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71回国会参議院1973/09/13

建設委員会 第25号

発言数
187
登壇者
22
会派数
6
開催日
1973/09/13

会議録

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  連合審査会開会の件について御報告いたします。  公有水面埋立法の一部を改正する法律案につきまして、さきに公害対策及び環境保全特別委員会からの連合審査会の開会の申し入れを受諾し、連合審査会を開会することになっておりましたが、諸般の情勢によりこれを行なわないことになりましたので、御了承願いたいと存じます。     ―――――――――――――

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 公有水面埋立法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。

田中一日本社会党

○田中一君 同僚沢田君からいろいろ質問があったと思いますが、これに触れないような問題について二、三質問をいたします。  非常にこの法律おもしろい法律でありまして、おそらくこれをいじりだすと興味しんしんたるものがあると思います。そうして将来この法律によって行なわれる現象というものが、国全体の、あるいは国際間のあらゆる面において優位に立つか立たないかというような面にも発展する可能性もある。たとえば、昨年の暮れでありますけれども、フィリピンの商工会議所の会頭がマルコス大統領の使いだといって私のところへ参りました。そうして、日本の政務が考えておるところの領海の線は幾らかと。これは外交機関を通じてしばしば外務省へ問い合わしても外務省からは確たる返事がこないと言う。韓国は御承知のように十二海里説をとっているし、われわれも明治時代から、われわれの通念としては三海里というのが国際的な理解と申しますか、話し合いになっているというように聞いております。フィリピンがなぜそういうことを言っているかと申しますと、七千幾つ島がある、その七千幾つ島がある中で、一体領海というものが国際的に認められるならば、自分たちのいわゆる内海がうんとふえまして、そして安定した侵略のない地域になるんじゃなかろうかというところから、昨年日本に対して、われわれが三十六年に批准いたしました航海通商条約、これを破棄してまいっております。それについてやはり問題は何かと申しますと、この領海の線の問題。これがはっきりしない、動揺しているとフィリピンはどうにもならぬということから、われわれが衆参両院で批准しましたところの日本の案というものを破棄して無条約状態が現在ある。非常におもしろい――おもしろいと言ったんじゃ語弊があるけれども、興味しんしんたる――そこにいる官僚諸君はこの法律一ついじり回していると非常に楽しいです。そういうことの内容を持っているものでありますが、いままで運輸省並びに建設省はこの法律をここまででっち上げるのに、改正案をでっち上げるのにどういう経緯とどういう観点からこれの作業と申しますか、改正案をつくるための調査あるいは作業を続けてきたか、両省から詳細に報告願いたいと思います。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) このたび公有水面埋立法の一部を改正する法律案を御提案するに至りましたその過程においてどういう点を検討したかとのお尋ねでございますが、御承知のように最近の経済社会情勢というものから見てまいりまして、まず埋め立てそのものに伴います環境保全上の法制が不備であるという点の御指摘をいろいろいただきました。また埋め立て地そのものがいろいろ転々売買されまして、また非常に安い価格で埋め立てが行なわれて、それが売られる過程において段階を経るたびに値段が高くなっていて不当な利潤を生み出しているというような点、それから埋め立て地が埋め立てられたあとで当初の用途と異なる目的に使われているというような点についての法的な規制を一段と明確にする必要性があるというような点について、私どもとしてはいろいろやはり最近の時勢に即応した改正が必要であるというふうに考えたわけでございます。改正に至る前に昭和四十年に通達を出しまして、その通達によりましてある程度そうした弊害を補正しながら行政の運営をやってまいったわけでございますが、そうした指導通達で処理するにも限界がありますということで、特にただいま申し上げましたような点については法的な改正を経なければならないということで改正をやったわけでございますが、ただいま御指摘のございました領海の幅の問題とか、そういった問題につきましては公有水面埋立法の領域とは別に、沿岸海域の公共的管理に関する法律というものの立案作業も実はいたしている次第でございますが、そういった中でいろいろ研究もしたわけでございますが、このたびの公有水面埋立法そのものの問題としては特にそうした検討はいたしていないということでございます。

鈴木登運輸省港湾局管理課長

○説明員(鈴木登君) お答えいたします。  ただいままで御審議いただいていますとおり、本公有水面埋立法は大正十年に制定されておりまして、その後私どもあるいは建設省のほうで長い間四十数年間にわたります行政指導といいますか、そういう経験を経ております。その経験の過程におきまして特にいろいろ私ども不都合だとか、あるいは社会情勢に合わないという問題点がおのずから分明になってきたわけでございます。そこで特に分明になりました点が、本委員会で御審議いただいていますとおり出願事項の縦覧の問題とか、あるいは埋め立ての免許基準の問題とか、あるいは埋め立て地の権利取得、権利移転の問題、あるいは追認の問題であります。そのうち特に縦覧の問題につきましては、私ども行政経験といたしましていま響灘で問題になっておりますそういう点が非常に大きな問題になってまいりましたので、その点をここに取り入れるべく検討いたした次第であります。それから免許基準の点につきましては河川局の次長のほうからお答えのありましたとおりに、四十年余りの間こういう基準がなしに、いわば通達でやってまいりました。その通達でやるといいましても、やはり限度があるという行政経験からこの法定化をはかったわけでございます。それから第三番目、第四番目の、お手元にお配りしてございます関係資料の権利移転の制限の問題につきましては、具体的に建設委員会あるいは地方行政委員会、衆参両院の委員会におきましても従来からたびたび議論されておりますように、千葉の埋め立て方式の問題という点を勘案してこの第三点、第四点の横に書いてあります権利移転の制限の問題を取り入れたわけであります。そのほか環境庁との調整の問題につきましても、従来から私ども埋め立ての認可を行なってまいります際に、環境庁と十分相談しながら環境問題を第一に考えてやってまいりましたけれども、この点を十分やはり法律上明記すべきだという結論に至りましてその点を修正したわけであります。要綱順にいままでの検討過程を御説明さしていただいた次第でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 そこで、この提案されているものは建設省並びに運輸省の合意になったものが提案されていると思う。それから他の役所と申しますか、部署ではどういう意見が出されておりましたか、他の部局で。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 事務担当者同士の打ち合わせの段階ではいろいろな意見が出た次第でございますが、ただいまの改正案は関係各省庁全部の合意を得てまとめられた意見でございまして、特に今回の改正について批判的な意見というものは関係各省からはいただいていないわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 そんなことはないでしょう。だからどういう議論が出たかと言っているんです。これは事務段階でいいんです。事務段階であなた方が話し合われた中でもってどういう問題が出ているかということを聞きたいんです。そういう安易なものではないんです。たとえばこの意見を聞く、あるいは審議会、地元住民の意見を聞く等のことは、これは大正十年にもこの問題は出ているんです。何べんも出ているんです。明治時代の政治家というのはりっぱなものだと思います。これは古い、大正十年ぐらいの議事録を読んでみますと、ほんとうにりっぱなものだと思うんです。まず官僚出身なんというような者はいやしません。官僚と政治家とははっきり区別されている。どこまでも政治家というものは国民から選ばれたところの国民の代表であることに徹しております。その発言というものは、五十数年たったところの今日ですらちっともその思想は変わっておらない。それが直っておらないんです。現在までそうした意味の改正がなされておらない。国会が官僚化したところに問題がある。たとえば思想的に公有水面埋め立て政策というものを考えてみます場合には、明治、大正時代は資本主義の発達の初期、殖産興業発達を推進するために、企業育成のためにやったんだということですね。いわゆる所得倍増政策です。私企業による工業用地としての埋め立て事業と農業振興政策からくるところの干拓事業というのが二つの骨になっている。昭和二十年時代、これは戦後です。戦後になると食糧増産、御承知のように食糧確保のために干拓が非常に進んできている。これももはや今日では水田をつぶそうという思想に変わってきた。それから昭和三十年代になりますと、これはもうはっきりと地方公共団体等による埋め立て事業、これも所得倍増政策からくるところのものでありますが、工業基地の問題、そうして今日コンビナート等の拡大化からくるところの公害の問題が起きている。したがって、ここに一つのけじめをつけるためにも、なぜいまこの法律をいじらなければならないかというときには、当時の社会情勢によるところの思想がなくちゃならない、思想が。官僚の遊びものじゃございません。役人の遊びものじゃございません。国民の生活、生命に重大な関係を持っている法律である。その各国の国の方針、各国がいま言うとおり領海というものが認められるならば、これもこの埋立法によって完成することもできるのです。したがって官僚の手遊びじゃなくして、政治がこの上にはっきりと思想をここに乗っけて、そして今日の社会におけるところの意義というものをはっきり徹底させなければならない。それが先です。  いまここに前の水政課長来ているかな、どこかに行ったのかな、水政課長は。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 都市局にかわりました。

田中一日本社会党

○田中一君 都市局に……。この法律を党のほうの政審に持っていったときに、これやめろ、この法律を出すといろいろな議論が出るよ、そしてただ単に事務当局、事務サイドでもってこれを出したということじゃない、いや私もそう思います、事務段階ではみんなその考え方が非常に強かったと言うのです。これは何とかやめようじゃないか、いろいろな問題がある、そういう話を内輪にしておりました。おそらく運輸省のほうでもそういう考え方もあったと思うのです。したがって、この提案されるまでの事務サイドの話し合いの中にはいろいろな諸問題があったということです。それを明らかにしてくれと言っているのです。部分的な手直しでもって一歩前進だからいいじゃありませんかなんというような時代の産物じゃないのです、この法律は。はっきりしたところの、これを改正しなければならぬという社会から反映するもの、そこに将来への方向としての思想がなくちゃならぬと言うのです。建設大臣、どうお考えになるか。建設大臣は、これいみじくもと言っていいかしらぬけれども、やめたらどうかと言ったら、やめましょうというりっぱな政治家としての見識を示されたのは衆議院の段階で承知しております。これは一つの見識です。しかし、もう審議が始まってやめられちゃ困るというので、そのまま参議院に送り込まれてきておりますけれども、われわれはこれ審議するにあたりましても――明治からずっときている、明治二十三年に勅令で、一行の条文で埋め立て事業というので、これは国民に被害がなければできるんだよということを勅令で一行加えてある、これは国土計画のはしりですね。そこからきておりますけれども、いまこの時代になって、ただまあいろいろ話し合ったと。各省とも話し合ったでしょう、いろいろな問題について、非常に広範に話し合ったと思うのです。そうしてこれだけのものを出してくるということだけでは済まないのです。建設大臣の所見を伺います。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) この公有水面埋立法の問題につきましては、実は私も最初、大正十年以来きょうまで法案が改正されたことがなくてきょうまできたというについては、まずかたかなのままで法案が残っておること自体にもおかしいじゃないかという考え方、また環境保全の問題や、あるいは土地の適正な利用というような問題、あるいは埋め立て地の土地の帰属の問題、あるいは補償の限界範囲というような問題等々考えてみますと、まことに法案の改正としては全きものでないという私は考え方を持ちました。そこで、ちゅうちょ、ためらったわけでございますが、しかしまた一面、行政の面では限界もあるということでこの程度どうしても直さなくちゃならぬ。なお、全面的に直さなくちゃならぬけれども、それは埋め立ての基本という問題にかかわるということでございます。とても時間的にこの国会に提出する運びにはなれないと、こういうようなこともありまして、私も非常にその点考えさせられたわけでございますが、しかし、行政の限界というものもあるということを考えてみますと、一歩でも、二歩でも、三歩でも前進することは国民のためであると、こういうようなことも考え、将来できるだけ早い機会に抜本的に改正すべきだという考えのもとにこの法案を提案いたしたわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 今日の社会において一番気にかかることは、許可を受けた者は埋め立て完了後、所有権が設定されるんだということにやはり疑惑を持つんです。なるほど、先ほど申し上げたように、明治、大正時代は資本主義経済というものは発展期、どんどん追随して、民間にも力をつけて、生産もふやそうといった時期のことでしょう。反面、ずいぶんそのために不幸な人もたくさん出ておりますけれども、そのころ。それから二十年、戦後というものは御承知のように食糧。そうして環境破壊なんということは埋め立てじゃないんです。埋め立て工事を許可する、許可しないの問題で環境が悪くなるんじゃないんです。それは立地だけです。土地の問題きりなんです、埋め立ては。背景にあるところの巨大なる独占資本というものは今日の産業を牛耳り、金融資本がこれに乗っかって政治と癒着してやっているところに問題があるんです。埋め立てをしたからどうこうというものじゃないんです。そうした埋め立て事業というものに乗っかって、背後にあるところの巨大なる資本、これによるところの支配というものがあらゆる悪現象を生じているんです。したがって、ただ単に公有水面埋立法だけを手直しすればいいんだという問題ではないんです。もう少し根本的にこの問題を考えて――この事業がかつては資本主義経済に貢献した、今日こそこの事業が不幸なる国民のしあわせのための基礎になるという方向を打ち出すべき時期がきているんです。コンビナートをつくるとか、何をつくるとかいうことは別の問題です。真にわれわれ民族の生存と将来の繁栄のために基礎づけられるという思想がなければ、こういう法律は意味がございません。官僚諸君の手すさびのこういうもの、現象だけをとらえてどうこういうべき問題じゃないということを私は指摘したいのです。これは金丸建設大臣同じだと思うんです。政治家であるなら同じなはずです。だからあなたはやめてもいいという発言をしたのだと思います。  いま最初に申し上げたように、フィリピンから特使が来て、私にそういう相談をして帰りました。ついせんだってまた参りました。そうして今度の会議は、ことしの暮れから来年になりますか、会議でもって領域という海面が話し合いがつくだろうと思います。日本、アメリカなんか、ソビエトなども海岸が多いから巨大なものを要求しているらしい。これは常識できまるでしょう。しかし埋立法によってこれは伸ばしも縮みもできるのです。これはなるほど陥没する土地もあれば、隆起する土地もあるわけですが、しかし、これは人工でできるのです。それも国内法です。その国々の持っている方針によってこれができるのです。きょうこれを採決して通ったといたしましても、金丸さんひとつこの問題はあとあとまで、あなた建設大臣にある限りこれに対する全うな検討をしていただくことができますかどうか、その点を伺ってから質問に入ります。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 先生のお話は十分私も理解できますし、私も実はそういう考え方できょうのこの時点からは考うべきだという考え方を持っておるわけであります。そういう意味で、この問題について私もこの改正が出されないということはまことに不本意でありますが、この問題につきましてはまことに埋め立ての基本に触れる問題でありますので――これは共管であります。そういう意味で合意というようなこともなかなかむずかしいという面もあります。しかし、そこが一番のねらいであろう、その辺をしっかり踏まえて、今後の法案、抜本的改正には考えなければならない一番最大のポイントだと、こうも考えておるわけでありまして、十分先生のおっしゃられることはわかるわけでありますが、埋立法の基本に触れる一番重大問題で、なかなか合意はでき得なかった。今後できるだけ早い機会にひとつ合意できるような方向で抜本的な改正をいたしたい、抜本的な改正の根本はここにあると私は考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 これは委員長に伺います。公有水面埋立法に該当するところの地域というものは建設省の守備範囲よりも運輸省の守備範囲のほうが非常に多いんです。なぜ運輸大臣は出席できなかったのか、伺いたいと思います。

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 運輸大臣の出席の要求をなさったんですか。――なさったものであるならば、先般来この法案審議にあたって関係各省庁長官、大臣に対する質疑に対する発言がありましたので、田中委員の御指摘の点を含めまして、あらためて審議を各般から十全を期するという意味で理事会にはかって、あらためて出席を求めるというような処置をいたしたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 私は建設大臣の出席すら求めていなかった。当然見えると思った。運輸大臣も当然来ると思ったから求めないのです。ほかの法務とか、自治とか、農林とか、主務じゃないから求めた。共管です。ことに港湾地区に多いのですよ。運輸大臣の所管、特に多いのです。東京湾などは建設省の持っているところは一部分、一握り、ほか全部運輸大臣の所管です。その運輸大臣をなぜここに呼ばないのか、非常にふしぎに思う。運輸大臣のそれをはっきりさしていただいてから質疑に入ります。それまで保留いたします。

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 速記とめて。   〔速記中止〕

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 速記起こして。

田中一日本社会党

○田中一君 これはどこに聞いていいんだかわからないんですが、埋め立て権という権利はあるんですか、埋め立て権という権利が。これは河川局次長。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 法律の直接の条文としては、埋め立ての免許ということばでしか表現されておりませんが、この法律が出る前の大正六年の大審院の判例におきまして、「埋立権ハ、其ノ埋立ヲ条件トシテ之が所有権ヲ取得スルモノナレバ」云々という、そういう判例で用語がございまして、これは埋立法という法的な体制が整う以前にそういう用語が使われておりますので、この法律ができたあとにおいても当然、埋め立ての免許を得た権利というものは埋め立て権というものとみなして差しつかえないのではないかと考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 これは公有水面の埋め立てなんです。公有水面というものは、これはそうすると公共物ですね。公有水面は公共物ですね、いいですか。そうするとこれは公有水面を土盛りして陸地にすると、これも完成すると直ちに所有権が設定されるわけです。そうすると公有水面を埋め立てたということの行為は、それだけの投資をして買い取ったということになるのか、あるいは埋め立て権は公権か私権かというところに問題がかかってくるわけなんです。それでいま最高裁か、昔の大審院か、判決があったという、これはどういうぐあいにあなた方が見て考えておるのか。少なくとも公共用水面というものが現在あるわけです。それに埋め立てたからといって、すぐに所有権、私権としてそれが設定されるということになる、ちょっとそこのところぼくにはわからない。その点民事局、関係ないかね。民事局のほうにもちょっと伺いたいのですがね。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) 公権か私権かの区別ということは非常にむずかしい問題でございます。戦前は行政裁判所が。ございまして、公法上の権利関係につきましては行政裁判所のみが判断する国の権限があったわけでございます。そういう事情もございまして、公法と私法、これは体系的に完全に分離されまして、その区別というものは絶対化され得るものだというふうにいわれていたわけでございます。しかし最近では学者の間におきまして、そういった行政裁判所制度もなくなった等その他の事情もありまして、実定法上、公法と私法の区別、これはそういうふうに絶対化されたものであるのかどうか、あるいはその区別の境界線を明確に引くことができるのかどうかということについて疑問が投ぜられております。そういうことから、むしろそういうふうに体系的に区別するということではなしに個々の法規ごとに検討しまして、その法規の中のどの部分が私法の規律に服するのか、どの部分が公法の規律に服するのかというふうな検討をすべきであるというふうにいわれているわけでございます。そういうことになりますと、いわゆる公有水面の埋め立て権につきましても、それが公権か私権かというふうに一律的に断定することには若干疑問があろうかと思います。埋め立て権は言うまでもなく竣功を条件として所有権を取得するという性質を持っております。そういう面では私法の規律に服する面があるだろう、他方、埋め立てまでは公有水面でありまして、国有に属する公共用の水面を埋め立てる権利でございますから、この面では公法的な規律に服するであろう、そういうことになりますと、公有水面の埋め立て権というのはいわゆる公法的規律と私法的な規律、公権と私権、これがミックスした権利関係ではなかろうかというふうに考えます。

