法務委員会 第9号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/03/09
会議録
○中垣委員長 これより会議を開きます。 おはかりいたします。 本日、最高裁判所安村事務総長、田宮総務局長、矢口人事局長、大内経理局長、西村民事局長及び牧刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○中垣委員長 内閣提出、刑事補償法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。田中法務大臣。
○田中(伊)国務大臣 刑事補償法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 刑事補償法による補償金の算定の基準となる金額は、昭和四十三年の改正によって、無罪の裁判またはこれに準ずる裁判を受けた者が未決の抑留もしくは拘禁または自由刑の執行等により身体の拘束を受けていた場合については、拘束一日につき六百円以上千三百円以下とされ、また、死刑の執行を受けた場合については三百万円とされているのでありますが、最近における経済事情にかんがみ、これを引き上げることが相当と認められますので、この法律案は、右の上限額である千三百円を二千二百円に、三百万円を五百万円に引き上げ、いわゆる冤罪者に対する補償の改善をはかろうとするものであります。 以上が刑事補償法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
○中垣委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。
○横山委員 資料の要求があります。 いま提案されました法律案につきまして、政府側に次の資料を御提出願いたい。六つくらいございます。 一つは、被疑者補償規程の約五カ年間の実績、これを原因別、金額別にわかりやすいものをいただきたい。 その次は、この補償法の実績、約五カ年ぐらい、これもまた内容別にわかりやすい資料をいただきたい。 それから、この間私予算の分科会で指摘をしたのですが、犯罪白書の最近のもの、不起訴の中にいわゆる嫌疑なしというものが出ておりませんが、聞きましたところ、それはわかっておるということだそうでありましたから、犯罪白書の不起訴の統計の中における嫌疑なしという事案が約五年間どのくらいの数字でどういうものがあるか、わかりやすいものをいただきたい。 それから同じく、無罪になりました裁判の訴因別の統計を五カ年間くらいいただきたい。 それから日本ではまだ例がないようでありますか、世界における誤って死刑に処した者の実績を最近の——最近といいますか、著名なものをひとついただきたいと思います。 それからあわせて次の機会に質問いたしたいと思いますから御調査を願いたいと思うのでありますが、先日新聞で学校の先生が誤って逮捕されて警察がおわびされたようであります。その学校の先生の事案はどういうことであったか、一体どうなさったのか、御調査を願いたいと思います。あわせて愛知県における名大事件、学校の生徒が誤って逮捕されて県会で四、五十万円の補正予算を組んでおわびをした事案がございますが、それを詳細にひとつ資料として提出をしていただきたい。さしあたり以上の資料の提出をお願いいいたします。
○田中(伊)国務大臣 承知いたしました。 ————◇—————
○中垣委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。青柳盛雄君。
○青柳委員 最高裁判所にお尋ねをいたします。 司法研修所に弁護教官というものがおられるのですが、弁護士の方から選任をされる教官のことをそのように呼んでいるようでありますけれども、これは現在二十名、民事関係が十名、刑事関係が十名というように二十名の方が常時任命されておるようであります。任命するまでのその手続はどうなっておりますか、それをまずお尋ねしたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 弁護教官は青柳委員御指摘のように二十名おられるわけでございますが、その任命の形式は司法研修所規則の第二条が嘱託するということばを使っておりますので、発令をいたしますにつきましては司法研修所教官の事務を委嘱するというふうにいたしておるわけでございます。任期は大体三年を原則として運用いたしておりますが、これは事実上三年ということで御交代をいただいておるという実情でございます。司法研修所の弁護教官を委嘱するにあたりましては、日本弁護士連合会に必要教官人員の倍数の御推薦をいただきまして、その中から最高裁判所が必要な教官に事務を委嘱しておるということに相なっております。
○青柳委員 日本弁護士連合会に必要な数の倍数を推薦依頼するということでございますが、いつごろからこの倍数を推薦依頼するようになったのでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 正確な日時はちょっと記憶いたしておりませんが、相当前からそういうふうな扱いになったというふうに承知いたしております。
○青柳委員 少なくとも最初のうちは必要な数だけ、いわゆる倍数というような必要以上の数を推薦してくれということではなかったようでございますが、その倍数にしてくれということにした根拠はどこにあるのでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 ただいま任命の形式で申し上げましたが、元来司法研修所の教官は裁判所教官ということで常勤の教官であることが原則でございます。裁判所法に規定されておるところでございます。問題は在野法曹の方々に教官を、そのような完全なる常勤の国家公務員という形でお願いをいたしますと、現在の規定上は弁護士の登録を取り消していただきませんとそういう教官の任命ができないという規定になっておるわけでございます。そこで、りっぱな先生方に教官においでいただきたいということを考えますが、そのような教官方はすでに事務所をお持ちでございまして、いろいろ事件をお取り扱いになっておりますので、一度弁護士の登録を取り消していただかなければいけないということを申し上げますとどうしても来ていただくということができないというような状況にあるわけでございます。そこでそのような実情を勘案いたしまして、現実の問題といたしましては、弁護士の登録をなさったまま事実上どの程度お仕事がおできになるか、これは研修所のほうがお忙しゅうございますからわかりませんけれども、ともかくも弁護士の登録をしたままで、事務所を維持されたまま教官においでいただくということで現在の委嘱というような形でやることが行なわれたわけでございます。そういうわけでございますので、実際法律の形の上では非常勤の研修所教官ということに相なるかと思いますが、その実質は実はできるだけ研修所の仕事をなさっていただく、実質においては常勤と同じお仕事をなさっていただくというふうに考えておるものでございますし、また来ていただく先生方にしましてもそのようなおつもりで常時研修所においでいただいて修習生のめんどうを見ていただくという体制をおとりいただいておるわけでございます。といたしますと、一般に委員会等がございまして、その委員会の委員に学識経験者とかそういうような形でお入りいただく、そういう方はいわばほんとうの非常勤でございまして、弁護教官に関する限りは形は非常勤でございますけれども実質は常勤的な教官、常勤の教官であるということに相なるわけでございます。そういう方の任命につきましては、これは最高裁判所が適当と思われる広い範囲から任命するというのが原則でございます。最適任者を得るというのが原則でございます。しかし弁護士会に対しまして適任者の御推薦をいただくということもまた慣行上は妥当な措置であろうかということで、実際は日本弁護士連合会のほうに適任者を適宜御推薦をいただくという手続をとっております。その二つの兼ね合いの関係からまいりまして複数を御推薦いただき、その複数者の中から最高裁判所が最も適当と認められる者を任命する、こういうふうになっているものと承知いたしております。
