建設委員会 第15号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/06/26
会議録
○委員長(野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 去る二十二日の本会議におきまして、はからずも私が建設委員長に選任されました。何ぶんにもふなれでございますので、皆さま方の全面的な御支援、御協力をいただきまして、誠意をもって当委員会の公正な運営を行なってまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
○沢田政治君 どうも長い間お世話になりました(拍手) —————————————
○委員長(野々山一三君) 委員の異動について御報告いたします。 去る二十二日、工藤良平君及び沢田政治君が委員を辞任され、その補欠として西村関一君及び中村英男君が、また二十五日、西村関一君が委員を辞任され、その補欠として沢田政治君がそれぞれ委員に選任されました。 —————————————
○委員長(野々山一三君) 次に、理事の辞任許可及び補欠選任についておはかりをいたします。 本日、松本英一君から文書をもって都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野々山一三君) 御異議ないものと認めさよう決定いたします。 それでは、理事の補欠選任を行ないます。理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野々山一三君) 御異議ないと認め、それでは理事に沢田政治君を指名いたします。 —————————————
○委員長(野々山一三君) 水源地域対策特別措置法案を議題として質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○春日正一君 水源地域対策特別措置法案について幾つか問題点質問したいんですが、最初にこの法案の目的にも書いてある生活再建、地域再建という問題についてお聞きしたいと思います。それで、この法案読んでみますと、生活再建の範囲、内容というものが非常に狭く取り扱われておるという感じがするわけです。たとえば第八条では、宅地、農地取得のあっせん、住宅、店舗等取得のあっせん、職業の紹介、指導または訓練に関すること、環境の整備というようなことで、これ非常に実際ダムにからんで出てきた問題から見ると、対象が狭く限定されているように思うんですけれども、もっと広くする必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点どうですか。
○政府委員(松村賢吉君) お答え申し上げます。 生活再建のための措置が狭いのではないかという御質問でございますけれども、これは、第八条関係に書いてありますのは、先生がおっしゃったような種類のものが書いてあるわけでございますけれども、この広い意味の生活再建ということになりますと、まず水没の補償そのもの、その中におきましても代替地を希望される向きがございますれば、これと現在の土地との交換というようなことでもって新しい代替地を造成することができれば、また、これがまとまった場合には、多数の関係者がまとまりましたような場合には、集団で移転先の造成ということも、補償の範囲内においてできることになっております。それから、第八条の関係におきましては、先生が申されましたように、こういうような「宅地、開発して農地とすることが適当な土地その他の土地の取得に関すること。」、あるいは「住宅、店舗その他の建物の取得に関すること。」、「職業の紹介、指導又は訓練に関すること。」、また「他に適当な土地がなかつたため環境が著しく不良な土地に住居を移した場合における環境の整備に関すること。」ということの生活再建のための措置のあっせんをすることにするというようにうたっているわけでございます。なお、このほか地元におきまして、生活再建をはかろうとする関係者のために、必要があれば水源地域整備計画の内容におきまして、集団移住地の造成とか、あるいは各公共施設の整備等の関係の生活再建についての十分な配慮をすることができるようになっております。
○春日正一君 いろいろ個人補償の問題、その他あげて、そういうものでできるのだというように言われているけれども、やはり法律の中できめてあることが審議の対象なんです。そういう意味で非常に狭くされているし、実際問題として、たとえばここに下久保ダムの問題について、鬼石町の町長が述べておる文書がありますけれども、その中で、水没等の被害をこうむる町民の生活再建計画というようなもので当時この町が出した要求の中には、これは一々読むとたいへんですから、書き抜いたものを読んでいきますと、鬼石町再建計画として、水没等の被害をこうむる町民の生活再建計画として、個人補償要求計画、これはもちろんですが、水没の被害をこうむる町民の生活改善計画、移転計画、ダム周辺、この町の中、町の外移転に伴う付帯施設計画、道路、上水道、電話。それから喪失土地の代替土地取得計画。代替産業基盤確立計画、この中には畜産たん白食糧生産基盤育成計画、酪農振興、それから肉緬羊増殖計画特産物生産基盤計画、食料品工場建設計画、その他の工場の建設計画、職業訓練実施計画、観光事業計画。それから水没等の被害をこうむる公共施設等の再建計画——代替道路、小学校、中学校、農協、それから役場の出張所、公民館。その次に工業用水の配合計画、すなわち町がそういう形で変わるから、工場も誘致しなければならぬ、その場合の水も分けてもらわなければ困るのだというような、非常に広い計画をもって要求もし、折衝もしておるんですね。しかし、これは十分に満たされていないということですね。 だから、そういうふうな意味で見ると、この法案が提起されたそもそもの原因というのは、いままでのやり方ではもうとてもダムは引き受けなくなった、だから、これからダムをつくっていくには、水はもらうかわりには、そのダムをつくった関係市町村が、いままでどおりじゃなくて、いままでよりもよくなるのだというようにしてやらなければ、地元が承知しないだろうということでこの法律を出してきたわけでしょう。だとしたら、いままでのこういう経験から見ても、この八条にきめられている目的というものは非常に狭いし、しかも、これはあっせんするという、無責任なといえば無責任ですね、あっせんしたけれどもできないという場合もあるわけですから。だから、そういう意味で非常に狭いのじゃないか。特に全国知事会なんかでも、生活再建対策の根幹をなす移転用地その他の代替土地の造成・提供をその責任分野に含めるというようなことも——全国知事会といってもほとんど自民党系の知事が多いわけでございますけれども、そこの要望書でもそういうものが出ている、そういうことですね。それから防災のための集団移転促進事業にかかわる国の財政上の特別措置等に関する法律という立法でも、事業計画を定める事項として、住宅団地、住宅整備に関する事項、移転者の団地内の用地、住宅建設・購入の補助に関する事項、団地にかかわる道路、水道、集会施設その他の公共施設に関する事項、それから移転者の住宅移転に関連して必要となる農林水産業にかかわる生産基盤の整備、生活確保に関する事項というふうなことを指定して、四分の三を下らない範囲で補助をするというふうなことがきめられておるわけですね。だから、この法律ですね、そういうふうなほかの法律の規定から見ても、非常に生活再建、地域再建という問題についての対象の範囲が狭いし、これでは実効があがらないんじゃないかというふうに思うんですよ。あなたもいろいろ個人補償でどうするこうすると言われた、その問題あとでまた問題にしますけれども、この法律は、法律自体の中でもっと親切にこうやってやるぞということをきめてなければ、法律にないことはやれないわけですから……。その辺どうですか。
○政府委員(松村賢吉君) 先生のおっしゃることは、第八条関係の問題といたしましては範囲が非常に狭いというお話でございますけれども、この法律全体といたしますというと、やはりこの水源地域の整備計画をつくるという、この内容でございます。この内容におきまして宅地造成関係もできることになっておりますし、また必要な土地改良事業とかあるいは治山事業、その他いろいろな施設がこの水源地域整備計画の内容としてつくることができる。この中におきまして、水没者の生活再建のための施設、利用できる施設、これも当然整備することができますので、こういうことの全体のこの法律の運用におきまして水没者の再建というものは十分にはかってまいりたいということでございます。なお、そのほか個人の補償といたしましての内容においてもはかっていくことはもちろんでございますけれども、この法律の内容といたしましては、単なる第八条だけではなく、この地域全体の整備計画というものの内容の中においても十分はかられるというふうにわれわれ考えております。
○春日正一君 その問題はあとだんだん聞いていきますけれども、その次に起業者の責任の問題ですけれども、いまの補償制度のもとでどこまで起業者が補償できるのか、その責任範囲はどうなっていますか。
○政府委員(松村賢吉君) 起業者が個人補償に対してどの範囲までできるかということでございますが、これは公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱、これによってできる範囲ということでございます。
