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71回国会衆議院1973/07/03

法務委員会 第39号

発言数
78
登壇者
10
会派数
4
開催日
1973/07/03

会議録

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上三法律案を一括議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 商法につきまして、格段のことがなければきょうは衆議院を通過する可能がございますので、この際、今日までの長らくにわたって審議をいたしてまいりました審議過程を踏まえまして、政府側に重点的に質問をいたしたいと思います。  私がこれから申し上げる質問は、同僚各位が重点的に政府側の意向をただした点が多いのでございますが、それらを聞いておりまして、今後の商法の運営なり今後の法務行政のためにかなり重点的な問題が多いと思いますので、それを整理する意味におきましても法務大臣の責任のある答弁を伺いたいと思うのであります。  まず第一に、同僚各位から強く指摘をされましたのが、この商法の改正の歴史的経緯の問題でありました。申すまでもなく商法改正の機運が起こりましたのは山陽特殊鋼の粉飾決算のことからであります。この粉飾決算が山陽特殊鋼に起こりましてから、衆議院におきましても、参議院におきましても粉飾決算をいかに是正すべきかという点が一つの焦点になったことは言うまでもありません。しかし、三国会にわたって、数年にわたってそれを機縁にして起こりました商法改正が、今日国会のいよいよ最後段階にありますこの経済情勢、このときの経済情勢と当時の経済情勢とを考えてみますと、かなりな違いがあると考えられるわけであります。で、共通の点につきましては一つあります。それは企業というものがいかにみずからの利益を壟断ずるためにはどんなことでもするという点がございます。しかし、商法改正の機縁となりました粉飾決算という問題から、今日の大企業並びに経済情勢の状態を考えますと、大きな違いが生じておると思うのであります。  私どもがこの国会で各省に対して鋭く追及をいたしましたのは、大企業の買い占め、売り惜しみの問題である。企業が定款以外のことに、あらゆる問題に手をつけておるということである。そしてそれらは政府の経済政策の失敗から起こって、その方向に大企業を向かわしめておる、こういう問題である。粉飾決算一つが商法改正の焦点ではいまやなくなってきた、こういう点が明らかに基本的な変化があると思うのであります。その点から私は二つの点について法務大臣の意見をただしたいと思うのであります。  一つは、いま申しましたような経済情勢の基本的変化にはたしていまの商法改正が即応しているかどうかという点であります。商法改正案は当初の原案から見ますと、かなりの変化があります。またわれわれがここでさらに政府案を修正をしようという気持ちがあるわけであります。このことから考えますと、一体そもそも商法改正をしようとした基本的要因は変わっているではないか。変わっている点を、一番最初出したものであるから引き続き提案をしておるという点について政府はじくじたる思いがないのであるかどうか、これが一つであります。  それから第二番目は、なるほど私どもの国会における拒否反応があったから商法改正案は非常に時期がおくれたと思う。けれども、政府が商法改正をしようとして国会に提案するまでにはかなりの時間がある。そしてまた国会が廃案ないしは継続審議ということに対して、政府は一筋にこの原案を固執をして後退を重ねてきた、こういう点について私は常に思うのでありますが、経済省と比べますと、法務省というものはいかに腰が重いか、いかにこの経済の変化に対して弾力性がないところであるか、こういうことを私はかねがね痛感しておるわけでありますが、この点もまた商法の改正について一体法務省として省みて考えるべき点はないのであるかどうか、こういう点について率直に法務大臣の意見が聞きたいのであります。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 まず先生仰せの動機の問題でございますが、山陽特殊鋼事件等によりまして粉飾決算を防止するためには当時現行商法このままではいけないということを感じて、これが動機となって商法改正ということに着手をいたしましたことは事実でございます、これはおことばのとおりでございます。  しかし、それ以前からも商法改正問題というものは重要問題として議題にのぼっておったものでございまして、これが粉飾決算を基本的に防止をしていくためにはいかにあるべきかということを考究いたしました結果、これはやはり株式会社の監査制度の充実強化ということ以外にはなかろうということの結論になりまして、今回の案を立案をいたしましたのでございます。その方針は、ずいぶん長期にわたってこの立案計画を立ててきたという結果となっておりますので、経済情勢の変化に伴うてこの方針を変えるところはなかったのかというおことばでございますが、なるほど経済情勢は大変化を来たしておるのでありますけれども、動機、方針というものからは監査制度の強化ということ一本でこれを是正することができるものと、こう確信を持って今回のお願いをしておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 第二番目の法務省の姿勢。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 法務省の姿勢は、最初からただいまお話を申し上げましたような監査制度の強化ということ一本でこれをやり上げていく必要があるということの方針は、今日も変わりはないのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の申し上げていることが大臣よくわかっていないような気がするわけでありますが、いまの経済情勢は粉飾決算ということよりも、もっと大きな企業の体質、企業の動向、そういうものは粉飾決算が問題になっている時期から変わりつつある、私はそう言っているのであります。粉飾決算は山陽特殊鋼以降そんなに増大はしていない。そうして大蔵省やその他の関係各庁の行政指導あるいはまた社会的批判、そういうものによって粉飾決算は徐々に減少の一途をたどっている。それをさらに強化をすることについては私は異議はないけれども、しかし問題の所在がいま変わりつつある。企業というもののあるべき姿について粉飾決算だけをばかの一つ覚えのように言うておるような経済情勢ではいまなくなっている、こういうことを私は言いたいのであります。  それからもう一つは、法務省というところが事態に即応する弾力性を欠くところだ、後生大事に一つのことを追い上げているうちに、経済情勢は変化をしておる、そういうところに対処し切れない、こういう点について反省はないか、こういうことを私は苦言を呈しながら質問をしておるわけであります。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 経済情勢の変化に伴いまして商法改正の必要性はなるほどおことばのとおり変わってきております。  具体的に申しますと、最近は物資の買い占め、売り惜しみ、そういう反社会性と申しますか、企業の社会性を否定するような方向に向かって動いておることは事実であります。経済情勢はそういう買い占め、売り惜しみを行ないやすいような資金のだぶつきが表面化してきておるという現状でございます。  そういうものをチェックいたしますためにも監査制度の強化によりまして十分チェックができる。くどく従来から何度も申し上げてまいりましたように、反社会性のチェックは監査制度の強化でやれる、こういう信念を持っておりますので、お願いをしておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大臣はたんのうの方でありますから、ここではいろいろと率直なお話、自分の御意見をおっしゃる。けれども、あなたの言っておるほど法務省の活動力は機動性を持っていないのであります。私がこう言うと、あなたはごきげんを悪くするかもしれないけれども、あなたはしばしばここで明言をされておる。明言をされておることが、法務省では体質的に硬直的な体質があるために即応し切れない点が多々あるのです。私はそう指摘したいのであります。たとえば今国会で問題になりました刑事訴訟法の一部改正におきましても、苦言を呈しましたが、三年も四年も前にあなたはここで法務省として考えると明言をされた。三年も四年もたっても同じことをあなたはここでおっしゃる。こういうことを私は指摘したいのであります。それからしばしば私どもが質問をしたのでありますが、たとえば監獄法しかり、少年法しかり、その他のいま法務省が検討している諸法案、現行法の改正、根本的な問題であるとは言いながらずっと時間がかかっておる。最初のものの考え方が基礎になっておるけれども、その後の経済情勢、政治情勢の変化というものがあるにかかわらず、それを法務省というものの体質、審議会の体質から織り込まれないまま、ずっとこの現状とのギャップが生まれて国会へ提案してくる。国会へ提案したころにはもう最初の構想から情勢の変化というものが出てしまっているというようなことが私はしばしばあると思うのであります。綸言汗のごとしということばがございますが、あなたがここでわかりました、検討しますと言ったことは、いま例としても幾つかありますけれども、それが現実的にほかの省と違いまして、前国会で法務大臣が明言したことが次の国会にぱっと出てくることがきわめておそい、そういうことを私は言いたいのであります。