○青柳委員 常勤的な仕事をやっていただくのが本来の目的であるということについて非常に長く説明がありましたけれども、複数でなければならないという論拠が非常にあいまいなわけですね。他の非常勤のようなものなら単数でもかまわないけれども、常勤的なものだから複数でなければならぬ。そういいますと、推薦を依頼される場合に、いまあなたが説明されたようなことは十二分に日本弁護士連合会のほうにその意は伝えてあるはずだと思うのですね。また推薦を受ける人本人も当然そのようなことは承知の上で推薦を受けることを受諾していると思うのです。複数にしてもらったら、最適任者というのは、どうもいまの説明からいうと、常動的にやってもらえるような人であるかないかを最高裁がまた独自の立場で判断する、弁護士会のほうでは十分そのことを踏まえて推薦をしてくるわけでありますから、それが単数であろうと倍数であろうといずれの場合でも、倍数だから一人は専従的にやれるけれども、もう一人のほうはそんなことはできそうもないのを入れておくということはあり得ないはずです。したがっていまの説明ですと、どうも納得がいきかねるわけです。だから、せっかく日本弁護士連合会に推薦を依頼しておきながらその中からなお選ばなければならない、要するに単数では選びようがない、選ぶ余地を与えてもらわなければならないという積極的な根拠がまだ説明が十分だと考えられませんけれども、その点はどうでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 これはいまも御説明申し上げましたように、職員を一般的に任命する原則に戻るわけであります。最高裁判所があらゆる観点から検討いたしまして研修所の教官として相当であると考えられる方を広く求めて、その中で任命するというのが原則でございます。しかし弁護士連合会等の御事情も考えまして、その中で一応日本弁護士連合会の御意見もお聞きするというような意味において御推薦をいただいておるわけでございます。したがいましてその御推薦は相当多数であってしかるべきものと考えておるわけでございます。しかしこれもまたあまり多くお出しいただくということもいかがであろうかというふうにも考えられまして、結局そういった考え方の調和点として必要な教官数の倍数の御推薦をいただくというようなことが慣行的に行なわれてきたというふうに考えております。
○青柳委員 本来、常勤的なものを任命するということをやるのだから、そのたてまえからいえば全く委嘱するほうの側に自由裁量といいますか選択の余地がたくさん残されていることが望ましいように言われますけれども、実は検察教官というのがやはりあるのだそうですが、この検察庁のほうから推薦するのは単数だというふうに聞いておりますけれども、その点はどうでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 検察庁、法務省側から検察教官をお出しいただくときは確かに単数をお出しいただいております。しかしこれは青柳委員もつとに御承知であろうと思いますが、そのような単数をお出しいただくにつきましては、数名の候補者につきまして十分事務的に検討をいたしまして、双方がこれがいいということになりましたものにつきまして一名結論的にお出しいただいておるわけでございまして、実質は常に数名、場合によりましては十数名の中から適任者をあらゆる角度から検討しておるわけのものでございます。官庁同士でございますので、そういった点は官庁間の連絡ということで十分事前に打ち合わせをいたしました上で最終的に合意に達しました一名につきまして単名で御推薦をいただいておるということでございまして、実質は倍数推薦といったこと以上に広い範囲の中から、あらゆる角度から検討して人選をいたしておるというのが実情でございます。
○青柳委員 実はこの問題について日本弁護士連合会も習慣的にこれは東京三弁護士会から選ぶということが行なわれているようで、日本弁護士連合会のほうに委嘱依頼が司法研修所を窓口としてまいりますと、日本弁護士連合会は東京三弁護士会にそれぞれ弁護士を推薦してこいという要請をするわけであります。したがって、事実上毎回三つの弁護士会が、それぞれ割り当てられた数を毎年任期が来るごとに後任者として候補者を推薦していくという手続をとるようでありますが、東京弁護士会について申しますと、昭和四十一年以降の状況では、大体その倍数推薦の要請を受け入れてきたわけでありますけれども、昭和四十三年度からは、これはどうもおかしい。どうしても倍数を出さなきゃいかぬというのは、弁護士会の自主性が認められていない。非常に責任をもって推薦するにもかかわらず、その複数の中から選ぶ余地を認めろということ自体、どうも弁護士会の自主性が奪われるという感じがするので、単数で推薦すべきであるという主張が非常に強くなってまいりまして、四十三、四十四というふうに毎年そういう点で単数にすべきだということを日本弁護士連合会を通じて最高裁のほうに要請をする、また事実上そういうふうに単数で出していく。結局は最高裁の要請のようにはしない、倍数にはしない、少なくとも東京弁護士会は。そして日本弁護士連合会のほうでもそれをそのまま最高裁に伝えるというような事実があったようでありますが、これに対してあくまでも最高裁のほうでは倍数を主張して譲らなかったというような事実があるわけでありますが、それは事実そういう経過を御存じでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 私どもの、これは慣行といたしまして、日本弁護士連合会に対しますただいま御指摘の後任弁護士の複数推薦の問題は、司法研修所長から日本弁護士連合会会長にお願いをしておるということに相なっております。これは本年度交代を予定されます弁護教官候補者の推薦について、昨年の十一月の終わりごろに研修所長から日弁連に推薦の依頼の書面を発送いたしたわけでございます。それに対しまして本年一月の下旬日本弁護士連合会から一応の御推薦がございました。しかし御指摘のような東京弁護士会所属の弁護教官の推薦につきましては、慣行によりますれば東京弁護士会からは二名教官にお出いただくということでございますので、これまでの経緯によりますれば四名の御推薦をしていただかなければいけないのですが、二名のみの御推薦でございました。全体といたしましては十名の御推薦をいただくべきところを八名しか御推薦をいただけないというようなことがございました。重ねて司法研修所長から日本弁護士連合会に対してもう二名の、余分の追加した御推薦を大体二月の中旬ごろまでにいただけないだろうかということをお願いいたしましたが、それに対しまして、いまだそれの御回答あるいは追加の御推薦というものをいただいていない状況であるというふうに研修所長から報告を受けておるわけでございます。
○青柳委員 いまのお話は間接的のようでございますけれども、今年度の場合については、私の聞いたところでは、日弁連の事務総長かあるいは会長かが最高裁に直にこの問題について話し合いに行かれたように聞いておるのですが、これはいまのようにまだ間接的な状況ですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 事務総長なりあるいは会長なりが事務総局にお見えになりまして、現在研修所からこのような書面が参っておるが、これについてこのままで、すでに推薦しておる者の中から教官をきめていただくというふうな措置をおとりいただくことはできないであろうかというお話がございました。私どもも研修所長からいま申し上げましたような経緯を承知いたしておりますので、それにつきまして弁護教官任命の性格等も申し上げまして、ぜひこれまでの慣行どおり候補者人数に対する倍数の推薦をお取り計らいいただきたいということをお願いしたことはございます。
○青柳委員 そうしますと、いままでもその問題について合意に達するまでになかなか手数がかかったと思いますけれども、今年度は特にそれが高じた形でまだ解決の段階に至っていない。つまり最高裁のほうは倍数をあくまでも主張して譲らないとか、また東京弁護士会を中心とし、日本弁護士連合会も、本来倍数でなしに、責任をもって推薦をする以上選択の余地はほとんどない形になりますけれども、そのワクの中でとにかく後任者を委嘱してもらいたい、こういうことで意見が一致しないわけでございます。このまま推移いたしました場合に、最高裁とすれば複数でないからもう一人も採用しないあるいは推薦者以外の者に適当に委嘱する、そういう結果になるか二つに一つだと思うのですね。あるいは一番望ましいのは、最高裁の立場としてはやむを得ないから推薦された二名で間に合わすというとことばはおかしいのですけれども、その方を委嘱するということも最終的には考えられるわけでありますが、いずれにしてもこういう問題をいつまでもいつまでも——今後もあることですから、複数にしておくのか。単数でもいいということにするのか、こういう点でお互いにもう少し話し合ってみるというようなことは考えたことがあるかどうか。まずその点をお尋ねしたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 日本弁護士連合会とは機会がありますごとにいろいろの問題についてあるいは会長あるいは事務総長とお話し合いをいたしております。で、司法研修所の弁護教官と申しますのは、結局現在の法曹の要請に対する重要な職責をお持ちでございますので、できるだけりっぱな方においでいただきたいというふうに考えておりますことは、これは最高裁判所といたしましても、また日本弁護士連合会といたしましても全く同様のことでございます。ただ問題はこれの選任の方法でございますが、日本弁護士連合会のほうにもいろいろの御事情はおありだろうかと思いますが、私どもの熱意といいますか、こういったことを十分御了察いただきまして、これまでできてまいりましたいい慣行というものを維持していただくようにぜひ御努力をいただきたいということで申し上げておるわけでございます。私どもも、現段階におきましてはまだ追加の御推薦をいただいておりませんけれども、遠からずそのような御推薦をいただけるのではないかということで、強く期待をしてお待ちしている状況でございます。
