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71回国会衆議院1973/03/05

予算委員会第二分科会 第3号

発言数
459
登壇者
34
会派数
5
開催日
1973/03/05

会議録

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 これより予算委員会第二分科会を開きます。  昭和四十八年度一般会計予算中大蔵省所管、昭和四十八年度特別会計予算中大蔵省所管、昭和四十八年度政府関係機関予算中大蔵省所管を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず安井吉典君。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 初めにちょっと伺っておきたいのは、ブリュッセルのEC緊急蔵相理事会で、きょう早朝の話し合いの結果、アメリカ及び日本を加えた十三カ国蔵相会議を開くというふうなことがきめられたというテレビの報道を、私出がけにちょっと聞いたので、詳しい内容はよくわからないのですが、そういうふうなことが伝えられているわけでありますが、それに関連して私伺いたいのは、東京の外国為替市場はいつまで閉鎖をするのかということが一つ。これは一説によれば七日ごろ開くとか伝えた新聞もあるようでありますが、これはいつごろなのか。そういつまでも閉鎖期間を置くというわけにはいかぬのではないかと思うのですが、それはどうでございますか。  それからもう一つは、いまきまったばかりで招請があったということではないと思いますが、もし招請があればその十三カ国蔵相会議に愛知大蔵大臣は御出席されるおつもりなのかどうか。この二点について伺います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 ただいまお尋ねの点につきましては、EC蔵相会議理事会と申しますか、そこでステートメントを出しております。その中に今朝のテレビのニュースに出ておりましたように、その会合体と申しますか、そういうところへ関係主要国を招請したいという趣旨が出ているようでございますけれども、その理事会の事務当局、あるいは議長から招請がまだ届いておりません。  それから出席するかどうかということにつきましては、これはいまのところの想像では、いわゆる十カ国蔵相会議というような形のものではないようでございますから、これらの状況や、事実招待があるならばどういうことで招待をされますのか、その辺を見きわめてから最終的に態度をきめるべきものであると、こういうふうに考えております。  それから、その次に東京市場の問題でございます。これは御案内のようにヨーロッパの状況が閉鎖されたに伴いまして、不測の事態がもし起こっては困ると思いまして閉鎖しておるわけでございますから、ヨーロッパの閉鎖あるいはこれに準ずるような措置が相当続くようではございますが、状況をよく見きわめまして善処いたしたい。基本的な考え方はなるべく早い機会に再開をいたしたいものだと、こういうふうな気持ちを持っておる次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 ある新聞は七日再開かというような伝えられ方をしておりますけれども、これは確かなことではないんですね。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 そこまではまだきめておりません。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 本来の問題がありますから、この点はこの程度にしておきたいと思いますが、もう一つ、昨日のある朝刊に、政府はいま、これは大蔵省ではないかと思いますが、経済安定特別措置法案という、仮称でありますが、これを今国会成立の方針で具体的な検討に着手したという報道があります。アメリカの大統領に近い経済政策の強力な権限を総理大臣に与えようというものだそうでございますが、これはそのとおりですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 実は私もその報道を見ました。けれども、そういったような具体的な案というものを大蔵省として検討しているという事実はございません。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 じゃもう今国会に成立だとか何とかいうことはないのですね。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 少なくともある新聞に報道されていたような事実はございません。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 報道されていたような事実はないが、まあ火のないところに煙は立たないというが、何かそういう方向で検討されているということだけは確かなんですね。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 さらにこまかく申しますと、たとえば関税の問題にいたしましても、関税定率法の改正法案を政府は提案して、今国会で御審議をいただいて、成立を期しているようなわけでございますから、この国会でさらにそれを修正といいますか、上回るといいますか、そういう案を今国会に会期中に提案を申し上げるというようなことは考えるべきものではない。そういう意味をも含めまして、ただいまのところと申しますか、正確に申し上げて、さような法案、あるいは関税という例をあげましたけれども、そのほかの部分も含めまして、この国会に御審議を願うような積極的な準備をしておるという事実はただいまのところございません。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 きょう、私、大蔵大臣に伺いたいと思うのは生命保険の問題です。私もいままでわりあい無関心に過ぎてきているわけでありますが、わが国の生命保険の契約高は百兆円をこえ、件数にしても一兆一千万件をこえたというのでありますから、まさに国民人口一人当たり必ず一つ以上の保険に入っているという事態になる。契約高アメリカに次いで第二位だ、こういうふうに伝えられています。それだけに今日の生命保険のあり方について庶民的な疑問や要求というものも非常に多くなってきているように思います。大蔵委員会でもあまりこれらの問題は取り上げられていないそうですから、あえて国民的な、あるいはむしろ庶民的な考え方、見方を率直にいま大臣に申し上げて、政府としての御見解をただしたい、こう思うわけであります。  素朴な庶民的な意見の一つは、インフレ、物価高の状況の中では、長い間保険料をかけていっても、死亡した場合、あるいは満期になった場合、保険金が戻ってきた、その保険金は全く使いでのない金額になってしまう。年金でもいま物価スライド制が議論されているように、インフレのこの状況の中で保険金もそれに伴ってふえるというふうな仕組みをつくるわけにはいかないのかという疑問が一つありますね。  それから二番目には、保険会社は契約者からたくさんな保険料を集めているわけですが、一体どう運用しているのだろうか。預金とは違って、これは相当長期の金であるだけに、最近は土地や株で法人は狂奔をしているというふうに伝えられているが、そういうものとダブって、庶民的な発想としては、その金で会社は大もうけしているのではないか。しかし、それがあまり契約者に還元されていないのではなかろうかという、こういう疑問があります。  それから三番目には、こういうインフレがどんどん進む時代では、外国にたくさんありますような、かけ捨てでもいいから、それからまた配当もなくてもいいから、ごく低額の保険料で、死んだとき多額の保険料がもらえるような、そういう保険を日本でもっとやってはどうなのかという希望もあるようです。  それからついでにもう一つ、四番目、これは保険外交員の問題でありますが、目標貫徹だとか突撃だとか、ある支店などに行きますと壁に張ってありますよ。そういうようなことで会社からしりをたたかれてやっているようだが、結局これは消費者にしわ寄せが来て、義理にからまれたり、無理じいされたりして判こを押してしまう。それはやはりこの外務員の雇用制度にも問題があるので、もっとその職場に安定した雇用の仕組みをつくり上げるようなことをすることが、外務員自身にとっても、あるいは消費者にとっても非常に大切なことではないか。  たくさんありますけれども、こういった四つの点に私、一応しぼりますが、これらの点について私もいろいろ調べてみました。なるほど保険審議会の答申もあるし、ついこの間は国民生活審議会消費者保護部会の「保険サービスに関する消費者保護について」というレポートも出ています。これに対する保険協会の見解も見ました。これらについてこの政府の考え方をひとつ率直に国民に伝えるというふうなつもりで、要約してお答えいただければありがたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 まず御指摘の物価が上がりまして、保険というものに対して妙味がなくなるという点はそのとおりでございますが、これは保険に限らず他の相当長期な貯蓄制度にも全部同様の問題があって、根本的には物価の上昇を押えるということが一番基本であるという認識に立っております。しかし同時に現在の保険のあり方につきましても、当局としても大きな関心を持って、業界の指導あるいは業界のくふうにまっているところも多いわけでありまして、一、二を申し上げますと、たとえばいまも御指摘の保険料でありますけれども、保険料をできるだけ有利に運用して、その成果を配当として契約者に還元するということ。それからこれは昨年度から始めているようでありますけれども、長期継続した契約の満期のときに特別の配当を行なう制度をスタートさせたわけであります。それから毎年度の契約者に対する配当金をもって年々保険を買い増ししていくという保険を開発いたしまして、相当の普及を見ておるわけでございます。こういったような面でできるだけ契約者といいますか、大衆的な立場に立っての利益の保護ということに努力を続けておるわけでございますが、同時に保険業法はかなり古い法律になっておりますので、保険審議会等にもいろいろ御意見がございますし、またいま御指摘の国民生活審議会消費者保護部会の答申もきわめて最近ございましたので、業法の改善ということも含めまして、現行の保険業法の適正な運用ということにも大いに意を用いたい、こういう考えでおるわけでございます。それから外務員の問題も、これは常日ごろ当局側といたしましても関心を深くしている問題でございますけれども、もとより何といいますか誇大な活動というもの、これを自粛して契約者のほんとうの利益を保護するという意味に徹してくれるように、あるいはまた、いま御指摘の雇用条件にも関連するかと思いますけれども、常に関心を払いながら適正に運営されるようにこの上とも心がけてまいりたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 一とおりのお答えでありますが、その一、二についてもう少し詰めて伺っていきたいと思います。時間が限られているものですから、詳しく入ったお話はできませんが、証拠物件が一つあるわけです。  これは私の二十五年満期養老生命保険証書というものです。学校を出てある会社に入った年の暮れに、昭和十五年の十二月二十九日に契約しています。保険金二千円なり。昭和四十年の十二月二十九日に満期になって、その二千円を取りに来いという会社からの話があったが、私はその二千円をもらってもこれではどうにもなりませんので、記念にこれをとっておきました。きょうちょうどこれが役に立ったわけですが、半年分の保険料、当時三十七円だった。当時の私の月給はたしか七十五円か八十円ではなかったかと思います。ですからこの三十七円のお金を保険料として納めるには、やはり相当の決意が当時必要であった。それが二十五年たって二千円になって戻ってきた。こういうことについての、これでいいのかという率直な庶民的な疑問であろうと思います。  そこで現在の仕組みは、保険料率のきめ方やあるいはまた配当についても、標準配当率、これは全部各社が集まって相談してきめるわけですから、公正取引ということにはなっておらぬわけです。これは独占禁止法違反だとは言いませんけれども、別な意味の問題もありますからそれは言いませんけれども、しかしそういうふうな中で全く競争原理ゼロ、そういう中で保険業界はずっと安定してきているのではないかと思います。  ですから一つには、現在の仕組みは保険料をできるだけ配当というふうなことで減らしていって、本来二十五年先なり三十年先でもらうお金の値打ちというものは減るわけですから、現在の保険料、ふところから支払うものをできるだけ減らずという形で不満を押えようというのがいまのやり方ですが、その側面もどうも十分に満たされていないような気がする。もっともっと配当があってもいいのではないかというふうな気もする。それからもう一つの見方は、保険料はある程度上がっても将来もらうものが使いでのある額になるように、物価の変動に合わせて保険金額が引き上げられて、そう手間要らずに引き上げられていくような仕組み、こういうふうなもののほうがありがたいというふうな気持ちもあると思います。そのいずれにも、どうも今日のやり方はこたえていないような気がするわけですが、その点もう少し伺います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 まず第一の点は、これは先ほども申し上げましたが、国民生活審議会の答申にも指摘されておる点だと思いますけれども、保険会社の財産の評価益、売却益が原則的に準備金として積み立てられることを要請しておる。その結果これが配当との関係においてはかなり規制が厳重過ぎるのじゃないか。つまり評価益や売却益の使用の規制を緩和して、契約者に対する配当に使用するというようなことを再検討すべきではないか、それが消費者保護のためではないか。この点はまことにもっともだと思いまして、こういう点は先ほど申しましたように、当局側としても積極的に改善を考えたいと思っておる点でございます。  それから第二の問題は、これは従来の考え方からいうとなかなかむずかしいことだと思いますけれども、いろいろ今後検討に値する問題ではなかろうか。先ほど申しましたように、現状においてなし得る程度のことについてはいろいろくふうも加えておるわけでございますが、どうもそれだけでは十分ではないというようなところから、第二の点につきましても何か名案はないであろうか。これはいろいろ権威者の意見なども聞いてさらに積極的に研究をいたしたいと思います。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 その第二の点ですが、ちょうど最近は年金のスライド制というのが政治的にも大きくクローズアップされているものですから、なおこの問題とからんで意識されているのではないかと思います。それだけにやはりもっと何かの対応策を政府としても提示する必要がある、こういうふうに思います。  それから資金といいますか資産といいますか、その活用の方法でありますが、安全性第一、それから効率性ということもあるでしょう。同時に私は国民福祉の向上という上に役立たせるような方向で運用がなされるべきだと思う。その際、現在の企業に対する貸し付けが中心になっている仕組み、それも無担保貸し付けが五三%も占めているというふうな現状があるようですね。いまの保険業法の規定では有担保が原則なんですから、その原則は全く踏みにじられているというふうな状況がある。また株式の売買の利益というのは、通常の配当の財源にされていない、そういうふうな問題があるのではないかと思うのでありますが、その株式の扱いは、株式の配当だけは普通の配当の中に還元されているようでありますけれども、譲渡益というものは毎年の配当の中に入れられていないようですね。現在はどうなんですか。各企業は猛烈な株買いをやってもうけているという報道があるのですが、生命保険会社は、従来と同じようにそういう渦中には入っていないのですか。そういう点も含めて伺っておきたいと思います。

安井誠大蔵省銀行局保険部長

○安井説明員 生命保険会社の財産の運用につきましては、先生御指摘のように、安全でなければいかぬことも当然でございますけれども、同時に契約者に利益を還元するという観点から、できるだけ有利に運用してほしいというのが私どもの方針でございます。同時に、御指摘のございました国民の福祉にも役立つようにということから、住宅公団の債券をはじめといたしまして、財投関係にも生命保険会社から債券のほうの購入をさせるということもいたしておるわけでございます。  御指摘のございました貸し付け金につきましても、担保貸し付けが原則でございまして、担保のないときには銀行の保証をとるとかいうようなことをいたしております。株式のキャピタルゲインにつきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、昭和十四年の保険業法では、株式のキャピタルゲインが出ますと、それはやがてまた株式の値下がりがあるかもしらぬということから、準備金に積み立てておけという規定がございまして、大蔵大臣が必要と認めるときは、大蔵大臣の承認を得ればそれは取りくずすことができるということになっているわけでございます。それを昨年から実は契約者配当のほうへ株式のキャピタルゲインを回せということで実行いたしておるわけでございまして、本年度の契約者配当も現在議論いたしておりますが、そちらの方向で処理をしてまいりたい、こういうような形で、契約者配当をふやすことによって生命保険に対する国民の期待に沿ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 自治体の消防自動車その他の消防施設に損保会社が自動車を器付したりなんかしている。それは、消防機能がどんどん発達すれば損保会社にはプラスになるわけですから、相当な投資をしても決して悪くはないわけです。それから得た発想でありますけれども、健康保険事業の赤字対策、これはもう大蔵大臣をはじめ政府はずいぶん頭を悩ましているわけでありますが、健康が増進すれば生命保険会社がもうかるわけですよ。もう少し健康を保持するというための施設、たとえば病院だとかその他の施設だとか、あるいはまた現在の健康保険事業の猛烈な赤字、これらへ生命保険の資産を活用する道というのはないのだろうか。少しとっぴかもしれませんけれども、それはどうですか、検討されたことがありますか。

安井誠大蔵省銀行局保険部長

○安井説明員 損害保険会社の消防自動車の例は御指摘のとおりのことからしでいるわけでございますが、生命保険会社におきましても、たとえば生命保険会社に財団をつくりまして、健康管理のためにレントゲン車を購入して契約者の便宜をはかったり、いろいろな施策は講じているわけでございます。いまの先生の御指摘の健康保険そのものの対策にまで使うことができるかどうか、少し問題があろうかと思いますけれども、一般的には先生の御指摘のような健康管理の増進ということには保険会社のほうも給付金その他で処理をしているようでございます。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 私もどうなるかわかりませんけれども、一つのアイデアとして申し上げておきます。  あと時間が十分ありませんが、配当はなくてもいいから、そうなると保険料も当然安くなるわけでありますが、とにかく事故があった場合に何とかよけいな保険金が出るようにという、そういう仕組みに対する要求は案外強いようですね。これはインフレを抑制することができればいいのですけれども、どうも田中内閣ではできそうもありませんから、みんなあきらめて、せめて死んだときでもうんと保険料がもらえるような仕組みを求める声が起こる。現にアメリカをはじめ外国ではそういう仕組みが発達しているわけですが、日本も制度的にはないわけじゃないのですね。アメリカのライフ社も持ち込んでいるようですが、どうも普及するというふうな見通しが少ない。みんなそういう制度があるということを知りませんよ。この点どうですか。もう少し積極的な取り組みがあっていいのではないかと思うのですが、いかがですか。

安井誠大蔵省銀行局保険部長

○安井説明員 御指摘の無配当保険につきましては、昨年の保険審議会におきまして制度的に日本としても導入すべきではないかということでいろいろ御検討願ったわけでございますが、結論的には現行制度のもとでも行政上の運営で取り扱いができるだろうということになりまして、実はその手始めにアメリカの生命保険会社の日本人向けの営業の際にその許可をいたしまして、この二月一日から発売をいたしております。いま御指摘の問題は、日本の生命保険が配当づきの保険、しかもそれが高い料金をいただいて、高い配当でお返しするというのが一般的な流れだったわけでございますが、同時に、低い料金で低い配当でいいから、そういう流れもあるわけでございます。その極端なものがいまの無配当保険でございますので、それが刺激になりまして各社のほうも現在商品化を準備しているようでございます。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 その問題にからんで出てくるのは、相互会社の無配保険については現在の保険業法では問題があるわけでしょう。ですから、先ほど保険業法の問題については適正な行政適用でいく、そういうふうな大臣の御答弁でありますけれども、今日の消費者の保険に対する需要等の中から、なかなか現在の保険業法だけでは、それはいいかげんにいじくり回したって、なかなかそういかないという面がたくさん出てきているように思う。この保険業法は戦争の終わりの昭和十九年のたしか法律でしょう。ですから、そういうことで、やはりこの際制度全体を洗い直すという意味で保険業法そのものにメスを入れて改正するとかそういうことにもなるのではないかと思うのでありますが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 ただいま説明員から御説明いたしましたように、審議会の御意見で取り上げられているようなことも相当程度は現行法でも運用でできるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、保険業法それ自体は昭和十四年だったかと思いますし、それから戦後におきましても二十三年ですかというように、だいぶもう古くなっておりますから、そういう点から考えましても、全体についてしかるべく再検討の時期が来つつある、こういうふうな認識を持っておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井分科員 時間が参りましたので、終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次は、北山愛郎君。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 時間が少ないので、幾つかの問題点だけを具体的にお尋ねをするのですが、最近の国際通貨の状態、通貨危機というのは非常に深刻である、ちょっとやそっとでは片づかないという情勢であります。  そこで、端的にお尋ねをしますが、日本の外国為替市場の再開の見通しはどうか、どういうふうに考えておられるか、ECの話し合いがまとまって、欧州の市場が再開をされたあとでやるのか、あるいは独自の判断でやるのか、それらの見通しについてひとつ大臣の御見解を承りたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 ただいま安井委員の御質問にもお答えいたしましたが、今回の閉鎖はヨーロッパ市場がああいう状態になりましたので、不測の事態が起こると困る、こういう感覚で一時市場、インターバンクの取引を停止したわけでございますから、できるだけ早く従来のような機能を回復するようにいたしたいと考えまして、ヨーロッパ市場の落ちつき方等について現在深甚な関心を持ってながめているわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 いずれにしても市場閉鎖をしたままで長く続けてはおられないということでありますから、欧州市場いかんにかかわらず、独自の判断をせざるを得ないような事態が出てくるのであろうと思います。そこで、いずれにしましても、通貨不安というのは根っこが深い、アメリカのドルの不信というものが非常に深刻である、この問題が解決しない限りは日本がじたばたしてもなかなか容易でないと思うのです。いずれにしてもこれから日本の円が高い方向に行き、ドルが下がってくるという傾向ですね。したがって、市場閉鎖前における円のドルに対する比率というものが二百六十四円とか五円とかそういうところで閉鎖をしたわけですが、今後においてはさらに円高になってくるのじゃないかと思うのです。そうなれば相当な為替差損が出てまいります。そこでこの為替差損をどうするかということについてお伺いしたいのですが、この前予算の総括で村山君から外為会計とそれから日銀とのお話がございました。それに関連してお尋ねするのですが、いま日本が持っておるドルが約二百億ドルといっておるのですが、その外為会計にあるものと日銀にあるもの、日銀に幾らあって外為に幾らか、その内訳をひとつお願いいたします。

松川道哉大蔵省国際金融局次長

○松川政府委員 ただいま北山委員の御質問でございますが、保有外貨のうち日銀が幾らそしてまた大蔵省が幾らという数字は厳格な数字は外へ発表いたしておりません。ただ大かたのめどといたしまして、ただいま三、四割方を外為会計が持っておる、このように御了承いただきたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 そうすると、割合で言われましたが、金額にすると大体どのくらいになるのですか。日銀が大体幾らで、外為が幾らか。これは隠しておいてもしようがないような気がしますが、正確な、厳密な数字でなくても、大体の数字は出さざるを得ないと思うのですよ。隠しておいたってしようがないのです。

松川道哉大蔵省国際金融局次長

○松川政府委員 わが国が外貨準備の中で外貨として持っております額は、一月末現在で百六十七億九千百万ドルでございます。そのうち、先ほど申し上げましたようなおおよその割合が大蔵省が持っておるものである、このように御了承をいただきたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 そうしますと、大体日銀は百億ドル以上持っておると考えていいですか。

松川道哉大蔵省国際金融局次長

○松川政府委員 御指摘のように、日銀が持っております外貨は百億をこえる外貨になります。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 これはしかし秘密じゃなくて、あれじゃないですか、日銀の統計なんかにも出てくる試算がありますね、あの中に出ておりますから、大体それで推定できるわけです。いずれにしても大半を日銀が持っておるとするならば、大体変動相場制ではあるけれども一六%円が値上がりをしている、今後さらにそれがあるいは二百六十円とかそういうことになるかもしれないといわれておる。相当な差損が出ると思うのですが、その損失を一体どのように処理をするつもりか。日銀の損失は数千億になると思うのです。かりに一八%円がドルに対して切り上げということになれば、四千億も差損が出る、こういうふうにいわれておるわけです。その処理はどのようにされるつもりですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは国際変動相場制ですから、たとえば固定相場制に変わって、そのときに固定相場というものが幾らということにきまりますならば、それによって評価損が出るわけでございます。その場合における処理は、昭和四十六年度におきましても相当の評価損があったわけでございますが、それの処理はたとえば積み立て金等によっていたしましたことは御承知のとおりでございまして、従来の処置と同じような方法で処理をすべきものである、かように考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 日本銀行の前回における四十六年の際の処理は、去年の三月の決算期にやったわけです。いまお話しのように準備金とか積み立てを取りくずしてやったわけですね。ところがその結果として現在は積み立て金が千九一三億しかない。ですから前のようなわけにいかないんですよ。かりに三千億にしても、あるいは四千億になればなおさらのこと、当然赤字になるわけです。そしていま変動相場制だからと言うのですが、一体日銀の場合には、必ず固定相場に返してレートがちゃんときまったその時点でなければ評価がえをしない、こういうことなんですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これはやはり基準外国為替相場というものが固定して、はっきりした場合に評価益、評価損を出すというのが原則であると、かように考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 かりに三月の決算でも、それまでに変動相場制が続いているとなれば差損の評価がえはしない。そういう処理で済ます。しかしいずれにしてもやらなければならぬのです。やった場合に、前回のように内部留保がないとなれば、差損の赤字が出ますね。だれが考えたって数千億の赤字が出ますよ。それを政府としてはどのように補てんするつもりですか。どのように処理するつもりですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは従来の方式で処理すべきものであるというのが原則でございます。それからそれ以外の評価損が出た場合には、その場合において適切な措置をするというふうにお答えする以外に方法はないと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 そんなに答弁を逃げる必要はないじゃないですか。日銀でもその損は相当な額に達する、四十六年度のときと同じような処理は積み立て金がないからできない、どうしても損失補償を政府に要求せざるを得ないと言っているのですよ。これは国の政策に従って日銀が操作したものですから、したがって当然日銀だけの処理というわけにいかない。しかも積み立て金はないとなれば、その赤字の分というのは国が責任を負うのはあたりまえなんです、適切な処理じゃなくて。形式としてはいろいろな方法があるでしょう。しかし少なくとも国が責任を負うのだということになれば、当然補正予算を組んでやらなければならぬ時期が来るのですよ。はっきりお答えになったらどうですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 ですから、これはかたくななようでありますけれども、いま固定相場にいつ返るが適当であるか、またその時期においてそのときの判断によってレートがきまるわけでございますが、これは現在の段階ではまだ申すべき段階でございませんので、原則的に従来の例による、それから従来の例により得ざるような事態が生じました場合には適切な措置をすると先ほどお答えをしたとおりなのでありまして、さような場合は適切な処置をとらざるを得ない、国として考えなければならないということは、私は自然の成り行きかと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 適切な措置と言うが、もっと具体的な答えが出そうなものです。これはだれが考えたって、当然変動相場制から固定相場にしたって、円高の形で差損が相当出るだろうというのは、これは仮定とは言うけれども、しかしだれも見通せる問題なんです。そうなれば、内部留保が少ないから、赤字が出たら国がそのめんどうを見るとか、形は別であっても、責任を負うのだということになると思うのです。そうなれば当然補正予算は必至である。これはもう常識であると思うのですが、非常に抽象的な形式的な答弁に不満ですよ。  で、いずれにしても、私は今度の四十八年度予算の前提である、大蔵大臣が言われました国際収支の均衡をはかる、いわゆる円の切り上げを回避するという第一の問題、物価を安定させるという第二の問題、第三の国民の福祉の向上、この三つの問題はすでに予算の成立前にもう崩壊しているのだ。円の切り上げを回避することはできなかったでしょう。物価はもう上がりっぱなしですよ。物価が上がったんじゃ、福祉もけし飛んでしまう。こういう例はなかなか珍しいと思うのです。もう予算の審議中に周囲の条件が変わってきている。そういう中で、私は、ひとつ率直に政府は情勢の変化というものを認め、見通しの間違いを認める、そして思い切って予算を手直しをするというぐらいの弾力性を持つべきだと思うのです。これは持ったって恥じゃないですよ。単なる形式的な責任に固執して、そして何でもかんでも原案を押し通すという態度は、これはむしろ内部の弱さを示すものだ。強い政府こそ、情勢の変化に応じて進むも退くもできると思うのです。情勢が非常に——予算の目標、原則、土台、これがくずれているのじゃないですか。それでもなおかっこの四十八年度予算原案というものをどこまでも押し通すつもりですか。どうですか。ぼくは、大臣の率直な見解をお聞きしたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 率直な見解を申し上げますと、変動相場制に移行したということは、新しい事態ではございますけれども、しかし四十八年度予算の原案というものは、しばしば申し上げておりますように、内需に転換をする、輸出ドライブがある程度以上行き過ぎたことを認めて、これを財政の機能によって内需中心型に切りかえて、福祉予算を増額をするという方向に切りかえて進んでいたことは御承知のとおりでございますから、まずこの考え方を実行面においてすみやかに実施をいたしたいというのが政府の考え方でございます。したがって、現在の段階で修正というようなことをすることは不適切である。しかし同時に、将来固定相場移行というようなことがかりにありました場合に、その際においては、先ほどの評価損の問題ではございませんが、そういう場合に必要とあるならば適切な措置を講じますというのが、先般政府の見解として予算委員会で総理大臣から表明した所見にも明らかにされている、私はかように考える次第でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 とにかくいまおっしゃったような内需をふくらまして輸出を押えて、そして国際収支のバランスをとって円の切り上げを回避するという目標ですね、もう現実にくずれたんじゃないですか。かりに変動相場制であっても、実質の切り上げじゃないですか。いまおっしゃったような目標は、予算成立以前にすでにくずれちゃっているのだから。問題は、そのことによって、国民がいろいろな犠牲をこうむっているということですよ。いま申し上げた三つの目標がくずれただけじゃないのです。国民は、まず物価高という大きな圧迫を受けておる。そしてしかも物価高になっても、円の切り上げは、また現実にきておる。両方からはさみ打ちになっている。その上に非常に負担が大きいのです。高負担。私は、国民の側から見れば、物価高と税その他の高負担と、それから円の切り上げと、こういう三つの、何というか今度の政府の政策の失敗の結果としてそのような非常な苦しい立場に国民は犠牲を負わされておる、こういうふうに思うのです。  まあ時間がありませんが、私はその中で一つ税の不公平の是正ということに、思い切って予算をむしろ撤回をして、少なくとも税なら税、国鉄運賃の値上げはしないとか、あるいは健保の保険料の値上げはしないとか、年金は思い切って引き上げるとか、そういったところにかえるべきだと思うのです。  そのうちの税の問題でちょっとお尋ねをしますが、ことしは減税を四千六百億やったというけれども、自然増収が中央地方を通じて三兆七千億もあるでしょう。実質でやはり税金は三兆二千億も国税、地方税で自然増と称する名前でもって、結局増税になるのです。その上に国鉄運賃が千八百億、健保の保険料が千億、五万円年金と称しても結局掛け金のほうが上がってくる、それも扱い上げになっていく。私はその中で、非常に税の不公平ということは委員会でもいままでもずいぶんやりましたが、せんだって総括の中で、日銀の国際比較統計に基づいた質疑がありました。その中で法人の実効税率、これは大蔵省の発表によりますと、法人税、それから地方税通じまして四五・○四%である、こういうように言われておる。ところが日銀の比較統計を見ますと、主要な四百七十四の事業会社の税金、いわゆる国税、地方税を通じて、税金というのは、実効税率三三%なんですよ。これは一九七〇年、昭和四十五年で三三%。そして特に、たとえば新日本製鉄の場合なんかは、一九六九年、昭和四十四年度で、税込みの利益が五百五十一億、これに対して諸税が九十五億ということですから、実効税率が一七・二%しかない。法人税だけでも三六・七五%ですよ。それが実質、法人税その他地方税を加えて、利益の一七・二%しか新日鉄は納めてない。これはどういうことなんです、一体。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 御指摘のように、新日鉄の四十四年の当期純利益に対する税等の割合は一七・二%になっております。これはまあ、四十四年度という年は、御存じのように必ずしも製鉄業の業績がよくない年でございまして、配当一ぱい一ぱいというような姿であったようでございます。しかし四十四年度は非常に異常でございますけれども、それ以外の年をとりましても、日本の製鉄業の利益率というものは非常に低い姿になっております。最近数カ年におきます製鉄業の利益処分の割合を見ますと、大部分が配当に向けられておるという状況でございます。その関係で、税のほうで申しますと配当軽課税率との関係がございます。もう一つは源泉されております預金その他所有株についての税額控除の関係がございます。そういうことで、かなり他の企業と比べますと目立って低い負担率になっております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 さっぱり答えがまとまってないのですね。要するに利益が少なければ税そのものは減るでしょうが、しかし利益に対する割合ですね、割合がそんなに一七・二%も低いということは、これは異常なんですよ。しかも九十五億の税金、諸税合わせまして九十五億に対して配当は百七十八億もやっているのです、もうけがないといっても。  それからこれは新日鉄なんか特殊の場合ですが、その他この資料には税について外国の同種会社との比較が出ているのですよ。新日鉄はいまのとおり実効税率一七・二%、これに対してUSスチール二四・四%。自動車を見ますと、日産は二五%に対してゼネラルモータースは五〇%。それから造船で見ますと石川島播磨一七%なんですね。そしてトッドシップヤーズというのが五〇%。それから化学については、住友化学が一九%ですね。三菱化成が二一%。これに対してデュポンが四九%。それから繊維についていえば、東レが三〇%、コートールズが四三%というふうに、いま軒並みに日本のこういう会社の実効税率というのは、大蔵省が出しておる四五・〇四%というよりもずっと下回っているのですよ。ですから、実効税率の四五・〇四%というのはこれは実体じゃないんじゃないですか。少なくとも大きな企業については平均して三三%であり、しかもその中にはとんでもなくもう一七%というふうな非常に低い実効税率の税金しか納めていないものがある。だから法人税が、特に大会社の法人課税が非常に安過ぎるのですよ。この前の予算委員会では売り上げ高に対する人件費の比率が非常に低いということが指摘されましたが、法人に対する課税が低いのですよ。とんでもなく低いのです。これを給与所得者に対する税金、たとえば今度の税制、四十八年度の減税によって、独身者の場合四十五万円まで非課税になった。四十五万円というと、もう学校を出て三万円ちょっと月給もらえばすぐ所得税かかるのですよ。勤労者に対しては、働く者に対しては重い税金であり、このような法人、特に大企業に対してはまことに低い法人課税をやっている。しかも大蔵省は四五%というごまかしをいっている。これを明らかにしてください。これを直す気はないですか、一体。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 各国の租税負担率の比較というのは私どもとして非常に本来重要な仕事でございまして、もう少しいろいろ努力しなければならない面がございますが、その点努力が足りないので十分比較ができておりません。ただ、一つ申し上げなければなりませんのは、四五%というのは事業税を含んだ負担率でございます。それから先ほど御指摘になりました日銀の国際比較統計というのは、これは事業税を含んでおりません数字でございます。それからもともといまの税負担の数字は、これは法人税負担をいっておるわけでございまして、所得税形式で負担しております分は、よく御存じのとおり税額控除で引けるわけでございます。本来税負担を比較するためには税額控除、たとえば利子とか配当について源泉で納めております税額、それを加算しなければなりませんし、外国で納めております外国税額を加算しなければならぬ。さらにいえば、いろいろと評価制度その他を比較してみなければならぬというようなことがございまして、この問題はどうしても何とかもう少し十分な比較をしなければならぬと思っております。現在努力はいたしておりますが、なかなか比較方式についてのうまい方法がないということで最終的には数字でお示しできないのは残念でございます。いずれにいたしましても御指摘のようなことがあろうかと思いますが、反面において四五という数字は、これは理論値でございますことと、それからもう一つは配当を、利益の三割を配当に回すということが前提になっておることと、もう一つは根本的に税額控除その他は全く考えてない、そういう数字でございますので、御指摘がありました法人税と利益との関係というものとは必ずしも合わないという関係にあるわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 いまのお答えの中にはいろいろな問題点を含んでおるし、そんな答弁じゃ納得できませんよ。とにかくどこから考えたって、その一々の申しわけじゃないんですよ、日本の法人の課税というのは安いのです。ことに、たとえば法人が株をたくさん持っているでしょう。いま三分の二は法人持ちだといわれておる。法人の持ち株というのは三二%しかないがその受け取る配当というのは非課税でしょう。だから大きな会社はよその会社の株を持って、そして上から数えて五十社の大企業が五千五百もの会社の株を持って支配しておる。その受け取る配当の非課税なんか幾らあるのか、これはわかってないでしょう。言わないでしょう。時間がないから、これはあらためて数字で出してください。  それから株はこの一年間に二十兆円以上値上がりしましたね。その三分の二を会社が持っておるとするならば、その評価益というものはばく大なものですよ。ところがこの評価益だって課税しないでしょう、売らない限りは。それはどのくらいになっておりますか、これも数字を出してください。  それから個人の株式の譲渡所得税は原則としてかけないでしょう。いわゆるキャピタルゲインにかけない。この一年間に二十兆円以上の値上がりをしておる株の売買についての譲渡益というものはばく大なものなんです。それは個人の場合は原則としてかけない。ですから、非常な不労所得というもの、そういうものが税金をかけられないものがたくさんある。もう数え上げれば切りがないんですよ。たとえば土地の場合だってそうですね。いわゆる長期保有の土地を売った場合の課税は例の分離課税にして減税していますね。その実績なんかなぜ出さないのですか。  とにかく法人課税が安いということと、しかも資産所得者、土地や株に関連したキャピタルゲインだとか、そういうものに対する課税が非常に軽いということ、こういうものも直さなければならぬと思うんですよ。そうしておいて働く労働者の賃金に対してはいま言ったように三万ちょっとあればもう税金がかかる。そんな不公平な税金を思い切って直さなければ国民は納得しませんよ。ほんとうはこういう情勢の中でこそそういうことをやるべきだったのです。だから私どもは予算を引っ込めて出直せ、こう言っているんですよ。大蔵大臣は一体根本的にこの税の不公平というものを直す気はあるかどうか、時間がないからそういう点集約して聞いておきます。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 いろいろの機会に申し上げておりますように、四十八年度の税制改正については、法人に対して重課したいという気持ちはもちろん持ちまして、そしていまもいろいろの点をおあげになりましたが、その中でなるほどごもっともと思われる点も、私も実は相当同感するところもございますが、四十八年度の税制ではとにかく課税所得をできるだけ拡大しよう、そして個人の優遇とか産業の合理化とかいう面におけるところの特例措置はできるだけこれを積極的に排除をしていく、それから一面において固定資産税が今回は相当重課されることになる。四十八年度はまずこれをやって、それから同時に四十九年度以降におきましては、法人税と所得税の関係におきまして、いま各方面でいろいろ提案されているようなことを十分取り上げて積極的な態度で出ていきたい。これは御承知のとおりに、税制調査会というようなところでもいろいろ御意見があるところでございますから、ある程度の時間をかしていただいて、四十九年度以降において新しい構想を打ち出したい。これはもちろん直接税と間接税の配分の問題も大きな問題でございますが、直接税の中では特に法人と勤労者の所得税と、これの一方では重く、一方では軽くということに重点を置いて積極的な考え方で新しい構想を打ち出したい、こう考えておるわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 そんな官僚的な答弁はもう何回も何回も聞いているのですよ。いまは経済が相当な変動をして、土地や株の投機、ギャンブル社会になっておるといわれておるその中で、経済白書でも指摘しているとおり、社会的な不公正というのは拡大している、こういうことですから、いまだからこそやらなければならぬのです。日本みたいに法人を優遇している国はよその資本主義国だってないんですよ。それから、おまけに土地や株、こういう資産所得に対する優遇、これもほかの国に比べてないですよ。そのような、その場当たりの答弁じゃなくして、相当思い切って頭の切りかえをしなければとんでもないことになると思うのですよ。時間がないから、以上だけ私はむしろ警告を発して考え直すように要望して私の質問を終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 上原康助君。

上原康助日本社会党

○上原分科員 沖繩の国有財産の件についてきょうはおもにお伺いをしたいのですが、復帰の際に、米国民政府から引き継いだ国有財産の件数というのは一体幾らあったのか御説明いただきたいと思います。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 沖繩復帰に伴いまして引き継ぎました国有財産でございますが、国有地全体にいたしまして、総面積三億八千二百万平方メートルでございます。

上原康助日本社会党

○上原分科員 面積でなくして件数を私はお尋ねしているわけなんです。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 土地が、実は台帳価格といいますものはまだ改定いたしておりませんものですから、戦前の価格でございます。ですからいまとは比べものになりませんわけでございますが、台帳価格にいたしまして、土地が約二百四十万円、それからあと立木竹がございまして、これが約二百万円、それから建物も約二百万円ということになっております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 その国有財産の台帳整理はもう完成したんですか。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 引き継ぎまして以来、現地の総合事務局の財務部におきまして鋭意努力しておりまして、一応本年末をもって完了する予定で作業を進めております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 引き継いだ国有財産のリストというのはわれわれ公表されたとは見ておりません。またこれまでも資料要求を沖繩国会なりその他の委員会でもお願いをした、要求をしたんですが、公表されておりません。台帳なりリストというのは公表できますか。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 この概要につきましては、当然毎年度末に出しております国有財産現在額報告書に載るものでございますから、中身につきましてはまとまりますれば公表できると思います。

