文教委員会 第15号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/04/25
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 木島喜兵衞君外七名提出の、学校教育法の一部を改正する法律案、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案、及び教育委員会法案の各案を議題とし、提出者から順次提案理由の説明を聴取いたします。木島喜兵衞君。
○木島議員 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 御承知のとおり、昭和二十二年、学校教育法が制定されるとともに、養護教諭の設置が定められました。次いで、昭和三十三年には学校保健法の制定を見、学校における保健管理は、教育の重要な一部門として位置づけられたのであります。かくて、学校医等が常勤でないわが国においては、学校保健の管理上、養護教諭の配置がきわめて重要な意義を持つものとなってきました。しかるところ、近年、わが国における社会、経済等の急激な進展を背景として、公害をはじめ、健康を阻害する要因が著しく増加しつつあるので、地域社会や学校現場より、児童及び生徒の生命と健康を守るために、養護教諭の必置を求める声がますます高まってきております。 しかしながら、学校教育法第二十八条及び第四十条において、小学校及び中学校には「養護教諭を置かなければならない。」と定められておりますが、第百三条には「当分の間、養護教諭は、これを置かないことができる。」と規定されているため、本法の施行後二十六年を経過した今日においても、なお財政上等の理由により、これが養成及び配置が遅々として進んでおらないのであります。これは行政上怠慢というほかありません。ちなみに、昭和四十七年度の養護教諭の全国平均配置率は、わずかに公立の小学校四六・九%、同中学校四五・九%に過ぎず、養護教諭等の定数についても小学校児童数八百五十人に一人、中学校生徒数千五十人に一人という標準で算定され、僻地学校の数等による加算が認められたものの、これが定数の増加はなかなか期待できない状況にあります。さらに、その配置基準は、大規模学校中心であり、小規模学校における児童及び生徒の健康管理はなおざりにされていると申さねばなりません。 次に、高等学校においては、同法第五十条第二項で「養護教諭を置くことができる。」と任意設置の規定になっているため、養護教諭は、全旧制の課程、定時制の課程の兼務も余儀なくされて労働過重となっております。 以上のような事態を反映して、地方の学校においては、養護教諭の相当数が困難な数校兼務をしいられ、あるいは交通費も支給されず自弁で兼務するものや、遠隔地の学校または山越えしなければならない学校へ兼務するものなどの事実が指摘されているのであります。そのため流産や健康阻害、交通事故等の危険にさらされ、児童及び生徒の健康管理が十分に行なえないばかりか、養護教諭自身の人権問題として表面化してきております。 よって、この際、学校における児童及び生徒の生命と健康を守る立場から、三年後にはすべての小学校及び中学校に、また五年後にはすべての高等学校にそれぞれ養護教諭を配置しなければならないこととするため、本案を提出した次第であります。 以下、法案の概要について申し上げます。 第一は、高等学校に置かなければならない職員として養護教諭を加えることにしております。 第二は、小学校及び中学校に養護教諭を置かないことができる期間を、「当分の間」から「昭和五十一年三月三十一日までの間」に改めるとともに、高等学校には「昭和五十三年三月三十一日までの間」養護教諭を置かないことができることにしております。 第三は、この法律は、公布の日から施行することにしております。 第四は、政府は、すみやかに、養護教諭の養成計画を樹立し、これを実施しなければならないことにしております。 以上が本案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。 ただいま議題となりました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準につきましては、すでに御承知のとおり、昭和三十四年度より同四十三年度までの問、二回にわたり改善五カ年計画が実施され、いわゆるすし詰め学級の解消をはじめ、学級規模の適正化と教職員の配置率の改善が行なわれたのであります。 さらに引き続いて、第三次改善五カ年計画が策定され、昭和四十四年度から複式学級編制の改善並びに学級担任外教員、養護教員及び事務職員の配置率の改善がはかられつつあるのであります。しかしながら、これらの改善措置も、僻地学校や人口の過疎地域及び産炭地域等に存する公立の小学校及び中学校における教育の実情に対応するものとしては、なお不十分な点が多々見受けられるのであります。 すなわち、現在、これらの地域においては、行財政の貧困もさることながら、いわゆるかぎっ子や非行少年等の問題児が激増しつつあり、かたがた多学年複式学級による教育は、児童及び生徒の学習効果を著しく減退させ、かつ、教職員の勤務量も増加の一途をたどり、過重な負担を余儀なくさせているのであります。したがいまして、これが対策として教職員配置の充実をはかるとともに、多学年複式学級編制の解消につとめることは、目下の緊要事とされているのであります。よって、これらの点を緊急に改善する必要があります。 さらに、わが国の学級編制基準を西ドイツ、イギリス、フランスのそれと比較すると、まだ二人ないし十一人を上回っているのが現状であります。 これら欧米先進国並みに教育条件を整備し教育効果を一そう高める必要があります。そこで、現行の一学級当たり児童生徒数を改めようとするものであります。 以上の理由により、義務教育水準の維持向上に資するため、本案を提出した次第であります。 以下、本案の内容について御説明いたします。 第一は、公立小学校及び中学校の学級編制の改善であります。 すなわち、その一は、義務教育の水準の向上をはかるため、現行法における一学級四十五人の標準を四十人にするとともに、特殊学級の一学級十三人の標準を十人に改めることであり、その二は、僻地学校等の教育を充実させるため、小学校における三個学年複式学級を解消するとともに、二個学年複式学級編制の児童の数の標準を現行の二十二人から十五人に改めることであり、その三は、僻地学校等の同学年の児童または生徒で編制する場合における一学級の児童または生徒の数の基準を三十人とすることであります。 第二は、公立の小学校及び中学校の教職員の定数の標準の改善であります。 すなわち、その一は、小学校教育の指導密度を高めるため、専科担当教員の配置率を新たに定めること。 その二は、五学級以下の小規模学校及び僻地学校等について、それぞれの教育の指導体制を充実するため、教員の数の加算を行なうこと。 その三は、特殊学校を置く小学校及び中学校について、特殊学級における教育効果を高めるため、教員の数を加算すること。 その四は、養護教育の充実を期するため、養護教員の配置基準を改善し、養護教員は小学校及び中学校に必置することとし、十八学級以上の学校及び僻地学校等について、その数を加算すること。 その五は、学校事務の円滑な運営をはかるため、小学校及び中学校の事務職員の配置基準を改善し、さらに学校図書館の重要性にかんがみ、小規模校においても学校図書館事務担当の事務職員を配置できるよう定数の改善を行なうとともに、学校給食の完全給食実施校について、給食事務に従事する事務職員の数を加算できるよう新たに定めることであります。 第三は、その他関係規定の整備を行なうことであります。 第四は、この法律は、昭和四十九年四月一日から施行することとしております。 第五は、経過措置についてであります。 まず、公立の義務教育諸学校の学級編制につきましては、昭和五十一年三月三十一日までの間は、児童または生徒の数及び学校施設の整備状況を考慮し、改正後の学級編制の標準に漸次近づけることを旨として、都道府県の教育委員会が学級編制の基準を定めることとしております。 次に、公立の義務教育諸学校の教職員定数の標準につきましては、昭和五十一年三月三十一日までの間は、児童または生徒の数及び教職員の総数の推移等を考慮し、改正後の教職員定数の標準に漸次近づけることを旨として、毎年度、政令で定めることといたしております。 以上が本案を提出した理由及び内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。 ただいま議題となりました公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 後期中等教育の拡充、整備の問題は、世界各国におきまして最も重要な教育課題の一つであり、その質的な充実発展を目ざして鋭意努力していることは御承知のとおりであります。 わが国におきましても、今日、急速な社会進歩の中で、高等学校教育に対する国民的要求は年々高まり、いまや高等学校進学率は八七%を突破し、ごく近い将来九〇%台に到達することは確実と思われます。このような国民的熱意のもとに後期中等教育の拡充整備は緊急の課題となっているところであります。 これらの点につきましては、すでに昭和四十一年十月、中央教育審議会から答申が出され、また関係各方面からもいろいろ意見が出されております。 わが国の後期中等教育史をひるがえってみますと、遠く明治のころにその学級編制基準は最高五十名とされていたのであります。明治、大正、昭和と実に百余年、この間の社会の進展は著しいものがありますが、ひとり後期中等教育の基本をなす学級編制基準はほとんど前進をしていないのであります。また、新制高等学校の発足にあたり制定されました高等学校設置基準が公布されて以来、すでに二十五年を経過しておりますが、この基準を下回る貧困な施設・設備、学級編制、教職員配置が依然として行なわれているところに、今日わが国の高等学校教育が当面する最大の問題があります。 今日の後期中等教育は、戦前の中等教育のような一部青少年の教育問題ではなくなってきており、その教育のあり方について根本的な転換が求められているのであります。しかるに、一昨年六月の中央教育審議会答申にも見られるように、能力主義による多様化教育政策に伴って、差別と選別の教育が進められ、青少年は生気を失い混迷と停滞の意識が深まり、いわゆる高校紛争などの問題を惹起しているのであります。さらに、最近の人口の過疎過密現象による教育対策もきわめて重要な課題となっております。 一方、一九六六年九月、ILO・ユネスコの政府間会議で採択された「教師の地位に関する勧告」は、その第九章「効果的な授業と学習のための条件」において、教員の仕事は教員の時間とエネルギーが浪費されないように組織され、援助されなければならないことを明記し、そのための学級規模、補助職員、教授用具及び労働時間など労働条件について詳細に規定しているのであります。 以上のような観点を総合すると、すでに中学校卒業生数が年々減少し、来年度はその最低数を示すといわれる今日、欧米の資本主義諸国、あるいは社会主義諸国に比しても、あまりにも拙悪なわが国の高等学校の教育条件を、この機会にすみやかに是正し、学級編制の規模を縮小し、教職員定数の配置基準の拡大をはかり、もって後期中等教育を質的に充実・発展させることは緊要なことであります。 現行の公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律は、昭和四十二年に改正されたものでありますが、これは、私どもが要望してまいりました改正意見や教育関係者などの要望、さらに各学校の訴えとははるかに遠いものであります。 そこで、現行法の問題点を若干指摘し意見を述べたいと思います。 第一に、学級編制の標準を全日制の課程は四十五人、定時制の課程は四十人としている点であります。 すなわち、国際的趨勢では、一学級当たり三十人前後の標準となっており、また、昭和三十九年東京大学教育学部健康教育学研究室による教室の環境衛生学的調査では、一教室の生徒数は三十人から三十五人が望ましいとしているのであります。 第二に、教職員定数算定の基礎を生徒数に置いている点であります。 すなわち、最近の傾向として、定時制課程はもちろんのこと全日制課程の職業教育を主とする学科の分野においても学年進行に伴い生徒の転出現象が増加してきており、その結果、教職員定数の配置は漸減して、教職員の労働条件は拙悪となり、教育効果の向上もはかれないことになってきていると思うのであります。 また、義務教育諸学校、高等専門学校及び大学の教員定数については、高等学校のような生徒数を基礎にする算定方式をとっていないのであります。したがって、この際学級数を算定の基礎とする方式を採用すべきであります。このことについては、教育関係者等からも強く望まれているところです。 第三に、職業教育を主とする学科について小学科補正をして教職員定数を算定している点であります。 すなわち、この方式は、高等学校教育の多様化を一そう推進することになります。さらに職業関係学科は学級を班別に編成して実習指導をしているのが実情でありますので、むしろ小学科補正をやめ、実験実習の補正による教職員定数の算定方式に改めることが適切であると考えます。 第四に、教職員定数の算定の対象となる職は、校長、教諭等など五職種に限られている点であります。 すなわち、学校に置くべき必要な職種は原則としてすべて定数法に位置づけるべきであります。