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71回国会衆議院1973/02/21

予算委員会 第14号

発言数
199
登壇者
16
会派数
4
開催日
1973/02/21

会議録

根本龍太郎自由民主党

○根本委員長 これより会議を開きます。  昭和四十八年度一般会計予算、昭和四十八年度特別会計予算及び昭和四十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 私は、公明党を代表いたしまして、通貨問題等につきまして御質問をしたいと思います。  まず初めにお聞きしたいと思いますのは、非常にいまこうした微妙な段階に来ておる中に、キッシンジャー補佐官が来日をしたわけでございます。総理は十九日、来日しましたキッシンジャー補佐官と二時間にわたって会談をされておるわけです。補佐官は、会談の結果に満足しているとして、この二十日に離日したわけですが、その後、総理は二十日の閣議で、資本の一〇〇%自由化、農産物の輸入自由化の推進を強く指示をされておられるわけです。日米通商関係について、補佐官との間に何が約束をされておったかということなんですが、でき得る限りひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 キッシンジャー補佐官との会談は二時間にわたって行なわれたわけでございまして、外務大臣が発表したとおりのことを話し合ったわけでございます。ベトナム、ラオス、中国等を訪問してまいりましたので、その話を一応報告を受けたということでございます。これはまだ大統領にも報告前の問題でございますので、この会談の内容等に対してつまびらかに申し上げるわけにはいかないわけでございますが、私のほうから述べましたのは、変動制移行後、日本も引き続いて国際収支の改善対策を行なっておるのだが、一部において課徴金をさらにかけるような言動も見受けられますし、またセーフガードの問題その他、米国としての輸入制限ということが行なわれるというようなことを聞いておりますが、これらは縮小均衡をもたらすもの以外の何ものでもないので、そういう措置はとらないようにという私の考え方を強く述べ、米国当局にもお伝えを願いたい。特に対日差別というようなことは望ましくない、というよりも、日本としては受け入れることはできませんので、そういう問題についても十分私の考え方を述べておきました。しかし、キッシンジャー補佐官は、特に経済というものの専門家ではないので、日本の希望、日本の考え方というものは伝えますと、こういうことでございまして、その他の問題は外務大臣が発表したような状態でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それで、先ほどお聞きしましたように、キッシンジャー補佐官が帰られて、この二十日の閣議に総理が、物の自由化あるいはまた農産物の自由化、それから資本の自由化等を発表されておられるわけです。タイミングが非常に合っております。ですから、そうしたことがキッシンジャー氏との間で何か話がかわされたんじゃないか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 具体的な合意も全然ありませんし、きのうの閣議の席上、いろいろなことを各閣僚に指示をしたり依頼をしたりいたしましたのは、キッシンジャー補佐官との会談とは何ら関係ありません。  いま諮問をしております資本の自由化の問題とか、それから物の自由化の問題等、各省間で長いこと詰めておるわけでありますが、なかなか結論がまだ出ないという状態でございます。おそいのは四月になるのじゃないかというようなものもございますが、日本としての貿易の自由化や、非関税障壁の撤廃や、関税の引き下げというのは諸外国からも強く求められておるのでございますし、日本自体も、求められる求められないいかんにかかわらず、どうしても行なわなければ、またという問題がいろいろ議論せられておるわけでございます。特に貿管令の問題に対しても、変動相場制に移ったら貿管令をやめるのじゃないかというような問題、そんなことを考えると、第二、第三の切り上げも避けがたくなるのじゃないかというような世論も存在いたします。ですから、国内体制を整えながら、なさなければならない開放体制移行への準備は一日も怠れないわけでございますので、その意味できのう閣議の席上で指示をしたわけでございまして、言うなれば、継続中のものを促進し、結論を得たいという挙に出るものでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 きのうからこうした円問題に集中しての審議が行なわれておるわけでありますが、それまで総括審議の段階で、この通貨不安という国際金融の激動を受けて、それに対する政府の責任回避が国会を空白状態におとしいれた、非常にこの点は遺憾に思うわけであります。今回のこういう事態に追い込まれて、しかも政治責任をあいまいにしようとなさった、こういうことについてわれわれとしては強い態度で臨んだわけであります。今後政府が、その責任が上すべりであったり、具体的な対策の中で反省が足らないようであれば、われわれとしては、国民生活を守るという意味で今後も強い姿勢で臨んでいきたい、このように思っております。  それで、まず初めにお聞きしたいのは、今回のこういう通貨不安に追い込まれた原因というものについて、総理はどういうように認識をされておられますか、それをお聞きしたいと思います。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 今回唐突に起こった問題ではなく、十年前からこういう問題はあったわけでございます。これはドルという基軸通貨、キーカレンシーとしてのドルの価値維持というものが困難であるということで、昭和三十九年の東京総会でSDRの制度を発足せしめ、その後、基軸通貨の問題と国際流動性確保に対して、十カ国の蔵相会議を中心にして鋭意検討を続けてまいったわけでございます。それが、一年二カ月前には多国間調整という形をもって、第一回目の通貨調整が行なわれたわけでございます。今度は第二回目。まあ、通貨調整の効果というものは一年、二年、また二年、三年かかるのだといわれておるわけでございますが、一年二カ月しかたたない現在、唐突に米ドルの切り下げという事態によって本件が発生をしたわけでございます。  日本も影響を受けるということはもう当然でございまして、変動相場制に移行しなければならない状態になっております。しかし、直接の原因は、イタリア、スイス、ドイツというふうに段階を追って起こったわけでございまして、ドイツは最後には六十億ドル余のドルを買い込まなければならないという事態になったわけでございまして、一〇%のドルの切り下げということをヨーロッパの四カ国、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリアというものが容認をしたことによって、ドルの一〇%の切り下げは確定をしたわけでございます。その影響を受けて日本も変動相場制に移行せざるを得なくなったわけでございます。  これは一つには、ドルの価値が依然として維持できなかったということが大きな原因の一つでございます。また日本も、変動相場制に移行せざるを得なかったという段階までには、あらゆる角度から諸般の国際収支対策を行なったわけでございますが、しかし、輸入は拡大をしながらも輸出は依然として好調をたどり、日米貿易収支が一年間で十億ドル近くもよけいになるというような状態であったこと、そういう事態がありましたので、日本もやはり変動相場制に移行せざるを得なかったということでございます。  もう一つは、ドルの切り下げによって、ドイツマルクは据え置きということになっておりますが、これは基礎収支がバランスをしておる、ゼロであるというところに一つの問題がございますが、日本自体は年間八十億ドル、九十億ドルというような貿易収支の黒字幅が計上されておるというような状態でございまして、変動相場制に移行せざるを得なかったということでございまして、他動的要因が非常に大きいわけでございますが、日本の国内的にもこれに対応できるような体制が完備しておらなかったということは事実だと思います。しかしこういう問題は、年間三十億ドル、四十億ドルというような対米貿易が一年や二年でなかなか解決できるものではないわけでございまして、日米会談で両三年以内に、それも全体的の国際収支において均衡をはかるということでございまして、対米収支に対しては、アメリカが望むようにいま直ちになるような状態でないということは事実でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 今回のこういう円の再切り上げに追い込まれる事態に至ったことに対する認識ですね、総理のお話を伺っておりまして、外圧であるというような、そういう受けとめ方というものが非常に強いように思うのです。もちろん、わが国のそうした、やってきたことについての反省もいまおっしゃっておられるわけでありますが、確かに、いままでの三次にわたる円対策にしましても、非常に対症療法的な、そういうような感じがするわけであります。さらに根本的な問題は、政府も今度の見解の中で示されておられますが、「これまで生産、輸出を推進してきたわが国の経済社会構造を福祉中心型構造へ転換するため努力を傾けます。」こういうことをあえてまたこの時点になって公約しなければならないという、政府のそういう取っ組み方、こういうものが私は非常に大きな問題ではなかったかと思うのです。その点について、先ほどの総理の御答弁では非常に反省がないように思うのですが、もう一度重ねてお聞きします。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 これから、生産第一、輸出推進という産業構造から、国民福祉優先の方向にウエートを置いた構造に切りかえなければならないということを政府も考えております。  ただ率直に、これは弁解になるかもしれませんが、事実の上に立って述べますと、これはうんと引き締めを行なえば、そうでなくとも輸出ができるわけでございますから、不景気になればもう当然輸出に向くわけでございます。ですから輸出は、どうしても内需を振興して、内需に振りかえていくということをとらざるを得ないわけでございます。しかし、そういうことを急激にやれば、卸売り物価が安定しておったものが高騰するとか、それが当然一年後、二年後には消費者物価にはね返ってくるというような悪循環が続くおそれがありますので、相当慎重な態度と配慮でもって進めなければならないと思います。  もう一つは、産業構造そのものを変えるにはある程度の時間がかかるわけであります。いままでつくっておったものを全部切りかえなさい、こういっても、なかなか切りかえられるものではないわけであります。燕というところに洋食器の工場がございますが、これは対米貿易というものがほとんどでございます。ですから、第一回の円の調整が行なわれ、第二段階のフロートに入っても、これが何に転換するのかといってもなかなか時間的にもかかるわけでございますし、知識集約化にも一年や二年でかわれないということでありまして、言うなれば、やはり構造転換を行なうまでは内需を振興していく以外にはないわけであります。  私が間々申し上げておりますように、ちょうど二年前は、日本は四十五億ドルの外貨しかなかったわけでございます。これは昭和四十年の不況時代の十七億ドルないし二十億ドルに比べてやっと倍というところでございました。ですから、そのあと第一回の切り上げが行なわれた四十六年の暮れ、この四十六年は非常に不況であったわけであります。初めは実質成長三%というような状態でございました。ですから、四十六年度の後半から持ち直してきた経済というものは、四十七年一ぱいは、初めはとても九%には至らないだろう、八%であろうというものが、非常に高い成長を続けたわけでございます。そういうような国内状態がございまして、わずか一年間、不況のどん底からまる一年間ということが四十七年度一ぱいということでございまして、この時点において国内的な景気を刺激する、また社会保障やそういうものに対して大きく予算投資等をすべきだったと思います。しかし、あの当時はそういういろいろな前提条件がありまして、四十七年度中には非常に景気が上昇して、景気の上昇している過程において輸出もまた非常に伸びたということでございます。だから異常な状態であったわけでございまして、これからは福祉優先対策というようなものは先取りをしてもやるような姿勢でなければならない、年次計画にとらわれるというようなことではなく。そういうことが産業構造の転換を促進するものにもなるように心がけていかなければならないだろう、このように考えておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 特に、一昨年末の円切り上げに追い込まれて以来、福祉中心型に転換する努力を政府はあらゆる機会に表明されてきたわけですが、福祉型構造に転換するといいながら、たとえば防衛費につきましては長期計画を立案しておる、そして予算措置を行ないながら、社会保障についてはそうした計画はされておらないということです。四十七年度もそうでしたけれども、この田中内閣になってからでもそういうような計画というものはないわけです。これは経済社会基本計画の中でもはっきり、この計画の立案というものを確約していないわけですね。ですから、まずこの姿勢というものが、ほんとうに福祉優先のこういう政策にしていくのであれば、当然この長期計画でもぴしっと立てて、まずビジョンをつくっていく、やはりこういう姿勢がなくちゃいかぬじゃないかと思うのです。どう思われますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 社会福祉の長期計画というものは、長期経済計画の諮問をいたしまして、もっと早く答申をいただくつもりでございました。それが二、三カ月おくれたわけでございます。そういう意味で、ようやく長期経済社会基本計画の中で、振替所得六%を八・八%に上げようという答申をいただいたわけでございますし、政府もこの案を決定いたしました。  これからはひとつ、いろいろな経済情勢もあるから年次計画をつくることはむずかしいのだというようなことではなく、これを契機にしまして、道路や鉄道とかその他の長期計画はあるわけですから、やはり少なくとも長期経済社会基本計画で示されたものを年度別にどうするか、その内容をどういうふうに区分するかというようなものに対しては、社会保障制度審議会その他の御審議をお願いして、何とか五年程度の、十年、十五年というものは見れないにしても、少なくとも五年ぐらいの社会保障の拡大計画というものは国民の前に明らかにすることが望ましいと私は考えております。そういう面に対しては勉強してまいりたいと思います。特にこれからは、御承知の新全総の作業をもういま進めておるわけであります。昭和六十年、昭和六十五年と、ますますその中に占める社会保障、生活優先の全体計画はどうなるのかというものがございますので、そういうものに対しても十分ひとつ検討を続けてまいりたい、こう思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 総理は、望ましいということをおっしゃっておるわけですが、しかしいまの段階に至っては、望ましいという段階ではなくして、やるかやらないかという問題だと思うのです。お出しになりますか、これ。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 お答えを申し上げますが、社会保障の年次別の長期計画につきましては、今回の新しい経済企画庁の計画ができ上がりましたので、それをもとにいたしまして、五カ年間の年度別の、年金、医療、社会福祉、三部門に分かちまして、計画を立てるようにいたしたいと考えておりまして、来年度の予算におきましても、厚生省に懇談会をつくりまして、学識経験者等に御協力いただいて年次別の各論的な計画をつくる、こういうことにいたしておる次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 では厚生大臣は、作業日程としてそれをいつごろまでになさるのですか。

齋藤邦吉自由民主党厚生大臣

○齋藤国務大臣 お答えを申し上げますが、四十九年度の概算要求がもう七月、八月ということになるわけでございますので、全体の計画とにらみ合わせながらできるだけ早く四十九年度の予算を要求しなくてはなりませんから、それに間に合うように計画をつくる、こういうふうにいたしたいと考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 私は、何点かのこうした問題をあげてみたいと思うのですが、ここで私は別に税制の問題を論議しようとは思っていないのですけれども、一例をあげてみますと、四十七年度は繰り上げ減税といって減税を見送ったわけです。四十八年度の税制改正で大幅減税ということをいっておりますが、わずか三千百億円しか減税をしていないわけです。これでは、国鉄運賃あるいは健保料金などの公共料金の引き上げによる諸物価の高騰から考えると、焼け石に水であるということが言えるのじゃないかと思うのです。あるいはまた、夫婦子供二人の標準四人世帯で四十八年度の課税最低限、初年度百十二万、平年度百十四万、昨年から十万円アップされておるわけですが、総理府統計局の調査にある標準生計費は、昭和四十六年度で百二十四万一千九百五十二円であるわけです。そうしますと、生活費には課税しないという原則から見ますと、これも逸脱しておる。こういう点から見ましても、福祉優先どころか、どうしてもやはり生産第一主義という歴代内閣の性格は変わっておらないわけです。こういう点、これは長い問題になると思いますので、大蔵大臣から簡潔にひとつ……。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 課税最低限につきましては、御承知のように、夫婦と子供二人の標準家庭でございまして、総理府の生計調査等とはちょっと基準も違う点があろうかと思いますが、それはともかくといたしまして、最低限は、昨年度の百三万から十二万あるいは十四万のところまで上げたわけでございますから、比率にすると一〇・七%、これは前にも当委員会でもいろいろ御論議がございましたが、自然増収に対する比率などから申しましても、従来から見れば相当大幅な減税でございます。  ただ、さらに将来の構想としてこういう点にもっと配慮すべきではなかろうかということについては、私も将来の計画といたしましては、そういう点を十分考慮に入れていきたいと思っておりますが、今年度といたしましては、ずいぶん周到に考えまして、まずこれが本年度のとるべき適切な措置である、こういうふうに考えておる次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 こうした項目は、これ突っ込んでいけば、これだけでもいろんな論議になるわけですので、私は何点かを申し上げておりますので、次にいきたいと思います。  社会保障や減税福祉型に転換されていないために、国民総支出に占める個人消費支出の割合も、実質で五〇%台でしかないわけです。また、改定しなければならないこの政府の経済見通しでも、成長率一五・七%に対して個人消費の伸び率は一四・一%という数字のままに放置されておるというようなこともあるわけです。あるいは公害防除について考えましても、田中総理の日本列島改造論の唯一の評価される考えとされた濃度規制から総排出量規制ということがあったわけですけれども、これはわれわれもどんどんとそれを主張してきたわけですけれども、これもいまだに具体化されておらない。あるいは、環境庁長官の諮問機関である中央公害対策審議会の企画部会が昨年の十二月に発表した環境保全長期ビジョン中間報告で、昭和六十年までの実質経済成長率を平均八・四%と想定すると、経済活動のウエートが単に過密地域から過疎地域に移っても、過密地域の汚染は解消せず、今後の開発地域で新しい汚染が急速に進む。また汚染物質の排出量を、大気については硫黄分、水質ではBODで試算すると、経済成長率が平均八・四のまま続くと、昭和六十年には硫黄分がいまの三・六倍、BODは三・三倍、ごみは二倍にふえるとまで指摘しておるわけです。それにもかかわらず、成長率に対する考えを変えていないわけですね。ですから、一昨年の円の切り上げ以降、いろいろな計画なり何なりずっと発表されておりますけれども、一つ一つ見ていきますと、いろいろなこういうような問題点が出てきておるわけです。この点について、きょうは環境庁長官も来られておりますから、どう思われますか。

三木武夫自由民主党環境庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○三木国務大臣 今後の経済成長の場合に、いろいろな公害防止、あるいはまた開発に対するいろいろな環境の保全、そういうものを何もしないでやれば、いろいろな問題、指摘されておるような問題になりますが、そういうことに最善の注意を払いながら経済の成長をはかっていくという前提になってくれば、それはいろいろな汚染の状態にも変化が起こる。だから、われわれが今後やろうとすることは、開発の場合に公害の防除ということに対して最善の注意をする、そのための技術開発もする、あるいはまた環境の保全にも万全の対策を講ずるという前提に立って、その環境の破壊からくるいろいろな弊害を防除していくという必要があるわけでございます。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 経済社会基本計画におきまして、ただいまの環境保全の点でございますが、昭和五十二年度を目途といたしまして、人の健康に影響の生じない水準に現行環境基準をすみやかに強化し、その達成につとめるということにいたします。特に三大湾地域、東京湾、大阪湾、伊勢湾北部、この三大湾地域につきましては、昭和四十五年度に比べまして排出量をおおむね半減させるということを目途にいたしております。これは硫黄酸化物による大気汚染の問題でございますが、さらに水質の汚濁につきましては、昭和六十年には健康、生活環境に影響のない状態の回復を目途といたしまして、計画期間中に、少なくとも現行環境基準ないしはその暫定目標を達成することといたしております。特に三大都市につきましては、昭和五十二年までに、昭和四十五年度に比べましてBODの排出負荷量をおおむね半減させるということを目的にいたしておるわけでございます。ちなみに三大都市とは、関東臨海、東海及び阪神の地域でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 もう一つだけ申し上げておきますと、たとえば住宅問題にいたしましても、四十六年から五十年までの第二期住宅整備計画が策定されておるわけですが、この期間に九百五十万戸建設をいっておるわけです。そのうち、政府施策住宅は三百八十万戸、あとは民間だという数字を出しておるわけですが、実際今後住宅がどれだけ要るかということを考えますと、昭和二十一年から二十六年までのこのベビーブームで千二百万人誕生した、単純計算でいきますと六百万カップルができるわけです。あるいは木造の建てかえ数でも三百万戸、現在三百数十万戸の人がほんとうに入るのに困窮しておるわけです。こういうような数字を見ていきますと、さらにまた、核家族化が進んでおる中で、どうしてもこういうような数字でいいのかということなんですよ。これだって改定しようということをやらないじゃありませんか。福祉経済型に転換するというならなぜこれをやらないのですか。あるいはまた、四十八年度から政府の土地取得難から持ち家住宅を推進しようとなさっておるわけです。住宅公団の建設戸数を八千戸減らして住宅金融公庫のワクを拡大しようとしておるわけです。しかし、政府が土地が取得できないものがどうして個人に土地が取得できるかということなんです。こういうことを見ますと、非常に福祉向上と逆行する、何ら進んでいないということが言えるんじゃないかと思うのです。本気になって政府が取っ組むなら、こういうように一つ一つサーチライトを当てて計画なりそうしてまた実行していくその姿勢というものがなかったらいけないと思うのですよ。こういう問題については建設大臣はどう思いますか。

金丸信自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○金丸国務大臣 住宅問題につきましては、土地の問題等も御指摘のとおり至難でありまして、現状幾ぶんおくれておる感はあるわけでございますが、ただしいままでの計画はおおむね進めておるわけでございまして、ただ、この状況がこれでよろしいかということになりますと、考えさせられる点もあるわけでございますが、五カ年計画の実施をまずやらなければならぬと私は考えておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 ですから、計画も不十分、しかもその実施も遅々としておくれがちの傾向があるわけなんです。こういうような、それは現実のむずかしいのはよくわかりますけれども、やはり私が先ほど申し上げたように、一つ一つそういう点において真剣にやっていただかなければ、結局は、もうこの円問題にあるように、またこれが大きく回り回って、従来の生産第一主義の方向に引っぱられていく、またそれが再々切り上げになってくる、回り回ってそういう方向にもなってくるわけです。ですから、本気になって、いまこそそうした内部の充実に力をあげていくべきだと思うのです。  そういう点、ともすればいままでの内閣は、口先だけの公約ということは、これはみな言われておるわけです。ですから、そういうことであってはならぬと思うのです。少なくとも決断と実行をうたい文句にされている田中内閣でありますし、やはりその点は実行してもらわなければ困ると思うのです。その点、私は何点か指摘申し上げましたけれども、今後どのように総理としてはこうした内容充実に取っ組んでいかれるか、それをひとつお聞きしたいと思うのです。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 二つお答えいたします。  一つは、社会保障の充実等は、年次計画を早急につくって実行に移してまいりたいと、こう考えます。  住宅問題につきましては、これは私が前々申し上げておりますように、非常に住宅は建設されておるのでございますが、しかし、絶対量が足らないというところは一体何が原因なのか。これは一つには、都市に人口が過度に集中をしてくるということが一つの原因でございます。そのかわりに過疎地域においては、維持することも困難な大きなうちが残っておるわけでございまして、老夫婦がお寺のようなうちを維持しておるという事実もあるわけでございます。もう一つは、岩手県の例などに見ますと、人口は減っているわけであります。人口は減っておるのであって、新しい家はどんどんとつくっておるにもかかわらずなお家が足らないというのは、いわゆる核家族という、家族が分裂をしていくというところに現象がございます。ですから、これからの問題は、やっぱり都市の住宅はどうするのか、それからその他の住宅はどうするのかということでございます。  でございますので、今度の土地の政策の中には、農協がレンタル制度等を採用しながら宅地や工場再配置の地域を提供しようということになっておるわけでございますし、なおまた市街化区域以外でも、調整区域でも、一定の規模以上になりまた基準に適合するものは、県、市町村等が行なう宅地造成等に対しては、これを許可していこうという方向にあります。そうすれば、交通網の整備が行なわれれば、住宅問題は相当程度解決するわけでございます。  それからもう一つは、一番問題なのは大都市でございますが、大都市はいままで住宅公団にやらしておるようなことをしておりますと、だんだんと平面都市になってまいります。平面的になりますと、神奈川や千葉や埼玉は、埼玉県や神奈川県の県内の人を入れることを優先をして、残ったらということになりますし、もう一つは、この間新聞に報道されたように、何千戸かつくっているにもかかわらず入居者は皆無であるという事実、これはやはり都心部の再開発ということが必要であることでございます。そういう意味で、都心部の開発をするにはどうするかといえば、大型区画整理を行なう以外にはないわけでありますが、建築基準法で許可しておるものに対しても、東京都は四月一日から十メートル以上の高さ制限を行なおうと、こういうようなことであるならば、もう実際どうにもならないわけであります。平面都市になるわけでありますから。だから結局は、いままでは高さを制限しておったものを、低さを制限するようなものにならなければならぬわけであります。ですから、区画整理を行なう、そうして土地を持っている人がそのまま区画整理を行なって住宅建設を行なうということになれば、いまの制度でも、四階までは五年間、五階以上は十年間、住居の用に供する部分に対しては固定資産税を半減しておるわけです。これは免税してもいいわけであります。そういうふうにしないと、住宅と土地問題は解決しないわけでありますので、今度出す法律の中で、たいへんまだ反対もあるようでございます、異論もございますでしょうが、市街化区域内を特定の街区整理事業が行なえるような地域に指定できないか。そうすれば、住宅は建つし、そうして解決の根本的な手段になるわけでございます。いま、建設省が江東地区に一区画を予定をしまして、一つの見本をつくろうということを考えておるわけでございまして、やはり東京は過密でありながら、平均一・七階なしい一・九階である。これでは土地問題は解決できないわけであります。  そういう意味で、公共優先というためには土地の利用制限を行なう、やはり立体化を行なうというためには制度が要るわけでございますから、そういう問題に対しては、いま建設省、経済企画庁等で検討しておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 私がいま何点か申し上げ、それについて総理は、住宅なり社会保障問題をおっしゃったわけですが、私は何もその二点だけ言ったのではないのでありまして、要するに、きめこまかに一つ一つの国民福祉の問題についてサーチライトを当てて、そうしてそれをほんとうに福祉転換型に内容を充実していくにはどうすればいいかということを、私は、現在計画があるものについても洗い直しをしていくとか、そういう根本的なことをお聞きしているわけです。総理が日本列島改造論でいろいろなお考えを持っておられることはわかっておりますし、いまここでお聞きすれば何時間あっても足らぬわけですから、あまりこまかいことではなくして、そういう私がいま申し上げた洗い直しをして、そうして足らざるところはさらに力を入れていく、こういう一つ一つきめこまかにやってもらいたいということなんです。これについてはどうですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 洗い直しをいたします。そうして適切な処置をとります。  住宅公団などは、これは平面的にどんどんとやれないので、これは方向を全く逆にして、都心に向かってきて、そうして公有地をどう使うか、そうしていまあるところのスラム街を解消しながらどう都心の高層住宅を建てるかというほうに転換をしなければならないことは、もう事実でございますので、そういう意味でも洗い直しをいたします。

