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71回国会参議院1973/06/19

外務委員会 第13号

発言数
70
登壇者
9
会派数
3
開催日
1973/06/19

会議録

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件  電離放射線からの労働者の保護に関する条約第百十五号の締結について承認を求めるの件  機械の防護に関する条約(第百十九号)の締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)  以上三件を便宜一括して議題といたします。  本件につきましては、前回の委員会において趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言願います。

小谷守日本社会党

○小谷守君 ILO条約に対する政府の基本姿勢について労働大臣にお伺いしたいと思います。  ILO憲章によりますと、加盟国は、労働条件を公表することによって人権を擁護するということを守る義務を負うものである、こういうことに相なっておりますが、日本は今日主要産業国の一員として加盟が認められ、文字どおりILOのリーディングメンバーの地位にあるわけでありますが、労働大臣はどのような基本態度を持っておられますか。この機会にお伺いをしたいと思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) お説のとおり、わが国は、ILOの重要メンバーであり、また、常任理事国でもありますので、いまお話しのように、労働者の労働条件の改善、社会性と世界の平和を確立すると、こういうような憲章並びにいわゆるフィラデルフィアの宣言等を大いに尊重いたしまして、積極的に協力してまいる政府の所存であります。

小谷守日本社会党

○小谷守君 ILO関係の条約の批准がたいへん渋滞しているように思うのでありますが、実情はいかがでございますか。今日、ILO加盟国は百二十三カ国であって、その中で日本は主要産業国十カ国の中に加えられ、常任理事国である。しかし、条約の批准数は二十九件であり、インドに次ぐ六十二番目ということでありますが、私はたいへん遺憾であり、不名誉であるだけでなく、憲法に背中を向けた姿勢ではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) ILO条約は全部で百三十六でございまして、わが国の批准済みの条約は現在まで二十九でございますので、未批准条約は百七あることになるわけでございます。ただ、百七の中には、非本土地域、いわゆる植民地関係の条約というように、わが国にとって関係のない条約もございますし、また、改正条約の発効によって批准の対象でなくなったもの、あるいは採択後非常に長い年月がたちまして、内容が陳腐化したものというようなものがございまして、ILO当局でも整理を必要とするということを言っておるわけでございますが、そういったものが約四十二と考えられます。したがって、わが国が現在批准の対象と、これから批准の対象と考えられる条約は六十五でございます。しかしながら、いずれにしても六十五という条約がまだ未批准でございまして、その点は私どもとしては今後、ただいま先生の御主張のようなたてまえで批准につとめなければならないと思っておりますけれども、ILO条約は国情が異なるたくさんの加盟国を対象にいたしますところから、一般的、原則的な事項を定めている、そういう非常に簡単なものと、それからまた、労働条件の国際的基準を定めるという観点から非常に詳細、具体的な事項を定めているいろんなものがございます。それに対応するわが国の国内法令が技術的な点、あるいは細目的な点で若干合わないために条約が批准できないというようなこともございます。しかしながら、今後、ただいま大臣から申し上げましたように、今回も二条約の批准をお願いいたしておりますが、今後とも批准につとめてまいりたいという考えでございます。

小谷守日本社会党

○小谷守君 憲法の前文を読みますというと、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、壓迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる國際社會において、名譽ある地位を占めたいと思ふ。」。また、憲法九十八条には、「確立された國際法規は、これを誠實に遵守することを必要とする。」、こう述べられております。大臣、あなた方のILOに対する姿勢は、この憲法に忠実でない姿勢であると、こう申し上げざるを得ませんが、お考えはどうですか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) まあ、わが国の労働条件について、並びに水準は、相当国際的にあまり遜色ないと思いますが、憲法のいま九十八条の問題もありましたが、十分今後とも意を体して、ILOのいろいろな、いま批准の問題もお話がありましたが、批准に積極的に努力いたして、憲法の趣旨も大いに尊重するような方向にいっております。まあいろいろILOの批准の数が少ないとか、いろいろなお説もありますけれども、日本としては国内の法規をまず整備してそれから批准に進んでいくと、こういうような方針でありますので、今後とも国際水準に到達するように、できるだけ前向きで対処いたします。

小谷守日本社会党

○小谷守君 四年前のILO五十周年に際し、加盟各国に対してILOの基本問題の十七条約について批准してもらいたいという勧告があったのでありますが、これらはいずれも基本的人権に関する条約であると承知いたしますが、日本はこのうち七条約だけを批准して、残りの十条約に対しては一体どうしようとされるのでございますか。この主要条約の中身と、そして批准をちゅうちょしておる理由、これをひとつ局長からでけっこうでございますから、詳細に御説明を願いたいと思います。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) ILOは、創立五十周年に当たります一九六九年に、ただいま御指摘のありましたように、主要な十七条約につきまして加盟各国に対して現況報告の提出を求めてきたわけでございます。この十七条約は、通常ILOの基本条約というふうに呼ばれているわけでございますが、この十七条約のうち七条約はわが国もすでに批准をしております。残り十ということになるわけですが、実はこの残りの十のうち百十七号条約という、社会政策に関する条約というのがございます。これは、いわゆる非本土地域関係の条約でございますので、わが国の直接の対象になるものではございませんので、残りは九つの条約になるわけでございます。  そこで、それぞれにつきまして批准できない理由を申し上げたいと思いますが、基本的には、先ほど大臣からもお答えをいたしましたように、昭和二十八年の閣議決定で、わが国の場合はILO条約を批准いたします前に関係の立法を行ないまして、抵触する部分については立法する、あるいは改正をいたしまして、そうしてILO条約の批准をする、こういう方針を立てておるわけでございまして、したがいまして、現行の法制等に抵触するという部分があるものにつきましては、現段階で批准ができないということが多いわけでございます。  そこで、十七条約の残りの九のうち、一つは最低年齢条約という五十九号というのがございます。これは十五歳未満の児童を工業的企業において使用してはならないということを規定したものでございますが、この原則は、御承知のように、わが国の労働基準法でもきちっと実現をしておりますが、ごく細部につきまして、たとえば同居の親族のみを使用する事業というものは基準法は適用いたしておりません。これが条約では除外されていないというような、そういうきわめてこまかい技術的な理由で抵触をするということになっております。あるいは賃金保護条約、九十五号、あるいは最低賃金決定制度の農業条約、農業の最低賃金、九十九号、こういうものも賃金の現物給与の規定が若干食い違うというようなことでございまして、主としてその辺のところは労働基準法の規定と若干抵触するというような点が問題になっております。  それから母性保護条約というのがございますが、これは百三号でございますけれども、これは産前産後の休暇につきまして規定をする条約でございますが、これも労働基準法では原則的には条約の趣旨を実現しておるわけでございますが、たとえば産後の休暇につきまして、条約は六週間といっておりますが、わが国の場合には、本人が請求し、医師が支障がないと認めたときは、五週間でも認められるという、これまたそういうこまかい技術的な点で抵触をするというようなことがございます。  それから百十一号という差別待遇に関する条約というのがございますが、これも、趣旨は労働基準法等で実現をいたしておるのでございますけれども、たとえば皮膚の色によって差別してはならない、あるいは国民的出身によって差別してはならないというようなのが条約の要請するところでございますが、わが国ではどうも皮膚の色という観念があまりございませんので、基準法では特に取り立ててそれを禁止いたしておらないというような理由で批准ができないというように、それぞれ基準法のこまかい点に抵触するということが多いのでございます。それらにつきましては、基準法につきましては、ただいま労働基準法研究会というようなものを設けまして、労働基準法ができましてから相当日にちも経っておりますので、いろいろ検討を行なっております。今後そういう検討の中でこの条約批准の問題もあわせてわれわれとしては検討を進めなければならないと思っておるわけでございます。  それからなお、未批准の中で大きな問題、大きな条約といたしましては、社会保障に関する条約、百二号というのがございます。これは社会保障に関する国際基準を定めておりますけれども、たくさんの部門がございまして、条約も全部門を満足しなければいけないということじゃなくて、九部門のうち三部門が条約に適しておれば批准できる、こういう内容になっております。実は、率直に申し上げまして、わが国ではすでに九部門のうち疾病、失業、老齢及び業務災害の四部門につきましては条約の要請を満たしておりますが、ただいまでも批准できるわけでございますが、社会保障につきましては、いろいろ基本的な問題もございますので、厚生省を中心になお慎重に検討いたしたい。ただこの問題につきましては、すでに齋藤厚生大臣が衆参の予算委員会で積極的に検討したいという非常に前向きの御答弁をなさっておりますので、労働省としては、厚生省その他関係省の合意が得られれば、私どもとしては批准を進めてまいりたいと考えておる条約でございます。  それから強制労働の廃止に関する条約百五号というのがございますが、これは実は政治的な見解を抱いたことなどに対する制裁、労働規律の手段及び同盟罷業に参加したことなどに対する制裁としての強制労働、懲役刑を含むこれの即時完全廃止をなすべきことという規定でございますが、これらにつきましては、わが国の場合には主として公務員法の関係におきまして、同盟罷業に参加したことに対する制裁というようなものの懲役刑の規定等がございまして、現状ではこれを批准することができないというようなことでございます。いろいろございますが、大体さような点がそれぞれ触れるということでございます。