上原康助日本社会党

○上原分科員 ぜひ早急に資料として御提出いただきたいと思います。  それとの関連で、国有財産を引き継いで、米軍が使用しているのはどういうのがあるのかあるいは県または公共団体が使用しているもの、個人の使用といいますか、いろいろあると思うのです。そこらについての分類がもしありましたら御説明いただきたいと思うのです。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 先ほど申し上げました国有財産でございますが、その中のほとんどの土地の数量は国有林野でございまして、現在それを除きまして大蔵省が普通財産として管理いたしておりますものが、土地にいたしまして千七百七十三万三千平方メートル、建物にいたしまして八万一千平方メートルございます。その管理態様の区分でございますが、米軍に提供しておりますものが、これは土地でございますが、四百五十万平方メートル、それから他の官庁等に使用承認しておりますものが約二百万平方メートル、それから民間その他に貸し付けておりますものが約六百九十万平方メートル、その他四百万平方メートル、かように相なっております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 やはりほとんど大半が引き継いで米軍使用地、林野も含めてそうなっている実情かと思うのです。  もう一点お尋ねしたいことは、これは外務省とも関係があろうかと思うのですが、いわゆる返還協定、大臣はよく御存じだと思うのですが、返還協定第六条三項によって、日本政府の財産となったものはどのくらいあるのか。いわゆるこれは埋め立て地のことをいっていると思うのですが、その地域、場所あるいは地目等は明確になっているかどうか説明をいただきたいと思うのです。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 米軍が日本から引き継いだもの、それから埋め立て地等につきましては、実は資料も全部ございますが、ただいまちょっと手元にございませんものですから、後ほど資料として提出いたしたいと思います。

上原康助日本社会党

○上原分科員 そういたしますと、合衆国政府の取得した埋め立て地などについても、十分調査の上で引き継いであるという理解でよろしいですか。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 その引き継ぎの問題につきましては、何ぶん膨大な財産でございますし、実態につきましても、復帰以前は米国民政府が管理しておりました関係上、米国民政府の資料をもって引き継ぎまして、その後時間をかけて日本側で実態調査をして、個々の財産についての現状を正確に把握したい、かように考えております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 先ほど御要望申し上げた資料と一緒に、いまの六条三項に基づいて引き継いだものについても、ぜひ提出していただきたいと思います。  以上、こまごました点までお尋ねしたことは、やはり引き継いだ国有財産の台帳なり実態調査というのがまだ十分なされていないんじゃないかという気がするのです。しかも一度もまだどういう国有財産を引き継いだのかということも県民や国民の前に明らかにされていない。またわれわれが仄聞するところによりますと、米側から引き継いだりストなりその台帳と現在の実態というのはかなり違ってくるというようなことも指摘をする方々もおります。それはもちろん若干の時間がかかるということも理解するわけですが……。  次に、お尋ねしたいことは、国有財産で地方公共団体や民間が使用している面も先ほどの御答弁によってもあるわけですが、特別措置法や政令で従前どおり使用できるという期間については御案内のように限られております。この特別措置法あるいは政令との関係において一年という年限をなぜ定めたのか、そこいらについてまず説明をしていただきたいし、もうじき一年目になるわけですが、その後は一体、特に個人が使用しているものあるいは国有財産を払い下げてもらいたいという申請が出ているものなどあると思うのですが、そういう要請に対して、県民の要求に対してどう大蔵省はこたえていこうとしておられるのか、考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 沖繩の復帰に伴う特別措置の法律がございますが、それの第九十条の第三項で、従前使用収益させていたものにつきましては「政令で定める期間内は、従前と同一の条件で使用させ、又は収益させることができる。」とございまして、この期間につきまして当時いろいろ検討いたしまして、原則として一年、ただし国有林野のように、特別の、非常に膨大な面積でもございますし、準備を要すものにつきましては五年ということで、政令を出しましてそれで処理しているわけでございますが、一年経過いたしました以後はどうするかという問題につきましては、これは一般の国有財産の法制に従いまして適正妥当な使用、収益の対価を徴収するという原則でございますけれども、いまいろいろ、本土と違いまして沖繩の特殊な事情もございますので、民間の賃貸実例と申しましても本土と違いましてその水準がかなり違っておりますものですから、その辺を現在調査しておりまして、調査が出次第沖繩につきましてどのような水準にするかということを考えたいと思います。  それからこういった国有財産の払い下げの問題でございますけれども、現在まだ現地の沖繩からは払い下げの要望はそう出ておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、現在鋭意実態調査をやっておりますものですから、払い下げるにいたしましても、その辺の財産の現況を把握してしっかりした体制のもとに払い下げ手続をしなければいかぬということで、今年度一ぱいはその調査ということで、来年度くらいからぼつぼつ具体的な払い下げの実務に入る、こういうふうに予定いたしております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 そこで大臣に一点お伺いしたいのですが、いま先ほどから御説明ありますように、まだ実態調査も十分政府としても済んでいないという状況なんですね。そういう過程で特別措置法なり政令で一年という期限をきめて、国有財産の賃貸料の問題なり、特に個人使用あるいは公共団体が使用しているものについて地価なりあるいは払い下げるにしても値段の問題も出てくると思うのです。そのことについては、私は、政令ですから、政府の実態調査さえもまだ十分済まないという段階で、政令を押しつけるということについては納得しがたい面があるわけですよ。これは、政府が十分に調査をなさって、あるいは県民からの、譲渡をしてもらいたい、あるいは払い下げてもらいたいというようなことについては、もっと時間をかけてやるべきだと思うのです。従前どおりの借用なり使用というものを一定期間延ばすべきだと思うのです。これについてぜひ御配慮いただきたいし、また当然そうすべきだと私は考えるのですが、大臣の御所見を賜わっておきたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 いまも説明をいたしましたように、たとえば一年経過後におきましても、御案内のように大蔵省関係法令の適用の特別措置等に関する政令三十四条というものも御承知のようにございますが、これは十年以内という規定がございます。政府といたしましては実態の調査をできるだけ急ぎまして——またこういったような特別の政令を置いたような気持ちを御理解をいただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

上原康助日本社会党

○上原分科員 あまり明確な御答弁でないのですが、やはり政令があるからということで、国有財産の使用についてすぐ賃貸料を上げるとか、あるいは払い下げる場合にも時価を参考に払い下げるんだというようなことになりますと、ますます物価へのはね返り、いろいろな面で悪影響が出てくるわけなんです。米軍にはずっと無償で提供しているわけですからね。そういった面も考慮していただいて、この政令の改定というものをやるべきだと思うのです。  そこで、これとの関連で、あと与儀の例のガソリンタンクのあと地の問題なんですが、与儀小学校が非常に過密の状態にあります。三千名の生徒数を擁している。おそらく本土にもそういう例はないと思うのです、こまかい点まで触れませんが。どうしても早急に学校敷地用地として与儀ガソリンタンクあと地にある国有地を提供すべきだと思うのです。私たちは、やはり無償で提供すべきだという立場でこれまで関係当局に何度も御要望申し上げたんですが、まだ十分納得いく回答をいただいておりません。もちろん手続面、いろいろな点で時間を要する面もあろうかと思うのですが、来年の開校期に向けて、新学期に向けて、この四月でなく来年の四月に向けてどうしても学校をつくらなければいかないという緊急な事態に来ているわけですから、この点について、那覇市なり、あるいは那覇の教育委員会に提供するというお立場にあるのか、またどうしてもそういうことはできない事情があるのか、もう少し沖繩のそういった事情、学校の事情等も理解をしていただいて、この面は早急に結論を出すべきだと思うのですが、あらためて御所見なり考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 この問題は、実は私も前々から御要望を承っておりますので、私としてはぜひそういうふうにいたしたい、こう考えております。ただ、この機会に、逆のお願いで恐縮なのでありますけれども、いわゆる総合庁舎の敷地もまだきまっていないような状況でございますから、ぜひどうかひとつ沖繩の御関係の方々も総合庁舎の敷地等についても御協力をいただきたいと、こうお願いをいたしておるようなわけで、ぜひ双方協力いたしまして小学校問題は早急に解決をいたしたい、私の気持ちとしては小学校に差し上げたい、こう考えております。  それからその次の問題は、無償ということを御期待になっておりますが、これは政令との関係もございますので、こういう点につきましては、基本的な考え方が関係当局との間できまりましたら、ひとつ細目を十分御相談をいたしたい、こう考えております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 いま前向きの御答弁があったわけですが、確かに総合庁舎の敷地確保ということも政府としてはお考えにならなければいかない御事情もあろうかと思うのです。その点は市当局なりあるいは県庁とも御相談をいただきたいし、またわれわれも側面的に話し合いをすることにもやぶさかではございません。ぜひこの与儀小学校の敷地問題はできるだけ無償ということを前提に、関係者で話を煮詰めて、来年度に間に合わせて学校が建築できるように特段の御配慮を御要望申し上げておきたいと思うのです。  次に、これも国有財産との関係なんですが、宮古なりあるいは八重山の白保、平得、大浜、真栄里など、嘉手納のほうにも若干あると思うのですが、いわゆる旧陸軍、海軍が飛行場用地に接収した土地がかなりあるわけですね。このことにつきましても、平良市なり石垣市あるいは関係地主、耕作人から何度か御要望が出てると思うのです。しかしいまだに解決のめどが立っておりません。多く説明するまでもなく、昭和十九年あるいは二十年前後の話で、半強制的に接収された土地なんですね。われわれは、ここまで待たずに、当然関係者にこういった土地というものは返還すべきだ、返すべきだという立場をとって、これまでも関係者と一緒に政府に対してもお願いもしたのですが、なかなか進展をしていない状況なんです。これらについてどう処理をしていかれようとしているのか、政府の確固たるお考えをぜひ聞かしていただきたいと思うのです。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 戦争末期に旧陸海軍が買収したと思われるものは各地にございまして、沖繩本島那覇、読谷、嘉手納の飛行場とか、あるいは宮古島では海軍の洌鎌とか野原の飛行場、石垣島では白保、平得とか平喜納の飛行場等ございまして、全体で私どもの調査では約千二百万平方メートルくらいあると思います。  ただ、現在これらにつきましてどのように利用しているかと申しますと、大部分は、たとえば本島の嘉手納、読谷のように米軍の飛行場に提供しているもの、あるいは宮古、石垣の飛行場のようにすでに公共飛行場として使っているもの、これが相当ございます。残りはほとんど地元住民に耕作目的で貸し付けている、こういう状況でございますが、戦時中にこれを買収いたしました経緯というものがいろいろ複雑でございまして、必ずしも一様にいかないという問題、それから現在公共用として使っておりますものとの関連もございますので、将来これをどのようにするかという問題等いろいろございまして、この辺は先ほども申し上げましたように、やはり現地におきまして十分個々の実態について調査をしなければ何とも結論を出しかねるということで、現在その方針をきめるための調査を個々の土地についてやっているわけでございまして、それが出ましてから、来年度あたり処理方針をきめたい、かように考えております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 前々から御調査をいただいているということは聞かされているわけですが、公共団体が使用している分については、国有地ですから話し合いもわりかしスムーズにいくかと思うのです。ただ、私が特に強調しているのは農耕地ですね。そういう面については早急に関係者の意を体して払い下げる方向でいかなければいかないと思うのですよ。これなどはほんとうにおそらく本土にもそういう例はないと思うのですが、ああいう戦争状況の中で、土地代も払っていないのですよ、関係者には。郵便貯金に回すとか、実際には土地代一文も関係者は受けていない——若干受けている面もあるように思いますがね。しかも、政府にもいろいろ出ていると思うのですが、当時の軍関係者は、戦争が済んだら、いわゆる国の使用に必要なくなった場合は、関係者に返すんだということを口頭で約束したという証拠まであるわけですね。こういう面からしても、これは戦時処理といいますか戦後処理の一つの問題ですから、こういうのが三十年近くも解決されないようなところにも、沖繩の県民のいろいろな政治、政府に対する不信というものも出てきているわけですから、大臣、これは早急に御調査をいただいて、関係者の要望に沿うように、本島、先島を含めて解決をするという決意をひとつお願いをしたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これはまことにごもっともな御意見であると思います。ただ、率直に申しますと、これは現在の時点において大蔵省だけでなかなか実態が調査できませんので、関係当局の協力をさらに一そう求めまして、とにかくその当時の実態というものはほんとうになかなかわかりませんから、できるだけ関係の方々の御意見というか御希望などが受け入れられるような、そういう気持ちでもって実態調査を関係当局で大いに推進していただいて、それに対しまして大蔵省としてとるべき態度を決定する、こういうことにいたしたいと思います。とにかく処理をできるだけ急ぐ、こういう決意を持っております。

上原康助日本社会党

○上原分科員 念を押すようで恐縮ですが、これは一般には国家総動員法で接収、没収されたんだという立場もあるわけですよ。いつかも、どの委員会だったか議論をしたのですが、政府はそういう立場はとらないということをお述べになっておった気もしますが、そういった結果論とか当時のことをあまり言うのではなくして、関係者なり関係市町村から強い要求が出されているわけですから、ぜひ当時の接収の土地を、接収したいきさつというも一のを政府としては御理解をいただいて、いま大臣お述べになりましたように、総合事務局なりあるいは現地、県当局、各市町村関係者に調査を依頼するなり、関係者との協力関係を得る中で早急に解決をしていただきたいと思います。  そこで、時間になりましたので、最後にもう一ぺん確認をしておきたいのですが、例の国有財産の使用、いわゆる地方公共団体や民間の個人が使用しているものについては、政令なり特別措置法で規定はあるにしても、実態調査が済んで関係者との話し合いがつくまでは、すぐその関係条例なり政令を適用するという立場には政府はいまないということで理解してよろしいですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは経緯を御承知のように、率直に申しましてなかなかむずかしいのですけれども、お述べになりました御趣旨は私もよう理解できるわけでございます。ただ経緯からいって、私も当事者みたいなものでありまして、非常にむずかしい点もありますこともまたお含みおきいただきたいと思います。

上原康助日本社会党

○上原分科員 沖繩のいま国有財産なりそういった面を利用している方々の事情というものも理解をしていただきたいし、またすぐいろんな面で十分台帳なり実態がつかめないまま、民間が使っているものに対してだけ従前の方針を変えるということも、これまたあってしかるべきじゃないと思うのです。あまりこまごましたことを申し上げませんが、どうか関係者の強い要求があるということを御理解をいただいて、払い下げの問題なりあるいは地価の問題、賃貸料の問題等、物価や関係者に大きな悪影響を与えない方向で解決をしていただくということを重ねて強く要望いたしまして、質問を終えたいと思います。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次に、東中光雄君。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 私は国有財産の賃貸借契約について伺いたいのですが、物納財産について物納前から借地法または借家法の適用を受ける借地権者あるいは借家権者がいる場合、国は、その物納財産について前所有者の貸し主としての地位そのまま承継する、したがって、借地借家人と国との間には前所有者との間に結ばれていた借地契約なり借家契約なりがそのままの条件で自動的に引き継がれることになる、これは借地法なり借家法なりのたてまえからいって、そういう筋合いのものだと思うのですが、民事局から来ていただいていると思いますから、御見解を伺いたいと思います。

興野範雄法務省民事局参事官

○興野説明員 ただいまのお話のとおり、当然承継、同じ条件で続きます。以上です。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 その財産が物納された場合、国は国有財産賃貸借契約書というものを借り主である借地人なり借家人なりに送りつけられるわけですが、これは全国借地借家人組合連合会や全大阪借地借家人組合連合会への理財局関係の回答では、「借主の了承を得て従前の契約を変更し、契約書を取り交わすことにしています。」こういうふうにいっているのですが、そういう態度を基本的にとっておられるかどうか、まず確認したいと思います。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 この問題は、ちょうど一年前東中先生から御指摘を受けまして、その後、至急内容を検討いたしまして、こういった物納財産の取り扱いにつきまして通達を改正いたしております。  すなわち、前主の地位を国が承継することを明白にしたことが一つと、それからもう一つは、契約の変更をいたします場合、一応前主の地位を承継しまして、前主と同じ条件で契約状態がありますけれども、ある期間たちましたならば、国の一般の基準に合わすように相手方と十分相談いたしまして切りかえていく、こういうような措置を現在とっているところでございます。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 そうしますと、借り主の了承を得る、相談をして了承を得て契約を変えるということであるから、借り主が了承しない場合は従前どおりの契約によって、前所有者の結んでおった契約に従って進めていくということになるわけですか。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 国の貸し付け料、これは一応妥当なものということで私どもきめておりますので、かりに、御相談しました結果、借り主のほうが、主として金額だと思いますが、その額では納得しないという場合におきまして、近傍類似の賃貸実例と比較しまして低きに過ぎるということでありますれば、やはり国の財産管理の適正という見地から問題がございますので、この場合には借地法に基づきます増額請求をする、なお必要な場合には法務省と相談をいたしましてしかるべき措置をとる、こういうことになろうかと思っております。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 それは全然違うのです。私の言っているのは、固有財産賃貸借契約書、ここに書いてある。この文書によると従前やっておった契約と全く違った、国にとって非常に有利な、借地借家権者にとっては非常に不利な条項が印刷物の中にも書き込まれておる。たとえばこの契約書の第三条では使用目的というのが書いてある。表紙に書いてあるとおりの使用目的というようになっているのですが、表紙を見ると、賃貸人の自用住宅、みずから用いる住宅の敷地、どういうように特定しています。しかし賃貸借契約、借地契約なんかでこういう自用住宅の敷地というような契約をしているところというのはまずない。ほとんどないといってもいいくらいです。これは制限されてしまうわけであります。あるいは貸し付け料そのものにつきましても、たとえば貸し付け料の決定期間が満了したあとの貸し付け料については国の定める貸し付け料算定基準に基づき算定した貸し付け料、年額によるもの云々、こう書いてあります。これは第四条の第二項。これは一応三年の期間をきめているようですけれども、こういう規定というのは普通どこにもないです。三年たったら一方的に地主なり家主なりの——これは国ですけれども、きめたやつで押しつけていくぞという契約書になっている。いま理財局次長の言われた分は、契約書の第六条の二で、借地法十二条一項の本文による増額請求はこれはやると書いてある。こんなことは書かぬでも借地法にきまっていることです。それより以上に不利な条件が四条二項に書いてある。あるいは五条だってそうであります。たいていの家主というのは、物納するような大地主というのは、集金人がおって取り立て払いになっておる。ところが納入告知書を送ったらそれで納付しなければならない、これも取り立て払いが集金をやめて持参払いに変える。あるいは延滞金が第七条にきめてあります。これも私去年言って一二%以上だったのが八・二五%に変わりましたけれども、一般民法なら五%です。普通ならそうなっている。それがこういうふうに上げられている。その他瑕疵担保の問題、充当順序の問題、使用上の制限の問題、権利譲渡の禁止、実地調査、違約金、有益費等の放棄、契約費用の借り主負担、こういう契約というのは普通にはやっていない。特殊な悪質地主、悪徳地主といわれるような人がやっているかもしれませんけれども、一般にはやっていない。こういう契約書が押しつけられているわけですね。これを了承しない場合は、こういう契約内容は効力を発生しない。これは先ほどの民事局の答弁でも当然であります。国が変更の申し入れをやり、相手方が契約変更に同意しないということになれば従来のままでいくということ、これは借地法上あるいは借家法上当然の国民の権利ですから、そういう従来のままでいくということを理財局としては認められるのか、認めないでこの契約書をどうしても押しつけるというのか、そこのところをはっきりしていただきたいわけです。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 どうも先生の持っておられます契約書式は古いのではないかと思われます。実は私ども、これも昨年の先生の御指摘に基づきまして、いろいろ不都合な点があれば契約のフォームを検討して直すということでやりました結果、昭和四十七年五月三十一日付けの通達をもちまして、「普通財産の管理及び処分にかかる標準契約書式及び同取扱要領について」という通達の一部改正を行なっております。特に一般の国の借地契約等、それから物納財産のように国が新しく貸すのではなしにすでに前主の時代から貸し付けられている、そういう状態において国が引き継ぐという場合におきまして、同じ契約書のフォームを使うことはどうも穏当ではないのではないかということで、この要領の改正によりまして新しくフォームを設けまして、物納財産とか国庫帰属財産特有の一つの書式をつくったわけでございます。これは従来の場合の契約条項を一つ一つ検討いたしまして、全体二十七条あるわけでございますが、不要なものは削除する。全体につきまして約十一項目について改正ないし削除を行ないまして、二十一条からなる契約書のフォームをつくったわけであります。  それによりますと、先ほど御指摘がありましたような、たとえば使用目的につきましても、前主時代からすでにある用途に供されている、普通の契約書式にありますような、申請書に記載した使用目的及び理由を添付した利用目的のとおり使用しなければならぬ、こういうような譲渡はおかしいではないかということで、ごく簡単に使用目的のところは何々として使用するものとするとか、あるいは貸し付け期間につきましても、普通の場合には貸し付け期間は何年何月何日から何年何月何日までの期間とするとありますけれども、特に二項を入れまして、その「貸付期間は、前主との契約日から〇年間とし、前主の契約日から本契約締結日までの期間を控除した残期間とする。」というふうに、前主からの貸し付け期間をはっきりしております。  それから延滞金の徴収につきましても先ほど御指摘がありましたけれども、従来は納付期限までに支払わない場合は年一四・五%の割合で延滞金を支払わなければならないとあったわけでございますが、これを八・二五%に直しました。八・二五%でもなお高いではないかという御指摘があろうかと思いますけれども、これは国の債権管理というものの一般原則に従いまして、現在、債権管理法の施行令でも八・二五%というものをとっておりますので、それに合わせるということをいたしております。  それからまた有益費等の放棄の問題、あるいは評価の特約とかあるいは契約費用の負担の問題、いろいろあったわけでございますが、こういったものは一切削除しております。  こういうふうにいろいろ簡素化ないし改善をはかりまして、契約書式としては従来のものと違ったものに変わっていることをひとつ御了承いただきたいと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 私がいまここに持ってきております写しは、昭和四十七年九月二十九日に大蔵省近畿財務局でつくった「国有財産賃貸借契約書」に基づいています。もちろんこれは前から続いておったのかもしれない。しかし前から続いておったにしても、物納財産に関連するものであることには違いがない。それによると、いま私が言ったようなことが書いてあるわけであります。  それで私がここで言いたいのは新しいフォームです。去年私が指摘して変えられたこと自体は非常にけっこうなことだと思うのですが、たとえばいま申し上げた延滞金の問題について言うても八・二五%、これはしかし、いままで八・二五%の延滞金を払うというような契約をしている借地借家人というのは国相手以外にばないです。たいてい民法の規定に基づいて五%を支払う。それにしてもたいがい支払わないで、理屈上はそうなっておっても支払う例というのはまず九九・九%までないという実情であります。  それから、いま私がここで確かめておきたい問題というのは、そういう新しいフォームを出されたが、しかしそれが従来の契約と違う場合——違うことは事実なんですから。たとえばいまの延滞金だけでも違うんですから。それを契約書にサインをしない、相手方が契約変更に同意をしない場合に理財局としてはどうされるのかということです。従来どおりで処理されておるか、あるいは国が出す新しいフォームに従わない限りは契約書がないというたてまえ——実際は契約はあるんだということを先ほど言われているんだけれども、実上の扱いとしては、契約書にサインしてもらってないからということで家賃も受け取らない、地代も受け取らない、こういう態度をとっておられるんじゃないか。ここの点をはっきりしておいていただきたいのです。了承せずに新しい契約フォームにサインしなかった場合は従来契約どおりに処理するのかしないのか、この点をはっきりしていただきたい。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 これは契約でございますから、両当事者間の合意がなければならないということは当然でございまして、いろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、私どもはフォームを適正妥当なものに改正したと考えております。現に延滞金の問題につきましても、従来、こういうことは口約束あるいは定めもなかったという実態もいろいろ聞いて承知しておりますけれども、やはりお考えいただきたいのは、国有財産の管理の適正化、公平という問題がございまして、必要最小限度の規制は何とかお願いして続けたいということでございます。そういうわけで、結局まあお話し合いで何とか契約変更に持っていきたいと考えているわけでございます。  それから契約状態の問題につきましては、これは契約変更の効力が生ずる前の間は、前主との契約条件というものは継続していると考えて差しつかえないものと思っております。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 最後に言われた差しつかえないと思うというんじゃなくて、それはもう事実そうなんで、だから従来の前主との契約どおりにそれぞれの財務局は関係僻地借家人との処理をやっていくということを——これは差しつかえないだけじゃなくて、実際にそういうふうにやっていくということを局長ひとつ確認をしておいてほしいのです。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 それはやはりケース・バイ・ケースでございまして、どこに問題があるのかということはこれはやはり御相談しなければいかぬ。かりに貸し付け料額が高いのであれば、なぜ高いか問題で、特に近傍類似の賃貸実例等と比較しまして、もし国のほうが高ければ国のほうは直す、こういう是正措置は講ずるわけでございますが、そういう話し合いを十分いたしまして、適正妥当なものにしていきたい、かように考えております。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 大臣、いまの論議でお聞き願ったと思うのですが、要するにすでに契約があってその契約が引き継がれて国と当事者との間に有効に契約がある。それを変更したいというのが新しいフォームで出されてくる。それに協力をしてほしい、何とか話し合いをしたいという理財局の言われていることそれ自体は、要するに貸し主側の主観としてはよくわかるわけですけれども、その話ができなかったら少なくとも契約の変更が合意ができるまでは前の契約で実際上処理していくのはこれは当然のことなんですけれども、どうもその点をはっきりと局長言われないんですが、これは契約の変更を申し出たらそれを承知するまではとにかく協力を求めるということで圧力をかけるということになるわけですね。借地借家人はそれでずいぶん全国的に問題になっています。特に大都市ではずいぶん問題になっているわけですが、たまたま国が地主になり家主になったというだけなんですから、そういう点での処置は公正にやらなければいかぬと思うのですが、事柄の筋道からいって大臣それはひとつちゃんとやるということをこの機会に明らかにしておいていただきたい、こう思うのです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 この問題はるる政府委員から御説明いたしましたように、経過を聞きますと、ちょうど一年前の当委員会において東中さんの御指摘によって当局側の態度といいますか方針を変えたわけでございまして、この点の善処はお認めいただけると思います。そういう前提に立ってこれはやはり国有財産の適正な管理、運用ということからいいまして、前契約が新契約によって合意ができなかった場合はそのまま生きるか生きないか、こう言われれば、法律論としては生きるのでありましょうけれども、やはりケース・バイ・ケースで、たとえばその中で何が問題であるかということについて、さらに大蔵省側としては相手方との間に話し合いをしてそして処理、結末をつけるという態度が私は正しいのじゃないかと思うのでありまして、一概に全部新しい契約が合意ができないからといってそれなら全部もとに返るのだ、これではまた少しかた過ぎる考えではなかろうか、私はこう考えるわけでございます。  いまるる御説明いたしましたことで御理解いただけないだろうかというのが私の偽らざる気持ちでございます。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 大臣いま言われましたように、これは法律論としてはそうである。前のものは続くんだ。しかし、国としてはその法律と違ったことを話し合いで押しつけるんだというかっこうになるわけでございます。これは国の姿勢としてはたまたまこういう物納財産というようなものを物納を認めているところから起こってきておる矛盾なんです。家主業、地主業を国が経営することになってしまうんですよ、法律上は。それをあえてやって、そして今度は家主、地主としては、この行動を国がとる場合には法律論は前のものを引き継ぐのだけれども、それを借地借家人に不利なように変えていくのだ。出発点を変えるという問題もあります。物納というものについて再検討するということもあると思うのですけれども、やはり法律できまった借地人、借家人の権利というものを国がじゅうりんしていくような形で出すというのは私は国の姿勢として非常によくない。まさに国が悪質、悪徳家主の先頭に立つみたいなかっこうになってしまうという、そういう評価がずっと出ておるわけです。これはやはり法律論として正しいと言われておるそれに従ってやらないと、個個の国民に対する権利義務の関係で、法律をじゅうりんするようなかっこうで国が今後も進めていく、あるいはそれを納得さすようにするというのではおさまらない問題があると思うのですが、大所高所から見て、やはり借地人、借家人の権利をわざわざ認めた特別法をつくってその権利を尊重するという立場に立って行政をやらなければいかぬじゃないか、こう思うのですが、重ねてお聞きします。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 借地人、借家人に対して、私は結局問題は借地料、借家料の問題であるとこう思います。(東中分科員「ほかのことも一ぱいあるんです。」と呼ぶ)私どもの見解として一番大きな問題はその点ではないかと思いますから、これを当事者が大蔵省側の見解をなるほどもっともだと思っていただければそれで問題は解決するのではないかと思います。これはやはり法律論だけではいかない行政上の問題でもあるし、あるいはまた経済的な問題のことでもございますから、そこはゆとりを残していただきたいものだ。そうして現に話し合いがまとまる、その場合にはその点は更正するといいますか、契約変更に応じておるはずでございますから、そうすれば法律論的にも処理ができるわけでありますから、その点は訴訟事件とは違いますから、私はそこの行政の妙味といいますか、それと合わせて処理することに御理解をいただきたいものと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 大臣、それはまとまったらいいのは、そういうことはもうわかり切っているけれども、まとまらない場合のことを私は言っておるのです。現にまとまらない事件というものはずいぶん起こってきているわけですから、その場合に地代を取らないとかいう形でペンディングしていくということは、まさに悪徳家主、悪徳地主が使う借地借家人いじめの手なんですよ。それを国がやっておったんじゃまずいじゃないか、こう言っておるわけです。だからまとまらぬ場合は従来の契約を承継しているのだから、それに従ってやっていく、これは当然のことじゃないかと思います。それでもまだ、法律の規定はそうなっておっても、納得するまで詰めていくんだ、これでは納得ずくの行政というよりは、むしろ圧力をかけての行政になるわけなんです。そこを言っているわけですから、まとまらない場合は当然法律の規定に従ってやっていく、当然のことですからその当然のことを大臣ここで言っておいていただきたい。それさえ言わぬというのだったら、これは大蔵省は法律の規定に従わないという方針をとっておられるということになるわけです。重ねて、くどいようですがお聞きしたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 私も重ねて申しますが、一面において国有財産の適正な管理、公正な取り扱いということが、国有財産の管理人たる国民にかわっての役割りを持っているわけでございますから、その点からいって、借家人、借地人のほうの方々にもその立場を理解してもらいたいということで努力をするのは、これはまた財政当局としては当然の態度ではなかろうかと思いますから、その点も御理解をいただきたいということを私は申し上げているわけでございまして、これは訴訟事件等と違いますから、法律論だけでいくのはいささかどうであろうか。行政上の裁量と申しますか、それにもゆとりを与えていただきたい、そのほうが国民的に責任を行政的には遂行するゆえんではないだろうかと私は思いますが、間違いでございましょうか、いかがでしょうか。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 民事局にお聞きしておきたいのですが、新しいものをつくって、契約のいわば変更の申し入れをやっている。それについて、なるべくそれで納得してほしいという大蔵省の立場はわかるわけですけれども、その納得ができない場合、あるいは少なくとも納得できていない段階では、従来の契約がそのまま有効に働くので、たとえば借地借家人の財産上の給付義務の場合には供託をすればそれでよろしいという、これはもう当然のことだと思うのですが、法務省としてその見解だけをお聞きしておきたい。

興野範雄法務省民事局参事官

○興野説明員 まことに当然なことだと私どもは思っております。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 もう時間がありませんので、先ほどから言われておる地代の値上げの問題について、一言だけお聞きしておきたいのですが、その前に、いま法務省は、当然のことだ。法律上当然のことを当然でないようにするように財務局は努力するというのは、これは私は根本的に変えなければ、やはり国の行政が借地、借家人の当然の権利を押えるような方向で進めていくというのは、これは大臣、ひとつ再検討してもらわなければいかぬというふうに、これは強く要請しておきたいわけです。  この値上げについて、いまこの通達を出されて、四十七年の三月三十一日付の大蔵省理財局第一九八五号の「普通財産(土地及び建物)貸付料算定基準について」の通達で処理されておるわけですが、実際問題としてここでは調整措置が置かれています。ところが、建設省令、地代家賃統制法の告示が変わって、統制家賃については、ひどいところでは数倍から十倍に上がるところもあります。そういう中で、大蔵省としては、四倍を限度にしておられる。しかし、四倍で値上げがきているのがずいぶんあるのです。そういう場合に、これはひどい状態が起こってきています。私の直接聞いております例で言いますと、付近の地代が、統制令の適用外地を含めて、坪当たり六十円からせいぜい面内ぐらいのもの、これは大阪市旭区森小路二丁目の例ですが、ところが、今度大蔵省から出されたやつで、一ぺんに坪当たり百八十六円に上がった。隣は六十円だ。こういう例があります。そうしますと、今度は付近の地主が、国がここまで上げてきたんだからということで、ざあっと一斉に上げてくる。そういういわば地主さんの地代値上げの震源地に国がなっているという場面がずいぶんあるわけです。近傍と比較してということを先ほど理財局長が言われたのですけれども、実際の扱いは、この通達にもありますように、近傍類似の賃貸実例による修正は、一応先に出しちゃって、四倍なら四倍の値上げをやって、そして相手方から言うてきたら修正をする、こういうやり方になっているのですね。ところが、付近の地代の一般の相場から比べれば、三倍にも、あるいは場合によっては四倍近くにも上がるような通知を国の名前で出されると、これはあちこちで問題が起こってくるわけです。修正を言うていくのは、出されてから言うていくということになるわけですから、なるほど修正されている例も私の手元にもずいぶんありますけれども、これは借地法の十二条による値上げということになれば、近傍を調べてから出すべき性質のものなんですね。まず出していくというやり方というのは、これは非常にそういう点で物価値上げに大きな影響を及ぼしてきているわけです。裁判所の判例を見ましても、この統制令の算出基準が、近隣の統制令の適用外地の地代を大幅に上回るという奇異な現象を生ずるに至っているということを指摘しています。近時の大都市及びその周辺地区の時価は異常に高騰しており、これに伴い固定資産税の評価額も急上昇している。だから大蔵省がやっておる、建設省のきめたあの算出方式によって算定される統制地代は、近隣統制外地の地代を大幅に上回るという事態もずいぶん起こってきている。だから統制賃料額よりも低額にするのがあたりまえだというふうな判例が、たとえば東京地裁四十七年六月二日あるいは四十七年六月十三日と出ております。建設省令、統制令自体がいま問題なんですけれども、それを実際にやる場合に、ほかの家主はそういうかっこうはやらないわけです、自分の近隣のことはよく知っているから。ところが、大蔵省はぼこんとやっていく。それで、あらためて修正を申し出なければいけない、こういう形になっているのです。これは近傍類似に比較して、借地法十二条の立場での申し出に原則を変えるべきだ、これは修正は例外になっていますけれども。その点を要望したいわけですが、やり方と、それについての今後の方針をお聞きして質問を終わりたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 こまかい点はともかくといたしまして、私が理解しておりますのは、四十六年の十二月に建設省の告示が改正されましたですね、それに応じて、四十七年の四月一日、貸し付け料の増額請求を行なったことは事実でありますが、この建設省の告示が改正されたそのままをとりますと、いま御指摘がございましたように七、八倍とかあるいはそれ以上になる。それでは行き過ぎだというので、四倍を限度にして、そうして近隣の状況など勘考して増額の請求をしている。私の承知しておりますのは、これが基本原則でございますから、他に先んじて家賃の引き上げをやるとかでなく、あるいは建設省の告示では非常に高くなる点を考慮して、そこまではいかないように四倍という限度を設定しているとかいうところに、御趣旨の点の相当部分は取り入れているような気がいたしますが、実際の取り扱い等については政府委員から説明をさせます。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 地代家賃統制令の告示の改正でございますが、建設省のほうでも、これは昭和二十七年十二月以来の実に十九年ぶりの引き上げでございまして、従来きわめて水準が低かった、これを公正をはかる意味におきまして格差是正ということでやるんだ、こういう理由でございます。私どものほうといたしましては、実は従来、地代家賃統制令の適用を受けております——実は国が直接適用は受けておりませんけれども、取り扱いといたしまして、同じような規模のものは同じように取り扱っていたわけでございます。その場合に従来、その限度額をもって全国的に統一をはかる意味におきまして借料等の基準にきわめていたわけでございます。それがそのように上がりまして、一応右へならえするという話もあったわけでございますが、それでは、大臣から御答弁がありましたように、非常に十倍にも上がるものもある、そういうことでいろいろ関係省庁と協議をいたしまして、平均のアップ率が四倍ということで、一応経過的に四倍ということにして取り扱ったわけでございます。といいますのは、国が貸し付けておりますのは、全国で約四万件ございます。そのうち、地代家賃統制令の適用あるものに準じてやっておりますものが実に二万一千件と、おびただしい件数でございますので、やむを得ず一応この額でやる。ただし、あとでいろいろ問題が出てまいりましたので、急遽検討いたしまして、もちろん関係省庁と打ち合わせております。全国の財務局の会議を何回かやっております。そういたしまして、近傍類似の賃貸実例と比較しまして不相当であるものは是正するということで財務局を指導いたしておりますが、その是正のしかたも、実は九月一日あたりの通達では、財務局長に調整措置の権限を大幅に与えまして、たとえば一定地域の地代、家賃の水準を考慮して調整をするとか、あるいはその財産の老朽度とか修繕費がかかる、こういった管理上の特別な事情を考慮して調整をするとか、あるいはそれを借りている者が生活保護世帯その他生活困窮者である場合には、そういった特別の事情を考慮して調整するとか、いろいろの調整措置を講じまして、何とか妥当な水準に直したいということで現在やっているわけでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中分科員 時間がありませんので、質問は終わりますが、近傍類似の賃貸実例による修正その他の修正がむしろ例外になっておるというのが問題でして、この点についてはまた別の機会にただしたいと思いますけれども、そういう方向で努力されておることは私たちも知っておりますが、しかし、借地、借家人の権利を侵害するようなことのないように、思い切った改善を要請しておきたいと思います。  終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次に、松本忠助君。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 大蔵大臣にお伺いするわけでございますが、地方自治体に対する超過負担のことについて伺いたいわけでございます。  つまり、補助金の単価差が長期にわたって改善されてないために、地方自治体では超過負担に悩んでいるのが現状でございます。補助単価が物価の値上がりに見合って改善されるならばこういうことは起こらないと思うのでありますけれども、この点について大臣はどのように考えられるか。補助単価や補助対象は一体どういう基準できめられているのか、この点をまず伺いたいわけでございます。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 超過負担の解消ということは、大蔵省としても大きな課題といたしておりますことは御承知のとおりでございます。四十八年度の予算編成につきましても、この点についてはずいぶん配慮したつもりでございます。御案内のように、四十七年度中に関係省と共同で実態調査をいたしました。これも詳しく御承知と思いますが、公立文教施設をはじめ、高校の産振施設、保育所の施設、公営住宅、住宅地区の改良、それから警察施設、それらの補助単価の改善と補助基準の引き上げ等を、そうした実態調査の結果に基づいて、四十九年度と二カ年間で解消をしたいということを考えまして、四十八年度分につきましては合計で四百五十億の予算が計上されました。そのうち物価の上昇に伴う単価の改定については百六十七億、それから補助単価の改善と補助基準の引き上げは合わせて二百八十三億、これはいま申しましたように四十九年度と二年度間でこの実態調査の結果に基づく解消は処理いたしたい、こういうことで予算を編成したわけでございます。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 いまの説明でいくと、こういう補助単価にしても補助対象にしても、あまりにも基準と離れ過ぎているということがおわかりになると思う。そのことが十分わかるがゆえに、いま御答弁があったように基準単価を変えるわけです。こういう作業を始めたということについては私もわかるわけでありますが、なぜいままでそういうことに対してもっと積極的に取り上げなかったのか。地方自治体に対する超過負担の問題はもう長い間の問題であります。ここ一、二年の問題ではないわけでございます。そういう点を考えれば、大臣がもっともっと積極的にこれをすべきじゃなかったか。こういう矛盾を考えられているからこそ、大臣もいまの御答弁のようになったと思うのでありますが、事実地方自治体の苦しみということが徐々ではあるけれどもわかってきた、こういうふうに理解するわけであります。いまのような総額四百五十億、こういうものだけではたして十分かどうかという点についても、私たちはまだまだ異論があるわけです。  そこで、東京の特別区で小中学校を新設する場合、土地、建物ともに都区財政調整の中でまかなわれるのでありますけれども、その予算を組んだ時期と実際に土地を購入し校舎を建てる時期とにズレがあるわけです。最近のように物価が年々高騰するといたしますと、予算を組んだ時期と実施する段階では差がつき過ぎて、予算額では足が出てしまうというのが通例でございます。ですから、大臣のいまの御答弁のように、ここで補助単価や補助対象というものが四十九年度まで二カ年間で若干上げられるとしても、実際問題とすると予算を組んで実施する段階にズレがある。そのズレの間にどんどん物価が上がっていってしまうために、たいへんな負担を背負っておるわけです。いまもお話があって大臣が認めたように、補助単価がけたはずれに安いということで、現在の物価に見合っていないからその差は広がるばかりだと私は思うわけです。たとえて言うと、補助が二分の一だといいましても時価から見ると三分の一の補助にもならないことが少なくない、こういうふうに私ども考えるわけです。これは事実だと思うのですね。そこで、地方自治体はこの超過負担に悩んでおるわけでございまして、いまこの実情を改善することについての御答弁があったわけですけれども、そういうものではまだまだ不足する、十分でない、こういうふうに私どもは考えますが、今後これは物価の高騰に見合って改善をしていく意思をお持ちなのかどうか、この点をひとつ重ねて伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 いま概略御説明いたしましたが、さらに補足いたしますと、いまあげました数字は国費としての対策、いわゆる国費ベースでございます。それから、このほかにというか、この中に含まれるわけでございましょうが、たとえば人口密集都市においては中小学校の施設等について補助率を引き上げましたことは御案内のとおりでございます。同時に土地については、これは従来からも考え方として永久財産と申しますか、そういう考え方から補助対象にはしておりませんので、その点は別の扱いになっておりますことも御承知のとおりと思います。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 そこで、地方自治体が超過負担に非常に悩んでいるという例を私ちょっと申し上げてみたいと思うのです。  それは、東京都の北区滝野川三丁目というところに平屋建ての木造都営住宅があったのです。それが、最近高層建築が完成いたしました。そうなりますと、この滝野川三丁目団地のいままで平屋であったものが高層化したために余地ができた余裕の場所ができた。そこに紅葉小学校というのが新設されたわけです。この場合、都営の団地でございますので、東京都が小学校は敷地の八割を負担している。北区では二割を負担して建設された。区の負担が非常に軽いわけです。なお、東京都では将来区の負担をゼロまで持っていきたいというふうに方針を打ち出しているわけです。  ところが、次に私が申し上げる二つの例は、こういう東京都営の場合と違って、住宅公団の場合はたいへんなしょい込みを地方自治体がしなければならないという実例なんです。これは申し上げますと、北区の豊島五丁目というところに日産化学工業というのがあります。そのあと地に日本住宅公団が四千九存五十戸の公団住宅を建設中でございます。一部は昨年の八月からもう入居しているわけです。ここに小学校が二つと中学校が一校、この新築を北区では行なったわけです。ところがその次に、その日産化学工業から二キロと離れていないところに十條製紙というのがある。その十條製紙の工場あと地にも、日本住宅公団が高層建築で二千百七十六戸という公団住宅を建設することにきまりました。ことしの八月に着工して、昭和五十年には入居が開始されることになっております。こちらは、北区側の計算によりますと、二千百七十六戸の人たちの小中学校に入る子供たち、これを考慮しますと、小中学校それぞれ一校新設しなければならないという計算になるわけですね。このように、都営にしても公団にしてもいずれにしましても、住宅団地ができ上がれば、小中学校、幼稚園、保育所あるいは児童館、こういったものが当然公共の施設として建てられるわけです。そのいま申し上げました日産にしましても十條製紙のあとにしましても、この小中学校というのは日本住宅公団が取得した土地の一角に設けられるわけですね。その土地は結局北区が公団から譲渡を受けるわけです。その価格の問題なんですね。これが、日産化学なり十條製紙が売り渡した価格、要するに公団が買った価格、それに整地費用を加え、さらに金利を見て公団が一方的に値段をきめてくるというようなやり方にいまなっておる。こういう問題に対して、これは大臣の所管じゃないかもしれません。建設省の所管だと思いますので、一応先に建設省の福地住宅公団監理官にこのことについて聞いてみたいわけでありますけれども、この一方的にきめてくるということについて、私たちはどうも合点がいかないのであります。特に十條製紙の場合は、最近の地価の値上がりのために膨大もない金額になってくるということはたぶん御承知だろうと思うのです。この点について、ひとつまず公団監理官から伺っておきたいと思います。