田中一日本社会党

○田中一君 いま民事局から専門的な説明がありましたが、こういう問題も、いままでこの法律を出す前提として事務サイドでもって議論になりましたか。

鈴木登運輸省港湾局管理課長

○説明員(鈴木登君) 先ほどから建設大臣の御答弁にもございますように、そういう点も一応は事務の検討課題にはあげてまいりましたけれども、何せ社会的な要求から早急な解決ということが迫られておりましたので、抜本的な自後の解決にまかした次第でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 これこそ大事なことなんですよ。もううるさいことは避けて通ろうという考え方があっちゃならぬです。  そこでね、これがもし所有権が設定されない、利用の権利だけは存在するんだということになればどうなります、いまの解釈は、民事局で。所有権というものは設定されないで使う権利はある、いわゆる借地権ですね、借地権はあるんだという場合だったらどうなりますか。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) その場合でも、利用する権利というのはやはり私法的な性質がありますから、やはり私法的な性質は否定できないだろう。ですから、やはり公法的な性質と私法的な性質がミックスされているということになろうと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 これは分離するというにはどういう方法をとればいいと思いますか。どちらかにきめる、どちらかに。どちらかにきめるというのは、はっきりせぬのは公有地です、公有水面というものは底地があるわけなんですから。ですから、その場合は底地は――じゃ今度見方変えるんですけれども、逆に変えてみるんですよ。これは公有水面ははっきりしている、はっきり公権としているけれども、底地は何になっているか。どうですか。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) 一般に公有水面の場合、海とか川とかあるいは湖とか沼、そういうものをいうわけでございますけれども、一般的には底地は民法の所有権の対象にはなりません。しかし、一般に私人の沼の底地が私所有権の対象になっている場合がございます、小さな沼などは。こういう沼について、国の場合についても同じように国の所有権の対象になっているものもございます。したがいまして、公有水面につきまして国の私所有権の対象になっているものと私所有権の対象になり得ないもの、両方があるということがございます。

田中一日本社会党

○田中一君 そうすると、これは両方の性格を持っているなら両方の性格を持っていけばいいんだという考え方を持っていますか。今日の日本のような憲法がある国でもって、それでいいんだというように考えていますか、あなたは。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) 現行の公有水面埋立法の埋め立て権についてはそのように考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 ちょっともう一ぺんいまの答弁を繰り返してください。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) 現行法上の公有水面埋立法を前提とする限り、この埋め立て権について私法的な性格と公法的な性格がミックスしているというふうに考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 これははっきりする方法ありますね。ありますね。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) これは私ども、公有水面埋立法といいますのは私どもの所管の法律でないものでございますから、そういう十分な検討をしておりませんので、その点についてはお答えいたしかねます。

田中一日本社会党

○田中一君 それじゃ公有水面とは何かということを一ぺん聞いてみます。第一条に「河、海、湖、沼其ノ他ノ公共ノ用ニ供スル水流又ハ水面ニシテ国ノ所有ニ属スルモノ」、これが公有水面だと、これは法律できめていますね。そうすると、第一の要件としては水面または水流であること、これはきまっていますね。公共の用に供するものであること、これもきまっていますね。そうすると、国の所有に属するものであること、これが必須条件です。そうすると、底地は何かと言うんです、入れものは。入れものは何か。入れものは何でしょうか、だれのものでしょうかと言うと、国のものになっておりません、なっているものもありますけれども、なっていないものもございますと、これは一体どういうことを言いたいのか。どういうことをこの法律は説明しようとしているのかですね。国の所有に属するものでなきゃならぬというふうに書いてあるんです。読めます、これでね。それから公共の用に供するものだ、それから水面または水流だと、こういっているんですよ。ところが、いま民事局に聞くと、国のものになっていないものもあります、なっているものもありますということになると、何をいいたいのか。こんなあいまいなことじゃ困るんですよ。あいまいなことがまかり通って、大正十年からまかり通ってきたんでしょうけれども、もうこの辺で変えなさいと言っているんですからね。どうですか。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) 私の先ほどのお答えは、水面の底地について私所有権の対象になるかどうかという観点からお答えしたのみでございます。したがいまして、公有水面埋立法の第一条の解釈につきましては、これは私どもがお答えするよりもむしろ建設省のほうからお答えしていただきたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 それじゃ建設省から。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 第一条の「国ノ所有ニ属スルモノヲ謂ヒ」というこの国の所有の概念でございますが、国が私法上の所有権を有している敷地で、たまたま例外的に、ごくまれではございますが、土地の陥没とか、そういうようなことによって水流または水面というような状態がもたらされているものがございます。この場合には明らかに私法上の所有権が本来あったわけでございますが、それがむしろ公法上の所有権に転化している状態ということでございますが、きわめてまれな例でございます。  それから国が私法上の所有権を有している敷地で、すなわち普通財産であるため池というようなものが考えられますが、そのため池が公共の農業とか、そういった周辺の農家のかんがい用の水として使われているような場合、そういうような場合も現実にはございます。それもやはり国の所有に属するものの範疇に入ります。  それから一番代表的なものは、国の公法上の所有に属する水流または水面、一番はっきりしている例は河川法、河川法の体系に入っております一級河川あるいは二級河川であるところの水流または水面でございますが、これが国の所有に属する一番代表的な例でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 ずいぶん苦しがっていろいろ調べたんだろうと思うけれども、しかし旧河川法では「河川並其ノ敷地若ハ流水ハ私権ノ目的トナルコト」ができないと書いてある。新河川法でははっきりと、河川の流水は私権を排除するけれども、底地の問題は公共用地だと、こういうふうにきめているわけでしょう、現在ね。そうすると、一体底地は――底地ですね、海岸の底地を見ましょう。底地はどうなるの、これは。底地はだれのもの。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 底地の問題につきましては、旧河川法時代に適用河川につきましては私所有権――私権そのものを否定しているわけですが、公法的な所有という意味で国のやはり所有に属している土地であるというふうに私どもは考えて運用していたわけでございますが、それと同じ考え方で海底の土地も、直接国有財産法のストレートな適用は受けませんけれども、やはり広い意味での国の所有に属している土地であるというふうに観念いたしまして管理している次第でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 それは国有財産として登録されておるんですか。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 国有財産としては登録されておりません。

田中一日本社会党

○田中一君 何でそれを立証するんですか。たとえば日本海岸を見ましても、新潟市は相当、何十メートルという、あれへたすると百メートル以上になるかもわかりませんが、後退しております。海底になっています。太平洋岸でもありますよ。たとえば明石海岸なんというものも、これは大体二百メートルぐらいは水没しているんです。これはあとで自治省にも聞くわけですが、こういうものは観念的に、それは国のものだよといって済むものですか。その中にも二つも三つものケースのものがあるでしょう。所有権が存在するというものもあるでしょう。所有権がないというものもあるでしょう。  それで自治省に聞きますが、いま申し上げたような新潟市の何といいますか、水没地域、たくさんありますよ、海岸には。これに対するところの固定資産税というものは一体どういう扱い方をしているんですか、水没した場合。明石海岸なんか相当ありますよ。明石海岸などは、私は、いつでしたか、十年ぐらい前ですが、三百メートル先に鳥居がぽんと立っているんですよ。もとあそこにお宮があった。それがだんだん決壊して水没地になっているんです。その場合には、それに対する所有権というもの、これは間違いなしにあったんです。いまでもあるんです。なるほど公有水面の下にはあるけれども、水面だけは公のものとすれば、その下にあるんです。どういうぐあいにそれを区別して、ことに固定資産税の場合どういうぐあいに扱っていますか。

川俣芳郎自治省税務局固定資産税課長

○説明員(川俣芳郎君) 固定資産税の賦課期日は一月一日でございますので、一月一日現在に土地として存在しております場合におきましては、その年度の固定資産税の課税対象になるというふうに考えますが、すでにその年度中におきましてこれが滅失をして流失をしておるという場合におきましては、これに対して固定資産税を課税するということは適当でございませんので、減免等の措置を講ずるよう指導しておるところでございます。翌年度以降におきましても、固定資産税の課税客体でございます土地がすでに存在しなくなっておるわけでございまして、そういう場合におきましては、翌年度以降におきましては賦課期日現在における課税客体がないということで課税できないというふうに考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 さっき河川局次長かが言っていたが、自分で池を堀るわけです、これは流水じゃありませんと、ため池ですから自分のものだと言えますね。底地にはなるほど土地としての形態はないけれども、入れものとして残っておるんですよ。これも滅失した土地ですか、なくなった土地というんですか、その場合は。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 登記簿上抹消されない限りは、公有水面埋立法の上では、それは私の水面ということで取り扱っております。

田中一日本社会党

○田中一君 そうすると、自治省の川俣君に聞きますが、あの海の三百メートル先のあの底地はおれのものだ、ちゃんと登記簿に載ってるじゃないかと主張した場合には、税法上はそれは取らないと。所有権あるんですよ、それは。上に流れている水面、流水は個人のものじゃないとなっていますね。流れる水、たまっている水も個人、私のものじゃない、しかし土地は私のものだという場合に税金どうしますか、所有権主張した場合に。ちゃんと土地台帳にも載っているんだ。底地がある。

川俣芳郎自治省税務局固定資産税課長

○説明員(川俣芳郎君) 固定資産税の課税客体でございますところの土地ではなくなっておるわけでございますから、固定資産税をそれに対して課税するということはできないというふうに考えております。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) ただいまの御質問では、土地が確定的に海没した場合、登記簿上登記が残っている限り、あるいは海没しても所有権は依然として存続するという前提で御質問されているようでございますけれども、所有権といいますのは民法上の所有権でございます。私法上は所有権ございません。私法上の所有権は物に対して成立するわけでございます。物とは不動産あるいは有体物ということになるわけです。土地は不動産でございます。そこで、土地が確定的に海没した場合にこれが不動産、土地と言えるかどうかということでございますね。その場合には海没しますと土地は物理的に滅失してしまうわけでございます。したがいまして所有権は消滅するということになるわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 人為的な土地の出現もあるんです。向こう側へ堤防をつくって水がなくなったら、それが干上がったら土地になるんですよ。その場合には、かつて私が持った土地だからといって請求すれば私法上ちゃんと復元してくれますか、所有権を。そういうことはたくさんあるんですよ。河川に一番多いんです。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) これは前回の委員会でも問題になったわけでございますけれども、土地が物理的に滅失したかどうかということが判断の基準でございます。それは先生のおっしゃったようにいろんなケースがあるだろうと思います。したがいまして、そのケースケースに応じまして、社会通念に照らして、それが一時的に滅失したのかあるいは確定的に滅失したのかということで、一時的に滅失したということでしたらそれは所有権は失われない。ですから、たとえばいま土地に穴を掘って沼をつくったとかいうのは、これは復元可能なんですね、すぐ。ですから、これは土地として所有権は失われないということにもなるんです。

田中一日本社会党

○田中一君 可能か可能でないかという問題よりも、現にあるではないか、そういうケースが。底地というものは利用できないんだとあんたきめているの、底地というものは利用できないんだと。海中にうちをつくることもできるんですよ、自分の土地なら。海中にも住めるんですよ。その場合に、これはおれの所有の土地だといえば、まずそういうものは存在しないというんですか。民法上の面から見てもそういうものは存在しないというんですか。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) 民法上の土地にあたるかどうかということでございますけれども、民法上の土地は、一定の範囲の地面に正当な範囲で上下――空中、地下ですね、これを含んだものということでございます。ところが海に土地が海没しますと、海面ではあっても地面ではないわけですね。ですから、その海面に土地を立てるということになりますと、それはいわゆる公有水面につきまして、海面につきまして行政上の処分として使用許可等を受けてその土地を利用するというふうな関係になるんではなかろうかということでございます。ですから、海没した場合に底地に対してどういう権利があるかということは、あくまでも民法のいう土地にあたるかどうかという関係でございます。土地にあたらなければ、それは私所有権の対象にならない、土地にあたる場合には私所有権の対象になるということでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 満潮、干潮の関係はどうなりますか。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) 海面下に没したかどうかということにつきましては、これは春分、秋分における満潮時を標準にいたしましてきめております。

田中一日本社会党

○田中一君 その前に護岸道路でもできて、そのまま干がたになってしまった。しかし、そいつはかつての自分の土地だったんだ。それがだんだん決壊してそうなった。向こうに道路をつくってくれたものだから干がたになった。そういうような場合は、現実にそれが土地になったという認め方をするのか、あるいはこのまま水がくれば、すっかり海水をとめなかったら、このままやっぱり冠水するのだぞということになった場合にはどうなるんですか、そういったものの区別は。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) たまたま土地が――たまたまといいますよりも、確定的に土地が海没したところ、たまたま何年かたちまして護岸工事道路をつけたというような事業によりまして土地ができたという場合には、一たん消滅した土地の所有権というのは復元しません。所有者のない土地といたしまして国有になります。

田中一日本社会党

○田中一君 それ決壊して、私のたんぼだった場合どうなりますか。私のたんぼだった。ところが、それがだんだん決壊して水没しちゃった。またそういうものができたものだから土地ができたという場合にどうなの。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) その場合でも確定的に土地が物理的に滅失してしまったという場合でしたら、所有権はもう消滅してしまっているんですから、それが生き返るということは考えられません。

田中一日本社会党

○田中一君 そんなもんかね。まあ、それは君は専門家だから、納得できないけれども、そういうことにしておきましょう。  それから、そうすると、これは海没した土地に対する新しい法律が必要だね。日本のような四方が海に囲まれているところですとね、いつの間にか財産がなくなったり、やっと戻ってきたと思ったらおまえのものじゃないということになるんなら、海没土地法なんというものができなければ国民の権利は保護されないですよ。どう思いますか、一体。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) どういう場合に確定的に海没したかということはいろいろ問題でございまして、これは先ほどもお答えしましたように千差万別あるわけでございます。したがいまして、それについて十分な、すべてについて公平な立法をするということは、これは不可能であるわけです。むしろ、やはり民法では、不動産である限りそれは所有権の対象になっているんだということをはっきりうたっているわけでございます。したがいまして、この解釈で十分妥当な解決ははかれるというふうに信じております。

田中一日本社会党

○田中一君 だからね、民法を変えるんですよ。われわれの社会において法律をつくった、その法律によって人間が殺されたり生かされたりする、侵されたり助かったりするんですよ。そうしたわれわれの人間でできている社会に不合理だと思うものを変えていくんですよ。あなた方は法律の番人だから、どうしても現行法にばかりこだわるけれども、変えたっていいじゃないですか。水面の下にあった自分の土地が、それが水がたまってきてなくなったから、おまえのものじゃないよということにされる不合理。池をつくって、たとえば何といいますかな、よくありますよ。ため池がありますよ、農耕用の。これは大体もうはっきりと村有林とか村有地とかなんとかはっきり所有権はあるんですよ。結局水の下ですよ。そういうものは、実際にわれわれの社会において不合理なものは、変えていくということなんです。だからね、こんな法律はおやめなさいと言うんです、出すのはね。もう少し思想を持てと言うのはそれなんですよ。埋め立てをすることによって水没地ができる場合もあるんです。それはいいけれども、あっちのほうはため池になってしまったということがあるんですよ。もっと十分に、大正十年につくったものをもとにして考えるんじゃなくて、昭和四十八年の社会から、その発想からこれを変えていくということにならなければならぬのですよ。  幾ら言っても切りがない。君は法律屋で法律の番人なんだからしようがないけれども、何かこの海没する土地の権利というものを守る法律が必要です、どうしても。農地にしても、土地という概念で押えようと、押えなければならないんだというなら、底地というものの権利、かつてのあった権利は認めるということですね。そこで、今度は自治省のほうでも固定資産税、そのかわり税金取りますよと言うかもわからない。あなたがそれを自分の土地だと主張するならば取りますよと言うかもわからないでしょう。それが自然に、判断から自然に私法上の権利がなくなるんだということが民法にあるんですか。おれ民法よく知らぬけれども、所有権というものがなくなるんだということがあるんですか、海没した場合には。

古館清吾法務省民事局参事官

○説明員(古館清吾君) 民法の所有権は物に対して成立するというたてまえになっております。で、その物とは、有体物、不動産ということになります。不動産は土地及びその定着物ということになります。そこで、不動産でなくなれば所有権は成立しないことになるわけです。また、所有権は消滅することになるわけです。ですから、土地が絶対的に物理的に消滅しますと、その土地に対する従前の所有権は消滅するということでございます。これはあたかも動産につきまして、動産が燃えてしまった場合に、その物についての所有権が失われるというのと同じでございます。先ほど来の、池をつくって水面下というような場合には、これは物理的に滅失したというふうに言えないわけでございます。したがいまして、これは所有権は失われないということで、非常に解釈上弾力的にケース・バイ・ケースで考えられているわけでございます。ですから、物理的に滅失したかどうかというふうに判断する場合も、いろんな事情を考えまして判断しなくちゃならないということでございます。で、海面の底地に所有権を認めるということは、いわゆる海面に所有権を認めるということと同じようなことでございます。海面に所有権を認めるということは、古今東西を通じてそういう措置が講ぜられていることを聞いたことがございません。それほど海面を私人が支配するということは困難であるということから、そういう立法が講ぜられていないんだろうと思います。したがいまして、その海没した土地について、つまり海面について所有権の対象にするという措置を講ずるということはきわめて困難でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 これは建設省のほうに聞きますがね、たとえば新潟の例で、相当これは二百メートルも三百メートルも砂浜が後退しておると、その中には自分の農地もあったのだという場合に、災害としてもう一ぺんあの砂丘を返せといえば、災害として要求した場合には、それに対する工事をしなければならぬというか、復元しなければならぬという義務はあるでしょうね、建設省には、政府には。災害によって侵された、その場合には当然復元する義務があるだろうな。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 建設省所管の公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の関係から申しますと、一般――ただの砂丘というのは法律の対象になりがたいと思うわけでございますが、かりにそこが農地であったといたしますと、農地災害の復旧が技術的に可能であり、またコスト的に妥当なものであるならば当然行なわれるであろうと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 農林省、来ているね。たとえば、これは沢田君のほうから質問したと思いますけれどもね、各干拓地の目的変更、これはどういう形で現実に行なっているのかですね、補助金は出しておりますね、みんな。これに対する目的変更、転売等はどういうぐあいにしてそれを認めているか、こまかに説明していただきたいと思います。

