農林水産委員会 第19号
- 発言数
- 270 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/04/24
会議録
○佐々木委員長 これより会議を開きます。 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
○馬場委員 質問に入ります前に、委員長に、この前も要望したのですが、ぜひ農林水産委員会において定足数に達するように努力をしていただきたい、これは最初にお願いしておきたいと思うのです。こう見てみますと、自民党の方はいま三名しかおられませんけれども、ぜひ成立するように格段の努力をお願いしておきます。 提案されております議案につきましては各委員が相当長時間質問をしておりますので、私は重複をなるべく避けたいと思います。それで、少し議案と関係がないと思われるような部分もあるかもしれませんけれども、質問をいたします。 最初に農林大臣に御質問をいたしたいと思いますが、田中総理が日本列島改造論というのを書いておられまして、言うならば、田中内閣の一枚看板でございますが、この田中総理の日本列島改造論の中に農村あるいは農業の振興という点がございますけれども、非常に膨大な本の中で農村に関する記述が非常に少ない。このことは農業、農村を軽視しておられるのじゃないか、私はこういうぐあいに批判もしておるわけですけれども、そのことはおきまして、その日本列島改造論の中の「農工一帯でよみがえる近代農村」というところで農業、農村のことを記述してあります。この田中総理の日本列島改造論の中に書いてあります農業政策、こういう問題といま農林大臣を責任者として行なわれております農政、これはどの程度関連があるのか、こういうことについて、まず最初に大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいまお触れになりました農工一帯でよみがえる農村、この田中総理の発想というものは、そのまま四十八年度のお願いをした予算の中に反映をいたしておると思います。すなわち、高能率、高福祉の農村をつくっていこう、工業を導入して農工一体の実をあげよう、こういう趣旨のもとでまいっておるわけでございます。 列島改造論の中で農業問題に触れるところが少ないという御批判でございましたが、私としては、過密過疎の問題が起きて、国土の均衡ある発展を期そうというその趣旨そのものが、今後の農村にとって貴重な指針であるというふうに解してまいっておるような次第でございまして、具体的ないろいろの施策の打ち出しが乏しいようではございますが、流れておる基本的な考えとしては、今後の農業政策の上に重要な指針を与えておる、このように受け取っておる次第でございます。
○馬場委員 列島改造論に書いてありますのが四十八年度の農政に非常に反映しておる、こういう御答弁でございますが、具体的に質問をいたしますけれども、列島改造論の中に「農村は国民の食糧供給基地として、また、農民が働き、生きる場として楽しく、誇りうるものでなければならない。」こういうぐあいに記述してあります。その中で、主要な食糧につきましては八〇%程度の自給率にする、こういうぐあいに書いてございます。今日の農政計画の中で自給率はすべて八〇%の計画でやっておられるのかどうか。たとえば小麦とか大豆という問題はそうなっていないのじゃないかと私は思いますが、八〇%自給率という改造論の中に書いてありますのと現在とっておられます自給率の関係について御見解を承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 昨年十月に出されておる試案、この試案の中で農林省としての方針ははっきりしておると思うのであります。米とか野菜とかあるいはくだものであるとか、肉であるとか、乳製品であるとか、その加工品であるとか、こういうものは完全自給ないし八割の自給を目ざそう、こう申しておるのでございます。総理のいわれておる主要な食糧、その主要の中にたとえば麦などが入っておらぬ、こういうことを御指摘でございますが、日本の農業に適しておる主要な食糧については、ただいま申し上げた試案でお示し申し上げておるように、八割を確保していこう、総理のお考えと一致しておると思います。
○馬場委員 そういたしますと、さらに具体的に聞きますけれども、総理大臣が列島改造論の中でいっておる主要な食糧というのは、何と何と何をさしておるのか。また、逆から言いますと、たとえば大豆とか麦とかいうのは主要な食糧ではないのか、この辺について具体的にお答え願いたい。
○櫻内国務大臣 いまお答えでちょっと触れたつもりでございましたが、日本の農業生産に適しておる主要な食糧、こういうふうに私どもはとっておるのでございます。小麦のごときは生産性の格差が各国と比べて非常に大きいのでありますから、できる限り国内で生産する努力はするが、しかし、その及ばざる面があると思います。また、大豆につきましては、しばしばお答えを申し上げておるように、食品用としてはこれはできるだけ国内生産でいこうという目標を立てておるようなわけであります。
○馬場委員 主要な食糧というのは、具体的に何と何と何をさしているのですか。
○櫻内国務大臣 これは総理の考えとしてそこに具体的に出ておりませんから、にわかにその判断はできないが、日本の農業に適した主要な食糧と、こういうふうに私どもはとっておるわけであります。したがいまして、先ほど申し上げた試案で、これこれを完全自給ないし八割を確保する、こう申しておるので、その点で考えが一致しておると申し上げたわけであります。
○馬場委員 そういたしますと、いわゆる麦だとか大豆とかいうのは、総理がいっております主要な食糧ではないというぐあいに把握しておられるわけですね。
○櫻内国務大臣 主要な食糧のとり方なんですね。要するに、日本農業に適しておるものの中で、主要なものというものを取り上げているわけで、日本の食生活の上において小麦、大豆が主要でない、必要でないという見解ではないので、そういう点で小麦はもとよりできるだけ国内でつくるように努力すべきだが、しかし、そこに生産性格差も大きいのであるから、一方において国際協力のできるこういう時代において、ある程度を輸入に仰ぐということは現実的にこれは認めていっていいのではないか、また、大豆については、これは食品用についてこの間うちの苦い経験もございますから、こういうものについては不足払いをしてでもできるだけ自給率をあげるようにいたしながらも、しかし、食用油に必要な大豆ということになれば、これはやはり国際協調的な考えも入れていくべきだ、こう申し上げておるわけであります。
○馬場委員 世界的に食糧の危機、こういうぐあいにいわれておるわけですけれども、具体的に、たとえば大豆とか小麦とかというのは、日本の農業の中で永久的に八〇%の自給率に達しない、日本の農業に適していないのだ、こういう考えですか。それとも、いずれの機会にこういう品物も八〇%の自給率まで持っていきたいという方向はあるのですか。永久にそういうものはそこまで持っていかないのだ、こういう方針ですか。
○櫻内国務大臣 現実に生産性の格差があるということは認めていかなきゃならないし、それに対して国内でできるだけつくろうという意欲は持っておるが、はたしてそれが国際関係の上でどこまで追いついていけるのか。保護施策もとりながらやるけれども、一方において消費者のことも考えるということになりますると、総合的な判断の必要があるわけであります。アメリカ農業の実態と日本の農業の実態を比較してみて、大豆の場合や小麦の場合に、努力をいたしましても、そこになかなか追いつかない面があるということは認めていかなければならないと思いまするので、ここで、大豆や小麦はつくらぬでもいい、こういうような断定をする必要もないと思うのです。お示しのように、国際的な食糧の逼迫しておる状況のもとで、できるならばこれを国内でまず第一次的にはつくるということの必要があるわけでございまするが、しかし、何ぶんにも現在開放経済下にあって、国際的な協調というものの道が全然閉ざされておるということでもなく、また安定的な供給を得ようとすれば得られる現実にあるとするならば、その辺のことも勘案しつつ、また国内における生産についても努力をする、これが私どもの考えの基本であります。
○馬場委員 くどいようですけれども、やはりこういう作物についてもできるだけ自給率を高めるようにするという方針は持っておられるのですか。
○櫻内国務大臣 これはそういうふうにおとり願ってもいいと思うのです。できるだけ国内生産を第一次的には考えていく。ただ、そのほかのいろんな要因を総合的に判断して、消費者のことも考え、また食糧の安定供給の上から事を欠かさない、この程度を海外に仰いでおっても、いざという場合でもそう不安がないのだ、こういうことでありますなら、それも施策の上に導入をしていってしかるべきことであると思うのです。 それで、小麦のことをたいへんいろいろとお考えで御質問のようでございますが、たとえばいま裏作に対する熱意が非常に欠けてきておる。それが減産の原因である。しかし、裏作の重要性というようなことから、もっと合理的に生産をやり得る余地があるとするなら、これは大いに奨励すべきだと思いまするし、また大豆については、一応その試案の中におきましても、食品用についてはまずこれを確保していこう、こういうように具体的にもはっきりいたしておると思います。
○馬場委員 次に、列島改造論の中に、農業所得を二、三次産業並みに引き上げる、現在のままでは農業は後継者を失い、食糧基地としての農村は崩壊する、こういうぐあいに書いてあるわけでありますが、農業所得を二、三次産業並みに引き上げるというこの格差是正、こういう具体策というもののポイントはどこに置いてあるわけですか。
○櫻内国務大臣 基本的には、基盤整備とかあるいは構造改善事業とかあるいは価格安定施策による農業それ自体の発展を期していかなければならないと思うのであります。しかしながら、二、三次産業の所得に追いつくにはいろいろな努力が必要であると思います。そこに農工一体的な考え方も出てくる。また、工場の農村への導入施策というものも出てまいりまして、現在、私どもの考えとしては、農家の所得というものが二、三次産業に追いついていくことをやりつつ、そして本来の農業生産による所得も増加する施策をとるべきではないか、こういうふうに見ておるのでありまして、大体その見当には行きつつあると思います。
○馬場委員 大体その見当には行きつつあると思いますと、はなはだ自信のないようなお答えですけれども、総理大臣の日本列島改造論には、わが国の一人当たりの国民所得は昭和六十年をまたずして現在のアメリカの水準を上回る、こう予想される、こういうぐあいに書いてございます。そしてその格差を是正するのだ、こういうぐあいに書いてあるわけでございますので、昭和六十年までに現在のアメリカの国民所得を上回る、そこに近づけでいくのだ、こういうことでございますので、農林省の計画はやはり昭和六十年に現在のアメリカの国民所得、そういうところに農家所得が引き上げられるような計画になっておるのですか、どうですか。
○櫻内国務大臣 総理の言われておることは、現在の経済計画による経済成長率を勘案しながら、将来を展望して六十年はどうなるかという場合の見通しを言われていると思うのであります。そしてこの見通しの中で、それでは農業は全然疎外されるのか、農家というものの所得は向上しないのか。そういうことではないと思うのでございまして、総理の言われておる基本的な考えの中で農業は育ち、また農家所得も向上していくということはもとよりだと思います。
○馬場委員 具体的に聞いておるのですよ。総理は昭和六十年までには現在のアメリカの所得を上回ると言っておられるのです。だから、農家所得が昭和六十年までには現在のアメリカの所得を上回る、そういうような計画を具体的にお持ちであって、具体的にそのように進めておられるのかどうかということを聞いておるのです。
○櫻内国務大臣 これは昨年十月の農業界の皆さん方も加わって立てられた試案というものが中心になっていくのでございまして、総理が国全体の方向を示されて、その一翼としての農業というものを考えておるようなわけでございまして、その総理の構想に基づいて農林省が具体的にそれに伴うところの試算をしたかどうかという具体的な御質問であれば、それはいたしておりません。
○馬場委員 そうしたら、総理が言うのは、六十年までに現在のアメリカの国民所得を日本の国民所得は上回る、そして国民所得で、農業所得の所得は格差があるのだから、格差は是正するのだ、こうおっしゃっているわけです。しかし、いまの答弁によりますと、六十年までにそういうふうに持っていくという具体的な計画はない、こう受けとめていいですか。
○櫻内国務大臣 それはちょっと受けとめ方が違っておると思うのですね。農林省は農林省としての試案があって、その見通しを申し上げておるわけで、それはそれとして、しかし列島改造のことをお触れになって言われておるわけですから、その列島改造のほうは、日本の経済計画に伴う成長率を勘案しながら見通していけば、総理のいわれるような結果が出ると思うのです。しかしながら、あなたから具体的にどうかと言われるから、これは当然国民所得全体の方向を示しておるので、その中で農業は一翼をになうものであるとは思うが、しかし、田中構想のもとにおいて、ではちゃんとした具体的にはどうかというから、それははじいてはおりませんということを申し上げた。
○馬場委員 そうしたら、やはり六十年までには格差是正は行なわれない、見通しはないということですか。それともやはり六十年までには格差是正をやるようにして、アメリカの現在の国民所得に追いつけるように計画があるか、その辺はいとも単純な質問ですから。
○三善政府委員 農林省がつくりました生産目標の試算におきましては、私どもはできるだけこの格差是正をする、そのためにいろいろの対策を講じていこうということでやっているわけでございますが、御承知のように、経済成長というのは、やはり農業の生産性の向上より相当伸びている。日本の農業の生産性というのも最近欧州並みには伸びてきているわけですけれども、欧州の場合は経済成長率がわりあいに低いわけなのです。日本の場合は非常に高い。そういうことで経済成長率と農業生産性を高めるという、その格差の関係で、五十七年目標で私ども試算をしておりますけれども、どうしてもその格差を是正し、その格差がなくなるというところまでは、これはもう先生常識的に御承知のように、なかなかそうはまいらない。ただ、その格差をできるだけ是正すべくいろいろな対策を講じて、一生懸命にやっていきたいというふうに私どもは考えているわけでございます。 具体的に数字で申し上げますと、五十七年目標で私どもがつくっております十年後の農業の生産性及びその格差の問題につきましては、所得はやはり現在の倍以上にはなるのじゃないかということは考えておりますが、その場合に、経済成長が現在のテンポで進んでいくということになれば、やはり他産業と農業所得との格差というのは埋められるというわけにはなかなかまいらない。できるだけそれを縮めていくというようなことで考えていく以外にはいたし方ないのじゃないかと思っております。 そういうことで、あきらめるということではございません。ただ、それをできる限りの方法でその生産性を高めて格差を是正していくということには、最善の努力を今後ともしていかなければならない。一朝一夕にこれはできるものではございませんし、やはり長い目で見て、長期的にそういう努力を続けていきたい、こういうふうに考えております。
○馬場委員 やはり格差は残る、こういうことになっているようでございます。私としては、総理がせっかく格差を是正するのだということを列島改造論で、しかも選挙のときには大々的にそれを宣伝されたわけですから、農林省としても、残るというのではなしに、やはり格差是正は完全になくするのだというふうな農政をぜひやっていただきたいということを、これはお願いしておきたいと思うのです。 次に、自由化の問題で総理はこういつておられます。「国際情勢からみて農産物の輸入ワクの拡大、漸進的な自由化は避けがたい。」こういっておられるのです。農産物の自由化は避けがたい、こういうことを総理大臣はいっておられますが、これに対する農林大臣の見解を承りたいと思うのです。こういう方向で農政をやっておられるのが、いや、自由化はしないのだ、こういう方針でやっておられるのか、見解を承りたいと思う。
○櫻内国務大臣 これは列島改造論の中で記述されておることと、それから総理が予算委員会あるいは本会議等で言われておることと総合して判断をしていただく必要があると思うのです。総理は、列島改造のほうでは、避けがたいといい、それからまた委員会や本会議を通じては、十分な対策を講じて考えたいということを言っておられます。それを受けて、貿易の自由化ということは、これは日本のいま置かれておる立場からしての、いわば国際的な約束である。資本の自由化、貿易の自由化は約束である。しかしながら、各国においてもそれぞれ自由化に努力をしても、国内産業に対する影響上から、これ以上はできないということは各国ともに主張し、またそれを相互に認めておる実情にあるわけであります。最もはっきりしておるのは、ウエーバーとして、特化品目として、もう最初からその点は認めるというような場合もございますが、そうでなくとも、それぞれ欧米諸国においても二十ぐらい、あるいは二十五ぐらいは、フランスのようにもっと多い場合もございますが、いまだ自由化をしていない。またこれについてはできないという主張をしておる国もございますから、いまの総理の書かれておること、言われておることは、一つのわが国の基本的な方向としつつも、なお農林を担当する私としては、その理想に沿いながら残存品目についての検討を加えて、そしてその検討を加えた結果について、しばしば農林省としては自由化はできないということを申し上げておるようなわけでございます。
○馬場委員 はっきり申し上げまして、農産物も自由化をしたいのだというのが総理大臣の本音だ。しかし、農林省はいろいろ残存品目等に検討を加えたけれども、これは自由化はできないのだ、してはいけないのだ。はっきりいって食い違っておる。ざっくばらんにいったら、そういうことではないのですか。
○櫻内国務大臣 ざっくばらんにいえば、そういうことではないのです。自由化というものが、国際間における拡大均衡を目ざす一つの大きな目標であるという認識は、これは総理にしても私にしても持っているわけであります。ですから、農産物についても国際競争力ができるようにいろいろな施策を講じつつきておる。しかし、それではいま自由化はできるかできないかといえば、いろいろ検討してみて、それはできない、こういうことを申しておるのであります。総理もこれは大局的にものごとを言われるのでありますから、貿易の自由化そのものについては、それは常に前向きのことを言われておると思いまするが、しかし、また農林関係の残存品目について、こうこうこういう事情があるということを申し上げておりまするから、それに対たる認識も持っておられることと思うので、別にその間に私は食い違っておるとは思っておらないのであります。
○馬場委員 よくこの問題になるとわからないのです。もうざっくばらんな質問ですけれども、総理の側からいうと、基本的には自由化したいんだけれども、いろいろ検討してみて、いまの残存品目については自由化しないんだ、こういう総理の考えですか。それとも逆に、農林大臣は残存品目をいろいろ検討して、国際競争力がつけばこれは自由化するんだ、してもいいんだ、こういうぐあいに農林大臣は考えておられるのか、どちらですか。
○櫻内国務大臣 これはやはりちゃんと目標を持っておるがいいと思うのですね。外国から見て実際上国際競争力もちゃんとしておるものであるにもかかわらず、それは自由化しないということは、拡大均衡を目ざす相互の共同の目標の上からいえば、それはおかしいということになって、国際的な非協力ということになるのであります。しかし、いまの残存品目をずっと見て、だれが見ても、これはもう当然自由化すべきにもかかわらず、日本があえて不条理なことを言っておるという、そういうことに該当する品目は私はないと見ておるのです。でありますから、国際間におけるお互いのこの目標というものは、これは尊重していく必要がある。総理はそのたてまえをとっておられると思いまするが、私どもはそれについて異を唱えておるのではなくて、十分検討の結果、これはなかなかむずかしいということを申し上げておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○馬場委員 それでは再度確認いたしますけれども、総理大臣は自由化をしなければならないという原則的な考えはあるけれども、いまの残存品目についてはこれは自由化はできないんだと思っておられる。農林大臣もまたしかり、いまの残存品目については、これはやはり国際的に見ても自由化をしなくてもそう非難もない、だから残存品目については自由化をしないんだ、こう理解していいんですか。
○櫻内国務大臣 少なくとも私が繰り返し申し上げ、説明をいたしておるこの段階において、総理もまた私の言うことについて理解を示されておるということは間違いないと思います。
○馬場委員 次に、列島改造論の中で、農業就業人口についてこう書いてございます。「農業人口の大幅な減少は避けられない。昭和四十六年の農業就業人口は七百六十八万で、全就業人口の一五・九%であった。昭和六十年にはこの十分の一まで減少すると予想する学者さえもいる。」そういうことを前提にしながらさらに次の項で、食料自給率の一〇〇%、そうして輸出国のアメリカ、この農業就業人口は全体の三・五%だ、こう書いてあるわけです。そうして昭和六十年までに「アメリカ程度の水準まで低下することは自然の流れである。」こう書いておられるのです。そういたしますと、日本の農業就業人口を三・五%程度にするということになると思います。これに対しまして農林省の農政の方向といいますか、現在一五、六%の就業人口を六十年までには三・五、六%に引き下げるんだ、こういう考え方をお持ちかどうか、農民を切り捨てられるのかどうか、こういうことについて御見解を承ります。
○三善政府委員 日本列島改造論の中で就業人口につきましてあちこち出ているような感じがします。それで、八一ページに、「昭和六十年までに七%程度に下げることができれば」という、この七%というのが大体この日本列島改造論の中に書いてあることではなかろうかと思っております。いま先生御指摘になりました、アメリカでは農業就業人口率は三・五%である、これは自然の流れで、日本も「アメリカ程度の水準まで低下することは自然の流れである。」ということも書いてございます。 そこで、農林省としまして、御承知のように、現在、昭和四十六年度七百三十三万人でございますから、これが十年後の見通しとして、私ども大体年率五%程度で減少していくのではなかろうかという推算をいたしております。そうしますと、昭和五十七年度に約四百三十万人ということで、全就業人口に対する割合は七・五%になると推算をいたしております。この日本列島改造論で一番最初に申し上げました「昭和六十年までに七%程度に下げることができれば」という、これと大体方向としては一致しているのではなかろうかというふうに考えております。
