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71回国会衆議院1973/06/06

農林水産委員会 第28号

発言数
245
登壇者
18
会派数
4
開催日
1973/06/06

会議録

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 これより会議を開きます。  漁船損害補償法の一部を改正する法律案、漁船積荷保険臨時措置法案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。櫻内農林大臣。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 漁船損害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  昭和二十七年に漁船損害補償法が漁船保険法にかわって制定されて以来、漁船保険の保険加入隻数は逐年伸長して現在十八万隻に、保険金額は四千百億円に達しております。これは、漁船損害補償法制定当初に比較いたしますと、加入隻数で約三・三倍、保険金額で約十四倍にも達しているのでありまして、この漁船損害補償制度が漁業経営の安定のため多大の寄与をしてまいったものと確信いたしている次第であります。  しかしながら、最近における漁船の大型化等漁業動向の変化に伴いまして、漁業者の保険需要は多様化しつつあり、これに対応してこの制度が円滑に運営できるようその改善をはかることが各方面から強く要請されているのであります。  政府におきましては、このような事情にかんがみまして、漁業及び漁船保険に関する学識経験者の意見をも徴して慎重に検討してまいりましたが、その結果、保険対象の範囲の拡大をはかること、保険の仕組みの改善をはかること、再保険段階に生じた剰余金の活用をはかることを旨として漁船損害補償制度の改正を行なうこととし、この法律案を提出することとした次第であります。  次にこの法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、保険目的の範囲の拡大であります。漁船保険の保険目的たるべき漁船は、現行は漁船法に規定する漁船となっておりますが、最近における漁業活動に使用する船舶の機能分化にかんがみまして、これに、新たに漁業活動に必要なその他の一定の船舶を追加することといたしております。  第二に、組合員資格の範囲の拡大であります。漁船保険組合の組合員資格を有する者は、現行は漁船の所有者となっておりますが、用船者の漁業経営の安定をはかるため、これに、新たに漁船の用船者を追加することといたしております。  第三に、漁船保険の仕組みの改善であります。まず、政府の再保険割合の改善でございまして、漁船保険組合の保険能力に応じて政府の再保険金額が適切に設定できるように措置することといたしております。  また、満期保険の損害保険料率及びその再保険料率の算定方法の改善をはかることといたしております。  第四に、交付金の交付でありまして、漁船保険事業の健全な発達をはかるため、昭和四十八年度において、国の再保険特別会計に生じた剰余金のうち三十五億円を漁船保険中央会に交付することといたしております。  このほか、漁船保険組合等の組織関係規定の整備等所要の改正を行なうことといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  漁船積荷保険臨時措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁業の生産手段たる漁船につきましては、政府は、漁船保険制度を通じて、その損害の復旧と適期における更新をはかることにより、漁業経営の安定のため多大の寄与をしてまいつたことは御承知のとおりでありますが、近年における漁場の遠隔化、漁船の大型化等に伴って漁船に積載する漁獲物等の積み荷価額は増高する傾向にあり、航海中の事故によるこれら積み荷の損失は、船体のそれと同様に、漁業経営に重大な影響を及ぼすようになってきておりまして、漁船の積み荷についての保険制度の創設が強く要請されるに至っております。  このような事情にかんがみまして、政府は、昭和四十二年以来積荷保険の制度化につき種々検討を続けてまいりました。しかしながら、漁船に積載する漁獲物等の積み荷につきましては、保険制度を樹立するのに必要な諸種の資料がなお十分整備されていない状況でありますので、漁船積荷保険の全面的な制度化をはかるための準備として、まず、試験的に保険事業を実施し、保険料率算定のための基礎資料の収集、損害の評価等事業運営上の諸問題の険討を行ない、その成果に基づいて適切な損害保険制度の全面的な確立をはかることとしようとした次第であります。  以上がこの法律案を提出する趣旨でありますが、以下その主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、漁船積荷保険の対象とする積み荷につきましては、漁船に積載した漁獲物等といたしております。  第二に、事業実施主体につきましては、農林大臣の認可を受けて、漁船保険組合が漁船積荷保険事業を行なうことができることとし、これに必要な手続を規定いたしております。  第三に、漁船積荷保険の内容につきましては、漁船に積載した積み荷につき、滅失、流失、損傷等の事故により損害が生じた場合に保険金を支払うものとし、保険期間、純保険料率、てん補責任等につき所要の規定を設けることといたしております。  第四に、漁船保険中央会は、農林大臣の認可を受けて、漁船保険組合が漁船積荷保険事業によって負う保険責任にかかる再保険事業を行なうことができることとし、これに必要な手続を規定いたしますとともに、その再保険契約は元受けの保険契約が成立すると同時に当然成立することといたしております。  このほか、漁船積荷保険事業及びその再保険事業の適正かつ円滑な運営を期するため必要な国の援助規定その他の規定を設けることといたしております。  なお、この法律は、昭和四十八年十月一日から施行し、この法律が漁船積荷保険の試験実施のための臨時措置法であることにかんがみ、その施行日から五年以内に別に法律で定める日に失効することといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  水産業協同組合は、漁民及び水産加工業者の経済的地位の向上と水産業の生産力の増進をはかることを目的とする漁民及び水産加工業者の協同組織として、昭和二十四年に発足し、以来、わが国経済及び水産業の推移、発展とともにその活発な活動を展開してきたところであります。  しかしながら、近年における水産業をめぐる諸条件は、漁場条件の悪化、労働力の逼迫等きわめてきびしいものがあります。これら諸条件の変化に対処するとともに、増大する需要にこたえて水産物の供給を確保していくため、水産資源の開発の促進、漁業経営の近代化等のための諸施策を強力に推進しているところでありますが、これとあわせて漁業協同組合等の機能を拡充強化し、その健全な発達をはかることが必要であると考えるのであります。特に、最近における漁民、水産加工業者等の事業活動は広域化、多様化してきており、これらの事情に対応して、その事業活動の円滑化をはかるためには、漁業協同組合等の金融機能を拡充し、一そう活発な経済活動を行なうことができるように措置する必要があると思うのであります。これがこの法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、貯金等の受け入れの事業を行なう漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会が、新たに内国為替取引をすることができるようにすることといたしております。  第二に、信用事業を行なう漁業協同組合及び水産加工業協同組合が、新たに手形の割引をすることができるようにすることといたしております。  第三に、信用事業を行なう漁業協同組合、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会が、新たに農林中央金庫等の業務の代理をすることができるようにすることといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 以上で各案の趣旨説明は終わりました。  次に、各案について補足説明を聴取いたします。荒勝水産庁長官。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 ただいま大臣から提案理由の説明を申し上げましたが、私から補足説明をさせていただきたいと思います。  漁船損害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  まず第一に、保険目的たるべき漁船の範囲の拡大であります。  現行法上漁船保険の保険目的は、漁船法に規定する漁船とされているのでありますが、漁業活動に必要な船舶の中には鮮魚の運搬船や給油船等漁船法の漁船には該当しないものが存するという実態にかんがみまして、これらのうち政令で指定するものを漁船保険に付することができるようにしようとするものであります。  第二に、組合員資格の範囲の拡大であります。  漁船保険組合の組合員たる資格を有する者については、現行法はこれを漁船の所有者に限定しておりますが、漁船を他人から賃借して漁業を営む、いわゆる用船者が存することにかんがみまして、用船者にも組合員資格を付与し、その経営の安定をはかろうとするものであります。また、これに伴いまして、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  第三に、漁船保険の仕組みの改善であります。  まず、政府の再保険割合でありますが、現行法上は、満期保険の積み立て部分については十割、他は一律九割とされておりますものを、漁船保険組合の保険能力に応じてその元受け責任部分を現行の割合より拡大することができるよう、所要の改善をいたしております。  次に、満期保険の普通損害保険部分の純保険料率の算定方法の改善でありまして、現行法上は、純保険料率は保険料期間を経過するごとに逓減する複雑な方式を採用しておりますが、漁業者にわかりやすくし、かつ、漁船保険組合の事務の簡素化をはかる観点から、その純保険料率を各保険料期間を通じて一定率とする平均方式に改めることといたしております。  第四に、漁船保険組合及び漁船保険中央会の組織関係規定の整備であります。まず、漁船保険組合の事業経営基盤の強化をはかるため、地域組合の区域を都道府県の区域としないことができることとし、その合併の道を開くとともに、漁船保険組合の総代会において合併の議決をすることができることといたしております。  また、組合等の管理運営の円滑化に資するため、組合の総代選挙の手続の簡素化をはかることといたしております。  このほか、漁船保険中央会の役員の選出について総会における選挙によるほか、選任によってもできるようにする等所要の規定の整備をいたしております。  第五に、国の特別会計に生じた剰余金の活用についてであります。  国の再保険特別会計においては、漁船の安全性能の向上、保険加入隻数の増加による危険の分散、異常災害発生の減少等により現実の危険率の低下の度合いが料率算定の基礎となっている過去の実績危険率のそれよりも大きいため、過去数次にわたる再保険料率の引き下げにもかかわらず、多額の剰余金が累積しております。  このため、すでに生じた剰余金につきましては、国の再保険経営上必要な準備金を留保した残額である三十五億円を漁船保険組合の上部指導団体である漁船保険中央会に対し、その行なう漁船保険の振興のための事業の財源に充てるため、交付金として交付し、漁船保険事業の健全な発達をはかろうとするものであります。  なお、このほか、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  以上をもちまして漁船損害補償法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。  次に、漁船積荷保険臨時措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  この法律案は、全五章及び附則からなっておりますが、まず第一章におきましては、この法律案の趣旨と定義とを定めております。  この法律は、試験的に漁船保険組合が漁船積荷保険事業を行ない、漁船保険中央会がその再保険事業を行なうことができることとする等必要な措置を設けることによって、漁船に積載する漁獲物等につき適切な保険制度の確立に資することをその趣旨としております。  また、漁船積荷保険は、漁船に積載した漁獲物等の積み荷につき滅失、流失、損傷等の事故により生じた損害をてん補する保険でありまして、その対象とする積み荷は、農林省令で定めることとしておりますが、当面は漁獲物及びその製品、餌料並びに燃料とすることを予定しておりますとともに、これを積載する漁船につきましては、漁船保険との均衡上総トン数千トン未満の漁船に限定いたしております。  第二章におきましては、漁船保険組合の行なう漁船積荷保険事業につきまして、その実施の手続と事業の内容を定めております。  実施の手続といたしましては、漁船保険組合が漁船積荷保険事業を行なおうとするときは、総会の議決を経て、事業の基本となる漁船積荷保険事業計画及び漁船積荷保険契約款を定めた上、農林大臣の認可を受けなければならないことといたしております。  次に、事業の内容でありますが、漁船積荷保険が物的保険であることから被保険者は積み荷の所有者といたしますとともに、事業実施主体が漁船保険組合であること等にかんがみ、保険契約者を漁船保険組合の組合員に限定する等所要の規定を設けることといたしております。  第三章におきましては、漁船保険中央会の行なう再保険事業につきまして、その実施の手続と事業の内容を定めております。  実施の手続といたしましては、漁船保険中央会が再保険事業を行なおうとするときは、総会の議決を経て漁船積荷保険再保険約款を定めた上、農林大臣の認可を受けなければならないことといたしております。  次に、事業の内容でありますが、再保険契約は、漁船保険組合段階において保険契約が成立したときに当然成立することをたてまえとして、所要の規定を設けることといたしております。  第四章におきましては、国の援助、印紙税の非課税措置等について規定いたしております。  第五章は、罰則に関する規定であります。  附則におきましては、この法律案の施行期日及び失効について定めております。  この法律は、昭和四十八年十月一日から施行し、その日から五年をこえない範囲内で別に法律で定める日に失効することといたしております。  以上をもちまして、漁船積荷保険臨時措置法案の提案理由の補足説明を終わります。  水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一は、貯金等の受け入れの事業を行なう漁業協同組合等に内国為替取引を行なわせることについての改正であります。現在、水産業協同組合は、内国為替取引を行なうことはできないのでありますが、近年、漁獲物の県外水揚げ代金の送金手段として為替取引の需要が増大していること等にかんがみ、新たに、貯金等の受け入れの事業を行なう漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会が内国為替取引を行なうことができるようにすることといたしております。  第二は、信用事業を行なう漁業協同組合等に手形の割引を行なわせることについての改正であります。現在、信用事業を行なう漁業協同組合連合会及び水産加工業協同組合連合会は、手形の割引を行なうことができることとされておりますが、近年、水産加工業者、遠洋漁業者等を中心として販売代金を手形で収受する機会が増大していること等にかんがみ、新たに、信用事業を行なう漁業協同組合及び水産加工業協同組合についても、手形の割引を行なうことができるようにすることといたしております。  第三は、信用事業を行なう漁業協同組合等に農林中央金庫等の業務の代理を行なわせることについての改正であります。現在、信用事業を行なう漁業協同組合連合会は、農林中央金庫等の業務の代理をすることができることとされておりますが、第一で申し述べました内国為替取引の円滑な実施をはかる等のため、新たに、信用事業を行なう漁業協同組合、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会についても、農林中央金庫等の業務の代理をすることができるようにすることといたしております。  以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 以上で各案の補足説明は終わりました。     ―――――――――――――

