法務委員会 第5号
- 発言数
- 124 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/02/27
会議録
○中垣委員長 これより会議を開きます。 おはかりいたします。 本日、最高裁判所矢口人事局長、大内経理局長、西村民事局長、牧刑事局長、裾分家庭局長、三好総務局第一課長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○中垣委員長 横山利秋君外六名提出、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。横山利秋君。
○横山議員 刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案についてその趣旨の説明をいたします。 本案は、無罪の裁判を受けた者の精神的財産的負担を償うため、現行の補償金額を引き上げ、公訴の提起後の非拘束期間についても補償を行なうとともに、裁判の費用を補償しようとするものであります。 人が刑事訴追を受けるのは、その人の人生の最大の不幸であります。罪なくして刑事訴追を受け幸いに裁判において無罪となった場合でも、現在の法制及び日本の一般社会的取り扱いにおいては、国民は刑事訴追を受けたことによって拘束、非拘束にかかわらず、裁判期間中、刑事被告人としての汚名を着せられ、信用を失墜するほか、身分上不利益の取り扱いを受けている実情であり、無罪の裁判確定に至るまでの間に裁判に要した費用も一般国民の平均収入から見れば決して少ないものではないのであります。かかる精神的、物質的損害ははかり知れないものがあり、そのためにその人の人生の大半が失われる場合も決して少なくないのであります。 しかるに現在の刑事補償法によれば無罪の裁判が確定した場合、刑事訴訟法等により拘束を受けた者に限り、国に対して抑留または拘禁及び刑の執行による補償を請求することができるとしているが、非拘束中の期間に対しては何ら補償する規定がないのであります。 また現在の刑事訴訟法によれば、検察官のみが上訴した場合において、上訴が棄却されまたは取り下げられたときは、当該事件の被告人であった者に対し、上訴によりその審級において生じた費用の補償をすることができるが、被告人側が上訴して無罪になった場合、被告であった人に対し上訴によりその審級において生じた費用を補償する規定もないのであります。 さらにまた刑事補償法による補償金額は、昭和四十三年に改正されたものでありますが、その後の急激な経済事情の変動を考慮するときその額は補償の目的を達するにはきわめて不十分であります。 本案は、以上のような諸般の実情を考慮して次のように改正しようとするものであります。 すなわち、第一に、無罪の裁判またはこれに準ずる裁判を受けた者が未決の抑留もしくは拘禁または自由刑の執行等により身体の拘束を受けた場合の補償基準額を日額一千円以上三千円以下とし、死刑の執行を受けた場合は補償の最高額を一千万円に財産上の損失額を加えた額とする。 第二に、無罪の判決が確定した場合には、公訴の提起があった日から、無罪の判決が確定した日までの期間及び再審または非常上告の手続により無罪の判決が確定した場合は、公訴の提起があった日から原判決が確定した日までの期間のうち未決の抑留もしくは拘禁または自由刑の執行等を受けなかった期間にかかる補償の金額は三千円に当該期間の日数を乗じて得た額の二分の一以内とする。 第三に、無罪の裁判が確定したときは、それまでに要した費用のうち被告及び弁護人であった者の公判準備及び出頭に要した旅費、日当、宿泊料、弁護士報酬を補償する。 以上がこの法律案の趣旨であります。慎重御審議の上、すみやかに可決されるようお願いします。ありがとうございました。
○中垣委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○中垣委員 次に、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沖本泰幸君。
○沖本委員 私は全回からの当委員会の先輩、同僚の御質疑に関連しながら質問をさせていただきたいと思います。 まず、最高裁にお伺いしたいわけでありますが、横山先生あるいは稲葉先生、正森同僚、それぞれ御質問になったところでありますけれども、私も二十五期修習生の皆さんとお話しする機会があったもので、自由にいろんな点のお話し合いをしてみたわけですが、その中にいろいろ御要望もありましたし、御不満の点もいろいろお伺いしたわけでございます。これは前回にもいろいろ御質問が出たわけでございますが、その中で、修習生大会を開いた決議の中に、裁判官の任官拒否をしてくれるな、思想、信条、団体加入及びそれらに基づく諸活動並びに性別等を理由とする任官差別をしてもらいたくない、本人の希望があれば、不採用者に理由を具体的に開示してもらいたい、こういうふうな内容、それから、二十二期以来の任官採用拒否に反対する、それから、現在の二回試験に反対する、または、考試委員会の構成、成績判定方法を明らかにしてもらいたい、現在の二回試験のもとで落第者を出さないようにしてもらいたい、こういうふうな決議がそれぞれ出ており、正森さんもこの点については、出席した数からいろんな点をあげられて御質問しておられたわけでございますが、特に私がお話を聞いておりまして感じたところは、一点ございまして、その点について御質問したいわけです。 この中の二回試験に関してですけれども、これはそのまま文章を読ましていただきますが、「後期即日起案をすでに経験した私たちは現行「二回試験」がどんなものであるか十分に予想できます。わずか七時間半という時間内で一〇〇頁から二〇〇頁におよぶ膨大な記録を読破し、心証を形成し、それを答案として文章化すると云う作業を強いられ、しかも問題点が多岐にわたり、真剣に取り組む程迷わざるを得ない限界的事例について熟考する余裕もないまま書き上げざるを得ない科目もある一方、教養試験においては単なる作文にすぎません。また、「判決起案の手引」を参照すれば事足りるような判決の細かい形式に至るまでの暗記を要求されます。このような「二回試験」を乗り切るためには判例の見解をそのまま採用することが答案作成上無難なことや「判決の形式的ミスが重視されるため、判例の無批判な暗記や末しょう的な判決形式の暗記に修習生の大部分がついやされてしまいがちです。このような修習生活からは、人権感覚に優れた、国民に期待される法律家は育ちにくく、また、このような「二回試験」では迅速な事務処理能力や法律技術は試せるかも知れませんが、真に国民に責任を負うべき法曹の資格を試すことはできません。」こういう点と、それから次は、これもお話に出ましたが、「六期から一七期まで一人の落第者も出さずに運用できた制度であるにもかかわらず、考試委員・考試委員会の構成・成績判定のシステム等のほとんどが明らかにされないまま、突然一八期以降毎年のように、しかも五〇〇人中一人か二人の人が落第させられていることから「見せしめ的」なものではないかとの疑惑も抱れています。その上、前記の如く、「口実」ではないかとの疑惑のもたれている「成績」の根拠にこのような不合理な二回試験が重要な基礎とされていることからも「二回試験」に反対せざるを得ません。」ですから、「胸襟を開いて話り合うことの少ないまま「二回試験」に向けられた味気ない技術的な勉強に追いやられ、真に法曹としてふさわしい素養を身につけるための修習生活かどうか極めて疑問な生活を送らざるを得なくされてきた」こういうふうにいっておられます。それと特別決議の中で「講演会のための大講堂使用不許可に抗議する。」こういうようなのも出ておりまして、大講堂を使おうにも昼間しか使えない。食事の時間しか使えない。こういうことで食事もろくろくできないとか、夜いろいろなカリキュラムをやったり、いろいろな点についてもなかなかワクをはめられて思うようにならない、こういうことでは勉強する者にとっては非常にワクをはめられて十分な成長を期せられない、現実にその衝に当たっていらっしゃる方々がそういうふうに気持ちを述べていられるし、何人もがそういうことをじかに私におっしゃったわけですが、そういう点についてこのとおりなのか、あるいは何かの形で改善して、すぐれた人を得るために、あるいは自由な発想を構成するために、もっと改善すべき点があるのではないか。またこういった注文に最高裁のほうとしてもこたえてあげるべきではないかと私は考えるわけでありますが、この点について御回答いただきたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 司法修習の二年間と申しますのは、法曹として育っていくために非常に重要な修養の期間でございます。私どもはその二年間というものは決して長過ぎるとは考えていないわけでございます。むしろ短過ぎるくらいではないかとすら思っているわけでございます。しかしいろいろな制約もございますし、その二年間の間に裁判官、検察官あるいは在野法曹としてりっぱに任務を果たせるような方を何とかして養成いたしていきたいというのが修習制度の眼目、念願でございます。そのことのために相当の施設と相当の人員と国家予算をさきまして努力をいたしておるような次第でございます。 修習は御承知のように研修所でまとめてごめんどうを見ておりますけれども、その中身ということになりますと前期後期、前期の四カ月間といたしましては、これはどちらかと申しますと研修所でいろいろの手引きをするということでございますし、それから終わりの四カ月間というのは、現地でいろいろと修習をしてきましたものをもう一度おさらいをしまして、まあでこぼこの調整をする、最後の仕上げをするというような観点で行なわれておるものでございます。その中間の期間と申しますのは、これは御承知のようにそれぞれの裁判所、検察庁、弁護士会に配属されまして、なまの事件を先輩諸氏からなまの形でいろいろと教えていただく、身をもって法曹のあり方、それから法曹としての必要最小限度の技術といったようなものを身につけていくということをいたしておるわけでございます。 二回試験とか考試とかいろいろ沖本委員からお話がございましたけれども、確かにそういったものが最後の仕上げ、最後の判定の一つの手段として使われておることは事実でございます。しかし、そこで私どもが判定されることを期待しておりますのは、決して末梢のテクニックといったものではないわけでございまして、その前に二年間いろいろと体得いたしました実務の修習というものが、どの程度身についておるかどうかといったようなことを率直に知ろうという観点から行なわれるものであるわけでございます。ただ五百人にも及びます多数の修習生の方に対して、一応平均的な能力のテストと申しますか、そういったことをやろうということになりますと、それは勢い限られた時間で限られた方法というものができてくるわけでございます。それが先ほど御指摘の一日六時間半あるいは七時間といったものの間に、一つの試験記録に基づきましてそれを起案するというような方向で考試が行なわれるということになるわけでございます。 確かにそういう方向で考試を行なうということになりますと、それはそれなりに、沖本委員御指摘のようないろいろの問題が出てくるということも、私どもにはわからないわけではございません。しかしもともと考試と申しますのが、いま申しましたように、二年間実務の修習をあらゆる角度から行ないまして、そうして徐々に身についてきた、そういった能力というものをありのままに出してもらえればそれで十分であるはずのものをテストするというものでございますので、私どもはそういった考試のやり方が必ずしも非常に欠陥の多いものとは思っていないわけでございます。 これまで二回試験のこのような方法は、戦後の一、二期の場合を除きまして、ずっと戦後も行なわれたものでございますし、また戦前にさかのぼりましても、もうかなり古い歴史を持って行なわれておるものでございます。考試のやり方とかそういったものは、確かに個々の細部については検討をいたさなければいけない点があろうかと思います。こまかなふうに問題を設定して、その問題を一つ一つ尋ねるというやり方もございますのでしょうし、もっともっと大きな問いを出し大きな答えを要求するというようなやり方もあろうかと思います。また筆記と口述と二つございますけれども、どちらに重点を置くかということで、現在は時間的その他から筆記のほうに重点を置いておりますけれども、これをたとえば口述のほうに重点を置くというようなやり方も考えて考えられないことではなかろうかというふうに思います。 