志村純農林省構造改善局農政部管理課長

○説明員(志村純君) 農林省の関係の造成干拓地は本来農地をつくるためでございますが、当初計画しましてから最終的にその干拓が完了し農地ができるまでかなり長い年月がたちます。したがいまして、干拓地の立地によりましては、その所在する地域において周辺の社会経済状況が著しい変化をすることがあるわけでございまして、そういう場合には土地配分計画を立てて農家に土地を配分することが妥当でないと認められる場合が出てまいります。そういう場合には、当該干拓地は国有財産ということで国有財産法上の手続で処分すると、こういうことになっております。で、いままで農用地として利用を予定していたものを、ただいま申しましたように他転できる場合、これは限定されておりまして、申請者が地方公共団体等である場合とか、その他公共的な色彩の強い場合に限定して処分しておる、こういうやり方をやっております。

田中一日本社会党

○田中一君 そうすると、農民に払い下げるということですか。農民に払い下げて、農民が転売する許可を――転売といってはおかしいけれども、目的変更することに準備をすれば売ってもいいんだということですか。

志村純農林省構造改善局農政部管理課長

○説明員(志村純君) これはいま私が申し上げましたのは、農民に土地を売り渡す前の段階のあれでございます。農民に土地を売り渡したあとの段階になりますと、これは農地でございますから農地法の適用を受ける、こういうことになります。

田中一日本社会党

○田中一君 千葉方式のことをちょっと聞いておきたいんですがね、これはだれに聞いたらいいのかな。――運輸省に聞きましょう。ああした形でやっている東京方式が新しく生まれてきましたね。それで各都道府県が、地方公共団体がおのおの自主的な手法で許可をし、また目的を自由に改変していくというようなことが行なわれてもいいと思いますか。それとも一定の基準をきめて、それにならった各都道府県の事情、方法でやらすということになっているのか、どっちなんです。

鈴木登運輸省港湾局管理課長

○説明員(鈴木登君) 先生の御質問は、埋め立て後の土地の利用目的の変更をかってに都道府県知事にやらしていいのかという御質問と承ってよろしゅうございますか。――その点についてお答えいたします。実はこれ千葉方式の問題だけでございませんで、各地に、たとえば公園用地として埋め立てながら、埋め立てたあと、その土地が工場用地に転用されておるとか、あるいは住宅用地に転用されておるとか、あるいは住宅用地として埋め立てました土地が工場用地に転用されておるというようなケースがかなりございます。この点につきましては、千葉の場合だけじゃございませんで、全国的にございますが、従来から免許条件という形で、各都道府県知事あるいは港湾管理者であります免許権者によって、ある程度それを制限している場合がございました。そういう場合は非常によく守られておるようでございますけれども、一般的にはそういうことは埋立法上強制されておりませんので、今回二十七条あるいは二十九条のような条文を含めまして、そういう場合すべて都道府県知事の許可を得させるというふうに改正案を提案したわけでございます。ただ具体的に、じゃどういう場合に都道府県知事がそういう許可をやっていくかということは、これはまあそれぞれの都道府県の実情を一番よくわかっている都道府県知事にまかせざるを得ないと思っておりますけれども、やはり当初の目的をできるだけ変更させないような、その土地の有効利用という点を阻害しない限り、当初の目的を変更させないようなやり方でやるように十分行政指導いたしたいと考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 最後に一つだけですがね。ここに、せんだってのだれかの質問に対する資料でしょうが、不適当な工場等が計画されて、それが命令で変更するとかなんとかということになっているようです。今度の場合でも環境庁に相当話をしてものをきめろといっておりますが、これはもう今日常識になっている問題です、公害の問題は。当然環境庁がきめられているところのいわゆる環境、よい環境はかくかくであるということになっている以上、それに背反して知事がかってにものをきめるとは考えられません。したがって、そういう点は許可をする、認可をする場合に一々、環境庁からクレームがついてくるたびに、それに対して相手をしなければならないことになるのですか。この非常にきびしい環境整備の問題については激しくいっているけれども、その点はどうなんです。合議をするのですか、環境庁に対して。

鈴木登運輸省港湾局管理課長

○説明員(鈴木登君) 一応、原則的には埋め立ての免許は都道府県知事あるいは港湾管理者のほうの権限となっております。そのうち、その埋め立てが国家的な非常に影響を及ぼすというようなものにつきましては、それを建設大臣あるいは運輸大臣のほうに認可を求めさせるということになっております。したがいまして、この埋め立てを実際行ないます際に、その過程で、都道府県知事の段階でのチェックと、それから主務大臣の段階でのチェックと二重のチェックがなされるわけでございます。都道府県知事の段階でのチェックには都道府県知事が、今回公有水面埋立法の中でいろいろな免許基準をきめましたとおり、内部でいろいろ環境部局とも相談しながら、あるいは関係者の意見を聞きながら環境問題を十分尊重していくことになろうかと存じます。第二段階であります主務官庁でのチェックの段階におきましては、今回環境庁長官の意見を聞くというふうにいたしまして、環境問題に関しての一番の権威者であります環境庁長官の意見を聞きまして、その意見に従って運輸大臣あるいは建設大臣が認可していくという手法をとったわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 いま提出されている公有水面埋立法改正案については非常に不徹底なもので、改正の名に値しないというような意見は、ずっといままでの質問者のほとんどから一致して出されております。私もそういうふうに思うんですが、御承知のように、公有水面埋立法というのは大正十年に制定されているんですが、あのときの、制定のときの説明でも言っておりますように、私権があって、それが妨げになっていって埋め立てが進まないのを取り除いて、埋め立てを促進するという立場からこれはつくられておる。歴史的な背景からいえば、第一次世界大戦を通じて日本の産業が非常に大きく発展する、そういう時期にやはり海岸地域その他に工業用地を求めるというようなことが一つの動機になって制定されたのだと思います。ところが、あの当時の運用としては、だから法にも書いてあるように、民間が埋め立ての免許を願って、それを知事が認可もするし、あるいは監督もすると、こういうたてまえで法律は構成されているわけですね。だから、そのことのいわれはともかくとして、とにかくそういう形で構成されている。ところが戦後の状況を見ますと、建設省からいただいた資料で見ても、国あるいは地方公共団体による埋め立てというのが圧倒的に多くなっている。だから実際問題として見ますと、埋め立ての請願者といいますか、願い出人と認可権者が同じ人だ。たとえば、あとから出ます横浜の埋め立ての場合は、一号地、二号地の埋め立ての計画は横浜市が埋め立ての起業者になっている。ところが横浜市長が認可権者だと、こういうことになっているんですね。だから、初めにきまった法律の仕組みとはまるっきり違った形で、それがほとんどやられるようになっておる。しかも最近では埋め立てが大規模になってくるから、第三セクターというようなことで、そういう行政と企業とが一体になって、それで埋め立てを進めようというようなことになりますと、初めにできた法律の精神なり構造とはまるで違った形の埋め立ての形になってくるわけです。もし、そういう公的機関が直接どんどん埋め立てていくとなれば、国民のサイドからこれを厳重にチェックしていく、そういうような法的な仕組みがつくられなければならぬし、まさに公有水面埋立法を問題にするなら、そこから問題にしなければならないはずだ、私はそう思うんですけれども、これがなぜ今度は問題にならなかったか、その辺の事情を聞かしていただきたいのです。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 最近の大規模な埋め立てが、免許が知事に与えられることがなく、都道府県の企業局とか、そういった都道府県の特別の会計とかいうところに与えられておる実情は御指摘のとおりでございます。しかし同時に、都道府県知事の性格一般について申し上げますと、いろいろな法律によりましてたくさんの人格を持ち、広域的な機関あるいは国の機関としての判断を加えて行政をやっているわけでございますから、たまたま名義人が知事でありましても部局も完全に異なりますし、それから今度の改正によりまして免許の基準というものを明確に法定いたしております。また、その免許基準の運用にあたっての細則もこまかく法律上あるいは政令、省令等で規定することにいたしておりますので、そういった免許基準に基づいて知事が免許を下すならば御指摘のような弊害は起きないであろうと考えたわけでございます。また、知事が、あるいは企業局と知事の特別の部局が実施するような埋め立ては大規模な埋め立てでございますから、免許を与える際にはあらかじめ運輸大臣または地域によっては建設大臣の認可が事前に必要でございますので、そういった国の直接の監督も個々の行政処分の際に受けるわけでございますから、御指摘のような心配はないものとわれわれ考えて条文を用意したわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 いまの説明は、これは理屈にも何にもならぬですよ。知事は法律によっていろいろきめられているとか、いろいろな権限とか側面を持っているとかいっても、知事というものは一人の人間だし、やはり一つの県庁の中で、各課同士の話し合いで認可するかしないかがきまるなんという仕組みは、少なくとも役所の中の理屈としては成り立つかもしれないけれども、国民の側から見れば、やはり役所だけできめているという形になるわけですから、だからこれはならぬし、しかもそういうことの結果、私はあとからも触れますから、一言だけここで言っておきますけれども、大気の汚染とか、港湾の汚濁、そういう形で非常に大きな公害を出してどうにもならぬような状態になってきているわけでしょう。知事がそれほど信頼できるもの、そうして政府の行政がそれほどわれわれが信頼できるものだったら、これほどの汚染を出すような埋め立てがどんどん進められるというようなことにならずに、もっと早い目にチェックされたはずでしょう。国民はそこのところを言っているのです、被害を受けるのは国民ですから。だから国民の側からチェックできるようなきちっとした法律の体系をつくるということが埋立法を変えるという面で見れば一番大事だし、大正十年の時点ともう形が変わっているわけですから、いまの形に即応したような法にしなければならぬだろう、私はそう思う。ここでいま次長と議論しても始まりませんから、どうですか、建設大臣と運輸次官はその点については政治的にどうお考えになりますか。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 私も先生のおっしゃられるように、申請する人と許可する人が同じであるというようなことは、まことに国民の側から見れば納得できない、また、それが一つきょうのいろいろの問題点を生んでいるということにもなるのじゃないか、これも改正すべきだと私も考えております。

佐藤文生自由民主党運輸政務次官

○政府委員(佐藤文生君) 港湾審議会等の機関と十分に――制度としてはできておりますので、そういった意見を十分に尊重しながら今後とも慎重に考えていきたいと、こういうぐあいに考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そうすると、運輸省のほうはいまのような、つまり埋め立ての申請者と認可権者と、さらにまたもう一つつけ加えれば、漁業権の補償の問題なんかの裁定者と、一人の人がやるというような仕組みを、ただ審議会で、いま現状の審議会でいいと、あるいはこの法のワクの中でやれるというようにお考えなのか、やはりいまの法と、このいまできてしまった形との間の矛盾というのを感じておいでなのか、そこのところはどうなんでしょうか。

佐藤文生自由民主党運輸政務次官

○政府委員(佐藤文生君) 私は、現状のままでいいとは考えておりません。したがって、建設大臣が言われたとおりに、今後とも前向きで、そういったいろいろなギャップの点が出てまいってきておることは現実でございますから、そういうギャップを埋めていくという姿勢で考えていきたいと、こういうぐあいに考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 よくわかりました。  そこで、いま出ておる改正案の問題についてですけれども、確かに三条では、出願事項の縦覧であるとか、関係都道府県知事への通知、利害関係者の意見書の提出、市町村議会の議決を経た意見の聴取というような形で、いままでよりは幾らか周辺の住民にも知らせ、意見が反映されるというような条項もあります。しかし、これは私もあまり深く議論しませんけれども、たとえば意見書を提出したとしても、その処理をどうするかというようなことは何も書かれていない。結局県知事、受け取る側の裁量で処理されるというようなことになっているような意味では非常に弱いものがあるんですけれども、その次の埋め立て許可の基準の法定というのを見ますと、こうなっているのですね。国土利用上適正かつ合理的であることと、こうなっている。これは当然認可権者である知事なり何かが、法なり国の施策に基づいて判断することだろうし、それから用途が土地利用または環境保全に関する国または地方公共団体の計画に背馳しないことと、こういうような条項になっている。そうしますと、いまの港湾なり何なりの埋め立てというようなものは、国または地方自治体が埋め立ての主体であって、しかも国の国土利用計画に沿って、大体周防灘の計画だとか苫小牧の計画だとかいうような形でつくられるわけですから、この基準によれば国の施策の遂行、つまり国と一体になっている埋め立てを一そう保証する基準にはなっても、これをチェックする基準にはなってないんじゃないか、私はそう思うのですけれども、その辺はどうですか。むしろそういう点を考えてこの条項をきめたということになるわけですか。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 第四条の免許基準は「左ノ各号ニ適合スト認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ」ということでございまして、一号から六号まで全部の条件を具備しなければならないという考え方でございます。したがいまして、二号で、「其ノ埋立が環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」という条件も満たさなければなりませんし、また、「埋立地ノ用途が土地利用」――ただいま先生御指摘のように、土地利用の計画に違背しないという積極的な条件とともに、「環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」というように、すべての条件を具備した場合でないと免許してはいけないのだという思想でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 その点では、環境保全、災害の防止に十分な配慮がされたものであることというようなことが全部具備されなければ認可しないということなら、これはある程度いいと思うのですけれども、これはあと具体的な問題でもう一ぺんお聞きしますけれども、ただ「国土利用上適正且合理的ナルコト」というような場合の国土利用計画というようなもの、たとえばいま衆議院でかかっておるあの国総法なんかで国土利用計画がきめられると、そうすると、それにかなったものという形でずっとワクを張っていかれますと、国の計画どおりに埋め立てがやられていく、下にそれが強制されていくという形になりはせぬかというように思うのですけれども、この点どうですか。やはり国の法律でそう国土利用計画の大ワクがきまれば、それに従うことになるのでしょう。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 当該計画が一応別の法律、国土利用の適正かつ合理的な計画を定める法律がかりにございまして、その法律に定める埋め立てであるならば、一号の要件は一応充足されるわけでございますが、二号、三号の条件等も同じウエートで判断されなければなりませんので、一号の条件を満たしたからといって、ある具体の案件について直ちに埋め立ての免許をするという立場ではないわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 まあその点は、大体私の言っていることと説明との食い違いははっきりしていますから、次に移りたいと思います。  そこで、この改正の中で、この四条に利害関係者の同意があることということが規定されておって、それで五条に利害関係者の範囲を列挙してあるわけですけれども、いままでの適用でいきますと、この間港湾局の方に――建設省からも来て説明してもらったのでは、埋め立てされるこのワクの中での漁業権者であるとかあるいは入漁権者であるとかというようなものに適用されるので、このワクから外に出たもの、隣接したものに対しては適用されないというような説明だったのですけれども、この点ではやはり日弁連の意見書なんかでも、法律を扱っている人としてこういうふうに言っておりますね。公有水面の埋め立ては私人の所有に属しない公有水面を排他的、永久的に埋め立て、埋め立て免許所有者に所有権を与える行政処分である。埋め立て免許は国民の共有財産を一般に廉価で永久に特定個人の私有とすることを認める行政処分である。海面特に沿岸に限られ、一たん埋め立てると回復し得ない性質のものである。いまの、この埋め立ての特質をあげて、地域住民の利害を免許に至る手続に十分反映させるべきであるというふうに言って、そうしてこの権利者の範囲の問題では、権利者の範囲を第五条列挙の者以外に、埋め立てにより間接の影響を受ける水面に漁業権を持つ者、埋め立て地の利用により生活環境を破壊される者、埋め立てにより直接営業上の損失を受ける者、自由漁業の対象である海面を汚染されたために損害をこうむる漁民、こういったものを明文で規定せよというようなことを意見書として出しておるわけですね。これはまあこういう問題について法律上いろいろ争ってきた経験のある人たちがこれを規定しておくことが必要だということで出した意見だと思うんです。こういう点について、やはり考慮して広げるべきじゃないのかと、こう思うんですけれども、その点どうですか。

川田陽吉建設省河川局次長

○政府委員(川田陽吉君) 公有水面埋立法第四条の規定は、埋め立ての免許を与える都道府県知事が事前に一番重要なポイントとしてチェックしなければならない点を書いているわけでございますが、「其ノ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ」ということは、同意を得なければならない相手方が範囲が明確でなければ規定の運用ができないわけでございます。そこで、直接埋め立てが行なわれる公有水面におきまして漁業権を持っている人ということなら範囲が確定できるわけでございますが、隣接という問題を考え、あるいは自由漁業というようなものを考えますと、その相手方を法律的に明確にすることが現実の問題として不可能でございます。そこで、この法律の考え方としては、そうした人方を全く無視するのではなくて、同意をとる相手にはいたしませんけれども、今度の改正によりまして、意見書の提出という機会も与えてあるわけでございます。それからまた、もしも具体的に損害を受けるのでありますならば、これは当然民法の一般原則によりまして補償の対象になるわけでございますから、事前にそういった被害の範囲とか額とかがはっきりしている場合は、事前に損害賠償の約束をするというような運用で解決できると考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 この質問だけやったらやめますから……。  それでね、この問題、まあそれは埋め立てるほうの都合からいえば、この範囲のものの権利者だけでそれが納得すればいいと、それが非常な弊害を及ぼしているんですね。たとえば、許可を得るためには同意がなけりゃならぬというから、先に同意を得てもう補償金を渡しちゃったと、ところが、まわりの人がたいへんだというので反対したと、漁民はいま補償金を受け取って使っちまったと、これ御破算になったら困ると、しかし残したいには残したいけれども、御破算になったらもう困るというようなジレンマが出てきているんですね。だから、この点では私は無限定に幾らでも関係者といって広げろということは、いまあなたの言われたようにどうにも困るけれども、すぐ隣接しておって、だれが見ても明白なもの、こういう者の同意というものは必要とすべきじゃないのか。たとえば建設省ですから一つの例でいえば、例の日照権の問題ですね、あれは建築基準法でいけば、自分の地所の中なら、基準法に違反しなけりゃどれだけのものを建ててもいいわけですわ。ところが、そこでマンション建てられるために隣に住んでおった人が日陰になるということでこれが問題になって、それでずいぶんいろいろ住民運動なんかが起こってきて、いまでは日照権というものが人間の生活権の問題として法律的に確定されているというような状況になっているわけですね。そういうふうに考えてみれば、少なくともこれだけの水面を埋め立てる場合に、これにすぐ隣接しておる漁区なり、あるいは事業をやっているところで明白に影響を受けるというような場合、やはりその同意を得ると、あるいは補償の対象にするというようなことは当然考えられなくてはならないんじゃないか、政治の問題として。その点どうなんですか。