○春日正一君 その基準要綱、中身これだけ詳しく説明しろといっても無理ですから、まあ私のほうから問題出して聞きますけれども、御承知のように公共施設に対する公共補償、それから個人の財産に対する一般補償ですね、この二通りがあって、そうして調査室からもらった「損失補償の基準要綱及び規程集」というものを見ますと、昭和三十七年六月二十九日閣議了解ということで、規制について財産補償だけ行なうと、金銭中心とした財産補償だけを行なうというようにして、「この要綱に基づき補償が適正に行なわれるならば、いわゆる「生活権補償」のような補償項目を別に設ける必要は認められず、公共の利益となる事業の施行に伴い生活の基礎を失うこととなる者がある場合には、必要により、生活再建のため土地又は建物の取得のあっせん及び職業の紹介又は指導の措置を講ずるよう努めるものとする。」というようなことで、この基準としてまあ財産権の補償だけを補償して、しかもそれは金銭でやるということになっているわけですね。そうして一方では、いま言ったようにこれでもし「公共の利益となる事業の施行に伴い生活の基礎を失うこととなる者がある場合には、必要により、」云々というようなことが想定されておるわけですが、そうすると、いまの補償制度のこういう立場、いわゆる財産権補償ということだけを中心として、しかも金銭でやるというようなやり方では、憲法二十九条三項でいう「正當な補償」というようなたてまえが貫かれないんじゃないか、もし「正當な補償」というたてまえを貫くとすれば、公共事業で生活基盤を失うというようなことになる者が出てはならないはずじゃないか。ところが、建設省というか閣議了解では、そのような者が出ること予想しているんですね。すると、ここに補償の基準の矛盾、考え方の一番の矛盾があるんじゃないかというように思うんだけれども、あなたはさっき個人補償で万事うまくいくようなこと言ったけれども、そこのところどうですか。
○政府委員(川田陽吉君) お答えを申し上げます。 先生御指示のとおり、現在の補償の体系には、大きく分けまして個人補償のグループと公共補償のグループとがございます。個人補償のグループは、一番代表的な方々は水没地そのものに生活しておられる方、いわゆる地権者の方々でございますが、その方々に対する損失補償の原則は、建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準の中で、第六条で「損失の補償は、原則として、金銭をもってするものとする。」、その第二項で「土地等の権利者が金銭に代えて土地又は建物の提供、耕地又は宅地の造成その他金銭以外の方法による給付を要求した場合において、その要求が相当であり、かつ、真にやむを得ないものであると認められるときは、事情の許す限り、これらの給付を行なうよう努めるものとする。」という要綱に基づきまして、可能な限り、御希望があれば代替地の提供という措置も、ダムの実際の現地においては提供するように実施している次第でございます。 それから別途水没地によって失われる公共施設に対する補償につきましては、公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱というのがございまして、その第四条で「公共補償は、金銭をもってするものとする。ただし、次の各号の一に該当する場合には、公共事業の起業者が代替の公共施設等を建設し、若しくは公共施設等を移転すること又は公共施設等の従前の機能を維持するための障害防止等の措置をとること」と、こういうふうになっております。しかし実際問題としまして、ダムの現地におきましては、ただいまの個人補償と公共補償だけでは十分にいやされないところの生活の基礎条件、たとえば生産基盤でありますとか生活環境等の変化が当然考えられるわけでございまして、そうしたものに対して、いま言った個人補償と公共補償をさらに補完するいわば不利益補てんともいう考え方で、関連の公共事業を計画的に実施するということによって地元の方々の円満な御協力をいただくというのがこの法律のねらいでございます。
○春日正一君 この問題は深くここで入りませんけれども、公共補償の場合でも、そこにあった学校をこっちに移す、その機会に、災害でいえば校舎の改良復旧というような見地は認められていない、原状だけだというようなことですね。だから、そういう面でも非常に不十分だし、不合理になってくる。つまり移す場合に、よく時代に合ったものに直そうというような場合に、やはりそのめんどう見てやらないというようなことになっているわけですね。この問題これ以上ここでは触れませんけれども、そういうことです。それで、いろいろここにこういう規定があります、ああいう規定がありますと言うけれども、たとえば公共用地の取得に関する特別措置法の四十七条に「(生活再建等のための措置)」という項目があって、そこにいろいろ規定がされております。宅地、農地の取得のあっせんとか、知事が再建計画をつくって、起業者が土地を取り上げられる対償者にかかる事項を実施するし、国、地方自治体が予算の範囲でそれをやるというようなことがここに規定されておるわけですけれども、しかし私のほうが建設省に問い合わせた限りでは、公共用地の取得に関する特別措置法第四十七条第三項に規定する生活再建計画を作成した実例なしと、こういうことになっているのですね。だから、法律はあるけれども死んでいるわけです。しかし、実際にはこの法律を適用されたダムが幾つかはあるわけでしょう、たとえば下久保だとか。下筌、松原はそうではないかと建設省の説明でも言っておる。そういうふうな例があるのに、この条文が実際生きていないわけです。これはどういうことですか。
○政府委員(高橋弘篤君) 特別措置法四十七条のことでございますので、私からお答え申し上げますが、先生御指摘のとおり、この四十七条による生活再建措置を実施した例はないわけでございますが、元来、ダムにつきまして特別措置法を適用した例は一件だけでございます。ダム本体につきましては御指摘の下久保ダムだけでございます。これにつきましては、四十七条は、御承知のように、生活再建のための措置を知事に申し入れることができるといういろいろな手続があるわけでございますが、事実上これはそういう四十七条適用の前に代替地の話がありまして、代替地のあっせんをし、また、その要望のあった中でも代替地へ実際に移転したものもあるわけでございますが、そういうことで措置がされておるわけでございまして、この四十七条によるいわゆる生活再建措置の条文が適用された例はないということになっているわけでございます。元来が一つしかないところに、その一つにつきまして、この法律適用の前に事実上いろいろなあっせんその他をいたしたということで実例がないわけでございます。こういう条文は、その実情に応じまして私どもも大いに活用してしかるべきだというふうに考えております。
○春日正一君 ここのこれ、私いま一々読みませんけれども、鬼石町の町長の話を読んでみても、初めから対策委員会をつくり、団結し、いろいろ先ほど読み上げたような計画を町でつくって、要求し、戦って、まあ十分なものではなかったけれども、しかたがないというような状態で終わっているんですね。そういう戦いがあって初めて幾らか満たされた。法律というものはそういうものじゃなくて、ちゃんとこうきまっておるから心配するなというものでなければならぬはずでしょう。いまのあなたの説明は、これを適用する前に話がついたと言うけれども、この法律をたなに上げておいて、大闘争がやられて、そこである点で妥結したということでしょう。そういうことを予想して法律というものはつくられるものですか、その点どうですか。
○政府委員(高橋弘篤君) 先ほども申し上げましたように、この四十七条の条文があるということは、先生御指摘のようないろいろな心配があるので、単なる補償以外にこういう措置を講じて社会的ないろいろな摩擦がないようにという措置を考えているわけでございますから、やはり実情に応じましてどういう措置をとるかと、いろいろな例が違うだろうと思いますけれども、私どもこの条文を大いに活用していくほうが摩擦をなくすゆえんのものじゃないかというふうに考えることを先ほど申し上げた次第でございます。
○春日正一君 だから、適用してないということを私は指摘しているわけです。 そこでもう一つ例を出して、これは経済企画庁のほうにお聞きしたいのですけれども、この水資源開発促進法ですか、これの中に、四条に水資源開発基本計画云々として、第三項に「基本計画には、治山治水、電源開発及び当該水資源開発水系に係る後進地域の開発について十分の考慮が払われていなければならない。」、こういうふうに規定されておるわけですね。ところが、企画庁からもらった「利根川水系における水資源開発基本計画」、四十六年六月十八日閣議決定、これを見ますと、そのダムをどこにどうつくるというようなダムの開発計画は載っていますけれども、いま言った開発される地域の後進地域の開発についての計画というようなものは、片りんも見えてないんですね。これは法律違反じゃないかと思うけれども、どうなんですか。
○政府委員(下河辺淳君) いま御指摘いただきました水資源開発促進法の第四条の第三項に関する問題でございますが、この三項は、御承知のように、特にこの三項の中のあとの部分の「当該水資源開発水系に係る後進地域の開発について十分な配慮が払われていなければならない。」というところは、衆議院の建設委員会におきまして地元の強い要請から修正して挿入された条文であるというふうに私ども伺っておりまして、この後進地域の開発との関係を十分配慮しなければならないということの重要性については、私どもも十分考えなければならないというふうに考えておりますが、その中身でございますけれども、私どもといたしましては、利根川に例をとられましたので、利根川についてお話し申し上げますが、利根川におきます後進地域がどこかということは、いろいろ御議論もございましょうが、かりに群馬あるいは栃木、茨城というようなことで考えます場合に、私どもといたしましては、この条項に基づきまして、そういった各県におきます農業開発あるいは工業団地造成事業に特に優先的に水を配分すべきではないかということを配慮したわけでございまして、文言の上では、基本計画の中でダムあるいは水の需要について書いてございますが、中身といたしましては、群馬、栃木、茨城におきます上水、工水、農水に対する配分におきまして、この後進地域の開発を考慮したつもりでございます。それは、ある意味では狭い意味かと思います。 広い意味で後進地域の開発についての十分な配慮ということでございますが、これは二つの問題に分けることができるかと存じます。一つは、基本計画の中でどこまで具体的に書くかということがございます。これは実は基本計画を定めまして、それからさらに実施に移っていきます過程におきまして、先ほど御指摘いただきましたように各地域の方々との話し合いが進んでまいりまして、逐一具体的になっていくというふうに私ども指導したいというふうに考えておりまして、その意味ではあまり具体的にこの時点で書きづらいということから、たった一行でございますけれども、この基本計画の中に「水源地域等後進地域の開発については十分配慮する」ということを明定いたしまして、そして、その具体化については実施に入りつつ地域の方々の要請を入れていくという考え方でございます。それからもう一つの考え方は、全く水資源開発の問題とは間接的になるわけでありますが、過疎対策あるいは山村振興対策あるいは辺地対策というようなものの中で水源地を含む場合に、特に優先的に事業を促進したいという考え方をとっておるわけでございます。そういう形でいままで私ども水資源開発促進法に基づきまして基本計画を作成し、その中で四条の三項をできるだけ生かしたいと努力をしておるわけでございますが、特に御承知のように、そういった地域の県あるいは市町村財政というようなことから考えました場合に、何らか特例法がありませんとなかなか後進地域開発についての十分の配慮ということが実現しないということがかねがね宿題になっておりまして、そのことも含めてこのたびの立法になっていったというふうに考えておるわけでございます。