○馬場委員 そういたしますと、パーセントは七%であれ三・五%であれ、現在の就業人口を非常に減らす、こういう方向で農政が行なわれておる、こういうぐあいに考えていいわけですね。切り捨てられた農民というのはどうするのか、それを含めまして、とにかく農業人口を減らすんだ、それが農政の方向だ、こういうぐあいに理解していいんですか。
○三善政府委員 この農業就業人口の減少の問題でございますが、減らすということではなくて、やはり経済の成長率との関係で自然にそういう方向になっていくという趨勢であるということでございます。これだけ農業就業人口が減っていけば、それではあとの農業経営あるいはそういう面で非常に支障を来たすのではないかという御指摘でございますが、決して就業人口が減ったから農業が後退するとかあるいは生産性が上がらないとかそういうことではなくて、むしろこういった一つの自然的な傾向というものをとらえまして省力的な農業を営むあるいは農業の大型の機械化を行なう、そういうことで生産性はもっと高め得られる余地が非常に出てくる。現にそれだけにまかせておくということではなくて、やはりそれにはそれ相応の対策を当然裏づけとして考えていく必要があるわけでございまして、現に生産基盤の整備十カ年の土地改良計画も、こういった情勢に基づいて、できるだけ農用地の八〇%程度は十カ年に土地基盤の整備をやっていこうというようなことも打ち出しておりますし、また、農業の経営の面で自立経営の育成ということも当然これは進めてまいりますけれども、御承知のように、なかなか経営規模の拡大というのは、所有権の移転ということをもって経営規模を拡大するということは非常にむずかしくなってきているということは御承知のとおりだと思います。したがって、そういう対策も続けていくと同時に、また一方、私どもが十年後の農業を考えていきます場合に、集団的な生産組織と申しますか、そういう一つの中核的な専業農家を中心にして農地を出し合う、あるいは作業を機械化体系の中に仕組んでいくというようなことで、経営の面でも生産性を高めていく、そういういろいろの対策を講じて生産性を高めていくということを考えておるし、また、予算的にもそういう方向で打ち出しているわけでございます。決して、農業の就業人口が減っていく、これがために農業が非常に後退するんではないかということではなくて、むしろそういう機会をとらえて生産性の高い農業を育成していくというふうに持っていきたいと思います。 この農業就業人口の減少の傾向というのは、御承知のように、欧州等でもやはり四%程度、経済成長との関係で減少いたしておりますし、私どもが見込んでおりますのは、先ほど最初に申し上げましたように、約五%程度年々減少していくであろうということを見込んでいるということでございます。
○馬場委員 相当この点については議論をしたいのですけれども、質問でございますし、時間もありませんが、やはり何としても日本のいまの自民党の政治というものは工業重視、農業軽視、そういう政治が行なわれておる、それがたまたまこういう就業人口にも影響してくる、私はこういうぐあいに思うのです。だから、就業人口を全然一人も減らさないということはできないかもしれませんけれども、やはり邪推いたしますと、邪推せぬでもほんとうかもしれませんが、農業の就業人口を減らしてそこから労働力を生み出して工業につぎ込む、そういう政策をあえてとっておられるのじゃないか、こういうような感じもいたします。だから、私は、工業重視、農業軽視という政治じゃなしに、やはり農業も重視するんだというような政治というものを行なっていかなければいけないのじゃないか。どうしても農業が軽視されておる、こういうような感じがしてしようがないわけでございます。そういう一つのあらわれとして、就業人口の減少の問題を成り行きにまかせるとか、あるいは故意にそうするというぐあいに思いますので、こういう点については、やはり農業重視という政策を抜本的に立てていかなければいけないのじゃないかということをここでは特に申し上げておきたいと思います。 次に、農林金融の問題について質問をいたしますが、農協系統の今日の資金状況の特徴といいますか、そういうものを一口に説明をしていただきたいと思うのです。農協系統の金融の特徴は現在こうなっているということを簡単に説明をしていただきたいと思います。
○内村(良)政府委員 御説明申し上げます。 農協系統金融の特徴を一口で申しますと、御承知のとおり、農協は組合員及び准組合員から預金を集めまして、それを貸し付けに通用する。ところが単協だけでは十分な貸し付け先がないということもございまして、それを信連、中金にあげてきて農業の中及び農外に運用する、こういう形になっているわけでございます。 そこで、最近の特徴といたしましては、農業及び農村の基盤が非常に変わってまいりまして、昭和三十年代は農協の預金の源泉の六割ぐらいは供米代金とか農業からの収入が農協の預金になったわけでございますが、最近は、農外の兼業収入とか、あるいは土地代金の収入というものが三十年代に比べれば貯金の源泉としてふえてきているというような形になっております。
○馬場委員 さらに具体的にお尋ねしますが、預貯金は伸びておるのかどうか、こういう問題と、伸びておれば、その預貯金の構成比ですね。たとえば土地代金が大体預貯金のうちの何%だ、あるいは兼業収入の預貯金が何%だ、純粋の農業所得の預貯金が何%だ、こういう、伸びておるのかどうかということと、その預貯金の構成比というものをお知らせいただきたいと思います。
○内村(良)政府委員 預貯金は伸びております。 そこで、これは悉皆調査ではございませんが、一部の組合について調査したところによりますと、その源泉について見ますと、昭和四十六年度におきましては農業収入が四二%、農外収入が五八%となっておりまして、農外収入の内訳は、土地代金が三二%、兼業収入等が二六%、こういうふうになっております。
○馬場委員 次に、貸し付け金の問題ですけれども、貸し付け金は伸びておるのかどうかという問題、そしていまと同じように、その貸し付け金の構成比率、こういうものについて具体的にお答えいただきたいと思います。
○内村(良)政府委員 貸し付け金も伸びております。昭和四十七年九月末の農協の貸し付け金残高は三兆九千九百六億円でございます。この中には農林公庫資金も入っております。それを員内、員外別に見ますと、員内貸し付け金は三兆八千四百七十七億円、員外貸し付け金が千四百二十九億円、そのうち市町村への貸し付け金の残高が八百五十二億円でございますが、員外は千四百二十九億円になっております。そこで、員内貸し付け金の比率が九六・四%となっておりまして、この数字から明らかなとおり、大部分が組合員に対する貸し付け金になっております。 次に、貸し付け金を長期、短期別に見ますと、その貸し付け残高、それぞれ一億五千九百四十五億円、二兆三千九百六十一億円となっておりまして、長期貸し付けが全体の六割を占めております。そこで、長期貸し付けの内訳でございますが、そのうち農林公庫の転貸資金あるいは農業近代化資金等のいわゆる制度資金が六千四百四十八億円、普通長期資金が一兆七千五百十三億円となっております。 なお、農村金融研究会の調査によりますと、普通長期貸し付け金の用途別の内訳は、農業関係が三一・五%、それから住宅等のいわゆる生活資金が三六・八%、それから農外の事業資金が一八・三%、負債整理その他の資金が一三・四%となっております。
○馬場委員 預貯金の伸び率と貸し付け金の伸び率、この比較ですね。その数字をひとつ具体的に知らせていただきたいと思うのです。
○内村(良)政府委員 貯金の伸びでございますが、四十六年の九月と四十七年の九月を比べますと、二五・四%の伸びになっております。これに対しまして、貸し付け金のほうは同じ年で一一・一%の伸びということになっておりまして、貯金の伸びのほうが貸し付け金の伸びよりも上回っていることになります。
○馬場委員 中金の説明によりますと、余裕金が三兆円くらいある、こういう説明を受けておるわけでございますが、預貯金の伸びが貸し付け金の伸びよりも非常に上回っておる。これは具体的にどう分析して、どう評価すればいいわけですか。
○内村(良)政府委員 その原因でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、やはり土地代金あるいは兼業収入等のウエートが貯金の源泉としてふえているということがやはり大きな原因ではないかというふうに考えられます。
○馬場委員 土地代金並びに兼業収入、これらは農業の再生産費に回っておるのかどうか、この辺の分析はどうですか。
○内村(良)政府委員 お金に色がついているわけではございませんので、回っているか回ってないかという点でございますが、私どもの見るところでは、地域によりまして、たとえば東北、北海道等は貯貸率も非常に高いわけでございます。そういうところではそういった資金が農業資金に回っている面もあるだろう。それから東海地方のように、非常に貯貸率が低いというようなところはそう回ってないのじゃないかというふうに考えられます。
○馬場委員 やはり農民が土地を売るという場合のその金、さらには出かせぎなりその他で収入を得る、こういう金は農業の再生産費に回し、そして農業を振興していく、こういうような方向であるべきだと思うのですが、そういうような具体的な指導をやっておられるのか。あるいは、金が余ったからほかに貸せばよろしい、そういう考えかどうか。土地代金等を再生産費に回す、農業振興に回すという徹底的な指導をなさっているのかどうか、その辺伺いたいと思うのです。
○内村(良)政府委員 農業金融の場合には、御承知のとおり、ある程度長期低利、特に基盤整備あるいは資本設備の高度化というようなことをやる場合にはそういったような要請があるわけでございます。したがいまして、金が非常に余ってきている、したがって、農業貸し付けが簡単に伸びるかというと、農業の置かれている現状からいうと、なかなかそうはいかないという面があることは残念ながら事実でございます。 そこで、そういった農業の環境の中でどうやって農業金融を伸ばしていくかということにつきましては、御承知のとおり、近代化資金につきましては、いわゆる系統資金を原資にいたしまして、国と県が利子補給をいたしまして金利を下げている。現に四十八年度からは金利をさらに五厘下げて五分五厘の金利でやるというようなことにいたしておりますが、そういった近代化資金等の拡充をはかっておりまして、そういった面から系統資金が活用されるようにするということにつきましては、われわれとしても非常に努力をしているわけでございます。一方、近代化資金以外に農協自身が一般資金の貸し付けをやっている。これにつきましては、なかなかむずかしい問題もございますけれども、過去におきましても農協がいろいろ経営の努力をいたしまして、農協の金利は長期的に見ますとずっと下がっております。したがいまして、今後におきましても、系統がいろいろ努力をして金利を下げて極力安い金利で組合に貸すという努力をしなければならぬ。その面につきましては、農林省といたしましても、経営の合理化その他につきましてもいろいろ援助をする、あるいは指導をするというような形で、近代資金と制度資金が系統資金を使うと同時に、系統資金のコストを極力下げるように一体となって努力するということで農業金融の道が開けていくように努力しているところでございます。
○馬場委員 組合金融というのは、やはり組合員の相互扶助という原則が必要ではないか。しかし、いろいろ今度の改正を見てみますと、そうではない。系統外というものに相当貸せる。これは、普通の一般銀行みたいな、都市銀行みたいな方向に金融政策が向いているのじゃないか。あくまでも相互扶助という方向を重点に進めるべきじゃないかと思うのですが、今回のあらゆる改正を見てみますと、一般都市銀行並みの方向へ向いておるような気がしてしようがないのですが、その辺についての見解はどうですか。
○内村(良)政府委員 先生御指摘のとおり、組合金融は組合員のために使うべきであるということはお説のとおりだと思います。しかしながら、一方、農業協同組合が置かれている農業条件あるいは社会環境の変化というものは、現実の問題として起こっているわけでございます。 そこで、農協の目的にも明らかなとおり、農業協同組合というのはやはり農業生産力の向上、農民所得の増加と同時に、社会環境の改善を通じて農民の生活を向上するという面もございます。したがいまして、最近のように、農村の環境整備というものが社会的要請として非常に高まっているというような変化に対応して、農業金融として系統の本来の貸し付けに支障がない範囲で、余裕があればそういった面に貸し付けをやっていくというのは、やはり時代の要請ではないかというように考えまして、そういった面の改正を今回はしているわけでございます。
○馬場委員 農業条件とか社会環境の変化、これは私は先ほども言ったのですが、いまの政府の農政の農業軽視、そういうような流れのままに従って、そういう環境なり条件のもとで、それに追随して金融が行なわれているというような感じがするのです。だから、農業条件とか環境というのを、農業重視というふうに抜本的に農政を発展させる、そういうことに金融が政策の上で貢献していかなければならない。現在の流れのままに従って、それに適応する金融でなしに、農業を抜本的に振興するという一つのてこに金融を使う、そういう積極的な方向というのを出すべきではないかというぐあいに思うのですが、そういう姿勢がどうもいろいろな改正で見受けられないと私は思うのですけれども、それに対する御見解はいかがですか。
○内村(良)政府委員 農業の制度金融につきましては、先生も御承知のとおり、四十八年度予算におきまして、公庫資金の中でものによりましては金利を下げておりますし、それから貸し付け限度の引き上げというような措置を予算措置との関連でとっておるわけでございます。それから一方、近代化資金につきましては、これも一般貸し付けについては金利を六分から五分五厘に下げたというようなことで、農業金融自体の拡充につきましてはわれわれといたしましても一生懸命努力しておるわけでございます。ところが一方、系統資金の現状を見ますと、先ほど数字を申し上げましたようなかっこうになっておるわけでございます。 そこで、その反面、先ほど申し上げましたように、社会的な要請として農村の環境整備というようなことがいわれている。しかも、いまの日本経済の現状から見ますと、こういった流れをほっておきますと、農村地域のスプロール化とかあるいは無計画な開発が進んで、農業が荒廃とまでいかなくとも、農業の縮小につながるおそれがある。それで、農協なら農協が地方公共団体等とも十分協力して、そういった面に参画してやっていくということは、将来の農業を守るためにも大切じゃないか。その場合に、たとえば地方公共団体が主たる出資者となっている機関がそういった面の活動をやるのに金を貸すということは、究極的にはやはり農村なり農民の利益と合致するのじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○馬場委員 たとえば土地を売る。先祖代々の土地を手放すわけですね。その金を預貯金する、金が金融機関に余った、それを系統外に貸す、その金でまた土地なりが買いあさられる、そして農村がじり貧になる、こういうことが繰り返されてくるのじゃないかというぐあいに思うのです。そういうところはどこでブレーキをかけるか。だから、土地を売った金はやはり農村振興、再生産に回すように、ある程度強い規制というものをする必要があるのではないですか。その辺はどうですか。
○内村(良)政府委員 私どもといたしましても、やはり系統のそういった金は、農業に貸し付けるべきだという先生のお説は全く同感でございます。ただ、実際問題として、やはり資金需要というものがございます。したがいまして、土地代金は、農協がいろいろ売買のあっせんをするというようなこともございまして、当然預金は農協に入ってくる。その場合に、地域によりましてはそういったものがその地域の農業投資の需要量より大きいということは現実にあり得るわけでございます。そういうところの金が系統に集まってまいりまして、系統がそれを極力合理的に運用するということで、いたずらに土地代金等に回らないように、実は私どもはすでに二月に通達を出しまして、土地に対する融資等は極力これを押えるように指導しております。そういうことで、地域によりましては、やはり土地代金の収入が農業に対する投資需要を上回るというところがあるのは事実でございまして、そういうところの資金につきましては、系統にあげまして、系統がそれを極力合理的に運用するということで、農家に一定の金利を保証するというようなことが必要ではないかというふうに考えられるわけでございます。
○馬場委員 私はいま農民は、農家は非常に苦しんでおる、農業破壊、農村破壊、農民破壊、こう言っても過言ではないと思うのです。金は借りたい、しかし返す展望がないから借りないということであって、非常に現実の農村にはあるわけですね。このことは、農業政策そのもの自体に展望がない、農林省のいうことに反対をすればいいというくらいに不信用な面もあるわけですから、そういう点について、農村の土地を売った金なんというのは、低利でしかも簡単に借りれるように、それで農民、農業が救われるように、ぜひ指導を強力にしていただきたい、こういうぐあいに思います。 次に、私は、農協の、言うならば、民主化といいますか、そういう問題について質問をいたしたいと思います。 これは大臣にお伺いしますが、現在農協というのがほんとうに民主的に運営されておるかどうか、問題点はないか、こういう問題について大臣はどういう御見解をお持ちですか。
○櫻内国務大臣 いろいろな角度から検討してみなければいけませんが、たとえば農協の組合組織がどの程度進んでおるかというようなところから見ますと、半分程度しか組織されておらない、こういうことになりますと、このいまの時代からいうと、この辺の認識がだいぶおくれているなというふうに思います。農協の非常に進歩的な経営をされておる例も相当見られますけれども、また理事者等の経営能力がまだ近代的になっておらないというような指摘も間々聞かれるところでございまするので、これを要するに結論的に申し上げまするならば、もっと民主的にすべき要素は組合によっては残っておる、こういう判断でいいのではないかと思っております。
○馬場委員 私も具体的に幾つかの例を知っておるのですけれども、きょうはそういうことは申し上げませんが、基本的に、やはり役員選出の問題だとかあるいは運営の問題だとか、まだまだ民主化されなければならない面が非常に多いと思うのです。そういうことで、特に農林省としては、やはり農協のあり方、民主的な運営、こういうものについて総点検されて、民主的運営になるように強力な行政指導をなさるということが必要ではないか、こういうぐあいに思います。——質問中によそと話しては困るのですよ。繰り返しませんから、いまの質問に答えてください。
○内村(良)政府委員 農協の運営につきましては、先生御承知のとおり、単協については農協法上知事、それから県段階、中央段階につきましては農林大臣が監督しているわけでございます。これにつきましては、いわゆる検査をしていろいろ農協の経営分析をやる、あるいは諸規則等が守られているかどうかというようなことを見るということもやっております。と同時に、そういった検査を通じまして、やはり民主的な運営というものについては、農協法自体がそういうような民主的な法律でございますから、そういう法律に基づいて民主的な運営が行なわれるよう具体的に指導しております。
○馬場委員 にはそういう質問はしなかったんです。総点検をして、そうして具体的に実態を明らかにして行政指導をなさる気持ちはありませんか、そうしていただきたいということを大臣に質問したんです。
○櫻内国務大臣 内村局長の言われたこと、御答弁としてはそうずれておるとは思わないんです。農業協同組合法によって知事が単協を監査する、また農林省自体が連合会を監査する、そういうおりに民主的な運営についての指導をしたい、これはいまの法律の上からどういうふうに具体的に指導していくのかというときに、とるべき措置の一つだと思うんですね。これをそういうことを離れて、一般的に農協の経営の指導要領のようなものをつくるような、そういう考え方も出ますけれども、幸いにして法的に指導のできるような、そういう道がありまするから、そのことを申し上げておるわけでございまして、私としても御質問の御趣旨に沿って、この組合のあり方についての指導について行政的にいろいろくふうをいたすべきだとは思います。しかし、いまのような方法を通じてもまたやってまいりたい、こういう考えでございます。
○馬場委員 時間があれば具体的な例をあげるんですけれども、ここのところであげませんけれども、たとえばそういう法に基づいた検査というところなんかでは出てこない部分があるわけです。たとえば農協それ自体が、法律とかかわりはないわけですけれども、一党一派に偏したことをやっている、それに従わなけば村八分にする、農協八分にするというような運営だって事実あるわけですよ。そういうことはもう少しきめこまかく、検査だけでは出てこないと思うんです。あらゆる角度からそういうことを含めた民主的な運営という意味で私は質問しておるわけです。だから、そういう点につきましては、ぜひ定例的なそういう検査ということだけじゃなしに、あらゆる方法を使って十分総点検をして、民主的な運営が行なわれるようにぜひ努力をしていただきたいと思うんです。 次に、農協の職員の賃金だとか労働条件について、そこに働く職員が喜んで生きがいを感じて、生活が不安なく働くということが農協の成長発展にもつながっていくわけですから、そういうことについても質問しますけれども、まず基本的な考え方を大臣に聞きたいのです。農協職員というのは、言わずもがなですけれども、これは賃金労働者かどうか、あるいは農協の組合員がそこで奉仕で仕事をしておるのか、賃金労働者か、こういう性格についてどう考えておられるのか、大臣にぜひお伺いしたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 この農協経営の規模によって、若干ニュアンスの違う場合があると思います。小規模の経営で理事者が同時に一般的な農協の事務的なことをやる場合もあろうかと思いまするが、一般的な見解としては、当然そこで働く者は勤労者であり、その勤労に応ずる適正な給与を受けるということは当然だと思います。
○馬場委員 農協職員の賃金の実態を把握されておるかどうか。年齢が大体どのくらいで、その平均賃金はどのくらい、こういうのを全国的な資料があればお示しいただきたいと思います。
○内村(良)政府委員 昭和四十六年の農協の職員の初任給でございますが、中学卒業が一月二万三千七百十六円、高卒が二万六千八百三十一円、大学卒が三万四千二百三十九円。それから連合会になりますと、高卒が二万九千四百六十五円それから大学卒が三万七千三百一円、こういうことになっております。 なお、この調査は、農協労働問題研究所がつくった調査資料によるものでございまして、従業員数五十人以上の大規模農協についての調査でございます。
○馬場委員 農協職員の賃金をたとえば公務員だとかあるいは民間企業の平均に比べますと、どのくらい格差がございますか。