鈴木登運輸省港湾局管理課長

○説明員(鈴木登君) 私のほうからお答えいたします。  実は先生御指摘の点につきましては、第五条できめておりますのは、一応物権としての性格を有する権利をここで権利者として規定しております。それ以外のもの、たとえば一本釣りの漁民だとか、あるいはそこで海水浴場があったがためにそれを営業しておったとか、あるいはさらにいいますと、日曜日そこで魚を釣るのが楽しみだったとか、そういうことがいろいろこの埋め立てに伴いまして利害関係者が出てまいります。それの全部を権利者と認めて、その同意を得ないことには埋め立てを実施できないということになりますと、これは別途埋め立てが、たとえば社会的にどうしても必要な場合、たとえば公共目的の埋め立てとかいうこともできなくなるような場合が発生いたします。したがいまして、それはある程度は都道府県知事あるいは港湾管理者の免許権者にまかしてございますけれども、一応法律上は物権的なものだけを権利者として補償義務を課しまして、その他は一応免許権者のほうの裁量にまかしておるのが現状でございます。したがいまして、現実の問題といたしましては、先生の御指摘のような場合は影響補償と称しまして、影響のある範囲内で補償しているのが現実でございます。非常に強力な反対とかいうことがありますと、たとえ法律上はそういう同意を必要としないというふうなたてまえになっておりましても、現実には埋め立てできないのが現状でございますので、実際問題はそういう人たちに対しては影響補償を行なって埋め立てをやっているというのが現実でございます。ただ、どの範囲までその影響補償を出しているのかといいますと、これはケース・バイ・ケースによって非常に違います。ただ、今回そういう点もできるだけ保護するようにという考え方から、先ほど河川局次長の御説明のありましたとおりに、別途、縦覧の機会とかというようなものを与えて、できるだけそういう反対の意見を聞くという制度にしたわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それで、具体的な例でいいますと、これもあなたのほうでも何回も陳情に行っているというから御存じだと思うんですけれども、蒲郡市の形原地区ですか、あそこで、ここのところをこう埋め立てようとしておるんです。(地図を示す)ところが、埋め立てのここのところに水面を囲って、同じくらいな――約五万坪埋め立てるというと、こっちも約五万坪ぐらい水面を囲って海水でもって養魚場をやっているという人がおって、しかも海水を取り入れるのはここに取り入れ口があって、そうしてここにサル堤防といわれている石で積んだ三十五メーター、あるいはこっちは七十メーターぐらい出ている、それを三十五メーターのここまで埋められるということになれば、水の出入りが悪くなるわけですから、これは非常に大きな被害を受けるということは、それだけでも明白なんですね。ところが、これに対して何の発言権もないというような状態ですね。そういうことに実際上なっている。それでいろいろ折衝があって、このサル堤防のところ、三十五メーターまで下げると言っておったけれども、これがまた三十五メーター下げても困るということで、七十メーターまで下げる、いや三十五メーターまで戻すというようなことで、いまいろいろ議論になっておる。だから、こういう議論を――まあ一つ一つの問題については、私は公正にやっていくように指導してほしいと思うんですけれども、いまの状態では。しかし、少なくともその埋め立てのためにこういう被害を受ける人が、法律上は何も補償がないというようなことでは困るわけですが、これはさっき言った日照権と同じようなもので、ここを埋められたために水の出入りが悪くなるという問題が一つあるし、私ら、もう一つ心配するのは、ここを埋めてここが狭くなれば当然この水がよごれますよ。よごれたら、これは魚を飼う条件というものは当然変わってくる、できなくなる、そういうものがあるわけですね。それに対して市役所のほうではまともな相談もしない。話もしない。この間聞きましたら、いや運輸省のほうからそういう指導をして、この本人とよく話し合ってやれという指導をした、それで市役所から来たと、まことにすみませんでしたと、すいませんでしたと言うので、どういうことですかと言うと、ただすいませんでしただけで、具体的にはちっとも話は進んでいないというようなことなんですね。だから、それは指導されて、そうして納得のいくように私は解決してほしいと思うけれども、しかし、こういうことは至るところで起こってくる。そうさせぬためには、少なくとも隣接して、直接、だれが見たって被害を受けるおそれのあるようなものに対しては、やはり同意を得るとか補償をするとかというようなことが、法律の条文の中で保障される必要があるんじゃないのか。だから私は言っているし、おそらく日弁連の意見書なんかで言っているのも、そういうケースがいろいろたくさんあるから、だからこういうものを取り入れたらどうかという意見書も法曹人として出していると思うんですわ。だから、そこらの辺、どうですかね。これは政治的な判断として、ひとつ運輸省と建設省の大臣のほうから、そこら辺の政治的な判断をお聞きして、具体的なこの問題の処理としては、やはりもっと親切に話し合えという指導をこれきちっとしてほしいと思うんですよ。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 先生のただいまの御質問は、まことに一つの考え方の意見として、また、今回の法案にそういうものが盛られなかったことは残念でありますが、十分ひとつ検討してみたいと思います、前向きで。

春日正一日本共産党

○春日正一君 運輸省のほうどうですか。

佐藤文生自由民主党運輸政務次官

○政府委員(佐藤文生君) 大分県――私、大分県ですけれどもね、大分県のあの八号地を県知事が、もう臨界工業地帯ということでずうっと計画を進めて、従来ならば許可をしてすぱっとやるケースの問題なんですが、先般、あれは大分県知事自身が、環境の破壊ということが見られましたので中止をいたしました。その際に、直接関係のある漁民との話し合いはできなかったこと、それから周辺の漁民等のやはり反対があった、だから、そういうようなことを十分にやはり配慮しまして、相談がありましたので、私もそれは一応中止すべきであるという結論を出しておきました。ですから行政的には、いま先生の言われたようなことを十分に配慮をして運輸省はやっていきたい、将来にわたっては建設大臣と同じ意見でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それでは、午前中はこのくらいにします。

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 午後一時十分まで休憩をいたします。    午後零時十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時十九会開会

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公有水面埋立法の一部を改正する法律案の質疑を行ないます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 念のために、午前中の形原地区の埋め立ての問題ですね、これは運輸省として筋の通った解決するようにきちんと指導していただくということでいいですね、……。  それでは次に、公害が非常に問題になっているわけですけれども、特に公害問題が大きく問題にされている地域を見ますと、公有水面の埋め立てによる工業用地の造成地域、四日市にしても水島にしても、鹿島あるいは東京湾、そういうところが非常に多いわけですね。そうしてこういう事実に立って、たとえば四日市の判決では、「被告らは、その工場立地に当たり、右のような付近住民の健康に及ぼす影響の点について何らの調査、研究もなさず漫然と立地したことが認められ、被告石原を除く被告五社について右立地上の過失が認められる。」というこの会社の責任だけでなくて、「被告らコンビナート工場群が四日市に進出するについて、当時の国や地方公共団体が経済優先の考え方から、工場による公害問題の惹起などについて事前の慎重な調査検討を経ないまま、旧海軍燃料廠の貸し下げや、条例で誘致を奨励するなどの落度があったことは窺われるけれども、」ということで、国の行政の落ち度ということも指摘されておるわけです。そうして、こういう状態に対して四十七年十二月の中央公害対策審議会の防止計画部会、ここでの中間報告では、「今後は、これらの政策目標と並んで、しかも、より優先する政策目標として「環境保全」を掲げ、他の政策目標は環境保全と両立しうるという十分な検証を経てのちはじめて実施に移すという原則を確立する必要がある。」という報告もしているんですね。そうして特にこの前のところで、「今後の地域開発に際しては、あらかじめ予測される環境汚染のあらゆる可能性を計画の段階において十分科学的に検討して、環境汚染が発生しないような地域開発計画を策定し、地域住民の健康と福祉に対する悪影響を未然に抑止しなければならない。地域開発計画が、公害の未然防止に十分の考慮を払わないで経済性の追求に主眼をおくときは、表面的な地域の発展及び所得の増大が見られるとしても、それは決して住民福祉の増進には結びつくものではなく、出発点を誤まった地域開発といわなければならない」というような報告もしておるわけですね。そういう点について、この埋め立ての所管の官庁である建設省と運輸省ではどのように受けとめておいでになるのか、その点からお聞きしたいと思います。両方の大臣、次官。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) この埋め立てという問題につきましては、いろいろ御批判もありますが、大正十年来法律もでき上がりまして、その間きょうまで、ことに戦後の日本の埋め立てという問題については別問題といたしましても、いわゆる日本が海岸に四方八方囲まれておるということでございますから、そういう面で、また山岳地帯が多く、平野が少ないというようなこと、あわせて領土というものが狭小であるというような考え方のもとに埋め立てというものが行なわれてきたということで、都市の開発とかあるいは産業発展のために相当な寄与をしてきたことは事実であろうと私は思うわけでありますが、戦後の経済成長、こういうようなこと、あるいは産業優先というような考え方、そういうようなものが公害のたれ流しというようなことにもなって、きょうのこの時点においては環境問題というものが非常に大きく打ち出され、また、人間尊重という立場からこの点については十分な反省をしなければならない、こういう意味でこの埋立法につきましても環境保全という問題をあらゆる角度から検討していかなければならないと、こう思うわけでございます。私は先ほど来から申し上げておりますように、この法案が全き法案でない、また運輸大臣自体も、当時、私、話したんですが、この程度の改正で法案を提案するということはどうかということも運輸大臣も疑義を抱いておったんですが、まあいろいろこの法案の状況を考えてみますと、行政の面だけではもう限界があるということで、一歩でも二歩でも前進だったらやっておかなくちゃだめだと、こういうことでこの法案を提案いたしたわけでございますが、環境問題等につきましては、もっと厳密な考え方のもとに法案も改正して提案すべきだと思うわけでありますが、それは先般来から申し上げておりますように、ひとつ抜本的な改正を近い将来にやるということに御理解いただきまして、この埋め立てに対する公害というものに対しては十分な反省をしていかなければならないと、こう考えております。

佐藤文生自由民主党運輸政務次官

○政府委員(佐藤文生君) 港湾が御承知のとおりに陸と海とをつなぐ、ジョイントする重要な接点でございますので、従来ならば運輸省は、私は安全度というのを考え、時間短縮度というのを考え、はっきりいえばそういう二点しか基盤に考えないでつくっていったものだと極言をしてもいいと思うのです。しかし、いま建設大臣が言われたような時代の趨勢を見まして、安全度、それから時間短縮度、それから公害度、これ等の追求、それから地域住民へのサービス、それから科学技術の進展度、こういったような五つのポイントに運輸行政というものは変わるべきである、こう考えまして、いままでの埋め立てのやり方から一歩前進しまして、本日御審議を願っております埋立法の改正案、さらには公害諸法、あるいは自然環境保全に関する諸法律を十二分に尊重いたしまして、今後とも万全を期して行政に当たる所存でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そういうふうに受けとめていただきたいのですけれども、ただ運輸省のほう、速記録を読んでみますと、何か運輸大臣は、運輸省の港湾の仕事というのは、埠頭とかなんとか港湾施設みたいなところだけについて考えておいでのようで、その改善は必要だと言っておいでなんですけれども、実をいうと公害を出している伊勢湾なり何なりみな港湾区域で、工業地域がずっと運輸省の管轄に含まれているんですね。だからその点は運輸省十分注意をしていただきたいというふうに思います。  それからそういうことになりますと、いま現に、すでにきまった新全総の中で十万ヘクタールの埋め立てというようなことが予定されておるわけですね。それからまた港湾整備五カ年計画、これは四十六年度から五十年度までのものですけれども、これを見ますと、この中でも、五カ年計画の中で四万四千ヘクタールを造成する必要がある、民間分を除くと、港湾管理者及び地方公共団体の造成分は四万ヘクタールとなるというようなことで、相当大規模な埋め立てがすでに計画をされておる。それから予定もされておるわけですね。こういうものについて、当然、いま先ほど言いましたような、この中央公害審議会の報告なりあるいは四日市の判決その他を受けとめた立場から再検討する必要があるんじゃないか、洗い直してみる必要がある。先ほども佐藤次官は大分の八号地の問題出されましたけれども、私もあそこへ行ってみて、あれは適切な処置だったと思いますよ。そういう意味で洗い直してみる必要がある。この考えがあるのかどうか。特に、経済企画庁のほうでこれを企画された、そちらではどう考えておいでなのか、その点聞かせてほしいと思います。

下河辺淳経済企画庁総合開発局長

○政府委員(下河辺淳君) いま御指摘ありましたように、昭和四十四年にきめました新全国総合開発計画の中では、十万ヘクタールの埋め立てというものを含めまして、臨海型の工業地帯として造成してまいりたいということを予定しております。しかし厳密には、もちろんでございますけれども、調査検討を経た上で実施に入りたいということを一応書いてございますが、しかも御指摘のように四日市裁判のこともあり、私どもとしてもいろいろいままでやってきたことに関します反省もあるわけでございまして、その後、関係各省十省庁ぐらいあると思いますが、共同調査をした上できめたいということで、環境関係の調査あるいは水産業関係の調査も含めて埋め立ての是非について慎重な調査をしたいということを考えております。もう一方では、地元のほうにいろいろな意味での協議会をつくっていただきまして、地元の方々の御意向をくむようなこともぜひしなければならないということをやっておりまして、現在、御承知のように新全国総合開発計画を全面的に総点検しようということで作業を始めておりますが、マクロ的に十万ヘクタール要るということもございますけれども、実は各地域におきます調査なり住民の御意向をくんだ形で、はたして日本の国土におきましてどういう適切な埋め立て計画を持つことができるかということを、現在慎重に作業を進めておるわけでございます。おそらく結論としては、具体的に一から十までを明らかにすることは、調査なり地域の方々の御意向との間で十分できないと思いますけれども、順次できるものから明らかにしてまいりたいという考え方でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そうすると、いま企画庁としては、新全総をつくった段階で、おそらく十万ヘクタールというからには、ただこれだけの産業を収容するために十万ヘクタール必要だというだけでなくて、たとえば志布志であるとか周防灘であるとか、あるいは苫小牧であるとかいうような具体的な地点を頭に置きながら十万ヘクタールということをやはり言っておられるんだろうと思うんですよ。そういうものを含めて、いまの時点で環境保全、そういうような立場、あるいはまた産業構造の改造といいますか、改善というか、そういうこともいま問題になっている、そういう立場も含めて再検討をするという考えだというふうに受け取っていいんですか。

下河辺淳経済企画庁総合開発局長

○政府委員(下河辺淳君) 各地域ごとに御指摘いただいた地区について調査もし、ある場合にはある程度仕事が進んでいる地域もございますから、地域ごとに事情はだいぶ異なるということは申し上げておかなければならないと思いますが、しかし、たとえば一例をあげれば、周防灘地区におきまして、あの新全総を作業します当時は数万ヘクタールの埋め立てが可能であり、その埋め立てによって重化学工業基地をつくるのはいかがかという御提案もあり、新全総としても検討に値するということを考えた時期がございますが、その後各省庁の調査の結果を見ておりますと、あの地域で数万ヘクタールの埋め立てをして重化学工業基地をつくるということについては否定的であるという方向ではないかと思います。周防灘について、はたしてどの程度の開発が許容限度内であるかということについては、さらに環境庁、建設省、運輸省などとよく相談をした上で固めたいというふうな考え方でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そういう立場で徹底的な再検討をやはりやっていただくということが望ましいと思います。  そこで、もう一つ具体的に聞きますと、田中さんの列島改造計画では地名をあげていろいろ出しているんですね、計画を。私あの本の中から地名のあがったところを拾ってみたんですけれども、基幹資源型産業は北東、西南地域へ持っていくということで、苫小牧東部、むつ小川原、それから秋田湾、周防灘、志布志湾というふうなことがあげられておりますし、中規模臨海工業基地の候補地として、橘湾、宿毛湾、有明海、八代、中海、福井新港、新潟東港、酒田新港、函館湾、石狩新港、北関東新港、中南勢、それから中城湾、金武湾というふうな形で具体的に地名をあげているんですね。それで私これ調べてみて、日本地図と合わせてみて、たとえば志布志湾というようなところは日南海岸国定公園と重なってくるという地域ですし、それから橘湾は室戸阿南海岸国定公園、宿毛湾は足摺国定公園、それから八代と中海は国定公園解除になっているようですけど、福井新港は越前加賀海岸国定公園、酒田新港は鳥海国定公園。そのほかにもありますけれども、そういう形で、日本の景勝地といわれているようなところ、国定公園といわれているようなところに重なったり、あるいはそれに隣接してこういう埋めたてが予定されておる、私はこれは非常に重大な問題だろうと思うんです。というのは、埋め立てをそこでやればそこの隣がよごされていくというような形で、まあ将棋倒し論といわれていますけれども、ここで埋め立てをやると隣の漁区がとれなくなって漁業権放棄する。また埋めるとまた隣がだめになる。そういうものなんです。だとすると、こういう国定公園なり国立公園なり、そういう保存すべしとして指定されているところに重なって、あるいは隣接して埋め立てて工業地域というようなものは設けるべきじゃないんじゃないかと思うんですけれども、その点は、これは環境庁のほうが解除するなりしないなり権限持っておいでなわけでしょう。環境庁としてその点どうお考えですか。