○春日正一君 つまり、こういう計画を見ていますと、どこに何のダムをつくり、どこに何のダムをつくるというこの計画というか、目標ははっきりしているわけですから、だから当然これがはっきりされた時点で、そのダムができる場合にその水源、ダムのできる周辺の町村その他に対してはこういう手当てがされるんだというような大綱も示されてなければ、これは付近の住民はとても安心できないことになるし、これはダムをめぐる紛争というのはそこから出てくるわけですから……。ところが、いまあなたが言われたように、あるけれども、きめたけれども、住民が何言うかわからぬから、だから抽象的に「配慮するものとする。」と一行入れたというようなことでは、この法の規定そのものの精神というものは生かされてないわけです。ダムをきめる、どこにつくるかということ自体、地域の住民にほんとうなら承諾を得なけりゃならないはずだし、そのときに、ここへつくればこうなるからこうするんだと、それじゃけっこうですということにならなければ、ものごとは民主的な手続踏んだと言えないことになる。ところが、いまのあなたの説明では、結局こういう規定はあるけれども、しかし実際には使いものにならないものなんで、それで今度はこういう法律を新たに出してきて、これで補完されればできると、そういうことでしょう、私の理解では。その点どうですか。
○政府委員(下河辺淳君) 実はいま利根川の水系の場合についての具体的な御説明を申し上げました。最近、たとえば吉野であるとか筑後の場合におきましては、この基本計画をきめます際に地域の方々のかなりの御了解がいただけませんと基本計画をきめることが実際上不可能であるという実態もございまして、特に基本計画をきめます場合には当該県の知事の御意見を承って、その合意がとれなければ基本計画をきめないという私どもの方針でおりますので、そのときに地域の方々とのある程度のお話し合いが進むということを前提にしておりますので、これから現在私どもが始めます基本計画の策定にあたりまして、いま先生が御指摘になった形をぜひとりたいということを考えておりまして、その意味では四条三項も法律が立案されました当時よりは今日この趣旨を生かしていける方向で私ども努力したいと考えております。あと、御指摘いただきましたように、この水源法ができればそれをさらに裏づけることが容易になるというふうに考えております。
○春日正一君 そういうことなんですね。だから、実際問題とすれば、そういう計画がきちんとできてないし、いろいろな面で、先ほどそちらのほうから説明された、個人補償その他でも埋めていくんだというようなことを言われておりますけれども、たとえばこういう問題があります。草木ダムですね、あそこの大字草木小字横川という山の中に六戸の人家が孤立して残されている。そのうち二軒は山林労働者ということですね。この人たちはいままでだと、さっと坂をおりていけば一キロで鉄道へ出たわけですが、御承知のように鉄道が水没して路線がつけかえられたために、いまではバスのある国道まで二キロ、車も通らないようなところを歩いていかなきゃならぬ。それから生徒は小、中学校とも往復五キロも歩かなきゃならぬというような状態になっている。左岸の道路ができるのは四、五年も先のことだ。こんなような状態のものが放置されているんですね。もう一つ、十戸ぐらい孤立しているところもあるというように聞いていましたけれども、いまのこの例の場合これはどういう処置をなさるつもりか、これは水資源公団のほうに聞きたいのですが。
○参考人(柴田達夫君) 草木ダムの大字草木横川部落の六戸の問題につきましてお尋ねがございました。この横川地区には二十五戸の戸数がございましたところですが、水没該当戸数になりましたのが十九戸、そのうちで一戸はその横川の中に残りましたので、いまお話のございました六戸ともう一戸と合わせて七戸がこの横川に残るという形になっております。補償当時この横川地区の六戸の方からは、少数残存者としての対策を講じてもらいたい、できるならこれは移転を認めてもらいたい、移転補償を認めてもらいたい、こういう要望がございました。少数残存者問題というのは補償のときによくある、よく要望が出る問題で、これをどういうふうに認めるかというのはたいへんむずかしい問題でございますが、先ほど来お話に出ているような補償基準の要綱によりまして、大体こういうような扱いになっております。それは生活共同体がそこにある、そのうちの大部分が移転をしてしまって、ごく少数の者がそこに残ることになる。そうして、そのことによりまして農地も失ったりあるいは生活の基礎になるようなことも失ってしまうために生業が維持できない、生活ができないと、こういう——これは不可能になると書いてあるわけですが、そういう場合に移転補償を認めるというふうに、少数残存者の部落はそのものが水没でないものですから、そういう基準になっております。 そこで本件でございますが、まあ六戸、合わせて七戸の者がそこにいるわけです。水没外でございますので、生活共同体から完全に分離して孤立するとは言いにくい。ことに、この方々の農地が非常に取られるというような程度が大きければ別でありますが、調べによりますと、この方々は、六戸のうち農家が三軒、山林労務者が三軒でございます。農地の水没する割合が五%から一一%、二三%ということで、まあ取られ方も比較的少ないわけでございます。したがって、生業の維持ができないという状態ではない。生活ができなくなるわけではない。問題は、先生いま御指摘になりましたように、その左岸を通っております国鉄の足尾線が全面水没いたしまして、従来一キロぐらいのところにありました草木駅が廃止をされまして、右岸につけかえることによりまして国鉄がトンネルで通る、したがって、下流は神戸、それから上流は沢入というところまで、駅が遠くなると、こういうことで非常に交通上の不便を生ずるということがまあ一番条件が悪くなることでございます。そこで私どものほうの対策としましては、移転補償の対象には、先ほど申し述べましたようなことでありませんので、居住条件を、できるだけひとつ不便ということを極力なくすようにしようということで、四つの事柄を実施いたしたわけでございます。その一つは、一番のものは、いまお尋ねにございました草木駅がなくなりますので、対岸の国道に出なければならない。そこは水没地帯が、中に大きな貯水池ができますので、いまは百メートルそこそこのつり橋ですが、今度は三百六十メートルの橋をひとつかけてもらいたい、移転補償が認められないならば、そこにひとつ橋をかけてもらいたいということが、これは草木ダムの公共補償の事柄として非常に重要な御要望がございました。結局この橋をかけることにいたしまして、その六戸の方々は橋を渡って対岸の国道に出ていただく。次はその国道に——駅がないわけですから草木駅の廃止に伴う補償を六千万円、東村当局にいたしまして、村営のバスを運行してもらう、一日六往復のバスで通学なりあるいは町まで出る方に出ていただく、こういうことにいたしましたわけです。なお、左岸のほうは村道できわめて道が悪いのでございますが、この村道を直して拡幅をいたしまして、通ずるようにいたします。将来はここにバスも運行できるようになるのではなかろうかと考えます。 それからいま一つ、横川地区に演習林、これは農工大の演習林の払い下げを、県、皆さん方の努力でお願いをいたしまして、そうして従来石材産業が営まれておりました、働く場所をそこにつくることができるようにいたしまして、山林労務者の方々が、もし何ならばここの石材産業の労務者として働くことができるように、これも六千万円の支出をいたしておるわけでございます。そういう村道、それから演習林への道路、それから草木橋、これは非常に大きな橋が必要になって補償上一番問題点でございましたが、踏み切ることにいたしまして、まだかかっておりませんが、最後までには橋をかけることにいたしております。そういうようなことで移転補償の対象にはなりませんでしたけれども、居住条件を極力よくするということで、残存の方々あるいは間に入られた村当局ともお話し合いがつきまして、そういうことで、これから御不便は従来よりは増しますけれども、できるだけ居住条件の改善につとめたい。この移転補償と居住条件の改善の公共補償の両方を並行してやるわけにはまいりません。いずれをとるかということになりますと、居住条件の改善のために公共補償をやるというほうの道を選んだ次第でございます。
○春日正一君 まあ私もそういうことは聞いてますけれども、いまも言ったように、それができるまでには数年かかるというようなことで、その間非常な不便を忍ばなきゃならぬ。ところが、そういうものに対しては何にも補償がない。まあしんぼうしなさい、幾らか御不便になるけれどもというようなことでいいんだろうかということですね。その点、大臣どう考えていますか。幾らか御不便になるけれども、そういう人はしんぼうしてもらう、まあ生きていける程度ならばいいじゃないかということですか。
○国務大臣(金丸信君) まあ公共のために使うダムのことでございますから、そのために犠牲を払わされるということであるならば、できるだけのめんどうは見てやるということが私は政治的な配慮だと思います。
