法務委員会 第38号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/06/29
会議録
○中垣委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上三法律案を一括議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。青柳盛雄君。
○青柳委員 私は初歩的な質問から始めたいと思うのですけれども、商法の目的がどういうところにあるかという、別にわかり切った話のようにも思いますけれども、企業の目的というのは資本主義的な利潤を追い求めるというところにあると思うのです。そのために企業はいろいろの活動をいたしますが、その活動のいわば交通整理をするようなものであるのか、そのほかにも何か商法の目的があるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○川島政府委員 商法は、御承知のように、民法の特例法として特に商事に関する事項の特則を定めたものでございます。商法の規定の中には、商業活動を行なう主体である商人、特に会社等の組織に関する規定もございますし、また商業の活動に関するいわゆる商行為に関する規定がございますが、いずれも商業活動が専門的、技術的な性格を持っておりますので、その点に着目して、一般の私人の日常の活動とは異なる規則を必要とする事項について包括的にいろいろな事項を規定しているということがいえると思います。
○青柳委員 私が先ほど質問するときに資本主義的な利潤ということばを使ったわけですけれども、企業あるいは商業活動の目的はやはり利益とか利潤とかいうものを追い求めるというところにあると思うのですよ。それを商法は規制するというか、その活動がいろいろな社会的な意義を持っておりますから、それを適当に整理をし調整をつける、そういったようなものであるのかどうかという質問をしたわけですが、その点はいかがでしょうか。
○川島政府委員 商法が一般に営利活動というものをとらえて、その面における規制をしておるということはいえると思います。民法は御承知のように契約自由の原則あるいは自由な所有権というようなものを基礎にしてできておりまして、商法はその上に立って商人が商業活動と営利活動を行ないます場合の特則を定めたものでございますから、資本主義ということばをお使いになりましたけれども、まあ資本主義は社会において妥当するいろいろな経済活動を定めているということはいえると思います。
○青柳委員 実は営利活動ということばにかえて御答弁ありましたが、この営利活動というものはお互いに利害が一致しない場合には他の競争者あるいは競争者以外の者も含めてでありますけれども、そういう人と利害が対立する、そういう中で営利を全うするというわけでありますから、おのずから利害の衝突した部分を調整するというようなこともあろうかと思いますし、ただその場合、営利活動の競争者との調整の問題もさることながら、最近企業の社会的責任というようなことばが盛んに使われておりますが、その営利行為が社会の一般的な人々に重大な損害を加えるとかいうような問題が起こったときについては商法は関知しないのかどうか、その点をお尋ねしたい。
○川島政府委員 お尋ねの点は主として営利活動、商法で申しますれば商行為の関係であろうと思いますが、最初に申し上げましたように、商法は民法の特例法でございまして、基本的には商業活動につきましてもまず民法の適用があるわけでございます。民法におきましては権利の乱用を許さないとかあるいは信義誠実の原則であるとか公序良俗に反する行為は無効であるとか、そういった法律行為が社会に適合して行なわれるということを前提とした規定かいろいろ設けておるわけでございまして、この基本、原則の上に立っていろいろな法律行為が行なわれる。民法の特例であります商法の定めております商行為の分野におきましても、やはり基本的には民法の原則が根底にあるわけでございます。したがいまして、そういう面から申しますならば、商業活動というものは民法の原則として考えている社会的な結合性といったようなものを土台にして行なわれなければならない、こういうことになっておるわけでございます。
○青柳委員 一般的には公序良俗、つまり他の法令の適用を受ける場合もあるということを前提にして商法の規定はきめられてあるという御説明のようでありますけれども、企業というものは単に営利だけを追求していくと、これは必ず影響するわけですね。人間関係というか、社会的な活動でありますから、自分の利益を追求するとだれかが損をするという場合もあり得るわけです。その利益、不利益という場合、不法行為による利益は損害賠償という形で取り戻されてしまいますけれども、商行為による利益というようなものにもおのずから限界があるのではないか。そういうことは当然のことになっているのだと言われればそのとおりだと思うのですけれども、何か不法行為あるいは公序良俗違反の商行為であるのかということを商法自体として特殊的に明らかにする必要はあるのかないのか。この問題は商法の一部改正の審議が始まった時分からいろいろの問題、具体的な例を出されて質疑が行なわれたように思うのですけれども、私も同様に考えるわけなんです。たとえば商法には罰則というのがあるわけなんです。罰則などというものを設けるというのは、それ自体やはり公序良俗違反の行為が商行為としてなされるということを前提にして、商法自体の中でこれを取り締まる、規制するということが当然のようになっているわけですから、そういう問題は、いままでに質疑の中から出された、たとえば買い占めとか売り惜しみのような商行為あるいは公害的な企業活動、そういったようなものについて商法自体の中には何ら規制を設ける必要はないのかどうか。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 それを設けるとかえって混乱を来たすというようなおそれでもあるのかどうか。大臣も、違法な行為はびしびし取り締まるべきであるというような御答弁もなさったように記憶しておりますけれども、違法な行為といっても、商法には別にそれ自体規制の規定がないというようなものは、結局は他の法律にゆだねる結果になるわけです。それでも関係する場合には何ら不審はないのですけれども、商法自体の中にも何かそういう規定を設けるということはできないのかどうか、それをやるのは商法のたてまえに反するのかどうか、その辺のところもお尋ねしたいと思うのです。
○川島政府委員 御指摘のように商法の中にも罰則の規定がございます。これらの罰則の規定は、商法の規制を維持していくために、商法の規定が特に順守されなければならないという場合に、その順守を確保する意味において設けられているというのがたてまえになっていると思います。もちろん仰せのように商行為を行なっております会社が、その営業活動の部面においていろいろな違法行為あるいは反社会的な行為を行なう場合がございます。その場合の取り締まり法規といたしましては、それが商法の規制に触れる場合にはおおむね商法の罰則によってまかなわれていくということになろうかと思いますが、最初に申し上げましたように商法は一部の商業活動についての特例を定めたものでございますので、その商法以外の規制あるいは商法の規定のない事項についての責任に対しましては、商法以外の規定の適用がある。民法の不法行為の規定が適用になる場合もございますし、刑法の罰則の規定が適用になる場合もあるというふうに思うわけでございまして、たとえば公害などにつきましては、主として企業が引き起こす場合が多いわけでございますが、これは別に公害についての規制法というものがございまして、それによって取り締まられる、また罰則についても特別法が設けられているというようにいろいろ分かれているわけでございます。したがって商法で規制している事項に関係のある事項につきましては商法自体に罰則が設けられる、しかしそれ以外の反社会的ないろいろな不法行為についての規制は、商法以外の法律によってなされるのが現在の法律の立て方であろうと思うわけでございます。