○青柳委員 そういう方的な希望的観測だけで、ものが進めばよろしいのでございますけれども、必ずしもそれほど問題は単純ではないと思われる状況でございます。なぜ単数推薦を主張されるかということの根拠は、もう十分主張される方々が、最高裁に対してその話を持っていくときに、述べておられると思いますけれども、最適任者を自信をもって、また責任をもって推薦する。ところが、そういう人たちでも、数回推薦しても裁判所のほうでは無視する。何かそこにえり好みの中に基準か何かあるのじゃないか。思想的なものとか、あるいは団体加入の問題とか、信条の問題、りっぱな経験を持ち、弁護教官としてまことにふさわしい人物であると思って、しかも東京弁護士会の場合は、五十人の人事委員会というところで公聴会まで開いて、最適任者をきめて、そして日弁連を通じて推薦していく、そういう慎重なやり方をしておっても、これを事実上何回出してもけっ飛ばされちゃう、こういうような事実からきまして、どうも自主性がじゅうりんされるような感じがする。念のため聞いておくというような程度、結局は責任を持った推薦を無視するという好ましくない状況だというところに問題の所在があると思うのです。したがって、そういう選択まで最高裁にやられるというのはおかしいのじゃないか。弁護士が適任であるかどうかということは最高裁よりも何よりもその推薦する会の人たちが一番よく知っておる。その法廷活動の状況から、経験から、能力から、学識、人柄、ものの考え方、あらゆる面から弁護教官として最適任者だと思って出すのに、何回出しても採用されない、こういうようなのは明らかに最高裁のほうに偏向があるのじゃないかというふうな疑いを持たせると思うんですね。したがって、この点はよほど話し合わないと解決はむずかしいのじゃないかと思うので、昭和四十年ごろから発足したといわれている裁判所弁護士会連絡協議という制度、これは大体裁判所側から二十名以内ですか、日弁連のほうからも二十名以内で構成し、毎月一回を原則として開くというような内容になっているようでありますが、こういうものを現在活用するという考え方はないでしょうか。
○田宮最高裁判所長官代理者 ただいま青柳先生御指摘のように、昭和四十年ごろから裁判所と弁護士会の間に連絡協議会が持たれておったのはそのとおりでございます。そこでいろいろ当面する司法上の問題について協議がなされておりましたが、たまたま裁判所法の改正によりまして、簡易裁判所の管轄を変更する改正というふうなことで、それは当該協議会で協議すべきものであったかどうかはよくわかりませんけれども、いずれにしても、それをきっかけといたしまして、現在一時中断しておる状況でございます。その後、それと多少関係はございますが、むしろ法務省も入れて、裁判所と法務省と日弁連の三者で協議会というものを設けたらどうかというふうなお話がありまして、現在三者協議会というものをつくるべきかどうかということについて、各関係のところと協議中でございます。そうした関係もございますので、実は一度中断しております以前の連絡協議会もこの際復活させるかどうかということも、あわせて目下検討中でございます。そういうような段階でございますので、そうした機関においてただいま御指摘のような点に対して協議の議題とするかどうかということも、これも将来あわせて検討するべき問題だろうと思います。
○青柳委員 中断をさせてしまったという原因がどこにあるかはよくわかりませんけれども、大体この三者の連絡協議というのは、例の簡易裁判所判事、特任検事を弁護士資格を与えるか与えないかというような問題とか、簡易裁判所事物管轄の拡張問題とかいう例の大問題のときに、司法協議会に参加しないというような決議が日弁連で行なわれたわけでありますけれども、そのあとに、この裁判所弁護士会連絡協議というのが実際上十数回にわたって開かれているようでありますので、それがそのまま中断されてしまった根拠というのはよくわかりません。三者でやらなくとも、とにかくいまのような問題も含めまして、あるいは参与判事補制の問題についても、弁護士会は、一般的にどこの弁護士会でも賛成はしておりません。ああいう問題につきましても裁判所と弁護士会とが意思の疎通をはかるという、そういう機関としてこれを活用することは非常に望ましいことではないかと思うのですけれども、この点もっと積極的にこれを考えていく、つまり、三者協議会を復活させるとかなんとかいうこととは——それももちろん考える必要はあるでしょうけれども、それとは切り離して、裁判所と弁護士会との連絡協議ということはひんぱんに行なうことがこれからの司法の運営を民主的にやっていく上で非常に望ましいことではないかと思うのですが、もう一ぺんその点をお尋ねしたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 三者協議会を設けるかどうかということは、実は裁判所法のこの前の改正の際に附帯決議で、今後司法上の問題については三者間でよく協議をするようにというふうな決議もございまして、それにのっとって三者間で協議をするということで、三者協議会を発足させようではないかということで、現在その検討をしてまいっておりますので、ただいま御指摘の点等も合わせまして、三者協議会をどういうふうに持っていくかというようなことについて、目下検討中ということでございます。
○青柳委員 事務総長でもあるいは矢口さんでもいいんですけれども、いまの弁護教官の問題がややデッドロックに乗り上げた感じがするので、これを一つの契機に、裁判所弁護士会連絡協議という制度を復活するという、そしてそこで意思統一をはかるというような考え方は持っておられませんか。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判所と弁護士会との間は、あらゆる問題につきまして意思疎通をしていかなければならないという御指摘は、私はそのとおり非常にごもっともな御意見というふうに思っております。そういう意味におきまして、この三者協議会というものができるだけ早く軌道に乗るということを心から期待しております。ただ、いま御指摘の弁護教官の推薦問題等につきまして、それに先立って連絡協議等をやってみてはどうかという御指摘の点でございますが、そういうことになりますと、実はこれはやはり弁護教官の任命という、事人事に関する問題になってまいりますので、はたしてそういうところで検討することが適当であろうかどうかという問題もないわけではないというように思っております。もちろん個別の人事をやるわけではありません、制度を検討するということでありますから、そういうふうに話し合いをいたしまして、意見の一致を見ることができれば幸いでございますけれども、しかし、現在といたしましては、早急に弁護教官の交代を実現しなければいけないという時期も迫っておりますが、この問題に関します限りやはり日弁連の関係当局とさらに密接な御連絡を申し上げて、これまでの慣行どおり実現させていただきたい。その問題につきましては、そのように考えております。
○青柳委員 もう終わりにいたしますけれども、この複数推薦というか、倍数措薦というか、こういう措薦の方式をいつまでも固執するということがはたして妥当であるかどうかは大いに再検討を要する問題だと思います。今度の場合、これからの推移がどうなるか、われわれも大いに注目せざるを得ないわけでありますけれども、いやしくも司法修習制度を在野法曹の協力のもとによりよきものにしていこうという姿勢をとる限りは、弁護教官の推薦問題ひとつとってももっともっと前向きに問題を解決する、つまり弁護士会の意のあるところを尊重する、そういう態度が必要だと思うのです。あくまでも、何かきめた方針は絶対に直さないというようなかたくなな態度をとるべきではないと私は考えます。だから具体的に言うならば、推薦された人がどうも好ましくない者が入っておる、だから場合によったら全部けっ飛ばすということだって出てくる場合があるかもしれない。そういうふうなことであってはおかしいので、何か事前に打ち合わせをするということだってまた一つの方法として考えられるのじゃないか。内示を受けて、そうして相談をするということだってあり得るわけで、これは妥協というか、推薦した者は必ず採るんだということでは、場合によると裁判所はもう何らの自主性が、今度逆になくなってくる。制度的におかしいのだということもあるかもしれないので、事前の意思統一というものは必ず必要なものだと思います。それを複数で出したからといって、必ずそれで満足のいくようなことになるかどうかということは本来保証はされないわけですね。先ほど、検察庁の場合は単数だけれども、その場合に官庁同士だから相当打ち合わせをやったというようなお話がありました。もしそういうことが弁護士会との間で可能であるならば、そうやったって別に問題はないのじゃないかというふうにも私、第三者的な考え方としては考えられるわけです。その辺のところをよく話し合うということがまず出発だろうと思います。私は最高裁が今度の問題を契機に、複数出してくれといって、何か、裏のほうであの人物以外ならだれでもいいんだというような形でなしに、要するに最も適当と考えられる方法を検討されることを望んでこの質疑は終わりにいたします。
