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71回国会衆議院1973/05/08

法務委員会 第24号

発言数
88
登壇者
6
会派数
3
開催日
1973/05/08

会議録

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これより会議を開きます。  青柳盛雄君外一名提出、借地法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を求めます。青柳盛雄君。

青柳盛雄日本共産党・革新共同

○青柳議員 借地法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案についてその趣旨を説明いたします。  昭和四十一年に借地法等の一部を改正いたしました際、地代または家賃の増額について当事者間に協議がととのわないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める地代または家賃を支払えば足るという趣旨の借地法第十二条二項及び借家法第七条第二項の規定が新しく設けられましたが、同時に附則第八項で、これらの規定は、地代家賃統制令(昭和二十一年勅令第四百四十三号)の適用がある地代、家賃については、請求にかかる増加額のうち、同令による停止統制額または認可統制額を超える部分に限り適用する旨の特則が加えられました。  このような附則の設けられたのは、地代及び家賃を統制して、国民生活の安定をはかることを目的とした地代家賃統制令による停止統制額または認可統制額は、同令第五条の規定に基づき建設大臣において修正する場合をも含めて、常にその適用のない地代、家賃に比べ当然に低額であり、公正であるとの前提が承認されていたものと考えられます。  しかしながら、昭和四十六年十二月二十八日建設大臣が地代家賃統制令第五条に基づき従来の統制額を大幅に引き上げる修正率の告示を発布した結果、全国各地において同令の適用を受ける地代、家賃は、その適用のない地代、家賃よりもはなはだしく高額となるという異常な現象を生んでいます。  こういう状況のもとで、地主、家主の側から一斉に地代、家賃を統制額まで増額する請求が行なわれ、いわば政府指導型の地代、家賃値上げが惹起されておりますが、この場合増額請求を受けた者は附則第八項に拘束され、右統制額の範囲内で相当と認める地代または家賃を支払う自由を法律的に奪われておりますので、常に統制外の地代、家賃よりも高額な統制額までの増額を甘受し、これを支払わなければならないという地代家賃統制令本来の目的に反する窮地におちいらざるを得ない状態にあります。  このような不合理を除去するのが、この法律案の趣旨であります。慎重御審議の上、すみやかに可決されるようお願いします。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 内閣提出、商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に対する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上三法律案を一括議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大竹太郎君。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 大臣がおいでになりましたらぜひ大臣にお聞きいたしたいことが一、二点ございますが、大臣がお見えになっておりませんので、局長にお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一にお尋ねいたしたいのは、今度の改正の一番の重点であります監査役が会計監査のほかに業務監査をするという点でありますが、これを調べてみますと、実は昭和二十五年に商法が改正になりまして、この規定がそのときに改正になっているようでございますが、今度の改正はこの改正前の規定に戻るものだというふうに考えるわけでありまして、一体昭和二十五年になぜ現行の規定に改正したのか、その当時の事情についてまずお尋ねを申し上げたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 仰せのとおり、昭和二十五年以前におきましては、監査役は業務監査を行なっておったのでありますが、昭和二十五年に商法の大改正が行なわれまして、その結果、監査役は会計監査のみを行なうというように改められたわけでございます。当時はいわゆるアメリカの占領行政が行なわれておりまして、商法につきましてもいろいろ改正すべき問題が起こっておったわけでございますが、この監査役につきましてはアメリカのたてまえと非常に違うものがあったわけでございまして、アメリカにはわが国におけるような業務一般を監査する監査役というものがなくて、会計監査の面で特殊な監査が行なわれておるというような状態でございます。他方、わが国の実情といたしましても、監査役というものはあまり業務監査の実効をあげていなかったというような事情もございまして、主として当時の司令部のアドバイスによりまして、これを会計監査に限定したらどうかということで、このように改められたというふうに聞いております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 それでその改正の後、たしかこの商法の改正、また元に戻るべきだということになりましたのは、昭和四十年の山陽特殊製鋼の粉飾決算が直接の動機といいますか、あの事件で非常に問題になったと思うのでありますが、その後最近も三共でございますか、どこでございましたか、この粉飾決算というようなことがちょっと新聞その他で出て問題になりましたが、その後山陽特殊製鋼のような問題が相当出ているわけでしょうか。その後の事情を御説明いただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 仰せのとおり、今回の監査制度の改正の動機となりましたのは、昭和四十年の山陽特殊製鋼が倒産したという事件でございます。この倒産に伴いまして関連企業が連鎖倒産をするとかいう問題が起こりまして、その原因が、一つには会社の粉飾決算にあったというような点から、株式会社の監査制度を強化、改善すべきであるということで今回の改正に発展したわけでございますが、粉飾決算の状況はその後におきましても必ずしも少なくないという実情でございます。証券取引法に基づいて上場会社等の会計監査が行なわれておりますが、その関係で判明いたしました粉飾決算の行なわれた会社の数というものを申し上げますと、昭和四十一年に五十二社、それから四十二年は三社でございますが、昭和四十三年に三十二社、昭和四十四年に二十三社、昭和四十五年に四十八社、四十六年に十二社というように、必ずしも減っておりません。そのうち著明な事例といたしましては、昭和四十五年の河合楽器、芝電気、汽車製造、それから昭和四十六年のヤシカ、ことしに入りまして御指摘の三共、こういった事件があるわけでございまして、こういった粉飾決算に対処するためにも、監査制度の改善というのは現下のきわめて必要な事柄であるというふうに思っておるわけでございます。  なお、そのほか最近におきましては、協同飼料の自己株取得、株価操縦、こういった事件が起こっております。それから商社の買い占め、投機というたような問題も起こっております。こういった企業の社会的な責任が追及される事例が頻発しております事情から見ましても、会社自体がその内部において規制をしていく、そして同時に、これによって株主その他の利害関係の保護をはかる必要がありますので、今回の改正となったわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 ちょうど大臣が来られましたので、大臣にいまのお答えに関連してお聞きいたしたいと思います。  いまのお答えにもございましたように、昭和四十年当時は山陽特殊鋼のいわゆる粉飾決算というものが非常に問題になって、改正をしたらどうかという動機になったことは私も承知しているわけでありますが、現在におきましては、いまちょうどお答えになったように、買い占め、売り惜しみというようなものが問題になって、新たに法律もできようとしているわけでございます。そういうようなところから見まして、新しくあの法律ができれば、買い占め、売り惜しみというものもいわゆる違法行為として——内部においても監査役の違法行為の差しとめ請求権というようなものもあるわけでございまして、もちろん違法行為ということになれば、あえて監査役の差しとめ請求権を待つまでもなく、これはある意味においては司直の手が直接そこに及んでこれを防止するということもできると思います。しかし、最近のようないわゆるマンモス法人というものが出まして、この新しい法律ができたゆえんも、どこまでを取り締まっていいかというようなことはなかなか限度のある問題でございます。したがいまして、法律で違法だというものは私はわりあいに簡単だと思うのでありますが、たとえばすれすれのような問題、非常に不適当ではあるけれども、違法とはいわれないというような行為について、これは一番始末が悪いのでありまして、社会に及ぼす影響というものは私は非常にばく大だと思うわけであります。これはあとでこまかくお聞きいたしたいと思いますけれども、この違法の行為そのものでも、監査役の差しとめ請求権というものは、これははたして実効があがるかどうか、私非常に疑問を持っているわけであります。大きな商社の不正、違法とはいえないけれども、少なくとも法人の社会に対する責任の上から見て、必ずしも正しくない、やってもらっちゃ困るというような行為に対して、一体今度の改正というものはどれほど効果があるものか、私はなかなかむずかしいと思いますし、これは法務大臣だけがお考えになってもどうにもならぬ問題だというようにも考えるわけでありますが、法人のこれらの行為に対して、国としてどう考えるべきであるか、法務大臣としてどうお考えにならなければならないか。最近のようにいわゆる法人の社会責任の問題が大きく取り上げられているときに際しまして、お聞きいたしておきたいと思います。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 御質問の問題は、具体的な場合に当面をいたしますと、おことばのようにたいへんむずかしい問題であろうと思います。