社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/04/24
会議録
○委員長(矢山有作君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 四月十八日、塩見俊二君が委員を辞任され、その補欠として玉置和郎君が、四月二十三日、玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として小枝一雄君が選任されました。 —————————————
○委員長(矢山有作君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 社会保障制度等に関する調査中、食用油の熱媒体混入問題について参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢山有作君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢山有作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(矢山有作君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。 まず、厚生行政の基本施策について調査を進めます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○藤原道子君 私は、厚生大臣の所信表明に対しての御質問を申し上げたいと思いますが、健保とか年金は法案のときにお伺いをするといたしまして、まず具体的な問題を御質問したい。ぜひとも大臣から御答弁を願いたいと思います。 まず第一にお伺いしたいのは、この寝たきり老人に対して医療のみで対策とするのか、——この所信表明を見ますと、住宅は一体どうするか、生活はどうか、ホームヘルパーあるいは給食、こういう点が寝たきり老人に対してはいろいろ問題が起こっておりますが、こういうことが大きな問題になっているように思うんでございます。これらに対しましてどういうお考えを持っておいでになるか、寝たきり老人対策ということが非常に言われておりますけれども、具体的にどういう方法でおやりになるか、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 寝たきり老人の対策でございますが、寝たきり老人、現在三十五万いるということでございますが、一つは、やはり寝たきり老人で、特に介護者がなかなかないという老人に対しては、やはり施設に収容するのが一番重要であるということで、先生御承知のように、特別養護老人ホームの拡充ということをいま急いでやっております。それで、社会福祉施設整備五カ年計画のうちでも、特にこの特別養護老人ホーム、それから重度身体障害者、それから保育所と、この三つを重点施設といたしましてその整備をはかっております。幸いいまのところ、四十七年度、第二年度を終わりましたけれども、特別養護老人ホームの施設の拡充は順調に行なわれておるところでございます。それを重点的に今後もやっていきたいというのが一つでございます。 それから第二はホームヘルパーの派遣の問題でございます。これは、ホームヘルパーにつきましては、わが国はまだ非常に不足である。現在老人のためのホームヘルパー約七千人でございますが、まあイギリスあたりに比べますとまだ十分の一の数であるということでございますので、このホームヘルパーの数を飛躍的にふやしてまいりたいということが第二でございます。このホームヘルパーをふやすためにはさらにその処遇の改善ということも行なわなければならないということで、毎年ホームヘルパーの数とその給与の改善ということにつとめておるわけでございます。 いま申し上げましたのが、私は寝たきり老人の対策としては特に重要な二点でございますが、そのほか、こまかいことではたとえばギャッチベッド、特殊寝台といいますか、自然に背中だけが持ち上がるという、ああいう寝台の貸与とか、あるいは浴槽、湯わかし器の支給、それから訪問健康診査の実施、そういうような点を総合的に進めておるところでございます。
○藤原道子君 結局ホームヘルパーが非常に足りないことは私たちも残念に思うんですが、いまこの待遇の改善を考えているとおっしゃいますが、どの程度に改正しようとしていらっしゃいますか、あまりひどい待遇だと思います。 〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
○政府委員(加藤威二君) ホームヘルパーの給与につきましては、昭和四十七年度が三万七千円でございましたのを、四十八年度四万五千円ということで相当大幅に改善いたしておりますが、今後もさらにその金額を引き上げてまいりたいというぐあいに考えております。
○藤原道子君 寝たきり老人が結局自宅におりまして食事がなくて餓死したというような例がたくさんある。外国へ参りますと、給食を三食ともに運んでいるというような施設がずいぶんふえておるわけです。こういうことに対してお考えになっていらっしゃいますか、どうですか。
○政府委員(加藤威二君) 寝たきり老人に対します、あるいは一人暮らし老人に対します給食サービスでございますが、これは先生御指摘のように、先進諸外国では相当やっておるところもあります。わが国におきましても、若干の市においてすでに試験的に実施しているところでございますが、厚生省におきましても四十八年度、これは特に予算としての項目は立てなかったわけでございますが、大蔵省との話し合いで実質的にやってみようということで、これは既存の老人ホームの給食施設を使いまして、そして実質的にこれをやろうということで現在計画中でございます。
○藤原道子君 そこでもう一つ、この点伺いたいんですが、三十五万人いるとして、施設へ入っているのは何人ぐらい、自宅にいるのは何人ぐらい、その点をひとつお伺いしたい。
○政府委員(加藤威二君) 寝たきり老人で現在施設に入っておりますのが四十七年度末で二万六千六百人ということでございます。それで、社会施設の整備五カ年計画におきましては、寝たきり老人の、特別養護老人ホーム、五万二千三百、——昭和五十年末には五万二千三百に持っていこうと、ですから現在の約倍ぐらいにしたいということでございます。三十五万と申しますけれども、その中で特に緊急に施設に入所させるのが必要な御老人というのを、これは昭和四十四年の調査でございますけれども、五万二千三百人ということで、寝たきり老人のうちで、特に介護者がない、あるいは低所得であると、そういうことを一つの条件にいたしまして、五万二千三百人ということをとりあえず五十年末までに持っていこう、それで現在約二万六千人ということでございます。
○藤原道子君 施設へ云々というお話でございますが、家庭にいてもいまの住宅状態から見て、非常に老人は苦しんでいるんですね。で、こういう人に対しての住宅政策というようなものについてはお考えございませんか。
○政府委員(加藤威二君) 老人対策といたしましては、施設に入れるということも一つの方法でございますけれども、できれば老人の大多数は自分の住みなれた家に家族と一緒に住みたいという希望が非常にあるわけでございます。そういうことで、老人の住宅対策、これは建設省が実施いたしておりますけれども、建設省も非常にこれには協力的でございます。四十七年度、公営住宅でございますけれども、老人世帯向きが千二百戸でございます。四十六年度九百戸ばかりでございます。これにつきましては数が非常に少ないわけでございますが、これは建設省の話では都道府県からの申請がなかなか出てこない、申請さえうんと出てくれば、別にワクにはこだわらないで優先的にこういった老人とかあるいは身障者の住宅というものを優先的に回したいということを言っております。そういうことで、地方公共団体とも協力いたしまして、できるだけ公営住宅を優先的に老人向け住宅に回したい。 それから、特にまた厚生省関係でやっておりますのは、これは年金局でやっておりますけれども、老人のために部屋を建て増しをしたい。家族と一緒に住むのであるけれども、老人の部屋を特につくりたいという場合には、一戸五十万でございますが、年金の積み立て金の還元融資で貸し付けを行なう。四十七年度はその貸し付けワクが三億円でございました。四十八年度はこの貸し付けワクを八億円にするということにいたしております。そういうことで、老人の住宅対策を進めておるところでございます。
○藤原道子君 この住宅対策でございますが、建て増しをしたりすると非常に高くなるんですね、家賃が。そういうのはどうなんですか。公営住宅でやっているにしても、老人のための一部屋をつくるというようなことがやられておりますけれども、非常にお家賃が高くなるので、普通のサラリーマンではなかなか入れないというようなことを訴えられておりますが、そういうことはどうお考えですか。
○政府委員(加藤威二君) 私がただいま申しましたのは公営住宅でございますので、これは家賃は、私具体的にいまちょっと数字を持っておりませんけれども、これは非常に安いはずでございます、一種、二種とも。公営住宅という、地方公共団体がやっておる、これは非常に安い家賃でございます。公団等はこれは高くなりますけれども、第一種、第二種公営住宅というのは、これは非常に安い家賃でございます。それから建て増しのあれは五十万円でございますが、これは自分の家と申しますか、持ち家に対して老人の部屋を建て増すということでございますが、これは年金資金の長期の融資でございますので、これも返済はまあ二十年以上かかってやるわけでございますから非常に、これは毎年返すのは比較的少なくて済むということだと思います。ただ、先生御指摘のように、住宅公団とか、そういうのはこれはなかなか家賃が高いという現実はやはりあると思います。
○藤原道子君 この点はよほどお考えいただかなければ、老人の悲劇はこれは住宅とか給食等が何とかなれば相当解決すると思うんです。その身にならなければわからないんですけれども、現地を絶えず調査されて、そうした悲劇がなくなるように御努力が願いたい。 そこで、過日私はお伺いしたんですが、難病対策ですけれども、あのときは八つの病種をということでございましたが、きょうの新聞を見ましたら、これに十二疾病が追加されるということになると、二十ですね。これに対して五億三千万円でしたかしら、この費用はその費用の中でこの十二追加がやっていかれるんですか。それはどうなんですか。
○政府委員(滝沢正君) 担当の公衆衛生局長おりませんので、私からお答えいたしますが、私が前に担当しておった仕組みから申しましても、先生おっしゃるような研究費を二十疾患に、研究協議会におはかりいたしまして、緊急の度合いと、それから研究者のグループの数、そういうものを勘案いたしまして、少なくとも一千万以上にはなると思いますけれども、あまり少額に分けるということをしないようにして、重点的に研究の効果のあがるような疾病から金額を多く配分して、したがって五億六千万という研究費が、二十疾病に、それぞれ研究班ごとに御相談の上、配られる、こういう仕組みになると思います。
○藤原道子君 難病につきましては、またあらためてお伺いしたいんですが、十二疾病を追加されて、それでやられるということになると、相当たいへんだろうと思うんです。そういう点について真剣に、難病対策ということに対しては非常に社会が期待しておりますので、真剣に取り組んでいただきたいと思うんです。 ところが、この難病対策の医療施設ですね、こういう問題はどうなるんでしょうか、いまの医療施設で。それと同時に、入院いたしましても、——医療はただになりますね。ところが、差額ベッドがあるでしょう。差額ベッドのない病院なんてないでしょう。それからこういう人が入った場合に、付添婦ですね。付添婦なんかに対しましてはどういうお考えを持っているんでしょうか。いま付き添いを頼むと三千五、六百円するんですね、一日。それから差額ベッドも相当な費用を取られる。そういう費用は国が見ておやりになるんですか。
○政府委員(滝沢正君) この問題につきましては、国立の施設につきまして、難病対策として厚生省は、国立病院・療養所を約一万三千床、五カ年計画で整備いたす方針を固めておるわけでございます。当面、約千三百床程度整備いたすほかに、国立療養所が、結核対策が逐次その負担が軽減されるに伴いまして、これらの難病対策に必要な病床の確保も一面考えまして、総合的に一万三千床程度計画いたしたいと思います。もちろん、個々の国立施設に難病を受け入れる場合については、差額ベッド、付き添い等の問題については、先生御指摘のように、十分その負担がないように考慮してまいる所存でございます。ただ、難病は国立以外の県立その他にも御協力をいただかなければなりません。しかしながら、やはり難病対策がただいま公費負担的に研究費の一部を使いまして、八つの疾病だけについては本年度から負担の軽減をはかるつもりでございますが、これについては差額とか、−部屋代の差額、あるいは付添の費用は見ることができません。したがいまして、受け入れる側の病院が、この難病対策に呼応する対策として、県立その他の公的病院の場合には、これを患者の負担にならないように御努力になると同時に、われわれもそういう行政指導をしていく必要があると思っております。ただこの場合、難病はどこの病院でもいいというのじゃなくて、やはりそれを受け入れるにふさわしい機能の病院でなければなりません。医師が、これを担当できる能力のある医師がおることが重要でございますから、したがいまして、公衆衛生局が研究費を配分する場合には、その病院が指定される形をとってまいりますし、県もその点を十分考慮して患者の受け入れをしていただく、こういうふうに従来考えておりますから、八つの疾病だけは本年度公費の負担が可能でございますが、先ほど御指摘の二十疾病は研究をとりあえず始めるだけでございまして、費用の負担の問題については今後の課題になっております。
○藤原道子君 じゃあ、国立の場合はすべて無料でやるというわけですね。付添も間違いなくやってくれるんですね、人があるんですから。と同時に、県立、市立ですか、公立病院に委託した場合には、と言われましたけれども、いま非常に経営困難なんですね、地方自治体病院は。したがいまして、国からこういうところへ補助金を出す。相当補助金を出さなければもう自治体病院は閉鎖しようかというようなところもたくさんあるんです。この状況に対してどういうふうにお考えですか。
○政府委員(滝沢正君) この問題は、基本的には診療報酬のあり方とも関連してまいると思います。したがって、われわれといたしましては、医療機関、あるいは医療を確保するわれわれの立場からは、ただいまの中医協等で御審議願っております診療報酬の改定について、十分最近の病院の実態、医療機関の実態等を御考慮願うことを期待いたすわけでございます。そのほかに、具体的に公的医療機関に対する助成制度、補助制度というものについては、本年度初めて日赤、済生会等の三団体等の病院につきましては、特殊な政策医療を担当しておってなおかつ赤字の病院について、約百二十程度の病院でございますけれども、これについて二億八千万の助成金が用意してございます。これは病院の赤字の実態、あるいは経営の実態から申しますと、必ずしも十分なものではございませんけれども、初めて公的病院に対して、ガンを担当し、あるいは救急医療を担当し、あるいは僻地医療を担当するという政策医療を担当した場合について、この点に対する配慮をいたしております。したがいまして難病対策等が今後政策医療として軌道に乗ります場合については、公的病院のそのような助成策の中で、やはり具体的には難病対策を担当していただくという具体策に対して、この三団体等の現在二億八千万ございます予算の拡大については努力してまいりたいと思います。その他自治体病院につきましては、公営企業法に基づきまして、政令で定めた基準によって看護婦養成であるとかあるいは僻地医療あるいは救急医療、ガン対策、こういう特殊医療を担当して不採算の場合には、一般会計から、公営企業法の政令によって、定めによりまして、市町村から病院に一般会計から投入することを必要と定めております。地方自治体病院については助成の問題についていろいろ御意見がございますけれども、この点は、自治体病院に直接国が補助金を出すかどうかは、今後の検討課題と思いますが、ただいまは公営企業法によって特別交付税等でこれが措置されておりますので、当面、そういう裏づけのない日赤、済生会、厚生連等の病院で、ただいま御説明申し上げましたような部門に対して、本年度から助成策を講じております。具体的な難病対策等に対応する部分で必要が出てまいりますれば、これが助成についてさらに拡大を考えていく、こういう考え方でございます。
○藤原道子君 自治体病院の運営困難な点については、局長だって知っているでしょう。これに対してどうするか。三団体には補助金を出す、しかし地方自治体は県なり市でやるのだと言ったって、その県や市がたいへんなんですよ。大臣、この自治体病院対策についてはどう考えますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 自治体病院が非常に財政が苦しい、赤字になっている例が非常に多い。私も十分承知をいたしております。まあこの問題につきましては、先生御承知のように、たてまえとして府県なり県がめんどうを見、さらに特別交付税で見るという仕組みにはなっております。しかし、このままの仕組みで投げていていいのかどうか、私も実は最近疑問を抱いているわけでごございます。もちろんそういうふうな経営の問題でございますから、先ほど医務局長から答弁のありましたように、診療報酬の改定ということが絶対必要であることは間違いありません。これは診療報酬の改定によって、そして病院は病院らしい診療報酬をいただけるようにしてあげなければどうにもなりませんが、そうしたことをやっても、なおかつ、私は相当に財政が苦しい面が残ると思います。そういう面について、従来のような府県や市町村の病院は交付税でいいのだということで投げていていいのかどうか、私も実は疑問に思っているわけでございます。先般も自治体病院の経営をしておられる市町村長の諸君とお目にかかりましたが、まあ来年度の予算編成の際に厚生省としても独自の案をひとつ考えてみようじゃないか、そこであなた方もいい知恵をひとつ出して、できるだけ早い機会に持ってきてもらえんかということを私申し入れしたのです。どういうふうな方向で厚生省としてめんどうを見たほうがいいのか、あなた方もいろいろな意見あるだろうから、その意見を持ち寄って、ひとつ解決の案をきめて、来年度あたり何とかこれを解決する糸口だけはつけるようにしようではないかというふうに話をしておるわけでございまして、私もいまの制度のままでいいとは思っておりません。何か解決の道を見つけたい、かように私も考えておる次第でございます。もちろん、それから済生会その他の公的病院については、従来の方式でことしは二億八千万でございましたが、これだけでも十分じゃないでしょうから、それはその分で、その系統で今後とも努力いたしますが、府県、市町村分についても、いままでの方式でいいのかどうか、私も多少疑問を持っているのです。やっぱりこういう病院経営のような不採算的な仕事について、府県、市町村が、独立採算的に足りないところは県や市がめんどうを見ろと、こう言っても、県も市もなかなかたいへんでございますから、何か解決の方法を見出すように関係者とも打ち合わせをしてみたいと考えております。そして来年度の予算で何とかいい方法を見つけたいと考えておる次第でございます。仰せのとおり、まことにごもっともでございます。 〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
○藤原道子君 私はいまの大臣の御答弁でございますが、真剣にこの問題は考えてもらいたい。私もまだ不満足な点がありますけれども、時間の関係で医療問題はまた別の機会に御質問したいと思います。 そこで、社会福祉施設の整備についての問題についてお伺いしたいと思うのであります。私は先ほど申しました、特に緊急を要する寝たきり老人や重症心身障害児のための施設及び保育所を中心に計画的整備を促進する云々ということになっている。また職員を確保し、入所者及び職員の処遇の一そうの向上をはかるために措置費の大幅な改善、退職金の手当の改善などを行なうというふうに、福祉整備のところに大臣が申されているのです。 ところで、重症心身障害児のための施設、行ってみますと、非常に従業員が足りない。私実は昨日、高崎の施設を視察してまいりました。高崎の施設を見て、それから、この間参りました第二びわこ学園、それから島田療育園等々見ますと、もう全然話にならない。ところが心身障害児がすべて、日本の私たちの子供さんなんでございますね。これらの処遇に対して一体どういうふうに考えておいでになるか、この点についてお伺いしたいのです。と同時に高崎のコロニーは「のぞみの園」というのですか、昭和四十五年の末に完成したのですね。それで、これは全国でただ一つできているんです。そうすると、県割り当てで入所者を入れてあるのですね。九州あたりからまでも高崎へ入る。そうすると、親たちが、肉親が会いに来るということがたいへんなんですね。それを一番、私行って考えた。したがいまして、あれができてもう二年になるということになると、将来全国各地というわけにはまいりませんね。だけれども、地域別にやはりああした施設が建てられるべきじゃないかと考えますが、これについて厚生省はどういうふうにお考えになっておりますか。たいへん大きな施設で七十万坪、建て坪も十万坪くらいですね。ところが、そういう施設でありながら病院がないんですね。医療施設がない。こういうことが、私はきのう、なぜこういうところに病院の施設がないのかなあというふうに考えてまいりましたが、これに対してはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(穴山徳夫君) 一番最初の問題でございますが、いわゆる公私の施設の格差の問題につながっていくと思います。コロニーと、それからいわゆるたとえば島田なら島田というようになりますと、ちょっと話が変わってくるわけでございますが、と申しますのは、島田療育園あるいはびわこ学園、これはいわゆるる重症心身障害児の施設でございまして、先生が御承知のように、あれは医療施設になっております。したがって、島田にしましてもあるいはびわこにいたしましても、これの収入源というのはいわゆる基金に請求する医療費が収入財源になっているわけでございまして、それで一応まかなわれる。ただし、私どもはこの、医療機関でございますけれども、重症心身障害児を扱うという、いわゆる福祉施設的な機能を果たしますので、御承知のように重症指導費というものを約五五%加算いたしまして措置費として流すと、上積みをする、医療費の上にでございますね、ということで、いわゆる人件費その他の問題をカバーしてもらう、それで大体私どもとしては、国家公務員並みの給与が確保されるようにということで、重症指導費というものを加算して出しているということになるわけでございます。したがって、給与規程をごらんになっていただきますとわかりますように、大体島田にいたしましても、それからびわこにいたしましても、これは県のほうの関連でございますが、島田にいたしましても大体国家公務員並みの給与表ぐらいになっているという問題があるわけでございます。それからもう一つの問題は、国立コロニーというのはあれは重度精薄者の施設でございまして、現在精薄者の施設というものは、これは医療機関ではございませんで、いわゆる福祉施設ということでございまして、したがって措置費が支出され、また重症指導費に該当するようないわゆる重度加算というようなものが精薄者の福祉施設には出されているわけでございます。それで、いわゆる福祉施設としてのそういった施設について、先生御指摘のように公私の格差というものがあるわけでございます。そこで、私どもは四十七年度の予算でもって、大体国家公務員並みぐらいの給与が払えるぐらいの、いわゆる人件費の措置費というものを確保いたしまして、それから四十八年度は約一三%ぐらいのアップになりますけれども、いわゆる国家公務員並みのアップ率を使ってアップしているわけでございます。で、それでもやはり民間には問題がございますので、四十七年度には民間給与格差として四・四%、それから四十八年度はさらにその上に一・一%を加算するというような措置をとって、まあできるだけ公私の格差というものは縮めていこうという努力をしているわけでございますけれども、やはりいまは現実の問題としては、確かに公立のほうがいいというような事実もございますので、私どもとしては、やはりこれからも、いわゆる民間給与是正と申しますか、公私の格差の是正というようなことをはかりまして、やはり民間の施設についても運営が楽になるように、職員が確保できるようにというようなことに努力をしたいというように考えております。 それから、昨日御視察いただきましたコロニーの問題でございますけれども、確かに全国から入ってきておるわけでございまして、したがって、現在希望と申しますか、関係者たちの希望といたしましては、東に高崎があるんだから、少なくとも西のほうにもつくってくれないかというような御要望がございます。したがって、私どもの考えといたしましては、一つは、その高崎のコロニーというのがいま約五百人ちょっとの収容でございますけれども、やはりそれをさらに充実しなければいけないという問題が一つございます。これからもう一つは、やはり国立のコロニーというものが、まあいわば東日本に一つでいいかどうかという問題は確かにあるわけでございます。したがって、西なり、あるいは複数にするというために、どういうふうに考えたらいいかということは、現在私どものほうでも検討しているところでございまして、したがって国立コロニーはとにかく高崎だけ、未来永劫高崎だけであるというようなことではなくて、やはり西のほうに、もしどうしても必要であるというようなことで、こうしたほうがいいということがあればやはりそれは考えなければいけない問題ではないかと思うわけでございまして、したがって、国立コロニーというもののこれからの行き方というものは、そういったようなものも含めて現在研究をしているということでございます。 それからもう一つ、医療施設がないじゃないかというお話でございます。まあいわゆる医務室と申しますか、的なものはごらんになっていただいたかと思いますけれども、ございますけれども、確かに病院的なものがないわけでございます。これは一つは、いわゆる重症心身障害児の施設ということではなくて、いわゆる重度精薄者の施設というようなことでできておりますので、そういったような関係もありまして、いわゆる医療施設というものは現在のようなことで考えているわけでございますけれども、やはりどういう形にするかは別として、国立コロニーというものをこれからさらに充実して整備していくためには、どういうような施設を整備していったらいいかということは、いま私どもとか、あるいは関係者が寄り寄り相談し、あるいは研究をしているわけでございまして、その過程において、やはり医療施設というものをどう扱っていくかということは考えたいというように考えております。
○藤原道子君 精薄の施設とおっしゃるけれども、五二%くらいが精薄ですよね。あとは合併症、——心身障害者、身体障害者も入っている。それでいま五百人ちょっとでございまして、これを千何百人にふやすというような話ですね。ところが、いまコロニーを必要だと思う子供はどのくらいおりますか、全国的に。それを高崎一カ所だけで九州から四国から肉親が尋ねてこなきゃならない。行ってみましたら、やはり近くの人は肉親がしょっちゅう来る。それをうらやましそうに見る子供がいるんです。そりゃ、その子供の気持ちになれば、私涙が出るような気持ちです。したがって旅費も出ないでしょう、親が来るというても。九州から高崎まで幾らかかります。子供は入れたら捨て子したようなつもりに親がなれますか。私はあれを見て、何が何でも、やはり地域別に、まず西部に一カ所つくる。それで四カ所ぐらいは全国に必要じゃないかというように考えるわけです。親がたまにはわが子に会いに来るようなことを考えてやってほしいと思いますが、一体どうなんですか。旅費はたいへんかかるんですよ。
○政府委員(穴山徳夫君) 全く先生のおっしゃるとおりだと思います。子供にとりましても親にとりましても、やはり会うということが、施設の収容後でも会うということが一番大切なことだと思いますので、そういう面では、私ども高崎だけでいいというようには考えていないわけでありまして、したがって、先ほどお話しいたしましたように、これからの国立コロニーというものをどうやっていくかという場合に、高崎コロニー自身の充実整備と同時に、やはり何と申しますか、全国的な視野でこの国立コロニーというものを考えていかなければいけないというようなことで、現在検討し、またそう考えていかなければいけないんじゃないかというように考えております。