坂本三十次自由民主党環境政務次官

○政府委員(坂本三十次君) 国立公園それから国定公園、その中に埋め立てをするとかその隣接地に埋め立てをやっていくというような場合につきましては、これはやはり環境庁の立場といたしましては環境保全、自然保護という立場に立ちまして、そうしてこれらの計画につきましてもいろいろと事前にひとつ御相談をいただいて、そうして、この場合はノーという場合もあるでありましょう、それからやむを得ないという場合もあるいは起こるかもしれません。しかし、環境庁の立場としては環境保全の立場という上に立っていろいろと事前に御相談を申し上げ、調査研究をいたしまして、そうして環境アセスメントなどの十分なやっぱり討議を重ねねばならぬ。いままではそれが抜けておった。そういうものですから、ついついあちらこちらに公園内で解除もしないで埋め立てをやってみたり、いろいろ地方自治体あるいは政府部内におきましてもそこに調整がとれてない。人と環境の両立というものが混乱をしてきておった結果が御指摘のようなやはり破壊につながってきたものだという反省をいたしまして、これからはやっぱりよく関係各省とも地方自治体とも御相談をいたしまして、まず最初に、ころばぬ先のつえで、環境アセスメントをきびしくやってまいりたい、こういう姿勢でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 大体いまの御答弁で原則論としての政府の態度というものは了解できるわけですけれども、具体的な問題について三つほどお聞きしたいんです。  第一番は横浜の金沢地区の埋め立ての問題なんですけれども、これは埋め立て計画が、一号地百九十万平米、二号地百七十万平米、三号地が二百三十万平米、それに海の公園七十万平米と、こういうことで計画されて、現在一号地はほぼ完成、それから二号地のほうは、外郭堤防をつくって、あとは土を入れるというような段階にきております。そしてこの一号地と二号地は横浜市長が認可の権限を持っておるものですから、先ほど話したように、自分で申請して自分に認可するというような形で、これは簡単にいったわけですね。ところが、三号地は県知事が認可をするということになっておって、しかもそれがこういうふうになっているんです。(地図を示す)これが三号地でもって、ここまでが港湾区域で、だからここからうちは運輸省の認可事項ですね、承認事項といいますか……。それからこっちは建設省の承認事項、両方にかかっているわけです。県知事が認可をするということになっているわけですけれども、この三号地の埋め立てについていま非常に反対の運動が強くなって問題があるし、私も行ってきてみて、これは考えにゃならぬ大事な問題だというふうに思ったんですけれども、つまりここのこの埋め立てをやるために――ここは釜利谷地区といいますけれども、ここは市街化調整区域になっており、ここは、この幅の中は緑地保全法による緑地になっている、この続きになって、横浜市で残された最後の緑地帯といわれるようなところで、御承知のように金沢八景という駅もあって、そこからハイキングコースでずうっと鎌倉に入れるというような、非常に景勝な土地です。ところが、この埋め立ての土の二千五百万平米を取るために、この調整区域のこれを解除して、京急興業とかいう、これは京急が全部買っているんですが、京急興業に宅造を許可する、この山を削った土を持ってきてこれを埋める、こういうことになっているんですね。だから、地元の人たちにしてみれば、海もこわされるし山もこわされるということで、これは反対運動がいま非常に大きくなっている。六月の県議会には反対請願が出されて、そして自民党、公明党、共産党、民社党――社会党はこれは与党なものですから署名はしないけれども、請願の紹介になってそれが出されたというようなことで、県知事もこの問題の解決を議会できめてくれなきゃ決定はしないというようなことになっておるわけですね。私はそういう政治的などうこうよりも、この海岸というのは、すでに市川から東京湾ずっと歩いてみて、東京湾の中で残されたほんとうに乏しい海岸ですね。しかも金沢八景と昔からいわれているように非常に景勝の地で、いまでも海水浴もやれれば潮干狩りもやれるというような、七キロの残されたわずかな海岸、これを埋めてしまう。そしてこのハイキングコースのここを削って住宅地にしてしまうというようなことが簡単にやられていいものだろうかと、私、横浜市へ行って聞いてみたんです。こういうことをして、山を削って海を埋めて、そのためにこの海面、あるいはこの地域に――ここはまあ植物、鳥類保護区域にでも指定しようといわれているような、鳥やこん虫、横浜としては残された豊富な土地だ、だから何とかそういう点について、これだけ取っちゃったら鳥やそういう生物はどうなるか、あるいは海を埋めたらここの魚の生態はどうなるか、そういうようなことについて調査された資料はありますかと言ったら、そういうものは調査したことありませんと言うんです。だから、いま言われているような環境アセスメントといいますか、そういうような問題については全然調査なしに、ただ法律にきめられておる、埋立法施行令できめられておる埋め立て面積と使用目的云々というような書類だけでこれが審理がされるということになると、先ほど来大臣、次官の言われたいまの時点での埋め立て認可の基準には合ってこない。だからこれは当然県知事が認可をするとしても、これは大規模なものですから、運輸省あるいは建設省に承認を求めてくるだろうし、その時点では環境庁にも相談があるはずなものだというように思いますけれども、これらの点を十分やはり検討して、そうしてこれを削ることが災害にどういうふうにつながるのか、あるいは自然環境にどう影響されるのかというようなことを十分に考えて、そういう資料を出して調べた上で検討するということをこれはやってほしいと思うわけです。  ついでのことですけれども、この地域に御承知の金沢文庫があります。あそこの称名寺というお寺の境内のぎりぎりきわまである宅造会社が買い占めて、それで海岸寄りの山を何メーターか削ったんですね。その時点で住民が反対して、文化庁なんかもいろいろ世話をやいてくれて、まあそこは県が買い取るということにして保存はできたわけですよ。あのとき館長の話を聞いてみますと、金沢文庫の建物というのは西洋風のきちっとした建物にいま建て直されておりますけれども、この山が削られたという、数メーター削られたというだけで気象条件が変わって、そして古文書のいたみが激しくなってきているから、もうこの建物は建て直して十分保存のきくようなものにしてもらわなきゃしようがなくなっているというようなことを聞きました。わずか数メーターの山を削っただけで海の空気が入ってきて非常に微妙な変化が出てくる。幸い文化庁のほうでもその点考慮して建て直すことにきまったそうですけれども、そういうことを考えますと、これだけの山を――これは横浜で一番高い山ですよ、削ってしまって、海に埋めてしまって、それで変化が起こらぬという道理はないわけですね。ところが、そういうことに対して何らの調査もなしに、ただバイパスをつくるんだとか、あるいは工場を誘致するんだというようなことだけで計画がされてきておるし、それからまたそういうことで認可がされてきているということになれば、いままでのまた繰り返しになってしまう。だから、そういう点で十分そういう調査してないというんですから、きちんと調査研究をさせて、そうしてその必要との考慮の中で住民の納得の得られる形で認可するなりしないなりということできめられていくというような手続をとってほしいと思うんですが、先ほど私読み上げた公害審議会の報告にあるように、認可する場合に十分前もって調査をして、その被害が起こらぬような条件をつくった上でやるかやらぬかをきめるということにしてほしいと思う、これは実際問題ですからね。で、九月の県議会できまればすぐ出てくるわけですから、その点ひとつ考え方を聞かしておいてほしいと思います。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) まだ建設省のほうには申請書は出ておらないわけでございますが、聞くところによると四十八年の五月に知事が審議会に諮問したところが、六月以内ということで回答があったということを聞いておるわけでございますが、また、いま先生のおっしゃられるように地元住民の反対の声も私も聞いております。そういうような状況の中で環境保全問題、環境、自然破壊というような問題等も十分に考えなくちゃなりませんし、また東京湾地域整備連絡会というものもあるわけでありますし、そういうところでも十分な審議をしていただき、なお今後申請が出た場合につきましては、十分な検討を各官庁ともし、ことに環境庁とも連絡をとりまして万全を期してまいりたいと、こう考えております。

佐藤文生自由民主党運輸政務次官

○政府委員(佐藤文生君) 横浜港の金沢三区の埋め立てについては、いま建設大臣が言われましたとおりに、運輸省としては申請がなされた暁においては、建設省、環境庁等の関係行政機関とも緊密な連絡をとりまして、埋め立てを必要とする理由と、この埋め立てによる、いま先生が言われたような自然環境の破壊の程度等を十分に検討して慎重に判断することとしたいと思っております。  なお、この際申し上げますが、改正法が施行までの間における埋め立ての出願がありました場合においては、その処理については法施行前といえどもできる限り改正法の趣旨にのっとって埋め立ての許認可事務を進めるよう措置をしていきたいと、こういうぐあいに考えております。

坂本三十次自由民主党環境政務次官

○政府委員(坂本三十次君) 金沢地先と申しますか、その埋め立ての具体的な詳しいことは私もまだ十分承知いたしておりませんが、いま春日委員がおっしゃいますようなお話であるとすれば、まだ事前の十分なやっぱり調査研究、それも都市の論理で、そこをいかに合理的に拡張するかというだけのことではいけません。やっぱり開発だけの、いわゆるそのアセスメントだけではいかぬのでありまして、人間と環境が両立しなければならないという、そういう観点に立ちますれば、その埋め立てにつきましても後背地のその緑地の破壊につきましても、広い意味でのやはり環境アセスメントというものをやらなければならない。いままで、町なら町の都合、それから産業なら産業の都合、それはそれで非常に合理的に進んできたとは思えましょうけれども、それが環境に及ぼす影響ということがいままでなおざりにされてきたわけでございます。うちの三木大臣もよく、人境ともに奪わず(人境倶不奪)と、こう揮毫いたしまするが、人間と環境というものはどちらをこれは抹殺してもたいへんなことになるわけなんでありまするから、ただその接点が問題でございます。その接点に立ちまするということになりますると、やっぱり十分な時間をかけての、しかも官庁だけではありません、いろいろな世論をしんしゃくいたしまして、十分に時間をかけて私はやればいいと、こういうふうに思うております。どちらかといえば疑わしきは開発せずというほうが私は大事なことじゃないかと、こう思っておる次第です。

春日正一日本共産党

○春日正一君 ぜひそういう慎重な態度で十分検討もして、やはり近隣の住民も十分納得できるという検討をしてほしいと思います。  それから同じ性質の問題ですから、これ続けてお聞きしますけれども、四日市港の埋め立ての問題ですね。あれだけ公害が出て裁判があって、その後判決は出たけれども、公害病患者はふえておるといわれているような状態のもとで、霞ケ浦地区の埋め立てというのが進められております。これですね。(地図を示す)新大協和石油化学五万四千坪、東洋曹達六万七千坪、大日本インキ化学工業四万七千坪、四日市鉄工社四万七千坪、大協石油三万三千坪、合わせて二十四万八千坪ということで埋め立てが計画されております。ここのところですね。こうやってみますと、これが公害で問題になった磯津地区とか、あっちのほうですけれども、そのこっちの霞ケ浦地区というところで、すでにここにこれだけ埋め立てられた。いま言ったような工場、これあるわけですけれども、さらにこれはこれだけ埋め立てられて、そしてしかもその埋め立てる土はここのところをくずして持ってくると、そういう計画になっておるわけですわ。  ここで私お聞きしたいのは、これもすでに県議会でも相当問題になっているようですけれども、第一コンビナートの被告六社の共同不法行為とそれに関連しての行政の責任ということがあの裁判の判決でも指摘されたにもかかわらず、第二コンビナートができ、第三コンビナートができ、そして第三コンビナートのいま言った第二次埋め立てが進められるというようなことが、これ行政の責任として許されていいものかどうかということですね、そこのところをひとつお聞きしたいんですが。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 先生おっしゃいますように、現在霞ケ浦の埋め立てが進行中でございますけれども、四日市の公害問題、主として工業用地に立地いたしました工場からの排気汚染問題、これは非常に大きな問題だと思います。それに対応いたしまして、その汚染をどうやってなくすかという先ほどからのお話がございますけれども、そういう意味におきまして、港湾の計画、すなわち住居と工場との配置の問題とか、あるいはその工場用地の上に出てくる工場をどのくらいまで規制しなくちゃいけないか、そういう点を十分参考にいたしましてきめていくと、こういうような姿勢で現在進めております。簡単に申し上げますと、たとえばいまの霞ケ浦の埋め立て地と住居との間には水面とかあるいは緑地帯を大きくとるようにしております。また現在、県のほうで環境基準をつくりまして、それに合わせるような、それにマッチするような工場はどのくらいにしたらよいかというようなことも検討している段階でございまして、未竣功の第二工区についての立地、業者、規模について、まだ結論は出ておりませんが、すでに操業を開始しております第一期分のところにつきましても、ある程度生産を押えてやっていると、こういうような姿で現在進行しております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 だから、あれだけ公害を起こして磯津地区その他では工場がどくか住民が移転するかしなければならぬというような問題まで出されておる。そういう条件のときに、あれはもう少し北のほうですけれども、そこでさらに工場を広げて、第一次のところでつくった原料を使って、二次、三次の製品をつくる。それで、ここからも当然ガスその他が出るということで、公害防止協定みたいなものを結んでいますけれども、あれにしたって扇島の川鉄と川崎市と結んだものから見れば、まだ非常に高いものだし、現にあの判決以後も患者がふえておるというような条件のもとでそういうことがやられる。チェックして押えておると言うけれども、押えておっただけじゃ、これは商売にならぬから、当然これはフルに動かすようになりますよ、つくれば。だからそういう点、考えてみて、その点の考慮が十分だったのかどうか。  それからもう一つは、山をくずすという先ほどの地図のあれですね、この辺、ここのところぐるっと禁猟区になっているんですね。そうしてこっちは休猟区になっています。そういう地域なんですね。だから、これくずされると、風がすっとこっちまでいくから、結局山をくずすことによって、いままでガスのいかなかったところへまでガスが流れ込む、そのことが心配されておる。そういうときに山をくずして海を埋めるというような形のことが安易にされていいのか、十分そういう点は検討されて、住民の納得のいくようにできておるのかどうか、そこら辺、確かめておきたいのです。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 山をくずして埋めつつあるというところまで実は私も存じない次第でございますけれども、先ほども申し上げましたように、県といたしまして環境の基準、これ以上はよごしたくないという基準をきめまして、それに押えるように努力をしていると、また、運輸省といたしましても、その点につきまして港湾管理者にその点を強く指導していきたいというように考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 その点は県から言ってきたから、それを聞くというんじゃなくて、住民があれだけの被害を受けているんだし、そこへもってきてまた埋め立てて工場ができるということになれば、その不安というものは一そう大きいと思うんです。そして、あなた、いま山をくずすというところまでは知らなかったと言われるけれども、現にくずして埋めるということになって、それが大問題になっているわけです。そういうことになると、先ほどの金沢地区の場合も同じケースですけれども、山をくずして海を埋めると、海と山を両方こわすという問題についての十分な検討をされる、そのことが必要だし、そういう資料もやはり提出して、それでなるほどこれならだいじょうぶと、プラスの面のほうがはるかに大きいというようなことで納得できるような形のものにする必要があるだろう。そこの点を検討してみてほしい。あなたは山をくずすまでは知らないと言われたから、よく調べて、そしてくずした結果、どうなってどうなるかということを三重県当局はどういう調査をし、どういうデータに基づいてやっておるかということを調べて、私、知らせてほしいと思うんですけれども、それやってもらえますか。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 先生のいまおっしゃったようなことは、私ども港湾の計画を進める上に一般論としてぜひやっていきたいと思います。いまの四日市につきましては、私、調査してみたいと思います。

春日正一日本共産党

○春日正一君 じゃ、これ最後になりますけれども、具体例、ここに「伊勢湾港湾計画の基本構想」といった、ちょっと古いのですけれども、昭和四十五年五月、運輸省港湾局、こういうものがあるんですね。それで、読んでみますと、水の面積として二千百平方キロ、海岸線として二百九十キロメーター、特定重要港湾として名古屋港と四日市港、重要港湾として三河港、衣浦港、そういうものが含まれておって、それで開発計画の社会的要請として伊勢湾のほうは、木曾三川等水の豊かさ、流通拠点の整備をする必要があるというふうに言って、この基本方針の中で、開発と保全の要請に応じつつ伊勢湾地域の調和のとれた発展をはかるとして、湾の奥部、つまり名古屋港、四日市港、衣浦港は流通施設を中心に整備するとして、津松阪港、三河港は日本産業の発展に大きく寄与する大規模な工業開発を行なう。こういうふうになっているのですね。そうして名古屋、四日市、衣浦各港は重化学工業を極力押え、三河港、津松阪港に主として重化学工業用地の造成をはかる、こうなっているわけですよ。  そこで私お聞きしたいのですけれども、伊勢湾は死の海と化しつつあるということで新聞なんかでも報道されているのですけれども、西風が吹くと魚が死ぬ、これは海底に酸欠水域が広がっているからということがいわれて、三河湾で四十五年に十三回、四十六年に二十六回、四十七年には八月十六日までに二十九回、そういう状態が起こっている。苦潮、赤潮、こういう発生状況が起こっている。伊勢湾では四十五年に十九回、四十六年に三十一回、四十七年には六月十五日までに十一回起こっている。そうして漁獲の種類も変化して、四十一年には三十一種類とれたものが四十三年には二十五種類に減って、白魚、芝エビ、コノシロ、フグというものが消えてしまった。四十六年には十六種類に減って、イナとかタコとかいうようなものが消えてしまった、水揚げの六割までが汚染に強い鳥貝とかオゴノリというようなものに変わってしまっているというふうにいわれております。そうしてこの原因は、富栄養化、重金属、PCB、油。そうして汚染のもとは生活排水とか、内陸工業地帯の河川から出るものとか、臨海工業地帯の排出物というような、いろいろあるわけですけれども、とにかく伊勢湾地域がこんなによごれているという事実をあなた方は御存じなのか、その点聞きたい。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 各港湾ごとの大気の汚染の状況とかあるいは水質の汚染の状況、運輸省そのまま握ってはおりませんけれども、そのつど環境庁その他連絡すればデータがとれるような形になっております。ただ運輸省港湾のほうといたしましては、底質の調査は一応全部やりました。その結果そういう地点におきまして相当数汚濁しているという点は握っております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 これは一人一人に御存じですかと聞くことは遠慮しておきますけれども、実際これほどよごれているのですね。そのよごれているところへもってきて、いま言ったような港湾計画をすでに立てておるわけです。そうして伊勢湾の四日市地域があれだけ汚染して問題になったからといって、今度は少し南に下がって、津、松阪の地域に重化学工業地域をつくって埋め立てるというようなことをする。そうすると、あの辺は伊勢志摩の観光地域と直接つながっている地域でしょう。奥のほうは自民党の皆さんが一番大事にする神宮とかなんとかのある方向ですね。そういうところへ重化学工業を立地させるというようなことは全く無神経じゃないかと私は思うのですよ。これは何か最近県知事は断念するというようなことを言っているようですけれども、この計画を見ればそういうことなんです。そこで、津、松阪のほうはそういうことで断念するという話になっているようですから問題にしませんけれども、三河湾のほうの地域ですね、これはどういうことになっているかというと、こうなってるんですよ。(地図を示す)これと、こっちと一緒に見ていただくと一番わかるのですけれども、これはまあ具体的な問題ですから話は簡単だと思うのですけれども、この計画につけられた地図によると、大体これが知多半島で、これが渥美半島で、これが三河湾になっている。こっちが衣浦湾で、こっちが三河湾になっているわけですけれども、ここが田原、ここが御前崎というふうになっていますけれども、これは何といいましたかね、委員長、ここのみさきは。