福地稔建設省住宅局日本住宅公団首席監理官

○福地説明員 公団が団地を建設いたします際に、一時に住民がふえる。したがって、いろいろな施設が必要になってくる。たとえばいま御指摘の学校あるいは道路というものがふえてきます。したがいまして、所在の所属団体にいろいろな財政負担をかけております。  いま先生から御指摘の値段を一方的にきめるという問題でございますが、公団としてはこれは原価を基準として計算しております。  それから財政負担の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、一時に財政負担がふえますので、公団といたしましては従来関連公共施設につきましては立てかえ制度を実施しております。従来は十年でしたのを二十年にし、今度は、来年度は特に学校については資金がかさみますので二十五年、こういうふうにしております。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 一方的にきめるということは結局原価だからしようがないんだ、いまこういう言い方ですね。ですけれども、あとで私申し上げてみたいのは、日産化学の場合とそれから十條製紙の場合では坪単価がえらい違いになっておる。それを、時の相場だからやむを得ないんだといえばそれまでですけれども、私は、そういうものに対して何とかもう少し住宅公団でも考えるべきではないか、あるいは建設省としてもそれを指導すべきではないかと思うわけです。  そこで、大蔵大臣に伺うわけでありますけれども、今度はいまの小中学校の敷地の代金を日本住宅公団に支払う場合のやり方ですが、最近二年据え置き、八年の年賦というようなことになっているようで、その金利は年六分五厘、こういうことなんですね。この金利もばかにならない金額です。公共の施設でありますし、もう少し金利の点についても考慮すべきではないかと思うわけでありますが、こういうやり方について大蔵大臣としては適法と思うかどうか。私は、結局こういうことが、地方自治体に過酷な超過負担をしいる原因となっていると思うんですね。こういう点を考えまして、大蔵大臣はどのようにお考えになるか、ひとつ伺っておきたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは建設省のほうからお答えいただいたほうがいいかと思いますが、大蔵省としても先ほど申し上げましたように、超過負担の問題についてはずいぶん配慮しておるつもりでありまして、ただいまも答弁がありましたが、本年度としてはいわゆる関連公共施設の立てかえ施行制度の資金の増額、それから条件の改善をやったわけでございます。ですからいまも話がありましたとおり、学校については償還期間を二十五年以内にする、あるいは補助率のかさ上げ、これは三分の二にする、あるいは金利については六分二厘に三厘下げにするというようなことはやったわけでございまして、姿勢として前向きの姿勢をとりましたことは御理解いただきたいと思いますが、なおいろいろ改善措置等については、建設省や公団の愚見なども聞いて今後善処したいものだと考えております。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 その金利の問題は、いま私が六分五厘と申し上げ、大臣はいま六分二厘というのは今後の問題ですね。しかし現実にもう北区のほうとしては、いまその整地が終わればこの八月からは十條製紙のほうも建てるということになると、これは当然六分二厘の問題でなく六分五厘でやらなければならない。これはもとの土地の価格が高過ぎるがゆえに、たいへんな負担になるわけであります。こういうことについて、私は実例をもって申し上げておきたいわけです。  日産化学の場合ですと、これは譲り受けてから時間的にもだいぶたっておりますので、これは坪八万四千九百九十九円、これで日産化学から公団が買い取って、公団が整地して金利を見て北区に譲渡した価格は十一万二千五百三十八円なんです。こうしますと、その支払い金額というものは、全体で金利を含めますと、六分五厘で計算いたしますので、三十四億五千万円ということになっておるわけです。十條製紙のほうはどうかというと、この公団の購入価格が前例のない高い値段なんです。実際に日産化学と先ほど申し上げましたように二キロしか離れておりませんけれども、年代が違うこともありますけれども、坪四十一万三千円なんですね。約五倍です。これも公団購入価格としては前例がなかったといわれるくらい高い値段で公団が買ったわけです。これを公団が整地して、金利を見て北区に譲渡するということになると、前に申し上げた日産化学の例から予測すると、坪約五十万くらいになるんじゃないかといわれているわけです。こうなりますと、小学校一、中学校一を建設することになると、この敷地に約五千坪を必要とする。この土地代金が推定でありますが、二十億六千五百万円くらいになる、金利を含めますと三十四億くらいになる、こういうことですね。しかもこれに幼稚園なり保育園なりというものを建設されるわけです、当然のこと。そうなりますと四十四億五千万くらいが推定価格として出てくるわけです。こうなりますと、この日本住宅公団が北区に乗り込んできたばかりに、日産のあと地のほうへ三十四億五千万、十條製紙のほうとしては推定でございますけれども四十四億五千万、かれこれ八十億に近い金額を負担することになるわけですね。こうなりますと、区の財政というものは動きがとれなくなってくることは明白だと思うんです。このため区の自主財源というものに食い込まざるを得ない実情でございます。したがいまして、他の単独事業というものは何もできなくなってくる、こういう実情でございます。ですから結局この住宅公団からの譲渡価格の方式を改めない限り、東京の特別区においては公団住宅の受け入れをしぶることにならざるを得ないと私は思うのですね。こういう点について建設省と自治省の御見解をまず聞いておきたいわけです。  そしてこの方式を大蔵大臣としては今後改めなければ地方財政負担の軽減措置にならないと私は思いますので、この点については大蔵大臣にお考えを願いたい。

福地稔建設省住宅局日本住宅公団首席監理官

○福地説明員 この問題は全国でいろいろ問題が起きている問題でございます。相手の公共団体も非常に富裕な公共団体あるいはそうでない公共団体いろいろございます。したがいまして、それに対する対策としても区々まちまちでございますが、一般的には学校用地につきましては非常に相手の市町村が貧弱な場合は二分の一減額の措置をとっております。それから先ほど申し上げましたような立てかえ制度というものをとっております。したがいまして、今回の問題はその問題に該当するかどうかわかりませんが、現在住宅公団と区当局と詰めておる段階でございます。したがいまして、結論はいま私から申し上げる段階ではございませんけれども、できるだけ地元の公共団体に負担を過大ならしめないようにいませっかく折衝中でございます。

福原深自治省財政局指導課長

○福原説明員 ただいま御説明がありましたように、そのような場合には立てかえ施行の制度がとられておるわけでございまして、それに関連をいたしまして、御指摘の土地の問題については一般的には起債でもって充てるわけでございますが、起債の充当率につきましても特に配慮いたしまして、約九〇%程度の起債をしておる。残りは一般財源で負担をすることになりますけれども、それは先ほどのお話にもありましたように、長期の支払いということで公団側にお願いをしておる。したがって、一時的に区の財政負担がかかるというようなことはないような配慮はいたしておるわけでございますが、それにいたしましても本年度の負担かなりあろうかと思いますので、そのような点につきましては今後とも研究してまいりたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 先ほど来申しておりますように、私どもとしても何とかこうした窮境を打開したいと考えておりまして、いろいろくふうしておるわけでございますが、学校の問題と住宅公団の計画というものとは多少違うところもございますし、ひとつ将来の問題としては十分関係各省とこの上とも協議をいたしまして、地元負担が現状以上に大問題にならないように当面のピンチを何とか知恵を出して、いま起債の話もありましたが、これも大蔵省に関係がございますが、当面のピンチを脱しながら、将来の計画についてはもっと総合的な考え方があり得るのではないだろうか、こんなふうに考えております。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 いま建設省も自治省も非常に地元の負担がふえないように強力に指導する、こういう御答弁と受け取るわけでありますし、また大臣も将来の問題として改善を約束されておるわけであります。ぜひこれはひとつやっていただかなければならぬと思うのです。  そこで私は、団地ができれば当然小中学校を設けなければならない。この用地費については公団住宅の場合は国から支出されないのですけれども、私は国が出すべきじゃないかと思うのです。要するに義務教育というたてまえからしても国が負担する、そして地方自治体の財政を圧迫することをやめるべきじゃないか、私はそこまで持っていくべきじゃないかと思うのですね。公団が小中学校をつくって区のほうに無償で貸与する。国はその費用を負担して公団に払う、そこまで持っていかなければ、これはたとえ率を改善してみてもこそくな手段だと思うのです。義務教育というたてまえからするならば当然その最後の段階まで持っていくということでなければほんとうの問題の解決にはならないと私は思うのです。そういう点を私はぜひともお願いしたいと思うのです。  で、こういう一つの例もあるわけです。これは建設省のほうで御存じと思いますが、日産化学工業のあと地の中には公団住宅の一角に都市再開発公園としての公園緑地が設けられた。ここは国と公団と区と三者が三分の一ずつ用地費を負担している。北区ではこの金額約一億五千万円負担するわけですが、このように一部を国で負担する、そしてまた公団も負担する、区が負担する、こういう例がここには、都市再開発公園としての公園緑地が設けられた場合にはもうすでにできているわけですね。この例があるのに、義務教育に国が一銭も出さない。これはすべからく負担をして地方自治体には全額負担させるというようなことのないようにするのが当然の筋じゃないかと私は思いますので、重ねてこの点について、将来大臣は大いに改善するということを言っておられますけれども、御決意をひとつ伺っておきたいわけです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、たとえば公立文教関係のことで申しますと、国庫の補助は土地については原則的に見ないというのが従来からの考え方だったわけです。しかし人口急増地帯については一部はこれも対象にしつつあるわけでございます。それから補助率は思い切って三分の二に引き上げました。現にこういったように前向きの姿勢を出しておるわけでございます。ただ、全額何もかも国家でやれということについては遺憾ながらそこまでは考えておりません。いろいろ現在の制度においてくふうをこらすことによって善処できるのではないか、こう考えております。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 大臣のお話もわかりますが、ぜひこれはひとつもっともっと地方財政を圧迫しないための軽減措置を強化していただきたいということを重ねて要望しておきます。  それからもう一点、建設省の公団監理官に聞きますが、よくどこにもある例でありますけれども、最近の十四階建ての公団住宅、こういう場合に一階に幼稚園、保育所、児童館などが公共の施設として設けられるわけであります。一階に設けられますので、大きな柱が部屋の中央部にあるわけです。そのために部屋が非常に使いづらい、見通しがきかない、子供たちの保護に万全を期しがたい、こういう意見が出ているわけです。しかもこの使用できない柱の部分までも買い取っているわけです。これはどうも私たち合点がいかないわけです。柱部分まで買い取ることは余分な費用を負担することになります。私は有効面積で算定すべきじゃないかと思うのです。実際にその柱そのものは使えないのですから使わない部分までも全部地方財政で負担しなければならないというような現状は、これはどうしても納得がいかぬわけであります。有効面積で算定すべきだと思いますが、この点について監理官どう思いますか。

福地稔建設省住宅局日本住宅公団首席監理官

○福地説明員 第一点の幼稚園、保育所の中に非常に大きな柱があるという点でございますが、これは先ほどお話がございましたように非常に地価が高いものですから、したがって一階部分を利用するということになりますので、そういうことになったわけでございます。  それから第二点のいわゆる価格の問題でございますが、これは一般の社会通念といたしまして壁の中心線からあるいは柱からというような価格の算定を社会通念としていたしております。それに従っておるのでございます。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 社会通念でそうしたのだと言いますけれども、実際に使えないところですよ。柱の部分は何にも使えないわけです。そこヘポスターを張るとか絵を張るとかいったって、そんなものではどうにもならぬわけでありますので、この点はひとつ一考をお願いしたいと思うのです。  時間もありませんので次の問題に移ります。  国有地を地方自治体が借り受ける場合の賃借料についてお伺いしたいわけでありますけれども、この公園緑地等の場合は一体賃借料を払うについての基準はどういうふうになっておるのか、この点をひとつ伺いたい。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 公園緑地につきましては現在無償貸し付けの制度がございますので、賃借料は取っておりません。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 小中学校の場合はどうなっておりますか。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 小中学校の場合には現在五割減額の規定がございまして、算定いたしました使用料の二分の一にいたしております。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 いまの答弁のように緑地公園の場合は無償だ。小学校の場合は二分の一だ、こういう答弁でございます。私は、小中学校も義務教育という観点からするならば、当然緑地公園並みの無償にすべきじゃないかと思うわけであります。この点については、今後法の改正をしなければ現状ではどうにもならないということであればそれまででありますけれども、これを改善する意向があるかないか、その点聞いておきたい。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 小中学校のような義務教育学校施設につきます国有地の無償貸し付けの問題でございますが、これは以前から無償にしたらどうかという御意見、いろいろございますが、義務教育が無償であるからといって、国有地を貸す場合に全部無償でいい、こういう結論に直ちにはならない。やはりそれなりの理由があるということでいろいろ検討したわけでございますが、検討の過程におきまして実は学識経験者から成っておりまする国有財産中央審議会にもかけたわけでございます。その結果、御承知のように二月九日に国有財産中央審議会からの答申をいただいたわけでございますが、その中に、義務教育施設のうち特に著しい災害にあった場合とか、あるいは児童生徒の急増等、特別の事由のある地方団体にあるものについては無償貸し付けも検討することというのがございますので、そういったことも考え合わせまして、現在いろいろ準備検討している段階でございます。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 私は緑地公園等が無償になっている、そういうたてまえから見て、せめて小中学校の場合二分の一を、もっと率を下げるという考えがあるかないか、この点を時間もありませんので簡単にひとつ答えてください。全然考えはないのかどうか。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 ただいま申し上げましたように、特別の場合には無償ということでございますが、あと率を下げる、災害の場合には現在でも七割減額となっておりますが、義務教育の特別の事情のない一般の小中学校につきましては、特に五割というものをいじるということは検討いたしておりません。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 それではそのことは要望しておきます。  もう一点、地方自治体が国有地を払い下げる場合に、その払い下げ価格というものは一方的に国で決定されるようです。この方法を改める考えがあるかないかということでございます。やはり何としても払い下げを受ける側、いわゆる地方自治体のほうの意見というものを全く取り入れない、こういうことについては私どもは非常に遺憾に思うわけです。  実は一つの例がありますが、四十六年の十月ごろに、東京都北区豊島三丁目に教職員の住宅建設のために国有地の九六九・六〇坪の払い下げを北区が受けたわけです。その場合の坪当たりの単価が十一万五千九十四円だった。ところがそれと同じ時期にその面積はわずかでありますが、隣接している民間所有の土地を五四・八二坪買ったわけです。これはそれだけ買えばよけい有効な教職員住宅ができるということからその民間の所有の土地を買ったわけであります。こちらのほうは坪単価が十万五千円、一万円違うわけですね。私どもはこういう国有地を地方自治体が払い下げを受け、しかも公共施設であるところの教職員の住宅をつくるという場合に、民間から買い取った価格よりも国の払い下げ価格のほうが一万円も高いということ、これはどうにも納得がいかないわけです。こういう問題についても一方的にきめられるということの現状について私は全く不満にたえないわけでありますが、今後もこの姿勢は永久に続くものかどうか、地方自治体と協議する用意は全然ないのか、こういう点をひとつ伺っておきたい。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 国有地を払い下げます場合のその評価でございますが、一方的にきめているということではございませんで、国が定めております統一的な評価基準がございまして、これに従いまして、相続税の課税価格とかあるいは固定資産税の課税価格を基礎にする。あるいは付近の売買実例を参考にするとかいたしまして、最後に民間の鑑定業者、いわば精通者の意見を正式に依頼いたしましてとるわけでございます。そういうものを全部平均化いたしまして価格を算定する。しかも現在地価公示法に基づきます標準地の公示価格がございます場合には、その公示価格と権衡を保つように最終的に調整する、そういうこともいたしておりまして、決して一方的にやっているわけではございませんで、また地方団体のほうで独自に価格を調査されましてその価格を主張されることがありますれば、それも参考意見といたしますけれども、その参考意見をそのまま採用するということはちょっと無理じゃないかと考えております。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 持ち時間をすでに経過しておりますので、この問題についてももっともっと詰めたいわけでありますけれども、一応これでとどめておきますが、少なくとも民間業者の意見を聞くということがあるならば、その当時その付近が大体こういう値段だということは十分わかっていると思う。それよりも国の価格が一万円も高いということについてはどうも納得ができないわけです。こういう姿勢はぜひ改めてもらいたいと思うわけです。  最後に一言だけお伺いしたいのは、町のまん中にごく小さな国有地でございますけれども、こういうものが現にあるわけです。これは国の財産管理上からもほんとうに手間がかかるばかりであろうと思いますので、整理すべきではないかと私は思うわけです。  実例でございますが、東京都北区の岩渕町十一番地というところに国有地が百八十七坪ある。この国有地というのは昭和十九年ごろ物納されたものでありまして、この国有地に岡村何がしという方の所有の建物が建っているわけです。この建物は大正十一年ごろの建築物ですから、もうたいへんいたんでいるわけです。しかも長屋式で五十年以上経過しておりますので、腐朽もはなはだしいし環境も非常に悪いわけです。この建物に中川ヨシエさんという人以下十世帯が住んでいるわけですけれども、実際問題として中川さんが昭和九年から住み込んだわけです。中川さんが住んでいるところは建坪八坪ですが、これが当時八円五十銭だったのが現在約五百倍、月四千円、そういう価格でありますけれども、岡村何がしという代理人がそれを毎月取りに来るわけですね。実際問題として「家屋が腐朽しても所有者は一ぺんも修理費用を負担しませんし、中川さんたちが自分たちの手で補修して住んでいるわけです。四十年も居住しているわけです。こうした場合に、現在住んでいるこうした人たちに居住権を認めて、この国有地の払い下げを申請した場合は、現在居住している者に許可すべきじゃないかと私は思いますけれども、この点についても大蔵省の見解を伺っておきたい。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 御指摘のような物納財産で現在居住用に供しておりますものにつきましては、国といたしましては極力早急に売り払いをしたいということで考えておりまして、居住者並びに権利者に対しましては、優先的に買い受け勧奨をする、こういうことでございます。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 松本君、あと質問者がおりますので……。

松本忠助公明党

○松本(忠)分科員 以上で終わりますが、要するに、現在住んでいる人間に対してそれを譲り渡すという、払い下げをさせるということを原則とする、こういうふうに理解していいわけですね。——どうもありがとうございました。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次に、楢崎弥之助君。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 一昨日要求しました四次防の目玉装備といわれる航空機関係だけを例をあげまして、その価格の値上がり分の説明ができる資料を提出してください、こういうお願いをしましたが、その点どうなりましたでしょう。

山口衛一防衛庁装備局長

○山口(衛)政府委員 ただいま楢崎先生お話ありました、昨日御指摘がありました四十八年度におきまして私どもが考えておりました数機種の航空機につきまして、その値上がりの事情につきまして可能な範囲で十分御説明ができるような資料を現在、昨日きょう、一生懸命整備しておりまして、きょう現在の段階におきましてまだ十分そろいませんが、もしよろしければなるべく早く整理いたしまして、お届けして御審議をお願いしたいと思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 御承知かと思いますが、昨年、四十七年度の予算審議の際に、T2の価格の異常な値上がりについて予算審議は一時ストップしたわけですね。そして理事会に持ち込まれてその詰めを行なったという経験があります。今回はT2だけでなしに非常に多くの機種にわたって、あるいはそのほかの装備についてもそうでしょうが、値上がりが出てきておる。これの十分な説明のつく資料をお出しにならないと予算は上がらないということになりますから、ひとつできるだけ早く御提出をいただきたい、このようにお願いをしておきます。  そこで、私が指摘した分は航空機関係の目玉商品的なものであったわけですけれども、この値上がり分を考えますと、おととい私が指摘した機種だけで見てみても、四次防期間内における私が指摘した機種の調達予定機数を防衛庁の資料によって見てみますと、V107の輸送ヘリが二十機、掃海ヘリが五機、救難ヘリが十二機、P2J対潜哨戒機が四十三機、PSI対潜飛行艇が九機、HSS2対潜ヘリが三十四機、F4EJファントムが四十六機。そうすると、いまあげました機数だけでも値上がり分はすでに四百五十億ほどになるわけですね。四百五十億ほどになる。いいですか。指摘した分だけでもそうです。四次防の人件興のアップ分はどのくらい見込まれていますか。およそでよろしゅうございます。

小田村四郎防衛庁経理局長

○小田村政府委員 御承知のとおり人件費につきましては、毎年度の人事院勧告によってきまってまいりますので、先の見通しというものは非常に困難でございます。したがいまして、四次防期間中にどの程度のベースアップになるかということについては計算をいたしておりません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 三次防の実績はどうでしたか、人件費のアップ分は。

小田村四郎防衛庁経理局長

○小田村政府委員 三次防の実績で申しますと、四十二年度以降四十六年度までのベースアップ等による値上がりが二千四百六十億円でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 この三次防の実績から見ても、優に私は定員増も含めて三千をこすのじゃないかと思いますね、四次防のアップ分は。そうすると、大蔵大臣、私が指摘した分だけの航空機の機数、これは一部ですよ、それだけ含めても、人件費を加えると四次防は四兆六千三百億ということになっておりますが、これだけ見ても優に五兆円をこしますね。どうですか、その点は。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは十分計算してみないとわかりませんけれども、おおよその見当からいうとあるいはそういうお話のようになるかもしれません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 私がいま指摘した五つの航空機だけ考えても、四次防の機数を四十七年度から四十八年度にかけての値上がり分で計算しても四百五十億になるのですよ。一年間でこれだけ値上がりしておるのに、これからあと、四十八年から四十九年、四十九年から五十年、それを考えると、どれだけ値上がりするかわかりませんよ、この傾向から考えると。だから、当然五兆円をこすじゃありませんか。楽にこします。人件費のアップ分を加えると、これだけでもこします。どうですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 ですから、十分計算してみなければわかりませんし、またその中には不確定要素もあると思いますから、なんですが、大体お話のようなことから想像すれば五兆円をこすであろう、こういうふうに見通されると思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 四十八年度からもう全然値上がりがないと仮定しても五兆円こします。だから、当然五兆円は優にこす。いまの値上がり率で見るとどのくらいこれがふくれ上がるか。  それでは、私はひとつ追加して資料の御提出を願いたいのですが、いわゆる四次防四兆六千三百億、それの調達装備品の積算基礎になっておる価格と四十八年度、今年度だけでけっこうです、の調達装備品の価格との差、つまり値上がり。わかりましたか。四兆六千三百億の基礎になっている装備品の価格と、四十八年度、四次防二年目ですね、の調達装備品価格との差、すなわちそれが値上がり分になります。つまり、四兆六千三百億にプラスする金額になるはずですから、これをあわせてひとつ資料として御提出をいただきたい、これをお願いをいたしておきます。よろしゅうございますか。

山口衛一防衛庁装備局長

○山口(衛)政府委員 ただいま先生御要求の値上がり分につきまして、極力集めて御提出いたします。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 次のチャンスとすれば、私の第一分科会における防衛庁関係の質問の時期ですが、八日ですが、それまでに間に合うかどうか。もし間に合わなかったら総括にこれがたれ込むということになって、さっき言ったとおり予算が上がりませんから、その辺の見通しはどうですか。

山口衛一防衛庁装備局長

○山口(衛)政府委員 お答えいたします。  機種の数が非常に多いわけでございますが、極力集められるだけのものを集めまして、八日に間に合うように努力をいたします。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 それではそうお願いします。  四十八年度の予算の中に、きょうの新聞にも載っておりましたが、岩国基地を南側の瀬戸内海に埋め立てをして移転するということが岩国の市議会できまっておる。そして四十八年度の予算の中にその移転調査費として八百万組まれておるといいますが、そのとおりですか。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 一般的な調査費という予算は一部組んでございますけれども、その岩国のために何百万円というような予算の計上はいたしておりません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 じゃ、全然岩国関係は含まれていませんか、その八百万円の中には。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 いろいろ調査を要する問題が出てくる場合の準備として予算は組んでございますけれども、現在岩国のために幾らという用意はいたしておりませんというお答えを申し上げたわけでございます。現在のところあらかじめ予定をして予算を組んだということではございません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 岩国の市議会では決議されておるのですが、全然そういう要求はあってませんか、岩国のほうから。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 要求はございましたけれども、それを予定した予算の計上はいたしておりません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 組むつもりですか、どうですか。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 一般行政的な旅費、庁費のようなものは、まあ最初から予算でどこのために幾らというこまかい内訳をつくってない分が先生御承知のようにあるわけでございますけれども、そういうようなものについてその要求があった場合に、要求そのものが一体どの程度の妥当性を持っておるか、また必要があるかどうかという程度の調査はあるいは必要に応じてやらなければならないかもしれませんけれども、どういうものをつくるためにどんな調査をするというような、いわゆる、たとえば事業の実施に結びつくような前段階としての調査というような予算は計上いたしておりません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 大蔵大臣は国防会議のレギュラーメンバーであります。環境庁長官をされておる三木副総理も、今度法律が通ればレギュラーメンバーになるはずです。閣僚懇談会という形ですでにそういうメンバーが参加されていろいろ話し合いがされておると思いますが、この瀬戸内海の中に埋め立ててそういう基地を移転するということについて、いわゆる環境破壊の点とも関連してどのように思われますか、大蔵大臣としては。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 現在までのところ、国防会議あるいは懇談会で議題となって協議をしたことはございません。  それから一般論としてのお尋ねと思いますが、慎重に各方面から意見を徴しながら慎重に協議すべき問題であると思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎分科員 もうこれでやめますが、三木環境庁長官は先ほどの御答弁の中で、瀬戸内海の埋め立てをこれ以上進めることは反対である、特に基地の問題についてはいわゆる反対の意向を表明されたそうでありますが、これがもし移転調査費としての予算要求等が出てきた場合には、ひとつそういう点も含めて十分慎重なる御決断をお願いしたい、このように思っております。  それでは、資料を先ほど申し上げたとおりひとつ八日の審議に間に合うように御提出をいただきたい。これで終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 この際午後一時三十分まで休憩いたします。     午後一時十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十八分開議

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。永末英一君。

永末英一民社党

○永末分科員 きょうは二つばかりの問題で伺いたいのですが、第一は間接税のうちで酒の問題です。  酒税というのは、どういう根拠で税金を取っておられますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 永末委員よく御存じのとおり、酒税は非常に歴史的な税でございます。主たるものは、一つには、やはり生活必需品でないものである。まあ間接税は嗜好品であるとかそういうものを対象とする場合が多いわけでございますが、そういう性格が一つ。それからやはり何といいましても飲酒習慣の抑制という、この二つから出ているものというふうに私どもは理解いたしております。     〔主査退席、木野主査代理着席〕

永末英一民社党

○永末分科員 古来酒は、どうも権力者にとっては財源の対象になりやすいものですから、したがって酒ををつくることに制限を加える、すなわち免許制にしてそれから税金を取るというようなことを各国ともやっております。わが国でもやつておったようでございますが、そうしますと、そういうことはもうあまり考えられないわけですね。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 ちょっといま意味がよくつかめませんでしたので……。

永末英一民社党

○永末分科員 税金を取るほうからは財源としてきわめて好適であるということはもうあまり考えられないかということです。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 もちろん現在でも、わが国の場合でも非常に大きなウエートを占めておるわけでございますから、財源として非常に重要なものであるというふうに考えられておることも事実でございます。

永末英一民社党

○永末分科員 税金を取るほうからは好適な税源と思えるかもしれませんが、もともと最初それに触れられなかったところを見ますと、生活必需品でないという性格、それからまた、たくさん飲むと酔っぱらってぐあいが悪いであろうから、親心で、抑制するために税金をかける、その二点と了解してよろしいですか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 主たる点はそういう二点であると思います。

永末英一民社党

○永末分科員 それでは酒が生活必需品であるということになりますと、税金はかけられませんな。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 いろいろな酒がございます。その中で、大体税率等を考える場合にはアルコールの度量というようなものも一つの目安としておるわけでございますが、中にはまあこの程度のものであれば課税対象から除外してはどうかというようなものもあるわけでございますけれども、アルコールが度数で一度以上入っているものというふうに規定しておりますことは、これは、アルコール度数が低くても、またあまり酔っぱらわないようなものであっても、どこかで線を引かないといかぬということからやっているわけでございまして、その意味で、例外的には必ずしもいわゆるぜいたく、奢侈、それからアルコール弊害というようなものとつながらないものにまで及んでいる、限界点にはそういうものも必要悪みたいにして出てきているという現状でございます。

永末英一民社党

○永末分科員 酒は憂いの玉ほうきと申しまして、酒を飲まねばならぬようなこともございます。その人にとっては、あるいはその場合にとってはきわめて必需品である。したがって、酒というものは、必需品である場合には、先ほど申されたように嗜好品とかぜいたく品であるとかいう場合でなければ、税率はやはり安くするのがたてまえ、こういうお考えでしょうか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 現在の税率のきめ方でございますが、いろいろな沿革的なものがございまして、一がいには説明いたしかねる面もあるわけでございますが、概してアルコール度数を一つの基準にしておる。全く違う清酒、ビール、ウィスキーというようなものをどうバランスするかということは、多分に沿革的なものもございますが、やはりその基本はといえばアルコール度数というところにあると思います。税金の考え方の点はそこにあると思います。

永末英一民社党

○永末分科員 アルコールの度数で税率を考えるという考え方と、それから生活必需品でないから税金を取るのだという考え方とはカバーできないですね。これは全然違う話でしょう。つまり、いまの税法はアルコール一度以上のものにかけておることは事実ですが、その問題と、もともと酒というのは生活必需品でなくて、なくても暮らせるのだ、だからかけるのだということとは理論上離れていますね。そこは大臣はどう思われますか。大臣は、聞くところによれば、アルコールは必需品のように思いますが。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 私は大体主税局長が御説明したのと同じ考え方でございますが、これは例にあげていいかどうかわかりませんが、よく果実酒というようなものは税をかけるべきではないではないかというような意見も、巷間にすでにあったようなこともございますから、それぞれ人によってこれはいろいろの意見が立ち得るものであると思います。結論として酒税というものについては、いまの税法の取り扱いは一%以上というところで押えるのが、いろいろの議論からいっての大体コンセンサスといいますか、そういうふうに日本では定着しているのではなかろうかと私は考えております。

永末英一民社党

○永末分科員 医学的に何度ぐらいから酔っぱらうのか御存じでしょうか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 申しわけありませんが、正確には存じておりません。

永末英一民社党

○永末分科員 問題はアルコール一度以上というのは、先ほど話がございましたようなところに問題があるのではなくて、要するにアルコールを含有しているものを飲めば、たとえ含有量は少なくても、たくさん飲めば蓄積されますから酔っぱらうだろう、こういうので、ある税金を取るための基準、すなわち主税局長は最初二つあげました。生活必需品でないから、たくさん飲んでも悪いので、抑制作用を税金で及ぼそうなどという、親心かどうかわかりませんが、その二点とは全然違った、むしろ税金を取るための基準として、アルコール一%で押えること以外に意味はないのではなかろうか、たとえば二%のものを出してみたところで、これで酔っぱらいはいたしませんけれども、しかし税法上は一五%あるいは四五%あるのと同じように、一%以上なら取り扱われる。税金を取るための便法でしょう。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 課税物品か非課税物品かということの境目は、物品税にはすべてどこかで線を引かなければなりません。主としてその理由できめておるかと思います。一度ということを一つの目安にしましょうということであると思います。

永末英一民社党

○永末分科員 もう一度伺いたいのは、生活必需品だという度合いの強いもの、われわれ日本人の中で、どの程度常習的に酒を飲んでおるか、私は比率はつまびらかにいたしませんが、大蔵省のほうに調査があるのならばお聞かせ願いたいのですが、どうしても毎晩酒を飲まなければならぬ、めしを食わなくても酒を飲まなければ労働再生産がかなわないという人がおることはおる。御飯を食べないでも、酒だけで九十数歳まで生きて大芸術作品をつくられた方もおられるわけであります。その人にとっては、生活必需品でないからおまえの飲んでいる酒に税金をかけることになるのだということになると抗議が出ますね。おかしい、これは私の命を存続させるための必需品である、こうなります。  さてしかし、税法というのは特異なものを対象にすることはできないでしょうから、その辺は省略いたしましてよろしいのですが、私の伺いたいものは、大量的に観察して、日本人の中で酒をたしなむ者が大体これくらいおる、その中で必需品的性格をもって酒をたしなんでいる者がおるとするならば、その生活必需度合いに応じて税率は下げるつもりがあるかどうかということを伺いたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これはいままでいろいろ応答があったわけですけれども、やはり率直に言えば財政当局としては非常にありがたい税源である、これは率直にそう申し上げざるを得ないのでありまして、生活の必需品であるかどうか、その度合いを見て税率をかげんするというようなことは、ちょっと現在の段階においては、そこまでは私は考えておりません。

永末英一民社党

○永末分科員 大蔵大臣は局長のあまり触れなかったほうをいま強調されたのでありますが、税金を取る側からいいますとあなたのおっしゃったとおりはなはだありがたい。取られるほうはなかなかつらい税金でございますね。  第二の点をちょっと伺いたいのですが、致酔飲料でございますから飲めば酔っぱらう、酔っぱらうということは反社会的行為に走るおそれを生ぜしめる、だから税金をかけるのだ、こういう理屈でございますけれども、もしその議論をもう少し煮詰めていきますと、酔っぱらわなければよい、税金をかける必要はない、こうなりますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 その面から申しますれば、そういう議論は成り立つと思いますけれども、しかし、酒から税を取るというたてまえのほうを税源として重視すれば、やはりアルコールの含有量がわずかでありましても、製造の過程その他から見て、これは税源として捕捉するということのほうが、税の徴収を的確にするというほうからいえば、好ましいというふうにいわざるを得ない、私は率直に申し上げましてそういう感じでございます。

永末英一民社党

○永末分科員 大蔵大臣は税を取る側から率直に申されました。私どもは、税を払う側から申しますと、やはり基本に立ち返って、われわれは酒類をたしなむときに一回一回税金を払わせられるのがきわめて奇怪な問題だと思っているわけですね。だから、やはりこの際その根源にさかのぼって聞いておかないと、すでに所与として与えられた酒税体系の中で問題を考えていてもわからぬ、こう思うわけでございまして、これはもう少し進行いたしましてから立ち返るといたしまして、従量税と従価税を二つに分けておられますけれども、どういう御方針で分けておられますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 これはまたきわめて沿革的なものでございますが、従量税は言うまでもなく量に応じての一定の率ということになります。現在のところではやはり従量税に基本が置かれているということではないかと思います。ただ、そういたしますと、非常に市場価格の高いものが出てくる。市場価格の高いものが出てきた場合に、先ほど来お触れになりましたように大衆が飲むという酒と、それから比較的ふところぐあいのいい方が飲む沼と分かれてきた場合に、やはりその価格に応じた負担を求めることもまた一つの要素として考えられるであろうというところから、従価税体系がより適合するものではないかということでございまして、今後の問題といたしましても、税制調査会その他でいろいろ御議論の過程では、漸次従価税に移っていくべきではないかというような御議論がありますが、一方においては先ほどおっしゃいましたように非常に酒が生活必需的あるいはその他の健康上必要だという場合もないことではないということから考えると、いわばそういう面から言いますと、従量税というものがなお意味を持つわけでございまして、簡単に従量税、従価税どっちかに割り切るというわけになかなかいかないというのが現状でございます。

永末英一民社党

○永末分科員 従量税のほうはアルコールの含有量に応じて税率を段階をつけておられる。その立て方からいたしますと、先ほど当初局長の言われました酒税の根拠の二つの理由のうち後者、すなわちアルコールを飲用として摂取をいたしますとぐあいが悪くなるだろうから抑制的効果をあらわさせるために税金をかけるんだということに照合しているわけですね。つまりアルコールの度数の少ないものは税金が安くてアルコールの度数の高いものは税率が高い、税金額が高い、こういうことになりますと抑制効果が多い、こういうことでございますね。そういうように解釈してよろしいか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 抑制効果だけから考えられるべきものかどうか。やはり相互にビール、ウィスキー、清酒、さらにその中でいろいろと酒の種類が多いわけでございますから、いってみれば異種であるようなもろもろの酒について一定のルールのもとに税率を刻む場合に、確かに抑制ということも大きなウェートではございますが、それ以外にもろもろの酒のバランスをとるための一つのメルクマールとしてアルコール度数というものがとられているのではないかというふうに思っております。

