予算委員会 第12号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/02/13
会議録
○根本委員長 これより会議を開きます。 昭和四十八年度一般会計予算、昭和四十八年度特別会計予算及び昭和四十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行ないます。倉成正君。
○倉成委員 大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。 昨日欧州各国の為替市場が閉鎖され、他方では米国のボルカー財務次官を含め五カ国の蔵相の会議が行なわれるなど、あわただしい動きが伝えられております。 この問題は、昨日の委員会においても同僚議員からいろいろ御質問がございましたけれども、一般国民の深い関心事となっておるわけであります。大臣としては、欧州通貨の情勢について、今日の段階でどのような判断をし、またどのようなお見通しを立てておられるか、お伺いしたいのでございます。 特に、西ドイツは自国の通貨をもって決済ができるのに対しまして、わが日本はどうしてもドルにたよらなければならないという点、またアメリカと欧州とが一緒になって日本にアタックすると申しますか、当たってくるというようなことも、新聞紙上で伝えられております。これらの問題を含めて大臣のお見通しを率直にお聞かせいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 欧州市場の状況は、こまかく申し上げませんでも詳しく報道されているとおりでございますが、一月下旬から相当な不安状態を呈しておりましたので、わが国としても重大な関心を持たざるを得ませんでした。そしてわが国といたしましては、よくいわれますように為替管理などが徹底いたしておりますから、ドイツが見舞われたような不測の事態に見舞われることは万々ないとは思いましたけれども、ひとり日本の市場だけが開いているというようなことはいろいろの意味の国益から申しましても適当でないと考えまして、先週土曜日に閉鎖をいたしまして今日に至っておるわけでございます。そういう事情から閉鎖したわけでございますから、政府としては、一日もすみやかにヨーロッパの情勢が鎮静いたしまして、そしてわが国も為替市場を再開することが望ましい、こういう考え方でおるわけでございますが、ヨーロッパ市場もだんだんに落ちつきを取り戻しつつあるのではないかと考えられますので、なるべく近い機会に東京市場も再開をするようにいたしたいものである、こういうふうな期待を持っておるのが現状でございます。
○倉成委員 この問題は、御承知のように一昨年の十二月、スミソニアン体制ができ上がりましたけれども、このスミソニアン体制そのものが、まあいわば火事のときに消防士が一緒になって火を消したというだけのことでありまして、根本的な問題、すなわち通貨の交換性の回復というような問題に手を触れていない。しかも、アメリカは経常的な貿易の赤字を繰り返しておるというところにやはり基本的な問題があると思うのであります。同時に、日米間については、アメリカに対する日本の貿易の大幅な黒字ということが、この問題についての一番の根本の問題であるという認識を私は持っておるわけでございますけれども、その点について、私は、日本の政府が先般からいろいろこの貿易の均衡回復の問題について努力をしてこられたことを高く評価するものでございますが、同時に、なかなか実効があがらないという点も率直に認めなければならないと思います。したがって、この問題について、われわれも真剣に努力をこれからも払っていくと同時に、私は、いまアメリカの新聞等、あるいはイギリスの新聞等で伝えられておりますように、日本だけが悪者であるというような考え方、したがって、この問題に対してアメリカが非常に強引な輸入制限であるとか、輸入課徴金をとってくるであろうとか、そのような態度をとってくるならば、これは日米間の単に貿易の問題を越えて、非常に大きな、友好関係にも響いてくると思うのでございます。すなわち、今度通貨の問題とあわせて、アメリカのいろいろな強引なやり方が出てまいるということになれば、日本の産業界、特に中小企業に対して非常に大きな打撃を与えるというふうに考えるわけでありまして、これらの点について、私は、確かに、日本の農産物の自由化についてアメリカが深い関心事を持っていることはよくわかりますけれども、しかし、あまりにこれによって失う犠牲が大きいにかかわらず、五億ドルの貿易収支の改善ができたとしましても、はたしてアメリカとの関係で何ほどの改善ができるか疑わしいということを考えてまいりますと、この間に処して、政府は冷静に事態を見守りまして、いろいろな、ロンドン、パリあるいはその他外国からの商社の支店長やその他の諸君からの情報では、日本が少し先んじていろいろな処置をしたらどうかというような意見もあるやに聞いておりますけれども、私は、政府としては、あくまで国益を考えつつ、冷静に事態に処していく、ねばり強くやっていくということが、これから先の為替変動に対処する基本的な態度でなければならないと信ずるわけでございます。この点についての大蔵大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 この種の問題については、国際的な協調、協力ということが非常に大事なことであることはもちろんでございますけれども、しかし、何よりも国益を大切にし、その上に踏まえた対策ということがより重大なことであることは、これまた申すまでもないところであると信じておる次第でございます。 各国のそれぞれのやり方を批判するのもいかがかと思いますけれども、昨日もちょっと言及いたしましたけれども、最近は貿易のアンバランスは日米の間が一番幅が広いことは事実で、なかなかこれが狭まらない。政府も一生懸命努力をしておるわけでございますけれども、同時に、アメリカのヨーロッパ等に対するアンバランスもこれまた、幅はともかくとして、この数カ月はずいぶん広がっておるわけでございます。したがって、国際協調ということからいえば、それぞれの国がやはり積極的に考えてもらわなければならぬ面もたくさんあるように思います。 それから、わが国がこれまでいわゆる円対策としてやってまいりました中でも、ずいぶんいろいろとやってきているわけでございますけれども、またそれ以外にも、たとえば対米債務の一括繰り上げ償還というようなものは、かなりわが国としても思い切った措置であり、これは法案の御審議も現にお願いしつつあるわけでございますが、そういったようなくふうもいろいろしているわけでございますから、やはり先方もこれを評価し、そしてそれに対応するような理解のある協力をしてくれることが私は望ましいと思います。国益の上に踏まえまして、これからもアメリカに対しましても、ヨーロッパに対しましても、自主的な立場で合理的な対策を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、特に御指摘のありました中小企業対策等につきましては、この上とも万全の措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
○倉成委員 ただいまの大臣の基本的なお考え方よくわかりました。同時に、われわれは、やはりアメリカが対日の貿易不均衡ということにいらだたしさを感じていることも理解しなければなりません。しかし、日本の立場からいうと、日本の商品がアメリカに行っているのは、やはりよい商品が安く行っている、アメリカの需要者がこれを求めておるという事実もまた忘れてはならないというふうに考えるわけでありまして、あまりせっかちに、短気に、この問題をすべて一挙に解決しようとすると、両国間に大きな摩擦が起こるということでございますので、やはり少し長い時間かけて、そういつまでもというわけにはいかないでしょうけれども、より長期の観点で日米関係の貿易の均衡をはかっていくということについて、ひとつ政府は強くアメリカ政府とも話し合いを進めていただくよう希望いたします。 次の問題がございますので、次の問題に移りたいと思います。 次は福祉及び福祉国家とはいかなるものかということについて、政府の見解をお尋ねいたしたいと思うのでございます。 日本国憲法第二十五条によりますと、「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。國は、すべての生活部面について、社會福祉、社會保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあります。すなわち、国民の生存権、国の社会的責任を規定した憲法の規定でございます。 なお、今度の施政演説につきまして、総理大臣がどういう表現を使っておられるかと申しますと、国民福祉の充実、大蔵大臣は福祉の充実、企画庁長官は活力ある福祉社会の実現という表現をその施政演説の中に使っておられるわけでございます。いろいろニュアンスは違いますけれども、福祉ということばが使ってある。特に企画庁長官の福祉には活力あるというただし書きがついておるということを考えてまいりますと、この福祉というのは一体どういう意味を持つのか、また福祉国家というのはいかなる国家であるか。もちろん、これはもう私もここ数年来この問題に取り組んでおりまして、福祉国家という問題のいろいろな本を読んでみますと、とにかく、がっさい袋みたいに概念規定というのがたくさんあるわけでありまして、一体どれをとったらよいかということも、なかなか私自身迷うわけでございますけれども、福祉の意味というのは、必ずしも明らかでございませんけれども、一般的には社会保障の充実というような関連で使われておることも事実でございます。老人や心身障害者、生活困窮者に対する社会的な援助という意味が福祉の中に含まれておることも事実でございます。しかし、もっと広い意味での福祉というと、ウエルフェア、満足のいくよい暮らしということになってまいりますと、だんだん物質が豊かになってまいりますと、今度は、人間の心の満足感という問題に入ってくるかとも考えられるわけでございまして、物質的には恵まれておるけれども、今日の社会においては、非常に大きな待望感が国民の中に充満しておるということも事実でございます。 こういったことを踏まえまして、まず福祉について、福祉とはどういうものかという御理解を、何もここで学者の論争をしようというわけでございませんので、これは、そういう感じ、また、そういう感じを踏まえてこれからの行政を進めていくことが大切であると思いますので、そういう意味で、企画庁長官−厚生大臣、それぞれ御感想なり御意見をお伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 倉成先生御承知のように、最近「経済社会基本画画」というものの答申が審議会から出まして、実はきょう閣議で、これを受けて決定をしたわけでございます。 これは、副題についておりますように「活力ある福祉社会のために」ということでございまして、われわれはいまお示しのように、GNPという指標でもっていままでの経済社会の発展をはかってきたわけでございますが、最近の公害、生活環境の改善というようなものからいたしまして、企画庁におきましても、NNWという指数を開発すべく検討中でございますが、これは、環境、社会福祉というような点に非常に大きく重点を置きまして、従来の政府の財貨サービス購入というものの中から経常的な指数を落としまして、教育とか社会環境というものを指数として拾いあげる、公害とか交通事故とかいうようなものはこれを減点していくというような考え方でございます。それからもう一つは、ソシアルインディケーターという、社会福祉指標というようなものを、これまた別個に開発すべく検討しているわけでございます。 先ほどの「経済社会基本計画」の中で、ページとの関連で申し上げますと、一一ページに、自然や生活環境と経済活動との調和が保たれていること、これを一つとしてあげております。第二点に、所得分配、教育、雇用の機会などの面で社会的公正が確保されていること。これは一二ページでございます。三番目として、高い所得、消費水準が実現するだけでなく、人々の多様な選択の可能性が拡大していくこと。これは二〇ページにあげております。それから第四点として、国際経済社会と調和した経済の発展パターンが保持されること。これは二〇ページでございます。第五点として、福祉社会をささえる経済活動が活力を失わず、また人々の自由な創意が発揮されること。これは特に活力あるという点でございまして、福祉社会はともすれば個人の活発な創意くふうというものを失わせ、埋没させがちな点に留意いたしまして、特に人々の自由な創意が発揮されるということに重点を置いておりますわけでございます。これは一六ページに書いてございます。 こういうような福祉社会を実現するためには、政府、民間が一体となった、長期にわたる努力の積み重ねが必要でございますので、あの計画につきましては特に毎年フォローアップをして、そしてこの計画について企画と実際の調整をはかっていくということにいたしておりますわけでございます。
○齋藤国務大臣 お答え申し上げます。 実は私もあまり学者でもございませんので、的確なお答えができにくいかと思いますが、最近福祉あるいは福祉国家と、こういわれますときに、私の感じから申しますと、広い意味と狭い意味、二つあるような感じがいたしております。広い意味で申しますれば、先ほど企画庁長官が仰せになりましたような社会的福祉と申しますか、生活環境、そういったふうなものを中心とした社会的な福祉、こういうものを含めての広い概念もあろうと思いますが、狭い意味で考えてみますと、社会保障といったふうな意味合いが近くなるのではないか。そういうふうな狭い意味で福祉ということを考えてみますと、御承知のように個人生活における失業とか、あるいは医療、疾病の問題、あるいは貧困の問題、老齢の問題、廃疾の問題、こういつたふうな問題につきまして、国が政治の大きな目標としてこれが解決するために努力し、そしてその成果がやはり国際的水準からいってまあまあのところにいっているのを福祉国家というのではなかろうかというふうな考えでございますが、さらに最近の福祉という概念はもう少し広くなった感じがしております。すなわち、ゆとりというものがそうしたものの解決の中に出てくる社会、こういうのが社会保障というふうな考え方ではなかろうかなというふうに考えておる次第でございます。一そうの御教示をお願いいたしたいと思う次第でございます。
