予算委員会 第9号
- 発言数
- 262 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/02/09
会議録
○根本委員長 これより会議を開きます。 昭和四十八年度一般会計予算、昭和四十八年度特別会計予算及び昭和四十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 初めに航空行政におきますところの安全対策について、若干お尋ねをいたします。 自慢じゃございませんが、私は戦時中海軍の航空隊におりまして、九七艦上攻撃機のパイロットをやった経験を持っておりますので、そういう関係から航空行政にはかなり深い関心を寄せているものでございます。 実は、ことしの二月一日の一般新聞に意外な記事が出ましたので、その問題に関連して、ちょっとお尋ねいたします。二月一日の新聞でございますが、「米ダグラスのDC−9型、東亜国内航空が導入、50年度までに14機購入」という見出しでございます。私はこの記事を読んでいきますうちに、非常に不安を感ずるとともに、ある一種の疑惑を抱かざるを得なかったのであります。その不安を抱いたというのは、この契約があまりにも短期間できめられている。ということは安全確認がなされているのだろうか、こういうことでございます。そしてまた、かつてエアバス購入問題でうわさになりました田中総理とニクソンの、ハワイ会談密約説云々の問題が連想されてきたわけでございますけれども、たしか、あのとき取り残されたのはこのダグラス社でありました。ロッキードが紆余曲折あって全日空にきまったわけでございます。グラマンのほうはもともと日航が契約しておったようでございますけれども、結局取り残されたのがこのダグラスでございます。このダグラス社が日本の三井物産、ここに総代理店を置いているわけでございますが、その辺を通じまして何かが行なわれたのではないかというような気がしてならないのでございます。 そこで運輸大臣にお尋ねいたしますが、二月一日のこの新聞をお読みになったかどうかということ、そして新聞どおりに決定されているのかということをお尋ねしたいと思います。
○新谷国務大臣 お答えいたします。 新聞は読みました。のみならず、東亜国内航空のほうからは、非公式でございましたが、そういうDC9十四機を購入したいのだがという希望を申し出ていることも事実でございます。ただ運輸省といたしましては、新しい機種でございますから——もっとも御承知のように、DC9は世界の各国においてもある程度民間機で利用されておりますので、安全上もともと非常に欠陥のある機種だとは考えませんけれども、それを東亜国内航空に導入いたしまして使う場合には、いままでの機種とすっかり変わるわけですから、お話がありましたように、はたしてそれで航空安全体制が維持できるかどうかということにつきまして、私もこれは非常に懸念を持っておるのでございます。したがいまして、まだ正式にそういった問題は取り上げておりませんけれども、航空局に命じまして、はたして安全航空ができるかどうか、また、新しい機種について相当大量の飛行機を導入するということになりますと、一挙にいままでの機種と変わるわけでございますから、乗員の訓練なんかについても、はたして安全体制がついていけるかどうかということにつきまして、非常に慎重に考えなければならぬ点が多いのでございます。したがいまして、この問題はいままだ白紙の状態でございまして、検討をいたしました上で、事業計画等も見ましてその上で最終的にきめたい、こういうかまえ方でいま検討をさしておる最中でございます。
○大橋(敏)委員 時間に制約がございますので、聞いていることに対して簡潔明瞭にお答え願いたいと思います。 要するに、新聞の内容は知っている、しかし、これは運輸省としてはまだ認可したわけではない、こういうことですね。
○新谷国務大臣 さようでございます。
○大橋(敏)委員 それではもう一つお尋ねいたしますが、私は一応そのとおりであろうと思います。これがわずか一カ月半ぐらいの話で決定していっている経過を知っているわけでございますが、普通、機種を選ぶときには一年半から二年ぐらいの期間をかけるわけですね。これが航空業界の常識になっているはずでございますが、これは一カ月半なんですね。もうその期間を見ただけでも、安全性が確認されるとは思われません。私は飛行の経験の立場から申し上げまして、飛行機の安全第一というのは、まずパイロットの意識、それから技量の優劣とともに整備の問題ですよ。エンジンはもとより、航空機全般にわたる整備が完全であるかどうか、こういうことでございまして、おそらく一カ月半ぐらいでこんな問題が完備する、あるいは話がまとまるということは考えられません。 しかし大臣、この新聞発表になる前、の日の一月三十一日、新聞は二月一日ですよ。各紙に出ております。この一月の三十一日に運輸省の交研クラブで記者会見しているんですよ、東亜国内航空がですね。これを運輸省が、私は知りませんでした、許可はしておりませんといっても、内諾を与えないものを一航空会社が運輸省の部屋を借りて記者会見をいたしますかね。常識じゃ考えられないと私は思うのですけれども、どうですか。
○新谷国務大臣 私は記者会見の事実は存じません。先ほど申し上げましたように、運輸省といたしましてはお話しのお考えと全然同意見でございまして、運航の面もあり、整備の面もありますから、これは慎重に検討をした上でないと、しかも先ほども申し上げましたが、一時に非常に大量の飛行機を導入するわけでございますから、これは非常に時間をかけまして、はたして安全であるかどうかということの検討をした上でないと最終決定はできないと思っておりますので、内諾を与えたというような事実は全然ないと御承知を願いたいと思います。
○大橋(敏)委員 総理、ちょっとお尋ねしますが、一月の三十一日に運輸省の交研クラブで記者会見がなされた。それも二時から三十分にわたっての長い時間なんですね。これはかなり記者から質問が出たと思うわけですよ。そういう深刻な、重要な問題が記者会見されたわけでございますが、それを運輸省が全く関係ないということは、私は常識的にも考えられないと思う。たとえば私のうちに、ある人が部屋を貸してくれ。常時貸しているんなら別ですけれども、たまたま何かやる場合は、何をやるんですかと普通聞きますわね。いま運輸大臣は知りません、こういうことで逃げようとなさっておりますが、これはどうお考えですか。
○田中内閣総理大臣 私は、航空会社そのものは乗客の生命、財産の安全のために万全の配意をしなければならないものであり、安全性の確認、確保というためには全力を傾けなければならないものであるということだけは承知しておりますが、そのほか、民間の航空会社の機種選定に対しても、どういう手続で運輸省が許可をするのか認可をするのか、そういうことも承知をいたしておりません。おりませんので、これは運輸大臣からお答えをいたします。
○大橋(敏)委員 総理、民間の航空会社のこういう機種決定等の契約については運輸省が許可権を握っているわけですよ。そうでしょう。じゃそれだけちょっと答えてください。
○新谷国務大臣 運輸省としましては、航空についての計画の作成その他について許可権を持っていることは事実でございます。しかし、いまの具体的な問題につきましては、先ほど申し上げましたように、実は私は全然知りませんでした。記者会見をされたという事実は知りません。
○大橋(敏)委員 運輸大臣、省内で起こっている事柄ぐらいはもう少ししっかりつかんでおいてくださいよ。あなたが知らないだけであって、ほとんどの人は知っているわけですよ。新聞にも出ているじゃないですか。あくる日の新聞に各紙が取り上げているんですよ。これほど重要な内容を大臣が知らないとは、これはおかしいですよ。 じゃもう一つお尋ねしますが、この東亜国内航空というのはいま累積赤字が相当あるやに聞いております。四十数億あるんじゃないですか。そういう会社が、DC9の41シリーズ一機で十四億円もする、あるいは部品まで入れれば全体で約三百億円もするようなジェット機なんですね。これをあっという間に十四機も購入するような契約、これはもう考えられないことですね。これをもし運輸省が許可したというんならば、これは大問題でありますし、許可はしてないというんならば、この航空会社があれほどのことを記者会見で公表することも考えられない。非常に疑惑を抱かざるを得ないわけですよ。 もう一つ申し上げたいことは、東亜国内航空はかつて事故を多発しました。そういう関係から、運輸大臣が行政指導の立場から通達を出しておりますですね。その通達によりますと、まあ簡単に言えば、先輩会社である日航や全日空のほうの技術指導等を受けて早く一人前になりなさい、そして真の意味の自主運航体制を確立しなさい、こういう通達が出ているわけです。四十七年の七月の一日でしたか。これからいきますと、東亜国内航空は、今回の機種決定の問題に関してそれじゃ相談をしたかというんです。してないのですよ。全くしてないのです。こういう姿はどう思われますか。これは通達無視じゃないですか。
○新谷国務大臣 いまの問題は新聞に出ましたので、これは非常に進んでいるんじゃないかという前提でお尋ねのようでございますけれども、運輸省としましては先ほど申し上げたとおりでありまして、私もこの話は新聞でも見ましたし、聞きました。聞きましたが、それだけのことでございまして、私はその当時から、これは航空の安全ということから見て非常に疑問があるから、これは十二分に調査させますという態度は変えておりません。それだけの話でございまして、いまおっしゃったようなことにつきましては、航空局におきまして東亜国内航空のこの計画を——どうせこれは実際には許可を受けないとできませんので、そういう場合には機種の選定、それから安全航行の問題等とあわせまして、十二分に調査検討させた上で最終の結論を出さなきゃならぬということは、これは当然のことでございます。
○大橋(敏)委員 私が言っているのは、東亜国内航空は、全日空だとかあるいは日航のほうに相談したかどうかということを聞いたわけですよ。してないということを言っているわけです。私は調べたのです。何ならその中身を、どういうことになっているか御披露申し上げていいのですけれども、時間の関係もありますので、その点は割愛いたしますが、問題は、先ほどから言っておりますように、あなたには、これは単なる計画であって、留保されている問題だと言うけれども、新聞発表では、ことしの十月から東京−釧路間を一日に二便出す、ここまで言っているのですよ、記者会見で。こんな具体的な話が、何もそういう話は済んでないなどとは言えないことでしょう。どう思いますか。
○新谷国務大臣 いまのお話でございますが、先ほど申し上げていることは、私の知っている全部でございまして、それ以上に東亜国内航空が計画を具体的に進めているということは聞いておりませんし、これは、航空局がどうせ許可をしませんとそういう計画が実行できないのでございますから、そういうことは、航空局の意見がきまった上で初めて成り立つものであるというふうに考えますので、その点は、いまの運輸省の、これまでとってきました態度について御了承を得たいと思います。
○根本委員長 山田君。大橋君の時間内において許可をいたします。
○山田(太)委員 先ほどの大橋委員の質問に関連いたしまして、数点の疑問点をお尋ね申し上げて、残余はまた後の機会に譲りたいと思っております。 そこで、まず総理にお伺いいたしますが、先ほど大橋委員の質問の中にもちょっと触れておられましたけれども、昨年の九月十九日でございましたか、社会党の上田議員から、全日空エアバス購入に際しまして、田中・ニクソンのハワイ会談において、ロッキード一〇一一購入密約説についての質疑が行なわれておりました。これがこの議事録でございます。御承知のように、四十七年度においては約二千万人の乗客を運ぶというふうな、大衆化された航空事業でございます。先ほど総理おっしゃいましたように、人命の安全性が何よりもすべてに優先しなければならないのは当然のことでございます。ところが、このロッキード購入については、マスコミの一部には、一機当たり百万ドルのリベートのうわささえ飛んでおります。もちろん単なるためにするうわさとは存じますが、しかし、この問題はどうも根が深いようでございます。 一例をあげますと、ロッキードが、昨年七月二十三日でしたか、日本へ来てデモフライトをしたときに、丸紅の常務さんだったと思います、間違っておったら訂正いたしますが、大阪での記者会見で、七月ですよ、六機売れる見込みが立ったという発言がありました。御承知のように、エアバス購入の決定は四十七年の十月でございます。すでに七月において丸紅からそういう発言があった。あるいは商取引のかけ引きかもしれません。ところが、田中・ニクソン会談の九月一日、二日、これは米国時間でございますが、それから数日後の九月八日、ロンドン発共同外電によりますと、ロンドン・デーリー・テレグラフにおきまして、ロッキード会長が、近くロッキードが発注されるということを言っております。この辺のあやがどうもハワイ会談密約説なるものの裏づけの一つにみなされておるようでございます。 先ほど申し上げたように、人命の安全が何ものにも優先する航空輸送でございます。密約説と安全運航そのものと直接には関連ないかもしれませんが、またそういう意見もあります。しかし、政治姿勢の問題のみならず、国民並びに旅客、あるいはパイロットや整備士等の従業者の方々の不快の念はこれはいなめないと思います。 そこでこの際、田中総理、できればあわせて運輸大臣にその所信のほどを伺っておきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 先ほども申し述べましたように、航空機は大量の旅客輸送に当たるものでございますし、また、航空機の事故というものは一〇〇%助からないというようなものでありますから、これが機種の選定、運航等に対して、人命尊重に最重点が置かれなければならないということは、もう申すまでもないことであって、政府もそのような行政をやっておるわけであります。 第二には、私とハワイ会談をやったニクソン米大統領との間に、機種の選定その他に対して話があったのかという御指摘でありますが、具体的な話は全くありません。これは、日米間の片貿易是正に対していろいろな考え方を述べたわけでございまして、アメリカから輸入できるものがあればわれわれも輸入拡大に努力をしておるのである。しかも、当時の報道でもおわかりになるとおり、とてもアメリカの言うように、いますぐ日米間の貿易アンバランスを是正することはできないので、両三年以内に、基礎収支の均衡と言えばよかったと思っておりますが、できれば私の希望的な観測として、GNPの一%以内に経常収支の黒字幅を押えたいという考え方で努力をしておりますのでということで、個別の問題等が出なかったことは、これはもう明確に申し上げておきます。 いまあなたの御質問の中で、私ちょっと、ああそうかなと思ったのですが、それは、商社が機種の問題に対して観測を述べた。一番初めに述べたのは七月だそうでございますが、それは、私とニクソン大統領との会談の前であることはもちろんでございます。私は、七月就任をしたのでございまして、新しく内閣を組織をしておった状態でございまして、そのような問題は、私の就任以前から商社がどういう関係でどういう経緯をとって述べておるのか、承知をいたしておりませんが、私、先ほど申し上げたとおり、機種というものがほんとうに運輸大臣の認可権に基づくものであるかということも承知しなかったわけでございますので、これらの問題がどういうように展開されておるのか、その間の事情は承知いたしておりません。
○新谷国務大臣 昨年のことを事務当局から聞いておりますが、運輸省といたしましては、全日空と日航がエアバスによる航空輸送を始めたいというような、包括的な計画を持ってきておるようでございまして、それについては、運輸省は、エアバスを使って航空路を開くことはいいだろう、こういうことを言っておるようでございます。しかし、その場合に、どの機種を使うかということは、これは企業のほうで、全日空なりあるいは日航のほうなりできめまして、運輸省はこれでなきやならぬということを指示しておる例はいまだかつてないようでございます。したがいまして、今度の場合でも、どの会社がどのエアバスを使うかということにつきましては、各企業がそれぞれ自分のほうで安全性の一番高いと思われるもの、それを選定いたしまして、具体的にそれを運航いたします前に運輸省に持ってきまして、そして承認を得るというような段取りになるようでございますから、いまのところはどの会社がどういう機種を使うかというようなことについては、まだ正式に運輸省のほうから最終的な決定をしているわけではない、こういうことのようでございます。事務当局からいまよく事情を聞きましたが、そういうことのようでございます。
○山田(太)委員 これをまず最初にお伺いしたわけは、先ほどの東亜国内航空のDC9の決定発表、これにもやはり財界と一部の政治家、運輸関系業者との間に明朗ならざる雰囲気があるやに伝えられております。したがって、機種決定の許可権は運輸大臣が持っていらっしゃるといたしましても、やはり人命の安全確保の立場から、このような、うわさにしても国民に流れていくということは、また同時に、パイロットあるいは従業者の方々に対しても、これは非常に大きな影響を与えていくことでございます。 なぜかといいますと、私、きょうは関連質問でございますから、そう多くの時間はとるわけにいきませんが、同じ新聞の報道によりますと、これは各新聞にも出ております。これは朝日新聞でございますけれども、先ほど大橋委員からお話があった、三井物産がロッキードにエアバスをとられた、要するに商売の戦いでは負けた、そのことによってダグラスから三井物産に強い圧力があった。中には、うわさでございますけれども、文書をもって総代理店の権利を引き揚げるぞというふうな文書さえも出されたやに聞いております。そこで、三井物産としては、東亜国内航空の株を取得して、そうしてダグラスの販売を強力に進めていきたい、そういう存念から、この二月四日の新聞報道の「東急 全日空の筆頭株主に?」「三井物産の持株全部譲り受けを計画」、そういうふうな記事で、そういう内容が出ておるわけです。そして、問題はその次です。営利優先、すなわち、航空事業を営利を主体にしてやっていこうという意図があるんじゃないかということがいわれているわけです。ひとつここは読みたいところでございますけれども、このようなことが書いてございます。これは大事なところですから読んでみます。 前文があります。そのあとで、「東急グルーブが航空三社の主導権を握ろうとしているねらいについて、航空業界の見方は、航空会社に機動力、弾力性、活力を吹きこみ、思い切った新路線整備と不採算路線の切捨てを断行しようとするものだ、との点で一致している。現に小佐野賢治氏は非公式に、日航の四六%の株式を保有している政府は持株を漸減して日航を民間企業に近いものにすべきだ、と唱えている。しかし、こうした同グループの姿勢に対して、運輸省の内村航空局長は「日航は国策会社として一定の株式を政府が保有するのは当然だし、政府の監督、規制は必要だろう。また、不採算路線を営利本位で切捨てられてはたまらない」と反論」をしておる、こういう記事が出ております。 そこで、私の申し上げたいのは、企業の営利を優先して、そして日本の航空業界のシェアを握っていく、しかもそれが営利がまず第一番になっていく、そこに自然、航空の安全性が危険になるということも内村局長の話としてあります。こういう点について、小佐野賢治氏の名前も出ております。世上では田中総理と非常に親しいとかいうふうにいわれておりますけれども、その問題はこれはまた別問題といたしましても、この点についての総理のお考えをこの際承っておきたいことが一つ。 それから、こういうことに対しての運輸省のやり方、これについては、根本的な問題でございますから、やはり運輸省としてもこれに対しての答弁を簡単にお願いしておきたい。
○田中内閣総理大臣 私は、東亜国内航空の問題は、全く初めてきょう伺ったわけであります。全然知りません。とにかくいままで機種決定に対して、過去においてもいろいろな問題がありましたので、これは全く純専門家の決定にまつのが正しいということで、政治的な介入ということはもうほんとうに避けなければいかぬ、こういう原則を持っておりますので、私はいまの東亜国内航空の、それはちょうど新聞が二月の一日だった。二月一日といったら予算委員会が始まるときでございまして、勉強に忙しくて一般紙も読めないようなときでございましたから、それはそうかもしれませんし、その新聞が、どういう新聞に書かれているのかもわかりませんが、私は原則的に、過去の、グラマンだ、ロッキードだと、いろいろなことが流布されたわけでありまして、政治的に介入しないことが望ましい、こういう基本的な原則でございます。 いまお読みになった、どんなに赤字があろうと、営利を主体にするということは、それはもう航空会社そのものの存在意義がなくなることであって、どんな場合でも——企業でありますから、採算ということは経営上考えるかもしれませんが、航空界の持つ重要性、先ほども申し上げたとおり、事故が起こったら一〇〇%助からぬという、ほかの乗りものとは違うものでありますから、これはもう人命尊重、公益優先が大前提であるということは、それはもう当然のことであります。私はそう理解しております。
○新谷国務大臣 総理の御答弁のとおりだと思いますが、運輸省といたしましても、もちろん航空というものは安全が第一でございまして、実は私は、就任いたしましてからまだわずかの時間でございますけれども、昨年における日航の数々の事故がございましたので、日航の社長を呼びまして、安全性の確保についていままでにやってきたこと、また、これからやらんとすること、それを詳細に報告をしなさいということで報告を求めまして、報告が出てきております。同時に、東亜国内航空、全日空の社長も呼びまして、これは日航の事件であったけれども、同様の問題であるというので、両方に対しまして、安全性を確保するのにはどうしたらいいのだ、あなた方はいままでにどういうことをされたか、これからどういうことをされようとするのか、それを報告してくださいということで、最近両方からそれに対する報告がきております。 でございますから、お話のように、私たちは、企業性ということは、これは会社でございますから、会社は企業性を持っておることは事実でございますけれども、何よりも大事なのは安全性であるということは、これはもうわれわれ航空行政に携わっておる者といたしましては、第一義的に考えておるということを御了承いただきたいと思います。
○山田(太)委員 そこで、もう一点お伺いしておきます。 それは、いま運輸大臣の御答弁では、東亜国内航空のDC9については全く知らないことだ、また、記者会見も知らないことだというふうな話でございましたけれども、実は、四十八年二月六日、これは運輸省から出してもらった資料です。この運輸省から出してもらった資料には、東亜国内航空DC9の導入ということがちゃんとうたわれておりますよ。運輸省から出してもらった資料です。——いいです。いますぐ答弁してくれというのじゃないです。 それから同時に、これは前もって断わっておきますよ。運輸省航空局内には、日航派であるとか、あるいは全日空派であるとか、そういうふうなことばがあるように聞いております。(「そんなものはないんだ」と呼ぶ者あり)私はそのようなことで言うているのじゃないです。あくまでも航空の安全ということを一番の基本にして言うているわけですから、そういうことで言うているのじゃないということは、まず前もってわかっておいてもらいたいと思うのです。 そこで、そのような書類もちゃんとここにあるのです。それを運輸大臣が知らないというのはもってのほかのことでございます。また他日、これは機会を改めて、もっと立ち入って質問を続行する予定でございますが、このDC9については、先月末でしたか、オスロで三十名の乗客を乗せて墜落事故をやっています。ここ両三年間ものすごい事故があるのがDC9。私の調査ではちゃんと明確になっております。私はどちらに味方するとか云々というのじゃないのです。それは日航にしても、業種あるいは路線、これを拡大していくために、訓練なりあるいは整備なりが非常にお留守になった、そのことが昨年一連のDC8の事故につながり、多数の犠牲者を出したんじゃないかといわれております。また昨日、東京地検に、ある機長が昨年の五月の羽田事故によって起訴された、これが報道されております。しかし、この機長あるいはパイロットの起訴によって解決される問題だけじゃないということ、その辺の業界の明朗化、しかも国民に安心していただける明朗な決定というものをしていただかないことには、やはり国民は安心して飛行機にも乗れない。ことに日本の飛行機には乗りたくないという国民がどんどんふえてきている。その実情をよく承知しておいてもらいたい。 したがって、あなたの先ほどの答弁というものは違っているという点——そのことだけで言うんだったらまだほかにありますよ。だけれども、きょうは関連質問で時間がないから、その点はあとで締めくくり総括質問でやるかあるいは他の機会にするかは別として、詳細ないろいろな調査資料を私も持っておりますから、その点をよく踏んまえて、ひとつ許可にあたってもあるいはその間の道程にあたっても、先ほど総理がおっしゃったような趣旨を十分徹底してもらいたいということを強く要望し、要求しておきます。 じゃ委員長、質問を終わります。
○大橋(敏)委員 それじゃ、もう二点だけ確認いたしますが、先ほどの新聞記事の中に、ことしの十月から運航するように書いてありましたことは、運輸大臣お答えになったように、整備その他の安全問題からいくと、とてもこういうことは許可にはならないのだ、こういう就航は不可能であると判断していいかどうかということ、これが一つ。 もう一点は、このDC9は韓国のほうでもすでに使用されておりますが、韓国では、この機種には非常に問題が多い、事故が多発しているということで、きらわれているという事実がありますけれども、先ほど東亜国内航空が運輸大臣通達を無視してDC9に決定したような記者会見をしたということ、これについて運輸省としてどのような行政指導をなさろうと考えられるか、この二点だけお尋ねいたします。
○新谷国務大臣 あとのほうから先にお答えいたしますが、実は、記者会見をしたという事実は、先ほど申し上げましたように、私は存じませんでした。その問題につきましては、よくその当時の事情を調べまして、善処したいと思いますから、御了承をいただきたいと思います。 それから、DC9について、ほかの国で最近も事故があったということでございまして、実は私は、DC9が各国で使われていることは承知しておりますけれども、それがどの程度の事故率でありますかということについてまだ十分な知識を持っておりません。しかし、DC9の採用につきましては、先ほど申し上げましたように、そういう話が出ておることは確かでございますけれども、おっしゃるように、これは一気に十四機の導入をはかるということになりますと、先ほども申し上げましたように、運航面におきましても整備面におきましても、非常に問題があると思いますので、この点は安全第一ということで慎重に検討させますから、その点御了承いただきたいと思います。
○大橋(敏)委員 まあ問題が山積しておるわけですが、きょうは社会保障問題をやりたい気持ちで一ぱいですので、きょうはこの程度で終わります。 では次に、健保関係に移ります。 厚生大臣にお尋ねいたしますが、今度の健保法改正案が提出される予定の中身を見てみますと、前回の国会に出されましたいわゆる健康保険法改正法案といわゆる抜本改正法案、この二つの法案の中から取り出してきて、二つを一つにまとめたような内容になっているように私は感ずるわけでございますが、その点はどうでしょうか。
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げますが、健康保険制度の問題につきましては、昨年、御承知のように、赤字対策法案と抜本対策法案という二つが出まして、赤字法案のほうは衆議院は通りましたが参議院で廃案になった、抜本対策法のほうは一日も御審議をいただけなかった、こういうふうな事態があります。 そういう事態を踏まえ、さらにまた、御承知のように、昭和四十八年度の予算は、総理がたびたびお述べになっておりますように、福祉を最重点の問題として予算を編成しよう、こういうふうにお述べになりました。そういうことでございますので、この際は、健康保険制度については、福祉ということを頭に描いて構想を切りかえよう、こういう考えになったわけでございまして、被保険者の諸君が多年望んでおります家族給付の引き上げとか、あるいは高額医療費の支給制度をつくるとか、こういうふうな福祉というものを中心に考え、同時に、健康保険制度は短期保険でございますから、一年間において収支のとんとんがとれるような健全な運営に持っていきたいのだ、こういうことで考えたわけでございまして、昨年のように赤字をまっ正面にしてこれをどうするとかいったふうなものではありませんで、昨年とは全然構想を異にした、福祉を頭に描いての法案である、制度である、こういうふうに御承知いただきたいと思うのでございます。
○大橋(敏)委員 ずいぶんりっぱな御答弁をなさっておるように聞こえますけれども、了解できません。私がいま聞いているのは、前回出ました改正案、これを私は持っております。この健康保険法改正案とそれから抜本改正案、この中から要するに取り出してきた一本案でしょう。これではいかにあなたがりっぱなことをおっしゃってみてもだめですよ。なぜならば、審議会の答申がそのことをはっきり述べております。ここで続み上げてもいいのですけれども、時間が非常にもったいないのできょうは割愛いたしますけれども、要するに、だめだだめだと言われたものを幾らまとめてみても、同じ穴のムジナではないかということです。 そこで総理にお尋ねしたいのですが、この抜本改正案というものは、ずっと前、私は昭和四十二年に国会に初めて参ったのでございますけれども、そのときから問題になってきました。前代の総理も口だけは約束なさいましたが、実現しないままです。実は昭和四十六年九月に、審議会の抜本改正の答申がもうきちっと出ておるのですよ。これがそうです。だから、これを基礎にして抜本改正案を出してくるならば、財政対策案もその中で当然組み込まれて考えられていく、これならば了解できるわけですが、これはさておいて、財政問題だけやられるということは了解できないのです。これは出直すべきだ、私はこう思うのです。
○田中内閣総理大臣 政府も、抜本改正案を提出をいたしたいという熱意は持っておりますし、これはどうしてもやりたいのです。やりたいので、前回の国会には御提案を申し上げたわけです。申し上げたのですが、成立を得ることはできない。成立を得ることができないというのは、結局野党の皆さんに異論がたくさんあるということでございます。 そういう意味で、抜本改正案をそのままもう一ぺん提出をするということよりも、より広範な立場で検討を進めて、より了解を得られるような抜本改正案が出されるように努力をしなければならないということで、今回は、先回提案したものをそのまま提案しなかったわけでございます。しかし、抜本改正案ができないからといって、いますぐでも改正をしなければならないもの、また、現行の制度よりもはるかによくなるというものがあったならば、それは抜き出してもやはり御審議をいただくべきであろうという考え方で、家族の五割給付から六割にする、それだけではなく、政管健保の赤字が二千八百億もあるわけでありますから、先回は政府の補助は、公費の負担は五%ということでございましたが、今度は一〇%にして八百億円の公費を注入しよう、こういうことでございますので、これはやはり抜本改正案と切り離しても御審議がぜひいただきたいものだ、これは給付内容の改善と、政府も積極的な財政援助をして赤字対策を考えておるわけでございますので、これだけ取り出してお願いをしたわけでございまして、 これは先回御提案を申し上げたすべてのものが前提でなければ、引っ込めなきゃいかぬものだとは考えておらないわけです。