そういった点につきましては、私ども不断に検討を重ねておるわけでございますが、しかし何と申しましても伝統ある、歴史的に相当長い期間やってきてそれなりの成果をおさめておる考試方法でもございますので、いま直ちにそういう方向をあまり大幅に変えていくことも、また安定性を害するというような意味においていかがであろうかということで、いまのようなやり方を続けておる次第でございます。 それが、そのようなやり方をいたしますと、技術の末梢に走り、あるいは一つの定められた公式的なやり方というものを採用せざるを得ないではないかというような御指摘があったかと思いますけれども、いま申し上げましたような考試でございますので、決して一つの結論にみなを合わせようというような意味でやっておるものではございません。基礎的なしっかりした法律知識とそして教養が身についておりますれば、その考え方あるいは結論というものはどのようになりましょうとも、私ども考え方あるいはその推論の筋道というものが筋が通っておりますれば、結論としてけっこうな答案、けっこうな答えであるというふうに考えるわけでございまして、決してその結論を合わせるために、そういうようなことでよしあしをきめておるわけではないわけでございます。 ただ、判決書を書く、あるいは起訴状を書く、いろいろなことになりますともちろん一定限度の技術的なものが要求されることは事実でございます。お金を貸したという事案で、お金を渡したということを書き忘れるというようなことになれば、やはりこれは初歩的なミスということになるわけでございまして、そこに一定の、最低限度の技術的な素養というものが要求されることはもちろんでございますけれども、私ども、そういったものは二年間の実務修習、ことに司法試験という相当程度の高い試験を受かってきた方々が二年間修習されれば、そういったものはもう当然身についておる。決してそのことのために余分な、むだな時間が要るというようなものではないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、二回試験ということで、こういうものがあれば確かに気になることは事実でございます。しかしそれは決してそう気になるような試験ではなくて、まじめに二年間の修習をやった方は当然受かるような意味での問題を出しておるというものでございます。まあ逆説的な言い方をいたすわけで恐縮でございますけれども、長年やりましてそう多くの落第者が出ていないということからも、決してその試験はそうむちゃな試験ではないということはおわかりいただけるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかし先ほども申し上げましたように、二回試験のやり方というようなものは、これはやはり日々改善ということについて考えていかなければいけない問題であることは沖本委員御指摘のとおりであろうと思います。 なお次に、修習生大会等でいろいろな要望がなされておることは私も承知いたしております。で、先般当委員会でも申し上げたわけでございますけれども、思想、信条あるいは特定団体加入といったようなことで採否の差別をするということは、これはあり得ないことでございます。まあ重ねての御質問でございますので重ねて申し上げますけれども、そのようなことは決していたすつもりはないわけでございます。ただ採用、不採用という問題になりますと、これもたびたび申し上げておるところでございますが、国民に対してその権利義務の存否ということに関しまして国家にかわって判断を下すという作用はきわめて重要な作用でございますので、そういった判断を下すに適した、ふさわしい人と認められない限りは、ただ修習を終了されたということだけで全員を採用するというわけにはいかない場合もあり得る。これはやむを得ないことかと思いますし、そういった場合に理由をお示しするというのは、人事のこういった問題について理由をお示しするのが好ましくないのと全く同様の事由をもちまして、御本人に不採用の事由等を申し上げるということまでは現在のところは考えていない、そういうことでございます。
○沖本委員 率直に申し上げると、まあ国会でも御質問してみるけれどもということで修習生の皆さんとお話し合いをしたのですけれども、おそらく答えは、皆さんがお聞きになった以上の答えは出てこないでしょう、それが出てくるようになればたいへんだということを申し上げたわけです。まあ私はそういうふうな司法修習生の出身者でもありませんし、自分自身がそういう制度を通ってきていないので感覚的にも全然わからないわけですけれども、まあしろうと目に見て、あるいは部外者的に見て、一応司法試験を通って、そしてこれから法曹界へ将来を託していこう、こういう方は一つの関所を通った、資格をお持ちだと私考えるわけです。ですから、相当なレベルの方が来ていらっしゃる。それがなおかつ私たちにこういう問題を持ち込んできて、そして解決をはかっていこうとするお考えのところに私は問題があるのじゃないか。これから最高裁の中で一生懸命日本の国民のために最頂点に立って働いていこう、奉仕していこう、こういう方々が最高裁と対立しておったのでは、これはどうにもならない。これは最後までしこりが残っていくような考えが私自身浮かんでくるわけです。むしろこういう問題は私たちのところへ来るまでに、修習生の皆さん方と最高裁のほうで話し合いができながら納得していく中で、こういうことが行なわれていかなければならないんじゃないか。そういう修習生の皆さんの要望なりあるいは考えていらっしゃることが、時代的にもあるいは制度の上からも納得できないからこういう形で出てきているというふうになってきますと、私たちの考えですと、これはいわゆる押しつけてしまって、そしてその押しつけに従わすというふうなごとになると、現代青年なりあるいは現代っ子的なものの考え方、それの延長ということから考えていくと、いま非常に自由なものの考え方を持っていらっしゃる。むしろその自由なものの考え方を育ててあげて正しい方向へ持っていって、そして日本の国のために尽くせるようなお人柄になってもらうということが大事なわけですから、そういう点はやはり大勢集まっていろいろな議論をして、その議論の中から生まれてくる問題はやはり考えてあげ、取り上げてあげ、それはまた制度の中にもできる限り生かしてあげる、こういう方向で納得してやっていくということでなければならないと思います。 また、もう一点から考えますと、一応司法修習生として勉強していらっしゃる方々は、もう将来が一つの約束された将来として進んでいらっしゃる、そういう受け取り方をしていらっしゃる。司法試験を受けただけではだめであって、もう一度いわゆるふるいにかけてみてということになるんでしょうけれども、その段階でずっとそのまま上へ持ち上げられるように、裁判所のほうでりっぱな人間に育てるためにおやりになっているものか、あるいはふるいにかけて落としてしまうために、その中から粒よりを選ぶためにおやりになっているのか、そのものの取り方、やり方によってはずいぶん変わってくるんではないか、こういうふうなことが部外者的な立場から見ると見受けられるわけです。ですからいろいろな御注文を見てみますと、なぜこういうことが起きてくるんだろうというふうになってくるわけです。そしてこういうふうな不満を持ったなりで任官なさっていったんでは、将来もますます疑問に疑問を生んで大きな問題になっていくんじゃないか、こういうふうにも考えるわけです。中には、ある方は問題だともおっしゃっておりましたけれども、まあ正常な恋愛関係が生まれてきて結婚なさったような方々は任官できないんだというふうなお考えを持っていらっしゃる。そういうふうな女性はふるいにかけられて落とされる、そういう疑問を持っていらっしゃるわけです。質問すると、そうではないとお答えが出てくるはずなんです。しかしそういう疑問を持っていらっしゃれば、そこに自由な考え方というものは生まれてこないと思うのです。その辺について、将来に向かって最高裁としてはこういう問題をなくするため、いつもここで議論していくということではなくて、もっともっと裁判所と修習生の間が明るく、そこに敷居やあるいはみぞのないような形になってもらいたいことを私たち希望したいわけです。そういう角度から最高裁のほうでは将来に向かってどういうお考えを持っていらっしゃるか、あるいはこういう問題に対して将来どういう取り上げ方をしていこうとお考えになっていらっしゃるか、その点についてお伺いしたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 修習生を育てますのは、これはもう法曹としていやが上にも各人りっぱな方を養成していこうということでございまして、その間に五百人おります修習生に一番から五百番と差をつけて、おまえは何番だ、おまえはこれより悪いぞという差をつけようと思ってやっていることではないことは、これは当然のことでございます。何とか全員の方に、どなたをとってみましてもりっぱに裁判もおやりいただける、検察もおやりいただける、在野法曹としても十分御活躍いただけるというような方を選んでいきたい、つくっていきたいというのが私どもの念願であるわけでございます。ただ現実の問題といたしまして、やはりその中でもできるだけいい方に裁判官になっていただきたいと思うことは、これまた検察官側でもそういうことでございましょうし、私どもも同様であるということで、ひとつ十分御勉強いただいて、できるだけりっぱな方にできるだけ多数後輩として裁判所に入ってきてほしいということを念願し、そういった観点から、まあいろいろと任官説明会等でもお願いをしておるわけでございます。しかし、これはまあ年に一度か二度伺うだけでございますので、私どもとしましては、やはりそのために裁判所からも多数の教官方がおいでになっておりまして、修習生と日夜接触しておられるわけでございます。まあ沖本委員御指摘のような問題につきましては、法務委員会等で御質問をわずらわすというようなことのないように、日常教官と修習生がよく話し合って、場合によっては私も出かけていくということも考えられる。そういうことで、ひとつ、疑問と申しますか、そういったものはできるだけないようにしていきたいと考えております。 それから、女性の差別の問題とかいろいろのお話がございましたけれども、昨年も実は女性の方、男性の方、別々に採用いたしましたところが、採用後数カ月でその方が結婚をしたというようなことがございました。そういった場合に、私どもはそういうことを存じませんでしたので、男性の方と女性の方の任地を別々にいたしておりましたけれども、これは結婚するならなぜもっと早く言わなかったか、言ってくれれば十分配慮もできたのじゃないかということを言ったわけでございます。そういった問題で男女の区別を、男性と女性の区別をする、ことに夫婦のような方である場合には採らないとか、そんなことを考えておるわけでは決してございません。率直に言ってくだされば、率直に、夫婦あるいはすぐ結婚する方として、任地等も十分配慮していくということを考えておるわけでございます。 そういう御疑問がございましたら、この席でそういうことは決して御心配いただかないように、修習生の方々にもかわりまして、重ねて沖本委員にも申し上げたいと考えておるわけでございます。
