建設委員会 第13号
- 発言数
- 206 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/06/19
会議録
○委員長(沢田政治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十五日、片山正英君、高橋邦雄君及び玉置猛夫君が委員を辞任され、その補欠として中津井真君、古賀雷四郎君及び上田稔君がそれぞれ委員に選任されました。 —————————————
○委員長(沢田政治君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 水源地域対策特別措置法案の審査のため、必要に応じて水資源開発公団の役職員を参考人として出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(沢田政治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(沢田政治君) 次に、都市緑地保全法案を議題とし、政府から趣旨及び補足説明を聴取いたします。金丸建設大臣。
○国務大臣(金丸信君) ただいま議題となりました都市緑地保全法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。 近年、都市化の進展に伴い、市街地が急激に拡大し、都市における樹林地、草地、水辺地等が急速に減少する傾向にあります。 このような事態に対処し、都市における緑とオープンスペースを確保するため、すでに昨年、都市公園等整備五カ年計画を策定し、都市公園等の計画的整備を促進することとしておりますが、さらに既存の良好な自然的環境を積極的に保全するための施策として、新たに緑地保全地区の制度を設けるとともに、植栽等による市街地の緑化を推進するため、緑化協定の制度を創設することにより、良好な都市環境の形成をはかる必要があります。 以上がこの法律案を提案する理由でありますが次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。 第一に、都市計画区域内において、良好な自然的環境を有する緑地のうち、一定要件に該当するものについて、都市計画に緑地保全地区を定めることができることとし、建築物の新築、宅地の造成等の行為については、都道府県知事の許可を受けなければならないことといたしております。 第二に、都道府県は、許可を受けることができないため損失を受けた者に対しましては、通常生ずべき損失を補償することとするとともに、土地所有者から、許可を受けることができないため土地の利用に著しい支障を来たすとして申し出があった場合には、その土地を時価により買い入れることといたしております。 第三に、国は、損失の補償及び土地の買い入れに要する費用については、その一部を補助することができることといたしております。 第四に、都市計画区域内において、相当規模の一団の土地または相当の区間にわたる道路沿いの土地の所有者等は、その全員の合意により、緑化協定を締結することができるものとし、その後において、緑化協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても、その効力が及ぶことといたしております。なお、分譲前の相当規模の造成宅地等についても、単独で緑化協定を定めることができる特則を設けることといたしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(沢田政治君) 吉田都市局長。
○政府委員(吉田泰夫君) ただいま議題となりまた都市緑地保全法案につきまして、逐条的にその内容を御説明申し上げます。 第一章は、総則であります。 第一条は、この法律の目的を定めたものであります。すなわち、この法律は、都市における緑地の保全及び緑化の推進に関し必要な事項を定めることにより、良好な都市環境の形成をはかり、もって健康で文化的な都市生活の確保に寄与することを目的といたしております。 第二条は、国及び地方公共団体の任務等を定めたものであります。 第一項では、国及び地方公共団体は、都市における緑地が住民の健康で文化的な生活を欠くことのできないものであることにかんがみ、都市における緑地の適正な保全と緑化の推進に関する措置を講じなければならないこととし、第二項では、事業者は、その事業活動の実施にあたって、都市における緑地が適正に確保されるよう必要な措置を講ずるとともに、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するために行なう措置に協力しなければならないこととし、第三項では、都市の住民は、都市における緑地が適正に確保されるようみずからつとめるとともに、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するために行なう措置に協力しなければならないことといたしております。 第二章は、緑地保全地区に関するものであります。 第三条は、緑地保全地区に関する都市計画の策定に関し必要な基準を定めたものであります。 第一項では、都市計画区域内において、樹林地、草地、水辺地、岩石地等が良好な自然的環境を形成している土地で、次の各号のいずれかに該当するものの区域については、都市計画に緑地保全地区を定めることができることといたしております。 第一号は、無秩序な市街地化の防止、公害または災害の防止等のため、必要な遮断地帯、緩衝地帯または避難地帯として適切な位置、規模及び形態を有する土地であります。 第二号は、神社、寺院等の建造物、遺跡等と一体となって、または伝承もしくは風俗慣習と結びついて当該地域において伝統的または文化的意義を有する土地であります。 第三号は、風致または景観がすぐれており、かつ、当該地域の住民の健全な生活環境を確保するため必要な土地であります。 第二項では、首都圏及び近畿圏の近郊緑地保全区域内において近郊緑地の保全のため特に必要とされる緑地保全地区に関する都市計画は、それぞれ首都圏整備計画及び近畿圏整備計画の一環として定める必要がありますので、その都市計画の策定に関し必要な基準は、第一項の規定にかかわらず、首都圏近郊緑地保全法及び近畿圏の保全区域の整備に関する法律に定めるところによることといたしております。 第四条は、標識の設定等について定めたものであります。 緑地保全地区につきましては、行為の制限を伴います関係上、都道府県は、緑地保全地区である旨を表示した標識を設けなければならないことといたしております。 第五条は、緑地保全地区における行為の制限を定めたものであります。 緑地保全地区内におきましては、緑地の保全をはかるため、建築物その他の工作物の新築、改築または増築、宅地の造成、土地の開墾等の土地の形質の変更、木竹の伐採その他緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為につきましては、都道府県知事の許可を受けなければならないこととしておりますとともに、都道府県知事は、これらの許可の申請があった場合において、これらの行為が緑地の保全上支障があると認めるときは、その許可をしてはならないことといたしております。なお、通常の管理行為等につきましては、この規定の適用を除外することといたしております。 第六条は、原状回復命令等について定めたものであります。 都道府県知事は、緑地保全地区内において、前条の規定に違反して許可を受けないで建築物の新築を行なった者等がある場合には、緑地の保全に対する障害を排除するため必要な限度において、これらの者に対して、原状回復等を命ずることができることといたしております。 第七条は、損失の補償について定めたものであります。 都道府県は、緑地保全地区内において、第五条第一項の許可を受けることができないため損失を受けた者がある場合におきましては、その者に対して、通常生ずべき損失を補償することといたしております。ただし、当該行為が、他の法令による許可等を受けることができない場合、または当該行為が社会通念上、緑地保全地区に関する都市計画が定められた趣旨に著しく反すると認められる場合におきましては、この法律による補償は行なわないことといたしております。 第八条は、土地の買い入れについて定めたものであります。 都道府県は、緑地保全地区内の土地で緑地の保全上、必要があると認めるものにつきまして、その所有者から第五条第一項の許可を受けることができないため、その土地の利用に著しい支障を来たすこととなることにより当該土地を都道府県において買い入れるべき旨の申し出がありました場合には、これを時価で買い入れるものといたしております。 第九条は、買い入れた土地の管理について定めたものであります。 前条の規定により買い入れた土地は、都道府県がこの法律の目的に適合するように管理しなければならないことといたしております。 第十条は、国の補助について定めたものであります。 国は、第七条第一項の損失の補償及び第八条第 一項の土地の買い入れに要する費用につきましては、予算の範囲内において、その一部を補助することができることといたしております。 第十一条は、第五条第一項の許可にかかる行為についての実施状況等の報告、許可等の処分をするために必要な立ち入り検査等について定めたものであります。 第十二条は、大都市の特例について定めたものであります。 地方自治法上の指定都市につきましては、都道府県または都道府県知事が行なうこととされている事務を、指定都市またはその長に行なわせることといたしております。 第十三条は、第五条第一項の規定による処分に対する不服申し立てについての特例を定めたものであります。 第三章は、緑化協定に関するものであります。 第十四条は、緑化協定の締結等について定めたものであります。 都市計画区域内における相当規模の一団の土地または道路等に隣接する相当の区間にわたる土地の所有者等は、市街地の良好な環境を確保するため、その全員の合意により、緑化協定を締結することができることとし、当該緑化協定においては、緑化協定区域、樹木等の種類、植栽の場所、その他緑化に関する事項、緑化協定の有効期間及び緑化協定に違反した場合の措置を定め、市町村長の認可を受けなければならないことといたしております。 第十五条は、市町村長は、緑化協定の認可の申請があったときは、当該緑化協定を関係人の縦覧に供さなければならないこととし、関係人は意見書を提出することができること等を定めたものであります。 第十六条は、市町村長は、緑化協定の認可の申請が、一定の要件に該当するときは、当該緑化協定を認可しなければならないこととし、認可をしたときは、公告し、公衆の縦覧に供さなければならないこと等を定めたものであります。 第十七条は、緑化協定を変更しようとする場合には、緑化協定区域内の土地所有者等の全員の合意を必要とし、市町村長の認可を受けなければならないこと等を定めたものであります。 第十八条は、認可の公告のあった緑化協定は、その後において当該緑化協定区域内の土地所有者等となった者に対してもその効力があるものとすることを定めたものであります。 第十九条は、緑化協定を廃止しようとする場合には、緑化協定区域内の土地所有者等の過半数の合意を必要とし、市町村長の認可を受けなければならないこと等を定めたものであります。 第二十条は、緑化協定を単独で定めることができる特則を定めたものであります。 都市計画区域内における相当規模の一団の土地を一人で所有する者は、市街地の良好な環境の確保のため必要があると認めるときは、市町村長の認可を受けて緑化協定を定めることができることとし、認可を受けた緑化協定は、認可の日から一年以内において当該緑化協定区域内の土地に二以上の土地所有者等が存することとなったときから第十六条第二項の規定による認可の公告のあった緑化協定と同一の効力を有する緑化協定となることといたしております。 第四章の規定は、この法律の実施を確保するために必要な罰則について定めたものであります。 次いで、附則について御説明申し上げます。 附則第一項は、施行期日を定めたものでありまして、公布の日から起算して六カ月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。 附則第二項から第十項までは、この法律の制定に伴う関係法律の一部改正と所要の経過措置について定めたものであります。第二項及び第三項は、首都圏近郊緑地保全法及び近畿圏の保全区域の整備に関する法律について、この法律の制定に関連して必要となる条文の整理を行なうことといたしており、第四項は、都市計画法について、緑地保全地区に関する都市計画が設けられることに伴う所要の改正を行なうことといたしております。第五項は、鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律について、この法律の施行のための公害等調整委員会の所掌事務に関し、所要の改正を行なうことといたしております。第六項から第八項までは、首都圏近郊緑地保全法、近畿圏の保全区域の整備に関する法律、鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律及び都市計画法の一部改正に伴い必要な経過措置を定めることといたしております。第九項は、建設省設置法について、この法律の施行のための建設省の所掌事務に関し、所要の改正を行なうことといたしております。第十項は、租税特別措置法について、この法律の制定に伴う所要の改正を行なうことといたしております。 以上、都市緑地保全法案につきまして、逐条的に御説明申し上げた次第であります。
○委員長(沢田政治君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(沢田政治君) 次に、水源地域対策特別措置法案を議題とし、本案の質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○田中一君 私、この国会になりましてから、水の問題について詳細に調査案件として質問をしておりますが、今回提案されたこの水没地に対する施策というものに対して、原則的な、全体的な面から一応大臣の所見を伺っておきたいと思います。 御承知のように、国土総合開発法は二十六年ごろでしたか、これが制定されました。しかし、この時代にはまだ地方計画だけであって、全国的な総合開発法という制度がなかったのであります。これは、相当強い要求として国土全体の生産面から、主として生産面からどうあるべきかということを考えられた当初の思想と漸次変わってまいっております。いわゆる高度成長政策というものが池田内閣によって打ち出され、これが非常にかたわな発展を遂げて今日にきております。先年、政府は新全総を発表いたしました。これすら、まだ国土というものが、日本の領土というものが真に国民のためのものという前提で考えられておりません。特定なる地主、特定なる支配者、特定なる産業が優先される国土計画であることは、大臣も御承知のとおりであります。したがって、この高度成長政策によるあらゆる国土に対する汚染というものは、その結果としてあらわれてきているのが現状でありまして、今日、人間問題あるいは環境問題、公害問題等が打ち出されるのもこれは必然であります。したがって、今日の時点では、もはや日本の国土計画全体を国民の生存の面から再検討すべき段階がきております。私は、今回出されたこの水没地、この補償あるいは整備の問題等も、この範疇から少しもはずれてない発想のもとに提案されたものと私は認定しております。 そこで申し上げたいのは、水資源確保という、これの前提に立つものは何かという点であります。水資源確保、すなわち国土計画の一つであります。したがって、この水資源を確保し、水の供給を、需要を充足させるというこの考え方がどこから発想されておるか、私は、これは田中角榮総理大臣がいろいろなスタッフから話しされた、いわゆる総裁選挙の以前出した日本列島改造論が、その根底をなしているものと考えております。したがって、金丸建設大臣は、国土保全、国土に対するところの行政権を持っている一人として、日本列島改造論というあの著書に盛り込まれた思想が、すなわち日本の今後の国土計画の前提となるものである、その条件がそれにあるのだというようにお考えか、あるいは田中角榮君が書いた日本列島改造論というもの以外に、真に国民の生存、国民のしあわせ、これを前提として、今後の日本の国土計画、いわゆる国土保全、国土に対する強力な行政権というものを発動しようとするのか、建設大臣の心のかまえ方をお示し願いたいと思うのです。
○国務大臣(金丸信君) 日本列島改造という問題は、日本総合開発ということでございます。日本総合開発ということは、いろいろ説明はあろうと思いますが、都市の再開発、地方の開発、こういうものを踏まえながら、格差のない、所得の格差のない豊かな実りある地域社会をつくるというところに、私は政治のねらいがなければならない。ことに、御指摘のように、高度成長のひずみというものを考えてみますと、そのひずみに対して厳正な批判のもとに、またそれを受けて、今後の政治のあり方というものはその轍を踏んではならないというような姿勢で政治はやらなくちゃならない、行政はやらなくちゃならない、こういうように私はまあ考えておるわけでありまして、そういう意味から、今回提案しましたこの法案につきましても、いわゆる産業優先というようなことでなくて——ダムの湖底に沈む、そのために生活の環境が変わっていく、そういうようなことを考えてみますと、そうしてその人たちは、さしずめそのダムの利益が得られるかということになると、ダムの利益というものは別なところによって利益を得られておるというようなこと、それがきょうまでのダム建設のあり方だったと私は考えます。そういう意味で、そのダム周辺の人たちが、ダムをつくられてもよかったと言うような行政でなければならない、こう考えております。
○田中一君 もう大臣は、すぐにダム、ダムと言ってダムに入ってきますけれども、ダムの問題ゆっくり質問しますから、まず現在、政府は、田中総理の日本列島改造論というものを憲法として、これによるすべての国土行政というものを行なおうとするのかどうか、あるいは相当大きなマスコミあるいは識者等から批判を受けるところの日本列島改造論というものなんかには関係ございません、ああしたものを、地域社会のいわゆる国民が求めなければああいうものを考慮しておりません、こういうお考えか。もはや一つの手法でわれわれの生存を、民族の生存を保障するものは何もないのです。すべて保守内閣二十数年のこの行政が、政治が、人命を非常に危機におとしいれておるという現状は、あなた御承知のとおりであります。一つの手法として水源の確保、これはもうせんだって、私はここでるる皆さんと質疑をかわしたわけでありますが、当然のことなんです。水の確保ということは、緊急な問題であることは間違いございません。せんだって、ずいぶん長い時間をかけてこの問題を、政府の態度を質問いたしました。しかし、その以前の問題として、いずれ新しい国土計画法も、また総合計画法も出るでありましょうが、その前提として建設大臣は何を考えておるかということです。日本の国土に生存する一億をこえる国民がこのままの姿で生存し得るか、あすに期待する、夢を託するところの社会があるかどうかという問題であります。小さな手法だけでものを考える段階じゃなくなってきております。むろん、ここにいる経済企画庁の総合開発局にしても、そこにすわっている水資源開発公団の総裁にしても、これらの方々は分担する一部の責任者であります。しかし、建設大臣としては、現在の国土を真の国民のものとして、民族のものとしての立場から考えようとしているのか、その辺の金丸建設大臣じゃなくて金丸信君の意見として、意思としてお述べ願いたいんです。あなたの選挙区もああして盆地にあり、自然環境はよくありません。その中で山梨県をどうするかということも、おそらく子供の時分からお考えになっておったことだろうと思うんです。しかし今日、新しい発想のもとに国土を考える段階がきているんだということ、いずれ衆議院を通った法律案が当委員会にも持ち込まれます。これは、ことごとくこの発想手直し等が日本列島改造論に発しているように見られるんでありますが、この点を、もう一ぺん日本列島改造論を否定するかというまでは申しません。それによるかよらないかの点だけでもお述べ願いたいと思うんです。
○国務大臣(金丸信君) 日本列島改造論は田中総理の著述でありまして、これの中にはいいこともあれば参考になることもあろうと思いますし、また参考にならない面もあろうと思います。私は参考になるべきものは参考にすべきでありますが、これが政治の指標であるとは私は考えておりません。
○田中一君 そこで本論に入りますが、まあ、あまり長くなると困るから一つの問題だけを言いますけれども、この法律に盛られている一番大きな問題は生活再建の措置ということなんです。琵琶湖総合開発法には、これが非常に弱まって表現されておるんです。たとえば琵琶湖総合開発法では、これらを、「事情の許す限り、」という表現をしているんです。「事情の許す限り、」、この法律でははっきりと協力をする、そして、その計画を都道府県知事がつくるんだと、こうきめておるんです。どうしてこの違いがあるのか伺っておきたいんです。「事情の許す限り、」ということと、それからいまの協力をすると——協力をするということは、これにあるとおり、むろん一つ一つの特別補助のかさ上げということが前提になっておるでしょうけれども、琵琶湖総合開発と違うところは、ここに大きな重点があることです。これはどういうところから発想が生まれたのか伺っておきます。
○政府委員(松村賢吉君) お答え申し上げます。 琵琶湖総合開発法と今度の法律、これと違う点でございますけれども、この「生活再建のための措置」ということにつきまして大きく違う点、これは両者の性格にもよるわけでございますけれども、琵琶湖の総合開発、これにつきましては琵琶湖の開発の基幹事業、すなわち琵琶湖の湖面水位を低下するという水資源開発の事業そのもの、これがその中に入っている一つの地域開発法であると思います。ところが今回の特別措置法は、こういうダムによって水没を受ける周辺の影響、これを緩和するための措置ということになっておるわけで、内容からいいますと、琵琶湖につきましては水没者というものはございません。それから今回の法律におきましては、水没者の水没することによる影響ということが大きな問題でございます。そういう点から考えまして、今回の法律案におきます生活再建の措置といたしましては、その事業を行なう者のみならず関係行政機関の長、関係地方公共団体、こういう関係者全部が集まって、その「生活再建のための措置のあっせんに努める」というふうに入れているわけでございます。 それで琵琶湖におきましては「事情の許す限り、」という文句がありまして、今回ははずしているということでございますが、このような関係機関が全部協力いたしましてやるということでございますので、こういう文章にいたしました。しかし、いずれにいたしましても、できる限りこの水没者の生活再建のあっせんということは強力にやろうという精神に変わりはございません。 以上でございます。
○田中一君 なぜ違うのかと聞いているのですよ。このことばから受ける事実は、琵琶湖の場合には事情の許す限り何とかしましょう、こちらははっきりと協力をいたしますといっている、同じものではございません。
○政府委員(松村賢吉君) 内容、精神においては変わりはございません。協力して行なうということとの文章上の関係といたしまして、「事情の許す限り、」ということは今回ははずしまして、特に行なう、「措置のあっせんに努める」ということを強力に押したいということでございます。
○田中一君 われわれは文字で一つの意味を理解するわけなんです。建設大臣、これは同じことですか、同じ文字でしょうか、内容は同じでございましょうか、大臣から説明してください。
○国務大臣(金丸信君) 文面、この字、熟語それ自体は違っていると思いますが、そこまでは私も研究はしておりませんが……。