○春日正一君 そういうことだと思いますよ、常識的に言ってもですね。それを、そういう不便は若干増しますけれどもということで、それでこと足れりということでは困ると思うんですわ。 それで、この補償の問題ですけれども、この間もここで質問に出ましたけれども、公共用地の取得というか、こういうダムなんかでもって金銭補償を受ける場合に、やはり損をする人と得をする人というか、そういうものが出てくるんですね、差が。追跡調査を、これはこの間の質問では政府としてはあまりやってないようですけれども、しかし、ほかの民間の団体ではこの問題についていろいろ追跡調査をやっております。そうすると、一般的にいって補償では、少ない人は数十万円、多い人は数千万円というような、当然、財産補償ですから対象になる財産によって違いが出るわけですけれども、大体傾向としては補償金が五百万円以下という程度の場合が多いんですね、対象として見ると。たとえば藤原ダムの場合、補償金額がわかっておる七十七戸、調べてみると四十一戸ですね、五三%が五百万円以下。薗原ダムの場合には百二戸のうち九十戸、約九〇%が五百万円以下。それから下久保ダムでは百三十戸のうち七十三戸、約六〇%が五百万円以下というような結果になっておるわけですね。そうして、この買収前後の職業の転換と生活の変化というのを見ると、たとえば下久保ダムの場合には農林業から農林業、つまり、そこを立ちのいたけれども同じ農林業をやっているという場合には、生活が楽になったという者の割合が約二分の一で、逆に苦しくなったという者が二〇%というようになっておる。そういう意味では農林から農林にという人が一番安定している。ところが、賃労働者ほとんど全部が買収後も賃労働をやっておって、楽になった者の割合と悪くなった者の割合はほぼ同じぐらい。それから自営業者の場合、引き続いて自営業をやっておる者のうち楽になった者と変わらない者、悪くなった者というものの比率はほぼ同数ぐらい。金利業をやっておるという人は、そのままそれをやっておる場合には生活は楽になったと。ところが、買収前後で職業転換した者で見ると、農林業から賃労働へ転換した者、これは生活が楽になったという者がやや多いけれども、農林業から自営業へ転換した者は、楽になった者と苦しくなった者との割合がほぼ同じ。農林業から金利業へ転換した者は二戸だけれども、生活が楽になったと言っておる。賃労働から自営業へ転換した者は一戸だけだけれども、生活は、これは悪くなっておる。自営業から賃労働へ転換した者は三戸だけれども、いずれも生活が苦しくなっておる。金利業から賃労働へ転換した者は一戸で、これはやはり生活が苦しくなっておるというふうな数字ですね。この割合、建設省も知らないと言うから、私この資料詳しく紹介したわけですけれども、まあ一般的にいって、買収前後の職業の転換がない者はわりあいに安定度が高い。しかし、それでもやはり苦しくなったという者が農林業の場合二〇%出ておるし、それからその他の場合にはやはり生活の安定度が低いというか、つまり苦しくなったという率が多くなっているというような結果になっておるわけですね。だから、一般的にいって、この幾つかの例で見ると、やはり補償金の額が多い層はわりあい生活がその後よくなったという人が多くて、補償金の少ない層ほど生活が悪くなったという率が多くなっている、こういう数字が幾つかの追跡調査の結果出ておるわけですね。 だから、いまの補償が、先ほど言ったように、憲法二十九条三項に基づいて正当に行なわれる、少なくとも従前の生活程度を維持できる程度に行なわれるということにならなければならないとすれば、生活がよくなった者と悪くなった者の割合が、補償金の階層によって、多い者はわりあいよくなった人が多いし、少ない者は苦しくなった人が多いというようなことが出てくるはずがないんだけれども、実際には、いま言ったように、補償金の少ない層ほど生活が悪くなった者の割合が高いということは、やはり現在の統一要綱ですか、先ほど私引用した、これの。これに基づく財産的補償というものが補償金の階層、つまり多い少ない、買収の対象になる財産の多少による階層の間に不公平をつくり出して、補償金の少ない層に対しては従前の生活再現に不十分であるということをはっきり示しておると思うんですよ。だから、統一要綱の財産的補償という考え方による補償では、被補償者の損失を完全には償うわけにはいかないんじゃないか。つまり、貧しい人が小さなうちに、古いうちに住んでおる、だからその評価が低い、だから、その評価で補償されて、今度よそへ行って、それではもとのようなきたないうちにしろと言ったって再現しようがないということになれば、借金しても住める程度のうちにしなきゃならぬし、そうすると、その借金のために生活が圧迫されてくるというようなことが出てくるだろうというふうに考えると、やはりいままでの財産的補償ということでは完全に償えないということになるんじゃないか。この点について建設省として検討されたことあるのかどうか、そこをお聞きしたいと思います。
○政府委員(高橋弘篤君) 先生の御指摘のように現在の公共用地の取得に伴う損失補償基準によりますと、いわゆる一般補償というものにつきましては、どちらかといいますと、財産権に対する補償が中心になっておるわけです。少数残存者補償みたいなものは必ずしもそうじゃございません。そういうことになっておるわけでございます。もちろんこの補償議論は、一番もとは憲法の二十九条第三項によるわけでございます。その正当な補償というものは、その財産権の財産価値というものに着目いたしまして、その客観的な市場価値というものを前提にして補償される。その中心的な考え方というものは、実損というのがありましてその実損を補てんする、実損が十あれば十補てんするという考え方に基づいておるものでございまして、そういうものに基づいて今度その補償によりまして、いわゆる被補償者が従前の生活程度を復元するということになっておるわけでございまして、憲法上におきましては、いわゆる正当な補償になるということにこれはなると思います。しかしながら、先ほどからいろんな議論がございますように、それだけでは社会政策的な見地から見ましてもいろいろ問題が多いわけでございますので、この補償議論の中にも、土地収用法の中にもございますが、かえ地補償というようなものもございます。その他、少数残存者補償その他いろんなそういうものの考え方があるわけでございます。同時に、そういう起業者の責任としての補償の範囲を越えました部分につきましても、いま御審議いただいてます水源立法みたいなものによりまして、いろんなかえ地の問題だとか、また職業の紹介指導とか、その他生活再建のためのいろいろな措置のあっせんということが起こってくるわけでございまして、こういうものは今後強力にやっぱり進めていく必要があろうかと思います。先生の御指摘は、おそらくその補償について今後検討して、これを変える意思はないかというようなことをお尋ねだろうと思います。補償につきましては常々私どもは研究会を開いておりまして、より適正な、より合理的なものにする必要があるわけでございますので、常々研究会を開いていろいろ検討をいたしております。今後も十分こういった検討を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○春日正一君 検討の段階ではもうないんじゃないか。と言うのは、財産的補償ということできているけれども、それだけではやはりいろいろ不合理が出てくるので、実際上はいろいろな形で生活権の補償がやられておる。たとえば水没するいろいろな財産や権利を対象とした財産的な補償というのじゃなくて、水没地なら水没地においてともかく生きてきたという事実に対する補償を生活権補償というふうに言うなら、たとえば薪炭生活者補償だとか、あるいは移転前後の生活費を補償する生活補償とかいうようなものも実際上六カ月くらい払われているような例もあるし、従来得ていた生活上の便益に対する補償で、普通、天恵物補償といわれるものもある。あるいは協力金とか協力感謝金というような形で一戸平均三十万とかあるいは五十万とかいうような形、ここにいろいろ例は出てます。そういう形で実際上はそういうものをやらなければ、財産補償といま言われたように、その財産を世間的に評価して幾らだからそれだけの金を払えば憲法二十九条に違反しないというようなことでは済まぬ事態が出て、実際にそういう実例が出てきているんですね。だから、そういう意味で建設白書の中でもこういうふうに書いてますね。一一六ページ、これは四十七年度の建設白書ですね。「公共用地の取得難は、基本的には国土が狭あいであり、すでに高密度の利用がなされていることにあるが、直接的な原因としては被補償者が既存の生活基盤の変更を余儀なくされる結果、生活再建に対する不安があること、および設置される公共施設によっては、生活環境の悪化等を懸念する地域住民の反対があること等があげられよう。」というふうに言って、その「対策としては、損失補償の本来的なあり方は、被補償者の現状に相応する生活水準等の補償でなければならないが、その観点からは、現行の客観的財産価値に対する損失補償理論のみをもってしては、現在の社会経済の情勢の下においては被補償者の保護が必ずしも十分ではない面があるものと考えられるので、当該理論に機能回復による補償の原理を導入すること、また、公共施設の設置に際しては、生活環境の保全について、計画、設計および施行上において十分配慮するとともに、このような配慮を行なってもなお防止できない場合で、社会生活上受忍すべき範囲をこえる場合には、適切な措置を講ずることについて検討する必要があるものと考えられる。」と、まあ、あなた方の研究の結果こういう結論に達して建設白書の中にこれを載せられたんだと思うのです。だとしたら、やはりこの結果を生かしていかなきゃならないじゃないのか。こういう法律出して、まさに出してくるこの法律の中にいままでの経験が生かされていかなきゃならないのじゃないか。ところが、そういう意味ではやはり補償の原則というものは変わってない。そのためにいろいろな矛盾が出て、たくさんの人たちが実際上ダムをつくられたために生きていけないというような状態が出てくるわけですね。 だから私はそう思うんですよ。憲法二十九条三項の、私有財産は公共の福祉のためには正当な代償を払うことによって収用することができるというその二十九条だけで律するべきものじゃないだろうと。二十五条の、やはりすべて国民は健康にして文化的な最低の生活をする権利があるというこの二十五条ですね、非常に貧しい人、あばら家を補償されてもどうにもならぬという場合は、やはり二十五条のこの権利を保障する国の責任としての生活補償、つまり二十九条と二十五条を統一して生活補償ということを考えるなら、この公共事業によって被害を受ける貧しい国民、この人たちにいたずらに犠牲をしいるというようなことのないように補償の問題解決できるのじゃないだろうか。だからそういう意味で、補償基準の改定、再検討して改定するということを、至急にこれを急ぐ必要があると思うんですけれども、その点は大臣どうですか、政策問題として。