永末英一民社党

○永末分科員 いまいろいろなメルクマールといいましたけれども、そのいろいろなメルクマールというのは、酒税の体系を考えますと、体系なんということばは少し言い過ぎだと思いますけれども、いろいろな歴史的経過の発祥点が違うものですからね、それでかけておられるのではなかろうかと思われる節があるわけです。ちょっと理屈を整理するために従価税のほうのことを考えますと、従価税のほうは要するに高い酒でも飲むやつがおる、したがって価格の高い酒については税率を高くする、こういう思想だと思うのですね。そうしますと、先ほど局長の言われました生活必需品でないからという点に酒税の根拠を求める一つの理由があるんだ、こう言われましたけれども、つまり従価税方式というのは価格の安い酒、必ず飲まざるを得ないというので飲みたいという人には安い酒あり、したがってそれは税率が安くてよろしいのだ。したがって私の理屈からいいますと、従量税のほうは抑制的効果を果たそうという意味合が多いし、従価税のほうは、言うならば生活必需品めいたものは税金を安くしょうという心がこもっているのじゃなかろうかと思われるが、いかがでしょうか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 大体おっしゃることで私どもも考えております。ただ、先ほど歴史的な事情ということを申しましたが、その点はまさに酒類については特に歴史的事情が大きなウエートを占めております。また同時にそれだけではなくて、一種のアルコールの度合いによる目安というものもあることは否定できないだろうということをなお繰り返し申し添えておきたいと思います。

永末英一民社党

○永末分科員 いろいろの要素と言われます。それを一度明らかにしていただきたいのです。どんな要素ですか、従量税の場合。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 恐縮ですが、もう少し……。

永末英一民社党

○永末分科員 私は、従量税につきましてはアルコールの含有度合いに応じて税率が定められておる、それはアルコールの含有度合いが多ければそれを飲用に供した者が反社会的行為に出るだろうから抑制的効果を多くすべきであるというので、抑制的効果を多くしょうという率と税率とがある相関関係にあると、こう申しました。ではないかと質問申し上げたら、いやそれもあるかもしれないが、そのほかにもいろいろな要素があると言われたから、私は重ねて、歴史的、経過的な要素のファクターのほうが主たる原因ではなかろうか、こう重ねて質問申し上げたところ、それもあるが、なおあると言われますから、なおあるなら、その要素をお聞かせ願いたい。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 実は急な御質問でございまして、私も十分整理できておりません。確かにおっしゃるように歴史的事情とそれからアルコール度合いというのが主要な要素であると思います。それ以外にも何かありゃせぬかという感じがいたしますが、いま明確にお答えできません。

永末英一民社党

○永末分科員 それで、ちょっと次の質問に入る前に確認をしていただきたいのでありますけれども、従量税率の場合には、アルコール含有量の多いものが、いまいろいろな酒類がございますけれども、必ずしもこれは、清酒はそうでございます。ほかの酒類との相互間の比較をいたしますと、アルコール含有量の多いものが必ずしも税率が高いということになっておりません。したがって先ほど私が一つの仮説を申し上げましたけれども、従量税におきましても別に抑制ということではない。それはおそらくはそのものが飲用としてどの程度飲まれておるかということやら、あるいはそれによって財政収入が大蔵大臣言われたようにどの程度安定した収入があるかとか、いろいろなことを考えられて税率をきめておられるのだろうと思いますが、したがって従量税の場合、アルコールの含有量に応じて従量税というものをぴしゃっときめるのか。つまりそれは酒類相互間においてもそうかあるいはそうでないか、この辺のことをちょっとお答え願いたい。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 ものの考え方としては、アルコールの含有量というものは非常にウエートが置かれて考えられるべきものだと思います。しかし現状におきまして、まず大分類でありますところの清酒とウィスキーとそれからビールというような関係を考えましてもおわかりいただけますように、必ずしもアルコールの含有量でバランスがきめられているわけではなくて、その辺は一つには歴史的な沿革もありましょうし、それからその三つのその相互間においていずれが高級酒であるか、大衆酒であるかというような関係もございましょうし、現在は大衆酒となっておりましても、過去において舶来品であったからという過去の歴史を持っておるものもあろうと思いますし、十分御説明をしきれませんが、アルコール度合いのほかに、歴史的事情なり消費の態様なりというものが積み重なって、改正のつど、それをどうバランスを直していくべきかということで、それが一部分ずつ実現されていくという過程を通じて、現行税率ができておるものというふうに考えます。

永末英一民社党

○永末分科員 さて、酒税というのはアルコール含有量一%以上のものについてかかっておるわけでございますが、これは別段頭にかけるようなものにはかかっておりませんね。べーラムのごときは、アルコールが入っていてもかかっていない。飲むものでございますから。そういう意味では、税法のことばをかりますと、致酔飲料にかけておるということですね。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 おっしゃるとおりでございます。

永末英一民社党

○永末分科員 それでは、ひとつみりんの税金のことを伺いたいのでありますが、みりんは、大蔵省としては、致酔飲料、つまり飲むものであるとお考えですか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 現行の税法では、みりんにつきましては、主として調味料に消費されるものと飲用として飲まれるもの、これを分類をしておりまして、いわば調味料は本みりん、それから飲用のものは本直しというようなことでいっております。     〔木野主査代理退席、主査着席〕 それを区分して、税率等も別途に考えております。

永末英一民社党

○永末分科員 本みりんの移出高と本直しの移出高とをひとつお知らせ願いたい。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 いままだ四十七年の数字が入っておりませんが、四十六年では、数量で申しますと、本みりんのほうが三万四千四百キロ、本面しのほうが千四百キロ、合わせて三万五千八百キロで、圧倒的に本みりんのほうが多いわけでございます。したがって、税率との関係もありますが、税額では、四十六年で本みりんのほうが二十三億三千万円、本直しのほうが八千万円ということで、税額の面で見ましても、本みりんのほうが圧倒的にウエートが高い、こういうことになっております。

永末英一民社党

○永末分科員 本直しのほうは飲用でございますから、そのほかの清酒なりしょうちゅうなり似たようなもの、つまり酔っぱらうために飲む。さて、局長は、本みりんは主として調味料だと言われました。局長、調味料は飲みませんな。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 本みりんは調味料でございますから、いわゆる飲むという概念には当たらないものだと思います。

永末英一民社党

○永末分科員 ほかの調味料で税金をかけているものがありますか、調味料のゆえをもって。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 調味料については、だんだん課税対象からはずしております。かつてはいわゆる味の素のようなものも、物品税の中で課税対象になっていた時代もございますが、現在ではかかっておりません。まあいわば調味料的なものでいま最も問題になっておりますのは、砂糖消費税でございます。ただ、この砂糖消費税につきましても、総消費量の七割前後が菓子とかそういう加工食品に使われておるわけでありまして、それとの関連もあって、調味料でありますけれども、課税対象になっておるという関係にございます。

永末英一民社党

○永末分科員 それでは、致酔飲料と一応酒税の対象はなっておりますが、本みりんは致酔飲料であるのですか、ないのですか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 現在の酒税法の考え方では、アルコール分が十度をこえておるわけでございますから、実際それをわれわれ一般の者が酒として飲むかどうかということからいえば、致酔飲料ということは言えないかもしれませんが、酒税法上の扱いでは、アルコール分その他からいいまして致酔飲料と概念せざるを得ないということでありますと同時に、この本みりんとしょうちゅうを混和すれば容易に本直しが製造できるというような関係があるわけでございまして、一般常識としては致酔飲料ということは言えないと思いますが、酒税法の概念としてはやはり致酔飲料としてとらえているものと考えます。

永末英一民社党

○永末分科員 局長、最後に妙なことを言われましたね。これは飲まない、しかしながら、しょうちゅうとまぜたら本直し的になる、こう言われた。だから、しょうちゅうとまぜる相手方である本みりんも税金をかけるというのですか。それなら、先ほど果実酒の話が出ましたけれども、しょうちゅうに入れるものはたくさんありましょうね。桃も入れますし、梅も入れますし、あるいはサクランボも入れる。二つ合わすと、何年間か寝かしますけれども上等の果実酒になる。それなら、アルコール含有量はありませんけれども、もしブドウを発酵して、少しアルコールを含有したエキスをつくって、しょうちゅうと合わせれば、これから暑くなりますし、氷などを入れますと非常にいい飲みものになります。それから桃でもできます。それならば、もしアルコール含有量が一%以上になったら、すぐ税金をかけますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 果実の中で、ブドウはそれ自体発酵するものである、そしてそのアルコール度が十度以上にもなるということで、ブドウの場合にはアルコールとして扱う。ところが他の果実については、発酵いうことが起こらないということがありまして、つまり発酵しませんから、そういう意味で酒税法上はアルコールとして扱っていないということでございます。

永末英一民社党

○永末分科員 税金かけることを奨励しているんじゃないですよ。あなたの話で、本みりんそのものは主として調味料だということをお認めになっておる。しかしながら、なぜそれを致酔飲料ということで酒税の対象にしているかと聞きましたら、最後にしょうちゅうにまぜたら本直しになるなんて言われますから、それなら、しょうちゅうにまぜるものは、別にみりんに限らずいろいろある。ところが実際、実態上しょうちゅうにまぜて飲んでおりますか。そこのところは実態をどう把握しておるのですか。調味料として扱っているのか、しょうちゅうにまぜて酔っぱらうために飲んでいるのか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 いや、それは本みりんでなくて、本直しといわれておりますものは、現実にみりんとしょうちゅうとを混和していろいろ名前をつけて売っておるわけでありまして、確かに先ほど御質問にお答えいたしましたように、数量的にも最近は非常に減っておりますけれども、とにかくそういうしょうちゅうと混和した本直しというものが商品として売られており、そのほうは調味料としてでなしに、いわば酒の一種として社会通念上も観念されておるというふうに思います。

永末英一民社党

○永末分科員 本直しのことを聞いているんじゃない、本みりんのことだけ聞いているんですから、妙なものを入れぬでお答え願いたい。  それから、本みりんの三万四千四百キロリットルというのは主として調味料ですね。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 先ほどの三万四千キロリットルというのは主として調味料でございます。

永末英一民社党

○永末分科員 さて、大蔵大臣、いまのやりとりで酒税の対象になっている酒類、しかも従量税の対象となっております清酒、合成清酒、しょうちゅう、ビール、果実酒、ウイスキー、スピリッツ、リキュール、雑酒といったようなものとみりんの中の本みりんというのは非常に性格が変わっているということだけはお認めになりますか、大臣。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 本みりんは性質が違うものである、私もそう思います。

永末英一民社党

○永末分科員 本みりんの税率につきましては、昭和三十四年、三十七年にその性格が認められて、それまでは非常に飲んでいるんだろうというので、高い従量税率の対象になっておりましたが、減税が行なわれまして、その後は減税は行なわれておりませんが、小売り価格が上がったために相対的に酒税の負担率と称するものは下がっているわけです。しかし、一体家庭の主婦の立場に立って考えました場合に、自分の使う調味料の中で全く税金のついていない調味料と、そうして飲まないのに飲むだろうという予測のもとに税金のついているものと二つ並べられた場合、何か不公平な感じを受けましょうね。局長さん、その前にこの本みりんというものは家庭でどれぐらい消費されていると思いますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 これを家庭使用分とその他の使用分とを分けて調査したものは手持ちがございませんが、最近は伸びておりますのは、特に家庭における本みりんの使用が、たいへん家庭の料理としていい味のものができるということから伸びておるんだというふうに聞いております。

永末英一民社党

○永末分科員 本みりんもいろいろな容器で売っておりますが、普通一升ぴんと称せられる一・八リットルびん、これが主たる分量を占めております。これは大体六割弱くらい売られておりますが、実に三割近くのものはそれ以下のもの、六百ミリリットル、五百ミリリットル、三百ミリリットル、百八十ミリリットルというような小さなびん、これは三割近く、この小さいものは全部が全部家庭用だとみなされますね。いかがですか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 大体そう考えてよろしいかと思います。

永末英一民社党

○永末分科員 さて、その実態を御承知願った上で相対的な酒税負担率からいいますと、みりんは非常に低くなっていることは事実です。しかし、なおかつ事の経過が酒類であり、そして従量税率をかける対象であり、それから最初の減税が行なわれましたこのころ、昭和三十四年以前はきわめて高額の税率がかかったままであったわけでございまして、その経過のために相対的には安いのでありますけれども、なおかつやはり酒類一族の扱いを受けているわけです。この取り扱いは大臣、いま家庭で調味料として使われている実態、それも大部分そうだということが局長の判断でございますが、その観点で大臣がお考えになって、家庭の主婦に不当な負担を税金でかけているとはお考えになりませんか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 本みりんは性質がいわゆる酒とは違うものであるということは先ほど申し上げたとおりでございます。今度は、それならば調味料としての本みりんに課税を相当程度いまでもやっているのは不当ではないかということでございますが、そうなりますと、今度は私が先ほど率直に申し上げましたように、税として、税源として、これは酒の問題ではございませんが、たとえば砂糖等の調味料につきましても別の形で税がかかっております。そういうような観点から、本みりんに対して税を安くするとか、無税にするとかいうことはまた別の角度からの検討をすべきものではないだろうか、こんなふうに感じております。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 先ほど申し上げましたように、本みりんは本直しとは全く違うということはありますが、しかし本直しというのはしょうちゅうとみりんと混和すればできるわけでございますので、たいへん技術的ではございますが、私どもの問題としてはしょうちゅうにはどうしても酒税をかけなければならぬ。それから本直しにも税金はやはり酒税という制度がある以上はいただかなければならぬ。そこで本直しは、しょうちゅうと本みりんとの性質は全く同じ、本みりんとしょうちゅうを混合して入れるわけですから、したがって、本直しとしょうちゅうとみりんとの間にどうも相互にある種のバランスがとれておりませんと、いろいろ問題が起こるわけでございます。現在本みりんと本直しのバランスもいわば本直しで納めていただく税金が、しょうちゅうについて納めていただく税金とプラス本みりんについて納めていただく税金というような関係でバランスがとれるように構成されているのでございまして、調味料という角度だけから見ますと、いろいろな問題もあり、かねがね御批判も、御意見も承ってはおりますが、そしてそれについて検討は重ねてはまいっておりますが、全く本みりんに税金なしというわけにはいかないのは、そこの本みりんと本直しとしょうちゅうとの関係から出ているものだということだけは補足させていただきます。

永末英一民社党

○永末分科員 それは税金を取る側の均衡論でしょう。ここに一人の男と一人の女があって、Aという学校に通っている。子供が生まれた。そうしたら、その子供もAという学校に入らなければならぬ、そんなことはありませんよ。Bに行ったって、Cに行ったっていいのです。しょうちゅうも本直しも致酔飲料、確かに飲むものである。もっともしょうちゅうだって飲まないで、ほかにも使うことはございますけれども、しかし主としてほとんど全く飲んで酔っぱらうためにやっておることは事実です。本直しも飲むものでしょうね。しかし、いまやその子供である、あるいは似たような姿だけれども、本みりんはそうでないとあなたが言われた。なぜ二つの間で税率を均衡をとらなければならぬのか。取るほうはいろいろ考えられますが、払うほうを考えてください。台所を預かっているおかみさんは飲むために本みりんを買うのではない。味の素を買うのと同じような気持で本みりんを買うのです。その場合にはこれには税金がばっとかかっている。大蔵省の措置が不当だと家庭の主婦が考えても私は無理じゃないと思いますが、いかがでしょうか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 問題は、みりんというのは甘さその他については若干の差はありますが、本みりんも、本直しもみりんはみりんでございます。しかし、本直しのほうは主としてというか、ほとんど完全に飲料として使われておる。しかし性質は同じものであるということになりまして、本直しを課税対象から除外すれば、今度はしょうちゅうのほうからは異論が出てきますし、そこで本直しについて課税をするということになれば、それでは今度は本みりんは課税なしということでは、本直しという品物はなくなってしまうという、こういうことになりますから、やはり取りたい立場とおっしゃいますが、これはしょうちゅう屋さんの立場もありましょうしということもあるということではないかと思います。決して本みりんについて課税することが取りたいということではなくて、本直しとの関係、しょうちゅうとの関係というのは、やはりどうしてもなかなか逃げ切れない問題であろうかと思っておるわけでございます。

永末英一民社党

○永末分科員 先ほど、あなたはいまの発言中に取りたいと言われた、あとは取りたい立場でもないと、よくわからぬのですが、この財源という点からしましても、先ほどお話がございましたように、酒税のなかでごくわずかなんですね。いま本みりんですよ、本直しを言うているのじゃない。二十数億である。別に、どうしたってやはりアルコール含有量が相当高いのであるから、税金の対象にしたいと言われても、私はそれを否定しているわけじゃないのですよ、別に否定しません。しかし、先ほどからの問答で明らかなように、これは主として調味料であり、そして相当部分家庭で調理のために使われている。もちろん、料理屋は使っているでしょう。料理屋では容器の大きなものを使うのでございまして、小さなやつはそんなものを料理屋が使うことは考えられない。現に三割近くが六百ミリリットル以下であり、一・八リットルでもこれは六割近くございます。相当部分家庭で使っているといわれなくもない。足して二で割って半分そうだということになりましても、全体の六割以上が家庭で使われていると見ざるを得ない。今度は家庭の主婦の均衡論に立って見た場合、これは三度目でございますからおわかりだと思いますが、なぜこっちのほうの調味料には税金がぴしゃっとかけられて、こっちにはかけられないのか、この疑問に答えられる義務が政治家愛知さんにあると思うのです。だから酒税のほうにその観点を置くのではなくて、酒税収入全体から見ましても微々たるものであり、これを少し減らしてみたところで、一ぺんに財政に穴があいて補正予算を組まなければならぬ、そんなことになりはしませんよ。だとしたら、この物価高の世の中で、もしみりんの減税を行なった場合に、免税とは言いません、減税を行なった場合に、家庭の主婦は、なるほど愛知さんはいい人だな、これは家庭の台所のことも知っていただいておるということで、何もそのためにしてくださいとは言いませんが、何だか酒税のほうにかかずらって、それにくっつけたような均衡論をとるのではなくて、台所を守っている家庭の主婦のさいふのほうの均衡論をもう少し考えていただいて御方針を伺いたいものだと思います。大臣、いかがでございますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 決して私は酒税と同じような性質なものだからということにこだわって言っておるのではございまん。先ほど言いましたように調味料としての性格が少なくとも大きいものだ。ただ、それをいかに扱うかというのは別個の問題で、たとえば砂糖その他の調味料についても税金の負担はあるわけでありますし、税のあり方として、調味料であるところの本みりんから税金をいただくということがそんなにおかしなことではない、私はこう思うのですけれども、この際ある程度の減税をやって、消費者大衆を喜ばしたらどうか、こういうお考えは確かに一つの見識のあるお考えだとは思います。ただ、四十八年度におきまして歳入として二十四億か五億見込んでおるわけでございます。それはお話しのようにそう大きなものではございますまいけれども、やはり一方からいうと歳入としての二十数億、税源としてはそれなりの地位を持っておるわけでございますし、またある程度の減税を考えましても、喜ばれることには間違いはございますまいけれども、そんなに大きな問題として扱われるほどのことだろうかなというような感じがするわけでございます。

永末英一民社党

○永末分科員 大臣から二つのことをいま承りました。私の申し上げたことは見識だという評価もいただきました。それからもう一つ、これで減税しても喜ばれるだろうかという疑問を表明されました。私の意見は見識であるかどうかは別として、もし一見識であるということの御評価をいただくなら、検討するという大臣のほうの意向を聞きたいと思いますよ。第二は、家庭の主婦は大臣のことばを聞いて喜びますよ。いまいろいろな、特に生鮮食料品を中心とした台所の食料品の値上がりということ、これであなたのほうの政党は都会でじゃんじゃん選挙の負けが込んでおるわけです。やはりこの際愛知さん、自民党の大蔵大臣がおいしいものを食べさせてくれるために税金を減らしてくれたんだといわれるくらいのことは——何もあなたのほうの土盛りをするつもりはさらさらありませんが、しかしそういう問題ですね。百二十一円、これはリットル当たりの基礎数字が出ておりますが、やはりこれだけ一生懸命になって台所も考えておるんだということで自民党がもしおやりになるなら、これは善政だと思いますね。いまの点、検討される用意があるかどうか、これをひとつお答えいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 将来の問題として検討の対象にはいたしたいものだと私は思いますが、二十四億の税収見積もりを変えてまで、いますぐに取り上げる考えはございません。

永末英一民社党

○永末分科員 大蔵大臣、これは予算の分科会でございますので、予算を変えろとは私は申しませんから。将来と申しましても将来はなかなかむずかしいのでございまして、三年も将来、来年も将来ですが、私はこの問題を提起いたしました以上は、ことしの予算とは離れて、いま物価は上がりつつあるわけですから、すぐにでもあなたのほうとして検討していただけばと思う。重ねてでございますけれども、お答えを願いたい。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 おことばではございますが、酒税としてのバランスもいろいろあるのでございます。一面調味料としてのウエートが非常に高いことはわかるのでございますけれども、あくまでこれは酒税としてのバランスの問題もあるわけです。実は酒税につきましては昭和四十三年以来改正を行なっておりませんが、最近実はいろいろと問題が出てきております。特に通貨の改変とか関税の改変とかいうことで、ウィスキー等については非常にやっかいな問題が出てきております。酒税についていつどのようにということは申し上げかねますが、かなりこれの改正の必要が出てきておるのではないかと思います。その際にはこの問題もかなり問題があるということで、われわれも本みりんの問題は問題意識をかねてから持っておりますことをこの際申し添えておきたいと思います。

永末英一民社党

○永末分科員 局長がいま、ある意味では考える時期のことを言われたと思います。大臣、それに関連して、この問題はこれで終わりますのでお答え願いたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 いま申しましたように、私も大きな関心を持っている問題でございますので、将来検討いたします。

永末英一民社党

○永末分科員 本みりんの問題は、いまのようなお答えをいただきましたので、ひとつ.ぜひぜひ御検討を家庭の主婦のためにお願いいたしたいと存じます。  さて、給与所得者のうちで、未成年で給与所得税を払っている者は何人あるという御計算でしょうか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 これは現在の税務統計上、年齢階層別の納税者はつかめておりませんので、人数としては私ども明確に申し上げかねます。

永末英一民社党

○永末分科員 まさに年齢別ではございません。あまり年齢別というのは税金を取る場合には関係ございませんからね。所得だけは大きな関心がありますから。でございましょうが、議会政治というのは御承知のように、国民が税金を幾ら払うかということを国民側で相談をしようというので発祥したことは御承知のとおりでございまして、その意味合いでわが国はこういう選挙制度のもとで政治権力がつくられておりますから、自分の税金に発言権がない。もちろん現在資産所得に対する課税は未成年でもみなかかりますが、それは自分が勤労の結果得ている所得ではございません。しかし、いま私が申し上げました給与所得者の未成年の者は、自分が働いて、勤労の結果収入を得ているのでございますから、私は、われわれの政治形態の基本に立ち返って、未成年者であって税金を払っている者くらいお調べになったらいかがかと思うのです。何もこれはいま初めて申し上げたのではございません。五年ほど前に研究をお願いしてそのままになっておりまして、私のほうは忘れておりませんので、そういう一つの実態を把握されて、給与所得の基礎控除とかなんとかいうことをお考え願わないと、金額だけ見ていますとはずれてくるのではないかと思う。お答え願いたい。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 その問題についてはかねがね各方面から御指摘もあり、御注意もあったわけでございます。そこで実は昨年の秋でございましたか、いま非常にサンプルも少ないし、確度もはたしてどの程度あるかということは疑問を持ちながら、一部の事業所等についてお願いをいたしまして、所得者について年齢別にどういうことになっているか、ごく一部のサンプル調査を始めております。本国会中にはお示しできるような段取りでいま作業をしているところでございます。

永末英一民社党

○永末分科員 一事業所当たりでは確度はまさしくよくわからぬと思いますが、ものの考え方として、政府はいままで給与所得者の税が高いか安いかということを論ずる場合に、標準世帯の夫婦と子供の数というものを基本にして、そしてこれこれの控除があると言われました。私は社会生活の実態を見ました場合に、なるほどそれは高い。高いですけれども、それはつまり給与があるところ、すなわち逆にいえば所得のあるところ課税をするんだ。その一番初めにかけるスタートが低過ぎるわけですね。低過ぎるから、相当年齢がたって給与の水準も上がってくる、そして家族もおる場合、その人々に高くなってくる。しかしいまのような日本の社会構造上、中学校を卒業して給与所得者になった者並びに高校を卒業してなった人は、ごくわずかでありますが、未成年のうちに給与所得者になるわけでございまして、そういう人たちに対して税金を課するということが一体いいのかどうかということは、日本の政治構造の基本に触れて考え直すべき問題だと思うのです。つまりこれらの人々は税金を取られておるけれども、そのかわりに与えられるものというのは意識面では上がってこないものである。その人たちがただ単に課税の対象になり、自分の税額に対して全く発言権を持たないというのはおかしいと思うのですね。その意味合いで、単なる一事業所じゃなくて、あなたのほうは所得額だけを捕捉されておるわけだけれども、もう少し真剣にいまの問題に取り組むべきだと思いますが、大臣はいまの問題についてどうお考えになりますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 いまの一事業所というのはちょっと言い方が悪かったのですが、幾つかの事業所について調べております。ただ、その事業所を抜き出す抜き出し割合が統計的に処理をしているとかなんとかということではないので、それほど確度が高いものになるかどうか、明確に申し上げかねるという意味でございます。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 私は、ごもっとな御指摘だと思います。税金は取られるが、たとえば政治に参加する権利は認められていない。一方には、政治に参加する年齢を低下させてはどうかという意見ももあるくらいなときでございますから、これは政治的に十分検討に値する問題であると思います。ただ、これも、先ほどのみりんの問題ではございませんが、現在御提案いたしておるものにはもちろんそこまで考えておりませんが、将来の問題としてはこれはむしろ政治的に考えるべき問題ではないかと思います。

永末英一民社党

○永末分科員 大蔵大臣がそこにおられますので、これはひとつお願いをしておきたいのですが、せっかくかかられたのなら、私はこれは非常な政治問題だと思うので、資料は不確かなら不確かの度合いを前提にして論ずればいいわけですから、今国会中にひとつわれわれに見せていただける資料の収集をお願いしたいと思いますが、局長、できますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 今国会中には、いま作業しておりますものが集計できるだろうと思います。サンプルのとり方で御満足がいただけるかどうかわかりませんが、まあまあかなりの評価をしていただけるであろう程度に調査はいたしております。

永末英一民社党

○永末分科員 所得控除もいろいろございまして、大体私は基本的に控除の数が多過ぎると思うのですね。それは相対的に、横向きのレラティブに公平を期そうというので、いろいろな控除を考えられては金額をつけられる。しかし納税者側から申しますと、もうじき確定申告をやらなければなりませんが、そのうちのどれか一つか二つかが自分にかかわるかかわり合いの問題である。あとのものはあっしにはかかわり合いのない問題ということになる。だから、なるほど控除制度は、所得控除とか税額控除とか、税金を徴収するほう、取るほうからいえば、きわめて公平につくったような気になっておりますけれども、納めるほうからいいますと、一体私はどれだということをさがすのに苦労して困るわけであります。もっと直截簡明にすべき問題だと思います。  さて、その中で一つ伺っておきたいのでありますが、勤労学生控除を設けられておるのは、これは主として未成年でございますけれども、所得がある、だからこれに税金をかけると思うのだが、そのために特に何ほどかの控除をしております。しかしこれは特に勤労学生という範疇を設けている。もちろん学生でない未成年からいたしますと、なぜ学生だけに控除するのかという不均衡論はありますよ、それはまず前提に一つ。しかし勤労学生控除を設けたからには、それなりに一〇〇%その意向を貫いてその控除をぼくは認めなくちゃならぬじゃなかろうかと思いますが、ところが控除の上限がきめられてあって、そうして中和作用を働かそうとしている。これはもっとすぱっとやるわけにはいかぬですか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 もともと控除の制度は、経費を頭に置きまして、勤労学生がどのくらい経費がかかるかということを頭に置いて算定はされておりますが、たとえば控除の額が不十分ではそれは意味がないかといえばそういうことではなくて、所得控除でございますから、その部分を引いた部分に税率がかかってまいりますので、税率と控除の相互関係からたとえ不十分な額であっても、控除があれば税はやはり減ってくるわけでございます。  現在のもろもろの控除につきましても、一応の目安はございますが、どの控除につきましても、それがつまりそういうある種の控除がある種の経費にちょうど当たるようにということで組み立てられているわけではないのでありまして、一定額でそこを控除すればそれだけ控除したものに累進税率がかかりますから、累進控除のもとにおいてはそれが当然響いてくるということでございます。  勤労学生控除についても、どうも少し低い、したがってせっかく勤労学生控除制度があっても、うちの学生で相当税を納めている者が多いから、これを少し上げてはどうかという御意見が学校側からも出ておりますし、経営者側からも出ておりますし、学生側からも出ておりますが、それはもともと控除という制度をつくった以上は完全にかからないようにしなければ意味がないという前提であればそういうことでありますけれども、そうではなくて、控除という額があればそれだけ控除されたものに税率がかかりますから、やはりそれなりに効果があるということになろうかと思います。  なおしかし額のことについては、各方面からもう少し手直ししてはどうかという御意見がありますので、今回も若干直しましたが、今後も検討はしてまいりたいと思います。

永末英一民社党

○永末分科員 時間がございませんので、もう少し詰めたいのですが、検討をしてください。  最後に一問だけ。戦時中特に沖繩で戦争の末期に戦争遂行上強制的に土地を収用し、あるいは買い上げるというようなことがございました。それが沖繩本島において戦場になりましたので、そしてまたあとあと米軍の占領が続きましたので、非常に困難な問題がございます。私がきょう申し上げたいのはそうではなくて、石垣市の平得というところでございますが、これは海軍が飛行場をつくるというので接収をいたしまして、強制買い上げをいたしました。ここは戦場ではございません。軍隊はおりましたけれども、戦場にならぬで終わりました。  ところが、形としては国有財産です。国有財産になりますと、その処分は厳密なる法律的手続によらずしては、これは処分ができないことになっている。小さな島で、しかもそういう妙な強権力でもって買い上げられたところは、やはりもとの地主に、ついに軍用目的を達成して終わった土地でございますから、返してやる方法はないものかどうか、これをひとつお答え願います。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 この問題は、旧所有者、地主連合がいろいろ要望をしておりますが、国有地を一般に旧所有者に返すことができるかという問題でございます。これはいろいろ事情によりまして、たとえば本土におきましては戦後処理といたしまして、そういう土地を農耕の用に供するために旧地主に払い下げてそれに充てたという例はございますが、どうも一般的にはそういうような施策をとっておりません。  この場合におきまして特に問題は、耕作者、旧地主、この両者の関係の調整をどうするかという問題がございます。農林省のほうは農地法のたてまえからいたしまして、旧地主よりもむしろこれは農地法のほうで耕作者のほうが優先すべきである、こういったいろいろな事情がございます。  それからもう一つは、先生御指摘のところは別に問題はございませんけれども、一般的に旧軍用地につきましてはいろいろ買収の経緯について複雑な事情がございます。そこで現在そういった事情を十分検討いたしまして、これをどのように処理するか、こういった方途を至急きめたい、こううふうに考えております。

永末英一民社党

○永末分科員 ちょっと時間が超過いたしますが、これだけでございますからお許しを願いたいと存じます。  私が申し上げているのは国有地一般の問題、軍用地になったものについて申し上げているのではなくて、戦争末期に、ともかく戦争しなくてはならぬというのでゴリ押しに軍用地にし国有地にしたもの、そして戦場にもならなかったから原状もいわばそう破壊されずにそのまま残っておるもの、それがたまたま施政権がアメリカにあったためにくちばしもいれられなくて三十年近くたっておるというものについては、もともとそれを接収したあるいは収用したところが異常状態でございますから、いまや祖国復帰がかなったのでありますから、もっと簡単に原状に復することは私はできるのじゃないかと思いますが、そのことだけを聞いているのです。石垣市の平得の問題についてはもっと簡単な方法がありやしないか、これについてお答えを願います。

小幡琢也大蔵省理財局次長

○小幡政府委員 この問題につきましては現在のその法制でできるかという問題でございまして、現在国有地を随意契約で払い下げるという場合に、特別の縁故というので、たとえば権利があるとかそういう場合には可能でございますけれども、現在その土地と関連がなく、ただかつて所有者であったというだけでは、いまの国有財産の法体系のもとではできない、こういう事情がございます。  価額が少額の場合には、これは少額随契ということで対象になりますけれども、かなりの金額になりますとそういった国有財産払い下げの一般の取り扱いとのバランスの問題がございまして、そのままでは非常にむずかしいのではないか。  そういうわけで、現在実態を調査いたしまして、必要がありますればしかるべき措置をとるべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

永末英一民社党

○永末分科員 これで終わりますが、そもそも収用し接収したところは異常であった。いまとなれば国有財産に違いありませんから、いまの法律で過誤なきように処置したいというのは国有財産の管理者として当然のことです。しかし、もともとそれを軍用地にしたのには、いまとなっては考えられないような非常ないろいろな条件があってそうなっておる。いやだと言ったって、有無を言わせない、そういう条件でなっておるということを考え、しかも二十七年間それに対して救済措置はとり得なかった。その所有者、その所有者というものが返してくれと言った場合には、もし現行法でどうにもならなければ考えるのが政治じゃないでしょうかね。このことについてあなたお答えになったら、大臣の感覚だけひとつ伺っておきたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 この問題といいますかこの種の問題につきましては、午前中当分科会でも御指摘のあった問題でございまして、形式的にいえばいま御指摘の地域の問題も、登記簿の上では国に収用されて登記が完了しておる、こういう状況にございますけれども、その背景、経過は、いま永末さんが御指摘になったような状況であることは私どもにもよく想像ができることでございます。  まず実態につきまして、大蔵省だけではこれはできませんが、関係庁でも十分配慮しているところであると思いますが、さらに実態の掌握を早急にいたしまして善処いたしたいということを午前中にもお答えいたしております。さようなふうに御理解をいただきたいと思いますし、政府としても当時の事情等あるいはまた関係者、収用の対象になった人たちの環境や状況も十分掌握して、できるだけ親切に取り扱うようにいたしたい、こういうふうに考えております。

永末英一民社党

○永末分科員 じゃ終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次は、勝澤芳雄君。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 私は、昨年の六月の六日に衆議院の決算委員会で、アルゼンチンにおける海外移住事業団の融資及び土地代債権のペソ建て切りかえについて実は質問をいたしたわけであります。主管的にはこれは外務省の主管になると思うのですけれども、このぺソ建て切りかえの経過から考えてみて、一度私は大蔵大臣に、こういう扱いになっているのだ、これでいいのか、こういうことを実は知っていただくために、外務の分科会でなくて大蔵の分科会に、主管が外務の関係ですけれどもお聞き願いたいと思っていまから質問いたすわけであります。  そこで、最初外務省のほうにお尋ねいたしますが、このアルゼンチンの海外移住事業団の融資についてペソ貨の切りかえ要求というものがこの移住者から起きて、そしてどういうふうな経過になって最終的な取り扱いがどういうふうにきまったのかという点について、ひとつ簡単に経過を御説明願いたいと思います。

穂崎巧外務大臣官房領事移住部長

○穂崎説明員 お答えいたします。  この問題は昭和四十六年の十一月にアメリカのドルの切り下げに伴いましてアルゼンチンのペソ貨が二重相場をとるようになったことから起こったものでございまして、アルゼンチンのペソ貨がそれまでは固定相場であったものが移住事業団の融資に関する限りは変動相場になったということで、その相場が非常に動くということから起こったものでございます。そこで現地の移住者から十二月に、変動相場に対処するために、従来はドル建てであったものをぜひ現地通貨建てに直してもらいたいという要望がまいりました。それに対しまして私のほうはこの問題を大蔵省に持ち込みまして、昨年の一月からいろいろ話をしまして、昨年の十二月に最終的な結論が出たわけでございます。その中身は、昨年の十一月一日現在をもちましていままでドル建てでありました債務をアルゼンチン通貨のペソ建てに切りかえる、その切りかえレートは九・九ペソ、それまでは大体一ドル・五ペソでございましたが、その後の変動を加味いたしまして一ドル・九・九ペソとするということできまったわけでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 大臣、いまお聞きになりましたように、これが一九七一年の八月のニクソン・ショックによるところの二重為替制から起きた問題です。そして、一九七一年の暮れに移住者の要望があった。その要望に基づいて、自来一年間かかって移住事業団、外務省、大蔵省と話し合いがついて、昨年の暮れに一応のめどがついた。結局、言うならば、問題が起きてから一年以上もかかっている。決断と実行と田中さんが言っているのですけれども、決断から実行までに一年有余もかかっている。しかし今度はその結論を見てみると私もどうもまだまだ納得できないわけであります。そこで、去年の六月の二十五日の時点では一ドル・五ペソ、そして利子は一%、移住者と事業団とが一致してこの方向で進んできたわけでありますけれども、これがその後第二次案では今度は一ドル・八ペソ、一八%の金利、最終的には一ドル・九・九ペソ、一九%の金利。あまりにも、何といいますか、バナナのたたき売りじゃないけれども、最初のきまった時点から最後のきまった時点にかけて実情を無視した切りかえで、高金利だと私は思うのですけれども、いかがですか、その点。外務省ですか。

穂崎巧外務大臣官房領事移住部長

○穂崎説明員 当初移住者から出ました案は、確かにいま御指摘のとおり一ドル・五ペソ、金利が一二%ということでございました。ただ、われわれも大蔵省も考えておりますことは、一つは、こめ金というものは返したものをどんどん回すわけでございまして、毎年予算でそれは原資はふえてまいります。したがいまして、あまりにも低い切りかえの金額では将来非常に原資が減ってまいります。  そういうことと、もう一つ、われわれ考えますのは、やはり移住者の定着安定を援護しなければならない。そのためには、われわれも大蔵省も全く立場は一緒でございます。ただ、いろいろ原資に対する見方その他につきしまして、多少の違いはございます。その点からいろいろ交渉が紆余曲折を経まして最終的な結論に達したわけでございますが、基本的な立場は、いま申し上げましたとおり、両省ともその二つの点を考えて検討した結果でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 大蔵省と外務省に、この原資に対する見方の相違というのは具体的にはどういうことですか。

穂崎巧外務大臣官房領事移住部長

○穂崎説明員 一口に相違をはっきりとは申し上げられませんが、討論の中におきまして、いろいろな要素がございますので、その要素を彼此勘案した結果、あるものにつきましては原資が必ずしも減らないという見方もございますし、あるものにつきましては原資が減るという見方もありますので、具体的には申し上げかねますが、そのようないろいろな思考過程を経まして得た結論でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 どれくらいの原資ですか。

穂崎巧外務大臣官房領事移住部長

○穂崎説明員 お答えいたします。  事業団が現在持っておりますのは、昨年度出資累計は全部で六十七億でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 アルゼンチンの農業の対象融資はどれくらいですか。