○田中一君 群馬県その他水源地と目される地域の住民から大きな反対がある。常にその問題でダムの建設がおくれる、何とか色をつけなければならぬという気持ちがどこかにあるわけです。これは私もわかるのです。琵琶湖の場合には受益者が百五十億の金を負担するといっているのですし、国があの膨大な一千億以上の金をつけて十カ年で環境をよくするんだといっている。だからまあこの辺でということなのか。この水源地の場合でも僻村、僻地です。そこのネコの額のような農地を取られたり、自分の祖先伝来の墓場を取られたり、これに対する抵抗が今後強い。だからはっきりと、意味が同じとするならば、これを明文化しようということではないんですか。これは二つ並べて、内容は同じでございますなんということばならば、それが、はっきり私が理解できるまで考えて説明していただきたいと思います。時間が切れてもかまいません。
○政府委員(松村賢吉君) ただいまの「事情の許す限り、」の問題でございますが、これはその底流には、先ほど申し上げましたように、琵琶湖のいわゆる事業、この内容におきまして、水没者の移転ということは伴わないわけでございます。ところが、今回の法律におきましては、これは水没者の移転対策ということが一番大きな命題になっておるということから、いずれにいたしましても、この精神においては変わりませんが、さらに、この精神を強力に打ち出したということが言えると思います。
○田中一君 精神において変わらないものが、この二つの文字の使い分けをするということはどういうことなんですか。精神において変わっておるから使い分けをしているんでしょう。あるいは、片っぽはゆるいからもう少し強化をしようということとか、何かの使い分けをしているはずです。これは同僚の委員がたくさんおりますから、同僚の委員に、一つ一つに聞いてもらってもいいと思うんですが、私にはこの文字と内容が違うんではないかと思う。これはあなた方がいつも使う法律のことばで国民をだますという——だますというのは、この二つの文字を並べて、ことばを並べて、同じ意味でございますということには受け取れないんです。いま言っているように、琵琶湖の場合にはこうこうだ、いまお話がありました。むろん水没地も何もない。しかし環境がこわされることは同じことなんです。今度の場合には地域の面積とか、家屋の数とかいうもので限定される対象を持っているわけです。琵琶湖の場合には、ただ上水だけをちょうだいいたしますということなんです。だから、そこに違いがあるのだと、違いがあるなら違いがあるのだと、何かあなたは言えるはずじゃないですか。同じもんでございますということには納得できませんです、これじゃ。
○政府委員(松村賢吉君) 先ほどからの問題を繰り返すと思われるかもしれませんが、これの精神については変わりはございませんが、その程度問題、これはさらに強調してある、強いということが言えると思います。
○田中一君 教えてやったことをそのまま言ってるんだから、文句も言えませんけれども、それは、そういう文章の使い方がかくかくであるから今度の場合にはこうなんだと言うべきでありますよ。 そこで、ダムづくりの名人である局長に具体的に一つ伺います。下筌、松原ダム、この二つのダムをつくるという発想が実って、いよいよやるんだと言って乗り込んだところ——室原といいましたね、あの人は。あの蜂之巣城の城主が命がけの抵抗をしたものです。当時、思い起こすと、橋本登美三郎君が大臣だったと思いますけれども、あらゆる抵抗をした。三代、四代の大臣が苦しんだ。そうしてとうとう土地収用法を適用して、室原はもう孤立して、たった一人になっちゃった。自分の弟さんまでが、しようがないと言って国の買収に応じました。室原君一人だけが最後まで戦って、収用法で負けました。その収用法に対してまた訴願もし、あらゆる戦いをして、財産の大部分を失いました。そうしてなくなりました。しかし、あの当時、私も蜂之巣城に二へんほど行っております。会いたい、来てくれというので行ったんです。この土地はダムには適しませんと、必ず問題が起きますと、そうしてそれを、私は事情を話すけれども、私のじいさんの代から言われている、この土地はあぶないと、崩壊しますと、こういうことを、ほんとうに信念を持って言っておりました。私は戦い方を教えたものです、法律には法律で戦いなさいと、あらゆる協力もしましょうと、一つのケースとして。ところが、室原君は、この地形、長い間の歴史のうちで、ここにそういう堰堤をつくることは無理ですと、これがあの人の一つの、たった一つのよりどころ、これで抵抗したものです。今日行ってみても、向こうに行ってみても、漏水、それからがけくずれ、随所に起きております。どこかわからぬ伏流水が流れ出ております。むろん松原ダムも同じであります。ダムの形態が違っておりますから、まだ二つの比較というものの原因がわからぬけれども、せんだって向こうに行ってみても、完全に、それが建設省がきめた当時の模様とは違っております。 こういう点から見て、土地収用法で土地買収を行なうというこの考え方と、どこまでも地域住民の納得によって、協力によって事業を行なうという場合と比較しますと、これは非常な大きな違いがある。もしも、常に政治に対して信頼がある、そうしてやる場合ならこういうものは要りません。当然、こういう法律は要らないんです。当然、国がすべきなんですよ。法律があろうとなかろうと、地域住民のしあわせというものは当然考えるべきなんです。こんな法律をつくらなきゃならぬというこの現状は、政治に対する不信のあらわれなんです。あなた方の政治、行政というものが間違っておったという反省から生まれたものだと私は見るのです。この法律を提案した理由は。端的に言えば、地元が抵抗し過ぎるから、まあ、あめをしゃぶらせようということにすぎない。そうして立法という形式を踏んで強硬に事業を推し進めていこうということにすぎません。 そこで、土地収用法で収用した場合の蜂之巣城、いわゆる下筌ダムは、松原ダムは、これは土地収用法には生活の問題に対する手厚い手当てはありません。したがって、土地収用法の中に、この条文を入れ込むことがいいか悪いか、大臣、答弁してください。土地収用法という、あれは強権じゃないんです。土地収用法という法律は、これは国民のものなんです。それを何回かに——あれは二十六年に制定して、何回かに分けて、国民の当然なる権利を収奪してきたのが土地収用法の数々の改正案です。当初、私はまだ参議院に当選してきたばかりで、あれに取っ組みました。非常に熱心に私も取っ組みまして勉強したもんであります。その当時は国民の利益を守る法律だった。国民の当然なる権利を守る法律が土地収用法だった。かつての旧土地収用法は、御承知のように、天皇家の問題、天皇の問題、軍隊の問題、神社仏閣の問題、この三つの事業は必ず土地収用法で取られるのだとなっている、旧土地収用法は。しかし新土地収用法はそうじゃございません。天皇問題も軍隊もございません、神社の問題もございません。天皇が大権持っているのじゃございません。象徴天皇であります。軍隊も神社仏閣も、そういうものが憲法上の何らの権力を持っているものじゃございません。したがって、その土地収用法を何回かに分けてだんだん国民の権利というものを縮めてきている。そして今日やっぱり反対があってもやるんだといってあめをなめさせようとする、こういう考え方に全くどうにもならぬ気持ちを持つんです。長い間こういう問題にぶつかってきている私としては。そして収用法に、もしこの精神が、生活再建の問題あるいは金銭補償じゃなくて、物には物という補償等が行なわれるならば、住民はもっと信頼いたします。土地収用法に対して、この思想を織り込むという考え方はありませんかと聞いているんです。これはだめだぞ、局長、君なんかぺらぺら答弁したって、建設大臣に伺っているんですよ。土地収用法が真に国民のものであるという前提に立つならば、こうしたあめは法律にはっきりと明記するということに同意しませんか。
○政府委員(川田陽吉君) 事務的にひとつ先生お答えさせていただきたい。ひとつ大臣の前にお願いいたします。
○田中一君 だめだよ、大臣でなきゃ。
○国務大臣(金丸信君) 収用法の問題につきまして、国民のためにある収用法、また今回提案しておる法案、これはあめであると、こういうような御指摘、私はそれは見方にもよると思うのですが、あくまでも話し合いで、その地域住民の福祉も考えながら今後の行政というものをやっていかなくてはならない、このダム行政という問題についてはやっていかなくてはならないということを根本思想にいたしております。そういうことでございますから、これも一つの方法論というか、あめをくれてだますということでなくて、いままで地域の利益というものがよそにみんな利益が行って、地元のダム周辺の人たちが何もない、こういうことを考えてみますと、こればかりでなくて、なおより一そうの創意くふうした、いわゆる恩恵というか特典というか、そういうことをしてやらなければ、変わっていく生活環境の中で湖底に沈むというようなことも考えてみれば、よほどずば抜けた行政をやっていかなければこの人たちは救っていくことはできぬのじゃないかと、こういうことを私は考えます。そういう意味で、これがただの、いわばあめだという考え方でなくて、もっとほんとうに親身になった気持ちで、こういう法案を出すということが必要だという私は考えのもとに、ただ、この法案だけでそれではいいのかということになりますと、私は、この法案だけでは、まだいろいろのことをしてやらなくてはならぬ方法はいろいろあるだろうと思うのですが、まずこれも一つの方法だと、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
○田中一君 国民が要求する、国民に対して権力がこれを圧殺しようとするという、この二つの問題は憲法上の問題にございます。いま言う土地収用法は、公共のために、みんな、日本民族全部のためにということなんです。しかし、憲法二十九条には私有財産不可侵の問題がある。この場合には、はっきり書いてあるのは、公共の福祉のために、おまえの財産は取られる場合がありますよと、その場合には当然に補償はするのです、こうなんです。土地収用法では、こうなっておるのです。土地収用法第一条ですよ。「この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もって国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。」、憲法二十九条では、財産権の不可侵と、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と定めている。「公共の福祉」とそれから土地収用法でいう「公共の用に」ということの解釈は、同意義ですか。これは局長、いま、うまいことを言ったから、もう一ぺん聞いてみるけれども、同意義と見ていいのですか。ただ、言っておきますが、日本の憲法が明らかに前文で、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。」とはっきり書いてある。国民の福祉、国民の利益、国民のしあわせが優先するのでありますよと書いてある。憲法第十二条では、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」、したがって、公共の利益と国民の受くべき福祉というものは見合っておるものなんです。福祉がくずれると公共の利益が上がってくる、公共の利益がくずれると福祉が上がるなんという論理はないのです。すべては国民のために、人類のために、人類の生存のために、しあわせのためにすべてあるんです。この手法が一つの手法として存在することが私はあめだと言うんです。たくさんあります、かかる事例はたくさんわれわれの社会にあるんです。それも法律というものによってつくられている。それで、真の公共の福祉、国民の福祉、国民の利益、国民の生存まで脅かされている。ただ単に、今度の法律のように、一定規模以上の、ある限定がありますものに対しては、これだけの補助の積み上げをいたしましょうという程度のものでは、国民は納得いたしません。だから、あめだと言うんです。国民の持つ権利というもの、これをあめ玉一つでもってついてくるであろうなんて考えるのは間違いです。それがいままでの長い間、二十何年間、土地収用法という、国民の利益を守る法律を改悪し、国民の政治に対する不信をつちかってきたところの保守政党の害です。私は、この程度のもの、もっと真剣に考えて、土地収用法そのものを、内容を変えていく、損害補償というものに対しては明記する、そうして信頼される土地収用法、私は十何年、二十年近くこれを叫んでおるんです。すべての公共事業には土地収用法を適用して土地の買収をしなさい。いろんな三十幾つの公共事業に対して土地収用法は適用される。したがって、三十幾つの判例が出れば、国民は納得します。第三者がこれに対する判定を下すことなんです。単年度予算で、ことしはこれこれの土地を買収しろと言われると、それで一生懸命に若い国家公務員、地方公務員は、予算という壁をしょいながら、あの手、この手を使って、国民に対してそれを押っつけようとする、これは宿命です。単年度予算をもって、ある規模のものを買収しなさいということになっている以上、若い公務員は、これによって、このワクを背中にしょいながら、壁に自分のからだをくっつけながら、もうどうにもならぬということで、買収交渉をする。行き過ぎると、残念なことには汚職が生まれたりなんかするわけですよ。ぎゅうぎゅう詰めにするものですから、そうなる。逆に用地課の職員などは、自分で身銭を切って、いまはそうでないでしょうけれども、二級酒を買って、地主のところに通っているということがたくさんあった。私はこのあめ玉法案というもの、こういうものだけで水源地が確保されるとは考えておりません。もっとはっきりした政府の国民に対するところの、被買収者に対するところのはっきりした利益を明文化すべきである。ただ財政措置によって補助金をかさ上げしましょうということではないのです。同じような紛争をどこでも続けていくのです。これは、この問題は局長なんか知らぬよ。あそこにいまじっと考えている柴田君のほうが如実にその問題に触れております。 水公団の総裁、いままでね、政府は五つの水系に対してこれをきめております。あなたのほうでやったダムの買収というもののケースはどういうように行われてきたか、あなた方の職員はそれでもっていろいろの問題があったと思うんですよ、数限りなくあったと思うんですが、このあめ玉法案で水源地の確保はできると考えておりますか、いままでの経験からいって、多少補助のかさ上げをすればいいのだというふうに考えておりますか。これはいいじゃないですか、率直に話しなさい、あなた自分で現場でやっている、あなたのポストはやっているのだから、この法案が通るとダムの買収は非常にスムーズに行くんだとお考えかどうか伺います。
○参考人(柴田達夫君) お尋ねがございましたので、私ども実施機関として衝に当たっている立場で、お尋ねに対してお答えをいたしたいと思います。 各地でダムの建設工事に当たっておりますが、日とともにやはり非常に困難になっております。水没という問題もございますけれども、そこの地域社会というものがいろいろの意味におきまして打撃を受けるということがございますが、もう一つやはり社会的な公平と申しますか、そういうような意味で、どうしても過疎地域にあるようなダム周辺の住民は、先ほどからも大臣がお答えになっておりますように、水をもらう地域はその水で非常に繁栄するのだけれども、自分たちだけは犠牲になるのだという被害感情が非常に強い、こういう問題がやはり骨子になりまして、底流にありまして、ダムの建設には補償を——実際に着工いたしますまでの期間に相当長年月を要するというのが実情でございます。このたび、この法案の御提案によりまして、もしこういう法律がございますれば、そのうちの、いま申し上げたような水源地域に対しても、一つの、先ほど来あめと仰せられておりますけれども、公平という立場から、従来は理屈だけで、取られる物件に損をさせないというのが補償の理屈で、プラスさせようという理屈が補償にはないわけです。もともとという対価を与えるということだけでございますが、今度はそれ以外に地域の繁栄というようなこと、あるいは住民の生活再建というようなことにも国がこういう措置で配慮してくれるということは、何と申しましても、その地域社会あるいは水没住民に対しましては、あるいはその地域社会を代表される知事さん、地方公共団体の長の立場からは受け入れやすくなる、ダムというものが非常にその地域の福祉をはかるということから受け入れやすくなるということはこれはもう確かなことでございまして、そういう基本的な考え方の上におきましては、これはこういうダム等をつくっていきます上におきまして非常な前進に相なるものと考えております。 ただ、先生もお話しになっておりますように、それが全部でなくて、そのむしろ前に、水没物件、あるいは土地を取られる者に対する補償の問題というものがあるわけでございまして、この法案は、その補償の問題そのものを解決しているものではなくて、補償という、損をさせないということだけでは手当てができないいろいろな問題について、整備事業というものをやって救済しよう、これの補助率もアップしよう、こういう考えでございますが、先生が収用法を持ち出してお話しになっておりますのも私にはよくわかるわけでありまして、やはり補償というものについても現在時代の進歩とともに必ずしも十分でない、実情に合わない、金で全部済むということじゃなくて、やはり現物でやりますとか、あるいは単なる、災害におきますれば災害復旧するだけ、もとどおりになればいいという、公共補償などはそういうことでなくて、改良復旧が災害でありますように、効用を、機能をもとどおりにするということでなしに、ほかも進歩しているんだから、そういうときはさらに改良してやるとか、これは私の申し上げるのは補償の法律の問題というよりも補償の基準の問題が時代に合うように、もう少し被補償者に時代に合うように有利にしていく必要があるのではなかろうかというような、補償の基本問題というのは依然としてこの法律以外に残ると思います。さらに、この整備事業——まあ御審議がそこまでいっておりませんので、多くのことを申し上げることは慎みますが、整備事業につきましても今後政令でいろいろお定めになるという法律で明記のものもございます。そういう段階におきまして、何と申しましても現在の地域社会の人たちの環境、生活再建というようなことに対しての欲求というものが非常に多様化しておるのが実情でございますのでいろいろとこまごまと要望がたくさんに出てまいる。非常に膨大な地域社会なり住民の再建に対する要望が出てくるのに対しまして、あとう限りのことをいろいろ政府にもお願いし、公共団体も親身になって何とか解決して補償の妥結までこぎつけているのが実情でございますので、この法案の中におきましても、やれるだけのことをひとつ整備事業で政令等でお取り上げいただいて、なおかつ、さらに残るような問題につきましては、やはりいろいろの行政措置というものがこれでなくなるわけじゃなくて、やはり行政の妙味によりまして適地、適応、その状況によりまして政府がいろいろ公共団体と一体になって親切にめんどうを見ていく。ですから私の申し上げますことは、やはり補償の問題が一つある。しかし、被害感情に対して、整備事業というようなことをやることによって受け入れやすくするということについては、これは基本的に非常な前進である。しかし、それ以外の整備事業も多くしていただきたいし、行政措置というものも、これだけやれば、法律に書いてない、政令にないから何もあとはやらないんだということではまた行き詰まる点もあろうかと思いますので、そういう三拍子そろえましてまいりますならばさらに前進ができる。しかし一番大事なダムの大きなダメージ、地域社会に対するダメージに対する救済と申しますか、受け入れをよくするということにつきましては非常な前進に相なる。実施機関として苦労しているような立場としては、ぜひともこの法律は成立さしていただくように御審議を賜わりたいものと思っておるような次第でございます。
○田中一君 柴田君は私の質問に答えないで、この法律に対する賛成の意をあらわしている。そういうことを聞いているんじゃないんです。あなたが現場でいままで仕事をやっている上において、この程度の——これ全部とは言いませんよ、ある程度まではそれをやっているはずです。要求によってやっているはずなんです。しかし水源地確保というもの、三十七年か八年に制定したところの補償要綱、これはそのものずばりの補償なんです。政府がきめていますね、補償要綱。何年だったかな、三十七、八年だと思うけれども、これはずばりそのものをきめておる。環境整備はきめておらぬ。しかし現在、水資源公団で行なっておる工事場で——これは決定したものですよ。その中で地元住民の要求にこたえて生活環境の整備はできる範囲のことをやっているはずです。やっていませんか、やっているかと聞いているんです。その事例があれば説明しなさいと言っている。何もこの法律の賛否はあなたがきめるのじゃないんです、われわれがいま審議しているのだから。私はけっこうでございますということを聞いているのじゃない。おまえのほうこれでいいか悪いかということを聞いているんじゃない。そうじゃなく、こうした意味の生活環境というものの整備は、計画、予算の許す限り、あなた方やっているはずです。その実態がどうかと聞いているんです。
○参考人(柴田達夫君) 御質問の趣旨を少し逸脱しましてまことに申しわけありません。 公団が実際にやっております場合におきまして、こういうようなことも相当やれているはずだというお尋ねでございますが、お話しのとおりでございまして、現状においても何にも補償以外のことがやれてないわけではございません。整備事業に当たるようなことについての行政措置については、やはり国、公共団体、各省が極力協力をしていただきまして、ただ、それが法律に基づきまして特別な制度になっていないということでありまして、それぞれの補償以外の事業について、その年の予算の範囲内で個所づけ等におきましてそれぞれ過疎地域だの水源地域に必要な手当てをしていただくように、公共団体の長とか、あるいは私どものような実施機関とか、それを受けた政府の各省の方々がお骨折りをいただいてやっているというのが実情でございます。したがいまして私どもが要望を地元から受け取りましても、自分でなし得るところの範囲はきわめて限定されている補償でございますけれども、それ以外の点についても、極力、いわばあっせん努力と、こういう形でお願いをしてやってまいっておるようなわけでございまして、その実例やいかにというお尋ねでございますが、やはり県がまたがるような事業につきましては、ダムの建設をはじめ、私どもの公共団体がお世話になること以外に、さらに受益府県等が負担をすることによりまして、特別にそういう事業が行なわれているような事例といたしまして、持っております資料によりますと、治山治水事業が一件、道路事業関係が五件、義務教育施設関係が三件、診療所の建設が一件、土地改良事業が一件、簡易水道事業が一件、そのほか林道二件、公民館三件、宅地造成一件、公営住宅一件、こういうような事例が、私どものやっておりまする範囲におきましても、それぞれの公共団体の配慮あるいは政府の配慮によりましてお願いをして、どうにかやっているというような事例は多々ある次第でございます。
○田中一君 大体、政府としてもそれを認めているわけですね、これ局長どうですか、そういう付帯事業と申しますか、整備事業をやる場合には。
○政府委員(松村賢吉君) 水源地域の対策というものにつきましては、政府の方針と申しますか、これといたしましても、やはりこういう水没地の周辺に影響があるということは考えておりまして、いままで行政措置によってこれをできるだけ措置するようにはやっております。したがいまして、これによってある程度進めてきたわけでございますが、なかなか大きなダム等におきましては、整備計画事業、これが相当大きなものになります。そういうような関係で、地方公共団体等の負担も増加するということもあり、さらにまた計画的に整備事業を進めるということが必要であろうということで、今回この法律をお願いしたわけでございます。したがいまして、従来同様、行政的な方面におきましてこの整備計画事業の類似の事業、こういうものをやはりダム周辺に、この法律適用以外のダムについても、こういうことでもって進めていきたいというふうに考えております。