○倉成委員 この福祉という問題に正面から取り組んだのは、ケンブリッジ大学のピグー教授でございます。彼によりますと、経済政策の対象として直接、間接に貨幣ではかることのできる経済的福祉、それから貨幣ではかることのできないものを非経済的福祉と呼んでおるようでございます。 この経済的福祉の向上のためには、国民所得の増大、いわゆる成長、それから二番目に貧者が受け取る国民所得の増大、いわゆる平等分配の問題、それから三番目に経済変動幅の縮小すなわち経済の安定、この三つが大切であるといっておるわけでございまして、特に第三の安定は一九三〇年代の世界的な経済恐慌による大幅な失業発生、社会問題を重視するようになってから、完全雇用ということが非常に大きく取り上げられるようになったことは御承知のとおりでございます。 そこで、この国民の最大多数の最大幸福をはかっていくために欠くことのできない政治的なメカニズムとして、議会制民主主義が最も有効であるということがいわれておるわけでございますけれども、やはり国民の求めておるところを先取りして政策を立案してこれを実施に移すことが、議会人の、国民の期待にこたえるゆえんであると信ずるわけでございます。特にピグーのいう非経済的福祉については、先ほども両大臣からお話がございましたように、だんだん寒さや飢えから、物質的な生活の満足、国民の向上心を満足させていくこと、より美しいもの、きれいな空気、住みよい都市、心づかいの行き届いた国土、仕事の充実感ということにだんだん移っていくわけでございますけれども、同時に人間の欲望というのは無限でございますから、絶えず福祉への期待というのは大きいわけでございます。幾らやってもその終着点というのがないのが福祉への期待ではなかろうかと考えるわけでございます。 したがって、私はこの際政策として福祉を考えていく場合には、生活の中で個人の責任と裁量でやるべき分野、たとえば趣味とか嗜好とか宗教とかレジャーとかいうような問題、二番目には国家が果たすべき、昨日も阪上委員から御指摘がありましたナショナルミニマムという問題、それから三番目にはその中間にあってベターライフに必要な、個人ではなし得ない意味の生活環境条件の整備、厚生大臣からちょっとお話がございました、そういう分野を分けまして、そしてこの分野について国が一体どういう役割りを果たすのかということを、やはり国民の前に明らかにすることが必要であると思います。もちろんこれは時代の変化、環境の変化、国民の意識の変化によって変化していくべきものでございますから、あまり固定的にこの問題を考えるということは間違いである。ある時期においては非常に重要なものでありましても、次の時期においては、それほど重要と考えられないということもあろうかと思うのでございますけれども、一体国はどういう役割りをこの中で果たすかという意味において、いわゆる福祉国家の概念が生まれてくると思うのでございます。 福祉国家ということばを最初に使ったのはイギリスのテンプル大司教が一九四一年、福祉国家、ウェルフェア・ステートということばを使ったといわれておりますが、コミュニストやナチスの権力国家との対比で用いられたことも御承知のとおりでございます。さらにこれが一般的に使われましたのは第一次大戦後、イギリスの労働党が社会保障制度の充実を実施してからというふうにいわれておるわけでございますし、福祉国家と資本主義、社会主義というものの関係というのは、いろいろいわれておるわけでございますけれども、福祉国家と社会主義国家あるいは共産主義国家というのは、どういう相違があるのかということを実はお伺いしたいわけでございますけれども、これは私は、もうむずかしいことではなくて感じとして、小坂長官ひとつ、どういう関連があるかということをお伺いをしたいと思います。
○小坂国務大臣 経済が安定的に成長して、そしてその成果を社会的な公正を失わず分配が保たれていくということがあるべき姿であるということは、倉成先生御指摘のとおりであると存じます。その方法論といたしまして、これを一つの国家による統一的な意思のもとに行なうのか、あるいはそれを構成する個人というもののイニシアチブというものを尊重しながら行なうのかということが、いまの御指摘の相違点になってあらわれるんじゃないかと思っております。 私は、人類というものが真に幸福と感じるのはどういう時点であるかということを思ってみますると、やはり自由にものが言えて自由に選択ができる、そして生活の幅が、先ほど厚生大臣も言われましたが、ゆとりというものを感じさせるような、そういうことがしあわせのもとではないかというふうに思っておるわけでございます。そういう点からいいますと、私はやはり個人を主体とする民主的な政治、経済のあり方というものが私どもの理想ではないかというふうに考えております。一部の権力による国家の収奪といいますか強制獲得経済といいますか、そういう点は財政という、もので一部あるわけでございますが、財政と一般の民間の活動の調和を求める、その調和をいかにするか、公正の分配を保つための国家の行なうべき機能というものの範囲を、われわれは適当なところに設定して福祉社会を実現していくというふうに考えておるわけでございまして、全般的な国家権力による個人の活動の規制ということには、私どもはそういう考え方をとらない、反対をしているということであります。
○倉成委員 福祉国家については、どちらかというと何でも入っているがっさい袋、この袋の中では、富山の袋のように万病にきくいろいろな処方せんが入っているというふうに受け取られがちでございますけれども、いろいろこの概念規定や何かについてここで議論をする余裕はございません。しかし福祉国家の特色として、第一は失業、疾病、老齢、出産、死亡、その他予測のできる、またはあらかじめ予測のできない事故に対する最低の生活保障の制度、すなわち社会保障制度が相当の程度完備しておるということが、やはり一つの条件になろうかと思いますし、二番目には、やはり経済に対する政治の統制が進みまして経済全般の民主化が行なわれておる、政府がやはりある程度支配できる公的部門が相当程度存在するということ、いわば混合経済と申しますか、そういうものが必要であろうかと思うわけでございまして、同時に第三の特色としては、これらの福祉国家といわれる国々の特色としては、やはり強い労働組合があるということ、議会制民主主義が安定しているということ、これは国民の自由な、秘密の投票による選挙によって競争する複数政党の間から政府を選び、それをまた一定の手続で平和的に更迭する統治の制度、こういうものがある。すなわち自由選挙、言論、集会、団結の自由というものが、やはりこの福祉国家の制度の基本になっておると思うわけでございます。 こういうことから考えてまいりますと、福祉国家の条件というのは、いろいろこういう要件を備えたものであろうかと思いますが、同時に、一体世界にあるどういう国が福祉国家として考えられるかということをいろいろ考えてまいりますと、これはなかなか、西ドイツであるとか、オランダであるとか、あるいはイギリスやスカンジナビアの諸国等は福祉国家の範疇に属するだろうというふうに一般的にいわれておるわけでありますけれども、私はやはり福祉国家という概念が、いろいろと流動的である以上、諸外国の福祉国家というものを無批判に受け入れる、外国にこういう制度があるから、日本もやらなければならないというような単なる模倣ではなくして、やはり日本の社会にマッチしたいろいろな制度、あるいは政策というものを考えていくことが大切であるというふうに考えるわけでございます。 しかし、これらの問題についていろいろ議論するよりも、むしろ具体的に福祉の中身について議論をしたほうがよさそうでございますから、医療の問題、住宅、土地問題あるいは農業の問題、物価の問題、こういう問題に少し焦点をしぼって時間の許す限りで議論をいたしてみたいと思います。 まず第一に、医療の問題について考えてみたいと思うのであります。医療は、国民の健康と福祉をささえる大きな柱でありますけれども、どちらかというとこの医療の問題が、今日、健康保険法の改正が国会に提案されておるということもございまして、財政の面からのみ取り上げられる傾きがあることは、まことに残念でありまして、むしろ、やはりある意味において国民の立場から、医療を受ける人の立場から、一体今日の医療にどういう問題があるかということを考えてみることが必要ではなかろうかと思うわけでありまして、憲法第二十五条の健康な生活というのも、やはりこういうことを意味しておるのではなかろうかと思うのでございます。 それでは、今日の医療にどういう問題があるかということを、これは時間を節約するために私のほうから申し上げてみますと、おおむね四つの問題を考えております。 一つは、医療混雑の問題。三時間待って三分間の診療。いま東京都内の大病院に行ってみますと、待合室にたくさんの患者さんが待っておりまして、いらいらしながら自分の順番を待っておる。しかし、診察を受けると何分間で済んでしまう、ほんとうに見てもらったのだろうかという気持ちがずっと残っておるということでございます。またあまりに長く待たされるので、やはり時間の制約のあるサラリーマンは病院に行くことができないというのが、医療混雑の第一の問題でございます。 二番目の問題としては、救急医療の問題。休日、夜間等の診療が受けにくいということで、病院を回っているうちに死亡したという事件は、新聞の社会面にあげられているのみならず、たくさんあるわけでございます。 それから第三の問題は、きょう特に取り上げたいと思っております無医地区の問題、離島、僻地等の医者のない地区の医療の問題。これらの地区の人たちは、厚生省の調べでは全国で三千地区という無医村があるわけでございますけれども、これらの地区は適切な治療を受けられない状態にある。衣食住と同じように生活の基本条件であり、医療の保険料を払いましても、医者がいなければこれを受けることはできないわけであります。ある意味において、これはほんとうに保険料を払っておるということが、その反対給付を受けられないわけでありますから、この問題はやはり私は真剣に考えていかなければならない問題であると思います。 それから四番目には、予防医療の立ちおくれの問題でありまして、健康を維持することが医療の最終目的であるはずでありますけれども、早期発見、早期治療が病気発見の、根絶の鉄則となっておるわけでございますけれども、世界各国では予防医療に取り組みつつあるわけであります。わが国も伝染病という点では、この予防というものはある程度進んでおりますけれども、成人病対策あるいはその他の予防医学の点については、いろいろな点でまだおくれているということは、御承知のとおりでございます。 この四つの私が取り上げました問題と、どうしてこういう医療混雑が起こってきたかという問題、これもまた時間を節約するため私から申し上げまして、いろいろまだ足らない点なり、御意見があれば厚生大臣からお答えいただきたいと思うのでございます。 これはやはり一つには、医療のこういう混雑は、国民の医療サービスヘのニーズが非常にたくさん起こってきたということが、こういう混雑が起こってくる一つの大きな原因になっておるわけでございまして、公害であるとかいろいろなことで新しい病気が出てくるということもございます。それから医者や医療奉仕者の施設が不足したり、また医者がおりましても、地域的に偏在をしておる。都会にはたくさん医師がおるけれども、離島、僻地には医者がいないということ。それから三番目には、医療サービスが非常に低生産性であるというか、もっともっとくふうすればもう少し生産性を高めることができるにかかわらず、低生産性の状態にある。したがって、医療のシステム化がなされていないということではなかろうか。非常にはしょって申し上げたわけでございますけれども、そういう問題が私はこういった医療の混雑その他の問題ができている原因であると思うのでございますけれども、結論から申しますと、医師を雑務から解放して医師の仕事に専念させる、あるいはコンピューターを中心とする情報処理技術、医用電子技術や映像伝送技術等を医療の必要と認められる分野に活用してやれば、かなりの程度これらの問題は解決されるというふうに考えておるわけでございます。これがいわゆる医療のシステム化の課題であるというふうに思っておるわけでございますが、この医療のシステム化という問題について、後に僻地、離島の医療の現状と、この対策についてお伺いをしたいと思いますけれども、基本的に厚生大臣はどういうふうにお考えになっておるか、ひとつお伺いをしたいと思います。
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げます。 医療の現在一番問題になっておりますのは、いま御指摘になりましたような問題であると考えております。すなわち三時間待って三分きり診療を受けられぬといったような医療混雑の問題、この問題などにつきましては、私どももほんとうに頭を悩ましておるところでございますが、基本的にはやはり病院、診療所というものの機能をはっきり分けて、これを明確にさせるということが私は一番大事なことだと思いますが、結論的にお述べになりましたようなコンピューターによる病歴を事前に把握しておく。これなどは基本であることはもとよりでございまして、結論的にまた最後に申し上げますが、こういう方面に今後努力をしていかなければならぬ問題であろうと考えております。 さらにまた救急医療の問題、これはすでに御承知のように、百万人単位で救国慰療センターを設けたり、救急医療への告示の制度をつくったりというふうな体制をつくり、さらにまた夜間、急患に対しましては、各地方の医師会の御協力をいただいて、そして一日も、一刻も早く救急医療ができるような体制をつくっておるわけでございまして、今後ともそういう方面に努力をしたいと考えております。 さらにまた無医地区の問題、これはなかなかむずかしい問題でございますが、私どもは今日まで保健婦は必ずどんな場合でも常駐させたい。そして通信と輸送ということを中心として、近隣の医療機関と密接な連絡をとりながら診療に当たっていくというふうな体制づくりをいたしておるわけでございます。 そういうふうなもろもろの政策を行なっておるわけでございますが、結論的に申しますと、こういう問題を解決するためには、倉成委員がお述べになりましたような医療システム、これが一番私は大事だと考えております。 すなわち、医学なり医療に関するシステム工学の成果というものを、医療にこれを活用していくということが、どうしてもやはり基本になるのじゃないか。国民にしてみれば、いつ、どこでも、今日進んだ高度の医療を受けられるということにしてあげることが、私は医療行政の基本だと思います。それにはいま申し上げましたような高度に進んだ医学、医療のシステム工学、これを医療の面に活用する、これ以外にもう方法はないのじゃないか、こんなふうな考えを持っておる次第でございます。
○倉成委員 先ほども申し上げましたように、医療のニーズと申しますか、国民の需要が非常に大きくなってくる。すなわち交通事故や公害や精神病、スモン病といった現代の環境がもたらす新しい病気が出現するということは、医療に対するニーズの増大でございます。またこれから大きく日本の社会が老齢化してくるということも、医療需要を増大する要素になってくるでありましょうし、また国民が健康というものについて非常に深い関心を持つようになったということも、ニーズの増加の原因でございます。ところが、これに対して医療の体制が整っていないというところに問題があるわけでございます。ことしは医学部の増設であるとか、その他いろいろな点について格段の努力を政府においてされておることは深く多とするところでございますけれども、この偏在ということもひとつしっかり考えておく必要があるわけでございます。 私の郷里は長崎でございますけれども、離島、僻地が非常に多いものですから、この地域を回りますと、お医者さんがない部落というのがたくさんあるわけであります。厚生省の調査の資料、無医村の資料等いただきましたけれども、私の実感から申しますと、まだまだあの程度のものではなくして——人口が五十人以上で四キロ以内に診療所、病院がないところという定義のようでございますけれども、かりに四キロということを地図の上で考えましても、山を越え、野を越えて、がけを越えていかなければならないようなところもございますし、また夜間であるとか、あるいはあらしのときであるとか、あるいはそういうところに診療所がありましても、やっと台湾からお医者さんを連れてきたといような、老齢のお医者さんが一人ぽつんとおられるということになれば、往診等はできない。また特殊な科目については、これは全然診療の能力がないということを考えますと、現在のこの医師及び医療従事者が非常に地理的に偏在をしているという問題が、私は僻地医療問題の中心であろうかと思います。しかし、さればといって、これらの人たちに、それでは離島、僻地に行ってもらえるかというと、なかなか医師は行きません。大体どうして医者がこういう離島、僻地に行かないであろうかということについて、厚生大臣、感じでけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 私どもは医師の不足につきましては十分関心を持っているわけで、今日まででも医師の確保、増員、看護婦の増員、そういった方面に努力をいたしておるわけでございますが、そうなった場合でも、現在の無医村の地域に全部医者が行っていただけるかどうか、なかなかこれは容易でないと思います。そういうところになぜお医者さんが行けないか。いろいろ理由があると思います。待遇の問題等もあろうと思いますが、私は一番の根本は、そういう地域に行きますとお医者さん方が十分研究ができない。これがやはり相当大きな原因ではないだろうか、こんなふうにも考えておる次第でございます。