むずかしい問題でありますが、今度の改正案におきましては、監査役に地位と権限を与えております。この新しい権限を与え、その地位を強化しておりますので、この改正制度のもとにおいて、監査役に人を得ることができるならば——これはなかなかむずかしい問題でございますが、こういう内容の地位で、こういう強化された権限を使っていくということはなかなかむずかしい問題でありますが、監査役に人を得るならば、この与えられた権能に基づいてぐんぐん仕事をやれる。それは買い占めも売り惜しみも断固遮断ができる。不法行為を差しとめすることは当然でございます。差しとめに応じなければ、裁判所に仮処分の申請もできる、非常に強力な権限を与えておる、こう考えますので、人を得ることに各企業は全力をあげてもらいたい。人を得ることができるならば、この与えられた権能によって、御心配のような事柄はりっぱにさばいていくことはできる、社会的機能と申しますか、それを達成していくことが可能である、私たちはこれを心より期待をしておるのでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 関連しておりますので、先ほどのお答えについて局長にお伺いをしたいのであります。  昭和二十五年の改正はアメリカの示唆によって、アメリカはそうなっておらなかったので、アメリカの法律にならって改正したということでございますが、その後アメリカのほうはどうなっておるかは、私不勉強でわからぬのでありますが、監査役に会計監査のほかに業務監査をさせておる制度をとっている国は、先進国では一体どこなのですか、その他について教えていただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 監査役の制度は、国によっていろいろ違っておりますけれども、比較的監査役に強大な権限を持たして、そして業務一般を監査させているというのは西ドイツでであろうと思います。西ドイツにおきましては、監査役が中心となって取締役の業務執行を全般的に監督している。この制度に今回の改正は比較的近いところをねらっておるということが言えようかと思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、いま一点大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、今度のこの改正、ことにこの監査役の業務監査の面についていま非常に問題になりまして、申し上げるまでもなくいわゆる会社を三段階に分けて取り扱うことにしておることは御承知のとおりでありますが、そういう点から見ましてもいままでの商法の改正、ことに会社に関する条文の改正のときはいつも問題になるわけでありますが、新日鉄のようなマンモス的な会社と、八百屋さん、肉屋さんのような主人が社長で、奥さんが何で、むすこが何だというようなわずか三十万か五十万の会社と同じ規定でやるのはおかしいじゃないか。また現に取締役に関する規定あるいは株主総会に関する規定、現在まだ手がつけられないいろいろな規定がございますが、私どもこれにいろいろ関係しておりますけれども、そういう小さい会社はほとんどこの商法の規定によって行なわれておりません。そういうようなところから見ますと、これはやはりこの大きな会社と小さい会社というもの、まあ何といいますか規定全体を洗い直して、ここで何とか規定その他を整理するべきものでないかということがいつも問題になっているわけでありますが、法務省として、大臣として何かこれについてお考えはございませんか。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 御承知のように今度の改正のたてまえは一億以下、それから一億以上五億以下、五億以上、こういうふうにこれを分けまして、そして実施段階も三段に御案内のごとくに分けまして実施をしていこうという考え方でございますが、厳格に考えますと先生仰せのごとくに、どうも一億以下のものの中にも、一億超五億以下の中にも、五億超の中にもそれぞれ大きさにいろいろある、会社の内容というものも一律でない。人一人一人違うごとくに、会社一つ一つがその内容、機能も変わっておるというものを一律にこの改正案で処理をしていくことはいかがかとという懸念がなるほどお説のごとくございます。ございますが、法律制度で立法的措置をしていくということになりますと、この分けました段階でこれを適用していく、適用にあたっていまのおことばのような心配を緩和していくようにしていく以外には道がなかろう。法律制度としましては、この程度の段階を設けていく以外に道はなかろうという考え方でございまして、その施行に際しましていま御注意いただきましたような事柄は十分留意させていきたい、こう考えるわけであります。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 私の申し上げるのは、いまの改正によって三段階に分けたということも、これはやむを得ない処置だと思うわけでありますが、会社法全体においてまだ相当そういう面で、ただ問題になっておりませんからそのままになっておるのでありますけれども、これはやはりこういうことを機会に法務省として相当お考えにならなければならぬ問題があるんじゃないかと思いまするので、お尋ねしたわけであります。

田中伊三次自由民主党法務大臣

○田中(伊)国務大臣 お話を勘違いしておりました。  今回の改正は、検討しなければならぬ項目、非常に重要な項目が、おことばのようにいろいろございます。その中で一番大事な監査制度というものをいかに取り扱うべきかということをねらいに置きまして、改正をもくろんでおるわけでございます。これがお許しを得て改正ができ上がりましたならば、続いて行ないますことは、何といっても取締役会の運営これ自体をめぐりまして思い切った大改正を行なわなければならぬことになろうかと思います。続いて行なわなければなりません点は、株主総会でございます。これが最も重要でございますが、株主総会の機能、運営をめぐりまして、やはり重要な抜本的改正も行なわなければならぬ。これらの改正を合わせまして初めて商法の抜本的改正が完成するというように考えておるのでございます。第二、第三の段階における改正の目標というものについては、まだこの段階ではお耳に達する状態にまで行っておりませんが、それをやらなければならぬものだという観点に立ちまして今回の改正をやっておる、今回の改正は全体的な抜本改正の一環である、こういうふうにおくみ取りをいただきたいのでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 それでは大臣に対する御質問はこの程度でございますので、何かお急ぎでありますればお引き取りをいただいてけっこうであります。  それでは局長にお聞きをいたしたいと思うのでありますが、この商法改正案が提出される今日まで、もちろん法制審議会においても相当長い問御審議になって、いろいろその間に変化もあったやにお聞きいたしておりますし、また各種の団体にもいろいろ御意見を求められたようにお聞きをしております。弁護士会でありますとかあるいは商工会議所でありますとか税理士会でありますとか、税理士会その他ではいまもって非常に強い反対の意見を表明しておられることも御承知のとおりだと思いますが、それらの法制審議会の審議の経過、あるいは団体に意見を求められたそれらの経過について御説明をいただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 商法改正の経過について、一通り御説明申し上げたいと思います。  法制審議会の商法部会におきまして、まずこの問題を取り上げたわけでございますが、これが昭和四十一年の十一月でございます。このきっかけとなりましたのは、先ほどお話に出ましたように山陽特殊鋼が昭和四十年に倒産した、それが一つのきっかけとなっておるわけでございまして、昭和四十一年の十一月に商法部会で株式会社の監査制度を改正しようということにいたしまして、その審議を開始したわけでございます。そしてその翌年の四十二年五月、商法部会は監査制度に関する問題点を発表いたしました。これは経済界などの意見を聞くことが目的であったわけでございますが、A、Bという二つの部分に分かれておりまして、A案と申しますのは監査役には会計監査だけを行なわせる、そして業務監査は取締役会が行なうということにいたしまして、それぞれの監査機能を強化する。そのためにはどういう問題があるかということを列挙したものでございます。それから、B案というのは、監査役に会計監査を含む業務監査を行なわせる。その場合の問題点。監査機能を強化していくためにはどうしたらいいかといういろいろな問題点を列挙したものでございます。この問題点に対しまして大体の意見といたしましては、B案のほうがよかろう、A案は必ずしもわが国の実情に合わないのではないかということでございました。  そこで、四十三年の一月、商法部会はB案の線に沿って審議を進めるということを決定いたしまして、その審議を続けたわけでございますが、同年の九月にそれまで大体話に出ましたところをまとめまして、株式会社監査制度改正に関する民事局参事官室試案、こういう形でもって一応の中間の結論を発表いたしました。そうしてこれに対して経済団体、大学、そのほか弁護士会とか関係のところに意見の照会をいたしたわけでございます。この照会に対しまして寄せられた意見は、裁判所関係が六、大学関係十二、各種経済団体等四十七。この経済団体等の中には公認会計士の団体であるとか、あるいは税理士の団体であるとか、そういうものも含まれておるわけでございますが、そういう多数の意見が寄せられまして、結論といたしましては、基本的な考え方としては試案に賛成である。ただ個々の点ではいろいろ修正してほしいという意見が述べられたわけでございます。  そこで、その寄せられました修正意見をある程度検討し、取り入れまして、昭和四十四年の七月に商法部会で株式会社監査制度改正要綱案というのを決定いたしました。そして四十五年の三月に若干の追加をいたしまして、法制審議会の総会にかけました。四十五年の三月に法制審議会で要綱を決定したその後、監査制度以外の部分につきまして一年間商法部会で審議をいたしまして、累積投票関係その他四項目の追加をいたしたわけでございますが、これも四十六年の三月に法制審議会で決定をいたしました。