学校図書館司書、技術職員、用務員など実際に必要な職種はこれを本法に位置づけ、それらの定数を明確にすることが必要であると考えるのであります。 以上の理由により、高等学校教育水準の一そうの向上をはかるとともに、教職員の労働条件の改善に資するため、本案を提出した次第であります。 以下、本案の概要について申し上げます。 第一は、公立高等学校の学級編制の標準についてであります。すなわち、一学級の生徒の数は、全日制の課程にあっては三十五人、定時制の課程にあっては二十五人を標準とすることにしております。 第二は、公立高等学校の教職員定数の標準についてであります。すなわち、公立の高等学校を設置する都道府県または市町村ごとの教職員定数は、校長、教諭等、養護教諭等、学校司書、実習助手、事務職員、技術職員及び用務員の職の種類ごとの算定基準に従い、それぞれ算出された数の合計数に百分の百十を乗じて得た数を標準として定めることにしております。 第三は、この法律の施行年月日を、昭和四十九年四月一日とすることとし、昭和五十三年三月三十一日までの間の学級編制及び教職員定数の標準について必要な経過措置を設けたことであります。 以上が本案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。 ただいま議題となりました教育委員会法案について提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。 教育基本法に、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し、直接に責任を負って行われるべきものである。教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」と明示されておりますが、これこそ民主教育の基本的な精神であると考えるものであります。この精神にのっとり昭和二十三年、教育委員会制度が制定されましたことは御承知のどおりであります。しかしながら、昭和三十一年、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が施行されまして以来、戦後つちかわれてきたこの民主的教育行政制度は根底からくつがえされ、わが国の教育行政は一路中央集権化の道をたどることとなりました。 その例をあげてみますと、都道府県の教育長の任命には、文部大臣の承認を得ることとなり、また、市町村の教育長の任命には都道府県教育委員会の承認を必要とするなど、文部大臣の命令が実質的に末端教育長にまで及ぶことになりました。その上文部大臣の措置要求といった非常手段まで設けられまして中央権力を強め、地方教育委員会の自主性を弱めていることは国民周知の事実であります。 さらに最も注目すべきことは、教育委員会の委員の公選制が任命制に改悪されて現在に至っていることであります。 任命制に切りかわることによって国民が教育に直接参与する権利が奪われる結果となりました。また任命制においては、地方自治体の首長の政策に批判的な者ないし反対な者は委員として選ばれなくなり、首長の意に迎合したいわゆるお手盛り人事が行なわれてきた弊害があります。これでは、教育委員会の自主性の喪失と弱体化は避けられないのであります。また教育財政についていえば、教育予算の原案送付権がなくなりました。これによって、教育財政の確立ということは名目のみに終わったきらいがあります。 かつて、国民に多大の犠牲を強要したあの悲惨な戦争の貴重な反省の上に積み上げられた民主教育の精神は、またもとの封建的思想へ逆行しつつあるのであります。 ここに日本国憲法及び教育基本法の精神にのっとりまして、教育行政を本来の国民の手に取り戻すべく本案を提出した次第であります。 次に、法案の内容の概要について申し上げます。 まず第一に、この法律は、教育基本法の精神に基づき、公正な民意により地方の実情に即した教育行政を行なうために、公選制による教育委員会の制度を設け、もって教育の目的を達成することを目的とすることにしております。 第二は、都道府県及び市町村に教育委員会を置くこととし、都道府県及び指定都市の教育委員会は七人の委員で組織し、その他の市町村の教育委員会は五人の委員で組織することにしております。 第三は、教育委員会の委員は、公選制とし、公職選挙法の定めるところにより選挙することにしております。また、委員の選挙権を有する者は、その総数の三分の一以上の連署をもって、当該地方公共団体の選挙管理委員会に対し、委員の解職を請求することができることにしております。 第四は、教育委員会の職務権限についてであります。 すなわち、その一は、教育委員会は、大学及び高等専門学校並びにこれらの学校を設置する学校法人にかかるものを除き、学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関する事務、教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関する事務、学校の組織編制並びに教科内容及びその取り扱いに関する事務等のほか、当該地方公共団体の区域内における教育に関する事務について管理、執行することにしております。そのうち、特に申し上げたいことは、地方公共団体の長の権限に属する教育事務で、教育財産の取得及び処分並びに教育委員会の所掌事項に関する契約の締結については、これを教育委員会の権限に移すことにしたことであります。 その二は、従来、都道府県知事の所管とされている私立学校に関する事務を都道府県教育委員会の職務権限とすることにしております。 第五は、教育予算及び教育事務にかかる条例案に対する教育委員会の原案送付権についてであります。 すなわち、その一は、教育委員会は、毎会計年度、その教育事務にかかる歳入歳出の見積もり書類を作成し、これを当該地方公共団体の長に送付しなければならないこととし、また、地方公共団体の長は、教育委員会の送付にかかる歳出見積もりを減額しようとするときは、当該教育委員会の意見聴取を必要とし、減額した場合には、当該教育委員会の送付にかかる歳出見積もりの詳細を歳入歳出予算に付記することにしております。 その二は、地方公共団体の議会の議決を経るべき事件で教育委員会の教育事務にかかるものの議案の原案送付等については、前に述べました教育委員会の教育事務にかかる歳入歳出予算の場合に準じた措置を講ずることにしております。 なお、地方公共団体の長は、教育委員会の教育事務にかかる予算について、支出命令権を当該教育委員会に委任するものとしております。 第六は、教育委員会等の教育事務の管理、執行について違反の是正または改善のための文部大臣の措置要求及びこれに必要な調査並びに県費負担教職員の勤務成績の評定に関する規定は、これを設けないことにしております。 第七は、教育長は、一定の資格を有する者のうちから、教育委員会が任命することとしておりますが、この場合、文部大臣等の承認を要しないことにしております。 第八は、教育委員会の会議の公開等に関する規定を設けることとし、その他所要の規定を整備することにしております。 最後に、この法律は、別に法律で定める日から施行することとし、地方教育行政の組織及び運営に関する法律は、これを廃止することにしております。なお、この法律の施行に伴い必要な事項については、別に法律で定めることにしております。 以上が本案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。 ————◇—————
○田中委員長 次に、内閣提出、国立学校設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。奥野文部大臣。
○奥野国務大臣 このたび政府から提出いたしました国立学校設置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律は、新しい構想に基づく筑波大学の創設を含む国立大学の新設、学部の設置その他国立学校の整備充実について規定するとともに、大学の自主的改革の推進に資するため必要な措置等について規定しているものであります。 まず、筑波大学以外の大学の設置等について御説明申し上げます。その第一は、旭川医科大学を新設するとともに、山形大学及び愛媛大学にそれぞれ医学部を設置しようとするものであります。 これは、近年における医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処し、医師養成の拡充をはかるとともに、医学の研究を一そう推進しようとするものであります。 第二は、国立大学の大学院の設置についてであります。 これまで大学院を置かなかった埼玉大学及び滋賀大学にそれぞれ工学及び経済学の修士課程の大学院を新たに設置し、もってその大学の学術水準を高めるとともに、研究能力の高い人材の養成に資そうとするものであります。第三は、東北大学医療技術短期大学部の新設についてであります。 近年における医学の進歩と医療技術の高度の専門化に伴い、看護婦、臨床検査技師、診療放射線技師等の技術者の資質の向上をはかるため、東北大学に医療技術短期大学部を併設するものであります。 第四は、東京医科歯科大学及び名古屋大学にそれぞれ付置する難治疾患研究所及び水圏科学研究所の設置並びに千葉大学の腐敗研究所の改組についてであります。 東京医科歯科大学の難治疾患研究所につきましては、現在同大学の医学部に付属して設けられている研究施設を整備統合し、医学の進歩にもかかわらず、現在なおその病因等が解明されていないために、治療法等が確立されていない難病についての基礎的研究を総合的に推進しようとするものであり、また、名古屋大学の水圏科学研究所は、同じく同大学の既設の研究施設を基礎とし、地球環境の諸問題の解決に資するため、大気水圏環境の構造と動態に関する総合的な研究を推進しようとするものであります。 また、千葉大学に付置されております腐敗研究所につきましては、時代の進展に伴い、腐敗という現象の究明から発展して生命科学の一分野としての生物活性全般に関する研究をさらに推進する必要があることにかんがみ、これを生物活性研究所に改組しようとするものであります。 第五は、国立久里浜養護学校の設置についてであります。 心身に障害を有する児童、生徒のうち、特に障害が重度であり、あるいは重複している者の教育の方法、内容等については、一昨年開設された国立特殊教育総合研究所において実際的研究が行なわれているところでありますが、この実際的研究を行なう上で不可欠となる実験教育の場として、新たに、国立久里浜養護学校を設置しようとするものであります。 第六は、国立極地研究所の設置についてであります。 極地の科学に関する研究は、地球上の種々の自然現象を解明し、また地球の生成、発展の歴史を解くために不可欠でありますが、これまでの南極観測十八年の成果を踏まえ、さらに極地の総合的、科学的研究及び極地観測を推進するため、国立大学共同利用機関として、新たに、国立極地研究所を設置するものであります。 次に、後ほど御説明申し上げます筑波大学の新しい構想の実現とともに、各大学における自主的な改革の推進に資するため、大学制度の弾力化等の措置について所要の改正を行なうことといたしております。 第一に、大学成立の基本となる組織について、これを従来認められてきた学部のみに限定することなく、それぞれの大学において教育、研究上の目的を達成するため、学部以外の教育、研究のための組織を置くことが有益かつ適切であると認められる場合には、学部の設置にかえてそのような組織を置くことができることといたしております。 大学には、従来、特定の学問領域ごとに教育と研究を一体的に行なうための組織として学部が設けられ、これが大学の中心的な組織とされてきたのでありますが、近年における大学教育の拡張と学術の急速な進展に伴い、このような学部を中心とする教育と研究のあり方について再検討を求める機運が高まっており、中央教育審議会をはじめ、各方面における大学改革に関する論議の中でも、この点をめぐる各種の問題点なり提案がいろいろの角度から提起されるにいたっております。すでに海外の諸大学においても、教育研究組織の改善について積極的な検討が進められており、幾つかの大学においては、新しい試みが実施に移されているところであります。わが国においても、現に多くの大学において、学部制度の改善を含め、教育及び研究の基本となる組織のあり方について真剣な検討が加えられているのであります。 そこで、これからの大学制度のあり方を考える場合、大学の基本的な構成要素を単に学部のみに限定する必要はなく、それぞれの大学における教育研究上の必要に応じ、それぞれの大学の判断するところによりさらに弾力的な組織形態をとり得る道を開くことが、大学改革を推進する上でこの際特に必要であると考えた次第であります。 筑波大学の構想はその一つの例でありますが、筑波大学の構想に限らず、今後、大学がみずからの発意により積極的に新しい適切な組織によることを希望する場合には、その内容を十分検討の上それが実現できるようにしてまいりたいと考えております。 なお、以上のことと関連し、従来は大学には、数個の学部を置くことを常例とし、一個の学部のみを置くいわゆる単科大学は特別の必要のある場合にのみこれを認めることとしていたことを改め、大学に学部を置く場合、その数については特に問わないようにすることといたしております。 第二に、医、歯学部における履修方法の弾力化について措置することといたしております。