○中垣委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 最初にちょっと法務大臣にお聞きをして、それから法案の関係で最高裁当局にお聞きをしたい、こう思います。 いま俗にいう買い占め防止法というのがきのう閣議決定をしたと伝えられているわけなのですが、最初物価統制令でやるとかやらないとかいう話が伝えられておったわけですね。物価統制令というのは昭和二十一年の勅令で、その後二十七年に例の法律に変わってきたわけですが、変わってきたというか、法律としての効力を持っているわけですが、終戦時の混乱に、終戦後の事態に対処して物価の安定を確保するというのが法律の目的になっているわけですね。それをいままで、いまになって物価統制令というものを廃止をしないのはどういうわけでございますか。もう終戦時じゃないのだから廃止していいのじゃないですか。時限立法みたいなものじゃないんですか。どうして廃止しないんですか。
○田中(伊)国務大臣 物価統制令と申しますけれども、内容はなかなか現在の経済情勢下においても適用を必要とする重大事項が規定されております。物価統制令自体を現在物価統制として適用しておりますのはおふろ、公衆浴場ただ一つとなっております。それ以外はみなはずれておる。そういうことでありますけれども、まず第一どういう点が重要かと申しますと、不当にという表現でございますが、不当に高い価格でものを売って、そうして暴利をむさぼった場合、これは物価統制令に触れるのでございます。いま一番大事なところでございます。 それからさらに、昨今問題になっております買い占め、売り惜しみ、こういうことによって物価をつり上げるような結果になった場合、これも断固取り締まる、これもただいま昨今重要な問題でございます。 でありますから、法律ができました昭和二十一年には、先生のおことばのとおりに終戦後の経済混乱というものに処して物価安定のためにつくった法律であることは間違いないのでございますが、そういう重要な意味も含まれておりますので、そこで、昭和二十七年であったと記憶をいたしますが、当時の法律第八十八号、これも番号はそうだと思いますが、八十八号によりまして、これは天皇の勅令ではあるけれども、法律としての効力を付与するということを国会で御議決をいただきまして、二十七年以来今日に及んでおる、こういうものでございますから、古いもので、制定当時の目的はまさにおことばのようなことでありますが、今日なお大事な任務を持っておる法律である、こういうことでございますので、このたびの売り惜しみ、買い占め等につきましても、悪質のものについては断固適用ができる、こういうたてまえで、生きておる法律でございます。
○稲葉(誠)委員 物価統制令の十四条ですね、「買占・売惜の禁止」があって罰則が三十五条ですね、「五年以下ノ懲役」「五万円以下ノ罰金」ですか、になっていますね。そうすると、いまお聞きしていますと、今度の買い占めについても、不当に経済秩序を混乱させるとか、そういうふうなものについては物価統制令を発動する余地はある、こういうふうにお聞きしてよろしいですか。
○田中(伊)国務大臣 おことばのとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 今度の防止法は、これはここで論議すべきことではございませんから、法案出ているわけではありませんからあれしますが、そうすると買い占めの規定が十四条にあるわけですから、それを場合によっては発動といいますか、するということになってくれば、特段のそれ以外の法律をつくらなくてもいいのじゃないかという気がするのです。今度の場合は業務報告を求め、あるいは立ち入り検査をする。それに対する拒否に対しては、罰則は懲役一年以下とか何とか、内容は変わってきておるようですが、物統令との関係はどうなのですか。物統令よりも、そこまでいかないものをやるというわけですか。これの特別法みたいな考え方になるわけですか。
○田中(伊)国務大臣 どうも売り惜しみ、買い占めがあるようだ、こういう情勢が来ますというと、今度の法律によって経済企画庁に物価調査官というものができます。その物価調査官がまず調査をする。ところが調査を拒否する、それから調査のじゃまをする、調査に応じないような態度も予想されるわけでございます。それから報告を求めましても報告を拒否する、報告に応じない。報告をいたしましても虚偽の報告をする、こういうことが起こり得る。そういうことを想定いたしまして、そういう場合には懲役一年以下に処する。罰金十万円ということになっておる。それからそういうことがなかったといたします。あればそういうふうに適用する。なかったとする。そういうじゃまをするようなことがなかった。素直に応じてくれたということがありまして、やはり売り惜しみ、買い占めが現実にあるではないかということになったときには、これは放出をしなさい、放出の勧告をする。勧告に応じなかった場合の罰則はございませんが、もう天下の商社が政府から売り惜しみ、買い占めをやっておったのだ、放出の勧告を受けたなどということ自体が大きな社会罰であるということで、これには特に罰則はつけておらぬのでございます。そういうふうに調査をいたしまする手続上起こりました、いわば調査、報告、勧告に関して適用するものがこの法律。買い占め自体、売り惜しみ自体というものについてはこの法律は関係ない。関係なくて物統令がぴしゃり適用され、その物統令の罰則が適用される、こういう関係でございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると買い占めについては、情状によって違うかもしれませんけれども、ものによってはなお物価統制令を適用して取り締まり、処罰をするということも当然考えられるし、そういう方向で進むというふうに承ってよろしいわけですか。
○田中(伊)国務大臣 もう少し強く考えておりまして、そういう調査をいたしますと悪質であるかないかがわかります。そこで悪質なものに関しましては物統令を適用して厳重に処罰をする。こういう方針でいきたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 その物統令にも、二十六条の「質問又は報告の徴取」その権利というか条項もあるし、「物価秩序ノ保持ニ当ル者」の身分についても公務に従事する者とみなされるというような条文があるわけです。そういうふうなことを考えると、特に業務報告、立ち入り検査も含まれて、当然物統令の中でやれるのではないかと考えられるのですね。ただその場合の罰則が今度の法案との関係で見ると、何か罰金が低いように考えられるのですけれども、いずれにいたしましてもそれはそれとして、だから悪質な商社の買い占めについては、いま大臣が言ったようにやるべきものはきちんとやる。そしてみせしめというとことばは悪いかもしれませんが、ぴしっとするということをはっきりさせていただけばそれで——法案のほうに入りますからきょうの質問じゃありませんが、その程度でいいと思っているのですが、その点はぴしっとやっていただけるわけですか。
○田中(伊)国務大臣 今度この法律が新しくできましたので、その新しい法律だけにみな着目しております。そうすると売り惜しみ、買い占めやっても一年以下だなというふうな実感が出てきておりますので、これがたいへんおそろしい。そんな軽いものではない。調査、勧告に従わざる場合の法律であって、売り惜しみそのもの、買い占めそのものにつきましてはおそろしい物統令というものかあるわけでございますから、これを断固適用する、厳重処罰をするのだ、これはやり切るつもりでございます。
