法務委員会 第6号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/02/28
会議録
○中垣委員長 これより会議を開きます。 法務行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 本日、破防法の問題につきまして質問を予定いたしておりましたところ、きのう大臣が参議院の佐々木静子委員の質問に答えられておったのが新聞に出ておりました。短い時間だったそうでありまして、そのお答えの内容がいかなる理由かという点について、少しはっきりいたしませんので、多少の時間をいただいて、破防法の問題につきまして、この際、大臣の意見を正確にただしたいと思います。私の質問の焦点は破防法の調査の指定団体であるいわゆる十六団体、その十六団体のうち特に今日問題となっておりますのが日本共産党とそれから朝鮮総連、この二つであります。この二つにつきましてはすでにもうあちらこちらで問題提起がなされておりますから、この際正確にひとつ議論をいたしたいと思うのでありますが、まず第一に法的根拠から伺いますが、公安調査庁が十六団体を指定をいたし、その調査を行なっておりますのは、破防法の第何条に基づくものでありますか。
○田中(伊)国務大臣 法律の明文に直接の規定はございません。ございませんが、何を根拠にやっておるのかというお尋ねでございますと、破壊活動防止法に根拠がある。破防法の命ずるところによって調査をいたします調査は、調査を受ける団体の人権に、団体の人権というのはおかしいのでありますが、団体のお立場、権利にできるだけ影響のないように、いわば御遠慮をしながら必要最小限度の調査をしなければならないということが破防法の大精神でございます。それは破防法の条項のどこにも注意をしろ、注意をしろと書いてあるとおりでございます。その条文にのっとって考えます場合には、わが国には数千の団体がございます。その数千の団体を選ばずに、どれもこれもそういう懸念がないのかということで調査をしていくということは、限られた法務省の人手をもってはとうてい及ばぬことでありますと同時に、調査を受けますそれぞれの団体についてはまことに迷惑きわまるところでもある、こう考えまして、その破防法の必要最小限度にとどめよという精神を尊重いたしますと、過去において暴力主義的破壊活動を行なった疑いがあり、将来同様のことを繰り返す心配がある、こう考えられる団体を選びまして、これに調査の重点を置いて調査をせよということを、公安調査庁の長官が部下に対して指示をする。行政法上どういう内容のものかというと、行政法上の監督権、指示権に基づく指示である、こうお考えをいただいて該当すると存じますが、長官が部下の職員に調査に関して行政上の指示を与えたもの、これが対象となっておるのでございます。そういう趣旨のものであると御了解をいただきたいと存じます。一口に申しますと具体的条項はないが、破防法の精神にのっとって調査の範囲を最小限度にとどめる、こういう考え方から行政法上の監督権に基づく指示を行なっておるものである、これが指定といわれております。 そういう、おまえの言うような指示の内容のものであるならば、外部にそれを発表することはおかしいじゃないかというおことばが続いて出ようかと存じます。先を越えて答弁申し上げて恐縮でありますが、そういうこともあるかと思いますが、それは本来は内部の記録にとどめておくべきもので、何月何日口頭をもって部下職員、調査官に対してこういう指示を長官が行なったものであるということを記録にとどめる、その程度でおくべきもので、これを外部に発表したり、国会で答弁をするということ自体はいかがなものであろうか、こういうふうに考えるほどの筋のものでございますが、国会でいやしくも質問があって答弁をせぬわけにはいかぬということで、今日では十六団体ということも、十六団体の名前も全部表に出ております。ただその十六団体を調査をいたしました調査の中身というものは表面に出していない。そういうものを出せばもう調査はできなくなってしまいます。そこでそれは表面に出しておりませんけれども、十六団体の名称も、十六団体を指定いたしました指定の年月日も、これは今日においては遺憾ながら表面に出ておるわけであります。そういう次第であります。
○横山委員 問わず語りに、この何といいますか運用の問題点を大臣はみずからお話しになったような気がしますが、いまの大臣のお話を裏を返していえば、この破防法の条文の何条に根拠を置いてやっているわけではない。精神に根拠を置いてやっているのだというわけですね。それから同時にもう一つ裏を返していえば、どこをどう調査しようと、それは公安調査庁長官の自由裁量権である。その大ワクとしては、かって暴力主義的破壊活動を行なった疑いのあるもの、将来そのおそれのあるもの、こういう大ワクはかかっておるけれども、しかしそういう判断をする基準は公安調査庁長官がきめるのであって、他に容喙される問題ではない、いわゆる自由裁量権の範囲内のものである。その範囲内といっても明確に赤、青というような、信号のような問題ではないから、全く自由裁量権にゆだねられている。そしてかってにきめて、そしてかってに指示をする。指示をされて公安調査官が、第何条による権限ではなくて、法の精神に基づいて調査をするんだ、言うならばこういうお話であります。私はその十六団体についていまここで具体的に議論するわけではありませんが、たいへん迷惑しごくなことである。そして調査は普通調査であって何ら権限を持っているものではない。条文のどこにも権限がゆだねられているわけではないのだから、全く普通の任意調査である。けれども、警察なり検察官と密接な情報交換を行ないつつおやりになる過程には、さまざまな問題が起こっておる。さまざまな実にたくさんのスパイ事件が起こっておる。こういう状況でありますから、指定をされた瞬間、調査を受けている瞬間世間に対する信用、本人の社会的信用、そういうものはきわめて暗い霧に包まれる、こういう状況なんであります。私があらためて破防法を見てみて、いま世間の話題の中心になっております公安調査庁の行なう十六団体の調査は、破防法の条文のどこにも根拠がなくて行なわれておるんだ。破防法の精神に基づいて調査が行なわれておるというような言い方というのは、きわめてかってな、ある意味ではかってな理屈で、何らの権限がないといいながら、社会的に大きな信用の失墜なり何なりをもたらす問題をそういうやり方でやってはいかぬのではないか。いま十六団体ということが世間でも喧伝されておる。あの団体はかつて暴力主義的な行動をした疑いがある、将来もやるおそれがある団体である、そういうふうなきめつけを、公安調査庁といえば政府でありますから、政府がそういう折り紙をつけるということがそんな任意な自由裁量で行なわれるべきではなくて、もしどうしても必要であるならば破防法の中に、そういうおそれのある団体を選択いたしますときの公安調査庁長官のあるべき規制というものがあってしかるべきではないか、こういうふうに思います。いかがです。
○田中(伊)国務大臣 横山先生のただいまの御見解を私のほうでそのまま黙って承っておきますと世の誤解を招くおそれもあると考えますので、ちょっと一口お聞きをいただきたい。 私の先ほどの答弁に舌足らずのところがあろうかと思いまするが、公安調査庁の調査官の行なっております調査に法律上根拠がないということではございません。これは破防法二十七条という条文をごらんいただきますと、明らかに調査の権限を持っておる。そこで調査の権限は破防法二十七条によって与えられておるのだけれども、どういうやり方で調査をするのかというやり方については明文はない。明文はないが、破防法の二条以下の精神に基づいてやるということになるならば、あらゆる団体に手をつけるというわけにいかぬ。いかぬのみならず、それは法律の精神上適当でないから、過去において暴力主義的破壊活動を行なった疑いがあり、将来これを繰り返す心配のある団体を指定いたしまして、これを調査せよというふうに指示をいたしまして、そして調査をしておるんだ。その調査のやり方は法律の精神を尊重しておって、明文そのものはない、こういうことをぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
○横山委員 二十七条というのは「この法律による規制に関し、」つまり第二章の「破壊的団体の規制」をするべき条件に伴う調査であります。この条文を拡大解釈をしまして、規制の必要があるかないかはわからぬけれどもとにかくまあ調査しろというふうに拡大解釈をあなたがなさっていらっしゃるのではありますまいか。いま十六団体は第二章「破壊的団体の規制」をすべてする必要があるという前提に立って行なわれておるのか。それともそういう必要があるかないかわからぬけれども、とにかく必要な調査をする、こういう後者の意見でありましょうか。後者の意見だとするならば、私が指摘をいたしましたように、まことに広範な調査権を持つということになってしまいますよと私は言っているんです。どちらです。
○田中(伊)国務大臣 公安調査庁は、過去において暴力主義的破壊活動を行なった容疑があり、将来またこれを繰り返す心配があるというそういう事案を調査いたしまして、これはいけないということの結論が出るならば、これに対して規制の請求を行なうことが役所の任務であり、そういう役所の任務を達成する上から申しますと、事前の調査、確定をいたします事前の調査というものが全くない調査というものでは、調査の任務の達成ができません。したがって、さように認定をする団体なりやいなやということを認定いたしますには、規制の決意をいたしますには、公安審査委員会に対しまして規制を請求する。その規制の請求をする任務を達成いたしますためには、そういう団体であるかどうかということのその寸前の調査がなければできない。その予備調査というか基礎調査というか事前調査というか、そんなことは別のことじゃないか、おまえそれは拡大解釈じゃないかと仰せになるかもしれませんが、その先生の拡大と仰せになる事前調査、基礎調査、これなしに任務の達成のしょうがないでしょう。公安調査庁の動きようがないでしょう。そこで、この二十七条の条文に書いてありまする「調査」とは、いま先生仰せの本来の調査のほかに、そういう規制の請求をする任務を達成するために必要な限度において、必要最小限度の事前調査というものが許されなければ任務の達成はできない、こういうことで、それは必ずしも拡張解釈とは私は考えておりません。その条文の中にずばりその事前の調査はできる権限が入っておる、それが入ってなければ話にならぬ、こういうふうに私は解釈をしておるのであります。
○横山委員 あなたがそう説明をなされようとも、結局は公安調査庁長官——十六団体の指定は、法務大臣が長官の申請に基づいて認可をなされるわけですか。それとも長官の独断でありますか、どっちですか。
○田中(伊)国務大臣 一口に申しますと、公安調査庁長官がやるわけです。私は公安調査庁長官のやりますその指定という事実とはどんな関係があるかと申しますと、内閣法、それから行政組織法、もう一つは法務省設置法というこの三つの法律によりまして、長官のやっております事務を統轄しておる、私にこういう立場があるということでございます。ことにこれは法務省の設置法によって明らかなように、外局でございます。私どもの外局でございますので、外局というものの立場、でき得る限り外局の意見を尊重するということが行政法上のたてまえでございますので、ここを指定したいといえば指定したいという気持ちを尊重する。してはいけないということの統轄権に基づく指示は私はせない、こういうことでございますので、私が指定をしたり指定を解除したりという権限はございません。長官の権限でございますが、法律のことばで申しますと長官の統轄、統督をしていくのが私の立場でございます。
○横山委員 そうすると、十六団体指定の最終責任というのは公安調査庁長官が負う、こういうことですか。
○田中(伊)国務大臣 さようでございます。
