業の構造そのものにメスを入れまして、現在法体系といたしまして元請、下請という制度を法で認めております。その辺の問題はやはり業種別、業種がたくさん分かれておりますので、それらを一本化すべきである、大様このようなことがその答申の内容に盛られております。その他、やはりその労働問題というものが港湾運送の中心であるから、ただ、港湾運送事業者及び労働者だけでなくて、それを利用する船社あるいは荷主等の協力も得て、労働力の確保をはかるべきであるというような内容が答申に盛られております。そこでいま先生の御質問のありました港湾運送事業法の改正でございますが、なんせこの三月の二十日に答申が出まして、その以前からでございますが、私たちその答申を受けまして、法改正の方向なるものをいろいろ考えまして、大きく言いますと、いま申しましたこの答申に盛られておりますいわゆるコンテナ埠頭なり、あるいは専用埠頭なりそういうものの免許制度というものの弾力化をどうしたらいいか、それからもう一点は先ほど申しました元請、下請のあるいは業種別が非常に分かれておる、こういう問題を法的にとらえて統合、整理していった場合にどうなるか、あるいは運賃制度をどうするかというような検討を実は進めておるわけでございます。その他個々にこまかい点はございます。たとえば適用港をどうするとか、これはまだ解決というか、港湾がどんどん整備されてまいりますとやはり船舶の入出港も盛んでございますので、当然そこには港湾運送事業という業が入るわけでございますので、その辺の適用港の問題とか、まだいろいろございますが、大体の結論を得るまでには相当の時間がかかると思いますけれども、現在そのようなことを検討中の段階でございます。
○委員長(大橋和孝君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大橋和孝君) 速記を起こして。 本案に対する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。 午後二時まで休憩いたします。 午後一時六分休憩 —————・————— 午後二時十七分開会
○委員長(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、港湾労働法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○杉山善太郎君 突き詰めれば、本質的には港湾運送業者は生産手段を持っていないというのが私の哲学であり持論なんです。しかし、重要な役割りを果たしていることも私はそれなりに高く評価しております。本質的には、重ねて申し上げまするけれども、今日的な日本における港湾の運送事業者というものは生産手段を持っていない、極論すれば労務供給業者であるというふうの側面もあるのではないかと思います。この点については、港湾労働調整審議会の会長であり、また海商法の権威でもある石井照久先生はこう言っております。「港湾労働者は海上運送人の直接被用者たることもあり得るし、特約のない限り下請の使用を妨げないから、船舶荷役業の被用者たることもあるが、いずれも海上運送人の履行補助者ないし使用人である」と、こう言って、法律学全集に、はっきりとうたっておるわけであります。したがって、港運業者は、これはおこられるかもしれませんけれども、極論すれば労働問題その他については当事者能力を持っていないというのが本来の姿であると思います。この点は、外国の港湾労働関係の当事者は労働者と船主またはその団体であることは明確となっておるのであります。したがいまて、なぜ、日本において船主が利用者だと言って港湾労働者の交渉当事者になることを拒んでおるのか。日本の港湾労働者の団体は、直接の雇用者である港運業者だけでは労働者の改善が期せられないから、船主は、具体的にはこの船主群は総括して日本船主協会というものがれっきとして存在をしておるのでありまするから、自国の港湾労働者に対して、少なくとも社会的責任を一切負うという態度、負わなければならないのが本質的だと思いまするが、それを見て見ぬふりをして回避をするというようなことは全く許せないのじゃないかというふうに考えるわけであります。したがいまして、その船主つまり日本船主協会は、日本の港湾労働者のセンターである全国港湾労働組合が港運業者の中央団体である、言うならば、日本の港湾運送業協会といいますか、日港協ですか、で合理化の事前の協議や共同雇用と就労保障あるいは基金制度の確立などの中央団体交渉をしていたが、その交渉内容について、船主協会、具体的には船主協会ではないそうでありますけれども、少なくとも船会社の集団が異議を述べて、港運業界に対して圧力をかけておるということは、これはいなめない事実であります。したがいまして、全港湾もかねてから日本船主協会も含めた交渉ルールの確立を要求し続けてきたところでありまするけれども、船主協会は全くあずかり知らないというような態度をとっておる、まあ、そういう態度に終始しておるのが現状の姿であります。裏では、それぞれの圧力をかけておる。あるいはちょっかいをかけておる。したがいまして、私はこの際、労働大臣にぜひ伺いますが、去る三日の閣議で提起された労働白書の中で、労使協議の現状と問題点という柱が立っておるわけでありまするが、そういうテーマの中で、現状では労使の意見が政策決定に反映するチャンネルは必ずしも十分整理されていない、このため、政府の重要な審議会には労使代表のより多数の参加を促進することが必要である、また企業のワクを越える問題を解決するために、産業段階、もちろん地域段階の労使を参加を促進させるべきであると白書の中で提起され、またうたってあるわけであります。こういう事実にかんがみまして、港湾関係の労組の複雑な事情、港湾関係労使関係のきわめて複雑多様にわたる事情というものの解決に、この現状というものをかんがみまして、船主協会を交渉のテーブルにとにかくつかせて、——圧力とかなんとかというようなことはかどが立つといたしましても、外国では当然船主協会が前面に立って発言力を持ち、イニシアチブを握っておるわけでありまするから、港湾労働の近代化ということと、そういう方向づけでぜひこの交渉のテーブルにつかせることが必要だと私は考えるのでありますが、また、そのためには、最善の努力を尽くすことが必要だというふうに思うのであります。この点については、乃公出ずんばというようなかっこうで、どうかひとつ大臣がこの点について、相手のある仕事でありまするけれども、必要最善の努力をしてみる意思ありや、その見解が承りたい。この点が非常に私の長々としゃべっておるみそでありますので、つぼどころでありますので、ひとつお答えをいただきたい、こう思うんです。
○国務大臣(加藤常太郎君) いまの御趣旨、御意見、私も同感でありますが、その意味で白書に載っておる労使間の関係者を包含してよく労使がコミュニケーションを行なう、また、いろいろな交渉の場合にも、当然両者の意見が、対等の立場で話し合うのは当然でありますが、いまの船主協会の場合には、これは審議会にも、その他のいろいろな問題の発言をする場合には、これは包含するようにいたしております。しかし、この港湾労働法の対象と、直接の責任者ということは、これは法のたてまえ、また日本の港湾行政の立場からいって、これを労使の立場で包含することは、当事者とすることは、ちょっといまの法のたてまえからいっても、現状のシステムからいっても、ちょっと困難であります。今後、しかし当然船会社、荷主もやはりこの港湾労働行政に対して、港湾労働のあらゆる問題に対しまして、連携をとり、圧力とか、そういうことはこれは忌むべきことでありますけれども、連携をとって協力、努力することは当然と思います。詳細については局長から補足いたします。
○政府委員(道正邦彦君) ただいま大臣からお答えいただきました趣旨のことは港湾労働法の改正についての十一月十七日の建議にもうたわれております。その線に沿いまして、船社、荷主として、たとえば港運料金の改定であるとか、あるいは付加料金の引き上げについてはすでに御協力をいただいております。
○杉山善太郎君 大臣ね、日本は海運国であるということは自他ともに認じ合っていることでありますし、列島改造論のやはりワク組みの中にも内航海運しかり、外航についても重要な、これは機能すれば役割りを果たすことは、これはもうせっかく御了承のとおりだと思います。したがいまして、かてて加えて港湾労働の近代化というものは国際労働機関の場で脚光を浴びてきておるんだと、形式論はどうあっても実質的に、一体外国で、たとえばアメリカしかり、イギリスしかり、海運国と名づけられるところではみんなやはり船主というものがこの種の交渉のテーブルへ出てきておるわけなんですよ。そういうような点でありますので、いろいろなこれは論議はありましょうけれども、今日的な日本における港運業者というものは確かに生産手段というものは持っていないですよ。でありまするから、しかし実際はこの業がなければなかなか港湾作業というものが、海運作業というものが、港運というものがうまくスムーズにいかないということもはっきりしたこれは冷厳な事実なんです。でありまするけれども、さっきも申し上げたとおり、港湾労働者を対象とした、やはり全国港湾協議会なら協議会を対象として、当事者で団体交渉をするところのやはり能力というものを持っていないんだと、だから、いろいろと大臣も、これは労働大臣だけでなく運輸大臣も、それだけにやはり十分かみ合った形で一つのむずかしさをこの法案の中に巻き込まれておるというふうに思うわけであります。でありまするから、私は、それは外国は外国のことで、日本は日本だということを言い切ってしまえば、それだけのこれはもう身もふたも味もないのでありまするけれども、これは船主協会が交渉のテーブルにつくということについては、約束をとるとか、出さないとか、これが慣行になるかならないかは別として、裏で、それが意図的であろうと悪意でないにしても、船主協会がなければこの問題がなかなか前へ進んでいかぬじゃないかというふうに考えるわけでありますから、重ねて伺いますが、このテーブルにつかせることが必要だと思うのですが、それは不可能ですか、どうですか、大臣の神通力ということは別としてもですね。
○国務大臣(加藤常太郎君) 外国の例も私、いろいろ聞いておりますが、やはりばく大な近代的な投資をいたしておりますし、やはり国の発展に輸送というものが重大な関係、船舶、鉄道その他のその接点が港運業でありますから、当然船主がトラブルが起きた場合には発言することもこれはありますが、外国の例も、テーブルに、労働者と対等の立場で相手方にテーブルにつかせると、こういうようなことも、これは組合関係その他から相当な要望が各国もありますけれども、必ずしも各国全部が正規のテーブルについて、港運業界——港運業界は一つの下請というかっこうで正式のテーブルについたかっこうで港湾業をやっておるところは少ないんであります。いろいろトラブルの場合には要望とか、圧力でかくいろいろな要望とか、こうしてもらいたいという、当然船が滞船したりストをやったりする場合には重大な影響がありますから、関連者といたしまして発言はいたしますが、労使のいろいろな団体交渉の場合に外国でもその例は少ないと思います。そういう意味で、できるだけ連携をとって協力して、そして労使の、日港協と組合との関係、これに対しましてもいろいろ協力することは当然でありますが、その交渉の対象として、相手方としてテーブルにつかすことは、これはいまの法のたてまえその他からいって、将来の希望はこれは持っていてもいいと思いまするけれども、いまさっそくそれが実現するかせぬかということになりますと、いまのところではなかなか困難であると、こう言わざるを得ないと思います。
○杉山善太郎君 労働白書は、私は他省の関係といろいろと白書というものを比較対象して読み取っておるわけでありますが、あの内容については三本の柱が立っておりますが、雇用の安定化の問題や、企業のワクを乗り越えて全体として労使関係が政府の政策なり、あるいは業務の運営なり、労使関係について、労使が対等の原則をあくまでもやはり苦悩の中で話し合った結論は、一発によって、自分の主観によってこれが御破算にならないようなぐあいに、大所高所から配慮してもらいたいということを強く要望申し上げておきまするが、日本の家庭事情からいくならば、何といっても生産手段を持って大きな力を持っているこの船主協会というものの発言力というものは、よきにせよあしきにせよ、非常にいいと、そして、りっぱなスタッフが整備されておるというふうに思うわけでありますから、十分ひとつテーブルにつくように大臣からアドバイスもし、てこも入れてもらいたいということを強く要請しておきます。 そこで、私も非常に時間もいただいております関係もありまするが、ただ記録の上にとどめていただく程度で、強い要望を申し上げて、あとの質問はこれで終わることにいたしまするけれども、現行法は、日本の動脈である港湾に働く労働者が無権利状態で、暴力的に支配され、ほとんどが雇用の不安定な日雇い労働者のまま低賃金、長時間労働に苦しめられているのを改善し、港湾労働者の雇用の安定、福祉の増進を目的とし、登録制度を設けたのでありますが、しかし、七年を経過した今日、前段の私の質問によって若干明らかになりましたと思いますが、雇用の安定ははかられず、労働条件もほとんど改善らしい改善は見られないのであります。私は、この根本原因は何かということについて考えますとき、それは、港湾の労使に近代的な労使関係の確立がないということであります。そして、使用者には、本来的には労働者の交渉の相手方として、労働者の雇用安定のために当然責任を負わなければならない船主が参加しないというのも問題解決の実現を妨げている大きな原因ではなかろうかと、かように考えております。 法改正の理由の一つに、登録労働者が事業主のためにプールされた労働者であるという意識が事業主に乏しいことをあげられておりますが、言わんとするところは、事業主は精神上の共同雇用者である、すなわち共同してプールされた日雇い労働者の使用について責任を自覚せよということだろうと思います。しかし、私は、事業主に意識が乏しいのではなくて、共同して日雇い労働者制度というものをなくしてしまおう、つぶしてしまおう、そういう意図的なものが隠されているのではないかというふうに推定せざるを得ないのであります。責任を自覚したからといって、登録制度が成功するものではないのであります。 問題は、親分子分的な暴力支配の雇用状況というものを打ち破る近代的な労使の慣行が大切なのであります。すなわち、常用、日雇いのすべての港湾労働者の団体行動権、団体交渉権を業者が認めるということが何よりも先行しなければならないと思うのであります。また、非近代的な雇用関係を労使対等の雇用関係に指導していくことは、政府の大きな義務であり、責任であると思います。 関係者の話を聞きますと、労働省は改正案を提起する段階から少しは動き始めたようでありますが、港湾産業が始まり、戦後から今日に至る過程の中で、その行政指導をしてこなかったことの結果が今日の現状なのであって、その責任は政府が負わなければならないと考えるのであります。しかし、当局はその責任の重さをわきまえず、行政の怠慢というものをすべて港湾労働者に転嫁する改正案を今回用意されたというような節もないではないのであります。改正案の最も重要な港湾労働協会の設立のねらいについては重複を避けますが、この改正案で港湾労働者の受ける利益は何もなく、むしろ御用十手をいただいた業者が二足のわらじをはいて、いままで以上に労働者の権利を侵害する以外の何ものでもないという私は心配をしているわけであります。 私は、労働者の側に立つ政治家であります。この法案のねらいが以上のものであれば、この委員会では慎重の上にも慎重を重ねて十分な審議をすべきであると考えます。したがいまして、私は冒頭述べましたように、この法案は港湾運送事業法、港湾法に深い関連を持っているのでありますから、関係委員会との連合審査なり、あるいは参考人からの事情聴取、港湾職業専門安定所の重要な個所の視察など、十分な手続をとることを委員長並びに関係の理事各位に要請して、私の質問を終わります。 以上であります。 労働大臣、何か所信なり……。
○国務大臣(加藤常太郎君) いまの御質問の点、なかなか含蓄と含みのある示唆でありまして、私もたびたびこの席で申し上げましたように、労働省も行政を反省しなくちゃならぬ。特に前近代的な雇用関係、やみ雇用、事業主自体もこれは特に反省してもらわなければならぬ。ただ、私がかようなことを言うと労働者もいろいろ不満でありましょうが、やはり労働者自体もいろいろ考えなくてはならぬ。三者がここに打って一丸となって日本の労働行政を改善すると、そして、それに資するために法の改正を行ない、そしてILOの今回のいろいろ条約、勧告も不日、私はできるだけ早く批准して、日本として恥ずかしからざる港湾行政を行ない、港湾労働の実態を推進したいという所信でありまして、いまの御意見、いろいろよく尊重いたしまして対処いたします。
○田中寿美子君 いま杉山委員が最後に、港湾労働の前近代的な労使慣行のことにお触れになりました。私もそこから始めたいと思うのですけれども、その前に、いま大臣、ILOの条約と勧告が採択された、だから政府もできるだけ早く批准するつもりだという意見をお述べになりました。で、私も実はそのILOの条約並びに勧告の問題を相当詳しくやりたいと思っております。 実はきのう私は都議選の応援に行っておそく帰りましてから、今度のILOの条約と勧告を原文で一時ごろまでかかってよく克明に読みました。というのは、労働省の仮の翻訳を私は必ずしも信頼できなかったからです。で、大いにたくさん感じるところありまして、あとでそのことはこまかくやりたいと思っています。 で、全体としてやはりすれ違いがあります、問題ものの考え方の。とにかく日本の港湾労働者の労使関係というのは、非常に非近代的であるということについての認識があるのに隠していられるのか、その辺がたいへんに世界各国のものの考え方と違っているということやら、それから全体として日雇い労働者があたりまえだという観点にこっちは立っている。ILOでのこの条約や勧告は港湾労働者、みんな常用労働者という観点に立っています。そういうところのたいへん考え方の違いがあるから、自然、翻訳のことばにも問題が出てきていると私は思っております。 そこで、非常にいまの港湾労働が非近代的であるということについて、労働大臣は海運会社の社長さんだと聞いていますので、よく御存じだろうと思いますけれどもね。いま港湾労働法が対象にしております六大港、政府のほうは五大港とおっしゃっておりますが、この六大港の状況、そこの労使慣行についてごらんになったことはございませんでしょうね、大臣いかがですか。
