農林水産委員会 第6号
- 発言数
- 151 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/03/06
会議録
○佐々木委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川利三郎君。
○中川(利)委員 私は、日本農業のモデルパイロットといわれました八郎潟干拓地の大潟村の営農の問題についてお伺いしたいと思います。 生産性の高い、機械化された農業、そして近代的な農村づくりを柱としてつくられました大潟村は、さすがに幾らかの特徴はありますけれども、その実態はほかの農村地域と無縁ではなくて、年ごとに暮らしが苦しくなって、最近では出かせぎをして生活をささえている者があらわれているのが実情であります。一方、減反のあらしも容赦なく吹き荒れまして、米価の実質的値下げのもとに、今月末には部分竣工が強行されようとしております。幸い五千五百ヘクタールありました未配分地につきましては、四十八年度予算で入植再開と規模拡大の実現がある程度できるようになったことはたいへん喜ばしいわけでありますが、いまだ使途不明の千二百ヘクタール余のあと地、残地や、秋田湾大規模工業開発や秋田空港建設等考えあわせて、いまや農村社会のシンボルたるべき大潟村の未来像が明らかにされていないのが実情でございます。 こうした中での部分竣工によりまして、入植者はこれから多額の借金の返済あるいは農地や農業施設の完備、これらにかかわる固定資産税などの税金、あるいはいままで免除されていました所得税の課税など目前にいたしまして、現場での営農はまさに不安とおののきの連続であると言っていいと思います。しかし、日本農業を守るという皆さん方の強い使命感は、これらの困難を克服するに十分な力があると思いますが、それには政府、農林当局のこの皆さん方に見合った熱意が、あるいは見合った配慮がなければならないと思います。 そこで、まず前段私がお伺いしたいことは、これまでの八郎潟営農に対する農林当局の、政府自体の評価についてまずお伺いしたいと思うわけであります。簡単でけっこうです。
○櫻内国務大臣 これからの農業を経営規模を大きくしていこう、また合理的な経営をしよう、能率をあげよう、こういう前提で、八郎潟の干拓地におけるこれからの農家の皆さん方にもそういう趣旨にのっとった方向で農業経営をやっていただきたい、そのような見地で出発をいたしておるわけでございまするが、ただいまの御質問ではまだ私にどういうお考えをお示しなのか十分にわかりませんが、もし私どもの意図と大きく離れておるということでありますならば、それはまことに遺憾に思う次第でございます。
○中川(利)委員 八郎潟の営農形態につきましては、当初機械化、協業化、こういうことでありまして、たとえば機械化の分野で見ましても、直播形態でやるということでありまして、ヘリコプターからもみをまいた例なんかもありますが、これは完全に失敗したわけですね。次の年に今度は半分の面積についてそれをやりましたが、これも失敗したわけです。そしていまでは、農民自身の抵抗もありましたし、皆さんの反省もあったかどうか知りませんが、ほとんど手植えでやっておるというのが実情であります。つまり普通の農村社会のたんぼでやると同じようなかっこうで手植えでいたしておる。こういう実態は皆さん方が意図したものとははるかに隔たりがあるように思われますが、こういうことについてどうお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
○小沼政府委員 お答え申し上げます。 八郎潟の計画の当初におきましては、十ヘクタールの水田で協業形態でやっていくという考え方でございまして、その協業形態自体は現在も続いているということでございます。 技術的な問題といたしまして、水田の湛水直播という形について当初いろいろ考えておったわけでございますが、周辺の実験等いろいろやってみました結果、なかなか技術的にむずかしい問題もあるということで、御承知のとおり、機械化の苗植えあるいは手植えということを周辺の労働力を勘案しながら進めるということでございます。 ただ、今後、コンバインで刈り取りをするということは現にやっておりますが、そういうものとの関連におきましても、労働力を極力減らしていく意味では、やはり直播形態ということについては今後も考えていく方向であろうというふうに私どもは見ておるわけでございます。
○中川(利)委員 いまの局長の御答弁では、ヘリコプターによる湛水直播といいますか、これは技術的にむずかしいというお話がありました。しかし、その技術的にまだ全然成果の出ていないそういうものを押しつけて失敗させたということですね。つまり、皆さんが自信の持てないものを農民に実験させて失敗させた、こういうことであれば、八郎潟の農民は政府によるところの何かモルモットというか、実験材料になっておるというような状態を考えますが、その点はどうなんですか。
○小沼政府委員 第一次の入植以来いろいろの技術的な問題点を解明しながら、農家と一緒になって八郎潟事業団あるいは大潟村当局が進めてまいっておりますが、先ほども申し上げましたように、今後労働力を減らしていくという観点から申しますならば、播種時期における技術の問題、刈り取り期における技術の問題あるいは乾燥調製、いろいろの技術の面で相当思い切った技術が進められなければならないというふうに私ども考えております。現に優秀な農家が入植しておりますので、いろいろ農家自身もくふうを重ねてきておりまして、現在はかなり稲作農業自体が定着してきているというふうに私ども見ている次第でございます。
○中川(利)委員 私が言いたいことは、たとえば皆さんにこういうものでやるという営農方式を示した場合、それの実験その他によって、これならできるという状態で初めて皆さんにやらせる、そういうことでなければモルモットにされるということです。事実されてきたわけです。したがいまして、今後ああいう直播の失敗の例をくんで、そういうことのないように十分な実験なりなんなりをいたしまして、これでいけるという状態で初めてやらせるようにやるのかどうか、この点を確認したいと思うわけであります。
○小沼政府委員 今度の八郎潟に農業短期大学の施設を設けて実験農場をつくる計画でございます。現に進行中でございますが、そのほか国の東北農業試験場から指導に参りまして、現在も試験あるいは八郎潟事業団が行なっております事業等を通じまして、今後の新しい営農形態、いまよりももっと進んだ形についてのくふうを重ねていくということを農家とともに現在やっているわけでございまして、今後もああいう大規模な形をさらに一歩進めて、高能率高生産の模範になるような形に仕上げていく努力を重ねていきたいというふうに考えている次第でございます。
○中川(利)委員 高能率高生産とか将来のことはともかくとして、いまの現実の問題はこうなっているということですね。つまり、昔どおり手植えで田植えをやっているということ。あなたが将来の方向がどうだということは、それはわかりますけれども、極力労働力を減らすなんということもおっしゃっていますけれども、実態は、八郎潟の田植え期というのは、ちょうど周辺の湖岸の農家の方々の田植え期とも競合するのですね。したがいまして、これだけの大規模な田植えをやるとなれば、当然その労働力が必要になりますね。そうすると堺八郎潟の営農が相当確立するためには、周辺の湖岸の農村の中に三反百姓、五反百姓がたくさんいなければ成り立たないというのがいまの状態なんですよ。このことについてどう考えるかということをお伺いします。
○小沼政府委員 現状では、確かに御指摘のように、周辺の農家の労働力を田植えの時期に集めまして、それで田植えの労働のピークを消化しているということでございます。しかし、新しい直播の田植え機械等もできてきておりますし、そういうもので今後労働力はできるだけその周辺にたよらないでできる形に移行するということが必要でございますし、その点についてはすでにそういう芽ばえも出てきているというふうに承知しているわけでございます。
○中川(利)委員 そういう芽ばえがあるということは、私も秋田の人間ですから、わかっています。実にいままでの八郎潟営農というものは、皆さんのお題目とはうらはらに、たとえば田植え一つを見ましても、周辺の賃労働で、いつでも出てくる三反百姓がおらなければ成り立たないということは、これは一つの大きい問題だということを指摘しておきたいと思うのです。 同時に、営農形態につきまして、たとえば皆さん方は六十町歩区画あるいは三十町歩区画の協業組織、機械中心のこの協業がいま成功しているのか、事実上この問題がくずれているのかどうなのか、そこをひとつ教えていただきたいと思います。
