法務委員会 第3号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1973/02/20
会議録
○中垣委員長 これより会議を開きます。 おはかりいたします。 本日、最高裁判所吉田事務総長、田宮総務局長、矢口人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○中垣委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。田中法務大臣。
○田中(伊)国務大臣 遅刻のおわびを申し上げます。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理をはかるため、裁判所職員の員数を増加しようとするものでありまして、その要点は大略次のとおりであります。 第一点は、裁判所の員数の増加であります。これは、地方裁判所における交通関係の業務上過失致死傷事件の適正迅速な処理をはかるため、判事補の員数を三人増加し、また、簡易裁判所における民事事件の適正迅速な処理をはかるため、簡易裁判所の判事の員数を四人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所における交通関係の業務上過失致死傷事件及び特殊損害賠償事件等、家庭裁判所における少年事件等並びに簡易裁判所における民事事件の適正迅速な処理をはかるために、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び裁判所事務官を増員しようとするものでありまして、増員の総数は、二十八人でございます。 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。
○中垣委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○中垣委員長 これより質疑に入ります。 申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 初めに、この裁判官の増員についてお尋ねをいたしたいのでありますが、私の記憶によりますと、四十七年度はたしか九名の増員であったと思いますし、この数年も大体その程度のような記憶でございまして、ことしはこの数年来にしては一番少ないというふうに実は思うのでありますが、こういうような点からいたしまして、当初の増員要求数などから見まして、どうも少な過ぎるのではないか、あとでこまかくお聞きをいたしますけれども、どうも少な過ぎるのではないかというふうに思うのでありますが、まずその点について御説明をいただきたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 総務局長の田宮でございます。 実は前長井総務局長にかわりまして去る十五日付をもって総務局長を命ぜられまして、何ぶんふなれでございますし、また目下勉強中でございますので、さしあたりはいろいろ御迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。 ただいまの御質問についてお答えいたします。 御指摘のように、いままでの増員の経過を見てまいりますと、四十七年度では九人、それから四十六年度では十四人、さらに四十五年二十五人というふうになっておりますので、今回の増員は七名ということで非常に少のうございます。当初の要求は六十一名ということでございましたので、それに比較しますと、かなり少ないということになろうかと思います。これは内閣の基本方針であります国家公務員の定員管理の方針といたしまして、増員は格別の理由のある場合に例外的に認めるということになっておりますので、それに協力をするということで、裁判所としては先ほど提案理由の説明にありましたように、特殊な事件で目下緊急にその適正迅速な処理をはかる必要のある事件に限って必要最小限度、しかもその点は給源等も考慮いたしまして必要最小限度にとどめた次第でございます。
○大竹委員 それでは具体的に御説明をいただきたいと思うのでありますが、この七名については、三名は地方裁判所の「交通関係の業務上過失致死傷事件の適正迅速な処理をはかるため」ということでありますし、簡易裁判所の四名は「民事事件の適正迅速な処理をはかるため」ということになっております。地方裁判所のほうは業務上過失致死傷事件ということでわかりますが、「簡易裁判所における民事事件の適正迅速な処理をはかるため」こうなっておりますが、これをもう少し具体的に説明していただきたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の民事事件特則の活用の状況でございますが、これは昭和四十五廣の第六十三国会におきまして、裁判所法の一部改正の際に、衆参両院の法務委員会の附帯決議がございまして、その趣旨に基づいて、民事訴訟法に定めておりますところの「簡易裁判所ノ訴訟手続ニ関スル特則」を積極的に活用するという方針でまいっておるわけでございます。 その具体的な方策をいろいろ検討いたしました結果、昭和四十六年の五月に、民事局におきまして簡易裁判所の訴訟手続に関する特則実施要領というものをつくりますと同時に、各種の口頭受理関係の書類、用紙等を作成しまして、各庁でこの特則の運用の積極的な検討を進めてまいったのでございまして、現在では全国の簡易裁判所の約半数がこの特則の運用をしております。 四十六年の六月以降の口頭受理件数を見てまいりますと、全簡易裁判所の事件のうち、徐々にその比率が上がってまいっておりまして、昨年の後半期では四・三%——その以前ではその半分ぐらいしかなかったわけですけれども、現在では四・三%程度までいっているということでございます。 それで、裁判所の事件がある程度以上はふえないという点についてはいろいろな理由があろうかと思いますけれども、特に手続の中で申し立て手続が難解であるというような点が、本来裁判所に出るべき事件が出ないという関係の障害になっておるのではないかというふうに考えられます。このように簡裁訴訟手続に関する特則を大いに活用いたしますと、口頭受理等で手続が簡易化されますので、したがってそれに伴い、いままで裁判所にあらわれなかったような事件も多くあらわれてくるのではないかというふうに考えられるのであります。具体的にどの程度ふえるかということについては、いまのところすぐには申し上げられないのですけれども、大体見込みといたしましては一割ぐらいはふえるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 こういうふうな状況にかんがみまして、この際、この事件の処理に要する簡易裁判所判事として四人を増員したいというふうに考えておる次第でございます。
○大竹委員 それでは、地方裁判所の三名、簡易裁判所の四名、この配置はどういうふうに考えておられるのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 まず判事補の三名でございますが、これは事件の件数とか事件の規模、それからむずかしいかやさしいか、それから現在の処理状況等をいろいろ勘案いたしまして、現在の予定では、もしこの増員が認められますならば、横浜、浦和、名古屋の各地方裁判所に一名ずつ配置いたしたいというふうに考えております。 また簡易裁判所の判事の四名でございますが、これも事件の増加状況等を勘案いたしまして、東京、大阪、福岡、札幌の各簡易裁判所に一名ずつ配置する予定でございます。