近江巳記夫公明党

○近江委員 次にお伺いいたしますが、経企庁長官は、四十八年度の経済見通しには円の切り上げは予測していなかったと答弁されておられるわけですが、事実上の円の再切り上げ状態になっておる中においても、経済事情は変わっていないという考えをお持ちですか、経企庁長官。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 四十八年度の経済見通しが決定されましたのは一月の二十六日でございましたわけですが、この時点では円平価の切り上げという考え方は持っておりませんでした。しかしながら、この場所あるいは本会議等で申し上げておりまするように、非常に日本の景気回復の実態が速度が速いのでございまして、特にこの十—十二月期におきまする諸指標が著しく、何と申しますか、経済の立ち直り現象が顕著でございまして、私どもがあの見通しの中でいっておりました一〇・七%の成長率、あるいは消費者物価の五・五の期間上昇、そういうようなものは、どうもそれ以上にいくのではないかというふうな感じが強くなっておるわけでございます。  したがいまして、近江さん御承知のように、平価の切り上げということになりますと、デフレ的な影響を持つわけでございますが、そうした影響がこの見通しの中で、私、申し上げましたような諸指標の強さの中に消化されるのではないか、かように思っておりますわけです。  しかし、これはいまフロートしている段階でございますし、いずれは固定相場になりますわけでございますが、そうした段階になってどうなっていくかということを注意深く見ていきたい、こう思っておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 経済事情が変わっておるということはお認めになるわけですね。どうなんですか。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 いま申し上げました諸指標の中の動きでございますが、たとえば生産をとってみますると、七月−九月の段階では、前期に比べまして二・四%増になっておるのです。これが十—十二月の段階ですと五・二%増になっている。それから出荷のほうが二・九、これが五・四。機械の受注が前期に比しまして四・四ふえておるのが一六・七になっておる。それから卸売り物価も〇・八でございましたのが二・九になっておる。そういうふうに非常に諸指標が強いのでございます。これは瞬間風速といっておりますが、四半期ごとの動きでございますから、このままずっと伸びていくとも思われぬところもございます。いろいろ上下するわけでございます。そういう状況を見てみますると、一月二十六日にきめました政策目標の中の諸指標は、いろいろ動いているということは言えると思うのです。  ただ、この政府の経済見通しというものは、いわゆる社会主義国家のような計画経済をやっているわけじゃございませんので、一応望ましい姿というものを想定して、しかもそれが実現可能なる望ましい姿ということをもって経済見通しにしているわけでございまして、その間には、財政政策あるいは金融でございますが、特に大きく響いてまいりますのは、金融の引き締め等によってその風速を押えていくというようなこともございます。それから、輸入をもっとふやしていくというような、輸入関税を下げたり、また自由化をしたりするというような政策もございましょうし、あるいは輸出の価格をもっと上げさせていくというような政策もございましょうし、そういういろんな貿易政策、財政金融政策というものをミックスしまして、この望ましい姿に持っていきたいというのが私どもの指標であるわけでございます。  そこに、今度のこの為替の問題が入ってきたわけなんでございまして、それらを全部総合してみますと、私は、一応この目標というものはよろしいのではないか、その中に吸収されていくのではないか、こういうふうに見ているということを申し上げるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 そうしますと、総理が円再切り上げは絶対避けると表明されておられたときに、経企庁長官は円の切り上げを予測されておられたのですか。いまの御答弁でしたら、あらゆるものが含まれておるというような御答弁であったわけです。それをひとつお聞きしたいと思うのです。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 私は、いまの時点で申し上げているのでございまして、一月二十六日の時点では、それは入っておりません。為替の問題は入っておりません。しかし、いまの時点になってみますと、円切り上げといいますか、いまフロートしておりますけれども、実際はアメリカが一〇%引き下げたのですから、その分の変化はあるわけですが、その変化というものが、デフレ的な影響を持つ変化というものがこの指標の中に入ってきているという事実を申し上げているというわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 経済事情というものは、いま円の再切り上げがされようとするこの段階において、また、これからも大きく変わっていく激動の段階に入ったと思うのですが、この経済見通しというものは、こういう状態になりながらでも変えないのですか、これは。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 最近の例を申し上げてみたいと思いますが、昭和四十三年と四十五年が経済見通しをそのまま扱っておりますが、他の年では、大体十月から十一月ごろに経済見通しというものをまた改定しております。これは経済のことでございますから非常に動いていく。その動意に沿うて変えていくということでございまして、そのときには経済見通しも変わるし補正予算が組まれる、こういうことになっておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 きのうも他の委員から、この予算の修正についてのそうした質疑があったわけでございますが、私は、具体的な問題をお聞きして、この予算の修正についての政府のお考えをお伺いしたいと思います。  たとえば防衛庁予算の中で、航空機購入費が千百七十七億円あるいは艦船建造費が三百六十億円、武器車両等購入費が八百三十五億円計上されているわけです。これらのうち、輸入装備品というものは合計で二百十億円であるわけです。そうしますと、この二百十億円という額は、円切り上げによって当然変わってこなければならぬわけです。これについて防衛庁長官はどう思いますか。

増原恵吉自由民主党防衛庁長官

○増原国務大臣 四十八年度防衛庁が輸入をします装備品の予算額は、四十七年度以前の契約にかかる歳出化額を含めまして、ただいま仰せのとおり二百十億円でございます。このうちで有償援助協定、FMSと申しておりますが、有償援助協定に基づいて米国から輸入をするものは約百十一億円、商社を通ずる輸入は約九十九億円でございます。装備品を申し上げる必要はないかと思いますが、こういうものにつきましては、米国との直接有償援助協定、FMSについて買いますものと、商社を通ずるものに分かれますが、FMSにかかわるものはドル建て契約となっておりまして、米国への支払いは日銀を通じて直接ドルで行なわれまするので、商社とは関係がございません。  なお、この場合の円対ドルの換算レートは、支出官事務規程第二十一条に基づきまして、平価の変更がない限り現行の為替レートで、一ドル三百八円でございますが、行なわれます。商社を通ずるものにつきましては、為替相場の確定に関する特約がつけてありまするので、商社が現実に支払った際に適用されました外国為替相場で精算をされまするので、変動相場制への移行に伴って、不当な利益を得るというふうなことはない取り計らいになっておる次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 こういう一つを見ましても、たとえばコマーシャルベースの先ほどおっしゃった九十九億、これだって、現在幾らしているのかわかりませんが、二百六十八円ですかね。いまそういう変動をしておるわけでしょう。一六、七%ですね。そうなってきますと、三百八円のときで積算した数字というものは、これは完全に変わってくるわけですね。いまこういうフロートしておりますが、三百八円になるというようなことは、こんなことは考えられるわけはありませんね。将来固定相場に戻るとしても、少なくとも大体いまの線である。そうすると、これだけでも計数的においてもころっと変わってくるわけですよ。しかも、防衛庁長官がおっしゃったFMSのこれは三百八円、現実に二百七十円となっておるのに三百八円、むざむざとそんなばかな払い方をなさるのですか。それも一つ大きい問題ですよ。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 当委員会で前にも御説明したと思いますけれども、歳出の予算の中には外国から物資を購入するものがございます。その中には、外貨建てで積算されているものと、それからいま防衛庁長官からも御説明ございましたが、平たく申せば輸入品を買うという場合、両方ございますけれども、外貨建ての場合におきましては、フロート中におきましては、基準外国相場が変わるわけではございませんから、三百八円で仕切りますけれども、現実に支払いになるものは日銀を通して為替を買うわけでございますから、そこで実際の支払い額は予算で予定していたものより減るわけでございます。  それから、輸入品を買いますものはこれは円で買うわけでございますが、輸入品がどれだけ価格が安くなるかということは、これは現在的確には想定されないわけでございます。したがいまして、予算の上から申しますれば、いずれの場合におきましても予算の執行には支障がない、それからこの予算の立て方におきまして国損を生ずることはない、この二つのことをはっきり申し上げることができるわけでございまして、この面からいいますと、変動為替相場のときには少なくとも歳出予算の立て方を修正する必要はない、こういう結論になるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 もう一つ事例を出してみたいと思うのですが、沖繩返還協定に基づく沖繩返還協定特別支出金、いわゆる対米支払いは、四十八年度五千五百万ドル支払うことになっておるわけです。予算書では一ドル三百八円のレートで百六十九億四千万円が計上されているわけです。均等年賦払いとなっておるわけですが、この額が支払われるかどうかということなんです。この協定特別支出金については全体で三億二千万ドル、四十七年度が一億ドル、四十八年度から五十一年度が五千五百万ドルずつになっておりますね。これについてはどうですか。

相澤英之大蔵省主計局長

○相澤政府委員 この支払いはアメリカに対する送金でございまして、支出官事務規程の第二十一条によりまして、「外国にいる債権者に対し外国貨幣を基礎とする金額の支払をしようとするときは、別に定める外国貨幣換算率により換算した邦貨額を券面金額とする小切手を振り出し、」云々ということになっております。したがいまして、その支払いは、「別に定める外国貨幣換算率により換算」することになっております。その換算率は、これは大蔵大臣の告示によりましてきめられております。その告示による換算率は基準相場によることになっておりまして、したがいまして、現在も一ドルにつき本邦通貨三百八円ということになっております。  そこで、支出はそのとおりになるわけでありますが、しかし、日銀が現実に送金いたします場合には、実勢の相場によって送るわけであります。そこでその差益が出ます。その差益は日銀から一般会計の歳入に納付するという仕組みになっております。したがいまして、歳出予算額の執行としては現在の予算額でやる、変動相場制をとっている限り基準相場が変わっておりませんから、これでやるということになっております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 いずれにしても、このように三百八円が二百六十五円ですか、これはフロートしておりますから決定的なことは言えませんけれども、しかし動いておるということは、計数的に見ましてもこの予算書というものは、どういうのか、われわれとしては審議するのにもはっきりしていないわけですね。いろいろほかにも特別会計、たとえば食糧管理特別会計あるいは外国為替資金特別会計、国債整理基金特別会計あるいは日本輸出入銀行の予算、あるいはまた財投計画にも入っておりますが、石油開発公団あるいは金属鉱物探鉱促進事業団、このようにいろいろなところを見てまいりましても、同じようなこういう問題があるわけです。  こういうことを考えていきますと、今回のこの予算につきましても、このままで審議をしていくということが非常に困難になってくるわけです。歳入につきましても、見込み予算ということも言っておるわけでございますけれども、しかし、これも明らかに変わってくる。歳入、歳出ともこうした動くような状態の中で、ほんとうに政府としてこのままのこういう予算をわれわれに審議をせよとどこまでもおっしゃるということについて、われわれとしては納得できないわけですよ。当然私は修正をすべきだと思うのです。総理はどう思われますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 変動相場制に移ったということは、これから開放経済を進めていきますといろいろな事態が起こる可能性があるわけでございます。現にアメリカのドルの切り下げだけではなく、オーストラリアでも切り上げが行なわれておりますし、ヨーロッパの各国でも変動為替相場制は長いこと続けておるわけでございます。そういう意味で、固定相場制でもってはっきりきまっているわけじゃないわけでありますから、これからもそういうものには対応していかなければならない立場にあるわけでございます。ですから、変動為替相場制に入った場合に、二つの問題をひとつしぼって考えていただきたいと思うのでございます。  一つは、歳入見積もりが変わらないかということでございますが、いま固定相場制に移っているわけではないので、どの程度影響があるかどうかを見積もることはむずかしいということでございます。むずかしくても、大きく変動があるのじゃないかということがもう一つ突っ込めばあるわけでありますが、経済の見通しから考えてみますと、四十六年の暮れに第一回の一六・八八%の切り上げをやりましたが、四十七年度は予想外に景気は上昇過程にあって、税収は思ったよりも確保されておるわけであります。それから、四十七年度の下期の税収や下期の経済見通しを見ますと相当高い成長率で、一〇・七%という四十八年度を通じての見通しは甘いのじゃないかという一般の世論もあるわけであります。しかし、それはいろいろな政策を行なうことによって、適時適切な施策を行なっていくことによって、一〇・七%で大体押えられると思います、そしてそれは将来に向かっては、長期経済社会基本計画にあるように、九%、八%というようななだらかな推移をたどりながら、五カ年間の平均成長率をこのようにしてまいりたい、こういうことを言っているわけでございます。そうするためには、普通六%も七%にもなるのじゃないかといわれておった物価も、五・五%に政策的には押えてまいります。こういうふうな見通しでおるのでございますから、いま変動為替相場制に移っても、強弁するのじゃありませんが、過去の例に徴してみても、また昨年下期の経済の実勢を引き延ばしてみても、大体税収は確保できるのじゃないか。いまこれを改定しろと言っても、見通しはさだかにはできませんというのが第一であります。  第二には、では大きな欠陥が生ずるかどうか。四十年不況のときに減収補てん債を出しただけであって、あとは税収というものに対してはずっと積み重ねてきておるわけでございます。そういうわけで、税収に対して欠陥を生じて予算の執行が不可能になるようなことはないと思いますということが一つの問題でございます。  もう一つの問題は、予算上の執行の問題でありますが、いま大蔵大臣及び主計局長が述べましたとおり、法律は固定レートでもって支払うことになっております。日銀からの実際の支払い額との差額は国庫に逆納付をすることになっております。これは予算と決算と両方の面があるわけでありますから、決算において国損を来たすようなことはないわけであります。  要は、いま御審議をいただいておるもので予算執行が不可能になるかどうかという問題でございまして、これは執行は不可能にはなりません。執行は十分可能なわけであります、これはドル価格は切り下がっておるわけでございますから。これがうんと切り上げられたという場合には、当初見込んでおった数量が購入できないという問題が起こりますけれども、今度の場合は基準レートで支払いをしますけれども、これは国庫に逆納付されるので国損を来たさない。批難事項は受けないわけでございます。ところが、実際の直接買うものはどうかといえば、買えないというなら別でございますが、買うものは基準レート以下で買えるわけでございますから、その額は不用に立つわけでございます。ですから、そういう問題は予算執行上全然問題がない。予算の審議でもってお願いするのは、予算執行が合理的に行なわれるかどうか、この予算編成のときに政府が企図した目的が達成できるかどうかということでございまして、しかも、国損を来たさないということでなければならぬわけでございます。これは国内の景気変動、それから国外からの変化というものは、これから開放体制になれば絶えず起こるわけでございますから、そういう状態から考えて、適法に予算は執行できるということでございまして、この二つの事実から考えて、この予算を一日も早く通していただくことが、こういう状態に対処する最も大きな問題である、こうお願いをしておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 計数的に、それが国庫に入っていくから国損はないのだ、損がないからいいんだ。そういうことでなくして、現実にもう二百六十五円くらいのところまできておる、それだけのいまフロートしておるわけでありますが、そういう計数的にも全部基礎がおかしいわけですよ。そういうような状態の中にあって、ただ損をしないからという、そういうものではないと私は思うのです。  また、この内容から見ましても、福祉中心型構造へ、これはほんとうに力を入れなければならぬわけです。たとえばこの社会保障関係を見ましても、総予算に占める割合が、昨年度の一四・三から一四・八%、〇・五%、それで伸びたということをいっておりますが、これだって中身を見れば非常に足らぬわけです。あるいは大きく影響を受けようとしておる中小企業の問題を見ても、これは予算をもっと増額しなければならぬわけです。  ですから、そういう中身から見ましても、これはどうしてもここに、もっとそういう手厚い対策をとるために組みかえる必要があると私は思うのです。だから、計数的な面から見ても、あるいはまたこういう中身の面から見ても、私は修正をする必要がある、このように思うのです。総理、再度ひとつお聞きしたいと思います。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 予算は、大体前年度の実勢を基礎として翌年度を予想してつくるわけでございまして、実際執行するときには実行予算——前には実行予算を四半期別に組んで実行したわけでございますし、大体予算の執行ができないということになれば別でございますが、予算の執行は十分できるわけでございます。いま述べられた中小企業対策やそういうものに対しては、まだ四十七年度でございますから、四十七年度でもって財投の追加もできますし、またいろいろな、ちょうど一年前に御審議をいただいた法律がありますので、期限が切れておればこれを延長していただくということもございますし、また、現在まだ予備費の残もございます。そういう意味で対処はできるという考え方でございます。それは、一六・八八%切り上げた前回の一つの経験がございますので、そういう意味で具体的に対処できるという考えでございます。  もう一つは、変動為替相場制に移ってまだ直後でございまして、実際きのうもこの席から御答弁を申し上げましたが、各中小企業や零細企業にも、具体的に早くお出しなさいと言っておるのであるし、通商産業省も通産局を総動員をしてやっております。税に対しても、繰り延べや徴収猶予やいろいろなことを、減免税の通達もしておるわけでございますが、まだ具体的なものが出てこないわけであります。  ですから、いまやるとしても、どうしてもある一定のものを予想してやらなければならないということになるわけでございまして、予想してやらなければならないような体制はいまの中でもって十分できるわけでございます。この予算も大き過ぎるといわれた面もございますし、この予算の執行が行なわれている過程において、中小企業や零細企業の輸出業者に対しては万遺憾なき処置をとりたい、こういう考え方でございますので、それをひとつ御理解をいただきたい。  四十八年度の予算を、いま修正をしたり組みかえをしたりしても、それは全く予想になってしまって、その根拠を問われれば答弁できなくなるわけでございます。そういう意味で、四十八年度の予算はこのまま一日も早くひとつ成立をさしていただいて、そして具体的には、この変動為替相場制によって影響を受けるであろう中小零細企業やその他のものに対しては、政府は最大の努力をいたすということでひとつ、またその具体的なものがあれば政府にもお知恵をかしていただいて、万遺漏なきを期してまいりたい、こう考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 きのうと答弁は一つも変わっておらないわけでありまして、これ以上この問題をやっても平行線になると思いますので、次へいきたいと思います。  ドルの一〇%の切り下げの結果、わが国は変動相場制に踏み切ったわけですが、ドイツのマルクをはじめ西欧通貨の為替市場が従前のとおりとなっているわけです。わが国のみが変動相場制に踏み切ったことは、通貨当局はすでに円レートの対米あるいは対欧州通貨に不均衡があると判断していたものかどうか、通貨当局の見解を承りたいと思うのです。これは日銀と大蔵にお願いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 国際的な通貨問題につきましては詳しく経過を御説明するまでもないと思いますけれども、先月の末から変動が起こり、非常な不安定状況が起こりましたのに対しまして、関係国の間でも非常に真剣な努力あるいは相談が行なわれた。そして、アメリカは自分の通貨を切り下げた。これに対応いたしまして、日本もいま世界の中の大きな地位を占めておりますし、日本の態度というものも世界の注視の的である。こういう状況下におきまして、日本としては変動相場に移行することが適切である、こういう判断で現在のような制度に移行いたしたわけでございます。  たとえば、よく従来から十カ国、十カ国ということがいわれておりますが、その十カ国の中でもカナダ、イギリス、イタリア等、日本を入れればちょうど半分が変動為替相場になっておるわけでございます、現状におきましては。こういう点から見ましても、変動相場というものは、日本におきましても一昨年は相当長い期間続けました前例もございますし、現状におきましては、一昨年の通貨調整後の数次にわたる円対策の効果というものも、これからまさに浸透して効果をあげそうになってきているときでもあり、また、国際的な動きが今後どういうふうになるかということももっと詳細に見届ける必要もある。こういう状況下において変動相場においてやってまいりますことは、国際協調の線をも維持しながら日本の国益を守るという点からいって適切妥当である、こういうふうに考えるわけでございます。  そして、変動制のもとでございますから、固定相場の率が変わったわけでもございません。したがって、先ほど来総理からもるるお話がありましたように、また私からも御説明いたしましたようなことでございますから、現在の体制下においては、変動制移行前に編成された予算ではございますけれども、かくのごとき状況下においても、この予算の執行ということが最も望ましい適切な対応策であるということを信じ、その信念の上に立って御審議をお願いいたしておる、これが率直なわれわれの考え方でございます。