○横山委員 それでは公安調査庁長官にお伺いいたしますが、いま調査庁の人は、四十八年度予算で何人で、予算総額どのくらいでおやりですか。
○川井政府委員 私のところの定員は全部で、全国合わせまして二千十九名でございます。これが総員でございます。 それで今度四十八年度に要求しておりますのは、全体の予算で五十三億四千万余りでございます。
○横山委員 五十三億七千四百万ですね。——二千数百人の陣容を擁し、五十三億七千四百万円という巨額の予算をお持ちになっておる。どんなことをやっておられるかと思って、私四十六年度ですが、「法務年鑑」を見てみたのです。この「法務年鑑」は膨大な資料なんですね。その中で公安調査庁はここからここまでだけです。「公安調査庁は、公共の安全の確保に寄与することを目的とし、破壊活動防止法の規定による破壊的団体の規制に関する調査及び処分の請求等に関する国の行政事務を遂行する行政機関である。なお、昭和四十六年中には公安調査庁長官において、破壊的団体の規制処分の請求手続を執ったものはない。」これだけなんです。あとは大臣が先ほど先手を制しておっしゃったらしいのだけれども、外に発表することはあまり芳しいことではないということらしいのです。これはあまりにちょっとなめたやり方じゃないでしょうか。これだけ「法務年鑑」の膨大なものがありながら、五十数億の金を使いながら、国民に対する報告は、ばかにしたような、法律の文章よりも短いたった三行か四行で、五十数億を何のことだかわからぬような使い方をしてもらっては困るのですよ。何を一体毎日毎日二千数百人がやっておるのですか。国民に対する報告義務は何もない、国会に対する報告義務も何もない。先ほど大臣がおっしゃったような言い方によれば、お話しすることは何もない、こういうことでしょう。これでは国会や納税者に対する秘密主義もあまりにもひどいとお思いになりませんか。
○田中(伊)国務大臣 横山先生のおことばはいかがなものでしょうかね。法務省の外局として設置されております公安調査庁は法律に基づいて設置されている役所である。それが仕事をしてまいります。その仕事の内容は、その団体が暴力主義的破壊活動を将来行なうおそれがあるかどうかという重要な事柄が調査の任務でございます。それを公表したり発表したりすることは、それらの当該団体に対してたいへん御迷惑をかけることになるもので、これは秘密裏に行なうことが原則のものでございます。秘密でなければならぬものである。何月何日どこの役所の何の何がしというものにこういう調査をしてきた、これが調査の成果であるということを発表すべき筋のものではない。してはならぬものである。こういうふうにお考えをいただきますと、公共の安全のために存在をする、法律に基づいて設置されておる公安調査庁というものの存在をそういうふうにお考えいただくことはまことに困るのでございます。「法務年鑑」に報告する材料が少ないからといって、それをもって何をしておるかわけがわからぬではないかということを仰せになりますということは本意でない。この役所の行なっておりますところは公表できないもの、公表したのではあとが続かぬもので、それを公表いたしますことは差しさわりばかりができてまいります。ですから私は三たび法務大臣に就任をいたしましたときに、いの一番に言うた。なぜ十六団体というものを外部に発表したのか、どういう事情で発表したのかということをたいへん声を強めてこれは究明したことでございます。国会で御質問があって言わねばならぬ立場に追い込まれたので十六団体ということについては今日まで言うたのだ、こういうことも明らかになったくらいでありまして、大体十六団体ということを外に漏らすべきものでない。何月何日に何々団体を指定をいたしましたなどということを言うべきものじゃない。黙ってやらなければやれぬものである。それほどに機密裏にこれを行なわなければならぬ性格の役所がこの役所でありまして、国家、国民に対して任務を達成する上からはこのやり方でなければならない、こういうふうに私は信念を持っておりますので、この点はどうぞ御了承をいただきまして御理解をいただきたいと考えるわけであります。
○横山委員 了承できません。指定されておる諸団体が何か極悪非道の犯罪人の結集であって、何人もそれを容認をする、したがってそれについては国民的なコンセンサスがあるという場合ならば、あなたの言うこともわからぬではない。しかしその場合であっても、少なくとも調査の方法については恕すべき点があったとしても、国民のコンセンサスを得るためには指定団体を公表すべきである。私はそう思う。いわんやコンセンサスがない巨大な団体がいま私の話題になる二つだ。在日本朝鮮人総連合会、日本共産党、この二つはどうして名前を指定も発表もできず、こそこそと——と言ってはいまあなた方の指示を受けて活動していらっしゃる調査官に気の毒だけれども、秘密裏にということは結局こそこそでしょう。どうしてこそこそやらなければならぬのかということなんであります。このけじめをはっきりしてもらわぬと、いつまでたってもこの議論は絶えないと私は思う。 そこでまず第一に在日朝鮮人総連合会に対する問題を聞きたいと思う。一体今日の朝鮮総連が朝鮮総連として過去に暴力主義的破壊活動をやったということはありますか。ないでしょう。どうなんですか。
○川井政府委員 現在の総連の前身と私ども見ております民戦時代に破壊的暴力活動が行なわれたというふうに考えております。
○横山委員 民戦と総連の違いについては、あなたも特に選ばれて長官におなりになったのですから、国会で議論になるのは承知の上ですから、相違点についてよく御存じのはずであります。民戦の当時においてある意味においてそういう疑いがかかったという事件がないではありません。しかしもうとっくにあなたが御存じのように、そういうことがいけないということになって総連が発足をした。人的構成につきましても首脳部は一変をした。そして運動方針もまた一変をした。私の承知しておる限りにおいては、当時金日成首相から一つのサゼスチョンがあって、それを受けて性格、人的構成、組織が一変をしたというのであります。その点についてあなた方は御存じないはずはない。それをどういうふうに民戦即総連として考えられるのか、それを伺いたいと思います。
○川井政府委員 破防法の面からいいますと、団体の同一性があるかないかということがまず問題になると思いますが、私どもの判断の基礎といたしましては昭和三十年に民戦が発展的解消を遂げて現在の総連になったということ。その当時のいきさつ、民戦が総連になった日時それから会合に参加いたしました代議員の方々の構成、そういうふうなもの。いわゆる発展的解消を遂げた当時のいきさつ、それから両者の人的構成、幹部役職員はもとより構成員に至るまでどういう相違があるか、同一性があるかというようなこと、あるいは両者の財産がどういうふうな形において承継されたかというふうな問題点、それから運動の中心としての課題である綱領がどういうふうに異同があるか、同一性があるか。規約の点においてはどういうふうな点があるだろうか。それからいま御指摘になりました行動綱領と申しますか行動方針、そういうふうなものについてどういう相違があるだろうかというふうなこまかい具体的な諸点を検討いたしまして、この二つの団体の間には破防法上の団体の同一性があるんだ、こういうふうな結論に当時達して今日に及んでいるわけでございます。
○横山委員 そういう抽象的な同一性があるではいかぬ。どこにどういう同一性があるか。たとえばあなたのおっしゃる綱領を比較してみましょう。 三十年ごろの綱領を比較してみますと、民戦のほうは日本帝国主義という文字が出てくる。あるいは日本軍国主義という文字が出てくる。それから総連のほうは、その趣旨たるところは日本の革命、民主化のための活動は朝鮮人がやることは誤りであるという立場に立っておる。そしてもっぱら日本の内政に干渉すべきではないという立場に立って、それから民族教育、朝鮮人の権利擁護、自主統一という立場に立っておる。この綱領を二つ見比べて同一性があるということにどうしてあなたは飛躍できるのですか。十分に見ればその基本方針が明らかに大きな違いがあるということにお気づきのはずです。あなたはいま朝鮮人総連合が持っております自主、内政不干渉、そして在日朝鮮人の権利擁護ということに徹底しておるということを否定なさるお気持ちがあるのですか。いまの朝鮮総連についてあなたが調査していらっしゃる立場において、破防法による「当該団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる」ならば、どこにいつどういうふうな事実があったか、説明をしてもらいたい。
○川井政府委員 ただいまお示しになりました条文のような事情と証拠がありますれば、それは五条に基づいて規制請求の手続をとらなければいけない段階になるわけでございます。そこで大臣も先ほど御説明になりましたが、二十七条の調査というものはそういう必要があるかないかということを事前に調査する権限だ、こういうふうに私ども解釈をいたしておりまして、しからば調査をするのは何の疑いもなくていきなり何でも調査できるのか。こういうことになりますと、冒頭からいろいろお示しあるいは御指摘になりましたような二十七条の解釈はしぼられてくるわけでございますが、まず第一には、前に破壊的な暴力活動を行なったと認められる、そういうふうな団体につきましては、重ねて行なうような可能性といいましょうか、危険性といいましょうか、そういうふうなものが証拠によって認められる限りはそれを調査しなさいというのが調査の趣旨でもありますし、また公安調査官が存在する理由でもある、こういうふうに考えているわけであります。
○横山委員 あなたの言う認められる限りは調査をしなさい——それじゃ認められるのですね。認められる根拠は何かと聞いている。
○川井政府委員 ただいま同一性があるということについてもごく概括的に申し上げましたが、その一項目一項目につきましてまた詳しい資料というふうなものも整備してございます。申し上げる準備はあるのでございますが、それはともかくといたしまして、それでは現在疑いを持つ可能性がありとして調査をしておるその根拠を示せ、こういう御要求でございますので、私どもの考えておる一、二の点をお話し申し上げたいと思います。 私どもの考え方ではいままでの調査の結果を総合いたしまして朝鮮労働党とわが国に存在しております団体である朝鮮総連との間には非常に密接な関連があるというふうに私どもは見ております。その具体的なあらわれといたしましては、朝鮮総連の機関紙的な役割りを持っているものではないかと見ております朝鮮新報というふうなものが公然資料として頒布、公表いたされておりますが、そういうふうなものをこまかく検討いたしてまいりますと、朝鮮労働党の機関紙である労働新聞に発表されましたたいへん重要な行動綱領に関するものあるいは指導方針に関するような論説とか意見とかいうふうなものがほとんど例外なしにそれに掲載されて部内あるいは部外に頒布されている、こういうふうな事実が認められるわけでございます。そういうふうな点から申しまして、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、そういう事実を踏まえまして両者の間には行動の面でたいへん密接な関連がある、こういうふうにながめておるのがまず総論であります。 それじゃ、そういうふうな中から具体的な点を一、二御了解を得るために拾ってみますと、順次新しいごく最近のものに触れたいと思いますが、たとえば昭和四十一年十月五日付の朝鮮労働党代表者会議における金日成党主の報告の中には、そのときの主観的、客観的情勢に応じて暴力闘争と非暴力闘争などを組み合わせて行なうべきであるというふうな部分が見えているわけであります。それは十月五日に労働新聞に発表されたものですが、十月八日付の朝鮮新報にそれがそのまま掲載されてわが国の中において頒布されている、こういうふうな事実が認められるわけでございますので、私どもこの四十一年当時の状況とそれからその後における今日のわが国の状況とそれからまた朝鮮半島におけるいろいろな客観情勢というものを踏まえ、あるいはその他の団体の動きというものを一応踏まえて考えまして、このような観点の闘争綱領というふうなものがこの国内において一つの重要なテーマとしていろいろ議論されているということはかなり重要な問題ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。 さらにもう一つ申し上げますと、昭和四十三年九月七日の朝鮮民主主義人民共和国創建二十周年大会での金日成主席の演説がやはりそのままの形において九月十日付の朝鮮新報にやはり転載されまして部内に頒布されております。これは内容が、四十一年よりはさらにもっと明確に、およそ革命においては暴力のみによって遂行することができるんだ、こういうことをきわめて明確にした点が私どもとしてはたいへん注目される、こういうふうに思うわけでございます。こういうふうなものをあげればたくさんあるのでありますが、まあ団体の名誉もありましょうから、先ほど大臣も御心配されておりましたけれども、今後の団体の闘争のいろいろのあり方にも影響があると思いますので、重ねて全部洗いざらい申し述べるといたしますれば私用意もございますけれども、いまの段階では私その二つを一応お答えとして申し上げておきたいと思います。