これまで医、歯学部につきましては、六年の修業年限を二年以上の進学課程と四年の専門課程に区分して履修させることとしておりました。しかし、最近における医学の高度の分化発展に伴い専門教育の一そうの充実をはかるとともに、全在学期間にわたる充実した教養教育を行なうため、六年間を通じた弾力的なかつ効率的な教育課程を編成する必要性が医学教育に携わる多くの関係者から指摘されるに至っております。そこで、各大学の判断により、従来の方式をとることも、あるいは六年間を通ずる一貫した教育を行なうことも、いずれの方式をもとり得るように制度を弾力化する道を開くことといたしております。 第三は、大学に必要に応じ副学長を置くことができるようにいたしました。最近、大学の中にはその規模が著しく拡大し、これに伴い組織、編成が複雑化しつつあるものが見受けられるようになっております。このような大学についてこれを有機的な総合体として教育、研究の両面にわたり適確に運営してまいることは丁学長にとってまことに容易ならぬ職責となっております。大学改革に関する多くの意見の中でこのような学長の負担を軽減し、大学の機能的な運営をはかるため、その補佐役を設ける必要があるという指摘がなされていることはきわめて当然のことと思われるのであります。このような観点から、大学がその事情により必要があると判断した場合には学長の職務を助けることを任務とする副学長を置き得ることといたしたのであります。 以上御説明申し上げました諸点はいずれも国、公、私立を通じてすべての大学に適用される規定であり、かつ、大学がみずからの判断によってその採否を決定し得る事項であります。このような制度の弾力化を通じて大学自身の手による自主的な改革が一そうの進展を見ることを強く期待するものであります。 次に、この法律は、以上の大学制度の弾力化を踏まえた新しい構想に基づく大学として筑波大学を新設することといたしております。 この筑波大学は、東京教育大学が自然環境に恵まれた筑波研究学園都市へ移転することを契機として、そのよき伝統と特色は受け継ぎながらこれまでの大学制度にとらわれない新しい総合大学を建設しようとするものであり、かねてから東京教育大学との緊密な連携のもとに、同大学における検討の成果を基礎としつつ、他大学などの学識経験者の参加も求めて検討を進めてまいったものであります。 この大学の特色の第一の点は、従来の大学に見られる学部、学科制をとらず、学群、学系という新しい教育、研究組織を取り入れていることであります。すなわち、学群は学生の教育指導上の組織として編成され、広い分野にわたって、学生自身の希望に基づく選択の中で将来の発展の基礎をつちかうことができるよう配慮されているものであり、それぞれ幅の広い教育領域を擁する第一学群、第二学群及び第三学群並びに医学、体育及び芸術の各専門学群を置くことといたしております。同時に、これらの学群の教育に当たる教員の研究上の組織として、学術の専門分野に応じて編成する学系を置き、研究上の要請に十分対処し得る条件を整備することといたしております。 第二に、大学が開かれた大学として適切に運営されることを確保するため、その管理運営に当たる組織について次のような措置を講ずることといたしております。すなわち、参与会を設置し、大学の運営にあたり、大学自身の自主性を基礎としつつ、必要に応じて学外の有識者の意見を取り入れることができるよう配慮するとともに、副学長のほか、学群、学系などに属する教員により構成されるそれぞれの教員会議と緊密な連携のもとに評議会及び人事委員会等の全学的組織を設け、全学の協調を基礎とした機能的な運営をはかることといたしております。 このうち人事委員会は、学群、学系制度による教育、研究の機能的分化に対処して、教育、研究両面からの要請を勘案しながら全学的な見地に立って適正な人事を確保することを目的とするものであります。 以上のような大学の管理運営方法の改善を通じて、真の総合大学にふさわしい大学の自治の確立を目ざそうとするものであります。 なお、同大学につきましては教育目的に即した総合的なカリキュラムの編成、総合的な研究計画を遂行するためのプロジェクト研究システムの導入等、教育研究のいろいろな面に創意くふうをこらしてまいる所存であります。 この筑波大学は、相当の規模の総合大学を目ざすものであり、その新構想の理念を確実に実現していくため、昭和四十八年十月に開学し以後年次計画をもってその整備を進めることといたしております。また、さきに申し上げましたとおり、同大学は、一面において東京教育大学の発展的解消により創設されるという側面を持つものでありますので、筑波大学の整備と並行いたしまして、東京教育大学については、年次的に閉学措置を進めることとし、昭和五十三年三月三十一日限りこれを廃止することといたしております。 以上のほか、この法律におきましては、国公立の大学にかかる副学長の任免その他について若干の定めをすることといたしております。 その第一は、副学長という制度を新たに設けることに伴い、その任用方法等について規定したことであります。すなわち、大学に副学長を設ける場合には、その任免等の手続は、その職務の内容を勘案し、現行の部局長と同様の取り扱いにすることといたしております。 第二に、学長の選考等に関する事項を扱う大学管理機関としての協議会は、これを廃止し、その権限を、評議会に移すことといたしております。これは、現在、協議会と評議会の構成員が多くの大学においてほぼ一致しているという実情にかんがみ、制度の簡素化をはかろうとするものであります。 以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
○田中委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○田中委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷川正三君。 〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席〕
○長谷川(正)委員 文部大臣に質問をいたします。 現在、御承知のように、春闘共闘会議に結集されたたいへん広範な日本の各労働組合が、今日の激しい物価高の中でその生活を守るために大幅な賃金の引き上げを求め、あるいはまた公務員関係におきましては、労働基本権がまだ十分に保障されてないような現状の中で、完全な労働基本権確立を目標にし、あるいはまた従来そうした情勢の中で幾多の処分を受けてきた、こういうものの撤回を求め、あるいはまたいま国民的な大きな課題になっております年金の問題、老後の保障の問題、こうしたきわめて切実な要求を掲げて春の戦いを進めておりまして、いまこれが戦後最大の規模に盛り上がっていることは御承知のとおりであります。私どもは、正常な労使関係が確立して、使用者と被使用者が公正、対等の立場で、でき得れば平和的な団体交渉の中でものごとが解決されること、これが最も望ましいと思うのであります。特に教育の世界におきましては、大切な子供を扱うわけでありますから、ひときわ労働問題についてはほんとうにそれぞれの所管の使用者、被使用者の間での話し合いによって、しかも、公正に正当に問題が解決するような状態をできるだけ早く確立したいと私は願っております。私自身かつて教職にあり、あるいは教職員組合の運動の一半の責任をになった時期があり、そして年ごとと言ってもいいくらいに賃金の問題や、その他勤務条件の問題あるいは教育全般の改善の問題等について切実な要求を掲げて当局に要求し、いろいろな運動を展開した中で絶えず願いましたことは、でき得れば話し合いで解決してもらいたい、そういう理解ある当局の態度を望む、こういう切実な願いを持ち続けてまいりました。 そういう中で、実は四月二十一日の土曜日の読売新聞の夕刊を私見ますと、「「ゼネスト」へ緊迫」という大きい見出しで、そして「文相が強硬指示 日教組参加者厳重処分を」という見出しの記事が第一面の記事として載っておりまして、私はそれをざっと読みまして、率直に非常に衝撃を受けたのであります。労働運動の問題あるいは教育の問題、これを二重に重ね合わせて考えますときに、特に教育行政の問題につきましては、命令と服従という関係よりは指導と助言、そして条件の整備、こういったことが文教行政の基本であることは、繰り返し本委員会でも議論せられたところであります。 ところが、この文相の報道の中身を見ますと、今日非常な悪条件の中で子供の教育を守るために血みどろになって奮闘しておる現場の教職員の悩み、要求、願い、こういったものに対して、文教行政の最高責任者であられる文部大臣は最もよくこれに耳を傾け、これに理解を持ち、その解決の先頭に立っていただく、そこから非常な信頼と尊敬が生まれる、そういう中で文教行政が行なわれるようであってほしい、これは私の切なる望みであるわけであります。そういう姿勢を期待しておるのに対しまして、いまの見出しの記事はあまりにかけ離れた記事であったから衝撃を受けたわけであります。 そこで、端的にお聞きいたしますが、文部大臣はこのゼネストの非常に高まってきておる時期にあたりまして、新聞の報道では全国都道府県・指定都市教育長会議というものを臨時招集なさって、そこでこの強硬指示をされたというふうに報道されておりますが、それが事実であるかどうか、正確にいつどこでどういう指示をなさったのか、ひとつこれをお聞きいたします。
○奥野国務大臣 新聞に報道されております時期、場所に、教育長さんたちに集まってもらう機会を持ったわけでございます。 その際に、私はいろんなことを申し上げているわけでございますけれども、根本は、今回の半日ストが行なわれる、そのことに関して私の気持ちを訴えたい。私は養護学校の問題や定年制の問題、いろんなことを申し上げましたが、これが基本でございまして、その際に私が申し上げましたのは、私たちはいま先生の処遇を改善したいのです、これに全精力をなげうっているのです、そういうことで法案も国会に提出をしているのだ、その法案の中には、義務教育教員の給与は一般の公務員に比較して優遇されなければならない、その措置を計画的に進めるのだ、こういうことを国権の最高機関である国会で大方針として確定してもらおうとしているのです、そういう意味で非常に重要な時期なんです。同時に、教員の給与はやはり国民の血税からまかなわれていくのだから、国民がこのことについてよく理解を持ってくれないと、私たちがせっかく大きな方針を確立しようと思ってもむずかしくなるのですよ、こういう二つのことを強く申し上げました。 私は基本的に、教育の基本は教師にある、同時に文部省は教育の諸条件を整備する、したがって、ともどもに力を合わせていかなければならない、不幸にして二十数年来、必ずしも好ましい形にはきていない、これを何とか潤いのある姿にしたい、これは私どもの基本的な努力目標だと思っております。したがいまして、組合のことをあれこれ批判することはこういう問題の前進に役立たないのだが、私はストに参加してもらってはいま申し上げましたような二つの大きな問題からいって困るのだ、だからこういうストについてもあえて言及せざるを得ないのだということで、私はこのストの違法性を強く訴えまして、自重をしてもらうように教育長の皆さんに御努力をわずらわしたい、こういうことをお願いしたわけであります。ストに参加してもらわないことがわれわれの最大の目標なんだ、しかし不幸にしてそういかない場合には、やはり秩序を守るためには厳正な処分をお願いせざるを得ない、こう申し上げたわけでございます。
○長谷川(正)委員 新聞の記事によりますと、いま文部大臣も最後のほうでちょびっとおっしゃいましたが、「文相は冒頭のあいさつで、二十七日に予定されている日教組(愼枝元文委員長、五十八万人)の「午前半日スト」を中止させるため個々の教師に対する服務指導を徹底するよう要請するとともに「万一ストが決行された場合、参加者は厳正処分をしてほしい。今回の公務員共闘ストに対しては一、二の省庁だけが処分を軽くし“いい子”になるようなことは絶対にない」と強調、各教委はこれまでにない厳しい、統一した処分をするよう訴えた。」こういうふうにあるのですね。これは、いまの文部大臣の前段のことばには何か教職員に理解のあるようなおことばもありますけれども、いまの緊迫した事態にこういう異例の、従来もほとんどなかったやり方をやられて、しかもそこで呼号されておるのは、要するに厳重処分だ、威嚇である。こういうあり方はとうてい、先ほど申し上げた文教行政のあたたかい指導、助言を中心にした——権力を振り回して、権力主義で有無を言わさず押しつける、こういったようなことをやってはいけないというその考え方とおよそかけ離れているという強い印象を持ち、これはかえって火に油を注ぐようなものだ、こういうふうに感じたわけでありますが、文相はむしろここで強調されるのは、教職員の窮状等についてよく知っておるということを訴え、これについて改善するから自重してほしいということなら立場上わかりますけれども、処分第一主義のこういう姿勢というものは、問題をますます混乱させていく種を文相みずからまいているのではないか、こう思うのですが、それに対して責任をお感じになっていないかどうか。