○稲葉(誠)委員 最高裁にお聞きするわけですが、裁判官の希望者が近来非常に減ってきておるわけですね。そういうふうなことの原因——実は私、前に横田正俊さんが長官のときにお会いしていろいろお話ししたときに、ことしは裁判官の志望者が百人近くだったというので非常に喜んでおられて、私に話をされたのを覚えておるわけです。検察官の志望者というのは大体四十七人、四十七士というのか、四十七士までいけば大体いいというふうなところで、その倍くらいは裁判官の志望者があってほしいというようなことを常識的に言われているわけですが、その志望者が近来非常に減ってきているわけですね。減ってきている一つの理由にいわゆる再任の問題がある。今度も十五期の裁判官七十何名の再任の問題が七日に最高裁の裁判官会議であった。実は私も七日にあることはお聞きしておったのですが、大体一時間かそこら辺のところで、一時間という時間はあれかもしれませんが、たいした時間もかからないで全員が今度の場合はフリーパスというのですか、完全にパスするというか、そういうふうにお聞きをしていたわけです。ところがそれが二時半から約三時間ぐらいやられたようですけれども、結論が出なくて十四日の最高裁の裁判官会議にまで延びたというか、そのことを聞いたりあるいは新聞紙上で見たときに、一つ常識的な疑問に思うのは、どうも裁判官の希望者、再任希望者一人一人について、最高裁の事務当局が裁判官会議で説明をしているようにとれるわけですね。もちろん総論的な説明もあるのでしょうが、そうじゃなくて裁判官一人一人について、この裁判官はこういう資料があるとかというふうなことで聞いているようにとれるのですが、差しつかえない範囲でといいますか、その七日の最高裁の裁判官会議での事務総局の説明というか、出した資料というか、それがまたどうして七日で結論が出なかったのかとか、そういうふうな点についてまずお聞かせを願って、それから質問を続けていきたい、こういうふうに考えます。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官会議の内容でございますので、詳細申し上げることはお許しをいただきたいと考えております。 私ども、裁判官の再任問題については、やはり重要な問題でございますので慎重に御審議をいただくということをたてまえといたしておるわけでございます。今度大量再任の問題として出てまいっておりますのは、五期の裁判官、すなわち二十年過ぎまして次の三十年目に入ろうとする五期の裁判官、それから、十年を過ぎていわゆる判事に任命資格を取得する十五期の裁判官とございます。対象となりました人数は、合計で百二十名に及んでおるわけであります。そういう方につきまして資料を整えまして裁判官会議に御提出し、その資料に基づきまして御説明を申し上げ、資料に対する御質疑をいただき、その上で御意見の交換をいただくということになりますと、ちょっと一回の会議ではなかなか終了するというわけにはまいりません。始めるにあたりましても大体二回の会議を御予定いただいて始めたような次第でございます。詳細は別といたしまして、会議体として慎重に御審議を、——そのほかにも議案がございましたからかなり時間もかかりましたので御続行をいただいたというのが実態でございます。
○稲葉(誠)委員 そうするとその会議は七日で全部終わらなくて十四日に延びたというのは予定のことであって、そのことによって別段その中から問題になった人がおるというふうにはとれない。なかなか答え方むずかしいと思うのだけれども、そういうのを誘導尋問というのかどうかわからないけれども、そういうふうにとってよろしいですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 七日で終わりませんで次回に続行になったということ自体は、特に稲葉委員御質問の問題と直接の関係はない、このように申し上げ得るのではないかと思います。
○稲葉(誠)委員 そこで、私は問題にしなければならないというのは、事務総局が最高裁の裁判官会議に出す資料です。これが私は問題だと、こう思うのです。まずその資料というのが、何と何と何だったかということを私のほうからお聞きをしても、それは答えられない筋合いのものであろうと思う。これは私もわかるので、そのことを無理に私のほうから聞くつもりはございませんが、まずその資料を最高裁がどうやって集めるのかということです。それが私は問題だと思う。それでないとあなたがただ資料を出したと言ったってわからないですからね。だんだん答えていくうちに核心に触れるかもわかりませんけれども、どうやって資料を集めるのですか。資料の中身は別ですよ。どうやって資料を集めるのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 一般的な人事関係の資料というものは私どもの手元にあるわけでございます。そういったものを整理して提出するということも当然考えられるわけでございます。また、再任等にあたりまして、現地の所長、長官から、それぞれ御意見をお聞きするということもございます。そういったものも当然資料になり得るのではなかろうかというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 何か個々の裁判官の考課調書というのですか、個人個人の裁判官についてのこまかい項目を書いた何か調書というふうなものがあって、たとえばその人の事務処理能力だとかなんとかという、いろいろな条項が何項目かもあって、そしてそれが記載される。一つの何というのですか、一つのカードというのですか、考課書というのですかね。そういうふうなものができておる、こういうことを聞くのです。昭和三十一年ごろから実施されておって、その中身というのは、執務能力としての問題、事件処理の能力、それは内容は正確性、速度、法廷処理、法廷処理というのはちょっとおかしいと思うのですけれども、指導能力、法律知識、裁判官で法律知識がないというのも困ると思うのですが、それから教養、項目が幾つもあって、等級が幾つもあるのだそうですな。そういうふうなものがちゃんとできているというのが最高裁にあって、それに基づいて評定が行なわれているということを言う人もあるのです。 これは大阪弁護士会から出た「司法制度改革の国民的構想」というのに出ているのですが、これは今度の「法律時報」にも全部は出ていませんが、一部出たようですね。そういうふうな考課調書というふうなものが三十一年から実施されているということは事実なんですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 考課調書というとなんでございますが、いろいろと、転勤とかそんな、民事をおやりいただくか、刑事をおやりいただくか、高裁をおやりいただくか、地裁をおやりいただくか、家裁をおやりいただくかというようなこと、やはりこれは御意見を承らなければいけないわけでございます。そういう御意見を所長、長官等の御意見を承るにつきまして、どういった点を目安に御意見を承るかといったようなことで、稲葉委員御指摘のような観点というものを考えまして、そういった観点から御意見を承ってはどうであろうかということはこれまでも行なわれてきておるところでございます。それが三十一年でございましたか、三十二年でございましたか、正確に記憶はいたしておりませんが、そのころから徐々にそういった形態をとって御意見を適宜承っておるということでございます。
○稲葉(誠)委員 御意見を承るといっても、おそらく所長や、高裁の場合は高裁の長官などの意見を承るのだと思うのですが、どういう点について意見を聞くようになっているのですか。事件の処理能力というものも入ってきているわけですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 事件をどの程度に処理なさる能力がおありになるかということは、ある意味では最終的な問題であるのかもしれませんが、そういった点ももちろん問題になるところであろうと思います。
○稲葉(誠)委員 その中で、よくわかりませんが、法廷処理ということばで大阪弁護士会の書類には書いてあるのです。法廷処理ということばはちょっとおかしいと思うのですけれども、法廷指揮——法廷指揮権というのもおかしい。訴訟指揮権の問題なのかな。ぼくもこれを見ましてちょっと意味がよくわからないのだけれども、どういう意味なのだろう。事件処理能力というのはどういう点から判断するの。
○矢口最高裁判所長官代理者 それは非常に千差万別でございますので、そう尺度できっちりと目盛りに当てはめてどうこうというふうに結論の出るものではないと思います。しかし、ではそういうものは全然考えられないかと申しますと、現に部に所属いたしまして事件を一緒に処理いたしますれば、部の総括者あるいは陪席の仲間同士よくわかることでございますので、その程度のごく常識的なものでございます。これは稲葉委員十分おわかりいただいておるのじゃないか。しかしそれを、じゃあどういうふうに数字にあらわすかということになりますと非常にむずかしい問題でございます。私ども、決して詳細の何十何点とか何点というような意味でそういうことを知りたいということではございません。一般的なごく常識的な問題として、そういったものも一つの御報告の資料、ポイントになっておるというふうに御承知いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、事件処理能力の中に、項目というのは何と何があるのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 項目といいますと、別にそういった項目があるわけではございませんが、まあ大体普通であるか、非常に事件処理が速いか、少しおそいかといった程度と御承知いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 事件処理が速いかおそいか——速いかおそいかばかりが標準じゃ困るわね、これは。速くやろうと思えば幾らも速くできるのだから。そうじゃなくて、正確性とそれから速度、法廷処理というのだけれども、法廷処理というのはよくわからないのですよ。何なんですか。あるいは、この本に書いてあるのが間違いなのかもわからないのだけれども……。