○国務大臣(加藤常太郎君) 私はおい立ちからいって、視察をしたこともありますし、十分わかっておるつもりであります。最近の情勢も正式に大臣として視察したということはありませんが、実は就任当時に視察する予定で、一番に行きたかったのでありますが、予定をきめますと、衆議院の社労の委員会で、大臣が行くならわれわれも連れて行け、こういうことでそれが延びたので、港湾の関係は、これは何月何日ということはわかりませんが、これはもう十分よくわかっております。現地も見ましたし、いろいろな関係も役所の中へ入っていって視察したことはありませんが、大体現場も見ますし、また、代議士の中でもよくわかっているほうであります。
○田中寿美子君 それでは、非常に非近代的な慣行があるということは御存知でございますね。これは大臣の高松港あたりでは見られないものでございます。朝早く行かなければだめですね。私も一ぺんしか行きませんでしたけれども、朝五時の電車に乗って行きまして、六時に桜木町駅におりて、もうその駅の構内ですでに青空市場が始まっております。私が一ぺんぐらい行ったからということで、私は別にいばっているわけじゃないんです。この問題に関して非常に詳しく、絶えず絶えず研究している人から非常に詳しくいろいろと教えてもいただきましたし、それから港湾労働者の方たちからもいろいろと詳しく具体的なお話も聞いております。私もこっそり行ったわけで、そんなに予告をしますと青空市場はたちまちどこかへ引っ込むそうですから。それで桜木町のもう駅の構内から腕章をはめた求人連絡員という人がいたり、腕章のない者もおります。そして、そこで労働者をピックアップしているわけですね。私、参りましたのは、六月十三日の朝です。桜木町の駅から始まって、その前の野毛町、それから寿町、これはどや街ですね、それから万国橋の職安に至りますところをずっと車で通りましたけれど、これはもうたいへんなものですよ。あちこちに求人連絡員と称するいわゆる手配師ですね、青空手配師が、あるいは暴力手配師と呼ばれていいような人もおりますよ。そういう人たちが立って労働者をピックアップしている。それは六時から七時の間ですね。職業安定業務の始まるのは七時十五分、だから公共職業安定所で雇うべき登録港湾労働者ですね、日雇い労働者がもうそれより前に職安の門前でピックアップされていたり、それから、もちろん青手帳も何も持っていないような人もどんどんピックアップされているわけです。このことはおたくの永場課長に言わせば、ああ、あれはみんな建設労働者ですよ、建設現場に引っ張っていかれる人たちですよというふうに言われたけれども、そうではないです。私が見ていただけでも宇徳運輸、これは有名な港湾業者です。私は宇都宮徳馬さんの宇徳かと思っておりましたけれども、そうではないそうです。宇徳運輸、それから日本通運、富士海陸、鈴江組、そのほか一ぱいノートに走りながら急いで書きとめましたけれども、荷役業者の小型の車が来ていて、ピックアップしたものを乗せて、そして連れていっているわけですね。そういう青空市場が現にある。手配師というものが横行している。これは労働省の出された文書にもそれを認めていらっしゃいますよね。一体、労働省はこういうことをどのように監督していらっしゃるかを初めに伺いたいと思います。
○説明員(永場久治君) 横浜のお話が出ましたので、横浜のことに限定いたしまして申し上げますると、まず横浜の市内におきましてはまず寿町というのがございます。これは桜木町からおよそ……。
○田中寿美子君 そんな説明要らないです。
○説明員(永場久治君) それから寿町のほかには野毛だとか、そういうことがございます。こういうところにつきましては、港湾労働法の面におきましては、先ほどは登録労働者より登録外の労働者のほうが先に早くきまる、あるいは登録自体が安定所の近くで引っこ抜かれたり、そういうような話がございましたけれども、港湾労働者の紹介につきましては、まず登録労働者を紹介する。で、紹介いたしまして、なお求人が余りました場合には安定所におります一般の……
○田中寿美子君 そんな法則を言わないで、具体的にどう監督をしているか。
○説明員(永場久治君) というふうに、法に基づきまして紹介しているわけでございます。したがいまして、私どもはそういう法に定められた仕組みで求人をやるように監督しているわけでございます。したがいまして、港湾労働以外の一般の求職者が現におるわけでございます。そういう人たちにつきましては、現在の職業安定法では通勤圏内におきましては、これは直接募集ができる、こういうたてまえになっておるわけでございます。で、会社の労務班の人がみずから募集する、こういうことにつきましては、現行法は可能になっているわけでございます。それに便乗いたしまして、関係のない者が手配師的に介入してくる、これは法に禁止されておるところでございます。したがいまして、私どもはそういった労働者の蝟集する地域につきましては、安定行政といたしまして十分監督している次第でございます。
○田中寿美子君 どのように監督していらっしゃいますかと私は聞いているのです、現実にああいうことがあるからですね。それで、現行法の第十六条で直接雇用のできる場合というのはどういう場合ですか。順序を追っておっしゃってください、どういうふうにしたら直接雇用ができるのか。
○説明員(永場久治君) 港湾の事業主から求人が出ますと、まず登録労働者を紹介するわけでございます。これは港の安定所の窓口でやるわけです。そうして求人が余りました場合には、その安定所に出ておりますこれは建設あるいは陸運、港湾、こういったところにも行けるような、一般の、私どもこれを白手帳と言っておりますけれども、十九条の日雇いの労働者をもって紹介する。そうして、なおかつ求人が余りました場合には、事業主が港湾労働法の十六条に基づきまして直接に募集しまして、募集しました人たちを安定所のほうに届け出る、こういう仕組みになっています。
○田中寿美子君 それではたてまえなんですね。安定所は何時から始まるのですか。六時から七時までの間まだあいていませんよ。そのときに青手帳を持っている人も持っていない人もかってにピックアップしてよろしいんですか。
○説明員(永場久治君) 横浜におきまして直接募集につきましては、登録労働者の紹介が終わったあと募集すると、こういうふうに業者を指導しておりますし、そのようになっております。現に野毛あるいは寿町におきまして直接募集しましたものにつきましては、横浜につきましてはこれを安定所の窓口に連れてくると、こういう仕組みで、私どもはこれを簡易職業紹介方式と、こう言っておるわけでございます。そういう方式でやっております。
○田中寿美子君 そういうふうにしておりますとおっしゃいましたけれども、私は七時に万国橋の職業安定所に入ってみたのですね。そのときに来ている人たちは、もちろん白いカードをもらって順番を取っている人もありました。それから青いカードを持って入ってきた人も何人かはおりました。しかしあの数はそんなに大ぜいいないわけなんです。もうすでにみんな雇われてしまっているわけなんです。現実がそうなんです。そのように指導しておりますとおっしゃっても、そうではないんですね。あなたは、それじゃこの前、私のところに説明に来られましたときに、監察官をたくさん派遣して毎日毎日監督しているからそういうことは一切ありませんとおっしゃった。それは事実ですか。
○説明員(永場久治君) 監察の話は、立ち入り検査の話が出たわけでございますけれども、私ども港の安定所には就職促進指導官という立入り検査専門の事務官を置いているわけでございまして、この人たちを中心にいたしまして各事業所に対します定期検査、臨時検査、こういうものを、四十七年で申しますと年間で約三千件、正確には二千八百件でございますけれども、これだけやっているわけでございます。
○田中寿美子君 二千八百人が、港だけですか。五大港のそういう監督をするための立ち入り検査に雇われているわけですか。
○説明員(永場久治君) 私が申し上げましたのは立ち入り検査件数でございます。
○田中寿美子君 職業安定監察官というのがありますね。あれ何人いますか。その人はこういう問題について監察する義務があるんでしょう。
○説明員(永場久治君) 府県に置かれております監察官と申しますのは、広く職安行政に関します監察ということでございまして、港湾のこういった雇い入れ規制に関します違反、こういったことの検査につきましては、港の安定所に置いてございます就職促進指導官、こういう名称で置いてあるわけでございますが……。
○田中寿美子君 それは何人ですか。
○説明員(永場久治君) その数は二十八人でございます。二十八人でございますけれども、この人たちだけでやるわけじゃございませんで、たとえば課長だとかあるいは課員だとか係長、場合によりましては所長みずからこういった形で港の安定所の職員が全態勢でこれに当たる、こういう仕組みで動いておるわけでございます。
○田中寿美子君 いま二十八人とおっしゃったのは横浜港のことですか。横浜港だけですか。
○説明員(永場久治君) 二十八人と申しますのは全国の数でございます。
○田中寿美子君 この間、あなたは私に、ほとんど毎日毎日ちゃんと見ているから一人もそういう不当な雇用はないというふうに豪語なさったのですね。私は、むしろ大臣は認めてらっしゃったと思いますよ。手配師の問題だとか、やみ雇用だとかいうことを何度かおっしゃっています。私は、現実をちゃんと正しく見なきゃいけないと思う。労働省はとても手に負えない状況にあるということのほうが事実じゃないでしょうか。安定局長いかがですか。
○政府委員(道正邦彦君) 港湾労働法に違反する形での、具体的に申し上げますと十六条ただし書き違反の取り締まりにつきましては、先ほど来担当課長からお答えいたしておりますように、最近におきましては港湾労働行政の重点として、立ち入り検査、指導監督につとめておるつもりでございます。一件もないというふうにいま申し上げたとすれば、これは率直に申しまして訂正をさせていただきたいと思いますが、しかしながら、私どもその問題を放置しているつもりは毛頭ございません。特に、最近は数は必ずしも多くございませんけれども、六大港関係の職業安定所の職員、所長以下全員あげて取り組むということも指示いたしております。またその報告は求めております。それから中央から監察官が地方に参ります。地方の監察官も安定行政の監察をいたすわけでございますが、その場合の重点事項に取り上げて、こういう面について監察をいたしております。いずれにいたしましても、私ども中央地方をあげまして違反の是正には最近はつとめているつもりでございますが、今後も最大の努力をしてまいりたいというふうに思います。
○田中寿美子君 私は、あなた方を責めているわけじゃないのです。日本の港湾というのがそういう状況にあるということなんですね。ほんとうに手のつけられないような状況があるという状態なんです。ですから、港労法十六条では、まず日雇い労働者というのは、登録日雇い労働者を職安の窓口を通して雇うと、それは業者のほうからの求人があってそれを雇い入れる、で、適格者が得られないときは直接雇用してもよろしい、そのときは届け出をしなければならないということになっていますね。そしてその港労法十六条、施行規則の十九条、二十条でそのことがもっと詳しく書いてございますね。その順を踏んでいるならまあまあいいわけだけれども、とてもそんな順を踏むことのできない状況が私は日本の港湾にはたくさんあるということなんですね。それに対して、どういうふうな手が打てるかということなんですがね。この職安が、一日くらい職安の職員が全員総動員し、全国二十八人のそういう立ち入りのできる人たちを動員したところで、そのときちょっとクモの子を散らすように逃げさしていくにすぎないのでは根本的な解決ということができるようにはなっていないわけですね。そこが重大な問題なのであるということを、港湾の労使関係をほんとうに近代化するためには非常に根本的な対策が必要だということを私は申し上げたいために現に実際を見てきたわけなんです。 それじゃ六月十三日の日に、一体何人の登録、日雇い労働者——青手帳を持っている人たちですね、あの横浜港では雇われて、それが届け出が出ている数だと、それから白カードの日雇いの人が何人雇われたか、つまり失対の人がどのくらい雇われたか、届け出数は幾らになっておりますか。
○説明員(永場久治君) 六月十三日は雨が降った日でございますが、求人が二百六十九出ておりまして、紹介数は登録応募者が五十四名ということでございます。それから十九条でいう白手帳の労働者で紹介されました者が九十一名、それから私ども簡易紹介と申しておりますが、野毛と寿町で募集されました者が百十八名、それから直接雇い入れが五名、こういうふうになっております。
○田中寿美子君 いまの数は私は全体を把握していらっしゃらないだろうと思います。それは届け出を必ずしも全部業者がやっているとは限らないわけですね。だからやみ雇用だとか、擬装常用だとかいうことばが使われておりますが、ですから届け出をしますと例の雇用調整手当を払わなければならなかったりするというようなことがあって、届け出をやらなかったり、登録をやみの雇用をしていたりということがある。さらにその日に全然届け出をしないままにピックアップして雇った人たちというのが相当数あるんじゃないかと思います。いま私、ここに持ってない、ちょっとどれだったか記憶があれですけれども、見た資料によりますと一七%ぐらいは何もそういうことなしに、届出も何もしないで直接雇用という形で青空市場で雇われた人たちがあるという資料を——これは政府関係の資料だったと思いますが、見ました。なぜそういうことになるんだというふうにお思いになりますでしょうか。
○説明員(永場久治君) 一七%もの登録労働者、あるいは十九条、あるいは直接雇い入れ以外のやみ雇用としか考えられない者がいるという統計については私どもはちょっと承知していないわけでございますけれども、いずれにしましても、私ども立ち入り検査をやりまして現実にやみ雇用としてあがっておるところがございます。定期的に各事業所をたずねまして、年二回ぐらい各事業所を回る、こういった定期検査のほかに、現場を査察する臨時立ち入り検査、こういったものもやっておるわけでございまして、その中で実際に法違反、こういうことであがっておるところが四十七年一ぱいでは八十四件もあがっているわけでございまして、そんなものが絶無であるということは申し上げていないわけでございますけれども、一七%、こういった数字につきましては私どもちょっと想像を絶する数字であるというふうに考える次第でございます。
○田中寿美子君 これはたしか労働省から出した資料ですよ。あとで私見つけてから申し上げます。それで、なぜそれでは職安を通さないで雇用される人が出てくるのかということについて労働省ではどういうふうにつかんでいらっしゃいますか。
○政府委員(道正邦彦君) いろいろ原因があると思います。基本的には職安での登録制度を現行法はとっておるわけでございますが、そうなりますと、使用者のほうから見ますと安定所の紹介の労働者とそう違わないという意識をどうしても持ちがちだと思います。つまり、われわれのためにプールされた労働者だという意識がどうも希薄である、それから最近就労が増大いたしまして、その結果、登録日雇い労働者を使用する場合に払わなきゃならない納付金というのが高額になってきております。それが悪循環を生みまして、賃金のほかに六百円以上の金を払わなきゃいかぬということでまた脱法に走るというような傾向がどうしても避けられないと思います。そういうことで今回は自分たちの労働者だという意識をはっきりさせるという意味も込めまして、地区港湾労働協会に登録、紹介をしてもらうというふうに制度を改正したいというふうに考えるわけでございます。また、従来の納付金の徴収、配分等につきましては問題がございますので、これもはっきりガラス張りにいたしまして中央でのプールシステムをとることにいたしました。そうなりますと、事業主が負担する納付金も下がってまいります。それから、先ほど来御質問ございますように、十六条のただし書きで直接雇用が認められておりますが、現行法におきましては、これは第三順位でございまして、いわゆる青手帳が第一順位、白手帳が第二順位、十六条ただし書きでこれは第三順位でございますが、青手帳で充足できない場合には白手帳で充足させる、これは安定所に登録以外の日雇いの方もかなりの数おいでになっておりますのでこれをもって充足をし、原則として十六条ただし書きは禁止するというふうに改正案はいたしておるわけでございます。つまり、脱法の道をふさごうというねらいもあるわけでございます。いずれにいたしましても、しかしながら、違反あるいは脱法行為は今後もなくなるわけではないと思いますので、先ほど来申し上げておりますように立ち入り検査を励行いたしまして、脱法行為あるいは違反行為の絶滅に今後とも努力をしたいと思っておるわけでございます。
