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71回国会衆議院1973/06/15

法務委員会 第33号

発言数
55
登壇者
9
会派数
4
開催日
1973/06/15

会議録

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上三法律案を一括議題といたします。  本日は、参考人として経済団体連合会経済法規委員長金子佐一郎君、日本大学教授北野弘久君、日本公認会計士協会副会長川北博君、日本税理士会連合会会長木村清孝君が御出席になっておられます。  この際一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、参考人各位には御多用中のところ御出席をいただきまことにありがとうございます。当委員会におきましては、商法関係各案につき慎重な審査を行なっているのでありますが、本日参考人各位の御意見を承りますことは、当委員会の審査に多大の参考になることと思っております。何とぞ参考人各位には忌弾のない御意見をお述べいただくようお願いをいたします。  では、まず参考人各位から御意見をお述べいただき、その後に委員の質疑にお答えいただくことといたします。なお、時間の都合上御意見の開陳はお一人十五分以内にお願いいたします。  ではまず金子参考人にお願いいたします。

金子佐一郎経済団体連合会経済法規委員長

○金子参考人 金子でございます。  それでは商法改正案につきまして所見を述べさせていただきたいと思います。  株式会社の監査制度に関する商法改正案は法務省の法制審議会で昭和四十一年暮れから検討を続けてまいってきておるのでございます。これがようやっと八年ぶりに今回国会に提出されるに至ったような次第でございます。経済界では商法というような経済法規は、変遷する経済の実勢に沿いまして迅速に機敏に改正されるべきものであると考えておるのでございますが、今回の改正が意外に手間どりまして、このようになっておりますために、始終いろいろと支障も生じておるような実情でございます。したがいまして今回の商法改正案が一日も早く今国会で可決せられ、施行されることを希望いたしますとともに、引き続き商法改正作業が続けられまして、今日の経済発展に即応した抜本的な株式会社法が将来でき上がりますように切望いたしておるような次第でございます。  さて、今回の商法改正案のまず第一点は監査制度の充実強化という点にあるのであります。私どもが適法、正確なる決算案を株主総会に提出しておりますにもかかわらず、みずからこれが正しいものであるということを力説いたしましても、いわゆる自己証明は証明にあらずということにもなっておるような感じがいたします。そこで社会的に重要な存在である大会社につきましては、充実強化された監査役、公認会計士の監査証明を付してもらうほうが適切であると考えられるのであります。これが株式会社の健全な発展をもたらすものとも考えられるのでございます。従来から株式の公開会社に対しましては証券取引法によりまして公認会計士の監査が強制されていたわけでありますが、これは商法上の監査役や株主総会とは関係がないと申し上げられるような制度になっておるのでございます。これを商法と企業会計原則との一致によりまして、商法監査と証券取引法監査との一元化を果たし、この面の混乱を整理することといたしまして、総会の事前に監査意見を表明することになっておりますので、株主、投資家並びに会社にとりまして、適切な決算・監査制度になるものと期待されておるような次第でございます。  ただし、私どもといたしましては、まず公認会計士の監査対象会社は上場会社などの株式公開会社に限るというようなことも考えられるのでございますし、また、銀行、保険などのごとく、大蔵省の銀行検査や日銀考査の行き渡っておりますいわゆる免許業には公認会計士監査を強制する必要が一応ないのではないかなどとも、いろいろ主張いたしたところでありますが、原案を拝見いたしますと、これらの意見はいれられておらないようでございます。  次に、監査制度以外の商法改正問題につきましては、資本の自由化に対処いたしまして、取締役選任に関する累積投票制度を会社の定款で十分に排除できるようにすること。また、時価転換社債を取締役会の決議のみで発行できるようにすること。さらに、一年決算会社に中間配当を認めること。法定準備金の資本組み入れによる有償無償の抱き合わせ増資を認めること。さらに、五年間登記を怠っている会社を休眠会社として整理すること。これらが改正法案に含まれておるのでございます。これらは、経済界の実情に照らしましても、その他の点から見ましても、時宜に適した改正であると存じまして、ぜひとも今国会で改正案が実現されることを積極的に望んでおるような次第でございます。  この中で、中間配当につきましては、期首の剰余金の範囲内でのみ中間配当ができることになっておるのでございます。一般的にはこれでよろしいと考えられるのでございますが、電力、民営鉄道、海運等の一部業種におきましては、公共料金抑制などの影響を受けまして、十分な内部留保がないために、中間配当の原資が不足しております関係上、中間の仮決算利益を中間配当限度に加算することなどの希望が私どもの手元にも出ておるような次第でございますが、これらはこの法案にはいれられておらない次第でございます。  以上、細部の点につきましてはいろいろ問題がないとはいえないのでございますが、全般の大所高所から見まして、私どもは今次の商法改正三法案が、企業の社会的責任を全うする上で適切なものであると信じておるのでございます。本委員会におかれましても、御採択を賜わり、これが実施をされますように、切にお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。  以上、私の所見を述べた次第であります。(拍手)

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次に、北野参考人にお願いいたします。

北野弘久日本大学教授

○北野参考人 日本大学の北野でございます。商法の一部を改正する法律案等につきまして意見を述べよということでありますけれども、私の主たる専攻領域は税法でございますので、そういう観点から、重要と思われます幾つかの疑問点だけを申し上げることにいたしたいと思います。もちろん、今回の改正案につきましては、評価すべき重要なメリットもございますけれども、時間の関係上、もっぱら疑問点だけを申し上げるということにしたいと思います。  疑問点は、全体としまして六つございますが、六つに分けまして申し上げたいと思います。  まず第一点でございますが、周知のように、今回の監査制度に関する改正というのは、山陽特殊製鋼をはじめとします一連の粉飾決算等の続発が契機となっておるのであります。このため改正案では、いろいろな監査役制度の強化に関する提案が行なわれておりまして、そのことにつきましては私も異論はないのでありますけれども、しかし監査役の身分保障につきましては、改正案はほとんど配慮をしていないのであります。わずかに、監査役というのは、株主総会において選任及び解任について意見を述べることができるんだということであるとか、あるいは監査役の選任決議につきましては、株主総会に出席を要する株主の有すべき株式の数は、発行済み株式の総数の三分の一未満に下すことはできない、こういった規定があるにとどまるのであります。十分な身分保障のない者にいかに権限を付与いたしましてもあまり意味はないと考えるのであります。改正案は、はたして粉飾決算等の防止をまじめに考えておるのか、私には疑問に思われるのであります。ほんとうに粉飾決算等の防止を考えておるのでありますならば、何ゆえに監査役の身分保障について十分な配慮がなされなかったのだろうかという疑問が生ずるのであります。  大企業のあり方は、従業員であるとか、その家族であるとか、その企業の取引関係者であるとか、あるいは株主等々の多くの人々の生存に影響を与えるのでありまして、その存在はまさに社会的、公的な存在であるといわねばならないと思います。それゆえに、その監査役の身分保障を行ないまして、その監査の徹底を行なうということが必要になってくるのでありますけれども、今回の改正案におきましては、そういった配慮はほとんどなされていないということであります。いかに権限を与えましても、身分保障のない人に対して、そのような権限は絵にかいたもちになる危険性があるのであります。特に監査役の解任につきましては、私は少なくとも裁判所の関与するところにすべきであると考えるのでありまして、すなわち、監査役の身分保障をはかるために、裁判所の承認がなければ監査役の解任はできないというところまで徹底すべきではないか、このように考えるのであります。そして、取締役会に対抗し得るだけの監査役会を設けまして、そのもとに会計専門家を含む監査の事務機構を常設いたしまして、そのことを法においてコントロールする、こういうことが必要なのではないかと考えるのであります。大企業の監査というものは、そのような常設の監査事務機構によって常時行なわれなければならないだけの社会的な、公的な理由があると考えるのでありまして、そういった観点に立って考えますと、今回の改正案に対しては多くの不満を感ずるのであります。  第二点、今回資本金五億円以上の株式会社につきまして、会計監査人の監査が強制されることになっております。そのこと自体は妥当であると考えますけれども、はたしてこれによって粉飾決算の防止ができるかどうか、はなはだ疑問であります。なぜかと申しますと、現に、公認会計士の監査を行なっている大会社が粉飾決算を行なっておるのでありまして、中小会社は粉飾決算を行なう必要はありません。もっとも中小会社は逆粉飾をすることが考えられますけれども、このほうは膨大な権力をもって行なわれますところの税務調査によって阻止されるべき問題であります。ともかく公認会計士が現に監査を行なっておる大会社が粉飾決算を行なっておるという事実に、われわれは注意をする必要があると考えるのでありまして、これは公認会計士制度というものが本質的には自由職業として成り立ちにくい局面を持っているというふうに考えるからであります。すなわち、まず公認会計士は、税理士と異なりまして、検察官ないしは裁判官の立場にある職業専門家であります。  第二番目に、そのような立場、つまり検察官ないしは裁判官の立場にある公認会計士が、依頼人である被監査会社から報酬をもらって監査をするということは、ある意味では自己矛盾といわねばならないのであります。  第三番目に、加えまして、わが国の国民性というのは、アメリカなどと違いまして、きわめてウエットな国民性でありまして、ビジネスと人情を区別するということはなかなかできないという特殊性がございます。  第四番目に、十分に監査をするためには、膨大な労力と時間と経費を必要とするのでありまして、はたして一会計事務所の短期間の監査で所期の目的を果たし得るかどうかははなはだ疑問である、このように考えるのであります。  少しでもこの制度の導入を実効あらしめるためには、特例法案におきまして会計監査人の身分保障についてもっと配慮すべきであったのではないかと考えるのであります。特例法案は、単に会計監査人の選任または解任は、監査役の過半数の同意を得て取締役会において決定すると規定するだけにとどまっております。ほんとうに大企業の粉飾決算等を防止するというのであるならば、ただいま申しましたように、監査役会のもとに公認会計士等の有資格者を社内にかかえ込みまして、その上で常設の監査機構で常時企業の監査を行なう、あるいは民間の特殊法人である会計監査機関というものをこの機会に設けまして、もちろんその会計監査機関を構成するメンバーは、会計専門家を中心として構成するのでありますけれども、そういう特殊法人としての会計監査機関というものを設けまして、そこで大企業に対する監査を常時行なうという、そこまで徹底する必要があるのではないかと考えるのでありまして、私は社会的な、公的な存在である大企業の監査につきましては、ここまで徹底すべきである、そういう時期に来ておると考えるのであります。  第三点でありますが、かりに公認会計士監査を拡充することとしました場合におきましても、何も商法という基本法の特例法を設ける必要はないのであります。現在の証券取引法上の監査を決算前にも行なうということの改正を行なえば、十分に所期の目的が達成できるのでありまして、基本法の特例法の設置ということにつきましては、法律学を専攻する者としましては、きわめて慎重でなければならないと考えるのであります。  第四番目に、今回、親会社の監査役あるいは会計監査人は、子会社につきましても調査権を有するということが規定されております。このような形であるにしましても、商法という基本法が親会社とか子会社とかいう観念を導入したということは、きわめて注目すべき事実であります。これが企業の系列化が基本法レベルで促進されるという端緒にならないという保障は少しもないのでありまして、独占禁止法の緩和という形をとらないで、商法という基本法レベルで企業の実質的な結合を促進するという契機にならないという保障はないのでありまして、法律学の観点から考えますと、きわめて注目すべき法観念の導入であると考えざるを得ないのであります。  なお、これに関連しまして、おそらく連結財務諸表制度の導入が早かれおそかれ行なわれるであろうと思いますけれども、連結財務諸表制度の導入自体につきましては、あえて異を唱える必要はないと思いますけれども、しかしそれがやがて連結納税申告制度への発展をもたらすことになるのでありまして、大企業の租税負担を合法的に軽減するという結果をもたらすことに注意を要するのであります。むしろ連結財務諸表制度の真のねらいは、連結納税申告制度の導入にあるのでありまして、その辺の観点をしっかり押える必要があると考えるのでありまして、さまざまな租税上の特別措置とは違った形で、大企業を中心とした企業の減税が行なわれる、そのしわ寄せがまた大衆に押し寄せてくるという、そういう結果になりますので、私としましては、特に税法を専攻する者としましては、連結納税申告制度の採用につきましては、きわめて慎重であるべきであると考えるのであります。  第五番目に、今回商業帳簿の作成に関する規定の解釈につきまして、公正な会計慣行をしんしゃくしなければならないという規定の導入が予定されております。一般にこういった規定を設けること自体については異論はございません。ただ、何が公正な会計慣行であるかについては、判然としないのであります。理論的には必ずしも成文化されました企業会計原則を意味しないと見なければならないと思いますが、現実には成文化されました企業会計原則がそのきめ手になっていくことは明らかであります。もしそうであるとするならば、昭和四十四年の企業会計原則修正案の動向がここでも注目されねばならないと考えるのでありまして、たとえば現行の企業会計原則では、会計処理の原則及び手続を変更するためには正当な理由がなければならないということが明文化されておりますが、修正案では、この「正当な理由」という文言が欠落しておるのであります。企業会計における期間損益計算思考のかなめともいうべき継続性の原則の緩和は見のがし得ないのでありまして、このことが今度の商法の改正との関係におきまして非常に重要な意味を持ってくる、このように考えるのであります。  また、商法二百八十七条ノ二の特定引当金につきましては、商法学及び会計学の通説は、負債性引当金に限定して、狭く解釈するという傾向にありますが、法務省及び実務は広く解する傾向にあります。企業会計原則修正案は、後者の傾向、つまり利益性引当金をも特定引当金として公認するに至っておるのでありまして、周知のように、実務上は現にさまざまな利益性引当金を特定引当金に含める処理が行なわれておるのであります。実務上は、それが利益留保性のものでありましても、株主総会の承認さえあれば、適法な引当金として扱われておるのであります。修正案は、企業会計理論上とうてい容認できないようなこのような処理を企業会計レベルで公的に承認しようとしているのであります。こうした修正案がやがて商法にいう——今回の商法でありますが、今回の商法にいう公正な会計慣行としてその法的位置づけを与えられることになる危険性があるのであります。  このように見てきますと、会計監査人制度は大企業の利益操作等を正当化する機能を果たすことになるといっても決して言い過ぎではないのであります。そして、このような商法レベルの考え方がやがて、ただでさえ不合理性を持っておりますところの現代税法のあり方にも、さまざまな悪影響をもたらすことになってくるのであります。  第六番目でありますけれども、公認会計士の方方は、私個人としましては、わが国の有数の国家試験、司法試験に並ぶ高度な国家試験にパスされたきわめて見識の高い方々でありまして、日ごろ個人的には尊敬申し上げておりますけれども、しかし制度のたてまえからいきまして、公認会計士は職業会計専門家でありまして、税理士のような職業税法専門家ではないのであります。また公認会計士は、先ほど申しましたように、立場としましては検察官ないしは裁判官の立場に立つべきものでありまして、税理士の立場とは本質的に異なるのであります。税理士は本来、依頼人でありますところの納税者の税法上の権利を税法のワクの中で擁護すべき職業専門家でありまして、その意味では税理士の立場は弁護人の立場と同じであります。公認会計士が被監査会社及びその子会社の監査及び調査を行ない、同時にそういった会社につきまして税理士の仕事を行なうということは妥当ではないのであります。もし、このようなことが行なわれますならば、単に税理士の職域が狭まるというばかりではなくて、健全な申告納税制度の展開にとっても見のがし得ない問題を引き起こすのであります。これは単なる税理士という職業専門家の職域論の問題ではないのであります。職業税法専門家としての税理士制度の衰退というものはわが国の申告納税制度の危機をもたらすことを意味するのでありまして、そういう観点から私としてもこの改正につきましては十分に注意を払いたいと思うのであります。したがいまして、百歩譲りまして、今回の会計監査人制度の導入を容認するといたしましても、特例法自体におきまして、会計監査人は被監査会社及び子会社の税理士業務ができないということを明文化すべきである、このように考えるのであります。  最後に、今回の措置によりまして、先ほど申しましたようにとうてい粉飾決算等の防止はできないと考えます。基本法の改正にあたってはよほど慎重でなければならないと考えるのであります。  現代における大企業の社会的な、公的な責任を踏まえまして、商法の抜本的なあり方を考えることこそ現代に課せられた本委員会の急務であると信ずるのでありまして、このような小手先の改正を急ぐ必要はないと考えるのであります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次に、川北参考人にお願いいたします。

