物価問題等に関する特別委員会 第22号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/08/30
会議録
○山中委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
○松浦(利)委員 まず最初に、物価全般について長官にお尋ねしたいと思うのです。 実は、経企庁の前事務次官であります矢野氏が、日本生産性本部のトップゼミナールにおきまして、最近の経済動向という問題で講演を行なっておるわけでありますが、その新聞報道によりますと、政府のインフレ対策はみんな後手後手になり、このままでいくと消費者物価は九月、十月には対前年同月比で一四、五%までなるということを発言をしておるわけであります。この、前物価担当であり、しかもその中心であります事務次官の矢野さんの発言というのは、たいへん重要な意味を持っておると思います。逆に総理は、本委員会におきましても、私あるいはほかの委員の質問に答えて、十月になると物価は必ず安定をする、こういう答弁をなさっておるわけであります。 いまのこの物価の危機、たいへんな物価上昇に国民が怒り、また悩んでおるわけでありますが、物価担当大臣として長官は、総理が言うように、一体十月に物価は安定の方向へ向かうのか、それとも現状のまま、矢野前事務次官がゼミナールで講演したように、九月、十月は異常な、全く悪性インフレというべき一四、五%まで物価が上昇するのか、その点についての判断を明確にお答えいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 最近における物価の動向については私も衷心から心を痛めておりまして、何とかこの燃え上がる騰勢を静めなければならぬということで苦慮いたしておるわけでございます。 御承知のように、日銀の公定歩合を一%という、いままでにない大幅な引き上げをすることを決定したわけでございますが、あわせて預金準備率の引き上げもいたしたということは、この問題に対する政府のなみなみならぬ決意を反映したものと思うのでございます。また、予算面におきましても、公共投資の繰り延べということにふん切りました。こうした全力投球の決意というものが必ず物価にあらわれてくるだろう、私はかように考えておるわけでございます。 矢野君が軽井沢のセミナーで言った話は、エコノミストとしての反省といいますか、役人をやめて一エコノミストに戻ったという気持ちからの、一種の解放感みたいなものから言ったのだと思いますが、なかなか政府の施策ということになると、企画庁だけで決定するわけにもいきませんし、また企画庁そのものがそう決定権があるというわけでもないと思っておりまして、私のしばしばの発言でも御承知と思いますけれども、公定歩合を上げると言うと、あいつはいつ日銀総裁になったのだというようなことになったりしまして、なかなかそう簡単にいかないのであります。しかし、そうしたことがだんだんに効果があらわれてきて政府の施策になってきた、こういうことになると思うのでございますが、矢野君は、そうしたいろいろな情勢の複雑なむずかしさというものを、後手後手というようなことで言ったのかもしれません。しかし、個人としての講演ですが、ちょっと解放感が早過ぎるのじゃないか、役人をやめて翌日から一エコノミストになったつもりになったんじゃちょっと早過ぎる、私はそう思っておるのであります。 が、それはそれといたしまして、総理が秋には物価が安定してくるということを言われたことでございますが、いま私が申し上げたように、必ずそういった方向になる、今度の措置はそういうた方向に非常に大きな歩を進めるというふうに信じておるところでございます。
○松浦(利)委員 私は、一エコノミストとして解放感にひたって言われたとは思わないのです。時間もありませんから、いままでの物価政策その他について、いまここで長々と経過を振り返るつもりはありませんけれども、確かに政府のやっておる物価政策というのは後手後手に回っておると思うのです。 ずばり、この際大臣にお尋ねをしておきたいんです。実はこれはある新聞にも書いてあったんですが、この矢野前事務次官と同じようなことが書いてあったんですが、結局物価問題できめ手はこれだ、こういうふうなことを積み重ねていかなければならぬという提案を、かりに物価担当である経済企画庁が提議をしても、それをなかなか受け入れる素地がない。たとえば個別物価の需要抑制策などというものは、すでに七月に各省庁に対して指示をした。ところが、大蔵省やらその他がいろいろ難くせをつけて、結果的に閣僚協が開けない。その間にどんどんと物価は推移する。そういう繰り返しが、物価というものをどんどんと押し上げる一つの行政の無能というものがあらわれてきておるんじゃないかと思うのです。この際大臣に、こういう事実はないのか、物価担当大臣として提議したことは即座に受け入れる素地が政府にあるのかどうか、それとも各省庁に、後手後手に回るようなそういう原因というものがいままでずっとあるのか、これからも続くのか、そういう点をひとつ大臣として明確にお答えいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 私の申しますことは必ずしも一〇〇%いれられるというわけにはいきませんし、また、それが当然であると思う点もあります。やはり立場が変わればいろいろ意見が違うわけでございまして、そこで妥協された一つの最大公約数というものが出てくるわけでございます。しかし、そのためにできるだけ政策決定のスピードを早めなければいけないということで私もいろいろ申しておりますが、幸いにいたしまして、いままでの経過から見まして、企画庁長官の言うことというのはできるだけ早く取り入れたほうがいい、こういう一つの動きになってきている。私から言うとおかしいのでありますが、私はそういうように思っております。たとえば公定歩合の問題にしても、一%ということを私が言ってから約一月はかかりましたけれども、それでも一%上げるということに踏み切ってきたわけであります。今後はだんだんそういう点が自動的にスピードを増してくるだろうと思います。 さっきちょっと申し落としたのでありますが、矢野前次官の発言は前年対比のことを言っておるんで、総理が言われたのは、この物価の趨勢でございますね、この趨勢が、急カーブで上がったのは鈍化する、こういうことを言われたというふうに私は理解しておるわけでございます。
○松浦(利)委員 実はここに日銀から卸売物価指数の資料、グラフを届けてもらったわけでありますが、これを見ますと、卸売物価が確かに全部、昨年の十二月から急上昇をしておりますね。急上昇したものが、四月ないし五月からスローダウンしてきた。ところがこの統計を見ますと、明らかに六月ごろからまた急激にぐうっと直線状に急上昇していくわけですね。この卸売物価の指数グラフを見ますと、政府がやっておられる物価対策というのは全くない、これは冷厳な事実としてあらわれておると私は思いますね。 それから、おそらく明日、総理府の統計局から消費者物価の動向が発表になると思います。東京とそれから全国、発表になると思うのでありますが、最近における消費者物価指数の推移を見ましても、御承知のように五月から六月が横ばいで、六月から七月にかけてまた棒状に上昇を続けておるわけですね。そうすると一体、総理がことばの上では、十月ごろからだんだんとダウンするのだ、こういうふうに言っておられるのだけれども、それでは具体的にダウンする政策というものを、どういうふうにしていままでのやつを下げようとするのか。新聞の報道するところによると、明日物価閣僚協が開かれて、建築基準の制限あるいは自動車の割賦販売頭金等の規制、こういった個別物価に対する抑制策がとられるようですけれども、そういうことで実際にこのグラフが、国民が期待するようにダウンするのか、その見通しをひとつお聞かせいただきたいと思う。ほんとうに十月、これが下がるのか。
○小坂国務大臣 四月上旬、中旬に〇・一%、非常にわずかな数でありますが、騰勢が下落傾向になった。私は実は、これは決戦のときじゃないかというふうにこれを大きくつかまえまして、物価上昇を食いとめたいと考えたのでございますが、ちょうどおりしも海外の物価高の問題が火がついてまいりまして、円高というデフレ要因がデフレ要因として作用しなくなってきたというようなことと、それから、やはり円対策の予算の執行ということもあったんではないかと思いますが、そういうこととからみ合って非常に物価が押し上げられてきたということはいなめないと思うのでございます。ことに、一種のインフレマインドでありますが、海外が非常に高くなってきて、非鉄金属などが非常に卸売物価を押し上げたわけでありますが、高くなればやめたらいいのでありますけれども、高くても買うのですね。私は、真偽のほどはあまり詳しく突きとめていないのですが、日本の買いものは海外で小売物価で買う。小売物価で買っても、日本へ持ってくれば将来上がるのだからもうかるというようなインフレマインドが存在する限り、物価は、政府が幾らやっきになってもなかなかとまらないという問題がある。 私は、この際思い切って総需要を引き締め、超過需要を切り取るということに、あらゆる毀誉褒貶を度外視してそれをやらなければいかぬと思っていろいろ献策をいたしておるわけでございますが、明日発表になりまする物価対策は、そういう点を含めて、先ごろの日銀の公定歩合引き上げ、公共事業費の削減等の一連の措置をひっくるめまして、私は必ず効果をあらわすというふうに思います。 それから、ことに一部には、一部商品の十月大暴落説というものもあるわけでございますので、そういうこともだんだん出てくるのではないか、かように期待を持っておるわけでございます。 いずれにいたしましても、いまの状況でいいと思うのは、極端に言えば一人の国民もいないと私は思うのであります。そういう国民的なコンセンサスを背景にして、物価が今日非常な事態にある、これを何としても食いとめねばならぬということに政府も真剣になりますが、国民の側の消費態度というものも、合理的な消費に徹するということでやっていただかないと、なかなかこの物価の問題というのは、やはり需要と供給と両方あるのでございますから、需要面をできるだけ控えるように皆さんが考えていただくということにおいて効果を発揮するものである、さように考える次第でございます。
○松浦(利)委員 いま大臣の御答弁の中に、公共事業の削減ということを言われましたね。実際に削減するわけですか、繰り延べするわけですか、どっちですか。
○小坂国務大臣 これは私のことばが足りませんのでございまして、一応ここで支出を押えまして次期に回すということで、削減とは多少違うのであります。訂正をさしていただきます。
○松浦(利)委員 公定歩合引き上げを四回やって、金融面で総需要を抑制していく。ところが、財政面では公共事業の繰り延べだ。現在うわさされておるところでは、四十九年度に八%繰り延べる。ところが、実際に調べてみますと、四十七年度の事業が四十八年度に繰り越されておるのですね。ですから、この際思い切って補正をして削減をするという体制をとらなければ、ただ単に八%繰り延べるということであれば需要をただ繰り延べるだけで、結果的に決定的なインフレを押えるという効果は私は薄いと思うのです。物価担当大臣として、総需要を抑制するなら、財政面から抑制するなら、四十七年度、四十八年度はプールされて過熱しておるわけでありますから、それを四十八年度八%繰り延べるだけではただ需要を繰り延べるだけになるわけでありますから、この際思い切って補正をする、削減をする、こういう思い切った措置をとれば、国民自体にあるそういったインフレマインドといいますか、こういったものは鎮静化の方向に向かうのではないか。そういう思い切った措置を、メスを入れるお気持ちがあるのかどうか。ただ繰り延べだけでは問題は解決しない、私はこのように思うので、その点をひとつお答えいただきたいと思う。
○小坂国務大臣 繰り延べも削減、補正も、結果的には財政効果としては同じわけでございまして、特に、繰り延べるという措置は、今後の景気がいわゆるオーバーキルになったというような場合にもこれを復活することができるという意味において、これを繰り延べておきたい、そういう非常に強い要求もございますので、私もさように同意しておるわけでございます。
○松浦(利)委員 どうもそこがわれわれと考え方の相違点なんですが、われわれとしては、やはりこの際、繰り延べじゃなくて、削減をするという姿勢があって財政面の総需要抑制策が出てくるのだ、こういうように理解をしておるのです。しかし、そのことをここで幾ら申し上げても、それは水かけ論になるからここでは差し控えますけれども、いずれにしても政府自身がそういった思い切った手を打つ。 もう一つの方法は、やはり公共料金だと思うのですね。確かに個別事業、公企体といえども赤字で経営が苦しい面もあるでしょう。しかし、公共料金が上がることによって、やはり国民に物価に対する過熱ぎみな影響を与えるわけでありますから、この際、公共料金の引き上げについても、物価担当大臣としては、全部すみやかに来年に繰り延べるなり一年間凍結をするという思い切った措置は考えられないのかどうか、そういう抜本的な考え方に立つわけにはいかないのか。やはり依然として、国鉄運賃でもあるいは電気でもガスでも、上げるものは上げる、こういう考え方に立つのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思う。
○小坂国務大臣 公共料金に至りましては、真にやむを得ないもの以外は厳にこれを抑制するという措置をとっておるわけでございまして、その方針のもとに公共料金の対策を考えておるわけでございますが、たとえば東京都における交通料金、バス料金、あるいは横浜市におけるバスの料金あるいは京都における市電、バス料金、そういうようなものがどうにもならぬということで、これはいろいろ実態を調査して上げました。そういうようなことで、それぞれやむを得ないと思われるものは、機械的に押えるというようなことはしておりませんわけでございます。国鉄の料金につきましても、本院でいろいろ御審議をいただきまして、いま参議院で御審議をいただいているわけでございますけれども、これも私どもは、やはり国民の足の確保という国鉄の機能から見て真にやむを得ないものというように考えて、利用者のほうにおいても国あるいは国鉄とあわせて若干の御負担を願うのはやむを得まい、こう思っておる次第でございます。
○松浦(利)委員 どうも政府は、物価を抑制すると言いながら、片一方では、真にやむを得ないという理由で上げている。それでは一体、物価抑制の効果はどこに出てくるのだろうか。逆に言うと、インフレ景気をあおって、もうけるやつはどんどんもうけるという考え方に立っておるのではないか。インフレを謳歌しておる、インフレ景気でもうかっておる人が、たくさんおるわけですね。どんなに福祉型予算だ、国民福祉だと言っても、物価が上がれば、インフレが福祉に逆行することはもう当然のことで、逆に言うと、今度の四十八年度予算も、これは福祉予算だと盛んに言われますけれども、福祉を言うなら、もっとインフレをとめなきゃいかぬ。インフレというものは福祉と全く相反するものですから、そういった意味では、先ほどから言うように、もっと思い切った措置がとられなきゃいかぬと思うのですね。 そこで、私は具体的な例として申し上げておきたいのですが、この前、本委員会で生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律が通りました。これほど卸売物価がどんどんと上昇しておる。個別に卸売物価の指数もここに出ております。ひどいのになると、前年同月比で一七八、一〇〇%をこえておるものもあるし、あるいは前年比で二〇%をこえるものも出てきておる。こういうふうに卸売物価の指数あるいは消費者物価の——これは総理府の統計局から、二十品目について、四十八年の一月から今日までの推移を全部グラフにしてもらったのですが、これでも、どんどんと値上がりをしておる。下がったものというのは鶏卵ぐらいで、あとはみんな上がっていますね。ところが、実際にこの法律で指定したのは、大豆、大豆油、大豆油かす、丸太、製材、合板、そういったものを含めて十四品目ですね。あした閣僚協で灯油が追加になる。ところが、実際に卸売物価あるいは消費者物価の状況を判断すると、もっとこの法律で指定をしなければならぬものがある。ところが、あるものは指定をして、あるものは放置されておる。一体どこにそういう片手落ちなものが出てくるのだろうかという気がしてなりませんね。大臣はこれを答弁されるときに、これも物価の一つのきめ手にしたい、こういうお話だったはずです。ところが、この統計から見て、指定した品目が非常に少ない。ほんとうにこの法律そのものの効果を物価抑制策に示そうとしておるのかどうか、私は判断に苦しむのです。この際、大臣の御見解と、さらにこれから一そう指定する品目をふやしていくお気持ちがあるのかどうか、その点をひとつあわせてお聞かせいただきたいと思う。
○小坂国務大臣 この売り惜しみ買いだめの規制措置の対象になっております十四品目のほかに、灯油も明日指定することを考えておりますが、さらに小型棒鋼、あるいは塩ビ電線を含めた塩ビ製品、そういうものについて指定すべしというふうな御議論もあるわけでございますし、最近、そういうものの値上がりが、いろいろの面で非常に市民生活を脅かしておるということは、これは私もさように考えるわけでございますが、通産省のほうにおきまして、最近におきましてそういうもののあっせん所をつくっていただきまして、塩ビ電線等については五百五十万メートルというようなものを放出するというようなことでございますし、小棒のほうでも十六万トン放出が行なわれて、さらに追加して十万トン放出されるというようなことで、相当市況が冷えるのではないかというふうなお話を承っておりますので、この様子を見守りたいと考えております。そしてしかも、そういうことにもかかわらず、どうしても買いだめ売り惜しみの懸念が非常に濃いということになれば、これを指定することは当然のことと考えているわけでございます。
○松浦(利)委員 どうも大臣、通産省に押されておるのではないですか。そういう気がしてなりませんね。通産省があっせん所をつくって、バイパスで実需要者に直接流すということ、これは私は当然なことだと思う。指定をした品目だから。そういうことをしなくていいのではなくて、指定もする、そして調査に入る。同時に通産省がバイパスで実需者に、塩化ビニールなり何なりを出す。そういうものが相まって物価というものは抑制されていくので、これをやったからこっちはせぬでいいというような感覚で、私は問題は解決しないと思うのです。 また、この法律の意味は、向こうがそういうことをするからいいじゃないか、その経過を待ってからでいいじゃないかということにはならぬと思うのですね。あのときの御提案は、即決するのだ、上がると予想されるものはやるのだ、こう言っておられた。ところが、いま上がってどうにもならなくなってバイパスをつくる、その経過を見てなお鎮静しないようなときに指定をするのだということになりますと、法律効果というものはまことに後退をした印象を与えるのですね。法の解釈をもっと提案どおり、まっすぐにやるべきだと思いますね。通産品目については、経済企画庁長官の——もちろん、これは通産大臣の権限下ですけれども、この法案を出したときには通産大臣も当然、政府の法案として、内閣提出法案ですから、了解をして院を通っているわけですから、いまになって、いや、そうじゃない、こうだから、これでがまんしてくれというようなことには通産もならぬと思うのですね。思い切ってやるお気持ちがあるのかないのか、ひとつ教えてください。
○小坂国務大臣 物価を安くするためにこの法律が役に立つならば、いかなることもやるべきであると私は思っております。ただ、やる以上は効果的に行なわねばなりませんで、それにはやはりこうした物資を所管しておる通産省も全面的に協力して、そうした専門家を出していただかぬことにはどうにもならぬわけでございまして、そういう意味で、別に押されているとか何とかいうことでなくて、隔意ない協力をしていくというふうに考えておるわけでございます。私の意見は先ほど申し上げたようなことでございますが、ただいまの松浦委員の御意見もよく承っておきたいと思います。
○松浦(利)委員 承っておく程度ではなくて、ぜひやってもらいたいと思いますね。特定物資にきちっと指定をしてもらう。調査に入る。同時にバイパスで通産省から流してもらう。そういう手だてをいただきたい。承る程度では承服できません。あのときの提案はそうだったのです。野党案に反対されたわけですから。われわれはしぶしぶ、反対だけれども通したわけです。審議にも協力したつもりです。いまになってその法案の趣旨が変わってきますと、われわれ、一体ここで何を議論したのかということにならざるを得ないのですね。運用は政府ですけれども。承っておく程度では承服できませんね。ぜひひとつ勇断をもって指定してください。どうなるか、私はこれからその結果を見まして、その次にまた質問をしようと思います。 最後に長官にお尋ねをしたいのですが、今年度の物価の見通しですね。これは当初の政策目標どおり落ちつきますか。だいじょうぶですね。これは政策目標ですから、この前、総理もここで言われたのですけれども、政策目標ですからそれに入れるように努力をするのです、こういうふうに盛んに言っておられるわけですね。しかし、物価担当大臣として言われる発言は、総理のようなわけにいかぬと思う。現状のような推移で実際に今年度の消費者物価の政策目標である五・五に必ず入るという約束を、もう一度ひとつ、ここでしていただきたい。絶対に入れるのだという約束は言えるのかどうか。いや、それはむずかしければむずかしいでけっこうです。予算委員会においては五・五%以内に入れますという御発言があったわけです。ところが、だんだんあやしくなってきた。いまあらためて、五・五に入るのかどうか、入れるという決意のほどがあるかどうか、あるならあると、国民の前に明らかにしてほしいというふうに思います。