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 ただいま水産三法の提案理由の説明がございましたが、水産三法の法案の内容について質疑に入ります前に、漁民の実情、漁業の実態というものを明らかにする立場で、特に私は環境汚染が漁業と漁民にどう影響しておるか、こういう立場で最初質問を申し上げたいと思います。  水協法も提案されておるわけでございますので、まさにこの環境汚染は漁協にとっても死活の問題であるわけでございますので、最初その点について質問をいたします。  まず、最近の新聞で、あるいは調査で農林大臣も十分第三の水俣病については御承知と思いますけれども、まさにこのことは私は漁民の死活の問題だろうと、こういうぐあいに思いますし、さらに私はこのことによって、放置しておきますならば、日本の沿岸漁業というのは壊滅をする、こう言っても過言ではないと思います。このことは単に水俣病ということばでもって不知火海、有明海と限定されたような印象もありますけれども、私は決して不知火海、有明海だけの問題ではなしに、日本列島全体の問題であろう、こういうぐあいに思います。まさに日本列島は水銀の汚染だとかあるいはPCBの汚染だとか、こういうことで海は死につつある、こう言っても過言ではございませんし、まさに人間も死んでおるわけですから、このまま推移するといたしますならば、日本列島は人間が住めなくなる廃墟と化する、こういうことだって私は決してオーバーな表現ではないのじゃないか、こういうぐあいに思います。まず農林大臣に海の汚染の現状認識といいますか、そういう大臣の認識をお伺いしておきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 ただいま御質問の中で触れられましたように、現在の日本の周辺の水域におきましての公害の度合いというものは著しいものがあると思うのであります。これには臨海工業地帯の関係あるいは都市への人口の集中、そういうことから公害問題を起こしておると思います。しかもその公害の中でお話しの水銀あるいはPCB等による汚染が、これらの汚染による漁獲物を摂取することによりまして、人間の生命に大きな影響があるということがいろいろの角度から指摘をされておることを考えまするときに、一そうこの公害問題に対しての細心の注意を払わなければならないと思うのであります。  そういうことで、農林省といたしましては、特に最近のPCB汚染について十四水域について精密な調査を行なったのでございますが、またいま御指摘のございました水俣病につきまして、最近の調査によって第三水俣病が指摘されるというような事態は、まことにゆゆしいことでございまして、今後一そう公害問題につきまして農林省としての立場からも真剣に取り組んでいかなければならない、かように考えておるのでございます。  現在、汚染された魚介類の漁獲の規制について漁業法上の規定がないということにつきましては、関係各省庁と早急に検討しなければならない重要な問題であると思うのであります。しかし、漁業法上の規定はございませんけれども、御承知の水銀については、厚生省の水銀による環境汚染暫定対策要領により、またPCBにつきましては、同じく厚生省の食品中に残留するPCBの規制によりまして、汚染の調査をいたし、その結果により、必要に応じて自主的な漁獲規制を行なっておるという状況でございますが、私としては、現行のこれらの規定からさらにもう一つ突っ込んだ方策を考えていかなければならないのではないか、そのために今後緊密な連絡を関係各省庁ととってまいりたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 現状が非常に重大な問題であるという認識は大臣も持っておられるようでございますが、私はやはり、ここまで来たということについては、これは農林大臣だけじゃございませんけれども、政府全体として、大企業優先、産業の高度成長政策をとり続けてきた、こういう政府の責任というのは非常に重大ではないか。さらに、企業の社会的責任というものを重要視しない態度というものが、やはりこういうところにまで来たのではないか。さらに、そのつどそのつどの行政の手の打ち方もやはり不十分ではなかったのか、こういうぐあいに思います。だから、現状が非常に重大だということを認識されるのは当然のことでございますが、過去の行政の不十分さというものの責任を感じ、二度と再びそういうあやまちはおかさない、こういう強い行政態度というものが必要ではないかと私は思います。過去の責任を逃避するようでは今後の対策もできないわけでございますし、そういう意味で、ここまで来た行政の責任ということについて大臣はどうお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 高度成長経済に対する御批判があり、またこれに対して私どもも反省をしておる、また企業自体の認識のいかんという点を御指摘になりましたが、企業側においても社会的責任の不十分な点が多々あったと私も思います。そういうことから、公害対策と申しましょうか、環境保全と申しましょうか、この対策といたしましては、この四、五年の経緯をごらんいただきまするならば、公害立法を政府の提案により、皆さんの御協力のもとに、国際的に見ても相当レベルの高いものが順次成案を見てまいったのでございまするから、この公害に対して問題がある、必要があるという認識には立ったと思うのです。  しかしながら、いまお話しのような日本の経済の実態とかあるいは企業の認識というものがそこに伴ってきておったかどうかということを考えまするならば、その辺はきびしく批判を受けなければならないと思うのでございまして、現行法はもとよりでございまするが、何と言っても、人間の長い将来に重大な影響のある公害問題であり、環境保全であるのでございまするから、もう行き過ぎるということはないのでありまするから、その点われわれとしてもでき得る限りの措置を講じていく、こういう考え方に立っておるわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 いま大臣の、公害対策については行き過ぎることはない、こういうことばを聞いて心強く思うのですが、しかし、その前のことばの中に、公害立法もやったということをおっしゃいまして、これも一定の前進であったと思うのですけれども、私はいまの段階で、さきに公害立法がたくさんできましたが、これをやはり全部洗い直す必要がある、あれではどうにも公害は防げないというような事態に来ておるのじゃないかと思うのです。これは単に農林大臣だけの所管でありませんし、各省庁関係しておるわけでありますが、この公害の各法律をこの際やはり洗い直さなければならないようなところまで来てしまっておる、そういう時期なんだ、状態なんだ、このことについては大臣は行き過ぎはないとおっしゃいましたけれども、そういうことも入っておるのですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 農林行政の立場から考えまするときに、農業、林業、漁業ともに自然の貴重な資源を対象にしての行政でございます。そしてこめ貴重な資源が長い将来にわたって人類の上に役立たせしめる、こういうことを考えていきますときに、ただいま御指摘の公害立法は、当時いろいろな現象面から考えての対策、施策が中心であったと思うのであります。それからさらに突っ込んでの、いまのような、もっと高度な考え方に立っての見方というものも必要である、特に農林漁業の上からいたしますると、これは急務だと思うくらいに感じておる次第でございまして、そういうような点からの検討ということにつきましては鋭意努力をいたしたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 具体的な質問に入りますが、まず漁業の補償問題を中心にしてお尋ねしたいと思います。  質問の中で、農林省関係の所管でないようなものも出ますが、そのときには適宜環境庁なり厚生省なり通産省なり運輸省、該当の人が答弁をしていただきたいと思うのです。  第一の水俣病が発生したあともそうでございましたが、特にいま第三の水俣病が熊大の研究によって発表されて以来、率直に言いまして、漁民を中心にして、さらに住民もたいへんなショックを受けておるわけです。そうしてさらに言いますならば、たいへんなことだ、どうしていいかわからぬというのが現状ではないか、漁業の面におきましても、生活の面におきましても、健康の面におきましてもそういう状況です。住民が、国民がこのように不安と動揺にショックを受けておる、こういうときにこそ国は最大限の行政の力を発揮して、その不安、動揺をなくするというのが国の責任であろう、私はこういうぐあいに思います。  具体的に申し上げますと、第三の水俣病が発表されまして以来、魚はほとんど売れなくなった、こういう状況であるわけです。たとえば熊本市の魚屋さんに、当店では有明海の魚介類は売っておりませんという、こんな大きい張り紙が実は出ているわけです。そうしてその張り紙が出ておる中でも、熊本市内でさえお客の足が二割も三割も減った、そうして売り上げも四割も減っておる。こういう状況も出ておりますし、さらに水俣市におきましては、魚屋さんの売り上げは四分の一に実はいま減っている、こういう状況もございます。さらに漁民が生活のかてとして魚をとるということ自体にも問題がございますし、とれた魚が売れない。売れたにいたしましても、一つの例ですけれども、エビナという魚がとれますけれども、大体キロ五十円から六十円しておったのです。それが水俣病のあの発表によりまして、二十円か三十円に下がっておる、こういう実情もございまして、漁民ですから魚をとりたい、売らなければ食えない、まさに生活が破壊されておる、こういう状況も出てきております。さらに貝類にいたしましても、有明海の、国道五十七号線があそこを通っておりますが、その付近では、シーズンになりますと潮干狩りが行なわれるのです。毎年大体七百台ぐらいの自動車で、貸し切りバスで潮干狩りなんかに来ておる。ところが、ことしは現在までまだ六台しか来ておらない、こういう状況もございますし、有明海でとりました貝なんかを立ち売りしておるのですけれども、大体車が十台通りますと、数台は立ちどまって貝を買っていった。ところが、いまは、百台通っても一台ぐらいしか貝を買わない、こういうような状況が起こっておるわけでございます。そして魚屋さんにとってみますと、有明海の魚じゃなしに、よそから持ってきた魚も実は値が下がり、売れない、こういうような状態になっておるわけでございますし、テレビでも御承知のとおりに、あの天草の海は、藍より青い、日本の中で生きておる海の数少ない中の一つだ、非常にきれいな海、おいしい魚ということで観光客もたくさん来ておったわけです。ところが、その観光客もほとんど来ない。こういう状況の中で、市や町の産業の発展ということにも甚大な打撃を受けておるわけです。  これらについて、当面、まさに悲惨、破滅の状態ですから、国や県が行政の力で、この苦しい漁民の状態、地域の実態というものを一日も早く救済しなければいけない、こういうぐあいに思います。これについて大臣並びに関係方面の御答弁をまず原則的にお伺いしておきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 第三水俣病の発表後における各方面に対する甚大な影響は、ただいま馬場委員の御指摘のとおりに認識をしておるわけでございまして、地域住民の皆さんやまた関係産業に従事されておられる方々の不安、あるいはこれからどうしていったらよいかというような点、非常にいろいろな問題が錯雑としてあると思うのでございまして、この点農林行政の責任の衝にある私としても、ただことばでお気の毒であるとか何とかしなければならぬとかということでない、ほんとうにこれはたいへんな異常なことである、このように認識をいたしております。  そして、その対策につきましては、熊本県と国との間に水も漏らさない緊密な連絡の上に立って、一つ一つの事象に対応していく必要があるではないか。したがいまして、いまここでこういう金融措置をするのである、あるいは被害を受けた方々の債務について、いろいろ償還についての条件緩和とか延長するのであるとか、いろいろ対策の立てられるものが幾つかございまして、それぞれ対策は立てておるのでございまするが、これは必要に応じてお答えを申し上げまするが、ただそれを言っただけで、それで皆さんの不安感を除去することができるのかどうか、その辺は非常に問題があると思うのであります。  ただ、私としては手の打たれること、対策の立てられることは逐次これをやりながら、そして非常な事態というものを何とかして打開していきたい、こういうふうに思う次第でございまして、たいへん抽象的ではございますが、いまここで何か二、三のものを羅列して申し上げるよりも、一応われわれの心がまえを申し上げてお答えにしておきたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 農林大臣の気持ちはわからぬでもないのですけれども、当初申し上げましたように、もう漁民は火がついて死活の問題、住民の死活の問題なんですよ。水も漏らさぬように県と話をしてとか抽象的にお答えをしておきますとかと、そういうことでは話になるような状態じゃないのです。私は、農林大臣もあるいはその他の関係各省庁の大臣も、我田引水になるかもしれませんけれども、公害の原点ですから、日本じゅうのモデルとして夜も寝ずに緊急に対策をする。大変災、大災害が起こったんだ、それに対して不眠不休で対策を立てる。そのくらいの気持ちで取り組んでいかなければいけないのじゃないか、こういうぐあいに思います。そういうことで、いまちょっと言われましたけれども、今度は具体的に一つ一つ聞きます。  まず、漁民が漁業をするということは、結局生活の問題であり、自分の命を守る問題であるわけです。だから、私はまず基本として命の問題、健康の問題というものから入っていきたいと思うのですが、とにかく汚染された海、あぶないという海、疑わしき海、こういうものはやはり漁業を禁止する必要があろう。生活の面はあとでまた質問いたしますけれども、そういうことを思います。  そこで、漁業の禁止の権限というものはだれにあるのか。私の調べた範囲では、いまの法体系では、漁業法では禁止できないようになっているようであります。熊本県知事もその点については法律上の問題で非常に悩んでおるということも聞いております。だから、禁止の権限はだれにあるのか。ないとすれば、やはり現行法律を変えて、命にあぶないというような海の漁業を禁止するという措置をとるべきである、こういうぐあいに思いますが、いかかですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 ただいま御指摘になりましたように、汚染された魚が当然そこに存在するということが明らかになっておりましても、現在の水産関係の諸法規をもっていたしましては、それを禁止するということになっておりません。そういう規定が実は設けられていないわけでございます。  それで、今度の水俣の水銀のような事件の場合を見ましても、知事の考え方といたしまして――そういった禁止は法律的な権限はない、しかし、御存じのように、食品衛生法によりまして厚生省がそれぞれ基準を設けられておりまして、この基準を越えたような魚が販売されるというような場合には、それぞれの時点におきまして販売の禁止措置が行なわれるというようなことから、結果的には遡及してそのような魚をとっても売れないというようなことから、自然ととることができないようなかっこうになっております。これは漁民の方にとっても、また行政機関にとりましてもきわめて不備でございますので、暫定的な一つの経過措置といたしまして、知事と関係の地域の漁業協同組合あるいは漁民の方々との間で、実際的には自主的な、自粛的な形で操業の停止という形で実際問題が行なわれているわけでございます。これにつきましては、水産庁といたしましても、現在の漁業法が振興ないし紛争の調整、漁業調整というふうな形で法体系ができ上がっておりますので、この法体系がそういう意味でこういう事態を想定していなかったということにつきましては、当時の立法の経緯等からいたしまして、当時はそういう事態がなかったものですから、あまり考えてなかったようでございますが、今後の問題といたしまして、われわれといたしましても、まさにこの法の不備といいますか、やはり盲点を突かれたような形になっておりますので、これについては早急に何らかの形で検討をさしていただきたい、こういうように考えている次第でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 ただいま、現行漁業法を改正をするか、あるいは新たな立法をつくるかどうかは別として、そういう汚染された海の漁業を禁止する、こういうことは検討するというようなことをおっしゃったわけですが、いまの発言の中で私はやはり現状認識が非常に足らないと思うので、これは農林大臣にも言っておきたいのですが、やはり現地に行ってみなければわからないのですよ。だから、私はこの際、農林大臣も水産庁長官も、この農林水産委員会の委員長にもお願いしておきたいのですが、農林水産委員会としても現地調査をする、さらに農林大臣も水産庁長官も現地に行って実情のなまなましさを見てくる、こういうことを対策としてとるべきであろう。これは農林水産委員会のことは内々委員長にもお願いしてあるわけでございますが、ぜひ検討していただいて調査団を派遣してもらいたい。それから農林大臣も水産庁長官もぜひ現地に行っていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、いまの御答弁の中で、たとえば食品衛生法によりまして結局販売を禁止する、そうすると、とったのが売れない、自然に規制になってくる。こんなばかげた話は私はないと思う。そのことは、漁民に死ねということです。必然に魚をとらなくなるだろうということは、漁民に死ねということと同じです。そういうような考え方では私はいけないと思うのです。少なくとも、あとで申し上げますけれども、結局、生活がかかっているし、命がかかっているのですから、禁止するときには生活を保障する、命を保障するという補償を出さなければ、だれでもとるのです。だから、これこれの非常にいい補償を出すからという背景のもとに禁止しなければならないわけなんです。食品衛生法で売れなくなったら自然にとらなくなるだろう、こういうような考え方は大いに間違っていると私は思いますので、その辺についてはさらに、ことばが舌足らずだったのかどうか知りませんけれども、再答弁をお願いしたいと思います。  さらに厚生省に聞きますが、食品衛生法によって、水俣の、有明の魚というのは販売禁止になっているのですか、なってないのですか、その辺もお聞きしたいと思います。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 食品衛生法におきましては、販売の用に供するものが規制の対象になっております。規制の対象になります営業におきましても、水産業あるいは農業における採取はこれを含まないという規定になっております。したがいまして、食品衛生法によりまして基準をつくりましても、これは販売の用に供するものに規定がかかるということになるわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 それでは、食品衛生法でもっても販売を禁止することはできない、こういう現状の法体系になっているわけですね。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 販売の用に供する食品につきましては、規制の対象になります。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 具体的に、水俣、有明の魚はどうですか。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 有明海あるいは水俣湾の魚につきましては、食品衛生法に基づきまして販売の禁止という措置は現在とっておりません。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 さらに、農林省として、水産庁として、あるいは厚生省でもいいのですが、魚獲の自粛、とった魚の廃棄処分、こういうような行政指導をなされたことがあるのかどうかということについてお伺いしたいと思います。  さらに、先ほどの継続ですけれども、魚獲禁止、販売禁止、こういうような立法措置あるいは法改正というのも検討しなければならない、こういうぐあいに言われましたが、先ほど私も言ったのですけれども、それだけでは片手落ちでございます。当然、魚獲を禁止する場合には補償というものがない限り、漁民の生活は浮かばれないわけですから、さらに今後検討されます内容としてお聞きいたしますが、漁業を禁止する、販売を禁止するというときには、必ず補償というものをつける、そういう方向の法体系の改正あるいは特別立法というものをしなければいけないと私は思います。そういうことについて、今後特別立法なり法改正のときに、禁止をするというときには必ず補償をつける、そういうような方向でやるのかどうか、まずお伺いしておきたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私たちのほうでいままでにどういう形で魚獲についての規制なり禁止の措置をとったかという、まず第一点の御質問でございますが、正確な日付等はちょっと存じませんが、最初、第一の水俣病が出ましたとき、あるいは新潟県で第二の水俣病が出ましたときに、結果的には、やはり漁業法の適用がない。しかし、そういう汚染されたる魚を販売するということは非常に危険であるという観点から、当時の水産庁といたしまして、それぞれの知事さんと御相談申し上げまして、極力自粛といいますか、自主規制という形で当該漁業協同組合とお話し合いを願いまして、実際の漁獲の禁止といいますか、漁獲をしないという対策がとれるようになったようないきさつがございます。  そのときからの問題でございますが、では、その禁止の補償はどうなのかということでございますが、御存じのように、政府の従来からの一つの考え方でございますが、原則として原因者負担の原則、補償についてはそういう形で、大体原因者がはっきりしております場合には、そういった補償につきましては原因者のほうにその経費を支弁していただく、こういう形に行政的にはなっておるわけでございます。しかし、それではなかなか世の中の社会的な問題の大きさ等からして、全部原因者ということについてのいろいろな問題が出てまいりまして、人間の健康にかかわる被害につきましては、政府としましても何らかの形で、最近の諸立法あるいは諸対策といたしましても、国として助成、援助を行なうというふうになってきておる経過がございます。しかし、生業補償ということにつきましては、依然としまして、環境庁を中心としての政府部内での検討でございますが、従来からの姿勢として、生業補償については、あくまでこれは原因者負担の原則ということで行なわざるを得ないということで、こういう形でただいま実施しているわけでございまして、今回の水俣の場合におきましても、知事との御相談の上で、さしあたりは原因者の負担の原則という形でいかざるを得ないのではなかろうかという考え方に立っておるわけであります。  しかし、実際問題といたしまして、今後こういった広範な一つの社会不安というふうな形の中におきまして、どのような形で生業についての補償をするかということにつきましては、非常に論議を内部でも呼んでおりまして、一がいに一切しないという話ではございませんけれども、またするというふうな形での政府の内部の問題として方向づけがまだ正確にはないというような段階になっておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 第一水俣病が出たときに、自主規制というものを県と相談しながら指導したというお話がございました。それもPPPの原則でもって原因者が補償する、こういうことだったと言われましたけれども、私は地元ですからよく知っていますけれども、あのとき水俣とか不知火海岸の漁協の人たちは、これは正確な数字は忘れましたけれども、三十億くらいの補償を要求した。ところが、年の瀬も押し詰まった十二月に、一銭の金でもほしいというときに、たぶん私の記憶ではチッソから一億くらいの補償金しか出ていない、こういうことだったろうと私は思うのです。そうしますと、規制はされたわ、被害が三十億あるいはそれ以上あったのに、一億くらいの補償しか出てこない。これでは踏んだりけったりなんですよ。この辺については私は指導というものが不十分であったのじゃないかということをいま思います。これについても水産庁の御見解を聞きたいと思います。  それから、今後健康被害については国が補償を入れるけれども、生業被害についてはいま政府部内で検討中だ、こういうようなことをいまおっしゃいました。当然私は、生業の被害というものについても、禁止する以上はやはり法律の中できちんとはっきりうたうべきだ、こういうぐあいに思います。  原因者負担と言われますけれども、あとでもちょっと申し上げますけれども、今度の有明海の場合原因者がまだわからないのです。だのに、もう現在売れなくなって困っているという状況もございますし、そういう原因者がわかる前の段階ということでもございますから、やはり法律の中で、漁民が困った、直ちに補償というものが何らかの形で出るというような法律をぜひつくっていただきたい、こういうぐあいに思いますが、それについていま一たび、さっきの第一次のときのチッソの補償額の問題について行政指導の不十分な問題、いま法律をつくる場合の考え方、再度答弁を願いたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、この公害の問題につきましては、生業につきましては、あくまで政府部内の一つの論議といたしましては、原因者負担の原則ということが非常に強い姿勢で行なわれておりまして、今回私のほうで発表いたしましたPCBの汚染個所の水域につきましては、県と協議の上、ほぼその汚染地区につきましては漁獲の実質的な禁止という形でもうすでに実行されておるわけでございますが、それにつきましても原因者が相当わかってきているものにつきましては、やはり県といたしましても原因者負担の原則ということで、補償の経費につきましては企業の側で支払うということで進めておるような段階でございます。  しかし、この公害の問題につきましては、いろいろと単に一つの原則だけで問題を律することができないような事例が、今回の第三水俣のような場合もありますし、今後もまたあるいはそういった公害等も予測されますので、それらにつきましては、重ねての御質問でございますが、政府部内におきましても論議を現在呼んでおるというふうに御理解願いまして、私から本日ここで、一事務当局として、こういう方針に何とかしたいというふうなことが、関係各省みんな関連した問題でございますので、なかなかはっきりした答弁がいたしかねますけれども、これらにつきましては、なお政府部内でも今後とも非常に激しい内部的な議論を行なわざるを得ないのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 先ほどから私はくどく漁民は死活の問題だと言っているのですよ。まさにどろぼうを見てなわをなおうかなうまいかといういまの論議であります。片一方は生きるか死ぬかという状態のときに、いまどろぼうなわで、どろぼうを見てなわをなおうかなうまいか、こういうような話というのは、非常に私は行政の怠慢だと思うのですよ。だから、論議を呼んでおるというならば、水産庁はどう考えているのかということについてちょっとお伺いしたいのです。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 政府部内でまだ何も議論が行なわれていない場合におきましては、当然水産庁のことだけの立場ではっきりものが申し上げられるのでありますが、もうすでに非常に激しい論議を呼んでおりまして、私のほうの立場といたしましては、御指摘のとおりでございまして、まさにこういう漁民が非常にひどい被害を受けている現状におきまして、当然何らかの形で政府としてめんどうを見なければならないのではなかろうかということにつきましては、強い姿勢は持っておりますけれども、ここの席ではどうもまだ政府部内の統一的な見解というものが申し上げられない。これはもう当然に金銭的な財政負担を伴うものであります関係もありまして、なかなかそういうことにつきましてまだ明確な答弁がいたしかねるということを申し上げている次第でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 では、具体的に聞きます。第三水俣病の発表がありまして、あとその武内研究班の発表の中にこう書いてあるのです。水俣湾内外の魚介類は現在も最高〇・四四〇PPMのメチル水銀汚染があり、毎日二百グラム以上摂取したら発症する。これが武内第二次調査団の発表にあるのです。そういうことがありましたものですから、現在すでに水俣湾では漁協が自主規制をやっております。そうして自分たちで規制区域をつくり、危険区域を赤色のブイを浮かしまして示し、さらに漁船を二隻出して二十四時間監視をしておる。こういう自主規制を実は水俣湾ではやっております。これについて熊本県と相談して、チッソからこの分の金は取ってやるんだ、補償してやるんだということになっているのか。あるいは現在自主規制をやっておられる方々の補償というのはどうなっているのか、国はどう指導しておるのか、具体的にお聞きします。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 先般この件につきまして、知事と直接お会いいたしまして御相談申し上げたいきさつはございます。知事のほうでもこの問題について四点ほど水俣問題を契機として御希望がございまして、第一点が水俣の問題に関する生業補償といいますか、補償の問題をどうするか、それから融資の道をどうするか、それからさらに、あの地区につきまして海を浄化するといってもなかなか時間もかかることだしするので、それについて漁業の中でも構造改善的な仕事の中で新しい漁業振興を行なっていきたいという御希望、それから第四点といたしまして、いつまでも水俣周辺だけで漁業をすることもなかなか不可能なので、さらに場所を変えた漁業の許可を出すように水産庁としても検討してもらいたいということ、それから、これは水産庁とは関係ございませんが、あの辺の広範なしゅんせつもしくは埋め立て事業を行ないたいので、これについても協力願いたい、こういうふうな話でございました。  これらにつきましていろいろ御相談申し上げたのですが、さしあたり……(馬場委員「小さいことはあとで聞くのだから、問題は、いま自主規制しているのに対して補償はどうしているのかということです」と呼ぶ一わかりました。それで本件につきましては、やはり自主規制につきましての問題につきましては、政府としてもあくまで原因者負担の原則は強いようでございますから、それはひとつ知事さんとしては十分お含みおき願いたいと思います、ただ、私たちといたしましては、従来からそういった県として立てかえ的な補償をされた場合におきまして、政府なり水産庁といたしましても、県が支出された経費のあと始末につきましては、当然に自治省なりあるいは財政当局に話をいたしまして、特別交付金というものであと始末をすることについては、各県との過去の経緯もこれあり、相当片づいてきておりますので、県単独の経費の支出にはならないように私のほうとしてはあらゆる応援はいたしますという御説明は申し上げました。  融資につきましても同様に、県のほうとして県の一つの財源をしかるべき金融機関に預託することによって低利融資の道を開きたいと思うが、これについては水産庁はどう考えるかというお話でございましたので、これにつきましても、私のほうとしては法律も何もない現在においてはその道しかないと思います、これにつきましては県としてはひとつ大胆にやっていただきたいと思います、当然それに伴う利子的なものにつきましての県の負担が出てくると思いますが、それにつきましても、経費等につきましては、私のほうもまたこれは交付税の問題として各方面に接触をして、私が責任を持って折衝いたしますというお話を申し上げたわけでございます。  これらにつきまして知事のほうとしては、具体的な案ができ次第持って参上するから、そのときにはひとつ事務的に相談に乗っていただきたいというふうな話になっておりまして、今後県のほうから金額なり量あるいは質の問題としていろいろな予算対策というものが出てこられるのを私どものほうとしてはお待ちしておる、こういう段階でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 水俣湾についてはもう原因者というのはチッソとはっきりしているのですからね。それで自主規制をいまされている。いまの話を聞いておりますと、チッソに幾ら補償をやれというようなお世話なり何かはしていなくて、知事がいろいろな計画を立てて持ってきたならば水産庁としては十分お手伝いをします、こういうようなことに、一言で言えば、聞こえたのですけれども、PPPの原則は、じゃ、どうなっているのですか。そうすると、とにかくチッソが出すまでの間そうしようということですか。それとももうチッソのことはおいて、当面、国は、とにかく県でやりなさい、あとはこっちがめんどう見ますよ、そうなっているのか、簡単に答えてください。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 これは当然に原因者負担の原則というものはやはり貫かれるのではなかろうかというふうに私は理解しております。本件につきましては三木環境庁長官とも何度もお話ししたことでございますが、環境庁としてもその原則は当然だというふうに考えておられるようでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 私が聞いたのは、じゃ、漁協がチッソといま交渉しておりますか。幾ら要求して、チッソがいま何と言っておりますか。PPPの原則によりましても、その辺の事情をどう理解しておられるのか、それが一つ。それは全然知りません、知事が何か持ってきたら私たちは応援します、こういうことですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 実は私のほうの現地へ行った担当官が、地元の方からの要求というんですか、要望書をもらってきておりますけれども、実は第一次から第三次への飛躍というのか、問題が拡大したという過程の問題もあったかとも思いますが、具体的に金額とか数字とかいうものがまだ入ってない。先ほど私がちょっと申し上げた四点ないし五点ほどの要望があるだけでございまして、これにつきましては、県庁も現在の時点においてどれだけの対策費が要るのかということについてもまだ十分に掌握されていないんではないか。知事がお見えになったその段階におきましては、早急に事務的に計数を整理した上で数字を持ってまいる、こういうお話でございますので、私のほうとしましても、一日も早く持ってこられることを待ち望んでおる、こういうふうに御理解願いたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 水俣病は一地域の問題ではなしに、御承知のとおりに、日本全国に発症の可能性もあるわけですよ。ところが、いまの話を聞いておりますと、水産庁というのは県が持ってこられるのを待っておるんですよ。そういうような態度では、公害の原点に対する行政の姿勢として私はおかしいと思う。何であなた方は積極的に、一地域の問題であるけれども、公害の原点としての対策を国の責任においてやるというもう少し強硬な姿勢を持っていかないのか、県が持ってくるのを待っています、こういう態度では私は怠慢だと思う。そういう点についてまだはっきりしませんが、チッソに対して補償しろという行政指導をされておりますか、一言それだけ聞きます。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 先ほど来申し上げておりますように、原因者負担の原則というものは、いまの時点においては当然に守るということで、最後の諸要求のあと始末は当然にチッソに行くということになっておると私は理解しております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 あなたの理解を聞いているのじゃないのです。チッソに対して補償しろということを具体的にチッソに話をしておるか、行政指導しておるかということを聞いておるわけです。しておらぬならしておらぬでいいですよ。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 知事には、あくまで原因者負担の原則ということは政府は強いようでございますから、政府のほうに全部の補償という形のものを要求されても、いまの時点においては非常にむずかしいようでございますから、これはやはり原因者負担という形になると思いますということは強く申し上げてあります。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 答弁が違う。チッソに対してそういうことを補償しなさいというようなことをあなたのほうで、水産庁のほうで、農林省のほうで言うたかどうかということです。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 チッソに対しましてはそういうことは申しておりませんけれども、知事を通じて強くそう申し上げてあるというふうに御理解願いたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 さらに、その融資の問題等については具体的に質問しますけれども、もう一つ原則的に、もう汚染されてしまっておる、危険だという、たとえば水俣湾のようなところの漁業権の問題ですね、これを県なり国で買い上げるというような意思がありますか。この漁業権についてどういう対策を立てられますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 水俣湾並びにその周辺の海の浄化といいますか、これについてただいま関係各省間で広範な計画がいろいろあるわけでございまして、これが申しわけないのでございますが、第一次水俣病の時点のあと始末という形で相当話が進んでおったのでありますが、今回の第三次水俣病というものが出てまいりましたので、相当計画を変更せざるを得ないのではなかろうかというふうに私は聞かされております。  その大きな仕事の一つといたしまして、広範な区域にわたって、これはどの個所をするかということについては、まだ調査地点なりいろいろなことがございますが、要するに、相当広範囲な地点にわたって埋め立てないししゅんせつを行なうということにはなっております。その工事量が非常に膨大でございますが、その際に一番問題になっておるものは第二次汚染といいますか、汚染の波及した……(馬場委員「漁業権の問題だけ言っておるのですよ」と呼ぶ)そういうことが非常に問題になっておりまして、まだ確定的なことが出ていないので申し上げにくいのですが、当然にその工事の施工の過程におきまして漁業権の補償というものが消滅ということもあり得るというふうに私は理解しております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 漁業権の問題は工事の過程において消滅、工事をやらなければ漁業権の問題については何ら対策を考えない、こういうことですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 水産庁におきましてもこれは関係各省庁とも十分協議いたしますが、水俣湾のみならず不知火海あるいは有明海にまたがります広範な水銀の汚染状況調査をもう一度総動員してしようということが現在関係各省の間で問題になっておるわけでございまして、これは早急にいたす。その間におきまして、厚生省が水銀の許容基準というものを、さらに再検討されて、どういうふうにおきめになるかは今後の問題でございますが、それとからみまして、やはり不知火海あるいは有明湾内におきましてもその当該魚について人間が摂取にたえないほど汚染度が進んでいるかどうかということがまず調査の第一義的なことでございまして、この程度ならこの地区は清掃事業を大いに行なう必要はないというふうに認定されますれば、その地区は何もしない。そうなりますと、その地点は、これは少しかってな私の推測でございますが、その辺の地区の魚については漁獲規制というものは何もなくて、少し注意は必要かもわかりませんが、とってもよろしいということになりまして、逐次そういった形で問題の焦点が整理されまして、何らかの形ででも、いまのままでは魚をとってはならない地区があるいは設定されるのではなかろうか、その地区についてはどうやって埋め立てなりしゅんせつ事業なりを行なうかということが、当然その次の設定の問題として出てくると思います。魚をとってもいい地区につきましては、これは私のほうとしても何も漁業権の補償というような形にはなりませんが、やはりとってはならない地区についてしゅんせつとか埋め立てとかいうふうな形になりますと、そこは半永久的な、漁業権はもう喪失ということになりまして、漁業権の補償問題がやはりまたあらためて出てくるというふうになるわけでございますが、今後の科学技術の発達で、各省庁の御協力によりまして清掃というか、そういったことできれいになることもあり得るのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 あなたの答弁は、枝葉のことが長くて、漁業権の問題一つ言ったのですから。  漁業権というのは、埋め立て、しゅんせつをしなければならないというときにそれを考えるのであって、たとえばどうもここもあぶない、水俣湾のようになっても漁業権のことは何も考えないというのか。漁業権一つ言ったのですよ。埋め立て、しゅんせつ、そのときに考えるというのか。いままでもあぶないとわかっておるのです、あそこは。漁業権はいま考えるのか、埋め立て、しゅんせつの計画ができたときに考えるのか、どっちですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 埋め立て、しゅんせつの問題とからんで漁業権の補償問題が出る、こういうふうに御了解願いたいと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 さらに具体的に聞きますけれども、魚介類の価格が暴落をしたというふうにさっき言いました。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 ために休業しておるという人もおります。この暴落に対する補償、休業に対する補償、こういうものはどう国としては考えておられますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私たちのほうといたしまして、今回の四十八年度の予算におきまして、こういう漁業者に対しまして農林漁業公庫から低利で融資の道が実は開かれたのがございまして、大体生業的なものについて生活資金の一部として融資の道を公庫から行なうということであります。これは年五分で五十万円の融資の道を開いたということで、これを活用願いたいということにつきましては、先ほど熊本の知事ともお話し申し上げたようなことになっております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 じゃ、価格暴落とか休業補償については融資を受けろ、こう指導しておる、こういうことですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 国として、ただいまある制度を直ちに活用するとすればその道をお使いくださいということを申し上げたのでありまして、県単独でも、またわれわれと御相談の上、先ほど申し上げたように、融資の道、利子補給等を県の財政資金を中金か何かに預託されるというお話もございましたので、それと相並行して御活用願いたいということを申し上げた次第でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 たとえば鮮魚商、貝の立ち売り人あるいは行商人、こういう人の補償というものに対する措置は、どう指導しておられますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私のほうの公庫の融資の制度といたしましては、あくまでこれは漁民に限られておりますので、漁業者だけに融資の道を開くことになると思います。その他の、先ほどのようなアサリの立ち売りというふうなお話も知事からお話がございましたが、それらにつきましては、あるいは県単独での融資なりあるいはその他の融資制度を活用願う以外に手はないのではなかろうか、こういうふうに思っております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 農林大臣にも聞きたいのですが、ずっといまの長官の話を聞いておりますと、すべて県が中心であって、国が積極的にこの問題に乗り出すというような姿勢が私には見受けられません。これはもう全国的に二十カ所くらい水銀をたれ流した工場があるわけですから、その河口の港、漁場というものを徹底的に調査したならば、水俣病はたくさんあるということは想像するにかたくないのです。まさに全国的な問題だ、こういうぐあいにも思うわけですし、決して一地域の問題ではございません。だから、これは国が全国的にやらなければならない。そのモデルとしてここをどうするという形において、知事まかせという形ではなしに、やはり国が積極的な姿勢をとる必要がある、私はこう思います。  私はかつて大臣にも質問をいたしましたが、ミカンの価格が暴落いたしたときに緊急対策というのを国が積極的にやりましたね。そしてまた県がやりました事業等につきましても、特交等で二分の一の補助を見た、こういうこともございました。だから、ミカン問題も大切です。しかし、この問題もそれ以上の問題だと思うのです。そういう意味において、国が、知事まかせでなしに、やはり主体的に積極的に緊急対策というものを講じなければならない。三木長官とも二、三回この問題について話し合いをじっくりいたしました。予備費もあります、足らなければ補正予算も組みます、そうして金に糸目はつけません、そういう姿勢をとっておりました。農林省としてもやはりそういうような立場で、県まかせでなしに、やはり国が積極的に乗り出すという姿勢というものが必要だと思う。それについての農林大臣の意見を聞きたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 先ほどから御質問の御要旨をよく承りまして、おっしゃっておられる原則的な方向というものに、私もそれに異論を唱えるものではございません。  そこで、私としての考えをまとめて申し上げますると、第一は、この種の問題が将来起こってはならない、こういうことから考えていきますと、何と言っても、根絶する方向へ持っていかなければならない。その根絶する方向というものは、原因者をあくまでも徹底的に追及していく、こういう趣旨があるものですから、政府としては、これらの問題については、原因者負担の原則というものをはっきりさせておるわけであります。そして第一水俣病につきましてはすでに原因者がわかっておるのでございますから、生業補償等お取り上げになりました問題は、その原因者に対して追及する道というものはこれはもう開けておるわけであります。  ところで、その原因者負担という原則を履行させるために、その間の中間的措置というものはおっしゃるとおりに必要がある。でありますから、たとえば被害漁業者に対する金融措置として、当面のつなぎ資金については農林中金の協力を得て低利資金の融資をはかる、また同時に、財政資金についても農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金の活用をはかって、そしてそこをつないでいく、あるいは被害漁業者の融資の債務について、関係金融機関に対して償還期間延長等その貸し付け条件の緩和措置をとるようにする、こういうようなことをいたしますとともに、国と県との打ち合わせでは、県として資金を農林中金に預託するので、農林中金は関係漁業者に対し低利で融資する道を講じてもらえぬか、こういうことでもございまするし、先ほど長官より申し上げましたように、沿岸漁業経営安定資金を沿岸漁業者に対して融資する場合には、利率年五%、償還期限二十年以内、据え置き期間は三年、貸し付け限度額は災害に準ずる五十万円以内というようなことをいたしながらそこをつないでいく。同時にまた、その間に県のほうとしていろいろ負担が出てまいりますればそれは特別交付税で見ましょう、こういうふうに一応の筋道を立てておるのであります。  そこで、御質問の中で私が非常に気になりますのは、何か県まかせで、もうひとつ国が表面に出て、国も原因者との間で何か行政的な指導や手が打てないものか、もう少し国の姿勢がもの足りないじゃないかという御意見、私にも十分わかったのでございますけれども、しかし、私がいま申し上げておるような、そういうことによりまして、何と言っても、それぞれの原因者を持っておる県というものが具体的な事情というのに明るいのでありますし、また県自体も時々刻々各種の状況のもとに交渉もし得る立場でありまするから、したがって、県に対しては、県がいろいろそこに仕事が生じた場合、それは交付税でも見ますよ、それから直接にいろいろ影響を受けているものについては、いま申し上げたような資金的な面でつなぐようにしていこう、こういうことでありますので、その辺は御理解をいただきたいと思うのでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 チッソの本社は東京にあるのです。だから、やろうと思えばできないことはない。事実それは公式か非公式かは別として、全力をあげてやはり取り組むという姿勢は政府に要求しておきたいと思うのです。  そこで、いまたくさん大臣からも出ましたけれども、もう一ぺんまとめて聞きますから、大臣でも長官でもけっこうですから、一言ずつお答えください。  水俣病が原因となって漁協がいろいろな対策を実施するわけです。その漁協の実施する事業についてまず融資はするというようなことがさっき出ました。補助金は出すのか、融資補助金。利子補給はどうかということ。  それから、第二次構造改善事業というのを繰り上げてやる気はないか。  それから、生活資金、近代化資金、養殖漁業資金の完全利子補給をするつもりはないかどうか。そしてまた、その資金の償還延期というものを講ずる気はないか。  さらに、汚染源と補償の交渉をするまでのつなぎとして、つなぎ資金の融資というものをする気があるのかどうか。  さらに、水俣病発生に伴って非常に生活困窮者が出ております。この生活困窮者の救済を打ち立てろという要求も強いのですが、それはどうするのか。  それからもう一つ、漁民ですから、漁業をしたいわけですから、よごれた海ではなしに、安全な海で漁業をしたいという気持ちがあるわけです。そういう安全なところで操業をしてよろしいという許可を、申請があれば与えるかどうか。それに伴って漁船の建造のワクを拡大してやるかどうか。  一言ずつ、する、しない、こうしておるということをお答えください。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、私のほうとしまして、ただいま御指摘にありましたような点につきまして、知事等の間で原則といいますか、包括的といいますか、話し合いの過程で、極力私のほうではめんどうを見る、御援助さしていただきますから、早く県のほうから申請なり具体的な事務手続をとっていただきたいということは強く御要望申し上げております。  それにつきまして具体的に中身を申し上げますと、構造改善事業なりあるいはこの問題については当然に早く出していただきたい。実際問題といたしまして、やはりなかなかこういったものは技術者の間で計画を練るのに相当時間がかかると思いますけれども、出していただけば当然取り上げたい、こう思っております。  それから、その場合において当然に、補助事業的なものにつきましては補助金をつけていくことについては何らやぶさかではございません。  次に、生活資金につきましては、先ほども申し上げましたように、漁業の資金を農林漁業金融公庫から五十万円を限度としてお貸しします。これは五分でございます。  それから、あとの完全利子補給の点につきましては、これは農林省といいますか、水産庁としては非常にむずかしい問題だと思います。何か県のお話では、いろいろな低利融資とこう言っておられましたが、財源は県で金融機関に預託することによって低利融資の道を開くということでございますので、これはたぶん、私のほうの感じとしては交付税の問題だと思いますから、これについては当然御援助いたします、こう申し上げてあります。  それから償還延期の点については、当然に返済できない場合に、漁民から何か破産するような形で取り上げてしまうということは、いままでほかのいろいろな災害等の場合にもそういうことはいたしておりませんので、これにつきましては、公庫なり中金に十分に私のほうからその旨連絡して、取り立てないようにして、返せる時期に返していただくということでやっていきたいと思っております。  それから次に、汚染源の補償までのつなぎ資金の融資というのは、先ほど申し上げました、あるいは完全利子補給の問題かとも思いますが、県で財源を預託して、その間つなぎ資金をしたい、こうおっしゃっておられますので、これについては先ほどのような応援をいたします。  それからあとの、安全な海での漁業をいたしたいということについては、これは当然に私のほうといたしましても、従来新しく漁業許可をするということについては漁業調整上多少問題は残っておりますけれども、これらについては積極的に私のほうとしては、御要望を出していただければ、当然にやります。ただ、御存じのように、どの程度の外まで行かれるのか、海の操業技術の問題もございまして、どの程度のことを考えておられるのか、これもどうもはっきりわからないわけでございます。  それから、漁船の建造ワクの拡大、遠くへ出れば船も大型化いたしますので、これについては当然私どもは弾力的に対処するということでやりたいと思っております。  問題は、生活困窮者という問題になりますと、どうもこれがどういう方を言っておられるのかよく私のほうもわかりませんが、漁民の場合には、先ほども申し上げましたような生活資金を農林漁業金融公庫からお貸しする道がございますが、漁民以外の方ということになりますと、水産庁では実施が困難ではなかろうか、こういうふうに考えております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 いろいろたくさんのことを申し上げたのですけれども、必要であれば、先ほどから何回も言っておりますように特別立法でもして、ぜひ漁民の苦しみを救っていただきたいということを最後に申し上げておきたいと思います。さらに具体的なことにつきましては、個々にさらにお願いをする、折衝をするという気持ちでおります。  次に、汚染源の問題についてお伺いいたします。  これは水産庁関係かあるいは環境庁か知りませんが、第三水俣病の汚染源はどこですか。担当の省庁から答えてください。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○山本説明員 私ども武内先生の報告書が出まして、さっそく熊本へ参りまして、先生から直接報告を聞きました。私ども報告書の内容からいたしまして、かつまた武内先生からのいろいろなお話を聞きまして、現在のところ汚染源の確定はいたしかねるように先生からも聞いております。しかしながら、問題の地点が有明海の入り口に近い有明町でございますし、かつまた、先日、土曜日におきまして、武内先生の新聞発表の中にございますように、過去におきまして宇土市及び三角町におきまして死亡した方で水俣病に似ている人がおるという報道がございますので、これにつきましても月曜日、一昨日、私、武内先生から直接いろいろなデータ等をお聞きいたしましたが、そういったことからいたしまして、有明海に注ぐ企業にあるいは汚染源があるという想定のもとに、今後の調査を進めていこうということに考えておりますが、いまの時点におきましては汚染源を確定するということには至ってない、こういうぐあいに私は理解いたしております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 はっきりしないということですけれども、ではさらに聞きますと、だれでも言っておるのですけれども、当然日本合成の熊本工場、大牟田にありますところの三井東圧化学、これはだれでも言っているわけですが、問題は、じゃ、その汚染源というのは、いつ、だれが、どこで、ここが汚染源だということを断定するのですか。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○山本説明員 私だけからお答えするのは若干あれがあろうかと思いますが、先般も関係各省におきまして、この問題につきまして、現地でもかつまた東京におきましても検討いたした中では、問題点といたしまして、やはり住民の不安の解消、それから汚染源の究明、こういうような個条を幾つかあげたわけでございますが、汚染源の究明につきましては、当然有明海全域についての水質底質あるいは魚類についての汚染の調査、これを地理的に調べるということ、と同時に、水銀の排出があったと考えられるような工程を持つ工場についての各般の環境調査、あるいは通産省による工場内の調査、こういったようなことを多角的にいたしますとともに、私どもの関係といたしましては、地域の漁民の方を主眼とする健康調査を進めるようにという武内先生のアドバイスもございますので、そういったことを進めまして、その結果を踏まえて多角的に判断する、こういうことに相なろうかと存じます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 だれが、どこで、いつごろ断定をするのかと質問したのです。はっきり言ってください。たとえばだれが断定をします、いつごろになりますと、はっきり言ってください。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○山本説明員 環境庁といたしまして私と水質管理課長が各省の連絡ということでいま事務的に進めておりますが、調査の最終的なプランにも至ってない部分が実はございまして、いつということをいま私から確として申し上げることができないのがたいへん残念でございますが、なるべく早い時期にそういった処置をとりたい、こう思っております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 さっきPPPの原則ということを言われているのですよ。たとえば有明海の漁民というのは、いま生活が困窮していますから、補償交渉をやりたいわけだ。ところが、汚染源、原因者がはっきりわからなければ、補償交渉はできないじゃないですか。  これははっきり言って、環境庁長官が、汚染源はここだと言うんですか、通産大臣が言うんですか、農林大臣が言うんですか、政府が全体として、総理大臣が言うんですか。とにかくだれが言うんだ、そしてそれはいつごろということはわからぬというのは、課長がわからぬのですか、それとも政府全体としてわからないのですか。課長がわからなければ、わかる人をやはり呼ばなければいかぬわけですから、だれが断定をする、いつだと、あなたがわからぬならば、責任者を出しますと答えてもけっこうです。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○山本説明員 過去におきまして、水俣湾における水俣病あるいは阿賀野川における水俣病という問題の検討をしたときには、それぞれ関係の省庁が合同いたしました委員会というものを設置いたしまして、そこで最終判断を下し、それによって厚生省の見解あるいは政府見解という形で出されております。今回も、これは私からのお答えでは不十分かと思いますけれども、政府といたしまして関係省庁のそれぞれ委嘱する専門家の意見を持ち寄って見解を出す、こういう運びになろうと思います。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 委員会をつくって政府見解として汚染源、犯人をはっきり指名する、こういうことですが、なるべく近い機会にとおっしゃいましたけれども、現在全然見通しはないのですか。いつごろまでに、日本合成の熊本工場だ、三井東圧化学だ、これが犯人ですよということは、現在全然見通しが立っていないのですか。なるべく早い機会にというのは、一月以内になるのですか、それとも一年か二年先ですか。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○山本説明員 まず、この六月から有明海につきましての水質、底質あるいは魚介類の汚染の地理的な調査ということを進めることにいたしておりますが、これにつきましても、最終的な結果が出るには数カ月かかろうかと思います。この点につきましての詳細の技術的なことを私十分存じませんが、それがまず一つです。  それから、私どもの関係で、沿岸漁民につきましての健康調査を進めていく、この結果からもある程度の汚染源というのは推定できるというふうに思いますし、そのような、どのステップで確実に割り切るか、場合によりましては、犯罪捜査と同じように早い時点で結果が出る場合もございましょうし、なかなか出ないということもございますので、私、まことに申しわけございませんが、いまの時点で何カ月後ということは断言できないのでございますが、なるべく急いでやりたい、こういうぐあいに事務当局としては思っておるわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 これは政府見解というなら、大将は総理大臣でしょうから、総理大臣に質問したらいいと思うのですけれども、いまのような話を聞いておりますと、汚染源は何カ月かかるかわからない、こういうことでは、不安、動揺、それから生活困窮、そういうものに対処する立場としてはまさに怠慢のそしりを免れないと私は思います。これはここであなたに言ったってしょうがないから、また責任者に対してはっきり聞きたい、こういうぐあいに思います。  次に、こういう工場を調べられますときに、まだ幾つかの工場が有明海沿岸にあるわけです。そういうところもぴしゃっと調べてください。それを調べるからといって、犯人指定をおくらせるのは困るわけです。あなたは犯人捜査でというようなことで急がなければならぬと言いますが、これは直ちに急がなければならぬ問題ですから、強く急げということを言って、あとでまた責任者から聞きます。  次は、工場を監督しておる通産省に聞きますけれども、私は、たとえば日本合成熊本工場をとって言うならば、これはもう自分で自分のところの河口の魚介類を調べ、自分で水銀を出したということをはっきり言って、言うならば底質の調査もして、私が犯人でございますと言って、企業が自首して出てくるというのが、私は企業の社会的責任だろうと思います。ところが、チッソの例をとって言うまでもなく、企業というのは原因者たることを常に逃避する、隠すというのがいままで続いてきた企業の体質です。こういう意味において、やはり企業というのは、自分が原因者でございますと言って自首するということが、企業の社会的責任だと私は思うのですが、こういう点について通産省はこういう企業をどう指導しておられるか、通産省から答えてください。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○高橋説明員 お答え申し上げます。  水俣病の原因としましての有機水銀説が昭和三十四年ごろ熊本大学から発表された当時、通産省といたしましても、当時チッソ、日本合成も含めまして、水銀使用に関しまする、特に排水設備――これは排水設備が完備いたしますと、工場外に水銀が排出せられないことになりますので、排水設備を完備するよう当時から指示しておりました。その結果、たとえば日本合成につきましても、三十四年以前当時は沈でん槽を設けまして、その中に製造工程の過程におきまして……

