法務委員会 第45号
- 発言数
- 166 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/09/11
会議録
○中垣委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、出入国法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 まず大臣にお聞きしたいと思ったのでありますが、十時半でないと御出席ないそうでありますので、局長見えているようでありますから、若干、大臣見えるまでお聞きしたいと思います。 第一にお聞きしたいのは、この出入国法の対象となる在留外国人の数は、これは出入りが相当激しいでありましょうから、過去一年の計でもよろしいですが、在日外国人の数についてまずお聞きいたしたいと思います。
○吉岡政府委員 きわめて概数でございますが、在留管理の対象となる在日外国人は、現在約七十三万でございます。それから在留管理の対象となりませんが、日本を短期的に訪れてまた出ていくという一時入国者というのが、昨年度におきまして約百九十二万でございます。昨年の在留管理に該当する者としまして入国いたしましたのは約六十六万でございますが、恒常的に日本に在留して在留管理の対象となっているのは、概数で申し上げますと七十三万ぐらいでございます。
○大竹委員 それで、その七十三万の中にはいわゆる永住権を持っておる永住者も含んでいるわけですか。
○吉岡政府委員 永住も含んでおります。
○大竹委員 次にお伺いしたいのは、これはなかなか数はわからぬと思うのですが、金大中氏事件等いろいろ問題になっている中で、密入国者が相当いるんじゃないか、あるいは密出国者というものが相当いるんじゃないかというふうに思うわけであります。特にこの密入国者については、私どもも、長く日本にいていままで隠れていたんだが、何とか公の地位を得たいものだが何とかならぬかというようなことを、実は相談を受けるというようなこともないわけではありません。もちろんそういうようなことでわかった数というものは、おそらく役所においてははっきりしていると思うのでありますが、そういうようなことで、まず、この密入国者、年々はっきりしている数があると思いますが、そのほかはっきりしない数というものも相当あると思うのですが、そういうものについてどうですか、お聞かせをいただきたいと思います。
○吉岡政府委員 密入国者数及び密出国者数についてでございますが、これは御承知のとおり把握することがきわめて困難でございますし、特に密出国者につきましては、非常に困難な事情があるわけでございます。ただ、昨年度におきます集団密入国者数は、ただいまちょっと手元に資料がございませんが、二百数十名でございまして、昨年一年中に密入国のゆえをもって退去強制の手続をとりましたのが約千百件ございました。したがいまして、これはその年度に入った者が必ずしもつかまるというものではございませんので、一説によりますと、密入国をいたしました者の潜在密入国者の数は五万とも称せられ、あるいは十万とも称せられておりまして、われわれといたしましては、これを何とか非常に厳格に取り締まり、今後そういった密入国を防ぐ方法はないかということを苦心いたしておりますが、現段階におきましては、いまだにまだ有効適切な阻止手段を考えるに至っておらない実情でございます。もし正確な数字でございましたら、ちょっとお時間をいただきましたら、あとで正確な数字をお答えさせていただきます。
○大竹委員 密入国者について、密入国する際に、何といいますか、それを押えるということは、これは私はなかなか困難だろうと思うのでありますが、密入国して相当の期間発見をされないでそのままになっているということ、これは出入国法なんかのたてまえからして非常に遺憾千万なものだと思うわけでありますが、たとえば過去一年間において密入国したということではっきりした者、一番古いので、何年ごろに入っていまごろになってようやくわかったというようなことになっているのですか。それらについて少し教えていただきたいと思います。
○吉岡政府委員 先ほども申し上げましたように、潜在密入国者が五万あるいは十万という数にのぼっておると巷間称せられておりますので、いろいろなケースがございまして、ある者は二十年もぐっておって発見される。あるいはみずから申告して出てくるということでございまして、個々のケースによりましていろいろ違いますけれども、相当年数たてば密入国者でも法務大臣の特別在留許可をもらえるのじゃないか、そういう確信を得た者がぼつぼつみずから名乗り出て、私は何年に密入国をいたしましたが、もう日本に生活の根拠がございまして、妻子もございますということで、滞在をお願いしたいというケースは相次いで出ております。
○大竹委員 密入国のほうはその程度にして、密出国のほうでありますが、これはなお密入国よりも、その数その他は把握しにくいということはよくわかるわけであります。ことに外国人の場合においては一そうこれはあれでありますが、日本人として密出国してどこかにうろうろしているというような者も最近は相当いるということを聞いているわけでありますが、それらについて把握をしておられますか、どうですか。
○吉岡政府委員 日本人の出入国につきましては、私のほうは、出入国の際に証印を行なうということはやっておりますが、旅券を発行いたしまして、それが出て帰ってこないといったような者の実態の把握は、私の入国管理局よりも、むしろ外務省のほうが把握されておるかと思いますし、私のほうでは、たとえば先年、日航機をハイジャックいたしまして北鮮に参りました日本人といったような特異なケースは把握いたしておりますが、その他通常旅券を持って正規に出ていってなお帰らないというような者につきましては把握をしておらないわけでございます。
○大竹委員 それで、この密入国、密出国でありますが、たとえば金大中氏事件なんかで非常に問題になっているわけでありますが、金大中氏のは密入国、密出国、いずれにも該当しないわけでありますが、とにかく正規の旅券、査証を持たないで出入りした者、これに対して、犯罪人に対しては条約のある国との間においてはそれぞれ引き渡しの要求その他ができるというふうに承っているわけでありますが、そうでない者については、国際間の徳義上はともかくとして、法律上あるいは条約上、まあ赤十字あるいはその他を通じて何か手があるというようなことを言う人もあるのでありますが、法規の上においては引き渡しの要求とかその他はできないというふうに——たとえば金大中氏事件、これは多少違いますけれども、本人の意思その他でなくて向こうへ行ってしまった。これは日本としては原状回復あるいは捜査の上からぜひ来てもらいたいということは、交渉の段階においてはいろいろあるでありましょうが、法律上のきめ手はないのだということでありますが、その点はどうなんですか。
○吉岡政府委員 いまの御質問の点は入管関係でない部面もございますが、これは入管に関しますことについてお答え申し上げますと、日本では特定の理由のある者につきましては上陸を認めない現行の入管令、それから今度の新しい法案におきましてもそういう事由を列挙しておりますが、その中に日本に逃亡してまいりました通常の犯罪人は入国を認めないという規定がございますが、政治犯に限りそれは適用しないということでございますし、また政治犯につきましては引き渡さないという原則がございます。
○大竹委員 まあ大臣見えませんから、いまのお話でありますが、さっきも申し上げましたように、いわゆる犯罪者の引き渡しは、お互いが条約のある両国においては、当然これはもう条約があるわけでありますからあれでありますが、そうでないものについては引き渡しの義務がないということになっておるわけでありますが、第一、これは外務省の関係になるのかもしれませんが、いわゆるこの犯罪人引渡条約を日本と締結している国は一体どことどこなんですか。
○岡田説明員 御説明申し上げます。 条約として締結をしておりますのは日本とアメリカ、つまりその一国であります。ただ逃亡犯罪人引渡法におきましては、相手国との関係におきまして相手国も同様な措置をとってくれるというような取りきめができますれば、その場合には同じ措置をとる、つまり犯罪人を引き渡すといったようなことになると思います。
○大竹委員 次に、いまの政治犯はお互いが引き渡すという約束ないし条約があってもこれは除外するのだというお話、わかりました。 私はこの政治犯を、あとで在留資格の問題で政治亡命等についてまた詳しくお聞きいたしたいと思うのでありますが、政治犯といま言われましたが、この政治犯の態様にも私はいろいろあると実は思うのでありまして、政治犯、なるほど実態は政治犯でありましても、やった行為については、まあ日本でいえば一般刑法に触れるような問題、たとえば要人を政治上の目的で殺害するとか、あるいは役所を爆破させるとか、あるいは機密の文書を盗むとか、いろいろこの政治犯の態様にもあると思うのでありますが、そういうものでも政治犯になるのですか、その点はどうなんですか。
○岡田説明員 政治犯罪人の定義につきましては、いわゆる絶対的なものと相対的なものとあるというふうにいわれておりまして、政治的な犯罪人でも、通常一国の国内の政治的な秩序を乱したというだけのことで犯罪になるという場合は、これは純粋の政治犯であります。御指摘のような場合におきましては、いわゆる相対的な、純粋の自然犯罪のようなものがくっついております犯罪人でありますと、この場合にはその原則に従わなくてもいいというふうに考えます。
○大竹委員 それではまだ大臣見えませんから、いまのことに関連いたしましてお聞きいたしますが、この金大中氏事件に関していわゆる政治亡命という問題がいろいろ付属的に論議を呼んでいるわけでありますが、一体この政治亡命という定義といいますか意味ですね、これはどうおとりになっているんですか。これをまずお聞きしたいと思います。
○竹村説明員 私どもととしては、政治的な信条に基づいて当該本国において政治的な迫害を受けるというようなことを基準にして考えております。
○大竹委員 そういたしますと、金大中氏は特別在留許可を受けて日本にいられたというふうに聞いておるわけでありますが、政治的な迫害を本国にいれば受けるということで、たとえば日本へ逃げてきたということになりますと、それはいわゆる正規の手続で日本に来て、日本へ入ったとたんに政治亡命という形になるんですか。それとももう日本へ入ってくるときにいまのような形で入ってくる。そういうようなときにはおそらく本国においてはなかなか許さぬだろうと私は思うのですが、そのあれはどういうことになるのですか、実際問題として。
○吉岡政府委員 金大中氏につきましては、本年一月五日に入国いたしておりますが、その時点におきましては、日本へ入る目的は病気療養と自分の著作の校正を目的として入りたいということでございまして、政治亡命的な申し入れは本人からございませんし、それから去る七月十日でございますが、再びアメリカから入りました際にもそういう同一目的で入ってくるということでございまして、政治亡命的な色彩は全然ございませんので、入管当局といたしましては、金大中氏の八月八日拉致されるまでの時点において、政治亡命者としての取り扱いは一切いたしておりません。
○大竹委員 それで、これはあとでまたお聞きするのですが、外国人の日本に在留する者についてはそれぞれ資格があるわけであり、そして場合によっては政令によって規制された活動範囲というものが定められておるわけでありますが、日本においては政治亡命というものは表面から認めてはいないようでありますけれども、たとえば政治亡命というような人は、その活動の範囲あるいは在留資格というものの制限はどうなっているんですか。
○吉岡政府委員 金大中氏に関しましては、先ほど申し上げましたように政治亡命者としての取り扱いはいたしておりませんので、したがいまして、特に在留活動についての制限はいたしておりません。 現行令によりますと、入国の際に問題になった場合に法務大臣が上陸特別許可を与え得る。それから在留しておる者につきまして、在留の資格がないとか、あるいはもう期限が切れたのにまだとどまっておるとか、あるいは密入国で入ってきた者に対して何らかの在留資格を与えるという意味で、また法務大臣の特別在留許可というものがございますが、後者につきましては諸般の条件を付し得るということでございます。 それから金大中氏は上陸特別許可を得て入ってきておりますが、先ほど申し上げましたように、その時点におきましては特別の条件は付してございません。
○大竹委員 その最後のお答え、ちょっとおかしいように思うのですが、病気療養と著書の校正という二つの条件がいわゆる特別在留の条件であって、まあほかのことは、それは人間ですからいろいろなことをやるかもしれないけれども、それ以外のことをやれば、これはその在留活動外の行動ということで、取り締まりの対象あるいは強制退去の事由になるのじゃありませんか。その点はどうなんですか。
○吉岡政府委員 先ほど申し上げましたように、上陸特別許可と特別在留許可と二種類ございますが、上陸特別許可の際には、特定の条件は付しておりませんので、ただ入国目的に違反した行動はとらないということは一応前提になっておると思います。
○竹村説明員 ちょっと補充して……。 この入国目的というものがきちんときまりまして、それに従って上陸許可が特別上陸許可になったりあるいは在留許可になったりするわけでございますけれども、その場合に、入国目的に極端に反するような場合には、これは入国目的違反ということで、行政上入国を取り消す、それによって退去を求めるということはございます。しかしながら、現行令のたてまえから申しますと、省令在留資格でございます十六号、その中の、法務大臣が特に認める十六の三というものにつきましては、この法令のたてまえとしては、資格外活動の規制ができないようになっております。したがって、先ほど申しましたように、入国目的に極端に反する場合に、これは虚偽の入国申請をして入ってきた、だからこの入国許可は取り消すのだというふうな形で規制することはできますけれども、資格外活動の規制という形では、十六の三の場合はできないというのが現行令のたてまえでございます。
○大竹委員 次に、話が出ましたから、特別在留許可の問題について若干お聞きしたいのですが、何か金大中氏が日本で特別在留許可を受けるときに、保証人というのですか、身元引き受け人というのですか、これにだれかなったとかだれかなっているとかということが問題になったようでありますが、特別在留許可をするについては、保証人あるいは身元引き受け人というものは法律上必要ということになっているのですか、どうですか。
○竹村説明員 法律上そういうものは要件とされておりません。ただ特別在留許可という範疇で見た場合、私ども実際の運用上、たとえば不法入国をして、そうしてやがてそれがわかって手続が踏まれる。しかしこれは気の毒な事情にあるから日本に在留を許すという場合に、身元引き受け保証人というものを必ずつけて、それに今後の在留活動についての責任を負ってもらうという形はとっております。 ただ金大中氏の場合は、これは要するに日本にもしばしば来られた著名な政治家でありまして、従来在留活動上特に問題のない人であります。そういう人が来た場合に、たまたま来たときに査証が有効でなかったために、有効な旅券は持っておりましたけれども、査証が有効でなかったために特別上陸証可という手続を踏みましたけれども、そういう人につきまして特段保証人が要るとかなんとかというような問題はないというふうに考えております。
○大竹委員 法律上必要がないけれども、念のためにつけておくのだという趣旨のお話でありますが、さっき申したように、いわゆる在留目的に反した行動があった場合、先ほどお話があったのですが、そういう場合には、それなら保証人あるいは身元引き受け人のいわゆる責任というものはどういうことになるのですか。
○竹村説明員 法律上そういうことが要件となっていないということは、それは道義的な責任にとどまるということでございます。ただ私どもとしては、そういった在留状況あるいは在留条件に反するような行動があった場合の処置としては、その不利益はすべて本人に帰するという形で処置するということになるのでございます。
