法務委員会 第32号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/06/13
会議録
○中垣委員長 これより会議を開きます。 法務行政に関する件及び検察行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
○横山委員 本日私が政府側にいろいろお伺いしたいのは、エッソのマネージャープランと称する新しい商法であります。これはいま本委員会におきまして審議をいたしております商法と若干の関係があるのでありますが、事が特殊な性格でありますために、特別に一般質問として行ないたいと思うのです。 まずエッソのマネージャープランというものがどういうものであるかという点につきまして、政府側は御存じかとは思いますけれども、あらためて委員長はじめ同僚委員に少し説明を加えながら御質問をしなければならないと思います。 エッソが石油等製品の販売を業とする会社であることは御存じのとおり。その会社が九年前から同社の製品販売方法としてマネージャープランなる方式を採用してきました。このマネージャープランというのは、ガソリンスタンド開設に際してエッソが資本を投下し、販売店を開設、その販売店の経営者すなわちマネージャーを広く一般から、あなたも経営者になれる、まじめにやれば相当な企業収益が生ずるとの呼びかけにより募集し、採用した者を代理商として右販売店の経営に当たらせるものであります。 エッソがこのマネージャープランを採用した理由にはいろいろありますが、自己直営の販売店と比較してまず第一に人員確保をマネージャーに負担させることができること。第二に、社員の場合は労働時間の規則があるため時間外労働を強要できないこと。第三番目に、その他労基法上の権利主張、特に団結権、争議権等労使関係の問題が避けられること。第四に、独立した代理商としたほうが効率のよいこと。第五に経営上の危険負担をすべてマネージャーに課することにより、自己の責任を回避できること。第六に、契約上はほとんどすべての契約内容の一方的決定権、変更権を留保せしめることにより意のままに各マネージャーの収益を調整し、自己の最大限の利益追求を企てることが可能である、等々の理由で、エッソがマネージャープラン方式を開発したわけであります。 このマネージャープランに基づいてエッソとマネージャーとの間には、第一にサービス・ステーション・マネージャー契約、第二に商品委託販売契約、第三に寄託販売契約、第四に施設賃貸借契約等を締結しております。これらの契約書は不動文字で印刷されており、各マネージャーは同一の契約内容によって規制されており、この内容については全く変更を認めない、イエスかノーかという形になっておるのであります。 これらの契約により、マネージャーはエッソに対し第一に委託商品の販売代金の引き渡し債務を有することになり、これに対してエッソは一定の販売手数料をマネージャーに支払うことになります。そこで、マネージャーは定められた手数料を委託商品の販売代金から控除してエッソに送金することになります。 なおマネージャーの引き渡し債務額についてはあらかじめエッソから支払い明細書が提示され、これに基づいて送金されます。次にマネージャーは寄託商品の買い取り代金の支払い義務を負担します。 さらにマネージャーは施設賃貸借契約に基づいて賃料債務を負担することになります。 これらの債務額の決定権はすべてエッソ側にあり、その計算方法は次のようなものであります。 委託商品については、エッソの指示した基準価格、これは手数料算出のための基準価格でありますが、基準価格より税金相当額を差し引いた残額に一定の手数料率を乗じ、手数料額を算出し送金額を決定するものでありますが、この基準価格及び手数料率の変更権はエッソ側に留保されており、随時、恣意的に変更しているものであります。 寄託商品の販売代金についても、また施設についての賃料も同様に随時、恣意的にエッソが変更しているものであります。 エッソは自己の投下資本の回収、利益追求を第一目標とし、マネージャーに対する基準価格、手数料率等をきわめて低く押えているために多数のマネージャーがエッソに対する多額な未払い金を有しており、過大な労働時間を投入してもなお経営が困難な状態になっています。 ここでエッソ所有のスタンドを使用貸借契約によって借り受け、エッソとの間に特約店契約を結んでいる者、社有サービス・ステーション・ディーラーと、このマネージャーとの収益を委託商品について検討してみますと、これはエッソ自身も認めていますように、一カ月間のガソリンの総売り上げ量八十キロリットルとして比較した場合、収益においておよそ二十八万円、オイルにおいて総売り上げ量六百リットルとしておよそ十万円、合計約三十八万余円の差があることがわかりました。またマネージャーがエッソから直接商品を購入せず、エッソから仕入れた他の特約店から間接的に購入した場合には、一カ月ガソリン、総売り上げ量八十キロリットルとして、およそ二十五万円、オイル、総売り上げ量六百リットルとして、およそ九万円、合計三十四万余円の収益差があることも判明しています。このためエッソは新契約においては、マネージャーがエッソの特約店から間接的にエッソ商品を購入することを封ずるために新規契約からは、同社製品たりとも間接的に仕入れたる場合は他社製品とみなし、契約解除の要件としています。 エッソはこのような差を、開設当初における投下資本の早期回収と施設賃貸料の低廉をもってその理由としていますが、投下資本は社有のサービス・スタンド・ディーラーの場合とそれほどの差はなく、また施設賃貸料の低廉といえども、前に述べましたような多大なる差額に合理的根拠を与えるものではありません。 ちなみに、エッソ以外の石油販売会社、たとえば昭和石油、シェル石油と、マネージャープラン方式と同様なシステムにより締結された委託販売店間における契約は、エッソのマネージャープラン方式とは比較にならぬほど石油業界の商慣習を順守したものであり、妥当性ある委託販売手数料、施設使用料——昭和石油の場合は無償であります。その他付帯的条件を内容とするものであります。 現在エッソに対し多大な赤字を負担するマネージャーは経営の努力が至らなかったのではなく、一つにエッソの搾取行為に原因があります。マネージャーは他の石油小売り販売業者の二倍近くの時間を働き、ガソリンの月間売り上げ量一つを見ても、マネージャーは、全国平均販売量をはるかに上回っているにもかかわらず赤字だということは、エッソが計算上マネージャーの手数料を不当に低廉なものにしていることから生ずる計算上のものであり、とてもマネージャーの責任とすることは不可能なものであります。すなわち委託商品における手数料、寄託商品における販売価格の決定が恣意的で客観的妥当性を欠き、その行使は社会的正義に反し、権利乱用として許されないものというべきであります。 以下省略をいたしますが、私が引用いたしましたこのものは、エッソのマネージャープランがエッソを相手にいたしまして債務不存在の訴えを東京地方裁判所へいたしましたその準備書面を引用しておるわけであります。 実は、本件につきましては、私がいまから二、三年前に新聞や週刊誌、あるいは現実の訴えを土台にいたしまして、公取並びに通産省及びエッソやマネプラの諸君とも会いまして、問題を提起いたしましたところ、エッソ側としてもかなりな反省をいたしまして、若干の譲歩をいたし、一応の妥結を見たわけであります。しかしこの妥結過程におきまして、エッソは巨大資本を利用いたしまして徹底的な切りくずしを行ないまして、ついにマネージャープランの全国組織は崩壊をいたしました。崩壊をいたしたところに抽象的な妥結が残っただけでありますから、抽象的な妥結は全く空文に帰してしまったといっても過言ではありません。その実行の責任はもちろんエッソにありますが、エッソは対応する交渉機関をも壊滅させたわけでありますから、実際問題としてはエッソの恣意的な、自主的な、恩恵的な改善にとどまったわけであります。 しかるところ、自来二年間を経まして、崩壊いたしましたマネージャープラン——全国で約三百二十くらいになっておりますが、その中からこのエッソの巨大な支配に対抗いたしまして、ついに一匹オオカミが出てまいりまして、今日の段階におきましては数軒のマネプラのマネージャーが裁判によって債務不存在を訴えるという、こういう段階になったわけであります。 あらためてこの問題を提起いたしますのは、一つは、このマネージャープランの、いま委員長はじめ同僚諸君がお聞きのように、要するに私の感覚をもって言うならば、日本的商習慣を一切無視したもので、まことに近代的、合理的、アメリカ的計算で割り切ったもの、こういうことで義理も人情もへったくれも一切がないといっても過言ではないことであります。 それからもう一つの観点は、この契約書、ここに私持ってきたわけでありますが、新々契約書と一般にいわれているわけでありますが、この契約書は実に狡知をきわめた契約書であります。先ほど申しましたようにこの契約書は不動の文字で印刷されておりますから、新しいマネージャーが応募をいたしましても変更を許されず、イエスかノーかという姿で結局判こをついておるわけでありますが、この契約書及びそれによって行なわれるガソリンの単価、施設使用料の単価等、すべてエッソの恣意的な、一方的な決定によって値上げが行なわれておる。要するに、それは自己の有利な地位を利用して相手に押しつけておるという意味におきまして、これは独占禁止法に違反をする行為ではないか。独禁法の不公正な取引方法第十に「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」とありますが、まさに第十にぴたりと当てはまるような状況であります。 私がこのマネージャープランを取り上げましたゆえんのものは、いま経済が非常に激動いたしておりまして、近代的手法としてあらゆる新しい商慣習、商取引法が発生をしようとしております。ここに日本弁護士会の「自由と正義」四月号がございますが、新しい商取引と無名契約の特集をいたしております。これをずっと見ましても、最近における商取引法が従来のものからかなり変わってきておる。私どもが国会で、大企業が中小企業に対して収奪行為をしておる、形の上でも内容においても搾取をしておると言って主張をしてまいりました当時の大企業の収奪方法と、このエッソに見られますような収奪方法とはきわめて形態を異にして、一見合理的、一見対応的、一見人権尊重的に見えますけれども、実はそれがそうではない。狡知な方法によって法律的に根拠を置いたごときしかけをいたしまして、新しき収奪が行なわれておるということを見のがすわけにはまいらないと思うのであります。 たいへん前置きが長くなりましたが、エッソのマネプラが特殊な問題でございますだけに一応の説明を加えまして、これから政府側に質問をいたしたいと思うのであります。 さて、まず第一に、この問題について調査を続けておられる公正取引委員会は、本件についてどういうお考えであるか、どういうふうに調査を続けてまいられたか、それをお伺いをいたしたいと思います。
○吉田(文)政府委員 公取は本件を昭和四十六年の初めころから事件として審査中でございます。非常に長引いておりますが、先生おっしゃったように、そのいわゆるエッソが行なっている行為が、一般指定の十の「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」に該当しているのではないか。したがいまして、また法第十九条に違反する疑いがあるのではないかということで、エッソ、それからマネージャーから事情を聴取いたしまして、現在まで及んでいるわけでございますが、こういうふうに長引きました理由としましては、エッソがマネプラ契約を四十六年の一月ころから九月ころにかけまして一部改定し、多少手数料の率をよくしたというような内容がございます。大体マネプラ方式というのは、わが国ではきわめて特殊な形態であるために、正常な商慣習あるいはまた不当に不利益な条件をどう認定するかというような理論上、実態上非常にむずかしい点が数多くございますので、結論を出すのにひまがかかって時日を要しているというような次第でございます。 現在審査中でございますので、どういう事実があるとか法の適用はどうとかということは独禁法三十八条の規定によって申し上げられませんけれども、こういうふうに長引いたことにつきましてはおわびを申し上げたいと思います。またできるだけ早く結論を出すようにと考えております。
○横山委員 さて、通産省に行政指導上の見地から伺いますけれども、公正取引委員会がこの問題の解決をおくらしておる理由は、一にかかってマネプラというもののあるべき法的な見解、こういうものがはっきりしないから、暫定的にちょっとエッソが値上げをすればまあまあかということになるわけなんであります。ちょっとエッソが値上げをしたところで、いまの物価の上昇度合いからいいましても、あるいはまたエッソがそれに対する別な手段で収奪をすればすぐにそれは空文化するものであります。現にその後のエッソの状況から見ますと、あの当時に譲歩したことは結局すぐに取り返しておる、こういうような感じがするわけであります。 それじゃ確かめますが、公取の調査している基礎となりますのは、不公正な取引方法の「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、」云々の第十違反ではないかという観点から調査をなさっている、こう考えてよろしゅうございますか。
○吉田(文)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○横山委員 それでは、この新々契約書の中をすでにお調べになったと思いますが、新々契約書というものはかなり相手方を尊重しておるように見えるけれども、実はその運用方法その他においてしり抜けであるということはお気づきのはずであります。公取が調査するについてただ文章上、文面上からきわめて科学的、合理的にできておるからそれによって判断がむずかしいということは困るのであって、それはくつの裏から足をかくようなものであって、実際問題として公取がマネプラの実態に触れて調査をして、そして判断を実質上しなければならぬと思っておるわけでありますが、その点についてどんな調査をなさっていらっしゃるか。
