法務委員会 第34号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/06/19
会議録
○中垣委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上三法律案を一括議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 商法改正三法案につきまして若干質問をいたしたいと思いますが、最初に、法務大臣にお伺いしたいのですが、昨年からことしにかけて非常に、経済事犯といいますか、企業不信というようなことに結びつくいろいろな事件が続発をいたしておると思います。一番大きいのは公害の問題ですけれども、これはもう御承知のとおりでありますが、そればかりではなくて、いわゆる商法の対象である商人、これが非常にいろいろな問題をいろいろなところで起こしているのであります。これは、もうすでに御案内のように、商社のいわゆる買いだめ、売り惜しみという問題、さらにまた、証券取引の面では、協同飼料の問題であるとか、あるいは最近の図書印刷の問題であるとか、また殖産住宅の問題であるとか、こういう問題が続々出ておるわけであります。しかも、そういう問題に対して、商社の買い占めが行なわれたときには商社に対する国民のえらい不信というものが一気に燃え上がるわけですけれども、そしてまた証券市場の問題が起きたときには、株に対する不信が盛り上がるというようなことがあるわけでありますが、それが過ぎると、比較的われわれ国民は問題を忘れがちなんですけれども、しかし、いずれにしても、いまだかつてなく、最近そういう事件が次々に続発して、企業不信という時代に入っている、このように考えるわけであります。 こういう問題が、商社法を制定して、それでは商社を規制する方法いかん、あるいは証取法をもっときびしくして証券業者をしっかり取り締まろうというようなことがそのつどいわれるわけでありますが、今日このような状態を生んでいる基本は、商法のたてまえというか、商法の本質的な規定、こういうようなものの中に、言うならば、商法というものが、企業を中心にして取引の円滑化あるいは企業の維持、強化、発展ということばかりに目を置いて、その正しいあり方、企業関係の国民全体に対するあり方というようなものについて、商法が根本的に指針を差し示す何ものも規定を置いていない。民法には公序良俗の規定だとか、権利の乱用を押える規定だとか、いろいろなことがありますけれども、その民法すら、商法というと商行為との関連において、これがみんな民法の商科というようなことで、いつの間にか商法概念の中ではそういう重要な根本の規定というものが色あせてしまっておるというようなことを通じて、今日根本的には商法のそういう面での不備というものがそういう今日の企業悪というようなものを生み出しておる根源にあるのだ、こういう考えを持たざるを得ないわけですが、法務大臣は、その辺のところについてどのようにお考えになっておられるか、まずその所信をお伺いいたしたいと思うわけであります。
○田中(伊)国務大臣 おことばのように、企業の社会性とでもいうべきものが高揚されなければならぬ時期に当面をしておると考えるのでございます。先生仰せのように、自由経済のもとに営利企業が行なわれておって、その営利企業が社会性を無視して、売り惜しみ、買い占め、公害その他の問題を引き起こして御迷惑をかけております。これは一体基本的にはどういうことに原因があるのかといいますと、これは、会社法的観察といたしますと、会社の運営の中心をなしておりますものは、社長、副社長、専務、常務取締役を中心とするいわゆる執行部でございます。その会社の執行部が積極、消極に行なっております行為をチェックして、これを規制する制度が、わが国商法上ない。営利を目的とする会社が営利を目的にして仕事をするのはあたりまえではないかというたてまえになっておる、ここに着目をいたしましたのが監査制度でございます。これは、無理にそこへ押しつけて、うまいこと説明しようというのではなしに、ほんとうにそういうことを考えておりまして、しっかりした監査役の大ものをここに据えまして、そして会社の反社会性をチェックさせよう、それがためには監査役の任期も、取締役が二年ならこれも二年にしておくべきである、それから、監査役の権限というものも、いままでのような、つまり会計の帳じりだけを合わせていくという会計監査にとどまらないで、材料の仕入れから生産工程から、でき上がりました商品の販売ルートに至りますまで、すべて営業に関する監査は一切業務監査を行なわしめる、監査を行なわしめるだけでなしに、監査を行なって、その反社会性をチェックするがためには、監査役の権限を強化しなければいかぬ、具体的に申しますと、取締役会に出席することができる、発言することができる、反社会性がチェックできる、それを聞かざれば差しとめ請求権を与える、なお聞かざれば、民事裁判所に請求をして仮処分を断行することができるというような、ちょっと強過ぎるほどの権限をこれに与えてみようということになりまして、この点を御審議をいただいておるわけでございます。したがって、このため新しい制度としての業務監査を行なう監査役の任期の問題と、権限強化の問題というものを遺憾なくお許しをいただきますと、ある程度企業の社会性というものを守っていく上にお役に立つのではなかろうか、こう考えておるのでございます。これだけで十分であるというわけにはまいらぬのでありますけれども、これは非常にあずかって力があるのではなかろうか、こういうふうに考えて、御審議をわずらわせておるという次第でございます。
○広瀬(秀)委員 大臣は、私のほんとうに聞きたかったことを答えずに、だんだんそういうことも聞いていきますけれども、基本的な問題点を私は聞いているわけなのです。 商法というのは、要するに今日の自由主義社会、そして資本主義社会、こういうようなところでの商法、特に日本の商法典においては、商人というのは一定の継続性を持ち、計画性を持ち、そして営利を目的とする個人または組織体が商人として規定をされている。そして、そういうものが、商行為あるいは補助的商行為、こういうようなものをやっている。その商行為の基本は何だといえば、これはあくまで営利の追求である、こういうたてまえになっている。そういうもので、しかも商法のたてまえは、それに対しても企業の維持であるとか、企業の円滑な運営あるいは流通の確保、こういうようなことで、あらゆるそういうものに対する言うならば援助、保護を与えるというような立場で貫かれている、こう見ていいのではないかと思うのです。もちろん、いわゆる独禁法、公正取引の確保というような点での制約があったり、この国会にも提出されました有害商品等に対する規制があったり、いろいろな規制は単独法で、特別法として存在はいたしますけれども、商行為全全体の大もとになるのは、やはり基本法である商法であると思うのです。その商法に企業の正しい運営の、国民経済的な立場あるいは国民生活との観点から何らか商行為をやる商人というものの規制というようなもののあり方をびしっと示していくというようなことが、商法においては一番大事なことではないのか、そういうようなことがないから、最近、特にこれもあとからいろいろ警察庁にも聞きますし、大臣にもお聞きしたいと思うのですが、たとえば今日の商人の中で最も大きい支配力を持っておる株式会社の組織、こういうようなところでは総会というようなことが、これは本来ならば企業もやはり民主主義の立場に立たなければならない、そういうような立場からいうならば、最高決議機関として、これはもう絶対のものでなければならぬ、ところが、商法改正の歴史は、遺憾ながらその総会の権限をどんどん縮小するということにだけ設けられてきて、いまやこの総会というのは全く有名無実、総会屋の手にどのようにでもあやつられて、二十分か三十分で、あるいは去年あたりは公害企業などでは五分で終わった四分で終わったというようなところがある、こういうようなことになってきている。そういうような現象というものを生んだこの基盤というものは、やはり商法全体を貫く一つの基本原則、それは国民全体のたとえば奉仕者でなければならぬのだ、国民全体の生活を脅かすようなことになってはいけないんだというような、そういう企業行動の原理そのものが的確に示されてないからだ。これは、言うならば企業の社会的責任の規定、あるいは企業のモラルというようなものが商法にはやはり欠落していると私は思うのです。これは、商法典によると、その次は商慣習によるのだ、その次は民法によるのだ、こういう包括的な規定はありますけれども、その民法が商法とのかかわり合いになると、民法の原則がどんどん商法の立場でくずされてしまう。商的取引の安定性とか、営利の追求とかいうことによって、民法がだんだん昇華してしまうというような形の中で、やはり商法自体の中にそういう規定というものがいまこそ設けられて、その部分が改正されなければ、日本のこういう今日の決定的な企業不信を生んでいるようなものはあらたまらないのではないか、その点についてどうお考えですかと聞いているわけなんですよ。ひとつ率直にお答えいただきたい。
○田中(伊)国務大臣 商法それ自体の規定を見ますと、先生仰せのような反社会性の行動をチェックするという意味の規定が欠除しておるということは、私は先生の御説のとおりであると存じます。しかし、本来を申しますと、株式会社制度というものは、自由経済のもとにおける利潤追求の許される営利会社なんですね。営利会社でありますから、その営利会社が社会性を持っていくように、反社会性があります場合にはそれをチェックするようにするにはどうするかというと、法律の規定それ自体でいろいろ腐心をしていくということ、先生お説のようにごもっともでございますが、また、もう一面にはやはり企業内部の自主的な努力によって、この反社会性をチェックしていくという方向が理想のものであろう、こう考えるときに、いわゆる業務監査を含む監査制度、その監査人の権限の強化というような機能を新しい監査制度に持たしてそして自主的にそれを調整していくようにしていきたいということをこのたびの改正はねらっておろのでありまして、先生仰せのとおりに確かに欠如しておる、現状のままではいかぬ、こういうふうに考えるのでございます。
○広瀬(秀)委員 欠如しているということをお認めになったのであるけれども、そのあとがたいへんいけないので、実は企業の自主的な企業努力あるいは企業にもそれぞれ団体もある。しかしそういうことで今日まで放置してきたところに今日のような企業不信のいろいろな現象が、国民から決定的に企業が悪である、社会の悪であるといわれるような企業不信の根というものがどんどんはびこってきている。しかもそういう問題に対して公取の機能というようなものが必ずしも的確に有効にワークしていない。これはまた公取自身の組織の問題あるいは体制全体、取り締まりに当たる、監査に当たる人たちの人数の問題とかいろいろな問題はありまするけれども、まさに六月十二日のエコノミストの「展望」というところに四大証券の寡占化の問題というようなことが取り上げられておるわけでありますが、これを何とか解消される方向でやろうという方針を企業自身が出してきた、こういうようなことを大臣は言っておられるのだろうと思うのです。しかし、この巨大企業集団の支配力は従来と比べものにならないほど強力になり、価格操作を思いのままやれるし、投機的な行動さえ横行しているにもかかわらず、公取委は現行の独禁法では取り締まりは不可能と拱手傍観をしている、こういうことがいわれておるわけですね。私どももやはりそういう状態だと今日思うわけであります。したがって、商行為の基本法であり、商人を対象にしての法典である商法を改正しようというからには、現代的に改正の意義をとらえるならば、やはりそういうものに対して何らかの措置を考えなければならぬ。このことが一番大きい問題点ではなかったのかということでありまして、先ほど大臣が冒頭において私に答えられた諸問題というのはいかにも小さい問題だ。それも一つの方法であるには違いないが、これは言うならばほんとうに場当たり的な一部分にしか過ぎない。根本の今日的要請にこたえるものではない、こういうように私ども思わざるを得ないわけなんです。企業が自主的にやれるように、そして企業の内部でその監査もしっかりやれて、そういう反社会的なことがなかったり、あるいは国民にたいへんな迷惑を及ぼすようなことがないように、監査の問題を重点に今度は取り上げたということで、監査役の権限を強化をするというようなことで取締役と遜色のない——いままでは何といっても監査役というとお飾りだということであった。勢力も内部において弱い。しかも任期の問題等につきましても独立性の問題につきましても保障がなかった。こういう問題を拡充してしかも会社内部の業務監査、会計の監査だけでなくて業務の監査が今度は主力になるだろうと思うのです。特に大きいところについては公認会計士による監査人制度が導入されますから、そうしますとそういう会社においては、会計ももちろん監査するわけですけれども、監査役は業務監査がおそらく現実に中心になってくるだろう。そういうことになるならば、先ほど大臣が、確かに社会的な責任というような問題について、企業のモラルというような問題について商法の規定は欠落しているということをお認めになられた。何かやはりそういうものを完ぺきに補充をしていくというような立場をとるならば、もっと監査役制度をそれより一そう強化、充実した、特に独立性を補正したというならば、これをもう少し財界との妥協ではなくして、ほんとうに純粋に、当初民事局の参事官室試案というのが出た。それから要綱がまとめられたというようなことになって、その要綱を中心にして、それが財界等に示されて、財界の意見にかなり押しまくられて、比較的良心的に、純粋な立場で、ほんとうに社会的責任というような問題についても効果があると思うようなそういう法案になってあらわれればいいのですけれども、それが逆に後退をしてしまって、いいものがむしろ後退をした、それはやはり財界に対する妥協であったのではないかと思われる節がたくさんあります。そういうことについて、たとえば監査役の独立性の問題、あるいはそういうものを確保するというようなことで任期の問題等も取締役が二年だからということで、それと合わせた、これで十分じゃないかというお答えでございましたけれども、これは審議会等では任期三年が最長期間であり同時に最短期間であろう、ここらがもう絶対的なものであるということでお示しになっておる。それをまた財界がそうなると監査役に押しまくられて、取締役会が後退してしまうというようなおそれ、ここでかえって企業がやりにくくなるというような意見を強く取り入れて、こういうものでも妥協をしてしまったのではないか。諸外国でも三年というようなこともあるし、あるいはイタリアでございましたか六年ぐらいで、監査役というものはほんとうに正しく考えていけばそのくらいの任期を持たせてしっかり業務監査も会計監査もやるような方向に行くならば六年ぐらいだっていいのだという立法例だってある。そういう中で二年に妥協したというようなことは、財界に押しまくられた、財界とのいわれなき妥協だ、そうしてそういう皆さんの当初考えておったものが非常に後退をしてしまった、こういうように考えるのですが、任期の問題についてどのようにお考えですか。これはやはり当初の考え方が著しく後退したその理由についてはっきりさしてもらいたいと思います。