馬場昇日本社会党

○馬場委員 時間がないから経過はもういいです。企業が自首して出るというような、そういう指導をしておるかということです。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○高橋説明員 通産省といたしましては、絶えず設備の改善方に留意するように、三十四年当時以降日本合成も含めまして強力に指導してまいっております。さらに今後も、この日本合成を含めまして一そう監督をするために、また先ほど環境庁から説明がございましたように、近く総合的な調査も始められますので、それに必要なデータも提供するという立場から、すでに今月から通産省の担当官が現地調査をするようにという手はずをきめまして、すでに現地調査が実施されております。このようにいたしまして、通産省といたしましても十分企業を指導監督してまいりたいと思っております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 私は企業のモラルについて、社会責任について言ったのですよ。たとえば私も日本合成に調査に行きました。工場長が出てきて、まず水銀の排出は資料がないと言いました。そうして、私のところの内部規程によりますと、金銭関係については八年保存です、それからこういう技術関係についての書類は五年間の保存です、だから水銀をどう出したかということはわかりません、こう言いました。それからいま一つは、推定によりますと、百十一・八六四トン使用しました、回収したのが百六・六三三トン、五・二三一トンが消失いたしております、しかし、そのうちたれ流したのは三百十七キロです、そして五トンは工場内にあります、これはピットに入れてあるのか、かすの中に入っておるのか知りませんけれども、あります、こういうことを言いました。これはおかしいので、どんどん追及していきますと、はっきり答えもできないのです。実際チッソと比較してみまして、この数は非常に少な過ぎるのです。このことを県にも報告しておるのですが、県はこれは信用できぬと言っておるのです。再調査、提出を命令しております。ところが、これについて日時をかしてくれ、日時をかしてくれと言って提出をしない。この一事を見ましても、先ほど当初言いましたように、自分で魚介類も底質も調査して、私のほうがこれだけ出したのですと明らかにして、ほんとうに済みませんでした、私のほうが犯人ですと自首するのが、企業の社会的責任と思うのですよ。ところが、この調査の水銀の排出量についてもまだはっきりさせていない。こういうことに対して通産省はどういう指導をするのかということを聞いているのです。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○高橋説明員 お答え申し上げます。  水銀の消費の実態に関します数字に関しましては、ただいま先生が御披露されましたような数字も、当方としましては会社側から事情を聴取しておりますが、通産省といたしましては、これをうのみにせず、さらにその実態を確認すべく、先ほど説明申し上げましたとおり、現地調査等も行ないましてまず実態を確認したいと思っておりますし、さらに、この問題に対しまして通産省といたしましても、現地指導をはじめ強力に指導してまいりたいと思っております。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 これまた企業のモラルについてあなたから答弁をとるのもなんですが、そういう企業を監督する姿勢ということについては、さらに大臣にも言っておいてください。また聞きます。結局、通産省がそういう企業の社会的責任というのをあまり指導しない、あるいは企業とべったりになっておる、あるいは隠蔽しようとしておる、あるいは行政の怠慢、たとえば第一水俣病の熊大の研究は、昭和三十四年ごろに水銀説を唱えたのです。そのときは厚生省も通産省もそれに対して妨害さえ加えた。決して協力はしていない、そういうようなこと。また第一水俣病が起きたときに、全国のああいう水銀をたれ流したのは二十工場くらいあるわけですから、それを徹底的に調査し、そしてその水質を含め、あるいは底質も含めて調査をし、対策を立てておくということがあれば、第三の水俣病は起こらなかったはずなんです。このままのような通産省の姿勢なり企業の姿勢でいきますと、第四、第五、第六の水俣病が必ず起こりますよ。二十くらい出している工場があるのですから、第二十水俣病まで起こります。そういうことはもうここで第四、第五を起こしてはいかぬわけですから、企業が汚染源たる責任を回避しようという態度は徹底的に改めるというような行政指導を通産省は強くやってもらわなければ困るので、そういう点について強く要望しておきたいと思います。  次に、もう一つ汚染源として農薬も考えられるというようなことがいわれておるのですが、これについて簡単に質問をしてみたいと思うのです。  これは久留米大学の山口先生にしたってあるいは熊大におられました神戸大学の喜田村先生にしたって、もう農薬説なんか問題にならないといって、完全に大学の先生方は否定しておられるのですが、この農薬説について農林省はどういうぐあいな見解を持っておるのかということですね。  参考までに聞いておきますけれども、日本の農薬の使用量、その中に水銀がどれだけ入っておったかというような問題、そしてまた、日本は諸外国に比べてどれだけよけい水銀を農薬で使ったか、そしてそれがどれだけ体内に蓄積されておるかという資料、こういうことを聞きたいと思うのです。  というのは、私は農薬説じゃないと思います。しかし、問題は、日本は欧米に比べて百倍くらいの農薬を使っておるわけですから、日本人の毛髪の水銀量というのも欧米に比べてどのくらい高いかという資料を聞きます。  いずれにしても、ほとんどの日本人が水銀を体内に蓄積して持っている。その上にこういうたれ流しが少しでもあれば、水俣病を発症する可能性をみな日本人は持っているわけです。そういう意味で、犯人とは思いませんけれども、その資料を簡単に報告していただきたいと思います。

伊藤俊三農林省農蚕園芸局長

○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  私どもの手持ちの資料でございますと、昭和二十八年から四十七年までに出荷されました水銀剤の水銀に換算いたしました量は、二千三百トンということになっております。ただ、散布されました水銀というのはほとんど無機水銀に変わって土壌中に固定され、流出されにくいともいわれております。  こういった農薬が長期間にわたって魚介類というようなものにどの程度の影響を与えるかということは、現段階では必ずしも明確ではございません。こういったことにつきましては、今後関係の当局ともいろいろ連携して、こういった問題の解明につとめていかなければならないというように考えております。  なお、水銀を含む農薬につきましては、その使用に伴う安全性を確保するというような考え方から、四十三年に、水稲のための散布用水銀の使用を禁止いたしております。それから四十五年には、果樹、蔬菜などに使用されてきました有機水銀剤につきましても、使用禁止になっております。現在残っておりますのは、種子消毒用だけでございます。これは欧米でもやっておるようでございますが、そういったものとしての水銀剤が残っておりますけれども、これもなるべく早く非水銀系のものに切りかえるようにいま指導しておるところでございます。  なお、農薬一般的な問題でありますが、農薬取締法に基づきまして、魚介類に毒性の強い農薬というようなものは登録しないようにいたしております。また、こういったもの以外の農薬でも、通常の状態では分解消失するものが多いわけでございますけれども、広範な地域にまとまって使用されて魚介類に被害を生ずるおそれのあるものにつきましては、水質汚濁性の農薬というようなものに指定いたしまして、その使用をきびしく規制するというような措置もとっておるわけでございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 具体的に数字が出ませんでしたけれども、これはまたあとで聞きます。  しかし、問題は、私がここで聞きたいのは、こういう問題が起こりますと、常に企業というものは、犯人が別にあるんだといって逃げる可能性がある。だから、今度の場合も、農薬が犯人だといって逃げる可能性もございます。だから、農林省としては、やはりこういう資料をきちんと発表して、そうじゃないんだというなら、そうじゃないんだということで資料がはっきりしていればいいのですから、さっき質問しましたような点について、きちっと資料を整理して、あとでまたいただきたいと思います。  時間があまりありませんので、今度はたくさんまとめてやりますから、答えはひとつ一括してお願いしたいと思うのです。  次の問題は、汚染海域の浄化の問題です。これについて、農林大臣に当初申し上げましたことのさらに繰り返しになるかもしれませんが、日本の沿岸漁場、海は死んでおる、死につつあるとさえいわれておるわけでございます。だから、どうしてこの海を生き返らせるか、漁場を生き返らせるか、こういう具体的な方針を聞きたいと思うのです。  さらに次に、不知火海、有明海をどう浄化するかという対策についてお聞きをしたいと思います。  さらに小さく、その中の水俣湾の処理、ヘドロ処理対策について、これは運輸省が担当になっておりますけれども、どうするのか。締め切るのか埋め立てるのか、いつからこれに着工をするのかということについてお答え願いたいと思うのです。  私が調査した範囲におきましては、すべて県の計画待ちというような態度であるようでございます。しかし、これは県の能力をある程度越える問題だろう、私はこういうぐあいにも思います。そういう意味で、まだ遅々として計画が進んでいない。三木長官は今年中には着工をするという約束をしておるのです。そういう中で私は、やはり運輸省としても、各省庁とも連絡をとりながら、全国の頭脳というものを結集して一日も早くりっぱな、どう処理をしたほうがいいのかということをつくり上げて、早く着工しなければならない。そういう意味において、いつごろ着工するのか、どうするのかということについて伺いたいと思うのです。  これについていろいろ現地でも、あるいは県議会等でも取り上げられております。その中ではっきりしておかなければならないのは、この港湾対策で第二次汚染というものが絶対出ないような対策をしなければならぬということが前提だろうと思うのです。これについても十分配慮をお願いしておきたいと思うのです。  さらに具体的に聞きたいと思いますけれども、丸島漁港というのがあそこにあります。これはこの間県がしゅんせつをやっておるのです。あそこは丸島排水口といって、最初チッソが水銀をたれ流したところなんです。そこを実はしゅんせつしておりまして、これについては問題視されまして、実はとめておるのです。しかし、あそこの港というのは、有明海や不知火海でとれた魚を二割くらいしか揚げないで、あとは鹿児島とか遠いところから持ってきた魚を揚げるのです。だから、あそこの港を改修しなければならぬということはわかるのです。ところが、底質の調査もせずに、第二次汚染の危険があるということでやっておる。こういう問題がございます。  さらに、PCBのことをあとで申し上げたかったのですが、時間がありませんので、大分港の河口でも盛んにしゅんせつが行なわれている。あそこは二、三日前の水産庁の発表によりますと、ウナギにまさに一三〇PPMのPCBが発見されたというところです。それをさらに、いま汚染が起こるのじゃないかというような問題がございまして、しゅんせつをしておる。そういうものに対して、水俣の丸島にしても漁港はよくしなければならない、しかし、それを不用意にやるというようなことは非常に問題ではないかと思います。そういう点についての御見解も承っておきたい、こういうぐあいに思います。  次に、汚染の調査ですが、汚染地図の作成について聞きたいと思います。  先ほども申し上げましたように、第一水俣病が起きたときに、全国に汚染の調査をして対策を立てておったならば、第二、第三は起こらなかったということはもう当然でございます。そのとき、たとえば水産庁にしても通産省にしても、あるいはその他の省庁にしても、対策が不十分であってこういうことが起こってまいりました。だから、これは、全国に水銀を触媒に使った工場が幾つあるのか、結局、アセトアルデヒド工場とか塩化ビニール工場とかあるいは苛性ソーダ工場とか、たくさんあるわけでございますが、これは幾つあるのか、そこの工場がどれだけ水銀を排出したのか、そういうことを各工場ごとにぜひ一覧表を提出していただきたい、こういうぐあいに思います。そうしてまた、水産庁といたしましても、あるいはその他の省庁といたしましても、その周辺の底質の調査、魚介類の調査というのをやっておられるのか。やっておられたら、きちっとした資料を明らかにしていただきたい。もしやっておられなかったということならば、これはたいへんな怠慢だろうと思いますが、ぜひ早くやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、有明海、第三水俣病の範囲というのはどう考えておられるのか。たとえば福岡県、佐賀県、長崎県というのが有明海に面しておるわけです。そういうところの県も汚染地域になっておるのかどうか。その調査結果はどうなっておるのか。伝えられるところによりますと、島原半島でも水俣病の症状が発見されたということも出ておるわけでございます。第三水俣病の原因となる汚染範囲というのはどの辺だということをお聞かせ願いたいと思います。  さらに問題は、有明海あるいは水俣湾、不知火、そこの魚の回遊状況です。水俣湾でかつて一万尾ぐらい放魚した。ところが、水俣湾でとれたのは五十匹ばかりだった。あとは東シナ海でもそのしるしをつけた魚がとれたという話さえある。だから、あの海域の魚の回遊状況をはっきりしなければ抜本的な対策は立たない。禁止区域をつくりましても、その下を通って魚が回遊しておると話にならないということもございますので、あの地域の魚の回遊状況というのはどうなっておるのか、それをひとつ明らかにしていただきたいと思います。  さらに、日本合成にしても、実は山ほどカーバイドかすが積んであります。水俣のチッソにしても八幡プールというところにたくさんのカーバイドかすが積んでありまして、これにたくさん水銀が入っておる。どのくらい入っておるのか、このかすをどう処理するように指導しておられるかということを明らかにしていただきたいと思います。  次に、厚生省関係でございますが、とにかく患者というのは多くは漁民です。そういう立場もありまして、公害健康被害救済法に基づく地域指定というのは、どの辺をいつごろされるのか、こういうことについてお伺いしておきたいと思います。  それからいま一つは、水俣病の調査研究というものについては、ほんとうに熊本大学を中心にして一部の学者しかこれに携わっていないのです。そしてある時期におきましては、厚生省といえどもこの熊本大学の研究班に対してブレーキをかけた。そして隠蔽しようとした時期も私は知っております。現在においては、熊本大学の一部の学者の研究では、もう能力をオーバーしております。全国の学者の知能を総動員して、何としても水俣病の調査研究に当たらなければならない、こう私は思うのですが、厚生省はそういうことについてどういう対策をとっておられるのかということをお伺いいたしたいと思います。  さらに、現在の水銀の安全基準という問題について、それからもう一つは、WHOの許容基準というもの、あるいは諸外国の許容基準というものと日本の許容基準というものの関連についてお伺いいたしておきたいと思います。  現在の暫定基準の一PPMの総水銀量を含む魚介類が二〇%以上おらなければ精密調査の対象にならないということはおかしいと私は思います。これについての見解をまず聞きたいと思います。  それからさらに、武内先生の研究によりますと、半減期の問題が、従来七十日といわれておったのが二百三十日という新しい学説が出てまいりました。そういうこともございまして、とにかくメチル水銀が小数点以下一けたであっても危険であり、自然発症する、こういうことがいわれておるわけでございます。だから、現在の暫定基準を一けた下げなければ安心ではない、こういうぐあいに武内先生も言っておられるのですが、厚生省はこれに対してどういう対策をとろうとしておるのか、こういうことをお聞きしておきたいと思います。そして現在、四十年以降も患者が出てきておる。こういう事情もあるわけですから、そういうことも含めて、ひとつお願いいたしておきたいと思います。  それから、熊本県が安全宣言を出しました。これはいろいろな事情があってむずかしい問題だろうと思いますが、しかし、問題は、これで県も非常に困っておる。安全基準というのを県が出す能力は、正確に科学的に言えば、ないのではないか、私はこういうぐあいに思います。この安全基準、安全宣言なんという問題は、国のサイドにおいてもっと科学的に十分分析して出すべきじゃないか、こういうぐあいに思いますし、一つの県にまかせておくべき問題ではない。国が科学的な、りっぱな調査に基づいてそういうことをすべきだ、こう思いますが、そういう点についてどう考えるかということを御説明いただきたいと思います。  それから、水俣病の治療対策という問題について、厚生省はどう取り組んでおるのか。これについても全国のあるいは諸外国の学者まで動員して治療対策の開発に当たらなければならないと思っておりますが、どうですか。  さらに、魚がこういうぐあいにとれなくなる、食えなくなるといいますと、たん白資源というものの将来の方向をどういうぐあいに農林省では考えておるのか、こういうことについても御質問申し上げておきたいと思います。  以上ですが、時間が来てしまったのですけれども、簡単に答弁していただきたいのですが、もし時間がなければ、あとで文書でお答えしていただいてもけっこうでございます。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 水産庁の所管にかかる問題について御答弁申し上げます。  まず、不知火並びに水俣湾の浄化処理の問題でございますが、これにつきましては、運輸省なり県の港湾関係者との間で、第二次汚染が出ないような方向で水産庁としては強く希望して、そういう方向で今後処理、埋め立てをしていただくということを主張しておる次第でございます。  それから次に、丸島の漁港の整備でございますが、これは水産庁の指導ですでにこの漁港整備計画を実行いたしておりましたが、やはり二次汚染の問題があるということで、県の公害局とも書面をもって協議いたしました結果、二重のシールドフェンスで工事を施工しておりましたけれども、今回の第三次水俣の問題もありまして、五月二十一日に一応工事をストップして、水質の状況等について現在分析を依頼しておりまして、水銀の状況がいいとなれば、あるいは工事を再開するかもわかりませんが、その調査結果を待っておるということでございます。  それから、汚染地図の点でございますが、先般私のほうでもPCBの調査を全国十四カ所やりましたが、今回の水俣の第三次水俣病を契機といたしまして、有明湾、不知火海を中心といたしまして、まず魚類の水銀の汚染状況を早急に調査いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、有明湾、不知火海の魚の回遊状態の問題につきましては、担当の専門家の研究部長が見えておりますので、これについては専門家から御説明申し上げたい、こういうように考えておる次第でございます。  それから、たん白源の確保につきましては、現在約一千万トンの魚を日本は漁獲いたしておりまして、それが動物性たん白源として大体五二%前後の量に達しておりまして、将来とも、日本人の食料から魚をはずすということはきわめてむずかしい。やはり魚は摂取しなければならないということで、遠洋漁業におきます海外漁場の確保を含めまして、その沿岸漁業の振興ということにつきましては格段と私たちも力を入れまして、特に公害防止と沿岸漁業の振興というのは裏表でございますので、これらにつきましては十分に配慮しながら今後推進してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○山本説明員 第一番目の私どもの関係のお尋ねでございますが、全国の水銀の工場周辺の調査をしておるかということでございますが、これにつきましては、私どもの関係では魚介類を目当てにした調査を厚生省は当時四十二年ころから始めておりまして、昭和四十五年の秋には通産省からいただきましたリストをもとにいたしまして、数十工場についての一斉総点検というのをいたしました。その後、四十六年、四十七年につきましても、水俣湾あるいは徳山湾というような問題点のあろう水域についての魚介類の水銀汚染調査というのを進めておるというところでございます。  それから第二番目に、第三水俣病の範囲はどうかというお尋ねでございますが、現在、武内報告の内容から推定できるところは、有明町及び三角、宇土市という部分に患者が出ているということに推定されますけれども、有明海全域につきましてこの調査を進めていこうということで、現在長崎県、佐賀県、福岡県、熊本県というそれぞれの県につきましての調査計画を提出させることにしておるわけでございます。その結果をまちまして、はっきりするということになろうかと思います。  それから第三番目は、現在有明町についての公害にかかる健康被害の救済法に基づく地域の指定の問題でございますが、これにつきましても、指定の方向で専門委員会の検討を進めるということにしております。  それから、調査研究の問題につきまして、熊本大学あるいは新潟大学等で現在までもいたしておりますが、全国的にも水銀問題についての研究者はおります。私ども従来も毎年、環境庁といたしまして研究費を持ちまして、水俣病についての総合的な研究をお願いしておりますけれども、特に先般の水俣病判決を契機といたしまして、長官からの強い指示がございまして、四十八年度についての研究計画については先般も武内教授その他の相談をしたところでございまして、もっと広く前進させたい、かように存じておるわけでございます。  なお最後に、治療対策についてどうかというお尋ねでございましたが、これにつきましては、武内報告書の中にも新しい治療薬についての示唆をする部分がございまして、これも環境庁のほうの今後の研究の中で先生方にお願いしていこう、かように存じております。