○奥野国務大臣 私は先ほど申し上げたとおりでございまして、処分を振りかざして会議に臨んだものでは決してございません。万やむを得ない場合には、やはり秩序を乱した方は処分をしていただきませんと秩序は守れない、こういうことを最終的につけ足しているわけでございます。同時に、私がこういう考え方を持つにつきましては閣議におはかりをいたしております。これはやはり内閣としてはどういう姿勢をとるか、いろいろな考え方があると思うのでございます。内閣も、処分が目的じゃございません。秩序を維持したいのでございます。それについてはどんな方法がいいか、いろいろな考え方があろうと思うのでございます。そこで私は、やはりストに参加しないようにしてもらいたいのだ、そのために教育長さんにも集まってもらいたいと考えているのだ、しかし、万やむを得ずストに参加した人が出てきた場合には、やはり処分せざるを得ないのじゃないかと思うのだがどうだろうかということをおはかりしております。その場合に、やはり私の考え方が妥当だということで皆さんの御理解を得たわけでございまして、それも処分第一主義を振りかざして御相談申し上げたものではございませんで、私が繰り返し申し上げておるような考え方でおはかりをしているわけであります。
○長谷川(正)委員 この席ではそういう御答弁のようですが、私にはむしろ最後にちょっとつけ足したというところが、実は教育長会議招集の主目的であったように思われてならない。 しかし、これはこれ以上ここで議論することはやめまして、次に、その中で文部大臣はこういうことをおっしゃっておると報道されております。つまり、全文を読み上げると長くなりますから内容を簡単に申し上げますと、日教組が今回の半日ストの方針を昨年六月の秋田で開かれた定期大会で決定している。これは、ストは話し合いが決裂した場合のものなのに、一年も前からスケジュールを組んで話し合い抜きで決行するとはけしからぬ、こういうことをおっしゃっているのですね。これはそうおっしゃったのですか。
○奥野国務大臣 ことばは別にいたしまして、そういう考え方を持っておりますし、そういう式のことを申し上げております。
○長谷川(正)委員 これは近代政治家である奥野文部大臣としては、あまりにもいただけないことばだと思います。これは労働運動の口の字も御存じない方ならしかたがない。しかし、労働運動のイロハを知っていたら、これは一つの方針が立てられ、そして従来の経験からなかなか口で言っただけでは要求が通ってこない、改善されないというようなときに、こういうような憲法に保障された労働基本権に基づく方針を立てるということは当然であります。そして、それはもちろん文相が言われるように、そういうものを立てておいてそれから交渉して話し合いがつけば、必ずしも一〇〇%要求が通らなければしゃにむにやるというものではありません。当然そこに当局の誠意が認められるということが話し合いの段階でわかれば、ストというのは回避されるのが普通であります。きめてあるから全部やるなんて、そういうばかげた労働運動はないのでございます。そうでしょう。それであるのに、日教組が方針でこういうことを考えたこと自体が、話し合いもしないでという言い方は労働運動を全く知らない方のおっしゃることばなら別でありますけれども、これはむちゃな言い方だと思いますが、そう思いませんか。
○奥野国務大臣 日教組の幹部の方々にもいろいろな方がいらっしゃると思います。また、何十万の人たとをまとめていくのですから、ずいぶん御苦労も多いと思うのでございます。しかし、いままでとってこられた経過をずっとながめてまいりますと、私はやはりスケジュール闘争と言わざるを得ない、こういう判断をしておるわけでございます。そういうことのないようにお互いに努力をしていかなければならないと思うのでございますけれども、過去ずっと続いてきておるわけでございまして、同時にまた、日教組として配っておられるものを私が見ますと、皆さんどう判断されるか知りませんが、たとえばわれわれが今度の給与の改善法案を提出しておるわけでございますけれども、それが毒まんじゅうだ、こうおっしゃっておるわけでございまして、そして先生たちの顔が文部省のほうだけに向き、政府の言いなりの教育を進める結果を招きます、こう書いておられます。いまの自民党政府がけしからぬのだ、こういうことに徹底しておられるようなんですね。一体政府というのは国民の代表だというお考えを持っていただいておるのだろうかどうだろうかという疑問を私はぬぐえないのです。昔の官僚内閣じゃないのだ。いまの政府というものは国民の代表なんだ。憲法の前文にはこう書いてあるわけでございます。「國政は、國民の嚴齋な信託によるものであって、その権威は國民に由來し、その権力は國民の代表者がこれを行使し、」こう書いてあるわけでございます。政府のいうことにつきまして大いに御批判になってもけっこうだと思うのであります。ただ、政府のいうことはみんな悪いのだという姿勢、これはぜひやめてもらいたい。やはり政府は国民の代表なんだという気持ちで私は応じていただきたいなという感じを持っておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、双方の態度につきまして非難しているだけでは解決しないのだ、当初申し上げたような気持ちは強く持っておるわけでございまして、何とかして解決をはかっていきたい、これが基本的な気持ちであることだけは御理解いただきたいと思います。
○長谷川(正)委員 教職員の心を得ないような文教行政でどうしてりっぱな教育を実施することができますか。もしそこに誤解があれば——あるかもしれません。そうであれば、それを取り除くのは当然文部大臣の責任であります。日教組が、政府のやることは全部悪いなんていっておるのではありません。ある一つの問題をとらえて批判したにすぎません。これは批判の自由があるはずです。もしそれが誤りである、誤解があると思うなら、それを解く努力が必要だ。そこで私がいまお聞きいたしましたのは、一つは労働運動を知らな過ぎるじゃないか。方針を立てたからそれがけしからぬ、それはもう実におかしい。そうではなくて、話し合いをして、いままで日教組自身にしましても、幾度か闘争の方針を立てましても、文部省との交渉あるいは都道府県教育委員会との交渉、こういうものの中で日にちをさらに延期して、もう少し誠意を示して研究の期間を与えるとか、あるいは話がある程度、満足ではなくても、いったからそれをやめるとか、あるいは戦い方の内容を変化させるとか、そういうことはいままでもあったのですよ。たくさんございました。決してそんな機械的なことはやっておりません。私はこういう言い方、いまおっしゃったような、前もって話もしないうちから方針を立てるのはけしからぬという言い方は、これは訂正なさったほうがいい、これは労働組合の普通のやり方なんですから。そう思いませんか。まずそこを聞きましょう。方針を立てること自身がいけないというのはおかしい。
○奥野国務大臣 ちょっと憲法前文を読み上げましたように、政府のほうの政策につきまして、いやなものは反対、いいものは賛成、これはけっこうなんでございますけれども、とにかく反政府的な考え方が一貫しているような姿勢をとっておるわけです、日教組全体としてみた場合に。個々の指導者の中には、いろいろ御苦労になっていることは私よくわかるのですけれども、表へ出ているのはそういうかっこうになっている。そういう意味で単なる戦術とは理解できない。そこは長谷川さんのおっしゃることはよくわかるのですけれども、今回日教組のとられた戦術につきましてはそうは思えない、こう申し上げているわけであります。
○長谷川(正)委員 ちょっと重大なおことばです。日教組は反政府的団体だとあなたはここで断言したのですか。
○奥野国務大臣 いまビラまで持って申し上げましたように、そういうことを見ていますと反政府的なものの考え方を強く持っておられる、このビラでそう読めるわけであります。そういうことを申し上げたわけであります。具体の問題につきましてこれは悪い、こうおっしゃっていただく、これはけっこうなんですけれども、全体的に、政府に協力するような先生方はいけないのだというふうな表現にとれる文句であります、いま読み上げましたとおりに。そういうことはやめてもらわないとやはり憲法のたてまえにも反するのじゃないか、こう私は心配しているわけであります。
○長谷川(正)委員 私は長い答弁を聞いておりません。日教組は反政府団体だとおっしゃるのですかと聞いているのです。イエスかノーかで言いなさい。
○奥野国務大臣 そういうきめ方をしないほうが私はいいと思うのです。先ほど言ったように、できるだけやはり……(発言する者あり)
○長谷川(正)委員 そうは言ったのじゃないのですね。
○奥野国務大臣 そういう言い方はすべきじゃないと思います。
○長谷川(正)委員 訂正されたようですから、話を進めます。 政府のやることを一つでも批判したらあなたの言い方だと反政府的だ、こう言われるのじゃないですか、そういうことはありませんね。
○奥野国務大臣 たびたび申し上げますように、政府の具体的な政策につきましてこれは反対これは賛成、それはけっこうだと申し上げているわけでございます。
○長谷川(正)委員 ようやく常識に戻ったようです。 次に質問をいたします。高見文部大臣それから次が稻葉文部大臣だったと思いますが、日教組と文部省の関係も、たいへん対立、抗争の激しい時期もありましたが、雪解けの時期と申しますか、かなり日教組の代表者と文部大臣がお会いになって、いろいろ教育の諸施策について話し合われ、意見の一致をなさるところもたくさんあったというような報道が当時なされまして、さっき私が冒頭申し上げたとおり、教育の世界でいろいろ私なりに苦しんできた者として、たいへんいい空気ができたな、こういうふうに喜んでおったのであります。そこで奥野文部大臣になってから、再びとびらが閉ざされてしまったような感じなんです。さっきあなたは話し合いもしないでストをやるなんてことはけしからぬとおっしゃっておりますが、話し合いを拒否しているのはあなたのほうじゃありませんか。
○奥野国務大臣 この席でたびたびこの問題が出ておりますので、もうよく御理解いただいていると思うのでございます。私が文部大臣になって間もなく、会いたいというお話がございました。いまその時間の余裕がないものだから先にしていただきたい、こう申し上げてまいりました。それじゃ、おまえのほうから今度は申し入れる番じゃないかというお話をなさった方もいらっしゃいました。やはり私は国会で忙殺されている、国会に一番力を置きたいものだから、やはり国会中は自分のほうから申し入れる考えはございません、こう申し上げてまいってきているわけでございます。同時にまた、お互いに力をあわせ合っていかなければならない、そういう姿にしたいのだ。日教組もやはり当局に協力をするという姿勢を持つようになってもらえぬだろうかな、われわれもまた日教組のおっしゃることについて積極的に考えを深めていきたい、そういうようなお互いの立場にいきたいな、これも私の念願だということもたびたび申し上げてきているとおりでございます。そういういままで申し上げてきたことには何ら変わりはございません。
○長谷川(正)委員 そこでちょっと伺っておきますが、稻葉文部大臣から奥野文部大臣に事務引き継ぎをなさるときに、まあ形式的なことでおやりになるかどうかわかりませんが、形式、実質含めて教職員団体との関係については何らお引き継ぎありませんでしたか。
○奥野国務大臣 いま覚えておりません。
○長谷川(正)委員 覚えていないというお答えでありますが、実はこういう関係になってきたように私承っております。特に待遇改善の問題等につきましても、これは教職員の待遇はかなり思い切って改善する必要がある、こういう点については日教組の愼枝委員長と稲葉文部大臣との話し合いでも合意に達し、これは一致したわけですね。その改善のしかたについて、やはり教職員側には教職員側のいろいろな要求があり、願いがあるから、そういうものについてさらにじっくり話を進めようじゃないか、こういうようなところまで進んでおったやに聞いております。そこで大臣がかわられたわけでありますが、私はこういう話し合いの路線がそのまま実を結んでいきますと、いまあなたがお読み上げになったようなことがあるいはなくて済んだんじゃないかという気がするのです。そういう点について、奥野文部大臣としてはどうお考えですか。
○奥野国務大臣 文部省の中に、教員の給与等に関する調査会が置かれております。日教組の方々にも来ていただいて一給与についての意見を聞いたようでございます。その記録を私は読みました。積極的にそういう団体の意見を伺っていくべきだ、私はかように思っております。
○長谷川(正)委員 そこで文部大臣は、きょうは、日教組と会わないのは会う気はあるのだけれども、話し合いの気持ちはあるが、国会が忙しいから会わないのだ。前にたしかこの委員会でのいろいろな方からの御質問に対して、全然会う気がないというわけではない。しかし、勉強が足りないので、もう少し勉強してからと思っている、こういうお答えもあったと思います。しかし一体、こういう緊迫した事態に、全国の教育長を集めて厳重処分の指示をなさるというような、こういう緊迫した段階の中で、文部大臣が国会が忙しいからとか、まだ勉強をしてないからとか、準備が不足だからとかいう、こういう御姿勢はいかがかと思うのです。もしそういうことをおっしゃるのなら、少なくとも、それが直ちに解決に結びつかないにしても、文部大臣としての誠意を尽くした交渉を、ぜひ来いとあなたのほうから呼びかけてもやるくらいの姿勢は当然あってしかるべきではないか、私は国民はそう思っていると思います。いかがですか。