○吉田(文)政府委員 法律的な側面だけではなしに経済的、経済実態的な側面も違反かどうかを判断するにつきましては重要な問題でございますので、現在赤字マネプラの実態、マネージャーに対する経済援助等についてその実態を調査しておるところでございます。
○横山委員 先年妥結をいたしました際に、もういらっしゃらないかもしれませんが、通産省に双方の報告が行なわれておるわけでありますが、今日通産省はこの問題についてどういうようにお考えですか。
○鈴木説明員 先生の御努力によりまして先般一応の妥結を見たわけでございますが、その後の情勢においても、先ほど来御指摘のような状況が依然残っておりますので、引き続いてそれの調べを行なっておるわけでございます。 それで最近におきまして全石商連、全国石油商協同組合のサイドとエッソのサイド両方から事情を聴取いたしておりまして、係争中の問題それから現在残っております若干の債務上の問題、独禁法の先ほど御指摘の問題、今後のガソリンスタンドのあり方についての問題などあわせて現在検討しておる段階でございます。 いずれにいたしましても、ガソリンスタンド業界の健全な発展のために両者がどのような調和のとれた話し合いを見つけていくようにできるか、そういう話し合いの場をなるべく引っぱり出すような考え方でこの問題を見ております。
○横山委員 私どもが日曜日に車を運転しておりますと、ガソリンスタンドは大体休みであります。そして日曜当番店があってそこへ行けばガソリンを売ってくれる、こういうことになっております。これは全石連が週休制をとって、そして顧客に迷惑がかからぬように当番店をつくっておる。夜におきましては大体適当な時間にお互いに申し合わせて閉店をする、こういうことになっておることは御存じのとおりであります。ところがこのマネプラは、そういうことをしておってはとても赤字でありますから、ほとんど休日がありません。一括オール開店であります。そして夜も十時、十一時、十二時というふうにマネプラはやっておるわけであります。全石連の調整規定によって行なわれております規定をマネプラは履行しない。だからスタンドにおける一般的な公正妥当な調整規定というものが履行されない。履行されないではなくて、ヤネプラ自身にしてみればそんなことをしておったら赤字がふえるばかりである。したがってマネプラの売り上げは一般のスタンドに比べますとかなり高い。かなり高いにかかわらず、一般のスタンドは採算がとれておるにもかかわらず、マネプラはそれをもってしても赤字の累積に悩んでおる。赤字の場合にはどうなるのか。赤字が累積するから商売をやめたいけれども、その場合にはエッソが、土地はおれが買ってやる、建物はおれがつくってやる、商品は全部おれが出してやるから、おまえさんが責任者だからやれ、ただひとつ保証人だけは連れてこい、こういうようなことになっていますから、赤字が出て自分がやめる場合には保証人にすべてかぶさっていく。したがって、やめたいと思うけれども、保証人に迷惑をかけてはいかぬというのでまた死にもの狂いの経営を続ける。しかし赤字は累積する、こういう状況になっておるわけであります。この状況は一般の全石連の調整規定とどういう関係になるのか、通産省はどうお考えですか。
○鈴木説明員 昨年春から暮れにかけまして石油販売の末端のあり方ということで関係者、専門の方にお集まりいただいて半年以上かけまして検討をしていただいたわけでございます。一般的にガソリンスタンド業界の経営の競争状態というのはきわめて激しく、かつ御承知のような原料の値上がりなどの問題もありまして、この経営は必ずしも安泰ではないということで、全般的にどのようなあり方に持っていくかという議論がなされたわけでございます。そのときに、現在私どもが行政指導で行なっております建設の調整のほかに、先ほど先生の御指摘になりました調整規定のあり方の問題についても議論があったわけでございます。ただ、現在のガソリンスタンドのあり方につきましてこれをよりきつく調整をしていくべきか、あるいは不況状態から独立するための調整規定の運用はだんだん緩和の方向で判断すべきかという点でだいぶ議論がございまして、御承知のように数年前にかなりガソリンスタンドの乱設がございまして、たいへんな値くずれになって経営困難に一般的におちいった状況がありまして、そのとき以来こういう建設の調整なりそれから調整規定の励行なりということをやってまいったわけでございますが、こういうような緊急避難的な措置は極力短時間に、なるべく自由な競争で消費者の需要にミートするようにという声も筋論として相当ございまして、結論としてなるべく消費者の需要に合うような多様な経済活動を伸ばすべきだという議論も一方に踏まえながら、単一商品を販売して、しかも零細多数の小売り業者が競争を行なっておるという状態に着目いたしまして、一挙に平常状態に戻すわけにいかないということで、今後両三年を使いまして、いかなる合理化ができるかということで合理化の目標を設定して、その間に関係当事者が鋭意合理化の努力をするということで調整の存続の必要性がほぼコンセンサスの形で成り立ってきております。昨年の暮れ、ことしの初めにその基本方針がまとまったわけでありまして、私どもはあくまでも強制力のない行政指導ではございますが、その線に従ってこの両三年、ガソリンスタンド業界のあり方ということでいろいろ指導してまいろうと思っております。 それで先生御指摘の、調整規定と現在のエッソマネプラの実情とその関係をどう考えるかという御指摘でございますが、現在の調整規定では月に二日は休みなさいということで、この点の範囲では公正取引委員会もまあやむを得なかろうということで考えられております。それで、しかしながら何ぶん調整規定というのは別に強行法規でもございませんので、組合員がこれに同意する、それから通産省の行政指導につきましても関係者がみなそれを支持するという説得と協力の範囲で行なうべきものでありまして、御指摘のように、一部に調整規定からはずれた行為が行なわれるということは、必ずしもエッソマネプラの場合に限らず、いろいろな分野で出ております。しかし大勢といたしまして、現在私どもが行なっておりますそういう指導の線に大体皆さんが従っておっていただけるという状況になっております。いまのマネプラが週二日制について違反しておるじゃないかという問題につきましても、大体気持ちとしては皆さんわかっておりながら、そこを若干はずして運営するという現象も末端には行なわれているだろうというふうに考えられます。
○横山委員 たいへんあなた楽観的なお話でございますが、そんな状況であるならば^決してこんな、わざわざ法務委員会までおいでを願って御質問する気持ちはありません。本質的にマネプラというものが、時間外労働も、休日も無視して無休で働かなければならない体質、マネージャープランの中にはそういう基盤があるのですから、その基盤がある限りにおいては、何ぼ調整規定を云々と言ったところで、それを守られるはずはない。全石連もマネプラについて苦々しい顔をして横目で見ている、しかし、何ともしかたがない、こういう状況なんですね。ですから、調整規定がお互いに円滑に守られるようにするためには、マネプラの改善をしなければ、この調整規定は守られ得ない。ことばで何ぼ言ったところで、お互いに同業者間の調整をしろと言ったところで、できないものはできないのですから、マネプラ自身の改善をしなければこれはだめなんだと思うのです。 それからもう一つ、あなたの今後の三年間のプランもお話しになりましたが、これもまた迂遠なことだと思うのです。私の感じるところによりますと、いまの石油業法というものは、もともと精製業者、元売りの業法だと思います。決して、今日の全国至るところにガソリンスタンドがあるが、そのガソリンスタンドを意識して石油業法はつくられたものでは毛頭ない。ところがそのガソリンスタンドがいまや全国実にたくさんの数となり、そして消防法の改正により新しい規制がいろいろな形から加えられるようになった。そして販売する石油価格についてもいろいろな不正の問題が内在をしておる。そして私どもがふらっとスタンドに行って、おい、満タン頼むと言うと、まあお金はちゃんと表示してある。けれども、価格というものは、まあ言うならばめちゃくちゃだ。よそへ売っているレギュラーのお客さま、特に役所に売る価格というものは驚くほど安い。つまり役所に安く売っておいて、私どもに高く売っている、そしてバランスをとっていると言ったら過言でありましょうか。そういうきわめて矛盾を内蔵しておる。最近はあまりありませんけれども、ガソリンスタンドにおいて事故があった場合、火災があった場合においては、たいへんな事故になることは御存じのとおり。LPガスなんかのスタンドが爆発でもしようものなら、まさに地震と同じような状況になることは御存じのとおりであります。そう考えてまいりますと、私は、いまあなたが両三年くらいかかって云々と言っておられることは、まことに時宜に適せざるものだと思う。この際、石油販売業法——石油業法、石油精製業法のほかに、石油販売業法というものをつくるべきだとかねがね私は考えておるわけであります。石油販売業法によって、一つには顧客に対するサービス、顧客に対する安全にして低廉な石油の供給、そして元売りに対しては団体交渉権の付与、そういうことによってこのスタンドにおける経営の健全化と、それから庶民に対するサービスの向上につとめるべきである、かねがね私はそう考えておるわけであります。 私どもが石油スタンドへ参りますと、各社ともにサービスはかなり、教育は徹底しています。石油スタンドへ行きますと、きわめて機敏である。そしてあいそうがいい。いらっしゃあい、ということであいそうがいい。そういう経常的なあいそうのよろしい近代的経営と、内部に隠れております封建性通達というものとが、全く目に見えないスタンドにおけるさまざまな問題が存在をしておると思うのです。その標本がこのエッソのようなものでありまして、まことに私はこのエッソのマネプラ方式については、この際大いに根本的な改善をすべきである。金もない、資本もない、裸一貫、おれは何かやりたいというまじめな青年がおる。その青年を、土地は私が貸してやる、建物は私が建ててやる、そして商品は私が貸してやる、だから大いに君、力をふるいたまえ、君は経営者だ、ただ、しかし保証人だけは置いてくれ、そういう甘言につられて応募し、自分は裸一貫でスタンドの経営者になれた。意気に燃えて盛んに努力をする。どんなに努力をしてもまず最優先、エッソが債権を持っていくわけでありますから、エッソは決して損はしない、マネプラ方式で。エッソが損をすることは、この新々契約書によれば絶対にない。損をするとするならば、すべてこれマネージャープランのマネージャーにかかるしかけになっておる。どこにそんな経営があるでしょう。そうして、もうやめるときにはすべて保証人に責任が転嫁される。こういうやり方によりましてエッソは決して損をしない。損はすべてマネージジャーがひっかぶる。常にそれによって収益が確保される。そんなばかな、かってな経営があるでしょうか。ここの燃料新聞の「きょうの市況」というところに出ておりますが、「エッソとモービルの四十七年の決算が発表された。売上げ高はエッソが一千八百三十八億円、モービルが一千八百八十二億円とほぼとんとんであるが、」同じであるがという意味ですね。「純利益をみるとエッソが十六億七千七百万円、モービルが五億九千八百万円とかなりの格差がでている。この純利益の格差はそれぞれお家の事情かもしれないが、同じ東燃グループの主流として同じ売上げ高でこの格差がどうしてでたのか、素人には不思議でもある。」と書いてあります。 私は、マネプラのような、わずか全国三百二十くらいのマネプラによってこんなに格差が出たとは思いません。もちろん、それはあるでしょう。しかし、マネプラの中に見えるエッソの商法というものが一つの指標としてこういう格差、同じ千八百億ベースの売り上げ高で、エッソが十六億、モービルが五億、どうしてそんなに格差が出るかというのは、エッソの商法だと私は思います。エッソの商法にも学ぶべきところはあるであろう。合理的近代化、アメリカ的な商法は学ぶべきものもあるであろう。けれども、それによって収奪され、それによって赤字を負わせられて、エッソは損せず、赤字の分だけは本人が負担をして、そして保証人がかぶって、そうしておまえはもう出ていけというようなやり方の中でこの格差が生まれておる、その一端を私は思わざるを得ぬのであります。通産省というところは、特にあなた方の所管のところは大企業を相手にしていらっしゃる。そしてスタンドの諸君とひざを交えてお話をお聞きになるということはあまりないと私は思うのであります。この機会に、このマネージャープランを中心にして、一回通産省も中小企業業界の苦悶というものについて直接触れて、そして根本的な改善をはかるということをなさるべきではないか。 私のいま言った意見は、一つは石油販売業法というものをつくらなければ根本的な問題解決にならぬだろう、もう一つはさしあたり当面のマネプラについて思い切った頭の切りかえを行なって行政指導をなさるべきではないか、こういう点でありますが、いかがですか。