○大橋(敏)委員 私は、前回のものではだめだと言っているわけですよね。前回出されたこの二つの案を一つにまとめた中身だからだめだ、こう言っているわけです。これでなきゃならぬ、抜本改正でなきゃならぬのだという理屈だけはわかっていただきたいと思います。 そこで、要するに財政対策をやるためには、いわゆる保険財政の赤字ですから、そのためには医療制度のいわゆる土台をはっきりしなきゃだめだ、つまり、ざるであっては幾ら水を入れても漏るぞ、こういうわけですよ。たとえば、厚生省さんが今度にせ医者問題で悩んで調査したわけですよ。厚生省の統計調査部は、にせ医者を洗い出すためにコンピューターを使って、医者一人一人の登録番号をチェックしたわけです。ところがこの調査で、正式な医師であるかどうかはっきりしないカードが二千七百八十九人も出た。これは新聞にも出ております。つまり、にせ医者がたくさんいるという事実ですよね。そういうところからばく大な保険請求がなされているわけですよ。こういう問題だとか、あるいはそのほかいろいろな問題に目を向けて対策を講じ、その上での財政対策でないとやりがいはないぞ、こういうわけですよね。 もう一つ具体的に、これは厚生大臣にお尋ねしますが、私の福岡県の久留米で、ある御婦人が病院に診察に行った。そうしたら、さっそく手術をなさいというある病気だったわけですよ。あまり不審に思ったので、もう一つの病院に見てもらったら、そちらでは異常なしというのですよ。これはどちらがほんとうだろうかと迷わざるを得ませんね。そういうことで、権威ある病院というのは国立だろうということで国立病院に行った。そうしましたら、もう開業医で見てもらっていらっししゃるんだからうちは見ませんと言って断わられたという事実があるわけですよ。これは人権問題にもなるんじゃないかということで、法務局が動き出しているという話まであるのですが、あれやこれやとやらなきゃならぬことがたくさんあるわけですね。こういう問題をなおざりにして、さあ保険財政の赤字だからこうだああだということは、これは問題外だ。いまの具体的な問題についても、どのようなお考えであるのか、お尋ねいたします。
○齋藤国務大臣 ただいまの具体的な問題につきましては、私も医務局長から医務局長側の報告をちょっと聞いたわけでございますが、その御婦人がAという病院に行かれて、二日ほどたってまたBの病院に行かれた。そして最後にまた二、三日おいて国立病院に行った。国立病院のほうでは細胞診の検査をやっておるので、その検査はA、Bというどちらのケースか私わかりませんが、検査の結果も一週間内に出るから、ちょっとお待ちになったらいかがでしょうかということを言うたらしいのですが、多少そこで語気荒くいろんなことがありまして、特に患者さんというのは精神的に弱いわけですから、そこでいろいろのそういうふうな感情のあつれきがあったというふうに聞いております。そうしてまたその日の夕方、家族の方には事情を話して釈明したということを聞いておりますが、こういうことはやっぱり好ましいことではありません。やっぱり患者さんは心が弱いですから、もう少し丁寧なことばづかいをすべきであったというふうに私も考え、今後注意さしていきたい、かように考えておるわけでございます。 そこで、抜本対策のお尋ねでございますが、先ほど総理からお話のありましたように、昨年出しました抜本対策の中にはたくさんの問題を含んでおるわけでございますが、各方面ともいろいろ意見がございまして、国民各階層のコンセンサスを得るということも非常に困難な問題がたくさんございましたので、そういう問題はもう少し検討を続けるということにして、国民が当面いますぐにでもやっていただきたいということだけはやってあげることがやっぱりけっこうじゃないか、こういう考え方で立案しておることを、どうか御理解いただきたいと思う次第でございます。
○大橋(敏)委員 その点は御理解願えと言いますけれども、御理解できません。要するに、先ほどの具体的な話ですけれども、よその病院にかかったからといって診療を拒否するという、そういう姿に対して、これはどう思われますか。
○齋藤国務大臣 お答えいたしますが、私、医務局長に聞きますところによりますと、診療を拒否したのではなくて、その検査が一週間以内にでき上がるから、その検査を見てからではいかがでしょうかということでお待ちいただいたというふうに聞いておるのですが、そのとき私、立ち会っておるわけでもございませんので、しかし、ことばはやっぱり慎重にすべきであったなということを私は痛感いたしております。
○大橋(敏)委員 あなたは私の聞かんとするところをずいぶん離れておりますが、この久留米というところはおかしなところでありまして——おかしなというと失礼ですが、産婦人科の開業医にかかった人は、総合病院に転院が自由にできないというそういう雰囲気があるところなんですよ。これは御承知ですか。おそらくこれも御承知でないでしょう。私は、ただことばの上の問題ではなくて、ここには大きな指導監督の要があるんじゃないか、これを言っているわけですよ。
○齋藤国務大臣 私、詳細は存じておりませんが、今後とも指導を厳重にいたしまして、さようなことのないようにいたします。
○大橋(敏)委員 要するに知らないことばかりでございますよ。そこで抜本改正も、知らない知らないではもうできないのですから、それこそしっかり勉強していただいて、国民が望むような保険体制、医療体制を確立してもらいたい。 そこで、救急医療の問題をちょっとお尋ねいたしますが、日曜あるいは祭日、夜間、この救急医療については、全国的な地方自治体の頭痛の種になっております。理由は申し上げるまでもなく、救急患者が激増する反面、受け入れ体制があまりにも不備であるということです。三者三泣きといいますか、自治体も泣いております、医者も泣いております、患者も泣いております。どえらいこれは問題なんですが、一つのモデルケースとして、患者がどのようにふえているかを北九州市の例をあげてみますと、四十三年四千五百六十六人、四十四年五千四百九十一人、四十五年七千三十二人、四十六年八千八十七人、四十七年九千五百十二人と、五年後には二倍以上に患者がふえているわけですね。救急医療というのは国または自治体の医療行政としての責任でございます。そういうことでございますので、これに必要な財政的負担というものは、国や自治体が責任をもって行政の推進に当たらねばならないと、私はこう思うのであります。たとえば、公的救急医療機関の設置並びにそれに付随するところの諸経費などについては思い切って措置すべきである、国ないしは地方自治体が、予算といい施設の増設といいやるべきである、このように思うのでありますが、これについては、まず厚生大臣とそれから自治大臣に意見をお聞きしたいと思います。
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げます。 救急医療の重要な問題につきましては、御指摘のとおりでございまして、私どもも真剣に取り組んでおるわけでございます。大体の体制につきましては、御承知のように国公立病院を中心として救急医療センターというものをつくり、各市町村ごとには救急医療に従事される病院を指定される、こういう仕組みになっておるわけでございますが、夜間、休日、特にそういうところに非常に大きな問題があると考えております。救急医療センター等につきましては、国公立につきましては国が財政援助をいたしておりますし、それから自治体等が医師会その他と相談なさって協議会をつくって、こういう事態の収拾に当たるということが必要でございますので、夜間、休日におけるそういう救急医療につきましては、対策協議会をつくるということで財政援助をいたしておるような次第でございます。
○江崎国務大臣 御指摘の点は全くもっともでありまして、御承知のように脳外科医の応援要請、医師の待機、それからあきベッドの保障に要する経費、こういったものについて、ちょうど昭和四十六年の集計が出ておりまするが、約六億円、特別交付税という形で支給をいたしております。
○大橋(敏)委員 それではもうほんとうに話にならないわけです。現在、先ほど言いました北九州市は百万都市でございますが、救急告示病院というのはたった五つなんです。ただ救急協力病院という姿で体制がしかれておりますけれども、これは法的根拠は何にもないわけですね。この告示病院システムというのは、昭和三十九年二月に省令で出ているわけでございますけれども、その中身を見ますと非常にきびしい条件があります。しかしながら、それに携わる職員あるいは医師、看護婦等に対する援助といいますか、そういうものは何ものもないわけですよ。ですから、この告示病院システムの省令を受け取った地元の医師会などは、これは紙きれだけで金は出さない、投げやり的な国策である、このようにいまでも抵抗いたしておりますよ。 つまり、医者の善意にも限度があるというものです。確かに夜間の診療あるいは救急問題で、連日のようにお医者さんも御苦労なさっております。医者といえども人間ですから、疲労は重なるはずですよ。夜通しのように治療して、そしてあくる日はまた一人前に、自分のところに来る患者さんを見なければならぬ。疲労が重なりますと、偶発的に医療事故も起こり得るですね。起こる場合がありますよ。ところが、もしそういう医療過誤を起こそうものならば、住民あるいはマスコミ等から過酷なまでにたたかれるわけですね。ということは、そういう善意でやっているけれども、耐えきれないで次々と協力体制からはずれていく、そういう深刻な問題があるわけです。そこで住民の不安は高まってきております。 私は総理にお尋ねいたしますが、全国的にこの実態調査を行なって、適切な措置と抜本的な対策を講ずるように指示をしてもらいたいということでございますが、いかがなものでございましょうか。
○田中内閣総理大臣 救急施設の整備等拡充しなければならないことは御説のとおりでございます。これは人命に関する問題でございますし、急病を起こしたり急な傷害等があった場合、救急車の来ることを待っておる病人、けが人等の心情は、私も理解できるわけでございます。完ぺきなものであるとは考えておりません。これからひとつ実態調査もいたしながら、実情に合うように施設や制度が整備されていかなければならないという考えに対しては同感でございます。
○大橋(敏)委員 早急に全国的な実態調査、そして適切な措置、抜本対策を行なっていただきたいという要望に対して、大体その趣旨に動くとおっしゃった返事だと受け取っております。 そこで、もう一つ問題点があるのですが、救急作業にあたって、現在、救急車にしろ救急隊員にしろ、その方は消防署に所属しているわけですね。極端な例になるかもしれませんけれども、救急医療指令センターの指示を受けてある家庭に行った。そこに病人がいた。ところが、その病人は重体で、あるいはもうなくなっているのではないかというようなこともあるわけですよ。ところが、医者でない消防署の救急隊員は、これはなくなっていますよとか、あるいはどうのこうのという判断はできないわけです。だから、指令センターの指令のままにとにかく運んでいく。 こういう実例があるのですよ。これは福岡県の中間市のK外科医の話でございますけれども、ある日の朝七時ごろ救急患者が運ばれてきた。手術台に運んでみたところがもうすでに死亡していたというわけです。だから、それからもう治療じゃございませんですね。患者の身元をどこだろうかということで調べた。それが、やっと身元がわかったのが昼だそうですよ。それが熊本県のいなかのほうだったので、連絡が届いて、実際に家族の方がその病院に着いたのは夜の九時だそうです。そこからすぐ警察のほうに連れていかれまして、いわゆる調書をとられて、病院に戻ってきたのは夜中の十一時。いよいよその死体が運び出されたのは夜中の十二時を過ぎていた。一日じゅう医者は拘束されているわけですね。そしてまた、治療したくともできない、死体がありますからね。そういう現状です。 お医者さんの善意ではあっても、そういう現実がございます。というのは、経済的な問題をいえば失礼になるかもしれませんけれども、そのときの収入というのは死体検案料と死亡診断書料、これだけしか入らぬわけですね。一日じゅう精神的にも悩み、そしてからだを拘束され、いろんな問題があるにもかかわらずこういうことでございます。 私が言いたいことは、救急車の中に医者や看護婦が同乗すれば一切がっさい解消するわけでございますけれども、こういうことから考えまして、救急車の配備をこれから先は公的救急医療センターに移すことを真剣に検討する必要がないかどうかということですね。これは自治大臣と、同時に厚生大臣にお尋ねします。
○江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重要だと思います。ただ、消防が消防法に定められて搬送業務に従事しておるわけですが、これは御承知のように二十四時間勤務です。そして火災にいつでも出動できる体制についておる、生命、財産を守る、こういうたてまえから搬送業務をやっておるわけでありまして、いまのところ大体、まあ十分とはいえませんが、よくやっておるというふうに思うわけですが、御指摘のような問題も当然また起こりそうなことだと思います。 したがって、救急医療センターなどでも搬送業務をカバーしてもらう、一緒にやってもらう、こういうことは将来の検討題としては望ましいと思いますが、現段階としてはやはり消防庁にゆだねていただくことのほうが適切ではなかろうか。個々のそういった問題につきましては、これはやはり政治の面において行き届いた施策をしていくようにしたいというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 厚生大臣、ではあとでまとめて意見を聞きますが、実はよい例があるのです。これも北九州の例をとるのですが、北九州市と医師会が、初めての試みといたしまして救急医療指令センター、これは市庁舎の三階に設けてありますけれども、そこに医者を詰めさせたわけですね。そして専門医等の紹介に当たったところが、次のような結果が明らかになった。詰めたのは三日間でございますけれども、受付件数、いわゆる一一九番でばっと入ってくるのが千四百二十八件あったわけです。そのうち九十二件は、電話の応対だけで処理ができた。医者ですから、その状態を聞くと、これはこうしろ、ああしなさいで、本来ならば救急車が飛ばなければならぬ問題が、電話応対だけで九十二件はできた。百十件については救急車が出動した。残りは指令センターの係員の応対で納得したということですね。これまたわかったことは、医師の立場から見て、およそ救急に値しない件数がかなりあったということでございます。 そういうこともあわせまして、いまの消防庁所管を救急医療センターに置く、そういうことにつきまして厚生大臣……。
○齋藤国務大臣 患者の搬送につきましては、自治大臣から仰せになりましたとおり、そういうたてまえにはなっております。しかし、一刻も争って命を救うということが大事であるという気持ちにつきましては、私も同感でございますから、今後自治省のほうとも十分相談いたしまして、救命という面から、もっと連絡をよくするような方法がないかどうか、十分研究させていただきたいと思う次第でございます。
○大橋(敏)委員 最後に、総理に一言御意見を聞きますが、救急車の所属問題、あり方、さらには救急医療体制の協議会を各自治体、地域に持ったらどうだろうか。たとえば自治体と地元の医師会と地元住民代表と、先ほど言う死体の問題もありますので、警察を含めた四者会談といいますか、そういう協議体を早急につくらせて、この救急医療体制に対する具体的な推進をはかる必要があるのではないか、こう思うのでございますが、むしろこれは総理のほうから、こうあるべきだ、こうしなさいと具体的に指示をお願いしたいところでございますけれども、いかがなものでございましょうか。
○田中内閣総理大臣 救急の問題が重要であることは、もう申すまでもないことでございます。しかし、いまあなたがなかなか具体的な例をあげられて、救急の申し込みがあっても、これは事前に専門家が処理するために、搬送車が出動しなくてもよかったというような例もあるわけであります。そういう問題、組織、それから、これから費用負担の問題、いろいろな問題がございますが、先進国の例にも徴して、より合理的なものに仕上げていかなければならないということはもう当然のことでございまして、まず厚生、自治の間で十分話し合いをして、そして実態調査等を行なって、より合理的な方法、いま御指摘になったようなそういうものが必要であるかどうかの問題も含めて、やはり救急体制の完備、完ぺきな救急体制というものをつくるにはどうあるべきかということには、勉強をすべきだと思います。
○大橋(敏)委員 それでは、救急医療と非常に密接な関係を持っているのに、輸血用の血液の問題がございます。 昭和二十六年、御承知のように売血制度が実施されまして、そのときには血清肝炎や、あるいは血のとり過ぎからばたばたと倒れるという事態が続発したわけです。そういうことから売血制度の弊害が大きな社会問題となりまして、ついに、三十九年の八月でしたか、政府は閣議決定で、保存血液の確保は日本赤十字または地方公共団体による献血によるべきことを決定したはずでございます。 そこで、その後だんだん献血が増加しまして、たいへん喜ばしいことではございますけれども、ここにも幾つかの問題点がありますので、これからお尋ねするわけでございますが、まず第一に、人の血液というものは生命の根源である、人体の一部である、生きた組織でありますので、売買の対象とするものではない、これは誤りだということから、先ほど言った献血制度が設けられたわけでございます。したがいまして、血液というものは、法的にも一般薬品あるいは注射液とは明確に区別して処理されるべきものであると、私はこう思うのであります。薬品と区別した特別の立法化の必要はないか、これはいかがなものでしょうか。
○齋藤国務大臣 お答え申し上げます。 血液製剤の問題につきましては、ただいまお述べになりましたように、国民の献血思想に基づきまして御供出いただくほんとうにあたたかいものでございます。これはもちろん、人間のからだ、臓器の一部ということはいえるでしょう。ですから、薬でないことも確かでございますが、人体に施用されるという面を考えて、その安全性を考えて、今日まで薬事法の規制の対象にいたしておるわけでございます。けれども私は、血液製剤の将来のいろいろな研究が進むに従って、やはりこれは別な角度で考える必要があるのじゃないかというふうにも考えておりますので、この問題につきましては今後前向きに検討させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 それでは次に移りますが、わが国の血液というものは、ほとんど全血として使用されているわけです。外国では全血として使用するものよりも、血液成分製剤あるいは血液分画製剤として使用するものが非常に多いということでございます。最近わが国でも血液をいろいろの成分に分けて、病人にその必要な部分だけを体内に入れてやるという方法が進んでいるそうでございます。いわゆる血液成分製剤あるいは分画製剤というものです。 わかりにくいと思いますので、見本を持ってきました。これがいわゆる全血というものですね。血液そのものです。日本はほとんどこれで使用されているわけですね。外国はこの血液を抜き出して、成分ごとにいろいろと分けるわけですよ。成分製剤というもので、これがそうです。それから、これをまたさらにこまかく分析して、分画製剤というのがあるわけですよ。これがそうなんですが、このいわゆる保存血液というのは、二十一日間しか期限がないわけですね。あとはこうした成分製剤に加工されるわけです。 ここで私が問題にしたいことは、要するに成分製剤にしていくその作業がほとんど民間メーカーに依存されているということでございます。こちらは二十一日間しかもてませんからね。そうでしょう。ちょっと、まずこれを確認いたします。
○齋藤国務大臣 いまお述べになりましたとおりだと存じております。
○大橋(敏)委員 それではお尋ねいたしますが、その民間メーカーで製造されている製剤の原料はどのようなルートで入っているのかということです。
○齋藤国務大臣 民間で主としてやっておりまする分画製剤というのでございますか、それは一部売血も入っておるというふうに承知いたしております。
○大橋(敏)委員 先ほど、売血が禁止され、そして献血に変わった理由は申し上げましたですね。そこで、時間があればゆっくりと中身を御紹介したいのですけれども、献血は、先ほど言いましたように二十一日間の有効期間です。それを過ぎますと、それがほとんど民間メーカーに流れるわけでございますが、それはきわめて少ない量ですよ。しかし需要はもっとある。ですから、いま厚生大臣がはっきりおっしゃったように、売血が行なわれているわけですよ。問題ですね。だからこそこうした血液問題は、いわゆる公的医療機関に血液センターというものをつくって処理されていかなければいかぬということを私は言いたいわけでございますが、現在の売血の実態はどうなんでしょうか。たとえば一人二百ccですか、二百ミリリットルですか、これに対してどの程度のお金で売買されておるか、御存じでしょうか。
○齋藤国務大臣 薬務局長から答弁いたさせます。
○松下政府委員 ただいまお尋ねの民間の血液製剤業者、その中には、会社組織のものもございますし、それから公益法人のものもございますが、そこで使用されております血液の量は、全血液製剤の量の中の約二%ぐらい、その一部につきまして、大臣からお答えいたしましたように、売血によるものがございます。売血の価格は大体二百ccで六百五十円ぐらいというふうに承知をいたしております。
○大橋(敏)委員 私の調べでは、その倍以上ですよ。厚生省は、血漿分画製剤は本来、日赤を含めた公立血液センターで製造されることが望ましいと、こう指摘しておりながら、このように白昼堂々と売血行為が行なわれていることを承認し、しかも放置しているというこの姿、これはいかなる理由であるか、まことに矛盾しているんではないか、こう私は感ずるのですけれども、この点はどうでしょう。
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げますが、血漿分画製剤につきましては、現在、先ほど来お述べになりましたように、民間でやっておるのが中心でございますが、日赤その他につきましては、御承知のように、保存血液等をいたしておりまして、日赤だけでこれを全部血漿分画製剤までやれるかということになりますと、なかなかいまの規模等では実施しにくい面があります。やはりそれぞれの持ち味を出し合って血液全体の需要をまかなうということが必要ではないかと思いますが、気持ちとしては、おっしゃるとおり、そういう方向にいくことが望ましいものだ、こういうふうに私は考えております。
○大橋(敏)委員 時間の関係もありますので次に進みますが、要するに、人体の一部を買い取って、その血液からまた製剤として利潤を得ていくということは、二重の売血行為である、こう私は思っているわけです。 そこで、これはもう総理にお願いしたいところでございますが、これに示しました分画製剤、これは日赤でつくったものでございますけれども、これは、よく問題になっております種痘禍にはこれが一番きくんだそうです。みごとにきくんだそうです。だけれども、これは早くからこういうのをつくったほうがよろしいですよという意見は出ておりながら、さっぱり予算化されないですね。それをつくるための整備予算がつけられないのです。思い切って公立血液センターの整備を全力をあげてなさるべきだ、そのためには予算も大いに出すべきである、私はこう思うのですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 ただいまいろいろの貴重な御意見を拝聴いたしまして、たいへん参考になりました。しかく重要な問題でございますれば、十分財政当局としても考慮いたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 血液の需要は、現在の献血者の三倍ぐらい必要だろうということはもうはっきりしているわけです。現在の献血している人の三倍の数を必要とするといわれておりますが、これに対してどのような対策を練られているかということですね。それから聞きましょう。
○齋藤国務大臣 お尋ねの足りるか足りないかという問題なんでございますが、保存血液につきましては、まあまあ大体需要に見合っていけると思いますが、分画製剤、成分製剤につきましては、多少足りない向きもあるのではないだろうかということを実は心配しておりまして、三倍ということはないとも思いますが、来年度におきましては、需給の見通し等につきましてもう少し慎重に検討いたしまして、需要をまかない得るように努力いたしたいと考えております。
○大橋(敏)委員 先ほど言ったように、いま分画製剤あるいは成分製剤等はほとんど民間ですよね。売血で行なわれているわけですよ。その売血の実態を調べてみましたら、採血の場合、赤血球だけをもとのからだに返せば人体の血液は薄くなることはない、影響はないという考えをもって、法律違反ではないのだということでどんどんとっているわけですね。大体一人一週間に二回とって、年間百回ぐらいとっているそうですよ。これはもうえらいことですよ。だから私は、需要はもっともっと多くなる見通しですから、これは公的な立場で、努力する程度のことではなくて、ほんとうに計画を立ててもらいたい、これを言いたいわけです。 時間の関係もありますので、次に移りますけれども、要するに、献血者を大切にしなければなりませんね。それで、一人分を採血して最終処理まで経費が幾らかかるだろうかと調べてみましたら、大体昭和四十七年で二千百五十三円、四十八廣の予算の見積もりが二千三百六十六円になっておりますが、これは人件費あるいは材料費、経費、事業外費用、機関外費用といろいろずっとあるのですけれども、その中に処遇費というのがある。処遇費は、昭和四十七年で三十九円、四十八年度の見込みで六十四円になっておりますが、これがいわゆる献血者に対する謝礼の意味が含まっているわけです。これまでは献血バッジ、献血手帳、ジュース、これだけがいわゆる献血者に対する気持ちの返しですね。これでは私はほんとうに申しわけない。実は、三重県にいま実施されていることは、献血にいらっしゃいましたその人の採血した血の一部分を利用して、その人の健康診断をするんだそうですよ。そうしますといろいろなことがわかるわけですね。非常に喜ばれているそうです。つまり、献血者のとった血からその一部をさいて健康診断をしてあげる。非常に喜ばれて、途中下車までして三重県で献血をしていく人が非常に多いということでございますが、こういう三重県方式といいますか、これを全国に普及なさる考えはございませんか。
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げますが、売血につきましては、できるだけ私どもも取り締まりをきつくいたしまして、ほんとうに国民の献血思想に基づいたあたたかい、そうした献血ということで将来ともいきたいと考えておりまして、その献血された方々につきましての処遇についてのお尋ねもございましたが、これで私も十分だとはもとより考えてもおりません。処遇につきましては、今後とも努力をいたします。 それと同時に、ただいまお述べになりましたような、三重県におきましては、献血された方々にその機会に健康診断までしてくださる、私は非常にありがたい方式だと考えております。できるだけ各方面ともそういうことが普及されることが望ましい、かように考えておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 総理、献血者に対していままでは三十九円、今度これが六十四円ぐらいの経費が見込まれてきたわけでございますが、実は、先ほど言いましたように、バッジと手帳とジュース、これであったわけですが、こういうことでは申しわけない、献血者の真心に報いるためにはということで、三重県の献血センターの所長さんがずっと考えた末提案し、それが三重県では取り上げられて、非常にこういう好感を持たれている。先ほど申し上げましたように、途中下車をしてまで献血をしていこうという方がたくさんいる。先ほど言うように献血者の三倍の見込みが立っている今日でございますし、こういうことは非常に大事なことであろうと思うのです。こういうすばらしいことは全国的に普及すべきものであろうと私は思うのでございますが、総理としての所感を聞かせてもらいたいと思います。
○田中内閣総理大臣 お話を聞いておりまして非常にいいアイデアだと、こう思います。献血という国民の好意によって国民全体の健康が守られるということでございますから、献血が行なわれるように、また、供給というものが十分確保できるようにするためには、いま述べられたようないいことは、これはもう日本じゅうに普及するということはもちろんでございますし、外国等でとられておるもっといい例があれば、そういうものも取り入れながら完ぺきな制度をつくっていかなければならぬと、こう思います。
○大橋(敏)委員 血液の成分、分画製剤等は非常に需要が高まっているにもかかわらず、大病院しか手に入らないのが実情でございます。欧米先進諸国は必要量の二年間分くらいは貯蔵して緊急の場合に備えているということでございます。わが国は全くおそまつでございまして、もしやけどをするような患者が一挙に大量に発生したならば、たとえばガス爆発だとか大地震などが発生したならば、みすみす助かる人も助からない。死んでいってしまう。民間メーカーに依存している現状では解決できない。抜本的な対策を早急に講ずるべきであると私は主張いたしまして、この血液問題については終わりたいと思います。 それでは最後に年金問題に移りますが、四十八年度中五万円年金が受給できる人は実際に何名いるのか、具体的に説明願いたいと思います。
○齋藤国務大臣 お答えいたします。 御承知のように厚生年金、国民年金、五万円年金、すなわちそれは一定の基準のものについて五万円ということを考えておるわけでございますが、それと同時に、すでに御承知のように、厚生年金につきましては従来年金をいただいておる方々がどうなるか、これはやっぱり一つの問題です。それから国民年金につきましては、十年年金というものはどうなるかということも含めまして、ひとつ数字を申し上げてみたいと思うのでございますが……。
○大橋(敏)委員 五万円年金が現実に四十八年度中にもらえる人数の推計はどうかと聞いている。それだけでいいです。
○齋藤国務大臣 それで、そういう前置きをしてお答えを申し上げますと、昭和四十八年度中に厚生老齢年金をいただく方は八十一万人ございます。そのうちで五万円あるいは六万円、こういうものをいただける方は八万五千から大体九万ということでございますが、同時に既裁定年金の受給者も先ほど申し上げましたように標準報酬の再評価をやりますから、この八十万人のうち大体四十七万、約五十万人の人は、大体平均の老齢年金として受ける金が一万九千円でございますから、それを再評価いたしますと四万一千円になる。八十一万人のうち五万円以上をいただける者は大体八万五千から九万人、四十何万人という方は四万一千、二千円という金額になる、こういうふうに御了承を願いたいと思います。 国民年金につきましては、御承知のように制度が二十五年ということの期間でございまして、制度発足以来まだ十二年きりたっておりませんので、国民年金につきましては五万円年金をいただける方は一人もございませんが、十年年金をいただいておる方は夫婦一万円、それが二万五千円ということに上がるということを御了承願っておきたいと思います。
