農林水産委員会 第48号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/08/28
会議録
○佐々木委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について、本日、全国森林組合連合会専務理事喜多正治君、東北自然保護連絡協議会理事田村茂広君、岩手大学農学部教授船越昭治君、宇都宮大学農学部教授、日光自然を守る会会長森谷憲君を参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○佐々木委員長 参考人各位に申し上げます。 参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。 ただいま本委員会におきましては、森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について審査をいたしておりますが、本案につきましては、参考人各位のそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。 なお、議事の都合上、まず御意見をお一人十五分ないし二十分程度お述べいただき、その後委員からの質疑がありますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。 御意見の開陳は、喜多参考人、田村参考人、船越参考人、森谷参考人の順序でお願いいたします。 それでは、喜多参考人にお願いいたします。
○喜多参考人 私、ただいま参考人として御指名のございました全国森林組合連合会所属の喜多でございます。 私どもは、かねがね全国百八十万組合員の声を代表いたしまして、日本林業振興のためにいろいろなお願いをいたしてきてまいっておりますが、本日、この席で意見を申し上げます機会をちょうだいいたしましたことは、まことに光栄に存ずる次第でございます。 さて、今期国会に提案されております森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案、これにつきましては、私ども全国林業者の立場から申しまして、もろ手をあげて大賛成でございます。ぜひ、御理解深い先生方におかれましては、この際、早急に御決定の上、実施ができますようお計らいくださいますことを切にお願い申し上げたいと存じます。 本日は、限られた時間のことでもございますので、賛成の理由のおもなものを若干取り上げて申し上げたいと存じます。 まず第一は、最近の目に余る山林の買い占め、そして、それに続きます林地の乱開発、この問題でございます。このことにつきましては、諸先生におかれましてはよく御承知のことでもあると思いますし、私、あらためてここに申し上げる必要はございませんが、実は、いつも私たちは現地からなまなましい声を聞きまして、この問題は特に日ごろから痛感をいたしておるところでございます。 実は、つい最近も、私、徳島県の那賀川の上流深く入り込みまして、いろいろ現地の調査をいたしたのでございますが、有名なあの木頭林業地帯のつい隣の上那賀というところでございますけれども、ここで非常に熱心な中堅林業者の方たちから、こういった訴えを聞いたのでございます。ここ数年来、山の買い占めが激しくなってまいった、すでにこの村の六割に余る林地が不在地主の手に移ってしまった、しかも、これらの新しい地主の人たちは大部分林業を目的としない人たちなんだ、このままでは将来一体どうなるのだろうか、われわれの村は、と、こういう大きな不安でございます。人里離れたこうした奥深い山村ですでにこうした状態でございます。 いまや森林に対します資源の面、また公益の面から国民的な期待というものが日に増して大きさを加えておりますから、こうした現地での傾向はまことにこれは憂慮にたえないところでございます。山を守りたい、こういう林業者の気持ちは当然中の当然でございましょう。この点から申しましても、山の買い占め、それからくる林地の乱開発、これを防止する法案というものは絶対必要だと存ずるのでございます。 私は、この申し上げております瞬間にも林地の買い占めがどんどんと進められておりますことを非常に憂慮をいたすものでございます。もしこの法案がたなざらしにでもなるというようなことが万一あれば、まさに悔いを千載に残し、大きな問題を残すのではなかろうか、そのように存ずるのでございます。ぜひ一日も早く御決定をいただきまして、これが林地買い占めの歯どめに一役を買い、直接には乱開発の防止に役割りを果たしますことを強く希望いたす次第でございます。 ただ、ここで一言申し上げたいことは、こうした乱開発の問題とそれから林業者によります木材の伐採と、この二つを混同するという問題でございます。私どもは林業者といたしまして長年にわたりまして営々として山を守り続けてまいっております。生育いたしました林木を伐採し、そのあとには直ちに植林をいたしましてこれを後代に残していく、こういう山の人々の考え方につきましては、まことにこれは貴重だと思うのでございます。これを一挙に乱開発と混同いたしまして、伐採を抑制するというふうな机上の空論、これだけで片づけるわけにまいらないことは、これはもう当然でございます。したがいまして、山の利用の規制というものは、あくまでも林地を林地以外に使用するという場合に限って考えるべきだ、これは当然だと思うわけでございます。この点を特につけ加えて申し上げておきたいと存ずるわけでございます。 次に、日本林業の実情またそれに伴いましての森林組合の制度の改正の問題でございます。 過疎化いたしましたこの山村を守り、林業を盛り立てていくというのは、これは全国林業者の自主的な系統組織としての森林組合の使命でございますことは申し上げるまでもありません。森林組合は全国にわたりまして七万有余の作業班員を擁しております。この作業班員の力によりまして組合は造林に伐採にあるいは撫育管理に、あらゆる森林施業に組合員の委託を受けまして活躍をいたしておるのでございます。さらに木材はじめ林産物の共同販売また組合員の必要物資の共同購買、こういうことはもとよりのこと、森林の火災、気象災等々の共済事業にも大きく手を伸ばしております。いまや林業者はわれわれ森林組合に依存することがきわめて大きくなろうといたしております。このため、林業者にとりましては組合の事業範囲の拡大なり、また組合活動の強化ということがぜひ必要でございまして、強い要求として上がってまいっております。この要求は、組合で信用事業もやろうじゃないか、共済事業もやろうじゃないか、こられあわせて行なえるという形の単独立法ということで具体化せよと、こういう段階にまで高められてまいっておりまして、毎年のわれわれの全国森林組合大会ではいつも大きな課題といたしまして取り上げられております。いまでは、もう一日も早くやってもらいたい、こういうきわめて切実な要求となってまいっております。もう待ち切れないのだ、実はこういう情勢でございます。御案内のように、農協、漁協それぞれ単独立法といたしましてこの点は明確に打ち出されておるわけでございます。 今回の森林法改正におきましては、この切実な要求が全面的にというところまではいっておりませんけれども、かなり実現されることになっておりまするので、申し上げましたような林業者の切実な気持ちにこたえまして、すぐやってくれ、待てないということで、そこで足らざるところは他日に期しまして、とりあえず見切り発車と、こういうかっこうで私どもはこの森林法改正に賛成し、ぜひこれが早期に実現することを期待いたしておる次第でございます。 特に事業範囲の拡大の中でわれわれが関心を持ち、急いで実現を期したいと思っておりまするのは、森林組合が、森林の買い入れ、それから経営、売り渡し、こういったことができるようにするということでございます。われわわ系統組織といたしましては、最近の山の買い占めと乱開発がきわめて憂慮すべき段階に立ち至りましたことから、全国の組合員の要請にこたえまして、目下全国的に、林業と林地を守る運動、これを展開中でございますが、この運動を効果的に進めまするためにも、組合に林地の買い入れその他ができるという法的な措置は、これは絶対必要でございます。だが、それだけでは仏つくって魂入れず、やはり私は、この際当局におかれましても、組合の実力が法律の線に沿いましてほんとうに文字どおり発揮できるように、資金なりその他の面で強力なバックアップをされますよう特に期待申し上げたいのでございます。 さらにまた、森林組合は、過疎化の中で組合員から各種の山の作業を委託を受けております。ときには、山の経営全体をやってもらいたいというふうなことで強い要請を受ける場合が多いのでございます。幸い、申し上げましたように、森林組合は組合作業班というものを握っておりまして、その力によりまして鋭意これにこたえつつある実情でございます。これは、分収造林、こういう形をとることとなりまするので、ぜひ法的にも正式に認められたいのでございます。われわれはいたずらに他力本願、人に頼むというふうなことでなくて、自分たちの山はぜひ自分たちの手で守りたい、そのための作業班でもございます。迷惑をかけないで自分の山は自分で守る、これを第一に考えたいのでございまして、その気持ちはこれは当然のことだと思うのでございます。私は、この際当局におかれましてはそれができまするように、法的面の整備、これはもちろんのこと、行政面におきましても金融対策なりあるいは労務厚生対策なり、これらを完備いたしまして手厚い配慮をしていただきますように特にこいねがうものでございます。 以上、要点だけで、とうていすべてを尽くすに至りませんけれども、申し上げたい点は、日本林業の将来を考え、山村の将来を身にしみて憂えているのは、何と申しましても第一番にはやはり地元の林業者自体でございます。何とぞ先生方におかれましてはこれら林業者の切実な声をお聞きいただきまして、この法案がすみやかに実現いたしますように格段の御配慮を賜わりまするように切にお願いをする次第でございます。よろしくお願いいたします。
○佐々木委員長 次に、田村参考人にお願いいたします。
○田村参考人 ただいま御紹介ありました田村でございます。私は山形県の出羽三山のふもとで自然保護運動をやっておる者でございますが、きょうは東北自然保護団体協議会の理事として、また、全国自然保護団体の連合組織でございまして全国自然保護連合と申しておりますが、この理事をも兼ねておりますので、全国の自然保護団体を代表して、今日置かれている森林問題、特にブナの原生林問題について私どもの意見を述べさしていただきたいと思うわけでございます。 その前に、きょうここに私どもをお呼びいただきましたことは非常にうれしく感謝にたえない次第でございますが、これから許された時間内で、私ども常日ごろ考えておること、また今後国の森林行政の中にぜひこれだけは反映さしていただきたいということを忌憚のない意見を述べさしていただきたいと思うわけでございます。 まず第一点でございますが、自然保護運動というものが、確かにいまから数年前昭和四十四、五年ころから盛んになったわけでございますが、最初は御指摘されるとおり趣味的なものでございましたのですが、最近は非常に私たちの生活に密着した、生活の場を守ろうという、生活環境を守ろうといった非常に実質的な運動になりつつございます。そういうことの背景は、私どもの生活そのものが破壊されつつあるということにほかならないのでございますが、最近では全国に二百団体、およそ七十万ないし百万の会員を持つような全国組織に発展しております。それほど国民的な要望が強くなっているということの裏づけになろうかと思います。特にこの中で、私どもの住んでいる東北におきましては、ブナ原生林を守れというふうな声が日ごとに高まっておりまして、このブナ原生林を守るということが、すなわち東北人の生活を守るということにほかならないというふうな認識が最近高まってきております。これはとりもなおさず、私が申し上げるまでもなく、東北地方はブナの原生林がそのほとんどをおおっておりましたのですが、これから流れ出る水、それによって開墾なり、また水田などが潤わされて、一つの東北文化というものがこのブナ原生林によって涵養されてきたのではないかというふうに私ども考えまして、このブナ原生林が伐採されれば、東北文化そのものが根底から破壊されてしまうし、また先生方がいつもおっしゃられる、東北は食糧基地として今後存在していくべきであるということが現実的に不可能になってくるのではないか、東北を食糧基地にする、その一方で、ブナ原生林を伐採してどんどん水源涵養林をなくするということは、あまりにも明白な矛盾ではないかということを私ども強く指摘したいわけでございます。こういったことから私どもがいち早く、東北の生活を守ることはまずブナの原生林を守ることだということを指摘したのでありますが、その際に地域住民は私どものそういう自然保護運動には反対いたしました。 その一つは、山林労働者をどうするのだ、その生活がかかっている。いま一つは、製材とか二次加工者の生活がまたかかっている。三つ目には、山の資源がこれほどあるのだから、これを利用するのは国益に大いにプラスになるのではないかといった三つの点から、私どもの自然保護運動に対しては冷ややかな反応でございましたのですが、最近に至りましてはこの情勢ががらりと変わりまして、むしろ自然保護運動は地域住民の間から強烈に盛り上がってきているというのが実情でございます。 その理由といいますのは、まず一つは、山林労働者がまだブナ林がすぐ近くにある間にはよかったのでありますが、それがチェーンソーなり機械化されて、日ごとに奥地奥地へ進んでいく、その山林労働者もかせぎに行くには一時間も二時間も車にゆられないと現場に行かないということが一つございます。 また一点は、ブナ原生林も無限ではないということで、山林の人たちが生活になくてはならなかったナメコ栽培のほだ木さえも容易に手に入らなくなった。これではわれわれの生活が根底からくずされるのではないかというふうな認識が一つございます。 もう一点は、山がはげ山になって、ちょっとの雨でもすぐ水が濁ってくる。山村は御承知のとおり上水道は完備してございませんから、すぐ山の水を家庭の中に引き込むというふうな方式でございますので、ちょっと雨が降れば飲み水さえ濁ってくる、また大雨になればすぐ鉄砲水になって崩壊してくる、こういったことが現実に山村民の間に起こってございます。 五月の二十六、七日、山形県の出羽三山で全国自然保護大会が開かれたのでございますが、その席上で、磐梯朝日国立公園の一部でございますが、朝日連峰に住む住民が参加いたしまして、その方が切々とこう訴えておりました。自然というのは私たちはあまりにも恵まれ過ぎていてそのありがたみがわからなかった。ところが、これほど伐採されてしまうと、われわれの生活がかくもこの自然に大きく密接な関係があったとは知らなかった。山の木を切られてわれわれは初めて山のありがたさを知ったということを申しておりました。このような声に代表されるように、山村民は、いまこの山の功罪というか、山の持つ機能というものを非常によく見直してきております。 そういった点から、山村民の間からむしろこのブナ原生林を守れという声が強くなってきているということを皆さま方に申し上げたいわけでございます。 それで、実際ではこのブナ原生林の伐採がどういうふうな形にマイナスになってきているのか。ブナ原生林の伐採のデメリットを申し上げますと、まず一つは、伐採そのものの功罪がございます。一つは、伐採をする理由というのは、有用樹林に切りかえるのだという御意見がございます。しかし、有用樹林に切りかえなければならないという意見はわかりますが、有用樹林、たとえば杉とかヒノキとか、ああいったものに切りかえても育たないという地帯まで、有用樹林に切りかえるのだというふうな説明をしながら山の木を切っている。ところが、そこに植えても、ほかのところですと二十五年から三十年くらいで十分に用を足す材木になるのですが、標高七百メートルから千メートル近いところでは、五十年になってもまだ直径十五、六センチくらいの材木にしかならない。その上、むしろそういう有用樹林よりも雑木などのほうの生長量が早くて、雑木林の中に杉林がぽつんぽつんとあるというような状況が東北の各地に見られます。 それから、木を切ることによって鉄砲水がはんらんしてくる、また土砂くずれなどが起こっている。また、野生動物などが目に見えて減少してきている。そういった点のほかに、景観上非常によろしくない地帯が方々に出現しております。虫食い状態といっていいか、トラ刈りといっていいかわかりませんですが、景観上非常にまずい状態が各地に起こっております。これは私どもはブナを見ることによって、ああという、何か心の安らぎを覚える、そういったものが全然なくなってきております。 もう一つは、ブナを切るために林道が各地に網の目のごとく開設されておりますが、この林道が非常に安上がり工法をやっている。土砂を谷に流したずさんな工事が各地に見られます。そのために、渓谷に土砂が流れ込んで水が濁るだけでなくて、渓流魚といわれるイワナとかヤマメが年々減少しております。また、林道を開設したことによって地下水の破壊、水の涵養に非常な影響を与えて、周辺一体の植生が非常に変化してきているということも随所に見られます。また、林道の開設の大きな欠点は、その林道を開設することによって周辺のブナを伐採する、周辺の材木を伐採して、そういう伐採作業が終わりますと、林道は全然使わない、手入れさえやらないというふうな、要するに投げやりの、ほったらかしの状態の林道が東北各地に見られるということでございます。 そういうふうなことに加えて、これが単に天然生長量が非常にスムーズにいく、有用樹林に切りかえてもいいような、切りかえても採算性の合うような地帯ならばまだしも、全然採算性の合わない、先ほどもお話ししましたように、数十年たっても人間の腕の太さぐらいにしかならないような地帯まで木を植えている。これではあまりにもごまかしでないのかということを強く指摘したいわけでございます。 そのほかに、私どものところには磐梯朝日国立公園の広大な国立公園地域がございますが、この中の特別地域の伐採が現在急ピッチで進んでおります。国立公園というのは、御承知のとおり国の宝として、また国民の健康増進のために原始景観を残すのだということが大きな理由づけで磐梯朝日国立公園というものが昭和二十五年に指定されておりますが、そういった国立公園指定の裏づけとなる環境条件を日ごとに破壊しているというのが地元営林署の状況でございます。 また、治山治水の予算、これも年々増加をしておりますが、その点でわれわれ非常にありがたいのでございますが、しかし、これは実際の状況といいますのは、流域上部のブナ林を伐採したために、年ごとに土砂が崩壊している、また流出しているということで、それを食いとめるためにどうしても砂防ダムをつくらなければならない、護岸工事をしなければならないというふうな、まさに、ことばはよろしくございませんが、マッチポンプというか、自分たちで火をつけて自分たちでそれを消すというふうな実情でございます。私どもはこれを称してさいの川原の石こ積みじゃないのか、国家予算のむだ使いじゃないのかということを強くいつも指摘しているわけでございます。