○内村(良)政府委員 同じ四十六年について数字を申し上げますと、役場の場合は中学卒が二万三千百八十円、これは農協よりも安いわけでございます。高卒になりますとそれが二万八千五十七円で農協より高い。それから大学卒が三万四千五百円でほぼ同じでございます。 それから郵便局でございますが、郵便局は中卒が二万八千三百三十一円で農協より五千円ぐらい高いわけでございます。それから高卒が三万一千四百二円、大卒が三万六千三百七円、こうなっております。 そこで、一番高い郵便局を一〇〇といたしますと、農協の場合は中卒で八四、高卒で八五、大学卒業の人が九四。それから役場は中卒が八二、高卒が八九、大学卒が九五、こういうことになっております。
○馬場委員 これは役場とか郵便局とかはまあ近所にあるわけですけれども、全体の日本の民間企業の平均賃金、公務員の平均賃金とこれを比べてはどうですか。
○内村(良)政府委員 民間企業の場合には、四十六年の初任給で高卒が、郵便局を一〇〇にいたした場合に、一〇三でございます。それから大学卒が一一八になっております。いずれもこの数字は初任給の数字でございます。 平均賃金の比較を実は私どもやりたいと思いましていろいろ調査をさがしたわけでございますが、どうも平均賃金になりますと、学歴とかあるいは勤続年数それから職場の諸条件ということによりまして、なかなか比較表のうまいのができないわけでございます。したがいまして、初任給は大体条件が同じでございますから、初任給について比較した数字がただいま申し上げた数字でございます。
○馬場委員 農林省にそういうはっきりした数字がないということは、やはり私はそのこと自体が非常に怠慢であるし、農協職員を非常に低賃金で押えておく一つの原因にもなっているんじゃないかと思うのです。 私は私の郷里の熊本で調べてみました。熊本市の農協というのがございますが、これは平均年齢三十歳で四万円ぐらいです。そうすると、公務員や民間企業に比べまして同じ年で三万円ぐらい低いのです。熊本県全体の農協職員の平均を調べましたら、平均年齢が二十八・一歳ですけれども三万八千七百五十円です。これもやはり二、三万円低いわけです。非常にまだ格差があるわけですね、大きいところと小さいところと。こういうことについて農協職員の賃金はどうあるべきかということについて、農林省としてどういう考えでどういう指導をしようと思っておられるのか、賃金に対する見解を承りたいと思います。
○内村(良)政府委員 数字の点でございますが、農林省も農協職員の給与の数字はつかんでおります。各県、たとえば熊本県で見ますと、四十五年の数字でございますが、男の平均は四万一千四十一円というような数字がございます。農協職員の数字はつかんでおりますけれども、ほかとの比較においていろいろな条件の相違があるということで、なかなかうまい数字ができないということでございます。 そこで、こういった農協職員の賃金が他の企業なりあるいは役場、郵便局等に比べて低いというのは残念ながら現実であると私ども思っております。そこで、基本的には月給を上げるのが望ましいわけでございますが、やはり農協も一つの経営体でございますから、経営が相当高い給与を払うだけの体質になってこないと、なかなかそれができないという現実がございます。したがいまして、われわれといたしましては、農協職員の給与の改善のためには、やはりまず農協の経営の強化といいますか、高い給料が払えるような経営にしていかなければならないということで、その面の指導がまず大事なんじゃないかということでございます。 それからさらに、職員の給与の問題と同時に必要なことは、職員が勤労者として正しい扱いを受けている必要があるわけでございます。したがいまして、労働基準法等は極力これを順守するように指導するというようなことをやっておりますが、給与自体についてはやはりないそでは振れないと申しますか、経営自体がよくなってきて高い給料が払えるということにならぬと払えないものでございますから、私どもといたしましては、農協経営の改善のために最大の努力を関係者はすべきであるし、役所としてもそういう面に極力力をかさなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
○馬場委員 全く無責任な答えだと私は思うんですよ、ないそでは振れないなんて。ほんとうにないのですか。私が調べたところによりますと、あるんですよ。あっても出していないというところがたくさんございますよ。それを農林省がないそでは振れない、こういうような見解であるということは——生活もできない、他と三万円も四万円も差がある、それで低賃金の状況は、ないそでは振れないんだから、こういうような感覚でいかれるということは非常に問題が多いと思うんですよ。 農協の役員の給与について、そういうものの全国の状況と、あるいは平均というものが出れば、平均をお知らせいただきたい。
○内村(良)政府委員 役員給与につきましては、ただいまちょっと数字がございません。
○馬場委員 もともと本省にも全然ないのか、この場にないのか、どちらですか。
○内村(良)政府委員 職員の給与につきましては、総合農協統計表ということで、農林省がただいま申し上げましたように、各県別に全部数字を持っているわけでございます。ところが、そういった形での調査はございません。したがいまして、検査等を通じてサンプル的にとることはできますけれども、全国のそういったような統一した統計という形での調査はございません。
○馬場委員 まあ、役員の中でも非常に低い人もおります。しかし、非常に高い人もおるのですよ。これはきちっと調べていただいて、お互いに低い、役員も低い、職員も低いところもありますが、役員は高い、職員は低いというところだってあるわけでございまして、そういう点で、やはり農協に働いておる、ほんとうに第一線に働いておる労働者の賃金の問題というものについて、もちろん単協が一生懸命努力してやらなければならぬ点が基礎にあると思いますが、全国的に見て最低の生活——一万幾らというのがおりますよ、特に女性の多いところでは。それでは全く食うに食えないのですよ。そういう実態がございますから、よく把握して、やはり農林省としても、そこに働く労働者の賃金というものの改善に向かって、あらゆる角度からぜひ強力な御指導をお願いしておきたい、こういうぐあいに思います。これについてはあとで大臣の御決意のほども聞きたい。 いま一つ、先ほども言われましたように、労働条件がまたきわめて悪い。労働基準法が守られていないということがざらなんですよ。たとえば時間外労働手当が出ていないところもあるし、非常に低いというような問題もありますし、さらには年次有給休暇というものがほとんどとれない、とられない、こういうような問題もありますし、あるいは休日出勤とか、それはそのままだというような問題だとか、あるいは女子職員の、これまた禁止されております休日出勤だとか深夜業務だとか、労働実態というものは非常に前時代的なものがございます。明らかに労働基準法違反というようなものもたくさんあるわけです。農林省のことばをよく聞きますと、近代化とか高能率、高生産、いいことばがたくさん出ます。しかし、そこに働いておる労働者には、およそそういうことばは無縁のことばになっておるという実態がたくさんあるわけです。だから、賃金の問題、労働条件の問題、ほんとうに抜本的に調査もされながら、ぜひその改善に向かって農林省もできる限りの努力をしていただきたいと思うのですが、大臣の御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○櫻内国務大臣 御質問の御趣旨はよくわかりました。またその方向に沿って善処をいたしたいと思います。 ただ、私は、承っておる間に感じましたのは、何といっても協同組合組織でございまして、加うるに、農協といっても経営の格差が非常に大きいと思うのですね。地域事情もからんでおるような場合が非常に多いので、その指導については画一的なことはなかなか困難だと思いまするが、少なくともきょうの御質問に伴いまして、理事者の給与体系、それからそこに勤労する方々の給与体系を精査いたしまして、そしてさらには経営形態を何種類ぐらいかに分類をしてみて、その上で適切な指導をいたすのがいいのではないかというふうに感じたわけでございますが、特に労働条件についての御指摘につきましては、これは経営形態のいかんにかかわらず、当然守ってもらわなければならないことすらも不十分であるというのでありますれば問題でございまするので、今後適切な指導につとめてまいりたいと思います。
○馬場委員 やはり賃金、労働条件というのは国がどうこうという前に、法律違反は当然国が指導しなければなりませんけれども、基本的には、理事者とそこに働く勤労者が話し合ってきめるというのが筋だと思うのです。しかし、現在この場所でこういうことを私が言っておりますのは、労働組合をつくるということについて圧力が加わっておるのですよ。そのことによって、たとえば首まで切られる、そのことが原因かどうか知りませんけれども、そういう実態さえあるわけですよ。ほんとうに労働組合さえもつくれないというような封建的な農協運営あるいは理事者の考えというのがございます。 これにつきまして、これは大臣に聞きたいのですが、労働組合をつくるというのに理事者が押えるというのは間違いだろうと思うのですけれども、押えておる事実がたくさんございます。これに対して大臣はどういう御見解をお持ちですか。
○櫻内国務大臣 それは遺憾ながら時代認識に事欠く理事者のなせるわざだと思いますが、憲法に保障されておるところの基本的な権利が無視されるということでは、これは問題でございまして、そういうことのないように指導しなければならないと思います。
○馬場委員 次に、私は、農業の後継者対策、なかんずく農業高校あるいは農林高校あるいは水産高校、こういう学校のことについて、文部省からも来てもらっておるわけでございますが、大臣並びに文部省にも御質問をしたいと思うのです。 今後の農業というのは、高等学校卒業程度の学識、教養、こういうものを身につけておくのは当然であろうと思いますし、すでに高等学校に行く進学率は九〇%をこす、中学卒業生はほとんど高等学校に行くわけでございます。そういう社会的条件もございますし、特に農業を発展させる場合にも、最低高校くらいは出てやるというのは当然だろうと思うのです。 そういう中で、全国の農業高校あるいは農林高校、水産高校、名前を産業高校とつけておるところもございますけれども、そういう農林水産にかかわるそれを養成する学校の数、その生徒数、それがほかの工業、商業、普通を含めての高校に対する比率、こういう基礎的数字を最初明らかにしていただきます。
○中西説明員 お答え申し上げます。 学校数は四十七年度で全日制、定時制、全定併置校合わせまして六百五十校、これが農業高校でございます。農業高校と申しましても、単独校と普通科等と併置の学校を合わせまして六百五十校でございます。同じく水産高校は四十七年度で五十三校でございます。それから生徒数は、四十七年度で農業関係学科が二十万六千十七人でございます。これは全生徒数に対しまして五%になっております。それから水産高校のほうは、四十七年度一万八千五百六十六人でございまして、全生徒数に対します比率は〇・四%になっております。
○馬場委員 それだけの農業高校、水産高校等で募集定員に満たないような学校がだいぶあるのじゃないかと思うのです。そういう数はわかりますか。
○中西説明員 正確に調査した数字はございませんけれども、本年度の各県の状態を見てみますと、相当数にのぼっていることが大体わかっております。正確な全体の数字というものは、ちょっと把握しておりませんのでわかりません。
○馬場委員 相当農業高校の募集定員に足らないところがございます。よく調べてあとで数字をお知らせ願いたいと思うのですが、募集するときから定員に満たない、こういう状況がまず一つあるということ。 次は、自分でこの農業高校あるいはこの農業課程、こういうものを希望して入った生徒は何%くらいだと思われますか。そういう調査がありますか。
○中西説明員 一昨年の十月末に文部省のほうで進路指導調査というのを実施いたして、これは十県の抽出でございますが、そのときに初めから現在の学校、学科に入りたかった者を調べたわけでございます。農業高校では初めから現在の学校、学科に入りたかったというのは全体の三一%でございます。水産高校では三五%でございます。 〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
○馬場委員 農業高校に自分から進んで入ったという者が三分の一、農業高校に入りたくなかったのだけれども農業高校に入っているのが三分の二、そういう結果ですね。これは大臣も御承知と思いますし、文部省も知っておると思うのですけれども、現在、言ってはならないような発言かもしれませんが、ほとんどあとの三分の二の人たちは普通高校なりその他の学校に行きたかったわけです。ところが、おまえは成績が悪いから、通らぬから、農業高校に行きなさい、ここなら通るぞ、こういうようなかっこうで三分の二が農業高校に入っているわけです。こういう実態は、はたしていいことかどうか、これに対して文部省はどう考えているのか、文部省の見解を聞きたいのです。
○中西説明員 先生のおっしゃるとおりで、私どもこれは決していいことだとは思っておりません。しかし、せっかく入ってきました生徒に対しましては、できるだけの適応指導をしなければいけないということで、学校のほうでもいろいろ努力をされているわけでございまして、入ってきました生徒について、現在の学校に入ってよかったかどうかというのを聞いてみましたが、これは先ほどの調査でございますけれども、どちらとも言えないというのが農業で三〇%ございましたが、四五%はたいへんよかった、あるいはどちらかといえばよかったというふうな数字が出ております。それから水産高校につきましても、どちらとも言えないというのが二七%ございましたけれども、水産ではよかったというのは四八%と、こういう数字になっております。
○馬場委員 希望に燃えて高校に行くわけですね。その学校に行って、いまの数字も私どもの調査と違いますけれども、半分以上はよかったと思っていないわけです。そしてまた希望しない者が入る、いいこととは思っておらぬ。しかし、いまの発言を聞いておりますと、おもしろくないと思っておる者、入りたくなかった者でも、入った以上はそれに適応指導をやっておりますというが、入りたくなかった者、おもしろくない者にどんなに適応指導したって同じことですよ。 さらに聞きますけれども、それをしたら適応能力ができたかどうかということです。農業高校を卒業した者が何名農業をやっておりますか、その他の者はどこに就職しておりますか、その比率を教えていただきたいのです。
○中西説明員 四十六年度の卒業者につきまして就職後の状況を調べたものがございますが、それによりますと、農業高校では農業関係に就職した者が二八・四%でございます。それから水産高校では漁業水産養殖関係に就職した者が二三・〇%、それから運輸通信業関係に就職した者が一五・三%、合わせて三八・三%でございます。そのほか水産高校では水産製造という学科がございますので、これが製造業のほうに回っていると思いますが、その辺がはたして関連のある製造業に回っているのかあるいはそうじゃないということはよくわかりません。いま申し上げました以外の生徒はほかの産業のほうに回っていると思います。
○馬場委員 農業高校を出て、農業のことをいろいろ勉強するわけですが、二八%しか農業に関係する仕事に従事していない。そのほかは工業だとか商業だとかあるいは公務員だとか、いろいろなほうに行っているわけですよ。これは入るときも三分の二以上は希望していないのです。また適応指導をやったというようなことをさっき言われたけれども、どんな適応指導をやったって適応する人は育っていないのです。二八%しか農業に従事していない。こういう状況はやはり教育として非常に問題だろうと私は思います。これに対して文部省は、農業高校の教育のあり方とかそういうものを今後どういう方向に持っていこうとしておるのか、こういう実態を踏まえた今後の対策、農業教育のあり方というものについて今後の方針を承りたいと思うのです。
○中西説明員 今後のあり方でございますけれども、これは産業、経済の変化でありますとかあるいは社会的な要請の変化、それらをもとにしました父兄あるいは生徒の希望の変化というものをよく考えて、あり方を考えていかなければならないと思っております。現在、文部省の中に理科教育及び産業教育審議会というのがございますが、この中で職業教育のあり方についていま御審議を願っているところでございますので、その審議の結果を待ちましていろいろ考えていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
○馬場委員 全く無責任じゃないですか。では、どういうことをそこで審議してもらっているのですか。いまのお話を聞いておりますと、文部省自体として、三分の二も希望しておらぬで入る、出る者も三分の二以上は農業に従事しない、こういう状況がある。前々からこうですよ。いまに始まったことじゃないのです。これに対してゆうちょうに産業教育全般の中で御審議を願っておりますなんて、農業教育というものを何と考えているのか。まさに無視している。言うならば、どこでも通らない者をそこに入れておけばよろしい、こういうような無責任な教育行政ではないですか。 今後のことを文部省としては審議会にもはかっておるならば、はかっておる内容を、こういう問題点があるからこういう方向にしてはどうか、こういうことではかっているのか、何もせぬで、よろしくお願いしますと言っているのか、文部省の主体的な見解を聞きたいのだ。
○中西説明員 私どもの考え方としましては、まず社会、経済の動き、それから生徒、父兄の希望状況、それからいま大学進学が非常にふえていますので、そういう高学歴社会に対する対応をどうすればいいか、そういういろいろな点で、農業教育のあり方、あるいは学科の構成、教育内容、あるいはその継続教育の問題、そういう点等を中心にいたしましていろいろ検討をしていただいているわけでございます。
○馬場委員 文部省に、農業の大切さということばが一つも出てこないんですね、いままでの答弁の中には。まさに社会の何とかという話ばかりですよ。文部省といえども、やはり農業というものがどうあるべきか、非常に大切だということは当然考えて教育しなければならぬと思うのです。 私は農林大臣に聞きたいと思うのですが、いまこういう質問をしたとしたら、どう生徒は答えますか。いま高度経済成長政策の中で、重工業中心に公害なんかをまき散らしておるわけです。だから、そういう公害なんかまき散らしておる重工業のほうに就職したいか、あるいは命のかてとなる食料生産に携わる農業、どちらを選ぶかということを子供に質問したとします。いまの子供はどう答えると思いますか。具体的に公害をまき散らす重工業、そういうところにあなたは行くか、国民の命のかてをつくる農業にあなたは行くか、どちらに行くかと子供に質問した場合、子供はいま何と答えるか、これに対する大臣の御見解を聞きたい。
○櫻内国務大臣 こういう質問をするかしないかというところからちょっと私、問題があると思うのですね。もちろんされるというのですから、された結果がどうかということもお答えができないわけではございませんが、いまの時代の趨勢からまいりますると、これだけきびしく公害問題が取り上げられておるおりからでございます。そういうおりからでございまするので、この仮説の問いかけ方というものにちょっと私、疑問を持ったわけでございまするが、こういう仮定の質問には生徒はちょっと戸惑うのじゃないかと思うのですね。ちょっと答えしかねて困るんじゃないか、こう思います。
○馬場委員 大臣はいまの子供を御存じないですよ。きちんと子供は答えますよ、おれは百姓はせぬと。やっぱり工業のほうに勤めたい、ほとんどの子供がそう言いますよ。そういうことがさつき言ったように、農業高校を出た者の二八%しか農業に残らないのですよ。大臣は仮定の質問だとかなんとか言って非常に軽く考えておられますけれども、この問題は、日本のたとえば社会現象として、さらには教育の体系までも農業を軽視している風潮があるということを私は言いたいのです。学校でおまえは普通高校は通らぬから農業高校ぐらいに行きなさいということ、これはまさに農業観といいますか、価値観というものが間違っているのですよ。そうしてまた、公害を出すような重工業に行きたい、国民の命のかてを守る、つくるという農業に行きたくない、そういう社会観といいますか、また教育の中における農業観といいますか、これが非常に間違っている。長年の間の高度経済成長政策の中でそういう風潮を子供の中にもつくり上げてきた、社会の間にもつくり上げてきたということが私は非常に問題だろうと思うのです。 そういう意味で、農林大臣はそういう農業の価値、農業観というのが社会にもあり、子供の中にも出てきておるというのを認められますか。そして認めるならば、そういうことはやはりあるべき姿ではないと思う。そういう風潮が続く限り日本の農業は栄えませんよ、子供は後継者になる人たちですからね。こういう非常に大きい農業観なり価値観の問題、それをつくり出した原因がどこにあるか、こういういうところにやはり大臣も目をつけなければ、農業の発展というのはあり得ないと私は思うのですけれども、そういう点について、もう一ぺん大臣の答えをお願いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいまのおっしゃっておることは、私はそのことについては十分理解を持つものであります。ただ、かねがね私がこの場で申し上げておりますることは、いまの御指摘を受けて、私としてはいまこの時点で考えられることは、高度経済成長に対する批判があり、またそれに対する反省も出てきておる。そうしてこういう時点における農業というものについては、ただ単に農業が食料をつくるということだけでなく、国土の保全、自然環境の保護ということもあわせ考えられるような農業になりつつある。その農業に対して、御指摘のように、現在考え方が次第に変わりつつあるということを認めて、私はまたそういう方向に行くべき農業であり林業であり漁業であるということをしばしばここで申し上げておるわけでございます。 それと、いま直接の問題になっておることにつきましては、この統計というものはどうしても時間的なずれがあることはこれは否定ができないことでございまして、この風潮の変わっておる段階においていまのような質問が行なわれれば、私は、多少そこに期待感もあるのでございますが、少なくともその質問は、農村における農業高校において行なわれるということになってくると、私はその質問に答えるのにちょっと生徒が困るのじゃないかということを率直に申し上げたわけであります。多少ずつ時勢の変化が伴ってきておりまするので、私としてはいまの農村におる子弟の諸君の考え方にもそれが反映しておるのではないかというように思わざるを得ないのでございまして、またそのようにいかなければならないというふうに痛切に感じておるものでございます。