小谷守日本社会党

○小谷守君 いま日本はGNP世界の第三位、経済大国であるとうぬぼれておるわけでありますが、しかしILO条約が取り上げておるところの国際公正労働基準、最低の基準に背中を向けて経済の成長をはかっているところに国際不信があることはいなめない事実であります。すなわち、日本の経済成長は劣悪な労働条件、劣悪な社会保障、また、公害たれ流しの上に成り立っていると非難されるゆえんであります。ILO条約の批准をさぼっている姿は、国際公正労働基準を無視したソシアルダンピングで日本の輸出がはかられておるという非難を正当化させる根拠に相なっておると思いますが、大臣の御所見はいかがですか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) 先ほどの御質問でもちょっとお答えいたしましたが、いまお話しのように、日本の経済は大いに成長した、これは労働者のいろいろな賃金なり労働条件の粗悪のためだという御説、いろいろ考慮しなくちゃならない問題もありますが、ILOの問題に対しましては条約数が少ない。これが国際的競争原理、ソシアルダンピングを行なっているというそしりのあることは私も聞いておりますが、労働条件が必ずしも国際的に見て遜色があるとは政府は考えておりません。政府としても、今後ILO条約の批准については、先ほど政府委員からも答弁がありましたように、基本の十七条約の批准も、まだ基本条約も残っておる問題がある、こういう問題に対しましては、今後、先ほどから申し上げましたように、国内法の整備とともに、積極的にこれを検討し、そして国内のいろいろな法令を検討した上、積極的にこれが批准に邁進する所存であります。今後とも、決して各国の非難のないような方向に対処する政府の方針であります。

小谷守日本社会党

○小谷守君 ILO条約の中で労働時間、休日、休暇に関しますものが十四件ありますが、日本はこれを全然批准をしておりません。大臣、これは主要産業国としてたいへんはずかしいことではありませんか。批准できない理由はどういう点でございますか。また、今後どうされますか。特に伺いたいのは第一号条約であります。第一号条約は一九一九年の採択でございますから、五十四年前に採択されたものであります。五十四年前の条約が今日に至るも批准されないということは、半世紀の間も日本の労働者の労働条件は劣悪のまま放置されていたということであります。まことに残念であります。大臣は、このような現状をどう認識し、どう対処されるか、しっかりとひとつ伺いたい。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) 基準法で一日八時間、一週四十八時間の原則を規定いたしておる関係もありますが、いま御指摘のように、第一号工業的企業の労働時間を扱っておるILO第一号条約、また三十号条約、これは一日八時間、四十八時間の原則は労働基準法においても実現されておるのでありますが、時間外の労働などの例外ができておるので、これと一号、三十号が、矛盾いたしますので、基準法の研究会などでこの点をいま研究いたしておりますが、できるだけこの一号、三十号の条約の批准にも、相違点を改善するように、学識経験者を網羅いたしまして目下検討中であります。詳細につきましては、政府委員より補足説明をいたさせます。

渡邊健二労働省労働基準局長

○政府委員(渡邊健二君) ただいま大臣から御答弁ございましたように、第一号条約、すなわち、「工業的企業に於ける労働時間を一日八時間且一週四十八時間に制限する条約」、それから三十号の、「商業及事務所に於ける労働時間の規律に関する条約」等は、一日八時間、週四十八時間という原則で、その点につきましては、わが国の基準法はその原則に合っているわけでございます。ただ、時間外労働につきましては、これらの条約は例外的な場合に限定をいたしておりますが、日本の基準法におきましては、過半数の労働者の代表と時間外協定を結びますと、普通の成年男子の場合には時間外労働が制限されずに行なえることに相なっておるわけでございまして、そういう点が、それらの条約とわが国の基準法を中心といたします法制との間に食い違いができておる点でございます。  そのほかの労働時間関係の諸条約について申し上げますと、四十三号の板ガラス工場における労働時間に関する条約につきましては、条約が一週四十二時間という原則になっております。それから四十六号の炭坑における労働時間条約におきましては、一日七時間四十五分という原則になっております。それから四十七号の、「労働時間を一週四十時間に短縮することに関する条約」、これは文字どおり一週四十時間の原則を採用することを内容といたしております。それから四十九号のガラスびん工場における労働時間条約も、一週四十二時間、五十一号の公共事業に関する労働時間条約も一週四十時間労働の原則、それから六十一号の繊維工業における労働時間条約も原則週四十時間、それから六十七号の路面運送における労働時間条約等におきましては、労働時間は、一日八時間、週四十八時間でございますが、継続操縦時間を五時間というように規定しているといったような点がございまして、それらの点がわが国の現行基準法とマッチせず、そのために直ちに批准することはできない状況になっております。

小谷守日本社会党

○小谷守君 超過勤務手当を加えなければ一人前の生活ができないような労働者の処遇に問題があると思うのでありますが、そこで、何としても大臣、この一号条約だけは、これは急がなけりゃならぬと思います。こんな恥ずかしいことじゃ困ると思います。世界に向かって日本はエコノミックアニマルではない、ソシアルダンピングはやってないということであるならば、そのあかしを立てる意味においても、ぜひ一号条約の批准を急ぐべきであると思います。いま伺いますというと、若干さまつな点において、基準法と抵触する点があるようでありますが、これは決定的な批准阻害の要因であるとお考えになるのか。私は基準法の改正問題はあとでまとめて伺いたいと思うのでありますけれども、五十四年間もこれ、日本はILOではこれは出戻りで加盟しておるわけでありますけれども、ILO機構のこれ第一回に採択された条約です。これについて批准をちゅうちょしておるということは、国民も納得しないし、国際的にもこれは了解のできぬことじゃないでしょうか。大臣としては、ほかにいろいろありますけれども、まず第一号条約だけは何としてもこれは批准をするという決意で御苦労願わなければならぬと思いますが、御決意のほどはいかがでございますか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) まあこれは名前も一号でありまして、当然これに対しても大いに前進しなくちゃならぬと思います。ただ原則の一日八時間、四十八時間という問題は、これは合致いたしておるのでありますが、例外は一つも認めないというところが国内の基準法との関係も、御承知のような関係でありますので、これはあとでまたお話があるそうでありますから、そのときにお答えいたしますけれども、やはり基準法の改正の問題もこれは検討しなくちゃならぬ。諸外国の例を見ますと、主要な、まだ一号を批准しておらない国、これも米国、西ドイツ、日本、ソ連、英国と、いわゆる世界でいう先進国もまだ批准いたしておらない関係、といって、米国なり西ドイツなり、ソ連、イギリスがやらぬから日本がやらないというわけではありません。そういう意味で、今後この問題に対しましても、お説のとおり、十分これは条約を批准するような方向に持っていきたい。しかし、例外は一つも認めないというのでは、現状の日本の労使関係の意見もまとまっておりませんし、この点がなかなか難点でありますので、慎重にこれはまた、ただ慎重だけでなく、今後十分御趣旨を体して、たださっそく独自の見解でやれという御意見もあると思いますけれども、基準法の研究会でこの点も、四十六年に時間の問題も出ましたが、いまこの問題を特に研究いたしておりますので、今後御趣旨をよく体して、労働省としてもこれに対処いたしますことをお話し申し上げまして、いまさっそく例外時間をもうなくせという、これがちょっとなかなか困難な問題がありますが、なお一そう検討して、大いにこれが批准に進むように善処いたしたいと思います。