○大橋(敏)委員 ずいぶん数字でごまかそうとしていらしゃいますけれども、私が厚生省の年金局で調べた数字とはだいぶ違うですね。もう現実問題、五万円受ける人というのは三万程度だと言っていました。これはあとで確認してもいいですよ。 そこで、まず厚生年金の立場からいけば、今回は二十七年で計算していらっしゃいますよ。二十七年。数字のつじつま合わせではないかと私は言いたいところですよ。厚生年金の基本パターンというのは加入期間は二十年でしょう。二十年で六十歳になりましたならば支給いたしましょうということですよ。したがって、平均標準報酬額に二十年をかけて計算するのが至当でございます。あの一万円年金のとき、厚生年金がいわゆる一万円年金といわれたときの試算は二十年で計算されているではありませんか。ところが、二万円年金といわれたときにはそれが二十四年四カ月に延びております。しかも今回は二十七年に延びていますよ。こういうことを考えていきますと、単なる数字のつじつまを合わせているだけだ、私はこう思うのであります。その上、平均標準報酬額八万四千六百円ということにも私は疑問がございます。これは私も私なりに一生懸命勉強しました。そうしましたら七万円ちょっとしかなりませんね、平均標準報酬というのは。だからこの計算は単なるつじつま合わせである。 それから、いま国民年金のことはあっさり認められましたけれども、この国民年金はさらに問題があるんですよ。まず基本パターンは、加入期間が二十五年、そして六十五歳になって支給開始されるわけですよ。そうですね。そうなりますと、今回示されている試算の図式どおりにしてまいりますと、現実に五万円が支給になるのはいつのことだろうか。まずいつになるのかということですよ。いま四十八年にはいない、国民年金はいないとおっしゃいましたね。だけれども、じゃ五万円年金をもらえるのはいつになるのかということですよ、国民年金の場合。どうですか、そのものずばり答えてくださいよ。
○齋藤国務大臣 いろいろのお尋ねでございましたから、お答えを申しますと、ことしもらえるのは、厚生年金については三万人程度ではないかというお尋ねでございましたが、新規にやめて厚生年金をいただける中からは、五万以上になるのは三万人でございまして、それと同時に、既裁定年金受給者の中で五万円以上になる者も相当あるということで、合計いたしまして八万幾らということを申し上げたわけでございます。それと同時に、過去の厚生年金あるいは国民年金も同じでございますが、一万円年金から二万円年金にした場合には、お尋ねのように賃金その他の上昇というものを頭に描いて二万円年金というものを現在つくったわけでございますが、今回の五万円年金という構想は、昭和四十八年度において老齢年金を受けるであろうという人々がどのくらい加入しておったか。大体平均いたしますと二十七年入っておる。その人たちの平均標準報酬はどうであろうか。八万四千円。したがって、その八万四千円の六割の額を保障する、こういうたてまえになっておることを御理解いただきたいと思います。 それから、最後のお尋ねの国民年金につきましては、これは御承知のように制度発足以来まだ十二、三年きりたっておりませんから、五万円年金をもらうにはだいぶ先になるということは、二十五から十二を引いたもの、それだけあとになる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
○大橋(敏)委員 いま厚生大臣おっしゃるような国民年金の計算ではないのですよ。要するに今度厚生省が発表しましたのは、その試算の図式どおりの条件がそろって初めて五万円年金になるということでしょう、あの図式は。そうなりますと、国民年金は昭和三十六年開始ですよ。所得比例は四十五年に始まっておりますよ。それから、今回妻の所得比例が新設されましたけれども、これはことしからですよ。お互いに二十五年かけられているわけですよ、二十五年ずつ。そうしますと、たとえば今回所得比例の妻の分を考えていきますと、いまから二十五年先になると昭和七十三年になるわけですよ。そういうものがすべて条件が整って初めて五万円だというわけでしょう、この計算は。しかも夫の年金が二万円、妻の年金が二万円、プラスするところの所得比例、夫が五千円、妻五千円で五万円ということですから、これは一人でやっては計算にならぬわけですね。必ず夫婦の計算になっていますよ。夫婦そろって昭和三十六年に三十五歳の人が、夫婦ともに年齢が一緒であって、そして任意加入の所得比例に二人とも入って初めて五万円になるということですよ。しかし現実問題は、妻の比例部分はことしからですよ。それから所得比例が始まったのは昭和四十五年ですよ。そうしたら十三年先じゃないじゃないですか。しかも、いま言った昭和三十六年三十五歳の人が二十五年たって、昭和六十一年で六十歳、これではお金をもらえませんよ、二十五年たっても。六十五歳からでしょう。五年間ここにブランクがあるわけですよ。そういうことになりますと、気の遠くなるような話なんです。これをまぼろしの年金というのです。よろしいでしょうか。これはもう時間がございませんから、ほんとうはゆっくりやりたいのですけれども、この問題は委員会に譲ります。いずれにしましても、私の計算によりますと、厚生年金で平均三万四千八百円程度ですよ。ほんとうに話になりません。時間がないから次に移ります。 スライド制を具体的に設けられたことは一応評価いたします。しかし、これが何を基準にスライドするのかということが問題です。今度の内容を見ていきますと、物価指数に五%の変化があれば、政令で定めるところによってこれをやる、こういうことですね。ところが、具体的に定める年金額は何%になるのかということです。物価が五%上がったらスライドするんだ、じゃ、スライドするときの中身ですね、これはどうなるのか。何%スライドするのか。そして、スライドしたことによって出てくる費用、それはだれが負担するのか、ここに問題がある。
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げます。 詳細はまた委員会で御審議をいただきたいと考えておりますが、国民年金につきましては、仰せのごとく制度発足当時は定額部分きりありませんでした。それが四十五年度において付加年金という制度ができて、そしてそれをあわせて夫婦で五万円にしようという構想でございまして、数字につきましてはいずれまた委員会において御審議いただけるようにいたしたいと考えております。 物価スライドにつきましては、高く評価していただきまして、まことに感謝にたえないわけでございますが、その物価につきましては、御承知のように厚生年金、国民年金につきましては、いろいろ議論のあるところでございます。国民の所得のとらまえ方がなかなか複雑でございますので、一応この際は五万円という価値を維持していくのだという前提に立って、消費者物価指数というものを頭に描いてスライドをするということが適当であろうという判断にいたしたわけでございまして、スライドの幅はもとよりそれに準じて行なわれることは当然である、かように申し上げてけっこうだと思います。
○大橋(敏)委員 私が聞いたのはそうじゃないのですよ。五%上がればスライドしていくけれども、スライドする年金額は何%するのですか。
○齋藤国務大臣 お答えいたします。 そのスライドした額によって年金額がスライドして上がっていく、それに準じて上がっていくわけでございます。 それと同時に、いまお尋ねの中のもう一つの財源をどうするかという問題でございますが、これはもう少し研究しなければならぬ課題でございますので、もう少し検討するということの検討項目にいたしておるような次第でございます。ことしはこの法律が通りましても、ことしじゅうに起こるということはまあないであろうということで、慎重に検討いたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 あとの分は検討の要はありません。これは国が負担すればいいのです。これは国の責任でそういう経済状態が変わり、あるいは変わっていくわけですから、国が責任を持つ。 先ほど物価指数にスライドさせたというお話でございますが、私は賃金スライドにすべきではないかという意見を持っております。なぜならば、これは労働大臣に一応確認しますが、労災保険あるいは失業保険におけるスライド制は毎勤統計による賃金スライド制になっておりますね。
○加藤国務大臣 労働省の失業保険、労災保険は毎勤統計による賃金水準を基礎としていろいろきめております。
○大橋(敏)委員 いまのように賃金スライド、給与スライドというものが法律の上にもうたわれておりますが、厚生年金だけはそれがうたわれないで物価になっています。物価でいきたいというふうにおっしゃればしょうがないでしょう、百歩譲りますけれども、五%という幅は広過ぎるのではないかというのですよ。諸外国の例をとりますと、カナダは一%でやっております。スウェーデンは三%、イタリアは二%、デンマークは三%です。こういうことからいくと、わが国も三%程度でスライドさせていくという考えを持つべきであろうと思うのですが、いかがですか。
○齋藤国務大臣 物価スライドの問題につきましては、いろいろ御意見のあったところでごいますが、昭和四十四年の法改正の際には、社会保障制度審議会等々におきましても、物価スライドが適当であろうという答申をいただいております。といいますのは、厚生年金さらに国民年金は国民の所得をとらまえる方式がさまざまでございますので、そういうことになっておることを御了承願いたいと思います。 五%の問題につきまして、三%ということでごいますが、やはり五%あたりが適当ではないかということで五%にいたしておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 もう時間の関係がございますので、次に移ります。その深い問題は委員会に譲ります。 昨年年金の併給問題で神戸判決がありましたですね。これに対して前塩見厚生大臣は、すべての年金、福祉関係の法律を全面的に洗い直したいい、こう言っておりますが、これについてお答え願いたいわけですが、どのように洗い直されたかということ。 その前にこれは法務大臣に、この神戸地裁の併給問題に対する判決についての感想を、まずお尋ねいたしましょう。
○田中(伊)国務大臣 ちょっとひとつ御了解いただきたい。この神戸判決は行政庁が不服の申し立てをしまして、目下大阪高等裁判所に係属中でございます。係属中の事案に関しましては、民事、刑事にかかわらず、行政府、立法府で論議をすることは、司法独立の精神を尊重して遠慮をするということになっておりますので、そこで、その見地でなしに、私は幸か不幸か訴訟を指揮する担当大臣でもございますから、こういう理由で控訴をしたのだという控訴理由の説明を国会で行なうことは一向差しつかえがない、評論ではない、こういう立場で一口私の感想を申し上げます。 それはこういうことでございます。身体障害の母親が児童をかかえておる、自分は障害年金をいただいておる、同時に児童に対しては扶養手当をちょうだいしたい、こういう場合に、障害年金を受けておる母親のうち、ある母親には扶養手当を与える、ある母親には児童扶養手当を与えないのだ、こういう不平等な法律内容であります場合には、この法律は平等の原則に反するという意味で、憲法違反の法律であるという認定もやむを得ないのではないか。そうでなくて、障害年金を受けておる母親は、およそ国内においてどんな立場に立つ人であっても、障害年金を受けておる母親全体が児童扶養手当を受けることができないのです。こういうことであります場合には、憲法上不平等な取り扱いということがいえないので、憲法違反の法律であるということはいいかねる、こういうふうに解釈をいたしまして控訴の手続を踏んでおるのでございます。
○齋藤国務大臣 児童扶養手当と老齢福祉年金または障害福祉年金につきましては併給することといたしまして、法改正の準備をいたしておりますから、今度の国会に提案する予定でございます。
○根本委員長 大橋君、あなたの時間は経過しております。結論をお願いします。
○大橋(敏)委員 すぐ終わります。 それでは一つお尋ねしますが、児童扶養手当は、昭和四十六年は二千九百円でございました。それが四十七年には四千三百円、四十八年には六千五百円になりました。それに比べて児童手当、これは話はいまのと違いますよ。児童手当と児童扶養手当の違いを言いたいところです。児童手当は四十六年が三千円、四十七年しかり、四十八年しかり。所得制限もずいぶん差別がなされております。児童手当の場合は、昭和四十六年の所得制限は二百万、児童扶養手当は百八十万。四十七年は、児童手当は二百三十万、児童扶養手当は二百五十万。四十八年は児童手当は二百六十六万円^児童扶養手当は六百万円。まず第一に金額が、児童手当は三千円がずっと続いております。四十六、四十七、四十八年と。児童扶養手当は二千九百円から六千五百円に上がっております。法律には、児童手当のほうにはスライド制が規定されております。児童扶養手当のほうにはスライド制はないのにぐんぐん上がっております。非常に矛盾があるのではないか。同じ児童家庭局の所管でありながら、目的がいずれも児童福祉でありながら、矛盾ではないかということです。
○齋藤国務大臣 御承知のように、児童手当は昨年の一月から実施いたしておりまして、しかも三年計画で段階的に実施する、こういうたてまえになっております。すなわち、昨年は五歳未満の子供、ことしは十歳といったふうに段階別に行なっておりまするので、児童手当につきましては三年段階で行なっております。そういうことで、その段階が全部済んだ段階で見直す必要はあろうかと思いますけれども、児童手当につきましては、従前のとおり三年段階方式でいくことが望ましいと考えておりますので、金額についてもふやしていないわけでございます。
○大橋(敏)委員 納得いきませんですね。員数のほうは、不満ながらも厚生省あるいは政府がきめた段階制になったわけですから、これはやむを得ぬとしますけれども、金額のほうは法律にスライド制がうたってあるわけですよ。当然経済事情、生活水準に合わせてこれもスライドすべきである、これを言っているわけですよ。児童扶養手当のほうは、スライド制はないにもかかわらず上がることはいいんですよ、いいけれども、ちゃんとこれは母子福祉年金のそれと相対して上げられていくわけです。児童手当のほうは据え置きされている、ここに矛盾がある、こう言っているわけです。
○齋藤国務大臣 御承知のように児童手当は、三年ということで段階的に行なっていくわけでございますので、それで私はけっこうでないかと思いますが、スライド制の問題は、自動式スライド制ではありませんで、三段階方式で完成した段階で十分考究いたしたいと考えておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 もう時間が来たようでございますので、これは非常に重要問題でございますので、社労委員会に移すことにいたします。 そのほか要求大臣があったわけでございますが、時間が来ましたので、本日はこれで終わります。(拍手)
○根本委員長 これにて大橋君の質疑は終了いたしました。 午後一時三十分委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ————◇————— 午後一時四十四分開議
○根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行します。大原亨君。
○大原委員 昨日、経済審議会から新長期計画、つまり経済社会基本計画、この答申が総理大臣に出されたわけでありますが、閣議の決定はいつになりますか。また、これを一通り読んでみますと、日本列島改造論は雲散霧消したというか、大体新全総ベースじゃないか、こういうふうに思います。私は全部読んでおりませんが、大体そういうように思います。しかし、雲散霧消したということでもなしに、新全総と列島改造論の関係がもちろん深いわけでありますが、この問題について、私が指摘をいたしました点について、閣議決定の問題と一緒に総理のほうから御答弁いただきたい。
○小坂国務大臣 御承知のように、昨日審議会の答申をもらいまして、これは来週早々の閣議にかかるようになると思います。そうお願いしたいと思っております。 そこで、御承知のように、新経済社会発展計画、これが四十五年の五月にできたわけでございますが、その後の状況にかんがみまして、この新しい「経済社会基本計画 活力ある福祉社会のために」というものを審議会において決定したわけでございます。いまおっしゃる大原さんの新全総ベースという考えでございますが、これはもとより政府のつくっているものでございますから、それに関係ないわけではございませんけれども、新全総のほうは五十年を基点として見直そうということにしておりまして、新全総に関するいろいろな現実との適合の問題は目下別に検討している、こういうわけでございます。
○大原委員 この新計画は、九%程度の成長率を予測いたしておるわけですが、これはABCの型からいいますと、B型だと私は思ったわけですが、これはかなり高度成長であります。これを伸ばしていきますと、昭和六十年にはGNPは、四十五年の価格で大体二百兆円になるのですか。三百兆円になるのですか。
○小坂国務大臣 この計画は、実は公害の問題とかそういう新しい問題に対処する気がまえがわりあい少なかったという点を非常に大きく取り上げておりまして、東京、大阪、名古屋というような地点、ことに東京湾あるいは大阪湾、伊勢湾北部、そういうようなところの水質も含めて、そうしたものの環境をどうするかという点に非常に意を注いでいるわけでございます。もとよりGNPの関係も大事でございまするが、ことしのところの計画では、明年は成長率一〇・七ということにすでになっておるわけで、これを今後九%ベースにしますためには、だんだんこれが下降する、成長率を、少し成長の速度を下げるということになっていくと思います。ただ、御承知のように四十六年の不況二年目でございますので、不況の立ち直りもこれを完成させなければならぬ。そうすると、この勢いを急に下げるわけにもいきませんので、九%というふうにしているわけでございます。 この新しい計画と別個に新全総の見直しの問題がありますことは御指摘のとおりでございまして、これをどうするか。新全総の新々全総と申しますか、この見直しの場合におきまする終結点のGNPについては、まだきめておりません。
○大原委員 この中の指標で九%程度の実質成長率ということになりますと、名目では一五%をこえると思うのですが、またこの指標の中で、物価の一つの目標を四%にいたしておるわけです。これは本年の経済見通しの五・五%からいえば低いわけですが、しかし、四%というのはべらぼうに高い数字であります。昭和四十年の佐藤内閣が初めて閣議決定いたしました中期経済計画では、二・五%を五年目に達成することを物価安定の目標にいたしておったわけであります。それからその後、実態とこの計画がすぐそごを来たしまして、経済社会発展計画をやり、新経済社会発展計画をやりましたときには、三%程度を物価安定の目標にいたしておるわけです。この新経済基本計画は物価が四%程度。中の数字を見てみますと四・九%というところがあります。四%台ということで、四・九%ですから五%にも近いわけですが、そういう数字があるのです。これは超高度成長のベースではないか、安定成長のベースではないのではないか、こういう点を私はいままでの反省をしながら指摘をいたしておきますが、経済企画庁長官の見解はいかがですか。
○小坂国務大臣 御指摘のように、四%というも、のは決して低い数字じゃないと思います。しかし、過去のわが国の消費者物価を見ますと、四十五年が七・三、四十六年が五・七というふうでございまして、ことしのところも、御承知のように五・五は、政策努力の結果そこに落ちつけたい、こういっている数字であるわけでございます。したがって、ここに今後の五カ年間の計画を考えます場合に、これを四%台に持っていくということにつきましては、やはり初年度が五・五でございますから、相当に五年後には下がるという設定をしなければ四%にならぬわけでございます。したがいまして、そういうことがいまの経済の実態から可能であろうかということも勘案いたしまして、何としても四%のところで物価の問題は平均させたい、こう考えておりますわけでございます。
○大原委員 新計画によりますと、これは一つの特色ですが、環境問題と福祉や社会保障の問題をやや具体的に取り上げている。しかし計数的に、あるいは各方面から検討いたしますと、問題が一ぱいあるわけですが、この前の総選挙でお互いに、福祉優先とか人間尊重、流れを変えようということを議論してきたわけですが、この新長期計画によりますと、国民所得に対する振替所得は社会保障の給付費と若干のズレがありますけれども、振替所得の比率をもって大体社会保障の水準を示すわけです。国際的にはそういう数字ですが、その国民所得に対する振替所得の比率を八・八%というふうにやっておるわけです。現在の振替所得、昭和四十七年度、四十八年度でもよろしいが、振替所得は幾らであって、そして目標年次の五十二年、五カ年の後には振替所得は金額で表示するとどの程度になるかという点をお答えいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 パーセンテージで申しますと、四十七年度が六・〇で四兆五千億円、五十二年度が八・八で十二兆円ということになっております。
○大原委員 四兆五千億円で、国民所得に対する振替所得の比率が八・八になると、政府の案では十二兆円、大体三倍の金額になるというわけです。ただ私が、計画が出る前に八・八という数字を頭に置きまして試算をいたしてみますと、私が試算をいたしましたのは、本年の名目一六・四%、実質は一〇%程度の成長率と見た場合には十四兆円になるわけです。 私どもは、国民所得に対する振替所得の比率をヨーロッパ並みの一五%に引き上げていく、西ドイツは二〇%をこえているわけですから、少なくともそういうヨーロッパに追いついて追い越すような、そういう社会保障の水準を私どもが得ていくことが、国際的にも公正競争のバロメーターになるし、これは、生活水準でいろいろ観念的な議論をするよりも、このことが非常によく国際的にも通ずるし、実質的なわけでありますから、そういうふうに考えておるわけであります。一五%以上、同じ高度成長の二〇%程度の比率を計画的に達成することが必要である、こういうふうに考えておるわけです。 私が試算いたしました十四兆円という数字はともかくといたしまして、新計画でやっております十二兆円ですが、この十二兆円の中身ですね。振替所得十二兆円を目標といたしましたその中身は、一体どういうものでありますか、作業の経過を含めて簡単に御答弁いただきたい。
○小坂国務大臣 今度の計画の大きな目標は、大原先生御承知のように、福祉の倍増、それから公害の半減ということが大きなねらいになっておりまして、社会資本のほうで申しますと、政府の固定資本ストックが四十六年度で四十七兆円、これが五十二年度で百七兆円、二・三倍でございます。 いまの社会保障の関係で申しますと、政府から個人への移転、振替所得でございますが、四十七年度が四兆五千五百億、それから五十二年度が十二兆三千億、二・七倍でございます。物価の上昇を除きましても、二・二倍というふうな計算をいたしておるわけでございます。 公害の関係でございますと、硫黄酸化物の排出量が……。
○大原委員 公害はよろしい。
○小坂国務大臣 よろしゅうございますか。硫黄酸化物とBODの関係はまた……。 いまの内容はどうかということでございますが、いまの日本の年金等について見ますと、先ほども御質疑があったわけでございますが、個人の負担のほうがわりあい少なくて、政府がこれに多少つぎ増しをしておる、いわば修正積み立て方式というような形でやっておるわけでございまして、そういうのを欧米のに比べますと、欧米のほうは負担が非常に大きい。受けるのも大きいが個人の負担も大きい、こういう形になっておりまして、わが国の実態からいたしますと、これはできるだけ高くするのがよろしいとは思いますけれども、さしあたりの五年のところはこの程度がよろしかろうということで、対GNP八・八%ということになったわけでございます。
○大原委員 これは全然根拠なしに、目の子で、腰だめでやっている、こういう意味ですね。そうですか。
○宮崎(仁)政府委員 御指摘の点でございますが、基準年次である四十七年度で大体この比率は六%、五・九五でございます。その内容としては、医療部門が二・五三、年金部門が一・四五、その他がいろいろございますが、一・九七ということで、大体六%ということになっておるわけでございます。これに対して二・八ふえるわけでございますが、これをどのような形で実際に割り振ったほうがいいかということは、確定した内容をまだつくっておらないわけでございます。年金とか社会施設について若干のことが目標水準に書いてございますけれども、医療、年金その他についてどう割り振るかということは、やはり非常に重要な問題になるわけでございまして、社会保障の長期計画ということをつくるということがこの計画に書いてございますが、この内容としてこの部門の割り振りをきめていただこう、こういうことにいたしておりまして、この計画では、どの部門に幾らというパーセンテージまではきめておらないということでございます。
○大原委員 総理大臣、長官、私はこの問題はかなりいままで議論してきたのですが、中期経済計画を所得倍増計画のあとで閣議決定いたしましたのは、四十年の一月の佐藤内閣の最初の決定でありました。中期経済計画は、三十九年から四十二年までの五カ年間でありますが、この政策の努力の目標はひずみの是正、所得倍増計画の中で物価その他のひずみが出てきたから、ひずみの是正、こういうことが大きな目標で、いまのような、言うなれば福祉についてかなりの関心を示しだしたときの計画であります。これは、御承知のように、すぐパンクしたわけです。そのあとの経済社会発展計画もパンクいたしました。新経済社会発展計画も現実と実績、政策と実績が乖離いたしましてパンクいたしました。これは一年ももたなかった。私はこれも、この計画はパンクするだろうと思うのです。 それでは、私は福祉の問題を具体的に議論しておるのですが、その中期経済計画の中には、生活に関係する問題では、物価が二・五%程度に、五年目の四十三年には安定させる。もう一つは、国民所得に対する振替所得の比率は、三十九年当時の五.五%から四十三年には七%程度に引き上げる、こういうふうに中期経済計画はやっておったのです。しかしその後の計画弔、七%程度に振替所得を持っていくのだということでやっていたのですが、お話しのように昭和四十七年度は六%ですから、四十三年を目標にいたしまして七%をやっておったのですが、その後ずっとたちまして、五年もたっておるわけでありますが、何ら上がっていないわけです。福祉の水準は上がっていないわけです。大体長期計画をつくって、物価の面においてもそういう福祉の面においても、ひずみ是正を必要としておったころから、何らこの計画が実行されない、国民生活に関係した問題が。ここに、いままで国民をだまし続けてきて、国民が反撃をしておる一つの理由があると私は思うのです。これは、計画を閣議で決定してつくったのですから、物価は物価といたしまして、国民所得に対する振替所得は、七%程度はおろか八%、九%、一〇%というふうに、時間がたっておるのですから上がってよろしいわけです。それが一切やられておらぬのはなぜか、問題はこういうことでありますが、私は、総理大臣、長官もそうですが、経済企画庁が非常に金をかけてスタッフをつくって、エコノミストを動員してやったこういう計画というものが、計画をつくる過程とつくった瞬間だけのものであって、幾ら自由主義、資本主義経済といいながら、誘導目標である、政策努力の目標であるといいながら、生活に関係する問題を取り上げておいて、すぐこういうふうに政策と実績が乖離して、ぽんぽん捨てられていくのは一体どういうことなんだ。そういう反省なしに、この新長期計画をやったって意味がないじゃないか、こういう意見を私は持っておるのであります。 ただいま聞いてみましてもそうですが、政府委員自体も言っておりますが、八・八%に振替所得の比率を上げると言っても、何ら裏づけになるものについてはない。腰だめである。そういうところに、福祉優先を口先で言いながら、そういう生活問題を軽視してきた政治の正体が私はあると思うのですよ。一体そういうことが起きてきたのはどういう理由なのか、どういう反省をしておるのか、この計画の担当者の長官からでもいいし、引き続いて総理大臣からでもいいから、簡潔にそのことを私は答弁してもらいたい。きょうはまあ新聞に発表されてあるわけですが、近く閣議決定するわけですが、こういうものは皆さん方のほんとうに責任のある政策なのかどうか。経済企画庁なんか要らぬのじゃないか、こういうふうに私は思うわけですが、ひとつ腹をきめて答弁してみてください。
○小坂国務大臣 所得倍増計画から中期経済計画、その他経済社会発展計画、ずっと至ります過程で、御承知のように三年ぐらいたつと見直しておるわけでありますが、これはやはり基本的には、日本の国民の非常な大きなエネルギーが潜在しておったものが引き出されてきたということで、経済の成長が予定よりも速度が速いということが根本的な問題だと思うのでございます。計画と違うじゃないかという御叱正もございますし、そのお気持ちもわからないわけじゃありませんけれども、これは予定よりも計画がうまくいかなかったのではなくて、予定の数字をこえて経済が成長したり国民の所得が上がったりしているというところに問題があって、見直しが行なわれているわけでございます。 ただいま御指摘の振替所得の問題は、今度はひとつ私ども十二兆円というものは、はっきり目標をきめてぜひそこへ持ってまいりたいという強い決意を持っているわけで、局長から申し上げたように、福祉関係の長期計画については、できるだけ早い機会にこれをつくろうということにいたしておるわけでございます。 私は、決して経済企画庁というものは要らぬことをやっておるのじゃなくて、むしろ非常なエナージェティックな日本の発展というものを引き出す作用をしている、非常に重要な作用をしていると思うのでございます。ここに至りまして福祉の問題、これを大きく取り上げまして、この問題をむしろ、私をして言わしめていただくならば、計画よりもさらに福祉を増進するというくらいの勢いでまいりたい、こう思っております。
○大原委員 それはあなたは街頭演説みたいなことを言ってはだめですよ。つまり日本の高度成長は、安定成長か高度成長かという議論の中にはまりたくないけれども、インフレのメカニズムの中で国民の貯金や資源を集中して、そして民間設備投資を中心として高度成長、超高度成長、世界的な成長をしたわけです。あとでいろいろと年金の問題等に関係して議論いたしますが、そういうことなんですね。それからこんなに物価が上昇しているのです。福祉については計画的にいってないでしょう。だから、あなたは物価庁の長官なんです。あなたは物価の主管長官なんですね。あなたの意見というものは閣議においては通らないのですよ。あなたは個人としてはかなりりっぱな方であるけれども、つまりあなたは縦割りの経済閣僚に比べましたら伴食なんですね、やっぱり。権限的にも発言力もそういうことなんですね。だから生活優先という場合には、物価庁の長官である経済企画庁長官、環境庁長官と同じように、そういうものが人間尊重とか生活優先の観点でやはり発言力を持つような制度をつくらなければ、幾らこんなものをつくったってこれは高度成長ベースで、全部生活を犠牲にするような政治が進んでいくのではないか。こういうことの反省なしに、こんな計画というものは責任もって議論できないのではないか、こう思うわけです。総理大臣、ひとつ御答弁願います。あなたは幾ら美しいことを言ったってだめだから。いまちょっと、あとで言うから……。