○鈴木説明員 お答えいたします。 よくひざを交えて話し合いを考えないかという御説は全くごもっともでございまして、先ほど御説明いたしましたように、従来不況対策としてそのつど年々延ばしてまいっておりました調整方式を根本的に見直しまして、いかにあるべきかということを去年から時間をかけてやってきたゆえんのものも、この販売業界の実情、いろいろな話を聞きまして、この際ここに光を当ててみなければいけないという考え方で通産省として取り組んでまいったわけでございます。大所高所の見方からいかにあるべきかという議論をした上で、各論的な問題を詰めていくという段取りで目下進めております。その過程で、先生が御指摘のような各種各方面の賛成意見、反対意見など十分聞いた上で行政を進めてまいりたいというふうに考えております。 それから最初に御提案あるいはサジェスチョンされました石油販売業法というような発想でございますが、確かに最近環境問題——ある町の中にガソリンスタンドが設定されますと、そこと学校、病院との距離の問題、その周辺におけるいわゆる蒸発揮発油の問題、その他騒音の問題それから交通障害というような問題がございまして、その環境にうまくとけ合っていくようなことをしなければいかぬという声が一方に非常に強くなっておりまして、私ども行政の中でも日々一つ二つはこれをどうするかということが全国から参ってくるような状況でございます。それからもう一つは、先生も御承知のことと存じますが、最近いわゆる消費者の声というものが非常に強くなってまいっております。消費者が自由になるべく安いものを選択できるようにしたいという声が非常に強くなっております。こういうような外回りの状況の中で、ガソリンスタンド業界の経営の安定と将来の発展、ひいては商品の安全なり消費者サービスなりというものをいかにして伸ばしていくか、その辺の調和の問題がきわめて重要になってきております。そこいらもずっと踏まえまして、どのような調整のしかたが最もふさわしいかということで、立法から行政指導まで、いろいろな手段をいまとられておるわけでございます。 御承知のように石油の情勢というのは国際問題も踏まえまして、非常に流動的で広い問題になっておりますので、目下新しい石油政策のあり方ということで鋭意議論を進めておる段階でございます。当然その議論の中に先生が御指摘になりました法による調整という問題も同時に検討して、法による方法が最もいいのか、それとも従来の比較的自由で当事者の合意と協力によって合理的な流動的なガソリンの供給体制を維持していくのが一番国民の支持を得られやすいのかどうか、その辺のところも当然の検討の項目として私ども考えておる状況でございます。
○横山委員 本法務委員会は常に法律的見地から議論をするわけでありますが、通産省というところは経済が非常に激動いたしますために行政指導がしばしば法律を越えてといいますか、法律に根拠のないお仕事をなさる機会が非常に多くなってまいりました。これは役所というもの、役人というものは一定の範疇、権限というものがありまして、権限を越えて役所が、善意であろうとも乗り出すべきではないということを私どもかねがね感じておるわけであります。たとえばいまのお話のあるスタンドの問題にしましても、資本主義の今日においてどこかの会社か個人がスタンドをつくろうがつくるまいが、そんなことは自由である。別に地域住民が反対しなければかってにつくるということは自由である。ところがあなたのほうは本年度はスタンドは大体何カ所にしろ、そしてこの地域においてはここ一こことは言いませんけれども、きわめて厳重な行政指導をしていらっしゃる。一体何の法律的根拠をもって通産省はそういうことができるのですか。
○鈴木説明員 通産大臣は通産省設置法に基づきまして、それによって使命が与えられております。その範囲で石油の流通、消費、生産の円滑化をはからなければならない。当然のことでございますが、法律に基づいて、 (横山委員「何の法律」と呼ぶ)一般的に法律に基づきまして、こういうことをしなさいあるいはこういうことはしてはいけないということになっておれば当然それに準拠するわけでございますけれども、そのほかの分野でも放置できないという状況が出た場合には、極力説得と協力を求めるといういわゆる行政指導というものの幅は当然許されておるというふうに考えておりますが、先生御指摘のガソリンスタンドの問題は、現在私ども法律によって幾つ以内におさめなければいかぬとかそういう指導ができるとかいう権能を持っておりません。しかしながらこれを放置した場合には、先ほど来非常に問題になっておりますガソリンスタンド業界一般が非常に激しい競争に突入して、各スタンド業者の販売量が急速に低落する。その結果いろいろサービスが低下する。品質の問題も起こって税の保全にも影響があるというような連鎖反応を起こすということがかなりの可能性をもって私ども予見されますので、この際大体のガイドラインとしてはこのくらいが妥当だというふうに政府は考える、それから学校からの距離は少なくとも数百メートル離すのが一般の常識だ、それに従って皆さん方建設をやってもらいたいという説明を通産大臣としてしてまいったわけでございます。したがいまして、もし国会のほうで法によってリジッドな規制をすべきであるという御議論で立法が行なわれるということであれば、当然私どもそれに従ってやっていくわけでございますが、そういう情勢に至らないまでにおいても、状況によっては極力説得と協力を求めるという姿勢の行政指導があってしかるべきだというふうに考えております。
○横山委員 通産省設置法をもとにして何でもできる、簡単にいえばそういうことなんだ、あなたの理論は。いや、そんなにやかましくは言っておりませんよ、ガイドラインでやっております、こうおっしゃるけれども、事実上はそれがもう絶対の方式として、地方において、これはワクがあるからいけませんということになっておる。まさに法律と同じような性格、権限、能力を持っておる。私が言っておるのは逆説的に言っておることをあなたは御理解になっておると思うのですけれども、要するに私は、それが悪いと言っているのじゃない。悪いと言っているのじゃないけれども、国会というところ、それから国の法律というもの、お役所の権限というもの、義務というもの、そういうものから言うならば、緊急やむを得ないということは短期的な問題である。この問題についてはすでに数年間にわたって、緊急やむを得ないという理屈は成り立たぬ。それが必要であるならば法律的な根拠をきちんと持ってやれ、こう言っておる。私の言うところの石油販売業法を制定すべきである、その石油販売業法を基礎にして通産省は行政指導をすべきであるということにもなるわけでありまして、その点はすでに先年私が強く申して、検討を通産大臣が当時お約束をなさったはずです。そのことについて、国会におっしゃったことについて何らの仕事をなさっていらっしゃらない。たいへん遺憾なことである、強く私はしかりたいと思う。 さて、もう時間になりましたからだめを押したいと思うのでありますが、いまマネージャープランの諸君が裁判に訴えておる心境というものを、ひとつ公取も通産省も考えていかなければなりません。要するに、それは公取がじんぜん日をむなしゅうして頼むに足らぬという気持ちがあるからであります。通産省はエッソをはじめ石油精製業者、元売りの側に立っておるから当てにならぬと考えておるのであります。もうこの上は裁判で理非曲直を明らかにせざるを得ないほど赤字に追われて、緊急避難をせざるを得ないという状況であります。これはたいへん残念なことでありまして、一番最初に通産省に持っていった。そして今度は公取に持っていった。ところが先ほどからお話しのようにたいへんむずかしい問題だというわけで、公取はもうすでに二年有余にわたって御検討をなさっていらっしゃる。通産省につきましても、すでに本件の質問にあたって過ぐる日に通産省に実情調査を要望をしてあるはずであります。けれども、きょうの答えを見ますと、調査をしたという結果は何らあらわれていない。そういうことでは困るのであります。そういうことでは、何のために公取が存在するのか、何のために通産省が存在しておるのか。お話を伺えば、このマネージャープランに関する基本的なお考えについては、どうもマネージャープランのあり方について必ずしも好意を持っていらっしゃらない、賛成をしていらっしゃらない、独禁法に違反する疑いがあると公取はお考えになっておるようであります。通産省としても、いろいろな先ほどからの御説明によれば、行政規定の関係からいってもいろいろな関係からいっても何かしなければならぬとお考えのようである。それならそうでもう少し早く仕事をなさったらどうであるか。国民をして、裁判によらざれば公取も通産省も頼むに足らないというような不信感を与えることのないようにしてもらわなければ困るのであります。この点について公取と通産省の御意見をもう一回伺って私の質問を終わりたいと思います。
○吉田(文)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、非常に審査が長引いております。それにはいろいろ事情もございますけれども、できるだけ早く結論を出したい、全力をあげて審査を急ぐというつもりでおります。
○鈴木説明員 通産省といたしましても、先生の御意見も十分参照させていただきましてさらに検討を進めていきたいと思います。
○中垣委員長 次に正森成二君。
○正森委員 大臣はあとでお見えになりますね。
○中垣委員長 あとで参ります。
○正森委員 それでは公安調査庁長官に伺います。 いままで破防法について何回か質問してまいりましたが、あなた方は国会に席を有する政党の中では共産党だけが調査対象である、こういうおたてまえでございましたね。間違いございませんか。
○川井政府委員 そのとおりです。
○正森委員 しかし、実際には社会党、公明党の中にも協力者をお持ちになって、いろいろ情報を得ておられるのではありませんか。
○川井政府委員 公明党あるいは社会党という政党を調査の対象にしていることはありません。
○正森委員 それでは伺いますが、私どもの調査では、農林省の藤川という人のところに、本年の二月二十三日、公安調査庁の職員が来て共産党の情報を提供するようにということを言っております。その名前は、何と読むのか、七高という名前を使ったようでありますが、その人が説得をするときに、社会党にも公明党にも知り合いがいます、私たちはこんな商売ですから、いろいろな人から聞いています、一体だれですか、いまニュースソースは話せません、こういうように言うておる。そうすると、これは共産党の中に情報提供者を送り込むだけでなしに、社会党、公明党の中にも情報提供者を送り込んでいるという疑いが十分にあるというように思いますが、あなたは農林省の職員等に対して——農林省の職員はこの人だけではない、ほかに二月ごろだいぶ接触を受けておりますが、そういう点について報告を受けておりませんか。あるいは、受けていなければ、私どもはこういうようにわが党の中に情報提供者を送り込んでおること自体けしからぬと思いますが、まして調査対象になっておらない社会党、公明党にも知り合いがおり、こんな商売だからいろいろな人から聞いてきます、いまニュースソースは話せませんというようなことを言うのは、破防法の精神からいっても許されないことではないか、こう思うのですが、いかがですか。
○川井政府委員 ただいまのケースについては詳細は私まだ承知しておりませんけれども、およそ国民一般の協力を得まして調査活動を推進しているわけであります。しかしながら、あらゆる一切のものを調査の対象にしているというわけではございませんで、いろいろな事情からなるべく対象を限定いたしまして、そしてその構成なり活動なりを調査している、こういう現状に相なっております。そこで、その調査の対象になっておる団体の活動あるいはその組織の現状というふうなものを調査する過程におきまして、その組織の内部だけでは必ずしも十分な調査はできませんので、その団体があらゆる国民層に向かって勢力を浸透しまた働きかけをしていく、こういうふうな事情につきましてその一切を調査する必要はありませんけれども、そのうちの重要なるものについてはその関係を調査する必要があるというふうなことに相なっておりますので、ただいま御指摘の分はあるいは労働組合の中における党の活動あるいはその働きかけの実態というふうなものを承知したいというふうなことで、その労働組合の中における協力者といいますか協力をしていただける者をあらかじめ選定いたしまして、そしてそういうような人に対して協力方を要請した、こういう事案にかかわるものではないか、こう思います。
○正森委員 そうしますと、労働組合内の活動を知るためであれば、これは社会党、公明党の中にも継続的な情報提供者を持つことはあるし、それは許されるという御見解ですか。
○川井政府委員 私は、たとえば労働組合に限定して言いますと、労働組合自体を調査の対象にするということは、本質的にも、実際的にも許されないと思います。しかしながら、その労働組合の中における指定団体の活動がどうあるかということを調べることは、これは法律上許される、こう思っております。したがいまして、法律上許される行為の限度あるいはその行為の実際的なやり方ということが問題になると思います。その際にその労働組合に所属しておるメンバーの人の協力を得て、そしてその対象団体のその労働組合内部における活動を調査するということは一般的には許される、こう思っております。
○正森委員 私の質問の後段については必ずしも明確にお答えになっておりませんが、あなた方は労働組合に情報提供を求められるときには、共産党が労働組合に迷惑をかけているという立場でお調べになっているのですか。
○川井政府委員 党が労働組合に対して迷惑をかけているとかなんとかというふうな価値判断のもとではありませんで、あくまでその調査対象団体の活動がどうあるかというその実態を確保する、こういう目的で調査しているわけであります。
○正森委員 そうしますと、次の例を出しますが、同じ農林省に永島という人がおります。この人は昭和四十八年の四月六日夜九時半ごろ自宅に寺本という公安調査局員の訪問を受けて、そして情報提供を求められておる。そのときに、私、法務省の公安調査の関係ですが、現在組合の役員をやっておられるようなので組合の様子などと、共産党が進出して組合に入り込んでいるようですが御迷惑になっているのではないですか、その様子をお聞きしたい、こういうことを言っていっておる。あなた方は破防法で調査するとおっしゃるけれども、それは破壊活動についての調査のはずです。それを一般的に、共産党が進出して御迷惑になっているんではないですかというようなことを聞いていくということは、これは許されないことではないか。われわれこの国会にも議席を持ち、あなた方を逆に国政の上では監督する立場にあり、裁判官も訴追委員として場合によったら調べる立場にあるこの公党を、御迷惑をかけていることがあるんじゃないですかといって情報をもらいに行くというようなことは、そういう調査のしかたというのは慎むべきではないですか。
○川井政府委員 そのケースの実態も私承知いたしておりませんので、そういうふうな問答がそのケースの場合にあったかどうかということについては確認できませんが、かりにそういうふうな表現、言い回しが現に調査官の口から出ておったということであれば、私はそれは必ずしも適当でない、こう思います。
