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71回国会衆議院1973/05/30

文教委員会 第18号

発言数
305
登壇者
14
会派数
4
開催日
1973/05/30

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。安里積千代君。

安里積千代民社党

○安里委員 前回質問いたしましたとおり、設置法は学校教育法から生まれて、それに基づく設置法でございまするので、基本になりまする学校教育法につきましてまずお聞きしたいと思っております。  今回の改正によりまして、学校教育法の五十三条が改正になるわけでありますが、その五十三条にありますように大学には、常例として学部を置くことになっております。そこで、非常に単純な問いのようでございまするが、その五十三条を改正されまする中におきまする「常例」という意味は、どういうことをさすのでございましょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 現在の学校教育法五十三条には、「大学には、数個の学部を置くことを常例とする。」こう書いてございます。通常の場合には、単科の、一個の学部ではなくて、複合の学部からなるのが大学であるという性格づけをしたものでございます。今回、いま御指摘がございましたように、五十三条を改めまして、「大学には、学部を置くことを常例とする。」ということばにさしていただきます。「常例」という意味は、いままでと同じ用語を使わせていただいておりますが、これは、大学が学部という組織を構成単位とするのが  一般の例である、通常の原則的な例である、こういう趣旨でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 私は、これは基本的な問題に触れると思うのでございますが、確かに現行法のことばをそのままとっておられまするけれども、現行法と、改正されまする法の趣旨というものは、根本的に違うのじゃないかと思うのです。  と申しまするのは、現行法の五十三条におきまする「常例とする。」ということは、かしらにあります「数個の学部を置く」、これを「常例とする。」つまり学部を置くということが大原則でございますけれども、不動の原則でございますけれども、数個置く、これが常例であって、一部を置く場合は、これはほんとうに特例である。だから、数個置くということが、これが「常例」ということばとつながったものだと思うのです。  今回の場合は、それとは変わった意味になってくる、だいぶ趣旨が、現行法の「常例」の場合とは意味が違ってくるのじゃないか、こう思うのでございますが、単にただし書きだけを変えるために、「数個」ということばを取って、「常例」ということばをそのまま使いますというと、趣旨が非常に違ってくるのじゃないか、こう思うのでございますが、いかがでございましょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 通常のあり方としてという意味で「常例」ということばが使われておるというふうに考えます。ですから、現在の規定でございますと、単科の大学というのは、大学としてはむしろ異例に属するという法律上のたてまえに相なろうかと思います。今回、それと同じ趣旨によりまして、「大学には、学部を置くことを常例とする。」という表現にさしていただいておりますが、それは、やはり原則的に大学が学部よりなるということを意味するものというふうに考えます。そして学部によらない場合は異例のこととして、こういうことがあり得るという、そういうたてまえで、この同じ趣旨にことばを使いたいというふうに考えます。

安里積千代民社党

○安里委員 いまおことばにありましたように、大学には学部を置くというのが原則だ。としまするならば、「常例」ということばを使う必要はないのじゃないか。大学には学部を置く、これは原則なんですよ。その前に、「常例」と書いたのは、その原則であるところの学部を置くを数個を置くことが、これが原則なんだ。だから、「数個」があるから「常例」ということばが使われたのでありまして、いまここで、この法の改正によりまして筑波大学ができてまいるのでございますけれども、あくまでも大学には学部を置く、これが原則なんだ。としまするならば、前に「数個」ということばがあるために「常例」としたことばを使ったとしますならば、その「常例」というのは要らぬじゃないですか。「常例」があることによって、かえって観念の混乱を来たすような感じがいたすのでございますが、どうしても「常例」を入れなければ、大学に学部を置くという原則というものはくずれるんですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 現行の五十三条は、「大学には、数個の学部を置くことを常例とする。」ただし書きがついておりまして、「ただし、特別の必要がある場合においては、単に一個の学部を置くものを大学とすることができる。」という規定をいたしております。この規定の趣旨は、大学が学部以外の構成単位、構成原理というものを考えていないということであろうかと思います。今回、その意味で、学部制度によらない大学をつくりたいという筑波新大学を考えます場合には、この現在の五十三条の学部以外の大学というものを考えていないという原則に許容を加えたい。そうして学部を置くことを常例といたしまして、ただし書きに、提案してございますように、「学部以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる。」という例外の許容を設けることにさしていただいた次第でございます。その意味で、現行法で使われておりますのは、単科の大学が大学としては異例な大学組織であって、数個の複合学部による大学のほうが大学としては常態である、こういう趣旨かと考える次第でございます。今回は、その学部を置かない大学を大学のあり方として考えたいという趣意から、学部という構成単位をとることが大学としては常例でございますけれども、場合によりまして、その学部という構成単位によらないものをお認め願いたい、こういう趣意でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 そうしますと、現行法にありまする単科大学はどういうふうになりますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 現行法によりますと、単科大学は大学としては異例の大学ということに相なろうかと思います。しかしながら、過去新制大学発足以来今日までの現状を考えてみますと、大学を設置されるお立場のいろいろな事情等がございまして、実はこの法文の規定の当初の趣旨からは少しずれた形になっておりますが、大学の数だけから申しますと、単科大学のほうが数の上では多いぐらいにまで伸びてまいっております。したがいまして、数個の学部を置くのが大学の常例であって、単科大学が異例であるということは、現在の大学の実態としては必ずしも正確に適合しておるとは言えない段階であろうかと思います。今回は、その単科の大学を含めまして、学部構成をとる大学を常例というふうに考えたい、こういう次第でございますから、単科の大学については、そのこと自体取り扱いが変わるというわけではございません。

安里積千代民社党

○安里委員 そこで、改正に応じて学部以外の組織を持つことができるようになっておりますが、その「学部以外の」云々ということはどっちにもとれるようですが、明らかにしておきたいと思いますが、原則的な学部も置きながら、あわせてその上に別の組織も持つことができるという意味か、それとも別のただし書きの組織を持った以上は、学部は置けない、こういうようなことになりましょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 今後いろいろな大学がまた大学の考えによって出てくると思いますが、私どもこの規定によって現在考えておりますところは、先生の御指摘の前者のほうを考えておるのでございまして、同じ大学であって、学部制度をとるところとそれから学部によらない組織をとり得るところと両方あり得るであろう、そのように考えております。ある大学が、大学の構成組織の一部について学部以外の組織をとったならば、あと全部学部以外の組織でなければならない、こう考える必要もないであろう。ですから、学部組織の部分と学部以外の部分とがあり得る、このように考えておる次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 そうしますと、一つの大学の中に学部組織を持つのもあるし、それからその組織以外の組織、ただし書きにありますような組織も持つことができる。学部を持つ、そして学部以外の、たとえば今度の筑波大学の場合にありますような学群とか学系とか、ことばはどうでありましょうとも、学部以外にそうしたものを一つの大学で併用と申しますか、併立と申しますか、持つことができるのだ、こういうことでございますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 そのとおりでございます。

安里積千代民社党

○安里委員 五十三条の「学部以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる。」「学部以外の」とありますので、あるいはいまのような趣旨からしますと「学部以外に」といったような感じも受けるわけでございますが、「学部以外の」ということばを使いましてもやはりいまのような趣旨に解してよろしゅうございますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 そのように考えております。

安里積千代民社党

○安里委員 次に、五十九条についてお聞きしたいと思うのです。この間の質問の中で一応触れたのでございますが、学校教育法の五十九条には「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」という規定がございます。これは筑波大学に対しても同様であるというお答えでございましたが、それはそのとおり間違いないでしょうね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 そのとおりでございます。

安里積千代民社党

○安里委員 そうしますと、現在は学部ごとに教授会が置かれておると思うのでございます。しかも「重要な事項を審議するため」という一つの職務と申しますか、権限と申しますか、それを付与されました教授会というものが置かれておるが、筑波大学に設けられますところの教授会というものの、学校教育法に規定されたところの置かなければならない教授会というのは、どこにどういうふうにして置かれるか、どういう職務権限を持つ機関になりますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 現在の規定も、教授会につきましては、大学に教授会を置くというきわめて大まかな規定になっておるわけでございます。また、審議いたします事項も「重要な事項」ということばで、これまた大まかな規定になっておる次第でございます。現在教授会が置かれておりますのは、大学を構成いたします基礎的な単位組織に置かれておるというふうに私ども考えております。したがいまして、学部に教授会が置かれるという形になっておりますし、また研究所がございます場合には、研究所に教授会が置かれるということで、大学の構成単位組織に対応して教授会が置かれるということになっておる次第でございます。したがいまして、今回筑波大学につきましても、学群、学系という構成組織を考えることにいたしてございますが、その学群、学系に教授会が置かれるということになっていくであろうというふうに考えます。その構成組織の重要事項を審議するということになりますから、学群につきましては学生の教育問題入学から始まりまして卒業の認定等、教育のプロセスを中心にした重要事項というものを学群の教授会で検討し、学系につきましては研究を中心にしたその学系の重要事項を審議する、こういうことに相なろうかと考えます。

安里積千代民社党

○安里委員 少なくとも現在の教授会は、いろいろ学部内におきます人事権あるいは重要な役割りを持っておるものだと考えております。それが法に示された「重要な事項」ということになると思いますが、そうしますと今度できます筑波大学におきましては、従来の教授会が持っておった、あるいは大学内で自主的にいろいろとなされてきたこれらのことが評議会といったものに移る、こういうような感じを持つわけでございます。従来の教授会が持っておったものを、今度の筑波大学では評議会がやる、あるいはまた人事委員会がやるということになりまして、教授会が持っておった重要事項の審議というものがそれ以外の機関に移る。したがって、従来の教授会の観念とはずいぶん違ってくるのだ、こういうように思うわけですが、そのとおりですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 教授会が担当いたします重要事項というのは、国公私立の大学それぞれによってお取り扱いがやはり区々になっておろうかと考えます。国立大学におきましては、今度提案いたしております筑波大学の場合と、それから従来の一般大学の場合と、教授会によってどう違うかということでございますが、教授会と評議会との関係におきましては、従来の一般大学の場合と全く同じでございます。ただ筑波大学につきましては、法律の規定で御審議をいただいております点では、人事委員会というものを新たに構成をして設置したいというふうに御提案を申し上げておりまして、この人事委員会は、学内の人事問題について統一的な審議をし、また個々の教官の人事について、従来教授会が担当しておりました部分を人事委員会が担当するというふうに教育公務員特例法の関係部分の手直しをさせていただいておるわけでございます。したがいまして、教育公務員特例法で規定されております教授会の権限の部分は、従来の教授会から人事委員会に移っておるということははっきり申し上げられるかと思います。しかし、それ以外の部分につきましては、法律制度上は違いがございません。あとは学内の運用上の問題において、どのような運用をされるかということにかかわってくると思います。その点では現在でも、国公私立の大学の教授会が・それぞれの大学の事情によって取り上げておられます審議内容が異なるというのと同じことであろうかと考えます。

安里積千代民社党

○安里委員 従来の評議員会の法的な根拠と申しますか、それはどういうことになっておりますか。今度の筑波大学法案におきましては評議会というものが法定されますが、従来の評議員会というものはどういう性格で、どういう根拠に基づいて設けられておるところのものですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 現在、国立学校に置かれております評議員会は、国立学校設置法の十三条に規定してございます委任の規定によりまして、「国立学校の組織及び運営の細目については、文部省令で定める。」というこの十三条の委任規定を受けまして、文部省令で、「国立大学の評議会に関する暫定措置を定める規則」という規則をもちまして組織しておるものでございます。これは、大学の機関といたしましては、現在も実効上一番大事な大学の管理組織というふうに位置づけられており、運用もされておりますので、今回、筑波大学の組織を考えます際に、人事委員会、参与会とともに、法律の上で明確に規定をさせていただく、このようにいたした次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 法のいい悪いは実は別問題といたしまして、現在の評議員会というものは法定はされていない。法の委任――設置法の十三条ですか、十三条に基づく文部省令ですか、規則に委任をされておる。委任のもとに生まれたところの評議員会が、おっしゃるように非常に重要なる管理、運営上の部面を持っておった。それを今回法定をする。筑波大学を設置するにあたりまして法定するという趣旨はわかるのでありますが、規則に委任されたので、大学が――文部省においてああいうものをつくる。これも確かに場合によりましては、あの委任規定によりまして、文部省の専管と申しますか、がいろいろ大学の管理、運営に作用する場合もなしとしません。したがいまして、それを法定化するということは、一応うなづける問題ではございますが、あとでちょっと触れるのでございまするけれども、いまこの筑波大学をつくる機会にこの制度を法定化するということも、これは理想として、あるいはいい悪いは別といたしまして、私はもっと根本的に、従来の規則に委任をしておりまして、規則の委任から生まれたところの委員会、つまり大学の管理に関しまする基本的な問題というもの自体が、本来それが法定さるべきものであって、これが従来文部省令に委任をされておったということ自体の中に、私はまずさがあったのじゃないかと思うのです。ですから、根本的な管理規定に対しまする基本的な方向づけというものが考えらるべきものじゃないか。したがいまして、ただそれを部分的に、いままでの評議員会は文部省令だ、委任されておった、今度だけは法定する。ここにも割り切れない問題もありますので、根本的に管理に対しますところの基本的な方向づけというものが出されましたならば、その時期において、この筑波大学に対する問題も移せばいいのじゃないか、この原則を受けて。そうすると、今度の改正においてそういうようなものをしいて取り上げて、筑波大学だけに法定をするというようなことは、立法技術においても趣旨一貫しない問題じゃないか。いいか悪いかは別の問題としまして、いまの制度を維持しますならば、設置法の十三条の適用のいまの委任に基づいて、筑波大学に付して特別の規定を設ければ、まあ国会の審議にあまり問題が起こらぬでもいいんじゃないか。それがいいか悪いかは別でございますよ。法のたてまえの筋から言いますならば、そうすべきではないだろうか。その基本的な管理的な規定というものが審議されずに、あるいはつくられずに、一部だけ取り上げてこういう規定を設けるということに、どうも割り切れぬものが生まれてくるわけです。これに対する文部当局の基本的な考えをお聞きしたい。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御指摘のように、大学制度につきまして国立学校を通じたいろいろな問題点を考えた上で処理をしていくというのも、また私どもも考えていくべき一つの取り組み方だ、このようには考えるのでございます。  しかしまた、大学は、同じ大学といっておりましてもいろいろな歴史も持ち、それぞれの専門領域あるいはその教官の構成のあり方等によりまして、それぞれ個性のある実態を持っているものでございまして、この大学の改革ということを考えました場合には、どうしても特定の大学の特定の具体問題をどう改善するかということに私どもも十分耳を傾け、それに対応していくということで一歩一歩改革を進めていくということが必要であるというふうにも考えるのでございます。  今回、私ども大学改革について取り組みます姿勢は、やはり大学は、国立の大学だから国の立場で一律にこうでなければならぬという面だけでなくして、むしろそれよりも個々の大学の具体の要請でこういうものをつくっていきたいという試みを育てる、そういう意味で、この筑波大学に取り組んでおるものでございますから、筑波大学として一つの望ましいあり方を考えたら、どういう大学の構成単位をとり、どのような組織にするか、その意味で問題を取り上げ、確かに国立大学全体ということから見ますと、一般の評議会は省令できめておるのに、この部分だけ法律で御審議を願うというのは、バランスもおかしいという面もございますが、筑波大学の今回の学群、学系という新たな組織をとることに伴います大学の教育、研究の運営を、こういう仕組みで考えておりますという御審議をいただきますためには、筑波大学の場合に、やはり法律上の課題として評議会の位置づけも考え、また人事委員会の位置づけも考え、教授会との関係等を御論議をいただくことが適切であろう、こう考えた次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 管理体制というのは、一定の型にはめた管理体制をとることがいいか悪いかということも、確かにおっしゃるとおりだと思います。大学のそれぞれの自主性、学問の自由と大学の自治ということを考えました場合におきましては、画一なところの一つの形を持ってこれに当てはめる、強制するというような形を避けたいという趣旨は理解できるわけでございますが、問題は、この筑波大学に関係いたしまして、教育大学が、このあり方に対しましても相当な強い反対と申しますか、抵抗と申しますか、私はあると思うのです。それは文部当局としてもよく御存じだと思うのです。これに対しまする一番強い、大学側からの、あるいはまた他の大学、ある場合においては一つの基本にもなると思うので、決して教育大学、筑波大学だけの問題じゃなくして、今後の大学のあり方に対しても非常に大きな影響力を持つものだ、こう考えます。したがいまして、当該大学だけではなくして、他の大学におきましても、この問題については一番論議が集中されておる問題だと私は思うのです。それを当局とされましてはどういうように把握されて、何が一体ほんとうに反対の理由になるのか、またこれに対して当局の考えというものはどういうものであるか、明らかにしていただきたいと思います。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 大学の改革問題を通じまして、大学側からいろいろな御要請が出てまいったのでございますが、その中で一番共通して言えますことは、もう一つ大学に取り組む当局側の姿勢を弾力的に考えて、そして個別にいろいろなタイプのものが実現できるようにしてくれ、こういう御要請がございます。制度の弾力化、そしてその弾力化の中で特定のものがそれぞれユニークな試みができる、こういう許容を認めろというお話でございます。私どもといたしましては、その線を十分考えて、制度に弾力化をはかり、個々の大学の改革意欲がいろいろと特殊なものでありましても、それを許容していくような考え方でこの問題を取り組みたいというふうに思っておる次第でございます。もとより改革でございますから、いろいろな改革案につきまして賛成もあれば御反対もあります。この筑波大学を考えますにつきまして、東京教育大学で審議をされました過程におきましても、学内に反対意見も強くあるということは私どもも承知をいたしております。また、筑波大学のようなタイプのものができること自体について、いろいろとおもんばかった御反対があるということも聞いております。しかしながら、いろいろなタイプのものを試みてみるということはいいことだというふうに考えるのでございますし、大学改革の際にはそこのところを許容しないから、画一的に考えるから問題が起こるのだというのが大学関係者の一致したお考えでございまして、筑波大学で個々にいろいろ御反対の御意見がなお残っておるにいたしましても、従来のタイプとは違った新しい試みを実現していくということは意味のあることだ、そのように考えてこの問題を取り組んでおる次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 まだ細部の点についてお聞きしたいのでありますけれども、一応提起したいと思いますので次に移りたいと思いますが、副学長の問題であります。  私は副学長を設けるということに対しまして反対するものでもありませんし、また現在、事実それ相応のものを、名前は副学長でなくても置いている大学もありますので、あえてそのことには触れませんが、ただこの筑波大学におきまして副学長を置くねらいというものが、われわれが考えておるような、つまり法文の上におきましては学長を助けるということになっておりまして、規定自体からは文句ないように思われるのでございますけれども、それが実際の運営の面におきましては、皆さん方からいただいた資料によりますと、副学長というものがいろいろな意味において審議の場にも、あるいは執行の場におきましても、非常な大きな権限を持つような仕組みになっておるようであります。したがいまして、副学長を置くということに対します基本的なお考えをお聞きしたい。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 いま御指摘にもございましたように、大学の組織自体が、職員、学生の数の点だけをとって考えましても非常に大きなものになってまいっております。人口にたとえてまいりまするならば、学生数七万を数えるという大きな大学まで出てきておるような状況でございます。でございますから、この学内の教育、研究の体制を円滑に処理をしていくというために、学長を助けていろいろな補佐役が必要になってくる。これまたいま御指摘ございましたように、大学改革のいろいろな論議の過程を通じて、ほとんど関係された方々が一様に御指摘になった問題点でございます。私どもはそれを最も数多く使われております副学長という呼称をもって学長の補佐役を設けるようにしたい、それを制度の上でも明確にさせていくほうがよかろうという意味で、学校教育法に国公私立大学を通じて副学長が置けるという規定を御提案申し上げておる次第でございます。  これが筑波大学の場合にいろいろと御提示申し上げました大学関係者の準備の論議の中で、いろいろな分野を分担して学長を助けるというふうに関係者の討議が進んでおるわけでございますが、これはどのように副学長に仕事を担当させ、補佐をさせるかということは、でき上がったあとの個々の大学の学長のお考えによることが一番基本でございますけれども、今回考えました場合には、東京教育大学の準備関係者等が強く要請をしておりました教育分野、研究分野あるいは学生問題、学生の厚生補導関係、そういうことと、大きな領域を占めます医療関係に、あと総務的な分野を担当する副学長ということに一応の職務分担を考えながら関係者が五人ほしいというような論議がございまして、予算上はその大学の御要請のとおりに五名ということで予算上の措置をいたしておるのでございます。一応の職務分担も、いま申し上げましたような考え方でおるわけでございますが、だからといって、副学長が特定の分野の縦の系列に並ぶものであるというような運営に必ずしも持っていくつもりもございません。全般的な学長の補佐機関として学長を助けていろいろと大学の管理運営に当たる、こういう立場で考えておる次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 そうすると、いまのこの法案のたてまえからしますというと、副学長は学長を助ける、あくまでも補佐役的な立場であるかと考えますが、しかし、なお詳細に見ますならば、これはいわば一つの執行機関の補佐役であると思うのです。ところが、審議機関であるところの評議会の正式メンバーにもこの副学長はお入りでございましょう。そうしますと、執行機関の補助者であるべきところの副学長が、今度は審議機関であるところの評議会の正式メンバーにも入る。これは非常に矛盾すると申しますか、まずいあり方じゃないか。あるいはまた、いまお話がありましたそれぞれの担当する部門を持たれ――普通の行政機関でありますならば、知事のもとに副知事二人を置く、あるいは市長のもとに助役を二人置く、第一助役は何を担当する、第二助役は何を担当する、行政機関はそれでいいと思うのでございますけれども、学問の場であります大学におきまして、執行機関たるべきところの学長の補佐役たる副学長が、今度は非常に大きな力を持つ審議機関であるところの評議会のほうの正式メンバーにもなる、こういうことになりますと、このこと自体が、よく指摘されておりますように、副学長を設けることによって上意下達と申しますか、執行体制あるいは管理体制の強化、これの疑問を持たれることは私は当然だと思うのです。しかも教育大からの案によりますならば、五つの部門のそれぞれの担当の副学長を置く、こうなりますので、これは学問研究、いろいろな立場、しかもこの副学長というのは、いまのこれからいいますならば、教授以外、学外からも任命でき得る道があるはずであります。そういうところに執行体制の強化、管理体制の強化、教育に対する、学問に対する不当な干渉と申しますか、管理体制というものが強化されるのだという一つの疑問と申しまするか、反対の声があがるのは私は当然だと思う。ですから、副学長を置くということにあえて反対するわけではありませんけれども、これはあくまでも学長の補佐役としての立場を持ち、担当部門を持って管理体制を強化する、あるいはまた審議機関のメンバーにも入る、こういったようなところを排除するということが必要じゃないか、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 大学の組織は、自治体ほどはっきりと議決機関、執行機関というふうに分かれておるものではございません。先生十分御存じのとおりでございます。現在も大学の学長が評議会の議長に職責上就任するというふうなならわしになっておる次第でございます。学内の世論をできるだけ広く結集しながら、大学の教育、研究の運営をうまく進めていくという趣旨からいたしますならば、大学の場で学長あるいは学長を助ける責任者が、いろいろな関係の機関、教官の組織に関係をいたしまして、そして学内世論を結集して進めていくということが適切なのではないかというふうに考える次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 いまの案からいいますならば、人事委員会のメンバーにもこの副学長が入ります。そして副学長の任命につきましても、これは教授会などとは関係なくなされてまいります。しかもいまの資料から見ますならば、五部門を担当するようなものが五名も置かれる、こういうようなことになりますと、私はやはり学校管理や経営の点に重点を置いて、そして副学長をほんとうに置いて学長の補佐役になるのだというよりは、学長自身が干渉――干渉ということばは悪いかもしれませんけれども、できないものを、副学長をして干渉の役に充てる、こういうふうな誤解というものが当然生まれてくるのじゃないか。ですから、学長を助けるというその法の趣旨を単に生かすだけの権限というものが私は必要じゃないか。それ以外に及ぶということは行き過ぎじゃないか、こう思うのですが、一体このことは、皆さん方のこの案は東京教育大からの要請と申しますか、要求、要望というものがもとになっておるということが基本的に言われておりますけれども、教育大学におきましても、こういう趣旨においてこういう副学長を置いてもらいたいというのが大学からの要望なんでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 アメリカの大学等に見られ、また諸外国の大学におきましても、学長補佐機関としての副学長等が、教育担当、研究担当あるいは総務担当というのはかなり普通に見られる形でございます。ディーン・オブ・スチューデントという言い方もいたしておりますし、学生担当におきましても、そうした学長の補佐機関として全学的な学生問題を担当するという職務はかなり一般的に諸外国においては見受けられるところでございます。したがいまして、教育大学におきましては、従来の学部ごとの学部長が学長の補佐機関であるという形だけで考えるよりは、分野別に学長を補佐するポストが必要である。それは教育、研究等それぞれを分担する補佐役としてほしい、こういう御要請でございまして、私どもも他の諸外国の例等を考えましてもあり得ることであるし、また無理からぬ普通の姿ではないかというふうに考えた次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 教育大学からの要請も同じだったですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 教育大学のほうからの御要請は、マスタープランにおきまして、「副学長は、複数制とし、研究・教育・管理等の職務を分担し、学長を補佐する。」こういう形で副学長を考えてほしいという大学のお考えでございました。