川北博日本公認会計士協会副会長

○川北参考人 日本公認会計士協会の川北博でございます。  本日、このような機会を与えられましたことを心から感謝いたしております。  現在御審議の対象となっております商法改正関連法案は、昭和四十一年の公認会計士法改正の際の「政府は公認会計士制度が一層社会の要請に応えるために、更に商法、証券取引法、税法、企業会計原則等について引き続き検討を行い、速やかに総合的改善を行なうべきである。」という衆議院大蔵委員会附帯決議の精神を継承するものであり、企業会計制度並びに株式会社監査制度の充実発展を希望しております日本公認会計士協会として、賛意を表するものであります。  もとよりこの商法改正関連法案は、大企業の行動等にきびしい批判がある昨今、わが国経済の基本的な正義を顕揚し、広く国民の法益を守ることに主眼があり、公認会計士や監査法人は、法案に含まれる株式会社監査制度の一翼をになうにすぎません。  しかしながら、特に資本金五億円以上の株式会社の会計監査人としての責務を負うに至ることを考慮いたしますとき、それらの会社の株主はもとより、下請企業者その他の債権者や従業員等の広般な利害関係者に対する会計情報の真実を保証すべき商法上の重要な役割りを果たさなければならぬことを光栄に存じますとともに、厳粛な責任を感ずるものであります。  さて、意見として第一に申し上げたいことは、事前監査制度についてであります。  今回の改正法案の中で最も社会に寄与するものは、いわゆる事前監査制度であろうと思われます。証券取引法に定める監査におきましては、ある事業年度の有価証券報告書の大蔵大臣に対する提出期限は、事業年度経過後三カ月以内となっておりますが、一方において、通常商法に定める定時株主総会によってある事業年度の計算書類が確定するのは、現行法のもとでは事業年度経過後二カ月以内であります。したがいまして通常公認会計士または監査法人の監査報告書が提出されますのは定時株主総会における計算書類確定後となり、公認会計士または監査法人の監査意見が定時株主総会に直接影響を及ぼすことなく今日に至っております。  このような現行制度を改善し、公認会計士監査を実効あらしめ、企業財務の公開制度を徹底するために、公認会計士等の監査意見が財務諸表の作成過程で尊重され、それに基づいて証券取引法上の有価証券報告書が作成されるよう措置することが考えられてまいりました。  この事前監査制度の考え方は、法制審議会の審議に反映することとなり、今日の改正法案上程に至ったと私どもは理解しております。  商法の一部を改正する法律案並びに株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案の定めるところによりますと、監査はすべて定時株主総会開催前に終了し、その監査意見は計算書類の承認を左右することになり、企業会計の健全化のために大きな効果をもたらすものと思われます。このように改善された制度の実践運用につきましては、私どもも全力をあげて努力し、社会の負託にこたえたいと存じます。  第二に、商法と証券取引法とにおける会計基準が一致し、同一の会計基準に従って監査が行なわれることについて申し上げます。  言うまでもなく、商法並びに証券取引法に定める両監査制度の円滑な実施を期するためには、その前提として、商法と証券取引法との会計基準を一致させることが必要であります。  顧みますと、昭和二十四年初めて企業会計原則が設定されて以来、わが国の企業会計の実務は著しく向上発展を遂げてまいりました。しかしながら指導的規範であるとともに企業会計の実務の中に慣習として発達したものの中から一般に公正妥当と認められるところを要約したものといわれる企業会計原則と商法の計算規定との間に調整を要する点があり、その後多年にわたって調整の努力が続けられてまいりました。かくして昭和三十八年の同原則の最終改正までに、大幅に商法上の諸規定との調整がはかられ、昭和四十四年、企業会計原則及び同注解の修正案が示されるに至ったことはすでに御高承のとおりであります。  このような経過を経てこのたびの商法改正法案におきましては、「商業帳簿ノ作成ニ関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ御酌スベシ」と定めて企業会計実務のよりどころを明示され、その他、計算書類の体系や財産評価の原則等につき適切な改正案が明示されましたことは、帰するところ監査の円滑な実施を確保するものであります。  公正な会計慣行の樹立のためには、日本公認会計士協会としましても、鋭意努力を重ねる所存でありますが、政府におかれましても、企業会計審議会の適切な運営等によって何ぶんの御配慮をお願いしたいと存じます。  第三に、会計監査人の選任及び解任について申し上げます。  資本の額が五億円以上の会社は、その計算書類について監査役の監査のほか会計監査人の監査を受けなければならないことが特例法案に定められております。また、会計監査人の資格を「公認会計士(外国公認会計士を含む。)又は監査法人でなければならない。」と定められております。  このように大会社の監査のための会計監査人の資格を職業的専門家である公認会計士または監査法人と明示されましたことは、諸外国の例に照らし、国際信用上もまことに適切であると存じます。  しかしながら、一たん選任された会計監査人は「監査役の過半数の同意を得て、取締役会の決議をもつて解任することができる。」こととなっていますが、被監査会社と十分に調整をはかりつつ会計監査人が厳正にその職務を執行している場合、ときとしてその監査意見が会社の意向に沿わぬことを理由として会計監査人解任権を乱用されることがあれば、せっかくの制度も画餅に帰するおそれがあります。  もとより特例法案によれば、会計監査人の解任及び解任理由を株主総会に報告する義務や、解任された会計監査人の書面による意見の要旨を株主総会に報告する義務を取締役に課して、恣意的な会計監査人の解任を規制しております。もちろん取締役がこれらの義務に違背すれば、当然取締役の善管注意義務違反となりますが、要するに商法における監査制度の社会的意義に照らし、会計監査人の選任及び解任につきましては、関係者の慎重な御配慮をお願い申し上げたいのであります。  第四に、会計監査人の独立性と公認会計士法の一部改正について申し上げます。  特例法案におきましては、会計監査人の資格とその欠格条項を定めており、また、商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案によって公認会計士法の一部改正が示され、公認会計士及び監査法人の監査業務執行上の独立性に関連し著しい利害関係について明らかにされております。このような欠格条項に著しい利害関係の規定が定められているのは、公認会計士等の監査意見の独立性を保持し、監査の公正を確保するところに目的があります。従来行なわれております証券取引法に定める監査におきましても、公認会計士法や証券取引法及び監査証明省令において著しい利害関係について規定され、さらに日本公認会計士協会の紀律規則による自主規制が存在しますが、公認会計士の職業上の自覚を基礎として、これらの法令、規則等は厳格に遵守され、現在までなんらの問題を生ずることなく、監査人の独立性は保持されてまいりました。  そもそも監査人は、これらの法令上の規制によるまでもなく、精神的独立性を尊重すべきことはいうまでもありません。日本公認会計士協会では、今後とも法令を基礎として自主的に厳格な規制を続行するとともに、監査人としての精神的独立性の自覚を高揚してまいる所存であります。  しかしながら、関係法律整理法案の定める改正公認会計士法の委任による政令の御決定につきましては、特に監査法人の組織化、監査の国際的普遍性等につき、格別の御配慮をお願いしたいと存じます。  現行監査法人に関する省令におきましては、社員の半数以上の者が公認会計士法に定める業務制限事由に規定する関係を有する場合を、監査法人の業務制限事由と定めておりますが、従来支障なく運用されてまいりましたこの規定の内容を、政令上でも十分尊重されるようにお願いしたいと存じます。  監査法人の少数の社員が、一般的な業務制限事由に該当する事を理由として監査法人全体の業務を制限することは、監査法人の監査意見形成の独立性確保のために実益がないのみならず、昭和四十一年以来監査の組織化を目途として確立されてきた監査法人の組織をかえって弱体化し、かつ、個人的犠牲に甘んじ、現行の法令を前提条件として参加した一部の社員のすでに安定した職業上の地位を奪うことになります。  特に税理士業務については、租税法律主義に基づく中正な業務執行が国際的にも常識となっており、米国、英国、カナダ、西独等の諸外国を見ても、税務が監査業務の独立性を侵害するとして法令規則等によって規制されている例は見られません。このように、現行法令の線まで譲っていることさえ異例であるにかかわらず、さらに監査法人の社員半数の基準さえ後退させることがあれば、国際投資関係における将来の重大な支障となるのみならず、わが国の公認会計士ないし監査法人の国際的信用及び競争力に致命的な瑕疵を残すことになります。この政令は、監査業務の公正を確保するため、業務の制限をすることが必要かつ適当であるとして定められるものでありますので、本来監査人の独立性保持に関係なき事項を、公認会計士と税理士の職域調整上必要であるとして、その範囲を逸脱し、悔いを千載に残すことのないように、衷心よりお願い申し上げます。  第五に、子会社の監査と経理の適正化について申し上げます。  商法改正法案では、いわゆる親会社の監査役の子会社に対する報告徴求権及び調査権について定め、特例法案においても会計監査人の子会社に対する会計に関する報告徴求権及び調査権について定めております。  これとほぼ同様の規定が証券取引法上の監査について適用されております監査実施準則にございます。すなわち、現行の証券取引法に定める監査において、すでに実施されている制度を商法監査においても適用されることになるわけでありますが、子会社に対する押し込み販売による利益の架空計上のような、同一企業集団の中での会計上の不正の事例に照らしても、これらの規定が商法上取り上げられたことは、まことに当を得たものと存じます。  しかしながら、より根本的に親子会社間の会計上の疑義を解決するためには、関係会社間の決算の連結が必要であります。これは諸外国との会計上の調整のためにもぜひ必要でありますので、連結決算の制度化につき今後の御配慮をお願いしたいと存じます。  以上申し上げましたとおり、商法改正関連法案は、わが国の企業会計制度並びに株式会社監査制度を改善する画期的な内容を含んでいるものと理解しております。おりしも資本市場の国際化時代を迎えておりますとき、企業会計制度並びに監査制度の充実は、国際信用上も緊急に必要であります。外国企業がわが国で資本を調達し、あるいはわが国の企業が外国で資本を調達する場合、相互の会計制度や監査制度が高い次元で調和がとれていなければ、国際資本交流の保障は望むべくもないことはいうまでもありません。  また、権威ある監査によって裏づけられた正しい企業会計情報が、広く利害関係者の利益の調和のための資料となることはもちろん、商社その他いわゆる大会社の公益上の責任が社会問題となっていることを考えますと、会計監査と業務監査の緊密な連繋が必要であることも当然であり、時機を失することなく、緊急にこの関連法案の成立のために御尽力願いたいと存じます。  以上をもつて私の陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次に木村参考人にお願いいたします。