○国務大臣(金丸信君) 先生のいま御指摘の点につきましては私も非常に感銘するところがあるわけでございますが、一つのダムをつくる、そのダムのためにあばら家を捨てて別にうちを新設しなくちゃならないということになれば、いままでよりよきものというのは人情だろうと思いますし、また、いままでのものよりよりよいものをつくるということがこれ常識だろうと思うんです。そういうことになりますと、ただの補償だけでは——そこに何かケース・バイ・ケースの補償方法というものがあってしかるべきだと私も思います。ぜひひとつそういう問題につきましては前向きで検討さしていただきたいと思います。 〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕
○春日正一君 この点はぜひ急いでやってもらいたいと思います。 それから、その次に国の負担の問題ですけれども、負担の特例はこの法案でも第九条ですか、これに、特に次に掲げるものというようにして書かれて、別表によるということで出されておるんですけれども、私見たところでは、やはり大きなものに限定されており、しかも起業者の責任というものがはっきりしてない、そういうような状態になっている。そして下流に負担をつけるというようなことになっているんですけれども、こういうような程度のことで実際に効果があるかどうかという疑問を感じるわけですが、特に事業計画の中に生活環境施設というものを、道路、河川、土地改良、下水道というようなものと同じようにはっきり規定して、そうしてこの負担のかさ上げもするというようなことにする必要があるし、その点では知事会の要望でもそういうふうになっておるわけですけれども、これが落とされているんですね。なぜこういうものを落としたのか、その辺の事情を説明してほしいんです。 〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
○政府委員(川田陽吉君) お答え申し上げます。 第九条のかさ上げダムの対象範囲につきましては、前回の御質問にもございましたように、私どもとしては、一般のダムにつきましては二百戸以上のダム、それから特に水没県が上流にありまして、そのダムによって得られる水を利用する県が下流にあって他の県であるというような場合には百戸まで対象基準をおろしまして適用することにいたしておりますが、同時に、かさ上げ対象として取り上げております事業も、この法律の別表第一にございますように、先生ただいま御指摘のように、公共事業的なものということになっております。その趣旨は、ダムの事業の実施に伴いまして必要とする関連公共事業、この法律では整備計画にのせまして計画的に実施するということにしておりますが、この対象事業は整備事業としても事業費の額が比較的かさみまして地方財政に対する圧迫的な要素が強くなるいわば大規模的な事業というものを取り上げた次第でございます。そのほかに補助率かさ上げ対象にはならない事業といたしまして、公民館とか、保育所でありますとかそうした事業がございますが、まあ一件当たりの金額もわりあい少ないですし、また一つのダムについて何カ所もそういった施設がつくられるということも考えられませんので、一応かさ上げ対象からは除外したというような考え方でございます
○春日正一君 この知事会の要請のあれを見てみますと、これの中に、たとえば、この別表にあるような土地改良その他ずっと出ているようなもののほかに、いろいろこまかいものがたくさん出ておるわけです。たとえば、スポーツ振興法に基づくプール、体育館、運動場の設置とか、社会教育法に基づく公民館の新築、増築または改築、母子保護法に基づく母子保健センターの設置、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく一般廃棄物を処理するための施設の設置云々というような形で——これ、まあ一々読みませんけれども、非常にたくさんの実際にその市町村で必要なもの、あるいは、そこが観光地にでもなれば当然廃棄物の問題なんかも問題になってくる、そういうような問題について出ておって、しかも削られておるものの大多数が、この事業主体が市町村であるものが削られておるのですわ。ところが、この市町村こそが、まさに一番財政基盤が弱くてダムの影響を直接受けるわけですから、その市町村のそういう事業に対してこそ補助のかさ上げもし、十分施設もできるようにしてあげなければ——都道府県の行なうような大規模な事業とあなたは言われたけれども、それも大事だろうけれども、直接生活に結びついたそういう市町村施行の事業もこの対象にするというようにしてあげなければ実効があがらないのじゃないかと、私はそういうふうに思うのですけれども、この点はどうなんですか。そういう点の配慮がされずにこの法律はできたのですか。それとも、市町村はそれでやれるということでお削りになったのですか、どうなんですか。
○政府委員(川田陽吉君) 私ども、いろいろ知事会の御要望とか、そういった関係資料もたくさん集めまして検討したわけでございますが、地域社会の最も基幹的な要素として考えられる事業、まあダムの建設の際に、あらゆるダムの実際の過去のケース等から見まして一番典型的なものを本法の別表並びに政令で掲げたという次第でございます。これはもちろん、ただいま先生御指摘のような事業の必要性がある場合も現実的にはあるかと思いますが、そうした場合におきましては起債のめんどうを見るとか——関係各省の協議会ができております。これは四十七年の九月に、建設省のほか自治省、経済企画庁、農林省、厚生省というような関係の深い各省で連絡協議会という、そういうものを設置しております。そこでいろいろ本法の整備計画の打ち合わせのほかに、また整備計画では解決し得ないいろいろな事業計画につきましても持ち出しまして検討しまして、所要の起債措置等について関係各省にも御協力いただくという場がございますので、一応この政令からは落としたという次第でございます。 —————————————
○委員長(野々山一三君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。 本日、上田稔君が委員を辞任され、その補欠として林田悠紀夫君が委員に選任されました。 —————————————
○春日正一君 それはその他のいろいろな方法でやれるということになれば、こんな法律、特別につくる必要はないわけですよ。だから、そういうことじゃなくて、この法律の「(目的)」の項で、はっきり「ダム又は湖沼水位調節施設の建設によりその基礎条件が著しく変化する地域について、生活環境、産業基盤等を整備し、あわせて湖沼の水質を保全するため、」云々と、こうして「関係住民の生活の安定と福祉の向上を図り、」というふうに、この水源地開発と同時にこの地域の生活基盤産業基盤の整備ということをはっきり「(目的)」にうたっておるわけでしょう。そうしたら、当然そういう生活基盤、特にそういうものは市町村がやらなければならぬ直接のものですね、そういうものについて、はっきり法で規定して補償してあげるということをしなければ——先ほど来、私幾つかの法律をあげて、法に規定してあるけれどもどうなんですかと、実際にはやられてないというような事例がたくさんあるわけでしょう。だから法の中に入れなさい、こう言っているわけですわ。 念のために幾つか例をあげますと、たとえば草木ダムの先ほどの例でも、そういうことで観光開発の要望というようなことで、国民宿舎をつくってほしいとか、観光開発をできるようにしてほしいとかいうような要望を出したけれども、結局、これは桐生を中心とする広域市町村圏事業というのですか、それの中でやるというふうにすりかえられてしまって、さてそれじゃ実際やるかということになると、土地の取得も困難だと、何億円というような計画を立てても、市町村に財源がないものだから、結局なかなか話が進まないでいるというふうな状態にされてしまうのですね。結局、住民がやる気があったら自分の金でやれというようなことにされてしまう、そういう例がある。それからもう一つ、岩手県の湯田ダムの例でも、あれです、ここでは昭和三十二年の五月に一般補償の補償基準の調印が行なわれたあと、六月十四日に湯田ダム水没による公用地、公共物等の整備、水没者の生活再建等に関する協定書というのが調印されて、この協定書には建設省の東北地建の局長、岩手県知事、湯田村の村長、湯田ダム建設促進期成会長が調印している。そこで、その後の成り行きを見ると、協定書の中の生活再建措置のうちで集団移転対策は、村内三カ所に建設省が代替地を造成して一応実行されたということですけれども、就職対策とか商工対策、村内の代替農地対策、産業対策というようなものは、約束はされたけれども実際は実行されてないというような実情になっているのですね。だから、法律の中にはっきりそういうことを規定して、だれが実行するかという責任まで明白にしてきめるということと同時に、やはりそういう整備計画というものは、ダムができると同時に竣工するような、そういう並行の方向をとる必要があるだろう。ダムができてしまえばもうあとは知らぬといって逃げられてしまったらそれきりなんだから、これは県知事会の要請でもそう言っていますけれども、つまりダム事業が完成するときには関連のそういう施設も完成するようにしてほしいということを県知事会の要望書でも言っておるけれども、やはりそういう意味では、いまの湯田ダムの例でいっても、あるいは草木ダムの例でいっても、ほかに関連の法律があるし、やり方があるからできますということではできてない、これが現実なんですわ。だから法律に入れなさい、入れる必要があるんじゃないかと言うんですけれども、この点どうなんですか、できてないことはないと言うんですか。法律にどうしても私は入れる必要がある、この点、大臣どうですか、もう局長に聞いてもそれ以上しようがないと思うんですけれども。
○国務大臣(金丸信君) 私はこの問題につきましては先生のおっしゃられるように、大小取りまぜて全部そういうようなめんどうを見ることが当然だと私は思います。思うんだけれども、なかなか各省のいろいろの交渉の過程においてむずかしい問題もありましたしするんで、この程度のことしかできなかったんでございますが、法律によって明記してしっかりしたものをつくっておくことが憂いをなからしめるということでございますのでこういう問題については今後なお鋭意努力して御期待に沿うようにいたしたい、こう思っております。