安里積千代民社党

○安里委員 いまの諸外国の例をおっしゃいましても私はわかりませんし、またそれがどういう結果を来たしておるかわかりませんが、諸外国の例におきましても、やはりそういった人事、いまの筑波大学法案にありますような人事委員会のメンバーに入る、執行機関であるとともに、審議機関にも入る、どうも常識的に考えられない、あまりにも権限が大きいような気がするのでございますが、諸外国の例とおっしゃるのですけれども、やはりこの法案にありますような人事権あるいは執行権、審議権、こういったものがみんな含まれたところの職務を持っておるわけですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 外国の場合には、副学長以外のほかの体制もわが国の場合とかなり違いますけれども、イギリスの学校、大学等も例にとってみましても、人事等は大学の理事機関で――これは学外者が相当たくさん入っております。学内からは重要な学長の補佐関係者が入っておりますが、そういう理事機関を中心にして主要な職員の人事、教授の人事等が行なわれております。その際に、学長の補佐機関である副学長が除外されるということは、個々の事例を的確に承知しておるわけではございませんが、一般的には聞いておりません。当然含まれたものとしてその中の構成員になっております。

安里積千代民社党

○安里委員 この筑波大学では、教職員の人事につきましても教授会から人事権を奪っておるような状況になって、大学教育の専門性から見て不適当と思うのでありまするが、一面教授会からそういった権限を奪いながら、関係ないところの副学長を置くことによって、その副学長に今度は大事な人事権というものも関与せしめるような制度ということは、これはどう考えてみましても教育、学問の場におきまして不当なる介入の道を開いておるのだというようなそしりを免れないと思うのです。この点については、副学長を置く置かぬの問題は別といたしまして、副学長の職務、権限と申しますか、繰り返すようでございますけれども、執行機関であり、審議機関であり、しかも、人事にも関係するといったような、こういったような形を除くということを明らかにしなければ私は納得いかない、また承服できないところのものだ、こう思うのですが、そういうことに対しましては、当局としては考える余地は全然ないのですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 副学長は学長を助ける大学における重要な役割りの人であるというふうに考えます。そして大学の教育、研究をうまく進めていくための運営をどうするかという管理体制の場合に、教育、研究について学長の補佐役として大事な役割りを持つ人になるであろうというふうに思うのでございます。筑波大学は、学部単位の従来の大学と違いまして、学群、学系という教育の組織と研究の組織とを一応区分してつくりまして、そして全学的に統合しよう、融合しよう。全学的な調整をはかって、教育、研究の機能を大学全体としてうまくやっていこうという考え方をとっておるものでございますから、したがいまして、教育、研究について個々の学部単位ではなくて、全学的な立場で学長を補佐していく副学長が、やはり教官の選考あるいは全学的な教官の人事をつかさどっていく方針等を論議いたします人事委員会にも参画するということは、教育、研究そのものをうまくやっていく趣旨から見て、私は入るほうがいいのではないかというふうに考えております。これを自治体の執行機関、議決機関というふうな区別で大学の中の教育運営の組織を区分してしまうというということは、かえって混乱を大きくするのではなかろうか、また学長の補佐を適切にやらせるという意味におきましても、こうした関係者が全学的な立場で論議し得る機関に入っていくということのほうが望ましいことではなかろうかというふうに考えます。

安里積千代民社党

○安里委員 学群には、前の学部にありました学部長に相当します学群の群長とでも申しますか、そういったものができるわけですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 そのとおりでございます。

安里積千代民社党

○安里委員 現在の学部長などというものは、これはもちろん特例法に関係が出てくると思うのですが、これは教授会の選挙と申しますか、選任になっておりますか、あるいは何かの学内における任命ですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 現在学部長は、学部教授会の議に基づいて学長が選考するという考え方になっております。

安里積千代民社党

○安里委員 学群の長になりますとどうなりますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 筑波大学の学群の長は、現在の部局長と同じように、評議会の基準に基づきまして学長が選考するという定めにいたしております。

安里積千代民社党

○安里委員 そうしますと、従来の学部の長は、その学部の教授から選ばれたわけでございましょうな。この学群の長になりますと、いまおっしゃいますように、必ずしもその学群の教授会が選ぶというのではなくして、それとは関係なく、場合によっては学長が任命できるというようなことになりはしませんか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 筑波大学で考えております学群というのは、やはり新しい試みでございまして、教官は一応専門分野別に教官の系列であります学系に一応の所属を持ちまして、そして学群で教える必要な教育内容に応じて学群の授業を担当する教官がそれぞれその年度ごとに構成されるということになろうかと思います。当然に学群の所属教官というものはきまってくるわけではございません。でございますから、新しいその学群の教授会の運営、教員の構成、どういう単位、どうするかということは、大学ができてからあとの問題にゆだねることが適当であろうというふうに考えるのでございます。また実態的にも固まった実態ではございませんから、したがいまして、現在学群の長は、その評議会の定める基準に従って学長が選考をするということにいたしまして、筑波大学の新しい評議会でその選考の手だてというものを学群に対応するようにごくふうをしていただく、このようなゆとりを持たしたほうがよかろう、こう考えた次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 学群の長は、いまのあれからいいますと、これは従来からのいわゆる学部長とは違うわけでございましょう。政令の定めるところの指定部長のうちに入るわけでしょうか、入らぬわけでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 法律として御承認をいただくようになりましたら、学群の長は政令で部局長として指定をするように取り進めたいというふうに考えております。

安里積千代民社党

○安里委員 私は、きょうはほんとはもう少しお聞きしたいのでありますけれども、少し気分が悪くてたいへんどうも相すみませんが、一つだけ最後にお聞きしておきたいと思うのです。  一番問題になっておりますのは、教育と研究の分離という問題でございます。正直な話、これは従来の学部制度のもとにおけるやり方がいいのか、あるいはまた本案にありまするように群、系に分かれるということがいいのであるか、これは専門的な立場から見なければにわかに判断もできない問題だと、こう思っております。しかしただ、現実にどうだったか、なぜこれを分離しなければならぬというような方向に持っていったかということには、それなりの私は長い間の実績と申しますか、これがあると思うのです。いろいろ本に書いたりあるいはまた意見を述べられているものがありますけれども、どうも納得がいかない問題がある。私自身も釈然といたしません。その必要性というものをはっきりとさせて御説明願いたいと思うのです。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 教育と研究とを一体として行ないます学部、長くそれしか大学においては認められないでまいったわけでございます。それはそれなりに私はやはり意義を持っておったからそうであった、かように考えているものでございます。学問の自由を保障していく、その見地から考えますと、教育と研究を一体として行なう、そこにはつらつとした学問の発展を期待することができる、かように考えるわけでございます。しかしながら、最近学問が非常に進んできた。ますます深く掘り下げていかなければならない。ところが教育のほうはまた逆に広く学んでいきたい。そういうことになってまいりますと、掘り下げて研究を続けてきた人たちがそのまま教育に当たる場合に、学生側にとりましていろいろ不満が出てくるわけでございます。今日学校でいろいろな騒動が行なわれてきて、よき研究者必ずしもよき教育者になっていない。学生の不満がその点にも多分にあったんじゃなかろうか。やはり教育の組織を考える場合に、研究分野から離れて、教育に一番適当な仕組みを考えていく、これも大切ではないかな、こう思うわけでございます。そういう反省が東京教育大学において行なわれたんじゃないか、こう考えておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、東京教育大学のこの希望を実現しようとしているわけでございまするので、国立大学につきましては東京教育大学だけについて研究と教育とを分離する仕組みをとらせていただいた。あとの国立大学につきましては、必要に応じましてまた立法措置をとらなければならないということにさせていただいておるわけでございます。  なお、研究の分野で申し上げましても、境界領域の学問というものが非常に発展してきておるようでございます。境界領域の学問、いまは学部割拠の自治でございますので、学部間の提携というものは非常にむずかしいようでございます。そうしますと、そういうような研究分野の問題を取り上げまして横断的に研究組織をつくっていく、いわゆるプロジェクトチームを一定の期限内につくって非常に強力な研究組織をつくり上げる、それを達成したら、それはまたやめてしまうというような必要が多分にあるのじゃないだろうか、こう考えるわけでございまして、その意味で、私は化学の例を取り上げまして申し上げたりもしているわけでございます。同時に、いまは学部割拠の自治ということになってきておりますために、全学的な話し合いがなかなか進まない、そういうこともあったりするわけでございますので、やはりこの際研究と教育とを分離する仕組みをひとつ考えてみる、これは非常に意義のあることじゃないだろうか。そして、学生の希望に対応できるような教育の組織をつくり上げていくということが大切だ、かように考えておるわけでございます。教育の立場から考えられる人たちは、私のところに投書を寄せられまして、どうも大学の教員、これはもう非常に例外でございましょうけれども、研究は非常に熱心なんです。やはり論文を書き上げて世間に自分の評価を求められる、しかし、その方は教育はとかくおろそかにされる、たいへん不満があるのです、こういうことをおっしゃっている人もございます。いろいろなことがございまして、ひとつ分離した組織をつくろうじゃないか、これが東京教育大学の考え方になってきたんじゃないだろうか、かように思っておるわけでございます。

安里積千代民社党

○安里委員 いまの問題も、今度の筑波大学法案の根幹をなしていく問題でございまするし、それに参与会の問題その他、開かれた大学としてのいろいろな問題というものは、実はたださなければならぬ問題がたくさんございますけれども、私きょう気分がすぐれぬようでございますので、あとの質問は次の機会に譲らせていただきまして、きょうはこれで終わらせていただきたいと思います。次の機会にひとつお願いいたします。      ――――◇―――――