木村清孝日本税理士会連合会会長

○木村参考人 御指名をいただきました日本税理士会連合会会長の木村清孝でございます。  商法改正など三法案に反対の立場にあります本会に、意見を述べる機会を与えていただきましたことは、まことにありがとうございます。厚く感謝申し上げます。  ただいまから日本税理士業界を代表いたしまして、かねてから商法改正につきましてわが会が主張いたしております要点を申し上げます。  山陽特殊鋼事件に端を発しました粉飾決算は、はしなくもわが国の企業の実態をあからさまにしたものでありました。このことは、商法に定める株式会社の各機関が有効に機能しなかった欠陥からでございまして、商法改正の動機となったものと思われます。そして、この段階において、民事局参事官室試案が、各界の意見を求める形で出され、本会は、監査役の権限と機能強化の措置を講ずることは、基本的にその必要性を認めました上で、さらに次の問題提起をいたしておるのでございます。  大会社の特例につきましては、商法が株式会社の基本法であるとのたてまえから、むしろ証券取引法の強化、改善など、他の特別法をもって解決されるように意見を申し上げ、中小会社に対しましては、特別な措置として弾力性ある御配慮をいただくよう具申いたしたわけでございます。本来、株式会社における公的、私的任務は、公正なる会計慣行による財務を投資家のみならず債権者、従業員ひいては社会一般に責任を負うものでありまして、あらためて会社のあり方が注目されることになったのであります。  続きまして、昭和四十四年七月に法制審議会商法部会から株式会社監査制度改正要綱案が発表されましたが、この段階におきまして、会計監査人制度の商法への導入というびほう的な要綱案が策定され、わが税理士会は十分に検討いたしました結果、機関決定をもって絶対反対という立場を宣明いたしますとともに、関係御当局に対しまして再度にわたり意見書を提出いたした次第でございます。すなわち、企業の系列化に伴う親子会社の問題、取締役の責任と取締役会の権能、企業会計原則の後退、中小会社に対する圧迫が生じ、職業会計人の職域における問題となり、全面的に反対を宣明いたした次第でございます。  次に、本改正案の矛盾点を列挙、指摘いたしたいと思います。  第一に、特例法による会計監査人は、取締役会により選任または解任され、また被監査会社から報酬を受けるなど、制度的欠陥を有しておりますので、完全な独立性を保つことが困難であり、この意味において公正な監査を期持することはむずかしいものと判断されるのであります。第二に、証取監査と商法監査の一元化にあたって、著しく企業会計原則を後退させたことが指摘されます。ことに継続性の原則については粉飾に、また特定引当金については逆粉飾に利用された事例が多いのでありますが、今回の企業会計原則の修正によって、いずれも骨抜きとなっていることは、改正案がねらいとしている粉飾決算の防止に逆行するのではないかと考えられるのであります。  第三に 親会社の子会社に対する立ち入り調査権は、子会社の独立性を阻害しないという保証はなく、問題があると考えられます。  第四に、今回の改正案は当初の案に比し、取締役解任のための株主総会招集権など、監査役の権限強化に関する措置が大幅に削減されておることは、この法案の意図する監査制度の改善の趣旨に沿わないものと考えられます。  第五に、粉飾決算の行為者は取締役でありますが、この取締役の粉飾決算の場合における損害賠償責任の規定が明確でないことが指摘されます。粉飾決算防止のためには、取締役の損害賠償責任を明確に規定すべきであります。  第六に、改正案の「商業帳簿ノ作成ニ関スル規定ノ解釈ニ付テハ公正ナル会計慣行ヲ御酌スベシ」とありますが、すべての商人に複式簿記による記帳を強制するものと解されますが、零細企業に複式簿記の記帳義務をしいることは、過重な負担となることは明らかで、適当でないと考えるのでございます。  第七に、改正案は資本金五億円以上、五億円未満、一億円以下と、資本金別により監査制度を異にして適用することとしておりますが、基本法のたてまえから、このような資本の大小により三本立ての監査制度を適用しなければならないことは妥当ではないと考えられます。  今日、法人税法上の税務計算は、確定した決算書類、すなわち、財務書表にのっとりまして課税所得を把握するたてまえでありまして、公正な会計慣行から導かれる財務諸表の作成から税務書類が作成され、税務代理を一貫してつかさどるのが税理士の現実の姿であります。  このような税理士の立場から、商法改正につきましては、単に公認会計士との職域の問題にとどまらず、外部監査人たる公認会計士の独立性、第三者性をゆがめることに深い憂慮を表明いたしますとともに、このような監査制度の改正だけによっては粉飾決算の防止には役立たないことを主張いたしてきたのでございます。特に大会社と中小会社の区別を商法の体系に取り込むことの是非、あるいは監査役の権限と地位の保障とが大きく後退いたしている問題など、商法上の重要な改正点につきましては、諸先生の英邁なる御判断にまつほかはございません。  公認会計士制度が真に公益または投資家保護のために役立つためには、その業務が公正に行なわれ、権威と信頼を高める上で障害となるものがみじんもあってはならないと念願するものでありまして、かりに一歩を譲りまして、監査会計の専門家としての知識を商法の上に活用するといたしました場合におきましても、監査役制度の補完的機能を発揮していただくことになろうかとも考えるのでございまして、その限りにおきましては、税理士が取締役会の税務補完機能を持ち、また会社の税務代理をになうという立場とは、おのずから異なるものでありまして、このことは原告または被告の代理人である弁護士が公正な鑑定人たり得ない立場にある法理とも同様と考えて差しつかえないと思うのでございます。  しかしながら、多くの公認会計士が税理士業務を行なっております現状におきましては、厳格かつ明確な業務執行上規制があってしかるべしと存するのでございまして、いやしくも企業との癒着を指弾されることのない一線を画するため、法文上の明確な規定がなされますよう提言いたす次第でございます。  そこで、現行の特別利害関係は、財務諸表の監査証明に関する大蔵省令におきまして定めているのでありますが、今回の関係法律の整理等に関する法律案におきましては、そのうち、公認会計士法に新たに業務の公正を確保するため、業務の制限をすることが必要かつ適当である場合に政令で定めることができるとし、二つの監査証明を橋渡し的に移行させるお考えのようでございますが、監査目的、性格の違うものを即移行することの無理を指摘いたしたいのでございます。  そうならばなおさらのこと、商法の特例法による監査は、証取法の監査を厳正強化することによってよかったのではないだろうかと思うのでございます。  さらにまた、監査に当たった両監査の基準までも調整を要することになりますと、ますますその意義を失うことになるのでありまして、公認会計士制度の時代逆行ともなりかねないのでございます。  そこで、私どもは次の諸条件が満たされない限り、今次の監査制度改正を含む会計監査人制度に反対の立場を堅持せざるを得ないことを重ねて申し上げるほかございません。  すなわち、第一には、税理士業務が商法特例法監査の上でも特別利害関係に該当することを法文に明記されることであります。  第二には、監査法人の社員の一人といえども、被監査会社に対して税理士業務を行なっている場合においては、特別利害関係に該当する旨を政令において明らかにされたいことであります。  第三には、監査の補助者たる公認会計士、会計士補及び税理士の被監査会社との税理士業務の排除であります。  以上をもちまして意見を終わらせていただきますが、最後に、商法上の大会社、中小会社という区分いかんを問わず、税理士法に定める税理士業務は、特別な場合を除き、税理士会に入会している税理士だけが業として行なえる分野でありまして、大会社から税理士がその業務を締め出され、中小会社のみに閉じ込められてしまうような結果を招きかねないこのたびの会計監査人制度の導入は、日本の申告納税制度にも重大な影響を及ぼす結果となることを懸念するものであります。  何とぞ、諸先生の御賢察を租税制度の上からも御留意賜わりますようお願い申し上げまして、意見の陳述を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これにて参考人の意見の開陳は終わりました。     —————————————

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 引き続き質疑に入ります。申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 時間がございませんので、各参考人の方々に簡単に一、二お聞きいたしたいと思います。  第一に金子参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、御承知のように、今度の監査制度の強化、一口に言えば監査役の権限が強化されるということになるわけでありますが、この委員会においてもいろいろいままでの質問において議論になったわけでありますが、そういたしますと、監査役というものは取締役以上の事業に対して識見を持っていなければいけないのではないか。しかし、変な話でありますが、いままでの実情からいたしますと、ともすればまあ監査役というものは、何といいますか、それほどのそういう立場に立って選ばれていないというのが実情ではないか。そうすると、よほどこの商法の改正によって監査役の選任というものを、いままでよりも相当選任の角度を変えて考えていただかなければならない、一体そういうことは実際問題としてできるかどうかということが非常に問題になったのでありますが、金子参考人、どうお考えになりましょうか。

金子佐一郎経済団体連合会経済法規委員長

○金子参考人 お答えを申し上げたいと存じます。  いまお話がございまして、現行の監査役制度は法律としてはそれなりの立場を、意義を持つものでありますが、現状につきましては、いろいろと問題は、御指摘のような遺憾な点が多々あると、私自身が率直にそう思うのでございます。今回の監査制度の改正につきまして、これを強化するということになりましても、やはりすべては人の当を得なければ運用がうまくいかないのではないかという御懸念も、私自身も同様に考える次第ではございますが、しかしながら、これだけの法律というものができまして、監査制度が強化される、各企業におきましても、現にそういうような、これがもしも通ったならばというような動きといいますか、監査役に対する認識といいますか、そういうものが私どもの身辺に響いてまいっております。すなわち、いままでの会計監査にとどまらず、あわせて業務監査を行なえるような人、こういうことになりますれば、おのずからそれにはそれだけの力量、手腕と申しますか、だんだんといまの基準から見ますればはるかに大ものと申しますか、それだけの力がある方がおのずから選ばれるようになるのではないかと思うのでございます。ただ私は、そういうような一体適任者が具体的にあるかどうかという問題になりますと、これ自体はおのずから考え方とは別の問題になってまいると思います。  そこで今回の法律の原案を見ましても、それ相応の監査費用を会社が監査役に提供するという一つの条件があるのでございます。そこで私は、監査役に就任された方は、やはり御自身だけでこの問題をやろうということはいろいろ会社の、大会社であるということを前提といたしますれば、ますますもってその可能性が薄くなるのでございます。そこで、スタッフを若干持つということが必要であろうと存じます。また、かりにこの業務監査が定款あるいは法律に違反しているかどうかということの認定につきましても、私は、顧問弁護士を監査役自身が持つことも必要になってくるのではないか、そうして学識経験者等の信頼できる人を、これはやはり監査役自身のいろいろ意見を述べて、その学識経験者の意見を聴取するというような一つの考え方がおのずから監査役自身に起こってくるのではないかと思うのでございます。  かてて加えまして、一面におきまして、会計監査には公認会計士、すなわち監査法人の監査と意見を調整して総会に臨むということになりますならば、これ自体につきましても、このスタッフを使いまして公認会計士の監査と協力いたしましてこの問題を解決していく以外にないと思うのでございます。いま全く御指摘のとおり、かかる法律の運用というものにつきましては、やはりほんとうに人を得るということが一番の問題であると存ずるのでございまするが、それにつきましては、いまのような一つの考え方を持って当たる以外にはないと存じます。ただ、大会社といわれるような五億円以上の会社におきまして、今回のこの監査制度がかりに法律化しましたならば、おそらくこれに対応するような動きを見せるというような機運が出ていることだけは申し上げられると思うのでございます。  以上、一応お答え申し上げます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 いま一点お伺いをいたします。  中間配当の問題でございますが、御意見の中で、電力とか民鉄その他、公共料金として押えられておって内部留保の十分できてない会社については云々というお話がたしかあったかと思いますが、大部分の大会社は、御承知のように大体年二期決算をしているようでありますが、この電力、民鉄というようなものは、いまのお話であれでありますが、そのほかの二期配当をしている大会社は、大体この中間配当の制度をとるというふうに考えてよろしゅうございましょうか。