穂崎巧外務大臣官房領事移住部長

○穂崎説明員 円に直しまして一億六千九百万円でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 この場合はアルゼンチンの融資ですから、一億六千万円、このものに対する取り扱いの大蔵省と外務省の見方の違いがあると、こういうことなんですか。大蔵省、それ答えてください。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 アルゼンチンに対する移住事業団の融資残高は、ただいま申し上げました一億六千九百万、これは四十七年六月の残高でございますが、当然、アルゼンチンのペソ貨の対ドル価値の下落に関連して起きましたこの問題につきまして、大蔵省と外務省の間で議論を詰めました際には、ペソ貨だけではなくて、他の中南米諸国に対する融資も含めまして議論が行なわれたわけでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 その議論が行なわれた結果の相違点というのはどこなんですか。大蔵省で説明してください。大蔵省の考え方と外務省の考えと違うのですから、根本的に移住政策に対するものの考え方が違うんだから、融資に対する考え方が違うんですから、その食い違いがどこにあって一体こう延びたかということにならないと、一年も意見が合わなかったというのが理由が立たなくなるわけです。その点を聞きたいのです。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 両者の意見が合わなくて一年間時間がかかったというお説でございますけれども、実はその現地からの御要望がございましたのは確かに一年ぐらい前でございますが、その後外務省の段階におきましてもいろいろ現地の御要望を詰めまして、移住者からの要望自体も若干内容が変わってきておるような事情もございます。それで、確かに昨年六月、勝澤委員の御質問を受けてから実施までに五、六カ月かかっておるわけでございまして、その点は確かに時間がかかったわけでございますけれども、その間の事情は、移住事業団の持っております原資に対するものの見方といったようなことよりも、これは勝澤委員よく御承知のように、まあ移住事業団としましてはブラジルのように、ブラジルの法律によって外貨貸し、外貨建ての貸し付けが禁じられたようなものは例外でございますけれども、いわゆる現地通貨貸しの第一号に当たるものでございまして、そういうものについて、今後国の債権の確保の立場からも、他に影響することも非常に範囲が広うございますのでいろいろ慎重に検討をした、そのために時間がかかったというのがその一つであろうかと思います。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 その一つであろうかと思います、ということじゃないのですよ。外務省の説明によれば、外務省は七一年の十二月に、これは現地通貨建てでなければ無理だということを決意をした、こういうことがはっきりされているわけですよ。これはもう為替相場になったしインフレが強い、これでは何としても借金が毎年毎年上がってしまう、これじゃ気の毒だから現地通貨建てにしなければならぬと決意したのが七一年の十二月なんですよ。私が質問したのは、それから半年後なんですよ。そのときの話は、大蔵省としても現地をよく見て調査して、その結果によってはと、こういうような答弁がなされているわけですよ。私が見ていると、海外事業団なり外務省の説明わからぬから、大蔵省が現地へ行って、現地の様子を見てこなければこの話は詰まらない。そうしてまたなお半年かかった。あまりそれではひど過ぎるじゃないかという気がするわけですよ。しかもそれが一年前に主張したやつを実際に実施したのはさまってからだ。一年もおくれているわけです。その言われ始めたときを起点にやればいいやつを、ずっとおくれてレートが高いレートになっている。ここが問題なんですよ。いかがですか。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 ドル建てで実施してまいりました海外移住事業団の移住者に対する融資を、現地通貨建てに切りかえるという基本的な考え方につきましては、私も当時関係しておりませんでしたけれども、六月に勝澤委員の質問にお答えいたしました当時の大蔵省の主計官の答弁からもある程度おくみ取りいただけると思うのでありますが、問題は切りかえる場合にそのレートをどれにとるか、またいかなる金利をとるかといったような条件がいろいろございまして、そのようなものの検討も必要であったと思います。  それから、もちろん、移住者に対する配慮もなく、単に移住事業団の出資金の減耗をおそれるということだけでは移住行政が実施していけないことは私どもも重々承知いたしておりますが、六月当時に大蔵省が外務省からいろいろ伺いましたときには、かりにアルゼンチンでペソ貨建ての融資にいたしまして、その結果移住事業団の融資の元本そのものに減少を来たすことがあっても、ボリビア、パラグアイ等他の為替相場の安定している南米諸国に対する収益でカバーできるのだという御説明があったようでございますが、その後検討をしております過程で、中南米諸国の経済、通貨動向と申しますか、そういうような前提が非常に大きく動いてきたというような事情もございまして、十一月実施まで遅延いたした、かような事情でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 主計官、国内の農業者に対する融資というものと、それから今度の移住事業団の移住者に対する融資、この問題との比較を考えられて、一九%の利率だとか、延滞利子二五%だとか、あるいは貸し付け期間のこんなに短かな貸し付けの状態、こういうこととの比較をどうお考えになりますか。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 勝澤委員のお話でございますけれども、海外移住者に対する融資の条件その他は、わが国の国内の農林漁業者に対する融資の条件を基準にして考えるべきではないと思います。アルゼンチンであればアルゼンチンにおける、たとえば日本の農林漁業金融公庫のようないわゆる政策金融機関が農業に対してどのような金利で貸し付けを行なっておるか、また農産物の価格の値上がりがどのような趨勢を示しておるか、そういったような入植先の国の実情に合わせて考えていくべきではなかろうか、かように考えます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 国内の農業金利というのはこんなに高いのがあるのですか。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 わが国の国内における農業金利は、原則として非常に低うございます。この例のように一九%というような金利はございません。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 貸し付け期間はどうですか。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 農林漁業金融の貸し付け条件ただいま持っておりませんが、公庫であれば貸し付け期間も数年間にわたる相当長いものもあろうかと思います。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 いまのあなたの発想というのは、その国の実情によって、こう言われておるのですけれども、しかし、その国の実情によってということでなく、移住事業団の融資ワクの中のバランスというものが中心になって考えられて、それと今度はその国の実情によってという、そこがチャンポンになっていると私は思うのですよ。ですからそれを無理に合わして、この国はこれだけの金利だからこれだけでいいじゃないか、この国はこういう条件だからこれだけでいいじゃないか。それがいま言ったパラグアイやウルグアイやアルゼンチンやブラジルはこの調和の中で、こっちであがってきた金利でそれがふさがれば採算がとれるからいいじゃないかということになっていると私は思う。  そこで私は、移住政策というものについて、わざわざ日本から移住者を送っているわけですから、送っているものについてその移住事業団の融資だけの採算、そろばんでものを考えずに、やはり日本の政策として、農業移住の政策としてものを考えてやらなければいけないのじゃないか。この違いが外務省と大蔵省の違いのように思うのですけれども、ここであまりその違いを強調することは、大蔵省ににらまれたら三月でできるものが一年半も二年もかかっていく。だから私はわざわざここで、これは外務省の問題だけれども大蔵省の問題として大蔵大臣に聞いているのですよという前提で実は申し上げている。別に大蔵省をどうこうとは思っていませんけれども、やはり現実に起こっている問題から考えてみれば、いま大臣が国内のものと合わしてみれば、それはこんな金利はない、いままで五%だったですからね、貸し付けば。それが結局この条件を入れるについて一九%に直したわけですから。それから貸し出し期間の問題もそうですよ、こんな短い土地融資はないわけですから。そういう点から考えてみると、やはり移住の基本的な問題で考えてあげなければいけないじゃないかということを大蔵省に理解してもらいたい。そういう意味なんですよ。どうでしょうか、無理でしょうか。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 移住事業団への融資は原則としてドル建てで行なわれておりまして、その場合の金利はおっしゃるとおり五%で行なわれてきたわけでございます。この五%の金利がきめられましたのは、おそらく国内の農業金融の金利等も参考にされまして、五%という条件がきめられたことと思います。ですから一般論といたしましては、おっしゃるとおりだと思うのでございますけれども、移住先の国の通貨事情等の特殊な事情によりまして、現地通貨建てに切りかえざるを得なくなりました場合には、その国の経済の事情、特に農業の実情等も反映した条件にすることもやむを得ないのではなかろうか、かように考えます。現にブラジルがブラジルの法律に基づきまして現地通貨建てに切りかえられましたときも、当時の法定最高限度の金利の二二%にきめられたという経緯もございます。こういうようなことからいきましても、私どもといたしましては、アルゼンチンで切りかえました際に一九%の金利にしたことはやむを得なかったのじゃなかろうか、かように考えます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 いまブラジルの話が出ましたけれども、ブラジルの切りかえというのは、切りかえた時期というものはその切りかえた時期よりも一年も前にさかのぼって実施しているのであります。経過を説明してください、どちらからでもけっこうであります。

穂崎巧外務大臣官房領事移住部長

○穂崎説明員 ブラジルの場合、昭和四十四年三月十日にブラジルの大統領令が出まして、その以降現地通貨建てにしろということでありましたので、実際の切りかえ時期は一年おくれて四十五年四月二十五日でございましたが、その大統領令の関係から一年先にさかのぼったわけでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 ブラジルの場合は六九年の三月十日にブラジルの大統領令が出されたその翌年の七〇年の四月二十五日に現地通貨建てになったわけですね。ですからこういうことを考えてみれば、去年の十一月一日の切りかえでなくて、もっと問題が発生した時点にさかのぼって切りかえることが可能じゃないですか。それが可能でないならば一体どういうわけで可能でないのか、その点が実は理解に苦しむわけです。その点いかがですか。

長岡實大蔵省主計局次長

○長岡政府委員 こういう融資の条件が変わります問題につきましては、通常の場合にはさかのぼることはせずに、将来に向かってその条件を改定するというのが普通の場合ではなかろうかと思います。法律的に可能か可能でないかという問題はいろいろ議論の余地があろうかと思いますけれども、ブラジルの例につきましては、たまたまブラジルの大統領令がその一年前にきめられておって、それを実施の段階で大統領令の施行の時期に合わせたということでございますが、アルゼンチンの場合には、勝澤委員御承知のように、別にそういうアルゼンチンの国内法の改正その他の問題があったわけではございませんので、実施までに時間がかかったことに対しての御批判は私どもおっしゃるとおりの点もあろうかと思いますけれども、さかのぼるさかのぼらないの問題につきましては、一般論といたしましては、私どもはこういう条件の改定につきましては将来に向かって改定をしていくというふうに考えるのが通常ではなかろうか、かように考えます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 大臣、いまの経過でおわかりになったと思うのですけれども、結局、私の申し上げているのは二重為替制になった、そしてまたアルゼンチンがインフレの状態でもうドルでは返し切れない、だから現地通貨建てにしてくれという要望が出た。そしてそれを移住事業団も外務省も取り上げて、外務省もそうだということになって何回となく交渉したけれども交渉が行き詰まっておる。  実は私も数年前にアルゼンチンに参りましたときに、私のところの静岡県から行っておった農業移住の青年がおりまして、その青年のお嫁さんを世話してくれということで、実は地元からお嫁さんを世話してあげたのです。それがたまたま手紙をよこしてその経過を知った。何回もやっているけれども何ともならぬ。何ともならぬから何とかしてくれということじゃないのです。何ともならぬという話なんです。そこでよく調べてみて外務省に聞いてみると、そのとおりです、いま詰めております、だけれども、実は大蔵省となかなかうまくいかないのですというのが去年の六月の段階だったのです。それから、最終的にきまったのが去年の十一月です。結局十一月一日現在できめられたわけです。片方のブラジルのときはどうかといえば、一年後になったけれども、大統領令という法律によってさかのぼらざるを得なかったからさかのぼってやりましたと、こう言うのです。役所の手続上からはそれでいいのかもしれません。しかし、たとえば土地の払い下げをいま出した。しかし実際には審査が手間どって、二年たって払い下げになった。そして二年後の評価の値段になるでしょう。それはそれなりに理屈はあるでしょうけれども、私は、政治のあり方としてそれでいいだろうか、こういう点を実は思うわけです。外務省に言わせれば、努力をしてきた、一生懸命努力をしてやっとこれだけやったから、これくらいでがまんしてくれと、こう言うのでしょうけれども、日本から農業移住して外地におって、そして結婚するにしても、結局写真の結婚ですよ。そしてお嫁さんをもらって、ようやく一人前になった。それがひょうでやられた。それの融資がある。あるけれども、それはドルで借りるんだから、またそんなお金を借りたら、これはたいへんなことだ、金も借りられない、何とか現地通貨建てにしてくれ、こういう声がやっと実ったわけですけれども、これはあまりにもひど過ぎると思うのです。ましてやいまの金利というものは日本の国内にはないような高い金利ですよ、一九%ですから。延滞利子二五%、それから期間も短いです。  こういう点から考えてみると、もっと即応した、打てば響くような政治をとらなければならぬと同時に、いまこれできまったからいいということでなくて、比較からいってもっと再検討をすべきではないだろうか、私はこう思うわけですけれども、大臣のお考えをひとつお伺いいたしたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 実は御質問の御通告がございましたので、私も昨年の六月六日の決算委員会での御論議も速記録で読みました。そして、事情を調べてみまして、御指摘のように、ずいぶん長くかかりましたが、結果においてペソ建てが実行されるようになった、とにかくこういう状況であるということは私も現在、事後において承知したわけでございます。そして、相当の時間がかかったのはなぜであろうかということも、私なりに想像をたくましゅうしてみたのですけれども、ブラジルの場合は、先ほどからお話があるように、大統領令が出て、かつその効力が遡及したわけでございますね。そういうふうに、国全体としての制度が変わりましたからやりやすかった、というよりもやむを得ずそれでやらざるを得なかった。それからアルゼンチンの場合は、かねて移住者の方々から御希望はありましたが、何しろ移住事業団としては、それまでは全く想像もしなかったことであるし、自主的に初めての試みとしてやらなければならないというようなことで、ずいぶんいろいろと検討や連絡に時間がかかったんだろうな、こういうふうに想像いたしました。  それから、やはりああいう国情でありますから、たとえば金利の問題にしてもあるいは物価の状況にしましても、たとえば農産物の値上がりが二十何%というような状況であるし、金利にしましても二五%以上というようなものが実際の金利である。初めての自主的なペソ建て移行のことでありますから、いろいろ関係省庁との間で調査にもあるいは方針決定にも時間がかかったんではなかろうかと想像いたします。しかし、それはともかくとして、御指摘のように、あまりにも長過ぎるではないか、あまりにもひど過ぎるではないか——私としてはきのうきょう承知いたしました事情でございますけれども、今後におきましてはこういうことのないように、異国で働いている移住者の人たちの気持ちも想像して、親切に、かつ建設的にこの種の仕事はやっていかなければならぬなと、私も自分の気持ちはそういう気持ちで今後こういう問題を取り上げることにしたい。とりあえず私の気持ちをそのまま申し上げて答弁といたす次第でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 私、この場で大臣に、どうだと言うことは無理だと思うのですけれども、ブラジルの場合とアルゼンチンの場合を比較してみると、どうもしっくりしない。御説明を聞いても、片っ方は、大統領令でやったから一年前にさかのぼった、片っ方は、一生懸命やってきたけれども、手続的にできた時点で切りかえたんだと言う。これは最近の土地の払い下げでも同じことですよ。いま申し込んだら、大蔵省の手続の上で二年かかる、そして二年たったときの値段になってしまう。申請したときの値段じゃないわけですよ。そこでいつももめているわけです。私も入っている。この問題もそれとは言いませんけれども、やはり遠くのところにおるわけですから。それから、海外移住事業団から外務省というワンクッションを置いて大蔵省とやっているわけですから。これはほかでも同じことです。道路公団を見てみましても、あるいは何々事業団を見てみましても、本省というワンクッションを置くための問題というのがいつも起きておるわけです。国民金融公庫即大蔵省というかっこうのものはまだいいのです。これは過去にもいろいろあることなんです。  ですから、いまここで私が、もう一回さかのぼって、大臣やってみたらどうだと詰めてみても、大臣、ここでうんと言うわけにはいかないだろうと思うのです。また主計局のほうも、一生懸命やってきたんだ、やってやったんだからこのくらいでという気持ちもあろうと思うのですが、しかし、金額的に見ても一億六千万の融資をやっておる中のほんの一部分ですよ。これだけドルが余って困っているわけですから、せめてもっと緻密なドル減らしのことも考えて、喜ばれるようなこともやってみたらどうかという気がして実はしかたがないわけですよ。私は、特に大臣に実情を知っていただいたということと、さかのぼってやらせることは無理かもしれませんけれども、あなたの選挙区の宮城県からもだいぶ行っているわけですから、ぜひこの問題については検討してもらうように要望して、質問を終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次は、大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原分科員 私が質問しようと思った点は、一つは、きょう午前中安井委員のほうから、生命保険の問題について、契約金のスライド制の問題については話があったと思うのです。この生命保険の問題は、たとえば百万円の契約で二十年後に支払うという場合に、貯蓄部面の貨幣価値の変動ということを推定してみても、一カ年間に五%程度上がるといたしましても、二十年後には百万円の価値というものはどのくらいになるかということは、計算すればすぐわかることでありますから、ですから、これは年金の議論のときに貨幣価値の絶対額の減少、つまり物価への自動スライドというのを厚生年金や国民年金、その他の改革でやろう、これは最低限としてやろう、こういうことは当然なことだと思います。資金を運営するものの責任として当然のことだと思いますし、また政府の政策としても当然だと思うわけです。したがって、この問題については安井委員のほうからきょうそれぞれ話があったわけです。  私は、真意が十分わからないのですが、先般、日銀総裁が予算委員会で、預金の金利の物価スライド制というものを前向きで検討したい、こういうことを言っておられるわけです。これは、その中身については、かなり具体的な議論ということになればそう簡単なものではないと思うのですが、銀行の利子の物価スライド制というものについては、先般予算委員会で審議いたしました以後大蔵省において検討されておるかどうか、現状においてはどう考えるか、お聞かせいただきたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 先般の本委員会における日本銀行側からの説明というか答弁については、当時いろいろとその真意というものについて捕捉できないというような世評もございましたが、要するに気持ちとしては、少額の預金者を何とか手厚く保護をしたいという気持ちはあるのだけれども、具体的なやり方ということになるとこれは非常にむずかしい問題であるということを、別の機会でも表明しておるような次第でもございまして、一つの問題としてはあるわけでございますけれども、具体的にこうやったらばいいんだというような名案はまだどこからも出てきておりません。政府としての案というものも現状においてはございませんことを、御了解いただきたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原分科員 私は銀行預金の場合、これは一年定期とかあるいは六カ月定期とかというふうな定期が普通だと思いますね。しかし、銀行もさることながら、きょう質問があったはずの安井委員の生命保険については、これはかけ捨ての部分と貯蓄の部分で構成されていると私は思うのですけれども、これは当然貨幣価値の変動に対応するスライド制をやはりやらなければいけないのではないか。  ちょっと、これは深入りするつもりはないのですが、いまの保険約款か何かできめておる貯蓄部面に対する利子は大体何分くらいになっているわけですか。わかっていたらひとつ答えてください。

安井誠大蔵省銀行局保険部長

○安井説明員 約款では特に何分ということはきめておりません。御承知のように、最初に保険料を組みますときに予定利率が幾らであろうかという推定を立てまして、大体四%というのが多いようでございます。それに対しまして一年たちましたときに、そのお預かりした保険料が現実にどれだけ回ったかということで、今度はその上積み分と申しますか、それを配当として、それが四%近いのが通常のようでございますけれども、配当としてお返しする、こういうことになっておるわけでございます。(大原分科員「四%と四%で八%ですか」と呼ぶ)はい。そのときによるわけでございますが、一般論として申し上げればそういうことになると思います。

大原亨日本社会党

○大原分科員 かけ捨て部分でなしに、貯蓄部面の利子と配当合わして八%、こういうことですね。

安井誠大蔵省銀行局保険部長

○安井説明員 さようでございます。  いま大原先生のおっしゃったことを少しふえんさせていただきますと、現在の具体的な例を申し上げますと、三十歳加入で三十年満期でございますね、これは一体どのくらいの利回りなのかという試算をしてみたわけでございます。これは具体的には去年の配当の実績を見てやってみたのでございますけれども、二つありまして、一つは、配当を保険料と相殺をいたします支払い方をいたしますと、大体五・九%くらいに三十年間に払い込みました保険料が回ることになります。それからもう一つの形は、配当を受け取らずにそれを会社で保険金を買うという形をとりますと、六・三%くらいに、去年の配当がもしそのまま続くとすれば回るという形に現在なっているわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 この問題は大切な問題ですから、引き続いてまた後の機会に質問することといたします。  それで厚生年金、国民年金の改正に関係いたしまして、一方では予算の総則を一部新しい方針を出して、資金運用部の金と簡保資金の運営についての国会承認を求めるというふうにいたしておるわけですが、私どもは、郵便貯金でも、簡易保険でも、厚生年金、国民年金でも、年金の金を一元的にずっと集めて、そして運用利子ということを当面の目標にするわけですけれども、大蔵省が一元的に運営して、その中から開発銀行や輸出入銀行が企業の生産設備に対する融資をしたり、あるいは一般財源のかわりに利子補給をしたり、出資という関係等を組み合わして一般財源とほとんど同じような運営のしかたをしている、そういう国は世界にないのじゃないかと思うのです。  私も予算委員会のときに議論いたしましたが、郵便貯金にいたしましても、貯金の動機というものは、それぞれ預金者の要求というものは、病気とかあるいは家を建てるとかあるいは教育とか老後のためとか、そういうことですから、それの期待に沿うような運営のしかたをしなければいかぬという議論でありますが、外国でそういうふうな、日本のように政府が貯金を集めあるいは強制貯蓄のような年金の掛け金を集めて、そしてこれを私が申し上げたような使い方をしている国があるかどうか、あればひとつお知らせをいただきたい。

橋口收大蔵省理財局長

○橋口(收)政府委員 郵便貯金の制度は諸外国でもおおむねございますが、御承知のようにアメリカは郵便貯金制度を廃止して数年くらいたっております。いまお尋ねがございました郵便貯金等を原資として日本の仕組みのような財政投融資をやっておる国があるかということでございますが、ヨーロッパ、アメリカ等——アメリカはちょっと別といたしまして、ヨーロッパで郵便貯金をやっておる国がまだ相当ございますが、まあ諸外国は大体、郵便貯金を原資として一般会計の発行する国債あるいは特別会計の発行する国債を引き受ける、こういう形で運営しておる例が多いようでございます。したがいまして、それはまあその国が置かれた財政事情なりあるいは財政政策によることでございまして、資金の流れがそういう形で一般会計なり特別会計の発行する国債を引き受ける、それを投資に向ける、こういう形をとるか、郵便貯金のいわば肩がわりとしての資金運用部資金というもので一括して運用するか、それはその国の制度の由来なり歴史によることでございまして、やはり国が政府の信用を目的として一般から国民の貯蓄を集めるということであれば、国民の意識としては安全な金庫というわけで金を国に預けるわけでございますから、そうした預かった金はやはり有効に使うという形で、手段方法の相違はございますが、そういった集まった金をやはり民間に対して還元する、こういう形をとっている国が多いようでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 公債を引き受けるというふうな、政府債もそうですけれども、そういうことのために余裕資金を運用していく、預金を運用していくということは私はある程度あり得ると思う。ただし民間の設備投資のために回っていくような金に使うというふうなことは、これは一ぺんにやめることはできないけれども、そういうことは世界にあまり例がないんじゃないか、民間設備投資、開発銀行や輸出入銀行等を通じましてね。あるいは公害防止事業団、経済協力基金、こういうふうなものも、結局は企業の手に入りましたら設備投資に回るわけですから、投機その他に使うということになりますと別でありますけれども、そういう国はないんじゃないですか。いかがでしょう。

橋口收大蔵省理財局長

○橋口(收)政府委員 それはやはりそれぞれの国の経済体制の問題でございますから、たとえばフランスのごときは混合経済の形態をとっておりますので、郵便貯金も相当ございます。それからイギリスは国債の発行、あるいは日本の産投会計のようなものがございまして、これが国債を発行して国営企業に投資をする、こういう形をとっております。それから西独のごときも、やはり日本の見返り資金というようなものを原資として特別会計ができておりまして、これが資金の回転として国内に対して融資なり投資をする、こういう仕組みをとっておりますので、やはりその国の経済体制によって結果は違ってまいりますけれども、そういう形で国民から預けられたもの、あるいは政府が積極的に公債等で集めたものについては、やはり結果としての投資なり融資という活動はあるわけでございます。そういう点から申しまして、経済体制の相違による資金運用の実態の相違はあろうかと思います。

大原亨日本社会党

○大原分科員 経済体制と言ったって、社会主義と資本主義、それほど違うわけではないでしょう、いま議論しているところはみんな資本主義ですから。だから私が言うのは、ガリオア・エロアの金にしましても、産投の会計は一般財源も入れているという、その程度や時期の問題は私はあると思うのですが、いまヨーロッパではマーシャルプランなんかのことについての話があった、余剰農産物その他の話だと私は思うのです。それを戦後復興資金に充てるということはあるわけですが、しかし一定の時期が過ぎましたら、やはり企業というのは国の過保護でなくして自力で競争していく、そういうことのほうが健全なことになるのであって、日本のような、いま全くでたらめな、花見酒といわれるような、土地やあるいは株に対する投資までだぶついた金が回っているというふうな、そういうことにもなっているわけですが、しかしそういうガリオア・エロアの金その他の見返り資金を一定の時期において産業復興に使う、あるいは一般財源を若干加える、こういうことについては、一定の時期においてはあるが、いつまでもそれを続けておるという国は日本だけではないですか、そのウエートは。しかも郵便貯金や簡易保険や年金の金までそこへ動員するという形は、これは私は基本的に再検討すべきではないか、その資金の流れを再検討すべきではないかと思う。ストックの劣悪さというものが議論になっておるわけですから、社会資本の問題でも、やはり生活基盤に密着したような形で、郵便貯金だって簡易保険だって、もちろん年金等の積み立て金は使っていくというのが私は当然だと思うのです。だから、財投というのがいままで国会審議の対象でもなかったわけですが、これは国民の金を吸い上げておいて、そうして日本のGNPのためにみついできた、これが日本国株式会社といわれ、あるいは大企業に対する過保護といわれている問題ではないか。そういうことは漸次明らかになってきておるわけですから、この流れを一ぺんに変えることはできない。できないけれども、そういう点については、大まかな点においては再検討すべきではないか、私はそう思いますが、大臣いかがでしょう。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 まことにごもっともな御意見でございまして、政府の考え方もそういう線に沿うているつもりでございます。ですから、たとえばこうした資金の八割五分は国民の福祉関係と申しますか、これはいろいろの項目がございますが、これに有効に使われるように、あるいはまたいわゆる還元融資の比率を四分の一から三分の一にするとか、従来とは非常に変わった運営のやり方をする、それから財投の長期の融資等については、予算総則の上で国会の御審議の対象にするとか、いろいろの前向きの姿勢を示しておりますことは御承知のとおりと思います。傾向としては全く御指摘のような線に向かっておるつもりでございます。

大原亨日本社会党

○大原分科員 八割五分は福祉のために使っている——福祉といえば、軍事予算を除いたら全部福祉みたいな説明がつくわけですからね。軍事予算は、これは福祉のためだと言ったらそれは説明つかぬですからね。これも福祉だ、命を守るとかなんとかいうふうなことを言うかもしらぬが、しかし同じ官僚でも、佐橋元通産次官なんかというのは、最近本を読んでみたけれども、あれは非常に常識的で、それで良心的な意見ですね。あれは社会党の意見を結果としては支持しておりますけれどもね。だからこれは佐橋さんの意見、立場に立っても、自衛隊の金は福祉のためとか命とかいうことにならぬけれども、しかしそれにしても、八割五分といっても、そんなルーズな、一般財源のかわりに利子補給したり出資やいろいろな手続等を経て使っている国はないですよ。結局は産業基盤とか、そして残りの一割五分というのは、開発銀行とか輸出入銀行とかいう銀行の設備投資に回る金のことを言っていると思うのですが、だから私は、それはこの使用目的からいっても手続上からいっても問題があるということで、国会承認ということも主張してきたわけです。  そこで、このことばかり議論しておっても時間がないものですから、問題は厚生年金と国民年金ですが、厚生年金と国民年金について、積み立て方式か賦課方式か、こういうことを議論いたしました。愛知大蔵大臣の前の水田さんはこの点は非常に前向きの姿勢を示した。水田さんはそういう点は財政合理主義というか、合理的にその点は判断して、かなり部内においても自分の意見を出したというふうにいわれておるわけです。賦課方式に切りかえて、いまのようなインプレー諸外国ではインフレに対応する措置として賦課方式をとったわけですから、世代間の不公平ということを厚生省は最近は言わなくなったが、ついこの間まではへ理屈をつけて言っておりましたけれども、そういう積み立て方式か賦課方式かという議論で、賦課方式ということにするならば、もちろん保険料をかけた現実というものは否定しないけれども、保険料をかけることができなかったような状況の人に対しても出す、こういう議論に広げていかなければ、現在の要求に対応する年金にならぬということになるわけですが、そういう議論をいたしますと、そうするとこの積み立て金を全部一ぺんにくずすという議論ではない、われわれの議論は修正賦課方式なんですが、そういう議論をやっていく場合には、いまのようなシステムで財政投融資の重要な柱として、累積で八兆円に近いような形のものを、年金の掛け金を、やはりこのいまのメカニズムの中に組み込むということは、これはやはり年金自体の改革を妨げるもので一はないか。そこで私どもは、年金の積み立て金は、第一は、常に年金改善自体のために使えるようにしておく。それから第二は、当然この年金を支払う準備金あるいは積み立て金というものがある程度たまっていくわけですから、たまっていくということを一応私どもは、私どもの法律案にいたしましても、この厚生年金の改正案もとっておるわけですが、そのときには住宅その他直接的に被保険者の要求に沿うような、生活の基盤、生活環境等を直接によくするような問題に使っていく、そういうふうに限定をすべきだ。そういうことから考えてみまして、たとえば年金の掛け金の運営については、これは手続上も使用目的からも、さらにシビアな制限を加えるようにする、そのためには財投から資金運用部へ繰り入れて一元的に利用するというシステムを変えて、年金の積み立て金だけは別個にして、どこが主管するかということはまだ議論の余地がありますけれども、少なくとも別個にして、そして年金の積み立て金自体を独自に完全自主運営するような、そういう体制をとるべきではないか、こう思うわけですが、いかがでしょう。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 まず、ただいまの御質問の前段で言及されましたが、たとえば年金資金等については私は簡単に八五%ということを申し上げましたが、中身から言えば住宅、生活環境、厚生福祉、文教、中小企業、農林漁業、これが八五%、そしてあとは道路、運輸、通信、地域開発というようなものでございまして、基幹産業とか貿易、経済協力とかいうものはゼロでございます。これは四十七年度と四十八年度の計画についてはずいぶん、これは先ほど申しましたように、お話しの線に沿うて相当程度の切りかえをやっておるつもりでございます。  それから積み立て方式、賦課方式の問題でございますが、これはやはりいまのお話の中にもございましたが、積み立てか賦課かという、イエスかノーかというのではなくて、ことばの使いようもいろいろございますけれども、政府の考え方というものはいわば修正積み立て方式とでもいうべきものではなかろうか、こういうように考えるわけでございまして、その幅やあるいはスピード等については大原さんから御批判をいただき、あるいは不十分であるという幅やスピードの問題はございましょうけれども、いわば積み立て方式の修正方式とでもいうような考え方で考えてまいりつつあるということを申し上げたいと思います。  それから第三点の御質問ですけれども、やはり大切な資金でございますから、単独に個別に運営するというのも一つのお考えでございましょうけれども、やはり総合的に一元的に運営するということが効率をよくする、あるいは管理費用というようなことを、いろいろこまかいことを考えあわせてみまして、やはり一元的総合的な運営がしかるべきではなかろうか。そして総体として国会での御審議も十分いただくような姿にする、こういう考え方が私は適切ではないか、こう思っておる次第であります。

大原亨日本社会党

○大原分科員 たとえば道路のために使うと言っても、高速道路は日本のいま言うなれば基幹道路ですよ。有料道路、高速道路のほうへこういう年金の積み立て金を使っているという国はないですよ。日本はでたらめの有料が多過ぎるんだよ。そんなことは外国ではないですよ。ああいうものは大体無料にすべきですよ。公債でやるべきですよ、やる場合には。道路としてはちゃんと公債で名目つくのですから。公債の組み立て方については議論がありますよ。  それから一−六分類の関係を説明されたわけですが、年金の積み立て金については福祉に非常にシビアにやっている、こういう話ですが、その範囲というものが実に広過ぎるわけですよ。しかも予算編成の過程でわかるように、一般財源のかわりに非常に融通無碍に使うわけです。これを国会の承認を得なかったというようなことで議論になったわけです。これは問題点として私は置いておきます。  それから修正積み立て方式か賦課方式かということなんですが、今回の五万円年金の改正で、こういうことが起きてくるわけです。いままでの年金の計算のしかたについては、既裁定年金については賃金の再評価をやるわけです。現状に合わせて再評価するわけです。これは言うなれば賃金スライドにするわけです。賃金スライドに近い形をやる。これからは自動的に最低五%以上の物価自動スライドをやりながら政策スライドを積み上げていくと、こういうわけです。しかし問題は、どうしたって物価上昇分以外に一〇%程度の賃金や所得水準が上がるということになると、これはもう五年間で倍近く年金の金額はなるわけです。そうならないと所得水準との格差が出てしようがないわけです。それを一般積み立て方式でいくとするならば、一般財源から出さなければいけないわけです。物価をつり上げたのは政府全体の政策の責任であるということで、年金についてはその責任をとるわけです。積み立て方式は修正だそうでありますけれども、しかし積み立て方式ということになると、昭和九十年までは、とにかく老齢人口が成熟するまでは積み立て方式でいくのだということになると、二十年も三十年も後の給付を予想して積み立てていくわけです、保険料というのは。そうすると保険料の負担がどうしたって多いことになる。保険料として積み立てたものがどんどん減価していくことになる、貨幣価値が下がって。ですから、そういう制度というのは矛盾を起こすのであるから、いまのような政府の案もこれからそういうことを議論をしながら改善を加えていくということになれば、賦課方式になる。賦課方式に重点を置いた修正方式になる。ある人の計算によると、十年で積み立て金をあらかた使ってしまうという議論にもなるのです、これはやりようによりましたら。ですからこの積み立て金を財政投融資や一般財源のかわりや長期の融資の財源にしていくという形というものは、年金の改善自体を妨げることになる。だから資金運用部の中を区切るか、あるいは財政投融資の中で簡保と同じように別のワクにする、別にする。あるいは厚生省自体が保険庁で運営する。運営のときに大蔵省も通産省も入ってくればいい、各省が全部入ってくればいいわけですから。しかしそのときには必ず被保険者の代表が入っていなければだめなんです。これははっきり発言ができる被保険者の代表が入っていなければだめです。というのは、いまのような全く野放図な官僚だけでやるということは、うまみもあるかもしれないが、いけない。結局は回り回って、公債発行の議論のときには赤字公債でありません、建設公債です、金に境はありませんと言っている。これは資金運用部へぶち込んでおいて、これは一−六分類で全部生活のほうに使っておりますという逆の議論をするわけです。今度は金には境があるような議論をする。郵便貯金も何も全部一緒にぶち込んでおいて、そういうことは一々言えばあなたのほうの大蔵省の答弁したものを反駁する材料は私は幾らでも持っている。公債発行するときには金には境はありませんよというようなことを言う。今度は、いまの大蔵大臣の答弁は、金に境がありますというような答弁だ。一−六分類で福祉のために使っております、こういう議論、これではいけない。ですから私はいまの年金というのは福祉優先のために資金の流れを変えていくという大きな使命を持っておるということになるならば、そういう福祉元年に相応する年金改善であるならば、運営の問題を含めてたいへんな資金の流れを変えることになるのであるから、それに対応できるような積み立て金の制度をつくるべきである、これが第一点。  それから国鉄の共済や、きょうは電電の出席は求めなかったが、国鉄共済や電電共済の積み立て金は、年金の積み立て金の中にどのくらい入っているのですか。

橋口收大蔵省理財局長

○橋口(收)政府委員 正確な数字はいまちょっと調べてお答え申し上げますけれども、公務員共済の関係は三千数百億でございまして、公企体の共済資金は入っておりません。

大原亨日本社会党

○大原分科員 公共企業体で国鉄の共済組合、それから電電にしても公共企業体であるわけですが、それはおそらく積み立て金で鉄道公債や電電公債を買っているのですよ。だから、公務員の問題でもそうですけれども、被用者年金、これからの年金の改善は厚生年金主導型だということを厚生官僚は言っておる。厚生年金をよくしていって他の年金をよくしていくのだということのようなのだが、厚生年金に他の年金を一元化していくのだという考え方ですね。だから、年金の考え方自体も便宜的なのですよ。保険料の負担と給付とバランスをとっていく、物価上昇分と所得水準に見合うスライドを将来考えていくわけだが、被用者年金は一元化していくということにしないと——国民の責任でやるのだから、金を出す人間と、もらう人間が分かれるのですから、そうすると、国民的な立場から見て公平でなければいかぬということになる。だから、そういう点からだけいったって、保険料と給付と積み立て金の運営について、国民から見て、保険料を出した人間から見て、合理的なものでなければいかぬ、こういうことです。ですから、この問題については、いままで議論する機会がなかったので、この問題を私は提起しておきますけれども、年金改善として発想転換をしていって、住宅その他に集中的に使っていくということ以外に、道路その他は、頭を変えていけば公債その他でやればいいのです。道路は有料道路だってそこから取る必要はないのですよ。これは外国だってみな必要な場合には後代負担があっていいのだから、借金でいいのだから、だから、必死でおそらく守ろうとするだろうけれども、しかし、これはこだわってはいけない。だから国会審議の対象とするという意味も、被保険者や労働者、国民の意見を代表して議論するということであるから、この問題については考えを新たにして、これからの将来取り組んでもらいたい。このことをひとつ要望し、大臣の見解を最後にお聞きいたします。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 まず私として明らかにしておきたいのは、財政当局がこうした積み立て資金を自分の手で大いに活用したいから、それで年金制度のほうにじゃまをしているのだ、こういうことは全然ございません。これだけははっきり申し上げておきたいと思います。それから、したがって結局年金資金等がどう配分されるかということは、年金制度の改善ということを前提にして、そしてお預かりする金が国民のためにということで、最善の努力をしたいという、こういう考え方をしております。それから、いま道路のことを言及されましたが、これはパーセンテージから見てもわずか三・五%で、先ほどもお話がございましたように、一挙にいかない。八割五分まで全体がいったということは、これはたいへんなことで、それから経済協力とかその他の企業とか基幹産業とかというものは全部ゼロにいたしておりますようなところも、頭の切りかえをやっておる証拠でございますから、その点はひとつ御理解をいただきたい。