○大竹委員 大臣が見えないのでちょっと困るのでありますが、若干質問を続けていきたいと思います。 先ほど特別在留の問題を質問してまいりましたけれども、一般在留制度、これから御質問していくわけでありますが、それに先立ちまして、第三条でありますか、十七項目ですか列記をしてございますけれども、これに列記をしてないものでいわゆる一二六とかあるいは日韓協定に基づく永住権とか法的地位の、第三条以外で在留資格を持っている外国人、特に日本に在留しているいわゆる朝鮮人、台湾人、これにもいろいろあるわけでありまして、戦前からずっといて、終戦から平和条約発効までに生まれた子供、またその後に生まれた子供など、いろいろ法的地位の差があるようでございますが、この在留資格制度を議論する前提といたしまして、やはり一応説明をしておいていただくことが必要かと思うのでありますが、それらについて各項目に分けて簡単にひとつ説明をしていただきたいと思います。
○竹村説明員 説明申し上げます。 わが国に在留する外国人、恒常的におる外国人七十三万のうち六十三万人は朝鮮の人たちであります。六十三万人の人たちの中で、三万人というのは、戦後一般の外国人と同じような在留資格でわが国に入国して滞在するものあるいは不法入国などをしてきた上で特別在留許可を受けた人たちでございますが、それ以外の約六十万人というのは戦前から日本に在留しておる人あるいはその子孫に当たる人たちであります。なお、元日本人であった台湾出身の人たちについても、朝鮮の人たちと同じように戦前からずっとおったというような関係がございます。これらにつきまして法律第百二十六号というのがございまして、法律第百二十六号によって、在留資格の制限あるいは在留期間の制限がなく日本に在留することができるという法第百二十六号の適用を受けている人、これが台湾の出身の人たちと朝鮮の出身の人の中で約十五万人ぐらいおるわけであります。ところが一方、日韓地位協定に基づきまして韓国籍を持っておる韓国の人で永住の許可を受けた人、これを協定永住者と呼んでおります。この協定永住者が現在約三十五万人おります。あと十万人はどうしたか、この十万人というのは法律第百二十六号のままでおる朝鮮の人たち、この人たちの子でございます。この子供たちはいま法務省令で定める十六号の二という資格でおりまして、これも資格外活動の制限はないけれども、在留期間につきましては三年ごとに更新を受けておる。その更新の際の手数料は免除されるというような形でおるわけでございます。 いま御質問で最も問題になっておるのは、こういうふうに戦前からおる朝鮮あるいは台湾出身の人たち及びその子供たち、こういうふうに日本の社会に定着している人たちが新しい法案ではどのような処遇を受けるのかという点でございますが、現在の新しい法案では、この協定永住を持っておる韓国籍の人たち三十五万人、それから法律第百二十六号の地位である約十五万人の人たち、これは従来のままの地位でおる。もちろんこの百二十六号に該当する人たちはいずれ特別法によって、また確固たる特別の処遇をしなければならないと思っておりますけれども、それまではともかくも現行令では従来のままの在留資格並びに期間の定めのない、いつまでもおれるという資格でおるということになっております。 なおこれらの人につきまして、上陸拒否事由、退去拒否事由を一部必要としております。問題になりますのは、百二十六号の子に当たる人たち、この人たちは従来省令在留資格で十六の二というところで在留しておったわけでございますが、新しい法案では省令在留資格というのをやめまして、在留資格というのは全部法律または政令で定めるというふうにしたものですから、いままであった十六の二がどこかへ行ってしまった。さて自分たちの行くところがない。これは新しい、通常の外国人が持つ在留資格のどこかへ組み入れて、そしていままであった安定した地位を剥奪するのではないかというような疑問がいろいろ反対運動の中で提出されておりましたけれども、この一二六の該当者の子供につきましては、これは附則におきまして永住者の家族とみなすというふうにしております。しかもこれは法文上生まれた時点において一二六の子である限り、たとえその親が一二六の身分を失っても、あるいは出国したり死亡したりして親自身が一二六の身分を失うことがありますけれども、そういうことによって何ら変動は受けない、成人に達してもいつまでも永住の家族とみなすというふうにしております。永住の家族とみなすということは、これはこの新しい条文の第三条第一項第十六号に規定がございまして、これは資格外活動の制限は一切ない。ただし在留期間につきましては従来と同じように三年ごとに更新される、その手数料は免除するというような処遇を講じております。 なお、この子供につきましては一二六である親、それから韓国の協定永住者と同じように政治活動に関する中止命令制度の適用も除外するというようなことをいたしまして、その他上陸拒否事由、退去拒否事由の一部適用除外も親と同一に扱いまして、これらにつきましては生活が安定するような配慮を加えているわけです。 以上でございます。
○大竹委員 いまの附則は第何条ですか。
○竹村説明員 附則の第十六条の四項でございます。
○大竹委員 それでは大臣がお見えになったようでありますから、最初に一、二大臣にお聞きいたしたいと思います。 御承知のように昨年秋、日中国交正常化ができまして、さらに最近におきましてはわが国と北朝鮮あるいは北ベトナムあるいは東ドイツ等々、いままで国交のない未承認国との関係が漸次好転しているということ、これは申し上げるまでもない情勢だろうと思うわけであります。こういう時期に出入国法案を提出するというのはいま申し上げた時代に非常に逆行するのではないかということで、本法律案に基本的に反対であるという反対意見があるわけであります。これは大臣は陳情その他でよくお聞きでないかと思うのでありますが、これについての政府の見解、どうお考えになっておるのか、大臣から御答弁をまずいただきたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 お説のようにアジアの情勢は朝鮮民主主義人民共和国、北ベトナムの関係がだんだん好転をする傾向にあり、たいへんうれしいことでございます。しかしながらこの御審議をいただいておりまする出入国法は、これらの特定の国を対象として適用しようというものでないことは申し上げるまでもないことでございます。そこで日中国交回復、北部の諸国との友好関係の方向に打ち向かっておりますような傾向は、かえって出入国の増大を来たしており、ますます出入国関係が多くなっておる、こういうことでございますので、事務から説明を申し上げたと存じますが、激増してまいります旅行者の大部分が短期の旅行者である。これに複雑な審査の手続を経て一々処理しておりますということは時代に即応しない。船で来る時代から大型ジャンボの飛行機で入国をいたします時代になっておりまして、その数が激増しておる現状でございます。かえって日中国交回復、北部の国々との友好関係が進む傾向にある現状のもとにおいて入国者の数がふえておる現状でございますので、こういうときにこそ進んで本法律案を急ぎ御審議をいただきまして、急ぎ成立を期したい、かえってそういう希望を持っておるのでございます。
○大竹委員 いまの反対理由というものは非常に抽象的でありまして、はっきりしない面が多々あるわけでありますが、いま少し具体的に、こういう意見もあるのでありますが、観光客その他が非常にふえているということで、その面に対する簡素化、また先ほど出入国の事務当局のほうからお話がありました百二十六号に対するいわゆるはっきりした法律をつくること、こういうことがむしろ先決であって、全面的な改正というものはこれから大いに議論していかなければならぬわけでありますけれども、さしあたりの問題としてこれ二つをまず改正するのが急務であって、全般的にやる必要はないのじゃないかという意見もあるわけでありますが、その点についてのお考えをお聞かせください。
○田中(伊)国務大臣 どうも私の申し上げますことは理屈に偏することが比較的多いので恐縮でございますが、いま先生仰せになりました一二六該当者をめぐる公的地位の法律、これは急ぐことが望ましいのでございます。しかしこれはあくまでも、理屈の上からも実際の上からも、いわば特別法にあたるわけでございます。御審議をいただいておりますこの法律案は一般法であります。やはり何と申しましても特別法を先につくって一般法をあとにというわけにまいりませんので、一般法たる本法律案を先にお通しをいただきまして、続いて急いで特別法たる一二六該当者の法的地位に関する法律を急ぎ提出したい、こう考えております。
○大竹委員 それじゃ、時間もございませんから、さっそくこまかいことを質問させていただきたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、時代に逆行するという反対意見でありますが、この立場に立ちますと、いわゆる今度の令から法に改正するのは率直にいえば改悪であるという議論に立つということになるわけでありますが、そういうような面で、この改正の点についてあとから若干御説明をいただきたいと思いますが、それに先立ちましておもな改正点だけをまずあげていただきたい、こう思うわけであります。
○吉岡政府委員 今回の法案を現行令と比較いたしまして改正されたとわれわれが考えております点を集約いたしますと、大体三点になるかと存じます。第一番は、出入国手続の簡素化でございます。それから第二番は、在留制度の改善でございます。それから第三番目は被退去者の処遇につきまして人権尊重の見地から諸般の改善を加えた点、この三点に大まかに申し上げまして集約できるかと思います。 第一の出入国手続の簡素化につきましては、現行令におきましては、観光客というのはわりと比較的容易に日本に入国できることになっておりますが、過去二十年余りの入管行政の中で、観光客のみならずスポーツ参加とか親族訪問、見学、会議参加、短期の業務連絡といったような人たちがわが国に入国するためには、いままでは非常に煩瑣な手続を要しておりましたが、今回はこういった人たちも観光客並みの簡単な手続で入国できるということにいたします。それからまた、日本に査証なしで入ってきて短期見学をしたり買いものをするということも、過去においては非常に限られておりまして、たとえば同一船舶に乗って同じ船が出るまでの間ということで、飛行機においてもしかりでございますが、飛行機は御承知のとおり、もう給油をいたしますとすぐ出ていくということになりますと、この恩典は、従来航空機利用者には利用できなかった。均てんできなかった。それを今度は航空機の場合にも、同じ場所であると七日、あるいはたとえば東京に降りまして大阪に行く、そして大阪から出ていくというものには十五日というように、査証なしで入国できるという制度も広げてまいりましたわけでございます。 それから第二番目の在留制度の改善でございますが、これは、御承知のとおり今日の世界では経済活動も複雑化いたしまして、また国際交流も盛んになっておりますので、そういう事態に即応できるように、なおかつわが国民の職域等に影響するものにつきましてはこの利益を十分守っていくという見地から在留資格の分類を変えましたし、また日本に長期滞在しております人が短期外国に出てまた帰ってくるという場合に、従来は再入国は一回限りでございましたが、今度は数次再入国できる制度をとりましたし、また無国籍その他の理由で旅券を所持できない人に対しましては在留外国人身分証明書を発給するというような制度を設けまして、日本に在留する外国人の利益に沿うようにいたしたわけでございます。 それから第三点の、被退去者の処遇につきまして人権尊重の立場から諸般の改善を加えたことにつきましては、たとえば退去強制の手続をいたします場合に、現行令におきましては容疑者はすべて収容するという制度になっておりますが、今度の法案におきましては一定の事由があるときだけ容疑者を収容するということにいたしましたし、また退去強制令書が発付された者に対しましての入管手続を一定期間、十五日間差し控えるという制度をとりましたし、したがいましてその間に自費で出ていくということもできるようになりましたし、また自分の希望する国または地域に退去する、そういうことも可能にいたした次第でございます。また退去強制を受けた場合に、現行令でございますと、退去強制令書が発付せられた段階でないと特別在留許可の手続ができないということになっておりますが、今度の法案におきましてはそういう手続が完了する以前においても特別在留許可の申請をすることができるといったような、要するに被退去強制者の人権を尊重するという見地から、いろいろの点で従来の制度を改正いたしております。
○大竹委員 それでは、一番問題になる在留制度の改正の問題についてまず若干御質問をいたしたいと思います。 いろいろ陳情、請願その他を受けましたが、その中でこういうのが一番多いようでありますが、これに対してどうお考えになりますか。今度の在留資格のきめ方はいままでよりも細分化されている。いままでは確か十三ですか、でありまして、いままでも相当細分化されておったと思うのでありますけれども、今度は十七ですか、に分かれているのでありますが、非常に細分化されて、一面においてはきびしくなったということだろうと思うのでありますが、細分化されているということ。いま一つは、政令で活動を規制している。これはいままでもあったわけでありますが、政令その他、こまかい点については実は不勉強でよくわからぬのでありますが、細分化をし、かつ政令で活動を規制しておるというのを、いわゆる在日外国人に対しての活動をきびしく規制するものであって、改善ではない、改悪であるということになるのだろうと思いますが、そういう意見があるわけでありますが、これに対しての御意見を承りたいと思います。
○竹村説明員 お答えいたします。 実は新しい法案を作成するにあたりまして、私どもが最も苦心し、そして現在の国際交流に対応できるための制度として在留資格制度を考えた一番苦心したところに対してまことにきびしい批判がありまして、まことに実は心外に思っておるわけでございます。 現行令におきましては、御承知のとおり、在留資格を法律で定めてあるのが十五ございます。ところが十六番目に省令在留資格といいまして、それ以外で法務省令で定める在留資格というのがございます。この法務省令で定める在留資格という中にいわゆる十六の三といって、法務大臣が特に認める者というのがございます。この入管令ができた昭和二十六年当時、在留資格を持ってわが国に入ってくる外国人というのが一万八千人であった。ところが昨年は六十六万人にも達しておる。昭和二十六年当時の国際交流の状態と現在の状態というものは飛躍的に相違しております。したがって、昭和二十六年当時出た法律で定めた在留資格ではとてもまかなえないくらいの活動をしたい人が入ってきておる。そういった人たちをわれわれは受け入れるときに、例外として扱うべき十六の三、法務省令の在留資格でたくさん受け入れております。本来例外としてきびしく扱わなければいけないところが、現在の国際情勢のもとではむしろそれが拡大していって、十六の三という法務大臣が特に認める者という、基準が必ずしも明確でないものによって律せられる在留者というものがたくさんふえております。先ほどもちょっと申しましたように、十六の三で入ってきた者については資格外活動の規制がない。同じようにホステスをやっておっても、観光で入ってきてホステスをやっておる者は、あなたはかせいではいけません、観光客という資格で資格外活動になりますといって規制ができるのに、十六の三で入ってきている者には規制が法律上不可能であるというような矛盾もあります。そういう矛盾のみならず、われわれの行政があいまいな基準によって行なわれるということはいかがなものであろうか、そういった点も反省いたしまして、この十六の三というところにあったものを全部表に出して、表の在留資格にきめようじゃないかということを深く反省した結果、こういう在留資格制度になった。 そこで、在留資格制度は第三条の一号から十六号まで列挙してございますけれども、この列挙してある各号の在留資格を現行令と比較していただきますと、明らかに在留活動の種類がふえておる、種類がふえておるから一見項目がふえたように見えても、実は拡大しておるということでございます。したがって、見ておりますと、第三号にありますような「文化、スポーツ、経済、労働又は技術に関する国際交流を目的とする公私の団体の事業を管理する活動」とか、それから技術研修を受けるというような新しい活動、または保健、医療に関する活動というものが新しく表に出てきております。