金子佐一郎経済団体連合会経済法規委員長

○金子参考人 お答え申し上げたいと存じます。  いまお話がございました会社のお答えの前に一応申し上げますと、九つの電力会社の中では大体七社でございます。それから海運の中間六社につきましては、これは全部だと存じます。それから民営鉄道では、大手で十六社中三社程度でございます。これらの会社が若干、いろいろその中間配当については、この法律だけを適用される場合には中間配当が容易でないというようなことを申しておられるのでございます。しかしながら、これらの業種以外の会社でございますれば、特別の新設になった会社とかあるいはいままで配当をいたさなかったような、内部保留のないような会社がかりに復配するというような場合においては特別な支障が出ないとは言えないのでございます。一般的には御心配は絶対ないと私は思うのでございます。  特にいままで一年決算で、一年一回配当していたという会社は、御承知のとおり非常に多いのでございます。ただ、大会社におきましては、中間配当と申すのではなくて、年に二回決算をやりまして、総会を開き、配当をやっております会社が多いということも事実でございます。これらは今後そういう会社がどうしてもできないということであるならば、従来どおり一年決算で一年配当をするか、あるいは半期で配当が——もしも希望であれば総会を開いて、現行法に従って配当はできるのでございます。その辺の運用をその会社において行なうか、あるいは法律においてそれをできやすくするかというだけにかかっておると存じますので、それによって六カ月の配当ができないということとは全く違う問題でございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 まだいろいろお聞きしたいことがあるのでありますが、それではほかの参考人に移りたいと思います。  次に、北野参考人にお伺いをいたしたいと思います。  御意見の中で監査役の身分保障というものを確立しなければ、真の監査役の機能というものは発揮できないのではないかという御意見がございました。その中で監査役の解任に裁判所を参加させるといいますか、参与させると申しますか、という御意見があったかと思います。たしか解任というおことばをお使いになりましたから、いわゆる選任ではないのであって、今度は任期二年になりますが、二年の間に取締役がこの監査役は不都合だというようなことで、臨時総会でも開いて、そこで解任をするというような場合をおさしになったのではないかというふうに思うわけでありますが、そうでありますか、どうですか。二年で任期が切れて、いままでの人をやめさせて、新しく選任するような場合もお含みになるのか、任期の途中において解任をするような場合に、裁判所を参与させるという御意見なのか。そしてまた、これは実際問題としては非常に言うことは簡単でありますが、私は相当むずかしいだろうと思いますが、その辺について……。

北野弘久日本大学教授

○北野参考人 お答えいたします。  先ほども大竹さんから御指摘がありましたが、大企業の監査役には特に従来にも増して見識のある人を入れる必要があるとおっしゃいましたが、私も同感でありまして、ただ、見識のある人をいかに入れましても、身分保障がなければ十分にやれませんので、今日われわれが裁判官を非常に尊敬いたしますのは、裁判官は憲法上身分保障があって、原告、被告とは違う立場に立って、第三者の立場に立って判断できるという、その裁判官の判断に信頼を置くからであります。  それと同じようなことは、大企業に対しても行なわれるべきであるというのが私の問題意識にあるわけでありまして、大企業は、今日では単なる「個人」企業ではなくて、つまり、私的企業ではなくて、社会的な存在である。中小企業も社会的な存在でありますけれども、大企業は特に大きな影響をもたらす存在でありますので、その大企業の監査役というのは、裁判官に準ずるような社会的尊敬を受けるようなそういう人物を備えまして、しかもその身分保障を行なうということであります。先ほど私が申し上げましたのはそういう観点からでありまして、もちろん二年たったら、任期が切れたからおしまいだ、そういう意味での裁判所の介入ではなくて、元来原則としてよほどの不適格である、不都合があるということでなければ任期を更新する。そういう前提で、つまり再任を原則とするという前提に立ちまして、その上でその監査役を任期途中あるいは任期が来た場合においても再任しないという、その二つの場合におきまして裁判所の公正な判断を受ける、そこまで徹底する必要があるのではないかという気持ちで申し上げたのであります。  それから最後の御質問の点でありますが、大企業については決して非実践的な議論ではない、可能である。資本金を限りますとそれほど多くの会社は日本にはございませんので、大企業につきましては、そういうように裁判所が介入を行なうということは決して不可能ではない。そこまで今度の商法改正で行なう必要があったのではないか、このように考えるわけであります。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 まだ相当議論の余地はあると思うのですが、時間がございませんので、いま一問だけお聞きしたいと思います。  結論として、こんな程度の改正をしても粉飾決算がなくならぬよという御意見だったろうと思います。私も実はそう思います。ただ、これだけいろいろなことをやれば、私は少なくとも粉飾決算はいままでよりもよほど少なくなるだろうというふうに思うのでありますが、その点についても全然いままでと同じことで、少しも減りもしなければ、いままでどおりとお考えになるか。

北野弘久日本大学教授

○北野参考人 お答えします。  それは非常に重要な問題でありまして、今後の情勢分析の問題になってきますが、ただ私の従来の二十年間の税法学及び税務行政の実際の研究の経験から申しまして、必ずしも楽観はできないということでありまして、しかし公認会計士の諸先生方あるいは大企業の経営者の方々が、良識を持って少しでもこの商法改正の意図するところを実現しようという努力をされれば、あるいは現在よりも改善されるかと思いますけれども、しかしそれはなかなかむずかしいのでありまして、あまり期待できない。むしろ法制的には先ほど申しましたように、企業会計原則の最近の動向を見ますと、粉飾決算あるいは逆粉飾決算と呼ばれるような企業の利益操作、最終的には企業の租税回避につながってきますけれども、そういうことを職業会計人である公認会計士の方が結果的にはオーソライズする、そういう危険性すら予測されるのでありまして、これは少しでも税法学だとか税務行政の実態を研究された方であればわかることであります。ただ商法の規定をいかに読んだってわからないことでありまして、日本の商法学者はこういった問題についてあまり発言しないのは、おそらくそういった問題についての経験が十分ないのじゃないかと思いますけれども、少しでも日本の税法あるいは税務行政の実態についての研究に経験をお持ちの方であれば容易に理解できることだと思いますので、おことばでありますけれども、私はあまり楽観できないのではないか、このように考えておるのであります。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、時間もございませんから川北参考人、木村参考人に一問ずつお聞きいたしたいと思います。  まず川北参考人にお聞きしたいのでありますが、御承知のように山陽特殊鋼のようなああいう事件があって、商法改正のような問題が出てきたわけであります。御承知のようにあの山陽特殊鋼の場合においても、公認会計士がちゃんと監査をした上でああいあ問題が起きたということも御承知だろうと思いますし、いままた北野参考人から私の質問に対してお聞きのようなお答えがございました。  そういたしますと、いろいろ規定上の問題があると思いますけれども、やはり基本とすれば、もちろん会社の取締役、監査役のいわゆる社会的責任の自覚というものも必要でありますけれども、やはりこの問題、ほんとうに終局的な効果あらしめるためには公認会計士の責任の自覚の問題というようなところまでもくるような気がするわけでございまして、そういう面においてやはりこういうことを機会にいたしまして、公認会計士さんのほうにおいても協会その他においてもいろいろお考えになっている面があるのじゃないかと思いますが、直接法律の改正には関係ないことかもしれませんけれども、やはり私は一番大事な問題ではないかと思いますので、公認会計士協会の副会長さんでもいられるわけでございますので、その点についてお聞かせおきいただきたいと思います。

川北博日本公認会計士協会副会長

○川北参考人 御趣旨のほどはよく私どもも自覚をしておるつもりでございます。過去、粉飾の事例等ございまして、公認会計士の監査をしている会社でそういうことがあったということは、たいへん申しわけないことであると思っておりますが、これは全体から見ればごく少数の事例であるということ。それからその後、それらの問題を先例として、私どものほうで研修その他を通じて十分会員に、今後そのようなことのないような体制を固めておりますので、商法改正の機会にさらにそのように会員の自覚の徹底をはかりたいと存じておる次第でございます。たいへんありがたい御指摘でございますので、また私ども規律委員会というのがございまして、内部におきましても、外部に対して少しでも疑義のある監査のないように十分気をつけておるつもりでございます。御趣旨のほど今後ともよく体して会員に徹底させたいと思っております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に木村参考人にお聞きいたしたいと思いますが、ちょっと順序が逆のようになってしまったわけでありますけれども、やはり公認会計士さんのことに関係する問題で、御意見の中で、いわゆる公認会計士というものは被監査会社に従属をしているから、それではほんとうの監査はできないのじゃないかという御意見がまず最初にあったわけですが、実は私ども委員会においても非常にそれが問題になったわけでございまして、この問題は北野参考人にもお聞きしたいと思ったのですけれども、時間がございませんのであれしてしまったんですが、最後に木村参考人から、それなら一体さしあたりどういうようなかっこうにすれば被監査会社から、独立といいますか、ことばによれば従属しないで済むか、これはちょっとやそっとで私なかなかできないと思いますが、さしあたりせめてこれくらいのことをしたらいいのじゃないかというような御意見がございましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

木村清孝日本税理士会連合会会長

○木村参考人 お答えいたします。  一例を申し上げますと、社団法人のようなものでもこしらえまして、それから監査費用を出すというようなことにしていただくか、あるいはまた国家から出していただくというようなことにいたしましたらいかがであろうかと考えております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 それでは質問を終わります。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次に横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間がございませんからたいへん失礼な質問ばかりになると思いますけれども、各参考人にはあらかじめお許しを願いたいと思います。  まず金子さんにお伺いするのですが、経団連としては一体ほんとうはどうお考えかということなのであります。この間、経団連のかなりの責任者の方にお会いをいたしまして、ざっくばらんのところどうなんだといって聞きました。そうしたら、おっしゃることは巨大なマンモス会社を公認会計士が監査することは実際的に真の効果があるか多大の疑問がある、財界の一部では、公認会計士の監査は明白で無用かつ実効はないけれども、法律の定めであり、かつ社会的信用を得る手段として甘受しているのだ、これが偽らぬところですよと、しかも経団連としては商法で直してもらいたいところがまだたくさんある、実はそこを直してもらうためにはどうしても、法務省がまずこれが第一段階だから、これをやらなければあとの仕事ができませんよといわれるので、それならしようがない、こういうことだとおっしゃっているのですが、——かなり公開の場ですよ。私が思うに、粉飾決算が発足点なんですが、最近の粉飾決算の傾向を見ますとそんなにふえてはいないのです。社会的にも批判がありまして、公認会計士の皆さんもわりあいに自己の中で問題が起こるのを避けられてまじめにやっておられる。むしろいま大企業で問題になっているのは、粉飾決算よりも最近の株価操作であり、買い占めであり、売り惜しみであり、土地のばく大な買い占めであり、独占価格のつり上げであり、政治献金である。それがきのう経団連と革新十八団体との懇談になっておるのも、粉飾決算はその大きな中の一つにしかすぎなくて、むしろこの大企業のあり方というところに問題の焦点が移っておる。一番最初は確かに粉飾決算でした。いまはそうなくなっている。その中のわずか少しの部面が粉飾決算ではないか、しかもその粉飾決算について先ほど私が御紹介した、名前言ってもいいんですけれども、あまりその人に迷惑がかかってもいけないので言いませんけれども、それが偽らぬ気持ちだということをおっしゃるのですが、どうなんでしょうか。この商法に対するほんとうの考え方は、ここらで粉飾決算がなくなりますとおっしゃるわけでもあるまいに、それは悪いことじゃないからいいことなんだけれども、本来の粉飾決算がこれでなくなるとはまさかおっしゃるまい。それよりもっと別なところに問題の所在が変わっておる。その別な問題の所在を解決するのが、いま国家の大企業に与えられている社会的命題ではないか、こういうことなのですが、これは遠慮なく言っていただかぬと、くつの裏から足をかくようなことでは困る。

金子佐一郎経済団体連合会経済法規委員長

○金子参考人 お答え申し上げます。  遠慮なく申しまして監査をされる、あるいはその監査の構成がきびしくなるというようなことは、被監査会社の立場といたしましては、おそらくほんとうにこれを喜んでいるというものを御期待になっても無理だというように思います。これはだれに聞きましても、もっと厳重に監査するんだ、調べるんだということになった場合に、その気持ちとしては私はそこにあると存じます。しかしながら、私どもの企業の社会的責任とかまたそれだから、経営者のトップにある者がそういうすべての経営が不合理性になり、あるいは信憑性を失うということを喜んでおる者はだれもおりません。したがって最近のように、企業の社会的責任、さっきも先生がお触れになりました他の問題もあわせまして強く要求されているときでございます。この監査制度がさらに一そう合理化し、きびしくなるということにつきまして、それが世論であるということになりますならば、経団連全体といたしましても、いままでずいぶん審議を重ねて、先ほども申し上げたとおり今日まで八年間も経過をたどっておりますので、結論的には、積極的にこれを受け入れようという心組みになっておることだけはまた事実でございます。  それでまた、この監査制度とかあるいは公認会計士制度に対して、これは人間のやることでございますので、完ぺきであるかどうかということについては、私は御議論は尽きないと思うのでございます。しかしながら私は、警察制度というものがあって、それがどんなに強化されてもやはり犯罪というものは出てくるのではないかということを思うのでございます。そしてその制度がよりきびしくなればその数は減ってくるということも、私はいえるのではないかと存じます。そこで、この制度が適用され、監査役と公認会計士が意見調整してこの問題に当たるということになりますれば、おのずから企業のえりも正されるでありましょうし、また現実においてその監査の目的は十分に達せられるのではないか、こういうように私は大きく期待いたしておるものでございます。したがって現時点において、いろいろ他の問題の御指摘がございましたが、それはそれなりにまた別途に御考慮願うことは必要と存じますけれども、それがゆえにこの監査制度が意味がないものであり、また効果がないとお考えになるならば、それは大きな誤りである。これだけ問題を強化してまいりますれば、それなりの効果はあると私は思うのでございます。  なお、仰せのごとく現在、財界あげまして、まだこれから商法の改正をお願いいたしたいということはたくさんございます。たとえば焦眉の問題といたしましては、マイクロ写真やコンピューターの記録等を帳簿として認めてもらいたい、こういうことをはじめ幾つかの——あげますれば時間がございませんので省略いたしますが、たくさんの事項を持っておるので、これらは、これらの問題を片づけていただきました上において次々とお取り上げ願うものと思うのであります。  ただ先ほどお話しのとおり、これを通さなければ、これに賛成しなければあとのものはやりませんよという法務省の御意見があるがごときこと、これは絶対にございません。私は、いままで長い間の御交渉過程において一回もそういうことをおっしゃった、またそういう雰囲気を出されたこともないことをつけ加えまして、私のお答えといたします。