小谷守日本社会党

○小谷守君 大臣、衆議院での御答弁はかなり前向きだったように仄聞しておりますが、自分の在任中にはこれやりますというようなことを、あんただいぶ元気出しておっしゃっております。参議院では少しこうあとずさりしている、どうです。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) この問題では私はどちらかといえばみんなからちっと、役所のほうからも大臣は積極的な答弁すると、この問題だけは衆議院ではまだそう前進的な話をいたしておりません。しかし、ほかの問題については任期中にやりたいと、こういう御答弁をいたしましたが、この問題は、例外は一つも認めないというところがちょっとまだ日本の実情から見まして苦しいところもありますので、しかし、まあ名前も一号でありますし、せめて、三十号の問題も同様でありますが、今後、省内なり研究会のほうもひとつ十分これに対して早急に検討するように私も要請いたしますし、私自体もこれに対しましてやはり何とか批准ができるような方向に持っていきたい所存で対処いたしたいという所存であります。ただ、まあ現状から見ると、もう四十八時間を変えるよりも、例外一つも認めぬというところがなかなか苦しいところがありますので、この点を御了察願って今後の研究課題として、ただ研究だけでたく、相当何とか苦しい関係を打開するような方向に対処いたします所存でおります。

小谷守日本社会党

○小谷守君 私は、これをしつこくお尋ねします理由は、過般外務省が出しております出版物——国際情勢についての出版物の中に、アジアのある国で、日本の経済活動を非難する理由の中に、ILOの一号条約もまだ日本は批准していないんだと、そういうことの上に日本の経済成長、対外的な経済膨張というものが成り立っておるんだというふうな非難のことばが出ておりましたので、特に私はきょうこの問題をしつこくお伺いをしたわけであります。特にひとつ、この点は大臣に御苦労願いたいと思います。  さて、いろいろお伺いしておりますと、批准が非常に渋帯しておる理由、これの大部分は現行労働基準法と抵触するという点で批准がおくれておるということのようであります。しからば、労働基準法そのものを改正すべきでありましょう。いま伺いますと、そのために研究会をつくって検討されておるということでありますが、その検討の状況はいかがでございますか。と申しますのは、ややともいたしますると、あなた方は、むずかしい問題に逢着すると、必ず、いや審議会で検討中、今度は研究会で検討中、こういうことはもう逃げ口上、その場をつくろうためにお用いになることが非常に多いわけでありますから、国民も非常に不信の気持ちを持っておるわけでありますが、基準法改正の研究の状況はどのように進行しておりますか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) 私も大臣就任前に、御意見と同じように、どうも役所は審議会だ、研究会だ、やれ懇談会だというのばかりつくって、要するに逃げ口上、ひどく言うと隠れみのにするというようなことも、私自体も思いましたが、この基準法がもう二十数年になるんであります。そしてその当時と日本の経済の成長、世界でGNPも第二位と、こういうように躍進してほんとうに経済大国に成長したんであります。そういう意味で、現在の基準法がこれはもうちょっと古いのではないか、こういうような御意見はもう各方面から、いろいろな立場の方、いろいろ各界の方からもお聞きをいたしまして、労働省もひとつこれは研究しなくちゃならぬというので、とりあえず、学識経験者を網羅いたしまして、研究会をつくって、この研究会は隠れみのではなくして、ほんとうに熱心に、誠実に、熱意を持っていろいろな問題に対処いたしております。今回の二つの条約の批准ができたことも、これも安全衛生関係が四十六年七月にこの研究会から報告されまして、そして安全衛生法は制定され、また、大問題の時間関係につきましても、四十六年十二月に中間報告を行なっており、残る問題は女子の労働の問題、母性の保護の問題、かような問題に対しましても、専門委員を委嘱いたしまして、これも毎週二回やりまして、鋭意検討を進めておりますので、この研究会は、これは私もよく研究会の方々と懇談をいたしている方でありますが、ただ、まあ言いわけとかそういう意味でなく、大いに、ほかのほうもそうというわけでありませんけれども、これはまあ、なかなかまじめにやっていただいておりますので、この研究会を無視して労働省がすぐにやるということもなかなか困難な点もありますので、なお一そう、いろいろな、先ほど言ったような一号条約の問題とか、当面の婦人のほうからよくいわれている母性の問題、これも産前産後の問題は、これは同じなんであります。ところが例外が、本人の申し出によったら五週間とかいうことが、これがまあ批准にもう引っかかりますので、かようなあまりむずかしくない問題は、私のほうから積極的に、研究会にももうひとつこれは研究してみよと、こういって対処いたしておりますので、御趣旨に沿うように、積極的に、私からも研究会に要望いたしまして、当面の解決ができるような問題は解決して、本年度は無理でありますが、来年度は条約の批准に——本年は二件やりまして、数年前に三件やりましたが、もう少し批准に邁進するように善処いたしたいと思います。  以上が、研究会の三つの案件についてはほんとうに私たちも感謝するようにやっていただいておりますので、今後の残余のいろいろな大きにハンディキャップというか、条約と日本の実情との合わない点は無理でありますが、ほんの例外的な点で、これはなかなか困難な点がいまは存在いたしておりますが、かような問題に対しましては研究会を大いに活用して対処いたしたい心組みでございます。

小谷守日本社会党

○小谷守君 基準法の改正は、これは大臣が仰せになりましたように、もう二十年も経過しておるわけでありますから、今日の実情に合うように、ぜひ改正の御努力を願いたいと思います。これはILOに合わせるためにだけというふうなことではなしに、もっと進んだものにぜひ御苦労願わなきゃならぬと思います。  そこで、研究会というお話でありますけれども、いつごろまでにこれはできますか。その時間的な目途はどの辺に置いておられますか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) これがいまほんとに焦点になっておるのでありますが、時期をひとつ明示せいと、ほかのほうの社労の委員会でもいろいろ御意見が出ております。ところが、少しだけかじって、根本問題に触れないというのもかえってどうかという意見もありますし、相当広範囲な御意見も出ております。そういう意味で、ただ研究会だけにたよるだけでなく、労働省自体も基準法の改正に対してはこれは検討しなくちゃならぬという方針でもありますし、労使の関係、日本の経済界、また労働界、その他学識経験者もちょっとこれは改革しなくちゃならぬという機運は醸成しつつあります。しかし、へたに一部だけいじってほかをおろそかにするというと、これはまた大問題も生じますので、いま時期を言いたいのでありますけれども、なかなかそう私の考えどおりにもいきませんし、あらゆる諸般の関係が研究されて、大いにこれは改正しなくてはならぬという方向であることは間違いないし、その方向に進んでおりますが、本年中とか、いつかという時期については、いましばらく、見通しを立てます間、時期の明示という点についてはごしんぼう願いたいと。なかなかこれは明示せぬとおさまらぬではないかというようなことも、私、省内でもよく省議を開いてこの問題にほんとに本腰でやっておるのでありますけれども、本年度中とか、この国会過ぎてしばらくしてとかいう明示については、もう少し御猶予願いたい。できるだけ早く、時期等につきましても御返答ができる機会を私は待っておる次第でございます。しかし、決しておろそかにするのでなく、今後、期待の持たれておる方に対しましても遺憾のないように、大いに検討して対処いたす所存であります。