○川島政府委員 お話にございましたように、今回の改正案は法制審議会で決定いたしました要綱に若干の修正を加えてございます。ただいま御指摘の任期の問題につきましても、要綱においては三年、現在一年でございますから、これを三年に伸長するという案であったわけでありますが、今回提出いたしました法律案ではこれを二年にするということにいたしております。この点のみならず、そのほか若干の点につきまして法制審議会の答申した要綱に異なる点があるわけでございますが、これは立案の過程におきましていろいろ考えました結果修正を施したものでございまして、ただいま財界の要望に屈したのではないかというようなお話がございましたが、必ずしもそういうわけではございません。たとえば法制審議会の要綱におきましては、監査役に会社の業務全般の監査を行なわせるということにいたしておりましたが、この点はすべての会社について考えておった問題でございます。ところが今回の案では、資本の額が一億円未満の株式会社につきましては、基本的には現行制度の線と同じ会計監査にとどめるということにいたしております。 このように、いろいろな面で若干重要とも思われる修正を施したわけでございますが、いずれかと申しますと法制審議会の答申というものは、これは法制審議会の構成上、役所の方が多くて、比較的理想に近い案というものが示されておるということが言えると思います。それに対しまして、現実に法案を作成いたします場合には、やはり実際界のいろいろな実情というものを考えまして、あまり全般的に急激な改正を行なうということは、かえって運用上問題を生ずるあるいは混乱を生ずるということも心配されましたので、将来の方向といたしましては、法制審議会の要綱の線を尊重することになると思いますけれども、部分的には円滑にこの改正が実施されるということを考慮いたしまして、若干の修正を加えたということでございます。しかしながら、全体といたしましては、法制審議会の意図しております趣旨、これは今回の法案におきましても十分生かされている、そのような配慮は加えてあるつもりでございます。
○広瀬(秀)委員 今回の改正の、いうならば目玉とでもいうべきものは、監査役に取締役の業務執行に対する監査権を認めたということが一つの大きなポイントであった。そういう中で、先ほど若干私も言い間違いましたけれども、西ドイツでは四営業年度を任期としておる、フランスでは総会で選ばれる場合に六年ということ、イタリアが三年ということになっておるということですから、言い間違えた点は訂正しておきますが、そういう先進国の立法例もある。そういう中で、法制審議会で三年ということ、しかも最短、最長という奇妙なことばも使っているということ、それ以上でも以下でもいけない、ここら辺のところが今度の監査役の制度を改正するというのでは最も適当であるという絶対の自信を持って、奇妙なことばであるけれども、そういうことばを使われた、そういう答申を出されたということだったら、それをすなおに受け入れる。今日までも日本の会社、特に大会社における監査役が、非常に低い地位に押しやられて、あるかなきかわからぬような存在になってきたということから改正するというならば、その答申を受けてずばりそのものを出すというぐらいのものがなければ——これは取締役より長期になってもいいと思うのです。それがむしろ独立性の保障であろうと思うのです。そういうようなことを、これは押されたのではないとあなた方は答えるでしょう。しかし、やはり日経連なり経団連なりの人たちがいろいろ法務省とも折衝されたというようなことで、私どもの意見はもうほとんど通ったのだというようなことを、これはあとでまた触れる問題にも関連するわけですけれども、そういうようなことすら言っておられるというのです。そういうようなことは経団連から出ているパンフレットにも出ているのです。そういう報告がされているのです。そうだとすれば、やはり財界の要請というものに、正しいアイディアルなものがアクチュアルなというようなところで押え込まれてしまった。そうはいったって急激に、そうなっておるというようなことが勝ちを占めて、そういうことになったと見ざるを得ないわけなんです。そういうようなことがほかにも随所に出ているわけですね。たとえば監査役の選任、解任の場合でも、要綱におきましての段階では、この選任の場合でも総会の招集通知そのものに監査役の候補者の名前を出すのだ、そしてそれに対しての意見陳述権を認めるとかあるいはまた定足数の場合でも、取締役選任の場合の定足数と同じようにするというようなことがあった、そういうようなものも後退してしまって、この改正案のように、言うならばこういう点は削除された、それから解任の場合でも、同じようなことがこの要綱に盛られておったけれども、その点もそのまま取り入れられなかった、こういうような問題点がある。 さらにもう一つ問題点を、時間もありませんから、一時間半でやめろということですので、ついでに申し上げておきますが、監査役の報酬と費用の問題、これなんかについても審議会の答申に基づく要綱というようなことと、今回提出された法案の中身とは非常に差がある。要綱では、やはり監査役の報酬というようなものは取締役と別ワクにしろ、そういうものではっきりさせるべきだ、それを役員報酬というようなことで総体でくくってしまっているというのが今度の改正案でありますが、これはやはり別ワクにするという要綱の行き方が正しいだろうと思う。報酬の今度は分配のことになりますと、総ワクできめられて、別ワクになっていませんから、分配するということになりますと、どうしても取締役優先できめられてしまう、こういうようなことにもなりかねないわけであります。そういうことが現実に必ず起こるだろう、このことはもう火を見るより明らかだといわなければならない。そういうことを承知しながら、あなた方はそんなことを現実問題として知らないはずはない。ところがそういう点でも後退をしてしまっている。費用についての監査役の判断を優先させるというようなことについても後退をしてしまった。こういう点などについても、なぜそこまで後退したのか、先ほど大臣が当初に答弁をされた精神からいくならば、当然その要綱の線というものがやはり改正案にも盛られてしかるべきである、こういうように思うのですが、その辺のところをどのようにわれわれは理解したらいいのか、自信のほどを聞かしてもらいたいのです。この案で一向差しつかえないのだ、大臣が言われたような目的は、少なくとも法文の上では後退しておるけれども、かくかくの理由によってその点は、心配御無用でござるという、そういう的確な理由があったらお示しをいただきたいと思うのであります。
○川島政府委員 ただいま若干の点について、要綱と法案が違うのではないかというお尋ねがあったわけでございますが、監査役の選任、解任についての問題でございますが、これは今回の改正案におきましても、監査役がそれについて意見を述べることができるという規定は設けておりまして、答申の内容と異なっておりません。 また定足数の問題でありますが、これは監査役を選任する場合の株主総会の定足数に関するものだと思いますが、これは準用規定によってそのような改正を今回行なっております。したがいまして、御指摘の監査役の選任、解任の問題あるいは選任の際の株主総会の定足数の問題につきましては、法制審議会の答申どおり改正を行なっておるというわけでございます。 それから報酬の問題でございますが、これは現行法の解釈といたしましても、取締役と監査役は当然別ワクの報酬を定めるべきであるというふうに規定の上から考えられますので、この点につきましては、特に要綱にありますようなこまかい規定を設ける必要はないのではないかということで、今回はそこまでの規定は設けることを考えなかったわけでございます。まあ実際には取締役あるいは監査役の報酬につきましては、運用基準といったようなものを前提にいたしまして、額を明確にしないで決議されておるといった実情がございます。このような方法をとりますと、いかに監査役について別ワクだということを明確にいたしましても、必ずしもその趣旨が徹底できないのではないか、こういう心配もあるわけでございまして、この問題につきましては、今後取締役の制度について検討を行なう場合に、監査役と合わせてさらに検討する必要があろう、このように考えておる次第であります。
○広瀬(秀)委員 まあ実際的には別ワクになるんではないかという、法文の上ではそうなってないけれどもそこまできめる必要はないだろう、こういう御趣旨の答弁でございます。この報酬の問題については。先ほどの定足数の問題については、私の勉強の足らないところでございましたので、これは誤解をしておったかもしれません。 しかし、この監査役の権限の強化、独立性の保障、こういう点では、やはりこの監査役というものをそこまで改善していこうというならば、これは法文で明確にして、やはり日本の国民の考え方といいますか、月給をよけいもらっている者は地位が上なんだというものは、これはもう国民全体に定着している考え方です。それで、権限を強化し、地位を強固なものにし、独立性を保障していこうというものについては、やはりこれだけの報酬というものを保障するんだという、ちゃんとした独立性を持った報酬というものを別ワクできめるようなシステムにしていくということは、やっぱり論理の一貫性という点でも必要なことであるし、そういう国民的な心情といいますか、そういうものが基底にあるという中で、そういうものはやっぱり私は必要ではなかったかと思うのでありますが、これはそういう点では若干不備であるということをお認めになりますか。
○川島政府委員 法令の上では確かに先生おっしゃるように、必ずしも明確でないとおっしゃられれば、おっしゃられるような感じのする点がございます。しかしながら、まあこの点につきましては、非常に技術的な問題とからんでまいりますので、なお検討をしたいというふうに考えております。と申しますのは、株式会社の決算期に作成いたします計算書類、この中にその付属書類というのがございます。この付属書類の中にどういう事項を書き込むかということは、この商法改正が実現いたしました場合には、法務省令で定めるということになるわけでございますが、その法務省令の中に、取締役の報酬と監査役の報酬を別々に記載させるというようなことを掲げておるわけでございまして、その省令制度の際に、ただいまお尋ねになりましたような点を考えながら適切な規定を設けていきたい、このように存じておるところでございます。
○広瀬(秀)委員 省令で書くということですが、省令は強行性がありますか。
○川島政府委員 これは法律に基づく省令でございますので、もちろん強行性がございます。なお、この付属書類というものは、従来は決算期の株主総会のあとに作成するということが普通でございましたけれども、今回の改正案におきましては、株主総会前に付属書類を作成し、そしてそれを一般の閲覧にも供する、こういうことに考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 具体的にそういう省令が出て、それをやはり個々の企業体が従わない、以前どおりにやっておる、従来どおりにやっておるというようなことを発見した場合には、法務省としてはどういう措置をとられるのですか。この問題についてだけ限定して……。
○川島政府委員 内容によりますけれども、やはり過料の規定がございます。なお、付属書類につきましても、監査役あるいは会計監査人の監査が行なわれるということになっております。
○広瀬(秀)委員 次に問題を移しますが、この監査は監査役だけではなく取締役の持つ業務監査権、こういうものもあるわけでありますが、この強化された監査役の監査と取締役の業務監査権、こういうものの間に見解の相違による衝突というようなことがあった場合に、どういう決着がつけられていくものなのか、その辺のところの調整というものはどのように法的に処置されておるわけでありますか。
○川島政府委員 会計監査人の監査を受ける大会社にありましては、計算書類についてまず会計監査人が監査を行ない、そのあとで監査役が監査を行なう、こういう順序になるわけでございますが、会計監査人は会社の使用人でございませんから、第三者の立場から公正な監査を行なうということが要求されておるわけでございます。次に監査役の監査でございますが、これは会計監査人が監査の結果作成いたしました監査報告書を見ながら、さらに独自の立場で監査を行なうのでありまして、その監査役の監査の結果は別に監査役の監査報告書というものにまとめるわけでございます。その間監査役として会計監査人の意見を聞きたいという場合には意見を聞くこともできますし、両者の意見が異なる場合には、それぞれ異なる監査報告書が作成される、このようになっております。そしてこの両者の監査報告書は株主総会の通知に添付されまして株主にも周知されるということになっておりまして、その結果、株主総会で会計監査人の意見を聞きたいというような場合には、会計監査人を総会に呼んでその意見を聞くこともできる、このようになっております。会計監査人それから監査役、それぞれ独自の立場において、自己の責任において十分な監査を行なわなければならない、こういうたてまえに法案はいたしておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 取締役の業務監査権、監査役の業務監査権、こういうようなものでこの監査報告書が二つに出る場合がある。そういう場合、会計上の問題については公認会計士たる会計監査人、これはまあ資本金五億円以上という会社になりますけれども、そういうものの意見を聞く。それはまあ総会でもその意見の陳述が保障される、こういうことになる。そうするとこの二つの異なった意見が営業報告書なりそういうものに書かれるということになった場合に、それが事前に閲覧に供される、決算総会の事前に閲覧に供されるというような場合に、これはディスクロージャーの問題とも関連するわけでありますが、どちらを信用していいかというような、取引先なりあるいは株主なり従業員なり、利害関係者というような人たちが判断に——そういう二途にいずるというようなことになれば、判断にとって非常に迷わすというか、そういうことになりかねないと思うのですが、そういう点についての配慮というものはどのように考えられておるのですか。 これは大蔵省の証券局のほうからも、証取監査とダブる商法監査、今度は一体化したということでありますが、五億円以上では上場会社が非常に多い、こういう観点から、両者からその辺の食い違いをどう——利害関係人の利益を保障するという立場での判断の材料を的確に提供するというようなことから、迷うような状態の中でディスクロージャーされるという問題が、どうわれわれ理解していいのか、その辺のところを教えていただきたい。
○川島政府委員 会計監査人の監査と監査役の監査、その二つが食い違うということは当然考えられるわけでございます。それぞれ独立の立場で監査を行なうわけでございますから、そういう場合が生ずるのはやむを得ないわけであります。もちろんその過程におきまして両者が話し合って、ここは自分の考えが間違っておったというので、同じような意見に統一されれば問題こざいませんけれども、そうでない場合には別々の意見が出る、これは制度上やむを得ませんので、先ほど申し上げましたように、株主総会にそのまま持ち出されまして株主総会の判断にまつ、終局的には株主の判断にまかせる、こういうことになるわけであります。 株主総会におきましては、最終的な決算の営業成績というものを、これで、正確になされておるかどうか、取締役が十分な活動をしたかどうか、あるいはその利益の処分をどうするかといった点について審議を行なうわけでありますので、その際にいずれかの意見をとって、そしてその上で最終的な承認の決議をしなければならぬ、こういうことになるわけでございます。監査報告書の食い違いということはあり得るけれども、これは最終的には株主総会が決議する、こういうことになるわけでございます。