○沖本委員 蛇足的にたると思うのですが、一般社会的なものの考え方からいきますと、最高裁のほうは、たとえば義太夫しか好まない、ゴーゴーを踊っているのは、あれはちょっとおかしいのだ、そういうふうな常識的に考え方を持っていらっしゃるようなことよりも、むしろ人事局長が修習生の皆さんとパーティーを開いてゴーゴーを踊って、そしてその中から和をつくっていく、そういう中で意見を拾い上げてもいき、そういう形で研修所の中の空気を明るくしていくような形になったらいいのじゃないかというような気がいたすわけです。 ともすれば、一定の年齢を経ていきますと、ゴーゴーを踊っていると、あれは少し軽はずみな人間じゃないかと古い年代の人間は考えがちなんですね。ですから、結婚問題にしましても、こういうことがあったけれども、しかし皆さんのほうから、恋愛関係が生まれて、結婚するというようなところにいけば、先に言ってくれたら、ちゃんとその問題は、皆さんが話をすれば計らってあげられる問題なんだ、あとになって、こうなったら困る、こういう事例があるけれどもというふうなことが、前もって向こうにいけば、そういうことにはならないと思うのです。ところが、そういう問題を出して明るみに出ると、それがたちまち不採用の条件になるのじゃないか、疑心暗鬼をしながらそっとやっていて、結局任地が変わってしまって、たいへんな非劇を生んでしまう、そういうことになるのじゃないか。そういうところにお互いにみぞができている。まあ、こういう単純なものの言い方で片づく問題ではないとは思いますけれども、そういうものも、私たちしろうと考えで、あっていいんじゃないか、そういう考えを持ちますので、そういう点もひとつお考えの中に入れていただいて、そしてスムーズにりっぱな方々が採用されることを私たちは願いたいわけです。 それでは質問の角度を変えさせていただきます。 予算の問題に関連してくるわけでございますけれども、私の知るところによりますと、裁判所の増員要求と大蔵省との関係になるわけですけれども、いわゆる単純に言いますと、ある程度の数を要求なさった、それが大蔵省のほうで人員削減をされてきた、あるいは一省一局削減のような内容が裁判所のほうにもいってしまった、そういうことによって、それに準じて裁判所のほうも人員を削減した予算要求をなさった、こういうことではないか、こう見たいわけですけれども、あくまで裁判所は独立しているわけですから、独立した中で十分予算が見られていき、まかなわれていかなければならない。それが政府の意向によって政府の意向なりに形が変わっていくということになれば、政府の顔色を見なければならぬ。その辺に、もう司法の独立がくずれていく、こういう形にもなるわけですけれども、その増減の点についてはとうでしょうか。
○三好最高裁判所長官代理者 本日局長がやむを得ぬ所用がございまして出席できませんので、不行き届きでございますが私から申し上げさせていただきます。 ただいま御指摘の点でございますが、本年度減員の予定といたしまして、六十八名の減員をうたっております。これはいきさつを申し上げますと、御承知のように昭和四十六年八月十日に定員削減計画の第二次の実施についてという閣議決定がございまして、行政官庁におきまして定員の約五%を三年間毎年三分の一ずつ減員するという政策が決定されております。このあと同じく八月十日付で、私どもの事務局長あてに内閣官房長官から、これに対します協力要請というものが参っております。さらにその年の、やはり夏につくるものでございますが、四十七年度の予算案の作成に際しまして、大蔵省のほうから予算案に関連してやはり協力方の要請がございました。 もちろんこれは政府の問題でございまして、私どもに対します拘束力というものはございませんわけでございますが、この閣議決定というものは、もう私どもから申し上げるまでもなく、財政の硬直化を打開し、行政コストを削減するというふうな目的でなさるものでございまして、私ども裁判所も国の財政で維持される機構であります以上、国全体の立場から、できまするならばこれに協力したいというふうに考えまして、私どもも種々内部検討を加えましたわけでございます。 そして私どもと各省庁との違いを申し上げますと、各省庁というものは行政需要の消長と申しますか、一方で非常に多数の人員を要するという行政面が出てまいります半面、片っ方ではすでにあまりそのほうに力を注がなくてよいという面が出てまいるわけでございまして、有無相通ずると申しますか、ある程度融通がきくという面があるわけでございます。ところが裁判所と申しますものは、どちらかと申しますと、全体として行政需要と申しますか、裁判所の人員需要と申しますか、そういったものがふえている、そういうふうに言えるかと思うのでございます。さらに裁判所の中で司法行政部門、裁判部門と分けて考えますと、裁判部門というものは御案内のように訴訟遅延というものが問題になっておりまして、減員というものはとうてい不可能な状態にあるわけでございます。そういった状況でございますが、他方司法行政部門というものはもちろん大幅な減員というものはできませんが、これは大幅な減員をすれば当然裁判事務のほうにも影響してまいりますので、そのようなことはできませんが、ただ最近におきます事務の機械化、会計機でありますとかあるいは複写機でありますとか、そういったものの発達、また私ども内部におきます報告事項等を整理することによりまして、ある程度削減するということは不可能でない状態にあるわけでございます。 そこで、私どもといたしましては、との司法行政部門におきまして政府にでき得る限りの協力をしてみようということを考えまして、四十七年度以降、司法行政部門と庁舎管理部門、二の部門から四%の削減というものを考えまして、それを三年間に達成するということに内部的に考えまして、三年間、毎年六十八名ずつという減員を考えているわけでございます。 以上でございます。
○沖本委員 四十六年度の十二月末現在の裁判官の欠員数はどのくらいなんですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官の欠員数でございますが、いまのお尋ねは四十七年の末でございましょうか。
○沖本委員 四十六年と四十七年と、両方お願いしたい。
○矢口最高裁判所長官代理者 四十七年の十二月におきましては、裁判官が判事五十四名、判事補九名、簡易判事で二十六名ということで、八十九名の欠員がございます。四十六年も大体それに近い欠員があったというふうに記憶をいたしております。正確な数字はちょっと持ち合わせておりません。
○沖本委員 最高裁からいただいた資料の「昭和四十八年度裁判所所管予定経費要求額説明」の増員関係になってきますと、全員で百三名になるわけです。で、この新旧対照条文のを見ると、三十五名になっているわけです。三十五名にすれば概要の説明の予算額は結局どういうことになるのですか。
○大内最高裁判所長官代理者 ただいま沖本委員御指摘のとおり、予定経費要求額説明書に記載してございます総員数は百三名でございます。定員法で御審議いただいております増員は三十五名でございます。それは、ただいま御説明申し上げましたように六十八の減があるためでございますが、その点ちょっと説明書の記載がやや不適当と申しますか、不十分と申しますか、と相なっておりまして、たいへん申しわけない次第でございます。私どもといたしましては、定員法との関係を明確にする意味におきましても、今後は減の関係につきましても十分に御説明申し上げるようにいたしたいと考えております。
○沖本委員 この百三名分と食い違いが起きているのですね。この理由説明の中では、第一点として判事補の員数を、交通関係業務上過失致死傷、こういうことから判事補の数を三人、それから簡易裁判所の判事の員数を四人増加している。それから第二点として少年事件関係、まあずっといって二十八人、こういう点を合わしたのと百三名との関係と予算の関係が食い違っているのじゃないかという疑問を持たれると思うのですけれどもね。
○三好最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点でございますが、裁判官のほうは別にいたしまして、本年度いわゆる増員というほうでまいりますと、御指摘のようにいろいろな関係で、書記官、事務官、家裁調査官を合わせまして百三名というものの増員が認められているわけでございます。これに対しまして、ただいま御説明申し上げましたように、他方で司法行政部門といったところで事務雇を六十八名減員するということを計画いたしておりますので、それを差し引きいたしますと、その百三名から六十八名を引きまして三十五名ということになるわけでございます。したがいまして、定員法はこまかいところは抜きにいたしまして結論だけを条文にあらわしますので、その三十五名を増員するという定員法の条文に相なるわけでございます。 以上でございます。
○沖本委員 ですから、純増は三十五名なんですね。その辺と百三名との関係がどうしてもなかなか納得いかないのですがね。この辺をわかりやすくしておいていただきたいと思うのです。
○大内最高裁判所長官代理者 先ほど総務局の第一課長から御説明申し上げましたように、六十八名の減を引きまして、その後に百三名の予算化の定員が入った、したがって結果的に純増が三十五名になった、こういう関係に相なるわけでございます。
○沖本委員 ですから、説明書のほうを読んでいると三十五名が純増なんでしょう。で、数字的に集めていくと百三人という形になるわけですね。それでこの予算の数字が書き込まれているということになるから、その辺の内容が、純増三十五名なのになぜこういうことになるのだという疑問を持つわけです。その辺をもう少しわかりやすくしておいていただきたいわけです。ですから、その六十八名の事務雇ですか、事務雇が百十八名減になるわけですか。なぜ減になるわけですか。
○三好最高裁判所長官代理者 これは先ほど御説明申し上げましたように、まあ政府の定員削減措置に私どもとしてでき得る限り協力したいということから、さしあたり裁判部門に直接影響のない司法行政部門におきまして、事務の機械化あるいはその他、行政事務の簡易化といったことをはかりまして、六十八名ぐらいは減になっても影響はないということを考えまして、六十八名を減らそうということを考えましたわけでございます。
○沖本委員 いままで、結局裁判官も足りないということをしばしば当委員会で各委員が質問して、そのとおりだということをよくお答えになっていらっしゃるわけですけれども、あわせて、その職員も足りないのだという点をおっしゃっている。またこちらも、そういう者が不足しておるということも御質問をしてきているわけですけれども、職員の中でもこの裁判所の事務官、そういうふうな職員が不足しているということをよく言われているわけです。で、ただそういうふうな定員削減という形で私たちの立場から見てみると、どうしても政府の意向に押されがちで、予算をもらうためにはやっぱり政府の意向を聞かなければならない。まあ先ほどの御説明で、何も裁判所は政府の意向に従わなければならないときまったもんではないけれども、そういう意向を考えて必要以上のものでなければやっていきたいということなんですけれども、一方では、こういうふうに足りない問題がたくさん出てきているわけですね。私たちはその辺から、やはり司法の独立というものがおかしくなってくるんじゃないかというような疑問を持たざるを得なくなってくるわけです。大体、事務雇というのはどういう仕事なんですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 事務雇と申しますのは、一口にそう申しますけれども、実は仕事の内容は雑多で、補助の仕事というふうにまずお考えいただきたいと思います。 では、その中でどういう仕事を補助するかということでございますが、裁判所には裁判所事務官というものがございます。この事務官の仕事を補助をいたします。それからまた裁判所書記官がございますが、裁判所書記官の仕事も補助いたします。それから家庭裁判所調査官がございます。その家庭裁判所調査官の仕事も補助する。結局ある程度非常に機械的な、いわゆる補助的な仕事を、裁判所の裁判部門、それから司法行政部門全般にわたりまして補助をしておるのが事務雇というものの職務内容ということができるのではなかろうかと考えております。
○沖本委員 一応聞いてみますと、身分的にとかあるいは処遇とか、そういうものには一切ほとんど差別がなくて、同じような扱い方を受けておって、そして活字の面だけが雇になっている、こういうふうなことを伺ったわけですけれども、では一体そういう扱い方をされている方が何人ぐらいいらっしゃるのかということと、そういうものはもう必要ないのじゃないか。そういうふうな雇だと何か臨時雇い的な感じも受けますし、あるいはそこに社会的に身分の差別があるのじゃないかというふうな感じを対外的にも持たれたり、その人たちが非常に肩身の狭い思いをしていくのじゃないか。ただ活字の上だけでそういうような扱いがあるのなら、やはりそういうところに裁判所の古さというものが残っているのじゃないかというふうな感じを受けるわけですけれども、こういう点は何とか解決していただいたほうがいいのじゃないか、こういうふうに私は考えてもおりますし、そういう御意見も伺ったことがあるわけです。こういう点について裁判所側はどういうふうにお考えなんでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 実は御指摘いただきました点は、確かにそういった面があるのでございます。御承知のように戦前は官吏ということでございまして、官吏とそれ以外の国につとめる雇員、傭員というようなことで、身分的な差別がございました。しかし、戦後はすべて国から俸給をもらうものであります以上は、国家公務員ということで、そういった身分的な差別というものは一切なくなってきたわけでございます。そういう点から見てまいりますと、同じそれが補助の仕事であろうが、もう少し高級な仕事であろうが、国家の事務をとっておるということである限りにおいて、そこに事務官と事務雇というような差をつけるということはおかしいではないかということは、これは確かにいま沖本委員が御指摘になるとおり、そういう差別をつける必要がないということも十分考えられる問題ではなかろうかというふうに思います。 現在事務雇は約百名ほどおりまして、なお年々四月になりますと百数十名を年間採用いたします。大体高校出の職員でございますが、初級職職員に合格した者を主眼といたしまして、かなりそれはそれで優秀な人たちが入ってきているわけでございます。それを事務雇ということで、わずかな期間で、大体六カ月ぐらいいたしますと事務官に逐次任用しておるという状況ではございますけれども、これをもう少し考えるべきだというようなただいまの御指摘というものは、確かにそれはそれで考えなければいけない面があるのではなかろうかというふうには現在考えておるわけでございます。