○藤原道子君 大臣、全国にコロニーへ入れてめんどうを見たいというような子供はいま、まだ答弁ないけれども、全国でどのくらいいるか。それだのに高崎だけにつくっているということは非常に間違いだと思うのです。一応つくったんだから、できてその成果があがるならば、やはり西部へ至急に一カ所くらいはつくってほしい。私はきのうしみじみ考えてきました。 それから医療施設が——診療所はありますよね。けれども、健康な人でさえ病気になることはある。ましてああいう子供たちのために、やはりあれだけ広い、七十万坪ですよね、こういうところにできている施設でございますから、どうか病院がほしいということはあそこの責任者も言っておりました。こういうことをひとつ考えてほしいと思いますが、大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 精薄児の実はコロニーをつくるとき、私もお手伝いをしたわけでございますが、あれを当初つくりますときには一つモデル的に国立でつくりまして、その実績を踏まえてまたいろいろ考えてみようじゃないかと、こういうふうな趣旨で私どもあの予算を計上をいたしたということを記憶いたしておるわけでございまして、私自身も完成いたしましてからまだ行っておりませんが、私も全国ただ一カ所でもういいんだという考えは全然ありません。全然ありません。もともと最初から実績を見た上でふやしていこうと、こういう考えで出発いたしたと私考えておりまして、ひとつこの問題は全国で四カ所がいいか、あるいはやっぱりブロック別に一カ所ぐらいつくることが私は必要だと思うのです。県ごとにつくる必要は私はないと思うのです。県ごとに、三府四十三県全部つくるという必要はないと思いますが、少なくとも四カ所なりあるいはブロック別につくりまして、群馬ほどの大規模のものでなくて私いいと思うのですが、そういうことをつくりたいと考えておりますので、私としては近く発足いたしますが、社会保障福祉五カ年計画の年次別計画をつくりますから、ことしの八月までに。その中でこの問題を必ず拡充する——拡充というか、数を多くしてつくっていくようなやり方を、具体的につくることを計画の中に入れるようにいたしたいと考えております。 それから病院をつくったがいいかどうかということは、収容しておる人数とかいろいろな問題等もございましょう。診療所だけで問に合う場合もありましょうし、あるいは診療所がなくても近所のお医者さんに、連絡あれば来ていただけるというふうなはっきりした体系ができておればそれでもいい場合もあるでしょうが、要するに収容しておる人数、さらにまた収容しておるそういう子供たちの様子によって前向きにひとつ十分研究をいたしたいと思います。
○藤原道子君 私は大臣が言われたように、できるならブロック別に一つほしいんです。と同時に、あんなに七十万坪もなくっても私はいいと思う、きのう行って視察しまして。ですから、あそこを基本の中心にしてもけっこうです。と同時に、やはりブロック別に周囲の子供たちがお世話をしていただけるような施設を絶対につくってほしいとお願いします。 それから病院ですけれども、健康な者だって病気になることはある。そういうことですから、病院がほしいということを施設の人も言っておりましたから、ぜひそれも考えていただきたいと思います。 それから、あそこは幾らかかったんですか。
○政府委員(穴山徳夫君) 建設費が二十七億でございます。
○藤原道子君 土地はあれは国のか……。
○政府委員(穴山徳夫君) 土地は国有地でございます。
○藤原道子君 はいはい、わかりました。 そこであそこはコロニーです。その前の心身障害児の施設ですね。こういうところへ行くたんびに、この間も田中さんから御質問申し上げましたけれども、腰痛者がとても多いのですよ、従業員が少ないからね。これでこの間の御質問の中で、大臣が一対一にしたいということをおっしゃいました。ところがいろんな施設に行ってみると非常に従業員が期待しているんです。先生いつごろからなるんでしょうか、なんて聞かれても私わからない。一対一の従業員、これをほんとうに実施されるのかどうか、いつごろから実施されるかということ、それから看護婦にしろ保母さんにしろ非常に人数が少ないから、だから働く人が健康を害するんです。手当てが十分行き届かない。したがってこれの養成機関、これの養成はどういうふうに考えておいでになるか。保母さんにしろ看護婦にしろ、そこに働く従業員の諸君にしろ、OT、PTにしろ、その養成を一体どの程度に考えておいでになるのか、これを聞かしてください。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私がお答えいたしたのですから、私からまたもう一度お答えいたしますが、重度心身障害児を収容しておる施設によりましては、ほんとうにまだ小ちゃな子供だけの場合もあります、施設が。それからたいへんなおとなといっちゃおかしいんですが、二十をこしたような、もう成人した重度心身障害児ばかり入っているような施設もあるわけです。それをいまの予算の施設では一律に一・五対一人、こういうふうになっているわけなんです。それはおかしいじゃないか。やはり施設によっては一対一、こういうふうなことを考える必要があるのじゃないかということを申し上げまして、全国的にそういう施設を全部いま洗い直して調べておりますが、来年度の予算において一対一のものもあり、あるいは小ちゃな子供さんたちだけなら一・五でいいのです。おとなということになりますとやっぱり一対一にしてあげませんとこれはたいへんだ。こういうことでいま全国のそういう重度心身障害児を収容しておる施設について洗い直しをしておりまして、その結果を待って来年度の予算において一対一という施設をつくるというやり方にしたいと思います。しかしまた、現在ことしの予算の中ででも、すでに成立しております予算の中ででも、ものによってはやっぱり至急にやってもらいたいというものが私はあると思うのです。おとなばかり、おとなというのはおかしいんですが、二十歳以上のような重度心身障害児ばかりを収容しておりまして、なかなか看護婦さんや保母さんがそれはもう一対一じゃできない、こういうものも私はあると思うのです。そういうものもあるならばやりくりでできないかどうか。それはひとついま児童家庭局長に研究しろと、ことしの成立した予算の中ででも、やれるものがあればやりくりしてでもやる必要があるんではないか、施設によっては。しかしまた全国的に洗い直すやつは来年度から正式にやりたいと考えておりますが、ものによってはことしやれるものも私はあると思うのです。そういうものはひとつ今年度の予算の執行にあたって、いま調べさしておりますから、やれるものからやっていくと、こういうふうにしたい、かように考えておる次第でございます。
○政府委員(穴山徳夫君) 看護婦の養成につきましては医務局長のほうからお答えいたしますが、私のほうから保母の養成の関係についてちょっと一言御説明いたしますが、確かに人手の確保という問題が非常に大きな問題でございまして、ただ、いま保母のほうは大体年間二万人ぐらいずつ卒業と申しますか、養成所あるいは大学、短大、そういったところを卒業してまいります。したがって、この保母さんたちができるだけ児童福祉施設に行って、しかも定着してもらうようにということが結局必要だと思うわけでございまして、それで養成をする側の問題といたしましては、たとえば養成施設をふやすとか、あるいは内容をよくするとか、あるいはまたいわゆる勉強しておられる方の修学資金の貸与制度の拡充でありますとか、そういったようなことをはかっていかなければいけないんではないかというように考えまして、四十八年度の予算でも学校の先生の数をふやしたり、あるいは貸与対象になります人の増をはかりましたり、そういったようなことをある程度したわけでございますけれども、これはさらに進めていかなければいけないというように思います。 それから、やはりせっかくこう就職をしていただいて、できるだけ定着していただくというためにはやはり人手をそろえ、あるいは給与をよくするということが基本になると思いますので、その点についてもこれからさらに充実をしていきたいというように考えております。
○政府委員(滝沢正君) 重症心身障害児施設におきます看護婦の役割りは、確かにそこに勤務する職員の主軸をなすわけでございまして、ただいま国民の重症心身障害児施設の新しい定員措置で最初の四十床については三十三名、八十床については二十九名という四十八年度の定員のワクでございますが、こういうときにやはりその大部分は十九名が看護婦、あとは看護助士であるとか、保母とか、児童指導員、それから洗たく婦から調理師、栄養士というふうな必要な要員をもって重心施設の運営に当たっているわけでございます。看護婦の絶対数の不足ということは先生御存じのとおりきわめて社会的に大きな問題でございまして、これにつきましては処遇の改善はもちろんのこと、基本的に勤務条件であるニッパチ体制、こういうものを満たしていくようにいたしますと、絶対量の確保がございませんと、そのような条件の改善ができません。で、四十五年の卒業のベースで約三十一万六千という年末の就業者、看護婦の数でございましたものを、いまのペースでいきますというと五十一年には四十四万七千、年々過去においては一万数千の増加でございましたが約一万増加いたしまして二万数千という増加のペースになってまいっておりますけれども、これとても将来の、たとえばただいま御指摘のございましたように一対一という中で看護婦の占める割り合いも考えましても、かなりの施設によっては増加を必要とします。そういうものを積み上げていきますというと、絶対数の確保において五十数万という看護婦の確保をしなければならぬという予測が立ちます。したがいまして、養成所の設置についても従来ペース以上に大体四十八年度で四千人の定員の入学増をはかる対策を講じておりますが、これをやはり長期計画の中では相当数の看護婦確保が必要である。ただ、養成所をつくりましても看護婦になる希望者を確保する。女子従業者の減少傾向というようなもの、あるいは高校卒が大部分であって中卒という者がほとんどなくなっている、こういうようなことでただいまの准看制度というものを改善する方向が必要でございますし、そういう制度上の問題、それから、基本的に看護婦の社会的評価でございます処遇の改善、こういう点につきまして、本年度、四十八年度の人事院勧告を契機に画期的な改善をはかるようにただいま努力いたしております。で、そのようにして看護婦を確保する場合、なお勤務の条件として重症施設では民間の重症専門施設ではつとめますと、その場所しかつとめの条件がないわけでございますが、国立の場合には若干その条件としては半年なりあるいは一年交替で結核病棟に勤務をかわっていくと、また重症の病棟にかわるというふうにして、これは幸い国立の場合にはそのようなローテーションができることがかなり看護婦確保の上に一つのメリットにはなりますけれども、民間施設の場合には常時同じ患者を取り扱わなきゃならぬという点について非常に確保に困難を来たしておるわけでございます。 で、それにいたしましても、大体国の場合では重症心身障害児施設に御勤務いただく場合、調整の号俸で五号、約二〇%相当の給与の改善をいたしておりますから、五万円程度の人がやや、一万円普通の人よりは多くいただけるように、重症施設につとめている期間については月の俸給に対して一万円程度の増額をはかっております。これらの問題ももちろん民間施設にも国にならってその措置がなされておるわけでございますが、そのようなことも踏まえまして、この重症心身障害児施設等の看護婦確保には引き続き努力いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○藤原道子君 私はね、看護婦問題についてはいろいろありますから、また別の機会に質問しますけれども、この間参りました「びわこ学園」で腰痛で認定を受けておりながら休養ができない。非常にああいうところで働いている人は子供に対する愛情を持っているのですね。だもんだから、静養、治療しなきゃならないのに働いている。だんだん重くなる。こういう状態にあることをあわせてお考えになって、重度心身障害児の施設、これに対しての対策を十分お考えになっていただきたい。いずれ機会をみて御質問しますけれども……。 それからもう一つは、何と申しましょうか、この在宅の心身障害児・者に対しての対策、これはどのように、ここには在宅の心身障害児・者に対する施策も拡充をはかっているということが出ているのですが、どういうふうな対策をお考えになっておりますか。
○政府委員(穴山徳夫君) 私のほうから、子供に対するサイドの問題をお答えしたいと思います……。
○藤原道子君 簡潔にね。
○政府委員(穴山徳夫君) まあ、現在いろいろな種類の在宅対策を講じているわけでございますけれども、おもなものを申し上げますと、たとえば身体障害児につきましてはおとなと同じように補装具の交付をするというようなことをやっておりますし、それからまた在宅の子供で通園ができるような子供たちについては小規模通園授業というものを始めておりまして、四十八年度は従来二十カ所だったものを三十五カ所にふやす、個所をふやしていくというようなことを考えております。 それからやはり親と子が一緒になって、何と申しますか、勉強をしたり遊んだり楽しんだりというようなことが必要だと思いますので、そういう意味で現在療育キャンプという、まあ泊りがけで親子が一泊ぐらいでもって旅行に出かける。旅行先でもってその親子が指導を受けたりあるいは遊んだり、遊び方を、あるいは訓練のし方を習ったりというようなことで、いま療育キャンプということをやって、非常に喜ばれておるわけでございますけれども、それを、従来まあ年八回ぐらいやっておるのを倍ぐらいに四十八年度はふやすというようなこと。それから、重度の精薄児・者あるいは身障児につきましてはホームヘルパーの制度がございまして、それからやはり重度の身障児あるいは精薄児・者につきましては、これはおとなの身体障害者と同じように日常生活用具の給付ということをやっておりまして、四十八年度は特に対象の範囲を広げますと同時に、重度の精薄の関係の児・者も支給対象にするというような、対象の範囲の拡大あるいは支給する物の増加、電動タイプライターでありますとかあるいは寝たきりに対する特殊マットでありますとか、そういったようなものを来年度はふやすというようなことをやっております。 それから、まあ一つの経済的な給付といたしまして、御承知のように特別児童扶養手当という制度があるわけでございまして、四十八年度は従来四千三百円でありましたものを六千五百円に支給額を上げると、そのほか所得制限の緩和、あるいは障害福祉年金、老人福祉年金との併給を認めるというような改善をしたわけでございます。 それから、従来精神薄弱関係の人たちには身障者のような手帳の交付がございませんでしたが、四十八年度は、これは念願でありました手帳の制度というものの予算が入りまして、四十八年度からは手帳も交付されるようになるというようなことで、いろいろな、あるものはこまかい問題ではございますけれども、在宅の対策としていま申し上げましたようなことをおもにやっているわけでございます。
○藤原道子君 私、まだもう少し保健所の問題とか、——厚生省へ言っておりませんから、保健所の問題とか、婦人の健康診断等の問題、それから廃棄物の問題等について御質問したいんですけれども、これを午後にさしていただきまして、私のいまの質問はこれで終わりたいと思います。
○委員長(矢山有作君) 本件に対する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時三十二分休憩 —————・————— 午後一時十七分開会
○委員長(矢山有作君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、小枝一雄君が委員を辞任され、その補欠として玉置和郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(矢山有作君) 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢山有作君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に玉置和郎君を指名いたします。 —————————————
○委員長(矢山有作君) 休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、心身障害児・者対策について調査を進めます。 本件につきましては、本日は、お手元に配付いたしております名簿の方々を参考人として御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、本委員会の調査のため、御多忙のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。 つきましては、心身障害者問題について忌憚のない御所見を拝聴いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 まず、それぞれのお立場から各自二十分程度の御発言を願い、そのあと委員からの質問に対し、お答えをお願いいたしたいと存じます。 それでは、黒木参考人にお願いいたします。
○参考人(黒木猛俊君) 黒木参考人でございます。 私は、各都道府県、指定都市の身体障害者の団体に障害種別の盲人の団体、ろうあ者の全国団体、これらを加えました団体の代表でございますが、そういう関係でよく地方に参りまして各種各様の身体障害者と意見を交換し、それらの人たちの希望を聞く機会を持っております。そういう人たちの大体の見解としては、現在のわが国の身体障害者の福祉は絵にかいたモチである、見た目はいいけれども食べるところは何もないじゃないか、これが全体的な考えでありまして、まさに絶望にも近いような見方をしておるわけです。なぜであるか。先生方がせっかくいい法律をつくられるけれども、これが裏づけが何にもない、つまり仏つくって魂入れずであります。幾らいい法律をつくられても、それを執行するための予算をくっつけていただかなければ何もできません。私の背後には厚生省の社会局長あるいは労働省の担当課長等がおいでになって相当熱意を持っておやりになろうという姿勢を示しておられるのですけれども、予算要求しても全部これが削られてしまう、こういうことでは全くわが国の身体障害者の福祉は絵にかいたモチに終わるのではないかと考えるわけであります。先般のこの委員会に先生方は車いすに乗った人たちをお招きになりました。おそらくそういう人たちはお話をしなかったと思うのでありますけれども、ああいう車いすに乗った人たちは脊損患者というのでありますが、脊椎を損傷しておりますから腰から下が死んでおります。一体どういう姿で用便をするかお考えになったことがあるでしょうか。おそらく政務次官も御存じないんじゃないか。普通、人間は——びろうな話になりますが、これはひとつ専門的な問題でありますからお聞きいただきたいと思います。便意を催して便所に行って、そうして大便なり小便をするわけでありますけれども、腰から下が死んでおる脊損患者というのは、便意というのは全くありません。ですけれども、物理的に上から食べるためには下から出さなくちゃならない。どうするか。毎朝大体の時間を定めて便所に行く。そうして車いすからおりて、衣服をぬいで、おもむろにゴム手袋を手にはめて、指の先で大便をほじくり出すのです。小便はどうしておるか。男の人は足首にビールびんみたいな筒をゆわえつけて、それにゴム管で小便の出るところから誘導しておるわけです。男性は突起状でありますから容易に装着できますが、女性はそうはいかない。まずこういうことをお考えいただきたい。そこで、昭和四十一年の第一回の身体障害者福祉法を根本的に改正するための審議会に対して、時の風祭の患者の連盟からぜひ陳情したいという要請がありました。しかし、わざわざ東京まで暑いのに車いすに乗って、バスに乗って東京に来るのはたいへんだからというので、私が代表でこの人たちの陳情を聞きに行きました。涙ながらにそういう訴えを聞いて、そうして身体障害者の審議会でもそれは当然だと、そういう人たちが用便が容易にできるように居宅の改造のひとつ要求をしようじゃないかということで答申にも盛られました。昭和四十一年の十一月二十四日に第一回の答申が出されたときに、その答申にはっきり重度障害者に対する居宅改造の予算を出せという答申がなされました。厚生省はこの答申に基づいて、四十二年、四十三年、四十四年、三回予算要求しましたが、全部これが第一次査定で削られてしまっておるのです。ある程度のスペースがあって、そうして車いすで便所の中に入っていく。その中に手洗いがなければ用便ができない。だからこそ車いすに乗った人たちは、そういう便所に改造できるように、あるいは台所にも容易に通行できるように陳情したのであります。 その尿を集めるのは収尿器というのでありますけれども、まず女性の社会復帰といいましても、まさかおとながおしめをして職場に行って、夏の暑いのに仕事をしていたのじゃ小便くさくて仕事にならない。だからドイツで開発されておる優秀な、いわゆるにおいを他に漏さなくても集尿のできるような最新式の収尿器を輸入して、それをもとにして新しい収尿器をつくって、補装具として無料で出してくれ、こんな切実な人間としての要求が通らない。全くわれわれは言語道断と言わざるを得ないのであります。 盲人の福祉は一体どうなっているか。私どもに言わせれば、わが国の一九七三年の盲人福祉は徳川幕府以上におくれておる。徳川幕府時代には盲人には当道という制度がありました。それこそきびしい統制のもとではありますけれども、盲人に自治を認めて、あんま、マッサージ、はり、そういうものを専業としてやらしておった。手厚く保護しておりました。幕府から金を貸してやって、そして金貸しの制度を認めておった。目あきはマッサージなんかしません。したがって、盲人は一応生活が安定しておる。これが明治四年の十一月三日に、太政官布告でこの制度は廃止されました。明治、大正、昭和というのは幕府時代よりもおくれておるんです。現在、盲人の専業といいましても、おそらく鍼、灸、あんま、マッサージ以外にはこれといった職業はありません。幾ら口に新職業の開発、研究と言いましてもないんです。その盲人は一体どうしているか。温泉場、あるいは人の出入りの激しい観光地、こういうところはだんだん目あきの若い女性たちに職場を侵食されて、それこそ僻地に落ちていってマッサージ事業を細々としてやらなければならない。したがって私どもに言わせれば、わが国の現代の盲人の福祉は徳川幕府時代以上におくれておる、こう言わざるを得ないわけであります。 ろうあ者はそれでは一体どうであるか。ものを言うことができません。耳が聞こえません。ろうあ者の人たちは、またこれ泣きの涙で過ごしておられる。なぜかといいますと、一番いまろうあ者が望んでおるのは、市町村の役場、福祉事務所に行きましても手話通訳がいないために筆談をしなければならない。ところが忙しい役所の人というのはなかなか言いたいことを聞いてくれない。したがって、そういう公共機関にはぜひ手話通訳を配置してほしいという訴えをしておるわけです。ところがまた全然これは予算の問題がありまして進捗しない。たとえば病院に行きましても、頭が痛いと言って訴えているのに無理に注射を打たれて盲腸の手術をされたというような事例がございます。さらに切実な問題としましては、運転免許の問題をろうあ者諸君は考えておる。いま御承知のように、農作業に従事する人たちはほとんど耕運機という機械を使っております。牛馬にたよる人はほとんどまれです。ところがろうあ者には頭から運転免許を与えない。いわゆる運転免許の試験を受けることができないのです、法律の定めによって。道路交通法第八十八条であります。したがってどういういなかに行っても、ろうあ者が百姓をする場合は、やはり牛や馬をどこからか見つけてこなければならない。百姓にならないわけです。さらに自営業を営もうとしましても、ライトバンの運転ができませんから、これらの人たちは他の同業者に対抗できない。盲人もろうあ者も肢体障害者も全く困り果てております。それならばそのかわりにひとつ所得保障を十分にしたらいいじゃないかという声があるわけでありますが、所得保障、これがまたまことにわれわれにとっては奇想天外であります。御承知のように、障害福祉年金というような、国民年金の一環として発足したのが昭和三十四年の十一月一日であります。それから十三年半を経過いたしまして三千五百円ほど増額になりました。十三年半かかって三千五百円の増額であります。去年の予算編成期ですか、大蔵大臣が胸を張って、福祉重視の予算を組んだとおっしゃるんでありますけれども、私どもにはどうも納得できない。十三年半かかって三千五百円では全く問題にならないわけであります。一カ月現在は五千円でありまして、しかも個人の所得制限は三十八万であります。この金額は現在の日本の平均労働者の賃金の約十三時間分であります、一カ月の年金の金額が。皆さんは専門家でありますからもうとっくに御承知と思いますが、日本の労働者の平均の賃金が時間給に直して三百八十八円二十銭でございます。どうにもわれわれは納得のいかない、できない状態が続いておる。そして一つも進歩が見られない。どこに欠陥があるかといえば、結局法律だけはつくられるけれども、その法律を実施するための予算をつけてもらえない。これでは福祉国家とは名ばかりでありまして、われわれに言わせれば、絵にかいたモチだと言わざるを得ないわけであります。身体障害者の福祉をはかるために現在身体障害者福祉法、それから障害福祉年金と身体障害者雇用促進法という三つの法律があります。そのほかに私企業の人たちが、この法律制定の精神にのっとって、いわゆる私鉄、私バスの割引だとかいろんな優遇措置を講じてくれております。どの法律をとってもこれがまたざる法でございまして、たとえば身体障害者福祉法第一条から第五十四条まであります。法律が完ぺきであるならばおそらく多くの身体障害者は明るい気持ちで毎日を送ったでございましょう。ところがこの法律は重度の障害者と申しましても、寝たつきりの障害者に対する保護ということを考えておらない。昭和四十四年には神田の森田というお医者さんが二十七歳の心身障害の子供さんを絞殺されておる。毎年毎年新聞紙上をにぎわすような悲惨な事件が起きておる。その起きたたびにはマスコミも国会も何とか反応を示されますけれども、過ぎ去ってしまえば忘れてしまうわけです。これはどこに欠陥があるか。そういう人たちを手厚く生涯過ごさせるような施設がないからであります。第二十二条には「(売店の設置)」というのがあります。これは重度の障害者が自営業を営んで更生するために国または地方公共団体が持っておる施設の一部を貸してほしいと言って申請があったならば貸さなきゃならぬという規定であります。ところが貸りた人は全国百三十一万四千身体障害者のうち十人といないと、かように考えております。どれ一つとって満足なものがない。雇用促進法は一体どうであるか、私どもはこの身体障害者雇用促進法はあくまでも強制雇用法でなきゃならない。日本のように、金もうけのためには人が首をくくろうが死のうがそんなことは知っちゃいないというような企業主の多いところにおいては、とうてい身体障害者を雇わなきゃならぬというようなぬるま湯的な法律をつくったって、これは無意味であるというので、最初からこの法律は、われわれは強制雇用法の制定を熱望し懇願し続けたのであります。ところが、これが現在のように雇用促進法であります。昭和三十五年の七月二十五日に制定をされまして、同年十二月一日に施行されたのであります。案の定、その翌年五月には北海道の三池炭鉱、ここで身体障害者を全員解雇という案が、企業合理化案の第一歩として出ております。同年の秋にも滋賀県の彦根の郊外で、ノザワセメントというのがやはり経営合理化の第一歩として身体障害者全員解雇という線を出しておるのです。何にもならない。しかも、この法律ができてすでに十何年も経過しておるのに、わずか百人以上の雇用人口を有する職場で一・三%という雇用率が現在なお達成されておりません。現在一・二六%であります。達成されておらない。達成されてない理由というのは一体何か、大企業のサボタージュであります。大企業が身体障害者雇用促進法という法律をこれは認めておらないからでありましょうが、協力しない。そのためにわずかに一・三%という雇用率すら達成されておらない。私たち身体障害者は、何も身体障害があっても決して腕をこまねいて遊んで、楽をしてうまいものを食いたいというようなことを考えておる者は一人もおりません。みな残存機能を発揮して一生懸命に働いて、そして税金も納めたい、りっぱ平和な家庭も持ちたいと念願し続けております。しかしながら、身体障害者は、たとえば就職をいたしましても、最低賃金法の適用除外規定がございまして、ろうあ者なんか全く同種の仕事を同時間やらされても、いまどきのお金でわすがに一万五千円とか二万円という低賃金で雇用されておる。