加藤勝則運輸省港湾局機材課公害対策室長

○加藤説明員 先生御指摘のとおり、水俣港の水銀によって汚染しました汚泥の処理対策はさっそく行なう必要がありますので、現在、運輸省としましては、環境庁等の関係省庁と一緒になりまして、熊本県を指導して、処理対策を実施するために必要な実施計画の策定等を行なわしているところでございます。御承知のように、現在中公審の底質専門部会で底質の環境基準を設定する作業を進めておりますが、水銀に関する基準につきまして近々結論が得られるというふうに聞いております。この環境基準がきまりますれば、汚泥処理対策を行なうべき範囲がきまりますので、実施計画の案を策定することとなります。  これと並行しまして、事業者負担額の策定等の準備を県が行ないまして、これらの準備が完了すれば、公害防止対策事業として実施することとなります。  先ほど先生御指摘のように、この事業をやりますのには、二次公害を発生するようなことがあってはなりませんので、そういう二次公害を起こさないような工法等を検討しながら実施したいというふうに考えております。できれば、こういった準備を年内に終わりまして、実際の工事に取りかかりたいというふうに考えております。

高橋清通商産業省化学工業局化学第一課長

○高橋説明員 水銀の使用工場につきましては、先生が御指摘のとおり、過去におきましてアセトアルデヒドをつくる際に触媒として製造しておりました工場は、七社八工場ございます。それから同様過去において製造しておりました塩化ビニールモノマー関係、これが十五社十九工場ございます。そのほか、現在水銀を電極として使用しております苛性ソーダ工場は、三十六社四十九工場ございます。この第一グループに入ります七社八工場につきましては、すでに四十年前後におきまして、通産省の指導もございまして、一切このような水銀を使います製造法は廃止しておりますが、その廃止するまでには水銀は三百五十二トン使用しております。同様塩化ビニール関係におきましても、いま申し上げました十九工場のうち十五工場は、すでにこういった製造法は中止しておりますが、このグループは八十三トン使用しております。いずれにいたしましても、こういった工場は、いずれも先ほど御説明申し上げましたとおり、従来からいろいろ排水設備その他対策を完備しておりまして、極力工場外に水銀を排出しないようにつとめてまいりまして、もちろん現在では、現行の水質汚濁防止法等には一切違反してないと聞いておりますが、いずれにいたしましても、先ほど御披露いたしましたように、現地調査結果を踏まえまして、先生御指摘のような水銀の排出状況等につきましても、鋭意正確な実態をつかむように努力したいと思っております。  なお、そのほか御指摘の工場内のカーバイドかすの問題でございますが、先生御指摘のようにチッソにつきましては八幡プール等にカーバイドのかすが沈でんしておりますが、こういったような産業廃棄物は所管は一応厚生省でございますが、通産省といたしましても、環境庁、厚生省等と協力いたしまして、この処分対策等につきましてすでに検討に入っております。  なお、日本合成の熊本工場につきましても、やはりカーバイドかすにつきましては、これまでも適切に処理してきたこのカーバイドかすから水銀が工場外に流れ出ないように、会社側もいろいろ万全の措置をしてきたとは言っておりますが、これまた先ほど御披露申し上げましたように、今回の現地調査はこういった実態を把握することに重点を置いておりますので、現地調査の結果も踏まえまして、さらに通産省といたしましても、強力に日本合成熊本工場を指導してまいりたいと思っております。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 魚介類の水銀の安全基準の問題でございますが、食品中の水銀の許容基準をつくりますには、これは微量の長期の慢性毒性実験が必要でございまして、現在国立衛生試験所でサルを用いまして実施中でございまして、これが観察期間といたしまして少なくとも本年度一ぱいはかかります。しかしながら、現在のような有明町の事例等にかんがみまして、暫定的でも何らかの基準を示したいということで、熊本大学の武内先生も含めました専門の学者を含めまして、五月三十日あるいは六月四日というふうに精力的にいま専門の学者先生方の意見を聞きながら、現在作業を進めておるところでございます。  なお、WHO、FAOにおきまして、暫定的な水銀の摂取許容量というものが出されておりますが、これはスウェーデンあるいは日本等のデータをもとにしたものでございますので、この暫定基準をつくります場合には、FAO、WHO等の暫定的な数字等も十分参考にして検討しておる最中でございます。

馬場昇日本社会党

○馬場委員 まだまだ聞きたいことがたくさんあったのですけれども、時間の関係でまた後日に譲りますが、各省庁、特に農林大臣は、漁民が非常に苦しんでおりますので、漁民の立場に立って、また日本の水産業を発展させる立場に立って、今後環境汚染の問題等につきましても積極的に取り組んでいただきたいと思います。  水産三法の質問に入ることができませんでしたけれども、以上で質問を終わります。

山崎平八郎自由民主党

○山崎(平)委員長代理 午後一時四十五分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ――――◇―――――    午後二時二分開議

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、本日審査中の各案につきまして、本日、本州四国連絡橋公団副総裁柴田護君、同理事田中行男君の両君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 参考人には御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  なお、参考人の御意見は委員からの質疑によってお述べ願います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。柴田健治君。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 提案されてまいりました水産三法に関連をして御質問を申し上げたいと思いますが、先ほど法案審議に入る前に参考人を呼んでいただいたので、まず参考人にひとつ御質問申し上げて終わりたいと思いますから、お忙しいところを来ていただきました参考人に対してお礼を申し上げたいと思います。  御承知のように、本州四国連絡架橋についてそれぞれ三本のルートが決定をされて、同時着工ということになり、そして着工までの期間、いろいろと調査をしてこられたと思うのです。たとえば経済調査、自然条件の調査、測量調査、地質地盤調査、路線調査、下部工の設計調査、上部工の設計調査、施工調査、用地補償調査、そういういろいろな名目の調査が大体完了しておると思うのです。それだからこの着工という過程に入ったと思うのですが、私たち農林水産の立場から申し上げると、この調査の中で水産業の調査が出てこない。いまだ発表がないわけであります。いま提案されている水産三法に関連をして、やはり水産業の立場から、本州四国連絡架橋についても、関係漁民、関係漁協その他地方公共団体を含めて、瀬戸内海の水産業関係者は非常な関心を持っておるところであります。その重大な関心を持っておる水産調査については何も発表してないというところに、私たちは何か割り切れないものを持っておるわけであります。本日参考人として来ていただきました架橋公団の最高責任者から、その経過をひとつ御報告願いたいと思います。

柴田譲本州四国連絡橋公団副総裁

○柴田参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、当公団といたしましては、ずっと架橋に必要な調査をやってまいりました。なかんずく、漁業問題につきましては、私どもといたしましてもたいへん神経を使ってまいりました。  この水産関係の調査につきましては、昭和四十四年、当時の道路公団から水産庁の南西海区水産研究所及び日本水産資源保護協会に委託をされまして、その後、瀬戸内海沿岸の各県の水産試験場、また関係の各大学などのその道の権威者の御協力を得まして、現在では本州四国連絡架橋漁業影響調査という形で実施をしております。  いままでもたいへん多方面にわたる調査をやってまいりました。現在もまだ調査は続行中でありまして、おおむね四十六年度であらかたの調査が進んでまいりましたが、四十七年度、四十八年度、今後におきましてもなお引き続き必要な調査をやってまいるつもりであります。  いままで調査費として使いましたのは、毎年大体平均いたしまして千五百万円程度、いままで四十四年から四十七年度まで約六千万弱、五千六百万程度の調査費を出しております。四十八年度も千五百万程度の調査費で調査を進めてまいっております。  いままでの調査でいろいろな貴重な御意見がわかりました。貴重な知見ということばでいわれておりますが、いろいろなことがわかりましたので、私どもといたしましては、これらの調査の結果を参考にしながら、漁業に与える影響をできる限り少なくするように、工事計画、工法等にくふうを加えてまいっております。ただ、調査をいたします場合には、初めにある程度の前提条件をとっておりまして、その前提条件のもとにいろいろな調査が進められております。そこで、その調査に基づく工法の変更等によりまして、漁業の影響を最小限にとどめるように努力をしておるところであります。  中間的な取りまとめができましたら、その時点で明らかにいたしたい、そのように考えておる次第でございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 中間的ということを言われたのですが、この中間というのはいつの時点なんですか。

柴田譲本州四国連絡橋公団副総裁

○柴田参考人 ある程度のまとまりを持ったということでありまして、ただばく然と調査の結果だけを申し上げましても、かえっていたずらな不安を引き起こすだけであります。この調査をいたしまして、工法をこういうぐあいにするということも明確にして、そして不安を解消いたしたい、そういうつもりでおるわけでございまして、できるだけすみやかにと考えております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 この中間的な発表というものは、架橋公団が独自に一方的に発表するのでなしに、関係各省と関係団体と煮詰めて中間的な発表ということになるのですか。

柴田譲本州四国連絡橋公団副総裁

○柴田参考人 やはりある程度関係の省庁にお話をしなければいけませんし、それからまた関係の府県にもお話を申し上げるつもりでございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 水産庁にちょっとお尋ねします。  この件について水産庁はただ架橋公団だけにまかしておるというようなことではないと思うんだが、今日まで本問題が提起されて相当の年月を要しており、四十三年にも私は御質問申し上げたことがあるのですが、その時分も、水産庁は、関係府県の水産試験場を動員して至急に調査をし、結論を出すように最善の努力をするという答弁をしておる。その後、四十四年からどういうことになっておるのか。水産庁、ひとつ……。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 この本四連絡橋の建設につきまして漁業にどのような影響を与えるかということにつきましては、かねてから御指摘があったとおりでありまして、水産庁といたしましては、漁業への影響を軽減するためにはどのような工法が必要であるか等につきまして、水産庁の南西海区水産研究所並びに関係府県、岡山、兵庫、大阪、和歌山、徳島、香川、愛媛、広島のそれぞれの水産試験場と共同いたしまして、四十四年から四十六年まで調査研究を行なっております。  これのこまかいことにつきましては、専門的なことにわたりますので、研究部長から一応御説明申し上げたいと思います。

松下友成水産庁調査研究部長

○松下説明員 架橋が漁業に与えます影響につきましては、大別いたしまして三つぐらいに分けて考えられるかと思います。  第一番目が、工事の区域、それから安全対策のために設けられる船舶立ち入り禁止区域でございますか、そういったものによります漁業の生産障害がございます。これまでの調査の結果によりますと、こういったものによりまして相当の生産の減少が起こる漁業といたしましては、兵庫-徳島のルートにつきましては、一本釣り、こませ網、小型底びき網、船びき網、それからはえなわ等がございます。岡山-香川ルートにつきましては、一本釣り、建て網、小型底びき網等が考えられますし、広島-愛媛ルートにつきましては、同じく一本釣り、建て網、はえなわ、そういったようなものが考えられるわけでございます。  なお、この検討をいたしました当時は、工法等がまだ確定しておらなかった点もございまして、架橋の予定海域の両側五百メートルずつに制限区域を想定して検討した次第でございまして、この報告をある程度取りまとめました段階で、公団のほうにおきましても、さらにこの制限区域をできるだけ縮小するように、工事の工法その他につきまして検討中であるということを伺っておるわけでございます。  それから第二番目といたしまして、架橋が水産資源の分布、回遊、漁場の形成等に与える影響でございますが、この架橋の工事に伴いまして、懸濁物がふえてまいりましたり、あるいは腐泥が堆積したり、あるいは流れが変わりましたり、あるいは音、光などの影響が考えられるわけでございますが、このうち、腐泥につきましては、水深五メートルから十メートルくらいより浅いところで、しかも潮の流れのゆるやかなところでは堆積し、定着性の貝類とか海藻類、そういったものへの影響が考えられるということでございます。また、工事中の騒音、あるいは橋が完成したあとの車両の通過音の影響とか光の影響、そういったものにつきましては局地的には当然考えられるわけでございますけれども、架橋全域にわたって魚群の通過を遮断するというようなことはないであろうというふうに考えられております。  それから第三番目の問題といたしまして、架橋が水産資源の再生産に与える影響でございますが、架橋によりまして流れが変わりましたり濁りが生じたりしまして、それが魚の産卵なり幼稚魚の生育に影響するおそれがあるわけでございますが、こういった影響につきましては、この工事の現場に近いところの定着性の生物、貝類、あるいはまた移動性の小さいメバル、カサゴ、そういったものにつきましては考慮する必要があろうというふうに考えられるわけでございます。  以上を通じまして、各ルートを通じての漁業への影響に関する問題でございますが、具体的な影響の度合いにつきましては、それぞれのルートについて最終的に工事のやり方が確定されるのを待ちましてさらに詳細に調査する必要があるというふうに考えるわけでございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 水産庁のほうは四十六年度で大体調査が終わっておるように私たち判断をしたわけですが、問題は、工法について公団のほうから連絡があり次第ということなんですが、公団のほうはどうですか。公団は、実質的に調査が終わっているのですから、もう着工ということになっている。それから工法もきまっておるわけです。これらの工法について水産庁とどういう協議をするのか、いつごろ手合わせというか協議に入るのか、その時期をひとつお示しを願いたいと思うのです。

柴田譲本州四国連絡橋公団副総裁

○柴田参考人 お話しのとおり、実は工法の確定を急いでおります。いろいろな問題がありましてたいへん工法の確定がおくれておりまして恐縮なんでございますけれども、お話しのように着工時期もだんだん迫っておりますし、できるだけ早く工法を確定したい、そうしてすみやかに水産庁とも御相談をする、こういう段取りでおります。いま時期をいつと言われましても、責任を持った答弁はいたしかねますけれども、できるだけ早くということをお答え申し上げたいと思います。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 御承知のように、瀬戸内海は、海洋汚染というか、非常に汚染されて、もう漁業ができないという不安を持っておるわけです。そのために、各党は、瀬戸内海の環境保全法の特別立法措置をやろう、こういうのがいまの動きなんであります。それだけ重要な時期を迎えておるにもかかわらず、政府のほうがやる事業に対してあまりにも誠意がなさ過ぎるという気がします。これだけでも早く示して協議に入っていくということをしないと、かえって誤解を招いて、混乱を起こして工事がおくれるというようなことがあってはたいへんだと思う。工事もしなければならない。けれども、やはり漁民ということも考えて、漁民の生活の基盤、生産の基盤を守ってやる、そういうことも考えなければならぬのでありますから、この点の協議について早急に水産庁が――事漁業に関する限りは水産庁が指導的役割りを持たなければならぬと思う。それを公団にまかせるというような姿勢が私はおかしいと思う。水産庁は工事についてはとやかく言えない。しかし、漁業問題に関する限りは水産庁が指導的役割りを持つという責任感を持ってもらいたい。この点について水産庁どうですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 ただいま公団のほうから御説明ございましたが、水産庁といたしましても、かねがね、この問題につきましては関係技術者集まりまして何度か検討いたしておりまして、最後の工法の問題でございますので、具体的な工法につきましては公団とも十分打ち合わせしまして、漁業への悪影響を極力阻止するという観点から、この問題についてはさらに今後とも積極的に御指摘に従いまして検討させていただきたい、こういうふうに思っております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 特に瀬戸内海は、御承知のように、戦前戦後を通じて公有水面の埋め立てでどんどん埋め立てをせられて、魚礁という、魚の繁殖の一番の基地といわれるそういう浅いところをみんな破壊してしまった。同時にまた、三つのルート、神戸-鳴門、児島-坂出、尾道-今治、この三ルートの環境を見ると、やはり浅いところを通るということになる。工事をする立場からいえば、あまり水深の深いところは工事がしにくいから、なるべく浅いところを通ろう、これは当然のことだと思います。ところが、漁業の立場からいうと、浅いところをこわしてくれては困る、こういうことになる。潮の流れも非常に変わってくるということもいえるわけですから、この点については水産庁は十分考えて、漁民をおこらさないように、漁業団体等をおこらさないように最善の配慮をすべきではなかろうか、こういう気がします。この点について、きょうは農林大臣おられますから、大臣から一言御見解を聞いておきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 御意見ごもっともな点多々ございまして、そのとおりに進めてまいりたいと思います。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 それでは、公団のほうはお帰りになってよろしい。ありがとうございました。