○正森委員 あなた方は調査をなさる場合に、ある場合には身分偽変をやったりいろんなことはなさいますが、しかし少なくともうそをついて調べるというようなことがあってはならぬと思うのですね。ところが、これまた昭和四十八年の二月十日にあった事件ですが、参議院の職員に対して、Mという人ですが、その奥さんの実家のほうに公安調査局の職員がやってきて、結婚詐欺の件でM氏の仲人の住所を教えてくれということを言っておる。何も知らぬおかあさんが住所を教える、そうするとそれを端緒にしていろいろ調べておるということがわれわれの調査でわかっております。いやしくも結婚詐欺というようなことをいうて仲人の住所を調べる、そしてそこからいろいろ調査をしていく。しかも聞かれたのはおかあさんだというようなこと、これは破防法の二条、三条の精神からいっても許されないことではないですか。こういう報告がわれわれのところに一ぱい上がってきております。名前もわかっておる。ですから、あなた方としては情報提供の端緒を得るためにまわりからお調べになるようですけれども、その場合といえども結婚詐欺の件があって調べに来たというようなことをおっしゃるということは、これは厳にしないように部下に徹底させるべきではありませんか。
○川井政府委員 ただいま御指摘のケースは私全く実態を存じませんので、あとからその実態をよく調べた上で意見を述べたいと思います。
○正森委員 それでは念のために名前を申し上げておきます。これを行なった男は鈴木美晴、元参議院の衛視、現在は公安調査庁の職員、妻は現在参議院自民党の控室に勤務しております。この男がそういうことをやっておる。そこで伺うが、あなたたちは二百五十万部も出ている「赤旗」を読むこと、そのことはいけないことであると思い、それも調査対象にしているのですか。
○川井政府委員 「赤旗」を読むということがいけないという判断には立っておりません。
○正森委員 お答に十分になっていないようですが、この鈴木という男は別の機会にある人のところへ行って、「赤旗」をとっていませんか、こう質問をし、たまに読むことはあるが自分ではとっていないと答えると、重ねて、ほんとうにとっていませんか、ほんとうにとっていませんかとうるさく聞いておる。こういうことをやられると、結局党員なら何とも思わないけれども、わが党は残念ながらまだ二百五十万人も党員を持っておらない。そうすると一般の人は、「赤旗」をとれば公安調査庁の職員が調べに来る、しかもとっておらないというのに、ほんとうにとっていませんか、ほんとうにとっていませんかと、こういって繰り返し聞くということになれば、ぶっそうだな、FBIか何か知らぬが公安調査庁がこうやって聞きに来る、ということになって、実際は正当な政治活動に対し否定的なそういう影響を与えることになるのではありませんか。したがって鈴木という男をよく調べて、そういう発言をしているということであれば、そういう発言については不適切であるというような指導をなさるべきではありませんか。
○川井政府委員 よく調査した上で、適当な判断と、それから適当な措置を講じたいと思います。
○正森委員 いろいろおっしゃっておりますが、適当な調査をなさるのはけっこうですが、私どもが調査の上、そういう出ている明白な事実、「赤旗」をとっていませんか、いませんかといって繰り返し聞くというようなことは、これはすべきではないと思いますが、その限度についてお答え願いたいと思います。
○川井政府委員 一般常識的に考えて、なぜそういう調査をしたんだろうか、必要がないじゃないかというようなことを考える場合も、私自身よくあることなんですけれども、あとで担当調査官にどういう必要性があってということで、必要性を確かめてみますというと、調査に関連して、なるほどそういうふうな調査もやむを得なかったものかというふうに納得した例も間々あるわけであります。本件の場合にはそういうふうな場合に該当するかどうかということは、もとより御指摘の実態は私、よく存じておりませんので、それはこうだというふうには申し上げられません。そこで、やはりその実態を私のほうでよく調べまして、その上で適当な措置と適当な判断を加えたい、こう思うわけであります。
○正森委員 非常に回りくどいお答えですが、私どもはいかなる状況があろうとも、大衆である「赤旗」読者に「赤旗」をとっていますかと聞く、一定の答えを得ているのに、ほんとうにとっていませんねというようなことを繰り返し聞くということになれば、一般的には読者は「赤旗」をとらないほうがいい、こう思うのは当然なんだから、少なくとも一般的にはそういうことはしてはならない、ただ、特殊な場合にはそういう場合があり得るので調べてみる、少なくともここの点ぐらいまでは御答弁になるのが当然だと思いますが、その限度で答弁してください。
○川井政府委員 答弁まで考えていただきまして恐縮でございますが、確かに一般論といたしまして、御指摘のようなそのままの状態であるならば、私も一般論としては適当でないと思います。
○正森委員 あなた方は創価学会の会員もやはり調査なさるのですか、これも一般的に。
○川井政府委員 そういうことはありません。
○正森委員 これも本年の二月二十八日に起こったことでございますけれども、東京の通商産業局総務部総務課人事担当課長補佐の鈴木という人のところに公安調査官が調べに来ております。そして商工部技術振興課にいる——名前も申してよろしいが、女性ですから申しませんが、F・Nというかしら文字の人物について尋ねたい、こう言うてきております。そこでその鈴木という人が、この女性は当局職員ではなく、規格協会から派遣され、当局に常駐しているだけなのでわからないということを答えておりますが、これは組合との交渉の時間中に呼び出されて聞かれております。そしてこのF・Nという人物は二十五年ぐらい前にどうやら党籍を持っていたらしいが、とっくの昔に共産党をやめ、現在は創価学会員になっております。そういう者についてまでお調べになる、何の必要があったのか知らないけれども。そうなれば信教の自由というようなものについても著しく侵されるということになります。したがって、公安調査局員が勤務時間中にたずねてきて上司を呼び出して、そうしてそういう部類のことについてまでお聞きになるということもまた不適切ではありませんか。
○川井政府委員 重ねて申し上げますが、創価学会という団体を調査の対象にしていることはありませんので、創価学会あるいは創価学会員それ自体を目的として調査をしたということは、当庁の職員としてはしてはいけませんし、あり得ないことだ、こういうふうに私は思っております。ただしかし、ただいまの御指摘の具体的な事案につきましては、これも私まだ全然事情を承知しておりませんので、調べてみたいと思います。
○正森委員 私どもの調査では、F・Nについて人物を尋ねたい、こう言うてきているのですね。したがってF・Nという人物を調査するということでございます。しかもこの人は共産党とは何の関係もない創価学会員であるということになれば、上司に与える印象からいっても、本人からいっても非常に快からぬものがあろう、こう思います。したがってこの点についても、私はだれに聞いたかということまで申し上げましたから、日時も申し上げましたから、お調べになればあなた方のところにはちゃんと報告書がいっているはずだから、それに基づいてお調べになり、不適切であれば、そういうことは今後やらないというようにしていただけますか。
○川井政府委員 調べてみまして、あらゆる観点から適当でないという結論が出ますれば、適当な措置をとります。
○正森委員 東京でいろいろほかのことがあるのですが、きょうは時間がございませんので、ありましたらまた聞かせていただくとして、少なくとも公安調査庁は国家公務員であることは間違いがない。したがって国家公務員法百二条及び人事院規則十四−七に基づく政治活動、これは公安調査局の局員もやはり一般公務員と同じようにしてはならない。もちろん、私どもは人事院規則十四−七については各地で判例が出ておりまして、それをなるべく限定的に解釈しようという立場であることは承知しておりますが、それは一応度外視して、一般論としてはそういうことであると思いますが、いかがですか。
○川井政府委員 そのとおりだと私も考えます。
○正森委員 それでは、それに違反するような事実がございました場合には、調査をされて一定の措置をおとりになりますか。
○川井政府委員 そうしなければならないと思います。
○正森委員 それでは伺いますが、これは昭和四十六年十二月二日付の佐賀新聞に載ったことでございます。そしてその後私どもが念のために本人から供述録書をとっております。それによりますと、当時佐賀の公安調査局の第一課長をしていた多田隈守という人物に関係することでございますが、多田隈守、ペンネームを樺島と言っておったようでありますが、そういう人物がおったということはお認めになりますか。——だれか知っている人がいるでしょう。
○川井政府委員 そのケースはいま資料を持ってきておりませんけれども、一回私勉強した記憶がございます。
○正森委員 なかなかよく御勉強なさっておるようですが、そうするとお名前についても御記憶がある、架空の人物ではなしに、公安調査局に実在している人物である、こう伺ってよろしいか。
○川井政府委員 そのとおりでございます。
○正森委員 それでは伺いますが、この人物が、日本共産党佐賀県東部地区委員で、昭和四十六年四月まで中原町の町会議員、その年の選挙で落選いたしましたが、牛島安雄という人物に近づいてきたことがあります。われわれはあなた方が共産党にいろいろ接触なさる、それが役目だと思っておられる。われわれはけしからぬ役所だと思っておる。あなた方は法律上根拠があると思っておる。それについてはいずれ将来決着をつけなければなりませんが、そういう本質論は別として、接触をなさる場合にも一定の法に基づく限界というものがあるべきだと思います。 この件について見ますと、ここに供述録書に基づく一問一答がありますけれども、非常におもしろいから要旨だけちょっと読んでみると、こう言っておる。 この牛島安雄という人物は町会議員を落選したために、佐賀県の鳥栖市というところがあります、そこの大平石油というところに勤務するようになっておりました。そこへ多田隈という人物がやってまいりまして、乗用車を給油させて、手が込んでおる。「あらっ、牛島さんでしょう」とこう呼びかけて「はい、そうです」とこう言ったら、「久しぶりですね。以前姫方におりましたけど、樺島というものです。今度は惜しかったですね。」今度は惜しかったというのは町会議員に落選したことを言うのです。「はい、どうも力足らずで。」こう言うと「次はがんばってください。私も応援しますよ。」公安調査局員が共産党の町会議員選挙を応援するように言うて、ここまでならまだ近づくために口も方便ということで許されるかもしれませんけれどもね。 〔委員長退席、小島委員長代理着席〕 こういうように言われたから、私も議員ですけれども、議員というのはあいきょうよくしなければならない。何万という人を覚えているわけにいかないから、おじぎをなさればこちらもおじぎをする。正森さんと言われればお世話になりますと、こう言わなければならない。川井長官はそんなことをしなくてもいいでしょう。だからこの町会議員もてっきり支持者だと思ってお世話になりますと、「一度食事でもしませんか。」こう言えば、これも大事な一票と思うから、一緒について行った。そうすると、ここに写真がありますが、久留米市の高良神社ふもとの青柳荘、わが党の青柳委員と同じ字を書きますが、ここに証拠写真もとってまいりましたが、なかなかいいところです。ここへ連れていって一ぱい飲んだ。そして気を許して一ぱい飲んでおると「実は公安調査局の課長だ。」こういうように持ちかけてきたんですね。そしてこう言っておる。「牛島さんほんとうにがんばってください。そのことで私は頼みがあります。」こう言って、「牛島さん、これは秘密にしておいてください。私とあなただけのことです。あなたは今度はどうしても町会議員になってもらわなくてはいけないのです。」何ですか、公安調査局員が共産党の町会議員になってもらわなくてはいけないのです、こう言って、「いまのような仕事ではたいへんでしょう。」つまり大平石油につとめているから選挙活動ができない、あるいは党活動ができないということを指摘して、「牛島さん、いまの仕事を半日勤務くらいにして、あとの半日は党の仕事をするような交渉はできないのですか」、「いや、経済的なものでしたら、私も協力します。どうですか、あなたが半日づとめにすれば、半日分として月々二万円保証します。」こう言って、「その保証としてきょうここに十万円持ってきております。」こう言って手金を十万円持ってきておる。あなた方はいままで情報提供というのは、そのつどそのつど出すと言っておられたけれども、この間の山梨の例でも必ずしもそうではないということがわかりましたが、明白に月々二万円出すと言い、しかもそれは地区委員としてりっぱに仕事をしてもらい、町会議員になってもらわなくてはいけない、そのためのお金だ、こう言うのです。こういうことは明らかに行き過ぎじゃないですか。どう思いますか。
○川井政府委員 弁解になりますが、いままでのたくさんのいろいろなケースにおきましても御指摘の事実関係と、それから私のほうの調査結果の事実関係というのはときどき重要な部分において食い違いがあるわけでございますので、いま私のほうの調査結果につきましては資料を持ってきておりませんけれども、事実関係がどうであるか。確実な事実関係、間違いのない事実関係というものを確認した上で、その事実関係を土台として適当であるとか、それは不適当であるとかいうふうな判断をすべきだ、こういうふうに思いますので、私は御指摘の事実関係だけを容認いたしまして、いまここでもってそれが適当か適当でないかという判断をするのは適当でないように思います。
○正森委員 適当ということばが何べんも出てきましたが、それでは法律論として伺いましょう。あなたは国家公務員法の百二条というのは公安調査局の局員にもかぶってくるんだ、人事院規則一四−七も適用される、こう言われましたが、人事院規則の一四−七は御承知のように政治的目的と政治的行為の二つを分けて、その両方を行なった場合にこれはいけない、こうなっておりますね。その政治的目的の第一に「規則一四−五に定める公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること。」というのが入っております。そうすると、公職の候補者に対して通ってください、ぜひとも通ってもらわなければいけないのですよと言うのは、これはやはり政治的目的に法律的には該当しますね。お答えは。