○田中寿美子君 まあ納付金の問題、一つは大きな原因になっていると思います。しかし法律をきびしくして、そして脱法行為を取り締まるくらいのことではそういうことがなくならない仕組みになっているのですよね。これは御存じのはずだと思います。これは荷役業者は横浜だけでも二百から、あるいはダブって数えれば二百八十八もおりますね。で、相当過当競争がある。それがそれぞれ手配師のような者を使って、ある者は職安の救人連絡員の腕章ももらっております、労務係と称する人たち。ある者はそういうものも全然ない人たちが回り歩いて、そして労働者を世話をする、労務供給の仕事をすることで賃金のピンはねをしているのですよ、事実。それは後に須原議員がこの暴力団のことについて質問なさると思いますが、港にいる暴力団の資金源だといわれているような組織がもうがっちりできているわけなんですね。こういうことをなくさないで、法律の上だけで直るような、とてもそういう状況に日本の港はないということ、ことに港湾労働法の対象になる港ですね、特に六大港、この港は非常にそういう点では根深い組織を持っている、暴力手配師と呼ばれるような者もいる。そしてそれは業者とある場合には一つになっているものもある。あるいは業者そのものがそうだと言う人もあるくらいでございますね。そういうような組織のある中で数十人の労働事務官ががんばったところでどうしようもないという状態にあるということです。それから、そこで仕事をもらう労働者からしますと、その手配師から仕事をもらうほうが割りがいいという事実があるのですね。で、職安の窓口で私もあの札を見ておりましたら、たとえば例をあげますと、京浜船貨というところですね、青手帳持ってきた人が仕事をもらうので見ておりましたら、これはなんですかコアリングというのですか、船内第一種賃金二千五百六十円ですね、それに残業手当ですか、六百四十円プラスして危険手当百円、弁つき、弁当つきですね合計して三千三百円。聞いてみると、これに裏金というのがあるのですね。表はそうだけれども、裏金がついて四千二百円から四千三百円になると言っておりました。しかし、職安の窓口でもらうこんな仕事よりは、外でもらうほうがもっと賃金もいいし、仕事もいい仕事か——いやな仕事のほうが職安のほうに残ってくるのだと、外で拾い上げている人から見れば、ピンはねされてもまだその労働者は賃金が高いものがもらえる、こんな状況がもうやたらにあるのです。 もう一つ、笹田組、笹田というのですね、これは港内雑貨、コンテナ、鋼材、ニューヨーク向け、賃金二千七百八十円でしたね。それに九百七十円プラスして三千七百五十円と書いてありました。それを取っている労働者の人に聞いたら、裏金を入れたら五千円くらいになります、こう言っておりますね。仕事がたいへんですから、五千円以上の賃金で外ではやとってもらえるのですね。ですから、ちょっと要領の悪い人や正直な人が職安にやってきて、割りの悪い仕事をもらうということになってしまうのですね。それから、常時残業二時間になっておりますから、八時から十八時までの労働時間で、拘束ですね、常時残業二時間、こういう紹介の状況でした。こういう状況では、そう簡単にいまの労使の慣行が直るというふうには私には思えないのです。さっき直接雇用の比率です、これは労働省が出しておりますね。昭和四十三年八月、労働省職業安定局の資料ですけれども、これで見ますと、「登録日雇港湾労働者の職業紹介」ということの中に、「安定所の紹介による登録日雇港湾労働者の雇入れ五八%」、だから安定所を通るのは五八%ですね。「安定所の紹介によるその他の日雇港湾労働者の雇入れ」これ、白手帳のほう、カードのほう一〇%、「事業主の直接雇入れ一七%」これは明らかに労働省の資料ですね。だから少し前のものですけれども、直接雇用というのがそんなにあるということですよ。これは全部雇いあげてしまった後に残って十六条の規定で雇ってもよろしい直接雇用とは限らないわけですね。相当たくさんにそういう直接雇用があるということです。そういう状況です。だから、そういうものはありませんよとあまりきれいにおっしゃることは現実を無視しているということになります。最近の数字だって労働省が官庁として出す数字と現実とはたいへん違う、そのことだけはよく認識していただかなければならないと思います。なぜ、このような無法地帯が出現するのかということですね、業者のほうから見ますと、腕のいい労働者を手に入れたい、こういうこともあるんですよ。それから過当競争でもあるから早く行って早くいいのをつかまえよう、前の日から約束してしまっているというのもあって、車に乗って待っておりましたよ、ほかの人が連れてこられるのを待っておりましたね。だから、やみ雇用というのは慣行になってしまっている。そして、その中から賃金のピンはねというようなことも行なわれている、こういう状況なんです。だから全体として私は直接雇用をそんなにやるというならこれは日雇いじゃなくて常用にすればいいじゃないか。ところが常用すらいやがる。擬装常用というんですか、季節的に連れてきて常用のふりをしている、こういうのが非常に業者によっては雇われているわけですね。この実情はお認めになりますか。
○説明員(永場久治君) 直接雇いにつきましては、事業主がみずから募集するわけでございます。しかし、それはみずからの労務の担当者を通じまして募集するわけでございます。港湾労働法では、それをはっきり把握するために、雇い入れましたときには安定所に当日すぐ届け出る、こういう仕組みになっているわけでございます。しかしながら、最近直接雇いという数が非常に少なくなってきておるわけでございます。港湾労働法が施行されました当初は約二五%ぐらい占めておったわけでございますが、現在は一〇%を割るというふうな状況になっております。こういった数も減ってきておりますし、直接雇いと申しますのが非常に雇い入れの経路というものを不明瞭にするということで昨年の十一月十七日、港湾調整審議会の建議におきましてもこれをやめるべきである、こういう御建議があったわけでございます。それに従いまして、今回の法案では直接雇い入れというのは天災その他、非常にやむを得ない場合を除いては禁止する、こういう措置で法案をつくって御提出している次第でございます。
○田中寿美子君 労働省、たてまえばかりをおっしゃるんで、ほんとうに困るのですよ。問題の解決はこうなっておりまして、こうやっておりますだけでは解決できないんです。おそらく大臣のほうが知っていらっしゃると思うんです。それで、労働力の確保、四十三年のこの資料ですね、「港湾労働の現状と問題点」、これが今日の港湾労働法をつくる前段での労働省での問題の指摘された最初のものなんじゃないかと思うのですけれども、この中に相当正直に書いている、いろいろな問題を。これで見ますと、非常に日本の港湾労働問題というのは重大な問題であって、「一歩を誤まれば、社会問題、治安問題に及ぶことにも留意すべきである。」と書いてありますね。この治安問題というのはどういうことを意味しているのですか。これはおたくで出しているのですからね、四十三年八月。
○政府委員(道正邦彦君) 「港湾労働の現状と問題点」、新しいのもつくっておりますのでそれと合わせてごらんいただきたいと思うのでございますが、先ほど永場課長からお答えいたしましたように、直接雇い入れば、確かに四十三年におきましては一七%ぐらいあったわけでございますけれども、最近は一〇%を切っております。また、手配師絶無とは私は申し上げませんけれども、法制定の当初に比べますならば、私は明らかに減ってきておると思っております。 それから四十三年に治安問題について触れているといたしますならば、毎年大阪であるとか、山谷であるとかあるいは横浜におきましてもときとき暴動に近いような騒ぎが起きるわけでございます。そういう問題をはらんでいる地区であることはもう間違いないわけでございまするし、その中に港湾関係の労働者の皆さんも一部入っておられるということもまた事実だと思います。そういう意味で、港湾労働の行政よろしきを得ないならば不満が爆発して、そういう治安問題の発火点になりかねないという趣旨で書いたものと思います。
○田中寿美子君 私は、何でこの四十三年のを出すかと言いますと、だんだん変わってきているわけです。このときは一番まだ正直なんです、問題の分析のしかたが。もちろん港湾の近代化とか、技術革新はまたものすごくここ数年の間に変わってきましたから、だから、これは港湾整備五カ年計画だって二、三年ごとに変えてしまわなければならないぐらい追いつかないできているわけですから、私は事情が変わってくることは認めますけれども、しかし、ここのところでは幾つか問題点を指摘しています。その一つにいまの一歩誤れば治安の問題にもなるというような状況に港湾があるということ。それから港湾運送業者だけではちょっとこの労働問題の解決は十分にできないということを書いている、ちゃんと正直に。日本はたいへん私は独特なシステムを持っていると思うんですね。外国にもないことはないけれども、でも船主とか、荷主とかいう背後にある大きな資本と大きな力、それから労働者、その中間に運送業者という中小の小さな業者がひしめき合って、全国で二千ぐらいあるのでしょう、これが労働者の間に入って仲介しているような形になっているのですね、船荷、荷おろし両方。一体、私はけさも港湾運送業者に当事者能力があるのですかということをお尋ねしたのはそういうことなんです。一体、港湾運送業者というのは完全に独立して、自分たちで労働者と対等に交渉する力のある団体であろうか、それとも背後にある船主たちの影響で動くものなんであろうかということ、労働省としてはどうお考えになりますか。
○政府委員(道正邦彦君) 船社、荷主が非常に港湾労働に大きな影響を持っているというのは事実であろうと思います。しかしながら、私ども業法によりまして、業者として免許を受けている方々でございますので、そこで雇われる労働者との間にはりっぱに雇用関係は成立するし、団体同士の団体交渉ということも成り立つというふうに思いまするし、また成り立ってもらわなければ困るわけでございます。ただ、いろいろ規模が少さいとか、むずかしい問題があることも事実でございますけれども、労使関係、あくまで業者と労働者との間にあるわけでございますので、その間に団体交渉というものもあるわけでございます。ただ、船社、荷主が非常に大きな影響力を持っていることもまぎれもない事実でございますので、その協力が必要であることも当然でございます。そういう意味で、私どもといたしましては、当面の第一次の責任者は業者でありますけれども、関係の船社、荷主にも社会的な責任を持っていただくという意味でいろいろ協力をしていただくということはぜひお願いをしておりまするし、関係の業界におきましても、最近はそういう機運が高まっておりまして、みんなの問題として港湾労働の問題を考えようということで、昨年の港調審の場におきましては船社、荷主の方々からも非常に活発な御発言があったわけでございます。
○田中寿美子君 先ほど杉山委員がお尋ねしたときに、労働大臣がお答えになっておりましたが、船主協会にぜひ団体交渉の場に出てテーブルにつけというようなことを言っておられたときに、大臣はそのような事例は外国でも少ないというふうにお答えになりましたね。これはそうでしょうか。私の承知しているところでは、いろいろな型はあるとしましても、西欧諸国やアメリカでは船主が団体をつくっている、それに対して港湾労働者の組織があって、その間の団体交渉でいろいろな労働条件をきめるということのほうが多い。例外的に荷役業者の組織化されているところ、たとえばオーストラリアなんかはそうだというふうに承知しているのですけれども、それは教えていただきたいのです。世界的にはどういうふうになっているのですか。日本の状況は、私は独特なものであると思うのですが。
○説明員(永場久治君) 世界全体的に見まして、つまびらかにするものではございませんけれども、アメリカのように労働組合が全体としましてみずからの組合員をコントロールする、こういうふうなところにありましては、団体交渉の場に港運業者と船社というものが一体になってこれに当たるという、こういう仕組みをとっているところがアメリカのほか、やはりたとえばオランダ等におきましてもあるようでございます。
○田中寿美子君 いまおっしゃったこともう一ぺん。アメリカの労働者は港運業者と一緒になってだれに当たるのですか。
○説明員(永場久治君) 港湾労働者と団交をやると、こういうところがあるわけでございます。
○田中寿美子君 港運業者が……
○説明員(永場久治君) 港運業者と船社とが一体となりまして、港湾の関係の労働組合と交渉をやるというふうなところが典型的な例としてあるわけでございます。で、ただ英国の場合でございますと、これは運輸一般労組の港湾関係の組合とそれからステベドアを中心とします港湾業者との間の団交というふうに私どもは理解しているわけでございますけれども、ただ、団交の面、そのあり方、その列席する者の範囲と、こういったことにつきまして詳細を私ども把握しているわけでございませんので、その点はILOのレポートによりましても、その辺はやや不明確でございますので、一般的にはこうだということはなかなか言えないわけでございますけれども、そういうアメリカ式な方式をとっております国もかなりあるというふうに理解しております。
○田中寿美子君 港労法やるんですから、労働省はもっと私たちにちゃんとそういう情報を提供していただかなければ困ると思うんですね。私ども一生懸命にあさってみて、英国のとかアメリカのとか、イタリアのとか読んでみましたけれども日本のように、こういうたくさんの荷役業者という小規模のものがいて、そしてお互いに労務供給の仕事を競ってやっているというような形のところはほんとにないといっていいと思います。オーストラリアの場合には港湾の運送業者があるけれども、これはきちっと国の管理のもとに労働組合と団交するという形をとっている。そういうわけで、日本の社会には、港だけじゃない。全体にそういう古い前近代的なものが残っていると思いますけれども、港は特にそうだと思いますね。ですから、そういう点は、だから私労働省だけで解決しろなんていうふうなことは全く無理な話だと思う。それで運輸大臣に来てほしいと盛んに言っているわけなんですが、これは日本はそういう独特のシステムを持っていて、そして、はたしてこの港湾運送業者というものは、今後仲介者としていつまでも残っていくものなんだろうか、それはどういう見通しを持っていらっしゃるんだろうかということを、これは私、運輸省に伺いたいわけなんです。運輸省は港湾全体に対する計画を持っている、長期の整備計画を持っていらっしゃるわけです。その中で、一体どういうふうに考えていらっしゃるんだろうかということですね。こういう港運業者というのは、ずっとあるものでございましょうか。ことにアメリカの例、さっき永場課長引かれたけれども、アメリカなんか非常に大型船化して、ラッシュ船なんて向こうから、いかだを持ってくるわけでしょう。そして日本の港に専用埠頭みたいなところにぱっと横づけして、そしてそのままラッシュ船のいかだを上陸さしちゃうわけでしょう。ですから、中に港運業者が介在するチャンスというのはだんだんなくなりつつあるわけなんですね。それで、運輸省は将来の見通しとしてどう思っていらっしゃるのですか。港運業者はおたくの管轄なんですね。
○説明員(高橋全吉君) いま、るる先生からいろいろお話がありましたけれども、御承知のように港湾をめぐる輸送革新というものは非常に急速なスピードで進んでおりますけれども、特に問題になりますのは、コンテナ輸送が日本においても四十三年から始まりまして、大体四十五年度では定期船貨物に大体六%、それが五十年には大体四一%になるではなかろうかと、このように見込まれております。それから一方バラ物でございますが、鋼材あるいは穀物こういうものの輸送というものが、船の専用化に伴いまして、さらに大型の荷役機械の導入と、こういうもので、これも港におけるサイロの建設等が盛んに行なわれておりますが、これも四十一年度は大体穀物のうち、サイロの取り扱い量が三〇%程度が、五十年度には九五%に達するんではなかろうかと、このように推測されております。まあ、いずれにしろ、港湾におきますこういう近代化というものは、それぞれの港湾管理者の計画、港湾を建設する計画でございますが、港湾管理者の計画というものが、近代化に向かっていろいろ運輸省に提出されております。それに基づきまして、運輸省としましては、四十六年度を初年度といたしまして、二兆一千億の五カ年計画を立てたわけでございますが、それに基づいて港湾を建設しております。こういうふうな背景におきまして、しからば、港湾運送事業というものはどうなるんだろうかと、もちろん、これは労働面から申しますと、労働の質が、私は、変わってくると思うんです。いわゆる機械荷役が盛んになりますと、やはり専門的な労働を要求するような労働になる。そうしますと、やはり省力化というものがその前提にありますから、労働者の生産性というものも向上してくると、しかしながら、依然として在来埠頭というものがありまして、これは特に東南アジア方面等の輸送もございますので、依然としてそういう近代化されない、いままでどおりの埠頭というものも残っておるわけでございますから、そこにおける港湾労働もあるわけでございます。しかし、国全体として見ますと、やはり貿易量がふえますので、輸入、輸出合わせまして、やはり港における取り扱い量は全体としてふえますので、港湾労働者というものは数においては減らないだろうと。ですから、一つには、非常に港湾労働というものが専門化してくるということが一つと、労働者としては、数としてはそんなに減らないんではなかろうかと、横ばいではなかろうかというような感じを持っております。 それから業でございますが、先ほど先生がいろいろ外国の例をお引きになって御説明されましたけれども、私たちとしましては、先ほど杉山先生の御質問もありましたけれども、確かにそれを利用する荷主とか、あるいは船社、こういうものは非常に港湾運送について理解を深める意味で、これは、やはり港湾労使だけにまかせるのではなくて、同じテーブルにつくといいますか、前面に出てきていろいろ話し合いをするということは、私としては望ましいことと考えておりますが、その前提となりますのは、これは当事者がやはり納得ずくでそういうふうにしようということにならなければ、せっかく役所が一生懸命やれやれといっても、その担当者が、いわゆる関係者が合意を得なければ私は無意味だろうと、このように考えております。
○田中寿美子君 ですから、私は、けさほど、一体、港湾運送業者というのは、当事者能力があるのか、つまり背後の船社やら荷主からひもをつけられているというようなのか、それともそこまでいきもしない、おのおのばらばらで、それこそ一つの団結したような形になって労働者の組織と正当な立場での団体交渉する能力がないのか、あるのかと、こういうことを疑問を出したのは、その意味でございます。非常にその辺は、まだ疑問がたくさん残った形で港運業者というのがいるわけなんです。ところが、系列としてはずいぶん横浜港だけで見てみましても、大体、港湾運送業者というのは大きな船会社の系列化にみんな入っておりますよね。商船三井から山下新日本、日本郵船、川崎汽船、日通埠頭海運、そのほかもちろん小さいのもありますけれども、大体こういう六つの大きな海運業界にはみんな系列のもとには入っていると、入らざるを得ないというような状況になっているわけですね、荷受けをするわけですから。こういう中で、私は、もうすぐ大臣が見えるそうでございますから、運輸大臣から、一体、日本の港湾をどうしようと考えていらっしゃるのか、そのビジョンを伺いたいと思っているわけなんです。その中で、一番、私は大事なことは、そこに働いている港湾労働者の立場を真剣に考えられていないという問題なんですよ。ことに、運輸省は、業界のことばっかり考えて、労働省は労働者のことを考えなきゃならないんだけれども、これも登録日雇い労働者のことだけでしょう、港湾労働法というのは。いま五千人に定数減らしちゃったわけですね。いまさっき貨物量はどんどんふえるけれども、労働者は横ばいでしょうといわれた。横ばいにするようにどんどん減らして、四年間にもうずいぶん減らしちゃったわけですからね。この実際の数は、それでは港湾で働いている労働者の数、労働省ではどのように把握していらっしゃいますか。