これらは従来なかったことでございます。 それから法律で定めてあります活動も、たとえば宗教活動とか報道活動なども、現行令に比べますといずれも法律で定めてある活動の範囲が現行令よりは拡大された形できめられております。 さらにもう一つ特徴的なことは、こういった法律で基本的に定めた活動に加えまして、教育活動やそれから技術活動や技術研修活動あるいは経済活動などにおいては、政令で活動をプラスすることができるようになっております。すなわち、従来法律で定めておった活動に加えまして、政令でそのときどきの社会情勢に対応して、こういう活動も新しく外国人の在留活動について加えたらいいじゃないかというものを加えるようにするという措置もとっております。ただ、演芸、演劇、スポーツ等の興行にかかる活動とか、あるいは医療、保健に関する活動というものにつきましては、これはわが国の国民の職域との衝突がありまして、われわれのところにも、こういうのは入れないでほしいとかいろいろな陳情もある実態を踏まえますと、こういった国内の職域との調整をはかる必要のある活動につきましては、そのときどきの情勢を踏まえて、政令でこれを定めるというふうにいたしました。 以上のようなほかに、先ほど局長から申し上げましたように、「観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、」その他「短期間本邦に滞在する者」というような範疇も設けまして簡素化をはかるというような問題もございます。 以上のようにして、基本的にそれぞれの在留活動というものは従来よりも拡大しあるいはプラスした形で門戸開放をはかっておる。しかしながら国民の権利というものも十分考えまして、利益も考えまして国内調節もはかっておるというのが在留資格のきめ方でございます。 なお問題となりますのは、その第三条の第一項の柱書きの中に「在留資格の決定は、」「第三号から第十二号までについては政令で定めるところにより当該各号に掲げる活動の一又は二以上の活動を定めて、する」という点をとらえまして、これは政令でこまかく活動を細分する意図があるのではないかということでございますが、ここにも書いておりますように、先ほど言ったように、法律あるいは政令で大まかに活動の範囲というものがきまりますと、そのきまった活動をさらに一または二以上組み合わせて在留資格をきめるというのがこの政令の趣旨でございますから、これでもって細分化するということはあり得ない、こういうふうなことによりまして、われわれ自身の、入国を許可をする、あるいは在留を管理をするという基準が法律によって明示されることを願い、しかも外国人の活発化する活動に十分対応できるということを念頭に置きまして在留資格制度を定めたということでございます。
○大竹委員 いろいろ在留資格の問題でお聞きしたいのでありますが、時間もありませんから一つだけお聞きしたいと思うのであります。 この項目を拝見をして、活動のこまかい点は政令に譲っているわけでありますが、最近こういう意見がある。非常に日本の労働力が不足をしている、そういう面から見て、この項目の中に熟練した労働云々という項目がございますが、むしろ一般労働者というものをもう少し自由に入れて日本の労働力不足をカバーするべきじゃないか、そのほうが日本の現在の状況からして、生産性の向上その他に大いに資するのではないかという意見もあるわけでありますが、これについてこの在留制度との関係どういうことになりますか、御説明をいただきたいと思います。
○吉岡政府委員 三条一項第十一号でございますか、「熟練労働又は特殊な事情の下において必要とされる労働に従事する活動で、政令で定める」ということがございまして、単純労働を排除いたしておりますが、このことにつきましては入管当局といたしましては、日本政府の労働政策がどうきまるかということによってわれわれの行政も変えざるを得ない、そういうふうに考えておりますが、現時点におきましては労働省の政策といたしまして、単純労働者は入国を認めないということでございますので、われわれはそれを受けまして、単純労働は排除する。ただし、「特殊な事情の下において必要とされる労働」ということを書いてございますが、これはたとえば沖繩におきましてパイナップル産業あるいは砂糖産業におきまして、従来ある一定収穫期におきまして台湾からの季節労働者を導入いたしておりましたので、それが沖繩が日本に復帰する前すでに実績としてございましたので、そういった特殊なものを救う道として後半の規定がございますので、当面日本政府の労働政策が変更される間特殊な地域においてあるいは特殊な産業においてそういうものが必要であるということになりますと、この政令をつくりましてそれを受け入れるということは可能になるかと存じますが、一般的な政策といたしましては現在単純労働者は受け入れないという方針をこの法案においても貫いておる次第でございます。
○大竹委員 次に、特別在留許可の問題について、先ほど金大中氏の問題若干お聞きしたのでありますが、大臣おいでにならなかったので大臣に一つだけお聞きいたしたいと思います。 この金大中氏がああいうかっこうで韓国に誘拐されたといいますか、強制的に連れ去られたと申しますか、それについていわゆる日本の主権が侵犯されたということが問題になっております。大臣のいままでの答弁をお聞きし、あるいはこの間の本会議における総理その他の答弁をお聞きしておりましても、いわゆる韓国の政府機関が関与して連れ去られたものであれば、主権の侵犯がある。しかしたとえば民間人が何というかかってにやったものなら主権の侵犯がない。裏からいえばそういう解釈になろうかと思うのでありますが、あの事件、だれがやったものにしろ日本の法律を無視されたことには変わりがないし、日本の秩序がしたがって乱されたことにも別に変わりがない。いずれにしろ日本の国の、何といいますか権威がその点で無視されたということ、一向変わりがないと思うのでありますが、やった人間のいわゆる身分、地位によって主権が侵犯されたり侵犯されなかったりという議論は私、多少法律をやった者としてどうも受け取れない理論じゃないかというふうに思うのでありますが、その点、大臣いままでも御答弁になっておりますから大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 一個人が行なったという場合、これは個人の違法行為でありますから、わが国の法秩序がこれによって乱された、そういう意味においてこの秩序が破れたんだということはこれは疑いはないのであります。ところがそれは個人でなしに国家だったんだ、この機会で言うて差しつかえはないと思いますが韓国だった、韓国国家だということになりますならば、えらいことになるわけでございます。国家は抽象的なものでございますから、国家が介入したということは、国家機関がやったということになるわけでございましょう。そういう国家機関である場合においては、上と下と、末端であろうが上であろうがその区別は問わぬのであります。また国家機関が自分でやらないで、国家機関でない人間を手先に使ったという場合においても承知しない。それは国に責任があるのだ。こういう場合に起こるものは主権の侵犯である。これは単なる秩序の破壊ではない、主権の侵犯だと、こういうことになろうと存じます。 もう一つ、きのう参議院の本会議において私が一言つけ加えておきましたことは、これは言うまでもない、法理論上当然のことでありますけれども、国家の権力を使った国家機関の行動であっても、その行動は一口に言って職務行為であるべきである。職務行為でない私的な行為、かってな行為であるという場合においては主権の侵犯ということは起こらない。職務行為でなければならぬ。ここらが捜査のむずかしいところではなかろうかと思います。これはあくまでも明白にいたしまして、白昼公然どこに出しても国家機関の職務行為だ、これは主権の侵犯だ、さ、原状回復をしろ、こういうふうに持っていくための苦心苦労が現政府の捜査当局にある。私は、まだ事件が先生御承知のとおり昔のことばで言うと送局されていない、まだ送致になっておりませんので、現段階においては捜査の具体的な内容、方向につきまして私が論及しておることはいままでもございません。それは遠慮すべきもので、私の所管ではないということでございますが、抽象的一般論としていたします場合においては、いま申しますように国家機関が職務行為として介入する場合主権の侵犯が起こる、ここに重大事態が発生すると、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○大竹委員 それではこういうようにお聞きいたしてよろしいでしょうか。いままでの具体的問題よりすれば、日本の主権が侵犯されるのは、いわゆる相手国の主権によってのみ、主権の作用によってのみ侵犯をされる、一口に言えばそういうように了解してよろしいですか。
○田中(伊)国務大臣 おことばのとおりであると存じます。相手国の国家機関が職務行為として行なうことによって行なわれた場合に主権の侵犯がある。
○大竹委員 それではいま一点、この特別在留許可の問題でお聞きしたいと思うのでありますが、特別在留許可の制度は、今度の法によりますと、いままでの例によりますと、退去強制の章に規定されておったのでありますが、今度は在留の章に規定されております。これはいままでも非常に問題になったようでありますが、たとえば特別在留許可をすべき案件を特別在留許可をしなかったということで、そしてその特別許可をしなかったという違法と退去強制令状の発付処分をいままでですと結びつけまして法的救済を求められたのでありますけれども、今度は在留の章にあるわけでありますので、これはどうも引き離して、特別許可をしなかった場合の救済の道を閉ざすのではないかという不安といいますか批判があるわけでありますが、これについて……。
○岡田説明員 現行の出入国管理令におきましては、第四十九条及び第五十条におきまして、退去強制事由に該当いたしました容疑者につきまして、その者が法務大臣に対しまして異議の申し出をいたしまして、その異議の申し出に対します法務大臣の裁決の場合に、初めて法務大臣が特別に在留許可をするかどうかという判断をされるということになっております。現行管理令のたてまえにおきましては、その段階以外においては特別在留許可をするかどうかの判断はしないんだ、そういうたてまえになっております。 ところが今度の法案におきましては、その点を改めまして、特別在留許可はいつの段階においても法務大臣はすることができるのであるというふうに改めております点が、御指摘のように批判を受けている点でございますが、しかしながら、現行管理令のもとにおきましても、そういう退去強制手続、つまりこれは収容手続も含むわけでありますが、退去強制事由に該当いたしました容疑者につきまして、収容の手続も含む退去強制手続というものをずっと進めていきまして、そして最後の段階である法務大臣に対する異議の申し出という段階におきまして法務大臣が裁決をされる場合に、初めて特別在留許可をするかどうかという判断がされるということになっております。したがいまして、こういう現行管理令のもとにおきましては、その容疑者につきましてそういう収容などという手続をしなくても、初めから法務大臣が特別に在留を許可してやってもよいというような場合には、直ちに対応することができないわけでございます。 今度の法案では、容疑者がたとえば密入国者であるというような場合におきましても、特別な事情がありまして法務大臣が特別在留許可をすべき対象であるというような場合におきましては、そういう退去強制手続を進めなくても特別在留ができる、あるいは退去強制手続を進めております段階におきましても、また退去強制令書が発付されてしまいましたあとにおきましても、特別在留許可をすることができる、こういう制度に改められております。 なお、この特別在留許可をするかどうかの判断につきましては、現行管理令のもとにおきましては、法務大臣の裁決の段階におきまして法務大臣はそういう特別在留許可をすることができるとだけ定めておりまして、してもしなくてもよい、端的に申しますとそういうことになっております。しかしながら、今度の法案におきましては、その点を改めまして、これは四十三条の二項、四十四条のところでございますが、法務大臣は異議の申し出に対しまして裁決をされる場合には必ず特別在留許可をするかどうかの判断をしなければならないんだというふうに定めております。したがいまして、今度の法案のほうが救済の面におきましてはずっと行き届いた配慮がされているものと思います。
○大竹委員 もう十分くらいで済ませたいと思いますが、簡単に御答弁いただきたいと思います。 そのほか、いろいろ問題になっているところがありますが、一番問題になっているのは政治活動、二十条ですかの中止命令だと思うのであります。一体政治活動だけについてこの中止命令の制度——むしろ在留資格外活動というものについてもこの中止命令の制度が必要じゃないかというふうに私は思うのでありますが、なぜ政治活動だけについて中止命令の制度を設けられたのか、その趣旨について……。
○竹村説明員 昨年提出いたしました法案におきましては、この中止命令制度というのは政治活動だけではなくて、一定のなすべき活動をしない場合とか、あるいはなすべからざる活動をしていた場合に、これに対して中止命令制度あるいは行為命令制度をとるというたてまえになっておりました。ところが、今度の法案では政治活動だけにしぼったのでございますけれども、結局、政治活動を除くそれ以外の資格外活動という面につきましては、先ほど来御説明申しましたような在留資格制度というものを合理化するということによって、一番問題になるのは国民の職域との衝突の場合でございますけれども、これにつきましては、先ほど言いましたように、国内情勢を十分踏まえて政令でこれを定めるというふうにしておりますので、それで十分調整の役を果たす、それ以外に個々の活動について中止命令制度を設けることはやはりきびし過ぎるのではないかという批判もありますし、そういった点も十分考慮いたしまして、資格外活動についての中止命令とか行為命令というものはとらないというふうにいたしました。 政治活動につきましては、われわれのほうで、現在の国際交流に対応して非常にたくさん入ってきやすくしたといったときに、わが国の現在置かれておるいろいろな情勢のもとで問題になってくるのはやはり政治活動ではなかろうか。この政治活動では、日本の国のことはどうか日本の国民にまかしてほしい、それ以外の外国人は黙っておいてほしいということで、わが国の内政に干渉する、どこの国も規制しておるような政治活動に対してこれを規制する、しかもその規制のあり方も、いきなりつかまえるとか、いきなり規制するということではなくて、一ぺん警告を発して、それに従わない場合に初めてこの規制を行なう、いわばワンクッションを置いた親切な制度である、このように考えております。
○大竹委員 いま一点この点についてお伺いしたいのですが、この条文を見ますと、中止命令を出すときには大臣の承認を求めて出せということになっておりますが、この法律の趣旨は、当該行為がいわゆる二十条に規定している政治活動に当たるかどうかを大臣が認定するという意味にとってよろしいのでしょうか。ただ、その出すことは大臣がまあよくいういわゆるめくら判でいいという趣旨なんですか。その点はどうなんですか。
○竹村説明員 第二十条の規定にありますように、中止命令を発するのは地方入国管理官署の長でございます。したがって、この外国人の行為がここに第一号、第二号に規定してあるような行為に該当するかどうかの認定は地方入国管理官署の長が行ないますけれども、この長がこういった命令を発しようとするときはあらかじめ法務大臣の承認を得なければならない。法務大臣の承認を受けるときには、これはやはり基本的な政治活動の自由ともかかわる重要な問題でございますし、国全体の問題にかかわりますから、これらにつきまして十分大臣の御承認を得てから行なう、そういう慎重な手続を定めたものでございます。
○大竹委員 いま一つこの条文を見まして若干ひっかかる点をお聞きしておきますが、「継続」と「反復」という二つのことばが使われているわけであります。まあ継続というのは続けてやるということであるし、反復というのは通常は繰り返してやるというふうに私どもは解するわけでありますが、この二つのことばを区別してこの条文の上に出ているのは、実際問題として、どういう場合は継続であり、どういう場合は反復であるのですか。その点ひとつ御説明してください。