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 伊良湖岬。

春日正一日本共産党

○春日正一君 伊良湖岬といわれているところですね。ここに御前崎と書いてある。私はよく知りませんけれども、ここの突端からここまで線を引っぱって、この中を全部港湾区域にしてしまっているんですね。そしてこういう形で埋め立てて張りつけている。さらにこの地域は将来の埋め立てのために取っておくと、こうなっているのです。それで私、念のためにこれをこっちへ写してみたんです。これはいわゆる三河湾国定公園の地図ですね。これに写してみたんですよ、これを。そうしますと、この国定公園にずっと、田原のこの辺なんかは重なっているのですね。それから、ここらの辺でも第二種特別地域というような大島キャンプ場、小島、仏島なんというのがある、この鼻っ先が埋め立てられてくると、当然ここへ影響してきますよ。それから、ここらなんかでも姫島というのが第二種の特別地域になっておりますけれども、この鼻っ先、この辺がこう埋められてくるのですね。こういうことをしたら、この狭いところをこう一ぱい埋めて、ここに重化学工業を立地させたら一体どういうことになるのか。おそらくこの三河湾というようなのは、いまの東京湾とか、それ以上にひどい汚染状態になると思いますよ。しかも、この出口はこっちでも出口が狭いですから、だから全体が汚染されて、いわゆる国定公園の非常に密集しておる三河湾地域全体がだめにされてしまうおそれがあるんじゃないか。こういう問題は、当然先ほど言われたような立場から再検討をして、そして特に国定公園がずっと張りついているような三河湾の地域なんかに工場を立地させるとか、埋め立てをするとかというようなことはやめるべきじゃないかというふうに思うのですけれども、その点どうですか。環境庁のほうにまずお聞きしたいですね。国定公園をこんなにじゅうりんされていいかどうかという問題です。

坂本三十次自由民主党環境政務次官

○政府委員(坂本三十次君) どうもこれは三十九年ごろ港湾審議会で港湾計画を立てられて、四十五年ですか、改定をせられた……。

春日正一日本共産党

○春日正一君 四十五年ですね。

坂本三十次自由民主党環境政務次官

○政府委員(坂本三十次君) 四十五年に改定をせられたということを聞いております。それでまあ港湾計画はここに立てられておる。その中に、先に国定公園地域があると、ここはダブるわけですね。

春日正一日本共産党

○春日正一君 国定公園を無視して立てられたのですよ。

坂本三十次自由民主党環境政務次官

○政府委員(坂本三十次君) まあ、そういうことになってくるわけでありまするが、これはどうもやっぱりこの埋め立て計画、港湾計画というものがこの国定公園の計画と関連性を欠いたと、環境庁の立場からいたしますれば、その環境保全上主張すべき点が――まあ、そのときは環境庁ありませんけれども、厚生省時代でありまするが、私どもといたしましては、こういう計画が公園計画と関連性を欠いたということは、これは遺憾なことだと頭を下げる以外にございません。しかし、これからこういうような問題につきましては、愛知県もいろいろ計画変更、それからやむを得ないところは公園を解除しても、それよりさらに大きいものを、公園地域を指定するなどして、いろいろと改定を計画、再検討しておられるようでございまするけれども、県だとかそれから関係省庁ともいろいろと協議をいたしまして、できるだけやはり本公園の趣旨を守っていきたいと、こう思っております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 もう大体終わりになりますけれども、この国定公園の問題、こういう新聞があるのですよ。これは読売の四十八年二月十八日ですが、「五〇〇ヘクタールばっさり解除」、「県の開発推進で傷だらけ」と、こういうことになっているのですね。それで、同公園の一部を廃止するという申請をしたというようにして、この「特別地区五百三十九・二ヘクタール。五百余ヘクタールもの国定公園をばっさり解除するのは三十三年四月に国定公園に指定されて以来初めてである。廃止理由について県側は、港湾造成や埋め立て、護岸工事、市街化区域の進展で、公園としての価値が失われた」と、これが廃止の理由なんですね。ここを考えてほしいのですよ。私、さっきも言いましたように、埋め立てをやって工場を建てたり、人家を張りつけたりすれば、それが汚染源になってよごれて隣の区域に汚染していくわけですね。そのために、すでに国定公園がこれだけもう実在価値がなくなって廃止するとしたなら、その廃止したところを埋めて重化学工業をつくったら、残りの国定公園はどうなるか。当然これは将棋倒しによごされていってしまうわけですね。だから私らは、先ほども言ったように、国定公園に隣接したところとか、三河湾のように国定公園がほとんどずっと海岸に張りついて奥地のあれとも合わせて観光名所になっているようなところに、工場用の埋め立てなんかすべきじゃないだろうと、そう思っているのですけれども、この点、港湾局どうですか、再検討しますか。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 私ども、かつてはといいますか、現在でもある程度そういうふうに思っているわけでございますけれども、やはり日本列島というものを見てみますと、東京湾であるとかあるいは大阪湾、伊勢湾、瀬戸内海というところは、非常に景勝でもあると同時に、産業とか人間が住むのに非常に都合のよい場所でございまして、これだけの土地を持っている国というのがやはり日本をここまでもってきてくれたのじゃないかという気がいたします。そういう意味におきまして過去、まあ戦後でございますけれども、海をこのような形で開発することによって産業をこういうふうな形にもってきたという点の一つの非常に大きなメリットがあったのではないか、私どもそれを一生懸命やってきたような気がいたします。しかし一方、確かにいろいろな点で反省すべき点が出てきたと、これも肝に銘じて現在そう思っているわけでございまして、そのような意味で、今回のいろいろな公害の問題とか、そういういろいろな点についての反省をしつつあるわけであります。先ほど来、三河湾、伊勢湾の計画の話が先ほどございましたけれども、そのときに先端のほうの伊勢の付近とかあるいはこの地域の重化学工業の方向をきめたような構想が先ほど先生からもお話ございましたけれども、あれは計画そのものというよりも当時のものの考え方をあのような形でまとめたものでございます。で、当時といたしましては、私どもまたそのとおりに考えていたわけでございますけれども、やはりその後の経緯から考えますと、あの構想はある部分においては行き過ぎであるという感じで現在は反省しております。そのような結果、伊勢のほうにおきましては、先ほど先生のおっしゃられましたように、重化学工業に対しては反対である、また、現在の東三河港の埋め立て地につきましても、当時は重化学工業というように考えておりましたけれども、いまは重化学工業よりも、さらに軽工業とかあるいは都市のための土地であるという点についての考え方を再考しておる最中でございます。  で、なお港湾の計画そのものは、ある一企業であるとか、ある特別の産業のためにつくるということよりも、むしろその都市の発展であるとか、あるいは都市住民そのものの港であるというような考え方のもとにわれわれ計画を指導したり、港湾管理者もそのつもりでやっているわけでございまして、この地域におきましても港湾管理者である愛知県がそのつもりで計画を進めているわけでございます。その計画と国定公園とがたまたまダブるという点につきましては、そのつど公園を管理している知事のほうにお届けするとか、あるいは許可を求めてそれを解除してもらうというような姿勢で進めているわけでございます。なお、全体的に申し上げまして、環境との関係を十分考えたような姿で港湾の計画を今後改めるべきである、そのように考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私、最後にだめ押し的に発言させてもらいますけれども、やはり重化学工業はやめるけれども、たとえばトヨタの自動車を持ってくるというような話もある。そういうものならいいという問題じゃ私はないと思うんですよ。埋めて、工場張りつけて人が住めば必ず水もよごれるし、海もよごれるし、結局景勝の地がだめになって、先ほどのこの新聞記事のように、だめになったから解除してしまうんだというようなことになっていくんだから、現にこの先例があるんだから、だから埋め立てそのものをやはり再検討すべきじゃないかと。共産党もそういうふうに考えて、むしろ公有水面埋立法を促進法的な性格のものから規制法的な性格のものに変えなきゃいかぬというふうに考えておるのですけれども、これ以上議論してもしようがありませんから、各大臣、次官の皆さん方にいまの議論を十分くみ取っていただいて、この埋め立て計画というようなものは十分再検討して、これ以上こういう名勝だとか環境だとかというようなものをこわさぬようなふうにしてほしい、このことを私は最後に要望して質問を終わらしていただきます。     ―――――――――――――

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、上田稔君、熊谷太三郎君及び田代富士男君が委員を辞任され、その補欠として柴立芳文君、鬼丸勝之君及び藤原房雄君がそれぞれ委員に選任されました。     ―――――――――――――

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 この法案の審議につきましは、各委員からいろいろと問題が提示されたわけですが、読めば読むほど、見れば見るほどいろいろと疑問が、また問題点が読み取れてくるわけであります。で、私も初めに二、三の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  まず、これは環境庁、建設どちら――両方にまたがると思いますけれども、四十七条の点であります。四十七条は環境庁長官の意見聴取の義務ということになっておりますが、これは単に意見を求めるだけであるのか、環境保全あるいは災害防止の上から問題がある場合には埋め立てを中止するという、こういった勧告のところまで権限を与えることによってこの法改正の趣旨が生かされてくると私は思うのですけれども、その点、いかがでありましょうか。まず、建設、環境両方一応お聞きしたいと思います。

松村賢吉建設省河川局長

○政府委員(松村賢吉君) 環境庁長官の意見を聞くことに法律はなっております。と申しますのは、この法律のそもそもの権限的な問題といたしましては、都道府県知事が許可をすると。で、大規模なものについては建設大臣または運輸大臣の認可を要するということで、その認可をする際に環境庁長官の意見を聞くことになっておるわけでございますが、この意見を聞くということにつきましては、この環境問題というのは非常に専門的な問題も多く含んでおります。そこで、これの所管であります環境庁長官の意見を聞いて処置をするということでございますので、事実上の問題といたしましては環境庁の御意見を全面的に採用して、この御意見によって処置をやっていきたいというふうに考えております。

岡安誠環境庁水質保全局長

○政府委員(岡安誠君) いま建設省のほうからお話があったとおりでございまして、私どもは建設省のほうから意見を求められた場合には、環境に及ぼします影響につきましてはすべてチェックをいたしまして、私どもとしましては当該の認可が環境に対して悪影響がないというようなことでなければ困るという旨の意思表示をいたすわけでございます。したがって、私どもの意見が反映できないということはあり得ないというふうに実は考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 意見が反映できないことはあり得ないと、こう善意に受けとめたいんですけれども、しかし、やっぱしもっと明確にこの法改正の趣旨からしましても環境庁長官の権限を具体化していく、そこまで徹底させなければ有名無実になるのではないかという心配もあるんです。で、単なる意見聴取、こういうことでは私はまたなしくずしでこれが有名無実に空洞化されてくる場合もあると、こう思われてならないわけでありますが、そういう点から、その趣旨が十分生かされていくためには、このことを非常に重大視しなければいかぬじゃないか、こう思っておるわけです。建設大臣いかがでしょう。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 環境庁の意見を聞くということは、ただいま政府委員から、または環境庁からもお話があったわけでございますが、十分に尊重しつつ、私はこれはもう多言なしに間違いなく履行してまいりたい。また、それでなければきょうの環境保全というのはでき得ないということでございますし、政府あげて環境保全という問題には重大な関心を持っておりますから、先生御心配の向きもあろうかと思いますが、環境庁のチェックに対しては十分に意見を尊重してまいりたいと、こう考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 繰り返すようでありますが、やっぱしこの環境庁のいわゆる国土保全の立場からの条文を明確にしていくという、そのことが非常に大事であると、こう思われてならないんですが、いま態度としては十分にそれ尊重していくという、こういうことでありますが、当然これは明確に勧告できる、取り消しあるいは中止、そこまで私は条文化していくべきだと、こういうことを強く申し上げまして、次に移りたいんですが……。  次は、この三条に関連して、この出願事項の縦覧の制度、そして住民の意見書を提出すると、こういった問題でありますが、知事は出願事項を縦覧に供して、そして、その埋め立てに関し利害関係住民は意見書を提出することになっておる。ところが、この意見書の提出だけではこれは単なる一般の陳情、要請という程度の効果しかないのでないかというまた心配も起こってくるわけであります。そこで、もっと民主的に、そして地域住民の総意を反映さしていくという、こういうことがまたこの法の精神でもあると、こう思うんです。そういった点から利害関係住民の側の公聴会あるいは住民投票の制度などを幅広く採用すべきであると、織り込むべきであると私は思うんです。そのことについて建設大臣の御所見を承りたい。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 現行法の三条は町村会の意見を聞くというのみでありましたが、縦覧、利害関係者の意見の提出の制度というものの採用を今回いたしたわけでありまして、利害関係者の意見については合理的な理由があるものはもう当然これを十分に認めて、そしてこれを尊重していきたいと、こういう考え方でありまして、先生のおっしゃるように公聴会等も、それも一つの手だてだと思うんでありますが、町村会の意見を聞くというのみの当時の法律から考えてみて、現行法から考えてみれば一歩なり二歩なり前進しておると考えておる次第であります。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 日弁連の意見書でもこのことが強く意見されておるようであります。私は、ほんとうに住民保護の立場からこの法改正の趣旨があるということが前提であるならば、当然そこまで、そういった気持ちで運用するとかどうとかということでなくして、明確にその民主的な方法も取り入れて、そうして全体の総意、納得の上に進めていくということが最も大事であると思うのです。そういう点からこの公聴会を取り入れてもらうとか、あるいは住民投票を反映さしていく、こういうことに対する、具体的にこれを吸い上げていくという、そういう御意思はありませんでしょうか、建設大臣。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 先生の御意見も貴重な御意見だと考えます。先般来から各先生方に申し上げましておるように、この改正は一部の改正でありまして、抜本的な改正ではない。そういう意味で、抜本的改正をするときは先生の御意見も十分検討をいたしてみたいと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 ぜひそのような方向にひとつ織り込んでいただいて、完ぺきを期していただくように強く要望いたします。  次に、第四条に関連しまして、四条は埋め立て免許基準、免許許可条件として六項目あげてあります。ところが、こう一貫して感ぜられますことは、まあいろいろ網を張っておるようでありますが、何かしら読み返しておる間に浮かんでくるのは、環境の保全ということよりも国土利用のほうが優先しておるという、こういう感じを受けざるを得ません。ところが、この改正の趣旨はあくまでも――この現行法が埋め立て促進型、これは歴史的な過程からもそう言えると思うのですが、その弊害を是正していくために、改正案の趣旨は埋め立て促進型から環境保全のための埋め立て規制型に方向づけていくという、ここにこの重大な意思があると、こう私は思うんです。そういう趣旨と照らしまして、何かしらいろいろ項目をあげてありますけれども、やっぱしまだまだこの国土利用の比重が非常に多く働いているような気がいたしますが、その点建設大臣いかがでありましょうか。