こういったことは、われわれしろうとでさえも、ここの流域のブナ林を切ればこの流域には必ず土砂が流れ込む、地帯が崩壊するということは、われわれしろうとでもわかります。それが専門家の林野庁の職員がわからないはずがございません。そういうことがわかりながらあえてブナ林を伐採して、しかもそのしりぬぐいとして、大事な国家予算を治山治水と称して使っているというのは、あまりにもずさんなやり方ではないかということを強く指摘したいわけでございます。 そういう点から今回の森林法の改正ということになったわけでございますが、その点で、森林の有する公益的機能に対する国民的な要請が高まったという林野庁当局、政府当局の認識は非常に評価されるものだろうと思います。またもう一つは、経済的な機能と公益的な機能を総合的かつ高度に発揮させるために、森林の適正な利用と健全な林業活動を確保したいという政府の御意見も、十分評価できます。また、民有林の伐採を都道府県知事にその許認可の権限を与えるということも十分われわれは評価したいわけでございますが、しかし、全体に流れるものはわれわれの期待とは遠く離れたものでございまして、やはり衣の下のよろい的な感じがしないでもございません。また、われわれのこういった願いがもっと実感としてこの法改正の中に流れてきてもいいのじゃないかというふうな感じもいたします。また、こういった法改正をやりましても、公益的な機能の重要性を認めつつも、結局はパルプ資本の圧力とか、また製材業者とか山林労働者というふうな名のもとに、従来と変わりない形でずるずるべったり伐採が進むのではないかという懸念を私たちは持っておるわけでございます。そういった点から、現存量を把握する、また紙の生産量の長期的な計画を立てるとか、また天然生産量がどのくらいあるのか、そういったものを調査するとか、また、天然生長量がこれだから、われわれの紙パルプまたいろいろな材木生産というものはこれだけだ、そういうふうなことをもっと科学的に押えるような研究体制の強化なども法の中に盛り込んでいただきたいというのが私たちのお願いでもございます。 またいま一つは、民有林の伐採をきびしく規制するとありますが、これなども、フランスなどでも、一本の樹木を切るにしても全部監督官庁の許可が必要だというふうなことになっておりますので、民有林のあれを知事が許可するのはたいへんけっこうなんでありますが、これを実質的にどうするのかというもっと具体的なあれもあってよろしいのではないかと思うわけであります。 以上のことから私どもは次の点を特に皆さま方にお願いいたしたいわけでございますが、まず向こう三カ年間、現在林野庁が進めている濶葉樹林、ブナ原生林などの国有林の伐採を全面的に中止していただきたい。そうして、その三年間に現存原生林の公益的な機能を再評価していただきたい。その場合には、集落とか、その近接する都市部の生活とのかかわり合いにおいてその公益的な機能を再評価すべきである。またいま一つは、国有林の流域別の土地生産性、年間生長量を測定して、それを十分国民に明らかにしていただきたい。 またいま一つは、ノルマ的な職員の給料を得るための独立採算制というようなものはまずやめていただきたい。戦前は林野会計というのは独立採算制ではございませんで、戦後にこの独立採算制になったわけでございますが、戦前に独立採算制にするために、山林から得た収益は全部山に返しなさいという願いのもとに独立採算制にしたのだというふうに私どもは承っておるわけですが、それが全く逆である。山から得たものはやはり山に返すというのは、これは自然界の原則だと思います。このことをまずやっていただきたい。具体的には、職員の給料などは一般会計から出してもいいのでないか。言うなれば、国民の健康をささえる最も原理的な大気の浄化、水源の涵養になくてはならない緑の造成、緑の保全に多額の国家予算をつぎ込んで何がむだであるかということを私は強く言いたいのでございます。 それから私どもは考えて、国有林とか民有林とかそういったような感覚はこの際すべて捨てていただいて、日本列島、日本国のこの国の中を一つにして、その中に森林生産地域というものを新たにきめていただきたい。国有林だからその中でどうするのだというのではなくて、国有林、民有林を全部白紙に還元して、その中で森林生産、材木生産できるのはここの地域であるというふうな、むしろいまとは全く逆な発想でもって森林経営をやっていかない限り、日本はますますこういう緑の砂漠になるような状態に進行するのではなかろうかというのがわれわれの懸念の一つでございます。 最後になりましたのですが、私どもは健康で幸福な一生を願いたいというのは、これは政党とかイデオロギーとか思想とか哲学とは関係なく、万民の願いでございます。そういった健康をささえるというのが緑によってささえられているというのは、これはどなたも御異議のないことだと思います。この緑の効用というふうなものをもう一度真剣に考えていただきたい。公害公害といま騒がれておりますが、この公害も、もとはといえば、自然破壊の天罰でございます。自然破壊をなしたからこそ公害も出てきたというのが、公害の正しい認識ではなかろうかと私どもは考えます。そういう点でもう一度緑の効用というものを真剣に考えていただきたい。 また、われわれ国民の間にいま強く起こっておる自然保護運動というのは、これは動物的な本能に目ざめた人類として当然の一つの欲求ではないのか。そのために、政党とかイデオロギーとか、そんなものは超越したところにわれわれの自然保護運動というものがあるということを御認識いただきたい。今日こういうふうな自然破壊、公害というものが起こったことは、イデオロギーの中にも思想の中にも宗教の中にも、自然と人間というもののかかわり合いについて何ら考えなかったということが、こういった人類の悲劇の始まりだろうと私どもは考えておりますが、このことを国政をになう皆さま方が真剣に考えていただかない限り、まさに日本は今後ますますこういったことで国が滅びるのではなかろうかと私どもは考えるわけです。ですから、今日各官庁が——環境庁ができました。また林野庁がございます。農林省がございます。通産省がございます。環境行政は各省庁がばらばらにやっておりまして、そのなわ張りでもっていろいろなことの足の引っぱり合いをやっているように見受けられますが、今日この時点において各官庁がなわ張り争いをやる、足の引っぱり合いをやっているような時期ではないということを強く私は申し上げたい。 そういう点で、森林法といえども、今後は国土環境保全法というふうな一つの法体系の中に改めて、その中に国土環境保全省のようなものをつくって、その中で林野行政、また森林生産、治山治水の行政をやっていくというふうな環境行政の一元化をはからない限り、幾ら森林法を改正しても国民の期待にはこたえられないのではないかということを私は強く要望したいわけであります。 最後に一言申し上げたいことは、いま私たちの国は、日本列島は、御承知のとおり緑の砂漠になろうとしております。緑はあっても、それがほんとうに人間に役立つ緑ではなくなりつつあります。国を滅ぼすのは戦争だ、国破れて山河ありといいますけれども、しかし、今日日本では国も破れて山河も失おうとしておる。国を滅ぼすのは決して戦争だけではないのだ、この緑の破壊こそ、これからの国家を滅ぼす、国を滅ぼすもとになるということを私は強く皆さま方に訴えたいのでございます。全国七十万ないし百万といわれる自然保護運動に携わっておる人間も、心を同じくしてこの日本の国を守りたい、そうして私どもの子供、またその子供たちに、ほんとうにしあわせな未来をつちかいたいというふうな願いのもとに私どもは自然保護運動をやっておるのでございまして、一党一派の利害のために自然保護運動をやっておるのでは決してないということを皆さま方に強く御認識いただきまして、非常にだめを申したのでございますが、以上で私のお話を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
○佐々木委員長 次に、船越参考人にお願いいたします。
○船越参考人 岩手大学の船越でございます。本日は参考人として意見を申し上げる機会をいただきましたことを深く感謝申し上げて、主としまして林業経営を研究している者の立場から、今回御審議中の森林法及び森林組合合併助成法の一部改正につきましての私の意見を申し上げて御参考に供したいと思います。 今回の一部改正案は、いろいろなとらえ方ができるかと思いますけれども、森林計画制度、昭和二十六年の森林法の計画制度の改善と森林組合制度の改善という二つの大きな基調からできておりまして、その中に開発許可制というような別の概念のものが入っておりまして、私どもなかなかつかみにくいわけでございますが、これは森林計画制度、森林施業を計画どおり実施していくための必要な要件であるというふうに考えまして、森林計画制度の体系の中で開発許可制が出てきたのだというふうなとらえ方をいたしまして、その立場でお話を申し上げたいと思います。 現在の森林計画制度は、申し上げるまでもございませんけれども、それ自体画期的な制度であったわけでございますけれども、内容的に申しますと、いろいろな土地利用の総合的な計画の中に必ずしも森林計画というものが位置づけられていなかった。そのために、昨今のように土地利用の競合が非常に激しくなってまいりますと、いろいろな面で長期計画であります森林計画自身が空文化するというような実態が現に存在をするわけでございます。 それから第二に、この森林計画制度がねらっておりましたいわば林業の経済性の追求と、それから森林の公益的機能の追求というこの二つの柱が必ずしもかみ合わないで、計画制度の中に特に森林の公益的機能の位置づけというものが明確に出てこなかったという点にあろうかと考えております。 御参考までに申し上げますと、イギリスでは、日本の森林計画制度に先立ちます四年前、一九四七年でございますが、いまとなれば、私どもが非常に参考になる制度を実施しているわけでございます。それは、森林所有者が国に申請をいたしまして、専用林地、林地として専用に使用していく計画を国と契約いたしまして、その専用計画ができますと、国は、造林に対する補助から、あるいはまた、毎年の必要な経費の補助を行なう、こういうたいへん手厚い林業保護の政策をとってきておりますし、先ほども参考人の方から御指摘ありました一九六三年のフランス森林法におきましては、かなり林業地として重要な役割りを持つ地域、それから傾斜地、崩壊地等の場合は、伐採に強力な制限を加えておる。こういうような方向で各国の林業政策が現に進行しているわけでございます。 それで、今回の制度改正によりまして期待されますことは、林地として利用していく個所がかなり土地利用上明確になっていくということと、もう一つは、国民にかけられた森林、林業に対するいろいろな期待、これは最近のようにいろいろな形での自然保護、公益的機能の多様な要請がございますが、その要請にこたえていく具体的な位置づけが森林計画上明確になってくる、こういう点でたいへん評価できるものだというふうに思います。 ただ、若干の懸念がございます。それは、私は岩手県に住まいをしておりますけれども、御承知のとおり、岩手は最近、東北新幹線、高速自動車道等の着工がすでに進んでおりまして、たいへん土地ブームを巻き起こしております。参考までに申し上げますと、私どもの調査では、昭和四十七年四月からことしの三月までの一年間の林野の移動を調査してみておりますけれども、これによりますと、市町村を窓口として経由したものだけをとりましても約一万三千ヘクタールの多きにのぼっております。その多くは、ほとんどが土地の使用目的がいまだ明確にされてないというようなものが多いわけでございます。そのことによりまして、たとえ小団地の開発行為にいたしましても、これがたとえば共同で林道を通すとか、あるいは共同で伐採をするとかいうような、その地域として有機的な施業計画を組んでいく上にあたりまして、小団地の開発事業といえどもかなり困難になってくる場合がございます。したがいまして、それに基づいて長期的な施業計画の変更自身が余儀なくされる、こういう事態が間々見受けられるのでございます。林業は非常に長期的な計画に基づく経営でございますので、開発の許可の要件の中に、環境の悪化を生じない場合というような、きわめて抽象的な表現で出ているわけでございますけれども、林業経営という立場から見まして、林業経営の地域循環を破壊しない、計画性を破壊しないというような立場からもこの許可問題をお考えいただけたらというふうに思うわけでございます。 と同時に、今回の計画制度が描いております理想を実現していくためには、これに伴います林業の育成措置というものが当然必要になってまいります。先ほど参考人の方からたいへんもっともな御意見があったわけでございますが、実は山村民、林業従事者というものは、実際は被害者であるにもかかわらず、加害者であるというような受け取り方を現にされている。それは一体どういうことかと申しますと、山村住民、林業従事者というものは、実はいままでの林業技術の中におきましては、大面積な皆伐、無計画な林道の延長、これは地域の林業の循環を将来的にはこわすものである。それは、いまは食えても将来その場所に永住して食えなくなるということはわかっていても切らなければならないという実態があったわけでございます。それはやはり生活がかかっているからでございます。そうした実態をわれわれは森林政策の中で何とか解決していかなければいけないだろうというふうに考えます。これには林業技術で解決できる面とできない面とがあろうかと思いますが、少なくとも林業技術で解決できる面、たとえば綿密な森林の保育管理をやるとか、あるいは択伐、抜き切りでありますとか、あるいは小面積な画伐でありますとか、そういった新しい森林施業の技術体系が十分導入できるような育成措置、指導措置というものが同時にお願いできたらというふうに思うわけでございます。 以上が森林計画制度に対する意見でございますが、第二の森林組合制度につきましては、これは森林組合自身、協同組合でございますけれども、農協等と違いまして非常に特異な性格を持っている組合であると考えております。それは、農協等が個々の農業における経営部門でそれぞれ横に結合するという特徴を持っておるのに対しまして、森林組合というものは、森林を媒介にいたしまして、大所有者も零細所有者も、また森林に対する考え方あるいは目的の違ういろいろな階層も、すべて地域として一つにまとめ込んでやっていかなければならない。そういう点に、いわば垂直的に結合される組織体たらざるを得ないという点に森林組合の特徴があろうかと思います。特に森林の重要な機能面であります地域の保全、それから自然保護、こういった理念を追求していく場合は、森林組合がやはり森林として結合する、人的結合という側面のほかに、地域森林として結合するという垂直的な結合が今後も避けられない方向であろうかと考えます。 そういう点から申しまして、森林組合の事業というのは、単なる資材の調達、資金の調達から、生産、流通、場合によっては加工あるいはまた関連産業まで同時に取り上げなければならないという、いわば総合事業体としての性格を持たざるを得ない側面を持っていると考えます。今回の一部改正におきましては、そうした森林組合の多面的な要請、森林組合存立の基礎というものに照らして有機的な事業の活動を計画いたしたものだといたしまして、事業範囲、組合員の資格範囲の拡大等の措置が講ぜられたことは、まことに適切であるというふうに考えます。 それで、管理運営面の問題につきましては、先ほど申しましたとおり、本来森林組合は垂直的な結合をもって結合せざるを得ない性質を持っておりますので、いろいろな森林に対する要請を受けとめ、これを実現していく性質を持っておりますので、ここに一部改正が考えております総代会の権限強化でありますとか参事制度等の導入によりまして経営体制を確立していくという方向がどうしても必要になってまいりますので、こうした組織面の充実をはかったことは、それなりに意義があることと考えるわけでございます。しかし、これは森林組合合併助成法の運用とも関連するわけでございますが、若干留意すべき点が残されているかと思います。それは、森林組合は協同組合ではございますけれども、現に現在の資本主義の社会の中におきまして利潤競争のもとで経営体制を整えていくという特徴を持っております。したがいまして、資本体、経営体としての内容を充実していくということは当然避けられない方向として存在するわけでございますが、資本体、経営体としての論理だけが先に進んでまいりますと、割りの悪い零細な事業、零細森林所有者の要請というものが二の次になる心配も一面あるわけでございます。そうした零細な森林所有者の要請というものに多面的にこたえていくような、本来の協同組合の発展というものの方向を何とか明らかにしていただいて、それに対する育成を考えていただきたいというのが願いでございます。しかし、現実に森林組合の活動を私ども見ておりますと、従前森林組合が弱体であったがゆえに、森林所有者として、地域住民として当然受けるべき権利さえ受けられないというような実態の組合もございます。そうした組合というものが、組織の強化、合併等によりまして組織管理体制が確立をしてまいりまして、森林所有者の要請にこたえているという実例も幾つか見ておりますし、また、新しい組織体制、大規模化の方向をたどった組合におきましては、森林所有者と組合を結びつけます新しい組織づくり、いろいろな形であらわれておりますけれども、たとえば森林組合青年部でありますとか、あるいは部落組織でありますとか、そういった新しい組織体制に応じます組合員との関係、こういうものが出始めている組合も見受けております。そうした上部レベルの組織問題にとどまらず、組合員と組合という末端レベルの組織問題の解決、それの育成というものも当然必要であろうかと考えるわけでございます。 以上、森林計画制度と森林組合制度の問題につきまして参考人の意見を申し上げます。
○佐々木委員長 次に、森谷参考人にお願いいたします。