○小坂国務大臣 予算委員会で御審議をいただいている当時は、円の変動相場制によるところのデフレ効果というものに実はある程度の期待を持っておったわけでございますが、どうも物価高の状況は世界的な傾向になりまして、デフレ要因として円高が働かなくなっておるというのが今日の状況でございます。そこで、私ども経企庁といたしまして、何とか物価を安定させるために、物価安定というものを政策の第一目標にするということで各界にいろいろお願いをしてやっておるわけでございますが、今日のところはどうも、当初の目標のようにおさめるように努力はいたしますけれども、そのむずかしさの度合いは、予算委員会の当時よりもさらにむずかしくなったというふうに申さざるを得ないと思います。 いずれにいたしましても、いまの引き締め効果の様子を見まして、さらにもっと具体的な対処をさせていただくこともあるかと思いますけれども、今日のところはこの程度で御了承を賜わりたいと思います。
○松浦(利)委員 五・五が非常にむずかしい情勢になったという御説明です。私たちは、むずかしいということはとっくにわかりますね。しかし、政策目標であれば、五・五に入るように努力をしてもらいたい。今度は逆に国民の要求だと思うのです。今度は国民側から要求をすると思う。政府は五・五以内に物価を押えてくれ、逆に言うなら、国民の要求として受けとめてもらいたい。逆提案です。むずかしい条件になってきたのですから、政府が約束されて、なかなかいまはむずかしい状況に追い込まれておりますが、逆に国民側から要求として、五・五以内に押えてくれ、こういうふうに申し上げて、まだたくさんありますけれども、あとの方がおられますので、一応物価問題についての御質問を終わらせていただきます。 そこで、次に公取の委員長にお尋ねをいたします。 この前、本委員会で公取の委員長に質問いたしまして、再販をどうするのかという質問に対しての御答弁は、年内に決着をつけたい、こういうお話があったが、きのう御発表になったようであります。ところが、きのう御発表になった内容については、非常に問題があると思います。 ひとつお尋ねをしておきたいのですが、この再販問題はこれで決着がついた、すべてこれで終わりだ、こういうことですか。さらに再販を全廃をするという方向で年内に審議をするおつもりであるかどうか、その点をまずお聞かせをいただきたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 この問題、いろいろ考えまして、私どものほうも相当深く検討して、きのう発表したわけでございますが、その前に決定しております。 いまお尋ねの点は、全廃について申し上げますと、今回の措置としては一応あの段階でとどめておく、それで最終的な決着がついたものとは私ども思っておりません。しかし、いろいろな各般の事情を考えまして、確かにある意味では中途はんぱなものかもしれませんが、しかし、現実に即して解決をするために中間的にやむを得ない程度のものであり、かつ相当程度には前進したと思っております。 今後のことについていま申し上げるのは、そういう事情がございますので時期尚早でありますので、ただ、これですべてが終わったんだということにはならないのじゃないかと思いますけれども、まだまだ時間的に相当時間を要する問題だと思います。
○松浦(利)委員 これが決着がついたことではないということなんですが、ただ、非常にここで疑問がありますのは、一部手直しされたのですが、それに付帯をして「小売業における不当廉売に関する特殊指定案の概要」というやつで、要するに仕入れ原価プラス六%以下では売ってはいかぬのだというきびしい規定が設けられたのですね。要するに安売り禁止の規定ですね。これは一体、なぜこういうものを設けたのですか。 具体的にお尋ねをしておきますが、実はカラーテレビですね、電気製品。これは御承知のように系列店というのは手形決済で、手形で決済しますから同じ電気製品でも高い。ところが、量販店は現金決済ですから、メーカーから直接現金で決済するから、値引きで非常に安く買えるんです。いま量販店で、そういう非常に安い電気製品が出回っているわけですが、そういうものもこれで規制されますね。あるいはスーパーで現実にいま、仕入れ価格プラス四%くらいで売っておるのがありますね。そういうのも今度これにかかりますね。現にいままで安く売っておるところは全部、六%以下であればこの規制を受ける対象になってしまうということです。非常に矛盾だと思います。逆に言うと、薬なんかは値幅再販を認めておりますね。ところが、この値幅再販が一〇%から二〇%というのがある。へたをすると仕入れ価格にプラス五%くらいの値幅になるかもしれません。それは認める、逆に。個別薬品でできるかもしれませんよ。一〇%から二〇%値幅再販を認めているのだから、場合によっては仕入れ価格プラス五%の値幅になっておるかもしらぬ。それはいい。そうしますと、いま消費者が安い店をさがして買っておる、その消費者に対して挑戦をすることになるでしょう。 それともう一つの問題は、スーパーというのが一つの企業体の中で決算をするわけですね。だから、あるところでは安くても、あるところで利潤を得るという形でペイしていくわけでしょう。ところがそれができなくなる。全部六%以下ではだめですなというワクをはめられてしまったら、スーパーというものの妙味もなくなるし、量販店というものの妙味もなくなってくる。消費者に対してはたいへんな打撃ですね。 なぜいまさらこういうのを入れる必要があるのか。逆に言うと、再販というものと引きかえに、業界が非常にやかましいから、いままで業界が目のかたきにしておったそういう量販店とか安売りというものに対して、規制を受けるという代償を与えることによって再販をなくすという政治的な取引が行なわれたのじゃないですか。そういう印象が強いんですがね、そのいきさつをひとつ明らかにしていただきたい。しかも、こういうことはもうやめてもらいたい。できればこの際再販のほうだけにして、こちらのほうはこの際もう撤回をしてもらいたい。 その二つについて御答弁いただきたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 不当廉売の規制は再販の問題の整理と全く無関係ではございませんが、これはそもそも再販制度がなぜつくられたか、昭和二十八年でございます。各国の例等を見ましても、やはり極端な廉売の方法などによって顧客を誘引しておいて、そうして実際にはほかではやる、ほかの品物においては十分もうける、これをおとり販売といっております。そういったことで公正な取引がむしろ阻害される。全体として見れば、事業者が倒産を覚悟でおやりになるのでしたら廉売もけっこうでございますが、そういうことは普通ないわけでして、営業を正常に続けていく、そして営業を拡大していくというためには、利益を考えなければいけません。ですから、廉売するといいましても、その度合いが激しければその分だけは他の商品でもうけているから、こういうふうに解するほかないわけで、何か一ぺん、ことに消費者代表の方々からの反発として、消費者のためになるのに廉売を規制するというのはおかしいじゃないか、こういうふうな声があるように伝えられておりますが、私どもは、この廉売ということは、廉売自体は別に差しつかえないんだ、不当に安くするということを規制するという——六%ということを、いま五%くらいのものも売っておるのもあるとおっしゃいましたが、事実、それは中には仕入れ価格を割っているものさえあるわけです。実はそういうことを行なうことができるのは、概して大型小売店でございます。普通の中規模以下の小売店におきましては、あまりにその仕入れ原価を割って売るようなそういうことをたびたび行ないましたならば、これはほかの商品が同時に売れればいいのですけれども、大型店ほど品ぞろえがない。大型店はいろいろな商品を扱っておりまして、店の中にお客が入ってくれれば、廉売しているもの以外に、おとり以外の商品をついでに買ってくれるということでございまして、おとりの商品だけを買い集めて歩くということは事実上、きわめて例外の場合にあるかもしれませんが、むしろ業者の立場から見ますと、おとりというものは、あくまでそれは一部の商品について行なっておることであります。そういうことができるのは、いま申しましたようなスーパー等の大型小売店はできる。それを客寄せにして客を引っぱる、それをえさにして他の商品を買ってもらおうというのがおとり販売でありますが、その限度としてどの程度がいいかということを十分検討いたしまして、いま私どもは六%を一応のものとして考えております。 これが五がいいかあるいは八がいいか、いろいろ議論が存すると思いますが、一つ一つの商品について原価計算をしていくということは、規制する側としてはとても不可能でございます。規制しないでおくと、こういう業界における流通秩序に対してむしろ公正な競争を阻害することになるのではないか、こう私どもは思います。そういうものが自由にできるところと、そういうことができないために不利な立場に立たされるものとの間に公正でない、不公平な立場が生まれてくると思います。 それで、六%は、これは実態を申しますと、直接販売費がそれを下回る場合にはそのものということになっております。つまり間接の販売経費を含んでおりません。間接の販売経費まで含めますと、一般の小売業等におきましては二〇%から三〇%というふうな数字も出ております。控え目に見ましても、これは商品によって、また店によってみんな違いますが、スーパーの場合等でも直接経費だけで九%から一六%ぐらいというふうな数字を多くつかまえております。これはいろいろな統計から出したものでございまして、私どもが直接調査したわけではありませんから確実なものとは言いかねる面もありますが、概して六%の直接経費を下回るものはほとんどないのではないか。としますと、その程度のものは仕入れ価格に上積みしたほうがいい。 たいへん失礼しました。いま思い出しましたが、先ほどテレビ等の安売りについて、これはいかぬのかとおっしゃいましたが、仕入れ価格が実質的に安ければ、安く仕入れたものはその上に六%をオンするだけでありまして、現在一部の地域で行なっておりますそういう特殊の家電製品の安売り等は十分できるわけです。あるいはリベートを換算しますと経費が出ております。赤字を出してやっておる場合が全くないとは申しませんが、通常の商品については、たとえば仕入れ価格そのもので売りましても、あとからリベートが十何%もくる。こうすれば十分ワクの中に入るわけでございまして、それを禁止するような意図はございません。すべて画一的に押えるのではなくて、仕入れ価格が違っておれば、仕入れ価格が安いものは安いなりにそれに六%をプラスするだけでございますから、そういう意味の競争を排除する気持ちは全くありません。一番低い、おそらくほとんどないと思われるくらいの経費、しかも間接的な経費を除いて計算して、それでこれは相当な安売りだ、出血サービスだ、そういう出血はその程度にとどめたらどうだ。仕入れ価格より低いものもありますが、それではあまりに度が過ぎるのではないか。著しく不当に安い価格で客をつるということは、たとえば私どもは景品類についての取り締まりをしておりますが、そういうことは販売法が公正な競争とは認められないので、販売をある程度規制するということは現にやっております。そういうことに比べますと、極端な値引きのほうが景品類よりもはるかに程度が激しい、こういうことになっておりまして、現在でもいろいろトラブルが持ち込まれておりまして、こちらもそれをさばくのにたいへん閉口しておるのが実情でございます。 つまり、できるところとできないところがあって、できないところは、それはむちゃだ、われわれの営業基盤を完全にくつがえすということで、不公正な行為が行なわれておりますので、そういう点を勘案いたしまして、一部腰だめでございますけれども六%の線を乗っけた、こういうふうにしたわけでございます。
○松浦(利)委員 その不当廉売というのは、仕入れ原価を割っておるとか出血しておるという場合、それはある意味で不当廉売だといってもいいけれども、六%以下の安売りをしたら全部不当なんだ、こういう感覚じゃ物価対策はできないと思うんですよ。安く売ったら悪いんだ——確かに秩序がありますからね。スーパーとか量販店とこういう小さな小売りというものとの格差があるから、逆に言うなら、そういう小企業、零細企業に対してどういう政策をするのか、これが政治ですね。そういう人たちにまともな生活なりあるいは量販店に対抗できるような措置をしてやるというのが、これが政治です。 消費者の側からいえば、安いものを買うというのはこれは消費者の感覚です。ところが、安いものを買ってはいけませんぞといって、こういう不当廉売の規則をつくってワクをはめてしまうということになりますと、これは物価対策じゃなくてまさしく物価つり上げ対策で、いままで安く売っておったものも、仕入れ価格プラス四%くらいで売っておったものもだめだ、だから二%値上げしなさいというようなもんですよ。非常に矛盾を感じますね。だから、常識的に考えると、再販をなくすという意味で業界から非常に強い圧力があってしかたがなくてこれを入れたというふうにしか理解できない。これは笑い話にもならぬですよ。消費者が安いものを買ったら悪いというんだから。こんなあれは、消費者から見れば、消費者はばかにされておるようなもんですよ。 これはもちろん公聴会があるんですが、物価担当大臣どうです。安いものを買っちゃいかぬといって公取が規制するというんですよ。安いものを買ったらいかぬ。物価担当大臣としてどういう見解をお持ちですか。こんな話を聞いておったら国民はばかばかしくなるです。公取は別ですけれども、どうも政府は物価対策についていいかげんだとしか理解できないのですよ。こういうのを見ておると、質問するほうがいやになるですね。大臣、ひとつ答弁してください。
○小坂国務大臣 御承知のように、公取委員会というものは政府から独立した機関でございまして、公正取引をいかにするかという独自の判断に立っておられるわけでございます。そこで、これに対するコメントを求められたわけでございますが、私は、やはり公正取引委員会というものは、安く売ってもいかぬ、高く売ってもいかぬ、公正な売買をやるべきであるという立場で、一般の商取引はさような見地で行なわれることを考えて判断されるだろうと思うんでございます。もちろん、消費者の立場からいえば物価は安いほうがいいわけでございますが、安売りをしたために他に非常に混乱を起こすというようなことがあってはいかぬという意味で判断されたのだと私は思っておるわけです。特段にこれをコメントする意思はないのですが、御質問に応じてお答え申し上げますと、私はさように理解をしておるわけでございます。
○松浦(利)委員 物価担当大臣も理解をした上でこれを認めるということになりますと、これはたいへんなことになると思うのですね。もちろん公聴会という歯どめがあって、最終的な決定は公聴会を経てからと、うことになるんでしょうけれども、実際国民にとってみたら、安いものを買っちゃいかぬのだ、こう言われるなら、そんなら仕入れ原価をもっと安くしてください、卸売価格をもっと安くしてくださいと言いたい。そうすれば全体的に価格が安くなるんですよ。そのもとを解決せずに仕入れ原価——原価があまりに高過ぎるから、それにプラスわずかな利潤で売っておるんですよね。私は、六%という基準がどうも理解できないし、安く売ったらいかぬのだという感覚も理解できないですね。これはどうしてもこうしてもやっぱりやりますか。もう何が何でもやるんですか。公取委員長、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 どうも私の説明が十分行き届かなかったためか、松浦さんの御理解を得られないのはたいへん残念に思いますが、安く買うことがいかぬというふうな発想ではないんです。つまり、競争するのはいいし、仕入れ価格を安くすればそれだけ安く売れるのですよ。それはいいんですが、しかし一部の商品について——たくさん商品があるわけです。スーパーの場合なんかですと相当な品目が並んでおるわけです。そうしまして、そのうちの一部について、本日は目玉商品としてこれこれですというと、まあそれにつられて買いに来るわけですね。そうしてついでにほかのものを買ってくる。だからスーパーとしては、一部のものを犠牲にして売っても、全体として売り上げがふえ、採算がとれていけばいいという考え方なんです。これは、じゃ小規模業者がまねができるかといいますと、特に単一の商品などを扱っている場合には、それを安売りしたらその日は売れるけれども次の日は売れないということになって、結局一部の品については不可能じゃないでしょうが、大型小売店と一般の普通の規模の小売業者との間に、はっきり販売の手段に差ができているというのが現状であろうと思うのです。ですから、安売りの廉売品を買った人は、なるほど安かったと思っているでしょう。しかし、それならば、もし実際に一番安いところを拾ってみましても、販売経費というのは一二%くらい、平均してかかっております。ですから、それをみな六%で売ったのでは倒産は必至なわけです。そういう勘定に合わないことは業者はするはずはないのでして、ですから消費者の側からいえば、全体として得になったということは私は言えないと思うのです。ですから、それで十分利益を出しておるのですから、量販店は、利益率は百貨店に比べれば低いでしょうけれども、それで非常にのしてきているわけであります。いわゆる薄利多売主義でありますが、しかし完全に利益は出しているわけでございますから、一二%を加えた額だけで販売しているんじゃありません。仕入れ価格にもっと高い率のマージンを加えて販売しているわけでございますから、総平均してみると決して消費者のためになっているとは言えないんじゃないか。ただ、こちらの店で買うよりもついスーパーにつられていくというふうな選択の現象も起きていますけれども。ことに小さな小売店の場合だったら、四%とか五%のマージンなんかじゃとてもできません。これは非常に高いのです。間接費まで含めますと、商品によって違いますけれども、三〇%くらいざらにございますから、とんでもない安い値段で売るというのはごく例外の場合しかできないわけでございますから、それを、行き過ぎたんだから、廉売について私どもの歯どめをかけて取引を正常化しよう。正当な手段でやる。しかし、といって実際の廉売がいかぬというようなきびしい政策を出すのはまずいというので、そこで六%という歯どめが出てきたわけでございますから、その点、決して消費者にふためになるようなことを考えたつもりはございません。
○松浦(利)委員 どうも感覚的にずれておるのですよ。いま家庭の主婦やら国民は、やはり一円でも安いところを走り回るのですよ。しかも行く範囲は知れているのです。自分の住居を基準にして、その周辺で買うのですよ。一円でも二円でも安いところを走り回る。そういう庶民の感覚と、公取委員長の感覚というのはずれておる。あなたは、消費者のためになるといってこの規制をやるのです。ところが、消費者側は逆に迷惑をこうむっておるのです。だから、そういう判断は消費者がするべきじゃないでしょうかね。確かにあなたが言うように、資本の大きいものと零細なところを比べたら、それは資本からも量販店と太刀打ちできないわけですから、だからさっきから言うように、そういうものに対してはどうするかというのは政治だと言うのですよ、中小零細企業に対する近代化という問題は。スーパーや何かと対抗できるようにいかにしてこれを近代化していくか、これは政治じゃないですか。それをおろそかにしておいて、逆に、そういう人たちがおるから消費者の人が安くで買うことはいかぬよ、消費者からいわせれば、安く買ったらいかぬよという、こういう規制を設ける。そこがわれわれはどうも理解できない。あなたの言う説明は一方的な説明でしょう。困る業者がおるから六%に押えたんだ、ほんとうは一二%だけれども半分くらいに押えたんだ、こう言っておられるけれども、しかし消費者側からいえば安いところに買いに行くわけですから、それがいかぬとこう言う。 しかも、再販問題について決着をつけると言っておいたその決着を、中間的に決着をつけた内容とあわせて出されてきたところに、非常に私たちは政治的なものを感ずるのですよ。これは関係ないですよ、別段再販とは。再販をなくすということとこれとは別だ。新たな問題として提起されてきたわけです、これは。極端な言い方をすると、再販で解除したから、それがまたおとりになるといかぬからこっちで締めておけ、実質的には再販をそのまま持続をするという、そのために再販を解除した業者に説得をした。いや、実際、あなたのところは再販を廃止したって、これがあるからいいじゃありませんか、おとりになりませんよ、だからひとつ公取の言うことを聞いてくださいよという、何かかけ引きの材料にこれが使われたとしかどうしても理解できないのです。 もう一度申し上げますが、再販部分だけにして、これは撤回したらどうですか。時期尚早。もっと物価問題、物価対策上から本質的な問題として議論をする意味で、発表してしまったから撤回ということはむずかしいかもしれませんが、もう少しあと回しにしてもらえないでしょうかね。もうだめですか。やりますか。その点をもう一ぺん委員長からお聞きして、これは打ち切りたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 どうも確かに、話がずれているといいますか、私の説明が至らぬので申しわけないのですが、決定してしまって、これをいまやめると言っても、それは私だけでできるわけでもないし、従来もそういう例はかつてないわけでございますから、それはやらなければならぬ。しかし、運用にあたっては十分注意してまいりたい。何でもかんでもいかぬ——だから例外はずいぶんつくってあるのです。これはもちろん御承知と思いますけれども、そういう六%を乗っけた価格よりも切り込んでいい、あるいは半値で売ってもいい、あるいは三分の一で売ってもいいというような例外のケースは並べてあるわけです。こういったようなものは廉売ではあるけれども、それは不当とは言えない理由があるのだから、理由のあるものは、正当なものは廉売でも、相当激しい廉売でもいいのだ、こういうふうにもうちゃんと道はあけてあるわけでして、実際に消費者のふためになるというような考えはわれわれはないし、業者のためにと言われますと、それはもちろん業界として目玉商品でねらい撃ちされまして、自分のブランドを大いに傷つけられるということは、これは諸外国でもどこでも、その点は非常に問題になっております。だから、おとり廉売を規制しているところが多いわけです。おとり廉売とはどの程度かというのは違っているのですけれども、おとり廉売そのものは、ちょうど景品つき販売、懸賞販売などと性格は同じようなものだ。それで客をつれ、客を呼び寄せる誘引とするというのですから、そうだとすると不公正な取引方法に該当するというのは、これはやむを得ないのでして、かねてから、それがないのがおかしいというふうな批判もかなりあったわけでありますので、私どもは一般消費者の立場を無視したことは全くない。しかし、業界の秩序をあまり乱すようなことで競争するのはいかがか、こう思っております。考え方としては、もう景品類なんかは、総額の規制はたった二%でございます。総額の二%しか景品をつけてはならないといって規制しているわけですから、それに比べれば、一部の商品ではあるけれども、いかにも大きな値引きを見せてやっているのは、たいへんな景品をつけたかのごとくお客に対しては誘引効果はあるわけです。そういうことはあまり感心しない。ほどほどでいい。だから赤字なんです。赤字は認めているのです。認めているのだけれども、度の過ぎた赤字はひどいのではないかというだけのことでございますから、私どもも当分初めのうちは、そんなにいきなりきびしくやるというほどではありませんけれども、なるべくそういうふうに指導して、正常な商慣行で取引をする、正常な商慣行、そして競争を維持する、これが私どもの真のねらいでございますので、ひとつその辺、できるだけ御了解を願いたい。