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 参考人には本日御出席、御意見をお述べいただきまして、まことにどうもありがとうございました。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 大臣、今度の三法を出されて、先ほど同僚議員の馬場君からいろいろと公害問題一本にしぼって質疑があったわけですが、いま、どの議員を見ても、公害問題を言わなければどうも風が悪いというような、こういうことになっておる。まことに残念なことだと思うのです。それから当局のほうも、公害問題で言われるのが一番頭痛の種だ、どうも頭の痛いところだ、こう思われると思うのでありますが、一応、水産業の関係法案を審議する過程においても、やはり公害問題というものを避けて通るわけにいかないということにいまの現状はなっておると思うのです。  私たちは、基本的なこの水産業の中で、沿岸漁業の開発というものをどうするかというその理念、構想というものがなければならぬと思うのです。いろいろな文書、たとえば漁業白書を読んでみる。いろいろな文書にはいろいろなことが書いてある。書いてあるが、しかし、実際問題として実行行為の中では守られておるものがあるのかどうか。構想はあるが、理念はあるが、それをはばんでおるのは何かというと、やはり公害ではないか。公害問題がそこにいろいろな問題を阻害をしておるというように考えざるを得ない。私は、たとえば沿岸漁業の開発のほんとうの理念というか、構想というか、そういうものの中には、やはり自然的な要素というものを考えなければならぬ。この自然的要素というのは、資源と漁場だと思う。その次はやはり物的な要素というものも考えなければならぬ。これは漁船であり、漁具または魚港、流通加工施設、これが物的要素というものの中に入っている。その次は人的要素、労働力や技術。この三つの基本的な要素から生まれて、それを配慮し、均衡とか調和というものをはかりながら、これを考えて施策を進めていかなければならぬ、こう考えるのでありますが、一つの制度をつくる中で、こういうものが基本的に底に流れておる、その上に制度をつくっていく、これでなければならない。そういうものがあれば、一方では強力な施策が進んでいく。そこにまた、この保険制度もその上に生まれてくるということにならなければならぬ、こう思うのです。  だから私たちは、やはり漁船漁業というものの立場から漁船漁業の振興というものを考えなければならない。これまたいろいろな面で一つの方向を出さなければならぬ、位置づけを考えなければならぬ。その位置づけの中では、やはり高能率、要するに漁獲の技術指導という面で開発を考えなければならなぬ。二番目には、漁況の予測または技術の開発。三番目には、資源の確保、管理、それに対する技術指導、開発。四番目には、漁場の造成なり、漁場を守っていく擁護の立場、それらの技術指導。次は環境保全、改良技術の開発。この環境保全がいまや破壊されておるところに、公害という問題に発展をしてきておるのであります。次は資源の涵養。資源をどう培養していくか。そういう点を考えて漁船漁業というものの方向づけを考えなければならぬと思う。  これは要するに漁業開発に対する構想、理念の中から生まれた構想というものではなかろうか、こう私たちは考えておるわけですが、農林大臣として、日本の漁船漁業、漁業振興という立場でどういう考えを持っておられるのか、見解を聞いて本論に入りたい、こう思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 ただいまの御質問の中で私が最も重要視しなければならないのは、問題が起きたので、環境保全とかあるいは公害問題とかいうことがいろいろいわれますが、何といっても、漁業をやる上におきましては、公害問題などが起きず、自然環境が守られておるということになりますれば、そこに水産資源というものが確保し得るわけであります。その水産資源の確保というもの、それが基本的になければ、漁港の整備あるいは漁船や漁具の改善あるいは漁獲技術の向上というものはあり得ないのでありまするから、したがって、公害問題というものはそういう点からもきわめて重要なことであると考えまするので、水産資源確保の上において、現在ございます公害関係の諸法規、水質汚濁防止法とか海洋汚染防止法とか、そういうようなものを厳正に適用しながら、沿岸海域の漁場環境の保全につとめ、優良漁場の確保をしていく、そのことによって初めて水産問題の大前提がつくられると思うのであります。そしてその後に、従来考えられておるところの漁業の生産基盤ともいうべき漁場の造成、改良、栽培漁業の展開というようなことで水産資源の維持増大をしていきたい、また漁港の計画的な整備も行なっていくし、お話にもございました流通加工施設の整備もしていくというようなことで、安心して漁業に従事できるような、そういう状況ができてくると思うのであります。もとより、沖合いや遠洋海域の国際規制の問題とか、あるいは領海や漁業水域に対する一方的な拡大の問題、そういう国際観念などもございますし、また、現在の労働力不足の問題というようなことがございまするが、基本的には、何といっても環境を保全して、そして水産資源の維持増大というものをまず考えていくのが適切ではないか、かように思います。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 先ほど、一つの構想、理念というものを大臣にお尋ねしたのですが、どうも抽象論的で、よくわからない。大臣は何もかもみなわかっておらない。農林行政だけが農林省ではありません。ところが、近ごろ、農民や漁民の立場からいうと、農林省というところは何をするところだ、農政農政といって、何でもかんでもノーしてしまうんだろう、こういう見方、そういう意見を聞くことがあるのです。御承知のように、日本列島は災害列島だと、こういう。いままでは、風害や水害や、はたまた雪害、火災だとか地震だとかいうことがあまりにも多いので、日本列島は災害列島だ。ところが、災害も減っていない、依然として災害は起きておる。その上に公害というものがふえてきた。公害で大気汚染だとか、土壌汚染だ、海洋汚染だといって、いろいろな面でこれを加えて公害列島だ、いまや日本は災害列島の上にプラス公害列島だ、こういうことになっておる。そういう中から、自然を相手に仕事をする第一次産業の立場からいうと、そういう方々は非常に不運であるし、何という不幸なめぐり合わせか、こういう半ば宿命的――まあ宿命論で片づけられるということで一方では腹を立てておる。半ば自然現象から来る災害、同時にまた人為的から来る災害、この点について、やはりそこに政治というものが必要だ。政治によってできる限り解決していくということでなければならない。  ところが、いまみんなが公害公害と言うものだから、日本にはどんな種類――公害の字を変えたらどうかという意見がある。何もかもみな公の字を使わなくても、もう少し変えたらどうか、もっと国民にわかるように。公害というのは、役所が出すわけじゃないし、都道府県、各市町村が出すわけじゃない、それぞれの企業なりあらゆる産業から出てくるわけですから、公の字を使うな、こういう意見もあるわけですね。この点について、公の字を使うからややこしくなるということになる。それはまあことばのあやであって、私たちは、いま日本の公害というものは、食品公害もある、薬品公害もある、産業公害、中を分析すれば幾らでもある。物価公害だとか交通公害だとか、商社公害――いま商社公害ということばがある。商社の公害だとか、汚職公害がある。ごみ公害だとかギャンブル公害だとか。これらを発生させておるのは何かというと、やはり政治ではなかろうか。それを解決しないと、だんだんと発展して政治公害だといわれるようになってくる。政治公害ということばを使われると、もう政治に対して国民は不信を持つということになってくるのではなかろうか、こういう心配がある。まあ一昨日水産庁が発表したあのPCBの八つの地域の問題でも、あの関係住民の皆さんはもちろん、漁民の皆さんも消費者の皆さんも、何を食ったらいいんだ、これから何を食ったらいいんだろう、こういう気持ちになると思うのですね。  そういうことを考えたときに、人間の生活で一番大事なのは衣食住である。この衣食住がこわされたら、もはや人間は生きる希望というようなものがだんだんなくなってくる。この連鎖反応を起こしてくる。連鎖反応を起こすということは、いいほうへ起こしてくれればいいが、悪いほうへ起こすとたいへんなことになる。人間の一番大事なのは衣食住、これは昔からいう衣食住である。ところが、日本のほうは、いまごろは衣食住とはいわない、住食衣といわれておる。住むところが高いから住になった。昔は、住むところが安く、着るほうが高かった。だから昔の人間は、破れたのでもぽいぽい捨てずに、みなお年寄りがつくろいをして、たびでも何でもつくろいをしてはいている。着るもの、衣類が高かった。それで衣食住。食べるものがまん中に入っている。ところが、いまごろは逆になって、住食衣になっている。ところが、いまはもうみんなとんとんだ、こういう。いまは消費経済をうたって、消費は美徳なりということで、物を大事にしない。みな投げてしまうものだから、海がよごれる、川がよごれる。あたりまえだ。みんなして海や川をよごしておる。これはやはり産業を発展させる、物質文明を発展させるということの中で精神的な面を忘れておる、精神文明というものを破壊した、こういわれておる。それから、物を大事にしない。そういう施策を進めたところに今日の公害も結びついておる。連鎖反応だ。何でもそこらじゅう捨てればいいのだ、物を大事にしない、大切にしないという考え方がある。これが消費経済、高度経済政策の一つの後遺症としていまや残っておる。こういう点をお互いに考えなければならぬと私は思うのです。そういう面から私はもう少し公害問題は謙虚に反省をして取り組んでいかないといけない、こう思うのですよ。基本的にどうあるべきかという公害問題の取り組む姿勢というものがなければならない。先ほど馬場君の質問を聞いておると、答弁者は、環境庁も厚生省も農林省も通産省もばらばら。ばらばらになる原因は何だろうか、これはセクトだろうか、エゴだろうか、これが日本の官僚機構の一つの欠陥だろうかとわれわれも反省をさせられた。総理や党の皆さんがもう少しそういう矛盾をいろいろな――やろうとしてもてきない壁、その壁はどこから生まれておるのかということを謙虚に反省をしてもらわないと、ここで皆さんと私が論戦をしても公害問題は解決しないという気がする。それから、人間が起こしたのだから、人間で処理できないことはないと私は思う。そういう姿勢でやってもらえるか、そういう考え方に立って、これからの公害問題を論争する中で、質疑をかわす中で、お互いに誠意をもって、こうあるべきではなかろうか、こうすべきではなかろうかという、一歩でも二歩でも前進をするような答弁がなければ私はいかぬと思う。皆さんの答弁を聞いておると、その場限り何とかして逃げていこうという皆さん方の答弁の技術は、答弁技術かどうか知りませんが、どうして逃げるかという逃げの手の答弁ではいけないと私は思う。もっとまじめに答弁をこれからお願いしたいということで、前段のほうでいろいろ申し上げた。  まず、厚生省見えていると思いますが、水産庁の一昨日の発表で、PCBの汚染地域、要するに危険地域、許容基準量をオーバーした地域ということで八つの地域を発表されました。私たちが疑問を持つ点が幾つかあるわけであります。それらを解明する意味でお答えを願いたいと思うのですが、水産庁から書類をもらっておる。「昭和四十七年十二月末に発表した全国百十水域についてのPCB汚染実態調査の結果を勘案して、」こういう「勘案」ということばを使っておる。「汚染の進んでいると認められる沿岸および河川の十四水域について」それから百十の水域を勘案して摘出してこことここと拾い上げて十四、要するに、汚染度の高い地域はここだろうということで、多少科学的な根拠をもって摘出したんだろうと思いますが、この十四の地域において、四十八年二月から平均二百検体の魚介類及び水質、底質調査を行なった。十四を重点的に調べた。ちょっと飛ばしますが、「魚介類については前記の十四水域について二千二百七十三検体を調査した。このうち海産魚介類一千六百七十七検体中三PPMを超えるものは九十八検体(六%)であり、淡水産魚介類五百九十六検体中三PPMを超えるものは五十五検体(九%)であった。」こういうことを書いてあるのですが、「十四水域のうち東京湾、四日市地先、水俣湾水域、日和佐港水域では全て三PPM以下であった。」この点について、八つというものは絶対自信をもって発表されたのだと思いますが、残りの六つについてはなかった。どうも東京湾がきれいな水と思えないし、四日市がそうと思えないし、これはもう完全に白か、まだまだ灰色で疑問があるのか、この点について水産庁の見解を述べてもらいたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 今回調べましたのは、先ほど御指摘がありましたように、十二月の百十水域のうちの非常に汚染されておるというふうに見ました十四水域について調べましたところ、御指摘のように、十四水域のうち四水域は、一応調査したところ、三PPM以下の数字だけの結果が出たわけでございます。この三PPMというのは、御承知のように、厚生省でおきめになられております基準値でございまして、今回の発表では、この四地域がいわゆる一応検出されなかったという報告でありますが、私たちといたしましては、PCB関係の調査につきましては、さらに今後も定期的に検査をするという姿勢でおりまして、なお今後この十四水域は少なくとももう一度――もう一度というか、次の調査におきましても引き続き検査は実施してまいりたいというふうに考えておる次第でございまして、その結果によりましては、場合によりましてはあるいは三PPM以上のものが出るかもわかりませんし、出ないかもわかりませんし、それは調査の継続の結果を待ってわれわれとしては公表いたしたい、こういうふうに考えております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 「百十の水域について」文章がおかしいですね。「実態調査の結果を勘案して、」というのはどういうのですか。続けて百十をまだ調査するという道は残されているのですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 昨年発表いたしました百十水域につきまして、その後環境庁を中心といたしまして関係各省技術者の間でしばしば打ち合わせをいたしまして、十四水域が非常に汚染か進んでおる、濃度が濃いというので、この十四水域を各省間で協議の上きめた、農林省の水産庁だけで単独できめたのではなくて、環境庁を中心に各省の技術者の集まりで十四水域をきめたのでございまして、なお今後のいろいろな情報の過程で、あるいは各種調査機関の調査の結果、汚染されている水域が今後もあるいは可能性が出てくるかもわかりませんし、そういった場合にはさらに追加することも必要でありますけれども、今回は十四水域についての調査を行ないました。しかし、必ずしもこれにこだわるものではない、こういうふうに御理解を願いたいと思います。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 厚生省にお尋ねしたいのですが、この三PPMという許容基準、これが、ある学者に言わせると、医学的にまだあぶない。三PPMという基準で、これを依然としてとり続けるとあぶない。先ほど水産庁答弁をされておりましたが、動物性のたん白の摂取源というものはやはり五二%が魚介類だ、こういわれておりますが、日本人はどうも魚介類をとる。周囲が海であったから、そういう関係で魚を食う民族になっているのですが、動物性たん白源の五二%もとっているという立場からいうと、三PPMというものは、一カ月に一回ずつ食べればたいしたことはないでしょうけれども、毎日連続して一定の量を食べれば、三PPM以下でも危険性があるのではなかろうか、医学的に専門家はこう言っておるのですが、厚生省はどうですか。医学的には影響はない、そういう自信を持っていまだにこの三PPMの許容基準というものを守り続けておられるのか。将来あぶないという懸念がある、疑問がある、これは許容基準を引き上げなければならぬ、こういう考えがあるのか。  もう一つは、役所はたいてい暫定ということばを使うのです。暫定というのをよく使うのですが、この暫定ということばをこれも使っているのですね。暫定というのは、十年間でも使えるし、一年でも使えるのですが、暫定的な許容基準というもので、何か自信がないのじゃないか。厚生省としても三PPMの基準をきめたが、暫定ということばを使う限りは、どうもまだまだ自信がない、疑問が残るという点がある、こういう判断に立って暫定ということばを使われておるのか。この点について厚生省見解をお聞きしたい。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 お答え申し上げます。  PCBの環境汚染並びに食品汚染というものが急にクローズアップされまして、昨年の八月までに食品衛生調査会でいろいろ検討をしたわけでございます。当時まで、食品衛生調査会では、その時点までで入手し得る限りの内外の研究成果を基礎にいたしまして、暫定的に一日の許容摂取量を体重一キログラム当たり一日五マイクログラムに押えるというために、当面の規制値といたしまして、特に魚介類につきましてはその摂取量等々勘案いたしまして、内海、内湾につきましては三PPMという規制値をつくったわけでございまして、なお、この調査会の議論の中でも、さらにこの規制値が適正に確保されるならば、一般的には十分な安全性が見込まれておりますので、その安全性は確保される。しかしながら、妊産婦あるいは乳幼児、あるいは魚介類を多用いたします人々等につきましてはさらに検討を要するということで、食品衛生調査会におきましてもさらに検討が実施されておる最中でございまして、この結果を受けまして、必要に応じましてこの食品中のPCBの暫定的規制値につきましても再検討をすることにいたしております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 全国平均でやられると、それはその三PPMでも、摂取量で――ところが日本の場合は、米のたくさんできるところは米をたくさん食べるし、米のできない麦のところや、その他、豆類だとかイモ類しかできないところは、イモをとる率が多い。それから大体日本の漁場というところは、耕地の少ないところに漁場があるわけですね。漁民がそこに住んでおる。そうすると、自然、魚でもよけい食べようかというのは、これは当然な歴史的な習慣だと思うんですね。だから、そういう習慣の地域、そういうものを勘案せずして全国レベルで水準を出して、影響がないんだというのはおかしいのであって、いま答弁を聞いてみると、いずれ乳幼児や妊産婦や特に多く摂取する地域については再検討しなければならぬというんですね。その再検討するということについてどういう作業をしておられるのか、いつごろそういう方向が出るのか、その日程があれば聞かしてもらいたい。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 現在、その摂取状況等勘案いたしまして、八県におきまして、おおむね五百人、したがいまして約四千人につきましてこの健康調査をやっております。この結果が現在集計中でございまして、これの集計、分析に取りかかりまして、先ほど申し上げました食品衛生調査会において十分検討いたしまして、これの基準等について再検討をする予定にいたしております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 今年中に出るのですか。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 今年中には結論を出したいということで作業をいたしております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 これだけいろんな面で汚染をされて日本の漁業というものが発展するとは考えられないという、いまどちらかといえば私たちは悲観的な見解を持っておるのですが、大臣どうですか。大臣の立場から見て、下から報告――まああなたが現地を見て、調査や、いろんななまなましい声を聞く、そういういろいろな総合的な判断をして、悲観をすることはないという自信を持っておられるかどうか、ちょっと大臣の見解を聞きたいんですが……。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 今回のPCB汚染の精密調査をした結果を見て、こういう調査をしばしばやるべきである、そしてそのことによって公害問題に対応するなり、あるいは公害問題に対してより一そう細心の注意を払う、そういう空気を醸成したいと思います。最近におけるいわゆる列島改造に伴う公害問題ということできびしい御批判をちょうだいしたのでありますが、これは実際上いえばそうでない、従来の高度成長に伴ういわゆるたれ流しの状況というものが、最近における公害問題に対する非常な国民的関心の中においてクローズアップしてきておるものと思うのであります。そういう点で、こういうふうに国民もこぞって公害に対する関心を持つ、また政府におきましても、環境庁発足以来真剣に取り組んできておるのでございますから――現にまた公害のおそれのある工場あるいは汚染の地域、非常にあると思います。しかし、最近における情勢は、少なくとも公害問題の打開のためには一歩も二歩も前進してきておられるのでございまして、その点を私どもとしては一そう今後積極的に進める方向で公害問題に取り組んでいきますならば、次第に公害に対する問題解決に向かうことができるんではないか、かように見ております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 水産庁のこの発表、この八水域の関係漁民その他住民はたいへんな心配をし、それぞれの不安を持っておる理由というのはたくさんあるわけですが、しかし、この地域を自信を持って漁獲の禁止命令を出すというような、廃棄処分等を含めて行政指導的な立場で進めておられると思うのですが、しかし、その中で私たちがぴんとこないのは、たとえば、汚染をさせたという原因者がある、要するに企業がある、企業の責任というのはもう免れない、こういう受けとめ方を私たちはするわけですが、そういうことがはっきりしておるのに、たとえば補償問題一つ取り上げてみても、この補償は自主的に交渉しなさい、地方公共団体を含めて地方でやりなさい、あとは知りませんぞな、こういう姿勢が私たちにはどうも割り切れないんです。先ほど馬場君も言っておったが、犯人は大体わかっておる。ただ、魚をとってはならない、売ってはならない、廃棄処分にしなさいという行政指導はするけれども、そこに私たちは割り切れないものを持つので、この点について、水産庁も、当然のことで私たちは疑問を持っていない、あたりまえのことだ、こういう判断に立っておられるのか、この点を聞いておきたいのです。  それから次は、魚介類が汚染されたということで、明確に科学的根拠がある、それから汚染水域を指定をする、もうそのことだけは明確になった。ところが、取り締まりをする法律、規則がないものだからどうにもならない、先ほど、時期を見てと馬場君に答弁をしておられましたが、この法律や規則というものを早急に何とかしてつくりたいという、こういう意味深長な答弁をしておられたんですが、この法律や規則を早くつくらなければいかぬと私は思うのです。つくるなら早く、問題がどんどん広がって、住民運動が起きてにっちもさっちもいかないように追い詰められてくるという姿勢ではなくて、後手に回らないように、先手先手に回る、そういう姿勢でこの規則をつくっていく、法律をつくっていくという、そういうお考えがなければならぬ。この点についてもう少し明確にしておきたい、こう思うのです。  それから、汚染率が二〇%未満のところは対象にしない理由、この点どうも私たちが割り切れない点なんですね。それはなぜ二〇%未満は対象にしなかったか、この点をもう一つ解明してもらいたいのです。  この三つの点が疑問があるものたから――勇気はある。八つの地域はもう勇気をもって発表もし、禁止もし、指導もするという、そういう姿勢で出した、この勇気はこれを私たちは高く評価をするのですが、あと続かなければどうにもならない。あと続けてその指導ができ、またそれを排除していく、そういうものがないといけない。しり切れトンボになってしまう。出しっぱなしであとはどうでもいいんだ、こういうことでは、水産庁の任務を果たしているとは思えない。この点、水産庁はどうですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 今回のPCBの調査並びにその発表につきまして、ただいま御指摘がありましたように、水産庁といたしましては、この発表はいいけれども、今後どうするのだということが、私たちとしても考え方として取り扱いに非常に苦慮した次第でございます。結果的には、これが消費者のといいますか、国民の衛生あるいは健康上非常にいいことであったと私は思っておりますが、ただ反面、これは漁業者には非常な不安と御心配あるいは生活的な問題にまで波及するという問題がありまして、この点につきましては、発表には踏み切ったものの、その辺のただいま御指摘のように、あとに続く手段といいますか、行政手段が、現在の公害行政の全体の流れの中で試行錯誤的に今後進めていかざるを得ない現状について、私たちも非常に困った次第でございます。この発表にあたりましては、やはり事前に約一カ月以上かけまして関係都道府県の公害関係者あるいは副知事あるいは部長等とも折衝いたしまして、あくまで今回のこの発表にあたりまして、これは汚染源を十分ひとつ掌握の上、当該の関係者の原因者負担の原則でやるようにすべきだ、こういうような指導をいたしたわけでございます。その結果、ある程度県におきましても了解を得られまして、一部の地区におきましては、発生者であると思われる方が当該魚をどんどん捕獲して、とられた魚を全量買い上げられて、コンクリートブロックの中にしまって、さらに埋めて、公害の汚染を拡散するのを防止するというような手段で、現在当該県におきましてはそういう形で進んでおります。  また、発表にあたりましても、非常に広範な、ふわっとした態度での発表では、はなはだ関係方面に迷惑をかけるだけだということで、A県のB地先というふうに、場所を非常に限定した、さらに、B地先のうちでも、スズキならスズキ、ボラならボラというふうに、その辺の魚全部が汚染されているという表現をとりませんで、三PPM以上の魚につきまして明確にしまして、少しでも不安の解消につとめますとともに、問題点を的確に整理させていただいたつもりでおりますけれども、何せ最初の発表でもありまして、十分にその辺が関係者の間で御理解願えたかどうかにつきましては、私もまだ不安な点が残っておるわけでございます。  また、先ほど私の当委員会での説明が少し舌足らずで誤解を招きまして申しわけございませんでしたが、現在の水産関係の諸法規では、こういった公害魚、汚染された魚についての法律条項というものは何もない。何か適用できる条文はないものだろうかということで調べてみたのですが、規制をするような対象がない。たまたま、しいて政府部内でさがし出せば、厚生省の食品衛生法しかなかったということでございますが、私たちといたしましては、今後こういった汚染問題が大きくなる可能性もありますので、こういった漁業の水域についてのいわゆる漁獲規制措置につきまして、何らかの形で取り締まりができるような権限を与えられるよう、今後ほんとうに検討してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。しかしまた、簡単に漁獲の禁止というだけの話でしたら、また話は簡単ではございますが、朝以来の御質問にありますように、禁止という取り締まりの措置を適用した場合の、そのときの反射的措置というものを一体どうするんだ、漁民に非常に迷惑をかけた場合の対策をどうするんだというようなことにつきまして、水産庁としましてもまだ明快な方針が確立してないということで、その辺につきましては今後ひとつほんとうに研究さしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  問題のさらに第三点でございますが、汚染率が二〇%未満のものは今回いいんだというふうな考え方は持っておりますが、これは厚生省のほうの食品衛生法上でおきめになられました暫定的な基準でそういった方針が出されておりますので、それを拝借させていただいたといいますか、それを適用させていただいた、こういうように御理解願いたいと思います。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 厚生省の任務、それから農林省の任務というものはおのずから分離されたものですね。これはさまっておると思う。だから、厚生省のやつを借りてきてどうするとかいうようなことは、これはまことに不見識な話なんで、この点について十分検討していただいて、早急に処置できるように……。  それから、いま発表された中で問題になるのは、あなたはいま、加害者負担の原則だ、こう言われた。補償の問題については、加害者負担の原則。加害者がわからなかったらどうするんだ。加害者がわからなかったら、無過失賠償責任という形で国がそれらのめんどうを見るという、そういう判断に立って出されておるのかどうか。加害者負担の原則は原則で守らしていくが、しかし、加害者がわからない、さっぱりわからない、そういう場合は、国の責任において無過失責任賠償法の適用をするんだ、そういう考えがあるのかどうか、お答え願いたい。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 まさに御指摘の点が政府部内でも非常に問題になっている点でございます。原因者負担の原則ということは、一言で言えば、それはそれなりに原因者がわかっておりますれば非常にはっきりした責任の追及ができるわけでありますが、問題は、やはり原因者がわからないというときに、それが直ちに反射的に国の負担になるのかどうかということにつきましての法律論的な理論構成なり、また実際的な経費問題のあり方というようなことが、まだ十分政府部内におきまして意見の統一といいますか、まさに議論百出の点でございまして、そこをどういうふうに切り抜けていくといいますか、解決していくかということが、ただいまの議論の焦点でございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 私は、水産庁としてどうとるかという、そういう考え――私は、いずれこういう問題は順次出てくると思うのですね。ただ、いま八つの地域ですが、いずれまたどんどんふえる。減る可能性はない。大臣は、だんだん減るだろう、こういう見通しなんですが、私は減らないと思います。これはいずれ将来の結果論を見なければどうにもならぬですが、私はこの際、いま法案が出ておる積荷保険だとか、いろいろな保険制度を新しい時限立法として出されているのですが、こういう公害において加害者がわからない、そういうところをただ知らぬ存ぜぬでほうっておく。国がほうっておけば、県も市町村もみんなほうっておく。困るのは漁民だけなんです。一方では漁業振興だといって、漁港整備もやりましょうと言っておいて、こういう問題が発展すると、先般漁港整備五カ年計画の国会の承認を当局が求められたけれども、もう漁港も何も要らぬじゃないか、漁船も要らぬ、われわれは漁労の意欲がなくなる、こういうことになってきてはたいへんなので、要するに、国において無過失賠償責任というのがとれないなら、別の方法で一つの補償保険制度を国全体でつくったらどうか。これは都道府県、地方公共団体とも協力してそういうものを早急につくる必要がある。そしてみんなして助け合っていく、みんなして公害を起こさないように努力はするけれども、起きたらこうするのだという、そういうものが水産庁の構想の中に出てこなければならぬと私は思う。どうですか、水産庁。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 ただいま御指摘のように、私たち水産庁では水産庁なりに、この公害問題のあり方、特に漁業者がそれによって被害を受ける場合のあり方につきましてどう国が対処すべきかということにつきまして、内部で非常に検討中でございます。ただ私といたしまして、内部でも議論として、まだ非常に混然しておりまして、こういう方向での整理というような形にまだなっておりませんので、その点につきましては準備不十分な点もございますので、まだ本日ここで私からはっきりした御答弁ができないことにつきましては、はなはだ残念に思っている次第でございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 それでは、構想としてはだんだん煮詰めていきよるということは、そういう判断をしてよろしいか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 こういうふうに漁業につきましての被害が最近非常に頻発してきている。少し話が横へ飛びまして失礼でございますが、あるいは昨年の赤潮、最近におきますタンカーの事故、あるいはこういった重金属あるいはPCBの汚染といったことで、それぞれ変わった形ではございますが、いわゆる結果的には漁民が非常に被害を受けるという問題について、単に私のほうではそれは知らない、関知しないという姿勢では、やはりこの問題はこの時点におきましては通らないというふうに私たちも考えております。特に先ほど先生も御指摘のように、公害問題は避けて通るわけにいかないということにつきましては、重々それにつきましては私たちも考えておりまして、何らかの形でのいわゆる今後の対策の必要性は認めておりますし、またその方向に向かって前進いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 長官は非常に熱心だからわれわれは大きな期待を持っているわけですから、本気でやってもらいたい、こう思います。漁民はそれを待っているわけですね。その点については、漁船の積荷保険制度を出されたけれども、これもテストとしてやられるのもけっこう、われわれは賛成をするのですが、しかし、何としてもいろいろな問題で、公害を含めていろいろな災害が、いま漁民に人為的な災害のほうが多いのです。自然的な災害よりは人為的な災害が多い。それが原因不明だといって逃げられる道がたくさんある。加害者がわかっておりながら、原因不明だといって逃げる。そういう人道的に許しては相ならぬようなひきょうな企業家もいまある。そういう人々が残念ながらあるということは、われわれはもう一ぺん人間の精神構造を変える運動をしなければならぬのじゃないか、こういう気がいたします。  そういうことで、今度の八地域で加害者がわかるかわからないかということは、その区域内にどれだけの工場があるのか、これは通産省見えておると思いますが、この八つの地域ごとに工場名を言ってもらえばいいんだが、おそらく通産省は言わないと私は思うのです。言わないことは尋ねないほうがいいので、工場数だけがわかっておればその報告を願いたいのですよ。どうですか。

松村克之通商産業省公害保安局公害防止指導課長

○松村説明員 お答えいたします。  PCBの使用工場につきましては、大別しまして、PCBをつくっていた工場がございます。それからPCBを使用いたしまして感圧紙をつくっていた工場がございます。また、PCBを使いましてコンデンサーなど電気製品をつくっていた工場がございます。さらに、PCBを熱媒体として使っていた工場があるわけでございます。この中で、われわれといたしまして、PCBの問題が起こりましてから、これらの工場の数をといいますか、どういった工場がPCBを使っているかということを調査をいたしているわけでございますが、最初に申し上げましたPCBをつくっていた工場、メーカーでございます。あるいはPCBを使って感圧紙をつくっていた、あるいはPCBを使ってコンデンサーをつくっていた工場、これらはほぼ把握できているわけでございますけれども、熱媒体としてPCBを使っていたこういう工場は、全国に約二千軒くらいあるのではないかというふうに考えられておりますが、これは熱媒体でございますので、実はその全部の数を把握するということがきわめて技術的に困難でございます。それで私ども、PCBを前につくっていた工場に対しまして、これまでのPCBの出荷先というものを過去にさかのぼって調査しろ、整理しろということで指導いたしたわけでございますが、何ぶん昭和二十年代からつくっていたことでございますので、完全な資料というところまではいっていないわけでございます。それにいたしましても、約千二百程度の工場は把握できているわけでございます。  それで今回の問題につきましては、危険地域といいますか、指定された八水域というところについて、どういった工場がPCBを使用していたかということを調べたわけでございますが、何ぶん私どもの段階では、たとえば新潟県の関川水系というようなお話でありましても、その水系別というところまで私どもとして調査ができない状況でございます。したがいまして、たとえば新潟県であれば新潟県の工場を、新潟県には使用工場が幾つかある、どういう工場であるというデータを、私どものほうで先ほど申し上げましたような手順でつくりましたリスト、これを関係の県のほうに御連絡をいたしてございます。それによって県のほうで、この工場は対象の水系に排水口を持っている、あるいは持っていないということは、これは県が、水質汚濁防止法を実際に施行しております点から申しましても、最もそういうデータをお持ちでございますので、そちらのほうで御検討いただく、こういうふうなことになっているわけでございます。もちろん、私どもといたしましても、今後そういった点について水産庁あるいは県のほうからの御要望がございました場合には、できる限りの御協力はさせていただきたい、こういうふうに考えております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 どうも通産省は、われわれ漁民の立場からいうと、加害者と同類のような感じです。早く責任を感じて――ただ地方公共団体に調査を依頼するとかなんとかいうのは、まことにお粗末な話だと私は思うのですね。それからこの被害者の立場に立っている農林省、水産庁では大きな迷惑です。水産庁から指導を受ける地方公共団体では、これまた大きな迷惑をする。漁業団体もそうです。だから通産省は、年じゅう企業の立場に立って企業の実態調査や、いろいろな経営の内容、製造品目の内容をつかんで――やはり一つの工場の認可をするのでも、許認可をおろすのでも、通産省には具体的に製造品目なりすべてを報告しなければ認可はおりないはずですよ。それがわからないというのは、農林省に尋ねたらわからない、県に問い合わせをするというならわかるのですが、通産省に尋ねてもわからぬというのは、お粗末な限りだと思います。もう通産省は許認可事項はやめて、どこかの省に移しなさいよ。許認可事項を持たせたらたいへんなことをする。もうこれ以上質問しませんが、いずれこの責任を感じてやってもらいたいと思います。  建設省の河川局、見えておると思うのですが、環境庁と両方にお尋ねいたします。  建設省管轄、建設大臣管理の河川、この水質の調査をする場合に、上流、中流、下流、この三つが大体原則の調査方針です。河口だけ、下流だけを調査するというのではないのですが、この三つの地点で水質調査が完全に完了しておるのかどうか、この点お尋ねしたいのです。  あわせて、環境庁も水質調査についてどういう具体的な指導や助言や協力をしておるのか、御答弁願います。

太田耕二環境庁水質保全局水質規制課長

○太田説明員 ただいまの御質問でございますが、実は昨年五月から十二月にかけまして、環境庁が中心になりまして、通産省、水産庁、建設省、運輸省、厚生省等と連絡をとりまして、PCBに関します一斉点検をやったわけでございます。その内容を申し上げますと、まず、PCB取り扱い工場、これはただいま通産省のほうから御報告がございました。並びに下水処理場及びし尿処理場、それから工場近接水域、公共用水域――公共用水域と申しますのは、いわゆる一級河川並びに重要港湾、それを含みます。それと、いろいろな土壌、農作物、それから魚、それにつきまして、ただいま申し上げましたとおり昨年五月から十二月にかけまして一斉に調査をやったわけであります。  水質につきましては千八十四地点、底質、これはヘドロでございますが、ヘドロにつきましては千四百四十五地点、合計二千五百二十九地点をやった次第でございます。水質につきましていわゆるPCBが検出されました地点が二十地点ございまして、ヘドロにつきまして申し上げますと、いわゆる一〇〇PPM以上のヘドロが検出されましたのが二十八地点ございました。水質の検出されました地点につきましては、関連工場の排出水の再検討、並びに、必要ならば工場の排水溝の清掃等につきましていわゆる指導を行なった次第でございます。それから底質につきましては、二次汚染を起こさないような形でしゅんせつ、封じ込め等を実施させたわけでございます。  魚につきましては、すでに議論の上、報告されておりますので、省かしていただきたいと思います。

関口洋建設省河川局河川総務課長

○関口説明員 ただいま環境庁のほうからお答えがございましたような総合的な調査の一環といたしまして、私のほうは一級河川のほうを分担したわけでございます。ただいま環境庁のほうから詳細御報告がございましたのですが、特に高濃度のPCBが検出された川としては大分川がございまして、それについては原因がはっきりいたしておりましたので、しゅんせつをし、その土を工場内の敷地の中に、いま環境庁が御説明しましたように封じ込めるという措置をとらしていただいた、こういうような経緯がございます。  そのほか一般的な河川の水質の調査につきましては、全般的に河川の調査の一環といたしまして、三十三年から一級河川につきまして調査を始め、四十八年現在では、百八水系につきまして約七百余の地点について所要の水質の調査を行なっております。それらの成果につきましては、水質年表という形で公表いたしますと同時に、関係の各行政機関の行政運営の参考に供していただくために絶えずフィードバックを行なっておる、これが現状でございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 それなら建設大臣の管理の一級河川は完了しておるということですか。

関口洋建設省河川局河川総務課長

○関口説明員 いま環境庁から御説明のございました調査結果に基づく高濃度のPCBが検出されたという川については調査を終わっております。そのほか、高濃度に至らぬでもPCBの検出された河川につきましては、四十八年度から定期的に、PCBを先ほど申しました水質調査の項目に取り入れまして、それらの調査を進めると同時に、環境庁をはじめ関係行政機関と御相談して今後の処理方針をかためてまいりたい、これが現在私どもの考えておるところでございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 公害問題は一つの国民的な課題だ、こう私たちは判断をして、国民のほうも、また政府のほうも、みんながこれは取り組まなければならぬと思うのです。今後この公害問題は、一時的な問題でなくて、やはりいままでの堆積、蓄積された、そういう累積からくる公害というのがいま問題になっておるようですけれども、まだまだこれからふえてくる、減らないという判断に立つわけでありますから、私は教育の場でももっと公害のおそろしさ、きびしさというものを教育する必要があると思う。  文部省見えておると思うのだが、各学校でも交通規則についてはいろいろ指導なり、社会科で勉強さしているのですが、公害問題についてもっと教育の場でも取り上げて真剣に国民に訴えていく、理解を求めていくという、そういうことをしなければならぬと思う。あわせて、公害大学くらい一つつくるくらいの元気がなければならぬ、こう思うのですが、文部省、簡単にひとつ御答弁願います。