○説明員(永場久治君) 六大港につきましては、常用港湾労働者につきましては、私ども、使用の届け出がございます。したがいまして、これは全部把握しておるわけでございますが、五万五千人というのが現状でございます。ただ、この中には港湾の労働者でございましても港湾労働法の適用のある業種だけでございますので、したがいまして、運輸省の関係の統計と突き合わせますと、私のほうの数字が少ないと、こういうことはございます。それから登録日雇い港湾労働者につきましては、これは現在のところ、四千四百人ばかり、こういうことでございます。で、六大港につきましては、運輸省の統計があるわけでございますので、労働省としまして港湾労働者の統計をとっております。
○田中寿美子君 私が運輸省の統計で見ますと十万ちょっとですね、常用者は。それから日雇いのほうは延べ数二百八十万、年間で。それで延べ数でしか取れないという状況ですよね。これは六大港だけが労働省の管轄で、あとは運輸省だというおかしなことになっていて、働く人の身からすれば、どこの港で働こうと、これは労働法は適用あるでしょう。労働基準法から職安法から、労組法は適用されなきやならないでしょう、どこの港で働いていようと。だけれども、港湾労働法によって六大港しか適用していないわけですね。そうして、ですから、港湾で働く労働者の数も「港政要覧」でしたかね、運輸省の出していらっしゃる。あれで見ますと大体年間十万ぐらいが常用で、そして日雇いのほうは延べ数二百八十万というふうにあったと思います。ですから、これは一体、一日に換算したらどのぐらい働いているのか、届け出数だけですから、実際に私、それより多くなっているんじゃないかというふうに思います。 それでさっきの続きなんですけれども、昭和四十三年の労働省の資料ですでに幾つかの問題が提起されている中で荷役の波動性のこと、これはいつもいつも問題になって港湾労働というのは波動性があるんだから、どうしたって日雇いにたよらざるを得ないという考えが、もうほんとうに一貫してあるんですね。私は、この辺も国際的な感覚とは、ずれていると思うのです。波動性があるから日雇いでなきゃならないなんということはない。港湾というのはどこでも波動性があるんですね。だけども、いざというときにはたくさんなくちゃ困るんです。だから一定数を登録してちゃんとプールしておいて必要なときにはざっと出てくる。それでも足りないときには、幾らかそとから日雇い労働者を雇う。しかし、波動性があって仕事の少ないときには休んでもらう、その休んでもらう期間の賃金保障をするというのが、これはもう国際的な常識なんですね。その辺を、私、労働大臣、それを根本的に踏まえていただかないと、私たちが港湾労働法で非常にその点で反対の意見を持つのはそういうことなんですよ。根本的にそういう立場をとっていないとILO条約批准したってもう中身違ってきますよ。ものの考え方を、波動性があるから日雇いでなくちゃならないというのがこれまでの考えでしたけれども、これからはそれを改められるんでしょうか、どうですか、大臣。
○国務大臣(加藤常太郎君) ILOでも各国の条約及び勧告の趣旨は二つありますが、常用的雇用と収入の保障と、こういう点からいきますと、登録であろうが、日雇いであろうが、やはり港湾の波動性があっても常用に近い程度に改善することが、これは当然の方向であります。ILOでもそのことを指摘いたしておりますし、しかし現在の日本の体制でも必ずしもILOの根本の趣旨には反しないということで、いま、田中委員からの御指摘のとおりが当然今後の理想の姿であることは間違いないと思います。
○田中寿美子君 いま大臣は、波動性があっても常用化の方向にいくべきだと思うというふうに言われた、それは間違いありませんね。——私は、それを貫かないと、港湾労働問題は解決しないと思います、港湾労働者の問題はですね。 それで、波動性の原因は何に一番あるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(道正邦彦君) 現実に各港の現状を見ますると、月間、あるいは同じ月の間におきましても、かなりの波動性がございます。で、一時、月末・月初というようなことも言われ、それが波動性の原因だというふうに言われたこともあるわけでございますけれども、現実の港湾労働の現状を見ますると、必ずしも月末・月初でもないようでございます。要するに、船が定期的に入ってこないということに原因があると言わざるを得ないと思います。
○田中寿美子君 いま、非常に、船が次々と港に満員になっているわけなんですね。で、停泊していたり——それから、オートメ化したり、機械化しているから、そのまんまコンテナで揚がっていってしまうというようなのもあると思いますけれども、しかしまた、荷役業者は、その月末の決済ですか、その証券をもらってすぐそれでお金になるという制度が一つは理由になっていると、ずっといわれておりますね。そういうようなこと以上に、これは世界的に波動性というものが港湾にあるということはだれでも認めていることですから、その波動性を認めた上でその労働者の雇用ということは安定させていかなければいけないと、こういうふうに、そういう方針をおとりになるというふうに私は理解したいと思うし、そうすべきだというふうに思います。 そこで、この港湾の労働者というのは、非常に災害が多いわけですね。港湾労働者の福祉の問題、あるいは災害対策、こういうことについて、いまの災害の状況、普通の建設現場よりももっと多い。一体、どういうところに一番災害が多くて、その取り扱いをどういうふうにしていらっしやるか。それから、福祉に関してはどういうことをやっていられるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(渡邊健二君) 港湾労働というのは災害が多いということは事実でございまして、私どもも災害の防止にはこれ、つとめておるわけでございますが、災害がどういうところに多いかというと、四十六年の港湾荷役業における原因別の災害発生状況を見てみますると、一番多いのが取り扱い運搬災害、それから動力揚重機災害、それから飛来崩壊災害、それから激突踏み抜き災害、こういう種類の災害が多くなっておるわけでございます。しかしながら、私どもも港湾荷役業における災害の発生には極力努力をいたしております結果、昭和四十四年ごろから見ますると、災害件数自身も減ってまいりましたけれども、件数・絶対額ばかりではなしに、度数率、それから強度率両面から見ましても、逐次減少を見つつあるわけでございまして、今後とも災害防止努力を強化することによって、極力港湾荷役業における災害を少なくすることにつとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
○須原昭二君 ちょっと関連。田中委員から運輸大臣にもお願いしておりまして、御到着になりましたから、したがって、私は簡単に関連をしてお尋ねをしておきたいんですが、いま労働基準局長のお話——きのう、名古屋港で事件がまた起きた。現実にこの正午までに事件が継続をされて、ようやく発見をされました。事実を御存じですか。
○政府委員(渡邊健二君) 昨日起こりましたという災害については、まだ聞いておりません。
○須原昭二君 そういうことですから、これは、問題がいつまでたっても、緊急課題な問題でも処理ができないんですよ。 ちょっと申し上げておきましょう。七月の四日——昨日の夜——夜中です。午前一時。新日本製鉄所名古屋工場内岸壁十二番、「ネスパークゲート号」という船ですね、四万七百六十七トン、イギリスの鉱石専用船です。これにおいて、石炭の荷揚げ中、三人の労働者が船倉にてバケット作業の準備をし、船倉から上がろうとしていた。一人が船倉から上がったが、失敗、残った二人が船倉にいるのに、クレーンが動き出して、バケット——一つかみ四十トンですよ、超大型のバケット。この作業が始まって、二人の労働者が荷物、すなわち石炭と一緒にバケットに積み上げられて、死亡事故が起きておるのです。しかも、なくなった人は、——名前ははっきりしておきましょう。こんな情報の収集ではだめなんですよ。楠橋幸雄さん・四十五歳、江崎春年さん・二十五歳。死体は、両足がちぎれ、腕がもぎり取られ、きわめて悲惨な状態になっているそうです。しかも、その一人の死体が非常にわからなくって、ちょうどいま、十二時ごろに、五十人か六十人で船倉やあるいはまた岸壁を全部さがして、ちょうどきょう、——きのうの夜中の一時に起きた事件が、けさほど、きょう昼ごろになってわかったという状態ですよ。どういう状態になっているんですか。 この事件の問題点は、私は端的に申し上げるならば、この専用岸壁での作業で、すなわち船内の港湾荷役業者と新日本製鉄という荷主の側との作業の連絡がきわめて不十分である、こういうことがうかがわれるわけでありまして、荷役の作業にあたって点検がなされていないんです。どれだけの人間がその職場に入っておるのかという点検が全然できていない。したがって、荷役業者のほうが、指導権がないものですから、クレーンがどう動こうが、こちらにはわからないんですよ。そういう連絡が不十分ということから、こういう悲惨な事故が起きている。しかも、第二点の問題点は、夜中の作業であるということです。これは、先ほどから問題になっておりました三・二二協定では、港湾業者と協定がなされていない。すなわち、新日本製鉄という専用岸壁でありますから協定が守られない。すなわち、荷主・船主、この独善の横暴がそこにあらわれておると言わなければならないわけでありまして、特に、この名古屋港においては、三・二二協定については不参加——参加いたしておりません。したがって、三・二二協定は工場の構内・専用岸壁というものは入っていないわけです。この問題について、引き続き協議をするということになっておりますが、これは、どうしてもやはり入れていかなければならないというふうに私たちは考えます。しかも、この時間帯の問題です。専用埠頭でありますから、したがってその専用埠頭を支配をいたしておるところの工場、すなわち新日本製鉄は四直三交代ですから、人はかわっていきますけれども、この港湾労働者というのはオールナイトですよ。三人がずっと、二十四時間、働いているという現実なんです。これは労働基準法からいっても、大きな問題点です。 こういう問題点が出てきて、このような悲惨な事件が——きのうの朝起きて、ようやくきょう死体が、先ほどの十二時に、五十人も六十人もかかって、出てきたという現状を私たちは考えるときに、いま災害は減ってきておるんだ、こういう報告で、ほんとうに監督がなされているかどうかを私も疑問に思うのです。それら問題点を二、三点申し上げましたから、どうぞひとつ、そちらのほうから御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(渡邊健二君) 名古屋で悲惨な事件が起きましたことについては、まことに遺憾に存ずるわけでございます。私ども先ほど申し上げましたようにまだ報告を役所で受けておりませんので、至急帰りまして原因等については十分に調査をいたしまして、調査の結果によってしかるべき処置をとりたいと、かように考えるわけでございます。 なお、私ども港湾の監督につきましては、港湾業種というのがいまおっしゃいましたように災害その他の非常に問題を含んである業種だと考えまして、従来からも重点業種にいたしておるわけでございまして、そういう意味におきまして、港湾荷役業につきましては全事業場について年一回以上監督するようにつとめておるところでございます。現実に昭和四十七年度におきましても監督率は一六〇%ということで一回半強の監督を実施いたしておるところでございますが、それにもかかわらずそういう事故がなお起きておるということはまことに残念でございまして、今後とも一そう監督強化につとめますとともに、事業主に対しまして安全衛生法に基づきまして事業主としての災害防止責任ということを一そう十分に果たすよう指導監督いたしてまいりたいと考えるわけでございます。
○須原昭二君 時間の関係ございますから端的に申し上げておきますが、事態を掌握をされておらないのですから、詳細にここで質疑をかわすわけにまいりません。残念です。こういう問題が起きたら直ちにやはり労働基準局の下部機関からすぐ本庁に上がってくるぐらいの機敏さを持ってやらなければ、こういうような労働災害というものはなくならないと思うのです。ですから、直ちにひとつ事態を調べていただいて、そして関係会社、関係当局に対してこの問題の原因の追及をしていただいてその是正に全力をあげてもらいたいということが第一点。 第二点は、やはり今度のこの法案の中でも、こういう専用岸壁については対象外になっているわけです。こういう点については非常に問題点だと思いますが、その点はどうですか。
○政府委員(道正邦彦君) 先生の御指摘が自家荷役でございますとこれは適用外になりますけれども、荷役業者等の労働者であればこれは適用になるわけでございます、適用法に関する限りは。
○須原昭二君 港湾局長どうですか、いまの事件について。知っていますか。
○政府委員(岡部保君) ただいまのお話、私、役所を出るまで全然存じませんでした。これからもこういうことのなるべくないようにしてもらわなければいけないと思いますので、今後とも注意してまいるつもりでございます。
○田中寿美子君 いま言われましたように、荷役業の労働者ですね、港湾労働者。たいへん長時間労働、二十四時間労働というものが、これがいままで、ことに船内荷役なんかやられてきたわけですね。そうして、労働災害も普通の災害の五、六倍あるというふうにいわれておる。こういう危険作業が一ぱいなんですね。だからよけいにこの三・二二協定では安全衛生の問題も入っておりますね、福祉の問題もあるから。それから深夜業禁止の問題も入っておる、いまお話にもありましたように。これは運輸大臣、わざわざお出かけいただきましたのは、港湾労働者の問題は労働省だけで解決なんかできないわけなんです。そうして、しかもいま対象になっているところの荷役業者、港湾運送業者ですね、というのは運輸省の許可を得てやっている業者でしょう。そうしてその許可を受けるときにはそれぞれの会社に何人の労働者を、どういうような条件の労働者を雇うということがちゃんと許可条件には入っているわけですね。したがって、その港湾労働者の福祉とか港湾労働者の労働条件に関しても運輸省は私は責任があると思うんです。そういう意味でいまのような災害の問題でも、運輸省、労働省ともに大きな責任があると思うんです。そういう意味で、何となく運輸省と労働省にずれがあって、一方では業者の側のことだけを考えるというような感じがするもんですから、この際、とくと港運業者のところに働いている港湾労働者の問題について考えを改めていただきたい、こういう意味で来ていただいたわけです。ですからその問題についての御決意をまず伺わしていただきたいと思います。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 労働省との関係は、これは非常に密接なものがあることはお話のとおりでございます。組織法からいいますと分かれておりますが、両者が相協力をいたしまして港湾運送業、それから港湾労働者の福利というようなものも、これは両者が協力しないとうまくいかないということは、いまお話になったとおりでございます。私のほうは労働省と多少観点が違いますが一方では御承知のように最近輸送の革新ということが進行しておりまして、港湾における設備も非常に変わってこざるを得ないのであります。そのために雑貨等を扱いますいわゆるコンテナ船というようなもの、あるいはバルキーカーゴーを扱っております穀物とか鋼材とかあるいは鉱石類とか、そういったものを扱かっておりますものが非常に最近では専用埠頭をこしらえたり、専用船をつくったりいたしまして、いわゆる世界じゅうの一つの傾向でございますが、その世界の海運経営にやはりおくれをとらないようにということで、港湾設備と相並んで省力化といいますか、港湾労働の省力化につとめておることは事実でございます。そういうことのために、いまその点についての質問はなかったわけですけれども、一方においては非常に港湾労働の中で離職者がたくさん出てきておるということも事実でございます。また、これは具体的にいいますと港により、何といいますか、荷役の種類によりまして労働条件が違うわけでありますが、中にはいまおっしゃったように滞船時間を少なくしようということから労働過重になるというケースもないことはないと私は考えております。 そこで、離職者に対しては離職者に対する対策、それからそういう労働過重に対してはそれに対する対策というものを立てなければなりませんが、これは先ほどもちょっと申し上げましたように労働省の御主管ではありますけれども、私どもも協力をしなければならぬと考えておるわけでございます。私ども協力し得るということは、結局港湾運送事業法ですね、いまお述べになりました。これが非常に御承知のように古い法制でございまして、いまの港湾運送事業からいいますとどうもこのとおりにはやれない、非常にこれは非近代的といいますか、時勢おくれの法律でございまして、この法律は実は基本的に改正をしたいと思っているわけです。根本的に改正し直して現状に合ったような港湾運送業というものを対象にしての法律秩序を立てたいと思っております。これが内容をどこまでどういった問題について掘り下げていくかということはこれからの検討問題でございます。私はこれ急ぎますから、できるならば、来年の通常国会には間に合わせるように成案を得たいというので、当局に指示をしておるような次第でございますが、いずれにいたしましても、港湾運送事業というものがもう少しいろんな面から見て近代化され、そしてその事業が確立してまいりますということは、そこに働いておられる港湾関係の労働者のいろいろな意味における福利にもつながってくるようにこれはしなきゃならぬというふうに考えておるのでありまして、この点についていまお尋ねがございましたが、そういう点について近い将来に対しましてやはり一つの希望を持って計画を進めていこうと思っておる次第でございます。