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私、政策に関する質問を一月ほど前から通告をしておりましたが、その機会が得られないで今日に至りました。私にとって重大な問題が幾つかありますので御質問いたしたいと思うのであります。  現在、文教政策の相互間にいろいろの矛盾があります。また、法案のバックグラウンドになっておる教育思想といいますか、政策思想といいますか、そういうものにも非常に疑問を持っておるのでありまして、そういうことを考えて、文部省の政策の発想についても批判をしながら大臣の御意見を聞きたいと思うのであります。  その前に、基本問題でありますけれども、二十九日の増原防衛庁長官の問題でありますが、教育政策からいいますとまことに重大な問題を含んでおると思います。防衛問題を天皇に御説明を申し上げて、いいところをとって大いに強化せよと天皇陛下が言われた、防衛二法案の審議の前に非常に勇気づけられたというような趣旨を記者会見で述べた。そうして辞職をされておるのでありますけれども、国民教育の最高責任者として、奥野文部大臣は、この憲法と天皇の関係、国民教育の原点として憲法をどういうふうに評価をしているか。他の閣僚と違った文部大臣の特殊性に基づいて、いろいろの問題がこの問題の中に投げかけられておると私は思うのです。こういう機会に、国民が全部こういう事件を見ておると思います。次元の低い問題だと考えて国民は見ておるのじゃないか。私も少しも喜ばしく思わないのでありますが、この機会に、冷静に、国民教育の行政の最高責任者である奥野文部大臣はどうお考えになるのか。国民をして迷わしめないために、ここで明確にこういうことに関する御感想及び教育の原点としての憲法、特にその中で第一条の国民主権と象徴天皇というものを明確にしておかなければ、教育の目標は混乱すると思うのです。御意見を承りたいと思います。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 増原長官があの記事を打ち消しておられますので、そういうことはなかっただろう、こう考えておるわけでございます。ただ、基本的にどう考えるかということでございますので、私は憲法には御承知のように十の事項を掲げておったように思うのでありますが、国事行為のみ行ない、国政に関する権能を有しないと示されておるわけでございます。同時に、天皇は日本国の象徴であり、かつ日本国民統合の象徴であると書かれておったように思います。そうしますと、その象徴たる地位を傷つけるようなことのないようにしなければならない。少なくとも国論の割れている問題につきまして、いずれかに加担をするというような態度を示されているというような式の表現、これは特に慎まなければならないことではないか、こう思っておるわけでございますので、ああいうことではなかったということで、そのように私としても理解をしていきたい、こう思っておるところでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 新聞記者会見に、天皇のことばは、戦前の軍隊の悪いところは捨てて、いいところはとって強化をせよというおことばがあった。それで防衛二法案の審議にも勇気づけられたという趣旨を言っておるんですが、これは事実なんですから、この点について、防衛庁長官ではないのです、あなた、文部大臣ですから、文部大臣として、こういうことの中に、いま言われた、天皇は国事行為には関与するが国政には絶対関与しないという憲法のたてまえですから、そういう天皇のことばを公の席上において言う。いわんや自衛隊の正当性とか強化の正当性に一つの力を得るような表現そのものの中に、私は憲法感覚が非常に薄い、そういうところに現在の憲法が国民の中に浸透しないと考えておるので、こういうことがありとするならば、文部大臣はむしろこの機会に、文部大臣として談話を発表するくらいの私は教育に対する鋭敏な感覚が必要でないかとさえ思うのです。そういう意味において、この事実について、端的にそうでなかったと思うという、これは防衛庁長官の弁解と同じで、あなたがそういうことを言っているんじゃないですから、日本の国民教育を担当する文部大臣としての御意見を聞いておるわけです。いかがでしょう。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 先ほども申し上げましたように、天皇の地位につきまして憲法上明確な規定を置いておるわけでございます。日本国の象徴であり、かつ日本国民統合の象徴という規定を置いておるわけでございますから、それを傷つけるような言動を厳に慎むべきだ、こういう考え方を持っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その辺に少し感覚のズレがあるのではないかと思うので、国民主権という原則に立った新しい戦後の日本の民主国家において、閣僚は国民に対して責任を持つのだ、何としても国民に対する責任、旧憲法のもとにおいては大臣は天皇の補弼の責めを、これは旧憲法のことばですね。ですから、そういう意味において、国民に対する責任を持つという立場においてこういう問題についてどうお考えになるか、それを言わないと、天皇を傷つけるから責任が出たんだというのでは、旧憲法と同じように、天皇に対する補佐が足りぬので責任辞職した、これは旧憲法時代じゃないですか。その辺に何か感覚のズレがある。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 先ほど私は、憲法に示されている国事行為のみを行ない、国政に関する権能を有しないということを申し上げたわけであります。それで御理解いただいていると思ったわけでございますけれども、政治的にはもちろん、主権は国民にあること、当然でございます。同時に、国政に関する権能を有しないということを書いてあるわけでございます。憲法上の地位を天皇についてそのように規定しておるわけでございまして、それ以上に、個人として天皇がどういうお考えをお持ちであるか、これは別個の問題だろう、こう思うわけでございます。それにしましても、これを受け取って、どうお話をしていくか。そういう場合には、こういう天皇の地位というものをよく理解して、誤解を招かないようにしていかなければならない。国政に関する権能を有しないと示されておるわけでございますし、また、日本国の象徴云々の規定も置かれておるわけでございます。そういうことに触れないような姿勢が大切である、こう思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 特に文部大臣に私疑問を持って言ったのは、これは五月三十日の読売新聞の記事ですが、「政界メモ」というワクの中に、表題は「「日本はイヤーな国と文相」と書いてあるわけです。これは私は現場にいないのです。「むし暑い梅雨空のように、二十九日の閣議もしめりがち。田中首相は、政府・自民党をゆさぶった中村議長辞任と増原発言には一切触れず、浮かぬ顔。早々と閣議を打ち切って直ちに実力者会談。奥野文相は閣議後の記者会見で「閣議で話が出るかと思っていたのに……」と、こうした閣議の進め方に不満そう。おまけに「このごろは自由に発言できなくなり、日本はイヤーな国になった。増原さんだって、政治的に利用しようなどという気持ちはなかったでしょうに」」と言っておる。この点について、増原さんの言ったことについて、まああれぐらいの言論の自由があっていいんじゃないかというふうな軽い気持ちで、こういうことに対して文部大臣として鋭敏な感覚はない。私はこの文章を見て、奥野文部大臣も、鋭い憲法感覚、現教育基本法体制のもとに日本の政治は考えていないんじゃないか。こういう話題が、ほかの大臣ならいいのですよ。文部大臣が、特にこういう話題になるようなことを記者会見に軽率に言われておる。同じような感覚ではないかと私は感じ、受け取ったわけです。どういう心境で言われたのか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 新聞の記事の書き方で非常に違ったイメージを国民に与える場合が非常に多いのです。私自身もそういうことで、記者クラブでの懇談の際に、私が言わなかったことまでふえんして書かれてしまって、たいへん迷惑をしているということを申し上げたこともございます、具体の例につきまして。一週間に二回記者クラブでお話をするわけでございます。そういう場合には、公式なことは別でございますけれども、ある程度ざっくばらんに懇談し合う、そのほうが気持ちが通じ合う、私たちの勉強にもなるわけでございます。それが、記者クラブで話したことがえらい大きな問題にしばしばなってくる。筆の進め方によってそうなってしまうものですから……。  私はそのときに申し上げたのは、自由に話し合えるようにしたいですね、皆さんは国民の中にいろいろな問題を知っておられるんだから、ざっくばらんにぶつけてくださいよ、私にもまたがってに意見を言わしてくださいよ、しかしかばい合っていきたいものだ、増原さんも、政治的に利用するというような気持ちをさらさら持っておられたんじゃないだろう。それが、にもかかわらず、どういう話をされたのか知らぬけれども、まさにそういう記事になってしまっているわけでありますから、そこはかばい合っていったらどうですかといった意味で私は申し上げたわけでございます。記事の書き方について増原さんは否定しておるわけでありますから。しかし、記者クラブの方は、それをどうしたか知りません。だから、記事の進め方によっては大問題になる。あのような記事になってくるわけでございますから、そこはお互いにかばい合えぬものでしょうかな、こういう気持ちで申し上げたわけでございまして、別に増原さんの発言はあれでいいんじゃないかというような式で申し上げたわけのものではございません。   〔発言する者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 静粛に願います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 現在の憲法上からいいますと、閣僚が天皇に、旧憲法のような上奏ということばはないですけれども、国政に関して報告するということの中に、私はほんとうは疑問があるのです。そして、それは当然いろいろお話が出るでしょう。出るならば、少なくとも、それはまた国政に関係ないならば、全然そういうものに触れないというのが憲法感覚だと思うのですね。まあ厚生大臣が行って福祉政策の話をするというなら、まだなにだが、憲法で、いろいろ論議をされる、国会で。いろいろな学説があっても、自衛隊をわざわざ上奏――ということばはないのでしょうが、いまのことばで報告ということばを使っていいと思うのですけれども、それを今度は、帰ってきて記者会見に、やはり公の席上ですから、それに触れるということ、そのことは重大だとお考えになるのが、これは教育を担当する文部大臣の感覚ではないか。あなたは、たいしたことはないし、いろいろ誤解もあるし、まあこれを取り上げたらこうなったので、取り上げなければたいしたことないという感覚に、私は文部大臣として鈍感だという感じがするのです、国民教育に対して。私はそう思うのですが、大臣はそう思わないですか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 私、正確に確かめたわけじゃございませんけれども、記者クラブの方々が、何か一ぺん、ひとつ増原さんに話を聞きたいというような申し込みから始まったように伺っているのです。増原さんのほうから公式に発言を求められたのじゃなくて、記者クラブのほうから、ひとつ一ぺん話を聞きたいということから始まったように伺ったものですから、それにしては、あんな記事になってたいへんお気の毒だなという気持ちを私自身抱いているわけであります。経過、詳しいことは知りません。詳しいことは知りませんけれども、やはりそういうことから始まったなら、問題になるような筆の進め方、これは何とかならなかったものだろうかなという気持ちがしているわけであります。増原さん自身も、意を尽くさなかったというような表現をしておられたように新聞に載っておるように思いますが、片方では、意を尽くさなかったと言っておられるわけですから、そこで私は、かばい合っていけないものですかなということを記者クラブで申し上げたつもりでございます。あくまでそういう気持ちで申し上げているわけでございまして、できるだけざっくばらんに話し合いをしていきたい。一週間に二回定例的に会うものですから、そこで何か言うたら心配だなという気持ちがあってお互いに進むのじゃなくて、お互いにざっくばらんに言い合うという雰囲気が大切だなと念願しているものですから、そういう意味で申し上げているわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そのお気持ちはそのとおりで、もっと自由に話をして、自由に対談をし、意見交換、いいと思う。その自由に話したことばが憲法感覚に合うような大臣であってほしいということから言っている。失言は常に本音をあらわしたものだということばがあるが、自由にしゃべって、その中に、しゃべっておることが憲法、教育基本法の精神に自然にぴったり合うような、これは一般の国民じゃないのです、指導的な立場にある大臣。ことに二階堂長官があとでいろいろしゃべるというのはわかるが、特に文部大臣が出ておるものだから……。これは慎んでもらうべきじゃないか。「日本はイヤーな国」と文部大臣が言うなら、香港かどこかへ行ったほうがいいと思って日本の国民の教育をやっているのか。これは見出しですよ。少なくともそういう感じを与えるという結果が出ることについて、文部大臣はやはり軽率です。ああいうことをすぐ、きょうの新聞に載せられている。官房長官じゃないのです。それはやはりこういう場合については、特に日本の教育目標は、教育基本法の前文に、国の理想を実現するには平和と真理を希求する国民を形成するという文章があるのですから、平和論の中に自衛隊が論議をされておる、それに関連をして誤解であろうが何であろうが起こって、一応大臣が責任辞職するというふうなかかわりのある問題の場合に、少なくとも文部大臣は最も冷静に、他の閣僚よりも冷静に、一つのことばが誤解を受けるような言動はすべきでない。最高の、他の閣僚にも責任があるのだと私は思います。いかがですか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 山中さんの御意見、私なりによく受けとめてまいりたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そこで将来に向かって、ひとつそういう立場立場の場合に、特に他の閣僚にも慎重に言動を慎んでもらいたいと思うのです。  この機会ですから、私自身もいろいろ日本の国民としてどう解釈をして、日本の国民教育の原点として憲法を評価するかということを悩みながらいままで考えてきておるのですが、憲法と教育という立場に立って、一番問題になるのはおそらく第一条と第九条でしょう。国民主権という、一つの国民国家としての大原則がこの新しい憲法の柱であって、そこへ日本の歴史的な伝統というものが配慮されて、象徴天皇制が第一条に規定をされておる。それで国民形成という教育の問題として、国民主権と象徴天皇について明確に文部大臣が一つの確信があって、そしてそういうことは言動にあらわさなくても、文教政策に携わっていくのでなければならぬと思うのです。したがって、国民主権と象徴天皇について、奥野文部大臣はどうお考えになっておるか。それを矛盾をお持ちになりながら考えておるのか、ちゃんと頭に整理して考えておられるのか。主権意識というものを国民に定着をさせて、ほんとうに民主的な国家形成、その構成員としての人間形成をすべき立場に立ってどうお考えになっていますか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 おっしゃるように主権は国民にある、この考え方の徹底も必要でございますが、同時に天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であるという憲法上の考え方、これはよく国民に理解して進んでもらうようにしたい、こう思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その表現からは教育のエネルギーが出ないのだ。国民主権でもありますが、国民の象徴もということ、これは日本の国民主権は八〇%くらいなんだ、二〇%くらいは水増しだという思想じゃないのですか。国民主権が一〇〇%だ、その上に天皇象徴というのをどういうふうに位置づけるか、これは真剣に考えるべき問題だと思うのですが、それはどうですか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 憲法上に天皇の国事行為を示されているわけでございます。国会を召集するとかというように天皇の国事行為を示されておる。しかし、そのこと以外については国政に関する権能を有しない、内閣が全面的に責任を負うのだということも明確にされているわけでございます。したがいまして、そういうようなわが国の仕組み、これをよく理解をさせていかなければならない、これは当然のことでございます。当然のことでございますが、天皇は象徴であると規定されているのとうらはらに、国事行為を天皇の行為として憲法上書いてあるわけでございますので、それもやはりそれなりに理解すべきではなかろうか、こう思っておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そういうことも考えたこともあるのですが、それではどうもエネルギーは出ない。私は象徴としての天皇は何を象徴しているのだろうか。国の理想は憲法の前文にあり、再び政府の行為によって戦禍をもたらさないために国民に主権を持つことを宣言しと書いて、戦争の反省から、政府の行為によって再び戦禍を起こさないという決意のもとにこの憲法を制定する。そしてこの天皇象徴、国民の象徴として天皇が第一条に掲げられるとすれば、平和のシンボルなんだろう。この憲法の基本的な思想というものは絶対平和なんだ。だから平和というものと結びついた国民の統合の象徴としての天皇というものをわれわれが確信を持って、だから戦争あるいはその軍備と結びつくように天皇のイメージが出たときは、国民の総意に基づいてと書いておるのですから、平和を願う国民の総意から反したときには、象徴天皇というものに対してささえられなくなる。憲法の前文の上に立って、やはりこの象徴天皇というものを明確に考えないと教育原理にならない。あくまでも国民が主権者なんだ。そして主権者である国民の総意、前文にあるように平和を願う国民の総意に基づいて、国民精神の象徴として天皇があるのだ。再び戦争に利用されるような天皇という場合は、国民の総意は当然変わるであろう。  そこで私は増原長官が、よりにもよって自衛隊のことに関連をして、天皇にそういう意見を引き出すような話をして、また公にするということに、憲法感覚が非常に希薄であり、ことに国民教育の原理として天皇象徴というものについて少しも感覚を持っていない。それで問題にしているわけなんです。そう思いませんか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 山中さんのお話、よくわからなかったのですけれども、いま増原さんとの関連で意見をお述べになったことでよく理解いたしました。増原さんが否定されているのですから、私はあの新聞に載りました記事を中心にして議論を進めたくない。いずれにしましても、天皇を政治の場に引き出すようなことは私は避けるべきだ、こう考えておるものでございます。  同時にまた、平和が敗戦後の日本の憲法の中心に置かれてまいりましたことも、これも当然のことだと思いますし、また教育基本法の中におきましても、「日本国憲法の精神に則り、教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」と書いてございますが、その前文におっしゃったようなことを長く示しておるわけでございますので、そういう精神が大切なことは当然のことだ、こう思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ひとつ一通りの常識でなくて、文部大臣という責任の自覚の上に立って、この憲法感覚をもっと深めていただきたいと思うのであります。  私は、政治権力から離れた新憲法のもとにおける天皇は、いわば権力より離脱した文化的存在なんだと思うのです。国民主権と天皇という関係から二律背反に考えて、自民党の中に元首にせねばならぬとかなんとかという感覚がまだ私は相当濃厚に残っておると思うのです。私はそういう意味において、権力から離脱した文化的存在としての象徴天皇、そういうことから考えて、天皇中心に、あそこに衣食住の古来から伝統の文化がある。宮中に入ってあの建物を見ても、ヨーロッパのけんらんたる建築でなくて、日本民族の中に墨絵のような、清純というのか、そういう日本独特の文化が皇室生活の中にあると思うのですね。そういう無形文化財としての、天皇の周辺に、物的人的な、衣食住全体の総合化された、私は第一条において保障された総合的文化財という感じがするのです。ヨーロッパ、英国に行きますと、あのバッキンガムの中の衛兵交代のように、十世紀ごろの昔の衛兵の姿で、そのとおりの交代をやっている。国民は、英国の文化財として、尊敬でなくて敬愛の立場で見ておる。憲法第一条の象徴天皇というものを、権力から離脱した文化財、総合的無形文化財というような形、そういうものに対して、文化財保護法じゃないですが、憲法第一条に保障した文化財で、国民の総意に基づいて保護の対象であって、尊敬の対象ではない。そこに、憲法の国民主権という立場に立って、徹底した主権者意識を国民に植えつけて、その上に立って日本の歴史に対する正しい考え方を持つ、その中で象徴天皇を理解するというふうな教育がなければならぬのじゃないか。どうも自民党の諸君の中に、奥野文部大臣もその中に入っておると思うが、国民主権と象徴天皇は二律背反的で、一方が八分なら一方は二分、一方が六分なら――何だかそういう普通の常識の考え方の中にあって、だから国民に対して憲法を浸透させる教育に非常に怠慢である。積極的に憲法を国民の精神構造の中に入れるような努力を二十年来いたしましたか。私は、増原防衛庁長官の事件を、その現象面についてかれこれあげ足をとるつもりで論議をしていない。真剣に、民主的な日本の国民形成の原理として憲法を考えていくときに、私は悩みながら、こういう自分なりの一つの考え方をしておるのであって、もっと文部大臣も悩み、その上に一つの憲法の確信を持って文部大臣の職責を果たしてもらいたいと思うので申し上げておるのでありますが、私の申し上げることわかりますか。反対意見あれば、言ってください。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 これは、憲法についての考え方の問題でございまして、私は、先ほど申し上げましたように、天皇の国事行為を示しておるわけでございますので、それはそれなりに理解してかからなければならぬ、こう申し上げたわけであります。その辺に若干気持ちの上で山中さんとの間に違いがあるのじゃないかと思いますが、これはやむを得ないことじゃないか、こう思っております。いずれにしても、その精神を十分にくみ上げながら、国政の上にそれが進展するように努力は進めていきたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 国民主権というものを一〇〇%憲法の基本に据えて、主権者意識を徹底的に教育をしていくという、その思想においては一致していますか。それだけ聞いて次に進みます。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 国民主権、これはもう当然はっきり書いているわけですから、そのとおりでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それでは次に移りたいと思います。  最近、いろいろの社会現象に出ておる中で、私、物特の委員長をしておるんですが、大商社の買い占め、売り惜しみの行為が世論の大きい問題になって、企業の社会的責任というものも非常な政治問題になってきておる。あるいは一方に、簡単に夫婦げんかをした当てつけとか、あるいは自分のまた新しい恋愛関係にじゃまになるというので赤ちゃんを簡単に殺すとか、教育政策として考えたときに、全体が狂っているような現象が新聞の中にあとからあとから出てきておる。これを国会では、法律の取り締まり対象とすることだけ考えて論議は終わっておるんですが、私は、こういう問題について、法律の力では限界があるとつくづく最近思ってきた。それで、そのときに教育基本法の前文の「根本において教育の力にまつべきものである。」というあの考え方に戻って、直ちに効果が出るというより二十年後に効果を期して、国民の人生観、世界観の形成の中に、いまのように、大学の卒業生が商社マンになっても、民法の規定に基づいて、最大利潤を追求すればこれでいいんだというんでなくて、社会的責任を感じて、適正利潤を追求する企業者の哲学というふうなものが生まれてくるような教育政策を検討すべきだということをつくづく感じるのであります。   〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席〕 また、母性愛というふうなものが衰退をしておる場合に、善とか悪ではなくて、この文明社会の中に種族保存本能の延長線にあるこの母性愛、そういう生物的機能ということばは悪いかもしれぬですが、そういうものが退化しつつあるのじゃないか。だから、教育のあり方を根本的に検討すべきいろいろの問題で投げかけられておると思うのでありますが、この点について大臣はどうお考えですか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 教育のあり方をいろいろ検討することを否定するものじゃございませんけれども、私たちこの自由な経済社会、これを維持し発展させていく場合には、経済の発展と対応してそれなりの必要な規制措置も必要じゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。自由な競争、利潤の追求、その中に大きな発展をはかっていく。しかし、企業が巨大になるにつれまして、独占禁止法というような法制を示してきているわけでございます。同時にまた、それだけでは足りない。大商社のような巨大な企業体が出てきますと、買い占めをやる。それが直ちに他の多くの消費者を苦しめるわけでございまして、したがいまして、異常な価格の暴騰というふうなことになってまいりますだけに、そういうような影響をもたらすような買い占め行為、これはやはり商社に対しまして反省を求めていかなければならない、そういうことで、そういう買い占めが行なわれた場合には調査権を持ちたいというふうな立法を国会に提案させていただいているわけでございます。私たちは、やはりこの自由な経済社会を維持し発展させていきたいのであって、現社会じゃなくてやはり社会主義社会、共産主義社会にならなければそんな問題は解決しないのだという考え方はとらない。それだけに、経済のあり方につきましても、社会の変化に応じて必要な対応措置、これもあわせて講じていかなければならないじゃないか、こんな気持ちでおるわけでございます。もちろん教育の面についても考えなければならないものはいろいろ出てくるでございましょうけれども、やはり基本的に自由経済というものも時代とともにどんどん変化してきているものだ、かように考えておるものでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私は自由経済がいいとか社会主義経済がいいとかいう原点で教育政策を少しも論議をしていないので、教育政策の原点は、どういう社会条件が人間がスムーズに育つか、人間が育つ社会は何かということを探究するのが文教政策を担当する者の原点だと思うのです。だから、現在の利潤追求が最大の目標になって、そのことが自由経済の中にマイナスをつくっておる経済論じゃなくて、そういうふうに人間形成のひずみを生んでいるんだ。個人には自由と責任の価値観が常識化しているけれども、企業には自由はあって責任はない。金もうけの自由はあるけれども、買い占めをして物価が騰貴して生活不安を与えても責任は持つ必要はない、そういうふうな中に人間形成のひずみもあるので、一体現在の自由経済を前提として、この経済合理主義、企業合理主義の中にほんとうのヒューマニズムを阻害をされる。だから、文部大臣としては、こういう体制の中で人間形成のひずみを生む条件を除去していくという努力があなたの立場でしょう。社会主義社会においても、人間の主体性、自由が認められなくて人間が育たないということについては、教育政策の立場の者については、自由というものを保障しない限りにおいては、そういう社会は人間形成の立場から理想でないと言い切っていいと思うのです。自由経済の中において、エゴとエゴで、人の一匹、二匹死のうが金もうけをすればいいんだということで、そういう豊かな人間性を破壊するようなものは何としても除去しなければならぬというのが、そこから言って、人間形成の理想から言ったら、自由経済は理想社会ではないと言い切ってもいいんじゃないですか。何か経済政策を原点として、その次に教育を従属的に考えておるのではないか、あなたの発想は。私は、そこから教育政策は出ない、いまいろいろの社会的な現象の中に、人間形成を原点としてやはり教育のあり方を再検討すべきものが非常にたくさんあると思うのです。そういうこともときには頭をしぼって考えていただきたいので、肉眼で見える問題だけでなくて文部大臣の識見をお聞きしておきたい。これはお聞きだけでけっこうです。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 教育の問題につきましても、人によっていろいろ考えが違うだろうと思います。私は物質文化の面においては戦後アメリカの能率のよいところを取り入れたけれども、日本のよきものも組み入れて新しい発展をさせてきたと思っているのですけれども、精神文化の面においてはあまりにも日本の過去がすべてが悪かったように言い過ぎているような感じがいたしております。アメリカの指導を受けまして、科学主義、合理主義、これを徹底さしてきた。半面に日本のよきものもあったんじゃないだろうかという気持ちを私自身は持っておるのでございまして、やはり先ほど人間性のことをおっしゃいましたけれども、幸いにして海に囲まれた一億同一民族平和にずっと過ごしてきておるわけでございますだけに、それだけに心の触れ合いを大切にしてきたし、自然の条件、神秘なものをとうとぶ、そういうものを持っていたと思うのでございます。そういうものをやはりもう一ぺん思い直して、そうして合理主義、科学主義と融合しながら発展さしていく。問題は精神文化の面においては多分にあるんじゃないか。教育の面につきましても、そういうことで現場の先生たちも非常に苦労をなさっておるわけでございます。ぜひそれを発展さしていきたいものだなあ、こういうことを考えておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 お聞きだけしておきます。  次に、新聞で文部大臣の意見が出た問題で、私もまかり間違うとたいへんだと思って見ておったのですが、週休二日制ですね。大臣はこれを何とかして実現したいと発表されましたね。学校の週休二日制、五日制授業、これは私も岩手県の教育長をしておるときに週五日制を拙速でやりまして、農村から全部総スカンを食って、この貧乏で忙しい農家に二日も子供を預けられれば仕事ができない、むしろ七日間学校で預かってもらいたいんだというふうな要望がありまして、二、三年で全部実は週五日制はもとに戻ってしまったことがあるのです。痛感をしておることは、学校の週五日制の周辺を取り巻く社会的条件というものを十分に整備するということを計画的にきちんとしたあとでないと、思いつきで出発するといろいろ矛盾が生まれてくる。奥野文部大臣の新聞発表を見ておりますと、何かその辺の思慮が少し足らぬような感じがしたので、念のためにここで御意見を聞いておきたいと思います。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 私はわが国の経済の成長、その成果を国民に分け合っていかなければならない。分け合う場合には賃金の引き上げ、そういうことで分配される、あるいは福祉施設の充実ということで分配される。しかし、同時に労働時間の縮減、こういう形においても分配されていかなければならない、それがやがて週休二日制に発展していくんだ、こう考えておるものでございます。したがいまして、早かれおそかれいずれ日本も週休二日ということが一般化されるようになるんじゃないだろうか。またそうしたいという気持ちも多分に持っておる人間でございます。そうなった場合に学校教育をどう対応していくのか、これがいまの課題でございます。私は週五日間授業ということができるような対応策をいまから検討しておかなければ、いざというときに、かりにそうきまった場合にそれに対応できなくなってしまう、そういう心配を持っておるわけでございますので、仮定を置いて検討を進めるように文部省の省議できめまして、そうしてその検討を進めてもらっておるということでございます。あたかもそれを決定したごとくにお受け取りになりましてたいへん御批判もいただいておるところでございます。  私が申しておりますのは社会教育、体育の施設を急いで充実していきたい、一日は社会教育、体育等で受け持てるように、知育よりも人間の教育に力を置いたような教育をやれるような日本の体制にしたい。それには施設充実を急がなければならないだろう。  同時にまた、社会教育、体育等の指導者の質を高めなければいけない。同時に、その人数もふやさなければならない。ただ、いずれも一朝一夕にできることじゃございません。したがって、いずれにしても、これは大切なことだから、ひとつ施設、指導者いずれも充実をはかっていこうじゃありませんか。これは一つの問題点でございます。  もう一つは、かりに週五日授業ということになった場合には、カリキュラムを変えていかなければなりません。クラブ活動等で、社会教育、体育等で受け持ってもらえるものはそれへ回せばいいわけでございますけれども、そういうようなことでカリキュラムの編成を考えていった場合に、どうしても日数が足りないということが起こり得るかもしれません。こういう場合には夏休みなり、春休みでふやさなければならないということが起こるだろう。どうしたらいいのか、その辺の検討を急いでくださいよ。  同時にまた、若干指定校をつくって研究を進めていかなければ結論を出せないだろう。だから、指定校をきめたらどうだろうかということを申してまいったわけでございます。  同時に、そういう過程におきまして施設を充実しましても、なおかつ十分でないこともあり得るわけだから、また今日でも私は必要な面もあると思いますので、学校開放ということを真剣に考えたらどうだろうか、学校施設の開放をどうやってやればできるのだろうか、それも研究していかなければならないと思います。そうして週五日授業の問題とは別個に、やはり社会教育、体育、これの充実もはかっていかなければならない。そうしてりっぱな人間を育て上げる、そういう努力をあわせてやっていかなければならないと思います。  こんなことを言っているわけでございまして、一つの研究方向というものを、いま申し上げましたようなかっこうでお話をしてまいったわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そういうようにいろいろと多角的に検討中段階だというならば、まああまり危険を感じないのですが、新聞ではずいぶん速急な話で、その中に特に現在でも詰め込み教育だという批判があり、五日制にしたときに教育課程を根本的に改造しない限りは圧縮してしまうということになる。教員の労働条件からいって、また教育内容が逆に圧縮して詰め込み教育になるようなことでは、私はマイナスが多く出る。現在でさえ九カ年の義務教育、それに対する社会的教育要求が多くてこれも加えよ、これも加えよという世論が非常に多い。一升のびんに一升五合の内容を入れているのですから、五日制に短縮したときに一升のびんに二升入れるようなことになってもたいへんである。慎重に御検討願いたいと思います。お聞きだけしておきます。  それから、国連大学ですね、この国連大学は、最近の段階ではどういうふうになっておりますか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 国連の中に国連大学の準備委員会、どういうような国連大学の憲章をつくっていくかというようなことが進められておるわけでございます。  それとは別個に、各国から国連大学等について、どういう受け入れ方をするかということについての公式な意見を関係当局から求められておるわけでございます。また、わが国におきましては国連大学についての準備の調査会を設けておったわけでございますので、それからの意見の表明ももらいまして、そうしてそれをあわせましてなるたけ早い機会に政府間の意見をまとめて国連のほうへ送りたい、こう考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、秋に憲章なり、あるいはまた国連大学なり、あるいは企画調整委員会なりの設置の問題が決定される。それに向かっていろいろな準備が進められているということでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 一言だけ要望しておきたいと思うのです。  国連大学の誘致というのは、単なる文教政策でなくて、平和憲法を持っておる日本の立場から言って、国際機関というものを日本列島の中に幾つでも持ってくることが平和のとりでになり、軍備がなくても諸外国が侵略の対象にすることができない、いわゆる平和保障という意味がある、平和政策だと思うのであります。そういう意味において、ぜひこういう国際的な文化施設の最高のものとして国連大学の誘致を実現していただきたい。  ことに、国連大学の本部が来ないとその意味がないのじゃないか、一つの学部だけが来ても。国連大学の本部がここにあって、新しい第二の文化国際連合の本部ができるような、ともかくそういう本部を誘致するということを重点にして努力してもらいたい、そういうふうに私は思いますが、文部省ではそういう方針で努力をされておられますか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 私としましても、同じような気持ちで努力いたしております。国連大学といいますか、研究施設といいますか、それもさることながら、企画調整センター、本部、ぜひこれを持ってきたいのだ、そういうことを通じて、国際間の、国際社会の学術、文化のハイレベルの人たちの交流が非常に盛んになるのじゃないか。そのことを通じて、日本の文化、学術の水準を引き上げることもできるのじゃないか。同時に、日本の国際的視野も高まる。こういう期待を持っておりますだけに、特にそういう点について努力をしていくつもりでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 もう少し深めて質問したいことがたくさんあるのですが、それは次の機会にまた提案もしながら論議したいと思います。  次に、文部大臣の私的諮問機関として高等教育懇談会というのがありますね。これはどういう性格のものですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 政令あるいは法律等による正規の審議会ではございませんが、これからの日本の高等教育について、大学関係者その他各界関係者の方々の御意見をちょうだいしながら、できるだけ将来の方向についてあやまちを来たさないように、おまとめいただいた意見で私どもも今後の施策を考えてみたいという意味で、御意見をちょうだいするための懇談会でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 何か省令とか訓令でつくっておるのですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 事実上御参集をお願いしておるわけで、別に省令とか訓令とか設けておるわけではございません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 何か新聞を見ますと、前に国家行政組織法第八条によって審議会、協議会を設置しなければならぬという立場で、やたらにいろいろなものをつくるから問題になって、そうでないものについては、そのつど参集者に依頼状を出して随時行なうという、まあ集会であって組織でない、組織にしてはならぬという通牒が出ておるですね。しかし、そうでなくて、何かこう集会じゃなくて、専門委員とか委員を任命をして、事実上恒常化した組織にしておるのじゃないですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 予算との関係での仕事をしていきたいというつもりでございますが、そのつど御参集をお願いしておるわけでございまして、別段の組織というわけではございません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ちょっと言いわけみたいな……。  手当はやっているのですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御出席をいただきました場合に、出席者に出席のお礼を申し上げるということはいたしております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そのときの実費だけで、ほかは出していませんか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御遠方からの方には旅費を差し上げてあると思いますが、御出席いただきました場合に、出席回数についての謝金という形で、何がしかの実費的なお礼を申し上げております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それでは一々ここで追求しないことにしますが、高等教育の懇談会の報告を見ますと、大学政策のなかなか基本的な、重大な、中身のある答申を発表して、文部大臣も非常に重視をしておるようである。したがって、単なる参集した会議できまったものではなくして、恒常的に研究していく。それならば私的諮問機関でなくて、もっと正式なものとしてやらないと、その会合の性格と、発表した内容の事項の重要性とが非常にアンバランスがあるという感じがしておるので、一応注意を申し上げるつもりで申し上げたのですが、何か疑問がありますよ。私は少し法的に疑問があると思う。それは次に残しておきます。  この大学拡充についての報告は、大学を地方に分散するという構想が中心にあって、何か公立大学を国立大学に移管する方向の答申を出しているのですね。そうでないですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 懇談会に御参集をいただいておりますのは、各大学の関係団体のほうから、主として会長さんでございますが、そういう大学関係者の、将来大学問題についての考え方を、討議の間に皆さんに考えていただきたい。また大学に関係の深い方々にもその問題を考えていただきたいという意味で、そのつどお招き申し上げて御意見を承っておりますが、そこで出ております意見は、基本的に今後の動向を考え合わせますと、やはり大学進学者というものの増大に対応をする拡充策というものを相当程度考えておかなければいくまいということと、それから今日の日本の大学が都市にあまりにも集中し過ぎている形になっておるので、今後地方にも大学の機会を拡充するということが、機会均等ということから考えてみても必要であろうというような御意見がございまして、その際に、公立大学の役割りを新たに考え直したらどうであろうかという御指摘は出ておりますが、公立を国立に変えるというような御意見はちょうだいいたしてございません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 反対だったかもしれぬ。国立を公立に移管か……。新聞にそういう発表をしておる。原文を見ていないが……。  私は、だから国立大学という構想を、もう大学は国立よりも公立とか私立を中心に移行すべきだという思想でそういう発表があったかと見たのですが、反対ですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 地方における高等教育機関の積極的な拡充を進めるため、国公立大学、特に公立大学の役割りを重視するとともに、私立大学に対しては必要な助成措置を講じなければならぬという意味の文章が出ておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 どうもあまり明確な変革でも何でもないようですから、何ですが、むしろ公立大学というのは地方につくると財政的に困難を来たして、国立移管運動が必ず出るであろうことになる。私は、いまのいき方では、公立をつくるのはむだだという考えだ。必ず国立移管運動が起こる、そして教授の給与その他についていつも問題を起こされておるので、むしろこの国立も、国立でなくて、国営国有でなくて、財産は残しても公営にするとか、国鉄のように国有公営みたいな、あるいは私立の財産は百億なら百億で国が買い上げて、利子で基本財産にするとか、そういうふうな方向が一つ何かおもしろい構想だなと思っていたので、あるいはそうでないかと思って聞いたのですが、そうでないようですから……。  いずれにしても、高等教育懇談会の内容を見ますと、私的諮問機関に値する以上の重要な問題があるので、あるいは脱法的にこういう機関で、正当な審議機関にしないで、それにかわるような内容を諮問をしておるような感じがしたので、手当を出しておれば法的に矛盾が出るし、出さないとまたおかしいだろうしするので、こういう問題を取り上げるならもっと正面から組織を持つべきだと思うので、一応疑問だけ出しておきます。  そういうときに田中総理大臣が日本列島改造論で二十五万都市という構想を出している。私は、もっと文部大臣が、教育政策から、教育の機会均等で、子供が幼稚園から大学まで、その地域の者がいわゆるその地域における学校で大学教育まで受ける、教育の機会を基準とした都市構想、むしろそういうものを検討して、最高で大学があって、そしてその次に高等学校があるような基準で、人口その他を考えて、教育都市構想を、むしろ田中総理大臣に対抗して、そのほうから出していくべきじゃないか。二十五万都市がそれに当たるか当たらぬかというふうなことをむしろ自主的に検討されてしかるべきじゃないか、地方分散を考えるならば。そういうふうに思うので、問題として提起しておきたいと思うのであります。これは時間をあまりかけないことにして、次に移りたい。  なかなかこういう問題を質問申し上げる機会を与えられないので、かけ足で聞いておきたいと思うのですが、国立大学の定員について、定員不足の場合には定員まで入れるという通牒を出しましたね。だから、国立大学の定員というのは、国からいえばそこまで入学させる上限なのか下限なのか、定員というものはどういう性格なのか、ひとつ聞いておきたい。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 定員というのは、大学の教育を進めていきます場合の一つの基準になる学生の数だというふうに考えております。現実には、定員をもとにして国立大学の場合予算上の措置その他をいたしておりまして、国立大学の運営は定員をいわば一種の上限の目標というふうな考え方で運営をしておるのが実情でございます。私立大学の場合には、どうも定員を下限の目標というふうな形で運営をしておると考えざるを得ないのではないかというふうに思うのでございますが、この定員が、私立大学におきましては非常に超過をしておる例が少なくないという点は、遺憾に思っておるところでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは入学試験との関係で国立大学における定員は下限なんだ、ここまでは入れるべきであり、入れてよろしい、能力のある者には教育を受ける機会を保障するという憲法の精神に基づいて、能力あれば全部入れたいけれども、財政的に設備その他の関係でここまでしか入れられない、だからはみ出たものはやむを得ないからというので、私は、国立大学の定員というのは下限なんだ、そこまで入れるべきだというふうに解釈をしておった。それから百名の定員で五十名でいいのだというふうな考え方がそのまま常識化しておったこと自体に間違いがあったのじゃないか。入学試験の性格と定員の関係を再検討すべきではないかと実は思ったので、その辺大学学術局長の見解だけ聞いて、ああいうめんどうくさいことをするならば、毎年そういうことが出てくるならば、入学試験の性格と国立大学の定員というものはいかなるものかということをいまのうちから検討さるべきものがあるのじゃないか、どこかいままでに偏見があって、間違いがあったのじゃないかと思うので聞いておきます。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 国立大学の定員は、そこまで学生を受け入れていくべきものというふうに考え、またそのように指導いたしておるところでございます。しかしながら学生のほうは、合格になりましても必ずしも最終的にその大学に入学するかどうかきまりません。したがいまして、国立大学におきましても、一例を申しますと、定員七百名くらいの一学年の学生に対しまして九百人ほど合格者を出しておりましても、七百の定員の数をはるかに割ってしまうというような実例等も起こってまいります。それが各専門分野ごとに学生の受け入れその他入試の競争の線を引いております関係上、なかなか簡単にその追加その他の措置がとりがたいというような点がございまして、従来総計で考えてまいりますと、七万人ちょっとばかりの入学定数に対しまして三%前後の目減りが起こるというのが実情でございます。今回それらの点をさらに、やはり運営上の改善努力をしてほしいという意味で通知を出した次第でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 何かようわからぬが、時間がないのであとでまた、この席上でなくてもいいですから、局長と議論してみたい。  労働省来ておりますか。有給休暇のことで労働省に、定員問題で非常に重要な矛盾があるのでお聞きしたいのですが、私は法案のバックにある政策というものが非常に重要と考えて真剣にやっているのですが、労働基準法において二十日間の有給休暇制度がある。その二十日間の有給休暇制度というものは、労働者の権利として、そういう制度を国がつくった場合には、つとめてそれを活用して、二十日間は休んで、そうして家庭の健全なるレクリエーションあるいは休養するという趣旨で決定されたと思うのでありますが、いかがですか。