最低賃金法の第八条に身体または精神に障害があって、そうして稼働能力が著しく劣る場合、最低賃金以下で雇ってよろしいと、いわゆる最低賃金法の適用除外と、こういうことがありますので、身体障害者は就職しても更正できない、家庭をつくることができない。家庭をつくったと今度はしますというと、たとえばこれは去年の秋に起こった問題でありますが、親、きょうだいが結婚の条件として、子供を産んではならぬということが条件になったそうであります。日本ろうあ連盟で大騒動を演じましたけれども、全く人権無視が白昼堂々となされておるというのが現状であります。こうしますというと、働くことのできない重度障害者は所得保障が貧弱であって全然問題にならない。働く意欲を持って更生しようとすれば最低賃金法の適用除外されて、最低賃金法というのは、もう一番若い人たちがどうやら食っていけるような、アパートに入れるような賃金でありますが、それすら認めないんでありますから問題にならないわけであります。さらに、私たち身体障害者の対象になるのは満十八歳以上でありますけれども、満十八歳未満の人たちから考えてみましても大きな欠陥がいろいろな面であります。まず満六歳になりますというと、みんな子供はいわゆる就学いたします。ところが憲法の二十六条では「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」という規定がありながら、身体または精神に障害があれば、就学の猶予願いをしなさいと言って、学校教育法の二十三条はからだが不自由であれば、虚弱であれば、病気であれば教育を受けさせなくてもいいように規定があるのです。そして七十五条には特殊学級というのがあります。皆さん方は熱心な先生方ですから、おそらくそういう特殊学級とはどういうものか視察されたことがおありになると思います。白昼でも電灯をつけなきゃ文字が読めないような部屋に一年から六年まで、定年まぎわの先生が、いわゆる時間来るまでつとめましょう的な教育をしておる。まず、そういうからだの不自由な子供こそ、りっぱな学力を身につけさして、高校へ、大学へどんどん進学さして、そうして事務能力を身につければりっぱに社会復帰ができるわけです。職業更生ができるわけです。まず学校教育の段階で差別をしておる。御承知のように高校は進学を拒みます。この間も、浦和で大西赤人さんという人が、これは作家ですけれども、十七歳でありますが、県立高校への進学を断念せざるを得ないような状態に追い込まれた。大きな差別であります。ですからそういう人たちが大きくなったら、一体どうするか。肉体労働はできません。肉体労働はできない。それじゃ事務、——事務も全然だめです、学歴もありませんから。それが現在の偽らざるわが国の身体障害者の福祉の実態であります。福祉国家を標榜されるわが国の身体障害者の実態であります。私の知っている人にこういう人がおります。熊本県の菊池市の重味古川というところに佐々木信之君という、現在四十一歳の障害者がいる。七歳のときにわずかにびっこを引いたのが始まりでありまして、医者の診断の誤りから指導の誤りでだんだん症状が悪化いたしまして、年をとった両親は一生懸命馬車荷役でその収入を得ておる、この子供の療育に注ぎ込んだ。七人のきょうだいは、姉も兄も、みな下女奉公、下男奉公して収入を得ては、この子供の療育につぎ込んだんですけれども、だんだん悪くなるばっかりで少しもよくならなかった。そうしてわずかの田畑も手放してしまった。現在一メートル足らずであります。この人が私に涙ながら訴えたのは、私はほんとうに死にたいんです、私がいるために私の一家じゅうはほんとうに悲惨のどん底に落ちてしまいました、私は首をくくろうにも首をくくることができない、手の力も足の力もない、そして、兄夫婦たちが野らに行くときには、おまるの上に新聞紙を敷いてその上に握りめしを置いて、竹の筒に水を入れて、そしてストローみたいな麦のわらで水が飲めるようにして野らに行くんだそうです。私がいなければどれだけうちの人が明るい生活を営んだかしれないのに、自分がいるために、自分はみんなを不幸にしてしまったと言って訴え、いまもときどき手紙をよこしますけれども、佐々木信之君というのが、そういうのがおります。ですから一人でもそういう障害者が泣きの涙で日常過ごさなきゃならないような社会であっては、決して私は福祉国家とは言えないと思うのであります。ろうあ者の問題にしてもしかりであります。ろうあ者が立ち会い演説会に聞きに行きましても全然わからない。通訳を配置してくれと言いまして、ようやく前回の総選挙あたりからぼつぼつ手話通訳を配置するというような状況であります。確かに皆さん方は大所高所からわが国の福祉の前途をお考えになってもろもろの施策をお考えになり、法律をつくられたと思います。しかしながら、そのようなりっぱな法律を幾ら皆さんがおつくりになっても、法律を、いわゆる制定の目的が達成できるような形に持っていかなければ、つまり仏つくって魂入れずであります。予算の裏づけがなければ、どんなりっぱな法律をつくっても何にもなりません。先ほど申し上げたように、居宅改造なんかの予算のわずかなものを要求しても財政当局はこれをばっさばっさと削ってしまうんです。どうかひとつ、思い切った予算を出すように御配慮を願いたい。たとえば昭和四十七年度に比べて四十八年度の身体障害者関係の予算は一四二・二%の増ということを発表されております。これは間違いなく私のうしろにおられる、社会局長なり厚生課長おられるわけですからうそではありません。一四二・二%額面どおり出ておればこれはたいへんな伸びです、国家予算の伸びは二一四・六%の伸びでありますから。ところが、これがごまかしです、われわれに言わせれば。これは新たに昭和四十二年に心臓手術、——内部障害者というのが身体障害者の範囲に含まれて、この心臓手術に対する予算というのが、これが五千七百万入っております。さらに去年から新たに含まれた人工透析、いわゆるじん臓の機能の障害者に対する人工透析、これが四十八年度は十六億三千六百万入っております。この新たに含まれた人工透析の予算と心臓手術の予算を除きますというと、伸び率は実に一二二・七%であります。国家予算よりもはるかに低い。こういうことで身体障害者の福祉をやっております。全国には百三十一万四千の身体障害者がおる。ほとんどの人がいまの政治は一体何だと、あれは。うそ、ごまかしの政治ではないか、一体いまの国家に期待するものが何があるかというような気持ちを率直に私申し上げますが抱いておる。どうか先生方は、少なくとも社会労働委員会の先生方は身体障害者、社会福祉の対象になっておる方々の気持ち、立場を一番よく理解されておると私は思います。ひとつ法律制定の精神、目的が達成できるような裏づけ、予算を思い切って投入していただけるように心からお願いを申し上げまして、私の参考意見の陳述を終わらしていただきます。
○委員長(矢山有作君) ありがとうございました。 次に、宮崎参考人にお願いいたします。
○参考人(宮崎音彦君) 私は宮崎でございます。 まず、この社会労働委員会の先生方が身体障害者あるいは援護関係者をお呼びいただいて、意見を聞かれ、そしていろいろ審議の御参考にされているということにつきまして、お礼を申し上げたいと思います。 それで私は、身体障害者あるいは精神薄弱者等に対しまする対策の目標と申しますか、あるいは基本的事項とでも申しますか——ということにつきましては、そういう人たちにそれぞれ適するようなリハビリテーションを講じまして、そして働ける人には職場を提供いたしまして、それらの人々が自立をし、あるいは生活を喜ぶことができるように進めていきたいものであるというふうに考えております。また、どうしても働けない人もありますが、そういう人に対しましては国あるいは地方公共団体で生活を保障するというこの二つが最も大切なことであろうというふうに考えておるわけでございます。そして私は、主として本日はリハビリテーションの問題と、それから就業の問題と申しますか、自営業あるいは雇用を促進すること等についての問題について意見を述べさしていただきたいと思います。 しかし、ただいま黒木参考人からもいろいろお話がございましたが、現在の身体障害者の状態あるいは精神薄弱者の状態等を考えてみますときにその前提として、いろいろ行政措置を行なう等の前提といたしまして非常に重要な問題が三つございます。これはぜひ先生方にお願いをいたしまして、政治的に御考慮を願い、解決をはかっていただきたいというふうに考えるわけでございますが、その第一は、障害者関係の法律とその実施期間を体系化して、対象者に一貫して総合的措置がとられるようにしていただきたいということでございます。心身障害者の関係の法律は、御承知のように、心身障害者対策基本法をはじめといたしまして、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、また身体障害者雇用促進法等、これは四十からの法律によってできております。また、行政関係におきましても、文部、厚生、労働各省に分かれて、省内でもまた局に分かれているというのが現状でございます。これは一面では非常によく手の届く面もございまするけれども、体系的、総合的でないために、対象者にとっては一貫して必要な措置を受けることができない場合が非常にたびたびあるのでございます。ことにせっかく先生方のお骨折りでできた心身障害者対策基本法も、これも期待されたような効果をあげるに至っていないということは、まことに惜しいことであると思います。しかし、そう申しましても、法律の体系化とか、あるいは行政機構に手をつけるということはたいへんむずかしいことであろうと存じますけれども、これは機会あるごとに先生方に御考慮を願って、そうして順次是正をしていただく、あるいは修正をしていただくというふうにお願い申し上げたいと存じます。しかし、せめてそのうちで、特に教育、それから医療、職業的なそれぞれのリハビリテーション措置だけは何とか本人を対象にして、一貫して措置ができるようにお願いをいたしたい。それによりまして、その人々も社会復帰が非常に早まるであろうというふうに考えるのでございます。厚生省では、このたび国立リハビリテーションセンターを御計画なさっておるように伺っておりますが、これはぜひ非常に理想的なものを規模的にも内容的にもりっぱなものをつくっていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。この法律関係あるいは行政関係を統一的、総合的にということは現実非常にむずかしいことでありましょうけれども、つい先般、総理を本部長とする老人対策本部ができたように伺っておりますが、身体障害者、あるいは精神薄弱者等に対しまする対策も、そのような内閣に強力な対策本部を置いていただくことは非常に適切ではなかろうかというふうに考えます。これはアメリカの場合も大統領委員会というのがあって、かなり国家的、ことに全体的に対象者の復帰が早まるような対策が総合的にとられているというふうに伺っております。これはぜひお考えをいただきたいと存じます。 それから第二は、障害者対策の国の予算の計画的、重点的な増額でございます。これは先ほど黒木参考人もお話しされましたので、私はそのとおりであろうというふうに考えますが、何と申しましても身体障害者あるいは精神薄弱者等に対しまする対策あるいは予算等は、他の施策から見ますとおくれておりますために、先ほども話がありましたが、前年比四〇%あるいは五〇%というふうにかなりの伸びを示しましても、それは非常に絶対額は少額でありまして、とうてい現状を前進さすということが困難だというふうな見方ができるわけでございます。ちょっと数字を調べてみたんでありますけれども、厚生省関係では、前年の五十六億からことし八十六億になっておりまするし、それから精神薄弱者関係のほうも七十四億から百六億というようにだいぶ伸びております。また労働省においても二十三億から三十三億というように予算は確かに伸びておりまするけれども、これはさらに増額していただく、ことに計画的に増していく、あるいは重点的に増額していくということが望ましいと思いますが、その計画的、重点的と申したいと思いますのは私はリハビリテーション関係の費用並びに雇用促進のための経費は特に増額をしていただきたいというふうに考えております。で、リハビリテーションというのは教育もしなきゃならない、医療も施さなければならない、あるいは職業的な教育もしなきゃならぬということでたいへん金がかかりますけれども、アメリカで申しますならこのためにかなりの投資をしても彼らはやがて税金を払う国民になるのでそういう点から長い目で見れば経済ベースにも乗るようなことなんだと、したがって徹底してリハビリテーションをやるべきだというふうなこともいわれているほどでありますので、どうか従来の予算に対する比が非常にふえたということ以上に特に重点的にまた計画的に進めていただきたいと、かように思います。 それから第三のお願いの問題は、民間の善意あるいは民間社会事業団体の努力を活用してリハビリテーションの徹底あるいは就業の促進をはかっていただきたいということでございます。この身体障害者あるいは精神薄弱者等に対しまするいろんな処置は、いままではなかなか経費がかかります。また医療とかあるいはケースワーク等それぞれ専門的な技術も必要でありまするけれども、これは善意の人々あるいは情熱のある人々の努力が非常に必要であります。したがいまして民間の人々の善意を活用していく方法あるいは民間団体の努力をもっと高めかつそれが活用できるようにしていただくということなどもお考え願えればさらにこの関係が進歩するんじゃなかろうかと思います。したがいましてそういうことを考えますと、まあ国公立の施設を民営にするといったようなことも一つの方法であろうと存じます。また国の行なうべき事柄を民間に委託する、これをもっとふやして、そして、その効果を期するということもいいんだろうというふうに私は考えます。特に民間社会事業の場合におきましては民間の善意の人人の寄付がなるたけたやすくその施設あるいはその事業に投入できるように税制を改正いたしまして、そしてその関係の事業が進むようにしていただきたいと、以上三つが大体現実に非常に必要な事柄だというふうに私は考えております。 それからその次に、身体障害者等の職業問題について申し上げたいと存じます。職業を求めていますにかかわらず適当な職が見つからないと、そして生活の不安があるということは、これは非常にその身体障害者にとっては苦しい、嘆かわしいことであります。しかもこのような立場に立たされている身体障害者は非常に多いわけでございます。ところが一方では御承知のとおり産業界では人手不足がもうすでに数年続いておりまして一人の青年あるいは少年を採用するために二十万三十万という金をかけて集めるような企業もあるわけでございます。で、こうした矛盾はどうしてなくするか、これは非常に大切な問題でございますが、これにもぜひ関係者の努力が払われなきゃならないというふうに考えます。まあ障害者の就業問題につきましてはいろいろ新聞その他で報道されておりますので、あまり詳しく申し上げる必要はないかしれませんけれども、十八歳以上の身障者の就業者というのは四四・一%、要するに半分にも満たない者しか就業いたしておりません。これは一般の健常者と申しますか、方々の場合は六八・八%といったような就業率でございます。したがってまあ一般の人に比べますと三分の二しか働けない状態であるということが言えると存じます。では、どういうような就業分類ができるかと申しますというと、大体その就業者、つまり四四・一%と申しますのは、人数にしまして五十七万九千人でございますが、これを就業別、たとえば自営業者あるいは雇用者というふうな分け方をいたしますというと自営業者は四一・八%でございます。それから常用雇用者といいますか、そのほかに日雇いあるいは臨時人夫等の仕分けもございますけれども、一応常用雇用者と申しますのは三六・五%と、それから授産場とか福祉工場に働いている人たちは二・六%といったようになっておりまして、就業者の中の自営業者は案外に多いわけでございます。これを一般の健常者の就業種別に比較してみますというと、一般の健常者の場合は自営業者は一九・二%でございまして、非常に低い率を示しております。それで反面雇用のほうは五九・六%というように、身体障害者等の雇用と自営業というふうな大別をいたします場合は一般の健常者は自営業者が少なくて雇用率が高いと、雇用者のほうが非常に高いということが言えるわけでございます。これは身体障害者等が非常に雇用されにくいという状況を示しておるわけでございます。したがって、これは身体障害者等の就業を考えます場合には、自営業も進めていかなきゃならないし、同時に雇用も大いに進めなきゃならないというふうに私は考えます。自営業につきましては厚生省関係で生業資金というふうな貸し付けをいたしまして、そしてささやかな営業に対しまする資金を供給いたしておりまするが、これは四十八年度で十五億が計上されているというふうに伺っておりまするけれども、この場合もただ資金を貸すだけじゃなくてもっと経営等について助成策をとろうというふうにお願いをいたしたいと思います。 それからきょう、ぜひ申し上げたいと存じます、一番問題に考えておりますのは雇用促進の問題であります。これは障害者の就業等は自営業も一つの生き方としてはとりつきやすい職場でございまするけれども、いまから後の産業構造とかあるいはいろいろ経済の流動等を考えますというとどうしても雇用に重点を置いて、そしてこれを進めなきゃならないというふうに考えるわけでございます。この問題に触れますというとその求職者と申しますか、障害者の中で職を求めている者は何人いるか、どういう状態かということを知らねばなりませんけれども、これはあまり詳しく把握されておりません。労働省の資料によりますというと大体十万人ぐらいが求職者であるというふうな推定をいたしておりまするけれども、各地の職業安定所におきまする状況を見ますというと、有効求職登録者と申しまして、就職あっせんを待っているという人数が大体九千人から一万人ぐらいございます。そのほかにも、登録されているけれども障害の関係等でいますぐに就職できないという者も五、六千人ほどおりますので、合計いたしまして登録されている人間は一万五千人程度。しかし、もっともっとたくさんの求職者がおるはずでございますので、そういったような人たちをつとめて早く把握いたしまして、そうしてこれを就職に結びつけるというふうにする必要があるというふうに考えるわけでございます。これは求職障害者の実態把握とでも申しますか、それがもし十分にできました場合は、その把握された障害者の能力判定等を行ないまして、あるいはまたケースワーク等を行ないまして、できるだけ早く職場につかすということが必要であります。 で、こういったことが必要とされながらもなかなかそのような把握がむずかしく、また現状は容易に進んでいないといったことが言えると思うんでありますが、これは雇い入れるほうの側から考えてみますというと、的確な求職者の状況把握ができなければ雇い入れることができないという現実になるわけでございます。 で、これにつきまして東京都の調査もございますが、その調査によりますと、だいぶ古いんで恐縮でございますけれども、自分の会社では雇用計画があると、あるいは場合によっては雇用してもいいというのが、これは東京都内で二百三十四社の調査でございまするけれども、その雇用してもいい、また雇用計画を持っているという両方合わせますというと七九%といったようなわりあいに高い状況を示しておりますので、障害者雇用の進め方もそういう上から見ますというと、方法によりましてはさらに望めるであろうというふうに考えるわけでございます。 それからその次は、雇用の法律を強化していただきたいということでございます。これは先ほど黒木参考人が申されましたので、省略いたしまするけれども、日本の法律に比べまして、たとえばドイツの障害者の雇用の法律を考えてみますというと、一定率——あそこは雇用率五%というふうに考えておりますが、その五%に満たない人員に対して課税をいたしております。反対にフランスの場合は、採用した数に対して減税をいたしております。そのように、措置は違いまするけれども、かなり割り当て雇用と申しますか、罰則を設けて促進をはかっているというふうな状況を考えてみまする場合に、日本でもぜひそのような進め方をしていただいたらいかがだろうか。そうしなければ、さっき申し上げましたように、産業界では人手がなくて困っている、ところが障害者のほうでは職場がなくて困っているといったような矛盾の解消にはならないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。 こうした関係のほうで、特に私は感激いたしておるのは、四十八年度で、労働省の御活躍と思うんでありまするけれども、雇用促進の推進委員を全国に四千三百余人置くことになったというふうに伺っておりまして、これはぜひ成功をしていただきたいし、むしろこれはやがては法制化いたされまして、そうしてもっと多数の雇用促進推進委員が置かれるようにお願いをいたしたいと思います。これは大企業の中にそういう人を知事が任命いたしまして、そしてできるだけ障害者の雇用を進める、こういった方向でございますから、制度化されますればさらにいい結果が生まれるだろうというふうに考えます。 それから最後に、職業的リハビリテーションの強化をしていただきたいというふうに考えます。身体障害者は非常に多様でありまして、そして、その職業的リハビリテーションもむずかしいというわけでございまするけれども、それぞれの適正に応じた教育をする、そしてそれぞれの適正に応じた職場を見つけるということでありまするならば、定着も非常によろしいし、また成績もあがります。またそのような例もたくさんございます。 それで、この関係におきましては、労働省の職業訓練もかなり進んでおりまするけれども、これはぜひまず施設をもっとつくってほしいということであります。ただいまのところではことし新設一校があるということでございまして、それを加えましてもやっと十三校、二千人ぐらいの収容しかできません。東京都の発表で伺いますと、四十七年に特殊学校を終えた者千五百人あるそうでありまするが、その半分はあらためて職業訓練を必要とするといったような見方をいたしております。そういうふうに考えますというと、現実に生産年齢以上の者に対しまする、現実に求職をしている者に対しまする職業教育も必要でありまするが、さらにそのように学校修了者に対しましても職業的リハビリテーションを行なうことが、その職場確保のために必要だというふうな見方もできるので、ぜひこれは訓練の施設をたくさんつくっていただきたいということでございます。 また、この関係におきましては、職業訓練種目をぜひ近代化していただきたい。従来ありまする訓練校等の訓練職種は自営業的な職種にふさわしいという言い方ができるかと存じますが、これは、御承知のように技術革新が行なわれていきまするし、産業界の発展も非常にすばらしいので、そういうふうに発展していく、また変化していく産業に合うような技能教育あるいはそういったものに必要な資格ある教育をしていただきたいということでございます。 またそれに加えまして、これはフランス、ドイツ等ではやっておるのでありまするけれども、技能教育をするというだけの訓練学校の行き方に加えて、学校教育の補習もやっていただきたい。それから、その方々の過去の生活から出てくるわけでございまするけれども、中には孤立的な性格に、あるいはまた暗いような印象を受ける者もありますので、社会性を養うと申しますか、あるいは協調性を養うと申しますか、そういったようなことも技能教育に加えて進めることができるようなリハビリテーション機関をつくっていただきたいというふうに考えるわけでございます。 たいへん長くなりましたけれども、以上私が特にお願い申し上げたい問題をお話しいたしました。よろしくお願いいたします。
○委員長(矢山有作君) ありがとうございました。 次に仲野参考人にお願いいたします。
○参考人(仲野好雄君) 私は、こういうところに来てものを言うことのできない精神薄弱者の親でございます。全国で約三百万といわれる精神薄弱者及びその数倍になる家族を代表いたしまして、平素考えておりますところの精神薄弱者対策の基本的問題についてこの機会に意見を述べさせていただきたいと思います。 私の申し上げたいことの要旨は、先ほど黒木参考人も申されましたように、国会の全会一致でつくっていただきましたところの心身障害者対策基本法を命あらしめていただきたいということでございます。お手元に差し上げました私の資料に、この世界に誇るべき心身障害者対策基本法と私が書きましたところには一つのエピソードがあるわけでございます。私は、精神薄弱者の福祉をさがし求めて、十一年前にアメリカを見て、昨年、アメリカに参りましたところ、おれらはヨーロッパにならったんだと。そのヨーロッパの八カ国を歩き回りまして、精神薄弱者のしあわせというものは何なんだ、その先進国のヨーロッパはどうしているんだということをさがし求めに参りましたときに、オランダの親の会の会長に会いましたならば、初めてお会いした方でございますが、私を抱きかかえて、日本のおまえたちは世界に誇るべき心身障害者対策基本法をつくってくれた、たいしたことをしたなあと言うてほめられました。それは実はヨーロッパの親たちが多年さがし求めてきた精神薄弱者の人権宣言が、私が参りました昭和四十六年の年の暮れに国連で認められたわけでございますが、国連で人権宣言が認められたその約一年前に日本の国会はこの基本法をつくられたわけでございます。私はここにあらためて先生方に厚くお礼を申し上げるわけでございますが、そのとき私はその会長のラドガーという人に、実はせっかく法律をつくっていただいてもこれは絵にかいたモチなんだよと言うたら、向こうはきょとんとして、わからない、これは一体どういうことだと言う。おれの国では、オランダでは、法律ができたら政府はこれを忠実に実行する、ところがおまえの国は議員立法だからといって政府がまじめにやらないのかと言うて、それがどうしてもわからなかったのが実情でございます。過去は問いません。私たちは、どうしてもこの四十九年度予算をつくられるときに、政府は本気になってこの基本法に命あらしめていただきたい、そしてまた、国会の諸先生方は超党派でこれに対して御協力を願いたいということが私のお願いの要旨でございます。 で、私は三つの柱を立てまして、第一は発生予防、第二は人として尊厳にふさわしい処遇の保障をしていただいたのでございますから、それをどういうようにしたならば尊厳にふさわしい処遇が保障されるかというその内容の問題、第三は基本法の第八条できめた「(法制上の措置)」をすみやかにとっていただきたいという、この三つの柱でございます。 第一の柱でありますところの発生予防の問題につきましては、一昨年は一億、昨年は三億、本年は四億という心身障害児の特別研究費を取っていただきまして、私たちは非常に感謝いたしておるのでございまするが、私は一昨年はヨーロッパ、昨年はまたアメリカを見まして、世界各国が膨大なる国立の研究所を持って、大量の動物実験をして、そしてこの心身障害、特に精神薄弱の原因というものをきわめておるわけでございますが、三億や五億や十億の研究費でとても解決し得られる問題ではないようでございます。したがって、私は四十九年度においては、どうしてもこの精神と神経と身体の発達障害、こういうすべてを含んだ、人間を有機的に考える。そうしてなぜこういう原因が発生するのだ、臨床研究ではなくて基礎的な原因研究をしっかりするところの総合研究所をどうしてもつくっていただきたい。昨年参りましたアメリカではもうかなりの原因がわかって、今世紀の終わりには精神薄弱の発生率は現在人口の三%とみられておりますが、それは半分にすることができる。これから五十年後は私の子供がそうであったように、ダウン症候群いわゆる蒙古症でございます、これは五十年後にはもうなくすることができるのじゃないか。そうして精薄の克服も近き将来にありということに非常な期待を持っておる姿を見てまいりました。経済大国になった日本も三億や五億の特別研究費に喜んでおるのではなくして、研究所をつくり、年間何百億の研究費をつぎ込んでおる、やはりアメリカやソ連あたりに負けないようにしていただきたい。もしもこの原因さえわかれば発色予防も早期発見して治療もできるのではないか。そうすれば、ほんとうに不幸な子供がこの世に生まれ出てこないだけでなく、それを抱えて日夜悩んでおります親もなくなる、早く発見して直せばその人はマイナスでなくしてプラスになる、四十七年度に心身障害児・者関係に使われた国の予算は、文部省関係で百八十億、厚生省関係で六百五十億、合計八百億をこしておるわけでございます。四十八年度予算は千億をこす状況でございます。私は長期的に見ますると、発生原因の研究所をこしらえてこれをつかみ得た場合においては、不幸な子供がどんどんいまふえておる。皮肉にも文明の進歩、医学の進歩は死ぬべかりし未熟児がどんどん生きていく、これを抱えて親も家族も社会も悩んでいく、そういうことがなくて済むのではないかという意味で、私は何百億を投じても発生原因を主体とした国立の研究所をつくっていただきたいということが全国の親たちの心からなるお願いでございます。 