○青柳委員 公害の問題なども相当やかましいのですが、最近買い占めをしたり売り惜しみをしたりして投機的に商品の価格をつり上げる、それは物価全般に悪影響を及ぼすというような、商行為が目に余るものがあるわけです。そこで、それは別に法律をきめて、売り惜しみ、買い占めを規制をする特別措置法、いま参議院に回っている政府原案もありますけれども、あれはあれとして、ああいう中身がいい悪いの問題はいまここでは論じません。ああいうふうな特別法を設けることの意味は私にもわかりますけれども、それ以前に、一体買い占めをする資金というようなものはどこから出てくるのか。もちろん金融機関から借り受けてこれをそれに充てるという場合も具体的にはたくさんありますししますが、自己の営利行為によって得た利益を蓄積しておいてその金を買い占めに使う。それも商法の株式会社等の規定では目的というものを一応限定しておりますけれども、付帯する一切の事業といったような目的が定款で定められれば、付帯するというようなことで、本来の事業でないような土地の買い占めというようなことも行なわれているようであります。こういうふうに見てまいりますと、資金の運用などについて規制を加えるということはできるものかどうか。商業活動の自由だから金があったら何をやってもいいんだ、あるいはどんなにもうけても、そしてどんなに資本あるいは資金を蓄積しても一向にこれを規制する必要はないんだというようなことで商法がいいのかどうか、この点はいかがでしょう。
○川島政府委員 営利活動によってもうけた金を何に使ってもいいかという問題でございますが、これは商法のたてまえといたしましては、商事に関する一般的な原則というものを定めておるわけでございますので、個人がもうけた金はその個人の自由になる、会社がもうけた金は会社の自由になる。もちろん仰せのように、目的の範囲内という制限はございますけれども、その目的の範囲内でさらに別の商業活動に使うということは自由であるわけでございます。会社などの場合にはそれを株主に利益を還元するという方法もあるわけでございますが、そのいずれをとるかということは会社が自分できめるというのが商法のたてまえであります。 もちろん企業によりましては、行政上の監督を加える必要があるというものもございます。そういうものにつきましては、特別な法律が設けられていろいろこまかい規制がなされるわけでありまして、まあ商法はそういういわゆる行政規制というものとは関係のない、一般の商業活動というものを対象にしておりますので、商法自体におきましては、仰せになりましたような趣旨の行政規制と申しますか、そういうものは特に考えていないわけでございます。そういうものはすべて特別法に譲っておる、こういうことになると思います。
○青柳委員 それでは、その問題はまだ十分解明されたとも思いませんけれども、いま問題になっております商法の一部改正、それに関連する法律の案ですね。この中で、特に監査制度の改正の目的はどういうところにあるのでしょうか。
○川島政府委員 これは会社が、まあ株式会社でございますが、かって粉飾決算というようなことをいたしまして、それが倒産につながり、社会的にいろいろ迷惑をかけたというような事例がございまして、そういう点から会社がみずからの経理を正しくするということが一つの重要な点であると認識されたからでございますが、それと同時に、取締役が独走するのに対して何らかのチェック機能が必要である、会社の営業活動は自由でございますけれども、先ほど先生おっしゃられましたように、社会的な存在として社会に適合した行動をしていかなければならない、ともすればそういう点で逸脱するおそれもなしとしないので、そういった点についてチェック機関、チェックする機能を強化する、そういう趣旨で監査制度の改正ということが考えられたわけでございます。
○青柳委員 大体当初から説明されていることを繰り返されたわけでありますが、これは違う角度から質問したいと思うのです。 粉飾決算を防止するという、主としてその目的ですね。これは一体だれのためにそういうことをしなければならないのであるか。たとえば株主の利益あるいは社債その他投資家の利益とか、取引をする第三者の利益とか、その中にはその企業で働いている労働者の利益とか、そういったようないろいろのものが考えられるのですけれども、主としてだれの利益を守るために粉飾決算を防止しなければならぬのか、その点はいかがですか。
○川島政府委員 これは粉飾決算と申しましても逆粉飾の場合もあるわけでございまして、それぞれの場合によって保護される対象というのは若干異なる面があろうかと思います。しかしながら、ただいま仰せになりました株主、債権者、取引先、従業員すべてを含めまして、粉飾決算によって会社の健全な、会社のあるべき真実の財産状態というものが示されませんと不利益をこうむるおそれがある、その点から生ずる不利益、損害というものを防止するために必要と考えたわけでございますが、先ほど仰せになりました、すべての者を保護するためであるというふうに考えております。
○青柳委員 これはあらかじめ調査を御依頼してなかったので、ちょっと調べてなければやむを得ませんけれども、日本の国民の中で株式会社の、株式会社だけに限りますけれども、株式会社の株主になっている人の数というものは人口の中の何%ぐらいであろうか、あるいは株主になるんではないけれども、上場株を買い取る投資家といいますか、そういうような人々の数は一体全人口の中のどのくらいを占めているというような点はいかがでしょうか、おわかりになりますか。
○川島政府委員 その数は、ちょっとわかりません。
○青柳委員 この株主とか投資家とかいう者の数は、私はつかんだことがないのでよくわかりませんけれども、全人口の中でいえば非常に少ないんではなかろうかというふうに考えます。ところが、いわゆる取引の相手方といいますか、直接的な取引の相手方は相当少ないかもしれませんけれども、そこによってでき上がった品物なんかを買い取って、そしてあるいは問屋、あるいは小売り商を通じて買い取って消費している者の数は圧倒的に多いと思うのです。そういうことを考えますと、消費者の利益というものは、粉飾決算も逆粉飾も、含めてですけれども、厳正に行なうということと関係があるのかないのか、消費者の利益というものは予想されているのかどうかということですね。私どもは、物価値上がりに苦しんでいる国民の立場から考えて、この物価を何とか安定させるか、もっと低めることはできないだろうかというようなことを考えるわけですが、その場合、よく独占価格といわれる、寡占価格などということばも使われているようでありますけれども、要するに大会社、大企業がつくっている製品、こういうものが非常に高利潤を上げるために価格を引き下げられないで、むしろ引き上げられる場合だってある。こういうのを別な法律で取り締まるということも不可能ではないわけですけれども、逆粉飾なんかでべらぼうもなく利潤を上げている。そのもとはといえば、製品コストは非常に安くなっているのに、つまり生産性が上がっているのに依然として高い値段で販売している。これが物価値上がりに大きな寄与をしている。そういうような点についてはこの商法の監査制度の改正というものは何らか貢献するというふうにお考えでしょうか。
○川島政府委員 たいへんむずかしい問題だろうと思います。と申しますのは、たとえ寡占価格の形成というような問題を取り上げましても、その原因はどこにあるかということから始めなければならないわけでございまして、現在最もいわれておりますのは、たとえば流通機構が悪いのだというようなことをいわれております。原価に比べてばく大な宣伝費を使って、そちらのほうに費やす金が非常に多い、そのために物価も上がるというような事情もあろうかと思います。今回の改正、特に監査制度の改正という関係から考えました場合には、あまり暴利的な行為は監査役が常識を持って行動すればある程度押えることはできると思いますけれども、しかし今回の改正だけによってどの程度の効果が期待できるかと申しますと、いまおっしゃいましたような問題につきましては、私経済の専門家でもございませんので、あまり自信を持ったお答えができかねるわけでございます。