○川井政府委員 ただいまあげられました一四—七の政治的目的の一項目。いま事実関係を御説明になりましたけれども、その町会議員の人がすでにいわゆる公職選挙法に基づく選挙の、何といいますか、近づいておったといいますか、そのあれに接近しておったかどうか、事実関係は、構成要件的には、私は宙で申し上げるのですけれども、多少問題があろうかと思います。 ですから、私のただいまの御質問に対する答えといたしましては、法律に定められた構成要件に該当する事実があれば、それはいけないという以外に答えようがないと思います。
○正森委員 あなたが事実についてよく調べなければならないとおっしゃるから、純粋に法律論として聞いているわけですが、佐賀の例を横へ置いておいて、公職の候補者にぜひともなってもらわなくてはいかぬ。しかもそれは継続的になってもらわなくちゃいかぬ。だから、告示になればいよいよ張り切らにゃいかぬわけですね。当選すればますます落選しないようにがんばらなければいけない。こうなれば、佐賀の例は別に置いておいて、構成要件としてはこの目的に該当するということは明らかではありませんか。 なお続けて伺いましょう。政治的行為というのを定めておりますね。それの第二号には、「政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し」というのがあります。そうすると、議員になってもらうために月々二万円出しますよと、けっこうなことですね。そういうことになれば、明らかに利益の供与ということになって、どんぴしゃり一四−七の政治的目的にも、政治的行為にも構成要件的には該当する、こうなるのじゃないですか。ですから、それはなるということをお答えになった上で、これまた答弁をお教えするわけで私もなかなかつらいのですけれども、そうお答えになった上で、事実を確かめ、姿勢を正すべきは正すということになるのではないですか、お答えになってください。
○川井政府委員 公安調査官といえども、候補者になり得べき人に対してその選挙活動を支援するという意味だけをもって金品を供与するというふうな事実関係があれば、ただいま御指摘の条項の構成要件を充足するものではないかというふうに思っております。 ただ、まあ言わなくてもいいことかもしれませんけれども、そのケースの実態は、おそらく協力していただいて、その情報提供の実費並びに謝礼として若干の金員をお渡ししたい、こういうおそらくやりとりだろうと私は考えるわけなんですけれども、それを離れて純粋に選挙の活動資金ということで、役人がそれを供与するということになれば、ただいまの政治的行為の条項にやはり触れる場合があろうと思います。
○正森委員 いまの御発言は非常に重要な発言ですよ。ほんとうにそんなことを言うていいのですか。あなたの発言を整理すると、純粋に当選のため、政治活動のためだったらいけないけれども、当選さして情報を得るというのがもう一枚加われば、これは国家公務員法の百二条にも、人事院規則の一四−七にも触れないものである、こう聞けるような御答弁でしたね。そうでしょう。違いますか、違うなら、私にわかるように答えてください。
○川井政府委員 佐賀の例を離れてということでありましたけれども、離れたままでは必ずしも答弁の趣旨が徹底しない、こう考えましたので、もう一回戻って佐賀の例をちょっと頭に置いてお答えしたわけなんですけれども、御指摘のような趣旨ではありませんで、情報提供を受けるその情報提供の謝礼として渡すんだ、おそらくこういう趣旨の話じゃなかったか。たまたま選挙のさなかあるいは選挙が近いということで選挙の話も出たのかとも思いますけれども、調査官の趣旨はそうじゃありませんで、情報提供に対する実費並びに謝礼として金員を渡す、こういう趣旨だったと思う、こういうことでございます。
○正森委員 いま速記録を調べてみればわかりますけれども、明らかに、私がもう一度質問したのでお答えをおすりかえになった。少なくとも前の速記録では、これは当選させるためだけだったらいけないけれども、当選させて情報提供も得るということの場合にはまた別に考えなければならないというように確かに聞けたし、ここにいる人はみなそう聞いていると思いますね。かりにそうだとすれば、これはゆゆしいことで、あなた方は情報を得れば得るほどうれしい。関公安調査庁の次長に至っては、国会の速記録の中で堂々と、「共産党があらゆる会議の席に私ども公安調査庁の職員を同席さしていただければ別でございますが、そうでなければやはり調べる必要がございます。」こう言っているのです。あらゆる会議ということになれば、もちろん国会議員団の代議士会にしろあるいはその参加する会議にしろ、全部そういうことになります。したがって、そういうところからも情報を得たい。国会議員の選挙活動も大いに出す、どうかぜひともだれだれさん国会議員になってください、そのための選挙費用は、町会議員だから二万円くらいで済んだかもしれない、国会議員ならものすごい額だというようなことになれば、事実上ウオーターゲート事件じゃないけれども、公安調査庁は金を出してある政党の消長にかかわるようなことをする。そして、その人が党の中枢を握って党の政策を変えるというようなことになれば、これはゆゆしい一大事。 〔小島委員長代理退席、委員長着席〕 あなたの先ほどの答弁は、町会議員だと思って気を許してお答えになったのかもしれないけれども、しかしそれは町会議員だけのことではなしに、一般に議会制民主主義のもとにおける議員の活動を後援する、ぜひとも当選してください、そのためにはお金を出しますというようなことではもってのほかだと思うけれども、それについて態度を厳正にし、調査をするということでなければいけないのじゃないですか。この前の質問でも、えりを正しなさい、こう言って、あなた、えりを正すという御答弁を何回かなさって、そろそろえりがすり切れやせぬか、こう思うくらいですけれども、やはりその佐賀の件についても正すべきは正すというようにされるべきだし、いまのあなたの答弁は、速記をごらんになって、そういう誤解を招く点があれば御訂正なさるのがしかるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○川井政府委員 私、自分では前とあとと基本の趣旨は違ってないと思ってお答えしたわけなんですけれども、あとでまたよく速記録を読んでみまして、前の答弁が御指摘のように適当でない点があったということであれば、あとのほうの答弁に訂正してもらわなければいけないと思います。 それから、調査官という国家公務員の身分を持つ者が法律に禁止されているような純然たる政治活動を行なった、こういうような事実が調査の結果明らかであるならば、私は、これはやはり適当な措置をとらなければいけない、こう思います。
○正森委員 警察の方来ておられますか。——伺いますけれども、警察法の第二条の二項によれば、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、」——前項とは第一項ですね。「その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と書かれております。これは警察の不偏不党、公平中正を定めたものだと思いますが、それは間違いありませんか。
○星田説明員 お説のとおりでございます。
○正森委員 そうすると、あなた方はそれに反するようなことがもしあったとすれば、やはりそれは警察行政として行き過ぎであるということに当然なりますね。
○星田説明員 お説のとおりでございます。
○正森委員 国税庁、来ておられますか。——それでは伺いますが、国税庁の税金を取る立場としては、われわれも弁護士時代に講演を頼まれて行ったことがありましたが、われわれはめったに会社などに行きませんけれども、たまに行くと、源泉でお金を引いてくれるという場合がある。まして会社の顧問にでもなれば、これはちゃんと税金を引いてくるというのが普通でございます。したがって、所得税法二十八条でしたかにもあったかと思いますが、講演の場合と継続的に顧問になっているという場合では違いますけれども、収入を得た場合には、源泉徴収をしなければならないものはやはり源泉徴収をする、あるいは自主申告しなければならないものは申告するというのが法のたてまえだと思いますけれども、それについて法律的根拠とともに御説明してください。簡単でけっこうです、法律的根拠は条文ぐらいで……。
○久世説明員 ただいまの御質問は、一般論といたしましての話でございますか。——所得税法二百四条に源泉徴収義務の規定がございまして、この所得税法二百四条に列挙してございますような契約金とか賞金とか報酬、そういったものを払う場合には源泉徴収をすることになっております。
○正森委員 そうしますと、報酬を得る場合には、働いているからこそ何らかの報酬を受けるわけで、遊んでおってくれるというけっこうなことは資本主義社会にはないわけですね。 そこで、公安調査庁及びあとでは警察に伺いたいわけなんですけれども、あなた方はいままでの答弁の中では、これは実費弁償であるとか、そのつどお渡しするとか言っておられましたが、先ほど言いましたように、山梨などでは銀行へ定期的に貯金をしておられるというような例で、たてまえと実際とでは違うということで、その点については多少問題があるという趣旨の御答弁をなさったと思うのです。そこで、あなた方は定額を情報提供者にお払いになっているということはございませんか。定額、定まった額……。
○川井政府委員 この前御説明申し上げましたように、たてまえ、原則といいますか、実態はあくまで一件一件の提供された情報資料の価値を十分に吟味いたしまして、担当官が上司と相談の上で、それに適当な額をきめましてこれを交付するという形をとっております。 それから実態面におきましては、これもいま御指摘がございましたが、長い期間協力関係にあって、そして毎月一回ないし数回の接触があって、提供される資料もほぼ経常的に同じようなものが提供されるというふうな場合におきましては、結果から見まして、交付する金額がある期間は一定した金額が交付される、こういうことも実態上はあるようであります。しかし精神といいますか、その内容、それはあくまで個別、個別の判断でこれを施行する、こういうことに相なっております。
○正森委員 それでは伺いますが、本年の五月十八日にわが党が除名した男でございますが、長崎県委員会の県委員をしておりました舟川武友という男がおります。この男については前田という公安調査局員が接触をしまして、そして金に困るだろう、こういうことで手金を十万円渡し、一九七一年の五月からは定額六万円の報酬を摘発されるまでずっと受け取っております。しかもこの男は病気で入院しておった時期がある。はなはだしきに至っては当の長崎から東京へ出てきて代々木病院に入院しておりました。その間も同じく月六万円の報酬を受け取っております。別に病気の見舞いとして十万円受け取っております。こういうことになれば明らかに給与の性質を持つ常雇いのスパイである。こういうことになるのではありませんか。 そこで国税庁に伺いたいが、こういうように相当長期にわたって相当な額を受け取り、病気入院中も受け取っておるというような場合には、それを支払う者には源泉徴収の義務があり、少なくとも受け取る者には申告の義務があるということにあなた方のたてまえとしてはなるんではないですか。
○久世説明員 ただいま御質問のございました情報提供者に報酬を支払っている場合の報酬の所得の問題でございますが、これは私どもの考えでは雑所得と考えております。したがいまして、収入金額から必要経費を控除した残額が課税の対象になるものと考えます。 なお、雑所得でございますので、本人が基礎控除その他各種控除をいたしましたあとで課税所得が生じました場合は申告をして納税をしていただくということになっております。
○正森委員 そうすると、本人が申告しなければそれは本人が悪いんで、支払うほうは雑所得だからどんなに病気中でも支払う。それも六万円といえば普通の人間が朝から晩まで八時間一生懸命働いてもらうほどのものである。そういうようなものでも雑所得だ。入院しておって何にも働かないというような場合にもらっても雑所得だということで源泉徴収をしなくてもいい、こういうことになるわけですか。そういう解釈が一般に広がるんなら国民としても非常にけっこうなことだし、税金を払わぬ場合がいろいろふえてくるということになりますが、そう受け取っていいのかどうか。それとも警察なり公安調査庁のスパイであって情報提供者としてもらっている場合に限り定額であってもそういう扱いになる、こういうことなんですか。
○久世説明員 所得税法上で源泉徴収の必要があると規定しております場合は、所得税法二十八条に規定のございます給与所得の支払いの場合とそれから所得税法二百四条にございます、先ほど申し上げました報酬もしくは料金の支払いをする場合でございます。 で、まず本件が二十八条の給与所得に該当するかどうかの問題でございますが、二十八条の規定は「給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費、年金、恩給及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう。」こうございまして、本件のような場合にはこの列挙してあるもの、もしくはそれに類するものであるというふうには認められないと考えております。 それから所得税法の二百四条の一般の報酬もしくは料金の支払いの場合、たとえば弁護士さんとかあるいは原稿料を払う場合に源泉徴収をするという規定でございますが、これは列挙してございまして、ただいま問題になっておりますような情報提供者に支払われる報酬というのがこの二百四条関係の法律並びに施行令に掲げてございませんので、これによって源泉徴収をするということはできないと考えております。