第二の問題は、人としての尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を与えていただきました。ところが、絵にかいたモチであります。それで、これを妨害している一番大きな問題は何かということを私この団体のお世話を、親の会のお世話を十九年やらしていただいて、日本国じゅう歩き、世界じゅうを歩いてみて、第一番の問題は、国民の理解が欠けているのだな、これは基本法の二十六条ではそのことをうたっておられますけれども、実は昔から虎造の浪花節ではございませんが、言いたくないことばでございますが、ばかは死ななきゃなおらない、ばかにつける薬はない。そうして、ここに代表的なものを四冊持ってまいりましたけれども、中学校、高校の保健体育の教科書をひもといてみますると、前世紀に言われたことが書いてございます。それで、精神薄弱は大部分遺伝だ、そして知能がおくれているだけじゃなくて、感情も意志も薄弱で、人間としても失格で、別人種のように書いてございます、いまだに。私は七人の子供を授かりまして、そのうち五番目の一人が知恵おくれでございましたが、そして上四人、下二人もおかげでみんな優等生でございます。一人知恵おくれでございますけれども、七人の子供を公平に比べて見て、知恵おくれの子供は、知恵はおくれておりましたけれども、人間の情において、あるいはきめられたことを実行する意志においては兄弟のうち一番すぐれた、実に情がこまやかで、そしてきめられたことをごまかすようなことなくきちんとやる、ほんとうに精神薄弱者という者は美しい心の持ち主でございます。それをパーソナリティーが全然だめなんだというような書き方、教え方は、私たちはほんとうに残念でございます。先ほど黒木参考人も申されましたが、文部省においては、明治二十三年の富国強兵時代のなごりである、すなわち国の役に立たない者は教育しないんだという就学猶予、免除の制度がいまだに残っている。憲法では教育の機会均等をうたっておるにもかかわらず、そして能力に応じて適切なる教育を行なわなければならないと書いてあるにもかかわらず、いまだに就学猶予免除の制度が残っておる。おまえの子供は教育の資格はないんだと教育権を剥奪されておる。それで、後ほど述べますが、施設に行けば何万円と取られる。学校に行けば無料、就学奨励費もついておるというような矛盾に私たち親たちは悩んでおるわけでございます。尊厳にふさわしい処遇を妨害しているいま、第一に国民の正しい理解をお願いしたいのでございまするが、この問題については五つの小さい柱を立てました。第二の問題は、精神薄弱の人々も医療の対象にしていただきたい、そしてその医療費を無料にしていただきたいというのが私たちのお願いでございます。身体障害児、あるいは身体障害者には育成医療あるいは更生医療の給付がございます。そしてリハビリテーションがあります。精神薄弱にはないのでございます。どうして私たちの子供は医療の対象にならないのか。欧米は精神薄弱児・者を全部お医者が中心になって扱っておりますから、大きな医療の中に包まれておりまするが、日本では社会福祉の方々が始められた関係で、そして先ほどの虎造の浪花節ではございませんが、つける薬もない、死ぬまでなおらないと、こうきめつけておる。ところが昨年アメリカに参りまして、脳障害もなおるのだ、おれは三十年間やってもう六千人以上なおしているのだと、堂々と公言している医者もあるわけでございます。いま私たちは、どうしても福祉元年を境として精神薄弱者も医療の対象にしていただきたい。この医療の対象の意味は私二つあると思います。 一つは健康管理の問題、一つは精神薄弱者専門の医療でございます。私の子供は一昨年胃かいようの疑いで一晩入院いたしました。そして一晩に三回血を吐いて一日でなくなりました。私は百里離れたところで働いておりまして、私は死に目に会いませんでしたが、ほんとうに平素からこの人たちに、一月に一回の健康診査でもあったならば容易に発見し得たんではないかと思う父親でございます。 もう一つは、私はアメリカでなぜなおるかということは、もう生まれたその日から視覚、聴覚、触覚と、この感覚訓練をおぎゃあと言ったそのときから始めていったならば脳障害もなおるのだと言うております。すなわち広い意味におけるリハビリテーションだと思います。私はぜひ精神薄弱者にもこれに適した機能訓練、感覚訓練、さらに精薄者の大部分は言語障害を持っております。言語治療というような大きな意味における医療を精薄者にも加えていただきたいということが第二番でございます。第三番は、地域福祉対策の総合有機化の問題でございます。現在政治家のおえら方も、政府のおえら方もみな、心身障害者はその施設にぶち込んでおけばいいじゃないかというお考えが非常に強く、そして施設重点でございます。大蔵省といろいろ私折衝しても、施設をつくってあげればいいでしょうと。そうではございません。施設だけでは私たちの子供はしあわせにならない。それで私は、一昨年、昨年、なぜ欧米で、いわゆる地域福祉社会、コミュニティーと言うておりますこの社会が発達しているかどうかということをさがし求めに参ったわけでございまするが、その地域福祉社会の中で、ただ家庭に訪問をして相談に乗ってあげる、治療してあげる、いわゆるケースワーカー、クリニックのほかに、家から通える施設、さらに小型の収容施設、あるいは一時収容施設、緊急救護施設でございますが、こういうように、そのほかに経済福祉というような、私たちは、施設か在宅かと、ここでこの人たちの処遇を区分するのではなくて、施設におっても、常にこれは地域から孤立しないで、地域の中に有機的に溶け込むコミュニティーで、地域社会で、この人たちを普通人に近づけるように育てていくということがコミュニティーの理想でございます。日本にもそういうようにしていただかなければならない。どうしても家庭に置けない、家庭におると都合の悪い人は施設に入れる。その施設にはただ保護、指導訓練だけではなく、医療も教育も、しかもその施設の中で働きながら死んでいけるというような、いわゆる日本的な新しいコロニー、それはやはり地域社会であるというような、地域福祉がかなえられるような地域社会づくりであり、施設づくりでなければならない。そういうようにひとつ今後詰めていただきたい。それにはまず市町村単位、県単位というように、いま一番私たちが困っておることは、あちらの窓口、こちらの窓口とたらい回しにあって、くたびれてもうあきらめるというのが現状でございます。どうしても私はこの地域社会において、市町村、あるいは県段階において、福祉の窓口を一本にして、そして基本法に書かれた医療と福祉と教育と雇用促進と経済福祉という問題が有機的、総合的に実施されるような体制をつくっていただいたならば、どんなにこの人たちはしあわせではないか、こういうように考える次第でございまして、この基本法によって都道府県に地方心身障害者対策協議会をつくれと書いてありますが、現在まだ半分ぐらいに承っております。全市町村につくることはできるようになっておりますけれども、ほとんどつくっているところはございません。つくったところは非常に意欲が盛り上がって対策が進んでいる次第でございます。ぜひひとつ、これに対する予算措置と行政指導を強化していただきたいということが小さい柱の第三番目でございます。第四番目は経済福祉の確立と経済負担の軽減でございまするが、年金及び手当の問題については黒木参考人からるる申し述べられましたから、私はただ一つ、在宅の重度児に与えていただいております特別児童扶養手当というものは四千三百円がことし六千五百円にしていただきました。そしてこれは介護料的な性格にことしかえてくださいました。私たちは非常に喜んでおるわけでございます。家庭で暮夜ひそかに心身障害児をかかえて、重い障害児をかかえている親たちに対して介護料をいただくということは非常にありがたくございまするが、物心両面における非常に大きな負担を家庭は持っている次第でございますので、ぜひひとつこれには生活保障に足る額に引き上げていただきたい。そして所得制限というものは全然なくしていただきたいということが第一でございます。その次は精神薄弱の人々及びその介護者の運賃割引の問題でございます。これは基本法の第二十三条の第二項で日本国有鉄道はこれをしろと書いてあるにもかかわらず、運賃値上げははかっておりますけれども、精神薄弱者のために運賃割引をしようということはこれっきしも考えておりません。私は、この国会に出されておる運賃値上げ法案はどういうふうになるか私たちにはよくわかりませんが、万一通りますときには、必ずそのときに私は罪滅ぼしとは申しません、当然の権利として精神薄弱者に運賃割引を身体障害者並みにしていただきたい。さらに身体障害者でも内部疾患の者には与えていただいておりません。このぐらいは国鉄はおやりなさい、それをやらなければ運賃値上げは通さぬぞということを国会の良識においてひとつやっていただきたい。私、運輸委員会に出していただけないのが残念に思っておりますが、ひとつ委員長におかれられては運輸委員に、この社労に来て精神薄弱の親が熱心に訴えたということをひとつお伝えを願いたいと思います。第三番目は、施設入所者の家庭負担でございまするが、これはことしだいぶ緩和していただきました。厚生省、大蔵省のお骨折りを感謝する一人でございますけれども、まだ三万円、——要するに多額の税金を納めている者には全額徴収の制度が残っております。それは大蔵省の言い分は三井、三菱のような大金持ちにただにする——全額取って何が悪いのだと。ところがよけい税金を納めている親にとってみますると、その税金はどう使われているんだ、多額の税金をおれは納めているんだ、おれの子供が施設に入っているのに、なぜその上に二重に全額のあれを取るんだ、私たちは一文も払わないとは申しません。その子供に必要とする生活費は、これは家庭の所得に応じて納めます。 それで実は一昨日、私は千葉県の松戸市に講演に参りました。その施設で私は講演いたしましたら、松戸市は、市長のお取り計らいで各家庭から県に納めた家庭徴収金の額を市が今度は全額補てんをしてあげる。それですから、家庭は一文も払わなくても施設にいられるというような善政も施しております。それやこれやもございますので、私たちは、施設入所者の家庭負担については今後とも厚生省及び大蔵省の格別のお骨折りを願って、私は高福祉・適正負担、この適正なる負担は当然親は覚悟いたしておりますけれども、よけい税金を払うから、施設に子供を入れても全額払えということは、ちょっとこの受益者負担の、私たちの子供を施設に入れたからって一文ももうからないわけでございますから、受益者負担の原則についてはひとつ大いに考え直していただきたいというのが全国の親の願いでございます。 次の五番目は、文化的諸条件の整備等に際しての特別の配慮でございます。 いま世をあげてレジャーのときでございます。そして経済社会基本計画に基づいて全国にレクリエーション施設をつくるブームがありますけれども、私たちの知恵おくれの子供は、あるいは心身障害児・者はそこから追い出されるわけでございます。入れていただけないわけでございます。やはりそこらに心身障害者に対する厚い特別の配慮をお願いしたいものだということが、以上、尊厳にふさわしい処遇の保障につきましては、国民の正しい理解の問題と、精薄者も医療の対象にしていただきたい。そしてそれを無料化にして、老人医療無料化だけではいかぬ。もう日本で非常によけいなところで、市町村で、県で医療の無料化をはかっていただいております。第三は、地域福祉対策の総合有機化をやっていただきたい。第四は、経済福祉の確立と経済的負担の軽減、第五番目は、文化的諸条件の整備等に際して特別の配慮をお願いいたしたいということでございます。 最後に、第三番目に、法制上すみやかに実現をお願いしたいものは、文部省におきましては先ほどから申し上げましたとおり、いまだに精神薄弱者あるいは肢体不自由児の養護学校は設置義務すら認められていませんから、就学義務にもなっておりません。憲法は侵されているわけでございます。すみやかに私は義務教育の完全実施に踏み切っていただいて、そしてこの特殊、特殊といわれる名前が非常に親はいやがっております。これが差別でございます。私たちの憲法に定められたのは能力に応じた教育でございます。それがすなわち教育の源流であり、これが障害児教育だ。当然特殊教育の名前を障害児教育に改めていただきたい。これが私たちの、そして障害児教育振興法をつくっていただきたいということが第一でございます。 二番目は、厚生省には、児童福祉法と身体障害者福祉法と精神薄弱者福祉法とがあって、そして二十二年にできたのがそれから逐次だんだん変わってきております。そこへ今度はこれらを総合した基本法ができたわけでございますから、これらを総合したほんとうに基本法の精神が盛られた総合福祉法的なものをつくっていただけないものかということが厚生省に対するお願いでございます。 労働省に対しましては、身体障害者雇用促進法はございますが、精神薄弱者は含んでおりません。いわゆる第二種身体障害者というかりの名前で入れていただいております。やはり私たちは基本法ができた暁においては、身体障害者雇用促進法を心身障害者雇用促進法に当然直すべきではないか。職業訓練局関係では、職業訓練法の制定が数年前にございまして、精神薄弱者は、身体障害者「等」の中にちょっぽり入っております。精神薄弱者専門の職業訓練校は一校ありますが、これは認可身体障害者職業訓練校であって、精神薄弱者という名前は法律上は書いていただいておりません。これも大きな差別的な取り扱いではないか。 三百万に近い精神薄弱者の少なくとも三分の二は、適切に訓練をすれば世の中のお役に立つことは、これは世界じゅう至るところ実証されているところでございます。精神薄弱者にもやはり職業訓練の機会を大々的に与えていただく。それが、労働力の不足を補う私はヒットというよりホームランになるんではないかと、こう考える次第でございます。 そこで、中央及び都道府県の職業訓練審議会、これは職業訓練法で審議会を認めておりますが、そこには心身障害者専門部会が設けられておりませんので、至急これを労働省は設けていただきたい。先ほどの身体障害者雇用審議会には、ことしから精神薄弱者の専門部会をつくっていただきました。やはり基本法ができた今日でございますので、精神薄弱者だけを、あるいは心身障害者を別な扱いにしないで、やはりあたたかい目でこれに応ずる職業訓練あるいは雇用促進の道を講じていただきたいというのが労働省に対するお願いでございます。 なお、申し残しましたけれども、皆さまのお力で、ことしから精神薄弱者にも手帳をいただくことになりました。私は、福祉元年でなくて、ことしが精薄元年だと。いままで手帳すらいただけなかった。もちろん運賃割引なんていうのは思いもよらなかった。しかし、まず一歩の手帳を、皆さま方のお力で取っていただきました。これで人並みになったんだと。これを足場にして、今後、知恵のおくれた人々にも福祉の道を開いていただきたい。その足がかりになったということを、この席上から厚くお礼を申し上げます。 以上、私、精神薄弱者の親を代表いたしまして、私の意見開陳を終わらしていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(矢山有作君) ありがとうございました。 次に、太宰参考人にお願いいたします。
○参考人(太宰博邦君) 太宰でございます。本日意見を申し述べる機会を与えていただきましたことにお礼を申し上げます。 先ほど来ちょいちょい出てまいっております心身障害者対策基本法が制定されましたのが昭和四十五年の五月でございます。それまでのわが国の障害者対策は、時代の進歩とともに逐次発展してきたとはいえ、大観いたしますると、何か問題が起きますたびに、そのつど、その問題の処理を中心として進められてきたというような感がいたすのでございまして、当然のこととして、全体とのバランスがとれず、個々ばらばらであり、そこに総合性、一貫性を欠いているという批判が出てまいることは免れがたい事情でございまして、私ども関係者の不満もそこにあったのでございます。心身障害者対策基本法は、この私たちの要望をいれていただきまして、議員立法として各党満場一致で制定された法律でございまして、その中身といたしましては、わが国の今後の障害者対策推進のための基本理念というようなものを示すと同時に、いろいろな具体的な項目にわたりまして、総合的かつ有機的な連関のもとにこの施策が進められるよう、その指標ともいうべき事項をうたっておるのでございます。 ただいま仲野参考人が申されましたように、この基本法は外国では高く評価されておるのでございますけれども、遺憾ながら、国内ではとかく忘れられがちでございます。これは、基本法の表現が抽象的な規定にとどまっておりまして、具体的な事項の一々を明示していないというせいもあろうと思いますけれども、基本法というものは本来そういうものだと私どもは理解しておるのでありまして、この基本法を受けて、これをものさしとして政府が精力的に具体策に取り組んでいって初めて基本法の精神が生かされる。それなくしては基本法というものは絵にかいたモチに終わってしまう、こういうふうに考えるのでございます。せっかく制定されました基本法が眠ってしまったり、あるいは政府の施策がこの基本法を忘れて各省各局ばらばらに施策を進めるということになりますると、国費の乱費とは言いませんけれども、非効率的な使用になりまして、障害者のためにもならないことであります。 基本法には、政府が実施いたしました施策を国会に報告するという条文が欠けておるのでございまするけれども、国会といたされましては、政府から施策の実施の状況を聴取されますとともに、十分に鞭撻、監督をしていただきたいと思うのでございます。 障害者の置かれておりまする状況、並びに福祉対策を進めます場合におきまして、私ども特に留意すべき点があると思うのでございます。 たいへん政府の施策も近年活発になってきたことに感謝しておりまするけれども、それでも、障害者あるいは障害児を持つ親、関係の人たちの立場からいたしますると、非常に焦燥感を禁じ得ないのでございます。時代は悠久でありまするけれども、個人の生命には限りがあるのでございまして、自分たちが生きている問に、生きるに値するだけの世の中が早く実現してもらいたいということを待望しておるのでございまして、その立場から言いますと、まことに毎年毎年がせつない思いがするものと思います。現にいまだに親子心中があとを断たないということは、政府の施策がなおまだ十分でないということを示すものと考えざるを得ないのでございます。 日本の社会福祉というものは、申し上げるまでもなく、おくれております。その中でも、特に障害者の福祉は、一段と目立っておくれているというふうに思います。 障害者の場合は、問題は本人一人の問題にとどまりません。申すまでもなく、そういうお子さんができました場合においては、親は、そういうお子さんを生んだということについて一生悩みますとともに、またきょうだいの縁談なりその他に影響がありはしないかということも考え、また世間から血筋が悪いんじゃないかというようなことを言われはしないかと、いろいろ悩むことばかりが多くて、つい鉄道線路のそばへ行ったり、川のふちに行ったりするようなことになるのでございまして、こういうように、その本人だけの問題にとどまらず、家庭全体の問題でもあり、場合によっては人間の命の問題であるということを考えますると、この一段と目立っておくれておりまする障害者の福祉対策は、一そうすみやかに強化される必要があると考えておるものでございます。 具体的に障害者対策を申しますれば非常に広範多岐でございますけれども、基本法の各条項にのっとって対策を進めていただければ、一応それで形のつく施策ができ上がるものだと考えるのでありまして、さあこれから障害者の福祉のために何をやったらいいかというようなことをあらためて議論する必要はないのであります。基本法の線に沿いまして、緊急度を考えて緊要なものから実施していけばそれでよろしいのでございます。私たちの立場からいたしますると、国の施策に望むことは非常に多いのでございますが、その一々を申す余裕はございませんが、便宜基本法の各条項を中心にいたしまして、特に重来関係の親の会なり団体のほうで問題としておりまする数点につきまして御留意をいただきたい点を申し上げたいと存じます。 第一が発生予防でございまして、これはただいま仲野参考人が申されましたように、こういう障害児が世の中に出てこないように予防に全力をあげるということは最も大切なことでございます。国も近年多額の研究費を出していただいておりまするけれども、基礎的な研究の面では諸外国に比して著しく見劣りがあると考えます。そこで、先般来専門の学者の方々と相談を重ねまして、先ほど仲野参考人が申されましたように、国立で心身障害の発生予防のための総合研究センターをつくっていただいて正面からこの問題に取り組んでいただくように国に陳情いたした次第でございます。 第二の点は、治療、保護、リハビリテーションという問題でございます。これは最近は早期療育ということがいわれておりまするが、最近の先進国の実情を見ますると、超早期、三歳ではもうすでにおそい、生まれてからすぐリハビリテーションを行ないまするならば、脳性麻痺のように非常にむずかしいとされておりまするお子さんにつきましても相当の程度自立可能になるということをいわれておるのでございまして、早期療育ということはこれはいままで以上に徹底する必要があると考えます。 第三番目に、日常生活の保護でございます。これにつきましては、日本の現状では、家庭において療育するのと施設に収容して療育するのとが一応大別して二つ考えられるわけでございまするが、申すまでもなく、子供の保護は極力親のもとにおいて在宅で保護してやることが望ましいことは申すまでもございません。しかしながら、家庭の事情がそれを許さない、あるいは非常に症状が重くて専門家のケアを常に必要とすると、たとえば重症児のようなお子さんにつきましては、これは原則として施設に収容して、そして専門的ケアで見てあげる必要があると思うのでございます。非常にベッドも多く増設していただいておりまして、約一万床をこえる現状でありますが、なお数千人のお子さんが残っております。これぐらいのお子さんは早急に家庭とのかね合いを考えながら施設に収容して、重症のようなお子さんは家庭ではたいへんでございまするので、施設に収容してめんどうを見てあげたならば、そのお子さんにとっても家庭にとっても望ましいことではないかというふうに考えるのでございます。同時にそれはベッドだけではなく、当然施設の職員の確保と処遇の改善という問題が焦眉の問題となってまいると思います。また、家庭におきましても通園施設その他をもよりのところに設けまして、そこに通わせて社会性を子供の身につけさせるというような場合もあり、望ましいことだと存ずるのであります。日本の現状ではこの在宅児対策が非常におくれておるように思います。訪問指導とかあるいはホームヘルパー制の充実、あるいは通園施設の増設あるいは医療費の無料化というようなことについてもっと積極的に対策を進めていただきたいと思うのでございます。 この場合に一言いたしますると、先ほど宮崎参考人からもお話がございましたと思いまするが、極力民間の力を活用していただきたいのでございまして、施設につきましても、公立の施設、民間の施設がございます。いろいろ一長一短はあると存じまするが、総括してみますると、民間の人々の場合はとにかく情熱を持ってその施設に入ってきておるのでございまするので、親身となったサービスをそこに期待することができると思うのでございまして、こういう面につきましてたとえば建物は公立で建ててあげるが、そこの運営は民間の人のタレントを、情熱を期待するというようなことがもっともっと考えられていいのではないかと思うのであります。同時に在宅児対策につきましても、親の会の人たちをもっと活用していただく必要があると思うのでございます。役所の方が訪問指導されましても、まず違和感がありまして受けつけてくれないのであります。親の会の人たちが私もあなたと同じ悩みを持っているのだと行けば、とたんに情が通じていろいろあれこれと話がはずみ、悩みが出て、同時にそういうことを聞いてもらっただけでも気が晴れるという場合が非常に多いのでございまして、こういうように民間の力、あるいは親の会の活用という面につきましてももっともっと活用していただくことが望ましいと思うのでございます。施設のほうも職員が充足いたしてまいりますれば、昨年末で重障児の親の北浦さんがお願いをいたしたそうでございまするが、家庭でなるべく親が保護しておっても何か急に親が病気になったり何かの事故で一時お子さんを預かってほしいといういわゆる緊急入園というようなことを申しておりますが、それも可能になってまいると思うのであります。現在におきましてはそうしてあげたくともそれだけの力がないということが非常に大きな原因であるというふうに考えるものでございます。 それから第四番目になりますが、教育の問題でございます。現在障害児に対しましては教育を受ける権利が保障されていないのでございまして、ところによりましては就学猶余制を悪用しておると疑われるようなケースもございます。どうかこの義務教育制を早急に進めていただきまして、障害といえども憲法に保障されておる教育を受ける権利を実現されるようにしていただきたいのでございます。同時に、その場合におきまして、できるだけ障害のあるお子さんも一般の健常児と同じような場所で一緒になって教育を受けられるように御配慮を願う必要があると思うのでございます。現状ではとかく障害児は特殊学校なり特殊学級のほうに追いやられるような傾向がなきにしもあらずでございます。これが健常児と一緒に学べるようになりますれば、その障害児にとっても社会への窓口が開かれることにもなりますし、また健常のお子さんたちにとっても理解を深めることにもなり、他日おとなになって社会連帯の精神をつちかう契機ともなろうかと思うのでございます。学校の先生の側からいたしますると、めんどうが多いとか、いろいろな問題もおありかと存じまするけれども、ひとつそれを十分に乗り越えて、この方面にさらに努力をお願いいたしたいというのが親たちの気持ちでございます。 さらに一歩踏み進めまして、教育とは何であるかということを考えまして、現在の学校教育というものについてもう少し幅を広げていただく必要があると思うのであります。障害児の場合でございます。先般、心身障害者対策中央協議会の中間報告にもございますが、学校が施設の中でも教育を行なうことができるようにも配慮する、さらに施設における指導訓練の実態に応じて、その一部を学校教育とみなす配慮も望ましい、こういうことを要望しておりました。現に精神薄弱養護学校におきましては、普通のお子さんのように一足す二が三であるというような、数学とか、国語とか、あるいは地理とか、そういうようなことにとどまらないで日常生活に必要な簡単な、基礎的な能力の訓練、それも教育課程の基準として取り入れていただいておるのでございます。自分で人さまに迷惑をかけずに身の回りの始末ができるように訓練することも広い意味で教育であろうと思うのでございまして、この点では教育という概念を拡大してでも実施していただく必要があると思うのであります。最近、文部省においては特殊総合研究所がスタートいたしました。これの成果に私どもは非常に大きく期待をいたしておる次第でございます。 第五番目に、社会的な自立でございます。もちろん障害者が社会におぶさっておるということが望ましいことではございません。少しでも社会に役立つということは、社会にとっても、また本人自身にとってもけっこうなことであり、生きがいであると思います。したがいまして、社会的自立は障害児の、あるいは障害者の最後の対策の仕上げであるというふうに考えるのでございますが、日本の現状は先ほど宮崎参考人からも言われましたように、重度の障害者、軽度の方はある程度めどがついておりまするが、重度の障害者の職業対策、雇用対策というものが非常におくれておりまして、法制面ではある程度の措置を講じておるようでございまするけれども、実際はそういうむずかしい面を避けて通っているような状況だと判断をいたしておるものでございます。そういう面から、職業対策につきましては、これが障害対策の仕上げであるという点から一そうの御努力をお願いいたしたいと考えておるものでございます。 社会的自立につきましては、これと関連いたしまして、日常生活の生活環境の問題ということになりますが、これになりますると、現状ではようやくスタート台に立った段階と言えると思います。基本法に基づく中央心身障害者対策協議会の中間報告の中におきましても、障害者を取り巻く現在の物的社会環境は障害者の社会活動への大きな、たいへん大きな阻害となっておる、日常生活さえも極度に制限されるということを言っておるのでございます。申し上げるまでもなく、障害者が自分と関係のある役所に行く、保健所に行く、福祉事務所に行く、あるいは郵便局に行く、すべての場合、現在では建物の構造からそれが阻害されております。また旅行をしたいという場合に、鉄道等は、バス等の交通機関もまた彼らの行動を制約しております。また一歩外へ出たいと思いましても、道路には歩道橋がありまた段落があっりいたしまして、この道路に出ること、向こう側の通りに渡ることすらもむずかしい状況でございます。また彼らの住宅それ自体も障害者の人たちには住みやすいような設計というものはほとんどといっていいほど考えられておらないのでございます。最近、地方公共団体では仙台市をはじめといたしまして、こういう面に取り組む姿勢が出てまいっておりまするところが数ヵ所ございます。また国のレベルにおきましても、たとえば厚生省では身体障害者の福祉モデル都市の設置とか、あるいはパラリンピック大会、また労働省におきましても障害者の雇用推進員の育成とか、あるいは技能競技大会、あるいは自動車の購入資金の貸し付けというような施策がだんだん芽を出してまいってきたことは喜ばしいことでございますが、どうか早急にこのおくれを取り戻していただきたいのでございます。 最後に六番目でございまするが、国民の理解ということについて一言申し上げたいと存じます。この点は、日本の障害者対策のあるいは致命的といってもいい大きな隘路であると考えるのでありますが、遺憾ながら社会的差別観が至るところに見られるのでございまして、これを抜きに、解決しなくて障害者の福祉は望まれるわけではございません。幾ら国が巨費を投じて建物をつくり、施策を講じましても、このバックグランドに国民の理解というものがなければ、障害者の福祉という、生きがいというものはないと考えるものであります。もとより人間の感情の問題でありまするから、容易な問題ではないことは言うまでもございませんし、また欧米と異なりまして、宗教的なバックグラウンドの薄いわが国でありますから、非常にこの問題は言うべくして実現のなかなかむずかしい問題であることは承知いたしておりますが、それだけに長期的な視野に立ってこの策を講じていただきたいのでございます。それにはまず幼い段階の学校教育の段階から始められますと同時に、法制関係における福祉対策の推進の過程においてもこれを取り上げていただきたい。また最後の仕上げの雇用対策促進の過程においても企業の方々に理解をしていただくというような意味において広く、根強く展開する必要があると思うのであります。そういうものがもし深まった段階になってまいりますれば、初めて障害者の対策が成り立ったということが言えると思うのでありますし、また障害者にとって初めてこの世の中は生きるに値する人生だということがいえるのだろうと思うのでございます。その点につきましては、まさにこれからということは情けないような気がいたすのでございます。 先ほども宮崎参考人からお話があったかもしれませんが、付け加えますと、非常に次元の低い、金の面からいいましても、医療とかリハビリとか、職業指導等の障害者対策にこの金を投じますることは、その障害者をそのままに放置して、一生どこかの施設でめんどうを見てあげる経費と比較いたしますると、はるかにそれは安上がりであり、経済効果という次元の低い立場で考えましてもそれは十分にペイするものであるということは、外国でも言われておりますし、わが国でも言われておるわけでございまして、こういう面に対する投資は決してむだな投資にはならないと、かように存ずるのであります。 たいへんばくとしたお話でございますが、ありがとうございました。