○岡田説明員 多少相対的な概念でございますが、これは社会通念に従いまして判断をされるということになろうかと存じます。 継続と申しますのは、引き続いて行なわれている。したがいまして、集会等が引き続いて行なわれているというような場合。反復と申しますのは、これは一度行なわれてしまいまして、そのあと、またさらに行なわれるという場合でございます。したがいまして、この場合は、社会通念上それが反復と認められるというように考えます。
○大竹委員 この問題も、いろいろお聞きしたいことがありますが、その程度にしまして、この在留許可に関連いたしまして、たしかいままでは、在留をまた延ばしてもらいたいというときには、在留更新ということばを使われていたと思うのでありますが、今度は、在留延長ということばになっております。そういうようなことからいたしまして、在留更新といえば、いままで三年許可されている者は、更新であるから、また三年黙っていても延ばしてもらえる、一二六関係の子供さんなんかの場合にはそう言えると思うのでありますが、今度は、在留延長だから、三年延ばしてもらえないかもしれない。二年になるか一年になるか、やってみなければわからぬというわけで、同じようなものだと言えば同じでありますけれども、そこは非常に心配だから、これはどういうことなんだという問題があるのでありますが、その点はどうですか。
○岡田説明員 現行管理令におきましては、更新ということばを使っております。したがいまして、たとえば事業を行なうということで入ってまいりました商用活動者、これは三年の在留期間を与えておりますが、この商用者につきましては、もう一度期間を更新するという場合におきましては、同じ三年を与えなければなりません。今度の法案のもとにおきましては、これを延長というふうに変えていますのは、そういう商用活動者が、そのままでは在留の延長を引き続き認めることはできませんが、一年ぐらいであれば認めても差しつかえないという場合は、一年ということを認めることができるように、つまり、それは一つの在留資格に複数の在留期間を設けるということを考えておりますので、延長ということばにしたわけでございます。 ところで、一二六の子供さんたちの問題でございますが、従来、一般外国人の場合でありますと、三年という一番長い在留期間を与えておりまして、これは更新しておりますが、今度の場合、延長ということに相なりますと、場合によっては一年というふうに切るということが行なわれるのではないかという御心配があるかとも存じますが、しかしながら、一二六の子供さん、あるいはその孫という方々の場合におきましては、法案の附則におきまして延長の手数料を免除するという規定を設けておりますが、この延長の手数料を免除するという規定の趣旨は、これは端的に申しまして、自動的な更新を認めるというような趣旨でございますので、そういった点につきましては、運営上問題がないと考えております。
○大竹委員 まだたくさんあるわけでありますが、約束の時間もございますので、大部な条文のある法律でありますから、次の機会にまた質問を許していただくことにいたしまして、最後にひとつ大臣にお聞きして質問を終わりたいと思います。 詳しくこの改正点について御質問申し上げたいと思ったのでありますが、非常に雑に一点か二点しか質問できなかったのでありますが、先ほど冒頭に御質問申し上げましたように、令からこの法にするということは、この改正の点についていわゆる改善じゃなくて改悪だという相当多数の人の強い反対があるということは御承知のとおりでありますが、総体として絶対に改悪でないんだ、改善なんだということを大臣最後にひとつはっきりおっしゃっていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 おことばをいただいて、たいへん恐縮に存じますが、この法案の内容からも明瞭でありますように、多数の短期の旅行者を簡素な手続で入国さそうという時代の要請に即応した考え方、これがまず第一点であります。 それから、先ほどから部下が説明いたしましたように、入国資格の問題につきましても、たいへんゆとりを持った新たなる角度の観点からその資格をきめていこうとしておる。また在留活動にいたしましても、全世界各国の法制の上で前例を見ないようなクッションを置いて、直ちに退去を命ずるのではなしにクッションを置きまして、それに応じてくれればそのままいけるという制度をとっておる。また強制退去をいたします場合の人権尊重の立場から諸般の規定を設けておること、るる御説明申し上げたとおりでございます。 こういう点にかんがみまして、これは現行令を今度の新法によって改善するものである。改悪ということはいささかもない。こういうことを信じて確信をもって国会にお願いしておる次第でございます。
○大竹委員 質問を終わります。 ————◇—————
○中垣委員長 次に、法務行政に関する件及び検察行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 法務大臣、きょうは実は長沼判決に関連して——判決に関連して国会で聞くというのはおかしな話ですけれども、国が一方の当事者ですから、そういう関係で聞きたかったのですが、いろんな事情がありまして聞けないということでありますので、それはまた別な機会に譲らしていただきたい、こう思います。 そこで、時間が三十分ということなものですから、金大中氏の事件について、こまかいことは聞けないのですが、まず最初に一点お聞きしたいのは、あなたの第六感というのは非常にさえわたっていてなかなか評判になったわけです。そのとおりになりましたね。これはぼくもなかなか感心しているのですが、そこでさらに、さえわたった第六感で、この事件の今後の見通しは一体どういうふうになるのか、またならねばならないのかということ、このことについてひとつ大臣から明確なお答えをいただきたい、こう思います。
○田中(伊)国務大臣 これはなかなか大事なむずかしい御質問で、勢い慎重に答えをしなければならぬ段階であると思います。 今後のこの事件の見通しでございますが、政府は全力をあげて国家機関の職務行為だということに重点を置きまして立証したい。私は先ほどから申し上げますように、事件が私の手元に来ておりませんので、捜査の具体的内容は言えないのですが、捜査の大局は、法務大臣だから言うてよろしい、そういうことから申し上げますと、事件をうやむやにするのではないかなどという、新聞に論調がちらちら出ておりますけれども、そういう考え方は政府に毛頭ない。国家機関が介在した職務行為である、主権の侵犯であるということに重点を置いて全力をあげて捜査をやる見通しでございます。これをやっていき、そうしてそれがあらゆる角度から時間をかけて捜査の積み重ねを行ないまして、いま私の申し上げますような大眼目がとれましたときに、初めて国家は重大決意をする。その重大決意の中身はあらかじめここで申し上げるわけにいきませんが、理由はありませんが、そのときに初めて過去何回も私が言及をしておりますように、国家としての重大決意を行なう。それに全力をあげておる間は、野党、与党を問わず国会の皆さんもどうぞこれに御協力をいただきたい。時間がかかっておるのはうやむやじゃないかなどということを仰せになりませんように御協力をいただきたいものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 これ、うやむやにしたくない、これはもう国民全部の願望ですし、あなたもそういうふうにお考えになっていらっしゃる。ただ、うやむやにしたくないと言ったところで、韓国側が捜査に協力をしない、どんどん重要な人物は帰ってしまう。現段階で重要な人物といっても、それが犯罪を行なったという明確な証拠をこちらがまだつかんでおらない場合も多いでしょうから、帰るのを法律的に阻止はできない。こうなってまいりますと、どんどん帰ってしまう。向こうは協力をしない。さあ、うやむやにしたくないという重大な決意はあっても、事実上壁にぶち当たってうやむやになってしまうのではないかというのが、これは国民が心配している一つじゃないでしょうか。その点はどうでしょうか。
○田中(伊)国務大臣 先生の仰せになっておるお考えは、関係者はだんだん引き揚げていく、日本へ再来日をしなければならぬ方々はおいでくださらぬ、うやむやにする気はなくとも、うやむやの結果にならぬとは限らないじゃないかというおことばですね。それはよくおことばはわかるのですよ。よくわかるのですが、政府は関係者の再来日をあきらめていない。それは主権が侵犯されたものだという立証ができましたときは、もう有無を言わさず、無条件で金大中君の再来日を実現するということは、国際法上当然のことであります。しかし、それも明らかにするためにはどうすればよいかというと、現段階においては国際法上渡す必要はないんだという議論を越えて、緊密な両国の間柄からして国際法を越えて金君の来日を求める。これに韓国が同意すればできる。韓国の言うことを日本が言わぬでいいのです。日本の立場からいえば、国際法を越えて協力せい、こういう大事件が起こって、おまえのところがこれに協力してくれる責任があるじゃないかということを強く主張しておるわけでございます。これは原状回復でなしに、任意同意によって、からだを戻してくれという、この努力でございます。これはあきらめていない。これはあきらめていないのですよ。ほんとうにあきらめていないのです。そして一、二の新聞には徴候があらわれたようにも出ておりますが、私は具体的な事情というものにはまだ確信は持てないのでありますけれども、これは再来日の可能性はまだある、熱意をもって腰強く——しんぼう強くと外務大臣は仰せになっておられるのでありますが、しんぼう強く熱意をもってこれを説くならば、再来日の見通しはある、今日なおそう考えております。あきらめてはおりませんので、うやむやに本件はならない、結果においてうやむやになるということはない、積極的な確信をもって政府はやっておる。ただ、時間がかかるということについては、御了承と御理解をいただかなければならぬ、こう思っております。
○稲葉(誠)委員 時間がかかることは、これはこういう特殊な事件ですからぼくもわかるんですが、その時間がかかるということのおおよそのめどの問題ですね、これはどうなるのか。これはことし一ぱいかかるのか、来年一ぱいかかるのか、あるいは再来年一ぱいかかるのかわかりませんが、どの程度のことをめどとして考えておられるのか。これは法務大臣並びに捜査当局、両方にお尋ねしたいわけです。
○田中(伊)国務大臣 具体的捜査に関する発言になりますので、どれくらいな見当をつけておるのかということについては、捜査当局からお聞きをいただきたいと思います。
○中島説明員 私どもの捜査の現状といたしましては、御承知のようにいろいろな制約があるわけでございますが、その制約の中において最善を尽くしてまいるつもりでございまして、時期が相当かかろうとも、その実態を何とか究明いたしたい、かように考えて努力いたしておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 警察としては、いまの段階ではそれ以上は言えないでしょうけれども、あなたは責任者というあれでもないんだから……。 大臣、アメリカがこの事件に対して強い関心を持っている、これはわかりますね。アメリカがどの程度この事件に介入ということばは悪いけれども、関心を持ち、同時にそれに関連して、たとえば金大中氏の生命を助けたのはアメリカの指示だとかいうことが盛んにいわれておりますね。どういうふうにアメリカが関心を持ち、介入ということばは悪いけれども、事件の中に入ってきているのかということが一つ。 それからもう一つの質問は、たとえばキッシンジャーが韓国の外務大臣を呼んで、何というか話をしたり何かして、アメリカが中に入ってこの事件は事実の究明が行なわれないままに、かえって究明が行なわれるといろいろな問題が起きるからということで、政治的な解決をしてしまうんではなかろうか、こういうようなことが世上いわれておるわけですね。このことについての大臣の考え方、これをお尋ねしたいわけです。問題は二つですね。
○田中(伊)国務大臣 申し上げにくいのでありますが、どうもその点は外務省にお聞きをいただく以外にないだろう。私は第六感男でございますから、思うことはいろいろあるんですよ。こうであろう、ああであろうということはあるのでありますけれども、この席で重要点を御答弁を申し上げるということは、まことに責任のとれないことばを述べることになるので、これはひとつ外務省からしっかりお聞きください。
○稲葉(誠)委員 きょうは外務省は参事官ですから、参事官が責任ある答弁できるわけじゃありませんから、帰してしまいました。これはあなたを信頼していて、あなたからいい答弁が出るだろうと思ったからそういうことを言ったんですけれども、それは事件が事件ですから、聞いてもあなたとしてなかなか答えはあれだと思うのですが、この前八月二十四日にここでこれに関連して質問がありましたね。そのときに沖本さんの質問に対してあなたはこういうふうにお答えしているんですよ。「私の意見は、どうも最初一一〇番に通告をする時間がかかり過ぎておる。なぜこんなに時間をかけたのか。事件が起こって一時間有余も何をしておったのかということは力を入れて究明したい。だれがそこにおったか。なぜもっと早く電話がかからなかったのか。何のために延びたのか。これはたいへん重要な点でございますが、」云々と言っておるわけですが、これは実は私も聞いておりまして、非常に重要なことを大臣も言われた、ここにポイントがあるというふうに私も聞いたわけです。それで議事録ができましたからあらためてお尋ねしておるのですが、これはまあ抽象的な話ですね。この具体的な内容、どういうふうなことから大臣はこういうふうな答弁をされたのでしょうか。その後明らかになったことで、これに関連して相当事実の変化もあったと思うのですね。この点をあらためてお尋ねをしたいわけです。
○田中(伊)国務大臣 単純にして簡単な、私の感触でこれを言うたことで、私はいまも、捜査の現段階においても、まだ事件が私の手元に来ておらない段階でございますけれども、この段階においても、私は本件の真相、重要点はここにある、いまも思っておる、私はそう思います。 それから第一、きわめて簡単な、何が簡単だ、どう考えたのかというと、事件が起こった直後に一一〇番にびっと電話を一本しておけば、この事件はいま時分解決しておる、一時間有余たった後に電話して、警官が出ていったときには東京都内には犯人も被害者もいない、結果はこういうことですね。そうしょうと思ってやったのじゃないのでしょうけれども、そういうことでしょう。これは重大事態でございます。えらいことをやったということですね。だれがやったのか、だれがやらされたのか、どういう事情でそうなったのか、ここは究明に究明を尽くすべきところです。私が捜査官ならここに命を入れる。これは急所はここにありそうですね。それはだれでもそう思うのじゃないかと思うのですね。そこはそう力んでみたってぼくは捜査官じゃないから……。まあそういう重要点がある。もっと早くベルを押せば解決が早くできたのに警察にもたいへんな御迷惑をかけておるという意味とお受け取りいただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 では警察当局にお尋ねをするのですが、いま法務大臣が言われましたよね、この点は私もポイントであると思っているのですが、この間の事情で調べてわかった範囲のこと、これをお答えを願いたい、こう思うのです。これはいろいろな人がこの時間に出入りしたとぼくは思うのですよ。これが一つ、ポイントですから。これは何も遠慮する必要はないと思うのだ。ある人が来たということを言ったが、それがある人はどうこうというふうに発展したというふうにとらないで、ぼくはその間の、どういう人がどういうことがあったのだということを——むしろ初動捜査がおくれたということを言われておる。その点確かにあると思うけれども、おくれるにはおくれるに至った理由があるのだ、それは警察の責任ではない、ならないとこういうふうな、あるいは捜査の妨害か何かなりあるならあったのだということを警察当局はもっとはっきり言っていいのじゃないでしょうかね。いま、大臣が前に答弁をし、いま私の言ったことと相関連して警察当局、少し詳しく説明してください。