横山利秋日本社会党

○横山委員 川北さんにまたいやな質問をいたします。  おっしゃったように、身分保障を確立してくれという点は私も全く同感なんです。身分保障を確立してくれ、おれがまじめにやっているのに首切られちゃ困るということなんですね。そこの根本問題として、とにかく被監査会社から報酬をもらってその被監査会社の恥部をえぐり出す。ことばは適当でないかもしれませんが、結局そういうことになる。そういうところにいまの日本における監査制度の本質的、根本的矛盾があると思う。そこで、大竹さんも質問したようにワンクッション置いたらどうだ。それが監査法人ということにもなる。けれどもそれをもってしてもまだ、個人の公認会計士もいらっしゃるし、そういう点についてはなかなかぬぐい切れないものがある。それは歴史と伝統があり各国の状況もあることはよくわかっていますけれども、要するに税理士さんは、法律のワク内で納税者の依頼を受けて銭をもらって税務代理行為をする。公認会計士は、その会社から銭をもらってその会社の悪いところをさがす。まあ、ことばは適当じゃありませんけれども、結局はそういうことになる。そこがどうしても割り切れない。だから、ここのところが解決しなければ公正なものはできないのではないか。どうしても人間は人情というものがそこに働く。それはもうしろうとが一番最初に気がつく根本的な命題であると思う。それをどう思うかというのが一つです。  それからもう一つは、まあ、こんなことを聞いてたいへん恐縮でございますけれども、たとえば新日鉄のようなマンモス会社も公認会計士監査法人がおそらくやっていらっしゃると思うのでありますが、何人かかって延べ日数何日かかって、それで新日鉄のすべてが知り得るかどうかというのがしろうとの私の疑問なんであります。ほんとにそこがやり得るためには一体どうあるべきかということなんであります。私は、いまの公認会計士の皆さんがほんとに誠実にやるとするならば、いたずらに公認会計士ができる会社をふやすことをもって多とせずに、もっと少ない巨大資本を相手に社会的責任を持って、そして国民なり多数の株主の利益を代表して集中的に深く広くそこをやるべきではなかろうか、こういうことを私は考えるのでありますが、いかがでございましょう。

川北博日本公認会計士協会副会長

○川北参考人 まず第一点の問題についてでございますが、公認会計士の身分保障に関連をしまして、この契約関係ないしは報酬を受け取る関係をどういうぐあいに律したらよろしいかという点につきましては、われわれの会員の内部からもそういう疑問が出まして、長い間検討をされてきたことでございます。  まず報酬について申し上げますと、これはアメリカの判例にもございますのですが、報酬は会計士の専門的能力と実務経験とを必要とするその会計士の業務に対して支払われるものであって、会計士個人または会計事務所に支払われるものではないという考え方が大体世界の公認会計士の常識になっているようでございます。しかしながら仰せのような一般的な疑問が出てまいりますので、報酬の受け取り方あるいは契約の方法につきまして、たとえば公認会計士協会が一括してその任に当たったらどうかあるいは国がそれに参画したらどうかというような考え方が従来出てまいりまして、それに対して考えられてまいりましたこと、検討されてまいりましたことを申し上げます。  まず、会計士協会あるいは何らかの機関で一括してこの契約関係を処理するとすれば、第一番目に、その中で派遣する監査人をどうしてきめるか。あらためて能力テストをするのかあるいは順番によるのかというような非常にむずかしい問題が出てまいりました。  第二番目には、かりにその監査適格者をそこで選んだとしても、だれを専任者としてだれをその補助者とすべきかというような、その監査団の編成に非常に難点があろうというのが第二のむずかしい点でございます。  第三点といたしましては、今度は監査をされるほうの会社のお立場をよく考えてみますと、監査人の立場になる会計士と被監査会社との信頼関係と申しますか、台所のすみずみまで見せるわけでございますから、その信頼関係というのをどう律するか。全体の中から一方的に選んだ監査人との間にそういう信頼関係を直ちにこしらえていくことに非常にむずかしい点があろうか、こう思われるわけでございます。  それから第四点といたしまして、もしそういう一括受託機関あるいは報酬受領機関を置きますと、非常に官僚的監査の色彩を帯びる傾向が強い。まあ官僚統制的なというとことばはちょっとおかしいかと思うのですが、そういう色彩の監査になりまするととかく監査というものが形式的に走りやすい。  まあ、こういう点が従来考慮されてまいりまして、非常にむずかしい。現在世界で一応通用しております個々の監査人あるいは公認会計士または監査法人が個々の責任において監査を受託し、またその監査業務に対して正当な報酬を受け取っていくいまのやり方というものがどうもいたし方ない現状ではないか。またそれにかわる方法というのはなかなか見つけがたいというのが現在の状態でございます。  第二番目の問題点でございますが、非常に大きな会社に対しまして監査を深く、内容を豊富にやったらどうかという御質問でございます。また被監査会社の数がふえていくよりも現在あるものの深度を深くしろ、こういうことでございますが、端的に申し上げまして商法監査によってそうたくさんの会社がふえるわけではございません。しかしながらその巨大な会社に対して監査を充実しなければいけないという御趣旨は十分私どもも理解をしております。この解決につきましては監査の組織化をはかるということ以外にないと思います。そのために監査法人の制度ができ、また会計士協会内部におきまして単独監査よりも共同監査、共同監査よりもさらに共同事務所の監査、共同事務所の監査よりもさらに組織化した監査法人による監査というようなことで監査の組織化をはかってそして御期待にこたえていくということにつとめておるわけであります。またむずかしいのじゃないかということでございますが、私ども実はその巨大な会社の会計を間違いなく見ていくことが仕事でございまして、これは技術的に十分可能であるということをひとつはっきり申し上げたいと思うわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次に、北野参考人にお伺いをいたしたいと思います。  この間の本委員会で企業会計原則がずいぶん論争の焦点になりました。もうすでに御存じのように、企業会計原則は法律に基づかないで企業会計審議会というところがあってそこできめて、大蔵大臣がいいだろうということになればそれで実行されるということなのであります。ところが企業会計原則のいま問題になっておりますのは継続性の原則でありますが、この企業会計原則が変わることによりまして税ががらっがらっと変わるわけですね。先般問題になりましたのは、国際的なドル問題を通じてA会社がこういう方法、B会社が違った方法、C会社がまた違った方法をとってもそれは主税局長としてはいたし方がないという言い方をいたしました。そして法務省でありましたか、公正な原則によってやっておると見る、統一的な原則でやっておると見る、こういう見方なんであります。主税局長はいたし方がない、適当と必ずしも言わなかったですね。私どもとしては租税法定主義の原則に基づけばそういう企業会計原則が変更し、あるいは解釈が動くことによって納税者の損益がずいぶん動いて税収が違う。そしてA会社は得し、B会社は別な方法をもってまた得をしておるということは適当でないということを強く主張しておるのでありますが、どういうふうにお考えでしょうかというのが第一。  それから、北野さんは税法専門家でありますからいかがかと思うのでありますが、もう一つの論点は、いまこの商法の審査にあたって企業とは一体何だということがずいぶん議論をされました。近代社会における企業というものは利潤追求の機構として商法が定めておるのであるけれども、それだけでよろしいのかどうか。言うならば社会的責任というものが当然のことに常識的にいまや天の声であると考えられる。商法の中にその会社の性格というものをうたうべきである、こういう意見がきわめて強いのであります。この点についてどうお考えでございましょうか。

北野弘久日本大学教授

○北野参考人 お答えいたします。  最初の問題は、企業会計原則をめぐる問題でありますが、これは税法上は法人税法の二十二条をめぐる問題になってくるのであります。日本の法人税法では御承知のように一般に認められた企業会計の考え方と違ったことを特に税法に規定する必要がある場合に特段の規定を設けるということになっておりまして、法人税法二十三条以下の規定であるとかあるいは措置法上の規定というのはそういうものとして理解されているのであります。そうしますと、税法に特に規定がなければ、法人税法上の所得の概念というのは一般に認められた企業会計の考え方に従ってきまってくるということになりまして、そのことを法人税法二十二条四項が確認しておるということになってくるわけであります。一応たなおろし資産であるとか固定資産の問題につきましては、御承知のように会計処理の方法について変更する場合にはあらかじめ税務署長の承認を受けよという規定がございますけれども、どういう基準で承認を与えるかということについては規定がない、そういう形でなっておりますので、現実には、しかもわが国では企業会計の慣行というものがほとんど成熟するひまがないくらいでありまして、何が企業会計の慣行なのか、何が一般に認められた企業会計処理の基準なのかというようなことがわからないわけであります。結局、税務行政の実際におきましては、国税庁の通達の見解が現実には企業会計の慣行であるとかあるいは成文化されました例の小さな「企業会計原則」という文書あるいは今回出ておりまするような「修正案」というものがやがて確定しますと、それが企業会計の慣行であるという形になっておそらく実務が運用されると思いますけれども、そうなりますと御指摘のように税法に特に規定がなければということになっておりますので、特に規定があれば別ですが、なければ結局は企業会計原則の修正案のようなああいうところでいっておるような事柄が税務上も入ってくる。税務行政の実際におきましてそういうものが尊重されるという結果になっていきます。そうなりますと、継続性の原則などがゆがめられていきますと、企業の利益操作、法人税の課税物件というのは各事業年度の所得が課税物件でありますけれども、ですからある所得がいつの事業年度の所得であるかということが非常に重要な問題になってきますが、その法人税の期間課税としての課税物件をめぐる一連の考え方というものは今回の企業会計原則の修正の動きであるとか、あるいは商法の公正な会計慣行という文言の導入によりまして、大きくくずれてくるのでありまして、結局大蔵省主税局をはじめとする税法律案当局がよほどしっかりしなければ、そういう経済界あるいは企業会計原則の修正あるいはそういった方面の動向いかんというものが税金のあり方に影響を与えるということになりまして、結局その企業の利益操作的な形で行なわれますいろいろな会計処理を課税の面でも承認せざるを得なくなってくるということになってきますので、われわれとしましてはよほど警戒をする必要があると思いますけれども、いずれにしましてもおっしゃるような懸念があるということは否定できないのでありまして、今回の商法改正の盲点であろうと私は考えておるのであります。  それから、第二番目の問題でありますけれども、企業はどういう性格のものであるかということでありますが、これはおっしゃるように今日の企業は特に巨大企業は公的な社会的な存在であるということで、国家に準ずるものとして考えられるべきである。そのことはもちろん商法の基本法の規定の上ではっきりと規定するということが必要であります。そしてその一環としまして、私が先ほど申しましたように監査役というものはまさにそういった企業の公的な存在を担保するバックボーンと申しますかケルンでありますので、よほど監査役の身分保障を考え、監査役であるというだけで最高裁判所の判事に匹敵するくらいの社会的尊敬を受けるという、そこまでやはり育成をすべきでありまして、そのためには取締役会に対抗するような監査役会をつくりまして、その監査役会のもとに専属の監査機構を設ける。その機構の中に公認会計士が入ってくる。私は公認会計士というものは先ほどから出ておりますように、自由職業として制度的には成り立たないというふうに考えております。特に日本では成り立たないというふうに考えておりますので、横山先生御指摘のような疑問が素朴な疑問として国民にあるわけでありますので、どんなに優秀な公認会計士でありましても、人からお金をもらって悪口を言わざるを得ない。しかもどんなに調べても新日鉄のような大きな会社の実態はわかるはずはありません。おそらくわかるはずはないわけで、税務官庁もわからないのでありまして、あれほど膨大な権力を持っておる税務官庁ですら何十日調査してもわからないというような実態でありまして、いわんや一公認会計士がいかに優秀であってもわかるはずがないというふうに私は考えるのでありまして、これはもう常識だと思いますけれども。  ですから、そういうことを考えますと、やはり巨大企業につきましては民間の会計検査院、今日日本の会計検査院はあまり信用できませんが、しかし、ないよりましでありますけれども、巨大企業に対しましては、社会的な公的な存在でありますので、国民的なコンセンサスのもとで何と申しますか民間の会計検査院というものをつくり、そこへ公認会計士の方が入っていく。公認会計士は一種の特殊法人のメンバーである。社会的には判事と同じ、あるいは判事に準ずるようなそういう地位を与える。決して国家だけから金をもらってやるんではなくて、被監査会社からも特殊法人であるその会がもらいまして、その上でやっていく。自由職業として認めない。一種の公的な準公務員と申しますか、そういう地位において公認会計士の方がその専門的な知識を活用する、そこまでいかなければ企業の、特に巨大企業の社会的な公的な存在に対して国民にこたえることはできないのではないかと考えるのであります。  なお本委員会におきまして先回の記録をちょっと見ておりましたら、盛んに法人擬制説であるとか、法人実在説という議論が出ております。あれは税制にも非常に関係があるのですけれども、この機会に申し上げておきますが、ああいう議論は今日ナンセンスでありまして、ナンセンスと申しますのは、だれも新日鉄のようなものは株主と同じであるとは考えてないのでありまして、企業というものは社会的な独自の存在であることは自明であります。  なお税制の面で法人擬制説ということばをよくいいますけれども、これは大蔵省の主税局の翻訳が誤りでありまして、大蔵省主税局ですが、昭和二十四年に戦後の混乱期でまだ学問の発達してなかった時代でやむを得ないとは思いますけれども、シャウプ勧告のインパーソナルエンティティということばを擬制説の擬人ということばで公式訳をした関係上、法律学を専門にやった大蔵省の方々は法人擬制説であるというふうにとりまして、自来そういったことばの使い方がわが国の税制の研究の面で使われておりますけれども、ことばは約束の問題でありますけれども、決してシャウプは民法の法人の本質論で議論されるような、そういう法人擬制説ということで言ったのではなくて、課税理論上、所得課税におきまして、インカムタックスにおきまして法人というものを株主とは別個の課税単位として認めるべきであるかどうかという観点から議論をしたのでありまして、そういう意味で法人というのは本来的な課税単位にならないんだということで言ったのでありまして、シャウプの言っておるインパーソナルエンティティということはあたりまえのことで、パーソナルというのは個人という意味でありますから、インは否定でありますから、インパーソナルエンティティというのは非個人的な存在である、非人格的存在であるというあたりまえのことを言ったのでありまして、決して法律学で論議しておりますような法人擬制説ということで言ったのではないということをこの機会に申し上げておきます。そういう意味からいきましても、あまりこういった議論は意味がない。私が申し上げたいのは、横山さんと同じような意見でありまして、やはり巨大企業の今日の責任を痛感した場合には、このような商法改正をやってもその責任が果たせない。むしろもっと強力なコントロールを加えるような、国民が巨大企業を監視するという、そのための制度的な保障をするということが現代商法に課された課題ではないかと考えるのでありまして、このような小手先の立法では何ものも解決しないと考えるのであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 木村参考人にまたたいへん恐縮でございますが、質問をいたします。  要するに、政府はこう言うのであります。今度の商法で公認会計士さんに税務をやっておる人を監査のほうへ追い出すのであるから、むしろ税理士さんの職域拡大になるのだ、決して税理士さんの職域の侵害にはならぬのだ、どうしてわかってもらえぬだろうかと言わぬばかりなんであります。私どもとしては公認会計士が本来の公認会計士の仕事をしてもらう、税理士が本来の税務代理行為の仕事をしてもらう、その交通整理をなるべくうまくやりたいものだ、こういうふうに考えておるわけでありますが、なぜ一体政府がむしろ税理士さんの職域拡大になるのだという理論と税理士会が職域の圧縮になるのだ、どこでかみ合わないのかという点について御説明をいただきたい。ほかにたくさんございますけれども、時間の関係上、これだけひとつ御説明を願いたいと思います。