○沖本委員 そうすると事務雇というのははずされるお考えなんですか。結局私の聞いたところですと、大学出と高校の違いだけでしていらっしゃって、仕事の内容は何ら変わりはないのだということであり、ある程度の訓練を受ければあとは同じ仕事をやっていらっしゃるということになります。そこで、仕事は同じことをやりながら、大学出と高校出とに差別が文字の上でできている。こういうのははずしていただくことが、やはり能率を上げたり、本人の将来に対する意欲を燃えたたしたりするわけですけれども、こういう点はもうおはずしになるお考えですね。
○矢口最高裁判所長官代理者 確かに御指摘のように、事務官と事務雇というものの職務内容からくる差というものは、本質的なものではないわけでございます。まあいってみれば、比較的若く採用された、採用後日の浅い人という程度の意味合いしか持ってきていないわけでございます。そういうことでございますと、いま御指摘のように、差を設けるのはおかしいではないかという御指摘はまことにごもっともでございまして、私どもこの制度について根本的に考えてみなければいけないのではないかというふうに、日ごろは実は思っておったわけでございますが、そのような御指摘も十分了解できますので、私の所管事項でございまして、一存でどうこう最終的に申し上げるというところまではまいりませんけれども、御質問を契機にいたしまして、可及的すみやかに事務雇の廃止ということの方向で検討をいたしたいと考えております。
○沖本委員 次に、これもやはりちょっと古きに失するわけでございますが、参与判事補制で、大阪のほうで弁護士会側と裁判所が対立して大荒れに荒れたという記事が出ているわけです。大阪の弁護士会のほうからは、この制度は憲法と裁判所法に違反すると主張し、その人定尋問を済ましただけで実質審議に入れなかった、こういうことがあったわけですけれども、こういう点について十分弁護士会のほうへ説明をしないままにいきなり実施したということで、より対立しているということで、この問題は当委員会でも大きく問題になって取り上げられてきたわけで、これはあわててつくったんじゃないかということでもあり、裁判制度の問題の中で大きな問題点があるという指摘がたくさんあったわけですけれども、このいきさつについて御説明いただきたいと思うのです。
○三好最高裁判所長官代理者 御指摘の参与判事補制度というものは、昨年の十一月二十日から高裁所在地の各地方裁判所におきまして実施しているわけでございます。大部分の地方におきましては、法廷におきます弁護士の方とのトラブルといったものは起きていないように私ども伺っておるのでございますが、御指摘の大阪地方裁判所におきます刑事法廷等におきまして、一、二弁護士の方との間でやりとりがあったというふうなことを承知いたしておるわけでございます。この点につきましては、今後とも弁護士の方といろいろな機会に話し合いいたしまして、なお一そう了解を得て円滑な運用ができるように努力してまいりたいと思っております。
○沖本委員 これは弁護士会のほうはまだ了解していらっしゃらなくて、今月月末に裁判所側と話し合う、こういうことになっているわけですが、東京のほうでは問題なかった。大阪のほうでは問題にされた。こういう点に関心が出るわけなんですけれども、なぜ東京では問題にならなかったか。大阪で問題になったか。その点についておわかりになっている点を御説明いただきたいと思います。
○三好最高裁判所長官代理者 現段階において十分御説明申し上げる資料を持ち合わせていないわけでございますが、東京におきましても一、二の弁護士の方から法廷におきます異議等も出ていることもございまして、東京におきましても地裁のほうと弁護士会のほうから来られる方とお話し合いをしようかというふうなことの機運も起こっているところでございます。
○沖本委員 当委員会でも問題になったということ以外に、まだまだ弁護士会側とも対立点がいろいろあったわけですから、それをあまり強行して、もうきまったことだからということでやっていけば、将来の裁判を進めていく上からも非常にまずいんではないか、こういうふうに考えるわけですけれども、この点についていかがですか。
○三好最高裁判所長官代理者 機会をとらえて十分話し合いを持っていきたいと存じております。
○沖本委員 これは法務大臣に、長い間御在席をいただいておるわけですけれども、この前に刑法の二百十一条でいわゆる量刑の引き上げがあったわけです。しかし、最近数がどんどんどんどんふえてきまして、裁判の遅延が起きてきている。そこで、この立法当時はこういうことによって事件が減るということが中心になってこの法律案をここで審議されたというふうに記憶しておりますけれども、最近になりますと非常に数がふえて裁判の遅延がどんどん起きてきているという点にかかってきますと、この法律をつくったときの精神と全然変わってきたようなかっこうになるわけですけれども、この点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○田中(伊)国務大臣 裁判遅延の原因でございますが、これはやはり裁判所もたいへん少ない定員のもとで裁判の急速な進め方ということについては御苦心をいただいておる。これに対しましては何としても、まず刑事事件について申しますと、検事それから弁護人、この訴訟関係三者が、十分協力をいたしまして、裁判所も円滑なる訴訟指揮ということには全力をあげていただくということで、訴訟当事者の協力によりまして、現行制度のもとにおいてできるだけ迅速な裁判の実現ということに努力、苦心を重ねていくべきものであろう、こう考えております。
○沖本委員 法案の提案の理由では、「交通関係の業務上過失致死傷事件の適正迅速な処理を図る」というために限度を上げるということになったわけですが、限度を上げてみたんですが、だんだん交通事情が悪化してきまして数がだんだんふえていくことになり、現状ではもうどんどん裁判がおくれてきている。それで、数がどんどんふえている、こういう形になってきているわけですね。そうすると、このままでどういう形でこの問題に対処していくかということになっていくわけなんですけれども、例としまして東京地裁の交通部の裁判官の一人当たりの処理件数がわかりましたらお知らせいただきたいと思います。
○牧最高裁判所長官代理者 交通事件だけを特別に取り扱っておりますのは東京地裁ぐらいでございますので、東京地裁の例で申しますと、大体一人当たりの処理人員が年間で約二百三、四十名というところになっておろうかと思います。
○沖本委員 たとえば東京地裁に関してですけれども、これはまあ現在の平均数だと思いますので、これはこれからあとまだまだどんどんふえると思うのですね。今後に対して、この事件処理についてはどういうふうにお考えになっているかという点をお伺いしたいと思います。
○牧最高裁判所長官代理者 業務上過失致死傷事件というのが交通に関連して相当数ふえてきておりますので、本年度の予算でも御審議いただいておりますし、定員法の改正でも御審議いただいておりますように、裁判官三名と補助職員二十八名ほどを増員いたすことになっております。将来事件等がふえてまいりますれば、それに応じた手当てをいたしてまいりたいというふうに存じております。
○沖本委員 特にこれも問題になりましたけれども、事物管轄の問題では、民事事件がどんどんふえてきて、こういうことによって結局処理にたいへん困るような状況になっているのではないか。資料を見ますと、昭和四十五年に比べて四十六年度は約一万七千件簡易裁判所の事件がふえたということになるわけです。当時この委員会で問題になったのも、この金額を上げることによって簡裁の事件がどんどんふえるのじゃないかということを非常に心配した質問がたくさん出たわけですけれども、そういうことが影響して事故数がどんどんふえておるのじゃないか、こう考えられますけれども、こういうことになってきますと、いたずらに混雑を招くばかりで、国民の期待にこたえるということにはならないわけですけれども、こういう点についてどの程度の増員がはかられたということになるのでしょうか。
○西村最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の民事訴訟の事物管轄が十万円から三十万円に増額されたのは四十五年七月からでございます。その前後の簡易裁判所の民事訴訟事件の新受件数の推移を見ますと、一番ピークであったのが昭和三十三年でございます。三十三年に年間九万五千件の新受件数があったわけでございますが、その後漸次減少してまいりまして、三十四年では九万件、さらに四十四年になりますと約五万四千件に減ってきたわけでございます。そこで四十五年に事物管轄の改正がございまして、四十五年には約七万件、四十六年には約八万六千件というふうに漸次増加したわけでございます。しかし、四十七年に入りまして再び七万六千件というふうにまた減少の傾向を示しております。 いずれにいたしましても、四十六年が事物管轄改正後の最高の新受件数であったわけでございますが、この八万六千件は、三十三年の九万五千件よりははるかに少ないわけでございます。そういったことで、この事物管轄の改正の際には簡易裁判所の職員の増員はいたさなかったわけでございます。 それはともかくといたしまして、ともかく四十四年に比べますと四十六年にはかなりふえておるわけでございますけれども、その後の審理期間といったようなことも考えてみますと、一件当たりの既済事件に関する平均審理期間でございますが、昭和四十二年から四十四年当時には一件当たり五・三月という数字が出ております。四十五年になりますと四・九月、四十六年には四・四月というふうに漸次審理期間は短縮されてきております。また、この事件を上訴の関係で見ましても、簡易裁判所の判決に対する上訴率を見ますと、四十二年から四十四年当時は一二%の上訴率でございまして、四十五年には一〇・三%、四十六年には九・七%、上訴率の点におきましても減少を示しておるわけでございます。したがいまして、事物管轄の拡張に伴いまして多少事件数はふえてまいりましたが、その後会社側と裁判官、司法職員その他の御努力の結果でもあると存じますけれども、審理としてはきわめて順調にいっておるということが言えるのではないかと思います。
○沖本委員 いま順調だというお答えなんですけれども、四十六年度は未済の数が三万一千残っておるという数字が出ております。この原因はどこにあるのか、これを減らしていくにはどうしたらいいかということになるわけですけれども、迅速かつ適正ということをおっしゃってはおりますが、こういうふうに出てくるということになると、これはこういうものに反した結果になってくるのじゃないか、こういうふうに考えられますけれども、その点はいかがですか。
○西村最高裁判所長官代理者 四十六年度には未済が三万一千件になっておりますが、その前の四十五年、四十六年におきまして、審理件数が急激にふえた関係で未済事件がふえたわけでございますけれども、その後漸次未済事件のほうも減少してきているのが見受けられます。四十七年には二万九千件となっております。