○委員長(矢山有作君) ありがとうございました。 それでは、本件につきまして質疑のある方は順次御発言願います。
○大橋和孝君 たいへん各参考人からはいろいろとお話を承りまして、非常に勉強になりまして感謝しております。 一、一の問題について、政府のほうからも出てもらっておりますので、お尋ねをしたいと思います。 まず教育の問題で、先ほどからいろいろなお話を承りまして、六人に一人が未就学であり、世界でも非常に何と申しますか、教育には力を入れた日本であるというのに、この身体障害者のうちの特殊教育を必要とする者が六人に一人しか教育の恩恵に浴してないという状態を比率から見せてもらいまして、私は非常に、いまのお話の中にもありましたように、たいへんな問題だと思うわけでありますが、その潜在的な未就学者は非常に多いわけでありますから、こういう方々に対してはできる範囲でひとつ早急にその手だてをしてもらわなければならぬと思うわけでありますが、その中で私は一つお尋ねをしておきたいと思うのは、訪問教師の制度、昭和四十四年ごろから東京など全国各地で実施され始めた訪問教師制度でございますが、まだ全国的に本格化しておりませんが、この制度をひとつ養護学校や養護学級の充実と並行いたしまして、数人でも集まりやすいところに集まって、交流とか、学習とか、あるいはスクーリングとかなんとかを、訪問教師制度によって充実させるようなことはできないかどうか、こういうようなことは、ひとつ社会教育としてでも何か考えてもらえないのかどうか、ひとつ……。
○説明員(国松治男君) 文部省の特殊教育課長でございますが、いまの点についてお答え申し上げます。 いま先生がおっしゃいました訪問教師という制度は、各都道府県で実験的にまだやっておる段階でございますが、そのやられております形態もいろいろでございまして、週何時間やるかというふうなこと、あるいは教育の内容の問題等、いろいろとございます。で、私どもこれは各県でもいろいろ実績をあげておりますので、その実績を見ながら研究して、いままでの制度の研究とあわせて考えなければならないというふうに考えておりますが、同時にまた、いままで言われておりますことの中には、訪問指導でいろいろ今後も考えなければいけない子供たちもいるわけでございますけれども、養護学校が現在、先ほどもお話がございましたように、十分でございませんで、養護学校ができればあるいは養護学校に行ってより効果をあげ得るというふうな人たちもいるというふうにいわれております。したがいまして、先ほどから私が触れておりましたが、養護学校の義務化を私ども最大の目標といたしまして努力しなければならないと思っておりますが、その辺の進捗とあわせまして、いまのところも研究してみたいというふうに考えておるところでございます。
○大橋和孝君 特に私、いまこれをお尋ねしているのは、何かいろいろなケース・バイ・ケースがあるわけですから、そういうところにこういう制度なんかも生かせば、その中間的な補てん的な意味で非常に有効な場合もあり得るんではないか。で、理想はどこにあるかということはもちろんそうでありましょうし、先ほどからお話になっておりましたように、別に養護学校として特殊に分けてやること自身ももう非常にむずかしいので、その間、問題があるので、もし一般の教育の場において教育ができるものは、もっとそういうことにしなきゃいかぬと、まあこういうようなことがずっとあると思いますけれども、いろいろその補てんの意味におきましても、こういうのをただ実験的に使っているとかいうばかりでなしに、もっと効果あるものにしてほしい、もっとそういうことをすることが、いまお話承っておれば、非常に緊急にやらなければならぬ問題じゃないかというふうに思うから、特に配慮してもらいたいと思って一言お願いしたわけであります。 それから幼児、成人の身体障害者なんかの教育問題でありますが、先ほどからおっしゃいました幼児教育に対しては、脳性麻痺なんかの方はごく初めのうちに教育をすることによって非常に回復される。少なくとも五歳前後がポイントとなっておるというふうなことになっているわけでありますからして、普通の児童には中教審が幼児学校ですか、この構想なんかを打ち出して、公立の幼稚園がほとんど小学校の数に近いほどいまできておるといわれておるのに、この身体障害者のほうになりますと、これが非常におくれておる。こういうことはもう明らかなことでございますから、養護学校のような設備は要らないとは言わないけれども、もっとやっぱり小規模で数多くつくって、そうして少なくとも身体障害者の方々が幼児のうちにこれをいろいろ勉強ができるような、あるいはまた開発ができるようなことをしなければならぬのではないか。それから都道府県単位でいままでいろいろ考えられているようでありますが、教育の面は、私はこれはもっと市町村単位ぐらいまで単位をおろして、そうして、その通園なんかを考えましたら、地域が狭いほどいいわけでありますから、広域対象の、はでな、りっぱな療育園ですか、こういうものよりは、むしろプレイルーム一つぐらいであっても、その教育の内容がある程度できるようなものをする。そういうために、国はむしろ通園事業の実施主体であるところの市町村に補助金をおろして、そうしてそういうことをやるようにしなければ、ただそのままではいかぬのじゃないかと私は思いますが、そういうことなんかは積極的に考える考え方はないですか。
○説明員(国松治男君) いまお話のありました幼児等の早期教育につきましても、私どものほうも現在の計画の中でも養護学校には、もちろん小学部、中学部だけでなくて、幼稚部も置くというふうな構想で進めております。ですから、それは養護学校がまだ全体が不足しておるものですから、あわせてやらなければいけないわけでございますが、なおお話の養護学校以外にさらにもっときめこまかくいろいろ施策が考えられるということは私どもも考えなければなりませんし、いまお話のありました通園施設というのは、厚生省のほうでおやりいただいておるわけでございますが、これとの連絡といいますか、あるいは考え方の整理といいますか、そういうようなこともやらなければならない事柄と承知いたしておりますので、なお厚生省とも連絡をとらせていただきまして進めて参りたいと思っております。
○大橋和孝君 私がいま言っている主眼点は、幼稚園というのは一ぱいあるわけでね、たくさん。それは学校と同じくらいにある。養護学校と匹敵するわけではなしに、もっとそれは数多くたくさんつくってもらって、幼稚園式な養育をしてもらうほうがもっと先にやるべきではないかと、普通健康な人はどんどん歩いて行けるわけなのに、非常に困っている、ハンディのある身体障害者の方ですから、そういう方々にはもっときめこまかにつくる必要があるのではないか、こんなことをなぜ早くしないのかということ。それをやるためには市町村が単位ですから金をもっとおろしなさいと、そういうことを少し徹底的にやらない限りはこれはうまくいかぬのじゃないか、こういうことを私は特に強く提起をしておきたいと思います。 それから成人の教育のほうですが、これはより私は深刻だと思います。学齢期が済んでしまってまだ未就学のまま成人になっている人たちに、教育の機会を与えることを考えないでいいのかどうかということは、非常に大問題だと思います。国立身障センターに入所している人々の中にも、頭は非常にいいけれども、まだ文字も習えていない、何も知らないという人たちがかなりいらっしゃるわけでございます。それらの人々の多くは、昭和一けたから十年時代に生まれた人々であって、三十五年の養護学校が全国的に設置され始めた以前に学齢期を過ごしてきた人なんかも相当あると思います。先ほど申したように、訪問教師制度やスクーリングシステムなんか、未就学者やそれに近い人々に適用させるべきであると、このように思いますけれども、この点なんかも含めて、こういう人たちに対してひとつ教育をどうするかということをもっと積極的に考えてもらいたいが、どうですか。
○説明員(国松治男君) 先ほどから申し上げておりますように、養護学校が未整備でありますために、すでに学齢を過ぎられた方がいままでそういう教育の機会が得られなかったというふうなことで、私どももたいへん遺憾に思っておるわけでございますが、たとえば盲学校、ろう学校等は少し歴史がございまして、高等部のほかに、別科、選考科というふうなものも設けてございます。養護学校にも高等部を設けるというふうな構想でいっておりますので、いずれはその点をやらなければならないと思いますが、なお、とりあえずは学校教育だけでなくて、いろんな社会教育の方法もあろうかと思いますので、いろいろ現在、地方で研究しておりますことを徴しながら、さらに検討を進めてみたいというふうに思います。
○大橋和孝君 それから相談員の問題ですが、昭和四十七年度には、これ、六千八百三十人、四十八年度になっても人数は同じで、金額は多少ふえていると、こういうことが厚生省の中にあるわけですが、昭和四十六年のこの精薄者相談状況だけを見てみましても、相談総数は十一万八千四百人にものぼっておるというのは、私もあれであります。きょうの御説明の中にも、この相談員の問題が非常に切実に訴えられておりました。こういう点から申しまして、相談内容も見てみますと、入所の問題、通所あるいはまた就職あっせん、医療の保険あるいは経済的な援助、教育などなど、きわめて多岐にわたっておるわけでありますが、相談人員も昭和四十二年に五万七千人だったのが、昭和四十六年には八万人と、こういう相談される方々もふえているわけでございまして、こういう右のような予算では人員も、金の方面におきましても、あまりにも内容が乏しいわけであります。現在、児童相談所専門職員の家庭訪問は、毎月どれくらい、何回ぐらい行なわれているのか、まずひとつ、これも伺っておきたいと思います。
○政府委員(穴山徳夫君) いまちょっと正確な数字を持っておりませんけれども、理想では、個々の職員がというのではなくて、チームを組みまして、心身障害児・者の家に訪問していくというようなシステムがございまして、まあ、人間の数の関係から、なかなか頻回に実施はできないというような実態で、まあ、私どもとしては三カ月に一ぺんぐらい、少なくともと思っておりますけれども、場所によっては半年に一ぺんぐらいしか行けないというような状況がございます。これからは、こういう問題についても充実していかなければいけないというように考えております。
○大橋和孝君 これ、ちょっととっぴもないことを聞くようですけれども、これは、私は非常に重要な問題だと思うんですね。まだ在宅の方がたくさんいらっしゃるとすれば、こういうところに力を入れなきゃ、そういう方々に対してほんとうにいろんな指導もできないだろうし、また、いろんな実績もつかめないわけですから、そういうことから考えますと、これは、もう先ほどからのお話の中にも出ておりましたように、もう非常にそういう方々は熱望しておられるわけですから、こういうことを、ひとつできるだけ人員を見ても、年度に進め方も同じですから、こういうようなことではいけないので、少なくとも毎年毎年それが大きく増加していって、そして、その要望にこたえられるようにしなきゃいかぬので、私は、こういうようなお話を承るとともに、非常にそういうことがまだまだ浅いと、もう老人医療をやって、老人医療のことだってできていませんが、また同時に、こうした方面を考えてもらわなければいけないというふうなことを思うわけで、そういうことを申し上げておるわけです。特にお願いをしたいと思います。 それから療護費なんかの問題でありますが、先ほどのお話の中にも切々と出ておりました。結局施設に入所しておるところの児・者と、それから在宅の児・者との間には格差が非常に年々開いてきておると、こういうこともいわれてきたところでございますから、在宅の重障児、その周辺の児童が生きていくためには、療護費として月に二万円ぐらいはどうしても必要じゃないかと思うわけですから、在宅の方に、特にそういうようなものを出し得るような予算措置は、もっと手厚く考えるべきじゃないかと思います。この点について、ひとつお伺いしておきたい。 それからもう一点、もう時間の節約の意味で次の話も聞いておきたいと思いますが、医療費の問題ですが、まあ、そういう話も出ておりましたが、四十七年の生涯を寝たきりで過ごしておった、ある人の話を、私は、耳にしておるわけでありますが、家族に対する気がねから、先ほどのお話にもございましたが、もうほんとうに医者を呼ぶこともできない。そして呼んだときには、もう非常に病状が進んでおったために、もう早く手当てをすればなおっておったのができなかった。緊急入院の制度のようなものがもっとあったならと言ってなくなったのを聞いておるわけでありますが、こういうようなことなんかを聞きましても、すべての重度の身障者の問題になってくるわけでありますから、重障児・者は症状が複雑で非常に医療費なんかもかさむわけであります。また、健康管理も必要なわけでありますが、そういう身障者の方々が医療費の全額公費負担を求めておられるのは非常に大きいものがあると思いますが、まあ、老人医療の無料も行なわれましたけれども、こういう問題は、私は早急に必要な問題じゃないかと思いますが、これはひとつある程度詰めて、いつごろまでにやろうぐらいなことをばっちりと厚生省のほうでは出してもらいたい、こういうようなふうに思うわけでありますが、きょうは大臣がおられませんから、あるいはどうかと思いますけれども、そういうふうに思います。 それからもう一点は、医者、看護婦、ケースワーカーをチームにした巡回医療班、こういうようなものを福祉事務所ごとに設けて、そして月に一回ぐらいでもそういう方々を回って、そうして健康管理をしていく、こういうようなことも私は医療費無料とともに必要なことではないかと思うのでありますが、この三点についてちょっと伺っておきたいと思います。
○政府委員(穴山徳夫君) 最初の相談員の問題でございますけれども、確かに先生がおっしゃいますように、こういう人たちをかかえている家庭というのは、やはり何と申しますか、心のささえというような問題が非常に大きな問題でございます。そういうためにも、こういう相談員の相談訪問というようなことが非常に大きな役割りを果たすと思いますので、この点については、私どもも今後いわゆる在宅対策としての非常に大きな柱として考えていかなければいけないというように考えておりますし、今後とも考えたいと思っております。 それから養護費、医療費の問題でございますが、これは先ほどもお話ございましたように、いままではややもすると施設収容ということに重点が置かれてきたというようなきらいが確かにあるわけでございます。今後の私どもの課題としては、在宅対策というものをどう充実していくかという問題があるわけでございます。それで特別児童扶養手当というような制度によっての経済の側面からの援助ということがいままで行なわれてきたわけでございますけれども、特別児童扶養手当のさらに充実をはかるというようなことも含めまして、こういった在宅における、いわゆる普通のうちよりもよけいお金がかかるという面、あるいは医療費が必要であるという面について今後検討をしていかなければいけないというように考えております。 また、先生おっしゃるとおり、在宅対策の一環として、チームによる巡回健康診査と申しますか、そういったようなことも確かに必要であると思いますので、とにかく、こういったようなことを包括的に考えまして、総合的な在宅対策というものを、これから私どもの宿題として考えていかなければいけないというように考えております。
○大橋和孝君 ちょっと短かくお話いたします、せっかくの時間でありますから……。 もう一つ、あと所得の問題、伺っておきたいと思いますが、いままでにもいろいろホームヘルパーとか、いろいろな問題があるわけでありますけれども、いかに何をして、医療が無料になったところで、私はやっぱりこの人たちの生活の経済的な裏づけがなされなければ私はどうしてもならないと思うのであります。そういう意味で、特に必要だと思うのは、親の死後、保護に当たる者に支給する保険形式の心身障害者扶養年金、こういう制度ができて、月二万円程度があるわけでありますけれども、この制度では、きょうだいなどが保護を引き受けることを当てにしての点でありますからして、現実にはかなり問題を残しておると思うわけでありますが、せめて、私はこの掛け金なんかがなくして、無拠出でやっぱりこうした問題を処理できるようにしなきゃどうしてもいけないと思うんです。 それから、ここのところでもう一つ考えてもらいたいことは、そこらをひとつ整理をして、拠出なしに所得をある程度保障できるようなものにしていただきたい。で、労働能力がなくても自分で生活を営むことができる人はたくさんいるわけでありますし、そういうような方々に、ことに私はそういう保障さえできれば、非常にまた大きなささえになると思います。その点をひとつ聞かしていただきたい。 それから職業の問題でありますけれども、ことに年金とか生活保護、あるいはまた雇用のことなどにいたしましても、私はこの職業を、いかにして雇用される、雇用の道を開くか、こういうこともひとつ最後には考えてもらわなきゃならないので、こうした方面に対しましても、やはり相当いろんな施策を講じて——いろんなデータもここに持っておりますけれども、時間もありませんから省きますが、職業につける人はひとつ少しでも職業を開発してあげて、それができるための施策というものをもっと積極的に進めるべきではないか。私は、所得保障と職業の保障、こういうようなものをひとつ考えていただきたいと思うのでございます。
○政府委員(穴山徳夫君) 最初のいわゆる扶養保険の問題について私のほうからお答えいたしますが、現在は、先生御承知のように、たとえば市町村の事務費を補助いたしましたり、振興会の事務費を出したりしているわけでございますけれども、この扶養保険の制度をさらに伸ばすためにどうするかということが確かに一つの問題になっておりますので、先生のおっしゃるような問題が確かにございますので、検討さしていただきたいと思います。
○説明員(加藤孝君) 心身障害者の皆さんに対しまする職業法の問題でございますが、職場確保の問題につきましては、特に最近におきましては、労働力不足の中で軽度の障害者につきましてはその就職の道は比較的容易になってきたんでございますが、やはり残された問題は、今後は中度ないし重度の方々の職場の確保という点がやはり一番大きな問題になってこようかと存じております。この場合、やはり問題は、単なる事業主に対しましてぜひ身障者を雇ってくださいという理解と協力を求めるというような従来の方式ではとうてい進まないわけでございまして、もっと科学的ないろんな方法を持ってこなきゃならぬ。具体的には、たとえば身体障害者、特に重度の方を雇うためにはどういうような作業補助具が要るかとか、あるいはまた、職場をどういうふうに改善しなきゃいかぬかとか、さらにまた障害者の方についても、どういう専門的な職業訓練をするかと、こういうような施策と相まっていかなきゃならぬわけでございますが、本年度の施策といたしましては、心身障害者モデル工場の新設あるいは増設に対します融資制度というものを一応予算的に確保いたしまして、現在、雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部改正ということで法案の提出をしておるんでございますが、そういうモデル工場に対する融資制度ということによりまして、特にそういう中度ないし重度の心身障害者の方を雇用いたします場合のモデルケースというものを具体的にこれから開いていくというような形の中で雇用の場を広げると同時に、また、一般の事業主の皆さんにも、こういうような設備を改善し、こういうような体制をとらぬ限りはこれはいかぬぞというような、具体的なモデルを示しながらの雇用の場の確保を進めていくというようなことをいま進めておるということでございます。 また、新しい施策といたしまして、心身障害者を三割以上雇用しておられます企業に対しましては、税制上の特別の優遇措置を講ずる、具体的には三分の一の割り増し償却制度を設けるという法案が今月の二十一日に成立をいたしましたので、今後はこういったものを十分ひとつPRする過程の中で雇用の促進をはかってまいりたいというふうに考えております。 なお、身障者の雇用率の未達成事業所が、確かに、御指摘のように、まだ大企業を中心といたしまして、四割近くございます。これらに対しましては、こういう雇用率未達成事業所に対するいわば強制雇用というお話も参考人の方から出ておるのでございますが、未達成事業所に対するいわばペナルティと申しますか、そういうものをどうするか、現在、身体障害者雇用審議会におきまして熱心に御審議を願っておる最中でございまして、それらの結論を見ながらぜひ前向きに対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○小平芳平君 参考人の方から、専門の立場からたいへん意義ある御意見を承りまして感謝いたしております。 初めに黒木参考人から、この運転免許あるいはマッサージ等について先ほどお触れになりましたが、雇用促進あるいは新しい職場の開拓ということに対しては、いまも政府が発言をして答弁をしておりますが、どうも、政府の発言や答弁だけでは、私たちとして納得しがたいもの、があるわけです。 で、黒木さんから、先ほどきわめてポイントだけ、重要な点をおあげになりましたが、そうした雇用促進についての、職場の開拓についての、なおつけ加えて御発言いただくことがありましたら、つけ加えていただけばたいへん幸いだと思います。 それから仲野参考人から、先ほど教科書のことにつきまして、中・高校保健体育教科書問題−記述に誤りがあり、偏見・差別感を起こさせているという、その教科書をいまそこにお持ちでしたら、そこの個所だけ読み上げていただけば、記録に残りますので、たいへん幸いだと思います。 以上、二点につきまして……。
○参考人(黒木猛俊君) 身体障害者の雇用につきましては、欧米先進諸国はほとんどが強制雇用となっております。雇用率を達成しない場合は罰則の適用がなされております。身体障害者を笑いものにすれば野蛮人だといってだれも相手にしないような人道主義的な欧米諸国においてすら、やはり、強制雇用にしなければこの法律のきき目がないという前提に立って、私は強制雇用になされたと思うのです。したがって、これは、どうしても私たちは強制雇用にしていただきたい。そのかわりに、雇用率を達成した職場に対しては税の減免だとか、長期・低利資金の貸し出し等をしていただければ、おそらく企業主は喜んで雇用するであろうと考えます。 それから、ろうあ者の問題でありますけれども、これは全面的に運転免許を与えるというようなことはいま早急にはできないにしましても、とりあえず、人里離れた田畑で耕すのにまさか運転免許がどうということはないと思うのです。したがって、この点はぜひひとつ御高配をいただきまして、ろうあ者に運転免許のひとつ御配慮をいただきたい。これはもう泣いております、ろうあ者は。ぜひ、ひとつ先生方のお力によって、何とか御配慮をいただきたいと思います。