○小沼政府委員 中央干拓地におきます営農組織につきましては、おおむね六十ヘクタールを単位にいたしまして大型または中型の機械を使うという、そういう協業組織、つまり共同利用組織でございますが、そのほか入植者の意思を尊重いたしまして、部分的な協業組織あるいは生産法人というふうなものも当初からできていることでございます。したがいまして、基本計画におきましても、いわゆる協業経営を考えてきたということではなくて、むしろ共同利用組織というものを中心にひとつ考えていこうということで進めてきておりまして、今後も、御承知のとおり、自分で持てるトラクター等もございますけれども、大型のコンバインなどにつきましてはやはり共同で使うということでなければいけませんし、その利用をうまくやっていくということが今後こういう八郎潟のようなところでの一つの行き方でございますし、このことにつきましては、ほかの地域もああいう大型の機械を使っていくという、その模範というか、先例になるのではないかというふうに思っております。 協業組織としていろいろの形があり、御承知のとおり、それが部分的に解体したものもありますし、また現在続いておるものもあるという状況でございます。
○中川(利)委員 皆さんの目ざしたのは六十、三十ヘクタール単位の協業化なんですね。いまあなたはそういうものを目ざしていないとおっしゃいましたけれども、そうじゃないのです。八郎潟の入植者が訓練期間中何を聞かされ何を学ぶかというと、そういうかっこうの日本農業の未来図を学んで、それをやるのだといって入植しておるのです。ところが、実際の状況を見ますと、協業は機械だけであって、経営は考えなかった、ばらばらになっておるのですね。このことから考えますと、皆さんは協業がすべてだ、あるいは共同化がすべてだ、あらゆる農業問題を解決する基本のようなことを言っておりますが、そういうことにならないのではないか、八郎潟は典型的にそれを教えておるのではないか、こういうように思いますけれども、この点についてはどうですか。簡単でいいですから。
○小沼政府委員 当初の基本計画におきましても大体一戸当たり五ヘクタール、七・五ヘクタールそれから十ヘクタールの三種類の家族経営ということでございまして、この協業組織はなるべく同一規模の家族経営によって確保するということで、しかし、入植者の意思を尊重いたしまして、部分的な協業組織なり農業生産法人による協業経営をとることも差しつかえないという考え方で現在まで来たわけでございます。
○中川(利)委員 私、指摘しておきたいことは、協業というものはくずれておる、この事実をひとつ十分よくのみ込んでいただきたいということです。 それから次に、部分竣工の問題でお伺いするわけですが、まだ全面的に、八郎潟の干拓工事ができておらない。にもかかわらず今度部分竣工だということで、四月一日から土地改良区を発足させてやるようなことになりまして、いま秋田県の地元ではたいへんな問題になっておるわけです。 そこで、部分竣工というからには、その部分について竣工していなければ部分竣工とはいわれないと思うのです。農民にいま土地を引き渡す、そういう状態で引き渡した以上、すぐ土地代金の償還が始まるわけでありますが、これは完全に竣工しておるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○小沼政府委員 全体でございませんで、一部分について入植をして営農をやっている地域でございますけれども、そこの地域につきましては、すでに工事が完了いたしておりますので、その地域を部分竣工をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
○中川(利)委員 そうすると、お伺いしますが、いま事業団に対して、入植者の農民の方々から、これはまだ整備してないじゃないか、ここを直したらどうだ、やり直したらどうだという問題が持ち込まれているのが一千件以上あるという事実をあなたは知っていますか。
○小沼政府委員 すでに、竣工ではございませんが、竣工の手続がなしに配分をしている農地で営農をやっていることは、御承知のとおりでございます。その既配分の農地のうち、確かに土地条件が悪いというふうなことで、営農に支障を生ずるおそれがあるというふうなことがあるやもしれないということでございますけれども、判明したところについては、それについて手直しをするということをいたしているわけでございます。追加して補修が必要であるというところにつきましては、その工事を実施したいというふうに考えておりますが、全体として見まして、先ほど申しました部分竣工をしようとする区域につきましては、大体四十七年度までに完了した上で部分竣工をするということでございますから、大体全部できているというふうに見て差しつかえございません。 ただ、今後さらにそういうことで、どうしてもまだ不都合である、工事の手直しが要るというふうな場合には、これはやはり補修工事を進めていきたいというふうに考えております。
○中川(利)委員 そうすると、あなたのいまのお答えでは、土地改良区が四月からできる、土地改良区ができても国がそれをあわせて直してくれるということですか。同時に、いま千件以上もまだ未整備のところを直せという要求があるのです。たとえば排水路の護岸工事だとか、農業用地の隆起や沈みの補修工事あるいは農業用水路の付属的な補修だとか、農業用水の水質改善だとか、たくさんな問題があるわけですよ。だから、国が農民に譲り渡すときには完全なものとして譲り渡さなければ、あとは全部自分たちの負担になるということで、皆さん方に対して要求を出しているわけでありますが、いまの答弁だと土地改良区ができても皆さん方の負担にならないで、国がその分をやってくれる、こういうふうに理解してよろしいですね。
○小沼政府委員 一応部分竣工いたしました後に出てくる補修の工事につきましては、従来、部分竣工する前にできるだけ補修はやっているわけでございますが、今後生じた場合に、土地改良区ができましたら、土地改良区の事業ということになろうかと思いますが、土地改良区がまだできておりませんし、そういう場合にどうするかという話が生じるかと思いますが、そういう場合のやり方として、市町村、大潟村もございますし、八郎潟の事業団もございますので、よく協議をして、実質的に営農ができるようにしていきたいというふうに考えております。
○中川(利)委員 土地改良区ができてしまえば、われわれの常識では、全部それを譲る、土地改良区がやるというふうに、つまり農民の負担になるということに考えていいわけですよね。だから、土地改良区がまだできておらないということ、部分竣工が終わっておらないから、四月一日ですから、そのあとに必ずできるわけです。そうすると、そういうことをはっきりしないことには農民は安心して、部分竣工があって自分の土地になったといって喜んでいられないわけですね。だから、その点はそういうあいまいな、事業団もあるし、村もあるからということでなくて、この点についてどうしてくれるかということを、国の責任にかかわる部分は、いま要求されておる問題については国がやるというふうに確約できますか。確約していただきたいと思うのですよ、いま千件も出されておる問題もありますので。
○小沼政府委員 部分竣工の際には、それ以前にできるだけ整備をして渡したいというふうに考えております。 なお、万一そういうことであとに残るという場合につきましては、これは大体団体の事業という考え方になろうかと思いますが、具体的にひとつ詰めてまいりたいというふうに考えております。
○中川(利)委員 団体の事業になれば、もう必ず農民が負担しなければならないのですよ。いま皆さんが、国から農民に土地を譲り渡すということでございますから、完全なものとして譲り渡してくれということが農民の要求なんですね。だから、そうなりますと、皆さんが負担する部分については、一向差しつかえないわけであって、これは、国の責任をのがれる、こういうことになることをおそれるから申し上げておるのであって、もう一回はっきり答弁していただきたいと思います。
○小沼政府委員 先ほども申しましたように、部分竣工でいたす前に、できるだけ補修等はやってしまいたい、完全にして渡したいという考え方でございますが、万一、その後に発生する場合は別でございますが、直後にでもそういう状態が残っておるという場合には、これは八郎潟の事業団、大潟村、国また地元の入植しておる農家もございますから、よく相談をいたしまして、補修をいたしたいというふうに考えております。