佐々木直日本銀行総裁

○佐々木参考人 今回の為替相場の動きにつきましては、ただいま大蔵大臣から御説明がありましたとおりでございまして、日本の国際収支の現状を考えますときに、今回の措置がとられたことが適当である、こう考えておる次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 わが国の為替市場再開後の歩みを見てみますと、たとえば二月十四日の相場が二百七十一円二十銭、十五日が二百六十五円五十銭、十六日が二百六十三円五十銭、このように円高になっております。三日間で前回の円切り上げ幅の一六・八八%、まあ同率となっておるわけですが、今後の為替市場の対米ドル相場がどのように変化をしていくか、またこれまでに日銀による平衡操作、各日どのように行なわれてきたか、これをひとつ、日銀総裁の説明及び見解を賜わりたいと思います。

佐々木直日本銀行総裁

○佐々木参考人 今回はアメリカが自分の判断でドルの切り下げを決定いたしました。したがいまして、この前のスミソニアンのときと違いまして、各国がお互いに話し合いをしてそれぞれの平価をきめるという行き方とは違っております。そういう関係もございますし、しかもこの前の場合には、おととしの八月十五日のニクソン大統領の新経済政策の発表以来、各国の為替市場が変動相場に移行いたしました。日本におきましても、十二月の半ばに新しい平価がきまるまでは変動しておりました。相当長い間変動するということで相場の動きはそれほど幅が大きくなく、徐々に動いてまいりました。今度の場合には、いま申し上げましたようにアメリカが一〇%の切り下げを決定いたしましたので、すぐそれを受けて開きました市場における円の上がり方が、この前のときに比べて非常に高かったことは事実でございまして、それは今度のような事の運びの結果こういうことになったと思います。それで最近は、もうこの一両日、私のほうでは別に市場で売買をいたしておりません。そういうこともございまして、だいぶ落ちついてきておる現状でございます。  介入額につきましては、私のほうからは申し上げることができません。私のほうは政府の外為会計の執行者としての立場で動いておりますので、私のほうから申し上げる筋ではないと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 大蔵大臣は、適当な時期に固定相場への復帰と答弁されておられるわけですが、その場合の前提としては、円の実勢が見きわめられたときということではないかと思うのですが、すでに一六・八九%の円高となって、一部に報道された円の切り上げ幅が一五から一六%をこえた現在、そろそろ実勢の見通しが立てられてきておるんじゃないかと思うのですが、適当な時期は近いと考えられるのか、それとも遠いと考えられるのか、大蔵大臣の御所見をひとつお聞きしたいということです。  それからまた、一部金融界で唱えられておる変動相場制長期化論について、どういうような考えがあるのか、あわせてお伺いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 変動相場制というのは、先ほど申しましたように、列国におきましても適切な手段としてとられている国が相当多いわけでございますし、実勢を見ると申しましても、これは短期間では実勢を見るということもなかなか困難ではなかろうか。そこで、私は適当な期間ということを申し上げておるわけでございまして、その時期がいつということを明言をするということは、私、今日の立場におきましては差し控えたいと思いますし、いつごろ固定相場に返ったがいいかどうかということについては、いまかりに考えておりましても、申し上げることはいかがかと思います。  それから、変動相場制に移りましてから、内外でいろいろのこれに対する批評もございますが、変動相場制というものを相当長い期間——相当長い期間というのは、年をもって勘定するくらいの長い期間を意味するものと思いますけれども、そのほうがいいではないか、こういう意味もかなりあるようでございます。しかし、それらの方々の意見あるいはそれに反対の意見もあるわけでございますが、一々これらについて論評することは、差し控えたいと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 いままで円対策というものを進めてこられたわけですが、この中には輸入自由化の問題をはじめいろいろ対策があるわけですけれども、たとえばこの輸入自由化の経過を振り返ってみますと、第一次のときに八十品目から六十品目、それから前回の変動相場制のさなかに六十品目から四十品目、さらに昭和四十七年の四月、三十三品目に減少したわけですが、その後一応そのままになっておるわけですけれども、国内のそうした関係で非常に困難な品目であることは理解できないことでもないわけですが、経過だけを見ておりますと、努力というものが、国内のそういう対策も強力にとって、そしてまた自由化も進めていく、こうした真剣な政府の努力というものがあまり見えないように思うわけです。  そこで当然、自由化ということになれば、そうした国内の対策も完全にやって被害をとめなければならぬわけでありますが、今後のスケジュールというものは、総理としてはどのようにお考えになっておられるわけですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 国際収支改善対策は、引き続いて行なわなければならないということで、鋭意努力を続けておるわけでございます。  まず第一には、輸入の自由化がございます。それから第二には、資本の自由化がございます。それから関税の一括引き下げが、千八百数十品目にわたって二〇%引き下げが行なわれましたが、これもまだ引き下げなければならないと思いますが、これらの問題に対してはいろいろな関連がございます。この関税の引き下げに対しては、近く行なわれます新国際ラウンドの場においては、当然関税の引き下げ問題、特恵関税の問題、セーフガードの問題等も出てくるわけでございますので、そういうもの等も考えながら、やはり関税というものに対しては、できれば、非常に国内の産業が困るときには関税を引き上げられるように、それから輸入の拡大のためには、一時関税を引き下げられるような、そういう弾力的な権限が政府に与えられれば、これは非常に柔軟に対処できるのじゃないかと思います。この間、西ドイツにおいてとられた臨時増税の権限も委任立法のようでございますが、これはやはり品目別に弾力的に行なわなければならないということで、どうしてもそういう問題も考えておるわけでございまして、いずれ国会の御意見も承りたい、こう考えております。  いつまでかということでございますが、これはできるだけ早くやるべきでございますが、いま述べられたように、輸入の自由化に対しては国内対策というものもございます。ですから、国内業者の反対もありますし、特に一次産品に対しては非常に反対がございますが、国際的な場においては十品目ぐらいはどうしても自由化をしないと、どうも日本の誠意は認められない、こういう強い意思表示があるわけでございます。なお、低開発国に対する特恵関税の供与とか、非関税障壁の排除という問題もございますので、いま政府は各省との間で、いっときも早く成案を得たいということで努力を続けておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 第一次円対策からうたわれておりました外貨貸し制度、当初は非常に大きな構想があったわけですが、結局は現行法令の範囲内での措置として、言うなら中途はんぱな形で昨年の五月から実施に移されておるにすぎないように思うのです。現在その実績はどの程度になっておるか。また、いまの制度で外貨の活用がほんとうにできるものかどうか。対外経済関係調整特別措置法案の廃案という経緯もあったわけですが、国の外貨融資についての方針を本格的に確立して、その制度化をはかることが必要ではないか、私はこのように思うのです。政府としてはなお検討中のようでありますけれども、今後の方針について総理にお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 外貨貸しの実績等に対しては大蔵省から答えますが、やはり外貨の直接貸し、直接投資というような問題に対しては、何らかの方途を見出したいと考えております。これは外為法の改正を行なって、そして外為特会そのものが投資を行なうようなことができるのか。まあこれは株式の取得とかいろんな問題になりますので、私も個人的に検討しながらも、外為ではなく特別な機関を設置をして、そこに外貨を貸し付ける、外貨の投資、運用を行なう、これはやはり外為特会から切り離したほうがいいかなというような問題も、いま思案をしておるわけでございますが、事務当局としても専門的に検討するようにということを指示しておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 次に私は、ちょっと時間の関係で中小企業の問題に入りたいと思いますが、今回のショックは中小企業に特に大きな影響を与えておるわけです。昨日からもいろいろの答弁もあるわけでございますが、政府としてはこれをどのように受けとめ、どのように対処をなさっていくか、これをひとつ通産大臣、そして総理にお伺いしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 中小企業に対しまするショック、影響というものはかなり、思いのほか甚大であるのではないかと憂慮しております。  商工中金が最近調べましたものを調べてみますと、大体、約三百数社に当たってみまして、二百八十円ぐらいで契約あるいは予想しておったものが大体四八%ぐらいの中小企業でございます。それから二百七十円という水準にあったものが約一〇・三%ぐらい。それから三百円というものはやはり一〇%ぐらいございました。現在低迷している相場が二百六十五円というような相場でございますが、二百八十円においてもかなりきびしいというのがその真の声でございまして、そのレートのきまり方によりましては、輸出がほとんどむずかしくなるというものが出てきております。  それから、これは鉱山関係で中小鉱山がございますけれども、非鉄の関係におきましては非常にこれは困難性が増してまいりました。  それから、プラント関係におきまして下請をやっている中小企業がございます。この下請をやっている中小企業に非常な圧力が加わってくるものと私たちは想像しております。  そういういろいろな面におきまして、実はけさから通産局長を呼びまして、いままで調べた実情を報告させ、その対策を練っているところでございますが、いずれにせよ、金融あるいは税制あるいはそのほかの指導面、情報の付与、あらゆる面におきまして万全の措置を講じてまいりたいと思っております。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 いま通産大臣が述べたとおりでございますが、四十六年末の第一次平価調整に際して行なった手段、方法の中で、現にまだ残っておりますものもございますし、実態把握につとめて万般の処置を講じてまいろうということでございます。  私の新潟県燕には、きのうも申し上げましたが、洋食器、特にアメリカを中心にしておるものがございますが、相当の打撃でございます。しかし、四十六年末の調整のときには転廃業がなかったわけであります。私もこの事態が起こりましてから十分調査をしましたが、転廃業しないで何とかやってきたんだが、今度はやはり一部転廃業をどうしても避けがたいというものもございます。でありますから、転廃業をする場合の措置等も含めて税制、金融その他信用補完、情報の提供、労働者の職場転換対策等万全の処置を講じなければならない、こう考えておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 これだけ基盤の脆弱な中小企業であります。一昨年末の切り上げ、さらに続く今回のそういう実質上の切り上げ、こういうことで、ダブルショックということでたいへんなそういう影響を受けておるわけです。それで、政府としてはこのことをほんとうに真剣に実態把握につとめていますか。きのうの答弁では、局長を招集して状態を聞くんだというようなことをおっしゃっておりますが、ほんとうに現地へ飛び込んでそういう調査をなさっていますか、通産大臣。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 変動相場制に移ると同時に通産局に指令を出しまして、そして業種別あるいは地域別に係官を派遣して実情調査を懸命にやっております。その成果をもってきょう通産局長が集まっているところでございます。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 中小企業の対策につきましては、大蔵省といたしましても、去る十四日変動相場制度に移行いたしましたそのときから、財政上、税制上、金融上あるいは為替政策の上で、直ちに手配をしておるわけでございます。  これを整理をして申し上げますと、財政的な対策といたしましては、政府関係中小企業金融三機関による緊急の融資、それから既往のドル対策等の関係で緊急融資をしておりましたものの返済の猶予、それから中小企業信用保険にかかわる特別措置、それから設備近代化資金及び近代化資金の返済猶予というような措置を、実態の把握と相照応して措置をいたしつつあるところでございます。  それから、税制上の問題につきましては昨日もお答えいたしましたが、中間申告の活用、納税の猶予等、こまかい点にわたりまして、すでに国税庁長官から管下の各税務署に対しまして詳細な通達を発出いたし、行政的な措置を十分とるようにいたしております。  それから国内金融上の対策といたしましては、さしあたって民間金融機関に対しまして、中小企業対策が円滑に行なわれますよう、二月の十五日に全国銀行協会連合会等と相協力いたしまして、各地の金融機関におきまして、中小企業に対して特別の条件で融資の別ワクを設けるなどの積極的な対策を講ずるというような配慮をいたしておるわけでございます。  それから為替政策の面におきましては、特に昨日の閣議の了解を経まして、変動相場制の実施によって先物予約が行なわれないために、特に中小企業の製品等に対して迷惑をかけることのないように、これらの輸出にかかわる為替予約の円滑化をはかるために、外為特別会計から為替銀行に対しまして外貨預託を実施することにいたした次第でございます。  以上のような措置につきましては直ちに実行し、もしくは実行の用意を十分いたしておるところでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 第一次のドル・ショックと今回のショックにおける差異というものについて、政府はどのように受けとめておりますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 第一次のショックの場合には、中小企業関係におきましてはまだ担保力がありまして、相当物件を担保に出して金融を得たわけでございます。しかし、第一次のショックによりまして輸出がかなり激減してきまして、その後ようやく昨年の秋ごろから景気が回復してきて、ようやく息をついてきて、これからというときに今回またフロートに変わったわけです。そのために金融を得ようと思っても担保がもうなくなっているというものもございますし、先般の切り上げによりまして相当マージンの限界まできているものは、また今度切り上げられるということになると、ほとんど採算割れになるという危険性のあるものがあるわけです。  商品別に調べた結果によりますと、たとえばクリスマス電球、これはほとんど採算ぎりぎりまできておったのが、今度はもう完全に採算割れになる危険性がございます。それからグローブ、ミット、これらのものは千百五十円であったものが千四百円となる。韓国製品は千円なので対米輸出はきわめて困難になる。あるいは手袋、これは対米輸出比率六〇%でございますが、二百七十円以下では完全にコスト割れになる。おもちゃ、これも二百七十円が限度であって、これ以下になれば大幅減少の見込みである。ケミカルシューズ、これらは前回のドル・ショック時においては三百十四社であったものが、現在は五社に減ってしまっている。それで、これらは台湾、韓国からの追い上げがありまして、これも非常に困難になってきている。静岡県を中心にする宝石箱、これらも大体対米輸出はきわめてむずかしくなるであろう。それからビニールのかばん、これも大幅減少の見込み。双眼鏡ケース、これも影響甚大。そのほかスキー、ライター、アルバム、卓上ピアノ、ギター、オルゴール、めがねワクあるいはかん詰め、それから繊維製品においては縫製品、これらは二百七十円以下では輸出はきわめて困難になる。産地によっては輸出半減と見るところもある。それから組みひも、これも同様です。スカーフ、これは現在すでに輸出は採算割れの状況になっておる。それから窯業では陶磁器、これらは輸出回復力不十分なところへ今回のショックによって非常にまた困難になった。これらは大体二五%の値上げを要求中であった品物でもあります。あるいは鏡、これらもイタリア製品に押されてむずかしくなる。あるいは電気機器、これらは、ラジオとかアンプ、スピーカーとか、照明器具とか電気計測器とか、こういうものがきわめてむずかしくなる。  以下、いろいろな品物について中間報告がきております。こういうふうに品物別、地域別にいま実情を正確に把握しまして、それに対していろいろな指導、対策を講じておるところでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 わが党としてもさっそくそうした、特に地場産業を中心に調査団を出しまして、いろいろ現地を見てきたわけです。たとえば燕の洋食器あるいは三条の作業工具、横浜のスカーフ、神戸のケミカルシューズ、堺のチューブマット等を調査してまいりましたが、こういう状態をずっと見てまいりますと、たとえば契約残にいたしましても、燕の洋食器などは三カ月、三条の作業工具は三カ月、あとは神戸のケミカルシューズが二カ月、堺のチューブマットが一カ月。そうして現在新規契約の状況というものはほとんどが完全ストップ、キャンセルあるいは進まず、要するに進まず、完全ストップに近いような状態にいまなっておるわけです。また、現地としてもこの危機を切り抜ける具体策はあるのか。全然どうしていいのかわからない。このままでいけば全滅である。もうほとんど倒産するだろう、そういう非常に悲観的な状況であります。そしてまたインフレの進行の影響というものを非常に大きく受けておるわけです。こういうことで、前回のときとは比較にならない大きな影響が出ておるということです。  こういうように中小企業者を塗炭の苦しみに追いやったのは政府なんです。それは外圧であるということをおっしゃるかもしらぬけれども、しかし、いままでの円対策にしても、あるいは国内の福祉、経済の充実をもっとやっておれば、ここまでには私は至らなかったと思うのです。その点において、政府としては真剣にこの対策を考えてもらわなければいけないと思うのです。いまも通産大臣が第一次ドル・ショックと今回との差異についておっしゃっておりましたが、こういう何とかぎりぎりできたものが、今度は完全な赤字あるいは倒産になっていくという状況です。あるいはいまおっしゃったように担保力がゼロである。したがって、幾ら融資だなんだといったって、これは無担保以外考えられないわけですね。そしてまた多額の特別融資残をかかえておる。これは返済期に入っているわけですね。ですから、もう返せなんといったって全然ないわけですよ。ですから、これなどもやはり繰り延べを考えなければならぬわけです。  そしてまた、このインフレの高進というものが、今回の再切りの状態と相まって非常にたいへんな状況になってきている。ですから、物価や賃金の上昇というものが非常に大きくまた首を締めてきているわけです。あるいはまた後進国のこういう追い上げが、前回とまた比較にならない激しさで追い上げてきている。こういう前回とは全然違う状況である。これは各地方を回った共通したそういう現地の状況であります。したがって、前回と同様な措置ではもうだめだということです。で、前回いろいろな対策をとられたわけですが、前回では融資規模が約千八百億出されたわけですね。それから信用補完で保証承諾額が八百一億なさっておるわけですが、具体的に今回どれだけ出すのですか。ダブルショックでもうほんとうに倒産寸前に各企業は入っている。前回とは比較にならないだけの、それだけのものを政府としては出さなければ、中小企業は全滅しますよ、このままでいけば。どういう対策をとっておられますか、通産大臣、大蔵大臣、総理にお聞きします。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 きのうも申し上げましたように、いつでも応ずる体制をいま整えさせておるわけであります。  それで、中小企業のほうもいまの変動の模様を見ておりまして、あるいは契約ができないというものもございます。とりあえず必要なのは、滞貨金融とかあるいは操業していくための金融措置が必要であろう、それはそれほど大きな金額にはのぼらないであろう、しかし、いよいよ決心をして仕事を始めようというときにはかなりの金が出てくるであろう、そういうふうに見ております。  われわれのほうは、政府関係三機関及び一般の銀行にも協力を求めまして、特に特別の配慮をするように指導しております。したがって、そういうようなお申し出が出てくれば、できるだけ親切に指導もするし相談にも乗る、そういう形でやっておりまして、いま金額が足りないということはございません。また、その御要望の金額が次第に出てきましたら、それに十分対応できるだけの措置を順次とっていくつもりです。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 ただいま通産大臣から答弁がありましたが、緊密に協力をいたしまして、たとえば財政投融資の機動的な活用、それから年度内におきましても予備費のできるだけの活用というようなことを十分用意して、御心配をかけないように万全の措置を講じたいと思っております。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 実態把握につとめます。それから、業者の政府に対する要望も十分聞くつもりでございます。そして実態に即応する万全の対策をとってまいりたい、こう考えます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 その実態の把握あるいは先方のそうした要求がなければ、金額的にもはっきりしないとおっしゃっておるわけですが、いずれにしても第一次と今回のそれとは全然違うというその認識ははっきりされていますね。それはまあ総理もそうおっしゃっておりますから……。いずれにしても中小企業のこの問題については、ほんとうにこれはもう政府の重大なる責任でありますから、政府も責任を何回もおっしゃっておるわけですから、この点はひとつ万全の対策をとっていただきたいと思うのです。  それから、どんどん今後は事業転換もしていくと思うのですけれども、前回、この事業転換についても、中小公庫で五十億、国民公庫で十五億、これだけしか出してないのですよ。こんなことで実際上いいかということですね。しかも、この事業転換というものはほんとうにこれは指導してあげなければいけないわけですよ。その指導体制だって弱い。それは今回こういうふうに人数をふやしましたとか、いろいろ通産大臣おっしゃいますけれども、そういう小手先であってはいかぬということです。これについて大臣はどう思われますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 いまの私の予想でおりますと、二百七十円を割った場合にはかなりきびしい、苦しい輸出中小企業が出てまいりまして、そういうものはもう事業転換せざるを得ないものが、前回に比べて非常に多く出てくるのではないかとおそれておる状況です。したがいまして、各業種別にあるいは地域別に、そういう情勢が出てくるものを事前にキャッチいたしまして、それに応ずる十分な対策を講ずるように、いま通産当局として手を差し伸べてやっておるところでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それで、前回のときに立法措置をやっておるのですが、これは三年ですね。そうしますと、やはり今後の推移を見てまいりますと、当然この延長ということもやらなければならぬわけですが、そういう法的な手当てはどう考えておりますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 法的措置も必要に応じてどしどしとっていくつもりです。この点については、大蔵省ともいろいろ内々相談をしております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それから物価の問題でありますが、非常に物価が高騰してきておるわけです。それで、今回のそういうフロートの状態によって、輸入物資というものがやはり差益金が出るわけでありまして、前回のときは、これがほとんど流通段階において吸収されておるという状態で、消費者には還元されなかった。これは非常に私は遺憾だと思うんですね。ですから、これはほんとうに政府が消費者に還元しようという熱意がない、私が思うにはそれが野放しになっておった、結局そういうことで還元されなかった。これであってはならぬと思うんです。ほんとうに差益金を十分消費者に返すということについて具体的にはどうやっておりますか。これは公取委員長でもけっこうですし、通産大臣でもけっこうです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 物価の問題につきましては、輸入物資で値下がりしたものが消費者に反映するように、今回は特段の措置をいま講じさしてあります。  まず第一は、主要輸入財につきまして輸入業者から輸入価格形成の実態、それから流通段階における問題点、小売り価格の動向等を把握するために、次に申し上げるような品目についてまず第一に継続調査を行なう。第一回の発表は三月中旬、下旬を目途として、そしてそれの結果に基づいて、消費者に対する情報提供を行なおうと思っております。  第二に、消費者価格モニター制度を活用して、輸入消費財の末端小売り価格に関するスポット調査を行ないます。そして追跡調査の結果を踏まえて、消費者、輸入業者と関係各省からなる輸入品に関する消費・価格問題懇談会を必要に応じて開催をして対策を検討いたします。  それで品物といたしまして、腕時計、万年筆、カラーフィルム、エアコン、ゴルフクラブ、ライター、安全かみそり、乗用車、化粧品、ネクタイ、書籍、電気冷蔵庫、じゅうたん、石油ストーブ、ハンドバッグ等、この二十品目をとりあえずやります。  そのほか、石油とかあるいは鉱石とかそういう大型バルキーなものにつきましては、これらは同じように関係商社並びにメーカー等とも連絡をとりまして厳重にチェックしていく、流通過程においてそのせっかくの値下げが不正または不当なことによって、途中で妨害されないように監視していくつもりであります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それをひとつ強力に要望しておきます。  それから、特に今年度は健保、国鉄等の公共料金の値上げもありまして、物価高のおりからもうたいへんな影響が心配されておるわけです。そこで、石油等のそうした膨大な輸入量から考えますとかなりの差益金も考えられるわけですが、逆にいままでの声は、値上げするんだというような声もあったわけです。そういう声を背景に、電力やガス等はまた値上げの動きが見られるわけです。こういう公共料金のメジロ押しの値上げの前に国民生活が破綻しようとしておるわけです。したがってこういうような、これだけの差益金も見込まれるわけでありますし、電力やガス等のそういう公共料金の値上げにつきましては、これは絶対に政府の責任において押えてもらう必要があると思うのです。この点について経企庁長官、総理の私は決意をお伺いしたいと思うのです。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 公共料金につきましては、できるだけこれを抑制するという方針で臨みます。  ただ、サービスの低下を来たさないということもまた一面において大事でございますから、その両方を勘案してまいりますが、ぜひ公共料金によって一般の物価が上昇を刺激されないような、そういう配慮だけはしてまいりたい、こう思っております。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 公共料金、長いこと押えておるということで非常に困難な状態になっておるものもございますが、このような社会情勢、このような状態でございますので、真にやむを得ないもの以外は極力抑制するということでまいりたいと思います。