松村賢吉建設省河川局長

○政府委員(松村賢吉君) 第四条の免許基準の項目でございますが、これはたびたび次長等から申し上げておりますように、この一つが充足すればいいということではなくて、これを全部充足しないというと許可できないということになっておるわけでございます。その中の重要項目の中に、当然「環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」とか、また、「土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」というようなことがございまして、環境保全ということもこの免許基準の一つの一番大きな項目ということになっております。もちろん「国土利用上適正且合理的ナルコト」ということも、これは国の計画と当然違背してはいかぬというのも条件になっておりますけれども、それと同じレベルにおきまして環境保全ということも重要な項目としてあげておりますので、先生の御心配のように、単にこれは埋め立て促進法ということではなく、やはり埋め立ての手続を定める法律といたしまして、両方の面を参酌いたしまして許可の基準にしたということでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 まあ繰り返すようでありますが、何としても国土利用というウエートが強まった。ところが、御承知のとおりもろもろの災害が、あるいは公害が起こってきた。これをもう一ぺん見直さなければいけないというところから環境保全の立場が強く強調されてまいった。この趣旨をどうしても踏まえて、国土利用も当然でありますが、ところが、それはウエートをどこに置くかというと――両立ということが理想であるかもしれません。私は、今日の段階において環境を保全していくという、このことにむしろウエートを置いて運用していくべきじゃないか、こう思うのですが、そのことに対する建設大臣の基本的な考え方をひとつ。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 先生方からいろいろな御意見が出ておるわけでございますが、この時点において、環境保全、自然環境の保全ということについては、まずチェックすべき問題点であろうと思います。その上に立って国土利用という問題も考えるべきであって、国土利用という問題を考えなくてもいいということではなくて、自然環境の破壊というような問題を、保全というような問題を考えながら、まずそれを考えて、その次に考えるべきことじゃないかと、こう私は考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 それじゃ問題に具体的に触れてみたいと、こう思うのですが、沖繩の公有水面の埋め立て問題は、すべてCTSの関連においてそれが計画され、進められつつあるのです。そこで私は、先ほども具体的に春日委員からも述べられた沖繩の金武湾における公有水面埋め立て計画は一体どうなっておるか、現在着工されておるものを含めて、これをまず、明確に具体的に把握していらっしゃると思うのですが、そのことを明らかにしていただきたい。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 現在、金武湾は地方港湾でございまして、必ずしも運輸大臣までの連絡があるわけではございませんが、金武湾における現在までの埋め立て免許は、復帰前に全部免許されております。トータルといたしまして千八百三十ヘクタール、そのうち会社関係が二百十ヘクタール。これが先生のおっしゃいましたCTS関係でございますが、会社関係は二百十ヘクタールでございます。で、復帰いたしました後の、今後免許を受けるべく計画されているものは、沖繩県の調査によりますと、ほとんど小さなものばかりでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 もう一ぺん重ねて聞きますが、沖繩の場合には、復帰前と復帰後の、その間のいろんなかけ込みといいますか、どさくさもありまして、非常に複雑をきわめておりますが、沖繩県が免許取得をしておる六地域がございますね。これは三千八百ヘクタール、合っていますね。これは一応抜きにして――これは行きがかり上知事の権限ということになっておりますので、一応この六地域の三千八百ヘクタールは抜きにして、いま着工されておるものをもう一ぺんひとつ明確に述べていただきたいと思います。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 現在着工中のものはすべて復帰前に免許されたものでございまして、今後免許を受けるものはほとんど小さなものばかりでございます。それで、その金武湾における免許された面積は全部で千八百三十ヘクタールでございます。その内訳を申し上げますと、造成済みのものが、石川市がおやりになったもので二十ヘクタール。それから先ほど申し上げましたCTS関係で、沖繩三菱開発株式会社が造成中のものが二百十ヘクタール、それから残りの千六百ヘクタールは沖繩県が免許をとりまして未着工でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 いま大きな会社として沖繩三菱開発がありますね。それから沖繩石油がありますね。それから沖繩ターミナルがありますね。その企業別にははっきりしておりませんか。沖繩三菱関係が幾ら、それから沖繩石油、それから沖繩ターミナル、この三社の別々にははっきりしておりませんか。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 運輸省としては握っておりません。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 それはぜひはっきりひとつ具体的に把握していただきたいですがね。

竹内良夫運輸省港湾局長

○政府委員(竹内良夫君) 着工した部分につきましては県と連絡をとりまして把握したいように考えます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 いろいろ込み入って一刀両断にはっきり区別できない面もふくそうしておりますが、しかし、そうだからといって、これは自分たちの責任、あれはかまわぬという考え方でなしに、一志は同質のものは同質のものとして具体的に把握していただきたいということを強く要望しておきます。  そこで、この埋め立て地はすべてCTS基地建設のために充てられる目的でそれが行なわれつつあるのです。そこで通産省にお聞きしたいのですが、沖繩の石油貯蔵量は一体幾らになっておるのであるか、基準量が現在幾らになっておるのか、それをお聞きしたい。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) ただいま設置してありますタンク類は、先ほど先生の御指摘にありました沖繩タンクターミナルの百二十万、それからあと――ちょっといま数字を持ってきませんでしたけれども、あと南西石油、これはトッパー能力が八万バーレルパーデーでございます。それからあと東洋石油精製、これは二万八千バーレルパーデーでございまして、先ほど申しました沖繩石油精製が十万バーレルでございますので、これ以下の設備になっておるわけでございまして、いまちょっと数字は持ち合わしておりませんので、まことに申しわけありません。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 それをお聞きしましたのは、県の許容基準量というものを五百万キロリットルに押えてあるのですね、県の基準量。現在操業が百二十万ですね。そうすると、五百万から百二十万引いて三百八十万、基準量から現在三百八十万のワクしか残っていないことになるのですね。ところが、いま申請中のものが、沖繩石油が七百万キロリットル、アラビア石油が七百万キロリットル、沖繩ターミナルが七百万キロリットル、これ申請中ですね。そういう情勢の中で、ワク内は五百万しかない、ところが百二十万はすでに操業、そうすると残り三百八十万のワク内、申請は三社で二千百万キロリットル、こういう条件なんですね。そこにもう重大な問題があるわけなんです。ところが、次にお聞きしたいのは、かりに申請どおり許可したとしても二千百万キロリットルになる。ところが、通産省が計画しております沖繩におけるCTSの計画は一体どうなっておるのだろうか、そのことを具体的にお聞きしたいんです。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) ただいま先生の御指摘にありました五百万キロリットルという沖繩県のほうのお考えは、金武湾内におけるCTSについての何というんですか、限界というふうにお考えになっていると私どもは了解しているわけでございます。それで、先ほどのほかの東洋石油精製、南西石油、この辺は金武湾に面しておりませんのでちょっと資料持ってきませんでしたが、確かに御指摘のとおり三菱等、それから共石の沖繩ターミナル、それからアラビア石油、それぞれそういう希望を持っておりまして、われわれとしましては当然昨今の石油事情その他からいきまして、沖繩県がこれをお認めになるならば非常に需給上好ましいことであるというふうには考えておりますが、しかし、いずれにしましても埋め立て免許その他につきましては、これはもう当然県のほうの御判断によってきめることでございますので、われわれは五百万キロということで当分の間こういう計画でいきたいという県の御意向があれば、やはりそれに従って五百万の中でそのCTSの構想を練ることになると思います。それで、先ほど先生が御指摘になりました沖繩ターミナルの百二十万キロのほかに、これにあと四十万キロ県のほうから許可が出ております。百六十万になるわけです。まだ四十万追加の分はたしかできてないと思います。それから三菱グループの埋め立てにつきましては、これも先生御承知のとおり、六十四万坪になるわけでございますが、これはすでに埋め立てが許可されておりまして、一期計画ということで、そこに二百二十万キロリットルのタンクを置くことについて一応県のほうはお認めになっておるというふうにわれわれは聞いている次第でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 そうすると、いまお聞きしますと、県の基準を尊重しそのワク内でやっていくという、こういうことなんですね。そこで重ねてお聞きしますが、いままでの委員会の中で、ときには通産大臣が、あるいはときには担当官がこういうことを述べられたいきさつがあるんですよ。まず一つは、通産省が第一回目の調査――これは工業調査団という名称で派遣されたことがありますね。それでは金武湾の石油貯蔵の適正量は五百万キロリットルだと打ち出しておられたことがありますね。そうすると、そのことについては現在やっぱし一応五百万と考えておられるのであるか、あるいはもうそれは全然御破算にされたのであるか、もう一ぺんそれを確認いたしたいと思うわけです。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問の点でございますけれども、前に通産のほうから出まして、いろいろ沖繩の今度の開発につきまして、特に金武湾周辺の開発につきましていろいろな構想が練られたわけでございます。そのときにアルミ、鉄、あるいは造船等のそういう一つのコンビナートタイプということで構想を立てるならば、地理的な条件その他からいって五百万キロという石油基地が適当であろうという表現で案が出されたわけでございまして、当時としてはそういう公害的なアセスメントが行なわれてはっきり数字をきめたわけでございませんので、ただ産業のバランスがあの数字をきめたというふうに私は了解しているわけでございます。そういうことでございまして、むしろ今回CTSということだけで検討されます上においては、当然その環境問題ということから、県が環境保全の上から五百万キロが適当であるという御判断をされれば、われわれとしてはそれはそれとして受け取るということは変わってないと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 そこで、これも洗いざらしいままでのいきさつ、経過を確かめておかぬといけないと思いますので、これは列島改造のあおりからかしれませんが、去年の十月の調査団、これは日本工業立地センターという名称で調査に行っておられますね。実際に調査にこれいらしたんですかな。その結果によると、金武湾の石油貯蔵量は自然保護、防災対策を講ずる一方、全国的視野からきめるべきであると、こう発表して、その後、通産省は二千万キロリットル以上を考えておるということがマスコミで報ぜられた、この真偽は一体どこにあるのですか。なぜ最初は五百万キロリットルと打ち出して、そしてそれが第二次調査団で二千万キロリットルにふくれ上がったかというそのいきさつをお聞きしたいんですが。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、五百万キロという考え方は一つのコンビナートとしてのバランスということから考えられた問題でございまして、そういう考え方でございます。それからその後沖繩CTSを――これはそういうふうにするかしないかというチョイスの問題は、もう当然県にあるわけでございますけれども、一体どこまで、油濁の問題等から考えてキャパシティがあるであろうかということを、これは水理模型その他つくりまして実験をして、その環境上の限界というのはどこら辺までであるのであろうかということを検討しようということで、先ほどの立地センターに、これは県のほうも参画していただきまして調査を始めたわけでございます。それで実際には、この水理模型その他のデータでいきますと、これはCTSからいろいろな雨だとかいろんな関係で油濁された水が外へ、あるいは処理されて出るわけですけれども、それが最大二PPMというような濃度、排水濃度といいますか、最大濃度といいますか、というときでも約二千万キロまでは汚濁に対して影響はないという水理模型のデータも出ておるということは、これは事実でございます。ただ、報告書はまだ正確にまとまったという段階でございませんので、関係方面といろいろと打ち合わせをしておる段階でございますが、たとえ実験の結果がそう出たとしましても、これが、これだから二千万キロまでもつくってよろしいということではないので、そういうデータその他を踏まえまして県のほうでどういうふうに御判断されるかということになるんではないだろうかと思っております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 調査の結果を発表することを非常に慎重を期しておられるんだなあと私も察しておるのです。いままでの委員会の中で通産大臣は、ことしの三月一ぱいに発表すると述べられたことがありますね。ところが、その後、さきの決算委員会で私の質問に対して、今度は六月の中旬までには結果を発表できると、こう言明しておられた。それが延び延びになって、今日に至ってまだ発表になっておりませんがね。そこで、これは現地の世論やあるいは客観情勢、いろいろと慎重を期しておられることはけっこうだと思うんですが、その結果が、のっぴきならない強引な押しつけによってこれが強行された場合に、これはたいへんなことになるだろうと、こう憂うるものでありますが、それじゃその調査結果を公表してもらいたいと、こう私迫りたいんですが、ひとつその適正規模ですね、それから立地条件、それからその適正地の選定、具体的な場所ですね、それからパースの配置、公害防止、こういった立場から調査を進められておるとおそらく思いますが、その調査の実態がどうなっておるか、それをお聞きしたいのです。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) 調査の実態という御質問でございますが、御承知のとおり今回の調査の主体は水理模型による実験というのがメインになるわけでございまして、これは沖繩金武湾内の海象条件その他を全部、県の当局あるいは気象庁その他、長年月にわたりますデータをいただきまして、それを水理模型にかけたという形になっておりまして、いま申し上げましたように実験の解析の結果は一応そういうような結果が出ているわけでございます。ですけれども、この辺、その他のいろいろな、いま御指摘のありましたような諸点について関係者といま検討しておる段階でございまして、私も確かに先生に六月の中旬ごろまでにまとめたいというふうに申し上げたことは事実でございまして、たいへん延び延びになっていることは申しわけないと思っておりますが、そういうことでいろいろと時間がかかっておるということでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 これも私の聞き違いであれば幸いと思いますがね、何か聞くところによると、通産省はわが国の石油備蓄量ですか、これまでの四十五日分から六十日分に拡大することを目ざしておると。ところが、本土各地ではいわゆる公害拒否反応が強過ぎて、本土ではそういった場所がもう困難であるので、それで沖繩がねらわれておるのだと、こういうこともちょっと耳にしたことがありますが、もしそういう意図から沖繩にその基地が求められるとするならば、これはもうたいへんなことである、こう実は内心穏やかならざるものがあるわけなんですが、その点はいかがでしょうか。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) 御指摘のとおり備蓄量を四十七年は四十五日分でございますが、四十九年末までに六十日までにふやしたいということでいろいろ指導していることは、これは間違いございません。これは御承知のとおり昨今の原油事情その他からいきまして、やはり国のエネルギーをささえるためには、やはりその程度の――ヨーロッパ等の九十日とかそういう数字はございますけれども、なかなかこれはたいへんな数量になります。そういうことで、われわれとしてはできるだけ備蓄をふやしてまいりたいということは当然考えておるわけでございますが、ただ金武湾だけでそういうものをカバーしていこうという、これは地理的な製油所配置その他がございますので、それだけで全部――大部分をためてしまうというようなことは考えておりません。ただ先ほど一番最初に申し上げましたように、できるだけ一カ所の備蓄能力が大きければ大きいほど効率的であることは、これは事実でございますが、しかし製油所の配置との関連がございますから、やはりできるだけ分散できれば分散したいという考え方も片方にあるわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 かつて環境庁長官も強調されたように、沖繩の宝は、本土で見られない沖繩の宝はいわゆる海の美しさである、自然の美しさである、そして陸に埋蔵された埋蔵文化、これを抜きにしては沖繩のよさは考えられない、こういうふうに絶賛しておられるわけですよね。逆に、そういう島が散在して、島の多い沖繩、一たび公害でよごれるや、あるいはCTSの基地からくる、埋め立てからくるところのよごれは、これは収拾のつかない、取り返しのつかない、覆水盆に返らず、こういう危険性が多分にこれは本土以上に、沖繩の特殊的な立場から危険性があるわけなんです。小さな島、しかも、そのCTSの予定されておる金武湾というのは、これは宮城島と平安座島ですね、そこを中心とする、そこの一帯の埋め立てということになりますが、そこにかつては日本最大の二千万キロリットル、日本最大の原油基地を建てるのだといわれた時点もあるわけなんですが、そんなことでもされたんじゃもうたいへんなことになる。そこで最近の状況はさっき申し上げました五百万キロリットルの総ワクの中で、いまごく一部、操業されておるのは百二十万。それでさえも現地の公害対策協議会が、その百二十万キロリットルでも公害が発生しておると、その県側の基準の五百万キロリットルでも建設すれば、さらに被害は拡大するから、それでさえも反対だというのが、いま地元民の反対ののろしであるんだと。さらにこの沖繩のこのような現状を憂えて、沖繩の環境保全の立場から、県民のこの苦悩、かつて三木環境庁長官が沖繩をたたえてくださって、守るとおっしゃったことは、これはほんとうに一るの大きな希望を与えてくださった。そういう危険にさらされ、追い詰められつつあるところの沖繩、私はきょう通産大臣に直接お尋ねしたかったわけですが、これは残念に思うんですが、いままでのいきさつがあるものですから、ぜひ明確にこの場で確認したかったわけですが、沖繩県側としても六月議会でこれを歯どめしなければいけないということで、初めて県土保全条例と自然保護条例を制定しておるわけなんです。これが空文化し、無力化したのじゃたいへんなことになる、こういうわけなんです。そこで、このことに対して環境庁は一体現在の沖繩をどう見直しておられるか、どうとらえておられるか、それをお聞きしたい。

岡安誠環境庁水質保全局長

○政府委員(岡安誠君) 沖繩の現状をどう考えるかということでございますけれども、少なくとも水の関係から申し上げますと、従来、非常にきれいに保存をされてあった、現状におきましてもまだ内地に比べますれば非常にいい状態にあるわけでございますけれども、しかし、部分的には相当汚染が進んでいる。水の場合にはまず第一に、やはり廃油ボール等、遠洋を航行する船から廃油が海岸に打ち出される、そのための廃油ボールの汚染、それから工事が相当いろんな方面で活発に行なわれておりますけれども、採石業、土砂の採取その他、道路の建設等に伴います土砂の流出による汚染その他が進んでおります。それから内陸部の河川につきましては、生活排水、それから基地から出ます各種の排水等によります汚染、これも相当進行いたしております。そこで、私どもは復帰後、内地の法律と同等のレベルによる基準が設定されたわけでございますので、県当局に対しまして、監視、測定の体制の強化とあわせまして諸般の規則の整備、たとえば上乗せ条例等の整備等を指導しておるわけでございまして、私どもはこの際やはり汚染の進行を食いとめなければ内地と同じような汚染の状態になる日もくるのではないかということをおそれておるわけでございまして、私どもは一日も早く体制の整備、監視、測定の強化というものをはかってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 通産省は沖繩の現状を通産省の立場からこの問題に関連して一体どうとらえておるか。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) 先ほど先生が御指摘されましたように、三木長官の御発言を引用されて御指摘されたように、非常にきれいな海ということで、われわれ自体もそれは、そういうものを十分保存しなければならぬ、維持しなければならぬということは十分心得ている次第でございます。そういうわけでございますから、われわれとしては県のほうの御意向が五百万キロということであるならば、そういうことでわれわれも考えて、CTSの配置その他も考慮していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 私は、皆さんの沖繩の認識がまだ十分でない、これはやむを得ない点もあろうと思います。そういうとらえ方に立って沖繩における自然環境、石油公害、特に石油公害の実態がどのようにかもされつつあるかというごく最近の事実をここに幾つか申し上げて、ひとつ現状把握を明確にしていただきたい、こう思うのです。まず第一点は沖繩石油、これは復帰後名称が変わって非常に混乱しておるわけですが、沖繩石油――旧ガルフ社であります、その沖繩石油は、廃物処理の集合煙突からばい煙、悪臭を放って、そして与那城村、勝連村、両方の村民六千名に被害をもたらして、両村のお年寄りの方々の中にその被害からの影響で患者が出ている。このことを皆さん承知しておられるかどうか知りませんけれども、そのことが強く訴えられておる、これが第一点。  それから第二調査団が行った時期、去年の十月、勝連、与那城の両村民から、沖繩石油すなわちさっきの旧ガルフ社に対して公害防止対策と設備の改善勧告をぜひ出してほしいという強い要望にこたえて、知事が設備改善勧告を出されておるという、このことも御承知かと思います。  第三点には、同じ月に旧ガルフ社に寄港したタンカーのバルブが破裂をして約十トンの重油が金武湾海域に流出した騒ぎは御存じでしょうか。  次に、その影響もかてて加えて、金武湾に面しておる具志川市の海岸にはいまだに重油が多量に打ち寄せて付近住民に大きな被害を与えておる。あのまっ黒けのかたまりが海岸に打ち寄せて、そこを市民が通るというと足の裏がよごれる、ぞうりがよごれる、そうしてズボンがよごれる、そういった状態、現状なんです。  第五点は、ちょうどこの金武湾のいまの具志川市の海岸は非常に好適地の海水浴場だった、ところが県教育団体はりっぱな海水浴場をほとんど汚染されておるということで海水浴を禁止しておる。このようにめちゃめちゃになっておる。それから間々今日もタンカー船の廃油のたれ流し、洗い流しがひんぱんにある。  このようにガルフ社一社をとらえただけでも、このような事例が現在でさえもある。このことを県民は、しかもその関係市民、住民は具体的に目の前に見せつけられておる、見てさわっておる、接触しておる。こういった事実の上に立って沖繩のCTSの問題、公有水面埋め立ての問題を非常に慎重に見つめておるわけなんです。どうですか、いま私が申し上げたことは皆さんとされても十分キャッチしておられましたかどうですか。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) お答え申し上げます。  いま先生の御指摘の件につきましては、私どもも承知しております。その一つ一つについて、まず公害対策のほうの問題からいきますと、いろいろといままでもそういう粉じんあるいは悪臭の問題につきましても努力はしてまいっておるわけでございますけれども、県のほうともよく御相談されまして、それ以上に新しい設備をそれぞれ今後設置するということで努力しておりまして、いろいろの設備がございますが、大体ことしの半ばごろには終わるものもございますが、やはり設備のあれからいって設置に時間がかかりまして、十一月あるいは十二月ごろまでかかるものもございますが、とにかくできるだけ早く県との御相談の結果きまったことはやるようにというふうにわれわれのほうも指示しているところでございます。  それからもう一つ、事故によって原油の流出があったと、この問題でございますが、これもやはり会社側の操作のミスなんでございますから、原因ははっきりしているわけです。責任者もはっきりしておるわけでございますから、今後こういう事故を起こさないということはもう当然なことでございますが、これに対する補償等、そういうものについても十分行なうように、あと始末については遺漏のないようにというふうに指示しているわけでございます。  それから最後の、廃油ボールと申しますか、重油ボールと申しますか、タンカー等が沖合いでバラスト水あるいはビルジ水等をそのまま流してしまうという問題でございます。これはもう海水汚濁防止法からいっても完全な違法行為でございますし、われわれとしましては、それぞれいま稼働しております沖繩の三社の石油精製工場には、そういうバラスト水ないしはビルジ水の処理設備を必ず持つように――これは運輸省の御所管になるわけでございますが、われわれのほうも運輸のほうの御指導に従って十分処理するようにします。それからもう一つ、設備があっても使わなければしようがないじゃないかという議論があるわけでございまして、これも海上保安庁のほうでも十分な御指導をお願いしているわけでございますが、やはり政府側も、荷主としてやはり責任を持つべきものであって、そういう自分のタンクに出し入れするために入ってくるタンカーについてそういうチェックを十分にするようにというような指示もしている次第でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 それじゃ時間が参りましたので、最後に確認をしたいと思うんですが、もう一ぺん確認しますが、これまで通産省が計画しておられた沖繩金武湾におけるCTSの計画は、現地知事のいわゆる県側の意思を尊重して、それで十分連絡提携をして、その連絡提携のもとに進めていくということ、こういう方針に改まった、いわゆる独自の立場ではCTSの建設を進めていかない、こういうことははっきりしておると、こう受けとめていいですね。