小谷守日本社会党

○小谷守君 外務大臣、日本の政府が条約に対する態度、これには私は二とおりあるのではないかと思われてなりません。たとえば、これは国内法との関係でございますけれども、安保条約なんかの場合には、条約の批准を急いで、そして今度は国内法の改正もそれに合うように非常に急がれる。ところが、ILO条約なんかの場合は、国内法が合わぬからといって改正の努力もあまりせずに批准をサボっておる。こういう私は二つのパターンがあると思うんです。こういう矛盾については、外務大臣どういう御所見でございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 憲法上、条約順守の義務が政府にありまするわけでございますので、これは条約のいかんによって態度を二つにするわけにはまいらぬと思うのであります。  第二に、国際関係から申しまして、条約を忠実に順守するということは、国際信用の基礎でございますので、その点についても、狂いのない措置を講じてまいらなければならぬわけでございまして、条約によって態度を二つにするわけにはいかないと思うのであります。  いま、ILO条約批准、思うにまかせない事情にあるということにつきましての御指摘がございましたけれども、私は、従来、ILO関係につきましては、国内法令の整備を先にいたしまして条約をあとにしておるという態度をとってまいりましたことは、いろいろな御批判ございますけれども、非常に手がたい措置であると考えております。非常に微細な点につきまして、条約の批准にまで踏み切れないで政府が苦心いたしておるということは、わが国が条約についてまじめに考えておるということでございまするし、条約を批准した場合に、世界から指弾を受けることのないようにいたそうという趣旨から申しまして、いままで政府がとってまいりました手がたい態度は、条約の順守、内外にわたってしなければなりませんし、日本の国際信用から申しましても、私は十分評価していただける態度であると思っております。  問題は、そういう基礎の上に立ちまして鋭意検討を進めて、小谷さんがおっしゃるように、障害を取り除いて、批准をできるだけ早くやってまいるという努力を怠ってはならないと思うのでありまして、私は、労働省をはじめ、関係各省そういう点について鋭意御努力いただいておりますことを感謝いたしておるわけでございまして、なお一そう御努力いただきまして、可能なものから漸次批准の手順になることを期待いたしております。

小谷守日本社会党

○小谷守君 労働大臣、私は非常に矛盾を感じますのは、この条約の採択の段階で、ILOには日本は常任理事国として政労使ともに理事を送り込んでおる。ILOの意思決定の中に政府代表も入っておるわけです。そこでオーケーをしておきながら、政府がこれを批准しないということについて、矛盾をお感じになりませんか。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) ILO総会で条約を採択するにあたりまして、政府代表がこれに賛成するということと、その国が批准するということの関係につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたような議論がILOの中でも実はあるのでございます。しかしながら、ILO条約が採択された後に、直ちに批准できるという場合にだけ賛成投票をするということになりますと、ILOで採択される条約は、加盟国の現行の基準を具体化したものだけにとどめられまして、これを引き上げていくという作用がむしろ期待できないではないかというような議論もあるわけでございます。したがいまして、加盟国は、条約を直ちに批准できない場合、または、条約の内容が自国に直接関係のない場合でも、その趣旨が妥当なものであり、その内容が国内の法律制度と根本において合致する場合、そういう場合には、世界的な視野で賛成投票をするというのがILO加盟国の一般的な態度であるというふうにされておるわけでございまして、わが国も、そのような見地から、条約採択にあたって、そういう態度で賛否の投票を行なってきておるわけでございまして、したがいまして、条約につきまして、賛成投票をしてもまだ批准してないというものが、御指摘のようにあるわけでございますが、それにつきましては、国内法と条約の水準とを合致させるような努力を続けてまいるということでございまして、一昨年も最低賃金制度の関係の条約を批准しまして、また、今回も、安全衛生法を制定することによってこういった条約を批准するというふうに、漸次努力をしていくわけでございます。そのことをさらに続けていきたいというふうに考えております。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) いま政府委員から答弁がありましたように、条約は賛成する。将来日本も、この採択した条約の批准ができるように前進する。こういういい条約が出た場合には、採択には賛成いたしますが、国内法規がまだそこまでいっておらぬと。日本はわりかた——これはまあ他の国のことをいろいろ申し上げるのは差し控えたいんでありますが、理事国であるし、批准したら必ずこれは確実に実行する、こういうふうにかたく考えまして、それが相当、日本は批准したらりっぱにこれはやっていっておる国だという称賛も得ておりますが、いろいろほかの国のことは言いませんけれども、この点は、ちょっと日本はかたく考え過ぎておりますので、採択と、これがすぐに批准ができないという矛盾は、相当私はあってもいいと思います。そうすることが、日本は将来、採択したものに対しては前進するという方向は、これはもう、採択のときにも、加盟国が相当いろいろ国清は違いますし、いろいろな問題がありますので、ただ日本の国内法だけを考えて、日本の立場だけを考えて条約の採択をしないということは、わが国は高度な、世界の労使関係の、特にアジアにおいては指導的立場でありますので、これは採択して、それがすぐに実行できないという矛盾があってもこれはいたしかたがない点で、憲章なりフィラデルフィア宣言等その他を考えましても、政府もいいやつは採択せいと、そして、できるだけ日本の国内法と合致するように前進さすようにしなければいかぬぞと、こういう方向でいっておりますので、この点はひとつ御理解を願いたいと思います。

小谷守日本社会党

○小谷守君 婦人労働の問題について、少しお伺いをしておきたいと思います。  先ほど話題にも出ました産前産後の労働基準に関する三号条約、そして新しい百三号条約、これを日本は批准していないわけでありますが、先ほど一部その理由は伺いましたが、おそらくこの条約と日本の現行法とが抵触するからだと思いますが、少し詳しくこの点について御説明を願いたいと思います。

高橋展子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋展子君) 婦人の母性保護に関する条約といわれております百三号条約についてお尋ねでございますが、いま御質問の中に三号条約のこともお触れでございましたが、三号条約は、その後改正条約としての百三号条約が発効をいたしまして、その中に吸収されているわけでございますので、今日問題とされておりますのは、この百三号条約ということになろうかと思いますが、この百三号条約とわが国の国内法制との差異ということでございます。  百三号条約の中では、婦人労働者の母性を保護するという目的のために、出産休暇、それから育児時間、それからまた出産休暇による休業中の金銭及び医療の給付等について規定しているものでございます。これらの点に関しましては、わが国の労働基準法あるいは健康保険法に定めております母性保護の規定の内容というものは、原則的にその趣旨は合致していると申しましょうか、同様な目的で規定が設けられているわけでございますが、細部にわたって差異がありまして、この百三号条約の要件に合致していない。と申しますのは、百三号条約の要件はかなり厳密な点がございます。そのために、細部についてわが国の法制との差異が生じているわけでございます。  たとえば、先ほど来大臣あるいは官房長からも申し上げた点と若干重複いたしますが、出産休暇の期間の定めでございますが、条約のほうでは、産前産後を通じて十二週間といたしております。そして、産後の強制的休暇の期間は六週間を下ってはならないといたしております。わが国の労働基準法におきましては、産前産後の休暇期間としては、十二週間を定めてはおりますが、産後につきましては、本人の請求があれば五週間を経過したあとは就業させることができる。そこに若干の差異がございます。  それからまた、やや大きな差異といたしましては、その出産休暇中における、休業中に本人が金銭及び医療の給付を受けるという権利につきまして、条約がやはり厳密な規定をいたしております。すなわち、出産休暇によって婦人労働者が休む場合でございますが、その際、その休暇期間中に金銭給付をなすべきであるということをいっております。そしてしかも、その金銭給付は強制的社会保険あるいは公の基金から支給されるべきであるといたしまして、また、その金銭給付の額は、従来の所得の三分の二を下ってはならない、このようにいっているところでございます。  この点につきましては、わが国の場合は、出産休暇による休業中の婦人労働者に対しましては、健康保険法によりまして、標準報酬日額の百分の六十が支給されると、このような定めになっておりまして、三分の二と百分の六十ということで、実質的には差異は少ないのでございますが、形式的にはかなり明確に規定されているための差異がそこにあるわけでございます。  あるいはまた、出産に対しましては医療の給付をするということが百三号条約のほうでは求められておりますが、国内法におきましては、出産につきましては、医療給付ではございませんで、金銭の給付というふうになっている。そのような差異があるわけでございます。