○森谷参考人 初めにお断わりしておきますけれども、特に、日光の自然を守る会としまして、私たちは一党一派に偏せず、自然保護についてでしたら、たとえば自民党でも、社会党でも、共産党でも、公明党でも、民社党でも、何党にでも出かけていってお話をして手伝いをしていただくという立場をとっておりますので、その点あらかじめはっきりさせておきます。 それで、先ほどひものついた封筒に資料をお配りしておきましたけれども、ここに一番最初に要点を書いてありますから、それに従って申し述べていきます。 まず第一番目ですが、諸外国と日本の自然保護についての考え方が非常にかけ離れている点についてあらためて認識していただきたいと思います。というのは、(1)に書いてありますように、ハワイなんかで、戦争中かと思いますが、防空監視所をつくろうとしたところが、自然保護団体の反対にあいまして引っ込めたという例もあります。英国でも同じような例があります。特にまだ耳新しいことは、その下の段にありますように、オリンピックよりも自然保護だ。去年の秋のころですが、これは資料1の新聞のプリントがそこにありますけれども、コロラド州のデンバー市民、税金のむだ使いと自然保護という立場で冬季オリンピックを返上したということですね。それに引きかえて日本の場合どうでしょうか。去年は、たった二日間の競技のために六億三千万円をかけてコースと施設をつくりました。そして、破壊した森林を復旧するために一億六千八百万円を計上しております。ところが、去年の春の段階でそのうち何をやったかといいますと、スタートハウスを撤去しただけである。この点については、私は朝日新聞の「声」欄に投書しまして環境庁の返答を聞こうと思ったのですが、新聞の投書は出ましたけれども、環境庁の返答はいまだにいただいておりません。スタートハウスを撤去してその後何をやったか、さっぱり聞いておりません。こういう状態ですね。自然保護あるいは森林保護という立場はまるっきり欧米人と違う。はなはだ残念に思うのです。 二番目としまして、開発途上国の自然保護です。文明の程度は日本よりはるかに低い——と言ってはおこられるかもしれませんけれども、たとえばアフリカのある国の大臣が日光に来まして、そのときに栃木県の観光課長、現在の観光課長ですが、案内したそうです。これは去年だと思います。そうしたところが、一体この日光国立公園にどういう動物が何頭いるかということを聞かれたそうです。全然答えることができないで非常に恥ずかしい思いをしたということをじかに観光課長からお聞きしております。 それから、先週じゅうずっとNHKで夜の七時半から「アジアの自然」というのを放送しておりまして、インド、それからスリランカ——セイロンですね、それからジャワの自然保護のフィルムをやっておりましたけれども、ああいう開発途上国においてすら、国立公園の研究あるいは保護ということにかけては日本よりもはるかに先進国ですね。セイロンなんというのは非常に狭い国でありますけれども、完全に立ち入り禁止にしておるのですね。ところが、日本の国立公園はどうでしょうか。先ほど述べたとおりで、日光地区でさえも、どの動物が何頭いるかすら全然わかっておりません。 それから三番目に、もう一つ非常に残念に思いますのは、これは毎日の新聞をごらんになるとわかりますけれども——中央新聞です。国立公園地内にあるということを看板にしまして別荘地の売り出しが盛んに出ております。これは外国人が聞いたらほんとうにびっくりするに違いないですね。国立公園というのは、自然を保護して、大事に——そういう別荘地の切り売りのための国立公園ではないはずですからね。ですから、私は前から言っておるのですけれども、どうしても買い上げを国で規制できないようなところでしたら、あるいは町中に近いようなところでしたら、これは国立公園の中からいっそのことはずしてしまう。それから、どうしても必要なところであったらば、国で買い上げて国有地にして、絶対に切り売りをしないようにしてもらいたいということをこの際諸先生方に訴えたいと思います。 それから大きな項目で二番目ですが、森林破壊については先ほど田村参考人からも話がありましたけれども、主として山岳道路による森林破壊、しかも国立公園地内、あるいは国有林関係についてお話しますと、これは日光那須地区については、資料の2及び3に出ております。たとえば、資料2の赤マルでしるしをつけてあるところを開いていただきますと、これは日光市役所の公表してない文書をわれわれこっそり手に入れましてそれを複写したのですが、このとおり日光地区でもし自動車道路がつくられた場合にどうなるかということです。それを一体日光市長が考えているのかどうかですね。考えてないようです、これは開発組の市長ですから。 それからもう一つは、資料3のほうにあります裏男体林道です。これは二年ほど前から計画されておりまして、われわれがそのころから反対を始めたもので、いまだに表面に出てこないのです。県を通じて環境庁や林野庁に、あるいは運輸省にも計画が出るらしいのですが、まだ県の段階に出てきておりません。反対が相当早くから進んでいるもので、出しにくいらしいのです。 ここで特にわれわれが問題にしたいのは、男体山の東側千八百メートル近くを通りますから、これは当然亜高山帯でありまして、富士スバルラインで見るように、非常に森林破壊がはなはだしくなります。それと同時に、この資料3の地図の、荒沢と書いてあるところのちょっと上、これは日光の清滝のすぐ裏です。ここはシカの越冬地でありまして、ことしの一月二十五日にNHKの総合テレビで、朝七時二十五分からだと思いましたけれども、十五分間、ここのところを放送しました。ほんとうに野生状態のシカで、一つの画面で百頭余りの群れが日本で簡単に見られるところはここぐらいじゃないかと思います。農工大学の先生たちがここで特にシカについて詳しくやっております。しかし、どれだけの面積に何頭のシカがいるか、それすらいまだにわかっておりません。私、営林署や、それから林野庁に言っているのです。ひとつ、ここの日光地区のシカの越冬をせっかく農工大学の先生方が調べているのですから、国立公園のそういう動物の生息のモデル地区にしてくれないか、そういうふうに、アフリカの国立公園の人に聞かれても恥ずかしくないような答えができるようにやってくれということを申し上げているのですが、いまだに実現しないのは非常に残念です。これもひとつこの委員会に取り上げていただいて、そういうふうに開発途上国の国立公園行政でさえも見習うべきところがたくさんあります、ぜひやっていただきたいのです。 それで、なぜ山岳道路をつくりたがるかと申しますと、まあ、あまりはっきり言いますと差しさわりがありますけれども、大体県の道路公社でやっているのが多いのですね。ところが、道路公社の社長といいますか、一番親玉が知事さんが多いのですね。そして、国有林ですから買収費が要らないわけです。そういうところの道路をつくる名目としまして——私、これは栃木県の知事にもはっきり聞いています。老人や子供が楽に国立公園を利用できるようにということが一つの名目になっています。これはとんでもない言いわけですね。去年八が岳に行きまして、五歳と七歳の兄弟が親子連れで登っているのを見ましたし、それから日本で二番目に高い北岳、ここでは去年の夏やはり八歳の坊やがおかあちゃんに連れられて登っているのを見ました。ことしは白馬岳で子供に会うたびに親に年を聞きましたけれども、一番最低のが六歳です、女と男ですが。これはことし四人に会いました。白馬は非常に簡単に登れるようですけれども、最後に会ったのは、登りですと小屋から小屋までの間六時間くらいかかるのです、そこを六歳の坊やが登っています。それから大雪湲を登っても、まあ早い人はかなり早く行きますけれども、子供でしたら四時間はかかりますね、それですらちゃんと登っています。老人や子供に行けるようにというのは、これはもうほんとうに山を知らない人に対する言いわけにすぎないのですね。日本じゅうの山で、五歳程度の坊やでしたら行けないところはありません。 それから二番目が、過疎対策として山岳道路をつくるとよく言います。ところが、これも、たとえば福島県の会津の只見の黒谷というところまで私の家のところから百五十八キロあります。ことしの四月十八日に行きましたけれども、百五十八キロ、いま車で五時間で行きます。ほとんど舗装道路になりました。以前ですとこれはたっぷり六時間かかりました。で、非常におもしろいことを聞きましたのは、黒谷の出身の人が福島につとめておりまして、車の籍を只見の町に置いてあるのだそうです。土曜、日曜になりますと、五時間くらいですから簡単に帰れるのです。なぜこの只見に車の籍を置いておくかといいますと、税金が安いのだそうです。冬の間、半分車が使えないので、ちょうど福島あたりとの税金の差が半分だそうです。そういうふうになりまして、過疎対策にならないのです。奥会津地方では、道路をよくしたためにどんどん若者がいなくなっている。いま申し上げたように土曜、日曜に若者が帰ればいいのですから。 それからもう一つ、六月の下旬に山形県の月山に行きましたけれども——私は月山のふもとの生まれでして、十五歳になりますと月山に登ったものです。そのころは途中まで電車あるいはバスで行きまして、志津というところがありますが、そこまで乗りものに乗っていって、それから途中から歩いてまる一日でそこまで行って泊まったのです。ところ、この間行って驚いたのは、山形から全部舗装道路になりまして、山形から五十五キロですね、車で一時間半です。ですから、私の生まれたところからですと三十キロぐらいでしょうか、それが、まる一日かかって行ったところが、いまでは山形まで車ですから、通勤距離ですね。 そうしてもう一つそこで驚いたのは、旅館の前に鉄筋コンクリートの二階建ての分教場があるのです。ところが、学校の生徒が現在わずかに四人だそうです。そのうちの三人が先生のお子さんだということを聞いて、これは道路をよくしても過疎対策にはならないということをつくづく感じました。過疎対策だけについては、道路はかえって逆効果を来たしている。むしろ、何か産業を興すとか、若い人を落ちつかせるための別な対策を考えなくちゃいけないということをつくづく感じております。 第三番目が、車の過密対策として、たとえばこれは日光あたりで市長がはっきり言っております。いま、第二いろは坂ができて登り専用になりましたけれども、シーズンになりますと二万台上の車が来て非常に混雑する。それで第二いろは坂的なものを裏男体林道を拡幅してやるんだということを言っています。 それから駐車場の駐車能力が、日光の場合、もう現在でシーズン中では手一ぱいですね。それで駐車場を兼ねて男体山の裏を通す道路が必要であるということを言っています。これも道路をつくるほうの側の言いわけにすぎないですね。 御承知のように、東京でもそうですし、地方の都市でもそうですが、狭い道を舗装しますと、大通りからわざわざ裏通りを通るようになって、非常に住民が迷惑しておりますが、山の場合に、迷惑するのは山そのもの、自然そのものなんです。悪いことに、日本人は自動車に乗ると人格が変わるんですね。それでシャクナゲを引っこ抜いてみたり、たばこの吸いがらは捨てる、ジュースのかんは捨てる、至るところ、そういう例はもう具体的にあげるまでもありません。ですから、どうしても必要な道路であれば、前の大石環境庁長官がおっしゃったように、高いところはトンネルにすべきだということを私ここで申し上げたいと思います。特に、半年間も雪に埋まって使えないような道路はつくるべきじゃない、トンネルにすべきであるということですね。 第三番目として、そのように山が混雑する、たとえば北岳の場合、去年は二泊しましたけれども、頂上のすぐ下の二千九百メートルのところに小屋が二つあるのですが、私たち泊まったところは、畳二枚分のところに六人寝かされました。それでも足らないので、土間にござ敷いて五人です。それが二晩続きました。北岳の場合に、バスの終点からわれわれの足で五時間かかるのです。ところが、そういうところでさえもそれほどの過密状態ですね。八ガ岳の場合では、昔から、山小屋の山といわれているほど山小屋がたくさんあるのですけれども、去年行って驚いたのは、コマクサの群生地として特別保護地域に指定をしておった根石岳というところの中に山小屋ができているのです。そしてそこの地域はコマクサが去年は一本もありません。ですから、これは自家用車だけではないですけれども、自家用車をまず制限しなくちゃならないじゃないかということをつくづく感じます。たとえば自家用車で一人ないし二人乗っていくのと、バスで五、六十人乗っていくのとじゃ、これはもう交通の便から考えても、駐車場の能率から考えても、はるかに違いますから、この点は、たとえばアメリカやカナダの国立公園にならって、公園の入り口までは自家用車で行っても、それから先はバスで行って、それからあるところ以上はバスも入れないというように、早く海外の国立公園にならってもらいたいということをわれわれは二年ほど前から林野庁あるいは環境庁に訴えております。上高地なんかでもことしはそういう動きがあるようですね。一方通行にするとか、車の制限をするとか、これはぜひ考えていただかなくてはならない問題であります。 三番目、特にきょう皆さんにお願いしたいのは、緊急に守らなければならない森林として——ついこの間の朝日新聞の日曜版に屋久島がカラーで載っておりましたけれども、屋久島は、御存じのとおり、最近、屋久杉を守る会なんかできておりまして、だいぶ取り上げられておりますけれども、和歌山県東牟婁郡大塔山の一帯の大杉谷です。これは資料4にありますように、ことしの三月二十四日、朝日新聞の「声」欄に私、投書しました。原生林と書きましたけれども、これは、一般の人にわかりやすいように原生林と書いたので、実は原生林ではありませんで、天然林です。七十年ほど前に伐採して炭焼きをやった形跡があるのですけれども、非常に原生に近い森林であります。 森林が非常に複雑である例としては、資料6で、千葉大学の沼田先生が書いておられます。「知られていない山」として出ておりますが、この大杉谷は、尾根筋で海抜が七百から八百くらいのところなんです。ところが、ブナの下にシャクナゲがあったり、この辺の関東地方あたりにある木の姿と非常に違った育ち方をしているのですね。一言で申しますと、四千ミリからの雨量のために、木がわれ先に上へ上へと伸びようと思って、関東地方ですとくねくねと曲がって伸びる木が、向こうでは一直線に二十メートルぐらい伸びる。そういう森林ですね。沼田先生もいっておられますように、温帯多雨林——熱帯多雨林に対して温帯多雨林と名づけたほうがいい。この沼田先生の論文のおしまいの一六二ページにありますように、国有林なるがゆえに長く維持されてきたものが、最近は国有林なるがゆえに行政的見地から拡大造林で伐採されようとしております。 この温帯多雨林は、四国にも九州にもなく、わずかにこの和歌山県の南部にだけ残された林です。資料5にその場所が示してあります。大杉谷は大体三百ヘクタールですが、そのうちの二百何十ヘクタールは来年度から伐採計画に入って、現場の人に聞きますと、この資料5の右側、赤いマルで大杉谷を囲ってありますが、ここに自動車道路がすでに入っておるそうです。この北に接する黒蔵谷のほうは大阪営林局で伐採予定はないそうです。これが約三百ヘクタールです。この八月に林野庁の指導部計画課長補佐に会いまして、これを残してくれということを言いましたのですが、大杉谷はあくまでも切る計画である、そのかわりに、下に横線で引っぱってあります「植林」と書いてあるところの東側に中小屋谷と書いてありますが、この沿線を約二百ヘクタール残すんだということを言っております。細長く残すのですね。これはあまり意味がないので、黒蔵谷と一緒に大杉谷をひっくるめて、広い面積、約八百ヘクタールですが、これを全部残すようにひとつ皆さんにぜひ働いていただきたいと思います。学術的に非常に貴重なところです。 林野庁なんかの話でも、屋久島の場合ですと、労務者が三千人ですか、それの失業対策的な意味もある。それから大杉谷の場合でも、林野庁で課長補佐の方がはっきり言っていました。地元の人が、働く場所を得るためにこれを伐採さしてくれということを言ってきているそうですが、地元の労務者対策で貴重な森林を切るということは——石炭でも鉄でもそうですけれども、炭鉱がなくなれば、労務者がそこにいなくなるのはあたりまえです。屋久島の場合には、いつかは屋久島の杉がなくなるんだから、労務者も、それがいま来てもしかたがないということをようやく納得しているそうです。大杉谷の場合でも、そういう目先の対策だけでなくて、国家百年の大計としてぜひ守っていただきたいと思います。 おしまいになりましたけれども、ゴルフ場の問題です。これは資料7にあげてありますが、右上のほうですね。ゴルフ場は現在全国で六百八十あるそうです。ことしの五月二十六、七日の山形県羽黒山の全国自然保護大会のときには、法政大学の先生がゴルフ場について非常に詳しく調べてきまして、そのときの報告では六百八十一ということでした。栃木県の場合は、下の切り抜きのように、既設のゴルフ場が十五、現在六十三の新設事業が進んでおって、全国一だそうです。そして、この切り抜きの下の段のまん中ごろですが、七月十日現在でゴルフ場用地は九千百二十ヘクタールで、県土の一・四二%に達するそうです。栃木県の方針としては、県土の一%まではしかたがないだろうという方針だったそうですけれども、現在まで規制のしようがなかったんですね。それでどんどんふえているんです。 ところが、最近の様子としては、ゴルフ場はこれ以上ふやしてもだめじゃないかということを業者のほうでも感づいておるそうです。それはボーリングと同じように共倒れの傾向になってきているのです。県当局、特に観光課の話を聞いてみますと、現在ゴルフ場である場合はまあまあなんですが、ゴルフ場が共倒れになった場合はどうなるかということですね。それと、先ほどの全国自然保護大会での報告によりますと、ゴルフ場は一体自然かどうかということでだいぶ討論をやりましたのですが、自然ではないということです。先ほどの田村参考人の話でも、ゴルフ場はいわゆる緑の砂漠ですね。そういう考えの方が多いようです。緑があっても、非常に短い緑ですから。これが草原ですと、酸素補給としては非常に重要なんですけれどもね。森林の次に草原が大きいのですが、ゴルフ場の場合には草原までも至らないのです。ですから、ほんとうの自然ではない。現に鉄砲水が至るところで報告されております。 そういうわけで、現在あるゴルフ場でもそういう災害の原因になっております。しかも部落に近いところでそういうことがたびたび起きております。それから湖、沼なんかも埋め立ててゴルフ場にしているところがありまして、問題になっております。そして、先ほど申しましたように、ゴルフ場のあと、工場になるか、住宅地になるか、栃木県の場合には特にその点で心配しているようです。 以上、簡単で、だいぶはしょりましたので、おわかりにくかったかと思いますが、要点だけお話ししておきます。 そのほかにたくさん自然保護についての印刷物がありますから、あとで、もしお手すきの方は読んでいただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
○島田(琢)委員 参考人から陳情も交えてたいへん参考になる御意見をたくさんちょうだいいたしまして、ありがとうございました。 私は北のほうにおります関係から、北のほうの森林を頭に描きながらの質問に限定をされると思いますが、お答えいただきます参考人の皆さん方には、北海道の森林の状態というものを十分のみ込んでいらっしゃらない向きもあろうかと思いますけれども、その辺はひとつ御容赦いただきまして、基本的な問題をお尋ねしてまいりたいと思います。 先ほど船越参考人から、大学の森林技術の立場から御意見があったわけでありますが、特にフランスの例を引かれて、日本の森林のあり方について言及をされておったわけであります。それとあわせて田村参考人から、ブナ原生林の自然保護の関係についての御意見もありました。 私どもは、従来も長い間主張してまいりましたのは、森林が持っている国民的な課題といいますか、私どもが森林を大事にしていく場合における考え方の基本というものを早急に国会で十分の議論をしながら、乱開発やあるいは国民の緑を守る上から逆行するようなことがあってはならないという主張をしてまいりました。たまたま環境庁等の意見が最近強くなるに及び、森林の問題についても、ようやくわが党が長い間主張してまいりましたものが少しずつ取り入れられるような傾向になってきたという点については、いかにものろい動きでありますけれども、率直にその辺は評価をしておきたいと思うのです。 そこで、許可制という問題が出てまいりましたが、先ほど知事の許可制についても触れておったわけでありますが、若干抽象的に私には聞こえておりましたので、このお二人に、たとえばブナの原生林を守っていくあるいは森林計画制度の位置づけを明確にしていく過程において、その地域の知事の果たさなければならない役割りについては、具体的にはどのようにお考えになっているかを、まず第一点にお尋ねをしたいと思います。