○正森委員 いまの説明は国税庁として非常におかしな説明だと思う。少なくとも所得税法二十八条の「これらの性質を有する給与」に該当するのではないか。共産党の給料というのは残念ながらまだ非常に低い。あとで説明しますが、この男はまさに公安調査庁のスパイというのが職業であって、そのスパイとして役目を果たすためにたまたま共産党員であったにすぎない。そうだとすれば、その報酬として病気入院中でも定額を受け取っておれば明白に給与の性質を持つものではないか。そんなかってな解釈が許されるとすれば、世上のいろいろなことの中で、いやおれは本職は別で、本職は二万か三万くらいしか給料がない。別のところでそれの三倍くらいの報酬を得てもやはりそれは税金を払わなくてもいい、天引きしなくてもいいということになるのじゃないですか。
○久世説明員 給与に類するものというお話でございますが、給与に類するものと申しますのは雇用契約あるいは委任契約等に基づきました労務の対価たる性質のものをいうと考えておりまして、本件のように情報買い取りの対価ということになりますと請負契約的なものに類するというふうに考えられます。雇用契約がはっきりしておりまして、その雇用契約に基づきまして月々金銭をお払いになればもちろん給与所得でございますが、そういったものでもないようでございますので、委任契約、請負契約に類するものといたしまして、そういったものの対価は給与ではないというふうに考えております。
○正森委員 いま請負契約だとか何だとか言われましたけれども、少なくとも委任契約、あるいはもっとはっきりいえばスパイであるという職業に基づく給与の支払いであるとわれわれは思います。国税庁が中小企業や労働者に対しては源泉徴収をしあるいはきびしい徴税をしながら、こういうことをやっておる人間に対しては及びそれをさせておる者については非常に寛大な解釈をとっておるということに対して、われわれは絶対納得できないということを申し上げておきたいと思います。 そこで警察に伺いますが、この舟川という男は警察のスパイもやっておったけれどもいわゆる二重スパイであって、党の中での地位が上がるに従って三千円くらいだったものがだんだんと上がり、地区委員になったときには二万円が地区副委員長になったときには三万円、県委員になったときには大体四万五千円というふうに上がっておる。しかもわれわれの調査によれば十五年にわたって警察に対して情報を提供し、しかも一九五九年の安保の前の忙しいころには諌早警察署の織方という男があらわれて、何とかして細胞長になるように努力せよ、成績をあげるため「赤旗」などの拡大では、あれは元党員だからすすめれば「赤旗」をとるのではないかといって氏名を教える、こうして成績をあげさせて細胞長にし、地区委員にし、こういうことがわれわれの調査ではわかっております。一体あなた方はこういうようなことをやってもいいと思うのか。またそれはいま国税庁の話もあったけれども、報酬ではなしにたまたま情報提供費というか実費弁償だというふうにお考えになるのか、それについて伺いたい。
○星田説明員 実費弁償的なものといたしまして社会通念上妥当な額を支払っておる、このように考えております。
○正森委員 いまの答弁は答弁になっていないじゃないか。私の質問をよく聞いてお答えなさい。
○星田説明員 個々の具体的な事実につきましては、御協力いただきました方の立場もございますので、明らかにいたしますことは差し控えさせていただきたいと思います。
○正森委員 この男のことについては新聞紙上にも発表されており、公然たる事実になっておる。ところがそのことについて本人が党に対して言うておる、何とか細胞長になってくれ、成績をあげるために「赤旗」拡大で警察が協力すると。そういうようなことまで中正、公平、不偏不党でなければならない警察がやってよいのか。それを聞いておる。
○星田説明員 個々の事実関係につきましては、私どもの調査いたしましたところと食い違っておりますが、基本的な方針といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、協力いただいた方の立場もございますので、公表を差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
○正森委員 答弁がこの国会の場でさえできないということでございますから、私は十二時十五分までであと二分しか時間がありませんから、それについていろいろ申し上げるという時間がありません。あらためてもっと上級の人から伺いたいと思います。 ただここで申し上げておきたいことは、公安調査庁長官及び星田公安第一課長に伺いたいが、破防法の第二十九条では「公安調査庁と警察庁及び都道府県警察とは、相互に、この法律の実施に関し、情報又は資料を交換しなければならない。」こうなっております。これは両国家機関がお互いにそれぞれ協力し合う、われわれにとっては迷惑千万なことだけれども、そういうように規定されておる。そうすると情報についても資料についてもお互いに交換して協力する、いやしくも足を引っぱり合うということがあってはならないというように思うけれどもいかがですか。
○川井政府委員 両者の職務関係にはかなり差異がありますけれども、大筋におきましては、この法律の施行に関する限りは重複する部分もありますので、それらのことを考えて破防法二十九条というものができまして、でき得る限り相互に情報を交換してむだなことをしないように、こういう趣旨だろうと思います。
○正森委員 警察も答えは同じですね。
○星田説明員 同じでございます。
○正森委員 それでは時間が来ましたので最後に聞きますが、一九六三年にこの男がすでに警察のスパイになっておったときに、公安調査庁の職員、これが公安調査庁の手帳を見せて協力をしてくれ、とにかく考えてくれと言って現金を二千円置いていった。そうしたら、すでに警察のスパイだから諌早署の織方という男にまず相談した。この男もけしからぬ男だ。そうすると織方という警察官が何と言ったか。そのことを地区委員会に報告しておけ、こう言っておる。何だ、一体。お互いに協力するなんて言いながら、自分のところのスパイに公安調査庁がちょっかいかけに来た、だから公安調査庁がこんなことを言うてきて二千円、金を渡したということを党の地区委員会に報告をしておけ、こう言われた。この男はそのとおり地区委員会に報告したという事実がある。あなた方は国の費用をむだに使ってこういういろいろなことをやっておるが、お互いがお互いを競争相手とみなして、自分のところの情報源を取られては困るということで、自分のところのスパイに対して他の公安調査庁が働きかければそれは党に報告しておけ、そうしたら自分のところに情報を提供しているということが知られないだろうというようなことで足を引っぱり合う。そういうことをやるのか。そういうことでお互いに情報の収集合戦をやっておるのか。それについて伺いたい。明白に党に対してそう言うておる。
○川井政府委員 この点につきましては、新聞紙上に出ましたので、取り急ぎ詳細の報告を命じておりますが、とりあえず今日までに私が聞いておるところでは、私のほうに関する限り、すでに警察関係の協力者があったということは今度この事実が明らかになるまで全く知らなかった、こういう報告に相なっております。
○正森委員 それでは警察はどうですか。警察は、そういうことを言って公安調査庁が二千円金を持ってきたということを党に報告しろ、こう教えているんだ、織方という男が。
○星田説明員 そういうことにつきましては承知いたしておりません。
○正森委員 大体警察はふてぶてしいけれども、そういうようなことを堂々と言う。そこできょう私が伺ったことについては、公安調査庁の長官の答えを見ても、私は名前をあげて伺ったけれども、よく調査して答えるということを言うておられますから、何カ所かについてよく調査をして適正な行政を行なうようにしていただきたい。 最後に一言。せっかく大臣お見えになりましたので、私がお願いしておいたのですが、あなたがおられない間に伺ったことですから御存じはないかもしれませんが、いままで私が何回か伺ったことについてはあなたも部下から御報告をお聞きになり、場合によっては速記録をお読みになったことがあると思います。私が破防法の質問をするにあたっての第一回の三月二十八日に、失礼ながらわざわざ川井長官に破防法二条、三条を読んでいただきましたのは、いやしくも基本的人権を侵害してはならないという立場からでありました。したがって、大臣は速記録をお読みになり、あるいは部下から御報告を聞かれて、破防法が存在するか存在しないかこれは別として、たとえ存在するとしても、破防法二条、三条に触れるようなことは絶対に外局である公安調査庁に対してさせないという統督する立場としての法務大臣の責任があると思いますが、それについての、政治的な責任についてのお考えを承りたい。
○田中(伊)国務大臣 本年三月以来公安調査庁長官に対してたいへん熱心に御質問をいただいておる。一部は私がここで承っておる。また他の部分は調査庁長官からの報告もあり、お説のとおり速記録も拝見をしました。どういう御質問を共産党がなさるのかということについてはたいへん、まあありのままに申し上げますと、私は注目をして、どんなことをおっしゃるのかということをまことに注目をしておる。そういうことでございますので、一言申し上げますと、破防法に基づく調査だとは言いながら、調査をされる立場に立ちますと、この法律の劈頭にもくどく書いてありますように、調査を受ける人々の基本的人権に影響するところが大きい、少なからざるものがあると思います。そういうことでございますので、私は外局である公安調査庁長官を監督をしておるという立場ではございますけれども、いやしくもこの調査をめぐって調査を受ける関係諸君の諸方面から非難のないように、いろいろ御非難の声を承っておりますが、いやしくもそういう非難の起こることのないよう、破防法の劈頭にくどく書いてある条項の精神にのっとりまして、十分留意して今後仕事をするよう、公安調査庁長官をして部下を入念に指導せしめたい、こう考える次第でございます。
○正森委員 終わります。
○中垣委員長 次に稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 十一日に新宿の駅で、それからきのうは高田馬場ですか、それから、ことしになって二十数回あるといわれておるのですが、国士舘大学生や高校生が朝鮮人の高校生や中学生に対して暴行を加えておる、あるいは傷害を加えておる。はなはだしいのは、凶器を準備したりしてやっておる。こういうようなことが事実あり、報ぜられておる。法務省としては、人権擁護局あるいは刑事局関係、また在日朝鮮人の関係では入管、こういうようなことで、法務大臣が一つの所管大臣にもなっているわけですから、こういうような一連のできごとに対して、法務大臣として、どこに原因があるというふうに考えておるのか、と同時に、こうした問題に対して、あなた方として今後こういうことのないようにということでどういうふうに対処していくのか、ここら辺のことを法務大臣から最初に概括的に承りたい、こういうふうに思うわけです。
○田中(伊)国務大臣 各地で行なわれておりますこの非行の現状でございますが、これが、先生の仰せのごとくに、原因的に見まして何らか横に連絡があるものかないものか、偶発的に起こっていることがそちらでも起こっている、こちらでも起こっているという姿であるものかどうかということをまず調査をする必要があろうと存じます。 いずれにいたしましても、一般治安のたてまえから申しまして容易ならざる傾向でございまして、この種の関係はすみやかに根絶する必要がある、こう考えまして、何らかの連絡が直接間接にあるものかどうか、どういう原因でこういうことが起こってくるものかということについて、目下慎重に調査をさしておるところでございます。遠からず報告が来るものと存じますが、この報告を聞きました上で、慎重な態度でなければなりませんが、とにかく治安の現状からは、根絶をするための万全の措置を講じていきたい、こう考えております。
○稲葉(誠)委員 その根絶するための措置ということについて、具体的には、現在の段階でですよ、どういうふうなことが大臣としては考えられるわけですか。常識的に見て、原因がどこにあるか、民族的な問題、いろいろな問題があると思うのですけれども、そういうところにもあるかと考えられるわけですが、まず根絶するということの具体的な方策の問題、それから民族的な問題があると考えられるとすれば、それに対してどういうふうにあなた自身が考えられるのか、この点についてお聞かせを願いたい、こう思っております。
○田中(伊)国務大臣 おそらく民族的な動機、原因があるのではなかろうかと、これはまだ調査の結果の報告がまいりませんので、想定しておる段階でございますが、そういうものがあるといたしますと、これに応ずる措置は講じなければならない。これはおことばのごとくに入管関係がございますので、入管関係という立場に立ちまして、入管行政の上からも考えていかなければならぬ。しかし、これは行き過ぎがあってもいけないと存じますので、慎重でなければならぬ、こう考えております。
○稲葉(誠)委員 一応警察にお伺いいたしたいのは、この十一日、十二日の事件だけでなくて、ことしになってから国士舘大学生あるいは高校生が、朝鮮の中高生だけでなく一般の国民にもいろいろ暴行傷害を加えておるということがいわれておるわけですが、その間の事実関係といいますか、それをどういうふうに把握しておられるのか、その実態をまず説明を願いたい、こういうふうに思うわけです。
○綾田政府委員 いわゆる高校生、まあ朝鮮高校生と申し上げておきますが、それと日本の大学生、高校生との紛争事案でございますが、これは四十六年には百二十六件発生いたしております。それから四十七年には百四十二件、本年に入りましてから、昨日の高田馬場の事件を入れますと五十六件の発生ということになっております。その中で国士舘に関係いたしますものは、四十六年が三十件、四十七年が三十六件、本年が二十七件というふうな状況でございます。警察庁といたしましても、こういう学生のいわゆるけんかに対しましては非常に重大な関心を持ちまして、そのつど詳細に報告を受け、また防止のための事前の警戒あるいは学校当局への警告、助言といいますかそういうものも従来ひんぱんに行なってきたところでございます。 なお、最近新聞にも出ておりますが、一般人に対する学生らしき者の事案につきましては、これはまた学生同士の紛争とは違いまして、一般の平穏な日常生活を侵害するいわば重大な事件でございますので、刑事面からかなり強力に犯人の検挙という点で捜査を推進しておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 いまの、四十六年三十件、四十七年三十六件、四十八年二十七件というのは、国士舘の大高生の朝鮮人の中高生に対する暴行というか傷害、このことの数字であるわけですか。