○中島説明員 いまお話のありましたように、一一〇番が趙活俊氏からありましたのは、事件発生が午後一時三十分ごろと思われますので、約一時間十分経過しておるわけでございまして、いかにもおそいという感じがするわけでございます。なぜおくれたかということにつきましては、趙活俊氏が関係人に十分に問いただしておるというわけではございませんので、私どもとしてもよくわからない点があるわけでございますが、おそらくそれぞれの関係向きへの連絡を警察への通報に優先させたものと考えておるわけでございます。警察官が、宇都宮議員から警視庁警備部長への通報がありまして、それが二時十四分ごろでございますが、この通報に基づく手配によって現場にかけつけましたのが二時四十五分ごろということになっておりますが、そのときに現場にいたことが確認できている者は、梁一東、金敬仁氏のほか宇都宮代議士の秘書村上氏、郭東儀氏、趙活俊氏、それから金大中氏の秘書である金康寿氏などでございます。 なお、金在権公使につきましては、後ほどの調査によりまして、事件発生直後に梁一東氏から電話で事件を知らされて現場に来ていたことがわかっております。
○稲葉(誠)委員 この前、山本さんは、これは私の質問ですが、「宇都宮さんからの連絡がありまして、所管課長を通じて所管の課員が現場に行ったのは二時二十分ごろで、麹町署のパトカーの到着が二時四十五分ということでございますが、」と、こう答えているのですが、これは何か勘違いかな。それが一つ。 それから、よく、犯行時間が一時だとか一時半だとか言われておりますけれども、金大中氏は一時と言っておるので、これは一時三十分というのが正確なんですか。これが二点ですね。 それから、金在権公使が来て、そしてどうしちゃったのですか、そこら辺のところがよくわからないのですが、警察官が行ったころにはもういなかったのですか。何しに行ったのか、そこらはよくわからない、だれからの連絡で行ったのか。そこら辺が第三点。
○中島説明員 第一点の、外事課員が現場に到着いたしましたのは二時五十分でございます。あるいは山本局長が見誤ったのかもしれませんが、二時五十分ごろということになっております。 それから第二点の、犯行時刻が一時三十分ごろかどうかということでございますが、お話のございましたように、韓国側からの金大中氏の供述要旨によりますと、その点があるいは午後一時ごろではないかというようにも読み取れるわけでございますが、私どもの現場での捜査では、ほぼ一時三十分ごろと断定していいものと考えております。 第三点の金在権公使の件でございますが、事件発生の翌日、金在権公使から警視庁の公安部長に警察の捜査に自主的に協力したいということで事情説明の申し入れがありまして、捜査本部の幹部が事情説明を受けたところによりますと、八月八日の午後一時五十分ごろ、梁一東先生から電話で、いま金大中が連れていかれたとの連絡があって、すぐ車でグランドパレスに向かいました、ホテルには午後二時十分ごろ着きました、こういうふうに述べております。
○稲葉(誠)委員 一時五十分、これは新聞なんかによると二時というふうになっておる新聞なんかもありますが、どちらでもあれですが、なぜ梁一東という人がその金在権公使に電話をして——時五十分なら事件があって二十分ですね、なぜ警察へ連絡しなかったのですかね。そこら辺のところは、梁一東という人に一応聞いてはいるわけでしょう。聞いている中でどうなっているのですかね。どうもそこら辺がよくわからないのですがね。 これが一つです。 それから梁一東という人は、これは個人のことをあまり言うつもりはありませんけれども、外交旅券持ってきてはおるのですけれどもね、まあ外交旅券もらった当時には国会議員であったからでしょうけれども、国会議員でないのに国会議員として査証をもらったり旅行許可なんか申請しているのですがね、これはあまりあれだと思いますが、これは抜きにして、この梁一東という人がどうして、二時十分なら事件発生後二十分、なぜ警察へ連絡しなかったか、なぜ金在権公使だけ連絡して終わっちゃったのか、そこはどういうふうにつかんでおるのですか。
○中島説明員 梁一東氏といたしましては、これはたいへんだということで韓国大使館に電話することを思いついて電話したのだというふうに了解をいたしておるわけでございまして、私どもといたしましてはそれよりも先に一一〇番をしていただきたかったわけでございますが、その辺は本人がまず大使館へということを頭に浮かべて電話をしたようでありまして、たいへん残念に思っているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 その梁一東さんから、一時五十分というのが正確かどうかは別として、一時五十分に警察のほうに電話があれば、それは事件が起きてから二十分の差ですから、まだ都内にいるということで、当然この事件の発生は防げたんではないか、結果論かもわからぬけれども、そういうふうにとれるわけですね。どうもここら辺がよくわからない。なぜ警察のほうに電話をしなかったのかということについては聞いてはいるのですか。聞いてはいるけれども明確な返事はないということなのでしょうか。これが第一点。 第二点は、「梁一東さんの泊まった隣の部屋に部屋を予約した畑中金次郎なる人物、これの人物の特定にもつとめておりまして、逐次これは浮かび上がってきておりますが、」云々と、これはこの前、八月二十四日の段階で山本さんが答弁したのですが、その後の経過はどういうふうになっているのでしょうか。この二点です。
○中島説明員 梁一東氏からそういう点を問いただしたかということでございますが、私、いま詳しい事情を存じておりませんので、ここではお答えできません。 畑中金次郎につきましては、金東雲ではないかというようなことで、金東雲氏の筆跡、写真等によりましていろいろそういう点をやっておるわけでございますが、現在の段階ではまだそれがだれであるかということを特定するまでに至っておりません。
○稲葉(誠)委員 金東雲という人の指紋が出てきたというようなことですが、問題は、この人がいわゆる一番上の人なのか、あるいはもう一つ上の人がいて、そしてこれが総指揮に当たっていたのか、その総指揮者は一体だれかというふうなことにだんだんしぼられていくんだろうというふうに思うのですが、これは捜査の問題で、ここでどうこう言ったところで始まらないといえば始まらないのですけれども……。警察当局としては金東雲という人が来なければ当面事態の進展ははかれないというような段階なんですか。どうなんですかこれが一点です。 第二点は、金東雲という人よりももっと上の人がいるんじゃないかというふうに考えられるのですが、そういう点に向かっても今後捜査を進めていくのかどうかということです。 それから第三点は、事態の究明に対して、いろいろ支障があるにしても、今後どういうような角度、どういうような方法で警察当局としては当たっていきたいのか、その一つの決意ですね、これをはっきりさしてもらいたいと思うのです。法務大臣だけが決意を述べて、警察が決意を述べないというのもちょっと不公平でまずいと思ってそういうことを聞くわけです。 それが終わりまして、法務大臣に最後の質問をして、私の三十分の質問を終わります。
○中島説明員 金東雲氏が任意出頭に応じなければ事態の進展はないのかというお尋ねでございますが、現場を中心にいたしまして、いろいろと車の関係など捜査を進めておりますので、私どもといたしましては、金東雲氏が任意出頭に応じなければ事態が進展しない、かようには考えておりません。いずれにいたしましても、金東雲氏の任意出頭を強く求めて事態を明らかにすることが、この実態を明らかにする上に必要であろうかと思いますので、その点については強く要求してまいりたいと考えておるわけでございます。今後の事態の究明についてでございますが、金東雲氏及び金大中氏らの来日を今後とも強く要請してまいるとともに、日本の警察独自でも捜査を進めて、事態の究明をはかるということで今後努力をしてまいりたい、かように考えます。
○稲葉(誠)委員 警察にもう一点、落としましたが、例の十時三十五分だかに梁一東氏がコーヒーを飲んだとか飲まないとかいうことがありますね。金大中氏がホテルに来たのは十一時だということは確定的に見てよろしいのでしょうか。そうなると、そのコーヒーを飲んだのは別の人だということにもなってくるのですが、そこら辺はいまの段階ではどういうふうにとっておられるのか、これをひとつ聞きましょう。
○中島説明員 ホテルのボーイなどの証言から、十時半ごろ梁一東氏がコーヒーを二人前注文しておるということがあるわけでございますが、一方において、金大中氏はパレスホテルから車で十一時ごろに着いたという関係者の証言などもございます。この点につきましては、梁一東氏の韓国における発言なども伝えられておりますけれども、いずれにいたしましても金大中氏、梁一東氏の来日を求めてその間の事実を明らかにしてまいりたい、かように考えておるわけでございまして、現在の段階では、それは一体だれと飲んだものであるかということについてはっきり確定できる段階には至っておりません。
○稲葉(誠)委員 そうすると、来日しなければ事態の真相というのはわからなくなってきちゃう。だから、その点は非常に障害があると思うのですけれども、それはそれとしてしっかりやってもらいたい、こう思います。そこで、法務大臣に最後にもう一言。同じことになってしまいますけれどもね。この事件はどうもはっきりしないままに終わってしまうんじゃないか、変な幕引きがあるんじゃないか、変な幕引きというのは、アメリカが中に入るんだ、日韓の関係を乱しちゃ困るからということで、盛んにいわれているわけですね。幕引きがきまっているという説まであるんですよ。そこまで言いませんけれども、それでは国民は納得できませんからね。前にも言いましたけれども、そういう点を含めて、今後の法務大臣としての、本件についてのさらに一そうの努力というか、見通しというか、決意というか、それをお聞かせ願って、時間が来たようですから、私はこれで質問を終わります。
○田中(伊)国務大臣 御懸念をいただくような、事件の究明途中においてうやむやの姿で終わるようなことのないように、断じてこの究明には全力を尽くす、こういう覚悟でございます。ただ、いやなことを一口申し上げますと、本日の御質疑自体も相当捜査の具体的な中身に——コーヒーを注文してどっちが飲んだという話、これはえらい話なんであります。国会の皆さんにもお願いをしなければならぬのは、こういう悪条件下に、こういう窮屈な立場に立ってわが国捜査当局というものが非常な苦心をしている段階でございます。しばらくひとつこの捜査当局の腕に御信頼をいただきまして、どうぞいろいろな論及をお待ちいただくということが何よりも大きな協力ではなかろうか。つつしんでお願い申し上げる次第でございます。
○中垣委員長 次に正森成二君。
○正森委員 私は、主権の侵害が行なわれたかどうかという問題について若干の問題をお伺いしたいと思います。 田中法務大臣は、八月二十四日の当委員会におきまして、こういうように言うておられますね。「国家であるということは国家機関ということ、国家が予算を出して国家の権限として一定の機関に対して行為を行なわしめておる、そういう国家機関である場合、その国家機関は上のほうのものであろうが下のほうのものであろうが上下を問わず国家機関の責任において国家予算で運営をしておる、そういう国家機関がやったということになれば主権の侵犯である。」こういうことを言うておられますね。そして「いかに末端部分のものであっても、国家機関がこれをして行なわしめておるという場合においては主権侵犯になる、こう考えます。」と答えておられます。その後政府は衆議院の本会議の前後から統一見解を出して、国際法にいう主権の侵害は国家機関が他国内で公権力を行使することであり、国家機関員が私人の資格で違法行為を行なった場合は主権侵害には至らないというような統一見解を出されたことは御承知のとおりです。それを受けたかどうかわかりませんが、九月十日の参議院の本会議、私も衆議院席から傍聴させていただきましたが、法務大臣は、まだ速記録ができておりませんけれども、新聞によりますと、国家機関が関係していたならそれが上層部であろうとなかろうとわが国の主権を侵犯したことになる、国家機関が個人を手先に使っても国家主権の侵犯となる、その場合その行為は職務行為でなければならない、私人としての行為であってはならない、こういうように言われております。これは八月二十四日の当委員会ではそれほど明確に言われなかったことをさらに明確にされたものか、あるいは後退されたものか知りませんが、大臣はこの見解、参議院本会議における見解、それを維持され、それは政府の統一見解と同様の立場であると、こういうようにお考えですか。
○田中(伊)国務大臣 私の参議院における——衆議院でも発言があったと同じ発言でございます。ことばの内容は幾らか違うかもしれませんが、衆参両院の本会議における私の発言は、政府の統一見解の趣旨に沿うたものである。これを統一見解と同じものだとお考えをいただきまして差しつかえございません。
○正森委員 そうしますと、大臣は、私人の行為についてはあるいは政府機関の行為であっても職務行為に基づかないものは一切国際違法行為を構成しないというようにお考えなのかどうか、その点を伺いたい。
○田中(伊)国務大臣 国家公権力は国家機関が使うものである、この理論を推し進めれば、その国家公権力を行使する国家機関というものは職務行為に限られるということは理の当然ではないでしょうか。別の御意見があればお聞かせをいただいて、えりを正したいと存じますが、これは後退か、前進かなんということじゃないのですね。仰せになる心持ちはよくわかりますけれども、後退とか前進とかいうものでない、法理論だ、法律上いうリーズンだ、こういうふうにお聞き取りをいただきたいのでございます。私は、後退した心持ちはいささかもございません。
○正森委員 そういうお考えですが、条約局長が来ておられますから、あなたは国際法の専門家だ、専門家として、私人行為については国家は一切国際違法行為に責任を負わないといえるのか、それとも政府機関の行為の場合に、それが大臣のいう職務行為として行なわれない場合には、一切国際違法行為を負わない、そういうようなことが国際法の学説から通ると思いますか。私は、通らないと思う。何ならあとで論拠を全部お示ししてもよろしい。条約局長の国際法の専門家の立場から御答弁を承りたい。
○松永政府委員 国際法上の問題に限ってお答え申し上げます。 国際法上の問題は、国と国との間の関係を規律するという問題でございます。したがいまして主権の侵害、主権の侵犯という問題が発生いたします場合には、それはある国の行為によって他の国の主権が侵害されたということであろうと存じます。したがいまして何がその国の行為であるかどうかということが問題になるわけでございます。その場合に、政府が申し上げておりますのは、国の行為というのは公権力の行使という要素が基本的な要素であるということも申し上げていると存じます。他方、ただいま御質問がございました、じゃ国家機関が私人として行動した場合に、国際法上国は何ら責任を負わないのか、負うのか、という御質問でございますが、これにつきましては国家が帰属する機関の私的行為についても対外的には責任を負うべきものとされていると、責任を免れるということはできないということを実は申し上げてきているわけでございます。ただし、それが直ちに主権の侵害ということになるかどうかということは別問題である、こう考えておるわけでございます。
○正森委員 いま条約局長は私が聞かない問題についてまで先回りしてお答えになったけれども、私は、直ちに主権の侵害になるかどうかとは聞いていない。政府機関の職務行為外であっても私人の行為であっても国際違法行為を構成する場合はあるでしょう、こう聞いているんです。それにまずお答えなさい。それから以後、それが主権の侵害になるかどうかは別に議論として申し上げます。
○松永政府委員 政府機関の行為が私人としての行為であるということを前提にいたした場合には、国際違法行為は成立いたしません。