○馬場委員 世の中がやはり高度経済成長政策のひずみという中で、大企業中心、輸出中心の世の中が、やはり国民中心、福祉中心の世の中に変わらなければならぬというふうに動きつつあるのは私も認めます。しかし、これは私に言わせますと、政治の姿勢よりも、やはり国風の大衆の苦しい中からの知恵としてそういうことが出されてきた、国民の気持ちというのは先に進んで政治はやはりおくれておる、こういうぐあいに考えますけれども、ぜひ政治の面も積極的に、少なくとも公害を出すようなそういうところに行かなくて、国民の命のかてをつくる農業に喜んで行きたい、そういうような積極的な農政をやっていただきたいと思うのです。 いまの場合、農民の父親か母親が自分の農業に確信を持っていないのです。確信を持っていない者が子供に、おまえ農業をやれと言い切れないという状態さえあるんですよ。現在農業をしておる者が確信を持って、胸を張って、自分の子供に次の農業をやれと言えるように、ぜひ政治の姿勢というものもそういう方向に持っていっていただきたい。そうしなければ、次代をになおうとする農業の後継者がいま言ったような現状では非常に困るということを強く大臣に訴えておきたいと思うのです。 そこで、大臣にもう一つ。今度は違う問題です。牛の奇病の問題について一言決意のほどをお伺いしたいと思うのです。 この前大臣がおられませんときに、政務次官を中心にいろいろ質疑をいたしました。それで一定の答弁を得ているのですが、だから、もう詳しくは申しませんし、大臣の決意のほどを聞きたいのですが、御承知のとおりに、去年の八月からことしの三月にかけまして牛が流産をしました。死産、早産、奇形、まさに骨と皮でまっ黒くなって生まれた牛さえもおります。生まれてきた牛が足が立たない、乳が飲めない、背骨が曲がっている、歯がない、こういう奇形もあって、全国的にこれが二万八千頭以上出たということは大臣ももう御承知と思うのです。このことはこの前も言ったのですけれども、昭和三十四年にやはり三千頭くらいこういう奇病が流行しておるわけです。このときその原因がついに不明のまま今日にきたということが二万八千頭ものそういう被害を出したわけでございまして、今日農家は、もう牛を手放そう、こういうことがあると酪農の将来に希望が持てない、そしてまた、せっかく楽しんできたのに流産した、死産した、奇形が生まれた、こわくなった、こういうことで、農家はその被害を含めまして塗炭の苦しみをなめているし、酪農がショックを受けているのは御承知のとおりです。だから、私は、二回目が出たのですから、三たびこういうことが起こらないように、農林省の責任において今度はこの原因をあらゆる精力を振りしぼって徹底的に究明し、はっきりさせていただきたいということと、二万八千頭もこうなったわけだし、たとえば二頭ぐらい産む予定をしておったところが二頭ともそういう状況だった、四、五十万あるいはその他を含めて百万も損をしたという農家がございます。この農家に対してやはり救済をするという行政姿勢というものを徹底的にとっていただきたいと思うのです。まあ、オーバーのようですけれども、二万八千人もの人間がこういうぐあいになったらたいへんな問題ですよ。二万八千人の人間がこういう奇病あるいは流産、死産をした、そのくらいの気持ちで、ぜひこれに対して原因究明と事後対策というものを徹底的にやっていただきたい、三たびこういうことが起こらないようにしていただきたい。これに対する大臣の決意のほどをお聞きしておきたいと思います。
○櫻内国務大臣 いまの御質問の中にもございましたが、この問題については、本委員会で種々御論議をちょうだいしたことは私もよく承知をいたしております。また、この牛の奇病がおおむね家畜伝染病に該当するのではないか、ビールスによるのではないか、こういう見当のつきつつあることも承知をしておるわけでございまするが、御指摘のように、家畜伝染病予防法に基づき、あるいは関係の大学における研究によってこの原因というものがさらに明白に把握される必要があると思います。そのように全力をあげてつとめたいと思いまするし、大体の原因がわかるといたしますれば、それに伴う予防措置というものが当然具体的に考えられると思うのでありまするから、すみやかにこの辺を——まあ、いまでも大体見当はついておるというが、もう一つ究明をいたすことが第一であります。 それから、被害を受けられておる畜産農家に対しての措置につきましては、このことによりまして借り入れ金の返済等に支障を来たすということでありますれば、それに対しての返還猶予、貸し付け条件の緩和等の措置は当然とり得ると思いますので、そのようにいたしたいと思いまするし、なお、この奇病によるお産後の牛については、引き続いて妊娠の可能性を持っておるということがいわれておりますので、この場合には有料人工授精用の精液の配給と申しますか、これを無料でいたして、少しでも農家経営の改善に寄与いたすようにいたしたい、このように考えておるような次第でございます。
○馬場委員 どうも大臣の元気がないので、まあ、中身はわかったのですが決意があまりわからないんだけど、この前の三十四年のときもビールスではなかろうかということでおしまいになっておるのですよ。いまも大臣は、大体ビールスの伝染病じゃなかろうかということでございますけれども、それであるかもしれませんが、これは原因はまだほかにもあるわけですよ。飼料の問題とか農薬の問題とかあるいは公害の問題だとかあるいは種牛の問題だとか精液の問題だとか授精のやり方の問題だとか、ほかに考えられる原因はたくさんあると思うのです。そういうところの研究もぜひお忘れにならないようにして、たとえば飼料が原因でなったのだということになってくるあるいは種牛がどうだということになってきますと、何か行政責任が追及されるからということでそちらがおろそかになるということはないと思いますけれども、そういうことがないように、たとえばビールス説の追及もけっこうですけれども、そのほかのことも原因ではないかということで徹底的に追及していただきたい。今度は必ず明らかにしていただくようにお願いをしたいと思います。大臣は時間だそうですから、これでけっこうでございます。 最後に、ミカンの緊急対策の事後処理について、これは報告を求めておきたいと思います。 まず第一は、全部申し上げますけれども、三十万トンの市場隔離をしたわけでございますが、これが三十万トン思うようにいったのかどうか、結果はどうなっているのか。これは、たとえばジュースの問題だとかあるいはかん詰めの問題は、三十万トンの市場隔離をしたその結果はどうなったかという問題です。もう一つは、制度資金の貸し付け金の償還猶予の措置等も通達を出されたんですが、その結果はどういうぐあいに行なわれたかという問題。第三に、再生産資金の利子補給というものを行なわれましたが、その実施状況。さらに各県が緊急ミカン対策を実施いたしました。これに対しまして特別交付金として三億円出ておるわけでございますが、この配分状況。大体四つが緊急対策として行なわれましたが、その事後処理、結果がどうなっているかということをお知らせ願いたいと思います。
○伊藤(俊)政府委員 御報告申し上げます。 三十万トンの市場隔離の問題につきましては、果汁は原料換算二十万トンの当初の予定に対しまして、ミカンの生果の値段が逐次回復してきたこともありまして、私ども当初予定いたしましたものよりも生果に回ったことによりまして、実際には調整保管用の原料としてのミカンは十六万三千五百トンにとどまっております。 それからかん詰めにつきましては、予定どおり前年対比では原料換算十万トン以上の増の加工処理を行なっておりますが、もっと販売できそうだというようなかん詰め会社の見通しから、実際に調整保管しているのは約三万トンでございます。十万トン以上前年よりよけいに加工処理をしておるということでございます。 それから制度資金の貸し付け条件の緩和の状況につきましての御質問でございますが、申請中のものも含みます償還猶予件数は三月末現在、三千六百十一件で、近代化資金が千四百四十六件、農林漁業金融公庫資金二千百六十五件。同猶予額が三億二千七百六万二千円、このうち近代化資金が八千四百二十五万八千円、農林漁業金融公庫資金二億四千二百八十万四千円ということに相なっております。 それから交付税の三億円ということにつきましては、これは自治省にお願いをいたしまして、二月末に配分済みになっておるわけでございます。農林省から越年在庫量の対前年増加量というものを勘案し、おもに見まして、成園面積あるいは未成園面積というようなものもさらに勘案しまして各県の配分をする。また各県の事業量というものも勘案してやってほしいというようなことを申し上げまして、自治省もその考え方を尊重して配分を行なったと申しております。 それから最後に、温州ミカンの再生産資金の利子負担軽減事業における貸し付け状況でございます。これは三月末現在で調べておりますが、基金造成額が四億六千百九十二万八千円ということになっています。そして貸し付けの件数が三万四百六件で、金額が百一億九千百六十八万八千円という貸し付け実績になっております。またこのほかに貸し付けの予定が四千百九十四件、貸し付け予定額十四億八千九百七十万五千円、こういうことに相なっております。
○馬場委員 まだ質問したいのですが、ちょうど時間が参りました。ことしは絶対に去年みたいにならないように最善の努力をお願いしておきたいと思うのです。 出かせぎの問題等について質問を通告しておりましたけれども、時間が参りましたので、次回に譲りたいと思います。 質問を終わります。
○山崎(平)委員長代理 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 ————◇————— 午後二時五十三分開議
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。神田大作君。
○神田委員 私は、もうすでに同僚の皆さんから御質問がありました農協等の四法につきまして、これに関連いたしまして御質問申し上げますが、二重質問等になるかもしれませんけれども、御了承願いたいと思います。 まず、大臣にお尋ねしますが、農林水産業の近代化と農山漁村の振興をはかるといわれておりましたが、実際問題といたしまして、農林水産業は今日においては非常な危機に立っております。このような状況のもとにおいて、農協の果たす役割りは非常に大きいのでございますけれども、大臣としましては、この際抜本的な改革をもって農水産業の近代化と、これが振興をはかる必要があると思いますが、まず第一にこの点をお尋ね申し上げます。
○櫻内国務大臣 今回金融関係四法の改正をお願い申し上げておるわけでございまするが、御承知のように、基盤整備事業、構造改善事業あるいは価格安定対策を講じてはおりまするが、それだけでは現在の農業に対処するには十分でない、金融制度の拡充をしていく必要がある、こういうことで今回四法それぞれの事情に応じての改正をお願いしておるわけでございまして、この金融面からするところの農業に対するてこ入れの効果も相まって、農村、農業従事者の振興をはかってまいりたい、こういう心がまえでございます。
○神田委員 農林中金が、今日資金が集中しており、現在の農林水産業だけの貸し付けでは資金が余裕を持つといっておられますが、はたしてこの農林中金が農水産業の近代化のために実際に役立つ貸し付けを行なっておるかどうか。本来の業務であるところの所属団体への貸し付けは二三・三%、関連貸し付けが五一・一%というような状態になっておりますが、これは本来の使命を果たしておらない、私はこう思うのでありますが、この点についていかがでございますか。
○内村(良)政府委員 現在のところ、先生御指摘のように、中金の貸し付けにおきましてはいわゆる関連産業融資が多くなっております。関連産業融資と申しましても、農水産業の発展に関係のある関連産業に貸しているわけでございますから、関連産業が多いから中金はその目的に反しているというところまではいえないのではないか。現在のところは、資金需要がそのような事情にございますので、関連産業が多くなっておりますけれども、またこれは資金需要が変わりますと、会員融資がふえるというようなことも考えられますので、現在の姿を見てそのまま関連産業融資が多過ぎるというふうに断定できるかどうかには若干問題があるのではないかと考えます。
○神田委員 私は、本来ならば、これはあべこべであろうと思う。五一・一%は本来の業務、所属団体の貸し付けで、二三・三%が関連産業ということであれば、これは話がわかる。ところが、倍以上も関連産業貸し付けですね。その半分以下が所属団体への貸し付けであるということは、あなたが言われたのとちょっと意味が異なると私は思うのです。関連産業といってもいろいろあります。しかし、これには問題になる点もありますが、時間がありませんからそこまでは私は言いませんけれども、まず本来の所属団体への貸し付けに対してその使命を果たしているかどうかについて反省をしなきゃならぬと思いますが、その点について再びお尋ね申し上げます。
○内村(良)政府委員 関連産業貸し付けが多くて会員貸し付けが少ない。そこで、会員貸し付けについて十分なことをしないで関連産業貸し付けをやっておるのではないかという御質問かと思いますけれども、私どもは、現在の中金の貸し付けは会員貸し付けについては必要な資金需要には大体こたえているというふうに考えております。
○神田委員 今度の中金の貸し付けのワク拡大について、これは、貸し付けのワクを大きくすることにいたしますと、市中銀行との関係において、市中銀行と何ら異なることのないような、そういう性格が出てくるのではなかろうかということをわれわれはおそれておりますが、その点についてはいかがでございますか。
○内村(良)政府委員 先生御承知のとおり、農林中金は、農林漁業の協同組合組織を通じて農林漁業者の社会的経済的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展を期するという協同組合法制を前提として、この協同組合組織等に対し金融の円滑化をはかるために設立された特殊法人でございます。すなわち、農林中金は、農林漁業者の組織する協同組合及び連合会等を所属団体といたしまして、これら所属団体に対する金融の円滑化をはかるため必要な業務を本来の業務として営むとともに、所属団体を通じて集積される資金を農林水産業の発展に資するよう農林水産業の関連産業に貸し付け、あるいは金融機関に貸し付けることによって運用するなど、外部経済との接点に立って金融業務を営んでおります。 今般の中金法の改正のまず要点は、すでに提案理由等で申しておりますけれども、若干申し上げますと、第一に、農林中金の存立期限到来に際し、その存続をはかることでございます。それから第二に、所属団体及びその構成員の経済活動の拡大、一般金融業務の多様化に対応して農林中金の金融業務の充実はかること、第三に、所属団体に対する貸し付け業務に支障のない範囲において農林水産業への直接貸し付け、農山漁村における産業基盤または生活環境の整備事業を行なう法人への資金の貸し付け、第四に、経済社会の発展をはかる見地から適切であると認められる法人への貸し付けの道を開くこと、それから第五には、農林中金の役員制度につきまして、金融機関としての一体的運営を確保しつつ、所属団体の意見を十分反映させるように、理事長が副理事長、理事の任命に際して総会の同意を得ることとすること等でございます。 したがいまして、今般の改正は、農林中金の所属団体に対する金融の円滑化をはかるため必要な業務を営むという基本的な性格を逸脱しない範囲内において、諸情勢の変化に対応して機能の拡大及び資金運用の改善をはかるものでございますから、従来の農林中金の性格というものは変わるものではないわけでございます。 このように、中金はその構成員たる農林漁業の協同組合等に金融上の便宜を供与することを目的とする特殊法人でございますから、所属団体以外に対する金融業務については、農林中金の性格上かなりの範囲でいろいろな限定がついております。したがいまして、運用上も、対象融資ワク等については、主務大臣の認可等きびしい規制が行なわれておりますので、一般の金融機関とは性格はやはり違う、従来の農林中金の性格を今般の改正は変えるものではないということでございます。
○神田委員 私たちの一番おそれておるのは、本来の使命を忘れて、農林水産業の近代化あるいは農村振興のための金融機関が市中銀行と同じような性格を持って、農林水産業の振興に役立たないようなことがあってはたいへんである、こういうのでありますからして、この点について十分留意をしながら近代化に十分融資をして、どうしても余裕金ができた場合にのみこれをほかに回すという、この本来の使命をひとつ忘れないでもらいたいということを強く申し上げたいと思います。 次に、私は、役員の選挙につきまして、理事長は代議員の承認を得て他の役員を選ぶということでありますが、せっかく代議員制をとったのであるからして、これは理事長が理事を選ぶというのではなしに、代議員が理事を選ぶべきであろう、それが民主的ではなかろうかと思いますが、この点についてはどうお考えになりますか。
○内村(良)政府委員 農林中金の役員につきましては、従来すべて政府の任命となっていたわけでございますが、昭和三十六年の農林中金法の改正によりまして、理事及び監事は出資者総会において選任する、副理事長及び理事については理事長の任命となったわけでございます。そこで、現在、副理事長、理事というものは理事長の補佐機関になっているわけでございまして、今般の改正について、この点につきましては、関係の団体のほうでも、副理事長及び理事についても出資者総会で選任したらどうかという意見もございました。 そこで、そういった意見等もいろいろ考えながら政府においても検討したわけでございますが、やはり農林中金というのは一つの特殊法人でございますので、農協と同じような法制にしていいかどうかという点に若干の問題があるのではないか。しかし、一方、最近の中金の業務を見ますと、系統金融と一体となって運用しなければならないというような面も出てまいりますので、そういった要請等にこたえる一方、特殊法人としての中金の性格等も考えまして、副理事長及び理事につきましては、理事長が任命する際に、出資者総会の同意を得るという形にしたわけでございます。
○神田委員 そういう見方もあります。ありますが、一般の単位農協からいわせれば、いままではお役人が天下りで中金の理事長になり理事になっておって、真の農民の声を反映することが少なかったきらいがある。しかし、そういう点を直すためには、やはり代議員制をつくった以上は、代議員制によって理事長、副理事長、理事というようなものは、これは信連とかあるいは単協と同じように、直接選挙によって選ぶことが私は民主的な団体としての性格である、こういうように考えます。それは急に直せといっても、なかなかむずかしい問題等もあろうと思いますが、農業協同組合の精神はそういう精神であって、一般組合員の意思を反映させるための中金でなくちゃならぬ、こういうような考えのもとに私は申し上げるのでありますからして、この点を十分今後留意され て、この役員選考等につきましてもこれを生かしてもらいたい、こういうふうに考えます。答弁はけっこうでございます。ただそういう方向を私は申し上げておきます。 次に、中金が直接に今度は需要者、いわゆる末端の需要者ですね、信連、単協を越えて末端の需要者に直接貸し付けをするというようなことがうたわれておるようでありますが、このことははたして適正であるかどうか、そういう場合における信連や単協はいかなる立場に立つか、単協、信連、というこの二つの段階を乗り越えて直接需要者に中金が金を貸すということについてはどういうような意味を持っているか、これをお尋ね申し上げます。
○内村(良)政府委員 今般の法改正によります中金の農業者に対する直貸を開くことの目的は、大規模経営の育成等農業の近代化をはかるため、大きな資金需要につきまして、単協、信連段階では資金量、危険負担等から見て十分に対応できない場合も出てきているわけでございます。したがいまして、今回の中金の直貸はそれを補完しようというものでございまして、系統三段階制をこれによって乱そうという考え方はないわけでございます。 そこで、実際に直貸を行なう場合におきましても、業務の代理は単協に頼むというようなことになりますので、単協、信連等の意向も十分聞いてやるようにしたい。すなわち、中金が単協、信連を飛び越えて、いきなり農家に直結して貸すというようなことは現実的でない、あくまで単協を業務代理にいたしまして、信連等の意向も十分聞きながらやりたい。 そこで、現実の問題といたしましては、必要があれば、農林中金の直貸について、単協、信連、中金等で構成される融資協議会のようなものを設けまして、そういったところで十分相談しながら直貸をやるということで、三段階制を乱すことがないように運営したいというふうに考えております。
○神田委員 そういう点においてば、十分単協、信連との連携をとりながらやっていただきたい、このように考えます。 最後に、中金法の改正について、この余裕のできた資金を安易に貸し付けをし、いわゆる不良貸し付けあるいは不正貸し付け等の起こらないよう十分監督すべきである。ともすれば農協人というのはお人よしでございまして、今度外国為替業務等もやると思いますが、職員の訓練あるいはそれの統轄等において欠ける点がある、そういう意味合いにおいて、不正、不良貸し付け等が生ずるおそれもなきにしもあらず、このように考えられますので、その点について、監督官庁として十分に留意してもらいたい。この点について大臣の答弁を求めます。
○櫻内国務大臣 神田委員のおっしゃるとおりでございまして、これからの経営内容の拡充に伴いまして、かりそめにも不正貸し付けあるいは審査の粗漏、そういうようなことで問題を起こすようなことがあってはならないと思います。また、新たに外国為替の業務を扱うということで、それがふなれなために間違いを起こすようなことがあってはならないのでありますから、従業員の訓練につきましては、十分注意するよう行政指導してまいりたいと思います。
○神田委員 次に、農協法の改正の問題について、資金の需要等に応じての改正のようでありますが、農協は現在単協あるいは県段階、それから全国段階と三段階制になっておりますが、単協の合併が進むにつれて大型農協が出てくる。そういう場合に、一々県段階を通じて全農とかあるいは中金に結ぶというようなことよりも、いわゆる二段階制にして、県段階においては指導的立場だけにする、直接大型単協から全農へのいわゆる事業の連絡というものはできるのではなかろうかと思いますが、この問題についてどのように考えますか。
○内村(良)政府委員 農協が合併いたしまして、大型農協がどんどんできてくる、そうすると、大型農協が直接全国段階の組織に加入したいという問題が起こっております。この問題は、農協組織自体にとって非常に大きな問題でございまして、現在その問題をどう扱うかにつきまして、全農と大型農協との間でいろいろ話し合いが進められております。しかし、いずれにいたしましても、これは系統の三段階制の問題に関連する非常に大きな問題でございますから、役所といたしましては、今年度から発足をいたします農協の制度の検討会で、この問題は十分検討してみたいというふうに考えているわけでございます。
○神田委員 農協は、現在農業の経営を委託するというようなことで、いわゆる農業経営の拡大化をはかっておりますが、実際問題としてこれはなかなかむずしい問題であって、農協自体が農業経営を委託して農業の拡大をやっておるというような農協は少ないようでありますけれども、これらについては実際問題としてどの程度進んでおるか、お尋ね申し上げます。