○大竹委員 次に、いつも増員の問題が出ますと欠員の問題が関連して問題になるのでございますが、いただいております資料を拝見いたしますと、四十七年の十二月一日現在で八十九名の裁判官が欠員になっておるということであります。これはこの七名と合わせまして、当然本年度の司法修習修了予定者その他から補充されることになるのだろうと思いますが、司法修習修了予定者の判事志望者の状況、あるいはそのほかから採用できる見込みその他について御説明いただきたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 その表にもございますように、現在判事の欠員が五十数名、判事補が約十名、簡裁判事が二十六名ということで、八十九名ということに相なっておるわけでございます。その後にも定年あるいは退官等で、三月末日を見込みますと、裁判官につきまして二十数名さらに減員が生ずる予定でございます。したがいまして、三月末日を予定いたしてみますと、判事につきまして大体八十名の欠員ということに相なろうかと思います。また同様、四月には判事補が判事になる資格を取得して任命されますので、こういったものを考えますと判事補につきましても約七十名の欠員に相なろうかと思います。同様、簡易裁判所判事につきましては、定年、退官等を入れますと約九十名の欠員ということになります。 これを、判事の八十名につきましては、判事補及び簡易裁判所の判事で十年の任期を終えて判事資格を取得した者から埋めるということで、具体的には十五期というのが今度判事に任命されますが、十五期の判事補が現在八十一名おりますので、これが任命されますと大体判事の欠員を埋めるということになろうかと思います。 次に判事補でございますが、判事補の約七十名の欠員は、現在検事、弁護士等から数名の希望者がございまして、そのほかに約七十名近い任官希望者がございますので、これを採用いたしますれば大体七十名という数字を埋められるのではないかというふうに考えております。 また簡易裁判所判事は、判事補等のいわゆる本官の任命がえ等が二十名程度おります。そのほかに、定年になられた判事の方で任官を希望される方が十数名、及び選考試験によりますいわゆる選考採用の方が約五十名ということで、大体この九十名の数字を埋められるのではないかというふうに考えておるわけであります。
○大竹委員 これはいつも問題になるのでありますが、この春はいまのように修習生を主体としてある程度欠員を埋めることができるわけでございますが、年間には百名以上の欠員ということになるわけでありますから、だんだん裁判の能率というものが落ちてくるというふうにも考えられないわけではないのでありまして、何とかこの欠員というものを途中で補充するといってはあれでありますけれども、この欠員をなくするための抜本的な対策というものがある程度考えられなければ、裁判官のこの増員の主目的である「適正迅速な処理」というものに大きな支障があるのではないかと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでございまして、せっかく春に充員いたしましても、その後は減耗の一途をたどるという実情でございます。ただ御承知のように、裁判官の大量な給源といたしましては、現在修習生から採用いたすもののみと申し上げても過言ではない状況でございます。私ども、もっと在野法曹等から御任官いただければ、そういった心配もなくなるのではないかと考えておるわけでございますが、現状といたしましては、思うにまかせないということで、御指摘のような事情が起こっておるわけでございます。私ども、ただ、定年退官等のありますことも予想いたしまして、大体四月以降半年ぐらいまでの定年退官者というものを見込みまして人員の配置をいたしておりますが、全一年を通じて人員の配置をカバーするということまではできていないというのが実情でございます。
○大竹委員 次に、話が出たついでにお聞きしておきたいのでありますが、たしか、私、政務次官をやっておりまして、大臣が小林大臣のときに、何とか少しでも司法修習生、裁判官あるいは検察官の志望者をいままで以上多くしようということで調整手当をつけたわけでありますが、そういうものをつけたからといって、すぐ志望者がふえるというようなこと、これはなかなか期待できない面もあるかと思いますけれども、つけたけれども一向つけた目的が達せられないということでも、これは困ると思うのでありますが、その後の、ことしは大体七十名裁判官の志望者があるというふうにお聞きしたわけでありますが、あの手当をつけてから後とそれ以前と比較をいたしまして、逐次志望者がふえる傾向にあるのかどうか、それらについてこの際お示しをいただきたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 いろいろと御努力をいただきまして、裁判官及び検察官につきまして初任給調整手当というのが支給されることになり、それが四十六年の四月から実施されたおけでございます。その実施後の成果ということでございますが、実際それが形になってあらわれましたのは昨年、四十七年からということでございまして、昨年、ことしと、こう見てみまして、裁判官だけでとってみますと、必ずしも飛躍的にその結果増強されたとも申し上げかねる状況でございますが、しかし判検事全体を見ていきますと、その前より数がふえてきておるように思われまして、その効果は相当あがっておるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。また、最初から裁判官を希望する者は、いわゆる待遇、俸給というだけでもまいらない面がございますが、しかし俸給を上げていただくということは、もちろんこれに越したことはないわけでございまして、私ども、今後もこの成果はいい方向にあがってくるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
○大竹委員 これは司法試験管理委員会の問題でございますので、どなたに御答弁していただけばいいのかわかりませんが、きょうの朝のテレビを見ましたら、たしか盲目の人も司法試験を受けられるようにするとかしたとかいうことが出ておりました。これはもちろん判検事の志望者で司法試験に合格する人が第一ふえてくれなければならぬわけでありますが、それを多くするのには、まず優秀な人が試験を多く受けるということから始められなければならないことは当然でございますけれども、きょうのテレビなんか見ておりますと、盲目の人までも点字によって試験を受けられるようになったとかするとかいうことが出ておったわけでございますが、受験者が相当ふえてきているということはあるのですか、ないのですか。
○味村説明員 お答えいたします。 司法試験の受験者は年々ふえておりまして、最近三年間の志望者を申し上げますと、昭和四十五年が二万百六十名、四十六年に二万二千三百三十六名、四十七年に二万三千四百二十五名と、順次ふえてまいっております。なお本年は現在出願を受け付けている段階でございます。
○大竹委員 次に、裁判官以外の職員についてお尋ねを申し上げたいと思います。 今回の増員は二十八名ということになっておりますが、この参考資料の四ページを見ますと、欠員数二百六十四名となっております。特に書記官の欠員が非常に顕著なように思うのですが、これはどういう関係からですか、——この二十八名の内訳その他について御説明をいただきたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 二十八名の内訳でございますが、内訳は、書記官八名、それから事務雇いが十名、実は事務雇い十名と申しますのは、一応七十八名増員がありまして、一方六十八名の減員がございますので、差し引き十名の増員。それから家庭裁判所調査官が十名、合計して二十八名の増員をお願いしておる次第でございます。 そのそれぞれの増員の内訳でございますが、まず第一は、特殊損害賠償訴訟事件の適正、迅速な処理のために書記官四名ということでございます。次に、提案理由の説明にもありますように交通関係の業務上過失致死傷事件の適正、迅速な処理のための事務官二十四名。それから、簡易裁判所におけるところの民事事件の督促手続の活用のための事件増に備えて書記官四名の増員。それから最後に、家庭裁判所調査官でございますが、家庭裁判所における家庭事件の資質検査と申しますのは、家庭裁判所における調査には、社会調査というものとあわせまして関係人の資質を調査、検査をするということがぜひ必要でございます。最近そうした関係人の資質というものが家庭事件それから少年保護事件等に多大の関係を持っているという面がございますので、この際調査官を増員いたしまして、そうした資質面の調査、検査を充実、強化したい、こう考えております。その関係の調査官の増員といたしまして十名ということになっております。 なお欠員の関係でございますが、ただいま御指摘のように、昨年の十二月一日現在で二百六十四名の欠員がございます。そのうちでも、特にただいま御指摘がございましたように書記官について百十五名、調査官について五十四名という点が目立って多いように見受けられます。この点も先ほど人事局長から裁判官欠員について説明がありましたように、書記官の場合も、家庭裁判所調査官の場合も、高度の能力が要請される職種でございまして、裁判所に設けられておりますところの書記官研修所とか家庭裁判所研修所の養成部を終了して初めて調査官、書記官に、また昇任試験を行ないまして、その合格者から書記官、調査官にするというふうになっておりますので、年間欠員のつど補充することはなかなかむずかしい状況でございまして、したがいまして裁判官の場合、修習生が四月に判事補に任官することによって補充されると同じように、これら職種の場合もこうした研修所におけるところの研修の終了、それから昇任試験の合格によって毎年四月に一挙にこれを補充しているということでございます。本年度も大体見込みとしては四月に十分補充できるというふうに考えられます。 そういうことでございます。