○小坂国務大臣 大原先生の御叱正ありがたくちょうだいいたします。 私は物価の問題について非常に強い関心を持っておりまして、まあ先般もお願いしまして閣議として物価局をつくるということを決定していただきまして、御審議をわずらわしたく考えておるわけでございます。 ただ、この物価の問題というものは、環境問題とは若干異なりまして、やはり物価というものは完全雇用政策なり産業政策なり、あるいは国民生活それ自身なりのいろいろな活動の結果が物価になってあらわれてくるわけでございまして、やはりそうした過程において、物価の問題というものはその集大成の一つとして受け取られなければならない。そうして私としては、これをやはり閣議というものできめていく。あるいは特にその中の枢要な問題については、物価対策閣僚協議会というものがございますので、それできめていく。内閣全体としてきめていくけれども、その中におきまして私がその問題について強いリードをとっていくという態度でよろしかろうかと考えておるわけでございます。
○大原委員 私が指摘したのは、物価は目標自体が四・九%なんです、文章を見てみますと。五カ年計画の目標が四・九%ですよ。ひどいものですよ。それからいままで国民所得に対する振替所得が、何回も計画を掲げて七%程度の目標を示したけれども、実行されなかった。二つの点を指摘をして私は言ったわけです。物価も環境行政もよく似ているのは何かというと、総合行政なんです。これは物価とか公害の問題は、私はいつも言うのだが、雨やあらしとは違うのです。地震とも違うのです。一つの行政官庁でやることでもないのです。全体の総合行政がほんとうに国民のためになされているかどうかというバロメーターが、物価であり、環境なんです。そういう考えなしに幾ら法律をつくったって、あなたがここで百万言を使ってしゃべったって、それは国民は信用できないというのがいままでの実績なんです。その反省なしにこういうものは議論にならぬじゃないか、こういうわけです。総理大臣いかがですか。
○田中内閣総理大臣 物価の調整という問題に対しては、閣議でも、また関係閣僚協議会を設置してこれに対処しておるわけでございますが、過去の成長の過程において、政府が当初企図したものよりも高い物価水準であったことは遺憾でございます。これからも安定的な物価政策を進めていかなければならぬことは当然でございますが、去年からことしにかけての物価上昇ということをげたにして、これからの五カ年間、四%ということを維持しようというためには、政策努力を続けていかなければならない、こう思います。 それから、先ほど御発言がありました社会保障の長期計画につきましても、安定成長という路線を確保すべく努力をしてきたわけでありますが、しかし民間の設備投資主導型ということでございまして、三十五年から四十五年、十カ年の平均成長率は一一・一%という高度成長を続けたわけであります。そういう意味で、四十七年度まででは国民所得七十六兆円、振替所得は四兆五千億ということでございましたが、今度の長期経済計画の中では、社会保障の位置づけというものを十分しなけばならないということで、先ほどお示しをいたしましたように、国民所得は五十二年百三十九兆円でございますから、ちょうど倍くらいでございます。しかし社会保障に関しては十二兆三千億、約三倍、こういうふうにウエートが置きかえられておるということは、その前提になる生産輸出第一主義から国民生活優先への転換をはかっていかなければならないということで、この長期経済計画に対する答申は、その意味では、これから十分尊重していかなければならない問題である。また、この中における社会保障関係費というものに対しては、より増大をはかるような方向で努力をしなければならないということでございまして、その年度その年度はいろいろな情勢の変化がありますので、財政上の事情その他も勘案しながら考えなければならないと思いますが、今度の答申を受けた経済社会基本計画の中においては、かつての計画の中における社会保障の位置づけよりもウエートが非常に高く置かれておるということでございまして、政府もこの答申の個々の意味するものは十分尊重していかなければならない、こう考えておるわけでございます。
○大原委員 それで、ただ計画自体については、そういうふうなかなりのウエートを置いているが、われわれでいえばですよ、やはり国民所得に対する振替所得は一五%以上だ。それで年金部門、医療部門、福祉施設、その他の分野をワクをきめて、それでその中で資源を分配していくというふうな具体的な計画がなければだめじゃないか、こういうことです。防衛だけは二次防、三次防、四次防と倍増、倍増でずっといっている。社会保障については、何回も、計画的に予算を先取りをして政治の中心に置きなさい、置くべきであるというわれわれの主張をじゅうりんをしてきた。そして、今日のこの新計画においては、ようやく計画を立てようとしているのだが、この計画自体にも裏づけがない。 そこで、いつ大体社会保障の長期計画をつくるのですか。八・八%、十二兆三千億円というのは、これは目標としてはわれわれは小さいと思うけれども、これをいつ計画を立てるのか。ずっと過ぎちゃうわけだ。また政策と実績が乖離いたしまして、パンクする可能性もあるわけだ。しかし、このことは一たん決定したらやはり通っていかなければだめだ、こういう議論をしているわけですから、いつつくるのですか。いまつくってないということはわかったが、いつつくるのか、こういうことについてお答えいただきたい。
○齋藤国務大臣 今回の長期計画の中で、社会保障についての位置づけ、大規模な資源配分という大ワクをきめていただいたことは、画期的なものだと私は思います。 そこで、案の八・八という中で、年金、医療、社会福祉、大まかな一応のめどは審議会のほうでも一応の案がありますが、それを受けて厚生省におきましても、昭和四十八年度におきまして、社会福祉全般にわたる長期計画をつくるべく、専門家を入れた懇談会をつくりまして、経済企画庁あるいは大蔵省その他と相談いたしまして、年度別に、項目ごとに一応のワクはありますけれども、年金、医療、福祉、それについて来年度の予算において懇談会をつくることにいたしておりますので、できるだけ早い機会に具体的な年次別な計画を立てるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○大原委員 新年度の予算の中にその懇談会等の予算があるけれども、新年度、四十八年度中につくる、次の年度は四十八年度を踏まえて、四十九年度はそれを踏まえてやる、そういうふうに考えてよろしいかどうか。
○齋藤国務大臣 厚生省といたしましては、もう四十八年度の予算がきまって、来年になりますれば四十九年度になるわけですから、ゆっくりしているわけにはまいりませんので、できるだけ早い機会につくる考えでございます。
○大原委員 厚生大臣だめだ。発言力ないから、閣議において。総理大臣、いままで国民から見れば、福祉優先といいながら、やっぱりインフレ、高度成長ベースじゃないか、大企業ベースじゃないか。もう一つは、第四次防の問題の議論等を踏まえて、このほうは、国際緊張が緩和しているのにどこまで一体やるのだ、福祉については予算の先取りがないではないか、こういうことから社会保障の長期計画を従来から議論してきたけれども、これをいつつくるんだ。四十九年まで出なかったら五十年やるのか。五十一年、五十二年、そのころには田中内閣はないと思うけれども、大体いつつくるんだ。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。 四十九年度中につくりたいと思っております。
○大原委員 総理大臣、間違いないですか。
○田中内閣総理大臣 いま厚生大臣が述べましたとおり、厚生省に懇談会を設けまして、できるだけ早い機会にこれが事項別の長期計画をつくりたいということは、原則的にきめておるわけでございます。しかし、部門別にこまかくいってどうなるのか、きのうも十二兆三千億の内訳を大ざっぱにやってみますと、年金部門三兆八千億くらい、医療その他の部門七兆円、その他の部門一兆四千億というと、ちょうど十二兆余になるわけであります。これは試算をすることは簡単ですが、あなたが申されたとおり、一つ一つの具体的な政策というものを相当吟味をして、そして年次別の五カ年計画をつくって、それが実施の場合予想表との食い違いを起こさないようにしなければならない。それよりも上になることはいいのですが、下になるようなことがあってもいかぬし、大きく狂わないようにしなければならないということで、各年度の予算、経済情勢の推定というものがさだかでないということ、また変動が非常に多い状態であるということから考えると、正確な五カ年計画をつくることは、いろいろなむずかしい数字的な要素もあると思います。 しかし、やはり四十九年、せっかくこれだけのものを答申いただいたのでありますし、もうすでに四十八年が始まっておるわけでありますから、四十九年の予算編成までには長期計画が示され、その部門別の第二年度の予算ということになれば、それはまことに合理的なわけでございます。ですからいま経済企画庁長官は、四十九年の予算編成までにはつくります、こういうことでございますが、もうことしの八月三十一日までには各省の概算要求を全部するわけでございます。そして査定は九月から始まるわけでありますから、とにかく政府は、ただいまの御発言にこたえるように、全力をあげて四十九年度予算編成までには、ことしの時点における、最良な状態における五カ年計画というものをつくるように最善の努力をいたしたい、こう思います。
○大原委員 その政治の流れを変えるということは、選挙中は田中さんも言われたわけですが、それは社会党のを盗んだというわけであります。 それはともかくといたしまして、いいことをやることは悪いことじゃないわけだが、問題は、私は、いまの高度成長のメカニズムが生産第一である。あなたは成長なくして福祉なしということをいろいろ言うて、福祉が優先するようなことを言ったり成長が優先するようなことを言ったりするけれども、私は、その議論をしておると時間がかかるから、あとで時間があればやることにいたしまして、問題は、田中委員もここで議論をいたし、私どももずっと本会議や委員会で議論してきたわけですが、日本のような、郵便貯金やあるいは簡易保険や厚生年金の積み立て金や、あるいは国民年金の積み立て金等を、ずっと国民の金を政府の機関をもって集めてきて、財政投融資という——本年は六兆九千億円ですが、そういう集め方をして、そしてこれを一般財源のかわりに使ったりあるいは産業基盤に使ったり民間設備投資自体に使う、開発銀行その他ホテルにまで使っているというような、そういうふうな国は世界じゅうないですよ、こんなことは。これが日本の高度成長のメカニズムの一つなんです。この金の流れを変えなければいかぬということを私どもは主張しているわけです。 一つの質問は、六兆九千億円の財政投融資の本年の規模だけれども、現在の資金運用部で運営している金は総計幾らあるのか。 それからもう一つは、ここに郵便貯金をする場合における動機を調査した資料が私のところにあるわけです。第一は病気とか不時の災害、第二は子供の教育や結婚、第三は老後の生活、第四は家を買いたい、こういうことですが、私は、そういう郵便貯金をも含めて、厚生年金やその他はもちろんだすが、完全自主運営ですが、そういう問題を含めて、国民や貯金者の意思に沿うような財政投融資に流れを変えていく、主としてそういう方向に持っていくということが、これは私どもが論争をした具体的な中身ではないかと思うのです。世界じゅうこんなところはないです。一方ではインフレ政策をとりながら、国民の金をぎゅっと集めておいて、貯蓄率は世界一だ、国民所得の二〇%、そんな国はないです。 それを洗い直す、そういうことを大蔵官僚や各省の官僚がかってにやらないで、国会審議の対象にしなさい、歯どめができるようにしなさい、議論が反映できるようにしなさいということ等を私どもは議論してきたのであります。財政投融資は内容的に洗い直すべきである、私はそう思いますけれども、これに対する見解を総理大臣から簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 財政投融資計画の表を見ていただけばわかるとおり、積み立てられた資金は資金運用部資金等になっておるわけでございますが、これが財政投融資としての原資となり、国民生活の向上に直接役立つ部面に重点的に使われておるわけでございます。 いま数字的に申し上げますと、対前年度増加額一兆五千二百九十四億円の六七%に当たる一兆二百四十億円というものが住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業というような分野に充てられておるわけでございまして、福祉性の高い部門に対する資金の配分比率は、四十七年当初計画の五六・四%から四十八年度計画では五八・八%というふうに高められておるわけでございます。これらの資金が国民生活の向上のために直接、間接に役立っておるということは御承知いただきたい、こう思います。
○大原委員 大蔵大臣、資金運用部の現在高は……。
○愛知国務大臣 財政投融資全体の使途別の分類表は、予算の説明の中にも相当詳しく出ておりますが、いま総理大臣からも、前年度に比較しての増加分の割り振りについては御説明があったとおりでございます。 それから、財投全体は、御承知の六兆九千億円、その使途別分類表は、四十八年度におきましては、御案内の第一分類から第六分類までが特に公共福祉関係でございますから、流れを変える意味で、今回はこれに相当の配慮を加えてありますことは、構成比、伸び率等でごらんいただいておるとおりと思います。
○大原委員 私がお聞きしたのは、私の手元の資料によると、資金運用部で運営しておる——本年度は別ですよ。本年度新しく入ってくるのは六兆九千億円だが、いままでずっと運転してきておるわけです。それが二十一兆五千億円余りあるわけです。 そこで問題は、いま言われたような趣旨に従って運営をされていないで、この書類にもはっきり出ていない問題はその他の項目の中にあるのであって、つまり、一たん国民から金をずっと、厚生年金から一兆四千億円、どこからどう、こういうふうに出すのは出てきておるけれども、返ってきたのを運営する場合には全部込みにいたしまして、総理大臣がいま答弁のようには運営していないじゃないか。これも予算書にはちゃんと出ていないではないか。私のところでは二兆六千億円とありますが、その中で厚生年金分と思われるのが一兆二千億円ぐらいあるでしょう。そういうのについては全く大蔵省の密室の中でやられておるのではないか。そこらにうまみがあるというのではないか。これは、分析のしかたは私は総理大臣のを了承したわけではないのです。学者の分析によりますと、七が設備投資や産業基盤であって、三が生活部門であるというふうな分類のしかたがあるわけであります。返ってきた分の使用方法を含めまして、私どもは問題があまりにもたくさんあり過ぎるということであります。私はその点は問題として指摘をいたしておきます。 これはちょっと一言だけお尋ねしますが、貸したのが返ってきて、それを全体として運営する場合には、運用利子の問題を含めてこれについては明快にできるような資料を出してもらいたい。はっきりわかるような資料を出してもらいたい。
○橋口(收)政府委員 お答え申し上げます。 大原先生のお尋ねのございましたのは、資金運用部資金の残高がどうなっておるかということだろうかと思いますが、これは毎月資金運用部資金の月報を発表いたしておりまして、昨年の十二月末で申し上げますと、先ほど数字はお示しがございましたが、約二十一兆五千億円でございます。 負債のほうの内訳を申し上げますと、郵便貯金が十一兆六千億円、簡易生命保険等が四千五百四十億円、厚生年金保険の預託金が六兆一千五百億円、国民年金の預託金が一兆六百七十億円。 資産のほうで申し上げますと、先生がおっしゃいました財政投融資対象機関に対する融通残高はどのくらいかと申しますと、十六兆四千百六十七億円でございます。そのほかに資金運用部資金の利息をつけた運用というものがございますから、長期国債、短期国債等に約四兆七千億運用いたしております。
○大原委員 そういう資料をきちっとつけて、財政投融資の原資、新しく加わるものだけではなしに、全体の運営がわかるような国会の承認のしかたをしなければだめじゃないか、こういう議論をしておる。どこの雑誌を見ればあるじゃないかというような、そういうことを聞いておるのじゃない。一応答弁があったことは、私は事実を認めます。 それから、福祉優先という中で一番の問題は、何といったって年金の議論です。これは選挙のときだって、ものすごく皆さんお互いに言ったわけですが、年金がおくれているわけです。国民所得に対する振替所得の比率が外国はうんと高くて、その半分五〇%は年金部門にあるわけですが、総理のお話の割り振りは、日本は非常に少ないわけです。五カ年計画でも少ないわけです。これはいろいろな理由で議論をしなければならぬのですけれども、そこで私は順序といたしまして、こういうことから聞いてみたいと思うのです。 この年金を改革するのに、四十八年度の五万円年金は四十四年度の二万円年金に比較をしても画期的なものである、こういうことを政府は盛んに宣伝をいたしておるわけであります。午前中大橋委員からは、これは誇大宣伝であり、私に言わしめれば上げ底であると思う。けれども、しかし確かに変えようといたしておる面があるが、しかしながら、これはいままでとほとんど変わらないではないかという結果になりかねない問題もある。その点について四十四年の二万円年金で、国民年金は一万円、一万円。国民年金は夫婦で計算することは、私どもはよろしいと思う。どっちも強制加入ですから、義務加入ですから。厚生年金は世帯主と妻の加算をして計算するということでよろしいと思う。それで水準を議論してよろしいと思うのですが、二万円年金から今回の五万円年金になったということを振り返ってみると、二万円の年金のときも、当時の五万円ベースの四割で二万円ベースであるから、ILOの最低水準に合致しておるというようなことで、これも画期的だということを言ったことを私は思い出すのですが、やはりいま同じことを言っているじゃないか。違うとすれば、仕組みはどこが違うのか、それを簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 お答えいたしますが、昭和四十四年の二万円年金にいたしました際は、御承知のように、当時の経済情勢からいって一万円年金では不十分であろうから二万円年金にしましょうという経済事情が中心であったと思います。 それから、計算の基礎が当時確かに、私も記憶しておりますが、二十年計算ではなくて、二十四年、五年近い程度の計算であったと思います。ところが今度の五万円年金という構想は、老後の生活保障ということをまっ先に打ち出す。すなわち、老齢年金を最近受け取っておる方々の加入平均期間はどのくらいであろうかということを計算しますと、大体二十七年になる。それからそういう人たちは大体どの程度の年金額をもらっているだろうかということを計算しますと、平均が八万四千円である。(大原委員「標準報酬」と呼ぶ)標準報酬八万四千円。ということであってみれば、その六割を保障すれば老後の生活としては、十分だとはいえないかもしれませんが、まあまあではなかろうかということで考えたわけでございます。 しかもまた、それに伴って、きょうの現在五万円としましても、物価が上がれば下がるというのでは意味がない。そこで、画期的な物価スライドというものを背景にして、今日現在の被保険者の諸君が受けておる八万四千円の六割を今後とも価値を維持していこうではないか、これが私をして言わしむるならば、画期的な五万円年金の仕組みだ、かように考えておる次第でございます。
○大原委員 それじゃ一つ一つ聞いていきますよ。つまり本年の、昭和四十八年の十一月で平均標準報酬が八万四千六百円だ、それの大体六割が五万円だ、その水準は維持していく、そのために物価自動スライドをやるのだ、政策スライドと自動スライドがあって、そして今度は思いつき、そのときどきの政策スライドでなしに、自動スライドをやるのだ、その基準は物価である、こういう説明です。 しかし、この六割を確保する——この数字の問題はまた別にいたします。上げ底の議論でありましたから、それで別にいたしますが、六割を保持するシステムとして物価に自動スライドする、そういう制度をつくるんだというが、その制度では六割の水準は維持できない。いかがですか。
○齋藤国務大臣 厚生年金につきましては、これはもう大原先生専門家ですから御承知のように、五年ごとに財政再計算というものを行なうわけでございます。その五年ごとにやりますときは、賃金並びに生活水準というものを十分頭に描いて総合的に再計算をしなければならぬ、こうなっておるわけでございますが、五年でそれをやるというのはたいへんであるから、五年を待たずに物価が上がればスライドさしていくという仕組みを採用して、そして五年後には今度は本格的な再計算をやっていこう、こういう考え方でございますから、私はそれでりっぱに動いていける、かように考えておるものでございます。
○大原委員 こういう解釈でよろしいですか。物価に対する自動スライドだけではなしに、生活水準が上がっていくならば、つまり賃金水準が具体的ですが、賃金水準が上がっていくならば、これもスライドの根拠にするが、それは五年以内に計算する、賃金の上昇分については必ず年金改定の基礎にする、こういうように考えてよろしいか。
○齋藤国務大臣 五年ごとに再計算いたしますときは、当然賃金、物価とその五年間のそういう伸びも頭に描きながら総合的に再計算をする、こういうことでございます。ただ、五年を待てませんから、そこでその間は物価スライドをやっていく、こういう考え方でございます。
○大原委員 労働大臣に聞かなくてもわかっておるのですが、昨年の春闘においては全体的な賃金が大体一五%上がっておるわけです。それで、物価は五%前後にいたしましても、つまり一年間に、賃金にスライドしようと思えば一〇%残るわけです。五年間に一回ということでなく、一年間ずつでずっとやりますと、たとえば五万円の水準であるならば十二、三万円にしなければいかぬわけです。七%で複利計算でころんでいくわけですから、倍になるわけです。一〇%ということになると、この調子でまいりますと、五年間のうちには今度は十万円、十一、二万円の年金にならなければいかぬわけです。そうでなければ、もう生活水準から取り残されるわけです。あなたが言ったのはそういう意味か、いかがですか。
○齋藤国務大臣 五年ごとの再計算は本格的なものでございますから、賃金や生活水準というものを見定めて、総合的にやっていかにゃならぬ。ところが、それをやるには相当大規模な検討が必要でございます。ところが、御承知のように、厚生年金あるいは国民年金二つを考えてみますと、国民の所得をどうやってつかまえるか、農家の方々もありますし、被用者の賃金の問題もある。そこで、それでは手っとり早くやるにはどうすればいいか。やはり消費者物価というものが上がるに従って、一応上げておいて五年ごとにもう一回再計算をする。(大原委員「生活水準か」と呼ぶ)生活水準を含めて再検討をする。そのほうが手っとり早く、毎年もし上がるとすれば、そのほうが安直にできるんではないか。こういう考え方で、むしろ被保険者の生活安定のためには、このほうが私はベターである、かように考えておるわけでございます。
○大原委員 あなたはちょっとおかしいところもあるのだけれども、政府委員に答弁さしたら、これはたいへんなことを言っていると思うかもしらぬから、あと答弁が悪くなるから言わぬけれども、つまり、それならば、賃金、全国民の生活水準でもいいですよ、生活水準、賃金が具体的だから賃金と言っているのだけれども、つまり厚生年金は賃金で自動的にスライドしていくならば、その厚生年金で改善されたと同じ水準で国民年金に反映さしていく、こういうことできちっとできるではないか、こういう議論です、私どもは。片一方を置いていこうというのじゃない。あなたの言うような議論であるならば、賃金に厚生年金を自動スライドさして、国民年金も自動スライドするほうがいいのではないか、そのほうがはっきりするのではないか。ただし実施の時期を、物価の問題でもそうですが、どうするかによって積み残しは若干ありますよ。同じではないけれども、技術的な問題は別にいたしまして、そうならば社会党が言っている賃金スライド、自動スライドとしても、何ら変わりがないではないか。そのほうがいいではないか。いかがです。
○齋藤国務大臣 大原議員御承知のように、賃金ということになりますと、賃金の中身は何か、これは賃金論争もまたなかなかたいへんな問題があるわけでございます。そういうふうなことで、生活水準の統計というものが、毎年の統計があればあるいは一つの指標かとも思いますが、生活水準全体についての指標というものはいまはない。ということであってみれば、やっぱり老齢者の生活保障ということであれば、消費者物価というものをまずやっておく、これがやっぱり先ではなかろうか、私はかように考えておるわけでございます。
○大原委員 いや、そうではなしに、私が言うほうが簡単で正しいのではないか。特に言うのは、午前中にも議論がありましたが、この国民年金の五万円は二万五千円ずつですが、いま実施できるのは二万円ずつの定額部分だけですから四万円です。付加年金のほうは時期がうんとおくれるわけです。その定額部分の二万円ずつ四万円にいたしましても、昭和六十一年に資格ができて、五年間休んで、もらうのは昭和六十六年ですよ。選挙のときには六十一年という議論があったが、実際には六十六年ですよ。そういたしますと、六十六年といたしますと、これから二十年ですよ。いままでのことを振り返ってみると、昭和三十六年から四十五年までで、一万円札は物価の上昇で五千円以下になっているのですよ。ですから二十年後ということになれば、その五万円というものは意味がないじゃないかということになって、そのために保険料を上げるというようなことについては、積み立て方式を政府が固執しているのだけれども、その議論は別にいたしまして、それだったら国民としては納得できぬじゃないか。それは賃金に自動スライドするという制度をつくっておいてそうしてこの問題を議論しなければ、何回も四十四年にやった二万円年金のようなことを繰り返して国民をだまして、そうして保険料を上げて取っていくということになるのではないか、こういうことを私は言っておるのです。いかがですか。
○齋藤国務大臣 賃金スライドの問題につきましては、こういうふうな問題についてはいつも議論の出るところでございますが、大原委員御承知のように、賃金ということになりますと若年の方と年とった方において差がある。それから規模別においてもまた違う。そういうふうないろいろな問題があるわけでございます。 そこで、そういうふうな問題については一応五年ごとの再計算の中で考えることとして、まず生活安定ということを考えてみれば、やはり消費者物価指数が上がることによってスライドさしていくというほうがベターではなかろうかという考え方でございますし、同時に、四十四年度の法改正の際に、これは大原委員御承知のように、社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会等におきましても、物価スライドをやれという意見がその当時もあったわけでございますので、むしろ私はこの際としては、物価スライドをやって五年ごとの再計算で総合的に改定をするということがベターではなかろうか、かように考えております。
○大原委員 これは、議論を通じてわれわれの意見というものはかなりわかったと思うので、ひとつ具体的な問題をさらに進めていくのですが、今度の年金の改正案の中でかなりよいと思われる部面が一つある。というのは既裁定、いままでもらっておる年金について、厚生年金の場合をいまは言うわけですが、既裁定の年金について当時の、昭和三十二年以降の安い賃金を再評価をしていく、そうして賃金の水準をいまのベースに合わしていくというふうな考え方、それに対して一定の率をかけていくということになります。これは十分ではないですよ。上げ底ですよ。上げ底ですけれども、いままでもらっておる人の中で五万人程度は五万円年金になる人が出てくる、こういうふうに理解する。だから、その五万円という数字は実際は三万四、五千円で、三万五千円ベースだと言えばやや正直なんだけれども、五万円と言うからまた問題になるわけですが、その議論は別にいたしましょう。 そこで、過去の、いままでの既裁定の問題、すでにもらっている人については賃金の再評価をするということは、賃金ベースに対する引き上げによく似ている。その原資、改善分の費用は二割を国庫が負担をして——私は簡単にするためにやりますが、二割を国庫が負担して、残りはどこから持ってくるのか。
○齋藤国務大臣 御承知のように、二割は国庫から出しまして、あとは保険料収入から出すわけでございます。
○大原委員 積み立て金から八割は特ってくる、こういうことになりますが、そのことは現在並びに将来、つまり後代負担ということで賦課方式の考え方ではないか。いかがですか。
○齋藤国務大臣 ことばの問題でございますが、現在は御承知のように老齢年金をもらう数も少ないわけでございますから、その積み立て金をくずすというのではなしに、現在入ってくる保険料の中から払っていく、こういう仕組みになるわけでございます。私どもの積み立て方式というのは、御承知のように完全積み立てではとてもやっていけません。一言で言うと修正積み立てなんというようなことを言っておりますが、完全積み立てではいかぬことは御承知のとおりでございます。
○大原委員 それではさらにお聞きいたしますが、既裁定、いままでもらっておる年金を計算する際に、賃金の再評価して現状にマッチさせていく、こういうことで、八割はその原資を積み立て金からとるということは、この積み立て方式で保険料を払う自分が払って自分で二十年、三十年後にもらう、こういう積み立て方式を原則として法律のたてまえをくずさないで置いておいて、そして改善分だけについては後代負担で賦課方式をとる、こういうことは、そのために積み立て金が少なくなる、後代の保険料を食うということになるから保険料を上げる、厚生年金については千分の六十四を千分の七十九に上げる、国民年金の定額部分については五百五十円を九百円に上げる、そういうことは、言うなれば詐欺みたいなことじゃないか。国民をだます行為にならぬか。審議会の答申は、そういう改善分の原資は国庫から入れるということになっておる。積み立て方式をとる保険方式をとるのであるならば、そういう物価とか——物価は当然、生活水準が上がった分についての改善の原資は一般財源から持ってこなければ、それは首尾一貫しないじゃないか。しかも、それをとることを予想しておいて保険料を上げるということになれば、高負担の低福祉になるのではないか。ごまかしじゃないか。仕組みがおかしいんじゃないか。賦課方式ならば賦課方式できちっとして、そしてやるべきではないかという議論です。
○齋藤国務大臣 厚生年金の運営のための財政方式というのは、御承知のように非常にむずかしいものでございまして、やはり長期的な視野に立たないといけないと私は思うのです。大原委員御承知のように、日本の老齢化傾向というものは非常にきびしいものがあります。老齢化現象というものが急速に進んでおります。ヨーロッパでは二百年もかかったところを日本では五十年でやってしまう。おそらく今後五十年の間に、西欧諸国並みの老齢化社会というものが実現する。ということでございますから、やはりそういう長期的視野に立って、要するに五万円なら五万円というものの給付を確実に給付できるような体制、しかもその期間においては、保険料の急激なる上昇はないようにしていきたい、スムーズな保険料上昇のカーブをとりながら五万円の給付を確実にしていく、これが基本でございまして、名前は、それは修正積み立てとかなんとか言おうが別としまして、そういう考えでございますから、その点は十分御理解いただけると思います。