○内村(良)政府委員 昭和四十六年度から農業経営等の受託事業についての補助を行なっておりますけれども、四十七年度においては補助事業によって農業経営の受託事業を行なった農協は二十二でございまして、その受託面積は四百五十ヘクタール、そのうち転換水田の面積が三百六十ヘクタールとなっております。
○神田委員 これはわれわれとしてはもっと推進されなければならぬ問題であるにもかかわらず、非常に期待に反して委託農業というものが推進されないということを遺憾に思うのでありますが、現在農地並びに山林等がいわゆる大企業、大商社によって買いあさられ、ある町村等におきましては、ほとんどの山林がゴルフ場と称して買い取られておるような現状になっておりますが、これらに対しまして、今度は農協として土地売買ができるようなことになっております。これらを利用いたしまして、農地に利用されずに、ゴルフ場その他娯楽施設等に利用される山林を、農地に利用されるような、そういうようなために農協の膨大な資金を活用すべきだろうとわれわれは考えておるのでありますが、これに対してどのように考えられますか、お尋ね申し上げます。
○内村(良)政府委員 先生御指摘のとおり、私どもといたしましても、農協に集積されている預金がそういった面に使われることは非常に望ましいというふうに考えております。 ただ、農協の行ないますいわゆる農業経営等の委託につきましては、これは農民から委託を受けてやるわけでございまして、農家の方がそのように希望して農協に委託をするということでないとなかなかできにくい事業でございます。したがいまして、農家に対しまして、単に土地を手放すのではなくて、そのような農業経営を農協委託してはどうかという指導は、必要はもちろんあるかと思いますけれども、農協が指導性をもってこういうことをやるというのは、なかなかできにくい面があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○神田委員 農協が協同会社の経営をたくさんやっておるようでございますが、私の見るところ、農協が参加しておる協同会社の運営は、ともすれば経営不振のように思われるが、この協同会社の経営の実態並びに全国段階あるいは県段階における協同会社のおもなる業種等、これは非常に膨大なものになると思いますが、もし膨大なものであるとすれば、これを資料として提出していただきたい。 それから、これらの経営に対してどのような監督をされておられるか、お尋ね申し上げます。
○内村(良)政府委員 農協及び農協連合会が主として出資しているいわゆる協同会社は、四十六年の三月三十一日現在の統計でございますが、それによりますと、三百六社ございます。このうち、総合農協の出資会社が五十四、専門農協の出資会社が二十、県区域未満の連合会の出資会社が十二、県区域連合会の出資会社が百八十四、全国区域連合会の出資会社が三十六となっております。 これらのうち、業種別におもなものをあげますと、畜産物の加工販売事業を行なうものが六十四社、飼料製造販売事業を行なうものが四十四社、不動産の管理売買事業を行なうものが四十社、保産所経営の事業を行なうものが二十二社、土木建設工事事業を行なうものが十八社、青果物の加工販売事業を行なうものが十三社等となっておりまして、畜産物の加工販売、飼料製造販売及び不動産の管理売買の事業を行なっているものが全体の約半分になっております。 このいわゆる協同会社につきましての指導でございますが、農林省といたしましては、四十六年に通達を出しまして、協同会社についてはあらかじめ届け出をするようにということを行なっております。これは、農業協同組合と違いまして株式会社でございますから、役所として直接検査をするというのはなかなかできにくいわけでございまして、いろいろ届け出を受けながら農協経営との関連をにらんで監督をしていきたい、こういうように考えているわけでございます。
○神田委員 私は、そこに問題点があると思うのです。監督の行き届かないいわゆる株式会社に、農協が、もちろん総会の決議によって出資はして参加しているんだろうが、そういう会社をたくさんつくるというところに私は問題があるのでありますからして、この点については、後刻の機会に検討していきたいと思うから、資料として、いまのあなたの申し上げられた資料を提出してもらいたい。 次に、海外貿易等につきまして、農協は、現在のように農産物の自由化が進んでまいると、われわれとしては農産物の自由化を阻止しようとしておりますが、実際問題とすると、いろいろの面で、たとえば飼料にしましても、その他必需農産物が海外から輸入されなければならぬ。こういう場合に、商社にのみこれを与えるべきでなしに、直接農協の組織において海外貿易をなして、安い農産物を供給すべきである、このように考えますが、この点についてどのような指導をされておられるか、お答えを願います。
○内村(良)政府委員 まず最初に、農協の関連会社の協同会社の資料でございますが、これはすでに提出してございます農業協同組合法の一部を改正する法律案資料の七ページに数字がすでに提出してございます。 それから次に、農協の貿易の問題でございますが、現在のところ、農協は、貿易につきまして、組合貿易という協同会社をつくりまして、その組合貿易が農協関係の外部貿易を担当しております。
○神田委員 農村地域への工業導入を政府は強調しておられるが、これらは銀行と連係をして農村に工業が誘導されておる。これはわれわれとしては、農村地帯に工業が入る場合においては、少なくとも農協系統、全中、信連、単協等を通してこれら資金の需要を行なうべきであるし、それら農村工業等においては農協との連係を保つべきであろう、それがやはり農村地域における工業が農民と結びつくゆえんであろうと思いますが、これらについて、現在はややもすれば、都市銀行との連係によって行なわれておるようでありますが、この点についてはどう考えられますか。
○内村(良)政府委員 農村地域工業導入促進法の十三条の規定で、農林中金が農村地域工業導入促進法に基づきます工業導入について融資ができるようになっております。そこで、現在までの実績を申しますると、農村地域工業導入促進法に基づきまして中金が融資した額は十七億三千万円になっております。 そこで、信連等もそれに協調融資したらどうかという御意見でございますが、たとえば東北三菱自動車部品という工場を福島につくったわけでございますが、それは、農村地域工業導入促進法に基づく導入でございまして、それにつきまして福島県の信連はこれに中金と一緒に協調融資をしております。したがいまして、私どもといたしましては、こういった農業の構造改善に役立つような工業導入につきましては、系統資金を大いに活用するようにしたいというふうに考えております。
○神田委員 考えておるのでは実行ができないのであって、実際の農村地域に入っておる工業の実態は、都市銀行あるいは地方銀行を通しておるのが大部分である。これはそういうような法律があっても、実際の部面において行なわれなければ、これは何にも役立たないのであるからして、この点について、もし農村に工業が入る場合においては、農林省としてもこれらの点について十分意見を述べ、そうして農村との連係を保つように指導していただきたい、こういうように考えます。 これと同時に、私は大臣にお尋ね申し上げたいのでありますが、土地の利用計画等につきましても、実際面といたしますれば、都市銀行を利用して土地利用計画を策定するきらいがあるのでありますからして、これら土地利用に対しまして、特に農村地帯の土地利用に対しまして農村の資金を十分活用する。それによって余裕金の活用をはかるべきであろうと思いますが、この点を大臣はどう考えておりますか、お尋ね申し上げます。
○櫻内国務大臣 農村へ進出するところの工場の資金が農業関係金融機関の資金が大いに活用されるようにするということは、余裕さえあればそのようにすることが地域の農業関係者に大いに利するところがあるということで、私も同感でございます。
○神田委員 次に、近代化資金の問題でお尋ねしますが、近代化資金の金利の引き下げをしてくれということは、当委員会等においても再三要望しておることでありますが、依然として六分程度の金利であります。現在の日本の農業において、六分の利益を得るという農業はなかなかない。少なくとも、思い切って利子補給を政府は行なって、三分程度の利息で農業経営の拡大をはからなければ、農業振興には役に立たぬ、こういうように考えられます。また、この貸し付け等につきましても、あるいは保証人をつけるとかあるいはまた信用保証協会の保証を与えるとか、いろいろややこしい手続を要しておる、こういう点についてどのように考えられますか、お尋ね申し上げます。
○内村(良)政府委員 農業近代化資金の貸し付け金利は、制度創設の際、一般に年七分五厘以内とされたわけでありますが、その後昭和三十七年度、昭和四十一年度の両年度及び四十八年度の今回と、三回にわたりましてその引き下げが行なわれました結果、農業者に貸し付ける場合の金利は五分五厘となったわけであります。このように農業の近代化資金については、他の制度金融との均衡等も考慮しつつ、絶えず金利の引き下げに努力を行なってきたわけでございますが、これは原資が系統資金でございますから、今後とも農協系統の資金コストの低減等努力をはかりつつ、引き下げの努力をはかりたいというふうに考えております。
○神田委員 大臣、この点、大臣からもお答え願います。いわゆる近代化資金の金利の引き下げ、六分では農業は成り立たない。利子補給をして三分程度の思い切った利息で農業の近代化をはかる、そういうことをしなければ、日本の農業はつぶれてしまうのだ、拡大も振興もしないのだ。そういう点を農林大臣としてどう考えるか、お答え願います。
○櫻内国務大臣 神田委員の御質問の御趣旨はわかりますが、今回五厘下がって五分五厘に個人がなりましたのも、三分の利子補給が行われてのことでございます。これでは近代化資金が本来の目的を果たし得ないのではないかという御意見だと思いますが、今度それと同時に、貸し付け限度額の引き上げも考えて、二百万円が一千万円まで、あるいは特認の法人の場合は五千万円までというふうにいたしておるのでございます。さらに金利を下げて考慮するということにつきましては、金利の全般的な体系からいかがかと思いますことが一つと、もう一つは、農協系統の資金コストの関係から考えまして、三分の補給で五分五厘、協同の場合六分五厘、この辺が無難ではないかということで、このような措置になっておる次第でございます。
○神田委員 六分というのを五分五厘にしたということに対しましては、これは非常に御努力をされたと思う。しかしながら、現在置かれておる日本の農業の現況からして、農業を拡大強化するという観点からして、この近代化資金では拡大強化されない。実際縮小している。だから、こういう点を思い切って資金の、いわゆる利子補給でありますからして、利子補給の点において思い切った施策をとらなければ、日本の農業は世界の農業に競争していけない。そういうことは十分おわかりだと思う。この点は私は利子を下げろというのではない。政府は利子補給をすべきだ。利子補給をして、専業で畜産あるいは水田その他いろいろ大規模農業を経営しようとするものに対して援助をすべきであろう、こういうふうに考えておるのでありますから、その点を端的に大臣としての所見を述べてもらいたいと思います。
○櫻内国務大臣 先ほど申し上げましたように、御意見の御趣旨はよくわかるところがございまするが、全般の金融の金利体系の上からいかがかということを申し上げておるのでございます。 利子補給をすればいいじゃないか、こういうことでございまするが、その点につきましては、ただいま即答がいたしかねますが、他の利子補給の施策とともに検討させていただきたいと思います。
○神田委員 食糧問題について、私はこれに関連して申し上げますが、日本の食糧はいまいわゆる生産調整をして米の減産をやっております。しかし、世界の食糧はそういうなまやさしいものではない。今日におきましては、世界的な食糧危機といわれております。そういう段階においては、生産調整をもうやるべき段階ではなしに、生産増強を行なわなければならぬ立場に立たざるを得ないのではないか。しかし、このような高いコストの農業であったのでは、世界の農業と太刀打ちもできないし、また農業者としても、他産業との競争に引き合わないからして、農業を喜んでやらぬということになってまいります。そういう段階において、大臣は今後の食糧政策についてどのように考えられておるか、この点をお尋ね申し上げます。
○櫻内国務大臣 これからの食糧政策、特にお尋ねは米の生産調整のことがお考えにあるようでございまするが、お尋ねの中にもございましたように、日本の食糧生産のコストを下げるということは、これはこれからの日本農業を考える場合にどうしても必要なことでございまして、これが御承知の構造改善事業に力を入れておるゆえんでございます。 〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 それらの施策と相まちまして、これからの食糧生産についての見通しを考えていかなければならないと思いまするが、二百五万トンの生産調整、そしてこれを現在、地域地域の実情に即した、いわゆる適地適作的な考えを入れた調整をしながらやっていくということによりまして、一応本年の米の万一不作であるとか天候異変があるとかいうようなことには対応していける。また十月末における在庫、また明年度の十月末における古米の状況というものを見通して現在のところ心配はない、こういう見通しに立って生産調整をいたしておるということを御了承いただきたいと思うのであります。
○神田委員 私たちはこの前の生産調整のときに、生産調整をせずに、余った米をもみ貯蔵して、そして食糧の危機に備えろということを再三申しておったのでありますが、今後ももし米が余ったならば、やはりもみ貯蔵をして、——これらの農産物というものは天候に支配されるのでありますから、豊作の年ばかりではないのでありまして、そういう意味合いにおいてもみ貯蔵をし、また現地精米を行なって、ぬか等の二重輸送を避けるというような点を主張したのでありますけれども、これが実行されなかった。今日古々米において品いたみ等だいぶ政府は損をしておると思うのでありますが、これらに対して農林大臣はどう考えられますか。
○櫻内国務大臣 現在、米の貯蔵につきましては、低温倉庫を利用いたしまして貯蔵の所期の効果をあげておると思うのでございます。この面をもっと推進してまいりますれば、御質問の御趣旨に沿うのではないか。 なお、もみ貯蔵についての御意見をちょうだいいたしまして、これについての食糧庁における検討をしてもらったのでありまするが、私、ちょっと専門的な知識を持ち合わせませんが、ただいま申し上げた低温貯蔵のほうがいいのであるし、現にやっておる、こういうことであったわけでございます。
○神田委員 私はこの問題はあとの機会にまた申し上げたいと思いますが、ここでどうしても申し上げなければならぬことば、えさの問題であります。飼料自給の問題をたびたび申しておりますが、現在のままにおいては小麦も大麦もその他トウモロコシも増産されない。大豆ももちろんであります。そういう段階において農林省としてはどのような具体的な対策をもって飼料の自給をはかろうとするのか、あるいはまたビール麦等におきましては年々減作しておりまして、ビール麦のほとんど七割は外国より輸入しておる、こういうような状態はますます今後はなはだしくなってくると思いますが、これらは、価格の問題はもちろんでありますけれども、政府自身が大麦や小麦やあるいは飼料やあるいはビール麦等は外国から輸入していいんだという考えを持っておったのでは、これは直らないのであります。価格の問題と同時に近代化、大規模農業等を進め、これら大麦、小麦等の増産に対しまして具体的な対策を立てるべきであると思いますが、これに対して農林大臣あるいは事務当局より御説明願いたいと思います。
○内村(良)政府委員 先生御指摘のとおり、日本の麦あるいは大豆等が減っているわけでございます。とのことは国民経済的にも非常に大きな問題でございまして、私どもといたしましては、何とか増産をしなければならぬというふうに考えております。しかしながら、非常にコストが高い、生産費が非常に高くつくということでございますと、経済全体から見れば、輸入したほうがいいということになりますので、国内でつくるにいたしましても極力安くつくらなければならぬという要請が一方にあるわけでございます。 さらに麦につきましては、食糧庁が農家の売り渡し希望に応じて買い入れておるわけでありますが、その価格も非常に高くする、国際価格の何倍にするということは現実の問題としてできがたいわけでございます。 そういうことを考えました場合に、やはり農業の規模を大きくしていかなければならぬ。特に裏作の場合には、冬場は全然耕作を放棄しておるというたんぼがたくさんございます。そういうものを農協なら農協が組織いたしまして、そこで大型機械を使ってやるということになりますと、担当の労働時間も非常に減りますし、かなり能率のいい経営ができるということになるわけでございます。そういう面につきましてそのように持っていかなければならぬということで、実は農林省におきましても、そういう組織化についていろいろな例をあげて農家に訴えるというようなことを過去二、三年やっております。やっておりますが、それになかなか農家の人がついてこないのが現状でございます。しかしながら、それをほっておいて、日本は麦がなくなってもいいのだ、あるいは大豆がなくなってもいいのだということは許されませんので、そういうことを考えながらなお一そう努力しなければならぬということを考えておるわけでございます。
○櫻内国務大臣 ただいま内村局長のほうから御説明を申し上げさしたとおりでございますが、私としては御承知の生産調整に伴う転作奨励をいたしておるわけでございますので、それを定着させたい。特に飼料作物あるいはその範疇に入るかと思いますが、食料用の大豆、こういうものについて特に力を入れていく。また同時に、公共事業の中の草地改良事業を大いに進めまして、飼料、なかんずく粗飼料については自給のできる体制に持っていきたい。 ただ、いま局長も御説明申し上げたとおりに、何ぶんにも、濃厚飼料関係のトウモロコシ、コーリャンについては、言うまでもなく、国際的にも生産性の格差が大きいのでございまするから、その辺はある程度の国際的な配慮をするということは当然起きてきますし、また、ただいまお話があったように、非常に価格差があるものをしいて国内生産に持ってくるということよりも、長期に安定的に供給を得られるといたしまするならば、その面での総合的な配慮は政治の上でやむを得ないことではないか。しかし、繰り返しいつも申し上げるように、国内ででき得るものは第一次的にはそれにつとめる、そして足らざるところを国際関係において補給していく。また国産でつくるというものにつきましては、それに対するところの構造改善をはじめ基盤整備等の施策を当然やっていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
○神田委員 いま局長や大臣の、国際価格に合わぬからどうにもならぬというような答弁だと思いますが、それではやはり日本の飼料作物をはじめとする農業の振興はあり得ない。今後やはり畜産を主力にして農業経営はまかなわなければならぬときに、えさは外国からもらうのだ、牛、豚、鶏は外国のえさでもって養うのだというのでは、これは非常事態になった場合に、今日のような商社に小麦を買い付けられたとか、それから輸送がストップしたとか、あるいは外国の飼料作物が不作であるというようなときは、これは日本の畜産は全滅してしまう。そういう他力本願ではどうにもならぬのであるからして、それに対して根本的な施策をほどこさなければならぬ。それにはいまのような冬場、耕地を何もあかしておく必要はないのでありますからして、これを大型化し、機械化し——この機械化も、アメリカのような機械をそっくり持ってきてやってもどうにもならぬのでありますからして、日本には日本なりの農業近代化の方法があると思う。そういうくふうと、先ほど申し上げました金利の補給その他のあらゆる手段を講じて畜産を振興させるならば、その振興する畜産のえさは自給していくという、そういう基本的態度をやはりとるべきじゃなかろうか。この点について、予算面においても農林省の予算は一二%とか幾らとか言っておりますけれども、大部分が食管赤字である。思い切って予算的措置をとって基盤整備を行なって、それら大型農業が行なわれるような生地をつくらなければならない。そういうことを計画的に、五カ年計画なり十カ年計画で遂行することによって初めて解決できると思うのでありますが、この点について大臣はどう考えられますか。
○櫻内国務大臣 御質問の御趣旨は、そういう方向も加味しながら相つとめておるということが言えると思います。先ほども内村局長から裏作の点についても触れたのでございまして、これについてさらに神田委員からは、日本特有の機械を考えて導入する、経営の大型化をはかれ、これらはみな私も同感でございます。 ただ、しかし、私はここでしばしば開放経済下にある日本としてある程度の国際協力の必要ということを常に若干ずつはつけ加えておるということについても、ひとつ御理解をいただきたいと思うのです。 というのは、私が農林省のいまの行政の責任にある、そしてソ連が不作だ、中国も不作だ、それがアメリカにしわ寄せが行った、それがさらに日本にしわ寄せが来るという、この一連の状況を考えておるときに、日本で必要な飼料は日本自体がつくってやればいいのだ、こういう声が非常に最近強いのです。その自給率をある程度維持するということについては、私は一つも反対がございません。しかし、それを日本だけで全部やるといったとき、日本がもし天候異変があったときにはどうなるか、こういう点があるから、そこに国際協調の妙味もあるので、したがって、私がいつもここで言うのは、輸出先の多角化あるいは開発輸入方式あるいはその安定的な供給を得られることを考えながらいこう、しかし、第一次的には、日本でできるものはできるだけつくっていきましょう、こう言っておることで、全くの鎖国的な考えで成り立つのか、それが一番安全なのかというと、そこのところは、少し長期に見た場合に、やはりこれはせっかく各国ともにお互いに拡大均衡で貿易も資本も自由化をしていこうという、そういう風潮の中にあり、国際的な協調もしていこうというのであれば、その点も加味していっていいんじゃないか。だから、ちょっと先生にもの足りない点があろうかと思いまするが、しかし、私の申しておることもひとつ御了承をちょうだいしたいと思うのです。