○倉成委員 ただいま厚生大臣おっしゃった点は、確かにそのとおりです。離島のお医者さんたちに聞いてみますと、やはり新しい医療技術、医療情報から隔絶することに対する不安感、学会等に行こうとしても、なかなか行けないという点は御指摘のとおりでございます。ただ、そのほかに受け持つ地域が広くて、かつ非常に低頻度、頻度が少ない、往診等でも苦労するけれども、経済的には不利である。いまの保険の制度で離島でほんとうに献身的に仕事をしておったのでは、とてもこれは経済が成り立たない。またそういうことから、医者としての経験不足、力量低下という問題もありますし、特に私は離島、僻地へ医者が行かない理由は、子弟の教育等に非常に不便であるという点がやはり問題だと思います。また奥さん方がいろいろな文化生活に恵まれないという点も、やはり愛妻家のお医者さんになると、そういうことを考えるでしょう。離島の医者の家族の問題。そういうことをいろいろと考えてまいりますと、これらの問題を総合的に解決するためには、いろいろな思い切ったこういうことについての施策を講ずると同時に、なかなかこれは簡単にいかない。そこで近代兵器をもっと利用していったらどうかという提案をいたしたいわけでございます。 率直に申しまして、病院等の事情、状況を見ましても、あの医療の混雑をコンピューターを入れたりシステム化してやったら、もう少し混雑を避けることができるのじゃなかろうか。三時間も多くの国民を待合室で待たしているなら、その三時間の間に健康の予防医学なり、あるいは健康に役立つ知識を教えたり、あるいは趣味の問題について、もう少し豊かな情操を養うようなチャンスを与えたり、そういう時間のロスをいらいらして待合室で待っているということを改めるための努力は、私はやはりやろうと思えばできることであるというふうに考えるわけでありますけれども、その問題はおくといたしまして、離島、僻地についてのこういう問題をということになると、私はやはり保健所というものをもう少し活用すべきじゃなかろうかというふうに思うわけであります。 私は、この保健所の問題を考えます場合に、保健所問題懇談会が報告書を昨年、四十七年の七月に出しておるわけでありまして、ほぼ私の考え方とこの報告書の基調というのが一致いたしておりますので、これを引用させていただきたいと思います。 この報告書によりますと、「日本には沖繩を入れて、いま八百三十九の保健所がある。」今日はもう少し多くなっているでしょう。ところが、この「保健所業務は、変動する社会のテンポがあまりにも早いために、多くの業務を押しつけられ、少ない人員のなかで四苦八苦し、労多くして功少ないというのが現実の姿である。」厚生省からいろいろな報告をしろ、あれをしろというようなことで追われているけれども、地域住民の福祉のためにはなかなか時間をさくのが困難である。保健所の医者も非常に少ないということになってくると、保健所の機構や業務をいじるだけでは、これはいけないということを指摘しておるわけでございます。 したがって、これから先の保健所というのは、地域医療の仕組みの中で、保健所は何をなすべきかということをはっきりすることじゃなかろうか。もちろん都会における保健所というのが、だんだん、この報告書にもありますように、公害とかそういうものに対する役割りがたくさん出てくるでしょう。離島、僻地においては、医療という問題について保健所がある程度の、いろいろな点についていまの機構ではなかなかむずかしいかもしれませんけれども、ほんとうに医者にかかることができないで、みすみす死んでいく病人があるとするならば、そういう者に対して何らかの形で保健所が機能を果たすということも必要ではなかろうか。いろいろそのような問題を指摘しておるわけでございますけれども、これらの問題について厚生大臣、どのようにお考えになっているか。そして、たいへん失礼でございますが、大臣、就任されましてから保健所を御視察になったことがあるかどうかということを、ひとつあわせてお伺いしたい。
○齋藤国務大臣 就任いたしましてから繁忙をきわめておりまして、まだ保健所に視察は行っておりませんが、現在の保健所は、御承知のように環境庁関係の公害関係の仕事、それから食品検査、そういうふうなことで非常に繁雑な事務に追われておりますことは私も存じておりますが、保健所の一番大きな任務は、地域医療の中枢的な機能を果たすということではないかと考えております。すなわち健康増進、さらにまた治療ばかりじゃありませんで、予防、リハビリテーション、そういったものを全部ひっくるめて包括的な医療の地域的な中枢的役割りを果たす、それが一番の大きな問題ではなかろうかと考えておるわけでございまして、今後ともそうした方面で努力をしていただくように指導をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○倉成委員 ひとつ大臣、非常にお忙しく、国会等で時間をとられておると思いますが、保健所問題懇談会の報告書がせっかく出ておりますし、非常によくまとまっておると思いますので、もう一度保健所の問題を真剣に取り上げていただきたいというふうに思うわけでございます。そうなると、やはり保健婦の問題も出てまいりますし、やろうという気持ちがあっても、なかな任務が明らかでない。また現在の機構ではなかなか不備である。それから各地域社会における位置づけがはっきりしてない。保健所長が幾ら張り切りましても、ほかの病院やほかの地域社会がこれを受け付けなければさっぱり動けないわけですから、そういうところをしっかりやっていただくのが、厚生、大臣の役割りではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。 健康を守る責任ということになってまいりますと、健康の問題は基本的には個人の自覚と自主性が基本となるということでございまして、二日酔いをしたり徹夜マージャンをして、からだがぐあい悪くなった、これを何とか国がしてくれといっても、これは個人の自覚が足らないわけでありますから、この点ははっきりしておかなければいけない。同時に、医師会や歯科医師会あるいは薬剤師会の専門団体、技術者というのが、健康を阻害する要因、健康を増進する要因を追求したり、そういう健康を守り育てる学術的な責任を果たす使命がありますし、地方公共団体その他は、地域の特性に応じた保健計画の策定が必要になってくる。国は、健康を守り育てる基本施策の策定をはじめ、地方公共団体に対する指導援助を行なっていく。それぞれ個人から始まりまして、国、それぞれの団体等の役割りがはっきりしておる。こういうことをしっかり国民にも納得いくようにPRをし、そしてそれぞれの分野を明らかにしておかないといかないのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。 そこで、時間の関係がございますので、僻地の離島の問題でございますけれども、私は、厚生省がいろいろと仕事をされるのを待っておってはなかなか間に合わないというので、東京大学その他の方々と御相談しまして、ある離島につきまして、ある、ということばが悪いですから、率直に言いましょう。長崎県の五島列島を一つのモデルにしまして、昨年の夏、この一つの離島、僻地についての医療の問題を考えたわけであります。その考え方は、すなわちそういう無医村のところを一つのターミナルといたしまして、それから、ちょうど五島でありますと、福江というくらいの人口五万か人口数万の都市のところに地方病院をサテライトとして、中継の基地といたしまして、それからセンターはいわば総合病院、県立病院、具体的にいいますと長崎の医科大学の付属病院、こういうことにいたしまして、結局その無医地区のいろいろの人たちのカルテを全部とっておきます。そしてそれをコンピューターの中に入れておきまして、そして通常の病気でありますならばサテライトの地方病院、その地域の病院からコンピューターでつなぎまして、いろいろなサジェストをしていく。そうすると、ターミナルにおきましてはやはり医学関係の医者をそこに置くわけにいきませんから、医学関係の理学療法士であるとかそういう医療関係の人たちを、医療従事者をそこに置いておきます。また保健婦がある程度の役割りを果たしていいかと思うわけでございますが、医師の指示に従っていろいろな治療その他に当たっていくという問題でございます。 しかし、ここには非常に大きな問題が残されておるわけでございまして、やはり医療の問題を、こういうシステムの問題を考えていく場合に一つ大事な点は、本来医療は人対人によって行なわれるものである、その他のものはすべて補助的なものにすぎない、人間そのものを扱うシステムということで、いかに高度の技術が発達しても、とうてい侵しがたい一線が存在しなきゃならないということでございまして、基本的な条件として倫理道徳上の保障、安全に対する処置、人権の問題、こういう問題がこれに横たわっておりますので、機械が便利で機械で診断し、というわけにはなかなかいかない問題があろうかと思います。また同時に、こういう医療技術を包む社会がこれを受け入れていかなけりゃならないというわけでございまして、すべての社会の風土、歴史、習慣、教育、文化、もっと次元の低いお話をしますと、離島、僻地におけるお医者さんがどこの医科大学を出たかというような問題も、これらの問題に非常に関係をしてくるわけでございますから、これらの問題も考えておかなきゃならない。また、システムがアポロ計画と同様に高度の、超高度の信頼性を持っておらなきゃ、機械が故障したから診断を間違ったということになればたいへんなことになるわけでございますし、またいろんなカルテをコンピューターに入れるということになると、プライバシーの問題ができる。一億総背番号に対するいろいろな問題が出てくるというような、いろいろなシステムに伴う問題があるわけでございます。 そこで厚生大臣、今度の予算におきまして、通産省において機器の開発としての一億一千万の予算、また厚生省に医療システムについての予算一億一千万がついて、両方で協調してこの問題に立ち向かうということになっておるわけでございますが、医療システムを推進していく上において、私がいまいろいろな点について非常にかけ足で申し上げましたけれども、厚生大臣、どういうお心がまえで、またどういう方針でお進めいただくかということをお答えいただきたいと思います。大臣でも局長でもけっこうです。
○齋藤国務大臣 倉成委員の将来の医療の方向について、示唆に非常に富んだ御意見、まことに私も同感でございます。私も先ほど来申し述べてまいりましたように、僻地医療の問題あるいは救急医療の問題、それなりに政策を実行し、予算もそれぞれ来年度においても増額はいたしておるわけでございますが、究極的にいろいろ考えてみますと、これだけ進歩した医学の恩恵というものを、いつ、どこでも国民が受けられるような体制にしていくためには、やはりこの医療情報のシステム化というものに思い切って国は投資していくということが根本だと考えております。昭和三十九年度以来今日まで、こういうふうな医療技術の特殊な研究ということで相当の金を支出してまいりましたけれども、いよいよシステム化の問題につきましては、来年度、四十八年度から本格的に乗り出していかなければならぬということで、通産省のほうにおきましては、先ほどお述べになりましたように機器の開発に重点を置き、私のほうでは医療のシステム化という方面に力をいたそう、こういうようなことで一億一千万程度でございましたか、その予算を今日獲得いたしておるわけでございます。将来の医術というものはやはりこういう方面に進んでいかなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、まず来年度におきましては、このシステム化の予算につきましては僻地医療の問題、救急医療の問題、こういう問題を中心として実験的にもろもろの施策を進めてまいりたい、こんなふうに考えているような次第でございます。
○倉成委員 大臣、率直に申しまして医療システムの問題は、ある意味においては未開拓の分野でもございますし、また厚生省も、率直にいってあまりよく勉強が省全体としては行き届いていなかったと思います。したがって、この問題は単に金の問題でなくて、非常に重要な検討すべき問題を含んでおるということを御認識の上、この問題にぜひ積極的に取り組んでいただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。 それでは時間もございませんので、次の問題、物価、土地、住宅問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 実は昭和四十七年度の消費者物価は、企画庁長官がお述べになりましたように五・三%、卸売り物価が二・二%、四十八年は、経済見通しにおいては消費者物価は五・五%、卸売り物価は二・〇%。一応経済見通しではこのようになっておるわけでございますが、問題はこの消費者物価指数、卸売り物価指数ではなくして、国民が非常に不満に思っておるのはやはり住宅問題じゃなかろうか。そういう消費者物価指数が幾らになった、こうなったということもさることながら、やはり東京、大阪では六畳一間の木賃アパートで住んでおるという人がかなりいるわけでございます。そして赤ちゃんが安心して産めない、赤ん坊がいるならこのうちを貸すのは断わるという、昭和の御代においてまことに残念なことでありますけれども、そういうことがあるということは事実でございます。 そういうことを考えてまいりますと、先ほど福祉の問題について申し上げましたように、住宅のミニマムをやはり確立するということは何にもましても緊喫の問題になってくる。それと同時に、やはり国民の非常に大きな不満が、土地を持っている者と持たない者との財産上の格差というのが非常に大きくなってきておるわけでございまして、一方は非常に大きなキャピタルゲインを得るということになりますけれども、一方は長い間会社に働いたりいたしましても、退職金でもなかなか家も建てることができない。そういうところに、消費者物価指数だ、卸売り物価指数だということを議論する以上に国民の不満といら立たしさがあるということは私は事実だと思います。 したがって、この問題に対する積極的な姿勢がない限り、これはやはり国民の要請にこたえるというわけにはいかないというふうに思うわけでございます。したがって、まずこれは企画庁長官でありますか、総理がおられませんので企画庁長官が代理してお答えいただくかと思いますが、土地問題に関する基本的な認識、土地問題ということについてどういうふうに考えるか、これはあらゆる施策をいたします場合に、福祉政策を進める場合に、やはり福祉についての基本的な考え方が確立していないと、ただやかましくいわれるから福祉をやっていくということになって、非常にばらばらの積み木細工を重ねるようになるわけです。したがって、土地政策についての政策を進めていくということは、やはり基本的な総合的な土地に関する考え方を確立しておかなければならないと思うわけです。そういう意味で土地問題に関する基本的な認識について、これもここは学者の論争する場所ではございませんから、ひとつ率直な御意見をお聞かせいただきたい。