○中川(利)委員 部分竣工まであと二十日ちょっとしかありませんので、この点は十分留意して、いま言ったようなことをひとつやっていただきたいということをまず申し上げて、この問題については終わりにします。 次に、水利権の問題ですけれども、あそこの八郎潟の潟は、昔から秋田の皆さんの漁業によってささえられたところでありますが、いま漁業権も水利権も全部あそこはなくなっているわけですね。この入植者の方々に対する水利権、これが保障されないことには、確立されないことには、皆さんは安心して営農を営むことができないわけです。この水利権についてどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
○小沼政府委員 八郎潟の干拓地にかかわります水利権は、農業用水として必要な水利を確保するという考え方に基づきまして、すでに農林大臣——実際には東北農政局長が事務を扱うわけでございますが、農林大臣から二級河川馬場目川の河川管理者である秋田県知事と協議をいたしておりまして、協議が整い次第、水利権が与えられるということになるというふうに承知しております。
○中川(利)委員 いま秋田湾の大規模工業開発計画というものが進められておりまして、つまり列島改造論の秋田県版ですが、これによりますと、雄物川の水も、馬場目川の水も、あるいは米代川の水も全部工業関連で使うというようなこと、そういう意味のことを述べているわけです。したがって、ほんとうに農民が安心して水利権を確立するためには、おたくでは、譲渡の場合、土地譲渡契約書というものを農民とかわすと思いますが、この中にはっきり明文化して、その水利のことを保障してあげる、こういうふうにする御意向があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○小沼政府委員 秋田湾の大規模工業開発計画につきましては、いろいろ検討中というふうに聞いておりますが、内容については、詳細存じません。 ただ、私どもといたしましては、もちろん工業用水につきましても、主たる水源は、雄物川と米代川に求める方向でやられると思いますが、その意味では八郎潟のほうは特段の変更はないのじゃないかというふうに思われます。しかし、農林省といたしましては、今後とも調整池の水は農業目的に優先的に与えられるべきものであるという考え方を堅持する方針でおります。
○中川(利)委員 農民に対する土地譲渡契約書というものがかわされると思いますが、その際、水に対してはっきりと契約書にうたうことがなければ、水はこれからどんどん工業の中へとられていくという時代の方向というか、そういう列島改造論の方向があるだけに、はっきりそうしてやるということをお約束できるかどうか、お伺いしたいと思います。
○小沼政府委員 水利権につきましては、先ほど申し上げましたように、河川管理者と協議をいたしておりまして、部分竣工を控えまして現在細部の事務折衝の段階にありますが、できるだけ早く管理者との協議が整うようにいたしたいというふうに考えております。
○中川(利)委員 いや、だから、私、何回も聞くのですが、水利権は確実に農民のものになるということですね。
○小沼政府委員 水利権自体は、御承知のように、農林省が取得する形になると思いますけれども、そのことはやはり農業目的を最優先にしていくという考え方に立ってのことでございまして、現在その線で進めているということでございます。
○中川(利)委員 次に、今度新たに配分する土地の分もございますが、いずれにしても、八郎潟でせんだってまでは五千五百ヘクタールの未配分地がありましたが、今度の畑作入植、やがて行なわれるだろうこれを除きますと、千二百ヘクタールばかり余ることになっておりますね。これについて秋田では、いま県民の中では、これがどうなるだろうかということでたいへん問題が起こっているわけですね。一説によりますと、県のほうから、県知事の裁量分として何ぼかの土地を分けてくれ、こういうふうなことが言われたというふうにも聞いておりますが、そういう事実がありますかどうか、お伺いします。
○小沼政府委員 未配分地の一部につきまして、大体千ヘクタールぐらいでございますが、残したいというふうに考えております。それ以外は一応新規にそれぞれ一戸当たり十五ヘクタールというふうな配分をいたしたいということを考えております。 その残った土地につきましては、今後いろいろな事態が出るかと思いますけれども、やはり非常に大規模な農業の試験研究が必要であろうというふうに思いますので、全部配分してしまうということではなしに、農業近代化のモデル的な新農村を建設するために役立つ、また全国的な意味で今後の新しい農業の形態を実験的に行なうというふうな場合の試験研究機関の用地というふうなものを確保したいということで、そういう方針で現在その具体的な内容については詰めているという状況でございます。秋田県知事とも数回お話をしたことがございますけれども、秋田県でもそういう線に沿いながら、やはり県としても試験研究はやりたいという御希望もお持ちのようでありますし、また、秋田県自体として農業的に開発するというふうなことを、あるいは実験農場の意味であるかもしれません、そういうものも含めて御希望もございます。しかし、すぐ秋田県に幾らというふうなことは決定しておりませんで、国が千町歩ほどをリザーブしたいということで考えているわけでございます。
○中川(利)委員 いま秋田県では飛行場を八郎潟につくるのじゃないかということで大きな問題になっているわけであります。このことについては、さきの農林水産委員会で、赤城農林大臣当時、そういうことはないのだという御発言もあるわけでありますけれども、それにもかかわらず、現地では県当局の手によって、いま航空コンサルタントに調査を依頼するというかっこうで八郎潟を重点的に調査、測量しておる。あるいは資料や基本調査その他もそういうコンサルタントに頼んで八郎潟を重点的にやっている。したがって、そういう不安が消えないという現状があるわけですね。このようなことをあなた方は知っていますか。
○小沼政府委員 新聞報道などによりまして中央干拓地が秋田新空港建設の候補地の一つにあがっているというふうなことは仄聞したことがございます。しかし、具体的に県のほうから空港にいたしたいとか、そういう話は聞いておりませんです。
○中川(利)委員 いやしくも農林省は地主ですね。だから、自分の八郎潟の農地に対して最大の関心を持たなければならないと思うのです。ところが、秋田県の大規模工業開発計画の第二次案によりますと、未配分地については大規模工業関連で再検討すると書いてあるのです。そういうこともあわせて国では知らなかった、仄聞程度であった、こういうことでありますか。
○小沼政府委員 実はかつて県から八郎潟の事業団に対しまして中央干拓地において飛行場関連の調査をしたい、そういう口頭の打診があったこともございますが、これは断わりまして、その後新たな申し入れ等はないようでございます。また、中央干拓地に近い周辺地点あるいは上空において観測調査が行なわれたというふうな話も聞いておりますが、中央干拓地におきまして立ち入り調査などは行なわれていないというふうに考えております。 ただ、今後十分地元の情勢を聴取しながら、この八郎潟につきましてはしっかりとした農業のモデル基地ということで進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○中川(利)委員 いま事業団がそういう県の申し入れを断わった、こういうお話でありますが、ひとつ農林大臣にお伺いしたいのですが、あの八郎潟の空港化については絶対に反対なのか、それとも、場合によってはそれを許可することがあり得るのか、あくまで農用地として確保するのかどうか、農林省として、そういう申請が来てもこれを却下するのかどうか、いまもやもやっとして、県民はもう不安の中にどうしたらいいかわからないというような状況があるわけです。したがって、この際、農林省がこういう決意だということをはっきりとお示しいただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 うわさの根源となるようなことについては、ただいま局長のほうから御説明を申し上げた次第でありますが、私のところには飛行場に転用するというような話はみじんも来ておりませんし、また、赤城農林大臣当時から、このことにつきましてははっきりさようなことは考えておらないことを申し上げておるのでございまして、私もまた同様であるということを御承知願いたいと思います。
○中川(利)委員 そうすると、いまのところはそういう県からの話がみじんも来ておらない、しかし将来来た場合、くどいようでありますが、あくまでも八郎潟を当初の計画どおり農用地として使う、それ以外の用途に供しない、こういうことを約束できるかどうか、ここではっきり述べていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 冒頭申し上げましたように、多額の国費を投じまして農業の理想形態をここで実現したい、こういうことで邁進してまいっておるのでございまして、ただいまのお尋ねには私としてはさようなことを何ら考えてない、将来も考えないということをはっきり申し上げておきます。