○正森委員 あなたは外務省の条約局長として、そんな国際法の通説に反することを言っていいんですか。私は、ここに京都大学教授の田畑茂二郎教授の「国際法」、東京大学教授の高野雄一氏の国際法の基本的な文献を持ってきておりますけれども、それを見ましても、私人の行為であっても一定の場合は国家が国際違法行為として責任を負う。まして政府職員の場合であれば、それが職務行為でない場合でも私人の行為より一そう国家に責任があるというのは、通説じゃありませんか。何ならそのことを念のために申し上げましょうか。本にはこういうぐあいに書いてある。私人の行為であっても、国家が、そういう行為が行なわれるのに相当な注意、デュー・ディリジェンスを行なわない場合、もしくは相当な注意を行なっても発生した場合に国家が救済、国際法では地方的救済というようですが、その救済を与えない場合には、そのことによって国家は国際違法行為の責任を負うというのが国際法上の通説じゃありませんか。それをあなたはこの席で、私人の場合には一切国際違法行為は発生しない——一体日本の外務省は国際法上の通説に反するような見解をとって本件を処理しようとしておるのか、その点について明確な答弁を求めます。
○松永政府委員 私が申し上げましたのは、私人としての行為それ自体が国際違法行為を成立させるものではないということを申し上げたわけでございます。何となれば、先ほど申しましたように、国際法の主体でありますところの国家と国家との間ということを規律するのが国際法でございますから、したがって、私人としての行為ということのみをとらえてみますれば、それによって国際違法行為が成立することはない、こう考えておるわけでございます。
○正森委員 そういう言いわけを聞いておるのではない。あなたの議論がそういう言いわけ的なことだから、私はさらに論を進めて、国家が相当な注意をなさない場合、相当な注意をなしてもなお発生した場合に救済を与えない場合には、国家は国家としての国際違法責任を負うというのが国際法上の通説でしょう、こう聞いているのです。それに対してあなたは一言も答えないじゃないか。それじゃ答えになっていない。
○松永政府委員 先ほど申しましたように、国家機関の行なった行為が、私的なものであれ公的なものであれ、それについて国際的な責任は発生すると考えておるわけでございます。したがいまして、そのときに国際的責任を解除するための措置というものが必要になってくるだろうと思います。その解除のための措置というものがとられない場合に、これは国際法違反の問題に実は転化されてくるということがあるということであろうと存じます。
○正森委員 その答弁は納得しません。 国家が国際責任を解除される場合には、よく知られておるように、陳謝、原状回復、損害賠償、責任者の処罰あるいは再度こういうことが行なわれない保障等々を国家は行なわなければならないのは当然であります。しかし、国家が国際責任を解除してもらうあるいは解除するためには、その前提として当該国家は国際違法行為があり、国際違法責任があるということでなければ、責任解除をする必要もないじゃないですか。だから私は、前提として、私人行為の場合でも、国家は国際違法責任を負う場合があるでしょう、国際違法行為が成立する場合があるでしょう、こう聞いているのです。そのことについてずばりと答えてください。まだ責任の問題にまで入っていない。それに答えてから責任の問題に入る。
○松永政府委員 御指摘のございましたように、国として相当な注意を払うべき責任があるという点は、私も全く同じように考えておるわけでございます。(正森委員「そうでしょう、それを述べていただきたい」と呼ぶ)その注意を払わなかった、いわば不作為が直ちに不法行為になるかどうかという点が、実は私としては不作為が直ちに不法行為になるというふうには考えられないと存ずるわけであります。
○正森委員 あなた、奥歯にものがはさまったようなことばかり言うけれども、質問時間が長くなってしょうがない。何も、相当な注意というのが不作為だけをいうとか、そういうことまで議論は発展していない。 相当な注意をしなかった場合あるいは相当な注意をしてもなおかつ発生した場合に救済を国家が与えなかった場合には、国際違法行為、当該国家は国際責任を生ずるかどうか、そのことだけを聞いておるのです。あなたはいま相当な注意だけを切り離したけれども、相当な注意をしなかった場合、相当な注意はしたけれども発生したときに国家が救済を与えなかった場合、この場合には当該国家は国際違法行為、国際違法責任、そういうものがそのことによって生ずるというのは国際法上広く認められた見解でしょう。だから、それはそうだとおっしゃればいいじゃないですか。それからあと、当該事件については私は論を進めます。そんなことは国際法上の常識でしょう。どんな文献見たって、そうじゃないと書いている本は一冊もない。そんな基本的な見解について何を答えを渋っているのですか。
○松永政府委員 相当な注意を与えなかったという場合にその国の責任が発生するということはそのとおりと考えております。
○正森委員 それだけでなしに、これは私人が行為をした場合ですけれども、政府機関のような、大臣答弁にありますように、国家の予算において生活しており、一般的に国家の指令に基づいて行なわれている人間が行なった場合については、私人行為の場合よりももっと厳重な意味で国家は国際違法行為の責任を負わなければならないというのは通説でしょう。それについてあなたの見解を聞きたい。
○松永政府委員 国家が指導、監督すべき機関が行なった行為について相当に大きなと申しますか、責任を負わなければならないということは、私は当然のことだろうと思います。
○正森委員 それについて、たとえば高野雄一教授の「国際法概論」によれば、その場合には単純な私人の場合と違って、国家は無過失責任を負う、そういうように書いてあるでしょう。それは御存じですか。つまり政府機関が関与したという場合には、それだけで国家は、私人行為の場合も、相当な注意をしたとか、相当な注意をしたけれども発生したとか、そういう弁解は許されず、無過失責任を負うのだというのが東大教授の高野さんが書いておられることでしょう。これはその人だけじゃない。ほかに支持する人がたくさんあるでしょう。それは認めますか。
○松永政府委員 ただいま問題になっております場合について過失の有無ということが問題にはならない、それとは関係なしに国家責任というものが発生するということは、私もそのとおりに考えております。
○正森委員 そういうようにお認めになりましたから、続いて論を進めますが、国際違法行為が行なわれ、国際責任が当該国家にあるということになった場合には、今度はその責任を解除されるためには一定のことをしなければなりませんね。私が先ほど五つのことを言いましたけれども、あらためてあなたの口から、当該国家はその国際責任を解除されるためにどのようなことをしなければならないか。逆に言えば、国際違法行為をなされた国家はどういうことを請求をする権利があるかについて、あなたの明確な答弁をお答え願いたい。
○松永政府委員 一般的な問題としてお答え申し上げることをまずお許し願いたいと思いますが、そういう国際的な責任が発生いたしました場合に通常行なわれておりますところの国際責任を解除するための措置と申しますのは、事情釈明でありますとか、陳謝でありますとか、今後十分に注意をするということの保障でありますとか、もし損害が発生しているような場合にはその損害についての補償を行なうというようなこととか、いろいろあると存じます。
○正森委員 注意深く聞いておったら、わざわざ抜けましたけれども、原状回復とか、責任者の処罰、再度こういうことが行なわれないことの保障、これもすべての国際法の教科書、学者が認めておる責任解除の方法である、こう思いますが、それは確認しますか。
○松永政府委員 いま御指摘されましたような項目、それもそういう措置の中には含まれると存じます。ただ、その措置がすべてとられなければ国際責任が解除されないのかということではないと思います。
○正森委員 それでは伺いますが、そういう前提の上に立って整理すれば、私人の行為であっても相当な注意をなさない場合、相当な注意をなしても発生した場合救済を与えない場合には国家は責任を負う、そうして政府機関の職員が関与した場合には無過失責任を負うというのが政府の条約局長の正式答弁であります。 そこで、それを前提にした上で、普通、国際法の教科書に述べられておることは、たとえば日本なら日本という国家の中で違法行為が発生した場合というのを通常想定して書かれております。しかし、金大中事件の場合にはそうではなしに、一国の中で他国の政府機関がやってきて国際違法行為を働いたかどうか、こういう問題であります。その場合に政府機関が無過失責任を負うというあなたの議論が正しいとすれば、金東雲は明らかに政府機関の職員であります。そうしてその行なった行為は明白に日本国政府の許可なしにその警察権を侵して金大中氏を事実上逮捕し、刑法にいう国外誘拐略取、これを実現したことであります。それはわが国の警察権を侵犯した明白な主権の侵犯であるということに論理上ならざるを得ません。金東雲が犯人であるかどうかといったことについてはまた警察当局に伺うとして、それを前提にした上であなたはこの事実を認めますか。この場合は国際違法行為は主権侵犯になるでしょう。
○松永政府委員 大使館の館員がその職権に基づく職務行為としていま言われましたような行動を行なったといたしますれば、それは主権の侵害という問題を発生することになると考えます。
○正森委員 いままでの私の議論の展開を何と心得ておるのですか。だからこそ私は、政府機関が行なった場合には無過失責任を国家は負う。そういう答弁をあなたから引き出したでしょう。純粋な私人であってさえ政府が相当な注意をしない場合、しても救済を与えない場合には責任を負う、こう言うたでしょう。それならば金東雲氏が職務行為として行なったかどうかというようなことはいまさら論ずるまでもなく、行為が行なわれたこと自体によって無過失責任を国家が負うんだから、それは違法行為である、それが日本の警察権を侵害しておれば主権の侵犯になることは理論上明らかじゃないか、そういう堂々めぐりをする議論、これはいままでの議論を全然無にするものだ。そうでしょう。
○松永政府委員 責任を負うということと主権の侵犯ということとは私は別の観念であろうと存じております。
○正森委員 私は国際違法行為即主権の侵犯になるなんて言っておりませんが、国際違法行為だ、こういう場合には主権の侵犯になるでしょう、こう言っているのです。警察権が侵害された場合と限定しているでしょう。本件はまさに警察権が侵犯されているでしょう。答弁を求めます。
○松永政府委員 政府が申し上げておりますように、在日大使館の館員が職務行為として今回の行動を行なったかどうかということが実は問題であろうと存ずるわけでございます。
○正森委員 中島参事官に伺いたい。あなたは本件において日本の警察権が侵害されたと思うかどうか。
○中島説明員 金東雲書記官が本件に関与していることはきわめて容疑が強いというふうに考えておるわけでございまして、どういう形で、どういう立場で本件に関与したのか、これから捜査して究明しなければならない、かように考えております。
○正森委員 中島参事官、あなた、金東雲がこの事件に関与しておるということについて、あなたの上司と思われる山本警備局長は記者会見をしたときに、通常人ならば逮捕状を請求する事案です、こう言ってにっこりと快心の笑みを浮かべたと書いてあるじゃないですか。金東雲がかりにやらなかったとしても、私人が行なったとしても、主権の及ぶ日本の国内から政府の同意なくして金大中氏のようなものを国外に拉致し、連れていったとすれば、それは警察権が侵害されているじゃありませんか。ましてあなた方は金東雲書記官に出頭を求め、山本警備局長はにっこりと快心の笑みを浮かべる、こういうことがすべての新聞に発表されているじゃありませんか。警察当局としては、それが主権の侵害になるかどうか、それはもう少しまだいろいろ議論があるけれども、少なくとも警察権が侵害されたと考えるのが当然じゃありませんか。明確な答弁を求めます。
○中島説明員 私どもが申し上げておりますのは、金東雲書記官が不法行為を行なったということは明らかであるということでございまして、警察権としてそういうことを、警察権の行使の一環としてそういうことをやったのかどうかというようなことについてはこれからの捜査をまたなければならない、かように申し上げておるわけでございます。
○正森委員 そういう答えをなさるから、また初めに返ってくる。職務行為としてとか公権力の行使としてとかいろいろ言われるけれども、国際法によれば、政府機関の職員が関与しておればそれはもう無過失責任として国家が違法行為の責任を負う。私人の場合だって、一定の条件の場合には負う、こう言っているのですから、国会ではまだ論議されなかったかもしれないけれども。だから、それについてあなたはどう考えるのかと言っているのです。しかも条約局長の答弁によれば、そのときには国際責任を解除されるためには、陳謝、損害賠償、原状回復、責任者の処罰、再度されないための保障、こういうようないろいろの責任解除の手段があって、もちろんどれをとるかはその事案の性質、交渉によってきまるけれども、そういうものであるということは認めているでしょう、理論問題としては。それならば私の質問に対してもう少し明快な答えをされてもいいはずです。違いますか。なぜそんな歯切れの悪い答弁をするのですか。——鳩首協議をされておるようだから、私は言いたくないけれども、こう言います。きょうの読売新聞の一面によれば、「金事件こう着状態に」「韓国日本の静観態度で自信」と、こういうことで、日本の衆議院と参議院の本会議における答弁で韓国は力を得て、これならもっとがんばれる、国連総会が済むまでがんばれると勢いづいたと書いているじゃありませんか。朝日新聞も同じようなことを書いている。なぜそういう軟弱な態度をとるのか。いままでの論議で、政府機関職員が関与している場合には、それだけで責任解除の措置をとらなければならない国際違法行為、国家責任が生ずるということは認めたじゃないか、条約局長。どうして明確な態度がとれませんか。それじゃこう聞きましょうか、条約局長。国際違法行為はあるいはその責任は日本政府にとっても成立するということをあなたは知っていますか。日本は適法に在留許可を与えた以上、金大中氏のような外国人に対して、その身体、自由を保障する責任があります。それが現実に侵害された場合に、それに対して相当な注意をしなかった場合やあるいはそれに対して適当な救済措置をとらなかった場合には、たとえ日本政府機関が関与したものでない場合でも、日本政府に国際違法行為としての責任が生じ、場合によっては責任を追及されることは国際法の原則でしょう。韓国に対して言うだけでなしに、韓国に対して適切な措置をとらなければ、日本が国際違法行為の責任を問われるのです。世界から日本は何という国だ、それでも文明国かと聞かれるのですよ。そのことを理解してやっておるのか。
○松永政府委員 日本にあります外国人の生活が脅かされる、あるいは違法な行為によってその人の利益あるいは権利というものが侵害されるということについて、国が十分なる手段、措置を講じなかった場合に国際的な責任が発生するという点はそのとおりだろうと考えております。
○正森委員 何やらよくわけのわからぬ答弁ですけれども、私からもう一つだけ聞いておきましょう。 あなた方は、私の行為だとかあるいは何とか言いわけをされますけれども、私の場合でも国際違法責任が生ずるということは認めました。そこで、その場合の相当な注意とか救済というのが行なわれるためには、国際法上国際標準主義と国内標準主義があります。学者によってはこれを客観主義と主観主義と、こう呼んでいる人もおられますが、あなた方は韓国に対して国際標準主義をおとりになるつもりか、国内標準主義をおとりになるつもりか、それを明確に伺いたい。
○中垣委員長 ちょっと、正森委員に申し上げますけれども、大臣の出席時間の関係がありますので……。それから関連質問で青柳さんが一言要求しておりますから……。
○松永政府委員 私どもといたしましては、国際的な水準ということがとられるべきであろうと考えております。
○正森委員 それは当然だと思います。もし国内標準主義もしくは主観主義をとれば、韓国が一般の法治国家ではない非常に水準から劣った国だということをわが国が認めることになり、韓国に対してはなはだ失礼であります。したがって国際標準主義をおとりになるのは当然です。そうだとすれば、今回韓国政府が行なっていることは国際標準主義から見て、かりに私人であったとしても、金東雲氏でなしに、はなはだ奇怪しごくではありませんか。相当な注意なんて何にもしてないでしょう。捜査当局では、金東雲氏だけでなしに十数名のグループが関与している。しかもそれは次々に出国しておる。事後の救済は与えたか。与えておらない。新聞を一々引用するまでもなく、金大中氏は自由を迫害されて自宅で監禁されておる。弟まで監禁されておる。そしてわが国捜査機関に対しては何らの協力もされておらない。外交特権を理由に、指紋の出た金東雲氏を引き渡すことさえ協力していない。一般に文明国で認められている事後の救済というものは何ら行なわれていないではありませんか。それならば、金東雲氏が政府機関でなしに私人であったとしても、韓国は国際違法行為の責任を負わなければならない、こういう事案でしょう。違いますか。韓国が文明国家と認める限り、そういうことをしなければならぬですね。違いますか。