○坂野政府委員 今回の商法改正案が施行をされますにあたりましては、基本的には両者の食い違いはないというふうに考えております。 と申しますのは、商法の計算規定と、それから証取法に基づく監査証明書あるいは企業会計原則の修正案というようなものがこれから準備されます。そうなりますと、商法と企業会計との間に基本的な食い違いというものはなくなってくる、こういうふうに考えております。 ただ、会計技術的にやや異なった見解を付するということはあり得るかと思います。これは主として従来から公認会計士の限定意見というようなことでついておる場合もあるわけでありますが、これはきわめて会計技術的な問題でありますので、基本のところが食い違うというような話ではないと思われます。しかしそういうことはあり得るわけで、いま民事局長が話されたようなことになるかと思いますが、民事局長の説明を補足いたしますと、基本事項についての食い違いというのはあり得ない、こういうふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 その問題についてはあとでまた伺います。 法務省に伺いますが、監査役の業務監査というのは、業務執行の適法性ということに限定されるのか、あるいはその妥当性はどうなのか。適法ではあるが妥当ではないというような場合もあり得るだろうし、そういう妥当性の問題、そういうものまでこの監査が及ぶのか、こういう問題点についてはいかがですか。
○川島政府委員 適法性の範囲か妥当性の範囲かという問題でございますが、基本的には適法性の範囲というふうに考えております。もちろん、業務監査を行ないます場合には、会社の業務全般を知っておる必要がございます。したがって、監査役は取締役会にも出席いたしますし、出席いたしました以上、発言することもございますし、それは必ずしも適法、違法の問題に限られないわけでございますけれども、しかしながら、監査役が本来の職務として、たとえば違法行為差しとめの請求を行なう、あるいは監査報告書を作成するとか、あるいは株主総会に特別の報告をするというような場合には、すべて規定によりまして、法令違反の行為あるいは不正の行為といったような限定が付されておりまして、これらの規定から考えますと、監査役の監査の範囲は原則として適法性の範囲に限られるであろう、このように考えるわけでございます。 もちろんこの点につきましては、学者の間にいろいろ意見がございます。もう少し広く考えるという考え方もございますが、これは非常に微妙な問題でございまして、たとえば取締役の会社に対する忠実義務違反というものを適法、違法の問題であるというふうに考えますと、その範囲はかなり広くなるわけでございまして、学者がいろいろ議論しておりますのも、結論的にはそれほど大きな差異はない。最初に申し上げましたように、原則として適法、違法の問題に帰着するであろう、こういうふうに考えるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 この監査役に業務監査権を与えて権限を強化したという趣旨を徹底させる立場に立てば、これはやはり妥当性の監査まで——表面適法である、しかしその行為は会社の利益にならない、むしろ損害になるというようなことにつて、その所見をきちんと監査役から述べる、そういう権限も中に含まれているんだということのほうが、やはり論理的には監査役の権限強化という趣旨が一貫するだろう、こういうように私は思うわけですが、それはいろいろまた、学説の問題で論争のあるところのようですから、それだけにとどめておきます。 それから、取締役会の監査役の出席について今度保証されておるわけですけれども、その出席通知を怠ったというような場合には、その監査役の出席せざるままに取締役会が開かれて決議をされた事項は、そういう場合は無効になるのかどうかと、この辺のところをお答えいただきたい。
○川島政府委員 原則として無効と考えるべきであろうというふうに思います。 ただし、通知が行かなかったにかかわらず、その監査役が取締役会に出てきたというような特殊な場合におきましては、その無効事由たる瑕疵が治癒されたというふうに見られる場合もあろうと思います。原則としては無効である、このように考えております。
○広瀬(秀)委員 次に支配従属会社、親会社、子会社。今度新しく親会社の定義、子会社の定義も法の中できまったわけですが、それで今日の複雑な、しかも企業の支配従属体制というのが非常に強まっている今日の段階で、会社の財産なり会計なりについて真実を表示できるためには、当然従属会社に対する監査も及ばなければならぬ、こういうような立場で親会社の監査役が子会社の監査をする、こういうことができるようになったわけですが、ここにはさらにまた子会社というものがもう一つ自分の支配する会社があれば、言うなれば孫会社のようなものがあれば、そういう孫会社まで親会社のもと親会社、そこの監査役が、その子会社がまた子を持っておったという場合に、その子会社の子、孫会社とかりに言っておきますけれども、そこの監査までこれは当然できるのかどうか、この点についてお答えをいただきたい。
○川島政府委員 お尋ねのように孫会社がある場合に、そのおじいさんの会社が孫の会社を監査できるかという点でございますが、今回の改正案の二百七十四条の三の第二項におきましてその点を規定いたしておりまして、孫会社についてもこの子会社調査権が適用があるというふうになっております。さらにその後についてはどうかということでございますが、この規定の趣旨から申しまして、これもできるであろう、このように考えております。
○広瀬(秀)委員 それはわかったのですが、今日一つの企業悪の問題点、しかも粉飾決算ということが今度の商法改正の非常に大きな契機をなしたということは、この商法改正に至る沿革を見れば歴然たるものであるし、そういうことも今度の立法理由にもなっているわけですけれども、子会社を利用して粉飾決算の道具にする、こういうようなことがありますから、そういうことも考慮されるのも一つの当然の要請であっただろうと思うのです。それであるならば、今日一つのそういう経済形態が、そういう形ではびこってきているというような場合に、一つの問題は、やはり、親会社の従属支配ということがその子会社というものに対する非常に大きな制約になる。粉飾を押しつけられたり、あるいは会計監査を自分のところで独立性なしに、親会社が選んだ者からどんどん監査をされる、そういうようなことで非常に拘束だけを受ける。従属会社だからしょうがない、株の半数以上を持たれているのだからしょうがないといえばそれまでですけれども、そういうのはいかにも気の毒である。そういう粉飾を押しつけられるというようなことがあったという場合に、子会社にしっかりしたりっぱな監査役があったら、今度は親会社を監査をしなければならぬ、こういう考えになるのはやはり当然の考えだと思うのですね。株を持っているから、従属会社だからもう何をされてもいたしかたない、自主性が全くない、押しつけられっぱなし、そういうものが、親に伺かって今度は監査をするというようなことも、私は理論上やっぱり保障されなければ、これはもう支配従属というものが強まるばかりで、子会社をいじめるばかりで、親会社は何でもやりほうだいというようなことであっては、私はこれはどうも彼此権衡しないと思うのですね。均衡を失する。資本の論理で、強いものと弱いものという形で支配と従属の関係にある、株の過半数を持たれている、出資口数の過半数を持っているという場合では、何もかもやむを得ないのか。こういう点では近代的民主主義の要請という基本原則を踏まえたらどうも納得できないものがある。 学説等においても、従属会社の監査役が親会社の監査もなし得る、こういう連結財務諸表というようなこともありますから、そういう親から下へ下へとくるのはいいけれども、今度は下から上へいく、それだって財務諸表において連結しているのです。そういう企業形態が今日非常に強まっている、蔓延している、かなりそういう傾向というものが強まっている中で、もうそろそろ上から下をいじめるばかりでなしに、今度は下から上の横暴を正す、上の間違いを正していくというようなことも、法律的に保障されなければならぬだろうと私は思うのですが、そういう点ではこれは大臣に、そういう方向というものは間違いだと思われますか、それともそういう方向もこれは十分検討して、この次の改正をやるようなときにはそういうものもやろうじゃないかというお気持ちがありますか、このようなところをお聞かせいただきたい。
○田中(伊)国務大臣 営利会社、民間会社という形の株式会社に関することでございます。資本の過半数を持っておるものが支配的な勢力を持っていくということは、これはどうも民主主義の原則にそう気にするほど違反をしたものではなかろう、むしろ当然のことであろうということも言えぬことはない。 しかし先生仰せのように、やたらに親会社、祖母会社、こういうものが子供や孫会社に圧迫を加えるなどということが行き過ぎることは、これは深く考えなければならない、こう思うのですが、なかなか先生この段階に参りますとこれはむずかしい。どこがどうということはなかなか容易なことではない。何しろ営利会社だ、資本の過半数を握っておるのだ、このたてまえに重点を置くのか、孫や子供の会社の営業の運営のやり方というものに自由を持たすということに重点を置くのかということはなかなか容易なことではございませんが、これはお説のとおり私は非常に重要な事柄だと存じますので、次期の商法の全面改正というもの、今回お願いをいたしておりますのは根本的な抜本改正のごく一部でございます。これ以外に重要改正というものが抜本的にはございますので、これに着手をするにあたりましては、このことは深く考えてみたい、検討をしてみたい、こう考えます。
○広瀬(秀)委員 今日までの頭で考える、現状を全く肯定をするというようなことでは非常にむずかしいことでありますが、まあそれにもかかわらず、次の機会にはこれをやはり考えるべき問題であろうという大臣のことばですが、これは学説でもそういうことをかなり強く主張される有力な学説を持った学者もどんどん出ているということは、今日の商法全体の状況が冒頭いろいろ私が申し上げたような社会的責任、企業責任というような、あるいは企業モラルというような問題とも関連して、やはり大きければ何でも独裁的な力を発揮し得るという事態をいかに規制をして、企業モラルを回復して、国民生活を脅かすようなことになってはならないのだという、そういう時代的要請というものは、逆にそういうことを商法によって保障することによって担保されていく面があるだろうという立場で、その点はこれ以上深く論議をしませんが、そういう前向きの姿勢でこの問題も取り組んでいただくようにしてほしいと思うわけであります。 そこでもう一つ監査役の問題で聞いておきますと、総会招集請求権、これが要綱から欠落をしたということなんでありますが、要綱できめられておったものが新法では取り入れられなかった。これは古い商法なんかにはあったわけですね、ずっと前の二十五年ころのあれですか。それがなくなって、また要綱ではそれを復活するようなことになったのにそれをやらなかった。これはどういうわけなのか。それから監査役の独立性の確保を後退さしたという、いろいろな問題を先ほどから個別に申し上げましたけれども、これはどうしても財界からの、そういうことを一々やられたのでは取締役会がもうやりにくくてしかたがないという立場で、大会社の圧力というかそういうものがあるんではないかと思うのですが、大臣はこの点、そういうことは全くないと言い切れるのですか。総会を招集するということは監査役にも与えられて初めて監査役の権限の強化、地位の向上、独立性の保障というようなことがやっぱりここで締めくくられるような気がするのです。それを落としてしまっている。そういうところについてどのようにお考えですか。
○田中(伊)国務大臣 これは株主総会の招集権、もう一つは取締役会の招集権というものも一つの問題がございましたね。これをここまで監査役にやらすということは、ちょっと急激な変化があり過ぎるのではなかろうか。財界の圧力などということは全くございません。ございませんが、あまりに急激な変化が起こり過ぎるのではなかろうかというふうに考えましてこの程度におさめたものでございます。ほんとうの理論一本の理想から申しますと、ほんとうに監査役に権限を持たすためには、取締役の任免権まで持たしていこうということであれば理論的には徹底するわけでございます。これは日本の現在の状況から申しますと行き過ぎておる。それから監査役が取締役会の招集権を持ったり総会の招集権を持ったりするということも、ちょっとこの段階においては行き過ぎておるのではなかろうか。これは第二段のかまえとしての検討事項に入れるのが妥当ではなかろうかということで、今回はこの程度にとどめたということが真相でございます。財界の圧力に屈したとか、そういうことはございません。
○広瀬(秀)委員 その点は水かけ論になりますから、まあ次の機会に十分考えてみたいということですから、それを一応信頼して次の質問に移ります。 冒頭にも申し上げましたように、株主総会、取締役会、こういうものが実際に今日商法の対象としている商行為全体のもうほとんど大部分を占めている、会社の実権を握ってあらゆることをやっていると見ていいわけです。実態はそういうことだろうと思うのです。そういうことで、この株主総会というものが商法上最高の機関とされておるのだけれども、これが最近では非常に有名無実になっている。この株主総会というものは依然としてやはり会社の機構、組織、こういう中での最高の決議機関である、こういうことについては大臣、いささかも変わっておりません。お答えいただきます。
○田中(伊)国務大臣 いささかも変わっておりません。ますます重要な役割りを演ずるものとして取り扱っていかなければならぬと、こういう考えに立っております。それからこの点について一口申し上げたいと存じますことは、形式に流れて、先生先ほどおことばがありましたが、三分か五分で大会社の総会が終わる、賛成賛成、ぱちぱちで終わる。こういうことは一体何ごとかというおことばがございましたが、おことばのとおりであると存じます。大体こういうことになりますのは、株主総会に出席を求められて出席しているけれども、どんなことが審査されるのか、対象となる事柄がわからない。貸借対照表、損益計算書、剰余金計算書といったようなものは、その場に出ていってみなければ机の上にない。出席するまでの間にあらかじめ審査することのゆとりがない。一種の事後審査みたいなものであります。ばちばちとくるわけであります。そういうことはどうもやはり事前に必要がございますので、ここに書いてあります計算書類と称せられる書類は、付属書類は別でありますけれども、計算書類につきましては、これは招集通知状といいますか、招集状軍隊みたいな話になりますが、総会招集の御通知状にこれを添付して送っていく。これは新制度でございます。添付して送っていく。それは監査法人、それから内部の監査役、これが独立不覊の立場で監査をいたしました監査書類がそのまま、食い違いがあってもそのまま送られてまいりまして、判断の余地が事前にちゃんとできるようにして、そしてその書類を判断して、その頭脳を持ったままで現地の総会に臨む、今度はこうなるわけでございますが、議論がしっかりできる。やたらに人から議論を押えられるような心配はない、こういうことになるのでございまして、今度の方法によりますと、相当議論が尽くされるゆとりと余地が出てくるように制度ができておりまして、事前に文書が届く、こういうことが違うところでございます。 それ以外に、先生の仰せのおことばに従って判断をいたしますと、株主総会というものはまだまだ構成にも運用のやり方にも、議長のあり方にも考えを加えていかなければなりませんが、これは抜本改正の第二段の改正でこれをやっていきたい。とりあえずこの場合は監査役制度の改正、権限の拡張でどの程度まで実績をあげることができるかということを一ぺん見てみたい、こういう考え方であります。