○田中寿美子君 いま港湾運送事業法の改正の問題に触れられたんですが、これを改正するお考えならば、つい最近採択されましたILOの港湾労働者に関する条約と勧告、この中にある事柄をよく守るような改正にしてもらわないと困るわけです。あの勧告文の中には、いまの元請、下請というようなああいう制度はだんだんやめろというふうになっておるわけです、簡単に、単純化していかなきゃいけない、そして常用化していくように。つまりさっき大臣おいでにならないとき申し上げましたけれども、港湾というのは波動性があるから日雇いでいいという考えは一切もうなくさなきゃいけない。波動性のあるのはあたりまえなんであって、波動性があるからこそ、いつもちゃんと労働者を確保しておいて、その労働者がいつ何どきでも忙しいときには出てくる、出てこないときにはちゃんとそこに働く人としての生活の保障、賃金保障というものも含めた労働者を置くべきであるということをさっき申し上げていたわけなんです。そういう問題についての運輸省と労働省との意思統一をぜひしてもらわないと困るということを申し上げておきまして、特に運輸大臣にお伺いしたいと思いますのは、けさ三・二二協定のことで一応——三・二二協定って御存じでしょうか、荷役業者の日港協という団体と、それから港湾労働者の団体でありますところの全国港湾との間に三月二十二日、団体交渉で協定が結ばれたのですね。その協定を結んだのが三月二十二日で、その中には労働条件のこと、賃金のこと、学働時間のこと、安全衛生のことなどが含まれてありますね。その協定を一方的に業者団体のほうが破棄したのが四月二十五日でございます。せんだって、大臣がちょっとお見えになりましたとき私、申し上げましたように、四月十六日に料率の値上げを大臣が許可していらっしゃるわけですね。荷役業者の料金の値上げというのは運輸大臣が許可なさる、その許可したその条件は、これは船主や荷主たちの間で、これは荷役に従うところの労働者の賃金を引き上げるということを条件にして許しているわけなんです。大体二二、三%の料率アップしたのでしょう。それを四月十六日に閣議決定なすっているわけですね、閣議を通るわけでしょう、これは。閣議で大臣は報告なさったわけじゃありませんか、認可なさるのについては。それは四月十六日ですね。そして四月二十五日に、それから一週間ほどしたら協定を破棄しているわけです。これでは値上げをした理由というのは港湾労働者の賃金をアップするための料率値上げだということで許したはずなんですね。だから船主や荷主は、もしそういうのだったら払わないぞということも言っているくらいなんです。運輸大臣ね、あなたの責任でこれ、認可するのでしょう、料率直上げは。そうですよ、国鉄運賃と同じことですから。国鉄運賃は国会でやる、それから船のほうは大臣の認可になっておる。それで認可しているのですからね。ですから、もしも協定を破棄してしまって賃金値上げにも反対し、あの協定を破棄したのだったら、それはもう料金の値上げは許さない、そのくらいのことを大臣、言ってほしいですね。いかがですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 途中から伺ったものですから、前後の事情わかりませんで、とんちんかんな返事をするかもしれませんが、御了承願います。 この前にちょっと伺いまして、お尋ねがあったので、お答えしたと思います。労働大臣と同じように今度はちゃんとその協定を守らせますということをお答えしたと記憶しておりますが、そのとおりでございまして、それは何か……
○田中寿美子君 だけれど、まだ実現していないのです。まだ延びているのですね。
○国務大臣(新谷寅三郎君) それは私のほうの関係におきましては、お約束したことは必ず実行いたさせますから、御安心をいただきたいと思います。
○田中寿美子君 それについては十三日の日にまた話し合いをすることになっているわけです。そして三・二二協定については従わせますという話し合いを両者がいまやったという御報告を私ども受けているだけであって、実際に三・二二協定がちゃんと守られるかどうかはまだまだ今後のことなんです。それで料金値上げをしたのは、労働者の賃金アップを理由にしているわけですから、だからちゃんとその協定を守るまでは料率の値上げは許さぬ、こういうことに大臣はおっしゃるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) いま申し上げたとおりでございまして、労働大臣とも話し合いましたが、両大臣がここではっきりとお返事をしておりますので、われわれとしましては責任を持ってそのとおりに実行いたします。
○田中寿美子君 協定もいまストップしているわけですから、料率値上げもストップしたらどうですかということです。
○政府委員(岡部保君) ただいまの先生のお話でございますが、料率値上げ、確かにいたしまして、当然、賃金のアップという問題、これは、これの一つの要因であるわけでございます。非常に大きな要因だと思います。そこで、そのベースアップと申しますか、そういう問題についての各地域、各業種での折衝等で、この点についてはだいぶ話が進んでおるという関係がございますが、ただ問題は、確かに三・二二協定を何とか守らせるべきであるという考え方、これはもうこの前、私ども念書を差し出したことでございまして、全くそのとおりだと存じます。したがって、これについて何とかこれは七・一三になるのか、そこの辺まだ問題があるようでございますが、再びの話し合いという機会にこれは何とかその線に持っていくように、私どもも横からではございますけれども、努力をするつもりでございます。
○田中寿美子君 運輸大臣の時間が限られておりますので、それで私はいま労働大臣、労働省中心に質問していたのをしばらく飛ばしまして、運輸大臣中心にお尋ねしますが、先ほどちょっと海上輸送の合理化、技術革新、それから埠頭や港湾の近代化のお話が出ました。ほんとうにいまじゃコンテナがどんどん進んでしまって、荷役を必要としないような場所も専用埠頭なんかで、自分の会社のコンテナをそのまま持ってきて、そのまま専用埠頭に上がるというようなのもございますね。それから例のラッシュ船みたいに外国の船は、アメリカの船は自分でいかだを持ってきてそのまま上がる、そうすると、日本の港のほうのいかだは必要なくなるというような状況が起こってき、まあ、ほんとうにたいへんな海上輸送並びに港湾、埠頭の革命が起こっていると思うのですね。そういう中で運輸省は五カ年計画を何回か、もうたいへんあわてて手直しをしなければならなかったわけですね。今後、日本の港湾をどういうふうにしようかと思って、いま港湾労働法では六大港が適用の港なんですよ。それ以外の港のことはいま労働省が議論している港湾労働法は適用ないんです。だけれども、運輸大臣としては、この六大港並びに日本じゅうの港湾を一体どういうふうにしようと考えていられるのか、その見通し、見取り図といいますか、ビジョンですね、そういうところで働く労働者がどのくらい要るようになるだろうか、こういうことまでお考えになったことがあるかどうか。
○政府委員(岡部保君) ただいま先生の御指摘ございましたいわゆる港湾の今後の整備の考え方、さらにはそれに伴っての港湾労働界の問題点をどういうふうに考えておるかという点でございますが、先生も御指摘ございましたように、私どもただいまいわゆる港湾、公共事業と申しますか、港湾施設の整備ということで、第四次の五カ年計画を実施している最中でございます。これは昭和四十六年から五十年度に至る五カ年計画を実施している最中でございます。そこで、従来の港湾施設の整備の方向とそれから今後の港湾施設の整備の方向、これがどういうふうに変わっているかという点についてまず御説明申し上げますと、いわゆる六大港、ほんとうに非常に大きな成熟した港湾といわれておりますが、そういうような港での考え方をどういうふうに持っていくかという点につきましては、私どもは六大港というのは比較的周辺に人口過密な都市を控えております。したがって、そういうような都市のいわゆる生活必需物資と申しますか、そういうような流通貨物というもののためにはまだまだ整備をしなけれがならない。ただ、それからもう一つは外国貿易いわゆる商港としての点ではやはりそういうところに非常に商慣習が強うございますので、そういうところの整備はしなければならない。ただ、いわゆるそういうところを通過しての通過貨物、通過交通のための流通施設というものは、そういうところからはなるべくはずすべきではなかろうかというような考え方、これはむしろ陸上交通の混雑というような問題から考えておるわけでございますが、そういうようなことを考えております。ただ、そういう場合でも、たとえば一つ東京湾を例にとりますれば、北関東というようなところに何らかの流通港湾というものを考えなければいかぬというようなことも考えております。それから全国的に申しまして、港のいわゆる流通港湾の再配置と申しますか、もう少し地方の港湾を整備するべきではなかろうかという考え方でございます。しかも全体で取り扱います貨物量というものは、確かにいわゆる流通革新、たとえばコンテナリゼーションでありますとか、あるいはカーフェリーの問題でございますとか、そういうことがありますにいたしましても、まだまだ相当な伸びが考えられるわけでございます。したがって、私どもの考え方では、むしろ港湾労働の労働者数というものは、もう少しふやしていただかなければいけない。ただ、それが非常に現在のいままでの傾向といたしましては、逆に減っておるというところに非常に問題点を感じておる次第でございます。したがって、こういうような点についてはいろいろお教えをいただきまして、私どもこれからそういう港湾施設の整備という中でもそういうようなものに対する措置をしていかなければいかぬという考え方を持っております。
○田中寿美子君 たいへん重要な問題点をお出しになったと思うんですね。それでいま申しましたように、港湾労働法は六大港にしか適用されないけれども、運輸省としては日本全体に相当流通港を整備していくという考えですね。そうすると貨物量は今後相当ふえる。先ほど労働省は、労働者のほうは横ばいだろうということでしたけれども、やはり港湾で働く労働者はもっと必要である。これは定数を減らしているわけですね、労働省のほうは。六大港におけるその登録労働者の定数というのはどんどんいま減らしているわけです。その定数の算出の問題は私、あとで労働省に伺いますけれども、運輸大臣、「日本列島改造論」で港湾整備をどんなふうに考えて田中総理が述べていらっしゃるか御存じでございますね。御存じでしたらちょっと説明してください。
○国務大臣(新谷寅三郎君) あまりよく知りません。田中総理の個人的な著書として出されましたので、私もばらばらと拝見しました。しかし、数字的な問題も取り上げておられるようでございますが、それはよく覚えておりません。いま、政府委員から申し上げましたように、私たちはこの間も申し上げたかと思いますが、非常に世界貿易が拡大しておりますね。世界貿易が拡大しておりますから、それに応じて日本の経済というものも分量からいいますと非常な拡大をしております。結局、輸入物資がどんどんふえてくるということでございましょう。それに応じたような港湾設備がないのです。それで重要港湾、六大港に集中しようと思ってももう限度がありましてできない。でございますから、その荷物の種類に応じまして、やはり適当な港湾施設の整備というものはやっていかなければならないということになるわけでございます。その場合に、やはり先ほどもちょっと申し上げましたが、だんだん流通部門の革新が行なわれておりますから、船も専用化しますし、それから、それに従って港の設備も専用化するのはこれは当然でございましょう。ですからそういったものは、六大港以外に現にもう相当数ができておりますが、あちらこちらにそういったものができてくるということは、これはまあ国土の全体の開発という点から見ましても望ましい姿ではないかと私も考えているわけでございます。でございますから、この貿易の拡大の問題と、それからもう一つつけ加えて申し上げたいのは、やはり国内の荷物の動きでございますけれども、鉄道とか自動車ではまかなえない部分がたくさんできております。現在でも全体の国内の荷物の動きの大体四〇何%ぐらいは海運によっているわけです。国内海運によっているわけです。でございますから、やはりそういったものに応じまして、貿易港だけじゃなしに、地域開発というようなことも考えまして、やはり地方地方の港湾施設というものは充実しなければならぬというようなことを考えているわけでございまして、そういったのを総合いたしまして、現在やっております第四次の港湾整備計画というものを、もし、政府全体で取り上げてくれるならば、四十九年度から改めまして第五次の港湾整備計画に持っていきたい、こういう考えを持っている次第でございます。
○田中寿美子君 第四次港湾整備五カ年計画というのはいまおっしゃったように前の新社会経済発展計画によったものですね。今度はその社会経済基本計画というのに切りかえたから、やはりそこもまた直さなければならない。その港湾整備計画というのは、田中総理の言われる国土総合開発の計画の一環ですね。だから「日本列島改造論」の一環なんでございますよね。「日本列島改造論」は、今日では田中総理の私的な著書じゃなくて(「施政方針たよ」と呼ぶ者あり)ええ、——それて、自民党の方針にもなっているし、政府の方針の中にもずいぶん入ってきているわけなんです。それで、こういうことを言っておられるのですね。「工業港と流通港の整備」、日本が国際競争で勝ったのは原料輸入国だから、港湾の建設できる臨海工業地帯に工場を建てたからである。輸送コストが低くて済んだ。だからたとえば大型タンカーの開発で八千キロも遠く離れている原産地から石油をトン当たり千円で持ってこられる。これは内陸の東京湾から瀬戸内海までの運賃と同じだ。言いかえればちょうど世界最大の油田が日本の近くにあるのと同じことなんだ、だから工業港をどんどんつくっていく必要があるのだ。それで臨海工業地の立地条件としては人口が多く、水があり、労働力と消費市場があること、すなわち東京港、大阪湾などのようにというふうに言っているわけですね。そして新たに外洋にも工業港をつくる必要がある。それで鹿島湾だとか、田子の浦湾だとか、石巻湾だとか、苫小牧湾というのをあげていられるわけですね。これはちょうど運輸省が意図しているところの港湾整備五カ年計画の目標と合致しているんじゃないですか。で、まさにこういうことも言っているんですね。列島改造論によりますと、昭和四十六年に三十七万トンの日石丸というのをつくった。イギリスから四十七万重量トンタンカー二隻の発注があった。四十五年には運輸大臣は百万トンタンカーの技術開発を諮問していると、こういうわけで今後その工業港と流通港というものを日本じゅうにたくさんつくっていくんだと、そうなると岸壁の整備、それから岸壁に着岸する大型船の専用埠頭港がどんどん必要になってくるというようなことを言っているわけなんですね。そしてたとえば石油なんかは、この間、私が横浜港を見に行ったときもミールという飼料が入っておりました。あれはぱあっと吸い上げて、ポンプみたいのでね。ですから人間は一人ぐらいで済んでおりました。ああいうふうにポンプで石油を陸揚げすればいいんだ。だから人間の力というものは非常に少なくて済むようになるんだと、こういうふうに言っているわけなんですね。これはやっぱり運輸省の考えている港湾整備五カ年計画の理想じゃないんですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) いま具体的にお述べになりましたようなそういう港湾設備、港湾施設の整備ということはこれからも運輸省も考えていかなきゃならぬと思っております。そういうふいに港湾の施設を整備し、そしてやはり船舶の国際競争力というものを高めてまいりませんと、これだけ大きくなった海上の荷動きを日本の海運で処理することが非常に困難になってまいりますから、それはしなきゃならぬと思います。しかし、全体として申し上げられることは、港湾における貨物の取り扱い量というのが絶対的には非常に急激にふえてきております。そういったこともあり、それからまあ、これは労働省の御所管のことございますけれども、一方ではだんだん全体的に労働時間の短縮というようなことも行なわれますので、私は総体としては港湾労働者が港湾にはもうほとんどなくてもいいんだというようなことは孝えられませんし、その点は労働省何とお答えになったか知りませんが、大体大差ない状態でいくんじゃないかという予想を私たちも持っておるわけでございます。
○田中寿美子君 横ばいですか。
○国務大臣(新谷寅三郎君) 横ばいと申しますか、あまり大きな違いは出てこないだろうと考えておるんでございます。 それから、具体的なそのいまのいろんなサイロみたいなものをこしらえて、そこへ入れるとかいうようなことは、これはもうどんどんしていきませんと立ちおくれになりまして、これは港湾だけじゃなしに、海運業そのものも競争力がなくなって参ってしまうんじゃないかと思いますので、これは第五次五カ年計画におきましても、物の、つまり物資の種類によりましては、そういったものをもっと拡充していくという方向で考えたいと思っておりますが、まだ、その内容は、第五次五カ年計画のほうはまだ具体的に確定するというところまで、実はまだそこまで作業は進んでないんです。
○田中寿美子君 もう大臣が運輸委員会のほうにお帰りにならなきゃならないそうですので、たくさんありますけれども、一つだけ。それで、今後の港湾整備の計画をなさるときに、もうすでにいまおっしゃったように貨物輸送というのは、海上の輸送はどんどん山まで登っているんですよね。もう倉庫が内陸にできちゃっているんでしょう。インランドデポとかなんとかいって、コンテナがすっと上がっていったりしているわけですね。ですから、港湾で働く人の問題を考えるときに、私は労働省と運輸省はしっかりとタイアップして、港湾労働者の働く場所の範囲をもっと広げていくということを考えてほしいということ、これです。それから労働のあり方に関しては、もうさんざん前に話をしていたことなんで、最も非近代的なものが今日六大港にはあるわけです。ですから、そういう非近代的な人間関係に対して、もっと労働者の立場を、つまり産業の面から港湾の整備をするとか、それから輸送を革新するとかいうことを非常に熱心に考えていられるけれども、そこに働く労働者の立場というものを、これはぜひ考えなければいけない。で、ILOに出てきている各国は、私は労働省——ほかの国の所管がどういうふうになっているのか、あとで聞きたいと思っているわけですが、運輸省と労働省が別々ばらばらでは困るのです。ですから、うんと労働問題に関して、国全体の計画の中で、人間が一番大事なんですから、人間のことをうんと大臣の頭の中に入れて考えてほしいということを申し上げて、お急ぎのようですから、あとは港湾局長に伺いますか……。