○綾田政府委員 さようでございます。もちろんこれは、朝鮮高校生側が被害を受けた事案と日本の高校生が被害を受けた事案、あるいは相互暴力といいますか、どっちかわからぬというような事案も含めてでございます。
○稲葉(誠)委員 国士舘の大学生や高校生が朝鮮人の中高生に対して傷害を加えたということについていえば、その動機というか、原因というか、理由といいますか、これは一体どういうところにあるのですか。これはいま警察はどういうふうに把握しているわけですか。警察の把握が正しいかどうかは別ですよ。警察としてはどういうふうに把握しているわけですか。
○綾田政府委員 これは少年の補導の際に実際に聞きましてもなかなか真相はわからないわけであります。率直に言わないといいますか、したがって、われわれの推定になるわけでございますが、発生した事案の概要を見ますと、やはり前回に高校生仲間の学校の生徒が暴行を受けたので、その仕返しだというふうな動機が非常に多いというふうに推定をいたしております。
○稲葉(誠)委員 ぼくら聞いているのは国士舘側の学生たちが——こういうように聞きましょうか、国士舘の大学とか高校というのは、警察としてはどういうふうに見ているのですか。この学校の生徒それから学生の全体の気風、これはあなた方のしゃべっているのがあとでいろいろな問題が起きるといけないというので慎重になるかもわからないけれども、一般の、ぼくも東京の生まれですが、東京の学校だからわかるけれども、どういうふうにあなたなんか見ているの。この学校の体質というか、この学校の生徒の気風というか、そういうのをどう見ているの。答えにくいかな、それは。
○綾田政府委員 これは私どものほうとしては正式の——個人的なあれはないことはないわけですけれども、正式に答えるのはなかなかむずかしいと思いますが、やはり高校生同士のあれを見ますと、国士舘の前には帝京高校というのが二、三年前は多かったわけであります。それから日本側の学校の被害を受けた学校を見ますと、やはり四十校くらい昨年中、一人くらいでありますけれども、学校の数は非常に多い。朝鮮の高校との対立抗争事案というのは、二、三年前は帝京高校ですか、これが一番多かったわけでありますが、最近は国士舘が非常に多くなっているということで、そういう実態から見ますと、やはり学校のそういう、何かそこに、全然関係のない学校もあるわけでございますから、そこに学校の性格とかそういうものがあるんではないかというふうなことは一応考えられると思います。最近の傾向を見ますと、やはり何といいますか、やや元気のいい、荒っぽいといいますか、そういう性格ではないかと思います。
○中垣委員長 この際、関連質問を許します。青柳盛雄君。
○青柳委員 大臣がもうお帰りになるそうですから、関連して一言お尋ねいたしたいと思いますけれども、先ほどこのような事件が頻発する原因についてよく御検討願う、そしてその根源を取り去るということにもいろいろと御配慮願うというお話でございました。実はこのような問題が現在ただいま激化している一つの原因の中にこれから審議されることになっております出入国法案に対する日本人の反対というようなものを押えるという意図があるんではなかろうか。実は、私の手元にあります在日朝鮮人総連合会中央本部の六月十二日付警視総監あての要請文の中に、非常に短い文章ではありましたけれども、「日本人学生がひきおこしている朝鮮高校生にたいする集団暴行事件は、「出入国法案」に反対する世論が日ましに高まっているのを抑えようとするものである。」という断定がございます。もちろん、これだけの文章でございますから、具体的な事実の裏づけがどういうふうにあるかということになりますと、これはもっと調査をしなければなりませんけれども、大体出入国法案に対する日本国民の感情的なといいますか、直感的な反対の根源は、在日朝鮮人に対する日本人の差別感というような、あるいは侮辱感というようなものが潜在的にあって、それがこういう法案として政府から出されてきているので、一般国民はもちろんそういう差別感というものは払拭をするように努力をしているわけでありますから、当然のことながら自分たちのざんげ的な気持ちも含めて反対をしているわけであります。だろうと私は思います。そこで、それに対する反発が日本の国内に、一部の者の中にあって、それがこういう、まだ未熟な考えしか持っておらない日本人学生の一部の者に働きかけて、やはり在日朝鮮人に対する蔑視と迫害というようなものをかき立てているのではなかろうか、こういう点が考えられます。私は、こういう事件が起こったんだから出入国法は即座に撤回しなければならないんだというような、直線的な意見をいまここで申そうとは思っておりませんけれども、しかしそういう点も原因を究明する過程で考えてみる必要があるのではなかろうかというふうに思いますので、その点大臣の所見を伺いたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 出入国法を提出しておるから、これに反対のあまり、そういう要素が手伝ってこの種の事件が起こるのではなかろうかという御見解でございますが、それは少し思い過ごしの御意見ではなかろうか。原因を調査しなければわからないのですから、そういう原因はありませんということは申し上げかねるのでございますが、原因を調べた上でなければ、原因を除去する方策は考えられないので、原因を究明しておるわけでございます。民族的な要素が影響しておるのではなかろうか、あるいはよくいわれるように血気にはやる若さのいたすところでこういうことになり、仕返し、仕返しということで問題が発展をしておるのではなかろうか、どういうことが原因であろうかということを専門的に調べさしまして、それを私の手元に取り寄せて判断をする以外にないと、こう考えておるのでありますけれども、出入国法が原因であろうということはちょっと見当が私につかぬ。なぜつかぬかというと、理論的に出入国法の中身をごらんいただきましたらわかりますように、在日朝鮮人だけに適用する出入国法ではございません。私が現にお預かりをしておる外国人は六十三万人に及んでおります。六十三万人の中で六十二万人が朝鮮出身の諸君であるという、数が多いということはございますけれども、日本在住の朝鮮人の諸君だけに無理に適用するという法律とは違う。そういう内容にはなってない。在日外国人全部に適用する法律でございます。こういうことでございますから、そういうところから申しまして、どうもこの入管法が朝鮮人を文句いわすということに、何かそういうことを起こすのに原因をしておるのではないかと言われることには幾らか、私はここで聞いておりましても、ありのままを言いますと、心外な感じがする。えらいことを言うもんだな、という感じがいたします。あるいは先生の仰せになることが当たっておるのかもしれません。私の言うことが無理かもしれませんが、これは原因を調べまして、もしそういうことにいやしくも原因があるものと想定される情勢が出てさましたら、私の腹の持ち方も変えねばならぬ、こう思うのでございますが、そんなことはいまのところちょっと考えられない、そういうふうに判断をしております。
○青柳委員 大臣、だいぶ先ばしって、まだ出入国法の審議に入らない前にその内容についてまで論及されて、ここで私この内容について論争しようとは思いませんけれども、いずれはそういう時期もくるかもしれませんけれども、私が申し上げたかったことは、大臣が最後の部分で、あるいは青柳委員の言うことも正しいかもしれないと謙虚に反省されるようなおことばもありましたので、こういう事案が起こっていることとの関連をぜひ検討してもらいたい、こういうことをお願いしたいと思います。
○稲葉(誠)委員 いまの警察の答弁は、いろいろ立場もあって言いずらい点がたくさんあるからと思うのですけれども、一つは、これらの問題を何かけんかと見ておるところは問題の正しい把握ではない、こういうふうに私は思うわけですね。それは片方がなぐれば片方もある程度それに応ずるということもあるかもしれない。そうなってくればそれはけんかだという形では、これは問題は解決をしないんで、そこら辺の認識が非常に違うのではなかろうか、あるいは問題を掘り下げていない、こういうふうに考えるわけです。 そこで、問題はこういうふうなことがずっと起きておるのに対して、警察としては、たとえば機動隊はどのくらいいるのか知りませんが、デモのときにはあんなにたくさん出てきて、何のために出てくるのかわからぬくらい出てきているわけですね。だからこういうふうな事態が起きるのを未然に防止するというのも警察の、予防警察というか保安警察というか、そういうふうなことの一つの使命であるわけですが、そういうふうなことについて、いままで一体どういうふうに手を打ってきたというか、それをやってきたわけなんですか。そこら辺のところで具体的な何かプロセスがあればお答えを願いたい、こういうふうに思っているわけです。
○綾田政府委員 まず警察の事前警戒、事前の事故の発生の防止といいますか、その点につきましては、警視庁においても相当の勢力をさいてこれの警戒に当たっております。 これは本年四月の調査でございますが、新宿署、池袋、王子、板橋、荒川、本所、蒲田、万世橋その他、十五の警察におきまして、大体国電、私電を含めまして二十二駅になりますが、ここに、この事件の発生がほとんど登下校の際に発生しておりますので、その時間帯に約七十名でございますが、多いところは九名、少ないところは二名のところもございますが、約七十名の警戒員を登下校に常時派遣をして警戒に当たっておるというふうな状況でございます。したがいまして、事案の発生、補導の端緒を見ましても、警察官の現認というのがかなりの数にのぼっております。 新宿の場合も、当たっておったのでございますが、駅も相当広いし、わずか三分か四分に発生してぱっと行ったというので虚を突かれた。それから高田馬場の場合も、これは新宿で、事前に凶器準備集合罪で、木刀を持っておった国士舘大学の二名の生徒を新宿駅周辺で検挙をした、そういうことで、そういうふうな連中が高田馬場に行ったというふうな推定を一応しておるわけです。 それから、行政的なといいますか、措置でございますが、これは先ほども申し上げましたように、非常に前からありまして、主として帝京高校の関係でございますが、四十四年、五年ごろから、私学協会あるいは王子警察署に、朝鮮高校と帝京高校を呼んで、両校で指導するというような話をしております。それで本年に入りまして、申し上げますと、すでに王子の警察署で一月、三月、四月、三回にわたって高校の連絡会を、警察が仲に入りましていたしております。それで、両校の指導教官による協議あるいは共同の街頭補導、それから学校のスポーツの交歓——帝京と朝鮮高校は、前にも申し上げたように非常に事件が多かったわけでございますが、サッカーの交歓試合あるいはテニス、バレーですか、そういう交歓試合などをやって、最近では、本年は帝京との関係は五件に減っております。 それから国士舘高校との関係も、本年四月に警視庁で、それから同じく四月の末に世田谷署で、国士舘高校と連絡会を開きまして、この国士舘と朝鮮高校も近くそういう共同で補導するとか、いろいろな連絡が熟しかけておったときにああいう事件が起きて、われわれも非常に残念に思っておるわけでございますが、まあ一応そういうふうな状況でございます。
○稲葉(誠)委員 今度の新宿と高田馬場の事件ですね、これは多少内容は違うかもわからないと思うのですが、新聞などを見ると、国士舘大学の生徒が待ち伏せをしてやったというふうに書いてあるのが多いわけですね。これはまだ全部調べはつかないわけですから、断定的なことはいま言えないわけですけれども、いまのわかった範囲内では大体そういうふうにとってよろしいのですか、事案としては。そこはどうでしょうか。
○綾田政府委員 新宿事件の場合には、七、八番ホームですか、そこに国士舘の生徒が若干たむろしておりまして、そこへ学生がおりてきたというので、私は、これはどこまでも推定でございますが、新宿の場合には待ち伏せとかそういうものではなくて、やや偶発的な発生ではないか。それから高田馬場の場合には、これはまあ調べてもなかなか本人は言わないわけですけれども、これは若干その仕返しということで国士舘のほうが、これはどこまでも推定でございますけれども、待ち伏せたのじゃないかというふうな一応の推定をいたしております。
○稲葉(誠)委員 文部省の方にお伺いしたいのは、この国士舘大学というのは、どういうふうな建学の思想というのはおかしいけれども、何というか、私学ですから学校に何かありますね。どういうふうなことを趣旨としてできている学校なわけですか。何か、やけに元気のいい学校だというふうに聞いたけれども、どういうふうに元気がいいのか。わかっている範囲で、どういうふうな主義というか思想のもとにでき上がった学校なのか、それから、何かほかの学校と比べて特徴がある学校なのかどうか、特徴のあるような何か訓練なんかやっているようにも世上伝えられるところもあるわけですから、ちょっとその点お聞きするわけです。
○安養寺説明員 お答えいたします。 国士舘大学学則がございまして、それに一応建学の精神とか書いてございますが、とりたてて特にどうこうということではございませんで、「教育基本法及び学校教育法の精神に基づき、広く一般の基礎教育に関する学術に更に専門の政治、経済、体育、工学及び法学、文学に関する科学の理論と実際とを教授研究し、それらの知識、技能を修得させることを目的とし、世界文化の進展に寄与貢献するとともに実業界、教育界、体育界、産業界並びに法曹界における社会人を育成することを使命とする。」かように出ておりまして、あといろいろ学部構成等がこれに即応するようにできております。 以上のことであります。