○松浦(利)委員 消費者が納得するかどうかは、おそらく私は、公取委に消費者が押しかけていくだろうと思うのです。消費者のためにやったら消費者はおこらないのですよ。おそらくこれからたいへんなことになるのじゃないのでしょうか。ですから国民の、消費者の声を聞いた上で、かたくなにならずに、修正するところは修正する、延期するところは延期をするというぐらいの幅を持っておかないと、私は、公取というものは国民から遊離をしていくという気がしてなりませんね。私は、了解してくださいと言われても、これは了解できませんね。 そこで、この再販の問題も、あとでまた薬価の問題にからめて議論をしていきますが、厚生省のほうに、局長おいでですから、薬価の問題で質問させていただくのですが、実は私は、ここに薬業界の決算書を全部持ってきました。それで、この薬の各社からもらった決算書を私なりに計算をしてみますと、薬屋はたいへんもうかっておりますね。ひどいところになると、純利益が二五%あるのですね。ものすごい利潤です。税引き全利益に対して二五%の純利益、ほとんどのところがものすごいもうけをしておるのは、もう決算書を局長が見られておわかりのとおりです。それぞれ各社決算の時期が違いますので、その決算時期その他は違っておるにしても、いずれにしてもたいへんなもうけです。もうけておるということを、局長、認められますか。製薬会社はもうかっておると思われますか、この決算書を見て。どうです。
○松下政府委員 先生ただいま御質問のように、製薬企業の純利益率が、一般産業の平均値あるいは他産業に比べて若干高いということは事実だと存じます。
○松浦(利)委員 それで、公取の委員長、これだけ薬屋は、いま局長が言われるぐらいもうかっておるのですよ。ところが、今度のこの再販のこれを見ますと、常時家庭の消費者が使われるところの薬は、全部再販を残してあるのですね。もちろん値幅再販ですけれども……。ところが、再販を廃止したやつは全部、全然家庭で使われておらぬ薬ばっかり再販からはずしておるのですよ。国民がどんどん使うやつについては値幅再販として認めていくというのです。ところが片一方、こんなに利潤をあげているのですよ。いま局長が言うように、他の企業に比べて製薬会社はもうけ過ぎている。矛盾を感じませんか。決算書からいうならば、この薬再販なんというのはやめていいと思いますね。そういう判断はなぜできなかったのですか。公取委員長、お聞かせ願いたい。
○高橋(俊)政府委員 私どもの考え方として、この医薬品について手をつけるかどうかということは、他の化粧品の場合と違っておるわけで、化粧品は値段の点だけです。医薬品の場合に、まあそういうことがそうざらにありませんけれども、国民の健康と比較的関係が多い、つまり応急品。医者が間に合わない場合、たとえば夜中になって熱が出たとかいう場合、これは本来は医者が往診してくれればいいのですけれども、あるいは医者がやってくれればいいのだけれども、しかし必ずしもそういうふうなことにいかないで、患者があまりよくないように片一方で聞いておりますが、とにかくそれほど重大なあれじゃない、かぜの程度であるとか、いろいろございます。もより買いのできる地点に薬局が存在することは、むしろ国民のために、いまのところでは——いろいろ事情が変わりますれば、これは考え直してもいいのですけれども。それから、再販を撤廃しても混乱が起きないということになれば、そのときには私は撤廃をやろうと思いますが、わが国は医薬分業にはなっておりませんけれども、しかし、その面で薬局などの果たす役割りを全然無視するわけにいかぬだろう。そういう観点から、国民の健康上、近くに薬局が存在するようにしたほうがいい。それが混乱して、たとえばスーパーでしか医薬品を売っていないというようなことになったのではまずいんではないか、こんな考え方もあって、これは私ども、あるいはそんなお粗末な考えはと言われるかもしれませんが、実際健康上の問題を考えて、医薬品については、比較的そういうものと関係のないものをはずす、関係のあるもの、深いと思われるものを残す、こういう考え方でございます。
○松浦(利)委員 どうも、公取委員長のお話を聞いておって、かみ合わないのですが、再販によってこんなにもうかっておるのですよ。家庭薬品に回る分のほうが、製薬会社の場合は多いのですよ。やはり薬品なんかは、売れぬやつを再販からはずしてみたって、はずしたことにはならぬわけですよ。初めから使わぬわけだ。家庭がよく使うやつを再販からはずすべきなんですね。これは中間的だそうですからもう一ぺんこの問題については再考してもらいたいと思います。 そこで局長にお尋ねをいたしますが、実はこの資料は、間違ってはいけないと思いましたから、人事院からの資料、それから厚生省の事務局から資料をいただいたのですが、昭和三十八年から四十七年の間に人事院の承認を得て厚生省から製薬会社に就職した者の一覧表をここにいただいております。それで、厚生省の役人の皆さん方が行かれた製薬会社の四十一年から今日までの新薬の承認状況を、ずっと調べてみました。 ところが、変なことが出てきたのです。それは、実は日本メルク萬有株式会社、これは製薬会社の中でも中の下ぐらいの企業ですが、たいした会社ではない。ところが、四十一年にこの日本メルク萬有株式会社に伊藤さんという方が、試験研究所の顧問で行かれたとたんに、四十一年だけ新薬が二件承認になっておるのです。あとは全然ない。今日まで新薬の承認は全くありません。それから東菱薬品工業株式会社、これもあまり大きな企業ではありませんが、ここに実は同じように築地さんという方が、広島出張所の相談役で厚生省から就職されました。ところが、この方は四十二年に行かれたわけでありますが、四十二年から今日までこの新薬の承認は、四十二年二件あるわけですね。そうして四十三年一件、四十五年二件とある。四十一年には全く新薬の承認がなかったのですが、この人が行かれて、四十二年にさっと二件の新薬の承認が出てくるわけです。 厚生省の役人が製薬会社等に行かれることについて私はけしからぬとは言いませんが、しかし、行かれたその年に新薬が承認になったり、この八年の間にそれがただ一回きりなんというのも、どうも偶然にしてはでき過ぎておると理解する以外にない。資料を取り寄せてみて初めてわかった事実ですが、そういう点について局長はお気づきですか。なぜそういうことになるか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○松下政府委員 医薬品の製造は、御承知のように、新しいものの承認につきましては、薬局方に収載されたもの以外は厚生大臣の品目の承認が必要なわけでございます。 新薬の承認のやり方といたしましては、特に四十二年以降におきましては非常に厳格な調査をいたしまして、有効性と安全性を示す資料、あるいは臨床試験に関する資料、あるいは副作用に関します、ものによりましては胎仔試験と申します催奇形性試験等を証明する資料、そういう資料を提出いたさせまして、中央薬事審議会の、これも調査会、特別部会、常任部会という段階を経て厳密なる審査を行ないまして、現在の医学、薬学の最高の水準をもって、有効であり、かつ安全性があるということを専門家の意見を付して承認を決定しておる次第でございまして、いま先生が御指摘のようなあるいは一、二の会社につきまして、たまたまその企業に対して、厚生省にもと勤務しておりました者が就職しました時期と新薬の承認の時期とが前後しております事例もあったかもしれませんが、まあ全般的に見まして新薬の承認というのは、かなり会社によりまして——新しい医薬品の開発というのは五年ないし七年、五億ないし十億の経費を要するといわれておるものでございまして、したがって、ほんとうの新薬というのはなかなか、そう毎年開発ができるものではないわけでございます。そういうような意味で、会社によりまして飛び飛びに承認を受けておるという事例がございますので、そういうような例もあろうかと存じますが、また他の会社におきましては、厚生省に勤務しておりました者が就職いたしました時期と、それから新薬の承認がございました時期とがかなりずれておる、他の時期のほうが多いというような例もございまして、先生が御指摘のような点がもしあったとすれば、それは全く偶然の暗合であろうというふうに考えております。
○松浦(利)委員 大手の第一製薬とか中外製薬については、これは常時承認しておるんですね、大手ですから。ところが、さっき言ったように中の下くらいの非常に小さい企業について、厚生省の役人が承認を得て天下ったときにぱっと認可になる。偶然にしてはでき過ぎる。ほかのところはみんな大手ですね。大手の第一製薬とか中外製薬とかそういったところは、大体常時、平均的に新薬の承認が行なわれておりますね。いま偶然だ、こういうふうに言われたけれども、偶然にしてはでき過ぎておるという感じ方になるのです、われわれのほうは。疑いの目で見るようになるのです、偶然ができ過ぎておるから。局長が答弁をしたように、ただ偶然であるということで、私もそういうように理解をしたいんだけれども、しかし問題は、やはり国民にそういう誤解を受けないように配慮していただきたいと思う。天下ったらその場でぱっときまって、それ以来全然承認せぬ。この十年間全然ないんですから。ただ天下ったそのときだけで、あとは全然ないなんというのは、どう考えてみても理解しにくい。国民に誤解を受けないように薬品行政についてもやってもらいたいと思う。大体、厚生省の役人が製薬会社のほうに行くこと、そのことについてもいろいろ問題があると思いますけれども、しかし、それは憲法の問題もあるんでしょう、当然だという。制限するわけにいかぬわけですから、そういうことを私はきびしく言うつもりはないが、そういう疑いの目で見られないようにこれからやっていただきたいと思いますね。局長のほうからもう一ぺん、それは偶然の一致にしてはでき過ぎておるという私の質問に対して——これからこういう疑いが出ないようにひとつ配慮していただきたいというふうに申し上げて、あなたの答弁をいただきたい。
○松下政府委員 いま申し上げましたような手続を経て新薬の承認を行なっておりますので、私は、過去の事例でございますが、全く偶然の暗合だと存じますけれども、先生御指摘のように、行政というものは、どの点から見ましても国民に誤解、不安を与えないという要素は確かに必要であろうと存じます。そういう意味におきましては、新薬の承認あるいは医薬品一般の行政につきまして、さらに厳正を期しまして、いやしくも御指摘のような問題が少しでも疑念を与えるような余地のないような努力を今後ともいたしたいと思います。
○松浦(利)委員 ぜひそうお願いしたいと思うのです。 そこで、これは私のところに学校から送ってきたのです。これは事前に事務局にお知らせしておったのですが、日本曹達株式会社の「日曹ハイクロン」という、プールの殺菌、消毒、脱臭剤という薬があるんです。この薬に実はナンバーが打ってあるわけですね。一つにはNCC26と、こういうふうに書いてあるが、一つのほうはそのナンバーが削ってあるんです。 大体、製造番号などのロット番号を表示しておかないと、これは薬事法違反になるというふうに理解をするのですが、こういう番号のないもの、ロットナンバーのないものについて、これは違反なのかどうなのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思う。
○松下政府委員 薬事法におきましては、医薬品の表示を義務づけております内容の一つといたしまして、製造記号あるいは製造番号、通常ロットナンバーといわれておるものがございます。これは製造業者の義務でございまして、したがって、法律で義務づけておりますロットナンバーが削られておれば、それは明らかに薬事法の不正表示医薬品として違法なものでございます。 ただ、業者の中には、自分たちの流通経路を示す意味で、製造番号とは別に、いわゆる流通ナンバーと申しますか、蔵出し番号的なものを別途記載しておるものがございまして、このほうは薬事法の規定ではございませんので、これが削られておりましても、それが直ちに不正表示に当たるということはないわけでございますが、いま先生御指摘のものも、おそらくこれは製造記号・番号に相当する、法の義務づけた表示かと存じますので、それでございましたら、御指摘のようなものは不正表示医薬品でございます。これは直ちに調査をいたしまして、適当な措置をとるようにいたしたいと思います。
○松浦(利)委員 それで、これが一袋十個入っておって、ロットナンバーのあるのは五千五百円、ロットナンバーのないものは四千九百円で売られておるのです。学校にですよ。そうすると先生方は、安いから四千九百円のほうを買うわけですね。六百円安いんですから。 ところが、よく聞いてみたら、この「日曹ハイクロン」という錠剤は、一年たったら効力がなくなるんだそうですね。その点どうです。一年たっても効力がありますか、残りますか。
○松下政府委員 「日曹ハイクロン」は塩素を含んだ製剤でありまして、比較的経時変化の可能性の多いものだというふうに担当者から聞いております。したがいまして、保管の方法によりまして非常に違いますので、先生御指摘のように一年で効果がなくなるかどうかというのは、かなり条件によって違いがあるわけでございますけれども、保管の方法等が悪い場合は、御指摘のようなこともあるいはあり得るかと存じます。
○松浦(利)委員 現実にこういったものが売られておる。しかも子供さんたちのプールですね、対象は。学校に売られておるんですから、そういう点について早急に調査をしていただいて、どこにこういう原因があるのか、その点をひとつ調べていただきたい。調べると言われたんですから、早急に調べて、結果を御報告していただきたい。それで、業者に対しては、もしかりにそういうことが故意になされておったとすれば、厳重に警告していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 最後になりましたが、実は四十六年の十一月二十五日に、現在われわれが使っておるところの薬価、これが官報に告示されて今日まできておりますね。ところが、たまたま私のところに各メーカーの価格通知表がきたわけです。これをずっと見ますと、ABCというランクに分かれておりますね。Aというのは、公取の委員長が値幅再販にした家庭用に向くものですね。これが一番高い。その次に今度は、Bというランクがある。このBというランクは、実はこれは薬価基準に示された価格です。そうして今度、Cというのがある。Cというのは、そこまで安く売ってよろしいという価格であります。さらに今度は、納入限度額というのがある。そのC価よりもさらに値引きして売ってよろしいというふうに書いておりますね。これを見ますと、納入限度価まではプロパーの承認なしで値引依頼書を申請してください。なお、限度価を切る際は担当プロパーに相談してください。——ですから、さらにその限度価格を下げて売ってもよろしい、これにこう書いてあるのです。 ここに価格通知というのがある。たとえばこれは日本臓器株式会社でありますが、こういうふうに書いてある。「価格通知第七九号で既にお知らせ致しましたが、より一層の拡売を徹底されたく、再度御連絡致します。」期間、四十六年九月一日から九月三十日まで。品目、ヒスタグロビン6V、条件、納入実績に基づき五%利益還元。納入限度価九千六百九十円。ただし、官公立大学病院を除く得意先に売ってくれ。官公立病院は全部薬価基準で入札で買いますからね。ですからそこは除け。ほかの民間のお医者さんに対しては、お得意先に対してはどんどん値引きして売りなさいという、この価格通知表が出されておるのです。それとまた、今度は科研化学であります。ここからもやはりそういった通知が出ておる。 どのメーカーを見ましても、全部そういうふうに、この薬価よりもさらに値下げをし、その値下げをした分をさらに、各社競争するために、プロパーを使って値引きして売っておる。そういう事実がある。 私は、この前もここで一ぺん取り上げたことがあるのですが、この各薬卸・メーカーが持っておる通知表、これは卸店に来ておるわけでしょうけれども、それを見ますとそういうことになっておるのですね。ですから、薬価というのはもう全く意味をなさないわけですよ。薬価が出てがんがん国会で問題になりますと、確かに薬価と実勢価格というのは近づくのですね。ところが、ある程度放置されるとまた、薬価がきまって何年かたつと、どっとこういうふうに通知表が出されてどんどん値引きして、これは四十七年一月あるいは四十六年十二月ごろの内容のものですが、今日ではさらに乱れておるのですね。ここにやはりいまの医療体系の最大の問題があると思いますね。 それで、この前、公取のほうからきびしく注意されて、添付はいかぬということになりましたね。添付したらいかぬ。ところがサンプルをやるんですよ。これにも書いてある。サンプルをやっていいと書いてある。一つ一つ小さな袋に入って、サンプルをつくっていますね。それをたくさん、ぽんとやるわけです。結局添付と一つも変わらない。そういうことも行なわれておる。この前、本委員会で取り上げたときには、そういうことがないようにやりますと、当時の局長がここで御答弁なさった。ところがまた、いま私が質問するように、全くこの前と同じ状態になってしまって、非常に乱れておるのですね。この点について、これで正しいと思いますか。その点をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
○松下政府委員 薬価基準が先生御承知のように、毎年定例的な薬価調査をいたしまして、その薬価調査の結果に基づきまして基準を設定するという方式をとっておりまして、したがって、これは市場の実勢価格を反映しておる基準であるというふうに私ども考えておるわけでございます。 市場の取引の実態といたしましては、ただいま先生が御指摘になりましたように、プロパーなりあるいはメーカーなりあるいは問屋と、ユーザーでございます病院、診療所との平常の取引関係、取引量、決済の方法等によりまして、実際に購入されます価格にはかなりの幅があるのが実態でございます。その意味におきまして、メーカーの側におきましても、先生がいぼ御指摘になりましたようないろいろな販売政策をとっておるということは、私ども承知をいたしておるところでございます。 ただ、実際に医療に用いられます医薬品自体が適正な方法によって値段が安くなる、これは有効性、安全性が保証されております限りにおきましてはむしろ望ましいことでございまして、した一がって、先生がいま御指摘になりましたようないろいろな販売方法をとりまして、結果において安い医薬品が納入された、その納入された価格というものが薬価調査に反映されますならば、それは次の機会におきます薬価基準の値下げという形で消費者の利益にも還元するわけでございまして、そういうような公正な競争によりますある程度の企業間の競争、そういうものが薬価に反映することは必ずしもとがむべきことではないというふうに考えております。 ただ問題は、先生があとのほうで御指摘になりましたような添付あるいは添付にかわりますようないわゆるリベート的な裏値引き、薬価調査に反映しないような形での不公正な取引というような形で行なわれますことは、これは薬価基準というものの信頼性を非常に阻害することになりまして、医療上にも問題がございますので、すでに二年前に、この添付を絶対にやってはいけない、あるいは添付に類するような不公正な値引き等を行なってはいけないということを厳重に指示したところでございまして、そういった薬価調査を逸脱するような方法によりまして値引きあるいはサンプル等の名目によります添付が行なわれておりますような場合には、私どもも厳重に調査をいたしまして、そういったことを行なっておりますメーカーに対しましては、最悪の場合にはたとえば薬価基準からの削除というような厳重な処分を含めまして、厳重なる指導監督をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○松浦(利)委員 それじゃ、たいへん時間が経過しましたから、お願いをしておきたいのですが、薬価基準というのは実勢価格を示しておると言うけれども、実際は示しておらないのですよ。現実に行って見られたらそのとおりなんです。しかも各メーカーが各薬問屋に通知しておる、こういう形でそれぞれ安く売れと言って。そうするとお医者さんのほうは、安い価格で買って、それを薬価に従って、それに技術料をプラスしてやるわけですから、利潤が大きくなるのですね。大体、薬でお医者さんがもうかるという、そういう考え方じゃなくて、われわれが主張するように、こういう矛盾があるのだから、医療体系を抜本的に改めて、医者の技術料の評価なり何なりをもっとぴしっとして、少なくとも薬などによって医療という行政がささえられるような変則的なものはやめなければならないと思うのですよ。官公立に対してはこれを除外せよ、官公立の病院については安く売ったらいかぬ、薬価どおり。ほかのところは安く売れ。これはちゃんと書いてある。こういうふうにして、明らかにメーカーのほうは官公立を意識して差別して、販路を拡大しているのですね。こういった薬価というものを実勢価格にもっともっと近づけて、少なくとも日本の医療体系の中で、薬でお医者さんがもうかるのじゃなくて、技術料を評価する、そういう制度に改める必要があると思う。そうしなければ、いつまでたったって薬価と実勢価格の差は埋まらないと思うのですね。いつの間にかまた開いてしまう。厚生省がやかましく言うとぴしっと改まってくる。そういう繰り返しで終わるだろうと思いますね。 そういう点について、薬価の洗い直しについて抜本的に検討するかどうか。同時にその医療体系の全体について——薬などというものでもうかるという考え方というのも、これから国民の間にもなくしてしまう。そうしなければ、結局もうかるのは薬屋だけ。ほかの企業に比べてものすごい利潤をあげておる。薬九層倍と言うけれども、薬屋はほんとうにもうかっておる。安売りしてなおかつもうかっておるのだから、どれほど安い原価かということになりますね。極端な言い方をすると、製薬会社は、私は社会に対する挑戦だと思う、こんなやり方をするのは。そういう点について、薬価基準のもう一ぺん抜本的な洗い直しと、医薬品行政の根本的な体制の立て直しについて、局長のお答えをいただきたいというふうに思います。