○沖本委員 そうすると、現状のまま維持していっていいんだということで、それで将来の見通しは十分立つんだという、こういう議論と、足りない足りないという議論とは合わないわけです。足りないという議論の中には、人戸の過密問題が起きてきて、過密過疎との関係が非常に生じてきているという点も理由にあげていらっしゃるわけでございます。そうしますと、こういう問題のやりとりも、これは全司法新聞に出ておりますけれども、 「簡裁で簡判が再置されていない所があるが、どう考えているのか、かけこみ裁判所として住民にサービスしていくという点からいっても簡判を配置するのが当然ではないか。又、簡裁では仕事が多忙のために口頭受理ができない実情にある。簡裁を強化する考えはないか。」という点について、当局側は「簡判が配置されていない庁は、事務量からみて配置しない方が経済的と思うからである。国民に対するサービスを強める必要があるといっても程度問題だ。」こういうふうな議論がここには載っております。で、組合側のほうからは「最高裁の国民に対するサービスの精神が最近稀薄になってきているふしがみられる」、こういう指摘を組合側はしているわけです。それといまの議論とはちょっとかみ合わないような感じがするのですが、こういう点はどうですか。
○三好最高裁判所長官代理者 ただいまの簡易裁判所判事が現実にそこにいないという庁があるという問題でございますが、簡易裁判所は全国に五百幾つございますが、その中には、一人の裁判官の事務量として、私ども考えられますものの〇・一とかあるいは〇・二とか、きわめて事務量の少ない簡易裁判所というものがあるわけでございます。そういう場合には、私どもといたしまして、その〇・一なりあるいは〇・二なりという裁判所の二つあるいは三つに一人の簡易裁判所判事という配置をいたしまして、簡易裁判所に一週間に一ぺんなり何なり行って事務を処理しているということを行なっているわけでございます。これはしかし、ただいま申し上げましたように、ごく事務量が少ない簡易裁判所という例のことでございまして、口頭受理というものも、これは民事局長から御説明申し上げることかもしれませんが、数年前の附帯決議のありました以降、漸次行なうようになってきているところでございます。
○沖本委員 それに関連しまして、事務量が多い点についてですけれども、これは私以前の委員会でも申し上げたのですが、職業病についてであります。この全司法新聞によりますと、たとえば大阪の「藤本さんの公災認定かちとる 大阪支部、粘り強い闘いに成果」をあげたのだ、こういう記事が出ているわけです。それほどに、この職員の方々のいわゆる公務上における病気の認定をしてもらうにはむずかしいのかというふうに私たちは考えるわけですけれども、これはいわゆる頸肩腕症候群という病気ですか、これもこの前に申し上げて、裁判所のほうは非常に認定するのにむずかしいのだということのお答えが人事局長からあったわけでありますけれども、しかし、これは相手がうそを言っているのだという疑いを持って一々チェックをしていくのか、あるいは本人が申し立てている点をやはり考えてあげてそういう点を見ていくのか。一般会社とかそういうところでは、公務上によって病気があったということになれば、やはりそこには十分な治療なりあるいは休養をとるなり何なりの恩典があるわけですけれども、そこに何か調べるようなむずかしい目で見られていくと、働いている人もたまったものじゃないということになるわけですけれども、こういう点もやはり仕事の密度が高くて進んでいかない、事務量が多いという一つの欠陥に片寄ってきているのじゃないか、あるいはまた、人員が非常に足りないということでいろいろな理由をおつけになる前に、まず欠員の補充をしていただく方向に動いていただくほうがいいんじゃないか、こういうことになるわけですけれども、その反面、いま一つの簡裁の点について一般的なやりとりをやってみたわけですけれども、片面ではこれで何とか行けるのじゃないかというようなお考えと、最初から申し上げておりましたいわゆる人員削減、いわゆる政府からいろいろ注文づけられたものの拘束を受けて、その辺に最高裁としての一つの数なり金額なりの拘束が生まれてきている、こういうふうになってくるどこれは問題だということになるわけですけれども、いわゆるできるだけその政府の言い分を取り入れて、それに応じていこうという姿勢も考えられないことはありませんけれども、やはり国民の立場に立って迅速に裁判を進めていくとか、あるいはそういう立場に立って考えてみれば、当然要求すべきことは要求をして十分補充していくべきであり、それが国民の利益を守る根本になっていくのだということであってこそ、初めて司法の独立なり、裁判所が独立してものごとをやっているという感じを受けるわけなんです。この点についていかがでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 具体的な例を御指摘になりまして、私どもの考えをお尋ねでございます。御指摘がございましたたとえば公務災害の問題等も、ちょっと気がついた点で申し上げてみますると、過去五年間に公務上の災害だということで報告がございまして、受理いたしました事件が二百三十件ございます。大体が御指摘の点、手が痛いとか肩が痛いとかいうようなものが含まれているわけでございます。その二百三十件について、処理いたしました件数は二百二十七件でございます。そのうちの二百九件までが公務上のものであるというふうに認定がなされておるわけでございます。未受理のものを除きまして公務外であるというふうに見ましたのは十八件にすぎないわけでございます。そういう数字からもあるいはおわかりいただけるのではないかと思います。 公務災害の申し立てがございましたときに、それはうそだろうという方向から調べるものではございません。もちろん専門のお医者さん等に十分診察をしていただきましてその御判断を得て、これを十分の資料として最終的に公務上か公務外かの判断をいたすわけでございますが、その数字からもおわかりいただけますように、ほとんどの事件について公務上のものという認定をいたしております。ということは、やはり公務に従事しておりますそういった職員についてあたたかい気持ちで私ども疾病等を、身体の異常が訴えられたときにはこれに対処しておるということをおわかりいただけるのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。 裁判所の職員の削減、政府が職員を削減するから裁判所も是が非でもこれにならわなければいけないなどということを考えているわけではありません。政府は政府、裁判所は裁判所でございまして、もちろんそういう意味で司法の独立というものは私どもは堅持いたしておるつもりでございます。ただしかし、裁判所であるから何をやってもいいというわけでは決してございません。やはり裁判所の中にも合理化をする、あるいは近代的な機械あるいは予算等でまかない得るものがあるならば、そちらのほうを十分に手当てをいたしまして合理的な人員というものをはじき出していくということは、これはやはり政府の意向いかんにかかわらず裁判所独自でやらなければいけない問題でございます。そういう観点から人員の削減問題等にも対処しておるわけでございまして、決して政府が公務員を削減するから、当然裁判所も削減すべきだというような意味で考えておるものではない。そういう点で司法の独立ということについて日ごろ御関心をいただいており、いろいろな形で御理解いただき御援助いただいておることを感謝いたしておりますけれども、今後も決して司法の独立、裁判所の独立ということをゆるがせにするものではないという決意だけは申し上げられるかと存じます。
○沖本委員 それからあとたくさんあるのですが、次の機会に譲るとしまして、一点だけお伺いしておきます。 沖繩の裁判所職員の定員に関する暫定措置に職員の定員は復帰時当分の間最高裁規則で定めるところとなっている、こういうふうになっていますが、当分の間というのはいつなんでしょうか。
○三好最高裁判所長官代理者 御指摘のように沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律六十三条によりまして当分の間最高裁判所規則で定めるということになっております。これに基づきまして私どもの規則で定員を定めておるわけでございますが、このようにいたしました理由というのは、沖繩復帰という事態に当面いたしまして沖繩に置きます裁判所の将来の事件数、言いかえますと将来の事務量というものがどう変動するかということがつかめなかったわけでございます。復帰時に経済的な変動、経済圏も変動いたしますし、社会的事情も変動してまいります。そういったときに一時的に事件がふえるかもしれないし、また一時的に事件が減るかもしれない。そして将来ある時期が来れば一定の落ちついたところに来るであろう。その落ちついたときにある程度恒久的なものとして法律による定員に組み入れるということを考えたものと承知いたしております。したがいまして、この当分の間というのは将来の予測がつくような段階になったときというふうに御理解いただきたいと思いまして、現在いつの時点ということが申し上げられない状態にあるかと思います。ただいま申し上げました事件が落ちつく、沖繩の事態が安定するといった時点をとらえましてできるだけ早い機会に法律定員に組み入れていくということに考えたいと存じております。
○沖本委員 もう将来の見通し立つのじゃないですか。復帰してきて時間たっているわけですから、もうほとんどの役所においてはそういうふうな方向で仕事を進めておるわけです。ところが、将来の見通しが立つまでの期間として置いておかれると、まだ裁判所のほうでは復帰していないということになってくることになります。それでは復帰したことにならないようなことになるわけで、その点はもう復帰しておるわけですから、そういう観点に立って復帰したあとのいろいろな事件の変動とか、あるいは通貨の変動とかというのは、それからあとに対処して大所高所からものを考えていき、やっていくということが私は筋ではないか、こう考えるのですけれども、その点いかがですか。
○三好最高裁判所長官代理者 御指摘の点よくわかりまして、私どもできるだけ早い機会に定員に組み入れるということを考えたいと存じております。
○沖本委員 できるだけ早い機会という、いま現在考えをお持ち合わせないので、できるだけ早い機会、こういうふうにお答えになるのじゃないか。できるだけ早い機会というのは今月もできるだけ早い機会であり、来月も早い機会であり、ことしの暮れも早い機会ということになるわけですから、その辺よくお考えになっていただいて、沖繩の方々がそういう点について不安感をお持ちになったり、あるいは沖繩でこの掌におつきになる方々がそこに差別感をお持ちになったり、あるいは疑問をお持ちになったりするということ自体がやはり将来に向かっての一番不安な原因になっていく、こういうことにも考えられるわけですから、それこそこちらのほうができるだけ早い時期に解決していただきたい。最も早い時期にこの問題は解決していただきたいことを要望いたしまして、質問を保留しながら、これで横山先生と交代いたします。
○中垣委員長 横山利秋君。