○矢口最高裁判所長官代理者 法廷処理ということは、どうもそういう観点からごらんいただいておるということではないと思います。
○稲葉(誠)委員 いや、法廷処理という意味がどういう意味なのかぼくはわからないので、それで聞いているわけなんですよ。あなたのほうの考課調書か何か知らないけれども、それに法廷処理というものはあるのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 ちょっと正確に記憶いたしておりませんが、法廷処理というようなそのとおりのことばではなかったのではないかというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 それじゃ、正確には法廷処理というのじゃない。ぼくも率直に言うと法廷処理ということばがよくわからないのですよね、正確には法廷処理ということばじゃないように思うけれども、具体的にはどういうふうなことを考課の材料にしているわけですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 結局事件を適確に御処理いただけるかどうかということの問題でございます。
○稲葉(誠)委員 事件を適確に処理できるかどうかという問題はだれがどうやって判断するのですか。それはあなた、そんなことを所長に判断されたら問題じゃないの。どうやってだれが判断するの。
○矢口最高裁判所長官代理者 これはいろいろの問題がございますが、私ども裁判が独立して行なわれておるということ、これはもうそのとおりの問題でございます。しかし実際問題といたしまして、私どもが処理いたします事件が控訴され、上告されるということになりますと、控訴、上告を通じても事件処理が適切であったか適切でなかったかということは当然上訴審においてレビューされておるということでございます。そういったものは客観的に出てきてまいっておるわけでございます。したがいまして、事件処理が適確であるかどうかといったようなことは、これは客観的にわかるわけのものでございます。客観的にわかるわけのものを客観的に御記載いただくということでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、大阪弁護士会から出ている書類は、法廷処理ということばを使ってあるわけですけれども、これは法廷処理という意味じゃなくて事件処理と、こういう意味ですか。全体を事件処理の能力と見て、その中にまず正確性と速度と法廷処理と書いてあるのですけれども、それ全体が、この三つが事件処理能力ということになってくるわけですか。ぼくもあまり詳しく聞くのは、内部のことに立ち入りますから、あまりこれ以上追及というか、中に入りませんけれども、どうもよくわからないんです。ぼくの考えているのは、別のことを報告でいっているのじゃないかと考えるものですから、それで聞くわけですが、事件処理能力という中に法廷処理ということばがあるらしいのだけれども、それは別のことばですか、あるいは別のものですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、裁判官の配置の適性といったようなことのためには、どうしても所属の所長、長官等の御意見を承らなければいけないわけでございます。その意見を伺うについて、どういう点をめどにして御意見をいただくかというようなことで、そのポイントについての先ほど来のお尋ねであるわけでございます。個々の問題はどういう点が御疑問であるのか、ちょっとはかりかねるところがございますが、これを要するに、一人前の裁判官として、経験年数等平均的な裁判官としてりっぱに事件の御処理をいただいておるのか、あるいは少し雑であるのか、あるいは少し速度がおそいかといったようなことがわかればいいわけでございます。そういったことをわからせるための観点からの御意見をいただくということでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、所長がどうしてそういうようなことがわかるのですかね。それがまず第一点ですよ。 それから第二点は、正確性とか速度とか、法廷処理というのはよくわかりませんけれども、いずれにしても、その中で一体どれに一番ウエートを置くのですか。ただ速いことにウエートを置くのですか。速いことにウエートを置くなら、やれないではないですよね。やり方はあるかわからぬけれども、どうも最高裁のいまのいき方は、いろんな統計をとっていますね。あとで聞きますけれども、各地裁や家裁からいろんな統計をとっているわけですね。そのおもな統計というのは、新しい事件が何カ月以内に終結したかとか判決したかとかそういうような統計で、とにかく速くやらなければならない、速くやらなければならないということで、第一線の裁判官がそのほうに力を注がれている、こういうふうにとれるわけですけれども、まあそれはそれだけじゃないと思うのですけれども、いまはどこにウエートを置いているのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 これは御承知のように、裁判は国民の権利義務に非常に重大な影響を及ぼすものでございます。速ければ速いほどいいというようなものでないことは当然でございます。適確なものであって、しかも速いということで、その迅速、適確ということの要請が相矛盾しながら常に問題になっておるということは、稲葉委員もすでに御案内のとおりであります。決して早ければいいというようなことで申し上げているわけのものではございません。したがいまして、そういう観点からのお尋ねでございますれば、私どもは、やはり正確性と申しますか適確な判断と申しますか、適確な事件処理と申しますか、こういったところが当然中心になってくることであるというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 いまの法廷処理ということばが正しいかどうかは別として、その中に裁判官の訴訟指揮のやり方がいいか悪いかとか、そういうような点まで高裁長官なり所長からの報告の中にあって、その点も含めて考課調書というようなものができているのではないですか。訴訟指揮のことを問題にして記載しているというとことばは悪いが、それが中に入って、裁判官の勤務評定ということばがいいか悪いかは別として、それが行なわれているのではないですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 訴訟指揮ということが直接問題になってくる、問題にされるというものではないと私どもは考えております。
○稲葉(誠)委員 いろんな法廷での指揮、これは裁判長の権限ですけれども、たとえば公安事件あるいは労働事件というか、そういうふうな事件のときの訴訟の指揮がどういうぐあいであったということについては、一々各下級審から最高裁に報告がいっているのじゃないですか。どうもその話を聞くのですが、はなはだしいところになると、あるいは私の言うのが間違いであれば非常にいいのですけれども、刑事の首席書記官というのがいますね。刑事の首席書記官というのは、そこの裁判所のはえ抜きの人ではなくて、大体東京なら東京から、一年か二年ぐらいの予定で各地裁のほうへ行っているわけです。その刑事の首席書記官から逆探知みたいな方法で、裁判官の訴訟指揮がどうであったかということの何か報告がいっているんだという説があるのです。私は、これは間違いだ、そんなことはないと思うのですが、まさか所長を通さないで直接いくというのも変だと思いますけれども、そういうことを盛んに言う人がいるんだ。それは別として、とにかく法廷における公安事件や労働事件、こういうふうなものの訴訟指揮のやり方がうまいとかまずいとか、こういうことについての、所長なり高裁長官からの報告が最高裁にいっているのかどうかということと、いってなくとも、裁判官の勤務評定というか、そういうようなときに、それが参考になるのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 あるいはそういう観点からのお尋ねではなかろうかと、先ほど来思っておったわけでございます。そういうことでございますれば、それは全然関係がないことでございます。