根本龍太郎自由民主党

○根本委員長 近江君に申し上げますが、時間が経過しておりますので結論を急いでください。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それでは、いま物価の特に公共料金の問題を申し上げたわけですが、特に今回の円の再切り上げという点からいって非常に大きな差益金も出るわけです。それに大きく関連するところであるから特に私は申し上げておるのです。ですから総理としては、これだけの公共料金の引き上げラッシュが行なわれておる中でありますから、この点については総理の政治責任において極力押えていかれる、こういう強い御発言をもう一度確認して、これで終わります。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 これはもう差益問題等は十分検討いたします。真にやむを得ないもの以外は極力これを抑制するということであります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 終わります。

根本龍太郎自由民主党

○根本委員長 これにて近江君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    正午休憩      ————◇—————    午後一時五分開議

根本龍太郎自由民主党

○根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河村勝君。

河村勝民社党

○河村委員 冒頭に、御答弁をいただく総理並びに閣僚にお願いを申し上げておきます。  わが党に与えられた持ち時間は一時間二十分だけでございます。でありますから、できるだけ有効に使わしていただきたいと思います。それで特に総理にお願いいたしますが、ごく手短に御答弁をいただきたい。それをお願いしておきます。  きのうからの論議を聞いておりまして、だんだん総理並びに政府のお考えがわかってきたような気がいたします。きのうから再切り上げを避けるということ、それに対する相当なる責任だと言われたこと、それについての総理の御説明がありました。それを聞いておりますと、再切り上げを避けると言ったのは、公定歩合を上げる場合などと同じように、切り上げのおそれがあるなどと言ったらそれによって投機を誘発して非常な混乱が起きる、だから政府の責任者としてはそういうことを言うわけにはまいらない、だから、政治的な立場からの発言である、こういうことをおっしゃいました。それから、相当な責任であると言ったことについて、きのう津川議員の質問の際でありましたか、一般の感触としては、円の切り上げは夏かたぶん秋ぐらいであろうというような一般の感触である、だからそれが、こうした事態になって早まったためによけいな混乱を起こすようなことに相なる、それについて相当な責任だと言った、こういうことを言われております。  そういうふうになりますと、総理はほんとうは円切り上げは不可避だ、そう考えておられた。しかしまだもう少しもつだろう、そう考えておるうちにヨーロッパの市場の混乱の影響を受けて、非常に早く変動相場制に移行しなければならぬような事態に追い込まれてしまった、そういう意味と理解をしてよろしゅうございますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 第一次の切り上げ後、国内体制を整備をして国際収支の正常化のために諸般の施策を行なってまいりました。全力を尽くしてまいったわけでございます。そしてその後は輸入も拡大してまいりましたし、輸出もだんだんと落ちつくような方向に入ったわけでございますので、もう一段国際収支対策を行なうことによりまして、第二段目の平価調整等は避けたいということでございました。にもかかわらず、切り上げが行なわれるような状態になったらどうするかということに対しては、相当な責任を感じておりますということは、これは国際収支対策に対する熱意を表明したものでございます。最終段階におけるドルの切り下げが行なわれたことは、私が当初考えておったよりも非常に時期が早まっておるという認識でございます。

河村勝民社党

○河村委員 そうしますると、結局早まったということであれば、やはり円切り上げ回避というものは努力はされたけれども、だけれども、やはりどうしても避けられないという認識に立っておられたということは間違いございませんね。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 それは円切り上げというよりも、まだ第一回の平価調整後一年しかたっておらぬわけでございますから、アメリカもベトナム問題も終息いたしましたりいたしましたし、ドルは強くなるという考え方が一般的な見方でもありましたので、このような事態が早晩訪れるというふうには理解をしておらなかったわけでございます。早晩は理解しておらなくても、いつかあると思ったのかと、こういうことになれば、これはそういうことを避けるために全力を傾注しておったということをお答えする以外にありません。

河村勝民社党

○河村委員 どうもその辺のところが少しあいまいだと思いますが、昨年の十一月二日の解散前の臨時国会、あのときの代表質問の中で、わが党の佐々木書記長がこの円問題に関連をいたしまして、こういう質問をしておるのです。  もうすでに国際通貨情勢からいいますと、日本は孤立の立場に入っておる。そこで、いま政府がとるべき路線というものは三つしかないはずだ。一つは、これから思い切った円対策をやって、何としてでも平価の切り上げを防ぐということが一つ。もう一つは、全体の情勢からいって、この辺でもって自主的に円切り上げをやって、それで、国内もずいぶんインフレ状態ですから、切り上げというものは確かにそれだけのメリットがあるわけであります。ですから、それを生かして新しく再スタートをするという方法がもう一つ。三つ目は、国際収支対策をやるやると言いながら、結局は何にもしないでずるずるといってしまって、国際的に追い込まれた状態になってから切り上げをやる、この三つの道しかない。それをいまこの時期にいずれかを選択しなければならない、そういうものだと思う。そういうことについての総理の所信を伺ったわけでありますが、そのときに総理は、「円平価の調整が再び行なわれたならば、それは中小企業や零細企業だけではなく、日本全体の企業がこれに耐え得ないような状態である。だからこれはどうしても避けなければいかぬ。」とういことを言っておられます。同時に、それは可能であろうというようなことを言っておられるわけであります。  しかし、今日の状態から振り返ってみますと、結局この三つの路線のうちの最後の、国際関係の圧力によって、それでずるずると引き延ばしている間に再切り上げに追い込まれた、そういう結果になったのだというふうに判断をせざるを得ないと思いますが、総理の所見を伺いたい。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 第一の問題は、これは平価調整が行なわれ、一六・八八%という高い円平価の調整が行なわれて一年もたたなかった時代でございます。そのような状態において、ほんとうに日本の産業構造をすべて変えられるものじゃありません。そういう意味で、両三年以内に国際収支の理想的な姿にしたいということで、日米間でも合意に達したわけでございます。そのためには最善の努力をしてまいりました。その中で、一つは対外経済調整法というものを国会にお出ししましたが、これは審議にも入っていただけなかったわけでございますが、それ以外は相当なことをやってまいったわけでございますが、半年や一年間でもってこれだけの日本の状態が、すべて均衡できるようにするということは、私は事実上不可能だと思います。  第二の問題は、円を切り上げたらどうかということでございますが、これは多国間調整を行なうということで合意をしておるわけでございますし、多国間でやらないで日本が切り上げを行なって、それよりもうんと今度のような状態でアメリカが切り下げると言ったら、それは日本は耐えがたいような状態にもなるわけでございますし、ドルだけの問題ではない、国際通貨全体の問題として考えなければならないわけでございますので、日本が第一回の平価調整から一年二カ月しかたたない間に、自主的に平価調整をしなければならないような状態でなかったことは御理解いただけると思います。  第三は、ずるずるべったりにということでございますが、これはずるずるにやっておるんじゃないんです。ずるずるではないんですが、アメリカが切り下げてしまったということに付随しての変動相場制への移行でございますから、それはひとつ御理解いただきたい。  もっと長く答えれば答えられますが、まあここらでひとつ……。

河村勝民社党

○河村委員 ずるずるでないまでも非常に不徹底な対策であったということは、私はいなめない事実だと思うのです。  それはそれとしまして、いま総理が、この前平価調整をやって、一六・八八%という大きな切り上げをやって一年もたたないうちに、こういう早い時期に追い込まれるようなことになるとは思わなかったとおっしゃいましたけれども、私は、その辺の見通しが最も甘かったのだと思うのです。昨年の九月の六日それから二十六日、九月の六日にIMFの理事会があって、二十六日にIMFの総会がありましたね。このときの状態を見れば、状態が決して甘いものでないということはおわかりだったはずなんです。このIMFの理事会で通貨制度の改革についての報告が行なわれております。その中には、アメリカとヨーロッパの対立点もたくさんありますから、対立点は両論併記で大部分やっておりますが、ただ一つだけ、ほとんど日本以外は合意をしている点があるんですね。それは、基礎的な不均衡が存在する場合には平価調整をなし得るというIMF協定の規定を行なう、基礎的な不均衡がある場合には平価調整を行なうという改正、そうして特定の国の為替レートが他の通貨一般との間に特に不均衡があった場合には、その特定国が平価調整を行なうことが望ましい、こういう報告をやっておりまして、これはアメリカもヨーロパ全部が意見一致しております。同時に、この二十六日に総会がありましたときに、例のアメリカのシュルツが、これはもちろん私から申し上げるまでもなく御承知だと思うが、黒字国責任論並びに黒字国制裁論、これを全面的に展開をいたしまして、それに対してここに問題なのは、各国の代表のそれに対応する態度ですね、仲の悪かったフランスに至るまでヨーロッパ諸国がみんな、それはたいへんもっともだということであって、ここでもっていわばアメリカとヨーロッパ連合ができ上がってしまって、完全に日本だけを目ざして通貨攻勢がかかってくる状態となった、そういう事実にあったということを、これは大蔵大臣、御承知ですね。いかかですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 IMFあるいはその他の国際的な会議にいろいろの意見が出ていることは承知いたしておりますが、同時に、通貨の調整だけが国際的な通貨、貿易問題を含んだ安定を求める唯一の手段ではないであろうという意見も、また一方においてありましたことも御承知のとおりでございます。

河村勝民社党

○河村委員 そういうこともあったかもしれないけれども、いま私が申し上げたことは事実ですね。で、その後いわゆる第三次円対策、これが十月の二十日にきまっておりますね。それで十一月の二日のこの佐々木書記長の代表質問の際は、その円対策がきまったあとであります。そこで一体円切り上げをやるのかやらぬのかという質問を総理をはじめ各大臣にいたしましたところが、総理は、もちろん切り上げをしないとおっしゃる。このときに、当時植木大蔵大臣、当時IMF総会に出たのも植木さんですね。その発言が、〔残念ながら、非常に困難な仕事であると考えております。」と、こういう答弁をされて、総理もだいぶあわてられたようであり、あとで取り消しまして、それで新聞などは恍惚の人だなんて書きましたけれども、総理が何をしゃべったかわからずに答弁をされたというところは、多少恍惚的なところがあるかもわからぬけれども、IMF総会にも出席をし、かつ、この第三次円対策がいかに不徹底で、対外的にアピールするだけのものでないということを最もよく知っている大蔵大臣が言ったことは、これは非常にすなおな感覚であった。大体総理もほんとうはそのころそういうふうにお考えになっていたのではないかと思いますが、いかがでございますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 先ほどから申し述べておりますように、平価調整の効果は相当な長い時間がかかるわけでございますし、こちらも国内対策としてもそう急激なものができないわけでございます。だんだんだんだんと馴致していかなければならないという状態において、日米間においては両三年以内に基礎収支の均衡をはかりますということで、向こうもそれを了承しておるわけでございますから、私自身も日米間で協力をしながら、日米間の貿易収支の改善をはかってまいらなければならないという基本的な立場に立っておりまして、円平価の調整を行なうという考え方は持たず、とにかくこれを回避するために諸般の政策に対して努力を続けなければならないという考えでございまして、私がまず日本の国際収支改善のために全力をあげて国民の協力を得るんだということに対して、決意を国民皆さんに述べて協力を得る姿勢は、政治的には当然だったと思います。

河村勝民社党

○河村委員 万難を排して切り上げを避けるための国内対策をやらねばならぬ、それはそのとおりだと思います。そのために円対策をおやりになったのだと思いますが、しかし、アメリカとの関係からいえば、なるほどそういうお約束はあったかもしれない。しかし、現実の事態というものは、一年間で十億ドル減らそうというのが、減るどころか逆にふえて、四十億ドルをこすというような情勢になってしまっておって、決して期待されるような状態には進んでおらない。  同時にこの円対策ですね、これも万全の努力をするとおっしゃいましたが、一体この第三次円対策なるものが、それだけ、他国を納得させるだけの内容を持ったものだというふうに総理はお考えでございますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 円対策の中で、いつも申し上げておりますとおり、もう一つ重要なものがあったわけであります。それは国際経済調整法なるものを出したわけでございますが、これは成立しなかったわけでございます。これからもやはり国際経済調整法のごときものが必要であるという考え方は、世論も支持しておりますし、そういう必要性は認めておるわけでございまして、勉強は続けておるわけでございます。そして、千八百何十品目に対して関税率を一律二〇%引き下げたということも画期的なことだと思いますが、しかし、あの時点から考えてみて、あれでは実際において対米貿易改善しなかったじゃないかと言いますけれども、これは次の段階において、新ラウンドの推進の会議がまた四月、五月行なわれるわけでありますから、そこでも関税の引き下げという問題は当然議題になるわけでございます。ですから、あの当時二〇%というもの、私はもっと弾力性のあるものに何とかできないかということも考え、発言もしたわけでありますが、当時の状態においては二〇%一律ということになったわけでございます。やらなければならないことはたくさんあると思います。思いますが、あの当時の事態としては政府は最善の努力をいたしたわけでございます。  時間がちょっとあれですが、もう一つ、アメリカのドルが強くならないということで、これはみんな切り上げという問題に対しては、日本が一〇%になるのか、まあ六、七%しか耐えられないとか、いや一五%でなければならぬとか、いろいろなことが議論をされておったことは私も読んでおりますが、アメリカ自身にも幾ばくかの責任を負わすべきだという議論がやはり支配的だったわけです。ところが、アメリカ自身が一〇%を切り下げなければならないというような事態であったということも、ひとつあわせて考えていただきたい、こう思います。

河村勝民社党

○河村委員 それはアメリカに対してはもっと非難すべき材料がたくさんあります。それはほんとうに身がってだと思います。しかし、現実に昨年秋からの通貨外交というものは、相当力の外交ですね。そういう形で動きつつあったわけですから、それを勘定に入れて考えなければ、これはやはり方向を誤るということは否定できない事実なんですね。  そこでいま、円対策で関税一律二〇%引き下げはこれは画期的なものだとおっしゃいました。私もそれは認めます。まだこれからやるべきだと思いますけれども、しかし、あとはそれ以外に何もないのですね。私も円対策について、どういう協議が関係各省あるいは大臣の間でなされたか知りません。知りませんが、新聞等でも出ているのは、これはうそじゃないと思うのですね。大体当初やろうと思った原案と、それから最終決定されたものがございます。最初のものは輸入自由化についても十品目と書いてあるし、関税、それからその他輸入割り当てワクの拡大にいたしましても、かなり大きいものがある。その他具体的に書いてある。ところが、いざきまった段階になりますというと、みな何か努力するとか、推進するとかいうような作文だけになってしまっているのですね。これはだれが見ても、対外的にこれなら日本もずいぶん努力したなという感じはとうてい受けないのですね。もちろんこれをやったから、それで日本の国際収支が大幅に改善されるとは思いません。しかし、それをできる限りやるというところにうんと値打ちがあるわけですね。それだけの値打ちがないものになってしまったというふうに私どもには感じられる。一体それに対して総理は、最終的におきめになるのは総理ですね。これをきめるときにどういう決断をもって臨まれたか、それを伺いたいと思う。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 いろいろな政策は各省間で十分詰めて成案を得たわけでございますが、私は、第三次円対策だけでもっていいと考えておったわけではないわけであります。第四次、第五次となだらかにやらなければ、やはり国内的な影響も非常に大きいということでありますので、そのように考えておったわけでございます。輸入ワクの拡大、それから大きな補正予算を組んで輸出を内需に向けようということもいたしました。これは、この予算は全くの国際収支改善だけを目標にしたのじゃないのかというような御発言を受けたような状態もございました。  ただ、残っておりますものは、御指摘のように資本の自由化が残っております。それからもう一つは輸入の自由化。十品目ばかりを目標にしたわけでございますが、そのうちの七品目は一次産品であるということで、今日までまだ自由化の最終決定は行なわれておりませんが、これは国内対策をどうするか、これを行なう場合にはどういう影響があるかということを、いま詰めておるわけでございますし、これは日米間でもって話し合いをするという予定があるわけであります。まあエバリー氏が来る、こちらもまた連絡をしましょう、そして事務的に両国の間でもって十分連絡をしながらやっていきましょうということになっているわけです。専門家会議もつくられておるわけでございますし、そういう意味でこれから日米間でも話し合いをしながら、最終的にはセーフガードの問題も出てくるわけでございますし、これは日本だけできめるというよりも、話し合いをしながら漸次きめてまいろう、こういう考えでおったわけでございます。

河村勝民社党

○河村委員 第四次、第五次となだらかにいける状態であれば、それは望ましいでしょう。そこに私は総理やあるいは政府全体の認識、国際通貨情勢の認識あるいは国際通貨外交、そういうものに対する認識が足りなかったところがあるのだというふうに考えざるを得ないのですね。  ですから、これは結果論になるかもしれません。しかし、ほんとうは、いままでの経過を振り返ってみますと、円対策ももちろんやらなければなりません。ほんとうは、第二次円対策七項目というようなものが昨年五月にできておりますね。これはほとんどつくりましたというだけのものでありまして、その時期ごろからやっておればよかったわけでありますけれども、この時期にはほとんどやっていない。全体の世界情勢はそういうものであるし、同時に、国内では黒字がたまり過ぎて、流動性というものは非常にふえて、それがもとになって国内で、土地それから続いて株式の投機が起こって、それがインフレ・マインドを非常に助長して、非常に懸念される情勢にあったわけですね。ですから、そういう対外、対内両方を考えれば、あの時期、十二月の末くらいの段階で、ほんとうは円対策と一緒に二百八十円くらいの見当で、企業は大体それを予想して、もうすでに取引をやっておるわけですから、あの時期にその辺の見当でやっておけば、こういう事態を招かないで済んだ。  だから、そういう意味で、きのうから議論されております為替政策というものを、一つの調整機能、政策手段として活用しろというのは、これは、本来通貨というものは安定しておったほうがよろしいけれども、しかし、それができない場合があって、外圧に押されてしぶしぶやるということになれば、よけい混乱も起こるし、なおかつ、実際予想した以上の大幅切り上げをおそらくやらなきゃならないわけですね。だから、本来ならば、そういう事態を避けることができた暮れのうちに、円対策と、それから適当なころ合いの切上げと、両方やっておけばよかったのだ。そういうことになりませんか。いかがですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、この前行なわれた平価調整が、多国間調整の第一回目である。多国間で通貨調整をやろうという基本的な話し合いができておったわけでございますから、どうも、日本だけが十二月にさっと切り上げるというようなことはむずかしかったと思います。そして切り上げておって——あなたがいま言われたのは一つの見識だと思いますよ。私は、個人的には一つの見識として理解をしておりますが、二百八十円くらい、一〇%、こういう一つの提案がございました。二百八十円という一つの提案どおりに切り上げておって、向こうがその後一〇%切り下げれば、二〇%自動的にということにもなるわけでございますし、そういう具体的な問題よりも、やはり多国間で行なおうということであって、アメリカは今度もヨーロッパ中心でやりましたけれども、やはり、もし切り上げとか切り下げというような措置をするなら、実際はIMFの十カ国とか二十カ国、この前は十カ国の蔵相会議であったわけですが、今度二十カ国になったわけです。少数だけでやられることは、影響を受けるわれわれはたまらぬということで、他国から非常に非難があるわけですから、十カ国が二十カ国になったたわけです。二十カ国が招集せられて議題とされるべきだったと私自身は思います。  しかし、今度はドルの流入というせっぱ詰まった状況があったわけであります。どういう事情であったのか、いまつまびらかにしませんし、調べておるわけでありますが、とにかく矢つぎばやにイタリア、スイス、西ドイツと、西ドイツは、わずかの間に六十億ドルという大量のドルの買いささえが行なわれるというような突発的な事態というもので、アメリカが決断せざるを得なかったということでありますので、日本はその意味では受け身であった、こう考えております。

河村勝民社党

○河村委員 この問題は幾ら言いましても、政府は、見通しを誤った、責任を感ずるというところまではおっしゃらないだろうと思います。しかし、客観的に言いますと、やはり国際通貨情勢の認識が少し甘くて、大体この辺でいけると思ったのがだめになったというところに、ほんとうに政府の重大な責任がある。  私は、これは外務大臣にもお聞きしたいのでありますが、今回の切り上げのいろいろな過程を通じましても、日本の在外公館が、こういう経済問題についてもう少し動き回ったら、ほんとうにこれほどまで追い込まれないでも済んだじゃないかというような徴候が方々にあると思うのです。その点、在外公館におけるそういう経済問題についての機能あるいはしつけ、そういうものは一体いままでどうであったか、あなたの所見を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 通貨外交は、御案内のように、各国とも大蔵省中心に行なわれておるわけでございます。私どもは、大蔵省と協力いたしまして情報の収集に努力いたしたわけでございますけれども、御指摘のような不明な結果になりましたことは、まことに残念でございます。通貨問題自体が非常に秘密性をとうとぶものでございますし、いま総理からお話がありましたように、前のスミソニアンの合意がありまして一年そこそこでございましたし、その間、貿易収支のアンバランスを改善するというところに力点が置かれておりました経緯もありまして、こんなに早くドルが率先して切り下げを断行するという予想はつかなかった。これは、何と御指摘を受けましても、まことに不明のいたすところだと私は思うのであります。今後こういう問題につきましても、十分心得てかからなければならぬと思います。  在外公館におきましては、河村さんも御承知のとおり、経済関係につきましては、各省からすぐれた方々を動員していただきまして、各省の出店を糾合した形で機能を総合して、情報の収集と対外折衝に当たっておるわけでございます。たいへんすぐれた方々をいただいておりますので、これ以上わがままは言えませんけれども、こういう時代であればあるほど、ますます要員の充実をし、それからあなたのしつけという、訓練等につきましては十分配慮してまいりたいと思います。