木村清孝日本税理士会連合会会長

○木村参考人 お答え申し上げます。  ただいま公認会計士のほうは公認会計士として今度監査に専念する、したがってわれわれの職域は増加するのではなかろうかというようなことを政府で言われているということでございますが、私どもは決してさようには考えないのでございます。  またあるいは今度の規定では五億円以上の大会社に適用するのであるから、いわゆる私どもの職域を侵害されるとしても、それはわずかな数ではないかというようなことのようでございますけれども、私どもはさっき参考人の方から仰せになりましたように、その職責がいわゆる取締役の補助的職業でありますと同時に、会社の代理人として税務の代理あるいは書類作成等をやっておるのでございますが、公認会計士もわれわれと同様の税理士の業務をやれるということになっておりますので、現在の実情といたしましては、大会社のほとんど大部分に公認会計士の方も税理士の業務を兼務してやっておられますし、また私どももそのほか大きい会社になりますと、税理士の業務もやっているわけでございます。したがいまして、これが今度できました法律によりまして公認会計士の方々が全然タッチしないのだというようなことは私どもはない、かよう考えますので、ぜひ特例法でその被監査会社を監査していらっしゃいます公認会計士の方々は、個人であれ、法人であれぜひ税理士業務はしないようにしていただきたいということを法律で明記していただきたい、こう申し上げておりまして、私ども自身といたしましては、私どもの職業は絶対にふえない、やはり向こうが監査されました会社は当然われわれから離れていくのではなかろうか、こういうふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間がございませんけれども、大事な点でございますから、もう一問それに触れて質問したいと思うのでありますけれども、個人の公認会計士は今度監査と税務と両方はできないということになっておるわけですね。それから監査法人は被監査会社に対して別々の公認会計士であるならば監査と税務が両方できる、こういう一般解釈を政府はしておるわけですね。そこで、問題になりますのは、先ほどお話があったように、監査法人であっても監査と税務代理行為はできないというふうにしてくれという御要求が出ておるわけですね。そこで税理士会と公認会計士会に、どれくらいそれはあるんでしょうか、実在しますかと言いましたら、両会ともそんなにはありませんというお話のようです。現実にはそんなにはありませんというお話のようでした。そんなにはないならそう両会とも固執をなさいますなというふうに私は一応申し上げた。ところが、どうもそれに固執をされるのは、両会ともいまはそうであるけれども将来はふえる、こういう判断、展望を持っていらっしゃるからと私は思うのであります。その判断、展望がどうして働くかといいますと、いま木村さんのおっしゃるように、いかぬといっても被監査会社と公認会計士とで信頼感、なじんでおるんだからまあまあということになる。だから法律がよほど明確にそうしてなければ、それは争いの種になる、大体そういうふうに私は理解できるのでありますが、その点、時間がございません、たいへん恐縮でございますが、簡潔に両会から御意見を伺いたい。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕

川北博日本公認会計士協会副会長

○川北参考人 お答えいたします。  この問題は非常に重要な問題でございますので、先ほど陳述の際にも申し上げましたとおり、まずこの税理士業務、税務というのが公認会計士の監査人たる立場における独立性に関係のあることかどうかということが第一に考えられなければいけないと思います。先ほど申し上げましたとおり、私どもはまず監査意見の独立性を保つためにこの税務というのは別段の影響がない、つまり独立性は税務に関係ない事項であるという国際的な考え方を私どもも持っております。  そこで、そうなりますと、この利害関係における税理士業務というのはこれは長年友好団体でございました税理士会のほうとの一つの調整問題としてのものの考え方が残ってくるわけでございますが、それにつきましては私どもはっきり申し上げまして国際的に卑屈な立場になりたくない。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 どこの国でも公認会計士が当然認められている状況に私たちもありたいということでございまして、まあ基本的にはそういう考え方がございますが、監査人そのものが現行法令のもとにおいて個人の場合には当然やっていないわけで、監査法人の省令におけるところの例の二分の一基準だけがここで問題になっているわけでございます。そこで監査法人そのものとしてはこれは税務は当然やれないわけで、たまたま監査法人の社員が個人として税理士であった場合の話でございます。これは当然税理士としての話でございますので、先ほど来申し上げました現行法令の前提に立って考えますと、この姿というものは別段変えていただきたくない、今後さらに発展的にどうこうという気持ちは毛頭ございませんが、現行の姿というものはどうか残していただきたいというのが私どもの偽らざるお願いでございます。

木村清孝日本税理士会連合会会長

○木村参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問で、私どもの会は何か五億円以上の大会社にはあまり関係していないと、だれが申したか私も存じませんけれども、はっきりした統計はまだ私ども確認しておりませんけれども、先刻答弁申し上げましたように公認会計士の方のうち約二千七百人くらいが税理士業を兼任していらっしゃいまして、そういう方はほとんどといっていいほど税理士の収入も相当あると私は考えております。したがいまして少なくともそういう方の、まあ二千七百人とは申しませんけれども、大多数の方々が税理士業務をやっていらっしゃる、かよう考えております。ただ、はっきりした統計を確認いたしておりませんので、はなはだ答弁に力がないことを残念に思うのでございますが、先般大蔵省から発表されましたその件数とは私どもの実感といたしましてはだいぶ隔たりがあるものだ、かよう考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 たいへん恐縮ですが、時間がありませんので、この辺で……。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次に、青柳盛雄君。

青柳盛雄日本共産党・革新共同

○青柳委員 北野さんにお尋ねをいたしたいと思うのですが、親子会社——子会社というのが今度商法の中に導入されてくる結果、独禁法体系などに対する影響もあるというお話もありましたが、それももちろんお尋ねしたいと思いますけれども、時間が一人二十分ということに制限されておりますので、私の質問時間をなるべく短くしてお答えしていただく時間を長くするため簡単に申しますけれども、連結財務諸表制度というのが実は法務委員会にはなじまないことばなんです。これは大蔵委員会の人でしたら非常にわかりが早いのだろうと思います。したがってこの商法の改正を担当している法務省もあまりよくわかっていないようなんです。私どもは、これが導入されてきて連結納税制度というようなものに発展していくということになった結果が民主的な納税制度である申告納税制度に重大な影響を及ぼすのではなかろうかというようなお話を先ほど承りまして、何ぶんしろうとでございますので少しわかりやすく、こういう商法の体系の結果として及ぼす影響についてお聞きをいたしたいと思います。

北野弘久日本大学教授

○北野参考人 お答えをいたします。  非常に重要な問題でありまして、青柳先生は法律学の専門家でもありますので、私お答えする必要はないと思いますけれども、問題がきわめて会計学に関係する問題でもありますのでお答え申し上げます。  連結財務諸表という制度は、御承知かと思いますけれども、法的には独立した企業ではありますけれども経済的には一体である、実質的には同じであるという、そういう個別企業間におきましての財務諸表を一本にする、そういう制度であります。つまり日本の法制は各企業ごとに別個の人格を与えておりますけれども、その各別個の人格を持った企業が実は経済的には同じものである、一体である。そういう経済的実態に着目してでき上がっている制度でありますけれども、そういう結合企業全体の財政状態あるいは経営成績を総合的に表示する。そのためには各企業ごとの個別財務諸表ではいけないのであって、経済的に一体になったそういう複数の企業の財務諸表を統合した形の連結財務諸表をつくる必要があるのだということが経済界からもいわれておるのであります。そのことによって投資家その他の利害関係者に対しまして、個別財務諸表では得られないような財務情報を提供することができる。この点は私は十分に認めていいと思いますけれども、……。  それから第二番目に、支配会社の経営者に対しまして、つまり親会社ですけれども、親会社の経営者に対しまして、多数の従属会社、子会社に関する経営管理上の必要な財務情報を提供する。つまりマネージメントに必要な情報を十分に提供する。そういう意味で経営の合理化、管理の上におきましても望ましいメリットがあるということがいわれております。  第三番目に、支配従属関係にある会社の会計士監査というものを完全にするための手段として連結財務諸表制度というものが十分に機能するのだというようなことがいわれております。つまり親会社と子会社と非常に関係が深いものですから、親会社だけの財務諸表を見ていてはだめだ、全体を総合した形で見なければ、親会社のほうの監査も十分できない。こういう三つのメリットがあるといわれておりまして、一般的には私は賛成なんですが——実はこれは経済界、先ほど横山さんもおっしゃったのですが、私のほんとうに尊敬できるある経団連筋の友だちから聞いたのでありますし、また公式の専門誌の座談会にも述べられたことであります。けれども、経済界のほんとうのねらいはそういう連結財務諸表制度をつくることではないのです、少なくとも日本では。そういう面もあるかもしれませんけれども、大部分はそうではないのでありまして、非常にめんどうなんです。たいへんな手数がかかる。ほんとうのねらいは税金を安くすることであります。  たとえば親会社が子会社に物を売りますと、現在の法制では売り上げになりますね。それが売り上げにならなくなるわけです。あるいは逆に申しますと、子会社の欠損でも親会社が相殺いたしますので、親会社の税金を安くするという形で、巨大企業、特に系列企業のような実態を持っている場合にはほんとうに税法上受ける「利益」が大きく、つまり課税上の「恩典」というものが大きく出てくるわけでありまして、連結財務諸表制度のほんとうのねらいは、連結納税申告制度の獲得にあるということがおそらく経済界の偽らない声だと思います。そういうことが行なわれてきますと、わが国の企業税制の根本に関する問題でありまして、現在は法人格ごとに課税する、法人格ごとに別個の課税単位を持っておるという前提で法制はでき上がっております。先ほどのシャウプの議論は一応別としまして、法制上はそうであります。法人税というものは個別の法人格ごとに課税していくという仕組みになっているのですが、その仕組みが崩壊する。その結果は何千億、予測はできませんけれども、たいへんな税収を失うのでありまして、そのしわ寄せがまたわれわれサラリーマンであるとか中小零細企業の大衆課税につながってくるということになりますし、いずれにしましても、そういうことについて十分に警戒すべきである。つまり連結納税申告制度の導入というのは形を変えた企業減税であります。租税特別措置という特定の納税者の税金を安くするという特別減免の形をとらない新たな企業減税の方法でありまして、その利益を受けるのは中小零細企業ではなくて、巨大企業である、そういうことになってきます。  そういうことが今度の商法改正でもさらに促進されるでありましょうし、それから親会社、子会社という観念、戦後の一連の経済民主化の法思想から見ますと、たいへんな抵抗を感ぜしめるような、親会社と子会社という観念自体を、商法という基本法レベルで導入したということはさまざまな、今後の諸法の改正に大きな影響を与えていくであろう。これは経済民主化に逆行するような方向に走らないとも限らない、その端緒を基本法で示しておるということは、私は別な観点から注目すべきだろうと思います。