吉本実労働省労働基準局監督課長

○吉本説明員 ただいまの御趣旨、年次有給休暇の労働基準法上の取り扱いでございまして、法律で定められた年次有給休暇につきましては、それを行使するということが労働者の保護の基本であるというように考えておりますし、当然そういったことが消化できるように私どもも指導をしておるということでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 文部省のほうにお聞きしますけれども、労働省のほうでは、二十日間の有給休暇を充足するように奨励しておる。ところがいなかの学校に行きますと、たとえば十名定員の小規模の学校に行きますと、先生は、有給休暇の制度はあるけれども、たった十名の教員室では、休むとどうしても補助教員がないし、児童を遊ばすために事実上少しも活用できないというのが異口同音の不平であり要望なんです。大きい学校はいい、何とかなる。そこで、労働基準法に基づいて二十日の有給休暇制度をとっておるならば、文部省の定員の算出の基礎の中に二十日間の有給休暇を前提とした定員の算出の基礎があってしかるべきではないかと思うのですね。それはいかがですか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 いろいろ定数に関しては基準もあると思いますけれども、有給休暇を前提にして定員をはじくということは、これはおそらくどこでもやっていないのではないかという気がするわけであります。特に教員の場合には、これは授業の日数が二百四十日というふうな一応の線がございますけれども、あと年間に直しますと、百二十日くらいの余裕もあるわけでございます。また、現在の定数法上では、小学校では最低一人、中学校では最低二人、余裕の教員もあるわけでございまして、その中で有給休暇をとっていただく。もちろん有給休暇を完全にとっていただくということが望ましいことは言うまでもありません。定数上はそういったものを基礎にしてやっているということはございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 どこにもないですか、労働省、有給休暇を前提として定員算出の基礎に考えておるというのは。

吉本実労働省労働基準局監督課長

○吉本説明員 民間の事例でございますが、年次有給休暇がそういう法定の条件として、最低限の制度として定められてございますので、そういった形をとるような形を私ども指導しているのでございますが、いわゆる全体の定員としての関連において、その定員を何人分、これが年休だというふうには、これは十分承知しておらないということでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 国鉄その他に聞きますと、そういうふうに計算してあると聞いたのだが、まあいいです。あとで調べて……。  これは学校の特殊性だと思うのですが、いなかの十名くらいの職員室に行きましたときに、その職場ごとに十数名ずつ独立しておるものですから、何百名のほかの工場にいるのとは違うと思うのです。一人二十日間の有給休暇をとって、十名の職員室の場合には二百日になると思います、全部が有給休暇をとりますと。そうすると一人の教員の一年間の出勤日は大体二百日ちょっとこえるものなので、十二名、あるいは十名から十二、三名の小規模の小中学校の先生が有給休暇をとれば、大体一人分の休暇になる。きっちり一人分になる。したがって、それに対して一名定員を算出の基礎として入れるというのでないと、労働基準法で正当な権利として認めておる制度の上に立って、合理的ではないと思うのです。また現実に僻地に挺身をしておる先生が有給休暇を全然とれない。先ほど一、二名あるというのは、これは事実上そんな余裕はないですよ。せめて合理的に算出すべき基礎があるならば、それは文部省も堂々と要求して、十二名に対して一名の、年次休暇をとったことを前提として定員増を私は大蔵省に要求すべきじゃないか、それが正当じゃないのか、それを算出の基礎に入れないというのは怠慢ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 先ほど申し上げましたように、教育の場合には、いわゆる夏休みもあるいは春休み、冬休み等もあるわけでありまして、毎日お休みになれば確かに延べ二百日になるわけでありますけれども、十人の先生が一日全部お休みになれば延べ十日になるわけであります。これは普通の場合でございましたら、まあそういう機会にとれると思いますが、お一人、病気でお休みになるというふうなことがあって、あるいは出張に行かれる、いろいろなことがあって、御希望のときにとれないというふうなことはあると思いますけれども、まあ勘定のほうはおそらく合うのじゃないかというふうな感じがするわけでございまして、これを定数上どう繰り込むかということになりますと非常にむずかしい問題であろうというふうにいまのところは考えておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 現実問題としてまず小学校が六学級、七学級で十二名ですね、そんなにない。二、三の、校長とあと一名ぐらい、何か養護教員がいるだけだ。実際はとれない、都市の者はとれる。だから私は、そういう意味においては定員の全体のワクとして算出の基礎に入れて、そうして僻地のところにはそれを渡すというのが合理的な定員配分のやり方だし、これは予算要求すべきじゃないか、これはどうですか、大臣。遠慮なく予算要求をして、有給休暇を前提として、特に十名の教員室においては有給休暇全部とれば大体一人分ですから一名定員増してやる。そのことが実際は、研修のときにも、産前産後その他の場合にも、結局は小さな学校は何もないのですよね。それでほとんど休めないというふうな状況になっているので、大規模のものと小規模の場合には非常に差別が現実にはある。だから、せめてその合理的根拠のあるものは、そういう立場で定員をとってそこへ配置をしてやるというのが私は正しいと思うのです。大蔵省が削ればしかたがないですが、そういう基礎をもって計算されるのがほんとうじゃないか、いかがですか。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 先ほど来政府委員からお答えをしておりますように、それに見合った定員の配当という式の計算はしていないわけでございます、それなりのくふうを各学校で講じておられるわけでございますから。私としましては、小規模学校にも先生の配置を充実しましたりあるいは養護教員あるいは事務職員、そういうものの充実を考えておる最中でございますので、やはりいまの段階におきましてはそのほうの要求を続けていきたい、したがって、御指摘のようなところまでにはとてもいかない、いまの段階ではいかない、こう考えておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ほかのほうには、たとえば産前産後については補助教員がある。今度も研修に対する補助教員、ちゃんと入れましたが、むしろそれよりもっと法律的に根拠があるので、有給休暇は全部できるようにしてやる、定員の要求はですね。それが手が届かないというのは逆だと思うのですが、いかがでしょう。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 まあ休暇の場合には、これはいろいろな実態があるわけでございまして、それが実際に教育にどういう支障があるかという点でございますが、先生の側からの見地と申しますか、そういう考え方からしましての問題と、それから教育的な観点から考えました場合の学校の授業の運営、そういう両方から考えまして、私ども、御指摘の点につきましては、これは実態を調べまして、そしてそれに基づいて実際にどういう支障があるのかということも考えてみたいというふうに思っておるところでございます。休暇の実態というものも、御指摘を受けますとまたいろいろ調べてみる必要がある、そういうふうに考えておるわけでございますので、そういうふうな実態調査の上に立ちまして、また大臣にもいろいろ御判断を仰ぐ、そういうふうにしたいというふうに考えております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 これが教育政策の特質で、事務職員の場合は休んでも、事務ですから別にマイナスはないんだが、子供を遊ばすということですから。先生が有給休暇をとれば、これは権利ですが、子供はそこで遊んでしまう。授業を継続できるように配置するのが学校における定員の配置のしかたですから、そういう意味において私は強調しておるわけです。事務ならいいと思うのですよ、事務なら。一斉に休暇をとるとか、そういう労働運動の問題じゃなくて、逐次必要な場合に、都市の先生は有給休暇をみな自然にとれておる。僻地の人は十年間一回もとれない。何となれば、それは子供を遊ばすから、それを補充する先生がないからだ。この現実をもっと調査されて、それができるようにする、そのための定員の余裕というものを算出の基礎で考えるならば、やはり有給休暇を考えて、そして僻地に配置する定員の余裕をとるべきではないか。非常に少ないと思うのですね。青木主計官そこにおるのですが、どうですか。