○大竹委員 終わります。
○中垣委員長 横山利秋君。
○横山委員 この法案は、今日の問題であります裁判遅延の問題と切り離すことができない問題でありますから、私は少し大所高所に立ちまして、裁判遅延の問題について政府並びに最高裁の御意見を伺いたいと思います。 裁判遅延は古くして常に新しい問題でありますが、ここに手元にございます。一、二の例を引用いたしますと、たとえば四国におきます弁護士会連合会の定期大会の議事録を見ますと、六号議案として「裁判官、裁判所書記官の増員を要請する。」という議案が可決されております。「松山で民事担当裁判官は四〇〇件の事件を手持しており、期日の指定も四ケ月後との例があり、徳島でも三、四ケ月後であり、家裁の審理もおくれていることが報告され、訴訟遅延はいちじるしく、法無視の風潮を助長、非弁活動、事件屋の横行を招き、その結果国民の権利を侵害している。それは関係者の努力不足というより、結局人的物的の不足であり、司法予算の増額がなされなければならない等の討議の上可決された。」こういう裁判遅延に関する弁護士会の決議は、何もこの四国の大会のみならず常にあらゆるところで、民間におきましても問題になっておること各位御存じのとおりであります。 そこでもう一つ引用をいたしますと、この間有名な高田事件判決が出ました。この高田事件判決の最高裁の判決文を私はきわめて興味深く読んだわけでありますが、その理由の前段におきまして「当裁判所は、憲法三七条一項の保障する迅速な裁判をうける権利は、憲法の保障する基本的な人権の一つであり、右条項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、」云々として、きわめて重大な問題を提起をしておると私は考えておるわけであります。そこで、幸いに法務大臣にもまだ時間があるようでありますから、いらっしゃる間に、この高田事件判決を引用いたしまして、裁判遅延について法務大臣の見解を伺いたいと思うのであります。 まず第一に、この判決を引用いたすことがいいか悪いか、議論がございます。裁判批判とか判決批判とかそういうふうにおとりにならないで、ひとつ大所高所から裁判遅延を論ずるという立場に立ってお聞き取りを願いたいのであります。 まず第一にございますが、いま読み上げました「迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、」という最初の段階であります。裏を返して言えば、こういう判決を出すようになったのは、政府が「必要な立法上および司法行政上」の問題を措置していなかったからこういうことになったんだよということを逆に私は提起をしておると思うのであります。この点について法務大臣のまず御意見を伺いたい。
○田中(伊)国務大臣 裁判の遅延問題でございますが、私の見るところでは、裁判官をはじめ訴訟関係者が非常な努力をしてくれておりまして、世間にいわれておるほど実際具体的な裁判が長引いておるということも言えぬのではなかろうか。たとえば統計上の一つの例をあげてみますと、これを刑事事件に例をとってみますと、大体わが国の刑事事件の一般の事件は、第一審裁判は大体六カ月前後で終わっております。第二審はこれまた六カ月前後でございます。それから第三審の最高裁は少し時間がかかっておるようでありますが、これも半年ちょっとというようなところで裁判が完結しておる。それから民事事件について申しますと、一審は一年余り、二審も一年半ちょっと、最高裁は一年足らずというところで一般訴訟事件は審理を終わっております。ただ、この事件の内容が複雑多岐をきわめる、一口に申しまして、争点がばかに複雑で多過ぎるといったようなものにつきましては、証人尋問その他審理のたてまえから意外に事件が長引いておるものが多い。それがたいへん目立っておるわけでございますが、少数のものについてそういうことが言えるのでございます。 そういう状況でございますが、一体どうして比較的にそういうふうに時間がかかるのかと申しますと、いま先生仰せのように、人的、物的の不足ということが原因でございます。しかし、人的、物的の不足でありますのにかかわらず、裁判官はじめ訴訟関係者は非常な努力をいたしまして、これを今日までやってきておるという実情にあることをまずおくみ取りをいただきたいのでございます。 それから、お示しになりました問題の事件でございますが、これは、憲法三十七条の迅速なる裁判を受ける国民の権利、そういう基本的な人権というものを尊重する立場から行なわれた判決でありまして、憲法の精神をくんで行なわれた妥当な裁判である、こういうふうに判断をするのであります。 しかし、反面において、感想をありのままに申し上げますと、訴訟遅延をしておるわけでございます。長引いておる、二十年という年数をかけておるというわけでございますが、それは一体だれの責任なのかといいますと、検事、弁護士等訴訟関係者の協力が不十分であったというようなことも考えられぬことはないのでありますが、裁判所の責任でなければならぬ。妙な言い方をするわけでありますけれども、裁判官の訴訟指揮ということに重大な責任がある。その自分の責任上訴訟が遅延しておるということであるにかかわらず、訴訟が長引き過ぎておるということで、これを免訴の判決をする——免訴の判決をされたことを批判しておるのじゃないのです。事実を申しますが、免訴の判決をする。それは無罪につながっておる。こういうことであると、秩序は破れたままじゃないか。騒擾事件なら騒擾事件、公安事件なら公安事件というものが無罪同様の結果を来たしてしまっておるということになる。秩序は破れたままであって、法律の秩序、社会の秩序というものは回復されない。その点は、この裁判の下された結果の悪い影響でございます。まことに残念な影響であるというように私は判断をしておる。 そこで、もう一口申し上げないと誤解を招くのでありますが、では、これをどうすればよいかと申しますと、裁判官ももっとしっかりしてもらう、訴訟指揮をしっかりやれ、それから弁護人も検事ももっとこれに心より協力するというように、態度を改めまして、再び訴訟が長引いた結果免訴の判決、無罪につながる判決が行なわれる余地のないように、これに協力いたしまして、訴訟の促進に訴訟関係者が力を入れてもらいたい。そうして、秩序の回復ができなくなるような免訴の判決を、憲法に基づく免訴の判決をなさる余地のないようにわが国の訴訟を進めていかなければならないというふうに深い反省を持っていきたい、こう考えておるのでございます。
○横山委員 最後に深い反省を持っておるという修飾語をおつけになりましたけれども、大綱的には、大臣の御答弁を聞いておりますと、顧みて他を言うという要素がきわめて強いのが意外なことだと思うのであります。なるほどこの高田事件につきましては、その経過におきまして、弁護人側の希望その他があったことは事実であります。それを承知をしながら、なおかつ被告の人権というものを尊重するためにも、かくも長い裁判遅延というものについては容赦しがたいという、高い、事件の判断をしたものだと思っておるわけであります。したがって、裁判官の訴訟指揮もまずかったのじゃないかということが、どうもいまのお話としては実はほんとうに言いたかったのは、大臣、そこではなかったか。人的物的について自分のなすべきことは言及はされましたけれども、どうもねらいは、裁判官がもっとしっかりしていなければこんなことになるよというような印象にぼくは受け取って、開口一番のごあいさつとしてはえらい顧みて他を言う、こんなことならこんな法案なんか必要ないではないかとすら私は思うのであります。今日この裁判問題、機構の問題についてこの国会に提案されております最高裁判所系統の法案を見ますと、一番中心になります、一番最初の案件が、いわゆる人的、物的の問題であるというふうに政府も御同意をなさって、なすべき一番最大の要件として御提案をされておるのではないかと思うのであります。あと、最高裁の御意見はこの点についても伺いますが、大臣が時間がないと思いますからもう一つ続けて大臣に問題提起をします。 著しい遅延で被告の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合において、対処すべき具体的な規定がなくても、被告人に対する手続の続行を許さず、審理を打ち切る非常救済手段がとり得べきことを認めている趣旨と解する。三十七条ですね。要するに憲法三十七条の規定というのは、具体的な手続規定というものがなくても、補充立法によって遅延から被告人を救済する方法が具体的に定められていなくても、こういう非常救済手段がとらるべきという判断に立っているわけですが、この点について行政府としてその解釈に御同意をなさいますか。