○奥野国務大臣 私も不幸な事態は避けたい、人一倍そういう気持ちを持っております。日本教職員組合が要望しておられる声明その他のものをしさいに検討いたしました。掲げられている問題はスト権奪還、処分阻止、筑波大学法案でありますとか、人材確保法案でありますとか、あるいは教頭法制化の法案でありますとか、この三法案につきまして、粉砕でございます、あるいは撤回でございます。そういうことから、私は、今度のストでいっておられる問題は政治的ストだ、こう判断をしているわけでございます。職員組合は勤務条件の改善をはかることをもって目的とすると明示されているわけでございます。しかしながら、これはまさに政治的意図を持った行動だと判断せざるを得ない。しかも、これらの三法案は、すでに国会に提案をいたしております。審議にも入っております。幾ら文部大臣の権限が強くても、私一個ではこれはどうにもならない性格のものであります。そういうときに、私から話し合いを求めていって問題が解決できるか、かえって混乱するのじゃないかということもありまして、成り行きを非常に心配しながらも、私からあえてそのような措置をとる行動に出ない理由でございます。
○長谷川(正)委員 私は、手練手管や、それからそのことがすぐ成功するか失敗するか、それによってどう評価されるかということの前に、やはり大臣が、これはたいへんな事態になりそうだから何としても解決したいという御熱意があれば、率先してあなたが行くなりお呼びになるなり、会って解決するというような姿勢は当然示されてしかるべきじゃないでしょうか。さっき冒頭に、教育長会議で、処分のことは終わりにつけ足しに言って、前段はいかにも教職員の待遇を改善したいとか、教育の改善のためにいろいろ配慮しているんだということをおっしゃっている。もしそれだけの誠意があるなら、それを端的に団体の代表者にぶっつけよう、なぜこういうお気持ちにならないのか、そこがどうしても理解できない。こうした組合運動に対しての認識が根本的にお違いになっているのじゃないか、こう思うのですが、もう一ぺんそれについてお答えを願いたい。
○奥野国務大臣 私は、非常によい方法があるならばぜひそれをとりたいのです。会って話をする、それがいい方法なのかどうなのか、私には納得がいきかねているわけでございます。そういうことにつきましても多くの批判があるだろうと思いますし、また私は、教職員組合が掲げておられる目的も、ここでざっくばらんに申し上げたわけでございまして、それに対応する私の力の範囲も申し上げたわけでございます。そういうことをいろいろ考えてまいりますと、この際私から会いたいという行動を起こすことがいいか悪いか、私は簡単に言えないと思うのでございます。いろいろなことを総合的に判断して行動しなければならない。そういう意味で私は府県段階で御協力を求めた。ストに入るか入らないかということは、これはやはり日本教職員組合も権限を持っておられるでしょうけれども、また個々の単位団体もその権限を持っておられるわけでございますから、今後それらのところで変化を期待することはあり得ないわけではない。そういう変化を期待しながら教育長さんに集まっていただいているというのが私の真意でございます。
○長谷川(正)委員 あなたの言っていることはたいへん官僚的答弁というか、いろいろなことをたくさんおっしゃるんだけれども、最後が何を言っているのかわからない。日教組ときちっと会って、職員団体の責任者と会って、待遇の問題にしても教育の問題にしても、話し合うという姿勢があるのかないのか。いまは忙しいとか勉強中とかおっしゃいますけれども、あなたの姿勢でいけば、少なくともあなたの任期中はそういう日は来ないんだ、こう判断してよろしいのですか。
○奥野国務大臣 いつかのこの委員会でもお話が出たと思うのでございますが、日本教職員組合がいろいろな御意見を持っておられる。その御意見の印刷物を私が拝見した。それにすぐ返事をお書きなさいということを事務当局に言いました。返事をあすお渡しするそうでございます。日教組があげておられます意見、いろいろな問題がございます。全部について親切にお答えしなさい、私はこう言っておるわけでございます。できる限り意思の疎通をはかっていきたい、私はこれはそのとおり思っております。思っておりますが、いろいろな方法があるわけでございまして、長谷川さんの言っておられるのも長谷川さんが考えておられる一つの打解の方法だろうと思います。それにつきまして、私は賛否両論あると思うわけでございます。私としては、いま私のほうからそういう行動を起こすことが適切な方法だと判断していない。それがいま私からそういう申し入れをしない理由でございます。
○長谷川(正)委員 そうすると、結論といたしましては、日教組と会うことは適当ではないと文部大臣としては考えておる、いまそうなんですね。
○奥野国務大臣 私からお目にかかりたいという考えは持っておりません。
○長谷川(正)委員 そうすると、日教組のほうから会見を申し入れたら会いますか。
○奥野国務大臣 どういう事情でどういう考えで会おうとおっしゃってきているのか、よくその事情を判断した上で考えさせていただいて、できる限り——私は、いまのような教育界、たいへん不幸な姿だと思っておることについては人後に落ちないつもりでございます。
○長谷川(正)委員 人後に落ちないから会わないんですね。会うんですか。どっちなんですか。はっきり言ってください。
○奥野国務大臣 このスト問題に関連いたしましては、私から会いたいと申し入れる考えはいま持っておりません。会いたいという話が出てきた場合に、それはどういう事情であるかということをきわめさせていただきたい、そして決定させていただきたいと思います。
○長谷川(正)委員 私は、スト問題でももちろんですし、スト問題に限らず会わないという方針をまだ続けるのか、そうでないのか、そこのところを聞いているのですよ。
○奥野国務大臣 将来とも会わないというようなことは毛頭考えておりません。喜んでお目にかかります。
○長谷川(正)委員 喜んでお目にかかるのですね。
○奥野国務大臣 そのとおりであります。
○長谷川(正)委員 わかりました。そういう御姿勢があるというのでしたら、それが一日も早く実現して、一ぺんに問題が解決しないにしても、その糸口をぜひ開いていただくように強く要望します。 時間が来ておりますので、まだ伺いたいことが多々あるのですが、私、最後に一つ、これは与野党というような立場でなく、いまこの労働運動の中や一般市民運動の中で、これは私の思い過ごしならばけっこうでありますけれども、どうもそうでもなさそうな気がして、あえてここで大臣に伺いたいのです。それはいつかも申し上げましたように、公務員は全体の奉仕者だからストは禁止するのが当然だというお考えをいまも憲法を読み上げられておっしゃいました。しかし、この全体の奉仕者論というのは昭和四十一年の全逓中郵判決と、私が直接関係いたしました都教組勤評闘争の問題の四十四年の四月の最高裁判決で、ここで一応これは否定されておるのですね。やはり憲法二十八条の労働基本権というものは、公務員を含めて原則としてすべての国民に保障された基本権である、こういう考えに立ってこの判決が出されておることは御承知のとおりだと思います。 これについて先般私が質問いたしましたときに、それはそれなりに尊重いたしますという御答弁がありました。私は帰りましてからい文部大臣のそれはそれなりに尊重するということはどういうことだろうとたいへん疑問を持ったわけですね。端的に、尊重するのかしないのかでいいのに、それはそれなりに尊重するという答弁に私はたいへん疑義を持ちました。ところが御承知のように、きょうやはりこうした労働運動に関連した最高裁の判決が出ました。これは私どもの先ほど申し上げた判決と同じような事件を、反対な判決を出したというわけではないのですけれども、多少関連性のあるものについて一歩後退した判決、つまり二審で無罪だったものは差し戻しになって、有罪だったものは有罪にした。有罪が有罪の点はともかくとして、無罪だったものを差し戻しにしたという判決がきょう午前十時に出されたと聞いております。この間から文部大臣のたいへん高姿勢な御答弁の姿やこの教育長会議を招集してのたいへんいたけだかな文相の態度、これは新聞記者のほうから漏れ聞いたのでありますけれども、要旨として配られたものを越えた、たくさんのおことばがあったようでありますが、これらの中に、非常にこの処分についての確信と強い姿勢、そして下級審の判決などが混乱しているというようなおことばがあったそうでございます。これをからみ合わせますと、文部大臣はすでにきょうの判決を何らかの情報でキャッチされておって、そして最高裁でくつがえすという——これはもうどなたも言っております。あなた首をかしげているけれども、これはちゃんと情報は入っているんだ。それでああいう姿勢になって、ここで一挙に労働運動を押し返そうとしているんだ、こういう見方をしているのです、多くの方が。私だけがしているんじゃないのです。そこで、最高裁の判事がかわるたびに、だんだん政府権力に近いような、気に入ったような方がなっていく、国会の多数ということでなっていくということ、このことは国民がまだ裁判には信頼を寄せている、司法の独立には信頼を寄せている、こういうことに対してこれが少しくずれかかっている。田中二郎先生の辞任問題の際も、これは新聞、雑誌、週刊誌が一斉に取り上げておりますように、その裏面に何があるかというようなことを、たいへんいろいろうがった報道をされておるのであります。私は、別に野党の議員としてではなく、ほんとうに国政の一画をともかくになわしていただいておる一国会議員として、少なくともこういう印象が流れるということは、日本の政治の上で非常に危険なことではないかと思う。最高裁の判事についての批判票というようなものも、従来はほとんど無意識にみんなマルというか、つけておったのですね。こういうことに対して、最近はだいぶ意識的に、これは考えなければというような空気も出てきております。こういう国の根本にかかわる三権分立の精神というものまでが、だんだん政府権力と申しますか、行政権によってリードされるようなことは、これは今後の日本の民主政治の前途に非常に暗影を投げるものだ、文部大臣の姿勢の中にも私はそういうにおいをかいでいる。これについて、私の憶測であるかどうかわかりません。大臣はここで、それは確かに私は情報をキャッチしておりました、こういう御答弁が出るとは思いません。思いませんが、こういうことはよほど、特に与党、日本の政治の責任をあずかっている政府、それは十分にひとつ戒心をしていただかないと、少なくともそういう受け取り方をしている国民が多数になってきているということ、このことは私はこの際強く反省を求めまして、私の質問を終わります。
○奥野国務大臣 長谷川さんのような疑惑が起こっておるということになりますと、これは大問題でございまして、また私の発言がそういう疑問を起こしたといたしますと、最高裁判所の権威からいたしまして、たいへんな迷惑をかけたということになりますので、そこで私は、あの当時の御答弁申し上げたことをちょっとふえんして申し上げたいのであります。 それなりに尊重しますと申し上げました。同時に、二十八条の労働基本権、公務員に対する適用、どの範囲まで適用があるか判断が明確にされていないのです。要するに、十五条でございましたか、全体の奉仕者という規定がある、公務員は全体の奉仕者と規定されているわけだから、積極的に国民全体に対して奉仕していかなければならない。奉仕していかなければならない者に対して、怠業する、ストライキをするというわけでございますから、自由自在に一般の民間の組合員と同じようにやっていいわけのものではない。その範囲というものは明確にされていないわけです。そこで私は、憲法十五条の範囲が明確になっていないのですということばもつけ加えたつもりでございます。 そういう際に、下級審にいろいろな判断が出ているわけでございます。右、左取りまぜて出ておるわけでございます。やはり裁判は三審制度をとっておるわけでございますから、最高裁判所の判断が出ました場合には、法律もそれに従わなければならないと思います。しかし、それまでの間は、法律が改正されない限りは、私は、行政当局はその法律の命ずるところに従って運用していかなければ、下級審の裁判の結果によって右顧左べんしておったのでは、行政の秩序は保たれないと考えておるわけでございます。そういういろんな気持ちがございまして先般の答弁になり、また教育長さんの集まりにおける私のあいさつになっておるということを御理解賜わりたいと思います。
○長谷川(正)委員 ちょっと補足質問。終わったつもりでしたけれども、あえて御答弁が、御答弁を求めないのにありましたから、私のほうもちょっと申し上げておきます。 確かにおっしゃるとおり、二つの原理の法益がどちらが重いかによって判断するというような言い方でありまして、具体的にどこで線を引くということは明確になっていないといえばそうですね。しかし、少なくとも私の場合の四十四年の判決、四・二三事件の判決というものは、少なくとも東京都教職員組合が一日ストライキをやったわけです。この程度のものについては——一日ストライキをやったのですよ、朝から晩まで。この程度のものについては有罪とすべきではない、すれば憲法違反がある、こういう結論が出たこと、そのことをあなた認めますかと聞いたんですよ、あのとき。どうですか、それは。
○奥野国務大臣 ちょっとそのときの正確な応答を忘れてしまって申しわけございません。判決そのものを、私はこれをとやかく申し上げるわけではございません。先ほども申し上げましたように、違った法律であれば法律を改むべきものだ、かように考えております。