○青柳委員 私どもは、粉飾決算がいろいろと問題になって、そして商法違反あるいはその他証取法違反などの規定によって刑事問題にまでされたという例を見るわけでありますが、その刑罰が必ずしも適正に科せられていない、あるいは刑罰法規そのものも軽きに失するというような感じがしないわけでもありません。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 これは商法の責任ということよりも運用上の責任ということにもなるのかもしれませんが、最近の例でいいますと、四月十三日ごろに、東京地検特捜部が薬品業界の大手である三共による粉飾決算を略式で起訴した。それは、過去十五年間にわたって逆粉飾をして、それを今度はなしくずしにいわゆる粉飾決算にしたという、そういう事案のようであります。これは結局は証券取引法違反ということで摘発されたわけでありますけれども、略式で結局は二十万円の罰金を請求された。ところが三共の秘書室長の高藤という人の話では、「虚偽記載について大蔵省に自発的訂正を行っているので、刑事事件になるとおもわなかった。」それから「この決算方法は新薬品を開発するために、蓄えを作るもので健全な経営方針だ。その点は株主や問屋のご理解を得ている。薬事法違反の事件ではないので、一般の薬の利用者にはとくにおわびする必要はないと思う。」「スピード違反で捕まって、スピードを出していないといっても始まらない」からがまんするんだ、みたいな談話を発表しているように、読売の四月十三日の夕刊には載っているわけです。大体企業関係の人たちは、逆粉飾であれ粉飾決算であれ、それは別にそんなに目くじら立てていわれるほどのことではないんだと、こういうような考え方を持っているようですし、それから東京証券取引所でも、これを上場禁止にするかどうかというような問題で、特設ポストというのに一応は入れたようですけれども、結局は上場廃止処分にもならなかったようであります。こういうことでは、いま言われたように、粉飾だとか逆粉飾を放任しておけばいろいろな弊害があるんだといわれておっても、業界ではあまり問題にしてないというような感じがしてしかたがないんですが、これは政府、どなたのほうからでも、ひとつお答えいただきたいと思います。
○白鳥説明員 三共の粉飾事件につきましては私どもも非常にたいへんな事件だと思っています。先生おっしゃいましたように、企業の間に粉飾に対して罪悪感が薄いのではないかという御指摘でございますけれども、確かに一ころそういう時期がございまして、特に昭和三十九年から四十年ごろにかけまして、山陽特殊鋼の事件であるとか、ああいうものに代表されるように、粉飾事件が頻発したわけでございますが、その後私ども監査を厳重にするとか、いろいろ通達を出しまして、企業の姿勢を正すように強い姿勢を示したわけでございまして、最近におきましてはこの粉飾に対する罪悪感というものは非常に強くなっておりますといいますか、企業の経理を正しくするということに対する企業の認識は非常に高くなってきておると感じております。粉飾の数が最近急激に減ってきておるというところにそのあらわれがあるのではないかと思います。逆粉飾につきましては、これは特に企業の経理を手厚くするんで、むしろ美徳だというよう考え方さえ当時はあったわけでありますけれども、これにつきましても、逆粉飾自体、企業の真実な姿をあらわすものではないので、こういうことはやはり将来粉飾につながるし、大きな弊害があるんだということで、これに対しても強い姿勢を示してまいりました。最近におきましては逆粉飾に対しても、企業は姿勢を正すようになってきております。ただ、先生御指摘になりましたように、製品開発引当金というような引き当て金の形で企業の利益を留保しているというような例がございます。しかし、これにつきましても、いわゆる特定引当金ということで利益留保性のものである。したがってこういうものを財務諸表の中で費用として掲げることは適正な経理ではないということで、公認会計士の限定意見を付するようにいたしております。三共の場合には、いわゆる隠していた、ほんとうの意味の逆粉飾、これは一番悪いわけであります。それのほかにこういった製品開発引当金というような特定引当金による経理も行なっていましたが、今度新しい事業年度でこれも全部是正しております。 なお、三共に対する処分が甘いのではないかという御意見もございましたが、従来の逆粉飾を非常に長く行なっていたという点では、非常に粉飾の期間が長かったわけでございますが、これを最近三カ年において是正いたしまして、これがむしろいわゆる表の粉飾になったということで問題があるわけでございます。発見された段階におきましては、粉飾の残高は全部消えております。そういうこともございますし、訂正報告書によりまして、一般投資家に対する企業の経理内容の開示というものの目的は一応達せられましたので、証券当局としては、企業に対する是正処置は行なわれたということでございます。 なお、罰金のことにつきましては、これは大蔵省の所管ではございませんので…。
○青柳委員 この商法の特例法、まあ五億円以上の会社については専門家の会計監査、つまり公認会計士あるいは監査法人の監査を受けるということにして、これによって粉飾決算などは規制できるのじゃなかろうかという期待があるようでありますけれども、従来問題になった株式会社は、すでに証取法のほうで同様の会計監査を受けている。それにもかかわらず、なおかつ粉飾決算は防止できないで、あとを断たなかったという、この点についての何らかの検討というか、反省というか、そういうものは十分なされていたのでしょうか。
○白鳥説明員 粉飾決算が非常に多発いたしましたのは、ただいまも答弁申し上げましたように、昭和三十九年、四十年ころ非常に問題になったわけでございますが、その後昭和四十一年に公認会計士に対して厳正な監査の実施についてという通達を行ないまして、監査を十分に行なうようにということを公認会計士に対して徹底しております。同じような通達が昭和四十三年にも重ねて出されております。さらに昭和四十六年の証券取引法の改正によりまして、虚偽記載に対する会社の役員あるいは公認会計士、あるいは引き受け証券会社、こういうものの民事責任を強化し、また刑事責任も強化する、こういう措置をとりまして、粉飾決算に対するきびしい態度を打ち出しております。
○青柳委員 そうするときびしい態度というか、私が特にお聞きしたかったのは取締役とかあるいは、監査役の責任を重くするというようなことの問題ではなくて、もちろんそれは重要なことでしょうけれども、今度の特例法はとにかく商法の、非上場会社を上場会社と同じように会計監査人に監査をさせることを義務づけるという点にあるわけでありますから、それにはそれなりの何か効果があるということでそういうことに改正しようとされていると思うのですけれども、過去において証取法ですでに実施され、しかも過去四十年ころのことではありましょうけれども、多発したというのは、一体どういうところに原因があり、そうしてその後通達を出していろいろ厳重にしたと言われますけれども、具体的にはどういうことをされたことになるのか、その公認会計士あるいは監査法人についての点だけ、先ほど民事の損害賠償のことは言われましたが、それ以外の点で何が行なわれたのか、それをお聞きしたいのです。
○白鳥説明員 御質問の第一点の、粉飾が従来、特に三十九、四十年ころから多発した、これはどういうことなのかという御質問に対してまずお答え申し上げます。 まあこれは、先ほどの御質問の中にもございましたように、会社の中に粉飾に対する罪悪感というものが薄かったという事情が当時はございます。会社としましては、安定した利益を公表して、安定した配当を継続することがまず最良の経営であって、粉飾はそのための必要悪であるといったような意識が当時はあったわけでございます。経営者が経理に対する認識が非常に低かったというような状況がございます。また、会社の中で経理部の地位が低いとか、そういったようなこともあるわけでございますが、さらにまた、公認会計士監査を導入いたしましてから、まだ公認会計士が当時におきましては会社に対して十分に指導的機能を発揮するだけの情勢が整っていなかったというような点もあるかと思います。こういったことを勘案いたしまして、大蔵省におきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、昭和四十一年に公認会計士協会に対して厳正な監査の実施についてという通達を出しますとともに、具体的には、公認会計士の会社に対する指導的機能を発揮することができない一つの理由には、やはり会社に対して十分な力がないといいますか、そういう面をもう少し充実していく必要があるのではないか。特に会社の規模が大きくなり、事業内容が複雑になってまいりますと、一人の公認会計士で監査をするだけではなかなか十分な監査ができない、また会社に対する独立性が十分保てない、そういったような問題点もございます。このために、昭和四十一年に公認会計士法を改正いたしまして、監査法人制度というものを取り入れております。また、公認会計士個人につきましても、公認会計士協会への加入を義務づけ、公認会計士協会の公認会計士に対する監督を行き届かせるような措置をとっております。また、監査を行なうための監査基準というものを改正いたしまして、監査が徹底して行なわれるような基準を定めております。 また、粉飾防止のための行政面の措置といたしましては、有価証券報告書の重点審査という体制をとりまして、特に粉飾の疑いの濃い会社、問題のありそうな会社、そういうものに対しては、これを重点審査の対象に取り上げまして、徹底した審査を行なう、こういう体制をとってきております。 また、先ほど申し上げました証券取引法の改正もこの措置の一つでございます。このような一連の措置によりまして、最近におきましては粉飾の発生状況は著しく減少しているのが現状であります。