○小坂国務大臣 まことにおっしゃいまするようなことで、消費者物価が幾らであるとか、卸売り物価が幾らであるとか、そうした統計上の数字というものは、これは国際的に認められた規格の数字でございますけれども、われわれ政治家といたしまして、市民の感情というものを考えまする場合、何かそこに乖離があるという感じがいたすことは同感でございます。 そこで、やはりいまも御指摘のように、今日の物価問題というものを象徴的にあらわすもの、物価に対する不満というものが象徴的に出ているのは住宅問題ではないか。また住宅問題というものは土地問題でもございます。それからもう一つは、部分的に出てまいります、たとえば先般の大豆とかとうふの問題、ああいうものにあらわれたような、非常に局所的に市民生活に非常に密接な商品について著しい波動がある。これが問題だと思うんでございまして、その点で、ただいまの御指摘はまことに同感しごくでございます。 そこで、政府といたしまして、土地問題、住宅問題を考えます場合に、全体の鳥瞰図を考えてみますと、いま日本の面積というのは御承知のように三千七百万ヘクタールでございますが、その中で農地というものが占めるのが二八・四%ということになっております。それから宅地が一・四%、それから工場、市街地というのは〇・二二%ということになっておるわけでございまして、この中央といいますか、市街地、工場等に住居する者は大体五千万人くらいといたしますと、これが今後移動していく。農村から工業へ、あるいは都市住宅者となっていく。工業従事者あるいは都市住宅者となっていくその人口をどう入れるかということになりますと、マクロ的に見ますと、いま数字を申し上げたようにたいしたことはないわけなんです。ところが人口は、田中総理がよくおっしゃりますように、三千万人の者が一%の土地に蝟集している。こういうところに問題がござ一いますので、この列島改造というような構想になってきたと私は思うんでございます。 その意味で考えてみますと、やはり集中的に大都市に対する土地供給をどうするかということが問題であると思います。それからまた、一定規模以上の土地がどうして取得されていくのか、それについて政府がいろいろと関与するという亡とも必要だと思います。 そこで、いま御承知のように、国土総合開発法というのを立案いたしまして、国会の御審議をわずらわしたく考えておりますが、その中での、まだ決定しておりませんけれども、一応の構想を申し上げますると、一応三つに分けておりまして、たとえば東京とか大阪というような大都市におきましては二千平米以上、それから中都市におきましては五千平米、その他のものは一万平米というようなことで段階を分けまして、それ以上の土地を取得する場合には、地方長官を主といたしまして、地方長官が市町村長、あるいは土地に関する審議会というようなものが設けられますれば、そういうものの意見を聞いて、そして著しく他の地価と均衡を失しているような値段で売買され、あるいは全体の開発目的と乖離するような、非常にはなはだしく飛び離れた利用目的を持つようなものがあります場合には、これに対してどうですかというような勧告をする、勧告に従わない場合は、これを公表するというようなことを考えておるわけでございます。それから特定地域、たとえばインターチェンジができるとかあるいは新幹線の停留所ができるとか、そういうような特定の地域につきましては、いま申し上げたような数字にこだわることなく、これについては地方長官がいまのような勧告権を起こし得る。二府県にまたがります場合は、これは国が勧告し得るわけでございますが、さらにその勧告を聞かなかった場合どうするかということでございますが、これについては、いまの特定地域に限って、何か罰則等についても研究しようじゃないかということで研究を進めておる次第でございます。
○倉成委員 ただいま小坂長官からいろいろお話がございましたけれども、私がお伺いしたがったのは、土地対策の前提となる基本的なものの考え方をお伺いしたかったわけでございます。都市に集中的に土地問題が起こっておる、それに対していろいろな対策についてお述べになったわけですが、私は、やはり土地問題も当然御承知で、時間の関係で省略されたと思いますので、私から二、三の点を指摘いたしてみますと、土地は、その場所に固定した有限な資源で、輸入も再生産もできない経済財あるいは文化財であるということが第一の問題であります。しかし、土地は有限でありますけれども、土地問題の発生は、歴史的に見ますと、農業から工業への産業構造の近代化によるものである。やはり工業社会が興ってくる場合にこの土地問題というのが起こっておるわけでございまして、土地の持つ経済的な役割り、高密度の土地利用、経済成長という角度を離れて土地問題は検討できない、こういろ認識が必要であろうかと思います。 それからもう一つ、わが国の国土は狭い、したがって地価は当然高くなるという考え方には若干疑問があるわけでございまして、昭和二十五年以前のわが国の大都市の地価は高くなかったわけでございます。また、いろいろな点で値上がり待ちの大都市圏の開発に適した大きな未利用地があるということも事実でありまして、問題は、決してただ単に土地が狭いから値段が上がるのだという認識は間違いであるというふうに私は考えるわけでございます。 それからまた、土地は有限な自然資源であるため、再生産可能な商品の場合と違って、宅地造成のための裸地の取得そのものが、完成品たる造成地の価格をつり上げるという悪循環的な特性を持っておる。したがって、単なる供給増加だけではどうにもできない問題を内包しておるということも、土地問題の特色の一つであろうかと思います。 それから、小坂長官がお話しになりましたように、わが国の当面の土地問題は、大都市における宅地不足、あるいは異常な地価暴騰に伴う住宅問題の深刻さに大きな比重がかけられておる。まず解決すべきものは、この住宅問題解決のための土地政策の確立であろう。したがって、いま政府が一番最初にやらなければならないことは、もちろん社会正義の面から、いろいろな商社等による土地の買い占めはけしからぬという議論も、私は当然のことだと思いますけれども、こういう住宅問題解決のための土地対策を確立することにあるのではなかろうかと思います。 その他、土地の問題について歴史的にいろいろ考えてまいりますと、わが国の土地問題の解決策のむずかしさは、西欧諸国、ロシアを含めまして西欧諸国においては、大規模土地所有者の弊害という歴史的な事実があったわけですけれども、日本の場合には、土地所有が非常に零細であるという問題が、またいろいろな問題の解決に対して複雑にしておるわけでございまして、固定資産税に関する住宅地の所有者を調べてみますと、四十五年の自治省調査によりますと、全国で千二百九万人、ほかに法人が四十九万、すなわち土地を持っている人が全国で千二百九万、法人が四十九万と、八人に一人が土地の権利を所有しておるということでございます。大都市政令指定都市について見ますと、宅地の所有者は百五十八万人、他の法人が十三万ということになりますと、このほかに借地権者の数を加算しますと非常に大きくなるわけでございまして、これはまあ非常に小さい土地を持っている人も、これを含んでおるわけですから、なかなか簡単にこの数字だけで実態はわかりませんけれども、ヨーロッパやその他の諸国と違って、大規模な土地所有形態でないというところに今日の問題が非常にあるということも、これから先の土地問題を解決するために認識しておかなければならないと思いますし、大都市の産業、人口の集中というのは、やはりこれまでそれなりのプラス効果があった、近代的な大規模な生産を可能にしたのは集中に伴う利益であった、今日でも集中に伴う利益はまだ失われていない、こういう認識を持った上で、少し具体的な問題について御質問をいたしてみたいと思います。 それでは、東京を中心とした五十キロ圏内に、たとえば一ヘクタール以上のあき地は全体としてどれだけあるか。また、向こう十年間の東京周辺の宅地需要は幾ヘクタールあると見込んでおられるか。すなわちもう一度申しますと、東京を中心に五十キロ圏内に一ヘクタール以上のあき地というのが一体どのくらいあるのか。また非常に前提条件が、東京にどういうふうに工場を配置するか、その他という問題があろうかと思いますけれども、十年間で東京周辺の宅地需要というのが大体どのくらいあるのかということを、ひとつ事務当局からでけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思います。
○高橋(弘)政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。 御質問では、今後十年間ということでございましたけれども、私どもいま今後の宅地需給の見通しを検討いたしておりますのは、昭和六十年までのことを考えておりますので、それにつきまして御説明申し上げます。 昭和六十年までに、私ども住宅建設が新たに三千万戸ということを見込んでおります。これは御承知の、住宅建設をする際には、従来の敷地で建てかえというのもございます。また、再開発というのがございますから、全部が新しい宅地が要るわけではございません。したがいまして、新しい宅地の要るものがこの中で大体千百五十万戸程度、用地面積といたしましては大体二十三万ヘクタール程度が必要であるというふうに考えております。その中で、お尋ねの東京圏、この地域のとり方はいろいろございますけれども、一部三県というようなことについて、その需要を見てみますと、まあこれは、非常に推定がむずかしいわけでございますが、今後の人口、産業の地方分散ということも十分考慮しながら推定いたしますと、大体昭和六十年で五万ヘクタール程度が必要になるというふうに考えて、いま検討いたしている次第でございます。 お尋ねのところでは、それに対して一ヘクタール以上のものが、どのくらい宅地があるだろうかということでございます。御承知のように、首都圏の五十キロ圏内におきまして、大体これは近郊整備地帯という地帯でございますけれども、その中の市街化区域が三十一万ヘクタールでございます。その中で人口集中地区、つまりDID地区という面積が十七万ヘクタールございますので、残りが、大体大ざっぱにいいますと十四万ヘクタールあるわけでございます。しかしながら、これにはがけ地だとか、その他利用できないようなところもございますので、そういうものを引きますと、大体十二万ヘクタールぐらいのものになろうと思います。 この中で、お尋ねのように、特に公的な宅地開発などのように一団としてまとまったような、そういう宅地開発をするためには、ある程度の規模が必要でございます。そういうものを住宅公団で調査した資料によりますと、これは東京の二十三区と横浜の二区、これは一ヘクタール以上でございますけれども、その他の地域につきましては、お尋ねの一ヘクタールじゃございませんで三ヘクタールでございますけれども、大体四万ヘクタール程度というふうに試算をいたしておる次第でございます。
○小坂国務大臣 土地の価格というものは、日本不動産研究所、櫛田さんという方がやっておられますが、その調査によりますと、大体GNPと並行して動いておるわけでございますね。ところが、最近こういう土地の条件になった。これはやはり公共投資が非常に不足しておるということが一つの原因ではないかと思うのです。そこを、いま建設省のほうからお話がありましたように、土地は現実にあるわけでございますが、住宅としてこれを持っていきます上には、何といっても鉄道を敷かなければならない、あるいはまた水道がなければならない。水の便、交通の便、そうしたものをやはり公共投資によって相当迅速果敢に手配することが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○倉成委員 先ほども申しましたように、土地の所有権が非常に錯雑をしておるが、空中写真で見るとかなりのあき地があることはある。だからそこを、ほんとうにもうあらゆるほかの条件を捨てて考えるとすれば、住宅を建てられないことはないということになるわけですけれども、これを現実に実行するとなると、あらゆる制度、所有権、いろいろな問題がこれにからんでくるということも事実でございます。 そこで私は、土地対策のきめ手としては、土地需給における現行の売り手市場を買い手市場に転換さぜることが必要ではなかろうかと思うわけでございます。ある面において、御承知のように、大蔵省の金融引き締めによって、やはりある程度投機的に土地を買っておった人たちがちょっと買い控えをしてきたということで、そういう面の頭打ちがあるということを、私はそういう関係者から伺いましたけれども、やはり売り手市場を買い手市場に転換させることが必要になってくるということになると、大量の土地供給ができればよいけれども、この土地というのは大量の製造ができない。そうすると、大量供給をしたのと同じ効果を発揮させるために何らかの施策がなかろうかというわけでございますけれども、今後十年間の宅地需要見込みとか、六十年の数字を先ほどお出しになりましたけれども、先ほど企画庁長官がお話しになりましたいわゆる土地対策において、緊急の開発地域、特定地域の開発の制度、これはおそらくむつ小川原とか、そういう特定地域のことを考えられておると思うのでありますけれども、そうではなくして、東京都のそういう地域を指定しまして、大量の用地を先行取得をする、これをやれば非常に即効的な役割りを持つことができると思うわけでございますけれども、そういうことが一体やれるのかどうかということについて、これも建設省からでけっこうです、お答えください。
○吉田(泰)政府委員 現在都市計画法で、都市地域の開発行為に知事の許可が要るという、いわゆる開発許可制度をとっております。これは市街化区域と市街化調整区域にその適用地域が限られておりますが、御趣旨に沿いまして、これをその他の都市計画区域にも広げるということを考えておりまして、これにつきましては、今国会に都市計画法の一部改正案として御提案すべく、現在立案中でございます。 なお、東京近郊の住宅建設に適したような土地につきましての直接的な供給促進対策としましては、過般、地価対策閣僚協議会でも決定を見ました宅地開発予定地区という、これは仮称でございますが、そういう制度を検討中でございまして、これは主として大都市の住宅なり宅地需要の著しい地域につきまして、宅地開発予定区域というような制度を都市計画決定として行ない、その区域に指定されました場所につきましては、主としてまず土地所有者等の権利者による区画整理事業等を大幅に促進していただく、そのために必要な関連の公共施設は、公的にも思い切って投資をし、またその権利者が区画整理事業等を施行しやすいようにするためのいろいろな助成措置も講じるという構想のものでございまして、そういうこととともに、その期間中の開発行為等をその方向に向けて誘導するような規制等もあわせて考える必要があるのではないか、このように考えております。
○倉成委員 私は、時間もございませんので、結論的なことを申し上げたいと思いますが、政府が一月二十六日に閣僚協議会で決定しました土地対策、まあ土地利用の基本計画を立てまして、先ほど企画庁長官からいろいろ御説明があったようなことを書いてあるわけでございますが、もちろんこれを具体的に推し進めていく上においてもう少し明らかになってくると思いますが、「今後における宅地需要の見通しを確立し、これに基づき、とくに宅地需要の著しい大都市地域において、環境の保全に配意しつつ、大規模な宅地開発事業とくに公的機関による事業の推進を図るものとする。」ということがここにあるわけでございますけれども、これを単なるうたい文句ではなくして、積極的に具体的に推し進めるということになってまいりますと、大都市における土地の取引について、公的機関の介入、ここでは届け出義務と、それから投機的取引と認められるもの、合理的な土地利用を阻害するということについては、都道府県知事の中止勧告ということになっておりますが、百尺竿頭一歩を進めまして、公的機関を設けまして、その機関を通じなければ売買できないというくらいのことを一定の期限を限ってやる、そのくらいの勇断がなければ、なかなかこの問題の解決はむずかしいというふうに考えるわけです。この点については、まだいろいろ政府の中では御意見が統一されていないかと思いますけれども、私は、問題提起として申し上げておきたいと思うのであります。 そこで、時間が参りましたので、どうしても最後にお伺いしたいのでありますけれども、やはり土地問題についてもう一度基本的な認識、すなわち土地というものは限られた資源である、そうして単なる商品ではなくして、やはり国民の幸福のために利用されなければならない、いわゆる福祉のミニマムを確立するためには、どうしても土地についての公共の福祉の優先という観念を確立しなければならない。同時に、田中内閣が成立してから土地投機によるもうけは許さないというくらいの姿勢がやはり必要であろうかと思うのでありますが、この点についての御所見を伺って質問を終わりたいと思います。