○松下政府委員 ただいまの御質問、現在の薬価基準の定め方自体の問題と、それからさらに基本的な現在の社会保険におきます医療費体系の問題、二点の御質問であろうと存じます。 薬価基準について申し上げますと、先ほど御答弁申し上げましたように、自由競争によって形成されます市場価格、これを厳正に調査いたしまして、それを基礎といたしまして薬価基準を改定するあるいは決定するという方式をとっておるところでございまして、いままで年に一回薬価調査を毎年実施してきたわけでございますけれども、昨年一月の中医協の建議に基づきまして、本年度からは、その定時的な薬価基準のほかに、繁用される医薬品等につきましては、さらに経時的変動もあわせて調査するというような方法をとりまして、適正を期するというような努力をいたしておるところでございます。 また、先ほども御説明いたしましたように、薬価調査の免脱を考えるような不公正な販売方法につきましては、今後ともさらに厳重な規制を加えるつもりでございます。 それから、医療機関の診療報酬体系全体の問題につきましては、これは先生の御指摘のとおり、技術料の適正な評価ということが中心になるべきことは当然のことでございまして、中医協の建議、答申に沿って従来も改定を続けてきたところでございます。昨年二月の改定におきましても、技術料は医学の進歩に即応して評価すべきものである、そういう建議に基づきまして措置いたしておりまして、これも今後中医協の御検討をまちまして、できるだけ御指摘の趣旨に沿うような方向で、保険局とも十分相談をいたしまして改定を進めてまいりたい、かように考えております。
○松浦(利)委員 私の時間が来ましたからこれで終わりますが、ぜひ局長の答弁のように善処方をお願いしておきたいと思います。 同時に、公取の委員長にも、これほどもうかっておる薬を値幅再販指定して温存するというような考え方は、この際、消費者の立場に立って、やめてもらいたいということをあらためて申し上げて、私の質問を終わります。
○山中委員長 次に、有島重武君。
○有島委員 ことしの三月二十九日に私は、コールドパーマネントの現場操作過程においてシアンが発生する事実があるのじゃないかという質問をいたしました。それは消費者保護基本法の第七条の危害の防止、それから第十四条の試験、検査結果の公表等の条項に関して私は質問を起こしたわけなんですけれども、最近、この質問に対しての中間報告の用意ができているというようなことが厚生省のほうからお話がありましたので、きょう再びこれに触れます。 質問を提起いたしました資料は、すでに経済企画庁のほうにも、また厚生省のほうにもそのおりに渡っておりまして、これはよく御承知のはずでありますけれども、これを再確認し、また再評価することから始めていきたいと思うのです。それで、そのときの分析報告書に対する厚生省の考え方を聞いた上でもって中間報告を聞いてまいりたいと思います。 分析報告書でございますけれども、昭和四十八年の三月二十八日付です。これは味の素株式会社分析センターとして、件名は「パーマ排水(小林コーセー)、昭和四十八年三月二十八日付御依頼の分析結果は、下記のとおりです。試験項目、トータルシアン(PPM)〇・九四」となっています。それで備考欄に「分析方法など」という項目がございまして、「頭髪(かもじ使用、頭髪量は一般の約四分の一)にボルティスナンバー2、第一剤二十ミリリットルを塗り、約四十三度Cで二十分間放置後、ボルティスナンバー2、第二剤二十五ミリリットルと温湯五十ミリリットルを混合した液五十ミリリットルを頭髪に塗る。十五分間放置後前記混合液の残存分二十五ミリリットルを頭髪に塗り、五分後水で頭髪をよく洗い、全量を三百ミリリットルとし、排水とした。以下全シアンの定量はJIS K〇一〇二のピリジン・ピラゾロン法に準じた。」検印は「林」となっております。分析担当者は「山崎」「石井」という判が押してあります。これは厚生省のほうも、経済企画庁のほうも、その写しをお持ちになっているはずであります。 それで、この実験操作が、現場の美容院でパーマネントをかけているその操作過程に最も近い実験であります。それで、このような実験をすれば、日本標準規格そのものでもって定められておるそのとおりにやったわけでありますから、こういうような手順、このとおりの手順を踏めば必ずシアンが検出される、そういったことは、まず厚生省としてお認めになりますね。
○松下政府委員 ただいま先生から詳しく御説明をいただきました味の素の検査結果に関します資料は、私ども承知をいたしております。
○有島委員 承知をしているということが一つ、それから、このとおりの実験を他の実験場所すなわち国立衛生試験所で行なうと同じ結果が出ますね。
○松下政府委員 三月二十九日の当委員会におきまして、先生からいまの問題につきまして御質問がございまして、その亀おり先生の御指摘に従って私お答え申し上げましたのは、とにかくコールドパーマ液につきまして、その使用過程においてシアンが発生する疑いがある、これは国立衛生試験所等において早急に検査をし、もしほんとうにそういうおそれがあるのであれば、国民保健上措置をしなければならない、もしそういう心配がないのであれば、それを公表して国民を安心させるべきである、そういう措置を至急とるようにという御指摘をいただきまして、私もまことにごもっともなことと存じまして、そのように御答弁を申し上げました。したがって、衛生試験所に対しましては、こういったコールドパーマ液を使用いたします段階でシアンが発生するかどうかという検査を、衛生試験所の技術力をもって最も厳密なる検査を行なうようにということを衛生試験所に指示いたしまして、それに基づいて衛生試験所において、現在の技術として最も厳密なる方法と考えられる方法による検査をいたしました。その中間報告が先日先生のところへお届けいたしましたものというふうに御了解いただきたいと思います。
○有島委員 見当はずれの厳密さを振り回わされても困りますので、現場でやっているこの手順、このとおりに近いこうした実験をすれば、これと同じような結果がどこで実験をしても出る、そういうことをまず確認しておきたいのですけれども、その点はどうなんですか。
○松下政府委員 私どもといたしましては、現在美容業者に対する——美容師は環境衛生局で所管しておる免許業でございます。そういった美容師の教育に関しまして教科書的なもの等を参考といたしまして、現在、通常業界で行なわれておりますコールドパーマ液の使用方法に従いました使用のしかたをし、それに基づいての最も厳密なる検査方法をとる、そのように衛生試験所で検査をいたしたというふうに承知いたしております。
○有島委員 その話はこれから聞きますよ。どういう試験をなさってどういう報告をなさるのかということは、これから聞きます。私は、現場の操作に最も近いそういう手順でもって実験をさせてみました。そして、このようなものをいま、少しややこしいけれども読みました。これと同じ手順を踏めば、どこで実験をやっても必ず同じ結果が出る、そういうことをまず確認し合っておきたいのです。
○松下政府委員 同じ結果が出るかどうかということも含めまして最も厳密なる試験方法をとったというふうに考えております。
○有島委員 それでは、同じ操作を施せば同じ結果が出る、結論はそうですね。そのことも含めておっしゃいましたね。含めての、これから中間報告を承ることにいたしましょう。
○松下政府委員 いまお答え申し上げましたのは、いささかことばが足りなかったかと存じますが、同じ操作方法を用いて必ず同じ結果が出るということであれば、必ずしも追試をいたす必要はないわけでございまして、はたして同じ結果が出るかどうかということも含めまして最も厳密なる試験をした、そういう意味でお答え申し上げたわけでございます。 中間報告、御報告申し上げます。
○有島委員 ちょっといまの答えに……。厳密に同じということは、この地球上ではあまりないわけであります。同じ手順を踏んで行なえば必ず一つの結果が出る。今度は、その結果の多い少ないということについては厳密にやってもらいたい。何べんでもやってもらいたい。そういうことで持っていったわけですね。ですから、シアンが検出される、そのシアンの検出される量の多少については、このようにやってみたらこのようになった、このようになったらこうであったということはあってよろしいと思うのですよ。だから、同じ操作をやったんだけれどもこれは全く出なかったなんということが含まれてくると、これは問題であります。ばらつきがあるというようなことは伺っております。ばらつきがあるということは、すなわち、あるということ、検出されるということ、このような操作をすれば必ず検出される、そういうところを含めまして、そちらの厳密になさった中間報告というのを一通り伺いましょう。
○松下政府委員 それでは、衛生試験所からの中間報告、これはかなりぼう大な報告書でございますので、要点だけを要約いたしましてお答えを申し上げます。なお、専門家であります衛生試験所の下村副所長もきょう出席せられておりますので、さらにこまかい技術的な点につきましては、御質問がございましたら、副所長のほうからも補足することをお許しいただきたいと思います。 試験の対象品目といたしましては、この前お答え申し上げましたように、コールドパーマネントウエーブ用剤といたしまして二浴式のものと一浴式のものがございます。二浴式のパーマネントウエーブ用剤を五社のものをとりまして、それから一浴式のパーマネントウエーブ用剤一社のもの、その六品目を試験対象品目といたしております。 試験のやり方といたしましては、二浴式パーマネントウエーブ用剤、それから一浴式パーマネントウエーブ用剤というふうに、それぞれ実際に毛髪に作用させたときのシアンイオンの検出状況についての検討ということを目的といたしまして、なお実際の使用条件を考慮いたしまして、三段階の実験条件を設定いたしております。 第一は、第一剤を毛髪に作用させまして、時間中に発生すると考えられる蒸気を通気法によりまして希アルカリの中に捕集したもの。それから二番目が、いまの毛髪を水洗いいたしました後、第二剤を作用させて同様に捕集いたしましたもの。それから三番目が、前述の両反応洗液を合わせまして、JISのK・〇一〇二−一九七一−二九−一−一−一、通気法によりまして操作いたしました検液、その三つの検液をJIS・K・〇一〇二−一九七一−二九−ニピリジン・ピラゾン法によりまして試験を行なったものでございます。 結果について申し上げますと、以下の数値はいずれもPPMでございますが、二浴式のA、これは第一の検査が〇・〇九、第二が〇・〇五、第三が〇・〇六。Bが、いずれも第一、第二、第三の順序でございますが、〇・〇六、〇・〇九、〇・〇八。それから二浴式のCが〇・一〇、〇・〇五、〇・〇八。Dが〇・〇五、〇・〇三、〇・〇九、Eが〇・一二、〇・〇七、〇・〇八。F、これは一浴式でございまして、したがってこの一溶式のものにつきましては第二剤を用いない関係で、そのかわりに水三十ミリリットル、第二剤を用いた場合の相当量を加えて検査をいたしております。これが〇・〇八、〇・〇七、〇・二四という数値になっております。なお、コントロールと申しますか、対象といたしまして、水自体について検査をいたしまして、これも〇・〇三、〇・〇一、〇・〇二、これは一応除外して考えていただいてよろしいかと存じます。そういう結果が出ております。 なお、ピリジン・ピラゾロン法によりまして、シアンに類似する色を呈しますものが何に起因するものか、これは明らかでございません。ただ、これがかりに、すべてがシアンイオンであったというふうに仮定いたしまして計算したときの濃度が、いま申し上げた数値になっておるわけでございます。 一応の衛生試験所の結論といたしましては、毛髪に第一剤及び第二剤を作用させまして、その気散蒸気を捕集したとき、その呈色状況が異なっており、擬似物質によって呈色しているものと考えられる。どうもこれはシアンではなくて、擬似物質ではないかという疑いを持っておるという報告でございます。理由といたしましては、シアンイオンの場合は、これは長く放置いたしますと青くなるはずなんでございますが、本件の検査の場合には、放置時間を経過いたしましても、赤あるいは赤紫という色が持続いたしまして、多少どうも純粋のシアンとは反応が違うという疑いを持っておるわけでございます。 それから二番目に、この実験を通じて共通する現象といたしまして、別にシアンを添加した回収実験におきまして、第二剤が関与するときには、その回収率が著しく減少する。つまり、第一剤に実際にシアンを添加して第二剤を作用させまして、そして回収してみますと、むしろシアンが減っておる。これは、シアンイオンが酸化剤によりまして分解されて安定に存在し得ないと推定される——御承知のように第二剤は酸化剤でございます。そういうふうに推定されますので、その意味からいっても、やはり呈色するものは擬似物質ではあるまいかという意見でございます。 それから三番目に、パーマネントウエーブ剤の第一剤及び第二剤、それから一浴式パーマネントウエーブ用剤、それと毛髪との作用によりまして、ピリジン・ピラゾロン法により何らかの呈色が起こり得るということは確かでございます。 いま申し上げましたように、擬似物質の存在がどうも予想されるわけでございますけれども、かりに、この呈色物をすべてシアンイオンであるというふうに考えまして計算いたしましても、先ほど申し上げました数値のように、結果といたしましてはきわめて微量でございまして、実際の使用に際しましては、さらに排水中に数倍量の水で薄められるという性質のものでございますので、保健衛生上何ら問題はないという意見でございます。 なお、この擬似物質が何であるか、これは非常に検出が困難なようでございまして、実はこれも突きとめて御報告申し上げたいということを考えましたものですから少し時間がかかりましたのですけれども、この擬似物質の検出がなかなか困難な段階でございます。しかし、いま申し上げましたように、一応全量シアンであると仮定いたしましても、保健衛生上被害を生ずるおそれはないという意見になりましたので、中間的に御報告を申し上げた次第でございます。
○有島委員 いただいたその中間報告のメモを、私も目を通しました。それで、その最初に長々と書いてございますのを見ると、二浴式のA液、B液それぞれ単独に通気法によってシアンを検出してみたけれどもあまりたくさん出なかったというようなことが、たくさん出ておりました。こういうことは、私は質問でも全然触れませんでしたし、それから、これはもともと厚生省の規定に従っているものでありますから、こういうことはあり得ないことであるというふうに私は思っていた。いわんや、そのAとBとをまた合わせてみて、そこにシアンが検出されるなんということも、私としては全く要求もしないし、報告を求めているわけではありません。こうしたわかりきったことなんですけれども、どうしてそんな実験を長々と、厳密厳密とおっしゃるけれども、なさったのか。私は、パーマ液をつくっていらっしゃる業者の方々は忠実に厚生省の基準に従っておつくりになっていると信じているわけです。それを何か不純物を販売しているのじゃないかというふうに、A液を一つとってみて、B液をまた一つとってみて、それを長々実験しているということになりますと、その間に業者の方々は、自分たちのつくっているものに不純物がまじっていてそのような現象が起こったのではないかというように疑われているんじゃないか、そういうふうにだいぶ思われたらしい。これは非常に無益な波紋を起こしたようであります。金と時間を費やして非常に無益なことをなさったんじゃないかと思いますね。 それから、現場操作の過程においてどうなるか、それだけが私はほんとうに聞きたいわけです。これは消費者保護の立場で心配なわけです。ですから、そういうような問題を聞いたら、一般消費者、それから美理容師の方々が非常によけいな心配をすると同時に、その報告を聞きますと非常に化学的なことばを使ってございますから、一液にもない、二液にもない、合わせてもだいじょうぶ、そんな聞きもしないことを長々と報告すれば、それだけ聞いて、あとのところはよくわからずに、ああ、これはだいじょうぶなんだというような即断をなさるおそれも十分にあります。そういったことは、ここではかえって非常にじゃまになるみたいな感じですね。あたりまえな話です。 それで、この際私が求めている実験は、現場において、その過程中にシアンが発生するのではないか、そういう疑いから起こっている。それに一番近い実験を私がさしてみたら、確かに反応があった。そういうところから起こっているんだ。その辺の、こちらの質問のほんとうの趣旨ですね、そのことについて、くどいようだけれども、もう一ぺん確認しておきたい。どのように私の質問を受け取られたのか。
○松下政府委員 先生の前回の御質問は、コールドパーマネントウエーブ用剤、特に二浴式のものを実際に使用した際に、排水中にシアンイオンの反応が相当検出されるという報告があるが、その真偽を確かめるように、そういう御質問であると了解いたしております。ただ、いま御質問のございました一剤、二剤につきまして事前に検査をいたしましたのは、私ども、薬事審議会の中の化粧品関係の部会にもこの問題は質問をいたしたわけでございますが、現在の成分等から考えて、そういう反応を呈することは化学的には非常に考えにくい、しかし、こういうものは大事なことだから検査をすることが必要であろう、そういう御意見でございました。化学的な検査をいたします際には——やはりこれは国の専門機関でございます。化学検査の常識といたしまして、まず、もしそういう反応が出るとすれば何に起因するかというようなことも必要になってまいります。その前提といたしまして、混合されました際にそういうおそれのあるものについて、第一剤あるいは第二剤をそれぞれ独立に検査いたしました際に、それにすでにシアンが検出されるというようなことがもしございましたならば、それは非常に出所がはっきりしてくる。そういうものが両方ともなくて、なおかつ混合したときに起こるとなれば、それはどういう理由であるかということを究明いたしますのがこういう化学的な検査の常道である、そういう意図をもって、むだなようですけれども、国民の保健衛生上の問題でございますから、慎重なる検査の過程といたしまして一剤及び二剤の検査も行なった、そういうふうに報告を受けております。
○有島委員 その前段の慎重さのほうに主体があるような中間発表をなさいますと、しろうとには必要のない部分、それが前面に押し出されてまた誤解を生むんじゃないかと思いますので、その辺のことをまず第一番に注意しておきたい。 それから、いま局長は実際に使われていると言われましたが、あなたは実際を見たことがありますか。私は見ている。
○松下政府委員 私も、だいぶ昔のことでございますが、県で厚生部長として在勤いたしまして、理容師、美容師の試験委員長を拝命いたしておりました関係で、実際の操作は承知しておるつもりであります。
○有島委員 たいがいの御婦人は、髪を洗ってお出かけになります。行くと、一液を塗る、カールをする、しばらく放置する、そして二液を塗る、ややあって水洗いをする、そうして帰ってこられる。間違いありませんね。
○松下政府委員 私も、現場も承知いたしておりますが、記憶も古いことで、もう十年以上前のことでございますし、また現在の新しい知見によらなければならないというふうに考えましたので、環境衛生局のほうとも相談いたしまして、全日本美容業環境衛生同業組合連合会で出版をいたしております「コールドパーマネントウエービングの全工程の理論と実際」という教科書を借りてまいりまして、これで調べましたところでは、「第二剤塗布前の注意事項」といたしまして、「第一剤処理後、そのまま第二剤を塗布することは毛に附着している余分の第一剤が第二剤の中和を妨げたり、オーバープロセッシングのおそれがあるので一旦微温湯で水洗した方がよい。」という指導をしておるそうでございます。現在は、大部分の美容院におきましてはこの方法が行なわれておるという報告でございましたので、こういった方法を前提として検査したというように聞いております。
○有島委員 だから、あなたは現場を知らないのです。教科書をごらんになった。教科書のとおりにやっているかどうか、それから教科書のその内容を美容師の皆さん方がよく御承知であるかどうかですね、その辺も局長、遺憾ながらたいへん不勉強でいらっしゃるんじゃないかと思わざるを得ない。 私がこういった問いかけで聞いたのですね。いまお話ししたような過程をやっている。たいがいそうだと言いますね。その途中でもってもう一ぺん水洗いないしはあたたかいお湯で洗浄するという操作を経験しましたかと、そういうふうに伺ったところ、私が聞いてずっとチェックしてまいりまして、七十二人までは、そういったことを一ぺんも経験したことがないという人でした。それから、かつてそういったこともあったかもしれない、二回洗ったということがあったかもしれないですねとお答えになった方は、六人だったか七人だったかです。それから二回洗いますということを即座にお答えになった方は、お一人しかありません。それから、美理容師の方々に私が直接聞きました、そういったことを教わっておりますかと。一ぺん一液のあとで洗浄して、それから二液の操作をするのだということを教わっていますかと聞いたらば、そういうことを教わった覚えもあります、特に濃い液の場合にはそういうふうにしたほうがいいというようなことも聞いております、実際はほとんどそういうふうにはしていませんと、そういうお答えでございました。 いまの教科書の内容は、全員にほんとうによく徹底しているとなおお考えになっておるのか、あるいはきちんとした通達を出さなければならないとお考えになるか、とにかく局長はちょっと勉強不足ではないかと思いますが、どうですか。