刑法についてもしかりであります。刑法二百条の問題について委員長が衆議院議長に呼ばれて、そして衆議院議長が何かおっしゃったそうであります。刑法の二百条改正のときには衆議院議長に来てもらおうと思うのでありますが、なぜ衆議院議長は法務大臣にまず文句を言わないのか。それが国会としてあるべき第一の仕事ではないかと思っておる。事ほどさように法務省の作業というものは、あなたがここで明言されたのと違って、きわめて弾力性に乏しい、迅速性を欠く、情勢の変化に対応し切れない体質を持っているということを私は苦言を呈しているわけであります。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 大臣が国会で言明いたしましたことをいつまでも実現できぬではないかというおことばは、そういう面が多いのでありますが、事柄の性質上手続的に時間がかかる。手をつけるのは直ちにつけておるのです。私が前回法務省につとめておりました最中に、社会党から御質問のありました監獄法の改正、その御質問のあったその日、本省に帰りまして、部下を全部集めまして、矯正局内に改正の協議会を設けました。その日に設けたのであります。その日に設けて今日に至っておるが、何ぶん刑法の全面的改正ということが表面に台頭してきたものでありますから、刑法改正の方針がきまらなければ——それを受けて刑務所の施設をつくるわけでございますから、案ができない。刑法改正の方針がきまり次第直ちにこれに沿うて案をつくるべく、現に準備をいたしまして待機の姿勢でこれを見ておる。刑法改正という基本法にはなかなか時間がかかるという事情はわかるのでございますが、この方針がきまることを待機しておるということであります。  また刑法の違憲立法の宣告につきましても、とにかく直ちに手をつけまして、法制審議会の議を仰ぎ、とにかく一刻もゆるがせにしないでこれを最高裁の御意向に沿うべく目下準備をしておるということも事実でございます。ほうってはおらない。言いわけをするようでありますけれども、体質の問題でなくて事柄の性質の問題であるというようにおくみ取りいただければありがたいのでございます。しかしながら、法務省の体質がこわばっておるではないか、もっと融通無碍にやっていくことがよくはなかろうかと仰せになる事柄に対しましては、深くこれを反省の資料として大いに精進をしていきたいと考える次第であります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ひとつ例をもって大臣のお考えを聞きたいと思うのです。  何か大臣は、この国会、参議院におきまして、司法書士法の改正について、この国会が終わりますまでに改正要綱を成案するということをお答えになったやに新聞で拝見をいたしました。このことは、本委員会におきましても、私があなたに改正の意思ありや、あり、それならいつごろまでにでかすかというところまで詰めた問題なのでありますが、この国会終了までに司法書士法の改正の要綱ができますかどうか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 参議院で御質問が出ましてなるほどと考えましたので、これも直ちに手をつけまして現に進めております。その具体的内容は、ちょっとおそれ入りますが、民事局長から申し上げます。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 いま具体的内容について詳しく御説明する段階ではないと思いますが、この問題につきましては、ただいま大臣が仰せになりましたように至急にまとめろということで、目下内部で会議を開きましてその作業を進めているわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の聞いておるのは、この国会終了までに改正要綱ができるかどうか、大臣のおっしゃったことが履行できるかどうかということです。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 今国会では案を示すことはなかなか困難と存じます。これはやはり司法書士会のことでございますので、全国の司法書士会の日司連の御意向も聞かなければなりません。そういうこともございまして、今国会で案を示して、これでやるのだというところまで申し上げる準備は整えにくいのではないか、こう思っております。しかしこれはどこまでも誠心誠意積極的な姿勢でこれを取りまとめていきたい、こう思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは内容に立ち至って質問いたしたいと思います。  理事会において承れば、自由民主党からこの商法改正案につきまして修正提案が行なわれ、私どももそれをしさいに分析をいたしまして、伝えられる修正案に対して私ども社会党としましては賛成をしようと考えておるわけでありますが、その前にこの修正案につきまして政府側の意見を聞きたいと思うのであります。  第一に、五億円以上十億円未満の一般会社、金融機関に対しては、別に法律で定める日まで修正して延期をするということであります。別に法律で定める日とは、いかなる条件があって、そういう条件が成熟すればとお考えでありますか、その条件を伺いたい。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 会計監査の問題につきまして適用会社の範囲を修正するという御意見が出ておりますことは私も漏れ伺っておりますが、今回の修正案によりまして、五億以上十億円未満の一般会社と金融機関について、特例法による会計監査の適用をする時期を別に法律で定める日、というふうに定めるということでございますが、これは今回の改正案による会計監査が原案におきましても三段階に逐次適用されていくという形になっております。この逐次適用ということは、会計監査の実務を行ないます公認会計士あるいは監査法人というものが、新しく商法で認められることになる会計監査の仕事を一時に多数の会社について行なうということは若干実行上の問題があるのではないかという面からの配慮によるものであるわけでございますが、最初原案を提出いたしましたときは、現在の公認会計士の人員等から見まして、おおむねこの線で実行できるのではないかというふうに考えておったわけでございますが、今回の修正案はそれをさらに慎重にされたということでございまして、まあ慎重にされるということはそれだけ会計監査の内容がしっかりしたものになるということが期待できますので、その意味では修正案も一つの考え方であろうと思います。  したがいまして、修正案による最後の段階である、別に法律で定める日をどの時点に置くかという点につきましては、私の推測でございますが、おそらくそれ以外の会社についての適用が行なわれる。そうしてその実績を見た上で、妥当と思われる時期に法律で定められることになるのではないか、このように考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 当初政府は、この五億円以上十億円未満を五十二年の一月一日という考えがあったようであります。これが別に法律で定める日になりました経緯は、少なくとも五十二年一月一日以前には当然この別に法律で定める日にはならない、こういうふうに理解してよろしいのですね。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 これは国会でお定めになります法律によるわけでございますので、私どもからあまり正確な見通しを立てることは困難でございます。ごく一般的な常識論といたしまして、修正案によりましても三段階までは適用期日が定められております。四十九年の一月一日、五十年の一月一日、五十一年の一月一日というふうに定められておりますので、別に法律で定める日というのは、それ以後の段階でございますので、おっしゃるような、きわめて常識的に考えまして、五十二年の一月一日あるいはそれ以降ということになるのではないかと想像いたしておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 実は私どもがこの修正案に賛成をするにはなみなみならぬ判断、検討をいたしたわけでありまして、私どもが考えております基本的な考え方をこの際申し上げておかなければなりません。  それは、この適用会社が一億、三億、五億、そしてさしあたり十億というふうになる過程の中で、一貫して、いろいろな議論はあったけれども、共通の議論としては、要するに粉飾決算なり先ほど私が申しました新しい経済情勢を考えてみるときに、法務省なりあるいは大蔵省が間口を広げるばかりが必ずしも能ではない。これはいま世間の指弾を浴びております独占企業、大企業、大商社というものに対して集中的な、効果的なものをすべきであって、間口を広げればそれだけ監査能力なり、大蔵省、法務省の行政指導が分散をしてしまう。したがってこの際、限定をした大企業、独占資本に対する最も効率的、効果的な重点的な監査をすべきであろう、こういう判断なのであります。その判断は先ほどから申しておるように、粉飾決算だけではないぞ、あらゆる問題について集中的なことをやれ、こう言っておるわけでありますから、この点を十分ひとつ考えていただきたいと思うわけであります。  お伺いしておきますが、かりにこの修正案が通過をいたしましたあと、新しく公認会計士の監査を必要とする会社は幾つ増加するわけになりますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 お尋ねは、現在証取法の適用を受けている会社のほかに、さらに幾つ増加するかということでございましょうか。