○国務大臣(新谷寅三郎君) おっしゃいますように、数が減りましても、やはりそういう港湾の設備を動かしていくのは人でございます。人がないところは動きませんことは申すまでもありません。それらの人たちに十分に働きがいのあるような環境において、労働条件において働いてもらうということは当然考えなければなりません。それで、先ほども申し上げましたように、この点は組織法の関係で両方でやれとおっしゃっても、これは組織法の関係から言うと無理でございますが、しかし実際は両方が相協力をしないとできない問題が多うございますから、いま御意見がございましたような方向で労働省との関係におきましては、今後とも具体的にもっと密接な関係を持ちながら努力をするようにしたいと思います。ことにいままでのような港湾労働の姿が変わってまいってきておりますから、できるならばこれは労働省のほうにもお願いをして、労働の内容を変わったに応じて、そういう、つまり機械なんかについても十分知識を持って、それを習得して、そのほうにまた働くことができるような、そういうようなこともこれは真剣に考えなければならぬと思っておるわけでございます。初めにおっしゃった港湾労働の範囲をもっと広めて考えろということ これも法制上は多少問題があるかと思いますけれども、現在の港湾労働者の方々の職場を広めるという意味においては、具体的な行政措置としては、これは考えなければならぬ問題の一つであると思います。御質問の趣旨にはあるいは十分なお答えができなかったかもしれませんが、私の気持ちだけは、そういう気持ちであるということを申し上げて、ちょっと他の委員会に急いで参りますので、失礼いたします。
○田中寿美子君 それでは、さっきの続けまして、いまちょうど港湾労働者の港湾労働法の適用の範囲のことに関連してきておりますので、これは労働省と運輸省の両方にお伺いしますけれども、私が横浜港を視察しました六月十三日の前の日の六月十二日ですね、その日に横浜港にありますところの冷凍倉庫で中学生を働かせていたということで、神奈川県警から業者が逮捕されました。それは私は毎日新聞紙上で知ったわけなんですけれども、その中にちゃんと、やはり暴力団員・手配師によって中学生を世話をしたということがずっと詳しく書いてあるわけですね。それでさっきの労働力、登録労働者が必ずしも出頭してこないのに、一方労働力が不足しているという現象が起きているわけで、そこでアルバイトの学生なんかをどんどん入れているわけですね。冷凍庫は港のそばに一ぱいあって、いまは生鮮食料品を入れているところが一ぱいあるわけなんですが、ところが一般倉庫は港湾労働法の適用に入るけれども、冷凍倉庫は港湾労働法の適用外だという非常に私はおかしなことがあると思うんです。ちょうど私が行って見たときも、冷凍倉庫の中に——これはちょっと、五分も十分もおられないくらいの冷たさでございますね、そういうところへ中学生が働かされて非常に健康を、ひどいめにあわされたというので、これは強制労働だの……私は神奈川県警のほうにたずねてみたんですが、稲川組という暴力団と見られる者三名が逮捕されたんですね、これは職業安定法四十四条、「(労働者供給事業の禁止)」と労働基準法六条、「(中間搾取の排除)」違反、こういうことの疑いで逮捕されているわけなんです。で、この中には女の子もいたわけで、女子年少者労働基準規則に反している点もあるというのですね。それから、もう著るしく寒冷な場所での業務という意味で、女子年少者労働基準規則の違反なんですね。これの話は労働省にすれば、ああこれはもう港湾労働法適用外だから、これは問題じゃないというような言い方をなすったんで、これはたいへんなことだと思うんです。一つは当然労働法上の問題です。それから、船からおろした品物を冷凍倉庫に入れているのに、そして入れる作業を見ておりますと、車で運転してこう入れてきているわけですよ。それで、中まで入っているんです。入ったり出たり、ちょっと入っただけでももう寒くてふるえあがるような寒さの中に入っている仕事なのに、あれがどうして港湾荷役労働者じゃないのかという非常にふしぎなことがあるわけです。これはどういうふうに説明してくださいますか。
○政府委員(道正邦彦君) 冷蔵倉庫につきましては、倉庫の前までの荷役は港湾労働法の適用の対象としております。しかしながら、倉庫内の荷役につきましては非常に低温の状態のもとで荷役作業に従事する特殊な労働であるために従事可能な者が限定されるわけでございまして、一般的に登録日雇い港湾労働者をもって求人を充足することがきわめて困難でございますので、港湾労働法の適用除外としております。ただ、港湾労働法の適用を極力広げるということにつきましては私ども同感でございまして、昨年十一月の十七日の建議におきましても、従来、いわゆる海側三〇%の倉庫に適用があったものを海側一〇%の倉庫にも適用を拡大したわけでございます。
○田中寿美子君 いまおっしゃったことによりますと、そうすると、登録労働者を冷凍庫に使うのは妥当じゃないけれども、常用労働者に適用することはあってもいいんじゃないか、こういう考えですか。
○政府委員(道正邦彦君) 港湾労働法は御承知のように登録日雇い港湾労働者の労働問題でございますので、特殊な労働でございまして、一般的に申しまして、登録日雇い港湾労働者をもってしては求人を充足できないということで適用をはずしているわけでございます。
○田中寿美子君 ですから、港湾労働者としての扱いはすることには労働省も賛成なのかということです。つまり、常用でそこに雇うならば。
○政府委員(道正邦彦君) 港湾労働法に、いわゆる常用労働者も、登録日雇い港湾労働者の定数をきめる前提としてきめておりますので、港湾労働法にいわゆる常用労働者に入りません。ただ、一般的に申しまして、その港湾で働く労働者という意味ではこれは港湾労働者になると思いますけれども、これは直接法律の適用の問題、港湾労働法の適用の問題にはならないわけでございます。
○田中寿美子君 ちょっと私よく、頭が悪くてわかりません。港湾労働法による常用の定数というのがあるのですか、常用の。つまり、会社はね、港湾運送事業法によってその手帳をもらうわけですね、雇う人の。手帳というか、何か登録するわけですね。それは労働者を通じてじゃなくて、事業主が登録するわけでしょう、常用者は。常用労働者のことは。で、その日雇いの登録労働者は本人たちに手帳が渡されるわけですね。で、その場合、いまおっしゃったのは、会社の側から雇う中にも入れるべきではないということですか。
○政府委員(道正邦彦君) 港湾労働法の適用範囲がきまるわけでございますね。そこで、働く労働者のうち、常用と日雇い労働者がある。それで、常用労働者について届け出制をとり、登録日雇い労働者について登録制をとるわけでございます。で、定数もその限度におきまして常用幾ら、登録日雇い労働者幾らというのを法律上きめるわけでございます。したがいまして、港湾労働法の適用に関する限りは、いまの冷蔵倉庫の問題は港湾労働法上の港湾労働者にはならないという意味でございまして、それを除きますれば、一般的に申しまして港湾に働く労働者という意味で、そういう一般的な概念規定をするならば、これはそういうふうに言って間違いではないと思いますけれども、法律の適用の問題じゃないということでございます。
○田中寿美子君 いや、私が伺いたいのはね、労働省では、港湾労働者の中に、港湾労働法の適用を受ける港湾労働者の中に、冷凍倉庫で働く人は入れるべきではないというふうに考えていらっしゃるわけですか。現在入ってませんね。現在除外されているのですね。一般倉庫はよろしいんですね。一般倉庫の人は入っていますよね。だけれど冷凍倉庫は入っていないわけですね。今後もそれは入れるべきでないと考えていらっしゃるわけですか。
○政府委員(道正邦彦君) 先ほど申し上げましたように、いままでは一般的に倉庫は海側三〇%のもの以上が港湾労働法の適用がある倉庫であったわけでございますが、それを一〇%に下げたわけでございますから、その限度では適用範囲が広がったわけでございます。しかしながら、冷蔵倉庫につきましては、登録日雇い港湾労働者の立場から見まして、そこで働いていただくことが必ずしも適当でないという意味で適用をはずしておるわけでございます。
○田中寿美子君 現地で聞きますとね、まあ冷凍庫というのは特殊な技能が必要である。特に、冷たいところですから、あそこに入って作業するのには、温度の調節だとかなんかという、その特殊な技能訓練みたいなものが必要である。そういう訓練を受けていないから、だから港湾労働法による港湾労働者としての扱いはされないのだという話なんですね。で、私が言うのはですね、港湾労働者の職域を拡大するのは労働省の使命だと思うわけなんです。ですから、現実に入ったり出たりしているのですよ。ところが、あれは冷凍庫の中の作業というふうに考えられていないのね、持って行くだけならば。そんなのはちょっとインチキじゃないかと思うのですね。で、冷凍庫はたくさん、港湾に一ぱい、これからはなおさらできてまいるのですよね。もちろん内地の食料をあそこに、倉庫に一ぱい詰めたりして満ぱいになっちゃったりしていますけれどもね。ですけれども、今後はその冷凍庫というのは相当ふえるわけなんです。だから、冷凍庫の中で働く防護施設、服装も全部して、そうして機械化をすると、で、その機械の操作をするというような仕事は、港湾労働者としては私は適当な仕事だと思うのですが、それはどうですか。
○政府委員(道正邦彦君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、倉庫までの荷役は適用になっておるわけでございます。ただ、どうも登録日雇い労働者の皆さん、必ずしも御希望にならないわけでございます。しかし、先生のせっかくの御質疑でございましたので、私ども今後十分検討させていただきます。
○田中寿美子君 健康に害があったり安全衛生に害があっては私はもちろん困ると思いますよ。それから、こういう年の若い中学生を働かしているというようなことは、これはいけないと思います。だけど、もしも機械の操作やなんかをすることができるなら、やはり今後どんどん倉庫がふえていきますから、それは技術を与えて、そして、そういうものも仕事ができるようにしなきゃいけない。今後あれでしょう、ILOの考え方だって、技能の訓練をもっと進めていけということを勧告しておりますよね。そういうものの中に考えなければいけないということを私は申し上げたいわけです。 それから、ここではっきりしたのは、暴力団員があっせんしているということですね。これも港湾労働すれすれのところで、まあいまは港湾労働法の適用外ではあるけれども、港湾に、海っぷちにあるんですからね、あの倉庫は。ですから、ほんとうに港湾労働法からはのがれているけれども、実際には女子、年少者の基準、規則にも反するし、それから強制労働的なこともしているわけですから、重大な問題であるということ、もっと港湾に関しては非常に今後手を入れなければならないことが多いんではないかと思います。 で、きょう時間……
○委員長(大橋和孝君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大橋和孝君) 速記を起こして。
○田中寿美子君 時間が足りないのです。非常にたくさんありますので、運輸省関係のことやっているとILO条約のことができませんので……。じゃそのILO条約に関係してお尋ねしたいと思います。 これは運輸省ももちろん出席なさったし、代表でお出になっておりましたから一緒にお聞き願いたいと思いますが、ILOの港湾労働条約について、「港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約案」というのが六月六日ですか、採択されたのは。で、日本政府も賛成をなさった。先ほど、大臣のお話では近い将来に批准をするつもりであるということでございます。 そこで、まあこれ、私だいぶん意見がありますが、まず、条約の名前ですね、「港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約案」というんですがね。私は、ゆうべ原文を読みまして、これもかりの原文ではありますけれども、この題名——ちょっと英語を使って恐縮ですけれども、ソーシャル・リパーカッションというのですね。リパーカッションというのは、影響なんというようななまぬるいものじゃないのですね、実は。社会的影響というふうに非常に軽く書いてございますが、リパーカッションというのは語原は——たいへん学のあるところを申し上げて何ですけれども、私は実は人類学を専攻しておりまして、人類の石器時代に、石おので石と石を割るわけです。そうしますと裂け目がばんと飛び散るわけですね。それをリパーカッションというのです。ですから、裂け目といいますか、はね返りというか、とばっちりというか、そういう感覚のことばなんですね。こんなやわらかい社会的影響なんていうものじゃないのです。だから港湾の新しい荷役方法がどんどん進んでくることによって労働者にどんなはね返りがあるか、とばっちりがあるか、傷口があるかということについての条約なんですよ、ほんとうは。精神がそういうところにあるから全体を通じてのものの考え方がそうでないとこのILO条約の意味が生きてこないと思います。労働者に社会的影響があるというぐらいのことじゃないのですね。裂け目がある、割れて飛び散るということばなんです。リパーカッションというのは。もし影響というつもりだったらインフレンスとか、インパクトでいいと思うのです。だから、外国の人たちが受けとっている感じというのは、外国の港湾でも非常に技術革新や合理化、近代化が進んでいって、港湾の荷役作業をしている人というのは非常な大きな、たいへんな変動がきている。だからイギリスだって、アメリカだって、カナダだってずいぶんストライキをやっていましたね、港湾ストを。自分たちの生きる権利を主張するため、やっぱり技術革新の中でどうやって生き抜くかということのためにストをやってきたわけです。そういう中からこれは出てきた条約なんですね。だから、まあ、これは傷口とも言いにくいでしょうから影響という条約名にしてもいいけれども、翻訳は。だけれども、意味はそういうものであるということをまず認識していただかないと困るというふうに思いました。 そこで、ILO五十八回総会で、港湾労働条約を採択するに至った経緯ですね、経緯をちょっと述べていただきたいと思うのです。
○政府委員(中原晁君) 最初に英語のことで恐縮でございますが、私は英語に弱いものですから、いま、この千三百円の字引きを買ってきて見ますと、リパーカッションというのははね返り、音の反響、光などの反射、間接的影響……
○田中寿美子君 そういう字引きではわからないんです、語源でやらないと。
○政府委員(中原晁君) 事件などの反動というようなことが書いてございまして、労働省の訳もこれはつたないと思うのですけれども、そういうようなことで、先生のおっしゃった意味もあるかもしれませんけれども、そういうようなことでございますが、ただ、この前文のあれを見ますと、先生のおっしゃったようないわゆる悪影響といいますか、それによって労働者が困るという面もございますけれども、基本的にここに書いてある条約——勧告も同じことばてございますけれども、書いてあるのはいま、重大な変化というものが港湾荷役方法については起こっておると、今後これはますます広がるであろう、こういう基本的前提に立っております。これはどういうことになるかというと、一般的には経済全般にとって利益となり、生活水準の向上に寄与する、これは明るい面を書いてありますが、しかしながら一方、やはり非常に先生のいまおっしゃったりパーカッション、これがございまして、雇用の水準、それから労働者の生活条件等にも相当な影響、——これは灰色といいますか、かえってそれによっていろいろな迷惑がかかってくるというような面もあるのだと、こういうふうな認識でございまして、よって、そういうようなことがありますので、今後そういう新しい荷役方法を導入するにあたりまして、そういう労働者が前向きの意味におきましては利益の配分にあずかるべきであると、それから、いわゆる後向きの面におきましては、やはりいろいろな悪影響等も出てくるので、労働者の状態の永続的な改善のための措置をとれと、こういうのが大体考え方であろうと思います。 それから、これのいままでの経緯につきましては、たしか数年前にオランダでこのための専門家会議が開かれまして、うちからも職員が出ましたが、そのロッテルダムの専門家会議の結論に基づきまして去年のILO総会、それからことしの五十八回のILO総会、この二回のILO総会におきまして、こういう条約、勧告ができた。当初は、これは勧告ということになっておったわけでございますが、勧告だけではだめだ、条約もつくるべきたということで、ことしの——先ほど先生が案とおっしゃいましたが、二十五日に採択されましたので、現在は案ということよりも、案がとれたわけでございますが、条約と勧告が採択された、こういうことでございます。
○田中寿美子君 それで、日本政府は賛成したわけなんですが、何か意見をお述べになりましたでしょうか、政府側。
○政府委員(中原晁君) 日本政府はもとより、日本の労働側、日本の使用者側が賛成いたしまして、条約につきましては賛成三百三十八、反対ゼロ、棄権が二十四、勧告につきましては賛成が三百二十八、反対ゼロ、棄権十六、こういうことで通過したわけでございます。 日本政府が出した意見というものは、この総会の賛否討論のときは日本政府は何も申しませんでしたけれども、委員会の過程におきましていろいろ意見を申し述べたり修正等も出しました。そういうようなことで取り入れられたものもございますけれども、結論といたしましては、日本政府としては、この条約及び勧告は今後の港湾労働の向上につきまして非常に意義のあるもの、こういうふうに認めまして、労使もそうでございますが、賛成いたしたわけでございます。
○田中寿美子君 この条約と勧告のねらいをお伺いしたいんですが、前文がついておりますね、そこのところに私はねらいがあると思いますけれども、それに沿ってねらいをちょっとかいつまんで。
○政府委員(中原晁君) どうも先ほど先走ってねらいというのを申し上げてしまったような気がするのでございますが、要するに、これにつきましては、新しい港湾荷役方法の社会的影響ということにつきまして、バラ色の面と灰色の面と両方をつかんでおるという認識に立っておるわけでございまして、重要な変化がいろいろ機械化とかそういう荷役方法に起こっておる。それで、そういうことにつきまして基本的にはこれは経済にプラスになり、生活水準も向上するということであるけれども、いろいろ雇用面、生活条件にも影響が出てくる、それこそひび割れといいますか、そういうような影響も出てくるということでございますので、そのねらいとしましては一番ポイントになりますのは、今後新しいそういう方法を企画導入する際には、それと並行しましてむしろ生産性の上がった分が積極的に労働者の生活、賃金にプラスになるように案分されるよう、また悪い面の影響があらわれないあるいは減少するというようなことを考慮する必要がある、これが前文の考え方であろう、かように存ずるわけでございます。