○松下政府委員 先生が御指摘のような、途中で洗髪をしないという方法をとっておる美容師さんもあるということは、業界から聞いております。ただ、現在の実情といたしましては、私ども、環境衛生同業組合、美理容関係のそういったところに照会いたしました限りでは、まず七割以上はこの方法によっていると考えてもらってよいというふうに聞いたわけでございます。
○有島委員 聞いたのがほんとならいいんですよ、これは大きな問題になりますからね。これは何なら局長、いまから電話をなさって、奥さまなりお嬢さんなり、あるいはお知り合いの女性の方に電話なさって、私が電話口に出ましょう。それでもって、二へん洗いましたか、一ぺん洗いましたか、これで聞けばわかる。やってみましょうか。一人ではわからないから、十人ぐらい、みんな聞いてごらんなさい。やってみましょうか、ほんとに。
○松下政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、そういう水洗いする方法をとってない美容師さんもおるということは私も聞いておりますので、もし先生御指摘のような懸念があるようでございましたら、先ほど読み上げました指導書は、これは厚生省の監修にかかるものでもございますので、そういう方法が望ましいということで、環境衛生局あるいは美容同業組合等とも連絡をいたしまして、今後そういう方向で指導するということはやぶさかではございません。
○有島委員 とにかく奥さまに聞いてごらんなさい。それから、知っている限りの女性にも聞いてごらんなさい。先ほども小林先生に伺ってみましたら、二回洗ったということは一ぺんもなかったというのです。高橋さんにも伺ってみましたけれども、高橋先生はいつでも一ぺんだそうです。ただし、これは一液らしいんです。どうも、一液、二液、あまり詳しくは御存じないらしいですね。そういうことらしかった。とにかく、二回洗ったということはかつて経験がないとおっしゃっていました。そこにも女性二人いらっしゃるようだけれども、ちょっと速記やめてもらって、聞いてみてよろしゅうございますか。
○山中委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○山中委員長 速記を始めて。
○有島委員 いまここに二人いらっしゃる女性は、一ぺんもそういう経験がないそうです。奥さまにお聞きになってごらんなさい。それから同僚の方々、あるいは厚生省の方々ですね、みんな聞かせてごらんなさい。 中世の学者というものは、馬の歯は何本あるかというと、すぐに図書館にかけ出したそうです、といってルネッサンスの人たちが笑ったんですよ。そういうのは非科学的と、こういうわけです。で、非科学的な人たちが科学らしいことばを使って、それでわからない人たちのことを押えたという歴史、それをはねのけたのがほんとは近代のサイエンスのはずなんですよね。で、局長の態度が非常に何か非科学的な印象を私は受けざるを得ない。そういった態度そのものも改めていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
○松下政府委員 これは検査方法につきましては、先ほど申し上げましたように衛生試験所に、技術的な問題でございますので、最も厳密なという条件を付しまして、内容はまかせたわけでございます。ただ、頭髪の操作につきましては、いま申し上げましたように、私どものほうでも環境衛生局とも連絡をいたしまして、現在ポピュラーな方法、考えられる方法によったわけでございます。その方法以外の方法のものが現在行なわれておるというような実態があれば、その点は多少調査が不十分であったかもしれないと思います。
○有島委員 それで私は、いま現場で行なわれておると最も近い実験をしたのですよ。そうしたらばこんな結果が出たんですよ。それをすなおに受け取って、それがどのくらい大きくなるかということを私は聞きたかったわけです。そちらでやったのは、一液をかけて水洗いをしちゃって、その上に二液をかけて、それからまたそれを洗って、洗った一つ一つの水をまた一つ一つためしてみて、A液、B液をためしてみて、A、Bを合わせてためしてみて、それが厳密だと思っていらっしゃるかもしれないけれども、現場からはますます抽象的にかけ離れたお答えです。いまの現場で何が行なわれているか、それをまず知ってもらいたい。実験し直してもらえますか、この途中でもって水洗い一ぺんしかしないほうの。この中間報告は不十分だから、もう一ぺん実験し直しなさい。
○松下政府委員 ただいま先生の御指摘のような方法は、いま副所長に聞きましたところ、続いて行なうことは可能だそうでございますので、引き続き検査をいたしたいと思います。
○有島委員 三月二十九日からきょうまで大体百五十日くらいあるわけですけれども、大体四、五時間でできる実験であります。それを綿密にやれば、それは同じような操作を何べんも、ばらつきを確かめるということは時間がかかるかもしれませんけれども、これはすぐいたします、なるべく早くいたしますと、この前のときに局長も答えていらっしゃいました。全然見当はずれなことでこれだけの時間をお使いになったということは、私は非常に遺憾に思いますよ。 それで、これがさまざまなばらつきがあるうち、現実にやっている問題が、それはほんとうに安全なものであるということがわかれば、それで私はいいわけなんです。あるいはこれが危険であるということになれば、私は一番に厚生省の基準そのものが変更されなければいけないと思うのですよ。業者のせいでもない。あるいは美理容師さんの手落ちでもない。とにかくみんな被害者なんですから。厚生省の基準そのものが一番問題なんです。ですから、こういった基準を立てて、使い方によってはこのような毒性が発生する危険性が多分にあるというようなことがわかってきたらば、厚生省はパーマネント液基準を変更して、そして、そうした基準に忠実に従って一生懸命やったにもかかわらず、これはキャンセルにならざるを得ないというような業者に対しては、それは国のほうから補償してあげるべきでしょう。それから、毒性によって身体的な障害をすでに受けていらっしゃる方が、このせいではないということにいままでなっているわけであります。そちらの実験の結果に従って、過去にこれだけの損害があったということのそういった申し出が出た場合には、やはり医療補償は、補償にするなり、何らかのそういった処置は当然とっていかなければならない、そういうことを踏まえていま言っているわけです。ですから、これは中間の字がついていたからよかったけれども、一番現実の操作に近いそうしたものをさっそくやってもらいたい。
○松下政府委員 その点は、確かに御指摘のように不十分な点があったかと存じます。さっそく継続いたしまして試験をいたしたいと存じますが、ただ、この中間報告で、御質問いただきましたように、少なくとも私どもが前提といたしております、中間において水洗いをするという方法をとりました場合においては、保健衛生上現在のものが被害を生ずるおそれがないということは、衛生試験所の意見に明らかになっておりますので、この点につきましては、とりあえず使用方法等につきまして指導いたしますとともに、その点を、先生が前回御指摘になりましたように、公表さしていただきたいと思います。
○有島委員 これは実験を続いてというか、やっと三月二十九日の線に戻ったわけだ。あのあくる日それだけやってくれればよかったわけであります。 それで、この報告書というのはまだちょっと、私は全然わからないところがあるわけです。見当はずれな実験だと私はあえて言うけれども、その見当はずれな実験の中にも、その中でもって非常にわけのわからないことがありますので、それを伺っておく。あとは枝葉の問題でありますけれども、その全シアンと通気法にかかわる問題が一つです。 シアン検出というのは、さっき局長が言われたようにJIS規格の〇一〇二の二九ということになっておりますね。そこに書いてありますのは、「シアンイオンの定量実験は必ず前処理によって得られた溶液について行なう」と、前処理が非常に重要であるということを言っておりますね。その前処理のしかたによって、あとのピリジン・ピラゾロン法でもって判定していくわけです。この前処理のしかたに、私どもがやらした実験では全シアンのほうを使っております。ですから、JIS規格でいくならば二九の一の二というやつ、これをどうしてお使いにならないで、あえて通気法というものをお選びになったのか。そういうようなことを何か理由が書いてあるようなんだけれども、よくわからない。
○下村説明員 ただいま御指摘の前処理のことでございますが、私ども衛生試験所では、前処理につきまして種々検討いたしまして、最終的に通気法が一番正確度はいいという結論を得ましたので、それで通気法を使った、こういうわけでございます。それで、先生御承知のとおりに、JISにシアンの定量法が三種類きめてございますが、私どもといたしましては最も精度のいい方法を使いたいということでピリジン・ピラゾロン法はもちろんやりましたが、そのほかにチオシアン酸第二水銀法とか硝酸銀法とか方法はあるわけでございます。それも一応検討してみました。やはりピリジン・ピラゾロン法が一番精度がいいということがわかりましたので、それを使ったわけでございます。その結果、中間報告としてお出し申し上げましたような全シアンとしての量を計算して提出したわけでございます。 〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕 それで、これをちょっと私から補足させていただきたいと思いますが、科学的なデータといたしまして、五十キロの人間が呼吸によって吸い込んだときの毒性がわかりません。私どもわかっておりますのは、経口毒性が一番はっきりしていると思いますけれども、ウサギを使いまして経口毒性を調べた実験がございます。それによりますと、プロ・キロ四ミリグラムの青酸を飲んだときにLD50が四ミリグラム・パー・キログラム、こういうことでございます。と申しますのは、計算いたしてみますと、四PPMのシアンの入った溶液なら溶液をプロ・キロ一リットル経口で飲みますと動物が半数死ぬ、こういう計算になるわけでございます。したがいまして、コールドパーマ液の使用量が大体百ミリリットルと仮定いたしますと、私どもの計算でございますと、五十キロの人間がその液をどれだけ飲んだら半分死ぬかという計算をいたしますと、プロ・キロ二十五リットル飲むと死ぬ。ですから、毒性に関しましては御心配のような問題はないのではないかと考えております。 それからもう一つは、シアンであるか、シアンのような、同じような呈色をする物質であるかという点につきまして検討しておりますが、なかなかむずかしい問題でございまして、たとえば頭髪の中にたくさん入っておりますグリシンというアミノ酸がございますが、これでも呈色をいたします。したがいまして、コールドパーマ液を全然かけたことのない髪の毛を使いまして、そして水を加えただけでやってみましても、やはり先ほど局長が御報告申し上げましたような結果が出るわけでございます。 そういうことでございますので、定量法と申しますか、化学的な定量そのものが非常にむずかしいということも御承知おきいただきたいと思っております。
○有島委員 たいへん御専門的なお話で、私も半分ぐらいはわかったようなわからないようなことでありますけれども、私は消費者保護の立場で、現実問題としてやっておるわけです。 それで、まず第一番に、この中間報告はその問題とはちょっと離れたところにある。これは報告にはない。こういう報告は発表する必要は全くないと思います。こういう報告を世間に発表することはかえって誤りを呼ぶだろう。いろんな条件をつけて言いませんと、これは通用しない話ばかりです。ですから、そういったことは発表なさらないほうが騒ぎが少ないでしょう。それが第一番です。そのことだけまず聞いておきましょう。
○松下政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、とにかく現在の環境衛生関係の指導的な方針といたしましては、一剤を使用した後に二剤を使用する前に水洗いすることが望ましいという指導がなされておることは事実でございます。これは先ほど御説明申し上げましたとおりでございます。そういった方式に従いまして行ないました試験によれば、少なくとも保健衛生上被害を生ずるおそれはないという結果が出ておるわけでございます。 したがって、現在使われておるコールドパーマ液が、もし先ほど先生が御指摘のような使用法による場合はなお疑いが残るからさらに追試をすべきであるという御指摘は、よくわかるわけでございまして、その点は引き続き至急検査をいたすようにいたしたいと思いますが、あわせて、現在使われておりますものについて、できるだけ中間で水洗いをするほうがより安心であるということを含めてこの資料を発表するということは、先ほど先生がおっしゃいました消費者保護の立場からいっての公表の原則——前回もそういう御指摘があったわけでございます。そういう御趣旨に合うものであるというふうに考えまして、そういう条件をつけて、このデータはデータとして発表させていただきたい、そういうことを申し上げたつもりでございます。
○有島委員 ということは、条件が入るのですね。あなたは教科書どおりにやっていればというようなことをしきりと言われますけれども、まだそんなことを言うのかと私は言いたいですよ。行なわれてないんじゃないですか。また聞いてもいいですよ。新しくしたら、そちらのほうの通達をしっかりすべきなんですよ。そうでしょう、行なわれてないんだから。行なわれてないけれども、やっていると教科書に書いてある。その教科書に書いてあるとおりにやればこうなんですよ。そんな話を幾ら世間に発表したって、そんなことは人を惑わすだけなんだ。それよりも、行政指導をするならば、今後は、そのおそれがあるからとにかく中間でもって水洗いをやらなければならないことになったのか、ならないのか、その辺のところをはっきりしてから、そういった行政指導を一発すればいいじゃないですか。いまはまだ、こちらの要求した実験を全然やってないんだから。だから、水洗いを絶対しなきゃいけない——絶対しなきゃいけないというほど強くはいえないわけです。それから、教科書に書いてあるとおりだから、それはそのとおりにやったほうがいいということは、美容師さんみな知っているんですよ。だけどやらない。やってないじゃないですか。そんなたてまえ論といいますか非現実的なことをいつまでも繰り返していては困る。ほんとうにそういうことはやめてもらいたい。 それからもう一つです。いまお聞きになって局長もお気づきになったと思います。それで学者の方々は、その排水を一リットル飲むと死ぬとか二十五リットル飲むと死ぬとかおっしゃいましたが、現実にパーマネントの排水を飲む人は一人もいないんだ。そんなことはだれも心配していない。パーマネントをかけている操作の中でもって何か呼吸が困難な感じがする、あるいは皮膚がかぶれる、あるいはあとでもって一日じゅう何か気持ちが悪い。そういうのを、それは特異体質だ、あなたは特別だといってみんなはねられていたけれども、そっちのほうが現実問題ですよ。これを飲む人はいないからね。このことは衛生試験所のほうは、御安心くださいませ、そういうことですよね。 もう一つ。排水基準ということになれば、それはまた厚生省とは別な管轄になるのかもしれません。そのために経済企画庁がいらっしゃって調整してくださるんでしょう。だから、この中間報告は、ほんとに見当はずれなことを大げさに、かつ詳細に、かつ厳密に、私はあえていえば非常に悪質なものであるように思います。ですから、もっと現実的な実験を至急になさって、一週間後でけっこうですよ。それで現実にいままで行なわれていたことに対して、大部分の女性がその操作過程を経てやっていたそういうことに対して、それでもなおかつ安全なのか、これは警告を要するのか。操作過程においてそれはある程度緩和されるという。そうなれば、まず最初に緩和させる措置を通達しなければならないでしょう。 それからもう一つは、先ほどから言っておるように、シアンが発生するというようなことが起こらないように、何らかの時期の範囲でもってそういうような厚生省自身の規約改正を研究させなきゃならない。そういう段取りになるかと思いますね。 じゃ、以上でもって質問終わります。
○松浦(利)委員長代理 和田耕作君。
○和田(耕)委員 大臣、最近の物価の全般的な模様は、ますます深刻というよりも新しい段階を迎えつつあるような感じがするわけですけれども、このごろ週刊誌、たとえばいま出ておる週刊朝日でも週刊文春でも、そういうふうな問題を取り上げてきておるわけであります。こういうところの取り上げ方は、かなり政府に対する、だめだだめだという言い方をいままでしておったのですけれども、最近のこの二つの週刊誌の出している問題は、これはほんとうに心配になってきた、ほんとうに心配になってきたのだからこういうこともしなければならないじゃないかというふうな、かなり建設的に見えるような発言もしているというような感じを受けるのです。 そこで大臣にお伺いしたいのですけれども、いま政府は総需要の抑制ということを物価政策の中心に据えておられるわけですけれども、この総需要の抑制という中で一番中心に考えておるのは設備投資を押えていくということだと思うのですが、やはりそういうことになっておりますか。
○小坂国務大臣 最近の物価の状況は、どうも私どもの願いにもかかわらず、危機的なと言ってもいいような非常な激しい騰勢を示しておりまして、何とかこれを押えたいと考えておりますが、いまお話しのように、いかにも総需要が強いわけでございます。総需要を引き締めるのに財政、金融的な面からこれをやる、と同時に個々の需要について需給の関係を洗ってみるということになるわけでございますが、私ども、福祉社会の建設ということを考えますと、その面の公共投資というのはやはり必要でございまするし、また個々の福祉関係の財政支出というものも必要になるということになりますが、しかし、そういうものを出しておる反面、物価が上がったのではこれは元も子もないということで、その点で非常に苦慮するわけでございます。 そういう中で、設備投資の中でいかにも全般的な、いわゆる社会生活を向上するための投資、これはいま申し上げたようになかなか押えきれないので、やはり不急不要の公共投資も相当あると思われる、それも見方でございますが、こういう物価高の中において、こういうことはしなくてもいいじゃないかというようなものもあるわけでございますので、そういうものをひとつ選んでまいりたいというように思っておる次第でございます。
○和田(耕)委員 つまり、おっしゃる意味は、設備投資を含めての総需要の抑制というものがいまだに非常に重要である。しかし、一般的に網をかぶせれば福祉社会の新しい建設面がおくれてしまう。また必要な供給資材も少なくなる。したがってもっと線をこまかくして、そして不急不要のものは押えるが、急ぐものあるいは必要なものは進めていく、こういうふうに理解していいと思うのですけれども、しかし、それはそれとしてわかりますけれども、いま政府のやっておられるのは、まだそこまでいっていませんね。どうでしょう。
○小坂国務大臣 財政面から上期の公共投資を押えろということで、災害復旧とか寒冷地は別といたしまして、全般的に、昨年などは七割ぐらいしておったのを五割以下にするということをやっているわけでございますが、一般的に金融面で設備金融というようなものが非常にあるわけでございまして、それは数次にわたる公定歩合の引き上げやあるいは預金準備率の引き上げ、あるいは窓口指導ということで、金融当局あるいは大蔵当局もこれに加わっておるわけでございますが、そういう面で努力してもらっておりますけれども、ただ、まだ全般的に需要が非常に強いという点で、いま和田委員の御指摘のように、そこまでいっていないということもあるいは言えるかもしれません。一応やってはいるけれどもまだ十分でないというふうに私ども考えておる次第であります。
○和田(耕)委員 御苦労なさっておる点はよくわかるのですが、たとえば公定歩合の引き上げ等の問題を、一般的な政策ですね、その中で、これが大事だからこれを先にやる、これは急がないからあと回しにするということは、公定歩合の引き上げという政策からは出てこない、一般的に押えてしまうという形になるわけですから。こういう場合の政策が、一般的な網をかけるということになるので、個別的な政策をやろうという意思はあっても非常にむずかしいという理由があるから、なかなかそれが実現できないということだと思うのです。 そこで私、今度の白書をいまずっと読んでおるのですが、きょう大臣からちょっとお聞きしたいのは、この白書の「インフレなき福祉をめざして」というこの要旨の中の二四ページの一番最後に、いまのような、大臣が御苦労なさっている点、いろいろと需要と供給のアンバランスの問題、そして一般的な引き締めの持つ効果、あるいはマイナスの問題等を検討したあとで、こういうふうなことばで結んでいるのです。「現在の激しい物価上昇を抑制するため、そして長期的に福祉充実への資源配分を確保するために適切な総需要管理がいまこそ必要である。」こういう文章があるのですが、この意味もよくわかるのですが、大臣として、適切な総需要管理というのは具体的にどういうふうな政策を——「いまこそ必要である。」ということですから、当然具体的な一つの政策を含めて描かれておると思うのですけれども、どういうふうなものをお描きになっておられるのかお聞きしたい。つまり、非常に矛盾した要素があるわけですね。総需要の制限をしなければならないし、品物はどんどんと不足してきたという問題ですね。総需要の抑制というのは供給をまた押えてしまう、押えてしまえばますます困るというような問題があるわけで、それに対してここでは「適切な総需要管理がいまこそ必要である。」ということですけれども、これは具体的に内容をひとつお聞かせいただきたい。