○田中(伊)国務大臣 大体賛意を表します。
○横山委員 大体というのはどういうことですか。よくわかりません。
○田中(伊)国務大臣 おおむねですね。
○横山委員 おおむねというのはどういうことですか。よくわかりません。
○田中(伊)国務大臣 おおむね、いま仰せになっていることは、大体においてそうであろうと存じます。
○横山委員 大体とかおおむねというのは審議の対象になりませんが、あなたのおっしゃる大体とかおおむねというのは、どういう意味があるから大体、おおよそと言わなければならないのか、もう少し具体的にお伺いしたい。
○田中(伊)国務大臣 あまりその点について詳細に触れることはいかがかと考えるので、先生のお話を承って、御意見大体において賛成です、そういうことば以外に申し上げることばはないです。仰せになること大体において賛成、こういうことです。
○横山委員 私の仰せられることではないのです。これは高田判決の判決文から引用して言っておるのです。なぜそれを私が強く聞きたいかと言いますと、この裁判におきまして検察官の主張を要約いたしますと、憲法は具体的な救済策を定めていないので、憲法上の被告人の権利の救済をいかにはかるかは、裁判所の役割りでなく立法府の任務であると主張をしておるからです。この検察官の主張というものは国の主張であると私は一応理解をするわけですね。そうだとすれば、この判決についてものの考え方をお変えになったのか。そうだという前段がありますが、お変えになったのか、こういうふうに聞いているのです。大体ということは、検察官の主張いたしましたその論旨を、基盤において少し譲ってもいいよというお話なんでしょうか。それは大臣、よくわかりません、私には。
○田中(伊)国務大臣 横山さんのいまお読みになった、あなたの意見じゃないが、裁判所の判決文の内容ですね。
○横山委員 そうです、最初読みましたところは。
○田中(伊)国務大臣 そこで、判決文の内容をいまあなたが御発言になって、それに対して私が、よいとか悪いとかということを明白に言いにくいんですね、立法府の審議ですから。裁判所の判決の中身に関する問題について、訴訟が遅延したとかせぬとかいう問題でなくて、判決の中身に関する御発言があって、それに対する意見は、行政府におる私はたいへん言いにくい。言いにくいということばはこれもはっきりしませんが、言ってはならぬことだというように判断をいたします。そこで、ことばを濁して、まあまあ賛成だという意味のことを申し上げておるのであります。反対だということで言いにくい。批判になる。具体的裁判の批判をすることになる。それがたいへん言いにくい。まあまあ賛成ですということは批判になりにくいだろうと思って、たいへん私は考えて同じことを何度も申し上げておるのでございます。判決の内容を離れての所論であれば大いに言うことがある、こういうことでございますから、御理解をいただきたいと思います。
○横山委員 おっしゃることは、形式的には——だから私、最初お断わりをしたのですけれども、しかしこの高田判決は、内容的には行政府のあるべき姿ということについて重大な示唆をしておるし、高田判決があろうとなかろうとこれは考えなければならぬ問題である。たまたま高田判決があったからそれを引用しておるにすぎない、こう考えなければならない。それから同時に、高田判決を引用しておるけれども、その過程における検察官の主張というもの、これは国の主張であろう。だから国の主張で、あなたは御存じなかったことかもしれぬけれども、国の主張として、憲法は具体的な救済策を定めていないから、憲法上の被告人の権利の救済をいかにはかるかは、裁判所の役割りということではなくて、これは立法府の役割りであるという、この判断が正しいか正しくないかについては、あなたが御答弁をなさる責任があり、その答弁の際に、高田判決を横目で見ながらものをおっしゃってもいいけれども、どうです。
○田中(伊)国務大臣 こういうことでいかがでしょう。 高田判決の内容について御質問があり、お答えを申し上げるということでなしに、高田判決の内容を一般的な意見としてお取り上げになって、行政府はこれをどう考えるか、こういう御質問と承りまして正直にお答えをいたしますと、お説のとおりであろう、そう言っていいと思います。
○横山委員 お説のとおりであるというのは、検察官の主張がお説のとおりなのか、高田判決の結論がお説のとおりであるのか。
○田中(伊)国務大臣 あなたがお読みになったのは、あなたの御意見でなくて、その判決の内容をお読みになったのですから、その判決の内容として私が受け取らないで、同じ内容だが、判決を離れた一般論としてこれを受け取ったときに、そこに表明されておる議論のとおりであろう、こういうふうに考えます。
○横山委員 わかりました。そういたしますと、検察官がそこまで主張はしてないけれども、裁判所の役割りでもない。立法府の任務であるにかかわらず、最高裁がこの案件を取り扱うということは違憲のおそれがある、また、立法権の僣取であると言わんばかりの主張をいたしておることですが、また、高裁の原判決も、具体的な救済策がない場合においてはいたし方がないではないかという原判決です。それをこの高田判決は棄却をしたわけですね。そういたしますと、この検察官の主張、立法府の、立法権の僣取であると言わんばかりの主張並びに救済策を定めていないからという原判決ともに、まあ高田判決の結果になって、その結果については、法務大臣としては、別な表現をもってそのとおりである、こういうふうに判断をするというふうに理解をしてよろしゅうございますね。
○田中(伊)国務大臣 はい。
○横山委員 わかりました。 そこで、第三の質問は、それならば憲法は具体的な救済策を本来とるべきではないか。裁判遅延に伴う被告人の人権を守るべき具体的な救済策をとるべきではないかという問題をまた提起をしておる。原判決もまたそこにこだわった。検察官もまたそこに主張の論拠が置かれた。となりますと、このような高田判決が、裁判遅延によって非常な救済策をとるのが正当なあるべき正攻法の判決であるとは必ずしも思われない。しかりとするならば、この非常な救済手段をとる以前に具体的な救済策、憲法三十七条第一項を具体的に取り組むべき被告人の人権を守る救済策が立法せらるべきではないかという問題提起について、法務大臣としてはいかがお考えになりますか。
○田中(伊)国務大臣 ただいまお尋ねの具体的な対策というものについては思い浮かぶものがございません、ただいま。これというものはございません。 そこで、裁判官も憲法の精神を十分におくみ取りになった結果、政府においてとるべき態度なし、こうお考えになったからこういう判決になったものと思いますが、私は、いま直ちにお答えできる具体案を持たないことを遺憾と存じます。
○横山委員 続いて、もう時間がないですからもう一問だけ伺います。 最近の判決の中で、これと同じような問題が少なからず出ておるということを私は大臣が御存じだろうと思うのであります。たとえば四日市の公害判決、共同行為、無過失責任論、それからFM東京の判決、朝日訴訟判決等々、行政上政府がやっていることに対して違憲の疑いがある、行政上政府が何にもしてないことに対して、法規規定の取りきめはないけれども、その是正を促す判決が少なからず出ておるわけであります。これは政府としては、最近の数例の判決について一体どういうふうに理解をしておられるのであろうかということなんであります。私は、最高裁が政府の怠慢、行政府の怠慢を結果として次から次へと指摘しておるというふうに必ずしも思いたくはない。思いたくはないけれども、最近の著名な判決の中にそういう判決がかなり多いことについて、それは判決の内容によっては厚生大臣だとかあるいは法務大臣だとか、いろいろありましょうけれども、しかし裁判機構と一番膚接をする法務大臣として、そういう判決の傾向といっては語弊がございましょうけれども、今日事態をどういうふうに、どちら向きにお考えをなさっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 裁判官が公正な立場で事案の判断をなさって、これは行政府の処置すべき事柄であるにかかわらず、これができていないのは遺憾であると言わんばかりの貴重な意見を判決を通じてお示しになっておるという場合に、やはり行政府といたしましては、それは裁判所が、司法部が判決でかってに論じておるのだろうというような判断を簡単にしないで、その実態は那辺にあるかということについてよく検討を加えます。判決で示された行政府の手落ち、行政府の至らざる点、今後行政府のなすべき点というふうな点につきましては、深い反省の資料として、貴重な反省の資料としてこれを取り上げまして、具体的な施策に移していくということに誠心誠意を傾けなければならぬ、こういうふうに考えます。