別府哲文部省初等中等教育局中学校教育課長

○別府説明員 お答え申し上げます。  児童生徒は将来社会人となってわが国の将来を背負う人々でございますので、こういった人々に対する公害問題についての知識を十分に持たせ、また公害についての認識を十分身につけて社会に送り出すということは、学校教育においても非常に重要なことであるという認識をいたしております。従来から学校教育におきましてもこの問題は取り組んでまいりましたけれども、まだ取り組み方が十分でないというような御指摘もあり、一昨年、小中学校の教育課程の基準になっております学習指導要領の一部を特に公害問題についてこれを充実強化するという立場から改正をし、各教育委員会を通じて学校に通知をいたしたところでございます。具体的には、学校教育の中では社会科、理科、保健体育科あるいは道徳といったそれぞれの教科領域の中で公害問題を取り扱っておりますし、その基準は学習指導要領にきめておりますけれども、実際に教育課程を編成する場合には、地域や学校の特殊な事情、それぞれの地域の実情に応じて適切な素材をとらえて公害問題についての教育を現在行なわれているところでございますけれども、先生御指摘のような現在のような社会情勢を考えますと、今後一そうこれらの点については指導を徹底するように考えていかなければならないと考えているわけでございます。文部省におきましても、各種の講習会あるいは会議等を通じ、また必要な資料等を通じまして、従来十分な指導を尽くしてきたつもりでございますけれども、今後さらに一そう徹底するように努力いたしたいと考えております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 今度法案のほうに入りますが、漁船損害補償法で具体的に質問申し上げますから、一つ一つでなしにまとめて御答弁願いたいと思います。  漁船補償法の今度の改正点で、いろいろ保険に加入する対象漁船以外のものを加える。その中で給油船というのがあるのですが、今度は給油船を対象にするわけです。その給油船は、御承知のように油船。油船というのは大体危険度が高い。危険度が高いのに、保険料率は同じような率で加入をさせるのか、この点が一点。  それから、人の船を借りていく用船者に組合員資格を与える、こうなっているのですが、あれは保険の契約期間が一カ年ですから、私が友人に半年貸した、その場合の問題をどうするのかということなんです。そこに疑問がある。  それから、そういう場合の船の大きさは従前どおりの基準で対象にするのか。  それから剰余金、今回の改正法案で三十五億も交付金という形で事業財源に充当するわけですが、剰余金がたくさん出る。結局保険料率が高いという気もするわけですが、この点についての見解を聞きたい。  それから、三十五億円、及び四十二年に十二億円出しているのですが、この十二億円で年間九千万余りの金利が手に入る。その九千万余りの金でいろいろな施設の補助を出している。今度三十五億。十二億プラス三十五億ですから四十七億になるのですが、相当の財源ができる。この財源でいままでの施設補助をふやしていく。たとえば災害防止の一端をになっておる消防施設のほうにも補助の対象にする、事業の対象にするという考え方にならないものであろうか。  これらの点をひとつ一括御答弁願いたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 まず第一点の給油船の料率の点でございますが、これにつきましては、一応とりあえず現行の漁業種類の中でも比較的高い区分の料率を適用いたしたい、こういうふうに考えております。と申しますのは、給油船でございますので、万が一火災というようなこともあり得べきことなきにしもあらずというふうな考え方もありまして、高いほうの料率で実行いたしたい。引き受けの実績を見た上で、必要があればまた別個の料率を設けてまいるというふうに考えておる次第でございます。  それから次に、新しく今回法律改正が成立いたしますと用船者も組合員になれるというふうにいたしたいということでございますが、いまの御指摘のように、用船者が短期だけ、船を三カ月くらい借りるなら借りてくる、あとの分は一体どうなるのかという御指摘だと思いますが、用船者が入ります場合には、保険料は一応当該船については一年分さしあたり加入していただく。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 その用船者の用船期限が一年間ありますればそのままでいいのでありますが、用船期限が途中で切れる、三カ月なら三カ月で切れるということでまたその船を所有者に戻す、あるいは次の用船者が前の用船者から借りるという場合がございます。そういったときには、その当該保険関係を継承することができることになっておりますので、当事者間の話し合いによりまして、前の用船者は承継人から多く払った過払い分の保険料を返してもらうというふうに当事者間で話し合いがつくようにいたしたいというふうに考えております。  それから、先ほどの剰余金の問題でございますが、今回の法律が成立いたしますと、三十五億円を特別会計から漁船保険中央会に交付することになるのでありますが、これはさらに前の十二億と合わせまして四十七億円のファンドができるということでございますが、われわれといたしましては、これを基礎に、漁船保険関係者の間にこの使途について十分に意向に沿って適正な使用ができるようにいろいろと考えているわけでございます。特にただいま御指摘のような、消防施設にも回せということでございますが、消防設備と申しますと、大体消防艇といいますか、船になるのでありますが、これは非常に趣旨はけっこうでございますし、われわれも必要性は認めておりますが、金額が相当張るということでありますので、財源的にもわれわれといたしましてもなお今後検討さしていただきますが、現在のところ、少し財源的にむずかしいのじゃなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 時間がないから先へ進みますが、今度新しく漁船積荷保険臨時措置法案が提案されたのですが、これは時限立法で、聞くところによれば、五カ年くらいだ、こういうのですね。この時限立法五カ年というのはあまりにも役所的で、マンマンデーというかスローで、ほんとうに必要性があるという考え方に立ってこの臨時措置法案を出してきたのか。それは急ぎ過ぎて失敗をしては取り返しがつかないこともある。けれども、五カ年というのはあまりにも長過ぎるので、三カ年くらいの時限立法措置で本物にしていく、三カ年間でやっていくというくらいな熱意がなければならぬと思うのですが、この点の見解を聞きたい。  それから次に、将来三年でも五年でもたって本物になった時分に単独の立法措置にしてしまうのか、漁船の損害補償法のほうへ入れてしまうのか、この点を聞いておきたいのです。漁船損害補償法のほうに組み入れるのか、依然として漁船積荷保険法として独立さしていくのか、この点を聞いておきたい。今度積荷については、出港時と帰港時――出港の時分には、何日間乗るんだからどんなものを持っていくか大体わかる。漁をして、今度は帰る時分にはだれが確認するのか。無線があるから、無線で何トン漁獲をやりましたという報告で、無線の報告だけをたよりにこの確認をするのかという、帰港時における確認の方法がむずかしいんではなかろうかという気がするのであります。この点と、それから、積荷に対しては要するに任意申告制、問題は、任意で申告者がかってに数字を報告するという、かってと言ってはおかしいのですが、そういう任意申告制を尊重するというたてまえをとるのか、将来この保険に任意加入するのか、強制加入に踏み切るのか、この点を聞きたい。  それから、今年度予算措置で始まるのですから、初年度の加入目標数をどの程度に置いてテストとしてやるのか、どの程度の加入目標を持っておるのか、その数量。  以上の点を一括御答弁願います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私たちといたしまして、今回積荷保険につきまして法律としてお願いいたしますのは、試験実施期間を五年というふうに置きたいと思っております。五年は長過ぎるんではないかという御指摘でございますが、今回の積荷保険が初めてであるということと、漁業の態様が非常に複雑でありますし、また、従来得られなかった知見もこの五年間に得たい、こういった知見をもとにいろいろ実績を積み上げていきたいということでありまして、やはり本格実施のためには五年くらいの最低の期限が要るんではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。最近、ほかの非常にむずかしいこういう保険制度につきましても法律として実験実施をした例もございますが、それもやはり五年くらいの期間を経ておるように聞いておりまして、五年というふうに私たちとしては考えておる次第でございます。  それから、本格実施の際には積荷保険は漁船保険に入れるのかどうかという御指摘でございますが、これにつきましても、私たちといたしましては、その結果を十分検討いたしまして、その知見をもとに本格実施ということでいたしてまいりたいと思いますが、やはりこの法体系としては非常になじんでおりますので、でき得れば一緒にするのも一つの考え方かとも思いますが、こういった実験をこれから五年間やってみないと、ほんとうのことが、必要な資料もとり得ませんので、今後それらについて全然新しい新法でやっていくのか、それとも再保険制度のあり方等につきましても再検討さしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから次に、積荷の問題でございますが、出港時や帰港時の積荷の確認はどうするんだということでございますが、私たちといたしまして、出港時には、大体御存じのように燃料とかえさにつきましては、出港時の積載量からいろいろすぐわかるわけでございますが、帰港時のいわゆる漁獲物の点でございますが、漁船に積載した漁獲物の価格につきましては、漁船から陸上あてに、現在のこの無線の非常に発達した現代におきまして、毎日操業日誌の関係から漁獲量の報告電報が入っておりまして、マグロが何トンとか、ほかの魚がきょうは何トンふえたというようなことで、それに魚価別の市場におきます単価を乗じて算定いたしまして、おおむね私たちといたしましては十分に把握できるんではないかというふうに考えておる次第でございます。また、今回さしあたり適用いたしますこの積荷保険の実施業種も、比較的漁業者としては訓練を経た業種が多い関係もありまして、十分にこの辺の資料は掌握できるというふうに考えておる次第でございます。  それから次に、積荷保険は任意保険か、あるいは強制加入かという御質問でございますが、私たちといたしましては、これは今回の実験実施といたしましては任意加入制のたてまえをとってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。本格実施の際にはまたこれは別のことになってまいると思いますが、今回は任意加入制ということでございます。  それから、積荷保険の初年度の加入目標数はどうかということでございますが、これにつきましては、私たちの考え方で、今回の初年度の加入計画といたしまして、これはあくまで予算上の算定でございますが、マグロはえなわ、カツオ一本釣り、中型サケ・マス流し、それから遠洋底びき漁業、それから北洋はえなわ、刺し網、沖合い底びき網及び大、中型まき網漁業等の漁業種類を一応対象にしておりまして、当面、私たちの見解では八百二十九隻、これは予算上の隻数でございますが、そういうふうに考えておりますが、これにつきましては、別に予算だからこれでこだわるという気は毛頭ございませんので、任意加入でございまして、入る気はないとおっしゃれば、なるべく奨励はいたしますけれども、やむを得ないと思いますし、また、もっと入りたいという方が出てこられればわれわれとしては非常に賛成ということで、そういうふうに考えておりますので、そういうふうに御理解願いたいと思います。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 今度水協法ではやはり信用事業の改正なんですが、この前の農協法、要するに金融四法でやった農協のほうは、御承知のように預金高が八兆円もある。ところが漁協のほうは、いまのこの預金高を見ると約四千億円ですね。これは話にならぬ。農協と漁協との預金高はもうたいへんな開きがあるわけです。それから、年間の漁獲高が大体一兆円だ、こういわれている。その中で漁協の水揚げが大体六千億、それから大手の大洋漁業だとか日水だとか、大手企業の要するに民間企業であげている水揚げが大体四千億。四、六だといわれている。そういう形の中でこの漁協に四千億で、全国二千二百六十六組合で、この中で預金がふえる漁協というのはもう大体少なくなってきたんじゃないか。先ほど申し上げたように、公害問題で毎日毎日役員が走り回らなければならぬという実態の中で、ほんとうに力を入れて漁協に精力が集中できるだろうか、こういう心配があるので、今後この預金高がふえるかどうか私は疑問だ。農協のほうは、土地を売ったら土地代金が入る、農業外所得といういろんな形で預金がふえる要素がある。漁協のほうは、どうも見ると、購買事業なりその他の事業でそう入るということはいえないのですが、これからの漁協の育成、ただ合併論が出て、合併だけさせたらいいんだ、小さいのを大きくすればいい、それでこと足れりというものではない。農協と漁協とは、いろんな地理的条件からいっても、そう簡単にいかない。そういう気持ちもするわけでありますが、今度の水協法の改正で、ただこれだけ法の改正をしたら水協法はよくなるんだ、こういうことではないと私は思うので、やはり先ほどから申し上げたいろいろ解決してやらなければならぬ前提条件があると思うのですが、まず、この二千二百六十六組合の中で公害問題で苦しんでおる組合、公害を受けてない組合が幾つあるのですか、ひとつこの数字を言うてください。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 沿岸の漁協関係で公害を受けている数がどの程度で、受けていない数がどのくらいか、組合の数でということでございますが、公害の状況が多種多様でございまして、全部について私のほうで現在掌握しておりませんで、その点につきましては今後調査いたしたいと思いますが、この席では全面的に御返事できないことについては残念に思っております。

柴田健治日本社会党

○柴田(健)委員 いま私たちは瀬戸内海に関係しておるものですから、瀬戸内海の水をどうきれいにするか、それによって漁業振興をどうするかということを一番真剣に考えざるを得ないのですが、いまこの瀬戸内海で工場の廃液、家庭のいろんな排水の水質汚濁、また船舶からの廃棄物、いろいろあるが、何としても油なんですよ。油が一番漁業に対する影響が大きい。魚の質については先ほど来PCBの問題もあるわけですけれども、油でもう漁民が困っておる。それに引き続いて漁協が困っておるのですが、この瀬戸内海、一年間に通過しているのが、一万三千隻ぐらい大小の船が通っている。またしてもがっちゃんこやるということで、油の流出ですぐ中和剤を使う。ところが、水産庁のほうは中和剤の中身がようわかっていないんじゃないか。これはもう通産省のほうがやるんだろうかと思うのですが、この中和剤の品種の決定権は水産庁が持つべきではなかろうかと思うのですよ。この点の第一点の見解。  それからもう一つは、環境庁おられると思うのですが、この船舶、要するに、特にタンカー船が油を運んでくると、途中洗いながら帰ってはならないということになっておるんだけれども、途中洗いながら帰る。それだから私は、法律を改正して、この船舶のクリーニング場をつくる、そのクリーニング場で完全にきれいに洗浄した船でなければ帰させない、この程度ぐらいなきびしさがなければいかぬ、こう思うのですが、この二つの点でひとつ見解を聞いて、私の質問を終りたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 中和剤につきましては、数年前の中和剤は非常に魚類にとっては劇薬的な効果があったのでございますが、最近の新しい中和剤については相当緩和されてきておるというふうに私たち聞かされておりまして、中和剤の採択につきましては、科学技術庁が中心になりまして農林省、運輸省あるいは海上保安庁というふうに、中和剤の利用関係者の間で十分協議いたしました上で、最高水準の中和剤を当該年度で採択するという方向でただいま努力しておりますので、御了承願いたいと思います。

太田耕二環境庁水質保全局水質規制課長

○太田説明員 主としてタンカー等から排出されまするいわゆる廃油等の問題につきましては、実は瀬戸内海にかかわりませず、日本全国のいわゆる海洋汚染の大きな問題になっておるわけでございます。そこで、環境庁水質部会等でも、ぜひ先生お話しの、廃油を指定の処理場で処理した証明書をつけないと出港させないというような点がいろいろ議論されております。  この問題については、海洋汚染防止法上のたてまえで運輸省の所管になっております。そこで、環境庁といたしましては、議論の過程等を運輸省のほうに申し入れておりまして、廃油処理施設の整備並びにその有効な活用等につきましていろいろ議論等しておる次第でございます。