○小坂国務大臣 御指摘のように非常に矛盾した面も多いわけでございまして、たとえば、いままで総需要喚起ということになって、財投をふやし金融を緩慢にするということになると、設備投資が先行いたします。非常に能率のよい設備ができて供給がふえる、しかも安価にそれが生産されるということで、経済の拡大と物価というものは並行していったわけでございます。経済の拡大をするが物価はそれほど高くならないという状態になったわけでございますが、福祉社会の建設ということになりますと、福祉関係の投資というものは設備投資と違いまして、これは投資をされてもそのまま消費に向かうわけでございますので、生産性というものを無視して消費が行なわれる、その面で物価が上がっていくという、とかく物価を押し上げる傾向を持っておるわけでございます。しかし、われわれは何としても福祉社会を早急につくりたいという要望を持っているわけでございまして、これをどう調整していくかということが、総需要管理の中で非常にむずかしい問題であるように思います。 そこで、ただいま和田委員御指摘のように、私どものいまとっておる政策というものは、財政面でも、金融の公定歩合の引き上げというような面でも一般的な需要抑制ということでございますわけですが、その中でやはり今度は、それと同時に個々の物資の需給状況というものを調べまして、そして需給のバランスの非常にとれてない面についてはそれぞれの手を打っていかなければならないというふうに思うのでございます。 〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 その面では金融的にもあるいは財政的な面でも対策が必要でございましょうが、やはり個々の物資になりますと、政府が統制して手を出すというようなわけには私ども考えておりませんので、それぞれの物資の需給の関係の中において、ことに供給、生産をつかさどる側において自主調整的な行動がどんなものであろうかというようなことを考えております。そういうことを産業界においても検討していただくようにお願いするつもりでございます。
○和田(耕)委員 この白書は、いまのところ政府の願望を示すということと理解しているのです。 それにしましても、激しい物価上昇を押えるために、そして長期的に福祉充実への資源配分を確保するために、いまこそ総需要の管理が必要である、こう書いているわけですね。つまりこのことは、所得政策というものとの連なりというものを経済企画庁としては——所得政策というのは、これはタブーのことばではなくて、もうその時期になってきているわけです、こういうことばが出るところを見ても。どこの国だって、これは非常にむずかしいことはわかっているけれども、そう言いながらやらざるを得ないという状況になってきておる。日本もそういうふうな門口まで来ているということは、このことばがはっきり示しているわけですね。そういうふうなこともこのことばの裏には含んでおるのかどうか。これは私はあげ足をとろうという意味で質問しているわけじゃないのでして、経済企画庁としてこういうふうな表現で「いまこそ必要である」ということで、当然これは、具体的に進めていけば所得政策的なものになっていかざるを得ないと私は思うのですね。これはどうでしょう。
○小坂国務大臣 所得政策というものにつきまして、いままでの語義からしましていろいろの時代的、大きくいえば歴史的な反応があるわけでございまして、これは、政府からそういうことばを持ち出していたずらなる混乱をつくることはどうであろうかということで、そういうことばを使わないわけでございますが、ただ、われわれとして、資源の有限性という問題が非常に大きくいま出てきたわけでございまして、いかに設備をつくりましても、それの資源の乏しいわが国として、外国からそれを、求めようとする原料がなかなか持ってこれないという問題がある。しかも環境の汚染という問題があって、それぞれ資源を使っている、それから出てまいりまするものによる環境汚染に耐えられないということもございますので、やはり日本の生産力というものは、国民生活あるいは社会福祉との関連において、ある限界というものがあるんじゃないか。われわれはやはりそれを探究しなければならない。そうすると、国民の消費の限界といいますかそういうものも考える必要があるんじゃないかということで、生産と消費を大きくひっくるめて、われわれが新しい観点から国民経済、日本経済というもの、生産と消費の現実を踏まえて見直す時期ではないかというふうに私は思っておるのでございます。ただ、それを物価と賃金の関係で出すというのが所得政策ということばで出てまいりますものですから、それは極力使わぬようにいたしたいと思っておりますわけです。 OECDなどでは、御承知のように、日本も所得政策を採用したらどうだ、それも非常にゆるやかなものをとったらどうだというような勧告までしているわけでございますけれども、私は、OECDの考えは考えとして、われわれ独自の観点に立って、いま申し上げたようなそういう考え方でやろうと思っております。 少しくどいようですが申し上げますと、いままでは何か、消費をする限界というものが一応ありませんで、大量消費をすることが大量生産を可能にして、それが日本経済の成長につながるのだというふうな考えでございましたのですけれども、そのうちまた、大量消費を可能ならしめないのは政府の施策が悪いのだ、そういう考え方がともすればあったわけでございますけれども、これはやはり現実に可能な限界があるということを国民全体が知って、その上で個々の方策を考えていく時期になってきているのじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。
○和田(耕)委員 つまり、大臣のおっしゃるその点が、日本の所得政策的なものが始まっていかなければならない重要な要素になりはしないか。総需要抑制というものが、設備投資の抑制ということに限定されている。また、それでいい時代ではないわけです。いま大臣がおっしゃったとおり、個人個人の国民の消費支出をある程度まで抑制するというような形に入っていかないといけないというふうに、大臣のいまおっしゃることはそうだと思うのですけれども、国民の消費支出を押えるということは、いまの節約運動ということではとてもできることではない。賃金その他の所得に対してある程度チェックしないというと、ふところにはたくさん金が充満しておって、そして消費節約は美徳だから節約するようにしなさい、こう言ったってなかなかできるわけではない。そういうふうな面から、これでまた、いまの物価問題というのはもろに関係してくるわけです。 供給する物資はどんどん少のうなっていくわけです。資源的な面でもそうだし、あるいは労働力の面でもそうだし、そういうふうな面からも、つまり資源的な面からも総需要抑制というものがあって、一方において、抑制のしっぱなしではぐあいが悪いので、福祉社会を高めるためにはより大きな投資が必要だし、生産の拡充が必要だし、供給の増加が必要だ。資源のそういう方面での配分が必要だ。一方ではそういうものを切り捨てるところが必要だ。こういう問題でしょう。したがって政府として、つまりそのところをこの白書は「現在の激しい物価上昇を抑制するため、そして長期的に福祉充実への資源配分を確保するために適切な総需要管理がいまこそ必要である。」というのは、そこのところを言っているわけでしょう。ということは、ことばは何と言っても、所得政策的なもの——所得政策的なものというものは、やり方によっては何も労働者を押えつける一方のものじゃないと思いますよ。もっと全体的な利潤に対する制限とかいろいろなものが先行していくということも、特に日本では必要かもわからないと思うけれども、そういうふうな意味の全般的な、全体を見通しての計画というもの、総需要管理の計画というものが必要だという段階に来ているということでしょう。これはちょうど政府の、現在明らかにインフレであるのに、大臣もいつかインフレだと思うというふうに認めておるのに、総理大臣がインフレでないとか、あるいはあるあやしげな経済理論家があやしげな理屈を言って、これはインフレでないとかというふうなことを言っておると同じことなんですよ。 それで、そういうことを経済企画庁として当然研究し、対策を準備しているだろうと、ぼくは、このことばがあるからそう思っていま質問したのですけれども、まだはっきりそういうふうなことをやっているようにも、大臣の答弁からすればうかがわれない。一体これはどういうことなんだ。こういうことは必要なんだけれどもという考えだけのことなのか。あるいはいろんな具体的な踏み出しをしているのかどうか、こういうことについて大臣にもう一ぺんお答えを願いたい。
○小坂国務大臣 全体の需要を抑制して、超過需要と申しますか、供給から超過しているものを切り取れれば、これは全体の均衡が得られて、物価も安定してくるわけであります。そういう意味で、需要というものについては個人の消費あるいは生産に要するいろんな経費、あるいは所得なども関連してくるわけでございまして、物価問題というのは結局そういう経済活動の集約でもあるわけでございますから、そういう全般を見て、しかも長期的な観点で日本経済の行く末をながめながら、いまの福祉社会への転換を考えていかなければならないということになりますと、やはり相当の計画的な生産、消費というものを考えていかなければならないと思うのでございます。そういう意味で、私どもは、政府のみならず、国会の各先生方や町の遺賢にもいろいろと呼びかけて、考えをまとめていきたいと思っておりましたわけで、こういういままでやったことのないことをやります場合には、非常に全体のムードといいますか、国民全体の理解といいますか、そういうものが必要だと思いますので、ただいまの和田先生の御議論も非常に私は拝聴、傾聴いたしまして、大いに今後の参考にいたしたいと考えております。
○和田(耕)委員 それと関連しまして、ぜひともひとつ大臣に、現実を率直に反映するようなことばをお使いになって、そして国民に協力を求めないといけないという意味で申し上げるのですけれども、大臣、いまの状態は、非常にインフレの危険があるとか、門口に立っているとかいうのじゃなくて、急に対策を要するインフレの状態だというふうにお認めにならなけりゃいかぬと私は思うのですけれども、その点いかがかということと、それから五・五%ですね、これは特に七月の中旬、ごく最近の状況から見れば、卸物価がもう一五%、あるいは消費者物価でも一三、四%ということになりますと、しかもこれはかなり持続的に、しかも上がる傾向で持続しているということから見れば、もうこういうことは、あまり形にとらわれて、五・五%をまだ維持するとか、あるいはインフレじゃないんだ、ただ非常に危険があるんだとかいうふうなあいまいなことば使いでは、私は逆に非常に有害だと思うのです。これはいかがでしょうか。
○小坂国務大臣 三月ごろに消費者物価のみならず卸売物価が上がってまいりましたときに、私は、これはたいへんなことになったとうっかり言ったわけでございますが、たいへんだしなめられまして、いまそのことばを使わぬようにしておるわけでございますが、現実は私の当時の直感のごとくになってまいりまして、非常に憂慮すべき状態だと思います。 先ほど申し上げたのでございますが、松浦委員に御答弁申し上げたことばに使ったのでございますが、いろいろな政策を今度はかなり果敢に行ないまして、実は日銀の公定歩合の引き上げ等も、あれは四月二日から始めたわけでございますが、あれをもう少し早くやってもらえばベターであったろうと思いますけれども、とにかく一%引き上げるという異常な決意を示したわけで、卸売物価は、十一月か十二月ごろになりますと相当おさまってくると思うのでございます。ところが消費者物価のほうは、これは現在上がっておる卸売物価の影響ということもございますから、予断を許さぬ、いわゆる相当危険な状態ではないかと心痛しておるわけなのでございます。 ただ、和田委員仰せられるように、これはやはり政府のみならず、国民全体がその気になってこの物価問題に立ち向かわぬことには、総論賛成、各論反対でやっておりましたのでは、なかなか効果が期し得ないのではないかというように思うのであります。そういう意味で、物価の今日の状況はまさに異常な状態であるというふうに思いますし、これに立ち向かうには、政府としては物価安定を最優先政策にするということを言っておるわけでございますが、ただ、いまの御指摘の五・五%に押えることをあきらめろ、あきらめたということをちゃんと言えというお話は、これはもう少し時間をいただいて考えさしていただいて、そのときにお答えいたしたいと思います。
○和田(耕)委員 あと、公取委員長はお見えになっていないのですか。——長官、いまの問題は、これはまあ政府も一生懸命考えてはおると思いますけれども、ひとつ事実をはっきりとさせて国民に協力を求めるように、政府も腹をきめてやるということをやっていかないとだめです。私、いまの週刊朝日の、日本列島は何か物資不足で沈没するかという記事を見まして、朝日といえば非常に反政府的な、政府に批判的だと考えられておるところですけれども、あの週刊朝日に取り上げられておる形というものは非常に建設的ですね。これは何でもそうですよ。週刊文春でもそうです。週刊誌がこういうふうな形で物価問題を扱うのは、私はやはり一般に国民が危機を感じておるという一つのあらわれだと思う。それなのに政府は、まだインフレでないとか、五・五%を維持できるとか、そんなばかげたことを言うということは、ぼくは、政府は逆に非常に無責任だと思うのです。ぜひひとつその問題を政府部内でも御検討願いたい。 それから、きのう発表されました再販制度の問題について、先ほど松浦君の質問を聞いておりましたけれども、この問題については、私、若干違った感じを持っておるのです。 実は、きょう私の家に、じっこんにしておる薬局のおやじさんから電話がありまして、今度薬剤関係の相当の品目が再販から除外されてくるという発表を見たけれども、和田さん、あれは一体、物価を下げる、あるいは安定さすための措置だということですけれども、ほんとうにそうでしょうかというふうな質問なんですね。つまり、その人の言うのは、今度再販品目からはずされたリポビタンDであるとかグロモントのことを言っておりましたけれども、こういうものは八年間、百円から全然値段は変わっていないのだ、全然上がっていないのだ、上がっていないものが、今度はずされた大部分がそうなんだと言うのですね。そうだとすると、この再販指定からはずすという意味はどういう意味なんだろうか、こういう、薬局のおやじさんからの質問なんですよ。 これは薬務局長さん、今度はずされた品目を中心にして、厚生省の薬務局のほうにも十分連絡しての上だと思うのですけれども、最近あるいはこの数年間のこのような薬品の値動きについて、これは突然の質問ですからお答えがあるかどうかわかりませんけれども、もしわかっておれば、大体のところでもけっこうです。
○松下政府委員 ただいまの先生の御質問の、具体的に今回の措置で指定からはずすことを公取が予定しておられる品目と残る品目との個別の値動きというのは、実は私ども十分には把握いたしておらないわけでございます。と申しますよりは、先生いま御指摘のように、上がっているものはいままでは少なくとも再販品目でございますから、これを上げようといたしますと公取の承認が要るわけでございまして、したがって、いま御指摘のようにほとんど上がっていない。それから値下げすること——メーカーが値下げすることはかまわないのですけれども、いろいろ問題になっておりますように、原材料等もだんだん上がる、工賃も上がるということで、値下げする動きもない。したがって、再販品目につきましては、私どもは大ざっぱな感じといたしましては、ほとんど値動きがないというふうに考えております。 ただ、最近の問題といたしましては、一般的な問題でございますが、たとえば苛性ソーダとかそういったような、医薬品の製造にも相当重要な役割りを果たします基礎材料等が非常に品薄、あるいは値段が上がっておるというようなことから、製薬企業の間で原価がだんだん上がるので苦しいというような訴えは聞いておりますけれども、まだ現在、それが具体的に価格に反映してどうこうというふうなところまではいってないんじゃないかというふうに考えます。
○和田(耕)委員 諸物価がどんどん上がっておるという状況のもとで、いまこれをはずせば、むしろ下がるよりは上がる要素になりはしないかという心配がいまの質問の背後にあるんじゃないかと思うのですけれども、そういう点、公取としてどういう御検討をなさったのでしょうかね。はずすかはずさないかというものについて、値動きの問題を考えたかどうかということですね。
○高橋(俊)政府委員 この問題は、見通しにかかる問題でございます。現在までの価格の動きというのは、届け出があるわけですから、これは公取として大部分は把握しております。確かに値動きが非常に少なかったと思います。 いま何かお話はちょっと、はずす品目は違っておるように思いますけれども、それは別といたしまして、はずしたから値が上がるか下がるかということになりますと、たいへんむずかしくて、私ども何ともお答えができない。といいますのは、確かに原料関係が非常に上がっているものが多いのです。そのほかにも人件費その他が毎年上がっているわけですから、消費者物価に影響する品物の値段、これもとかく上がる傾向にあるんじゃないかと思います。これは全体としての経済政策として考えなきゃならぬけれども、この再販という制度で、たとえばそれを機械的にもう値上げを一切認めないというふうにしておくことが大切な措置であるかどうかについては、私ども、これも疑問と思います。値上げの理由があったものについて、たとえそれが非常に利益が減り、あるいはマージンがなくなっても上げさせないというふうなところまで、そういう権能もありません、再販制度というもの。かねてから、ごくわずかの分野にしか特権といいますか、特権的なものが与えられていないのですから、ほかのものを事実上受け付けるべきであるにかかわらず、政策的に公取は受け付けしていないわけです。ですから、そういうものをなぜこの商品だけ置いておくのか、こういうところに基本的な問題がある。 それから、再販であるがゆえに、一般には、末端まで安心して再販制度の中でやっているから合理化も進まないんだ、競争政策が十分に行なわれない、こういう批判があるわけでして、再販制度を公正取引委員会の扱います独禁法という立場から見ますと好ましくないということになってきたわけで、それが大義名分としての廃止の方向への前進なんでございますが、さて具体的に、じゃあ上がるのか下がるのか、私は両様あると思います。 つまり、上がるような要件を備えているもの、上げても売れるというものもあるでしょう。しかし逆に、これは業界のほうの多大な宣伝もございますが、乱売競争が起こって、理屈抜きで値が下がる方向へ、値くずれの方向へいくのじゃないかということを強く主張している者もあるわけです。この点は、まずやってみなければほんとうにわからないといいますか、ただ、いまがもし非常な不況のときですと、これは値下がりして業界はみな倒産だ、こういうことまでいわれまして、非常に廃止といいますか、品目整理というものはなかなか困難だったと私は思います。不況のときにこれをやろうとしたら、そちらのほうの反発が強い。これでは経営が成り立たぬ、つまりもとのもくあみに戻っちゃって、二十八年に再販制度をつくったときのいきさつを考えて、おかしいじゃないか、こういうふうになりますが、私どもから言わせれば、何もそういう問題は、好、不況によりまして、二つや三つの業界に来るわけじゃなくて全体に通ずるわけですから、ある特定の業界だけを特別扱いをするということはおかしいじゃないかというようなことが先に考えられます。 ですから、直接物価政策に役立つかどうかという点については、私自身確信をもってお答えすることができないわけでございますが、制度としては、私も廃止したほうがいいという感じです。
○和田(耕)委員 いま公取委員長の非常に率直な御意見だと私は思うのですけれども、確かに、制度として、特定のこのような品目を、他のものと区別していつまでも残しておくということは適当でないという御意見は、成り立つと思うんですね。ところが、この再販制度という問題を国民大衆がいろいろ問題にするのは、ほとんど全部、そういう制度としての問題よりは、物価問題としての観点からこの問題を取り扱っているわけですね。再販があるから下がるべきものも下がらないのだ。競争がそれに阻害されておるのだ。したがって下がるべきものも下がらない。それに対して再販を求めるほうは、もしこれを競争にさらされれば、つまりおとりだとかいろいろなまずい競争になってきて困るのだ。これは非常に生活必需品だというふうなことになっているわけですね。そこで、一般の関心を持っておるのは、結局、これをやれば、値段が下がらなくても上がることはないだろうという一つの期待があると私は思うんですね。その期待があるからマスコミも大きくこれを取り上げておるということじゃないかと思うのですが、そういうふうな再販の問題を、値段の上がる下がるという問題からとは関係なしに、たてまえ論としてこれを取り上げたということになるとちょっと問題がありはしないかと私は思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