○青柳委員 たまたま監査基準というお話が出ましたのでお尋ねしたいのですが、私ども会計学の専門ではありませんので、あまり十分な理解が持てないかもしれませんが、大蔵省に企業会計審議会という機関を設けて、いろいろとそこから答申とか報告とかいうものを受け取っているようでありますが、その中に企業会計原則というようなものがきめられているようであります。これはいま言われた会計監査人が監査するときの基準になるのとどういう関係がありましょうか。
○白鳥説明員 企業会計原則自体は、これは企業が経理内容を明らかにするための財務の書類を作成する場合、あるいは企業の会計の処理を行なう場合の一般的な妥当な基準を取りまとめたものでございまして、これに従いまして、ただいま申し上げました監査基準の中では、公認会計士が企業の財務諸表を監査する場合に、企業が企業会計原則に従って経理を行なっているかどうかを監査する、こういう形になっているわけでございます。
○青柳委員 そうすると、監査基準と企業会計原則とは密接不可分の関係があるように私は理解するのですけれども、その原則が修正をされるというような報告を、昭和四十四年の十二月十六日に報告として提出されたようでありますが、これは大蔵省のほうから諮問するという形でこの修正が出てきたのか、諮問とは無関係にこの審議会が何らかの動機から修正ということに決定したのか。いずれにいたしましても私の知りたいのは、修正をしなければならない原因が知りたいわけです。それはいかがでしょう。
○白鳥説明員 御承知のように、先生おっしゃいましたように、昭和四十四年十二月十六日に企業会計審議会によりまして、企業会計原則の修正案というものがつくられたわけです。これはただいま御審議願っております商法改正、すでにこの案が出てきておった段階にあるわけでありますが、この商法改正案の中に御承知のように「公正ナル会計慣行を斟酌スベシ」という、いわゆるしんしゃく規定が盛り込まれておるわけでございまして、それによりまして商法監査と証取法監査との間の統一をはかるという目的があったわけであります。 そこで従来企業会計原則と商法の問に、必ずしも明確に関係が理解されていなかったというような面もございまして、会計基準が不統一であると非常に無用の混乱を生じるというおそれもございますので、商法と企業会計原則との調整をはかる、こういう観点から、企業会計原則の修正案が企業会計審議会において審議されまして、昭和四十四年の十二月十六日に修正案としてこれが確定したわけでございます。
○青柳委員 いままで多くの委員から質問が出てお答えになっていらっしゃると思いますが、私も一々それを一緒に聞いていたわけでもありませんし、また会議録もよく検討していないからダブるかもしれませんけれども、いま言われた商法の規定とそれから企業会計原則との間に何か開きがあって、それを一致させる。つまり証取法のほうでは企業会計原則を監査基準にしておるけれども、商法のほうの会計監査はこれと基準が違っておるのだというようなお話ですが、具体的にはどこがどういうふうに違っており、それをどのように調整をつけるか。つまり商法の三十二条の改正案、公正な慣行というものはどうあるべきものだという考え方から、むしろ従来ある企業会計原則のほうへ持っていくということではなしに、何か商法のほうへ妥協するというか寄っていくというような形の修正になっているのかどうかですね。どうも修正というからには、商法のほうへ寄っていったのだというような感じも受けるわけです。そうすると従来はどんな開きがあって、どのように寄せていって大体一致できそうだというのか、それをちょっと重複があるかもしれませんけれども説明していただきたいと思います。
○白鳥説明員 商法と企業会計原則との間の開きと申しますか、調整を要するということが必要になりましたのは、もともと商法というものは債権者保護の立場その他の見地から、法的に必要な範囲において会計に関する諸規定を定めておるわけでありますが、一方企業会計原則は、企業会計の実務の中に慣行として育ってきたものの中から、一般に公正妥当と認められるものを要約したものでございまして、必ずしも法によって強制されないまでも、企業が会計の処理を行なうにあたってこれを尊重されなければならない、そういう原則であるわけでございます。 そこでどういう点が調整されたかという御質問でございますが、具体的にまず商法のほうに歩み寄ったのではないかという御指摘がございましたが、これは全面的に商法のほうに寄せたということではなくて、商法のほうでも企業会計原則に合わせた点もございます。 しかし、企業会計原則そのものの修正点、おもな修正点はどういうところであるかという点についてお答え申し上げますと、まず一つは継続性の原則でございます。これは企業会計原則の修正案の一般原則が七つございますが、その中の五番目に継続性の原則といわれております規定がございます。ちょっとこれを読んでみますと、「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。 正当な理由によって、会計処理の原則又は手続に重要な変更を加えたときは、これを財務諸表に注記しなければならない。」 これを修正案におきましては、「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。」つまり前段だけにしているわけでございます。後段は全然どこへもなくなってしまったのかというと、そうではございませんで、この注記の問題は、これは原則の問題とは違うということで、注解のほうに移しまして、注解の3にこれを規定しております。読んでみますと、「企業会計上継続性が問題とされるのは、一つの会計事実について正当と認められる二つ以上の会計処理の原則又は手続が存する場合である。このような場合に、企業が選択した会計処理の原則及び手続を毎期継続して適用しないときには、同一の会計事実について異なる利益額が算出されることになり、財務諸表の期間比較を困難ならしめ、この結果、企業の財務内容に関する利害関係者の判断を誤らしめることになる。したがって、いったん採用した会計処理の原則又は手続について重要な変更が行なわれた場合には、変更が行なわれた旨及びその変更が財務諸表に与えている影響額を当該財務諸表に注記しなければならない。」こういうふうに改めたわけでございます。 次に、修正点のおもな点の二番目は、貸借対照表の中に載せるその他の資本剰余金という問題でございます。現在の企業会計原則におきましては、資本の部の記載は資本金の下に剰余金という項目がございまして、この下にさらに資本剰余金として資本準備金とその他の資本剰余金、二番目に利益剰余金として利益準備金と任意積立金、当期未処分利益、こういう分け方になっていたわけでございます。これを修正案におきましては、剰余金の項目の分け方を、一 資本準備金、二 利益準備金、三 その他の剰余金、こういうふうな分類にいたしました。これが第二の修正点でございます。 三番目の修正点は、損益計算書の形式でございます。現在の企業会計原則における損益計算書のたてまえは、当期業績主義、つまり当期の営業に関連して発生した損益を明らかにするということが目的になっておりまして、これとあわせて別に利益剰余金計算書というものがございまして、その項目で臨時的な項目であるとか、過年度損益によって、利益剰余金の計算をしていくわけでございます。ただ、最近の慣行におきましては、この利益剰余金計算書と損益計算書を結合いたしまして、損益計算書のしりの下にさらに利益剰余金計算書を続けて書くという、こういう慣行が次第に発達してきておりまして、いわゆる損益並びに剰余金結合計算書というような形で包括主義に近い表現の方法が普通になっております。