○長谷川(正)委員 いや、その都教組判決の法律の違う違わないを言っているのじゃないのです。法律そのものは違憲とはいっていないけれども、適用において、その憲法二十八条との衡量において判断しなくてはならない、したがって、憲法二十八条の労働基本権というものは、これはもうきわめて重要な国民の権利ですから、これは十分重視して、そして万やむを得ないときに制限される場合がなしとしないから、法律そのものは違憲とはいえないけれども、運用については非常に制限してやらないと、大事な二十八条を犯すことになる、こういう判決の組み立てになっているわけですよ。ですから、少なくとも私ども都教組がやった一日のストライキに対して有罪と、したことは、これは誤りとして無罪の判決をした、そのことはお認めになりますねと言ったんですよ。それ、お認めになるでしょう。
○奥野国務大臣 四十四年の判決、またきょうの判決、その判決は当然認めるべきものでございます。
○長谷川(正)委員 終わります。
○森(喜)委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○森(喜)委員長代理 速記を始めて。山原健二郎君。
○山原委員 本日、教職員のストライキについて文部大臣の声明が各新聞に出ておるんです。これは率直に聞きますけれども、この広告料幾らかかりましたか。
○井内政府委員 約六百四十万円でございます。(「安い」と呼ぶ者あり)
○山原委員 国民の税金ですから、安いという声は私は受け取りかねる。六百五十万円、これは全紙合わせて六百五十万ですか。
○井内政府委員 全紙合わせてでございます。
○山原委員 この中にある「いかなる場合においても争議行為を行なうことは、厳に禁止されているところである。」という表現は正しいですか、文部大臣。
○奥野国務大臣 地方公務員法にそう書いてございます。
○山原委員 憲法にはどう書いてありますか。
○奥野国務大臣 憲法には「全體の奉仕者」と、こう書いてあるわけでございまして、全體の奉仕者」を受けて地方公務員法の規定がされているわけであります。
○山原委員 いかなる場合においても争議行為を行なうことは、厳に禁止されているという法律上の解釈は、あなたの解釈ですか。
○奥野国務大臣 一般的にそう解釈されます。
○山原委員 最高裁判所はどういつでいますか。
○奥野国務大臣 もちろん最高裁の判断は私はそういうふうに理解をいたしております。
○山原委員 東京都教組事件の最高裁の判決は、いかなる争議行為も厳に禁止されているという判決ですか。
○奥野国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、十五条との関係が明確になっていないと私は考えておったんでございます。
○山原委員 最高裁の都教組判決は、少なくとも公益の福祉の問題が出ておりまして、その範囲はいま長谷川先生が言われたようにまだはっきりはしておりません。しかしながら、少なくとも最高裁の判決は、すべてのストが違法だということは憲法上矛盾があるという判決なんですよ。判決はそうなんです。だから、あなたの書かれておるところの「いかなる場合においても争議行為を行なうことは、厳に禁止されている」ということは、少なくとも誤りなんです。厳密な意味においてこのことばは誤りです。こういう誤りを六百五十万の国民の税金を使って広告を出すとは何事か。私はそのあなたの見解を聞きたい。
○奥野国務大臣 先ほど申し上げましたように、公務員の「全體の奉仕者」という積極性をどう考えるのか必ずしも明確でなかったわけでございます。明確でないから、したがってまた法律も現存しているわけでございます。きょうの判決はかなり明確になった、私はかように考えておるわけであります。
○山原委員 きょうの判決のことはまだ読んでおりません。しかし、これはけさですからね。けさ出されているわけでしょう。きょう判決が出たのは午前十時です。しかも、これは原審差し戻しでありますから、最高裁判所のこれに関するところの決定というものはないわけですよね。最高裁判所における決定というのは、すべての争議行為は禁止されておる、そういうものではないのです。そういう考え方は憲法上矛盾があるという見解が最高裁判所における今日の判決なんです。そういうことから見まして、われわれはお互いに、まあ文部大臣の場合は大臣の立場で書かれているのですけれども、こういう広告を全国民に示すからには厳密な意味での表現がなければならぬと思うのです。こういう考えだとするなら、「いかなる場合においても争議行為を行なうことは、厳に禁止されているところである。」という、これは国民に対して最高裁判所の判決、あなたが常に言われてきた下級審においては判決が混乱をしておるから信用できないという言い方、少なくとも最高裁判所における今日の確定的な判決、それを表現を変えて、これは偽りを国民に対して宣伝をしておるということになるわけです。その点どうですか。
○奥野国務大臣 大きな見解の違いだと思うのでございますが、地方公務員法の三十七条には、「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」と明示されているわけでございまして、それに従って申し上げているわけでございます。
○山原委員 そのことはわれわれはもう初めから終わりまで覚えていますよ。地公法三十七条は覚えています。けれども、最高裁判所の判決は、それを含めて憲法二十八条との関係において最高裁判所の今日の判決が出ているわけですからね。あなたが従うとするならば、今日憲法の擁護者である最高裁判所の決定というもの、これを正確に書かなければ、こういう形で独断的に、地公法三十七条にあるからといってこういう書き方をすることは、きわめて不見識なやり方ですよ。
○奥野国務大臣 私の理解では、刑事事件について、刑事罰について最高裁の判決はあったけれども、行政罰についての最高裁の判決は私は出ていないようなふうに思います。同時に、今回かなり明確な判示があったわけでありまして、そういうことを通じてみますと、全体の奉仕者、職務専念の義務を持っている。したがいまして、そういう公務員の性格から考えますと、ストに参加すべきではない、そういう今回の談話、これは私は適当なものではなかろうか、かように考えているわけでございます。
○山原委員 刑事罰であろうが行政罰であろうが、最高裁判所が憲法と法律の関係において審議をして出された見解というもの、それはこの争議行為すべてを禁止するということは憲法になじまない、矛盾するという結論なんですよ。刑事罰だとか行政罰だとかいうことは行政官庁がやることであって、それが憲法上どうなのか、法律上どうなのかということが、最高裁判所においていま出ておる半ば確定的判決というのはこの都教組事件でしょう。だからあなたの言うように、そこから刑事罰だとか行政罰だとかいう逃げ方というのは、あなた方のかってなことですよ。しかし、現実に国民の前にあなたが示す場合にはこれは明らかにしておかなければ、これは憲法の最高裁判所の判決というものに対するこれはもうあなたの反逆ですよ。これは反逆であり挑戦であるのですよ。そういうものをこういう形で国費を使って広告を出していいのか。
○奥野国務大臣 行政罰と刑事罰と同じだというような議論をおっしゃると、これはまた私はいただけないのです。やはり行政罰というものは、行政内部の秩序を守るために科せられる罰則でございます。刑事罰は社会全体の秩序を守るために適用される罰則でございますから、おのずから違ってくる。私は行政内部の秩序を守るためには、公務員の道義的な感覚も強く要請されてしかるべきものだ、こう考えておるものでございます。
○山原委員 刑事罰、行政罰の問題と、「いかなる場合においても争議行為を行なうことは、厳に禁止されているところである。」ということとは違うのですよ。そこをごまかしたらいかぬですよ。われわれお互いに文教委員としてここで論議をしておるわけですから、お互いに正当な論議をやろうじゃありませんか。それをごまかして、行政府の行なう行政処分あるいは検察庁の行なう刑事処分、それをごっちゃにしてはいけないのですね。憲法上法律をどう解釈していくかという法理論の問題として最高裁判所から出ておるそのことをゆがめて国民に呼びかけるとは一体何事か。これは当然私どもは疑問が出てまいります。どうですか。
○奥野国務大臣 私は先ほどからたびたび申し上げておりますように、地方公務員法をもとにして考えておるわけでございます。同時に、最高裁判所の判決も明確でなかったのが今回非常に明確にされた、こう考えておるわけでございます。
○山原委員 地公法と憲法とどちらが上級法律ですか。
○奥野国務大臣 憲法の判決が明確でなかった、こう考えているわけでございまして、明確であれば私は違っているところはとっくに法律が直されているはずだと思うのであります。法律が訂正されているはずだと思うのであります。今回それが非常に明確になったわけでございますので、それで不穏当ではないのじゃないかというふうに思います。
○山原委員 論争としては明らかにあなたの負けですね。(笑声)いいですか。笑ったっていかぬですよ、感情その他をまじえて言っているのではないのですから。最高裁判所の憲法、法律の関係における違法性、合法性というものに対する判決が出ているわけですからね。少なくとも、いかなる争議行為もこれは禁止するという考え方は憲法上矛盾があるという結論ですよ。だからあなたがどんなに強弁されたところで、こういう書き方は法律上正当性を持っていません。そのことを私は言っているわけです。これは明らかなところです。だから、文部省全体で合議してください。どうなんです。そんなあいまいなものをあなたは六百五十万も金を使って全国民に呼びかけるなんてとんでもないことです。この点について私は文部省の統一見解を聞きたい。
○奥野国務大臣 行政運用の面におきまして、公務員は全体の奉仕者として積極的に専念していかなければならない。したがって、一刻といえども住民に対してサボタージュするようなことは適当でない、そういうふうに地方公務員法にも書かれている。そういう道義的な見解を踏まえましてこういうことばを用いたのであって、何ら不穏当ではない、私はかように考えております。
○山原委員 あなたが国民の税金である国費を使って出されるものですから、それに対しては少なくとも法律上瑕疵のない文章を書かれるのが妥当だと思いますよ。だから、地公法上私はこう解釈するというならまた別ですね。しかしながら、いかなる争議行為も厳格に禁止されておるという書き方は、法律上正しくないのです。それなら、そういう考え方が正しいのかどうか最高裁判所に対してあなた方、問い合わせてください。私どもは都教組事件における最高裁判所の判決文をもちまして、そういう考え方は憲法上矛盾があるということをたてにして一なぜたてにしておるかというと、常に下級審のいうことは信用できない、あなたはこのほど教育長会議でこう言っておられるでしょう。下級審のいっておることは混乱がある、下級審がストライキを認められるとしても最高裁で確定されていないので現行法上は取り締まる必要がある、こういうことをあなたは教育長会議で言われておるのです。最高裁判所のことをあなたが言われるから、最高裁判所はこういう判決だ、こう言っておるわけでございます。 私はこれからもいろいろ聞きたいことはありますけれども、時間は守ります。だからこれでおきますけれども……(発言する者多し)実際ほんとうに……
○森(喜)委員長代理 静粛に願います。
○山原委員 最近あなたのとっておられる態度、たとえば閣議における発言あるいはまた教育長会議における発言、きょうの新聞、こういうものを見ましたときに、武断的な態度で問題を処理されようとする考え方があるんじゃないですか。私は、率直に日教組と話し合ったらいいんじゃないかと思う。その場で話がつかないかもしれないが、少なくとも教育の問題について論議しようじゃないか、こういう姿勢が必要なんであって、そういうことが問題を処理していく方向に向くわけでございますから、私はぜひそういう——奥野さんは内務官僚であられたそうでありますけれども、実際に文部大臣としてそういう面で厳正な立場をとっていただくということ、ほんとに話し合いをしていくという立場を貫いていく。武断主義で、処罰だけが秩序を維持するなんということばもありますけれども、そういうことでは少なくとも文教行政というものは解決をしないということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○森(喜)委員長代理 有島重武君。
○有島委員 私は再三にわたりまして、大臣に、教員の代表と話し合われるようにということを申し上げてまいったわけでございますけれども、その際に、大臣は、私はやらないけれども文部省としては各段階でもってやっておるということを言われた。じゃ、どの段階でもって、いつ、どういうことを話し合ったのか、そのことを御報告いただきたいのです。
○奥野国務大臣 日教組と文部省との関係でございますね。日教組の方は、たびたび文部省へいらっしゃっているようでございまして、課長なり局長なりよく会っているようでございます。また先般は、文書までいただいているものでございますから、その返事をいたそうとしております。
○有島委員 いろいろという話じゃないのです。たとえば事務次官は会った、で、こういうような内容を話し合った。そういうしっかりしたお話をしてください、何を話し合ったのか。