○参考人(仲野好雄君) いま私は、高校の保健体育は二冊、中学の保健体育は二冊ずつ持って参りました。そのほかうちで調べたものがたくさんございますが、これを読ませていただきます。保健体育の改訂版で文部省検閲済みで、浅野均一、佐々木吉蔵氏の著書で一橋出版から出ているものには、「精神薄弱」というところに、「知能の発育が、生まれて間もないころから劣っているものであるが、知能だけではなく、パーソナリティ全体も普通の人とはちがっている。原因には遺伝によるもの、出産時の脳損傷、脳炎、脳の奇形やそのほかの特殊な病気によるものがある。遺伝によるものにはひどい精神薄弱はまれで、ひどいものは大脳の器質的な欠陥のあるものに多い。なお、精神薄者の中には、絵を描くのがうまかったり、おどろくほど記憶力がよかったりするものがあり、白痴天才と呼ばれている。知能指数が75〜50をろ鈍(軽愚)、50〜20を痴愚、20以下を白痴と分類しているが、その基準は国によって多少異なっている。」まあ、以下略させていただきますが、このろ鈍とか痴愚とか白痴などということはいま全然使われておりません。それから、「知能だけではなく、パーソナリティ全体も普通の人とは」というようなやはり記述でございます、いまだに。 それから、開隆堂のやはり「新訂保健体育」の高等部のやつでございますが、これは「精神薄弱は、精神発達が児童期までの状態で遅滞しているものをいう。原因としては、遺伝性のものと、出産時や出生後の脳傷害、日本脳炎、熱性の伝染病、先天梅毒などによる脳の病気などがある。学校では、精神薄弱は、発達の程度により白痴、痴愚、魯鈍に分けられる。白痴は」以下略しますが、こういうふうにやっぱり書いてある。 それから、中学校の教科書、いま二冊ここに持っておるわけでございまするが、学研書籍の「中学保健体育」によりますと、「精神薄弱」のところでは、「遺伝、胎児期における母体の障害、出生時や乳幼児期における脳の傷害や病気など、いろいろな原因によって、知能の発達がおくれ、生活の処理能力や適応能力などが劣っているものを精神薄弱といい、いっぱんに、知能だけでなく、感情や意志の発達もおくれている。」以下略させていただきます。 それから、これは教育出版株式会社の「中学保健体育」新版でございまするが、これも「精神薄弱は、遺伝あるいは脳の外傷や病気により、知能の発達がおくれているもので感情や意志の障害をともなっていることである。そのために、学業や日常生活がふつうの人のようにできなくなる。おくれ方の程度によって軽度・中度・重度の三段階に分けられている。」というように書いてありますが、いずれにいたしましても、すべてが一番最初に原因が遺伝と書いてございます。これがいま太宰参考人も申されました心身障害者対策、特に精神薄弱は遺伝だと——私も三十一年前に遺伝だと言われました。そして、その遺伝だと言われたお医者さまに、二十まではもちませんと言われた。学校も無理でございます、こう言われまして、家内は泣き悲しみましたけれども、私はその先生に、先生は遺伝だとおっしゃいますけれども、原因は何でございますかと聞いたら、原因はわからない。原因がわからないで遺伝とおっしゃることは私はちょっとふしぎに聞こえますがと質問したら、これは世界の通例である。自来私は、優秀なきょうだいの中に一人だけ知恵おくれが生まれましたので、そのお医者さまの言われることがふしぎで、もう自来三十年、気違いのようになって勉強し、十一年前にアメリカに行き、一昨年はヨーロッパ八カ国、昨年はアメリカ、カナダを歩いて、全国の国際連盟の会議にも出席いたしまして、いろいろ原因が遺伝かどうかということを、これは私たちの子供の結婚——私は孫が十四人ございますが、孫が生まれるたびに変な子が生まれなければいいがという心配でほんとうに三十数年悩んできたわけでございます。しかし、私の子供が死ぬ一年前に私が、ほんとうに申しわけないと思うのでございますが、染色体検査をいたしましたら、やはり私の子供は世界的にいう蒙古症の染色体が四十七でございます。四十七でございますけれども、仲野さんのお坊ちゃんの染色体異常はこれは遺伝ではなくて妊娠してからの突然変異だということがわかりました。私はそのときには全部六人のきょうだいが、この子のきょうだいには精薄者がおりますといって非常なひけ目を感じて結納をかわす前に全部先方様の御家庭を納得させて結婚させた次第でございますが、何もその心配はなかったのでございます。昨年、アメリカの国立総合研究所に行ってこの染色体の異常は何か、あるいは十一年前にも私たずねましたが、現在では染色体の異常も遺伝は比較的少なくて、実は妊娠してから、あるいは生まれて以後における、たとえば水俣病のように有機水銀その他公害による染色体の異常があるようで、いままで染色体異常はすべて遺伝だ、こう思っておったことが誤りのようだということを私ほんとうにお恥ずかしゅうでございますが、三十何年たってからあかしを立てた次第でございます。そういうわけでございますから、私たちはこういう教科書を見ると何とかして私はこの教科書から、ほんとうに小さい子供のときからこの知恵おくれの問題に対する理解を高めていただきたい。そうしない限りは百年河清を待つのではないか、こう思いまして、この社労委員会に特にこの教科書の問題までも持ち出させていただいたわけでございます。ほんとうに以上のようなわけで私、ささやかなる三十数年間の悩みの一端を申し上げたのですが、これは口で言い、紙に書ける問題ではございません。ほんとうの屈辱の中に私たちは生きてきたわけでございます。それが実は遺伝ではないんだということが、あとの祭りでございますけれども、私はどうしてもその染色体異常はどうして起きるかということをアメリカの国立研究所で聞きましたが、実はまだそれがわからない。実は遺伝でない、遺伝もあるけれども、遺伝は少なくて、大部分が遺伝でないということがわかったけれども、何で染色体異常をきたすかということが実はわからないので、それを一生懸命やっておるのです。それに何十億、何百億をかけているんだという姿を見、聞いてきたわけでございます。それですから、ぜひ私はどうしても、きょうこの中にはお医者さんの議員さんもいらっしゃいますが、ぜひひとつ超党派で孫子の末までもこういう子供が生まれ出ないように、それは私は、民族の将来を、未来を開くかぎだと、これはケネディのことばでございますが、そのケネディは自分のすぐの妹に精薄者がありました関係で、あのケネディ財団が何百億という金をこの研究につぎ込みまして、それでも今日に至ってもまだ、——そしてケネディのことばによって大統領の直属の精薄専門委員会をつくって今日までジョンソン、ニクソンによって受けつがれたけれども、まだ原因がわかりません。しかし、先ほど申し上げたとおり今世紀の終わりには、いや、いまから五十年後には染色体異常によるいわゆるダウン症候群はなくなるだろうという確信を持ちつつあることは先ほど申し上げたとおりでございます。以上でございます。
○委員長(矢山有作君) 一つお伺いしたいんですが、これは文部省の方にお伺いしたいんです。 いま、教科書の問題点が指摘されたわけですが、参考人のいまのお話というのは切々たるお話だと私は受け取っておるわけです。 そこで文部省はいまのようなお話をお聞きになって、教科書問題に対してどういう考え方をお指ちか、ちょっと伺っておきたいんですが。
○説明員(浦山太郎君) 教科書につきましては、現在検定で、まあ中学、高校まで新学習指導要領に基づく検定、今年度で終わる予定になっておりますけれども、この教科書を学習指導要領に基づいて、これに対応するようにという考え方でつくられておるわけでございます。学習指導要領におきましては、この精神薄弱者についてはよく理解をするようにまあ指導するということになっておりまして、正しく理解させるように指導するということになっておりまして、それに応じて教科書の記述も十分にその点に留意をしてつくるということで、まあ教科書の発行者におきまして作成をし、そして文部省において検討をしているということでございまして、ただいまのこのお話、何点かございまして、私どもが教科書を若干持ってまいりまして、まあ持ってまいってないものもあったようでございますけれども、この中学の保健体育の教科書につきましては、先ほど御指摘の重度、中等度、軽度といったような形で、その後の正誤の修正で訂正をされているというように考えております。中学の保健体育の教科書につきまして、先ほどまあ白痴、痴愚、魯鈍といったような表現が不適切であるというお話がございましたけれども、この点につきましてはすでに訂正がなされているということでございます。 それから、遺伝の点についてでございますけれども、この点については、かなり先ほどお話若干ございましたように、むずかしい点がございまして、まあこれまでのものにつきましては、まあ精神薄弱の原因としましては、先天性の者が多いと。この中には、遺伝のほか、胎生時の障害等も含んでいるという考え方があるわけでございまして、まあ、最近の検定済みの教科書におきましては、たとえば、これは学習研究社の「高校保健体育」の「精神薄弱」の項におきましては、「精神薄弱の原因としては、従来、遺伝が主であるといわれてきたが、最近、医学的な研究が進み、胎児期の代謝異常、出産時の傷害などが明らかになってきた。」というような表現に、旧版に比較して直っているという状況でございます。
○委員長(矢山有作君) だから、検定課長、いま何冊かの本が指摘されたわけでしょう。だから、たとえばという話ではなくて、いま言ったように遺伝であるというふうにきめつけたような書き方なり、あるいはパーソナリティー全体に問題があるというような書き方が残っておる教科書があるとするなら、それを全体的に調査をしてそれを改めていくという意思があるのかどうかということを聞いているわけです。
○説明員(浦山太郎君) この点につきましては、何と言いますか、それぞれのまあ精神薄弱自体が、かつては知能を主として問題として限られておりましたけれども、近年では単に知能のみではなくて、パーソナリティー全般の問題と見られるようになってきているというようなこともございまして、そういった点について、私どものほうで、専門の教科書調査官のほうできょうの御趣旨等も前からある程度伺っておりまして、検討を続けさしていただいております。
○委員長(矢山有作君) だから、回りくどく言わないで、きょうのあなたの話を聞かれ、さらにかねてそういう話を聞いておったとするならね、そしてそれについてなるほどと首肯すべきものがある。つまり現在の教科書の中に問題点があるとするなら、全体的に再検討するということをはっきりおっしゃるわけですね。そこら辺をはっきりものを言ってください。
○説明員(浦山太郎君) そのとおりでございます。
○丸茂重貞君 関連。いまの問題はね、おそらくぼくは最近の精神病学の推移等は十分承知してないけれども、おそらく二十年前の精神病学だな。たとえば白痴とか魯鈍とか、これは専門語なんだ。精神病学の正規の専門語なんだ。したがって、その教科書に採択したものは、そのころのことばをそのまま採択したんじゃなかろうかとぼくは思うんだな、おそらく。精神病学を、ぼくは十分知らないで発言するのは無責任のようであるけれども、いま参考人が言ったような趣旨がだいぶ取り入れられて、このごろは違っておるはずだ。かりにまだ白痴、魯鈍というふうな程度の差別をつける専門語があったとしても、そのことを小中学校の教科書にそのままなまで載せていいか悪いかというような判断は、これは文部省がすべきだというふうに考える。この辺はかりに専門語があったとしても、世道人心に与える影響等を考え、いま参考人が述べた趣旨によってだ、改めることが私はむしろいい方向にいく。これはかりに残ったとしても、そういう配慮はしてもらいたいということをお願いします。
○説明員(浦山太郎君) 御趣旨の線に沿って、十分検討さしていただきます。
○小平芳平君 厚生省にお尋ねしますが、まあ政務次官あるいは社会局長、家庭局長、前回も脳性麻痺の方あるいは車いすの方からつぶさにお聞きいたしまして、またきょうこの貴重な御意見をお聞きいたしまして、社会労働委員会としては、矢山委員長を中心に各党が一致してこのように取り組んでおるわけですが、どうも身体障害者に対する問題は何年来ずうっと論議されてきている。厚生省はまた同じように答弁をしてきておられる。しかも、この四人の参考人の方が共通しておっしゃった中に、基本法ですね、基本法は評価すると。中身が何もついてないのが最も立ちおくれの原因であり、けしからぬことであるという御指摘であったと思います。その点について、私たち委員会としても超党派で取り組んで今後ともやっていくべきだとは考えるわけですが、厚生省もひとつ先ほどの最初に黒木参考人が指摘された居宅の改造ですね、居宅の改造くらいは、これはもう第一次で削られちゃうんですというようなことで引っ込むようなことがないように、ここで前進をお約束願いたいと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(山口敏夫君) 先般、先生御指摘のように脳性麻痺の方あるいは車いすの身障者の方々の御意見、また本日そうした専門的立場に携わっておられます参考人の方々の御意見を伺っておりまして、やはり身障者問題に対する、社会に対する決意と願いというものは、共通の基盤に立っているわけであります。私ども、十分啓発されたわけでございますが、やはり基本的には、この身障者福祉法やあるいは基本法にある精神をやはり十分社会的、行政的に果たしていかなければならない。特に本委員会で超党派で御推進いただいております身障者の総合対策等の御意見やあるいは御姿勢を十分政府部内、たとえば大蔵等とも予算折衝の場合にひとつ御声援いただくという意味におきましても伝えまして、やはり私どもが率直に、身障者の方々に接するときの違和感と申しますか、あるいはことばの選択と申しますか、そういうようなことではなくて、もっと人間的な触れ合いが堂々と行なえるような社会的位置づけをしていかなければならない。かような気持ちで今後ともこれらの問題に取り組んでいきたいと思っておる次第でございます。
○斎藤十朗君 関連で。ただいま基本法を絵にかいたもちでなしに具体的にやっていくべきであるという御答弁をいただいたのですが、長期的に総合長期計画というようなものを立てられて、そして、それに基づいて、五年後には所得の保障についてはこの程度まで持っていく、またいろんな身の回りのことについては順次こういうふうにやっていくというような総合長期計画というようなものを立てられるお考えはございませんか。
○政府委員(加藤威二君) 社会福祉の長期計画につきましては、経企庁の経済社会の長期計画にのっとりまして、現在厚生省においていろいろ検討いたしております。ことに、身体障害者あるいは老人等の社会福祉施設等については、長期計画が比較的つくりやすいわけでございますけれども、身体障害者対策一般につきましてどのような長期計画ができるかどうか。私どもはそういう方向で努力いたしたいと思いますけれども、いまここで身体障害者の福祉についてこのような長期計画をつくるということは、なかなか具体的に申し上げかねますけれども、なるべく私どもやはりこういう社会福祉については、まあ建物をつくるほどきちっとした長期計画はできにくいわけでございますが、できるだけ長い目で見て社会福祉につきましても全般の長期計画の中で身体障害者をどうするかということについては、できるだけ具体的な位置づけをするように努力いたしたいと思います。
○斎藤十朗君 よくわかりましたが、どうしても予算折衝とか予算編成の場において、まあ言うならば金額的に小さいものだと思うんです、いろんな身の回りの対策については。そういうものはどうしても軽んじられやすい。そして、こういうときに、それはけっこうだからやるようにいたしたいとおっしゃられても、そのときになって軽んぜられて忘れられてしまうという場合が非常に私は多いように思うんです。ですから、それを順次、この部分までは来年までにやる、その次はこれだけやるというような長期的な見通しに立ってやっていただくことがどうしても私は必要だと思うのでお願いをしておきます。
○中沢伊登子君 藤原委員のたいへん御好意をいただいて先に質問させていただくわけですけれども、一点どうしても私わからない問題がございます。それは仲野参考人にお聞きをしたいのですが、ずいぶんいろいろの、事あるたびに私もあちこちで質問をしてみるんですけれども、どうしても満足のいく回答が得られないわけです。それは、先ほどのお話の中に、発生予防のお話の中で、文明及び医学の進歩は、皮肉にも障害者が年々増加をしていると、こういうふうに先ほどおっしゃったわけですけれども、先ほどのお話を伺いますと、精薄は遺伝ではなくて、染色体の異常だ、こういうふうなお話がございましたが、それにしても、障害者というものがやっぱり年々実際にふえているのか。私この話をしますと、それはいままでそういうのは家に隠しておって、外へ出さなかったから最近たいへんふえたように聞こえるんだとか、ふえているのが目立つんだとか、こういう答弁しかどこも出てこないわけですね。だけれども、先ほどお話にちらっとありましたように、たとえば水俣病が発生したとか、いろいろな公害があるとかということがやっぱり作用をして、ほんとうにこういった精薄の方がふえているのかどうか。おそらく仲野参考人は三十年もずいぶんお家族の中でお苦しみになられましたから、その辺がよくおわかりになっていらっしゃるだろうと思います。そして身体障害のほうはこれはふえているというのは私どもわかります。それはやっぱり交通事故や何かもありますし、いろんなけがから身障者になる方もありますので、これはふえているだろうと、こういうふうに思うわけでありますけれども、精神薄弱者のほうが、いわゆる言われるところの、いままで隠していたのがあらわれたからふえているのだということなのか、実際にやっぱりそんな社会的の環境がいろいろ作用をしてふえているのか、おわかりでございましたら教えていただきたいと思うのでございます。
○参考人(仲野好雄君) 具体的な数字は、厚生省が二年前と七年前、五年ごとに調査をしておられます。そこにあらわれる数字については私ども非常に奇異に感じていることは、われわれが考えているより非常に少ない。それはいま中沢先生が御質問なさったように、要するに調査のしかたにも私は大いに関係あると思うのですが、隠します。出しません。それですから、七年前よりは二年前のほうが減っているように私は厚生省の数字には漏れ承っております。しかし、私ここに書きましたのは、まずいま水俣病の例にもとりましたが、実際私、水俣市に参りますが、ほんとうに多いです。もう見るに見かねるようです。皆さま方、この問の新聞にも出ておりますとおり、もう奇形な魚が日本列島の周辺にうようよし出した。もう一つは実はかたわの牛が、乳牛から生まれる牛が非常にかたわ、変なあれが多くなった。それにまた関連して誤れる性道徳。それから胎教なんというものはほとんどやらないで、そしてじだらくな家庭生活があるようで、非常に未熟児、異常児が多くなってきた。それから薬のいわゆる薬害でございますね、それと先ほどの公害。昔は未熟児で生まれた場合においてはお産婆さんがひねると、間引をするというようなことがあったけれども、最近においては非常にこの点においては医学が進歩いたしまして、未熟児でとても助からなかった者が生き長らえるけれども、要するになおせない。それを、生まれてしまった者を殺せば犯罪になる。そこでもう一つは、十年、二十年前よりも社会の御理解、政府の施策が非常に進歩いたしましたから、まあ表に出る。私らの会は全国に末端支部が二千、精薄相談員が四千名、こういう方々の活躍によって、隠しておいてはだめですよというように私たちは掘り出しておりますので、それでまただんだん隠しておったのが出だした。それでもいまだにまだ群馬県その他においては、相当いろいろいなかに行きますと、座敷牢に隠しているところが非常に多うございます。それで私はもう一つはアメリカに行ってみて特に昨年驚いたことは、やはりここでも非常にふえて困っておりました。それでこれは国を滅ぼす原因だ、人口資質を著しく低下させた。それで実は五十州のうち約半分が羊水検査をして、異常を早くおなかの中で発見できるから人工中絶を許可した、ところがこれはいま大問題でございます。それは人命を非常に粗末にするんではないかという、それは安楽死に通じ、ヒットラーの大量虐殺に通ずることだから、人道上そういうことは避けるべきだという意見と、このままでありますと、この異常児が世の中にはんらんするという、この人口問題上の立場から、こういう人は早く始末するべきだ、おなかの中において始末するべきだというような議論とで、私、昨年アメリカに行って、それをずっと各州行ったところで、どこでも聞いてみましたけれども、甲論乙駁、そしていまカソリックあたりはもう結束して、この法律に反対し、いまいろいろ問題になっているようでございます。いずれにいたしましても、この問題はこれはもう大問題でございまして、私たちも今後——それで親の心がまえにつきましても、実は私、逆に向こうから聞かれました。いや、仲野さん、あなたはそんな質問をされるのだけれども、なぜ人工中絶させないかという御質問がありました。私は、私個人としては、やはりもう何カ月から命あるものと考えるかというこの定義も一つありますけれども、私は、もう生命としてはぐくんだからには、それを故意に命を断つということは、これはもう非常に重大な人道問題であるということと、もう一つ、私たちこの運動を二十二年間続けてまいりまして、私をはじめ、かなり多くの親が、この不幸な子供を神さまから授かったことを私は決して不幸と思いません。私は朝な夕なあの子に手を合わせて拝んで、もしもあの子がこの世の中に生まれなかったなら仲野家一家はこの障害者に対してこれだけ理解ができただろうか、私及び私の家内、家族がこれだけの人間にしていただけただろうか、私たちは、いまこの子こそわが家の宝であり、わが家の光であるというように感ずる親が非常にふえつつあります、そのことをアメリカのお医者さま及び親にお伝えいたしましたら、向こうの方にはわかりませんでした。そんなふうな考えもあるかなというような、きょとんとしておられました。私は、これは非常に大きな人道上の問題、人口問題からのいろいろの問題である。いずれにいたしましても、私たちはこの人命の尊重ということがこの基本法に貫かれた、あらゆる憲法にも貫かれた大切な問題だと思いますので、これを踏みはずして私はいってはいけない。それでまず、運悪くと申しますか、不幸にしてこういう子供が授かったならば、この災いを転じて福とするということが私は親のつとめであり、親の会の指導理念といたしておる次第でございます。 以上でございます。
○中沢伊登子君 おそらくいまの心境は外人にはわからないと思います。私どもにはよくわかるわけですけれどもね。そこで私どもも孫が生まれるたびに、むしろこれが遺伝であれば、そういう遺伝の人とは結婚させないと、こういうことで、一応次に生まれてくるそういう精薄の子供を防げるわけですけれども、それが遺伝ではなくて、染色体の移動であると、いまのたいへん貴重なお話を伺ってまいりますと、これからやはり孫が生まれるたびに私どもも実に心配になるわけです。だから、その辺で何とかして不幸な子供が生まれないようにと、このためには、私のおります兵庫県では、もう数年前から不幸な子供が生まれない運動というものを知事が率先してやり出しまして、その運動を大いにやっておりますんですが、その中で一つRhマイナスという血液ですね、これはやっぱり不幸な子供の生まれる原因だということで、Rhマイナスの血液同士は、Rhマイナスになるとか、あるいは何かB型とA型ですか、結婚すると奇形児が生まれやすいとか、そういうことは血液的にも検査をすることが可能になっておりますから、それはなるべく子供を生まないようにと、こういう指導もなされておりますので、多少はこの点でも防げているかもしれません。しかし、いずれにしてもいまのお話しのように、もしも羊水をとってみてそれでほんとうにこれがひょっとしたらということであれば、それはやはり中絶したほうがいいのか、あるいは人命尊重の立場からひょっとしたらということであれば、せっかく授かった生命であればこれは生むほうがいいのか、これはまたいずれ優生保護法の改正のときにも私は問題になろうかと思います。また私どもの手もとにも優生保護法のことについての請願書も参っておりますし、いろいろな意見を聞いておりますとどっちをどうしたらいいのかということで私どもたいへん迷っておりますが、その辺は厚生省の御見解もいまひとつ伺ってみたいと思いますが、いま参考人のお話の中で牛だの何かの話がございましたが、実は私のおります、この間もちょっとここで申しましたけれども、淡路島にモンキーセンターがございますが、そのサルも相当の奇形が生まれているわけです。それで高崎山のおサルもどういうわけか非常に奇形が多いと、それは来る人来る人がいろいろなものをかってにやるものですから、それについているいろいろな有害な添加物やなんかそういうものもサルがどんどん食べるからではないかという説もございます。何ぶんにしてもこういったような薬害だの添加物だのいろいろなそういうものも多少は関係があるとすれば、これはやはり相当たいへんな問題だと思いますし、特に最近は妊娠をしてからでもずいぶんだばこをのまれる婦人もふえておりますし、お酒を飲んだりする婦人もたいへんふえておりますので、これはやっぱり妊娠をした人の生活態度といいますか、そういう点も改めていかなければなりませんし、その性道徳もずいぶん乱れておりますので、その辺もやっぱり改めていかなければならないのではないかと思いますが、いずれにしてもこういったような障害のお子さん、不幸な子供が生まれないようなことを考えていくためには、いま申し上げましたようないろいろな点、あっちからこっちからやっぱり指導をしていくべきだと思いますが、その辺の厚生省のお考えを伺いたいと思います。
○政府委員(穴山徳夫君) 私、医者ではないので、こまかいことはよくわかりませんけれども、確かにいま私どもが三億、四億という予算を取りまして、研究をしている中の一つの大きな問題は、羊水をとってその中で染色体の検査をいたしまして、いわゆる異常児の出生というものをできるだけ早く発見できないかという研究が進んでいるわけでございます。先生のおっしゃいました兵庫でやっているのはそれをさらに中絶に結びつけるということだと思います。それからよく妊娠中に風疹にかかりますと、異常児が生まれるというようなことが言われるわけでございますけれども、したがってそういう何と申しますか、異常児が生まれる確率性というものが非常に高くて、しかも、したがって中絶をしたいという強い希望があれば、やはりそういったようなことの道を開くのがいいんじゃないかというようにも考えられるわけでございます。その血液のほうはちょっと私も詳しいことはわかりませんけれども、とにかくそういうようなことで優生保護法の改正というものも考える方向にございますし、また研究といたしましても、いま申しましたような羊水の研究その他でなるべく早く、もしわかるものはわからせるようにしたいということで、研究を進めているわけでございます。
○藤原道子君 私は参考人の皆さまに心から敬意を表したいと思います。 たいへん苦しいお仕事を続けていただきますと同時に、仲野さんのようなお子さんをお持ちになって非常に御苦労をなさりながらこの身障者のために世界各国まで回られて研究をしておいでになる、心から敬意を表したいと思います。 私は、いろいろ御質問申し上げたいと思いましたが、もう時間がたいへんおそくなりまして、また同僚の皆さんからもいろいろ御質問がございましたので、私は、質問はやめたいと思います。ただ、政府に強く要望したい点は、私は、長年身障者のことで取り組みながら、いまのような現状で完全実施のできないということを自分たちの責任のようにつらく思っております。どうかこの重大な問題に対して、厚生省、文部省、労働省ともぜひ真剣にお考えいただいて、ぜひよき対策を、いま皆さんのお話のございましたようなこと、かつてわれわれが要求してきたこと等をお考えになって、ぜひ実施してほしい。私は、外国の状態をきょうはいろいろ持ってきたんでございますけれども、諸外国に比べまして非常に日本の対策はおくれていると思う。日本は、経済的には世界第二位だといわれておる。それでありながら、不幸な子供がこういう状態に放置されているということは恥しいと思う。申しわけないと思う。ぜひとも、この不幸な子供たちのために、よき制度をつくってほしい。住宅の問題もそうです。医療制度の問題だって、精薄児に対しての医療制度をもう少し考えていただき、あるいはまた運賃の問題もございます。私、昨日、高崎のコロニーに参りましたけれども、そこでも精薄の子供の係の人からそういう意見がございました。私は、こういう点を、なぜもっと厚生省が考えてくれないだろうということで、きょうは少し質問しようと思いましたが、強く要望しておきます。いずれ日をあらためて御質問をしたいと、こう思っております。 ただ、ここに言われておりますのは、日本では施設へ入れるとか、家庭にかくまっておくと言うと、おかしいんですけれども、そういうことで、結局、暗いやり方だと、ところが外国はそうじゃない。結局、身障者は、ハンディキャップを持っているだけ、そのハンディキャップをどう保障していくかということは国家社会の責任である。こういうことを言われている。こういうことをお考えいただきまして、ぜひ、よき対策を至急につくってほしいということを強く要求いたしておきます。 ただ、もう一つお願いしたいことは、いろいろな施設へ参りましても、身障者の施設へ行くと、そこで働いている従業員は心から愛情を持って子供たちに、あるいは身障者に対して接触しているんです。きのうも泣かされちゃったんです。職員がいくと、急いで抱きついていろいろやっているんですね。ところが、その職員の数が足りないから、働く職員の人たちの苦労というものも、ぜひ、真剣に考えていただきたい。非常にほかの施設と違って、心身障害者の施設へ参りますと、その職員とそこの対象者との態度が非常にあたたかい、真剣な態度、愛情を持って接触している。しかも、その人たちが、待遇が悪くって腰痛を起こすとか、いろんな病気になる。こういうふうなことも真剣に、厚生省では考えていただきまして、きょう、お話がございましたような点に真剣に取っくんでやっていただきたいということを強く要望いたしまして、時間がございませんので、私は、これで終わりたいと思います。 どうも皆さん、きょうは御苦労さまでございました。
○委員長(矢山有作君) 私は、ちょっと、一つお聞きしたいんですけれども、心身障害児・者の対策としては、原則的には一般社会の中で生活できるように、できるだけやっていくと、従来のように施設の中に収容するというのは、そのやり方としては、むしろおくれたやり方だと、こういうお話の中で、あわせて教育の問題については、やはり、できるだけ一般の施設、一般児の中で教育していくことがあるべき姿だと、こういうふうに私はお聞きしておったわけですが、どうも文部省の考え方は、この問のときもそうですが、きょうの考え方を見ておっても、どうも特殊学校だとか、養護学級だとか、そういう特殊な施設の中に入れていって教育するというのを原則的に考えておられるように私は受け取っておる。どうもそこのところがうまくかみ合っておらないようなので、その点について参考人のほうから御意見がありましたら、どなたでもけっこうですから、御指摘いただきたいと思う。