横山利秋日本社会党

○横山委員 実質的に公認会計士の監査の適用対象がどのくらいふえるか、こういうことです。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 まず修正案に基づいて会社の数を申し上げますと、四十九年一月一日から、まあ正確には、その日から以後の最初の決算期に関する定時総会の終結後ということになるわけでございますが、そのあとの点を省略いたしますと、まず第一には四十九年の一月一日から適用されますのが、資本金五億円以上の証取法適用会社千六百三社でございます。それからその次が五十年一月一日から適用になります十億円以上の一般会社、これが現在のところ四百六十六社ございます。それから第三段階の五十一年一月一日から適用になります十億円以上の金融機関、これが百二十九社ございます。そのほかに別に法律で定める日で五億円以上十億円未満の一般会社、金融機関、合計五百七十四社が残っておるわけでございます。したがいまして、現在証券取引法の適用を受けている会社を除きますと、五十年と五十一年に適用になります五百九十五社でございますか、これが新たに公認会計士が入って監査をすることになる会社ということになろうかと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 計算の取り方にちょっと議論がありますが、時間の関係で省略をいたします。  次に、別途本委員会で附帯決議を付そうとしておるわけでありますが、附帯決議提案の前に、政府側の意向をただしておかなければなりません。一つは本委員会で各同僚議員から最も集中的に議論がございましたのが、会社の社会的責任の問題であります。六月一日の法務大臣の答弁の速記録を読みますと、気持ちは賛成、法律的に困難、簡単にいいますと、そんな感じがありました。つまり、商法を改正して企業に社会的責任を負わすべきであるという質問に対しまして、あなたは、法律的にはやや困難であろうけれども、気持ちとしては全く賛成だ、こういうお答えのようでした。間違っておったら訂正してほしいのでありますが、どうも私は、田中法務大臣という人はそういう人で、いつも実質的効果のない、けれども精神的効果といいますか、野党説得力といいますか、そういう点でいつもお逃げになる可能性が多いと思う。これでは困るのであります。ほんとうに企業の社会的責任というものがこれから大事なことだとするならば、将来商法改正をする場合に、本来企業の近代社会におけるあるべき姿というものが改正案の中に盛り込めないものであるかどうか。第二番目に、かりに万一盛り込めないとしたならば、政府は企業の社会的責任を行政指導の上で達成すべき方途は一体ないのかどうか。  まあ経団連が企業的責任を作文を二回も三回もつくっています。ああいう作文で実質的効果があるのかどうか、私はたいへん疑問を感じておる。世の中がこうなったから少し作文でごまかしておこうという気持ちがないとはいえないと思うのであります。今日、この商法の議論の中で、あらゆる問題がそこに集中をしておると思うのでありますが、商法改正の将来、社会的責任というものが盛り込めないか、第二番目には、行政指導でいかなる実効をあげるような方法があるのかどうか、この点を最後的にお伺いしておきたい。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 企業の社会性につきましては、これを法律の明文の上に規定するということは、技術的になかなかむずかしいところがあると存じます。しかし、それは逃げ口上を言っておるのじゃないのでありまして、企業に社会性を持たすためには、企業の自主的な態度で社会性を尊重していくということが望ましいということが私の言い方でございます。逃げておるのではないのでございます。  そこで、それをやりますためにはどういう行き方をすることが必要かと申しますと、まず第一に、商法を抜本的に改正する必要がある。抜本的改正の方向は三方面が考えられる。一つの方面は、ただいまお願いしております基本的な、大事な問題でございますが、監査制度の強化という問題、続いて株主総会の抜本的な改正、それから取締役会の抜本的改正、この三方面の改正が必要である。そのうち、一度にこれをやりましては会社もなかなか容易なことでございませんので、この基本的な要件としての監査制度の大改革ということをこのたびお願いをしておる次第である、こういうふうに私は説明しておるのでありまして、社会性を持たさなければならないということについては、かたく信念をもってその必要を何度も説いておるわけでございます。  そういうことでございますので、今回の改正のお願いができますれば、相当程度の自信をもって企業の社会性ということを高揚することができる、こう信じております。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 これをお許しをいただきました上で、これを実施に移しました上で、取締役の方面と株主総会の方面、この二方面についての改革に着手をしたい、こう考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたのおっしゃる、第一は監査、第二が取締役会、第三は総会、その順序は私は逆だと思っているのです。これは意見の対立するところでありますから、最終論争をしようと思いませんけれども、むしろ警察を強化するよりも、犯人そのものにずばりやらなければいかぬのである。取締役なり総会なり、一番根っこの問題に取りかからずして、警察を強化しただけではだめだと思っておるわけです。しかし、いまのあなたのお話を考えてみましても、企業の社会的責任を、そういう側面ばかりでなくして、商法そのものずばり、企業の目的というものについて、社会的責任を監視としてかぶせる。利潤追求の手段であるという定義の商法から、社会的責任を持った企業というふうにするにはどうしたらいいのか、こういう点を本委員会においては何回も何回も議論を重ねておって、政府側の答弁がまだまだその点については不十分である、こういうところなんです。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 どうも私の考え方がかた過ぎるのかもしれませんが、企業の社会性を持たすためには、企業の自主的な運営よろしきを得て、結果において社会性を尊重するということになることが一番望ましい。それは営利企業というもののたてまえ上、自由経済のもとにおいてはそうあるべきものであろうというふうに私は考えておるのでございます。したがって、それをいたしますには、企業自体が社会性を尊重するような運営をしていくことが必要である。そのためには監査制度ということで、その監査制度にものを言わそうという考え方を持っておるのでございます。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕

横山利秋日本社会党

○横山委員 第二番目に私どもが議論の対象にいたしました問題に、大小会社の区別の問題があります。今回五億円と十億円という問題がありまして、会社は三つのジャンルに一応なるということになります。商法は基本的にはすべての会社に網をかぶせておるわけでありますが、一体商法がほんとうに守られておるかどうかということを考えますと、うどん屋株式会社とかげた屋株式会社、八百屋株式会社が、社長がどんぶりを洗い、専務が裏でおむつを洗たくしておるということも、またこれ会社なのであります。その会社が株主総会をやるというたところで、実際問題としては株主総会は行なわれておらずに、適宜株主総会の議事録がつくられるということがある。これは文書偽造とでも申しましょうか、そういうようなことがあるわけであります。つまり、商法はかなりの規模の企業に対して目を向けておるのであって、零細な会社に対して必ずしも目を向けていない。したがって、圧倒的多数の会社におきましては守られていない商法であるということは、現状を分析すれば直ちに言えることだと思うのであります。いかにして守られる商法であるべきかという点については、この際大いに考えなければならぬことではあるまいか。その意味におきましては、大小会社の区別というものはいろいろな弊害がございます。そういう区別をすることについては、いろいろな弊害があります。弊害はありますけれども、その弊害は除去することによって、守られる商法、そして特に社会的責任の強い大企業等についての制約、それからいろいろな規制等、それから零細な会社に対する規範的な条項といいますか、そういう方向に今後分けていくべきではないか、こういうふうに考えますが、いかがですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 現在百万余の株式会社があって、その現状はお述べになったとおりであろうと思います。もともと商法は、大衆から資金を集めて、そして大企業を興すということを考えて株式会社の制度をつくっておるわけでございます。しかるに、実際には、たとえば税金対策の面であるとか、あるいは対外的な活動ないし信用の面であるとか、そういったいろいろな理由によりまして、この株式会社の制度が必要以上に広く行き渡っておる。こういう結果といたしまして、商法の規定が守られていない面がかなりあるということは事実でございます。したがいまして、御示唆にありましたように、会社の規模というものを考えながら、大きい会社には大きな会社に適合した規制を、小さな会社には小さな会社に適合した規制を考えるべきであるというふうに思われます。この点につきましては、法制審議会の商法部会におきましてもかなり以前から議論のあったところでございますが、実際の問題といたしまして、これをどういう形で実現するか、ことに現在非常に多数の株式会社が現に存在しておるわけでございますので、これをどのように扱うかという点につきましては非常に問題がありますし、意見も分かれますので、今日まで議論はいろいろ出ておりますけれども、なおかつ実現を見ていないという現状でございます。しかしながら、これは早急にやはり検討をしなければならない問題であると考えておりますので、商法部会におきましても御検討をいただくことになると思います。  それから、大会社の社会的責任の規制の問題でございますが、これにつきましても、最近いろいろな方面で議論が行なわれております。しかしながら、具体的に実効のある形でどのような規制を行なうかということになりますと、先ほど来大臣がお述べになっておりますように、その方法には非常に問題があるわけでございます。現在社会的に問題となっておりますのは、主として法令に触れる場合でございます。たとえば証券取引法の規定に反した行為が行なわれたり、あるいは食糧管理法の規定に反するような行為が行なわれたり、商法自体の罰則に反する場合もございます。そういった点から見まして、罰則を、これは商法も含めますが、商法以外の面においても、罰則を整備していくということが一つの考え方であろうと思います。また、企業自体がいろいろ考えておるようでございますので、こういったモラルの問題につきましてはいろいろな方面から検討していく必要があるわけでありまして、商法改正の今後の扱いにおきましても、こうした問題をどのように扱ったらいいのかということは当然論議の対象になると思いますが、商法のワク内で扱うかどうかという点を含めまして、現在のところはっきりした方向というものは検討中であるという段階にあるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間の短いところでございますし、私が総括的な詰めの質問をいたしておりますのは、いままで同僚諸君にお答えになった、同僚諸君の意見を聞いた政府として、最終的に問題になった点について、ただ質問をした、答弁をした、オウム返しを何回もおっしゃるのではなくして、最終的にこの点については議論を通じて政府側としてこう考えるというふうにお答え願わなければ何の意味もないのでありますから、そうお願いしたい。  次は株主総会のあり方についてずいぶん議論がございました。株主総会について論争の一つの焦点になりましたのは、議長を社長がやらずに他をもって行なわしたほうが民主的ではないか、議論が出るようになるのではないか。それから総会屋について、これは政治的な側面をもって、さらにこの買収供応その他をやるようなことを、総会屋を整理する方法について具体的に論争がありました。それから株主総会に提案する項目について商法改正をして具体的に列挙をして議論が起こるようにしたらどうか、これだけは総会に出さなければならないというふうにしたらどうかという意見がありました。それからまた、取締役会に社外重役を置くべきことが必要ではないかということが盛んに議論になりました。  これらについての政府の答弁は必ずしも十分でない、必ずしも確定的ではない、方向を示唆していなかったわけであります。これらの議論を通じてまたもう一つは、額面金額五十円の問題もございました。こういう点につきまして、議論を通じてこの最終的な段階における政府側の意見を具体的にお願いをしたい。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 まず第一に、株式会社の組織、運営の問題でございます。それから続いて取締役会の構成、運営の問題でございますが、この問題は今回の改正案を通じまして盛んに真剣な御議論を拝聴しております。これをもう一つ、法務省の立場ではこういたしますということがはっきり鮮明に答弁がないのですね。私が横で聞いておりまして、それはおことばどおりであります。それはどういう事情で鮮明な答弁がないのかと申しますと、今回の改正をお願いをいたしまして、これを監査制度の改革ということを中核にいたしまして実施に移してみて、そうしてあとの二つの根本的改革、基本的改革というものをやっていきたい、こう考えておるものでございますから、現に、次に来たるべき抜本的改正について案があるというわけでございませんので、これから案をつくる、というと無責任な話に聞こえますが、そうでないので、この大改正を実施に移してみて、諸般の事情を勘案いたしまして、次に来たるべき第二の抜本的大改正にこの二方面をのせましてこれをやっていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。そういうことからもう一つ歯切れがはっきりしないわけでございますけれども、ただいま仰せになりましたような事柄は十分に織り込んで、次の抜本的改正に役立たせたい、こういうふうに考えておるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは、本委員会におけるわれわれの意見等については十分ひとつ審議会に提供をされ、遺憾のないようにしていただきたいと思います。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 だいぶん膨大な速記録になりますが、これからまだ参議院に行って参議院の速記録ができるわけでございますが、衆参両院の速記録は、その要旨を摘出いたしまして、その一覧をつくる考えでございますが、これを最も有力な資料といたしまして法制審議会に具申をする考えでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次に会計監査人の独立性の問題であります。この点につきましては、どうにも私どもとしては政府側から十分納得できる答弁を引き出すわけにはいきませんでした。その根本的な問題は、公認会計士の皆さんがその被監査会社からお金をもらって、お金をもらった被監査会社の、まあ適当なことばであるかどうかわかりませんが、恥部をさがす、悪いところをさがす、会社から金をもらってその会社の悪いところをさがすというたてまえであります。このたてまえがどうにもうまく庶民的に大衆的に納得ができないのであります。前回の改正をもって監査法人が成立をいたしました。監査法人をもっていたしましても、監査法人が会社から金をもらって、その会社の間違ったところ、ごまかしているところ、そういうところをさがすという点については、根本的に理論的矛盾がどうしても払拭できないということなのであります。これはいろいろな歴史なり各国の情勢なり、そういうものもわれわれの一つの判断の材料にはいたしましたけれども、それをもってしても私どもは納得ができない。この会計監査人の独立性を確保するためにどういう手段があり得るかという点で論争をしたわけであります。私どもからは、第三者機関を設置したらどうか、たとえば公認会計士協会そのものが委嘱を受けてやったらどうか、これ一つでいかなければ二つの大きな監査法人にしたらどうか、あるいは特殊な意見として裁判所の任命にしたらどうか、政府の委嘱にしたらどうかという意見もまたありました。政府側から、そうするとどうしても会社の信頼度、信用度、人間的関係というものがうまくいかないという趣旨の答弁もありました。しかし政府側の答弁からいきますと、むしろそれは逆ではないかと私どもは反論をいたしたいところなのであります。会社との癒着があまりにもあるようでは、公正な立場ができないのではないか。ある一定期間を過ぎたならば適宜公認会計士は交代すべきではなかろうかという意見もあったわけであります。政府側から、この問題、公認会計士の独立性を確保するためについての積極的な、われわれを納得させるべき答弁が実は見つからなかったわけであります。したがって私どもは附帯決議をもって、独立性を確保するために、その選任方法等について適切な方途を講じてもらいたいという附帯決議を提出するつもりでありますが、政府側として、この選任方法なり独立性を確保するために今後どのようにお考えなのか、お考えを伺いたい。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 どうも私の考えが少しかた苦し過ぎるのかもしれませんが、私企業も社会性を持たなければならぬことは言うまでもありませんが、何にしても私企業である。その私企業を監査する監査の制度というものをやります場合においては、どうも法律で定めた監査人に報酬を自分で払ってもらうということはやむを得ないのではなかろうか。問題はその公認会計士の人格、識見でございます。  少し理屈に走るようでありますけれども、公認会計士は御承知のとおり非常にむずかしい試験に合格し、教養豊かな人材でございます。その教養豊かな公認会計士の人格、識見を信ずるならば、当該企業に金を出してもらってもどうということはなかろう。しかし理想の理想を申しますと、私は先生仰せのとおり適切でない、どうも考え方はそういうことでございます。  そこで、その一つの考え方として、具体的には公認会計士、それぞれ全国的組織がございますが、その全国的組織の責任のもとに、それぞれ府県を中心といたしまして、地域を中心といたしましてブロック別にも協会が設けられておるわけでございますから、これを法制化いたしまして、そしてその協会に委嘱をする、協会の指名する公認会計士に監査を行なわしめるというようなことも一つの方法論として考えられるのでございます。  もう一つは、幸い今度の改正にも監査法人というものの規定ができております。この監査法人は数名のものから十数名のものから二十名前後のものから、いろいろ形と構成の頭数が違うわけでございますが、監査法人にやらす。すべて監査をしてくれる公認会計士はどこかの監査法人に参加をしてもらうというような、監査法人を中心といたしましてやります場合には、個人の公認会計士に委嘱をする場合よりは独立性が考えられるということも一つの方法であろうと存じますが、これらの問題につきましては、私企業とは申しながら大事な監査を実施していくわけでございますから、監査人の独立性、不羈独立の立場に立って監査ができますようにするためには、よりよい制度はどの制度がよかろうかということ、今後に来たるべき抜本改正をめぐりまして、この点は引き続き検討してみたいと存じます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大蔵省、意見ありますか。