この四十五年と四十六年に法制審議会で決定いたしました要綱に基づいて今回の法律案を作成した、こういう経緯になっておるわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 そこで、お尋ねをいたしたいのでありますが、この法制審議会の最後の答申があったわけでありますが、現在出しておられるこの改正案と法制審議会の最後の答申と相当異なっているように考えるのでありまして、もちろんお出しになるときにはそれらについても法制審議会におはかりになって了解を得てお出しになっているというようには聞いておるわけでありますが、相当たくさんの点で異なっているように思うわけでありますが、それらについてざっとひとつ御説明をいただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の法律案は法制審議会で決定いたしました要綱をもととし、それに基づいて作成されたものでございますが、仰せのように若干の点において法制審議会の答申した要綱と相違がございます。これらの相違につきましては、この法案を提出いたしました当時に法制審議会の商法部門にも報告いたしまして、その了承を得ているわけでございますが、お尋ねもございましたので変わっておる点を申し上げたいと思います。  その第一は、監査役の制度に関する部分でございます。監査役に業務監査を行なわせて、新しいいろいろな権限を与えるという基本線におきましては、法制審議会の要綱も今回の改正案も同様でございますが、法制審議会の要綱にあるけれども、今回の改正案には規定しなかったというものが若干ございます。それは監査役の権限といたしまして、要綱案では監査役に取締役の解任を目的とする株主総会招集請求権というものを認めておりまして、また代表取締役が違法行為をした場合に、監査役は取締役会を招集することができる、こういう取締役会招集権というものも認めておったわけでございます。それからまた、取締役は三カ月に一回定期的に業務の状況等を監査役に報告しなければならないという取締役の監査役に対する報告義務を規定しておりました。そのほか、答申要綱におきましては、監査役の責任を明確にするために責任規定の改正を行なうとか、あるいは監査役の報酬に関する規定、あるいは監査役がその事務処理に要する費用について規定するなど、若干のものを規定しておったわけでありますが、改正案におきましては、これらの点は全部削除いたしたわけでございます。これはどういうわけで削除したのかと申しますと、理論的な立場と実際的な立場の相違と申しますか、法制審議会で答申いたしました要綱は、監査役になるべく強力な権限を与えて、そして監査機能を非常に強くしていこうということがあったわけでございますが、これを一時にあまり強くいたしますと、株式会社の円滑な運営を阻害するのではないか、こういった実際界からの憂慮もございまして、業務監査をするにしても、特に必要だと思われる権限だけを残しましてそれ以上必ずしも現在監査役に与えなくても業務監査の遂行に支障はなかろうと思われる点を削除いたしたわけでございます。  そのほか、改正要綱では、監査役の任期を現在は一年でございますが、これを三年に延ばすということにいたしておりまして、これに対して改正案は二年に伸長するということにとどめております。これも実際界で、一挙に三年に伸長することは実務の運用からいってやりにくい面が出てくるというような御批判がありましたので、その点を考慮したものでございます。  それから第二の改正点でございますが、法制審議会の要綱では会計監査人の監査の制度を導入しておりまして、その対象となる会社を資本金一億円以上のものに限るということにいたしております。これに対しまして、改正案は資本金五億円以上ということに引き上げております。このように変更いたしましたのは、一億円以上の会社というのは現在一万以上あるわけでございますが、これを会計監査人に監査させるといたしました場合に、会計監査人となる者は公認会計士あるいは監査法人でございますが、公認会計士は四千六百人程度、監査法人は三十程度でございますので、やや会社の数が多くて、実際にそれだけの会社がやれるかどうかわからないといったような問題もあったわけでございます。資本金五億円以上の会社というのは二千七百七十社でございまして、こういう数でありますれば、公認会計士が現在四千六百人おりますから、その数で足りるであろうというような点を配慮いたしたわけでございます。  それから第三点の修正部分といたしましては、要綱案では特に規定がございませんでしたけれども、改正案におきましては中小会社の特例といたしまして、資本の額が一億円以下の株式会社につきましては、監査役は会計監査だけを行なうという特例を設けたわけでございます。この点は、何と申しましても監査制度を強化する必要があるのは大会社である、中小会社についてはあまりその必要が強くない。かりに倒産したような場合におきましても、社会的影響はだいぶ違うわけでございます。それから、中小会社の場合にはあまり監査のための労力、費用というものを要求することにいたしますと、経営がしにくくなるといったような点もございますので、このような点を考慮いたしまして、中小会社については監査役は会計監査のみを行なう、この点は現在どおりでございますが、そういう形にいたしたわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 それではこまかくお聞きをいたしたいと思いますが、いまの御説明でもございましたが、監査役の任期は、今度の改正案は取締役と同じく二年ということになっております。しかし今度の改正からいたしますと、監査役に取締役のやることも監督するという強い権限を与えているわけであります。しかし、この実情から考えてみますと、監査役選任の何といいますか、総会に出ます原案というものは、これはやはり取締役会がつくるのが現在の通常のあり方であります。そういうようなところから見ますと、やはり監査役に対して相当安定した地位を与えるということが私は必要ではないかと思う。そういうような面から見ますと、やはり取締役と同じに、二年でなくむしろ三年の任期を与えるほうが、監査役の地位が安定をし、監査の実も、ことに業務監査の実というものをあげる上から見て、任期は三年のほうが妥当なのではないかというふうに考えるわけでありますが、その点いかがですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 たいへんごもっともな御意見でございまして、法制審議会でも同じような考えのもとに、監査役の任期を三年に伸長するということにしておったわけでございます。しかしながら、この点は実務とのかね合いの問題もございまして、現実にどういう人を監査役に持ってくるかという問題、それから会社の人事の運営の問題、そういうものとかかわり合いもございますので、実際界といたしましては非常に強く、この点は二年に下げてほしいということを要望したわけでございます。  まあ、現在一年でございますので、これを一挙に三年といたしました場合に、実際界が危惧しておりますような人事面で不都合が生じるというようなことが起こりましてはかえっておもしろくないのではないか。先ほど大臣がお答えになりましたように、監査役の制度、これは会社の基本的な組織の一つでございますが、この問題と取締役、株主総会、そういった他の機関との関係という点につきましては、十分検討すべき問題があろうと思います。今回は監査役の改正が主でございますけれども、今後商法部会におきましては取締役株主総会の問題についても検討を進めていくという考えでございますので、その際に今後の運用を見ながら、全体とのつり合いにおいてどのようにしたらいいかということを審議されていくことになろうかと思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次にお聞きしたいのでありますが、監査役は総会において選任、解任について意見を述べることができるという規定がございます。普通の会議では、自分の一身上に関係したことに関しては投票権を認めないとか、意見を申し述べさせないとかいうのが普通のものの考え方でございますが、もちろんこの選任、解任ということは、自分が選任されあるいは解任されることについてみずから意見を——もちろん他人についても意見を述べることができるでありましょうが、自分自身についても意見を述べることができるのだろうと思います。これはどういう趣旨の規定か。普通の常識から考えて、それは述べて悪いということはないでしょうが、事実、述べることは本人としてもなかなかむずかしいでありましょうし、その効果はどういうところをねらっていられるのですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 仰せのように、改正案は二百七十五条ノ三という規定を新設いたしまして、監査役の選任、解任については、監査役が株主総会で意見を述べることができるということにいたしております。これは先ほどお尋ねになりましたように、監査役の地位の安定あるいは独立性の強化ということをねらったものでございまして、監査役が適正な監査を行なうためにはその地位を強化する必要があることに監査役のやり方が気に食わないということで解任をされるというような場合には、監査役に十分意見を述べる機会を与えて、そうしてその地位の保障と申しますかに役立たせるという趣旨でございます。これが実際上どのように利用されるかということはこれからの問題でございますけれども、こういう規定が置かれること自体によってもかなり取締役に対する監査役の地位の独立性が強まるという効果はあろうかと思うわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に監査役に子会社の取締役の兼任を禁止している規定がございます。これは一応うなづけないわけではないのですが、それなら反対に、ここで規定していない、子会社の監査役が親会社の取締役の兼任はできるのかという問題が出てくるのじゃないかと私は思うのです。その点はどうですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 現行法は二百七十六条におきまして、監査役は自分の会社の取締役あるいは使用人と兼ねてはいけないという規定があるわけでございますが、その規定の趣旨は、監査をする立場と監査をされる立場、それを峻別いたしまして監査の適正をはかる、特に監査役が取締役に従属するような立場に立ってはまずいということからこういう規定が置かれておるわけでございます。