○稲葉(誠)委員 その点またあとからお聞きしたいと思います。 そこで、十四日に結論が出るという再任の問題、これは法律的な議論としては、いままで何回となく戦わされておるようですが、これは平行線というか意見が合わないわけですが、それをまた蒸し返しても時間がたつだけだと思うのですけれども、結論的にお聞きしたいのは、この再任の問題については、最高裁の全くの自由裁量なのかということです。まず、その点だけを最初にお聞きしたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 理論的にはお尋ねのとおりだと考えております。しかし実際の運用といたしましては、十分その辺を勘案いたしまして、キャリア的な運用がなされておる、このように御了解いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 理論的に全くの自由裁量ということになれば、当然それに対する不服の申し立てということが法律的には認められないわけですね。そう承ってよろしいでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりに考えております。
○稲葉(誠)委員 非常に重要なことだと思うのですが、そうすると、修習生が判事補を希望するときに、再任の問題が一番大きい関心事であろうかと思うのですが、十年たった後の再任というのは全くの自由裁量なんだ、それからはずれたならば、もう異議の申し立ても不服の申し立ても何もないんだ、簡単にいえば切り捨てごめんだ、こういうふうなことを修習生に説明するのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 この問題は、一昔前はそういった点の皆さんの御認識が十分でないという面もあったろうかと思いますが、一昨年末でございますか非常に問題になりまして、現在では、私どもがそういった考えを持っておるということは、修習生諸君も十分了解しておられますので、特にその点については私どものほうから説明をするということはいたしておりません。ただ、質問でもございますれば、当然いま稲葉委員にお答えしたようなことを御説明するということに相なろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 いまの最高裁の考え方からいけば、十年つとめてきて再任をされない、それは理論的に、全くの自由裁量によるから、それに対する不服の申し立ても異議の申し立ても全然できない。ぼくは全く反対ですけれども、そういうものは、憲法が裁判官に要求しているというか、あるいは憲法の精神に合致するというふうに考えるのですか。これはぼくは問題だと思うのですが。
○矢口最高裁判所長官代理者 憲法の八十条でございますが、新しい憲法が裁判所に非常な重要な使命を与えまして、成り立ての裁判官でも違憲立法審査ができるというような重要な権限を与えたわけでございます。そういったこと、しかも裁判官の在職中には身分の保障があるということ、そういうことを考えまして、やはりバランスをとる上において十年の任期制というものをつけておる。その任期というものは、一般にいわれます任期と全く同様のものである。十年たてば当然それで終了するものである。ただ再任されることができるにすぎないものであるというふうに憲法を解することが、やはり私は憲法の解釈として当然出てくる解釈ではなかろうかと考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 ほんとうなら、もう一つここでこういう質問が出てくるわけです。憲法の解釈論はそれでいい、わかった。だけれども、人権を尊重する日本の憲法の精神からいって、それは一体どうなのかということの質問が出てくるわけです。だけれども、そこまですると答えが非常にむずかしくなってくるでしょうから、やめますけれども、それはちょっと私は納得できないですね。形式論的には確かにそうかもわかりませんけれども、いま言ったようなことがずっと修習生に流され、それから現地の裁判官に流されれば、裁判官の志望者というものはどんどん減ってくるのではないですか。 そこで、今度の場合に、修習生から裁判官を希望する者がいま何人いるのですか。そのときによって違いますからわかりませんが、いま六十何名というように聞いたわけですけれども、そうすると、たとえば希望者が百名なら百名にふえる、あるいは八十名にふえた、こういう場合にでも判事補に採用する人はぴしっときまっているのですか。そこはどうなんですか。人数がそこまでぴしっときまっていてそれは動かせないものなのか、あるいは判事補の希望者がふえてくれば判事補になる人数がふえてきてもいいのか。そこら辺のところ、定員法との関連はどういうふうになっているのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 これは今回御審議いただいております定員法の御質疑の冒頭に大竹委員の御質問についてお答えしたかと思いますが、私どもの補充計画をお考えいただきますとおわかりいただけるわけでございます。 判事は、十五期が判事補から今度春に判事になりますので、そういったところで大体定員を満たすというふうになっております。それから判事補も大体六十数名という採用をいたしますと、これで定員を満たすことになるわけでございます。簡易裁判所の判事が、春以降に採用を予定しております選考によると任用というものが五十名ほどあるわけでございます。もし判事補の希望者が多数出てまいりますれば、現在判事補本務でありますものを簡易裁判所判事本務に任命を切りかえることによりましてそこにあきが出てまいりますので、極端な言い方をいたしますと、六十数名の上に五十名までの希望者である限りは採用することができるということになるわけでございます。しかし、これがたとえば百五十名というようになってまいりますと現在の定員では採用不可能になってまいりますけれども、実際の問題といたしましてあと十数名や二十数名希望者がかりにふえましても、定員の本務、兼務の切りかえを行なうことによりまして判事補の採用は全員について可能であるというふうに私どもは考えております。
○稲葉(誠)委員 そうするとぎりぎり何名ぐらいまではとろうと思えばとれるわけなんですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 大ざっぱな数字でございますので一、二名の差は出てまいるかと思いますが、百名までならば、いい方であれば全員採用ということでございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、いい方であればと言うのだけれども、それはいい方でない者をとるわけにいかないけれども、いい方というのはどういうのをいい方というのか、そこがまた問題になってくるわけですよ。答えによって次から次へと質問が出てくるわけで、これはしようがない。どういうのをいい方というのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 判事補としてふさわしい方ということでございます。
○稲葉(誠)委員 有名な話があるわけですよ。御存じだと思うのですけれども、京都大学の滝川博士が言ったことばですけれども、なぜ勾留を継続するのかという質問が出たときに、勾留をする必要があるから勾留する、これじゃ、全然答えにならないわけですよ。内容は全然ないわけです。滝川さんはいつか笑っておられたのですけれども、それはそれとして、判事補にふさわしい人ということになるのだけれども、そこで問題になってくるのは、ぼくらの聞く範囲では、二回試験がまん中以下では判事補としていい人じゃないというふうにお聞きしてよろしいですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 そうはっきりと二回試験が半分以下ではというふうにも実際問題として割り切れないのではなかろうかと考えますが、ただこれは、釈迦に説法でございますけれども、口頭試験のむずかしい試験を受けて二年間修習をされてきておる方でございますから、大部分の方が判事補としてふさわしい方であろうかと思います。しかし実際問題としまして、私どもが成績とか何とか申しておりますのは、何も二回試験の筆記とか口述というあの試験だけで判定しておるのではございませんで、修習期間全部を通じてふさわしいかどうかということでございます。そうしますと、そこには今後の非常に伸びる資質でございますとか、そういったことも問題になってくる。いまが頂点の方がかりにいい成績でも、そんな方よりもいまは下から三分の一くらいでも今後伸びる素質のある方、そういうことが判定できますならばこれはいい方である。それは御指摘のようになかなかわかるものではございません。