○松永政府委員 政府が繰り返し申し上げておりますように、現在は事態、事実の解明中であるわけでございます。したがいまして、その事実関係が明らかになった段階におきまして、これに対する措置をどうすべきかということを決定するということであろうと存じます。
○正森委員 まだそういうことをおっしゃる。政府機関が関与しているということは、山本警備局長がにっこりと笑って逮捕状を請求する事案だ、こう言っていることから見て明らかだ。また、いまここで言うた議論によれば、政府機関でない私人の場合であっても、金鍾泌首相は韓国人が関与したのは申しわけなかったといって、すでに八月十八、十九日段階に田中総理大臣に親書を送っているじゃありませんか。そうだとすれば、それについて相当なる注意がなされたかどうか、救済が行なわれたかどうかは当然問題にしていいでしょう。真犯人がだれであるかどうかということがわからなくたって、国際法上聞けることです。やっていないじゃないか。また、あなたが事実の真相ということをおっしゃったから、最後に法務大臣に聞く前に、質問時間の終わる前に、事実の問題について一つだけ聞きましょう。 中島参事官、ホテルグランドパレス二二一〇号室から指紋が検出されました。それは新聞によると、数十個と書いてある新聞もありますが、正確に六十四個と書いてある新聞もあります。一体幾つの指紋が発見されましたか。
○中島説明員 二二一〇号室からの指紋については相当数の指紋を検出いたしておりますが、現在捜査中でございますので、正確な数字については差し控えさせていただきます。
○正森委員 あなた方はそういうことをおっしゃるが、それじゃこう聞きましょう。金東雲氏の指紋は発見されたのでしょう。それは幾つ発見されましたか。それは一つの指だけですか。それとも二つ以上の指からのを発見されましたか。
○中島説明員 現在金東雲書記官については任意出頭を求めている段階でございまして、捜査上そういうことについて詳しく申し上げるのは支障がございますので、差し控えさせていただきます。
○正森委員 何を言っているのですか、あなた。金東雲氏には外交上ある場合には非礼になるかもしれないけれども、事件に関係ある重大な人物として出頭要求までしたじゃありませんか。それには、理由として、指紋が一致すること、エレベーターの中で二人に目撃されており、それが写真によって間違いないということ、さらにある新聞によれば、リュックサックを買いに行った一人の中に、これが金東雲氏に間違いないといって、酒井さんのむすこさんなどが証言していること等が事実だから間違いがない。山本警備局長、にっこり笑ったじゃないですか。それをいま韓国捜査当局が否定しておるというときに、日本の捜査当局として間違いがないんだということを、少なくともこの点については明らかにするのが当然じゃありませんか。それも言えないのですか。
○中島説明員 私どもは捜査に支障のない範囲で申し上げておるわけでございまして、指紋の点につきましては、金東雲の指紋があって、二二一〇号室に遺留された指紋と合致したということだけ申し上げているわけでございます。遺留指紋が何ぼあったか、あるいは金東雲の指紋が幾つあるかというような点につきましては、現在の捜査の過程ではこれを申し上げることは適当でない、かように考えております。
○正森委員 それじゃ聞きますが、諸新聞を見ますと、あなた方は新聞記者諸君に、この指紋は犯人でなければつかないところから検出されたんだから間違いがないと新聞に発表されておる。そういうことを新聞には発表するが、国権の最高機関たる国会では言えないというのですか。
○中島説明員 私どもは現在警視庁の特捜本部及び警察庁において関係の記者に発表をすることがございますが、いまお話のありました点についてそういう発表を私どものほうからいたしたことはございません。
○正森委員 それならば、新聞記者諸君は職務熱心のためにきわめて熱心に活動し、そしてそういう資料を手に入れたことになります。そして私は、入管の局長に伺いたい。新聞紙上の報道するところによれば、金東雲氏の指紋の照合には非常に苦労した。しかし前に新聞記者として来たときがあるので、そのときの外人登録証、これも参考にしたということが載っております。そこで、それは事実かどうか。外人登録証には左手の人さし指だけを押すと聞いておりますが、それは事実かどうか、それを伺いたい。
○吉岡政府委員 御質問の第二点から最初にお答えいたしますが、外人登録のための指紋はお説のとおり左指の人さし指一指だけをとっております。ただし、事情によりまして十指をとることもございます。 それから第一点のことにつきましては、捜査当局と私のほうとの事務的な連絡の上でやっておると思いますので、それが唯一の資料であったかどうかという点につきましてはつまびらかにしておりません。
○正森委員 中島参事官、新聞の報道するところによれば、金東雲は事件直後の八月十日に一たん出国した後、八月十七日に再入国し、八月十九日に再出国して、以後日本にはおりません。そこで、あなた方は出入国の外人登録の左手の一指だけでなしに、八月十七日から十九日までの間、金東雲が日本に在国中に何らかの方法によって金東雲の指紋を照合して、確信を持っているのではありませんか。三井公安部長はある方法で指紋の照合をしたということをわざわざ新聞記者に発表しております。ある方法で照合したとすれば、それは八月十七日から十九日の三日間以外には考えられません。そうではありませんか。そして確信を持ったのでしょう。
○中島説明員 三井公安部長がある方法でということを申し上げておるようでございますが、現在の捜査の段階ではそれ以上にお答えすることは適当でないと思いますので、差し控えさせていただきます。
○正森委員 それでは終わりますが、九月五日に出頭要求をした前後の新聞を見ましてもあるいはその前の八月二十二、三日ごろの新聞を見ましても、警察はき然としております。次に、さらに手段をとるとかあるいはもう六人のグループは名前が割り出せたとか、どんどん新聞に載っておる。それがなぜいまこのように歯切れの悪い答えしかできないのか、その点が疑問でしかたがありません。 安原刑事局長に一言だけ伺います。 一般に犯罪捜査において、犯行現場から指紋が採取され、それが一致した場合、本件では目撃者もあるようですが、それは公訴維持についてきわめて重大な証拠であるということは常識ですが、それは認めますか。
○安原政府委員 一般論といたしましては犯罪の容疑を抱くに足る相当な証拠であるということは言えると思います。
○正森委員 法務大臣、長い間お待たせいたしました。 いまそういうように私が聞いていきましたように、金東雲氏に重大な疑惑があることはこれは動かすことができない事実、法務大臣も四十年刑事専門の弁護士として名声かくかくたるものがありました。だからよく御存じでしょう。第六感なんて働かす必要はない。五官だけでけっこうです。そういう事案。そして大臣は主として国内法の観点からお考えになって、国際的な関係をお考えになりませんでしたので、私の質問が少しすれ違いましたけれども、その点についても、うしろの条約局長は、国際法的には私人の場合であろうと国際法責任が生ずる、政府機関の場合にも無過失責任もあるということを述べられました。その上に立って最後に法務大臣、第六感とか推測という前提つきでございましたけれども、法務大臣の御発言は、ある意味においては日本国民にとって快哉を叫ぶ、日本にもき然とした閣僚がいたというように思われたのは事実であります。したがって、治安担当の大臣としてこの点についてき然とした態度をとり、外務省当局とも国際法上の打ち合わせをし、警察当局とも捜査の進展について緊密なる打ち合わせをして、わが国が世界からもの笑いにならないように、主権を持っている国民から田中内閣はとんでもないことをしてくれたと言われることのないようにこの事案を処理される決意がおありかどうか、それを伺って私の質問を終わります。
○田中(伊)国務大臣 お説の御趣旨をえりを正して拝聴いたしました。御趣旨を尊重いたしまして、遺憾なきを期して、捜査に万全を期し、捜査完了の上はき然たる態度でこの解決に臨みたいと思います。
○中垣委員長 次に、青柳盛雄君。
○青柳委員 関連して法務大臣にお尋ねいたします。この事件が起きましてからもう何回となくKCIAの実態を調べ、それに対して、日本からの退去あるいは日本の主権を侵害するような行為に対して禁止を要求するというようなことはされないのかという質問に対して、法務大臣は、これはいまの法律ではどうしようもないんだ、いまの憲法のもとではその実態を調べたりあるいは追放を命ずるというようなことはしないほうがいいんだ、そのままにしておくほうが日本らしいというか、民主主義の国家らしいようなお話、そう聞こえるような御答弁が毎回あったようであります。私が最初にお尋ねしたときも、法務大臣の御答弁は、どうもKCIAというのが韓国中央情報部ということで、情報という文字があるものだから、もっぱら情報の収集をする機関であるという御理解の上でやっておられるのじゃないかという懸念をするわけです。 本日の赤旗の資料欄を見ますというと、韓国中央情報部の法律があります。その第二条第一項の第三号には、この情報部の任務といたしまして、特定の犯罪に対する捜査の権限がある。これは一九七三年の三月十日に改正されたもので、内乱罪、外患罪、反乱罪、利敵の罪、軍事機密漏泄罪、暗号不正使用罪、軍機保護法、国家保安法及び反共法に規定された犯罪については、KCIAが捜査権があるということが明記されております。現にこのように国家機関として国の内外を問わず警察権を行なう権限を持った、またそういう任務を帯びた人々が日本にやってきて、外交特権を持っている方もあるでしょうし、あるいは民間人のような肩書きで来ておられる方もあるでしょうが、その数は何百ともいわれております。こういう人たちがただ単なる情報の収集だけに当たっているならば、これはまあ法務大臣のおっしゃるようにどうしようもないということになるのかもしれません、違法行為が露骨な形であらわれぬ限り。しかしこれは主権を侵害するものではないか。現に日本の警察官が韓国へ行って、金大中氏について質問をするというようなことは、これは韓国の主権に容喙しない限りできないことです。しかるにもかかわらず韓国CIAは日本に来てこの捜査権限を縦横にふるっているということは、それ自体もう日本の主権を全面的に侵害しているものではないかというふうに私は考えるので、どうか法務大臣はこの赤旗の資料、韓国の中央情報部法というものをごらんになって、もう一ぺん検討をし直されて、これに対する実態を調べ、そして違法行為についてはこれを禁止し、そして外交手段としてはその退去を求めるべきではないかというふうに考えるが、いかがでございましょうか。
○田中(伊)国務大臣 赤旗をあらためて拝見することにいたします。しかし、拝見するまでもなくそういう任務も法律上帯びておるということも存じております。報告を受けております。 そこで一口申し上げたいのは、先生の仰せになることは私御趣旨はよくわかるのでありますけれども、残念ながらわが憲法下の法制のもとでは調べようがないのですね。どうして調べるのか調べようがない。どうして調べようがないのかというと、思想が自由で、情報活動が自由であり、これをチェックする法律はない。チェックのしようがないという段階でございます。そういう段階でおりますときに何か日本の、たとえば入管なら入管、入管は任務ではございません。また公安調査庁、これは任務が違います。違いますが、かりに新たなる法律を制定をいたしまして、あるいは法律を改正いたしましてそういう任務を持たす、こういうことはなかなか容易にできることではない。本来自由なんです。ただその韓国CIAの活動がわが国法規に違反をする、刑法の罰則その他の刑罰法規に抵触するような行為が起こりましたときは、ずばり取り締まりができる。これはもう断固たる取り締まりでございます。そういうことが起こらなければ、刑罰法規違反のかどが出てこない限りは活動は自由である。私のほうには、わが国には、御承知のごとくに防諜法がない。国家機密法もない、機密保持法もない。締まりがない。そういう国家でいいのかという所論は別にございます。これは別の議論としてしなければならぬわけでございますが、とにかく現行の法制のもとにおいてはこれがない。ないから調査もしていない。調査もしていないから実態がわからない。数もわからない。どんなことをしておるか仕事もわからぬ。韓国の国家の官吏がはたしてこの韓国のCIAの任務を仰せつかって兼任しておるかどうかといったようなこともわからない。これを追放せいという人もあるのでありますけれども、調査もできておらぬ者を追放もできるわけがない。わが国の法律に違反をしておらない者を国外に追放する、そんなことはできるわけがない。こういう立場で私はお答えを申し上げておるのでございます。そういう国家のあり方は間違いであるから、こういうふうに新たなる法律をつくってやろうではないかという議論はこれは別個の議論であります。そういうふうに、たいへんくどくなって申しわけがないのでありますけれども、私の思っておるとおりを申し上げますと、そう解釈する以外に法制上解釈の道はないのだ、こう申し上げたいのであります。
○青柳委員 依然として同じところにとまっているから私は注意を促すのですけれども、任意捜査であっても国権の発動として行なっているわけです。だから日本にいる韓国人について、おまえはどうだこうだというようなことを質問する。これは単なる情報収集ではなくて、KCIAの任務として国権の発動として日本の国内において捜査をやっているわけですよ、これは任意で。これはなるほど日本の法律そのものには抵触しないかもしれないけれども、日本の警察権を侵害しているものであることは明白なんです。例をとって言えば、日本の警察官あるいは検察官がほかの名目でアメリカに行って、アメリカにいる日本人なりあるいは関係者について捜査をやったということがもしわかったならば、アメリカは日本に対して必ず主権侵害で抗議をしてきます。これは法律違反じゃないかもしれません。それを私は言うのですから。 もう時間がありませんから、この点は情報収集ではないのだ、捜査をやっているのだ、その証拠には日本人をあるいは日本に帰化した元韓国人をいろいろな形で朝鮮へ連れていって断罪をしているという例は枚挙にいとまがない。これはやはり日本において捜査権を行使している結果ではないか。だから単純に日本の法律に当てはまるとか当てはまらないとかいうことでこの問題を見ると、従来からおっしゃっているような大臣の答弁で終わってしまうから、もっと深めていただきたい。これだけ申し上げて私の質問を終わります。
○中垣委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 大臣のいらっしゃる時間がだんだんなくなってきまして、私の主権が侵されてはなはだ不満なんですが、集中的に質問しろということなんですが、そうもいきませんので、事実関係につきましてはまた議論するときもなければならぬと考えております。 第一番に、当委員会で大臣だけに質問しても、お答えいただく面とできない面とがいろいろあってちぐはぐになって十分な答えはなかなか得られないと考えますけれども、まず条約局長に先に伺っておきます。西ドイツであった類似事件なんですが、この事件はいわゆる韓国側のほうが非を認めたので経済援助を打ち切るとかなんとかという措置をとって問題が解決したとお考えになっておるのか、あるいは西ドイツのほうが強硬手段に訴えたので韓国のほうが非を認めて事実が明らかになって問題が解決した、どちらをお考えですか。
○松永政府委員 私ども了解しておりますのは、ドイツの警察当局が調べました結果、大使館員による連行の事実が明白になり、それをドイツ政府から韓国政府に申し入れをして、韓国政府が認めたというふうに承知しております。