○横山委員 法務大臣どうぞ、けっこうです。 いま質問をずっと法務大臣にお伺いをした諸点につきまして、最高裁の御意見ということにはどうもおかしなことではありますけれども、二、三伺いたいと思うのでありますが、最近の判決の中で、私が引用いたしたのは比較的進歩的な判決といったほうがいいのでありましょう。しかし、その最高裁や裁判の判決をずっと見てみまして、進歩的な判決について国民が非常な好感を持っておることは事実であります。けれども一言で言いますと、最高裁は国民に対してはにっこり笑いながら、内部機構につきましてはかなりこわもてで、外面はにこにこ笑いながら、内面は夜叉のようになって、司法反動化をしておるというような感じを私は持たざるを得ないのであります。いま私が四点ばかり問題を提起をいたしたわけでありますが、まずこれにつきまして、抽象的ではありますが、法務大臣のいろいろ御答弁を聞いておられて、たとえば著しい遅延の原因なり何なりについて、もし最高裁に御意見があるならば、まずそれから伺いたい。
○吉田最高裁判所長官代理者 ただいま法務大臣に高田事件に関していろいろお尋ねがございましたので、その点について、最高裁判所といたしまして簡単にちょっとお答えいたしたいと思います。 高田判決で指摘されておりますのは、事後救済に関する補充立法が欠けているという点でありますが、立法問題は政府で御検討になることでございます。裁判所といたしましては、訴訟遅延を未然に防止するための予防策に万全を期さなければならないのでございまして、この点についてはそれらの施策についていろいろ検討しておるわけでございます。
○横山委員 判決を出された側、しかも最高裁側としていろいろ御意見を陳述されますことは法務大臣よりさらに困難なベースがあると思うのでありますから、あまり御質問の意味がないと思うのでありますが、ただ、私が先ほど反問いたしましたように、著しい遅延の原因の中で、裁判官がもう少ししっかりしてくれなければ困るではないかという問題提起がされておるわけであります。大臣は、弁護士も検察陣も人的、物的の問題もいろいろあげられたのでありますから、それが中心であったとは思いたくないのでありますが、どうも御答弁の趣旨からいいますと、遅延の原因の中で訴訟指揮に不十分な点あり、こういうふうにおっしゃる、その点につきましてどうお考えですか。
○吉田最高裁判所長官代理者 裁判の遅延という問題は非常に重大な問題でございまして、憲法にも保障しておりますとおり、おくれた裁判は裁判の否定であるというぐらいにいわれております。ところがこの裁判の遅延ということを防止するということは非常に困難なことでございまして、東西古今を問わず、この訴訟の遅延ということについては各国が悩んでいるわけでございまして、日本もその例外ではないと思います。 そこでその遅延の原因につきまして、これはいろいろ考えられるのでございます。ことに御指摘のように、裁判官の訴訟指揮がしっかりしていない点があるのではないか、こういう点でございますが、これも確かに裁判官の訴訟指揮に欠ける点がないとはこれはいえないのでございまして、この点に関しましては、毎年開かれます長官所長会同でも、最高裁判所長官の訓示の中にもしばしばこの訴訟指揮に関して触れられておるわけでございます。この点については裁判所としては常に反省して、訴訟指揮の万全を期するように努力しているわけでございますが、訴訟の遅延は裁判所だけの問題でもございません。みずからを顧みないで他を言うようではございますが、これはいろいろの原因がございますので、またお尋ねがございますればそれぞれ具体的に申し上げたいと思います。
○横山委員 ここに御提出を願いました「司法行政事務に従事する裁判官」の職名一覧表がございます。最高裁判所におきましては総務局長、人事局長、経理局長、民事局長、刑事局長、家庭局長、秘書課長、総務局で課長二人、室長一人、人事局で課長が二人、経理局で課長が二人、民事局で課長が二人、刑事局でやはり二人、行政局で二人、家庭局で二人、局付で十九名、高等裁判所で事務局長が八名、合計四十九名がこの司法行政事務に従事する裁判官、このほか法務省関係の資料の提出がないわけでありますが、このように司法行政事務に従事する裁判官、つまり裁判をしない裁判官がずいぶんたくさんおって、定員、現在員、欠員の状況を見ますと、判事の欠員が五十三名、判事補が九名、簡易裁判所の判事が二十六名になっておりますが、これは申すまでもなく司法行政事務に従事する裁判官を含んでのことだと思うのであります。こうなりますと、勘定は現在員は合っても、実際に実務をとっていない裁判官を考えたら、実に資格ある裁判官をむだに使っておるということを痛感せざるを得ず、これは累次の法務委員会におきましてもこの問題を取り上げまして、そして実務に少しつかせるようにしたらどうか、こういっておるわけでありますが、その点についていかがお考えになりますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、戦前におきましては、裁判所が裁判をいたしますための、これと密接不可分の関係にある司法行政というものは司法省で行なっていたわけでございますが、戦後裁判所が名実ともに独立いたしまして、裁判所がみずから司法行政を行なうということに相なったわけでございます。そのことのためにただいま御指摘のような裁判官の資格を持っております者が司法行政に専念しておるということでございまして、裁判官が十分でないおりからそういった人数をさくということは、確かに御指摘のようにある面では心苦しい点があるわけでございます。しかし、ここに司法行政に従事しております者は、どの者をとってみましても、裁判が迅速適確に、円滑に行なわれるようにこれをサポートいたしまして、あるいは直接所掌法規等の企画、立案、立法府、行政府に対する企画、立案の促進方の折衝といったようなことをいたし、あるいはそのための費用等につきまして内閣、大蔵省等と折衝いたす、そういった関係に立ち、あるいは裁判所がみずからをコントロールいたしますための人事関係の仕事を担当する等の重要な職責を持っております面に限りましてそういった裁判経験のある有資格の裁判官を充てておるわけでございまして、裁判所がみずから司法行政を行ないますためにはこの程度の人数を充てるということは万やむを得ないのではなかろうかということで今日に至っているものでございます。しかし御指摘の点は、私ども御指摘になるまでもなく痛感いたしておりまして、この中からでもできるだけ有資格の裁判官に一線に出てもらいまして、少数の人間でいま申し上げたような仕事をやっていこうではないかというような決意は日々新たにしているわけのものでございます。
○横山委員 聞きますけれども、この職名はあなたのほうの内部で資格を持つ裁判官をもって充てるという慣習なり何なり、固定した考え方でもってやっているのですか、そうではないのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 最高裁判所規則におきましてこういった職に裁判官を充て得るという措置を講じておりますが、しかし可能でありますならばできるだけ一般の職員をもって充てるというようなことをすべきであるというふうに考え、必ずしも絶対に裁判官をもってこれらの職は充てなければいけない、そういったものにほかの方をもって充ててはいけないというふうには一つも考えていないわけでございます。たとえば局付等にいたしましても、非常に有能な法律職の職員等がおります場合にはもちろんそういう職員をもって充てていくということは可能でございますし、また今後心がけておるつもりでございます。
○横山委員 この点についてたびたび指摘をしておることでありますから。この資料によりますと四十九人のたくさんの資格ある裁判官が実務をとらないということについては全く、裁判遅延の問題が今日的課題であるならば、思い切った措置をされるように私は強く要望をいたしたいと思いますが、事務総長の御見解を最後にお伺いしたい。