○神田委員 まあ、大臣、それは日本が不作の場合はしようがないんじゃないか、こういうことでありますが、それはそのとき対策をとることであって、しかし、これ以上麦作や飼料作物、そういうものが減っていく。これは私の町でございますが、ビール麦でございますが、去年までは一万俵つくっていたわけです。ことしになったらこれが四千俵になっておる。来年はもうつくらぬと、こう言っている。こういうような状況。これは一つのビール麦の例ですよ。そういうように麦作はほとんどつくっていかなくなってきた。あるいはまた北海道等においても、トウモロコシ等もだんだん減ってくるということになって、だんだん日本の農業は、いわゆる出かせぎ農業になってしまって、どうにもならなくなってからではこれは間に合わないのです。いまのうちならば何とか立ち上がれる時期であろうと私は思うのです。ここ一、二年過ぎるともう立ち上がれない。一たん農業を離れた者は農業に戻ってこないのです。こういう点を考えて、私はいまのうちに抜本策を講じろと、こう言っているのです。この点はぜひ農林大臣として、日本の農業の危機を認識してもらいたい。この点について御答弁願います。
○櫻内国務大臣 これはもう二つ返事で、そのお考えについて賛成であります。私もせっかくこういう立場に立ちまして、そしていつも申し上げるように、ちょうど就任早々に、どうも国際的に食料需給がおかしい、このことは日本としても考えておかなければならぬぞという、そういう心持ちのもとに微力ながらもタイミングをはずさずにいかなければいけない。そして、幸か不幸か、高度成長に対するきびしい批判や、またわれわれとしてのそれに対する反省等起きておるこの機会、これはその農業についての生産意欲を起こすに非常に適切な時期である、こういう認識のもとに、皆さん方のおしかりをちょうだいしながらも、私は誠意をもって努力をしておるようなわけで、いまおっしゃる、この時期というこのタイミング、これはもう二つ返事でそのとおりだ、こう思います。
○神田委員 そういうことであるからして、ここ二、三年はそういう意味合いにおいて日本の農業が非常な没落をしていくか、それとも何とか持ち直していくかという、非常に大事な時期であるということを強く申し上げると同時に、農産物の自由化等につきましても、たとえば落花生とかコンニャク等を自由化するというような話も聞いておりますが、これらをもし一たび自由化すれば、安いものが入って、せっかく山間僻地において苦労して落花生とかコンニャクをつくっておる農家は絶滅する。再びこれをつくれといっても、もうつくらなくなる。これらの農産物の自由化をこれ以上進めてはならぬと私は考えるのでありますが、これに対しまして大臣の所見を伺います。
○櫻内国務大臣 田中首相が、貿易の自由化という国際的に大きな方針、また理想という見地から、私どもにもいろいろ検討を命ぜられたことは、前々から正直に申し上げておるところでございまするが、それらを検討して、その結果を総理に申し上げて、農林省として、自由化のできるものはございませんということをはっきり言い切って本日に至っておるようなわけでございます。 落花生やコンニャクを例にあげての御質問でありますが、しばしばここで問題になりましたオレンジやジュースの場合はいずれも、検討の結果、農林省として自由化はできないということをはっきり申し上げておるような次第であります。
○神田委員 農協の共済事業等について、最後にお尋ねを申し上げます。 農協に共済事業をやらせることになりました理由は、いわゆる保険事業というものはややもすれば営利目的になるので、農協の共済制度によって組合員やその他の人々の老後を保障しようというような考えで共済事業が行なわれているんだろうと思います。今日その事業は非常に発展をしまして、聞くところによれば、日本生命に次ぐ契約高を持っておるといわれておりますが、これらの資金はどのような運用をされておるか、簡単にお答え願いたいと思います。
○内村(良)政府委員 四十七年十二月末現在におきまする共済資金の運用状況は次のようになっております。 農協の系統預金になっておりますものが三千四百三十億でございます。有価証券で保有されておりますものが四千七百七十四億、貸し付け金が八千三百八十六億でございます。その貸し付け金のうち、一般法人貸し付けが七千五百五十六億、それから、農村還元等の貸し付け金が七百二十五億、こういうことになっております。
○神田委員 時間の関係もありますので、この問題についてはあとの機会によく検討をして御質問を申し上げることにしますが、私が質問した農業協同組合に共済事業を行なわせた意義についてはどうですか。お答え願います。
○内村(良)政府委員 農業協同組合に共済事業を行なわせました意味につきましては、ただいま先生から御指摘があったことと大体同じでございます。 共済と保険とはどう違うのかということでございますが、共済は、たとえば農協のような、一定の人の集団が先行的に存在しておりまして、その集団の構成員が加入者となって、お互いに助け合う。具体的なやり方としては、保険の方式、すなわち収支相等の原則とか給付反対給付均等の原則等で料率を設定しておるわけでございますが、根本は、一定の人の集団が先行的にございまして、そこで助け合う、これが農協に共済事業を行なわせている理由でございます。これに対しまして保険は、不特定多数の者に加入の道が開放されておりまして、加入資格に特段の制限がない。この点が共済と保険の違いじゃないかというふうに考えております。
○神田委員 大蔵省の銀行局長を呼んでおったが、お見えになっておるかどうかわかりませんけれども、昭和四十六年の貯蓄動向調査によると、貯蓄の現在高では、生命保険が二〇・八%で、定期性の預金に次いで第二位を占めておる。これは共済を除いてのことでありますが、こういうばく大な生命保険の事業が国民生活に非常な影響を及ぼしておる。広く国民の各階層から資金を集めて運用しておるこの保険事業で、特に昭和四十七年度上半期におきましては、自治省の調査によると、政治資金が四千五百万円交付されておると報告されております。農協に共済事業を行なわせるというのは、こういうような保険事業の営利性をなくし——福祉国家になれば、老後の保障は福祉年金その他の国家的な保障でやって、保険というようなものではやるべきじゃないと私は考える、基本的には。しかし、現在においては、これは銀行に次ぐ大金融業者として、最近は株価の操作にも大きな影響を及ぼしておると聞いておる。これらにつきまして、私は大蔵省関係者に、現在この保険会社の行なっておる保険事業が一般国民社会に公平に役立っておるものであるかどうかということをお尋ね申し上げたいと思います。
○安井説明員 ただいま先生御指摘になりましたように、生命保険事業で申してみますと、総資産が大体六兆九千億くらいになっておるようでございます。生命保険会社の資産運用につきましては、御承知のように、保険料の形で契約者からお金を預かりまして、二十年、三十年という長い期間にわたって運用して、満期の場合にはそれをお返しする、あるいは途中で事故が生じた場合にはそれを死亡保険金としてお払いするということになるわけでございます。したがいまして、お預かりいたしました保険料をいかに有利かつ安全に運用するかということが、生命保険会社の資産運用として一番大事なことだと考えているわけでございます。つまり、先ほど営利事業というお話があったわけでございますが、いま日本の生命保険会社は大半の会社が相互会社になっておりまして、一応形式的には営利を目的といたさないということになっております。資産の運用の結果生じました利益は、契約者でありますところの社員に帰属するという形で、契約者配当という形でお返しをすることにしておるわけでございまして、資金の規模が大きいだけに、運用にあたっては、もちろん株式の投機に走るとか土地の買い占めをするとかいうようなことをしてはならないことは、社会的に当然でありますけれども、極力その運用を有利にしてこれを契約者にお返しするというのが基本ではないか、そのように考えているわけでございます。
○神田委員 保険会社は相互保険会社であって、保険契約をした者は社員である。まことにこれはもっともな言い分であります。しかし、実際問題としては、保険に入った者は保険会社の社員だということ、契約が終われば社員でなくなってしまう、どうも私はその点、相互保険という文句がよく解せない。私にもわからぬのでありますからして、一般の契約しておる者ももちろんわからぬと思うのです。 〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 わからぬことであるけれども、とにかく貯蓄の二〇%、三〇%近い金を集めておるのでありまするからして、これは日本の金融、経済にとってはばく大な影響を与えるものである。この内容に対して監督官庁である大蔵省は詳細に検討しておるであろうが、一体これら契約者に対して正しい配当が行なわれておるのかどうか、この点についての行政指導を行なっておるのかどうか、これをお伺い申し上げます。
○安井説明員 生命保険会社の配当につきましても実は大蔵省のほうの認可事項になっておりまして、その決算がまとまりますと、大蔵省のほうに申請をしてもらいまして、その配当等をきめているわけでございます。 具体的な数字を申し上げて恐縮でございますが、四十六年度で生命保険会社の利益と申しますのは——最初に保険料を組みますときに、たとえば利回りというのは、結果として出る利回りよりは安全を見込みまして低目に見てあるわけでございます。したがいまして、資産運用とか利回りがそれを上回りますとそれをお返しするという形になるわけでございまして、必ずしも経営側の能力だけではなくて、そういう保険料の組み方の問題にも関連するわけでございますので、出てまいりました剰余金を数字で申し上げますと、約三千五百億のうちほとんど大半といいますか、九九%ばかりを契約者のほうにお返しするというやり方をさせているわけでございます。これはこれだけの利益をあげているのに経営者のほうはどうだということでは決してなくて、先ほど申し上げました予定利子率の問題であるとかあるいは死亡率をかた目に見込んでおるというようなことから反射的に出てきたものが多いわけでありますから、これは契約者に返すのが当然であろうと考えているわけであります。 正確な数字を申し上げますと、四十六年度決算でございますと、二十社ばかりの保険会社で剰余金が四千九百億ばかりあるわけでございますが、これに対しまして責任準備金等に積み増しをいたしました一千四百億を引きまして、三千五百四十一億というものが一応経理上の剰余金になっておるわけでございます。この三千五百四十一億のうち三千五百八億というものを契約者にお返しする配当の準備金として繰り入れるという形の決算が行なわれているわけでございます。
○神田委員 契約者が社員である、それに対して配当をやる、そういう相互的な会社が、なぜそれでは政治資金を、自治省に届け出てあるだけで四千五百万円、そのような金をなぜ政治資金に献金するのですか。それは社員を無視するものではありませんか。そういう点について監督しておりますか、どうですか。知っておりますか。
○安井説明員 政治資金の問題でございますが、実は保険会社の事業費の内容の詳細にまで私ども存じておりませんので、いま先生から初めて承らせていただいたわけでございまして、考え方といたしましては、おそらく生命保険事業をしていく上での必要なものという範囲を越えていないのだろうというふうに考えてはおります。
○神田委員 社員に配当するものならば、政治資金に回すものを社員に配当すべきではないか。それは不法であると私は思う。相互という名前をつけて、そういう名前のもとにおいて営利本位の経営をやっておるとしか私は考えられない。このことについては、時間もありませんからあとの機会に、これはあなたたちではどうにもならぬから、大蔵大臣、局長を呼んでぼくはこれを追及しますが、大体保険会社にもよるけれども、保険会社の一番末端において保険の勧誘をしておる外交員が歩合制なんです。これをわずかな低額の月給を払って歩合でもって追い立てておる。そして半年か一年で親戚、知人を回り終えるとやめさせて、また新しく一万円ぐらいの月給を払っては、歩合でもって追い立てて追い回して、またやめさせては新しい者を使っておるという、こういうような非近代的な経営をわれわれは認めるわけにはいかない。これらに対して大蔵当局はどのように考えられますか、お尋ねします。
○安井説明員 生命保険の外務員の問題は、私ども実は最も頭の痛い問題の一つでございます。生命保険契約をとります場合に、お客さんのほうが保険会社の店先に来て生命保険を買っていただけるという状態にはないというわけでございまして、外務員の方々がお客さんのところに行ってよくお話をして、この契約をいただいてくるというのが現状のようでございます。ところが、いまの外務員の関係で、非常に多くの外務員が入り、またそれが一年でやめていくというような事情がございますし、また契約のおすすめのしかたに非常に無理があるということから、非常な問題が起きているわけであります。たとえば義理募集であるとか無理募集であるとかいうことが起こりまして、私どもとしても非常に困った問題だと思っているわけでございます。保険審議会、私どもの諮問機関でございますが、そこでもこの問題は何度か取り上げまして、たとえばいま御指摘の歩合制からむしろ固定給のほうをふやしていけというようなことも審議会のほうで答申がございまして、実はそれも相当行なわれてきたのでございますが、今度は固定給がふえてまいりますと、固定給がふえてきたために逆に契約が、たとえば作成契約というようなものが出てきたりいたしまして、またそこに問題も生じてきている。しかし、いずれにいたしましても、生命保険の一番中心といいますか、基礎をなしますところの契約の問題でございますので、現在も保険会社のほうに、この保険審議会で指摘された事項、さらには最近国民生活審議会のほうでも指摘された問題等もございますので、これの改善方に全力をあげさしているというのが現状でございます。
○神田委員 これは気の毒なのは末端のかけずり回っておる保険の外交員の皆さん、全くこれは安い固定給でもってノルマに追いまくられて、親戚、知人に迷惑をかげながら、しかもいやがられながら走り回っておる。日本のような近代国家がこのようなことをいつまでも続けるべきではない。ちゃんと固定給を払って、人間は人間らしく取り扱って仕事をさせ、あるいは退職金なり、あるいはまた厚生年金なりもかけ、そしてちゃんと近代的経営に切りかえるべきだろう。 しかも契約して、しかたなしに義理で入って一年で掛け捨てになった金額がばく大なものです。このばく大な金額は一体幾らになっていますか。概算でけっこうですから、あなた、監督官だからわかるでしょう。おっしゃってください。
○安井説明員 先生の御指摘のような外務員の改善策というのは非常に大事な問題でございます。むしろ私どもとしては、いま一番力を入れておりますのが、専業の外務員と申しますか、外務員を専門でやっていくという人たちをふやして、その人たちが主として契約を集めるという形になればこの状態が減っていくのであろう、そのほか外務員の教育その他の問題も逐次進めていっているわけでございます。 いま御指摘の一年以内で契約が解除されたのがどのくらいあるかということでございますが、契約の解除されたといいますか、続かなかったものでございますが、金額がちょっと手元に数字がございませんけれども、二四、五%の契約が二年以上続いていないようでございます。これも数年前に比べますと、まだ前には三〇%程度のものが続かなかったものが、この二四、五%のところまできたわけでございますけれども、まだまだ十分ではないわけでございまして、これの継続率を高めることが一番大事だというふうに考えておるわけでございます。
○神田委員 私も聞いてびっくりしました。三〇%から二六%が一年かけ捨てですよ。かけ捨てれば、たとえば三十万円なら三十万円あるいは五十万円なら五十万円がそっくり会社の利益になるわけですよ。あるいはそれが何らかの形で被保険者は損失をしているわけですね。それが二四%とか二六%とかあるいは三〇%というふうなばく大な掛け捨てがあるということは、これは看過しがたいことですね。きょうこれをこまかく質問するいとまはありませんから、この資料、四十六年度、一番近いのは四十七年度下半期の資料が一番近いが、それができなければ四十七年の上半期でもけっこうでございますから、この各相互会社の収支決算、掛け捨てになった実際の金額、そういう資料をひとつ提出願いたい。そして後刻の機会において私はこれをお尋ね申し上げたいと思います。 私は共済事業が今日非常なばく大な契約高を持ったということは、社会的に共済制度というものは組合員に還元される、ところが、保険会社というものは還元されない、中途で会社側のいわばどこかに、あるいは証券の投資あるいは土地の買い占め、あるいはそういうことを言うと言い過ぎか何かわからぬが、何らかの形でこれは利益追求への一つの道具になっておるんではなかろうか、こう考える。そういうために共済保険というものはできてきたと私は思うのです。それを抑制するために、だからそういう点において反省をし、正常化すべきであろう。そういう意味合いにおいてこの監督官庁である大蔵省としても、また共済事業の監督官庁である農林省としても、大いにこの点を研究してもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○佐々木委員長 諫山博君。
○諫山委員 私は農協で働いている労働者の権利の問題について質問します。 農協で働いている労働者の数はおよそ二十八万五千人です。そのうち労働組合に加入している人の数が約十万人、さらにその中の八万人が全農協労連に加盟しております。この農協労働者こそが農協のあらゆる活動をささえている人的な土台であります。農協労働者の生活と権利が保障されることが、農協が民主的に発展するための基礎だと思います。ほんとうに農協を発展させようとするならば、その活動をささえている農協労働者に労働者としての権利が保障され、健康で文化的な最低限度の生活が保障されることがどうしても必要であります。この農協の民主的な発展と農協労働者の生活と権利の関係について、農林大臣から見解をお伺いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 二十八万五千人の農協職員のうち、労働組合加入は十万という御指摘でございますが、私は、概略して半分は組合ができておるのではないかと思っておりましたが、この点は事務当局から間違いのないところを申し上げさしたいと思います。 いずれにいたしましても、農協の民主的な運営の基礎をなすところのものは健全な労働組合がなくてはならないと思うのであります。そしてその組合員の方々の生活が保障されておる必要があると思いまするが、ただ、農協の実態を考えてみまするときに、千差万別というとちょっと言い過ぎかと思いまするが、経営形態が画一的でないということについてはこれは認めざるを得ないと思うのであります。そういうことで現在農協全体が好ましい健全な姿で労働組合があり、勤労者の方々にふさわしい経営形態にあるか、こう申しまするならば、中には適正を欠いておるおそれのあるものも見受けられることは事実であると思います。そういう点からいたしますならば、農林省がその監督の責任の省にある立場から、農協のそういう経営面が健全に発展するように指導する必要というものは重々感じなければならないところでございまして、その点についてはわれわれとして努力はいたしてまいっておるのでありまするが、なお足らざるところもあることを率直に認めまして、今後の努力をいたすことを申し上げておきたいと思います。
○諫山委員 農協で働いている労働者の低賃金というのがいま全農協労連ではたいへんな問題になっています。労働省などはよく業種別の賃金の統計を発表していますが、農協労働者の賃金というのはいつも最低に近い水準であります。しかし、私はこの問題は別の機会に譲って、きょうここで触れようとは思いません。特に私がきょう問題にしたいのは、低賃金をもたらす大きな原因の一つになっている農協労働者の無権利状態についてであります。 昨年の二月二十一日付で農林省農政局長が各都道府県知事にあてて「農業協同組合等における職員の労務管理の適正化について」という通達を出しています。この中に昭和四十二年、四十三年、四十四年の農協の職場における労働基準法違反の件数と内容の一覧表が添付されています。この表はどのような方法でつくられたのか、内村農林経済局長から御説明願いたいと思います。
○内村(良)政府委員 ただいま御指摘がございました通達についております労働基準法違反の件数の統計がどうしてできたかという御質問でございますが、農林省が県に照会しまして、県が県の労働基準監督署に照会をして得た数字を集計したものでございます。
○諫山委員 労働省の吉本監督課長は来ておられませんか。——まだ来てないそうですから別の質問に移ります。 さっきの農林省の統計では、たとえば労働時間の規定に違反するもの、割り増し賃金の規定に違反するものなどという項目が列挙されています。しかし、具体的な内容はこれでは明確に示されておりません。これをもっと具体的にわかりやすく指摘しているのが三重県労働基準監督局が発表した「農協に対する監督実施結果」であります。この資料が農林省にありますか。
○内村(良)政府委員 ございます。
○諫山委員 この三重の労働基準監督局の調査では、違反事業者の一番多いのは三六協定なしに時間外労働をさせたものという内容になっています。三重県で三十八の事業場を監督したところが、二十四の事業場が三六協定なしに時間外労働をさせていたというのであります。このことはきわめて重大だと思いますが、全国的にこういう実情になっているのかどうか。この点、農林省としてはどう把握しておられますか。
○内村(良)政府委員 全国的には、先ほど先生から御指摘のございました農林省の通達についている統計の数字しかございません。
○諫山委員 労働省の方が来られたそうですから質問をいたします。 昨年二月二十一日付で出された「農業協同組合等における職員の労務管理の適正化について」という書類では、農協の職場における労働基準法違反の内容が次のように要約されています。 昭和四十三年を例にとりますと、監督を受けた農協の数が六百三十三、違反事項の指摘を受けた農協が四百六十五、つまり監督を受けた農協のうちの七三・四%が労働基準法に違反していた。反件数は二千百八十件にのぼっております。昭和四十四年を例にとりますと、監督を受けた農協の数が九百三十三、違反事項の指摘を受けた農協が七百四十、七九・三%の農協が労働基準法に違反していた。違反件数は三千三百二十件であります。 これは驚くほど膨大な労働基準法違反でありますが、農協以外の他の事業場でもこんなに労働基準法違反が多いのか、それとも農協は特別に基準法違反が多いような数字になっているのか、吉本監督課長にお答え願いたいと思います。
○吉本説明員 お答えいたします。 ただいま先生から御指摘の四十四年の監督の実績につきましては、おっしゃるとおりでございまして、ここ数年間、改善は見つつはございますが、ほかの事業場と比べますと、やはり依然として基準法違反の件数が非常に多いというふうな状況でございます。
○諫山委員 ほかの事業場に比べて農協の違反の件数、比率というのは非常に高いというふうに聞いていいんでしょうか。
○吉本説明員 おっしゃるとおりでございます。