○広瀬(秀)委員 証券局長にお伺いしますが、ディスクロージャーを上場会社についてもうやっているわけでありますが、これの企業開示をやったものが、いま株主、利害関係者等にどのように利用されているか、その実態をどういうようにつかんでおられますか。
○坂野政府委員 証取法の財務内容開示制度の目的は、御承知のとおり、投資者保護にございます。その当該会社の発行する証券に投資しようとする人にその財務内容を公開する、こういう制度であります。したがいまして、これの目的がそういうことでありますので、当然そっちの方面に非常に大きな貢献をしているというふうに考えておりますが、ただ株式に関しましてはわが国の株式市場のあり方、価格形成のあり方等から必ずしも財務内容そのものが明確に反映しないような価格形成も行なわれておりますので、そういう意味からまだ財務内容公開がぴたりと株式市場に反映するというまでには至っていない現状かと思います。
○広瀬(秀)委員 すでに、法務大臣、証取法に基づく監査はかなり企業会計原則あるいはその修正案というようなこと、そういう公正な会計慣行に従って行なわれたものが開示されている。そういう上場会社の総会、特に問題を起こした、ことし年初以来協同飼料があった。それから最近では図書印刷があった。最近ではまた殖産住宅の上場の問題をめぐる問題があった。これは上場したばかりですから、そういうルールには乗っておりません。しかし、いわゆる買い占め、売り借しみ等によって異常な価格上昇の大きな原因をなした商社などは全部そういう企業会計の開示制度が行なわれてきておった。そういう制度があるにもかかわらず、やはり総会ということになりますと——いま大臣は非常に楽観的に述べられました。今度は事前に監査されたものが、そして公正な会計慣行に基づいて行なわれた、公認会計士たる監査人の監査証明書がついて、有価証券の報告書も出るし、営業報告書は除かれますけれども、そういう形になっていく。しかもそれが事前にいくのだ、したがって、そういうものが今度は総会に興味をもって出ていくであろう、こういうことで、したがって、総会の最高議決機関たる地位というものはそういう点で実質的に保障されていくのではないかということを非常に楽観的に申されました。しかし、上場会社の場合には、すでに企業開示というものが原則的に行なわれておった。ところが、先ほど申し上げたような大きい上場会社というようなところの総会はどうか。ほとんど軒並みに総会屋が入っている。そして二十分とか三十分とか、たとえば三菱が三十五分、三井物産は異例の四十五分であった。それから丸紅のごときは十四分。商社の中でも一番鋭い指弾を浴び、食管制度に違反してまで、米の買い占めまでやったという問題の丸紅が十四分。伊藤忠商事が型通りの十三分、こういうことなんですよ。開示をしても、もう相当な知識を持っておったそういう上場会社の場合には、すでにそういう制度がとられてきておったわけですから。それにもかかわらず、そうなんだ。 今度五億円以上の場合には、公認会計士制度を導入して、監査をさせて、事前に開示をしよう。そして、総会——商社の中にそういうものがみな入っていくというようなことになるから、総会で議論すべきポイントもつかんで、ちゃんと審議するであろう。そういう楽観的なものは、現実の問題としてはなかなか効果が期待されることが——なるほど理論的には総会を実質的にほんとうに総会らしくしていくことに、まるきり役立たぬとは申しません。これは何ほどかのことはあるだろうと思います。しかしながら、日本の企業、日本の大会社というものは今日そんな体質にはないのだ。こういう問題会社がみんな総会屋を頼んで十分だとか十三分だとか、あるいは異例の四十五分だとか、こういうことで総会を運営している。 それから総会屋というものの結びつき、これは大臣に答弁してもらう前に、総会屋というものは、どういう資格で総会に繰り込んで、そしてどのくらい総会屋というものがおって、財界からどのくらい金が流れているかとか、そういうような問題点について、これは警察庁も来ているようですから、警察庁も総会屋の実態というもの、総会を株主のほんとうの意思の利害関係人のほんとうの意思というものに反して、しゃんしゃんで、論議をさせない、審議をさせない、そういうものにしてしまう。その問題について、まず総会屋の対策を、本来ならば商法の規定の中で総会屋などが入り込む余地のないようなものにしていく。それからほんとうに実質的に最高の議決機関である、そして企業モラルというようなことについてもそういう中で当然審議さるべきものである、こういうようなとらえ方をし、そういうものを商法の中で考えていく、こういうことが本筋ではあるけれども、それがなかなかできない。そういうような立場で、この総会屋というものの総会を牛耳っている姿というものの実態、財界から、会社の取締役会などが、これはまあ指令だけ出して、実際に金をばらまくというのは従業員を使う、使用人を使うというようなことで言いのがれているようであるけれども、実態はそういうことではなさそうであるから、その実態について警察庁から、警察庁の今日まで取り締まりに当たってきた現状の把握と、それから今後その問題について警察庁としてどういうようにそういうものをなくしていく対策を考えておられるか、そのことをまず伺って、そのあと大臣にお伺いしたいと思います。
○田村政府委員 総会屋の問題でございますが、これは性質上潜在的なものが多うございますし、また財界からの金の流れというようなものにつきましても、潜在的でなかなか把握しがたいものがございますので、警察といたしましては事件として検挙したいというような面で把握をしておりますので、それがすべてであるということにはちょっと申しかねると思いますけれども、現在そういうふうな事件、検挙などの面で警察で把握しております総会屋あるいは会社ごろ、新聞ごろなどの数は、およそ千五百名ほどでございます。これらの者は主として東京、大阪等の大都市に居住をする、あるいは事務所を設けて活動をしておるのが実情でございます。このうちグループを結成しておるものもございまして、私どもが把握しております範囲は大体五十数グループで、五百名くらいがそういうふうなグループを結成いたしております。 それから総会屋等の資金でございますが、これはほとんど企業から賛助金とか寄付金とかあるいは広告料というような名目で資金を得ておるのでございますが、この実態はなかなか事件として出てまいりませんので、実態がつかみにくいというのが事実でございます。 それからまた企業のいろいろな業務運営上のミスその他の弱点を利用しまして、恐喝をするというような事例もございます。また最近は一部の暴力団の幹部が総会屋と結託したりあるいは総会屋に転身をしたりして、企業を恐喝するというような動きも出てまいっております。それで昨年中に事件になりまして検挙をいたしました暴力団、あるいは暴力団と結託をした総会屋などが、企業を舞台として恐喝事件をやっておりました、その被害額、会社側からいわば総会屋、暴力団等に流れた金額の一部ということになろうと思いますが、これは大体五十四件で約四億七千万ほどか、私ども事件として掌握をいたしております。このほかにも、捜査の段階で事件になるというふうに考えられるような被害額も出てまいっておりますが、なかなか被害届けを出していただけないというような事情もありまして、はっきりした事件の金額としては出てまいっておらないというようなことでございます。 それで警察といたしまして、このような総会屋等に対してどのような対策をとって、こういうふうなものを事件を検挙してできるだけなくしていくかということでございますが、やはり東京、大阪等の主要都市におきましては専従の取り締まり班を設けまして、そういうふうな取り締まり体制を強化をしてまいる。それから会社側との連絡を緊密にしてまいる。それから特殊なこういうふうな暴力を防止しようとするような協会のようなものもできてございます。そういうふうなものにも働きかけて、いろいろな施策を推進をしてまいりたいということでやってまいっておるのでございますけれども、私ども事件の捜査という観点から見ますと、やはり企業側の経営の基本的な姿勢と申しますか、そういうような点に問題があるのじゃないかというふうに考えられますので、先般来警察庁の幹部がそういうふうな企業、財界等の幹部と会合を持ちまして被害の未然防止の策、それからもし被害がありました場合には早期かつ積極的な被害の届け出をしていただく、それから暴力団関係者に対する賛助金あるいは総会屋等に対する寄付金なり講読料というふうなものを出すことを中止をしていただくというふうなことについて協力を要請いたしておるところでございます。 なお、昨年一年間で総会屋等の検挙の状況は五十七件、五十一名ということになっておりますが、今後とも形法あるいは商法の規定を十分適用を考慮いたしまして協力な取り締まり推進してまいりたい、このように考えております。
○広瀬(秀)委員 まあほとんど大きな会社が、総会屋の支配の中で総会が行なわれているということが現実と見ていいと思います。大臣もさような御認識を持たれていると思うのですが、そのように見てよろしゅうございますか。
○田中(伊)国務大臣 そのように考えております。 それからたいへん重要な御質問でございますので一言法務省の立場からもお答えを申し上げておきますと、いま警察から御説明をいただきました、熱意をもって取り締まりをしていくというお考えでございます。この線に沿うて法務省の取り締まりも厳格にやっていきたい。いままでも総会屋を処分しておるのですよ、検挙をして。しかしその処分のやり方が違うのです。会社を恐喝した、おどして金を取ったということでとらえている。肝心の商法に基づきまして商法上贈収賄、総会屋に工作をして不正の請託をして金を渡す、これは商法の贈収賄として処断すべきものだ。それが警察においても検察においても、この法規の適用がおろそかになっておって贈収賄ということに観点を置いてぴしゃり取り締まるという態度が足らなんだ、これに深い反省をしたい。今後はいま警察の仰せになりましたように、司法警察と十分に検察は連絡を密にいたしまして、そうして商法に基づく贈収賄という、これは要件は不正の請託をいれて金銭を授受するということでございます。総会屋に金を渡すということ、恐喝でなくても総会屋にそういう趣旨で金を渡しただけでくくる。これは断固取り締まりをする。第一発はやっております。これを徹底的にやっていきたい。 それからもう一つ、それは要らぬことだと先生仰せになるかもしれませんが、そういう総会屋が活躍をして三分か五分でぱちぱちとやって大会社の総会が終わるなどということは、基本的にはどういうことになるのかというと、当日出ていってみなければどういう審議が行なわれるのかどういう書類を見せられるのかわけがわからないということで出ていく、そこでばちばちということになるのでございますから、事前に十分にその計算書類を審査をしていただく余地のあるように計算書類を渡しておく。それは具体的に申しますと営業報告書であるとか貸借対照表であるとか損益計算書であるとか、また企業会計原則、この上で申しておりますところの剰余金の計算書であるとかいうような一括いたしました書類は全部つけて、招集通知状とともに、先ほど申し上げましたように事前送付をしておく。こういうふうにして自分で読める人は読んでもらう、専門家に読ます人は読ましてもらって、そして知識を持って現地に出てくる。これならばちばちと手をたたくことになりませんので、そういうことにこのたびは改正をいたしておりますので、この改正法が出ますと相当株主一人一人の認識と態度というものが変わってくるのではなかろうか、こういうふうに考えまして、これに期待をもって改正をお願いをしておる次第でございます。
○広瀬(秀)委員 時間がもうきたという御注意を受けましたが、おっしゃるように図書印刷の事件を契機にして商法四百九十四条の会社荒らしの、いわゆる不正の請託を受けて贈収賄が行なわれたというその点に着目してそれを今度はポイントにして取り締まりを強化する、これはたいへんけっこうなことだ、どんどんこれはやってもらいたいし、そういう商法などでやはりもう少しそういう立場で警察庁がやっていけば総会屋の横行、ばっこというようなことを完全に封じ込める方向にいける可能性も今度の事件は示しておると思いますから、それはひとつしっかりやってもらいたいということであります。 それから、これは六月十六日の読売新聞によると「株主総会を刷新商法改正・審議会検討へ」、検討したいということなんであります。この点について、株主総会が形骸化しているものをほんとうに実のあるものにしていくのだというそのことについて、もう一段この株主総会のことについてこの審議会に検討を求めるという、これはこの新聞に出たとおりにそういう改正の方向を目ざしてやられるかどうか、この点はどうなっているのですか、確認をしておきます。 それから、あと時間がありませんので、公認会計士制度の問題で、これを導入するということになっております。そこで証取法の監査、そのよるべき基準は企業会計原則とその修正案、こういうようなものになっておったわけであります。で、ぼくは、証取法の監査というのは、企業会計原則も、いわゆるアクチュアルなスタンダードとして、あるいはアイデアルなスタンダードを追求しつつアクチュアルなスタンダードをきめるという点においてかなりシビアなものがあったし、かなり有効であった、こういうように実は考えておったのです。ところがそういう中で今日まで証取監査をやっておった公認会計士の限定意見が付されるというのは、問題は主としてその継続性の原則というようなものについて、かってに利益操作のために準備金や引き当て金というようなものを適当に操作をするというようなことについての限定意見が非常に多かったという。ところがその継続性の原則というものについては法務省はきわめて消極的であり否定的であった、こういうようなことで、今度は商法上の計算規定というようなものとその企業会計原則というものをあわせよう、一体化しよう。そして監査の一体化、そういう計算規定との一体化というようなことのために、せっかく築き上げてきた証取監査、非常にシビアな、かなり理想的なアイデアルなものに近いアクチュアルなスタンダードであった企業会計原則というものが曲げられてしまった。私はこの点と、特定引当金の問題あるいは継続性の原則の問題等について非常に問題があると見ているのですよ。これは企業側に対する妥協、それから財界からの圧迫に妥協したというか、そういうもので、これはかえってその面では、今度の商法改正をめぐるその部分については、非常に改悪であったように実は思うのです。その辺のところについて、これは特に上場会社に及ぼすところが非常に大きいわけでありますから、今度五億円以上上場会社ばかりではありませんけれども、そういうような問題について大蔵省の側でも——私たちはそういう懸念を実は強く持っている。企業が、営利企業ですから、利益をどんどんあげよう、しかしその利益は適当に隠したり何なりということで利益の操作が自由にできる、フリーハンドをむしろ持つというような状況に今度の改正を契機にしてその面では非常な改悪が行なわれるということを私どもは見過ごすことはできないのです。そんなことをやってまでこれが生きてくるのか。公認会計士による監査人制度というものを五億円以上の会社について取り入れながら、その実体は、よるべき判断の基準というようなものをうんと緩和をしてしまったというか、財界、一企業向けに妥協してしまったというその問題については、実はその問題だけで一時間ぐらいとってやりたかったのですけれども、時間がもうなくなっちゃったものですから、理事さんからも注意されておりますし、委員長からも注意されておりますから、その点前段のことは法務大臣それから証券局長にお答えをいただいて、私の質問を終わるわけです。