○中川(利)委員 それはよくわかりました。 今度は、八郎潟の配分を受けた面積がいま一人十町歩、こういうことになっておりますが、実際の配分の個々の内容を見てみますと、たとえば九町歩の配分を受けた方もおりますし、十一町歩以上も配分を受けた方もいらっしゃる。こういうことで面積格差が二町歩も違うという状況があるわけであります。 そこで、そういうことになりますと、所得格差が年々増大していく、こういうことが一つの大きい問題となっている。最初からこれが問題になっておったわけでありますが、いまだこの面積格差について十分な手が打たれておらない。あるいは圃場条件といたしましても、非常に悪い条件の圃場に当たった人もおりますし、いいところに当たった人もいるわけであります。これは当局のミスからそういうことになった、設計のミスからそういうことになったと思いますけれども、そういう問題がいまあるわけです。 ところが、ここで部分竣工になりまして、そのままにやられますと非常な不均衡をそのまま継続していく、こういうことになりますので、少なくとも部分竣工で農民に土地を引き渡すその前提条件として、こういう格差を是正する、その上で配分する、こういうことで譲り渡すということでなければ正しい行政のあり方とはいわれないと思いますので、この点についてどのようにお考えになっているか、お伺いいたしたいと思います。
○小沼政府委員 御承知のように、八郎潟は非常に平面でございますけれども、地域によって非常にヘドロの深いところあるいはそれほどでもないところ、いろいろな地域差があの中でもございます。そういう中で配分をいたしたわけでございますけれども、実際に最小のものは九・〇四ヘクタール、最大のものは十一・〇二ヘクタール。もちろん地理的な土壌条件等を加味してということになったわけでございますけれども、また、この土地に高低があるというふうなことで、工事上そのような区画を造成せざるを得なかったという実情もございます。しかし、これはこのままにしておいてはいけないというふうに思いますので、今後増反配分の際は、可能な限りこれを是正いたしたいというふうに考えまして、現在、事業団中心に検討しているというところでございます。
○中川(利)委員 今後の増反配分のときは可能な限りその是正をしたい、こういうことでありますが、その保証はないわけですね、いまのところ皆さん方に対して。
○小沼政府委員 私ども事務当局といたしまして、配分の際に十分配慮してまいりたいということでございます。
○中川(利)委員 部分竣工というものはいま目の前にあるわけでありますから、農民に言わせますと、土地だって、なぜわれわれにこのような悪圃場をよこしたのか、ほかに適地がたくさんあるじゃないか、こういうことを言っておるわけであります。そうすると、部分竣工の前提条件として、こういうものを是正するというのが行政の当然のあり方じゃないかというふうに私は思うのですね。それを今後予測もつかない、将来可能な限りということでは、農民は安心できないと思うのです。したがって、繰り返して言うようで悪いわけですが、この部分竣工の前提条件としてそういうふうにするというようなこと、これをお考えいただけませんか。
○小沼政府委員 御承知のとおり、今後の営農形態としまして、既配分の十ヘクタールに五ヘクタールを足しまして十五ヘクタールの均一の営農形態にいたしたい、田畑を含めた複合経営に持っていきたいという考えでございますが、その五ヘクタールを追加配分するときに、いま御指摘になりました点を是正してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○中川(利)委員 それでは次に、土地代の償還についてお伺いします。 三月末になれば部分竣工、それと同時に土地に対する借金返済義務が発生するわけですね。その額を調べてみますと、一戸平均元金だけで二千数百万円だというふうにいわれております。各種の支払い金が多い中で、これは非常に群を抜いておりますが、このすべてがはたして入植者や増反者が支払うべき筋合いの金なのかどうかということについて、ほとんど入植者は知らされていないというのが実情だと思うわけであります。農林省のお役人さまも、今度地代償還が始まりますと、大体三割くらいの脱落者が出るだろう、こういうことも言われているように聞いておるわけでありますが、まず、お伺いしたい第一点は、入植者はやがて自分たちが支払う土地代価について十分皆さん方から知らされていないということですね。この点についてどうお考えになるか、お聞きしたいと思います。
○小沼政府委員 従来も配分以前に、部分竣工以前にずっと営農はやってきたわけでございますが、今後償還金を返すという時期になると思います。それに伴いまして、若干ピークはございますけれども、負担がそれぞれ出てくる。試算でございますが、おそらくその時期には、営農形態から計算いたしますと、百八十万くらいの手取りが残る。その中からほかの税金等を払っていくという形が一番悪い時期ではなかろうか。その後だんだん軽減されていくということで、ピークとしては、たしか五十年か五十一年ごろがそういう負担のかなり重い時期で、その後は非常に軽減されていくというふうな形になろうかと思っております。 数字の詳細につきましては、いずれ別に資料で提出をいたします。
○中川(利)委員 私が聞いたのはそういうことじゃなくて、皆さん方から地代償還について農民はほとんど知らされておらない。だから非常に不安に思っている。これについて、そういう不親切なやり方あるいは押しつけ的なやり方ではやはりまずいのじゃないか。農民が納得するそうした土地代価でなければならないという観点から申し上げたわけであります。 そこで、さらに詳しくお聞きいたしますと、たとえば幹線道路がありますね。これはやがて県に払い下げするというか、譲渡するということになっております。県道になるということがいわれておりますけれども、これはいまの土地代価の中に含まれるものかどうか。あるいは事業団の職員の給料、これが皆さんのそういう代価の中に含まれるものか。あるいは事業団というものはやがて解散すると思いますが、この事業団がたとえば秋田市に持っている官舎だとか膨大な土地建物があります。こういうものがやはり農民の負担になるのかどうか、これは除外されるのかどうか。具体的な一、二の例で言いますと、こういう問題が実際に農民の深刻な問題になっているわけであります。そうして、こういうことさえも皆さん方がわからないという状況になっているわけであります。したがって、いまあげた例についてでけっこうでありますから、お知らせいただきたいと思います。
○小沼政府委員 道路等今後どういうふうに扱うか、まだ未決定でございますけれども、かりに県道に編入するというふうな場合もあるかと思いますし、また農業道路ということでそのまま残る場合もあろうかと思います。それぞれの形態によりまして管理のしかたは違いますけれども、農地でございますので、やはり道路になった部分につきましても、一応あの中に全部含めて農民の負担はかかるという形で、従来の干拓地の場合と同様でございます。
○中川(利)委員 たとえば県道に編入されるという場合、県道で見ますと、用地や工事費等県が全額負担するものだというふうにわれわれの常識ではなっているわけですね。いまお話をお聞きしますと、事業団の職員の給与もそういう官舎も、幹線道路も全部皆さんの負担だ、こういうことなんですね。
○小沼政府委員 中川委員御指摘のとおり、ほかの干拓地もそうでございますけれども、干拓事業の場合全部、造成をするというその全体について国が大部分持ちまして、残ったところを農民が負担する、地元の受益者が負担するという形で現在まで処理をしてきておりまして、八郎潟につきましてもそういうやり方で、一般の干拓地と同様な扱いになるというふうに考えております。
○中川(利)委員 詳しいこと、これはまだまだ言いたいのですが、次に移りますけれども、そうすると、入植者が支払う利息あるいは元金、いまの米価の実質的な低下だとか、稲作から畑作に転換するという状況の中で、それが入植農民に耐えられるものかどうかということで問題になっているわけですね。利息についてみますと、六分五厘と六分のものがありますけれども、農地取得並みに三分五厘にしろということで、それをやらないといま脱落者——先ほど言いましたように、農林省自身が三割くらいの脱落者を見込まれる、こういうことを聞いているわけでありますから、これに対する手だてを何か特別に考えていらっしゃるかどうか。また、皆さん方はいまの農業粗収入の中から今度借金をどんどん払っていく、税金を払っていく、あるいは機械その他の償却もしていく、そういうことでどれだけあの人たちに潤してそういうことができるのかということについてどういうふうに見ているか、ひとつお知らせいただきたいと思います。