今回の改正におきましては、監査役は子会社の取締役、使用人とも兼ねてはいけないということにしておるわけでございますが、これは子会社の取締役とか使用人というものも親会社の支配を受けやすい、ということは、親会社の取締役の支配を受けやすい。そういう意味におきまして現行法とも同じ趣旨であるわけでございます。ところが子会社の監査役が親会社の取締役あるいは使用人と兼ねるという場合を考えてみますと、親会社そのものは子会社の支配を受けるという関係にはございませんので、先ほど申し上げましたような子会社あるいは親会社の取締役からの干渉を受けるという点の弊害は比較的少ないのではないか、こういう考えに基づくものでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、監査役が取締役の業務の監査もするということでありますから、これはどこまでも取締役から独立をし、見識その他においては取締役以上の見識を持っている人が必要だということになろうかと思うわけであります。ただ現状からいたしますと、先ほども申し上げましたように監査役の選任は、取締役会において人選をしまして、これを原案として総会に出し、普通ならばそのとおりに総会において決定するというのが現状でございます。そういうようなところから見ますと、監査役の選任そのものについて法律の上でああこう指図するということは非常にむずかしいことであり、弊害も場合によっては出ることだというふうにも私は考えるわけでありますが、それらについて何かお考えになったり何とかくふうはないものですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 少し御質問の趣旨がとりにくかったのでございますが、もう一度お願いします。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 監査役の選任のやり方は、現在の実情から申し上げますと、御承知のようにだれを監査役にするかという原案を取締役会においてきめまして、そしてそれを総会に出して、そのとおり総会で認めてもらうというのが現行のやり方であります。そういたしますと、先ほど来問題になっております、監査役は取締役にとかく迎合しがちになる。何とか監査役の選任そのものから取締役にあまり左右されないような方法が考えられないものか、何かお考えになったか。これはお考えになっても私はなかなか名案はないと思うのですが、それについてどうお考えになっているかということです。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 御質問の御趣旨はまことにごもっともだと思うわけでございますが、監査役は監査を行なうのが職務でございまして、業務を行なうという権限はないわけでございます。したがいまして、株主総会で監査役を選任するその原案というものは取締役がつくるわけでございますが、これは権限の分配から申しましてやむを得ないことであろうと思います。ただそういった議案を取締役会できめます場合に、監査役は取締役会に出席しておりまして意見を述べることができるわけでございます。また先ほどもお話に出ましたように、監査役の選任について監査役に意見があるという場合には、株主総会において自分の意見を述べることもできることになっております。そういう方法で監査役の選任が適正に行なわれるように配慮しておるということが言えようかと思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 そこで次の御質問をしたいのでありますが、監査役は業務の監査ができるわけでありますから、あとでも御質問いたしますが、ある場合においては取締役の行為の差しとめ請求もできるというようになっておりますから、ある場合においては取締役の業務の執行に、悪く言えば干渉をする。一方から言えば業務の執行が円滑にいかない。またよく問題になります、会社の中の派閥といいますか、そういうものは取締役の間にいままではとかく行なわれがちであったものを、今度は一枚監査役まで加わってますます会社の内部の業務の運営が円滑にいかないというようなことにならないか、これらについてのお考えはどうですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 その点はまことにごもっともなお尋ねでございますが、それに関連いたしまして監査役の業務監査権というのはどの程度の範囲に及ぶのかという問題がございます。すなわち違法な行為だけをチェックするのかあるいは妥当性にまで及ぶのか、こういった問題でございます。この点につきまして、たとえば二百七十四条は、監査役は取締役の職務の執行を監査するというふうに何でも監査できるような表現をいたしております。しかしながら監査の性格というものから考えますと、当然そこにはある程度の限度というものがなくてはならないわけでございます。  こまかく見てまいりますと、たとえば二百七十五条、ここには監査役が株主総会にこういう事項については報告する義務があるということを規定しておりますが、それは業務の遂行が法令または定款に違反し、著しく不当なる場合というふうに限定してございます。それから二百七十五条ノ二で定めております差しとめ請求、これも取締役の違法行為に限っております。また、二百八十一条ノ三、監査役が監査報告書を作成いたしますその記載事項におきましても、同様に法令違反ということに限定しております。  こういう点から申しまして、監査役の監査というのは業務の全般を監査するものでありますけれども、その監査権の範囲というものは法令違反あるいは定款違反またはこれと同視得る程度の著しく妥当でない行為というものに限られるというのが今回の案の考え方でございまして、著しく妥当でない行為というのは、取締役が会社に忠実義務を負っておりますので、それに違反したような場合ということになりまして、結局監査役の監査の範囲というのは法令違反を主体とするものであるというふうに考えるわけでございます。監査役に業務監査を行なわせます以上はこの程度の範囲というものはどうしても認めざるを得ないわけでありまして、またその限度でありますれば取締役がチェックされてもやむを得ないし、また妥当性の点にまでいかないという点で、会社の業務の円滑な遂行が阻害されるとかあるいは監査役の権限が強大になって取締役に干渉をし過ぎるというような問題も起こらないであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 いまのお答え、そのとおりだと思いますが、私はその点がなかなかむずかしいところだろうと実は思うわけであります。だからさっき大臣にもお伺いしましたけれども、大臣もあまりその点ははっきりしたお答えにならなかったように思ったのですが、もちろんこの定款違反とかあるいは法律違反とかこういう行為は当然差しとめもできるでありましょうし、場合によってはこれは司直の手によって差しとめることも私はできると思うわけでありますが、ただ何といいますか、違法ではないけれども、最近非常に問題になっておりますいわゆる会社の社会的責任というものに関する行為が一体どう処置できるのか。もちろんそういうものを監査役の力だけでやろうとする構成そのものが私は妥当だとは思わないわけでございまして、そういう面から見ればその行為をやる取締役自身の責任とか自覚とかいう問題がなお大事になってくるわけでありますけれども、今度の改正によって監査役のそれらに対するいわゆるねらいというものが一体どこらにあるかということをもう少し考えていかなければならぬのじゃないかというふうに思うわけであります。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 企業の社会的責任が問題となるような事項について監査役が業務監査権を発動することができるかという問題でございますが、企業の社会的責任が問題となるような場合は、多くの場合違法行為、違法性があるということがいえるだろうと思います。したがって法令違反行為ということでそういうものはチェックできるだろうと思います。  それから違法とはいえないけれども非常に妥当でないというような事項につきましても、監査役は取締役会に出席して意見を述べることができるわけでありますので、そういう席でそういう点を指摘するということは、当然監査役としてなすべきことであろうというふうに考えております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 そこで問題になるわけでありますが、監査役は取締役会に出席する権利を認めているわけでありまして、いまおっしゃったようにそこで意見を述べることが当然できると思うわけでありますが、それなら一体そこで議決権があるのですかないのですか。ただ意見を述べっぱなしだけであって、取締役会の意見を聞きっぱなしで議決権は私はないのだろうと思うのですが、その点はどうなんですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 監査役は取締役会における議決権はございません。取締役会の議決権につきましては、現行商法二百六十条ノ二に規定がございまして、取締役の意見の過半数できめるということになっております。この規定は改正しておりません。したがって監査役に議決権はないわけであります。監査役が取締役会に出席して意見を述べることができるということにいたしました趣旨は、監査役は業務監査を行なうものでありますから、業務の行なわれる状況というものを常に知っておく必要があるということが第一。それから第二には、その取締役会において法令とか定款に違反するような決議がなされるという場合には、これを事前に意見を述べて阻止するということの機会を与えるためでございまして、議決権は先ほど申しましたように機関の権限の問題として監査役には与えられておりません。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、やはりそれに関連する問題でありますが、取締役の違法行為に対して差しとめ請求権というものが与えられているわけでありますが、一体この差しとめ請求権はどのような形で具体的に行使できるのか。また、さっきお話があったように、意見を述べたけれどもそれが無視されて取締役会が決議をした場合一体どうなるのか。また、無視された取締役会決議に基づく行為というものは、これはもちろん私は第三者に対して有効だとは思わないのですが、その会社において一体それは有効に認められるのかどうか。