○田中一君 事例としては、どこをどうするかということに対しては政令できめるようになっているのですか。——その政令案を出してください。お持ちでしょう。
○政府委員(松村賢吉君) ただいま政令の要綱を御配付いたします。
○田中一君 すぐに配付さしてください。
○委員長(沢田政治君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(沢田政治君) 速記をつけて。
○田中一君 説明を要求します。
○政府委員(松村賢吉君) お手元に御配付いたしました水源地域対策特別措置法案政令案要旨、これにつきまして御説明申し上げます。 第一が、「法第四条第二項の政令で定める者は、水源地域整備計画の案において、法第十二条第一項の規定により整備事業に要する経費の一部の負担を求められることとなるべき者(地方公共団体を除く。)」といたします。 第二に、「法第五条第一号の政令で定める事業は、造林、宅地造成及び公営住宅の建設の事業並びに林道、保育所、公民館、消防施設及び有線放送電話施設の整備に関する事業」といたします。 第三、「法第五条第二号の政令で定める事業は、水産振興に関する事業及び湖沼における漁港の整備に関する事業」といたします。 第四、「法第九条第一項に規定する政令で定める割合は、別表第一の上欄に掲げる事業の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定める割合」といたします。別表第一がついてございます。 それから第五、「法第九条第二項に規定する政令で定める割合は、別表第二の上欄に掲げる事業の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定める割合」といたします。 第六といたしまして、「法第九条第四項の政令で定める特例としては、同条の規定による国の負担割合によって算定した国の負担金又は補助金の交付の時期等について定めるもの」といたします。 第七、「法第十二条第一項の協議に関し政令で定める事項としては、都道府県以外の地方公共団体が同項の協議をするときは、当該地方公共団体を包括する都道府県を通じてこれをしなければならない旨等を定めるもの」といたします。 なお、別表第一と別表第二がございます。 以上でございます。
○田中一君 委員長、全部読ましてください、別表を。
○委員長(沢田政治君) 別表を読んでください。
○政府委員(川田陽吉君) 別表第一を朗読いたします。 「事業の区分」 「土地改良法第二条第二項に規定する土地改良事業のうち農業用道路の新設若しくは変更又は農用地の造成」 「国の負担又は補助の割合」 「通常の国の負担又は補助の割合に百分の五を加算した割合」。 「森林法第四十一条第二項に規定する保安施設事業(防災林造成事業として実施されるもの及び保安林整備事業として実施されるものを除く。)」「国の負担又は補助の割合」 「十分の七」。 「河川法第四条第一項に規定する一級河川の改良工事(小規模河川改修事業として実施されるもので内閣総理大臣が建設大臣と協議して指定するもの及び局部改良事業として実施されるものを除く。)」「国の負担又は補助の割合」「十分の七」。 「河川法第五条第一項に規定する二級河川の改良工事(小規模河川改修事業として実施されるもの及び局部改良事業として実施されるものを除く。)」 「国の負担又は補助の割合」「十分の五・五」。 「砂防法第一条に規定する砂防工事」 「十分の七」。 「道路法第三条第三号の都道府県道及び同条第四号の市町村道の新設又は改築(道路整備緊急措置法施行令第二条第一号、第二号、第四号及び第五号に掲げるものを除く。)」 「四分の三」。 「水道法第三条第三項に規定する簡易水道事業に係る水道の新設」 「十分の四」。 「下水道法第二条第三号に規定する公共下水道の設置又は改築」 「十分の五・五」。 「義務教育諸学校施設費国庫負担法第二条第一項に規定する義務教育諸学校のうち公立の小学校又は中学校を適正な規模にするため統合しようとすることに伴つて必要となり、又は統合したことに伴つて必要となつた校舎又は屋内運動場の新築又は増築(買収そ0他これに準ずる方法による取得を含む。)」 「三分の二」。 「医療法第一条第二項に規定する診療所の新設又は改築」 「二分の一」。 「(注)河川法施行法第五条の規定に基づく政令で定める日までに実施される事業については、表中「十分の七」とあるのは「四分の三」とし、二級河川に関し「十分の五・五」とあるのは「三分の二」とするものとする。」。 以上、別表第一は、ダムに関連する補助率の特例表でございまして、次の別表第二は、湖沼水位調節施設にかかる整備事業に関する補助率の特例でございます。 「事業の区分」 「土地改良法第二条第二項に規定する土地改良事業のうち農業用用排水施設の新設又は変更及び区画整理」 「国の負担又は補助の割合」 「通常の国の負担又は補助の割合に百分の五を加算した割合」。 「河川法第四条第一項に規定する一級河川の改良工事(小規模河川改修事業として実施されるもので内閣総理大臣が建設大臣と協議して指定するもの及び局部改良事業として実施されるものを除く。)」 「十分の七」。 「下水道法第二条第三号に規定する公共下水道の設置又は改築」 「十分の五・五」。 「下水道法第二条第四号に規定する流域下水道の設置又は改築」「三分の二」。 「(注)河川法施行法第五条の規定に基づく政令で定める日までに実施される事業については、表中「十分の七」とあるのは「四分の三」とするものとする。」 以上でございます。
○田中一君 それから次に、国庫補助のアップの条件はこれでわかりましたが、指定ダム、これはどういうものをきめているか、それを伺います。
○政府委員(松村賢吉君) 指定ダムのきめ方といたしましては、これの基準を私どものほうでいま検討しておりますが、水没住宅の数が三十戸以上のもの、また水没農地の面積が三十ヘクタール以上、これは、北海道につきましては別途の基準を設ける予定でございますが、こういう条件を満たしたものを指定ダムといたしたいと考えております。
○田中一君 これは資料で出してほしいんです。
○政府委員(松村賢吉君) 資料を提出いたします。
○田中一君 この指定ダムの問題については、いま計画されて考えられている三百幾つの中から、大体この辺だろうということに考えておるんだろうと思いますけれども、いまお聞きの問題については柴田総裁はどう考えます、いまきめられているこの指定ダムの規模の問題。
○参考人(柴田達夫君) 詳細に政府のお考えをつまびらかにいたしておりませんが、いまお答えになりましたようなことで、水没の非常に少ないところと大きいところにおいて、やはり影響というものからいって、かなり差があることは事実でございます。極端に申しますなら、水没が全くないようなところでは比較的早い、そういう意味におきまして、その限界をどこに置くかというのは非常にむずかしい問題であろうと思います。三十戸なら影響が甚大で、二十八戸なら該当しないという、それで公平かという問題は常に残ってまいると思いますけれども、この御指定は、ダム施設そのものを御指定になるというような法律であるようでございますから、その辺が実情に合うように運用されてまいりますならば、しゃくし定木でなしにやはり適地適応で運用されてまいりますならば、基準を三十戸というようなのを政令でお書きになるとかいうことではないようでございます、何々ダムは指定する、こういうふうに法律ができているようでございますので、運用によりましてそこを補っていただきますれば、いまの水没の影響の点につきましては、程度の差はございますけれども、私は前進だろうと考えます。
○田中一君 そうすると、この法律が通った、そして四十八年度の事業、これは公布の日からだったな、たしか。そうすると、六カ月以降のいつごろ施行するつもりなのか、通った場合には。
○政府委員(川田陽吉君) 公布の日から六カ月以内に施行するということになります。ただし、個個のダムの具体的な選定等に時間を要しますので、現実的な、予算的な措置は四十九年度予算からということを私ども考えております。
○田中一君 これに明記してあるのは湖沼では霞ケ浦です。そこで、その他に日本は相当湖沼があります。したがって、どういう湖沼を考えておるか伺います。
○政府委員(松村賢吉君) 湖沼水位調節施設としてまずさしあたり指定するのは霞ケ浦一湖と考えております。
○田中一君 しかし、まだずいぶん湖沼がありますよ。それじゃ霞ケ浦の現況について柴田総裁から伺います。工事の進捗現況、見通し。
○参考人(柴田達夫君) 霞ケ浦開発事業は四十六年の三月三十一日に建設省から私どもの水資源開発公団が承継をいたしまして事業を実施いたしております。事業の内容は詳しく申しませんが、要するに、霞ケ浦、北浦の護岸堤を設けまして、新築、改築いたしまして、あそこにある利根川、常陸川、それの建設省が実施されまする河川改修事業と相まちまして、河口周辺一帯の洪水を防御する、あわせて、すでに完成しております常陸川の水門を若干改築、それから操作をいたしまして塩害の防除をいたします。また逆流を防止いたしますことによりまして、新しく秒四十トンの新規利水を農業用水と都市用水、これは茨城県の霞ケ浦周辺の農地、特定かんがい用水七地区ばかりの一万八千二百ヘクタール、それから千葉県の北総東部用水に対しまして若干の農業用水、それからあの周辺がいろいろと筑波学園都市とかあるいは鹿島工業地帯あるいは首都圏の市街地再開発というようなことで開発されておりますものに対します都市用水、大体におきまして農業用水が十七トン、それから都市用水が二十三トン、合計いたしまして四十トンの新規利水を開発するという目的でやっておる次第でございます。 それで工事といたしましては、やはり護岸堤の新築、改築、それから流入河川の河口部分等についての築提、改築、それから水位変動に伴うところの諸対策、そういうようなことを公団でやっているわけでございますが、四十六年の三月末に承継を受けまして、四十七年度の事業を実施いたしましたところでございまして、さらに四十八年度引き続いてやっておりますが、現在までの進捗状況は、総事業費が三百十五億のうち四十七年度までは四十三億、進捗率は一三・七%、四十八年度、本年度の五十五億の事業を実施いたしますと、合計いたしまして九十八億、三一・二%の進捗ということに事業費の累計では相なります。築提は六十四キロメートルを築堤いたすのでございますが、四十七、八年度を通じまして、現在四十七年度までは十二・六キロでございますが、十六・四キロぐらいを築堤するということで、まだ相当残事業が残るという状況でございます。 それから一つだけ進捗状況でつけ足しますのは、漁業関係、水産業に対する影響が甚大でございます。これは塩害を防ぐことにはなりますが、淡水化されるわけでございますので淡水漁業に適するという問題、水門の操作によりまして遡上ができないという種類の問題、あるいは水位変動に伴っての影響、こういうようなことがございますのであそこに三つの漁業組合連合会が霞ケ浦と北浦とそれから常陸川等の内水面とございますが、この三漁連との間に一昨年の四十六年のうちに幸いにも漁業者の理解によりまして着工前の同意——着工はやってよろしいという同意書ができ上がっておりますので現在は着工いたしておりますが、並行してなるべく早く漁業補償の妥結をしようということで、目下熱心にこの三漁連と公団の間で漁業補償の交渉をやっておるわけでございます。これは具体的な補償交渉の段階に入っておりまして、できるだけすみやかに補償を終了したい、この補償が終了すれば常陸川の水門を本事業目的によって操作して差しつかえないということに相なっているような次第でございます。
○田中一君 都市用水は、分配はどの程度に考えておりますか。
○参考人(柴田達夫君) 都市用水は、四十トンのうち二十三トンでございまして、都市用水の上工水別、それから県別配分だけはまだ未定でございます。しかし、大体におきまして霞ケ浦の事業につきましては、一番多くのものが、やはり地元の茨城県の周辺が——いろいろ必要な水の需要が高いものでございますから、主にいたしまして、あわせて千葉県、東京ということに都市用水を供給いたしまして、首都圏の水需要といたしましては、この四十トンというのはかなり大きな数字でございまして、非常に期待をされているわけでございます。
○田中一君 東京都は大体どれぐらいのものをやっていくつもり——きまっておらぬけれども、東京都はどうですか。
○参考人(柴田達夫君) まだ正確にきまっておりませんが、これはかつて水資源の審議会等で参考資料というようなもので出たような案によりますと、十九トンばかりが、都市用水としては、茨城県、それから千葉県と東京都合わせまして三・七トン、したがいまして東京都の分は、この霞ケ浦に依存する分が比較的少ないわけでございます。しかし、これはまだ先ほど申し上げましたように未定でございまして、その辺の調整によりまして、今後あるいは県外に茨城が出す分量がふえてまいるという可能性がないわけではございません。
○田中一君 堰堤が、せんだって釧路沖の地震で、花咲港に約二メートル弱の津波がきたと、どうも二、三年うちに東京近在、遠州灘等にもくるらしいという、地震が。そうすると、その地震、予想する津波、これに対する対策は考えておるのかしら、技術的に。
○参考人(柴田達夫君) 安全の問題につきまして、いまお尋ねのありますのは、やはり地震、津波、あるいは地震に関係なく、風浪、こういうものに対しまして、どれだけ安全を考えているかということにつきましては、大別してやはり水位の問題、それから構造の問題と、この二つに分かれると思いますが、堤防高につきましては、現在は無堤地帯も相当ございまして、非常に条件が悪いわけでございますが、この事業によりまして、公団と、さらに建設省の単年治水事業を合わせまして堤防高を三・五メートルにいたしております。というのは、洪水時満水位が二・八五メートルでございますので、三・五メートルと申しますと〇・六五メートルの余裕を見ております。しかし、これは洪水時の満水位に対しましてでございまして、洪水時の満水位とぶつかったときのアローアンスが〇・六五メートルあるわけでございますが、利水のための貯水位はゼロから一・三メートルということでございますので、普通の水位は一・三メートル、最高にとって一・三メートルということにいたしますと、二・二メートルの余裕があるようなわけでございますので、地震や津波あるいは風浪による波につきましては十分安全であると考えております。 それから堤防の構造といたしましては、これもこの事業として堤防をしっかりさせることが必要でありますが、さらにそういうことも考えまして、長さ約六メートルの鋼矢板を全面に打ってありますし、それから幅約二メートルのコンクリート張りの平場を設けております。さらに護岸といたしましては、コンクリートブロック張りの護岸を設けるようにいたしておりますので、波による侵食や貯水の堤内への浸透というものを防ぐことに相なると思いますし、地震につきましては断面を相当広くいたしております。十分安全なように施工する考えでございます。
○田中一君 整備事業に対するアロケーションですね、この負担はどうなっていますか。利水負担というものは整備事業に乗っかってくるのですか、これは単独に、別になるのですか、その点の関係よく説明してください。
○政府委員(松村賢吉君) 整備事業に対するアロケーションと申しますか、これはダムの事業、ダム建設事業、ダム自体ではございませんので、これは利水負担という形ではかかってまいりません。ただし第十二条にいいます下流の受益者等の負担、これを一部、協議によって取ることができるようになっております。
○田中一君 だから、いま考えられている一つの水系を考えて、どういう具体的な比率で考えておるかということです。
○政府委員(松村賢吉君) これは協議によって取ることができるものでございますので、この法律がかりに制定されるとすると、その施行されて後、上下流、これは協議いたしましてきめることになると思います。 なお、その協議がととのわない場合には、「関係行政機関の長は、」「あっせんをすることができる。」ようになっておりますが、これをどういう内容であっせんするかということにつきまして、いま関係省庁集まって、その案につきまして協議をやっている段階でございます。
○田中一君 東京都の都市用水の問題について伺っておきたいんですが、東京都は、御承知のように工場用水の再生産等まで考えておりますね。それで東京都の水の需要に間に合わないという現状はもうあらわれております。そうすると、東京都民、一千万をこえる東京都民、これに供給する水、利根導水のなにが、羽村の導水ができたからいいというものでなくて、あとはやっぱり東京都の用水というものに対して政府はどう考えるか、これはむろん利根水系に緊急なダム建設をしなきゃならぬということになりますが、その点はどういうぐあいに考えておりますか。
○政府委員(松村賢吉君) 東京都の水の需要、これにつきましては、その水系の依存が、多摩川水系から利根川水系に重点が移っております。そういうことで、今後の水資源の水源のよるところは、やはり利根川水系に主力を持っていかなければならぬというふうに考えておりまして、この利根川水系の上流につきましての水の需給の配分については、やはり東京都のウエートが相当大きくなってくるというふうに考えております。 なお、当面の水不足の問題、これにつきましては、現在暫定的に利根川からの水利権というものも付与している部分がございます。こういうことで急場を切り抜けているという状況でございますが、将来の問題といたしましては、やはり主として利根川に依存度が高くなるというふうに考えております。
○田中一君 これは大臣に伺いますが、もうNHKでも非常に大きく食糧問題を取り上げております。農業用水の確保という問題があらためて考えられる時期がもうきているわけです。私はしばしば警告を発しております。私は日本の食糧の自給体制というものができなければ真の平和としあわせはないというように考えております、日本の民族はです。一方、アメリカは農産物の輸出を禁止する、いままで米の主要生産地であったところのタイも米の輸出を禁止しようということが新聞に伝えられております。こういう現状から見て——河川法による水の供給は、これは建設大臣が所管しております。せんだっても砂利採取の問題で質問したときにも、農林省は、自分の現在ある取水口はそれはそのままであって、あときめるのは建設省がきめております。建設大臣がきめなければならない、許可をもらわなければならない、受け身の体制である。今日こうして市街化区域の多くの水田は宅地化されつつあります。一昨年この農地転用の、宅地化の法律案が出たときにもずいぶん当時の、だれだったかな、根本君だったかな、だいぶ食いついて議論したものであります。いま農業用水の確保、これはもう都市用水と同じように非常に重要なもんになってきている。ところが休耕田というものが、きょうもNHKでこれを出しておりましたが、私の郷里の青森県なんて相当たいへんなものなんだ。これはいつ再生産ができるかわからないくらいなものです。この首都圏内におきましても、考えてみれば、相当これはあるわけです。これ被害です、もう。人の害です。自然の害でなくて、政治が食糧の自給体制というものをこわしてきている。 せんだって農林省に、一体、政府はいま米を年間何トンぐらい保有できるかと聞きますと、三百万トン。日本の全人口、一千万トンあれば大体、米としては間に合うであろう。しかしアメリカが麦を売らないとなれば、たいへんなことですよ。パン食の諸君も子供たちもみんな米を食うようになる。ことしのこの冷害、気候の異変というものは、おそらくことし米のできが悪いんではないかというふうに考えられる。これはおそらく農林省もそういう考えを持っているんじゃないかと思います。この対策はどうするかと考えますと、何といっても水の問題。たとえば茨城県あたりでもって水耕農園をつくりたいなんということも考えておりましたし、畑地かんがいしたいという考えも持っているということをこの前聞きました。しかし、あの辺はもう土壌が汚染して、それこそ農薬のかすが残っておって、とてもじゃない、米からも生命を脅かす化学薬品が検出されておるということになりますと、農業そのものも水をたくさん使わなければならぬという時代がもうきているのじゃないかと思うのです。私は水耕栽培を言っているわけなんです。土壌の汚染からくるところの米、これはもう破棄しているところもたくさんございます。つくって焼いているというものもございます。したがって農業側も相当大きな転換をしなければ日本の民族の生存が脅かされる。ことに、もうけほうだいにもうけた日本の経済が報復的な輸出禁止にあった場合には生きられません。ことしも、もし、出来高が悪いだろうといううわさが立とうものならば、直ちに家庭の買い占めをまず主婦が行ないます。まあ、いまさら丸紅その他の商社が再度大がかりな買い占めをしないと思いますが、家庭の主婦たちが少しでも子供たちにということになりますと、たとえ五升の米でも余分に買えば直ちに食糧の不足が出てくるわけです。非常に心配しておるのです。三百万トン程度、三分の一、おそらく二カ月もたたないうちに、その米、保有米全部なくなってしまいます。むろん、幸い家庭に入ればまだいいけれども、これは不均衡、不公平になります。食管法が今度はほんとに日の目を見るようになる。したがって、これに対してはどこまでも水の問題であります。米に依存するなら水の問題であります。聞いてみますと、農業用水というものは、これは再生産再生産でもってやっておりますから、まあ循環しております。こういう食糧の問題を考えると、水源地の整備、貯水池がたくさんつくられなければならぬということにならざるを得ないわけであります。 そこで、農林省、食糧の、米の手当てというものがどうなるのか。それから慣行水利権でもって農業用水は供給されておりますからいいようなものの、いまのように水源地におけるところの各地域住民のたとえば抵抗があった場合、その場合にはなかなか水の開発はできなくなります。それが今度のあめ玉法案なんですけれども、実際に米の生産というものの現在の状態、これがこれから収穫時期がもうすぐきますから、この秋等を経過して実態はどうなるだろうか。それから農産物の輸入の問題、いま申し上げたタイ、アメリカ等がどういう対策をとって日本にきているのかどうかという点等、詳細に報告してほしいのです。それで、それを聞いて——建設大臣、農業用水に対して相当、必要な水に対してどうしても貯水池をたくさんつくらなければならぬということになりますから、それを聞いてから御答弁願います。