青柳盛雄日本共産党・革新共同

○青柳委員 北野先生ばかりにお尋ねして申しわけないのですが、何ぶんにもいま税金の問題が出てまいりましたので、引き続いてお尋ねをいたしますけれども、企業会計原則の修正案というのは昭和四十四年の何月かに出されて、この案というのが、商法の改正が成立するならば案でなくなるというふうにいわれております。その中で継続の原則とかいうものが事実上廃止されるにひとしいというお話は先ほど承りました。  それから引き当て金の問題がやはり商法の前回の改正ともからめて大っぴらになってくるのではないか。そうなると、引き当て金あるいは準備金、いろいろの原則上の変更によりまして、やはり税金を免れるような結果になるのじゃないかということが、私どもしろうとながらわかるような気がするのですけれども、その点もうちょっと詳しくお話しいただきたいと思います。

北野弘久日本大学教授

○北野参考人 お答えします。  これは非常に重要な問題でありまして、おそらく今度の商法改正でも一番大事な問題でありますが、日本の商法学者はどういうわけか、これは従来の法学教育のあり方にも関係しているのですけれども、ほとんど会計学を知らない方が多いわけでありまして、わからないというよりも知らないで商法を研究する、これは最近では不可能だと私は思いますが、どういうわけか全く会計学のわからない多くの人が商法の研究を行なっておるという実態になっております。つまり企業会計で一番大事な会計原則は、現在の企業会計原則というのは御承知かと思いますけれども、幾つかのプリンシプルを掲げておりますが、その一番大事なものは継続性の原則でありまして、今日の企業会計というのは企業の財産計算にあるのではない。企業の期間中において生じた成果の計算にあるのだ。そういう成果計算思考とかあるいは損益計算思考と申しますけれども、そういう現在の企業会計における損益計算思考の最もかなめになる原則が継続性の原則でありまして、この原則を不十分なものにしますと、すべての会計原則というものは崩壊する、なきがごとき存在になってくるのであります。  そういう意味で今度の会計原則の修正案というものが、修正案でなくて修正になりますと、たいへんな問題をもたらすことになってくるわけであります。それがまた税法の改正にあるいは税務行政の実際に大きな影響を与える。つまり企業の利益操作というものを課税の面でも容認せざるを得なくなってくるのでありまして、法人税というのは期間課税でありますので、期間課税のプリンシプルというものは、この原則の崩壊によって崩壊してしまうという危険性があります。  それから特定引当金の問題でありますけれども、これは当時できたときは商法学界あるいは会計学界の通説は、先ほど申しましたように負債性引当金に限定して考えるべきであるということをいっておりましたが、現実には利益性引当金を含めて行なわれております。そしてそのことを公的にも承認するような形で企業会計原則の修正案ができておりまして、つまり会計理論から認められないような利益性の引当金——引当金ではないのですけれども、あえて引当金ということばを使っているのですが、利益性引当金というものを承認する。そしてそれが商法のほうにはね返ってきますので、そうしますと税法と商法の調整ということを盛んに従来から言ってきておりますが、もし商法のほうでそういった利益性引当金を否定するという考え方が支配的であった場合には、税法の改正におきましても控え目にやるわけですけれども、それが今後大っぴらに出てくる。いままで以上に大っぴらになってくるというふうになってきまして、商法のあり方というものが歯どめの役割りを果たさなくなってくるというふうになりまして、巨大企業を中心とした企業のいろいろな準備金であるとか引当金といった合法的な税の軽減措置というものがさらに拡大する傾向が強くなる、そのしわ寄せがまた大衆課税の形で出てくるということになりまして、その影響たるやはかり知れないものがあるというふうに私は考えております。

青柳盛雄日本共産党・革新共同

○青柳委員 時間が迫ってまいりましたので木村さんにお尋ねをいたしたいと思いますけれども、どうも公認会計士さんが税理士業務ができるという法制になっているようでございます。これは登録を認めさえすれば税理士になれるという何か資格を持っておられるようでございますので、登録して公認会計士と二枚鑑札で税務のほうの業務もやる。この前ちょっと大蔵省の人がここの委員会で統計的に説明しておりましたけれども、相当数の方が両方やっておられる。したがって、先ほどから会計監査人になるんだったら税務はその会社に関する限りしないということでなければ、ここが混乱してしまうというお話がありまして、政令の中でその点は監査法人でも、その中の法人の中の社員の一人でも、被監査会社の税務をやってはいかぬ。要するに一体となって監査をやっている中の一部分の者は、これと切り離してその被監査会社の税務をやるというのは正しくないというお考えのようなお話が先ほどありましたので、その点が先ほどの川北さんのほうでは、せいぜい半分のところでとめておいてもらわなければ困るのだ、本来ならば会計監査と税務とは国際的に見ても何ら矛盾するものではない、だからそれに制限を加えられるのは不服なんだけれども、やむを得ず半分だ、こういうようなお話でありました。これはまっこうから対立をしているような感じがいたします。  そこで、大体会計監査という業務と税務という業務が矛盾しないのかどうなのかという点、基本問題で大論争になってしまうわけでありますが、どうも一方は第三者的な立場であり、それから税務のほうは当事者の代理という形なんで、これはいかに何と中正とかいうことばを使ってみても、納税者の立場とそれから税金を取る者の立場とは利害が対立するわけでありますから、その間に立つというようなことは考えられない。したがって、間に立つという機関がもしありとするならばそれはまた別であって、徴税官とそれから納税者の間はやはり利害相反する立場でありますから、これを第三者的なものというふうに見ることはできないと思うのです。したがって、私はこういう矛盾したものを一つの人格が兼ね備えるということにそもそも制度的に問題があるのではないか、そういうふうに考えているのですが、この点は税理士会のほうでは、何か歴史的に公認会計士というのに税理士となる資格を付与しておくことはやむを得ないというふうに考え、それも永久にそれであっていいと考えておられるかどうか、それをお尋ねしたいと思います。

木村清孝日本税理士会連合会会長

○木村参考人 お答え申し上げます。  前段の御質問は、まことに仰せのとおりでございます。私どもといたしましては、まあ現在の法律では中正な立場においてと言ってありますので、ほんとうの意味から申しますと、そのとおりに動かなければならないだろうと思いますけれども、ただいまお話がございましたように納税者の方々から報酬もいただいておりますので、やはり私どもとしては納税者のいわゆる弁護人なり、あるいはまたその、何と申しますか保護的立場に立ちまして、租税に対する納税者の権利の擁護につとめなければならぬと、かように考えます。それがほんとうの私どもの職責だ、こう考えておりますので、私どもはその点におきましてはぜひ法律を変えていただきたい、かように存じまして、ただいま税理士法の改正につきましてそのことを強く関係御当局に陳情をし建議いたしている次第でございます。

青柳盛雄日本共産党・革新共同

○青柳委員 川北さんに最後にお尋ねいたします。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕  先ほどからお聞きしておりますと、やはり矛盾しないようなお考えのようでありますけれども、これはどこまで行っても矛盾するのじゃないでしょうか。第三者的な立場で監査するということと、それから納税者の利益を代表するという立場とは、観念的には何も脱税を代理するわけじゃないんだから同じなんだと言えるかもしれませんけれども、全く第三者的な監査をする場合と、それから納税者の利益を守るために、徴税権力と抗争するというといささかことばは激しいのですけれども、必ず対立するわけですから。そこで調整する機関はまた別に考えなければいけないことで、決してなれ合ってはいけないことだと思うのですね。だから両立するのだということはちょっと無理じゃないか。ただ日本の現状からいって、会計士さんに税理士さんになる資格を付与してあるというものが過渡的にあるにすぎないということではないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。

川北博日本公認会計士協会副会長

○川北参考人 仰せの問題点は二つあるわけでありますが、まず第一点が両立をしない、利害関係に当たるという点で、第二点は公認会計士は税理士の資格を持つことは不自然だという問題であろうかと思います。  まず第一点につきましては、税法はもとより租税法律主義に基づくものでございますから、税理士なり何なりの税務監査に対する態度も当然その税法の解釈のワクの中で行なわれるわけでございます。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、特にその国の調査権との間で攻撃、防御というような性格のものとは違うのではないかと私どもは考えておりまして、租税法に定めるところのものをそのまま税務の執行に取り上げていくということにおいては、何ら公認会計士の独立性といいますか監査意見を曲げる、そういうものは存在しないと私どもは考えておるわけでございます。しかも監査の担当者、監査法人の場合でも監査に関与する直接の担当者は、これは当然いままでの状態でも税理士業務を行なっておりません。そしてそういうことを通じて、いままでトラベルがあって私どもの耳に入ったという事例をまことに寡聞にして私知らないわけでございまして、いままで問題にならなかったことを、あまりここで問題にされることがどうも奇異に感ずるわけでございます。  第二点の、税理士の資格を公認会計士が当然持つことについての問題点について申し上げます。  公認会計士は、御存じのとおり、第二次試験を受けまして会計士補になります。それから三年間のインターンの期間がございまして、その中にはもちろん税法に対する教育も十分に受けるわけでございます。それから、税法を含めた会計実務の試験を第三次試験の中で取り上げられております。したがいまして、このインターンの期間あるいは第三次試験におきまして税務についてのテストは当然行なわれるわけで、また日常の仕事を通じてこの三年間に十分に訓練をされる。したがいまして、この税理士業務あるいは公認会計士の業務というのは、これは国民の立場から理解されなければならないと思っておりますが、納税者の便宜ということを考えますと、公認会計士で税理士になった人たちの国民に対する、納税者に対して寄与する点はいままで十分あったかと思うので、国民の立場からすればこの制度をいまにわかになくするという理論的根拠はないように思われる次第でございます。

青柳盛雄日本共産党・革新共同

○青柳委員 終わります。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次に、沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 私の時間だいぶ切れ込んでしまいまして、お伺いしたいと思ったこともさきの先生方の質問で大体出てきたわけで、重複するのを避けますけれども、しろうと的な立場から一番いま問題になっていることについてお伺いしたいと思います。  金子参考人にお伺いしたいのですが、新聞とか一般で問題になっておりますし、また最近は経団連の会長のところに十八団体の団体がいろいろ現在の状況で、政治的な問題、経済的な問題で申し入れにいったことがあるわけです。その点についてあまりかみ合わなかったという新聞記事を読んだわけですけれども、法務大臣もこの監査制度については十分人を得なければできないんだということをおっしゃっておるわけです。そういう観点から考えて最近の、以前からの問題でもあるわけですけれども、株主総会なり、いろんな会社の業務の内容について、最近は売り惜しみあるいは買い占め、そういうふうな企業のあり方について国民全体が批判の目を向けているわけです。  これはある週刊誌ですけれども、この中でも麒麟麦酒と豊年製油の株主総会の内容が書いてあります。この中で「どんな企業でも一定の条件をもつ以上、年に一回、乃至二回のこうした株主総会をやらなければならない。いわば、一種の企業儀式といったものであろう。  この株主総会はその実体が案外に理解されていないのが実情である。そこで本誌では今後、株主総会の実態をあきらかにしていくことにした。」こう述べながら、「本当の株主総会は大株主間によって、その大半が決定されるのが現状であるが、しかし、それでもなお、一定の条件下における儀式を、茶番劇よろしく展開しなければならないのである。この茶番劇を担当するのが世間でいう総会屋であり、特殊な小型株主紳士の登場ということになるわけだ。人によっては、なんともバカバカしい沙汰の限りともいえようが…それはともかくとして」と、こういうことで麒麟麦酒、これは十五分で議事を終えているわけです。こういうことですね。ここに出ています豊年製油は二十五分です。この中では特にいろんな点で報告がないということで、ずいぶん利潤を上げておるのに配当が全然ないじゃないかという点で株主が食い下がっておるけれども、そういうものを全部はずしてしまって二十五分間で総会が終わっている、こういうことがあるわけです。これはもう一般の事柄であるということが出ているわけですね。  この間の新聞では、警察庁がいわゆる商法を適用して贈賄罪で摘発した問題が出てきております。それについても、これは一部であって、という点が出ておるわけです。一部であるということを警視庁がちゃんといっているわけですね。そうすると一部でない問題が数多くあるということが言えるわけなんですけれども、こうなってくると、こういう内容を考えていくと、これと買い占めや売り惜しみ、こういう内容ということになると、現在の企業のモラルというものがどこにあるのかということになってくると、この商法、こんなのつくったって何にもならぬ。これは北野先生がおっしゃっておるようなことは初歩的なことで考えられるわけですけれども、あなたは経団連の代表としてここへお臨みですから、そういう代表の立場から専門的な、きょうは商法の一部改正という内容で参考人としてお越しになっているわけですから、現在の各企業のこういう内容については十分御存じのはずなんです。特に大きい企業の内容については御存じなんですけれども、そういう中にあって、現状とこういうふうないま一連の大きな問題がマスコミに取り上げられている状況をあわせごらんになって、このままでいいのか、それではよくなければ——たぶんよくないというお答えが出るはずなんです。よくなければ今後どうなさっていくか。そういう企業のモラルを一応企業側の代表としてお答えになっていただかなければ、この法律何にもならぬということになるわけです。その点についてお伺いしたいと思います。