それらについて。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 まず差しとめ請求権の行使の方法でございますが、これは裁判外でも裁判上でもいずれでもよいわけでございます。ただ裁判外でございますと、ただ口頭で申しましても相手が言うことを聞かないという場合にはどうにもなりませんので、そういう場合には裁判上の手段でとめるということになるわけでございます。その場合には差しとめの本訴を提起するという方法があるわけですが、緊急の場合にはこれは間に合いません。したがいまして本訴を起こすことを前提とした仮処分命令を申請して、それに基づいて差しとめをするということになろうと思います。この仮処分命令が出された場合に、なおかつそれに違反した行為がどういう効力を持つかという点につきましては、これはその行為の態様にもよりますし、また仮処分命令の内容がどういう内容の仮処分命令を出してもらうかということによっても違うわけでございまして、一がいに言えないと思います。現行商法二百七十二条に株主の差しとめ請求権の規定がございますが、これと同様でございまして、たとえば取締役が一定の行為をして財産を第三者に移転するというような場合におきましては、その財産をかりに押えてしまう、あるいは処分禁止の仮処分を求めるといったような場合には、会社に対する関係ではそれに違反した行為の効力は認められないことになる、このように考えております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 監査役にはそのほか新株発行無効の訴えその他各種の権限が与えられてきているわけでございますが、これらについて簡単に御説明願いたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 監査役に認められております訴え提起の権限といたしまして、まず株主総会決議取り消しの訴え、これは二百四十七条等の改正によって監査役にも認めることになっております。それから新株発行無効の訴え、これは二百八十条ノ十五の二項でありますが、これも今回監査役にこの訴えの提起権を認めることにいたしております。それから資本減少無効の訴え、三百八十条の二項。合併無効の訴え、四百十五条。設立無効の訴え、四百二十八条。こういった訴えの提起権を監査役に認めることにいたしております。こういうふうにいたしましたのは、それらの訴えというのはいずれも違法な場合に、その無効なり取り消しを求めるという趣旨でございますので、取締役の業務執行を是正するという意味があるわけでございます。監査役に業務監査権を認めたことに伴いまして、こういった訴えの提起権を認めることも必要であろうという趣旨からこのようにいたしたものでございます。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 関連質問を許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大竹委員のまことに鋭い質問に対しまして御返事がまことに緩慢でありますから、少し補足して質問したいのであります。  二百七十五条ノ二、「取締役が会社ノ目的ノ範囲内ニ在ラザル行為其ノ他法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シ之ニ因リ会社ニ著シキ損害ヲ生ズル虞アル場合ニ於テハ監査役ハ取締役ニ対シ其ノ行為ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得」、新設条文でございますが、いまの大竹委員の質問に対して答弁がはっきりしないと思います。  そこでお伺いしたいのは、「会社ノ目的」とは一体何であるか。定款でなくて目的と書いてある意味は一体何であるか。先ほどのお話だと定款ということばを使われましたが、法文上は「目的」です。目的と定款とは何が違うか。それからもし目的であるとするならば、きわめて抽象的なものであるが、これは定款以外のことでも目的ならよろしいか。  次の質問は、この条文はてんがないのでありますが、「之ニ因リ会社ニ著シキ損害ヲ生ズル虞アル場合」と受けておるのだが、その「之ニ因リ」というのは前の二段「会社ノ目的ノ範囲内ニ在ラザル行為其ノ他法令又ハ定款ニ違反スル行為」と二つにかかるのであるのかどうか。かかるとするならば「著シキ損害ヲ生ズル虞アル場合」のみに限られるものであるかどうか。もうけた場合にはこれはいい。もうけた場合はいいけれども、損した場合はいかぬ、こういうことであるかどうか。  その次の質問は、「著シキ」とは一体何であるか。「著シキ」という範囲内というものは監査役が自主的判断をして大きな会社なら大きな会社、小さな会社なら小さな会社で監査役がおれは著しいと思ったと言えばそれでいいのかどうか。  その次は、定款の範囲内か目的の範囲内かわからぬが、具体的事例を言いますと、売り惜しみ、買いだめ、これはまだ法律ができておらぬものですから、売り惜しみ、買いだめ、これは二百七十五条二の違反になるかどうか。  定款に土地の売買がないのに土地を継続的に売買することは二百七十五条ノ二に該当するのかどうかという諸点について御説明を願いたい。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 まず、会社の目的とは何かという点でございますが、会社の目的は定款に記載されることになっております。登記もされております。その目的をさすわけでございまして、それ以外の意味ではございません。  それから「之ニ因リ」というのが全体にかかるかということでございますが、これは最初から全部かかるという解釈でございます。当然そうなるだろうと思います。  それから「著シキ損害」、この「著シキ」という意味でございますが、会社の規模により、状況により異なるものであろうと思います。監査役が著しいと判断しても客観的に著しくないという場合がありとすれば、その場合にはここにいう「著シキ」には入らない、こういうことでございます。  売り惜しみ、買いだめというのが違法な行為に当たるかどうかという点でございますが、これはどの程度の行為が違法性を持つかということに関連いたしますので、必ずしも一がいにはお答えいたしにくいわけでありますが、ただあまり大きな行為になりますと、会社の信用にかかわってまいりますために、その行為が違法性を持つと同時に、会社に著しい信用棄損という損害を与える、こういうことになろうと思います。  それから土地の売買の問題でございますが、これは会社の目的の中に土地の売買という文句がございませんでも、目的の範囲内の行為と認められる場合には差しとめ請求はできない、それを理由として差しとめ請求はできない、このように考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 もう一つ、もうけた場合にはいいのか……。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 もうけた場合、そのことだけをいいますと損害にはなっておりませんが、先ほど申しましたように、会社の信用がそれによりそこなわれるという場合でございますと、著しき損害を生ずる場合、これに該当すると思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたは何か法律案の解釈をなるべく局限しようとするような立場で答弁していらっしやるのがちょっと気にかかります。それを一つ指摘しておきます。  それから二つ目には、いまの話でありますが、「之ニ因リ会社ニ著シキ損害ヲ生ズル虞アル場合」に限られておるわけですね。もうけた場合には、会社の目的の範囲内であっても、法令または定款に違反する場合であっても監査役はその行為の差しとめをできない。しかしあなたに言わせれば、それは違法性の場合はそれは当然だけれども、定款に違反しても、会社の目的の範囲外であってももうけた場合はいいよ、こういうことなんです。あなたはその点については、信用にかかわるようなことはやってはいかぬと言われる。それはどこに書いてあるんですか。二百七十五条ノ二のどこに書いてあるんですか、会社の信用にかかわる場合においては差しとめ請求ができると。一体信用とは何だ。新聞で騒いだから信用が傷ついたのか。そういう抽象的なことでは、監査役が差しとめ請求、行為の中止請求をする場合、その権限内であるか外であるか、それは裁判になりますよ、会社と監査役で。そういう点はもう少しはっきりした言い方をしておかぬとだめじゃないですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 まず、著しき損害を生ずる場合というのはもうけた場合は含まれないであろうという趣旨の御質問にとれたわけでございますが、損害というのは必ずしも現実に金銭がふえるか減るかというだけではなくて、会社の信用に傷がつくという場合もやはり会社としては損害でございます。したがいまして、会社が不当な行為をして、それによって信用を傷つけられる、みずからの信用を傷つけるという場合は、やはり会社に著しき損害を生ずる場合である、これに該当するということを申し上げておるわけでございます。  それから売り惜しみ、買いだめその他の行為、これが法令に違反する行為であるかどうかという点をもう少し詳しく申し上げますと、取締役は商法二百五十四条ノ二の規定によりまして会社に対して忠実義務を負っておるわけでございます。これは会社の信用が棄損されるような行為をしてはならないという意味も含まれておるわけでございますので、社会的に問題となるような売り惜しみ、買いだめなどの行為をして、そして会社の信用が傷つけられるという場合はまさにこの二百七十五条ノ二の規定によって差しとめ請求ができる、こういうふうに考えるわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、今度の新しい規定でありますが、監査役には子会社の調査権も認めておるわけでありますが、まあ、これは親会社として子会社の業績いかんということは非常に利害関係があることでありますから、ある程度わからぬわけではありませんけれども、こういうことになりますと、いわゆる子会社というものの独立の法人格というものが、よその会社の者が調査をし、ある程度指導性を持つということになりますと、子会社の独立の法人格というものが、簡単にいえば無視されるということになるのではないかと、こう考えるのでありますが、その点についてどうお考えになりますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 改正案二百七十四条ノ三で規定しております子会社調査権でありますが、これは、親会社というものは子会社を支配している立場にありますので、子会社を利用して粉飾決算等を行なうということが起こりやすいわけであります。