○説明員(京谷昭夫君) ただいま御質問のありました三点について私のほうから御答弁申し上げたいと思います。 米の当面の需給でございますが、私の直接の担当ではございませんけれども、御承知のとおり、米の生産が非常に過剰になった時期がございまして、米の生産調整をこの三年続けております。それで最近の米の需給を見ますと、年間の米の需要量が約一千百万トン程度でございますけれども、これに対する国内生産は、米の生産調整を続けておったこともございまして、若干の米穀年度間のストックを差し引きまして大体安定しておる。そのほかに、生産調整を本格的に始める前に相当の過剰米をストックしておりまして、これがなお政府在庫として相当量残っておりますけれども、当面四十八あるいは四十九米穀年度で非常に不足するというようなことはないと、こういうふうな需給見通しを持っております。 それから米以外で、その他の農産物につきまして、需給が非常に不安定になってきておる、あるいは、国際的な需給事情の影響を受けて、輸入も非常にむずかしくなっておるというような御指摘がございましたけれども、御指摘のとおりの現象というのは確かに起こっていることは否定できないと思います。したがいまして、そういった最近の情勢を踏まえまして、今後、日本における食糧の需給を安定さしていくという観点から、昨年の十月、農林省としまして昭和五十七年をめどに、農産物の生産目標の試案というものをつくりまして、そういった目標に従った対策を強力に進めていこうというめどをつくっております。その一環としまして、御承知のとおり、農業用水の確保等のために、土地改良事業を私どもとしてはやっていくということで、当面、十カ年に十三兆円にのぼる各種の農業基盤整備事業をやっていくという目標を立てております。 それから最後の、輸入の問題につきましては、これも私の直接の担当ではございませんけれども、昨年の十月に公表しました生産目標でも、諸般の情勢から国内の生産ではどうしても供給を確保できない作目がございます。したがいまして、それにつきましては相当量外国からの輸入に依存せざるを得ないわけですが、その輸入の安定確保をはかるために、輸入先の多元化等を検討しまして、安定的な輸入を確保し、国内における食糧の需給の安定をはかっていくということで種々努力してまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
○田中一君 水の問題はどうですか。水は、もういままでどおりの慣行水利権があるから新しく水は要らないという考え方か。
○説明員(京谷昭夫君) たいへん、申し落として恐縮いたしました。 農業におきます水需要、御承知のとおり、相当の慣行水利権といったようなものを基礎にいままで水需要が行なわれてきまして、一部に、米の生産調整、あるいは農地の改廃等に伴いまして農業用水の需要が減るという要因はございますけれども、これからの農業は、水田につきましては規格を大きくいたしまして機械化農業をやっていく。そういうことになっていきますと、水田における単位面積当たりの水需要は、従来に比較しまして、相当に大幅に増加するであろう。それから畑につきましては、先ほど先生からもお話がございましたように、たとえば水耕栽培がこれから普及していく、あるいは、いままで非常に小規模の形でしか普及しておりませんでした畑地かんがいといったような水利用の形態が相当大幅に増大していくであろう、そういった農業サイドにおきます水需要の増加要因も一方に顕著に見られるわけであります。したがいまして、総体としましては、農業における水の消費量というのは現在の水準を相当上回る水準に増加していくであろう、こういう見通しを私どもは持っているわけであります。したがいまして、そういった事態に対処しまして、先ほど申し上げましたように、農業サイドにおける水供給体制の整備をはかるために各種の土地改良事業、たとえば農業サイドでダムをつくる、あるいは水路を整備するといったような土地改良事業を進めていきたいということを考えておるわけであります。
○田中一君 大体いまの農業、水田は河川水を使っている。相当量の地下水はあるでしょうね、水田の下には。これはかつては地下水を使うところが多かったんですが、この利用はどれくらいの量になっておりますか。地下水の利用は減ってきておりますね、現在では。しかし、相当な量があるのではなかろうかと思うのですが、その点はどう考えていますか。計算したことがありますか。
○説明員(京谷昭夫君) 私はいま地下水利用と地表水利用の割合等につきましてお答えできる資料を持っておりませんので、非常に概略的には、より安定的な地表水利用という形に移行する場合が多いと思っております。計数的にどういう状態になっているかということについては、私手元に資料をいま持ってきておりませんので、後ほど御報告さしていただきたいと思います。
○田中一君 建設大臣。この水はもう、せんだってもいろいろ質疑をかわしましたが、緊急な問題なんです、水は。ダム一つつくるったって二年やそこらかかる、どんな早くつくってもかかる。現在調査しているところが三百幾つ、もっと、七百ぐらいあったかな、地点として。これらのものは、具体的に本年度新しく行なうものが幾つあったか、実行するやつ、実施するやつが。そして計画的に、ここ数年の間に、五年なら五年のうちに——どうしても必要な水はもう目の前に見えている。それを第一にどこをやる、次はどこをやるというような形に、全国的な供給源をつくらなければならぬと思うのです。その一つの手法として、せんだって申し上げたような木曽川、天竜川等の埋没した貯水池の土砂の除去をおやりなさいと言うんです。せんだって局長は美和ダムでやっておりますと言うが、やったって、そんなことを商売にやるんじゃない。取らす者に取らしている。砂利の採取は通産省が行政として持っている。やっぱり水源確保のための一つの手法としては、あの砂利を建設省が金をかけて除去するのです。これは一つの水源地をつくるというよりも、もっと貯水量はうんと増大するわけです。そうして砂利の価格を安定したものにする。距離が遠くても近くても同じプールして、安定した価格で掘るということになれば、貯水量がうんとふえてくるわけです。したがって、各水系の埋没している貯水地の量、これをお出し願いたいと思う。たとえば天竜川にすれば泰阜がどのくらい埋まっているか、美和はどのくらい埋まっておるか、あるいは平岡はどのくらいになっているか。木曽川水系にしてもたくさんあります。それらの調査したものがあるかどうか、調査をしないならば、これは建設大臣、早急に水源地を確保するというよりも、既設の水源地に対して、貯水池に対して手当てを加えるのは当然なんです。むろん、これには砂防ダム等は要りません。現在ありますところの多目的ダムの埋没している量、容量を見るとすぐに埋没している骨材がわかるわけです。これは新しく水源地求めることないんです、当然貯水地があるんだから。それで埋没土砂なら土砂を取れば水量はふえるわけです。これに対してどういうお考えを持っているか、どういう手をとろうとするか伺います。
○国務大臣(金丸信君) 先生のお考えは貴重な提案だと私は思います。そこで、建設省といたしまして調査はいたしてあると思いますが、十分検討いたしまして、堆積土砂の排出という問題を早急に善処したい、こう思っております。
○田中一君 局長、それ調査したものあったら資料で全部出してくれないか。日本の国全部の河川ですよ、全部のダム。多目的ダムでいいですから……。
○政府委員(松村賢吉君) 現在、私どものほうは各主要なダムにつきましての堆積状況を調べておりますので、これの総括した表をさっそく調製いたしまして御提出いたします。
○委員長(沢田政治君) 委員会に出してください。
○政府委員(松村賢吉君) はい。
○田中一君 この整備事業に対して、これは地方長官が地元の市町村に相談してきめるとなっておりますけれども、策定は。御承知のように、琵琶湖総合開発では、聴聞会を持つとか、あるいはそこで総意をまとめるために水没被害者を含めた意思決定を民主的な方法でやるようなことが、ここには出ておりませんけれども、私は昨年の琵琶湖方式というものとこれとを対比してみると非常にいろいろな意味の食い違いがあるんです。それはむろん琵琶湖の場合には、水をもらうんだというふうにとどまっております。あれだけの膨大な金をかけて、そうして地域の大がかりな、滋賀県の半分と言ってもいいくらいな膨大な整備事業を行なうわけです。あれが目の前にちらついてしょうがない。この地方の小規模なものにしても、やはり地域住民の意思というものを何か受けとめて盛り込むというような方法はないだろうかと考えているんです。なるほど、都会に非常に離れている地域の人たちが多いんですから、一体何がおれたちの将来のしあわせになるだろうということに対する考え方がなかなか出ないと思うのです。だれかが指導しなきゃならぬ、そういう意味でも民主的にもう少し地域住民の意思を反映するような方法はとれないものかどうか、建設大臣に伺っておきます。それで私の質問を終わります。
○政府委員(松村賢吉君) まあ琵琶湖の問題と今度のこの法律との関係でございますが、これは先ほども申し上げましたように、琵琶湖につきましては、いわゆる琵琶湖全体、特にその水資源開発を含めた法律でございます。これにつきましては、ダムの築造によっての周辺の影響を緩和するための措置の法律と、まあ違うわけでございます。それで私どものほうといたしましては——この法律原案にありますように、都道府県知事がこの計画の案をつくるということになっておるわけでございます。しかし、実際問題におきましては、現在もそうでございますが、ダムの調査に入りますと、地元の皆さま方、特に、任意的な団体ではございますが対策協議会、その他あるいは地元の市町村の長、こういうところと十分打ち合わせをやりながらやっていることでございます。それで、その段階におきまして、この周辺の開発と申しますか、道路その他個々の整備につきましての御意見あるいは御要望、そういうものもたくさん出てくるわけでございます。こういうものを踏まえまして、地元の皆さん方の御意見も十分いれた整備計画にしていこうというふうに考えておる次第でございます。
○田中一君 最後に、下河辺君に。いまいろいろ水の問題、それから具体的な手法の問題の話がありましたが、農業用水の重要性、それからむろん都市用水の重要性、この二つでありますが、二つに対してあなた方でいろいろ研究したものがありますね。今後の、あと七年、五十五年くらいまでの間の水の供給の量、需要と供給という面、過不足があるかないか、それからどう推移するかということについての考え方があれば伺っておきます。
○政府委員(下河辺淳君) 御指摘いただいておりますように、農業用水については先ほど農林省から答弁がありましたが、私どもといたしましても、相当量の農業用水を新規に開発しなければならないということで、どのくらいの量になるかということをいま農林省と少し詰めてみておりまして、昭和四十四年にきめた新全国総合開発計画の中身の検討の作業の中で少しそれをはっきりさせたいと思っております。それから都市用水のほうは全国レベルで都市化がどのくらい進み、どのくらいの都市用水が要るかというふうな単純計算では一応計算しておりますが、きょう御議論いただきましたように、大都市の人口がどのくらいまでふえるかというふうな見通しについて少しさだかにいたしませんと、特に東京、埼玉などの都市用水についての目標がはっきりしないという面がございまして、これについても少し作業を始めておるわけでございますが、やはり工業用水を相当節約いたしませんとバランスがとれないというようなことで作業をしておりますので、作業がはっきりしました段階でまた御説明さしていただきたいと思います。 それから供給の面でございますが、これは先ほどから本資源公団の総裁その他からのお答えもございますが、五大水系につきます水資源の基本計画がございまして、ほぼ五十年あるいは五十五年ぐらいまでの目標計画を立てて、一応需給を合わせて計画を決定しておりますが、現在の段階では供給事業のほうが多少おくれぎみであり、しかも、認めた事業だけでは基本計画の需給計画にまでも達しないという情勢でございますので、きょう御指摘いただいたように、水資源開発は緊急を要する問題であるという認識に立っております。しかし、これがまた先ほどから御議論いただいておりますように、単に都市側あるいは産業としての農業側が水を必要とするから水を供給すればよいという時代でなくなってきておることは、先ほど御指摘いただいたとおりでありまして、その水源地の環境保全なり、あるいは、そこに住む方々の生活再建の問題などがございますから、そのバランスをどうとるかということがまたひとつ私どもにとっても大きな仕事になっているのは御指摘のとおりでありまして、それらを勘案いたしますと、やはり経済成長なり産業構造にまで及んで議論を進めるという必要が出てくるんじゃないかと思いますし、一方では、きょう御指摘いただきましたように、生活再建とは何か、あるいは、土地収用とは何かというふうな基本的なお話もいただいたわけで、基本的なことについてもやはりあわせて検討したいというふうな考え方でおるわけでございます。
○委員長(沢田政治君) ただいまから休憩に入り、 一時二十分から再開いたします。 午後零時二十分休憩 —————・————— 午後一時三十五分開会
○委員長(沢田政治君) ただいまから委員会を再会いたします。 休憩前に引き続き、水源地域対策特別措置法案の質疑を行ないます。
○中村禎二君 水源地域対策特別措置法案の要綱に示されております第二条の指定ダムの基準、並びに第九条の助成の基準はどのくらいを考えておられるか、まずお示しを願います。
○政府委員(松村賢吉君) お答え申し上げます。 第二条の指定ダムの基準でございますが、これは、水没戸数にいたしまして三十戸以上、水没農地面積三十ヘクタール以上、ただし面積につきましては、北海道については別の基準を設けるべく検討中でございます。 それから第九条のいわゆる補助のかさ上げの基準でございますが、これにつきましては水没戸数は二百戸以上、それから水没の農地面積が二百ヘクタール以上、これが一般のダムでございまして、そのほか水源地域をその区域に含まないところの都府県が著しく受益するダム——二府県に受益がまたがるダムと申しておりますが、これにつきましては、水没戸数が百戸以上のもの、あるいは水没農地面積が百ヘクタール以上のもの、以上に該当いたしますダムをそれぞれ指定ダムあるいは補助のかさ上げダムとして指定したいと思います。
○中村禎二君 ただいまの御答弁を承っておりますと、水没戸数が三十戸以上、それから三十ヘクタール、あるいは二百戸、二百ヘクタールというふうに制限をされておるようでございます。大体、建設省の直轄ダムで四十五カ所、建設省補助ダムで百六十九カ所、その他水資源開発公団ダム、水道専用ダム、電源開発株式会社専用ダム、一般電気事業専用ダム、公営電気専用ダム、これが十八、十四、五、二十八、四カ所、それからほかに農林省直轄ダムが九十四カ所、農林省の補助ダム、これは未調査でございますが、除いて合計すれば約三百七十七カ所あるようでございます。そこで、ただいまの基準からいたしますと、ほとんどが適用を受けないことになっておるのでございます。特に中小河川のみの地域、長大河川地域は別といたしまして、中小河川の多い地域のダム等はほとんど適用を受けないという現状でございます。そこで私は、この基準制限を撤廃し、整備事業の必要なダムはすべて助成の対象とし、水資源の確保をはかることが必要と思うのでございますが、お考えを伺いたいと思います。
○政府委員(松村賢吉君) 指定ダムをある一定のワクに定めるということについての考え方でございますが、水源地域の生産機能とかあるいは生活環境等に著しい影響を与えまして、関係住民の生活水準の維持等に支障を与えるおそれのあるダムは、これはある程度以上の規模のものである、著しく影響を与えるものはある程度以上ではないかと——小さいやつももちろん影響はあります、ありますけれども、その程度が相当になるものはある程度以上のものであろうと、それで水没規模の小さいダムは、これは影響が比較的小さいと、それで損失補償である程度カバーされる、また、必要があれば、これと水源地域の周辺の対策につきましては、行政的な方法においてある程度カバーされるのではないかというふうに考えておるわけでございます。それで、この指定ダム、それからさらに補助率アップをするダムと、二つの段階を設けてしているわけでありますが、特に補助率をアップするダムというものにつきましては、これは非常に多くの整備事業を実施する必要があるもの、そうしますと、地方公共団体の財政等を圧迫するおそれもあります。それで、これはかさ上げの対象としているわけであります。そういうことで、これは全部のダムを必ずしもこの法律によって指定しなくても、ある程度以下の規模の小さいダムにつきましては、現在の行政運営において、これと同じような措置ができるのではないかという考えで、こういうようにしたわけでございます。
○中村禎二君 今後の水資源開発地域の水質保全上必要な下水道整備は、五カ年計画に織り込まれているかどうか、お尋ねいたします。
○政府委員(吉田泰夫君) 水源地域のうちでも特に湖沼水位調節地域にかかる地域につきましては、その水質保全のために必要な下水道の整備につきましては、現行の下水道整備五カ年計画にも所要額を織り込んでいるところでございます。
○中村禎二君 水源地域は、水質の保持上、下水道の整備は必要欠くべからざるものがあると思うのでございます。水源予定地域は先行的に下水道整備を強力に推進すべきと思うのでありますが、お考えを伺いたいのであります。
○政府委員(吉田泰夫君) 水源地域のうちでも、特に湖沼水位調節地域にかかる地域につきましては、いろいろな汚濁源が存在する場合が多いと思われます。そういうことですから、その水質の保全上、先行的に下水道を整備するということは必要であると考えております。なお、ダムにかかる水源地域につきましては、通常の場合は、さほどの汚濁源が存在することが少ないのではないかと、こう考えております。
○中村禎二君 水質保全上の下水道整備事業は、第九条の基準と関連なく実施すべきであり、この意味からも、本法案は全ダムに適用すべきであると思うのでありますが、考え方を伺いたい。
○政府委員(松村賢吉君) 本法は、ダムの建設によりまして、住宅とか農地等の水没により、水辺地域が過疎化する等の著しい影響を緩和するために各種の公共事業等を実施することにしたものでありまして、その一環として下水道事業を取り上げているわけでございます。したがいまして、対象のダムの範囲は水没の規模により規定すべきでありまして、下水道整備の観点から規定するということは、私どもは妥当ではないと。この法律は、やはりダムの水没によって周辺が影響を受けます、その影響を緩和するという意味からこの法律を定めていきたいということでございますので、以上のように考えております。
○中村禎二君 次に、建設省河川局の資料によりますと、昭和六十年において、京浜京葉地区で三十億トン、京阪神地区で十九億トンが不足することになっております。このほかにも局地的に水資源の不足地区が生ずるものと思われます。また、わが国の水資源は、地形上急峻な河川が多い、また流路も短いために、降水量が短時間のうちに流出してしまうので、世界でも多雨地帯に属しながら、水質源は豊かでないことも承知のとおりであります。水需要は、上水道用水の増加、経済成長に伴う業務用、工業用等、中小商工業のための水需要の増加があげられるのでありますが、そのほかに農業用水の増加が飛躍的に比重を増大してまいっております。今後の日本の農業には、従来あまり利用していなかった畑地かんがい用水の利用が全国的に増大してくるからであります。果樹や野菜栽培は、今後は降雨のみに依存した栽培では成り立たない、常時畑地かんがい用水が必要になってまいりますと、総合農政による畑地かんがい用水の増大は見のがすことができません。水の需要増を予測できないものがあります。水資源の確保については抜本的に対策を講ずる必要の急なることを痛感いたすのでございます。 そこで、広域的な水の開発利用、水の再生利用など、水の高度利用をはかっていく必要があります。また、海水の淡水湖化、河口湖の建設も早急に検討、実施すべきときがきたと思うのでございますが、お考えをお伺いいたします。
○国務大臣(金丸信君) 水の不足というものは先生の御指摘のように、昭和六十年度を考えてみましても、河川の水に依存する割合は、四十五年に対して六十年は一・七倍というような状況になっております。そういうような状況でございますから、京阪神地区とか、あるいは南関東とか、あるいは北九州とか、こういうような関係はアンバランスを来たしてくるというようなことで、水の不足は必然でございます。また、農業用水等につきましても、先生の御指摘のように、私も、水はますます不足してくるということですから、効率的に水を使わなければならぬ、ダムをつくることも当然でありますが、それ以上に抜本的な対策を講じなくちゃならないのが現下の政治課題であろうと、こう思うわけでございまして、そういう意味で、今後この水問題の取り組み方にきましては、あくまでも環境保全等を考えながら、また、ダム等をつくるにつきましては、十分に民意を尊重しながら、深い理解を持っていただいて協力していただけるような姿のもとに、ダム等もつくっていくというようなことも考えなければならぬ、そんなような考え方で今後の水対策はしなければならぬ。詳細につきましては、数字の問題につきましては政府委員からまた答弁をいたします。
○政府委員(松村賢吉君) ただいまの先生の御質問につきまして、最後に申されました海水の淡水湖化、河口湖の建設、これを早急にやるべきだというお話でございますが、これにつきましても、確かに今後の問題といたしまして、早急に検討し、これを建設の方向にできるものは持っていくことが必要かと思っております。
○中村禎二君 水の需要の増大は大臣もお認めになっているとおりでございます。おそらく今後、昭和六十年における水の需給等につきましてもなかなか確実にこれを把握するということは困難であろうかと存じます。特に私は中小河川地域におります。考えますことは、ほとんどの河川の上流とダム建設の適地は、ほとんどダムを建設しつつあります。もうこれ以上ダムを建設するような適地はほとんどないような状態でございます。そこで、どうしても私は、今後は海水の淡水湖化、また河口湖の建設をはからなければ水問題は抜本的に解決できないと、こう考えておるのでございますが、海水の淡水湖化、また河口湖の建設は、長期間の建設年数と先行的にばく大な経費を要するのでありますが、国においては特別な助成措置をお考えになっておるかどうか、また、本法案の湖沼水位調節施設に河口湖、淡水湖化事業を含めて助成を行なうお考えはないかどうか、最後に承っておきます。
○政府委員(松村賢吉君) 海水の淡水湖化あるいは河口湖の建設、これにばく大な経費がかかるということは事実でございます。また、工事期間も相当かかるということから相当の先行投資ということになることも事実かと思います。この先行投資に対する考え方でございますが、現在、建設省におきましては、直轄多目的事業について三年の期限で財政投融資資金の導入等を実は考えておるわけでございます。しかし、これについては、河口湖あるいは海水の淡水湖化についてこれを使うという、もちろんまだ実例はございませんけれども、このワクの拡大等について総合的に検討していきたいというふうに考えております。また、河口湖あるいは海水の淡水湖化の事業、これを本法の対象にしてはどうかということでございますけれども、この法律が、たびたび申し上げておりますように、ダムの建設によりまして相当数の住家等が水没する、それにおきましての周辺に著しく影響を及ぼすということに対する考え方でございますので、河口湖あるいは海水の淡水湖化、こういうものと水没戸数というものはそう密接な関係もございませんし、周囲の影響ということはありましょうけれども、現象はおのずから違うのではないかということで、これの事業を直接本法の対象ということについては現在考えておりません。
○古賀雷四郎君 関連です。 ちょっと、いま中村先生の御質問の中でもう一回答弁を確認したいんですが、既設ダムの上流にある集落とかいろいろなところから出る下水に対しまして、水質保全上、この法案は適用しなくても下水道で積極的におやりになる意思があるのかどうか。やはりダムの上に三百戸とか五百戸とか相当大きな集落がございます。そいうったところは、実際はやられてない。それからまた特殊な山岳地帯になりますと、たとえば酸性土壌とか酸性水とか、あるいはいろんな水がでてくる。そういったものに対する具体的な良質のものにするための対策、こういったものに対して、これは下水道がいいのかどうかはちょっとわかりませんが、そういったことに対してひとつ御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(吉田泰夫君) 水源地に多少、部落その他宅地造成等が進められるという事態も間々あるわけでございまして、こういうものにつきましては、もちろん下水道を整備することによって流域を変更して、その水源である貯水池に入れないで下へ流すということが最も望ましいし、かりに地形上どうしても入れなければならないとしましても、下水道による処理をして入れるということが必要だと思います。全国的に非常に下水道が立ちおくれておりまして、そういった水源地域ばかりか、既存の市街地自体もまだ整備されていない状況でありますので、全体を見渡しまして緊急なところから逐次手がけていきたいということであります。長期的には当然下水道をそうあう地域も含んで整備したいと考えます。 第二番目の水質の酸性土壌等の件につきましては、下水道で対処すべきかどうか検討さしていただきたいと思います。