小谷守日本社会党

○小谷守君 大臣、これもまた、基準法に戻るわけでありますが、基準法の全般的な改正ということは日にちがかかるとしても、せめて私は婦人労働に関する産前産後の母性保護のための労働基準、これあたりは、部分的にでも急いで基準法を改正して批准をする御熱意はありませんか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) いま政府委員から話があったように、十二週間という問題は、日本のほうが、本人の申し出があって医師が認めたときには五週間にしてもいいと、期間の問題はこの問題でありますから、これ大きな問題もないし、次の、いま婦人局長から話があったように、いまの出産後休暇の金銭給付、これは健保と関係ありますが、三分の二と百分の六十と、もうあと六十六、七に達すればこれいいんでありますが、これもそう大きな健保の、厚生省のほうと相談いたしまして何とかこれできないかと思う気もしますし、育児期間中の賃金の問題、これが賃金とものとかいう関係もありますけれども、このごろ婦人が憲法でもあらゆる面でもこれ対等だという、同等だという扱いをしなくちゃならぬというので、百三号の条約をせぬということは国内に与えるいろいろな関係、婦人の保護、特にこれは人類のもう原則の、子孫の保護という点からいっても大問題でありますので、この点は、ほかのことも相当重要でありますが、前向きに相当これは各関係省とも連絡をとりまして、御趣旨に沿うように、できるだけ対処いたしたいと思います。これは熱意持っておるんでありますが、なかなかこれが各省にもまたがりますので、これは御意見尊重いたしまして対処いたします。

小谷守日本社会党

○小谷守君 いま婦人局長の御説明拝聴して、私は中身としては若干基準法に抵触する点があるかもわかりませんけれども、実際は、現場ではそれぞれもう中身としては、これ以上のことが労働協約の中ではやられているわけなんです。きょうは、大臣はあまり前向きな御発言がないようでありますが、せめてこれぐらいはやらぬと、私もだんだん時間がまいりましたが、質問がやめられぬようになりますので、どうです、やるということでですね。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) いま御答弁いたしたように、この問題は御趣旨に沿うように大いに対処いたしたいと思います。これ以上になっておるところもあるし、また、職場職場によっては、なかなかこれがきびしいというようなところもありますけれども、先ほど言ったように、人類の大原則の大問題でありますから、百三号だけは——深夜業のいまの八十九号の問題、これも大事でありますけれども、それ以上に百三号のウエートというのは高いと思いますので、御趣旨に沿うように対処いたしまして、労働省だけでもなかなかこれ単独にいくというわけにはいきませんので、厚生省その他等とも相談いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように善処いたします。

小谷守日本社会党

○小谷守君 ずばり、次の国会にはこの批准案を出すというふうに了承してよろしいか。このぐらいのことやらぬでどうしますか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) 気持ちはその方向でいきますが、なかなか、そうここで申し上げたいんでありますけれども、もう気持ちはそのとおりであります。できるだけ御趣旨に沿うように、これはもう先ほど言ったように、ほんとうに、ただ答弁で、ここの場で済んだらいいというような気持ちじゃありません。私自体もこの問題に対しましては相当研究いたしておりますし、婦人局のほうも相当熱意がありますので、母性の問題でありますから、この次出すというところまでお約束できませんけれども、なかなか立場の関係上、よく考慮いたしまして、その方向に進めたいと思います。

小谷守日本社会党

○小谷守君 私は、労働大臣を尊敬しておるんですが、きょうは何か横のほうでそで引っぱっておるのか、何か歯切れが悪い。  さて、先般ILOが日本政府に寄せた意見書の中に、消防職員の団結権に触れておりますが、今日ほとんどの国においては消防職員の団結権を認めておると、こういう状況でありますが、労働大臣のお考えはどうでございますか。  また、消防長官、これに対するお考えはどうでございますか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は勧告適用専門委員会でこの登録の問題と消防の団結権について御指摘があったのでありますが、これ国内でもいろいろな見方がありますが、政府としては関係国内のほうは八十七号条約等に抵触しないと、こう信じておるのでありますが、ILOの総会の条約勧告適用委員会においても、政府の方針としては、この点は大いに説明いたしたのでありますが、この委員会においては条約の違反の有無等について結論は出ておりません。結局御承知のように日本としては公制審で、公制審の問題なかなか皆さん御信用なされませんが、このごろは、もう。今度はどうしても、いろいろな関係もありますので積極的に結論を出したいという意思でもありますが、最終的には適用委員会でも、公制審において結論に達する努力が払われることを要望すると、こういう最終的な意見でありますので、この条約と八十七号条約とは国内法においては抵触しないと、こういう意味で、審議会の結論を待ちまして、そしてこれに対してどうするかということを、政府の決意も固めましてこれが処理に当たりたいと、こういう所存でおります。

山田滋消防庁次長

○政府委員(山田滋君) ただいま労働大臣から御答弁ございましたように、今後公務員制度審議会の結論等もあると存じますので、慎重に検討いたす所存でございますが、御承知のように、従来消防関係、消防は警察と行動におきまして一体となって国民の生命、財産あるいは身体の保護に当たってまいりました。従来も、いわゆる八十七号条約の第九条によりまして、国内法令でその規定をすることが認められてまいったわけでございまして、私どももその従来の沿革と、つまり消防行政が警察行政の一環として従来は行なわれてまいりました。戦後機構として独立いたしましたけれども、学問上明らかに保安行政、保安警察の一環と見られますので、そういうたてまえといたしまして、沿革上の問題。それからもう一つは、やはり現行法制上の諸権限におきまして、なるほど警察におきますような人身の逮捕、拘束というような権限はございませんけれども、あるいは道路優先通行権でありますとか、あるいは特定地域の通行制限権、あるいは現場における協力命令権といった点におきましては、警察と同じ権能を行使いたしております。また、他人の土地、家屋に立ち入る権限であるとか、あるいは近隣建物をいわゆる消防で破壊をいたす権限、そういった点につきましては、むしろ警察より広範な権限を行使いたしておるわけでございまして、さらに従来、消防は消防組織法にもありますように、消防と警察はいわゆる国民の生命、身体、財産の保護のために、相互に協力すべきことが義務づけられておりまして、実際の運用面におきましても、お互いに緊密な信頼関係のもとに協力いたしてまいっておるわけでございます。その意味におきまして、やはり団結権という問題になりますと、警察との均衡という問題もございまして、したがいまして、慎重に対処いたしたい。かように存じます。  さらに、第三のやはり消防活動の実態を見ましても、個々の消火活動そのものはいわば一種の部隊活動でございまして、そこに円滑なる規律と統制がぜひ必要でございます。そこでまあ、この指揮命令系統というものが明確でなきゃなりませんので、どうしても、寸時を争うような消防活動を行なう場合におきましては、上司の指揮命令と対立をするようなことにもしなるおそれのあるような組織が存在するということになりますと、そこにやはり国民から不測の不安を招くということ々憂えている次第でございまして、まあ全体的に通じまして、従来の沿革、消防活動の実態、あるいはその権限、そういった点から申しまして、まあ慎重に今後の公制審の結論等も参酌をしながら検討してまいる所存でございます。