○奥野国務大臣 私、こまかいこと承知しておりませんが、日教組の方もそうかた苦しくなしに文部省へいらっしゃっているんじゃないでしょうか。また私どもも、将来そういうかっこうで話し合えるような姿にしたいな、こう念願しておるわけであります。
○有島委員 御自分でもってお話し合いになるということの前段としてそういうふうにさしていらっしゃるんだとすれば、いまのお答えは何だかずいぶんあいまいであろうと思うんですね。いま会期中だからというようなお話がございました。にもかかわらず、そういった壁を御自分から破っていこうというお話ではないように私はいまのお話は受け取りますね。 それから四月二十一日に教育長をお呼びになった。それでこのときに各教育長に、各地域における教員団体との話し合いを指示なすったのですか。
○奥野国務大臣 日教組の話の一つとしては、先般書類をもらっておりましたからその返事、私は、早くお渡ししなさいよと督励をいたしましたら、先方のほうではあすほしいとおっしゃっているようでありまして、あす渡すことにしているわけでございます。そういうように話はよくなされているんだ、こう申し上げているわけであります。 それから、先般教育長さんに集まってもらったときに申し上げましたのは、よく先生方に理解してもらうように話し合ってくれということで、これにもつばら重点を置いた会合であります。
○有島委員 さっきの文部省内の問題も同じなんですけれども、それがどういうようなことになって戻ってきて、それをどういうふうに判断されるのかですね。そういうことがもっと大切だと思うんですね。ただ文書を渡したりあるいはこうやって文書を報告したり、それでもって話し合いをしているんだというようなことではとてもお話にならないと思うんですね。 それから、政府のやることはみんな悪いというような言い分の人と話し合う余地は全くないという言い方、あるいは反政府の態度でその上の戦術だから話し合う余地がないといったようなおっしゃり方、それで結局結論としては、言うことを聞かなければ強行処分だよという言い方、そういうふうにこれは受け取れますけれども、そういう態度ははなはだよくないと思うんですけれども……。
○奥野国務大臣 政府のことは何でも悪いというような言い分にとれるような表現を、私、先ほど御披露いたしました。だから会わない、これは有島さんがつけ加えておられるわけであります。そうかってに結論をつけられては困ると私は思うのでありまして、私は基本的には手をつないでいかなきゃならない、手をつないでいけるような教育界にしたいんだ、これは私の最大の目標とまで心得えております、こう申し上げておるわけであります。ただ、いま私から進んで日教組の方々に会いたいということを申し入れる考えはありません。三法案の撤回とか紛砕とかいうておられる。あるいはスト権奪回とか処分阻止とかいっておられる。そういうことについては私は何らの権限がありませんで、それは国会で審議しておることであります力そういうことはまさに政治ストでありまして、組合は勤務条件の改善をはかることをもって目的としておる。それについては喜んで話し合いをいたしますけれども、いまの話ではそんな状態になっていないじゃありませんか。だからいまは私から進んで会う段階になっていない、こう申し上げたわけでありまして、だから私は、日教組に会わないと申し上げているんじゃありませんで、ぜひその点はひとつ正しく御理解を願うようにお願いを申し上げます。
○有島委員 いまの三法案と勤務条件ですが、全く無関係の話ではないわけですね。それは勤務条件とは全く別な話だ、勤務条件の改善なら話し合うんだ、それもずいぶんおかしな話だと受け取られると思うんですね。
○奥野国務大臣 私は、いまは勤務条件の話だって、会うことができるとは思いません。ですから、かってに結論をおつけになることだけはやめていただきたいと思います。
○有島委員 それから、いまあげられましたけれども、「いかなる場合においても争議行為を行なうことは、厳に禁止されているところである。」これは非常に問題だと思います。このことについては、やはりこれはやや軽率であったということは免れないと私も思います。それで、これはもうこの広告を出し直されるということは——これはぜひとも撤去されるべきだと私は思います。いかがですか。
○奥野国務大臣 有島さんまで重ねてお話がございましたので、私はここで、はっきりしないんだとたびたび申し上げたわけでございますが、有島さんまで、私がはっきりしないんだと申し上げたことで御理解いただけないようでございますので、ここで判決文を読み上げます。私がなぜはっきりしないんだと言っているかを御理解いただけると思いますので、読みます。「本件の一せい休暇闘争は、同盟罷業または怠業にあたり、その職務の停廃が次代の国民の教育上に障害をもたらすものとして、その違法性を否定することができないとしても、」あいまいな表現を使っておるのです。「その違法性を否定することができないとしても、被告人らは、いずれも都教組の執行委員長その他幹部たる組合員の地位において右指令の配布または趣旨伝達の行為等をしたというのであって、これらの行為は、本件争議行為の一環として行なわれたものであるから、前示の組合員のする争議行為に通常随伴する行為にあたるものと解すべきであり、被告人らに対し、懲戒処分をし、または民事上の責任を追及するのはともかくとして、」これは許されるというふうに読めるような表現を使っているのです。「懲戒処分をし、または民事上の責任を追及するのはともかくとして、」刑事上は別だ、こういつているわけです。だから私は、刑事上と行政上の問題とは区分して考えるべきだ、こう申し上げたわけでございます。 そのように、これは行政上の問題は不明確なんです。そういう意味で、現在においては地方公務員法が明示しているとおりに、私たちが皆さんたちに申し上げていることは何ら不穏当じゃないじゃありませんか、ことに、公務員はどうあるべきかという道義的な問題も踏まえてわれわれがいろいろなことを話をしていく、それが不穏当だというわけにはまいらないんじゃないでしょうか、こうお答えをしているわけでございます。
○有島委員 この場合、今度のストライキに限ってこうであると言わずに、いついかなる場合にもということがここに読み取れる。いついかなるときにも教員はどんな争議にも加わってはならない、そういうことをここでもって言われるべきでないと私は思うのです。
○奥野国務大臣 地方公務員法の三十七条をたてまてにして申し上げておるわけでございます。同時に、先ほど来議論になりました最高裁の判示もございますけれども、いささか明確を欠いておる。そうすると、公務員の道義的な感覚も踏まえてああいうお話をすること、それは不穏当だといえないじゃないか、こう申し上げておるわけであります。
○有島委員 時間が限定されておりますけれども、いついかなるときにおいても争議行為が絶対に許されないというようなことは、これは憲法の精神じゃないと思うのですね。きわめて限定された条件の中にあってこういったことが言えるのであって、私は、いまの大臣のそれだけの御答弁ではまだ承認し切れないと思います。時間が非常にきびしく言われているから、その問題は保留して、次のチャンスのときにあともう一ぺんこれをしっかりやらなければいけないと私は思います。
○奥野国務大臣 きょうの判決の趣旨をお読みいただきますと、考え方がかなり明確になったと私は思うのでございます。公務員は全体の奉仕者だ、使用者は住民全体だというたてまえをとっておるわけでございまして、住民全体に迷惑をかけるようなことは許されないし、同時にまた、使用者である側でロックアウトというような方法もとれないわけでございますので、したがって、公務員がストをやる、それは元来国会の中で給与の問題をきめていかなければならない、それに対して圧力を加えるというようなことにもなってくる、民主的なルールにも反する。したがって、必要な代償措置を十分に講ずる、代償措置を講じているのなら、憲法十五条との関係において、スト権を与えないことはそれなりにいわれがあることだというような考え方を明確にしているわけでございます。それを踏まえて私がああいうことばを申し上げたわけではございませんけれども、地方公務員法あるいは公務員のあるべき姿ということを踏まえて、ああいう表現をさせていただいたわけでございます。
○有島委員 この問題を留保して、これで終わります。
○森(喜)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 直ちに理事会を開会いたします。 午後四時二十六分休憩 ————◇————— 午後五時三十二分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、すでに質疑を終了いたしております。 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。深谷隆司君。
○深谷委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、教育職員免許法等の一部を改正する法律案に賛成するものであります。 このたびの改正法案の主眼とするところは、免許状授与の特例として、新たな教員資格認定試験の制度を設けようとするものでありますが、初等中等教育の充実向上のため、教育界に広く人材を集めることが要請されている今日、大学における通常の教員養成のコースを歩んでこなかった者であっても、必要な資質、能力を備えていることが実証されれば教職への道が開かれるようにすることは、小学校教員や高等学校、特殊教育の特定の分野の教員の確保の面における要請とも合致し、時宜を得た施策であると考えます。 なお、この資格認定試験の実施にあたっては、適正な水準において教員としての能力が検証し得るよう、試験の内容、方法について十分な配慮がなされることを期待いたします。 また、高等学校の衛生看護に関する学科の全国的な普及に対応し、その教育の充実のため、看護及び看護実習の教科についての免許状を設けるなど、この改正法案に盛り込まれた各種の改善措置も、最近における学校教育の実情に即応するものと考えます。 以上、このたびの教育職員免許法の改正は、その内容が関係者の要望にも即しており、適切な措置と信ずるものでありますが、なお、教員の確保と資質の向上の見地からは、免許制度の全体的な仕組み、教員養成のあり方、教員の処遇などにわたり、さらに検討、改善すべき問題が少なくないと考えますので、今後これらについての総合的な施策を推進する必要があることを付言して、この法律案に賛意を表する次第であります。
○田中委員長 次に、木島喜兵衞君。
○木島委員 日本社会党は、本法案に対し、委員会において慎重に審議を重ねてまいりましたが、その結果、次の理由により反対せざるを得ない法律であるという結論に達しました。 理由の第一は、教員養成の原則を安易にくずしているということであります。 すなわち、戦後教育の改革にあたり、当然に教員養成のあり方は主要な課題となり、旧制師範学校の批判をも含め、きわめて高い視野、観点から、教員は大学において養成されることと開放制の二原則が確立されたのであります。 今回の本法案の改正の主眼である検定制度は、この原則をくずし、教員の資質を低下せしめるおそれが十分にあり、このことは本法第一条の、教員の資質の保持向上をはかる目的に反すると考えるものであります。 その二、三の問題点を指摘するならば、一つは、教員の不足を資格認定試験で補おうとするものでありますが、免許状所持者の数は十分なのであって、その就職の条件の整備や全国的な需給調整等に意が注がれず、安易に教員は大学において養成されるという原則をくずして、検定により補充しようとしていることであります。 その二は、教員に要求される資質には人間的要素と専門的要素がありますが、近時、文部行政はその専門的要素に重点を大きく傾けているのでありますが、教育には教育学、教授法より、より人間的にすぐれていることが要求されるのであります。そのため、法律はまた人物を重要視しているのでありますが、資格認定試験にはこの人物に関する面の無視、軽視がなされていることであります。 その三は、大学で必修となっている教育実習が課せられないことであります。教育実習は、国立大学における教員養成課程はともかく、一般大学におけるそれはきわめて形骸化しており、その根本的改善をはからず、その現状を是認し、その延長線上にこの検定制度の場合も置いて、教育実習を課していないことは教員の資質の低下につながるのは当然のことであります。 反対の理由の第二は、高校のあり方が問われているとき、その傾向に逆行するからであります。 すなわち、資本に奉仕する教育といわれてもいたし方のない高校の多様化は、後期中等教育を荒廃せしめている一因でもあり、また、高校進学率の上昇や技術革新とともにその反省期を迎え、普通教育の拡大の方向にあるとき、高校の一部の領域に、教員養成の原則をくずしつつ資格認定試験による教員の採用には賛成しがたいものであります。 また、その一環である看護の免許の新設は、その免許取得には医師免許、看護婦免許所有者による授業を条件としますが、そのためには、正規の免許資格を有しない者に臨時免許状を形式的に与えて授業をしてもらう以外になく、このことは本法を貫く教員資格の尊厳を著しくおかすものといわざるを得ません。 反対理由の第三は、本法の法律技術上の不整備であります。 その一つは、第十七条三項に「養護訓練の教授を担当する教諭」とあるその教授ということばは、実情に著しく適合せず、政府答弁によると、立法技術からかかる法文にしたと言っておりますが、立法技術上から実体を変えることは許されないことは当然であります。 また、十数回の改正により、そのつど付加された附則は本文の四倍以上にも及ぶことに見られるごとく、国民にわかる法律とするための整備が痛感せられます。これらのなすべき整備をなさず、安易な道のみを求めることには賛成をしかねるものであります。 反対の第四は、本法の立法の精神に立脚した運営がなされていない点であります。 たとえば資格を有しない者を雇用した場合は、体刑、罰金刑が科せられる規定があり、資格を有しない者は、人物、学力、実務、身体の検定をされることになっているにかかわらず、実際には申請者の申請に基づきノーチェックで採用されているがごときは、その違法行為の最たるものであります。 また、本法律の存在の基礎である教員養成の条件整備や開放制の一面である奨学制度の改革に本格的な手段が講ぜられず、小手先のみの、あるいは現実との妥協のみにより、教員の資質の保持向上をはからぬのみか、低下をもたらす文部行政の基本姿勢に対して、きびしく批判をせざるを得ないのであります。 以上、おもなる反対理由を述べ、日本社会党の反対の討論といたします。