○吉田最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねのように司法行政事務につきまして裁判官がこれに当たっているという点でございますが、ただいまも人事局長が申しましたように、現在の程度の裁判官を充てるということはやむを得ないのではなかろうかと考えております。しかし裁判官はできるだけ裁判事務を担当する、こういったことについてはこれは申すまでもないことでございますので、そのほうの傾向になるようにひとつ努力はいたさなければならないと思っております。
○横山委員 この際、先般行なわれました国民審査の結果につきまして、ひとつ自治省、最高裁の見解を伺いたいと思います。 今回のバッテン票は、戦後最高を記録して、下田、岸両裁判官に顕著な集中を示しました。 バッテン票は、審査対象七裁判官平均で一二・九五%、五百八十八万票、前回の四裁判官の結果の平均九・八%、四百二万票を大幅に上回っております。票数におきましても、比率におきましても戦後最高でありました。そして下田、岸両裁判官に対するバッテン票は一五・一七%、岸さんが一四・五九%、これは実に戦後の国民審査の比較から見ますときわめて高い比率を示しております。また沖繩県では一市一町五カ村で下田裁判官の罷免率が五〇%をこえておることもまた特徴的な問題であります。そして、この国民審査のあり方につきましてもきわめて、社会からいろいろな意見が寄せられたのも特徴的だと私は考えておるわけであります。 そこで一体、このような国民審査というものは、結果としては信任をされておるわけでありますが、国民審査の結果につきまして、きわめて抽象的ではありますが、最高裁はどういうふうに考え、この結果をどういうふうに受けとめておられるかまず御意見を伺いたい。
○吉田最高裁判所長官代理者 御指摘のように今度行なわれました国民審査におきまして、罷免を可とする投票が有効総投票に対する割合が従来よりも多かった。これは事実でございます。私考えますのに、一番最初に行なわれましたのが昭和二十四年だと思いますが、それから今回まででちょうど九回ございますが、一番最初は、その罷免を可とする投票の割合が四ないし五%でありました。そして今度は約一二・何%になっているわけでございますが、これをずっと通じてみますとだんだん罷免を可とする票がふえております。年によりましては幾らかは増減はございますけれども、大体の傾向は年を追ってふえているという傾向になっておりますが、これは申すまでもないことでございますが、裁判所というのは社会秩序の維持、基本的人権の擁護の最後のとりでであり、民主主義の基盤になるものである。そういたしまして、最近社会の進展と申しますか、また経済、産業の発展が著しくなってまいりますと、たとえば公害問題、その他交通問題、いろいろな問題がふえてまいります。それに伴いましてどうしても社会における紛争が大規模になりますし、また複雑になってまいります。そうしますと、どうしても国民の司法に対する関心というものが非常に高まってきている結果だと思いますが、この国民審査の罷免票が多いのもそういった傾向だと私は思うわけでございます。
○横山委員 国民の裁判に関する関心が高まり、かつまた批判も高まっておる、こういうお考えは私も同感なのでございます。ただ、この国民審査について棄権票が多くなっておるという事実もまた看過することができないのでありますが、そこで自治省にその手段について御意見を伺いたいのですが、法の十五条で、罷免を可とする者はバッテンとし、しからざる者は記載せず投票という今日の定めであります。記載せず投票ということは、要するに棄権はあり得ない、とにかく投票してくれというのが、法を名目的、形式的にながめたところそういう趣旨になるわけであります。そこで、最近わからないという意見がきわめて強く、したがって一部には国民審査不要論もあるわけでありますが、しかしそれはとらざるところであるとすれば、わからないから投票のしようがないという国民の意思、それからむしろこれを入れることによって信任ととられるのはおもしろくないから棄権を正確に認めてもらいたいという趣旨、それからバッテン以外はみんな信任をされておるという判断をすることの無理、そういう問題がいま集中的に起こっておるわけでありますが、この点について自治省としてはどういうふうに是正をされようとしておりますか。
○山本説明員 ただいま御指摘のように、最近いろいろと国民投票の制度につきまして各方面で御意見があるのはそのとおりであろうと思います。ただ、国民審査法十五条におきましてバツをつけた者が罷免を可とする票であり、他は、要するにバツ以外の者はつけるな、白票で投じてくれという制度になっていることも御指摘のとおりでございますが、この国民審査の制度をどを考えるかということ、すなわちこれを最高裁判所の判決でも申しておりますように一種の解職制度と考える限りにおきましては、かような積極的に解職したいと思う者がその意思を表示すれば足りる、かようなことにもなるわけでございまして、ただいまの現行の制度もそれなりに機能をいたしておる、かように考えております。
○横山委員 リコール制度である、だから解職したい者だけバツをつければその十五条の趣旨には合うというお話で、それも一つの論拠だと私も思います。しかしながら、国民の今日国民審査に立ち向う投票所における心理というものは、やはりそれだけで法十五条があるからそれでいいんだというふうには必ずしも律し切れないのが今日の現状ではないか。国民審査で裁判官に対する、いま事務総長のお話のように関心が高まり批判が高まり、自分の意思を明白に表示したい、その意味では棄権というものを認めてもらいたい、そしてまたつけなかったから信任と見られるのも不合理であるということについては、法十五条の改正を含む現実的な措置がとられてしかるべきではないかというのが、これは国民の声ですよ。そして私はこの説に賛成できないのでありますが、一部の人が言うのは、一部の人々の運動によってのみ国民審査の投票率が高まる、つまりバッテン運動だけで国民審査の運動が高まるというような説をなす人がある。その意味におきましても、その意味は私はとらないのでありますけれども、少なくとも国民審査に対する今日の国民の傾向、関心、動向、意見というものにもっと自治省としても率直に対応すべきではないか。十五条の解釈が、そういう解釈が多数派であることは私も認めるけれども、その法の説明だけではもはやとどまらない。国民の関心をどう考えるかと聞いているのです。
○山本説明員 御指摘のように各方面からいろいろの御意見がありますことは私どもも先般来十分に承知をさしていただいておるところでございます。しかしながら、やはりこの国民審査の制度は憲法に根拠を置く制度でございます。憲法がいかなる理由をもってこの審査制度を設定をしているかというところから従来からそういう解釈がとられ、かつ最高裁の判決におきましてもすでにそういう判決が出ているわけでございまして、かような状況を勘案いたしますと、憲法の趣旨に従えば現在の制度でいいのではないか、かように存じておるわけでございます。
○横山委員 えらいかたくなにおっしゃっておられるのですけれども、自治省で国民審査について先般何か通達をお出しになったという話を聞きましたけれども、それはどういう内容のものでありますか。
○山本説明員 国民審査の投票につきましては、毎回の審査のありますたびに通達を各都道府県選管あてに出しているところでございます。 この内容といたしましては、一つは、投票所との関係におきまして大体総選挙用の投票用紙と国民審査の投票用紙とを同時に交付するような指導をいたしておるところでございます。その点におきまして必ず投票所の中の記載台に有権者が行くように、記載台を通った上で投票箱に入れるように措置をされたい、こういう内容が一つでございます。 それからもう一点は、国民審査の投票については投票の強制にわたらないような運用をはかるという点につきまして、そういう要望もございますので、投票所内の適当な個所に、投票をしたくない者は投票用紙を受け取らないでよろしい、そういうこともあるのですよという注意書きを掲示をしなさい、こういうような二点の内容を持ちましたものをいたしております。
○横山委員 投票したくない人は投票用紙を受け取らなくてもいいのですよということですね。受け取って棄権してもいいですよということはないのですか。
○山本説明員 お受け取りになりまして、先ほど申し上げましたように投票所の設備の関係上同時に用紙を渡されることが多いものでございますから、そのまま受け取ってしまったという方があろうと思います。その場合においてはお返しになってけっこうでございますということを、先般の四十四年の総選挙の際からそういう掲示もしなさい、こういうような言い方をいたしております。
○横山委員 投票用紙を受け取った、受け取ってからお返しになってもいい。その場でですか。それならば、その趣旨が生きるならば、投票用紙を受け取られてから投票箱のところへ行って、そこへ入れずにほかのところへ、つまり棄権箱とでもいいますか、私は棄権を意思表示しますと、棄権箱へお入れになってもいいんですよということはどうして出てこないのですか。