○横山委員 まことにあきれたカビのはえたような議論ですね。大臣そう思いませんか。あなたは政治家だから、いま長官が言っておられることは、われわれ政治家の感覚からいうと、激動の今日のアジア情勢を何らも加味しないことだと思うのです。四十一年と四十三年の金日成首相の言ったこと、あるいは労働党の主張、私もその当時朝鮮へ行っておったものですからよくわかるわけですが、そういうことをもって、まだほかにもあるとはおっしゃるのだけれども、少なくとも冒頭の基本的な理由の中に、労働党と金日成首相の演説がそうであった、時として平和革命、時として暴力革命をやる、だからいけないのだ。それが第一弾。その記事をそのまま転載するから総連もそうだという第二弾。そしていまのお話の中には、朝鮮総連自身がこの十七年間に破壊活動をやったおそれがある、今後もやるおそれがあるということについては何らの言及も冒頭演説の中にはないわけですね。いかにも古くさいカビのはえたようなことなんです。 そこで、それではひとつ政治論を法務大臣と少しやってみたいと思います。 もし、労働党並びに金日成首相の演説、私はこれにもずいぶんその後の情勢の変化の議論があるわけですが、しかし当時のこの議論をもとにして考えてみて、じゃ朝鮮民主主義人民共和国のこの理論と、中華人民共和国、中国の理論と相違があると田中法務大臣はお考えでしょうか。理論的立場に相違があるとお考えでしょうか。
○田中(伊)国務大臣 横山先生に御理解いただきたいのですが、カビのはえた古くさい事柄を理由にして想定しておるというおことばであります。ある種のそういう感じはありますね。ありますが、なぜそういう古いことを根拠にするのかというと破防法なんです。破防法はどういうことが書いてあるかと申しますと、過去において、いつまでの過去とは書いてない、三年、五年前も過去なら二十年前も過去だ。過去において破壊活動を行なった容疑があり、将来これを重ねて繰り返す心配がある場合において調査を行ない、調査の結果確信が持てるに至ったならば五条によって規制の請求を断固行なえということが破防法で、破防法の規定が過去の古いものを問題にしておるのです。その破防法が国会を通過をして法律となって役所ができてこの法律に基づいて調査が進んでおるという事情ですから、これは御理解をいただきませんと、公安調査庁がかってに古いものを取り出してそれを根拠にしておるというのじゃない。そうしなければならない破防法である。これをひとつ御理解をいただきたいのです。
○横山委員 理解できません。それで、私の第二の質問ですが……。つまり四十一年、四十三年の、朝鮮民主主義人民共和国がそういう理論を採用しておるとするならば、そのことと中国の政府とは同一理論ではないのか、こう言っておるのです。どこが違うのですか。
○田中(伊)国務大臣 かわりに長官から答えます。(横山委員「いやいや大臣から」と呼ぶ)私はお答えを申し上げる材料に乏しいので、長官から答えさせます。
○横山委員 それは大臣ともあろう者がひどいじゃありませんか。日本国政府は中華人民共和国と国交を回復したのですよ。国交を回復するについてあなたは閣僚の一人として、国交を回復する相手国がどういう理論を持っていて、どういう見解を持っておるということを知らずにやったことではありますまい。閣僚として責任をもってやられたはずです。その国交を回復した中国と朝鮮民主主義人民共和国とが共産主義理論においてどういう違いがあるかわからぬはずがない。あなたに聞いているのじゃない、法務大臣に聞いておるのですよ。こけんにかかわることを言っては困る。
○田中(伊)国務大臣 理屈を言うわけじゃございませんが、日中国交回復は昨年の九月二十九日でございます。私は昨年の十二月になって閣僚になったのでございます。したがって承認を与えるときにこういうことを存じておるのではないかということは当たらないと思うのです。で、何をお聞きをいただきましても、大臣は直ちにお答えができるという能力を持っているわけではない。いまのような重要な事柄に私の立場で触れることは適当でないと考えるばかりでなく、私には材料が乏しいのでお答えの申し上げようがない。しかし同じ事柄について答弁の準備のできておる者がおりますから、部下にそれを答えさそうというのですから、これは御理解をいただきませんと話が進みませんね。ですからかわってお答えをさせます。
○横山委員 いけません、そんなひきょうなことは、大臣。大臣も長年政治家をやっておられて私の聞いておることが——ちょっと長官、そばで余分なことを言わぬでもいいよ、個人と個人でやっておるのだから。なぜあなたが告げ口するのだ。とにかく長年政治家をやっておる。なるほどあなたは国交回復のときに大臣でなかったかもしれぬ。しかしあれほど自由民主党内で議論が行なわれ、そして国民をあげての関心事で論争したこの問題について、中国がどういう革命理論を持っておる国か、朝鮮民主主義人民共和国がどういう革命理論を持っておる国か。それが材料がないでお答えできませんでは通らぬですよ。だれにでも聞いてみなさい。みんな妙な顔しておるぞ。田中さんというのはそんなところでごまかす人かなあという顔をしておる。それはひきょうといわなければならない。私の聞きたいことが実は痛いのでしょう。だから逃げたいと思っているのでしょう。つまりそのことは、そういう理論で言うならば、中国も同じではないかと私は言うのですよ。いわゆる敵の出方論といわれる相手次第によって暴力もあり得る、平和もあり得るという敵の出方論については共通なんですよ。しかしそういう敵の出方論であっても中国と国交を回復したではないか。その理論は朝鮮民主主義人民共和国でも同じではないか、長い基本的議論を言えばですよ。しかし今日は、さらにそういう議論が基本的な議論だとかりにしたところで、いまや南北朝鮮は平和的統一というような大きな国策が、合意ができておるではないか。私は言いたい。日本共産党はまた議会制民主主義を尊重するとして選挙に出てこういう前進を遂げておる政党ではないかと私は言うのです。そんなときに古いカビのはえたような議論が世間で通用すると思っているのですか。通用しないですよ。だから私が先ほど言ったように、国民のコンセンサスを得られるような、全くめちゃくちゃなことをやるというところに限って指定をされるならば話はわかる。全部がこれは、国民は疑惑を持っています。それは、二つのものについて全部疑惑を持っています。だから、私はおそらくそうだと思うのですが、公安調査庁の仕事もやりづらくてしようがなかろうと思う。調査官だってそうだと思います。こそこそやらざるを得ぬのです。こそこそやればやるほどまた問題が起こる。ワンクッションかツークッションか置かなければやれませんもの。私はこの裁判の一つの記録を見てみましたが、ワンクッションかツークッションを置いてやってますね。まん中に立った人は、それじゃ迷惑千万なんだ。こういうやり方をせざるを得ない。こういうやり方は国民の合意と同意、協力が得られない。常に問題が起こる。ちょっと話が発展しましたけれども、どうなんですか、大臣。私の言うことわかるでしょう。わかるからこそあなたは答弁を逃げようとしているのだ。腹の中では横山の言うとおりだなと思っている。あなたほどの人が部下に答えさせますという人ですか。ほかじゃありませんよ。田中法務大臣は実務家の実力者で、法務行政に一番たんのうな、あなたはここの大臣になって、三たび三たびと何べんおっしゃった。ほんとうは実質は再びだ。それを何べんでも三たび三たびとおっしゃるほどのあなたは実力者だ、経験者だ。自信がおありになると思う。だから率直に答えなさいよ。
○田中(伊)国務大臣 私は答えたくないという心情が一つあるのです。同時に資料不足なんです。それから中国はどうで、北鮮はどうでということをここで論及することは適当でないというふうに考える。それからいまあなたが仰せになった、カビがはえた、カビがはえたということを何度も仰せになるのですけれども、いま破防法に基づく法務省外局、公安調査庁の行なっておる行動がそれほど当を得ないものだというお考えでありますと、妙な言い方をしますと、破防法を変えてもらう以外にない。現行破防法で調査をやれという御命令でありますと、二十年前でも十年前でも五年前でも、古くさい過去を探る。暴力主義的破壊活動をやった容疑が過去にある。過去は何年前の過去ということは書いてないです。過去に容疑がある。将来その心配があるという条件が整うておるかどうか、整うかどうかの調査を行なう、整うたという結論があるときにおいては五条によって規制をする。こういうことが破防法に基づく役所の役目でございます。そういうことでございますから、現行法をそのままにおおきになって仕事をせよと仰せになっておきながら、古くさい過去に論及することはおかしいじゃないかというおことばがありましても、これはどうもいただけない。どうぞそれは御理解をいただきたい。それからあっさり御理解をしていただいて、現行法にのっとってその仕事をしておるその仕事のやり方は、ここはいけないじゃないか、あそこはいけないじゃないかというおしかりは、えりを正してこれを承る、こういうことでなければならない。どうしてもそれが不合理きわまるということであるならば、破防法を改正していただく以外におしかりをいただくことはできぬのじゃないか。つらいですよ、大臣、長官ここに来ているのに。おまえは古くさいことを——古くさいことを問題にせよとなっておる。(横山委員「なっておらぬ」と呼ぶ)なっておる。ここのところはよくお読みいただいて御理解をいただきたい。
○横山委員 そういうことで問題をすりかえては困る。なるほど私どもは破防法に反対して、阻止のために大きな運動をやった。けれども、現に法律はある。それは百も承知をしておる。私がきょう問題を提起しているのは、破防法はもちろんなくすべきであるとは思うけれども、しかし現にある法律として、その適用、運用の問題について提起をしておる。そして、十六団体の指定というものの中に指定すべからざるものがあるという理論がまず第一だ。指定すべからざるものがある。指定すべからざるというのは、あなたの言う第一の、つまり、かつてということと、将来明らかなおそれという二段がまえになっておるけれども、そのかつてということについて、民鮮と総連は違うのだ。名前も違う。運動方針も違う。人的構成も違う。共産党のほうは、指導者の交代が一部あったけれども、これは続いておる。しかしこれは別の議論をいたします。しかし、総連と民鮮との間には、明らかにそこについて変革が起こっておる。それを知らないはずはないというのです。そうすると、その問題よりももっと本国の問題を言及される。本国の問題を言及するなら、その本国と中国とどこが違うか。その理論でいったら、中国はあかんということになる。そこであなたは答弁に詰まっちゃって、資料がない、材料がないと逃げなさる。この勝敗は明らかですよ。一ぺんみんなに聞いてごらんなさい。これは田中さんきょうはちょっとまずいなという顔をみなしておる。 それで、ここで思いたいのですけれども、その破防法の指定団体になっておるということは、要するに法律上かつて、正確なことばを使うと、かつて暴力主義的破壊活動を行なった団体であり、また、「継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがある」という団体が十六団体ある。だから、その意味では、いま朝鮮総連はそういう団体ということになるわけですか。おそれがあるから調査をしておるということだと思うのです。もう一段あるよというような顔をしておる。けれども、そのもう一段がある可能性がある団体として指定をしておるわけですか。どうですか、その指定の意味というものを、もう一ぺん正確に法律的用語を使って言ってください。