大原亨日本社会党

○大原分科員 金に境がないのだから回っておるのですよ。資金運用部へぶち込んだら境がなくなってしまうのですよ。大蔵大臣はよく知らない。局長にごまかされておられるのだ。だから道路でもどこでも財政投融資に回しては、自分の息のかかった者を重役にしてやっておる。そうするとその実績をかせぎ出させるために、一定の既成事実の上に資金が回ってしまうのだ。だから官僚が悪い。これは定年制その他の問題があると私は思う。六十五歳まで働かせればいい。主計局長なんかやらせればいい。あとの者が不平言うだろうけれども、それはどこもエキスパートは六十五歳くらいまで働く能力があればやればいいのだ。五十五歳ぐらいで首をちょん切っていたら、年金は悪いのだし、インチキ年金で五年もたてば生活できぬようになるからね。そういうことすべて、やはりいろいろな長い歴史を持っておる。ヨーロッパの歴史もあるわけだから、それを考えながら——日本独特の制度でございますと局長言っているが、それはいいことじゃない。改むべきは改めなければだめだ、こういうことを厳に警告をして、私は質問をこれで終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次は、井上普方君。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私は昨年、一昨年と引き続きまして同じ問題をひとつ大蔵大臣にお伺いするのでございますが、去年、おととしは水田並びに福田大蔵大臣に対しまして、本箱と書だなとどう違うかというような質問から始めたのでありますが、これはまあそれといたしまして、昨年の水田大蔵大臣が物品税について洗い直しをするというお話があり、このたびその原案ができておるやに承っておるのであります。ところがその内容を見てみますというと、特に家具物品税については何と申しますか、免税点はとにかく五〇%上げるということの原案のようであります。すなわちいままで四万円までが免税点であった。それ以上になりますと二〇%の課税をしていくというのを、免税点を六万円、これは蔵出し価格が六万円にしまして、それ以上はやはり二〇%ずつかけていく、こういう仕組みのお考えのようであります。しかし考えてみますればいま物がどんどん上がっている。しかも昭和四十一年から改定をしていないということでございますので、免税点になる品物といいますのは、いままでどんどん品が低下してまいったのであります。と申しますのは、それだけごく低所得者層が買う家具にまで物品税がかかってきたという結果になろうかと思うのであります。このたび原案として免税点を五〇%上げるような原案ができておるようでありますが、ここでちょっと主税局長にお尋ねしたいのですが、家具の原価構成は一体どうなっておるとお考えになっていますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 ちょっと免税点の検討をいたします際の資料、いまここに手持ちいたしておりませんが、いまの記憶では原材料費が五割をちょっと切る程度というふうに記憶いたしております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私も業者によって聞きますと、これは六〇%も原材料費がかかるのだというような話を聞きまして、ちょっとおかしいなということを申したことがございます。しかしいずれにいたしましても家具の場合、原材料がおそらく五〇%前後であることは確かであろうと思うのであります。これはまあ常識的に考えられますし、また局長もお認めになるところだろうと思います。そこで昭和四十一年から現在まで、その家具の原材料がどれぐらい上がったとお考えになりますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 御存じのように、木材の価格が非常に上昇いたしております。最近非常に急上昇だといわれておりますが、四十一年から最近まで見ますと、やはり漸次上がってきております。今回私どもが免税点の問題を考えましたときの、私どもが持っておりますデーターといたしましては、木材のうちのいわゆる素材といいますか、製材価格、これは大体四十一年基準で二一〇%くらいに上がっておるように考えております。その中でも角材と板材で若干相違がありますが、板材のほうは比較的値上がりが少なく、角材のほうは値上がりが大きいということで、板材の上がり率は一九〇%くらいというふうに見ております。ただ製材素材の価格は上昇率は高いわけでございますが、加工木材の価格はそれほどの上昇率ではございませんので、たとえば加工木材中床材の価格上昇率は四十一年対四十七年で一五五%くらい、合板類になりますと一割強程度にとどまっているようでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 いまのお話を承りまして、この基礎がいかにでたらめなものかわかったのであります。私、ここに持っておりますが、たとえば合板はほとんどいま動いていないとおっしゃいましたけれども、去年の二月とことしの二月、合板の値段はどれくらいの差があると思いますか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 申しわけありませんがその数字はいま持っておりません。ただ、最近は上がっておることは承知いたしておりますが……。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 あなたはいま一〇%くらいの値上がりだと言いますが、私が持っておりますベニヤ、これを見ますと、四十七年の八月には二・七ミリで三かける六尺、これが百八十円しておったのです。それがことしの二月では四百十円から四百五十円しておるのであります。三倍になっているのです、合板が。いいですか。それから材木にいたしましても、ラワン材にいたしましても、去年の八月で三千円のものが現在六千円しておるのです。倍になっているのです。去年のですよ、去年の七月とことしの一月と比べると倍になっている。すべて原材料が、現在では価格の低いものは合板のものが主なのでありますけれども、ほとんど原材料が二倍以上になっているのです。  そうなりますと、先ほど局長が言われましたように原材料費が家具の五〇%を占めておるといたしますならば、結局原材料の値上げによりましてこの免税点の五〇%の値上がりの分は全部食われてしまうという結果になる。むしろベニヤの合板のごときは三〇〇%上がっておるのでございますから、むしろ去年とことしと比べましても、すでに原材料がその免税点を食ってしまっておるという結果になるのであります。そうしますと、去年四万円の家具は、蔵出し価格で四万円のもので現在はそれをつくり直すといたしますと六万円以上の値段になるのであります。そういうことになる。これは理屈でそうなるでしょう。その上へもってまいりまして、四十一年から四十七年の間にこの原材料も上がっておる、あるいはまた人件費も毎年毎年上がっておる。言いますならば四十一年の免税点であった品物は、すなわちその当時の四万円の蔵出し価格のものは、現在では同じものがおそらく八万円くらいの蔵出し価格になるでしょう。そうしますと四十一年には税金のかからなかった家具でも、この免税点五〇%上げたとしましてもやはり税金がかかってくる。すなわち低廉なものはそういうようにかかってくるんだということなんであります。どうでございます、大臣。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 木材の値上がりは、いまお話しのように非常な最近においては高率なものであります。同時にきわめて最近私は合板あるいはその中のベニヤというものの現在の時点における価格の資料を持ち合わせておりませんから、たとえば木材一般から申しますと、ある程度値ごろが少し落ちついてきておるようにも思いますから一がいに申せませんけれども、ずっといま御指摘のような状況が続いていたとするならば、確かに免税点の引き上げがそれに食われてなおおつりが出るというようなことは否定するわけにまいりません。したがいましてこれは他の政策の問題でございますが、木材につきましては各種の対策を講じてある程度現在下がってきていると私は存じておりますが、さらにそういう方向の物価に対する総合施策も十分効果は出すようにしていかなければならないと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 この物品税の改正案は現在国会に提出されておるのですか、どうなんです。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 物品税の改正法そのものは国会に提出されております。なお免税点につきましては、改正と一緒に政令できめられますが、その際種々御論議を願うことになっております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 そういたしますと、現在の価格で、審議しておる価格で考えざるを得ぬではありませんか。そうなりますと、合板が大体三倍、それから他の材料も大体倍になっておる。去年の七月と現在ですよ。とするならば、免税点を引き上げなければ、あるいは税率を下げるということでなければならないと思うのでありますが、その間、価格構成に一体人件費がどれくらい含まれておるか、おそらく主税局はこれは二〇%か三〇%を見込んでおるでしょう。そうなりますと四十一年から四十八年に至る間に、この六年間に一体上がった人件費等々を含めますと、それは免税点の五〇%は全部それに食われてしまうという結果になって、買う大衆にいたしますと、いままで四万円プラス二〇%の蔵出し価格で出されておりました家具は、おそらく倍になるから、大体十万円前後で小売り価格に出されておったと思います。それが今度は六万円、その同じ品物の蔵出し価格が六万円じゃないのです。もっと上がっておる値段で出されておるわけなんです。その上にもってまいりまして二〇%の物品税がかかって、それが蔵出し価格がこれでありますので、小売り価格を倍にいたしますと、大体十三万円ぐらいになる。そういたしますと、こういうようないままでラワンでつくり、ベニヤでつくられておった家具も高くなる。しかもそういう価格のものに対しては税金がかかってくる。これは考えなければいかぬ問題です。  ところが一方においては、この前も私、申したけれども、総キリのたんす、これは三越に行ってごらんなさい。五十万、六十万一さおする。これには税金がかからないのですよ。あるいは四、五十万円する三方ウルシのたんすというものはやはり税金がかからない。ところが大衆が使う、あるいは大衆がお嫁さんに行くときに持っていくような物品に対しては税金がかかる。二〇%も税金がかかる。蔵出し価格で二〇%ですから、小売り価格のときにはおそらくその倍かかると考えられる。これでいいんでしょうか。この点を昨年も私、指摘いたしました。ところが水田大蔵大臣は当時、そういうような不公平は認めます、これは来年は洗い直しをしますというお約束であったのです。ところが洗い直しをするとおっしゃいましたけれども、免税点を五〇%上げたけれども、その後、材料費が五〇%全部食っちゃった。それ以上になっている。とするならば、これはもう一度大蔵省の原案というものを考え直されなければならないと思うのですが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 御承知のように、物品税の改正というのは久しく行なわれなかったわけでございますから、洗い直しをしてこれを原案として提出しているわけです。先ほど申しましたように、物価の問題はとにかく別といたしまして、これだけの免税点の引き上げというものをやらなければ、またさらに消費者といいますか、購買する国民大衆にも迷惑がかかるわけでありますので、ともかくこれだけの物品税の改善というのはぜひいたしたい、こう考えておるわけでございます。  それから、これもよく問題になるのですけれども、たとえばウルシのたんすというようなものは税の問題ということでなくて、技術保存とか伝統的なあれだとかいうことで、どうもこれは税の対象にするのにはなじまないということになっておりますので、この考え方を今回も尊重いたしたわけでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 総キリのたんすをつくるのに伝統的技術が必要なのかと言って、私も聞いてみました。そうすると大体どこのたんす屋さんでも総キリのたんすぐらいはできるそうであります。技術保存でも何でもありません。これが業者の方方のおっしゃることばであります。現に総キリのたんす、総キリのたんすと申したところで、台湾からのキリ材でつくった総キリのたんす、これに対しては税金はかけているのですね。ただ国内のキリの材料のたんすに対しては税金をかけてない。それじゃ一体その総キリの国内のたんすのつくられるところ、一番たくさんつくっているところはどこか、大蔵大臣御存じですか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 一番多いのはやはり埼玉県、新潟県ではないかと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 新潟県の三条であります。この新潟県の三条は、新潟県越後でございまして、いまを時めく田中角榮総理大臣が大蔵大臣のときにこの総キリのたんすを課税をやめたのであります。いいですか、それがずっと残っているのです。でございますので、総キリのたんすをつくっておる、いま国内のキリでない台湾のキリでつくっておる私ども徳島あるいは広島、こういうところの総キリのたんすは全部税金がかかるのですよ。何が伝統的な技術の保存なんです。ここに政治のゆがみというものを私どもは痛感しなければならないのであります。ウルシはどうだ。三方ウルシのたんすはどこでつくられます。静岡です。当時西村直己君が政調会長をしておるときに免税にしたのであります。三方ウルシの主産地というものは静岡なんですよ。こういうように政治によってゆがめられている。金持ちが買える総キリのたんす、三方ウルシには税金をかけない。伝統的技術なんというへ理屈を言っても、台湾から輸入した、同じキリであってもこれは税金はかかる。そして大衆がお嫁に持っていく小売り価格が十万円、十二、三万円のたんすに対しましては二〇%の税金をかけておる。去年と同じことを私は言っておるのです、これは。このゆがみをどうするんだといって私は質問したら、物品税の洗い直しを来年はやります。そのときには、こういうような、そのほかにも不合理なものがあります。たとえていうならばカーステレオ、あるいはまたセパレートの冷暖房器、こんなのには税金がかかっていない、これはおかしいといって直したのでございましょう。しかし、この大衆が一生に一度お嫁入りに持っていこうとして貧乏人が買えるたんすに税金をかけておる不合理を直さなければ、私はうそだと思う。しかもいま大臣はおっしゃいました。伝統的な技術を持っておる総キリのたんすは物品税になじまないとおっしゃる。しかし、見てごらんなさい。この家具をつくっておるたんす業者というものは、私も見ましてびっくりしたのでありますが、ほとんどが零細企業なんであります。九人以下の事業所が九千七百六十、割合が七五%を占めています。ところが千人以上使っておる工場というのは一つしかありません。あるいは三百人以上という工場が二十五しかありません。ことごとくが、零細企業なんです。中小といいますよりも零細企業なんです。それでいつも税務署との間でトラブルが起こっておるのであります。これこそ徴税になじまない家具物品税であると申さなければならないと思うのであります。大臣どうです、家具物品税をおやめになったらどうでございます、この際。総キリのたんすには税金をかけていないんだ。三方ウルシのたんすには税金をかけていないのです。大衆に課税するようなこの家具物品税はおやめになったらどうでございます。四十一年には鏡台の物品税をやめました。おやめになる必要があると私は思うのです。しかも先ほども申しましたように、免税点を五〇%上げたけれども、それは材料費、人件費に全部食われる。それがまた大衆に転嫁せられていくというこの家具物品税というものをおやめになってはいかがでございますか、どうでございます。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは遺憾ながらやめることは考えておりませんが、なおこれも全部御承知のことですが、たんすでいえば、衣服たんすが五〇%ですが、茶だんすとかその他たなものなどについては二倍の免税点の引き上げになっておりますから、これを額でいえば、四万円が六万円とか三万円が六万円とか、あるいは机、長いすで例をいえば、二万五千円が三万八千円、相当な引き上げ率になっておりますことは御承知のとおりでございます。それから中小、零細企業者の立場というものは、たんす以外にもずいぶんいろいろの物品について考えましたわけで、また詳細にこれら各物品別にもごらんいただきたいと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 大臣、これは政令事項でまだ出ていないのですよ。あなた方のお考えなんです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 それは失礼しました。物品ごとの内容はまだ出ておりません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 あなた方のお考えがそうなんだ。基本的な考え方として、こういうような大衆課税になるような、しかも零細な人たちにかかるようなこの税金をおやめになってはいかがかと私は伺っておるのです。したがって、私はここで少なくとも最低の線において大臣に申し上げたいと思う。これが審議される最中の原材料の値上がり並びに人件費の値上がりを考慮して政令というものを考えますか、どうです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 一応いま原案は、免税点の引き上げについてずいぶんいろいろ検討して原案を持っておりますので、ともかくこの原案をなるべく早急にごらんいただいて、そして御審議をいただきたいと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私がお伺いしておるのは、原案をまだ出しておりません、出す時点において原材料の値上がり、あるいは人件費の値上がり等々を十分に勘案して免税点を、いま持っておる原案を変える御意思あるかどうか、この点をお伺いしたいのです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これはせっかくの御提案でありますけれども、なかなかこの物品税の税率あるいは免税点はむずかしい問題で、相互の関連、バランスなどをよく検討しなければなりませんので、これはずいぶんな時日を費やして相互のバランス等も十分考えてつくるものでございますから、現在用意しておりますものを今後変える用意はいたしておりません。ともかく原案並びに原案の中で政令に譲って政府としてこういうふうにやりたいと考えておりますことをできるだけすみやかに御説明させていただきまして、各物品相互間のバランスなども十分ごらんいただいて御審議いただきたいと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私は昨年も物品税の洗い直しをするんだ、こういう公の答弁を大蔵大臣からいただいておるのであります。ところが零細企業がほとんどを占めております家具物品税については免税点の引き上げだけ、しかもその免税点の引き上げ分はほとんど、いなそれ以上に原材料の値上がりで食われてしまっておる。原案を固執せられる政府当局の態度に対しましては大いなる不満を持つし、私どもはこれに対して非難を加えざるを得ないことを御承知おき願いたいと存ずるのであります。  以上、終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次に、近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 今月の二日から閉鎖を続けております東京の外為市場再開の時期が当面の非常に大きな課題であると私は思うのですが、欧州の主要市場の再開の見通し等の問題もあろうかと思うのですが、大蔵大臣としてはこの市場再開の時期をいつごろにしたいとお考えでございますか。     〔主査退席、木野主査代理着席〕

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 御案内のように今回とりました措置は、ヨーロッパの通貨情勢がきわめて流動的になってまいりましたので、この状況下でこちらが開きます場合に不測の混乱を生じるおそれがあるということを配慮してとった措置でございます。したがって、できるだけ早い機会に再開はいたしたい、こういう考え方でおりますことは本日の分科会で午前中にも申し上げたとおりでございます。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 こうした為替市場の長期閉鎖という問題は、外国為替銀行あるいは輸出入関係貿易業者に与える影響というものが、特に不安感が高まっておりますし、不測の混乱が予想されると思うわけですが、政府としてはその点どのようにお考えでございますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 先ほど申しましたように日本の場合におきましては、日ごろ申し上げておりますように、為替管理法というものもございまするし、投機的な資金の流入ということについてはドイツその他とは条件が違いますから、考え方も違えてよろしいと思いますけれども、やはりこういうふうな状況下のときには、予測しないような、文字どおり不測の事態も生ずるかもしれない。これに対処いたしますために一時閉鎖をいたしたわけでございますから、気持ちとしてはできるだけ早い機会に再開をしたい、そうして二月十四日以来とっております変動為替相場が当分の間適切な措置であろう、こういうふうに考えておるのでございます。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 できるだけ早く開きたいということをおっしゃっているわけですが、そうしますと、欧州市場よりも早く開くという考えなんですか、これは。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは情勢をしかと見届けていかなければなりませんので、現在の時点でいつということをまだ明確にする時期ではないと思います。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 この当面の通貨不安による世界市場の混乱というものがいつまで続いていくかという問題でありますが、国民感情としては非常に危惧の念にかられておるわけです。こういう時期にピーターソン米大統領特使がこの六日来日するということを聞いておるわけですが、前回ボルカー次官来日のとき、このアメリカの外圧手段によってわが国の各界が引きずり回された印象というものが非常に強いわけですが、今回もまたこの通貨問題から日米通商関係でアメリカの強引な要求を突きつけられるのじゃないか、こういう心配をしておるわけですが、大臣としてはどういうようにこの点を予想しておりますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 一口に申せば、引きずり回されるというようなことではなくて、日本の立場というものを十分に主張し、あるいはドルの不信認ということの環境や条件に対して日本としての考え方というものも十分に主張するという態度で臨むことは当然のことであると考えております。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 そういう腹がまえが、大臣としてはそうおっしゃっているのですけれども、いままでのそういう経過というものを見ておりますと、いま申し上げたように、非常に引きずり回されているという感じがするわけですよ。そういうことで私はいま申し上げたわけです。いままでのアメリカの高姿勢なそういう態度、対日要求の結末というものは、ほとんど結果的に見ますと、日本側の譲歩で収拾されているわけです。そういうように、おそらく日本の国民の皆さん方がほとんどそのように受け取っておると思うのです。それで、今月十四日から開かれる二十カ国委員会蔵相代理会議の予定と聞いておりますが、その開催に先がけて細見大蔵省顧問をアメリカに派遣される模様であるわけですが、この六日来日のピーターソン特使等と政府首脳会談の結果による通貨不安打開のための具体策につき何かアメリカと協議せしめる考えであるのかどうか、これをひとつお聞きしたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 通貨問題等につきましては、アメリカのみならず主要国との間の連絡を密にすることは必要なことでございますから、そういう面におきまして在外公館の活動、それから当方からも専門家派遣ということはとりあえずの措置としてやっておるわけでございます。ピーターソン氏の来日につきましては、通貨不安問題が起こる前にヨーロッパその他を旅行しておるわけでございますし、具体的な協議事項というものも示されておりませんし、来日に際して通貨問題等について特に両国の協議というようなことは予想しておりません。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 ベトナムの問題を終えて、今度フリーハンドを手にしたアメリカが、矢つぎばやにとりだしてくるこういう強圧的、多角的な外交攻勢のそういう中で、非常に、日本政府の態度を見ておりますと、何かこう巻き込まれておるような感じがするわけです。特に、アメリカの対日政策の攻勢に、日本政府のこういう姿というものは、無策による悲哀感のようなものさえ国民に与えているのじゃないか、このように思うのです。  こうしたことが、この間自民党の橋本幹事長の読売の国際経済懇話会、これは二月の二十六日と記憶しておりますが、ここにおきまして、欲求不満の発言となったのじゃないかと思うのですけれども、政府としてはアメリカの対外政策の意図、そういう展望というものを掌握して、先取り的にこれに対処していく必要があるのじゃないかと思うのです。これについて大臣としてはどうお考えになっておりますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 通貨の問題に限定して申しますれば、国際的な通貨不安の解消というのは、日本としても何より望むべきところでございますから、よく話題になりますように、ドルの金交換の回復とか、それができないということであるならば、それにかわる建設的な、たとえばSDRの活用というようなことをはじめとして、日本としても要請すべきこと、そしてまた、その中における協力すべきこと等々について、十分今後においても努力を傾倒していかなければならない、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 いま大臣がおっしゃった、そういうわが国としての骨のある主張といいますか、そういうことについては、私はやはりき然として打ち出していくべきであると思うのです。それで、橋本幹事長のこういう発言というものは、国民が抱いております一つのそういう側面的感情を強烈に打ち出したものであろうと思いますが、アメリカ側もこれに非常に強い関心を抱いておるということを聞いておるわけです。こういうような国民の感情、エネルギーというものが日米関係の摩擦により引き起こされる、こういう不安と不満から、国民的暴走が生じた場合はきわめて危険であると思われるのです。政府としてはこれをどのように、日米関係の調整、世界経済発展の建設的国際協調に誘導、結集させる考えであるのか、具体的な方針をお聞きしたいと思うわけです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 何しろ、ヨーロッパの現状も御案内のとおりでございまして、それぞれの国が他国間との間におきましてそれなりに非常な苦労をいたしておりますことを見るにつけましても、日本としては一面自主的な態度で国益を守る、これが何より大切なことでありますし、同時にまた日本自身が、世界の中の地位がとにかくこれだけ向上しておるわけでありますから、国際協調ということもまた一面において十分考えていかなければならない。  したがって、多数国間の協議というようなものもこれからもますます、再々いろいろの機会があるでありましょうが、専門的な立場において、あるいはまた政治的な立場において、あらゆる建設的な努力を続けていきたいと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 いま問題になっております投機の問題でありますが、この過剰流動性の吸収について、政府としていろいろな具体案をお持ちであろうかと思うのですが、大臣としてはどういうようにお考えですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 過剰流動性の問題については、私の考えを一言にして言えば、これはやはり日本の状況というものを、国民的に理解していただくことが何よりも必要なことであると思います。過剰流動性といわれるものが、たとえばおわんの中に水がある、その中に油があって、その油だけが特殊なものであって、それに対しての対策というものではなくて、これはよく申しますように、日本の経済というものは、何といっても資金の供給源というものは、圧倒的に金融機関を通ずる貸し出しというものが左右しているわけでございますから、この日本の現状において金融政策を全面的に、同時にまた全面的な背景の中で、対象的、目的的にきめこまかく、きびしく、またある面におきましてはゆるやかに運営していくということが、とりもなおさず過剰流動性対策である、こういうふうに私は基本的に考えております。  たとえばドイツではバール・デポーというような制度もあって、そして投機的に流入する資金については、それに対応するマルク対策もやったわけでございますけれども、日本の場合は、現状においては、少なくとも過剰な投機的なドルが流入してくるということはございませんから、それだけを押えて特殊の対策をするということは必要もないことである。これはやはり全体としての金融政策で押えていくということが、日本としては最も適切な措置である、こう考えまして、一月以来、一々申し上げませんけれども、まあ一例をあげれば、いまいろいろの意味で問題になっておりますが、商社金融というような面に対しては、いわゆる手元資金をある程度持っていると思われるような面については、選別的に、具体的なボリュームも指定して貸し出しの抑制をやっておる。あるいは手形の選別待遇と申しますか、日銀の買い入れ限度額を具体的に規制するというような、こまかい具体的な対策を講じていく。こういうような点は、準備率の再度の引き上げという総体的な金融政策を背景にして、具体的な効果を逐次あげつつあると思いますし、今後においても、的確にあげていくことを期待いたしておるわけであります。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 それで、この窓口規制という場合になってきますと、いつも実際の運用という点からいきますと、中小企業あるいは弱体企業にそういうしわ寄せがくるわけですが、その点は大蔵省としては十分な配慮をするわけですね。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 その点は、先ほども言及いたしましたように、対象別と、目的別にきびしい規制をするということと同時と、反面においてゆるやかと言っておりますのは、日本においては特に大切な中小企業、特に輸出関連中小企業については、あらゆる万全な措置を講じつつあることは御承知のとおりでございます。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 その預金準備率の一次、二次合わせまして、やはり六千三、四百億ぐらいだと思うのですけれども、諸外国に比べますと非常に率が低いわけですね。ですからこの点、今後一次、二次の措置でいいのかどうか、大臣としてはどのようにお考えでございますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これはやはり、先ほど申しましたように、日本としての環境、条件というもの、これは国情とやり方が違いますから、外国がこうだからといって、それのまねをする必要はございません。六千五百億あるいは一兆円以上の預金について何%というと、そのことだけをごらんになれば、ある外国に比べて低いではないか、少ないではないかという御指摘だと思いますけれども、貸し出し効果に及ぼす乗数効果というものを勘定に入れますと、これは少なくとも数倍の効果を発生する。これは計量的に何兆円になるということは、日本のような場合において、的確に数字をあげて御説明することはできませんけれども、少なくとも数倍の引き締め効果が起こることは当然なんでありまして、これがまた相対的に、ある限度以上にきびしさが加われば、もう必然的に正常な経済活動、特に中小企業等に及ぼす影響が非常にありますから、中小企業等に対しては、こうした影響がないように、準備率の引き上げそれ自体の対象とする機関等についても十分な配慮をやっているわけでございます。ひとつ、日本としてのやり方である、日本の持っている環境や条件にふさわしいやり方であるということを御理解いただきたいと思うのであります。  先ほど申し上げましたように、ドイツがやったやり方というと、いかにもこれが最善のように思われますけれども、国情が違うわけでございます。それから現にドイツは、日本の為替管理のやり方について、非常にこれを評価するといいますか、日本はああいうやり方でずっときているから日本のやり方はまた違うのだなという意味では、高い評価をしているということも御理解をいただきたい。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 それから、証券市場からの資金の流入ということが一つ大きな問題としてあげられると思うのですけれども、昭和四十七年度、時価発行増資のプレミアム分だけでも六千七百億円、このように聞いておるのですけれども、この間、協同飼料ですか何かの事件もあったわけですけれども、大蔵省としては、そういうあり方に対して、どういうように考え、また今後どういう姿勢で臨んでいくのですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 時価発行ということは、日本の企業の自己資本を、多様化してきている経済社会の日本の実情に応じてこれをやるということ自体は、私はけっこうなことだと思います。そして、時価発行のいわゆるプレミアムというものは、商法に規定されているがごとく、これは資本に準ずるというか、資本と見るべきものでございますから、おのずからこれの処分その他については、厳重な制約があることも御承知のとおりでございます。  しかし、これが乱に流れて、特に株価のつり上げ工作と申しましょうか、そういうことと相関連しあるいは乱に流れるようなことがあれば、これはたいへんなことでございますから、証券行政としては、こういう点の監督指導ということには特に意を用いている次第であります。  それから、先ほど申し上げました金融対策の中にも、時価発行株式についての応募等については、金融機関の融資の抑制ということもやらなければならない。それから時価発行自体についての、たとえば親引けの処理というようなことについても、厳重な指導の目を光らしておると申しますか、これらに対しましては、かねがね証券行政としての中心を置いておるつもりでございます。不幸にして刑事上の責任を問われるような会社が出てまいりましたことはまことに遺憾でございますけれども、これは現に刑事上の責任を問われて捜査中の問題でございますから、その内容等については検察当局でなければわかりませんけれども、かねがね行政としては、たとえば立ち入り検査等まで行ないまして、証券取引法に基づく権限によって行政的には十分な指導をしてきたつもりでございますけれども、こういう法律違反、ことに刑事上の責任を問われる嫌疑を受けたような事件が起こりましたことはまことに遺憾なことであると思いますから、今後におきましてこういうことが発生しないように、さらに厳重な監督指導を行なっていきたいと思っております。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 大企業の法人税の引き上げの問題でありますが、これは諸外国を見ましても、実効税率という点からいきますと日本は低いわけですね。ですから、大企業の法人税の引き上げあるいは大企業に対する租税特別措置法、こうした適用、こういう問題につきましてはどのようにお考えですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 再々申し上げておりますように、法人に対する課税、それから反面において勤労者を中心にする所得税の減税ということは、将来においても引き続き考えてまいりたいと思っていることは政府の基本的姿勢でございます。同時に四十八年度におきましては、まず課税対象を法人について拡大して、特例措置をできるだけ整理をするということが、日本経済政策の転換に際して非常に必要なことでございますから、四十八年度ではまずこれに手をつけたい。そうして税率等の問題はその次の段階において大いに、検討というか、実施を前提にして検討するということにしておるわけでございます。  なおまた、四十八年度は固定資産税の調整の年でもございますから、その面からも非常な重課になる。あるいはまた施行の時期はあとになりましたけれども、土地税制等について、土地の譲渡益に対する二〇%課税というようなものが、将来における法人に対しては非常な重課になるということも、あわせて考えておりますことは御承知のとおりであります。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 今後の円対策といたしまして、いままで政府は一、二、三次、こうした対策を立ててやったのですけれども、なかなかそういう実効があがらなかった、こういうことは言えるのじゃないかと思うのですが、今後こうした円対策として、大蔵大臣としては特にどういう点を力を入れていきたいとお考えでございますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これはこういう時勢になりまして、日本も変動相場制に移行したような情勢でありますが、三次にわたる円対策、この推進ということはなお一そうやっていかなければならないことである。これは関係する省も非常に多いことでありますけれども、大蔵省としての問題としては、たとえばいまも言及いたしましたが、税についていえば輸出優遇措置をやめる。それから輸入について関税の引き下げ、これは現に関税定率法の改正の御審議もお願いしつつあるところであります。  それから、なるべくすみやかな機会に資本の自由化に踏み切ろうといたしておるわけでございます。また輸出金融等をやめて、むしろ輸入金融等についての積極方策を展開するということも考えていかなければならないことである。物の自由化その他につきましては、関係する省庁におきまして、これも前向きに検討されていることは御承知のとおりでありますが、すでに残存輸入制限品目も三十台にまで減ってきたということは、かねがねの努力のあらわれである、かように考えております。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 そういう自由化という点になってきますと、そうした国内対策という問題があるわけですが、そういう影響を受けてくる品種につきまして、大蔵省としてはどういう国内対策を考えておりますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは物資あるいはその他の担当の省の所管でございますが、大蔵省としては、たとえば自由化を進めるために国内的に財政上、金融上等の措置が必要ならば、できるだけの御協力はいたしますという態度で、ドアを常にあけておるのが今日の大蔵省の姿勢でございます。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 もう時間がありませんから終わりますが、最後に関税の問題ですけれども、大体今後どのくらい引き下げるようなおつもりですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 すでに一律二〇%の引き下げを千八百数十品目において展開したことば、これは私は諸外国もかなりの評価をしているのではないかと思います。そうして現在御審議をお願いしているのは、主として特恵関税の完全に近い実施ということが中心でございますし、また残存のものについても、若干の税率の引き下げもあわせてお願いしているわけでございますが、将来の問題としては、これはまだ私見の程度を出ませんけれども、諸外国などの例を見ましても、ある場合にはある種の政府に授権をしていただいて、機動的な対策をとり得るような体制も、私の私見としては将来いつの日かには国会の御協力を得たい、こういうことまで実は頭の中に考えている次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江分科員 じゃ、もう時間がありませんから終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野主査代理 中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 大蔵大臣にお聞きしますが、流通産業の一〇〇%自由化という問題はたいへん重要な懸案事項となっておりますが、大蔵大臣としては、この点についてはどのようにお考えになっていますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 一般的に、原則論的にはOECDで一つのコンセンサスができておりますから、なるべくその線に沿うた面由化ができることが望ましい。その中には流通企業もだいぶ入ってくるわけだと思いますが、これらにつきましては、関係の省庁やその他とも十分綿密に御相談をして対処したい。ただいまのところ、外資審議会には各方面の権威者が参加しておられますので、外資審議会の御答申が近く出ると期待しておりますので、その審議会の御答申がいただけましたら、その線でひとつ、実行の段階に入りたい、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 事実、流通産業の一〇〇%自由化等の配慮というものも私はあるのじゃないかと思うのですけれども、大企業だとか金融機関に株式が集中しているわけですね。個人持ちの株式がいま三分の一程度でしょう。法人持ちが三分の二。この原因はどこにあるのだろうか。あまり株式が大企業や金融機関に集中いたしますと、勢い系列化されてくるのですね。企業民主化を阻害するような弊害が生まれてまいります。その点について大臣はどのような見解を持っていらっしゃいますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 まあこれは計数的に政府委員から御説明いたしますが、一様にして言いますと、法人間の持ち合いが非常に多くなっているのではないか。それから金融機関の側については、数字的に御説明をいたしたいと思いますけれども、その原因は、やはり先ほどからも御説明いたしておりましたが、ある時期における過剰流動性のしからしめたところではないだろうか、こういうふうに考えておりますので、これに対しましては、主として金融政策それから証券行政のきめのこまかい運営ということで対処いたしたいと思います。しかし、個人の投資というものの要素が多少変わってきておりますから、必ずしも個人の投資家が証券に興味を失ったとも言えないのではないだろうか、まあそんなような見方もいたしております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 今度、まあ今度といっても今度だけのことではないわけですけれも、最近の傾向としては、株価のダウ五千円を突破するといったようなことだって、内容を調べてみると、個人買いというのはほとんどないのですね。法人買いであるということ。ですから、金融機関であるとか大企業に株式が集中しているということは、あらゆる方面に大きな弊害をかもし出してきている。そのことが日本の経済に及ぼす影響というものは、私は非常に大きいと思う。ですから、弊害を除去するというような点からも、この傾向というものを、大蔵省といたしましては強力に弊害是正のために指導をされる必要があるのではないか、こう思うのですが、その点はどのような見解でしょうか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 実は、私も昨年の暮れ就任早々、証券行政というものがこの際非常に大事なことであるということをかねがね感じておりまして、それ相応のいろいろの手を講じつつまいったわけでございます。先ほども近江委員の御質問にお答えしておったんでありますけれども、過剰流動性の問題は、帰するところ、日本の状況下においては、何といっても資金量が圧倒的に多い金融機関を通ずる金の動きを規制することであると考えましたので、特に融資の規制という面では、土地と株ということを念頭に置きまして、相当きびしい規制をやる。そうしてこれが結局、いわゆる手元資金というものが好ましからざる方面に出ることを根本においてただすことになると、私はこういう考え方で、そういう措置をやってまいりました。  それから、これも先ほども言及いたしましたが、ことえば時価発行増資というようなものも、本来はこれは私はけっこうなことだと思うのでありますけれども、これが悪用されるようなこと、あるいは株価のつり上げ工作というようなことに関連するというようなことはゆゆしき大事であって、証券会社等については立ち入り検査をも敢行いたしましてやってまいったのでありますが、不幸にして刑事事件の疑いを受けるような事件の起こりましたことはたいへん遺憾でございますが、今後とも一そう、こういう点についてはきびしい態度で臨みたい、こう思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 私は、株式がそうした大企業とか金融機関に集中するといったようなことの関連として、受け取り配当に対する非課税扱いというものも、これは重要な要素を占めているのではないかというような感じがいたします。いろいろ税制の問題については議論があるところですが、受け取り配当に対する非課税扱いというのは、この際改めなければならない段階にあるのだ、私はこう思っておりますが、その点は大臣としての見解はいかがですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは中村委員御指摘のように、非常に検討を要する問題でございまして、政府の考え方は、従来からの考え方をにわかに改めますことについては、私もちゅうちょせざるを得ないことを率直に申し上げる次第でございまして、法人税負担というもの全体に関する基本的な問題の一環として、今日法人に対する重課というものが世論になっていると言ってもよろしいと思いますので、今回の四十八年度税制ではそこまで踏み切れませんでしたけれども、今後四十九年度以降におきましては、法人重課ということに関連する基本的な問題として検討していきたいと思っておるわけでございます。従来からのこの問題についての税制的な考え方については、よく御承知のとおりと思いますから省略をいたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 三十分の時間をちょうだいしているので、こうした問題については突っ込んだ議論はほとんどできないわけですが、産業経済に及ぼす影響と申しましょうか、重要な関連性を持つ問題でありますので、大臣もお忙しいことですけれども、商工委員会等にはできるだけ出席をしていただいて、こうした議論をひとつ深めていくということを御要請申し上げておきたいと思います。  この十四兆二千八面億という予算の中で、私なりにずっと見てみますと、日本列島改造論の中からの関連であろうと思うのでありますけれども、工場再配置の予算が四十七年度で五億出ておる。四十八年度では一般会計で九十億三千七百万計上しているのです。それから財政投融資も七百十七億なのです。これは四十七年度二百五十九億。私どもは、この工場再配置、また日本列島改造論といったようなことから、田中総理の意欲というものはあるんでしょうけれども、さりとて四十八年度予算の中で、どうしてこんな膨大な予算を組まなければならなかったのかということなのです。あえて私をして言わせれば、軌道に乗ったんだというようなことを、予算の面で何かこうクローズアップしていこうというような意図が働いたのではないか、こう思うんです。四十八年度に大体まとまるのではないかと考えられるものは、日立にいたしましても、あるいは十条製紙であるとか、そういった三件にすぎないんですよ。どうしてこんな膨大な予算を組みあるいは財政投融資をここに投入していこうという考え方なんですかね。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 実は率直に申しますと、四十七年度は御指摘のように五億ございますが、これはつかみ的な予算の盛り方でございまして、四十八年度が本格的なものでございます。たとえば工業再配置促進の補助費としては七十八億を組まれておりますが、移転分あるいは新増設分がそれぞれ四億とか七十四億にも分かれておりますが、対市町村を原則といたしまして、たとえば新増設については一平方メートル当たり五千円ということを基準にいたしまして積算をいたしておるようなわけでございまして、これは具体的な裏づけを考えながら予算をつくりましたので、四十七年度よりは非常に実行性もあり、かつ具体性があるものとわれわれとしては考えておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 四十七年度はつかみだ、四十八年度から本格的になるんだ。その本格的にかりになるといたしましても、要するにいま申し上げましたような件数にすぎないんですよ。なるほどいろいろ問い合わせみたいなことで、二十件ぐらい通産省に対して打診と申しましょうか、問い合わせと申しましょうか、その程度のものはあるんです。しかし、それは具体化するようなものじゃないんです。具体化するとすると、いま申し上げましたような三件程度にすぎませんよ。だとするならば、こんなに膨大な予算を必要といたしません。  それから補助の問題、おそらく企業と地方自治体に対する補助であろうと思いますが、それにいたしましても、基本的な問題の解決がないのです。私どもはこれに賛成するとかしないとかは別として、追い出し税の問題というのも実は出ておった。これをどうするかという基本的な方針もきまっていない。きまっていないのに、一般会計の中からあるいは財投でもって、これこそつかみだと私は思うのです。大臣はそうおっしゃったんだけれども、私は本格的ではないと思う。つかみでまた計上されたと思う。私は、こういう予算の組み方はきわめて不健全であると思う。総理大臣が意欲を持っているからといって、あなたほどの手がたい大蔵大臣が、この予算を、私はうのみにしたとはあえて言いませんけれども、計上されたということにはいささか抵抗を感じますね。もう一度お答えをいただいて、この問題はあらためてまた議論してみたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 たとえば観点を変えて一例を申し上げますと、一般会計の中で工場に関連する公害対策の予算というものも相当今度組んでおるわけでございますけれども、これなどはもうどうしたってこの時期においては徹底してやらなければならないことであり、これとこういうことを並行いたしまして工場の再配置をやるわけでございますから、工場再配置で公害をたれ流しするのだというような批判も世の中に見受けられるわけでございますけれども、ひとつ手がたく総合的にやってまいろう。またそういう角度からいたしますると、工場再配置自体が、いままで抽象的なあるいは希望的な計画であったというところが具体的に動き出すということで、四十八年度予算はかなりの積極的な意欲をもって計上いたしたつもりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 あらためて議論をいたしたいと思います。  中小企業の問題について二、三点お尋ねをいたしますが、この変動相場制に伴いましての中小企業に対する影響、これは大蔵大臣としても積極的に中小企業の問題は対処していこうとするお考え方のようでありますけれども、いまのところ固まっている対策としてはどういうことでしょうか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 まず、直接一般会計の財政関係から申しますと、予備費の使用見込みの残りが百二十億くらい、これは全部このために、いかなる方法をもっても投入する用意をいたしております。  それから融資でございますが、あるいは「投」を入れておいたほうがいいかと思いますが、先般も御質問がございましたときにお答えいたしましたが、一昨年の前回のときはそういう関係で約千億用意したじゃないか、それに対して大づかみでいいから腹がまえがあったら言え、こういうお話がございました。これはもう千五百億でもあるいはそれ以上でも用意をいたしております。これは対象になる方々の御希望その他をいま通産省が積み上げて、主として通産省でございますが、ここから出てくるに従って財投関係、そして三公庫等を通じまして十分の用意はいたしておりますし、それから現在の融資の残高に対する返済猶予、あるいは税金の取り扱い、これも毎年不幸なる例もございますから、少なくともその程度以上のことをやりたい、こういうふうなやり方をしております。十分のかまえをいたします。かつ、全国的な調査も通産省がやっておられますけれども、大蔵省としても財務局財務部を動員いたしまして、積極的にあたたかく手を差し伸べるようにしようという態度をとっておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 一昨年の十二月のときのショックの際、一般会計の予算としては七十五億、それからいま大臣がおっしゃいました融資、いわゆる財投からの融資なんですが、これが事業費としては千八百億、八百億はしかし短期の融資でしたから実際一千億なんです。全部使い切ってしまったわけです。私は、今度は範囲は狭くなるが、非常に影響は深くなっていくのではないか、こう思っております。そう考えてまいりますと、ドル対法、これはたいへん長い名前の法律ですからドル対法と申しますが、このドル対法の定義が非常に狭く解釈しております。産地であるとか、あるいはその業種の集中度合いによってパーセンテージをかけまして、そして定義がきまっているのですが、その三つ目が問題なんでして、個々の中小企業というものが四〇%以上貿易に依存しているという条件がついておるということですが、これが私はたいへん無理だと思っています。第一次のときはそれでも何とかいけたのかと思いますけれども、非常に深刻な影響を受けているということになってまいりますと、もう少し緩和する必要がある。これは法律改正というようなことも必要になってくるのじゃないかと思いますが、運用の問題についてやれるような点も多々あるだろう。ですから、そういったことを含めて十二分にこれに対処していくということでなければいけないと思いますが、いかがでしょう。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 この問題につきましては、通産省も相当積極的のようでございますが、通産省の意見に同調して対処いたしたい、こういうかまえでおります。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 調査はいま精力的にやっていらっしゃるのだろうと思うのですけれども、拙速ということは必ずしもこれはいいことじゃないかもしれませんが、できるだけ実態をつかんで、精力的な取り組みをしていただきたいということを要請をしておきます。  それから、いつも問題になることですが、企業組合です。普通法人扱いというのですね。私は、これは協同組合等と同じような特別法人扱いにしてやらなければいけないと思うのですよ。普通法人ということになってまいりますと、これは御承知のとおり留保分が二八%、それから配当分が二三%ですね。特別法人ですと留保分が二三%、配当が一九%の税率ということになっておりますね。これは企業組合は零細業者が集まって組織しておるのですよ。それがきびしい条件がついておるのです。従業員というようなものも二分の一でしたか組合に参加していなければならぬとか、いろいろきびしい条件がついておる。しかも非常な零細性がある。このことを考えてみますと、私は、企業組合は特別法人扱いにしてやらないといけないと思うのですよ。何か形式にとらわれ過ぎておるような感じもいたしますが、いかがでしょう。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 主税局長から答弁させます。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 企業組合につきましては、いろいろ問題があることはよく御承知のとおりでございますし、私どもからいろいろ申し上げることでもないと思います。  ただ、一方において、企業組合サイドからそういう強い御要望がありますと同時に、他の個人、法人の問題とのバランスもあるわけでございまして、長年のいろいろ議論の末いまのところに落ちついているわけでございます。私ども税の立場といたしましては、ちょっと簡単にまいらぬというお答えをせざるを得ないのでございます。なおしかし、いろいろ問題があることは承知をいたしておりますから、今後とも研究課題としては取り上げてまいりたいと思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 ですから、バランスから私は言っているのですよ。バランス上特別法人にできないという点はどういうことですか。企業組合くらい零細性を持ち、しかもいわゆる国策である集団化、その線に最も沿っておるのがこの企業組合ではないでしょうか。私は理想的な組織であると思っておるのです。こういうものにこそ国は積極的な助成をしていくという態度がなければいけないと思いますよ。いまあなたがおっしゃるバランスというのは、形式に流れ過ぎている、実態というものに目をつぶっている、こう思っておるのです。そうは思いませんか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 こまかい点になりますと、いろいろ問題はございますが、一方においては、いまおっしゃいますように、非常に企業組合らしい企業組合もございますし、必ずしも企業組合の実態を備えていないのではないか、企業組合制度の上に乗っている、こういうものもないわけではないので、その辺のところからいって、およそ企業組合であればこういう税率ということについて、やはり企業組合の実態との関連上相当問題があるわけでございまして、そこらはなお議論する点があるのではないか、こういうふうに思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 企業組合らしい企業組合もある。ところが企業組合らしくない企業組合、単に制度の上に乗っておるにすぎないものがあるから、したがってこれは普通法人扱いにするのだということでは筋が通りません。それは行政指導の問題です。そういう、らしくない、ただ単に制度の上に乗っているというようなことは適当なことではないわけです。いまあなたがおっしゃることで私が理解できないのは、企業組合であるということで特別法人扱いにされて、特に税率というものが下げられておるというならば、これを利用しようという意図であるということもうかがわれましょうけれども、そうではない。普通法人扱いにされている。恩典というものがないわけですね。それがことさら制度の上に乗っておるということはおかしいわけですよ。ですから、企業組合という一つの法人という形態があるのだ。それをより活用していこうとしなければならぬ。     〔木野主査代理退席、主査着席〕 ところが、実態がどうも好ましくないというならば、申し上げますように行政指導等を、好ましい理想的な企業組合に育て上げていくという態度が政府の態度でなければいけない。いまあなたの答弁の中からは、そういう意欲的なことは考えられません。大臣いかがですか、お聞きになって。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 中村委員のお話はよくわかるわけでございまして、企業組合というものを何と申しますか、ほんとうにりっぱなものにすると同時に、それに対して税の取り扱いもよくする、こういう趣旨で私としては検討をいたしたいと思います。この問題は実に長い問題でございまして、おそらく二十年にわたる論議が繰り返されておりまして、いまだに決着が出ないことは残念でございますから、すみやかに、いま申しましたような両面から攻めて、よき企業組合をつくるということの方向で善処いたしたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 了承しました。大臣のいまの答弁を期待いたしております。  最後に、時間が参りましたから一点お尋ねしておきたいことは、中小企業団体の職員の共済制度の問題です。農林団体の共済制度というのは大臣御承知のとおり、これは公的年金制度になっているのです。これからはどういう方向に進むのかということになってまいりますと、第三次産業というものが相当なウェートを占めていくであろう、私はこう思います。また農業等から第三次産業のほうに移行をいたしておりますね。したがってこの団体も非常に大きくなる、団体職員もふえてくる、こういう形になってくる。ところが、いまのところは任意共済制度になっています。ですから、これこそ私はバランスがとれないように思うのですよ。これは公的共済制度ということに切りかえてやらなければいけないのではないかと思うのですが、大臣の見解はいかがでしょう。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは率直に申しまして、感覚的には御指摘のとおりだと思うのです。要するに、その団体の組織自体にかかわる問題でもあろうかと思いますが、実は率直に申しまして、いまにわかに御答弁をするだけの私も心の準備が間に合いませんでした。十分ひとつ研究いたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 それでは時間が参りましたから、これで終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 では、次は高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 私、主として入場税の問題を中心にお尋ねしたいわけですが、その前に、その前提として、国の財政政策の基本が国民の福祉や幸福に貢献することである、こういうことだと思うのですが、ことに最近のようにわが国の国民の生活のあり方が、いわば非常に物質的な、そういうふうな状況が進んできておる。これは経済の高度成長ということが背景にあると思うし、その中でも特に私は、インフレーションというものがそういうふうな社会風潮を非常に進めている根源である、こういうふうに考えるわけですが、そうであればあるほど国の政策としては、国民の生活の中での文化的な側面あるいは精神的な側面ですね、こういうものを助長するような、そこに特に力を入れていただくということは、これから非常に大事であると思いますし、またいまのわが国の経済力なりあるいは財政力は、そういう方面に相当の力をもう向けていくだけの基礎ができているんじゃないか、こんなふうに私、考えるわけですが、この点でまず総論的に大臣のお考えをお聞きしたい、こう考えるわけです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 総論としては私、賛成でございます。同感でございます。  ただこれは、総論は賛成で、各論でなかなか十分いかないところがたくさんあると思いますので、いろいろ御批判をいただいたり御意見をいただいて、謙虚に、できるだけそういうことが充実するようにしてまいりたいと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 そこで各論に移るわけですが、その各論の中の一つとして、入場税の問題ですね、このことでお尋ねをいたします。  現在の入場税法の第一条の課税の範囲、ここでは入場税を課するその対象としての催しものの性格づけが出されておりますが、一として映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ等ですね、こういうふうな関係が一として出ておる。それから二のほうでは、競馬場及び競輪場というような規定づけが出ているわけです。私は、この一と二は非常に性格の違うものじゃないか。確かにそういう催しものへ多くの国民が入場をするという現象としては同じような姿を持っているかもしれませんけれども、内容的にいえば、いま総論のところでお聞きした国民の文化的なあるいは精神的なそういう側面を進めるという関係で、映画なり演劇なりスポーツなり音楽なりというふうなものが当然位置づけられてくる。ところが、競馬なり競輪なりこういうふうなギャンブルという性格のものは、それとはいわば全く性格の違うものである、こういうふうなことになろうかと思うのですが、現在、税の体系としてこういう性格の違うものが、同じ入場税法の中で扱われるということになっているわけですが、私は、この扱いは当然分離されてしかるべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 確かにこの税法、ことに第一条から見ますと、御指摘のような感じが私もいたします。同時に、現在までのところこの入場税法はずいぶん法律改正が行なわれておりまして、第九条の非課税、それから第八条の免税興行というようなところで、具体的には、かなりいま御指摘のような思想が、改正のつどあらわれてきておるのではないだろうか、ちょっとこれは弁解的答弁になりますけれども、こういう感じがいたします。そして今回におきましても、入場税についてはある程度の改正案を用意いたしておりますことは御承知のとおりでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 そこで、いまのことに関連をいたしまして、現在の、これは昭和四十七年度でもいいし、四十八年度でもいいわけですが、入場税のそれによる税収入の総額ですね、その中で第一条のその一のほうに当たる映画や演劇や音楽、スポーツ、こういうふうな関係での入場税の収入と、それからギャンブルのような関係における入場税の収入と、この内訳、相互の比率というような関係がどうなっているか、お尋ねをしたいと思います。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 実績が出ておりますのは四十六年度でございますので、四十六年度で申しますと、この一条の二号系統、競馬、競輪等の系統が大体三・七%、五億となっております。それから一号のほうが百三十一億、九六・三%。なお、ただいま申しました数字では、三号も、競馬、競輪、オートレース一緒にして申しましたから、二号、三号合計が五億で、一号のほうが百三十一億というのが四十六年度の実績でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 内訳をお聞きすると、そういう一号のほうの関係がほとんどいわば大部分というようなことになっているわけですが、この関係のほうが、言うならばこれからの国の政策を、国民生活の中における文化的なそういう側面を進めていくという場合に、むしろこのほうの入場税は軽減をしていく、あるいはこれを廃止していく、そういうことでもって国民が映画、演劇等々の芸術的なあるいは文化的なこういうふうな催しものに接していくのに、税というものを負担する必要がない、こういう状態を実現していくことが非常に大事じゃないか。そういうことになってくると、もう国の税収の中で入場税というものは、ほとんどもう意味を持たぬというふうなことにも当然なっていくと思うのですが、私は、それはそれでいいんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、この一号のほうの関係を、将来入場税というものをやめていく。私たちは、その点では、こういう関係の入場税はやめるということを前から党の政策として主張しているわけですが、その辺の長期的な見通しは、政府のほうはどういうふうにお考えになっているかをお尋ねしたいと思います。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 今回御提案申し上げております入場税法の改正の主要な点は、税率を半分にする。現行の一〇%を五%にする。ただし入場料金のうち特に金額の大きい催しもの、いわゆるなまものといっておりますものについては二千円、それから映画については千円をこえるものについては従来どおりの税率にします。ただし原則としては、特別に入場料の高いものを除いては、従来の一〇%の税率を五%にいたしましょうという改正案を御提案申し上げておるわけでございますが、そのことは、ある意味では高沢委員のおっしゃるような方向に向かって歩んでいるものというふうに御理解願ってけっこうではないかというふうに考えますが、かねがねから、一方においては全部やめたらどうだという御意見もあるわけでございますが、そこまでは踏み切っていないという、いわば中間的なものになっております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 私は、これはぜひ将来、しかもそう遠くない将来に、こういうふうな文化的な側面については税の対象にならない、こういう方向へ国の政策が進むということをぜひお願いをしたいと思いますし、これはまた別途大蔵委員会のほうで、入場税の論議の際にもそういうことをまた申し述べていきたい、こういうふうに考えます。  そこで、それとはまたちょっと別なあれになりますが、免税点の規定ですね。第五条では、免税点は百円ということで規定をされているわけです。この百円の免税点ということにきめられたのは、これは時期は昭和何年のことでしょうか、この改正が行なわれたのは。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 四十六年度の税制改正で、従来の三十円から百円になったわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 私は、この百円という免税点の線が、現在の物価の動向ですね、こういうふうな中で百円というこの免税点は、言うならばあまりにも問題にならぬ低い線ではないか。この百円という線より以下の入場料で入場税を免除されるような、そういうような入場料というのは、今日現実には、通常の映画であれあるいは演劇であれスポーツ、音楽等々であれ、ほとんど考えられないというふうなことになろうかと思うわけです。したがって、全体としてこの免税点を、将来、さっき言いましたような文化的な催しが無税になっていくという、そういうことが実現していくまでの一つの過渡的な措置として、この免税点をもっと大きく上げていく、こういうふうな改正がなされて当然ではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 今回の改正にあたりましても、入場税の免税点にウエートが置かるべきや、あるいは税率にウエートが置かるべきや、あるいは双方に及ぶべきやというような議論がいろいろあったわけでございます。でございましたのですが、結局、免税点という制度はよく御存じのとおりに、そこで一つ線を引きますと、その上と下のところで非常に大きな違いが出るというような問題があり、現行百円では少な過ぎるからもうちょっと上げるという場合に、どの辺にすべきやという議論もありました。甲論乙駁であったわけでございますが、税制調査会等での御意見では、むしろ税率を下げたらどうかというような御議論がありまして、そっちのほうがどっちかというととられたという感じでございまして、税率はいいけれども、免税点はこんりんざい現在の百円がいいのだという考え方ではありません。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 免税点は、これは控除というあれとは性格が違うわけですから、その免税点のきめられた線の範囲に入るところと、今度はそれを上回って税をかけられるところと、そこに不均衡が生ずるということは、かりにこれが五百円になろうとあるいは千円になろうと、免税点という性格上そこにはどうしても上と下では不均衡が出る、これはやむを得ないことだと思うわけです。そういう不均衡を避けようとすれば、むしろきまった線以下の入場料部分には税金をかけないという一種の控除方式にすれば、それはそれで不均衡は解消されるということになると思うわけですが、ともかく免税点という前提に立つ以上、どの線を引いても確かにそれなりのその線における不合理、不均衡が生ずることはやむを得ないと思うわけです。それが生ずるから百円でいいんだということには私はならないと思うわけであって、これは五百円なりというふうな線までやはり可及的すみやかに、この法改正の機会に免税点を上げるという措置をとられるべきです。今回の改正は税率のほうでなされておりますけれども、免税点の改正ということも近い将来には行なうという、そういうお考えをひとつぜひお聞かせ願いたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは十分考えてまいりたいと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 ただいまの大臣の御答弁を、ぜひ実現の方向を期待したい、こう考えます。  それで、また具体的なことに入りますが、現在の所得税法の第九条の関係で、非課税の規定の中の二のほうで、学校教育法に規定する学校のうちの高等学校、中学校、小学校、幼稚園その他政令で定めるものの教員の引率により云々、ここのところで、学校の児童、生徒、学生、こういうふうな者が先生の引率を受けて映画なり演劇なり、こういうものを見るときは入場税はかけない、こういうふうな扱いがされていたわけで、幼稚園の子供たちはこの適用を受けるということになっていた。ところが、従来保育園なり保育所なり、そういうふうなところの子供たちはその適用を受けないということで、そこに非常な不均衡があるじゃないか、また不合理があるじゃないかということをずっと聞いてきたわけですが、今回、いまのこの国会に政府から出されているこの入場税法の改正の中で、第九条部分のこれに改正が加えられて、そして、「これらの学校の教育に準ずる教育を行なう学校又は施設として政令で定めるもの」として、それらを「学校等」こういうふうに改正をされる改正が提案されているわけですが、この項は、いま私があげた保育所なり保育園なり、そういうふうな子供たちも今度はこの入場税の免除の適用を受ける、こういうふうな内容であると理解していいわけですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 今回の改正案では、その生徒等の範囲に保育所それから教護院の幼児や児童を加えることといたしまして、その拡充をはかりたいと考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 ただいまの大臣のお答えで、従来あったそういう不均衡が、この際是正されるということが確認ができましたので、ひとつまた次へ進みたい、こう思います。  これもこの子供たちの演劇のことに関連するわけですが、児童、生徒、学生などで演劇を観劇する、その一年間の延べの人口で数えると約一千万になる、こういうふうにいわれているわけであります。その一千万が、大きく二つに分けて、一つはいま言った学校の先生などの引率によって、教育活動の一部としてそういうふうな演劇を見に行く、こういうふうな関係が約五百万をこえる程度ある。残りの約五百万程度の数が、おかあさんとか、そういうふうな親たちと一緒に子供たちが個々に劇場で行なわれる演劇の公演を見に行く、こういうふうな数になっておる、こういうふうにいわれるわけでありますが、その先生たちに引率される面は、いま言った第九条のここでもって非課税のそういう措置がとられているということになるわけですが、それに対して、おかあさんたちと一緒に劇場へ子供たちが見に行くという、この点については入場税の対象にいまなっておる、こういうことであるわけです。その関係で、最近こども劇場という、そういう演劇等を見る子供たちの観劇団体の組織というものが日本の各地にできてきて、伝えられるところでは、そこに加盟している人員の数も約六万名ぐらいにいまなっているということで、最近はその代表の人たちが、この関係もぜひ入場税を免除してもらいたい、国会に対してこういうふうな請願活動もやられたわけです。  そこで私、考えますのに、この関係を同じく教育活動の一環というふうに見て、非課税の手続をとられることが、私は非常に積極的な政策じゃないか、こういうふうに考えるわけですが、この辺大臣、そういう措置をおとりになる考えがあるかどうか、ひとつお尋ねしたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 実は、この件についてはやはり国会に陳情もあり、また前にも国会でも論議があったことも承知いたしておるのですけれども、社会教育ということは、学校教育と並んで非常に大切であるということはよく私もわかります。しかし、会員組織の団体がつくられれば、そこの一員として観劇するのはみんな非課税だということになりますと、少し範囲が拡大され過ぎて、極端な例をいえば、個人で行く場合との均衡を失するではないかとか、きわめて簡単に自主的なそういう団体がつくられた場合に、これが課税を免れるための目的というふうにとられたりしては、かえっていかがかというふうなことを考えまして、今回はそこまでまいりませんでした。これはだいぶ各方面でも御要望がございましたけれども、そういう理由で踏み切りがつかなかったということを、率直にお答え申し上げる次第でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 税の場合には、当然公平の原則というふうなことが非常に大事な原則ですから、確かに不公平があってはならぬというふうなことはわかるわけですが、私はむしろ、いま大臣も言われた社会教育的効果、これを非常に積極的に評価すべきじゃないかと考えるわけなんです。これもこども劇場というふうな組織で、いわばサークル的にやっている人たちのお話を聞いたり、事情を聞きますと、結局、どんな演劇を次に見ようかというふうなことについてもそのサークルの子供たちが話し合う、一緒におかあさんたちも話し合うというふうなところから、今度は演ずる劇団の側へ対して、次にはこういうふうなものをやってほしいというふうなことが意見として出されてそれが実現されていくとか、あるいは単にそういうものを見るだけでなくて、その子供たちのサークルの中で、今度は自分たちが演劇活動をもやっていこうというふうなことで、子供たち同士あるいはおかあさん同士がそういうふうな活動をやっていく。その中で、今日よくいわれる親と子供の対話がない、断絶というふうなことが、むしろ非常に生き生きとした親子の交流、あるいはおとなと子供の交流というふうなものが生まれているというふうに、実際にこういうこども劇場をやっている経験の中から伝えられているわけです。これは私は、今日ややともするといまの社会風潮の中で欠けているものを、むしろ非常に積極的につくり出す、社会教育の効果としてはまさに一番理想的な望ましい姿が出ているのじゃないか、こう思うわけです。  そういたしますと、実際にそういう姿で運営されているこども劇場、それからいま大臣も心配された税を免れるために行動だけそういうサークルのような行動をとって、実態は必ずしもそうでないというふうなものは、それは確かにそこまで心配すればそういうこともあり得ると思いますが、しかし、実際に子供たちのそういう集団ができてくれば、いま言ったような社会教育的なそういう活動が、どうしてもそこに生まれて発展してくるということを考えれば、そこのところを、税を免れるあれじゃないかという心配をあまり重く見るのではなくて、そういう集団のサークル活動の中で非常に好ましい社会教育活動が進んでいくという面をむしろ信頼をして、そしてそういうものには税を免除するという措置をとられれば、個々に芝居を見に行くという形であったところでも、それなら自分たちもそういうサークルの組織にしてやっていこうじゃないかということがむしろ促進される。こういうことで、政策的にも非常によい面を促進していく効果を、税の面からも持つことができるというふうにも見ることができるわけであります。そういう点においては、いまの大臣のお答えでありますけれども、もう一度そういう点も考慮されて、このこども劇場という面についても入場税を免除するという将来の考え方について、ひとつ前向きな御答弁を大臣からぜひお願いをしたい、こう思うわけです。