したがって親会社の監査に必要な限度で子会社についての調査を行なうという趣旨でございまして、子会社を監査するということが目的ではございません。したがいまして、この調査の内容、方法等にいたしましても、特定の事項について監査役がまず子会社に報告を求め、その報告がないとか、あるいはその報告が非常に疑わしいという場合に限って、子会社についてみずから調査をすることができる、こういうふうにいたしておるのでありまして、子会社自身を調査するという趣旨のものではございませんので、子会社の人格を無視するといったようなことは起こり得ないというふうに考えております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 実は私、新聞で知識を得たのでありますが、いまおっしゃったように、子会社というものを一面においては法律で認める、そして親会社の不当、不正な行為が子会社を通じて行なわれ得るということも考えられるわけでありますから、そういう面において調査する必要もあると思うのでありますが、この新聞によりますと、子会社というものを認めた以上、そしてまた親会社の成績というものは子会社の成績もあわせて見て初めてわかるのだという意味において親会社と子会社を一本にした連結決算制度を採用する必要があり、アメリカでは現にそれをやっている、日本でもその方向に進むべきだという意見が出ているわけでありますが、それについてどうお考えになりますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 お尋ねのような御意見があることは事実でございます。その点につきましては、今回の商法改正ではまだいずれとも結論を出しておりませんので、むしろこれは大蔵省あたりでお考えいただく必要のある問題であろうかと思います。現に大蔵省でこの点について検討されているというふうに承っております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、中間配当の問題でありますが、規定によりますと、株主総会の決議によらず、取締役会の決議だけで中間配当ができるということになっておるわけでありますが、一面において、いわゆる監査制度を強化して会計その他の粉飾的なものをなくしよう、こう考えている趣旨からいたしますと、株主総会を経ずして取締役会——もちろんその取締役会には監査役も出て意見を述べることが今度の改正でできると思うわけでありますけれども、取締役会だけで中間配当を認めるということは、ある意味においては監査制度を強化したことと逆行的なものの考え方でないかというふうにも考えられるわけでありますが、その点についてのお考えをお聞きしておきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 まず中間配当制度を認める趣旨から御説明申し上げたいと思いますが、現在大多数の会社は、営業年度を六カ月として、いわゆる年二回決算を行なうことにいたしております。ところがそのために、会社の業種などによりましては、上期と下期と季節によって売り上げが違うといったようなことから、利益の平準化がされていない。利益が不平均である。このために、利益を同じようにするために経理操作が行なわれやすいという欠点が指摘されておるわけでございます。それから半年決算といたしますと、決算の監査でありますとか、株主総会の招集でありますとか、いろいろな事務がふえまして、余分な費用や労力が必要になる、こういった事情もあるわけであります。したがいまして、これを一年決算に改めるということは、経理の健全化をはかるという意味から申しましても、また余分な費用や労力を省くという意味から申しましても、きわめて望ましいことであるわけでございます。ところが、現在大部分の会社が年二回決算、したがって年二回配当を行なっておりまして、現在の株価というのもそれを前提としてつくられておりますし、株主もそれを期待しておるわけでございます。したがって、年一回の決算に移行いたしますためには、どうしても中間で配当をすることを認める必要があるということでこの制度が考案されたわけでございます。そこで、そういうふうにいたしますと、仰せのとおり、中間配当については株主総会の決議を要しない、取締役会の決議だけでできるということになりますので、経理がルーズになるという心配があるわけでございます。  そこで今度の改正案におきましては、法律でもって非常に厳格なワクを設けておりまして、その要件に従ってのみ中間配当ができるということにいたしておるわけであります。  その要件でございますが、まず中間配当による金銭の分配を行なうにつきましては、その金額の限度というものを設けております。この限度というのは、前期末の決算までに関する株主総会で決定された利益の残りを限度とする、つまり当期の事業年度の中間までの利益というものには手を触れない、こういう形で限度を設けておるわけでございます。  それから第二に、前期末のそういう利益が残されている場合におきましても、当期の期末に本来の配当が行なえなくなると思われるような事情があるときは、中間配当を行なってはならないということにいたしまして、これに違反した取締役には特に厳格な賠償責任を負わせるというような手当てをいたしておるわけでございます。  そのほか、取締役会には監査役が出席いたしますし、定款で中間配当を認めた場合に限るといったような要件もございまして、この要件に従ってなされる限り中間配当が不当な経理の原因となるということはまずないであろうというふうに思われるわけでございまして、以上のような趣旨から中間配当を認めたということでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 いま一つ、この中間配当の問題でお聞きしたいのですが、いまお触れになったように不当な中間配当をした場合には、取締役の連帯責任の条項もあるようでありますが、ただお聞きしておきたいのは、債権者の配当されたものの返還請求権というのが認められておりますが、これはなるほど理屈はもっともですが、何万人もの株主のある会社もあるわけでありますから、それらについてこういうような返還請求権なんというものを認めておいても、これは実際上行使できないものではないか。そうして、もちろん返還請求権でありますから、一部のものに返還請求権を行使しても、いいといえばいいのかもしれませんが、それでは公平を欠くような気もしますし、一体これはどういうようにお考えですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 その点は仰せのように、実際に返還させることについては相当な困難があろうと思われます。しかしながら、現行法は本来の配当、つまり利益の配当につきまして二百九十条の第二項で同趣旨の規定を置いております。中間配当も本来の配当と同じような性格のものでございますので、それとの均衡をとって、こういう規定を設けたということでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に特例法案についてお聞きしたいのでありますが、五億円以上と一億円以下ということで三段階になっているのでありますが、もちろんこれは先ほどもお話がありましたように、いわゆる債権者の保護の問題あるいは株主保護の問題等々考えての区分だろうと思うわけでありますが、私は株主とかあるいは債権者等々を考えました場合に、この資本金そのもので区分するというやり方は必ずしも妥当でないような気もするわけでありますが、これらについて何かお考えになったことはありますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 資本金の額で区別することがどうかという御質問でございますが、資本金以外のもので区別するといたしますと、何を標準にするかという問題が出てくるわけでございます。考えられるのは株主の数であるとかあるいは従業員の数であるとか、まだほかにも考えられるかと思いますが、そういうことになろうかと思います。ところが、株主というのは常時変動しておりますし、従業員の数も人為的に変動が行なわれるわけであります。したがって従業員や株主の数が変動することによって適用の法規が変わってくるということにいたしますと、会社の業務の経営というものが安定して行なわれないのではないか、そういう心配もございます。資本金の場合には、資本金を増減いたします場合にはかなり厳格な手続が必要でございまして、一たんふえたものがまた下に下がるとか、そういった意味の変動はほとんどないわけでございます。したがいまして、資本金で区切るのが一番安定性があるであろうというふうに考えたことが一つであります。  それから資本金を基準にいたしますと、実質的にも大体妥当な結果が得られるのではなかろうか。普通の会社というのは、資本金の額によって取引の額が違うわけではございませんけれども、資本の大きな会社は取引高も大きい、関係者もふえるというのが通常でございますので、そういう意味から申しまして、資本金の大きいものについてはそれに応じた措置をとるということは必ずしも不適当ではないのではないか、このように考えたわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、これに関連していま一つお聞きしておきたいのですが、五億円以上の会社になりますと監査役と会計監査人が重複するということになると思うのでありますが、まあ大きな会社ですから何人見てもいいと思うのでありますけれども、その点はどうですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 確かに一面では重複することになります。しかしながら、この大会社に会計監査人の監査を導入するということは、大会社というものの経理内容が非常に複雑である、特にまた大会社については厳格な監査を行なう必要があるという理由によるものでありまして、そういう意味で会計監査の面におきましては、大会社の場合は会計監査人の会計監査が中心になるというふうに思われます。