青木英世大蔵省主計局主計官

○青木説明員 一般的に、有給休暇のための定数を職員定数にプラスするということは、なかなかむずかしい問題かと思いますが、先ほど岩間初等中等局長からお話がございましたように、特に小規模学校におきます実態等の検討の結果が出てまいりましたならば、それに基づきまして私ども慎重に検討を加えたい、このように考えております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 ぜひ検討をしていただきたい。そういうことでも考えないと、どうも教員の定員が窮屈で労働過重になっておるので、合理的な理論があればそういうことでできるだけ教育が向上するようにしてもらいたい、私の要求する趣旨はこういうことです。  それから、これも理屈でなくて現実に学校でほんとうに困っておることを取り上げて政策を進めていただきたいと私は思うのですが、長期欠席、これは九十日以上になると休職になるものだから、これは定員問題も解決するのですが、一月とか一月半とかいう場合にはそのままになってしまっておる。そういうことがまた子供の自習という時間をずいぶんつくっておるのですが、これに対する対策はできておりますか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 これは先ほども大臣からお答えいたしましたように、そういうふうなことも考えまして、特に初等中等学校につきましては、定数の増加をはかるというふうなかっこうで進んでおるわけでございます。したがいまして、現在のところ、どういう学校におきましても小学校では一人余分の定員があるわけでございます。また中学校では二人は少なくともあるわけでございます。その範囲で個々の学校で運営をしていただく。あるいは定員というのは、これは県内の定員全体を法律で基準をきめているわけでございまして、そういう場合のことは県の段階でお考えをいただくということでございます。  なお、先ほど御指摘もございましたように、長期研修でございますとか、あるいは内地留学等の各県で行なわれておる研修、そういうものに対する定員というものは現在の法律の中にも規定しておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 長期欠席の九十日以内の病気教員あるいは研修に出る者を含んで補充教員制度というのはできたんじゃないか。産前産後だけですか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 いまございますのは、いわゆる産前産後の休暇に伴う補充教員が法律化されておるわけでございますが、またこの前国会へ御提出になりましたいわゆる育児休暇、これにつきましても代替教員のことの規定があったと思います。それから休職者につきましては、これは定員のワク外でございます。それから現在の定数法の範囲内でいわゆる研修教員につきましては一応の手当てがあるわけでございますけれども、本年度からそのほかに一億円の長期研修の代替教員の措置がとられた。以上が大体補充教員の実態でございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 これは一月くらい病気した教員の補充教員にも長期研修の場合にも使えるように、産前産後だけを適用する補充教員制度を、適用範囲を拡大して、それに応じて若干の補充教員の定員をふやしていくということで解決できるし、そうすると教員は非常に救われると思うのですが、これは現在行政措置でできませんか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 これは定数法全体が若干の余裕を持っていろいろ考えておりますので、その中で弾力的に運営をしていただいたほうが、きまったもの、たとえば一学級に一人というふうなきまったものの上にそういうものを積み上げていくというよりは、私はゆとりのある配当の運営ができるのではないかというふうな気がするわけでございまして、現在国が定めております定数の基準というのは、あくまでも都道府県単位でございます。あとは都道府県の実情に応じまして実際の学校教育の運営ができるようにする、そういうふうな多少大まかな基準でございますので、あまりそうぎすぎすしないほうがかえって各県としてはやりいいのではないかという気がいたしております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 県によってやり方が違う。県のほうに定数をふやしてやらなければできないのです。しかし、人ごとみたいに、対岸の火災視して局長は答えておるけれども、それはできないのですか。  もう一つ、産前産後のための補充教員という法律があるのですから、それがあったら違反だといって、むしろ逆に――だから私が言っておるのは、長期欠席とか研修のためにも補充教員制度というものをつくって、それを産前産後に適用する。いまある市町村に補充教員が三名あればそれを五名にして、産前産後及び研修、長期欠席の補充教員としてみな適用できるというようにあなたのほうで変えなければ、県ではできないのですよ。そういうことをしてやらないと、現実においては非常な矛盾があって、小規模の学校の先生ほど困っておる。そういうことを検討さるべきだと思うのですが、こういうのはごく簡単じゃないですか。そのくらいのことは週五日制を言う前にやってやるべきだと思うのだが、文部大臣、いかがですか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 いまの教員の算定の基準がきまっておるものはきまったものでその定数をとっておいて、それにあと必要なものを積み重ねていくというふうなやり方ではなくて、基礎になるような定数というものにつきましては、学校の運営上弾力的な運営ができるように余裕を持たしているわけでございます。でございますから、たとえば一学級の学校につきましては定員が二人、二学級の学校につきましては三人というふうに余裕が持たしてあるわけでございます。それは、一学級は一人、二学級は二人、そのほかに必要な教員を幾らというふうに積み重ねるよりは、いまのところは弾力的な運営が各都道府県でとられるのではな  いかというふうに考えておるわけでございまして、いまの定数法のたてまえないしは仕組みがそういうふうになっておるということを申し上げておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは事実に合わないので、産前産後はずっと数週間休むから補充教員制度ができた。一月という病気欠席も同じなんです。定員があるからといって、一カ月ある先生にずっとやらすわけにいかぬでしょう。これは補充教員制度が必要なので、そのために小規模のものは子供を遊ばしておるのである。それはもっと実態を検討されて、少なくともその補充教員がそこに充足できるように定員もふやし、適用範囲を拡大するということぐらいはすべきではないか。どうですか、今度は大臣……。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 私たちといたしましても、先生の定数は全体としてふやしていきたいわけでございます。全体としてふやす中で解決をはかりたいと思いますし、また同時に、非常勤講師の制度をことしから始めたわけでございます。これを充実させることによって、一月とか二月とかいう問題も、それで補充する道が講ぜられれば、一つの解決策ではなかろうかというふうにも考えるわけでございます。いずれにしても、御指摘のありました問題は、今後とも対応できますように研究を続けていきます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それから、そういう補充教員の問題に関連して、先生が一週間、二週間病気で休む。その場合に小学校でしたら、これは学級担任の先生ですから、社会の授業でも、あるいは数学の授業でもできるわけですね。中学は教科担任だから、数学の先生が休んで、数学の補充といえば、数学専門の先生がいなければできない。ところが、数学の先生が休んだときに、国語の先生が余裕があるので、国語の先生に補充してもらう。そうすると、一月分数学のほうはおくれて国語が進む。これはよくないという指導をしているのですね。その根拠は何かというと、指導要領が法的拘束力があると文部省の皆さんが指導しているから。さらに一年間の指導要領は、ここまで進まなければならない、これ以上進んではいけないという法的拘束力がある。そんな教え方をしているのですか。そこで、一年間にある数学の先生が一月休んだ、国語の先生が一月やって進めた、よくないから自習をやらしておけという指導をしておる。そこで指導要領をもって形式的に法的拘束力なんということをどこから――教員の教育の自由を拘束し、何かだんだんと戦前と同じように、教員に、官僚統制の中で指導要領の法的拘束力を考案してきたように思うのですが、そういうところにもマイナスだけが出ておるように思う。これは改定すべきじゃないですか。そういう法的拘束力をやかましく言うからこういう問題が出ておる。子供を犠牲にしていると思う。どうですか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 そういうことは学習指導要領には書いてございません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 法的拘束力ということをあなたが言っているから、先生はみなそう解釈しているのです。市町村の教育長など、まつ正直にそう解釈して、校長が教壇に立ったら、やめろ、よけいなことをするなといってしかられたという話です。それで指導要領というものについても、上のほうからほかの政治的理由で拘束力を持たした。末端にはどういうデメリットが出ているのだということを正確につかんで、いままであった制度を変えていくようなことを慎重にすべきである。一年間その数学の先生が病欠したときに、国語の先生が教えることができる、教えましょう。しかし、指導要領の法律からいったら違反になるから遊ばしておく。これはよくないでしょう。検討しなさい。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 それは先ほど申し上げましたように、学習指導要領ではそういうことをしろということは書いてございません。各教育委員会あるいは学校で御判断いただきまして、その具体的な問題に応じましてやっていただければいいことでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それでは課長会議でも何とか会議でも、法的拘束力の意義はこういうことなんだ、進み過ぎてはいかぬという意味ではないのだということを皆さんが説明しないと、そうとっているのだというのです。そういう内容の解釈、法律拘束力はこういう意味なんだということを説明しなければいかぬと思う。やりますか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 それは各教育委員会なり学校で御判断いただければよろしいことで、ただむちゃくちゃに国語ばかりがどんどん進むというふうなことは、もちろん望ましくないことでございます。その点はやはり実態に即してやっていただければいいことでございまして、そういうふうな常識から考えて無理なことは、私どものほうではお願いしているつもりはございません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 局長は少しこだわっていると思うのですが、中学の場合に、それなら数学の先生が一カ月病気で休んだら遊ばしておきますか。ところが、国語の先生は補充して一カ月やれる。しかし、それは指導要領の法的拘束力からいって進ましてはいかぬというふうに、これは皆さんが指導していないとすれば、そう解釈している。そして子供は犠牲になっている。だから、一年の国語を一カ月進ませていいじゃないですか、遊ばすよりは。そして、来年数学の先生が病気がなおったときに、今度は逆に国語のかわりに数学をやって、足らぬ分は追いつき、進んだものは元へ戻すこともできるのだし、それは当然じゃないですか。そういう形式主義の指導というものが、末端においては、子供に足踏みをさせ、学校長はただ遊ばして見ておるというふうな結果にもなり、いろいろの欠点が出ておる。こういう矛盾は、そう消極的に考えなくて、いまの判断で、そういうふうにしたほうが教育的にはいいと単純に判断できる問題じゃないですか。前にこういう質問をすると言わなかったから慎重に答えていると思いますけれどもね。そうはいかぬですか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 数学の先生が病気だから数学の時間は遊ばしておくというよりは、国語をやったほうがよろしいじゃないかということは、そのとおりでございます。ただ、教育というのは積み重ねでございますから、一ぺんにまとめてやってしまってあとはやらないというのじゃなくて、積み重ね、積み重ねをしていくということが大事なわけでございまして、その限度をやはり各都道府県なり学校で判断していただくということを申し上げているわけでございます。その一年間で教えなければならない総量というものは、これは学習指導要領等で規定はございますけれども、その運用につきましては、先ほど申し上げましたように、積み重ねをしていくというほうが教育的な効果があるという点をお考えいただいて、実態に即してやっていただければいいことじゃないかというふうに考えるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そういう趣旨ならば、中学において数学、国語その他の補充教員を、二十校ぐらいある地域においては置いておくという政策をあなたが立てなければ、私の質問に対しては答弁にならないと思うのですよ。数学の先生が一カ月休んだときに、国語は一カ月進むのは好ましくないから、そのうち一週間だけやってあとは遊ばしておけということじゃないですか。そういうことでなくて、絶えず子供が勉強できるように、しかも集中授業はよろしくないというならば、数学の補充教員制度をとるということをあなたが言わなければ、教育政策として責任を果たさないと思う。いいじゃないですか、国語が一カ月ぐらい進んだって、遊ばしておくより……。検討してください、これ以上言えないようだから。大臣聞いておったでしょうな。こういう矛盾があることだけ申し上げます。  それから、教員の定員と児童生徒教の増減のことで、これも現実の矛盾があるので文部省で検討すべきだと思うのですが、来年度の学校ごとの定員を四月までの児童生徒教の増減によってきめておりますね。ところが、五月、六月ごろに転任する公務員はだいぶあるのです。定員をきめたあとに子供の増減が、一カ月の間に非常に多いのですよ。だから、ある学校に先生を減らしたあとに子供が入っていく、あるいはふえる、減るということがあって、非常に学校が学級編制に困っておる。  そこで、生徒が減った場合には、来年度まで定員はそのまま据え置きにすべきではないか、一年間だけ。そうでないと、先生の定員を四月までの増減で減らすために、五月に子供が入ってきても先生は足らないということで困っておる学校が相当あります。だから生徒数が減って、一名減ったためにいわゆる複式にしなければならぬというところがだいぶあるのですが、次に入ってくるのですね。そういうのがありますから、一年だけ据え置いて、そしてあとで児童生徒数において定員を考えていかないと、非常に教育に支障を来たしておる。四月までに必ずしもみな転任とか転勤しませんから。  それは検討されるべきだと思うのですが、結論的にいうと、児童生徒数の増減に応じて定数をきめる場合は一年据え置きにする、ふえたときはいいですが減ったときは。子供は遊ばさないというのが中心だから、ほかの事務職員と違うのですから。それはどうですか、検討できますか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 そういう問題は確かにございまして、その問題につきましては私どもも従来から検討しておりますが、具体的な問題としましてはやはり国のほうでそういうふえた場合の教員の手当てについて、負担金で見るかどうかという問題があるわけでございます。   〔森(喜)委員長代理退席、委員長着席〕 その点につきましては、現在四月から六月までのものにつきましては、これは各月の平均値でもって計算をするというようなこともやっておるようでございますけれども、現実に御指摘のような不都合があるということでございましたら、なお、さらに検討を進める必要があると思います。検討いたしたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 どうですか、青木主計官。

青木英世大蔵省主計局主計官

○青木説明員 ちょっと不勉強で、そこまでこまかいことをよく存じませんが、よく文部省から事情を聞きたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 いま言ったのは、四月までの生徒数が減ったということによって学校の定員を減らしておるわけです、四月以後の。ところがあとで入ってくるのですよ、父兄が転任をして。親が転任をすれば子供は入ってきますね。そこで、定員を減らしたあとに子供がふえて、そうして一年間非常に教育に困る、複式にさえされておるところもありますからね。これは当然一年くらいは据え置いていくべきではないかと私は思うので申し上げたのです。局長とよく相談してみてください。これは主観をまじえないで、教育の継続性からいって、やはり一年くらいは定員はそのままにしておくという常識があってしかるべきだと思うので申し上げたわけであります。  次に、時間がないのでごくかけ足をしておるので、つとめて時間を延ばさないようにしているのですが、国立付属小学校、中学校の定員との関係です。ここへいきますと、これは直接文部省の責任だと思うのです。これは大学局ですか、教職員養成課ですか。――一般的に国立の付属小中学校は、定員、給与の関係において非常に軽視をされておる、無視をされておるというのが私の結論ですが、各地域地域の教育の指導及び実験学校的な役割りを果たさしておる付属小中学校に対しては、非常に待遇が悪い。大体受け持ち時間が、一人の先生が三十時間くらい持っておるくらいの定員しかない。当然これは職務の中に、地方に指導に出る場合が多いのですが、一般の市町村立の小中学校に適用されておる研修補充なんという教員の制度、これは一つもない。ところが付属小中学校は、そういう指導を任務として持っておるものですから、多く出るでしょう。これに研修補充教員制度を当然考えてやるべきではないか。大体、おそらく国立学校の付属小中学校の教員で、一日二、三名はみないないのです、指導で。手当てを少しもしていないですね。どうですか。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 国立大学の付属の小中学校につきましては、公立学校の基準に比較いたしますと若干定員に余裕がございまして、一名ないし二名程度プラスになっておるわけでございます。このほかに、先生からも御指摘いただきました件でございますけれども、昨年度、本年度と二年間にわたりまして、付属学校につきまして非常勤講師を設けられるようにということで、非常勤講師手当を予算に計上していただいております。なお、小学校、幼稚園等は明年度以降の宿題ということになっておるわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 実態からいうと、受け持つ時間が週三十時間くらいあるというんですがね。一、二名じゃ――それなら、付属小中学校の実験学校、指導学校としての性格からいって、さらに二、三名多く出すべきだという結論になるのです。週三十時間くらい持っているといいますよ。そういう実態を調査しましたか。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 担当時間の実態については私ども手元に資料を持っておりません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 調査してください。そして、その付属小中学校をもっと活用すべき文部省の任務をみずから放棄して、そして手当てもしない。週五日制なども、もしやるならば国立の、文部大臣の直接責任のある国立のところでやるべきで、地方にいろいろの負担をかけるべきでない。ところが、そちらのほうをやらないで、手当てもしてやらないという現実は非常によろしくないと思うのです。課長、調査して報告してください。  それから、産前産後の補充教員も、国立の付属小中学校には適用ないのですか。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 産休法は国立学校についても適用がございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 適用はないのですね。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 いや、適用ございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 実際には、産前産後の補充教員というのは少しも全国の小中学校には適用していない。やっていないですね。事実上やらないのですか。法律上はできる。どうですか。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 産休の補充教員につきましては、必ずしも定員上の措置で補充教員を置かなければならないという規定ではないというふうに理解しておるわけでございます。非常勤講師等によって補充するというようなことも可能なわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それは答弁にならないんだ。同じ義務教育の小中学校の先生で、国立付属の小中学校には事実上産前産後の補充教員は一つも適用していない。お産をしたって絶対ない。それ、事実は知っているでしょう、それなら。それは不合理でしょう。だから、あるいは、文部大臣の直轄の学校ですから、府県、市町村の教育委員会に、国立付属小中学校の産前産後の女教員に対しては、その補充教員を平等に適用できるようにしてもらいたいという依頼とか指導とか、必要なら一名そこにふやすとかするのが当然じゃないですか。それは一つもしていないですね。どうしますか。ほっておきますか。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 先ほど来申し上げましたように、付属の小中学校につきましては定員も若干オーバーしてつけておるわけでございます。そのほか非常勤講師等の措置も講じつつある途中でございますが、諸般の方策を講じてまいりたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 大臣聞いておるから、こんな不合理なことがあるんですから、行政措置で平等にやってもらいたい。  それから、給与が地方の教員より一号安い、これは事実ですね。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 教員の給与につきましては、御承知のように国立学校の例に準じて地方公立学校の教員の給与はきまってまいりまして、基本的には同じ給与体系になっておるわけです。  事実関係では、特別昇給その他の関係がございますので、公立、国立が完全に同学歴、同年齢の者が同じ金額になるとは限らないわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 一号大体安いと思うのですが、実態を全国調査しましたか。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 私どものほうで調査をしたことはございませんけれども、関係者から聞いております話では、地方に比べれば低いという話は聞いております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 大体わかっているんですね。わかっていれば、実験学校として指導にも出て苦労しておる優秀な教員が多いのですから、ほかの人より一号下がっておるのがわかっていれば何とかすればいいじゃないですか。しないのですか。ほっておくのですか。(「来年からいたします」と呼ぶ者あり)こちらで答弁したが、文部大臣、いいですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 国立学校の付属の教職員につきまして、人事院の定める基準によって的確に給与の処遇をいたします。全国的には同じ基準でやっておるわけでございますが、都道府県は府県によりましてそれぞれ独自の方針をおとりになるところもあるものでございますから、府県によりましていま御指摘のようなでこぼこが国立学校との関係には起こっておりまして、現実に国立学校に付属の教職員の人事につきまして私ども頭を痛めておるところでございます。しかし、これは国と公立との給与制度の違いがございますから、公立学校のほうは国の例によってやるということでございますが、しかし、全く同じでなければならぬということにもなっておりませんので、府県に応じて国立のほうでそのつどかじをとるということが現実問題としてできにくい課題でございまして、そのことのために付属学校の教職員の人事その他につきましては頭を痛めておるというのが実情でございます。  どうすればいいかという点につきましてなかなか名案もございませんが、処遇の面ではこの教育実習その他を担当してくれております関係上、そうした実習の指導経費その他を加え、また教官等の積算校費の上でも付属学校としての運営ができるだけ十分にできるようにという気持ちを持ちまして、最近数年間、学校経費の拡充その他のこともつとめておるわけでございまして、何とか諸般の施策を講じて、そうした点の格差といいますか、これを解消できるように努力をしたいというふうに考えておるところでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 教員については教員免許状の上に立った身分で、その学校が国立だ公立だということによって給与の制度を変えることが大体おかしいんだ。私立だって同じだと思うのです。教員免許状の上に立った教員で、教育の内容は同じなんです。しかも、小中は義務教育じゃないですか。設置者差別主義を給与にまで及ぼすなんというのはもってのほかだ。だから一号高いならみんなそれに応じて、小中学校一号教員給与を高くすべきじゃないですか。いま、西岡部長は来年と言ったんだが、ちょうどそれに便乗してやりますというぐらい答えたらいいでしょう。そんな頭を痛める必要はないので、こういうことは前進しなさい。そうしてもしいまの形式主義の設置者差別主義がこういう不合理を生んでおるならば、付属の学校というものは特に他の小中学校よりも研修を倍しなければならない指導学校でありますので、一号俸くらいに相当する研修手当を提案したいと思うのですが、どうですか。そうしてとにかく実習で苦労しておる先生が一号下がる、そして欲求不満でいるということに対してわれわれが何もやらないというのではなくて、いろいろやる方法があるじゃないですか。どうですか、研修手当。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 大きな課題でございますので、私ども十分研究を進めたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 必要以上に消極的な慎重な答弁をしておりますが、これは大いに検討することを要望しておきます。  それから、海外の留学制度、これもその制度についてはぼくはまた全員留学派遣の別な提案を持っているんだが、これは国立付属小中学校に少しも適用しないですね。これはどういうわけですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 国立の付属の学校の教職員は、従来年間十名程度派遣をしておりましたが、四十八年度から四十名派遣をすることにいたしております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 派遣をするのですか。――平等に取り扱っているというならいいと思います。  そこで、先ほど給与の関係の不合理をほかの経常費あるいは実習費その他において考慮しておるというのですが、ずいぶん安いですね。考慮している痕跡が一つも見えないのですが、教育実習を軽視をしているということをこの間の法案でも私は強調したのですが、免許を与えるときに教育実習を非常に軽視しておるという思想が、教育実習を担当する付属小中学校の教職員の手当が非常にわずかなものであるということにあらわれておる。いまどういう算出基礎で教育実習の手当を出していますか。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 教育実習指導手当につきましては、付属学校の教官に対しまして日額三百円の手当を支給いたしております。これは昭和四十五年度に九十円であったものを四十六年度に百三十円に値上げいたしまして、四十七年度から三百円ということに値上げをしてまいったわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 教員希望のものが朝から一生懸命額に汗をして実習に努力しても三百円ですか。少ないじゃないですか。そうすると大体教育実習は、事実上一人当たりどのくらい教員に手当が出ておると思いますか。調べましたか。