○大原委員 これは流れを変えるとか、発想転換の基本的な問題なんでね。だけれども時間を十分かけるわけにいきませんけれども、これは矛盾点、問題点があるということを指摘する。ただ、われわれも完全な賦課方式を言っているのではない。われわれは税金で全部やっていくような考え方だけをやっておるのではない。やはり保険料を払っておるという現実を認めながら、これを賦課方式的にやらなければいけないのではないか。 ただ、あなたが言った日本の老齢化が急速に進んでおる、だから現在の世代と後世代の負担が不公平になるというような議論ですが、しかし、日本は四十年で昭和九十年に成熟するわけだが、西ドイツやイギリスも大体五十四、五年だから変わりはないんですよ。フランスは特殊な人口問題を持っておるから百年ぐらいかかっておるけれども、それは御承知のとおりだ。だからインフレに対応して年金を守っていく、それからそういう老齢化の問題というのは、国際的に見たならば、日本だけの問題じゃない。君たちはそういう一方的な議論をするからいけない。そうじゃないわけです。なだらかなということについてはある程度認めるけれども、これは皆さんのは基本的に考え方が間違っておる。だからその考え方をもとにして、あなたは修正ということで逃げようとしておるけれども、私は問題点があるということを指摘をいたしておきます。 であるならば、こういう矛盾した問題をたくさんかかえておるのであるならば、保険料を今度上げようというのですから、厚生年金は千分の六十四から千分の七十九に上げて折半しようというのですから、その折半の比率も問題でありますが、そういうときに、やはりこれから後にどういう年金がどういう順序に従って給付されるのかという十年目ごとぐらいな長期の財政計算、年金の財政計算をしなければ、この予算の中での一般財源の入れ方とか、あるいは法律の仕組み等について議論することはできないわけですよ。つまりいままでのは、生命保険と同じように物価も生活水準にもスライドしないのだ。これは死んだ、つまり静態的な年金の計算をしておった。今度は動く年金の計算をするのだ。それなら十年ごとの計画ぐらいは示して、二十年、三十年の計画ぐらいは示しておいて、十年計画を基礎にして年金の改善を考えて国民に示さなければ、国民はこれはまたインチキにかかる、こういうことになるのではないか。いかがですか。
○齋藤国務大臣 今度の改正によりましてスライド制を採用いたしましたから、動態的な統計、見通しというものを立てなければ円滑にはいかない。その点は御指摘のとおりでございまして、私どももそういうふうな、毎年ある程度の物価が上がっていく、こういうことを前提とした動態政策というものをいたしながら、先ほど申し上げましたように、過激な保険料の変化というもののないように、五万円年金を確保するようにという長期的な見通しの上に立って計算をいたしておるわけでございます。
○大原委員 その十年計算、二十年計算、三十年計算、成熟するまでの計画を示しなさい。掛け金はどういうふうになって、給付はどういうふうになって、積み立て金はどういうふうに減っていって、あるいはどうだと。つまり総理大臣、一年間に一〇%は賃金と物価を考えて自動スライドしますと、これは昭和七十年を待たないで積み立て金はなくなるのですよ。これはそういう計算が出てきますよ。理論的にはゼロになるのですよ。だから動く、動態的な年金ということになれば、これは賦課方式に入っていくのだ。だから賦課方式であるならば賦課方式らしくきちっとして、積み立て金をうんと積み立てるために国民を引っぱっていくようなことで保険料との関係を考えてはいけない。そうしなければ、国民はりこうになっているからそういうことについてだまされない。いいですか、物価を含めて賃金、生活水準が一〇%上がったとしますと、昭和九十年を待たないで七十年には積み立て金はなくなりますよ。そういう計算が出ておる。ですから、これは発想の転換がなされてないからいろいろなところで矛盾があるのではないかという点を指摘しておきます。 もう一つは、今度は問題は、国民年金はもちろんですが、厚生年金も給付者が非常に少ないんです。そこに問題がある。大体老齢人口の九%しか、まあやや形を整えておる福祉年金を除いて、この年金をもらっておる者はいないわけです。外国では、六十五歳以上だったらあらゆる階層の人が六五%、七〇%、一〇〇%まで年金をもらっておるわけですよ。日本は九%しかない。それをよくするのにはどうしたらいいかということを考えるのが、今度の改正でなければならぬ。 それは何かというと、国民年金であるならば、いま五千円もらっておるところの十年年金、五年年金をどうするか、福祉年金をどうするかということなんです。福祉年金を、この計画の中にもあるけれども、月五千円を二年後には七千五百円から一万円にする、こういうことになっておるのですが、私が聞きたいのは、福祉年金とは一体何か。これは小づかい程度か。五千円だったら小づかい程度ですよ。年金じゃありませんよ。だから、これは小づかい程度にするのか、将来年金にするのか。福祉年金をずっと上げて拡大して改善していくならば、全体の年金の水準は上がるんです。そういう問題についてはどう考えておるか。
○齋藤国務大臣 無拠出老齢福祉年金につきましては、四十八年度は夫婦で一万円、それから五十年度には夫婦で二万円、それは新経済計画の中にもはっきり示されておるところでございます。 そこで、この無拠出の老齢福祉年金というものの性格について、やはりこの辺で根本的な検討を加える時期に来ておる、かように考えておるわけでございまして、五十年度に一万円になるその機会に、拠出制年金の問題その他の共済年金の問題、そういう問題とひっくるめまして、総合的にその位置づけなり性格なりを検討いたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○大原委員 次に進んでまいりますが、もう一つこの問題で議論になるのは、私どもは福祉年金は六十五歳から出す、六十五歳から一万円、夫婦二万円、七十歳から夫婦で四万円、で、厚生年金の最低保障額と一致させるという法律を考えておるわけです。そうしなければ、先般小林委員がここで議論をいたしました、総理大臣も答弁されましたが、六十七歳から六十九歳までの問題が解決できないではないか。私どもが言うのは一つの解決方法ではないか。福祉年金を生活年金とするならば、六十七歳から六十九歳まで百数十万人の人が陥没しておるというのはおかしいではないか、こういう議論があるわけです。特に総理大臣、これは総理大臣も答弁されておるからこの点はお聞きいただきたいのですが、昭和四十六年から始まった十年年金、いま六十七歳の一部までもらっておるかもしれない。初めごろまでもらっておるだろう。そういたしますと、その人々に対しましては今度は一万二千五百円になるわけです。夫婦で二万五千円になるわけです、六十五歳からということになりますと。その人たちには二分の一の国庫負担が入っておるわけです。そうすると、一万二千五百円の二分の一になりますると六千二百五十円の国庫負担が入っているのです。掛け金は、正確にはここにありますが、十年間掛け金を全部かけましても四万円台しか掛け金をかけていない。利子をころがしていきましても四万円台です。五万円未満です。もう掛け金を十年間ずっとかけたということの事実はあるけれども、この事実は私も無視する意思はないけれども、しかしそういう人々に対しまして、わずかの掛け金で、いまはインフレでだんだん上がってきたわけだが、当時百円ぐらいから始まっていま上がってきておるわけで、三百五十円かになっておるはずですが、そういう人たちにはいま言ったように六千二百五十円の国庫負担が入りながら、この陥没地帯の人々には国庫負担が入らないじゃないか。このことについては何らかの予算上の措置をすべきではないか、こういう議論が当然出てくるでしょう。年をとっておる人々に対しては、理由がつくならばできるだけ支給の範囲を拡大していくべきだ。老齢者の中で、福祉年金はまともな年金にすることはもちろんですが、支給の範囲を拡大していくことが、福祉優先とか年金の議論をした中身ではないか。このことを放棄するということは、私は絶対に許せないと思う、議論が始まった以上は。そういう方向づけだけは、予算と強い関係があるからしてもらいたいと思う。いかがですか。
○齋藤国務大臣 大原委員の御指摘の昭和三十六年年金法が発足当時、五十五歳以上の者はこの制度からはみ出されておるわけでございまして、十二年たちましたので五十五歳の方は六十七歳で、八歳、九歳とこうなる。それ以上の方はもうすでに七十歳になっておりますから、無拠出老齢福祉年金をいただいているというわけでございます。 そこで、こういう方々に対してどういう措置をとったらいいだろうか。これは実に、ほんとうに私も頭を悩ましておるわけでございます。無拠出年金の体系の中でこの問題を解決したらいいのか、あるいは拠出制年金、すなわち五年年金などの任意の拠出制の年金がございますから、そういう形の中で解決したらいいのであろうか、実は検討いたしておるのでございますが、頭を悩ましながら考えておりますが、まだいまのところ結論が出ないというのが実情でございます。これは非常にむずかしい問題だと思いますので、もうしばらくひとつ御猶予を賜わりたい、かように考えておる次第でございます。
○大原委員 いまの厚生大臣の議論は、私の直感としては、この前の議論よりも少し進んだような気がする。つまり六十七歳から六十九歳の谷間の人々、百数十万の人々に対しては、福祉年金の七十歳のやつを、社会党の案のようにここで福祉年金を近づけてやるような方向で考えるのか、あるいは十年年金が当時、昭和三十六年のときに五十五歳ですから、そういう人の範囲を広げたような形でこの問題はやるのがいいのか、いずれにしても考えてやるという考え方だろうと思うけれども、そういうどちらかは別にして、どちらかの方法において考えてやることが年金改正の方向である。そういう方向でやりたい。これは予算の修正とかそういうことになりますけれども、法律の実施との関係もあるわけですから、法律の審議等を通じて、前向きでこの問題については取り組んでもらいたい。ぜひ決着をこの国会中につけてもらいたい。これは、私は当然のことであると思うわけです。この趣旨については、総理大臣、御理解いただけましたね。私の言っていることは御理解いただけましたか。
○齋藤国務大臣 この問題は法律の問題でございますので、私も頭を痛めながら目下検討中でございますから、それで御了承を賜わりたいと思います。
○大原委員 ちょっと聞いてみるけれども、いまのは前の答弁より下がったわけなのかな。前のほうは問題点を指摘して、この問題に頭を悩ましながら結論を急いでおるのだ、こういう答弁だったが、いまは、法律にかかわるから、これは法律にまかしておくということなのか。これはあなたでは決断ができぬかもしれない。大蔵大臣がそこにすわっておるしね。しかし大蔵大臣は、査定その他ではかなり年金には関心を示したようなゼスチュアであった。その点は別ですが、総理大臣、わかりましたか、私の言っていること。国会において、各党においてそういう議論が出た場合には、この点については政府も受けて立って、この改善には十分誠意をもって応ずる、そういうふうに考えてよろしいかどうか。
○田中内閣総理大臣 厚生大臣が述べておりますように、六十七歳から六十九歳までの、俗にいわれる谷間、これが百二十九万人程度だと思います。この人たちをどうにかならぬのかということは検討したのでありますが、非常にむずかしい問題である。(大原委員「むずかしくない」と呼ぶ)いや、いまの制度の中ではたいへんむずかしいということで、バランスの問題その他もありまして、どうも決着がつけがたいということであったわけでございますが、厚生大臣が述べましたように、この国会で結論を出すということができるかどうか、それはむずかしいことだと思います。むずかしかったから、予算編成の過程において議論しながら、結論が出なかったわけでございますが、しかしそのままにしておけば、三年間たてばみな七十になってということ、そういうことだけで済まされる問題でもないと思ってはおるのです。ですから、何らかの結論を得たいということでせっかく検討中であるということで、ひとつ御理解を賜わりたい。
○大原委員 これは、法律案を予算が終わるまでにやりたいところだけれども、こういうところでぎりぎり言ってもしようがないから、法律案の審議であるわけですから、各党が当然この問題については意見を持ち寄るはずですから、それをひとつ積極的に受けて立つ、そしてその方向で改善に努力する、こういうふうに私は理解をしておきます。特に反対があったならば発言してください。 もう一つは、この厚生年金は戦争中に始まったのです。軍資金を調達するということだった。戦後のインフレ時代には、これは高度成長の原資を調達するということだったのです。経済復興。そこで、インフレ時代の混乱期に、たくさんの請求漏れや権利の放棄があるわけです。昭和十七年には三百万人ほど加入しておったわけです。昭和十九年、終戦直前には八百万人をこえる人が厚生年金には加入しておるんです。それが、三十年たって六十万人余りであるというようなことは、これはおかしいんです。これが成熟していないなんというのはおかしいんです。四十歳以上の人は、十五年間掛け金をかけたら、少ないけれども年金を出すという十五年年金もあるんです。最近は皆年金になってから、十年間飛び飛びでもいいから、通算して年金の掛け金をかけたならば通算老齢年金がもらえるという制度もあるわけです。しかしこれが、八百万人も三十年前におったのが、たった六十万人しかいま成熟していない、もらう人がいないというようなことはおかしいんです。これは、掛け金をかけたけれども、インフレその他であちらこちら職場がかわるというようなこと等もあって、請求漏れとかあるいは権利を放棄する人が一ぱいあるわけなんです。五年以上掛け金をかけると脱退一時金をもらえることになっている。しかし、もらった人ももらっていない人も、私が知っている中でも一ぱいあるわけです。脱退一時金をもらったといったって、インフレだから、ほんとうは持っておったって、かけたってしょうがない、こういうことでもらっておるわけですが、そういう問題を含めて、政府は電子計算機も備えておるわけですが、その権利の上に眠らないような措置を綿密にとって、暫定的にこの人々が申請できるようなチャンスを与えるような制度を政府がつくるならば、数百万人と言わぬが、百万単位の人々に年金が及ぶだろう、こういうふうに私は思うわけです。この指摘をいたしました事実と、それからこの改善について、ひとつ所見を厚生大臣から伺って、それから逐次お聞きをいたしたい。
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げますが、そういうふうに眠っておる人がおるかいないか、いま、私どものところでは的確な資料を持ち合わしておりませんが、せっかくのお話でございますから、それをつかめる方法がないかどうか、十分検討をさせていただきたいと思います。 なお、本年度において老齢年金等をいただける数が、新規その他を合わせまして八十万になるわけで、そればっちじゃおかしいじゃないかとおっしゃいますが、いま老齢年金の支給を受けるような方々は、大体昭和二十年代の当初でございまして、その当時の被保険者の数は八百万、現在はもう千何百万になっておりますから、八百万のうちの一割程度、これはそう少ない数でもないんではないか、こういうふうにも考えておる次第でございます。
○大原委員 それならば、当時八百万の人が加入しておって、その人々が現在どうなっているかということを、これは一々は追跡できないが、大体において、脱退一時金をもらった者はわかっておるわけですし、でないとするならば、数年はこの職場におりながら権利を放棄した、インフレ時代だからだめだということで。ヨーロッパではインフレ時代に賦課方式に切りかえて、年金を食える年金にしたわけですよ。インフレに対応できるような年金をつくったわけだ。日本はそういう対応する年金をつくらなかった。ほうっておいたんだ。だからかけ捨てになったんだ。しかしながら、その当時働いた人々の労働の成果というものが今日の生産を生んでいるんだから、今日の段階においてそういう人々には、いろいろな条件について特例を設けながら、たとえば脱退一時金を払った人も、給付の中から引いていけばいいわけだから、そういうことでこの網の目にひっかけていくような、そういう方法をいまの年金改定のときにとるべきである。とる方法については、事務当局その他が知っておると思う。これは金とか人手がかなり要るかもしれないけれども、予算をかけるならば必ずできることである。そのことは、今日いまの段階で年金改定をいうなれば、サボり続けてきた日本の政治が、いまや福祉優先を議論するときに、この問題は綿密にやるべきではないか。 私に言わしめるならば、いまの厚生大臣の答弁等も、私は何回もこのことは指摘しておるんだから、事実を調べておるはずである。そのことだけでも横着者であると言って追及をしたいところであるけれども、それは一応おいて、そういうことについて十分検討して、この問題については処理をすべきではないかと私は思うが、いかがですか。
○齋藤国務大臣 御指摘のような実態をどうやって把握するか、そういう点を十分ひとつ研究させていただきたいと思います。
○大原委員 総理大臣、実態を把握するだけじゃなしに、実態を把握して対処したならば、これは方法があるんです。方法があるんですから、その点は、総理大臣も十分関心をもってこのことをひとつ指導督励してもらいたい。
○田中内閣総理大臣 慎重に勉強してまいりたいと思います。
○大原委員 今度は順序をちょっと変えまして、第三の瀬戸内海の問題ですが、瀬戸内海の問題は田中委員も指摘されたわけですが、田中総理大臣が岡山の知事選挙のとき、もう一カ所場所がありますが、記者会見をテレビで、瀬戸内海は東京湾と同じようにきれいな海にするんだ、特別法をつくりたいということを言われているのを私は聞いていた。新聞にも出ました。公害の問題というものは観念的に議論してもしようがないのです。やはり具体的な問題をとらえて議論をしなければ、公害の発生源のところで議論しなければこの問題は解決できない問題です。 瀬戸内海は、沿岸漁業の中では三割近い水産資源の豊庫だった。あるいは観光資源の豊庫だった。最近はずっと高度成長で、世界一の溶鉱炉なんかがあるようなかっこうが示しているように、重化学工業がだあっと集まって、日本の高度成長の中で三割以上の生産高をあげている。このままで進んでいくならば、私がいつも指摘するように、昭和四十四年に一日二千五百トンの汚染負荷量が出ておるのが、日本列島改造論や新全総の昭和六十年には、一日二万二千トンに増大してくる。いまずっと続いている。そうして赤潮の発生というのが、これは汚染のバロメーターですが、頻度と面積、質が非常に悪質になっていっておるわけです。魚の質も変わっている。たとえば、養殖のハマチとか、タイとか、スズキとか、カレイとかというふうな高級魚が死んだり、あるいは太平洋に出ていく。そうしてカタクチイワシとか、イカナゴとか、ボラやあるいはアナゴというふうな、わりあいきたないものでも食べる悪食の魚がいる。その魚がPCB、有機水銀を含んだどろなんかを頭を突っ込んで食べるから、くさいから、たとえ食料にしなくてもえさにする。えさにすると、えさを通じて人体に濃縮される。こういうことで、いまのままでは汚染の量、質とも完全にあすこはへどろの海になって、運河だけになってしまう。へどろの運河にするのか、人間が海水浴もできるような自然環境をつくっていくのか、こういう方向をきちっとして、そして瀬戸内海環境保全の特別立法をして、いままでの環境行政で足りない点はこういう点だという点を指摘をしながら瀬戸内海を浄化をして、きれいにしていくということが、沿岸の十一県の住民や日本全体をどうするかという議論の具体的な問題提起であると私は思うわけです。 この問題に総理は直接意見を言われてきたと思うし、私は、実際そのことを聞いておるわけです。瀬戸内海の環境保全の特別立法をつくるのかつくらないのか、つくるとするならばいつつくるのか、いつをめどにつくっていくのか、こういう二つの点について、まずお答えいただきたい。
○田中内閣総理大臣 田中武夫議員とも話し合ったこともございますし、私が岡山で新聞記者の質問に答えて述べたこともありますし、松山に出張のときも、同じような趣旨のことを質問に答えて述べております。 瀬戸内海は風光明媚であることは、もう全世界的なことであります。あの瀬戸内海が汚染をされておるということもよく理解をしておるのであります。そういう意味で、私は、瀬戸内海の自然を守りたいという考えにおいて人後に落ちるものではありません。 そういう意味で、瀬戸内海の汚染対策に対しましては、排出基準の強化、下水道の整備、都市河川の整備、赤潮の原因究明等々が行なわれておるわけでございます。また、大型模型実験も行なっております。マスタープランそのものもつくらなければならないというようなことで、急ぐ問題であるということは、私もそのとおり考えております。そういう意味で、立法を必要とするかどうかという問題も含めていま検討しておるわけでございますが、いま御指摘があったように、関係府県も多いのでありますから、この瀬戸内海沿岸の府県とも十分意見の調整をしながら、可及的すみやかに結論を得たい。いまの段階において立法いたします、いつまでにということではありませんが、立法を含めていま検討しておる段階である。私が申し上げたのも、いま申し上げたのと同じ趣旨で申し上げておるわけでございまして、つくるとすれば、大阪湾等も含めてつくるべきだろうと思う。東京湾そのものも、一体このままでいいのかどうかという問題も考えらるべきでしょうというようにすなおに述べておるのでありますが、やはりこれらの結論に対しては、すみやかに結論が出さるべきだ、こう考えております。
○大原委員 いまのままで進んでいくと、これはたいへんなことになる。ましてや、日本列島改造論でこれを推計いたしますと、汚染負荷量が一日二万二千トンになるわけです。工場を奥地へ配置したりするというような案もあるわけですが、しかし、中国山脈や四国山脈の分水嶺の中というものは、どこへやっても同じですからね。いまのままで周防灘の大規模建設等をやってもいけないし、無原則な埋め立てもいけないし、その他の施策について特別の措置が必要であるということについては、沿岸住民や自治体その他を含めて意識統一がされておる、この文書にあるように。 ところが、検討してよければというようなことを言っておったら、これは取り返しがつかないのですよ。あなたはこれをやります、やりますと、テレビに出て言われたのですが、つくるのかつくらぬのか。それをどうしようかということを検討しておるというようなことはないでしょう。
○田中内閣総理大臣 私は、自分の述べた発言は正確に述べておるのでおりまして、新聞記事もございますが、立法が必要であるかどうかという問題も含めていま検討いたしております、こういうことでございます。
○大原委員 つくるかどうかということを含めてということじゃないのです、あなたの言われたのは。あなたはつくると言われたのですよ。じゃ、つくらないのですか。逆に聞いてみましょう。あなた、いかがですか。間に合いませんよと私は言うのです。
○田中内閣総理大臣 立法しないでやれるのか、立法をするのかという問題はございます。するとしても、沿岸の府県の意見も十分徴さなければならない問題でありますから、そういう問題も含めていま検討いたしておりますというのがすなおな答弁でございます。
○大原委員 沿岸の知事会議は十一県、大阪を含めまして、これはずっと何回も要望書を出しておるのです。つくってくれといっているのですよ。つくって、ここだけは一つの海、一つの池、海陸を含めて一つの池というふうに考えて、総合的な対策を立ててくれないと、部分部分だけではだめだ、こういつておるのです。環境庁長官。
○三木国務大臣 瀬戸内海は、これをひとつきれいにせなければならぬということに対しては、だれも異存はありません。 そこでしかし、総理がいま言われたように、これは排出基準の強化であるとか、あるいは総合規制までやるわけでありますから、そのほかに公共の下水道の整備とか、非常な総合的な政策を見合わせて瀬戸内海の浄化というものはやらなければならぬわけです。したがって、いま総理も言われたように、沿岸の各県の協力を得ることが必要でありますから、それはやはり開発の規制までも考えなければならぬわけでありますから、そういうことで、この十四日に沿岸の知事会議を開いて、そして瀬戸内海をひとつもう一ぺん美しい瀬戸内海にしようという方針のもとに意見を交換をすることになっておりますから、そういういろいろな研究会議等も通じて、どうすれば瀬戸内海の浄化の目的を達成できるかという見地に立って、特別立法の問題も含めて検討をいたしたいと思います。
○大原委員 公害対策基本法の十九条にも、公害防止計画の策定について、総理大臣の介入等を若干入れまして、広い地域の防止計画をつくる法律もあるのですが、しかし、瀬戸内海は一つであるという観点から、空も海も考えながら、盆地みたいなものですから総合的にやらなければ、自治体にまかしただけではだめだ。自治体にまかすことも必要だけれども、まかしただけではだめだ。全体を調整しなければ、愛媛がきたなくなっても、山口がきたなくなってもだめなんですからね。大阪の汚染物質が大分へばっと行っている。行ったり帰ったりしているのが実情ですからね。黒潮が太平洋岸を通って、豊後水道と紀伊水道と両方から入っているのですから、ぐるぐる回っているわけです。ですから、それをやるときには、総量規制が第一に必要である。全体からの総量規制、つまり、自浄能力の限界をこえる総量規制をやらなければならない。これは科学的に特別の装置で究明しなければならぬだろう。通産省や農林省にばらばらにまかしていたのではだめだ。研究の一元化、行政の一元化、そういう観点から、新しい工場の立地については、総量規制の観点からこれはいけないという権限を、いまは議論しているけれども、環境庁長官に与える。たとえ副総理が環境庁長官になっておらぬでも、力の弱い大臣がなっておっても、権限に基づいて、データに基づいていったならば、それは無視できないようにしておく。三木さんなんか短い一瞬の人ですから、人間みなそうですから、そういうふうにきちっとしておく。 そういうことも必要であるし、また下水道の終末処理で、ライン川やアメリカなどでやっている三次処理をやらなければ、窒素と燐を分割をしたり、あるいはこれを排除したりするような終末処理ができない。瀬戸内海だけは優先して特別にやらなければならぬ。そうしなければ、赤潮の異常発生というものは無限に続いていく。いまの二次処理だけではだめだ。こういう問題もあるわけです。 埋め立てについて、浅い海があるということは、波が立って、酸素が入って自浄能力になるのです。それをどんどんコンクリートで埋め立てておる。そういうことについても、環境浄化の観点からやらなければいかぬ。あるいは、宮島の松だけではない、水島のコンビナートの近くの松もそうですが、瀬戸内海は盆地みたいなんだから、亜硫酸ガスがどおっと一カ月に何万トンと入る。そういうので松が枯れていく。マツクイムシもあるけれども、松が枯れて弱くなって、マツクイムシが繁殖する。 そういう立地について、環境について考えながら、これをきれいにしていくという総合計画をここではやる。いろんな法律もあるだろうけれども、ここではそれに即したような行政の秩序をつくっておいて、住民や自治体が要求を出したならば、すっとこれにこたえられるような、そういう制度をつくることが必要ではないかということで、われわれは、政府がつくらない、おくれるのであるならば、たたき台として、そういう法律案をつくって出そう、こういうことで、いま法律案を整備いたしております。 政府のいままでの言明によると、昭和四十九年ごろになるだろう。これでは私はおそいと思うけれども、私は直観からいうと、これがぎりぎりだと思っておる。これをおくらしたならば取り返しはつかないと思っておる。いま考えるというような段階ではない。つくろうかつくるまいかという段階ではないと私は思っている。こういうことができなくては、日本列島改造論は日本列島の破壊論だ、公害列島論だと言われたって、それに対する抗弁は私はできぬと思う。三〇%、四〇%のGNP工業生産をここでやっているのですから、ここができなかったならば、日本全土ができるという理由はないでしょう。これはことばの決断と実行ではなしに、具体的に問題と取り組む、国民に対して信頼される政治の最低限度の要求だと私は思っている。これは言うならば、日本の政治、日本列島改造論の踏み絵である。これができなければ、これからのそういう成長論についての議論というものはもう勝負がついている。先がわかっている。それでなくてもわかっているけれども、いかがですか。つくるつくらないの問題を含めて、いつごろまでにやるのだ、進めていきたい、こういうところをはっきり国民の前に明らかにしてもらいたい。
○田中内閣総理大臣 私は、先ほども申し述べましたように、瀬戸内海の自然環境を守りたいという気持ちにおいて人後に落ちるものではないという考えでございます。特に、太平洋岸、山陽線、山陽道、瀬戸内海に面するところは工業集積度の非常に多いところであります。これ以上集積をさしてはならないから、外洋に面するようなところ、国土全体を利用しなければならないという列島改造を世に問うたのであります。だから私自身は、瀬戸内海の自然の保全ということに対しては全力をあげていきたいという考えでございます。 しかし、瀬戸内海に面する十一の府県というものは、それなりの計画を持っておるわけです。ですから、地域的なものでありますから、地域の盛り上がりということでないと、政府が一方的にこれを押しつけるということはできません。そういう意味で、私は瀬戸内海の環境保全について、大型の水理模型や府県別の開発計画のチェックなどについて政府も検討しており、早急に具体的ブラン、すなわちマスタープランの策定をする必要があると思います。そのために特別立法が必要であるかどうかは、現在具体化しておらないが、瀬戸内海を世界の公園として守りたい、こういうことからいえば立法が必要であるかもわかりません、こう述べておるのであります。必要となれば、大阪湾を含めてかなりきびしい内容になるだろうが、各省庁間で調整をし、できるだけ早く結論を出したい。 要らないことでございますが、一言多いことでございますが、汚染防止は政党の相違に関係なく、社会党が提案するのもよいことでございますと、こう要らないことを言っておりますが、これは松山で述べておることでございまして、こういうことまですなおに言っているのでございますから、私は、相当積極的なものであって、やはりあなたがいま述べられたように、いまにして何らかのことをせずんばおくれるという気持ちは持っているのです。ですから、いま三木環境庁長官が述べましたように、関係都府県に集まってもらって、いよいよひとつ詰めを行なおうという段階になっておるようでございますから、政府も関係府県と十分意思の疎通をはかりながら、早急に何らかの結論を出したい、こう思います。
○大原委員 昭和四十八年度中に法案をつくる心組で取り組んでもらいたい。そうして四十九年から手をつけるようにしなければ、これはとてもじゃないがおくれてしまう、私はそう思うわけです。この点は議論をあまり蒸し返す意思はありませんが、私が申し上げたことについては御理解をいただきましたかどうか。
○田中内閣総理大臣 先ほどから述べましたように、関係府県とも十分連絡をして、瀬戸内海の自然環境保全に資するように、実効をあげ得るように努力を続けてまいります。
○大原委員 次の問題は、健康保険も出ているのですが、医療の問題です。国民の立場から見ましたら、今日の日本の医療ぐらい荒廃しているところはないわけです。 そこで、たくさん申し上げたいわけでありますが、時間の限定があるわけですから、まず一つお尋ねしたい点は、経済社会基本計画に、いままで非常に抽象的なことが多かったのですが、非常に具体的なことがやはり載っているわけです。具体的なことを載っけたのは、作文であっては許せぬわけですが、私は、かなりこれはいいことだ、こういうふうに思うのです。私は、政府が言っていることをぼろくそに言うだけではないわけです。かなりいいことを言っている。その中で、五年間の寝たきり老人と、それから重度心身障害児者の施設等については完全に手を打つ、こういうことがあるわけです。これは、このことが閣議によって確認をされましたならば、そういうことについては万々間違いないと思いますが、これは額面どおり受け取ってよろしいかどうか、お尋ねいたします。