小谷守日本社会党

○小谷守君 消防が沿革的に警察と関連が深かったというふうなことから言えば、もっと前は、め組だとか、は組だとかということでやっておったわけで、今日の実情としては、これはやはり自治体職員だと。いかにも、任務においての特殊性というものはわれわれも認めますけれども、これはいまあなたがあげられたようなことは、いずれも団結権を否定する論拠にはならぬと思います。しかし、きょうは時間がありませんから、そこで、大きな議論をしようとは思いません。消防庁のお考えは慎重に検討するとは言いながら、いまのお考えはすべてこのILOの国際的な意見に背中を向けた姿勢だと思います。これはまた、別な機会に議論をしたいと思います。  そこで、最後でありますが、ILOの専門家委員会から八十七号、九十八号条約の国内における適用状況について意見が出されておりますことは御承知のとおりであります。特に、ここで強調されておることは、公務員の労働基本権の問題です。これに対する政府の御意向を最後に伺って質問を終わりたいと思います。  公制審で検討中であることはよく承知しております。ですから、公制審、公制審ということではなしにですよ、労働大臣、公制審の検討も当然ILOの意見を大前提として進められるべきものであると思うのでありまして、率直に、最後ですから。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) 御趣旨はもう十分よくわかります。きのうも運賃の、運輸の趣旨のときにも、私答弁いたしたんでありますが、これは憲法二十八条、これから考えても、三権の基本権の問題は当然じゃないかと。公労法の十七条、ひとつやめたらどうだと、こういう御趣旨は当然でありますが、これはいまさっそく独自の見解で労働省の見解を申せといっても、大問題で、これはなかなか国民の日常生活、国民経済に重大な影響もありますし、いま国民にこの問題を与えたらどうだと、こう問いましても、なかなかこれはそう御趣旨のような答えが出ぬと思います。これは何といったって、やっぱり国民あっての法令でありますゆえ、公労法の十七条もいろいろ、マッカーサーからどうとか、いろいろなところから何とかという話もありますけれども、これはやっぱり労使が相互の理解をして、そうして基本権が回復するように私は待っていくのが当然でありまして、十分各方面、また、いろいろな立場の御意見もこれを聞いて、そうして真に妥当な最終段階にひとつ持っていきたい。  それについては公制審、公制審、これは研究会と違って、公制審は法律によってやるということになっておりますが、公制審も公労使三者構成でありますし、任期の関係とかいろいろな関係で、このごろは誠実に、国民から見ても、組合側から見てでも、最近は急テンポに結論の方向に進展いたしております。そういう意味で、このごろは公益委員が労使関係だけではどうもこれはなかなか意見が対立するから、公益委員が中心となって最終的な意見の到達を出すように進んでおります。  また、ILOの問題にも関連がありますが、ILOのいろいろな見方が国内でもあります。わがほうに有利だとか、わがほうに何だとか、こういう意見もありますけれども、最終的にはILOも公制審の結論を待って、これが解決をせいという方向で示唆いたしておりますし、結論もなっておりますので、これは決して先ほどの研究会のような結果でありません。もう近い時期に出ますので、これをやはり尊重しなくちゃならぬという法律のたてまえでわれわれはいますので、この結論を待って根本的な解決をはかりたいと。しかし、しからば見通しはどうじゃというと、なかなかこれは憲法二十八条の問題その他から考えると、労働省の立場から見ると、思ったようなことが出たいと思いますけれども、要は、やはり主権在民の立場から言って、世論というものの関係から見まして、私は相当これはいい線も出ると思いますが、ある部面においてはなかなか世論がどうも困難な点がある。しかし、いま私がさようなことを申し上げる段階でありません。公制審の関係は、主管官庁が総理府でありますし、私からそういうふうなことは申し上げる立場でありませんが、私はまあ至ってのんきなほうで、思ったことをぱっぱっと言ってしまいますが、やはり公制審をよく隠れみのと言われるんだが、さような気持ちは政府は毛頭ありません。いま公制審の結論を期待し、公制審も時期を早めてこれに対する結論を出したいということを方向で動いております。先ほどの消防の問題も、これも公制審に関係ありますから、消防庁のほうの意見がどうであろうが、公制審の結論を待って、これに対して労働省の関係法規の問題も私は改正すべきものは改正すべしと。団結権はどうだと、こういう問題についても、この問題とも関係がありますので、はなはだこう、ちょっと御趣旨に沿わぬような答弁でありますけれども、この点はひとつ。

星野力日本共産党

○星野力君 お聞きしたいこと、たくさんございますが、質問事項について具体的な内容を通告しておりませんでしたので、ILOに関連して、ごく概念的なことだけをお聞きいたします。時間の関係もありまして、外務大臣、外務省の方には質問いたしません。  ILO条約はすべてで百三十六あって、そのうち日本が批准しておるのが二十九、審議中の百十五号、百十九号、合わせて三十一になるということでありますが、三十一という批准数は、十の主要産業国の中では多いほうでありますか、少ないほうでありますか、簡単でよろしいですよ。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) 少ないほうでございます。  申し上げますと、フランスが九十三、イタリアが七十八、イギリスが六十六、西ドイツが四十四、ソ連が四十、インドが三十、日本が二十九、まあ三十一になるわけでございます。それからカナダが二十六、米国が七、中国は——前の時代の中国でございますが、三十七、こういうことでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 先ほどお話のありました第一号条約、これはどういう内容の条約で、いつ採択されたのか、それに対して日本政府はどういう態度をとってこられたか、簡単に。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) 第一号条約は、工業的企業における労働時間を原則として一日八時間、一週四十八時間に制限しようとするものでございまして、一九一九年に採択をされたものでございます。それと関連いたしまして、商業及び事務所における労働時間を原則として一日八時間、一週四十八時間に制限しようとする条約、これが第三十号条約でございます。これは一九三〇年に採択をされたものでございます。で、これは先ほど来お答えをいたしておりますように、この趣旨は、原則的にはわが国においても実現をされておりますけれども、時間外労働の点でわが国の法制とズレがございまして、批准が困難だということでございます。もう少しこまかく申し上げますと、条約は時間外労働につきまして、災害あるいは不可抗力などの場合以外は一切時間外労働を認めておりません。いわゆる硬式労働時間制、かたいという硬式労働時間制をとっておりますが、わが国の労働基準法は軟式労働時間制でございまして、やわらかい、軟式労働時間制でございまして、御承知の労働基準法三十六条の規定によりまして、労使協定を届け出ることによって時間外労働が認められるという点が一番大きな違いでございます。なお、これに関連いたしまして、変形労働時間制、これも一種の硬式、軟式の差異でございますが、条約は一日の延長、一時間の範囲内で一週単位の変形四十八時間制が認められておるわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 それ、よろしゅうございますから、政府の態度を。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) わが国の基準法は、一週間平均四十八時間、こういうものでございます。なお、わが国政府は、当時これに賛成をいたしました。一号条約は賛成、三十号条約は反対をいたしたわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 労働時間の制限というのは、労働者保護のいわばこれは入門的な課題でありますが、半世紀以上も前にその最低基準をきめた第一号条約を、先進工業国の日本が批准しておらないと、まあ先ほどソ連やイギリスその他も批准しておらないということを言われたのでありますが、毎年毎年、経済成長率では世界一を記録しておる日本が、これを批准しておらないというのは一見奇妙なことだと思いますが、理由は先ほど来申されておる時間外労働の規定でございますね。日本の労働者の賃金は労働者の、この長年の闘争によりましてかなり改善され、向上されてきたとは言いましても、先進工業国の国際的な水準から言えばこれは低い。特に、最近はひどい物価高ということもありまして、相当量の時間外労働をやらなければ労働者の家族が生活できないというところに根本の問題あるのではないでしょうか、大臣、この問題どうでしょうか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) 星野議員のお説でありますけれども、労働条件の中の賃金の問題でありますが、これまあ先進国のお話もありましたが、私はちょっと星野さんと違いまして、アメリカに比べましたら、だいぶんこれは遜色ありますが、イタリア、フランスをも抜いてイギリスに迫っておると。こういうような労働条件の中の賃金の改善問題は、毎年毎年進歩いたしまして、改善されまして、だいぶんほかの先進国に比べましてもこれは私は遜色ないと思います。このごろは、まあ毎年の賃金の改善がインフレの要素にもなるというような段階に、このまま二〇%ずつこう改善されていくということになった場合には、これはたいへんだというような危機感もできつつありますが、時間の問題についてはもうお説のとおりでありまして、御承知のように、四十八時間、週休二日制がくると四十時間という議論も出ておりますし、時間外の労働については、これもお説のように、これは少し改善しなくちゃならないと、こういう感じでありますので、時間外の労働が賃金の問題にもこれは大いに影響ありますが、現在のところでは、いま政府委員から話があったように、軟式の理論で時間外の労働を認めておりますが、まあ一号条約の工業的企業の労働時間、これがまあ第一号条約でありますが、これは何とか時間外の労働の問題を解決して、これが批准に対処したいと。まあ名前も一号でありますから、先ほど言ったように、米国なり西ドイツなりソ連なりイギリスなりの、まあ主要国が批准しておらないからわが国も一号条約をそのままにするという方針ではありません。そういう意味で、その一号条約の場合には、やはり難点が、御指摘のように、時間外の労働の問題でありますので、基準法の中でもこれは大問題として検討する問題であります。しかし、これが中小企業、いろいろな立場から見ると、さっそくこれが時間外労働はもう一号条約と同様に認めないと、こういう結論にまでも到達いたしておらない現状でありますので、今後研究課題としてこの問題を大いに検討していく。御趣旨の点もよくわかります。週休二日制やった、時間は四十何時間にせいとか、四十時間にせいというときに、時間外労働あまりこれやったらたいへんなことでありますので、御趣旨の点も勘案いたしまして対処いたします。