○小沼政府委員 入植農家の四十七年度の経営収支を概算いたしますと、簡単に申しますと、粗収入が約六百七十万でございまして、経営費が約二百四十万でございますから、それに償還金の利子等四十万円ということで、差し引き三百九十万が農業所得ということになるわけでございます。そういう試算がされるわけでございますが、償還の時期がピークとなりますのは、先ほどちょっと申しましたが、五十一年ごろであろうというふうに思いまして、かりに十ヘクタールのいまのままという試算をいたしますと、年間償還額が二百五十万ということになります。土地の負担金のほかに住宅の償還金とか、あるいは機械の購入費とか、格納庫の建設費とか、いろいろなものがはいります。そういうことで大体二百五十万ほどが見込まれておりまして、そうなりますと、可処分所得は大体百八十万円程度になろうかと思います。償還金の金利を三分五厘にできないかという御指摘でございますが、現在の、いま申しましたような状況でございますと、負担金、償還金の返済は大体やれるであろうというふうに思っておりまして、いま償還条件を緩和しなければならないという必要性はないのではないかというふうに考えております。ただ、今後の情勢が変わればまたいろいろくふうしなければならないこともあるかと思いますけれども、現状で試算をしますと、十分これで返済は可能であるというふうに思っております。
○中川(利)委員 現状で試算すれば云々といいますが、あなた方八郎潟に対する農政の転換というのはまことに目まぐるしいというか、ネコの目のように変わってきているでしょう。最初二町五反とかいいながら、今度は七・五町歩、今度は十町歩だというかっこうで、しかも稲作そのものを主体にするといいながら、今度は畑作だといってみたり、こういう状況の中でいま米価の問題やらいろいろな問題でどんどん変わってきているわけですね、現状が。皆さんの暮らしの中で出かせぎしなければ飯を食えないと言っているのですね。こういうことから考えて、私はいまの利息の問題についてひとつ再考することを強く指摘しておきたいと思いますが、時間がないので次に移らしていただきます。 せんだっての二月十四日の地元の新聞によりますと、「どうなる、入植者の土地」ということで、登記直前に世帯主が死亡したという例があるわけですね。この方は裸一貫になってそこへ入植したわけですね。自分の実家のほうに土地があったり財産があれば、それを売り払ってこなければ皆さん方は行けないという条件がついていますから、その世帯主が死亡した、残った土地がどうなるかということがいま問題になっておるわけですね。これはどういうふうにお考えになっていますか。
○小沼政府委員 非常に特殊なケースでございますので、それに対応したくふうが要ろうかと思うのです。もし後継者がございまして、ほんとうに八郎潟で農業をやりたいということであれば、これはひとつ考えてやらなければならないというふうに思っておりますが、個別の事案でございますので、よくその実情を聞いて判断をいたしたいというふうに考えております。
○中川(利)委員 いまの問題、これはもう何といいますか、先ほども言いましたとおり、農業後継者の問題につながるわけでありますね。皆さん方は、八郎潟に入植した方々の平均年齢が若いからまだこういう問題は起こらない、最初からそういったことを前提にしておやりになったということですね。しかも、早くも個別の問題とおっしゃいますけれども、全体の問題として必ずこれが出てくるということですね。そうすると、その際に突如取り上げられたらどうなるか。これは十分ひとつ配慮していただかなければならない問題だというふうに考えますし、これはまたあとで別の機会にやります。 そこでもう一つ問題を申し上げたいのは、自治権の問題ですが、八郎潟の中にある大潟村、これは自治権がないのですね。自分で村長を選び、自分で議会をつくる、こうした憲法に保障された基本的な権利、そういうものが依然として侵害されているわけですね。公有水面埋め立てによる特例法で入植して六年も七年もなって、いまだにこういう状態が一方では続いている。一方では部分竣工で、もう自前だから自分で金を払え、こういう状況の中でいつまでこうしているのか。これに対しては農林省も責任があるし、農林省からまずお答えいただきたいと思います。
○小沼政府委員 大潟村がまだ完全な自治体になっていないということは先生御指摘のとおりでございますが、今後も、入植を再開いたしましたので、その新しい農家も定着することと思います。そういう農家が入りまして全体が落ちついたという段階で、自治体としてはっきりと確立すべきではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
○中川(利)委員 自治省の見解を聞きます。
○林(忠)政府委員 お答えいたします。 御指摘のとおり、大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律によりまして、初めての選挙は自治大臣の指定する日から五十日ということになっております。現在は法的には自治大臣が日にちを指定して告示をいたしますと、それから五十日以内ということになっておりますが、具体的にいつから選挙を行なうかにつきましては、関係省庁及び地元ともよく連絡をとってこの日をきめるつもりでございます。現在は、大体秋田県のほうでは減反の関係で入植がおくれたので、現在は何か五百二十七世帯、二千人余りの方が入植して定着しておられるそうでございますが、今回一部竣工いたしましてもなお五〇%近くの未利用地があるということでございまして、先のことが心配されておったわけでございますけれども、幸い来年度からまた入植が再開されまして、百戸、これが四十九年度訓練、五十年度入植という計画になっておるようでございます。 そこで、この方が入植して定着した時点がいいのではないかということを地元の秋田県側も考えておるようでございます。したがって、今後なお事態の変転に対応いたしまして十分検討はいたしますけれども、現在の段階では秋田県なり農林省がお考えになっている時点があるいはいいのではないかと私のほうも考えておる次第でございます。
○中川(利)委員 このように自治権が延ばされた。これは農民の責任じゃない、入植者の責任じゃなくて、おたくで、国が入植を打ち切ったり延期したりいろいろなことをしたからでしょう。国の責任を——基本的な憲法に保障された権利を引き延ばして、今度入植した人がみんな集まったときにやろうじゃないかということは、あまりにもひどいやり方だというふうに私は思います。本来ならば、もうちゃんと終わってなければならないはずなんです。入植は全部で千戸ですね。それを、あなたのほうの責任を何で住民がかぶらなければならないのですか。これこそ憲法違反だと思いますが、自治省の見解と農林省の見解をあわせてお伺いします。
○林(忠)政府委員 この法律をつくりましたときの自治省の考え方といたしましては、現地にそういった社会が定着した場合に選挙をすることがいいというふうに考えたわけでございます。それが、その後のわが国の米穀の情勢その他によりまして、入植その他がおくれたということは、事実おっしゃるとおり農民の方の責任ではございませんが、現実にそういう社会ができ上がるという時点が一日も早いことを希求はしておりますけれども、現実の状態に合わせて最も妥当な時期に選挙を行なうようにすることが地元にとっても最適である、そういうことで考えております。ですから、できるだけ早くこの日が来ることをわれわれも一緒になって望んでおる次第でございます。