高木文雄大蔵省主税局長

○高木(文)政府委員 大臣から答えていただきます前に、ちょっと申し上げておきたいのでございますが、現在の、先ほど御引用になりました九条の規定で、学校の教育の一環として行なわれる場合は非課税とするという制度は、実は四十六年の改正からそういうふうに改められたわけでございます。その四十六年の改正のときに、学校教育と社会教育とをどう位置づけるべきか、学校教育だけについてそういう特例を設けることについては、今度は次の社会教育の問題が起こるのではなかろうかという御議論をいろいろ願いました末で、学校教育の中でも、教科課程に組み入れるという趣旨で、学校の先生が引率される場合だけはという一つの線を引いたわけでございます。  当時から、社会教育のほうの問題はどうするかということはたいへん問題でございまして、一方社会教育の中で何か一つの線を引くところがあるかどうかということは、当時からの課題でございました。その後も社会教育につきまして、四十六年になされました九条の改正との関連で、ただいま御指摘のこども劇場をはじめとして、その他にもいろいろ社会教育の面に有効なる演劇、映画その他については、何か特例措置があってもいいじゃないかという御議論がいろいろとございます。ただ、その場合に、私どものサイドから申しますと、社会教育というものが本来非常に自発的な有意義な活動ではございますが、そうかといって、学校教育のように法律的にぴしっとしていないということは、必然的に、宿命的にそういう性格を持っておりますので、どの点が課税になってよろしいか、どの点が非課税になるべきかという点について、線が引けるめどがなかなか立たないということでございます。  特に、いま御指摘の最近請願が出ておりますこども劇場につきましては、一昨年の暮れぐらいから非常に熱心に運動が展開されておりますし、私どももある程度実情は承っておりまして、この運動が非常に熱心に、まじめにこういうことをやっておられることはよくわかるわけでございます。それで、担当の文部省当局あたりともいろいろ相談はしておりますが、やはり最初に、四十六年のときに心配いたしましたとおり、なかなか線を引きにくいということで今日に至っているわけでございまして、今後も問題点としては大いに議論しなければならない点でございますが、むずかしい点があるというのは、その辺であるということだけを最初に申し上げておきます。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 要するに一言で申しますと、客観的な基準というのが何かないだろうか、その点が税務行政上どうしても割り切れないというところで、こういう結論になったわけでございます。大いにまじめに研究はしておることは事実なんでございますが、御了承いただきたいと思います。  それから同時に、すりかえるわけでは決してございませんけれども、一般的に、将来税率の引き下げというようなことで、こども劇場というようなところの入場料というものはそんなに高いものではないと私は思うのです。一般的な税率の引き下げということで、実際上かからないようにするという方向もあわせて将来の問題として取り上げていきたい、こうも考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 もう時間の通告が来ましたので、あと一つだけにしたいと思いますが、いまの大臣のお答えの税率の面からその方面をずっと追っていくということと、それから非課税の扱いにしていくという、この非課税の扱いの件は、いわば意思あれば道ありで、その積極的なお気持ちがあれば、そこに一つの線の引き方の技術的な面も、ひとつぜひいい基準を見出していただくように御努力をお願いしたい、こう思います。  そこで、それに関連して、いまも言われた子供たちのそういうふうな演劇なんかの入場料は、どうしても当然安い線にきめなきゃならぬということになりますし、まして学校などを巡回して、そして学校の子供たちに芝居を見せるということでもって回っておられる、そういうふうな劇団の関係の方が多数おられますが、そういう人たちの場合には非常に安い入場料でということが前提になりますので、そういう演劇活動に従事される人は経済的には非常に報いられない状態で、しかし、日本の演劇活動の前進のために、あるいは山奥などの芝居を見たことのない子供たちにぜひ見せたい、こういう気持ちでみな一生懸命やっておられるわけです。  そこで、この関係の演劇活動に従事される方に対する、今度は逆に助成です。いままでは税の面でお尋ねしてきたわけですが、今度は積極的に補助あるいは助成、こういう面をひとつ前向きにお願いをしたいということで、きょうは文化庁の文化部長にもおいでいただいておりますが、その補助、助成の面が現状でどうなっておるかということを、まずお尋ねしたいと思います。

鹿海信也文化庁文化部長

○鹿海説明員 現在、児童演劇の関係団体が合同いたしまして日本児童演劇協会というものが組織されております。大体七十一の加盟団体がございますが、私どもは、個々の団体を対象にいたしますことはなかなかむずかしい面もございますので、こういう合同組織と申しますか、こういうものの育成もはかっていきたいということで、日本児童演劇協会並びにもう一つ同じように、児童劇団を各地方に巡回することを業務といたしております日本青少年文化センター、この二つの組織を利用いたしまして、傘下の児童劇団に全国に回っていただくというような事業補助をいたしておりまして、決して満足な額ではございませんが、順次毎年増額をはかっておりまして、これはいま申しました日本児童演劇協会あるいは日本青少年文化センターが事業計画を、この傘下の児童劇団と相談して立てられまして、それを積算してこられまして、私どもはそれを見て、その線に沿ってその補助金を交付する、そういうことをやっております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 その日本青少年文化センターあるいは日本児亜演劇協会、こういうふうなものを通じて具体的にやられる。劇団のところへそういう補助金がおりてくるというときになると、一舞台大体七万円程度の金額になっておる、こういうふうに聞いておるわけですが、七方円というような程度になりますと、特に子供相手の芝居になりますと、いわゆる仕込み費というような舞台のいろいろな大道具、小道具等々、あるいは衣装とかいうふうな関係で、むしろおとな向けの芝居よりも子供向けの芝居のほうが経費がかかる。それに従事される俳優さんたちは、いわゆるギャラというふうな関係はゼロにひとしいような状態で、奉仕的にやっておられるという現状で、七万円という補助ではあまりにも少ない、こういうふうに考えられるわけですが、このいわば単価ですね、これをもっと思い切って上げていくという考え方、これは文化庁あるいは今度は大蔵省のあれになるわけですが、その辺のお考えを、これもひとつ前向きなお答えをぜひお聞きしたいと思うのです。

鹿海信也文化庁文化部長

○鹿海説明員 ただいまも申し上げましたとおり、それぞれの団体が事業計画を立てられまして、積算等してまいられまして、それで私どもがそれを見て交付するということで、現在のところはそういう私どもの積算よりも、向こう側の積算がそういうふうになっておるわけでございます。  しかし、やはりむずかしい問題は、できるだけ多くの子供たちにということで、一回の経費は薄くしても、多くの人々にということがございますので、ここら辺無理のない積算をしなければならないということは重々考えておりますが、そういう団体から事業計画が出てやることでございますので、そういう団体と十分その点は御連絡いたしまして、薄くならないようなことを検討いたしたい、このように考えております。

辻敬一大蔵省主計局次長

○辻政府委員 文化予算の充実につきましては、冒頭大臣からお答え申し上げましたように、大蔵省当局といたしましても従来から重点的に配慮いたしておるところでございます。たとえば芸術文化の振興の予算は、四十八年度におきまして前年度対比で四割以上ということに相なっております。その中で、ただいま文化庁から御説明いたしましたように、芸術関係団体補助金というのを計上いたしております。この額も、四十七年度の三億五千五百万に対しまして、四十八年度四億五千五百万と一億円増額をいたしております。  そこで、御指摘のございました児童演劇に対する劇団につきましても、この補助金の配分という形で助成をはかっているわけでございます。したがいまして、ただいまお話のございました単価等の問題は、文部省の実行上の問題であろうかと思いますが、よく実情等調べまして、芸術文化の向上普及のために有意義と認められる事業につきましては、文部省と実行団体と相談いたしまして検討してまいりたい、かように考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢分科員 もう一つで終わりますから。いまの文化庁のほうの御説明では、その団体の側からそういうふうな単価をむしろ出してこられる、こういうふうな御説明だったわけですが、その団体というのは、さっき言われた日本児童演劇協会とか日本青少年文化センターとか、こういうふうなものだと思うのですが、それを受けて実際にやる劇団の側は、とてもこれじゃ足りない、こういうふうなことにみななっているわけですね。そういうことから、聞くところでは、四十八年度は日本児童演劇協会では、いまの七万円を十万円くらいにというふうなことを何か言っておられるようですが、そういうふうなことも、むしろ実際にやる劇団側の要望なり意見というものを基礎に据えてその単価を出される、それを文化庁が受けて、そして大蔵省との関係で補助をきめていく、こういうふうにされるのが私は至当じゃないか、こう考えるわけです。  そういう点から、今度新しく、児童演劇団協議会、劇団が集まった協議会というものが昨年結成もされているわけで、そういう点では、いまのような演劇活動に対する補助なり、その補助の単価を考えていかれる相手の窓口としても、この児童演劇劇団協議会というふうなものを加えるという中で妥当な線を出していかれるように、ひとつぜひお願いをしたい。  最後に、これは要望になるわけですが、それを申し述べて、時間が過ぎたようですから私の質問を終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次は、八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 大蔵大臣並びに関係政府委員に、予算に関連をして、いわゆる同和問題、私どもの申しております部落解放行政の問題についてお伺いをいたしたいと考えております。  去る二月二十八日に予算委員会の一般質問で、私は大蔵大臣を含めた政府の各国務大臣にその問題を御質問をいたしました。その際に、三木副総理やあるいはまた官房長官や総務長官、愛知大蔵大臣はじめ各閣僚から、田中内閣は積極的にこの問題解決のために全力を尽くして推進をしていく決意であることの表明がございましたが、このことについて最も関係の深い大蔵大臣も、そのことをほんとうに推進する御決意を持っておられるべきであり、おられなければならないと思うわけであります。  その決意を持たれるについて、この問題の本質並びに経緯について深い御理解があることが、最もそれを推進する原動力になろうかと思うわけでありますが、愛知大蔵大臣には宮城県の出身で、この問題に非常に濃厚な事象のあるところに居住をしておられませんでしたので、この御理解がまだ不十分ではないかと思うわけでございますが、大蔵大臣は同対審答申その他を十二分に御研究になっておられるのではないかと思いますが、その点についてひとつ伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 御指摘がございましたように、私の出身地はこの問題はあまりないのでございます。しかし、それとこれとは別問題でございまして、私としては同和問題についてはかねがね、非常にこれは歴史的、沿革的にたいへんな問題であります。同時に、日本がほんとうに憲法の規定するような、戦後において生まれ変わった国になりました以上は、ますますもって重大な問題であるということを、深く認識していかなければならないということを強く感じておる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 愛知さんがおっしゃったように、愛知さんのおもに居住をしておられるところに事象がやや薄いという状態がありましても、国会人として、国務大臣として、特に大蔵大臣として、この問題に全面的に当たられなければならないわけでございまして、いまの御答弁のお気持ちは非常に是とするに足ると思うわけであります。ただ、ほんとうに実感を持っておられませんと、ほんとうに全力を尽くしてやろうという気持ちがわきにくいものであります。その点で、同対審答申をひとつ御熟読になっていただいて、決意を固めていただきたいと考えるわけでございます。  そこで、ごく簡単に、この問題の経緯を少しお聞き取りをいただきたいと思います。実は、この問題の具体的な発生は徳川時代に遠因をなしております。徳川時代に、徳川幕府が武士の権力を永続化しようというために、武士階級が経済力を持たなければならない。そのために、おもな生産者たる農民からぎりぎりの収奪をしなければならないと考えたわけであります。百姓は飢えしむべからず、食わしむべからずという政策を主として実行いたしました。そのことを権力に対する大きな抵抗なしにやるために、非常な奸策を弄したわけです。それは収奪をする相手である農民に対して名誉を与えて実際にしぼるということで、無理やりに身分制をつくりまして、権力を持っている武士を最上位に置き、次に農民を置いて、士農工商穢多非人という身分制を徳川幕府が確立をいたしたわけであります。そのようにおだててぎりぎりの収奪をしようという政策であります。その身分制を徳川幕府がつくったために、同胞の相当部分の人が非常な迫害を受けた、抑圧を受けたということであります。またもう一つは、権力者から圧迫をされる全国民が結集しないように、階層別に分裂をさせる、そういう政治的方針としてこの身分上の差別がつくられたわけであります。その沿革をお考えになっていただいて、その後明治になってどうなったかということを、ひとつ熟慮をしていただきたいと思うわけであります。  明治維新は、いわゆる近代的な状態になる一種の革命、改革と称されているわけでございますが、それが途中で停とんをしてしまったわけであります。たとえば明治維新のときの五箇条の誓文の中に、万機公論に決すべしというものが一つあったわけであります。坂本竜馬等が発案をした条項であるそうでございますが、これがほんとうに実行をされたのはごく終戦後であります。帝国議会ができたのは明治の二十三年、そのときには地主と所得税を納めている者しか、そして男性にしか選挙権も被選挙権もなかった。その後普通選挙になりましたけれども、これも男性だけであります。戦後にやっと女性までの選挙権、被選挙権ができた。この一例でわかりますように、明治の改革の精神は四、五年で停とんし、後退をしたわけであります。  そこで、明治四年に太政官布告が出ました。以下べつ称を廃する、すべて平民と称するという太政官布告が出たわけです。それはその時代の前の明治の改革の趣旨がまだそこに生きておったわけであります。  ところが、その後に明治の改革が停とん、後退した事象があらわれてまいります。すなわち、華族制度をつくったわけであります。位というものは前からありました。勲等や華族制度はその時代からつくったわけであります。公侯伯子男というものをつくり、それから士族というものを名称として置きました。そういうものを置くと、それは実際はいまの民主主義的な観念からいうと根底のないものでございますが、その当時の観念からいうと、とうとい者とか偉い者とか、そういうものに当たるわけであります。とうとい者とか偉い者があれば、とうとくない者、偉くない者があるという思想が残ります。したがって、そういうために、形式的にはそのような身分的な差別から解放が行なわれたようでありますけれども、長い間の不合理な制度に国母がならされて、生まれつきそのようにあるもののような錯覚と誤解が濃厚にありましたときに、完全な民主主義を進展するようなことがやられない。人の上に人があるというような制度がつくられた。そこから、このような身分的差別が消え去らないという要件がつくられたわけであります。  その後、また経済的な問題で、非常な不利な目に国民の一部があいました。士農工商といっておりますけれども、農家の人たちは、武士が収奪するその権利がなくなりましたから、そのために農民は幾ぶん楽になりました。特に得をした人は地主であります。武士から収奪をされることはなくなった。しかも小作農から収奪する権利は残っている。明治がいわゆる地主時代であったということはそのことからまいっております。しかし、農民は幾ぶん負担が軽くなりました。それから商に当たる経済的活動をするという人は、新しい資本主義時代で大いに活躍する舞台を伸ばしたわけであります。工に当たる人は、たとえば家を建てる人の例をもってすれば、世の中が変わっておるから比較的仕事も拡大し、地位も向上いたしたわけであります。  この明治改革で大きく変わったものは、権力者であった武士階級、そして一番抑圧されたのが部落の同胞であります。ところが武士階級は、これは形は変わったけれども、全然ほんとうの実際上の権力なり優越した地位はなくならない。むしろ温存をされたわけであります。武士階級は、昔から国民を収奪をして権力につき、あるいはまた行政に当たり、あるいは有利な地位にありました。したがって、教育を受ける大きな特権がありました。読み書きそろばんというものを武士階級は素養として必ず身につけておりました。したがって、明治の改革後新しい政府の国家公務員にも、あるいは地方公務員にも、あるいはまた新しい商社の指導者にも、その教育、いままで特に特権的に受けることができた教育と、そして特権的ないろいろの交際、身分的な関係で、あらゆるところで有利な地位について、就職が特別に優先的に保証をされておったわけであります。  ところが、差別を受けた部落の同胞は全くその逆であります。まず第一に、就職をして働こうとすれば、そのような濃厚な差別がある。明治政府が、それを、太政官布告を出しただけでほんとうの意味でなくそうという努力を怠っただけでなしに、人の上に人があるという制度をかえってつくったというところから、なくなりませんし、しかも、前から抑圧されていて新しい教育を受ける機会が一つもない、自分は受けようとしても、生活に追われて自分で勉強するいとまもないという状態の中でありますから、その新しい勤労者、労働者として働く道がほとんど完全に閉ざされておったわけであります。  次に、それでは農民として立とうかという人が農業地にたくさん住んでおりました。しかしながら、明治改革は農地のこの面における改革は全然しておりません。武士の土地所有権を取り上げただけで、あとは戦後の農地改革まで何もいじっておりませんし、部落の大衆は農業地に住みながら小作人にもなれなかったわけであります。それから数十年間熱心に働いて小作地を幾ぶん獲得することができた人たちはございますけれども、長らく農業臨時労働者として、一番忙しいときに低賃金でこき使われて働くことができる、それだけの話でありました。何十年熱心に働いた後に、それでは小作地を一反歩、二反歩請け負わせてみようかということで、大正年間にやっと一番条件の悪い小作地を二反か三反かあるいは四反、それくらいを獲得することができた。それまではそういう状態ではありませんでした。  しからば、商工業でこれをやっていこうかということになります。商工業でやっていこうということになりますけれども、非常に濃厚な差別がございますから、たとえば鉄道が敷かれる、駅前で食堂をすれば経営が発展することがわかっていても、土地を貸してくれない、売ってくれない。家を貸してくれない、売ってくれない。そのような商業で発展しようとしても、それが遮断をされておるわけであります。時間の関係で漁業等は申しませんけれども、あらゆる意味でほんとうに熱意を持って仕事に当たって生活を建設することを、全部遮断をされた形で進んでまいりました。明治以後は、その人たちが非常に多くの不安定労働者、半永久失業者群としてあることが、明治時代の低賃金重労働をもとにした資本主義の進展のために非常にぐあいがよかったために、明治政府や、大正年間になってからも、何らその問題について解決の手を打とうとしてこなかったのが、ずっと歴代の政府であります。  そのことが非常に重なりまして、大正年間になりますと、明治の初年よりも、身分的差別に加えて貧困の度合いが猛烈に多い。また、残念ながら貧困に対する差別がある。貧困に対する差別がつけ加わって、差別が非常に濃厚になった。そういう状態のもとで、御承知のとおり米騒動の問題があり、その後全国水平社の結成があり、水平社連動の発展がありというようなことで、戦後になったわけであります。  そのようなことを考えますときに、これを解決するために政府が対処するためには、ほんとうにいままでの行政の考え方のワクをはずれた特別な考え方をもって対処をしなければなりません。前に申しましたように、武士階級はそれだけ優先的な地位を保たれ、確立をされながら、ごく少数の武士階級が、二億一千万円の秩禄公債を明治四年、五年にかけて受け取っているわけであります。これは四年前の大蔵省に依頼した計算によれば、四年前でこの値打ちは八千億円になる。そして年四分でこれを活用すれば、四年前に四十五兆円になるという金額であります。ごく少数の、特に特権的にあらゆるものが優先的に保障された人たちに四十五兆円の補償がやられているということを考えれば、逆に、何百年の間抑圧をされた人たちの問題について、そしてもっと数の多い同胞の問題について、はるかに多い金額が国費として支出をされても決して不当ではない、支出をされるべきであるというふうに考えるわけであります。  この金額、たとえば四十五兆円に対して、それの倍なり三倍、九十兆円なりあるいは百三十五兆円なりを直ちに国費として支出すべしだと申し上げたならば、おそらく大蔵大臣は、そんなことはどうにもならぬとおっしゃるであろうと思います。それはわかっております。それはわかっておりますが、そうした性質のものである。これをたとえば明治百年以後ずっとやったならば、貨幣価値は変わっていますけれども、名目的な金額はともかくとして、それだけのものが支出をされなければならない性質のものであります。  したがって、いまの予算編成にあたり、いままでのように前年度の予算の七割増しをやったから、つけたからそれでよいという性質のものではない。そのことをはっきりと確認をしていただきたいと思うのです。何百年放置された問題を今度積極的にやる場合には、前年度の比率というものは考えるべきではない、必要なものは必要な分量だけ出す、その考え方に基づいて同和対策予算について組まれるべきです。そのことについてぜひはっきりとした明確なお答えをいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 先ほども申し上げましたが、政府としての態度はもとよりでございますが、私個人といたしましても、先ほど申し上げたような考え方でございますから、同和問題も超重要な問題であることをよく認識をいたしまして、その認識のもとにできるだけの努力を傾けたい、こういうふうに考える次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 大蔵大臣のその御答弁はけっこうですが、たとえばその問題について主計局にいろいろと話し合いに参ります。そうなりますと、主計局のいろいろな方たちはなかなかによい返事をなさらないわけであります。たとえば、そのくらいの勢いですから、ことし直接の予算要求ですね、建設省なり農林省なり、厚生省にある一般対策の中の、同和ワクじゃなしに、直接の予算要求が各省から二百二十五億円。それを少なくとも、そんなものではだめだ、各省の何百億、それの三倍から五倍も、ことしとしても要求をしなければならないのに、各省がなまけているんだから。また大蔵省主計局というのは、予算要求を削限するだけが任務ではない。国の政治、国会を通じて国民に約束をした内閣の重要政策が完全に実施をできるように、そのための予算を組むというのが、これは決定をするのは国会でありますけれども、その原案をつくるのが主計局の任務である。したがってこの問題については、各省予算を、要求は少ないではないか、なぜもっと要求をせぬかというような連絡や指導をすべきである。少なくとも、こんな少ない予算についてはびた一文削減することは許されない、そういうことを申し上げても、それはできません、びた一文削減しないとは申せません、これが全部のお答えであります。もちろん、主計局の職員の方は大蔵大臣ではありません。総理大臣ではありません。その人にそこで即答を求めることは無理かもしれません。しかしながら、大蔵大臣はその交渉のときになかなか会われない。したがってそういう人たちに申し上げるよりしようがないということになります。少なくとも、あなた方は予算を一文も削減をしないという、あなた方自身の決意を、職を賭してでも固めてもらわなければならないと言っても、なかなかそれを持たれない。それは国家公務員としてのいろいろなワクがある、抑圧があることはわかっております。それをそうではないように、大蔵大臣から今後、あなたが大臣を近くやめられるかもしれないし、あるいは総理大臣になられるかもしれないし、あるいは社会党が内閣を取ってあなたが野党になられるかもしれないけれども、そういうこととは関係なしに、今後大蔵省は、同和対策予算については一文も削減をさせない、各省の要求が少なければ、なぜもっとたくさんの要求をしてこぬのか、田中内閣としては、また今後の内閣としてはこれを完全に解決をすることを国民に確約をしている、それを実施するためには予算をつけなければならない、そのようなことで完全に主計局その他を指導せられるかどうか。このことについてぜひ明確な、いまお約束になった線に従った御回答をいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 私は、ただいま申しましたような気持ちで、私が大蔵大臣であります限りは、大蔵省を指導してまいるつもりでございます。  なお、ただいま予算の編成などのときに、おまえとは接触ができなかったという御趣旨のことがございましたが、そうであればまことに遺憾でございますが、今後はどうか御遠慮なく、何でもお話をいただきたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 実はことしの大蔵省の予算は、全部の一般行政の中の特別ワクあるいは起債その他の問題はありますが、時間がありませんから直接のものだけで申し上げますけれども、二百二十五億が百三十五億に第一次査定で減らされておったわけであります。その後復活折衝がありまして百五十九億弱になりました。その中で、第一次査定のときに、労働省の要求しておられた雇用奨励のための費用が、第一次査定ではゼロになっておる。要求は八千五百四十五万円、そうして第一次査定ゼロ。それで第二次の復活交渉で二千七百五十一万円が復活をしているわけであります。その次に、同和対策の製品見本収集事業費という産業に関係するものでありますが、ごくわずか、三百六十一万八千円の要求に対して、これが第一次査定がゼロ、そして第二次復活で二百三十八万八千円、そのようなことになったわけであります。そしてまた文部省の高校奨学費、この予算も、第一次査定で削減をされ、復活交渉でごくわずか回復しましたけれども、要求に対しては四割以下というようなところであります。ほんとうに大蔵省が問題を把握しているかどうか、これは非常に疑わしい内容であります。  この問題の解決の中で一番大切なことは、就職の機会均等を保障するような政策を進めることであります。そして、それに並んで就学の機会均等を進める問題であります。そしてまた、労働者として働く人がだいぶ多いとしても自営業者がおりますから、産業の振興ということが大事な問題であります。  問題は、これだけわずかなものが第一次査定でゼロなんです。第二次査定でも要求額よりずいぶんと減らされておる。本質を知らない証拠であろうかと思います。一番大事なのは、みんな就職ができるようになるということ。その就職の対策は非常に鈍いのですが、そのことについては、なまけた各実施官庁がわずかに出してきたものまでもぶった切る、こういうようなことであってはとんでもないことであろうと思います。それについて、重大な反省を込めて、将来やるという御決意のほどをひとつ伺わせておいていただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 それらの点につきましては、重大な反省を込めて御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 次に、時間が少なくなりましたから要約をして申し上げますが、同和対策については、実情を知っている市町村、府県が各地域で非常に熱心に対処をいたしております。しかし、それに比べて国のそれに対する対処は全く乏しいわけであります。同和対策事業特別措置法は国の責任を第一義的に明記をしております。ところが、たとえば大阪府、市、それから大阪市以外の大阪の市で、自治体がこの問題に対して支出をした金額は五百億をこしておりますが、政府が全国に対処するものは、他の一般予算の中の同和額やそういうものを合わせても四百二十億。こんなことでは話になりません。なぜ話にならないかといいますと、実は同和対策事業特別措置法にいろんなことが善いてありますが、第七条に国の助成というところがある。国の助成というものが書いてありながら指定するものは少ないわけです。ある大阪の市の同和対策事業では、何十とあるうちの四つしか国の助成がない。このことが市町村にしわ寄せをされて、市町村の財政には限りがありますから、問題を推進することを停とんさせているわけです。第七条をあらゆるものに拡大するような御努力が必要であろう。  それから次に、特別の助成は原則として三分の二の国庫負担であります。その補助は、残りの三分の一については起債をもって充てるということになり、その起債した分については、第十条で自治大臣が指定するものですが、元利償還金の十分の八を普通交付税で交付する。そして不交付団体に対してはそれと同率で特別交付税で交付するということになっているわけです。その起債も十分には認められない、そして十条のほうに該当するものも少ないという状態の中から行なわれておるわけであります。これをほんとうに政府、特に大蔵省が第七条の特別助成の対象にする、いまやられておる必要なことは一切対象にするという態度でやっていただかなければならないと思うのです。第五条、第六条を見ますと、環境改善なり、職業の問題なり、教育の問題なり、あるいは産業の問題なりについて必ず全部「等」をつけてございます。これは立法のときに私も下準備に参画をしておりますから、その精神は知っております。それから第八号にその他「必要な措置」ということも書いてあって、部落の完全解放のために役に立つことは全部やるんだという精神であります。例示をつけなければ何だか国民にわからないといけないから例示をつけている。例示をつけて、あとに必ず「等」をつけた。それでもすき間があってはいけないから、そのほか「必要な措置」というものをつけた。部落の完全解放に役に立つものは全部やるんだという精神であります。  そこで、全部やるんだということを国が踏んまえて、これを地方自治体にやらせようとしたならば、御承知のとおり宮城県と大阪と比べたら、対処するべき事項がこんなに違います。府県でも市町村でも違うわけです。それで、国が対処をしなければ自治体の負担の非常なアンバランスが起こるし、それがまた問題を停とんさせるということになるので、国が全面的に助成をしなければならない。特に、戦前の融和対策事業という戦争のためにつぶれてしまったものは、全額国庫負担でやるという計画でありました。その精神を体されて、すべて国の指定する事業は特別助成にする。さっき申し上げたことをするということと同時に、もう一つは、国が三分の二の国庫負担をしても、それがほんとうの実質単価に基づいたものでなければ、いま予算単価と実質単価が違いますから、それが二分の一になってしまったり四割になったりする。完全な実質単価でそれをやるということが必要であるわけであります。その問題について、全面的に対処をしていただくお答えをひとついただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 法律の関係、沿革など私もあらためて十分に検討をいたしまして、できるだけ努力はいたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 実はこの法律について確認事項というのがあります。その確認事項の最後に一番重要な確認事項があります。当時、床次総務長官が政府を代表して、同対審答申を完全に実施するために、この法律を積極的に活用して問題を解決する所存である。それからそのあとに内閣総理大臣の佐藤さんが、これができたが、これはまだ緒についただけである、これから大いにやらなきやならない、大いに鞭撻督励をしてもらいたいということを言っておられるわけであります。これが一番大事な確認事項であります。  ところが、大蔵省はじめ各省では、その前の、最初でまだわからないから微温的であったところのいろいろな確認事項などを強調して、この特別措置法を積極的に使うまい、消極的に使おうという傾向があるわけであります。それが問題を停とんをさせております。ぜひ、床次総務長官の積極的に活用をする、当時の佐藤内閣総理大臣のこれは緒についたばかりである、完全にするためには大いに鞭撻督励をしてもらいたいという最も大事な確認事項を生かして、これを完全に活用して問題を推進する、そのことをやっていただきたいと思いますが、内閣の有力な閣僚として、特に制度の全般にかかる予算執行の責任者として、その問題についてぜひ強い決意を明確にしていただきたいと思うわけであります。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 現内閣は前内閣同様というか、あるいはそれ以上に熱心な考え方を持っておるのでございますから、私ももちろん、いま御指摘になられましたことを十分確認をして事に当たりたい、こう考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)分科員 時間がございませんので、後の機会に質問の場がありましたらまたさせていただきたいと思います。場がなければ、いま大蔵大臣の言われましたように、私はじめこの問題の解決を要望するいろいろな方に大蔵大臣できるだけ会っていただいて、さらに決意をもって進めていただくことを強く要望をいたしまして、私の質問を終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 次に、平林剛君。