○古賀雷四郎君 第二番目、河川局長……。
○政府委員(松村賢吉君) 酸性土壌等に対する処理、これは下水ではないんじゃないかと私ども考えておりまして、一部あるいは河川事業としてやれる部分もあるんではないか、もし、検討いたしましてそういうものがやれる部分については河川事業として処理していきたいと考えております。
○古賀雷四郎君 山岳の地質によって水が自然的にそういった特殊性を有しているというところが相当あるわけですね。たとえば吾妻川とか、いろんな川、何川とか、いろいろ名前が特殊な名前になっております。鉱山の廃山によるやつもございますけれども、特殊な地帯で、たとえば硫黄山などできるところは酸性の汚水が出てくる。それはすでに建設省で、たとえば吾妻川なんかやられたわけですね。そういう山もかなりございます。魚も住まないといったような状況でございまして、そういった点について、ひとつ河川法に基づく流水の正常な機能というのは何だということをもう一回お考えいただいて、こういったものの流水というのは国民の使える状態にして川を流していくというのが正常な状態である。もちろん量の問題もございます。下水道で処理するのは人工的な汚水の問題でしょうが、そういった自然的に出てくるやつも一緒に処理する、河川管理者としての責任じゃないかというぐあいに私は理解しているのですけれども、その辺ひとつ、御答弁はいりませんから、よろしくお願いしておきます。 それから都市局長にもう一問お伺いします。下水道整備五カ年計画がようやく非常に急テンポで進められておりますが、たとえば、この法案に基づく補助のかさ上げの問題があります。ところが、私はあちこちでお話を聞いてみますと、次の五カ年には補助率をかさ上げしようかというようなお話しも、これは公式か非公式か知りませんが、聞くわけです。そういった場合にはどういう対策をとられるのか、この補助率アップについて、ひとつ御答弁願えればありがたいと思います。
○政府委員(吉田泰夫君) 現在、第三次の下水道整備五カ年計画を施行中であります。本年度はその第三年度目に当たっておりますが、各所で、各地域で水質環境基準の類型指定あるいは公害対策基本計画の樹立というようなことが進んでおりまして、現行の五カ年計画のワクでは、とても今後の需要量に対処できそうもないというようなことで、実は、先般、都市計画中央審議会にそのあたりのことを諮問しましたところ、まだ本審議会にはかかっておりませんが、下水道部会というところでは、明年度から新たに五カ年計画を拡大改定すべきであるというような答申原案ができております。その中で、補助率についても触れておりまして、事業量が非常に増大するということをからませまして、今後の下水道整備の公共性というものが治水、道路等に劣るものではないんではないか、そういう意味で相当の補助率アップをする必要がある、こういうことがうたわれておりまして、私ども、答申が出ましたならばそれを受けまして、明年度予算要求に反映さしたいと考えております。この法案による補助率は別表に書いてあります。私ども、明年度以降の補助率アップということについて、どういうふうな数字にすべきかということは部内で検討中でございますが、その結果で、もし明年度以降、全国版として補助率アップが実現しました際には、そのアップ率の結果とにらみ合わせまして、こういった特別法による補助率をいかに扱うかということもあわせて検討したいと考えております。
○古賀雷四郎君 ありがとうございました。
○小山邦太郎君 関連質問。 中村委員の質問に関連してですが、水の多い、雨量の多い日本で、もう水不足を各方面で感じているということは、だれも認めているところで、それにはもろもろの施策がありましょうけれども、とりわけ下水道が最も必要で、一回使ったらあとはたれ流しでなしに、何回も使うようにしなければいかぬじゃないか。のみならず、公害問題等もからんで、これは非常に大事なことだ。これに対して政府は下水道五カ年計画を立てられたが、あの当時から、これは小さ過ぎていかぬなあと——当時、道路五カ年計画が五カ年といっても三年ごと、あるいは二年ぐらいでもう変えている。こちらのほうは初めから小さいのに、もう何年ですか、三年間ぐらいになる、もう来年あたりは徹底的にひとつ増額すべき時期がきておるのではないかと思いますが、いまはどんなお考えでおられるか、お聞きいたしたいものでございます。
○国務大臣(金丸信君) ただいま都市局長から答弁があったわけでございますが、私も五カ年計画は、下水道につきましては根本的に改定すべきであるという考え方を持っております。なお、この改正については、大幅な改正をやっていきたい。助成の問題につきましても、市町村等の公共団体が非常に負担増になって経営困難だというような面もあるものですから、そういうことを考えてみますと、助成の問題も大幅にこれは引き上げるべきだと、このように考えております。
○小山邦太郎君 もう質問でなしに、そのお覚悟であればけっこうでありますが、大幅といってもどのくらいの幅だかわからないが、道路法などを見ると、かつては十カ年一兆であったのを、五カ年二兆何千億、それから三年もたつというと四兆何千億、それから六兆だ、九兆だ、十何兆と、これはもうそんな程度のやり方じゃだめだと、下水道は、もう当面水が不足してきておるし、さらに公害問題をもからんでいるのであるから、今度大幅というのは、ひとつ十兆程度以下では大幅とは言えないというくらいな私どもは考えでおるが、ひとつ十二分にお考えを願い、あわせてお話の補助率も思うさま上げていただかないとならぬのじゃないかと思うので、希望を申し上げて、別に御返事は要りません。もし、政府がそれに合わないようなら、委員会においてひとつこれらは決議でもって強くやる必要があるのではないかと思うので、お含みを願います。
○二宮文造君 私は、水源地域対策特別措置法案、この問題に関連して質疑を続けさしていただくわけでありますが、その前に、本論に入ります前に基本的な問題として若干お伺いしたいと思うのです。 といいますのは、けさほども田中委員からお話がありました公共の福祉とそれから基本的人権、この関連性についてけさほどもるる質問があったわけです。私も若干それを受けて質疑を続けていきたいと思うのですが、確かに公共事業に対する需要というものは膨大になってきました。また反面、それに協力をするという形で、けさほどは憲法の条文などを引いてお話があったわけですが、その憲法の条文に照らしてみるまでもなく、基本的人権との調和という問題は非常に大事な問題になってきます。行政需要が大きければ大きいほど、この相反する問題というのは大事な問題になってまいります。ちょっと考えてみましても、成田空港のあの混乱、あるいは明日ですか、大阪空港の公害裁判、これの最終弁論が行なわれる。要するに国としては、空港だとか、あるいは飛行機だとか、交通機関とか、そういう立場で公共の福祉を優先させる。ところが、地域住民は、健康、これを中心にしたいわゆる生命、財産に関する問題としてこれに反対を唱える。これは最終弁論が明日から始まりますから、また一つの方向が提示されると思いますけれども、道路にしましても、なるほど道路が錯綜する、どうしてもバイパスをつけなければならぬ、これはわかります。しかし、そのために、その地域の人が先祖伝来の土地を提供しなければならぬ、そして今度は、かぶるのは排気ガスとそれから自分たちの生活に非常に迷惑をこうむる、こういう公共の福祉とそれから基本的人権との調和というのは、先ほども申しましたように、非常に大事な問題になってまいります。しかも、いま問題になりますダムということになってきますと、水没する、あるいは水没しないまでも、その付近の人の生活の態様というものはもう全然変わってしまう。しかし、一方では、水資源に対する非常に大きな需要がある、こういう状態の中でダムというものが建設されていくわけですが、そこで、けさほども問題になりましたけれども、公共の福祉と基本的人権との調和、これが非常に大事な問題になってまいりますので、まず建設大臣から、いかなる姿勢でこの調和という問題に取っ組んでいかれるか、この姿勢をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(金丸信君) 大規模なダムをつくりますと、その陰に隠れた地域住民というものがまことにみじめでありまして、その効果を得るものは下流の人たちだというようなことがいままで通例のように思います。しかし、それでは環境を破壊し、生活環境も破壊し、産業基盤も破壊されて、そのダム地域の人たちの生活という問題はめちゃくちゃになってしまう。そういう意味で、一つダムをつくるにつきましても、その地域住民の十分な理解を得ながら、そうしてまたダムをつくる立場のほうからいえば、その地域の人たちの生活環境から、あるいは産業基盤の変化等につきましての十分な計画を採用して、あとの憂いのないような方法をとってやらなければならない、こう私は考えております。
○二宮文造君 まさに大臣の答弁のとおりですね。その地域住民の理解を得る、私は、理解を得るというあり方が、いわゆる下世話に言いますと情にかない理にかなったという理解のしかた、これがやっぱり最も望ましい形だろうと思うんです。その反面、いままで公共の福祉というものが論ぜられるとき、その立場はきわめて抽象的だったんじゃないか。もっと具体的に考えてみますと、公共の福祉そのあり方というものを当該の事業、ダムに関してでもけっこうです、いかにこれが重要なのか、しかも、具体的な提示をし、でき得れば数値などをあげて具体的な提示をする。反面、今度は地域住民が失われる損失、それをどういうふうに補っていくんだ、しかも、その損失を補うばかりでなく、きょうも公団の総裁がおっしゃっておりましたけれども、損失を埋め合わすというのじゃなくて、新しい価値をその事業を推進する中から生み出していく、こういうふうに、何といいますか、事業と地域との対応関係といいますか、それを何か理解できる具体的な立場で提示をしていく。さらにまた学識経験者などの衆知を集めて事前の打ち合わせというものが非常に大事であり、しかもそればかりではない、アフターケアというものもまた十分にやっていかなきゃならぬと思うんです。そういう立場で、従来のこの事業を遂行していく姿勢というものがあまりにも抽象的だった、この点をどう打開をし地域住民の理解を得るかということについては、さらにもう少し突っ込んだ大臣のお考えがあれば伺いたいと思うんですが……。
○国務大臣(金丸信君) これは例になりますかどうかわかりませんが、たとえて申しますと、こちらに一万人の人間がおると、ダムの地元には千人おると、千人を殺すか一万人を助けるかという理屈は、あるいは土地収用法のこれを詰めていけば一つの考え方にもなると思うんですが、私はそういう考え方じゃいかない。あくまでもここへダムをつくるというときは、ここへダムをつくるについてはどういう方法でダムをつくるか、まずその計画を考え、その計画を地元の住民に提示して、そして、こうした場合はこういうようにやっていきたい、あるいはまた皆さんの意見もこういうふうに承っていきたい、そして、その合意の中でダムをつくっていきたいんだという、そして真の協力というものが得られる中でダムづくりということが考えられなければ、私は真のダムづくりというものはできぬじゃないか、また、これから問題がだんだん大きくなっていくんじゃないかということで、あくまでも話し合いで、とことんまで話をして協力を得られる体制を整えていくことが必要だということを痛感をいたします。
○二宮文造君 いまの大臣の答弁でほぼ理解できるわけですが、しかし実際にどういうかっこうが今日までとられてきたかといいますと、ダムに限らず公共事業というものが計画された場合、いわゆる説明会というのが行なわれます、関係住民に対する説明会。しかし、この説明会は、多くの場合は技術の専門家がその説明会におもむきまして、もっぱら技術的な側面で安全性だとかあるいは公共的なメリットとか、そういうものについての説明があるわけです。ところが、ほんとうに地元の住民が聞きたいのは——この前も瀬戸大橋の架橋のことについて公団の方に私は説明会のあり方というものについて注文したわけですが、たとえばダムの場合だったら、ダムの構造だとかその事業の話だとか、そういうものは地元の人はあまり関係ない、また聞いてもわからない。むしろ自分たちが住みなれてきたこの土地での現在の生活が一体どう変わっていくんだ、あるいは、それに対して事業者だとかあるいは関係の地方団体がどういうふうな対策をもってわれわれに応じてくるんだ、さらにはまた地域開発、これをどうしてくれるんだ、また、その事業の完成によって地元に還元してくるそういうような具体的な利益あるいはその地域の発展性、さらにはまた補償の方針、自分たちの生活の再建のめど、そういうものが地域住民は非常に興味もあるし、それこそ自分の生活をかけてその問題が聞きたいわけです。ところが説明会ではそういう説明は一切行なわれない。また、それをできるだけの権限と立場を持った方が説明会に臨んでいない。これは瀬戸大橋の説明会のときにもそういう問題が出てきたことを私は指摘をしまして、そうしてむしろ中央で大ワクをきめて、そうして地元住民の要望というのは前から出ているんだから、それに具体的にこたえていくようなそういう説明会が必要ではないか。まあ、そういうような意味のことを申し上げましたけれども、このダムの建設についても、従来の説明会というのは、前段に申したような技術的な面に限られて、ほんとに地元の人が耳を傾けて聞きたいことには触れられていない。この説明会のあり方というものはよろしくないと思うのですね。したがって、より充実した、そういうほんとに聞きたいこと、それに触れられるそういう説明会にすべきではないか、こう思うのですが、理解を得るという立場でいかがでしょう。
○国務大臣(金丸信君) 先生のお説のとおりだと私も思います。
○二宮文造君 ただ、そういうふうなことがなぜ従来行なわれてなかったかということを振り返って考えてみますると、事業計画の早期発表、これはまあ望ましいわけです。望ましいわけですけれども、反面、それが用地の取得を困難にさせる、ごたぶんに漏れず投機的な土地の値上がり、そういうものがあるということをおそれるあまりに、計画の発表——あるいはまたいま申しましたように、地元民とひざを交えて話し合うという具体的な計画案の発表、そういうものがない。また説明会の内容も抽象的に終わってしまう。そのために事業者とそれからまた地元民との間にもその段階でもう違和感を起こしてしまって、お互いの認識のズレ、そして結局はそれが紛争の種になってしまう。そこで、説明会は事業者のほうから積極的にやる立場ですね。反面、今度はその前に住民の意見発表というものを事業主体者は吸い上げていく、そういうふうな努力もするべきではないか、こう思うのですが、これは従来のいろいろな経験を振り返りながら、より一歩前進させるためには、こういう作業が必要ではないか。よらしむべし、知らしむべからずということじゃなくて、むしろ住民の——住民も、やはり水が足りない、どうしても水資源というものは開発しなきゃならぬ、そういう大局的なことには理解があるわけです。さてこの地域がという問題について待ったが入るわけですから、そういう住民感情というものを頭に入れてみますと、与えるよりもむしろ吸い上げていく、こういうような積極的な姿勢も必要ではないか、こう思うんですが、この点はいかがでしょう。
○国務大臣(金丸信君) 一方的でもめごとというものは決定されるべきものではないと私は思います。そういう意味で地域の人の意見を述べられるような機会をつくることは当然だと思いますし、また、こちらからの計画だけ出してそれでいいのかということになると問題だと私は思いますが、いま先生の述べられたような、いわゆる地域の考え方をこちらがよくわかる上にも、向こうの意見を発表するそういう会合をつくることは必要だということを痛感をいたします。
○二宮文造君 非常にこまかいようなことを私申し上げておりますけれども、私の頭の中には、公共事業に対する需要というものは非常にこれから強くなってくる、大きくなってくる、そしてまた、住民の理解、協力というものは、もうほんとうに正比例的に、むしろ幾何級数的に必要になってくる。そういう立場から、さらに私はこう、いろいろ考えてみるんですが、たとえば今度は行政官庁同士の協力体制、こういうものは一体どうなのかと。本論から離れて恐縮なんですが、瀬戸大橋の架橋のときにも、私、その説明会等々で非常に感じたことなんですが、架橋公団は懸命になって説明をする。ところが地元の市とか、あるいは県はもう全くその何といいますか、自分たちのとるべき態度というものについてはノーコメントですね、要するに傍観者的な態度です。おそらくダムの建設についても起業者側は懸命になって説得をします。当然そこには各関係官庁あるわけです。しかし、それらは総合的な立場で地域住民に臨んでいく、協力、理解を得ていくという体制にはないわけですね、これは縦割り行政の悲劇といいますか。しかし、それがあったんでは、今後はますます紛争の種はあと尽きないと思うんです。したがって、行政組織上に、現在ではそれが手が出せないような状況になっているかもわかりませんけれども、その相互間とか、あるいは地方公共団体との間とか、そういうものとの協力体制というものは、これは一歩引いた立場じゃなくて、一線に並んだ立場でこの問題解決に当たっていかなきゃならぬと思うんです。そういう立場で、行政組織のあり方とかあるいは事業の進め方とかいうことについて改善をすべき点があれば、これはまた大臣でもけっこう、河川局長でもけっこうですが、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(金丸信君) 今後の公共事業推進の上におきまして、これ、一つのダムの問題ばかりでなくて、すべてがそうだろうと思うわけでございますが、各行政官庁との連携というようなものが、一つのものが前へ出ればあとは下がっちまっておる、まことに非協力的な姿がわれわれの目に映るわけでございますが、それじゃとても一貫した仕事はできない。そこで、今後の事業遂行にあたりましては、そういうものが一体になっていけるような仕組みをつくり上げなくちゃだめだという、私も痛感をいたします。そういう意味で、行政の面でひとつ建設省もまずいところはまずいということで反省しまして、今後そういう面に対処していくような準備をしてまいりたい、こう思っております。
○二宮文造君 それは確かに対話というのはいまの時代には非常にむずかしい。それぞれ利害が、地域住民といえども利害関係が相反してきますし、対話というのはむずかしいんですが、従来——きょうも田中委員が午前中に言っておりました、用地買収に当たる公団の識員が、自分で自費で二級酒などを買って、そうしてその土地の所有者のところへ行く、そうしてお互いに酒をくみかわしながら、そうしてああでもない、こうでもないという世間話の中からお互いの共通感というものをつくり、事業の重大さというものをそうしてその用地買収に持ち込んでいくと、こういうふうないわゆる第一線職員の苦衷をきょうも取り上げて言っておりました。私、大事なのは、そういうふうなただ単なる説明会、ただ単なる公式のいわゆる住民の意見を吸い上げる会合、こういうつくられた会合、その場所でのお互いの対話、これはやっぱり紋切り型の対話になってしまいます。その土地には風土というものがありますし、習慣というものがありますし、やはりその中にとけ込んでいって説得をするという必要があるのではないか。ところが、従来のお役所仕事ということを振り返ってみますと、そういう面での経費の計上、あるいはまた、そういう面での努力、金銭、いわゆる予算的な裏づけもないし、また、したがって、それに突っ込んでいこうとしても、その財源といいますか、金のもとというのは、個人のポケットマネーにひとしいようなものにもなってくる。これでは冒頭の意味の対話という、ほんとうの意味が行なわれない。したがって、そういうふうな事業を計画する、それの予備的な段階での予算措置とか、それからまた、両者の話し合いのための十分なおぜん立てといいますか、そういうものもなさるべきではないかと、こう思うんですが、いわゆる地元住民とのみぞをどう埋めていくかということについても、今後また大いに意をつかっていただかなきゃならぬと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(金丸信君) 地元住民と話し合いをするということは、誠意を持った、情のこもったものでなければならぬということであります。そういう意味で、建設省といたしましては、出先の職員の苦労というものも十分に考えてやらなくちゃならぬ。用地買収等についての交渉に、一部、おみやげを持って行く程度のことはいたしておるようでございますが、しかし、それはまことに僅少なものであるわけでございますが、このダムの問題等につきましては、それまで配慮をして、予算の裏づけもして、そうして誠意のこもった情の通う交渉の中に一つのものが生まれてくるのじゃないかと、こう私は考えております。先生のお考えと私は同じであります。
○二宮文造君 歴戦の選挙を戦ってこられた大臣ですから、そういう人情の機微ということについて私が——私ももともと商売人ですから、そういうようなことではよくウマが合うわけです。ただ、私は大臣とこういうふうなお話し合い、やりとりをする、非常にウマが合う。しかし、どうも本省の皆さん方は、何だか興味の乗らないような質疑を繰り返しているような、ここの委員会の席上に、くしくも大臣と私、それ以外に違和感というものをいま感じてきたわけですね。これはほんとうにこまかいことかもわかりませんけれども、私は一つの仕事をする、仕事をする場合のシナリオというものをつくるわけです。そして、そのシナリオに沿って動かしていかないことには、もうこれから先ダムなどというものはつくれないのじゃないか。一方では、水資源の枯渇という大事な問題をかかえて、これはもうほんとうに政治家なりあるいは行政のもう大命題だと。しかも、それに取っ組んでいくにしては、従来の姿勢のままでは反発こそあれ、協力は得られないんではないかと感ずる点を私はるる申し上げるわけです。ですから、これはこまかい問題かもわかりませんけれども、今後の行政の運用の中に生かしていただきたい。これは与党も野党もありません。 さらに、そういう仕事をやっていく場合に私、目につくことは、なるほど事業主体のほうは、地元の住民との交渉の態度というものは、もうほんとうにこの事業を一日も早く完成したい、こういう意欲満々ですね。これはもう当然だと思います。ところが、その話を聞く地域住民のほうはより有利な立場ということは頭に置きながらも、何とかして自分はここからのがれたい、この問題を押し返してしまいたい、この問題から回避したい、要するに自分だけはこの事業の中からのけてもらいたい、こういう気持ちが働いていることも事実ではないかと思うんです。一方では、事業主体のほうは早くやりたい、その受けている住民のほうはなんとか逃げたい、やるなら自分のところだけのけてやってもらいたい、こういう感情が動いているわけです。そこで、そういうこまかい人情の機微の中で交渉をする、その交渉の対象がいわゆる人事異動によって目まぐるしくかわってしまう。これはもうお役所の配置の都合ではありましょうけれども、地域住民との交渉ということを考えていきますと、この安易な人事異動というものはかえって事業の遂行をおくらしてしまうんじゃないか。また、前の人が話をした、かわって来た人はもうわれ関せずというような立場で、違った次元で話を進めていく、前の人とのわりあい有利な話し合いというものは、もう絵にかいたもちになってしまう、こういうことも従来——また、そのために人事異動がなされたんじゃないかという憶測までも生むような事態が従来ありましだ。そういうことで、もうこれは第一線の用地の担当者がかわればがらっと様子が変わってしまうというようなことで、一つの事業を計画する、それに対して取り組んだ場合は人事異動というものについては特に意を配して、でき得れば——でき得ればですよ、それはもう絶対にというわけじゃありませんが、でき得ればその人事異動も事業がいわゆる一件落着までかわらない、さらには、かわったところで前を継承する、前任者の約束については、これはもうほんとうに誠意をもってそれからつないでいくと、こういう姿勢が大事だろうと思うんですが、従来この点は非常になおざりになっていたきらいがあります。この点いかがでしょう。これはもう人事異動の問題ですから、局長でもけっこうです。