○中川(利)委員 きょうは時間がなくて十分な詰めができなかったことを非常に残念に思いますが、特にいまの土地代の償還については、必ず近いうちにこれを手放さなければならなくなる。せっかく国から配分を受けながら払えないと脱落者が出る。しかもそれに対して不動産屋がねらう。法律によれば、それは何年間かは、そういう事態があれば買い戻すなんということもありますけれども、そんなことは手続上の問題で、裏で何ができるかわからない。そういうことでみんなが心配するという段階になっているのです。 したがって、いまの利息の問題、これなんかは、大潟村は十町歩だからいいじゃないかというようなことでは解決できない。もっと根本的な問題がありますし、さらに周辺農家の要求というものも増反要求ですごいものがあるのですが、これらについてはまたあとの機会に譲りまして、ひとつ八郎潟については、日本農業のモデル・パイロットといわれる以上、内容的にもあれを傷つけないように十分な配慮なり措置をしていただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 去る二月二十二日、昭和四十八年度農林関係予算の説明と農林大臣の所信表明があったわけでございます。当委員会は、本日は農林大臣の所信表明に対する質問ということでございますので、限られた時間の中で、特に私は農業、林業、漁業に対して基本的な問題をとらえ、細部については次回委員会等でまた論議をすることにいたしまして、農林大臣に見解を承りたい、かように思います。 まず最初に、農林大臣の予算説明の中で、「第一に、高能率農業の展開に関する予算について申し上げます。 わが国経済の発展とその急速な国際化の進展に対応して、国民経済の一部門としての農業の均衡ある発展をはかるためには、その体質改善を急速に推し進め、生産性の高い近代的な農業として確立することが基本的に重要であります。」毎回同じようなことを言っておられるわけですが、世界の食糧の不足、また天候異変というようなことからずっと考えてみましたときに、今後の食糧問題は重大なときに直面している、とう思うのです。 そこで、私は、経済路線を根本的に転換する必要があるのじゃないか、こういうふうにかねがね、しみじみ考えておるわけで、私どもの部会でもいろいろ検討しております。すなわち国土資源を最高度に活用して国民食糧の自給度向上をはかるために、大企業偏重、農業縮小いわゆる撤退作戦をとっている経済路線から根本的に転換をする、そして、農業及び工業——農工並進ともいわれますが、均衡ある産業構造に変えねばならぬ。こういった根本策をせずして今後の農政の進展はあり得ないわけです。小手先のことだけではだめであります。 そこで、農業を健全な姿に立て直すべきであるということから、国民食糧は極力自国において安定的に供給できる体制づくりをすべきである、こういうふうに私はかねがね思っているのですけれども、こういった問題について農林大臣としてどういう見解をお持ちであるか、まず御答弁をいただきたいのであります。
○櫻内国務大臣 食料を安定的に供給する、またでき得る限り国内で生産のできるものはする、こういうたてまえにつきましては、これはもう当然のことでございます。 〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 しかし、いま日本は開放経済下にございまして、また国際協調的なことを全然顧慮せずにいくというような閉鎖的な考えであってもいけないのでありまするから、その辺は調和をとりながらいくべきであると思うのであります。 しかし、ただいまのお話のように、昨年の国際的な食糧不足の現状を直視いたしますときに、御趣旨を生かしまして、これからの農政のあり方で国内自給の可能なものにつきましては、でき得る限りその配慮をすべきである、こういうことで、昨年十月発表しておる「試案」の中でも、米、野菜、肉、くだもの、あるいは生乳、あるいは乳の加工品、そのほか大事なものにつきましては八割ないし完全自給を目ざしておる、こういうことで、御意見につきましては十分理解ができます。
○瀬野委員 開放経済体制の中でございますから、大臣のおっしゃることはわれわれもわかるわけでありますけれども、また、急速に自給するといってもなかなかたいへんでありますけれども、こういう農業がたいへんなときにきていることを思いますときに、やはり根本的なことを考えて転換をしていかなければならないということを、農林大臣が強く念頭に置いて進めていただかなければ、長い期間がかかる問題でございますので、一挙にはまいらぬわけです。そういった意味で基本的な見解を伺ったわけですが、関連しまして、わが国の食料自給率というものは、世界の先進国に類例のない急速な低下を続けておるわけですね。特にオリジナルカロリーでは四〇%前後の最低の状態だ、こういうふうにいわれております。 そこで、国内の食料供給政策の見通しとして、食料総合自給目標は少なくとも八〇%以上にすべきである、こういうふうにわれわれは将来の目標を考えておるわけでございますが、特にオリジナルカロリーでの自給の向上をはかるのが中心でなくてはいかぬ、こういうふうな見解を持っておるのですけれども、この点については大臣はどのように認識をしておられるか、また御見解をお持ちであるか、この点をあわせて伺いたいのです。
○櫻内国務大臣 オリジナルカロリーをとるのがいいかどうかということについては、これは多少専門的な意見にもなりますので、後ほど局長のほうからお答えをさせますが、一般的にいわれておる自給率を八〇%程度にという御意見でございまするが、昨年の十月の「試案」でまいりますると、大体七五%前後のところで自給率を考えておるわけでございます。ただ、この「試案」の中では、十月の作成でございますので、昨年のああいう国際的な食糧需給の逼迫というものが反映はしておらないということは事実だと思うのであります。特にわが国の場合を考えてみまするに、飼料の点につきましては、私は専門的な見識を持っておらないものでございまするから、あの「試案」というものが相当有力な皆さん方によっての一応の案というので、軽々に申し上げるのはいかがかとは思いながらも、どうも飼料についてはもう少し考えたほうがいいという気がいたしておりますので、そのことは国会を通じまして何べんか申し上げておるのでございまするが、その辺のことを考えていきますると、「試案」で示されておる自給率よりももう少し高くなっていくと思うのでございます。「試案」でも最高では七七と、こういうふうに示されておりまするので、大体あの「試案」の目ざすところとお話しの八〇%の自給率の点を飼料について勘案をいたしていきますると、まずまずそう違わないところにいくのではないか、こういうふうに思う次第でございます。
○瀬野委員 「試案」のお話が出ましたので、これは論議するとまた時間がかかりますけれども、これは閣議決定もしてないわけでございまして、しばしば農林大臣は引用されますが、そのための「試案」でもあるかと思いますけれども、それは後日に譲るとしまして、そこで、農林大臣、これまたどういうお考えであるか、この機会にお伺いしておきますけれども、国政の基本として農地は幾らあればいいかというようなこと、これは大臣はどういうふうに考えておられるか、やはりこれをはっきりきめなければならぬと思うのですが、何をつくってどれだけの農地があればいいんだ、かような問いでございますが、これについては大臣はどういう見解を持っておられるか、ずばりでお答えいただければけっこうです。
○櫻内国務大臣 五十七年、これから十年後を考えましたときに、草地を含めて五百八十万ヘクタール、草地は六十万ヘクタール、こういうふうに目標を立てておる次第でございます。
○瀬野委員 大臣は、十年後の目標をとらえて五百八十万ヘクタール、草地は六十万ヘクタール、こういうふうにおっしゃいましたが、一応これは聞き置くことにしまして、あとでまたこれに関連していろいろお伺いすることにします。 次に、米の生産調整でございますけれども、食糧の長期展望に立ちまして再検討せねばならぬ、こういうふうに思うのですが、ことしは二百五万トン、昨年は二百十五万トンの生産調整がありましたが、このままずっと続けていかれるのか、どういうふうに見ておられるのか。ことしまではこういう程度で、そのうち農林大臣も交代するかもしれぬからということではないと思いますけれども、いよいよ四十九年には調整の時期が来るわけでありますので、そのことについて大臣はどういうふうにお考えになっておるか、お答えいただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 御承知のように、この生産調整は昭和四十六年二月の閣議了解に伴いまして、当時四十六会計年度で六百二十七万トンの過剰米を何とか処理しなければならぬということに始まったのでございまして、当時この過剰米処理を五カ年間で一応解消しよう、それに伴って一方において生産調整をやるということになりましたことは、その経過を御承知であろうと思うのであります。ことしが三年目でございまして、この三年目でおおむね過剰米の処理が終わると思うのであります。計画では四十九年以降の原料用に六十万トンを残すということで過剰米の処理が終わる次第でございますが、そういうことから、ことしの生産調整の中では、特に休耕奨励ということでなく、転作奨励ということで、この生産調整中に一応米の生産については農業が安定した姿にいけるようにということを目ざして今日までまいっておることは御承知のとおりだと思います。 そこで、今後の生産調整をどうするかということについては、いまの耕地の状況からいたしまして、なお放置しておきますならば再び過剰米のおそれを多分に持っておりまするので、この四十八年度においては二百五万トンの生産調整をお願いしました。四十九、五十年はそれぞれ作付前にそのときの事情を勘案してある程度の調整をお願いしなければならぬと存じておりまするが、どの十月末あるいは明年の十月末というものを考えまして、ことしの場合は五十万トンの古米を持って次年度に参りますので、そのころに新米の買い付け等考えますとそう問題ない。明年につきましては、今回の計画でもう二十五万トンよけい古米を持つようにしておりますので、七十五万トン持っておって、そしてその平年作を下回るという場合でもおそらく問題ないとは思っておりますが、そこまでまいりましたときに、もしその場合不安な要素を持つということになりますれば、そのときに次の生産調整をかげんするというような方法もある、こう思いますので、当面四十六年二月の閣議了解をいまのところこのまま遂行していく、こういうふうに申し上げてよいと思います。