○高橋(俊)政府委員 全く客観情勢から申しますとそういうことだと思います。そこで私どもとしては、たてまえ論だけでこの問題を解決するというわけではございません。また、たてまえ論の中に——メーカーから小売価格まで拘束しているわけですね。メーカーがきめてしまう。小売店の間に競争し得る余力があっても実際できないという弊害があったわけです。ですから、そういう弊害に対して、消費者などから、それ以外の客観的なあれから、再販制度を置いておくことはおかしいんだという強い御意見があり、業者の側からは逆に、廃止されたんじゃ困る。ですからこれは、廃止されれば自分たちの価格が値くずれを起こす危険があるという意味でなければならぬわけです。 ですから、今度廃止しました化粧品とそれ以外の三品目ですね、この三品目は廃止されましたから、たとえば合成洗剤とか石けんなんかについては再販契約はできない。だから、値段は完全な自由競争になるわけです。寡占になっていますので、その辺われわれ目を光らせなければなりませんが、おそらくは値段はまちまちになると思います。ことにいままで、よしあしは別といたしまして、スーパーで目玉商品に使おうとしましても、再販商品はそれができなかったわけですね。再販商品を大安売りということにすれば再販そのものに反しますから、これは逆にメーカーから差しとめを受けてもいたし方がないということになります。ですから、そういう廉売行為の対象——廉売の場合、先生も聞いておられると思いますが、要するに仕入れ価格が何ぼ安かろうが高かろうが、その売り主によって六%を加えたところまででとめてもらいたい。それより安いとこれは出血なんでございますから出血サービスもほどほどにしてもらいたい。これはあらゆる点からいってそのほうがいいということでやったわけです。おそらくそこまでは廉売できるわけです。いままでは一〇六なんという相場はとうていつけられないわけです。ですから定価で売っていたわけですが、その点はなくなりました。 それから、そのほか化粧品等で千円をこえるもの、これらについては再販品目から一切はずれるわけでございますから、五千円のクリームとか二千円とかいうクリームがございますけれども、そういうものの値段を守らなくて、たとえばスーパーで相当安く売られてもこれはいたし方がない。ですから、物別によりますとそういう物価上の効果があるというものも相当含まれてくる。しかし、私は断言はできません。要するに値幅にいたしましたから、いままでは千円なら千円ぴしゃりで売らなければならなかったものが、今度は九百円でもいいんだ。そういうルールに従わないのは再販として認めないわけですから、値段そのものを改定すれば別ですが、さしあたり百円値引きして売ってもいいということになりますので、仕入れ価格はどうであるかにもよりますけれども、下がるほうには働くというふうに思います。 ただ、当面の物価対策に大きく寄与するような問題であるとは私は思いません。いま五商品を廃止してみましても、おそらく残っているものが全体で、廃止前が金額で小売り全体の三%ございますから、今度は廃止後残っているほうが多いと思いますから、一・六とか七の問題で、要するに今度廃止された品目の金額は一・二か三程度じゃないか。そうしますと、それが物価に及ぼす影響というものは、全体として見れば微々たるものになるのではないか。ただ気持ちの上で、完全に定価のついておったものを部分的に下げるほうに働くという現象が起こってくるのではないかと思います。ただ、それが乱売になり過ぎて非常に困るというところまでいくかどうか、私は、いろんなことをやってみなければわからぬと思います。
○和田(耕)委員 この問題は、私は、自由な競争条件をつくるということが物価安定あるいは引き下げのために必要だという考え方は、理論的にはわからないことはないのです。実際において、この再販の問題にも同じような議論が成り立つと思うのですけれども、自由な競争条件をつくるという名目で、結局は寡占体制の思うままになるのじゃないか、それよりはむしろ行政が介入したほうが少しでもよくなりはしないかという、逆の感じを私は持っているのです。これは牛乳の場合もそうです。いまの洗剤の場合でも、メーカーは寡占体制です。化粧品でもそうです。薬でも、これは見方はいろいろありますけれども、そういうふうなことも成り立つ。こういうものを自由競争の体制にしますと、寡占体制というものがいますぐにでもできるという状態にあるわけです。しかも、そういうものは、一番条件の悪いものが標準になりがちですから、値段をつり上げてくるということになってくる。そういう要素があるので、世間の一般の消費者はよく事情を知らないで、政府も競争条件があるから値段が高いんだとか安いんだとかいうことを言っているけれども、排除するということは、行政指導から寡占のほうへ追い渡すわけですね。そういうことを考えてみないといけない問題がありはしないか。一般の商品、洗剤とか化粧品等の問題については、私そう文句を言いたくはない。大体こういうこともいいだろうというふうに思うのですけれども、薬の問題は、あまりこれを軽々に扱ってもらっては困る。そういう感じを私は持つのです。 私は、日本の医療制度の問題から、医薬分業というものを非常に強く、早く実施しなければならぬということで、これは薬務局長さんには毎回、厚生大臣にも要望してきているのですけれども、医薬分業ということになると、こういうものが、一般の競争条件下で値段が非常に浮動したりあるいは競争の結果品質にいろいろ影響したりということでは、医薬品というものは困るわけです。しかも、これは、いまの薬局の適配の距離制限なども取り払ってもらうと困るわけです。やはりお医者さんからすぐ、一定の距離のところに薬局はなければならぬわけですから、こういう特殊な商品についてはある程度の制限というものが、品質上の問題からいっても、値段の問題からいっても、あるいは患者の受ける便利の上からいっても必要だと思うのです。今度は公取のほうの配慮によって、重要な家庭薬品関係ははずす対象からのけておるようですけれども、この配慮は今後とも必要じゃないかと思うのです。 私がきょう述べたいことは、ただ自由な競争条件を生かしさえすれば価格は下がるんだとか、品物はよくなるんだとか、そういう迷信にとらわれてもらっては困るということなんです。これは一定の条件下で起こり得ることであって、そのことを申し上げたいと思って問題にしたわけです。ひとつ公取委員長、非常に勇気のある、率直な行動をとっておられる、これは非常にりっぱなことだと思うのですけれども、ぜひともお願いをしたいと思います。 以上で終わります。
○山中委員長 次に、小林政子君。
○小林(政)委員 公取委員長にお伺いをしたいと思います。 公正取引委員会は、昨日発表されましたとおり、現在いわゆる再販指定商品として残っておりました五商品に対して、そのうちメーカー段階における寡占の程度がはなはだしいという家庭用浴用石けんあるいは合成洗剤、練り歯みがきについて指定を取り消されたわけですけれども、化粧品と医薬品については、値幅再販として条件つきで残すということを発表いたしたわけですね。指定品目の取り消しとそして存続として決定するもの、これは何を基準にされて実施をされたのか、お伺いをいたしたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 五商品のうち三商品は、ただいまおっしゃいましたように寡占の度合いが激しいものですね。そもそも、この五商品全体について問題があるわけです。ただし、和田さんからお話がありましたように、医薬品については、医薬分業ということになりますと、これは話は違ってまいります。別の観点から配慮すべきだと思いますが、そうでない場合には、この五商品全体は、公取委員会が認めれば、ほかに幾らでも再販商品がふえてくるはずなんです。それを実は三十五年からお断わりしてしまったわけです。理屈に合っていようが合っていまいが、要するにそれに対する批判が強くなりましたのでお断わりした。そうしますと、中には、これはカメラの場合に例があるのですが、再販から取り消されまして、その次に再販違反であげられているわけですね。ほかにも家電なども、たっての非常に強い要望が一時あったらしいです。私はよく詳しい事情は存じませんが。だから、ほかにも、認めてくださいというのもある。そういうものは全部お断わりしておいて、そして五商品だけ、これは別格だといっているのはまことに筋が通らぬ話だというのが私どもの考えでございますが、それで、何に着目したかと申しますと、実際上、これはたいへん抵抗の強い問題でございます。はっきり申して、そうスムーズに事が運びません。私どもは、実際上たいへんな板ばさみになっているわけですが、それはそれといたしまして、寡占の度合いの非常に高いもので、三社で、低いものでも六七、高いものが九三というふうなシェアを占めている。これを保護しているかのような形になっておるわけですね。事実、不況のときにも全然値くずれいたしませんから、これはそうだと思います。ですから、こういうものは、品目数としてはそれぞれが一品目でございます。金額的にも、そう何千億なんという数字にはなりません。年間の総売り上げがまあ何百億程度でございます。それも、たとえば石けんの場合でいえば、石けんだけをつくっているところもありましょうけれども、ほかの化粧品と一緒に売っているという場合もあるということから、それならばこの際御遠慮願おうじゃないか。段階的整理でございますから、一挙に全部を整理することはできないとすれば、じゃどういうところからやるか。寡占の程度の強いものを公正取引委員会が保護しているかのような感じになっているのはおもしろくないということで、その三つを廃止いたしました。 他の二つにつきましては、結局化粧品は、高級化粧品を全部再販として売っているのは、日常の用に供するというこの法律の規制があるわけですね。一般消費者が日常の用に供するというのに、何千円の化粧品がはたしていいのかということで、一般庶民といいますかの感覚からいって、これは千円以下であるということであればお互いにそれほど困ることもないし、消費者の側にまだ不満は残ろうと思いますけれども、そういうことで、これは品目整理ではなくて、金額で高いものは御遠慮願うことにした。 医薬品の場合には実は品目は多いのですけれども、金額で申しますと一五%だけ、今度は金額で落とした。八五%は金額で残る。しかし、この場合着目しましたのは、とにかく、先ほども申しましたが、もより買いをしなければならぬようなもの、一般の消費者が、健康の関係からずいぶん遠くまで行かなければならないということのないように、薬局に品がそろっている。すべてのやつを買いだめをするということは一般消費者には不可能だし、薬効期限の切れるものなど買いだめするというのは常識的にはないわけですから、一部のものは買っているでしょうけれども、あとはそのときの用に応じて買うという必要がある。医者との関係もありますけれども、そういうふうな医薬品は残す。そうでなくて医薬部外品と申しますか、極端に言うと蚊とり線香のようなものとか、全く健康に即つながらないというふうなもの、こういうものはやはりはずしていい。それから、事実上再販がくずれてしまって、再販制度からその商品がはずれてしまって、値がばらばらになってしまっている。こういうものは、何も無理に再販にしておく必要はない。そういう観点からこの整理を考えた、これが大まかなところの筋立てでございます。
○小林(政)委員 五つの商品とも非常に寡占化の強い商品でございますし、それからまた、先ほどの委員長の説明の中にも、今回のこの改正といいますか、小売価格をメーカーが一方的に決定をするというようなこういう制度に対しては、やはり制度上からもいろいろと問題がある、こういうことが述べられているわけですけれども、私はこういう観点から見ますと、特に化粧品の小売価格千円以下のものを値幅再販として当面存続を認めたという、こういうこと自体が、考え方の上からいくとおかしいのじゃないだろうか。日常必需品ということで千円というところで線を引かれたというふうにも受けとめられたわけですけれども、私はこのことを考えますとき、化粧品業界というのは一体どうなのだろうか。化粧品のメーカーというものはどうなのだろうか。現在化粧品は五十一の再販売契約実施企業がございますけれども、これは全部そのまま残るということですか。
○高橋(俊)政府委員 今回の措置によりまして、いままでと違いまして値幅になりまして、低い価格で売る分には差しつかえない、一割ですね、一割あるいはそれ以上というものもございますが、そうなりましたので、メーカーの中には、それならばむしろ再販をやめるというのが出てくるかもしれませんが、いまのところは私どものほうとしては、特にこの業者はいいとか悪いとかという判断は全然いたしません。つまり、届け出されているものは受理している。それ以上に新しく受理することは考えませんけれども、しかし、業者については特別にどうこうということはないわけです。
○小林(政)委員 たとえば小売価格千円以下というところで、いままでの再販指定の商品がどの程度適用されるだろうかということで化粧品の場合調べてみますと、たとえば、具体的に幾つかの大メーカーの例をとりますと、資生堂の場合には、現在再販指定商品数が五百十六商品ございますけれども、これを千円というところに線を引きますと、三百十七商品が再販として残ることになるわけです。またカネボウの場合を調べてみますと、現行の三百三十六の指定商品のうち、千円というところに線を引いて調べますと二百二十七商品が残る、こういう結果になるわけです。 私は、こういうことを考えますと、今回、メーカーの段階における寡占の程度がはなはだしいものを再販指定の対象からはずしたのだ、こういうことがいわれておりますけれども、最も問題が多いといわれております医薬品とか化粧品が、当面とはいえ残されたということは、やはりこれは問題ではないだろうか。そして特に化粧品の場合は、大メーカーの場合、資本金二十億円以上の企業の再販商品の数は千七十六商品、そして再販指定を受けております全化粧品の数が三千八百二十八商品ですから約二八%、三割近くを占めるという、いわゆる資本金が二十億以上の企業の指定品目といいますか商品が約三割近く、二八%を占める、こういう結果になるわけでございますし、このことを考えますと、寡占というものが一つの基準になっているんだと何回も強調されておられましたけれども、こういう時点の中で化粧品メーカーを残したということは筋が通らないんじゃないだろうか、まして金額で小売価格千円以下の商品を指定するということは、何らかの妥協策として考えられたのではないかとすら思われるわけですけれども、この点についていかがでしょうか。
○高橋(俊)政府委員 先ほども私は別の質問のときにお答えをしたかと思いますけれども、今回の措置は、私どもがこれで万事終わったんだというふうに考えるものでは決してないのです。化粧品についていろいろ御指摘がありましたけれども、金額の上でも、いままで指定されたものの中で化粧品が一番大きいわけです。確かに上位の企業をとればいろいろ問題があるでしょう。しかし、上位三社の寡占の度合いは五二%くらいですから、ほかのものに比べれば、これはその点では落ちるわけです。競争会社の数もけっこうたくさんあるわけです。でありますから、こういうものを一挙に廃止するか、あるいは中間段階を考えるか、こういう政策的な——私どもも全然受けつけられないような、だれにも総スカンを食うような措置をとるのはいささか無理じゃないか。ですから、はっきり申し上げれば、現実的な政策としてそういう段階的な措置をとるほうがいいと考えたわけでありまして、万事終われり、これでいいんだというわけではありませんけれども、そこを妥協とおっしゃられても、私どもはいろいろ交渉を、団体というか業界などとやりとりをさんざんして妥協した、そういう性質のものではなくて、公正取引委員会が、この程度であれば何とかいま、大混乱なしでやっていけるのじゃないか。業界としては現在猛烈に反発していますけれども、実際に受ける影響がそれほど大きいのかというと、まあしんぼうできるものではなかろうか。一方で非難はありますけれども、おとり廉売によって極端なダンピングで企業をそこなうというようなことのないように配慮しているわけでございます。それとのかね合いでこういう結果になっておる。現実との妥協であるという点においては、私はあえて妥協ということばを使ってもいいかと思いますが、それはいろいろな政治的なかけ引きの妥協だとは申しません。それは違っております。
○小林(政)委員 再販制度というものは、国際的な趨勢から考えても、西ドイツの廃止の問題、あるいはまたヨーロッパ諸国でも廃止をしている。また考え方の上からも、小売価格をある製造メーカーが一方的にきめて、身動きができないような、価格を動かすことのできないというような制度、これはやはり不当なことではないだろうか、このように考えておりますし、そういう点から、一番大きな比重を占めております、いま例をあげて述べているのは化粧品のメーカーについてでございますけれども、いわゆる再販の維持契約をしている、先ほど申し上げました資本金二十億以上の大メーカーの一部の経営状況というものは一体どうなっているのだろうか、この点について、私は有価証券をもとにして少し調べてみました。 これは過去五年間で、売り上げ及び純利益が非常に大きく増額をしているという数字が出てまいります。たとえばカネボウの場合ですと、昭和四十三年の売り上げ高の千七百十億が四十七年には二千四百五十九億で、四三・三%の増でありますし、また純利益でこれを調べてみますと、昭和四十三年に四十二億であったものが四十七年には六十八億円、六〇・四%の増であります。また資生堂も、同じ五年間をとって調べてみますと、四十三年の売り上げ高の七百十一億円が四十七年には千三百一億円で、これは八二・九%の増でございますし、したがって純利益も、六十四億円から四十七年には百十四億円、七六・四%の増、非常に大きな増加率を示しているわけでございますし、さらに製薬会社についての大正製薬の場合も同じことが言えると思います。四十三年の売り上げ高の二百四十七億円が四十七年には三百六十三億円で、四六・九%の増ですし、したがって純利益は、六十八億から九十六億という形で大幅な伸びを示しております。 特に私はこの中で、売り上げ高に占める純利益の割合はどうなっているのかということも調べてみますと、カネボウの場合は四十七年度、売り上げ高に占める純利益は二・七九%です。資生堂の場合には八・七七%、大正製薬の場合には二六・五八%です。一体この売り上げ高に占める純利益の割合というのは、一般企業の平均はどの程度になっているのか。それとの比較でもってこれは高いものなのか低いものなのかという点も比較してみますと、全企業数の平均九十二万社を対象にして調じました大蔵省の金融統計月報をもとにして調べたものによりますと、これは残念ながら四十六年までしか出ておりませんけれども、売り上げ高に占める純利益は二・四%でございます。それから製造業の場合は三・三%。これらの数字と比べましても、売り上げ高に占めるいわゆる純利益は、このカネボウ、資生堂、そして大正製薬、これは一例にすぎませんけれども、非常に高い伸び率を示している。このことは、売り上げが増になっておるのか、価格によってそうなったのか、その辺はともかくとしても、相当利益をあげているということを言うことができるんではないかというふうに思います。 私は、こういうことを考えると、公取委員長は一体この実態というものをどうごらんになり、お考えになられますか、お伺いしたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 企業の利益が年を追うて絶対額としてはふえていく、これは趨勢として当然のことだと思います。その企業の中にばらつきがある。差がある。これは業種によって、売り上げに対比する利益率というものはかなり違う場合があります。同じような業種でも、いま述べられた数字をもとにすれば、同じ製薬会社でも大正製薬の場合には、特殊な事情で売り上げ高に対する利益率が高いということがあるいはあるのかもしれません。これは前々から一種の大衆保健薬のようなもので宣伝したので、販売網も何か特殊であるというふうに聞いておりますが、私は詳しいことは存じません。それに対してほかの一般業界は低いといえばそのとおりでございますが、そういう中でたとえば資生堂、カネボウが化粧品業界で非常に伸びがいい、売り上げが高い、そして効率もいいものですから、おそらく他の化粧品会社と比べれば利益率も高いのではないかと思います。しかし、そういう利益率がある程度高いことは、やはり企業努力の結果が寡占を促すということもないわけではありません。そういう弊害があるのですけれども、しかし、企業努力でいろいろな成績の差が生じている場合に、公取としてはそれに対して直接とやかく言うというのはおかしなことで、堂々と営業して、不公正な方法も何も用いずに利益をあげている、競争も十分している、その競争の中で優秀な企業の利益率が高く、そうでないのがどうしても低下する。営業上の伸びもそういうふうになるのは、ある程度やむを得ない。それが自由競争の姿であろうと思います。また、そういうことを求めてみなが競争していく。しかし、それがはなはだしく行き過ぎた場合には、寡占とか独占とかいうものの弊害が逆にあらわれてくる場合がありますから、私どもは、そういうものに対する対策は別途に考えていかなければならぬ、たいへんむずかしい問題であるということは、かねがね申し上げておるとおりでございますが、どうもこの会社は非常に伸びが高いから、したがってこの会社の商品は再販にしないというような解決策は、現実問題としてはとてもとれるわけではございませんし、これはそういう実績がいろいろあるということ、いろいろ違っておるということはわかりますけれども、それだから公取の対策がこれに合わせていかなければならぬというふうにまでは追い詰められた問題ではないだろうと考えております。 たとえば今度廃止しました上位の三商品については、何しろ業界全体が初めから寡占だったものが入っている。練り歯みがきのようなものは初めから寡占だったのですけれども、そういうものを認めたこと自体に問題があるが、当然、そういうことをあまり考慮しないで、何でも受け付けますよというようなことであった時期もあるわけです。それで入って、抜けるのになかなか時間がかかる、廃止には相当めんどうなことが起こるものですから、私どもはあえて今回も全体の廃止にいかずに、商品別の廃止あるいは品目の整理ということで一応のケリをつけた形になっております。そういうことでございますから、その中からこの会社は受け付けないというような選別は、これはちょっと無理じゃないかと思います。
○小林(政)委員 相当大きな利益をあげているという点を一般論にならして、それは企業努力もあったんだろうという形でいまお述べになったわけですけれども、資本金二十億以上の大きな企業が化粧品全体の再販指定の約三割近くを占めているという事実、そしてまた、いま私が数字を述べました相当大きな利潤をあげている、こういう点から考えても、これは化粧品のカネボウ、資生堂あるいは大正製薬などを含めてですけれども、やはり大きな力を持った独占企業と言うことができるのじゃないだろうか、こういうものが対象になって残るということは問題があるのではないだろうか、こういう立場からこの問題について質問をいたしたわけでございます。 特にいま、化粧品会社の上位三社ですが、その市場に占めるシェアは五二%というお話もございました。一体こういう実態の中で、独占企業というものの定義は何を定義にして行なわれるのか、市場支配の上でも相当大きいシェアを占めているということは問題じゃないか、私はこのように考えますけれども、この点について定義をひとつお伺いいたしたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 初めに、五二%と申しましたが、一%違っておりまして、五三%でございます。訂正いたします。 独占企業というものを一体どう考えるかということは、私は機械的には考えられませんけれども、もちろんシェアは非常に大きい。大きいだけではなくて市場を支配する。他の企業がほとんどこれに競争することが不可能に近い状態である。競争するといいましても、いわばその独占企業によって市場のいろいろな問題が支配されてしまっている。一社によって支配されるというふうな状態。だから、ある程度他の小さな企業が残っておりましても、もうその企業が圧倒的なシェアを持ち、実力が強過ぎて、他に競争者がおらないと同然の状態になった、こういうふうにみなされる場合はやはり独占企業ということになるのじゃないかと思います。 ですから、これは何%以上がどうかと言われますと、いろいろむずかしいのです。ビールの話でありますけれども、六〇%をこえている企業がすでにあるわけです。しかし私は、競争がなくなったとは思っていません。他のものがその一社に押されておる、いつも押しまくられているということはありますが、さりとて競争力が全くなくなったかというとそうではない。一生懸命巻き返そうとして努力はしている。また、実は過去にはそれだけの歴史があったわけですから、これはもうすでに絶望だ、完全に独占だというふうに言い切ってしまうべきかどうかということについては、まだ何とも申し上げられません。 ですから、今後そういう独占企業に対する取り扱いなどを考えます場合にも、私どもは十分に慎重に検討した上でないと、そう簡単には臨むべきではないので、かなり慎重な態度をとるべきだと思います。