そこで、商法で定められております包括主義による損益計算と統一するために、損益計算書の形式を包括主義に改めたわけでございます。しかしながら、営業の経緯を明かにし、当期の業績主義による結果もはっきりとさせるために損益計算書の区分を四つに区分いたしました。 それを申しあげますと、第一区分は、営業損益計算でございます。ここに売り上げ高、売り上げ原価あるいは販売費、一般管理費こういうものを織り込んで通常の営業利益をここに出すわけでございます。第二番目の項目として、経常損益計算という項目がございます。ここに営業外収益、費用をあげまして、これを差し引きして経常利益というものが出るわけでございます。この経常利益が、現在の当期業績主義による損益計算書の当期純利益に相当するわけでございます。第三番の項目として、純損益計算という項目をあげております。ここには、特別利益、特別損失、いわゆる災害であるとか、そういった臨時的な損益の金額をここにあげまして、その結果、当期純利益というのを純損益計算の項目のしりに出してくるわけでございます。そして最後に、未処分損益計算という項目を設けまして、ここで前期繰り越し利益と、後ほどまた御説明申し上げます特定引当金の増減、こういったものを盛り込みまして、最終的な当期処分利益を計上する、こういう形に四区分の形に改めたわけでございます。これが第三の修正点でございます。 第四の修正点といたしましては、ただいまちょっと触れました特定引当金でございます。これの記載方法を改めました。これは企業会計原則の注14というところにあげてあるわけでございますが、その内容、趣旨は、商法の二百八十七条の二に「引当金」という項目がありますが、これを企業会計の面では特定引当金というふうに呼んでおるわけでございますが、このように企業会計からいいますと、評価性引当金でもなく負債性引当金でもないそういった種類の引き当て金で、特に法令で計上を認められている引き当て金の記載方法を明確にしたわけでございます。具体的には、この損益計算書におきましては、ただいま申し上げましたように、特定引当金への繰り入れ額あるいはその取りくずし額、こういった金額は、当期の純損益計算とは区分して未処分損益計算の区分に掲載する、こういうふうにしたわけでございます。 一方、特定引当金の残高につきましては、これは貸借対照表のほうの問題になりますが、貸借対照表の負債の部に計上するということにいたしましたが、この負債の部の中で、固定負債でもなければ流動負債でもない特定引当金という特別の部を一項目設けまして、そこに本来の負債とは区別して、特定引当金を計上する、こういうふうにしたわけでございます。 以上が、企業会計原則修正案のおもな修正点でございます。
○青柳委員 全部を網羅的にお話しになられたので、理解も一応はつくわけでありますけれども、非常に問題にされている点が幾つかあるようです。 〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕 私は、その全部に触れるわけにはいかないのですけれども、たとえばいま言われた一般原則の第五の第二項が削除された、注解3になったということは、それ自体、何の変更もないように見えるけれども、これは実質的な変更を意味するという見解ですね、この点は、ただ文章が変わっただけであって、実質的には何の影響もないんだということでいいのかどうかですね、その点がどうもいままでたとえば「みだりに」という文字が残っているんだから、第二項の「正当な理由」というのはなくなった、つまり注解の「正当な理由」というのがなくなった。正当か正当でないかということは、なかなか人によって判断が違うから、そういう怪しげな文章は取ったんだというような説明も、この修正案をつくる過程に参加した人たちの意見もあるようです。だから、やはり取ったには取っただけの理由があるようなんですけれども、また、いままでの質疑答弁の中では、いや「みだりに」というのは、一項が厳然としてあるんだから別に変わりはないんだというふうなお話もあるし、一体これは「みだりに」ということが注解の中にもやはり生きている、ただ注記さえすれば、どんな理由であろうと、そんな理由なんかはかまわないんだという注3の解釈のしかた、だから、せっかく残っている「みだりに」というのも何の意味もなくなってくる、そういうふうなことなのかどうかですね。要するに修正したのですから、何か修正には修正の根拠というものがあるわけなんです。それをずばりいうと、どういうことになるのでしょうか。 〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕
○白鳥説明員 この商法と企業会計原則とをどういうために調整しなければならないのかという御質問に対する御答弁の中に申し上げましたように、商法は、法によって規制するというものでございますので、その目的のために規定されているものでございまして、一方、企業会計原則は、先ほど申し上げましたように、法によって規制されないまでも、企業が経理を行なうときに順守しなければならない原則である、こういうふうになっているわけでございます。ところで、このたびの商法の改正によりましてこの企業会計原則が商法によってしんしゃくされるということになりますと、適法、違法性の問題に直接かかってくるわけでございます。したがいまして、「正当な理由」ということを原則の中にはっきり書いておきますと、何が正当で何が正当でないのか、それが直ちに適法、違法の問題にかかってくるというようなことで非常に混乱を生ずるという配慮から、この「正当な理由によって」ということばが削られたというようなことも言われているわけでございますが、私どもといたしましては、企業会計が順守すべき原則として、みだりに変更してはならないというこの基本原則は変わっていないというたてまえ、考え方をあくまで貫いております。みだりに変更するというのは、ゆえなくして変更する、つまり正当な理由なくして変更するということでございます。したがいまして、不当な変更があった場合には、これは公認会計士によって監査報告書の中に指摘される限定事項となる、こういう考え方は変わっておりません。
○青柳委員 そうすると、証取法の監査の場合の基準になる企業会計原則は適法、不適法という法律的な判断の基準にはなっておらないけれども、商法のほうでそれが公正な慣行という形で入ってくると適法か不適法かという問題の基準になってしまうから「正当」という文字は怪しいからやめておくというような議論というものは、「みだりに」という文字が入った一項目を残しておく限りは、その議論は全く価値のないものである。つまり、商法の公正な慣行として適法、不適法をいわれる基準としては、やはりみだりに、つまり別なことばで言えば正当な理由なしに変更するということは違法なんだ、だから当然監査をする会計監査人は違法であるという——違法ということばを使うかどうかは知りません。限定意見とか不適正意見とかいうようなお話だそうでありますけれども、まあ裁判的に言うならば違法である。これは単に不適当とかなんとかいう問題じゃないんだ、それがこういう判断の基準になって生きてくるのだ、こう理解していいわけですか。
○田邊説明員 大蔵省からお答えになりました趣旨は、正当な理由を除いた理由と、それから会計原則がいっているようなみだりに会計処理の方法を変えたときには、会計監査人としては、不適正といいますか限定といいますか意見を付することになろう、こういう御趣旨だろうと思います。 法律のほうから考えますと、先生が御指摘になったように、会計監査人の監査報告書に指摘いたします事項は、要するに決算が定款、法令等に基づいて行なわれているかどうか、そのことによって会社の決算内容が正しく表示されているかどうかというポイントにしぼって意見を書くことになります。その場合に、継続性の原則に関して申し上げますと、利益操作のために恣意的に会計処理の方法変更をしている、極端な場合は毎期その方法を次から次に変えていく、あるいはいろんな資産ごとにばらばらにこれを使い分けるというふうな場合には、それは利益操作のための恣意的な変更であるということで、その変更ではなしにその結果出てきている決算そのものが商法の趣旨に反している。その趣旨は、商法には実は継続性の原則というふうな明文の規定は持たないわけですけれども、本来の趣旨は、商法総則にありますように、会社の財産内容を明らかにするという目的があり、あるいは表示の規則といたしましても明確に示さなければならないというふうな趣旨の文言を持っておりますから、その本質から考えれば法令違反であろうということで、そこで会社の決算そのものが法律に反している、つまり違法の決算であるという意見が出る場合は十分予想されると思います。