○稲葉(誠)委員 これはここでやるより、いずれ文教委員会で文部大臣に同僚が、いろんな内容その他について、これがはたして大学として、教育基本法をあげているようですけれども、それから見てどうなるか、どう見たらいいかということはここで論議するのはちょっと委員会が違うし、そっちの話をあなた方に、といっては悪いのだけれども、きょうおいでになった方にそれを聞いても責任のあるあれじゃありませんから、失礼ですからこの程度にしますけれども、どうもこういうふうな事件が頻発をする、そして民族が違う朝鮮高中生が被害にあうということ、そのことについてどうも警察などの見方が、単にけんかのようにきわめて平面的に見ておるというのは非常に遺憾だ、私はこう思うんで、もっと根が深いところに原因があるというふうに常識的には考えられる。警察のほうでもこういうふうな事件が再び起きないように、さらにどういう点に力点を置いて注意をしてやっていくか、これをひとつお答え願いたい。今後どういうふうに、どこに重点を置くか、どこに注意をさらに倍増してやっていくか、そういう点についてどう考えておられるのか、お答え願いたいと思います。
○綾田政府委員 まず第一点は、先ほども申し上げましたように、できるだけ警察官をそういう地帯に配置をいたしまして、事前防止に当たるようにつとめたいと思います。それから第二点は、やはり事件が発生したならば、少年の処遇を考えて適正な補導のもとに真相を明らかにしていく。それから第三点は、これはやはり学校の問題であり、家庭も若干問題があると思いますが、警察にはいわゆる学校と警察との連絡協議会、学警連、そういう連絡協議会を通じて警察の立場から見たそういう事故防止の点について、そういう学校などにいろいろ助言あるいは警告その他必要な措置をそのつどとっていくというふうにして推進したいと思っております。
○稲葉(誠)委員 警察の見方が、きょうは最高の責任者が出ているわけではない関係もあって、いろいろはっきりしないというか、きわめて平板な答弁しか出てこないわけですけれども、これはまた地方行政のほうで、おそらく公安委員長、警察庁長官を呼んで問題の追及というか、真相の把握というか、原因に対する対処のしかたとか、そういうふうな問題を含めてあるんだ、こう思うのですが、そこで、いま法務大臣は帰られたのですが、刑事局長おられますから、もうさっき法務大臣が言われたことを早急に、これらの事件、新宿の事件それから高田馬場の事件その他いままで、いま警察があげたような事件、これは一体どういう事件の内容かというようなことの調査は、これはおそらく一たん検事のところへ送ると思うのですよ。検事のところに送って、そして家裁送致したかどうかわかりませんが、いずれにいたしましてもその実態というものを早急に究明をして、そしてさらに問題の所在を私どもは私どもなりに明らかにするから、日をあらためて他の機会にさらに問題を掘り下げて追及をしていきたい。要は、こういうふうな事案が起きないように、これは法務大臣も警察も十分今後いろんな面から手当てをしていってほしい、こういうふうに、手当てというか対策を練ってほしいというか、そういうふうなことを私どもで要望をして、きょうは大臣も行かれた関係もありまして、この程度の質問にしておきます。
○中垣委員長 関連質問を許します。横山委員。
○横山委員 文部省の返事や警察の返事がくつを隔てて足をかくような返事であります。この国士舘の問題はきょうに始まったことではありません。それは御両所とも御存じだと思う。かつて数年前、国士舘の教授の問題は本法務委員会でずいぶん論争をしたことなのでありまして、国士舘大学という名前が大体私気に入らないんです、率直に言うと。国士とは何だ。しかし大学について、公立であろうと私学であろうと、文部省が介入をできる限界というものがあることは承知しておる。それから同時に、この根本原因を洗うことのあまり、かえって問題が発展をするということも考えられないことはないと思う。そういう慎重さは私も考えておる。だが、今回発生しておる問題は、かなり偶発的とはいいながら計画性があると思わざるを得ないですよ、これは。だから学校の中で学生がだれかが指導をしておる、私はこう思わざるを得ない。それは巻き返し引き返しは大いにあり得ることだろうと思うけれども、それは巻き返し引き返しをするための指導力がどこかにある。これは疑いをいれない事実だと思うのです。それが大事なことなのです。その根源というか、刑事上の暴力の根源、これがいろいろな学校に関連しておっても、やはり根は国士舘にある、国士舘の中の学生にある、この根をしっかりひとつ確かめてそれを処置しなければならぬことが一つ。それからもう一つは、どうしてもこの国士舘の学風にあることは疑いをいれないと私は思うのです。この学風というもの、いま文部省が読み上げた学則か、それはまあ書いた作文でありますから、学風というものをやはり前の教授の首切り事件のときでも大いに議論をしたと思うのです。これを一体どうすればいいのかというのはたいへんむずかしいことなので、警察庁ができる限界、文部省のできる限界というものは確かに法律上はあるし、一つの私学の伝統というものが、いい意味において存在するということについては私も認めるにやぶさかではないが、こういうところへその伝統が発展をしてくるとするならばゆゆしいことだと私は思う。それを一体どう考えるかということが、文部省も警察庁もまた国会側としても考えなければならぬことだ。 文部省に伺いたいのですけれども、今回のみならず、前回のことも考えてみて、一体国士舘の学校経営者と文部省とは懇談をしていらっしゃるのか、会っていらっしゃるのか、どうなんです。
○安養寺説明員 私どもの立場からは、先ほど警察のほうからお話ございましたような事案のすべてをそのつど承知するということはできかねるのでございまして、今回このような一連の新聞ニュース等がございましたので、国士舘の常任理事に来ていただきまして、最近の学内のいろいろなこういうことについての学校の方針といいますか、対応のしかたというものを、どうするか尋ねてみたわけでございます。現在のところは、最近の事例に関する限り、その子供たちが逮捕されておりまして、学校のほうも事情を本人から聞くということができないでおる、できないにしても、いろいろと問題のあるような周辺に教師を巡回させるというような補導の強化というか、学内では学長告示をするとか、一般の学生に注意をするとか、そういうことは現にしておるという報告がございました。そしてわれわれといたしまして、さらに大学がこの事件の結末、学生の身の上をどうするかということをお考えを伺ったわけでございますが、いろいろと実態を調べての上でという条件がついておりましたけれども、厳重な処分をとりたいというような御意向の表明がございましたので、われわれといたしまして、今後なおよく連絡をしていただいて、ともどもに学校をよくするということでいろいろと協力をしようというようなお話をしておる、そんな状況でございます。
○横山委員 もう一問。警察のほうへ注文したいのですけれども、客観的に見れば、朝鮮人の学校は少数派で、そして国士舘をはじめ他の学校は多数派なんです。それが大事なこと。 それからもう一つは、大臣もちょっと触れておりますように、民族的な問題があるということ。民族的な問題はどういうふうに考えればいいのかという点について、私ども政治家としては、長い歴史というものをわれわれが考えて処置をしなければいかぬ。長い歴史があるということは、日本人として反省の点を含めて考えなければならぬということなんです。だから、けんかの原因が、日本人だ、朝鮮人だということであるならば、そういう民族的な感じからいうならば、日本人としての反省という点から処置しなければならぬということ。 それから第三番目は、なぐられたら防衛しなければならぬ。防衛という、緊急避難という意味が、かりになぐり返したということである。その結果を見て一両方のけんかだと見ては誤りである。 第一原則の多数派と少数派の関係、それから反省という点から見ると、これは警察官としての現場の処置のあり方については、繰り返し慎重に、私の言う第一原則、第二原則ということをよく踏まえながら、いやしくも警察官が、単純な両成敗という態度をとってはならぬ。ましてや、ここに資料にございますように、短銃を警察官が引き出して、そして、何だと言っておどした。警察のほうは、いやおどしたんじゃない、はずれたから締めたんだ、こういう言い方なんであります。そんなに簡単にはずれるものかと私は思うのですね。そういう現場における警察官の処置のあり方については、繰り返し、あなたのほうで誤解を与えないように、第一、第二原則をもって十分に処置をしなければならぬ、こういうことを警察側に注文をしたいのですが、どうですか。
○綾田政府委員 ただいま先生のおりしゃるとおりだと私は思います。今後十分その趣旨に沿って、誤りのないように、誤解を受けないように仕事をやっていきたいと思います。 ただ、先ほど先生のおっしゃった、稲葉先生のお話にもありましたが、民族的な云々という問題でございますが、単なるけんかと解釈しているんじゃないかというお話でございますが、私も、全然ないということは、どうかわかりませんけれども、この事案を見ますと、国士舘の学生の場合には、一般の人——これは生徒かどうかわかりませんが、一般の人に対してもその場で、ちょっとガンづけをしたとかにらんだということですぐやっておるというような状況、それから、先ほど申し上げました帝京高校なんかは、サッカーの交歓試合をして、それが非常に友好的な雰囲気になっているという状況、そういうものを見ますと、むしろ、先ほど先生が言われました、学校のそういう学風といいますか、中に暴力団のように指導者がおるかどうかということは、警察も十分調査したいと思いますけれども、そういう点で私が先ほど申し上げたのでございまして、ちょっとことばが足りなかったので補足させていただきます。
○横山委員 もう一つ文部省に注文したいのでありますが、常任理事を呼んでいろいろ懇談をしたとおっしゃる。これは法律的な処置のしかたというのはなかなかむずかしいわけですね。だから政治的な処置、雰囲気、影響力、そういうものをまず前面でやらなければならぬと思うのです。これは私は、きょう国会が取り上げる。おそらくいろいろと報道がされる。拡大をする。だから私どもの質問も非常に慎重で、拡大しないように、そして一刻も早くさしあたりの鎮静なりともしなければならぬと思うのですけれども、そういう意味合いでは、常任理事を呼んで懇談したぐらいでは、政治的な点にはならぬと私は思う。少なくとも学長なり理事長なり、そういう人と文部大臣との懇談が必要だ。問題は、一番最初の出発はきわめて小さなものであっても、この問題、ゆるがせにできない、大臣もおっしゃっているが、深刻な問題に発展するおそれがある、潜在的にあると私は思う。だから、学校当局がただ巡回してやっておるということではなくして、学校当局それ自身が姿勢を正すためには、文部省としてきちんとした姿勢でものを言ってもらわなければならぬ、こう思いますが、善処していただけますか。
○安養寺説明員 事柄は教学の問題に触れることでありまして、横山先生御指摘のように文部省のなし得るものは、おのずから限度がございます。いろいろと、原因究明等につきましては法務大臣からお話もございましたが、いま御意見の趣をよく上司に伝えまして、今後またこういうことの拡大しないような努力をいたしたいと思います。
○中垣委員長 関連質問で、赤松勇君。
○赤松委員 さっき法務大臣は、十分調査をしてその結果を報告する、こういうことなんだが、その調査の中へぜひ入れてもらいたいのは、この問題は刑事事犯と見るよりも、学校の朝鮮人に対する差別教育の産物である、こういうように考える。したがって、問題は単なる検察行政や警察行政の問題でもない。基本的には、さっき横山君もちょっと触れましたけれども、やはり私どもが朝鮮を侵略してそして植民地政策をとってきた、そういう反省の上に立った——ことに田中首相が中国に参りまして、中国での彼のことばは、御迷惑をかけました、こういうことです。これは田中総理だけでなくて日本人全体がやはりそう考えなければならぬ問題であると思うのです。ところが政府は、依然朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視政策をとっている。そういう風潮が一般に浸透している。いささかも、御迷惑をかけましたというような反省が政治の上にない、あるいは行政の上にない。 それで、いま私が調査を要求するのは、国士舘——もうこれはすぐ右翼を連想しますね、国士舘なんといいますと。その学校の校則がどうなっているかということは問題でなくて、一体学校がどのような教育、なかんずく日朝間の歴史教育について、どのような教育をやっておるか。いわゆる朝鮮人だというような差別的な観念の上に立った差別教育を行なっておるのかどうか。この点などは私は非常に重要な問題であると思うのです。したがって問題は、先ほど言ったように単なる検察行政、警察行政あるいは文部行政の問題ではなくて、国全体として朝鮮人をどう見るか、あるいは今後の、いま統一の機運に向かっている朝鮮と日本との国交の正常化、恒久の平和、そういう観点を踏まえてそして問題を解決していくというのでないと、ただ単に問題を警察の行政にしわ寄せさしていくということであってはならぬと思います。この際、田中総理は中国へ御迷惑をかけました、申しわけありません、そのことばは政府を代表してのことばだと思います。したがって、そういう反省の上に立って、一体国士舘というのはどういう教育をしているのか、その教育の内容、先ほど申し上げましたように日朝間の歴史教育の内容等、ぜひこれを調べて、そして、いやしくもそういった差別的な教育が行なわれておるということになりますと、これは大きな問題ですから、ぜひ法務大臣の調査の事項の中にそれを加えて、そして本委員会に報告していただきたい。それに基づいてあらためて私は質問をいたしますから、きょうは質問を留保して、調査要求にとどめておきます。
○中垣委員長 ただいまの要求につきましては、後日理事会にはかりまして善処いたします。 次回は、来たる十五日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十一分散会