河村勝民社党

○河村委員 とにかく、ここまで来てしまったことですから、過去を幾ら言っても取り返しのつかないことでありますから、今後の問題として総理に申し上げたことも、外務大臣に申し上げたことも、一つのこれからの先訓として十分将来に生かしていただきたい。それをお願いしておきます。  昭和四十八年度予算との関係につきまして、経済見通しの問題を伺いたいと思います。  きのうからの論議を通じまして、小坂企画庁長官の言っておられるのを聞いておりますと非常に不可解なんです。この経済見通しには円の切り上げは含んでおらない、一月二十六日にきまったものだから。だけれども、昨今の景気の上昇は非常に顕著であって、どうやら実質一〇・七%という経済成長率ではおさまりそうもない、であるから円の変動相場制に入って、これは当然切り上げを予定されるものであるが、それのデフレ要因が消化されるものと思うという、ふしぎな言い方をしているのでありますが、これを翻訳をしますと、二つしかないのですね。  一つは、何%かわからないけれども、円の切り上げを織り込んで想定をしたか、もしそうでないとすれば、初めから織り込んでもいないものが、一〇・七%の実成長を見て、織り込んだ、今日でもそれでいいということになりますと、当時すでに景気上昇が非常に顕著であって、過熱模様だということですね。だから、もし切り上げがなければ、経済成長率も、物価も、民間設備投資も、経済成長率などは一二%、一三%、とにかくどんどん上がってしまう、そういう情勢になってしまう。たまたま切り上げがあったものだから救われて、大体この辺でいきそうだということになるか、そのいずれかでなければならないのですね。企画庁長官、その点は一体どうお考えになりますか。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 まず、その見通しの性格を申し上げなければならぬと思うのでございますが、これは河村さん御承知のように、可能な政策を前提として、そして望ましい姿、安定的な成長というそういう姿を描いて、政策が入った目標ということに考えているわけです。民間でも幾つかそういうものは出ておりますけれども、これも御承知のように、みんな一二以上でございますね。一二%以上の成長、多いのは一四くらいの成長をいっているわけです。そういうものから見ますと、政府の一〇・七という見通しは、相当に政策努力というものが入っているというふうにごらんになっていいと思うのです。  その政策努力の中には何があるんだというと、その為替の問題が全然なかったら、それじゃそういうことにならぬのかというふうな御質問のように思うのですけれども、それはそうではございませんで、まあ、私の大体の持論として、日本の輸出というものは少し考え直してもらう必要があるんじゃないか。国内で売っているよりも非常に安いような値段で国外に輸出をして、ダンピングの汚名を着せられ、あるいはその審査をさせられて、そして非常に過当競争をして、安い利潤でものをつくっておる。その結果、非常に大量生産をして、国内に汚染をまき散らしておる。国民にきらわれて、外国にきらわれて、しかも企業はもうけがない。それなら外国へ高く売って、国内にその利潤だけ安く売ったらいいじゃないか、それをやれやれと言っておる。  そういうことも一つとして、もう一つ非常に大きく私ども期待しておるのは金融なんですね。金融は、金融操作によって、非常に過熱の状況が見られたら、これを引き締めていくというようなことも考えながらやっているのでございまして、そこへこの為替の問題がきた。それで私ども、金融で十の引き締めをやるところならば、それを三つ四つで済ませて、あとの五つくらいは為替の問題で調整ができるのじゃないか、こういう結果的に見た話を申し上げておる。  最初の目標については、相当な政策努力というものが中に入っている、こういうふうに為替以外の努力を多く入れている、こういうことなんでございます。

河村勝民社党

○河村委員 それはごまかしですよね。そういう政策手段は、初めから景気が過熱して、どこまでGNPが伸びていくかわからぬという状態のもとでしょう。ですから、それは当然、金融引き締め等も政策手段としてすでに入っている話だ。民間の話は、これは競馬の予想みたいなものですから、当たっても当たらなくてもよろしいけれども、初めからそういう過熱の状況があって、それで、実質成長率が一三か一四か知りませんけれども、そのくらい上がりそうだというものは予見しているわけですね、きょうの御説明でも。それにもかかわらずそれを訂正しなかった。そうしておいて、円切り上げがあったからちょうど落ちつくんですと言えば、円切り上げというものは何ぼか繰り込んであるか、そうでなければ行き過ぎてしまうか、どっちかじゃないのですか。そうでなければ、私は理屈が合わないように思いますがね。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 これは年間を通しての話でございまして、四半期くらいのものでは類推できない面もございます。しかし、この十—十二月の風速をもってすると、これは相当オーバーするのじゃないかと思われるので、そこへ現実の問題として、今度この通貨の調整の問題が出てきた。そこで、いま申し上げているように、私どものいろいろな政策努力の中に、今度は外部からの問題として為替の問題が入ってきた。そこで、私どもの政策努力をかりに十要るものとすれば、それが七つなり六つなりで済むのじゃないか。要するに、最終の目標は変わらないけれども中身は変わってくる、こういうことであるわけであります。  ただ、いまのフロートしている状態で私どもはそういうふうに思っていますけれども、これがどういうふうに落ちつくかということは、これは今後の問題で、その問題の行く末を見ながらさらに検討していきたいとは考えております。

河村勝民社党

○河村委員 総理は先ほど、変動相場制以後の見通しとして、大体実質成長率は一〇・七%確保できるだろう、だから税収の見込みを変える必要はないと、こうおっしゃいましたね。それはどういう根拠に基づいておっしゃいましたか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 四十七年度の下期の状態から考えますと、相当高い成長率を続けるだろうという見通しに対して、少なくとも長期経済社会基本計画に基づく初年度でございますから一〇・七%、だんだんだんだんと幾らかずつ下がっていくということにならなければならぬわけでありますから、その意味では、計画経済ではないけれども、相当計画的に施策を進めることによって安定成長を確保しなければならないということで、一〇・七%という経済見通しを立てたわけでございます。  しかしその後、変動相場制に移行というデフレ要因が加わったわけでございますから、そうしますと、それが何%になるかわかりません。わかりませんが、四十六年度、四十七年度の状態を見ますと、第一回目の切り上げが行なわれたにもかかわらず、当初企図したよりも高い成長率が行なわれたわけでございます。そういうような過去の状態に徴しても、デフレ要因もありますけれども、前提となる経済的な状態は上昇基調にある。まあそれが一二%、一二・七%、これは全く仮定の数字でありますが、一二・七%であって、そこへ二%のデフレ要因が加わるとすれば、ちょうど一〇・七%になるわけでございますが、そんなにうまくはいかないと思うのです。しかし、これから四十八年度の予算を執行してまいり、しかも、その上に金融政策等諸般の政策を進めていくわけであります。それは中小企業対策に対しても落ち込みを防がなければなりませんし、そのためにはいろいろな施策を行なわなければならないわけでありますから、そういう意味で、施策をやることによって一〇・七%という政府が企図しておる四十八年度の成長は維持できるだろう、こういう考え方でございます。

河村勝民社党

○河村委員 もし切り上げがオーバーに行なわれて、影響が大きくて、税収に、特に法人税でしょうが、不足を来たした場合、何によって補てんをしますか。大蔵大臣。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 この問題は再々お答えしておるわけでございますが、現時点で歳入の見積もりを変えるということは、私はできないと思います。ということは、歳入の見積もりは、現状におきましては確保できると思います。したがって、足りなかった場合どうするかということについては、ただいま考えておりません。

河村勝民社党

○河村委員 そんなものなんですか。もし不足を生じたら何で処理するかということぐらいも全然頭にない、考え方としてないという、それほど無責任なものなんでしょうか。その点いかがですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 フロートということは、急激に国民経済に衝撃を与えないという役割りも持っているわけでございますし、それから経済見通しにつきましても、いま御論議もあったようなわけであって、年度の全体の将来を通じて見積もりをここで変えるということ自身が、私はできないことだと思うのです。これは河村さんが私の立場にいらっしゃいましてもそうだと思う。ということは、裏から言えば、その歳入を確保できる。  観念的に、これは現在の場合を離れて、歳入見積もりをつくったが、その歳入見積もりどおり歳入ができなかった、歳入欠陥を生じた場合は一体どうかということになれば、これは税で、新たに税制をつくり直して補てんするということも考えられましょうし、あるいは歳入補てんのために公債を発行するということも考えられると思います。これは一般論として、さようなことは考えられると思います。

河村勝民社党

○河村委員 次に、中小企業対策について伺います。  けさからいろいろな議論がございましたが、いままで政府から説明のありましたことは、全部従来行なっておったようなものを、主として金融上の対策をぞろっと並べたものでありまして、そういう意味では、まあ大体そろっていると言っていいと思いますから、その点は触れないでおきます。  けさほど、中曽根通産大臣は、今回の切り上げが中小企業に与える影響が非常に大きいということで、各業種別に並べて見通しをお述べになりました。その場合に、ほとんどが、これからもう少し融資でもやって何とか切り抜けさせてやろうというニュアンスが非常に強かったわけですね。それで、転業しなければならぬものは、転業する希望を待って、それのめんどうを見る体制をつくろう、そういうお話でしたね。どうも、一体それでいいんだろうかという気が非常に強くするわけですね。いま非常に苦しくなっているものを、無理にこれから力を入れて何とか立ち直らせて、また出血輸出をやらせていくということを繰り返していけば、また同じような再切り上げにつながるような路線になっていくわけですね。これはもう通貨対策だけではなしに、国際分業、日本の産業構造を変えていこうというのがいまの一番の大きな課題ですね。であれば、この辺で、ただ転換したいものを待っているというのではなしに、ほんとうに後進国から追い上げを食っている産業、これは、いまかりに多少めんどうを見て生き延びたところが、そう長くもつものでもないし、望ましいことでもないわけですから、そういう受け身ではなしに、積極的に、これからどういう業種を伸ばし、どういうものは廃業あるいは転換をしていくかという区別をつけて、そういうものに対して、単なる融資ではなしに、もっとスケールの大きい対策をやっていかなければならぬと思うのですが、その点、総理はどうお考えですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 まず、実態を把握することが第一であります。それから、業界そのものが何を希望しておるかということもやはり考えてあげなければいかぬと思うのです。そうして、そういうようなデータが出てきたときに、まず金融上の問題とか、税制上の問題とか、いろいろな措置がとられるわけでございますが、その中から、転廃業というものを、合理的に説得力のある案をつくってやらなければならない、こう思います。  これは前のときもいろいろやったんです。ところが、繊維も、それから対米貿易にウエートを置いておる洋食器などでも、なかなか転業はしなかったわけでございます。この間からもそういう業界の人々の陳情も受けておりますが、今度はどうだ、今度はやはり、転業もやむを得ないと思いますが、いろいろなあれがございますから、すぐはできない、やはりわれわれが要求を出す、要望するので、そういうものに政府はこたえてもらいたい、こういうのが非常に多いのです。中には、近畿地方などでも相当転業したものもありますし、そういうことも十分考え、業者の意思というものも尊重しながら、お互いに納得ずくで転廃業をスムーズに進めていくということも必要だと思います。

河村勝民社党

○河村委員 まあ、納得ずくということはもちろん必要でありますけれども、いま日本は、これから国際分業体制をつくっていくことにほんとうに前向きでなければならぬわけですね。であれば、何とかめんどうを見てくれと言うからそれのめんどうを見て、何とか立ち直らしていくというだけでは済まない時期に来ているのでしょう。転廃業するといっても、いままでは融資とか税制の面とかいうことであって、ほんとうに転換できるだけの準備が政府側にないのですね。ですから、それをやるべきなんであって、たとえば繊維につきましては、これは繊維の自主規制に関連してつくられた制度であって、必ずしも十分に活用されているとは思いませんが、しかし、従業員の離職者の一時給付金とか設備の買い上げの金も出しておるわけですね、通産大臣。これは繊維に限られます。しかしいま、こういうショックを機会に、転換をこれから政府が指導して、それを望ましい方向に持っていくという意思がおありなら、これを、こうした部門に限らないでもっとスケールの大きなものにして、国が設備も買い上げて、それで転換を進めていくというぐらいの対策があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 前回の切り上げのとき以来、若干転換したのもあるのです。たとえばクリスマス電球のようなものは、自動車の中のランプやあるいは表示ランプ、ああいうものに転換したのもあります。それから、業種によっては連合して韓国に行きまして、そこの労働力と結合してアメリカに直接輸出するという方向に切りかわったのもあります。しかし、ああいうケミカルシューズとか電球というような雑貨的なものは、家内工業的に小規模でやっておるのが多うございまして、ちょうど農業生産物みたいに、これが少しもうかりそうだとなるとわあっと集まってきてやる、もうからぬということになるとまた少し手控える、そういう形態が多いようです。ですから、ある程度基準を想定して、適正規模を維持するということにわれわれが組合と一緒になって努力してやるということは必要だろうと思います。それには、適正規模を守るためにある程度強制力を持たぬといかぬかもしれぬ。というのは、よくなるとすぐアウトサイダーが出てきて、そして、わずかな手間でできるものですから、仕事を始めてしまう。そういう例が多いようです。  ですから、今回の実態にかんがみまして、御意見を体しまして、私もそういう方向には賛成でございますから、実情に即して指導してまいりたいと思います。

河村勝民社党

○河村委員 考え方だけでなしに、これは金が要ると思うのです。ですから、これは組みかえでも補正でもどっちでもよろしい、そこは議論してもむだですから申しませんが、この際、国自身の金で、融資や何かでなしに、もうやめるものは積極的に設備を買い上げてしまうというところまでできないかというのが私の主張であります。総理大臣、いかがですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 たとえば、転廃業というような問題につきましては、大蔵省側といたしましても積極的に、けさほど申しましたような財政上、金融上の措置は講じてまいりたいと思っております。

河村勝民社党

○河村委員 その金融上の、ただ困っているものを助けてやろうというのじゃなしに、もっと大きな構造改善のための構想はないかということをお聞きしているので、いままで伺ったことをもう一ぺん聞こうと言っているわけじゃないのです。そうした大きな政治的なものの考え方、総理、そういう考え方はございませんか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 そういう構造改善のための近代化、合理化のための資金準備はしてあるのです。したがいまして、今度の情勢にかんがみまして、積極的に関心をもって指導して、そういう資金を有効に使えるような情勢を誘致していきたい、そう思います。

河村勝民社党

○河村委員 いや、振興事業団とかなんとかいうものを使う近代化資金があることは知っております。しかし、そういうものじゃないのですよね。趣旨が違うのです。私が言っているのは、思い切って転換するための構想をお持ちなさいということを言っているので、そういうようなことをやっておれば、結局、低生産部門はそのまま維持して、これは輸出産業だけじゃないのですが、もうだんだん後進国でつくったものが、安いものが入ってきて、国内需要でも事実上先のないものもあるわけですね。そういうものは、ほんとうに政治を考えていけば選別できるはずなんです。こういう業種はこれから先はいかぬ、これはやり方によってはいける、そういうものをはっきりつくって、そういうほうに誘導する。誘導するためには思い切った資金を投下してやっていく。そうでなければ同じことですよ。産業構造を転換するとかなんとかいったって、いつまでたってもだめで、また再々切り上げということになるにきまっておるんですね。その点総理、これこそほんとうに総理自身がリーダーシップをとってやらなければできないことだと思います。ひとつ重ねて御所見を伺います。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 これはやはり実態把握をして、そして業者の意見も尊重しないと、これはだめな企業であるということを言っても、なかなか聞かないものもあるのです。これは、橋がかかったから賃取り船はもう全然要らなくなるということと違いますし、くつができたからげた屋は要らないんだというようなことにはなかなかいかないのです。  いま、新潟県には大きなナイフやフォークをやっているものがあるのです。この間も議論したのです。私は朝早くから何十人を前にして議論して、とにかくこの前も、相当組合をつくって、これ以上ふやさぬということにして転廃業しなさい、こう言ったのですが、結局、一軒も転廃業しなかったらしいのです。一軒もということは極端かもしれませんが、とにかく向こうのあれは、あなたに言われたけれども転廃業はなかったです、こういうことであります。転廃業がなければ、一年間に一〇%でも一五%ずつでも量はふえておるじゃないか、こう言いましたら、まあそういうことであって、いままでよりも苦しいという感じですと。今度は転廃業をやらなければいかぬのだが、さて自分に向く仕事というもの、中小企業は何に一体向くのかということになると、うちは持っておるし労働者は持っておるし、どうにもあれがないのです。だから、やはり市や町が新しい基幹産業というようなものと話し合いをしながら系列的な工業をつくってやって、それに転換をするとか何かしてもらわないとなかなかむずかしいです。まあ織機を破砕したように、今度はやはり製造機を買い上げてもらって破砕をしてもらわなければならぬかもしれません。それは何台、どういうふうになるかということは、私たちも調査をいたしますということになっておるのです。今度、破砕したらまたやみ織機をつくるようなことをしちゃだめですぞ。今度は、そういうものは絶対に守るということでなければいかぬし、転廃業に対しては、残る協同組合も共同責任をもって国や県と一緒になってやるということをひとつ考えよう、こう言っているわけです。中にはしかし、開発途上国に対して、ナイフやフォークは使わぬでも、スプーンは使うでしょう、こういうことでなかなかたくましいのです。  そういうことで、やはりわれわれも実態を十分把握をして、そして同じ道を悪循環を続けていくということは自然淘汰ということになりますから、そういうことで政治の責任を果たせるとは思っておりません。だからやはりある時期には、これはもう業者の意向は尊重はしますが、しかし、だめなものはだめなんじゃないかということに対しては、転廃業というものに対しては、政府も地方公共団体も相当な誠意をもってこれに対処していく、こういう考えであります。

河村勝民社党

○河村委員 私は、災いを転じて福となすといいますか、今度のような場合が一番やりやすい時期なんですから、ですからもう少し、ただ今後考えますじゃなしに、具体的な構想を持ってやってほしいということを申し上げたので、明確な答弁をいただけなかったのは残念ですけれども、ぜひひとつこれはやってください。大体後進国にスプーンを売るなんというのはとんでもない話で、そういうことでやっていったら、通貨だけではなしに、日本はアジアで孤立をします。ですから、ほんとうに通貨だけの問題でなしに、これからの日本がアジアでほんとうに仲よくやっていけるかいけないかの問題なんですから、ひとつ真剣に考えていただきたいと思います。  それから、次に物価であります。これだけの大きなショックがあって、それで一般国民からしますと、これだけ大騒ぎして、全部でないまでも、相当大きな部分の人がこれによって非常に混乱をし、困ることがあるわけですね。それで、円が強くなったと言って総理はたいへんいばっておられるけれども、円が強くなったかもしれないけれども、輸入品はさっぱり安くならない。輸入品は、きょうあたりの新聞を見ましても、一月対比で輸入品の価格が五・五%上がっているのですね。これは海外のインフレ輸入です。海外の物価が上がると、どんどん高い物がそのまま中に入ってくる。ところが、せっかく平価は切り上がったけれども、切り上げの恩寵というのは一つも価格に響かない。これじゃ国民としては、もうさっぱり理解に苦しんでいるところですね。  そこで、一体輸入価格をどうやって引き下げるか。通産大臣もさっきからいろんなことをおっしゃっていますが、もう追跡調査とか総代理店に対して並行輸入を認めるとか、そういう御返事であれば聞かなくともけっこうでございます。そうでなしに、この際こういう一般が物価上昇で苦しんでいるときなんですから、何か思い切った、物価を、輸入品の価格、これをレートを反映するようなものにできないか。その点についての案はありませんか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 物価問題は今年最大の問題であると考えております。同時に、ドルが一〇%も切り下げられ、円はフロートしているわけでございますから、輸入品価格が反映をしないということでは困るのです。しかしいろんな問題があります。これに対して政府も苦慮し、対策に対して腐心をいたしておるわけであります。  それで、いま物価統制令の中に暴利取り締まりというのがあるわけですが、これはなかなか基準がむずかしいというのですが、これはやはり今度の問題を契機にして、私自身深刻に考えております。少なくとも三百六十円であったものが一年余のうちに百円近くも下がっておるというのに、どうして一体下がらないのか。それだけ中間的な月給がみんな上がったのかと、こういえば、私は国民は納得しないと思います。ですから、暴利取り締まりということに対して一つの定義をつくって、そして何か方法がないか。年率一〇%だったら、一〇%以上のものに対してはどうするというようなことがあるわけであります。不況カルテルでもって昨年の末までやっておったものが、合板の原料等にしてもこれはもとの値段には戻った。戻ったにもかかわらず、その後なお売り値が上がっておる。売り値が上がっておるだけではなく、五社や十社の輸入業者が何%か上げるというようなことをいって、どういうことなんだろうと。そういう問題に対して、やはり何らかの処置というものは必要だろう。その意味で、土地に対しては少なくとも税制上のあれだけのものをつくりまして、いま国会の審議を仰ごうとしておりますが、輸入品とか生活必需物資に対して、それでも売れるのだからというような議論で私はやってはいけないと思うのです。  ですから、政府そのものが流通機構の整備だとかいろんなことに対して考えておりますし、公取もやっておりますが、やはり土地に対してあれだけの国民的な感情が起こったように、私は、円がフロートしておって輸入品がもとと同じだったなどといったら、土地に対してと同じ、あるいはそれ以上の不満が起こると思います。これは不満に対処するというだけじゃありません。物価そのものを引き下げなければならぬためには、一体どういう具体的な措置をとらなければいかぬのか、いま真剣に考えております。  私自身は、全く個人的な問題でありますが、年率一〇%にすれば、三年間持っておったものを三〇%以上で売った場合どうするとか、まあそれは自己資金で買ったものとか、金融で買ったものとか、高利で借りたものとか、それは一律に言えませんが、そんなことを言っておったならば手がないわけでありますから、やはりそういう問題に対しては、暫定的にでもいいから何か考えなければいかぬのじゃないか。同じ答弁だけじゃだめだと言うから申し上げるのじゃありません。そのくらい深刻な感じを持っていま勉強しておるということだけ申し上げておきます。

河村勝民社党

○河村委員 考えておられることはたいへんけっこうでありますが、これは急ぐのですね。ですから、じんぜん日を延ばしておれば結局同じようなことの繰り返しになりますから、この際、物価統制令はどうか知りませんけれども、少なくとも生活関連の輸入物資ですね、これくらいは輸入原価の報告義務、公正取引委員会がいいかどうかその辺私もわかりませんが、とにかく政府に対して輸入原価並びに卸売り価格の報告義務を課す、そして非常に高いものには政府が勧告権を持つというくらいの、その程度までの法制措置を、政府が出してくださればわれわれも協力をします。どういうような案がいいか問題はありますけれども、何かそういうものをお出しになることを考えられないかどうか。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 一つの御提案と思って承りまして、研究をいたします。全般的な問題として、非常にこれはいい手だということではない、非常に平凡なことでございまするけれども、やはり輸入をふやすということが物価に大きく影響すると思うわけでございまして、そのふやす方法として、やはり輸入金利を下げるとか、あるいは輸入手形を特に優遇するとか、そういうような一見平凡でありますけれども、そういうことがあるいは実効があるんじゃないかと思って、これからいろいろ急いで努力したいと思っております。  それから、並行輸入の点でちょっと一言つけ加えさせていただきますが、あれは十月から始めたわけでございますので、まだ着手早々にしてはかなり影響があると思うのです。これも、どうも政治感覚として、何かウイスキーが下がったというんじゃ庶民感覚としてあまりいいことでございませんので、もっと他の、ほんとうに生活関連物資に影響があるような、そういうことを考えたい、こう思っております。