○江崎国務大臣 ただいまの御指摘の点は、特にことしの予算案におきまして社会福祉施設の整備、これは老人ホーム、それからいま御指摘の重度の身体障害者、重度の心身障害児の収容施設というわけで総額は二百七十三億円、昨年に比較いたしますると五三%増、この国庫支出に見合いまする地方の負担金は二百億円ということで、来年度の地方財政計画に計上する。そして地方交付税、地方債などを通じまして財源措置をしていきたい、こういうふうに準備をいたしておる次第でございます。
○小坂国務大臣 これは今度の計画の特徴と考えておりますが、目標を明らかにいたしたわけでございまして、大原さんすでに御承知と思いますが、二九ページの点でいま御指摘のことが書いてあるわけでございます。これはもちろんこれを閣議で決定すれば、さようなことになるわけでございます。
○大原委員 これは一一四ページに、社会福祉部門のところに、「社会福祉施設の整備については、計画的、かつ、重点的に整備することとし、とくに、収容保護を必要とする寝たきり老人、重度の心身障害児(者)などに対しては、計画期間中に全員入所できる体制を確立するとともに、施設運営の改善合理化をはかる。また、家庭奉仕員の増員をはじめ、コミュニティ・ケアー、在宅ケアー等の充実をはかる。」こういうことも書いてあるる。これはかなり具体的に、いまお話しのように書いてあるわけです。これは書いただけではないのでしょうね、こう質問いたしましたら、そうだ、こういうことですが、厚生大臣。
○齋藤国務大臣 御指摘の寝たきり老人、重度心身障害児の問題につきましては、厚生省が大蔵省と一応相談いたしまして、四十六年度から五十年度までに必要な方は全員収容しようという計画を立てて、目下順調に進んでおりますから、その長期計画ができましても、りっぱにやっていけると確信をいたしております。
○大原委員 厚生省の資料によりますと、重度心身障害児者がいま一万七千名いるわけです。これはもうたいへんであります。重度心身障害児者をかかえたらたいへんです。だから親が一緒に死にたいと、そういうことで問題がたくさん出ておるわけです。ですから一生を通じまして、重度心身障害児者の施設というものは完全になされる、そういうことは一つの先天的な病気もあるわけですから。あるいは難病、奇病その他一ぱい日本は公害病があるわけですから。ですからそのことを含めて、非常に大きなやはり国民の不安であり、要求であると思うのです。これはやる、こういうことを書いてある。で、この資料によると、一万七千名ほどそういう人がおられる。厚生省が調査したとこらによると、入所必要者は一万六千五百人で、九九%は入所を希望している。そういう完備したところで、治療もできるところでやりたい。施設にやりたい。寝たきり老人の問題と同じように社会問題ですが、しかし、現在の入所者は非常に不備な施設で八千名であるから、この仕事は五カ年間でやるならば、これはかなりたいへんな仕事になるだろう、人数は少ないけれども。 そこで、最近新聞にかなり出ておりますが、そういう政府の考え方とは逆に、重症心身障害者の施設というものが非常に荒廃している。全国で七百ベッドが宙に浮いている。社会党も現地を調査いたしましたが、東京都で社会福祉法人で島田療育園というのがあるわけですが、世界の重度心身障害児施設の模範であるというふうにいわれておるわけですけれども、ベッドが三百床あるという大きなものです。しかし百八十人しか入所していない。しかも介護職員の充足率が二・五人に一人であって、看護基準を下回っておるだけでなしに、毎年百二十名前後の要員を確保しておるけれども、七十名ぐらいしかとどまらない。看護婦さんがいないためにベッドがあいているのだけれども、施設へ入れることもできない。つまりこういうことだと思うのです、官民を問わずそうですが、日本の社会福祉施設というものは非常に荒廃している。老人ホームの問題もありましたが、私も労働大臣の発言についてはしばしば選挙のときも引用させてもらったが、施設の中身、基準が悪い上に、この要員が確保されていない。約百万人の福祉施設の人々がおるけれども、非常にかわっていく人が多い。せっかく重度心身障害児、寝たきり老人について完全に五カ年間で解消するというふうにいい方針を出しても、実際に足元のこういう問題について処理できないで、何でこれは国民の要求に沿うような政治ができるだろうか。国立病院の看護婦さんに千円だす、三百五十円を千円出すということを最後にどたんばでやった。これは悪いことじゃない。ないけれども、毎晩毎晩そこで宿直しているんじゃないわけだから、金をもらうよりも宿直しないほうがいいとみんな言っている。もらうのは悪いことじゃありませんけれども、それだけではだめだ。ましてや、国立病院だけであって、自衛隊の病院とか社会福祉法人とかそういう施設とかというものについてはないわけです。だから、それは思いつきだけでやったのではだめだ。全体として実態を把握しながら、計画的にやらなければ日本の福祉の施設はよくならぬ。厚生大臣は、島田療育園の具体的な問題を提示するけれども、その問題を含めて、重度心身障害児者の施設というものが荒廃しているということについて、どのような現状認識と対策を持っておるか、ひとつお聞かせいただきたい。
○齋藤国務大臣 お答えいたします。 重度心身障害児者を収容いたしまするベッドは、国公立その他全部をひっくるめて大体現在のところ九千ベッドくらいあるわけでございます。そのうちでベッドのあいているのは、大原委員が御指摘のように七百幾らというのがあいておるわけですが、それはなぜあいているのが。結局看護婦の問題でございます。国立の療養所のほうは比較的に重度の方々ばかりでなくてそのほかの患者も見ておりますので、わりあいに充足率はいいのでございますが、民間の施設などにおきましては、そういう例が間々私どもも見受けられるわけでございます。先般の島田療育園の問題などもまさしくその一つでございまして、この前小林委員からも御指摘いただきました。私は、島田療育園に入っておる方々はほんとうに一度でも郷里に帰してはならぬ、引き取った以上は必ずめんどう見る、それにはどうすればいいんだ、看護婦を何とかしなくちゃならぬじゃないかということで、その子供たちを送っておりまする郷土の知事さんにもお願いして、あなた方の県からこういう人が来ておるのですから、ひとつ献身的に看護婦さんをよこしてもらえぬだろうかということもお願いもしておりますし、具体的に看護婦さんをどうやって確保すればいいかということで努力をいたしております。しかしながら、なかなか思うようにいかないことは私ほんとうに残念だと思いますが、献身的な気持ちで看護婦さんがそういうところで働いていただけるように、今後とも努力をいたします。 しかし、それにしてもやはり処遇の問題が大事なことでございまして、民間施設等につきましては、昭和四十八年度におきましても、前年度に比較いたしまして二二%ほど処遇改善のほうに力をいたしております。しかし、処遇だけでは問題も解決しません。何とか看護婦さんを確保するようにと思って、目下真剣に努力をいたしたい、今後とも努力を続ける覚悟でございます。
○大原委員 努力をしたいということですが、これは見守ってまいりたいと思うのです。全国でいま、この経済社会基本計画の中で引用いたしましたが、寝たきり老人が三十四万人ほどいる。それからまた一人暮らしの老人がどんどんふえておる。高度成長、核家族化で、過密過疎が両方にふえている、こういう現象ですが、全国で寝たきり老人のための施設が百九十七施設あるわけです。一万四千七百人ぐらいしか入れぬわけです。三十四万人あるわけです。これを五カ年計画で、家庭においてホームヘルパーその他でやるという問題、介護する問題を含めて、ぴしゃっとやるということを私は言っている。これはかなり思い切ったことを明確にいっているが、閣議決定で結論的にまただれか文章を直すか知らぬけれども、間々そういう例があったから直すかもわからぬが、それは見守っていくことといたします。 ただ問題は、老人の医療の無料化、無料化といっても中途はんぱなんです。五割、七割の残りの負担ですけれども、それをやりますと受診率が高まってくる。いま老人については百人に十一人くらいしか受診率はないわけですから、これをやりましたらどこでもがっと上がってくるのです。そういたしますると、差額ベッドの徴収をしない都道府県市町村の病院、公的医療機関を中心にお年奇りがわっと集まってくる。そういたしますと、一般にベッドを開放することができないという問題も起きてくる。特別養護老人ホームというのは看護婦さんが九十人に一人しかいない、介護を要するのですからお医者さんがいなければならぬのですがいない、こういう荒廃した状況です。職員も手が足りない。実際見てみたらひどいものです。ですから、こういうことになっておるのを考える場合に、たとえば発想を変えて老人ホームは大部屋を主にしない。病院の場合にはベッド、これはしょうがないけれども、個室を設けること等も考える。あるいは老人専門の病院をつくる。あるいは特別養護老人ホームを公的医療機関の近くに置いておいて、そして医師の交流ができるようにするということ等考え方を変えて、綿密に医療の供給の面、そういう施設の面について十分やらないと、道路をつくったり公共投資も必要だけれども、こういうところに手が届かなければ、これは公共投資というふうにいいましても、国民の不安や要求に合致することはできないものだ、こういうふうに私は思う。 ですからそういう問題について、総合的に綿密に計画を立てながら、いま措置費その他の経費の仕組みもあることですから、病院等についてもあるのですから、そういう問題について総合的に計画を立てながら、寝たきり老人の対策についてもやらないと、総理大臣、健康保険の保険料を上げる、五割を六割、七割にしますといったって、東京都内で大病院の八割は差額ベッドを取っているのですよ。十万円、二十万円の現金がなければ一カ月入院できないのですよ。五割を六割にするのはいいことだけれども、七割にするのはまだいい、八割にするのはまだいいけれども、しかしそういう実態が一ぱいある。付添婦の問題等を含めて、実際に現金がなければ病人は病院に入れないんだ。養護老人ホームは、こういうものは死の待ち合い室だ。何にも打ってくれない。リハビリテーション、社会復帰の訓練もしないものですから、だんだん後退をしていくということです。ですからそれらの問題を含めて、総合的な改善計画を私はつくってもらいたい。健康保険の一千億や二千億の赤字なんというのは、全体からいえば、何兆円の予算からいえばたいしたことはないのだ。公的病院だって独立採算制を、自治体のほうだってそうだけれどもとっておるけれども、ベッドの規制とか独立採算というのはもう時代に即応しないものだ。もうこれは発想を変えて、そういう問題について十分議論をしてやらなければならないときに来ている、こう私は思います。この問題について、厚生大臣と総理大臣の答弁を最後に聞きたいと思う。
○齋藤国務大臣 差額ベッドなどにつきましては、なるべく病院のほうの自粛をお願い申しておりますが、患者のほうで御希望があればそれはいけないとも申せない。そこで、公立病院等につきましてはできるだけ自粛をさせるというふうなやり方をいたしております。 それから、医療体制のそういう問題につきましては、いろいろむずかしい問題がございますので、そういう問題を総合的に検討をいたしまして、国民が喜んで必要な医療を受けられるような体制をつくるように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○田中内閣総理大臣 重度心身障害児、寝たきり老人、これは当然お互いの協か歩費で負担をしなければその家庭はやっていけないわけであります。だからそういう意味で、荒れておる病床の整備とか、また看護婦や医師の手当てとか、そういうものに対しては、先進工業国とみずから言っているわけでありますから、それに恥じないようなりっぱなものをつくりたいということは、いま御指摘のあなたと同じ考えであります。 そういう意味で、医師が不足であるというので、各府県、未設置の県に医学部をつくったり、また看護婦の養成をしたり、看護婦の夜間手当をふやしたりいろいろなことをしておりますが、この間、私もこういう問題に対して悩みながら医者の意見も聞いてみたわけです。これは有力な医師の発言でございますから御紹介をしてみたいと思うのですが、やはり医学部というのは相当めんどうな勉強だし、施設も多いので費用もかかっているのだ、国も私学に対しては相当なめんどうを見るべきである、見たら、医者に対しては何年間か無医村に行ってもらったり、それから公立病院とか社会的施設に勤務をしてもらうように、長いことではない、三年が限度だと思うが、三年といわず二年、一年ずつでもいいが、そういうことを義務づけたって、医者としては、一人前の医者をつくってもらうためには相当な保護を受けていをのだということは承知をしておるので、そういうことをやはり勇気ある提案として考えてみるべきではないか。そうしないと、医者の資格を得ると全部大都会に来てしまうということにもなりやすい。それでまた開業医であっても、一カ月のうちに一日ずつは拠出をして、社会施設に働いてくれという提案があれば、それは受けますよ、こういうことでございました。私は、やはりそういういままでやったことのない分野に対しても、政府は勇気をもって接触をする。そうしてそういう拠出というようなものだけにたよっておるのではなく、何年か後には理想的な環境をつくるということなどもやはり考えなければいかぬのじゃないか。看護婦などでも、老人ホームなどにおいては看護婦の資格を持つ年配者が一人おって、若い人たちが何人かおれば、それをてこにして十分任務を果たせますよという手紙をいただいておるものもあります。 私はそういう意味で、やはりこれからつくるその種の施設というものに対しては、完ぺきなものをつくるべく最善の努力をいたしたい、こう思います。
○大原委員 最後です。いまの発言についてはいろいろな議論をしたいことはたくさんあるわけですが、しかしいまは、医療は、僻地医療もそうですが、三千も無医地区があるわけですから、保険料を払うといっても医療機関がないのです。自治体が、一つの県が四億円出して二、三人ほど入れておきますね、これが行くという保証は何もないわけです。それはやはり公的医療機関、都道府県の病院をきちっと独立させて、そこへ定員をやって治療と研究ができるようにしておいて、そうして独立採算をやめて、そういう人が一定の期間行くようにしなければ、だれとお話しになったかわからぬけれども、一人、二人の意見ではどうにもならぬということです。ましてや私立医大は、最近営利のためにつくっている医大がたくさんある。二千万も三千万も出して入っている。そんな者が医師のモラルなんかできるはずがない。だからそういうことにしておいて、保険料を上げるとか患者負担をふやすということだけに血道を上げておると、何を一体国会はやっているのだということになるわけですよ。 ですから、そういうものを総合的に詰めていきながらこのことをやっていくならば、こっちも出そうということになるわけだ。救急病院の医療の問題から僻地医療の問題から重度障害のことから全部ある。公害の問題もあるわけです。ですから私どもは、そういう点で田中内閣もこういう点については姿勢を正して、健康保険の問題その他についても腹をきめてかかってもらいたい。つまらぬところへ腹をきめぬで正しい腹をきめてもらいたいと私は思うわけです。 申し上げたように、福祉優先ということを言うけれども、社会保障の計画の問題、福祉施設の問題から、あるいは年寄りがどんどんできる、増加していくだけでなしに、三十年の後には健康な日本人は半分になるだろうという生態学があるわけです。そういうことが、ローマ・クラブじゃないけれども日本においてはあるわけですから、そういう未来学があるわけですから、このまま進んでいけば、近い将来に一億が五千万に減るだろう、こういう議論があるわけですから、何というか、思想というか哲学というか、やはりいま政治について私どもがほんとうに考えていくときが来ていると私は思っているわけですが、そういう面において福祉優先、インフレとか環境問題とかいう問題を含めて、物価の問題、インフレの問題を含めて、私どもはこれからいままでの政治のあり方、行政のあり方について徹底的にメスを入れることが必要だろう、こういうふうに私は問題を最後に指摘をしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
○根本委員長 これにて大原君の質疑は終了いたしました。 次に、細谷治嘉君。
○細谷委員 最初に、通貨の問題について若干お尋ねしたいと思います。 けさの新聞を拝見いたしますと、愛知大蔵大臣は通貨問題で夜も眠れない、こういうことが書いてございました。この問題につきましては、せんだって私どもの田中委員から若干の質問がなされ、その当時大蔵大臣としては状況を静観しておる、こういう答弁でございました。私は、その答弁をいただいたその後も、たとえば西ドイツのフランクフルトにおいても、あるいはわが国におきましても、たとえば昨日八日は、フランクフルトでは十億ドル以上の買いささえがあったと報道されております。わが国においても東京で直物取引だけでも一億円をこえておる、こういうことであります。まさしくこの問題は深刻な事態にある。しかもこの問題については、条件からいきますと、西ドイツよりもはるかにきびしいところに日本は立たされておるわけでありますが、数日来の動きを見て、どういう考えに立っているのか、まずお聞きしたいと思います。
○愛知国務大臣 海外、特にヨーロッパ市場の状況は、ただいまも御指摘のとおり、また新聞、テレビ等でも詳しく報道されておるとおりでございます。時差の関係などもございますから、その状況は日本でいえば深夜でなければ様子がよくわかりませんので、なかなか眠ることもできないということもございましたような状況でございますが、現段階におきまして、さらにこれからのヨーロッパ市場がどうなるか、見通しを立てることはきわめて困難であると存じます。 しかしながら、西ドイツにおきましては、御案内のように、為替管理を徹底的に強化する、そして現行レートを堅持するという方針を引き続き明らかにいたしております。そしてわが国におきましては、御案内のように海外からの資金流入というものは為替管理によってきびしく規制いたしておりますので、西ドイツにおけるような大量のドル売りが発生することは考えられません。したがって、現段階において、日本としては新たな規制措置を導入する必要はない、かように考えております。
○細谷委員 昨日アメリカからエバリー代表が参りまして、政府の関係者と会ったわけでありますけれども、その席上で、新聞の報道するところによりますと、エバリー代表が、日本がもっと積極的に貿易についての不均衡を是正する方策をとらなければ、保護貿易派を押えることはできない、最悪の事態を招きかねない、こういうことに対して日本側は、「昨年十一月に実施した第三次円対策の内容を説明、さらに対米貿易収支改善のため国内インフレの懸念があるのに四十八年度は超大型予算を編成するなど努力しており、」こういうふうに答えているのですね。これが事実としますと、今度の予算というものを、もうすでに政府自体がインフレ予算なんだ、こういうことを認めておる。しかも客観情勢はきわめてきびしい状況にあるわけですよ。いまこれ以上の何も考えられないということになりますと、まさしく日本経済というのはアメリカ経済にビルトインされてしまっている、こういわれるのですけれども、この態度は問題だと思うのです。でありますから、きょうの新聞でも、ある新聞の社説では、「奇妙な政財界の“円対策”」こういうことできびしく批判しておりますよ。どうなんですか。
○愛知国務大臣 エバリーアメリカ経済代表といいますか、特使が現に滞日中で、各省の政府の関係者と会議をしたりあるいは個別的な会談をいたしておるところでございます。いま引用せられました記事は、そのどれをさしているかわかりませんが、政府といたしましては何べんも御説明いたしておりますように、財政からインフレというものが起こらないように政府の予算を編成しておるわけでございますから、それは何かの間違いではなかろうかと思います。 ただ、第三次円対策以来、総理大臣の施政演説にもございますように、四十七年度の補正予算からの考え方というものは御承知のとおりでございまして、いわば内需中心の予算、そして物価を安定し、かつ国内均衡と国際均衡をとっていこう、そして福祉国家をつくり上げよう、これが同時に円対策であるということは、基本的にわれわれの考え方でございます。
○細谷委員 いまの記事は、私も新聞の記事をそのまま読んだわけでございまして、その真偽のほどは私も保証の限りでございませんけれども、しかし、どうもアメリカから圧力がかかった、それを受けてほんとうの腹の内を、インフレ予算まで組んで努力しているのにということを言っているのじゃないか。このことはあなたが、いわゆるトリレンマの解決なんだ、そういうことでこの予算を組んだと言いますけれども、トリレンマのうちのインフレということは、もうほんとうに解決する意図はないのだ。これは少しきつ過ぎるとするならば、トリレンマとは言うけれども、事実はインフレということに重点が置かれておらないのだ。ですからここでも議論されたように、調整インフレということを考えておらないにしても、事実上調整インフレの道を歩んでおる、それが今度の予算であり政府の姿勢だ、こういうふうに言ってよろしいかと思うのであります。私は、あなたが指摘した三つの問題、トリレンマのうち、何と言ってもやはり重点として押えていかなければならぬのはインフレ対策ではないか、こう思います。 そのインフレ対策というのはどこから出ているかといいますと、やはり過剰流動性ということであります。過剰流動性というのはどこからきているかといいますと、たいへんな貿易黒字、こういうことから出てきておるわけであります。でありますから、インフレというところに重点を置いて、そして問題に取り組まなければいかぬのじゃないか。 そういう点では、私は、田中総理が言われるように、何が何でも円の切り上げはしないのだ、円の切り上げは悪だ、こういうような形で、国際収支といいましても、トリレンマのうち円の切り上げを避ける、こういうことに重点が置かれているので、問題の解決には少しもならぬ、そしてとどのつまりは近い将来円の切り上げというのが起こってくる、そしてインフレも収拾つかない、せっかくの福祉も吹っ飛んでしまう、こういうことになるのではないかと思う。 でありますから、インフレを押える、そのためにはもっと積極的な、いわゆる過剰流動性をどう押えていくのか、こういう具体的な手だてをとる。なるほど若干はとりました。預金準備率とか、あるいは最近は土地についての融資を抑制するとかいろいろとりましたけれども、これではどうにもならない、こういうことではないかと思います。総理、どうお考えですか。
○愛知国務大臣 前にも当委員会でも論議が行なわれましたけれども、何と上に冠がつこうとも、インフレということを目的にする一国の政治というのは、私はあり得ないと思います。調整インフレというようなことは全然考えておりません。のみならず、現状が御指摘なような金融情勢でございますから、これに対処してますますインフレを起こさないように、過剰流動性を起こさないようにということを政策の重点にしていることはもちろんでございます。そして、特に国民的に、何といっても消費者物価の値上がりを抑制していくということに心をこの上とも用いてまいりたい、こう考えております。
○田中内閣総理大臣 いま大蔵大臣述べましたとおり、インフレ抑制ということはもう最大の眼目でございまして、インフレの起こらないように諸般の施策を進めるということは、この四十八年度予算編成の最大の前提条件であるということは御理解いただきたいと、こう思います。
○細谷委員 あまりこれに深く立ち入る時間的余裕もありませんので、私は、いまも申し上げましたように、何といってもやはり、インフレをどう克服するか、そこに重点を置いて、トリレンマなんという形のごまかしでは済まないのではないか、こう思います。この点について、自主性ある的確な方策を具体的にとっていただきたい、こう思います。 そこで私は、少し詳しく税の問題について質問に入るわけでございますけれども、最初にひとつ総理に姿勢の問題としてお聞きしたいのであります。 総理は十二月二十五日の記者会見で、「土地には積極的な施策が必要だが、社会党や共産党の考えではできない。はじめから立場がちがっているのでは議論にならない」と、こう断定しておりますね。こう新聞記事にある。そういうことになりますと、総理、中国に行って政治的立場を越えて外交を再開してきたのでしょう。議論するつもりはないのですか、考えの違った人とは。この真相を明らかにしていただきたい。
○田中内閣総理大臣 どこでそういうことを御入手になったかわかりませんが、野党の皆さんの御意見に対しても、この席をかりまして、いい意見があればどんどんとお寄せいただきたい、これは国民的衆知を集めてこの困難な問題の解決に当たりたいと、こう言っているのでございますから、私が、いま述べられたような発言、御指摘のような意図を持っておらないことは、もう言うまでもありません。 ただ、地価の完全凍結とか、それから国有にしなさいとかいうような問題に対しては、われわれは自由主義思想をとっておりますし、憲法の定める規定がありますので、これを社会主義政党のように、最終的には国有論というような考えにはわれわれは同調できないという考えは、いまでも持っております。持っておりますが、私が土地税制や土地の問題に対して皆さんの御意見を聞かない、そんなことはもう一ぺんも言ったことはありませんし、私もこの席から、どうぞひとついい案があったらお出しいただきたい、いい案があって実行可能なものであるならば国民的な結論を得たい、こう述べておるのでございますから、まあひとつ御理解がいただけると思います。
○細谷委員 私は、この十二月二十五日の記者会見の記事は、総理の発言が事実とすると問題がありますから、記者会見の模様を書いた記事を四つ、五つ全部読んだのですよ。同じように書いてあるのですよ。「社会党や共産党の考えではできない。はじめから立場がちがっているので議論にならない」と、こういうふうに書いてあるのですよ。まあ総理はそうじゃないと言うのですけれども、これは新聞の報道が間違っておるのかどうか、私もわかりませんけれども、その新聞が全部同じような記事の書き方をしていますから、これは問題がありますよ。問題があります。少なくとも火のないところに煙は立たぬと、こういいますから、こういう態度では一国の総理としては誤っておる、こう申さざるを得ないと思うのです。 そこで私は、税に入る前に最初に税制調査会に対する政府の態度、そういうものについてお尋ねをしておきたいと思うのです。 私が新聞等を見ますと、税制調査会の会長が血相を変えて、税の問題は寿命の長い国の基本にかかわる問題である、だから税の問題については慎重に対処していただきたい、選挙のときに公約をしたがゆえに、無理にその実現をはかるのは税体系の基本をくずすものだ、今後こういうことがないように与党、野党に注文したい、こう言っているわけですよ。これは新聞に書いてあるのです。この発言もずいぶん問題がありますね。総理どうお思いですかね。
○愛知国務大臣 これも私のほうから申しますれば、東畑会長がどういうふうに会見をされたか、そこの点についてコメントはできませんけれども、差し控えるべきだと思いますが、私の想像では、私が税制調査会に出席しておりまして、問題となりました点を率直に申し上げますと、一つは、事業主報酬制度の問題であります。これは実は、いただきました御答申と、私どもとしては税制調査会の御意見も十分尊重いたしまして、そして事業主報酬制度を踏み切ったわけでございますけれども、若干考え方が答申とは違っておった点を委員の中からも指摘された方がございますし、私が釈明したこともございますから、それが一つの点であろうかと思います。 それからいま一つは、多少これは報道にも誤解があるのではないかと思います点がございますのは、土地税制の関係でございます。そして、いわゆる抜け穴が多い多いと世間で伝わっておりますけれども、その点については税制調査会のお考えと私どもの考え方とには違いはない。しかし、その点について非常に熱心な御討議がございましたから、それに触れて若干の意見を言われたのではなかろうか、これは非常に私の率直な観測でございます。率直に申し上げてお答えといたします。
○細谷委員 まあ、いまのはちょっと私の質問も少しことば足らずでしょうけれども、答弁になってないのですよ。こういう税について議員がいろいろと考えを言うことはいいんであって、それに税調というのが自主的な役割りを果たすか果たさぬか、こういうことに尽きると思うのでありますけれども、税調自体が自主性を失っているところに私は問題があると思うのです。 その点はあとにいたしまして、今度の税制調査会に従来と変わった一つの注目すべき点があるわけですよ。それは何かと申しますと、税制調査会の答申が出る前に、自民党の税制改正大網というのが出ちゃっているのですね。これは従来も連関をとりながらやったことは認めますよ。認めますけれども、今度は政府税調よりも党税調のほうが先に出ているのですよ。そうなってまいりますと、私は、一体税政調査会というのが必要あるのかないのか、こういうことが言えると思うのです。いままでにない例です、これは。 御承知のように、いつ出たかといいますと、昨年の三十日から三十一日、これにかけて党税調と政府税調が出てきております。土地税制の問題については、一月十八日に自民党の税調が決定して、政府税調も同じ日に答申をしたということになっております。事実先行したのは党税調ですよ。しかも今日どうなんですか。税制全部きまっておらぬで予算が審議されておるじゃないですか。きまっておらぬでしょう、四十八年度の税制全部が。あとで述べますけれども。こういうことになりますと、これは私はずいぶん問題があると思うのですよ。たとえば、市街化区域の税をどうするか、土地の固定資産税をどうするのか、いまだにきまっていないでしょう。言ってみますと、地方税制の要綱もまだきまっていないのですよ。問題ありますね。それで予算はどんどんいって、あすは総括質問が済もうとしているんです。これはどういうことなんですか、お答えいただきます。
○愛知国務大臣 まず最初の御質問でございますが、党は党として、やはり党の立場において税制を検討し、熱心に討議されるのは、これは当然のことでございますし、そして政党内閣でございますから政府側としても、党の意見というものは十二分に尊重いたすべき立場にあると思います。それから政府としては、各界のおえら方にお願いをいたしましていろいろと御審議をいただくのが政府のいわゆる税調でございますから、このほうも実に昨年内は、ほんとうに大みそかに至るまでつぶして、非常に精力的な、意欲的な御検討をいただいたわけでございまして、その結論が一日どちらが先に出ようとも、これは私はさしたる問題ではないと思います。責任があるとすれば、政府のそのいずれかの取り上げ方で、御提案をいたしております税制案をつくりますところの政府に対しまして、国会で十分に御審議、御叱正をいただくべき筋合いではないだろうか、こういうふうに私は考えるわけでございます。 それから後段のほうは、まだ出ておりません法案につきましては、早急に国会に提出して御審議いただきたいと思っておりますが、ただ念のためつけ加えますと、この土地に関する税制については、四十八年度の歳入には直接関係がない、このことだけは特殊な事例でございますことを念のため申し上げておきます。
○細谷委員 四十八年度のあれには直接関係ないと言うけれども、冗談じゃないですよ。私が言っているのは、市街化区域の農地の課税、固定資産税をどうするのか、予算に関係あるでしょう。そんなばかなことはありませんよ。いま審議しておる新土地税制というものについては大部分関係ありませんけれども、私が言っているのは、四十八年度の歳入に関係あるそれがいまだにきまっていないなんて、これは言語道断ですよ。あなた、そんな認識不十分なことばは改めてもらわなければいけない。