根岸正男通商産業省鉱山石炭局石油業務課長

○説明員(根岸正男君) まことにおことばを返すようで申しわけありませんが、そういうように方針が改まったわけじゃございませんで、前からそういうふうに考えておるわけでございまして、先生のおっしゃるとおり、当然これは埋め立て免許その他に関しましても県のほうに許認可の権限がありますから、当然われわれとしては県のほうの御意向を尊重して、沖繩CTSの開発、五百万トンという知事のお話があるようでございますが、その線に沿って努力してまいりたいというふうに考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 それじゃ最後に建設大臣、いままで申し上げた沖繩の実情をよく御理解くださって、沖繩の開発等、公有水面の埋め立ての問題についてどうあるべきであるかという建設大臣の所信を承りまして、質問を終わりたいと思います。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 沖繩はまれに見る海域が非常にきれいな海でありまして、先ほど来から三木長官も絶賛をしており、私もそのお話を承っているわけでございますが、そういうようなりっぱな海を簡単に産業のために汚濁するようなことがあっては、損傷するようなことがあってはならない、こういうふうに考えているわけでございまして、そういう意味で十分環境保全等につきましては環境庁とも連絡をとり、また運輸省、関係各省庁とも連絡をとりまして御期待に沿うような行政を進めてまいる所存でございます。

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。

沢田政治日本社会党

○沢田政治君 私は日本社会党を代表して、公有水面埋立法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行なうものであります。  現行の埋立法は大正十年に制定されて以来今日に至るまで、実質的な改正は一度も行なわれていないのであります。しかるに戦後においては、憲法をはじめ多くの法律が内容や形式の両面において著しく変貌し、改正を行なってきたのであります。したがって埋立法は、現行の法制のもとにおいては、形式的に文語体で書かれているということだけでなく、公有水面の埋め立てが今日まで高度経済成長政策の手段として使われ、大企業優先、生産第一主義による埋め立て地の利用が行なわれてきたのが実態であります。この結果は自然環境を著しく破壊し、漁場の荒廃をはじめ、工場誘致によって引き起こされた大気汚染、水質汚濁などの公害の発生ははなはだしいものであり、漁民や地域住民の生存権及び生活権をまさに脅かしている実情であります。  今度の改正案で免許基準として環境保全への配慮をあげておりますが、その実効性はきわめて乏しいものであり、また住民の意見を尊重するため縦覧制度を設けて、住民が知事に意見書を提出できるなど若干の手直しは見られておりますが、一歩進めて公聴会制度を導入して関係地域住民等の声を幅広く聞く道をなぜ開かなかったのかと疑わざるを得ないのであります。このことは、埋め立てによる地域住民の損害よりも埋め立て権者の利益が優先していることを如実に物語っているものであります。さらに、今度廃止される追認制度などは、無許可で埋め立てを行ない、事後に法的許可を求めるといった制度で、時代錯誤もはなはだしいものであり、本制度を黙認してきたことはきわめて遺憾であります。  これからの埋め立て及び埋め立て地の利用については、環境アセスメントの手法を取り入れるべきであります。さらに、土地利用区分を明確にさせた上で自然資源の保護を最も重視すべきであります。また、少しでも公害が発生する可能性がある場合は事前防止に万全の措置をとることが保証されなければなりません。また、造成工事中の土砂や埋め立て地ができて起こる流れの変化で生態学的に著しい悪影響がないかどうかを調査しておく必要があります。  いずれにせよ、この法律改正が成立しても埋め立てによる環境破壊がなくなるとは考えられないのであります。つまり環境庁長官が守るべきものは守り通すという強い信念でなければならないことはもちろんでありますが、法律的にも同意を必要としなければなりません。しかるに今次改正案は単に意見を聞く程度にいたしておるのであります。したがって政府は、将来の公有水面の埋め立て及び埋め立て造成後の土地利用のあり方、所有権の帰属等を含む問題について再検討を加え、抜本的な改正を必要とするのでありまして、現行法のたてまえを本質的に改正しない改正案には、日本社会党としては絶対に賛成するわけにはまいりません。私は、公有水面埋立法の抜本的な改正を早急に行なわれんことを要請して、私の反対討論といたします。

竹内藤男自由民主党

○竹内藤男君 ただいま議題となっております公有水面埋立法の一部を改正する法律案につきまして、私は自由民主党を代表して賛成の討論をいたします。御承知のごとく、現行の公有水面埋立法は大正十年に制定されたかたかな文の古い戦前の法律で、漁業権との調整を主に、埋め立てについての地方長官の免許を規定した手続的な法律であります。しかるに、わが国の経済成長とともに、臨海工業地帯の造成は増加の一途をたどり、近年の土木技術の発達は埋め立ての規模を大型化し、その与える影響も広範囲に及び、また埋め立て地の用途も工業地、業務地、住宅地と多様化してきたのであります。このような情勢から、単に埋め立て免許の手続のみを規定した現行法の不備が目立つようになり、特に自然環境の保全、公害の防止、埋め立て地の権利移転、利用の適正化をはかる必要が生じてきたのであります。この社会的要請にこたえるべく今回の改正案が提案されたのであり、新たに出願事項の公衆への縦覧制度を採用するとともに、利害関係人に意見を述べる機会を与える等、民衆参加の道を開いたこと、埋め立て免許の基準を明確にし、国土の利用上、適正かつ合理的であること及び環境の保全、災害の防止に十分配慮されていることを要求していること、埋め立て地の権利移転や用途変更に規制を加えたこと、大規模な埋め立てについて、主務大臣の認可にあたり環境庁長官の意見を聞くこととしたこと等、その内容は時代の要請にこたえたものであり、まさに時宜に適したものとして賛意を表するものであります。  今後、政府においては、公有水面の埋め立てが、環境の保全に十分留意し、真に国土の適正かつ合理的な利用に資することとなるよう、適切かつ厳正な行政運営をはかられるとともに、今後すみやかに公有水面埋め立て制度の抜本的改正を行なうことを強く要望いたしまして、私の賛成討論といたします。

藤原房雄公明党

○藤原房雄君 私は公明党を代表いたしまして、公有水面埋立法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の討論を行なうものであります。  反対理由の第一は、環境保全に対してしかるべき配慮を欠いているということであります。すなわち改正案は、基本的には従来の傾向と何ら変わりなく、埋め立てによる生態系への悪影響を忘れ、われわれの生活環境を悪化させることについて十分な手当てもしないまま、むしろ埋め立て促進の手続法のワク内にとどまっているのであります。すでに大正時代から行なわれてきた公有水面の埋め立ても、戦後の政府自民党による高度経済成長政策と相まって急速に拡大されてきたのであります。そうしてこの埋め立てを土台にして大資本、大企業本位の産業優先を進めてきた結果、大気汚染、海洋汚濁など数々の公害を拡散させ、地域住民はもとより一億国民すべてが被害者となるに至ったのであります。埋め立てによる潮流や気象の変化、工場排水による魚介類の汚染はそのまま地域住民の生活権を脅かすことになってしまったのであります。また美しい自然景観と眺望についても全く顧みられなかったことは、まことに残念なことと言わなければなりません。今回の改正案では、こうした点について文言上での改善は見られるものの、同時に、環境庁長官の権限も及ばないなどの不備も残し、対応すべき具体策に欠き、全くの空文にすぎないのであります。  その第二点は、関係住民の利害や権利についての規定があいまいであるということであります。たとえば法案に示された縦覧制度は、実効性に乏しいことは明らかであり、したがって漁民など地域住民の生活権も保障しがたく、そのまま認めることはできないと考えるのであります。むしろ今後は埋め立てを規制していくようにすべきであり、かりに認めるとしても、従来の行き方を反省し、環境保全に万全を期するとともに、地域住民の生活と福祉の向上に資すべきものでなくてはならないと考えるのであります。  いずれにしましても抜本改正に至らないことを遺憾とし、私の反対討論を終わります。

高山恒雄民社党

○高山恒雄君 公有水面埋立法の一部を改正する法律案に対する反対理由を、民社党を代表して反対討論をいたします。  次の五つの条項を申し上げたいと思います。  この法律は大正十年に策定されましたものであり、今日の現状にそぐわないものである。特に今日、自然環境保全の確立は重要課題の一つとして、すみやかに抜本的改正の必要があると思います。  すべての河川、海面、湖、沼について埋め立てを認めることは、環境保全の立場から禁止区域の確立をはかるべきであると考えます。  三として、埋め立ての造成工事を民間に許可することは好ましくない。ましてや埋め立て地の所有権を民間に帰属させることは、公有地拡大の方向にあるべき今日、これを禁ずるべきであります。  四として、埋め立て地のほとんどが高度経済成長のための工業用地として使用されているが、今日、住宅用地の不足のおりから優先的に住宅利用対策をいまこそ行なうべきであります。  五つといたしまして、公有水面埋め立て認可にあたって、地域住民の不利益に対する補償の確立が不十分であること、また認可については住民意見を述べる措置が不十分であります。  以上の理由により、反対討論といたします。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私は日本共産党を代表して、政府提出の公有水面埋立法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。  現行法は大正十年に制定されたまま、ほとんど改正が行なわれずに今日に至っております。戦前における埋め立ては、主として公有水面を埋め立て民有地にしようとする者が願い出て、知事がこれを免許するものでありました。ところが戦後におきましては、国や地方公共団体が、国や公の資金をもって臨海を埋め立て、これを大企業に安く分譲するものが大部分であります。特に六〇年代の高度成長政策により、たとえば新産業都市建設促進法に、公有水面埋立法による許可その他の処分を求められるときは、新産業都市の建設が促進されるよう配慮するものとすると規定されているように、公有水面埋立法は埋め立て促進法として臨海部の埋め立てによる大規模コンビナートの造成に活用され、その結果は公害の発生、環境の破壊をもたらし、国民の生活と健康を耐えがたく破壊してきたのであります。  ここに法の抜本的な改正が求められているのは言うまでもありません。しかしながら、このたびの政府の改正案はきわめて不徹底なもので、埋め立て促進法的な性格を少しも変更するものではありません。出願事項の縦覧や意見書の提出など多少改められているところもありますが、これは当然のことであります。埋め立てについて同意を要する権利者の範囲については、その水面に直接権利を有する者に狭く限定し、周辺の漁民、沿岸の住民など埋め立てにより被害をこうむる住民の意見が正当に反映されがたいままになっております。これは次々と隣接海域を汚染し、漁民が埋め立てに応じざるを得なくする、いわゆるドミノ方式を容易にするものであります。今回の埋め立ての大部分がそうである。国や地方公共団体による埋め立ての場合は、事業主体である県や市が知事に申請し、大規模の場合は建設または運輸大臣の認可を受け、知事が免許をする。さらに損害補償について協議のととのわないときは知事が裁定をすることになっております。埋め立ての申請者、免許権者、裁定者が知事という同一人である矛盾がそのまま残されております。これでは埋め立ての規制が行なわれるはずがありません。  また、憲法違反のおそれの濃い四条三項二号の規定がそのまま残されているため、「其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ」には権利者がかりに同意しなくとも埋め立ての免許をすることができることになっており、経済成長優先の考えは少しも改められていません。免許の基準に「一国土利用上適正且合理的ナルコト」「三埋立地ノ用途が土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」などが新たに加えられておりますが、今日の環境破壊、公害の源泉である臨海工業地帯が、国土総合開発法や新産業都市建設促進法等の法律に基づく計画によって行なわれた埋め立て、また埋め立て地利用の結果生じたものであることが明らかな以上、土地利用計画に違背しないことというのは全く無意味であります。そればかりか、わずかな手直しと実効性に乏しい規定を盛り込んだ改正法に適合していることを理由に、新たな大規模工業用地のための埋め立てを容易にし、日本列島改造計画を推進する役割りを果たす危険性を多分に持っていると言わざるを得ません。  以上が公有水面埋立法の一部改正案に反対する理由であります。  わが党は、公有水面埋め立てについては、沿岸住民の生活環境の整備もしくは環境の保全上必要なものであること、その埋め立て(工法を含む)または埋め立て地の利用が環境の保全(資源の保護を含む)及び災害の防止上支障のないものであること、その公有水面に関して権利を有する者(権利者)が同意したものであること、(その埋め立てが法律により土地を収用することができる事業のために必要な場合は、告知、聴聞等を行なうこと)、この三点に適合するとき以外は、埋め立てについては許可をしてはならないと考えています。このほか、権利者の範囲の拡大、利害関係者の参加手続の改善、補償裁定委員会の設置、埋め立て地の帰属などについて抜本的な改正を行なうべきであると考えます。  公有水面埋立法のこのような抜本的改正を要求して、反対討論を終わります。

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  公有水面埋立法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

山内一郎自由民主党

○山内一郎君 私は、ただいま可決されました公有水面埋立法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    公有水面埋立法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、本法の施行に関し、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、公有水面の埋立て及び埋立地の利用により、公害の発生等の深刻な社会問題を生じている近時の状況にかんがみ、環境の保全、国土の適正な利用及び所有権の帰属等について、公有水面理立法を抜本的に検討し、早急に所要の法整備を行なうこと。  二、海域は、国民共通の資産としての公共用物であることにかんがみ、自然環境の保全及び道正な利用を図るため、総合的な海域の管理制度を速やかに確立すること。  三、地方公共団体等の行なう公有水面の埋立てについては、埋立地の適正な利用を確保するための賃貸方式について検討すること。  四、埋立地の利用については、良好な環境整備のため、建ぺい率の強化、公園、緑地、道路等によるオープンスペースの確保について適正な基準を設けるよう検討すること。  五、埋立の免許または認可にあたっては、埋立て及び埋立地の利用が環境に及ぼす影響について必要な調査を行なうとともに、関係地方公共団体及び漁業権者、その他地域住民等の利害関係を有する者の意見が十分反映されるよう配慮すること。  六、環境保全に関し免許基準を運用するにあたっては、自然資源の保護についても配慮するとともに、これらの基準の具体化及び明確化に努めること。  七、都道府県知事等は、公正な立場から損失の補償等の裁定を行なうとともに、埋立てにより生活の基盤を失なう漁業権者及び関係住民等に対し、職業のあっせん等生活再建のための措置が講じられるよう配慮すること。  八、埋立の認可にあたっては、環境庁長官の意見を十分尊重すること。   右決議する。  以上であります。何とぞ御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 記録をとめてください。   〔速記中止〕

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 記録を起こしてください。  ただいま山内君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 全会一致と認めます。よって、山内君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し、金丸建設大臣及び佐藤運輸政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(金丸信君) 本法案の御審議をお願いして以来熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすようつとめるとともに、ただいま議決されました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重し、今後の運用に万全を期して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長はじめ委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。まことにありがとうございました。

佐藤文生自由民主党運輸政務次官

○政府委員(佐藤文生君) 長い間の御熱心な御討議の上、ただいま御議決をいただき、ありがとうございました。建設大臣のごあいさつにもありましたとおり、私といたしましても、本委員会における御審議の内容及びただいま御決議になりました附帯決議を十二分に尊重し、もって公有水面埋立法の運用に遺憾なきよう期する所存であります。この機会に決意の一端を披瀝いたしましてお礼のことばといたします。

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野々山一三日本社会党

○委員長(野々山一三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて委員会を散会いたします。    午後三時五十一分散会

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