○青柳委員 どうも監査というものが、裁判官が行なう法の解釈適用ほどの拘束力を持つのかどうかという点、また考え直さなければならぬと思うのですけれども、少なくとも限定意見というようなものがいままで証取のほうでは出ていたわけですし、それから公認会計士が監査をしたときに、強制的にその監査を義務づけられておってやった場合かあるいは任意の場合か、それはともかくとして、適法、不適法を考える一つの重要な資料になるという程度のものかどうかですね。これは私には十分に理解できないのですけれども、少なくとも商法の会計監査の場合とそれから証取のほうの会計監査の場合とが、法的な効果において何か分かれている、商法のほうは厳格であり、証取のほうはそれほど厳格じゃないというふうな理解のしかたは、ちょっと私は納得しないのです、もしそういう理解のしかたがあるとすればですけれども。だから、みだりにこれを変更してはならないということは、証取の場合でも従来どおり行なわれる、そしてそれは常に正当な理由がない限りは変更できないのだとすれば、これは違法なんだということは少しも変わっていない。いま田邊参事官のほうからの御答弁では、毎期ごとに変更していく、しかもそれは粉飾決算のようなものを意図的に行なわれる、これはもう確かに反則だ、こう言われる。意図しているところがはっきりありますからそういうふうに言われるのだろうと思いますけれども、毎期変えたからといって、経済情勢がひんぱん激変をしているから別にかまわないのだというような理屈も特殊的にはあるのかもしれませんけれども、だから一般的に毎期変えればこれはみだりなんだ、そう断じ切れるものでもないと思います。結局は、計算のからくりで粉飾を行なう、そこに問題があるから、そういう意図でやるならば、これは正当な理由がないのだから違法である、こういうことで第五というものは何ら変更はないんだ。ただ注記する理由は、何か注解の中でこまごまと説明してあるという程度のものであって、それ以外の何らつけ加えたものでもなければ差し引いたものでもない、こういう理解でいくならば修正の中には入らない。文章は修正になっているけれども、実質は修正でないんだ、こうはっきり理解してよろしいかどうかですね。
○白鳥説明員 注解の項で非常に詳しく書いてございます。先ほど読み上げました中で特に重要なことを一つ申し上げますと、これは何もつけ加えていないということではございませんで、先ほど読み上げましたけれども注解の末尾の段をもう一度読んでみますと、「したがって、いったん採用した会計処理の原則又は手続について重要な変更が行なわれた場合には、変更が行なわれた旨及びその変更が財務諸表に与えている影響額を当該財務諸表に注記しなければならない。」特にここで強調しておきたいことは、影響額を注記させることでございます。この継続性の原則のポイントは先生も御指摘になっておりますように、要するに企業がかってに利益操作をして財務諸表を見る人の判断をゆがめるようなことがあってはいけないということが大前提でございます。期間比較を誤らせるような継続性の変更がございました場合には、その変更によってどういう影響が出てきたのかということをはっきりと財務諸表に注記させるわけでございます。この注記を読みますと、前回たとえば減価償却には定率法を使っていたのを今回定額法に改める。これをもし定率法でやっておればこれこれの金額になる、それの差額はこれこれであるということをはっきりと注記させるわけでございます。これによりまして期間比較の誤解をさせないように手当てをする、こういう点が修正案の非常に大きな改善点だというふうに考えられるわけでございます。この注記は当然株主総会などにおいて株主の目にも触れるわけでございますので、したがって、会社としましてもやたらな修正をしますと株主総会でおこられるということで、やたらに手続を変更することに対する一つの牽制になるのではないか、こういうことでございます。
○青柳委員 それはむしろつけ加えたわけであって、改正であり前進であるという御説明でございますが、それでは同じことを押し問答してもしようがありません。会計監査人は従来どおりと考えて限定意見を積極的に出す可能性が残っている。これで正当な理由という二項が抜けちゃったから変更があっても注記だけしておけばいいということから、注記があるからその点については何らの価値判断を加えない。そういうことではなくて、従来どおり積極的に正当な理由の有無を自主的に判断して、そして限定意見を出すということは可能である、この点についていわゆるデスクロージャー制度、企業内容公開制度とかいうのだそうですが、要するに株主なり投資家が企業の経理内容がわかるようにしておきさえすればいいのであって、正当か不正当かということまで会計監査人が介入する必要はないのだ、してはいけないのだというような、まさに企業にとってみると都合のいい議論はあるようです。しかしみだりに変更してはならないというのがある以上、これはみだりの変更であるかどうかということは、注記によって一般の人が判断すれば足りることであって、別に会計監査人が専門的知識をもって云々する必要はないのだという、そういう企業側に立ってみると限定意見などもうやらせない。会計監査人は企業会計の継続の原則の事実上の配慮というようなものを期待しているような、そういうことではないのだということは強調しておいてもよろしいのでしょうか、どうでしょうか。
○白鳥説明員 この企業会計原則の修正案が出されましてからもう四年ほどたっているわけでございますが、その間に書物などでこれの解説書であるとか文書が出ております。その中にあるいは企業の立場から、継続性の原則の意味でとにかく注記さえすればいいのだという意見を書いている本もございますが、そういうことはございません。私どもは、行政当局としては従来どおり公認会計士は継続性の利益操作となるような不当な継続性の変更があったときには注記させる、こういうことをはっきり申し上げておきます。
○青柳委員 昭和三十七年か八年でしたか、商法の一部改正があって、「引当金」の項が改正されて、その時分に国会でも審議の過程で議論があったことのようでありますけれども、引き当て金に負債性引当金というようなものが商法のことばの中ではないようですけれども、企業の中では負債性引当金というものがあるのだ、そしてそのほかに利益を留保するような各種準備金とか引き当て金というのがある。これが商法のほうではそういう利益留保引当金あるいは準備金というものも合理的なものとして許されているのだという、そういう解釈があって、そして今度の企業会計原則の修正にあたってはそのほうへ寄っていったということがあるのでしょうか。
○白鳥説明員 商法におきましては二百八十七条ノ二という規定がございまして、ここに「引当金」という項目がございます。「特定ノ支出又ハ損失ニ備フル為ニ引当金ヲ貸借対照表ノ負債ノ部ニ計上スルトキハ其ノ目的ヲ貸借対照表ニ於テ明カニスルコトヲ要ス」こういうふうになっているわけでございます。 そこで、企業会計原則の修正案におきましては、こういった法令で認められている引き当て金については先ほど御説明申し上げましたように、貸借対照表においてはその残額を負債の部ではあるけれども流動負債、固定負債でもない、特定引当金という項目を設けて別にはっきりと記載させる。一方損益計算書におきましては、先ほど御説明申し上げました四区分のうちの最後の区分に未処分損益計算という項目で特定引当金の繰り入れ額、取りくずし額を記載する、こういう扱いにしたわけであります。したがいまして損益計算書におきましては、第三項目までのいわゆる当期純利益、これには特定引当金の出し入れが入っていない純粋な形の当期の利益が出てくるわけでございます。このようにいたしますことによりまして、特定引当金を用いてかってな利益操作を行なうことができない、かりにこの特定引当金を計上いたしましても、貸借対照表を見れば、その残高がはっきりと一つの項目にまとめて出ておりますし、損益計算書を見れば、当期純利益のところには特定引当金を幾ら操作しても影響が出てこない、こういうことによりまして、いわゆる特定引当金を逆粉飾に利用するということを防止しているわけでございます。