○横山委員 法務大臣にひとつ。途中まではどうしても法務大臣、聞いてもらわなければならぬと思います。 執行官の問題について最高裁判所、また特に法務大臣に聞きたいと思うのです。 私がいま手にいたしておりますのは四十八国会、昭和四十年三月の本委員会の附帯決議であります。本委員会はきわめて温厚な委員会でありますから、附帯決議も大体においてはまあまあということでありますが、この附帯決議は法務委員会としては政府の怠慢に対して全く過酷な決議をいたしておるわけです。たとえば 一 現行の執行吏制度は、執行吏は公務員ではありながら、債権者等の受任者として裁判の執行事務等を処理することにより収入を得るという二重的性格の故に、実際上多くの問題発生の危険性をはらみ、これが汚職その他の不正事件発生の温床となっていることは過去幾多の実例の示すところである。 したがって、執行吏制度を現状のままで放置することは絶対に許されないところであり、速かに根本的改善を加えることの必要性は夙くより識者の指摘しているところであり、本委員会においても附帯決議等により再三これを要望している所以である。 二 しかるに政府は、執行吏制度の根本的改善の必要を認めながらその作業について熱意を示さず、今回の改正案も一時をび縫するための糊塗策にすぎず到底叙上の問題の解決に役立つものではない。 三 よって政府は、速かに執行吏制度の根本的改善について最善の努力を致すと同時に、執行官制度の実現について特別の研究を試みるとともに、これが実現までの暫定的措置として、執行吏代理等に対する処遇の改善、執行吏役場の施設その他の環境の改善、執行吏に対する研修の実施と指導および監督の充実、競売実施方法の改善等を早急に実行に移す等格段の努力を致すべきことを要望する。 右決議する。 これはきわめて痛烈な決議でございます。 それを受けて五十一国会、昭和四十一年六月 執行官法案に対する附帯決議 我が国の執行吏制度については、今回の改正をもってしては不充分である。よって、政府並びに最高裁判所は、引続き執行事務を直接固定俸給制の裁判所職員たる執行官において行う方向について検討を加え、早急にその実現方について鋭意努力すると同時に次の諸点について配慮すべきである。 一、各地方裁判所内に、執行官の執務場所を確保することはもとよりその環境施設を明朗ならしめることに努力すること。 二、執行吏代理をはじめ執行事務に従事する職員の処遇並びにその地位の安定と雇用条件について格別の配慮を行うこと、なお執行吏代理の執行官への登用については、その経験等を参酌してできる限り有利な取扱いを行うこと。 三、手数料制度その他執行事務をめぐる各種の問題について改善を加え執務の公正の確保方について十分な努力をすること。 四、執行官以下執行事務の処理に当る職員の教育並びに研修について、予算上の手当その他必要な措置を講ずること。 執行官法におきましては、その附帯決議でこういうことをきめておるわけですね。 いま「当分の間、」が問題になりましたが、この附則の中で「当分の間、」がずいぶん出てくるわけであります。 「第九条 執行官は、当分の間、第一条に定めるもののほか、私法上の法律関係に関する告知書又は催告書の送付の事務を取り扱うものとする。」「第十条 第六条の規定による金銭の保管及び第十五条の予納金の予納については、当分の間、第六条及び第十五条第二項の規定にかかわらず、最高裁判所の規則で別段の定めをすることができる。」「第十一条 執行官は、当分の間、所属の地方裁判所の許可を受けて、この法律の施行前に旧執達吏規則第十一条第一号から第三号までのいずれかに該当した者又はこの法律の施行の際現に執行吏事務処理規則第十二条第一項の規定による認定を受けている者に、臨時にその職務を代行させることができる。2 執行官は、前項の規定により職務を代行させたときは、旧執達吏規則第十七条の例により、その職務を代行した者に報酬を支給しなければならない。」「第十二条 執行官の退職手当及び退職後の年金その他の給付については、引き続き検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」「第十三条 前条の退職後の年金に関する措置が講ぜられるまでの間は、執行官は、恩給法の例によって、国務大臣以外の文官が受ける普通恩給又は増加恩給に相当する恩給を受ける。」以下省略をいたしますが、長々と私が読み上げましたのは、この執行官の問題については、歴年の本委員会及び執行官法が制定されました経緯からいいまして、なさるべき山ほどの問題がある。ところが、この間調べましたところ、それからとんと何もしていないではないか。「当分の間、」云々ということがいまも議論になりましたが、一体何をしておったんだろうかということを私は痛感いたしたわけであります。この附帯決議並びにこの附則において政府に与えられた任務について何をしておったか、それをまず御説明願いたい。
○味村政府委員 御指摘のとおり、国会の附帯決議におきまして、執行官の制度に関する改善を行なうべしという、いろいろな点におきまして要望があるわけでございます。この執行官の制度は、非常に古くからの制度でございまして、各国の例を見ましてもなかなかむずかしい制度であると思うわけでございますが、昭和四十一年の執行官法の制定の際の附帯決議並びにただいま御指摘になりました執行官法の附則等におきまして要望されておりますことにつきましては、執行官の実施につきましては裁判所にお願いしてあるわけでございますが、政府のとりました施策といたしましては、執行官の恩給につきまして恩給のスライド制を実施する法律案を御可決願いましたこと、それから国庫補助金の増額等を行なっておるわけでございます。
○横山委員 国庫補助金の増額なんというものは、これは附則並びに附帯決議における基本的な問題とは関係がないのです。恩給についても同様のことが言える。私が聞いておるのは、この附帯決議及び附則の特に十二条、十三条による基本的な問題について何をしたか。一体この何をしたかと聞くについて、基本的な問題は最高裁がやるのですか法務省がやるのですか、それはどっちですか。
○味村政府委員 執行官の制度は、これは司法行政の事務に属するわけでございますから、最高裁判所の仕事になるわけでございますが、他面立法を要する事項は、これは内閣の責任で行なうことになりますので、法務省ももちろんこれに関与するということになるわけでございます。したがいまして、そのような事柄に関します改善の作業は、法務省と最高裁判所と密接に協議向いたしまして改善をいたす、そのような手順になるかと思います。
○横山委員 共同責任というわけですね。それじゃ法務大臣にお残り願った価値がある。十二条、すなわち「執行官の退職手当及び退職後の年金その他の給付については、引き続き検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」この十二条はどういう進展を見せましたか。
○味村政府委員 御指摘のように、附則の十二条におきまして、退職後の給付の改善が要望されているわけでございます。この方法といたしましては、おそらくは執行官に対する退職手当あるいは執行官が共済組合に入りまして、共済組合法に基づきます年金を受けるといったような年金、あるいはその他の給付を受けるといったようなことが考えられるかと思うわけでございます。 ところが一方では、この執行官は、手数料制を現在もなお維持しておることは御承知のとおりでございます。この手数料制を維持した執行官につきまして、どのように退職給付なりあるいは国家公務員の共済組合の制度を適用するかということにつきましては、非常にいろいろと技術的な問題がございまして、なかなかむずかしいわけでございます。私どもといたしましても、検討はいたしているのでございますが、現在のところ結論が出ておらないという状況でございます。
○横山委員 そんなことは初めからわかっておることで、いまから六年前に議論をしたことなんですよ。六年間何をしたかというと、六年前と同じ答弁をしておるわけです。そうして退職手当並びに退職後の年金その他の給付については、何らの具体的な提案がされてないため、病院にも行けない。確かに、この手数料制度という特殊なものがあるけれども、しかし手数料をもらって収入を得る以外については、すべて国家公務員と変わりがないでしょう。その手数料だから、この退職手当並びに退職後の年金その他の給付が絶対にできないものではない。手数料制度がやむを得ない——当時もずいぶん議論したことだけれども、固定俸給制に移すことが適当でないということで、もう六年間現状維持で来たのですから、そうならそうで、手数料制度のもとにおける退職手当並びに退職後の年金その他の給付が考えられてしかるべきである。それが考えられないのは、一体どういう理由なんですか。これは誠意の問題です。まあ手数料もらっておればいいだろう、さしあたり緊急逼迫した状態ではないんだろう、ほっておけ、こういうことではないんです。事の次第は大体おわかりになったと思うのですが、法務大臣の御意見をひとつ伺いたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 横山先生御心配をいただてておりますこの執行官制度改正の根本問題は一体どの点にあるかと申しますと、執行官には一般官吏同様に国が俸給を与える。現在の手数料制度から俸給制度に切りかえるということをいたしませんと、妥当な退職金、退職後の給与、国家公務員法の適用、共済組合法の適用などということがたいへん技術的にむずかしいものではなかろうか、こう考えます。幸いに私が三たび就任をいたします以前から、司法法制調査部を中心といたしまして、俸給制はいかにあるべきかということについて検討をいたしております。
○横山委員 何もやっておりやせんだろう。
○田中(伊)国務大臣 いやそれは検討しております。それで、大体の骨子が整いましたならば——そう遠からずこれが整う見込みでございますが、整いましたならば、何といいましてもこの法律の執行は裁判所がおやりになるわけでございますから、まずどこよりも先に裁判所の意見をつぶさに承ると同時に、日弁連等の御意向も聞いてみたい、こういう重要な制度につきましては、法曹三方面の意見が一致した上で立法をしていきますことが望ましいと考えますので、そういう方向を遠からずとりたい、こう考えておるわけで、実際に俸給制については検討をしておるわけでございます。いましばらくおまかせをいただきたいと思います。
○横山委員 最高裁この点について御意見がありますか。
○西村最高裁判所長官代理者 横山委員御指摘の点でございますが、まず附帯決議及び附則の関係でございますが、裁判所が現在までにとってきた制度について多少説明させていただきたいと思います。 附帯決議の関係でございますけれども、四十年の附帯決議の趣旨を体しまして、四十一年に執行官法が制定されたわけでございます。四十一年の執行官法の制定に際し要望されました附帯決議の点でございますが、第一の「各地方裁判所内に、執行官の執務場所を確保すること」という点でございますが、これは執行官法制定後逐次執行官室を設けまして、できるだけ明るい部屋を設けるという趣旨で、新設の庁舎はもとより、旧庁舎についても増改築等によって確保してまいりまして、現在では全裁判所について執行官室が整っております。 「環境施設を明朗ならしめる」という趣旨については、執行官は従前は役場制というていさいをとっていた関係上、什器等についてもすべて執行官の自前であったわけでございますが、年々予算化いたしまして、執行官の帳簿類その他を公費でまかなうことに努力してまいっておるわけでございます。 執行官代理の関係でございますが、これは執行官法によりまして役場制を廃止することに伴いまして廃止することになったわけでございます。経過的には従前の執行官代理の方の処遇の問題がございますので、附則でもって執行官の職務を臨時代行するという形で残っておりますが、一部は執行官に採用され、一部は退職され、一部は事務員という形で若干は残っておりますが、年々減少してきておるわけでございます。 それから附則の関係でございますけれども、九条の告知書等の事務についての暫定措置についてですが、これについては、執行官の公務員性を強化する、職務の内容を純化するという趣旨で、私法上の意思表示の伝達を執行官が行なうことは適当でないということで、これも職務からはずしたわけでございます。しかし現実に依頼者がいる以上は、なるべく便宜をはかってやる必要もあるということで暫定措置として残したわけでございますが、事件数も年々減少してきております。 十条の金銭の保管等についての暫定措置でありますが、これは執行官法によりまして、執行官の事務に関する金銭の保管は、地方裁判所の会計が行なうというたてまえをとっておるのでございますが、一挙にはこの実施は困難であった関係上、こういう暫定措置を規定していただいたわけでございますが、昭和四十二年から五年計画でもって、執行に関する会計事務の職員を百四十名増員をお願いいたしまして、五カ年計画で昨年までに完全に増員を終わり、現在は会計事務はすべて地方裁判所が取り扱うということになっております。 そこで、第十二条、十三条の関係は、調査部長のほうからも説明ございましたように、基本的には従前通り手数料制を執行官法は温存したわけでございますので、現在は手数料制を前提といたしまして、この退職金、恩給の問題を解決することはきわめて困難でございますので、この問題を検討いたしますと、どうしても現在の手数料制に対してある程度のメスを入れなければならないという事態が起こってくるのではないか。と申しますのは、現在の手数料制を前提といたしまして、退職金だけを取り上げて解決する、あるいは国庫補助金だけを取り上げて解決していこうとか、あるいは年金の関係だけを取り上げて解決していくわけにはまいらぬわけで、十二条、十三条にもございますように、それは三者を一体となして考えなければならない問題であるわけでございますが、現在の手数料制を前提とする限りにおきましては、形式的には現在の法律にのりにくいということは御承知のとおりでございますが、実質的に見ましても退職金、年金等の基準になる金額をどうしてきめたらいいかという一番根本的な問題があるわけでございます。これと、国庫補助基準額を基準といたしますと、きわめて低いものになってしまって、かえって執行官にとっては不利益になるわけであります。といって、現実の手数料収入を基準としようといたしましても、手数料収入自体が非常にまちまちであると同時に、同じ人についても年々金額が異なるわけでございますから、どこにその基準を置いたらいいかという技術的な問題があるわけでございます。そういった問題で悩みながらも現在まで来たわけでございます。もちろん現在の状況が合理的なものであるというふうにはとても考えておらぬわけでございます。執行官法にもそのような趣旨の附則が設けられておるわけでございますから、早急に再検討を始めたいと思いまして、法務省とも御相談を申し上げておるというのが現在の時点でございます。