星野力日本共産党

○星野力君 大臣、私の質問簡単でございますから、大臣持ち前のぱっぱっと本音だけをひとつやっていただきたいと思うのです。  大臣、いまそう言われましたけれども、私は、この問題は、この時間外労働という問題は、日本の賃金体系そのものにかかわっておる問題ではないかと、かなり根本的な問題ではないかと思うのです。そうしますと、この問題を労基法研究会で研究しておる。いずれ結論を出すと、こういわれますけれども、実際には容易にこれは、日本の政府としては批准できないことではないかという点を心配するんです。その点、これは大臣じゃない、事務当局自体あんまりこれには熱意ないんじゃないかと思いますので、事務当局政府委員のお考えを聞きたいのですが。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) ILO条約をできるだけ批准していきたいという点では、われわれもその熱意については人後に落ちるつもりはございませんが、ただ、一号につきましては、先生もいま御指摘になりましたように、完全な硬式労働時間制をとるということにつきまして、日本の経済の二重構造といいますか、中小企業の現状からいって、やはりそう簡単に問題が解決するというものではない。非常にこの問題はいい方向に進んでおりますけれども、しかし、なお相当二重構造の現状がございますので、そういった点はやっぱり慎重に検討しなければいけない。言うまでもなく、労働基準外は、罰則をもって強制する最低基準法でございますので、そういう立場からも、私どもとしては、姿勢は前向きに、しかし慎重に事態を検討しなければいけない、そういうふうに考えております。

星野力日本共産党

○星野力君 残念ですが、時間の関係で、いまそれだけお聞きして先へ進みます。  いま開かれておりますILO第五十八会総会に条約勧告適用専門家委員会が提出した報告書では、八十七号、九十八号の両条約の日本における実施状況が取り上げられております。数日前、それに基づく討議が行なわれたことは、皆さん御存じのとおりです。そこでは自治体職員や教職員の登録制度の問題、公務員の管理職員の範囲が不当に広げられておること、定員問題も、それから配置転換問題が団体交渉の範囲からはずされておるということなどについて、日本の現行制度や政府の態度がかなり手きびしく批判されておると思うのです。日本政府は、批准した八十七号、九十八号条約に違反しているということでありますが、新聞報道によりますと、総会の討議では各国の労働者代表からだけでなく、使用者代表の中からも報告を支持するような発言があったということであります。政府はそれらの報告書や討議の趣旨を尊重なさる考えかどうか。簡単でよろしゅうございます。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) 最初に経過をちょっと簡単に申し上げますが、六月六日から開催されているILO総会の条約勧告適用委員会、これは確かにこの十四日の午後、八十七号条約及び九十八号条約の実施状況に関する個別討議におきまして、日本問題を取り上げて議論をいたしました。議論は約一時間で終了したと聞いております。日本政府代表は、職員団体の登録制度及び消防職員の団結禁止について八十七号条約との抵触の可能性を指摘しました、ただいまおっしゃいました条約勧告適用専門家委員会の意見書に関連いたしまして、わが国の現行制度は両条約に抵触していないという趣旨の説明をいたしました。これに対して日本の労働代表からも反論がもちろんございました。しかし最終的には、この条約勧告適用委員会の議長は、日本国内において議論が進行しつつある段階、おそらく公制審のことをいっておると思うのですが、であるので、委員会としては議論が二、三カ月後に積極的な結論、ポジティブコンクルージョンということばを使っておりますが、に達するよう努力が払われるべき旨を要望すると述べまして、委員の了承を得まして、日本問題の討議を終了いたしたわけでございます。それまでの私どもは報告を受けておるわけでございます。経過はそのとおりでございます。なお、態度につきましては大臣のほうから。

星野力日本共産党

○星野力君 いまのように、積極的な結論が出ることを期待して討議を終わっておるわけです。それを尊重なさるかどうかですね。積極的な結論を出される考えかどうか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) ILOのいろいろな勧告とかなどは尊重するのは当然であります。しかしこの問題は、先ほどの小谷さんにも申し上げましたように、公制審で目下この問題を主体として審議中でありますので、尊重いたしますが、公制審の結論を待って、これに対して政府としては最終の判断を下してこれに対処すると、決してILOのいろいろな理事会なり、また総会なりの意見を、これはもう無視する気持ちは毛頭ありません。ただILOでも、結局は公制審の結論を待って、円満に解決せいという最終的な御方針でありますので、この点の意を体して御趣旨に沿うように対処する所存でございます。

星野力日本共産党

○星野力君 どうも加藤大臣、だんだん加藤大臣らしからぬ答弁になってきておるような感じがするんですが、日本の政府や資本家の中には、労働組合活動や争議行為、特にストライキ、まあILO八十七号、九十八号、どちらも直接ストライキには関係ありませんけれども、こういう行為を犯罪視するような戦前の、何といいますか、体質が残っておるといえるんじゃないかと思います。いうまでもなく、労働者の団結権、団体交渉権、ストライキ権、それらを労働者の正当な権利、日本国憲法が認めておる労働基本権であるとみなす認識が足りないと思う。あたかも労働者が危険な刃物をかざして立ち向かってくるかのような、そういう考えがまだかなりあるように思われます。ストライキにしても、労働者がまさかのとき、みずからを守るこれは残された手段である、刃物は刃物であっても、いわばこれは伝家の宝刀で、伝家の宝刀となれば、そうめったに抜くものではないのですよ。公務員や公共企業体の労働者をがんじがらめにして抵抗の手段を封じてしまうから、順法闘争などというような苦心惨たんして法規、規則を守る闘争をやらなければならぬ。手の込んだああいう戦術をくふうしなければならないことになると思うのであります。国家公務員、地方公務員、公共企業体労働者の労働組合活動の制限、ストライキの禁止を撤廃すべきだと私たちは思っております。それが日本国憲法にかなうだけでなく、そのほうがそれらの労働関係を健全明朗にすると思うのでありますが、撤廃する方向に進めるお考え、ないかどうか、加藤労働大臣ひとつ。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、先ほど小谷さんにもお答えしたように、スト権、基本権の問題は、労働者の基本的要求でありますので、憲法二十八条にもこれらも明記されております。憲法のことはもうあまり読みませんが、ところがまあ公労法十七条でこれを禁止しておると、こういう問題に対しまして、組合側、労働者側から、特に公共企業体の問題に対しましては、いろいろ問題が出ておりますので、これをさっそく加藤大臣として、御趣旨に沿って撤廃するということをお答えするまだ段階でありませんので、まあこの点は先ほどから言ったように、これは憲法に違反するかしないかという問題も、東京中央郵便局事件の最高裁判決でもう出ておりますので、要は国民の総意というか、大多数の意見というものを、これは尊重しなくちゃならぬと思います。そういう意味で、公制審、公制審ということを申しますが、公制審の結論を見て政府としては対処したいと、こういう所存であります。