外国の制度などを見ましても、そういった重複というものが見られるわけでございまして、内部の機関だけではなく、外部の専門家に監査を行なわして公正な経理をするということは、多少の重複という問題はありましても、やはり必要なことではなかろうかというふうに考えるわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 私は会計監査人と監査役の二重を申し上げましたが、証券取引法によりますと、公認会計士の監査というものもありますから、そういう面から見ますと三重になるということになろうかと思いますが、それらについてはどうですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 監査役と会計監査人の監査につきましては、ただいま申し上げたような趣旨でやむを得ないと思うわけでございますが、仰せのとおり証券取引法の監査を受ける会社につきましては、同時に商法上も会計監査人の監査を受けるという問題が出てくるわけでございます。この点につきましては、同一の決算を対象とした監査を行なうわけでありますので、その重複を避けるために同一の基準で監査を行なう。そうすれば、その監査の結果を一方は株主総会に提出する、他方は大蔵大臣に提出するという違いはございましても、実質的な重複というものは避けられるのではなかろうか、このように考えております。したがって、現在では証券取引法の監査とそれから商法の規定による監査と基準が必ずしも一致しているとは申せませんけれども、今回の改正法におきましてはその点の基準を合致させるということも考えておりますので、これによってその重複の問題も解決できるのではないだろうか、このように思っております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、御承知のように、日本税理士連合会は今回の商法の改正については強い反対をいまもって続けられているわけでありまして、特に、外部のこの会計監査人制度を商法の特例法に導入することは、税理士の職域を不当に侵害するという反対理由がそのおもなるものであるわけでありますが、これについてのお考えをお伺いいたしておきます。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 日本税理士連合会におきましては、お尋ねのような反対意見を表明しております。すなわち、公認会計士は税理士業務を行なうことができるから、会計監査人となる公認会計士が税理士の職域を侵すことになるのではないか、こういう主張をしておるわけでございます。しかしながら、公認会計士は現行の証券取引法によっても監査を行なっておりまして、その監査を行なっている会社について、同時に税務業務を行なうことはできないことになっております。それと同じように、今回商法のもとで会計監査人の監査を公認会計士に行なわせるということにいたした場合には、公認会計士につきまして業務制限事由というものを公認会計士法のほうで定めるということを考えておるわけでございまして、要するに、同じ会社について監査を行なう公認会計士が、同時にその会社の税務業務を行なうことはできないたてまえになるわけでございます。したがって、税理士のいうような、公認会計士によって税理士の職域が侵害されるという問題は起こってこないものと考えております。むしろ商法監査が適用されることとなる会社につきましては、公認会計士が税務業務を行なうことができなくなるわけでございますから、その分だけ税理士の職域が広がるといっても差しつかえないのではないか、このようにさえ思うわけでございます。  それから改正案は、公認会計士の監査を行なう会社を資本金五億円以上というふうに限定しております。五億円以上の会社というのは、現在株式会社百一万余りございますが、そのうちの〇・二%余りでありますが、約二千七百七十社にすぎないという実情でございます。したがって、かりに公認会計士が入った会社について税理士の仕事が奪われることになったといたしましても、それはほとんど影響がないのではないか。そういうことにはならないわけでありますけれども、公認会計士の監査を受ける対象となる会社が非常に少ないというところから見まして、税理士会のいうような心配は全くないというふうに考えております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、累積投票の制度の改正について二、三点お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、いままでもある程度の制限があったわけでありますが、さらにこれを強められて改正される理由は何でありますか。第一にお伺いをいたします。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 累積投票の制度につきましては、これを強めると申しますよりも、むしろ弱めるほうの改正になろうかと思います。御承知のように、この制度は昭和二十五年、先ほど申しました占領時代の商法改正によって、アメリカの一部の州法の規定にならって取り入れられたものであります。その当時から、いわば輸入された制度でありますので、わが国の実情に合わないのではないか、こういう批判もあったわけでございまして、その後の実績を見ておりましても、ほとんど行なわれた例がないというような状況でございます。  それから、それに加えまして、この累積投票の制度というのは、本来、少数株主がまとまってこの累積投票権を行使した場合に、初めて意味のある制度でありますが、わが国の実情というのは、株主が非常に分散しておりまして、少数株主がまとまって一つの行為をするということはあまり考えられない状態でございます。こういうところに、たとえば外資が入ってきて、外国の資本のほうがまとまってその権利を行使した場合に、かえって国内の会社の業務の運営が混乱するのではないか、こういった心配もありまして、実際界から、もう少しこの制度について何とか考えてくれ、こういう要望もあるわけでございます。そこで今回の改正におきましては、累積投票の制度を定款でもって禁止した場合に、この制度は使えないことにしようというものでございまして、累積投票制度を採用するかしないかは、いわば会社の自治にまかせるということにいたしたわけでございます。そういう趣旨でございまして、実際界の要望それから実情などを考えますと、今回の改正はこの辺が妥当なところではなかろうかというふうに思うわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 それでは、そのほか一、二お聞きしたいのですが、いままでこの累積投票が行なわれた事例というものは相当あるのでありますか。私はあまり聞いたことないのですが、行なわれて、ある意味においては相当混乱をした事例があるのでありますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 きわめて少ないようでございます。少し前でございますが、上場会社五百二十七社それから資本金一千万円以上の非上場会社六百二十社、合わせて千百四十七社について累積投票が行なわれたことがあるかどうかということを調査したことがございますが、一社もないということでございます。  なお、この調査には含まれていないのでありますが、ある有名な新聞社で累積投票を行なったという例があるようでございます。これはきわめてまれなものでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、定款でいままでも排除する規定を置けたわけでありますが、この累積投票を排除している会社はどれくらいあるのでありますか、それもお調べになったことがありますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 この点につきましては、もうほとんどすべての会社が累積投票を定款で排除しているというのが実情でございます。経団連が昭和四十五年に調査したところによりますと、経団連の会員会社五百八十九社の中で、定款で累積投票を排除しているものが五百八十八社、つまり一社だけが排除していない、ほかは全部排除している、こういう結果が出ております。小さな会社になりますと、定款にそこまで規定していないという例が若干あるようでございます。大きな会社ではほとんどすべて排除している、こういう実情でございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 最後にいま一つ。この定款で排除できる、いわゆる改正法の施行の際に、すでに定款で累積投票を排除する、消滅している場合には、これはあらためて今度の改正によってまた排除するという改正をする必要ないように思うのですが、その点はどうなんですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 御承知のように現在の商法のもとでは、定款で累積投票の制度を排除しておりましても、発行済み株式の総数の四分の一以上に当たる株主が累積投票の請求をしてきた場合にはそれによらなければならない、こういうことになっております。したがって現在定款で累積投票を排除している場合におきましても、その定款の規定というのは完全な排除とはいえないわけでございます。したがって今回の改正におきましては、すでにそういう定款で排除している場合には、その排除の効力というのは、四分の一以上にわたる株式を有する株主が累積投票を請求した場合には、なおかつ累積投票をしなければならない、そういう含みの規定であるというふうに解釈をいたしまして、完全に排除しようとするためには、この法律改正が行なわれた後にあらためて累積投票を排除する、そういう定款の改正を行なわなければならない、こういうことにいたしておるわけでございます。この点は商法の一部を改正する法律案の附則第五条にその趣旨を規定しております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に、今度の改正によりまして、準備金の資本組み入れによる抱き合わせ増資を認めた規定がございますが、この認めた趣旨は何か、その要件及び手続について御説明をいただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 改正案は新たに商法二百八十条ノ九ノ二という規定を設けて、準備金の資本組み入れに関する規定を置くことにいたしております。  