○春日正一君 それからいまの問題と関連して、ダムができると、いままでの実例からいえば、そこから水没によって人口も減っていくし、それからいわゆる農地その他も減っていくというような関係で、むしろ税源が少なくなるというような現象が起こっている場合が少なくないわけですね。だから先ほど言ったように、水源地の整備というたてまえからいっても、いま私の言ったような過疎化が進むというような状況も出てくるというような立場からいっても、市町村の財源として国の負担、補助の特例をつけてそれを補ってやる、さらにダムの固定資産も利水目的分については固定資産税がかからぬわけですから、これに対して交付金あるいは納付金というようなものをつけるようにすべきじゃないかというふうに思うんですけれども、これはダム施設所在市町村開発振興措置促進協議会というところから要望書というものが出ておって、「ダムに係る固定資産のうち、水道事業及び工業用水道の用に供する部分について、固定資産税の課税対象あるいは国有資産等所在市町村交付金の交付対象とするよう所要の措置を講ずること。」ということを要望してきておるんですが、私はこれはもっともな要望だというふうに思うんですよ。この点についてどう処置されるかお聞きしたいんですが。
○政府委員(松村賢吉君) ダムの固定資産税の問題、この問題につきましては実は数年来いろいろと問題になってきております。建設省といたしましてはぜひこれを積極的に措置すべきであるというふうに考えておるわけでございます。ただし、これにつきましては、やはり公共料金の関係、水道料金その他ございますが、こういう関係もありまして、いろいろ考慮すべき点もあるという意見もございます。それで、この間の調整をはかっておりますのですが、建設省といたしましては、さらに積極的に関係各省庁と協議いたしまして検討を進め、実現の方向に持っていきたいというふうに考えております。
○春日正一君 そこで、それはぜひ検討して適切な解決をしてほしいと思うのです。 もう一つ、この間も、この法律が、建設されてしまったところに適用されるかどうかという質問があって、途中のものには適用されるというような答弁があったのですけれども、しかし全国のやはり既存のダムにも対象として適用するのが当然じゃないだろうか。つまり、あとから矛盾がわかって手直しをしたわけですから、ずっと前にやられて、その当時ですから、補償その他についても一番早くやったものは一番不利な状況でやられたわけですから、やはりそういうものについても過疎の問題が深刻になっておるというような状況にかんがみて水源地整備の法律、これはもっとも私はこのままではたいしたことにはならぬと思うので、この法律を、もっと内容をよくしてもらわなければならぬと思っているけれども、しかし、そういう法律ができたからそこからというんじゃなくて、過去のものにも適用して、このダムの影響を受けている町村に対して、そこの地域の整備を促進していくようにすべきじゃないかというふうに思うのですけれども、その点はどうですか。
○政府委員(松村賢吉君) 先生の御指摘のような問題過去にすでに完成したダム、それにつきましては私どもといたしましては、私どものできるだけのことを地方公共団体等と協議を行ないまして関連公共事業をやってきたわけでございますが不十分な点はあるいは残っている部分があるかとも思います。しかし、このダムの、水源地域の法律を施行するにあたりまして、やはり一つの線というものをとりまして、現在以降のものにつきましてこれを充実していきたいという考え方でいるわけでございます。しかし、すでに完成したダムについてなおざりにしていいというわけではございませんので、これにつきましても、いろいろと各種の法律、過疎地域対策緊急措置法とか山村振興法等、こういうものの運用等を関係各省とはかりまして、できるだけ既設ダムを含めます地域につきましても、この法律とは別でございますけれども、措置をとっていきたいというふうに考えております。
○春日正一君 それでは私は納得しませんけれども、次に移ります。 それで、この法律では、その費用を下流のいわゆるダムの利益を受ける者に負担させることができるようになっているわけですね、これはどのぐらいの割合で負担させるつもりですか。
○政府委員(松村賢吉君) 第十二条の下流の負担の問題でございますけれども、これの負担の割合につきましては、現在まだ数字といたしましてどのぐらいになるということは実は確定しておりません。もちろん各ダムによりましてケース・バイ・ケースによって違うわけでございますが、この負担の割合につきましては、地元の地方公共団体の財政負担の能力とか、下流受益地区の地方公共団体の受益負担の度合い、それから財政負担能力、それから水道とか工業用水、発電の各事業者の公営企業または公益事業としての受ける制約、それから受益の度合い、こういうものを考慮いたしまして、関係者が協議いたしましてきめることになるわけでございます。内容といたしましては、実際には、具体的にはケース・バイ・ケースで違う場合が多いのですが、これをやる上におきまして、やはり適用のためには、この標準的なルールあるいは準則と申しますか、こういうものを関係各省と検討を現在進めている段階でございます。
○春日正一君 そういう下流に負担させるという考え方の中には利益を受けるということがあるわけですけれども、同時に、大都市で水が非常にたくさん要るようになって、そのためにダムの水を使わなきゃならぬ必要に迫られるということは、一面からいえば、国の政策によって大都市圏に人口とか事業所が集中して、そのために水需要が増大しておるとか、だから地方自治体ではこの集中の中で、下水道もつくらなならぬ、公園や住宅やその他もつくらなならぬという形で、一面そういう大きな費用負担に迫られてくるというような状況もあるわけですね。だから、水をもらうんだから当然負担すべきだというふうに一がいに言い切ってしまうことは、これは国の責任を自治体に転嫁するという面も出てくる。だからそういう意味では、下流負担の問題という問題は慎重に検討してやらなきゃならぬ問題だという点を私は指摘しておきたいと思います。 そこでもう一つ、この地域指定と計画の立て方の問題ですけれども、この法案でいいますと、地域指定は、知事が市町村長と相談して申し入れをし、総理大臣が指定するということになっているわけですけれども、しかし地域指定をするということは、そこにダムを建設するということを実質的に、公式に決定することになるわけですから、当然その関係の市町村議会で議決することを指定の前提要件とするというふうにすべきじゃないか。ただ市町村長と知事が相談して、それで大臣に申請して、それで地域指定が発表されるというようなことだけでは、住民全体に非常に大きなかかわりを持つ問題の扱いとしては不十分じゃないのかというふうに思うんですけれど、その点どうですか。
○政府委員(松村賢吉君) 水源地域の指定でございますが、これは整備事業の実施の前提となる行為でございます。それで、これは地域の受ける影響につきまして総合的な見地から客観的な判断を下す必要があるということで、当該地域の行政に責任を持っております都道府県知事が市町村長の意見を聞いて指定の申し出を行なうのが適当であるというふうに考えておるわけでございます。実際問題といたしますと、この水源地域の指定といいますものは、ダム及び貯水池を含みます、所在します市町村、これが特に大きなもので分水嶺を越えた先までもあるようなものを除きまして、市町村全域を、一般の場合にはその区域に指定したいということでおりますので、実情の問題としては、区域指定について支障——いろいろ問題の起こるということは起こらないのではないかと私ども考えております。
○春日正一君 実際には起こるんですね。私この前、根本さんのときですか、問題にしたんですけども、鎌倉の海岸を通っている有料道路ですね、あれをつくるときに、鎌倉の市議会は反対した。しかし市長が承知したということで、あれは神奈川県がやって、それで結局ずっといまでもそれがしこりになって問題になっているんですわ、結局その市長は選挙で落選しましたけれども。だからやはり市長がいいと言ったからといって住民が納得したということにはならぬ。だから、市議会が全体として論議すれば、当然市民の意見もかなりの程度反映される。だから、そういう意味では議会が同意するということは必要なんじゃないかと。そういう点で、たとえば国土総合開発法ですね、現在の。これの第十條のところでは、「特定地域総合開発計画」の決定というところでは、第十條の三項ですね、つまり特定地域総合開発計画をつくる場合に、経企庁長官は、「関係各行政機関の長と協議し、建設大臣は、関係都道府県の同意を得なければならない。」という規定を受けて、「前項の規定による都府県の同意については、当該都府県の議会の議決を経なければならない。」というふうに、やはりこういう一つの、その地域にかかわる大きな計画をきめようとする場合には、議会の同意を得るということを条件とした法律も現にあるわけですね。そうしてこういう計画というものは、それは先ほど、その山の中の町村全部に適用されるから問題ないというふうに言っているけれども、やはり現在と将来の町づくりにとって大きくかかわりを持ってくる問題なんで、当然に住民の意見が反映できるような制度にしておく必要があるし、そういう意味では、議会でこの地域をそういう整備地域に指定するということに対して議決をして、知事に意見を出すというような手続をとるということは、ちっとも不都合なことではないし、また、それが障害になって事が進まぬということをおそれるというようだったら、これは初めから間違っているのだから、だから、当然そうすべきじゃないかというように考えるんですが、そこらはどうですか。