○船越参考人 ただいまのお尋ねでございますけれども、私自身十分整理をしておりませんので、的はずれになるかと思いますが、あしからずお許しいただきたいと思います。 今度の許可制の内容を伺っておりますと、先ほど私が申し上げました六三年のフランス森林法におきます許可条件の場合は、かなりその許可の前提になります森林内容というものを的確に規定しているわけでございます。その点、今度の一部改正の中身を見ておりますと、保全上重要なところはもちろんでございますが、環境条件を悪化しないというような抽象的な表現で許可条項があったように記憶しております。そういう点で、はたして環境条件というのをどのように考えていくのか、これの解釈のしようによりましてかなり許可基準というものが流動的になるのではないかというような考えを持っておるわけでございます。 それで、その権限が知事に与えられるわけでございますので、これはやはりその県独自でいろいろばらばらな許可基準というものに基づきまして運用がなされると問題があろうかと思いますので、全国的な将来の森林のあり方とからみまして、許可基準の内容にあります三項の内容というものをかなり明確に詰めておく必要があるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。 非常に抽象的で申しわけございません。いま申し上げられることはそれだけでございます。
○田村参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。 確認したいと思いますが、一つはブナ原生林を守る基本的なことでございましょうか。いま一つは知事の許認可をどうすればいいか——わかりました。 それでは、ブナ原生林を守る基本的なことといいますのは、やはりブナ原生林がどういう機能を持っているかということを明らかにしておきませんと、なぜ守るかということの説得に欠けるのではないかと思います。これは私から申し上げるまでもなく、ここに両先生方もおられますので、ブナ原生林の多面的な機能というものはもうかなり新聞報道でもまた報じられておりますので、一々申し上げることはないのですが、最近になって、ブナ原生林は単なる資源ではないのだ、公益的な機能を持っている。その公益的な機能の一つは水源涵養である、いま一つは大気の浄化能力である、また動植物の繁殖である。またいま一つ忘れてならないのは、人間に与える緑の効用といいますか、情緒的な面である。国立公園の中に行ってブナ原生林がある、その中に人間が入りますと、それだけで、ああいいなあと思うこの緑の効用、精神安定剤的な面、こういったようなものを含めて今日の公益的機能というのでないかというふうに承知しているわけでございます。それがブナ原生林を守る一つの基本的な考え方でないかと私は承知しております。 いま一つ、知事の果たす許認可でございますが、これは先ほどの参考人の御回答にもありましたように、各県ばらばらでやっていくということは非常に問題があるのではないかというふうに考えます。ただ、今日の国有林というのは、御承知のとおり、明治維新の廃藩置県によって、まあ中央政府に反対したところは全部取り上げて国有林にしたというふうな、そういう政治的な経過もございますし、岩手県などは自分の裏山が全部国有林で、一木一草とも取れないというふうな、非常に実質的な生活と矛盾した面もあって、国有林開放運動というものが最近まで叫ばれてきたわけですが、私はそれと別の意味で、国有林はある程度自治体に開放すべきでないかという個人的な考えを持っております。 これはなぜかといいますと、そういう単に資源として活用するから、都合が悪いから国有林を開放せいというのではなくて、今日の国有林というのは、一つの国家権力の名のもとにおいて地域住民の生活を破壊している。国家権力のもとにおいて地域住民の生活の根本的な基本になるべき自然環境を破壊していいのかどうか、許されるのかどうかという、そういう生存権、また基本的人権という面から、非常に私は矛盾を感ずるおけなんです。 ですから、それはあくまでも環境保全というふうな立場で見ての国有林の開放にとどめるべきなんですが、そういう点からいいまして、単に知事に許認可の権限を与えるといいましても、それがそこここの状況によって知事の判断でなされるのではなくて、やはり公益的な機能というものの再評価、評価をなす、言うなれば、ランクづけをなしていく、それをなさない限りにおいて、ただ知事が許認可する、しかもその許認可は、いまは森林法の縦割り行政の中でやられますから、どうしても森林資源というそういう感覚、そういう森林サイドでの許認可になってしまうおそれがある。そうなりますと、公益的な機能を持っている、その公益的機能というものが陰に隠れてしまうおそれがある。ですから、この許認可を知事に与える条件としては、あくまでも環境保全サイドということの付帯条件をつけない限り、単に森林資源としての、山林資源としてのサイドでの許認可はこれは許可すべきではないだろう。そういうことを法的にもう少し明確にしていただかなければ、許認可してもナンセンスであろうというふうに考えます。 先ほども申し上げましたが、それにはやはり今日の国有林という地帯区分があるから、民有林という地帯があるからという考え方でなくて、日本列島を環境保全地区にして、その中で森林経営地区、森林生産地域というふうなものを新たに定めて、その中で国有林、民有林という再配分をしていかなければ、日本列島の環境保全というのは基本的には守れない。単に国有林だから森林生産をする、ここには公益的な機能がある、そういううしろからのあと追い行政であってはこれはだめであろう。特に環境保全というのは先取りでなければ十分条件を満たすことはできませんので、やはり日本列島すべてを環境保全地区に指定しまして、その中に森林生産地域というものを新たにきめる。そして、そこの中に個々にまた流域別、また一筆一筆でもよいでしょうし、または林班界といわれるものでもいいでしょうし、小林班でもいいでしょうが、その中でやはり公益的機能の再評価、ランクづけをしていく。それに基づいて知事が許可をしていくというような、そういう科学的な根拠を持たせて知事の許認可を与えるべきではないかと考えます。
○島田(琢)委員 ちょっと私の質問のしかたもまずいのですけれども、特に田村参考人に、ブナの原生林に限定してのお話の中で、私としてはブナばかりじゃなくて、全国的にいろいろな樹種がありますが、特にブナとお考えになったのはどういう意味なんでしょうかということも実はお聞きをしたかったわけであります。 ただ、時間がありませんから次に移りますけれども、いまいろいろ参考人の皆さんの御意見、私どもも自然破壊、いわゆる自然保護、こういった問題のサイドから日本の森林というものを見直さなければならぬ、こういうことを言っているわけですけれども、ただ、一面では木材の需要が非常に逼迫をしてきている。国内の木材の要求に対してこたえ得るものも一つ出していかなければ、緑だけ守ってはいけないという側面を、今日的課題として日本では非常に強く持っております。ですから、これをどういうように融合させていくのか、計画をきちっと立てていくのかということが非常に大事な点だろうと思うのです。 それから、特に船越参考人が、今日までの森林のあり方を見ている場合に、非常に二律背反的な結果に終わっている、一面では加害者である、そして一面ではいま被害者になっている、その中身にはやはり山村住民の生活の貧しさというものが非常に大きな原因としてあった、こういう指摘を実はなされているわけであります。その辺がいまの国内の木材需要に対応する日本の森林のあり方と、もう一つは緑と健康という公害を防止していくための果たさなければならない森林の重大な役割り、こういうものが非常に強くあると思うのです。 そこで、これはひとつ全森連の喜多参考人にお尋ねをするわけでありますが、あなたは、主として民有林を守っておられる一番親玉でありますが、こうした、いま申し上げましたような考え方というものを、森林組合の立場ではどのように貫いていこうとお考えになっているのか、そこをひとつ、時間がありませんで五十分まででありますから、簡単なお答えでけっこうでありますが、お尋ねをいたします。
○喜多参考人 ただいまのお尋ねでございますが、私どもも、日本の林業者という立場におきましては、御指摘のように、できるだけ国の大多数の方々に多くの木材を供給する、こういう立場で日夜林業にいそしんでおるわけでございます。ところが、これがいま御指摘のように、緑を守るという考え方と相反するかどうかという問題でございますが、私は、長い過去の歴史におきまして、われわれ林業者が緑を破壊したあるいは山をつぶした、こういうことはないのでございまして、少なくともわれわれは山の木は十分これは生長させまして、これが生長の暁には伐採いたしまして、そして需要の用に供するわけでございますけれども、直ちにそのあとは緑したたる山になりまするように植樹をいたします。まあ政府のほうでもこれに対しましてはかなりの助成等もしてもらっておるわけでございますけれども、少なくとも山を守っていくという気持ちでありまする限りは、決してこれは緑の問題と相反するばかりでなく、むしろ緑を守るのがわれわれの立場だとさえ考えておりますので、この点御了解をいただきたいと思います。
○島田(琢)委員 そこで、もう一度船越参考人にお尋ねをいたしますけれども、先ほど、森林経営の地域循環性を破壊しないこと、こういうことをおっしゃったわけでありますが、これは先ほど例をあげられたとおり、岩手県においても、これからの東北新幹線であるとかあるいは高速自動車道の建設とか、いろいろまた社会的な要請というものが強まってくる、そういう場合における森林資源の破壊というものも心配される、こういうふうなおっしゃり方であったと思うのです。そこで、これらを森林施業の技術措置によってカバーできるか、この辺が非常にむずかしいところだと思うのです。まだ固定的に、東北新幹線がここを通っていくんだ、あるいは高速自動車道がこの山林の中を走るのだ、こういうふうに明確になってないところもあるようでありますから、具体的にお答えしにくい点もあろうと思いますけれども、ただ、私がお聞きしたいのは、森林経営の地域循環性を破壊しないという、これは非常にりっぱなことばだと思うのですが、それを現実に合わしていった場合に、はたして先生がおっしゃるような形というもので守り通せるかどうかというのが、今日地域に起こっている賛成、反対の非常に大きな対立点にもなっていると思うのです。この辺、私どもはやはり森林資源の場合には絶対だめだという立場でものを考え、行動を起こしていかなければいけないと思っているんですけれども、地域にあっては、たとえば岩手県という一つの地域サイドにおける問題としては非常に深刻なものがこれから次々と出てくるだろうと思うのです。その辺、地域で取り組んでいらっしゃる技術屋さんの立場からどのようにお考えになっているかを一言お聞かせをいただきたいと思います。
○船越参考人 ただいまの御質問に私なりの意見を申し上げたいと思います。 新幹線、自動車道等の問題から最近におきましてはいろいろな宅地問題まで里山地域に持ち込まれている、こういうのが実態であろうかと思います。その中で当面問題になりますのは、入り会い林野近代化に基づきまして、たとえば生産森林組合ができる、あるいは個人分割された山であと地を共同経営をやっていく、こういう確実な計画に基づいて実行している場合に、その開発行為の進出によりまして林道の建設が不可能になっていく、そのことによって伐採計画が変更されていく。それから造林計画までが、周辺に大きなたとえばゴルフ場ができますとかあるいは道路ができますとかいうようになってまいりますと、当然のことといたしまして、植栽樹種自身の変更さえ迫られる、こういう事態が起きてくるわけであります。 それで、少なくとも地域循環を守るという立場からは、いろいろな土地所有者の考え方はありましょうけれども、少なくともその一つの団地単位に土地所有者が自分の土地に対する計画を出し合う、その計画に基づいて実行するわけでございますが、それを変更するような場合はあくまでその土地所有者の集団の場に話をかける、そういう実は協業体の育成を私どもやっているわけでございます。これがなかなか実は守りにくいわけでございまして、共同で計画を立てている構成員が知らないうちに土地が売れていて、ブルが入ったというようなたいへん悲惨な思いをしているわけでございますが、実はそういう山村林業を守っていく森林所有者の自覚というものをもう少し私ども指導し、啓発していく必要もあるのではなかろうか、抽象的ではございますが、そのように考えるわけでございます。
○島田(琢)委員 終わります。
○佐々木委員長 柴田健治君。
○柴田(健)委員 四方の御参考人の皆さんにいろいろ御意見を聞かしていただきまして、ありがとうございます。お礼を申し上げたいと思います。 時間の関係上簡単にお聞かせを願いたいということで御質問申し上げたいと思いますので、簡潔に御説明を願いたいと思います。 まず喜多参考人にお尋ねしたいんですが、今度の法案に対して非常に強力な賛成の御意思を述べられました。それで前提としていろいろな問題を出されましたが、私たちはこの法案に対していろいろと問題をかかえておるのは、法案そのものよりか、現状の分析というものについてわれわれがどう理解をし、それと取り組んでいくかということが私たちの任務だ、こう思っておるわけです。 まず、森林組合の立場から今度の乱売買、乱開発に対する御意見が出ました。しかし、私たち現場でいろいろ調査をしてまいりますと、ほとんどといっていいくらい森林組合の幹部の皆さんみずからがかんでおるのですね。大体かんでおる。個人の山持ちがみずから山林を売り回ったとか、相手の不動産会社または商社に売り込んだというのはない。大体市町村の指導者層、特に森林組合の幹部というものがいろんな形で、まあ、だまされたというか、商売人の口車に乗って走り使いをしたというのが多い。こういう点を組織内でどう分析をされておるのかという気がするわけですね。たとえばある町村の森林組合長、この村は小さい村なんですが、しかし、いま売っておる面積が四口で千六百町歩。その中の三百町歩というのが非常にいま問題を起こしておる。この三百町歩は県の開発許可も受けなければ何もない、無断で保安林の区域、そこへブルを入れて、いま大騒ぎしておるところである。これは森林組合長がやった。これらを考えたときに、私たちがこの法案の審議——私はトップバッターで社会党で質問をしましたが、その中で森林行政に関連をする機関の幹部養成をどうするか、私たちはその点から考えておるわけで、いままでいろいろの講習会なり研修会をやられておると思いますけれども、もっと思い切って幹部の養成に森林組合連合会としては取り組むべきではなかろうか。そして山に対する認識、使命感、価値観というものをもっと変えさせていく、そういう努力を内部的な機関としてやるべきではないか。それに助言するのは学者もおられるだろうし、また林野庁という行政の最高機関もある。これらとタイアップして森林組合の幹部諸君のものの考え方、山林に対する考え方を変えなければいかぬのではなかろうか、こういう気がいたします。 そういう観点から、喜多参考人は乱売買、乱開発をどうも人ごとのように考えておられる。やはり外部矛盾でなしに、内部矛盾として取り上げて、反省もしながらどうするかということをもっと考えてもらいたいという気がするのですが、この点についての御意見を聞かしていただきたい、こう思います。 それから田村参考人ですが、非常に参考になる御意見を聞かしていただきましてありがたいと思っておるわけですが、まず、いま自然保護という立場でいろいろ地方の住民団体ができている。自然を守る会またどうしても自然を守っていこうということで、自然保護の立場から、名称は違っておりますけれども、いろんな会ができている。これは御承知のとおりだと思うのです。この会が自主的にいろいろな努力をしておられますけれども、これらの機関と行政機関との関係、これは私たちが見ておると十分とはいえない。この連絡調整、要するに森林行政機関、たとえば市町村または森林組合、また県、国、そういうものがいろいろな開発計画、地域開発その他たとえば森林法に基づく施業計画、そういうものを立てる場合に自然を守る会との連絡、意見調整、協力、そしてまた調和をはかるためにどういう連絡をしていったらいいのかというところが私たち関心を持つところなんでありまして、この連絡調整をはかるための問題点、今後どういう方法をしたらいいかということの御意見があれば、そういうものをひとつ聞かしていただきたい、こう思います。自然を守る会は国というよりか、これは地方の府県の段階で大きな役割りをしてもらわなきゃならぬ。そういう役割り、任務からいって、この連絡調整というものが非常に大切だ、こう思っておりますので、お聞かせを願いたいと思います。 それから船越参考人に聞きたいのですが、いままでの制度的矛盾点をいろいろ言われました。それぞれの具体的な実例をあげられたのですが、まず、いま中央には中央森林審議会というものがある、府県には都道府県森林審議会というものがあるのですが、こういう森林審議会が私たちの目から見ると十分活動をしていない。現行あるこれらの森林審議会といった制度が十分活用されていないところの欠陥というものについてどういう見方をしておられるのか。この点についてひとつ今後の——まあ、森林組合の特徴その他いろいろ言われました。言われましたが、それぞれの機関に住民の気持ちを十分集約していく、そういう役割りを持つ府県の森林審議会という制度がありながら、これらがいまは休眠状態だ。そういう点はどんな法律、どんな制度をつくっても、なぜそれが現行制度の中で十分生かされてこなかったのか、どこに問題があったのかということの取り上げ方というか分析のしかたをお聞かせ願いたい、こう思います。 それから森谷参考人にお尋ねしたいのですが、私は、高度経済成長政策ですね、いまや、この数年来日本列島に住んでおる一億の人々の総移動の時期だ、こういうとらえ方をみんなしているし、われわれもそういうとらえ方をしている。一億の人間が総移動している時期の段階で、そこにはいままでの慣例、慣習を破りながら——破らざるを得ない。そしてたとえば一つの林道をつけるにしても、住民感情からいうと、あくまで観光道路ではないんだ、これは生活道路だ、生活道路だからわれわれはどうしてもこの道路がほしいんだというような理屈が生まれてくる。だから、そういう観光道路か生活道路かというところの問題点が、われわれ政治家としては非常に判断に苦しむところなんです。そういうことで、人口の総移動の時代にそれぞれのいままでの慣例というものが破られていくというような気がするので、そういう点について学者的な立場からどうとらえていったらいいのかという、要するに、国民の定着性がだんだんなくなってくる、そこから地域開発というものが行なわれてくる、こういう気がいたします。 それから、要するに、山林を守る、森林資源をいろいろの名目で公益的機能を発揮するということで守ることにはだれも異存はないけれども、そういういまの日本の政府の経済政策からくる問題、要するに、所得の低いところを高めていくためにどうするかということも、これは関連して考えなきゃならぬ。そういうことで、時間がございませんから、四方々にひとつ簡単にお答えを願いたい、こう思います。