金子佐一郎経済団体連合会経済法規委員長

○金子参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘の総会あるいはまた企業自体が持つモラルの問題、それと商法改正の問題、これとがどのような関連が結論的にあるかということにもなると存ずるのでございます。これを分けてお答え申し上げたいと思います。  この総会のあり方の問題につきましては、私は前々から、実際実情としては遺憾だと思うのでございます。何となれば総会には株主が出て来られて、そうして筋の通った質問をし、また経営者はこれに答えるというような筋合いの基本的な考え方だと思うのでございます。しかしながら今日の株主の数というものは、もちろん万をもって数える会社もございます。少なくとも百、千をもって数えるような会社が多々あるのでございます。特にこういう問題は大会社を御指摘だと思うのでございます。かかる株主におかれましては、いろいろな角度からこの会社に対する御判断をなされ、大部分は委任状という制度によって議決権の大部分がゆだねられているのが現実でございます。したがって、総会へ出ていろいろ心配であるから会社の内容を聞かなければならないという特殊な立場におありになる方々、また心配ならばふだんから会社はこういう問題に対して御質問があればお答えをするような用意も法律的にも私はあると思うのでございます。したがって、総会というもののこのような状態においていろいろ御指摘がありました問題について、私もよく存じております。またそれはほんとうに遺憾だと存じておる者の一人でございます。しかしその総会自体がそれならば無意味のものであるかというと、それなりにまた現行法においては大事な役割りを持っておるのでございます。おそらく経営者はあのような公開の席上において、対株主——その株主がどういう実情にある方であろうとも対決をいたしましてお話をするという機会は、年に一回ないし二回しかないのでございます。しかもそれとうらはらにあります全株主には、決算報告書案その他を全部お送りしてあるわけでございます。したがって、これは公にされておりまして、私は、総会の席上だけに限られた問題ではない、その裏には、全株主に対して会社はすでに決算をして、こういうような状況である、これに対して賛否いかんということで、御出席がなければ委任状をちょうだいするということにもはっきりなっておるわけでございます。しかも、会社の幹部といたしましては、総会に臨む場合におきましては、非常に緊張した気持ちであることは、私は事実だと思うのでございます。そしてまた、これを世論の十分な御批判をいただくように、新聞にも公示いたします。また、雑誌その他においても、その決算内容はきびしい批判を受けておるような実情でございます。したがって、総会自体が開かれておる会場の雰囲気というものについては、私は遺憾だと存じますが、しかし、総会そのもののあり方、そのあるということ、これが機会に会社が、全株主あるいは対社会的にすべての問題を公開しておるということについては、私は、一つの考え方といたしましては、その使命を全うしておるのではないか、このように思っておるのでございます。ただ、先生のおっしゃるように、現在の総会のあり方というものだけを取り上げますれば、いろいろと言いたいことは私自身にもあるのでございます。  そこで、これをもしもかりに改善するとするならば、どういうやり方をやるかというと、これは、今日の監査制度におきましても、いろいろ御指摘がありますような問題があるだけに、若干将来の問題とは存じますが、もしもそういうほんとうに形式的であり無意味なものであるならば、取締役会に、この会社の決算の報告書並びに利益処分の確定権限をお与えいただいても、全く同じ結果になるのではないでございましょうか。それはアメリカあたりにおいても行なわれておるのでございます。したがって、そういう点を考えますならば、私は、こういうような形式的な、しかも無意味と考えられるような総会をもしも廃止いたしまして、それらの総会における問題点を、取締役の責任において、取締役会においてこれを確定させるということならば、それ自体はやはり同じような結果がもたらされる。総会においていろいろの手続をとったということ自体がむしろ無意味であると考えるならば、そうせざるを得ないのではないか。これが今後の対策といたしますれば、そのようにもっていく、ただし、株主、対社会的な公表過程においての批判を受ける、また責任を負うということにおいては、この問題は結果的には少しも変わりはない、そのように信じておるのでございます。  また、一方におきまして、企業のモラルを問われるような、いろいろ新聞紙上などをにぎわしております行き過ぎの問題がある、これは私は、経団連の立場におきましても、はなはだ遺憾といわざるを得ないのでございます。すなわち、従来は、そういうことでも世の中のそれが経済至上主義である場合におきましては、問題がなかったというようなことも、あるいは過去においてあったかもわかりません。しかし、現時点におきましては、経済政策あるいはいわゆる国民の感情というものも変わってまいりました。つまり、企業のあり方について、社会的責任を強く追及されておる時代でございます。公害問題しかり、また企業の姿勢そのものについても、こういう問題が出ておるのでございます。かかる場合におきましては、やはり企業自体は企業の使命というものをよく考えられて、行き過ぎにならないように、それは、末端のほんとうに仕事に当たる人たちは、自分の仕事としてそれをやりましても、やはりその影響というものは社会的に大きいし、また企業自体も責任を負わなければならぬ問題にもからまってまいりますので、それはほんとうに企業のトップから下部に至るまで、そういうようなことを反省する問題が多々ある、これだけは私は考えてよろしいのではないかと存じます。  したがって、かかる問題があるということは、その企業の姿勢の問題でございます。ただ、それが違法であるか、あるいは経理がどうであってもよいかということとは何のつながりも持たないと存じます。やはりこういうようなことがあるならば、企業は姿勢を直すと同時に、またその基本をなします経理の合理化あるいは正確性というものをさらに一段と強調することによりまして、こういう問題もおのずからチェックされる、いろいろの角度から考えられる問題が出てくるのであろうと存じます。失礼なことでございますが、こういうような問題をかかえておればこそ、一そう会社の姿勢を正しくする意味におきまして、まず財務諸表の正確化あるいはまた業務の監督というものを、定款あるいは諸法律違反のないように、監査役制度あるいは公認会計士制度を導入いたしまして、これを正していくということは、むしろさらに積極的に必要であろう、こういうようなことで、その点でこの問題についても経団連あげて賛意を表しておる次第でございます。これをぜひおくみ取り願い、御理解ある御判断を願いたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 同じ問題で北野先生にお伺いしたいわけですが、この株式会社の監査制度に関する法務省からの新旧対照表というのが出まして、この中から取締役解任のための株主総会請求権、それから取締役招集権あるいは取締役の定期報告義務あるいは責任限定の改正、こういうような内容のもの一連のものが削除されたわけなのです。法務大臣は、監査にあたっては監査役は総会に出て意見を述べることができる、あるいは意見に従わない場合は差しとめ請求権もあるし、それでも聞かなければ裁判所の裁定を求めることもできる、こういうふうな法務大臣の御答弁があったわけなんですが、こういうふうな内容を考えますと、むしろその権限がなくなってしまって逆の方向に行っているという意見を述べたわけなんですけれども、いま私が申し上げた点と、先ほど金子参考人に御質問した点と、両方合わせてお答え願いたいと思うのです。

北野弘久日本大学教授

○北野参考人 お答えします。  非常に重要な問題でありまして、特にあとのほうの問題は商法プロパーの問題でありまして、私の専門外にもなりますが、おっしゃるような問題がやはりあるのではないかという気がいたしますが、結論的な意見は差し控えさせていただきます。  なお、前のほうの問題でありますけれども、大企業が売り惜しみをしておるとかあるいは買い占めをしておるということでありまして、企業のモラルの低下ということもおっしゃいましたけれども、全く同感でありまして、だからこそ先ほどから主張しておりますような現在における企業のあり方、企業の社会的な公的な責任というものをどのように商法で受けとめるかという観点に立った、抜本的な改正こそ必要でありまして、このような小手先のような改正——税法にもこういう改正がしょっちゅうありますが、私なんか、日本の大蔵省にはその意味で税法を法と考えていないのではないか、レヒツザッツと考えていないのではないかということを学生諸君に笑いながら言っているくらい改正が激しく行なわれておりまして、つまり税法というのを単なる行政の手引であるという発想しか日本の大蔵省にはないのではないか、客観的にはですね。ずっと研究しておりますと、そうたびたび改正する必要がない場合においても改正を行なっている。慎重にやれば五年か十年に一回くらいで十分である規定がしょっちゅう変わっている。税率であるとか、基礎控除を上げるとかの改正は盛んに改正してほしいと思いますけれども、そうでなくて、税制の仕組みに関する改正がしょっちゅう行なわれております。同じようなことが商法にも言えるのではないかと思います。私は、今日税法は単なる徴税の法ではない、そうあってはいけないというふうに言っております。税法というのは徴税権力に対抗する納税者の権利立法、人権規範という観点からつかまえるべきである、労働法と同じような社会法的思想を税法に織り込むべきであるということを述べておりますが、同じことが商法について言えるのでありまして、今日商法を単に企業の法であるとか、あるいは営利追求の法ととらえるのではなくて、やはり一般の大衆、企業をめぐる一般の利害関係者、そういう膨大な大衆を保護する法として考える必要があるのではないか、そういう観点での思想転換が必要なのではないかと思いますけれども、そういう意味で沖本先生のおっしゃったような趣旨に従って商法を抜本的に考える、そういう方向には全く賛成であります。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 もう時間がないわけですけれども、あと一つだけ川北さんにお伺いいたしますが、先ほど国際的な問題のお答えがあったわけですけれども、自由化の問題だとかいろいろな点から外国の資本が日本へどんどん入ってきますし、これから日本の経済の発展に伴って海外へどんどん出ていくわけですし、先ほど北野先生のお話にもありました親会社、子会社的な関連、いろいろな問題が出てくるわけですけれども、それでより以上に国際的な会計監査的なことが問題になる、こう考えるわけです。そこで、先ほど国際的な内容を持つ会計監査という御意見が出たと思うのですが、それじゃ一体外国の会計監査制度というようなものはどういうものなんでしょうか。その点についてお答え願いたいと思います。

川北博日本公認会計士協会副会長

○川北参考人 お答えいたします。  外国の監査制度全般を御説明する余裕はないのですが、私ども外国の監査とどういうぐあいにからみ合うかといいますと、たとえば日本が外国に投資する場合、当然相手国にある企業を調べなければならないわけでございます。今度は日本にある企業、これはたとえばアメリカで上場いたしますと、例の東芝のようなああいう監査が行なわれるわけでございまして、相互に自国の会計士が、その自分の国に存在する会社を監査をするのみならず、外国にまで手を伸ばしますと、世界的に非常に監査の関係が交錯してまいります。将来はあるいは制度的にどうなるかわかりませんが、一つの予測としておのおの所在地国にある企業を所在地国の会計士が監査をして、お互いにその監査結果を信用し合うというような国際的な相互主義があるいはでき上がるかもしれません。これは将来のことでございますので、いかようにもいろいろな予測ができるわけでございますが、そうした場合にお互いに監査制度というものが非常に高い次元で、程度の高いところでつり合っておりませんと、お互いに支障が起きるということを私ども申し上げたいのでございます。またそのもとになるところの監査の対象になりますところの企業会計の基準もまた国際的にレベルが高い次元で整っていなければならないと思います。  そういうことで、現在五年に一回私どもは国際会計士会議というものを持っておりまして、昨年の秋にはシドニーで行なわれましたが、それの運営の母体になっておりますのが、会計業務国際調整委員会、ICCAPというのがございまして、これが運営をやっております。またその中で国際会計基準委員会というようなものがございまして、会計業務に関連する会計基準の国際的な統一化をはかろう、これはIASCという委員会でございますが、この国際会計基準委員会でそういう国際的な会計基準を統一しようというお互いの話し合いがいま進みつつあります。日本からもこの委員会の委員をわが協会の中から送り込んでおりましてこういう状態というのはどんどん進んでまいろうかと思うわけでございます。  先ほど継続性の原則が企業会計原則修正案からはずれたようなお話がありましたが、これがはずれておりますと私どもも重大な関心を持たなければならないわけでございますが、企業会計原則修正案を続んでみますと、いわゆる財務諸表に注記しなければならないという手続的な規定が注解規定に移されただけであって、みだりに変更してはならないというこの前段の規定というものは全然変更をされていないわけでございます。こういう点で国際的に私ども試練にさらされていくわけでございますけれども、どうか皆さまのあたたかい目で私どもの国際的な立場での今後の仕事に御支援をお願い申し上げたいと存じます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 まだ聞きたいのですが、時間がありませんから、以上で終わります。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしましてあつく御礼申し上げます。  この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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