○小林(政)委員 企業のいわゆるマージンだとかリベートだとかこういうものは、大きなメーカーの場合は、大体化粧品などでは小売価格の何%というふうに押えていらっしゃるのか、それからまた宣伝費だとか販売経費、広告費などというものはどのくらいになっているというふうにお考えになっていらっしゃるのか、小売価格が製造原価の一体何倍くらいになっているというふうにお考えになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○熊田政府委員 企業のマージン、リベート、これが小売価格に占める割合でございますけれども、いま手元にございますのは再販商品についてのデータでございます。これは四十六年の十二月現在におきまして、化粧品がマージン、リベート合わせまして三八・八%、それから医薬品は四〇・六%というふうになっております。 それから、製造原価がどの程度であるかということでございますが、これは企業の純売り上げ高に占める割合、これから申しますと、化粧品が四〇・六%、医薬品が四〇・二%、こういうふうになっております。
○小林(政)委員 原価の問題等については、いろいろと企業機密などということもあって、正確な問題が明らかにされておりませんけれども、いろいろと専門家の話などを聞いてみますと、化粧品というのは、原料その他はある程度基礎原料というものがきまっているのであって、若干価格によって調合その他が異なるけれども、基礎的な原料というものは大体そう違うものを使うわけではないのだ、こういうふうな話を聞くと同時に、現在の化粧品の原価というものは相当宣伝費や販売費、こういったようなものが多く含まれていて、その中で価格そのものが相当つり上がっている、こういうこともいわれておりますけれども、これらの問題について、公取として具体的に立ち入って調査をされたことが私はあると思うのです。事実、実態の調査をされたというふうにも何かで読んでおりますけれども、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
○熊田政府委員 公正取引委員会といたしまして一昨年来調査をいたしましたのは、再販実施企業の中でマージン、リベートというようなものがどういうような実態であるか、それからまた販売諸経費、たとえば化粧品でいいますと、化粧品、医薬品等の販売部員、あるいは景品、サンプルの提供がどういうようになっているのか、こういうような状況を調べまして、その中で非常に過大だと思われるようなものにつきまして具体的に是正をしていこう、こういうふうに考えたわけでございます。先ほどマージン、リベートの状況につきまして、化粧品と医薬品について全体の数字を申し上げましたけれども、この中で特にリベートにつきましては累進度がはなはだしく高い、こういうようなものに特に問題があるというふうに考えまして、これにつきましては、たとえば小売価格に換算をしまして一五%というような非常に高い累進度を持ったリベートがございます、こういうようなものはできるだけ下げさせる、こういう具体的な指導をしたわけでございまして、そのほか景品、サンプル等につきましては、現在データを持っておりませんので、ここではちょっとお答えいたしかねます。
○小林(政)委員 私はいま、具体的にいろいろ数字をあげたり、あるいはまた幾つかの問題点を指摘をいたしてまいりましたけれども、そもそも、この再販価格維持制度というものが、大義名分としてはいままで、不当な安売りを防止する、そしてまたメーカーのブランド、信用、こういうものをきちっと保証していく、あるいはまた品質保証や小売業者の保護ということをうたってまいりましたけれども、実態は、消費者の立場というよりもむしろメーカーの利益擁護の制度である、私はこのように考えます。大企業商品の価格は、再販制度そのものが実際にあるということでもって、いろいろな形で、下がるどころか上がっているというのが現状です。新しいデザインをした新しい商品が出た、こういうつどメーカーは価格を上げてまいってきておりますし、むしろ値を下げさせるということの妨げの役割りを再販制度は実際に果たしてきているのではないだろうか、このように考えますけれども、お伺いをいたしたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 再販制度全般について、いま御指摘になったようなことになっているとは私は思いません。たとえば洗剤のようなものを例にとりますと、これは何グラムとか何がはっきりきまっておりまして、その価格が上がれば非常にはっきりしてしまうわけです。すりかえがきかない。ですから、洗剤会社などはこの九月期、ほかの普通の会社はみな増益だと思うのですが、逆に減益になる予想になっていると思います。そういうものもあります。それから、いま言われたように、化粧品の中に、おそらく原料等から見ればほとんど変わらないようなものが、たとえばほかのたとえですけれども、デラックスをスーパーデラックスと呼びかえて容器だけ取りかえる。そしてかなり値段を高く売る。ところが、ふしぎなことに、値段の高いものを好んで買う消費者がたくさんいるということなんです。これはみんな個人の趣味嗜好の問題ですからいいのですけれども、そこに安物よりも高い物がいいのだときめてかかっているものもありますから、そういうことで、それが売れればけっこう利益はさらにふえるということになりますから、再販制度があるから、値段そのものをチェックしておれば全部値上がりなしで済むかというと、そうはなっておりません。 確かに全体として見た場合に、再販制度がメーカーの保護のほうにやや近いと思われる制度である。全然消費者にプラスはないかというと、そうはまいらないと思うのです。たとえば著作物として法律上の再販は残りました。新聞などが、この値上げの問題がありましてそこに問題がありますけれども、一たんきまると、月ぎめで千百円なら千百円というのは、日本中どこへいっても同じ料金です。山の中へいっても同じなんですから、そういう点で、それがいいかどうか問題がありますけれども、一がいに悪い面だけではない。非常に不便なところだからというので新聞が五割も高くなったら、これはやはり日本の文化的な意味からいって、いろいろの情報の点からいって、まずい点もありますので、私どもはそういう点も考慮して、また外国の事例を見ましても実は新聞書籍類となっているのが多いのですが、日本のように著作物となっている場合はちょっと幅が広いのですけれども、まあまあこれはいま手をつける気はない。 そういうことですから、再販の意味というものについては全部画一的に、メーカーのためだときめてかかるわけにもいかない。やはり国民のいろいろな広い意味での利益率の上がるものがありとすれば、それは弊害があってもいたし方ない場合があるでしょう。ただ、再販指定商品の中には、先ほど申したように、中身の点からいえばあるいは本質はそう変わらぬかもしれないが、実質値上げになるようなことをやって、それがけっこう売れておる。そういう場合も確かにございます。私はないとは思いません。詳しく調べてお答えしているわけではありませんが、取引部長のほうからも、あるいは課長のほうからも、そういう事例があるのではないかと言ったら、あるようですというふうに聞いておりますから、その点は正直に、そういうものであるということは私は認めます。
○小林(政)委員 私は、再販制度そのものがもう、先ほども申しましたとおり、時代の趨勢からいっても一刻も早く廃止すべきではないか、このように考えております。一体、委員長としては、今後の方向づけをどのように置いていらっしゃるのか、まずこの点をお伺いいたしたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 私は、いまの段階でいろいろよけいなことを申し上げるのはなるべく差し控えたいと思いますが、すでに私どもがかなりの困難を考えながらも今回の措置を打ち出したという点からお察ししていただきたいと思います。決して方向としてこれを残そう、拡大しようではなくて、縮小の方向を目ざしてとった措置であるという点を御了解願えればけっこうであります。
○小林(政)委員 時間がございませんので、もう一点お伺いをいたしたいと思いますけれども、今回の措置と抱き合わせの形で、不当廉売を防止するという、こういう規制の提出を一緒に出してきたわけですね。小売店が仕入れ価格プラス六%、これを割って販売をした場合には取り締まる、こういう内容ですけれども、私は、メーカーの出荷価格はそのままにして、そして仕入れ価格に販売費六%、これを割って販売した場合には処罰の対象になる、あるいは規制をしていくというようなこと、これは問題じゃないだろうか、このように考えます。先ほど来、私が再販制の問題等について、逆にいままで物価をつり上げる役割りすら果たしてきたのじゃないかということを申し上げたのも、すでにメーカーの段階で小売価格が決定している、したがって値動きができない、こういう事態の中で大きな問題が出てきていたわけですし、私どもはむしろ今回のいわゆる不当廉売の取り締まりについても、メーカーの名ざした価格、それを仕入れてきた価格、こういうものに対して何ら規制をされないで、現象的に六%云々というようなことは、これは問題じゃないだろうか。逆にこれは中小業者を困難におとしいれることになるのじゃないだろうか。安売りだとか、あるいはまたおとり商品としてそれを使って、何といいますか、質を下げていくというようなことがいろいろいわれておりますけれども、やはりこの問題については、品質の保証の問題一つ考えたって、再販制度の問題とはかかわりがないと私は思うのです。厚生省が薬について、あるいは化粧品というものは直接皮膚やはだにつけるものですから、そういうものにちゃんと監督を強化すると同時に、その主成分は検査を行なっていく、監視を強めていくというようなことがやられれば、質の低下というようなことはあり得ないんじゃないだろうか。むしろ、安売りを防止するということで、出荷価格に対しては何ら規制をすることなく、こういう措置が安売りの防止という名目のもとで行なわれるということは、私は大きな問題じゃないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○高橋(俊)政府委員 どうもよくわからない点があるのですけれども、メーカーの出荷価格そのものについて、私どもは何らの規制も考えてないのです。それは問題外でございまして、安く出してもけっこうですけれども、しかし、おとり廉売は、これは小売業における特定な不公正な取り引き方法として規制するわけでございまして、不当廉売、これははっきり申して、おとり廉売と読みかえていただいてもけっこうでございますが、おとり廉売を防止することで、廉売そのものをいかぬといっているのじゃありません。 それから、仕入れ価格が安ければ安いだけ、それだけ消費者には安い商品が渡るわけでございます。一般にそうでございます。ただし、実際にはおとり廉売のためにそのときだけ安く仕入れるということをやっておるのです。そうすると事実上はしり抜けになってしまいますから、三カ月間、その日から以前の三カ月間の仕入れ価格の平均をとって仕入れ価格とするぞ、こういうふうに案としてはしているわけでございまして、それに対しまして六%というのは、私は現実問題として、六%の販売経費でまかなっておられるところはまずないと思います。販売経費を直接費と間接費に分けて、直接費の下のほうをとったように書いてあり、そういう考え方でございますが、販売経費という点から考えれば、いかに合理化された大型のスーパー等でも、一〇%を下るなんということは絶対にないのです。資料によってばらつきがあまり大きいので、ここで数字を申し述べるのはちょっと気が引けるのですが、どんな低い場合でも一二%ぐらいは、仕入れ価格に対して販売経費がかかっておる。それから普通の小売業等では二五ないし三〇というのがざらな例でございます。一五%くらいの販売経費でやっておるところは、よほど商品の性質によるか、あるいは経営の形態によるかで、よほど低いところでなければ販売経費が一五%というところはないのではないかと私は思います。商品別に原価計算をして、それを一々検討しながらこれは不当廉売であるというふうなことは、公取としては不可能でございます。そこでやむを得ず、一番低いと思われるものをさらに下回る程度の六%——仕入れ価格に六%では、これはもうぎりぎりの、商品によってほとんどないのではないかと思われますが、販売経費が六%ということはちょっと考えられません。しいていえば上積みの限界を計算すれば、これはこじつければそういうことが言えます。余分に売れたのだからということをいえばそうはなりますけれども、そう毎日のように廉売なんかやっているわけにいかない。全体の商品についてそういうことがやれるわけではありません。比重としてはごく一部のものにおとり廉売をやりまして、ほかのもので十分利益を得て全体としてはどんどん成長しているわけでございますし、利益をあげているのですから、おとり廉売そのものを規制することは小売業界における流通秩序という大義名分でございますが、どちらかというと大型の小売店が、商品をとっかえ引っかえそういうことをしょっちゅう、これは月に十数回くらいやっておるところがありますから、そういうものはほかの小売屋にはできない。ですから、一部の有力な、力のあるところだけができるというのは公平じゃないと思うのです。 それから、あくまでおとりであって、それだけ安く買っていると思うのは錯覚だろうと思います。新聞などでたいへん消費者の側から評判が悪いのですが、なぜこういうようなスーパーがあれだけ利益をあげて伸びているのか。利益をあげているではないですか。つぶれたスーパーもあります。それは大型のスーパーに押されて整理されたものもありますけれども、まだまだかなりの数のスーパーが残っております。これは大小いろいろございますが、一般の小売店と比べてちょっと品物の扱いその他に差がありますので、おとり廉売をどんどん使ってお客を集める手段に使えるのは、全小売業者でなくて、ごく一部の小売業者にすぎないのではないか、そう考えましたら、そういう意味で仕入れ価格に六%という、最低でもない——私たちは原価割れだと思います。六%では、はっきり原価割れになるものが大部分である。相当原価を割っている。ところが、一切安売りを禁止してしまうのはいささか行き過ぎであるということから、この辺が妥当なところかなという感じで出したものでございます。
○小林(政)委員 私は、やはり不当廉売の防止の規定というものは、仕入れ価格プラス六%を割って販売をした場合に適用するという点は、消費者の立場からも問題があると同時に、むしろ、なぜ全体の大きな規制の方向を、そういうメーカーの出荷価格なりそういうものをもっと切り離させていくという方向にこそ目を向けていくべきが本来当然のあり方ではないだろうか、このように思うのです。いままでいろいろ述べてきたことの中でも、いかにごく一部の大きなメーカーが不当な利益をあげているかということは、私は、これは単なる企業努力などということではなくて、やはり一つには再販制度の問題が完全に関係があるというふうに見ております。実際にリベートを小売商に渡しながら、具体的には自分たちのシェアを拡大していくという方向で小売業者に対してあらゆる条件をつけている。こういうやり方でその製品のシェアを拡大していく。あるいはまた再販が、メーカーの場合には流通支配の問題とも、そういう形で相当密接につながってきている。こういう点等を考えますと、やはり再販制度そのものを一刻も早くやめると同時に、むしろ規制をメーカーに向けていくというようなことが、私は非常に重要ではないかというふうに考えます。中小小売店の方々の話もいろいろと伺いました。小売店の人たちが、いまの制度が安定していて、二五%から、あるいはリベートも含めて三〇%のマージンがある、しかもそれで一応安定ができる、安定していきたいという点から、いろいろとこの点については意見も出ておりますけれども、これらの人たちがいま、このような再販のいわゆるチェーン店としての契約を結んで、そして実際にはいろいろな制裁も加えられながら、ずいぶん無理をしながら、具体的には困難をたくさん持っているわけですし、問題は、小売りの人たちのマージンを適正に保証していく、こういうことが保証されれば、私は再販のこの問題等について、小売りの人たちは、決してこれによって中小業者が守られているなどとお考えになる人はいないだろうというふうに私は考えています。 こういう立場等いろいろ考えてみますときに、やはり規制の方向は、ごく一部の、不当なもうけをあげている大企業にこそ目を向けて規制を今後行なっていくべきではないだろうかというふうに思いますし、また、このような制度によって現在いろいろ問題が起こっております再販制度については、これは一刻も早くやはりやめていくべきだ、こういう基本的な考え方を持っております。公正取引委員会が、今回、一挙にはできなかったけれども、方向としては、こういう問題等についてもやはり一そう検討を続けながら方針を打ち出していきたいということでございますけれども、その基本的な方向等は、先ほど委員長の御答弁の中でも私も察しられる点がございますけれども、しかし、この問題等については、基本的なお考え方を私はやはりこの際お伺いをいたしておきたいというふうに思いますし、それを伺って私の質問を終わりたいというふうに考えております。
○高橋(俊)政府委員 メーカーの利潤等に着目していく、こういう利潤の高いものはむしろ利潤を減らすといいますか、利潤を吐き出して、品物の出荷価格を下げるべきだ、御意見はわかります。気持ちとしてわかるのですが、ただ、統制経済をやらない限りこれはできない。一部のメーカーにだけそういうことをすることはとうてい不可能でございますし、そんな不公正なことは許されるはずはありません。ですから、こうなると、考え方は根本的に、経済を統制を主体に考えていくか。私どもの考えとしては、これは自由経済、これがむしろ効率的である。自由経済は効率的であるし、最もむだが少ない。——少ないというか、むだはあるのですけれども、結局、統制経済というのは役人が一々事業に口を出すわけですから、価格にしろ何にしろ、特に利潤規制とかいうことになりますと、それは自由経済そのものを否定した考えでないとできないということになりますので、その点は私としては、はっきりこれは考え方の根本が食い違っておりますので、いま何ともお答えできない。——お答えできないというのは、それは不公平だと申し上げるほかない。 統制経済をたてまえとする場合に初めて利潤の規制というふうなこともできるかもしれません。それは非常にぎょうぎょうしくいえば、所得政策というようなところから、まず賃金を初めとして、そのほかに企業利潤を含め、いろいろほかのものについてもやるという考え方はございます。一部にある。外国にも、所得政策を曲がりなりに実施しておるところもありますけれども、成功した例はあまりないと私は思います。日本の経済がいままで伸びてくる間においては、各企業の創意を生かし、非常な競争心というふうなもので、背伸びをしながら今日まで成長を遂げてきた。しかし、それがいまや、公害その他の問題でたいへんな障害にぶつかっておるということは否定できませんので、そういった面からいろいろな企業に対する規制、これはもう最小限度、特に生活にかかわるものについてはこれは必要だと思いますけれども、利潤そのものだけをとらえて規制するという考え方は、これは自由主義経済体制のもとではとうてい考えられないものであるというふうに思いますので、たいへん遺憾ではございますが、私はその点については、御意見と同調するというわけにまいりません。その点は立場の相違として御理解願いたいと思います。
○小林(政)委員 最後に一言だけ……。 いま、そういう考え方は統制経済的な考え方であって、現在の自由経済をたてまえとしている中ではできないんだ、こういうことでございますけれども、いまいろいろと、企業の社会的な責任というようなものが大きく問題にもなっております。土地の問題についても、土地は自由でありますけれども、しかし、買い占め等の問題についても企業の社会的な責任というようなことで、これらの問題に対しては、公共の福祉のために云々というようなことも大きな問題になってきておる中で、一体原価がどうなっていて、それが適正な利潤で適正な価格ということが言えるのかどうなのかという点についても、やはり調査を行ない、そうしてこれは適正である、いろいろと諸経費その他を常識的に加えればこの価格は適正なんだ、あるいは不当にもうけているというようなことが明らかにされるような、そういう問題は、私は、決して統制経済でなければできないという問題ではないということの信念を持っております。そういう立場に立って、やはり何かそれはもう統制経済でなければ絶対できないんだというふうなことになりますと、これはちょっと、いまの企業の大きな社会的責任の問題ということでいろいろ出てきている問題等をあわせて考えまして、私は、委員長のいまのできないという点に対して、意見を述べておきたいというふうに考えます。 以上をもって私の質問は終わります。
○山中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時五十八分散会