○喜多参考人 ただいまのお尋ねでございますが、実は私ども、この春以来数回全国の代表者会議を招集いたしまして、いろいろ最近情勢を分析し、対策を検討したわけでございますが、特に乱開発の問題、山の買い占めの問題、ここら辺の現状から申しまして、先ほど申し上げましたように、林業及び林地を守る運動、これを全国的に展開するということにいたしたわけでございます。その動機の一つには、いま御指摘のような、山の人間でありながらふさわしからざる行動をする者も中にはないわけではない。これらもひとつ、この際うんと目を光らそうという点もございまして、申し上げましたような林地を守る運動を展開いたしたわけでございます。御指摘の点につきましては、私ども、十分全国の各同志に浸透いたしますようにいたしてまいりたいというふうに考えております。 それからなお、今後いろいろ幹部の養成等はどうするかというお話もございます。まことに御指摘いただいたわけでございますが、これらにつきましても、実は地方によりますと森林組合の青壮年部ということで、古い頭じゃない、ほんとうに最近の情勢に目がさめて、何とかひとつわれわれの山はわれわれの手で守ろうという若い層の結集をいたしまして、絶えずそれらのグループを中心に啓蒙を続けるというふうなことをすでにもうやっておる県もございます。たとえば栃木県は非常に熱心にこの運動を展開してございますが、私どもは全国的にこうした点もひとつ大いに強めてまいりたいというふうに考えております。いろいろな面で今後また御指導いただければ幸いと思います。
○田村参考人 お尋ねの御質問は、自然保護団体と、また自然保護の意見と行政との連絡、調整をどうすればいいか、また開発の調和をどうすればよいかということのように承りましたのですが、私どもは、今日のこういう自然保護運動というのは、一方では自然環境の悪化してきたということと、いま一つは自然に対する国民の期待といいますか、価値観といいますか、そういったものの見方というものが非常に多面的になってきた。それが一つの自然保護運動にも具体的にはあらわれてきたということでございますから、やはり基本的には、非常に申しにくいのですが、日本が議会制民主主義をとっているからには、議員の先生方にかなりこの環境問題ということを根本的に勉強していただきたい。いままでの政治、行政というのは、すべて数字の、指数とか昨年比に対してどうだとか、十年前に対して今日どうだとかという、すべて生産性を第一とした数字でもって、全部それを行政なり政治がもののしゃくし定木にしてきた。これではだめなのだというのが今日の国民の価値観の多様性というところですから、数字であらわれない国民の価値観というものをやはりここで真剣に考えていただきたい。そうなりますと、議員——これは町会議員、県会議員、国会議員の先生方すべてそうでございますが、この環境問題ということを基本的に考えていただきたいということが一点あるかと思います。そういった一つの議会制民主主義の中でわれわれの住民の意見をもっともっと強力に反映していくというふうなことが一点必要かと思います。 二点目は、審議会というものがいままではとかく行政の隠れみのという批判がありますように、形骸化されてきたきらいがございます。こういったことで住民運動のリーダーなり、またそういった意見、アピールを行なう人たちをそういう審議会に呼び込むなり、また委員にするなりして、常にそういう声を反映させていくということが二点目にあるんじゃないかと思います。 三点は、われわれが運動をやるときに、何でもかんでも自然保護団体は反対をするということがよく言われます。しかし、この計画がわれわれの耳に入ってくるときにはすべておぜん立てができ上がっているのですね。もうどうしようもない。実力行使でそれを反対せざるを得ない。ですから、そういう点からいいまして、もう少し行政が開発計画なりいろいろな計画を持った段階で、机上プランを立てるときに、マスタープランを立てる段階でもっと住民に公にする。言うなれば、ガラス張りの行政をしていくということによって、住民の意見というものが十分取り入れられるし、その調整というのははかれるのじゃないかと思います。 それから四番目になりますが、先ほど御質問にございましたように、調和をどうするかということなんですが、私どもは、自然環境のことに関する限りにおいては、調和ということばはあり得ないと思っております。なぜかといいますと、自然の中に、自然というのは人間のいままでの経済行為をある点までは許容いたしましたが、ある点からは許容できないという面が如実に今日公害という形で起きておりますから、調和というのは、言うなれば、ことばのあやでございまして、そういう御質問をされた先生もたぶんそういう意味で言ったのじゃなくて、要するに、われわれの経済活動がこの地球の中でまたこの地域の中でどこまで許容されるのか、その許容される範囲内でわれわれの森林経営なりまたいろいろな経済行為というものをやるべきだ。その調和点はどこかということは、やはりこれは、先ほどから何度もお話しされておりますように、地域の自然環境の循環、この範囲内で行なうべきであろう。 具体的な例を申し上げますと、山岳道路は千メートル以上はつくるなということは、これは根拠あっての話なんです。千メートル以上で道路を切りますと、のり面の植生の再生ができなくなる。要するに、のり面に木がはえない。木がはえなければ、のり面は一方的に崩壊する。千メートルよりも下のほうですと、のり面をある程度急勾配につくりましても、そこに植物がはえてのり面を保護してくれる。こういった実例もございますので、やはりその調和というのは人間の欲望と自然界の法則との調和ではなくて、自然界の循環の中でわれわれの欲望をどこまで押えていくかということが一つの調和点になり得るのではないかと思っております。
○船越参考人 ただいまのお尋ねでございますが、森林審議会に関しましては御指摘のような感想を私自身も抱いておるわけでございます。事、森林に関する基本的な事項を審議する機関であるにもかかわらず、現実は活動が非常に停滞的であるというような御指摘でございますが、一つはその原因というのは、いままでの森林計画制度それ自身が規制力を持っておらないで、いわば計画をつくるけれども、それの実行段階までチェックできないというような性質を持っていたかと思います。そういう点で、ほんとうの下からの森林所有者、林業従事者がみずからの林業計画を積み上げて、その積み上げた上で県段階の森林計画ができ上がるというような組織に少なくとも現在なっておりません。これを本来の下からの森林所有者、地域の林業計画といったようなものが積み上がって森林計画になるような形で動く場合に森林審議会が本来の機能を果たすのではないかというのが第一点でございます。 それからもう一つは、構成員の内容にも問題があろうかと思います。それはたとえば林業団体の代表者でありますとか、森林所有者の代表でありますとかいうような規定がございますけれども、実はこれはむしろ森林に対するいろんな要請を直接反映するような機関たらしめるためには、やはり構成員の内容というものをもう少し広く、たとえば一般の市民でありますとか林業労働に従事しておる人であるとか、そういった直接従事者の意見を聞いていくというような形のものにすることが一つ考えられないであろうかというふうに私は考えております。 それからもう一つ、末端レベルでの接触が非常に乏しいわけでございまして、年に一ぺんか二へんかの審議会が開かれて終わりというかっこうのものが多いのではないかと思います。これはやはり審議会で審議した具体的な事項を地元に持ち帰って現地で協議する、そのやりとりから審議会の見識というのを深めていく、こういういわばやりとりの段階をもう少し丁寧にやっていく必要があるのではないだろうか。お答えになりませんが、以上考えております。
○森谷参考人 観光道路か生活道路かということにつきましては、先ほど大石前環境庁長官の例を引きまして、どうしても必要な道路であればトンネルをつくるべきだということを大石長官ははっきりおっしゃっています。それは半年間も雪に埋もれて使えないような道路はつくるべきでないということですね。それに関しまして、先ほど田村参考人から、千メートル以上の森林は大事だということをおっしゃられましたけれども、中部日本を起点にしますと、大体千五百から六百、日光地方でもそうですが、千六百メートル程度になりますと、千五百からそうですが、御承知かと思いますけれども、コメツガあるいはオオシラビソのほとんど純林になってきます。いわゆる昼なお暗い森林ですね、こういうふうになってきます。 そういうところで無理やりに道路を通した例が日光の金精峠です。御承知のとおり、オリンピックに間に合わそうというわけで、昭和三十九年に突貫工事で間に合わそうとしたけれども、間に合わないのです。でき上がったのが昭和四十年の十月六日です。ところが、この高さはどうかといいますと、栃木県側のトンネルの入り口の高さが千八百六十七メートルです。これは当然亜高山帯の針葉樹林帯に入るわけです。栃木県側は国有林だものですからこのとおり——このとおりと言っても、写真では遠い方は見えないかもしれませんけれども、工事用の道路をつくってめちゃめちゃに荒らしてしまったのです。もともとここは非常に岩盤のゆるいところですから、いまだに草がちょっとはえているだけです。ところが、群馬県側は十条製紙の民有林なんです。ぴったり道路ぎわまで木を切って道路をつけたのですけれども、これは昭和四十五年。約五年たってみますと、まわりに五十メートルぐらいばたばたと倒れているのです。これは風の道になってしまって、ばたばた倒れてしまっている。そして下にササがはえてきますと、復活しません。 こういうところの森林はなぜ復活が悪いかと申しますと、これは日光の錫ケ岳千八百メートルの森林伐採の集材所なんですが、ここの代表的な木がほとんどコメツガです。平均的な太さのものを円板に切ってもらって、もらってきたのですが、直径五十一センチ、年輪を数えてみますと二百七十三年です。非常に生育がのろいですから、これを自然にほったらかしておいての復活というのは非常にむずかしいです。人間の大きさに比べてみますとよくわかりますが、直径五十一センチ平均です。こういうところに無理やりに道路を通すとひどい目にあうということです。 それからもう一つは、いまの道路工事のやり方がめちゃくちゃです。これは資料3に印刷してある写真が裏返しになっていますので、こちらのほうがほんとうです。こういう工事をやりますので、地元の人も道路はほしいのですけれども、こういう工事をやられると地元では反対が出てくる。ブルドーザーでがらがらひっかき回して、こう落としてしまって、幾ら緑化工事をやってもだめなんです。去年の五月までで一億円かけて緑化工事をやっていますけれども、がらがらくずれてきます。これは塩原の温泉が吹き出して、岩盤がくずれてどろになる、そういうところですから、特に亜高山帯の場合には、どうしても必要なところならばトンネルにすべきである。その例として山形県の月山のところを通る山形−鶴岡を結ぶ道路、これは現在トンネル工事をやっております。これは昔からの生活道路です。それから福島県の会津のほうでも一つトンネル工事をやっているところがあります。それから日光から足尾に抜ける道路、これも生活道路で、現在トンネル工事をやっています。そういうふうにしてどうしても必要なところならトンネル工事にすべきであるという考えを持っています。亜高山帯には絶対に車道を通すべきではないという結論であります。
○湯山委員 簡単に関連してお尋ねいたします。 いまのような林道その他によって破壊された場所へいろいろそれに対する批判が集まってまいりますと、山はだに簡単に外国のグラスの種を吹きつける、あるいはいまの斜面に対してはヤシャブシ等をところかまわず植える。一応緑は回復するのですけれども、私は、そういうやり方というのは、場合によればもっと大きい意味の自然破壊につながるのじゃないかということを考えていますが、これは専門の森谷参考人あるいは田村参考人から簡単にひとつ、それはいいとか悪いとかいう御意見を承りたいと思います。
○田村参考人 ただいまの御質問ですが、実際アメリカンパンパスとかいろいろな植物がございますね。これはほとんど日本の種ではなくて帰化植物といいますか、外国産の種類が多いのです。それで、これは禾本科の場合ですと、御承知のとおり、一年間緑ではなくて、ちょうど春から初夏にかけて結実——いま結実を終わって種がこぼれている。ですから、一番人の通るようなときに黄色になって枯れ始めているわけですね。そういう点で、春先なんかは緑になっても、夏から秋にかけてはのり面が緑色になっていないという状況がございます。 もう一点は、あれが非常に繁殖をして周辺の植生を変えるのではないかという懸念がございますが、これについてはたしか農工大かどこかの先生方が調べた結果では、そう思ったほど種が飛んでいない。吹きつけたところのほんのわずかの周辺にしか繁殖していないから、周辺一帯の植生を変えるような心配はないのだという報告がつい最近ございましたが、しかし、緑色にさえすればいいという感覚、あの山はだを切って緑のペンキを塗りつける、名神高速道路の街路樹が枯れるから何か人工の樹木を植える、そういう思想は今日の緑を守るという国民の要求をまさにさかさにとっている、さかさの自然保護という点に考えますので、基本的には私はああいうふうなものをのり面に植えつけるというのは反対です。やはり現地にある原生植生でもってのり面は栽植すべきであるというふうに考えます。
○佐々木委員長 津川武一君。
○津川委員 きょう参考人の皆さんほんとうに御苦労さまでございます。たくさんの資料もいただいてほんとうにありがとうございました。 そこで、私、青森にいるのですが、林野庁が独立採算制をとる、どうしても収益をあげなければいけない。材木を切って売った分だけで何とか事を済まさなければならぬ。そこで生産性を高めて経済性をやるとすれば、どうしても大企業に山を売るということになります。私たちのところでは三菱製紙、ここに大量にトラックで持ち込まれています。そこで、そのために弘西林道という林道が設置されて、その結果が去年の七月のあの大洪水とがけくずれ、大災害となったわけであります。その結果がどうなるかというと、今度は私たちの郷里のほうではカモシカがいなくなる、野鳥が減る、イワタケなどという非常に大事な植物が行くえがなかなか見つからなくなる、こういうふうなことが出てくるわけであります。そして先ほど田村参考人が言われたキノコのほだ木のナラの木が——これはナラをほだ木に使ったのが一番よろしいのです。それも遠慮なくつぶされていっている。 そこで、こういう森林の使命を果たさせようとすれば、どうしてもこの分だけこれをお金で数えるということをやめてしまって、ここのところにかなり重点を置いて営利という形のものをとめなければならないかと思っているわけですが、この点、皆さんに林野庁、営林局、営林署が何とお答えになっているか、皆さんがこういう自然を守るために。これが一つ。 皆さんの自然を守る運動で、先ほども金精峠で群馬側の木材会社が出てきましたが、十条製紙ですか、三菱製紙、こういうのも相手に世論を高めなければならぬ。これに皆さんの運動が、抗議なり注文なりが行かれているかどうか、この二点をまずお答えいただきたい。これは田村さんと森谷さんにお願いいたします。
○田村参考人 これは伐採と林道が結局二重の自然破壊をしているという御指摘で、それに対して地元営林署はどう言っているかということが一点でございますが、私どもは、地元営林署には、私どものところでは鶴岡営林署、寒河江営林署、山形営林署、古口営林署、真室川といろいろございますが、その管轄が秋田営林局でございます。そこには二度ばかりこのことで抗議に行きましたし、また地元鶴岡営林署には再三再四行っております。その場合にどういうふうな言い分をされているかといいますと、やはり一点は、山はほったらかしておいてはだめなのだ。過熟林分、要するに、別なことばで言えば、植物学では極相といいますね、生態系、生態がずっと最後になった極相、これは放置しておけば必ずこわれるものである。ここに手を加えることによって豊かな山林をつくることができるという言い分が一点ございます。それからいま一つは、先ほどから何度も御指摘されているように、山林労働者の職場を失いたくない。またもう一点は、山林労働者と関係しますが、製材、チップ工場なんかが林野庁の長期的な施業計画に基づいて多額の投資をしている、これを裏をかくようなことはできない。もう一点は、国民のパルプ並びに木材の需要が非常にある、あなた方の意見も国民の一つの意見として十分わかる。 こういうふうな言い方をされるのですが、私どもは決して自分たちに水を引くわけではございませんが、そういう国民と同レベルでもってこの環境保全問題ということを考えていたのではいつになってもらちがあかないのですね。だから、私ども、何度も私ここで先ほどから申し上げますように、やはり環境保全というのはこれは基本であって、その中でパルプ生産なりまたそういう山林労働者の活動なり林野庁の活動がどこまで許容されるかという全く百八十度の発想の転換をしていただきたいのだ、それがわれわれのお願いであるということを強く言っておりますのですが、なかなかまだそこまで理解していただいておりません。 それから二番目の抗議の問題ですが、直接私どもは営利会社に抗議には行っておりませんですが、ただ、チップ材を伐採する山林労働者が地元から林野庁の労働者とはまた違った形で雇われているところがございまして、そのところには私どもはもう少し何とかならないものかということを申し上げましたのですが、直接企業者には申しませんので、どうするという意見も聞いておりませんし、私どもの声も直接は届いていない。ただ、それを、東北の場合は、大かた営林署が許可するという形の国有林がほとんどなものですから、営林署に行けばある程度話がつくであろうという期待感もございまして、営林署だけにしか行っていない実情でございます。