○田中寿美子君 そういうふうな抽象的に言うことを私お願いしているわけじゃないんで、ILO条約に賛成した以上は、これを批准していかなければならないわけです。そうすると、国内法との関係なんかも十分考えなければならないと思いますので、もうちょっときちんと具体的に言っていただかないと困るんです。前文の中に何点かきちんと出ておりますね、それがねらいだと私は思うんですけれども、どういうことですか。 〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕
○政府委員(中原晁君) ねらいをもう少し具体的に申し上げますと、そのような新しい荷役方法の変化が貨物の移動を加速化し、船舶が港湾において費やす時間を減少させ、かつ輸送コストを低下させることにより、当該国の経済全体にとって利益となり、生活水準の向上に寄与することができることを考慮する、この点は先ほど言いましたバラ色ということでございます。そのような変化は港湾における雇用の水準並びに港湾労働者の労働及び生活条件にも相当な影響を与えるものであり、それに起因する問題を防止し、または軽させるために措置をとるべきである、こういうことを警告を発しておるわけでございます。そのようなことに基づきまして、港湾労働者は新しい荷役方法の導入によって得られる利益の配分にあずかるべきであること、したがって、雇用の常用化、所得の安定化等の手段による港湾労働者の事情の永続的な改善のための措置、この事情というのはシチュエーションという英語になっておりますが、そういう立場というか事情というか、そういうようなことだろうと思います。その他労働及び生活条件並びに港湾労働者の安全及び衛生面に関する措置を新しい方法の企画及び導入と同時に企画し云々と、こういうことでございます。
○田中寿美子君 それで、あの中の条約は七条ですからたいへん短かい条約ですけれども、前文のところに精神が書いてあるわけなんで、一つはいまお話になりましたものを整理しますと、港湾の荷上げ荷おろしの技術革新で貨物輸送のパターンが変わって、そうして、それが拡大していく。そのことは一方において荷役の時間を短縮してコストを下げるということが国の経済に寄与する、これをバラ色の面というふうにおっしゃったんですね、国の経済に寄与する。しかし、そのような変化が一方労働者のほうにはリパーカッションを与えると、労働者の雇用水準、労働条件、生活なんかに非常に大きなとばっちりを与えておる。それを減少するための方法を講じなければいけない。それから新しい荷役方法、つまり技術革新によってコストが下がったとか、時間が短縮されたとかいう利点を労働者に返さなければいけない、労働者に分けなければいけない、その恩恵は。その分け方としては、雇用の常用化というふうに一般的にいわれておりますが、レギュラリゼーション、これは一つの問題のことばのところなんですが、日本でいう常用化というのは、正規の労働という意味ですね。正規の、つまり臨時に対するレギュラーですね。それから収入の安定をはからなければいけない。所得ですね、所得の安定をはかる手段と、それから労働条件、生活、安全衛生などの手段をとらなければいけない、そのために新しい方法の企画を導入しなければいけないというようなことが書いてあるんですね。ですから荷役の革新、技術革新によって国の経済は得をする、そこに働く労働者のためにはその得をした分の利益を分けなければいけませんよ、その分け方としては雇用は正規のものにしなさい、それから生活が安定できるような所得の保障をしなさいというのが私は骨子だと思うんです。 〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕 そこで、第一条のところですね、勧告のほうに解説的なことがたくさん書いてありますが、これは私は初めの案のところで見ていたわけですけれども、採用されたものの中にだいぶ修正がありますね。修正された部分というのはどういうところでございますか。
○政府委員(中原晁君) 修正されたところは、相当かなり数としてはたくさんありますけれども、基本的大問題というのは私はあまりないと思います。ただ一番大事な点としましては、やはり登録その他のところにおきまして国内法または国内慣行の定める方法でというような表現が入りまして、これはむしろ最終的にはイギリスの労働者側が提案して採択された修正でございますが、やはり港湾というのはいろいろ事情が違うのであまり画一的にやることにつきましては、というようなことで、労働側の提案で修正されたのでございます。その他、職業訓練につきまして少し追加になった、あるいは定義につきましても「港湾労働者」の定義はあったけれども、「港湾労働」という定義がなかったとか、そのようなことが中心になりました。それで、先生のおっしゃったパーマネント・オア・レギュラー・エンプロイメントこのあたりは、原文の案の場合におきましては、用語の使い方がちょっとばらばらでありまして、体裁も欠いていたということで、最終的には大体パーマネント・オア・レギュラー・エンプロイメントということに全部統一されたわけでございます。このパーマネント・エンプロイメントというのは、何といいますか、大体日本でいう常用というものに近い意味と思われます。それから、レギュラーというのは、この場合にはわれわれの英語のセンスとは違いますが、むしろ、日本の日雇い労働者なども含みますところの、いつも生活の大半を港湾労働でめしを食べておると、大体毎日港湾に来るのを日課としておると、こういうような人を含めてレギュラーと、こういっているように思われるわけでございます。
○田中寿美子君 第一条の「この条約は、常時港湾労働者としての仕事に就労可能であり、かつ自己の主要な年間所得をそのような仕事に依存している者について適用する。」と、ここで適用範囲が書いてありますですね。ですから、「常時港湾労働者としての仕事に就労可能であり、」という、これですね、これはあなたがいまおっしゃったパーマネント・オア・レギュラーの、常用と、それからあとのレギュラーを、こっちで日雇いのことを向こうじゃレギュラーといっているようだというふうにおっしゃった。そこが考え方の私は違いだと言うわけなんですよ。さっきから何回か申しておりますように、波動性があって、そして港には一定の登録された労働者を確保しておくと、その労働者というのはレギュラーなんですね。これを日雇いというふうな観念は私はやめなきゃいけないということをさっきから申し上げているわけです。それはこっちと違いまして、とおっしゃるだけにたいへん正直で、日本ではそういう考え方をずっとしてきたと思っているわけです。この辺を直しませんと、私はILO条約を批准いたしますという場合に、国内法で、——全部これ、国内法によってというような条件がついているでしょう。それで、国内法で日雇いという考え方を持ちますと、適用されなくなる人ができてくると思うんですね。その辺で解釈を変えなきゃならないように私は思うんですよ。そのことが一つです。 それからパーマネントという場合はどういうふうに解釈をしていらっしゃいますか。常用とおっしゃいましたね、常用労働者。つまり期限の定めなきという意味ですね、パーマネントというのは。臨時に対していうパーマネントですね。ですからこれは「または」となっているんですか、「および」となっているんですか、どっちですか。
○政府委員(中原晁君) 「または」——「オア」となっておるわけです。 それから第一条の先生のおっしゃいました「就労可能であり」というのは英語で言いますと、レギュラリー・アベーラブルと、こういうことになっておりまして、要するに毎日港湾でめしを食っている人は、常用といわず、日雇いといわず、ここではレギュラリー・アベーラブルと、こういう考え方かと思います。したがいまして、私の先ほどの説明、若干不正確だったんですが、もう少し正確に言いますと、レギュラーというのはパーマネントも含めた、日雇いも含めた労働者であると、したがいましてパーマネントよりも広い意味ではないかと、したがいまして、レギュラーは日雇いであるというよりも、レギュラーというのは日雇いも含めた、パーマネントも含めて意味と、これはこういう点につきましては必ずしもILO等でもはっきり最終的にはあれしてないと思いますけれども、私どもは、そういうふうに、特にこの用語を最終的に統一して、パーマネント・オア・レギュラーといったところから見ますると、そういうふうに解釈してよろしいのではないか、こういうふうに思いますので、先ほどのレギュラーは日雇いと、もしおとりになりましたら、それは私、言い直さしていただきまして、レギュラーとは日雇いを含めた、パーマネントも含めた、要するに、港湾で毎日めしを食っている、——毎日というか、主としてめしを食っていると、こういう人であるというのが一条のレギュラリー・アベーラブルという表現からも推定できるんではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。
○田中寿美子君 そうすると、登録日雇い労働者ということばはまあ変えてもいいですね。そうお思いになりませんか。登録労働者でいいんじゃないですか。
○政府委員(中原晁君) それは、この条約に関してでございますか。それとも日本の法律に関してでございますか。
○田中寿美子君 ええ、日本の場合ですよ。いまの解釈でしたら、日雇いであろうと、常用であろうと、全部レギュラーの中に入るわけでしょう。この法律はそうなんですよね。だから、日本のいまの国内法はそうでないから、私は言っているのです。適用外者ができてくるから……。
○政府委員(中原晁君) この条約、勧告では、先生おっしゃったように、日雇いということばは使っておらないわけですけれども、いま申しましたように、レギュラーということでそれを含めて使っているわけで、日本の国内法は、登録日雇い労働者ということで、現行法も、改正案でもそうなっておりますので、確かに、そういうふうに国内法と用語が違うじゃないかと、こうおっしゃれば、用語の点では確かにそうでございますが、その点矛盾するものではないというふうに私ども考えております。どっちがいいかという点については、いろいろ御議論があると思いますけれども、それが矛盾すると、こういうことはないと思うわけでございます。
○田中寿美子君 まあ、港湾労働者の考え方が、私は何度も申し上げておりますように、全体としてその港にいる労働者をいうのであって、だから、必要なときに出頭してくる労働者と、こういう意味でレギュラーの中に含めてみんなを考えるべきだと、この辺は意見が一緒になったと思いますので、そうなりますと、私は現行の国内法を少し変えなくちゃいけないし、改正法案を提案していらっしゃる側でも、ことばの用語と、それから解釈をきちんとしておいてもらわないと、はみ出していくものができて、これからあとのものが全部適用できなくなってくるわけですね、あとのいろいろなことが。そこをきちんとしなければいけないということを申し上げているわけです。ILO条約を批准しても何ら国内法と抵触しませんとか。何ら困りませんと、労働省のほうはおっしゃっておりますけれども、そうじゃなくて、ずいぶん問題があるということを私はここに申し上げておきたいと思います。 それから、パーマネントと、レギュラーのところはそれでいいですね。——その順序を変えたのはどういうわけですか。
○政府委員(中原晁君) 順序は、前のはレギュラー・オア・パーマネントとなっておりますが、そのあたりは私もちょっとつまびらかにいたしませんけれども、やはり常用ということで——一番望ましい形態でございますので、常用というのは。そういうことであれしまして、それを含めたレギュラーというものを入れたと、こういうことかと思いますけれども、このあたりは詳細には存じておらないわけでございます。
○田中寿美子君 それから第二条の二ですがね、これは勧告のほうには、条約のほうは、二条の二は、「港湾労働者はいかなる場合でも、当該国および当該港湾の経済的および社会的事情に応じた方法で、かつそのような範囲内で、最低雇用期間、または最低所得を保障される。」と、こうありますね。港湾労働者は、いかなる場合でもそのそれぞれの国の経済的、社会的事情に応じた方法で最低雇用の期間と所得を保障される。これは条件つきではありますけれども、勧告のほうを見ますと、雇用と収入の保障については非常にはっきりした条件がつけてありますね。たとえば、こういうふうになっていますね、常用またはレギュラーの雇用ですね、正規の雇用ができない場合にはこうこうこういうことをしなければいけないと、非常に手厚い勧告がされております。たとえば第一番に、年間、月間、週間、一定時間の労働またはそれにかわる賃金を保障しなければいけない。つまり常用者になれなかったりあるいはレギュラーの雇用ができないときには、年間、月間、週間、あるいは一定時間の労働またはそれにかわる賃金の保障をしなければいけない。あるいは二番目は、出頭手当——雇用のないときの手当、それを、就労しないときの手当を労働者の負担によらないで保障しなければいけない。第三番目には、就労しないときの失業手当を与えなければいけない。この三つのうちのどれか一つは、すべての労働者に保障することと、いうのが勧告に出ておりますね。これほど、港湾労働者は不安定雇用から守られるべきであるという概念が貫かれているわけなんですね。これは政府も賛成していらっしゃるわけでしょうね。いかがですか。
○政府委員(中原晁君) この勧告におきましても賛成しているわけでございます。ただ、この(a)(b)(c)というのは、ここにありますように、これを全部やれば一番いいけれども、まあそのうちのどれかを少なくともやれと、こういうような趣旨でございまして、先ほど申しましたように、条約と勧告とは大体同じ内容のものですが、二つつくった理由というものは、なかなか各国の事情等もあるので、いろいろ事情も違うところに一律のものをぴちっとやるということはかえって問題があるということで、むしろ英国の労働側からも、先ほど申しましたように、条約の場合に仲裁が出たようなものでございまして、これにつきましては、(a)(b)(c)のいずれかということで、まあ日本の場合は雇用調整手当というものがありますので(c)に該当するかと思いますけれども、そういうようなことでございまして、条約に比べまして勧告は、条約が七条に対しまして三十六項ございますけれども、非常に具体的に書いてありますので、各国でそれに適合しない場合も考えまして、たとえば次のようなとか、あるいは全部できない場合は一つでもと、こういうようなことで弾力的な表現になっておるわけでございます。
○田中寿美子君 それぞれの国のやり方があるから三通り書いてあって、いかなる場合もこの三つのうちの一つ、どれかをやらなければいけない、保障するということになっておりますよね。ですから、働けないとき、就労しないとき、その保障はしなきゃいけないということが勧告に出ているということ、これは私は政府も認められたものというふうに思います。 それから、その次、労働力を削減する場合ですね、これは港湾労働の効率的な運営をそこなうことなく、労働力の削減できるだけを避け、または最少限に止めるためすべての関係者は積極的な措置をとらなきゃいけないということが書いてあって、どうしても削減をしなければならないときにはということで、一つは失業保険または社会保障で保障しなさい。それからその次は、使用者による離職手当ですね。それから第三には、国内法、国の法律または団体の協約による手当の併給ですか、——「組み合せ」とこっちに書いてある、併給。だから人員の削減はしてはならないけれども、どうしても削減するときには失業保険または社会保障でこれを保障するか、使用者による離職手当を与えるか、国または団体の協約による手当をこれに併給させるか、このどれかをとらなけりゃいけないというふうになっておりますね。それで、それにも賛成していらっしゃるわけですか。
○政府委員(中原晁君) 先ほどから申しますとおり、勧告につきまして全部一括して賛成しているわけでございますので、これにつきましては英文のほうで見ますと修正が行なわれておりまして、たくさんあがっておりますのがこれが全部やれということなのかどういうことなのかということがわかりにくいので、サッチ・ミーンズ・アズという追加修正がなされまして、ここにあげてるようなことが例示である。で、国によっていろいろ事情が違うし、このほかの方法が適当な国もあろうしということでございますので、そういうようなことで、ここにあげてあることは要件というよりも、例示的な意味で解釈できるというふうに追加修正が行なわれたわけでございます。
○田中寿美子君 例示してあるということは、このようなことをしなければいけないということですからね。これは批准なさるときには逃げてはならないところだと思います。 それから、その次、登録のことですね。全員を登録せよというふうな方針ではありませんか。で、日本の常用、日雇いというような区別とは違うわけですね、もう何回も言ってるわけですけれども。で、登録は登録外労働者の補充を避けるため、登録外の労働者が入ってくることを避けるために登録するのだから、登録労働者を守るためなんだから全員を登録させなさい、こういうことですね。いいですか。
○政府委員(中原晁君) この点につきましては、日本の政府代表の岡田港政課長が発言されまして、この解釈ははっきりしておるわけでございますが、わが国のように、常用労働者については第三条の趣旨はまず達せられておる。それから常用労働者については使用の届け出及び常用港湾労働者証の交付という制度がありますので、この登録制度の範疇に入るというふうに理解しているという発言をいたしましたところ、これにつきまして、そういう委員会におきまして日本の解釈が認められましたので、私のほうとしましてはそういうことが疑念がなければその修正案として出そうとしましたけれども、それはけっこうだと言ったところ、イギリスの労働者が、日本はなかなかいいことを言うじゃないかというので、イギリスの労働者がこれをそういうふうに直せということで直しましたのが、国内法または国内慣行の定める方法でということで入りました。したがいましてこれにつきましては法制局等とも——実はきのうも法制高に行きまして、すでに大臣からの指示がありまして、前向きということで取り組んでおりますので、法制局に参りまして今後詰めなければなりませんけれども、私どもとしましては、日本の今度の改正案、これはこの三条に沿うもので抵触しない、こういうふうに思っておりますが、何ぶん非常に——先ほど先生おっしゃいましたように、条約というのは九九%合致していても一%でも合致しないとこれは日本では批准しないことになっております。また国内法と矛盾しないようにすることになっておりますので、これは慎重の上にも慎重に、用語、それからそういう解釈につきましては、法制局その他関係省とも詰めなければならない、かように存じております。