○横山委員 法務大臣、私は法務委員になってほんとうにつくづく思うのですが、ほかの省に比べますと、ほんとうにテンポがおそいですよ。当分の間で、十五年も二十年も当分の間でやっておる例は、ほかの省にもないわけではありません。しかしそれはそれなりの実体的価値があり、そう文句も言えないということは私は認めますが、法務省の作業というものは、ほかの省に比べて実におそいです。それでいろいろと専門家らしい理論的な議論をなさっておる。議論がいかぬとはいいませんけれども、決断をすべきときには決断をしなければだめですよ。これは六年もほかっておいて、また何年もいまのようなお話で、聞けばごもっとものようなことも結局は決断の問題じゃないか。私は固定給制が全面的にいいとは必ずしも言っておらないけれども、法律できまって、院議できまってやらなければならぬことなんですから、これが五年も六年もたっても、五、六年前と同じ議論をここでやってもらっては困る、私はこれは怠慢だと思います。いま大臣が検討しているからではなくて、最初に決断をあなたがしていただかなければいかぬ。いま最高裁のお話の中で、国庫補助基準額が低いから、それでやったらたいへんな損をするだろうという話がありました。国庫補助基準額でちょっとお伺いしますけれども、執行官の一部代理出身者、執行吏の代理資格要件の基準以下であった者、年齢七十歳以上の人、年齢四〇歳未満の人、これはあの当時です。そういう人たちがいま五十九万一千六百円です。それでほかの人は幾らだ。百三万四千円、ざっと半分です。この差というものは一体何だろうかと聞きたいのです。国庫補助基準額が半分で対外的には何らの差がない。やっていることも責任もあらゆること何も変わりないじゃないか。やっていること、責任も権限も全部一緒で国庫補助基準額だけが半分とはまたどういうわけです。いつまでこれを続けておくつもりかということをお聞きしたい。
○西村最高裁判所長官代理者 御承知のとおり国庫補助基準額と申しますものは執行官が手数料制をとっているところから最低収入を保障しろということで出てきておるものでございます。ところで執行官法を制定いたしました際に、従前の執行吏の任命資格とは大幅に任命資格を高めたわけでございます。従前の任命資格は六カ月間執行吏の事務の研修をすれば、試験を受ければ執行吏になれるという形であったわけでございますが、執行官法に基づきまして、執行官の地位を高め、その資質を高めることによって執行の適正を確保しようということで、執行官の任命資格を高めたわけでございます。最高裁の規則で任命資格として四等級以上の職にあった者あるいはこれに準ずる地位、資格を持つ者という形でもって任命資格を著しく高くしたわけでございます。そういう意味で任命資格が異なる執行官ができたということになるわけで、旧執行吏規則による任命資格の者と、新執行官規則による任命資格の者と二種類できました関係上、どうしてもこの最低収入の保障という点では任命資格に合わせて考えざるを得ないという点から、二段階ができたわけでございます。
○横山委員 そんなことはわかっておって聞いているのです。要するに私が素朴に質問しているのは、国庫補助基準額はえらい半分だ。しかし、対外的に持つ権限も責任もみんな一緒ではないか。一級建築士とか二級建築士とか、それによって権限が違うとか何か違うというなら話は別ですが、権限も義務も一緒であって国庫補助基準額だけが違うという現状についてどう考えるか。いつまでもほっているのはおかしいじゃないか。もしも一級執行官、二級執行官と、こういうならわからぬでもないが、同じじゃないか。義務も権限も一緒だったら、何で国庫補助基準額も一緒にしてやらないか。
○西村最高裁判所長官代理者 御意見のとおり、現状でよいのだというふうに私ども考えているわけではございませんけれども、いま申しましたように、最低収入の保障という意味で任用資格からパラレルに出てくる補助基準額というものを直ちに一致させるということは実際問題としては困難であると思います。
○横山委員 何が困難だ。どういう理由で困難だ。
○西村最高裁判所長官代理者 国庫補助基準額の性質というものは、いま申しましたように、最低収入の保障ということからきておりますので、それを初任当時の任用資格にパラレルに合わせたということであります。手数料制にはいわゆる昇給制度というものはございませんので。
○横山委員 あなた自分で言っておって説得力がないということがわかっているのですか。
○西村最高裁判所長官代理者 おっしゃられると説得力がないかもしれませんけれども。
○横山委員 もう一ぺんあなた私に答えてくださいよ。一級建築士だとか二級建築士だとか、対外的に権限が違う、義務が違うというなら話はわかる。やっておることも権限も全部一緒ではないか。それに対して昔のことを言って国庫補助基準額が違うのはあたりまえであるという理屈は何らの説得力がないと言うのです。昔は昔今は今、全部同じ仕事をやっておるなら同じ国庫補助基準額でなぜいけないか、頭を切りかえてちょうだいよ。
○西村最高裁判所長官代理者 どうも説得できないのはたいへん残念でございますけれども、ともかく理論的に申しまして、昇給の制度を入れる余地がない以上任用資格に合わせて基準額をきめざるを得なかったというところにあるわけでございます。それ以上……。
○横山委員 昔の話はわかった、いま……。
○西村最高裁判所長官代理者 現在においてば直ちにこの差を解消するということはできないわけでございます。
○横山委員 なぜに、それをやったらたいへんなことが起こるか。——これはお答えができないですね。それは事は簡単なお話で、昔執行官になるときに格づけが低かった。だから一本に並べるというのはちょっとどうかということであったことはわからぬでもない。けれども、いまあらためて考えてみて、やっておることもすべて同じではないか。義務も権限も全部一緒ではないか。何で国庫補助基準額だけ、しかも国庫補助基準額というのは同僚委員おわかりのように、手数料で一定水準に達しない者だけを保障してやるということですから、全部が昇給するわけじゃないのです。だから私は全部同じにしてやれ、こう言っているわけですよ。それについて御答弁ができないのです。どうですか、大臣。あなたも感覚のいい方だから、なるほどもっともだ、横山君の言うとおりだ、おれもそう思うと、こういうことになると思うのだが、どうですか。
○田中(伊)国務大臣 仰せになることはよくわかります。よくわかりますが、制度的に申しますと、任用するときの資格が前後違う。資格が違うから最低保障額の金額も違うのだというように御理解をいただくわけにはいきませんか。
○横山委員 いきません。同一労働同一賃金。
○田中(伊)国務大臣 ただ最低保障という段になりますと、任用資格というもので区別をつけるということが一応わかるような気がいたします。しかしながら、これは仰せのとおり、ほとんど倍額近く違う、少し制度的に見て額に差があり過ぎるという状態でございますから、こういう点は一度検討をしてみる必要がある、いま御意見も承りまして、私もありのままにそう思うのでございます。
○横山委員 この国庫補助基準額はどこできめるのですか。
○味村政府委員 これは政令事項になっております。政令できめることになっております。
○横山委員 大蔵省との協議は要りますか。
○味村政府委員 必要でございます。
○横山委員 いま大臣が言われたことの中でちょっと気になるのは、私は同一労働同一賃金だと言うたのですけれども、同時にこの執行官という個々の人間に対する独立した任務、独立した義務というものがある。だから、ほかのオフィスで仕事をしている人の同じ仕事じゃなくて、同じ任務を持っている人です。委託をされて固有の責任、固有の権限を持っておる。その意味で、全然あらゆる意味において、この二つのランクが全く同じ責任と権限を持っておる人であるということを考えてもらわなければいかぬ。前のいきさつがあるということは私も百も承知して言っているのだけれども、六年たった今日、全く机を並べて同じ仕事をしている人、しかも私の承知しているところによりますと、あとの者が先になっている。あとの者が百万円で古い人が五十万円口という経緯があるのですね。長年やっておった人が半分で、あとから資格を取った人が百万円という、老齢、経験のある人が損をしておるというようなこともあるわけでありますから、そこのところは著しくどころか、私は絶対にこれは同じにしてやるべきだ、こう考えております。大臣がそれでは考えてみようということでありますから、これもせっかく早くやってもらいたい。 しかもこれは恩給に関係がありますね。そうですね。
○味村政府委員 さようでございます。恩給の金額に関係します。
○横山委員 だから早いこと処理をしてやらぬと、過去の経緯というものをどのくらい見るかわかりませんけれども、恩給の立場から考えてもやってもらいたい。 そこで恩給でちょっと聞きたいのですけれども、この執行官の国庫補助基準額をもとにする恩給というものは、なぜ本人限りで恩給法のように家族に対する給付がないのですか。どういうわけでないのですか。
○味村政府委員 これは沿革から申し上げますと、旧執達吏当時官吏恩給法に照らしまして恩給を受けるとなっておりまして、その官吏恩給法の定めではそういう制度が、家族は受けるというのがなかったというふうになっております。それをずっと引き継ぎまして、現在もそのようになっているわけでございます。
○横山委員 そうすると、執行官法ができる前からのいきさつをそのまま踏襲しておるということですね。なぜ執行官法をつくったときに、私どもも少し不敏だったんですけれども、恩給を適用する。しかも執行官として手数料制度のもとにおける国家公務員であるという定義をしたときに、なぜ家族はいけないのか、本人限りで終わり、本人が死んだらそれでさようなら、そういう論理というものが議論されたのですか、その矛盾というものについてされなかったですか。
○西村最高裁判所長官代理者 執行官法制定の際には、先ほど申し上げました四十一年の附帯決議等もございまして、とにかく当時の手数料等に伴う役場制、自由選択制等の弊害を一日も早く除去しなければならないという強い要請がございまして執行官法制定に踏み切っていただいたわけでございます。したがいまして、恩給の問題年金の問題、補助金の問題等については十分に審議する余裕がなかったと申し上げてよいのではないかと思います。
○横山委員 あらためて、なぜ執行官だけが本人限りで家族給付がないのかという点について検討をしておいてもらいたと思う。 それから、この当時も議論になったわけでありますが、事務員ですね、事務員は公務員でない。したがって、労働組合を結成ができる。その事務員の犯したたとえば汚職だとかあるいは間違いだとか、そういうことについてはこれは公務員法の適用を受けない。一体だれがその責任を負うことになりますか。
○西村最高裁判所長官代理者 執行官臨時職務代行者及び事務員は公務員ではございません。しかし臨時職務代行者につきましては、執行官の命によりまして臨時にその職務を代行することがあるわけでございます。執行官の職務を行なう限度におきましては公務員とみなされて公務員としての責任を負う、こういうことになるわけでございます。
○横山委員 執行官の人は自分一人で執行官の業務はできない、だから臨時代行者を持つ、それから事務員を持つ、それから家屋を持つ、そういう一般経費といいますか総経費執行官業務を行なうに必要欠くべからざる人件費それから物件費、インクから紙に至りますまでのそういう総経費は、執行官の手数料及び費用に関する規則をずっと見たんでありますが、総経費が入っていないのはどういうわけでありましょうか。