○田中(伊)国務大臣 企業会計原則に修正を加えます修正の限目は、継続性はあくまでも堅持する、持続するということでありますから、これは間違いはございません。
○川島政府委員 株主総会に関する改正を検討するかどうかという点についてお答えをいたします。 商法改正問題は法制審議会の商法部会が中心となってこれまでも審議をいたしてまいったわけでございまして、今回のこの監査役の監査制度の問題が片づきました後にはさらに新しい問題に入るわけでございますが、今回の国会における御審議等を十分報告いたしまして、委員の方々も株主総会あるいは取締役会等の問題について非常に関心を持っておられますので、おそらくそういった問題について検討されていくことになるであろうというふうに考えております。
○坂野政府委員 企業会計原則修正案はかなり前につくられたものでありますし、またその内容はお説のとおりきわめて複雑多岐にわたっておりますので、その内容の正しい解釈が何であるかというようなことについてのPRが非常に不足しております。これは私どもとしても今後十分に趣旨を徹底していく必要があると痛感いたしておりますが、まず継続性の原則につきましては、御承知のとおり「正当な理由」ということばをとったわけであります。しかしこれは何が正当か正当でないかということの論争を防ぐためにとったのでありまして、継続性の原則そのものをゆがめるとかゆるめるとかいう気持ちは毛頭ございません。それは注解のほうをずっと読んでいただきますと、詳しく書いてありますが、これがもしゆがめられればお説のとおり企業会計というものはもうがたがたになってしまうわけでありまして、こういうことは毛頭ございません。 また特定引当金の問題にいたしましても、税法との関係で従来からいろいろ解釈が変わったりいたしておりますが、今回は特定引当金というものはそれを明示しなければいけないということで、損益計算書の面でも貸借対照表の面でもこれを明らかにするということで、むしろそれをはっきりさせるということに改正の意義があるというふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 答弁たいへん不満ですけれども、時間がございませんので、これで終わります。
○中垣委員長 次に板川省吾君。 〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
○板川委員 商法等の改正案について若干質疑をいたしたいと思います。前の質問者と多少ダブル点がありましても御容赦を願いたいと思います。 まず第一に、今回の商法改正の根本的なねらいというのはどの点にあるのか、大臣からひとつお答え願いたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 改正のねらいの第一は監査役制度を改正をしまして、会計監査だけでなしに業務監査にまで及ぼう、それをするには監査役の地位の強化、権限の強化が必要でございますので、この強化をはかった、こういう点が第一のねらいでございます。 それから第二は、取締役の選任をいたします場合に、一人だけを選任をいたします場合は問題はないのでございますが、二人以上の取締役を一度に選任をいたします場合に、今日まで適用されております累積投票制度、これを定款をもって排除しようとすれば完全に排除できる。定款で排除をしても商法の規定により四分の一以上の請求があれば累積投票をやらねばならぬなどという現行の制度というものはやめにしよう、これが第二でございます。 それから第三は、資金調達関係でございますが、株式を時価で発行する、この場合に額面以上の金額は全部法定準備金に繰り入れられるわけでございます。この場合に株主の利益となりますので、株主に対しましては発行価額の一部を免除することができるような処置をしたい。発行価額の全額を免除するというやり方は現行でやっておること御承知でございますが、一部免除ができますように処置をしていきたい。同時に転換社債を発行いたします場合に、これは取締役会の判断に一任をして、うんと機動性を持たせて資金の調達をやらしてみたい、こういうことが第三のねらいでございます。 第四のねらいは、年一回の決算期を持っておりますガス会社であるとか電灯会社であるとかいったような会社でございます。これは現在の上場会社の約四分の一、二割五分くらいに相当する会社が一年決算でございます。一年決算ではどうしても株主に不便がございますので、株主の便利のために一年決算の場合でもひとつ中間配当ができるようにしよう。むろん前期に残額が残っていない場合は中間配当のやりようがございません。それから当期が利益を得る見通しがないという場合にも許さぬわけでございますが、そういう制限がない場合においては、株主の利益のために中間配当を許すことにしてはどうであろうかということが第四のねらいでございます。 それからもう一つ、最後に第五には、まことにけしからぬ話でございますが、株式会社を名前をつけておきながら、何にも仕事をしていないという会社がうんとございます。これは意外にございまして、大体の見通しでございますが、現在百一万の株式会社がございます中で、約二割に相当する二十万前後は、看板だけあげて仕事はしてない、こういうものはすみやかに合理的な方法によって整理をする必要がある、いわゆる休眠会社の思い切った整理でございます。この整理をしたい。こういう五つのねらいが、このたび商法改正としてお手数をわずらわしておるねらいでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○板川委員 そこで、私は今回の改正の第一の問題であります株式会社監査等に関する商法の特例、これを主として質問をいたしたいと思います。 これは事務当局でいいのですが、第一条がこういうように制定をされますと、五億円以上の会社、五億円未満から一億円以上の会社、それから一億円以下の会社、この三つに分かれておりますが、この三つの区分のそれぞれの監査のあり方等の差異をひとつ説明してもらいたいと思います。
○川島政府委員 今回の改正におきましては、監査役の権限を従来の会計監査権限から業務監査の権限に拡大いたしております。しかしながら、一億円以下の株式会社につきましては、会社監査のみを行なうということにいたしております。それから特例法におきまして、資本の額が五億円以上の株式会社におきましては、監査役の監査のほかに会計監査人の監査の制度を新しく設けることにいたしております。その結果、お尋ねのように、三段階に分かれるわけでございまして、まず一億円以下の株式会社におきましては、監査役は会計監査のみを行なう原則として、従来と同様でございます。これに対しまして、一億円をこえ、五億円未満の株式会社につきましては監査役が業務監査を行なう。従来は会計監査のみでありましたが、今後はその権限を拡大いたしまして業務監査を行なう。それから五億円以上の株式会社、これにつきましては監査役が業務監査を行ないますほかに、計算の専門家である会計監査人が監査を行なう、つまり監査役と会計監査人の監査とが相並んで行なわれる、こういうことになるわけであります。
○板川委員 私の聞いたところによりますと、百一万全国に株式会社があって、その中で一億円以下が百万をこえており、九九%が一億円以下である、一億円以下の会社は従来と監査のあり方は変わりはない、そうしますと特例法というのは、本来ならば一番数の多いところを商法で原則として、他を特例とするというのがほんとうかなと思いますが、一番多いところをいわば特例法できめるという感じがいたしますが、これはちょっと本末転倒の感じがいたしませんか、いかがでしょうか。
○川島政府委員 お答えの前にちょっと数字を申し上げておきたいと思いますが、現在株式会社の総数は百一万五千余でございます。そうして仰せのように、一億未満の株式会社が大部分を占めておりまして、約百万五千というのが一億円未満でございます。 それでは大多数を占める一億未満の株式会社について特例法に規定するのはどうかという御趣旨でございますが、御承知のように株式会社というのは大企業、相当大きな資本を持っている企業を想定してつくられたものでございまして、実際には一億未満の株式会社の中にはきわめて個人企業にひとしいような、名前は株式会社でございますけれども、その経営の実態はほとんど個人企業と変わらないといったようなものが相当多数含まれておるわけでございます。それからまた、実際に日本の経済を大きく動かしておりますのは、一億以上、五億、十億以上の大会社でございまして、株主の数にいたしましても、資本金の額にいたしましても、あるいはその営業の規模にいたしましても、一億未満の会社のすべてを合わせたよりもはるかに一億以上の株式会社のほうが大きな範囲で活動を行なっている。こういう実情にかんがみまして、一億未満については特例法に規定をした、こういうことでございます。
○板川委員 大臣に伺いますが、この第三条において、「会計監査人は、監査役の過半数の同意を得て、取締役会の決議をもって選任する。」こういうことになっております。私は、なぜこの取締役の決議をもって選任しなくてはならないか、こういう疑問を実は持つわけであります。監査役の過半数の同意を得れば、といって会計監査人ですから、取締役と全く顔を知らなくてはいけませんから、それは監査役が取締役会に本人を通知するなりでいいのじゃないだろうか、こう思います。そうでないと、監査の独立性というもの、株主や債権者にかわって執行部取締役を監視するというたてまえからいって、取締役会の決議をもって選任するということは、いわば取締役会に従属性を持つのじゃないだろうか、こう思いますが、どうしてこういう「取締役会の決議をもって選任する。」という条項が入ったのでしょう。その点ふしぎでならないのですが。
○川島政府委員 会計監査人は第三者の立場から公正な監査を行なうということをたてまえにいたしております。したがいましてまたその選任をどのような手続によってするかということは、御指摘のようにきわめて重要な問題であろうと思います。株式会社において選任するということも考えられますし、監査役が選んでくるということも考えられないことはないと思います。しかしながら、この法案のとりました立場は、会計監査人というのは監査役とは別の立場で監査を行なうものであるから、監査役の下に立って監査業務を手伝う、そういうものであってはならないということを考えまして、監査役の選任とはしなかったわけでございます。 それからまた株主総会ということも考えられるわけてありますが、これは株主総会はそうちょいちょい開かれるものではございませんし、また取締役、監査役を選んで会計監査人を選任するという形をとりますと、いささか会社の機関という印象を与えるのではないか、そういうようないろいろの配慮から、やはり会社の全般的な業務執行を行なう取締会の決議で選任するのが最も無難ではないかということでこういう立場をとったわけでございます。ただ、取締役会の決議だけで選任してほかには何も必要がないということにいたしますと、取締役の都合のよい人間を会計監査人に選んで、その監査が必ずしも適正に行なわれないという心配もございますので、この規定にございますように、取締役会の決議をもって選任するとかそれについては監査役の過半数の同意が必要である、また監査役を選任した場合にはその旨を株主総会に報告しなければならない、このようにいたしたわけでございます。
○板川委員 この監査役と会計監査人とは、会計監査人はこれは外部の人ですね。監査役は役員の一員ですからね。ですから同列じゃないのですが、外部の会計監査人を置いたということは、しかもこれがこの公認会計士の資格を持たなくちゃならぬということは、日本の監査制度というのは、従来監査役というのは、あとからまた議論いたしますが、率直に言って重役になれない人かあるいは会社を卒業した功労者に対して監査役でもやっておこう、こういうような程度で、監査役の役割りというのが実は実質的にはあまり評価されないのです。だから、今度はもっとぴしっと監査させるためには会計監査人という外部の人を設けて、そしてこの外部の人をもって企業と離れた独立性を持たせながらこの株主や債権者にかわって会社の経理内容を検討しよう、こういうことであろうと思うのですよ、このできた趣旨は。大臣先ほどもそう説明されましたけれども、そういう趣旨からいえば、私はこの取締役会の決議をもって選任するというのはおかしいんじゃないでしょうか、こう言っているのですよ。何もただ関係なく会計監査人を選べというのじゃなくて、そうでなければ、外国の例等を見ましても、株主総会できめている例が多いのですね。株主総会できめるとかあるいは監査役の過半数の同意を得たらそれで任命してもらうか、そして通知すればいい、取締役会には。あるいは監査役の同意を得て株主総会できめるとかこういう形にして、しまいのほうの「取締役会の決議をもって選任する。」というのは、監査の独立性という面からいって私はこれは不適当な字句じゃないだろうか、こういうことを議論しているわけですね。なぜそういうことを主張するかというと、御承知のように最近もこの数年間起きておる粉飾決算あるいは不正な株価つり上げ、こういうような案件、事件は、山陽特殊鋼とか日本鋼管とか東映とか三共とかこういうふうな、最近は協同飼料あるいは図書印刷ですか、そういう例を見ますと大体社長がワンマンで、ワンマンの会社ほどそういう粉飾決算や事件が起こるのですね。いいときはいい。しかし悪くなったら、ワンマンの会社ほどばたばたと悪くなる。それはチェックする機能がないからだ。株主や債権者に多大の迷惑をかける、こういうことになると思うのです。だからそういう意味で、私は会計監査人というのは、「監査役の過半数の同意を得て、」あとの後段のほうは必要のない事項で、監査役が取締役会に紹介をするという、通知をするという程度でよろしいのじゃないか。あるいは株主総会でこれを選任するといったほうが妥当ではないか、こういう議論をしているのです。いかがでしょうか、大臣。