○愛知国務大臣 その点はちょっと私の説明が足りませんでした。土地譲渡税のほうを主として申し上げたわけであります。
○細谷委員 私は、最初から譲渡税なんて言っているわけがないですよ。まあ、こんなことで時間をかけてもしようがないから……。 そこで私は、真相をお尋ねしたいことがあるのですよ。この税制調査会の答申で五ページに、「社会保険診療報酬課税の特例の是正」この点については、「きわめて近い将来においてその改善のため」こういうことばが使われておるのですよ。そうして、先ほどお話のありました新土地税制の問題についても、これも「きわめて近い将来」と書いてあるのですよ。なるほど、同じように書いてありながら、「きわめて近い将来」というのは、言ってみますと、一月十八日になって新土地税制は出てきたわけです。ところが、「きわめて近い将来」と書いてある社会保険診療報酬課税の特例については、きわめて近い将来何もないのですよ。 私は、社会保険診療報酬の課税の問題について掘り下げて議論をしようというわけではありませんけれども、この問題については、一昨年の四十七年度の税制の際にどう書いてあるかといいますと、これは「特別の部会を設けて検討作業に着手することとし、その結論を得たうえで政府に対し改善のための現実的具体的方策を答申する。」これは四十七年度税制でやっているんです。そして昨年暮れの答申では、「きわめて近い将来」とあるが、もう一年以上毎年のようにこの問題は出ておりますけれども、しかも「きわめて近い将来」というのが何年も先に繰り延べられておる。新土地税制については、「きわめて近い将来」というのが一月の十八日の答申になっている。これは字句からいいますと一つも違っていないんですよ。なぜ違ったんですか。違った理由をひとつ教えていただきたい。
○愛知国務大臣 診療報酬の問題につきましては、これはそこに書かれてあるとおり、非常にむずかしい問題になりまして、政府の税制調査会におきして、これについては調査会全体の総意というものはまとまらなかったわけでございますが、同時に、税制調査会としては、この問題については引き続き検討を要するという意思表示がその中にされてあるものと政府は理解をいたしておる次第でございます。したがいまして、その件は現行法どおりに進行をただいまいたして、御審議を願っておるわけでございます。ですから、改正されず現行の制度のままで御審議を願っているわけでございます。 それからいま一方のほうは、先ほど申し上げたとおりでございます。
○細谷委員 先ほど申し上げました、昨年の十二月三十日の四十八年度の税制を答申した直後の記者会見で、東畑会長はこう言っているんですよ。私は税制調査会の部会長だ、四十七年度税制をおととしの暮れに答申する際に、その答申に基づいて、「特別の部会を設けて」ときめましたから、東畑会長がみずから部会長になったわけですが、税調の各委員とも、医師課税の適正化をはかれという意見だ、四十八年度税制改正に間に合わせる、こう断わっているんでしょう。それを受けて「きわめて近い将来」ということになっているわけですね。しかも、齋藤厚生大臣いらっしゃいますが、健保財政がこれほど赤字を出している中で特別措置をやめると、相当大幅な診療報酬の引き上げを実施せざるを得ないと、この社会保険診療報酬の特例の問題と健保の問題とからみ合わしているのですね。こういうことが報道されますと、私はどうも背景に何かがある、筋が通っておらぬ、税制調査会は全くナメクジになっておる、こういうふうにも考えざるを得ないのでありますけれども、私の考えが誤りでしょうか。
○愛知国務大臣 これは税制調査会の問題でございますから、先ほどもちょっと申しましたように、私からとやかく申し上ぐべき問題ではないと思いますが、この制度については調査会の中でも非常な御意見がある問題でございますけれども、最終的にまだ答申を出されるという段階になっていない。しかし、これは非常に重要な問題であるから、答申の上にはそのことをぜひ書いておこうというのが、総意として調査会として決定されたものである、かように私は理解いたしております。
○細谷委員 私はいまの答弁では満足できないのです。これは、政府にいろいろな調査会とか審議会とかありますけれども、これが隠れみのになっているわけです。民意を政治の中に生かしていくという場合に、都合のいいものはつまみ食いする、都合の悪いものについては答申がないから、こういう形で、背後では政府が圧力をかけている。これはこの間、運輸審議会が国鉄の答申でそういっているでしょう。運輸大臣が困るだろうからあのまま認めたなんていっているでしょう。こういうことになりますと、調査会とか審議会はもはや政府の隠れみの以外の何ものでもない。こういうことでありますから、調査会なりそういう審議会というものについては、これはむだな経費も要るわけでありますから、抜本的にこの際対策を講じなければならぬと思うのです。総理、いかがですか。
○愛知国務大臣 中身ですから……。 先ほど申しましたように、調査会の御意見をそのまま一〇〇%に政府としては受け入れられなかった点もあるということを、率直に私のほうかしら指摘申し上げたようなことがございまして、税制調査会としては非常に御熱心な御意見、御答申をいただいたけれども、必ずしもその御意に沿うことができなかった点もありますことは御承知のとおりで、私どもとしては、労働界も含めまして各界の権威者の方々に税調に御参加いただいておりますことは、非常に政府としてもありがたいことである、これはぜひひとつ続けていただきたい、かように考えております。
○細谷委員 税というのは、一番大切なことはやはり公平の原則に貫かれておることで、水平的な公平、垂直的な公平、これがまた憲法の公平の原則、そういうことから出てきているわけでありますけれども、そういう点で私は、かねてから問題になっておる点はやはりすなおに答申をしていただいて、そしてそれに対して政治がどう対応していくか、こういうことでなければならぬと思うのですよ。いまのところはまさしく税制調査会というのは、事業主報酬制度のことをあとで私も少し議論したいと思うのでありますけれども、たとえば税制調査会は、基本税制の中に入れることはいかぬ、こういった。そうしたらどうしたかといいますと、中小企業対策の中にさっと入れて、そうして事業主報酬制度というものを設けた。それも五カ年間、四十八年度は経過措置、四十九年度以降五カ年、こういう形でいっているでしょう。私は筋の通るものならけっこう。けれども、税制調査会と政府の取り上げ方、こういう点について不可解千万なことがありますから、特にこの点を指摘しておるわけであります。 そこで次に進みますけれども、四十八年度のいわゆる物価調整減税というのは幾らになりますか。
○愛知国務大臣 物価調整減税とおっしゃるのは、所得税の最低限度のことかと理解いたしますが、それでよろしゅうございますか。——それは最低限度でいえば標準家族は百十四万何がしになる。
○細谷委員 私は課税最低限を聞いているわけじゃないのですよ。物価が五・五なり五%なり七%上がりますと、自動的に累進税率をとられておりますから、いままでよりもよけい税を納めなければいかぬようになるわけですよ。その物価を五・五なり七とした場合に、四十八年度の物価調整額は、物価の値上がりがなかりせばということですね、減税額は幾らか。
○愛知国務大臣 物価の関係、それからべースアップの関係等々を試算したものがございますから、主税局長から御説明いたさせます。
○高木(文)政府委員 物価調整減税の概念につきましては、昭和三十七年度以来、税制調査会においていろいろ議論されましたが、結論的には、所得税の課税最低限を定める際に消費者物価の上昇率を頭に置いてきめるべきであるということでございます。その計算は、数日前に当委員会に資料として御提出いたしましたとおり、四十八年度では千三百七十億になるというふうに私どもは計算をいたしております。 ただ、ただいま先生から御指摘がありました点は、課税最低限と関係なく全体として物価調整減税ということを、所得税について考えるべきではないかという御意向かと思いますが、 (細谷委員「先回って言わぬでいいよ」と呼ぶ)その点につきましては、私どもは現在の段階では計算をいたしておりません。
○細谷委員 それだから時間が不経済でしょうがない。 いまおっしゃったように、消費者物価の上昇が基準生計費に影響することを考慮して、その上昇だけ所得税の課税最低限を引き上げる、そういうことで計算をいたした物価調整減税というのは、資料が出ておりますように千三百七十億円、これは資料としていただいております。三十七年の十二月に税調が物価調整減税というのはこういうふうに計算すべきであるという一つの方向を示しておりますね。それはどういう方向かといいますと、消費者物価の上昇に見合う所得に累進課税されることによって生ずる増収分を物価調整減税と見る。この場合には、高額所得者も低額所得者も含まれます。しかし、そういう形で物価調整減税を計算しろというのが税調の答申ですよ。いままでの実績を見ますと、税調答申とあなたのほうの計算というのは、課税最低限だけ見ていますから数字が小さいのですよ。税調の答申の方式では計算しておりませんか、答申の方式では。
○高木(文)政府委員 昭和三十七年当時には税制調査会におきまして、この問題がたいへん熱心に議論されたわけでございますが、その後いわゆる課税最低限の引き上げ等が行なわれまして、問題の重点が他に移ってきております関係で、税制調査会では最近この問題についてはあまり深く議論されておりません。したがって、私どものほうもこの問題について、三十七年当時のような計算はいたしておらないわけでございます。
○細谷委員 私がこの税調の方針で試算をしますと、大体三千三百億円ぐらいになるようですね。そうしますと、今度の減税というのは初年度で三千三百五十五億円、かつてない大幅な減税をやったというけれども、総理、物価の問題を考えますと、これは減税になっていませんよ。総理は総裁になるまでは一兆円減税だと言った。総裁になってから五千億円になった。そして事実やったものは、自民党の税調の考えよりも結果はやや前進しておりますけれども、実質的な意味において、五・五で計算しても、実際はそんなものでおさまらないでしょう。減税になってないですよ、実質的な減税には。例をあげて申し上げますと、たとえば二百五十万円の所得の人は、四十八年度に一五%所得がアップしたとしますと、税の負担率は四十七年度は九・三%でありますけれども、四十八年度は九・九%になっちゃうのですよ。これは示すとおりです。ですから、私は、今度の減税なんていうのは、口を大きくして減税なんということで自画自賛できるしろものではない、こういうふうに申し上げなければならぬと思うのでありますが、いかがですか。
○田中内閣総理大臣 過去の例からとりましても所得税中心であり、しかも、所得税の自然増収額に対する減税額を計算すれば例のない数字であるということは、これは御理解いただけると思います。いまの物価上昇に基づく実収、実際の収入から減価されるものを合わせれば三千三百億だと言われますが、これは年数億円、数十億円というような高額所得者もみんな含まれるわけでありまして、その点、そういう人たちまで減税の対象には考えておらぬわけです。先ほども御指摘がありましたように、やはり課税最低限を引き上げるということを考える場合には、またその部分くらいは、当然それを上回るような課税最低限の引き上げということはやらなければいかぬのだ。これは生活保護基準を引き上げると同じように、そういうときの算定の基礎にはどうしても含めて使わなければならない。 そういう意味では、百十四万九千円というとイタリア、イギリスよりも多くなり、西ドイツよりも多くなった。日本の上はアメリカだけだというようになりつつあります。これはしかし、これをもって足れりとはしておりません。また来年からでも十分検討いたします、こう言っておるのでございます。数字的にあげて、いまの税率が高いということですが、所得税中心主義、いわゆる直接税中心主義というものはどうしても税負担感が多いので、中だるみといわれておるような中堅の税率までに手をつけるべきだという含みのある御発言はよく理解できますが、しかし、財政需要も多いわけでありますし、また国債の発行というような面も勘案をしなければならなかったという状態における所得税減税ということにひとつ理解をいただきたい、こう思います。
○細谷委員 主税局の資料によりましても、勤労者の所得、世帯の消費支出の推移、こういうものを見ましても、減税という内容に値しない。しかも政府の資料からいきますと、減税した部分が幾らという比率でありますけれども、実質的な所得からいきますと、全部税負担率というのは上がっておる、こういうことである。一例を申しますと、四十八年度は給与所得者数は三千五百七十五万人だというのです。納税者数は幾らかといいますと二千八百四十七万人だ。これは大蔵の資料ですよ。そうしますと、給与所得者の七八・二%というのが所得税を取られているのですよ。四十二年は幾らかといいます準三%です。四十二年から四十八年のわずか五、六年の間に、給与所得者の中の納税者の占める割合というのは一五%も上がってきているのですよ。ここが何よりの証拠でしょう、これは。所得税が過酷である。その所得税は平年度百十五万円なんといっておりますけれども、住民税の課税最低限というのははるかまだ低いのですよ、私はいま所得税を議論しておりますけれども、その住民税というのは下のほうの所得者はみんな所得税より高いわけです、住民税のほうが。こういうことからいきますと、私は今回の所得税の減税というのは減税に値しない、こういうふうに言って差しつかえないと思います。 特に政府はしばしば高福祉社会は必然的に高負担だ、こういいます。このことばは、現在の日本の税制というものを前提にして高福祉、高負担なんていえないですよ。私はそう思います。一例を申し上げますと、所得税中心主義といわれているアメリカの歳入に占める所得税は、これは日本より重くて八六%ですよ。個人所得税が六二。日本の場合は所得税は三二です。ところが、それほど取っているアメリカの所得税は、日本の同じ所得者と比べますと、日本よりもアメリカのほうが安いのですよ。全体としての租税負担率というのは、日本は一九・五くらいですけれども、アメリカは二八とか三〇近い、だから、日本の税金はまだふやしてもらわなければいかぬのだ、こういっておりますけれども、所得税をとってみますと、日本のほうがアメリカより高いのです。たとえば日本の平均の所得は二百七十二万、そして日本の税法では一一・六%所得税を納めなければならぬ。アメリカは九・九%でいいのですよ。フランスは七・五でいいのですよ。この点から見ますと、日本の所得税がいかに過酷であるか、そして所得税よりも過酷である住民税というのはいかに国民の最低生活を圧迫しているか。こういうことでは福祉が泣きますよ。日本の租税負担率というのが一九・五で、アメリカは二八か三〇になっているのに、所得税は逆に日本のほうが同じ所得である場合多い。にもかかわらず一九・五というのはどこにあるのか、その辺はあとで議論をいたしたいと思うのです。こういうことなんですよ。 ですから所得税の大幅減税、総理は言っております、所得税はいまの半分くらいにしたい、そのことばはうれしい。あとがいかぬ。もっと公平の原則を破壊する付加価値税の導入なんてことを考えての高福祉、高負担でしょう。こんなことでは議論にならない、こう思うのです。大蔵大臣、どうお考えですか。
○愛知国務大臣 いまのお話の中にもありますように、これは各国の税制の相違、それからいわゆる直間間の配分、あるいは個人の所得税と法人税との関係とか、いろいろ各国の税制の構成によって、負担率が高くとも所得税においては安いということが御指摘のとおりにあらわれているわけでございます。同時に、先ほども御議論がありましたが、新長期経済社会基本計画にも今後における、五十二年度の国民の負担というものが、現在よりも上がるというようなことが掲げられてあるというような次第でもございますので、こうした問題については長期的に検討をさらに加えるべきことである、私はかように考えております。
○細谷委員 あまり時間がありませんから、いろいろと議論したいのでありますけれども、私の申し上げたいことは、高福祉、高負担、高福祉のためには負担を上げてもらわなければいかぬというのはすっと通るのです。国民にわりあいに通りやすい。しかし、さっき言ったように高福祉、高負担で、いまは大体二一くらいだ、今度の基本計画では二四・二くらいまで持っていくんだ、こういうことがここに書かれてありますけれども、そういう負担を上げていく場合には、上げていくだけの現在の税制について公平の原則に貫かれる前提が解決されない限り、こんな高福祉、高負担というのは全くナンセンスだ、こういうふうに申し上げたいと思う。 先ほどの税制調査会の答申になかった事業主報酬制度、この事業主報酬制度については学者の間でもいろいろ議論があります。そうして青色申告、白色申告、そうして給与所得者、こういうものの中にも課税最低限の間に差がある。一番ひどいのは白色申告ですよ。詳しくは申し上げませんけれども、そういうものの公平の原則を貫こうという形で事業主報酬制度がとられた。ただ事業主報酬制度というものを、一つは給与所得者でありますよ、もう一面はみなし法人でありますよ、もう一面は配当所得者でありますよ、こういう三重の形になっている税制というものについては、私は、税体系上問題があるんではないか、もっとやはり確かに給与所得者と比べての不均衡あるいは同族法人との不均衡、法人との関係の不均衡、こういうものを是正するには、たとえば事業主に対する控除、こういうものは白色にとられているような形で、これはやはり共通で、給与所得者、青色申告、白色申告にとられるべきではないか、こういうふうに思います。事業主報酬制度そのものが公平の原則に貫かれてとったことは事実でありますけれども、それならばそれで何らかの条件をつけて、白色申告にもこれを適用していく、そして給与所得者、白色申告、青色申告の間にアンバランスが起こらないように、公平の原則が貫かれるようにすべきではないか。 世上しばしば、トーゴサンとかクロヨンとかこういうようにいわれますけれども、そういうことがこれは税のあれについて不信感を抱かせるわけでありますから、そういうものをきちっと解明してやることが必要ではないか。でありますから、私は、これは何らかの条件なり指導を付して、白色申告につけないで、そしてきわめて複雑な三重の人格を持ったような形のこういう税制についてはもっと考え方があったのではないか、こういう点を指摘をしておきたいと思います。 そこで、一番問題がやはり法人税ですよ。法人税を上げるべきである。いまの日本の国際収支が大幅黒字になった大きな原因というものは、これは法人税率に問題があるんだ、こういうことを今度いっておるわけですね。わが国の法人税というのは実効税率は四五・〇四、諸外国と比べますと低い。そしてわが国の経過を見ますと、法人の実効税率というのは過去に一番高かったのは五二・九〇という例が二十七年にあるのですよ。それから三十年には五一・二五%です。そして、いわゆる所得倍増計画が始まってからだんだん下がって、今日四五・〇四になっておるわけですね。アメリカの五一、西ドイツの五〇、フランスの五〇、こういうものと比べると極端に低いのですよ。 ところが、こういうことを知ってか知らずか、私はきわめて意図的ではないかと思うのでありますけれども、法人の土地譲渡税、これは来年からでありますけれども、こういうふうに税制改正要綱に書いてあるのですよ。「重課による負担は、土地の譲渡益に対する通常の法人税、法人住民税、事業税による負担とをあわせた総合税負担が、おおむね七〇%程度となることを目途とし、通常の法人税とは別に、二〇%の税率で課税する」、何だってわざわざこの税制改正要綱に、性格の違う、赤字の法人にもかけていくという、この新土地税制の譲渡税を、二〇%加わるから七〇だと、関係のないものをなぜ引っぱり出してきたんです。いま問題なのは、四五を五〇にするかどうかです。五〇にすれば七〇になるんですよ。実効税率を五〇にすれば、西欧並みに持っていけば。四五を五〇にするかどうか。一%、一千億円ぐらいでしょう。そこに問題があるわけですよ。そこにまた、外国から指摘される貿易収支のアンバランスも生まれてきているわけでありますから、これはけしからぬことだと思うのですよ。そればかりじゃないんですよ。法人の事業税というのは、これは必要経費でありますから、所得に入らないのですよ。法人税の対象にならないのです。その前に差っ引かれてしまうんです。 そういうことを考えますと、日本の法人税というのは、せんだっての東京都の新しい税財源構想の中に、実質的には三二ぐらいだというんです。四五・〇四なんていう実効税率といっているんですけれども、実質的には三二だとこういっている。私も計算してみました。そのとおりですよ。法人税について田中総理は、一・七五%あるのを工業再配置の税金にしよう、こういうふうに最初考えておったようですけれども、そんなことじゃだめなんですよ。そんなことだから工業再配置なんていうのが追い出されて吹っ飛んでいるのです。まともに法人税に取り組むべきです、西欧並みに。上げろというんじゃないんですよ。過去の線まで戻しなさい、諸外国の線まで戻しなさいということを言っているんですから。どうなんですか、総理、大蔵大臣。
○愛知国務大臣 御意見のほどは私も謙虚に伺っているつもりですが、今回の場合は、税率の引き上げということも確かに問題になることと思いますけれども、税率の引き上げだけではなくて、まず課税所得を拡大するということがこの際取り上げるべきことではないだろうか。そしてこれがまたお話の輸出抑制ということ、あるいは生産の過度の拡張ということを押えることにもなるしというようなことで、今度は御承知のように、重要産業用合理化機械等の特別償却であるとか、価格変動準備金制度というような、産業関連のいわゆる特別措置をやめるわけです。これで、まあ概算ですが、四百億円は法人の税負担が過重になるわけでございます。 それからもう一つは、固定資産税が今年度は非常に高くなります。これはもちろんい会社によって事情がいろいろ違いましょうけれども、これは推計はしておりませんが、この負担も相当過重になる。 それから、実効税率についていろいろお話がございましたが、四五・〇四、これはこういったようなことをやることによりまして、きちっとした、実効税率的な負担というものが、正確に、課税所得が広がることによって捕捉できると考えるわけでございます。 なお、実効税率は、イギリスなどは日本よりはまだずっと低いわけでございます。しかし、先ほど私もちょっと触れたわけでございますが、長期計画においては三%さらに租税負担をふやさなければならないというようなことも見通されておりますことにも関連して、税制については、今後の問題としてはとくと検討いたしたい、こう考えております。 それから、先ほど事業主報酬制度についての御意見ございましたが、承っておきます。
○細谷委員 この法人税を引き上げるということについては、きょうのこの基本計画にも二四まで上げろと、こう書いてあるのです。税制調査会も、四十八年の答申の中でも、過去に法人税率が三八%程度のころでも、法人の企業活動に特に目立った悪影響を及ぼしたことはないということで、いわゆる企業活動に影響なかった、だから上げべきだと、こういっているわけです。今度の長期の基本計画でも三ポイント程度上げる、二四・二ですか、三ポイントばかり上げる、こういうことをいっているわけですね。 そこで、時間がありませんからこれはあまり議論できませんけれども、大体今度のこの税の中で、租税特別措置の問題もいろいろ問題があるのですよ。たとえば法人税率は資本が大きいほど実効税率は下がっていっておる。それからいろいろなその前の控除、準備金、こういうものも完全に把握しているにかかわらず対応してない。具体的に数字をあげていいのですけれども、対応してない。これは問題がありますよ。経団連の月報というのがありますが、私があれと突き合わしてみると、今度のこれも依然としてやはり大企業優先の税制であるということがきちんと証明される。問題があります。 これだけ言っておいて、そこで自治大臣、いま法人税というのは、国の法人税というものと、都道府県、市町村に対する法人税割りというものと、それから県の法人事業税というものがあります。それを合わしたものは四五・〇四であります。それを国と県と市町村はどういうふうに分けておるか御存じですか。
○江崎国務大臣 これは市町村には七、道府県が二七、国のほうが六六%という形になっております。
○細谷委員 総理、いま法人税には大体四種類あるのです。事業税は、これはちょっと違っておりますよ。法人所得、課税所得からその前に取ってしまうので違いますけれども、法人が納めているのはそういうことです。そして国が六七%、市町村はわずかに六%しかもらってないのですよ。府県は税割りとそれから法人事業税がありますから、合わして二七ぐらい。この配分は私は問題があると思うのです。今日大都市が、都市のいろいろな財政需要に耐えられない重要な問題というのは、この配分にあると思うのですよ。これを直す御意思がございますか。——総理が答えなければ自治大臣がいい。
○江崎国務大臣 これはにわかになかなか直せといっても、大蔵省のほうにも議論があろうと思います。そこで、この割合については、地方制度調査会とか税制調査会とか、そういう方面においても地方の自主財源を強化すべきだ、こういうことをいっておりますが、さて、税率はどうするかという点になりますと、具体的な指摘もございませんので、市町村の状況等を見合いまして、そういう調査会等の意見を参酌しながら今後に対処してまいりたいと思っております。
○細谷委員 重ねて自治大臣にお尋ねしますが、やはり法人税を上げなければならぬ。上げるという場合に六七対二七対六というのはやはりおかしい。ですから、今日の過密都市に対するいろいろな財政需要というのはできないわけでありますから、こういう不公平な配分のしかたは国税と地方税との間で直さなければならぬ、こう思うのですよ。そこで私は大蔵省に聞いたのです。土地税制が二〇%取るから、いままでの四五と合わせれば六五にしかならぬじゃないか。それをわざわざおおよそ七〇と、あらゆるところにおおよそ七〇なんて書いておる。聞いてみた。どこで一体七〇になるのかと言ったら、いわく四五・〇四というのは、これは配当性向を三〇として計算しているからそうなっておるのであって、配当性向を落とせば四七ぐらいになるですよ。配当性向が三〇というのが一番現実に近いのですよ。そんなからくりで数字をごまかしたってだめですよ。そして二〇がある。二〇に対して法人税割りがつくから、だからおおよそ七〇でございます。こんなばかげた、事務官ともあろう者がお答えしておるのですよ。こういうものは法人税割りがつかなければいかぬでしょう。その法人税割り等の配分についても、いまのようなこの不合理な配当を直していただきたいということを要望しておきたいと思います。 そこで、この問題に関連してお尋ねしておきたいのですが、八日の新聞に大企業増税構想、いわゆる東京都の構想、法人二税の引き上げ、自治省は難色を示しておる、こういっておるのだ。何を難色示しておるかというと、大体まあ中小法人というのは非常にきついのだから、なるほど地方税法の原則は六条で不均一課税はいかぬということになっておるのだけれども、やはり負担能力に応じて不均一課税というのをとり、大企業に対しては軽度の累進税率を適用していく、こういうことが今日の法人税のあり方ではないかと思っておるのですよ。この辺になると、これは大蔵省の領域でありましょう。そういう方向で検討する意思はありますか。
○愛知国務大臣 先ほどは、たとえば法人税の税率の引き上げという御提案がございましたけれども、それも地方との間の関係は、私が申し上げなくともよくおわかりの交付税としての現行の税率三二%ということがございますし、なかなかこの両者かみ合わせて複雑な問題であると思います。早計に、簡単にお答えするわけにはまいりません。
○細谷委員 きわめて大蔵大臣としては不見識なことばであると思うのですよ。これはきょうの基本計画もその方向を示しておるのですよ。私は軽度の累進税率をとったらどうかと言っておりますけれども、不均一課税を地方税でするかどうかということについては、これはなんですが、東京都がいっておるのは、制限税率一ぱいとるというのですから、これは何も法律じゃないのですから条例できめればいいわけですよ。しかし、それだけでは問題が片づかぬのではないか。言ってみますと、今度の予算も今度の税制というのも、これは田中構想というのが一貫して貫かれておる。追い出し税というのはつくっておりませんけれども、都市に対してきわめて冷遇しておるですよ、税制においても予算においても。そういうことが言えると思うのですね。 いましかしあまり時間がありませんから、租税特別措置についてもちょっと問題を提起したいのでありますけれども、一言だけ総理にお尋ねしたいと思う。 この租税特別措置というのが、先ほど来申し上げておりますように、税の公平の原則を破壊しておる張本人です。今日租税特別措置という名において、国税においておそらく六千億円をこすでしょう。国税の関係で直接響いてくる地方税が千五百億ぐらいあるでしょう。地方税自体の減免措置があります。それが千五、六百億円ありますよ。合わせて一兆円というのが租税特別措置の名で行なわれておる。しかも既得権化しております。政策効果が出ておるにもかかわらず依然として行なわれております。これは福田前大蔵大臣も補助金的なものを持っておると言うのでありますけれども、税の公平の原則を貫く際に、私はこういう補助金的な性格を持っておる租税特別措置は抜本的に直すべきである。出したいものは補助金で出したらいかがですか。言ってみますと、一兆円ばかりの金というものが一片の租税特別措置によって政府のフリーハンドなんですよ。決算がなされるわけでもないわけですよ。国民の前に税、財政を公開するという意味ならば、その一兆円というものについては、出すものは補助金で出されたらいいでしょう。そういう意味において租税特別措置法は抜本的に改廃すべきである。おやりになる意思はありませんが。
○愛知国務大臣 この点は、私も先ほど積極的に触れた点でございまして、法人税の問題については、法人税率をいじるよりも前に、まず課税所得を拡大するということが必要である。これは具体的に言えば、特別措置というものをできるだけやめるほうに向けていくことが必要である、そうしてそういう考え方で今回の税制を考えたわけでございます。ただ、同時に、公害等については、また時の政策目的でもございますから、こういう点については若干の積極的な考えも必要であろうか、かように考えるわけでございます。
○細谷委員 自治大臣にお尋ねしますが、この間も中澤委員の質問の中で、国の一般会計予算は十四兆三千億、財政投融資七兆円、地方財政計画はまだ出ておりませんけれども、大体十四兆五千億、重複経費を差し引いても二十七兆円か八兆円が純計ですよ。それをいま審議しておるのですよ。国の予算にある十四兆三千億というものの六割というのは国の補助金なり交付税で流れていくんですよ。ところが予算委員会はもう総括質問を終わりの段階に来ておるのに、いまだに十四兆五千億、国から流れていく補助金等の受けざらの問題については、どういう内容なのか全然わかってないんですよ。これは国会がこういうことで予算を審議するのも不見識だと思うんですよ。一体いつ地方財政計画を出すのですか。