○青柳委員 むしろ逆粉飾に利用されるのを防止しているという御説明ですけれども、どうも利益をいろいろな名目で隠しておく。だからよほど専門家でないと、そのからくりというものが理解できない。ことに一般株主とか投資家というのはそこまでは見抜くことができないんじゃないかという議論もあるのですけれども、そこの点は、いま説明があったような手当てによって専門家の会計監査人がその点を不適正であるというように、つまり逆粉飾であるというように見ることはできないのかどうか、そういう可能性は全然封じられているというふうに見てもいいのかどうか、その点はいかがでしょうか。
○白鳥説明員 この特定引当金は評価性引当金でもなければ負債性引当金でもないもので、法令で認められている引き当て金でございます。したがいまして、商法の二百八十七条ノ二の、ただいま読み上げました「特定ノ支出又ハ損失に備フル為」のもの、この商法の規定に該当しないような特定引当金は限定の対象になるわけでございます。
○青柳委員 そうすると、商法の規定による引き当て金というものについての理解がよほどしっかりしていないと、これは限定すべき引き当て金である、あるいは準備金であるというように判定を下すわけにはいかなくなるのですけれども、この企業会計原則の修正でいう法令というのは商法のことをさすと理解して、商法の規定にいう引き当て金というものは非常に明確なんでしょうか。これが何かあいまいなものであったとすると、結局はもとのもくあみみたいなものだと思うのですけれども……。
○白鳥説明員 先ほど読み上げましたように、商法では特定ノ支出又ハ損失二備フル為」、こういうふうになっておるわけでございます。したがいまして、特定の支出とか損失というものが予定されていないもの、たとえて申しますと、配当平準化引当金というものをもし設けるといたしますと、こういうものは明らかに利益処分によりまして処理が行なわれる、つまり任意積立金で処理すべきものではない、こういうふうに思うわけでございます。 なお、限定をつけるということとつけないということの意味でございますが、限定をつけるということは、こういうふうに間違っていますよ、正しくない処理をしていますよということをいうと同時に、財務諸表を見る人が、監査報告書を見て、ここのところが操作されているんだな、正しい金額はこういうふうになるんだなということを見て、投資判断を誤らないようにするわけでございます。今度の修正案によりまして、たびたび申し上げておりますが、その点が貸借対照表ではちゃんと特定引当金という項目で出ておりますし、損益計算書でも未処分損益計算の項目にあがっておりますので、当期純利益のほう、第三段階までの項目でははっきりとその金額がわかります。そういう意味では、投資者に対して誤った判断を与えるおそれはないわけでございます。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○青柳委員 私、あまりこのほうの専門でありませんので、この程度であれしますが、法的な手当てですね。昭和四十四年十二月十六日の大蔵省企業会計審議会報告によりますと、記の第三のところに「企業会計原則修正案の趣旨にそい、法務省令「株式会社の貸借対照表及び損益計算書に関する規則」及び大蔵省令「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」を修正し、両者の一致を図ること」こういうことが書かれているのですが、この報告はまさに省令で手当てをしなければならぬことを要請しているようですね。これは、この商法の改正が成立する場合には当然両方とも修正する、そして両者の一致をはかる、こういうことが期待されているわけですけれども、その点はいかがでしょうか。まず大蔵省のほうから……。
○白鳥説明員 この商法の改正案が国会を通過いたしますと、企業会計審議会におきまして、まずこの企業会計原則修正案について、所要の手続を経てこの案をとりまして、正式に新しい修正された企業会計原則として確立するわけでございます。それを受けまして法務省と大蔵省とで十分に内容を詰めまして、法務省令にある株式会社の貸借対照表及び損益計算書に関する規則と大蔵省令にある財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の修正を行なうわけでございます。
○青柳委員 そうしますと、先ほど説明のときに、企業会計原則というのは法律でも何でもないんだというようなお話もあったと思うのですが、結局はいまの省令という形で法的拘束力を持つようになる、そう理解していいわけですか。
○白鳥説明員 お説のとおりでございます。
○青柳委員 では、法務省のほうにお尋ねするけれども、法務省令のいま読み上げた株式会社の貸借対照表及び損益計算書に関する規則というものは、企業会計原則の修正されたものに照応して、それからまた大蔵省のほうでつくる大蔵省令と照応してでき上がるということになれば、三十二条二項の公正な慣行をしんしゃくするということは、しんしゃくして一々具体的なケースについて云々するのではなくて、しんしゃくした上で省令できめてしまうというふうにも理解できるのですが、その点はいかがですか。
○田邊説明員 大蔵省お答えのとおり、両方の規則の調整をいたすわけでございますが、商法の計算規則のたてまえは、会社の計算の実質に関してはすべて法律で定めてあり、その計算に基づく記載の方法、表示の方法というものを規則に授権されておる、こう考えておるわけでございます。そこで、規則修正の内容といたしましても、計算の実質的なものに関する変更ということはあり得ないわけでございます。そして、とりあえず予定しているような問題を申し上げますと、先ほど先生が御指摘になりました会計原則でいう継続性の原則に関するもの、これは規則では三条で、現在、そういう会計処理の方法を変更したときはその旨を記載しろ、こういっておるのですが、会計原則で修正されましたように、これは表示の方法といたしまして関係者に変更の内容を具体的に知らせるように改正をいたす、そういう手順を考えております。その他、引き当て金に関しましては未処分損益の計算の中にあげて、関係者に対する情報をこまやかにしようという趣旨の改正をするわけでございます。しかしその場合でも、この種の規定は商法及びその関係の法令として商業帳簿の作成に関する法令でございますから、その法令を解釈いたしますときにはやはり会計の慣行というものをしんしゃくするという関係で、慣行を素材として判断するという場面は当然出てまいります。お尋ねのように規則は法律に基づいておるものでございますから、法令として当然働く、規制の根拠になる、こういうたてまえになると思います。
○青柳委員 いまの三条は、変更したときには云々という、いま言ったようにこまかな注解のような内容の文章を入れる予定だというお話でございましたが、その原則の中にみだりに変更はしないことという、それは入れないのでしょうか。
○田邊説明員 その直接の文言はすでに商法の総則の中と、それからいま申し上げました規則の二条の中に入っていると一応考えているわけでございます。
○青柳委員 もうあまりこまごましたことはやめますけれども、ディスクロージャー制度というものですね、これはどうも証取法のほうに関連した概念のようですけれども、商法でも貸借対照表、損益計算書を公開するというようなことがもう当然のこととして行なわれているわけですから、それ自体、これも企業内容の公開制度だといってもおかしくはないのですけれども、何かそれ以上のものをこの制度には内容として持っているのじゃないかという気もするのですが、この点は法務省のほうではどうお考えになっておりますか。
○田邊説明員 計算の公示の方法の問題でございますが、現在商法では株式会社に関して、決算の結果株主総会で承認を得ました貸借対照表を公告しろという規定を持っておるわけでございます。そのほかには会社の本店、支店等にこれらの計算関係の書類を備え置いて、利害関係人の閲覧に供するという制度をとっております。しかし公告の面につきましては、一般にいわれておりますように必ずしも百十万の株式会社がすべてこの法令を順守しておるという保証がないような現状でございます。そこで、この一般公開の面につきましては、商法上も大きい問題として昔から取り上げられて検討が進められておるわけですけれども、その公示方法をめぐって大会社、中小会社にとってそれぞれ適当な方法は何かという問題に常に突き当たった結果、今回の改正法案の問題と同じように、やはり会社別にその公示方法を考慮すべきではなかろうか、こういう点で議論が詰まってきております。もし今次の改正法案が成立いたしますと、いま申し上げた観点でさらにこまかい検討をして、それぞれ適当な、合理的な公示の方法を考えるべき段階に来ると思っております。