○森谷参考人 先ほどの何を植えるかについては田村参考人と全く同意見でありまして、外国のものを植えるというのはもってのほかで、そこにある植物を植えるべきです。日光なら日光地区にあるものをまず植えるのはけっこうだと思います。そこにハンの木の類を植えるのもけっこうですけれども、それよりかまずそこにある草を植えていく、この研究が林野庁あたりでは特に不十分であります。 それから第二点の、伐採について営林署や何かに対する申し入れですが、営林署には直接話してもあるいは現場の人に話してもだめなんですね、上からの指図でやっているだけですから。ですから、私たちは、比較的東京に近いものですから、林野庁に直接行くことにしております。和歌山県の大杉谷についても営林署には直接会っておりません。私たちは大阪営林局も通じておりませんで、地元の人は大阪営林局を通じておるのですが、私は林野庁に直接行っておりますけれども、先ほどと同じように、労務対策とか、それからわずか二百ヘクタールくらいのところを切って新たに杉を植える予定のようですが、林野庁としてはまことにけちくさい考えですね。二百ヘクタールくらいのところを切って、おそらくかける金のほうが収益よりも多いと思います。 それから民間の材木業者ですが、先ほどの金精峠の群馬県側は私たちはちょっと関係しておりませんですが、栃木県側では、十条製紙は日光の光徳から北のほうは、私たちの会が発足したときにはすでに全面的に材採を終わっていまして、十条製紙あるいはそういう民間の会社に対しては何ら話をしておりません。ただ、一つ困ったことは、国立公園でも特別地域ですが、男体山の裏側、これは二荒山の土地でありまして、われわれの会が発足するまでは大規模に百ヘクタール以上の森林を切っておりましたけれども、直接にはわれわれ二荒山に話しておりませんが、われわれの行動に制限されまして、現在では皆伐をやっておりません。抜き切りだけしかやっておりません。そんな状態であります。
○津川委員 私たち国政の中においてもまた林野行政においても、材木を切ってその売り値で事を処する、そういう経済性をやめさせるようにがんばります。 またもう一つには、地域の労働者に対しては必要であれば失対事業を興してでもここのところをやって、田村さんが山林切るなというあの精神なんか貫いていきたいと思っておるわけです。 そこで、森谷参考人にお伺いしますけれども、金精峠、私もあそこの湯ノ湖のところに小さな記念碑を建てたことがあってよくわかっておるのですが、あれはひどくなりましたので、いまあれはとめてしまって、そしてトンネルを通したらいいという、こういう結論が大体出るのでございましょうか。 もう一つ、私たちのほうの岩木山というところで、弘南バスがスカイラインというやつをやったら、山が荒れてしまったのです。それで弘南バスの観光をとめろという意見があるわけですが、こういうことをやったほうがいいのじゃないかという気もするので、これを森谷参考人からひとつお伺いしたい。 それから田村参考人には、今度の法律案を見ましたら、民有林だけ規制しておるのです。一番の親玉の国有林はどう切ろうが規制してないので、国有林の皆伐などに対する規制の方法などという御意見、これを伺わしていただきたいと思うのです。
○森谷参考人 金精峠の何ですか、規制ですか。
○津川委員 有料道路をとめてしまって、トンネルを通すのはどうしてか。
○森谷参考人 それは先ほど一番最初に申し上げたとおり、国立公園内の自動車規制は当然やるべきだという考え、私たちは二年前からその当時の厚生省ですかにわれわれは主導的な立場で発言しております。現在でもそれを言っております。これはアメリカとカナダの例にならってくれれば問題ないと思います。
○田村参考人 国有林の伐採問題はまさに御指摘のとおりなんで、私も森林法の改正案を見せていただいて、その点は非常に不満に思った点でございまして、そのために一点は、三年間とにかく森林伐採を全面的に中止せい。これが十年前であったならば私はそういうことは申しません。と言いますのは、今日の森林伐採しておるところでは、東北の山形で標高五百メートルから七百メートル、中には千メートルを越えたところがございます。こういったところはほとんど、日本列島がまさにそのとおり、急峻な山なんですね。急峻な山でしかもこれだけの人口の食糧をまかない得たということは、やはりその周辺の亜高山帯から高山帯山ろくに広大なブナの原生林なりコメツガとか、そういった非常に原生林があった。この山からくる、一気に流れ出す水をここで押えて、しかも押えるだけではない、水をたくわえてきた。これが徐々にネコの額ほどの日本列島の耕地に水を常時流し得た。これが日本の農業を——今日稲作が伝わって二千数百年、同じ田んぼで同じところで米をつくり得たということは水の効用なんですね。こういったことを考えますと、われわれのこの亜高山帯また山ろく帯のブナ原生林の効用というものは絶大なもの、日本民族を養ってきた絶大な力があった。この点からいっても、もうこの限界を、現在の林野庁の伐採している場所はこの最も大切なところをもうすでに通り越しているんですよ。もうこれ以上一本たりとも切られないというのが実情なんです。そのために、全面的に一本たりとも今日きょう限りこの林野庁のブナ伐採をやめていただかないと、ほんとうに国を滅ぼしますよということを、ここにおられる林野庁の幹部の方々に私は強く申し上げたい。特に国政を担当されておる国会議員の先生方に強くそのことを訴えたいのであります。 ですから、三年間伐採をまず中止する。その間に小林班とか林班界というのが施業計画に基づいて林野庁にはございます。この林班ごとに広域的なランクづけをやりなさい。現在の水源涵養林というものは、これは官報を見てもそうですし、県の公報を見てもそうですが、まさに公報が出るたびに水源涵養林の解除が必ず何件か載っております。最初に水源涵養林だと指定していながら、理由もなく解除するなんということはあり得ないわけですね。これがもういとも簡単に解除されているというのは、まさに何と心得ているのかと私は強く言いたいのですが、それが現実に毎日起こっている。だから、その三年間伐採を中止している間に、広域的機能のランクづけをやりなさい。そしてその中で切ってもいい場所というものをあらかじめ定めなさい。ですから、日本列島全部を環境保全地域に指定して、その中で森林生産地域というものを国有林とか民有林と関係なく新たに指定しなさい。そしてそこで高度な森林の生産をやればいい。 先ほどもどなたかの御質問にございましたのですが、時間がなくて言えなかったのですが、林野庁はいまの国民の森林の需要をまかなうだけの、森林を生産するだけの土地を十分持っているのですよ。山形でも東北六県でも、ブナを切ったあとはそのままほったらかし、低地でも杉を植えれば杉の植えっぱなし。もっと予算と金をつぎ込めばものすごいきれいな美林ができるところが、全部ほったらかしなんです。ここのところに金をかけないで、ただ山の木を切ることによって、ノルマ的な森林行政をやることによって国民の需要にこたえなければならない、これはまさにごまかしです。われわれのしろうとでさえわかります。専門家ならましてです。ですから、低地の国有林を荒れほうだいにしているところをまず下刈りをやって、あそこに高密に杉なり有用樹林を植えることによって国民の森林需要、木材需要に対する必要量の何%は、もうまるまる七〇%ぐらいまかなえると私は計算しております。そしてそこにいまの森林試験場とか林業試験場あたりの研究機関をもっと強化することによって、年間生長量をもっと高めることが可能だと思います。そういうほんとうに木材生産に適しているようなところはほったらかして、全然生産量もないような千メートル以上の材木を切っているなんというのは本末転倒の林野行政だということを私は強く指摘したいのであります。
○津川委員 ありがとうございました。
○佐々木委員長 中川利三郎君。
○中川(利)委員 時間がないから一通り質問させていただいて、一通り皆さんからそれぞれに御答弁いただきたいと思います。 まず森谷さんでありますが、先ほど森谷さんの御発言は、ほとんど国有林に関係した問題であります。いま森林法の改正が論議されておりますが、これは民有林を主として規制しよう、こういうわけであります。問題からいたしますと、日光の国立公園一つとりましても、裏男体スカイラインだとかあるいは光徳の林間学校だとか、たくさんのそういう国有林自体のほうに問題があるような感じもするわけであります。したがって、お聞きしたいことは、そういういろいろのことで今回の森林法の改正のメリットというか、そういうことは、事、国有林が除外されておりますから、先生はどのようなお考えを持っていらっしゃるか、こういうことですね。むしろ国有林に問題があるという現状の中で、これをどう考えたらいいかということについてお答えいただきたいということと、もう一つは、先生は何か生物学者でこん虫学者だという話を聞いているのですが、先ごろ林野当局が枯れ葉作戦といいますか、何かたいへんな薬を山林にまく。このことが生物に与える影響なんかもだいぶ社会的に論議されましたが、そういう点について、いまの自然の環境を守るということで、法案を出しておる林野当局自体にまだそういう点でも大きい問題があると思うのですが、そういうことに対する御意見なんかを聞かしていただければありがたいと思います。 その次には田村先生でありますけれども、先ほど先生からいろいろ有益な提案を含めての問題が出されたわけで、私ども非常に心を強くしたわけであります。それにつきましても、ただ、先生の御発言の中に、政党も宗教も自然に対して真剣な配慮がなかったのではないか、そういうことで、つまり一億総反省の中でこの問題を考え直せ、そう言われることの意図は私は非常によくわかりますが、ただ、この自然破壊というのは急速にある 一定の意図のもとに行なわれてきた。つまり政府・自民党の大資本本位、あるいは営林当局の生産第一主義だ、こういうかっこうの中でやられてきたという点を明らかにしないと、問題が、みんな悪いからこうなったということにすりかえられるおそれがあると思うのです。この点をどうお考えになっているのか。 それからもう一つは、列島改造論というものがありまして、これは今後ますます日本の国土そのものを高度経済成長の道具にかえていく、こういう状況があるわけでありまして、この中で森林法で規制していく、あれもりっぱにやるのだと言ってみたところで、大もとがそういう状況でありますと、この森林法という部分的な手直しがあったにしても、先ほどあなたのおっしゃるような衣の下によろい云々ということのいろいろな問題が確かに出てくると思うのです。そういうことにつきまして、衣の下のよろいの具体的な問題としてわれわれは何を考えていかなければならないのか、ここら辺をお知らせいただきたい。 それから三つ目は、山の職員の給料ですね。営林当局の森林労働者の給料、こういうものも含めて一般会計にしようというお話がございましたが、これは私はたいへん賛成であります。ただ、現実問題として、いま山林労働者は通年雇用を受けておらない。ほんとうの季節雇用という中で、非常に身分が不安定な状態、権利が不安定な状態に置かれている。緑を守る山の第一線の労働者がそういう状況の中でどうして日本の山が守られていくのかということで、かねがね私はこれは問題だと思っていますが、この点について、現状の中でこれをどうしていったらいいかということについて、もしいろいろ御意見を聞かしていただければありがたいと思います。 それから喜多先生でありますけれども、喜多先生は先ごろ森林組合の単独立法の問題のお話がありましたが、当局はこの単独立法ができない理由の中に大きいウエートをかけているものとして、農業協同組合とのほとんどダブリ加入になるんじゃないか、森林組合に入っている方々は農業協同組合にも入っているのだ、この点でいろいろ問題があるということを言われているわけですね。あるいは全体として力が弱いということ、こういうことも言われておるわけでありますが、喜多先生が森林組合の単独立法は一日も待てない状態だ、こういうことはこういろ当局の言い分が一つの障害になっているわけでありまして、この点をどういうふうにお考えになっているのか。 それから作業班、つまり労務班の問題ですけれども、七万名の労務班がいていろいろやっているのだというお話でしたが、この定着化の見通し、またいま作業班といいましてもいろいろな問題があるだろうと思いますが、そういう点で少しくお知らせいただきたいと思うのです。 最後に船越先生でありますけれども、先ほど森林組合の特殊な性格として、大山林所有者も零細な土地所有者も一つに入って垂直的な結合をつくっていらっしゃる、こういうお話でございましたが、この中でいまの資本主義の経営体としてもうけ本位にいけば、零細の組合員の方々の利益がそこなわれる、こういう御指摘があったわけでありまして、そのとおりだと私は思いますが、今度の法改正の中でそういう歯どめをどのようにしたらいいのか、どうしたら民主的に森林組合が円滑にやっていけるのか、こういう点についてのサゼスチョンといいますか、いろいろお知らせいただければありがたい。私の質問は以上であります。 〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
○森谷参考人 国有林が森林法のワクに入らないということは非常に残念に思います。自然保護法でもそれから環境保全法でも大体国有林、そうですね。みんなワク外に入っておるものですから、われわれ、非常に大事なところだから特別地域にしろと言っても、これはなかなかむずかしい問題で、この点はむしろ農林水産委員あたりでお考え願いたいところです。 それから殺草剤の問題ですけれども、たとえばこういう写真のようになるわけですね。これは日光で最も有名な外山沢の百二十ヘクタールのところにカラマツを植えるために草を枯らしたものです。これはもちろん国有林です。ところが、そのすぐ横に、山を守る、鳥を守る林野庁、ぬけぬけとこういう看板をかけているのです。これは林野庁の感覚を疑われます。きょう持ってきませんでしたけれども、草や木を守りましょうというのを写真で写したのがあるのです。このべろっと切ったところの横です。こういう感覚で林野庁がいるということ自体がほんとうに自然保護をやっていない証拠です。殺草剤は現在では林野労組が反対しまして、大部分やめているのじゃないかと思います。しかし、去年の段階では九州ではやっておったそうです。ところが、クズという植物がありますね。あれにある薬品を注射して枯らした。地上部は枯れるのですが、その根を取って東京の和菓子の上等なお菓子屋さんに卸しているということを、これは林野労組の人に聞きまして、非常に驚いた次第です。そういうことが現在野放しになっているようです。はなはだ殺草剤は困ると思います。
○田村参考人 お答えします。 先ほど、政党も宗教もすべて自然界の倫理というものを根底に置かなかったがゆえにということを私は発言したのですが、実は私の発言した意図というものはそのとおりでございまして、やはり今日の自然破壊が日本の高度成長経済の一つの結果であるということは、われわれはそのとおり認めているわけでございます。ですが、こういう公害問題がどういう種類であるかどうかということは別にしましても、世界のどういう共産圏であろうとも自由主義社会であろうとも社会主義社会であろうとも、公害、自然破壊というものは非常にあるわけですね。その国々の体制において非常に問題になっているということは、これは否定できない事実なわけです。ですから、その根底となるのは、われわれが自然界の中でどういうふうな生活機能を持たなければならないのか、どういうふうな欲望をそこで抑制しなければならないのかという、そういう人間の倫理的なものを考えずして、単に事が起きたからどうだということだけいってもだめではないのか。しかし、いままでの自然保護運動というのは、告発という一つの形で、なぜ起きたかということはある程度国民に明らかにし得たのではないかと思っておりますが、これはいまの御質問者のお話のとおり、日本の高度成長経済の一つの悪弊である、結果であるということは、全くそのとおりだという認識を持っております。 それから二番目の、衣の下のよろいということは、いまの森谷先生の御発言にもありましたように、木を切っているわきに、木の根っこに、緑を守ろう、山を守ろうという堂々とした看板がいつでも立っているのですね。あまりにも矛盾している。 それからいま一つは、私のところの月山で——出羽三山のところに月山という山がありますが、ここに秋田営林局長が視察に来るというときの数日前に、鶴岡営林署ではあわてて、緑を守ろうとか山火事をなくそうとかいうものをべたべた張りつけたんですね。こういうところを見ても、まさに山を守るということが、ほんとうに国民のために守っているのじゃなくて、その組織の中の職制のえらい人が来れば、そのごきげんとりをするために山を守ろうというような看板をかけるなんということを見ましても、森林保全に対しては林野当局は国民のためだということを真剣に考えていないということを、私たちは現実に現場で見ているわけです。 それから森林法の提案理由説明の中にこういうことばがございます。「森林の有する公益的機能の発揮に対する国民的要請が高まる一方、需要の増大に対応して木材の安定的な供給をはかることもまた大きな課題となっている」、われわれはその木材の需要というのは十分わかるのです。しかし、公益的機能の発揮に対する国民的要請というものと木材の需要というものを同次元で考えている限りにおいては、幾ら森林法を改正したってだめなんだというのが再三再四先ほどから私が申し上げているゆえんです。やはり公益的機能というものをまずわれわれは保持し維持して、そのもとで木材的な需要をどうはからなければならないかという、その維持的なものとして森林生産というものを考えていかない限りわれわれの意見というものが受け入れられないということのために、衣の下のよろいだという表現を使ったのであります。 それから三番目の、山林労働者の身分保障、また働く場所をどうするかという問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、国有林の中には遊んでいる国有林がかなりございます。木を植えても全然下刈りをしない。何で下刈りをしないんだと言ったら、おまえたちが除草剤を使うのに反対するからだ、こういう返答なんでございますが、そういうところにもっと山林労働者の労力をつぎ込むことによって豊かな美林にもなって、国民の木材需要にもこたえることができるし、また山林労働者の働く場も保障できる。そういった遊んでいる国有林の手入れをまずやりなさい、山林労働者の労働の場をそこに提供しなさい、そのことによって山林労働者の身分なり働く場というものが保障できると思っております。