星野力日本共産党

○星野力君 先ごろ労働法、行政法の学者三十六人が公制審に公務員、公共企業体労働者のストライキ禁止について意見書を出しましたですね。憲法上の基本権が制約される場合は、すべて必要最小限でなければならないというのが憲法の原則であるということ、官公労働者のストライキ権も、同じ原則に従うものであり、現在の官公労働法によって、全面的に、しかも一律にストライキを禁止しているのは、はじめからストライキの自由自体を否認するもので、憲法の保障するところとは両立し得ない。ストライキ規制をする場合は、スト規制の範囲、規制の度合い、違反に対する制裁の三項について必要最小限をこえてはならないと、こういう趣旨の意見書だと思いますが、これについての大臣の見解はいかがですか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) この問題は、総理府の所管でありますので、私から御答弁するのはどうかと思うんで、政府委員からひとつ。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) ただいまの先生のおっしゃいました意見書は、公制審に出されたと聞いておりまして、公制審は総理府の所管でございますので、私どもの手元には来ておらないわけでございまして、内容につきましてはいろんな御意見があると思いますけれども、何ぶんにも公制審でいま鋭意検討しておる問題そのものに触れる問題でございますので、私どもとしては意見を申し上げる立場にないというふうに思うわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 どうも手ごたえないんですが、それじゃ先へ進みます。  先ほど問題になりましたが、ILOの専門家委員会の報告書は、日本の消防職員について団結権適用を除外とするのは正当でなく、日本政府が消防職員に団結権が認められるよう適当な措置をとられることを希望すると、こういうふうに勧告をいたしております。この勧告を受け入れる考えはないかどうかと、こうお聞きしたいんですが、先ほど一応の御答弁ございました。労働大臣、きょうはおっしゃらなかったんですが、この件について衆議院では日本の消防は外国の消防とは違うんだということを言われたということを聞いておるんですが、それがほんとうかどうか、ほんとうならどういう意味でそういうことを言われたのか、お答えを願いたいと思います。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) この点は衆議院の外務委員会で、日本の消防と外国の消防、まあこれは国々によって違いますけれども、沿革なり、発足なりが、趣旨が違いますし、法規の点も少し違いますので、違うという点は申し上げたことはもう間違いありません。これについては、あとから消防庁のほうも来ておりますから、消防庁のほうから専門的なお話をいたしますが、これは特殊な、公共の安全と秩序を維持し、国民の生命、身体、財産に対する差し迫った危険に対し、実力をもってこれを排除するという警察の職務でありますが、この点が、外国と日本の消防が、少し、警察の範囲と外国の警察の範囲内の中にも少し入っていったような関係がありますので、この点が少し相違しておると、こう申し上げたので、詳細については政府委員から答弁させます。

星野力日本共産党

○星野力君 いいです、いいです。またお聞きします。消防は昔の火消しでもなければ警察でもないと思うんであります。  今日の消防というものを、私も交通安全特別委員会の視察の際に救急活動なんかの面も見せていただきました。今日の消防は、仕事の範囲も広くなり、その機構には多くの職種を含んでおりますし、消防職員というのは近代的な労働者であるところのこれは自治体職員であると、こう私たち考えております。私たちはILOの勧告のあるなしにかかわらず、消防職員に団結権を認めなければならぬ、こう思っております。原則的には警察官にも団結権を認めるべきだと考えておりますが、消防と警察というのは違う。消防は先ほど次長のほうからいろいろその活動の特徴、権限あるいは警察から分かれた沿革など申されましたが、あれらの諸理由は団結権を否定する理由には私はならぬと思います。消防を治安機構の一部、治安要員、警察に準ずるものとする考え方がそもそも今日では正しくないのではないか。どうでしょうか。−次長さんのほうでもいいです。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) まあこれは、勧告委員会も、最初の理事会ではいろいろいま御説のような警察とか海上保安庁とか、そういうところとは別にして考慮してはどうかというような御意見も出ておりましたし、まあ最終的には、先ほど小谷委員の御質問に答えたように、最終的にはまあ公制審において積極的な結論に達するよう努力が払われることを要望すると、こう終わったのでありますけれども、まあこの問題は今後公制審の、まあ、いまのスト権の問題とこの問題とも重要な問題でありますが、いろいろの御意見、諸外国の例から見ると、消防に団結権程度は認めたらどうかという意見も、国内でも相当出ておりますので、いろいろの点を考慮し、公制審の結果を待って、労働省といたしましてはこれに対して対処いたしたいと思います。

山田滋消防庁次長

○政府委員(山田滋君) ただいまの先生から御指摘ございましたように、最近の消防業務、非常にまあ内容が複雑化いたしまして、救急業務、予防業務あるいは救助関係、幅が広がってまいりました。したがいまして、昔の消防とは違うわけでございます。ただ、まあ私どもの心配いたしますのは、少なくともまあ現在警察そのものではもちろんございませんでしょうけれども、保安警察的な性格は多分に持っておりまして、国民生活のいわば安全を守るその面におきまして、生命、身体、財産の保護という点におきまして非常に国民生活に密着をいたしておりまして、したがいまして、まあ消防業務のもし停滞が行なわれますと、非常な国民に不安を招く、そういう点を多分に心配いたしておるわけでございまして、現在のたてまえから団結権を直ちに認められた場合に、その点の憂慮が払われるという保障はございませんで、私どもとしては苦慮いたしておるところでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 時間なくなりましたが、私はILO百二号条約、社会保障の最低基準に関する条約についてもお聞きしたいと思っておりましたが、簡単にお聞きします。これどうして批准できないのか。労働省関係の失業とか業務災害はこれはおるわけでありますし、疾病と医療でしたか、九部門のうち四部門はすでに及第しておるわけでありますが、だから批准の条件はできておるけれども、批准しないというのは九部門のうち四部門だけでは主要産業国の日本としてはずかしいということでございますか。

藤繩正勝労働大臣官房長

○政府委員(藤繩正勝君) 先ほどもお答えしましたように、この条約は、ただいま先生もおっしゃいましたが、九部門のうち三部門満たしておれば批准できるわけでございまして、現在も疾病、失業、老齢、業務災害の四部門で満たしておりますので、批准できるわけでございます、技術的に言えば。ただ、この条約はわが国の社会保障制度のあり方とも密接に関連するということで、実はこの、政府部内のことをいろいろ申し上げては何でございますけれども、失業なり業務災害、まあ労働省所管のところはもう十分満たしておりますので、私どもとしては批准すべきではないかと考えておりますが、社会保障の主管庁であられる厚生省で従来非常に慎重でございました。ただ先ほどもお答えしましたように、齋藤厚生大臣がもうすでにこの国会で、衆参の予算委員会でそれぞれこの問題についてお答えになっておりまして、積極的な検討をしたいということを言われておりますので、私どもとしては、重ねて今後厚生省、外務省とも話を詰めていきたいという気持ちでおります。

星野力日本共産党

○星野力君 ILO条約を批准するかしないかというのは、本来、それ自体が大事なのではなくて、国内の実態がどうかと、これが一番問題だと思うんですね。労働者の権利の保障、社会保障における問題、それらのことについて、国内体制のいわば指標としてのILO条約の批准という意味を私たち重視しておるわけでありますが、いま、幾つかの点については積極的な姿勢でと、こう言われておる。どうもまだあんまり信用できないんですけれどもね、もう時間ないから要望するだけですが、ひとつ積極的に、大臣、やってくださいよ。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(加藤常太郎君) 御趣旨のように、ILOの問題、条約の問題に対しましても、あまりかたく国内法のことばかり考えて少し事務のおくれておる点があります。いまの百二号の問題などは当然われわれやりたいという気持ちで、厚生大臣の所管でありますが、厚生大臣もこれに対して相当積極的な発言もいたしておりますので、いろいろ、今後、御趣旨のような線に沿って積極的に対処いたします。これもお約束いたします。従来よりは前向きでいろいろな面について改善すべき点は当然改善して、批准問題も解決に邁進したいんだ、こういう所存であることは、これは労働省の基本方針であります。

星野力日本共産党

○星野力君 委員長、ありがとうございます。終わります。

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後零時三分散会

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