○江崎国務大臣 これはもう毎年御指摘があるわけでございまして、去年、一昨年大体予算が固まりましてから四十日くらいかかっておりましたが、ことしはどうかして十日間ぐらい縮めたいというわけで、事務当局も財政局長以下非常に張り切って一生懸命やっておるわけです。これは細谷委員御承知のとおり、財政割り当て、国のほうの割り当てがきまりますと、いまお示しになりましたように補助金がいく、これをまた自治省が受けるというわけで、各省に分かれたものがおおむね千二百種類ぐらいあるわけです。したがって夜を徹して——他の省は予算がきまりますまでがもうとにかくたいへんなんですが、こちらのほうはきまりましてから鋭意やっておる。そうして例年よりは十日間ほどひとつ早くやりたい。それでも三十二日ほどかかるわけでございますが、来週、二月十六日の閣議了解を目途として結論づけまして、そうしてすみやかに国会に御説明できるような段取りで進めておる次第でございます。ぜひひとつ御了承願います。
○細谷委員 私も毎回この予算委員会で申し上げておるのですが、大体交付税は幾らいくかきまっておる。幾らかきまっておるでしょう。最後は補助金ですよ、整理するのは。しかし大づかみにはわかっておるのですよ。地方債もわかっておるのですよ。ですから詳細な地方財政計画はわからないにしても、大筋の問題はもうわかっておるはずです。でありますから、地方財政計画と言わぬでも、ひとつ来年度の地方財政の骨組みはこうなりますよという勘ぐらいのラウンドなものは未定稿として——未定稿というとまたこだわるでしょうけれども、これはひとつ総理、今後予算の総括質問が始まるときに、そのぐらいにやっぱり出していただきたい。予算がきまったのが十六日ですよ。それを今日までですから、骨組みは出していただかなければ、これはほんとうに使うところ、受けざらがわからぬで予算を審議したってこれは意味がないですよ、経済効果、政策効果。でありますから、ほんとうならそれが出なければ審議しないというのが筋でしょう。これは総理、何とかしてもらわなければだめです。十六日なんといったらだめです。
○江崎国務大臣 ちょっと私から先にお答え申し上げますが、なるほどお説のように大筋を出すことは、固まらないものではありまするが、およそのものを出すことは不可能じゃないと思います。 〔委員長退席、田澤委員長代理着席〕 ここで申し上げてもよろしゅうございます。私ここに資料を持っておりますが、時間の関係もおありでしょうから、後刻、御要求であれば明日にでも、大筋につきましては印刷物にしてお手元へお届けする、そういうことで御了承願います。また、御注意の点はしかと承っておきます。
○細谷委員 いままで野党としては耐え忍んで、審議できないものを審議してきたわけだ。だからここで、いま出さなければ寝るぞということは申しませんが、少なくとも早くひとつ出して、大筋は明らかにしていただかなければなりません。 そこで、あまり時間がありませんから、江崎さん、あなたは笑顔だけれども、今度の大蔵大臣との、国と地方の財政のやりとりについて、まんまとあなたはやはり大蔵大臣にしてやられていますね。どういうことになったのですか。昨年も交付税は赤字だったのですよ。ことしも九百五十億円赤字でしょう。その九百五十億円も、最後には何か一千五百億円を何とか特例交付金でやってくれと言ったら、いや九百億円だと言った、間をとったと思ったら九百五十億円だ。そうして常に国会に対して約束している。地方債も、これから福祉政策なりあるいは生活環境の充実という社会資本の充実の場合にも、地方財政というのは重要なんだ、だから地方債の質の改善をはかりましょうと言っているのに、一つもなっておらぬじゃないですか。赤字が二年続いた。しかも公債は国のほうでたくさん導入していっておる。制度が大きく変わっておる。そうなってくると交付税率も三二%を変えなければならぬですよ。法律にそう書いてあるでしょう。あなた法律案やっているじゃないですか。そして約束した地方債の質も改善されてないじゃないですか。あなたのほうの事務官に聞いたら、従来が政府資金が五六・六か七だったのが五六・八、〇・一か二上がったので改善されておりますなんて、人をばかにした説明をしておりますよ。こんなことじゃだめですよ。自治大臣、国と地方の財政というのは福祉を進めていく場合に非常に重要なんですよ。大蔵大臣なんというのは地方のことは知りはせぬだろうから、総理もなかなかよくわかっておらぬですから、あなたが真剣になってその福祉政策を推進する役割りを演じなければならぬ、こういうことだけをひとつ申し上げておきたいと思うのです。
○江崎国務大臣 大蔵大臣との話し合いは緊密一体でやりまして、九百五十億というところはいいところだと思います。そして、決して大蔵大臣もけちったわけでもございません。幸いなことに、御承知のように地方税の伸びも順調でございまして、二七%程度見込まれます。地方交付税も二七%程度見込まれるというようなことで、これは借金、資金運用部資金から九百五十億借りるということは、決していいことではありませんが、それも四十七年の三税の自然増に見合って四十九年には返せるというめどでやっておるわけでございます。しかし、御激励の点は自治省としてはたいへん力強く思うわけでございまして、今後にかけてやはり地方財政事情の困難ということもよくわかりまするので、国税、府県税、市町村税、こういったもののバランスをとりながらどう充実するかという点には、十分配慮をしてまいりたいと思っております。
○細谷委員 詳しくやりたいのですけれども、時間がありませんので、総理、ずばり言いますと、昭和三十年くらいといまの地方財政というものを見ますと、地方税の比率というのが毎年毎年一%くらいずつ下がってきているのです。いわゆる歳入なり歳出構成の中に占める地方税の自主財源というものは、一%ぐらいずつ下がってきている。しかも交付税では赤字だ、そして過疎過密が進んでおる、公害対策がたいへんな財政負担になっておる、しかも超過負担はかぶせられる、こういうことでありますので、総理がどう福祉政策を進めようとしても、今日三割自治なんというのは昔のことばです。国民が納める税金のうち、市町村に入ってくる税金はたった一二%しかないのですよ。国は七〇%取っているのです。残りは府県ですよ。こういうことを十分に配慮して、税財源の配分ということを考えていただきたいということを要望いたします。お答えありますか。
○田中内閣総理大臣 よくわかりました。
○細谷委員 よくわかったというのですから、これは記録にとどめておいてください。 そこで、私は少し公害問題でありますが御質問したいと思うのです。水俣病、世界にはこれ以上みじめなものはないということで注目されておるわけです。そしてこの問題について、いわゆる公害等調整委員会に調停申請がなされております。この調停申請がなされた経過を見ますと、その理由書を見ますと、何のことはありません。「日常生活に身体の不自由を感じながらも、なんとなくその生活になれ、十数年を経過しました。」これが申請の理由です。そしてその次に、「チッソから補償金二十万円を内金としてもらいましたから感謝いたします。」これが調停申請の理由書であります。そしてその調停申請理由書に対して、この公害紛争処理法に基づいて二十三条の二と二十三条の三で代理人を選んで一切の代理をお願いしますと、こうきているわけだ。それが四十七年の九月九日に出されまして五名の代理者が選ばれている。そしてその代理者に対してはどういうことを書いてあるかというと、この法律どおり申請の取り下げ、調停案の受諾、代理人の選任、そういうものについて一切の特別の委任を与えました。 〔田澤委員長代理退席、委員長着席〕 これが委任状に書かれてあるのです。こういう経過をたどってきたわけですけれども、調べてみますと、代理人を選んだ、委嘱した、委任した覚えもないという人がたくさん出てきている。公調委が受け取ったものを読んでみますと、代理人の名前の間違っているものが二名おる。本人の名前が間違っているのが十名ある。本人の住所が誤っているのが三十三名、印鑑のないやつが四人、本人の覚えのないやつが四十人おる。こういう形で調停申請が出され、代理人委任状が出され、その代理人委任は一切の権限、しかも二十三条の三によりますと、代理人が二名以上いるときは、各人が本人を代理するという個別代理ですよ。ですから五名あろうと十名あろうと、そのうちの一人がこの調停案を受諾しようじゃありませんかと決意したら、法律的にはもう出てきちゃうのですよ。そのまま調停案が成立するのです。ほかの代理人が文句を言おうと、一人がその調停案でオーケーと言ったら、それでこの調停は終わっちゃうのです。そういう重大な水俣病の調停というものが、いま申し上げたようにめちゃくちゃな形で代理委任されて、そして一気かせいにその調停作業が進められてきた。ところが、いま私が申し上げたようなめちゃくちゃな書類である。しかもその選んだ代理人というのを見てみますと、いろいろ問題点のある人がいる。こういうことでありますから、現地ではたいへんな問題になっております。 そこで、総理府長官ですか、どうするつもりなんですか、これは。こんなめちゃくちゃなことありませんよ。
○坪川国務大臣 この調整委員会につきましては、その手続の内容等につきましては、御案内のような三条機関でございますので、私がその手続の方法を内部にわたって申し上げることは越権だろうと思いますので、小澤委員長から報告させます。
○小澤政府委員 御指摘のありましたように、この水俣の調停事件は、何回かに分けて調停申請が患者のほうからも、それから会社のほうからもありまして、患者のほうからあった分につきましては、それを全部で四つのグループに分けまして、現に手続は進行しております。 それでその申請書は、最初に第一のグループとして扱っておりますのが三十一人ございますが、その申請書は、受理しましたときには、一応調べまして、そして申請書としての要件を備えておりましたので、これは受理いたしております。 それから代理人につきましては、もともとこの事件は代理人申請じゃありませんので、本人申請でございました。それで申請と同時にすぐ現地に参りまして、一応の調査をした上、さらに現地で第一回、第二回と、現地の現地調停を開いております。その調停期日には、それぞれ本人あるいは代理人としての家族などが出ておりまして、それでそのときに代理人としての家族が出たときには、その人たちにやはり委任状を出すようにということを話しまして、その代理権を確認して、そして手続を進めたわけでございます。 ところが、その後、先ほど御指摘の委任状というのが九月に出てまいりました。これは調べてみますと、おっしゃるように、たとえば依頼者の住所の番地が違うとか、何かそういうのがございましたけれども、もともと調停制度そのものは、大体資力のない、しかも知識もない人がやるものですから、一々それをとりたててそこをせんさくして、手続がおくれるということも困りますので、その代理委任状は、これは一応受け取っておきまして、そして同時に、その代理人の出ておるときには本人もみな出ていたわけでございます。本人またはその家族の代理人も出ておるわけでございます。そこで手続を進めたわけでございますが、そういうわけで、その代理委任状にもし不備があるとすれば、これはいずれわかることでございまして、調整委員会としては極力その点について間違いの起きないように気をつけてやっておりますし、本人の意向も確かめて手続を進めておるわけでございます。 ただ、当時は別に、在席している当人たちからも特別の申し出はなかったのでございますけれども、最近になりまして、一部自分の知らない間にそういうものができている、あるいは申請そのものも自分は知らないんだというようなことを申し出た患者がありまして、これは重大な問題でございますから、さっそくそれはどういうわけだろうかということを調べました。そして最近職員を現地水俣に派遣しまして、その点は詳細に調べてまいったわけでございます。 この調査は、現地に参りましたけれども、中には不在であるとかあるいは住所そのものが水俣にないとか、そういうことで会えない人もありますから、まだ完了しておるわけではございませんけれども、あそこで、水俣の現地で会える限り百数十人の患者たちに会いまして、その辺のことを調べてきております。その結果はまだすっかり整理されてはおりませんけれども、たとえば自分は押した覚えはないが、自分の家族が押したのだ、申請書の判は家族が押したのだというのもございますし、それからすでに死んでいる人が死んだ人の名前を書き、判を押して申請しているものなどもございました。もっともこれは実際訴訟などでも間々あることでございまして、相続人の間に、だれが申請しどういうふうにするかということについて、十分な話がまとまらないうちに時間が経過しますというと、やはり非常な不利益を受けてはいけないので、とりあえず死んだ人の名前で出すということもございます。ですからそういうのはあとで、これは相続人の間に話ができれば相続人の名前に変えるようにということを言うわけでございまして、実は本件の場合もそういうふうになっているのもございます。しかし確かに一部には、全く本人にその意思がなかったというのもあるようでございます。 それで、これはそういうことでもって手続が進むといたしますとたいへんでございますので、もともとこれは何も水俣に限ったわけでもございませんけれども、特に水俣のように一人一人がそれぞれ別々の気の毒な事情がございまして、一人一人別々に金額もきめなければならぬというような事件につきましては、これはもう本人の意思を確認するのが第一でございますから、これはこういう問題が起きる起きないを問わず、実際、最後の結論を出すときには本人の意向を十分確かめて進めていく、そういう体制でおります。決してその点で、かりにも患者の気の毒な人たちに、その知らない間に不利益がいくようなことは絶対にないように、これはこの公害等調整委員会の基本的な思想でございますから、どうぞその点はよろしく御了解いただきたいと思います。
○細谷委員 時間がありませんから、詳しくはいずれわが党の現地を詳しく調査した人からあらためてまた御質問いたしますけれども、あなたがおっしゃったように、一部分なんというものじゃないですよ。大部分がいま私が指摘したようにめちゃくちゃな理由。それも全部どこかでコピーされておる。一説には、公調委が、こういうような理由書でこういうような委任状をとってやりなさい、こういうふうに指導をしたともいわれております。その結果は、本人の名前は違っているわ、住所は違っているわ、死んだ人まであるわ、それから、近所に住んでおったかと思うと、大阪のほうに住んでおったのに判こだけ押さっている。その判こも印鑑じゃなくて、これは法律に基づいて命を預けるようなものですが、それを、農協かどこかに預けてある三文判で、この三文判を押してください、あとは全部私どもで書き込みますからというので、全部それはコピーされている。そして、必要な収入印紙一人についで三千円ぐらい要る金がどこから出たかわからぬ。そういう形でこの調停申請が行なわれて、そして調停が進められようとしておった。幸いなことに、この問題が指摘された。でありますから、あなたのほうは、それは困っている人でありますから、調停を急いでやることは必要でしょうが、こんなめちゃくちゃでよいのか。命を預けますという法律の内容ですよ。五人であろうと、十二人であろうと、十七人であろうと、個別代理権を持っているのですか。あなたのほうで本人の一々の承諾を得ますなんて言ったって、法律は歩いていくわけですよ、本人がどうあろうと調停案が出れば。そういうことでありますから、慎重に扱わなければいかぬ。一点の瑕疵があってもいかぬですよ。ですから、その調停については、はっきりと命を預けますという裏づけになるような手続、そういうものをとった上でなければこの調停を進めることはできない、こう私は思います。そうしますか。
○小澤政府委員 いま、おことばでございますが、代理人の委任状について、大部分が間違っておるというふうに伺いましたけれども、実は、委任状が本件では二回出ておりまして、一回は九月でございますが……(細谷委員「いや、そんなものはいいですよ。そうするかどうか」と呼ぶ)ええ、だから、いやしくも本人の意に沿わない、本人が承諾しない調停が、代理人のだれか一人の判一つで成立してしまう、そういうようなことは絶対にいたさないということを申し上げます。
○細谷委員 もう一つ。命を預けますという委任ですから、ぴしゃっと、一点の瑕疵のないものをやってから調停作業をやり、そして、その結論については、一人一人が納得いった上で結論を出す、処理する、これを約束できますね。
○小澤政府委員 調停はやはり双方の合意に基づくものでございますから、片方だけがうんと言っても、相手方がうんと言わなければ調停は成立しないのでございますけれども、しかし、私どもといたしましては、事柄の性質上、この気の毒な患者の皆さんのために、少しでも不利益のないように、そして、たとえ相手方が承諾しなくても、それを承諾するほうに持っていくように、この説得のために全力を傾けて進めたいと思っております。
○細谷委員 説得なんて言ったって、法律は強制権を持っているわけですよ。説得なんてものじゃない。水俣病というのは、これはもう本人の苦痛はたいへんなものなんですから、それを調停してやろうというわけですから、一点の瑕疵もないような手続をした上で調停を行ない、そして本人の了承を得る、こういう手続を完全にやる、こういうことを約束していただきたい。いいですな。
○小澤政府委員 仰せのとおりの調停を、双方の合意の上で成立させたいと、そういうふうに考えます。
○細谷委員 厚生大臣にお尋ねしたいのであります。 国立衛生試験所の食品部長に田辺弘也という人がいらっしゃいますか。
○齋藤国務大臣 おります。
○細谷委員 国立衛生試験所の食品部長は、まさしく厚生大臣の判断の重要な役割りを演ずる人、国民も信頼できる人でなければならぬと思うのであります。 「日曜評論」という新聞がございますが、四十八年の一月二十二日のこれに、「PCB汚染食品の安全性」という表題で、講演の内容かどうか知りませんが、とにかく活字になって、論文の形で出ております。私は、はからずもこれを読んでみまして、こういうような考えの人が衛生試験所の食品部長なんてやっているのは、これはたいへんなことだと、こう思いました。大臣、これを読まれましたか。
○齋藤国務大臣 まだ読んでおりません。
○細谷委員 これは、私はちょっと切り抜いてきたわけですけれども、これを読んで驚きました。言ってみますと、これは科学者の感じというのは全くないのですね。ラット、マウスの試験がこうあったから何倍すればいいんだ、そうすると、厚生省がきめておる基準の以下です、ですから、PCBは幾ら食っても安全であります、ですから、もう心配ありませんと言っているが、ずうっと読んでいきますと、その根拠は何もないのですよ。何もないからこそ、いま予算を通じてこの問題について研究しているわけでしょう。にもかかわらずこういうことを言う。そしていわく、「人体脂肪中の蓄積量は、一定濃度で増加は止まるに違いないと考えられ、」これも仮定ですが、PCBは幾ら食っても、人体の蓄積量は一定量だと言っている。ところが、PCBは危険だ危険だというのに、「マスコミで報道されている如く、無限に加算蓄積されて行くとは科学的に信じ難い。」マスコミが悪いんだというんですよ。そして最後に、「急激な環境汚染の進行と食品の危険な程度の汚染とは別であって、ともすれば、この点をあいまいにして報道しようとするマスコミの傾向は、誠に遺憾である。」と言っているのですよ。いま、これは九州大学等で油症班を中心として、PCBがどういう形で人体に蓄積されるの交人体においてPCBはどういうふうになっていくのかということを試験されておりますが、PCBの分解成分はPCBより三倍ぐらいの毒性があるのだということも研究の中でわかってきておる。にもかかわらずこういうことを言って、そしていわく、国をあげてPCBに取り組んでおるので、決して容易ではありませんけれども、食品のPCB汚染濃度もだんだんと低減いたしますから御安心くださいと書いてあるが、低減していないのですよ、環境が汚染されておって。こういうむちゃくちゃな記事を、しかも、食品部長として署名入りで書いて、そして見出しは「PCB汚染食品の安全性」となっている。私は、こういう見出しがあったからこの中を読んでみたのであって、みんなこの表だけしか読みませんよ。そして、すべてマスコミが悪いんだ、非科学的に誇大宣伝しているんだ、こういう考えですよ。私は、こういう記事を書いた責任をとってもらいたい。どういうふうにしてもらうか、お答えいただきたい。
○齋藤国務大臣 お答え申し上げますが、私はその文章を全部読んでおりませんが、細谷委員から本日そうしたことの御質問があるということを承りましたので、環境衛生局長に聞いてみましたところ、ほんとうにこれは不謹慎というか何というか、私自身も憤慨をいたしておるような次第でございます。 私が申し上げるまでもなく、昨年八月暫定規制値を定めました際に、魚やその他のPCBの実態を調査いたしました。なるほど、その実態は規制値よりは下回っておりますけれども、母乳その他にもPCBの汚染があるということは、先般来私もたびたびお答えいたしておるとおりでございまして、私どもとしては、PCBによる食品汚染というものは何としてでも食いとめなければならぬ、母子保健についても厳重に健康診断をするようにということを指導しておる最中でございまして、こういうことが出たことにつきましては、私もまことに申しわけないと思いますし、まことに不謹慎きわまる内容であると存ずる次第でございまして、今後十分注意いたさせる次第でございます。
○細谷委員 この論文か何か知りませんけれども、これは世の中を毒すること大きいですよ。しかも、すべてのマスコミが悪い、おれを信用しろという形で、科学者にあるまじき飛躍した結論を出し、類推すべきでないところまで飛躍して類推してやっておる。こういうことは許すべからざる問題だ。この問題についてはどうするのか、責任の所在についてはっきりするために、この点を私は保留しておきます。 それから次に、今度、化学物質の安全確保対策のあり方ということが出まして、これに基づいて法律ができるようでありますけれども、PCBはずいぶん問題になった。ところが、PCBの代用品というのはどんどんはんらんしているんですよ。私が通産省から資料をいただきますと、PCB入りの感圧紙の生産量が十二万トン、それから新溶剤入りの感圧紙、クレハKMC、日石ハイゾール、これは六万とか六万五千トン、こういうふうに出ております。それから熱媒体としてもばく大なものが出ております。PCBを責められたところが、PCBよりもっと危険性のあるもの、あるいは少なくとも今日までの実績では、PCBとほぼ同様の毒性が動物実験を通じて出ておるもの、そういうものが堂々とまかり通っておるのですよ。すでに新潟県衛生研究所等では、PCBの代用品である、常識でいきますとPCBよりももっと危険性のあるPCTが、現に二千五百トンとか三千トンもつくられて使われておるといっておる。あるいはアルキルナフタリンとか、あるいはPCB類似のものがたくさん出ているんですよ。これはもう堂々と世の中を歩いているんです。こういうことではどうにもならないと私は思うのです。こういうものについて抜本的な対策をとっていただきたい。その一面において、化学物質の安全確保ということで、今度の国会に法律等が出るようでありますけれども、これはどうするつもりですか。このPCBの代用品。
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げますが、PCBの類似のものが出回っているという話も聞いておりまして、明年度から毒性検査等について本格的な検査をいたし、その流通について、私のほうは食品の関係が中心でございますから、食品をチェックいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○細谷委員 たとえば日石ハイゾールSASlN二九五というのがあります。呉羽化学から出ているKMClAオイル、これはラットの経口急性毒性試験、亜急性毒性試験でも、これはPCBと同等あるいは低いとは考えられない結論が出ているんですよ。御存じでしょう。こういうようなものがまかり通っております。 通産大臣、いま危険性のあるものや疑わしきものは使わないと、大体アメリカあたりでは、諸外国ではきちんとしているんですよ。疑わしいものはやらぬ。ところが、疑わしいという報告がありながら、食品添加物に許したりなんかしていたでしょう。だんだん結果が出て、たとえば今度、去年の暮れですが、着色料紫色一号なんというのを、これは許可しておったけれどもはずしたでしょう。そんな許可したやつをあわててはずすなんていうことをせぬで、十分な毒性試験ができるまではこういうものは使わせないということです。同じようなものを、名前が違う、ちょっとかっこうが違うということだけで使わせるということはいけません。どうですか、通産大臣。 この辺私は、去年の予算の総括質問で、PCBの製造は禁止すべきだと言い、一年後に禁止されました。しかし、いま環境はものすごく汚染しているのですよ。ですから、抜本的な手を打たなければいかぬ。聞くところによりますと、この安全物資の法律をつくるのでも、工場等はしきりに反対しているそうです。そんなことでは環境汚染から守れません。人の生命も守れないと思うのです。どういたしますか。
○中曽根国務大臣 御趣旨にわれわれも同感でございまして、今国会に特定化学物質取締法という法律を提案すべく、いま準備しております。慢性毒性を有するもの、あるいは濃縮性、あるいは分解しにくいもの、こういうことで有害のおそれがあるものについては事前に試験して、試験合格しなければ販売、製造、輸入等を許さない。また法律施行のときに、現に横行してその疑いのあるものについても同じような措置を政府がとれる、そういう形の法律を今国会に提案したいと考えております。
○細谷委員 いずれにいたしましても、日本が一番この辺はだらしないわけですから、きちんとしていただき、法律が出た段階であらためて意見を申し上げたいと思います。 もう一つ私は、この問題に関連して指摘しておきたい、のですが、第二のPCBということで昨年来指摘せられたものにフタル酸エステルというのがあるのです。これはくしくもたいへんな毒性がある。ところが、チューインガムの中へどんどん入っておったわけですね。すでにロッテのチューインガムの中にある、こういうことも指摘されておった。通産省のあれを見ましても、いろいろ使われております。最近、昨年の暮れ、厚生省が許可をしたフタル酸ニステルの食品添加物二種類については許可を取りやめたようでありますけれども、この生産量はPCBどころじゃないのですよ。あらゆる可塑剤の中にこれは添加されておる。ですから、たいへん問題でありますから、これを一体どうするつもりですか。 それは確かに二種類ははずしましたけれども、問題がある。実験結果によりますと、ネズミの実験等では奇形児も生まれているのですよ。これを子供たちが、あの風船チューインガムでふうふうとやる。風船チューインガムはこれがあるんで風船チューインガムになるわけですから、たいへんな問題ですよ。通産大臣、こういうものを食品添加物に許可した厚生省も悪いが、しかし取り消した。こういうものについては、使途をかなりきびしく、少なくともクローズドのシステム以外では使わせないぐらいのきびしい規制をしなければならぬと思うのですが、いかがですか。
○中曽根国務大臣 いわゆるテクノロジー・アセスメントという考えに基づきまして、そういう疑わしきものは事前にすべて検査して、合格しないものは使わせない。今後厳重にやっていくつもりであります。
○細谷委員 合格しないものは使わせない、けっこうです。新製品が、会社のデータだけで、そしてそれをうのみにしてまかり通っている例がある。この間指摘されたいわゆる石油たん白、これもその系統に入るものですね。でありますから新製品については、会社の実験報告だけではなくて、みずからが、やはり政府自体が責任ある実験をやった上でなければ許可しない、そういうぐらいのことで臨んでいただかなければならぬと思うのです。いかがですか。
○中曽根国務大臣 全く同感であります。
○細谷委員 時間もありませんので、最後に三木環境庁長官にお尋ねしておきます。 いま北海道で、伊達火力発電所の問題で政治的な問題にもなっておりますし、環境破壊ということでたいへんな問題になって、そして環境権という形で、憲法に基づく訴訟というものが行なわれております。地元住民からは、この問題について非常に強く反対運動が起こっておる。そして、北海道のこの地に七十万キロなんという発電所を、住民の納得も得られないで、協力も得られないで強行するということは、私は問題があると思うのであります。でありますから、住民とよく話し合い、そして温水排水等がどういう影響を与えるのか、環境に対してどういうことになっていくのかということや、住民運動等のかね合い、あるいは電力需給の関係、そういうものを考えて、この発電についてはそういう条件が満たされるまでは着工すべきでないと思うのでありますけれども、長官も状況は御存じと思いますから、長官のひとつ確たるお答えをいただきたい、こう思います。
○三木国務大臣 まだ私、その事実の報告は受けていないのですが、やはり工場の立地には地域住民の協力がなければうまくいきませんから、工場立地の場合には、いろいろな面から十分な説明をして、地域住民の納得を得るということが大切だといういまのお話は、私もさように思います。 この問題自身については、まだ私は報告を受けていないのでございます。
○細谷委員 今度の国土総合開発なりいろいろな問題について、環境庁長官に対する協議権というものが織り込まれる。たいへんけっこうなことだと思うのであります。環境庁の問題については、当初の環境庁のあり方については、国民はかなりの信頼感をもって環境行政に期待しておったわけでありますけれども、その後どうも環境庁は、環境を守る庁じゃなくて、環境悪化の片棒をかついでいるのじゃないか、こういう批判すら生まれました。しかし、今度法律的にも、環境庁長官の環境からのチェックをする権限というものが非常に大きくなったわけでありますから、その法律はこれから審議するにいたしましても、いまの伊達火力の問題というのは、環境を破壊することの心配は十分ありますし、住民との問題もあるわけでありますから、環境庁長官としても、そういう点で責任ある対処をしていただきたいと存じますが、もう一度お答えをいただきたい。
○三木国務大臣 最初の発言は、やはり申し上げておかなければならぬ。これからの開発というものは、環境の保全、公害の防止ということを前提にしなければ開発はすべきでないということ、これは大原則であります。環境庁はそういう立場に立って行政をやろうとしておるので、前言は、多少やはり環境庁の名誉にかけて、これは認識を訂正をしてもらいたいと思うのでございます。 あとの面については、これは十分に地元等の言い分なども勘案をいたしまして、十分な検討を加えます。
○細谷委員 環境庁長官、いままでそういう環境庁についての評価というのががた落ちしてきた。したがって、新たに環境庁長官につかれた副総理である環境庁長官に期待するところが大きいと思うのですよ。 私は、いまの原則で、この問題に環境庁長官として対処していただく、これを特に申し上げて、時間も参りましたから、私の質問を終わります。(拍手)
○根本委員長 これにて細谷君の質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○根本委員長 この際、公聴会の公述人の件について御報告いたします。 公述人の人選等については、さきに委員長に一任願っておりましたが、理事会において協議の結果、次のとおり決定いたしました。 すなわち、二月十四日午前十時より意見を聴取する公述人の方は、全国銀行協会連合会会長中村俊男君、横浜国立大学教授宮崎義一君、午後一時三十分より意見を聴取する公述人の方は、國井社会生活研究所長國井國長君、横浜国立大学教授井出文雄君。また二月十五日午前十時より意見を聴取する公述人の方は、大阪大学教授木下和夫君、法政大学教授斎藤博孝君、午後二時三十分より意見を聴取する公述人の方は、日本経営管理士協会理事矢野彈君、中央大学教授丸尾直美君、以上の八名の方々と決定いたしました。御報告を申し上げます。 次回は、明十日午前十時より開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十八分散会