○小坂国務大臣 土地の性格につきましては、いま御指摘のとおりに考えます。土地は商品であるけれども、これは高度に公共の福祉のために用いられるべきものであると考えるわけでございます。 七〇年代に入りましてのわれわれの一番大きな反省は、資源もまた環境も有限である、限りがあるものであるということであると思いまして、私は特に施政演説の中でもそのことを申し上げたわけでございます。 土地の問題に関しましては、私どもも、土地というものは投機によってはもうからぬものなんだということを徹底させる、その方法論を探求しておるわけでございます。先ほど建設省のほうから話がございましたように、東京等の大都市の宅地の開発につきましては、この一月二十六日の閣僚協の決定の中でも最後に申しておりますのですが、宅地開発予定区域制度をもうける、そしてこれについて、公共施設を整備するとともに、土地区画整理事業を促進するための助成措置を講じる、そして一定期間までに事業ができなかった場合には、公的機関が事業を行なうことによって農地の宅地化の促進をはかるということをきめておるわけでございまして、これはぜひひとつ、強力に皆さま方の御賛同を得て進めたいと考えておる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○倉成委員 土地問題は非常にむずかしい問題でありますし、農地の宅地並み課税一つをとりましても、なかなか総論賛成、各論反対ということでむずかしい問題でございます。したがって、私はこの問題に関して、やはり政府が勇断をもって取り組んでいくことが必要である、また野党の諸君もこれに協力をしていただかなければなかなか進まないというふうに思いますので、私どももひとつ、機会をあらためてまた土地問題についてはお尋ねをしたいと思いますが、これから先の御研さんを期待いたしまして質問を終わります。(拍手)
○根本委員長 これにて倉成君の質疑は終了いたしました。 次に、上原康助君。
○上原委員 私はこれから、主として復帰後の沖繩問題について、各関係大臣にいろいろお尋ねをしていきたいと思います。 政府が進めてまいりました沖繩の施政権返還、確かに昨年五月十五日に実現をいたしましたが、昨年五月十五日の段階にくるまで、いろいろ議論があったことも御案内のとおりであります。核抜き本土並みあるいは平和で豊かな沖繩県づくりということを、政府の首脳は国会内外を通して強調されてきたわけですが、はたして、政府がお進めになってきた返還の内容というものを、およそ返還後十カ月を迎えている今日、百万県民を含め、あるいは国民の方々がどう受けとめているのか、まず返還後の沖繩の現状認識について、政府はどのように受けとめておられるのか、できればこの点は総理にお伺いをしたいことなんですが、担当大臣である開発庁長官あるいは総務長官に、まず沖繩の現状認識についてどのようにとらえておられるのか、お尋ねをしてみたいと思うのです。
○坪川国務大臣 上原委員の御質疑にお答えいたします。 沖繩が復帰後の政府といたしましての対策につきましては、私は三つの柱を打ち立ててまいっておるような次第であります。 第一は、やはり二十有余年にわたる異民族の施政下にあった非常な労苦に対して、十分ねぎらうという気持ちを持った施政を行ないたい。第二番目におきましては、本土に復帰いたしまして、苦労した県民の各位が、やはり日本に、本土に復帰してよかったという一つの喜びを与えるということが第二番目の問題でございます。第三番目は、やはり二十有余年の間の格差を考えてみるときに、あくまでも本土並みの格差なき沖繩の県づくりをいたすということが、開発庁長官として、沖繩担当の私といたしまして、また政府といたしまして、三つの基本を打ち立て、この精神にのっとっての沖繩県づくりにいそしみたい、こう考えております。
○上原委員 いま開発庁長官、三つの基本方針にのっとってこれからの沖繩県づくりを進めていきたいという御答弁なんですが、しからば返還された沖繩の現状というのは、いま長官が御答弁になった、いわゆる二十七年の異民族支配下における県民のもろもろの犠牲、そのようなものをねぎらう方向にいっているのかどうかということを私はお尋ねしたいわけなんです。 二点目に、はたしていまおっしゃったように、県民が復帰をしてよかったというふうに受けとめているのかどうかということ。 三点目に、格差なき沖繩県づくりを進めておられる。もちろん私は、政府のやってこられたことあるいはやろうとしていることすべてを否定するわけではありません。私たちが復帰対策要綱を検討する、あるいは復帰に伴う特別措置法をいろいろ本委員会や国会を通して議論をした場合も、政府は復帰に向けての三原則というような形で、いま長官がおっしゃったようなこと、一つには振興開発のために思い切った施策を講ずる、二点目に生活に急激な変化をもたらしたり無用な混乱を生じないよう特別経過措置を講ずる、三点目に施策の策定にあたっては県民の意思を十分に尊重したい、こういうことを繰り返してまいりました。しかし長官、いま御答弁もあったのですが、姿勢はそうであったにしても、沖繩返還の中身というもの、復帰後の県民生活の実態というものが、そういう方向にいっていないということに対する問題認識は一体どう受けとめておられるかというのが、私の質問の趣旨なんです。その点についてあらためてお尋ねをしておきたいと思うのです。
○坪川国務大臣 上原議員御承知のとおりに、沖繩開発の基本計画というものは、御案内のように、その原案というものはいまの知事に原案をつくっていただき、そしてその原案に基づいて審議会を設置いたしまして、そして振興法なるものを制定いたしたわけでございますが、そういたしますと、いま県民の意思が尊重されているかという問題については、知事のみずからつくっていただいた開発計画を基礎に置いて、そして具体的な問題については、御承知のとおりに審議会の構成は、沖繩県の代表の方を過半数の十六名お入りを願って、そして御案内のような振興開発特別措置法を決定いたしたということでございますので、決して現地の切なる声を無視してこの計画をつくったんではないということも御了解いただけるんじゃないか、こういうような気持ちを持っております。 しかし、御承知のとおり、復帰後あらゆる制度上、財政上、行政上非常な変化が伴いました結果、県民の動揺のあったことも私は否定いたすものではございません。しかし、先ほども申しましたごとく、やはり御承知のとおりに、来年度の予算上などの配慮をいたします場合にも、本年度の四十七年度の予算よりも七〇・七%を上回っておるような状態でございます。あるいは最も重要なる社会資本の充実というような公共事業の点におきましても、もう御承知のとおりに八〇%を上回っておる。私は、福祉対策あるいは文教対策が沖繩の最も重要な施策にいたさなければなりませんが、これらの重要なる福祉対策あるいは文教対策の上においても、御案内のように、上原議員非常に勉強していただいておりますが、本年度から比べますと非常に上回った予算措置を講じておる。これによってわれわれの政府の意のあるところもひとつ御理解をいただきたいと、こう考えております。
○上原委員 長々と御答弁いただくのですが、私は、長期経済開発の件とかあるいは政府の予算がどうであるというようなことを、いまお尋ねをしていないわけです。やはり長官の問題認識そのものに、私は政府の沖繩に対する政治姿勢というものをうかがえてなりません。これであまり時間をとりたくありませんので……。 先ほど申し上げたように、三つの柱を立てて沖繩の施政権返還後の施策を進めてきたんだが、実際問題として私は、長官の御答弁の中に、沖繩問題の基本である基地問題が解決をされなかったということの答弁をほしかったんです。そういう認識だから、これからいろいろお尋ねをしていきますが、沖繩の県民が復帰してよかった、そういう復帰の中身になっていないということを、もう少し問題認識をやっていただきたいと思うのです。 そこで、長官にあと一点だけお尋ねしたいわけですが、いわゆる従来の懸案事項というのをどうこれから処理をしていかれようとしているのか。たとえば二、三の例を申し上げましょう。放棄された請求権問題、軍用地の復元補償の問題とか、さらに久米島の虐殺事件についても調査の上で早急に補償するというような国会答弁もいただいております。あるいは公務員の賃金遡及の問題等々もできるだけすみやかに検討していくというのが、国会論議あるいはこれまでの私たちの対政府交渉において出てきた懸案事項なんです。一体これらの、県民が早急に解決をしてもらいたいということに対して、政府はどう今後処理をしていかれる考えなのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
○坪川国務大臣 御指摘になりましたいろいろの問題点についてでございますが、具体的に申し上げますならば、久米島の問題等につきましても、それぞれの措置は援護法によって講じておりますけれども、残りの十二名の各位に対しましての措置については、まだ不明な点が多くございますので、これらの問題を、また遺族などの問題あるいは不明の点なども解明をいたしました上においてそれぞれの措置を講じてまいる用意をいたしておるような次第であります。 また、公務員のベースの四月一日からと五月十五日からの問題等につきましても、心情の上においては十分私はお察しできますけれども、しかし、それぞれの手続と法的措置によってこれを講じており、問題のあることはよく承知いたしておりますけれども、検討に検討を重ねてはおりますけれども、私は、法的な立場からも困難であるということは申し上げておきたいと思うのでございます。あるいは請求権の問題等につきましても、それぞれまた大臣からお話があると思いますけれども、予算措置も講じまして、それぞれの調査を目下急いでおるような次第でございます。 これらの問題は、やはり何といいましても、基地の撤去という立場と、日本政府でとっておる日米安保条約の堅持という立場からくる基地の縮小、整理という立場においては、ことばの表現においては、知事のとっておられる立場と政府がとっておる立場の表現は違いますけれども、帰着するところは、基地をなるべく早く縮小、整理したいという目標においては、何らの変わりのないことも御理解いただきたいと思うのでございます。
○上原委員 また随時お尋ねいたしますが、次に、物価問題との関係において農林大臣にお伺いをしておきたいわけです。 最近、本土を含めて日本全体そうなんですが、世界的な大豆の品不足でとうふが異常な値上がりをしております。とうふだけでなくして、大豆による品物、みそを含めて、これはもちろん本土国民全体という立場で考えなければいかないことであるということは私も理解をいたしますが、しかし、沖繩の復帰後の物価の高騰というのは、総理府の統計資料を見ましても、本土平均の二倍以上上がっているわけですね。さらに、最近の大豆不足によるとうふの値上がりというものも、本土の比ではないと私たち見ているわけなんです。こういうことに対して政府もいろいろ手を打っておられるようですが、放出大豆約五万トンですか、を放出して、いわゆるとうふや納豆、みそ、しょうゆの値上がりを押えていくという方針を最近農林省はおつくりになったようですが、物価安定との関係において、この放出大豆というものを、沖繩にもやはり放出しなければいかないと思うのですね。食品流通局の御説明を承りましたが、まだそういう対策がとられていない。これについてどういう措置をとろうとしておられるのかというのが一点。 さらにもう一つは、やはり沖繩の今後の経済開発といいますか、あるいは農漁村対策として、第一次産業というのをもっと積極的に対策を講ずるべきだというのが私たちの意見なんです。いろいろあとで基地問題なり海洋博の問題とも関連してお尋ねをしますが、ついでに、最近の沖繩のウリミバエ汚染によって、ウリ類とかインゲン、メロン、サヤマメ、そういったものが汚染されているということで本土への搬出ができない。それに対しての禁止をやる方針があるということも賜わっております。これはやはり農民にとってきわめて重大な問題であると同時に、早急にウリミバエ対策をやって、政府としての積極的な保護策をやるべきだと思うのです。 この二点についてどういうお考え、あるいは対策をお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 とうふの関係では、すでにお聞き及びであろうと思いまするが、一番具体的な、効果的な施策といたしましては、製油業者の手持ちの大豆の放出であったわけでございますが、これが約五万トン、四万八千トンほど放出をしてもらうことを取りつけました。これは一番とうふにてきめんに効果があらわれるように、豆腐油揚商工組合連合会あるいは納豆協同組合連合会等に直接渡すようにいたしておるわけであります。そこで、沖繩の関係にはこれらの連合会からいくかどうかということを調べてみますると、残念ながらそういうルートにはなっておらないようでございまして、上原委員の御心配のように、せっかくの手当てがうまく沖繩に効果が及ばぬということはいかがかと、こう思いまするので、現在、沖繩総合事務局及び実需者団体と連絡をいたしまして適切な措置をとり、幾らかでも値下がりになるような努力をいたすよう、事務当局を督励をいたしておる段階でございます。 それからウリミバエの問題で、これは久米島、宮古、八重山諸島については現在防除措置を講じておるのでございまするが、お尋ねのごとく、最近沖繩本島においても本虫の発生が認められた、こういうことでございますので、緊急にこの防除施策を講ずるよう、現在連絡をとっておるわけでございます。また、四十八年度としての予算措置は講じてございます。そこで急速に効果があらわれるかどうかは、私、予想がなかなかつきかねるのでありまするが、対策としては万遺憾なきを期しておるわけでございます。 お尋ねでございました沖繩のスイカ、カボチャ、メロン等のウリ類あるいはインゲンマメ、ササゲ等が被害を受けつつあるわけでございますが、内地への輸出と申しましょうか、それに禁止措置がとられるのじゃないかという御心配をお述べになったわけでございますが、スイカなどについては、これは注意すれば心配はないと思うのでありますが、インゲンマメについては、これは多少心配な点がございまして、ただいま検討中である。他のものにつきましては心配がないように存じておるわけでございます。
○上原委員 そこで、農林大臣は、協特の委員会の場合に返還協定を強行した張本人ですから、そしてこの間は、お米の値段を上げたりいろいろ物価値上げをやっているわけだが、せめてとうふだけは庶民に十分与えるように、与えるというより、利用できるようにやっていただきたいと思います。 そこで、五万トン政府が放出する大豆については、沖繩も含めて早急に対策をとるということを約束いただけますね。ウリミバエ問題についても、いま禁止はされていないわけでしょう。予算措置がなされているということもわかりますけれども、予算を措置したからすぐ防除対策ができるということじゃないのですよ。そういったことについて、やはり私は、遠いところから政治の恩恵というのは与えるべきだと思うのです。輸送コストの問題もあるでしょう。これに対して積極的に政府として対策を講ずるということを確約をしていただきたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 先ほど申し上げましたように、沖繩総合事務局と密接な連絡の上に、御期待に沿うようにいたしたいと思います。また、ウリミバエの対策についても、万遺憾なきことを期したいと思います。
○上原委員 問題があまり多いので、簡単にお尋ねしておきたいのですが、次に文部大臣に、基本的な点だけお聞かせいただきたいと思うのです。 沖繩大学の存続問題が、御承知のように大きな社会問題になっているわけですが、その経緯については述べませんが、なぜ沖繩大学を存続せしめることができないのかというのが一点。 もう一つは、政府としてはこの問題に対する解決方法はないのかどうか。ただ政令が出たとか、あるいは復帰に伴う特別措置法の中でそういう経緯になったとかいうことで、あとはもうそれをたてにして、存続をせしめる方向での解決策というのは全然ないのかどうか、またこの問題に対してどうお考えなのか、基本的な点だけお聞かせをしていただいて、後ほどこの問題は、またいずれかの委員会でもっと詳しくお尋ねをしたいと思うのです。