河村勝民社党

○河村委員 輸入をふやすというのが一番実効があがる、それはもちろんそのとおりですが、同時にそれが物価に反映することが大事なんです。  たまたま輸入をふやすという話が出ましたので、今後の円対策ですね。どうやら新聞等で拝見をしておりますと、変動相場制があって切り上げがきまったから、これで円対策をゆるめるというんじゃなしに、強化をされるという方向のようでありますから、私はそれでたいへんけっこうだと思っております。しかし、具体的には中身はまだあまりないようであります。さっき総理は、関税二〇%引き下げ、これはもっと下げたいと思うが、新国際ラウンドもあることだしというようなお話でありましたが、どうもそういう感覚は私は少し間違いではないかと思います。それが甘いんじゃないかと思う。確かにこういう国際会議では多少かけ引きも要りましょうが、日本の場合には、いま確かに基礎収支は日本だけが非常に不均衡であって、そのために方々から責められておるわけですね。ですから交渉するにしたって、なるべくこっちが強い立場にならなければならない。そのためには、ほかと一緒にやるんではなしに、日本が先にまず引き下げておいて、それで交渉するというのでなければ、通貨交渉でも何でもうまくいかないと思うのですね。  ですから、そういうニュー国際ラウンドもさることながら、そういうものを待たずに、この際思い切って工業製品ぐらいならばむしろ一〇〇%関税引き下げ、これは財界なんかも近ごろだいぶ危機感を感じたらしくて言っておるようでありますが、あそこは総論賛成、各論反対の世界だから、これからどうなるかわかりませんが、そういうこととは別に、とにかくそのくらいのことをおやりになったらいかがですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 輸入の自由化、資本の自由化、それから関税の引き下げ等に対しては、積極的な姿勢を盛ってまいります。この国会にも関税定率法の一部改正法律案を御審議いただいておるわけでございまして、その中で皆さんの御意見も十分盛ってまいりたい、こう思っております。

河村勝民社党

○河村委員 いま私は具体的な質問を申し上げたんです。そういう一般的なことを言ったのでなしに、この際、新国際ラウンドを待たずに、関税の大幅引き下げを自分のほうから先におやりになったらいかがですかということと、もう一つ資本の一〇〇%自由化、これも一緒におやりになったらいかがですか、こういうことを言っておるわけです。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 資本の自由化は一〇〇%を原則にするような方向で、いま検討を進めておるわけでございます。  関税はこれは国内産業との問題もございますので、全部ゼロにするというわけにはまいりません。まいりませんが、できれば、ある期間の間を委任していただければ、これはできるわけでございますが、やはり租税法定主義がございますので、これはある一定期間を限って、ある場合においては少し上げるという場合もある、ある場合においてはゼロまで下げるというようなことが望ましいということは、私も常に申し上げておることでございまして、国会の御意見も拝聴しながら結論を出してまいろう、こう考えております。

河村勝民社党

○河村委員 円対策の中にはずいぶんたくさんございますが、その中で、経済協力に関係がありますが、これも、今後非常に大きな大事な問題で、やっていくべきだと思うのですけれども、第三次円対策の中でひもつき援助を廃止するというのがあったのを、最終的に、ひもなし援助を推進するというような、たいへんゆるい作文になっているようであります。  それに関連して、中曽根通産大臣は、わりと最近の話、タイから帰られた際に記者会見をして、タイに対してはひもつきを廃止したが、これをその他の国に及ぼすことについては消極的であるというような談話をなされたように新聞に書いてありますが、事実でありますか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○中曽根国務大臣 それは事実でございます。日本の輸出力を分野で見ますと、雑貨とか、繊維とか、こういうものはいずれ発展途上国に追いつき、追い抜かるべきものです。いまおっしゃったとおりです。それで何で逃げていくかといえば、機械とかプラントとかあるいは情報産業、そういう高度のもの、高級なもので逃げていくよりしようがないわけです。ところが、日本のプラントの輸出力というものは、欧米に比べてまだまだ非常に落ちております。大体欧米が二〇%ぐらいですが、日本は五・八%ぐらいの力しかまだありません。そういうわけで、このプラントの輸出力をもうしばらくつけてやらぬと、発展途上国に追いつかれていく、逃げ場がなくなるということでもあるわけです。また一方、情報産業のコンピューターとかあるいは飛行機とか、そういうものはアメリカの巨大資本の前にこちらは無力である。  そういう点考えますと、何とかしてプラントの輸出力を、造船はありますけれども、造船以外のプラントは非常に弱いわけです。そういう面から考えてできるだけひもをつけないようにしたいけれども、しばらくはやむを得ない。そこでタイへ行きまして、あそこの政情にかんがみまして、六百四十億円の円借款のうち四百六十億円のプロジェクトについてアンタイイングにいたしました。これは国際機関との協調でやっている仕事でございます。ほかの地域については、いまそういう状況でございますから、そういうことよりも、われわれのほうから見ればむしろ政府援助を多くしたい。そのガバメンタルベースのものは、OECDでは〇・七%くらいまで上げるという目標をつくっていますが、日本は〇・二二%程度しかいかない。おととしが〇・二三%いったのが、去年は〇・二二%に落ちている。そういう意味において、欧米諸国に比べてこの部分では非常に落ちているわけです。そういう意味からも無償援助、グラント、そういうものをできるだけふやす形にしていまのようなプラントの輸出力をつけるという点は考えていきたい、そう思っておるわけであります。

河村勝民社党

○河村委員 政府援助を〇・七まで上げる。しかし実際現実には、去年よりことしのほうがパーセンテージは下がっているわけですね。ですからこの点も、経済協力の質的拡充をやるといって、実は後退しているんですよ。それからDACのほうでやはりこれも勧告になっておりますが、簡単にいえば贈与部分ですね、これの比率を上げろというやつも、これもさっぱりですね。ですから、そっちのほうはちっとも進んでいないのですよ。それでひもつきのほうはがんばっている。これもやはり輸出振興の一種ですから、そういうのはもう割り切るべき時期に来ているのじゃないですか。総理、いかがですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 DACの平均数字が〇・三二%であったものが、一昨年は〇・二三%であるということで、同じような数字でありますが、そこには相当の差があったということは事実であります。昨年は〇・二二%に〇・〇一%下がったということも事実でありますが、今度の予算には〇・三以上にということでありまして、今世紀末というあの宣言に対して、これが実行できるように努力を続けておるわけでございます。

河村勝民社党

○河村委員 そこで、いよいよ時間もなくなりましたが、変動相場制をいま継続しておって、田中総理は多国間調整でいくんだとさっきおっしゃいましたね。多国間で相談するんだ。この三月二十六日ですか、二十カ国蔵相会議がございますね。あそこでこの問題は相談されますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 三月の末に二十カ国蔵相会議があることは事実であり、決定しておるわけでございますけれども、二十カ国委員会で多国間の通貨レートの調節が議題になるとは聞いておりません。ただ、そういう機会に各国個別にいろいろの情報交換とかあるいは話し合いとかいうことが行なわれることは、従来の慣例から申しましてもあり得ることである、こう考えております。

河村勝民社党

○河村委員 そうすると、少なくとも三月二十六日ごろまではフロートは続けていく、そういうことになりますね。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 ただいま申しましたように、その時期に通貨のレートをきめるということが議題になっているわけではございませんから、それと日本がどうするかということは関係がございません。

河村勝民社党

○河村委員 いずれ、何にいたしましてもこれから固定相場制に移行する段階に入ってくるわけでありますが、結論的に言って、アメリカがドルあるいはその他の資産と交換性を何も持たないでおるという状態が続く限り、どういじってみてもこれから通貨不安というものは絶えないわけですね。ですから、どんな新しい通貨体制をつくるにしても、それが先決になると思います。ですから、それについてどういう態度で臨まれるのか。  それから、新しい通貨体制についてのわが国としての意見というものは、いままで何もないように思われます。ただ、SDRを魅力あるものにするという程度のことであって、それ以外になかったように思いますが、その点、愛知大蔵大臣はどのようにお考えでございますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 むしろその点が二十カ国蔵相会議などの大きな話題になると期待いたしておるわけでありまして、こういう事態を経験した各国としては、ますますもって今後の通貨安定策をどういうふうにしたらいいか。それには、いまただ一つの基準通貨にとにかくなっておりますドルの問題が、当然各国からも論議が出てくると思います。それからSDRの問題も、一つのオールタナティブとして当然議題になってくる。実は、作業部会といったようなものもおりおりございますから、そういうところでだんだん各国のいろいろの建設的な意見も出てくると思います。  日本としましては、やはり基準通貨が安定したものでなければならない。それから基準通貨の国が、たとえばインフレ抑制というようなことに対して積極的な体制を示してもらわなければ困る、あるいは資本の輸出というものを抑制しなければ困るというような点について、あるいはさらにSDRの内容を改善する考え方等については、日本としても従来からいろいろの提案をいたしておるわけでございます。しかし関係国が多いことと、問題が非常にむずかしいだけに、現在まで遅々としてなかなか進んでいなかったということもまた事実でございますが、あらためて、先ほど申しましたように各国とも苦い経験を再び繰り返したわけでございますから、世界的に建設的な動きは相当出てくるであろう。日本としても十分な役割りをその間に果たしてまいりたい、こういう態度でおります。

河村勝民社党

○河村委員 最後に、田中総理に要望をいたしますが、要望と同時に考え直していただきたい。例の円は下がるより上がったほうがよろしいんだという発言ですね、あれは一般論としてはそうだということは私も認めます。しかし条件が悪いですね。一つは、こういう変動相場制に入って混乱している時期であります。もう一つは、強いほうがいいと言うのには条件が要るわけです。それは国内的に、他の国に負けないくらい社会資本も充実し、福祉も充実した段階においてなおかつ円が強くて、それで切り上げを迫られるような状態であるならば、これは胸を張ってそうおっしゃってもよろしいかもしれない。しかし、わが国の場合はまだそこまでいっておらぬわけですね。ですから、一国の総理大臣の発言としては、私はやはり不謹慎だと思います。だから、そういうようなお考え方を述べられますと、これから福祉政策に転換するとか社会資本を充実していくとか言っても、どうもほんとうの気持ちは、それじゃもう一ぺんどんどん高度成長でいって、それで切り上げたほうがいいんだということでばく進をしていくのかという感じさえ受けるわけですね。ですから、どうかそういう一種の放言、放言だと思いますが、ほんとうに本気で日本の体質改善に邁進してほしい。総理の決意を伺って、私の質問を終わります。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 わずか四半世紀前の全く無一文の中から、国民のエネルギーは今日を築いてまいりました。その成果は蓄積された外貨になったわけでございますから、これは国民にすべて還元をさるべきものでございます。そういう意味で、国民福祉の向上、生活環境の整備、この国に生まれたことを真に喜び合えるような日本人の生活環境をつくるためにそれを使い、精力的な政策を進めてまいりたい、こう考えます。

根本龍太郎自由民主党

○根本委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  次に、平林剛君。

平林剛日本社会党

○平林委員 各党の質問が大体一わたり終わったところで、私から文字どおり総括的に田中総理の政治責任についてまず追及をしていきたい、こう思っております。  まず、田中総理の予算委員会冒頭の発言でありますが、私はまだまだこの発言は不満である。まだ反省が足りない。田中総理が昨年七月就任をいたしましてから、円対策を最大の課題にして、円の切り上げになれば相当の政治責任を生ずる、こう述べました。施政方針演説でも、諸政策を述べた結びで、あなたはこう言っておる。「新しい時代の創造は、大きな困難と苦痛を伴うものであります。しかし、あえて困難に挑戦し、結果についての責任をとります。」こう述べておるわけです。私は、総理が述べられたこの政治責任ということば、ことばじりだけをとらえて、田中総理や内閣を追及しているのじゃありません。ことばやことばじりをつかまえて追及しているのじゃありませんよ。ただ、一昨年、円の切り上げがあったとき、国民が非常に勤勉で、低賃金で、福祉の時代とははるかに遠い生活環境、そして公害がたれ流しの中で、政府の施策に基づいて、生活第一、輸出第一ということで、ただドルだけをためてきた。ところが、ドル・ショックで不況とダブルパンチを食った。こんなことでは、国民は一体何のために生活を犠牲にしてきたのか、何のために働いてきたんだ。私は、こういう国民生活の中でドルだけたまるのは、国民は砂漠の中でピラミッドを建てているようなものだ、こういうふうに述べて、当時の佐藤総理を追及したことがあります。  今回も、社会福祉も生活水準も十分でないのに、再び切り上げに追い込まれた。まあ、実質的に円切り上げ、変動相場制に追い込まれた。私はその政治責任を総理に追及していかなければならぬと思っているのです。ことばじゃないのです。それを、何ですか田中総理、円が変動相場制に移行したのは外圧だと、責任をのがれようとしているじゃないですか。変動相場制に移ったけれども、実際は円の切り上げとは違うと、子供みたいな詭弁を弄しているじゃありませんか。政治責任を追及されると、それは熱意の表明だと言う。それなら責任をとりますとか、政治責任がありますなんて言わないところは、これはどうなんだということになるわけなんであります。だから私は、これは熱意の表明だなんということで、つまり、ことばのあやでのがれるのは、ほんとうの責任ある政治家の態度ではない、こう思っておるのです。  ただ、冒頭の発言の中に、「政府は、その責任を痛感し」こうありましたから、私どもはこの予算審議に入ったのです。そして政策転換の方向も、積極的、消極的の違いはあっても、一応いままでの方針を改めて福祉中心型にいきます、こういうからこの予算審議に入ったのです。私は、あの五日間ないし六日間は、政府の政治姿勢、考え方に反省を求め、政策転換の機会をつくるための責任追及であったわけですね。ですから、総理がほんとうに政治責任を痛感するとおっしゃるのであるならば、いままでの政府施策の全般と、特に円及び国際収支対策が不十分で効果なかったのだという率直な反省の上に立って、政策転換の実を示す、示していく、そういう姿勢が私は一番大事なことだと思うのです。  これから私は質疑をするわけですけれども、どうかひとつ、われわれはあなたに、総辞職せよとか、やめろとか、首をとるとか、そんな次元の低い話で政治責任を追及しているのじゃありません。問題は、政策転換の実を具体的にどう示すかということが今日総理に課せられた義務である、責任である、こう思って質問したいと思うのですけれども、総理の見解をまず承っておきたい。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 日本は、過去も現在も将来も、国際環境の中で貿易をしていかなければ国民生活の向上はないのであります。それは明治から百年の歴史々見れば明らかなとおりでございます。また、戦後の四半世紀の歴史は、それを如実に証明しておるわけでございます。そのためには世界じゅうから、好ましい日本人、好ましい日本という評価を受けなければならないということは当然でございます。だから、日本が外貨を集めるということだけでは、これは信用を維持し、博していくわけにはまいらないわけでございます。  そういう意味で、これからは開放化を積極的に進めてまいります。同時に、国民の汗と努力の結晶であり集積である今日の手持ちの外貨やこれからの国際競争力は、十分開発途上国のためにもなって、好ましい日本として長い友情を続け得るような状態を続けていかなければならないということでございます。だから、技術的にも、また蓄積された外貨を援助に回すということも、積極的にやってまいらなければならないと思います。同時に、先進工業国とも角突き合うことのないような、国際収支のお互いのバランスを考えるように努力をしていきたいと思います。  もう一つは国内的な問題でございますが、国内的な問題は、とにかく食うこと、着ること、生きることに全精力を傾けてまいったわけでございますが、その結果は、今日のように海外から批判されるような状態になりました。まあそれは一つの、ある意味において政策的な目標は達成できたわけでございますが、それは一面においては、飲まず食わずという面もあったわけでございますから、これからは、働くために、外貨を蓄積するために生きておるのじゃありません。だから、生活環境を整備し、ほんとうに社会保障を拡充し、先ほども述べましたとおり、われわれは汗して働いたが、この国に生まれたことを真に喜び合えるような環境をつくらなければならないということで、国民生活優先の政策を強力に進めるということでまいりたいと思います。また、そうして実をあげることが政治責任を果たすゆえんでもあると、真にそう信じておるのであります。

平林剛日本社会党

○平林委員 まあ、すべて賛成というわけじゃありませんけれども、その方向で進むとすれば、私は、ほんとうは率直に、今日の経済見通し、それから今日の段階に追い込まれた深い反省の上に立って深刻にものを考え、少なくとも昭和四十八年度予算というものはもう一度見直してみようというのが、これからの日本の国民経済を考えてとるべき責任ある態度であると思う。それをやると内閣の責任になるとか、田中総理初めての提出した予算に傷がつくとか、それはけちな考えです。そうじゃなくて、私は、ここで大胆に政策の転換をはかるという熱意、それが具体的にあらわれてくるということを希望したいわけであります。  特に、私はそういう意味では、総理もあるいは閣僚も、こういう事態に追い込まれたことに全くつんぼでいた、めくらでいたというわけではないと思いますけれども、念のために、四十八年度経済の見通しは、そういう事態があり得ると腹の中で考えて、それも予測の中に入れておきめになったものであるかどうか。これはどうでしょうか。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 前々からお答え申し上げておりますように、見通しをつくりました一月二十六日の時点では、為替相場の変更は考えておりません。しかしながら、総体的に四十六年度の不況からの景気の回復が非常に順調と申しますか、相当に風速を速めておるという状況下におきまして、あの見通しを達成するためには、相当の政策努力が必要であるということを考えておりましたわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 きのうの質問の中で田中総理が、円の切り上げはしないか、こういうことを質問されると、そういう質問のされ方をすると、円の切り上げはしないと答えざるを得ないのだ、公定歩合と円の平価調整などは、政府が軽々に所見といいますか、つまり腹の中にあることを言えないということは理解してほしいという趣旨のことを述べておられたですね。私は、そのことばを裏に返すと、ことしの昭和四十八年度予算の中にそういう予測も入っていて、それも考慮しながら組んでいるのが四十八年度予算でございますと言うほうが率直なんですね。それを、いや、それは全く組んでないと言うから、あなたは腹の中は一体どうなんだ、こういうことになるわけなんですね。もう少し正直なほうがいい。田中さんのいいところは、男らしく、あけっぴろげで言うところにあるのです。それができなくなったら田中内閣は、それだけでも佐藤さんからかわった資格はなくなるのですよ。いかがでしょう。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 毎々述べておるとおりでございまして、諸般の情勢を考えながら予算は組んだことでございますが、円の切り上げとか切り下げとか、変動相場制に移るとか、そういうことに対して私が申し上げられる立場にないことだけは、これはひとつ理解をしていただきたいと思うのです。とにかく、いかなる状態が参っても耐え得られるような予算でなければならないわけでございますが、しかし、やはり災害もありますし、また、それは万全であってということでもないわけでありますから、とにかく考えられるいろんな問題を考えて予算を組んだのだということだけで理解いただきたいと思います。  その中に円の切り上げも入っておった、こう言えば、何%入っておったか、こうなるので、とてもそんなことが申し上げられる立場にないことは、これはあなたも長いこと御専門でございますから、どうぞひとつ御理解を賜わりたい。

平林剛日本社会党

○平林委員 苦しい腹のうちはわからぬことはないですよ。しかし、このことを追及しているのは野党だけじゃないのです。自由民主党も、この間の本会議で前尾繁三郎さんが代表に立ちまして、政府の手の抜けていたことというような点については、自由民主党からの代表も、いまや野党だけじゃなくて各政党とも、そのことを追及している。特に私らも、別に専門家じゃありませんけれども、輸出入商社が、レートはドル三百八円であったけれども、しかし、先物契約ではすでに二百八十円前後で取引されていたという事実は承知しておったのです。また、アメリカの貿易収支の赤字が、七一年には二十億ドルであったものが、七二年には六十四億ドルに激増したという事実も知っていたのです。あなただって知らないわけはないのです。そうして、そのうち対日の赤字三十二億ドルが四十一億ドルにふえたということになれば、アメリカさんの頭にくるということは勘定に入れておかなければならぬ。それを承知の上で、経済見通しなり貿易収支の黒字八十九億ドルが妥当であるのかどうかというようなことを見通して、そしてその上で予算案の提出というのがなければうそなんですよ。そういう点では、率直に私は、見通しは少し甘かった、入れてないとするならば。腹にあることを言えないのだから、見通しは甘かったという点は、次の率直な態度として、あなたが国民に対して言うべきことばじゃないですか。これは社会党の平林が言っているのじゃないのです。本会議でああいうように野党も自由民主党も一斉に述べて、あなたに反省を求めていることばとして受け取って回答してもらいたい。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 諸般の情勢を十分勘案し、しかも四十七年度後半の状態も、またこれから政府がとろうとしておる国際収支対策も、そういうものも考えながら経済見通しを立て、そして予算を組み、提出をしたわけでございまして、政府が考え得る可能な際限一ぱいのものであると理解をいただきたい。

平林剛日本社会党

○平林委員 総理は、そういうことを含めて、変動相場制に至った現状は遺憾に存じますと言ったのじゃないですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 それは、先ほどからも申し上げておりますとおり、多国間調整で話し合いをしよう、日米間でも十分話し合いをしよう。それは、これだけの大きな日米間の貿易の黒字が一年や半年でもってやれるわけはありません。これは、輸出だけでも百五十億ドル、百七十億ドルというふうになるわけでございますから、とにかく四十億ドルを急激にやろうとすれば、三、四カ月間全部ストップしなければなりません。それが国内的にどのような影響を起こすかということは、政治上でなくとも、だれでも考えられることでありまして、両三年以内に全部の国際収支の中で、国民総生産の一%以内に経常収支の黒字幅を押えよう、その後基礎収支を均衡させるようにというふうにだんだんと移ってまいりますというその間の事情は、向こうに説明してございます。ですからアメリカは、それを十分理解しているはずなんです。はずなんですが、アメリカの民間にもいろいろ極端なことを言う人もあるというようなことがございましたが、しかし、こんなに早くやるというようなことに対しては、アメリカ側からはそういうふうな情勢の報告はなかったわけであります。  ただ、ごらんのとおり、イタリア問題から急テンポになった。だから、開放体制というものが、いかに自分だけではなく、ほかの動きによって影響を受けるかという一つの例だと思いますが、これは全く短い間にイタリア、スイス、それからドイツへと波及していったわけでございまして、ドルから見れば破局的な状態ということで、ついに多国間の話し合いもしないうちに、まず欧州だけで四カ国会議を開いて、一〇%の切り下げをやらなければいかぬというふうになったわけでありまして、そういう意味では私は、アメリカにもこれだけ近しい間なんだから、少なくとも二カ月、三カ月前にそういうことが察知できなかったかと言われれば、それは遺憾でございますというふうに申し上げざるを得ないのです。得ないのですが、甘かったと言われれば、それはそうかもしれませんが、オーストラリアが切り上げ、そうしてアメリカが切り下げるというような状態、これはだれが見ても、少なくとも七、八月から秋だろう、こういう感じでございました。  でありますから、それまでには十分国際収支対策も努力しなければならない。そのために大型の予算もお願いをして、皆さんからは、これは社会保障に対しての配慮も認めるが、しかし国際収支対策を最善とした対策じゃないか、こうも言われておるような状態でございまして、少し早過ぎるという感じはどうしても払拭できないわけであります。