阿部充夫文部省大学学術局教職員養成課長

○阿部説明員 各学校によりまして教育実習を実際に引き受けてくださる先生方の数というのが実態が違っておると思いますので、私どもも実態を詳しく存じておりませんが、全国平均で申しますれば教官一人平均して年間一万円程度の金額ではなかろうかと想像いたしております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 これは岩手大学の場合ですが、大学本部の配当のしかたその他によると思うので、私聞きますと一人当たり年三千円ですね、先生のもらうのは。あまりにも少ない。それから国立付属小中学校がとにかく全体を引き受けるだけの余裕がないから代用的にある小学校に委託をする。委託したときに、その先生には二百円しかやっていない。これは大体全国的なレベルじゃないかと思うのですが、一番大事な教育実習に先生方は非常に熱を入れて、しかも私らに言うのには、寝ないで一生懸命に準備をして指導しているんだが、実習を受けると、岩手県の場合には岩手県に就職しないで東京に出て行く。児童生徒が減って定員が減るから、実に楽しみがないと言いながら、しかも年間三千円ぐらいの手当では教育実習に熱が入らないし、私は来年度から少なくともこの三倍ぐらいは考えるべきではないかと思うのですが、どうでしょう。少ないと思っておるのでしょう。来年度の要求はどういう考え方ですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 付属学校の運営また教育実習のあり方等、私どもも今後の教員養成の充実の大事な問題として何とか充実、改善を進めていきたいというふうに思っている次第でございまして、そういった問題も含めていま関係者と検討中でございます。御指摘の点も含めまして来年以降の課題として積極的に取り組んでまいりたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 それから次は小規模の中学校の定員問題で、これも検討願いたいと思うのですが、生徒数の関係で音楽、体育等の専任教諭が置けない。十時間ぐらいだから一人の定員を置くには時間が少ない。それで、いわゆる時間講師を雇ってつじつまを合わせておる。体育の専門の人で定年になった人とか、そういう方ですが、文部省の指導によれば、時間講師については一時間二百五十円、それから週十時間以内と規定しているのですか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 公立学校でございましたら、そういう指導はいたしておりません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 間違いないですか。じゃあ、どういうふうになっていますか。一時間幾らとか十時間という限定はないですか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 小中学校では非常勤講師というのは義務教育の負担金の上ではいままで認められておりません。大臣の御発意によりまして、ことしから初めて長期研修の代替の非常勤講師の手当に対する補助金ができたわけでございます。したがいまして、もし非常勤講師というものをやっておるとすれば都道府県で独自にやっておるわけでございまして、私どものほうでは時間、それから一時間当たりの費用につきましては、別段指導いたしておるというようなことはございません。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そうするとなおさらのことですが、小学校にも専科教員の要望がたくさんあるが、小規模の場合においては音楽の専門あるいは体育の専門は時間数の関係で置けない。大規模の場合においては専科教員を置くべきものとわれわれ思うのですが、小規模の場合には、その制度があっても置けない。したがって、その専門の先生で休んでおる人、定年退職した人たちを時間講師で置かないと教育はできないという実態がある。文部省は手当てをしていない。市町村では一時間二百五十円程度で十時間。金がかかるからそれ以上やっても給与をやらない。十五時間教えておっても十時間しかやっていない。そういうことになれば、やはり文部省が政策として取り上げて、これに応ずる国の政策を立てるべきではないか。地方に行きますと、体育の先生なども非常に優秀な先生で、定年退職したあと奉仕的にやってくれる人はたくさんあるわけです。音楽にしてもそうです。一時間二百五十円では申しわけないと思うのですね。十五時間やっても十時間しかやらない。十時間以上やっておるのはかってにやっておるんだといって手当を出さない。それでも学校としては、その先生がいなければ音楽教育はできない。これは何とか文部省で処理すべきだと思うのです。来年度の問題ですが、いかがですか。

岩間英太郎文部省初等中等教育局長

○岩間政府委員 小中学校におきます非常勤講師の問題は、私どもの多年の懸案でございましたが、幸いにいたしましてことしから実現したわけでございます。先ほど大臣からお答えいたしましたように、この制度を拡充してまいりたいという気持ちを持っておりますので、ただいま御指摘のような点につきましては、今後十分配慮をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 その他いろいろお聞きしたいこともありますが、この辺でとどめておきたいと思いますので、ひとつ来年度の予算要求の場合には、これを参考にして検討し、一歩でも二歩でも前進していただきたいと思うのです。  それで、総括的に定員政策として最後に文部大臣にお聞きしておきたいのですけれども、まあ、教育というのは何かという基本的な論議をするときには、それは教師と生徒の人間関係、触れ合いである、結びつきである、そうでなければ教育は成り立たない。これは常識のようにわれわれも言い、文部大臣も言っておることなんです。ところが一つのクラスに四十五名という定員で、生徒と先生の人間的触れ合いというのは、これは不可能な数だと私は思うのです。現在、日本の定数法は四十五名です。これも大蔵省の壁を破るのにずいぶん苦心をして、五十名からいま四十五名になったのです。この次にはせめて四十名にして――ほんとうは三十名ぐらいだと思うのです。金のある家庭においては、家庭教師と一対一なんです。集団教育といえども、一人の先生が担任する子供は三十名ぐらいでないと人間的触れ合いというものは不可能だと私は思うのです。だから、そういう意味においては四十名が適当だ、四十五名でいいじゃないかという論は成り立たない。少なくともそういう理念を前提として政策を考えるときには三十名ぐらいまで絶えず努力をして前進をしていくというのが、私は文部大臣の思想とその延長線に考える政策だと思うのです。そういうことを考えて、この定員問題をこの辺で、財政的にどうだこうだというふうな消極的な立場でなくてもっと前進をしてもらいたい。  それで、文部省が出された学制百年記念の記念募集による作文ですか、青少年の意見発表、これを読んでみたのですが、生徒自身が、先生と人間的に接触をする機会がほしい、少しもそういう機会がない、高等学校教育の退廃はそこにあるんだ、せめて生徒十人に先生一人のグループであってほしいということを皆さんが選抜をした作文に書いていますよ。  そういう理想的な形態まではいかないけれども、少なくとも三十名の子供に対して一名の先生というところまで持っていくべきだという理念を最初に持って、そういう定員の改革をしなきゃならぬのじゃないか。その次に財政問題が出、また時間の経過等も必要と思いますけれども、いまの四十五名でいいんだという思想だけはぜひ克服しなきゃならない。そうでないと言行不一致だと思うのです。最後にこういう問題についての大臣の御意見を聞いて、私の質問を終わります。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 一学級の定員の最高限度が四十五名、現在平均しますとたしか三十二、三名になっているんじゃないかと思います。いずれにいたしましても最高限度の四十五名は将来引き下げる方向で努力していきたい、こう考えているわけでございます。ただ、御承知のように第二ベビーブームが始まりましたり、あるいは定員の配置を別の方向でも充実していきたい、こういう計画も持っておりますので、来年最高限度四十五名を引き下げるという要求をするということについてはいろいろ問題がございます。しかし、いずれにいたしましても方向としては、将来そういうように引き下げる努力をしていかなければならないのではないか、かように考えております。      ――――◇―――――