白鳥正人大蔵省証券局企業財務課長

○白鳥説明員 公認会計士が会社から報酬を得ることによって独立性が害されるのではないか、こういう御質問をこの国会中にたびたびいただきましたことはございますが、そもそも公認会計士が会社に対して独立性を維持するためには、まず公認会計士の精神的態度における独立性、これが重要であるということと、監査報酬を得るというのは、これはその企業が、その内容が公正であるということを社会に認めてもらう、そのために公認会計士の証明をもらうということで、むしろ社会的信頼を得るための不可欠の条件であるということで、監査報酬を支払うというのは、その監査業務に対する当然の報酬であるというふうに御答弁申し上げてきたわけでございます。  しかしながら、漏れ承るところによりますと、本日附帯決議におきまして、この独立性を確保するために、選任の方法について適切な方途を講ずることというのが出されるというふうに伺っておりますし、これにつきましては、ただいま法務大臣からの御答弁にございましたように、政府部内で十分検討いたしてまいりたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 たとえば弁護士と公認会計士と税理士と見比べてみましょう。弁護士も税理士も法律のワク内において、弁護士は人を殺した加害者に対しましても、どろぼうした人間に対しましても、その権利を擁護する。税理士もまた脱税をした納税者であっても、法律のワク内において納税者の権利を主張する、こういう立場に立って報酬を得るわけであります。公認会計士の場合は、これはなるほどいま大蔵省からお話しのように、会社の公正であるべきことを証明してもらって、そして社会的信用を博するという側面もあると思います。あると思いますが、いま今日社会的に公認会計士に期待をしておることは、会社が悪いことをしないように、十分悪いことがあったら摘出してもらいたい、なれ合うことのないようにしてもらいたいという側面のほうがはるかに多いのであります。公認会計士が全人格をもって、そして一般大衆のために、株主のためにがんばってもらいたいという側面のほうがはるかに多いのであります。  したがいまして、その点から考えますと、これを実行する上において会社から直接お金をもらうというそのシステムについて、私はどうしても納得ができないのであります。  企業が、大蔵省から話があったような立場から報酬を出すのは当然であろう。当然であろうが、それを監査をする監査法人なり公認会計士に直接お金を出さないようにしてもらいたい。第三者に金を渡して、第三者から委嘱を受けて公認会計士なり監査法人が監査をする。おまえから金をもらっているのじゃないのだ、そういうようなクッションを経ることによって、より公正な関係が保持できるのじゃないか、こういうことを私どもは主張しておるのです。  この主張に対して、いろいろな歴史がある、外国の事情はこうだというお話をされても、私どもには納得ができない、そういうことを主張しておるわけであります。ですから、この点については政府側としてはまだまだ大いに検討すべきである、日本的なあり方というものがあってしかるべきである、こういう点で特に附帯決議を付すところであります。  それから大臣のおことばの中に、なるべく監査法人がいいという話がありました。私もそれに賛成するにやぶさかではありません。ただ、いま私が感ずるところによりますと、監査法人がだんだん大きくなっていく、小さな監査法人、個人の公認会計士、そういうものが淘汰されていく、いわんや公認会計士の資格をとっておってもそこに働いておる若い人たち、そういう人たちの今後のあり方について検討さるべきではないか、将来でなく現状において、大監査法人、小監査法人、あるいは個人公認会計士の総合的な活動分野の調整をすべきではないか、そういう点について附帯決議を付しておるところでありますから、その点については大蔵省として十分考えて行政運営をしてもらいたいと思うのであります。  それから次に、「監査法人は、その社員が税務書類の作成などの税務業務を行なっている会社について、本法の監査業務を行なわないよう規制すること。」という附帯決議を付することにいたしておるわけでありますが、これはもう理事会でやり合ったことでありますから、大蔵省に少し念を押しておきたい。  「税務書類の作成などの税務業務」という文章は、もちろん税務書類に限定されたことではありません。税務業務というのは、税務書類の作成あり、それから税務相談あり、それから同時に税務代理行為等を踏まえておるわけでありまして、これは単なる例示でありますから、税務書類などの作成などに焦点があるわけではない、そういうふうに解釈をすべきであるかどうかということがまず第一。  第二番目に、「規制をする」という規制のしかたであります。この規制につきましては本委員会でもうずいぶん議論を尽くしてきたわけでありますが、この公認会計士の利害関係者の問題その他については政令、通達が非常にあちらこちらにわたっておるわけであります。したがって、簡明直截な、誤解の生じないような規制のしかたをしてもらいたいと思いますが、いかなる方法で行なわれるか、この二点で御質問をいたしたいと思います。

白鳥正人大蔵省証券局企業財務課長

○白鳥説明員 監査法人の税務業務につきましては、この国会中たびたび御質問がございました。私どもは、監査法人の一人でも税務業務を行なってはならないという規定をいたしますと監査法人育成が非常にむずかしくなるということで、監査法人の育成に逆行するものであるということで反対してまいったわけでございます。この考え方は、その前の横山先生の御質問にもございましたように、監査法人を育成していくという方向は、会社の規模が非常に拡大してくる、また経理内容も複雑化してくるということに対応しまして、当然今後とも育成していかなければならないことでございます。私どもとしまして、監査法人育成に対する方針は従来といささかも変わってはおらないということをまず申し上げておきまして、この監査法人の行なう税務についての規制ということでございますが、附帯決議が示されました場合には、それに基づきましてこの決議の趣旨が十分生かされるように検討してまいりたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の言っていることについてはっきり御答弁なさらぬのはどういうわけですか。税務業務というものの範囲は私の言ったとおりですね、規制の方法は誤解のないようにはっきりしてもらいたい、いいですね、こう言っているわけですが、その答弁がございません。

白鳥正人大蔵省証券局企業財務課長

○白鳥説明員 現在、政令では、監査証明省令あるいは公認会計士法と、非常に複雑ないろいろな部分に分散しておりまして、非常にわかりにくくなっております。特に商法監査が導入されますと、これとの関連も合わさりまして、政令を一本化するという作業を行なっているわけでございます。ただ、政令で規定するという場合には、技術的に非常にむずかしい問題がございます。したがいまして、ただいまどういうふうにするかということになりますと即答いたしかねるわけでございます。附帯決議の御趣旨は十分生かされるように処置してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 何かその辺がことばが濁るのですけれども、これはいけませんよ。これは理事会でずいぶん議論をしたことでございますから、技術的にいまここで御回答がいたしかねる——技術的ならわかる。この附帯決議の五項目について、技術的にはいま回答がいたしかねるが、実質的には院の趣旨に沿って必ず行なうと、この税務書類の解釈と規制のしかたという点についてお約束願わなければだめですよ。

白鳥正人大蔵省証券局企業財務課長

○白鳥説明員 実質的には附帯決議の御趣旨が生かされるように検討してまいりたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次は、企業会計原則につきまして本委員会はずいぶん議論をいたしました。もうほんとうに入れかわり立ちかわり、同僚諸君の質問が企業会計原則に集中いたしたと言っても過言ではございません。そこでこの附帯決議ができてきたわけでありますが、「「企業会計原則」の修正が租税に大きな影響をもたらすこととなるときは、租税法律主義に反しないよう必要な手続をとること。また、同原則の修正に当っては、より真実の財務内容の公開という目的に合致するよう留意すること。」これが同僚諸君といろいろ議論を尽くして提案をする内容になったわけでありますが、本来、企業会計原則の修正で租税に影響をもたらすことがおかしいのであります。この点につきましては「大きな影響をもたらすこととなるときは、租税法律主義に反しないよう必要な手続を」とれと言っておるわけであります。本来、租税法定主義の原則からいって、国会の議決を経ずして企業会計原則が租税に影響することをかってにやるということはおかしいのでありますから、この附帯決議の趣旨というものは、企業会計原則が租税に影響をもたらさないというたてまえでしてもらわなければ困るという意味である、万一そういうようなことになった場合の必要な手続というのは国会の議決である、こういう点について政府側として明確な御答弁をいただいておかなければなりません。  それから「より真実の財務内容の公開という目的」という点であります。これもずいぶん議論がされたことでありますから多くを申し上げませんが、少なくとも「より真実の財務内容」というものが、ここに書いてあるからでなくて、一般の知識が十分でない納税者でもよくわかる、そして判断が容易にできるということでなければならないのだよ、こういう意味でありますが、その点について御意見を伺いたい。