○瀬野委員 これは関係局長でいいですが、現在休耕田は幾らありますか。
○伊藤(俊)政府委員 二十八万町歩であります。
○瀬野委員 生産調整による転作は五年の間にかなり定着すると思われるのですけれども、何割が水田に戻ると考えておられるか、また、現在転作農地は幾らあるか、これも簡単にひとつお答えいただきたいと思うのです。
○伊藤(俊)政府委員 転作は現在二十七万二千町歩程度に進んでおるわけであります。それで、休耕田がどれだけ戻るかということはちょっといままだわかりかねるような次第でございます。
○瀬野委員 そこで、大臣にお伺いしますが、六月からはいよいよ四十九年度予算の検討期に入ることは当然であります。時期的に相当日にちも詰まってきているわけです、内部ではいろいろ検討しておられるかどうかわかりませんけれども。と申しますのも、実は先日、二月二十三日の朝日新聞にも出ておりましたが、「権兵衛農政」というえらい見出しで、「国が田をつぶしゃ青森県がほじくる」などと書いて、「休耕田復元を助成」ということで、県のほうから新年度予算案に五千二百万円の復元奨励金を出している。四十八年度は休耕田二千ヘクタールの稲作復元を奨励する。そうして十アール当たり四千円で二分の一を県が助成するということで、いろいろこまかく規定してあるわけですけれども、これを見て、あの新聞の書き方自体にもちょっとどうかなと思うところもあるのですが、よく見てみると、なるほど米作県である青森県はずいぶん進んだ考え方を持っておるな——四十九年には休耕田の生産調整も終わる、終わるからいまのうちにあの開墾せねばならないような水田を何とか米をつくるために復元をしておいて、そして休耕が終わった時点でぜひひとつ米作に切りかえるということで、いわばなかなか先のきいた、これは当然起こるべくして起きたものであると思って、なるほどずいぶん単作地帯は真剣だなということを、われわれ南におる者から見れば、うなずいてあの記事を見たわけでございます。 こういったことから政府としても、もう休耕も終わるわけでございますので、これに対するいろいろな将来の手当てをどうするかというふうなこと、転作させるのか、またその後はどうするのかということは当然考えていないと——いないと言えば、これは実に農政不在、国民不在とも言えるし、その点どういうふうに考えておられるのか。ひとつ大臣、国民の前に不安のないように御見解を明確に承っておきたいのであります。
○櫻内国務大臣 先ほどちょっと触れましたように、この生産調整に際しましては、われわれとしてはできるだけ稲作の転作を将励してまいりたい。ことしも転作のほうに四十万七千ヘクタール、休耕のほうは八万二千ヘクタール、養魚ほかに六千ヘクタールというような計画で、できるだけ転作の奨励をはかり、またその定着化を考えておるわけでございます。この定着化のためには、もちろん土地基盤整備事業近代化施設の導入あるいは価格安定対策等各種の施策をしなければならないと思いますが、要は、地域の特性に応じた農業生産の再編成を進める、こういうことで鋭意努力しておるわけでございます。 ただ、私は、こういう点はやむを得ないと思っておりますのは、当初生産調整のしかたとして画一的にせざるを得なかった、こういうようなことで、その後「試案」でも申し上げておるような適地適作でいこうということと画一的な生産調整との間で多少そこに問題があるんではないか。そうであるとするならば、その辺は考えてもいいように思っておるわけでございまして、いずれにしても、当面、転作の促進、定着化ということに重点を置いておる、こういうことでございます。
○瀬野委員 時間の制限があるのでもうあれですけれども、いずれにしても、六月から四十九年度予算のいろんな作業に取りかかるということでもあるし、時間的にも相当詰まってきておるわけですから、長期展望を含めたところの政策を立てていく、こういうことによって農家も安心して経営ができるわけで、そういったことをひとつ積極的に進めて、少なくとも六、七月までにははっきりしたものを出していただきたい、かように思うわけです。 そこで、これは異なことを聞くのですけれども、農林大臣がかわるたびに、前大臣が言ったこととまた新しい大臣の、一々言い方は違うかもしれないけれども、前大臣の言ったことに対して全部違った政策を出すということにはならぬと思いますけれども、やはり前大臣が言ったことは踏襲していくということであろうかと思うのですが、そういったことについてはどういうふうにお考えでしょうか。足立前農林大臣が言ったことに対してはおれは知らぬということなのか、その点、えらい幼稚な質問のようですけれども、ひとつ大臣の見解を承りたい。
○櫻内国務大臣 政党内閣でございまして、基本的には、農政でいえば自由民主党の農業政策があるわけでございまするから、そのワクの中におきまして大臣が何人かわろうともその方針にもとるわけにはいかないと思うのであります。ただ、非常によく使われることばですが、激動しておる世の中である。それで前の大臣当初で予測しなかった、あるいは十分把握のできなかった諸情勢、その諸情勢を放置しておきまするならば、それが大きな障害となるというような、そのときそのときのそういう不測の事態と申し上げましょうか、予測しがたい情勢と申しましょうか、そういうようなことをバトンタッチを受けた者が勘案しながら農政の方針を立てていくということも御了承していただけるものだと思います。
○瀬野委員 あえて農林大臣にお伺いしますが、食管制度については大臣としてはどういうふうな見解を持っておられるか。
○櫻内国務大臣 私もこの際ですからはっきり申し上げますが、足立農林大臣は、就任当初から、食管制度はこれを改正するが好ましいという御構想を相当出しておった、こう思うのであります。しかし、私が十二月の二十二日に就任をしてみまして、一番先に、これはたいへんな仕事をしなければならない、責任が重い、こういう立場で、当時の国際的な食糧の逼迫ということを頭に置いたときに、この食糧の問題で国内に少しでも動揺を起こさないような方向で努力しなければならない、こういうことでございましたので、食管制度の運用の上におきまして従来いろいろな意見が出ておる、またこれについての研究もしてもらっておる。それはそれとして、自分としては就任当初から、いま食管制度に手をつける考えはないということを申し上げてまいったのであります。この検討されておる結果が出てまいりまして、だれが見てもなるほどこれは取り入れたほうがいいというような場面があるいはあるかもしれません。しかし、それよりも、いわゆる食管制度の根幹というものは堅持していかなければならない。国際的な関係を勘案しても、そのことを強く言うほうがいいという情勢に現にずっとあると思うのです。そういうことで、私としては、十分検討はしてもらっておりますけれども、いま食管制度についてこれを改正するという考えは持っておりません。