○政府委員(松村賢吉君) この問題につきましては、事務当局といたしましても深い注意を実は払ってきておるんです。一般にいいまして、私ども直接タッチしておりますのは直轄関係のダムでございます。これにつきましては、ダムの所長以下幹部、こういう責任者ですね、これは一般の河川工事等に比べまして非常に、何と申しますか、在任期間が長いと、できるだけ一つの区切りがつくまではこれを留任させるという方針できておりますし、これからもさらにそれを進めていきたいと思っております。 私ごとでまことに失礼でございますが、実は私もダムの所長七年ほどやっておりまして、調査に入ってからダムの補償基準がまとまりましてコンクリートを十万打つぐらいまで約七年余り一つのダムの所長を留任しておりました。こういう例が実はダム関係では非常に多い。例外的にいいまして、何らかの事情におきまして早くかわった者もございますが、原則としてはこういうことを貫いていきたいと思っております。これからもぜひそういうふうに進めていきたいと思いますし、また関係の方面の、補助の関係とか、こういう方面にもよく指導していきたいと思っております。
○二宮文造君 それはね、なぜこういう質問をするかといいますと、結局けさほどの田中委員の質問に返るわけです。こういう事業の裏には土地収用法というのがあるわけでしょう。ですから、ほんとうに事業を計画されますと、住民はもうそれで一本取られているわけですよ。ですから、きょうも午前中、田中委員が土地収用法との関連について非常にこまかく質問されました。私もその点について、土地収用法というものはやはり被害者意識のほうが強いわけです、その人の立場に立ってみれば。そこで、ダム建設にあたりまして土地収用法を適用した例、これは一体どれくらいありますか。
○政府委員(高橋弘篤君) 四十三年から四十七年までの五カ年で事業認定の数から申し上げますと二十八件、裁決件数が、これは四十三年から四十六年でございますけれども、四カ年で九件ということになっておるわけでございます。
○二宮文造君 要するに土地収用法の適用というのは起業者とそれから土地所有者との間の断絶、これを意味するものだと思います。で、ダム建設の裁決審理に持ち込まれた件数をいま九件とおっしゃいましたか——九件ですね。
○政府委員(高橋弘篤君) はい。
○二宮文造君 そこで問題は、各都道府県の収用委員会の委員というものはどういうふうにして任命をされているのか。また、その収用委員会の事務をやってまいります事務局、この編成というのは一体どうなっておりますか。
○政府委員(高橋弘篤君) 収用委員会の委員は、本委員が七人、予備委員が二名でございますけれども、五十二条にございますように、「法律、経済又は行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県の議会の同意を得て、都道府県知事が任命する。」ということになっておる次第でございまして、具体的には、職業は弁護士だとか大学教授だとか、それから団体の役員だとか、そういう人たちが多うございます。 それから収用委員会の事務につきましては、同じく収用法の五十八条に、「収用委員会に必要な職員を置く。」ということになっておる次第でございますが、この職員は、第二項で「都道府県知事が当該都道府県職員のうちから会長の同意を得て任命する。」ということになっておるわけですが、第三項におきましては、知事は「都道府県の局部において収用委員会の事務を整理させることができる。」ということになっておるわけでございます。つまり具体的に申し上げますと、一番最初に申し上げたのは事務局を置くということになりますが、事務局を置いている場合、それから事務局を置かないで知事部局、たとえば土木部の管理課だとか用地課だとかいうところで事務を処理している場合と、両方あるわけでございますが、現在のところ事務局を置いているのは大体七府県でございます。
○二宮文造君 要するに収用委員会の委員は議会の同意を得て知事が任命をする、実際の事務を取り扱う部局は、専任の部局は七府県ですか、専任の部局は七府県で、あとは大体知事部局の兼任で行なわれているという。そこで、一口に三割自治と、こういわれておりますけれども、地方公共団体というのは中央省庁に非常に弱いわけですね。弱い。これはもうどうしても三割自治ということばで表現されているように、中央省庁の要請というもの、これは理にかなっていますから、でもありましょうけれども、むしろ地元民の要請よりも、いわゆる裁決審理に持ち込んだ事業主体、そういうものの意向というものに協力しやすい態勢にあるわけです。しかも、専任の事務局でなくて、知事部局でそれを兼任していくとしますと、勢い、やっぱりお役所の意向というものが収用委員会を左右してしまう。どうしても事務局の意向というものが、収用委員会の運営に反映する。これは、従来の審議会のあり方等々を考えてみても、それはもう私もうなずける面があるわけですが、その非難にこたえるために、やはり行政指導として専任の部局を置く、こういうふうな考え方をはっきりさせたほうがいいんじゃないか、こう思うんですが、この点はどうでしょう。
○政府委員(高橋弘篤君) 収用委員会は、先ほど申し上げましたような任命のしかたでございますが、これは法律にもございますように、知事の所轄のものに収用委員会を設置するわけでございますが、収用委員会が独立してその職務を行なうということになっております。それからまた、身分保障という条文もあるわけでございまして、中立、公正という意味のいろんな手だてもあるわけでございます。したがいまして、収用委員会の事務につきまして、都道府県の知事部局の者が兼任をいたしておる場合におきましても、その収用委員会のもとで、これは事務を整理するということであるわけでございます。ただ、先生の御趣旨は、どうも委員会よりも事務局のほうが力が強くて、結局、事務局の言いなりになるんじゃないかという御懸念だろうと思うわけでございます。この点につきましては、収用委員は全くのしろうとでございません。先ほど申し上げましたような、法律だとか、行政だとか、経済にすぐれた経験とか識見を持つ者であるわけでございます。同時に、収用委員会の事務を整理するものでございますから、やはり職員も中立、公正ということが必要になってくるのはもちろんのことでございます。 ただ、専任の事務局を置くほうが、より独立性が確保できるのじゃないかという、おそらく御趣旨だろうと存じますが、この収用裁決の案件というものは、実は一件も年間にない県が実は相当あるのです。四十六年に大体十八府県、全くないもの。それから収用案件が五件以下というのが十八県あります。そういうこともございますし、同時に、専任の事務局を置くということは、どうしても財政負担が大きくなるということでもございます。したがいまして、審理の状況に応じまして事務局が置かれるというかっこうになっておりまして、東京、大阪とか、その他相当件数の多いところはもちろん置かれております。千葉県などは成田空港の事件がありまして、事務局というものが設置されておるわけでございます。そういうようなことでございますので、私ども先ほど申し上げたように、知事部局の職員でございましても、これは知事の意向ばかりを受けて仕事をするということじゃございません。そういうように私どもも信じております。そういう財政負担の状況等ともにらみ合わせながら、事務局が設置されるわけでございますので、審理の状況に応じまして、事務局が設置されるということでございますから、そういう状況を勘案しながら私どもも指導してまいりたいというように考えている次第でございます。
○二宮文造君 行政当局の高橋局長に質問することがまずかったわけです。これは当然、大臣に質問しなければいけないわけです。事務局が委員会を左右するなんていうことは法律の規定には全くないし、そうあっちゃいけないのです。あっちゃいけないんですけれども、従来、間々そういうことがあるから私は申し上げたわけです。なるほど年じゅう仕事があるわけでもありませんし、だんだんこれからそういう問題はふえてまいります。当然、バイパスの問題、ダムに限らず、土地収用法の関係の案件というものは、これはもうほんとにふえると思います。一番大事なのは、事務局が公平に、しかも自由に活動できるようにしなければならない。そうしなければ住民のサイドから見て、収用委員会に対する不信、こういうものが根底的に出てきますと、そこから出た裁決の結果とかなんとかということについても、住民はそれに従おうという気持ちは出てきません。当然そこには代執行だとか、いや機動隊の出動だとかというような問題になってきます。ですから、需要が大きければ大きいほど紛争の件数がこれからふえるということを予想すれば、それは地方の財政の問題もありましょうけれども、しかも住民に奉仕するという基本観念からいくと、収用委員会を権威あるものにしなければなりませんし、また、その運営をうまくするために事務局を強化し、また専任の事務局にして信頼をかちとるということも必要ではないか、将来を見渡しての私の提案なわけです。これはぜひひとつ考慮の中に置いていただきたい。それと同時に、なるほど収用委員の方は学識経験者でしょう、法律にも明るい方が選ばれるはずです、そうなっております。しかし、実際問題、私の耳に入ってくる収用委員会の委員の選ばれ方というのは、これは極端な例かもわかりませんけれども、単に日当かせぎではないか、単にメンバーをそろえているだけに過ぎないのではないか、結局もう委員会の裁決の結果は、裁決審理に持ち込んだ時点からきまってしまっている、あとはもうかっこうをつけるだけだ、あの委員ではなあというような非難もないわけではないわけです。そこで私は、これからそういうふうな事案がふえてくるということを仮定すれば、議会を信任しないわけではありません、あるいは知事の専任を軽視するわけでもありません、もっと住民から信頼される収用委員会、公平な収用委員会という立場から考えると、この収用委員会の委員を公選制にしたら一体どうなのか、これも考えてみるわけですが、この点については大臣どうでしょう。
○政府委員(高橋弘篤君) 先生の御趣旨よく理解できるわけでございますが、収用委員会は申し上げるまでもなく公益と私益の調整、調和をすると、先ほどからいろいろと議論を申し上げております。そういう問題について審理をする重要なものでございます。したがいまして、そういうような御趣旨の点も理解できないわけではないのでございますが、いわゆる、そういうような私有財産に制限を加えるというものでございますし、先ほどから申し上げておりますように、土地収用法でも、収用委員会の性格というものは、非常にほかの委員会と違いまして、裁判所的な、準司法的ないろいろの色彩を帯びたものになっているわけでございます。そういうものでございますので、また県議会の同意を得るとか、民意を反映させるという手だてはほかにもいろいろあるわけでございますので、この委員会につきましては、この性格上、選挙制というような、そういうものにはなじまないじゃないかというふうに考えておるわけでございます。また、委員も先ほどから御議論ございますように、これもまたほかの委員会よりも相当専門的な知識その他が必要でございまして、その他いろいろの性格からいたしまして、どうも選挙にはなじまないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○二宮文造君 選挙にはなじまないということも理解できます。しかし、現在の収用委員の選任のしかたが当を得たものであるということについては、私はもう一歩どうしてもうなずけないものがあります。議会の同意を得るから民意を反映する、あながちそう言えるかということですね。たとえば国会は確かに自民党さんが多い。これは自民党さんに言わすと、国会というのは民意を反映した、形の上ではそうなっております。しかし間々民意に反することも政治の立場から、行政の立場からなしていらっしゃる。国鉄運賃の値上げ等をはかろうとするのもまさにそのとおりではないか。これは民意の反映はないと思うのです、これは余分なことですが。ですから、これはすれ違いの論議になりましたから深く追いませんけれども、現在の収用委員会の委員を選任するやり方はベターではない。この点はひとつ今後の研究課題としておいでおいでいただきたい。私も公選制に執着するものじゃありません。それは質問の意図が、いわゆる民意を反映したよりベターな収用委員会の委員というものを選びたいという立場でお互いの議論ですから、これはひとつ御理解をいただきたい。 そこで、もう少し具体的に、いわゆる起業者側、事業者側は収用事務にあたっては専門家を配置しておりまして、したがって、そういう専門組織を持っておりますから非常に具体的な微に入り細をうがったデータというものが提出されます。ところが一方、被収用者、土地の所有者のほうはしろうとですね。したがって法制上の問題として、土地所有者の意見だとかあるいは関係人の意見だとか、調査だとか、鑑定だとか、立証だとか、そういうものについては格段の差が出てくるんではないかと、こう心配をします。したがって、この場合に被収用者、いわゆる土地の所有者、そういう方々のいわゆる収用委員会での意見の具申とかなんとかというものに、何かそういう格段の差があるのを全部埋め合わすというわけにもいきませんでしょうけれども、何か埋め合わせて均衡のとれたそういうものができるような措置というものはお考えになる必要があるんじゃないか。そうしないと、あまりにもデータの精密度といいますか、挙証能力といいますか、そういうものがかけ離れたまま裁決、審理されたんではまずいんではないか。被収用者側を救済するという意味で何か措置が必要ではないかと思うんですが、この点はどうでしょう。
○政府委員(高橋弘篤君) ただいまの御質問もよく御趣旨はわかるわけでございます。土地収用法におきましても、さっきちょっと申し上げたように、土地収用委員会というものに準司法的なそういう性格を帯びさしておりますし、意見を陳述するとかそういう手続につきましても、免除手続というようなものをできる限り規定いたしておるわけでございまして、六十三条におきましてはそういう規定があるわけでございますけれども、意見書の提出だとか、さらに意見の内容を証明するための収用委員会に対する資料の提出、それから参考人の審問だとか、鑑定依頼だとか、実地調査をすることの申し立てだとか、そういうものが権利としてあるわけでございます。また、みずから参考人だとか、鑑定人を審問するということもできるわけでございます。六十五条におきましては、そういうような申し立てがございました場合におきましては、正当な申し立てと認められましたならば、収用委員会は、鑑定人に命じて鑑定させるとか、また資料の提出を命ずるとか、そういうことをやるようないろいろな手続規定があるわけでございます。したがいまして、そういう手続を十分活用いたしまして、要は実際の審理そのものを、先ほどから議論ございますように、土地の所有者というものに十分意見を申し述べさして、そして公正に中立に審理をするということにあろうと思いますので、そういう点は十分に今後とも私ども指導の重点としていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○二宮文造君 問題は裁決、審理に要する費用の負担ですね、これが一体どうなっているのか。そして被収用者、いわゆる土地の所有者ですか、被収用者が負担をする費用、これは一体どうなっておりますか、できるだけ詳細に御説明願いたいと思います。
○政府委員(高橋弘篤君) 被収用者が負担する経費についてでございますが、まず収用委員会の裁決、審理に要する費用は、裁決申請手数料、鑑定人等の旅費及び手当、会場の借り上げ費、その他の審理経費があるわけでございますが、その中で裁決申請手数料、鑑定人だとか参考人等の旅費及び手当、これは起業者の負担ということに法律上なっております。その他の審理経費は収用委員会が負担するということになろうかと存じます。したがって被収用者から費用を徴収するということはございません。しかしながら被収用者が収用委員会の審理に出席する旅費というようなものがあるわけでございますが、そういうようなことだとか、また、いろんな資料を提出するときの紙代だとか、そういうようないろんな自分自身で支出する経費というものもあるわけでございます。
○二宮文造君 そうしますと、裁決、審理に要する費用については被収用者の負担というものはきわめて微々たるものだ、したがって国がそういう費用を弁償する制度というものを創設する必要がないほど微々たるものだという御説明ですか。
○政府委員(高橋弘篤君) 先ほど申し上げましたように、被収用者の負担する経費というのは通常は比較的少額でございます。したがいまして大体、本人が支出するというのが通常の考え方であろうかと思うわけでございます。通常の場合におきましては、こういうことで大体妥当ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○二宮文造君 そんなに微々たるもんなら、何も好きこのんで持ち込むわけじゃないでしょう、ですから、むしろ、それほどの金額で済むんなら、その費用弁償を国がしてやればいいじゃないですか。私はやっぱり正直なところ費用負担が非常に多いんではないかという心配をしていたわけです。ならば、やはり被収用者の立場に立って国が費用を弁償してやる、こういう制度をつくるべきではないかと思っておったのですが、いまの答弁のように微々たるもんならなおのことすべきではないか。要するに国なら国があるいは行政庁なら行政庁が的を当てて、そして事業を決定したわけでしょう。当人にとってみれば寝耳に水なんです。それに対して申し立てをするわけです。国のほうから、あるいは地方公共団体のほうから網をかけておいて、そしてそれに異議を申し立てるということになると、費用を、微々たるものであっても被収用者が負担をしなきゃならぬというのは片手落ちではないか。金額が少なければ少ないほど、これは国が弁償すべきではないか、こう思うのですが、もう一度……。
○政府委員(高橋弘篤君) おっしゃることもよくわかるわけでございますけれども、これはやはりこういう性質のもの、つまり土地の所有者などが自分の権利とか利益を主張するという場合であるわけでございまして、そういう場合には通常自己で負担するというのが普通だということを申し上げておるのでございまして、おっしゃる意味よくわかりますけれども、金額が少ないから国で持つというものではなかろうかと存ずるわけでございます。いろいろほかの制度との関連もあろうかと存じます。いろいろ研究はしてみたいと思いますが、そういうようなことで御答弁申し上げている次第でございます。
○二宮文造君 それは、私はその答弁で満足しません。石投げたほうへ、石投げて当たったほうが文句を言って行くのに費用を負担しなきゃならぬ。しかも、その言い方が、自分の財産を守るために申し立てをするんなら自分で負担すべきだという論理はお役所の論理のように思えてしかたがありません。これは研究していただきたい。 それから行政代執行の方法についてですけれども、大体、代執行というのは義務者にかわって行政機関が行なうものです。ですから直接強制というものは法律的には許されていない。ところが最近の成田の新東京国際空港、この代執行の実情を見ましても、警察力をフルに動員してがむしゃらに代執行が行なわれていると私どもは見れるわけです。それはまた、そういう代執行のあり方が普遍化する傾向にもあるように考えられますけれども、直接強制代執行の方法だとか破壊作業的な代執行のあり方、これは今後再検討されるべきではないかと思うんですが、これはできれば大臣にお答え願いたいし、突然ですから計画局長のほうからまず前置きをしていただいて、大臣のお考えをお伺いしたいと思う。
○政府委員(高橋弘篤君) 代執行につきましてでございますけれども、代執行は御承知のようにもともと義務者、もちろんこの場合は土地の所有者であろうかと思いますが、土地の所有者が履行すべきことを履行しなかったということ、それに対しての代執行ということになるわけでございます。つまり土地だとか、それからその他の物件を引き渡せという裁決があるのに引き渡さなかった、そういうことに対しての代執行であるわけでございます。したがいまして代執行という、そういう執行行為につきましては、当然その義務者の土地の所有者は受忍義務というものがあろうかと思うわけでございまして、そういうことでいろいろな代執行のやり方があるわけでございますけれども、直接執行というものにつきましては、先生御承知のように旧法ではあったわけでございますが、新しい法律では、これは憲法のもと、ないわけでございます。しかしながらお話ございましたような警察力の援助を頼んでというようなこと、これはいわゆる代執行という形態におきましては、そういう警察力を頼んで行なうということは、これはいわゆる代執行の内容ということでは考えられないわけでございます。ただし、代執行を行なうにあたりまして、いろんな妨害行為だとか公務執行妨害だとか威力業務妨害とか、その他そういうような警察が出なきゃいかぬような、そういうことが予想される場合におきまして警察当局の判断でこれは出てくるというものであるわけでございます。それから破壊的な代執行の方法というお話でございますが、代執行は、その内容は除却移転というものが非常に多かろうと思います。工作物とか建物、そういうものの除却移転ということが多かろうと思います。その場合におきまして、できる限り、もちろん丁寧にそういう除却移転工事というのを行なうのは当然でございます。いろいろのやり方はその状況によりましてあると考えられますけれども、できる限り丁寧に扱うのはもちろんのことでございます。いろんな妨害を受けている最中におきましての工事につきましても——何も妨害のないときの工事のやり方、これはやはり多少やり方も違ってくると思いますが、しかし原則としてはできる限り丁寧に行なう、破壊的なものじゃなしに丁寧に行なうという必要があろうかと思います。そういう考えで今後も指導してまいりたいと考えております。
○国務大臣(金丸信君) 先ほど来から私の申し上げている考え方から申しますと、代執行というものは乱発すべきではないと、これにいくということはよくよくのことだと、まあ話し合いで理解を得ながら協力を得てということには、こういうことをやったんではならないと私は思います。ですから、こういうことはできるだけやらないように心がけねばならぬ、こう私は考えております。