○山本説明員 この投票といたしましては、積極的に罷免をさせたいという意思の方にバツをつけていただく、こういう制度のものであるということは先ほど来申し上げたとおりでございまして、ただいま、従来御説明申し上げておりますように、白票、何も書かないものは少なくとも積極的に罷免させたい意思の票ではないという判定をいたしておるわけでございまして、その線からいきまして、特に本来で申し上げますと、投票所の形態からいって必ず投票記載台を通る措置というのが十分できるものでありますれば何も一緒に渡さないで途中からお帰りになってもそれで済むわけでございますけれども、そういうわけにもまいりませんので、ただいま申し上げましたような措置をいたしておるようなわけでございます。
○横山委員 あなたは一体国民審査の過程で、この裁判官に対する紹介、いま掲載事項の字数制限やいろいろな掲載、周知宣伝の方法がありますわね、裁判官の紹介が。その紹介が十分に国民の中で認識されており、そしてこの制度によって国民の正しい判断の材料の提供を政府はしておる、こういうふろにお考えなんでしょうか。形式的な議論よりも実際この国民審査が国民の中で、衆議院選挙や他の公職選挙と同じように公正な判断材料が国民の中に提供され、国民がそれを理解をしてそして投票をしておる、ほんとうにそうお考えなんでしょうか。この制度の現在の解釈、運用全きであって言うことなし、大勢改善を加える必要はなしと思っておられたら、よっぽどあなたはどうかしていると私は思うのでありますが、先ほどから何らの改善意見もない。おかしいと思うのです。どうなんです。
○山本説明員 御指摘のとおりに、ただいまのところで一体裁判官の一々のことまでわかるだろうかという疑問は確かにございます。法令が定めておるところに従って処置をいたしておるわけでございますが、各家庭に配布いたします審査公報の中身につきましても、わかりやすくというような御要望のあります点も、いろいろと私どももそういう方向に持っていきますように応対をいたしておるわけでございます。しかしながら、それはそれといたしまして、積極的にバツ、罷免をさせたいという者につきましての制度である。この点はやはり憲法の考え方というものがそういうものであると理解をしていただけば……。そういう点から申しますと、なお一そうその点、おっしゃいますように理解を得るような努力というものは必要と存じますけれども、現在におきましてもそれなりの機能をいたしている、かように思うわけであります。
○横山委員 私は、少なくとも現在の裁判官の紹介方法というようなもので国民が国民審査の制度というものを十分に理解し、そして十分に効果をあげておるとは断じて思っていないのです。たとえば技術的なことを考えましても、その記載事項の字数制限などというものについては、たった千字ぐらいでわかるはずがないと思いますし、裁判官の任用のプロセスや写真も掲げたほうがいいと思いますし、あるいは日刊新聞やテレビ等にこの選管の手によって公告をしたほうがいいと思いますし、投票の様式についても、先ほどからるる言っておりますようにバッテンと信任のマルじるしとそして棄権というような三方式をとったほうがいいと思いますよ。この制度が一番最初にとられたのはアメリカだと聞いておりますが、アメリカでも、私の承知する限りにおいてはバッテンと、信任をする者にはマル、何にも書かない者というような制度が現にあるという話でありますから、この国民審査の方法についてこれほど国民の中に、マスコミの中でも議論がされておるときに、何らの改善意見もお持ち合わせもないということはまことにふかしぎな気持ちで、あなたの顔をもう一ぺんいまよう見ているところなんであります。あなたのようなベテランが——だと私は思っておるわけでございますが、国民審査の方法について何らの改善意見も持ち合わせもない、示唆もないという点については、もうあなた、職にとどまる必要がない。この際だれかにかえて、新しい感覚で一ぺん国民の中をかけ回って、よりよき国民審査の方法を考える人を任用したほうが、国民審査法を改正するよりも人事の異動から先にやったほうがいいじゃないかと私は思うのであります。 一体こういうことについて、いま質疑応答をいたしましたことについて、最高裁の御意見を、御感想を伺いたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 最高裁判所といたしましては、特に政府の行なう事務でございますので、裁判所といたしましてここで見解を述べる立場にありませんので、その点、差し控えさしていただきたいと思います。
○横山委員 まあ批判をされる側として一応そうかもしれぬけれども、せめて、バッテンをつけるなら、マルをつけるくらいだったらこういうふうにやってくれということがあってしかるべきではないですか。おそらく私は、最高裁裁判官としても興味しんしんか、このごろ、ひやひやか、どっちか知りませんけれども、国民審査の状況について、心理的には裁判官の皆さんもやはりいろいろな意味で受けとめておると思うのであります。おれの手の問題ではない、おれに関係したことではないと言えませんよ。事務総長のおっしゃるように、どんどん年々歳々このバッテンがふえていく。そのうちには最高裁裁判官が一人国民の手によって首切られたということが想定される。そのときにこんな国民審査のやり方じゃおれは不満だと言って最高裁判所へ提訴する。——そんなことはできませんけれども、その苦情がどこかから出るはずですよ。ですから私は裁判官の皆さん、最高裁としても国民審査のあり方について意見がないというのがふしぎだと思うのです。どうなんですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 御指摘のように、最高裁判所といたしましてもこの制度の運用については大いに関心を持たざるを得ないところでございまして、意見がないかと言われれば意見はないとは言い切れないとは思いますけれども、そうしたことについては終局的には、先ほど申し上げましたように政府の行なう事務でございますので、それに対して最高裁のほうから公にこうせい、ああせいということは言えない立場にあるのではないかというふうに考えております。
○横山委員 こうせい、ああせいといったって、さっき一番冒頭に、被告の人権を尊重するということがテーマであります。その意味では被告席にすわっている人たちなんです。その被告の人権を十分に尊重してあげようではないかと私が言うておるのに、まあそれはいいですよ、ほっておきましょうよ。どうせまたそのうちに首切られたら先生のところへ、そんなこと言やせぬが、とにかく研究があるべきだと思うのですがね。もう現状において、あらためて伺いますが、国民審査の現状のあり方、制度について、最高裁としては意見なし、こういうふうにはっきり言っていいんですか。そう考えていいんですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 いろいろ考え方はあるとは思いますが、やはり現在のところはそういう結論になろうかと思います。
○横山委員 現在のところは、きょうはそうだけれどもあしたはまたわからぬというようなことでは、少し私は御検討が足らないんではないか。少しこれは最高裁としても、この何だかわけがわからぬ千字やそこらで、おれの長年の人生経歴、裁判の経験、おれの人間というものをわかりもせずにマルやバッテンをつけやがって、ばかにするなと思っている人がぼくは中にはあると思うのですよ。ないのがふしぎですよ。私ども衆議院議員というものは、もう野越え山越え谷を越えて、この顔を見ればその選挙区ではああとだれでも知っている。だれでも知っているから批判票も正確だし、信任票も私どもはわりあいに正確だ。しかし最高裁判所の長官というものは、二つ三つの判決がある。それが著名な判決あるいは著名でない判決というようなことが、それはもう私どももバッテンをかけたほうでありますから、私どものようなものでも、その人たちのすべての人生体験なり裁判経験をそう深くは知っていない。いわんや庶民がそんなに知るはずがないですよ。ですから今日の国民審査のあり方について被告にある、——被告と言っては恐縮だが、批判の対象になっておるその人、その機構、そういうものも少しは、何も自分の得になるということでなくして、その裁判官の経歴なりあるいはいろいろな判決例なり、いろいろなことについて公正な批判を求めるという意味において何らかの手段が、意見があってしかるべしだと私は救済的な意見を出しておるのにかかわらず、まあいいですよ、ここではちょっと言えませんからまあかんべんしてくださいというような憶病な態度ではいかぬのではないかと思うのですがね。ここまで言ってもあかんですか。ないですか、意見は。事務総長、どうですか。