○川井政府委員 指定を——指定じゃありません、規制を請求する法律上の条件が、ただいまお読みになりましたように、明らかなおそれのあることが十分認められる、こうなっております。そこで、その前提として事前の調査をする。調査できるかどうかという段階は、明らかなおそれがあるかどうかということを調べるわけですから、その明らかなおそれの前の段階、これは理論的に当然だと思いますので、私どもそのおそれは、いままでの国会の御答弁を見ましても、そういうことで、破壊的活動に出る可能性ないしは危険性ということがあれば、調査の団体として、その他の条件を勘案した上で、指定することができる、こういうふうな運用になっているわけでございます。
○横山委員 それじゃ長官、逆に聞きますけれども、総連の十七年間、そういうものがあれば規制の請求をする、その規制の請求をしていないということは、十七年間、なかったということですね。
○川井政府委員 可能性は認められる、危険性は認められますけれども、明らかなおそれというほどの証拠がない、こういうことでございます。
○横山委員 危険性、可能性という理論というのは、事実に基づいてそうなのか。先ほどの労働党の理論、金日成首相の理論から類推するとということですか。国内において総連の具体的日常活動の中にそういう現象があるというのか、ないというのか。どうなんですか。
○川井政府委員 い期間目に見えた破壊活動ないしはそのおそれというものがないということは、御指摘のとおりでございます。私ども考えておりますのは、その前に行なった当時の団体の基本的性格が今日もなお続いているかどうか、基本的性格に変更がないかどうかというふうな点、もう一つそれを裏側から申し上げますと、十七年間、ごく最近のような非常に穏やかな方針をとって運動方針として推進されているのは、基本的性格から出てきたものなのか、あるいは最近における客観的な情勢の面から、いわば戦術的にそういうふうな方針をとっておられるのかどうか、その辺のところが判断の分かれ目になると思います。
○横山委員 そういう判断の分かれ目、そういう大局的、基本的な判断をあなたがかってにしてもらっては困ると思いますね。もっぱらこれは高度の政治判断だと私は思うのですよ。法務大臣、そう思いませんか。公安調査庁長官が国際情勢、アジア情勢にまで高度な判断をして、そうしてかくも物議をかもすような判断をかってにしてもらっては困るのですよ。南北朝鮮の平和統一、日中の国交回復、そういう大きな国際情勢の流れをかってに長官が判断をして、これは規制団体である、請求団体である、これはそうでないというような判断を長官がかってにさるべきものではないですよ。これは法務大臣なり外務大臣の伴うべきベースじゃありませんか。 そこで、そうだとしたら、まだそういう規制からはずすべき必要でないとかりにしたならば、そうでないとしたならば、まだ危険人物だ、危険団体だ、こういうことですね、これは。その危険団体と政府・与党との接触が急速にこのごろ広まっているのは、これはどういうことなんでしょうか。私は一、二の例を取り上げますけれども、この間オリンピックの副委員長、共和国の政務院の教育部副部長、ピョンヤンの高等軽工業学校のサッカー代表団が一月二十九日に来られました。長官の言うところによれば、かつて暴力主義的破壊活動を行ない、しかも将来反復継続して行なうおそれがあるというような国の代表と官房長官がお会いになっている。そうして同席をされたのが総連の副議長。李季白副議長とお会いになってまことに和気あいあいと歓談をしたというようなことです。官房長官はどういう立場でお会いになっているのかお聞かせを願いたい。
○田中(伊)国務大臣 私自身のことをまず先にお答えを申し上げます。 だれがかってな判断をするのかというその判断ですが、判断は長官が責任でやります。(横山委員「あかぬ、そんな者にまかせておってはあかぬ」と呼ぶ)いや、黙って……。法律がそうなっておるんですよ。あなたは先ほどから無理ばかりおっしゃる。法律がそうなっておるのです。法律が、これは法務省の外局なんです。私は何をしておるかというと、国家行政組織法、内閣法、法務省設置法という三つの法律によって、長官のやっておりますことを統轄しておる。統督、監督をしておるという関係において、部下が誤ったやり方をしておるということが明らかな場合にはしばらく待てということを私が言わなければならぬ。(横山委員「言わなければいかぬ、いま」と呼ぶ)言わなければいかぬ、そういう立場に立っておるわけで、それは一体どういうことで将来繰り返すおそれがあるというようなことを判断するかといいますと、これは申し上げるまでもないことですが、団体の規制で個人には関係がございません。その団体としていかなる性格を持っておるかということを判定をいたしますには、団体の持っておる綱領、規約、規則、申し合わせあるいは大会における議決、決議といったようなものの内容を精査しなければならぬことは当然でございます。もう一つ大事なことは、この団体を代表する役員が公然の席においてどういうコメントをやっておるか、どういう演説をやっておるかということが非常に重要なその団体の性格を見る材料になる。そうして役員以外の者が、個人としての私生活の行動でなしに、団体の役員としての資格においてどういう言動をし、行動をしておるかということが非常に重要な判断材料となるわけでございます。この判断材料は全部オープンで調べのできることは一つもありません。全部秘密、機密でこれを調査しているということ以外にほんとうの判断はできないのでございます。 そこで、そういうところからあらゆる方面から判断をして、先ほどのおことばで、だれが判断をするのかというと、この長官を頂点といたします職員がみんな活動をいたしまして、長官の責任において判断をしていく。長官以外に判断をする者はありません。内閣総理大臣もそんな判断をする権限はございません。私にはございます。ただ、これこれの材料によってこういう判断をしたのだということの報告を受けて、政治的な情勢というものもつかみ取りまして、それを基礎にして政治的判断を行なうのは私の役目でございます。最近の情勢から申しますと、おことばのとおり、昨年の九月二十九日以後はわが国の内外に大変化が起こっております。大変化した。いろいろ変化のある中の大変化と申しますのは日中国交回復でございます。この日中国交回復に次いで、やがては具体的に平和条約も結ばれようとしておる。それのみならず、ソ連との間にも平和条約締結の準備が現在すでに行なわれておる。北鮮との間もいつまでも現状のまま放任しておくことはできない。時期と方法がむずかしいことではございますが、遠からざる将来において国交の回復も考えなければならないという情勢が天下の情勢でございます。そういう情勢は私が踏まえておって、ここで判断をいたします判断が妥当なわやいなやを私がチェックをする、これは私にできることでございます。ですが、基礎的な判断はここがいたします。政治的判断は私がする。政治的判断に基づく行政的な判断のチェックは私がいたします。 こういうふうに御理解をいただきますと、たいへん理解がよくできるんですがね。まるで破防法はこの世の中にないような感じがいたしますね、お話を承っておりますと。この点が私は残念でございます。やはり破防法に基づいて予算を組んで仕事をさせておる以上は、その仕事に御理解をいただくということでなければやっていけませんよ。横山先生、そうでしょう。(横山委員「そうじやない」と呼ぶ)そこは御理解をいただきたい。
○横山委員 知っておって、大臣、問題をそらしてもらっては困る。それから答弁漏れが続出し始めた。これはあなたの意識に混乱がある証拠だ。あなたは最後に、そうは横山君言うけれども、まあ北鮮、北鮮と言うけれども——正確に言いなさい、朝鮮民主主義人民共和国と。そのうちに国交回復をするのだから、そのうちにおれが政治判断するのだから、まあ待てよ、きょうはまあ君そう責めなさんなよと言わんばかりの姿勢ですな。そういうこと、あなたはわかっておる。わかっておるのだからもう少し——少なくとも両団体は時期の問題です、この指定団体としては。時期の問題だと思っているのですよ。ただ私はあなたを横目で見ているのだけれども、この間うちこういう問題が起こるんだから、公安調査庁の長官を一ぺんやめさせて、急遽公安調査庁長官に任命するという異例な人事を行なって、えらい答弁がむずかしかろうけれども、しばらくがんばってくれと激励した手前もあって、きょうはあなたはそういうことを言うだろうと思っているのだけれども、ここのところは見え透いているんだな。そうして先ほどもまた答弁漏れがあった。二階堂官房長官は何で、どういう資格で会ったのだ。共和国の人、総連の副議長と和気あいあいと会っている。共和国に行った自由民主党の幹部はいまや郵政大臣である。どういうつもりでそういう人を大臣にするのだ。暴力主義的破壊活動を行い、明らかに行なうおそれがあると思われる国へ行って帰ってきた人を大臣にする。そうして官房長官は官房長官でその国の代表者と会う。そうして総連の副議長と会う、そういう自己矛盾に気がつかないんですか。しかももう時の勢いとして、国交回復を将来するということは目前に迫っておる。自由民主党の内部におきましても共和国との国交回復、政策転換はもう時期の問題というふうに考えておる人が一ぱいではないですか。だからこういう問題に……(「それとこれとは別だよ」と呼ぶ者あり)この人だけだよ、そんなことを言うのは。この人だけだ、やじ飛ばすのは。あとの人はやじを飛ばさずに静かにしておる。よっぽどウルトラCで右翼なんだな。 あわせてあとで共産党から御質問があると思いますけれども、私が問題を提起したあれとして、共産党についてもひとつ伺っておきたいと思うのです。 一月十三日、総理大臣と野坂中央委員会議長との党首会談が行なわれましたね。この共産党もまた総連と同じように破防法の調査の指定団体である。そこで野坂議長がこう言っておるそうですな。「日本共産党は憲法で認められている合法政党であり、国民の支持によって国会の第三の地位を占めている。しかるに自民党政府は共産党を破壊活動防止法にかかわる調査対象団体に指定、国費を使って、共産党に対する秘密捜査活動を行なっている。本来、破防法は非民主的な法律であり、憲法違反の疑いもある。また、破防法の対象団体と接触するものは、直ちに公安調査庁の調査の対象になるという。そうなると共産党本部をあいさつ訪問した二階堂官房長官も、党首会談で共産党を招待した総理大臣あなたも調査対象となるわけだ。わが共産党代議士は総選挙の躍進により、裁判官弾劾裁判所、同訴追委員会、検察官適格審査会のポストを占めている。このように司法当局の監督の任にあたる党を破壊団体視することは矛盾もはなはだしい」こういうことを野坂議長が言われたそうです。これはもっとも千万だと思いますね。共産党がかつて暴力主義的な破壊活動をやったかどうかという点は、私はそれは総連と違って少し議論があるとは思う。しかし今日性格が一変をしておる。そして総理大臣と党首会談をやる。こうしてわれわれの同僚としてここにすわっておる。そしてあとで質問をされる立場である。言い方は悪いけれども、あなたは被告席だ。あなたは陰でこっちをこそこそ調べておるけれども、ここに来たらあなたは被告席で、何をやっておるかとしかられる。その自家撞着、自己矛盾というものをそう簡単に、それはそれ、これはこれというように、この人の言うように言えませんよ。筋が通っておると私は思う。その点どうなんですか。おかしいと思いませんか。自己矛盾があると思いませんか。