○田中寿美子君 だからたいへん用心深く国内法に抵触しないための努力をしてこられたと思うのですよ。だけれども、今度の改正案では、全部常用の登録労働者にするという方針になっております。この点は私も認めます。そこで、この勧告によりますと、港湾労働者の種類はなるたけ減らせ、だから幾種類にも、何種何種というようになっているのを、どの労働にもみんなつけるように労働者を訓練しなさいというふうになっておりますね。それから船内、沿岸なんて区別をやめて、弾力的にどこにでも働けるようにしなさいと。今後非常に変化していく中で私はこれも必要だと思います。 それからやむを得ないときにはプールの登録もと、これはどういうことを意味しておりますか。
○政府委員(中原晁君) なるべくいろいろな仕事につけるようにということは、私は、日本の場合よりも特に外国におきましてこれは非常に意味があると思いますが、結局、職種別の労働組合の組織というものが、仕事が違うと同じ会社でも労働組合が違うというのが大体外国に多いわけでございますので、そういう点が逆に動脈硬化になってはいけないということで、特に今後、仕事が変わると、いままでの肩とか鈎とかそういうものが変わってくるということにおきましては、かえってきっちりきめておくことがマイナスの面が出てくるというので、こういう勧告になっておると思うのでありますが、そういうことでございますので、勧告としましてはそういう弾力的にやっていけと。 後半の、リザーブプールにつきましては、これはちょっとわかりにくいことばでございまして、いろいろ向こうで聞きましたのですけれども、結局常用日雇い労働者、日本の場合でいきますと、常用労働者、日雇い労働者含めまして、それをわかりやすく野球のことばで一軍みたいにしますと、二軍みたいなやつをリザーブプールというようなことでつくっておいたらどうか、そういうようなことでございます。したがいまして、これにつきましては私どもとしましては、日本ではいまそういうことはないわけで、日雇いの登録というものは一つでございまして——あと安定所の白手帳というものはございますけれども——そういうものはございません。けれども、これにつきましては、先ほど申しましたとおり、国内法及び国内の慣習ということで、日本の場合、そういうリザーブプールをつくるのはプラスかマイナスか、これは相当慎重に検討しなければなりませんし、組合側にもいろいろお考えもあると思いますので、私どもといたしましてはリザーブプールというものはそういうものと解釈いたしております。
○田中寿美子君 これは問題を起こしかねないので、もうちょっとはっきり研究していただいてから伺いたいと思いますが、要するに、原則は、登録者以外は使用しちゃいけない。こういう原則ですね。ここの原則は全体として。それからその勧告の中に、変化に対応して港湾でいままでやっていたものと違うほかの仕事への就労ができるようにしろと、そしてどうしても削減しなければならないようなときがきたときには、使用者のほうは、あるいは国は仕事を見つける義務がある、解雇の問題について触れているところですね。まず、どうしても解雇しなければならないような状態に立ち至ったときには、自然減をまず待つと。それから二、新規採用を中止すると。三番目には、主たる生計費を港湾から得ていない者からその対象にしていくと。それから四番目は、退職年齢を引き下げるという方法をとることもあると。しかし、そのときには年金を加給して、国の年金にさらにそれを加給していって、終身年金で保障していくというようなことですね。それからまあ、団交によって他の港へというようなこともサゼストしてありますけれども。何にしましても、全体として労働者の雇用を守ることと、それから首になるなんというようなときには、これはもう最大限の何段がまえもの保護とか保障というのがここに勧告されているわけなんでございますね。こういうことをですね。 それからさらに少し時間があれですから急ぎますと、団体交渉の保障というところがありますね。で、そのILOの結社の自由、団結権保護条約、一九四八年。それから団結権・団体交渉権の条約、一九四九年。そういうものによって労使の間の団体交渉を保障せよと。これも出ているわけなんで、政府は、これはもうこれ以上詳しく言っている時間がありませんので、労働大臣、以上のようなことをILOの総会で日本政府も賛成してこられて批准をされるわけですね。いま言われたようなことが国内法に盛られるという保証をなさいますですか。
○国務大臣(加藤常太郎君) まあ、批准の問題は前向きに検討いたしますし、今回の改正案もその趣旨に沿って、国内法の整備にも関連がありますので、今回の改正案もその趣旨に沿った意味で改正案を出しておりますので、今後前向きに、先ほど言ったように、できるだけ早い機会に国内法のあらゆる問題を整備いたしまして批准に持っていきたいと、こういう方針であります。
○田中寿美子君 私は、このILO条約を批准したらね、まあ現行法はもちろんのこと、いま提案されている改正法案もあれじゃだめだろうと思います。で、全然矛盾しないとおっしゃっているけれども、問題点一ぱいあります。一つは、港湾の常用労働者は運輸省の管轄ですね、いまね。港湾運送事業法で所管しているんです。ところが、日雇い労働者のほうは港湾労働法で労働省が管轄している。こういうふうに二本立てになっているということね。これはどうですか、ILO条約の問題、抵触しませんか。これは区別されていないんですよね、ILO条約のほうは。
○政府委員(中原晁君) それは条約勧告には私は抵触しないと思います。それから常用労働者は運輸省所管とおっしゃいましたけれども、やっぱり常用労働者も労働省の所管でございまして、労働基準局、職業安定局その他あれしておりますので、そういう常用労働者が運輸省ということは日本ではないと思うんですけれども。
○田中寿美子君 外国では港湾労働者はどこが所管してますか。
○政府委員(中原晁君) 先進国の大半におきましては、労働問題は港湾労働も含めまして労働省と、こういうことでございます。
○田中寿美子君 一本ですか。
○政府委員(中原晁君) 失礼しました。一部共管になっているところもあるそうでございます。日本でも、たとえば船員につきましては運輸省ということでございますけれども、港湾労働者につきましては常用も日雇いも労働省である。ただ、先生のおっしゃっているおそらく意味は、日雇いにつきましては港湾労働法にいろいろ書いてあるけれども、常用についてはもう法三条とかいうことで冷たいじゃないかと、こういうことかと思いますけれども、常用につきましても、確かに港湾労働法の主体は日雇い労働者の雇用の安定、福祉向上ということでございますが、常用につきましても触れております。したがいまして、常用労働者は労働省は知らぬと、こういうような考えは毛頭ございません。
○田中寿美子君 ILO条約は、常用、日雇い——日本でいう日雇いですよ。だから、日雇いという観念がないからそうなるんですよ。港湾で働く人全部を含めて一本に考えた条約です、これは。そういう点で、港湾労働法はおかしいということを私は申し上げておるわけです。ですから、これは検討課題だと思います。 それから、第二番目に、ILO条約の登録簿は、常用、日雇いの区別はないですね。これもそうですね。いま日本での常用は運輸省のほうが所管して、運輸省に登録される、そうでしょう。運送事業法で事業主のほうがこれを持っているわけですよね、登録の権利ですか、何か持っているわけですね。それで、日雇い労働者のほうは労働者自身が職安を通じて青手帳をもらっているわけですね。この登録簿一本のはずなんですね。その辺はどうですか、第四条。
○政府委員(中原晁君) 登録のしかたにつきましては、先ほど申しましたとおり、国内法または国内慣行の定める方法でと、こういうことになっておりますので、各国の事情に応じてやると、一本にするか、二本にするかということでございます。それから、常用労働者のこと、何回も同じことを申し上げまして失礼でございますけれども、いま、常用労働者につきましては、使用の届け出の義務が港湾労働法であるわけでございまして、これが届け出がありますと、安定所におきまして常用港湾労働者証というものを発行するわけで、写真も張ってあるわけです。したがいまして、運輸省ではなくて、やはり職安、したがってそれを管轄する労働省が責任を持っておる、こういうふうに考えております。
○田中寿美子君 そうすると、三条の、登録簿は、すべての職種の港湾労働者について作成されというのは、これはいま言う常用者もみんな一緒に作成されるわけですか。
○政府委員(中原晁君) この「すべての職種の港湾労働者」というこの日本語でございますが、これは先ほど先生からもいろいろこの訳がよくないとおしかりを受けましたけれども、より正確には港湾労働者のすべての職種と言ったほうがよろしいかと思います。オール・オキュペーショナル・カテゴリーズ・オブ・ドックワーカーズということでございますので、まあ港湾労働者のすべての職種というふうに言ったほうがいいと思いますけれども、これが先ほど申し上げましたように、登録簿は国内法及び国内慣行の定める方法でということで、これにつきまして岡田港政課長から委員会において発言がございまして、この発言の内容は、わが国におきましては第三条の趣旨は常用港湾労働者については十分達せられておる。わが国が採用している常用港湾労働者の使用の届け出及び常用港湾労働者証の交付の制度はこの範疇に入ると理解しているということで、その見解が委員会で認められましたので、私どもとしましては、日本の場合は、先ほど先生も国によっていろいろ違うとおっしゃいましたけれども、現行の日本の国内法及び国内慣行に従いまして、常用というのは、日本の終身雇用の日本的雇用賃金慣行のもとにおきましては、こういうような制度もあり、かつ日本の終身雇用下における常用労働者の地位ということを考えますと、それを含めましてこの条約、勧告に沿っておると、こういうふうに考えられるわけで、またその考え方が私どもとしては委員会において認められたと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田中寿美子君 まあ、国内法のことを考えていろいろとたいへん努力をされたように思いますけれどもね、これは大臣、前向きにしなければだめですよ。こっちに合わせよう、合わせようと思って言いわけをしたり、条件つけてきたりというようなことをしないほうがいいですね。ILO条約や勧告の線のほうに合わせることのほうに国内法を直していく必要が私はあると思います。 それじゃ最後に、四条の二のところの定数の削減は労働者に悪影響がないように、「港湾労働者に対する悪影響を防止し、また最小にするための措置を伴うものとする。」とありますが、この削減ですね、もうほんとうに定数は四年間に四万から四千何ぼに減ったわけでしょう。これは悪影響がなかったのですかね。私は伺いたいのですが、一体定数はどんな原則で、いま五千だったわけですけれども、実数は四千何ぼですね、こういうふうに減らしていったのですか。さっき運輸大臣はむしろふえていくだろうなんということを言われたくらいですけれどもね。登録日雇い労働者の定数を四年間に四万から四千に減らした、その計算の根拠はなんですか。悪影響がなかったのですか。
○説明員(永場久治君) 四十六年度までの定数につきましては、この登録実人員が減ったあとを追いまして定数が減ってきているわけであります。で、なぜ、そのように登録労働者の人数が減ってきたかということでございますけれども、先ほど来出ておりますように、根本的には輸送革新の進展というのがあるわけでございます。で、ことにコンテナあるいはサイロ、こういったものが進みますと、登録日雇い労働者の従事しております肩、鈎あるいは女子労働者のついておりますようなミシン、入鍬、こういったような技能的と申しますか、非常に肉体的な職種の需要というものが減っておりまして、そういった需要の減少に伴いまして求人が少なくなったこういったことが根本的な原因になっているのじゃなかろうかと思います。
○田中寿美子君 何かよそごとみたいなことをおっしゃいますけれども、これは労働省が原案をつくって総理府に出して、そうして港調審にはかってきめるのじゃないですか、定数というのは。運輸省は関係なしですか。
○説明員(高橋全吉君) 運輸省は港調審のメンバーといたしまして御相談を受けます。で、運輸省としましてもそれを検討して御返事しているということでございます。
○田中寿美子君 ちょっとよく聞こえませんが、運輸省は何にも計算には関係なしですか。
○説明員(高橋全吉君) 港調審のメンバーでございますから、それで労働省から相談を受けまして、私のほうも検討いたします。それで御返事を申し上げている。こういう手続をとっています。
○田中寿美子君 労働省が原案を出すのですね。
○説明員(永場久治君) 定数につきましては白紙諮問でございます。それで、委員の方々の御議論の中で労働省から労働省案を出してみろと、こういうふうなことで、途中の段階で労働省試案を出すと、こういうことでございます。
○田中寿美子君 そうすると、あなたはいま実人員によって定数をどんどん減らしていく。前年に五千しかなかったからこのしも五千と、こういうふうになるわけですか、実際に登録労働者が働いた数は。
○説明員(永場久治君) 従来の例でございますと、たとえば四十五年度の定数を定めるといたしますと、四十四年度の定数というのがかりに一万人といたします。そうしますと、その一万人のときにすでに実人員が七千になっておると、こういうふうな実情でずっときている。そこで、一万人の定数というものを実際に登録するというのは不可能でございます、日雇い労働者の数等から見て。そういうことで、七千人の実人員より上回ったところで定数が、たとえば八千なら八千、こういう形で実人員よりもちょっと上の数であとから追っかけて下がってきたというふうな形で四十六年度まではきたということです。
○田中寿美子君 そうすると、その数はちゃんと資料があるわけですね。
○説明員(永場久治君) ございます。
○田中寿美子君 運輸省の統計で見ますと、常用が約十万余ですね。それから延べ日雇い者が二百八十万ですね。その中には登録労働者が幾らだとか、そういうのは何にも統計はないんですよね。つかんでいないわけです。で、職安は登録によって、職安を通った登録者の数と、それから業者からの報告によった数で計算をしていらっしゃるわけですね。そうですか。
○説明員(永場久治君) 運輸省の港運統計につきましては、これは全国の港の統計でございます。で、常用につきましては、これは個別会社に雇われておりますので、その数の統計でございます。それから日雇いにつきましては、これは入れかわり立ちかわり入ってくる人の総延べ数でしかとらえられませんので、したがいまして、先ほどの何千万という数字をおおよそ三百人で割りますと、日雇いがどのくらい実際に年間通じて働いておるか、こういう数字がわかる仕組みになっております。一方、労働省のほうは、六大港につきまして、先ほど来審議官からも御説明申し上げましたように、まず常用につきましては、使用いたします場合全部把握しておるわけでございまして、この数はわかっております。それから同時に登録労働者についてもわかっておるわけです。それから登録労働者以外の日雇いにつきましては、これは入れかわり立ちかわりの、いわゆる白手帳でございますので、これは延べ数としてわかるということでございます。
○田中寿美子君 現実の問題として、あなたは、そういうことは一切ありませんと最初からおっしゃって、青空市場もないし、やみ雇用もないし、きれいなもんだという話を一貫して私にはいつもしてらっしゃるのですね。だけれども、実際には、やみ雇用もあるし、青空市場での雇用もあるし、現実に一ぱいあるわけです。そうしますと、登録労働者の数だって、これは登録日雇い労働者だけれども、あそこに行かないで、そしてやみで、荷役業者と、あるいは手配師と話し合いで働いているのもいるわけですね。ですから、ほんとの数はつかめていないし、きちんとした統計というのは、私はまだ見たことないんですが、いまのようにおっしゃるんでしたら、四年間に四万から四千に減ってきた過程の根拠の数字を、ぜひ、委員長、私、資料としていただきたいと思います。 まだたくさんありますけれども、きょうは一応打ち切っておきますが、大臣ね、ILO条約を批准するということは重大なことなんです。あの中身をよく見ていただいたら、国内法と抵触すると思われる部分が一ぱいある。それで、たいへんだくみに解釈を変えたり、翻訳のことばを変えたりして、うまく合うようなことしないように、インチキやらないでくださいね。ほんとうに誠意を持って、非常に大きな技術革新が進んでいく、輸送の革新の中で追われようとしているところの港湾労働者が守られるためにこういう条約が結ばれているわけでしょう。そして、いかなる場合でも働く人が生きられる生活保障、賃金保障しなきゃいけないわけでしょう。そういう方向で、ILO条約の批准をする前に、国内法をきちんと整備するとか、あるいは制度をちゃんとするとかというようなことの努力をしていただきたいんです。そのことの決意を伺って、まだ、私は運輸省にも伺うことも一ぱいありますんですが、きょうはこれで打ち切っておきます。
○国務大臣(加藤常太郎君) 田中議員のお説、やっぱり労働省におられたもんでありますから、なかなか痛いところをついておりまして、御趣旨をよく尊重いたしまして、ただ、まあかっこうだけ整えるというよりは、十分、いろいろな点を御意見を体して、真の国内法の整備をいたすことを、前向きで検討するということをお答えいたします。
○委員長(大橋和孝君) 資料はよろしゅうございますね。
○説明員(永場久治君) はい。
○委員長(大橋和孝君) 本案につきましては、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十分散会 —————・—————