○川島政府委員 まず、現在の監査役があまり実力のない者が選ばれているのではないかという点は、そういう例が必ずしも少なくないということは事実であろうと思います。ただ、この法案の立場が、それを前提として、監査役の監査では足りないから会計監査人の監査を受けさせるのだという点につきましては、必ずしもそのように考えていないわけでございまして、従来の監査役というのは、会計監査しか行なっていなかった、それを今回は業務監査の全般について権限を広めまして、さらに付随の権限もいろいろ認めまして監査役というものの地位をもっと引き上げるということを考えておるわけでございます。したがって今後は監査役としては相当な大物が入ってくる。これをまず第一に考えておるわけでございます。そうして監査役の権限は業務全般に及びますから、会計という特殊専門的な分野につきましては、さらにその点についての専門家である会計監査人の監査を加えて導入しよう、こういうのが今回の法の考え方でございます。 そこで、再び会計監査人の選任の問題でございますが、確かに仰せのような方法も考えられると思います。しかしこの点は先ほども申し上げましたように、いろいろな形が考えられる。しかも利害得失いろいろございます。会社が会計監査を受けるというのは、個人がお医者さんに行って健康診断をしてもらうようなものだという人もございますが、そうだといたしますと、やはりこれは会計監査人の選任ということは、現在の商法の株式会社法のたてまえから申しますと業務執行である、その範囲に入るというのが最も妥当であるし、実際上も無難ではなかろうか。多少妥協的な面はあろうと思いますけれども、そういう意味においてこういう案をつくったわけでございまして、法制審議会の商法部会においてもこの点はいろいろ苦心をされたというふうに聞いております。この点につきましては、その法制審議会の答申に従ったわけでございますが、将来の問題としては、いろいろ運用の実績を見ました上で、検討する必要があればさらに検討を加えていくということになろうと思うのです。
○板川委員 会計監査人という制度を今度五億円以上の会社に設けて、あとに出てくるような仕事をさせて精細に株主総会に出す会計資料を検討させ、そしてその監査証明を出して、この株主総会に報告させるのですが、この会計監査人という制度をどういう理由で設けたのですか。設けた理由がいま言った説明からいうとおかしいのですね。設けた理由はいままで、さっき言ったいろいろな会社が重役が悪いことをする、不正なことをやる、しかし、いまの監査役制度では二十五年の改正前に戻して業務監査をするといったって、監査役の監査の程度ではそういったことは発見できない、だから外部監査を設けようというのじゃないですか。だから外部監査というのはいわば会社の執行部とは独立して、そして自由にものが言えるという立場というのを保障しなければいかぬじゃないか、そういう必要性から会計監査人というのを今度制度の中に取り入れられたのじゃないのですか。私はいまあなたの説明を聞いているとどういう意味で会計監査人というのを今度入れたのか理由がわからない。それから監査役が今度は業務の監査もできるし、取締役会も出席できるから間違いないだろうなんというのは、いわばこれこそが机上の空論ですよ。いまの株式会社何千というそれを見てみればわかりますように、監査役が重役をそっちのけにしてどうこう言うなんというのは——それはないとは言いません、皆無とは言いませんが、ほとんどないと思う。だからそういうものを期待して、これから粉飾決算や重役の不正や、そういったものがなくなるというのを期待したら私は大きな間違いだと思う。期待できるとすれば外部の会計監査人の監査に期待するほかはない、そういうたてまえからいえば、「取締役会の決議をもって選任する。」それはあるいは商法改正要綱にあったと言うかもしれませんが、考え方が中途はんぱじゃないかと思う。これは取締役会が気に入らない会計監査人なら拒否できるということですね。だから、そういう点で私は後段の字句には反対です。 あなたの説明は長たらしいので、また時間を食ってしまいますから先へ行きますが、さっきもちょっと広瀬委員が触れましたが、証券取引法百九十三条の二では上場会社に対して外部の監査がやられておる、やり方が株主総会後の審査ですから不十分でありますが、大企業というのはやはり社会的責任を担保する意味において企業の公開性というか、経理の公開性とかそういうものにこれから向いていかなければならないのじゃないだろうか。たとえば企業の秘密などといって企業の利益が不正に守られるというのは、私は今後——最近は、御承知のように、経団連でも企業の社会的責任なんといってきておるのですから、企業の経理のいわば公開性といいますか、こういう方向に向かなければいけないと思うのです。そういう点からいうと、この第三条の規定はどうも私はひっかかるのです。意見だけ申し上げますが、お答えがあれば次に行きます。 監査役の人数です。監査役の人数は一名以上ということになっております。これは株式会社が百万もあり、大小バラエティーに富んでおりますから一名で十分だということもあろうかと思います。しかし、私はたとえば百億台あるいは一千億をこえる、こういうばく大な会社というのは監査役を相当置く必要があるのじゃないだろうかと思います。そこで、これも早く話を進めるために申し上げますが、私の調査によりますと、新日鉄は監査役が四人、資本金二千三百億、日本鋼管が五人、千十八億、日立製作所四人、千二百四十六億円、これは資本金ですよ、富士銀行が二人、五百四億の資本金、協同飼料というのが二人、全国で二人というのが五六%、三人というのが二四%だそうでありますが、今度は監査役が業務監査まで監査の手を伸べられるということになりますと、監査役が二人ないし三人ということでは大会社ではいわばとても監査の目が届かないという感じがします、特に業務監査では。そのほか普通の会社では、あるいは監査室というのを設けて従業員による若干の監査をしているところもあるようでありますが、監査役というものを会社の資本金の規模によってある程度明定する必要があるんじゃないか、一人以上ということでなくて、百億円以上は幾人とか五十億円以上は幾人とか、一千億をこえたら幾人とか、こういうように明定する必要があるんじゃないかと思いますが、この点どういう見解をお持ちですか。
○川島政府委員 監査役の員数を規模に応じてある程度法律で範囲を定めるということはどうかという点につきましては、私もその必要がないとはいえないと思います。しかしながら、この問題は取締役の員数についても同じような問題が起こるわけでありまして、今回の監査役制度を中心とした改正にはその点は触れ得なかったということでございます。
○板川委員 取締役の員数についても関係がないではないですね。しかし、取締役というのは大体仕事をどうしてもしなくちゃならないから、必要なものは企業自体が必要としますね。しかし、監査役丸というものは——実はある程度人数を明定しろというのは、なるべく監査役というものは少ないほうがいい、そのほうが目が届かなくていいという気持ちが取締役の中にあり得るからなんですよ。だからそういう意味で置いたらいかがでしょうかということで、取締役のほうは当然仕事をしなくちゃなりませんから、仕事の任務に応じて必要性はすぐわかります。監査役は、悪いことをするワンマン社長の場合には、あんまり必要としない、うるさいのは必要としない、だから人数をある程度置いたほうがいい、こういう意見です。ひとつ検討していただきたいと思います。 次に伺いますが、四条の関係で、監査法人というのは現在どの程度あるでしょうか。あるいは公認会計士というのがどの程度おられるのか。これは五億円以上の会社との関連もありますが、監査法人なり公認会計士にどの程度の期待ができるかという意味で、実態を伺いたいと思います。
○坂野政府委員 公認会計士はことしの四月末現在において四千五百六十名、監査法人は三十であります。
○板川委員 公認会計士について、実はこういう批判があると思うのです。どうもわが国の公認会計士というのは独立性がない、非常に企業に甘い、こういう批判がある。こういう点を、公認会計士を監督する官庁といえば大蔵省でしょうが、こういう批判に対してどういうお考えをお持ちでしょうか。
○坂野政府委員 新しい証取法のもとにおける公認会計士制度の意義というものが企業に不徹底であった時代には、確かにそういうことがありましたし、また現在でもそういう考え方が皆無とは言えないと思います。しかし、一連の粉飾事件等のあとで、大蔵省の行政としても非常にシビアな態度をとりましたし、公認会計士の業界としましても、体制を整えるために新しい協会をつくり、監査法人をつくり、その強化をはかってまいりました。そういうことの結果、言われますようなことは次第になくなっている。企業側においても企業の財務内容開示の意義というものを漸次明確に認識されるに至った。まあ完ぺきな姿とは申せないと思いますが、もう八分どおり改善はできておる。この体制で進めてまいりますれば、理想の姿にいくのもほど遠くないというふうに考えております。
○板川委員 そういう期待どおりになれば幸いだろうと思います。 この四条の関係ですが、「会社又はその親会社若しくは子会社の取締役、監査役又は使用人」、会計監査人には、次に掲げる者はなることができないという意味で、四条の二項一号があります。これは外国では四親等以内の者も会計監査人となることができないという規定がある。フランス、イタリア、ドイツあたりにおいてもですが、わが国では、ここではその規定がないのですが、参考にしたいと思いますが、なぜそういう項目を入れなかったのでしょうか。
○坂野政府委員 現在は、証券取引法に基づく省令で、その利害関係を規制しておりますが、その中に二親等というのが入っております。
○板川委員 二親等まではいけない。そうすると、外国から見るとずいぶんゆるやかなんですね。そういう点が一つ企業に甘いという話の基準になるのではないでしょうかげひとつそういう指摘のあったことを念頭において検討願いたいと思います。 次に、この四条の項目からいいますと、会計監査人は、親と子の会社の監査人を兼ねられることになる、兼ねてもいいことになるのじゃないでしょうか。最近親子の会社といいましても、親が何千億、子が何十億という会社ですから、できれば別々の会計監査人を選んだほうがいいのじゃないかと思いますが、それはどういうふうにお考えですか。
○川島政府委員 会計監査人が親会社の会計監査人であると同時に子会社の会計監査人であるという場合でございますね。それは、この四条の二項の規定から申しますと、欠格事由には該当しないということになるわけでございます。 この四条の二項という規定は、会計監査人として選ばれる資格がないということを規定したものでございまして、かりにこれに該当する者が会計監査人として選任され、あるいは仕事を行ないましても、それは会計監査人となり得ない者のしたことであるから、すべて無効である、こういう意味で欠格事由として掲げたものでございます。したがいまして、公認会計士法で規定しております職務の取り扱い制限というのとは趣旨を異にしておりまして、非常に影響を及ぼすところの大きい規定でございますので、特にここには絶対的に会計監査人としての効力を認めることができないという場合だけを書いたものでございます。したがいまして、いまおっしゃいましたような場合も問題はあろうと思いますけれども、この欠格事由としてはそれは問題にしなかったということでございます。
○板川委員 これも一つの問題点であろうかと思います。 それからちょっとさっきの話に戻るのですが、これは大蔵省関係でしょう。証取法百九十三条の二で、上場会社について第三者の公認会計士により会計監査をさせ、監査証明を受ける、こういうことになっておりますが、これと、今度の本法にいう会計監査を受けて監査証明を出すということ、これは証取引法のほうはどういう扱いになりますか。
○坂野政府委員 証取引法の百九十三条の二は、上場会社だけでございませんで、証取法適用会社全部についての規定でございますが、改正商法が施行されましても、このたてまえは変わりございません。したがいまして、証取法は証取の監査を相変わらず要求する、こういうことになります。したがいまして、会社によっては二重になるということであります。
○板川委員 この証取法についてですが、証取法の会計監査は株主総会後、株主総会で承認された会計考課状ですね、これを事後審査することになっております。今度の法律になりますとたいへん期間が長くなりまして、そのあと、いままでよりもほとんど一カ月以上おくれることになりますが、そういうやり方については従来と変わりなく、やはり株主総会以後監査をするということになりますか、それとも改正されますか。
○坂野政府委員 商法で事前に会計監査人を必要とする会社につきましては、当然事前に監査が行なわれておりますので、総会後の監査はほとんどしないで済むということになりますので、結果的には問題ないというように見ております。
○板川委員 次に、六条関係に入りますが、六条の問題点は三条と関連した点に一つあると思います。ここで六条の二項で、「会計監査人を解任したときは、」とこういう条項がございますが、この解任が予想される事態というのはどういうものを考えておられますか。
○川島政府委員 会計監査人を選任するということは、監査をしてもらうという契約を結ぶことでございますので、実質的にはこの契約を解除することが解任につながる、こういうことに考えております。
○板川委員 どういう事態が考えられますかというのですよ。例示をしてください。
○川島政府委員 監査を行なうにはなはだしく適当でないという事態が生じた、何か会社に対して信頼を裏切るような行為をしたというような場合が一つ考えられるかと思います。
○板川委員 社長と意見が合わないから解任ということもあり得ますか。
○川島政府委員 まあそれだけでは正当な解任の理由にならないと思いますけれども、実際にはそういう場合も全くあり得ないかといえばないとも限らないというふうに思います。
○板川委員 七条に入りたいと思いますが、七条で会計監査人が子会社に会計の報告を求めることができるようになります。これはどういう必要性から子会社に会計の報告を求めるのか。たとえば粉飾決算というものを防止しようという目的かどうかということ。それからもう一つは、これはいわば子会社の独立性というのを侵すおそれはないのか。こういう点でひとつ御意見を聞かしてください。
○川島政府委員 この子会社調査権というのは監査役にも認められております。それと同じ趣旨でございまして、仰せになりましたように親会社がその地位を利用して子会社を使って粉飾決算を行なう、そういう事例が相当考えられますので、決算を適正に行なうためにぜひとも必要であると考えて規定したものでございます。 これによって子会社の独立性を害することはないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、あくまでも親会社の監査のために子会社を調査するのでありまして、調査事項もその範囲に限定されておりますし、子会社の独立の人格を害するということはないものと考えております。