山崎平八郎自由民主党

○山崎(平)委員長代理 次に、中川利三郎君。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 私は、一昨日の四日、水産庁が発表しました魚介類のPCB汚染状況の精密な調査結果について御質問申し上げます。  新聞の報道なんかを見ましても、たとえば「魚が食えなくなる PCB列島沿岸総汚染」あるいは「PCB、ついに魚獲規制 高濃度の八水域」あるいは「魚のPCB汚染進む 八水域で禁魚指導」こういうかっこうで一斉に各新聞も取り上げておるのでありまして、国民にとってはきわめてショッキングな事件であったと思います。しかも調査データが、敦賀湾に見られますように、五月八日、つまり一カ月ほど前に明らかになったといわれながら、水産庁が発表を押えていたという事実さえ出ておるわけであります。その間、水揚げされた魚介類はあちこちの流通市場へ回りまして、消費者の食卓へ出回っている、こういうことになるのでありますが、国民の健康を守るため、当然その時点で手を打たなければならないはずなのに、発表をおくらせてみたり、何ら手を打たれなかったことに対して、まず農林省、水産庁長官はどのような責任を感じているか、この点についてお伺いしたいのであります。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 昨年の年末、十二月に調査いたしました結果を発表してからあと、二月、三月と二カ月間かかりまして、全国の十四水域につきまして、魚だけで調査検体二千二百七十三検体の調査を進めたわけでありますが、その分析あるいは整理ということで、大体三月末までにその調査を終えたのですが、整理とかいろいろな都合で、大体四月一ぱいでおおむね私たちのほうとしては整理はできた次第でございます。これを今度は各県と折衝いたしまして、公害担当者あるいは公害のもっと上部責任者の部課長も呼びまして、この問題の発表と同時に、相当ショッキングな例もございますので、県として善後処理ということも十分に御相談をするということと同時に、私といたしましては、中央で統一発表をするということで、統一発表という形で各県と折衝をしてまいったわけでありますが、若干の県につきましては、やはりいろいろな事情で十分私たちの意図もわかってもらえない点もありまして、その善後対策にいろいろ手間どりまして中央の統一発表がおくれまして、その結果、一部の県ではやはり五月末を目標に発表したいという県もありましたので、これにつきましては、どうぞ十分に各県の御判断で御発表願っても差しつかえないということで、二、三の県につきましてはそういう御要望もありましたので、私のほうとしては何らそれについて押えるということはありませんで、どうぞ御発表願ってけっこうでございますという形で、発表されたような次第でございます。私のほうとしては全国中央集計という形で一斉に発表させていただいた、こういうことでございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 その間、汚染された魚介類はどのような漁獲高があって、どこへ流れていったか、十分調査できるはずであると思います。そういう時間的余裕があったわけですから、水産庁はこれをどのようにつかんでいますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 全国一律ではないと思いますが、一部の県ではやはり御心配になりまして、直ちにその関係漁協を呼びまして、あらかじめこういう発表をするから、そのうちにたいへんなことになるからということで、十分に説得されて、あるいは県によりましては自主的に漁民の方々も納得された県もありますが、出荷状況がどのようになっているかにつきましては、私どもといたしましては詳細な報告を受けていないわけであります。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 詳細な報告を受けていないといっても、あなたは水産庁長官でしょう。しかも国民の健康に大きな被害のあるそういう魚介類についてもうよほど前からわかって、しかも各県を押さえておった。統一発表まで時間的に十分余裕があったでしょう。それに対して漁獲量も流通経過も調べていないということは、これは責任を正しく尽くした、こう言えますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私といたしまして今回水産庁としてこういう公害問題についての独自の調査結果の発表という形は初めての経験でございまして、今回の発表の経緯を反省いたしまして、今度の第二回目、第三回目等の発表のしぶりにつきましては、私は私なりに反省をしている次第でございます。場合によりましたら、調査結果がわかり次第、県別に逐次発表していく、県ごとに発表されるという方法も一つの御意見かとも思いますが、今回は私といたしましては、やはり最初の発表であったという観点もありまして、極力私自身がある程度まとめた責任者ということもありまして、中央で統一発表するために、若干の県についてはでこぼこといいますか出おくれがあったということでございます。この点につきまして約一カ月前後あったということにつきましては、この席におきまして反省いたしたい、こういうふうに私は思っております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 最初の発表であろうがあとの発表であろうが、国民の健康に被害があるということがわかっていながら、これを黙ってきたということについては、いまあなたは反省していると言うから、これ以上詰めませんけれども、たいへん遺憾だと思います。  そこで、先ほど大臣は、こういう調査はしばしばやるべきだ、そして公害対策を強めるべきだ、そう言いながら、一方では発表をおくらせてみたり、汚染の漁獲量や流通を全く調べておらない、こういうのは先ほどの大臣の方向と全く違うと思いますが、大臣、どう思いますか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 ただいま水産庁長官がお答えをしておるとおりでございまして、この発表が中央における統一発表ということでいま御批判をちょうだいしておるわけでございますが、しかし、それぞれの県におきまして、この検査の状況というものはそのときに十分県当局が承知もしておりまするし、またそれに対応してこれらの汚染について対策を立てなければならぬというようなことも当然あわせ行なっておったものと私は推察をしておるのでございます。ただ、もし私の推察が違うといたしますればまことに申しわけないことでございますが、その辺についてはただいま長官からお答えをしており、長官自身も反省をしておるということでございますので、御了承いただきたいと思います。  で、私といたしましては、先ほど来お答えを申し上げておるとおり、この種の精密調査は繰り返し行ない、また、それが今回の結果のように汚染のきびしいところがありますれば、漁獲の中止を命ずるなり、またそのほかの具体的な施策をとっていくということは当然なことだと思います。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 次は、発生源を明らかにすることについてお伺いしますが、PCBは自然の産出物じゃありません。発生源は企業であることが明白であります。それをここに明らかにするということは、今後の対策を立てるための不可欠の要件だと思いますが、水産庁は今度の問題でも、新聞の発表によりますと、七、八割方の調査を完了し何カ所かは犯人の目鼻がついている、こういうことが新聞に出ておるわけですが、それなのに荒勝長官は、発生源については精密調査の目的からはずれているので現段階での発表はごかんべん願いたい、こういうことを私、新聞で、あなたの談話として拝見したわけです。あなたはそう言うた事実があるかどうか、お伺いします。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 今回の発表に際しまして、私のほうですべての手持ちの資料を簡潔に整理いたしまして新聞に発表さしていただいておりまして、数字等につきましていささかも修正したり訂正したりということはございません。  ただ、今回の二月、三月の調査の段階におきまして、あくまで魚類の汚染状況の実態調査ということで、約二千数百体の魚類の汚染状況の調査に全力を尽くしまして、調査の時点におきまして、調査方法の中に、工場の、いわゆる原因者を追及するという手法というか方法論は初めからとっておりませんで、十四水域についての汚染状況を徹底的に調査したいというのが当初の調査目的でございましたので、その方法論に従いまして、今回の発表に際しまして、汚染源といいますか、原因者につきましては私のほうは十分究明しておりませんので、これは発表しなかった次第でございます。  なお、調査方法の一手段でございますが、これも朝からの議論でもございましたが、私のほうといたしまして、その汚染源についての工場の中まで立ち入っての調査権限というものは今回の調査の場合には付与されていなかったということで、今後の調査にあたりましては、おおむね被害地帯といいますものも大体わかりましたので、今後通産省とも協力して、その問題を明確にいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 長官、聞いたことだけ答えてください。よけいなことは要りませんから。  私が聞いたのは、発生源については精密調査の目的からはずれるので現段階での発表はごかんべん願いたいと、あなたはこういうことを言うた事実があるかどうかということを聞いているのです。あるならある、ないならないでけっこうです。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 記者席の質問の段階で、汚染者についての質問がございました。これについては、私のほうとしては常識的には何となく七、八割ぐらいはわかっているけれども、調査時点でそういう調査方法をとっていなかったから発表することについてはごかんべん願いたい、こういう答弁をいたしております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 精密調査の目的ですが、汚染をなぜ調査するのかといえば、住民の不安を解消する、汚染源を究明する、そのための精密調査ではありませんか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 汚染源の前に、私のほうとしては、汚染された魚体の状況の掌握に今回は調査の全力を注いだということでございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 それならば、七、八割方わかっていても、わざわざ発表しないということですか。当然、国民の不安にいま答えるというのが、水産庁長官の態度じゃないですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、常識として知っておるのでありまして、特にそのための行政機関を動員しての調査ではなかったというふうに御理解願いたいと思います。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 いま重大な発言をされましたが、発生源の企業を常識として知っておったが、それが目的でないから言えない、こういうことですね。しかし、今日、PCB、この魚介類の汚染をもたらした張本人がそれら企業であるということは明らかです。そういう状態にかかわらず、それを言えないということは、一体どういうことですか。  もっと詳しく言えば、あなたは今回、水産庁長官の名前で、六月四日、各知事あてに、PCB汚染魚介類にかかわる生産地対策、そういう文書を出しておりますが、これには、原因者負担の原則によってその解決がはかられるよう、あっせん及び指導につとめるものとする、そういっていますね。そうしますと、どういうことですか。原因者負担によってやれといいながら、その原因者をあなたは明らかにしないというのは、どうして具体的に解決する手だてになるのですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 今回の調査で――私といたしましては一ぺん、二へん、三べんと、逐次今後定期的に調査は進めてまいりたいと思っております。十二月の調査のときには非常に概算であった。今度の調査で、汚染地帯と思われるところの魚体を徹底的に追求するというのが第二回の目的でございまして、これでおおむね私といたしましては、なおまだ不備な点は多々あるかとも思いますが、ある程度、汚染地域といいますか汚染水域は確認し得たのではないかと思います。  この汚染水域を前提といたしまして、都道府県と先ほど申し上げたように折衝したのは、この汚染水域について都道府県知事としてひとつ原因者負担の原則で問題を処理していただきたいということを私のほうから強く要望したのが、いろいろなことで多少時間に手間どった、こういうふうに御理解願いたいと思います。  なおまた、汚染源につきまして、今回の調査の過程でも何となく複合汚染といいますか、どういうわけでこの辺で汚染が出ておるのかにつきましてもう一つ明確でないところもありますし、また一部の地区につきましては、非常に不特定多数の企業もこれに介在しているというふうにも判断されましたので、今回そういう意味で工場名の発表は差し控えさしていただいた、こういうふうに御理解願いたいと思います。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 何回も言うけれども、聞いたことだけに答えてください。  そうすると、お伺いしますが、ある程度わかっている発生源を明らかにすることが精密調査の目的からはずれるというのは、どういうわけですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 精密調査の過程で初めてその汚染状況がはっきりしてきたのでありまして、初めの昨年の調査では、全国百十カ所近くですか調査したのですけれども、非常にやみくもの調査で――やみくもというと失礼でございますが、十分な正確性を期し得なかったのでありますが、今回の調査では、ある程度魚体汚染状況が明確にできた。御存じのように、十四水域のうち、これも今後さらに継続はいたしますが、四水域ほどは一応三PPM以上の魚体を発見することができませんで、汚染地帯としては十水域というふうな中間発表というか、発表をさしていただいたようないきさつになっております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 何回聞いてもあなたは要領を得ない。ナマズをつかむみたいですね。  そうすると、あなたは、通達というか、文書で各知事あてに、原因者負担の原則によって解決せよといっている、その原因者を明らかにしないでどうして解決できるのですか。その間漁民はどうすればいいんですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 したがいまして、私といたしましては、各都道府県と十分な連絡をとりまして、十分に原因者負担という原則で関係方面と交渉せられたしということで、農林省といたしましては指導したいきさつでございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 あなたの責任は一体どうなるのですか。かってにやって県が関係者と話したらいいだろう、県と原因者と話し合えということですが、まず原因者を明らかにしなければいけないでしょう。それをなぜあなたのほうで言えないのですか。県と原因者と話したらいいではないかだったら、水産庁も農林省も要らないじゃないか、どうですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の調査目的が原因者自身を調査するのが目的じゃなかったということが第一点。それから、原因者につきましては、複合汚染といいますか、原因者につきましても今回の調査だけでは明確にすることがおそらく不可能であったような結果になっております点が第二点。さらに、知事のほうになられますと、原因者が明確になってわかっておられる県と、原因者も十分掌握されてない県もありまして、その辺の統一もありましたので、私のほうとしては、調査目的自身が当初からはっきりしてなかったという点と、それから事実上の水産庁のみでは、先ほど申し上げましたように、工場まで立ち入り調査するだけの権限を今回持ち得なかったということが、やはり私としては発表に踏み切ることができなかった一つの大きな理由ではなかろうか、こう思っております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 何回もやりとりするのはばからしいのですけれども、あなたは発生原因者の責任でこれを解決しなければならない、こういうことを言っておるのですが、その発生原因者を明らかにしないで、とうして――県がかってにやりなさいということですか、漁民がかってにさがしてその原因者をつかみなさいということですか、結果としてそういうことにならざるを得ないでしょう。そういう政治姿勢というか、これこそが問題だということじゃないでしょうか。参考までに申しますけれども、朝日新聞のきょうの社説「PCB汚染魚調査の重大な欠陥」、その中でどう書いてあるかというと、「いちばんいけないのは、汚染源を発表しなかったことである。七、八割はわかっているという。漁民は、道楽で魚をとっているのではない。汚染源と生活補償問題をあいまいにしたまま、漁民にだけ一方的な自主規制を要求しても、それは行政としては、ナンセンスとしかいいようがない。水俣病をひろげたのもそのためだ」、こう書いてある。水俣病を広げたのもそのためなんでしょう。こういう重大な問題なのに、それが目的でなかったからといって、しかも自分では七、八割はつかんでいながら発表もしないで、漁民がかってにさがしなさい、県や地方公共団体がその原因者をさがして交渉をしなさいでは、行政官庁としてのあなたの最高責任のあり方、立場としてそれがつとまりますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私は私なりに十二月就任以来この調査を担当してきたのでありますが、最初にこの問題に取り組んだときに、そこまで十分に調査方法について整理しなかったのは私の責任かもわかりませんが、少なくとも四カ月ないし五カ月かかって調査、整理、発表までの間におきまして、工場の調査ということは調査目的に当初から入ってなかったということにつきましては、やはり私なりに自信のないことまで発表するわけにはいかなかったということだけは御了承願いたいと思います。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 いま私はしろうとでも新聞発表でわかっていることは、たとえば福井県の敦賀湾は東洋紡だ、山口県は同じく東洋紡だ、兵庫県の場合は鐘化あるいは三菱製紙、こういうことが明らかになっているのです。水産庁は国民がみなわかったあとから発表するのですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私といたしましては、今後の調査の過程で、私のほうの能力がありますれば、そこまで遡及といいますか、問題を追及してまいりたいと思っておりますが、この調査につきましては、やはり水産庁という立場の調査では、企業の所管官庁と十分あらかじめ協力して調査しないことには困難じゃないかということが今回の調査ではっきりしたのでありまして、今後の調査につきましては、あらかじめ十分に調査方法論の段階におきまして、その問題を究明すべく努力してまいりたいと思っております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 いま私、聞いたのは、われわれでさえもわかっておるのです。いま次々各県が発表するでしょう。あなたのほうで発表するのは、全部終わってから水産庁が発表する、こういう水産行政というものをあなたが進めていることについて何ら反省も考慮もしていないということを私は言いたい。  そこで、こういう姿勢について、たとえばきのうの新聞の寸評がありますが、讀賣の夕刊の「よみうり寸評」では、「汚染源は、あいまいにされているが工場である。経済成長を至上命題とし”公害と戦わない”政府や政治が、日本の湾や近海を”工場の下水こう”にしている張本人である。」だから、そういうそしりを受けないためにも、また第三、第四の水俣病を出さないためにも、わかっているものだけでもすぐそれを公表する。すでに福井県で発表しているものさえもあなたのほうでは発表していない、山口で発表しているものでさえもあなたのほうでは発表していない、そういう政治姿勢は一体どうなんだということです。農林大臣、どういうことですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 先ほどから長官から繰り返しお答えを申し上げておりますように、いわば被害実態というものを明らかにしよう、そういう調査目的によって行なったその結果をすなおに発表をいたしておるわけであります。御質問のように、その実態を明らかにするとともに、原因者を明白にするということ、これは可能であればそれにこしたことはないと思うのであります。しかし、これも長官からお答えを申し上げておるように、そういう発表をする上におきましては、環境問題の主管庁である環境庁、あるいは発生源と推定される工場の関係からすれば通産省、そして水産庁等の総合調査班による精密な調査の結果ということが好ましいと思うのであります。今回水産庁がとりましたのは、水産物に対しての汚染の実態というものを明らかにするということを主たる目的として、そして、しかもいま御指摘のように、その発表も時間的におくれておって、御批判も出ておるようなわけで、この上原因者も明白にするという調査も加えるということよりも、こういう段階を踏んだということも意義があるのではないか、こういうふうに見ておるのであります。また汚染源や汚染経路等の調査、監視については、御指摘の水産庁の通達によりまして関係部局の連携を密にして行なおうということも申しておるのでございますので、私は中川委員の御指摘になっておることは十分わかります。それが好ましいことであります。そしてそういうことをすみやかにやることがよいということでありますが、長官のお答えも、自分として不十分なことを発表するわけにいかなかったということなのでございますので、御了解をいただきたいと思います。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 いまの大臣の答弁では、今回の調査が汚染の実態を明らかにするというのが目的であった、汚染の実態は五月八日の段階で明らかになっておるのです。その間の一カ月の経過の中に、あなたはやろうとすればどういうこともできた。それができない水産庁なら、そんなものに税金を払う必要はないでしょう。しかも、そういう状態の中で調査していないということ、これが根本的な問題なわけでありますが、そのくせあなたは原因者負担で解決せよと言う。しからば、原因者負担と言いながら、その該当企業名を発表しないし、どういう基準、どういう方法でそれを行なうのか、またその該当企業が、原因者企業が話し合いに乗ってこない場合は一体何とするのか。国民が知りたいと思っているそういう不安や要求に対しては一切明らかにしないで、そうして原因者負担で解決しなさいということは、まことに行政としてあり得べからざる姿勢だと思います。  したがって、私、かわってお伺いするわけですが、原因者負担の原則を貫くために、どのような道筋でそれを明らかにしたらいいのか、この道筋を具体的にお知らせいただきたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 事務的には、私のほうといたしましては、今回の調査をもって終わりとはいたしておりませんで、このPCBの汚染状況の調査につきましては、なおさらに今後継続的に、定期的に調査をいたしまして、最終的には、調査の結果が漁民にも今後被害を与えないような形で完結できるような方向で私としては継続的に努力をしてまいりたい。その結果、場合によりましては汚染源まで明確にいたしまして、すべて整理できるように努力したい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 水産庁長官は原因者負担で解決せよということを具体的に指示している。そうして原因者負担で解決するための道筋は、先ほど言ったように、何ら明らかにしていない。いまそのことを聞きますと、調査は今回が初めであってまだ終わらしてないからと言う。これはピント違いの答弁もいいところでしょう。そんなことを聞いているのじゃないですよ。いずれにしても、そういうことをあなたのほうで各県に指示したからには、そのための具体的な道筋を明らかにしなければならない。当然でしょう。それを言わないで、そこでかってにやれということだったら、同じじゃないですか。原因者をつかんだ、しかし、どういうかっこうでやるのか、また相手が乗ってこなかった場合どうするのか。その裏づけみたいなものは、方法は、どういう基準でどうするのか、これを何も言わないで、そうして原因者負担で解決するということは、これは無責任そのものではありませんか。だから、もう一回はっきり答弁してください。今回の調査が始まりだの終わりだの、そんなものは関係ない。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私といたしましては、なお調査は継続いたします。その間におきまして原因者追及ができるように努力したいと思っております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 そうすると、その間漁民はどうして生きたらいいのですか。魚はとるな、売るな、食うな。そうしたら、その裏づけを出してください。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 これにつきましては事実関係といいますか、ただいま県と私のほうとの関係では、今回の調査の結果を発表した過程で、県内におきます調整権者としての知事が実態をある程度知っておられますので、漁民と原因者と思われる企業との間でその辺の調整をされるのではなかろうか。また、私のほうとしてはそうされるように期待している次第でございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 そうすると、一切は県と被害者とやれということであって、肝心の水産庁はその間何をしているのですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私のほうといたしましては、なお調査も継続いたしますし、そういう形での指導は十分にいたす予定でおります。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 漁民が、魚をとるな、売るな、食うな、こういう状況の中で県と話し合って適切にやってもらうものだと思っている、こういうことで漁民の命と暮らしが守られますか。何ら裏づけのない形で、一方の企業だけはどれだけ海を荒らしてもいまもって操業している。片方だけは全面的に漁獲禁止だ。これに対して各県でかってにやれといってもできますか。国がそれに対していろいろな保護だとか、たとえば肩がわりしてそのつなぎ資金をやるとか、何らかの対策を立ててやらないことには安心できないでしょう。そういうことには全く触れないで、そういう答弁を繰り返すということは、あなた、水産庁長官として恥ずかしくないですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 県の立場として、漁民に対する被害対策ということにつきましては、今後私のほうとして十分に御相談に乗るし、また私のほうは私のほうなりに応援するということは、その間、約一月ほどの間に相当なやりとりの末全部話がついておりますので、私のほうとしては、当初の姿勢に従いまして、県と十分連絡協議の上善処してまいりたい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 あなたは先ほど複合汚染だといって、原因者追及、特定することを極力避けようとしています。四日市の教訓はどうですか。四日市は企業の連帯責任。しかもPCBは限られた工場しかつくっておりません。しかも工場、企業がつくったものだということが明らかでありながら、わずか八水域ですか、少ない水域でこれをやるために何だかんだ言うてそれを隠そうとしているのです。だから、もしも複合であるならば、PCBを出しておる工場全体、その地域において連帯責任とすればできるでしょう。そうしたあなたの姿勢いかんにかかわっておると思うのです。こういうことだと私は考えますけれども、どうでしょう。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 ただいま複合汚染につきましての私の発言に関連されて御意見がございましたが、先ほど通産省のほうから、このPCBについての販売経路が十分でなくて――使っておるところは、一部については通産省のほうでもあるいはおわかりになっておるのじゃないかと思いますが、七十もあるいは百近くも使っておったのではなかろうかと思われる企業については、私のほうとしてはなかなか今回の調査では突きとめるといいますか、何か非常に複雑な生産関係が複合しておって、どうもその点の実態が十分に掌握できなかったというのがほんとうの事実でございまして、今後こういったものの複合の、不特定多数の企業が存在しております汚染地帯につきましての調査の方法につきましては、もう一度検討いたしまして調査いたしたい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 何ぼ言ってもあなたは、大企業のためには決してそれを明らかにすることに口を開こうとしない。  しからば伺いますが、いつになればこの特定の企業、先ほど言ったように、ぼくらでさえもみんなわかっておるというのに、いつになればあなたは公式に発表するのですか、時期的なめどはいつですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 今回の発表に際しまして原因者を発表しなかったことにつきまして、ただいま御指摘のように、何か割り切れない点が残っておることも事実でございます。これにつきましては、今後通産省なりあるいは関連の関係各省とも協議いたしまして、調査方法なりあるいは県とも連絡いたしまして、そういう原因者を追及する方法を明確にいたしまして追及をいたしたい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 何回言ってもあなたは他人まかせ、あなたの主体的意思でそれを追及するという御発言は全く一言も出てこないのだな。そういうふうな状態になればそうするというようなことでしょう、いまの御答弁を聞いても。そういうところにまだまたいろいろな水俣病が出てくる――あなたは、そう言っては失礼だけれども、そういうものをつくり上げておる張本人じゃないかという気もします。  そこで、あなたは生産地対策として、自主規制は指導するけれども、水産庁として裏づけをどういうふうに考えておるのか。各県からいってきた場合にはそれについて考えてやっているとあなたはおっしゃるようだけれども、水産庁としてこの場合はこうするのだということは何もないのですか。水産庁としてありますか、ないですか、どっちか一言でいいです。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 また議論が堂々めぐりになりますが、あくまで国としましては、県に対しまして原因者負担の原則で漁民の救済に当たるようにという指導をいたしております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 だから、水産庁としてはそうした指導、つまり一銭も金がかからないことばだけで、実際あなたのほうでふところを痛めるとか、何か対策みたいなものは一つもないのですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 この救済問題につきましては、先ほど来のお話でございますが、まだ国として、生業補償につきまして国が積極的に補償金として財政資金を出すというところまで、どうも幾ら内部で議論いたしましても十分な了解が得られないという段階でございますので、現在におきましては、あくまで原因者負担という原則で、また政府におきましても、その間の一部のつなぎ資金につきましては、農林漁業金融公庫等からいわゆる漁業の生業のための資金としましてお貸しすることは予定しておりますけれども、それ以上のことにつきましては、現在の時点で財政資金を出すというふうな意味での生業補償はなかなか困難ではないか、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 では、つなぎ資金は、いまあなたが予定していると言ったことはひとつ確認したいと思います。いいですね。  それと同時に、いまのあなたの御趣旨に対して、たとえば一般にどういう評価をしているかというのは、これは先ほど新聞の例をとって言いましたが、浜崎さんという全漁連つまり全国漁業協同組合連合会の漁政部長はどう言っているかというと、国は補償交渉を県段階にまかして知らぬ顔をしていると言っている。全漁連があなたをこう言っているのですよ。同時に、あなたと同じ政府の厚生省が、きょうの毎日新聞によりますと、水産庁の自主規制は全く手ぬるい、厳重にやらなければならないということをきょうおたくのほうへ申し入れしようということが、きょうの毎日新聞に出ているのですよ。こういうふうな、何というか、ことばで言いあらわされないようなあなたのほうの極端な体制奉仕の姿勢がそうさしていると思いますが、このことについてあなたに再度確認しておきたいが、どうお考えになりますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 水産庁といたしまして、従来こういった漁業の公害問題についてのみずからの調査というものはおよそしたことはないわけでありますが、私は私なりに、この漁業の公害問題というものは放置するわけにはいかない、やはり今後水産庁みずから律しなければならないというふうに考えまして、公害問題には今後積極的にひとつ参加していくという気持ちでございますけれども、具体的に水産行政におきます公害問題についての知見なり行政の経験が非常に浅いものでございますから、十分に各方面の御了解を得るには至っておりませんけれども、公害問題についての姿勢につきましては、今後なお一そう努力して対処してまいりたい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 あなたは公害問題については積極的に対処していく、積極的に参加していくと言っている。しかし、今日のPCBの問題あるいは水銀の問題もそうですけれども、その発生源が企業であるというこの前提なくして参加したところで何にも意味がないのです、ごまかしにしかならない。国民の苦しみ以外の何ものももたらさないでしょう。このことをあなたは認めますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 公害のあり方が非常に多種多様になってきておりまして、今後漁業の立場から、公害問題については、その多種多様な発生の問題について今後われわれは対処してまいりたい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 そうすると、あなたの言い分からすれば、PCBも水銀も、それを発生させる原因者である大企業については、ほかのたとえば家庭の廃棄物と同列に考えているということですか。その発生源の大企業を規制することなしに公害問題は今日何一つ解決しない。だから、あなたが公害問題に積極的に参加するということの真意は、この大企業に対してどう規制していくかということの判定を抜きにしては全く口頭禅に終わる、こうわれわれは考えるけれども、そこのところをあなたはどう押えているかということを聞いているのです。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 水産庁といたしましては、発生の態様に応じてその発生源を究明していくというのがやはり公害問題の究極の方向でございまして、またその発生したあとの科学技術的な解毒方法も含めまして今後この問題については対処してまいりたい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 発生の態様に応ずる、つまり今日のPCBでしょう、重大な汚染、水銀でしょう、BHCでしょう。それらは全部大企業の排出物だ、今日の社会情勢の中におけるこうした特定された大企業の責任だという事実は、ただ態様が多種だとか複雑だとかたくさんあるということですりかえることのできない大事な問題ではないか。それが前提にならなければ一切解決しないのだということをお認めにならないのかと聞いているわけです。さっきからこのことを何回も聞いておるのです。一言も言わないね、あなたは。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私のほうといたしましては、原因者負担の原則というものは今後とも貫き通すという考え方の上に立って議論しているのでございますが、そうならば原因者の究明ということもやがてせざるを得ないのでありますが、先ほど来申し上げておりますように、今回の調査におきましては、どうも調査が不熟練だったせいもありまして、最初の調査のスタートのときから、原因者の究明というよりも、魚の汚染状況の調査に初めて手をつけたというのがほんとうの真相といいますか、そういうのが調査の当初の目的でありました関係で、今回の結果についての発表では、原因者についてはとうとうそれを明確にすることはどうもできなかったというふうに御理解願いたいと思います。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 御理解できませんな。あなたは公害問題に積極的に取り組む、これからも参加して、これからも調査すると言っているでしょう。したがって、その取り組み方というのは、今日のそうしたPCBや水銀を排出する大企業を規制すること、これなしにどういう取り組み方もうそになる。何らききめがないものになる。このことをあなたはお認めになるかということを言えば、多様性だとかさまざまあるということであなたは逃げていらっしゃる。一言もあなたの口からそれを認めるということばが出てこないのだ。そういうことでは、原因者負担の原則を明らかにするといったって、あなたはむしろかばっている役割りを果たしてきているのじゃないかということを言いたいのですね。どうしてそういう態度で原因者、発生源を明らかに追及することができますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 だから、先ほどから申し上げておりますように、今回の調査では、当初からそういう方法論なり目的で調査したのでありまして、今後第三回、第四回と調査方法を確立していきます過程で、そういった問題を含めて検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 じゃ、何だかんだ回りくどいことを言えば悪いから、もう一回詰めます。  あなたは、今日のいろいろな公害問題を排出する責任のある最大のものとして、大企業ということを認めますか。簡単でいいです。認める、認めないで答えてください。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 公害の発生源は、先ほど来申し上げておりますように、相当多種多様でございまして、大企業だけが発生源であるということには、なかなかむずかしい問題があるのじゃなかろうかというふうに私は考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 だから、朝日新聞でも何新聞でも、水産庁の独善主義、秘密主義を一斉に国民は攻撃している、一斉に批判している。それに対してあなたはまだ目がさめないのですか。大臣、こういう水産庁長官のいまの答弁についてあなたはそれをかばいますか、それがもっともだと思いますか。国民の立場から答えてください。簡単でいいです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 先ほど来の一問一答は、私はもう実態というものはお互いにわかっておることではないかと思うのです。ただ、責任を持って発表するとか、責任を持って言えるかということに長官のほうは――私もかばわずに申し上げますが、こだわっていると思うのです。ですから、私はそれよりも実態のほうが大事なのでございまして、この汚染の実情が明らかになり、またそれに伴って関係の各県も動いておる。また中央におきましても、第三水俣病の例で申し上げましたように、一応臨機の措置が講ぜられるように考えてもおるわけでございまするので、私としては中川委員のおっしゃっていること、追及されていることはよくわかります。わかりますが、やはり長官ともなって、そしてここで、どこどこ会社が発生源でございます、こう言い切るためには、それだけの用意がなくてはならないということをひとつ御了承いただきたいと思うのであります。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 水産庁長官のメンツが大事なのか、国民の命が大事なのか、どっちが大事なんだということです。あなたは御答弁したということでありますので、時間の関係上それ以上追及しませんが、承っておきます。  そこで、わが党は当面の対策として、もう自主規制というああいう無責任なやり方ではだめだ。厚生省からでさえも文句つけられておるような状態、したがって、汚染魚介の漁獲禁止の立法措置をあなたのほうで考えないのかどうか。これはただ禁止するというわけにはいきませんから、立法措置をやらなければいかぬのです。  同時にあわせて、当該漁民に対して納得できる補償の措置をとるべきだとわれわれは考えていますが、これについてどう思うかということ。  時間がないから次へ行きます。  それから、補償の範囲だけれども、いま漁民だけの被害が問題になっていますが、たとえば町の魚屋さんあるいはいそ釣り屋、海岸の釣り宿、民宿の皆さん、そういう人たちがたくさん被害を受けているのですね。市場もそうです。一つの例を福井で申し上げますと、福井県は釣りが盛んだそうであります。福井県で一日に発表、二日に新聞に出た。そうしたら二日から四日までのこの間にかけて、釣り宿、民宿などで百四十人の取り消しが出たそうです。これから夏にかけて被害は深刻になろうとしていますし、魚屋さんたちも売れないで困る、こういう状態に押し込められているのです。こういうことは政府が先頭に立って指導すべきであるし、こういうことも補償の対象として十分考えるという御意思を持っているのかどうか、お伺いしたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 最近のように、こういうふうに公害が特に頻発してまいりまして、従来の漁業法とかあるいは水産庁で所管しております関連法では、こういった公害に伴う漁業の禁止ということを律する根拠が、相当法律論的に内部的にも検討さしていただきましたが、非常にむずかしい。むずかしいどころか、事実上できないというのが現状でございます。これにつきまして、私のほうといたしましても、いつまでも、公害の乱発している現在におきまして、さらに漁獲規制までしなければならないかもしらぬような現状におきまして、法律がないから何もできない、食品衛生法だけがたよりというような姿勢では、はなはだ好ましいものではないというふうに私自身考えております。  したがいまして、立法で何らかの形で法律的立場というものは考えざるを得ないんではないかということでありますが、公害が、先ほど来問題になっておりますように、非常に多種多様でございますので、その多種多様な公害を頭に置きながら、また漁業被害のあり方も非常に複雑でございまして、そういった問題を法律論としてどういう形で仕組むかということにつきまして、現在内部で非常に論議のまっ最中ということでございまして、どういう方向で立論するかということにつきましては、なお若干の時間をかしていただきたい、こういうふうに考えております。  なお、その議論の中におきまして、ただいま御指摘にありました漁民の救済をどうするんだということがやはり非常に大きな問題で、単に禁止だけやってあとはどうでもいいというのでしたら、これはまたいとも簡単な話でございますが、そうはいかない。問題は、漁民の救済をどうするかということで、法律論として議論する際には制度の問題でございますので、当然に漁民の救済につきましても制度として論議しなければならないということで、私のほうとして非常に論議を呼んでいる。しかもこの問題は公害でありますので、議論の前提といたしましては、原因者負担の原則というものはどこまでもやはり法律論としては整備されねばならないというふうに考えておりまして、その辺が非常にかね合いが問題としてむずかしいというふうに御理解願いたいと思います。  また、その関係者の問題までなりますと、私のほうの議論としては、なかなか実際問題として救済の議論を出すのはむずかしいのではないかというふうに、現在の時点では考えられている次第でございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 あくまでも原因者負担の原則といいながら、原因者をかばおうとするあなたの意思のもとで、それでも立法化に踏み切らざるを得ない、こういう状況にあるということを聞きました。だから、どういうものができるか知りませんけれども、そこまで実態は深刻だということのあらわれだとして受けとめておきたいと思います。  同時に、今回の皆さん方の生産地対策、こういうものを各県知事に出しましたけれども、ここで問題なのは、二度と再び海をよごさない、海をもとの生き生きとした海に返すという、そういう観点か全く抜けて何もないということですね。これはもちろんあなただけじゃなくて、環境庁も責任あるわけですけれども、あなた方、生産地対策とした中に当然海をよごすまいというそうした観点がなければならないはずなのに、なぜ抜けたのですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 今回のPCBに関連した通達は、まさにPCBだけのことにある程度限定した、小さな形での通達になっておりまして、私のほうといたしましては、今後公害問題を含めて海をきれいにしていくという姿勢で、内部でいま、もっと広範な形で検討はいたしておりまして、そういったことの背景といいますか、実質的な手だてといいますか、手段が伴わずに海を汚してはならないという通達を出すことについては、多少いまの時点におきましては、うしろめたいというか、十分実力を伴っていないので、これについては今回の通達からははずさせていただきましたが、われわれのほうでも逐次そういう公害対策につきましては整備いたしまして、今後前向きに海をきれいにするような方向で努力してまいりたい、こういうように考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 たとえば汚染をこれ以上発生させないためにPCBは一切使わせない、こういうような厳重な規制が必要だと私は思うのですが、それについてはどう思いますか。たとえば福井県の場合はさっそくやめろというようなことにさせるべきだと思いますが、どうです。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 あるいは私のほうの勉強が不十分だったかとも思いますが、PCBの製造はすでに生産は打ち切られておるというふうに連絡を受けておりますし、また、そういった形でのPCBのたれ流しというものはおよそ今後あり得ないというふうに理解いたしておりまして、今回のPCBの汚染状況の公表だけによってでも、PCBを何らかの形で、どこかですみのほうで使っておられる方がおっても、おそらく全部やめてしまわれるだろうということを期待して、そういった通達を出したわけでございますが、PCB自身の禁止ということにつきましては、これはやはり通産省なりあるいはどこかの省の御所管ではなかろうか、こういうふうに理解している次第でございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 先ほどPCBの汚染の問題について通達を出した水産庁長官が、PCBの実態について知らない、こういうことであるとするならば、驚くべき無責任な長官と言わなければなりません。PCBはあなたのおっしゃるとおり製造は禁止されているのです。いいですか、生産と出荷は通産省のあれによって禁止されている。それは事実です。しかし、いままで使っている企業に対しては、すぐ切りかえるのは因難だろうということで、わざわざ、思いやりあるやり方でことし一ぱいは使用はできるんですよ。こういう状況になっていることについて、あなたは一片の通達を出したりしているけれども、まあ不勉強というお断わりもあったからあれですけれども、しかし、あまりひどいじゃないですか、あなた。こういう実態があるから現に石川県や福井県がそういうことでやっているわけですから、さっそくそこの明らかになったところだけでも使わせない、そういうきついお達しがあらためて出されるべきだと思いますが、どうですか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 あるいは私のほうで手ぎわがよくなかったかもわかりません。出す際に、通産省の担当の局長と、さらに念押しのPCBの使用の厳禁というふうな形での共同通達でも出していればよかったかもわかりませんが、今回水産庁単独で出しましたので、あるいはそういった御指摘を受けるような片手落ちの点もあったかとも思いますが、いろいろとふなれな点もございました点につきましては、御了承願いたいと思います。さっそく通産省ともう一度協議いたしまして、通産省のほうでしかるべき通達を出していただくようお願いしてみたい、こういうふうに考えております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 いまの問題なんですが、ふなれだとかなれたとか関係ないのです。当然あなたはそれをわきまえてもらわなければならないはずです。  たとえば福井県あたりでは、そういうかっこうで発生源である東洋紡が、とった魚を買い上げ、これをコンクリートブロックに詰めてどっかに捨てるそうです。どこかへ捨てるのですか。海岸でしょう、埋め立てでしょう。新たな漁場汚染をつくり出すということにならないですか。兵庫県では、現にヘドロを埋め立てに使うという計画もあるのですよ。明らかにそれが目に見えているというこの問題に対して、そこまでお気づきになりませんでしたか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 このPCBの結果の検討の過程におきまして、福井県なり一部の県におきまして、PCBに汚染された区域の魚類を全量当該企業が買い上げまして、それをコンクリート詰めにしましてどっかに埋没する、およそ再び汚染することのないような形で埋没するということにつきましては、関係県におきましても非常に神経を使っておられますし、また汚染しないようにするという当該担当部局の御意見もありまして、私のほうといたしましては、そういった、どこか陸上部のしかるべき地域にコンクリートで漏れないような形で埋め込むことが一番適正ではなかろうかというふうに考えて、この方法について賛意といいますか、そういう方向で指導している次第でございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 時間が来ましたからやめますが、最後に、この機会に水産庁は、PCBだとかBHCだとか、あるいは水銀、カドミウム、こういうものを全域にわたって徹底的に調査してみるというお考えはないのかどうか、それから、政府の責任で、学者や関係漁業者や住民などを参加させる民主的な浄化対策委員会、名前は何でもいいですが、そういうようなものをつくって、海をきれいにする抜本的な計画、研究、こういうことに乗り出してみるという御意向があるのかないのか、研究に値するものかどうか、ひとつ御答弁いただいて、質問を終わります。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 PCBの調査につきましては、今後とも徹底的にこれをやってまいりますし、ただいま御提案のような協議会を設けての抜本的な対策、これは一つの考え方だと思いますが、抜本的な対策を講ずるということについてははっきりお答えを申し上げておきます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)委員 終わります。