○沖本委員 認めるまでの段階に問題があったということで、最初は認めなかった、しかし強硬手段に訴えだして認めてきた、こういうことになっていると私は思っているのですが、ずっと内容をたどっていきますと。
○中江説明員 私どもは金大中事件が起きましてから、もう一度西ドイツの事件を詳しく調べてみたのです。そういたしますと、先生ただいまおっしゃいましたように、当初西ドイツ駐在の韓国大使は、若干名の韓国人が出国した事実はある、しかしこれは自発的意思に基づいていたのだ、こういうふうに回答を一応しております。それが一九六七年の七月四日のことでございまして、その間、別途逃亡した、つまり出国を拒否して逃亡した学生が一人おりまして、その学生からドイツの官憲が証拠をつかみまして、そして七月の六日に正式の書簡でもってこれは国家主権が侵害された疑惑がきわめて大きいといって抗議を申し入れ、それから四日間過ぎまして七月の十日に、韓国大使館が、本件は本国より派遣された保安機関員及び同大使館員が本国の訓令に基づいて介入したのだということを書面で正式に回答してきたわけでございます。それ以後、先ほどから問題になっております不法行為の責任解除のための交渉がドイツと韓国との間で始まったということで、この韓国側の最初は自発的な意思で出たんだということと、その後それをひるがえして、本国の訓令に基づいて政府機関職員がやったんだという回答との間には二日間しかございませんで、その間の推移は実はこの逃亡した学生から得た証拠というものが非常に影響力があった、こういうふうに聞いております。
○沖本委員 そのこまかい議論をしている間がないので、それはそれとして、一つの一番好個の例があるということで参考にしたいわけですけれども、これから大臣にお伺いいたしますが、このままいってなしくずしになってしまってうやむやになることが考えられないかどうかという点にかかってくるわけですけれども、その前に、きわめて素朴な質問になりますが、このことに関しては、私は大ぜいの人からいろいろな質問を受けたりいろいろなことを言われておるわけです。国民の皆さんは、いずれにしても、この事件に対してまるで映画かテレビにあるようなものが目の前で起きている、不安といろいろなものが錯綜して、国民は注目しておる、こういう中にあるわけです。そういう点を考えていきますと、この前大臣は、法律論、狭義の論と広義にわたっての議論があるということをおっしゃっておられましたけれども、そういう観点からいきますと、国民感情というものも無視することができない、こういうふうな現在の国内事情ではないかと考えられます。また憲法の点からいきますと、内閣総理大臣は国民の厳粛な信託を得て総理大臣になっているというはっきりしたものがあるわけです。そうしますと、政府並びに閣僚の皆さん方は国民に対して知らさなければならない義務もあるし、国民のほうは知る権利がある。こういう立場からいきますと、事国際間に関し、国民の注目を引くような重大な問題になってくれば、当然国民にある程度のことを知らしていかなければならない義務が生じてくるという点から考えますと、現在の政府のおとりになっている立場というものはむしろ知らせないような方向に向かっているのではないか。そういうふうなことが多分に中身にあるのではないか。それは韓国との間をおもんぱかるばかりにそういう意図が払われておるということは考えられないわけではないですけれども、事この段階にきたときには、もう国民感情の上に立ってもそういうことはでき得ない時期にきているのではないか、こういうふうに考えられます面が一つと、それからこれがこのまま何らかの形でずるずるいっておると、類似事件が起きた場合に国家機関としてはどういう態度を、処置をおとりになるかということになるわけですけれども、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 うやむやになるのではないかという御懸念をいただいております。これはうやむやには絶対にならぬ、絶対にしない。二つの理由があります。一つは、金大中君をはじめとして関係者は日本に来日をするということに絶望的なあきらめは持っていない。非常にむずかしい段階にきておるけれどもまだ見込みがある。これが一つと、彼らの再来日のあるなしにかかわらずわが国捜査当局は独自の立場で全力をあげて捜査に従事しており、相当程度の捜査は進んでおる。これはうやむやには絶対にならぬ、またすべきでない、こういうかたい決意を持っておりますのが政府の態度でございます。それにしては韓国に遠慮ばかりした発言をしておるではないかというただいまおことばがございました。これは考えようなんですけれども、韓国に対する遠慮発言じゃないのです。事件がかわいいからこういう発言になる。事件を完成して、捜査を完遂してあくまでも捜査の目的を達しようという考え方から申しますと、現段階でこうではあるけれどもこういう努力をしておるのだ、時間がかかるということを言っておるのであります。捜査をあくまでも徹底的に真相究明をしようということが眼目にあるものですから、今日の段階においてははっきりしたことが言いかねる。それは何も積極的前向きの姿勢でものを言っておるといわれております私にお聞きをいただきましても、現捜査の段階において主権の侵害はまことに明白であり、断じてならぬなんということはちょっと捜査の段階を知っておるというとそれは言えない。捜査かわいいところから出た態度であるとおくみ取りをいただきたいのでございます。
○沖本委員 正森さんも先ほど触れられましたけれども、きょうの新聞なんかによりますと韓国の金外相も国連総会あたりを目がけて出ていく、大平外務大臣も出かけられる。そうすると一番外交折衝をおやりにならなければならない当事者が国外に出てしまわれて、そして国連総会が終わり何らかの時期を経なければまたこの事件というものはもとへ戻ってこない。こういうふうな相当な期間をまたそのままの膠着状態で置かれてしまうというようなことになってくることは、この国会の日程を詰めるわけじゃありませんけれども、それと同じようなことが考えられてくるということを考えますと、一カ月以上たった今日もなおかつ事件当初と同じ状態に置かれておる、一歩も前へ進んでいない。そしてきのうも大臣は参議院の本会議でお触れになりましたけれども、いわゆる人権が一番主であるということをお述べになっておりますが、金大中氏の生命の安全なり何なりというものの確保なり確証なりというものをちゃんと韓国側からとって何らかの形である程度のめどをつけながら事件の推移を見ていくというのであればいいわけですけれども、暗礁に乗り上げたきりで、金東雲氏は一切この事件に関係がないと韓国側のほうは明言しているわけです。そうすると、じゃどこで事件に関係があるのか、あるいは参考人であるか犯人であるかというものの認定なり何なりをどこで得られるかというと、こちらのほうでかってにきめる以外に方法がないというような状態にあるわけです。これは私が申し上げるまでもないと考えるわけですけれども、そうなったものをどういう形で大臣はいま前へ進めてお越しになるのでしょうか。結局真相をきわめるといったって真相をきわめるための何らかの働きなり動きがなければこれは前へ向いて進まないわけですよ。その点いかがですか。
○田中(伊)国務大臣 具体的な捜査に関しては私ども論及すべき点ではないのでありますが、先ほどから申し上げますとおり、捜査は進んでないではないか、一服しておるではないかというおことばでございますが、そうじゃない、捜査は進んでおる。具体的にこういう方向に捜査が進んでこういう段階を迎えておるということは私の口からは述べにくいのでありますけれども、捜査は相当程度進んでおる。これが自信を得る一つでございます。もう一つは金大中をはじめとして関係者が日本へ来日をするということを全く絶望はしていない、今後の努力によって来る見通しがなくはない、これをどこまでも実現さしていこう、しかしそれなくしても一定の程度の捜査ができ上がりますように捜査は進めつつある、捜査は停滞はしていない、こういうふうにお聞き取りをいただきたいのでございます。私で答えのできにくいところがあるので少しきっぱりせぬのですけれども、私の立場で御説明を申し上げますとそういうことで、決して暗くはない、一服はしていないということをきょうはここで申し上げたいと思います。
○沖本委員 そういうことのために前提条件として国民は知る権利があるということを申し上げたのであり、その国民の代表が国会であるということがいえるわけでありますので、国会でいろいろ論議しなければならないということにもなるわけでもありますし、またもう一つ考えられますことは、これはまあ法務大臣が御答弁になる事柄でないかもしれません、しかし日にちがたつに従って韓国のほうでは事件の内容をすりかえてしまって、そしてむしろ非は日本側にあるのだというような内容を国民の間に流して、反日感情を高ぶらしていくような動きもないことはないのだという報道も中にはあるわけです。そういうことになりますと、事自体はこちらが考えておることとはほど遠い方向に向かってしまって、むしろ内容的に非常にまずい関係になっていく。であるがゆえに早く解決の方向へ向かったほうが両国のためにいいのではないか、あるいは経済援助の打ち切りなり何なりというものは事件を解決するためにとる手段であるということで、対韓政策云々ということはこれを契機にしてもう一度考え直さなければならないという別の付録の問題が出てきたということになるわけですけれども、そういう内容を考えていきますと、どうしても私たちの考えでは早急にこれは解決のめどを立てなければならない時期である、それをこれからずらすことはまことに憂慮にたえない事態を招くのではないかということをおもんぱかっておるわけです。しかしわれわれはただ言うだけであって、やることはわれわれとしてはなかなかできる立場にないわけですから申し上げておるわけであって、その点について大臣が、捜査は進展しておる、中身は言えないけれども、と、こうおっしゃるのであれば、大臣のお知りになっておる中身の中から、心配ないのだ、早々の時期にこれは解決のめどが立つのだ、そういう確証はあるのだ、こう私たちは受け取ってよろしゅうございますか。
○田中(伊)国務大臣 現段階では私が捜査の責任ではございませんので、どの時期に確たる結論が出せるかということをここで申し上げることはできません。できませんが、捜査は一服しておるのではない、捜査は進んでおるのだ、これは信じていただきたい。 それから、韓国、韓国と韓国のごきげんを伺うような態度で政府の要人がものを言うておるようにお考えであるかもしれませんが、そうでない。実態、真実は那辺にあるかという、真実を発見し、事の真相を究明することに全力をあげておるので、現段階においては主権の侵犯だと言いかねるのだという、ありのままの現実の答えを政府がしておるわけでございます。そういう事情でございますから、この事件が中途うやむやに葬り去られていくのではないかというような心配は絶対にない、またそんなことをさすべきものではございません。それこそ国家の権威にかけてさようなことをやるべきものではない、こう考えます。
○沖本委員 重ねて申し上げるようですが、われわれはただ憶測するだけになりますが、結局日本側にある捜査上の材料というものはもう出尽くしておって、そして事件に関係した幾人かの韓国側の名前をあげられる人たちがこちらへ来ていただかなければそれを確認することはできない、こういうところに来ているんじゃないか。そうであれば、向こうから何らかの形で出頭していただく以外に解決のめどは立たないし、こちらの持っている材料を確認する方法もないし、したがって真相を明らかにする道はないんではないか、こういうふうに考えられるわけですけれども、いまの大臣のお答えを伺っておりますと、わがほうにある捜査資料なり捜査に対するいろいろなものによって真相は究明され、解明されるとお受け取りになっていらっしゃるんですか、どうですか。
○田中(伊)国務大臣 来日が不幸にしてないといたしましても、真相の究明はしてみせるという自信を持って捜査が進んでおる、この捜査はストップはしていない、進んでおる、こういうふうにお聞き取りをいただきたいと思います。
○沖本委員 進んでおるとおっしゃることは進んでおると受け取りますけれども、進んでおるだけであるのかないのか、それによって大臣がおっしゃった真相は解明される材料をお持ちなのかどうか、その点なんですよ。国民が知りたいのはそこにあるわけです。中身は教えてもらえないが、わからないけれども、一体全体これは近いうちに解決できるんだろうかどうだろうかということにあるわけです。真相が究明されて、それは韓国側のほうが日本側の要請に応じない場合があるけれども、実は事件はかくかくしかじかであったということであって、すべてのものがはっきり日本国政府の捜査当局なり何なりによって明らかにされるということになるのか、あるいは最終段階はやはり向こうから出頭していただかなければ真相の確証ははっきりとできない。いわゆる国家権力が及んだか及ばないか、職務行為があったかなかったかという点もかかってきますけれども、それ以外に真相というものはどうだったのかという点もやはり金大中氏が日本へ来ていただく、いわゆる原状回復の状態に何らかの形でならなければ、あるいはそれに関連した金東雲氏なり何人かの韓国に帰られた韓国政府の外交官の方々が日本政府のいろいろな質問に答えられる状態ができ上がらなければ真相は究明されないんではないか、その辺に問題点があって、それが今後来れそうにもない、よこしそうにもない、来てもらえそうにもない、こういうふうな事態が現状ではなっているわけです。それがまだまだもっと向こうへ長引くであろうという予測ができる、こういうことになってくると、うやむやになるんじゃないだろうか。何かの言いつけだけがあって、これはそのまま一とんざするんじゃないか、そして政治的な問題だけで事が終わってしまって、事件の内容はそのまま残るんじゃないだろうか。そうすると同じようなことがまた起きたとしたときに、捜査当局なり日本の国の政府は、一体そこに対して人命の安全なりそういうものを確保していただけるのかどうかというようなことまで累が及んでいくと思うのですけれども、その辺についてお答え願いたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 先生のお話を聞いておりますと、捜査の現段階ではこの点はこの段階に進んだ、この点はこの段階に進んだということを具体的に知る権利があるから国民に知らせよ、それを知らしたら御納得がいくかもしれないが、そうしたら捜査はできぬ。それをしゃべっては捜査も候もないということになる。捜査は妙なことばを使うのでありますけれども、密行のものでございます。秘密に行なうべきものです。ある段階に来て確信が得られたら秘密でなく公表してよいこともございましょう。この間などもその一つでございます。原則は密行のものでございます。捜査密行という原則から申しますと、いま先生と私とがこの段階でここまで言うておることが最大限の限界ですね。これ以上申し上げると捜査それ自体に多大の差しさわりを生ずるということになる。私が捜査当局でないのに——事件を受けてから後は捜査当局ですけれども、まだ事件は受けておりませんから、捜査当局でもない者がどうも捜査に関することを詳しいことを国会でしゃべるじゃないか、あれはどうだろうということになると捜査できなくなってしまう。そんなことを言うてうやむやにするのだろうなどというふうにそう意地悪くお考えにならないで、どうぞひとつ世界に冠たるわが国捜査当局を御信頼をいただきたい。御信頼をいただいて捜査の成り行きをごらんいただきたい。捜査当局から必ず一定の発表が漸次行なわれることと思いますからこれをお待ちいただく、こういうことにお願い申し上げます。
○沖本委員 こういうやり取りをしたってもう時間がたつばかりで、大臣のおっしゃるとおりなんですけれども、結局はある時間が来ればある一定のときがたてば、あるところまでは国民の前に内容を知らさなければならない。その時期がもう近いのだということで、大臣がお知りになる範囲であればまあまあもう近いうちに内容を国民の皆さんにお知らせすることができるとかなんとかいうものがある程度出てこなければならない、私はそう考えておるわけです。そういう点をお含み置きいただいて、今後の事件に対処していただきたい、こう考えるわけです。 以上で終わります。
○中垣委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十七分散会