平林剛日本社会党

○平林分科員 私はきょうは、株価操作とその対策、もう一つ過剰流動性の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  最近の株式市場が株価の高騰と投機色を深めていることにつきまして、また株価操作が公然と行なわれているという問題につきまして、証券界に対する批判、不信が非常に高い、これは御承知のとおりであります。協同飼料の事件がございました。これはいきなり刑事事件に発展をしたわけでありますけれども、この種の問題で大蔵省の責任というものは一体ないのか、この点について御見解を承りたい。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 先ほど来、当分科会におきましても証券問題の重要性の御指摘があり、また私も率直な意見を申し上げたのでございますけれども、私は昨年の暮れ就任いたしますと同時に、かねがね考えておりましたが、大蔵省としては証券行政というのは非常に大切である、ことに現下の状況におきまして。そう思いまして、証券局長以下の非常な協力を得まして、逐次いろいろの措置を講じてまいったつもりでございます。  時間の関係もございましょうから詳しくは申しませんが、一つは、たとえば株価が公正に、いわゆる価格形成がなされているかどうかについては、それこそ実態の調査もほんとうに立ち入ってやらなければならないということを痛感いたしまして、御案内のように、立ち入り検査なども実行いたしております。そういうやさきに刑事事件としての被疑事件が起こりましたことは、たいへん遺憾に思っております。申しわけなく思っておりますが、事の重大性にかんがみまして、今後ますます指導育成、監督に努力を新たにしなければならない、こういう決意をいたしておる次第でございます。

平林剛日本社会党

○平林分科員 これは昭和四十八年二月二十五日のわが国の一流新聞の社説でございますけれども、「公正な株価を形成するために」という論陣が張られておりまして、これを読んでみますと、「証券市場では、株価操作が公然と行なわれているといううわさは、やはりほんとうであった。」と指摘をしてあります。それが協同飼料事件になったというのですね。もっと重要な指摘は、「証券市場における株価操作は、単にこの会社だけではない。上場会社は、時価発行によって安い資金を手に入れるために、露骨な株価操作を行なったし、証券会社も、これを支援するという風潮となっていた。」こう述べておるわけです。事は非常に重大である。そして、「地検は、株価操作を行なっている会社の中で、弱小なものだけを捕えたといっている。」という指摘まである。「大大的な株価操作を行ない、大蔵省に呼びつけられているような企業や証券会社が見逃されている。」こういう指摘もあるわけであります。こういう点についてどう思いますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これも私、先ほども率直な意見を申したのでありますが、時価発行ということは、経済社会が多様化している現下の情勢におきまして、自己資本を充実するということでは私はけっこうなことであると考えております。同時に、いわゆるプレミアムというものは商法にもはっきり規定がありますように、資本に準ずるものであり、あるいは資本それ自体といってもいいかもしれませんが、これの扱い方については十分な法制上のかまえもあるわけでございます。同時に、これが株価安定工作とか株価引き上げ工作などを背景にして、邪道に走るようなことがあることは、これはまたたいへん見のがすことのできないことでございますから、そういう点に着目をして、具体的な指導措置を講じておりますし、検査もやっておるようなわけでございます。  また、たとえば金融政策の面でも時価発行、増資株の応募等について、金融機関に対する金融操作上の規制もいたしておることは御承知のとおりだと思います。この事態に対しましては、十分厳正な管理体制と申しますか、こういう態度で臨みたい。もちろん、親引けの処理等につきましても十分配慮して指導しておるつもりでございますが、これからますますこういう点については配慮を強くしていきたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林分科員 いろいろ大臣具体的な指導をおやりになる、やっておったとおっしゃるのですが、いま世論はどちらかといいますと、大蔵省の証券行政について姿勢を正しなさいという声が強い。証券行政が、証券会社の不法な行動に対して、一応注意しても取り締まらなかったという指摘さえもあるわけであります。ある企業が増資とか増配しようとするとき、あるいは時価発行をしようとするときに、大蔵省はその増資が適当であるかまずいか、あるいはその時価発行の株数がいいかどうか、その価格等について適当かどうか、こういうことまで指導し、あるいは相談に応じておったのでしょうか。これは証券局長でけっこうです。

坂野常和大蔵省証券局長

○坂野政府委員 御指摘の点は、すべて引き受け証券会社が、いわゆるアンダーライターが発行会社と相談しております。証券局といたしましては、そのアンダーライターが発行会社と取りきめをするその際に、そういった取りきめに投資者保護の観点から問題があるかどうかという点検のようなことを、ややマクロ的にいたしておりますが、個別のケースにつきましては、すべて発行会社と引き受け会社が相談してこれをきめるということになっております。

平林剛日本社会党

○平林分科員 もう一つ、この点あとでちょっとまとめて申し上げますけれども、増資とか増配などを考えておる企業が、最近資本自由化の時代になりつつあるということ、それから会社乗っ取りなどの懸念があるというような場合に、株主安定操作をやるということは、これまでしばしば、われわれは具体的な事実はつかまなくても指摘をされていたことです。先ほど大臣は、こうした行為は邪道だ、こうおっしゃったのですが、その邪道が今日まで企業の役員によって、あまり罪の意識が持たれないまま行なわれてきたのじゃないか。こういう傾向について、では大蔵省はどういう指導をなさってきたか。

坂野常和大蔵省証券局長

○坂野政府委員 そういう傾向あるいはうわさ等が私どもの耳にも入りましたので、昨年十一月と本年二月十六日、二回にわたりまして取引所から発行会社に対しまして、発行会社の姿勢の問題、特に時価発行をめぐる姿勢の問題及び自社株操作的な動きのないように、また役員、主要株主等が自社株の売買をすることによりまして利益を得るというような、いわゆるインサイダー取引的な行為のないようにという通達を発して、二回にわたりまして注意をいたしております。

平林剛日本社会党

○平林分科員 いまお話になったその問題も、あとでまとめて申し上げます。一応皆さんの行政がどう進められてきたかを、具体的な問題でお聞きしていきたいと思います。  増資や増配した企業というか、増資や増配をする発行会社が一般公募をする場合、株式市場を通さずに、まず買い取り先をきめて、さっき大蔵大臣は専門用語で親引け、こう言いましたけれども、これはもちろん証取法で取引当事者が証券会社になっておりますから、違反行為であるということは間違いがない。またこれは、一般公募ということから見ましても矛盾しているということは事実です。しかし、実際はこういうことが見過ごされてきたのじゃないですか。今日までの発行会社に、その実例がないと考えておいでになりますか。

坂野常和大蔵省証券局長

○坂野政府委員 いわゆる親引けは、当初非常に大きな割合でありました。私どもが注意を発するまでの間は、大体平均七割ないし八割近い親引けがあったわけであります。これを昨年の秋以来急遽圧縮するように指導いたしまして、引き受け証券会社においてこれをとりあえず五〇%まで圧縮をするというようなことをいたしております。さらに本年四月以降は、この部分を四〇%以下に圧縮するということで、いま新しく発行をしようとする会社には、そういう指導方針で当たっております。

平林剛日本社会党

○平林分科員 いまお話しのとおり、こうしたことに対して七〇%とかあるいは五〇%までは許容されるとか、四〇%にせよとか、こういうことは、証券行政の中でも半ば公然として認められてきた。これがやはり問題ではないだろうか、こう思うのであります。  それからもう一つ。先ほど大臣もちょっとおっしゃったのですが、増資とか増配のとき、発行会社が、商法に禁止されているはずの、増資、増配を公表する前にその株を買い占めることがある。また役員が自社株を売買をして不当なもうけをやる、こういうことについても、いままでの企業というものがこれでいいんだ、いままでもそうだったというような風潮があったんじゃないか。これを改めさせるために、証券行政では具体的にどういうことをおやりになったか、そういう点について証券行政の中でどう措置されてきたか、この点も伺っておきたいと思います。

坂野常和大蔵省証券局長

○坂野政府委員 自社株売買、特にその役職員等による自社株の売買につきましては、数年前からこれを問題といたしまして、外には発表しておりませんが、取引所において当該会社を呼んで注意した例が数件あります。

平林剛日本社会党

○平林分科員 私は、ただいまの証券局長のお話を聞いておりまして、注意をしあるいはそうしたことについて指導するというだけで、その行為そのものについて、それをまず一番わかっているわけですから、やらなかったということについては、やはり大蔵省の行政の中においても責任は免れぬじゃないか。大臣は一生懸命そういうことをやってきたと言うけれども、実態はそこに問題があったんじゃないでしょうか。こうした行為が見過ごされて、それが一つの温床になって今度の事件になってくる。しかも、それはいきなり検察の手にゆだねられる、こういうことは、皆さんの立場から見て非常に問題じゃないでしょうか。

坂野常和大蔵省証券局長

○坂野政府委員 これは一つは証券取引法のたてまえもあるわけであります。たとえば自社株売買につきましては、アメリカの法律ではこれを刑事事件として取り上げるような根拠法があるわけでありますけれども、わが国に輸入されました同じような条文では、六カ月以内に役職員あるいは一〇%以上持っておる大株主が自社株を売買して、そして利益を得たときは、それに対してその会社の株主はそれを会社に返還しろ、その利益を返還しろということを、訴訟を起こすことができるという規定になっております。この規定では、これを注意するというのが精一ぱいでありまして、これは非常にけしからぬことだ、あるいは大いに株主はこれを告発しなければいかぬのだというようなことを言えるかどうか、非常に疑問であります。証券取引法の一番のバックボーンともいうべき規定は、百二十五条と五十八条であります。五十八条は、およそ証券取引に関して不正、技巧を行なってはならないという非常に簡単な条文であります。これはそのとおりなんですが、具体的にこれを事件として取り上げるためには、たいへんな立証が要るわけでありますが、それについても、この法律がアメリカ法の輸入というようなことから非常に不備であります。百二十五条につきましては、ある程度具体化されておりますし、今度検察庁で取り上げられたような根拠規定にもなっておるわけでありますが、これまた立証にきわめてむずかしい点がございます。  そういうことから、証券行政といたしましては、証券行政のできる範囲内のことはすべてやっております。私はそれは信念をもって申し上げられます。しかし、それ以上の事柄については、できない事柄については、私はやるわけにはいかなかった、こういうことであります。

平林剛日本社会党

○平林分科員 私、この問題の結論に入る前にもう一つ聞いておきますが、大蔵省は先般山一、大七、丸荘、伊藤銀の四証券に立ち入り検査をした。先ほど大臣も立ち入り検査をしました、こう述べられました。その結果どうでありましたか。そしてその立ち入り検査によって、あなたが今後留意すべき点は何だとお感じになりましたか。

坂野常和大蔵省証券局長

○坂野政府委員 立ち入り検査はまだ終了しておりません。それから、言われました四件のほかにも、若干件数を増してただいま検査中であります。証券会社の大きさあるいは取引量の大きさによりまして長短はありますけれども、まだしばらく結論が出るまでには時間がかかりそうであります。中間報告的なものも現在は受けておりません。  しかし、私がこれを始めますときの気持ちといたしましては、一つは、いま問題になっている時価発行等にかかわる個別の問題からの価格形成に問題はないかという点であります。もう一つは、最近、特に通貨問題以後の証券市場には、きわめて大きな投機資金が流れ込んでおります。その投機資金の実態及びこれが価格形成にどういう影響を与えているだろうかというようなことも点検してみたいという気持ちでおります。

平林剛日本社会党

○平林分科員 大臣、私はいまいろいろな角度から問題を指摘しました。検察庁が今日一つの小さな会社を取り上げて、そしてこれに手を入れてきたということは、広い意味では大蔵省の証券行政に対して強い反省を求めているという受けとめ方が必要だと思うのです。こまかいことを言えば、まだあの同種のことは一ぱいある。日本の証券会社はほとんど逮捕しなければいけない。証拠があがらないだけである。具体的事実がつかめないだけである。そういうことから考えますと、これは厳粛に受けとめなければならぬ問題点ですね。ただ具体的事実がはっきりしないとか、あるいはそういうようなことが見過ごされていたとかいうだけのことですね。それに対する頂門の一針だと受けとめなければならない。  そこで私は、そうかといってすべてこれらの問題を全部検察がやるということは、また別の問題が起きてくるのじゃないか。これは大臣もお感じになっていると思う。こういうことを考えますと、現在大蔵省としては任意調査をしたと言われますが、真の意味の調査権というのはないのですね。また証取法に違っているものがあったといたしましても、その証取法に違っているものを注意する程度の権限しかない。これとても、証券会社だけに対してはできるけれども、発行会社にはないということが言えるわけです。このまま放置すれば、この機会に大いに自粛をさせるということは必要でありますが、しかしまた同時に懸念しなければならぬ点も起こってくる。  そこで私は、この際金融、証券の検査部門をもっと強化して独立をさせる、そして不健全な動きを事前に抑制するような機能を強化するということが必要ではないだろうか。そういう考えについて大蔵大臣の御所見を承りたい、こう思うのです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 いまの御論議でも明らかでありますように、当局としては株価操作などの不公正取引を早期に発見するということが何より大事なことだと思います。そしていま局長が申しましたように、そして私も就任いたしまして以来、法制の執行の範囲内におきまして、これはいままでの考え方からいえば相当ぎりぎりのところかと思われるくらいのいろいろの措置を、証券行政としても展開してもらっているわけでございますが、先ほど申しましたように、こういうかなりきびしいやり方をやっているところのそのさなかにといいますか、検察庁の捜査の入ったようなことが起こりましたことは、まことに私とすれば遺憾である。頂門の一針と考えろというお話でございますが、私も厳粛にこれを受けとめなければならないと思います。  同時に、将来の問題としては、いましばらく現行の法制のもとにおいて、そしていま申しましたような態度で証券行政を進めてまいりたいと思いますけれども、あるいは将来の問題としては立法措置というようなことも、たとえば証券取引法の改正というようなことも、あるいは将来の問題としては、経験上お願いをしなければならぬのかなと、これはもちろんまだ結論としての意見ではございませんが、そういうことも私の個人の頭の中には去来している考えでございます。

平林剛日本社会党

○平林分科員 私は、この点は今後の措置を待って、なお今後もこの風潮が改まらないときに、政府の責任はきわめて大きいということを指摘いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  第二の問題は、過剰流動性の問題であります。これは商品投機の問題を契機にいたしまして関心を集めておりますし、土地価格の暴騰も、これは日本列島改造論の影響もございますけれども、こういう問題も、今回の株式市場の異常な相場の問題も、その病巣は、私は依然としてだぶついている資金と、それから財政金融政策にある、こう思っておるわけであります。  そこで、この問題について少し大臣の御見解を承ってまいりたいと思うのですが、この間ある財界の相当有力な方、名前は申し上げませんけれども、政府が紙幣を乱発して金の価値を下げているようなときに、企業が自衛策として土地や株に走ったとしても、それは非難できないはずだ、こういう政府批判を述べておるわけですね。このことについて大臣はどういうお考えをお持ちですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 これは私に一言ございまして、私は、いまの時期は大事であると同時に、全体のかじの動かし方を切りかえていかなければならないところである。これはかねがねそう考えていたところでございます。そして要するに、一言にして言えば、インフレ予算だと一言にしてきめられるわけですけれども、それはどこからきているかといえば、たとえば公債をたくさん出すとか、あるいは管理通貨制度で、日銀券の発行が経済成長率よりも発行率が多いではないかというようなことを主として論拠にしておられると思います。それから現実的には、残念ながな物価が私どものいままで考えていたような動きではなく上がっている、これも事実、率直に申し上げるわけでございます。ところが、こういう資金のだぶついているときというのは、むしろ積極的に吸収する方法として、市中消化建設公債というものが活用されなければならない。そしてこれを財政主導型ということで、福祉、内需ということに積極的に切りかえるということが、いろいろの意味合いから必要なことであると、こう考えております。  それから通貨の乱発、乱発と言われますけれども、管理通貨制度のもとにおいて、かつ日本の現状において、なるほど計量的に言えば成長率よりも相当多くの発券が行なわれている。それから外国の学者の説などによると、それの範囲を越えているということが言われますけれども、しかし現状から言えば、たとえば国民の貯蓄性向というものは幸いにして相当な高さを維持している、あるいは預金通貨との相対的な大数的観察その他から申しまして、少ないにこしたことはないかもしれませんけれども、現在の通貨量というものが、しかくおそるべきものとは私は判断しておりません。これが全体の金融政策の展開、財政の実行の上において、総合的な立場からいって、適正な姿を漸次建設的に展開するものと期待をし、またそういうようにいくように、いろいろの政策を展開していきたい、こういうふうに考えております。

平林剛日本社会党

○平林分科員 過剰流動性資金、これをどういうふうに見るかというのは、いろいろな議論がございます。それは事実でありまして、私は必ずしもこれが過剰流動性資本だというようなことで、なかなか展開しにくい問題であると思います。しかし、一応その指標になるものは、現金通貨と預金通貨の計であるいわゆるマネーサプライ、これは私は一つの指標としては使えるのではないか。この場合、国民総生産との比較現状はどうかということでほんとうはお聞きして、政府からこまかい数字をいただいてから議論を展開したいのですが、時間もあまりありませんから、便宜私から申し上げます。  私の得た資料によりますと、昭和四十六年のマネーサプライは二十七兆六千九百三十一億円であります。これは前年比二九・七%の増加になっている。この間GNPは、つまり国民総生産の伸びは前年に比較して一〇・八%である。国民総生産の伸びに対していわゆるマネーサプライは三倍である。昭和四十七年度の傾向をたどってみますというと、昨年の十月末の現在高で二十九兆六千四百四十億円、これは同年の前月比に比較いたしますと二一・四%であります。このときの国民総生産と比較いたしましても、これまたはるかに大きいということは間違いない事実です。これでは私は金がだぶついてインフレが進むのは当然である。余った金を生産に使うよりは、投機に走るというのも自然の成り行きである。  こういう点を考えますと、私はこの指標を改めていくために何らかの手を打つべきではないか、こう思うのですけれども、この点について大臣はどう考えられますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 私は、こう考えておりますけれども、金というか金融というものが、日本の制度下においてどこからどういうふうに出てくるかということになりますと、たとえば都市銀行を中心にしてだけ申しましても、時間との相関関係は、正確な数字をいま宙で覚えているわけではございませんが、たとえば最近のある時期においてのそうした都市銀行の貸し出しの残が三十数兆円です。これは、たとえば商社等の手元の資金というものがある程度ありまして、よくいわれることですが、たとえば昭和四十六年から七年にかけて、外為からの払い超が六兆円といわれますけれども、それは事実そうですけれども、この全体の貸し出しの占める割合というものは、日本におきましてはもう圧倒的に多いわけであります。そして、これを最近のように二回にわたる準備率の引き上げということでもって乗数効果を入れて考えれば、貸し出し全体の増加というものには、準備率の引き上げによって押えた額は六千五百億円としても、少なくともそれの四倍、五倍の程度において貸し出しの量としては規制されることになる。その総量の規制ということを背景にして、株、土地あるいは商社活動というところに対して、きびしい具体的な対象別、目的別の引き締めをやり、反面におきましては、中小企業等についてそのしわが寄らないようにやっていくということをやりますれば、これでもう相当な効果が出てくる。それだけやって、それなら幾ら何が減ったとか、あるいは在庫品がどれだけ吐き出されたとかいうことを計量的にぴしゃっと明白に言うことは、なかなか統計上などもむずかしいことだと思いますけれども、いま私が申し上げ得るのは感覚的なことだけにすぎませんけれども、これはいろいろの関係から、かなり具体的な効果をあげてきているように私は見ておるわけでございます。  それから、先ほどもちょっと言及したところでございますが、そういうことをたとえてみれば、どんぶりの中に水が一ぱいたまっている。たたえてある。その中に油がちょっと混入している。過剰流動性というのは、その油の分だけをつかまえて、これだけをピックアップすればそれでおさまるというものではなくて、この全体の水の総量の規制と、それから水の出口を目的的に押えていくということが、日本の場合におきましては非常な効果があるものと、私は、これはもうそう考えておるわけであります。よくドイツの場合などは、入ってきた外貨を凍結してマルクにしないで、そのために証券を出したり国債を出したりして押えていますが、これは日本の場合と条件が違うのであって、少なくとも日本の今日の場合におきましては、投機資金は入ってきておりませんし、また不必要な、いわゆる日銀の介入でドルを買い集めているわけでもございませんから、その油の水に入ってくる目的がとめられておりますから、金融政策としては、正常な姿において金融政策を展開し得る状況にある。ドイツの場合は、投機資金の流入を押えるすべもない。そこで、入ってきたドルがマルクにかわって国内が急激にインフレになるということを押えるためにああいう政策をとっているのであって、それはそれなりにドイツの場合においては有効でございましょうが、日本の場合においては、そういうことは考えるべきでもないし、不適当なことである。まあ過剰流動性の問題は、いま申しましたようなやり方をとることが、日本の場合においては最も適切なやり方である、まあこういうふうに考えておるわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林分科員 いろいろ議論したい点もあるのですが、あと二、三で終えなきゃなりません。  そこで、ふだんなら私はこんなことは口にしないのですけれども、こういう時期になってくると、公定歩合の引き上げというようなことは必要な金融情勢でないだろうか、こういうふうに思うのです。ふだん私はこんなことは言いませんけれども、今日はもうそんなことを言っていられないような状態でないか、こう思うのですが、それについて大臣の御見解はいかがですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 私は、いま申しましたような考え方でございますから、公定歩合の引き上げというようなことは現在は考えておりません。公定歩合の引き上げというようなことは、全般的に見て、もう何もかにもが一律にいくわけでございまして、私は、やはり預金準備率の制度というものは現在の日本に最もよい制度である。昭和三十四年これができましてから、これはもう日本に一番適当な政策であるということを、私はその当時から非常に高く評価しておったわけで、現在のような状況においてはこの手法、そしてこれを背景にしてきめのこまかい政策を展開することが最も適切である。たとえば中小企業のことを考え、あるいはまたそれらに対して予算上でもわれわれとしては考えておりますけれども、金利政策というものをこの際早計に取り上げることは不適当だ、こういうふうに考えております。

平林剛日本社会党

○平林分科員 そのことに関連してちょっと銀行局長に一つだけ聞いておきたい。  最近、円の変動相場制によりてやや条件は変わってきたと思いますけれども、大体、それまでは企業、法人の中にはかなり余裕が出てきたところがあったわけであります。その企業や法人の中には、この際その借金を金融機関に返したい、こういう動きがあったのに、金融機関がこれを逆に、そんなことを言わぬで持っていてもらいたいということで断わっていた傾向があったことは御承知のとおりであります。過剰流動性の問題に関連をいたしまして、こういう傾向に対して一体どういう措置をとるべきであるか、どういうふうに考えたのか、これについてお伺いいたしたいと思います。

吉田太郎一大蔵省銀行局長

○吉田(太)政府委員 四十六年のいわゆるニクソン・ショック以来、金融緩和状況、その間にいま先生のお話のような傾向があったということは事実だろうと思います。これはあのとき非常に景気を刺激しようという形で経済界に対して政府も臨んでまいりました。金融政策の当局としてもそういう形で金融緩和の基調を維持していこう、こういう基本的な態度でやってまいったわけでございます。その結果、かなりの貸し出しの増加が見られました。昨年の春以来、日本銀行はいわゆる窓口指導ということを始めたわけでございます。いままで先生のおっしゃった傾向が一番顕著に見られたのは、昨年の、四十七年の四、五月ごろまでであったかと考えております。その当時の窓口指導と申しますのは、今日のように、その期の貸し出し計画を事前にチェックして、これに対して強い規制を加えるというやり方ではなくて、むしろ銀行のポジション、もう先生御専門でございますから詳しく申し上げませんが、預金と貸し出しのバランスをいい状況に維持しろという形の指導を行なってきたわけでございます。そういう効果がかなり見られてまいりまして、昨年の七月−九月期以来——実はその前に少し申し上げておく必要がありますのは、そういうふうに貸し出しが非常に積極化したのは都市銀行でございます。その都市銀行の貸し出しの積極化が、その他の銀行に影響を及ぼしてきたというのが実態だろうと思います。七月−九月期以来、都市銀行の貸し出しが態度には微妙な変化が見られております。先ほどの御指摘のような事情は、ケースによってはあったかと思いますが、いわゆる非常に目に余るという状況は改善されてきたように承知しております。  ただ、これも非常に大艦隊の方向転換のようなことでございまして、都市銀行の上位のそういう貸し出し態度の変化が全体の金融機関に及んでくるというのには、多少の時間がかかっておるというところで今回の金融政策の転換を迎えた、それがことしの初頭の話であったかと思います。これは先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、まず銀行の与信能力の基本でございます資金を吸収するということによって、貸し出し能力を押えていくということでございます。より直接的に響きますのは、やはりいま申し上げました窓口規制かと思います。これは、貸し出しの増加額を二分の一ぐらいに押えるというきわめてきびしい政策でございます。今日のところ、いわゆる貸し出しに対してその返済を待ってほしいというような条件は、もう今後はないものと、私はそのように考えております。

平林剛日本社会党

○平林分科員 商品投機の問題にからみまして、商社などに対する貸し出しのワクのお話まで言及されたわけでありますが、私は、この点はもう質疑はしません。ただ、それでなお足れりという考えは間違いだと思います。というのは、商社などによっては、資本金の数十倍の借り入れ金をしているのがある。これから貸し出しするのを二分の一にするというだけでは問題だと思うのですね。ですから、そういう角度からも一度洗い直しをして、そのことについて適切な措置をとるというようなことも大事なことじゃないのでしょうか。これはお答えは要りません。  最後に、結びとして、最近の経済情勢から見まして、円の変動相場制が長引くという傾向になってまいりました。したがって、この意味では、これから展開する事態というのは非常に深刻であると私は思っています。この間予算案審議のときに議論をされた以上に、問題は大きく広がっていきそうである。四十八年度予算の基本的な考え方であった円の切り上げ回避や福祉の充実、物価、インフレの抑制という基本方針はまさにくずれつつある。そこで、先ほどもお話がありましたように、思い切った政策の転換が必要である。これはおそらく政府でも否定はなさらないだろうと私は思うのです。ただ、その度合いがどの程度であるのか、これでいいのかという点がむしろ問題だと思うのですね。  そこで私どもとしては、一つは、予算の再検討をして全般的に組みかえるべきであるという主張をしておることは御承知のとおりです。同時に、変動相場制に移行し、かつ長期化する情勢の深刻化に際して、とりあえず何かせねばならぬのじゃないだろうか。もう少し様子を見るということでいいのかどうか。たとえば、とりあえず中小企業対策。それから、商品投機などによって拍車をかけられ諸物価が高騰していることにかんがみ、賃上げとか大幅な減税というものを決意して国民生活を守るということ。第三には、過剰流動性資金を吸い上げて、そして富の不公平を是正するために法人税を大幅に引き上げる。大臣は昭和四十九年と言われますけれども、むしろもっと早く打たなければあと追いになるのではないか。第四には、福祉政策はいままでのままでいいのか、もっと一歩前進させる必要が大きくなってきたのではないか。  こういうことから考えますと、これらの点を中心にして、予算の組みかえという問題についても、われわれは政府に対して要求し、迫るつもりでありますけれども、とりあえずこうした問題についての緊急補正予算というようなことをお考えになる御意思はないかどうか。この点について、最後に大臣の御見解を承りたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 いろいろ御心配をいただき、いろいろの御提案をいただいて、その点は一つの御見識と私も思いますけれども、遺憾ながら私どもの考え方としては、こういう状況であればあるほど、四十八年度の政府原案の予算というものの実施を早くやらせていただきたい。これがそもそもの考え方、基本的な考え方で、こういう情勢下におきましても何ら変わるところはないので、円対策をはじめもともと考えておったことを推進する、そして輸出を押え内需中心にし、財政の面におきましてもそういう切りかえをやって福祉面を充実をする、こういう切りかえた考え方で出しましたこの予算というものを、早く実施に移していただくということがますますもって必要になってきた。こういう点については、せっかくの御意見でございますが、食い違うと思いますけれども、政府としてはますますもって強くそういう考え方に立っておることを御理解いただきたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林分科員 この点は、どうも大臣の見解が私どもと違います。本来ここで声を大きくして猛反省を促さなければならぬということですが、この問題はまた日を改めて質疑を続けたいと思いますから、きょうはこれで終わりたいと思います。  どうも長い時間過ぎまして恐縮でございましたが、これで終わります。

黒金泰美自由民主党

○黒金主査 本日は、これにて散会いたします。     午後七時十七分散会

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