○政府委員(松村賢吉君) お答え申し上げます。 この水源地域の指定は、この水源地域を指定することによってダムをつくるということではなくて、ダムの計画というものは別にきまっておりまして、その指定のダムの所在する地域を指定するわけでございます。そういうことから、いわゆるいままで先生引例されました計画法とは、計画法の内容が違う。ダムというものはもうすでにきまっておる。そのきまっておる地域の、いわゆる周辺の影響を緩和するための事業、これを行なう地域を指定するということでございますので、私どものほうとすれば、検討いたしました結果、市町村長の意見を聞いた都道府県知事の申し出ということで十分措置できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○春日正一君 それ非常に間違っておると思うんですね。ダムの建設についても、先ほどの下久保ダムの場合、この町長のあれを読んでみると、新聞にこのダムができるというのが出て初めて知ってがく然としたと、それで代表を送って聞いてみたらほんとだったというようなことが一番先に述べられていますけれども、ダムの決定でもそんなかっこうで、そっと地元の知らぬうちに決定されてしまっているというような事実がある。だから、そこらから直していかなければならぬ問題だと私は思うけれども、しかし少なくとも、そのダムが決定されておったとしても、この地域、この町村をそういう整備地域に指定をしてもらう、そしてそのためにどういうふうな中身の整備をすることを必要とするかというようなことは、やはり村議会で議論をして、その上で指定をしてもらうというのが民主的な手続であって、村長が承知すればいいだろうというような問題じゃないでしょう。だから、あなた、何かおれがうまくやってやるみたいな考え方、上からですね、のような答弁に感じるんですけれども、やはりそういう意味ではむしろ議会で問題にすることによって住民の関心も高まるし、その地域をどう整備し住みよいものにしていくかというような、いろいろな住民の知恵も出てくるというもんでしょう。だから、そこらの辺から考えていっても当然——ただこの法律で言っているように、知事が案をつくって総理大臣が決定する、その過程で起業者や関係地方自治体あるいは費用負担者と協議をするというふうな形だけではなくて、そこの、受ける地元の議会の議決を必要とするということをやることによって、この法律がほんとうに重みも持ってくるし、実効も出てくることになるんじゃないのかというふうに思うんですけれども、どうしても必要ないと言うのですか。
○政府委員(松村賢吉君) 私どもの審議、いろいろ検討した段階におきましては、ダムそのものの指定ではないということで、ダムが計画されているその地域をよくすることに対してのいろいろな計画ということで、市町村長の意見を聞くということで十分と考えた次第でございます。ただし、実際の問題といたしましては、この計画の内容その他につきましては、地元の水没者の皆さま方はもちろん、その地域の住民の方々と直接いろいろ御意見を聞く機会もございますし、また、市町村長さんあるいは市町村会の皆さま方ともいろいろ懇談的な話は、事実上の問題としてはいろいろと話をいたしまして、その上にきまっていくというのが実情ではございます。
○春日正一君 私は実情そうならそうすべきだ、法律というものはやはり責任の所在をはっきりして民主的なルールで事が進むように規定していかなければ憲法の趣旨に反するんじゃないか、そう思います。 それで、念のために言っておきますけれども、たとえば過疎地域振興計画、過疎地域対策緊急措置法という、これでもやはり知事が過疎地域振興方針をきめるということが五条にあって、そして過疎地域振興計画は当該市町村議会の議決を経て市町村が定めるというようにして、やはり過疎地域の振興については市町村議会が議決をすると、そしてきめるというようになっている。だから今度の場合でも事情は似たようなもんでしょう、水源地のダムになっていくところを整備して、ダムの影響によってさびれていかないように、暮らしにくくならぬように、むしろよくなるようにしていこうという趣旨の法律なんだから。そうだとすれば、やはり一方では過疎地域の問題については議会が議決し、市町村がこれをきめるというようにはっきりきまっているように、議会がやはり同意するというようなことをきめて悪い道理は一つもない。だから、その点ではこの法律というものは、手続の民主化という上から見ても、やはり道理にかなったものとは言えないと思うのですよ。で、現在あなたも認めておられるように、ダムができる、何ができるということになれば必ず住民運動が起こってきて、そうして住民が問題を取り上げるようになってきておるし、住民参加ということが地方自治の重要な一つの傾向になってきておる。そういうときにそういう考え方がまるっきり抜けて、上から押しつけていくというようなやり方、だから、そういうことだから、たとえばそういう計画に対して縦覧させ、異議を申し立てるというような方式もこの中には規定されていないだから住民にとっては結局そこで総合的に生活をしていくということが問題なんですから、上から押しつけてこうしてやるというような形では実際進まないし、そうして、こういう法律が必要になるこの経過の中でダム闘争というようなものが非常に深刻になってきて、結局こういう法律をつくらなければしようがあるまいというところまできてしまったのだと。その経過を反省するなら、当然この法律というもののそういう仕組みなり、いままで私質問したような内容なりについても再検討して、もっといいものを出してくるべきじゃないか、私はそう思うのですが、その点について大臣の御意見をお伺いして、私の質問は終わります。
○国務大臣(金丸信君) この問題につきましては町村長の意見を聞くというその裏には議会の裏づけがあるということが前提だと、こう思うのですが、実際問題は文面に出ておらないという面につきまして、私も出しておいたほうがはっきりしていいと思います。そういう意味で今後この改正の問題につきまして、なおよりよいものをつくり上げるために検討いたしたいと思っております。
○委員長(野々山一三君) 他に発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○田中一君 私は日本社会党を代表して、水源地域対策特別措置法案に対し、反対の討論を行なうものであります。 将来の水需要の増大傾向と依存すべき水資源量との関係は、質疑の中でも明らかなように、首都圏や阪神地区を例にとっても、予想する水需要量をまかなうだけの水資源の手当てができていないというさびしい現状であります。水資源は水量的に逼迫していると同時に、水質の面でも年々悪化の一途をたどっております。水質の悪化は水量の悪化につながるものであります。田中内閣は日本列島改造論を提唱する中で、GNPの増大、国民生活の向上と言っているのでありますが、その陰には、公害は進み、飲み水すら安泰ではあり得なくなっているのであります。GNPの増大も、国民生活の向上も、都市の繁栄も、水あってこそのことでありまして、水に見放された都市が衰退の道を歩むことは歴史の教えるところであります。 しかしながら、本法案を見ますと、ただ単に、ダムの建設に強い反対があるからという観点だけで、こそく的な手法をもって対処し、糊塗しようとする姿勢があらわれており、あまりにも無計画で一貫性に欠ける点が多々感じられるのであります。なるほど、ダムの建設に伴って土地等を手放す住民には、事業者側から見れば、正当な対価としての補償が支払われるとしても、それは、あすの生活を再建し、維持するための必要な代償を含んだ補償ということではないのであります。したがって、政府は、昭和三十七年に閣議決定した公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱を金科玉条としているのでありますが、憲法に保障する公共の福祉は、ダム等の建設にかかる公共事業によって得られる公共的なプラスと失われる住民のマイナスとのバランスは、単純にこの損失補償をもって解決することはできないのであります。公共の福祉は、犠牲をしいられる住民も当然公平に担保されなければならないものであります。したがって、この閣議決定の損失補償基準要綱を改定することが先決であると考えるのであります。 また、土砂で陥没した既設ダムで、その治水、利水機能を維持増進するためには、土砂を採掘することも必要なことであります。これによって、数十億をかけて新しく水源地を求めるより、より効果的なものと考えられます。水源地域整備計画に基づく事業に要する経費を負担する利水者負担についても、この負担割合がきわめて明確を欠いていることであります。したがって、この法律は水没地域の国民に対するものではなくして、財政当局に対して、関連事業としての財源を求めようとする全くこそくなあめ玉法と言わなければなりません。 かかる意味から、日本社会党は本法に絶対反対するものであります。
○山内一郎君 私は自由民主党を代表して、本案に対し、賛成の討論を行なうものであります。 最近における産業の発展、生活水準の向上等に伴い、ダム及び湖沼水位調節施設の建設を促進し水資源を開発する必要があることは論をまたないところであります。しかしながら、ダム及び湖沼水位調節施設の建設は、その周辺地域の生産機能生活環境等に著しい影響を与え、関係住民の生活水準の維持等に支障を及ぼすおそれがあります。これらに対処するため、従来からも水源地域の整備、関係住民の生活再建等について各種の施策が講ぜられ、建設が進められてきましたが、本案においては、これらの施策を一そう積極的に推進し、ダム及び湖沼水位調節施設の建設による影響を緩和し、関係住民の生活の安定と福祉の向上をはかるため、水源地域の生活環境、産業基盤等の計画的な整備を行ない、あわせて湖沼の水質保全をはかろうとするものであり、本案は、現在の水資源開発の重要な段階において、まことに時宜に適したものであり、賛成の意を表するものであります。