○喜多参考人 単独立法の問題でございますが、私どもはもう十数年前からぜひこの単独立法は実現したいということで叫び続けてまいったわけでございますが、いま御指摘の農協等に組合員がダブル加入しているという問題でございますけれども、現在の林業の状態、非常に苦しい中に置かれたこの現状の中では、どうしても林業だけの協同組合は絶対必要なんです。私どもはいまの現状のもとで、あくまでもこれは森林組合というものを主張したい気持ちで一ぱいでございます。力の弱い点がございましょう、ございましょうが、これはもちろんわれわれ自体が目ざめて大いにがんばる必要はございますけれども、同時にまた、お役所その他の関係方面でのいろいろな面での御指導、御鞭撻もひとつお願いいたしたいというふうに考えております。 なお、この際申し上げておきたいのは、単独立法でございますが、いまの段階で直ちにということはなかなかいろいろ問題点もあるようでもございますが、私どもといたしましては、非常にせっぱ詰まった要請が下部からございます。下部の突き上げ。私どもはいまの段階では、とりあえず森林法の中でわれわれの要求いたします事業の拡大その他をひとつ満たしたいという気持ちで一ぱいでございます。 それから林業労働者の通年雇用の問題でございますが、これにつきましては、私ども、林業の協同組合といたしまして今後は林業者の要請にこたえまして、できるだけまとめた姿で協業ということを目ざしておるわけでございます。仕事をまとめて組合が引き受ける、こういうことを通じましてできるだけ通年雇用を進めてまいりたいというように考えておるわけでございます。
○船越参考人 ただいまの御質問でございますけれども、森林組合は農協等と違うというお話を申し上げましたけれども、それは森林の経営面から申しましても、やはり団地として一定の面的広がりを持って、その中で計画的な施業が行なわれる、そうすることによって森林の機能がよりよく発揮できるという面を持っておりますし、また現実の森林組合は、農協等と違いまして、極端な五百、千ヘクタールというような大所有者から、一、二ヘクタールの零細な所有者まで包含する一つの組織体、これがすべて組合員であるというような矛盾関係をはらんだ協同組合であるというふうに考えております。ところが、完全にこれを中小所有者の協同組合に純化するということになりますと、その中小山林所有者のその森林から受けるところのいろいろな生産面の利益、それから地域林業から受ける効用というものが逆に狭められて、協同組合活動を制約していくという一面があろうかと思います。したがいまして、現実のわが国の森林所有の構造をあるがままに認めまして、非常に精神的なことになるわけでございますが、やはりそこは協同組合としての原点に絶えず立ち戻りながら組合として自己規制していく以外にはないだろう。少なくとも現在の協同組合の中では、特に大所有者を少なくして零細所有者を多くするというような規制はいまの森林法の中ではちょっとできにくいのではないか。やはり組合自身の問題であるというふうに考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 では、終わります。
○山崎(平)委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、本日は全森連の専務理事の喜多参考人、田村参考人、船越参考人また森谷参考人、お忙しい中をおいでいただきまして貴重な御意見ありがとうございました。十分参考にして今後審議をしてまいりたいわけであります。 御存じのように、昭和四十四年、四十五年から自然保護問題が急激に国民的要請によって活発になってまいりました。当時日光をはじめ全国各地を回りまして自然保護の推進にいろいろと努力してまいったのですが、その節たいへんお世話になりまして、この席をかりて厚くお礼を申し上げます。 きょうの貴重な御意見をもとにしていろいろまた検討させていただきますが、限られた時間でございますので、いまから若干の点をお伺い申し上げたいと思います。 まず、岩手大学農学部教授の船越参考人にお伺いしますが、質問の通告もしてないので、いろいろお考えを述べていただけばけっこうだと思いますけれども、国民生活の中における森林の役割り、いつも聞くことでございますが、こういう機会にあらためて御見解を承りたいのです。わが国の森林及び林業を取り巻く情勢というものが経済的機能に従来は傾斜しておったのが、公益的機能に新たな展開をしていることはもう十分御承知のとおりでございます。 〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、今回の法改正を見ましても、私は七月十八日に三時間余にわたってこの法案に対する質問を展開してまいったのですが、財政的裏づけがなく、なくというよりも少なく、事実山林をささえているにない手、こういったものに対する明確な政策が打ち出されていない、かように思って、過疎が進んでいる農山村、特に林地等を見ましたときに、何としても農山村で林業に希望を持って従事することができる政策を立てるべきだ、こういったことを強く訴え、またわれわれも主張しておるわけですが、この機会に船越参考人のお考えを、簡潔でけっこうでございますから、要点だけお述べいただければ幸いでございます。
○船越参考人 たいへんむずかしい問題でございまして、簡単に整理がつかないわけでございますが、一つは、従前の林業に携わっているという者にとりましては、これは単に国民経済に対して木材を供給しているというだけではなくて、やはり山村の文化をにない、それから、たいへん表現は当たらないわけでございますが、たとえば土地を手にあてがうようなかっこうにせよ、山地の保全、山地の保護というものをになってきた層が山村の林業の従事者に一面あったのではないか。それが経済成長のテンポに林業が追いついていかないで、そのことによりまして生産性の論理だけが先んじて、保護上あるいは保全上問題を感じながらも、実はいやいやながら伐採してきたという側面が一面あったように思います。したがいまして、本来山村の保護、山地の保護、保全を真に考えていた山村住民の原点に戻りながら、生活と結びついた保全、生活と結びついた保護、こういった施策の体系を早急に出すべきであろう。その点につきましては、参考意見の中で、真に技術としてももう少し私ども検討すべき面を持っておりますし、政策としてもたとえば望ましい森林施業、これがいまの制度上できない問題がたくさんございます。択伐をやりたくてもお金がかかって採算に合わない、こういった卑近な問題がたくさんございますので、そういった問題を真剣に諸先生方もお取り上げいただければありがたいことだと思います。 それからもう一つは、山村の人間関係というものがひとつ大きくくずれております。これまで林業を守り、山村を守ってきた人間の人的結合というものがやはり存在したように思います。それが最近のように過疎化が進みまして、それから自動車による高速時代に入ってまいりまして、外界との接触が激しくなってまいりますと、山村を守っていく人間的な、いわば共同体的な結合関係と申しますか、そういうものがくずれてきておりまして、私どもはやはり新しいその地域の林野をめぐる人間関係の形成、こういうものを育てる。ある意味では、経済政策と同時に真の文化政策と申しますか、そういったものもやはり必要ではないかというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 次に喜多参考人、船越参考人にお伺いします。主として喜多参考人からお答えいただけばけっこうかとも思いますが、御意見があれば船越参考人にもお答えいただきたい。 森林の乱開発防止対策という問題です。新聞紙上、報道等でもいろいろ乱開発が盛んにいま問題になっております。そこで、この保全だけでは森林というものは機能を十分に果たせないということはもう御承知のとおりでございますが、需要の増大に対応して木材の安定的な供給をはかる、そして国民の要請にこたえるという面も大事であります。田村参考人からもいろいろ新たな提案等、先ほどから出ておりましたが、それはともかくとしまして、今回のこの森林法改正にあたりましては、実は森林組合自体が、みずからが森林の経営を行ない、またいろいろ作業をすることができる道が開かれております。また乱開発の防止も今回の法で規定されております。乱開発防止のためには森林組合が林地の転用とか林地造成あるいは交換分合、こういったことを行ない、山林を買ってまた森林をやりたい方に再配分をするというようなこともいろいろ考えられるわけですけれども、そういったことをやろうと思っても、資金が何しろばく大に要る、結局お金がないために大企業の山林買い占め、乱開発に対抗できないということが当然考えられるし、これがまた問題になるわけです。さきに喜多参考人からも乱開発の一例をあげていろいろ陳述がございましたが、こういったことを踏まえまして、この乱開発に対しては資金面、いろいろな面でどうするか、どういうように考えておられるか。私は先般の法案審議のときには、実はこういったために適正伐期齢級に至る間少なくとも四十年ぐらいをめどに、償還期限四十年、据え置き十年、三十年賦ぐらいで、安い利子の、しかも国が利子補給なりこういったいろいろな思い切った措置をしなければならぬのじゃないか、こういうふうな意見等を政府に迫っておるわけですけれども、そういったことを含めてこの機会にお考え、希望なりを述べていただくと大いに参考になる、かように思っております。喜多参考人にぜひお願いしたいし、船越参考人もまた大学の教授という立場から全国を見ておられますから、公平な立場から御見解を承れれば幸いであります。
○喜多参考人 ただいまの瀬野先生のお尋ね、また御意見、全く私も同感でございます。 今回の法改正の内容の大きな目玉といたしまして、乱開発防止の問題、さらにまた、森林組合におきましてみずから山林を取得し、これを今度しかるべき林業者に再び再配分をするのだといったような点も大きな目玉になっておるわけでございますが、御指摘の資金が一番これは問題でございます。私どもせっかくこうした法案が考えられる以上は、あわせて当局におかれましてもこの点の資金の問題をぜひお考え願いたい、実はそう思っておったのです。仏つくって魂入れずということわざもございますけれども、この点が明確にならなければ、これは形だけで何ら実際の効果はないわけなんですね。ぜひこの際、私は、この低金利の融資でございまするとか、あるいはまた利子補給でございまするとか、適切な手をぜひひとつあわせて当局のほうでお考えいただきたい。実はむしろ私どもからお願い申し上げたい点でございまして、この点が実は一番私どもいま頭にかかっている、心配している問題でございます。
○船越参考人 私もただいまたいへんいい御意見を伺いまして、具体的にそれをどう進めるかにつきましては何も持ち合わせないわけでございますが、ただ、森林を中心にした金融体系というものは、ほんとうの意味で森林担保金融制度というものがわが国では伸び切れなかったというふうに考えております。これの体系化という問題と、もう一つは森林組合が一切の事業を引き受けて行ないますいわば組合協業という道もございますけれども、本旨は森林所有者自身が積極的な生産活動を行なって、そのむだな部分、不合理な部分を森林組合が協業という形で組織をしていくという方向が望ましいと思うわけでございますので、森林所有者自身の造林事業を助成するような資金措置、はたしていまの補助融資の体制でいいのかどうかということに関しては多少疑問も持っておりますので、そのあたりの今後政策的な位置づけをぜひお願いしたいというふうに思うわけでございます。
○瀬野委員 その点は一応、まあ、この場でございますので、そのとおりに承っておきます。 そこで、船越参考人にさらにお伺いしますが、いまから聞くことは、国内林業の強化策についてどういうふうにお考えであるかということを御意見としてお聞きしたいわけです。 端的に言うと、外材依存でなくて、もっと国内で林業を充実強化、いわゆる植林にしても保育にしても生産にしても強化していくべきじゃないか、こういうふうなことをお聞きするわけです。御承知でございますように、外材輸入が現在五三・七%になっておりますですね。統計または林野庁の計画によりますと、五十六年で六三・二%、六十六年は六〇・一%、ちなみに九十六年は三八・三%、こういうことで、戦後植林した木があと十五年ないし二十年すると伐採可能な適正伐期齢級に入るわけですが、すでに間伐採のいろいろな問題も起きておりますけれども、いずれにしても、資源はかなり長く不足をするし、外材に依存するということはもう考えられます。日本の林業資源は総蓄積で二十一億立方メートル、伐採量が四十五年で六千六百万立方メートルでございます。ちなみに標準伐採量が当時六千五百万立方メートル、こうなっておりますので、百万立方メートルはもうすでに四十五年で過伐をしておるというような状態ですね。民有林等についてもなかなかデータがはっきりしていないというので、年間生長量と伐採量の問題等、いまいろいろと林野庁にお尋ねし、この間一応の答えは出ておりますけれども、かなりバランスはくずれておるということで、私は将来たいへん憂慮をいたして、この林業問題に対しては田中総理にここで質問をしまして、深刻な理解を一つ与えておるところでございますが、実は政府のいろいろな計画を見ましても、外材の開発輸入促進に積極的に力を入れておる。近く外国の食糧並びに林業問題の調査にも派遣される予定になっております。これは当然けっこうでありますが、世界の木材は輸出をだんだん制限する方向で、資源も少なくなっていくという状況になっていますね。日本の林業資源も需要に充足できる木材は不足しておるのでございまして、外材輸入に求めることは当然でありますけれども、世界の木材の動向を考えましたときに、資源開発輸入に力を入れて国内の林業を軽視するというようなことになっては相ならぬ、こういったことで私はいろいろと警鐘を乱打しておるわけですが、同じ財源を使うならば、国内の林業振興に最も効率的に使うべきである。かといって、外国のラワン材を切ったあと地等にいわゆる試験林をつくったり、試験的に造林をしたり、いろいろなことを全然しないわけにもいかないかと思いますが、やはり国内の緑の回復に使うべきだ、こういう考えを持っておるのですけれども、特に船越参考人はこういったことについてどういうふうにお考えであるか、簡潔でけっこうですから、御意見を承りたいと思います。
○船越参考人 ただいまの御質問の趣旨でございますけれども、問題は国内林業優先か輸入優先かというような御質問かと思いますけれども、日本の林業は残念ながら、この間の林政審議会の見通し等を見ましても、どうも昭和七十年ごろまではやはり現状ベースの外材輸入が続かないと、日本の国民生活が成り立っていかないというような見通しが出ておるようでございます。しかし、御指摘がございましたように、現在の開発輸入の体制が続いていって、一国の経済政策としましてこのような開発輸入一本の政策がはたしていいのかどうか、こういう点につきましてはこれは私ども申し上げるまでもないわけでございまして、すでにたとえば米材基地におきましても南洋材基地におきましてもたいへん深刻な問題を投げかけているわけであります。そこで、その外材につぎ込む資金というものを国内林業につぎ込むということ、まことにそのとおりなわけでございますが、具体的に国内林業につぎ込んでも、それが現実の家を建てたい国民の要求に即座にこたえるわけにはいかない。やはりこういう時間的なズレというものがあろうかと思います。したがいまして、可能な限り輸入量を減らしながらも国内林業の体質強化という方向に政策を展開していく、そのためには、私は単に造林面積をふやすということだけではございませんで、現にあるわが国の造林地の中でもかなりの部分が不成績地であり、成績不良地のものが多うございます。そういったものを、もっときめのこまかい造林というものを考えていく。 それからもう一つは、山村の林業をになっていくにない手というものを育成していくということが根幹であろうかと思います。そういう点におきまして、森林組合を山村林業の重要なにない手と私は考えておりますので、そういう点からも、この一部改正に基づきまして、具体的に森林組合を育成していく、こういう手段を講ぜられるように希望するわけでございます。
○瀬野委員 さらに船越参考人また喜多参考人からも御意見を聞きたいのですが、次の質問は、公益的機能と受益者負担という問題です。 私はこれについては、当然制度化をして、今後森林所有者を守り、自然保護または保安林的な、国土保全的な意味を持つ森林の造成に力を尽くすべきである、こういう意味から、政府に提案をし、いろいろと質疑を展開しておるのでありますが、この機会に御意見を承りたいのです。 国民的要請であるところの森林の持つ公益的機能の強化を森林所有者のみに義務づけて、これを受益している者は何らの負担もせず受益をするという現在のやり方は、社会的に問題があると私は指摘したいわけです。森林の持つ公益的機能を維持増進するための森林施業に要する費用のかかり増し分は受益者負担とするような措置を講ずべきである、このための制度化をすべきではないか、かように思うわけです。 一例を申しますと、岐阜県、愛知県、三重県で、木曾三川といいます木曾川はじめ三つの川の上流地帯の森林は、水源涵養とともに国土保全を目的としたものでございまして、他の地域も同じことがいえますが、中部電力株式会社、関西電力株式会社が、この木曾三川の組合を設立した当時に、七千三百万円の寄付金を出して、それを上流地域の山林所有者に分配し森林の造成に充てる、こういうことになっているわけです。近く山口県でもこういった動きがありますし、各県でこういった傾向があります。 御承知のように、ダムをつくって水を電力会社あるいは工場等に供給すれば、かりに保安林でなくても、上流における山林所有者は、当然国民の飲料水または工業用水、発電の用水として供給しておるわけで、大きな利益を与えておることは当然であります。こういったことで、もっと森林に力を入れ、国民的、社会的な要請にこたえるように考えるべきである、かように思って私は提案をし叫んでおるわけですが、時間の関係もありますので、どうかひとつお考えだけをまず船越参考人から簡潔にお聞きし、喜多参考人からも一言お考えをお聞きしたい、かように思います。
○船越参考人 ただいまの公益的機能といわれるものの負担に関するとらえ方でございますけれども、森林というものは、個人財産であると同時に民族財産であるというような考え方を私はとっております。したがいまして、本来森林は、特定の者に奉仕するのではなくて、不特定多数の人類に奉仕するというような立場で森林を考えるべきであるというふうに考えておりますので、いわばその受益部分をだれが負担するかというようなことについては、私まだ詰めておりません。それは当然国家が見るべきものであるというふうに従前考えておりまして、いまの具体的なお話については、私いま何とも申し上げられないわけでございます。
○喜多参考人 私どもの立場といたしましても、林業は、ただ経済的な面だけではございません、これを通じましてやはり広く公益的な面に奉仕するという気持ちで一ぱいでございます。 私どもは、この公益的な面が今後ますます重要視されるという段階になってまいりますと、場合によりますと、われわれ自体の持っております権限そのものもこれまた抑制せざるを得ないということにもなるかと思うのです。また、あえてそれを甘受しなければならないような段階にまで今後ならないとは限りません。しかし、民族全体の立場からあえてそれを甘受するということになりますれば、これはぜひ大きな観点から、単に犠牲をしいるだけではなくて、やはりあたたかい思いやりというものが当局からなければならない、これは当然だと思いますけれども、われわれはあくまでも公益という面は強く考えてまいりたい、こういう所存でございます。