○田中(伊)国務大臣 結論を申し上げますと、それは矛盾でない。共産党は天下の公党であります。その公党をだれが訪問をしようと、党首会談がどのような解決で行なおれようと、破防法に基づく調査という事柄とは関係はない。破防法はあくまでも団体を対象にしておるものでございます。団体を構成する個人を対象としてはいない。この点も御理解をいただかなければなりません。 それから、先ほどのことばが思わざる影響があってはたいへんだと思うのでございますが、破防法に基づく公安調査庁の活動というものは、これは中国や朝鮮人民共和国等に関連をするものではない。それはそういうものではない。わが国国内に適用される破防法でございます。国内の団体を対象として調査に励んでおる、こういうことでございますから、外国の政府の方針がどうでこうでということを私が答えをして波紋を広めないほうがよいと思う根拠がそこにあるわけで、ありのままに申し上げますと、これは国内の団体を対象にしておる問題でございます。海外の、外国とは関係はない。これはしっかり判断をやっておきませんと意外な誤解を招くことになる。私が軽はずみな答弁をいたしますと波及するところが大きい、こう考えますので、私は一切御遠慮を申し上げるのでございます。横山さんとは個人としてはまたどんな話もしたい、こう考えますけれども、この席においては私は海外の諸国に言及はせぬ。破防法に基づく国内団体を対象としてこれに言及することには答弁はできる、こういう立場でございますから、これも御理解をいただきたいと思います。
○横山委員 いまごろ、しまいぎわになって長官の言ったことをひっくり返して、外国のことはおれは知らぬよ、そんなかってな理屈がありますか。明らかに大臣と長官とは基本的見解が違うじゃありませんか。長官は先ほど、朝鮮労働党が暴力革命を行なう理論を持っており、それをそのまま登載したんだから、総連はその指揮下にあるから、つまり敵は本能寺で、労働党がそういう理論を持っており、金日成首相がそういったからということが主たる理論展開である。ほかにもあると思うけれども、そこに基本的な理論展開がある。 しかもこれは裁判で争っておる問題で、国の主張として同じようなことをいっている。「総聯は朝鮮民主主義人民共和国の祖国統一民主戦線に加盟し国際共産主義勢力の一環として暴力主義的共産革命を目的とする北鮮労働党に従属して、その指導下にあるものであって将来においても、さらに民戦時代に行ったと同様の暴力主義的破壊活動を継続又は反覆して行うおそれがあると認められた」これは国の主張ですよ。期せずして長官の主張とぴったり合っておる。そのつもりで、やっぱり同じことを言っているなと思いながら私は聞いておった。 あなたはその理論をどたんばになってひっくり返すんですからね。それはあなたは、そうじゃない、国内の問題だと何べん言ったって、その一番基本的な理論の基礎にあるものが、北鮮労働党がそうであり金日成首相が言ったから、こういうことである限りはそれはだめですよ。これは法務大臣と長官と国会答弁に矛盾がある。 きょうはもう時間になってまいりましたが、これはあらためてもう一ぺんやりますから、いまの二人の矛盾を整理してあらためて出てください。一番最初は、いや共和国が悪いんだよ、あそこがどういうことを考えているかわからないんだから、その指揮下にある総連はあぶないんだよ、こういう議論だったですからね。しまいぎわになって、いや外国のことを言ってはおこられるから知らぬ、あれは取り消す、長官がどう思っていようとおれは知らぬ。そんなかってな理論展開は許されません。もう一ぺんこの次にいたしますから、きょうはこの件はこれで終わることにいたします。 時間がなくなりましたけれども、今度は全く変わった問題でありまして、きょう、同僚諸君のところへ日本司法書士会連合会から要望書がきておりますが、この問題について、若干の時間を拝借いたしまして、大臣並びに民事局に伺いたいと思います。 経済が変わってまいりましたために、不動産登記や商業法人登記について登記事件の処理が逐年増加をしてまいりまして、政府の今後の施策について非常に変化があると思いますが、私はこの間法務局を回りまして、登記所も見てまいりました。また、司法書士の仕事のやり方も見学をしてまいりました。これはもう今後どんどん起こると思うのでありますが、こういう動向について政府はどういうふうにお考えになって、どういうふうに対処しておられるか伺いたい。
○田中(伊)国務大臣 登記案件が逐年増加の一途をたどっておりますことは、先生仰せのとおりでございます。行政上非常に大事なことを一口言及をいたしますと、この大事な国民の権利、義務確保の登記事務というものは、いやしくもあやまちがあってはならぬ。ずさんな申請が行なわれてずさんな登記があってはならぬ。これは非常に厳格、正確でなければならぬ。こういうことから申しますと、この取り扱いは、司法書士制度をとっておりますので、原則として司法書士の手を経て完全無欠な申請書をそれぞれの行政機関に提出せしめる、こういう方法をとっていくべきものである。そして手落ちなく遺憾のない登記事務手続をできるだけ急速迅速に行なっていって、国民の皆さまの御要望に沿いたい。これが非常に大事な急所のごとく考えております。
○横山委員 私が現場を視察いたしました状態によれば、非常に登記済証の交付が国民に対して遅延しがちな状況なのであります。そこへさらに、昨年九月、登記所の適正配置基準に関する民事行政審議会からの答申が法務大臣あてに提出されまして、かねての閣議決定に従って、今後四年間に答申内容を実行するということになりますと、登記所が非常に少なくなってくる。現在の半分くらいになってしまう。 私は法務局に行くたびに思うのでありますが、法務省には二つの仕事がある。一つは権力行政だ、入管だとか公安調査庁だとか、入管はどうかと思うのですが、刑事局だとかそういう権力行政でやらざるを得ないところがある。一方、法務局だとか人権擁護局だとかそういうようなところは国民に対するサービス機能である。そこをかっきり法務省は割り切ったらどうか、かねがね私は、前法務委員をやっておるときから言っておるわけであります。十ぱ一からげのような気がしてならない。国民に対するサービスをするところと、権力的に仕事をせざるを得ないところ、そういうところはほんとうに分けて考えて、法務大臣としても、この予算とかいろんなことに手当てをしなければならないと思うのでありますが、登記所を減らして国民に不便を与えて、そうしてさらに遅延するということがどうして考えられないのか、その点はいかがですか。
○川島政府委員 最初に、先ほど大臣に御質問がございましたように、登記事務は逐年増加をいたしておりまして、最近の十年ぐらいの経違を見ましても、一年間に平均全国で百万件ぐらい登記の案件が増加しております。その結果、十年の間に約二倍、全国で十年前は一千万件であったものが現在では二千万件というふうに、非常に大量な増加を続けておりまして、これに対処するためにいろいろな方法を考えておるわけでございますが、事務的には何と申しましても第一に増員、それから第二に事務改善、その他機械の導入等による能率向上ということを目標として、登記所の事務処理能力の向上をはかっておるわけでございます。 いまお話しになりました登記所の統合の問題でございますが、これは長くなりますので簡単に申し上げたいと思いますが、全国に登記所が千七百余りございます。しかも、そのうち出張所が千四百を上回る数字でございまして、その千四百以上の登記所の約三分の一、五百庁が一人庁、職員が一人しかいない登記所でございます。職員が三人以下の登記所を調べますと、全部で一人庁を含めて千二百という数字になっております。このような零細規模の登記所が非常に多い。ところで、こういう非常に零細規模の登記所におきましては、どうしても役所の管理が十分行き届かない面がある。事務の適正迅速、機械化といった面において十分でございません。そういった趣旨から、なるべく登記所をある程度の規模のものに集約いたしまして、そうして登記事務の処理能力を向上させ、そして登記所の内容の近代化をはかっていく、登記行政のサービス向上をはかるということを主眼としておるものでございまして、この統廃合によってどの程度の登記所の数が整理されるかということはわかりませんけれども、国民の利便ということも考えながら逐次実施していくという状況でございます。 現在の当面の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように増員の問題、それから事務の機械化、その他能率向上の方策、それから登記所の近代化をはかるための統廃合の問題、こういったことに主眼を置いて、登記の行政を実施しておる次第でございます。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○横山委員 大臣、簡単に言いますと、いまの御説明を承りますと登記件数は一千万から二千万ですか、倍になったが登記事務所は半分にするということです。それで、事務能率の合理化をはかるから国民に不便はかけないという、理論展開がきわめて説得力のない話だと思うのです。私は大蔵委員を長くやっておりましたから、税務署にも何べんも行って税務署の改善を手伝ってまいりましたが、税務署と登記所の上がりですね、税金収入、登記所の収入、国に対する収入の一件当たりのコストを考えますと、登記所から法務局に上がってまいりますお金というものは、コストはべらぼうになく安いですね。それで、税務署に行きますとほとんど全部改築されました。登記所に行きますと、一人庁は私はまだあまり行っていないのでわからないのですが、東京周辺、名古屋周辺に行ってみますとごった返しておる、腰かけもない、お茶を飲む所もない、そして自動車置き場も全然ない。私は自分でマイカーをやっておるものですから自動車置き場にはほんとうに苦労をして、法務局の辺を三回ぐらいぐるぐる回る。全くサービスが悪い。人間のサービスではなくて機能サービスが悪い。そういうことについて、法務大臣としておなりになって早々でありますからよくは言いませんけれども、法務省は少し力量が少ないのじゃありませんか。件数は一千万から二千万になる、登記所は半分になる、合理化してそれを補って国民に不便をかけない、そんな話では世間には通りませんよ。どうごらんになっておりますか。
○田中(伊)国務大臣 おことばのとおりの情勢にあると思いますが、しかし、これもいま川島局長から御説明を申し上げたように一人しかいない一人庁、それが数がばかにある。登記申請のときにたいした時間をかけないで往復のできるものであるならば、これを統合してもっと能率のよい登記所に改めて、サービスも十分にしようではないかという、その考え方は悪い考えじゃない、これは私は一つのよい考え方だと思う。しかし、いま横山委員仰せのとおり、一体この登記所の出張所というものは何のために置いておるのか、こういうことになりますと、住民の皆さんの御便宜のために出張所を設けてサービスしておるのが本来の出張所でございます。したがって、これを統合するということに御地元の強力なる反対があってはやれない。私、就任以来指示を与えておりますことをありのままに申し上げますと、地元の心からなる御了解が取りつけられないものは強引に押してはいかぬぞ、こういうことをたいへんくどく申しておるのであります。そういうことでございますから、御地元のほうでそういうふうにお考をくださってやってくださるならば廃止していただいてもやむを得ない、それではお隣に行くことにいたしましょうというように御理解をくださるところは、この道理に従って統廃合のお許しをいただきたい、御承認をいただかなければならぬ、こう思うのでございます。しかし、地元が何としても賛成をしない、所によりましては、この出張所をつくるときには地元で土地の用意をして差し上げたのじゃないか、それで出張所をつくっておいて、都合のいいときには出張所を引っ込めるというのは何ごとかと言って、全国の中ではおこっていらっしゃるところもございます。こういうところは、御理解ができないところは簡単に統廃合を一方的に断行してはいかぬ、十分コンセンサスを得てやるように努力をしなければいかぬぞということの指導をいたしておりますようなわけでございます。それでありますから、理屈の立つところで御理解のいただけるところは統廃合をしていく。そうでないところは無理をしない。五年の計画が七年かかるとか、五年の計画が十年かかるということ、事務はそういうことは反対に違いありませんが、そういうことになりましょうが、時をやたらに急ぐべきではない、円満にやれ、本来がサービス機関ではないかということが私の意見となっております。