○二宮文造君 とにかく大臣とは話が非常にうまくこう通ずるんですがね。もう大臣だけとお話ししたいぐらいの気持ちですけれども……。 そこで代執行に要した費用、これは現在は義務者、すなわち土地の所有者から徴収するたてまえになっていますが、そこで、これはどうも私、自分で質問しながら極端ではないかなとも思いながら質問するわけですが、代執行の費用をむちゃくちゃに使って、そしてそれを土地の所有者から取り上げる、こういうこともできるわけです、やろうと思えば。そうなりますと、土地を取られて追い銭を取られるというようなケースにもなりかねない。そこで建設省の場合どういう形でこの費用を徴収することになっているのか、また、その費用の中にはどんな経費が含まれているのか、これをひとつ御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(高橋弘篤君) 代執行法の第五条におきまして、費用の徴収につきましては実際に要した費用の額を義務者に対しまして納付を命ずるということになっているわけでございます。具体的には、その代執行を行なうにあたりまして要しました除却工事等の経費、つまり請負に出しました場合はその請負の工事費、それから実際、行政代執行を行なう場合におきましては、執行責任者というものが現場に行くわけでございます、その旅費だとか、そういうものが経費の内容になるわけでございます。
○二宮文造君 ここに私は資料をちょうだいしておりますけれども、結局、建設省内の請負規定というものを準用して、そして代執行を業者に再委託をする、その代執行の費用の中に一般管理費とか、それから特別管理費まで入れて土地の所有者から徴収しているんだといわれておりますけれども、この点はどうでしょう。
○政府委員(高橋弘篤君) 土地収用法によりますと、都道府県知事が行政代執行法の定めるところによりましてみずから義務者のなすべき行為をするとか、みずからやらないときは第三者をしてこれをさせることができるということになっております。そういうことで、第三者というのは知事が委託するわけでございますから、だれに委託するかということになるわけでございますが、その場合に、地建の直轄工事という場合におきまして、地建がその委託を受けて行なうということはあろうかと思います。そういう場合におきまして、さっき申し上げましたように、代執行法の第五条に基づきまして、実際に要した費用を徴収することができるわけでございます。その場合、建設省では請負にこれは出すことが普通であろうと思います。そういうときには直接工事費がもちろん要るわけでございますが、その請負工事費の中には、御承知のように現場の管理費だとか一般管理費というものもこれは普通入っておるわけでございます。そういうようなものも工事費の中に当然含まれるというふうに私どもも考えておるわけでございまして、そういう請負に出して、そうしてこういう除却工事等を行なった場合におきまして、実際にその請負業者に地建なら地建が支払った費用、これは実際に要した費用ということに考えられますので、その経費は義務者に負担をさせて徴収することができるというふうに考えておるわけでございます。
○二宮文造君 私この質問をしながら何か耳のところへ、おまえは何と絵にかいたような質問をしているのだと——私、代執行を受けたこともありませんし、その当事者になった経験がありません。しかし、当事者にしてみれば、この代執行の費用徴収という問題は、局長がおっしゃるほど事務的なものではないと思うのです。まあ、いろいろなトラブルがあって、そしてその代執行にまでなった。しかし、それは、代執行になったのはなったまでの事情でして、いわゆる代執行という事実関係だけでは、これはやっぱり土地の所有者に少なくともその費用の負担は少なくしてあげるということがやっぱり行政で、政治で考えなきゃならぬ大事な問題だろうと思うのです。そこまできたもの、そこまできたものにはいろいろな経緯があったでしょう。しかし、代執行という事実関係だけでは、あとあとのこと、あとあとの土地所有者の負担ということを考えると、情は別として、この費用は極力押えるべきではないか、こう考えるわけですがね。これは、いままでのことについて私ども云々するわけじゃありません。これから非常にこういうケースがふえるのではないか。また国民一般の考え方が、公共の福祉が優先するのだと言いながらも、まだまだ自分の財産を守りたいという気持ちは抜け切れません。おそらく、私が当該人になれば、より以上あらゆる手段を講じて反発するでしょう。また今度は、政治家としての立場から遠慮しなければならぬ面ができるかもわかりませんけれども、しかし、これはもう個人の意思というものは尊重しなければなりませんし、これはもうどういうように発展するかわかりません。したがって、いままでのケースというものを頭に置きながら、ものごと、この土地収用だとか代執行だとかいうことを考えるのじゃなくて、これからどうこの問題を、いわゆるその公共の、行政の需要というものを満たしていくために、いままでのネックになった問題をどう埋め合わせをしていくかという立場から、収用法の問題だとか、それから代執行の問題だとか、それから費用負担の問題だとかいうものをもう一度新たに見直していかなきゃならぬじゃないか、こういう意味で質問をるるやってみたわけです。ですから、そういう経験を持った当該人がこの質疑を傍聴してて、何か背中に真綿を置いてかゆい答弁、かゆいというか、もうほんとうに歯がゆいような質問なり答弁をやっているのじゃないかという声が、耳に響いてならぬわけです。したがって、私の趣旨というものを踏まえて、大臣、この問題一応区切りをつけたいと思うので、土地収用の問題あるいは収用委員会の問題、委員の問題、それからまたいまの代執行のあり方、経費の、費用負担の問題、これらをひっくるめて、大臣の所感を伺って、次の問題に入りたいと思います。
○国務大臣(金丸信君) いろいろ局長からも説明がありましたが、私は先ほど来申し上げておりますように、土地収用にしても代執行にいたしましても、こういうことをやったのではものごとをなし遂げることはでき得ない、あくまでもそういうことは避けるべきだと、そうしてこれからは一いままではそういうケースでやれたかもしれないけれども、今後はそういうケースではやれない、あくまでも話し合いで向こうの相手を尊重しながら、協力しながら、深い理解を持っていただきながらダム建設ができるような方向へ持っていくことが理想の姿だと、こう私は考えております。 また、負担経費等の問題につきましては十分検討さしていただきたいと思います。
○二宮文造君 そこで、問題かわりますけれども、たびたびこの委員会でも話題にもなりましたし、言わでものことかとも思いますけれども、総括的にお伺いする立場で、現在の水の需給の状況、将来を展望してその見通し、そういうものをあらまし御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(松村賢吉君) 水の需給の状況、それから将来の見通しについて申し上げます。 まず、私どものほうといたしまして、最近、全国の昭和六十年における水の需給の見通しにつきましてある程度作業を進めている段階でございまして、中間的の大体線が出ております。それによりますというと、昨年の十二月に建設省で推計いたしました新国土建設の長期構想、こういうものによります水の需要を想定いたしました。この想定の方法といたしましては、工業用水関係につきましては、極力反復利用ということを考えまして、単位当たりの水量を少なくしております。また水道用水、上水道、こういうものにつきましては、現在の生活文化の向上と申しますか、これにつきまして単位当たりの使用水量をふやしております。それで、全体の人口のバランス、あるいはこれの工業出荷額等につきましては、これは新国土建設の長期構想に基づいてやったものでございますけれども、おおむね分散を主とした考え方でおります。こういうことによりまして水の需要を想定いたしました。そういたしますと、全国の水の需要のうちの河川の依存分は、昭和四十五年に対して約一・七倍ぐらいに増大するものとなっております。それで、全国で昭和四十五年から約五百七十のダムをつくりまして、これをつくるとともに、そのほか河口ぜき、それから複数の河川を結んでの広域的な水の高度利用をはかります流況調整河川、こういうものの建設を進めまして水の需給をはかりますと、全体としてのバランスはとれる見込みになっております。ただし、地域的に見ますというと、非常に不足する地域が出てくる可能性があります。南関東地区、これは東京、千葉、神奈川この三県でございますが、こういうところでは約二十億トン毎年、それから京阪神地区では十三億トン毎年、それから北部九州では五億トン毎年というような不足量が出てくるわけでございます。 それで、これに対する対策といたしましては、さらに水の高度利用をはかること、それから水資源の開発をこれ以上さらに進めることも検討いたします。こういうようなこと、それからさらに根本的には、その長期構想におきます推計、これの見直しも必要かと思いますが、いずれにいたしましても、水の需要というものは、需給関係は、地域をとりますと非常に逼迫しているものが出てくるものと思われます。また特に最近の状況、これを見ますというと、現在では水不足関係がどうなっているか——いまのは将来の見通しでございますが、これを見ますというと、もしかりに渇水がくるといたしますと、全国で日量約七百万立法メートル程度の水不足が起こる可能性がございます。たとえば東京都の上水道に例をとってみますというと現在、日量約四百五十万立方メートルほどの取水を行なっておりますが、その大部分は利根川でございまして、その利根川分が日量約三百万立方メートルほど取っております。ところが、昨年の渇水時には需要量の最大は日量五百二十万立方メートルに達しております。したがいまして、約七十万立方メートルほどの不足が出ているわけでございました。それで、それはどうしたことかといいますというと、利根川の余裕水のあるときに暫定取水しているというようなこと、それから多摩川の小河内ダム等の有効利用等をはかったというようなことで切り抜けているわけでございます。こういうような暫定的な措置で切り抜けるわけでございますけれども、この暫定と申しますのは、暫定の水利権を一時的に付与しておきまして、ただし、この水利権内容といたしましては、渇水がくるというと水が不足することがある部分でございます。こういう部分につきましては、早急にやはり水源の手当てのついた正式の水利権に切りがえる必要がございます。 以上のように、現在におきましても水の不足は局部的には相当出ておりますし、さらに将来におきましても、ある地域におきましては、これの供給をはかるのは相当の決意が要るということでございます。
○二宮文造君 先ほど昭和六十年の、中間の推計とおっしゃいましたけれども、南関東、京阪神、北部九州、ここまでは伺いました。そのほかに水の不足を予想される地域として三カ所ほどこの資料にあげられておりますが、これをひとつ確認の意味でおっしゃっていただきたい。それからもう一つは、それに対応して供給に余裕のある主要地域、もちろん推計ですから、これは画然としたものじゃないでしょうけれども、一応このデータにあがった、それをひとつ補足してお願いしたい。
○政府委員(松村賢吉君) ただいま申し上げたほかに水の不足する地域、それにつきまして申し上げますと、まず、いわき郡山地区、これが約一億トン、それから備後地区一・五億トン、それから瀬戸内——四国でございますが、この地区が三億トン、その三地区が追加されるわけでございます。
○二宮文造君 それから、いまのところ、もう一枚めくられたら余裕のある地域が出ていますね。
○政府委量(松村賢吉君) 余裕のある地域を申し上げますというと、北海道、道央地区でございますが、約十億トン、それから新潟地区——東北で、これが五億トン、中京地区——東海で十一億トン、それから東海地区の同じく静岡東部地区で九億トン、それから中国の山陰地区で五億トンというような余裕がございます。
○二宮文造君 いま御説明をいただきますと、現在は非常に水飢饉といいますか、需給状況は逼迫していると、特に東京等の説明をいただきました。また昭和六十年を見通して、全国ではとんとんになるけれども、地域的には不足部分、それからまた余裕ある部分と、こういうふうに出て、それを埋め合わして大体とんとんというような推計を立てていらっしゃる。しかし、これを埋め合わすといっても、北海道の道央のものをどうやっていわきへ持ってくるのか、あるいは山陰の五億トン毎年を備後へあるいは四国のほうへどうやって持ってくるとか、これは非常にたいへんな問題になる。持ってくるということはとうてい不可能なことですから、結局、全国で集計すると需給バランスがとれるけれども、しかし地域別に見ますと、たいへんな水不足というものが出てくるわけですね。そこでいつも私、例として出すんですが、田中総理の日本列島改造論、これによりますと、「昭和六十年における膨大な水需要をまかなうためには、国土計画にもとづく水源の先行開発と整備をすすめなければならない。各河川の上流に大規模な多目的ダムを建設するとともに、中流や下流部に河口堰、河口湖をつくり、水を生みださなければならない。その場合、大規模な拠点ダムだけではなく、地方に必要な中規模以下のローカルダムも建設する。これらを合わせると、昭和六十年までに建設が必要なダムは全国で一千百ケ所以上にのぼる。」、こう列島改造論には述べております。また、いま河川局長の説明をいただいた昭和六十年の推計を立てる場合にも、ダムの建設を五百七十カ所と、まあ、どれだけの規模のダムか説明ありませんでしたけれぞも、五百七十カ所のダムというものを頭に置いて、そして需給というものが推計されておる、こういう状態になっておりますが、こういうダムの需要といいますか、列島改造論によれば、千百カ所以上、いまの推計によれば五百七十カ所、こういうふうな構想に、大臣はどんな御意見を持たれているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(金丸信君) 経済成長をしてまいりましたし、また著しい生活の向上というようなことで、水が非常に枯渇してきておるという現状から考えまして、また河川の治山治水というか、河川の保全という問題も非常に完備してきておるという状況から考えてみますと、その程度のダムをつくっても問題は起きないんじゃないかと、私はこういうように考えております。
○二宮文造君 それはたいへんな問題が起きるのではないかという心配も私は持っております。たとえば、これらのダムの建設にあたって、自然環境の保全にどう配慮していくか、あるいは国立公園とか国定公園とか、あるいは学術的に貴重な動植物の生育地、こういうようなものがこのダム建設予定地にある場合、建設をどうするのか。もちろん水没の地域住民のいろいろな考え方等も含んで、なかなか至難な問題だろうと思います。 そういうこと、また、いままでずっと質問をしてきたものを背景にしながら、いよいよ法案に入ってまいりたいと思うのですが、既設のダムの建設時における水没戸数それからその水没面積、水没農地面積、そういうようなのをランク別に分けて分類した場合に、どうなりましょうか。
○政府委員(松村賢吉君) この資料は、実は既設のダムのうち昭和三十八年度以降、昭和四十七年度までの最近十カ年に完成いたしましたダムをランク別に分けてみると次のようになります。まず、三十戸未満の水没戸数が直轄四、補助が三十三、合わせて三十七のダムでございます。それで三十から二百戸未満のものが、直轄十五、補助が十三、合わせて二十八、それから二百戸以上の水没のものが、直轄で四、補助で一、合わせて五ということになりまして、合計いたしますと、直轄二十三、補助四十七、合計七十のダムがございます。それを分類いたしますと、いまのようになります。 それでまた同じく今度は水没農地について比較してみますと、この七十のダムを同じように分類いたしますが、三十ヘクタール未満、これが直轄が九、補助が三十五、合わせて四十四でございます。それから三十ヘクタールから二百ヘクタール未満のもの、これが直轄が十二、それから補助が同じく十二、合わせて二十四、それから二百ヘクタール以上のものが直轄で二ダムでございます。 それから次に、貯水池面積について比較いたしてみますというと、百ヘクタール未満の貯水池面積でございます。これが直轄で二、補助で四十、合わせて四十二ダム、それから百ヘクタールから三百ヘクタール未満のもの、これが直轄が十三、補助が四、それから三百ヘクタールから五百ヘクタール未満のものが、直轄四の補助が三、それから五百ヘクタール以上のものが直轄四、補助がございません。 以上でございます。
○二宮文造君 そこで本法にいいます「指定ダム」「指定湖沼水位調節施設」を政令で指定する、その場合の指定の一定要件は、先ほど来、水没戸数三十戸以上と、また水没農地が三十ヘクタール以上と、こういうことで一応政令で指定をされるわけですが、この一定要件というものは何を基準にし、何を根拠にこういうことを考えられたのか、これを御説明願いたい。あわせて、先ほど来答弁がありまして、これは公団の方が何か考え方を御説明されておりましたけれども、私、思いますのは、一定要件に満たないところのダム建設についてこういうことでは支障が出るんじゃないか、だから、たとえ三十戸あるいは三十ヘクタール以下のものでも指定ダムに指定すべきではないかということを頭に置きながら前段の質問をするわけですけれども、御答弁いただきたい。
○政府委員(松村賢吉君) 指定ダムの指定基準は、先生もただいま申されましたように、水没する住家の数が三十戸、それから水没する農地の面積が三十ヘクタール、これを一応予定しているわけでございますが、これを予定いたしました理由といたしましては、端的に申し上げますと、水没戸数三十戸以上というものは最小の農業集落の平均的な住宅数が約三十戸、これは農業センサス等にもございますが、こういうものを平均いたしますと、この程度になる。こういう最小単位が水没するようなことになりますというと、やはり周囲に及ぼす影響というものは相当著しくなる、特別な対策をする必要があるのではないかということで、こういうふうにきめております。 なお、これに満たないようなダムでは影響がないかと、だいじょうぶかというお話でございますが、これにつきましては現行におきましても行政的な処置におきまして、公共事業というものはある程度進めることができるわけでございます。こういうものを活用することによって、これの対策は立て得るものと、その限界を三十戸ということで私どもは考えておるわけでございます。
○二宮文造君 ですから、一応そういうふうに三十戸、三十ヘクタールと、こうきめていますけれども、どなたかの質問でしたか、それ以下のものについても実情に照らして指定ダムにされる、それだけの幅は残しているわけでしょう、この点どうですか。
○政府委員(松村賢吉君) 一応この三十戸という線で各省と申しますか、政令で指定するダムは限定したいと思っております。ただし、これに漏れたようなダムにつきましても現行の必要な整備事業を利用いたしまして、必要があれば水源地域の開発、この法律でやるのと同等の効果があるように処置していきたいというふうに考えております。
○二宮文造君 それから第八条ですが、第八条に「(生活再建のための措置)」について規定されておりますが、法案によりますと、「その者の申出に基づき、協力して、当該生活再建のための措置のあっせんに努めるものとする。」、いわゆる本人の申し出主義、こういう立場をとっておられるようですが、国民はやはり冒頭にも言いましたように、法律には非常に暗いわけです。また行政のあり方というものにも暗いのですね。ですから、本人の申し出に基づき、この規定をそのまま読みますと、非常に生活再建の措置の規定の意味が消極的で、けさほどはあめというような話が出ておりましたけれども、何か地元民を納得させるための、何かこうごまかしと言ってもおかしいのですが、どうも消極的な立場に読めてしかたがないわけですが、この本人の、「その者の申出に基づき、」と、なぜこう規定をされたのか、むしろこれは当然のこととしてやるべきなんだと、こう規定をされたほうがよかったんじゃないか。より積極的な姿勢というものをせっかく水源地域対策特別措置法と訴えるからには、むしろ申し出があろうがなかろうが、その指定ダムについてはこうやっていくんだというふうな規定になさったほうがよかったんじゃないか。なぜこういうふうに「申出に基づき、」というようなことを一項入れられたのか、この事情を説明いただきたいと思います。
○政府委員(松村賢吉君) 生活再建と申しましてもいろいろとございます。これの選択権と申しますか、どういうふうにやろうかというのは水没する本人の意思次第ということでございまして、私どものほうでこれをつくりました趣旨といたしましては、この「(生活再建のための措置)」、これはどういうふうに希望するか、これを本人から申し出いただいて、これの生活再建のあっせんに努力したいということでございます。したがいまして、これは実際問題といたしましては、現地で補償のいろいろあれする際に相談の係とかあるいは相談所、こういうようなものを設けまして、その御相談に応じて申し出をする指導もしますし、申し出の措置も代行することもできます。実際の問題といたしましては、事実上といたしましては、これは申し出というよりはむしろ取り扱いとしてはこちらのほうで実施していくというふうに考えておるわけです。ただし、本人の希望と申しますか、意見を、その希望をよく聞きましてやりたいという趣旨で申し出によりというふうになっておるわけです。
○二宮文造君 どうもそう読めないんです。私はむしろ、これは確認の意味でも申し上げますが、「次に掲げる生活再建のための措置が実施されることを必要とするときは、協力して、当該生活再建のための措置を適切に講ずるように努めなけれだならない。」と、こういうふうに規定されるほうがいわゆる当該者の生活再建、そういう意味には積極的になるし、そういう表現をする法律の規定というものを地域住民は好感を持って迎えるんじゃないか。何だか本人のほうから申し出があれば、申し出があったらしかたがないからあっせんにつとめようかというようなこの案文ですね。でなくて、「当該生活再建のための措置を適切に講ずるように努めなければならない。」としても同じことなんです、趣旨は。どうせ本人の申し出に基づいてやってあげるわけでしょう、やらなきゃならないわけなんでしょう。この「努めるものとする。」ということと「努めなければならない。」ということでは地域住民の受ける感じは違う。内容はしかも私は同じだと思う。この点どうでしょうか。むしろ、私が質問した趣旨のものを含めてこういうふうに表現しているんですとお答えいただくんなら、それでもいいですがね。
○政府委員(川田陽吉君) 結論的に申しますと、先生のおっしゃるとおりの趣旨でございます。それをこういうふうに表現していると申しますか、私ども先ほど申し上げましたもののように、この生活再建というものは押しつけるというわけじゃない、やはり申し出に基づいて意見を聞いて、それに基づいてこちらは誠心誠意その措置をつとめようということでございますので、その精神においては先生の言われることとすっかり変わらないと思います。
○二宮文造君 押しつけるもんじゃない、本人の申し出に基づいてあっせんするもんだと、こうおっしゃいますがね。そのあとの項目ごらんになってごらんなさいよ。「宅地、開発して農地とすることが適当な土地その他の土地の取得に関すること。」、「住宅、店舗その他の建物の取得に関すること。」、「職業の紹介、指導又は訓練に関すること。」、「他に適当な土地がなかったため環境が著しく不良な土地に住居を移した場合における環境の整備に関すること。」、これは地域住民が当然望むことなんです。国のほうからあるいは地方公共団体のほうから押しつけるという性質のもんじゃない。そして、ことばじりをとるようでたいへん恐縮ですけれども、趣旨は私の申し上げた趣旨と同じだということにしては、この法律の案文がきわめて官僚的であり、天下り的な案文になっていることは私は納得がいかぬわけです。なぜ本人の「申出に基づき、」としなきゃならないのか、また「あっせんに努めるものとする。」という弱い表現にとどめているのか。趣旨が同じならば、これ変えたらどうですか。「その者の申出に基づき、」を取って、「必要とするときは、協力して、当該生活再建のための措置を適切に講ずるように努めなければならない。」、こうしたほうがよっぽどすっきりして、地域住民の方はこの一項目だけでも、なるほど法律の姿勢というものは変わってきたんだなと、協力を得られるいい表現になるじゃありませんか。どうでしょう。