○瀬野委員 時間があとわずかになりましたので、次に船越参考人それから田村参考人に一点ずつお伺いして、質問を終わることにいたしたいと思うのです。 先ほど来いろいろ議論されておりました、また去る七月十八日私もかなり時間をかけて、森林組合の単独法問題を論議したわけです。これは田中総理にも七月にずいぶん質問して、いろいろ見解を承ったわけですが、いろいろ問題はあるにせよ、やはり現在森林法の中に森林組合の規定があるので、何としても森林組合は森林法から抜け出して、農協、漁協と同じような信用事業、経済事業ができるような単独法としての機能を発揮するようにすべきだということは多年からの話であります。また国会においても、与党の議員からも、自分たちは言いにくいから瀬野さんあなたやってくれ、よく言ってくれたということで、しばしば激励を受けるわけで、私もぜひこうしたい、こうしなければなかなか脱皮できない、こういうように思うのです。 きょう喜多参考人からも積極的な要請があったということで、いまさら再びお聞きする理由もないので、時間の関係から割愛しますが、船越参考人にお聞きしたいのは、きょうおいでになった立場というものは十分わかりますが、先ほど陳述の中で、資本体または経営体を整えるということが大事だ、そして、割りの悪い零細森林所有者が二の次になるというようなこと、いろいろそういったことを中心に理由をあげられて、私が聞いたはだざわりでは、まだ単独法にするのはちょっと無理だ、時間がまだかかる、私のひが目でそういうように聞こえたのかどうかわかりませんが、どうしてもこういうふうに受け取れてならなかったわけですね。そういった意味で、もっと明確にどういうように考えてやるのか、あなたの参考意見でこれが急遽進むか、またおくれるかというようなことにもなりかねない要素もあるので、ひとつ率直な意見をこの際お聞きし、どうしても時間がかかるならば、どういう障害があるんだということをずばり簡潔にお伺いすれば幸いである、かように実は思います。それが一つ。 それからもう一点は、田村参考人と森谷参考人、きょうはおいでいただいて私もいろいろとお尋ねしたかったんですが、皆さんおっしゃることは、同じ自然保護協会の一員として私もいつもやっておりますから、時間の関係でくどくど聞きませんでしたが、かなり質問が出まして重複しましたので省きまして、最後に、自然保護団体、いわゆる全国の自然保護協会を代表してという意味で、田村参考人に一点だけお伺いしておきます。 と申しますのは、自然保護憲章の問題で、ずっと数年前から私も、自然保護協会でもいろいろ検討しながら、石神さんとも打ち合わせてまいったんですが、つい八月の九日、第十五回自然公園大会が熊本の阿蘇の草千里で行なわれて、皇太子御夫妻、それから三木環境庁長官も一緒においでいただきました。私もその席で自然保護問題、農業問題、畜産問題とずいぶん、十分余りにわたっていろいろお話を申し上げて、自然保護に対するいろいろなお話、また御意見等を聞かしていただいたわけでありますが、そのとき石神さんも横におられて、自然保護協会がいろいろ提唱している自然保護憲章、これについては国が早く制定してもらいたい。これは何も協会の案でなくて、もうオープンに、もっと大きな立場からこれを考えて早くやっていただきたいというような発言があったわけですけれども、この公開の場でこれらに対するお考えを代表してお聞かせいただければ幸甚でございます。 時間がわずかになりましたけれども、二点、簡潔にお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。
○船越参考人 森林法の中で森林組合を考えるか、単独立法という形で考えるかというお尋ねでございますけれども、私自身は、お感じいただきましたとおり、現在、森林法の体系の中で森林組合は考えるべきであるというふうに考えております。と申しますのは、いろいろございますけれども、現在の森林をめぐりますいろいろな経済的機能と呼ばれる以外の諸機能がございますけれども、それを統一的に果たしていくという組織体としては、やはり協同組合としての純化した形を考えるよりは、少なくとも現在の森林法のワクの中で実質的に協同組合としての事業活動ができる基盤をつくっていくほうが、わが国の森林組合の実情を見ます場合にきわめてふさわしい。特に、いろいろなことがございます。たとえば喜多参考人から、農協、漁協でやっておりますようないろいろな事業、信用事業でありますとか共済事業でありますとか、森林組合がやって何が悪いんだというお考えもあろうかと思います。でありますけれども、私たちが若干見ておりますところで、現在の段階で、これはやれる組合だけがやれるのでございましょうけれども、やはり制度的にその道ができたことによって、たいへんなリスクをしょうような実態を持つ組合もございます。したがって、現在のわが国の森林組合というのは、現在の森林法の中においてむしろ経営組織体としての充実をはかっていくということが現実的であろうかと思います。そうした協同組合としての内容充実というものを待って、やがてその暁に単独立法というような問題はあらためて検討すべきことであろうというふうに考えるわけでございます。
○田村参考人 御質問の趣旨は私も全く同感でありまして、できるならば、これは全く個人的あれですけれども、憲法の条文の中にも自然環境保全の精神を生かしていただきたい。それがいますぐできないとすれば、やはり自然保護憲章、また環境保全憲章なるものはやはり国会の場で決議された、権威あるというか、国民あげての憲章という形で早急にやっていただきたいというのが私の考えでございます。 ただ、はなはだ僭越でございますが、先ほどの山村の振興をどうはかるかというのにつきまして私も一言、考えを持っておりますので述べさしていただきたいのですが、受益者負担というのは、だれが負担するかといういろんな事務的な、技術的な問題はありましょう。あると思いますが、山村環境保全手当というふうな、そういう新手当のような、山村民に対して山林を造成することに意欲を持たせるような、何らかの財政的な措置というものは国家で早急にやるべきではないか。たとえば受益者負担の一つの具体的な例としては、大気浄化を山村は非常にやっている、緑の造成をやっている。そういう点で環境保全手当というふうな形でひとつやっていただきたい。 それから、いまこの木を切らなければならないと差し迫った民有林、山林農家なんかあるわけですが、そういった場合には、もう十年間待てばこの木はかなりいいものになる。これはやはり十年間待つことによって国家的な受益にもなるでしょうし、その十年間の待つ間の何らかの財政的な措置を講ずるような法的な根拠、財政助成といいますか、そういった法的な根拠もあってしかるべきでないかというふうに考えております。
○瀬野委員 どうもありがとうございました。以上で質問を終わります。
○佐々木委員長 神田大作君。
○神田委員 参考人の方には貴重な議論を承りましてありがとうございました。 時間がありませんから端的にお尋ねを申し上げます。まず喜多参考人にお尋ねしますが、森林が非常に荒廃しつつあるが、その一つの原因は、植林しても経済的に引き合わない、たとえば苗木あるいはそれを植える賃金、その他いろいろの面において植林が行なわれない。切れば切りっぱなしにしてそのまま荒廃していくというのが全国至るところにあるわけですが、こういう問題につきまして森林組合といたしましてあるいはまた国の施策といたしまして、どのようにこれを措置したならば植林がされ、日本の山林が守られるかということにつきまして、端的にひとつお尋ねを申し上げます。
○喜多参考人 山の荒廃の原因は、山に木を植えないからだ、切りっぱなしにするところが多いからだ、こういうお話でございましたが、実は私ども民有林の関係では、やはり自分の山はかわいいものですから、これはどんな犠牲を払ってでもぜひ植林を続けていきたいという気持ちで一ぱいなんです。おっしゃるような点ももちろんございますけれども、できるだけわれわれの手で山を守っていきたい。ただ、その場合に、御指摘のように、いろいろ経費が最近非常にかさみます。これじゃとうてい収支償わないという点もございますので、どうしても国に対しましていろいろな面からの援助をお願いしたい。端的に申し上げますと、たとえば再造林いたします場合の補助でございます。再造林補助はここ数年前はあったのですけれども、いろいろな関係で現在ございません。ございませんというよりも、ある特定の面にしかございません。全般的にはございません。これも一例でございますけれども、私どもはぜひそういったいろいろな面での国の御配慮をお願いしたい。 それからなお、特に申し上げたいのは、やはり労働力の問題でございます。労働力につきましては、当初申し上げましたように、私ども森林組合といたしましてはできるだけ林業者のお手伝いができるようにということで作業班を持っております。全国七万有余の作業班員がおりますけれども、この作業班員がきわめて恵まれない状況にございます。私どもは、この作業班員に社会福祉的ないろいろな措置、たとえば失業関係の問題にいたしましても手厚い措置をしていただくとか、失業保険は当然適用でございますけれども、あるいは労働者の失業手当と申しますか、林業労働者の共済制度、こういった点につきましても国のほうでひとつあたたかい御配慮もお願いしたい。いずれにいたしましても、労務者を保護することによりまして、かわいがることによりまして、労働能率はもちろん非常にあがりますし、私どもの林業面におきます活躍がうんとできるということでございます。こういった点の御配慮をぜひお願いしたい。この際お願いしておく次第でございます。
○神田委員 国が森林を守るためのいろいろな施策をいままでも行なっておったが、しかし、これは非常に手が届かない。現在において、森林所有者の犠牲のもとにおいて植林が行なわれている、こういう点に私は荒廃していく大きな原因があると思う。こういう意味合いにおきまして、森林組合としては、そういう問題を自分の手でできるだけ解決すると同時に、これは国家百年の計でございますから、植えた木が自分一代でもって切れるとは限らない。これは子供が切るとか、あるいは孫が切る、こういうような目先にすぐ利益が戻ってくるというものではない森林行政に対して、計画的な国の施策が必要であると同時に、組合としてもやはり計画植林、計画伐採というようなことを——計画しただけではだめなんです。いままでは計画倒れが多いと思うのです。これを実行するための努力が必要であると思うのでありますが、私はいまの森林組合の現状、全国的にはよくわかりませんが、いまの森林組合の力では力不足であるというふうに考えるのですが、そういう組合の力をつけるためにはどうしたほうがいいか、そういう計画伐採、計画植林というようなことに対しまして、有効適切な施策を遂行していくための組合としての体質、体制といいますか、そういうことにつきまして喜多さんはどういうふうな考えを持っておられるか、お尋ね申し上げます。これにつきましてはひとつ船越先生にもお願いします。
○喜多参考人 組合に力をつけろ、全く仰せのとおりでございます。私どもはできるだけ林業者のために仕事ができるようにわれわれ自体の力を養いたい、これはもう念願でございます。そこで、いまの姿ではとうていこれは十分じゃございませんので、できるだけ大型の組合、実力のある組合、これをつくってまいりたい。たまたまこの議案の森林組合合併助成法の点もございますが、森林組合が合併もし、いろいろな面で強くなりたい。そこで、この大規模合併、これは非常に重要な問題でございますが、いま直ちにそこまでいかないというふうな場合におきましても、森林組合間の仕事の協同でございますね、いわゆる協業といいますか、その形を進めまして、それでまとまった姿で仕事をひとつやっていこう、これならば弱いものでも強い姿でできるわけでございます。 いろいろくふうをこらしておりますけれども、これらにつきましてもいろいろな面から役所を中心といたしますいろいろな面でのひとつ御配慮も必要だと思うのでございます。私どもは、自分の力は自分で伸ばすということでございますけれども、同時に、やはりあたたかいこの面でのお力添えということもございますので、ぜひひとつこの際お願いいたしたいというふうに考えております。
○船越参考人 森林組合を具体的にどのように強化していくかということでございますけれども、確かに現在の森林組合が御指摘ございましたようなほんとうに計画的な施業、計画的実行というところまで十分担当できるかどうか。全部が全部おそらく担当できないにしても、現実の森林組合を見ておりますと、やはりそこは、あまり好きなことばではございませんけれども、組合は人なりということばがございます。どうも森林組合のいわば理事者の経営能力、組合人としての意欲、こういったものが末端レベルではやはり大いに問題なのではないかというふうに考えます。 それで、まず経営体制の問題としまして、組織を維持していく立場の機能、それから、変貌するいろいろな経済情勢に対応しながら、経営管理、マネージメントをやっていく機能、こういったものを同じ組合員の中から求めるということは案外とむずかしいことかもわかりません。したがいまして、場合によりましては、組合の経営管理、マネージメントを担当するような機能を外部からつぎ込むという手も一面ではあろうかと思います。 と同時に、先ほども申し上げましたけれども、やはり森林組合は一つの地域的団地として、広がりとして活動していくということに意味があるわけでございますので、地域の山林所有者、地域の組合員を結合していく結合能力と申しますか、そういう体制を整えていくことが大事ではなかろうか、このように考えるわけでございます。
○喜多参考人 ちょっと補足させていただきたいと思いますが、私どもはぜひこの林業者の多くの方々の御期待に沿えるようなものになっていきたいということで、少なくとも農協あるいはまた漁協等が握っておりますような信用事業あるいはまた共済事業等々もわわわれの手でやりたい。先ほどもいろいろ御意見ございましたけれども、やれる組合もあることはあるのです。また、そういう目標ができればその目標に向かって努力するわけです。いずれにいたしましても、私どもはそういう事業もかかえて大きく伸びたい。強くなることによってますます林業者の要請にこたえ、林業の振興に寄与するように進んでいきたいという念願で、はるか前々から、この信用事業、共済事業を含んだ幅の広い事業ができますような体質にぜひいたしたい、そういう意味での法律改正をお願いしてまいった、こういうことでございます。
○神田委員 次に田村参考人並びに森谷参考人には、日本の森林を守るためにたいへんな御努力をされ、また非常にうんちくあるお話を聞きました。 それで私は、この自然を守ることが非常に大切であるにもかかわらず、乱開発あるいは大資本による買い占め、山林というものあるいは土地というものが金もうけのためにあるいはまた企業を有利に展開するために無制限に利用されて、そして、さっき栃木県の話がありましたけれども、栃木県においては百十幾つかのゴルフ場ができる、あるいは現在六十幾つできておる、こういう常識では考えられないことが進行して、こんなにゴルフ場をつくってもしようがないから、それはもうつくらぬようにしようじゃないかという自然淘汰的なところにいくまで放任されておるというようなこの現状、これに対して政治的にあるいはまた法律的にこれをどうしても規制し、公益的な面を出していかなければならぬ、自然を守る立場に立ってもこれを規制しなければならぬ、こういうふうに考えるのでありますが、こういうような土地利用の問題、私企業のためにどんどん乱開発されるのを放任しておくというような現状に対しまして、どのような考えを持っておられるか、これは端的な話でございますが、お尋ね申し上げます。
○田村参考人 結局、山を、山林の資源を一つの換金物、金ですべて価値判断をするという風潮は、これは今日までありますし、今後も続くであろう。しかし、今日自然保護とか環境保全の住民の側からの強い要求もございまして、政府でも環境保全法なる法律を制定されたり、また文化財保護法とか、それなりに環境の保全に関する、ただいまの森林法もそうでございますが、あるわけなんです。しかし、それが今日なお縦割り行政の各官庁がばらばらにやっている。しかし、住民から見れば、文化財であろうと森林であろうと何であろうと、そこから受ける受益というものは一つなんですね。そういった縦割り行政というものを根本的に改めない限り、また同じ官庁がそういう環境の法律のもとにお互い足を引っぱっているという実例が各地にあるわけなんで、こういったことをまず一元化していかなければならない。私も先ほどから何度も申し上げておりますが、国土保全法とか国土環境保全法とか何らかのそういう一元化された法律というものがあって、しかもその役所も環境庁とか林野庁とか文化庁とか、そういった個々にあれするのではなくて、何か国土保全庁のような、保全省のような、相当の権限を持った役所にしていかない限りにおいては、今日のこういう風潮はまだまだ続くのではないだろうかというふうに考えているわけなんです。 もう一つその点忘れてならないことは、身近な自然というものが最近ようやく見直されてはきておりますが、ただ金にかえればいい、そういったものは非常に法律の対象になり、また学者先生方が、これは学術的に非常に貴重なものだ、世界にも例がないとか、そういったようなものに対しては文化財とかそういう法律を適用いたしますが、極端な話、街路樹とかこういったものに関してはまだはっきりした法体系ができてない。身近な自然というもの——原野とか川原の自然とかそういった河川敷の自然などの身近な自然に対してはまだ何らの法的な措置がない。こういうものを含めた、やはり環境保全法の一元化をはかることによって、自然の持つ公益的な機能に対する価値的な判断というものがもっと正しく評価されてくるのではないだろうかということを期待しているわけであります。
○森谷参考人 大体において田村参考人と同じ意見なんですけれども、いまの場合は、ただ森林がほかのものにかわるだけの問題で、土地そのものはなくならないのですね。ところが、御承知だと思いますけれども、栃木の岩舟山のように、文化的に、歴史的にも非常に貴重なところで、しかも植物も非常に貴重な植物があるのです。これは県内だけの問題じゃなくて、関東地方としても非常に貴重な植物があるのですが、山そのものが採石業者に取られておるのです。これは何とか法律で縛ろうと思っておるのですけれども、県の特に採石関係のほうは業者側にもうぴったりです。それでたまりかねまして、この前は通産省の採石係の課長さんに来ていただいたのですが、この方は比較的保護しなければならないということはわかっているようです。直接監督に当たる県のほうが一番だらしがないので、あらゆる機会をとらえてわれわれマスコミで訴えておる状況であります。法律の盲点をつくづく感ずる次第であります。
○佐々木委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 次回は明二十九日、水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十三分散会