平林剛日本社会党

○平林委員 結局、私は政府がいろいろな努力をしてきたということは認めますけれども、努力をしてきたということと効果がなかったということとは違うのですよ。いま私は、総理が施政方針演説でも、「所期の目的を達成しておりません。」と、こう言っておるでしょう。きのうの答弁の中で私は気にかかることがあるのです。それはあなたがこの間、去年総理大臣になったときに本会議で国際通貨の問題に言及されて、両三年の間に国民総生産の一%程度に持っていく、そしていまあなたが言いわけしている外圧を防ごう、その考え方が述べられておった。きのうのこれについての質疑応答を聞いておりますと、いや、それは日本の国民総生産は来年はもっと大きくなるんだ、再来年はもっと大きくなるんだ。だから自然に一%は言ったようになるんだ。つまりわが国の高度成長を対象にして、そうして一%になるんだというようなニュアンスで答弁したわけです。甘いですよ、そんな考え方は。私は、その点は非常に認識が甘いと、質疑応答を聞いておりまして感じたのですけれども、そんな態度であっちゃならぬと思うのですが、いかがでしょう。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 それはそうじゃないと思うのです。日本が成長率ゼロになるわけにはいかぬのでありまして、まあ一%から十何%までという過去の例から見まして、野の遺賢すべて集まってもらって検討した昭和五十二年までの長期経済計画においても、年率平均九%ぐらい。そうすると初年度は一〇・七%、だんだん下げていく、これが安定成長路線だ。日本の特殊な社会構造、産業構造の転換をはかりつつも、急激に六%、五%というものに下げられるわけはない。それは四十六年度のあの非常に不況下といわれたときでも、実質六%以上というものでございましたから、やはり安定成長路線というものが、アメリカでいうような、先進工業国ですべてが完備をして社会投資が行なわれておるような状態における安定成長路線とはいえないと思うのです。しかも、一次産業と二次産業の生産部門だけをとっている社会主義国と違いまして、日本は三次産業、いわゆる流通部門もみんな入っているわけです。そういう意味からいって、年率九%という五カ年間平均というものはやはり安定成長路線と、こう見ておるわけでございます。ですから、九%ずつ成長していくということになりますと、これは相当なものになります。八・五%でも、昭和四十五年ベースで六十年を展望すると二百四十八兆円になるということでありますし、今度の五十二年度を見ても百八十何兆円ということでありますから、その一%ということを私は日米間で言ったわけであります。ですから、そのときには専門家も理解をしたのです。  また、その後、日本でもっていろいろ計算をして、各省間の意見も調整をしながら考えて、基礎収支が均衡するということでないと、これは海外投資や援助というものもありますし、アンタイイングを進めていかなければならぬという問題もありますので、必ずしも国民総生産の一%にこだわるというよりも基礎収支の均衡。いまちょうど西ドイツが、基礎収支が均衡しておるというものを一つの考え方として計算をしたらどうかといっているときに、今度答申を受けた長期経済社会基本計画においては、五十二年に基礎収支がバランスをとれるような答申をいただいたわけでございます。ですから、私が考えておるのは、いままでの輸出優先であり、重化学中心でありというような高度成長を考えておるわけではないわけであります。昨年の国民総生産の内容を見ますと、過去のものとは違って三次産業比率が非常に高まっておるということでございまして、これからは、その意味において質的な変化が行なわれるということを前提にして考えておるわけであります。

平林剛日本社会党

○平林委員 それからもう一つ、私は田中総理に暴言を取り消してもらいたいと思っている。それは田中総理が二月十四日の本会議で述べた事柄。会議録の写しがありますけれども、繰り返しませんよ。大体自分の言ったことはわかっているでしょう。円の価値が切り下げられるような状態より切り上げられるほうが望ましいということは言うまでもないとか、あるいは、何十年ぶりかで円価値が上がっているというので、そのことはやはり評価せざるを得ないとかいうのは、私はこの発言は事態認識の欠如である。そんな考えだから施政演説で、「円の再切り上げがわが国経済に与える影響を考えれば、切り上げ回避のためあらゆる努力をいたさなければなりません。」と言いながら今日に追い込まれた。総理は一般論だと、こう弁明するけれども、誤解を生む発言だということは間違いないのです。私は表現まで制限しませんけれども、この機会に釈明し、適切な表現でなかったということは国民の前にはっきりさせるべきだと思いますが、いかがですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 それはひとつ理解をしていただきたいと思うのです。日本が、円の切り上げというような状態、変動相場制に移行せざるを得なかったということは、ドルがたまり過ぎておるのだ。貿易収支がアンバランスなんだ。特に日米間においてはひどいアンバランスじゃないか。先ほども述べられたように、六十三、四億ドルのうち四十一、二億ドル、三分の二は対日貿易じゃないか、アメリカがおこるのはあたりまえだ、こういうことは私よくわかります。わかりますが、これは円平価が調整をせざるを得なくなったようなことは、やはり開放体制下に進めば避けがたいことであります。これはドルに対しては切り上げでございますが、これは羊毛を輸入したり相当な入超国であるところの日本と豪州を比べれば、豪州は切り上げておるわけであります。そういうことをこれから手段として、しょっちゅうこっちからも切り下げたり切り上げたりするようなこともあるのじゃないかという御指摘もございましたが、それは開放体制が進む場合にはいろいろな状態でもって起こると思います。起こると思いますが、今日の段階においてドルの切り下げによる変動相場制への移行ということは、国内的にもいろいろな影響がありますし、それから同時に、それをもって海外からの日本に対する悪評というものが存在するわけですから、そういう事実から見れば非常にマイナス面であるということは、これは理解いたしております。だから、少なくとも対外的には、信用回復するために国際収支の均衡をはからなければならぬし、対外援助も進めてよりよい友人としての日本の評価を高めるように努力をいたします、こう言っているわけです。国内的には、諸般の情勢を十分把握をして、これに対応して災いを転じて福といたすべく全力をあげます、こう言っているわけです。  ただ、ドルがたまったことが罪悪であるという考え方は、これはやはり正しておかなければならないのです。これは明治初年から、先ほども申し上げたように、貿易ということでだんだんと日本人の生活が上がってきたのだし、昭和二十年から二十五年間で、ほんとうに飲まず食わずでもって今日を築いてきたというその努力は評価しなければいかぬ、こういう意味で言ったわけでありますから、それはひとつ理解をしていただきたい。

平林剛日本社会党

○平林委員 田中さん、だんだん理屈が多くなって率直に認めないということになると、田中さんの株もだんだん下がりますよ。いまの発言は理屈をつけて率直でないということのちょうど標本みたいな答弁ですよ。何をしゃべっているんだか、私はよけいなことは聞かなくてもいい。あのことをやはり反省をしてもらって、適当な方法でもってあれしたい。円が価値が上がるほうがいいことだと言うけれども、国内における円の価値なんというのはどうですか。じゃ私のこれからの質問に答えられたらいい。ここに一円玉がある。わが国の通貨の単位一円だ。世界で繁栄しておる経済大国日本の円である。一円で何が買えるか、答えてください。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 財政に対する専門家であるあなたが、そういう端的なことだけをお述べになるわけじゃないということを私も理解をしておりますが、しかし、これから政策をやることによってだんだんと日本の国内的な円も強くなるようにしなければならないわけであります。いままで日本は、原材料を持たない日本が原材料を輸入して、それに国民的英知を加えて輸出をするわけでありますから、それだけ、少なくとも三百六十円のものが百円安く入るということは事実でございます。その入るということによって月給も上がるわけでありますし、そしてそのために安い品物を国内に供給もできるわけであります。そういう安いものが外国に全部輸出をされておったというところに問題があるので、今度は輸出優先から国内優先に切りかえますということになれば、円価値が上がったということによって国内が潤うということは事実だと思います。  それは、外貨を持たなかった時代の、三百六十円が六百円でやられたときの時代は、これはよくわかるわけでありまして、それがいままでの状態における一つの現象であって、それは国内政策をうまくやることによって、私は国内における円価値、これはもうインフレというものを終息させなきゃいかぬ。物価の安定、これは普通ならば原則的には下がっていくはずでございます。しかし、私は、その間において日本には、やっぱり国外においては円価値が上がりながら、国内においてはインフレが少しずつでも上がるような要因があったと思うのです。それは、やはり何にもなかっただけに、非常に必要なものはうんとあるということに対しては消費抑制もできなかったし、いろいろな選択もできなかったしというような面があったから、私は、国外においては非常に円価値があり、国内においては多少でもインフレ傾向であったというような面はあったと思いますが、これからこそ私は、われわれが働いてきた蓄積というものの力で国内がほんとうによくなる、こういう感じを持っております。

平林剛日本社会党

○平林委員 結局、答えられないのですよ。いろいろ言ったけれども、答えてないのです。何十年ぶりかに円の価値が上がった、これは評価してもらいたいと言うけれども、あなた、一円で何が買えるか答えられないじゃないですか。今日わが国経済では、この一円、これだけ落ちているということを認識しなきゃいけないのですよ。円の価値が上がることはいいことだなんて言うのは暴言だ。  それから、この発言はひとつ訂正してもらおうというのは、五党の国対委員長会談の結論なんです。あなたは大体その五党の国対委員長会談の様子をお聞きになって、政府は適当なときにこれを訂正してもらう、こういうことを私たちも受けて、その反省の上にここで開かれているのですよ。率直にこの全会一致の結論について、私はもう文言までは言わないから、累々と言うよりは、一円玉の、あなた、これに答えられないのだから、そのことは適当な発言でなかったという程度のことは、これは言わなきゃいけない。答えられたらいい、答えられたら、一円玉で何が買えるかというのをきちっと答えられたらかんべんしてあげる。それでなければ、五党国対委員長会談の結論に従うべきだ。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 これは、一円というのは確かに戦前の一円に比べればたいへんでございます。戦前の一円玉を持って、一円銀貨でございましたから、これは一円を持っておれば確かにたいへんであり、少なくとも三百六十分の一になったことも事実でありますし、ある場合においては六百分の一になったこともあります。いま戦前、昭和七年ないし十一年に比べれば千倍だということもございますが、これは、これからだんだんと円の価値が出てくるのだということでひとつ御理解をいただきたいし、これは円の呼称の問題でありまして、まあいま言うことがどうかわかりませんが、デノミネーションをやれば円の呼称単位が変わるわけでありまして、一円というもので何が買えるかということでは、これは一円であがなえるものは私もいまちょっとよくわかりませんが、まあそういうことで御理解がいただきたい。

平林剛日本社会党

○平林委員 まあ、あなた答えられないんだから、円の価値が上がったなんというようなことはやはり……。いまの答弁の状態見ていると、まあ幾らか汗かいて反省をしておられるというふうに好意的に理解して、次に移りましょう。  しかし、私の指摘しておるように、今度は私は単なる政治責任のことばとかなんとかやりませんけれども、これから私は、いろいろな政策転換というものを政府に要求をしていきたいと思っておるんでありまして、まず政策転換をする、そして三たび今度は円の再切り上げになるようなことはしない政策転換をはかる決意であるということは、おっしゃっていただけますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 固定相場制へ移れるように努力もしますし、日本が固定相場制を維持していくためには最善の努力をしてまいろうと、こう思います。しかし、これは絶対に実質的な切り上げも切り下げもできない、まあ切り下げることはないと思いますが、緊急の切り上げが全然ないのだと言うことは、これは相手が下げればそれだけ上がるわけでありますから、これはいまはドルだけの問題ですけれども、ドルだけでもって商売をしておるわけではないのです。これはポンドともやっておりますし、これはいまでもドルが切り下げられたということで、ソ連通貨及び中国の元も自動的に一〇%切り上がっておるということはありますので、これが日本を対象にして悪罵冷笑を浴びながらやられるというようなことは、これはもう全力をあげてそういう態勢はなくするように努力をしなければならぬということで理解をいただきたい。

平林剛日本社会党

○平林委員 私は、この円が何回も切り上げられるというような事態をほんとうに回避をするには、今日まで取り来たった政策の転換をはかる、これが一番大事なことである。  そこで、田中総理の委員会における冒頭の発言は、私は、この委員会に対しての発言であると同時に、この委員会を通じて国民に対する政府の見解を示した、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 それは、もうそのとおりであります。

平林剛日本社会党

○平林委員 それではお尋ねしますが、これまでの経済社会構造を福祉中心型構造へ転換するため努力を傾けると述べられました。変動相場制に移行する事態に至ったことを遺憾と表明し、その責任を痛感し、その上での発言でございます。福祉中心型構造へ転換するため努力を傾ける、そういうことになると、これは施政演説で述べた国民福祉向上程度の内容ではなくて、ことばをかえて言えば、昭和四十八年度予算に盛られた程度の財源措置ではなくてもっと前進するものである、私は、ことばではなく現実としてそういうふうに理解をしたいと思うのですが、これは単なる国会対策の方便として述べたのか、国民に対する誓いのことばとして述べたのか、具体的にどういうことを考えてこの発言になったのか、これを承りたい。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 昭和四十八年度予算編成を行なう場合には、誠心誠意、全力をあげて社会保障の拡充をはかるために予算を提出したわけでございます。それをなおこの席上から述べましたのは、田中内閣が存在する限り、こういう精神を貫いて施策を拡充してまいりたいという政治の基本的な姿勢を述べたのでございます。だから私は、これからでも、全精力の上に全力を傾けてそのような状態の具現のために挺身をしたい、こう考えておるのです。

平林剛日本社会党

○平林委員 ことばはよろしい。問題はそれが具体的に実現するか、実施に移していくか、これがいま問われているのです。ことばだけをわれわれは求めているのじゃない。昭和四十八年度予算の中にそれがどういうふうに盛り込まれるかということを、われわれは総理の発言として聞いたわけであります。また、それを国民も、総理も遺憾を表し、責任を痛感して、この次にそれではどういうことを打ち出してくれるかを待っている、これが今日この段階なのです。これを聞けないことは残念ですが、またあらためて追及します。  もう一つの政策転換の問題は、政府が一貫して国際収支の権衡を目ざして努力してきた一連の円対策とともに、大型予算による内需の拡大をはかって輸出の抑制の効果をあげようとされた。昭和四十八年度予算も、国民福祉を重要視したと述べてこられました。しかし、それが十分でないことは今後の課題であります。しかし、内需の拡大を通じて輸出の抑制をはかる、この考え方は一つあると思います。しかし、予算案に示されたものをわれわれが見ますと、その内需の拡大は産業重点である。資本の蓄積とか大企業助成で富の格差と不平等が広がるばかりである、そしてまたインフレのおそれがある、こう指摘している。総理は、せっかく一生懸命やったのに、過大だ、インフレだと言って野党が追及するのはわからぬと言っているけれども、ここのところが問題なのです。われわれは内需の拡大が国民生活の向上につながらなければだめだ、こう言っているのです。施政方針演説では、「働く人々がゆとりと潤いのある生活ができるよう」にとか、「物心ともに豊かな社会を建設する」とか述べていますけれども、国民が求めているのはことばじゃない。ことばだけじゃ国民の不満は解消しない。大体、総理大臣の施政演説には国民の税負担、減税問題には一章も、一言も触れてないじゃないですか。私は、歴代の総理の施政方針演説で、全く国民の税負担の問題について触れなかった田中さんのこの所信表明を聞いておりましてがっかりしました。大蔵大臣のほうには出てきました。しかし、けちな三千数百億円くらい。  私は、この際所得税の大幅減税、少なくとも四人家族百五十万円程度までは無税にすべきである、そして一兆円程度の勤労所得減税を断行すべきだ、それが国民生活に結びつき、かつそれが、再び三たび円の切り上げに迫られない円対策である、こう思うのですけれども、こういう角度からとらえて大幅減税をやる、やりたい、こういう御意思があるかどうか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 御見識の高い平林さんですからこまかいことを申し上げませんが、要するに、御指摘にならんとしておるところは、もっと所得税の大減税をやって法人税に重課せよ、こういう御主張も中に含んでおると思いますけれども、そのお考えは政府としても十分取り入れましたつもりでございます。そして、基準家計費で言えば百三万から百十四万ということは、ずいぶんこれは苦労した結果でございまして、一〇・七%の最低限の引き上げになっております。  それから法人税につきましては、御案内のように今回は税率には手をつけませんでしたけれども、輸出優先、産業優先というような点の特例措置にはかなり改廃に意を用いたつもりでございますし、前々申し上げておりますように、固定資産税の増徴ということも合わせますと、今年度は法人の税負担はかなりな重課になっているということは御承知のとおりであります。     〔委員長退席、湊委員長代理着席〕  なお、将来のことになりますが、四十九年度以降等についてはいろいろと直間間の問題あるいは法人税と所得税の関係というようなことについては、引き続いて将来の改善策については検討を続けたいと思っております。

平林剛日本社会党

○平林委員 私は、おっしゃるとおり、法人の表面税率を見ますと、大体五四%くらいであります。しかし、実効税率は四五%。これが租税特別措置その他の恩典を受けますと、大企業四百七十四社で調べた権威ある統計によりますと、一九六四年に税込み利益に対する諸税は三七%であったし、一九七〇年には三七%から今度は三三%になってきている。法人税が非常に安い。国際的にも安い。それが今日の資本の蓄積になり、それが海外に進出して、回り回って円の切り下げを迫られるという、国際的にも批判を受けるという状態になってきた一つの原因である。ですから実効税率を少なくとも西欧並みに引き上げるべきだ。よく所得税のほうでは西欧並みになったという。法人税も西欧並みに、たとえていうとイギリスは四〇%である。西ドイツは四九%である。フランスは五〇%である。アメリカは五一・六四%である。そんなことを考えると、この際法人税もその実効税率を西欧並みに引き上げて、そこから財源を持ってくる。富の格差を解消していく。現行三六・七五を四〇%程度にすれば、二千二百億円の財源が浮いてくる。そしてそれは、資本蓄積、経済成長型の租税を改めることになるわけです。  これだけではありません。株の配当軽課税率を二六%から三五%に引き上げていけば、千八百億円の財源は浮いてくる。株の配当でもうけている人、株の値上がりした中で、株の一枚も買えないような国民、それを比較すれば、三五%に引き上げるのは時宜を得た措置である。法人の受け取り配当も二分の一課税をすれば千八百五十億円浮いてくる。租税特別措置を全部なくせとは言わない。しかし、大企業に偏重した部分を改廃しただけで二千四百億円は浮いてくる。交際費の課税強化を三〇%から五〇%程度にしたり、広告費をある程度新税として取り上げていけば、この二つから三千億円くらいの財源を得ることは容易である。有価証券の取引税、土地税制を実施する、そういうことをやりさえすれば、一兆二千億円や一兆五千億円程度の財源はすぐ出てくるのです。  今日、保守党の政権が取るべきところからは一つもお金を取らないで、そして流動性資本による土地の値上がりも押えない。異常な株高のインフレ傾向も押えない、これが問題だと思う。だから、国民生活に重い負担をかけておるこの税を大幅に減税していく、これが福祉中心型の経済に転換をするということばの裏づけでなければならぬですよ。これは大蔵大臣だとこまかいことを言うから、田中さん、あなたの発言について聞いているんだから、どうでしょうか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 税負担の軽減は年々続けてやってきておるわけでございまして、私は、十年来持論として所得税中心というようなものに対しては、新しい税制を加味すべきだという考えは前から述べておることは御承知のとおりでございます。(「述べるだけではだめだ」と呼ぶ者あり)しかし述べるだけではなく、私は議員立法としてガソリン税を目的税にした立法者であります。私自身はガソリン税の立法者であり、しかも同時にいろいろなことを、批判はございましたが、田中新税といわれた自動車トン税の創設をお願いをいたしました。また御承知のとおりの、いろいろ批判はございましたが、一昨年から行なわれております土地の売買に対して特例を設けたわけでありますが、移動によって年間八百億であったものが、税率は非常に少なくなった、一〇%と少なくなったとはいいながら、税収は総額三千億ということになっておるわけでございます。今度の税制改正でも、いま御指摘になったような状態にはなっておりませんが、証券取引税を倍額にしております。考によって方所得税を減免をしていく手段はあると思います。付加価値税などに対しては慎重にやっております。私は、印紙税論者ということで長いこと検討をしておるわけであります。しかし、これはまだ実現を見ないわけでございますが、しかし、一定の金額というものを限って免税点を置けば、大衆課税にはならないということで、私は流動に対する一つの税というものは考えていい問題ではないかと思っておるのです。そういうことによって、いま商品券に対して一〇%の税があっても、商品券は依然として流通するということと同じように、そういうような面で、やはりシャウプ税制時代、財源確保のためには非常にいい税であっても、今度は、何かもっと効果的なものを考えたいということを考えております。  また法人税に対しても、私も勉強しておるわけでございますが、法人税そのものにはいま一・七五の暫定付加税があります。ちょうどこれは四十年不況のときに下げたわけでございます。     〔湊委員長代理退席、委員長着席〕 そういうような状態でこれを引き上げる場合に、ただ財源として引き上げるということよりも、労働者住宅とか労働者の福祉とか、労働者自身がみずからつとめる企業の株式を得て、いま二〇%を割っているというような自己資本比率を開放化に適応するようにするためにはどうするのかとか、それから生産工場等の施設においては、公害防除といういまや一つの大きな問題がございます。そういう意味で、いろいろな問題を考えながら法人税というものに対しては結論を出さなければいかぬのだな、ただ一つの財源としてだけ法人税を上げればいいんだという考え方よりも、やはり一つのことをやったら二つも三つも効果があらわれるようにということで検討を続けておるわけでありまして、福祉中心の社会をつくるためには、やはり新しいものさしも使っていかなければならぬだろうという考えを持っております。

平林剛日本社会党

○平林委員 どうも大蔵大臣よりことばが多いね。そしてまた私は法人税の増額と言ったのは、単に財源のことを言って指摘したわけじゃないのです。これが国民生活に福祉を与えていくという、一つの考え方として全般の構想を述べたわけでありまして、まだ十分頭に入っているのか入っていないのか答弁が長いし、おっしゃった中にはいろいろなお話がありますが、私は一々反駁しません。反駁しないけれども、認めたわけじゃないということだけは頭に入れておいてもらいたい。  賃金構造を改善しなければならないということも、私は、今日政策転換をする上における重要な柱だと思います。これは国際比較等の統計によりましても、売り上げ高に対する人件費の割合というのは、一九五五年当時は一〇・八五%あったのですけれども、だんだん下がってしまって、一九七〇年では七・六二%になってしまった。これは企業財務比率の中において出ている数字であります。鉄鋼などは、これは新日鉄の場合ですが、売り上げ高に占める人件費というのは、一九六九年で一一・四%にしかなってないです。アメリカのUSスチールでは同じ年に四六%。片方は四六%、日本は一一・四%、これじゃ輸出競争力が強くなって、ドルがどんどんたまって、非難を受けるのはあたりまえなんですよ。自動車を見てみると、売り上げ高に対する人件費の割合は一九六九年で七%です。アメリカのゼネラルモータースは同じ年に二八・五%。これでは自動車がどんどん伸びるはずです。日本の賃金の割合というのは低いからです。このように日本の賃金は低過ぎる。この賃金の低いという構造、これを改めるということが、今後福祉中心型に切りかえていく一つの重要な柱である、こう私は思っておるのです。いかがでしょうか。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 日本の賃金が上がらなければならないということは、大方の考え方であると思いますが、現に相当の勢いで上がっておりますわけでございます。アメリカと日本との賃金を単純に比較してみますと、先方が二八六、こちらが一〇〇というくらいの数字が出ますが、過去五年の賃金の上昇率を見ますと、アメリカが五%、こちらが一五・一%、そのくらい上昇率が高くなっております。だんだんこれで福祉型になるにつれまして賃金の問題も考えられてまいります。  それから、労働時間の関係も当然考慮に入るわけでございますが、週休二日という考え方も総理も言っておられますし、そうしたことによりまして、相当日本の経済社会の構造が福祉中心型になってくるということになると同時に、賃金の問題も解決せられていくということであると思います。