○田中委員長 次に、栗田翠君。
○栗田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、教育職員免許法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行ないます。 国民が今日、学校教育に求めているものは、憲法、教育基本法に示されているように、何よりも青少年が、社会と自然についての基本的な事実、基本的な法則を正しく知り、真に自主的、批判的にものを考え、社会の主人公として行動できる能力の基本を身につけ、すこやかに成長することであることは、言うまでもありません。国民の負託を受けて、教師がその責務をりっぱに果たすためには、幅広い教養と深い学問、豊かな情操を身につけ、真理、真実のみに従い、教材や教育計画の決定をはじめ、教育活動を自主的、創造的に進めることが必要です。 しかるに、歴代の政府は、教育の反動化の重要な内容の一つとして、教員養成大学・学部に対して、他の大学と異なった課程制を押しつけ、教員養成に対する国家統制を強化し、教師を政府の意のままに動く者にしようとしてきました。 私が本法案に反対する第一の理由は、本法案が、戦後の民主的改革によって打ち立てられた教員養成は大学で行なうという教員養成の原則を、なしくずしにこわしてきた反動文教政策を一そう推し進め、教員資格認定制度を新たにつくり、教員の質的低下を引き起こそうとしていることです。その上、わが党の議員の質問に答えて、政府は、教員資格認定試験の一つの種目である人物調査の中に、思想傾向の調査を含めることはあり得ることであると公言しています。このことは、教員資格認定試験を通じて、学問の自由や、思想、信条の自由など、教員が憲法に基づき当然持つべき基本的人権が踏みにじられる危険性をはらんでいるということです。わが党は、このように教員の基本的人権や自主的権限を踏みにじり、教育の反動化と統制を一そう強めようとすることを認めることはできません。 反対の第二の理由は、本法案が、高等学校の教育課程を一そう多様なコースに細分化し、そのことによって、教員の養成課程の多様化、細分化を引き起こすこととなり、教員養成の質的な低下をもたらすことになるという点です。 今日、高等学校の教科は、政府の安上がりの労働力養成政策の結果、二百五十種類をこえる多様なコースに細分化されており、基本的な教育内容の切り下げ、技能教育化の進行とともに、高校生の健全な成長に大きな障害を与えていることは、だれしも認めることです。神奈川県をはじめ、各地の実業高校が廃校とされたり、応募者が減少したりしていることが、はっきり物語っているように、高校多様化に対する生徒、国民の批判と怒りは大きなものとなっています。 政府は、この生徒や国民の批判や怒りとは逆に、教科の一部の領域についての免許状を教員資格認定制度によって与えようとしていますが、これは高校多様化を免許法を通じて、固定化するものです。 現在、全国各地で、高校の学区制の手直しや、教科の多様化の訂正のための、生徒や父母、教員の願いにこたえた自主的改善の動きが盛り上がってきています。今回、政府の提出した本案は、この国民の願いと要求に全く相反するものであります。 反対の最後の理由は、本法案が文教政策の貧困な状態を放置したままこそくな手段で教員需給関係を取りつくろおうとするものであり、教育条件の改善ははかれないどころか、教育現場の現状を貧困なままに放置することを免罪するものであるという点です。 今日、国民が真剣に求めていることは、 第一に、教育予算を大幅にふやして、教員養成大学・学部を充実するとともに、奨学金制度を拡充して多数のすぐれた教員を養成できるよう教育・研究条件を改善すること。 第二に、教員の定数をふやすとともに、不当な就職差別をやめること。 第三に、教員の待遇を改善し、社会的地位の向上をはかりながら、子供一人一人に行き届いた教育を実現するため、学級規模を三十五人以下に減らすとともに、専科教員と事務職員を拡充して教員の負担を軽減すること。 第四に、差別、選別の教育をやめ、子供たちの個性や自主性を十分発揮できるような教育内容に改めること。等なのです。 私は、こうした方向こそ、今日の教員の貧困な状態を改善し、真に憲法と教育基本法の原則に基づく方向であることを確信するとともに、このような措置をとらない限り、真に国民の期待にこたえた教員養成は何らできないと考えます。 このように見てくるならば、ことさらに本改正案を提出するに至った政府のねらいが、まさに中教審答申に沿った教育全体の反動的再編を推し進めるところにあると断じざるを得ません。 このような理由から、私は本法案に反対いたします。
○田中委員長 次に、高橋繁君。
○高橋(繁)委員 私は公明党を代表いたしまして、教育職員免許法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行なうものであります。 以下、その理由について申し上げます。 提案されました本法案の提案理由の説明の中に「最近における学校教育の実情にかんがみ、広く人材を求め、教員の確保を図るため」とあります。これが真意であるならば、その根拠、裏づけとなるべき理由が明確に示されるべきであると考えます。 その根拠とは教育職員の需給体制の確立であります。しかも、五年ないし十年の将来計画でなければならない。その計画の立案にあたっては、科学的に究明され、綿密な調査のもとに、たとえば児童生徒数の増加、学級編成及び定員定数の将来の見通しに立った計画、定年制、教員養成大学への志望、卒業、就職の状況、志望者の成績、意識調査、過疎過密のアンバランス等を考慮した実態のもとに、その体制の確立をはかるべきであります。 その上に立った教員不足に伴う教員の確保と人材を求めるための施策を考えるべきであります。 この需給体制の確立ができない限り、教員の確保はできないと確信するものであります。したがって、今回の免許法の改正は、急場しのぎの場当たり的な即席の教員づくりにほかならないものであります。 次に、第二点として、小学校教員の認定試験を行なうための改正でありますが、広く人材を求めるというが、教育職員の免許法については、昭和二十四年に大学卒業者をもって教諭資格取得者とする、また教職専門単位を履修した者とする公平平等の措置が講ぜられ、さらに現職教育による上級免許状取得の道が設けられ、検定試験制度が廃止になり一すべての大学でという開放制の原則が立てられ、画期的な免許法の大改正が行なわれ、この制度の大原則が決定されたのであります。本法案の改正によります認定試験制度は、この大原則を根底からくずす結果ともなります。 なお、具体的に試験の方法についても、幾多の問題があります。教員の不足は、特に過密県では東京、関東近県、大阪を中心とした関西の近県、愛知県等限られた地域であり、いわゆる過疎県より過密県への教員の需給をはかるための施策であると思うが、一例をあげれば埼玉県教育委員会が教員不足を補うために過疎県の大分県に募集を求め、三十人の採用をしたものの、実際に埼玉県に就職したのはわずかに六名、その理由は教員としての志望はあるが、住宅、採用条件、待遇問題等基本的な根本題問が解決できない限りむだな方策であり、机上プランと現実のズレは大きい。また小、中学校の統合問題を教育の効果をあげるためとの理由のもとに促進させ、結果として過疎化をさらに促進をさせ、教員のアンバランスと、教育の効果は期待できないと確信を持つものであります。 第三点として、高校の多様化政策をいたずらに助長し、父兄の声、要望に逆行し、学校教育全体を荒廃の状態におとしいれる現状ともなり、安易な免許法の改正には反対するものであります。 第四点として、新たに特殊学校の養護訓練の免許状を授与するとあるが、学習指導要領には、養護訓練の時間の指導は専門的な知識技能を有する教師が行なうことを原則とすると規定されております。 しかしながら、最も現在現場で要求されておることは、専門的な知識技能を有する教師であります。しかし、その養成計画は具体的にははっきりしていない。しかも、昭和五十三年までには養護学校二百四十三校を新設する計画を発表した。文部省はそのことを真剣に考えるならば、りっぱな人材を確保するためにも教員の養成計画を樹立すべであります。急場しのぎのためとはいえ、最低一年ないし二年の養成期間が必要と考えます。人命にかかわる養護訓練を担当する教師に安易な気持ちで免許状を交付することはきわめて危険であります。養成に関しての計画を立てるべきであります。第四の医学ともいうべきリハビリテーションの重要性にかんがみ、養護訓練を受け持つ教師の養成には慎重にして早急に計画を立案し、実施に踏み切るべきであり、その具体性がない本法案には反対であります。 結論として、教員の確保は単なる免許法の改正等によって確保できるものではない。教員志望者もいる、教員免許取得者もいる、だけれども教育界は人材が集まらない。その理由については教員の待遇改善、これには現場教員の声を反映しなければならない。また社会的地位の向上をはかり、魅力ある職場づくりに根本的に解決をはかり、養成大学そのものも学生の意識調査を行ない、人格形成と学問研究に重点を置いた抜本策を打ち立てない限り解決はできないことに思いをはせるべきであります。 現在の教職員の資質の向上についての確たる対策を先議すべきであるのに、その方途について政府と教員との合議がなく、政府はただ管理職養成をもって資質向上にすりかえる傾向も見られ、また大学における教員養成コースになじまないと称せられる高校の特殊専門教員の速成を急ぐ前に、現在及び今後の高校のあり方をよく見定める必要があります。 以上をもちまして、本法案に反対をいたすものでございます。
○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決いたします。 教育職員免許法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○田中委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、林大幹君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五常共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。林大幹君。
○林(大)委員 私は自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、ただいまの法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 教育職員免許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、教育職員免許の重要性にかんがみ左記事項に留意すべきである。 一、教員養成の二大原則、即ち教員は大学において養成されること及び開放制の趣旨を尊重し、教員資格認定試験の実施にあたつては、人物、学力等について筆記試験、面接試験等によつて、公平かつ十分な審査を行ない、教員の資質の保持向上のために公開等の措置を含め適切な配慮を行なうべきである。 二、本法の運用は、教員養成の原則からして、きわめて高い視野からなさるべきものであり、いたずらに現状に妥協し、安易に流れぬよう十分配慮をなすべきである。 三、本法の基礎となる教員養成のための諸条件の整備や、開放制の基ともなる奨学制度等の抜本的改革を早急に行なうべきである。 右決議する。 以上であります。 その趣旨につきましては、本案の審査に際し十分御承知のことと存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきたいと思います。 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、本附帯決議に対し政府の所見を求めます。奥野文部大臣。
○奥野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を体して十分検討、努力いたしたいと存じます。 —————————————
○田中委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後五時五十六分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