○諫山委員 私がこの資料を調査して非常に驚いたのは、たくさんの労働者が時間外の労働をしていながら労働基準法どおりの割り増し賃金が支払われていないということであります。割り増し賃金違反というのは、さっきの農政局の通達の集計を見ますと、昭和四十二年に百九十六件、昭和四十三年に二百八十七件、昭和四十四年に三百九十八件とたいへんな数字であります。労働者に時間外労働をさせながら割り増し賃金を支払わないというのはもちろん労働基準法違反であり、刑事罰も科せられるような問題であります。 ところが、もう一つ私が驚いたのは、時間外労働をしていながら割り増し賃金を請求していない農協の労働者が多いということであります。県単位農協職員組合が組合員についてアンケートで調査をしておりますが、これによると、割増賃金を請求していますか、という問いに対して、請求していないと答えた者が五五%にのぼっています。それではこの人たちは割り増し賃金なんかほしくないと思っているのかというと、決してそうではないようです。割り増し賃金を請求していない労働者に対して、なぜ請求しないのかという質問が出されておりますが、そのうちに七六%は請求したいと思うと答えていますが、請求しなくてもよいと気前のよい回答をした者はわずかに二%であります。私はこの数字の示すものは深刻だと思います。たくさんの労働者が規定時間以外の時間外労働をしております。そして腹の中ではもちろん割り増し賃金がほしいと思っております。しかし、実際にはそれが請求されていない。私はこれは自由にものの言えない職場を反映しているのではないかと思います。当然の権利さえなかなか要求できないような職場の実態があるからこういうことになっているのではないかと思います。農林経済局長としてはこの問題をどう理解されているか、御説明いただきたいと思います。
○内村(良)政府委員 請求すべき賃金を請求していないということは、職場がやはり自由でない、なかなかそういうことが言い出せないような雰囲気になっているのではないかという御質問かと思います。私ももちろんそういう職場が全然ないとは申し上げません。あるだろうと思います。 しかしながら、農協の職員の問題をやや歴史的にひるがえって考えた場合におきまして、私どもが承知をしておりますところでは、農協には役職員ということばがございます。と申しますのは、戦前、昭和恐慌のころから日本において産業組合運動が始まったわけでございますが、その場合において、産業組合で働くということは、協同組合運動に従うんだというような伝統がございまして、役職員一体となって仕事に取り組むというような伝統があるわけでございます。そのことがやはり今日も残っておりまして、農協の職員の中には、やはり自分は協同組合運動をやっておるのだということで、そこまではたして意識しているかどうかは別にいたしましても、とにかく他の職場とは違った何か一つの使命感を持ってやっている。したがって、もちろん賃金支払いは重要でございますが、まあ、農協のためならばそこはひとつがまんしようかというような気分があるのではないかというふうに私は考ます。
○諫山委員 いまの説明を聞いておりますと、残業して割り増し賃金を請求しないのが一つの美徳であるかのような立場で説明されたと思います。こういう立場で行政指導をする限り、この問題は解決されません。私の指摘した数字は何を物語っているかといいますと、残業しながら割り増し賃金を請求していないと答えた人が五五%、請求していない人がなぜ請求しなかったというと、請求しなくてもよいと思っている人はわずかに二%しかいない。七六%は請求したいけれども請求していないという回答を寄せているわけです。こういう実態について、何か残業手当を請求しないのが熱心な農協運動家であるような理解をしているとすれば、これはとんでもないことだと思いますが、いかがですか。もう一ぺんお答え願いたいと思います。
○内村(良)政府委員 私もそれは美徳というようなことで申し上げたわけではございません。今日の農協の歴史を見ますと、産業組合からずっと農協につながっているわけでございます。そこで、農協の中にはそういう伝統もあるし、その伝統が多少そういうことに影響しているのではないかということを申し上げているわけでございまして、それが美徳だから別に割り増し賃金を払わなくてもいいというようなことは全然考えておりません。
○諫山委員 労働省の監督課長にお聞きします。いま私が指摘したような状態というのはきわめて異常だと思いますが、普通の一般の労働者と比べてどうでしょうか。
○吉本説明員 ただいま御指摘の事実は、私ども必ずしも十分つかんでございませんが、やはり労働者として生活しているという観点からいいますれば、残業してそれに法定の残業手当が支払われることを期待していると思いますし、またそのような形での指導を私どもは一応しておるというふうに感じておるわけでございます。
○諫山委員 この点では経営者の責任もきわめて重大だと思います。経営者としては、労働者が請求しようとしまいと、時間外労働が行なわれた、休日労働が行なわれたということが把握できる限り、割り増し賃金を支払うのが当然だと思います。この点、労働省、いかがでしょうか。経営者は、労働者が時間外労働をしていることを知りながら、労働者が請求しないからといって、知らぬ顔の半兵衛をきめ込むというのは労働基準法違反ではないかと思います。この点、労働省の見解を聞きたいと思います。
○吉本説明員 やはり経営者としましては、残業を命じた場合に、それに対して手当を支払うのは当然の法律上の義務だというふうに思います。
○諫山委員 私は農協の労働基準法違反の中で、労働時間に関するものが非常に多いということを指摘いたしました。そしてその集中的なあらわれになっているのが、時間外労働をする、休日労働をしながらそれに対して手当が払われていないということに出ているわけです。この点で、いまなおこういう状態が続いているわけですが、農林大臣としてはどのように指導されるのか、お聞きしたいと思います。
○櫻内国務大臣 農協における労働組合のあり方について注意を喚起しなければならないということで、お示しのような資料に基づく指導を昨年行なった次第でございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、このような実態にあるということはまことに遺憾でございまして、これが是正には全力を尽くしてまいりたいと思います。
○諫山委員 時間外労働に対しては、通常の労働賃金のほかに割り増し賃金を払わなければならないことになっております。この割り増し賃金が払われない場合が非常に多いということは統計を見ても明らかでありますが、割り増し賃金に関する労働基準法違反でもう一つ問題なのは、時間外手当を払う、割り増し賃金は払うけれども、その計算が正しくないという場合です。たとえば特別手当、危険手当、主任手当、資格手当、こういう賃金を割り増し賃金を算定する場合の基礎に算入しないというやり方が行なわれていることが、三重県の調査によって明らかになっております。この種の労働基準法違反というのは、場合によったら経営者の無知を示すものであるかもしれません。場合によったら経営者のずる賢さを反映しているといえるかもしれません。こういう労働基準法違反に対しては、未払いの割り増し賃金を払うだけではなくて、使用者に対する制裁として附加金まで支払いが命ぜられるということになっているはずです。この種の問題について、労働省としては一般的にどういうふうに指導されているのか、御説明を願いたいと思います。
○吉本説明員 ただいま御指摘のような具体的な事実まで十分把握しているわけではございませんが、私どもとしましては、いたずらに処罰という前提をとって監督しているわけでございませんで、その企業の実態に合わせながら最低の労働条件が確保できるように、そのような指導をしていることでございます。また、その算定になります平均賃金の選び方につきましても、所定の仕組みで指導するように各監督署に命じている、こういうような次第で私ども処置をしておる次第でございます。
○諫山委員 三重県での調査を見ますと、所定労働時間を一日十時間としていたもの三件、許可なく宿直勤務させていたもの六件というような違反が指摘されております。これは労働基準法違反の中でも最も前近代的な違反だといわなければならないと思います。こういう状態はすでに一掃されているのかどうか、農林省の農林経済局長にお聞きします。
○内村(良)政府委員 昨年の通達に基づきまして、私どもがその後関係の農協ではどういうふうにしているかということを、若干違反が多いと思われるところについて調べた結果を申し上げますと、まず第一に、農協の管理者を対象として労使関係法令の研修を行なっておるところが多うございます。すなわち、いろいろな農協の労働基準法違反というものの原因を探ってみますると、管理者が必ずしも労働基準法に明るくないというような面も残念ながらございますので、まず第一に管理者に労働関係法令の研修を行ないまして、その趣旨の徹底をはかるということを行なっております。それから、就業規則等が整備されていない面がございますので、就業規則等の整備をはかっております。それからさらに、単協につきましては県知事が検査を行なっておりますが、検査等を通じまして——従来は、昭和三十年代等におきましては農協の経理面の検査が中心で、必ずしも労務管理面まで十分目を届かしていなかった面もございますが、最近では農協の労務管理の適正化等につきましても十分にこれを検査いたしまして、適正化をはかるように指導しております。したがいまして、最近ではそういった面についての農協管理者の意識あるいは農協の労働条件というようなものはかなり改善を見ているのではないかというふうに考えております。
○諫山委員 農協では女子の労働者がたくさん働いています。そして女子の労働時間に関する労働基準法違反が非常に多いというのがもう一つの特色であります。農政局の通達を見ますと、女子の労働時間違反というのが昭和四十二年度に二百十三件、四十三年度に二百六十一件、四十四年度に四百十四件、激増しております。さっきの御説明では、だんだん改善されているかのようなお話ですが、少なくともこの年代では年々労働基準法違反が激増しているという数字が出ております。そこで、この膨大な女子の労働時間違反というのはどういう内容の基準法違反なのか、御説明願いたいと思います。
○内村(良)政府委員 おもな違反内容でございますが、女子に休日労働をさせた、それから一日二時間以上時間外労働させている、それから許可なくして日直勤務をさした、それから協定があるところでは協定を越えて時間外労働をやらせている、それから時間外労働協定の届けがなくて女子労働をさせているというようなこと、あるいは女子労働者に深夜労働させたというのもございます。それから産前、産後の休暇を与えていない。生理休暇、これは一件でございますが、生理休暇を与えていないというようなのもございます。
○諫山委員 労働省の監督課長にお聞きします。 労働基準法では女子に対して特別な保護規定が設けられています。そしてこのことは、経営者たる者は当然熟知していなければならない内容ばかりです。ところが、いまの説明を聞きますと、きわめて初歩的な労働基準法違反が広範に行なわれているということが明らかになりました。監督する立場の監督課長としてはどうお考えですか。
○吉本説明員 ただいまのような実態につきましては、ここ数年来私どもの重点の一つにしておりまして、問題事業所につきましては、個別にいろいろ監督、指導をするなり、あるいは県段階におきます連合会あるいは全国的な形での中央会等に対しても働きかけをしながら、実際に法が守られるような体制をつくらしていくということが肝心であると思いますし、そのような形で今後指導してまいりたいというふうに感じております。
○諫山委員 農協の労働者にとって特殊の負担になっているのがいろいろな推進運動であります。共済の勧誘をやらされる、貯蓄の推進をやらされる、セールスマンのように電気製品の販売をやらされる、これが全国の農協で行なわれております。しかもそれが、通常の勤務時間中に通常の業務の一部としてやられるのであれば問題は少ないと思います。しかし、実際には勤務時間の後に、労働基準法上の取り扱いは全くあいまいにされたまま、推進運動が事実上強制されるということが行なわれております。これが農協労働者にとって肉体的にも精神的にも大きな負担になっていることは、全農協労連などのアンケートによる調査を見ても明らかであります。 そこで、労働省にお聞きしたいと思います。勤務時間が終わった後、家に帰った後、推進運動という形で労働者に貯蓄増進や電気製品の販売などが事実上強制されるというようなのは、労働基準法に照らせば、時間外労働をさせられているというふうに理解すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○吉本説明員 時間外につきまして、経営者の業務命令としましてそのようなことがされておれば、当然労働時間として考える、こういう見解でございます。
○諫山委員 明確に業務命令という形でなくとも、事実上そういう仕事が拒否できない、事実上強制されているというような場合には同様ではないですか。
○吉本説明員 そこのところはまさに客観的な判断を要するところでございますが、もちろん業務命令自体がはっきりと明示されておればよろしゅうございますが、黙示の命令がなされているというように推定される場合も含まれるというふうに解します。
○諫山委員 もう一ぺんいまの問題ですが、かりに明示の業務命令は出なくても、たとえば労働者にノルマが割り当てられる、事実上このノルマを遂行しなければ上役からきらわれる、あるいは昇給、昇格に影響するというような事実上の強制が行なわれている場合には、やはり時間外労働と見るのが当然ではないでしょうか。
○吉本説明員 客観的にそのように判断される場合はともかく、実際に自発的に行なわれるということであれば、その辺は労働時間にはならないというふうに解するわけでございまして、いろいろな角度から、確かにその点が指示がなされておるというふうに解される場合には、やはり労働時間として考えるという見解でございます。
○諫山委員 全く純粋に自発的な意思で行なわれている場合は時間外労働ではないかもしれないけれども、事実上それが拒否できないような状態で行なわれている場合には、時間外労働と見るべきだというふうに要約していいですか。
○吉本説明員 ただいまの点でございますが、事実上そのように判断されるということであれば、お話しのような御趣旨だと思いますが、その辺は十分実態をつきとめないと、必ずしも正確には言えないんではないかというふうに考えておるわけでございます。
○諫山委員 私、非常にくどいようですが、私の説明に間違いがありましょうか。事実上労働者が拒否できないような状態で推進運動が行なわれている場合というふうに限定づけると、これは当然時間外労働と見るというのが労働省の二十数年にわたる一貫した立場じゃないですか。どうですか。
○吉本説明員 事実上そのような形で指示がなされておるというふうに判断される場合を申しておるわけでございまして、その実態が事実上そういった形をとっておるということの前提で申し上げておるわけでございます。
○諫山委員 私はこの問題を福岡県の農協の労働組合について調査いたしました。そこではたとえば県下の単位農協で労働者の給料を基準にして共済推進のノルマがきめられるということが行なわれています。月給の二百倍から四百倍という金額、たとえば月給五万円の労働者であれば年間一千万円から二千万円というのがその労働者の達成しなければならない共済推進のノルマというようなことがやられております。そしてこのノルマを完遂するかどうかということが労働者の昇給とか、期末手当と直接結びつけられる、こういうことが普通に行なわれているようです。またある職場では、ことしの三月二十日から月末までの十日間を共済の推進運動にきめる。そしてこの十日間に男性の場合は五百万円、女性の場合は三百万円のノルマを達成しなければならない、こういう形で推進運動というのが事実上労働者に押しつけられております。こういうのは、従来の労働省の指導からいけば、事実上時間外労働が強制されているというふうに解されていたはずですが、違いますか。
○吉本説明員 そのような点が事実でございますれば、おっしゃるとおりでございます。
○諫山委員 そうすると、いま私が例示したような場合は、勤務時間外に労働者が推進活動をしたとすれば、その間の賃金はどういうふうに取り扱われるのが正しいでしょうか。
○吉本説明員 所定外にそういった事柄を仕事の一環として命ずるということでありますれば、当然時間外労働に対する手当を支払うべきであるというように思います。
○諫山委員 労働基準法上の時間外手当というのは、数字で言うと、どういう賃金をその推進運動の時間に対して払えということになりますか。割合で説明してください。
○吉本説明員 平均賃金の二割五分増しでございます。
○諫山委員 農林経済局長に聞きたいと思いますが、こういう推進運動というのは全国の農協で同じような形で行なわれているはずです。これに対して農協としては、これは労働基準法上の時間外労働だという立場から割り増し賃金が払われていましょうか。
○内村(良)政府委員 共済契約の夜間推進を行なっている農協が相当数にのぼっているということは御指摘のとおりでございます。ただ、農村生活の特殊性等から見まして、夜間、特に最近は兼業農家が非常にふえておりますので、夜間こういった推進事業を行なうのはやむを得ないんじゃないかというふうに考えております。したがいまして、われわれといたしましては、夜間やることがやむを得なくても、それが非常に長期にわたるというようなことは非常に困りますので、なるべく一定期間に集中してそういった推進事業を行なうほうが適当じゃないか。そこで、それが時間外労働であれば、やはり時間外手当は支給すべきことは当然だというふうに考えております。
○諫山委員 法律的な見解は私と労働省とあなたと一致したわけですが、実際に農協でそういう取り扱いが行なわれていましょうか。
○内村(良)政府委員 実はこの問題を扱いますときに、私どもが一番苦しみますのはその点でございます。と申しますのは、やはり農協も一つの経営体でございますから、その経営体としての収支上、それが許容できなければ実際上なかなか払えない、それが赤字になってしまうということであれば、組合員全体の問題にもなるということで、こういった、たとえば先ほど先生から最初に御指摘のございました農協の職員の俸給が他の役場なり郵便局あるいは企業に比べて安いというような問題につきましても、やはり何といいましても農協の経営基盤の強化が行なわれなければ、実際問題として払えと言われても払えない場合もあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、こういった問題については、まず農協の経営基盤の強化というものに関係者も現在一生懸命努力しているわけでございますが、行政庁といたしましても、そういった面に援助できる面があれば大いにそういう点を援助して、やはり農協の経営基盤の強化をはかることが非常に大事であるというふうに考えているわけでございます。
○諫山委員 いまの発言はきわめて重大です。労働省はいまの御説明を聞いて納得できますか。経営がよくなければ、時間外労働させても時間外手当を払わなくていいのだというような立場に立脚した答弁だと思います。労働省、いかがですか。
○吉本説明員 私どもとしましては、最低の労働条件を確保するということがたてまえでございますし、そのようなことがあってはならないというふうに思います。
○内村(良)政府委員 ちょっと補足して御説明申し上げます。 経営基盤の強化が非常に大事だということについて申し上げましたのは、農協の職員の俸給水準の問題について、確かに他の役場とか郵便局に比べて安い。それを他の公的機関あるいは企業並みに上げていくためには、まず農協の経営基盤の強化というものに意を注いで、それで月給を上げていかなければならぬということで、時間外の問題につきましてはやはり払うべきものは払わなければならぬというふうに考えております。
○諫山委員 実際に払われていますか。実情はどうでしょうか。
○内村(良)政府委員 実際は時間外推進について時間外手当にかえて推進手当として支給されている例が多いようでございますが、これは労働基準法との関連もございますので、法令に基づき時間外手当を支給する方向で全共連等を指導している次第でございます。
○諫山委員 私の調査ではほとんど時間外手当は払われておりません。中には名目的には何らかの歩合が払われているようなところもあるようですが、しかし、これは時間外手当に見合うようなものではありません。いまの説明でもわかりましたように、非常に大規模に、むしろ公然と労働基準法違反が行なわれているということが明らかになったと思います。これがすべて労働者に対する肉体的、精神的なしわ寄せになっていることは想像にかたくありません。農林大臣としてはこの事態を初めて認識されたのかどうか、またどういうふうに善処しようとしておられるのか、御説明願いたいと思います。
○櫻内国務大臣 昨年二月にこのような事態に対して注意を喚起しておることは御承知のとおりであります。そして、その後の中間報告については、先ほど内村局長から御報告をさせましたが、いまだ改善の傾向というものはあまり芳しくない事実も承知したわけでございます。こういうわけでございまして、農林省としても、労働基準法の違反のなきように、労務管理が正しく行なわれておるように、そのように指導はしておりましても、まだ不十分であって、御指摘のような違反事項が非常に多いということはまことに遺憾であります。現在これが改善のために鋭意努力をしておるわけでございがするが、冒頭の御質問にお答えをいたしましたように、農業協同組合の実態というものが非常に、まあ千差万別と申しましょうか、経営の内容あるいはきょう御質問の重点になっておる労務管理のあり方等についていろいろと実態が異なっておるという事実は認めざるを得ないのであります。また、このような事態が引き続き行なわれるということでありましては、まことに遺憾なことでございまして、今後一そう指導よろしきを得て、改善の実をあげたいと思います。
○諫山委員 こういう無理な推進運動が行なわれるというのも、農協中央会が進めてきた総合三カ年計画の結果だと思います。中央で全国的な目標をきめる。その目標が各都道府県に割り当てられる。各都道府県は単位農協に割り当てる。そしてそれが一人一人の農協労働者の個人のノルマとして割り当てられる。こういう仕組みが行なわれておりますから、全国的な規模で労働基準法違反が行なわれるというのは避けられないわけです。 この問題について労働者が非常に強く要求していることは、個人のノルマの割り当てはやめてもらいたい、あるいは、自分の所属している担当課に幾らというようなノルマを割り当てるようなことはやめてもらいたい、むしろ推進運動がどうしても必要だとすれば、それを自発的な意思にまかしてもらいたいということを要求しております。この点は農林経済局長も御存じだと思いますが、つまり割り当てるという問題をどういうふうに考えられるのか、これまたどうしても必要なことだと考えておられるのか、見解を聞きたいと思います。
○内村(良)政府委員 先ほど申し上げましたように、ある程度共済事業の推進運動というのは必要だと思います。ただし、それが各職員にノルマとして割り当てられるという形での推進は行き過ぎでございますから、あくまで役職員話し合って、組合の経営等のことも考えながら推進運動を進めるという姿でなければならないと思います。
○諫山委員 農協で働いている労働者に昇給辞令が渡されるときに、あなたの今年度のノルマは幾らですよというふうに割り当てることさえ行なわれているところがあります。こういうノルマを強制するということは今後全国的に行なわれないように、直ちに指導するというふうに聞いていいですか。