○青柳委員 この企業内容を公示するということが、企業の秘密といいますか、何か資本主義経済のもとではお互いに競争が前提になっておるから、何でもかんでも公表してしまったのでは企業が成り立っていかぬ。だから、おのずから公開という問題にも限度があるみたいな議論がまことしやかに言われているのですけれども、特に私どもが問題にするのは、労働者が賃上げを求めても、それは利益があがっておらぬのだから、生産性を向上するようによく働けば結局はパイが大きくなるからそこから分けてやろうというような話で、企業の内容をあからさまにしない。つまり、もうかっていてもあまりもうからないようにする。それから製品が非常に高い。カラーテレビが原価は四万円かそこいらのものを十何万円で売りつけるというようなことはだめじゃないかとか、薬にしてもそうだと思うのですね。だから、原価が明らかにされないということは、これは一般消費者にとってみてもたいへんに困ることなんです。いろいろの資料に基づいていておのずから原価というのはこんなものだろうという点が見当がついて、それにしても高過ぎるのじゃないか。だから買わない。主婦連の人たちがカラーテレビは買わないということでだいぶがんばられたこともあります。そういうふうに、この制度というものは企業の秘密と称するものに制約を受けるのかどうか、この点はいかがでしょう。
○白鳥説明員 現在商取法上のディスクロージャーの制度におきましては、有価証券報告書を提出いたしますと、それが公衆縦覧に付されるわけでございますが、その場合、企業の秘密の必要によってその一部分について公衆の縦覧に供しないことを大蔵大臣に申請した場合には、その部分については公開をしないでいいようにする規定がございますが、この場合の企業の秘密と申しますのは、非常に重要な特許権があるとか、そういう問題でございまして、いま先生のおっしゃったような、住民あるいは一般公衆に対して企業がこれは企業の秘密だから隠したいというようなことで乱用するようなことは絶対できないようになっております。
○青柳委員 法務省のほうではどうお考えでしょうか。
○田邊説明員 商法のほうのお尋ねの問題でございますが、先ほど申し上げたように、商法は貸借対照表、損益計算書あるいは利益処分に関する書類、そういうものは株主、債権者一般に閲覧を認めているわけでございますが、お尋ねのような問題の商品の原価というふうなものをさぐり当てる帳簿書類というものは、株主の一定の資格を限って、発行済み株式の十分の一以上を持っている者に限ってこれを見せるという制度をとっております。これがはたして妥当かどうかという問題であろうかと思います。現行商法は、おそらく発行済み株式総数の一割以上を持つような、会社の所有者と考えていい人たち、そういう者に許している、そういう制度でございますので、御指摘の点はたいへん大きい問題だと思います。
○青柳委員 その問題、では大臣にお尋ねいたしますけれども、さっきもう私、申し上げましたから、くどくは申し上げませんけれども、最近独占価格がたいへんに問題になっているわけですね。だから、こういうものを防止するといいますか、要するに、一般消費者にしわ寄せが行ってしまうわけでありますから、企業が一定の利潤をあげるということは、それはいまのいわゆる自由経済社会でこれを禁止するわけにいきませんけれども、おのずからこれには限界があるのじゃないか。これを十分に調整するといいますか、わかりやすくいえば、あまりもうけ過ぎないようにさせるというようなことを商法の中で規定することがかりにできないとしても、何か制度的に考えてみる必要はないか。私どもの共産党では、国会に一定の権限を持った委員を設けて審査をする、そして適切な措置もとれるような権限を付与するというようなことがあっていいのじゃないか、そうすれば、独占価格というものは非常な弊害をもたらす部面において是正されるのじゃなかろうかというふうに考えているわけです。こういう例は諸外国にもあるようですから、わが国でも研究してみる必要があるのじゃないか。企業の秘密というようなことは、いま田邊参事官も株主には見せるというわけですから、おのずから秘密はその辺では解消されてしまっているわけですね。だから、株主に見せられるものならば、国会という国民の代表の機関の中で特別な機構を設けて、そして一定の資料を提出さしてこれを調べていくというようなことは可能ではないだろうかというふうに、決して憲法二十九条と抵触するものではなくて、経済統制とかなんとかいうことではないのじゃないか、全く自由主義経済をおかすものではないのじゃないかというように思うのですが、いかがでしょうか。
○田中(伊)国務大臣 自由主義経済のもとにおいては利益の追求は自由であるというたてまえも言えぬことはございますまいが、いま先生仰せのように、何としても、企業には申すまでもなく社会性を十分認識をしてもらわなければならぬ、こういう点から申しますと、商法の中に規定ができないまでも、何らかの方法で、いま申しました社会性という見地に立ってこれを究明する、明らかにする方途は研究する余地がある、検討をしてみなければならぬものだ、こう考えております。
○青柳委員 最後に一点だけ。大企業、大商社が買い占めをしていて、いろいろの弊害をもたらしていることはここでくどくど申し上げませんが、そういう中で、大手商社への高級官僚の天下り状況というものが調べられてあるわけですね。だから、一々ここで読み上げませんけれども、たとえば丸紅の現在の副社長の松尾さんという方は通産省の通商局長をやった方だ。そのほか現専務とか現常務というような人たちも、会計課長をやった人だとか、北海道開発庁の事務次官をやった方だとか、伊藤忠でも日綿でも三井物産でもどうもいずれ劣らぬ元高級官僚の方々のようであります。過去においても住友、伊藤忠、トーメン、丸紅その他いわゆる買い占め大手の企業、商社の重役さんに役人が来ている。それからそういうところから商社の政治献金というものが非常に目立つわけなんで、国民協会、これは自由民主党におもに政治資金を提供する機関のようでありますが、これに三井、丸紅、伊藤忠、三菱日商岩井、トーメン、安宅、住友商事、日綿、あるいは兼松といったようなそれぞれの大手商社から献金がいっておる。こういうような状況でございますので、これを改めない限りは、私は、それだけではないと思いますけれども、こういう点があって、そして買い占め、売り惜しみなどに対する政府の規制というようなものが行き届かないのじゃないか。今度監査制度を充実して業務監査もできるようにする。そこで有能な監査人があらわれて、取締役の暴走を阻止するという構想は、それ自体可能であれば何らかの効果を発揮すると思いますけれども、こういうお役人が大手の企業や商社に天下りをしているというようなこと、それから時の政府を構成している与党のほうに、政治献金がもっぱらそういうところから提供されるというような状況、これは決して問題になっているような売り惜しみ、買い占めのようなもの、こういうものを防止するのに役立たないのではないか、むしろ有害ではないかというふうに考えるわけですけれども、大臣はどうお考えになりますか。それだけお尋ねをして、私の質問は終わりにいたします。
○田中(伊)国務大臣 現実の問題として、いまお話しのような天下りであるとか政治献金というようなことが売り惜しみ、買い占め等の財政、経済関係の地盤というものに何らかの影響があるのではないかというお尋ねの御趣旨はよくわかるのでありますが、売り惜しみ、買い占めを取り締まります際に、さような関係というものは顧慮に入れない、そんなことを入れるわけがございません。それは売り惜しみとか買い占めとして、これが反社会性のものであり、法規違反のものであります限りは、これに対しては厳正、公平な態度でその処分をしていっておりますことは、最近の事例をごらんをいただきましてもわかるとおりでございます。
○青柳委員 終わります。
○大竹委員長代理 次回は、来たる七月三日火曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十分散会