伊豫田敏雄大蔵省主税局税制第一課長

○伊豫田説明員 前半の税法関係の部分につきましてお答え申し上げます。  法人税法第二十二条におきましては、現在、御承知のとおり、別段の定めがある場合を除いては収益及び費用の金額につきましては、これを一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるべきものと規定されております。したがって、企業会計原則と申しますよりも、われわれはこれはむしろ企業会計原則のうしろにある企業会計の公正な慣行を成文化したものと考えております。その企業会計の公正な慣行が長年月の間に次第に変わってまいりました場合には、これはやはり税法の計算にも影響を及ぼします。そういう意味におきまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、その場合におきまして必要な場合には租税法律主義に反しないよう必要な手続、これは法令の改定を含めまして必要な手続を行なうべきもの、これは当然と考えております。ただ申し上げておきたいことは、実は税法はやはり実質的な公平を実現するという意味合いから申しまして、ある程度統一的に、悪いことばを使えばむしろ画一的に企業の会計の処理と申しますか、会計の計算をしていかなければならない性格を持っております。たとえば引き当て金等につきまして一定の金額がきめてあるようなものでございます。したがいまして、別段の定めがしてあるものが非常に多いのでございます。現在のところ、企業の収益計上の時期等につきましては、一部を除いてはほとんどすべて別段の定めをしている実情でございますので、実際に企業会計の慣行が変わって、税制がそれによって租税の計算に直接の影響あるいは大きな影響を及ぼすというようなことは予想しておりません。  以上でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大いに議論のあるところでございますが、時間もございませんので私が言いました点、それからこの附帯決議の点を十分ひとつ趣旨を生かしていただきたいと思います。  あわせて大蔵省にこの際伺っておきたいと思うのでありますが、公認会計士のあるべき姿についてずいぶん議論を尽くしました際に、同時に税理士についても議論が出たところなんであります。先ほど私が申しましたように、弁護士と税理士は法律というワク内において、被疑者及び納税者の権利を擁護する、こういう考え方がぼくは普遍的な考え方であろうと思うのであります。しかるに税理士の税理士法というのは、いわゆる「中正の立場」ということばに法律がきめられております。一体中正とは何であるか、素朴に考えてみまして、法律のワク内において税務署とそれから税理士とがある意味において相争い、そして税務署は国家を代表し、税理士は納税者を代表して一定の土俵場、つまり税法という土俵場の中で争うのである、こう私は理解をしております。きわめてこれは素朴、簡単な論理であります。その意味において、税理士は納税者から報酬を得るわけであります。しかるに、そういう普遍的な庶民的なわかりやすい論理にかかわらず、中正の立場という法律用語になっております。中正とは何であるか。土俵場のまん中におれということであろうか。私は土俵場の一番端、つまり納税者の権利を一ぱい一ぱい法律の一番土俵場の左端で守ってやるべきである、それを踏みはずしてはいけないけれども、少なくとも納税者の権利を擁護するという立場は、弁護士と同様ではないか。したがって、税理士法の改正をすることによってこの趣旨を明白ならしめる必要があるのではないか、こういう点を私はかねて主張をいたしておるわけでございます。公認会計士の論理、税理士の論理、あわせて弁護士の論理、ともにもう少しわかりやすいようにすべきではないか。税理士法の改正についてどうお考えでありますか。

伊豫田敏雄大蔵省主税局税制第一課長

○伊豫田説明員 税理士法の改正につきまして、ただいまの段階では何も考えておりませんけれども、先生のおっしゃいます「中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ」るという規定の解釈の問題かと思いますわれわれといたしましては、税理士の立場というものは「中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ」るということで、ある意味では尽くされているのではないかと考えております。なお、さらにこれの具体化が必要ではないかという問題になれば、これはまたあらためて検討させていただきたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 中正とはどういうことなんですか。

伊豫田敏雄大蔵省主税局税制第一課長

○伊豫田説明員 これはいわゆる税法のワク内という意味かと解しております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは私の言う税法のワク内ということが公正ということばと同意義であるならば、いろいろと今日まで長年にわたって税理士法の改正が主張され、その基本的な論理が、中正でなくして税法のワク内において納税者の権利を擁護するというきわめて素朴、普遍的、庶民的にわかりやすいことばにかえるべきである、かえることによってどんな支障があるか、何らの支障もない、かえって土俵場というもの、税理士の限界というもの、そういうものが明白になるのであるから、この際十分検討していただきたいと思います。  それから法務省及び大蔵省にお伺いしたいのでありますが、私どもはいろいろと議論を踏まえた末、「学校法人等公益的な性格の法人について公認会計士の監査対象とするよう速かに措置する」ようという附帯決議を出しております。これはやや抽象的ではありますけれども、社会的な要請であると考えておるわけであります。  今日、学校法人についていろいろと大問題がたくさんございますが、何といいましても経理というものが十分公開されないところに問題が所在をしておる、こう考えているわけであります。  そのほか公益的な性格の法人につきましても、かなりの問題が社会的に批判の対象になっているわけでありますから、この際公認会計士諸君の監査対象にすることによって、これらの社会的責任を明確ならしめる必要があると考えますが、いかがですか。

白鳥正人大蔵省証券局企業財務課長

○白鳥説明員 公認会計士の監査を公益事業等にも拡大することといいますか、対象に加えるようにという御趣旨でございますが、この御趣旨は前回の公認会計士法の改正のときにも御要望がございまして、私ども公認会計士の監査を学校法人に取り入れるように努力をしてまいりました。現在、学校法人の監査につきましては、国から補助金を受けている学校法人については、これを法律に基づいて公認会計士の監査を要求するようにしております。また、それ以外の学校法人につきましても、たとえば大学の学部を新設する場合、そういった場合には文部省の指導によりまして、公認会計士の監査を導入いたしております。  さらに最近、日本体育協会の加盟団体の経理の監査につきましても、公認会計士の監査を導入するということになりまして、四十七年度の決算では三十六団体が公認会計士の監査を受けております。  そのほか、現在総理府におきましては、公益法人の会計基準の設定について、総理府と公認会計士協会との間で種々検討中でございます。こういった種々の公益法人の経理に対する公認会計士監査の導入につきましては、監督官庁がそれぞれあることでもございまして、私ども各関係官庁と十分に連絡をとりまして、促進方努力してまいりたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 最後に、これもずいぶん論争の焦点になったわけでありますが、親会社の調査権であります。親会社が子会社に対する立ち入り調査、これについて本委員会で同僚諸君からずいぶん論争がございまして、要するに子会社の者は、親会社から来た者に対して真実を言うと損になる場合がある、真実を言わないとまた損になる場合がある。そういう場合に、それを真実と言う、言わないによって、子会社として不利になる場合がある。そういう場合にはどういう拒否条件があるか、こういう点であります。その点について同僚諸君からの質問に対して、政府側は十分な答弁ができなかったわけであります。これは一体政府側としてどういうふうに判断をされましたか。企業の秘密というものもあるだろう。なるほど子会社はあくまで親会社の影響下にあるといえども子会社の独立性というものがあるはずである。真実を言わない。拒否をした。真実を言うことによって損になる場合もあるから、言わないで拒否をした。拒否をしたために不遇な条件をつけて、これは同僚諸君は公害問題における労働者の拒否条件、拒否をしても法律的に守られるという条件を例示をいたしまして政府側に迫まったわけでありますが、この点についてお考えになったと思いますが、御回答をいただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 子会社の調査権につきましていろいろ御指摘のような議論があったわけでございますが、第一に子会社調査権という趣旨から申しまして、これが乱用されないように気をつける必要があると思いますし、乱用に対してはもちろん拒否ができるわけでありますから、その面から救済の方法があるわけでありますけれども、実際問題として乱用されるようなことがありますとはなはだ困りますので、その点は十分法務省としてもよくこの趣旨を徹底していきたいと思います。  それから調査に対して拒否をした場合に不利益を生ずるのではないかという問題でございますが、これは法律上の義務として調査権というものが一方に与えられておりますので、それに対して調査に応ずるということは法律上の義務でありまして、その義務を履行することによって不利益を課せられるということはあり得ないし、またあってはならない、このように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 本件につきましては、その実情の状況を見まして一定の子会社については調査がオールマイティーであって、いかなることといえどもこれに従わなければならないという義務は私は必ずしもないと思うのであります。どういう場合にそれが拒否し得るかという点については、法務省としても十分さらに念査をしてもらいたい。そして別な機会にわれわれにその拒否条件につきまして説明を願いたい、こう考えます。  以上をもって私の質問を終わります。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これにて各案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 三法律案中、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案に対し、大竹太郎君外一名から自由民主党、民社党共同提案にかかる修正案が提出されております。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 この際、提出者から趣旨の説明を求めます。大竹太郎君。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 私は、自由民主党及び民社党を代表して、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案に対する修正案の趣旨について説明をいたします。  第一点は会計監査人の欠格事由に対する修正であります。  原案は、監査法人について、会社の取締役、監査役など会計監査人としての欠格者が社員の過半数を占める場合を欠格事由としているのでありますが、監査のより一そうの公正をはかるため、欠格者を一人でも社員とする場合を欠格事由とするよう修正しようとするものであります。  第二点は、適用日に対する修正であります。  原案は、資本金五億円以上で証券取引法の適用のない一般会社及び資本金五億円以上の銀行等に対する適用日をそれぞれ昭和五十年一月一日及び昭和五十一年一月一日と定めているのでありますが、監査制度に対する会計監査人たる公認会計士、監査法人及び監査の対象となる会社の準備等のため相当の期間を置くことが適当であると考え、一般会社及び銀行等に対する適用基準を資本金五億円以上としているのを十億円以上に、資本金五億円以上十億円未満の一般会社及び銀行等に対する適用日を別に法律で定める日に修正しようとするものであります。  以上が本修正案の趣旨及び内容であります。何とぞ本修正の趣旨に御賛同いただくようお願いいたします。     —————————————