○奥野国務大臣 事情は上原さん詳しいところでございますが、沖繩大学と国際大学、どっちも本土の学校教育法の基準に照らしますと、かなり基準からかけ離れた内容しかない。そこで、琉球政府も入りまして出てまいりました結論が、沖繩大学と国際大学とを統合して充実した大学を、沖繩に私立大学としてつくっていくことが沖繩の将来に望ましいんだと、こういう結論になったわけでございまして、したがいまして、そういう結論に従って統合されました沖繩国際大学に対しまして、四十七年度、四十八年度五億円ずつ国から助成をするということにしておるわけでございます。そういうさなかに、統合するはずであった沖繩大学の中でこれに異論を唱える方があって、一部の方々は沖繩大学に残留される、また学生も多数が移籍をしない、そしてまた四十八年の四月に新たに学生募集をするというようなことで、混乱を生じてまいってきているわけでございます。 沖繩国際大学は、あくまでも両大学の統合大学として将来に発展していきたいという気持ちを非常に強く持っていられるわけでございますので、これは尊重せざるを得ない。そうしますと、従来の方針を変えて、残りたいという沖繩大学を残すという線に持っていくことは、新たな波紋を投げかけることになる。したがいまして、そういう措置はとりたくない、かように考えているわけでございます。もちろん沖繩の中で、本土の学校教育法の基準に適合したりっぱな大学がさらに新しく設立されるということになるものまでむげに、沖繩国際大学ができたんだからそれは排除するんだという気持ちは持ちません。しかし、あくまでも設置の基準があるわけでございますので、基準に満たないものを私立大学として認可していくという方針も、これはやはりとれないだろうと、かように考えているわけでございます。
○上原委員 どうも、私がお尋ねしたことについてはお答えにならないですね。私がお尋ねしているのは、解決の方法はないのかということなんですよ。解決の方法はお持ち合わせないんですか。もう政令が出た、あるいはいま大臣が述べた、その経過について私はお尋ねしようと思わないのですよ。私もわかっていますからね。一方においては入学を強行しているわけでしょう。もう問題解決の何らのあれもないですか。具体的な方法としても……。
○奥野国務大臣 ただいま申し上げましたように、沖繩大学と国際大学両方を統合して沖繩国際大学が生まれたわけでございまして、これは、その従来の基本線に従って努力を続けていられるわけでございますから、統合するはずであった大学が、一部むほんする方が出ましてさらに残ろうとされている。それに対して、解決策を私がここで申し上げることは、かえって混乱に拍車をかける、かような気持ちを強く持っているわけでございまして、あくまでも従来の線に従って努力を関係者において続けていただきたいと、こうお願いする以外にはございません。
○上原委員 いま基準問題などが出ましたが、われわれの考えでは、十分そういった設置の基準にかなっていると思いますし、また、たとえ基準に満たないにしても、指導、助言をやる方向で大学の存続というものをやっていくという姿勢があってしかるべきだと思うのですが、時間がありませんので、これについては、またいずれお尋ねをしたいと思います。 次に、政府の復帰記念事業としていろいろなことがいまいわれているわけですが、目前に迫っている若夏国体の件です。海洋博等の件もあるわけですが、若夏国体の輸送問題で、那覇空港が返還されていないという実情に対して、県側として、非常にこの問題について憂慮をしている。県側からも運輸大臣にきょうの日付あたりで、若夏国体の大会参加者の輸送についての要請書が出ると思うのですが、これについてどういう対策をお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
○新谷国務大臣 国体の問題かと思いますが、実は私のほうには県知事から、国体の規模その他につきまして、まだ全然書類の提出がございませんので、いまそれを待っている際でございます。大体、一日に数便の増発で済むのではないかということでございますので、その程度でございますれば、いまの空港の状態で十分これは消化できるというふうに考えております。
○上原委員 これは、あとでお尋ねする那覇空港の開放問題とも関係するのですが、やはり大きな問題なんですよ。航空輸送で、四月の三十日から五月三日まで沖繩に輸送されなければいけない人員が四千三名、船舶輸送を含めて全体で四千六百八十三名なんですよ。ですから、空港の使用能力の問題で、どうしても臨時便を日航あたりに頼まなければこれだけの人員はさばけないと言っているわけですよ。臨時便を増設してもこれをやらなければいけない事業だと思うのです。あれだけ文部省なりあるいは運輸省で宣伝をしておきながら、こういう対策については実際何らなされていないのです。これはどうなさるのですか。
○新谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、国体関係につきましては、県側からそのこまかい計画につきまして早く連絡のあることをいま待っておるのでありまして、もちろん船を利用する方もあるかもしれませんが、航空便が多いかと思います。それにつきましては、運輸省といたしましては、関係の航空会社に連絡いたしまして、これが運べないというようなことのないように措置をいたします。
○上原委員 関係者のほうから要望がまだ出されていないということで、何か答弁を非常に消極的にしているわけですが、やはり若夏国体というのは国の行事なんですね。そういったことを、ただ県側やあるいは現地の総合事務局にまかすということでなくして、実情は、いまの那覇空港の開放問題なり沖繩航路の便の回数からして、二、三日の間に四千名あるいは五千名の人を沖繩に輸送するという場合は、当然臨時便ということも考えなければいけないということくらいは常識じゃないかと私は思うのですが、場合によっては臨時便の増設もあり得るということは、大臣として御検討いただくということでいいですか。
○新谷国務大臣 そのとおり御了解していただいてけっこうでございます。
○上原委員 次に、最近のガス事故についてお尋ねをしたいわけですが、御承知のように、四十七年六月の二十六日に知花の弾薬庫でガス事故が起きております。さらに四十八年一月の十一日、読谷村内の弾薬処理場で、また四十八年二月の三日、那覇軍港でガス事故が起きております。 基地内の安全対策の件、あるいはこういったガス事故に対して、政府はどういう調査をなさり、また米側とお話し合いを進めてきたのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
○高松政府委員 御指摘のございましたように、昨年六月以来四件ガス事故が沖繩で起こっております。これにつきましては、このような事故が起きましたことはまことに遺憾なことでございますし、那覇防衛施設局からも、米軍に対しては、事故の防止についての対策というものについて、そのつど強く申し入れをし、駐留軍従業員の職場の安全の確保と事故の再発防止ということについて、申し入れもいたしておる次第でございます。 それからまた、一月十一日の読谷の事故につきましては、翌十二日には、沖繩県側の職員あるいは読谷村の村長、議長、助役というような約十名の人も参加いたしまして、現場で米軍からいろいろ事情の説明を受けている、こういう状態でございます。 私どもといたしましては、今後とも、こういう事故についての米側の具体的な防止方策というものを一そう促進してまいるように努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○上原委員 基地内で起きるこの種の事故との関係において、いわゆる地位協定十六条の国内法の尊重、これは単にこのガス事故だけに関連する問題ではないのですが、どういうふうに政府は米側なり関係者に、指導といいますか、助言をしているのか、お聞かせいただきたいと思います。 この間那覇軍港で起きたガス事故などは、全然安全対策がなされていないわけです。私もちょっと調べてみたのですが、容器保安規則という中では、塩素ガスというのは毒性ガスだというふうに規定づけられているわけです。安全対策は十全にやらなければいけない。しかし、そういうことが全然なされていないわけですよ。この件についてはどういう取り扱いをなさったのですか。また今後はどうするのですか。
○高松政府委員 那覇軍港での塩素ガスボンベの事故は、これの積み込み作業中にバルブが折損して塩素ガスが漏れた、こういう事故でございます。塩素ガスは上水道の滅菌用として使うもので、それについての取り扱いの処理が悪かったのか、それから、いま御指摘のありましたような安全対策がなされていなかったのか、その辺のところは、現地でいま調査をしているところでございます。
○上原委員 どうも、いまの御答弁納得がいかないですね。事故が起きてから何日になるのですか。安全対策が悪かったのかどうかわからぬが、とにかく事故が起きた、そういう姿勢だから困るのです。国内法規ではちゃんと書いてあるじゃないですか。容器保安規則の中でも、塩素ガスについては、毒性ガスだという規定づけで、安全対策はやらなければいけない。いつまで調査をなさるのですか。 それとの関連において、地位協定の第三条の三項についてはどういう御見解を政府はお持ちなのか、まずお聞かせいただきたいと思うのです。
○大河原(良)政府委員 地位協定第三条三項に、「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」というふうにございまして、この規定に基づきまして、米軍は、施設、区域の使用につきましては、当然公共の安全に十分な配慮を払わなければいけないことになっているわけでございます。 この観点から、ただいま御指摘のような事故が生じました際におきましても、施設庁長官から御答弁がありましたように、米側に対しまして、安全措置に対しては十分な配慮を求めているわけでございます。したがいまして、今後とも、このような事故の再発防止に対して米側が十分な配慮をしてくれるように、そのつど要望いたしております。
○上原委員 じゃお尋ねいたしますが、いまのガス事故の問題、あるいは本土を含めての基地公害といいますか、基地被害の問題は、この第三条の三項を米側は十分配慮していると政府はお考えなんですか。事故が起きてから、事故の再発防止をお願いをするという立場ではいけないと思うのです。そういう意味のこの規定じゃないと私は思うのです、積極的に解釈をすれば。 沖繩の基地被害はどういうものがあるのか、政府はどういう御調査をしているのか、例でもいいですから、まずあげてください。
○高松政府委員 いわゆる基地被害というふうな問題は、沖繩におきましてもいろいろあると思います。騒音の問題もございますし、それから弾薬処理についての問題もございます。それから、先ほども御指摘のありましたようなガス事故というふうなものもございます。いろいろ形態は非常に多いと思いますが、それらにつきまして、具体的に私どものほうでもいろいろ調査もし、それからまた、それに対する防止策もいろいろ講じてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○上原委員 どうも、防衛施設庁長官の御答弁はしどろもどろでわからないのですが、じゃ、私が二、三例をあげましょう。 最近起きております読谷村の弾薬処理場の事故、これはガス事故ですね。あるいは恩納村や金武村、宜野座村などの実弾演習による被害等について、政府は調査をなさっておられるのですか。また、それに対する補償というものは一体どういうふうになっているのか、御答弁いただきたいと思うのです。
○高松政府委員 読谷村のガス事故の問題につきましても、被害の程度、実損の程度というものを調査いたしております。それから、射撃演習に伴う金武村の火災被害についても、現在調査を行なっております。それからまた恩納の弾薬処理、廃弾処理の作業における場合の振動音による周辺の被害、あるいは処理場からの流出土砂による被害、水源汚濁についての被害、こういうふうなものにつきましても、地元恩納村長からの申し出もございますし、私どもとしても、これらの実情をいろいろ調査し、その対策を考えておるところでございます。
○上原委員 調査、調査とおっしゃるのですが、ここに「沖繩における米軍基地周辺の状況について」という防衛施設庁が一九六九年、昭和四十四年七月の十七日から二十六日まで調査をした結果があるのです。もう復帰前から政府はこういう御調査はなさっているのですよ。これは念のために少し読んでみたいと思うのです。 「直接的被害 建設工事に伴うもの 恩納村石川岳ナイキ基地の建設により切土が幸地川水系に投下された結果、幸地川の河底堆砂、浸蝕及び水田埋没六ha等が見受けられる。流域変更又は形質変更によるもの 玉城村の通信施設及び家族住宅の設置により、流域変更の結果、玉城村に農地の流失及び道路の一部欠潰が発生している。また恩納村の農業用水ダムに演習場内から土砂が流出堆積し斜樋の操作不能となっている。」こういうふうに六九年ごろから調査をしているのですね。そして、「演習場内の山林が演習により焼失し、洪水の増大及び用水の不足を来しているもの 恩納村における演習場内山林約五〇〇kmの焼失により、護岸の欠潰、農地の流失等が見受けられる。このような事例は細かく調査すれば他に多くの問題があると考えられるが、これ等に対しては補償又は対策工事等の措置は充分ではない。本土にかかる事例がある場合は、国は地元関係者の申告を調査し「特損法」に基づいて第一次的に蒙った損失の補償金を支払うことになる。」こういう調査を六九年、復帰前から皆さんはやってきた。そして復帰に向けては、基地被害というものは、復帰すればこういうことがあるのだからみんな解決するのだということを誇大に宣伝をしてきたのですよ。しかし、復帰した現時点においても、私が一、二の例をあげて、こうこうこういうものに対してどうなっているかというお尋ねをしても、目下調査中なんだと言う。これではあんまりじゃないですか。 この基地被害の問題は、恩納村の件は、弾薬処理によってもうやっぱり焼け野が原になっている。実際瓦れきの山になっている。金武村の場合でも、これは何も最近のことじゃないのですよ。マリーン、海兵隊の実弾演習によって山火事が起きたのは、昭和四十七年十月の五日のことなんですよ。そして金武村からは、十一月四日付で防衛施設局に五千四百万円の要求書が出ているはずです。皆さんは、ただ私が口で言うとほんとうではないと思うかもしれませんが、こういう状態なんです。 防衛庁長官、この写真を見てください。弾薬処理や、実弾演習の山火事で全部やられている。こういう状態なんですが、立木に対しての補償もやっていないわけでしょう。しかも、この下流には恩納村の水源地があるわけですよ。この補償に対して、あるいは被害状況について、どういう措置をなさろうとするのか。当然被害状況を含めて補償すべきだと思うのですが、これに対しては防衛庁長官の御答弁をいただきたいと思うのです。
○増原国務大臣 ただいまお述べになりました具体的事実については、私、実はまだよく承知をしておりませんので、施設庁長官から答弁をさせるようにさせていただきたいと思います。
○高松政府委員 先ほどお話がありました玉城その他の問題につきましては、四十七年度においてすでに補償の措置をとっております。 それから、恩納村の問題につきましては、四十八年度予算で、安富祖川水源の汚濁に関する沈砂池を設置するということで、今年度の予算の中に組み込んで御審議をお願いしているところでございます。 それから、同じく農業被害その他につきましても、これは特別損失補償の措置をとる、こういうことでいま仕事を進めております。 それから、射撃演習に伴う山林火災の問題につきましては、立木被害の調査が現在終わりまして、これの評価についていま仕事を進めている。近く結論が出ると思います。