○参考人(黒木猛俊君) 申し上げます。社会から隔離して施設に入れること、あるいは養護学校に入れて教育するということ自体が身体障害児に対する差別なんです、これは。でき得る限り一般の社会に含めて教育をしてやる、これがほんとうのあたたかい親心であります。それから施設に入れるということ自体が、やはりいろんな面で知識的に劣ってくるわけであります。とうていそういう児童はおとなになっても社会復帰に非常な支障を来たします。で、親たちもやはり社会に置きたいという気持ちのほうが強いんです。ただ、自宅に置くというと、非常に手間がかかって経済的に負担が大きいからどうにもならないから施設に入れるという考えであります。実は私、昭和四十五年の七月にヨーロッパに行きまして、それから昨年も行ったんでありますが、フランスでは相当利己主義の発達した国であるから、施設が一ぱいあって重度の身体障害児・者等はことごとく施設に入れられているであろうということで、向こうのサンテチェンヌの市の社会局長に質問したんですけれども、見るべき施設がほとんどないというんです。なぜないかという質問に対して向こうの答弁は、必要はない、フランスの家庭においては、極力、自分のところに置きたいんだと、また、置いてそれを養育するだけのいわゆる公的な扶助がなされておるという回答がございました。全く日本の政府の考え方とは違うと思うんです。ですから、できる限りひとつ家庭において養育し、教育も一般の健全な子供とできる限り接触できるような教育をしていただきたい。そうすれば、おのずから学力の低下も防げると思うのであります。 それからいまの委員長のおことば以外、最後に一言だけお願いをしておきたいことは、それぞれの国の社会保障制度の水準というのは、国民所得に占める社会保障給付費の比率をさして言うようです。明らかに、日本はヨーロッパ先進諸国の三分の一以下であります。日本は六・三%であり、西ドイツ、イギリス等は実に一八%から一九%であります。明らかにこれほどおくれておるのに、ヨーロッパに比べて日本は経済的にも相当恵まれておる。たとえば生産労働者の平均賃金でありますけれども、一時間に対してデンマークは七百三十三円、日本は三百八十八・二円であります。まあだいぶ賃金差がありますけれども、デンマークでは重度障害者に対する障害福祉年金は十万円であります。日本は五万円であります。この違いを十分ひとつ先生方にはかみしめていただいて、なぜ、そういうふうに差があるのか。これは更生課長が私と一緒に去年ヨーロッパに行きまして、デンマークの担当者から聞かれました。ジャパンはどれだけ出しておるかという質問があって、顔が赤くなっちゃって答えられなかったんですから、ひとつ十分先生方はハッパをかけていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○参考人(仲野好雄君) 教育の問題で、養護学校の中に入れるのがよいか、特殊学級にして一般の子供となるべく早くから一緒にしたほうがいいかということは、これは私たちの長い間の悩みでございますが、それで外国の事例で、私、一昨年ソ連のモスクワで欠陥学研究所で議論したことと、昨年行って、ワシントンで日本からアメリカに十二年行っておられるアメリカの大学教授をしておられるところのおぼっちゃんを囲んで、向こうのいろいろのおえら方と親とが話し合った二つの事例を申し上げさしていただきたいと思います。時間があれでございますが、少しお許し願います。 ソ連のモスクワの欠陥学研究所では、ソ連では終戦直後においては特殊学級があったけれども、現在一つも特殊学級を設けぬで、全部補助学校と申しますか、養護学校でいっております。この点については私は向こうの研究所の次長とだいぶ議論をいたしました。そうしたら向こうのいわく、仲野さん、そんな精神薄弱児を特殊学級程度のちゃちなことで教育ができるものじゃないんだ。私の国では全部専門の学校に入れて、最初の四年間はみっちり体力、ど根性を養って、あとの四年間は専門の職業のベテランをつけて徹底的に職業訓練をして、そして卒業のときには国家試験をして一人も就職できない者はございません。そんな片手間仕事でできるようなものではない。そのかわり、養護学校にはすばらしい設備をし、りっぱな職員を配置しておられました。この考え方も一つだなと思います。 それから、十一年前にワシントンに行き、また昨年もう一回行ってみて、先ほど申し上げたように、国立精神衛生研究所の精薄部長と、それから特殊教育の担任と地区の育成会の会長さんと、それから田中夫妻、私あたりと交えて議論したところは、ワシントンでは特殊学校は民間がやっているだけで、公立はなくて全部一般の学校の中に特殊学級を設けております。そうしてどうでも、いわゆる特殊的に訓練教育しなきゃならぬときだけは特殊教育専門官がやるけれども、一般の行事のときはつとめて交流をはかっている。それで、しかもその特殊学級でも、スピーチセラピストも、いわゆるOT、PT、STという各種セラピストなり医師がちゃんと配置されております。すなわち医療の管理下において特殊学級でもやられておる。そういう場合において、しかも毎日一般の子供と授業を一緒にする。ただ運動会だけじゃなくて、そういうように交流をはかって、しかもりっぱな職員を配置してやっておるところにおいては、私はこのほうがいいじゃないかと。ですから、いま日本の特殊学級では実に、先ほど黒木参考人も申されましたとおり、退職前の方とか、校長先生が手に余る先生を特殊学級の担任にしておられるのが現状でございます。それで、しかも医療なんということは全然考えていない。ただ預かっているだけ。こういうところでは、しかも特殊学級と申しても実にひどいおんぼろなところだ。一方は鉄筋コンクリートのりっぱなところに一般の子供がおって、特殊学級は昔の古校舎の片すみに置かれているというようなところもまだ残っております。 そういうわけで、私は一がいには言えませんけれども、いずれにいたしましてもまず思想の問題、ものの考え方、こういう子供を差別しない、それで小さいときから一般の者と一緒にしたほうがいいと言っても、実際は日本ではいじめられます。養護学校に行った者はほんとうにしあわせです。それで、私たち、この子供たちの一番不幸は、ばかにされること、いじめられることでございます。差別されることでございます。差別のない養護学校のほうが、それでそこで十分の教育を施されたならば、日本の天地においては最も住みやすいところです。特殊学級ではいじめられると、そういうようないろいろな利害、長所がございますので、これは一がいには私自身今日においても、養護学校がいいとか、特殊学級がいいとか言わぬ、要するにそのお国柄であって、また子供の能力において。それで、現在日本なら、養護学校ならば教師もよけい配置し設備もよくして、そしてセラピストも置けると、特殊学級はそんなことは夢々考えられないのが現状でございます。 それで、先ほど委員長の御質問で、もう一つ私この機会につけ加えさせていただきたいことは、私ども養護学校は、いま文部省の課長が言われましたが、なかなか補助率を二分の一を三分の二にしてもつくりたがりません。これは知事及び財務部長が、なかなか県が動かないのです。そこで私たちは養護学校がなかなかできない。できても一校ぐらいだというならば、何とかして先ほど委員長の言われた重度学級というものを至るところにつくっていただけないものか。この重度専門の教師、そしてそれに医師も協力するというようにして、至るところにやっていただくとまた養護学校の不足を補い得るんじゃないか、そういうように考えておる次第でございます。 以上でございます。
○参考人(太宰博邦君) 簡単に申し上げます。 この間、中央心身障害者対策協議会でこの問題が議論になりまして、一部の方は、そういうお子さんを一般の子供と一緒に扱うということにいろいろ考えあるだろうが、教師の立場からすると非常にめんどうくさい面が出てくる。一人の子供の世話のために、ほかの何十人かの一般の健常な子供の教育が不十分になるということも考えてもらわにゃ困ると、また、そういう子供をそういうところに入れることによって一般の健常の子供からいじめられるというようなこともあり得るじゃないかというような議論が出ました。そのときに、文部省の出身の学者の方でございますけれども、いやちょっとこのごろ自分も考えを変えた、というのは、一人障害の子供を学校で一緒に一般の子供と教育しておりましたところが、外で何かあってみんながわあと飛び出していった。その子供が一人教室に取り残されておったところが、何人かの子供が、何ちゃんが教室に残っているよ、あれも連れていって見せてやらにゃかわいそうじゃないかということで、教室に戻ってその子供を一緒にみんながかついで連れていったと。あれを見て子供のほうがおとなよりもはるかにりっぱだと自分はしみじみ思ったというようなことも言っておられました。 この問題は結局どちらかという問題ではなくて、やはりそのお子さんの症状の程度というものとかみ合わせて考えるべき問題でございまして、ある段階になりますれば、やはりそういうことは無理だという段階もあると存じますが、私が一番心配いたしますのは、ともかくそういうお子さんは、ちょっとでもめんどうな者は引き受けないでそこへ追いやるということがもしびまんしてまいりますると、これはたいへんなことだろう。こういうことをしてできるだけ一般の子供の中でそういうものをやっていくということは、その子供のためにもまた一般のお子さんのためにもそれはなるんじゃないか、こういうことを考えておる次第であります。
○参考人(仲野好雄君) ちょっと関連して。ことばが足りませんでした。誤解があるといけませんから……。 私が申し上げたのはあくまで精神薄弱児の問題でございます。頭がよくて身体が不自由な方とはちょっと違うようでございます。私は、精神薄弱の者はどうも一般の子供と、いわゆるノーマライゼーションといいますが、平常化したいですけれども、日本の現状ではいじめられているということの意味でソ連とアメリカを比較したわけでございます。 以上でございます。
○委員長(矢山有作君) ありがとうございました。 この問題については文部省もひとつ検討しててもらいたいと思うんです。やはり心身障害児・者対策としては、教育のあり方というのは私は一番根本的な問題で重要だと思いますから、それに対する文部省の考え方が旧態依然として、あくまでも差別的な立場に立って教育を進めていこうというんではこれは話にならぬわけです。したがって、この問題はまた機会を持ってわれわれのほうも文部大臣以下出ていただいて、質疑をさしていただきたいと思いますが、きょうは時間の都合がありますからこれで終わります。 他に御発言もなければ、本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。 本日は長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに重ねて厚くお礼を申し上げます。 〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕 —————————————
○理事(大橋和孝君) それでは、午前中に引き続き、厚生行政の基本施策について調査を進めます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○藤原道子君 時間もございませんので、端的に質問したいと思いますから、簡潔な御答弁をお願いいたしたい。 私は、保育所の問題ですけれども、無認可保育所に対して厚生省はどういう態度をおとりになるか。非常に無認可保育所にいろいろ問題が起こるし、どの程度無認可保育所があるのか。保育所対策についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(穴山徳夫君) 現在、無認可保育所は、私どの調査では約二千四百ございまして、それに収容されている児童が約十一万三千人ぐらいというように推定いたしております。で、この無認可保育所が起きてまいります原因は、一つは、と申しますか一番大きな原因は、まだまだ保育所が足りないということでございますので、御承知のように、五カ年計画でもって現在保育所の整備をはかっているわけでございます。いろいろ施設がございますけれども、現在のところでは、保育所の整備が一番進捗状況がいいわけでございます。それでもなお足りないというのが実情でございまして、できるだけ早くたくさんにしたいと思いますけれども、いま五カ年計画の今度三年目に入るわけでございまして、そういったようなことで、無認可保育所というものをなくすためには、まず、何といっても保育所を整備して数をふやしていくと、これが何といっても基本的な問題でございます。それから、それと同時に、無認可保育所の問題でよく問題になりますのは、一つは、現在保育所というものが原則として六十人以上ということになっておりまして、それで僻地とか過密地なんかでは小規模保育所という制度を最近はとりまして、それを大体三十人ぐらいまでの規模に下げているわけでございます。ところが、過疎地域あるいは過密地域の実態を考えますと、三十人のところをもう少し下げて、小規模の保育所というものを拡充してもらいたいというような要望がございまして、確かにそういう面もございますので、四十八年度におきましては、従来の三十人という線をさらに緩和をするということを考えまして、それで、いわゆる過密地域あたりの認可保育所というものをそれによってカバーすると、ふやしていくということで対処していきたいということが第二点でございます。 それから第三点は、いわゆる乳児の問題があるわけでございまして、やはり、無認可保育所でいま一番問題になっているのは乳児の問題でございます。したがって、従来は、乳児の特別対策として、一定の条件があり設備があるところには乳児の特別対策としてのめんどうを見ていたわけでありますけれども、それが従来は、四十七年度は八百人というようなものだったわけでございます。今度、これを千八百人までにふやしまして、したがって、その乳児特別対策というものを拡充するということを現在考えておるわけでございます。なお、この乳児の問題は、千八百ぐらいではまだまだ十分だとは私ども思っておりませんで、やはり、乳児というのは、本来であれば母親のところで育てられるのが一番幸福かもしれませんけれども、そうも言えないというようなところもあり、まただんだんふえつつもありますので、この乳児保育の対象というのはこれからもさらに拡充していかなければならないというように考えておりまして、そういったようなことを総合して、無認可保育所の対策を考えていきたいというように考えております。
○藤原道子君 私は前々から言っているんですけれども、いま、勤労婦人が保育所へ子供をどうしても預けるようになる。ところが保育所は五時までですね。そうすると、おつとめのほうは五時までとしても、帰らなきゃならぬでしょう。ですから、あるいは時間延長もあるしするから、保育所が終わるとさらにほかへ預けるような傾向が強いのです。そうするとこれも無認可になる。で、私は、できるならば保育所の時間を少し延長することはどうだろう。これは私の長年の主張なんです。それで、出勤を少しおくれて出る人に延長時間までやってもらうというようなことにしなければ勤労婦人が安心して働けないんですよ。こういうことはどうでしょう。これを一つ……。 〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕 それからいまの乳児保育でございますけれども、厚生省のほうでは、生まれてどのくらい、九十日くらいからかな。ところが産後の休暇というものもありますね。そうすると、六週間とすれば6×7が42だから四十二日しかお休みがないわけです。それから八週間としても足りない。それで、この乳児保育所が一般の婦人から非常に要望されているので、これに対して、厚生省の乳児保育所というのは公のは少ないんでしょう。わずかです。民間のほうが一生懸命やっている。民間では産後休暇があるというようなところもだんだんできておるんですが、これに対して一体どう思いますか。
○政府委員(穴山徳夫君) 第一点の問題でございますが、確かに現在は通勤時間なんかでも長くなっておりますから、預けて取りに——取りにと言っちゃおかしいのですけれども、迎えにいく時間もおくれるということがございます。で、現在でもやはり早番、おそ番の制度をつくりまして、おそ番の人は出勤をおそくして、そのかわり帰りをおそくする、したがっておそく迎えにきたおかあさんに待っていて渡すというようなこともやっているわけであります。まあしかし、人によって非常におそくなるというような場合もあるかもしれませんけれども、現在でも運用としては、早番、おそ番というような制度を取り入れさせたりして、その問題はできるだけ解決しようというように考えているわけでございますけれども、まあ、まだおっしゃるように、いわゆる二重保育というようなことをやらざるを得ないような人もいるようでございます。で、まあ、いわゆるそういった長時間保育的な問題についてはじゃどう考えたらいいかというようなことにつきましては、現在中央児童福祉審議会の保育部会のほうでも一つの問題として取り上げているわけでございまして、私どももそういった実態に即するようにするにはどうしたらいいかということをもう少し研究さしていただきたいというように考えております。 それから第二点の乳児の問題でございますが、まあ、確かに私どもはできれば首のすわる三カ月以降ぐらいが一番子どものためにもいいわけでございますけれども、なかなかそうもいかないというような人もあるのは事実のようでございます。したがって、私どもは三カ月以内は絶対いかぬ、絶対にいけないというようには指導していないわけでありまして、できるだけ三カ月後が望ましいというような指導をしているわけでございます。したがって、現実に三カ月以内の乳児も預かっている保育所もありますけれども、実際に非常に手がかかったりなんかしてなかなか預かるのを断わるというようなところもあるようでございます。したがって、乳児保育という問題には、子供のためと申しますか、いわゆる首のすわる後が一番いいんだけれども、それ以前にも預けざるを得ないという、理屈と現実の問題があるわけでございまして、まあそういったような問題ももし解決するならばどうしたらいいかということは、いまの長時間保育の問題と同様に乳児保育というものをこれからどう考えていったらいいかということにつきまして、そういったいわゆる保育のいろいろな現代的な問題というものがあらわれてきておりますので、そういったような問題も含めて中央児童福祉審議会の部会でもって審議をしていただいているわけでありまして、したがって、そういうことで長時間保育の問題あるいは乳児保育の問題というものももう一ぺん検討してみて、さらに発展させるものは発展させるというように考えたいと思っております。
○藤原道子君 どのぐらい時間の延長をしている保育所があるか、全部そうなっているかということを一つ。 それからもう一つは、三カ月以後預けるのが理想的だというお考えですけれども、それなら産後休暇を延ばしてもらわなければ困るですよね、ここにも問題がある。ですから、われわれはいま産後の休暇を八週間ということに改めていこうとして努力しているんですけれども、八週間にしたところで足りませんよね、まだ。二カ月足りない、二カ月にもならない、その間の赤ちゃんは一体どうするのか。これは実際いま婦人の健康ということは非常に大事なことなんです。私がこんなこと言ったってだめと思いますけれども、中国へ参りましたら、妊娠いたしますと工場で妊娠食が出るのです、栄養とるために。妊娠五カ月から妊娠食が出る。勤務時間も六時間。八時間のうちの二時間、賃金カットなしに休暇が与えられる。それで、産後休暇が終わって出るときには工場の中、あるいは学校、病院すべてに保育所がある。それで保育所に預けて働く。同時に、育児時間が二時間、これまた賃金カットなしで与えられているのですね。というふうになれば、安心して働けるし、健康も安心だと思う。ところが日本の場合は、乳幼児の保育ということは通ったけれども、結局、産後の休暇は六週間のところが多いのですね。そうすると、この間の赤ちゃんは一体どうする。それで言えば、会社は早く首を切りたい、赤ちゃんできたらやめろ。それでその人を臨時雇用というようなことで安い賃金で働かせようと、こういうようなことが多いのです。こういうことでは働く女性の保護にはならないし、健康の管理にもならない。だから、この乳児保育の問題と、それから時間延長の問題は真剣に考えてほしいと思うのです。私はもっと突っ込んでやりたいんですが、時間が——時間ばっかり気にするね、きょうは。 そこで、この保育所の問題。保母さんがいま充実していますか、保母さんの存在はどうですか、それちょっと聞かしてください。
○政府委員(穴山徳夫君) 現在保育所には約八万人ぐらい保母がいるわけでございまして、保育所については、これは中には無資格の者もおりますけれども、大体数はそろっているというように私どもは判断しているわけでございます。
○藤原道子君 私は、保母さんの産前産後の休暇のときに、補助保母さんというんですか、そういうことはちゃんとなっているんですか、どうなんですか。
○政府委員(穴山徳夫君) お産のときには、産休代替職員という制度と申しますか、予算上の問題でございますが、を取り入れて現在おりまして、登録していると申しますか、パートタイマーその他で登録していただいて、お産ですと大体わかりますので、そういうときにはお願いするというようなことを取り入れております。
○藤原道子君 それが実行されているかどうか調査してください。保育所というのは非常に大事な問題でございますから、ぜひ真剣に取り組んでいただいて、乳児保育とそれから産前産後の休暇あるいはそれの代替要員ですか、こういうことを真剣に実行されているかどうかを、法律はできたってそれが実行されているかどうかということは非常に大切な問題ですから、それをぜひ調査していただきたい。そうして保育所で乳児の悲劇が起こるようなことをぜひ早く改めたいと思うのが私の念願です。 そこで次にお伺いしたいのは、保健所の現状についてお伺いしたい。保健所の医者とかあるいは看護婦とか要員ですね、それの充実はどうなっているか。実はいま保健所はだんだんに使命が拡充されているときですね。ところが今度の大臣のこれの中には保健所対策は出ていない。それもいいけれども、医者が非常に不足しているということを聞いている。保健所が非常に大事な使命をあずかっているにもかかわらず、その中心となるべき医者が足りない。これでほんとうの使命が達成されるかどうか、これに対して厚生省はどういう対策を立てているのか、この点についてお伺いしたい。
○政府委員(加倉井駿一君) 保健所におきます職員の充足の状況でございますが、一応私どもが各保健所におきます定数というものを定めております。その定数に対します現員の充足状況を申し上げますと、医師、歯科医師が四一・三%でございます。薬剤師、獣医師、栄養士をまとめまして、この職分が七二・七%でございます。それから、保健婦、助産婦、看護婦、このグループが八七・九%でございます。事務職員その他、これが七七・七%でございまして、御指摘のように医師のグループに非常に不足している現状があらわれております。ただ、この原因といたしまして、一般的にわが国におきます医師が慢性的な不足の状況にあるということと、特に医科大学、現在の医科大学におきます医師の養成過程におきまして臨床教育が主体でございまして、私どもの公衆衛生関係に興味を持つ学生というものが非常に少ない実情にあることも、その一つの原因であろうかと思います。 また、第三の点といたしまして、給与の面で一般の開業医に比べまして保健所勤務の医師が劣っているというようなことが原因としてあげられるというふうに考えられます。まあ、しかしながら、このため給与の改善につきまして、あるいは調査研究手当の支給というような形をとりまして、それをカバーいたす対策もとっておりますし、大学と保健所の連携の強化をはかるために、大学等に研究費を差し上げまして、公衆衛生関係の学生の興味を助長するというような方策もとっております。また、公衆衛生就学資金の貸与等もいたしておりまして、いろいろ対策はとっておりますけれども、まあ先ほど申し上げましたような、現在の医学教育全体におきまして臨床偏重というような傾向もございまして、なかなか公衆衛生関係に対する興味を持つ学生の確保と申しますか、保健所の医師として勤務してくれる者の数が絶対的に少ないというのが現状でございます。まあ、しかしながら、こういうことではいけないということで、私どもといたしましてはやはり保健所における医師の業務というものにつきまして、臨床と同じようにやはり医師として興味を抱いていただく必要があろうかということで、いろいろその面につきまして今後検討を加え、早急に、できるだけ早く私どもは公衆衛生、特に保健所に勤務してくれる医師の確保をはかりたい、かように考えております。
○藤原道子君 私、この前質問したときにはお医者さんが四七%だというので、これからどんどん努力しますという答弁を聞いていた。ところがいま四一・三%、一体これで保健所の使命は達成されるんですか。いま公衆衛生が非常に大事なときに、私はこういう状態では許せないと思うんです。一体大臣どうしますか。 それから、助産婦、看護婦は幾らですって。
○政府委員(加倉井駿一君) 助産婦、保健婦、看護婦を引っくるめまして八七・九%でございまして、そのうち助産婦が幾らかという数字につきましては、ちょっと手元に資料がございませんのでお答えいたしかねます。
○藤原道子君 大臣、保健所の医者が四一%ということが許せますか。この前、二、三年前だったかな、質問したときが四七%。これじゃだめじゃないかと言ったら、努力いたしますという答弁だったね。それから、きょう資料忘れたんですけれども、助産婦ですね、これなんかでもいま五十五歳以上のが五四%くらいね。そうすると、将来非常に困るというのが産院の産科のお医者さんの話でございます。こういうふうに公衆衛生が何だということを、人命尊重だなどということをしきりに言っておりながら、保健所に医者が四一%なんということを、困るなあ。まあ、医学の方面で公衆衛生にあまり興味を持たない、臨床のほうへ努力をしているというようなことを知りながら、そのままにいくって手はないですね。これは文部省との交渉等もあったでしょうが、ひとつ大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 実は、この保健所の医師の不足については、ほんとうに頭を悩ましておる非常に大きな問題でございます。お述べになりましたように、食品衛生、あるいは環境、公害の問題、その他、公衆衛生の仕事というものは非常に重要性を増している、こういう際に保健所のお医者さんの充足がさっぱりできない。実はほんとうに私も頭を悩ましております。結局、それにはいろいろ理由はあると思うのです。まあ、大学教育において臨床に関心が多く、公衆衛生にあんまり関心がない。それから、やっぱり開業医のほうに魅力があるというふうなこともございましょう。私は医師の絶対数から言うと、大体西欧先進諸国にそう数から言うて少ない、そんなに劣っているわけでもないんです。しかも、最近における文部省の医科大学の増設計画等から言いますと、相当な数になるわけでございます。そうした中で、実は保健所のお医者さんが足りない。しかも、その保健所のお医者さんばかりじゃないんです。医療行政をやる、ここに医務局長もおりますが、厚生省の中のお医者さんもこれたいへんなんです。厚生省のお医者さんも。そこで、これはどういうことなんだろうということを、私もほんとうに頭を悩ましておりますが、やっぱり根本は待遇の改善じゃないかと、私は根本はそう思うのです、待遇の改善。特に、これはお尋ねの点は保健所のお尋ねでございますが、私も大臣として厚生省の中のお医者さんが足りないというので頭が痛いのです。それは地方の衛生部長さんはお医者さんでございますね。それは行政職なんです、ほんとう言いますと。医療職の俸給を出しているんですね。厚生省の本省の役人で入ってきますと、行政職ですから三分の一くらい俸給が減っちゃうんです。地方の部長から本省の課長さんになってくれと言ったって来たがりませんね、なかなか。待遇が三分の一減るというんですから。こんなわけで、実は近く人事院総裁にお目にかかりましてね、看護婦の待遇改善と相並んで私は一番言いたい問題はこれなんです。ですから、やっぱりこれは思い切ったことをやってもらいませんといかぬのじゃないか。こういうふうに考えております。したがって、待遇改善には保健所のお医者さんばかりじゃありません。厚生省のお医者さんの確保の上から言っても、医療行政の中心の厚生省にお医者さんがいないなんていったんじゃ、これはたいへんなことですから、この待遇改善には人事院総裁、思い切って給与の改善をやってもらうように、お願いに近く行くつもりでございます。 それと同時に、やっぱり医学教育の中においても、臨床は大事です。臨床がなければたいへんなことですから、臨床に一生懸命やっていただくのも大事でございますが、これからの日本の医療の上から言って、公衆衛生が非常に大事だということを十分文部省のほうにも認識していただいて、そういう方面に教育においても力を入れていただくように、さらにまた、私どものほうでも保健所に対する公衆衛生のための研修補助金のようなものを出すとか、やっぱり根本は待遇改善以外にないんじゃないか。ひとつ全力を尽くしてやりたいと考えておりますから、きょう現在はおしかりいただきましても平身低頭するばかりでございますが、今後は前向きに努力はいたします。きょうの現在言われたら、これは一言も頭上げられません。今後は大いにそういうことで努力をいたしたいという決意だけ申し上げることにいたします。