○西村最高裁判所長官代理者 執行官法の制定によりまして役場の関係がなくなりまして、庁舎内で事務をとるということになっておりますから、建物についての費用ということはあり得ないわけでございます。ただ臨時職務代行者と事務員の関係は、執行官の会計において使うということになっておりますので、その給与は執行官が負担することになります。それから役場の帳簿類あるいは記録類の用紙等は、先ほど申し上げましたように、国から支出するという形でまかなっておるわけでございます。
○横山委員 執行官の手数料及び費用に関する規則、これはもらうべきなんですが、その何か算定基準がどこかに出ておりましたね。これは最高裁できめるのでしょう。手数料要求の基準、請求できる基準というものをきめるわけですね。あれはどこに出ていますか。私のこの間調べた限りにおいては、そういう請求の中における総経費というものの請求項目がないのはどういうことか。なるほどあなたの言うように、建物の費用は要らぬにしても、事務員だとかあるいはそのほかいろいろな雑件で間接的に要る費用というものはどこに出ておりますか。
○西村最高裁判所長官代理者 執行官が個々の執行行為を行なうにあたりまして必要な経費は、執行に関する費用として債権者から予納される、それによって支出されることになりますが、先ほど申し上げましたように従業員、臨時代行者や事務員を雇っている場合の給料は、これは当事者から取るわけにまいりませんので、手数料収入でまかなう、こういうことになっておるわけでございます。
○横山委員 その手数料の算定基準、「執行官の手数料及び費用の算定基準」というところに、手数料はこれだけ請求してもよろしいということであり、そしてそれは最高裁がきめた算定基準なんでしょう。そうでしょう。その中に、いま言ったような総経費はどこかに入っておるかということを聞いておるのです。
○西村最高裁判所長官代理者 規定の上にはございませんけれども、手数料額を定めるにあたりまして、当然執行官が必要とされる費用、執行官の負担において支出される費用というものは配慮されているということになろうかと存じます。
○横山委員 全部見ておる時間がないのですけれども、この「執行官の手数料及び費用の算定基準」というのは、執行官が手数料としてお客さまに要求し得る費用でしょう。そうですね。
○西村最高裁判所長官代理者 さようです。
○横山委員 この要求し得る費用というのは、最高裁がこういうことで取れ、もらえというふうにきめた額だと私は解釈しておるが、この中にそういう総経費間接費用というものは含まれておると解釈するのか、見たところそういうことが含まれていないような気がしてしかたがないが、どうか、こういう質問なんです。
○西村最高裁判所長官代理者 結局臨時職務代行者なり事務員なりを雇うか雇わないかは執行官自身がおきめになることでございますので、自己の手数料収入総額を考慮した上でそれを決定するということでございますので、特段の定めというものはしていないわけでございますが、しかしそういう通常必要とする経費というものは当然前提とした上で、この手数料の額というものがそれぞれきめられているというふうに私ども承知しておるわけでございます。
○横山委員 話の歯車が合わないんだけれども、この算定基準はあなたのほうがおきめになるのでしょう。そうでしょう。きめるときに総経費を考えてやっておるのかという質問なのですよ。
○西村最高裁判所長官代理者 繰り返すようでございますけれども、手数料の額を規則で定める際におきまして、そういう執行官の支出経費、そういったものを含めて純収入がどのくらいになるかを一応考えた上できめる、こういうことでございます。
○横山委員 それじゃ、総経費はこの中に、あなたの言う意味において、入っておると主張なさる、そういう解釈になる。入っておるとするならば、ここの中にそういう総経費に関する費用というようなところの項目が一つもないのはどういうわけだ、こういう質問になるわけであります。たとえば「不動産又は人の居住する船舶について債務者の占有を解いて債権者にその占有を得させる場合の手数料の額は、三千円とする。」こう書いてある。この三千円の中には総経費が何%か計算して必ずどこかに入っているのだ、こういう説明ならばわかるのだけれども、そういうような総経費関係の費用についてどこにも出ておらない、それを聞いておる、こういう意味なのです。
○西村最高裁判所長官代理者 その三千円という額をきめるにあたって、費用がどれだけかかるかということを算定してはいないということは申し上げられると思います。ただ船舶の監守保存に伴って人夫を使うということが出てまいりますけれども、そういう人夫を使う費用は執行費用でございますので、債権者から支払いを受けております。個々の三千円とか二千円とかをきめるときに、一々執行官として負担すべき費用がどれだけかかるかということを考慮いたしてきめているわけではございませんけれども、一年間の総収入というのは一応考えた上で手数料の額をきめていく、こういうことになると思います。
○横山委員 わかりましたようなわからぬようなことですが、結局私の一番言たいことは、あなた方は総収入はこのくらいが適当だとか、三千円が、何が適当だとかというときに、私の言う総経費を勘定に入れておらぬという気がしてしようがないのだ、そういうことなのだ。大ざっぱにベースアップでこのくらい、何々ときめておるだけであって、執行官という一人の人でなくて、それの背後にたくさんおる人を含めてどのくらいの間接費用がかかるかという計算をし、それをこの算定基準の中に計上をして考えておるということが、ことばではあなたはその中に含まれておるはずだと言うのだけれども、ほんとうにそれをやったことがあるのですか。執行官の業務実態調査、総経費はどのくらいかかるという調査をほんとうにやったことがあるのですか。まあ、いま押し問答になってもいかぬが、私の言うことはわかったでしょう。一ぺんそれを十分に検討して、算定基準の中の項目に入れてやってもらいたい、こういうことなのです。いいですか。
○西村最高裁判所長官代理者 御趣旨はよくわかりました。
○横山委員 その次に、私、こういうものを持っておるのです。「執行実務」という、これは日本執行官連盟の会員用というのですね。これは執行官連盟が発行しておるものです。えらい詳しくいろいろな実例なんか出しておるので感心しておるわけですけれども、これは一人の人がやっておる。名古屋の八木さんという有名な人ですが、その人が一人で校正から何まで全部やっているのです。一体お役所はどうしているの、お役所はこういうことについて補助は何もしてくれないのと言ったら、全然してくれない、こういうわけです。お役所は何をやっているのだと言ったら、最高裁主催の研修会ですか、研修会についてお役所の主催でやってくれる。この附帯決議の趣旨が、ある意味ではちっとも生きておらない。それは、「教育並びに研修について、予算上の手当その他必要な措置を講じること。」と書いてあって、研修だけはやっておりますというかもしれぬけれども、三百数十名ぐらいがこんな分厚い本をつくって、一生懸命研修をやっておるのに、国家公務員だったらもう少しめんどうを見てやったらどうかということをつくづく痛感するのですが、一体この執行官の教育なり、この附帯決議について、年間予算はどのくらいですか。
○西村最高裁判所長官代理者 私どものほうにおきましては、執行官の研修の関係は、書記官研修所のほうで研修を担当していただいておりますが、そのほかに、執行官の事務協議会、業務研究会等を年二回くらい開催しているというふうなこともやっておるわけでございますけれども、あわせて執務資料としては執行官提要と、「執行官」という雑誌、それから執行官関係の法令集、執行事務協議会における協議要録といったものを印刷して配付しております。年間予算は資料の総額が二百四十八万円でございます。
○横山委員 まるが二つくらい違っておりはせぬかね。二百四十八万円ですか。 執行官が病気になったら一体どうしているのですか。自分の費用ですか。私、その点は知識がないのだけれども、執行官が病気になったら何でやっているのでしょう。
○西村最高裁判所長官代理者 執行官はほとんど国民健康保険に加入しておられると思いますので、病気の関係はそちらを使っておられると思います。それから、実際に仕事ができないために収入が減れば、先ほどの補助基準額までは補助される、こういうことであります。
○横山委員 国家公務員なんですよ。国家公務員でありながら、国家公務員の健康保険に加入できず、病院にも行けない。健康保険として、国家公務員の共済組合の掛け金から比べればたいへん違いがある。そういう点もいまの基本問題の解決ができなければ何ともならないということなんでしょうか。人の病気だから、国民健康保険があるからほかしておけというお気持ちでもなかろうと思いますけれども、ともあれ国家公務員なんです。もう少しめんどうを見てやったらどうですか。しかも年寄りばかりですよ。そういう人たちが国民健康保険でやっているのだということでは、少し不親切、お気の毒だと私は思うのです。 ちょっと先に返りますが、執行官は三百五十四人くらいですか。その中で、先ほどの五十九万一千六百円の該当者は何人ぐらいかわかりませんか。
○西村最高裁判所長官代理者 約三分の一、百二十名でございます。
○横山委員 百二十名の問題について、格段の措置を願いたい。 それから、先ほどお話があった臨時代理ですがこれはいまどのくらい残ってますか。
○西村最高裁判所長官代理者 現在百五名でございます。
○横山委員 この人たちは、この前の本委員会の議事録を丹念に読み返してみたのです。あなたが先ほどおっしゃったように、執行官になれない人、代理の人については、一部は裁判所にも採用してみたらどうかとか、あるいは試験を受けさせたらどうかとか、そういうようなお話が当時もあったし、いまも話があるわけですが、この人たちは今後どういうふうにするおつもりですか。
○西村最高裁判所長官代理者 執行官法施行の際には、代行者は二百四十名おられたわけですが、そのうちの相当数の方が執行官に任命され、また執行官以外の裁判所の職員になられた方もあります。任意で退職せられた方もおられます。そういうことで現在百五名になったわけでございます。今後執行官に採用する道はほとんど閉ざされておるわけでございますけれども、直ちにどうこうするということはできませんので臨時代行のままでしばらくやっていただく以外にないのではないかと思います。
○横山委員 執行官の部屋に行ってみましていろいろ痛感いたしますことは、あそこにたくさんの代理なりあるいは事務員の人が働いておる。それは何も執行官室ばかりでなくて、司法書士のところに行っても司法書士の事務員として働いている人もいる。しかし、司法書士の関係の事務員の人たちは司法書士の試験を受けるという期待、努力というものをしておるわけです。執行官室におります者も、そういうことがないとはいえませんけれども、自分たちは国家公務員でもなし、そして仕事の特殊性というものがあって、たいへん将来への希望がない。しかも、給料も執行官からもらうという特殊性がある。先の見通しがないこと、そして仕事の特殊性があることということからいうて、政府としては執行官だけ監督しておればいいということにはまいらぬのであります。しかも、最近の事例を見ますと、事務員の中に問題が生じておる。私の聞いた、ワンクッション置いて聞いた話でありますから正確かどうかわかりませんが、事務員に問題が起きている。そこで、うっかりして検察官が国家公務員法違反だというふうにやりかけて、それは間違いだった、国家公務員じゃなかったんだという間違いを検察官がおかしたことがあるそうでありますが、世間の見る目では、おまわりさんでもそういう誤解を生ずるような仕事であり、そういうふうに見ておるわけでありますから、この執行官の問題と相並んで、実はいまや執行官よりも、むしろそこに働く人々の労働条件なり処遇を改善することについて考えなければだめだ。それを考えるとするならば、執行官の処遇め改善をしてやらなければ、卵を産む鳥が小さいのですから。そういうふうに大局的な立場でお考えを願いたいと思います。 時間になりましたからこれで終わりますけれども、ともあれ、最初に朗読いたしました本委員会のきわめて強烈な決議を受けて、そして執行官法ができ、その附帯決議ができ、その附帯決議が六年たってもとんと実行されず、そしていま予盾を内蔵しておるという状況につきましてはまことに遺憾にたえません。ほんとうに遺憾にたえません。大臣以下、最高裁判所におかれても敏速にこの問題の調査と決断をされるように要望をいたします。
○中垣委員長 次回は、明二十八日水曜日、午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十三分散会