その趣旨でございますが、現在このような制度は商法では認めておりませんけれども、株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律という法律におきまして、再評価積み立て金を資本に組み入れて新株を発行する場合に、新株の発行価額の一部を株主に払い込ませるという有償、無償抱き合わせ増資というものを認めております。ところがこの法律はことしの三月三十一日に効力を失いまして、再評価積み立て金というのは商法の資本準備金となるわけでありますが、これに伴いまして、これと同じような制度を商法に置いてほしいという要望がございまして、その結果こういう規定を設けるということでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 次に転換社債の問題についてお伺いをいたしておきたいわけでありますが、第一、この転換社債発行に関する規定を改正した趣旨はどこにある、また、御承知のように転換社債を、将来株式に転換されるものであるが、取締役会の決議によって発行することができるようになっておりますけれども、株主の利益を害するおそれが生じるのではないか、この点についてどのように配慮されているか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 まず転換社債の発行に関する規定を改正した趣旨でございますが、現行法では、転換社債を発行する場合に、転換の条件というものを株主総会の特別決議でもって定めるということが要件になっております。ところが他面におきまして、一般の社債、普通の社債でございますとかあるいは新株を発行する場合には取締役会の決議だけでできるということになっております。それとの権衡から申しまして、転換社債を発行する場合におきましても、取締役会の決議だけでできるようにしてもよいのではないか。そうすることが会社の資金調達に機動性を持たせる上からいって必要ではないかというような意見が非常にもっともでございますので、このような改正をしたわけでございまして、改正の主眼というものは、ただいま申し上げましたように、転換社債の発行を取締役会の決議だけでできるようにするということがねらいでございます。  それから、そのようにいたしました場合に、株主の保護をどのように考えるかという問題でございます。その点につきましては、ちょうど新株の発行と同じように考えまして、原則として取締役会で転換の条件その他をきめることができますけれども、株主以外の者に特に有利な転換の条件を付した転換社債を発行する、こういうような場合におきましては、株主総会の特別決議が必要である。この場合には取締役会の決議だけではなくして、株主総会の特別決議が必要である、こういうようにいたしております。  それから転換社債の発行をいたします場合に、あらかじめ株主に対してそのことを公告あるいは通知するということにいたしまして、転換社債の発行について違法な点があれば株主からも発行の差しとめ請求ができるように配慮をいたしております。  それから転換社債についての引き受け権というものを株主に与えます場合には、新株の発行の場合と同じように各株主に対してその株式の割合と同じ比率でもって引き受け権を与えなければならないといったような趣旨の規定を設けまして、株主の保護をはかっておるわけでございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 休眠会社の整理も今度やることになっておりますが、これによりますと登記を怠っていたということで会社が解散したものとみなすというわけでありますけれども、一口に言うと登記をしなかったことだけで解散とみなすということは行き過ぎでないかという批判があると思うわけでございますが、その点についてはどうお考えになりますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 今度の案では五年間登記をしなかった株式会社について休眠会社の整理の措置を講ずることができることにいたしております。登記をしなかっただけで解散させるのは行き過ぎではないか、こういうお尋ねでございますが、株式会社が正常に運営されておれば、少なくとも取締役及び監査役は任期が来て退任しまた選任される、その場合の登記が必要になってくるわけでありまして、定期的に変更登記が行なわれていくはずでございます。五年間何らの登記がなされずに経過したということは、それ自体株式会社として正常な運営がなされていないということを反映するものであろうと思うわけでございます。そうしてしかも今回の案では、官報に公告をした上で、そういう会社に対しては個別に通知をする、そして営業を廃止していないという届け出があればその会社については解散とはみなさないというようなことにいたしておりますので、必ずしも行き過ぎの措置ではないというふうに思うわけでございます。ちなみに五年以上登記をしない株式会社のうち一万四千六百五十五社を抜き出しまして照会したことがございますが、所在不明のために返戻されたものが全体の六〇・八%に当たる八千八百四十二社に達している、こういう実情でございます。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 いまのようなお話で、ある程度わかったのでありますが、株式会社以外にもいろいろ法人があるわけでありますが、それらについてはどういうようにこれからおやりになる考えでありますか、それらについては手をつけないという御趣旨でありますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 株式会社につきましては、ただいま申し上げましたように定期的に登記がなされるはずでございますので、登記を基準としてこういった休眠会社の整理を考えるということができるわけでございますが、合名会社とか合資会社、有限会社といったような会社につきましては、必ずしも定期的に登記がなされるとは限っていないわけでございます。登記のみで判断するこのような整理の方法というのはとりにくい事情があるわけでございます。したがって、今回は整理の対象を株式会社だけに限ったわけでございますが、株式会社以外の会社につきましても同じような、実際に営業を行なわないで登記だけはそのままになっているという会社が多数あろうかと思います。こういうものの整理の方法につきましては、今後十分その実態というものを検討しながら将来の改正の際に適当な方法があるかどうかをなお検討してまいりたい、このように思っております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 休眠会社の整理に関してはたいしたことはないかもしれませんけれども、ある程度予算の措置が必要なんじゃないかと私は思うのでありますが、それらについてどう考えていらっしゃいますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 仰せのとおり官報に公告を出しますし、会社には個別に通知をする、その前に登記簿でいろいろ調べるといったような関係もございまして、若干の費用が必要でございます。本年度における予算といたしましては、庁費八百六十三万七千円を計上いたしております。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 まだいろいろお聞きしたいのでありますが、時間もあれでございますので、最後に商業帳簿に関する改正もされることになっておりますが、その中でたしか三十二条でございますか、「公正ナル会計慣行」ということばが出ているわけであります。これは抽象的でなかなかむずかしことばでございますが、どういう意味でありますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 「公正ナル会計慣行」というのは、会計上のならわしとして行なわれているものであって、しかも公正なものという意味でございます。「公正」というのは商業帳簿を作成する目的から見て公正と認められるもの、こういう意味でございます。たとえば今度の改正案商法の三十四条の第二号に、固定資産については「毎年一回一定ノ時期、会社ニ在リテハ毎決算期ニ相当ノ償却ヲ為シ」ということが書いてございます。何がこの「相当ノ償却」であるかということが問題になるわけでございますが、これにつきましては法律には規定がございませんで、会計の実務として定額法とかあるいは定率法といったような方法がとられておるわけでございます。それがこの場合について公正な適当な方法であると認められた場合には、それが公正なる会計慣行と言ってよろしいと思います。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員 まだいろいろお聞きしたいことがございますが、もう二時間以上もたちましたし、記録その他を見ましてまた質問を申し出るかもしれませんが、その節はお許しをいただくことにして、きょうはこの程度で終わります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 資料をいただきたいのですが、この五カ年間に粉飾決算のあった会社名、それから粉飾の内容、それに対する措置、それから粉飾を防止できなかったと思われる理由、それらをいただきたいと思う。  それから、調査室でもしお手配が願えるならば、公認会計士や税理士等について、またこの種の問題について、商法改正等の問題について、国会の附帯決議がありましたらそれをひとつプリントしておいていただきたい。  それから、ずっといま商法改正案をここで質問を聞きながら見ておるわけですけれども、改正にあたって政令の改正はございますか、ありませんか。

川島一郎法務省民事局長

○川島政府委員 政令はございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうですか。  いろいろたくさんの質問があるのですから、もしあなたのほうで条文解釈等で質疑応答をなるべく省略ができるならば、この条文はこういう解釈だというものでもし提出できるものがありましたら、ひとつ提出をしてもらいたい、こう思います。  以上です。

中垣國男自由民主党

○中垣委員長 次回は、明九日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十二分散会

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