○横山委員 発想の転換を少しなさったらどうかと思うのです。私この間地方行政委員会で警察庁長官と話し合ったのですけれども、前警察庁長官は、通信、交通機関が非常に発達したおりからであるから、派出所の整理統合を思い切ってやらなければならぬ。ところが今度の警察庁長官は、住民サービスのために事件がなくても派出所がそこにあること、それがきわめて地域住民に対して安心感を与えている。交通事故についての一番大事なことは、おまわりさんがそこに立っておることだ。事故があったときの敏速な処理よりも、おまわりさんがそこに立っておることによってどのくらい事故が防げるかしれない。私もドライバーとしてまさにそういう感じがいたします。だから派出所の整理統合は百八十度の転換をしたのです。いわんや登記所の問題は、まあ私ども反対をしておるのだけれども、日本列島改造論で都市の土地よりも僻陬地の土地、観光地の土地の買い占めがどんどん起こって、登記案件は今度地方に多くなっている。登記所の整理統合をしたら、ある時期になったらもう一ぺん登記所をつくるということがありはせぬかと私は思う。私は、くどく言いますように、法務省の法務局、登記所というものは国民に対するサービス機能を徹底したらどうだ、こう言っておるわけであります。整理統合が基本線であること自身に、私はまたひょっとしてそのうちに、この前はああ言いましたけれども、これは思いを変えましたと、あなたの大臣在任中か、今度ほかの大臣になったらおっしゃるかもしれない。そんなことは迷惑千万だ。警察庁長官の今度の決断は私はいいことだと思っていますから激励はしましたけれども、長官がかわるたびにそうなってはかなわぬですよ。そのために誘致運動をやって、それであきらめて、また今度派出所をつくってくれるそうだ、ありがたいとは言うけれども、何だということになる。発想の転換を一ぺん考えたらどうか。あなたは急激なことはしない、地域住民の御了解があったならばと言うのですけれども、御了解というのは結局はいやいやながら了解するということです。それであっても私は考え直しを願いたい。 それから次に、さきの五十五国会で本委員会におきまして司法書士法の改正を決議いたしました。あれからだいぶ年数がたっているわけです。きのうは私は執行官の問題について院議がなおざりになっているといっておこりましたが、きょうはもう一ぺん司法書士法の改正について院議がおくれているからおこります。 時間の関係で、局長のおっしゃりそうなこと、つまり僻陬地についてはどうするか、国家試験についてはどうあるべきか、いろいろ議論があるようであります。あるようだけれども、やる気があるのかないのか、逆に私は言いたいのであります。やる気があったら、じんぜん数年をそのままにしないで、司法書士法改正についてちゃんと土俵場へ出てきて、そうして関係団体である司法書士連合会等とも密接な連絡を保ちながら私どもの意見も聞いてもらって、院議を進めるべきだ、そういう責任があるわけですから、きょうは大声疾呼したいと思います。 第一に、やる気があるかどうか、第二番目に、いつごろ国会へ法案を出してくるのか、第三番目に、関係団体との密接な協議が行なわれるかどうか、三点についてお伺いしたい。
○田中(伊)国務大臣 ぜひやりたいと存じます。 ぜひやりたいのならば法案はいつごろに出すのかという法案提出の時期まではここでちょっと申し上げかねますけれども、それは逃げる意味でない。やりたい、ぜひ全国統一の国家試験にこれを改めていきたい。登記の事務がたいへんふくそうして云々ということをいいますけれども、迅速なる登記をやるには、訓練を経た経験のある司法書士に完全無欠な申請書類をつくっていただいて、これを窓口に提出をしていただくというそういう意味の協力がなければ、迅速なる登記はできぬのであります。ぜひこれを強化したい、そういう意味で全国統一の国家試験をぜひやりたい、早急にこれを進めていくことをお約束をいたします。
○横山委員 内容について二点ばかり簡潔に伺いたいと思う。 一つは、司法書士連合会というものは、モデルとして弁護士法だと私は言っておるわけですが、実質的な自主自立団体に育て上げなければなりません。組織の強化は積年どんどんされておるようでありますが、自主自立をして、そしてみずからの手で運営をする。その意味におきましては、モデルとなりますのは懲戒権の問題であります。いま法務局長の非常な監督下に置かれております。その自主懲戒権を十分にさせるべきであるということが第一点であります。 第二番目は、国家試験のあるべき姿であります。この国家試験につきましては、事実上いま高度な国家試験になっておりますから、私は形の上の問題だ。残るところは法務局なり裁判所におつとめになっていらっしゃる方のあり方をどうするか、あるいはまた司法書士会で働いておる人たちの実績をどうするかということになろうかと思うのですが、この点について御意見をお伺いいたしたい。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕
○川島政府委員 内容の問題でございますので私からお答えを申し上げたいと思います。 第一の自主懲戒権の問題でございますが、これは先ほど御指摘になりました決議の中にもうたわれております。したがって、その点も十分に考慮してまいりたいと思っております。ただ現在の類似の制度の中におきましては、たしか弁護士会が自主懲戒権を持っております。そのほかにたとえば税理士でありますとか行政書士でありますとか、あるいは公認会計士、弁理士、いろいろございますが、これらはいずれも自主懲戒権までは持っておりません。したがいまして、この自主懲戒権を認めるかどうかというのはきわめて重要な問題でございまして、その運用がうまくいくかどうかという点を十分に見きわめた上でないといけないと思っております。現在、司法書士会は会員に違法な行為がある場合には、法務局あるいは地方法務局の長に報告するということになっておりまして、そのために綱紀委員会というものが内部に設けられております。その綱紀委員会がどのように活動するかということが、将来自主懲戒権を認める上での一つの参考になろうかと思うわけでございます。そういった意味におきまして、司法書士会が現在の綱紀委員会の運用をさらに充実したものとしていくということが一つの先行する条件となるのではないか、こういうように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても十分に検討してまいりたいと思っております。 それから将来国家試験の制度を認める場合に、現在認可制のもとである程度の特典が認められております裁判所、検察庁あるいは法務局に勤務する者について特別の何らかのたとえば一部の試験の免除であるとか、そういったものを認めるかどうかという点につきましては、いろいろほかの制度との関係もございますので、そういうもの等も勘案した上で適当な措置を講ずる必要があれば講じてまいりたい。また、司法書士の補助者として勤務しておった者、こういった者についてもある程度の配慮をするかどうかというような問題があるわけでございます。この改正問題につきましては、先ほど大臣からお答えになりましたように、法務省としては前向きの姿勢で対処しておりまして、現に日本司法書士会連合会との間に話し合いを進めております。そういった中で、いまお尋ねになりましたような問題につきましても十分協議を重ねて、適当な結論に達するようにと考えておる次第でございます。
○横山委員 きのう私は仙台へ行ってまいりまして、現地を調べた問題で特に関心が深かったのが、公共嘱託登記の問題であります。公共事業の飛躍的な拡大があるわけでありますが、公共団体が公共用地の買収をした不動産の取得登記の手続が非常に渋滞しているので、司法書士組織に対して公共嘱託登記の委嘱がある。それが中央におきましても相談をされておるそうでありますが、二つ問題があると思います。 一つは、仙台で聞いた話でありますが、道路公団が行なっております公共嘱託の問題で、台帳価格の三%の手数料で、さらにその何%か、それがちょっとわかりかねましたが、買収価格掛ける〇・三掛ける〇・何々というような手数料であるから、通常政府が認可をいたしました報酬の半分ぐらいになるという話であります。一方地方公共団体が直接やっておりますダムとか港の報酬は、これまた七〇%だ、政府が法務省ときめた報酬の。これは何たることだと私は言ったのです。司法書士連合会とあなた方が相談をなさって、報酬はこのぐらいでやるべきだときめて、政府が関与してきめた金額を、政府並びに地方公共団体がその半分でやらせる、七〇%でやらせるというのは、一体どういうことなんだろう。そうすると、結局司法書士の皆さんは、国民には百円のものを、国や地方自治体には五十円や七十円でやる。これはきわめて自己矛盾に落ちた問題である。聞いてみますと、予算がない、こう言うわけですね。予算がないから、このくらいでやってくれという話、こんなばかなことはないじゃないか。これは法務省どうかしているな、法務省が関係各省に対しまして、これは政府がきめた報酬のあれであるから、国民には高くやる、公共団体には安くやるということでは困る、こういうふうにしなければいかぬ。でなければ国民に対して理屈が立たない、そういうふうに考えてきたのでありますが、その点はどうかというのが第一点。 第二番目は、いま任意に適当に連名でやるとか、代表者をあげてやっておる。こういうやり方というのは少し問題点が、契約主体の人格との関係で問題点がありはせぬか。この際公共嘱託のやり方について法律や政令の改正をやる必要がありはせぬか。司法書士法なり、あるいは関係政令、省令あるいは通達の中で、公共嘱託ということのあり方について芽を出しておく必要がありはせぬか、こういうふうに私は考える、この二点をお答え願いたい。
○川島政府委員 第一に手数料の一点でございますが、確かに司法書士の報酬につきましては、報酬規定というものがきめられております。ただ、公共嘱託の場合につきましては、その報酬規定の中に、まあ備考みたいな形で記載があるわけでございますが、官庁公署が司法書士に依頼をする場合には、会長の承認を得て、一般の額とは異なる額で嘱託を受けても差しつかえない、そういう趣旨の条項があるわけでございます。それに従ってやっているのだと思います。 一般の国民の場合と違うではないか、不公平ではないかという御議論が当然あろうかと思いますが、公共嘱託の場合は非常に大量の事件を一度に受注するわけでございまして、また官公庁の場合にはある程度必要な資料を整えた上で事件を依頼するというような事情もございまして、一般の事件に比べますと司法書士としては比較的やりやすい、件数の割合にその事件をさばきやすいというような事情もあろうかと思います。おそらくそういう関係で一般の場合の手数料よりは割り安な手数料が定められる、そういう実情ではなかろうかと思います。 それから第二の、公共嘱託登記の受注の契約をする場合に、代表者の形式でやっておる場合、何か制度的に考えるべき問題はないかという点でございますが、この点につきましては現在司法書士会のほうでもいろいろ検討されまして、現に昨年ある程度の受注体制というものを制度化したような事実もございます。現在はその制度化された体制にのせて運用をしてみて、それでなおかつ不都合があるというのであれば、さらに考えてみる必要があろうかと思いますけれども、まあせっかく司法書士会のほうでもそういった制度をつくられたばかりでございますので、なお今後の運用を見た上で、必要があれば考えていきたいというふうに思っております。