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 林孝矩君。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 私でもう最後ですから、重複を避けて質問したいと思います。  きょう朝から当委員会で沿岸漁業の問題、特に今回の汚染による問題点について、同僚委員から種々質問がありました。これは一に国民の最大の関心事であるという認識に基づくものであると思いますし、またその持つ問題がいかにわれわれの生命、健康に重大な影響を与えるかという認識に基づくものと思います。したがいまして、私もこの点について二、三質問をするものです。  厚生省にお伺いしますが、先ほどからも問題になっておりましたけれども、すでに汚染された魚が食卓に出回っておるという結果が、調査の段階で明らかになっております。その調査の内容と、それを厚生省が調査された結果どのように評価されておるか、その点についてお伺いしたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 私のほうから、一応水産庁で調べました点を御説明申し上げますと、調査発表いたしました翌日の時点におきまして、大阪の市場、東京の市場、それから下関あるいは広島の市場という主たる出荷先である市場におきましては、それぞれ市場の責任者、開設者が卸売りの関係者を集めまして、汚染された地区からの魚介類の引き取りをやめようではないかというようなことが第一点と、それから第二の点といたしましては、今後そういった魚については引き取らないようにしようということになったようでございまして、私のほうといたしましても、その点につきましては、また関係方面にも十分よく連絡をしておる次第でございます。  また、かつて第三水俣病の公表がありました際には、有明海からある種の魚が大阪市場に出回ったようでございますが、そのときには大阪では、大阪市の衛生研究所に市場のほうで直ちに調査を依頼しまして、水銀が含んでないということを確認の上で当該魚種の上場といいますか、売りさばきを行なったというふうに聞いておりまして、やはり都市の市場関係者におかれましても、相当鋭敏にこの汚染魚の問題については対処されていかれるものと私のほうは見ておる次第でございます。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 PCBの暫定規制値は、PCBによる食品汚染をこれ以上進めないための措置をとるために上限をきめたものでございまして、十分の安全率を見た数値でございますが、これは個々の食品の適否を判断するというよりも、むしろこういう食品を流通させないための手段として暫定的にきめたものでございます。したがいまして、先生御指摘のように、私どもで都道府県に委託いたしまして、その流通過程におきますものにつきましてチェックした結果、六百十検体から九検体、三PPMをこえるものが検出されております。  それで、こういう生鮮食品におきまして、PCBの検査というものは日数がかかりますために、すでに結果が出たときには流通してしまったあとであるということが非常に多いようでございますので、これはむしろ、生産地におきましてこういう食品を流通させないという手段が最も効果があがるものと考えております。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 大臣にお伺いします。  いま厚生省からお話がありましたように、すでに魚が食卓に流通しておる。問題が起こって調べたときにはもう手おくれである、そういう指摘がありました。私も全くそのとおりだと思うのです。いままで本委員会でも問題になっておった点ですけれども、一つは消費者の立場、一つは漁民の立場、この二つの立場からの判断、そういう判断の基準に国民の福祉という理念があった、私はそのように感じながら聞いておりました。いま私が指摘したのは消費者の立場です。大臣も、魚が好物かどうか知りませんけれども、食べられておると思うわけですね。いま新聞でこのように報道されて、国民の多くの人が心配しているのは、自分が食べている魚がはたしてだいじょうぶなのかどうか、そういう不安を感じながら毎日魚を食べる。その気持ちというのは、非常にいら立たしさを感ずる。こういう心情があるわけであります。こういう不安を安心に変えていかなければならない。これは重大な問題だと思うわけであります。  もう一つは、先ほどから議論になっておりました現場の漁業に携わる人たち、その人たちも、実際とった魚がそういう結果になった。そして商売が成り立たない。また原因がはっきりするまでまぼろしのような状態に置かれてしまう。その間の生活の保障、そういうものがない。また、そういうところから今度は自主規制という問題が提起されて、自主規制ということを受け入れたとしても、はたして今後だれを相手にみずからを守り、みずからの生活権というものを守っていくのかということは、当然漁民の人たちの立場に立って考えると不安である。こういう点も安心というところに変えていかなければならないと私は思うわけです。  したがって、この両者の面の問題というものを考えたときに、われわれも行政当局も本気になって問題を解決していかなければならない、このように考えるわけなんです。いま私が申し上げましたその問題に対して、大臣はどのように受けとめられるか、見解を伺いたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 これは林委員が御指摘の点に全く私は同感であります。PCB汚染を中心に考えてみまするに、それに伴う消費者としての不安、またそれによる漁業の規制による漁業者の不安、こういうものは当然考えられます。  これに対処するために、ただいま厚生省のほうから見解が示されましたが、消費者の立場保護の上においては、食品中に残留するPCBの規制を励行していくことによって、今後の問題については対応することができると思うのです。いままでのことで検査の結果、汚染した検体が幾つか出た。これについてはまことに申しわけない次第で、それはもう率直におわびをしなければならないことだと思います。また、そういう事態があって、さらにわれわれは反省の上に立って、再びそのようなことを繰り返さないということで厳正にやっていく必要があるのではないか。  それから、漁業者の立場に立ちますると、本日午前以来の論議の的になりました原因者負担の原則、これについては私もしばしばお答えをしておりますように、これは徹底的にこのような汚染をなくするという上におきまして、あくまでも原因者の責任というもの、負担というもので責めていく必要がある、こう思うのです。  しかしながら、そうは言っても、その原因者が追及できない、判明しないという場合が現実に起きておる。その場合どうするかということにつきましては、これはきょうの御論議からいえば、第三水俣病の例に見られるような当面の漁業者に対する、お困りになっておれば、低利の資金を用意いたします。また古い債務の返済というものに、今回の問題から非常に御苦労されるのであれば、その条件緩和につとめましょう。あるいは県自体が、県の資金を農林中金に預け入れて、それによって低利の資金もまかなうというような一応の措置が講ぜられつつあるわけであります。これは、現在の事態からいたしますれば、不満足な点も当然あると思います。しかし、私どもとしては、そのようなことで対応しながら、その間に原因者というものを突き詰めていく、そして原因者の負担によって解決するように進めていきたい、このように思うわけであります。  しかし、それでも問題があるということで、一体、漁業規制等に伴う問題などをどうするのか、いまのこういう事態をどう認識するかということについては、長官から、関係各省庁の間でどういう立法をするかということで非常な論議をしておって、なかなか進まないけれども、しかし、その必要があるのではないかということをお答え申し上げておるようなわけでございまして、これらの点をひとつ御了承いただきたいと思います。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 各県から水産庁に、ただいま大臣が原因者の問題を指摘されておりまして、その原因者について報告がなされておると思います。その報告を明確にしていただきたい。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 ただいま私のほうで発表いたしましたこのPCBの汚染状況の調査につきまして、汚染が一応明確になった地区につきましては、それぞれ原因者といわれるような方々と交渉なり、あるいは相当以前に打ち合わせも行なわれておったのかもわかりませんが、直ちに対策が講ぜられておるわけでございまして、福井県の敦賀湾の水域につきましては、先ほど御指摘もありましたように、敦賀湾内あるいは敦賀港内の魚につきまして、問題になっております魚を当該企業が買い上げて、これを埋没処分に付するという形になっております。  さらに兵庫県におきましては、これは相当複合汚染という問題もありまして、前々から非常に問題になっておる地区でございます。これにつきましては、従来から兵庫県におきまして基金制度を設けられまして、こういった漁業者に対する対策を今後何らかの形で救済していくということで、兵庫県は県の基金制度ということで、県とPCBを買って使っておられたというか、つくっておられた方々との間で、そういった準備がすでに行なわれておったということで、それが発動されていくのではなかろうか、こういうふうに思っておる次第でございます。  山口県につきましては、PCBを使っておった企業との間に直ちに県が交渉されまして、やはり全量買い上げといいますか、ボラとかコノシロあるいはアナゴといった汚染されておるという魚につきましては、全量企業側に買い取らして、これの処理を進めておられる、いわゆる埋没処理を進めておられるというふうに聞いておるわけでございます。  大分県につきましては、これも先ほど御指摘もありましたが、これは大分川河口の天然ウナギでございまして、これは従来からすでに採捕禁止処分になっておりまして、さらに川をきれいにするということでしゅんせつがすでに行なわれておりまして、建設省のほうの御協力で県がやっておるようでございます。  それから京都府におきましては、これは内水面でございますが、宇治川の川筋あるいは淀川の上流部、観月橋あるいは淀大橋あたりのオイカワとかフナの系統でございますが、京都府におきましてはこれを禁止処分にするということで、主として遊魚が多かったようでございますが、これにつきましては、私、ただいまの時点でこれが救済対策がどうなっておるかにつきましては、実は御報告いただいておりませんので、不正確でございます。  それから滋賀県につきましては、これは日本一のフナの大産地でございまして、矢橋地区のフナあるいはナマズが汚染された。内水面といたしましては日本独特の珍しい魚種の大産地でございましたが、滋賀県はこの対策には非常に苦慮されたようでございますが、地先を明確にいたしました関係もありまして、当該地先のフナ並びにナマズにつきましては、やはりこういうものを放置しておきますと、いつまでもPCBが体内に残ったまま湖内といいますか地先をうろうろいたしますので、こういったものを取り上げまして、これは多少企業がまだ明確でない点もありまして、県でこれをさしあたり処理されておられるやに聞いておるわけでございます。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 いま兵庫、山口、京都、滋賀、それ以外に、たとえば原因者ですから、複合公害の場合は数社に及ぶ企業が複合しているということで、企業名が出ていないというところも出てくるわけですけれども、私が質問したのは、その企業の名前を明確にしてもらいたいということだったわけです。私、いま申し上げます。たとえば新潟、北陸方面は日本曹達、ダイセル、信越半導体、この三社、これは報告が行っていると思います。それから敦賀は東洋紡、これはいま水産庁長官の話されたとおりであります。それから京都、これは日本コンデンサそれから東レなど十六工場あると思います。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 それから大阪、瀬戸内海岸には鐘淵化学、三菱製紙、大阪湾のほうは非常に工場は多くて、まだこれから調査をしなければ明確に報告できないというような形になっておると思います。それから山口県には東洋紡、帝人、三井石油化学、それから大分県か大分製紙――間違いたったら言ってください。各都道府県から、一応調査の結果、原因者の企業としてあげられて水産庁に報告されておるというふうに私は理解をしておるわけです。  問題は、そのような形で報告された原因者としての企業以外に、全国的に見てみれば、PCBを今日まで製造してきた企業また使用してきた企業、そういうものがあるわけでして、再びこうしたPCB魚というような問題が起こらないという保障はどこにもないわけです。  したがって、これは通産省にお伺いしますが、こうした社会的に重大問題となって起こってきたことは、われわれがすでに衆議院の決議でもってPCB問題に対する決議をしておりますし、また公明党独自としても今日まで政府に対して申し入れをしてきました。そういった経過を経て、政府もこのPCBの製造禁止という行政措置を今日までとってきたというような経過があるわけです。したがって、私がいま申し上げたいことは、いま問題になっておる汚染魚、こうしたものの原因者である企業が、はたしていま報告されておるだけの企業であるかというと、そうではない。第二、第三のこうした問題が起こらないとは限らないという点から、通産省当局は、こうした企業に対して緊急措置としてどのような行政措置あるいは調査をして、国民の不安を解消しようとするのか、明確にその点を通産省当局から答弁願いたい。

松村克之通商産業省公害保安局公害防止指導課長

○松村説明員 お答えいたします。  通産省といたしましては、昨年PCB取り扱い工場についての排水等の調査をいたしたわけでございます。それで、その結果は十二月に発表いたしたわけでございますが、この調査といたしましては、PCBの製造工場、電気機械工場それから感圧紙工場、故紙再生工場、そのほか熱媒体として工場内でPCBを使用しておる工場等九十一工場についての調査をいたしまして、その結果は公表いたしたわけでありますが、この調査の結果、私どもとして一つ考えましたこととしては、これまで熱媒体というものはパイプの中を通すだけでありまして、理論的に言いますと、これは外部に漏れるものはないということであったわけでございまして、したがいまして、私どもとしては、その調査の時点までは熱媒体としての熱交換器の製造、これは昨年のうちに中止したわけでございますが、熱交換器の中に入っている熱媒体につきましてはこれを順次取りかえていく、こういう指導をしていたわけでございます。ところが、昨年のその調査の結果によりますと、そういうふうにパイプの中に入っているPCBであっても、取り扱いの問題その他によって汚染が生ずるというおそれがわかったわけであります。したがいまして、昨年の十二月に通達を出しまして、全国の熱媒体使用工場について早急にこれを転換するようにという指導をいたしたわけであります。それで、現在のところまだ数字的にははっきりここで申し上げるデータはございませんけれども、大体私どもで知り得ました情報から判断いたしますと、過半数はこれの切りかえを終わっている状態でございます。それで、その調査の結果をもちまして、私どもとしては、これらの調査対象工場だけでなく、調査の対象とならなかった工場に対しても通知をいたしまして、工場内の清掃あるいは排水溝の中の滞泥、こういったものを集めて、コンクリートピット等周辺環境に汚染を流さないような形でこれを貯蔵あるいは処分するということを指示いたしたわけでございます。また、いまお話のありました対象八地域につきましても、PCBの使用工場名を私どものほうで把握いたしました結果を県のほうには御連絡いたしてございます。  ただ、使用工場が即すべて原因工場であるのか、あるいは使用工場の中で取り扱い上のミス等によって特定の社が特にたくさんのPCBを外部に排出しているのかといった状況は、今後調査をする必要があるわけでございますが、それにつきましては、県等と協力いたしまして、私どもといたしましても、できるだけの御援助はいたしたい、こういうふうに考えております。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 いま、たとえば企業によってはその魚を買い上げるというように考えている企業もあれば、ある企業によっては、自分のところではないというふうに言っている企業もあるわけであります。そういったことが続く限りにおいては、いわゆるそのはっきりしないことによって影響を受ける漁民、また、はっきりしないからといって遊んでいるわけにいかないから、漁をする、それがチェックされないで流通経路に乗ってきたときに、それを食べる国民全体、こういうふうに影響が伝わっていくわけであります。  ですから、そういった企業に対して――いまの答弁を聞いておりますと、なるほど今日までの経過はよくわかりました。しかし、きょう本委員会で問題になっているのは、そうした長い間の経過に基づいて、そしてこうした緊急事態が起こっているという認識の上に立っていま議論されているわけです。だから、通産省としてもそのような認識に立って、企業に対しての指導というものを具体的にどうするか。たとえばいま私が申し上げましたように、自分のところではないと言っている企業に対しては、どのような形で原因者をはっきりさせていくのか、こういうところの判断が早くなされなければ、それだけ不安が長引くということでありますし、もし判断がなされないということになれば、原因がはっきりしないまま放置されてしまう。そして被害者はそのまま泣き寝入りしてしまわなければならない。そして自主的な規制だとか、あるいは損害賠償だとか言ってみたって、相手がわからなければできないということになってしまうわけですね。そういう認識に基づいて通産省としての態度を明確に答弁していただきたい、これが私の質問なんです。

松村克之通商産業省公害保安局公害防止指導課長

○松村説明員 お答えいたします。  私どもといたしましては、先ほど水産庁のほうからもお話がありましたように、場所によりましては、その原因者が特定する場合もあるわけでございます。それから、兵庫県あるいは大阪等のように、相当多数の工場がPCBを使用したという地域もあるわけでございます。地域によっていろいろ異なるわけでございますが、たとえて言いますと、たとえば敦賀湾の東洋紡といったような、ほかにPCBを使用した工場がない場合、こういう場合は非常に原因がはっきりしているわけでございます。そういうところには、現在通産省としては、その企業に対しまして十分の指導をいたしまして、そういう賠償問題あるいは原状復旧に対する費用負担の問題等については誠意を持って事に当たるようにという行政指導は十分いたしております。  また、相当多数の工場がPCBを使用いたしておりまして、その原因者あるいはその負担の問題について非常に複雑な問題があるような、たとえば兵庫県といったような場合については、先ほど水産庁のほうからお話がございましたように、それを県として何らか一つの仕組みをつくってこれに対処したいというようなお話でございますが、そのような場合にも企業には誠意を持ってこれに当たるようにという指導を今後とも十分続けていきたい、こういうふうに考えております。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 いまの答弁のことは、その兵庫だけじゃなしに、全部にわたってそうした指導をするというふうに理解していいですか。  それから、先ほど農林大臣から、今回の問題に対する見解というものが明確に話されたわけでありますけれども、ひとつ私は、先ほども水産庁長官の発言をめぐっての議論がなされておりました。私もあの議論を聞いておりまして非常に遺憾というふうに思ったわけでありますけれども、たとえば片一方では厚生省が、すでに流通経路に乗っかって魚が食卓にのぼっておるということで、それに対してこれじゃいかぬ、事が起こってしまったらもう立ちおくれてしまう、何とかそういうことが起こらないようにしていかなければならないという話があるわけでありますけれども、その水産庁長官の記者会見の話の中で、たとえばこういうことが報道されておるわけです。「万一流通した場合も、地方自治体の抜き打ち検査がしばしば行なわれているので、さほど心配はいらない。」こういうことが荒勝水産庁長官談として、新聞名は産経新聞でありますけれども、報道されておる。こういうふうになってきますと、結局、先ほど言ったように、漁民と消費者、こういういまの場合はこれは消費者の立場ですけれども、抜き打ち検査なんというようなことは、これは抜き打ちですから、検査がなければそれは食事に供されるということですね。この発言自体の問題を云々するわけじゃないですけれども、もし相当支障があるとしたならば、私は問題である、こう思うわけです。少なくとも消費者の立場に立ってものを考えると、魚屋の店先に魚が並んでいる。その魚が安心して食べられる魚だ、安心して食べられない汚染された魚というものはそうした流通経路にはもう乗らない、だからいま売っている魚はどこの魚屋で買っても、それは一々これはだいじょうぶだろうかという気持ちで買うとか、そういう心配はないというシステムが確立されていて初めて安心した生活というものが生まれるわけです。抜き打ちに検査されなければならないというのじゃなしに、私はそうした意味においては、もう常にそうしたチェックがなされて、そうして食事に供される、食品に供されるというその段階においては何ら心配はないというシステムでなければならない、こういうように思うわけですけれども、水産庁長官はその点はどういうふうに考えられておりますか。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 ただいま新聞をリファーされまして御質問でございますが、私といたしましては、今回のPCBの発表に踏み切った以上は、当然に事前に県との打ち合わせもありまして、当該漁区につきましては、何らかの形での禁止あるいは自主規制の措置がとられるという見込みを立てた上で発表いたした次第でございまして、その間若干時間が手間どったことにつきまして先ほど来御批判をいただいておるわけでございますが、そういったことで、県は県なりに、また私は私なりに指導いたしておりますので、そういう汚染地区の魚が万が一出てくることはおよそないという前提に立って、私は記者会見で説明したつもりでございます。  ただ問題は、今後とも継続的に調査いたしますが、やはり国全部をあげてのPCBに対する対応策というものは必要でございまして、念には念を入れて、あらゆる機会、あらゆる場所をとらえて、それぞれの機関でチェックしてもらいたいという期待を込めてそういうことを申し上げたのでありまして、私のほうは知らぬ、どこかがやってくれるであろうというふうなつもりで申したのでは毛頭なくて、あらゆる機関が、あらゆる場所、あらゆる時期に常にやっていただくということで、いわゆる総監視体制のもとに、こういう食品上の安全問題は検討して進みたいという私の気持ちでございますが、あるいは新聞のほうに舌足らずに出まして、御不審の点を招いたかもしれませんが、それにつきましては、私の至らざる点がございましたので、この席をかりまして、あらためて釈明させていただきます。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 それから厚生省にお伺いしますけれども、そうした海水の汚染問題、これは環境庁も答弁してください。  こういう海洋汚染ということは、われわれも全国総点検をやった経験もありますし、一回やったからいいというものでもないし、いま水産庁長官が答弁されたように、継続してやらなければならない。そのたびにやはりその結果を明らかにし、その発生源というものをとめなければ、こうした問題は解決しないわけですけれども、特にこうした機会でもありますし、今後のそうした調査活動、これには非常に人員も必要だし、機械も必要だと思います。たとえばいま厚生省の保持しておる機械設備、それから人員というものから見て、全部の海洋をすぐ調査して、その結果を発表するというだけの機能は備えていないと私は見ているわけです。たとえば人員にしても全国で五千人ですか、機械が二百八十台、そうした実態というものを聞くにつけ、これでは対応できないのじゃないか。四十八年度予算でそうした点も力を入れていくということでありますけれども、いざというときに間に合うだけの体制というものは整えなければならないし、こうした動くものについては非常にスピードを必要とされるわけですから、事があってやるのではなしに、常にそうした体制で調査がなされていなければならない、こういうふうに私は思うわけであります。当局のこうした点に対する見解をこの際はっきりしておいていただきたいと思うわけです。

岡部祥治厚生省環境衛生局乳肉衛生課長

○岡部説明員 厚生省といたしましては、昨年八月に食品中のPCBの暫定基準を設定いたしまして、その基準の適正な運用あるいは調査あるいは監視、分析方法というようなものを定めまして、各都道府県に示しまして、食品の安全性確保につとめております。なお、今後とも流通市場におきます特に魚介類の検査等については、十分努力していく所存でございます。  海水につきましては、私のほうでやっておりませんので……。

太田耕二環境庁水質保全局水質規制課長

○太田説明員 環境庁といたしましては、実は昨年各省庁と連絡をとりまして一斉点検をやった次第でございます。四十八年度以降につきましても、環境庁独自で、並びに他省庁の持ち分それぞれに応じていろいろ調査検討される予定でございます。環境庁の持ち分といたしましては、海洋、河川等のいわゆる一般公共水域、それから排出口の水質並びに底質を調査、点検する所存でございます。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 大臣に伺っておきたい点が一つあります。  今回のPCB汚染の問題、これは公害・環境対策特別委員会等においても今日まで議論されてきておりますし、当委員会においてもこうした議論が行なわれているわけであります。緊急に閣議等において、この国会で議論されたもの、内容というものを十分参考にして、政府みずからがどのように対処するかということをはっきりきめて取りかかっていただかなければならないのじゃないか。これも緊急を要すると思うわけです。  漁民の被害に対する補償の問題、こうした問題に対しても、たとえば公害によって起こったところの海の問題、カドミウム米なんかは政府が買い入れている今日までの経過もあるわけですし、魚はそういうわけにはいかないというかもしれませんけれども、何らかの形で漁民の人たちが安心できるという、融資だとかそうした面だけではなしに、生活の保障というものがいま必要じゃないか。たとえばきょうこの時点で、漁民の人たちはあしたの生活をどうしようかというような不安にかられているんじゃないか、そのように私、思うわけです。  また、最初に二つの立場を申し上げましたけれども、消費者の立場に立って考えても、ほんとうに安心して食に供することができる、そうした新しい魚、そういうものが一体あるのだろうかという不安をいまの時点で感じておられる、そういう主婦の方、あるいは国民のほとんどの方がそうだと私は思うわけです。  こういうこともありますので、緊急に政府みずからがそういう不安を安心にかえる、それが私は国民福祉だと思います。そういうことを表明していただきたい。その点について最後に大臣にお伺いしておきたいと思うわけです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 PCBその他公害関係の諸問題について、国会における各常任委員会で種々論議が行なわれておるわけであります。またその間に政府側の姿勢も明らかにいたしておるわけでございまするが、お話しのように、各省にまたがっておることでございまするから、できれば意見を統合いたしまして、消費者の立場からも、また漁業者の立場からも、安心のできる政府の姿勢が明白にされる必要があると思います。  ただ、それには、実はこうやって私ども毎日国会の審議に、当然のことながら時間的な制約を受けておるわけでございますし、また閣議をもって全般的な取りまとめをするということになりますと、それなりの用意をいたさなければなりません。したがって、きょうのところ、ただいまのおことばに沿って私どもとしてすみやかに結論をまとめたい、こういうことでお許しをいただきたいと思います。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 それでは、質問を変えまして、水産業協同組合法の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思います。  一つは、漁協なんですけれども、貯金残高が少ない、そういう漁協が非常に多いということであります。それからまた職員数、そして信用事業専従職員、こういうのも少ない。信用事業の経営規模が小さい組合が多い、こういうのが現状であるということであります。そのように事業の実施体制が非常に不備な組合が多いことを考えるときに、まず組合の整備拡充を前提に貯金高及び業務執行体制等について基準を設けて、一定規模以上の組合に限定して事業実施を行なわすことが適当だ、そのように思われるわけでありますけれども、その点についての見解を伺いたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 ただいま御指摘になりましたように、水産関係の漁業協同組合はわりあいに弱体でございます。これにつきまして私どものほうとしては、合併促進法に基づきまして、極力合併を促進しておるのでありますけれども、やはり港別といいますか、集落別といいますか、なかなかうまくまとまらないので苦労している次第でございまして、御参考までに申し上げますと、全国に漁業協同組合数は、いろいろな目的別協同組合を入れまして二千七百四十八組合ありまして、そのうち預貯金関係をやっておりますものが二千九組合というのがことしの三月末の現状であります。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 これにつきまして今回法律改正でお願いいたしまして、為替あるいは手形割引の事業をやらしたい、こう思っておるわけでございますが、いきなり全部にそういったことを適用するということにつきましては、やはり多少問題が残るという気もいたしますので、しかも信用事業でございますので、あまり不当に拡大して甘い基準でするのもいかがかという感じを持ちまして、事務処理体制の整っているところからやっていきたい。また今後事務処理体制が整うに従いまして、基準に合わせてこういう事業を行なわせたい、こう思っております。  具体的な一つの指導基準として、これは法律御審議にあたっての私たちの基準でございますが、為替業務につきましては、信用事業の専任の職員が四人以上であって、かつ貯金が五億円以上あるということと、それから手形の問題につきましては、信用事業の関係者がやはり四人くらいおって、貯金が十億円以上あるということを基準にいたしまして実行し、かつ指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 業務代理に関連して、系統各段階の具体的な調整はどうなっているのか、伺っておきたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 今回の法律改正で、中金等の業務代理を行なうということを各末端の漁協にまで行なわせる権利能力を付与したい、こう考えておるわけでございますが、現在考えておりますものは、農林中央金庫等が直接水産業者に対して貸し付けを行なうときの、中間の水産協同組合が業務代理を行なう代理店というようなかっこうでそれを行なうというかっこうでございます。直接貸付制度に伴う業務代理としては、農林中央金庫等が水産業者に直接貸し付けを行なうにあたって、当該水産業者の事情をよく承知している末端の組合がこれに積極的に介入して、また金融の観点からも、むしろこういう事情をよく知っているものがこういったものに介入していくということがいいことではないかと、こういうふうに考えておりまして、こういった、中金が直接貸し付けに当たります場合には、当然当該組合なり、またその上であります信用漁連の承諾を得るとともに、この貸し付けについては十分に協議しながら、各段階における意思の疎通をはかって、いわゆる協同組合運動の思想といいますか、理想が実現できるように処理してまいりたい、こういうふうに考えております。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 それから、漁船積荷保険臨時措置法案の中で、重複するかもしれませんけれども、漁業の種類、すなわち対象漁業種類はどのようなものを予定しているのかという点が一点。それから漁業災害補償法との関係はどのようになっているのかという点が二点目。それから三点目が、漁船保険中央会の事業の性格はどのようになっているのかという点。それから四点目は、指定組合の事務費等はどのようになっているのかという点。五点目は、すでに民間の保険で実施しているのが現実ですけれども、それとの関係はどう対処していくのかという点。この五点を伺って私の質問を終りたいと思います。

荒勝巖水産庁長官

○荒勝政府委員 漁船のこの保険の実施に当たります漁種につきましては、水産業界から非常に要望のあります当面の問題といたしまして、マグロはえなわ漁業、遠洋底びき網漁業、北洋はえなわ・刺し網漁業、大・中型まき網漁業、沖合い底びき網漁業、カツオ釣り漁業、中型サケ・マス流し網漁業、以西底びき網漁業及びイカ釣り漁業等を対象として実施する予定にいたしております。  それから中央会といたしましては、今回の法律改正に伴いまして基本的に新しく付与する問題といたしましては、積荷保険につきまして、これは実験実施ではございますが、暫定措置ではございますが、この再保険業務を新しく行なうということで、従来の漁船保険につきましては、特別会計が再保険業務を行なってまいりまして、中央会は一つの、そういう設計基準の指導といいますか、研究したり指導したりする組織を固めていくというふうな指導業務が中心でございましたが、今回の改正にあたりまして、積荷保険につきましては再保険業務をみずから行なうということで、これにつきましては多少異質の仕事を行なうことになりますので、五年間でございますが、実験実施をさしてみたい、こういうふうに考えております。さらに、これにつきまして十二億円従来国庫からかつて交付金を交付したことがございますが、新しく三十五億円を交付いたしまして、合計四十七億円の基金をもちまして、組合員の意思も尊重しながら、こういった漁船の安全性を確保するための事業を行なうことになるのではなかろうか、こういうように思っております。  次に、指定組合の事務費につきましては、特別会計から、実行の過程で、多少振興の意味をもちまして、この事務費の一部の補てんはいたしておりますか、たてまえといたしましては――保険業務が最近非常に健全になっておりまして、戦後の一時荒廃したときには組合自身が再建整備といいますか、非常に乱れておったわけでございますが、最近の漁船の大型化といいますか、そういったこと、あるいは日本の経済力が上がってきたことも反映いたしまして非常に健全な形になっておりまして、相当実力をあげてきておるということもありますので、実質的に経営採算といたしましては相当よくなってきておりますので、たてまえといたしましては、原則としてほとんど自前といいますか、独立採算でやる。ただ、実質的に、われわれのほうといたしまして、今後奨励すべきものにつきましては、一部、中央会なり国から多少奨励的な意味での補助金らしいものが出ておりますけれども、自前というのが原則というふうに御理解願いたいと思います。  それから民間保険との調整でございますが、たてまえといたしまして、大型漁船につきましては、従来から民間の海上保険関係が非常にやっておられましたのを、中小のこういった零細な漁業関係については当然に国なり特別な機関が行なわないと、ともすればやはり漁船の保険の確保ということがむずかしい面もございましたので、従来から法律並びに国庫のたてまえからいたしまして、百トン以下の船につきましては国庫負担金を当然に持つということで極力加入するように実行いたしておりまして、非常に成績が上がってきておるわけでございます。  なお、百トン以上の船につきましては、まさにこの漁船保険組合におきましても国庫負担金は出しておりません。その意味で大手の保険会社との間に実質的には競合関係にありますけれども、私たちといたしましては、極力、漁船である以上、保険組合に加入するように奨励いたしておる次第でございます。

林孝矩公明党

○林(孝)委員 終わります。

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 次回は明七日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三分散会

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