○上原委員 実弾演習なり弾薬処理によって被害を受けるので、その被害に対して補償すればいいということではないわけですよね。実際問題として、皆さん、いまの写真で見てもおわかりいただけると思う。これは大臣、見てくださいよ。恩納村の弾薬処理場においては、こういう破片が幾らでも飛んでいるのですね。しかも、民家地域までこういうのが飛んでくるのですよ。一体、本土のどこにこういう破片を見せつけられて生活しているところがありますか。これはまだでっかいやつもありますが、ちっちゃいのだけ持ってきたのですが、こういう状態なんです。だから弾薬処理はやめさせなさいとわれわれは言っている。このようなことで、先ほど指摘しましたように、合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮が払われていると思いますか。そこを真剣に政府は考えていただきたいと私は言うのです。どう思いますか、大臣、御答弁いただきたいと思うのです。
○増原国務大臣 地位協定に書いてありまするように、その趣旨にのっとりまして、危害の及ばないように十分努力をしなければならぬと考えます。具体的事審ついては、残念ながら私よく承知をしておりませんので、施設庁長官から補足をさせるようにしたいと思います。
○高松政府委員 御承知のように、弾薬処理場につきましては、現在五十ポンド以下という制限を加えております。ただ、五十ポンド以下の不発廃弾につきましても、いろいろいまお示しのような問題がございます。私どもとしましても、それから米軍としても、できれば、どこか適当な場所があれば移転したいという意向も持っております。私どもも、この移転ということをひとつ取り上げて検討していきたい、こういうことでいま話し合っておりますが、ただ、具体的にどごがいいかということにつきまして、まだ結論が出ていないという状態でございます。
○上原委員 五十ポンド以下の弾薬処理というのは、長官、読谷の弾薬処理なんです。恩納村は五十ポンドもへったくれもないんだよ。幾らでもやっておる。トレーラー九台分も一ぺんにやっている。あなた、実際にそこも御存じないのですか。五十ポンド以下というのは読谷村のことなんです。恩納村のごときは、先ほどお見せしたような状態で、水源地も汚染されているのがわかるでしょう。大田部落、瀬良垣部落、安富祖の公民館もみんなむねにひびが入っているじゃないですか。そういう実態というものをもう少し真剣にお考えになっていただきたいと思います。 そこで、いま調査をして、私たちはあくまでもこの弾薬処理をやるなという要求なんですよね。しかも、こういう破片が二、三年前は民家まで飛び込んできたこともあるのですよ、実際。いまも周辺わずか四、五十メートル、百メートル以内にこういうものがざらにころがっているのです。いつまでこういう状態に沖繩県民を置かなければいけないのですか。これをやめろということ、そして受けてきた被害に対しては早急に措置をするということをお約束できますか。長官、この点について御答弁いただきたいと思います。
○増原国務大臣 ただいま施設庁長官が答えましたように、米軍としてもわがほうとしても代替地をいま一生懸命さがしておるということでございます。なかなかその代替地のさがし当てがむずかしいようでございまするが、なおこれは懸命の努力をいたし、損害に対しては地位協定に基づく適切な処理をさせるようにさしていきたいと思います。 なお、できるだけ具体的に施設庁長官から補足をさしたいと思います。
○上原委員 おことばを返すわけじゃありませんが、もう代替地をさがせる場所はないのですよ、沖繩は。 そこで、次にお尋ねしたいのですが、その前に、このいわゆる地位協定の問題はきょうはあまり時間がありませんから深入りはしませんが、第三条の三項も、たとえばこういった弾薬処理の問題にしても、先ほどのガス事故の問題にしても、殺人的な爆音にしても、すべて公共の安全に妥当な考慮が払われていないという産物なんです。そのことと、地位協定でいう国内法尊重の問題等が全然実施されていないがゆえに、基地周辺の国民が苦しまなければいけないということを、長官もあらためて御認識をいただきたいと思うのです。 そこで、次にお尋ねしたいことは、米軍基地の返還、いわゆる基地撤去、開放の問題なんですが、時間もあまりありませんので、去る二十三日に安保協議委員会が開かれて、いろいろ関東計画やら沖繩の基地縮小整備計画等が出されているわけですが、私は端的にお伺いをしたいことは、那覇空港がなぜ現段階まで完全に返還できないのか、お尋ねをしてみたいと思うのです。
○大平国務大臣 先ほど来、地位協定等基地の現実のあり方につきましての究明がなされたのでありますが、私ども基地周辺の公共の安全を考えまして、人口の密集地帯、社会的経済的に非常に緊張を呼んでおる地帯における基地は、できるだけ整理、縮小の方向で進めておりますことは、御理解をいただきたいと思うのでございます。 その一環として、いま御指摘の那覇空港を完全に返還を求め、那覇周辺というものから米軍施設をほかに移すということにつきまして、沖繩協定の交渉の道程におきましても交渉を続けてまいったわけでございます。その後いろいろ地元側ともお話し合いの結果、当初考えておりました計画は、必ずしも沖繩側にとりまして適切であるとは思えませんので、それを改定いたして、一連の計画をいま進めておるわけでございます。 すなわち、沖繩空港にあるP3その他海兵隊等の施設を他に移すということがきまらなければ、この開放ができないわけでございますので、そういった関係を鋭意いまやっておる途中でございまして、なぜ早くできなかったかといわれますならば、その一連の返還計画並びにその関連事項について、地元並びに米側との合意が今日まで完全にできていなかったためでございます。その合意を達成すべく鋭意努力いたしました結果、一月二十三日の安保協議委員会におきまして、原則的な合意は見たわけでございまして、そのラインに沿いまして、具体的な事項をこれから詰めて進めてまいるもくろみをいたしておるわけでございます。なぜおくれたかということは、そういう完全な合意を煮詰めることに手間どったということでございます。
○上原委員 長々とした御答弁ですが、交渉を進めてこられた当時の外務大臣がいらっしゃいますのでお尋ねしたいのですが、じゃ、返還協定の調印にあたって、いわゆる返還協定を含む合意議事録、基地返還リストというものは、変更できるという前提で結んだのですか、日米双方は。その点についてまず御答弁いただきたいと思うのです。
○大河原(良)政府委員 沖繩返還協定に付属のものといたしまして、基地の返還、整理に関します了解覚書というものがございますのは、上原委員御承知のとおりでございますが、返還交渉の過程におきまして、復帰時に地位協定に基づいて米軍に対する施設、区域の提供が円滑に行なわれ得ますように事務的な折衝を重ねまして、返還時に合同委員会で、地位協定に基づく正式な施設、区域の提供が行なわれまするように、了解覚書ということで、A表、B表、C表というものを固めたわけでございまして、したがいまして、この了解覚書は、あくまでも返還時における施設、区域の提供を円滑に行なうためのものである、こういうふうに御承知願いたいと思います。
○上原委員 どうも御答弁はだんだん後退に後退を続けているわけですね。そうしますと私たちは、沖繩返還協定審議の過程においては、政府がうそをついた答弁に基づいて審議をさせられたということになるわけですよね。国民にPRをして、目玉商品だ、愛知さんはわざわざ沖繩まで行って、調印前にそういう説明をなさったでしょう。一体政府のそういう責任はどうなるかということなんですよ。 〔委員長退席、田澤委員長代理着席〕 たとえば、これはアメリカの上院外交委員会における証言なんですが、アメリカ側もこういうことを言っているんですよね。「日本に返還される最大の施設は、那覇空港である。同空港は米軍基地であるばかりでなく沖繩の民間空港であり、そこでの米軍の軍事活動が、海軍の対潜哨戒及び支援部隊だけに削減されてきているので、日本の当該施設返還の要請に同意するのが妥当と判断された。」だからこれを受けて皆さんは、目玉商品だと言ってきた。 さらに、四十六廣十一月十三日の沖特委において福田大臣は、返還されるC表の那覇空港の那覇空軍・海軍補助施設、A表第六十六号が入っているが、これはどういうわけかという質問に対して、返還時には間違いなく全面返還されるものと信じている、こういう御答弁をしているのですよ。さらに、いまアメリカ局長は、何かこの返還協定のリストは、返還時における合同委員会で変更される前提もあるというようなことを御答弁しているわけですが、福田外務大臣はこういう答弁をしておられるのです。四十六年十一月十一日に、基地の状態は、これはA、B、C表、これであらわされているけれども、とにかくアメリカの上院もこの協定を今朝可決した、米側の法的措置ができたわけである、だから、A、B、Cという表を法的に動かすことは、わが国としては、今日できない、これはひとつはっきり了承願いたい、こういう御答弁を国会でやっていらっしゃるのですよ、外務大臣が。 だから県民は、当然那覇空港は五月の十五日段階で完全に返還されるということをみんな思い込んだのだ。もう一年近くなるわけでしょう。一体皆さんは、絶えず日米間の相互理解とか信頼ということを言ってこられているわけですが、安保条約もそうなんだ、アメリカ側が言えばそれを信じるのだと言っているのです。少なくとも、日米外交交渉の中で合意をされてきた事柄がこのようにほごにされて、いままでめども立たないような状態の基地のあり方、返還時点できめられたことさえも実際できないで、一体沖繩の基地の整理、縮小というのをどういうふうにやっていかれるのですか。この責任は皆さん、どうお考えなんですか。外務大臣、どうお考えですか。
○大平国務大臣 那覇空港の返還ということを断念したわけでは決してないわけでございまして、沖繩交渉において合意されました那覇空港の完全返還というラインに沿いまして、営々として準備を続けておるわけでございます。つまり、那覇空港にある米軍施設を移転する先を用意いたしまして、完全にそれが移転できるような状況にならぬとそこはあかないわけでございますので、そういうことをやっておるわけなんでございまして、那覇空港の完全返還ということをほごにしたなんということを、政府はやっておるわけでは決してないことは、あなたもよく御承知のことと思うのであります。
○上原委員 それは外務大臣、そういう御答弁じゃ納得いきませんよ。ほごにされているのじゃないですか。目玉商品だと、国民にそういう答弁をしてきたわけでしょう。それが実現できなかった要因についていろいろ長たらしく御説明なさっても、やはり納得できませよ、それは。その責任というのは当然私は問われてしかるべきだと思うのです。 じゃお尋ねいたしますが、今後那覇空港が完全開放できない大きな理由というのはP3の居すわりですか。はっきりさせてください。
○大平国務大臣 那覇空港におきましては、いま御指摘のように、P3哨戒機が一部隊おります。それから海軍のVC5部隊がおります。それから海兵隊の派遣部隊がおります。この三つのものを完全にほかに移すということにおいて初めて那覇空港の非軍事化ができるわけでございます。そういうことをいま鋭意やっておるわけでございます。つまり、目玉商品である那覇空港の返還ということ、これはそういう原則を合意いたしたわけでございまして、政府が申し上げたことは決してうそではないわけでございまして、これをどのように実施していくかについて、われわれはいま懸命になっておるわけでございます。そう手軽になかなかこれはいかないことでございますので、そのあたりのことは御了解を願いたいと思います。
○上原委員 大平さんの御答弁にしては、なぜじゃあのときにいまのような御答弁をなさらないのですか。いまさっき言ったのは随所にあるのですよ、そういう御答弁は。 そこで、こういう議論をしても始まりませんので、じゃ具体的にお尋ねいたしますが、この間の安保協議委員会では関東計画についてはかなりはっきりした縮小といいますか、統合のめどが出されているわけですよね。しかし、沖繩関係の移転計画については実に不明確なんです。じゃいつまでにP3その他の那覇空港に居すわっている米軍関係の部隊というのは撤去するのか。そのめどはいつですか。それが一つ。 さらに、当初P3を移転する、普天間に移転をしたい、しかしこれまでの御答弁からすると、宜野湾市や地域住民が反対をしているので、これもむずかしかったんだ、むしろそこに議論をすりかえるような御答弁もあったんです。だが、嘉手納だって反対していますよ。私だって嘉手納に住んでいる。絶対反対です、あんなのが来るのは。それは別としても、なぜ嘉手納に移転をするのに普天間の飛行場の補修費といいますか、普天間飛行場の修理費まで日本側が負担をしなければいかないのか、それをぜひ明確にしていただきたいと思うのです。 さらに、時間をとりますのでまとめてお伺いをするわけですが、いわゆるこれまで何回か議論されてきましたように、密約もまあ実際にあった。それは密約でないと言ったって密約にしかならないわけで、P3を移転するに一体幾ら全体の予算はかかるのか、那覇空港から移していくのに。嘉手納に移す、また普天間の飛行場の分あるいは岩国、三沢、トータルでどれだけの費用をアメリカは要求しているのか、また日本政府はどれだけ今後この移転について負担をしていこうとお考えなのか、ぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。
○大平国務大臣 一月二十三日の安保協議委員会で了解ができました沖繩関係の返還面積四百四十一万九千平方メートルでございます。第一は那覇空港の完全還返でございまして、この内容は、四十二万平方メートルの専用地域の返還、四十一万平方メートルの共同使用地域の解除でございます。第二は那覇の空軍、海軍の補助施設の嘉手納、牧港補給地区等への移転によるあと地返還でございます。三百五十八万平方メートル。第三番目は牧港住宅地区の一部二百戸の嘉手納地区移転によるあと地の返還、これは面積がまだ未確定でございます。四番目は、那覇空軍、海軍の補助施設内の国道三百三十一号線につきましては、沖繩復帰のときには、わがほうが恒久的な安全施設を建設すれば、一般交通に開放されることになっていましたが、今般の合意によりまして、右は暫定的な施設の建設のみで開放されることになった、この四点がこの間の協議委員会において合意を見た点でございます。 それから第二の御質問の、なぜ普天間に、嘉手納に移転するのに関連して施設を必要とするか、それから三沢、岩国を含めまして、全体のこれからの展望についての御質問でございました。これは政府委員から説明させますけれども、原則といたしまして私が申し上げておきたいのは、こういう基本の合意を見ましたので、これをこれから日米間で話し合いまして、具体的にきめて合同委員会にかけて最終決定を見るという手順を踏んでまいるわけでございまして、全体計画がどのぐらいの規模を持ち、どのぐらいの経費を要するかということを、いま私に問われましても的確に答える用意はないわけでございまして、これに関連した施設は、今後日米間で協議しながら実現してまいることでございますので、的確な数字をいま申せと言われても、いま言えないのが実情でございます。そのことをお含みおきいただきたいと思います。 あとは政府委員から説明させます。 〔田澤委員長代理退席、委員長着席〕
○上原委員 じゃ、具体的にお尋ねしたいわけですが、いろいろ御答弁あったんですが、那覇空港が完全に民間空港になるのは、めどはいつですか。それが一つですね。 さらに、那覇空港、空軍基地にある補助施設、いろいろありますね。いま御答弁があった、宿舎、幼稚園、小学校、体育館、さすがにこれにはゴルフ場とは書いてないが、ゴルフ場もでっかいのがある。診療所がある。そういう施設が完全に撤去されるめどはいつなんですか。 空港問題は、先ほどの国体の件とも関連するのですが、通産大臣お見えになっているのですが、海洋博までも間に合わないといっているわけでしょう。一体これでいいのかということなんですね、実際に。いつまでにほんとうに開放される、撤去するのか、それを具体的に明らかにしていただきたいと思うのです。 もう一点は、いわゆる俗にいわれている上ノ屋の住宅施設という、那覇牧港ハウジングエリアというところ、これも御承知のように千二百戸住宅があるわけですね。そのほかに事務所やら教会、PX、クラブ、実はこれもこの間の安保協議委員会では二百戸程度しか移転をしないということが何か話し合われたといっているわけですね。住宅密集地あるいは都市周辺の基地は整理をしていくんだ、縮小していくんだということを表向きにはおっしゃいながらも、実際には具体的に進んでい、ないわけでしょう。この那覇牧港ハウジングエリアも、いつ、どこに、どの時点までに移転をされるのか、またこれを移転をする場合の代替施設なりその他の費用というのは幾らかかるのか、御答弁いただきたいと思うのです。