○政府委員(川田陽吉君) ただいまも局長からお答え申し上げましたとおり、この法律の精神とか運用のあり方について私ども考えておりますことは、たびたび申し上げましたが、生活再建のための措置は物件の取得でありますとか、資金の融通でありますとか、いろいろ多岐にわたっております。また、その一々の措置を具体的にきめ、こまかく配慮して行なう必要もございますので、それぞれの方々の御希望を聞きまして、その希望に応じまして、関係者があっせんにつとめるという姿勢をこの表現で書いたわけでございますが、あえて「その者の申出に基づき」という表現を入れましたものは、そういった申し出のきっかけをここに表現したというつもりでございます。役所の側から当然やらなければならないことではありますけれども、やはり非常に各人の御希望とか、そういった問題をむしろ主眼点にとらえながら、こうした生活再建のための措置を講ずるという意味で、当事者の申し出に基づきという表現を入れた次第でございます。
○二宮文造君 ならば、この「申出に基づき、」というこの手続はどうするんですか。口頭でもいいんですか。
○政府委員(川田陽吉君) これはもちろん口頭でも全く支障ございません。何ら私ども要式行為を考えておりませんし、それからまた地区とのいろいろな説明会——本日の御審議におきましていろいろ従来の説明会等の運び方につきまして至らぬ点があったとの御指摘も十分いただいておりますし、また、われわれも用地担当者等こうした問題を重点にまず地元の方々といろいろなお話をしていかなければ、ダムの建設の話をスムーズに持っていけないという立場でおりますので、そうした人方と役所の事務所の職員との接触を通じて申し出があれば、それはもう当然の申し出であるというふうに解して、この法律を運用したいと思っております。
○二宮文造君 くどいようですがね、私が提案したように書き変えたら支障が起こりますか。「必要とするときは、協力して、当該生活再建のための措置を適切に講ずるように努めなければならない。」、こう書き変えたら差しつかえが起こりますか。また、もし他の法律との関係、そういうものに差しつかえがないとすれば、しかも趣旨が同じであれば、そう書き変えたほうがよりすっきりするんではないか。差しつかえがあるかどうか、あれば具体的にお伺いしたい。もう一つ、要式をおたくのほうでは要求してないということを頭に置きながらですよ。
○政府委員(川田陽吉君) 要式はもちろん私どもは必要といたしておりません。それからその「申出に基づき、」という表現をとっておりますのは、こうした生活再建のための措置についての先行的な条文でございます琵琶湖総合開発特別措置法等の例文というものを私ども念頭に置きまして、こういう表現を——また意味もそういう意味と解しましてこういう表現をとっているわけでございますから、関係条文との調整、すわりの問題とかいうことはあろうかと思います。
○二宮文造君 むしろ私は琵琶湖のその開発の法律、それよりもこれがもう一歩また先行した法案であるべきだと思うんです。だから、前の例文がどうだから、この重要な内容を持った水源地域対策特別措置法案が、前の例文を受けなければならぬということはないと思う。むしろこう表現したためにかえってマイナス面が出てくることを私は憂うるわけです。「あっせん」でしょう、できなきゃそれでいいわけですよ。いやならおまえ好きかってにしろと、これでもいいわけですよ。ところが、つとめなきゃならないとなりますと、やはり義務感が出てきます。それでも話が合わなければ別として、しかし地域住民にはある程度の納得というものはおかれるわけですよ。ですから、しろこう表現することがかえってマイナスを呼び、また地域住民の共感が得にくいんではないかということを、私、指摘することにとどめておきます。これはまた、同僚の皆さんもおそらく指摘される問題ではないかと思いますし、また、これは終わったということにしないで、一応ここでそういう意図を含めて、次の問題に入りたいと思います。 整備事業における国の負担または補助の割合の特例、いわゆるそのかさ上げが適用される場合の条件を政令で定めるようになっておりますが、これはたしか、けさほどのお話では水没戸数二百戸以上、それから水没農地が二百ヘクタール以上、二都道府を受益させる場合は水没戸数が百戸以上、水没農地が百ヘクタール以上と、こうなっておりますが、こうなりますと、その水没戸数三十戸以上、水没農地三十ヘクタール以上が指定される、で、整備計画がつくられる、しかし公共事業が優先的にそれによって位置づけられるけれども、必ずしもその場合は補助率がかさ上げされない、こういうことになるんでしょうか。
○政府委員(松村賢吉君) 三十戸以上のものの指定ダムにつきましては、先生のおっしゃるとおり、公共事業が優先的につけられるということはございますが、補助率は一般と変わっておりません。それから、二百戸以上、二府県にまたがるものについては百戸以上でございますが、これにつきましては補助率の特例措置としてかさ上げを考えております。
○二宮文造君 そうしますと、整備計画がつくられると、しかし二百戸以上あるいは二百ヘクタール以上、二都道府県の場合は百戸と、こういうふうな分からかさ上げが適用されるということになりますと、それに満たない分はやっぱり何らかの措置が必要になりはしませんか、そのかさ上げに満たない部分は。
○政府委員(松村賢吉君) かさ上げにならないダムについては補助率アップがないので、それにかわるべき何らかの措置が必要じゃないかという御質問かと思いますが、私どもこの法律を検討いたした際におきまして、この二百戸以上あるいはまた二府県にまたがるもの百戸以上というものにつきまして、かさ上げをいたします趣旨といたしましては、こういうダムになりますと、整備計画事業そのものが相当多くなる。したがいまして、これの関係する地方公共団体等の財政等の問題もあり、これは特例としてかさ上げをする必要があろうということで、それ以下につきましては、それの影響が二百戸以上のものに比べると少ない。したがいまして、特にかさ上げをやって調整をする必要までは至らないのではないかという考え方でございます。
○二宮文造君 指定ダムにするのでしょう、指定ダムにする。しかも、それが国というもの全体の必要性からそういうふうな水没地にされる、しかも、そこには法の明文によって整備計画をつくれということになっていて、しかも、その二百戸以上、そういう特定の要件を満たさないから国の費用負担のかさ上げをしないということでは、ちょっと、何かこう仏つくって魂入れずというような感じが私はしてならぬわけですがね。そんなに必要がないからとおっしゃいますけれども、必要があるからこそ指定ダムにし、しかも、その整備計画をつくらせるわけでしょう。それならば、当然指定ダムにして、整備計画をつくるならかさ上げの規定を適用してもいいんじゃないかという気がするんですが、くどいようですが、もういっぺん、それは私に納得いけるように説明していたたけませんか。
○政府委員(松村賢吉君) かさ上げの理由といたしましては、水源地域が受ける影響が特に著しいダムについては、整備事業の量も相当に多くなりまして、地元地方公共団体の財政を圧迫するおそれがあるということを申し上げましたが、そういう理由でございます。しかし、このかさ上げがないからといって、指定ダムにすることによってのメリットというものは相当あると思います。その一つは、ダムは一般的にいきまして山間地にあるために、公共施設の整備というのは、どうしてもおくれがちになっております。これを本法によりまして、水源地域整備計画を決定し整備事業を行なうことによって、集中的に公共施設の整備がはかられると、これが一番のメリットかと思います。しかも第二といたしまして、整備事業に要する費用について、受益地の下流地方公共団体等にその一部を負担させる——これは協議でございますが、負担させることができるようになっております。こういうようなことによりまして、また、そのほか、国の普通財産の譲渡等についても配慮されるというようなこともあり、また、地方債の発行について適切な配慮がとれるということもございます。こういうようなことで、指定ダムにすることによってのメリットというものは相当ある。また、そのかさ上げすることのメリットというものは、さらに、それに加わって一部あることでございますが、かさ上げがないということのメリットは全然ないわけではない、相当大きなメリットがこれにあるということで、一段の区別をいたしまして、ダムの規模、それから影響の程度によりまして二種類に分けたということでございます。
○二宮文造君 おっしゃることはわかります。事業規模が大きくなるから地方団体の負担が大きいということで、かさ上げをするということはわかりますけれども、しかし、どうも、私、メリットは伺いました、メリットを伺ったけれども、かさ上げのメリットのほうが、どんぴしゃり地方公共団体には大きいわけですから、この点は生き別れのまま、すれ違いのまま次に進めたいと思います。 整備計画の、今度は実施年限ですが、法文上には何らの規定がありません。たとえばダムの建設時までとか、あるいはダムの建設後一年以内に実施するとか、そういうような歯どめがなくてはならぬのではないかと、このように思うんですが、その点はどうお考えでしょうか。
○政府委員(松村賢吉君) 整備事業は、本来の意味からいきますというと、ダム等の建設によりましてその周辺の地域が影響を受ける、これをなくするようにするということが目的でございますので、ダムの完成までにこの整備事業というものも完成させるというのが本来の姿だと思います。しかし、その整備事業の内容におきましては非常に大規模なものもございまして、ダムの完成までには、これは計画上できないという種類のものも相当あります。こういうような関係から、特にここでは整備事業の工期というものは法文上では明記しておりません。しかし水源地域整備計画におきまして、その整備計画を立てる際においては予定工期を書くことにしております。
○二宮文造君 じゃ、その明文の規定がなければ整備計画は流れてしまうという心配はありませんか。なければ、どういう趣旨でそれがないと読めるんですか。いわゆるその歯どめがなければ、歯どめがなくても整備計画がそのまま実現するという保証はどこにあるんですか。
○政府委員(松村賢吉君) ダムが指定されますと、これにつきましては責任を持って関係各省と打ち合わせいたしまして整備計画をつくるということで、これが流れるということは私ども考えておりません。
○二宮文造君 珍しく明快な御答弁でした。往々にしてそういうことがあるんです。うんとおくれるとか、そして地域住民に非常に迷惑をかける。ですから、私は、要するに局長の答弁は、そのダムの完成時までに整備計画というものは本来でき上がるべきものだと、ただしその種類によっては、ある程度ずれる場合もあるけれども、その整備計画は必ず実現するものだと、また、させなければならぬと、こういう確約があったと、こう推して次に進みますが、第十条です。「国は、整備事業の用に供するため必要があると認めるときは、その事業に係る経費を負担する地方公共団体に対し普通財産を譲渡することができる。」、こういう規定がありますが、法文がありますが、この整備事業の用に供するための普通財産の譲渡価格、これは一体、時価を基準にするのか、あるいは時価以下を基準にして譲渡されるのか、この辺はどうでしょよう。
○政府委員(松村賢吉君) 譲渡価格については宅地造成用地については時価でございます。しかし他の整備事業の用地は国有財産特別措置法等、他の法令に規定がございまして、無償もしくは時価より低い価格で譲渡されたり、あるいは無償で貸し付けを受けられることになっております。
○二宮文造君 大蔵省のほうにお伺いしたいんですが、そのダム建設という、もう先ほど来お聞き及びのように、実に国家的な要請ですね、この国家的要請によって、しかも水源地域の整備事業が必要だと、こういう趣旨から考えてまいりますならば、整備事業に要するそういう国の普通財産、それは無償かないしは時価以下でそれを譲渡すべきであると私どもは考えるわけです、性質上。基本的な大蔵省当局の考え方をお伺いしたいと思います。
○説明員(藤原重信君) 私ども国有財産につきましては、それぞれの公用、公共用を優先的に使うという前提で運用しているわけでございますが、それぞれの公用、公共用、その事業の内容に応じまして無償譲渡あるいは無償貸し付けあるいは減額貸し付けの規定——国有財産は国有財産特別措置法あるいはそれぞれの特別法の規定がございまして、そういう重要な事業については、それぞれの事業の性質に応じまして無償なり減額の措置を講ずるということでやっております。
○二宮文造君 これはもうくどいですから繰り返しませんけれども、事の重要性から考えます場合は「普通財産を譲渡することができる。」というような表現ではなくて、むしろもっと端的に、大体「必要があると認めるとき」でしょう、だから「必要性があると認めるとき」は歯どめが必要だと思います。やはり「政令の定めるところにより」と入れて、そして「その普通財産を無償または時価より低い価格で」、こういうふうにはっきりと書いたほうがいいんじゃないか。法文にそういうふうに的確に表現されていますと、地方公共団体は、まあ、いわば大手を振ってとまではいきませんけれども、地方公共団体の既得権益として折衝することができます。ところが「普通財産を譲渡することができる。」という表現ですと、時価になるのか、無償になるのか、あるいは時価以下になるのか、時価以下といってもそれがどの割合になるのか、要するに、いま一番に問題になっております陳情合戦、それにいきなりつながっていくような表現になると、私は心配なわけです。ですから、むしろ政令にゆだねるならゆだねて、その政令の範囲内でという歯どめをしながら、その場合は無償だと、この場合には時価より低い価格だと、こういうふうに表現しておくほうが、この水源地域対策特別措置法という法律のたてまえから見れば的確な表現ではないかと思うんです。具体的に、もういまも局長から答弁があったように、ある場合は無償でしょう、ある場合は無償で貸し付ける、ある場合は時価より低い価格でと、こう頭に置いているわけです。それならばそれで、ここにちゃんと明文にあらわしておいたほうがいいんではないか、こう思いますが、大蔵省お考えどうですか。
○説明員(藤原重信君) 繰り返しになって恐縮でございますが、「譲渡することができる。」という規定になっておるわけでございますけれども、これは決して何も時価で譲渡するということを意味しているわけではございませんで、それぞれの事業、たとえば下水道でしたら無償という規定が下水道法にございます。それから義務教育の場合、たとえば五割減額というような規定が国有財産特別措置法にございます。法律の明文で書いてあるわけです。したがいまして、当然そういう事業に応じまいて、そういう法文の規定によりまして無償なり減額なり当然なるわけでございまして、この十条で「譲渡する」と、これには書いてないから時価で売るということは決して考えておるわけではございません。このことは、国有財産法あるいはその関連の法律の中で、それぞれ明文の規定で、どういう場合にどういうふうに減額する、あるいは無償にするということが書いてございますので、地方団体等がその水源整備の場合に無償にしてもらえるのか、あるいは時価になるのだろうかというふうにお迷いになる御心配はないのじゃないかと思っておるわけでございます。それから先ほど申しました公用、公共用に優先的に普通財産、国有財産を使うというのが私どもの現在方針でありまして、ことに、こういう十条の規定等ございまして、こういう重大な事業につきましては優先的に御協力していくという姿勢を示していると、このように考えております。
○二宮文造君 国有財産の譲渡の規定がある、だから、それを適用していけば何ら差しつかえがないという大蔵省側の御答弁ですけれども、実際は地方公共団体の場合、これは水源地じゃありません、ダムじゃありませんけれども、国有地いわゆる普通財産の譲渡をめぐって非常にトラブルがあること御承知ですか。たとえば大分市に自衛隊のあと地がありまして、町のまん中にあった自衛隊のあと地、これを大分は市が提供しまして、それで移ってもらった。さて、そのあと地です。公園にしたい。公園にしたいというけれども、自衛隊の立場としては、もう建てかえの建物の金額までここにかぶせたいということで時価を要求する。だから国有財産の譲渡についても明文の規定はあるけれども、ケース・バイ・ケースでいろいろな適用のしかたがあって、要するに陳情合戦の種になっていることはあなたも御承知だろうと思うんです。事が水源地域対策という、しかも特別措置法という名前をつけて、これからの需要に対してこたえていこうというわけでしょう。しかも地域住民の方が本来なら手渡したくないものを、まあ田中委員はあめと、こう表現しましたけれども、私もそういう感じがしないでもありません。より推進するためにこういう特別措置法をおつくりになったと。ならば、そういうこの法律を提案される趣旨から考えてみれば、いや従来の規定があるからそれに基づいていけばいいんだということだけでなくて、やっぱりここに明文の規定を置いておいたほうがこの法律が生きるんじゃありませんか。また、これは河川局長、お伺いしますが、いまの大蔵省の答弁で、この当該の普通財産の譲渡を受ける場合にトラブルが起きませんか。むしろ、私が言うように、政令に定めるところによりという歯どめを置いて、しかも無償とか、あるいは時価より低い価格とかというように書いたほうが、むしろこの条文が生きるんじゃないか、こう思うんですが、提案者のほうからの感想をお伺いしたい。全くトラブルがなければないでもけっこうです。
○政府委員(松村賢吉君) この問題につきまして次長から答えさせます。
○政府委員(川田陽吉君) 先生の御趣旨は私どももよく御理解できるわけでございますが、要は国有財産特別措置法の体系の法律の条文そのものないしは政令でこういったものを、まあ、ほかにもいろいろ特別の措置を規定した第十条のような条文を持っている法律、たとえば琵琶湖総合開発特別措置法でございますとか、いろいろの類似法律があるわけでございますが、そうしたものを、それぞれの単独の法律で特例の手続等を政令で書くというほうが体系としていいのか、あるいは国有財産特別措置法の体系の中で一括してしるしたほうがいいかという一つのていさい上の問題もございますが、要は、こういった特別の措置法によって国の普通財産の譲渡適格性というものをはっきりと条文で書いたということにおきまして、国有財産当局の方が十分認識して、こうした優先譲渡というようなことについて配慮していただけるものと私どもは考えております。
○二宮文造君 やっぱり大臣、これは縦割り行政の悲劇ですね。そこで、大臣の決意をお伺いしたいんですがね、くどく言いません。地方公共団体の財政を考慮しまして、この問題について大蔵大臣と協議をして、そして地方公共団体の負担の軽減、これはやっぱり建設大臣としてはかるべきだと思うんです。そして、それは確かに国有財産の運用の規定はあります。ありますけれども、この法律の趣旨というものを考えて、ぜひそれだけの努力を大臣されるべきじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(金丸信君) 先生のお話を承りまして十分わかりました。大蔵大臣と十分話し合いをいたしたいと思います。
○二宮文造君 それから先ほどちょっと局長がおっしゃいました利水者負担の割合ですね、これをどうするか、考え方をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(松村賢吉君) 整備事業のうち下流受益者が負担するもの、これにつきましては、受益者相互間においてそれぞれ受益の度合いに応じましてその負担割合をきめることになっております。それで、この場合、きめる場合、地方公共団体にあってはその財政の負担能力、それから水道、工業用水、発電各事業者にあっては公益事業それから公営企業として持ついろいろな特性、こういうものを十分考慮してきめることにしております。それで、具体的には現在各省協議いたしまして、これの準則をつくるよう検討作業中でございます。
○二宮文造君 ちょっと一、二問飛ばしますけれども、ダム施設所在市町村開発振興措置促進協議会、こういう団体から要望書が私のところに届いておりますが、それによりますと、「ダムに係る固定資産のうち、水道事業及び工業用水道の用に供する部分について、固定資産税の課税対象あるいは国有資産等所在市町村交付金の交付対象とするよう所要の措置を講」じられたい、こういう要望が出ておりますけれども、この点について建設省はどう考えておられますか。
○政府委員(松村賢吉君) ダムに対する固定資産税のうち水道事業及び工業用水道事業の用に供する部分、これを国有固定資産等所在市町村交付金の交付対象とするように建設省といたしましては積極的に処置をしたいと思っております。ただし、これは公共料金等の関係も考慮すべきという各省関係のいろいろ意見もございまして、関係各省と、これは積極的に話を進めていきたいと思います。
○二宮文造君 自治省の考え方どうでしょう。
○政府委員(山下稔君) 現在すでに地方公共団体所有のダムの水道及び工業用水道施設に対しましては交付金の対象になっております。ただ、それ以外のダムにかかわります水道、工業用水道施設については、現在、固定資産税あるいは交付金の対象となっておりません。そこで、その点につきましては、私どもといたしましても、地元市町村の財政対策上、固定資産税を課税し、あるいは交付金を交付するということについては十分検討すべき問題であるというふうに理解をいたしております。ただ、ただいま建設省からもお答えがございましたように、公共料金への影響もあるという意見が一部にございますので、関係各省と意見の統一をはかって今後引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○二宮文造君 ずいぶん長い間時間をいただいたわけですが、とにかく現行では水没者への金銭補償とそれから公共施設への公共補償で片づけられている。しかし今度は、生活面への配慮あるいは産業基盤整備への措置が行なわれようとするわけですが、ダムに限らず、こういう問題、これに類するものは他の公共事業にもあるわけです。したがって、それらとの関連について大臣の所見を伺いたいこと。 それからもう一点は、この法案が提案された背景というものは、先ほどから申し上げておりますように、今日あるいは将来に対する水不足、これが深刻だという状況の中からこの問題に取り組むことが出てきたわけです。そのような観点から現在の治水ダム制度について再検討する必要があるのではないか、このようにも考えますが、以上二点、大臣の所見を伺って私の質問を終わりにしたいと思います。
○国務大臣(金丸信君) この法律に対する措置ばかりでなくて、ほかの公共事業推進の上にもこういう問題がいろいろ出てくると思うわけでございます。私は、そういう問題につきましては、今後地域住民の福祉を考え、また一つの目的を達成するためには、深い理解を得るためにも、十分な施策を講じなければならない。そういう意味で、事この問題ばかりでなくて、今後こういう問題につきましても格段な配慮をするような努力をしていきたいと、こんなように考えておるわけでございます。
○政府委員(松村賢吉君) 現在の深刻な水不足の状態から、治水ダムについても再検討をしたらどうかということにつきまして、また最近の出水状況から見ましても、水資源開発と同様に、ダムの洪水調節ということは強くいわれております。そして治水の安全度を高める必要があるということも事実でございますので、治水ダムによる洪水調節ということも場所によっては考えなければならぬと思います。しかし、ダムサイトも限定されておりますので、この治水ダムのダムサイトが多目的ダムとして利水にも利用できるというところでございましたら、できるだけ多目的ダムとして推進していきたいというふうに考えております。
○委員長(沢田政治君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十三分散会