○横山委員 私が言いますのは、現実にいま公共嘱託の需要があるから現実問題の解決としてあなた方も司法書士会のほうもやっておる。現実に解決がいま差し迫ってどうにもならぬということではないが、客観的にそれをながめてみると、いろいろな関係で委託契約上の契約主体の人格などの問題で議論が残っておる。残っておるからこれはひとつ法律や省令ないしは通達の中ではっきりさせる必要があるよ、こういうふうに言っておるわけでありますから、現実にこのままぎくしゃくとして動いておることを否定はしない。否定はしないけれども、現実に何とか曲がりなりに解決しているからほかっておいてもいいという問題ではありませんよ、何か問題が起こりそうな気がしますよと私は警告しておるのでありますから、その点を一ぺんよく検討されて、ひとつ善処をしてもらいたい。 最後に、登記所の統廃合について議論をいたしました。それからもう一つは、法務局の新築移転ということがあちらこちらにある。そういたしますと、登記所が移転すれば同時に司法書士の皆さんも場合によっては移転せざるを得ない。きのう調べたものでは、まあ登記所が移転しても国民サービスのために私のところだけそのままおりたいという人もおれば、新しいところへ移転をしたいという人もおるわけです。移転をしたいという人のために、どうも法務省はサービスが悪いようだと思うのです。ほかの省だったら、移転の必要があるならば国民金融公庫や中小企業金融公庫で政府が話をして別ワクをとるとか、あるいはまた特別の措置をしてくれとかいうようなことを、ぼくはやっておると思うのですがね。この間ちょっと聞いてみたらまだそこまではいっておりませんような話でございます。私のところの名古屋では、民間銀行と特別契約で話をしたらすぐ飛びついて、それはもう司法書士さんならやりましょうということになってローンが成立しておる。その点は法務省も親切に、もしどうしても当面登記所の整理統合をやらなければならぬのだったら、その辺のことぐらいは努力をしてやったらどうか。時間がなくてたいへん恐縮でございますが、それをお答え願って私の質問を終わりたいと思います。
○川島政府委員 司法書士の事務所移転に要する費用の特別融資の問題でございますが、この問題につきましては私のほうでも先般国民金融公庫のほうに打診をしてみたわけでございます。その結果によりますと、国民金融公庫としては特定の業種のために特別のワクを設定するということはいままでほとんどやったことがないといろことでございます。しかし申し込みがあれば大体貸し出しを認めておりますし、貸し出す金額も申し込み額の七割程度は普通認められておるというようなことでございまして、利率なども銀行で貸し出す場合、先ほど東海銀行の例をお出しになりましたが、それとほとんど変わらない程度でできるようでございます。現に司法書士の合同事務所をつくる場合に国民金融公庫を利用したという例もあるように聞いております。 問題は国民金融公庫に申し込みをいたしまして貸し出しを受けるまでの間に審査があるわけでありまして、その審査に若干時間がかかる。なるべく早く融資を受けたいという場合には、その審査をなるべく早くやってもらうということのために、たとえば官庁の証明が必要であるとか、そういう証明書があれば早く終わることもあるということでございますので、そういった点につきまして何らか特別な措置をお願いしたらどうかというように考えておるわけでございます。なお、この問題につきまして十分今後も検討してまいりたいと考えております。
○中垣委員長 青柳盛雄君。
○青柳委員 私は、本日法務大臣に在日朝鮮人の法的な地位についてお尋ねをする予定でおりました。その場合、先ほど横山委員からお話のありました朝鮮総連を破壊活動防止法に基づく調査指定団体にしておくということの当否についてお尋ねをするつもりでおりましたが、このことは相当時間をかけてお尋ねをしないと中途はんぱなものになると思いますし、先ほど横山委員も留保されておられますので、そのことは私はきょうは省略いたします。 さて、去る二月十三日の当法務委員会における田中法務大臣の就任にあたっての所信表明において、第四番目に出入国管理行政の充実について述べられ、その中で在留制度の合理化をはかり、時代の要請に応じた出入国管理制度を確立してまいりたい所存でありますと言っておられます。この在留制度の合理化ということになりますと、当然日本におられる多数の外国人、その中でも約六十万をこえるといわれている在日朝鮮人の方々の法的地位というものは非常な関連性を持ってくるわけでございます。 そこで最初に管理局の方にお尋ねをいたしますが、現在日本に登録しておられる朝鮮人で永住資格といいますか、そういうものを持っておられる方は何名おられるでしょうか。
○吉岡政府委員 きわめて概数で申し上げますと、外国人登録上の朝鮮、韓国人は六十二万九千三百九名でございますが、約六十三万でございます。その中で韓国との協定移住に基づきましてその許可をとっておる者が昨年末で約三十四万三千でございます。それから戦前から日本に在留いたしまして法一二六号該当者と目される方が約十六万でございまして、その子が九万、約二十五万。したがいまして、協定移住を概数で約三十五万と見ますと、一二六号該当者は二十五万でございまして、残りの三万というのが永住資格のない通常の在留資格を有する人ということでございます。
○青柳委員 その中でいま言われました法律一二六号第二条第六項に該当する者が十五万でしたか、それとその子供がおられる。これは相当の数でございますが、この一二六号の第二条第六項というのはこういうふうに書いてあります。日本国との平和条約の規定に基き同条約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者で、昭和二十年九月二日以前からこの法律施行の日まで引き続き本邦に在留するもの(昭和二十年九月三日からこの法律施行の日までに本邦で出生したその子を含む。)は、出入国管理令第二十二条の二第一項の規定にかかわらず、別に法律で定めるところによりその者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間、引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。」こうありますので、「別に法律で定めるところによりその者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間、」在留資格を有しないで暫定的な在留をすることができる人たちということになるわけであります。これは非常に不安定なものではないかというふうに考えるのですが、法務大臣として在留制度の合理化をはかるといわれるからには、この該当者の方々の法的地位を定める別な法律というものを考えておられるのかどうか、これをお尋ねしたい。
○田中(伊)国務大臣 入管局長からお答えいたさせます。
○吉岡政府委員 御指摘のとおり法律百二十六号の二の六の該当者というものは、暫定的に在留資格なく在留期間を定めず在留を認めておる者でございますから、当然この法律にかわるものをこしらえまして在留資格をきめ、また在留期間をきめる法律を要すると考えております。
○青柳委員 しかしそのときからもうすでに二十年過ぎているといってもよろしいわけでありまして、理屈は、別に法律で定めるというふうに暫定的になっているわけですから、当然つくるべきものであるということになるのでしょうけれども、こんなに長い間何の手当てもしないで不安定な状態を続けさしておくということは、政治的に見ても非常に好ましくない状態だと私は思うのです。いまのお答えではいずれはやるというふうにしか聞けないのでございますけれども、いままでに何か政府部内で論議をされたことがあるのかどうか、これに関連して何かやったことがあるとすればそれをお知らせ願いたい。
○吉岡政府委員 法百二十六が制定されましてすでに二十年を経過しておるということは御指摘のとおりでございますが、その間これにかわる単独法を制定しなかった理由といたしまして、私どもが調べた範囲内におきましては、当時日韓交渉が進行中でございまして、日韓協定が成立した暁においては何らかの、百二十六にかわる単独法を制定しようという考えがあったやに聞いております。しかしながら日韓交渉が成立いたしました後も諸般にわたるいろいろの問題がございまして、その間に検討は加えつつもいまだ具体案を得てないという状況にあるということでございます。
○青柳委員 昭和四十年法律第百四十六号という法律がありまして、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法、そういう件名がついておりますが、とれと百二十六号との関係はどういうことになりますか。
○吉岡政府委員 日韓の法的地位に関する協定は、百二十六の該当者でこの協定に基づいて永住許可をとった人に関しましては、いわば百二十六にかわるものとして在留資格を与えたものと考えております。
○青柳委員 そうすると、百二十六号にいういわゆる別に定める法律の一部であることは間違いないように思えるわけでありますが、この法律が部分的なものであるということはもう常識でございまして、先ほど協定永住者の人数は四十七年十二月末日で三十四万二千九百人余りだ、こういうふうに言っておられるのですから、あと残りの三十万近い人たちが百二十六号あるいはそれに関連する人たちとして在留資格を持っている。先ほどの特別法は部分的なものでしかないということを意味するわけですけれども、こう人たちと、つまり協定永住許可者とそれからそうでない人たちを差別したままでほうっておくということが妥当であるかどうかということについては検討したことがありますか。
○吉岡政府委員 法律百二十六号にかわる法律をつくると申します際にはそういった点も十分検討した上でつくりたいと考えております。
○青柳委員 いわゆる大韓民国という国と条約を結び協定を結んでそれを実施するために出入国管理特別法というものをつくった。その対象者というものは永住を許可される。その永住許可の中には簡単に退去強制をされないという保障があって、現行出入国管理令によるいろいろの条項に基づく退去強制というものから除外を受けているわけです。そういう特別の権利を与えられているわけですね。そのほか生活保障といいますか、たとえば国民健康保険に入る権利とかいろいろの権利、一般の外国人とは違った待遇を与えられるようになっております。これは協定があるからそうなったのだという理屈もありましょうけれども、協定がなくてもそれは与えられるべき歴史的な合理的な根拠があるのだというふうにわれわれは考えるわけですが、このような差別がそのまま残されているということに対して再び見解を承りたいのです。どうお思いになっておられるか。
○吉岡政府委員 日韓の法的地位協定に基づきまして協定永住をとられた方につきまして退去強制事由等で一般の在留外国人と違った取り扱いをするということは事実でございますが、これは日韓の両者の間で長年にわたる交渉を続けてまいりました結果、韓国国籍の人に与えられたものでございまして、じゃ直ちにそれがそれ以外の朝鮮半島出身者の方に与えられるということになっておりませんのは御指摘のとおりでございますが、またこういった日韓交渉の結果に基づいたものであるということから、おのずからそういう差別ができたということもやむを得ないものかと存ずる次第でございます。しかし他面、日本が平和条約に調印いたしまして平和条約が発効したそのときから外国人になった、いわばもとは同じような処遇を受けておられた方でございますので、これらの人たちに対する処遇の不均衡という問題をどういうふうに是正するかということを考えながら百二十六号にかわる単独法というものを考えていきたいと考えております。