○板川委員 ここで私ちょっと尋ねておきたいことがあるのです。それは親会社、子会社の関係というのを今度の商法で初めて取り入れて明確にしたという点であろうと思います。企業監査を強化する一環として子会社の監査権を持つことができる、そう改正することは株主や債権者擁護のため一つの前進だろう、こう思います。しかし日本に限らず、最近ヨーロッパもアメリカもそうですが、企業がいわば集団化する、コングロ化する。こういうふうにやたら企業合併が行なわれてきている。そういうときに、親会社の経理内容だけでは企業集団の全体をつかむことができない。ところが日本ではいまの決算制度は単独決算という方式をとっておりますね。ですから日立の例ならば、日立製作所の本社は半期で四千三百億売り上げがある。関連子会社九十、合わせて七千億の売り上げがある。だから本社だけやっておったのでは企業集団の実態というのがつかめないし、あるいは今度は逆に親会社のほうは非常にもうかっているようにさして子会社に犠牲を与えるとか、親会社の利益を子会社に隠すとか、こういうことが単独決算ではできるのですね。たとえば悪い例ですが、日産自動車とプリンスが合併の条件がきまった。しかしその後合併していろいろ検討してみたらば、プリンスというのが相当黒字であったという決算だったが、調べてみたらば自分の販売子会社に自動車をたくさん売ったことになっていた。販売子会社のほうは実はたくさんの車をかかえて赤字を出しておった。こういうことで合併契約前の状況と違うということで比率が改正されたことがありますね。単独決算ですとやはりそういうように親会社が利益を子会社にやったり子会社に隠したりあるいは子会社の利益を親会社が吸い上げたりする。だからどうしてもこれはやはり連結決算制度というもののほうが企業集団の経理内容をはかる上に私は妥当のような感じがします。アメリカなどではすでにそれが実施されておる。日本も最近多国籍企業という状況になってきていますから、そういう企業集団の経理しかもそれを公開する、公に示すというたてまえからいいますと、単独決算からいわゆる連結決算制度に移るという方向になるのじゃないだろうか、こう思いますが、これは大蔵省関係ですが、連結決算制度というものにどういうお考えを持っておられますか。伺っておきます。
○坂野政府委員 この点に関しましては四十二年に企業会計審議会で意見書が出まして、将来はわが国も連結制度を採用したらどうだというような考え方のもとに検討が行なわれましたが、さしあたりは一定の会社につきましては単独のほかに連結もつけるということでやったらどうだろうかということで、目下検討中でございます。と申しますのは、連結だけで済ますためには商法、税法というような基本の問題もありますので、そこまでは一挙に行かれまいという考え方であります。
○板川委員 次は八条関係に移りますが、「会計監査人がその職務を行なうに際して取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、その会計監査人は、これを監査役に報告しなければならない。」こうありますが、報告を受けた監査役はどういうふうにこの場合処理をされることになりますか。
○川島政府委員 監査役は業務監査の職責を持っておりまして、たとえば取締役が法令もしくは定款に違反する行為をして、会社に重大な損害を与えるという場合には、その行為を差しとめるという権限が与えられております。そのほか一定の事項については株主総会に報告するとか、そういう権限がありますので、そういった権限を発動する一つの契機として、こういつた報告の規定を設けられている、このように考えておるわけであります。
○板川委員 こういうことになるのですか。この八条の事態が生じた場合には、監査役は取締役会に出席しますから、そういう行為の差しとめ請求ができる、改正商法の二百七十五条ノ二で差しとめをする。一方において監査報告書にその旨を記載して取締役会に提出する、こういうことになるのでしょうか。
○川島政府委員 そのとおりでございます。そのほか取締役会にも直接報告をするという場合もあろうかと思います。
○板川委員 この改正案の立案過程で、取締役の不正、法令、定款違反ということがあったという、八条の事態が生じた場合に、監査役に取締役解任のための株主総会招集の請求権というのが与えられておった。しかし、今度はこれははずされておるということで、財界の反対でそれが削除されたという報道等もありますが、これはどうもなまぬるい感じがいたします。差しとめ請求あるいは報告だけじゃ不十分な感じがいたしますが、この株主総会招集の請求権あるいは解任の訴えを起こす権利というものが改正案から削除された理由をひとつ説明してください。
○川島政府委員 法制審議会の要網に若干の修正を加えたわけでございますが、その一つの事項として、いま仰せになったような点があるわけでございます。その理由は、事柄によりいろいろございますが、要するに現実的な改正を行なうということが一つの目標であったわけでございまして、財界の意向に従ったというようなことは絶対にないわけでございます。 削除した理由といたしましては、監査役が取締役の解任を求めるための総会を招集するということはきわめて異例なことでございまして、過去において商法がそういうことを規定しておった時期もございますけれども、実際にはその実例というものはほとんどなかったということ。そこまでぎらつく規定を設けなくても、今回の監査権限の強化の趣旨というものはほかの規定によって十分まかなわれるであろう、このように考えたからでございます。
○板川委員 二十五年以前はあったかと思うのですが、過去においてそういう規定はあったが発動されたことはない、そういうのは、いわば伝家の宝刀というので、抜かないほうが実はいい。しかし、あることはあったほうが、監査役なり会計監査人の独立性、あるいは取締役会に対する対等な立場を保持するためにいい。本来なら抜くべきものではないかもしれぬが、あったほうがよかったな、こう思いますね。 次に移りましょう。この十五条で、附属明細書ということが出ておるのですが、この附属明細書というのは、具体的にいいますとどういうものをいうのでしょうか。附属明細書は、会計監査人がこれを検討されて、そしてこれをもって粉飾決算なり株価の不正操作なり、あるいは不当支出なり、こういうものを二週間程度で十分チェックできる程度の資料なのか。この附属明細書はどういうものであるか、それをひとつ説明してください。
○田邊説明員 附属明細書の内容は、現在の商法二百九十三条ノ五に規定しておるわけでございますが、この改正案では、整理法の中の法律改正で、この内容を法務省令に譲ることにいたしました。しかし、その内容は、現行法できめておりますように、計算書類、貸借対照表、損益計算書、利益金処分案、あるいは営業報告書、こういうものの附属明細で補足説明という考えでございます。その内容は、会社の業務や財産の状況を明細に記載したもの、そのほか、増資をいたしましたり法定準備金が増減したような内容、取締役、監査役、それから株主、こういう人々と会社と取引があった内容、それから先ほど議論のありました取締役、監査役に支払った報酬の内容、こういうふうなものを取り上げて明細書に作成いたします。この内容は省令に譲りますが、証券取引法においても、現在計算書類附属明細表という名前で同種のものが行なわれております。その両者の調整という問題も残しておりますので、商法の原則を踏まえながら証取法のたてまえともうまく調整してその内容をきめる予定でおります。
○板川委員 今度の改正案がこのままかりに通るとして、決算書類の監査日を推定すると、従来に比べて大体一カ月ほどよけいにかかることになりますね。そして三月決算では、従来株主総会は五月の末に行なわれたのが、六月の末になる。大体一カ月おくれる。そのおくれるのは、会計監査人の監査期間が——この中に事前監査期間というのか入ったこともあります。そういう状態になってまいりますと、年一回の総会というのが結果的にやりやすい関係を持ってくる。三カ月もおくれてやるのでは、年二回半期決算というのじゃなくてもいいだろう、めんどうだ、こういうことになる可能性を持っておりますが、いま株式会社百一万のうち、年二回決算報告を出しておるところと年一回のところとはどのくらいの差がありましたか。二割五分と言ったかな。
○田邊説明員 先ほど大臣がお答えいたしましたのは、大きい会社に関する統計でございまして、四分の一くらいが一年決算をやっておる、こういうお答えでございます。
○板川委員 この一年決算ということは、企業側としては例の株主総会対策が一回減ることになり、たいへん便利な要素を持っております。しかし、この株式会社の本来のあり方である、株主、債権者と会社の執行部が十分に話し合う機会が一回減るということは非常なマイナス面があろうと思います。あるいは監査をする機会が一回除かれるということは、ある意味では不正な扱いをそれたけ見のがしやすい状態になるのであって、そういうマイナス面があると思いますが、この点はどう考えておられますか。一回のほうが望ましいのか、従来どおりとにかく年二回半期ずつの決算のほうが望ましいのか、どう考えておるかということです。
○田邊説明員 先生の御指摘のように利害得失いろいろございますが、商法の原則は年一回決算というのが望ましい、こう考えております。その理由は、監査制度の改正で指向いたしましたように、企業経理がいわゆる半期決算によってもたらされている現在の不合理な問題、つまり季節的な利益の変動というものを好まずして平準化するために行なわれる粉飾決算の温床、こういうものをなくするのが商法の正しい方向である、こう考えておるわけでございます。
○板川委員 外国の例はどういうことでしたか。
○田邊説明員 外国の例も一年決算が非常に多いと聞いております。同時に、株主名簿の閉鎖期間その他を含めて総会開催をする時期でも、総会開催というのは非常におそいというふうに聞いております。
○板川委員 多少異論もありますが、十八条関係で伺います。 この十八条では、「第二条の書類が法令又は定款に適合するかどうかについて会計監査人が監査役と意見を異にするときは、会計監査人は、定時総会に出席して意見を述べることができる。」こういう規定が十八条であります。この「法令又は定款に適合するかどうか」、特に法令の場合には一般的に言って判例も出ておることでしょうが、定款に適合したかどうか、定款に掲げる目的、事業の範囲であるかどうかということは学説の非常に分かれるところだろう、こう思います。「定款に適合するかどうか」というこの解釈について、何か見解があれば承りたいと思います。
○田邊説明員 十八条で取り上げております「第二条の書類」と申しますのは、会計監査人の行ないます会計監査の対象になる計算書類、このように考えますと、御指摘のように、その計算書類の内容が定款そのものに反するというふうな場合はきわめて少ないのではないか。しかし、一般的には先ほども議論されたように、中間配当というふうなものも定款に規定をすることになりますと、会社の方針によりましては法律で定めている要件以上に、あるいは中間配当の要件をしぼるような場合もあろうかと思います。そういう会社の実質的な定めに関する計算上の違法、こういうものが出てまいることも予想される。そういう場合には当然監査役と監査人の間で意見の違いが起こり得る場合もあろう、そう考えておるわけでございます。 〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕 板川委員 第二条は御承知のように二百八十一条第一項の第一号、これは財産目録、第二号は貸借対照表、第四号は損益計算書、並びにさっき言った附属明細書、こういうことになるでしょう。これは会社の企業経理内容のほとんどの書類ですよね。だから、その第二条の書類の中から、法令やあるいは定款に適合するかどうかについて、私は会計監査人と監査役との意見が異なる場合があり得ると実は思うのです。たとえば商社で違法な米を購入した、未検査米を購入したということは、これは違法な行為だろうと思いますね、それに膨大な支出をされておれば。それから売り惜しみ、買い占め的なもので膨大な金が動いておる、こういうこと。あるいはこの財産目録の中に、そういう在庫等の関係からいって売り惜しみが明らかになるということもあるでしょう。それから株価の操作あるいは自社株関係、自社株をもつということ。あるいは政治献金、こういうことが私は会計監査人と監査役、監査役というのは少ないですから、何といっても取締役の影響を受けますよ。文章の上では受けないといったって、実際は受けている。これで意見が違う場合がある。いま私が言ったような項目で意見が違う場合があっても当然だと思いますが、いかがですか。
○田邊説明員 御指摘の点は、実は例にあげられましたような内容は多分に業務監査の対象になる事項であろうかと思います。公認会計士であります会計監査人が調べる対象は会計監査の内容でございます。したがいまして、両者の意見の食い違うという場合は会計監査に限定してあらわれてくる、こういうふうに考えております。
○板川委員 業務監査ばかりじゃないですよ。たとえば違法な米を買った、膨大な金が動いたというのは会計監査の範疇に入るんじゃないですか。それは業務の範囲で会計監査人に関係ないということですか。
○田邊説明員 具体的な例をお出しになったわけですが、違法なものを買ったという点につきましては、まずその取引行為そのものが法令違反かどうかという問題で、業務監査の対象になります。しかし会計監査人が調べる対象となりますものは、その取引行為の結果、処理としての会計上の問題としてとらえるわけでございまして、その入金されている金額の計上等、それを決算でどう処理しているかということについての内容についての監査で、そういう意味では手に入れた金の出所がどういう事柄かというところまでは当然に会計監査の手は伸びない、こういうふうに考えております。
○板川委員 じゃあ伺いますが、この買い占め、売り惜しみで膨大な金が出た、銀行預金から膨大な金が出た、そして一面在庫が非常にふえている、こういう場合も、これは会計監査人の意見を述べる対象ではないのですか。
○田邊説明員 御指摘のことは、先ほど御質問にありました第八条の問題としてこの法律案は処理しておるのです。それは会計監査人が当然の会計監査の対象といたしません事項でも、いわゆる不正の行為があった、法令違反があるということをすぐに監査役に報告して、監査役の業務監査の権限内で処理させよう、こういうふうに考えておるわけで、会計監査人が御指摘のような内容を全く無視して知らん顔をしていいというわけじゃございません。
○板川委員 当然それはわれ関せずというわけにはいかない事項だと思いますけれども、まあ株価操作をした場合もそうだろうと思います。 ここで、これはもちろん八条との関連もあるのですが、定款に適合するかいなかという問題で、ひとつ政治献金の問題で議論してみたいと思うのです。政治献金については御承知のように判例がありますね。それは八幡製鉄所による政治献金が訴訟になった際に、第一審の裁判所では、政治献金は本来非営利行為であり、営利を目的とする会社の本質上の目的の範囲に属さない、だからこうした目的の範囲外の行為をなすことは、取締役の忠実義務に反すると第一審では東京地裁できめた。これは昭和三十八年ですか。ところが、四十一年一月に東京高裁、第二審では、会社も社会的存在である以上、社会に対して有利な行為は、会社の目的の範囲内に属し、したがって、その献金が目的、会社の資本的規模、経営実績などから見て応分な限り、取締役の忠実義務違反にはならないとして一審の判決をくつがえした、こういうことになっております。応分である限りならば、これは会社も社会的な存在だから、ある種のおつき合いもしかたがないだろう、こういう高裁での判定のようですね。ところが、応分でなかった場合には定款に適合しない、こういうことになると思います。だから定款に適合するかどうかということが実は非常な議論の分かれるところになると思うのです。確かに、大映の永田雅一社長は、会社が倒産をした、二十数億の負債をしょった、しかしその中で七億からの政治献金があった。それはいわば忠実義務違反あるいは背任の行為だということもあっていま係争中だと思います。ですから、こういうのはおそらく応分ということにいかないだろうと思うのですね。そうしますと、政治献金をめぐって、定款に適合するかどうかということが、一つの議論になるんじゃないでしょうか。もっとも議論するような会計監査人は、さっきの三条で社長が任命いたしませんから、その辺は当然企業の利益、企業家、取締役の利益は守れるのかもしれませんが、この辺が一つの大きな議論となるのじゃないだろうかと思いますが、この応分な限りよろしいというなら、応分でない場合にはいけないことになりますし、定款に適合したかどうかということで議論になるのですが、こういう場合に応分というのはどのようにお考えですか。定款に適合するという範囲はどの程度とお考えでしょうか。