○藤原道子君 あなたをいじめたってしょうがないけども、こういうときに大臣になったから苦しいだろうけれども、国立病院その他の医者の待遇だって問題があると思うのですね。こういうことを真剣に考えていただきたい。ことに保健所というものは役割りがだんだんふえているのです。そういうところに医者がいないなんていうんじゃとても困っちゃいますから、ひとつ努力をしていただきたいと思います。 ということになると、この婦人の健康診断ですね、妊産婦死亡率は世界の三倍から四倍なんですね。世界では婦人の健康診断をずうっと平素からやっている。日本はそれがない。それから妊娠して、間で健康診断してもらおうと思っても、おつとめしていると時間の制約があることをやかましく言いまして思うようにできない、大蔵省その他ではこれを認めましたけれども。こういうことも真剣に考えてもらいたい。この間、あなたの衆議院の答弁をちょっと私も聞いたんですけれども、妊産婦の死亡が世界一だ、こういうことに対して対策を云々ということでございましたが、ここでもう一度はっきりこの問題を御説明願いたい。それでまあ心身障害児の出産等に対しましても、やはり全然関係がないとは言い切れない。したがいまして、妊産婦だけでなく、婦人の平素の健康診断も必要だ。早くに、何といいますか、診察したらもうすでに子宮ガンになっていたなんというのが発見されているんですよ、外国では。したがって、非常に婦人の健康診断に重点が置かれておりますが、日本では今後どういうふうにしておいでになりますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げますが、御承知のように、工場に働いておられる方々は、基準法によって健康診断というものを厳重にやっております。それから妊婦につきましては、いままで所得の多い方については、そういう無料の制度がなかったんですが、四十八年度の予算で無料の検診を年二回やるというふうにしたわけでございますが、一般の家庭の主婦については、いままでそういうことをやる制度がないわけでございます。農村地帯におきましては、子宮ガンとか、その他そういうふうなことをできるだけやるようにいたしておりますが、体系的にやっぱり家庭の主婦についての健康診断というものをやる仕組みができてないんです。これは私はほんとうに世の主婦の方に申しわけないと思うんです。しかし、まあ私はこれは冗談みたいに申し上げたわけではないんですが、世の男性たるものは、自分の奥さんのからだを大事にするくらいのことは本気になってやってもらいたいということを申し上げたんですが、それだけではやっぱり済みません。やっぱり国の制度として何かやる方法ないだろうか。で、私は実は考えまして、これはまだ法律も来ないうちから申し上げるとしかられるかもしれませんが、健康保険法の今度の改正を通していただきますれば、今度の法律の改正と関連しまして、福利施設を大規模にやろうという考えを実は持っているんです、福利施設を。そういうようなことで、何も法律を条件にするなんというけちな考えで言うんじゃございませんが、地方における包括的な医療体制を確立する、そして医師会の御協力をいただいて、保健所を頂点として、そしてもろもろの医療施設の御協力をいただいて、定期的に年二回なら二回、三回なら三回、まあ一回きりやれぬところもあるかもしれませんが、そういうところをひとつ奥さん方の健康診断をやりまして、やっぱり早期に病気を見つけると、そして早く直すというふうな体制をひとつ必ずやりたい、こういうふうに考えております。したがいまして、私としてはあの法律が通りましたその機会に、ひとつ本年度からできるところから始めまして、来年度じゅうにはこの体制を全国的に確立していくと、こういうふうにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
○藤原道子君 健康保険の問題は、健康保険のときやる。健康保険ができなければ、妊産婦の状態、このままでほっておいていいの。そんなばかなことないでしょう。
○国務大臣(齋藤邦吉君) いや、そう言っているのじゃない。(笑声)
○藤原道子君 私は、きょうは廃棄物の増大だとか、中性洗剤だとか、いろいろ伺う予定でしたが、これはあとに回すといたしまして、最後にお伺いしたいのは、二十五日の新聞に、「「森永」「カネミ」患者に基金企業負担で」ということが大臣の発表で出ておりますが、これどういうことでございますか。
○政府委員(浦田純一君) 藤原先生のお尋ねは、食品事故にかかる被害者救済についてどのように考えているかという趣旨のお尋ねだと思いますが、三月の二十五日の毎日新聞の記事に、「「食品公害」救済を制度化」という見出しで、厚生大臣の顔写真が載っておりまして、いろいろと記事が出ておるわけでございますが、私どもはかねてから大臣の御指示によりまして、食品事故による健康被害がすみやかに救済される措置を講ずる必要があるということで、その具体的な検討を命ぜられております。現在の段階では、各方面からの専門家をもちまして構成する食品事故による被害者の救済制度化の研究会を設置いたしております。それから省内にプロジェクトチームを組みまして、いろいろと検討にかかっておるところでございます。その中で、やはり最も問題として考えられますものは、補償のシステムの形態であろうかと思います。たとえば賠償責任の保険方式とかあるいは補償の基金方式または両者の組み合わせ、あるいは場合によっては特別立法をいたしまして、そういった救済制度、たとえば公害の健康被害者の救済制度、準じたような制度をつくる、こういったようなことが問題になろうかと思います。その中で、具体的に一つカネミあるいは森永の被害者の救済をどのようにこの制度との関連を考えていくかということが検討事項としてあげられているわけでございます。そういったことで、私どもは今年じゅうにこの結論を出して来年度から何とか新しい制度が発足するように、この救済の制度が発足するように努力いたしたいと考えておるところでございます。
○藤原道子君 私は、いつも厚生省はうまく答弁するけれども、三十七年の二月二十七日の委員会で、中性洗剤のことを取り上げたときにも、まあいろいろ問題がある。それからこの森永の問題でも、ずいぶん長い問題なんです。生まれたお子さんが十八歳、十九歳です。もう縁談を迎えているんですよ。にもかかわらず、いまの態度はこれでいいのかと、で、この森永問題に対しては、私もしばしば委員会で主張してまいりましたが、国に責任があると思う、最初の出発点は。したがって、国が責任を持ってこの解決に取っ組むべきだ。こんな苦しい長い問の苦労を十八年も十九年もずっと耐えてきた親御さんの気持ちと同時に子供の現状を考えると、私は絶対に早く解決しなければいけない、こう思うんです。それで、森永問題で、今度裁判が起こっていますね。これには国も被告になっておりますが、これは認めているわけですね。このままにしておけばよろしいんですか。裁判で争うんですか。それともこれの解決を早くするためには、——まあ家庭争議がとても起こってんですよ。おかあさんが私に毒を飲ましたから、だから私はこういうふうになったというので家庭がもめている。私は岡山でございますから、いろいろそういう意見も聞くわけなんです。私はこういう事件が十八年も放置されたということはけしからぬと思う。したがって、国の責任となってどういうふうな解決をしておいでになるか、これを聞きたい。と同時に、私は「守る会」でもずいぶん苦労していらっしゃると思う。それは中には若干の意見の相違もあるかもわからない。けれども、早く解決したい。親の苦労、子供の将来、現状、これを早く解決したいという気持ちはもう胸が痛くなるくらい皆さん真剣にやっていらっしゃる。したがって私は、守る会、森永乳業そして国が解決のために一度話し合いを進めてみたらどうだろうかと、こういうふうに思うんです。責任のがれはやめてください。私は親の苦しみ、子供の苦しみ、そして日本の最近に起こるあらゆる薬事公害ですか、こういうもの等を考えると、やはり国に責任なしとは言えないと思うんですが、これに対して大臣のお考えを伺わしてほしい。
○国務大臣(齋藤邦吉君) こうした事例に対する救済制度につきましては、いま局長から申し上げましたように、本年度じゅうにこうした事例に対する制度の問題につきましては、先ほど局長からお答えいたしましたように、来年の通常国会に出せるように準備をいたしたいと考えておりますが、それはそれとして、お尋ねの森永の問題につきましては、ほんとうに二十年に近い長い問題でございます。私は心情から言うて、一日も早く両方とも胸襟を開いて話し合って、一日も早く解決してあげることが私は一番望ましいと考えておりました。そしてまた、そういう意味において、ある一定の時期がくれば私も中に入って、あっせんの労をとることをいとわないということをこの委員会でも藤原委員のお尋ねでございましたか、たしか二月ころでございましたかお答えを申し上げたことを私は覚ております。したがって、いまでも私は問題は子供さんのしあわせでなけりゃなりません。ですから、お互いに胸襟を開いて、そしてこの問題を一日も早く解決しなければならない。この気持ちはいまでも変わっておりません。しかし、御承知のように、四月の初めでございますか、訴訟になったわけでございます。そうした事態において、いま私が何やかやと申し上げることがこの事態の解決に有利かどうか、円満に進むかどうか、もう少し私は事態をもうしばらく見ながら考えることが必要ではないか、いま何もいろんなことを言わないほうがむしろちょっといいんではないか、もうちょっと事態を見ながら、事態の推移を見ながら適当な機会があれば、私はこの問題の解決のために、私が訴えられているのか法務大臣が訴えられているのか知りませんが、国が訴えられていることは事実なんですから、ですからもう少し事態の推移を見ながら解決のために私は全力を尽くしたい、こう考えております。しかし、いますぐ乗り出していかがでございますかということは、もうちょっと時をかせがなければならぬのじゃないかというふうに考えております。私はほんとうに二十年もたって、この子供さんがかわいそうです、何とかしてあげなければならぬと思うのです。それには「守る会」のほうも会社のほうも、ほんとうに胸襟開いて子供のしあわせのために話し合いをして、一日も早く解決してあげなければならない。その気持ちはいまも一つも変わっていないということを率直に申し上げておきます。しかし、さればといって、いますぐおまえは何か動くのか、これについてはもうしばらく事態の推移を見さしていただきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
○藤原道子君 私はね、この問題とはずいぶん長く取っ組んできているんです。私はいよいよ来年やめますからね。何とか議員であるうちに責任を持って早く解決してほしいと念願しております。私はこの問題を、きょうもう長く言う必要ございません。とにかくいずれにいたしましても、お互いに胸襟を開いて子供のしあわせのために、将来性を守るために、ぜひともよき解決ができるようにお考えを願いたい。私はきょうは薬事公害とか、あるいは千葉の問題ですね、それも取り上げようと思ったんですが、これはまた後日に譲るといたしまして、お願いしたいことは、不幸な人たちのためによりよき解決ができるようにお考えを願い、局長にも、ぜひ大臣と御相談していただきたい。サリドマイドの問題にしてもそうです。やっぱり言いたいことは山ほどあるけれども、何とか、裁判になっておりますけれども、諸外国の裁判だって、裁判の過程で全部解決しているんですね。裁判の過程で解決しているんです。あの問題だって、外国でだめだとみんな回収されたときに、私は日本でも回収してくれと言ったら、研究中でございますから結論が出てからにいたしますと言うから、結論が出るまで一時ストップしたらどうだ、白と出たら売ってもいいが黒と出たら廃棄する、一時ストップしてほしいと、私は厚生省へ頭を下げた。だけどだめだった。だから諸外国では三十七年度はほとんど出ていない。日本では最高なんですよ、三十七年度が。ですから厚生省の態度いかんで、やっぱり相当社会の状態が変わると思う。私はぜひ、諸外国全部解決をした問題でございますから、サリドマイドも早く解決してほしいと念願いたします。とにかくいろいろ最近は薬公害だ、やあ何だと起こっていますので、厚生省の責任は重大だと思う。もしサリドマイドのときに厚生省が決然とした態度をとって、一時ストップしてくれたら、いまの悲劇は半分以下で済んだと思う。こういうこともございますので、どうか一日も早く、森永問題あるいはサリドマイドの問題も解決できますように心から念願いたしまして、きょうは私の質問はこれで終わりたいと思います。
○小平芳平君 大臣の所信表明について何点か質問したい点がありますが、いよいよ時間もぎりぎりですので、一点だけきょうは質問いたしましてあとは次回に譲りたいと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。 その一点といいますのは、いまもちょっとお話の出ました医薬品の被害者に対する救済制度についてであります。で、昨年の八月二十九日の当委員会で、松下局長から答弁がありまして、この医薬品の被害者救済制度については、局長は医薬品には副作用があるということを前提にしていろいろ研究をしているということを述べられました。大臣の所信表明には、医薬品の安全性、有効性ということを大臣は述べておられます。で、一般国民の側に立って考えた場合は、薬というものは安全性、有効性というものをまっ先に考えるわけです。しかし、そこに副作用があって、私も当委員会で何回か取り上げたコラルジルによる肝臓の障害とか、これは国もその原因はコラルジルだということを認めておられる。あるいはストマイによる難聴——聴力障害、これも認めておられる、原因は。しかし、そういう現実に被害者がたいへんな苦しい悩みの中に、この副作用のゆえに落とされているという事実、この事実からして、局長も、あるいは当時の厚生大臣も、調査費を四十八年度予算で要求し、制度を立てようということで答弁なさったものと考えておりますが、この点についてどのように進まれたか、現段階でどういうふうになっているか、それをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(松下廉蔵君) 医薬品の安全性及び万一副作用で被害者が生じた場合の救済制度、その後どうなっておるかというお尋ねでございます。 安全性対策といたしましては、これは何べんも大臣からも御答弁申し上げておりますように、この前もお答えいたしましたが、医薬品は他の物資の安全性の問題と違いまして、医薬品の効能と安全性、副作用という問題のバランスをとって、できるだけ安全性を高めながら効能も同時に発揮していくということが医薬品の特殊性からしてやむを得ざる制約になるわけでございます。そういうような意味におきまして、まず被害ができるだけ起こらないように極度に安全性を高めるという施策が必要かと存じます。そういう意味におきましては、まず医薬品の承認許可にあたりましての審査の厳格化ということで、これは四十二年の十月から基本方針を定めまして、それ以前にも増して、特に急性、亜急性、慢性あるいは催奇形性等の特殊薬品に至りますまで厳格な試験、検査を行なうという方針をとっております。またさらに、新規の医薬品につきましては、承認後三カ年間の副作用の報告義務を、これは法律に基づきます条件といたしまして当該メーカーに課しまして、この医薬品については特に副作用を最大漏らさず報告してもらうというたてまえをとっております。それから、その他の医薬品一般の副作用につきましても、国内にも国公立の病院あるいは大学病院にお願いして、副作用モニター制度をとりまして、医薬品の副作用については全部報告をしていただく、あるいは昨年の四月からWHOの副作用の報告制度に、世界的なネットワークに加盟いたしまして、こちらからもちろん報告をいたしますが、各国の副作用の状況を知らせてもらうと、そういうようなことによりまして、できるだけ副作用を早期に把握いたしまして、害を最小限度に防ぐという措置をとっております。 また、いま申し上げました四十二年十月以前、現在ほど厳格な審査が行なわれていなかったと申しますか、多小そういううらみのありますようなそれ以前の医薬品四万品目、これは審査が厳格でなかったと申しますよりも、その後の科学、医学、薬学の進歩によりまして、効能なり安全性の考え方が変わり、さらに厳密に評価されるに至っておるものがあるわけでございまするので、四十六年度から五十年度までの五カ年計画をもちまして、この効能及び安全性の再評価を進めております。で、そういったようなことを進めますために、先日大臣から閣議でも御発言があったわけでございますが、検査、試験のための組織、こういう国内の体制を急速に整備しなければならないということで、これは食品等の問題も含めまして、現在省内でも検討を進めております。そういったような……
○小平芳平君 救済制度。
○政府委員(松下廉蔵君) そういったような方法によりまして、できるだけ安全性を高めるということをまず努力しておる次第でございますが、先生御指摘のように、やはり残念ながら副作用による被害者は若干はどうしても今後とも考えられる。また、現在そういう副作用で悩んでおられる方がおられるということはいなめない事実でございまして、昨年も申し上げましたように、すでに局内で、若干の先生方にお願いをいたしまして、法律的な問題点につきまして、いままで詰めて整理をしてまいりましたところでございますが、本年度におきましては、さらに法律関係のほかに、医学、薬学等の専門家、あるいは広く社会的な見地に立って、こういう制度をいかに運用することが適当であるかというような学識経験を持つ方を委嘱いたしまして研究会を進めまして、できるだけ早く結論を得て公的な制度としてこれを進めていくと、そういうことによりまして、不幸にしてそういう被害を受けた方に対しましても救済の手を差し伸べるとういことを目途といたしまして、いま極力成案を急いでおる段階でございます。
○小平芳平君 それは局長、当然のことであって、安全性の点検をする、有効性の点検をする、当然のことであって、それでまた局長が副作用による被害者も若干はあると、まあどういう発言なさったか、そういう受けとめ方が一番間違いじゃないですか。たとえ一人でも二人でも、国が許可承認ですか、認可……
○政府委員(松下廉蔵君) 許可でございます。
○小平芳平君 国が許可承認ですか、国が許可承認して、市販されている薬、その薬が原因で障害が起きる。それは医学的にも、あるいは厚生省の薬務行政の上からいっても、明らかにコラルジルもストマイもはっきりしているわけでしょう、原因が。そういう人が若干いるとか、そういう受けとめ方が一番間違いじゃないですか。本人にとってみたらどうですか、本人にとってみたら。あるいは御家族にとってみたらどうですか。若干は被害者が出ているんだと、それは若干だからというようなことでいかれては、私は一番そこに間違いがあるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(松下廉蔵君) どうも御説明が不十分であったかと思います。 私が被害者について若干ということを申し上げましたのは、まず前提といたしまして、薬務行政あるいは厚生行政全般の姿勢としては極力そういった被害者の方が出ないことを今後努力しなければならないということを前提として申し上げましたので、ただ医薬品の特殊性といたしまして、いかに現在わかっておる科学を最高度に駆使してそういう安全性をはかりましても、なお医薬品の未知の副作用ということが従来の経験によりましても、あるいは学者の御意見によりましても、今後とも完全に防止するということは困難な問題がある。あるいは非常に大きな効能で代替の医薬品がないために、若干の副作用をできるだけ押えながらも、ある程度は甘受して使わなければならない場合もある。そういうような意味におきましては、いかに安全性の努力を進めましても、被害者がいまより少なくはなっても皆無にはできないという意味で若干ということばを使ったわけでございまして、被害を受けられた方につきまして、やむを得ないとか、あるいは数が少ないからまあほどほどに考えるとか、決してさような意味で申し上げたのではございませんので、その辺はひとつ、もしことばが不十分でございましたらお許しをいただきたいと思います。おっしゃるように、たとえ一人でありましても、そういう方は、やはり国の姿勢といたしまして、できるだけ早く救済制度をつくり、その対象として考えるという点においては、全く間違いなくそういう方向で考えておる次第でございますので、補足さしていただきます。
○小平芳平君 その場合、たとえ一人でも二人でも、特にストマイとか——ストマイの場合なんかわかっていたわけですよ、初めからこういう副作用があるということは。しかし、必ずしも——ちょっと医務局長に答弁してもらう時間がありませんで、たいへん申しわけないんですが、明らかにこういうことではおかしいじゃないかということも私が指摘したことがあるわけです。コラルジルの場合でもそうです、輸入して許可をしてという段階でですね。まあそういうことがある、その場合、厚生省としては国が責任を持って救済するか、あるいはその基金をつのって企業に出させるか、まあ企業が負担するのが当然だと思いますけれども、それを推し進めるのはやはり厚生省が承認許可をしているんですから、責任を持って進めるべきだというふうに思いますが、よろしいですか。
○政府委員(松下廉蔵君) もちろん、昨年から続いて申し上げておりますように、これは制度化、救済制度をつくるということを前提といたしましての研究でございまして、したがって、先生御指摘のような救済する組織の形をどういうふうにするか、あるいはその原資をどういうような形でだれが負担するかというような点は、これは非常に大きな影響のある問題でもございます。この制度を将来、より被害者のために有効に運用できますためにはその辺のコンセンサスが非常に必要になってまいりますので、今後の専門家の御意見を含め、あるいは他の制度等も勘案して進めなければならないと存じますが、少なくとも制度の制定につきまして、国が主導権を持って進まなければならないということは私どもの堅持しておる姿勢であると考えております。
○小平芳平君 これは西日本新聞という新聞の投書欄に出ていることですが、鼻詰まりの薬を使っていたらよけいに悪化してしまったと、鼻詰まりの薬を使っていたらよけいに悪化して、まるで鼻がだめになっちゃったと、夜も眠れないという投書が載っておりますが、専門家としての局長が考えてみて、そういうことはあり得るんですか、ないんですか。
○政府委員(松下廉蔵君) いま鼻詰まりの薬と申しましても内服のものもあるかと存じますが、一応お話の、特に点鼻薬と申します噴霧にして鼻に吹き込んで鼻詰まり等をなおす薬のことかと存じます。それにつきましては主剤といたしましてはナファゾリンあるいはテトラハイドロゾリン、そういったものの、塩酸塩あるいは硝酸塩、そういったものが用いられておるわけでございまして、作用といたしましては末梢血管の収縮作用があると、臨床試験から申しましても鼻水、鼻詰まり等に有効だということが明らかにされておりまして、数種のものが製造の承認を受けているわけでございます。 副作用としては、これは成書を調べ、あるいは専門家にも聞いてみたわけでございますけれども、通常鼻詰まり、鼻水というようなことは非常に短期的な症状でございますので、そういったものに使用いたします段階ではほとんど副作用はないようでございますが、非常に長く連用いたしますと、これは反動充血というんだそうですけれども、その薬が切れるとかえって鼻が充血して詰まったりなんかするというような程度の副作用はあり得るという学者の意見でございます。
○小平芳平君 この方はですね、投書の面にはきわめて悪くなったということしか出ておりませんでしたので、なおくわしく尋ねてみますと、点鼻薬、その点鼻薬は、新聞広告が出ておる一般紙に。この一般紙に出ている範囲内においてはいま局長の言うような注意書きは何も出てないです。ただかぜをこじらせないようにこの点鼻薬でちょっとやればすっとするというようなことしか出てないです。けれども、この方は鼻が悪くなって、点鼻薬を使っておるうちにますます悪くなって耳鼻咽喉科の医院へ二カ所行っているんです。博多で耳鼻咽喉科の医院へ二カ所行っている。その行った先で、二カ所とも、あなたの鼻は薬が悪いよと言われているんです。けれども、ちょっと吹き込めば一時すっとするのでということでずっと使ってたわけですが、いよいよだめになっちゃったと、鼻がですね。それから、その会社の社長も同じような薬を使って、点鼻薬使っていて鼻がだめになっちゃった。そういう鼻薬がきくのかきかないのか、あるいはかえって悪くするのかですね、そういうことになったら非常にこの医薬に対する危機感、危険、危いなということが先に立つのですが、しかも耳鼻咽喉科では薬のせいだと言われておるのですから、そういうようなことも考慮して、私は早くその企業が責任をもって救済すると、それはいまは売る一方でしょう、薬をですね。ですから売る一方ではなくて、そういうような、まあどの程度使ったか、どういう使い方をしたか、いろいろあるでしょう、専門的に言えばですね。早く私はそういう意味でも救済制度は早く立てるべきだということを申し上げたいわけですが、それで、局長いかがですか、その点鼻薬は、そういうようなことがあり得るかどうかですね。
○政府委員(松下廉蔵君) いま申し上げましたように、長期連用いたしますと、反動充血を起こすと、結局充血をなおすために使い過ぎる。またちょっと休むと充血すると、また使うということで悪循環を起こしまして、いま御指摘のような、まあ悪化ということになるのかどうか、少なくとも薬がきかない状態になってくるということは医学的にはやはり考えられるということのようでございます。で、そういったことにつきましては、まあ医薬品は一般的にこういう特にわりと速効性のあるような薬を長期連用するということは、やはり副作用との関係から申しましても適当でないと思いますし、まあ先生御指摘のようにできるだけ使われるように売る姿勢であるということでございますが、業界の姿勢も少しずつ変わってきておると存じます。また私どもも変えるように指導しておるつもりでございまして、いまの点鼻薬につきましても数種のものを急遽調べてみましたのですけれども、やはり注意事項は使用書には記載してございます。ただ先生が御指摘になりましたような意味の副作用につきまして、なおはっきり注意事項に記載しておるところもございますが、なお表現が不十分なところもございますので、この点は私どもも多少目の届かなかった点があろうかと存じます。申しわけございませんので、御指摘をいただきました機会に至急メーカーを指導いたしまして間違いのないようにいたしたいと、また御指摘のような点からやはり医薬品の副作用というのは思わぬところにいろいろあるではないかという御指摘かと存じます。そういった御注意も含めまして救済制度の検討につきましてはより一そう努力いたしたいと考えております。
○小平芳平君 最後に大臣ですね、いま鼻の点鼻薬で申しましたが、この点鼻薬はまあ局長それは長期連用というふうに説明されますが、効能自体が、まあ鼻へ吹き込んである時間しか効能がないわけですよね。ですから、まあ一時間か三時間かたてば元へ戻っちゃうからまた吹き込むということを繰り返しているうちにひどく悪くなっちゃったということを訴えているわけですが、同じように目薬とかあるいは口の何かくさいのが気になる人はこれをどうすればとか、そういうような危険が非常に多いと思うのですね。ですから、そういう点をもっと厚生省がこういう医薬品に取り組む姿勢がいままでよりももっときびしい姿勢になってほしいということを大臣に要望したいのですが、いかかですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 医薬品にはある程度の副作用があるかもしれぬというふうなこともいわれておりますが、やっぱり厚生省としては一人も副作用によって迷惑を受けないようにするということがもう基本の方針でなけりゃならぬと私はそう思います。あってはならぬことなのでございます。したがって、私どもは今後とも医薬品につきましては厳重な指導をいたしてまいる覚悟でございます。
○委員長(矢山有作君) 本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十九分散会 —————・—————