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、国立学校設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。栗田翠君。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 私は同法案の一条に関しまして質問させていただきたいと思います。  まず、この一条の中に共同利用研究機関を置くということが書かれております。この共同利用研究機関、高エネルギー物理学研究所その他になっておりますけれども、かつて昭和四十六年第六十五国会で、この高エネルギー物理学研究所が発足するにあたりまして、国立学校設置法の一部を改正する法律案がやはり審議されております。このとき研究所の職員に教育公務員特例法を準用すべきであるという主張をめぐりまして論議がされておりますけれども、このことについては御存じでいらっしゃいますね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 はい、一応当時の経過、私も頭に入れたことがございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 このときの論議の中心点はどういうところだったでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 国立学校の共同利用研究所につきまして、これが学問研究の場として十分に機能できるように学術研究の自由を阻害しないという御趣旨が、御論議の基本に流れている線だというふうに理解をいたします。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 この問題に関しまして当時の論議の中心点、いまおっしゃられたようなことだったのですけれども、もう少し私が調べまして、また研究者の皆さん方の引き続く御要望を伺ってみますと、教育公務員特例法の第四条、七条、十一条、十二条、十九条、二十条、二十一条などについては特例法が適用されておりますけれども、五条、六条、九条、十条には、これはつまり転任とか降任とか免職や懲戒処分など、いわゆる不利益処分に関するものの適用が除外されているということが論議の中心になっていたと思います。  そこで、この問題に関しましてそのとき同町に衆参両院で附帯決議がされております。簡単に読ませていただきますと、衆議院のほうは、「政府は、高エネルギー物理学研究所の運営については、学術研究の自由を阻害しないようじゅうぶんの留意を要する。ことに人事については所長の意見を尊重し、研究者が学術研究に専念できるよう配慮すべきである。また、今後この種の直轄研究所の重要性は益々増大すると考えられるのでこの種研究所における研究公務員の処遇については、その職務と責任の特殊性にふさわしいものとするよう、さらに検討を行なうべきである。」という附帯決議がされております。また、参議院もほぼ同趣旨の決議がされているわけでございますが、さらにその検討を行なうべきであるというこの附帯決議の中身に沿いましてその後どのような検討がされているでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 この附帯決議で御示唆がありました問題につきましては、私ども教育公務員特例法施行令を制定いたしました際に、施行令の三条の二に、「国立学校設置法第三章の二に規定する機関の長及びその職員のうちもっぱら研究又は教育に従事する者」につきまして準用規定を入れまして、そして大学管理機関とあるものにつきましての読みかえをいたしておるわけでございますが、特に独立の共同利用研につきましては、特例法の四条一項を定めますにつきまして「文部省令で定めるところにより任命権者」という特別の準用規定を入れまして、そして省令でできるだけ研究関係者の意向が所長及び教職員の人事に反映できるようにという措置を講じた次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 いまの中で、五条、六条、九条、十条など、転任、降任または免職、懲戒などの不利益処分については準用されておりませんね。なぜこれが除外されているのでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 これは国立学校設置法によって設けたものでございますが、大学そのものでございませんので、私どもといたしましては、他の一般の所轄の研究所と同じような取り扱いを考えて、その際特に附帯決議の趣意を考えまして、採用の人選につきましてできるだけ御指摘のありました点を実現すべく規定を整備いたした次第でございます。  なお、直轄の研究所であることの関係上、現在文部省直接の研究所と同じような扱いにいたしております。教育、研究の自由という点に関しまして、格段の支障がないものというふうに考えております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 文部省設置法で規定されておりまして、設置されている直轄の研究所、たとえば遺伝学研究所ですか、いろいろございますけれども、それとこの高エネルギー物理学研究所の性格の違いというのは、どういうところにありますでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 文部省所轄の研究所は、発足の経緯その他ございまして、大学とは別個に、統計数理研究所にいたしましても遺伝学研究所にいたしましても、特定の分野を中心に研究体制を整備する必要があるということから設けたものでございます。大学の付置研究所として設置されてまいりましたものがどうしても大学を越えた大きい研究体制として整備される必要があるということから、近年になりまして高エネルギー研究所、昨年はまた国文学研究資料館のような共同利用の研究所をつくっていただきました。また、今回御提案申し上げておりますのは極地研究所を同じようなタイプのものとして設けたいという趣旨でございますが、これは直轄の研究所と大学付置の研究所との中間的な性格を考えて、両者の関係の人事の交流、大学の研究者が独立の研究所でありましても研究者として参画しやすいような体制を考えたい。そういう意味で、文部省の直轄の研究所とかなり性格的に近いものでございまするけれども、しかし、研究者の交流その他の人事上の便を実現しやすくする、大学間の研究者の集まりを実現しやすくする、そういう意味で、国立学校設置法の中に新たな独立の研究所としてつくっていただいておるわけでございます。研究そのものの基本的なねらいはかなり近いものがございますが、大学との関係を緊密にしたいという趣旨で、独立ではありながら国立学校設置法の中につくらせていただいておる、こういう次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 いま局長から沿革として大学の付置研究所の発展によってこういう形になってきたというお答えがございました。大学の付置研究所の職員というのは教育公務員として扱われておりますね。それで、この共同利用研究所の場合にも、単に研究だけでなくて、大学院における教育などに協力するという内容を持っていると思いますが、いかがでございましょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御指摘のように、この研究所は国公私立の大学の依頼を受けまして、大学院の教育に御協力をするということができるように配慮いたしてございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 そのような内容を持ちながら教育公務員としては扱われずにいるという点、それからもう一つは、不利益処分だけがなぜ教育公務員特例法の適用から除外されているかという点について、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 大学の付置研究所で個々の大学の要請ということだけでは十分に研究目的を達成し得ない、もう少し広く、国立大学はもとよりでございますが、場合によれば公私立の大学関係者、その他の研究者からも幅広く参画を得て研究の体制を進めていく、その意味では独立の研究所をつくりました場合に、その研究所の教官人事に流動性を持たせるということは大事なことだと思うのでございます。したがいまして、従来の大学付置の研究所よりは、もう少し人事の上では直轄の研究所と同じような流動性のあるものを一面で考えるということが必要であろうかと思うのでございます。ただ、研究所が研究目的を達成いたします際に一番大事なことは、どういう研究者をもって構成するかということでございますから、その採用につきまして研究者の自主的な体制がとれるように配慮する、これをもってその研究所の研究目的に資するということを考えておる次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 それでは、不利益処分を除外された理由、いま御説明いただいていないのですけれども、なぜ不利益処分について適用を除外されていらっしゃるのか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 文部大臣が直接所轄をするという意味では直轄の研究所と同じでありまして、それと同様に規定をさせていただいた次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 国立大学というのも文部省の直轄の機関でございますね。しかし、との国立大学に働いています教職員の方々には教育公務員特例法が適用されているわけでして、昭和二十四年教育公務員特例法がつくられましたときの提案理由の中にも、学問の自由ということを守って、保障していくために、採用、昇任、休職その他の案件や、また不利益処分についても、そこに働く人たちでの協議、その他で考えていく必要があるというようなことがいわれております。ちょっといま私ことばが不正確なのですが、たとえばこういうことがいわれております。「大学の自治の保障と学問の自由の保障というふうな観点からいたしまして、大学につきましては単に採用昇任の方法のみならず、転任あるいは降任及び免職あるいは休職、懲戒といったような事項につきまして、広範に大学の自治機関によって、それぞれのことを規定しておるのであります。」というふうに趣旨が述べられているわけでございます。この立場からいいますと、この共同利用研究機関というものの立場は大学の付置研究所の発展であるという沿革からいいましても、また大学院生などの教育に携わるという仕事の中の一つの性格からいいましても、教育公務員特例法の適用をわざわざ除外しなければならない、不利益処分について除外しなければならない理由というのがはっきりしないのですけれども、もう少しその辺を明確にお答えいただきたいと思います。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御指摘の教育公務員特例法で、教育公務員と申しますのは、国立学校、公立学校の教員というふうに規定をいたしておるわけでございます。同法の二十二条は、「教育公務員以外の者に対するこの法律の準用」ということを規定をいたしてございまして、文部省設置法の直轄の研究所の職員は、研究者ではありましても教育公務員でないという法律体系をとっておるのでございます。また、同様に、御審議をいただいて決定をいたしました特例法の二十二条の規定は、国立学校設置法第三章の二に規定する機関も教育公務員でないという法体系の中に組み込まれている次第でございます。そこで、教育公務員特例法の中におきます公務員制度の教育公務員としての適用者と教育公務員以外の者に対する準用というこの法律のたてまえにのっとりまして、しかもまた、直轄の研究所でありながら、学問研究ということに非常に重要な共同利用研ということを考えて、この準用規定を整備させていただいた次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 私が伺っておりますのは、教育公務員ではないという法体系になっている、そこの点について伺っているわけでございます。そこが問題になっているわけです。文部省設置法に基づく研究所ではなく、国立学校設置法に基づく研究所としてつくられていながら、そして、さっきも申し上げましたような内容を持ちながら、なぜ教育公務員ではないとなっているのかという点について伺っているのです。ですから、その点で御説明をいただきたいのです。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 四十五年の改正のとき以来、御審議をいただいたわけでございますが、現行法の規定は、教育公務員は学校の教職員、学校以外のそれに準ずると考えられる者は教育公務員でないという規定になっているわけでございます。今回国立学校設置法の中に御審議いただいておりますけれども、国立学校とは切り離した共同利用研究というものを別につくっておるわけでございますから、教育公務員の体系の上では教育公務員でない者という前提で私どもも規定を整備するほかはない、このように考える次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 昭和四十六年の第六十五国会のときの議事録がここにございます。ここで当時の学術会議の会長をしておられました江上氏が説明員として参加をしておられまして、この問題についていろいろ主張されておられます。ちょっと長くなるのですが、学問がどんどん発展してきた結果、大学付置の研究所という小さなことだけでは研究しきれなくなったので、こういうものをつくったのだという話が続くわけでありまして、「そういう学問自体の内的な要求に基づいて学者自身がこういう研究をやりたいのだという研究もあります。それもやはり国によってなされていかなければならない。そういうものこそしばしば全く新しい発見を導く土台となるものでありまして、そういうものが私どもが主張しております純粋の意味の基礎研究でございます。そういうものが従来主として大学において行なわれて、その点、私ども学術会議の主として基礎研究の将来計画といっておりますものは、その学問自体の内的な要求によって生まれ出るところの、希望されるところの、学者自身の希望に基づくところの研究というものをさしているわけでございますが、そういうものが従来は主として大学においてなされてきたのでありますけれども、それは学問の発展に伴って不可能になってきた。つまり、大学というような小さなところでそれぞれの大学がやっていたのでは、もうそういう意味の世界の学問の大勢に合わなくなってきたというのが戦後の情勢であります。そういうことを考えまして、日本学術会議が共同利用研究所というものを勧告いたしました。共同利用研究所というものは、研究の内容的にはいま申しましたようなものでありますが、大学の自治というような狭いものじゃなくて、それぞれの日本中の専門の学者が協力してやるのだ、それぞれの分野の学者の自治によって進めていくのだ、そういうふうな考え方によって、本質的には大学の研究の発展でありますけれども、時代に即した発展であり、一歩進んだ、日本中の専門分野の学者が共同でやる、そういう形の共同利用研究所が勧告され、」こういうものができたのだというふうに言われております。そして、「基本的な姿勢においては大学と同じ性格のものでなければならない、そういう立場をとっております。したがってそこの運営、そこは大学と同じように自治が守られ、そこの科学者は大学と同じように自主性が守られ、そしてそこの研究者は大学の研究者と同じように身分保障がなされなければならない。大学の発展なのでありますから、当然そうであるというふうな考え方を私どもはしているわけであります。」というふうに言っておられます。この御見解についてはいかがお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 共同利用研究所の性格につきましては、私も全く同じように考えます。個々の大学の学内における専門領域の研究だけでは足りない、全国的に見渡していろいろな関係から、場合によれば海外からも研究者が参画をして、ここに同じ研究課題に取り組む方々が自由に集まれるような研究所を共同でつくりたいという趣旨でございまして、私どももそのように考えるものでございます。そのように考えますがゆえに、実は採用の際その他、この専門の方々の意向というものを十分に尊重しながら研究者をそろえるということは必要でございますけれども、同時にまた、これは個々の大学の固定した研究所のような人事体制ではなくて、研究者が自由に出入りできるということを考えなければならぬものでございます。たまたま研究所に参画をした人だけの自治ということでは、江上さんのおっしゃった全国の大学から研究者が参画をするという趣旨には必ずしも適合いたしません。でございますから、採用の際に、運営協議会その他、その所員の意見だけではないのでございます。研究所に参画をする同じ専門の方々の意見を尊重しながらいたしますけれども、大学の教官のように、内部の人だけのオートノミーを考えただけではこの研究所の研究の目的に沿わない、そういう点が違うのでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 私は、採用の際の教育公務員特例法の適用、運営協議会の意見に基づいて所長が文部大臣に申し出られるということ、これについて一言も異議は申していません。いま局長がおっしゃられた趣旨でたいへんけっこうだと最初から言っております。私が伺っておりますのは、不利益処分の場合になぜこの適用が除外されているのか、さっきからそれしか言っていないのでございますけれども、そのことを伺っているんでございます。なぜ除外する必要があるのかということですね。採用、昇任などの場合に、いま局長がおっしゃいましたような立場で扱っておられるわけでして、けっこうだと思います。それならば不利益処分の場合には、なぜ管理機関として文部大臣が直接不利益処分をしなければならないのか、この点が問題になっているのですが、そこをわかるように明快にお願いしたいと思います。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 不利益処分と御指摘でございますが、教育公務員特例法を準用してないほうの規定は、転任の場合あるいは降任、免職の場合、あるいは任期とか停年制を定めるというようなこと、懲戒の規定等は準用いたしてございません。これは先ほどもお答え申し上げましたように、全国の大学の同じ研究課題を考える方々が幅広く御利用いただけるような機関である、またそういう趣旨で研究者が参画し得るようなものとして考えておかなければならない。中の研究者だけによってみずからを守るということがこの研究所の目的に必ずしも適合しないというふうに考えるのでございます。でございますから、転任とか任期とか停年とか、こういうものを大学の研究所と同じように規定をしたのでは、との共同利用研究所を全国の研究所として設けた趣旨には必ずしも適合いたしません。でございますから文部大臣が、という点は他の直轄の研究所と同じように考えて、そして全国的なものとしてこれが運営できるということを一面で考えておく必要がある。採用の際には、御異論もないことでございますけれども、研究目的ということを考えまして、研究の自由ということからできるだけその目的に沿った人が御参加になるというのが一番いいという趣旨で、その研究所の目的に適合するように特例法の準用をさせていただいている次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 当時文部大臣をしておられました坂田さんが、こう言っておられます。この研究所につきまして「いま大学学術局長の答弁を聞いておりまして、やはり十四条の研究所はむしろ行政目的による一つの研究所である。」まあ直轄の研究所のことだと思いますが、「たとえば、いま御指摘になりました今度できます特殊教育総合研究所、」これがいま私の言っているのに当たると思うのですが、「これとはやはりちょっと違う。もっともっと純粋な学問の領域だ。ということで、むしろ行政目的による研究所でないほうがよろしいということは一つ言えるのではないか。」と坂田先生は言っていらっしゃいます。こういう立場から考えましても、採用に運営協議会の意見などを聞くという道を開いてある以上、懲戒、免職などの不利益処分にもそのような道を開くほうがはるかに学問の自由というものが保障されるのではないだろうか。それから、「行政目的による研究所でないほうがよろしい」という、これは坂田文部大臣の言われた中身ですけれども、そういう立場からいいましても、不利益処分も同じように教育公務員特例法を適用して何ら差しつかえがないだろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 冒頭にもお答え申し上げましたように、直轄の研究所の中にはいろんなタイプのものがございます。私がさきに例示をいたしました統計数理研究所あるいは遺伝学研究所等は、直轄の研究所でありましてもかなり学問的な性格の濃いものでございます。また、教育研究所、特殊教育総合研究所等、行政課題に近いものもないわけではございません。しかし私は、純粋に学問的なものでございましても、この直轄の共同利用研究所というのは、個々の大学を通じた専門分野を通じて内外の研究者と幅広く通えるような研究所というものを考えなければならない。そういう点からしますと、研究者の構成その他がいまの大学の――日本の大学の実態は、各部ごとに、研究所ごとに人事が固定化するわけでございます。そういうことは、この研究所の研究目的には必ずしも沿わない。その意味で、人事の体制が違うということはあり得てしかるべきだというように考えます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 転任などの場合はそのようなことも多少理解できるかもしれませんが、懲戒、免職などの場合、懲戒や免職を受けるその中身といいますのは、やはり身近でともに仕事をしている人たちがよく内容を知っていなければならない、それによって判断しなければならないという問題が含まれていると思うのですけれども、そういう点までは、他と広く交流するという、いまおっしゃいました要件にはかなわない問題だと思いますけれども、そういう点はいかがでしょう。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 特定の研究所の中の関係者だけでそこを保護しておかなければならぬということは、この共同利用研究所のあり方から考えまして、全国の研究者がかなりフレキシブルにここに参画できるという基本性格から見て矛盾することになりはしないかというふうにも思います。いま文部省の直轄の研究所の場合に、幸いにして懲戒その他の問題が起こっておりません。また私どもも、こうした多くの研究者が共同で利用できるような研究体制というものを考えました場合に、その流動性というものを一面で尊重しながら研究目的に合わす。その研究所の中の関係者だけで擁護しなければならぬという性格を正面に出す必要はなかろう。また幸いに、私どもはそういう研究者がそこにおられるというふうにも考えないものでございますから、今日までのところ、研究所の目的に合致いたしますために、採用の際の趣旨を十分に尊重していけば研究の目的に適合し得る、このように考える次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 懲戒、免職などの場合、直接文部大臣がそれに当たられるということになりますと、行政的な意思の介入ということを研究者の方々は非常に心配しておられます。実際国立大学そのものが、文部省の直轄機関でありながら、学問の自由を保障するという立場から言いまして、教育公務員特例法によって守られている。そこの職員が守られているということから言いますと、やはりこの研究所の職員の身分というものも、そういう立場から同様に守られても少しも不自由はないのではないだろうかと私は考えております。  それでは、いまの問題はおきまして、次に、十二条の問題について伺います。  この教育公務員特例法の十二条は、これは準用されております。これは勤務評定についてでございます。ところが、教育公務員特例法が準用されて、このとおりにやられてまいりますと、法制上は勤務評定の基準を文部大臣が定められて、また評定を大臣がなすって、結果に応じた措置というものも文部大臣がなさるということに読みかえられて、そうなるわけなんでございます。この点がやはり問題でございます。  まず伺いますけれども、この勤務評定の項目は大体どんなものがあるのでしょうか。大体でけっこうでございますから……。

七田基弘文部省大学学術局学術課長

○七田説明員 高エネルギー研の勤務評定につきましては、高エネルギー研のほうで定めて、それに基づいてやるということでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 この評定のおもな点として、やはり研究能力というようなことがかなり重要な点になると思いますが、いかがでございますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 御指摘のとおりだと思います。国立大学の教官につきましても、十二条の規定がございまして、勤務評定が行なわれるようになっておるわけでございますから、同じように考えるべきものだと思います。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 研究能力をおもな点とした評定をします場合に、直接文部大臣がされるということになりますと、はなはだ問題が多いと思います。有能な方でいらっしゃいましても、やはりこういう研究所の高度な研究者の能力などということを一々評定するということは、かなり不可能に近いというように思いますけれども、その点いかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 文部大臣が勤務評定の実施の責任を持つといたしましても、これは一般の職員の場合もそうでございますけれども、評定の実施者、調整者は、それぞれの職域に応じて、指導、監督の実質を持っておる者が当たることになっておりまして、大臣としては全体の実施責任を負うということに現在でも相なっておるわけでございます。直轄の研究所におきましても、一般の研究所の所員等につきましては、研究所の所長が評定の実質上の責任を持って処理をするということになるわけでございますから、その点は文部大臣が個々の研究者の評価を実施しておるわけではございません。どの職場につきましても同じでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 いまの局長のお答えからしましても、個々の職員の評定は、実質的にはそこの所長なり研究者の組織でなさるべきだということでございますね。そういたしますと、いま法制的にはその保障がございません。実際にはそうやられていましても、制度上は保障がないのですけれども、これは省令を改正しましてそういうふうに制度的に保障すべきではないでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 勤務評定の実施につきましては、文部大臣がそれぞれ研究機関その他支分部局の実態に合うように責任機関をきめて運用をいたしております。先ほど申し上げましたように、全体として文部大臣は勤務評定という制度を運営する責任を持っておりますが、個々の評価はそれぞれその場にあります局長あるいは所長その他の責任者が評定をいたすように現在の仕組みができ上がっておるわけでございまして、御指摘のとおりになっておるわけでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 仕組みができ上がっているとおっしゃいますが、法制上の歯どめというものはございませんね。いかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 省令という規定をとって、運営につきましては人事院のほうでルールがあるわけでございますが、それに基づきまして、文部大臣が文部部内におきましては必要な訓令を設けて取り扱いを指示しておるわけでございまして、実質的に研究員の評価につきましては、研究所の所長が担当することになっておるわけでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 訓令といいますと、これは法的拘束力がありませんね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 文部大臣が事務を処理いたします内部部局の定めでございまして、これは大臣がそれによって処理をする次第でございます。事柄の性質上、省令のように部局を越えた一般的なものではございませんで、内部部局の処理に当たるという意味での規定の性質上、訓令ということにいたしてございますが、実質的にそれで十分実情に合うような処理が行なわれておる、このように考えます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 もう一度お聞きいたしますが、そういたしますと法的な拘束力というものはないわけでございますね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 法的には、人事院の局長も見えておりますから御説明もあろうかと思いますが、文部大臣が全体としての責任を負っておるということでございまして、個々の評定につきましては大臣が実情に合うように責任者にゆだねるということが当然だと考える次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 その辺の仕組みを人事院からちょっと伺いたいと思います。

中村博人事院事務総局職員局長

○中村(博)政府委員 一般の国家公務員の勤務評定につきましては、人事院規則の一〇-二というのがございまして、これが基本的な根本基準をきめております。  そのやり方につきましては、政令がございまして、さらにそれに基づきます規則がございまして、詳細な手続をきめておりますが、基本的には各省各庁の長が実施権者となり、そして各段階において評定権者、あるいは調整者というものがあって、その結果勤務評定が行なわれる、かような構造に相なります。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 それではその訓令を資料として出していただきたいと思います。後ほどでけっこうですが、見せていただきたいと思います。  続けますが、そうしますと、いまのような仕組みになっているということからいいましても、法的に文部大臣が評定をするというようないまの法構造というものは欠陥があるわけですね、実際はそういう形で補われているということから言いましても。どうなんですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 委員の定めに従いまして、文部大臣が実施の責任者であるということは、別に欠陥でも何でもないと考えます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 さっきから質問しておりますように、この評定権者も文部大臣でございますね。間違いなくそうですね。十二条を適用しますと、そうなりますね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 教育公務員特例法の十二条を受けまして大学管理機関が行なう。この管理機関は任命権者というふうに準用の場合に読みかえてあるわけでございます。したがいまして、文部大臣が勤務成績の評定及び評定の結果に応じた措置をとるということになるわけでございますが、これは勤務成績の評定という事柄全体についての文部大臣の責任を明らかにしたものでございます。大学の場合には、そのことにつきましての処理を大学管理機関が負う、こう書いてあるわけでございますので、文部大臣が一々所員について評価をしなければならぬというふうには書いてございません。どの職員の場合につきましても、文部大臣が責任をもって勤務評定を実施するために一番適切と考える職員が文部大臣を補佐して具体的な評価を行なう、こういう手順になっておる次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 そうしますとやはり大臣が評定権者だというお答えだったと思いますけれども、これが実際には非常に不備であるということだと思います。実質的にはほかの方が評定をしまして、それを大臣のところに意見を述べていくという形になると思うのですけれども、大学の職員の場合には、教授会の意見に基づいて学長が文部大臣に申し出る形になっていると思いますが、そうですね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 特例法十二条の規定は二十五条によりまして管理機関の読みかえがありまして、大学の学部の教官の場合は「教授会の議に基き学長」が行なうということになっております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 ですから、大学の学部の場合とは扱い方がたいへん違うわけでございますけれども、結局は、その学部の場合には教授会の議に基づいて学長が申し出てそして文部大臣がそれをなさるわけですね。もう一度伺わせてください。そうでしょう。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 大学の「学長、教員及び部局長の勤務成績の評定及び評定の結果に応じた措置は、大学管理機関が行う。」こう書いてございまして、そして「大学管理機関」は、読みかえがございますが、「教員及び学部長にあっては「教授会の議に基き学長」」ということになっておりますから学長どまりでございまして、文部大臣には関係ございません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 ですから、ますます違ってくるわけなんですね。大学の場合には学長どまりになっているわけでして、そして実際には、高エネルギー物理学研究所などの場合には、文部大臣が評定権者ということに法制上はなりながら、しかし、不都合なために実際には訓令その他で補っていらっしゃるということだと思います。そうでしたならば、法制的にも所長なりが勤務評定をするような形に制度上改正すべきであると思いますけれども、それが私の意見でございますが、どうですか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 評定権者ということばにつきましてちょっと私はそれをそのとおり使っておらないのでございますが、それは「学長、教員及び部局長の勤務成績の評定及び評定の結果に応じた措置は、大学管理機関が行う。」この「大学管理機関」のところを準用いたしまして「任命権者が行う。」こう書いてあるわけでございます。それは任命権者の責任においてそういう評定あるいは評定の結果に応じた措置を行なうという勤務評定制度なんでございます。ですから、研究所の職員、その他一般の文部部内の職員につきましては、文部大臣が勤務成績の評定及び評定の結果に応じた措置をあわせてとる責任のものであるということでございます。個々の職員についてどのような評定をするかというのは、その評価をするのに適切な人間が評定を行なう、こういうことに定めてあるわけでございます。(「よくわかります」と呼ぶ者あり)