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これより三法律案及び修正案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。古屋亨君。

古屋亨自由民主党

○古屋委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております商法の一部を改正する法律案、商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案に対する修正案並びに修正部分を除く原案について賛成の意見を申し述べたいと存じます。  わが国の株式会社の監査の実情を見まするに、監査役の地位、権限が弱体であるため、本来の監査機能を十分果たしていないのが、その実情でありまして、このことは最近における有力企業の粉飾決算続出の例を見ても十分うかがい知るところであります。  今回の改正の最大のねらいは、まさにこのような実情に対処するため、監査役の地位、権限を強化しようとするものでありまして、たとえば、監査役の任期も二年に延長し、取締役会出席権や取締役の違法行為差しとめ請求権等の権限を監査役に与え、会社の内部から不正を事前に防止しようとするものであります。  また、今回の改正は、新たに五億円以上の大規模会社について、公認会計士や監査法人による事前監査を義務づけ外部からの監査もきびしくしており、内部、外部の両面からの監査によって企業の不正を防止しようとするものであります。  さらに、今回の改正には、定款による累積投票制度の排除、中間配当制度の新設、取締役会の決議による転換社債の発行など会社の運営の安定、株主の便宜や企業活動の円滑化をねらった改正点も多いのでありまして、今回の改正は、最近の株式会社の実情に照らしまさに時宜に即した措置であると考えるのであります。  また、修正案は、監査のより一そうの公正をはかり、監査の対象会社等の準備のため必要な措置を講じようとするものであり、妥当なものであります。  よって、私は、以上三法律案及び修正案に対し賛成の意を表するものであります。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次に横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 先ほどから総括的な締めくくりの質問をいたしてまいりましたが、この中でも私どもの考えをある程度明らかにしたわけでありますが、本来この商法の改正は山陽特殊鋼の粉飾決算から始まりました。しかしその後の経済情勢、政治情勢は大きな変革を遂げまして、大企業の独善、横暴は目に余るものが今日あるわけでありますが、これらは粉飾決算の問題から別に大きな発展をしておるわけであります。したがいまして、粉飾決算それ自身を見ましても、今回の商法の改正をもってしてもどうしてもこれが解決をし得ない、たとえば警察官をふやせばどろぼうがなくなるというものではないということを先ほど申し上げたわけでありますが、粉飾決算、粉飾決算と言うけれども、粉飾決算はほぼ下降状態に入っておる。そうして買い占め、売り惜しみ等の大企業の横暴というものが、別な角度でわれわれが商法改正に取り組まなければならぬ、そういう時代にあると考えておるわけであります。  そしてまた、いみじくもわれわれの審査の土台をくつがえすような問題がその審査の過程で発展をいたしました。それは公認会計士の監査が行なわれており、それをさらに背後から適正な監査であったかどうかを審査するべき証券監査官が汚職をしたという事実であります。これでは一体何をわれわれは審議をしておるのか。政府のいままでの答弁というものが根底からくつがえるような事態が生じたと痛感がされるわけであります。したがいまして、問題の所在というものはもっと別なところにある、こう私どもは考えざるを得ません。ずいぶん議論をいたしました。企業会計監査につきましても多くの同僚諸君が指摘をいたしましたように、これは大企業の要求に屈服したのではないか。商法の改正に反対し続けてきた経団連が今日においてこれに賛成し、賛成するゆえんのものは、いろいろなところで幹部が話をしておるわけでありますが、公認会計士の監査というものは社会的な信用を得るだけのものでありまして、法律できめられているから、まあわれわれとしてはおつき合いでやっているというようなことをぬけぬけと公言をしておる。公認会計士諸君に対してもこれは一種の侮辱である。また経団連のあるべき姿がいみじくもそこに出ておるような気がいたすわけでありまして、この意味におきましては公認会計士諸君の今後の自発的な切磋琢磨、社会的地位の向上、先ほど言いましたような独立性の強化というものによってき然たる業務運営をしていただかなければならぬと痛感をいたします。  今回三法案に対します修正案と附帯決議が上程されることになりました。私どもはこの法案が衆議院を通過することがあっても最大限の努力をしなければならぬと思いまして、あらゆる質問も行ない、修正案ないし附帯決議に努力したわけでありますが、残念ながら最大限努力したにもかかわらずそれは最小限の解決、こういうふうに痛感をせざるを得ないわけです。したがいまして、私どもといたしましては政府原案に反対し修正案及び附帯決議に賛成をいたしたいと存じます。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次に正森成二君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 私は日本共産党・革新共同を代表して商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案、商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び修正案に対して一括して断固として反対する立場から討論をいたしたいと思います。  まず第一に、改正商法はその三十二条で「商業帳簿ノ作成ニ関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ」こういうように定めておりますが、これは質疑の中でも明らかなように企業会計原則の修正案を基本的に導入するものであります。そしてこれは継続性の原則を正当の理由なく企業が自分の都合により変更できることとなるものであります。そして、たとえば減価償却についても定率定額を企業のほしいままに変更し、利益を計上したりしなかったりすることが事実上できることが明瞭になっております。また引き当て金という制度を設けまして、ここでも事実上の粉飾決算が行なわれることになっております。  申すまでもなく、現行の公表会計制度は、商法上の営業報告書によるものと証取法上の有価証券報告書によるものとの二本立てになっておりまして、それぞれ別の会計基準により決算書が作成されているところから、二つの決算書と二つの利益が存在することになっております。商法上は合法的なものとして認められ、費用に落とされている特定引当金が証取法上は利益留保とされ、費用性を否定されているので、大企業、大会社が特定引当金を利用して蓄積した秘密積み立て金が公認会計士の監査においてクレームをつけられ、限定意見をつけられるたてまえになっておりました。ところが今回の改正によりまして、それが非独占会社の粉飾の取り締まり強化とともに、逆粉飾も粉飾であると規定せざるを得ないことになると、大企業、大会社の利潤隠蔽もこれまでのようには行ないにくくなる。そこで大企業へ大会社は非独占の粉飾決算を締め出しながら自分はいままで以上の利潤隠蔽を行ない、しかも公認会計士にクレームをつけられないようにするという虫のいい要求をかなえるために会計制度の全面的な改編に乗り出すに至ったものであります。そして今回の商法改正は事実上この要請に全面的にこたえているものといわなければなりません。  修正企業会計原則は、注14で負債性引当金以外の引き当て金についてということを設けております。こういうような一連の改正については作成の一方の責任者でありました番場嘉一郎氏が経団連において「経団連意見はほとんど九〇%まで通っていると思います。その結果、こういう修正案ができたのだということを申し上げます。」というように、経団連ぺースであるということを申しております。そしてこれを受けて経団連の居林次雄氏は「この際、有税でもってでも会計原則が例示した負債性引当金を広く計上して、税法としてもこれを認めざるを得ないようにすることが必要であると思われる。したがって、この三月期決算以降において、各社が有税ででも引き当てるという決心をしていただきたい。この場合、負債性引当金の計上額は、各社、各業界における過去の実績値(アフターサービス費を出した実績とか、売り上げ割り戻し、売り上げ値引きをした実績値等)を参考として、今後の見通しを加えた額にすることになる。特に長期延べ払いのものとか、長期の保障契約をしているようなものについては、手厚く引き当金を計上することが必要であると思われる。」こう言っております。手厚く特別引当金を計上して、しかも本委員会での質疑によれば、これらの金については税金がかからないことになっております。