○大河原(良)政府委員 P3の嘉手納への移転の時期でございますけれども、私どもといたしましては、明後年の春に沖繩で海洋博が開かれるということを十分念頭に置きながら対米折衝を進めてまいりたいと思っておりますけれども、P3の嘉手納移転に必要な施設の整備が終わりませんと、事実上P3が那覇空港から移転をするという事態になりませんので、その点を含めて十分米側ど話を進めていきたいというふうに考えております。それから、那覇空港周辺にございます海軍、空軍の補助施設の移転の時期につきましても、それとの関連を十分頭に置きながら、米側と話を進めてまいりたいと思っております。 それから、牧港の住宅地区の移転の問題でございますけれども、現に千二百戸あります中の二百戸分について、嘉手納その他への移転ということについて原則的な合意が今回できておりまして、残りの千戸分につきましては、今後引き続いて米側と整理、統合の問題について話を進めてまいることを考えております。
○上原委員 那覇空港返還のめどというのは来年の春ですか。海洋博は五十年なんですよね。それをまず明確にしていただきたいと思います。 それと、国道三三一号ですが、これも昨年は年内にも開放できるということを言っておった。いま外務大臣は、暫定施設、暫定的な安全対策で開放することが合意されたという御答弁だったと思うのですが、わずか一・七キロの安全対策に、アメリカ側は二十億円を要求したということがこれまでの話し合でしたよね。一体、これも暫定的な安全対策とはどういう中身なのか。いつ開放するのか。ほんとうにあの那覇周辺の交通渋滞というのは皆さん御案内ですか。国道でしょう。こういうものが一向に解決されないところに、私が最初にお尋ねをした、沖繩の返還の実態というのは一体どうなのかというのがあるんですよね。この点についてあらためて明確にしていただきたいと思うのです。
○大河原(良)政府委員 那覇空港周辺の施設並びに牧港の住宅地区の移転の問題につきましては、昭和四十八年度予算で調査費をお願いいたしております。したがいまして、まず調査を進め、その上で施設庁の工事能力等を考えながら具体的な作業を進めてまいることになるということでございます。 私、先ほど、海洋博は明後年というふうに申し上げたというふうに思っておりますけれども、昭和五十年の春に開かれるということを念頭に置いて、米側との折衝を進めてまいりたいということでございます。 三三一の問題については、施設庁のほうから御答弁願いたいと思います。
○上原委員 そうしますと、あと二カ年いまのように待たなければいかないということなんですよね。ほんとうにこれでいいんですかね。五月十五日段階で目玉商品だと、いまさっき申し上げましたように、復帰の時点では完全に返ります、返還されますということを言っておきながら、あと二年も待たなければいかない。こういうことが、ほんとうに責任ある政府のお仕事としていいのかどうか。皆さんが口癖のように言っておられる、住宅密集地域あるいは沖繩の開発に必要な地域の基地については縮小していくということは、総理大臣や外務大臣や関係大臣の国会答弁で何回となく指摘されているのですよ。しかし、現実にそろいってないわけでしょう。 そこで、時間もありませんので通産大臣お尋ねしたいのですが、いま議論を聞いてもおわかりのように、いわゆる海洋博推進、これは私いろいろ問題があって、またいずれかの機会にお尋ねもしたいわけですが、はたして政府が宣伝をしてきておられるように、復帰記念だということでこの海洋博問題が、いまのような基地の返還の遅々として進まない、那覇空港の新しい空港ターミナルも海洋博段階までもできない、こういう状態で、海洋博というものが成功するのかどうか。まず輸送機関の問題としてあるいは空港、そういった点で伺いますと、やっぱり海洋博を推進していくには基地問題が一番ガンだ、特に那覇空港、伊江島空港の整備が必要だということを推進本部長として指摘された、あるいは大規模な工事が集中するので、物価問題だ、さらに労務または農村対策、そういった面にも配慮しなければいけないということを述べられたというのですが、担当大臣としていまの基地縮小の問題との関係において、海洋博問題をどう受けとめておられるのか、まずお伺いをしておきたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 海洋博はぜひ成功させたいと思って、政府総力をあげていま努力しているところでございます。大体予算的措置は、政府関係でことし約三百六十億円のワクのもとに政府関係のものを認めてもらいまして、それから公共事業関係が約千二百億円、これも関係各省の了承のもとに手当てが済みました。 それから、大体のデザイン関係も高山先生を中心にして進んでおりまして、これらは順調に進行していくだろうと思っております。 また土地の取得につきましても、県当局の非常な御努力によりまして、大体九五%以上の土地の確保もできました。三月二日ごろ起工式をやりたいと思っておりますが、いまの那覇空港の問題は、やはりまだ頭の中にある一つの困った問題でありまして、これも外務当局及び防衛庁当局等と連絡して、できるだけ早期に解決して輸送の万全を期したいと思っております。
○上原委員 外務大臣にあらためてお伺いをしたいわけですが、時間も参りましたので簡潔にあと一、二点で結びたいのですが、要するに政府が進めてこられた沖繩返還のあり方というものは、当初皆さんがおっしゃるようになっていないということは御認識いただけると思うのですよね。いかに沖繩の軍事基地の密度というものは、機能あるいはその性格を含めて復帰前と変わっていないか、これはぜひ認識していただかないと私はいかないと思うのですよ。よしんば皆さんがおっしゃるような安保条約を肯定するという立場に立ったにしても、私はそういう立場をとりませんよ。この状態ではいかないと思うのですよ。皆さんが密集地域あるいは不要不急の敷地については、返還後要求してきたんだということを再三繰り返しておられますが。 ここにもう一つ例をあげましょう。たとえば、私はこの委員会でも前にも取り上げたことがあるのですが、北谷村のごとき、八〇%近くも軍用地に接収されているわけですよね。そして返してもらいたい、返還してもらいたいということを言っておるのです。こういうふうに軍用地内でアメリカの公園をつくっている。外務大臣、大きな目を開いてこれを見てくださいよ。こういう状態なんです。これをこうつなぎ合わせればりっぱに……。車を販売したり、子供たちの遊園地にしている。こういう基地は当然返さなければいかないでしょう。こういうことが目の前にあっても、政府としては具体的に復帰の時点から交渉していくのだということをおっしゃりながら、なぜ進んでいないのか。これに対して県民が不満を持ち、国民が疑問を感ずるのは当然でしょう。 私は提案したいわけですが、沖繩の基地の返還について、この間の安保協議委員会の合意というものは、少なくとも向こう三年は拘束されるのだという懸念をわれわれは抱くわけなんです。それじゃたまったものじゃありませんよ。もう一度洗い直して、基地の返還、縮小計画について、もちろん本土もそうなんですが、沖繩は特におやりになる意思があるかどうか、この点をぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。 もう一点、これとの関係でぜひ政府の見解を聞かしていただきたいのですが、いわゆる地位協定第三条の二項の前段にこういう規定、条文があるのです。「合衆国は、1に定める措置を、日本国の領域への、領域からの又は領域内の航海、航空、通信又は陸上交通を不必要に妨げるような方法によっては執らないことに同意する。」沖繩はきわめて不必要に妨げられている、空港にしても軍港にしても道にしたって。私は、こういうものに国民の立場に立った解釈を政府、外務省がやるならば、もう少しはアメリカ側にものの一一章える、国民の権利と利益を守る立場での地位協定の運用、安保の事前協議の問題だってしかりなんですが、そういうことが生まれるんじゃないか。すべてがアメリカ側の立場に立ってものごとを解釈しようとする姿勢から、今日の防衛力の問題にしても安保の問題にしても、地位協定の問題、基地問題というのが起きてきている。これらを含めて再検討して、具体的に、海洋博といわずに、海洋博に何も焦点を合わせなさいと言うわけじゃありませんが、すみやかに沖繩の基地の整理、縮小問題について、米側と交渉する御意思があるかどうか。この点について、ぜひ外務大臣の明快な御答弁をいただきたいと思うのです。 それともう一点、地位協定第二十四条にいういわゆる経費の負担の問題です。日本政府が負担すべきなのは一体どういう範囲のものなのか、できれば政府の統一見解といいますか、見解を明らかにしていただきたい。 もう一点は、この地位協定でいう十六条、国内法の尊重の問題、法令の尊重。この十六条に対しても政府のはっきりした見解というものを、私はこの際明らかにしていただきたいと思うのです。 それらの点について御答弁をいただきたいと思います。
○大平国務大臣 沖繩があの地域に本土以上の基地をかかえておられるということは、これは並みたいていなことではないことは、よく承知いたしておるわけでございます。したがって、御指摘のように、沖繩における基地の整理、縮小という問題は、内地における以上に緊切な課題であると心得ております。 今度とりあえず日米間で合意をいたしましたのは、先ほど私が申し上げましたように、社会経済的に重要な、かつ人口が稠密な地帯、内地におきましては関東平野、沖繩におきましては那覇周辺、そういうものにとりあえず取りかかったわけでございまして、それについての原則的合意ができたわけでございます。しかし、これはとりあえずそういうプライオリティーの高いところから始めたわけでございますので、上原委員が御指摘のように、今度さらに第二次、第三次とわれわれは縮小計画を鋭意進めてまいるつもりでございます。われわれは決してアメリカ軍のクラークではないわけでございまして、国民の国益を踏まえて、鋭意アメリカ側との合意の達成を目ざして努力してまいるつもりでございます。 地位協定の解釈等につきましては、政府委員から説明させます。
○大河原(良)政府委員 地位協定二十四条の解釈につきましては、先般来この予算委員会の場におきまして、政府側の見解を随時御説明しているとおりでございます。
○上原委員 もう時間が来ましたので結びますが、あらためて、まあ二十四条については昨日も議論があったようですから、十六条と第三条の二項前段ですね、ぜひこれに対する政府の考えというものをはっきりさしていただきたいと思います。 それで最後に、円の再切り上げが必至の状況にあるわけですが、私はこれについては触れませんが、特に基地労務者の問題は密接な関係が出てくるわけですね。アメリカが現在進めている人員整理、合理化というものは、何も人間が要らなくなる、労働者が要らなくなったから切るというだけじゃないのですよ。一昨年の円切り上げ、最近の通貨の変動によって、もう従来十名で働いておったのを一人ないし二人に減らして無理な合理化を推し進めてきている。円の再切り上げというものが避けられないとするならば、当然そういった面に対する大幅な人員整理なりいろんな面が基地関係者の問題として出てくる。これに対してもやはり対策を立てなければいかないと思うのですよね。これに対する方策があるのかどうか。この件については、別の機会に譲ってまたお尋ねをいたしますが、ぜひこの件についての政府のお考えをお聞かせいただいて、私の質問を閉じたいと思うのです。
○愛知国務大臣 円の再切り上げということは行ないません。しかし、基地労務者の方々の問題につきましては、今後とも十分考えてまいりたいと思います。
○根本委員長 これにて上原君の質疑は終了いたしました。 午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時十二分休憩 ————◇————— 午後四時二十三分開議
○根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、愛知大蔵大臣から発言を求められております。これを許します。愛知大蔵大臣。
○愛知国務大臣 政府は、明十四日より外国為替市場を再開するとともに、当分の間、外国為替の売買相場についての変動幅の制限を停止することといたしました。 今回の措置は、最近の国際通貨危機に対処するため、米国がドルの切り下げを行なうことを通知してきたのに対応してとられたものであります。政府としては、今後の国際通貨情勢の推移を慎重に見守りつつ、できるだけ早い機会に固定相場に復帰したいと考えております。 なお、政府といたしましては、経済の安定的成長を今後とも引き続き確保するため万全を期する所存であります。特に、中小企業対策については万遺憾なきを期する所存であります。
○根本委員長 質疑を続行いたします。村山喜一君。
○村山(喜)委員 ただいま大蔵大臣から、きわめて重要な内容の発表が行なわれました。このことは、今度の四十八年度予算編成の基本といたします三つの目標の中の一つを欠いたことに相なってくると私は思うのです。そういうような意味において、予算編成の基本方針に重大なる変更を伴うものであると私は考えるものでございますが、これに対する大臣の所見を伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 村山さんの御質問でございますが、今回の政府の措置は、ただいま御説明いたしましたようなものでございまして、明日からいわゆる変動相場制に移行して為替市場を開こうとするものでございまして、これは円のレートの改定ではございません。最近の国際的ないろいろの情勢にかんがみまして、またその後の各国の状況に対応いたしまして、為替市場を再開をいたしまして、そして変動為替相場、すなわちフロート制をとろうとするものでございまして、これは円レートの改定ではございませんし、またこれをやるつもりはございません。 したがいまして、ただいま御審議を願っております四十八年度予算について、これを修正するというような考え方は持っておりません。
○村山(喜)委員 これは、フロートするということになれば、アメリカのドルが切り下げになっているという関係もありまして、事実上、内容的にはレートの改定を伴う結果をもたらすものであることは明らかであります。そういうような意味においてはきわめて重要な問題でありますが、本日は予算の一般質問の段階でありまして、内閣総理大臣も見えておりません。そういうような意味からいえば、この問題については、総理の口から本会議を通じて国民の前に明らかにして、政府の方針を説明をすべき段階に来ていると私は思うのです。 そういうような意味において、本日これからの審議は、もうこれ以上続けるということはできないと私は思います。
○根本委員長 この際、議事進行に関し、辻原弘市君から発言を求められております。これを許します。辻原君。
○辻原委員 ただいま、村山君の本問題に対する質疑に、大蔵大臣は、変動相場への移行であって円の切り上げではないから、直ちに重要な予算に関係を及ぼさないかのような御発言がありました。しかしわれわれは、少なくとも変動相場への移行というのは円レートの改定に結びつくものであるという、これは何人も認める常識であります。 したがって、そういう段階に、いま村山議員も指摘いたしましたように、このまま前提が変わっている予算の審議を続けるということはきわめて困難である、こう考えます。したがって、自後どのように当委員会を運営するかについては、これは私どもも重大な考え方がありますので、直ちに委員会を休憩をして理事会を開かれるよう、私は動議として提出をいたしたいと思います。
○根本委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後四時二十九分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