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 私にはさっぱりわからないのですが、そうしますと、評定権者はだれになるのですか、いまのお答えですと、評定権者はだれになりますか。この十二条をそのまま解釈しますと、だれになりますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 高エネルギー研の場合には、大臣が所長をして所員の評定を行なわしておる、こういう次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 そうしますと、評定の最終責任者は文部大臣ということでございますね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 高エネルギー研究所の所員に対します勤務評定制度の責任は文部大臣が持っておる、こういうことでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 そうしますと、先ほど評定権者ということに疑問があるというふうにおっしゃいましたけれども、いまのお答えと矛盾があるわけですが、やはり法律というのはそのまままっすぐ解釈すべきであって、その点で歯どめのないようなもの、不備なものについては省令その他で補っていく、省令の改正その他で制度的に保障していくということが必要だと私は思います。いかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 くどいようでございますが、法律は評定権者とは書いてございませんので、「勤務成績の評定及び評定の結果に応じた措置は、任命権者が行う。」というふうに準用させていただいております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 そうしますと、評定の最終責任はだれがとるのですか。評定はだれがしますか。どうもわからないのですが……。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 職員の勤務成績の評定につきましては、実際に評価を記入するもの、またそれを調整するもの、いろいろな段階で評価を加えていくという制度になっております。そういう制度を全体として実施するのが文部大臣の責任である、こういうことになっておる次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 そうしますと、評定は所長がやってよろしいですか、それならそれでも……。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 研究所の所員の評価は、所長が実施をいたす次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 所長が実施をして――法的にはそうでない形になっておる、ここのところは検討の必要なところだと私は思いますが、いかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 法令の規定その他、最終責任が大臣にございますから、いろいろな場合に文部大臣とか任命権者ということばが出てくるわけでございますが、現実の処理は、そうした人の責任においてそれぞれ適切に事が運ばれておるわけでございますし、私ども何も矛盾しておるとは考えておりません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 私の最後の意見としまして、この点は省令を改正しまして、所長が評定の責任をとるというふうに制度上も保障すべきだ、そのことを私は主張しておきます。  それでは次に、高エネルギー物理学研究所の組織運営規則を見ますと、ここに評議員や運営協議委員の任命は文部大臣が行なうというふうになっております。そうですね。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 そのとおりでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 評議員、運営協議員の性格からいいましても、このメンバーの方々というのは高度の研究者でございますけれども、文部大臣が任命をされる、任命すべきかどうか判定する素材としまして、もっともっと学術会議その他の意見を反映するような法制上の保障が必要だと思いますが、その点いかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 文部大臣が所管の責任を負います共同利用研究所として設置されておるわけでございまして、他の一般の研究所の場合もそうでございますけれども、運営を適切にいたしますためにその研究所の目的に関係をした適切な方々を評議員として御委嘱を申し上げております。一般の場合も同様でございます。やはり関係者の意見を徴しながら、高エネルギー研究所の場合には所長の進言を一番中核にいたしまして、私ども、評議員を御委嘱申し上げております。支障ないものと考えております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 私が主張しておりますのは、実際にはそうやっていらっしゃると思いますが、法制上意見が反映されるような制度的な保障がやはりここでも必要だと思いますが、その点いかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 運営上やはり一番趣旨に適した適切な運営を心がけていくことが私どもとしては一番大事なことであるというふうに考えておりまして、評議員の選任その他、できるだけ慎重を期して取り運んでおる次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 いま私が申しました幾つかの点、不利益処分についての教育公務員法の適用をすべきであるということや、それからいまの十二条、勤務評定についても、法制上の評定権者が所長であるようなことを保障すべきだということ、いまの評議員、運営協議員の任命について、学術会議の意見が十分に反映できるようにもっとすべきだという意見を申し上げて、この点での質問を終わらせていただきます。  それでは続きまして、三つの医学部また医大の設置に伴う問題で質問させていただきます。  まず医学部、医大の設置ですけれども、ことし四十八年に三校、来年四十九年に四校の設置がきまっておりまして、残りがまだ九県、医大、医学部のない県があるというふうに聞いております。そこで、ことし旭川、愛媛、山形がまず選ばれました。その理由はどういうところにありますでしょうか。いま各県ともに医大の設置という要望がかなり強いようですけれども、その中で三県が選ばれました要件になりましたのはどういう点でしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 やはりそれぞれの地域におきます医師養成の必要数、それからまた設置をしてまいりますのに必要な関係諸条件の整備、そういう点を勘案いたしまして今回御提案申し上げております三つを選んだ次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 医科大学設置調査会の黒川報告があるわけですけれども、この中で「当面の医科大学設置場所選定基準」というのがございます。御存じでいらっしゃいますか。それでこの中に医科大学設置の条件としまして「態勢が整っていること。」ということがございますが、いま局長のお答えになりました内容は、この態勢が整っていることに該当するのでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 ここにあげております諸条件を、私が包括して申し上げたつもりでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 その他の条件もございますけれども、態勢が整っていることという中に「医科大学の設置、運営について地元の具体的な協力、援助が得られること。」と書かれております。この援助の内容というのはどういうのでございましょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 医科大学がさら地にぽつんと存立し得るわけではございません。やはり大学一つつくるにいたしましても、その地域に、取りつけ道路から始まりまして、いろいろなエネルギーサプライその他医科大学がつくれるような態勢がなければつくれるものではございません。ですから、そうした医科大学を設置しまた運営するにいたしましても、これは極端な例ではございますが、やはり解剖体の確保その他の協力というのは、医学教育で解剖その他を実施します場合に非常に重要なことなんでございます。こうした地域の方々の協力、援助というものがなければ、医科大学が孤立して存在し得るわけにまいりませんから、そうした地域の御協力というものを大事に考えていきたいというふうに思っておる次第であります。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 援助の中に、たとえば経費の一部負担とか、その医学部とか医大の校舎の一部を地元が負担するというようなことが入っておりますでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 医学部あるいは病院をどこにつくるかという点につきまして、やはり地元の御協力がなければつくれません。その意味では地元の方々に、地元地域の将来の発展とも考えあわせましてこの地域につくるのがいい、そういう土地の提供その他について御協力をいただくということはお願いをいたしております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 医学部の校舎の一部を地元が負担するというような問題について、そういうことも入っておりますか。さきに御質問いたしましたが、もう一度伺います。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 今回御提案申し上げております三医大につきましては、校舎その他は国立の学校として国のほうで整備をしていくという考え方で進めております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 私、旭川、愛媛、山形の医大、医学部建設について、地元がどのような負担をしているかという資料を手に入れました。地元の調査によりまして、私これを持っておりますが、たいへん大きな地元負担をしております。たとえば旭川医大に関しましてすでにいままでに完了している、地元の負担している事業だけで総額二十八億円もございます。御存じでいらっしゃいますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 先ほど申し上げましたように、医科大学が地域の中で医科大学としての機能を発揮し得るように、地域の態勢の整備ということをそれぞれお願いをいたしてございますから、その意味で地元の関係者が相当の御協力をなすっているということは承知しております。金額についてはいまつまびらかにいたしておりません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 この旭川医大の二十八億の内訳ですが、北海道が十九億出しております。旭川市が六億、設置協力会といいますものが三億円を現在まで負担しております。この中で、たとえば医学進学コースの校舎三十五教室二億四千万円、これは地元が負担しております。こういう問題をどうお考えになりますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 医進校舎の点につきましては、私ども心当たりがございません。旭川につきましては、国立の北海道教育大学の旭川分校のあいた校舎をとりあえず医進課程の校舎に予定いたしておりまして、そうしたものは別に御用意していただくというふうな考え方にはなっておりません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 それでは、それはよく御調査いただきたいと思います。  それから、エネルギー関係の整備、設置等二億三千万円、これは旭川市が主体となって負担しております。いかがでしょうか、この辺は。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 大学の施設あるいは大学病院等をつくります場合に、地元で一番御希望になりまして用意されました都市に校舎あるいは病院をつくるにいたしましても、そこへくるまでのエネルギー関係の施設を、やはり地域としての御協力をいただきたいというふうに私どもは考えております。これは大学のキャンパスの入り口のところまで持ってきていただきたいというお願いをいたしております。それがございませんと、大学としては機能のしようがございませんので、そういう点での御協力はちょうだいをいたしております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 次に、その宿舎、一万一千坪の病舎ですが、これは職員の宿舎です。百三十戸地元が負担しておりまして、二百七十戸国が負担しております。このうち地元負担にかかる分が八億六千万円ございます。この辺はどうお考えになりますでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 国立大学一つつくりますと、約一千人の関係者がそこに勤務をするようになるわけでございまして、これはその地域の市民、住民として生活もするわけでございます。こういう勤務者がそこの地域で勤務できるような態勢になるということは、やはり地元の御協力なくしてはできないことだと思っております。先ほど御指摘がございましたように、国家公務員でございますから、その勤務者に対して国が施設を提供するという一面もございます。しかし、全部の国家公務員が公務員宿舎にみんな入っておるわけでもございません。またその地域の方々が、国立大学に勤務をして御協力をいただくということもございます。そうした方々の受け入れを、地元住民としてあたたかく受け入れていただくという御協力はお願いしたいものと思っておりまして、何がしかの宿舎を地元のほうで御提供いただき、発令をする職員ですぐにでも勤務できるような態勢はお願いしたいというふうに申しておる次第でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 いま三つほど旭川市への負担の状況について私が申し上げました。大蔵省当局、御存じないところもあったわけでございますが、もしこのような事実がありましたならば、これは地方財政法に照らしてどうであるかということを、それぞれの点について自治省からお答えをいただきたいと思います。  最初の第一点が、医学進学校舎の仮校舎を二億四千万円地元が負担しているということ。御存じないということでしたけれども……。  第二点が、エネルギー関係の整備、設置等です。大学の入り口までならよいのかということ。また、学内までこれを設置していたという場合もあるわけですが、そのような場合はどうか。  それからいまの宿舎です。医大を建設するために必要な国家公務員の宿舎の三分の一くらいを地元が負担している。八億六千万円。こういう点に関しましてどうお考えになりますでしょうか。地方財政法の立場から見てどうかということをお答えいただきたいと思います。

福島深自治省財政局指導課長

○福島説明員 地元負担の問題についてでございますが、地元負担と申しましても、ただいま御指摘のありましたように、道なり市町村という地方公共団体が負担をする場合、それから地元で結成をいたしております期成会あるいは協力会等が負担をする場合、いろいろあろうかと思います。地方財政法並びに地方財政再建促進特別措置法で規定をしておりますのは、国と地方公共団体との間の適正な財政秩序の維持を目的といたしまして規定いたしておるわけでございます。かりに仮校舎等につきまして、地方団体がそういうものを建てまして提供する、あるいはその経費を持つということになりますと、これは問題があろうかと思います。  それからエネルギー関係につきましても、これは専用部門ということになりますといわゆるこの構内の問題になりますので、これを持つということになりますと問題でございますけれども、入り口までのエネルギー関係の施設につきましては、これはその地域の開発にも関連をするところがあろうと思いますので、一がいにこれが法律に抵触をするしないの議論は、実態を見ないと非常にむずかしい問題ではなかろうかと思います。  宿舎の問題につきましても、こういうものを地方公共団体が建設をして、そうしてこれを無償で国に渡すとかあるいは貸すとか、そういうようなことになりますと、これはよく実態を検討してみなければいけませんけれども、問題があるのではないかというふうに考えております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 次に、いま自治省からそのようなお答えがございましたが、今度の旭川市の地元負担の中で設置協力会というものがつくられて、ここで三億円の寄付をしております。このような協力会とか後援会とか、類するものをつくることに関しましてどう考えたらよいのでしょうか。自治省から伺いたいと思います。

福島深自治省財政局指導課長

○福島説明員 民間で協力会を設置をすることにつきましては、地方財政法関係の立場から申しますと特段の意見を申し上げる筋合いではないと思うわけでございますけれども、医学部の設置ということが、その地域の開発なりあるいは住民の福祉につながるということで民間的な協力をするということであれば、それに対しましてそれを否定をするという見解は自治省としては持っておりません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 この旭川市の設置協力会の中には、理事としまして道の副知事また旭川市長が入っておりますが、このように地方自治体の長が参加しているということは問題になると思うのですが、いかがでしょうか。

福島深自治省財政局指導課長

○福島説明員 御質問をされるような疑いが持たれる点もあろうかと思いますけれども、そのことをもって直ちに協力会そのものが、地方財政法なりあるいは再建法の規定の趣旨に抵触をするということまでは言えないのではないかと考えております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 重ねて伺いますが、その直ちに抵触しないというあたりですね、その辺をもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。

福島深自治省財政局指導課長

○福島説明員 たいへん判断が、何と申しますか、ストレートな判断がむずかしいのでそう申し上げたわけでございますが、入っておるから抵触をするということではないということでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 そうしますと、市町村、地方自治体が寄付などをするならば抵触するけれども、ただ参加していたのでは、しないというふうに解釈していいわけですか。

福島深自治省財政局指導課長

○福島説明員 形式的にはおっしゃるとおりでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 それでは、かなり旭川医大に関しましては、私が手に入れました資料のとおりでございますと、自治省の立場からいま御説明いただいたような問題があるわけでございます、そのままでございましたならば。ですから文部省としましても十分に調査をしていただきたいと思うのですけれども、こういうことがあった場合、あるとするならば、このことについてはどういう立場で対処なされますのか、文部大臣に伺いたいと思います。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 何か国と地方で協力し合うようなことが悪いように私には受け取れるのですけれども、私は、無理な負担を地方団体にしいてはいけない。また、そういうたてまえにおいて地方財政法ができているわけでございます。したがいまして、そういう点で無理な負担をしいている面がございましたら教えていただきまして、そういうことの是正につきまして私たちといたしましては最善の努力を払ってまいりたい、こう考えるわけでございます。やはり国も地方公共団体も、住民全体のために、その福祉の向上のために努力をし合っている団体でございますので、当然に力を合わせていかなければならない。しかし、国の負担すべきものを無理に地方に押しつけるというようなことは避けなければなりませんので、そういう事例がございましたら教えていただきまして、改善に努力を払っていきたいと思います。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 いま大臣お答えでございますが、先ほど自治省からのお答えですと、いま私が最初言いましたような内容があるならば地財法に照らしてみて問題であるということをおっしゃっていらっしゃるわけです。無理な負担があるかないかという抽象的な問題ではなくて、やはり具体的に法に照らして考えていかなければならないと私は思いますので、そういう点でもう少し大臣の御見解をはっきりしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 最初に御指摘のございました施設、教室を地元につくってもらっているというケースは旭川にはございません。これは私どもとしては知らないことでございます。  それからエネルギーサプライその他は、やはり医学部ができ病院ができて、その地域がやはりその地域として発展していくということに対応するものでございまして、これはその地域の発展計画、地元の御当局がここにこういうものがあってほしいという御要請、それと私どものつくるという仕事が円滑に手を結んで仕事ができるようにするために必要なことでございまして、別に地方財政法に抵触をするようなことではないというふうに私ども思います。また、宿舎につきましても、地域住民としての受け入れをお考えいただくということでございまして、つくった宿舎を国にほしいというふうに申し上げているわけでも何でもございません。そうした実質的に大学が設置し運営できるように地域の方々に御協力をいただくということは必要なことでもあり、また願わしいことでもありますし、私は相ともに充実していくために必要なことではないかというふうに考えておりますので、地方財政法に抵触するというふうには理解をいたしません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 宿舎に関しまして、さっきの自治省とちょっと御見解が違うのですが、その辺をもう少しはっきりさせていただきたいのです。さっきおっしゃいましたね、公務員宿舎を地元につくらせて、そこに国家公務員を入れるということは問題だというふうに。そうであるならば問題だというふうにおっしゃったと思いますが、その辺もう一度伺っておきたいと思います。

福島深自治省財政局指導課長

○福島説明員 宿舎につきましては、まだ建設をしているかどうかつまびらかにいたしておりませんけれども、宿舎をつくってそれを国に提供するとか、あるいは宿舎をつくる経費を寄付するとか、そういうことを地方団体が行なった場合には問題であるということを申し上げたわけでございまして、現に国に対しまして無償でそういうものを提供しているというようなことは聞いておりません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 わかりました。いま二十八億円の事業内容というのはもうすでに完了しているというふうに旭川から言っておりますので、ぜひ御調査をお願いしたいと思います。  引き続きまして愛媛でございますが、愛媛大学の医学部、非常に問題があるものですから困るのですね。地元協力会が六億円を出しておりまして、四十七年から五十年度にかけて集める予定で、現在三億円くらい集まっているということでございます。この中で、やはり医学進学課程の実験実習費二千万円を負担しております。それから医学部専門課程の実験実習費、診療器具四億円を負担しておりますけれども、こういうものの負担ということは、もしこれが事実であればやはり地財法に触れるのでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 今回つくります三つの医科大学につきましては、地域の診療体制との関連もからみまして、医科大学としての必要な設置基準と比べますとやや小さい病院をつくることにいたしております。その部分は地域の関連教育病院の御協力ということによって処理をしていく、そのほうが教育上もまた地域の診療態勢としても適切であろうという考え方をとっておるのでございます。したがいまして、それぞれの受け入れ地点の方々が、関連教育病院としての学生の受け入れその他について地元の関係病院の教育態勢を整備する、こういう点での御協力をいただいておるということは事実でございます。またそういう意味で関係の教育病院が充実していくということは地域の診療態勢の充実にもいいことであろうというふうに考えております。いま御指摘になりました金額がどういうところからどういうふうに出ておるのか、私ちょっといまここで明らかにしておりませんけれども、私のほうといたしましては、大学自体のほかに地域の病院の充実整備をしていただいて、それが関連教育病院として協力できるようなものになりたい、こういうことで御協力をお願いしていることはございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 関連教育病院はまだまだほかに非常に費用をかけております。いま私が御質問いたしましたのは関連教育病院とわざわざ切り離しまして申し上げたわけです。関連教育病院の中でいろいろかかっていることにも問題があると思いますけれども、切り離して申し上げたわけです。愛媛などの場合医学部や関連教育病院の図書だけで九千四百万円も使っております。これはいま切り離して申し上げたので、医学進学課程の実験実習費などでございます。ですから、これはまさにもう間違いなく教育をするために必要な実験実習費として申し上げたのですけれども、そういう点でいかがでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 地元の協力会からそういう整備につきまして何がしかの御協力をいただくということはあろうかと思っております。しかし、これは別に地方財政法に関係のあることではございません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 この三大学医学部設置につきまして、地元負担の問題では非常にいろいろと問題があるようでございます。ぜひ厳密な調査をなさいまして、そしてないはずということでなくて、あるのかないのか正確に文部省の責任としてお調べいただきたいと思います。その調査なさいました結果はぜひいただきたいと思います。  次に、この三大学医学部の設置に伴う用地の問題なんですけれども、この用地はどんなふうになっていますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 これは地元の将来の発展計画と一番関係の深いところでございますから、地元の方々はどこにつくってほしいかという点では一番大きな関心をお持ちでございます。また、その意味でお骨折りもしておられるわけでございますから、用地を確保していただきまして、それを大学がつくれるように提供していただく。それに対しては借料を考えておるというのが今日の段階でございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 どの程度の借料でお借りになるのでしょうか。一平方メートル当たりどうなのか、総額としてそれぞれどうなのかということを三つの大学医学部についてお聞かせください。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 今日のところは施設を整備するということでございますから、御用意いただいた土地に対して施設を整備するという段階で借料を考えておる次第でございます。これが今後大学としての体制が、法律が御承認もいただいて成立して整ってまいりましたならば、それに応じて借料を考えるということにいたしてございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 それではまだ幾らで借りるかということもきまっていないし、いつから払うかということもきまっていないわけでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 四十八年度から使用を開始いたします部分につきまして時価によって借料をお払いする、こういう考え方でございます。(発言する者あり)

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 まだ始まっていないからというふうな声がだいぶございます。それではすでにやられております秋田大学の医学部、ここの用地はどんなふうになっていますでしょうか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 秋田大学につきましては、現在のところ地元から用地を無償で貸していただいております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 秋田大学ができますときには、いずれは有料でというようなお答えがあったようでございますが、これが無償になったわけです。無償になりました経過というのはどういうことなのでしょうか。その他現在の、今度の三つの医大については有償でとおっしゃいますけれども、秋田が無償ということですね。これはどういうことでしょうか。地元に大きな負担を負わせていると思いますけれども……。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 秋田大学の医学部をつくる際には、地元の秋田県御当局からそのような趣旨のお話がございまして、そのお話を受けて無償で借り受けて、秋田大学の整備をいまいたしたところでございます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 大蔵省に伺いたいのですが、地方自治体の所有地を国が借ります場合、普通どんなふうな手続をとっているのか、またどんな形で賃借料を払っているのかということと、逆に国有地を貸している場合、自治体の、たとえば小中学校などに貸している場合、どうなっているのかということ、大体の概要をお聞かせいただきたいと思います。

川崎昭典大蔵省理財局国有財産第二課長

○川崎説明員 お答えいたします。  大蔵省の所管しております国有地を貸し付けます場合には、貸し付けの基準というものがございまして、各地方によりまして、坪当たり幾らになるという計算をして貸すわけでございますが、国が借ります場合には、それぞれの行政目的があって借りるわけでございますから、大蔵省が借りるという形をとりませんで、文部省なら文部省、厚生省なら厚生省と、そういう所管省庁が借りるという形をとるわけでございます。したがいまして、その場合の借料は、予算的な意味での統制はあろうかと思いますが、私どものほうで一般的な統制はいたしておりません。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 貸し付ける場合には基準がきちんとあって借料を取っていますが、借りる場合にはその辺がはっきりしていないというのですけれども、その辺で秋田大学の無償の問題などもからんでまいりますけれども、やはり地方自治体に大きな負担を負わせないという立場から考えまして、その辺をもう少し調整していく必要があると思いますが、いかがでしょう。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 自治体がどういうふうな土地の提供をしてくださるか、自治体との御相談で私どもも御協力を得たいというふうに思っております。国立大学をつくりますのは、やはり地域の方々と一緒になって協力しながら地域の中の国立大学としていいものをつくっていく、こういうことでなければいけないかと思っております。その意味での必要な御協力はお願いし、また国としてのなすべきことはいたしまして、目的を達成したいと考えております。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 秋田の場合には四年間すでに無償になっておりますが、たとえば地方自治体から有償にしてほしいといったような要求がありましたならば、文部省としてはしかるべき措置をおとりになりますか。

木田宏文部省大学学術局長

○木田政府委員 もともと無償でという御提案がございまして、そのようにお約束をさせていただいているわけでございますが、また先方のお話がございましたならば、それによって御相談をさせていただきます。

栗田翠日本共産党・革新共同

○栗田委員 それでは、私はいま医大設置の地元負担に関してだけ質問させていただきました。あとまだ医学部また医学部の付属病院などに関係しまして、実はたくさんの問題点がございます。ずっとたくさん質問をしたいとも思いましたけれども、かなり時間が過ぎておりますので、きょうはこれで私の質問を終わらせていただきたいと思いますが、最後に、やはり医大設置に関係しまして、さっきも申しましたようなかなりの問題がありますので、ぜひ御調査をお願いして、妥当な措置をおとりいただきたいということをあらためてお願いしておきます。  各省にいらしていただきまして、まだ御質問していないところもございます。たいへん御足労いただきましたけれども、私はきょうはこれで終わらせていただきます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次回は来たる六月一日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十五分散会

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