このような考え方というものは大企業大会社の利益を一方的に擁護するものであり、われわれは断じてこれを認めるわけにはまいりません。これが第一の理由でございます。  第二に企業の社会的責任を要請する社会の声の高まり、これにこたえるかのような態度をとって監査制度を強化しております。しかしながらこれはきわめて不十分なものであって、この程度の改正では事実上絵にかいたもちであるといわなければなりません。公認会計士に完全に監査させれば万事オーケーであるかのごとく言うておられる方がおりますけれども、しかし本委員会の質問の中におきましても、公認会計士のうち登録の抹消をされた者が三名、そして業務停止を受けた者が四十六名、戒告を受けた者が五、誓約書をとられた者が八十九名に達することが企業財務課長から明らかにされております。したがって公認会計士といえども決して企業から完全な独立性を有しておるものではございません。しかも企業と契約を行ない、企業から直接報酬を受けるというようなことでは決して当該企業に対して厳正な監査を行なうことができないことは制度的にもきわめて明らかであるといわなければなりません。したがって、また取締役につきましては累積投票制度を事実上なくするというようなことで、取締役内部において相互に規制するあるいは監視し合うということをわざわざ削除しております。したがって、これは企業について監査制度を強化することによって企業の社会的責任を果たすというたてまえでございますけれども、これは逆に微温的な改正を行なうことによって企業に対する社会の批判をそらせるために行なうものであるといわれてもいたしかたないでございましょう。修正案も出てまいりましたけれども、これらの重大な点について改善はなされていません。逆に銀行の監査時期をずらすなど改悪する部分さえ修正案には見られます。したがって私どもはこれに対して賛成することはできません。そのほか親会社の子会社への調査権が子会社に対する不当な介入になるおそれがあること。また税理業務と監査制度の関係の明確、明瞭化、職域の配分についてもいまだ十分配慮がなされていないこと等、きわめて不十分な改正であるというように批判しなければならないと思います。  最後に、私どもは、時間がございませんが、次のことを指摘したい。  企業の社会的責任を追及するためには、大企業の独占価格について国会に調査室を設けて厳重に規制すること、買い占め、売り惜しみについては自民党政府案のようなものではなく、買い占め、売り惜しみ行為そのものに対して刑罰を課するような特別法を制定すること等々の抜本的対策を講ずることが必要であり、これが現下の社会情勢から求められていることであるということを指摘して、本三法案に対する反対討論を終わりたいと思います。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 山田太郎君。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 私は公明党を代表して反対討論をいたします。  このたび商法一部改正に関する三法律案に対して長時間にわたって審議がなされてきましたが、それでもなおかつ十分に問題の解決に至らなかったため、公明党は商法一部改正原案に反対するものであります。  今回の改正法律案のねらいは監査制度の強化によって粉飾決算を防止することであり、それによって株主、債権者、従業員を保護しようとすることが目的でありました。しかし原法案によって粉飾決算を防止できるかということにはなはだ疑問であり、場合によっては粉飾、逆粉飾の危険さえ考えられるのであります。  反対理由として、まず第一に、商法の一部を改正する前回提出法案の監査役に関する改正よりも、今回提出された法案が一歩も二歩も後退し骨抜きになっていることであります。株主総会招集請求権、すなわち取締役解任のための請求権などの削除、取締役会招集権削除、取締役の定期報告義務の削除等であります。原法案の条文には取締役の違法行為の差しとめ請求権がありますが、これらの削除によって法の効力が著しく弱められた。削除した条文が生きていて初めて差しとめ請求権による違法行為のチェックが十分に効力を発揮することができるのであって、表裏一体であり法の裏打ちになるのであります。条文を削除することは、監査制度を強化するという法案の目的に反するものであります。  第二に、中間配当は営業年度中に利益を得たものを、中間においてその利益を分配し、株主、債権者に利益を与えることであります。しかし実際には二回の分割配当であるから、きちんと決算して決定配当すべきであります。さもないと、人為操作によって見込み配当もあり得る。またその失敗によって赤字配当、すなわちタコ配の危険性が十分にあるのであります。いままでにもタコ配の実例がたくさんありましたが、タコ配を絶対にしないという保障は何もない。逆に中間配当することによって利益者に迷惑をかけることになり、粉飾決算になりかねない。そのような危険までおかして中間配当をする必要はないのであります。  第三に、引き当て金は逆粉飾の危険性を持っております。利益の過小表示を広範に認めることによって、利益配当請求権を不当に阻害するおそれがあります。  以上がおもな反対理由でありますが、先決問題は現在腐敗し切った企業モラルの立て直しであります。はたして原法案によって粉飾決算の防止がどこまで期待できるかということに強い疑問を持つからであります。  以上によって反対討論を終わります。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これにて討論は終局いたしました。  続いて採決に入ります。  まず、商法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。  まず、大竹太郎君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 ただいま議決いたしました三法律案に対し、横山利秋君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私は自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表して商法の一部を改正する法律案等三案に対する附帯決議案の趣旨について説明を申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対する附帯決議(案)   わが国の株式会社の現状にかんがみるとき、商法等に改正を要する問題が少くなく、今回の改正をもつてしてもその十分な実効をあげることは困難である。   よつて政府は、次の点について早急に検討すべきである。  一、会社の社会的責任、大小会社の区別、株主総会のあり方、取締役会の構成及び一株の額面金額等について所要の改正を行なうこと。  二、会計監査人の独立性を確保するため、その選任方法等について適切な方途を講ずること。  三、商法の運用については、政府各行政機関において連絡を密にしその適正を期すること。  四、監査法人の育成・強化を図る反面、個人たる公認会計士の業務分野についても行政上適正な措置をすることとし、もつて活動分野の調整をはかるものとすること。  五、監査法人は、その社員が税務書類の作成などの税務業務を行なつている会社について、本法の監査業務を行なわないよう規制すること。  六、休眠会社の整理に当つては、事前に十分なPRを行なう等、慎重に措置すること。  七、「企業会計原則」の修正が租税に大きな影響をもたらすこととなるときは、租税法律主義に反しないよう必要な手続をとること。    また、同原則の修正に当つては、より真実の財務内容の公開という目的に合致するよう留意すること。  八、商業帳簿等としてマイクロフイルムを一定の条件の下に認めること。  九、学校法人等公益的な性格の法人について公認会計士の監査対象とするよう速かに措置すること。  十、会計帳簿の作成について零細な商人に複式簿記を強制しないよう行政指導をすること。  本附帯決議の趣旨につきましては、質疑の過程ですでに明らかにされておりますので、重ねて説明することを省略いたしますが、何とぞ本案の趣旨に御賛同いただき、すみやかに可決されるようお願いいたします。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  ただいまの附帯決議について、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田中法務大臣。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 ただいま御可決いただきました附帯決議に関しましては、その実現に最善の努力を払う覚悟でございます。     —————————————

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次回は、明四日水曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時十分散会

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