○内村(良)政府委員 昇給辞令をもらうときにノルマを言われるというようなケースにつきましては、私どももそういう点について熟知しておりません。したがいまして、その辺は十分調査をいたしまして、そのようなことがないようにしたいというふうに考えております。
○諫山委員 私は昇給辞令を渡すということを一例として申し上げたわけですが、推進運動で個人的なノルマを強制することはよくない、推進運動が必要だとすれば、それは労働者の自発にまかせるべきだという点では、農林省も意見が一致したのじゃないかと思いますが、そういう立場で、ノルマの強制、押しつけはしないように、直ちに指導するというふうに聞いていいですか。
○内村(良)政府委員 推進運動の展開につきましては、役職員よく話し合って進めるように指導したいというふうに思っております。
○諫山委員 あなたの答えからは強制しないという発言が出てこないのですが、農林大臣、いかがでしょうか。これは強制すべきものではないと思います。農林大臣のほうでこの点善処のために勇断を振われる意思はないかどうかをお聞きしたいと思います。
○櫻内国務大臣 この問題については実態がつまびらかでございません。お示しのような場合も御調査の上での御質問でございまするから、私はそれなりに評価をして承っておるのでございまするが、先生の御指摘は、全国的にそういう事態があるのではないか、したがってそれについてどうだ、こういうように言われますると、責任ある私としてはそれを前提としてのお答えはしにくいことは、御了解願えると思うのであります。しかし、ノルマが強制的に行なわれるというような事態は、これは好ましくないということは言うまでもないと思います。
○諫山委員 そうしたら、農林大臣に最後の点だけもう一ぺん確認していただきたいと思います。全国的か局部的かというのは別問題として、ノルマが強制されるのはよくない、だからノルマを強制するようなことはしないように指導するというふうに聞いていいですか。
○櫻内国務大臣 あなたの御質問は、強制の事実が全国的にあるという前提の御質問でございまするから……(諫山委員「私はそうではありません、問題を変えました」と呼ぶ)そこで、先ほどそれについては、私が責任の立場上お答えはしにくいが、しかし、かりそめにも、通常の目標程度であればこれは理解ができても、それがいわゆる強制的なノルマ、こういうことになれば、これは私は好ましくない、こう申し上げておるわけであります。
○諫山委員 好ましくないから直ちにやめるように指導するという説明を期待しておったのですが、残念ながらそういう答弁は出ませんでした。 〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 この点はもう少し実情を調査されて、次の機会に私はもっと明確な御説明をいただきたいと思います。 そこでもう一つ、この点で問題になるのは、ノルマが強制されるということと同時に、もしそういう仕事が行なわれたとすれば、これは時間外労働として取り扱うべきだ、労働基準法の規定の最小限の割り増し賃金は当然払うべきだというふうに理解しますが、いかがでしょうか。
○内村(良)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、まあ、共済契約の夜間推進をする、それが仕事の範囲内で行なわれている場合は、もちろん時間外の推進になるわけでございますから、時間外手当を支給しなければならないことになると思います。
○諫山委員 この問題については、推進運動として勤務時間外に、あるいは夜間に仕事が行なわれた場合には、労働基準法で保障されたとおりの賃金を払うように改善させるというふうに御説明いただけますか。
○内村(良)政府委員 ただ、その場合一つ問題になりますことは、理事者側といたしましてはっきり業務命令を出して、そのような仕事に従事させている場合におきましては、これは当然時間外になりますし、労働基準法上の時間外手当を支給しなければなりません。 〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、組合員が自発的にそういう仕事をやっておる、たとえばさっきノルマという話が出ましたけれども、こういった推進事業について、ノルマというような形ではなしに、たとえばあなたはまあこれくらいお願いしたいというようなことを軽く言うことがあるわけでございます。その場合、それを受けて自発的に自分が夜間推進をやっておるというような場合には、これははたして業務命令に基づくものであるか、はっきり業務命令が出ていない場合には、その辺には実際上の場合問題があるのではないかと思います。
○諫山委員 業務命令が出ていなくても、事実上ノルマを達成するために推進運動をやらざるを得ないというような場合には、これは正式な時間外労働でしょう。業務命令が出ているか出ていないかが分かれ道になるのではなくて、事実上労働者が強制されるような条件にあるのかないのか、これが分かれ道でしょう。違いますか。
○内村(良)政府委員 これはその場その場の具体的な場合についてやはり調べなければならないわけでござますが、事実上強制されているかどうかというところの判断等につきましても、いろいろな問題がそこにあるのではないか。しかし、先生が御指摘のように、明らかに事実上強制されているんだ、何人が見てもそうだというような場合には、これは時間外労働になることは確かだと思います。
○諫山委員 ノルマがきめられているということは、事実上強制がされている最大の裏づけではないでしょうか。
○内村(良)政府委員 ノルマがきめられているということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、一つの推進運動をする場合には、目標みたいな形でこれぐらいやってくれということを言う場合が多々あると思います。そのほうが推進運動として現実的な場合が多いわけでございます。そこで、達成しなかった場合に賃金カットするとかそういうことはもちろんしておりませんから、ノルマということばの解釈の問題もございますけれども、その辺につきましてはやはりケース・バイ・ケースで実態を十分調査してやらなければいかぬのじゃないか、実態に応じて処置すべき問題じゃないかというふうに考えます。
○諫山委員 私は昨年の二月二十一日付の農林省農政局長の知事あての文書を見ましたが、これを見ると「適正な労務管理に対する認識を深めさせるようにすること。」ということが書かれております。しかし、いま必要なのは、農林省自身にこの点をもっと認識を改めていただくことが先決ではないかと思います。使用者と労働者は対等ではありません。強いのは使用者です。弱いのは労働者です。ですから、たとえば業務命令という形で命令をしなくても、やらざるを得ない場合がしばしば出てくるわけです。こういう場合、労働基準法は労働者を守る立場をとっております。この点を踏まえないと、脱法的に労働基準法が公然と踏みにじられるというようなことになってくるわけです。この点は農林省自身がもっと認識を改めるということがいま先決問題ではないかと思います。でないと、こういう大規模に行なわれている労働基準法違反がこれからもずっと続いていくというような事態になりかねないと思うわけです。 しかし、この問題は別の機会に譲ることとしまして、もう一つ次のことを質問します。 それは年次有給休暇の問題であります。ことし最高裁判所が年次有給休暇について新しい判決を下しておりますが、農林省の農林経済局長、御存じですか。
○内村(良)政府委員 遺憾ながら承知しておりません。
○諫山委員 農協を指導する立場の人が労働者に有利な新しい最高裁の判決が出たのを知らぬというのでは、お話になりません。今度の最高裁判所の判決というのは、私たちから見れば不十分な点があります。しかし、年次有給休暇というのは労働者の権利だ。使用者がそれを承認するとか承認しないとかというようなことをいう余地のないものだということを指摘した点で大きな意味があります。また、年次有給休暇を何に使うかというのは労働者の自由だ。使用者は、労働者が年次有給休暇を何に使うかというようなことに干渉してはいかぬということをいったのです。そして、この判決に基づいて労働省としてはいろいろ労働行政の指導を改めておるはずです。 そうすると、この判決が出たあとも、農林省としては別にこの判決に基づく特別の指導というのはしていないのですか。
○内村(良)政府委員 農林省といたしましては、労働省とよく相談しながら農協の労務管理の問題につきましては指導を進めたいと考えております。そして、全般的に先ほどお話がございました労働基準法違反の問題等につきましては、やはり解釈は労働省の解釈に従って当然やるべきであるというふうに考えておりますので、私どもは労働省の指示したところに従って指導をしたいというふうに考えております。
○諫山委員 いまの発言もたいへんな問題です。最高裁判所の判決は、長年にわたる労働省の指導と違っておるのです。ですから、最高裁の判決が出るまでならそれでいいのかもしれません。しかし、現在は、従来の古くさい労働省の方針でやるのではなくて、最高裁の判例の立場で指導しますという答えにならないとうそです。 そこで、三重県の単位農協職員組合のアンケートを引用いたします。これは一昨年十月の調査でありますが、年休をとるのに上司から理由を聞かれますか、という質問が出されております。それに対して、理由を聞かれると答えた者が三三%です。いま農協の職場は人手不足です。労働者はおそるおそる年次有給休暇の申し出をします。そのときに使用主がどういう理由で休むのかというふうに聞くということは、それ自体年次有給休暇をとることに対する目に見えない圧迫になるわけです。こういうやり方は最高裁判所の判決に違反すると思うのですが、農林経済局長は判決を見てないそうですから、御説明できないでしょうね。どうでしょうか。
○吉本説明員 今回の最高裁の年次休暇についての判決の趣旨は、いま先生がおっしゃるとおりでございますが、理由の問題につきましても、特にそういった理由を問う必要はないというような趣旨もうかがわれますが、全体の労務管理からいえば別の問題も生じてこようかと思いますが、法律論からいえばそのとおりであります。
○諫山委員 いまの発言も重大ですよ。法律では理由を聞くことはできないかもわからないけれども、労務管理からいえば別だというふうに言われるのですが、そうですか。法律と労務管理が食い違っていいのですか。
○吉本説明員 ちょっとことばが足らないでたいへん失礼申し上げました。 理由の関係につきましては、おっしゃるとおりでございます。ただ、労務管理上と申しましたのは、使用者のほうの時期変更権の行使の場合に、その点の考慮が払われる必要もあるんじゃないかということを申し上げただけでございますので……。
○諫山委員 農協の職場で年次有給休暇がどの程度消化されておるのかという問題を、私は福岡県の農協の組合について調査しました。ほとんどの労働者が四十日の年休の権利を持っておるそうです。つまり年休を完全に消化していないから、それがたまっておるわけです。そしてどのくらい年休を消化しているかというと、大体一年に十一日か十二日だ。あとは、権利はあるけれども、これを行使していないのだそうです。これは全農協労連で聞きますと、福岡だけの特殊な事例ではなくて、全国的な実情だというふうにいわれております。 近ごろはもっと休暇をふやせというような声が全国的に広まってきました。ところが、農協の職場で、労働基準法上当然賃金をもらいながら休むことのできる年次有給休暇に対して、あまりそれが利用されていない。これは私は非常に異常な状態ではないかと思いますが、なぜこういう状態になっておるのか、またこの点について改善するところはないのか、農林省に御説明願いたいと思います。
○内村(良)政府委員 年次休暇をとろうとする農協の職員に対して理事者がそれをチェックするというようなことは好ましくないことでございますので、そういうことはあってはいかぬと思っております。しかし、休暇をとるかとらないかというのは、やはり働いている職員の人がどう考えているかということもございますので、ここで絶対的に与えられた権利の休暇だけはとるべきであるということをいっても、本人がとらないというような場合もあり得るのではないかというような感じもいたしますが、この点につきましては十分調査してみなければならぬ問題もあるかと思います。
○諫山委員 労働者の実態に対して理解がなさ過ぎると思います。だれだって、仕事をしたくてたまらないという人はおりません。もし年休をとらないとすれば、それは人が足りないからです。仕事が多過ぎるからです。当然とることのできる年休をとればほかの人に迷惑がかかる、自分の仕事を処理し切れない、こういう職場の実態の中から年休をとれない場合が出てきます。あるいは年休をとりたいけれども、なぜ休むのかというようなことを使用者が聞く、こういう中で、そんなことを言われるくらいならもう休まぬでいいというふうにあきらめる人も出てくるはずです。これが職場の実態です。そういう問題に全く理解を寄せずに、労働者が請求しないのだからいいじゃないかというような態度をとるとすれば、これまた労務管理の改善というのはあり得ないと思いますが、どうですか。
○内村(良)政府委員 農協の仕事というのは、農業を相手の仕事でございますから、季節性がございます。たとえば、ある時期に非常に農産物の出荷が多いというときには、やはり農協職員全力をあげてやらなければならぬ場合もございます。そこで、私どもといたしましては、そういった農業に密着している農協の特殊な性格から、そういった点を考えながら、ひまなときにはなるべく年次休暇を消化するとか、そのような形で指導しなければならない面が多いというふうに考えております。
○諫山委員 農協の仕事に季節性があるから年次有給休暇が完全に消化されていないのじゃないかというふうに考えたら、これまたたいへんな間違いです。年次有給休暇というのは一年三百六十五日のいつとってもいいわけです。農業の忙しいときにとらなければならないというのじゃありません。私は特に希望したいのは、いまあなたが述べられる責任のがれのような態度では、農協労働者の生活と権利は守られないということです。やはり、農協労働者が十分休むことのできるときには休めるというような条件をつくってやらなければ、ほんとうの農協の民主的な発展というのはあり得ないと思うわけです。 そこで、観点を変えて憲法二十八条あるいは労働組合法第七条三号の問題について質問いたします。 いま全国の農協を見てみますと、幾つかの農協で、労働組合の専従職員を認めないということが問題になっております。そこで、労働省の労働法規課長に質問したいのですが、日本の労働組合は大部分企業別につくられています。ですから、在籍専従なしには組合の日常運営は不可能だというのは常識になっていると思います。農協の労働組合の場合もやはり企業別につくられております。ですから、労働組合を正常に運営しようとすれば、どうしても在籍専従が必要になります。ところが、幾つかの農協でありますが、在籍専従を認めないということがずっと続いているようです。こういうことが、日本の民間企業として他にあるのかどうか、私、非常に異常な状態ではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、在籍専従を認めないことの法律的な問題についても説明願いたいと思います。
○岸説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、先生御指摘のとおりに、日本の労働組合は企業別の組合が多うございまして、確かに在籍専従を認めている実例というのが非常に多いわけでございます。しかし、これは厳密に申しますと、そういうような組合と使用者の関係というのは、これも一種の便宜供与でございまして、これについて必ずそういうことをすべきであるというような法律上の根拠というのはないわけでございまして、むしろ相互不介入、たてまえとしては組合は自前で運営をされていく、こういうことがたてまえでございます。しかしながら、日本の組合の場合には、やはり先ほど御指摘になっているように、全く在籍専従を認めないということでございますと、いろいろと組合の運営上も支障があるという点もございまして、現実には相当数の組合に在籍専従を認めておるというのが実態でございます。
○諫山委員 在籍専従の問題で大切なのは、なぜ認めないかです。たとえば非常に重要な特殊な仕事をしている人で、この人を引き抜いたら農協の仕事自体がたいへんな支障を受けるというような場合は、特別な取り扱いが出てくるかもしれないと思います。しかし、そうじゃなくて、あの男が労働組合運動に専従するのは困るというような立場から在籍専従を認めないというようなことは、法律的に違法だと思いますが、どうでしょうか。
○岸説明員 いまのようなお尋ねの点、私、正確に申しますと、たとえば在籍専従を認めないということが直ちにストレートに不当労働行為につながるかというと、ちょっと私は問題があろうと思います。ただ、農協の職員が組合活動をする、そういうものに対して使用者のほうでそれを妨害をしていくようなことはこれはもう御承知のとおり当然不当労働行為になるわけでございまして、在籍専従としての便宜を与えるかどうかという点については、これはストレートに不当労働行為だというふうにはちょっと言いにくい点があろう、かように思います。
○諫山委員 私は抽象的に在籍専従を認めないことがどうかと質問したのじゃありません。あの男が組合運動に専従しては困るというような立場で在籍専従を認めないのは違法じゃないかと質問したはずです。そうして、それが違法だということを判決した裁判所もあるはずですが、どうですか。
○岸説明員 一般的な御質問でございましたものでそういうふうに申し上げましたけれども、これはそれぞれのケースによって違うだろうと思います。たとえば当該事業場において従来から在籍専従制度がある、しかるにある特定の労働者が在籍専従になるということについて、特段な合理的な理由がないにもかかわらず、それに対して在籍専従を認めていかないということになりますと、これは差別取扱いという問題で、御指摘のとおりの不当労働行為という判定があり得るだろうと思いますが、そういう前提でありますならば、御指摘についてはそういうようなケースもあろうというふうにお答え申し上げたいと思います。
○諫山委員 もう一つ別な問題ですが、農協の経営者が全農協労連を毛ぎらいするという問題があります。労働組合が上部団体に加盟するかどうか、加盟するとしてどういう上部団体を選ぶかということは、労働組合が自主的にきめることです。経営者がこれに介入してならないのは当然です。このことは憲法二十八条とか労働組合法第七条第三号を見れば明らかです。 ところが、ことしの春闘でこういう問題がありました。ある単位農協の労働組合が賃上げ要求したところが、経営者がなかなか賃上げを認めてくれません。そこで、その労働組合が、どうしても要求をのまないというなら全農協労連に加盟しますよと発言すると、経営者はびっくりぎょうてんして、労働組合の要求をのんだそうです。賃上げは認めます、全農協労連には入らないでください、こういう態度を経営者が示したそうであります。こういうやり方は正しいでしょうか。労働省、いかがですか。
○岸説明員 御承知のとおり、組合が上部団体に加入するかどうかということは組合の自由でございます。したがいまして、もしも、全農協労連でございますか、そこへ加入するということについて使用者のほうでそれを妨害するというようなことがあれば、これは労組法第七条に該当するというように思います。
○諫山委員 同じような問題は農協の幾つかの職場でときどき起こっているのですが、農林省としてはこういう問題を御承知でしょうか。また、こういう問題に対してはどういう善処を考えていますか。
○内村(良)政府委員 先ほども申し上げましたように、単協につきましては知事がいろいろ検査をしておりますので、そういった検査の結果、労務管理等につきましても十分調べまして、指摘をし、是正させるところは是正させるように指導したいというふうに考えております。
○諫山委員 農林大臣にお聞きします。 農協の職場で非常に広範囲に労働基準法が侵されているし、また当然憲法や労働組合法で保障されているはずの労働者としての権利というのも保障されていないということを、ぜひ農林大臣にも御理解いただきたいわけです。労働基準法違反が非常に多いということは、農林省農政局長自体の通達によっても明らかにされております。私は、農協労働者が自発的に積極的に仕事を進めて、農協がどんどん発展するということをもちろん期待しております。しかし、同時にまた、そこで働いている農協労働者も人間です。家族をかかえた労働者です。この人たちに対して十分な権利と生活が保障されなければならないのは当然です。私はさっきから内村農林経済局長の発言を聞いておりまして、農協はあまり経営がよくない、だから労働者もある程度がまんしてもらわないとしかたがないんだ、労働基準法違反をあまりやかましく言ってもらっちゃ困るんだというような気持ちがあるんじゃないかということを感じました。しかし、経営の問題と労働者の生活と権利の問題というのは、これは別のことです。そういう点で農林大臣、農協で働いている労働者の生活と権利の問題についてどのように考えられたか、お聞きしたいと思います。
○櫻内国務大臣 内村局長としては局長としての立場があることは御了承いただけると思うのであります。農業協同組合に対して、単協については間接的な立場にあるということは、先ほどからお答えで明白にしておるところでございます。そういうわけでありますから、単協の指導についても間接的にならざるを得ない点は、これは御理解をいただきたいと思うのであります。 何かきょうの一問一答から、農林省の立場に対して若干の御批判的なお気持ちをお持ちのようでございまするが、いまのようなたてまえを御理解していただくとともに、農林省自体としては、農協全般的な指導については、過去における違反の事例なども示しながら、それら善処方について都道府県知事を通じてお願いをしておる。また、そのお願いした事後の措置についても、部分的でありましても、最も違反事例の多いところのその後の経緯を聴取しておるということで、私としては、御批判はありましても、それなりの農林省としての責任の遂行に当たっておるということを御了承いただきたいと思うのであります。 そこで、きょうのお話の中で、広範囲に基準法の違反があるのではないか、労働者としての権利が十分保障されてないではないかということで、事例をあげてのお話でございました。それらの事例について、先生が御調査に基づいて言われておることで、これをかれこれ言うものではございません。そういう事例があったといたしまするならばまことに遺憾なことでございまして、そういう事態の改善のために、直接、間接とを問わず、私どもが努力をする立場にあることは言うまでもないことでございまして、そのような見地に立って今後の行政の衝に当たってまいりたいと思います。
○諫山委員 終わります。
○佐々木委員長 次回は明二十五日、水曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十六分散会