としますと、元来いい方でありますから、そういう方の中でまん中辺以上の評価を受けておる方であれば大体申し分ないのではなかろうか、一つの目安的なものに相なろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 そこでただ、そのラインが——あまりこまかく聞くのはあれですけれども、多少上がったり下がったりしておるので、多くとるためにラインを下げたというような話も聞くのですけれども、それはそれとして、あなた方の内部のことにあまり立ち入るのもなんですから聞きませんけれども、判事補になるときに、率直な話、A、B、Cという三つのランクづけをするのだということを聞くわけです。Aの一番上のほうが最高裁事務総局に入るわけだ。一番いいのが人事局長になるという話も聞くのだけれども、いまの話は冗談ですから、取り消してもいいし、取り消さなくともいいというのだったら取り消さなくてもいいけれども、それはそれとしてA、B、Cのランクづけをする。そこで判事補から何か承諾書みたいなものを取るでしょう。直接ランクづけとは関係ないかもしらぬけれども、承諾書じゃないのかな、何を取るのかな。判事補の任地が三年ごとに変わるでしょう。だから三年ごとに変わるというのは、そのときにはどんなふうにしてやるのかということが一つと、それからなぜそういうふうなことをするのですか。あれは十年の任期のうちにどういうふうに分けるのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 実は裁判所法ができましてしばらくの間は任期十年ということでございましたが、その間にいま御指摘のような異動をやるということまで組織的にはやっていなかったのでございます。しかし、三十年の少し前ごろからでございますか、皆さん大都会を希望される、ことに東京とか大阪とかいうのは希望者が非常に多いわけでございます。そのままにしておりますと一たん東京、大阪に入った方はそれでいいのでございますが、いなかの小さいところ等へ行かれた方は、都会があきませんためにいつまでたっても大都会あるいは中都会においでになれないということになりまして、満足しておる人は大いに満足し過ぎるし、任地について不満をお持ちの方は、その不満がいつ解消されるかわからないというような状態が出てまいります。そのことが一つと、それからもう一つは、実際問題といたしまして、大きなところで、事件にいろいろバラエティーがあるようなところで御修業をなさる方のほうが修業の機会にも恵まれておるということでございます。任地のために本来伸びる素質のある方が足踏みをさせられるということもお気の毒でございます。そういうことがございますので、これは十分皆さんの御意見もお聞きしましてこれは二十八年か九年であったかと思いますが、三年ごとに原則として修業期間と申しますか、判事補の間でありますが、判事補の間は異動してもらうことにしようじゃないか、これは最高裁とか人事当局のためということよりも、むしろお互いに仲間うちのためにそういうふうに大きなところで勤務した人は次は比較的小さいところで勤務するというようなことで、交代してもらおうじゃないかというようなことを呼びかけまして、皆さんの御賛同を得まして実施いたしましたものが現在行なわれておる三年ごとの異動ということでございます。この発足当初ではそういうことでございましたので、三年ごとに十年間異動ということになりますと、大体三回の異動ができますので、その三回の異動は公平に行なおうとすれば、非常に大きいところ、中ぐらいのところ、それから比較的小さいところ、甲号支部とか乙号支部、これをA、B、Cと俗に言いまして、そのA、B、Cをそれぞれ十年間のうちに経験してもらうような原則でひとつやっていただこうではないか。そして十年たって判事に任命されますときは、これはまた別途の問題でございますので、判事補十年間の実績を踏まえて判事にふさわしい任地に行っていただくということで、実はこのA、B、Cによる三年間の異動というものは判事になってからまで考えておったものではないわけでございます。しかし実際にこれを実施いたしてまいりますと、判事補の間は三年ごとに異動するが、判事になればもう絶対異動しないということになりますと、また先ほど申し上げました判事補についての問題と同じような問題が起こってまいります。現在のところ、いろいろ一部にいつまで動かすんだという御不満も実はあるのでございますけれども、大体十五年前後ぐらいまでの間は判事補の場合の延長的な意味において異動の地ならしをしていただきまして、十五、六年を過ぎたところでそれぞれの地に定着していただくような方針で異動を行なっておるというのが実情でございます。したがいまして、判事補に任命されますときにはよくそういうことが行き渡っておりますので、特に三年たったら必ずおまえはどこどこへ行け、たとえば東京に最初に初任で来た人におまえ、三年たったら小さな乙号支部に行くことを承諾しろといって、では承諾します、承諾書を出しなさいというようなことはいたしておりません。ぜんぜんいたしておりませんが、もう皆さんこれはよくわかっておりますので、三年たったときに異動を交渉いたしますと、全員の方が快く異動していただけるというのが実情でございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、判事補並びに判事には転地の自由、昔ありましたが、いまでもあるのか、どうなっているんですか、それは。
○矢口最高裁判所長官代理者 もちろん判事補にいたしましても、判事は当然でございますが、転地の保証はございます。したがいまして、どうしてもいやだとおっしゃる限りにおいては、これは動かすことのできないものであることは当然でございます。いまの方針と申しますのは、これは先ほど申し上げましたように、全員の方にそういう方針を御了承いただいて、これに基づいてできるだけ公平に異動を行なうということでそれぞれの方がそういった趣旨を了承していただいて異動を御承諾いただいておるというわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、判事補で任地が変わるというときに、それを断わるというふうなことになると、それが再任拒否のときの一つのマイナス点というか、そういうふうなものになってくることも考えられるわけですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 具体的にはいろいろの方がございますので、お断わりになる方もないわけではございませんが、御事情ごもっともだということであればもうそれまでのものでございます。
○稲葉(誠)委員 時間の関係で最後にしますけれども、まだ判事補の問題ないし書記官の問題その他予算の問題などあるのですが、一つお聞きしておきたいのは、ある新聞に出ておったことなんです。たとえば七日の再任をめぐる裁判官会議に、事務総局が出した資料の中に、各判事補の個別的な——いろいろなことがあると思うのですが、その中にAならAという判事補はこういう裁判をした、Bという判事補はこういう裁判をした、こういうふうなことが資料として出されておるということが伝えられておるわけですね。そういうふうなことがあるのですか。たとえば、ぼくらの聞いている範囲でも、この判事補はこういう裁判のときに関与した、大体判事補だから合議体でやったのでしょうけれども、そう伝えられている、その点はどうなんですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 正面からのお答えになるかどうかわかりませんが、昨年の春の十四期の再任問題のときに、私、新聞記者からの質問がございまして、審議の中で判事補が出した個々の判決の内容の当否が問題にされることはなかったという趣旨のことを述べております。これは当時の新聞にも載っておるわけでございます。これでお答えになりますかどうかいかがなものでしょうか。
○稲葉(誠)委員 十四日に継続して最高裁の裁判官会議をやられるということですから、これ以上立ち入ったことをお聞きするのは私としてもやめますが、やはり修習生、それから第一線で裁判をやっている裁判官、これらの人の中ではあたりまえのことですけれども、再任の問題には非常に強い関心を持っておられるわけです。だから十四日の裁判官会議では、ここに出ておられる方がやられるわけではないのです。それだけの権限は皆さんにはないわけだ思いますが、いずれにいたしましても、全員がパスするように、それでないと非常に大きな混乱が起きるし、それから不安というか、それが巻き起こってくることでもありますし、司法権の独立、いろいろな問題に関連してまいりますので、当然のことだと思うのですが、全員がパスするように私たちは希望して、時間も来ましたので、私のきょうの質問を終わります。
○中垣委員長 次回は、来たる十三日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十九分散会