○吉田最高裁判所長官代理者 この国民審査に関する事務は、申し上げるまでもないことですけれども、中央選挙管理会がやっているわけでございます。それでやはり広報事務ということになりますと、その選挙管理会がやるべきことでございますし、また裁判官の経歴、判決その他を記載する審査公報というものは、法律上府県の選挙管理委員会がやることになっておるわけでございます。(横山委員「法律を直そうと言っているのです。」と呼ぶ)そういう法律上のたてまえでございますので、法律を直すか直さないかということにつきまして裁判所からこれもまた申し上げにくい問題でございますので、公の席でこの点に触れるということはやはり差し控えなければいけないと私は思います。
○横山委員 たいへん憶病な最高裁判所でございますね。その憶病な最高裁判所が、年々歳々司法修習生に対する問題が出ておるわけです。再任、新任の問題が出ておる。この点に関する限りは実に強硬で、ぼくが一語をもって要すれば、外にはにこにこ内には鬼と言わんばかりの体制を示しておるのは、内弁慶はいま最高裁ではないか、こういうふうな批評が出ておるわけでありますが、本年の十五期裁判官並びに二十五期司法修習生に対する問題についてあらためて御意見を伺いたいと思うのでありますが、本年は事なく新、再任が行なわれましょうや。
○矢口最高裁判所長官代理者 十五期の判事補の裁判官の、いわゆる新、再任は四月のはずでございます。二十五期の修習生の採用はまだ考試に入っていない段階でございます。それを待って行なわれるわけでございます。ただいまからこれらの点につきまして何とも申し上げようがない次第でございます。
○横山委員 毎年毎年この種の問題が法曹界で議論の焦点となり、昨年、一昨年、年々歳々たくさんの裁判官、圧倒的な弁護士等、署名運動が行なわれて法曹界をゆるがす大問題に発展をしておるわけであります。きょう私が取り上げました裁判遅延、裁判官の不足、そういうような状況からいいまして、何かイデオロギー的にその再任、新任を拒否しようとするような傾向というものはまことに残念でならない。まことにつまらぬことだ。そしてもう最高裁が孤立をして、なんだ、やったなというような雰囲気をかもし出しておるということは、まことに遺憾千万だと思うのです。いま申し上げようがないとおっしゃるけれども、これはまた本年の法曹界のハイライトの問題でありますから、新、再任に対する基本的なものの考え方をあらためてひとつ伺いたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 当委員会等でもしばしば申し上げておるわけでございますが、新任にいたしましても再任問題にいたしましても、裁判官たるにふさわしい方を一人でも多く獲得したいという、ただそれだけでございます。それ以外に思想、信条等によって新任、再任を差別するといったようなことは一切考えていないものでございます。
○横山委員 一切差別をしないというのにかかわらず、どうしてそういう思想、信条、所属団体によって差別をするらしいという声があとを絶たないのかということなんであります。その点についてどういうふうに御反省をされていますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 ただいまも申し上げましたように、裁判官の任命ということにつきまして、そういった思想、信条、あるいは一定の団体加入といったようなことで差別すべきものではないということはしばしば言明いたしておりますし、そういったことはないんだということを申し上げておるわけでございます。しかしさればといいまして、たとえば新任等におきまして希望者の全員を採用できるかどうかということになりますと、これは希望された方がはたしていわゆるふさわしい方であるかどうかということにかかっておるわけでございまして、事前に希望者はどなたでも採用させていただくというようなことを申し上げ得る性質のものではないわけでございます。私どもはどうしてそのようにおっしゃるのか、実際のところ非常にふしぎでしようがないといった状況でございます。ただもし何らかのことからそのようにお考えになるような片りんがあるとするならば、これは非常に残念なことでございます。機会あるごとにそのようなことはないのだということをつとめて御説明いたしておるわけでございます。このような席でもお尋ねでございますので、非常にいい機会でございます。決してそのようなことはいたさない、安心してどんどん御希望いただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
○横山委員 ちっとも安心をしていないのですよ。どうしてそんなことを考えるのかふしぎでしようがないというのがあなたの意見。それにもかかわらず年々歳々所属団体のいかんによって思想、信条によって新、再任が拒否をされる。ことしは一体どうなのだろうかということで物議をかもしておる。あなた方は火のないところに煙は立たぬということばを御存じのはずであります。一体火のないところに煙は立たない、それはほんとうに火がないのかどうか。裁判官の現状についてどうお考えなのか。そのお考えが火になっておるというふうに考えられるわけであります。きょうは時間がなくてもう申し上げませんけれども、最近司法反動化が非常に議論されておる。なぜここ近年最高裁を中心として反動化しておるという意見が出てくるのか、そういう点についてお考えをなさるようなことはないのでありましょうか。私は、ことしの一番中心であります十五期、二十五期が、またその中から物議をかもして法曹界に新しい火種を提供されることはくれぐれもひとつ避けてもらいたい。またやめてもらいたい。もうそういうことは一切ないというならば、全員が新任、再任がされるようにここでひとつお考えを願いたい、こういうふうに考えております。 最後に、最高裁判所裁判官の任命の問題についてこれまた最近いろいろと議論があるわけでありますが、いわゆる在野法曹の登用ということ、簡潔に言いますと五・五・五という比率というものが、最高裁判所裁判官の人的構成の中に不文律としてあるというふうに私は承知をしておるのでありますが、こういう比率というものが尊重され、今後もずっといくのであろうかどうかという点について、先ほどの反動化の問題とともに一まつの疑念を持っておるわけであります。これは内閣総理大臣がとにかく第一義的にきめるわけではありますが、それとてもやはりまず最高裁からの推薦ということになるでありましょうが、その推薦段階における最高裁の考え方としてお伺いいたしたいと思います。
○吉田最高裁判所長官代理者 最高裁判所の裁判官の任命は、これも申し上げるまでもないことでございますが、最高裁の長官は内閣の指名に基づいて天皇が任命されますし、その他の裁判官は内閣が任命することになっておりますので、最高裁判所といたしましてこの任命問題について申し上げることは控えなければならないと思います。
○横山委員 では承知の上で内閣総理大臣がかってに自分で考えて持ってくるというものではなく、必ず実質的にあなたのほうからリストを出して、そして内閣総理大臣の判断にまつということになると私は思うのです。その意味で、その運用その他について、在野法曹の登用その他について、あなた方の意見を聞いておるのです。
○吉田最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、最高裁判所の裁判官の任命問題について、最高裁判所の裁判官会議の議題になることもございませんし、また、裁判所から推薦されているかどうかということについても、私は全く存じません。これはおそらく内閣で全責任をもって任命されていることだと私は想像しております。
○横山委員 まあ一ぺん、これは別の機会に政府側の所見もただしてみたいと思うのであります。 まだ二、三問題が残っておるのでありますけれども、お昼をだいぶ過ぎましたから、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。
○中垣委員長 なお、この際、委員長から申し上げますが、昭和四十八年度法務省関係予算及び昭和四十八年度裁判所関係予算の説明の聴取につきましては、関係資料をお手元に配付してありますので、これをもって御了承願います。 次回は、来たる二十三日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十二分散会