平林剛日本社会党

○平林委員 田中総理、これは本会議でもこの問題が取り上げられたときに、民間の賃金は労使の折衝できまる、政府が介入するのはどうか、こういう意味のことだったと思います。これは確かにそのとおりです。しかし、変動相場に移行したことによりまして円の切り上げがやがてあるであろうということを口実にして、企業側は賃金の要求、賃金を上げることを押えようとする態度をとっておる。国際的の低賃金が輸出競争力の強化になって、日本の国際収支の黒字型、この体質は改善されない。だから、それは何回でも円の切り上げを迫られる外圧にもなってくる。単なる労働者の賃金を上げる、その労使間の問題で私は言っているのではない。政治的にものを考えているのですよ。  そこで、総理はこの際福祉中心型構造に転換をさせる、こう言っているのであるから、こういう時期に、変動相場制とか円の切り上げを口実にして賃金を押えるという態度は好ましくない。変動相場制に移行することで国民生活に与える影響に深い関心を持っておるとあなたは言っておるのだから、少なくともこういう事態で、これを理由にして賃金を抑制するという態度は好ましくないなという政治的な発言というのが、むしろこれからの経済のために有益であるということを、この委員会でお感じをお述べになってもらう、これは大事なことだと私は思うのですが、いかがでしょう。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 これは労使の間で十分きめられるべきものであって、政府がいまそのような発言をすべきではないと思います。これはもっと困難なときに、少し上がり過ぎるなという世論があったときもそんなことは言わなかったわけでございまして、抑制したほうがいいなんていうことを絶対言わなかったわけでありますから。もうこういう情勢というものはよく承知しております。だからヨーロッパあたりは、生産性でもって賃金の上昇率をカバーできないような状態で、非常に卸売り物価が上がって、そして消費者物価との悪循環が続いておるわけでありますが、まだ日本はそういう状態になかったために輸出が伸びてきたわけでありますから、そういう事情は、これは労使の間の正常な労使関係の中から結論が出されるべきものである、こう考えます。

平林剛日本社会党

○平林委員 私は、これは総理の高い見地からの政治見識を承りたかったのです。  労働大臣、同じ問題についてどうですか。

加藤常太郎自由民主党労働大臣

○加藤国務大臣 賃金問題については、何といっても労使が自主的に、国民的、経済的見地から常識をもって対処する。政府がいろいろこの問題に介在してどうこうと、こういうことは現段階においても無理であります。  ただ、この際ちょっと申し上げますが、昨日の御質問の中にも、あまりにも日本は低賃金だというお話がありましたが、いまの水準はアメリカに比べましたら低いですよ。しかし、十年間にイタリアを追い越し、フランスと同様であり、イギリスにもまあ追いつきつつある。昨日の質問のように、あまりにも低賃金という考えでもないのでありますから、今後この賃上げの問題については、十分労使が、国民的、経済的見地からよく話し合う、こういうことが必要と思います。

平林剛日本社会党

○平林委員 これは私は、高度の政治的な配慮がやがて具体化していくと思う。労使間の折衝できまる原則は当然ですけれども、しかし、高度の政治判断というものが必要である今日の経済であるということを認識してほしいと思います。  今度は大蔵大臣にちょっと聞きます。大蔵大臣は当分変動相場制を考えておられる。そして、さっきその時期は明らかにしなかったのですけれども、今度はスミソニアン会議のときのように、世界の各国が集まって調整する形にならないのじゃないか。というのは、ちょっと関係国が少なくなっておりますから。日銀総裁も同じような趣旨のことを述べております。これは私は、わが国の貿易黒字基調が改善されなければ、円の単独切り上げもあり得るということをほのめかしたことばではないかと受け取ったわけですけれども、円の単独切り上げというようなことはあり得るでしょうか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 まず第一に、変動為替相場というものは適当な期間続けたほうがよろしいと、いまは私は考えております。  それから将来いかなる時期、いかなる場で、たとえば固定相場に返るか、そのときのレートのきめ方はどういう場合でやるかというお尋ねでございますが、これは本来ならば、先ほど総理も言われておりましたように、やはり多数国間の会議で、スミソニアンの会議のような形でやられることが望ましいと思いますけれども、今回の場合のように一部の国が集まって相談をした、あるいはその他の国はそれぞれ理解を持ちながら個別的に話し合いというか、情報の交換はやりながら、それぞれの国の立場でとるべき措置をとったという形が現に行なわれた関係もございますから、単独で、しかしながら国際的協力関係の中においてということは、あり得る場合があろうと思います。

平林剛日本社会党

○平林委員 これはあまり深くやらぬほうがいいだろうと思うから言いませんが、円の切り上げということ、固定相場ということを言うのですけれども、かりに一般論でもいいが、インフレを抑制して物価を下げる効果があるという意見がありますけれども、これについてどう考えますか。

小坂善太郎自由民主党経済企画庁長官

○小坂国務大臣 そういうデフレ的な効果を持つと思います。日本の品物がアメリカへいきますときは、一ドルであったものが一ドル十一セントになるわけですから、それだけ輸出は減るわけでございますし、逆の場合は安くなってまいりますが、そういう安いものが国内に入ってくるということは、これは安い品物が国内にそれだけ多く入ってくると、物価を抑制するという効果があるわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 ただ、前回の切り上げのときはその効果が国民の手もとに届かなかった。今度も、先ほど総理がお話しになったように、これだけレートが変わってきたのにかかわらず、輸入品が安くならぬ。みんな中間の輸入業者や第一次問屋、第二次問屋と経てくるうちに為替差益が飛んでしまって、小売り店では輸入品は、特別の問題は別ですけれども、なかなか安く売るというわけにいかないという実情になっております。  私はもう一つ、これを契機に輸入の自由化がかりに促進をされたとしても、その価格はいろいろの理由でかえって値上がりをしてしまうというような現象がある。フェーバーが国民のところにいかないということが現実であります。この間の大豆がちょうどいい例ですね。大豆のごときは、これはアメリカから九五%、中国から五%、ほとんどを外国に、輸入に依存しておるわけでありまして、昨年度の大豆の買い付けは、これは政府が見通していたよりもはるかに大きい量を買い付けておる。しかも安値で買ってきておる。それにもかかわらず大豆の値上がりがあったということを考えますと、かりに円の切り上げでそういうメリットがあったとしても、あるいは輸入自由化ということが広がれば、国民の生活品が安くなるという期待があったとしても、みんな中間で取られてしまう。こういうことがあるのでありまして、私はこれに対する対応策をやはり政府はもっときちんとつけてもらいたい。  田中総理ちょうどお帰りだから、さっきの問題点で、レートが、今度は日本の円がアメリカ・ドルとも違ってきた。それから輸入の自由化が進められる、こういう段階で、それは国民の生活に結びつかなければだめだ。どうやってその効果を生かしていくかということが大事だということをいま強調していたわけです。ところが、さっき暴利取り締まりのようなものをとおっしゃったのですけれども、それだけではなく、私はこの際物価統制法をつくったらどうか。大豆の例でもございますけれども、輸入量がうんとふえておってもだめなんです。途中でみんな取られてしまうし、それから買いだめをしてストックをしてしまって、利益をもうけていくような商品投機になっていく。  この間もアズキの話でこんなことがありました。これは輸入ではありませんけれども、国内でことしはアズキというのは戦後で二番目の豊作なんですね。ですから品物はうんと余っている。余っているんだが、御承知のようにアズキは去年の十二月当時からこの一、二カ月の間に二倍以上に上がったのですね。こういうことが行なわれるのです。ですから、これから私は輸入品が下がるであろうという期待、輸入の自由化があるだろうなんというようなことから物価が下がるだろうという期待、こういうものをばく然と国民は持っているけれども、ほんとうはそうはいかない。そのいかないという原因を探求して効果ある措置を打つということが政府のつとめである、こう考えるのですけれども、われわれは物価統制法のようなものをつくったらどうか、こう思っておりますが、いかがでしょう。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 物価統制法というものがつくれるのか、先ほど私も、物価統制令の中にある暴利取り締まりということから、何らかの措置が必要じゃないかということを個人的に考えておるということを述べたわけでございますが、自由化が拡大せられ、円価値が上がっておるということでありますから、この差額というものが消費者に反映されなければならない、これはもう当然のことであります。このごろ商品市場等いろいろな高低がありますので、政府も厳重な監督もしておりますし、商品市場等があることによって物価が暴騰するようなら、商品市場の存立そのものに対しても考えるということさえも述べておるわけでありまして、中間的な暴利がむさぼられるようなことを避けるために、あらゆる措置を考えてまいりたいと思います。これは追跡調査その他をやっておりますし、これを発表しろというあれもありますが、とにかくもう少し実効のあがる具体的な措置が必要だろうということで、各般にわたって検討いたします。

平林剛日本社会党

○平林委員 この問題はまた機会をあらためて取り上げて、具体的な措置をもう少し詰めていきたいと思っておりますから、割愛をいたします。  大蔵大臣、変動相場制は当分続ける、適当な時期まで続ける、こういうお答えをした質疑応答の中で、変動相場制を続けていくというこの措置は妙味がある、つまり味がある、こういうお答えが含まれていたのですけれども、どんな味があるのですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 やはり通貨の問題でございますから、突如として何かこれに変動が起こって固定をしてしまうというようなことはいかがであろうかというようなことを考え、また、ドルが突然一〇%切り下げられたわけでございますし、これに対してヨーロッパ等が、先ほど申しましたように、かなりフロートしている国々もございますが、どういうふうな対応がこれから起こってくるであろうか。これはやはり相当冷静に、ある期間じっくりかまえまして、またその間におきまして、この変動相場制下における中小企業対策等を十分に打てるだけの余裕を持つ。いろいろの点を考えまして、私はこういう際にとるべき措置としては、変動相場制というものが妙味のある点もある、こういうふうに申したわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 前回の切り上げのとき、最初の円の切り上げ、いわゆるドル・ショックがあったとき、あれは八月二十八日でしたね、何日間か東京市場を開きっぱなしにしておいて数十億ドルを買いささえて、われわれから攻撃を受けたことがありました、商社のリスクを救ったんじゃないかと。変動相場制に移行して四カ月、その期間も、操作によって相当の資金を増加させたという実例を私は承知しております。大手商社の半期別の現金資金増加額というのを、大手証券の調べでできているのを私はちょっと見たのですけれども、昭和四十六年九月、ちょうどドル・ショックの前後ですが、三井物産は九百二十七億円、三菱商事は五百九十八億円、丸紅は三百二十三億円、伊藤忠が二百十三億円、急激に手元資金が増加をしておる。これは、商社が輸出前受け金などの形でドルを国内に持ち込んで、日銀がこれを買いささえて、したがって円にかえて、商社が驚くほどの大量の現金をふところにしたという実例としての数字です。商社はこのお金を担保にして、また銀行から金を借りて、株や土地に走った。これは私は商社だけじゃないと思います。日本のすべての産業が多かれ少なかれこういう傾向に走ったわけであります。ですから、変動相場制が長期化するというようなことになりますと、それは輸出入取引の契約に不安定なデメリットもあるわけですね。それと同時に、前回の例にならって、またこの変動相場制を利用して操作をやろうという不心得なものが出てきても困るわけですね。私は、この妙味があるという中に、幸いにしてこのことが入っていないということを言ってもらいたいのですがね。これが入っていてはいけない。いまあなたがおっしゃったような点は私は理解できる。しかし、妙味の中にこんなことが入っていてはいけないということを指摘したいのでありますけれども、いかがですか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 そういうことが、介入しないということが妙味のあるところである、私の理解はそういう点でございます。先般欧州に変動が起こりました。そして日本はたまたま土曜日でもございましたが、ただ一つ開いておる。日本の為替管理は非常に巧妙なものではございますけれども、しかし完ぺきとはいえません。したがいまして、こういうときには閉鎖したほうがよろしいという考え方で閉鎖をいたしました。私は、一昨年の政府のとった措置は、あの当時はあれでよかったと思いますけれども、いろいろこうした経験にかんがみまして、今回は最善の努力をいたしたつもりでございますし、幸いに、御案内のように、ただいまのところ東京市場は平静でございます。そして介入もいたしておりません。したがいまして、ドルを大いに買って、これが国内の過剰資金になるというようなところはとまっております。もちろん、為替の市場のことでございますから、今後乱高下が起こるというようなことは防がなければなりませんけれども、幸いにただいまのところはきわめて平静でございまして、余剰な資金の動きというようなものが起こってきておらない。これはたいへんしあわせなことと考えております。

平林剛日本社会党

○平林委員 妙味があるということでもう一つ聞いておきたいことがある。当分変動相場制を続ける、適当な時期まで、それはいま御説明になったように、衝撃を避けるとか、ヨーロッパの対応を見るとか、円の実勢をはっきりさせていくとか、いろいろあって、私が指摘をしたことは否定をされた。もう一つ聞いておきたいことがあるのです。これを直ちに固定相場にしてしまうと、これは円の切り上げじゃないか。いま変動相場制への移行で、円の切り上げでないなんという子供みたいなことを言っている政府でありますから、円の切り上げだと言って野党に追及をされて、それはたいへんだ、固定相場なんかに移行すると、いよいよ経済の見通しの修正をせよなんて、今度はもっと激しく突き上げられる、予算の組みかえはますます、これだから必要だというようなことを言われる、これはたいへん困ったなということで、国会対策上変動相場制を当分続けるなんということであったら、これは真の国益を考えているものの態度ではないと私は思うのです。  そういうことを考えますと、当分変動相場制をとることが妙味であるということばは、皆さんがほんとうに国民経済に与える今後のことを考えて、国益としてそれを続ける、それは信念で情勢判断してやるのだ、国会対策なんかでやっているんじゃない、こういうことをはっきり明言できますか。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 私から率直に申し上げますと、ほんとうにまっ正直に考えて妙味がある、こう申しておるわけでございまして、これは国益に基づいた考え方であると、私としてははっきり申し上げることができます。

平林剛日本社会党

○平林委員 それから、きのうちょっと残っていた点で、総理の発言が、補正は昭和四十七年か四十八年かどうもはっきりしないで微妙な食い違いがあったのですが、これはきょう私、確定しておいてもらいたいと思うのです。総理の発言は、「とくに中小企業対策等については、予算の補正を含む所要の措置を強力に講ずる所存であります。」こう述べました。この補正予算の時期が、大蔵大臣は四十八年度、つまり円の固定レートがきまった場合、必要があれば補正するというようなことを述べられましたね。田中総理は、四十七年だけにウエートがかかっていますなんということをだいぶ声をでかくしてしゃべっております。これははっきりしているんです。五党の国対委員長会談でも話し合いまして、このことばは四十七年度の補正予算でも四十八年度の補正予算でもどちらでも解釈ができる。それから四十七年度、四十八年度どちらでも補正を含む所要の措置を講ずるという趣旨であるということは、大体同意されていたんです。ところが、きのうこれに固執して田中総理がばかに大蔵大臣と違ったようなニュアンスを強調されておったのですが、これはなぜですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 大蔵大臣とは違っておりません。必要があればということでございますから、四十七年にも八年にもかかるということで御理解いただいてもけっこうでございます。  ただ、現時点で直ちに必要なもので一体やれるのかということでありますと、それは金融措置、税制措置、いろいろなことをやっております。また予備費もございますし、まだ四十日もあるわけでございますから、そういう意味で必要があれば補正でも何でもいたします、こういうことを述べたのであって、その補正というのが四十七年、四十八年にこれは必要なもの、必要があればということでございますから、そのように五党で御理解をいただいたというならそれでけっこうでございます。私も食い違った発言をしているわけじゃありません。

愛知揆一自由民主党大蔵大臣

○愛知国務大臣 ただいま総理大臣から言われたとおりに私も理解いたしております。  それから、なおこの機会に一言つけ加えさせていただきたいと思いますが、昨日私の答弁中足らざるところがございました。それは、本予算が審議中に補正予算を出したことはないと思いますと申し上げたのでございますが、これは衆議院で予算が審議中に補正を出したことはない、こういう趣旨で申し上げましたので、その限りにおいては正確なんでございますけれども、さらに正確に申し上げますと、本予算の成立前に補正予算を提出した例は、昭和二十五、二十六、二十九並びに三十四年度と四回ございます。そのうち三十四年度の場合は衆議院の予算委員会で御審議中に補正予算が提出されたのでございますが、当時議院運営委員会で本件が問題となりまして、衆議院予算委員会に付託後、議長において付託を取り戻し、本予算の衆議院可決後あらためて付託となったという経緯がございますから、衆議院の御審議中に補正が出されたことはないと昨日申し上げましたことを補足して正確に申し上げますと、そのとおりでございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 必要があれば四十七年、四十八年度補正予算を組むというのは、これは総理が言われたことを私、引用したのですよ。われわれの間では必要があればということばはないし、それからまたこの冒頭の総理の発言も、「予算の補正を含む所要の措置を強力に講ずる」こう言っているだけですよ。それは間違えないでください。それでいまあなたは四十八年度も講ずると、こうおっしゃったわけなんです。それでいいですね。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 諸般の措置を講ずるということにウエートが置いてあるわけでございますから、その中にいろいろなことを述べておるのでございまして、必要がなくても出すということではないことは、これは御理解いただけると思います。

平林剛日本社会党

○平林委員 しかし、いろいろな議論をしてその必要があったので、所要の措置を講じますという結論になったのですから、もうその必要を認めたわけなんですよ。だから、ここで必要があればということばでなく総理は発言されたはずです。ですから、その必要があったので所要の措置を講じますとお約束をされたわけです。その点はっきりしてください。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 きのう御質問に答えて申し上げておりますが、まだどのような要請があるのか、いま政府がやらなければならないこと、やり得ることはどんどんやっておるわけでございます。それでまだ実態把握ができませんし、要請も出てきておらぬのであります。ですから、そういう時点において必要があればいかなる措置も講じますと、こういうことでございまして、必要がないときにはこれはもうそれを出せというお気持ちじゃないと思うのです。ですから、実態把握を十分いたしまして万全の措置を講じます、万全の措置の中に何々も含めてとこういうことで御理解いただけるのが正しいと思います。

平林剛日本社会党

○平林委員 だから、われわれはいまこの委員会で賃金構造を改めろとか、もっと大幅な減税をしたらどうか、社会福祉をやってやれとかいう意見をどんどん述べている。これを狭義に中小企業だけにやるべきことではないという気持ちで、われわれはもうすでに意見として述べているわけです。中小企業も大事であるけれども、これはもう示されましたから、きょう私は質問しなかったわけです。不満足であるが、これにはちょっと触れなかっただけでございまして、だから私どもの意見をこういうふうに述べているわけです。私は、この変動相場制に移行して、かつ円の切り上げ、固定相場になったという場合、その責任を痛感して国民生活に与える影響に深い関心を持ってもらいたい、そしてその対策に万全を期してもらいたい、そして福祉社会に転換する努力を傾けてもらいたい、そして中小企業対策等について予算の補正を含む所要の措置を強力に講じてもらいたい、これは中小企業を含めてその他のいろいろな意見を持ち寄って、それも含めて予算の補正をすべきである、これが私のほうの気持ち。つまり政策転換を含む補正を考えることを私はある意味では総理に期待をしておるし、それをやるべきだということを主張しておるわけなんでありまして、これは私は昭和四十八年度予算に情勢の変化による対応策を加えるべきであるという主張をいままでしてきたわけなんです。そういう態度をおとりになってほしい。とるべきが、これが今日のあなたの深い反省に基づいた結果として出てくる答えでなければならぬ、こう思っておるのです。その点についての御見解を承りたい。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○田中内閣総理大臣 あなたの御意見はよく理解いたしました。しかし、私が申し上げたのは、「とくに中小企業対策等については、予算の補正を含む所要の措置を強力に講ずる所存であります。」万般の処置をやって遺憾なきを期しますということで御理解をいただきたい。これはあとからはいろいろ事態の推移がございますので、その結果必要があれば補正を提出いたしますと、こういうことで御理解賜わりたい、こう思います。

平林剛日本社会党

○平林委員 私は、結びとして申し上げたいのでありますが、今回は西ドイツはマルク買いによるあらしの中で通貨インフレの危機にさらされたわけであります。西ドイツのほうは、ほんとうは円の問題でおれのほうにくるのはけしからぬと思っておるかもしれませんけれども、たいへんな通貨インフレの危機にさらされながら変動相場制にも移行せず、ドルを買いささえて今日に至ってアメリカ側がダウンした、おりた、こういう結果になっている。そういうことを受けて、この間報ぜられるところによりますと、連邦政府は緊急の閣議で財政面からの景気加熱の抑制策をとった。また物価安定策をとりました。これによると、高額所得者の所得税を取るとか、あるいは法人税の課税額を一〇%安定税として追加徴収するとか、そして総額二十四億マルクを連銀に凍結をして、来年の一月からの借り入れの支払い控除なんというのも廃止するというような一連の措置をとられたわけです。私は、この手段についてはいろいろ議論の余地があるし、それからまた情勢は西ドイツとわが国と全く同じ条件ではないということも百も承知しています。しかし、過度の投機を抑制しようという趣旨、それからこの際法人税のようなものに追加徴収をしてもインフレを押えていこう、物価の安定に資していこうという考え方については、理解できるのであります。そしてそれに勇断をふるったという点では、学ぶべきものがあると考えておるわけです。  そこで、私は田中総理が経済見通しその他、その目標をもう一度この機会に全般的に見直して、こういう西ドイツ連邦政府の勇断という点については見習うべきである。このごろは、決断と実行というほうは西ドイツ連邦政府に持っていかれてしまったということではならぬわけであります。私は政府が、変動相場制の移行に移り、やがて円レートの改定に至る日本経済、国民経済上の重大な変化が見通される現在、相変わらず、経済見通しは変わらないとか、予算は組みかえる必要がないとかと言っておることは、いかにも無策である。国民経済の動向に深い関心を寄せるというだけで、機敏の措置をとれないでいる、これは私は問題だと思うのであります。  そこで、暫定予算は必至である。こういう情勢を受けて、この期間私は十分時間をかけて、経済見通しを修正し、予算もひとつ全般的に洗い直してみて、われわれがこの二日間の審議を通じて述べたことを、虚心に国民の声として受け取って、新しい政策転換への道へ総理は進んでいくべきである、それが真の意味の政治責任のとり方である、こういうことを私は強調いたしまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)

根本龍太郎自由民主党

○根本委員長 これにて平林君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————

根本龍太郎自由民主党

○根本委員長 明二十二日午前十時より公聴会を開催いたします。  この際、公聴会の公述人の氏名について御報告いたします。  すなわち、明二十二日午前十時より意見を聴取する公述人は、日本経営管理士協会理事矢野弾君、横浜国立大学教授宮崎義一君、國井社会生活研究所長國井國長君、また、明後二十三日午前十時からは、全国銀行協会連合会会長中村俊男君、法政大学教授斎藤博孝君、横浜国立大学教授井出文雄君、午後三時からは、大阪大学教授木下和夫君、中央大学教授丸尾直美君となりましたので、御報告いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四分散会

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