○田邊説明員 それはもう全く応分なものは応分だというだけで、観念的に、抽象的には何ともお答えのできない内容だと思います。ただ、会計監査人の職責は、さっき申し述べましたように会計監査人の職責でございまして、かりにいまのような政治献金をとらえて疑義が生じたといたしましてもおそらく監査役本来の業務監査の職責を持つ監査役との間で意見協議がなされて、それがはたして会計監査人が報告すべき重大なる法令違反というふうな事柄かどうかというふうなことは、十分協議がなされて処置がなされるだろうということを期待いたします。
○板川委員 正義感の強い会計監査人が出てくれば当然問題となりますね。 そこで、大臣、この政治資金規正法については、われわれのほうも一つ考え方があるのですが、それはそれとして、イギリスの会社法では、年間五十ポンドをこえる政治献金をした場合にはあるいはその他の慈善の献金をした場合には、相手方の名前を明記して取締役が会計報告書に開示するということになっておりますが、イギリスの商法にそういう規定があるそうであります。わが国の商法の中にもそういうことを規定するならば、いまいった定款の適合するかどうかで政治献金の応分の範囲ということがそうややこしくないと思うのですが、そういう商法の一部を改正する項目についてお考えはなかったのでしょうか。
○田邊説明員 御指摘のとおりイギリスの商法の中には政治献金を明細表の中に記載して報告するという、いわゆるスケジュールに関する規定が置かれております。法制審議会の議論でも各国の法制を取り上げて十分審議されたわけでございますけれども、各国商法をながめてみますと、実は御指摘のいろいろな問題点は、日本の商法ではその規制が非常にゆるやかだという結論は出したものの、はたして、西ドイツしかり、イギリスしかり、フランス式に非常に厳正な商法改正を行なうべきかどうかという点は相当な疑問が出されたところであります。そこから申し上げますと、ドイツ式をねらいながらイギリス式に傾いているというのがわが国の商法のたてまえのように見れるわけでございます。御指摘のような点は次の大改正作業で十分検討される内容だと思います。現状の改正はこの程度にとどまっているというのが偽らない気持ちでございます。
○板川委員 日本の商法がイギリス的な傾向が強いのですが、そのイギリスでとっておるからとってもいいじゃないかという議論があるわけですね。 この十八条で「会計監査人が監査役と意見を異にするときは、会計監査人は、定時総会に出席して意見を述べることができる。」こう書いてありますから、もちろんこれは、まさか取締役会が決議をもって会計監査人の出席を拒否するなどということはできませんね。私は当然だと思います。異論があったら答えていただきます。 この項で、「定時総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は、定時総会に出席して意見を述べ」ることができる。この二項は、実は私はちょっとおかしい規定じゃないかと思うのですね。会計監査人の出席を求める決議があったときは出席をして意見が述べられる。決議があってから出席したのでは、五分間で終わる株主総会では、一体いつ出席するのでしょうね。だからこれは私は当然出席するべきものじゃないかと思いますね。ただ会計監査をする、そして監査役にそれを差し出す、監査役は妥当と認めたら会計監査人が出したものは妥当だ、こういって報告するのでしょう。そして片や経理の専門家ですね。ですから株主総会の中からいろいろ意見が出たならば、当然この担当事項について会計監査人は自分で答弁したっておかしくはない。あるいは監査役を補佐する意味で自分の事項について答弁してもおかしくない。だから、これは会計監査人の出席を求める決議があったから出席するというのは実はおかしい規定ではないだろうか。当然出席していいのではないか、こう思いますが、いかがですか。
○田邊説明員 おっしゃるとおりでございまして、十八条の規定は一項のほうは意見の食い違いがあるときには出席して意見を述べる権限を認めたもの。二項は総会が会社の最高機関として、会計監査人に意見を求めたときには出席しなければならない義務がある、そういう規定でございます。御指摘のように、会計監査人が初めから待機して総会に臨むということを妨げる規定ではございません。多くの場合は待機しておることとなろうかと思います。
○板川委員 こういうことになるのですか、五分間か十分間で終わるから大体決議がなくても会計監査人は出ているだろう、決議があったらとたんに立ち上がるこういう運営がなされるだろうというのですか。それはあらかじめ出ていることを妨げているわけじゃないのだからいいかもしれませんが、この株主総会というものを、もっと株主と債権者とこの取締役会とのほんとうの会社経理経営についてのパイプ役とするためには、血の通った株主総会にしなくてはならない。そうであれば、経理について一番重要な責任を持っておる会計監査人が定時総会に出席しておることが当然だ、決議がなくても出席するように、当然出席できるように私は項目を変えるべきじゃないだろうか、こういう意見であります。 時間となりましたから少しはしょりますが、今度は一つだけ、商法改正のほうに入りますが、三十二条で、帳簿を備えつけることについての変更がございます。読み上げません。商法三十二条を改正した骨子、理由というものを簡単に説明していただきます。どういうふうに変わるのか。
○田邊説明員 三十二条以下の改正は、いわゆる商業帳簿といわれておりますが、商人のつくるべき帳簿の体系を明らかにする。加えて、現在要求しておりました財産目録の作成、ただし決算に関してつくられる財産目録というふうなものを廃止いたしまして、それにかえて一般商人の作成義務として、新たに損益計算書の作成というものを加えたわけでございます。これが第一点の改正の骨子でございます。 第二点は、三十二条の二項にございます「商業帳簿ノ作成に関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ」という規定でございます。これは資本金五億円以上の会社について行なわれる商法上の会計監査人の監査と、証券取引法によって行なわれます公認会計士の監査が、会計の基準においても、監査の基準においても一致しているという趣旨をあらわすためにこの条文が置かれたわけでございます。そしてその経過といたしましては、証券取引法に基づく監査が、現在企業会計原則というものに準拠して行なわれておりますので、商法監査の準拠すべき商法の計算規定と企業会計原則との修正、調整というものが行なわれました。昭和四十四年の暮れにこれが仕上げられまして、修正会計原則というものも、商法の計算書類の解釈に関して公正なる会計慣行としてしんしゃくされるということを表現して、合わせて二つの監査が一致いたします、そういう趣旨の規定として置かれたものでございます。
○板川委員 どうも説明が学問的かどうか知りませんが、ちょっと聞いただけじゃわかりませんね。私の聞き方も悪いかもしらぬが、じゃ、零細企業者、一人か二人使った町の小売り商業、こういうものも「商業帳簿ノ作成ニ関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ」ということで、やはり複式簿記的な貸借対照表、損益計算書、こういったものをつくれということになるのですか。
○田邊説明員 しんしゃく規定と申しますものは商法全般の規定でございますから、いわゆる零細な個人商人ももちろんこの規定の適用を受けます。しかし御指摘のように零細な個人商人がすべて複式簿記によって記帳しなければならないということをこの商法は考えておりません。ただ新たに加えられた損益計算書の作成義務というものがどうかという問題がありますが、一部の団体では、これは複式簿記を強制する結果になるという独断に基づく御意見が出ておりますけれども、商法はそうは考えておりません。すでに零細な商人に関しましても貸借対照表、財産目録というふうなものの作成を義務づけて、現在これを作成しておるというのが実情でございます。これに加えて損益計算書と申しますのは、貸借対照表とは異なって、その商人の営業の結果として営業年度中に収入をあげ、これに対してどのような費用を支出したかということを明らかにし、その差額計算をいたします結果利益があらわされるという式の帳簿を考えておるわけで、商人それぞれの規模、営業の内容、そういうものによっていろいろなつくり方があろうかと思います。極端な場合には非常に簡単な三行か四行で損益計算書もできる、そのように考えております。
○板川委員 町の小さい小売商業なんかは従来とそう違わないような扱いをするということに解釈していいのですか。わかりました。時間ですからもう終わりますが、一言、大臣、あまりむずかしい議論じゃありませんからひとつ答えてもらいたいと思うのです。 企業の社会的責任という問題を、ひとつ見解を承りたいのです。御承知のようにあらゆる公害が蔓延しておる、あるいは買い占め売り惜しみ等によって物価の高騰が行なわれておる、そういう状況の中から企業の社会的責任が問われておると思います。経団連等も、企業は社会的責任を負わなくちゃいかぬぞ、こういうことをいっております。しかし企業に対する国民の不信というものは、各地に大きな住民運動となって盛り上がってきておることは事実だと思うんですね。その原因は経済が成長したことも一つでしょう。したがって企業規模も拡大する、企業の活動というのが社会的影響が非常に大きいのを経営者がその責任を感じて自覚しなかったというところに問題の発端があるだろう、こう思います。私は結局社会的な利益は企業に優先するということだと思いますし、企業は社会に奉仕しなくてはならないというたてまえだろう、究極においては企業はやはり社会の利益に貢献するというものでなければならぬ、こう思います。ところで大企業ではよく企業の秘密と一いうのですね、いろいろ議論をしてまいりますと、われわれがぶつかるのは企業の秘密なんです。企業の秘密だから、それは話せない、企業の秘密だからお断わりする、こういうことになるのですね。これはある学者の説ですが、一九三〇年代アメリカでニューディール政策がルーズベルト大統領によって行なわれたときに、アメリカでは企業のコストを公開したのだそうです。いまはそうじゃないらしいのですが、その当時ニューディール政策として企業のコストを公開した。ところが、日本では企業の秘密といって経理の公開というのがどうもいわば閉ざされている感じであります。そういう意味で、私は、大会社特に社会的な影響力のある大きい会社は、企業の公開といいますか、経理内容の公開というものをやるべきではないだろうか、こう思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○田中(伊)国務大臣 わが国は申し上げるまでもなく自由主義経済をとっております。その自由主義経済下において営利を目的にする会社の企業経営を行なう、こういう場面でございますから、理屈の上では、金もうけをしっかりして国に事業税、所得税をしっかり納めてくれるということは悪いことではない。しかし、先生仰せのとおりに、その企業それぞれ社会性を無視した企業経営というものは許されるべきものでない。具体的に申し上げますと、おことばのように、売り惜しみ、買い占め、公害問題、もっと重視すべきものは、いたずらに暴利をむさぼる物統令にひっかかるような重大な事柄をやる企業が出てくる、こういう社会性無視、社会性否定の企業経営のあり方というものに対しては、深く反省をすると同時に、それぞれの刑罰法規のあります限り刑罰法規を適用して、これを厳重処罰をする方向に向かわなければならぬ、こういうふうに企業の社会性というものを認めてかかりたい、これに企業各位は御協力をいただくようにしていきたい、こういう考えに徹していかなければならぬものと考えておるのでございます。 したがって、商法改正に際しましても、一々社会性社会性といって頭ごなしに企業を押えつけていくという態度はいかがかと思うのでありますが、いやしくも企業が社会性に反する限りこれを取り締まっていく、こういう強い考え方でやっていかなければならぬであろう。その役割りを今度この改正において果します部面を取り上げて申しますと、監査役の監査制度の強化ということで執行部に反省を求めていく道を考えたい、こう思っておるわけであります。
○板川委員 私は、商法に関連して、企業の社会性というものを強調する場合に、経理の公開といっても何から何までというわけではありませんが、せめて株主総会が本来のあり方に戻った、法の趣旨を体して行なわれるようにならなければ、企業の民主性もあるいは企業の社会性も経理の公開もないと思うのですね。御存じだと思いますが、外国の例ですと、株主総会は普通二、三時間かかるそうです。そして、質問者がある限りは打ち切らないそうですね。そして大会社では、株主が方々に点在しているために、開催地をことしはこの町、来年はこの町といって町を変えてなるべく大ぜいの株主に出席できるように要請をし、株主の意見を聞いて、反省すべきものは反省し、理解協力してもらうべきものは理解協力してもらい、そして経営の資料とする、こういう形になって初めて資本と経営が一体となって、この株式会社というものの繁栄、本来の道というのがあると私は思います、ところが、残念ながら、先ほど広瀬君取り上げましたから、私、取り上げませんが、わが国の株主総会というのは、全く総会屋と重役が結託をして、会社が結託をして、時間をかけないで五分か十分でやることが腕のいい総会運営だというが、これは私は一つの粉飾総会だと思うのですね。本来あるべきものをやらずに粉飾して、そして一応かっこうのいい総会終了をしたという形をとっておる。これは、私は、本来、出資者の株主、債権者と経営者がもっと話し合って、企業の実態を知ってもらう、経理の内容を知ってもらうという運営にもっていかなくてはならないと思います。それには総会屋対策、あるいは会社の重役陣の反省、いろいろありますが、その点については先ほど取り上げましたし、時間になりましたので申し上げませんが、そういう方向にひとつ商法をきめる、そのほかのこまかい規定の場合でもあらゆる機会にひとつ御検討願いたいということを要請して、一応私の質問を終わります。
○中垣委員長 連合審査会開会に関する件についておはかりいたします。 ただいま本委員会において審査中の商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の各案について、大蔵委員会及び商工委員会からそれぞれ連合審査会の申し入れがありますので、この申し入れを受諾し、連合審査会を開会することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、連合審査会開会の日時につきましては、関係委員長と協議の上決定いたしますが、来たる二十六日火曜日午前十時より開会の予定ですから、さよう御了承願います。 次回は、明二十日水曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十八分散会