○二宮文造君 私は公明党を代表して、水源地域対策特別措置法案に対し、反対の討論を行ないます。 申すまでもなく、ダムの建設は、他の大規模公共事業の実施が当該地域に何らかの開発利益をもたらすのに比べ、その効果がほとんど期待できないばかりでなく、地域社会の生活基盤の消滅、人口の流出、産業基盤の崩壊などをもたらし、地域社会生活の維持及び地域の開発阻害要因となっているのが実態であります。 これに加えて、水没地域住民が新たな土地を求め、生活の転換をはかることに対する不安ははかり知れないものがあり、ダムの開発による受益者に対する被害意識と相まって、その建設に多大の摩擦を生ずる結果となっております。 このような摩擦を回避するためには、失われるべき地元の不利益と損失を、可能な限り詳細かつ具体的に評価し、数値をあげ、これをいかに補い置きかえて、新しい価値造成を行なうかが重要な課題となるのであります。 そのためには、その事業と地域との対応関係について総合的な計画を示し、あるいは地元関係者や学識経験者などとともに衆知を集め、建設的、発展的な計画を策定し、地域社会とともどもに、その実現を期するための体制づくりが肝要となるのであります。 すなわち、個人の生活の変化に対する細心の配慮を払い、アフターケアーをおろそかにしない、いわゆる情にかない、理にかなったものでなければならないのであります。 しかしながら、政府原案は、生活再建のための措置、国の負担または補助の割合の特例などを盛り込んではおりますが、これをもって地元住民を納得させることはできないと思うのであります。 さらに、政府は、これに呼応するかのように、私権の制限強化の意図のもとに土地収用法を改正し、次期国会に提出する方針を固めるに及んでは、まさにあめ玉を与え、そのあとをむちでたたくようなものであり、公共の福祉と基本的人権との真の調和をはかっているものとは言えないのであります。 もちろん、水資源対策の重要性、緊急性については十分に認識し、理解するところでありますが、この場合、いわゆる社会的弱者の立場にたつ水源地域等の整備並びに地域住民の生活再建には格段の配慮を払うべきであり、このような観点から、政府原案につきましては反対の意を表するものであります。 以上をもって反対討論を終わります。
○春日正一君 私は日本共産党を代表して、水源地域対策措置法案に対する反対討論を行ないます。 この法案は、第一に、水没地域住民の生活再建及び水源地域における地域的な再建措置に具体性と実効性を欠くものとなっています。今日ダムの建設は多くの場合、地域社会の生活基盤を極度に弱め、人口の流出、地元産業基盤の崩壊等をもたらし、さらに、水没地域住民に新しい土地への生活転換に対する不安を与えるなど、地元住民に深刻な事態をもたらしています。全国知事会が長年にわたって水源地域の開発立法の運動を行なってきたのも、一面では、こうした困難の打開を目ざしてきたからであります。その内容には、事業計画は水没地域住民の生活再建及び地域社会における生活環境、産業基盤の整備を目的とすること、その実現のために、政府は所要の事業に関する国の負担、補助の割合を高めるとともに、特に生活再建策の根幹をなす移転用地その他の代替土地の造成、提供をその責任分野に含めることを要望してきました。しかるに、政府提出のこの法案においては、国の支出をかさ上げする国の負担、補助の特例の対象は、水没住宅二百戸以上、もしくは農地二百ヘクタール以上の大規模なダムのみに限定されております。また、生活再建措置についても、単なる宅地、農地の取得や、住宅、店舗の取得のあっせん等の倫理規定にとどめ、住民の要求である宅地、農地の造成、提供、住宅の建設、集団移転対策等に対して何らの実効ある措置をとろうとしていません。さらに、生活環境施設として必要な公害住宅の建設、宅地の造成、造林、保育所、公民館、消防施設、電話等は、道路、河川等と区別して、水源地域の整備に必要なものもあれば、必要でないものもあるとのたてまえに立ち、ダムの規模の大小を問わず、国の負担割合の特例から除外しています。その上、水没住民の生活再建や水源地域の再建事業の相当部分が財産的補償、原機能回復のたてまえに立つ公共補償など、現行のわが国における補償制度の不十分なことから生ずるものであることは、政府自身も認めながら、ダム起業者に対する再建事業等に対する実施の義務を明らかにすることを避けております。 わが党は、憲法第二十五条及び第二十九条の統一的な把握に立って、現行補償制度を、財産権だけでなく生存権をも補償する原則に改めることを強く主張するものであります。また、法案についても、生活再建等に対する国、都道府県の負担やダム起業者の責任を明確にし、対象範囲も、水没地域住民の総合的な生活を保障し得るものに拡大しなければなりません。生活環境施設や産業基盤の整備についても、国の支出割合を高める事業の対象を広げ、こうした整備事業を実効あるものとするために、ダム完成年次までに整備事業も完成させる計画とし、ダムの固定資産に対する交付金等を所在市町村に交付することはもちろん、水源地域市町村が事業を実施するために必要な財政的な裏打ちをすべきであります。また、こうした改善を前提としてすでにダムがつくられ、生活基盤や生産機能に大きな変化を受けてきた全国の既存の水源地域についても、また再建の方途を講ずべきであります。 第二に、この法案においては、水源地域の指定は知事の申し出に基づいて内閣総理大臣が行ない、水源地域整備計画は、この案を知事が作成して総理大臣が決定するなど、何ら住民の意思を保障する制度をとっていません。水源地域の指定は、その地域にダムを建設し、先祖伝来のふるさとが埋没することを実質上確定してしまうことであります。こうした重大な決定が、単に市町村長の意向を聞くだけで市町村議会にもはかられず、住民にも知らされないまま行ない得るとしていることは許しがたいことであります。また、整備計画についても、策定の直接の契機がダム建設によるものであるにしても、それは、その地域の将来にわたる町づくり、村づくりをきめるものであります。したがって、わが党は、地域指定における住民の異議の申し立て、地方議会の議決、計画案作成過程における住民参加等を規定すべきことを強く主張するものであります。 第三に、この法案は、水源地域の整備事業に要する経費の一部を下流の利用者である地方自治体に負担させることにしています。しかし、すでにダムの建設にあたっては、建設省の直轄する特定多目的ダムをはじめ、広域的に利用されるものについては、流水を利用する下流の権利者にその受益に応じて被害補償を含む建設費用を負担させる制度をとっています。したがって、新たな下流の負担は、たてまえ上は二重負担をしいることにならざるを得ません。もともと広域的な災害防止や生活用水の確保は、人口と産業を大都市に集中させ、大企業中心の国土開発を進めてきた国の責任で行なうべき性質のものであり、これを下流住民の負担に転嫁するのは誤りであります。 最後に、わが党はダム建設等のすべてを否定するものではありません。しかし、それは水質汚染の防止、工業用水、業務用水の制限、処理水の再生利用、より基本的には大都市圏への集中抑制等の政策を強力に行ない、その上になお生活用水の確保に欠ける場合は、水源地域における自然条件、社会条件の変化を総合的、科学的に検討し、住民の十分な納得の上で実施されるものでなければなりません。しかし、この法案は逆に水源地域住民の生活再建、地域再建の要望を逆用して、わずかな国の負担のかさ上げを代償にダム建設を上から押しつけ、下流住民に二重負担を強要し、こうして国民の犠牲で大企業中心の国土の利用と工業用水、業務用水を確保する政策の一環をなすものとなっています。これが大企業本位の高度成長を目ざす田中首相の日本列島改造論でいう全国一千百カ所以上にのぼるダム建設を促進するためのものとなることは明白であります。したがって、わが党はこのような法案には賛成できないことを明らかにして、反対の討論を終わります。
○委員長(野々山一三君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 水源地域対策特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(野々山一三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○沢田政治君 私はただいま可決されました水源地域対策特別措置法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 水源地域対策特別措置法案に対する附帯決議案 政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、水源地域対策の万全を期するため、水源地域整備計画の作成及び整備事業の実施にあたつては地元の意向を十分に尊重するよう努めること。 二、ダム等の建設により、水源地域がうける影響をすみやかに緩和するため、整備事業は原則としてダム等の建設が完了するまでに完成するよう十分に配慮すること。 三、ダム等を建設する者は、事業の実施にあたり、極力、任意の協議による土地取得等に努め、強制的措置は避け、ダム等の建設により生活の基盤を失うこととなる者と、その生活再建の対策について積極的に協議し、適切な措置を講すること。 四、ダム所在市町村の財政の安定を図るため、ダムのうち水道及び工業用水道に係る部分について固定資産税を課し、又は国有資産等所在市町村交付金を交付するよう所要の措置を講ずること。 五、本法の適用をうけないダム、河口堰等についても、所要の措置を検討し、本法に準する措置を講ずるよう努めること。 六、ダムの建設にあたつては、水源涵養林の整備等の治山、砂防事業を推進するとともに、既設ダムについて堆積した土砂を採掘し、治水及び利水機能の維持増進を図ること。 右決議する。 以上であります。何とぞ御賛同くださいますようお願いいたします。
○委員長(野々山一三君) ただいま沢田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。 沢田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(野々山一三君) 全会一致と認めます。よって、沢田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、金丸建設大臣より発言を求められておりますので、この際これを許します。金丸建設大臣。
○国務大臣(金丸信君) 本法案の御審議をお願いして以来、熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすようつとめるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重し、今後の運用に万全を期して努力する所存でございます。 ここに、本法案の審議を終わるに際し、委員長をはじめ委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、お礼といたします。ありがとうございました。
○委員長(野々山一三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野々山一三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会をいたします。 午後零時二十分散会 —————・—————