○青柳委員 くどいようですけれども、何か相手の国との間で処遇について交渉し、向こうとの間で協定でもできないことには在留制度合理化の中で特定の国の在日外国人を処遇するについて法律ができない、つくれない、つまり自主的にはできないのであって、相手の国との交渉の結果まとまった線でしかできないというような根拠が何かあるのか、ないのか、その点いかがでしょうか。
○吉岡政府委員 法一二六にかわります単独法をこしらえます際に必ずしも相手国との外交交渉を要するとは考えておりません。ただ問題は、こういった人たちの処遇のことになりますと、ただ単に私のほうの在留管理の面だけでなしに、御指摘にございましたように、教育に関すること、あるいは国民保険に関すること、あるいは生活扶助に関すること、こういったような面で法務省以外にわたる問題もございますし、そういった面を慎重に考えながら、なおかつ外交上の考慮も払いつつ善処いたしたいと存じております。
○青柳委員 外交上の交渉が必ずしも前提ではないということは私もそのとおりだと思います。しかし、その者の所属している国の意向というようなものを参考にするということはそれなりに合理的な意味もあるし、また対象となる人々、特に在日朝鮮人で大韓民国の国籍を取得しない、朝鮮民主主義人民共和国を祖国であると思っている人たちが半数近くおられるわけでありますから、そういう人たちの希望、要求、そういうものを無視しては一二六号にかわる法律はつくり得ないと私は思うわけです。こういう点について、何をどのように処理するのがいいかというようなことに関して、法務省としては、たとえばある案をつくって、そしてしかるべき機関に諮問するというようなことを考えたことがあるかどうかですね。
○吉岡政府委員 入管当局といたしましては、この問題は御指摘のとおり二十数年経過した問題でございまして、一日も早く対処したいと存じておりますが、御承知のとおり出入国法それ自体がすでに時代おくれのものとなっておりますので、これをまず改めたいということで、ほぼ十年前からこの法に着手をしておりまして、一二六の法にかわる法律につきましては、方針としてはかわるべきものをつくりたいというふうに考えておりますが、まだ具体的に他の省あるいは他の機関にはかったことはございません。
○青柳委員 はしなくも出入国管理令の改正ということに取り組んでこられたということが言われましたけれども、それがいままでに何べんも案をつくり、国会に提出されたんですけれども、ついに廃案になってしまうというような運命をたどっていることは御承知のとおりで、今度もまた所信表明の第四で出入国管理行政の充実について触れておられる大臣の御意向の中にも、四たび出入国法を上提されようというお気持ちもあるんじゃないかというふうに考えられるのです。 ところで、その法と一二六号とがどんなに密接なかかわり合いがあるかということは、いままでどんな案をつくってみても、この主として在日朝鮮人の、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国を祖国と考えておられる人々の反対が主力となって、日本国民も動かし、また国会も動かし、政府も動かして、ついに廃案になってきたんだということを知らない者はないんですね。だから一二六号のことを切り離して、出入国法だけを、管理令の改正だけを考えようとするのは本末転倒ではないか。結局は、このほうを片づけないからこの出入国法というものは通らない。それとも、出入国法の中に、在留制度などについてはあまりむずかしいことをいわないで、ただ出入国手続の簡素化というようなことだけであるならば、これは技術的な問題ですから案外スムーズにいくかもしれない。必ずこの在留資格の問題、在留制度の問題に触れてくるものですから、その圧倒的多数の対象者であるところの、先ほどから申します、俗に北朝鮮系といわれるような人々の抵抗にあうのです。そのように私どもは見ているわけですけれども、この点は大臣どういう御感想を持っておられるか、ひとつお述べいただきたいんです。
○田中(伊)国務大臣 昭和四十四年、当時の第六十一国会に最初出したわけでございます。自来三回にわたって提出をいたしましたが流産をした、こういうことは御承知のとおりでございます。そこで私の考えでございますが、同じ法律を三回にわたって国会に提出をしてそれが流産になった、こういう経過を見ますときに、どうもいままで提案をしたとおりの同じ内容の法案を四たび提案するということは、これはいかがなものであろうか。どんな事情があったということは別にいたしまして、三回にわたって流れておるわけでございます。大臣もかわっておることであり、四たびこれを出すという場合には、いろいろな陳情、世論——陳情に動かされるわけではありませんけれども、しかし、いわゆる陳情を中心とする世論というものにえりを正してみて、そうしてこの入国法の内容というものを改めるべきものは改めていくべきものではなかろうか、こういうことが結論で、腹をきめておるわけでございます。そんなら内容はどこをどう変えるのか。三回出したことと四回目に出そうとしておることの内容はどこが変わるのかということは、まだこれは確定的なものにはなっていない。現在、どこをどう変えていこうかという問題については、法務省内において検討が大体終末に近づいておる状態でございますが、まだこれは法制局にかけねばなりません。それから政府、与党という関係から申しますと与党の法務部会、政務調査会の政策審議会、政務調査会の総会というような、それぞれの与党に属する正式機関にかけて論議をして提出について了承を得る。その上閣議できめました上でないとこれを提出の段階に至りません。現在は法務省内において検討しておる段階で、それもやっとできかけておるところでございます。そこで、内容について申し上げる段階でないことが申しわけないのでございますが、結論を申し上げますとそういう気持ちで、改めるべきところは改めて、内容を改めました上で、これをぜひ国会に提出をしたい、ぜひしたい、こういうふうに考えておるのでございます。 それから、昭和二十七年にできました法律一二六にかわるべき法律制定の問題でございますが、長い期間経過もしておることでございますが、まず私の気持ちといたしましては、ちょっといま局長が触れましたように、入管法をものにして、そうしてその上でぜひこの一二六にかわるべき法案の準備方針をきめたい、あるいはこの法律のほうを先にきめないと入管が通りにくいのではないかというような御心配を御親切にいただいておる、それも一つのお気持ちはよくわかる、そういうこともあろうと私も思うのでございますが、とにかく入管法をほっておいて一二六にかわるべき法律を先にというわけにもいかぬ、それから同時というわけにもいかぬ。それからただいまちょっとおことばがありましたように、この入管法の中に記載をして持ち込んでいくということは、道理の上ではできぬことはないのでありますけれども、技術的に入管法の中に一二六にかわるべき法律の内容を差し込んでいくということもたいへんむずかしいのではなかろうかと思いますので、この入管法を先にちゃんと仕立てていただきまして、その上でできるだけですみやかに一二六にかわるべき法律の準備をしていってはどうであろうか、大体の気持ちでございますが、そういうつもりでおるわけでございます。
○青柳委員 だいぶ詳しい御所見を承ったわけでありますが、実は入管法といいますか、出入国法とことばを前回は改められましたが、これに在日外国人の政治に関する言論あるいは行動といったようなものを規制する条項があって、中止命令を行ない、これに従わなければ処罰もするし退去強制もできるというそういう大原則を盛り込んで、これは諸外国でもやっていることだから主権国家として当然その程度の規制は在日外国人に対して加えてもよろしいんだという大義名分が裏にありまして、そしてこれはすべての在日外国人に適用されるということになると、先ほどから申しましたように百二十六号該当者、それは永住許可をとったいわゆる大韓民国の国籍を持っておられるといわれる人たちをも含めておかしいじゃないか。そこでこういう人たちを除外するという規定を設けたり、あるいはその前のときには除外はしないんだ、しかし永住許可をとる道を残してあるから、永住許可者になれば除外されるんだという何か微温的な考え方もあったり、いずれにしてもこの百二十六号該当者の人たち、そしてまた協定永住許可をとっている人たちをも含めて、出入国管理法の中には条項の中で除外をしなければならぬ部分が出てくる。こういうこと自体が非常に出入国法との関連においてむずかしい問題を含んでくると思うのです。協定永住者については比較的除外されることによって政治活動の自由は日本人と同様に認められる。ところが百二十六号だけの人たちについては、当分の間これは認めておこうといったような附則がつくというきわめて差別的な待遇がそこに出てくる。ですからまず最初に、出入国法をきめるという場合でも、こういう在日朝鮮人のような歴史的に特殊な立場にある人たちをはっきりとその地位をきめておいて、そして出入国法との関係がきわめて明快に処理されるようにすることが必要ではないか。先にきめておいて、暫定的に何か百二十六号は追ってきめるからそれまで待っておれというようなことでは不安でしかたがないと思うのですね。永住許可をとった協定関係の人たちはあるいは安心しているかもしれませんが、しかしこの人たちでもこの間の廃案になった法案には必ずしも全面的に賛成をしていたわけではないようでした。ですからよほどこれは、四度お出しになるとするならば、この辺のところを深くお考えになっていただかないというと、これはまた廃案のうき目を見ないという保証はないというふうに考えられるわけです。慎重にお考えになっておられるようで、それ自体はいいことだと思いますけれども、先ほども議論になりました朝鮮総連を破壊活動の容疑団体として依然として堅持するという方針であるとするならば、あの朝鮮総連に参加しておられる人々というのはまさに百二十六号該当者、あるいはその子であります。ですから、一方ではこの政治活動を絶えず調査している、一方では除外しておく、こんなようにいってもこれはなかなかそのまま受けとめられるかどうか。当分の間といったって、いつひっくり返るかわかったものじゃないというようなことで、政治情勢のいかんによってはたちまち言論の自由すら奪われるのではなかろうかという杞憂といいますか懸念といいますか、そういうものはぬぐい去られないと思うのです。こういう点を抜本的に考え直して、先ほど横山委員も言いましたように、朝鮮総連を指定団体にしておくというようなこと自体からも改めてこなければ、百二十六号該当者の法的地位の安定というようなことは望むべくもないんじゃないか、こういうふうに考えてそれにも論及しようと思いましたが、冒頭にも申しましたように、それはきょうはやめます。 いずれにしても、与党である自由民主党の法務部会、政調会のあたりでも、非常に政治的な高度の考え方を発揮されて、こういう問題は抜本的に解決する、そして朝鮮と日本との友好関係をいろいろの法制の面でも促進するような措置をとることが必要ではないか、私はそういうふうに考えているわけですが、この点について最後に大臣のお考えを承りたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 切々とした御意見でございます。いま言及された「当分の間」という文言をいかに取り扱うかということも検討の対象となっておることでございます。御意見をよく胸におさめまして検討をやってみたいと思います。
○青柳委員 終わります。
○中垣委員長 次回は、来たる三月二日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時散会