○瀬野委員 食管制度については改正する考えはないということで、大臣の答弁を聞いていて、ほんとうに全く気の毒な感じがして聞いておりましたが、きょうは時間の制約もあるので、問題を提起しておきたいという意味からもちょっと申し上げておきます。 当時のことをもう一回思い出していただきたいのですけれども、前足立農林大臣は、昨年の七月七日初閣議のあと記者会見をして、食管制度等については、後任にどんな大臣ができても安心して走れるレールを敷いておきたい、また矛盾だらけの食管制度、形骸化した制度を衣がえする機は熱した。ずいぶん調子のよいことばかり言って、われわれもかっかきておるのですが、言いたいほうだい言っておる。次には、食管制度は実態に合わせ、流通は自由にまかせるが、最低価格については政府が保障するといったように、生産調整が終わる四十九年までにはレールを敷いておきたい。ずいぶんあのときにはレールを敷いたわけです。何回もこういった発言をした。当時、食管の全面廃止の突破口といわれて、農民七団体等が米価など申し入れるとともに、怒り、ふんまんをぶちまけたものです。反発して、すぐ農民の皆さん方としては食管改変発言だ、こういうことでずいぶん批判を受けました。 そこで、私、申し上げたいのでありますが、実はその後臨時国会もあったけれども、短期間に済むし、またこれを詰める機会もないまま総選挙、年末、暮れ、そして七十一国会、こういうことで、いわばこの足立発言に対して、その後櫻内新農林大臣はこのレールに対して明確にしてない。こういったことが原因して、最近末端の流通がたいへん乱れておる。そして出先の大手業者と単協が結びついているところがたくさんできてきて、もうことしになってから如実にあっちこっちこれがはっきりしてきた。しかも系統の販売ルートに乗らぬところができてきた。全農または県経済連の言うことをなかなか聞かない、こういうふうに嘆いておる。その矢先、私、こういったことを心配して、もう十日前から質問するつもりでおりましたが、当委員会が大臣の都合で延び延びになっておった。たまさかきょうそれを裏づけするように、朝日新聞にも、「ヤミ米へ横流し」「農協幹部が片棒」「銘柄二百トンあっせん」「背後に浮ぶ大手商社」ということで、「コシヒカリなど銘柄米の主産地、新潟県北蒲原郡京ケ瀬村農協の幹部らがヤミ米売買のあっせんをしていたことが明るみに出て」そして「食管堅持を唱える農協幹部がヤミの片棒をかつぐとは自殺行為、と関係者はショックを受けているが、ヤミ米を賢いあさった業者の背後には某大手商社から多額の融資を受けている同県内最大手の米卸業者が浮んでおり、米自由化時代に備えた流通のパイプ作りをねらったのではないか、との見方も出ている。」そうして「多数の組合員に呼びかけてまで、数量を確保していること、集荷したブローカーを大手卸業者がバックアップしている形跡がある、などから、米自由化時代を予測した布石では、との疑惑も浮んでいる。」いろいろ書いてあるのです。一々読む必要もないけれども、申し上げないことには裏づけにならないので、あえて申し上げたのですが、これは新潟県のこの農協だけではないのです。たまたまこれがわかったからということですけれども、もうすでに米の投機がいろいろ問題になっているわけですね。そういったことが起きてきだした。昨年の七月七日に足立農相が記者会見をして以来、何回もレールを敷くと言ってやってきて、それがもやもやしたまま、そのことが大きな原因となって、いわゆる食管はなしくずし的に撤廃の方向に行くのだ、自由になるのだ、こういう認識が強く印象づけられて今日に至っておる。それで、その後、食管をどうするのだという新農林大臣としての明確な筋道がはっきりしてない。そういったことで、いまだに緩和の方向で食管はなしくずし的にいくのだというようなことで、それらが投機の原因ともなっておるし、また大手商社の賢いあさり問題になってきておるし、さらには、こういった末端農協が、全部とは言わないけれども、米どころの県では、共販に乗せずにそういった末端に流すということがあって、これはたいへん心配される問題である。これはまさに政府の責任、農林大臣の責任である。前農林大臣からいろいろ申し送られておると思うのですが、新大臣としてこういった問題は根本にかかわる問題である。いずれ農水委員会であらためてこれは論議するとして、きょうは時間的な制約もあるので、基本的な問題を大臣にお聞きするわけですが、これらを踏まえて、食管制度について直接政府が管理しておる機能を再評価すべきである、こういうふうに私は思うのです。再度大臣からの見解、所信を承りたい。
○櫻内国務大臣 前大臣とたいへん対照的になったのでありますが、それは各種の情勢から私が判断をしたことでございまして、私は就任即食管制度の堅持を繰り返し申し上げてきておるところでございます。食管制度の由来は、申し上げるまでもなく、乏しき食糧を国民に安心して配給をする、そういう趣旨のもとに出発いたしたと思うのであります。一面、国際的に食糧が窮迫をしてきておるということを考えましたときに、このことがもし国内に影響いたしまして混乱を招くおそれをつくってはならない。私の表現が多少前大臣の言動とちぐはぐになりましても、はっきり言っておく必要がある、こういうことで食管制度は改正をする考えはないということを言い切って本日に至っておるわけでございまして、いま御指摘のようないろいろな問題がございますが、そういうことで流通面において混乱を来たすような事態は極力避けなければならないのでございまして、現行食管法を堅持しながら、国民の消費生活やあるいは国民経済の各分野にいろいろな影響の起きないようにこの食管制度を堅持してまいることを重ねて申し上げておきたいと思います。
○瀬野委員 一応その答弁をお聞きしまして、あと二点、農政問題で簡単に聞いておきます。 農振地域の問題で、最近ゴルフ場ができてきて、原野等を大手がかなり買い占めるということでたいへん問題になっておりますけれども、いわゆるゴルフ場等の建設業者によるところの山林、原野が荒されているという問題です。農振地域を拡大して規制すべきじゃないかという声が起きているわけでありますが、言うまでもなく、食料の自給度との関連もあるわけでございますので、この点政府では何か検討しておられるものかどうか、農林大臣の見解を簡単に聞いておきたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 農振地域の中に山林や林野を含めて考えていく、そしてその山林、林野の壊廃を防いでいく、そういうことは現にやっておることでございます。しかしながら、この山林、林野については規制措置が一方においてございませんから、ゴルフ場等のために買収が行なわれ、あるいはそれらの地域が壊廃されるような実情をまのあたりに見るということはきわめて遺憾なことでございます。そういうことで、一方におきまして森林法の改正を今国会にお願いをいたしまして、さような事態を防ぎたいと考えておる次第でございます。
○瀬野委員 もう一点、市街化調整区域内の乱開発のことで、これも基本的な問題として伺っておきますが、市街化調整区域は、もちろんこれを買うということはできないはずなんでありますけれども、大手が土地を買いあさっていることは御承知のとおりであります。仮登記で金を渡して、農家から買い集めるというような方式でありまして、農地法ではなかなか手が及ばないとされております。農地法との関連においてこれに対して行政上いかなる措置を考えておられるか、これをお伺いしたいのです。 しかも大手が買ったあと追認するような国土総合開発法にはわれわれは反対しておるわけであります。この点大いに警戒をしているところでありますけれども、従来の市街化区域をふくらまして、しかも民間デベロッパーを保護する政策になりかねない。また、農地がたいへん縮小されているということで、日本の食料需給の問題、農地の問題等考え合わせてたいへん心配をいたしておるわけであります。大手を救済するようなことになったのではたいへんである、こういったことで、私、質問するわけですが、これに対する大臣のお考えをひとつ国民の前に明らかにしていただきたい。
○櫻内国務大臣 市街化調整区域、これは言うまでもなく、この中における農地というものは当然規制を受けるわけでございます。ただ、現実的に市街地と市街地の間にはさまっておるような場合とか、周辺の状況の悪いような場合などがございまして、一がいに農地法の規制を厳守していくというわけにいかない例外的な場合があるとは思うのでありますが、御指摘のような乱開発になるような場合におきまして、これを特に、農地法があるにもかかわらず、野放し的にどんどん認めていくようなことは、もう当然考えないところでございます。特に現下の諸情勢からいたしますれば、何としてもこの農地法を守りまして、自然環境の保護であるとか国土の保全とかというようなことに十分留意すべきでございますので、農林省の行政指導としては、かりそめにも乱開発のおそれのあるような場合に許可を与えるというような事態は避けるようにいたしております。
○瀬野委員 次に、水産関係の基本的な問題を一つお尋ねします。時間の制約があるので、ひとつ簡潔にお願いしたいと思うのです。 農林大臣の昭和四十八年度の農林関係予算の説明の中で、「海洋水産資源の開発につきましては、沿岸海域における栽培漁業の振興をはかるため、瀬戸内海における従来の事業を引き続き推進するほか、新たに日本海における栽培漁業センターの設置について助成する」こういうように述べておられて、海洋水産資源の開発、中でも栽培漁業振興対策に七億三千百万円を計上し、瀬戸内海に二億一千万円を今年度計上しておられます。この瀬戸内海は国営方式で、昭和四十七年度予算では二億一千三百万円がついておるのですが、これらの成果と今後の計画について、まず簡潔に承りたいのでございます。
○櫻内国務大臣 海洋資源を確保していく、そのために一方において国際的な規制措置なども講ぜられておりますけれども、それも必要なことであるが、同時に栽培漁業はより一そうこれからの施策として考えていかなければならないと思うのであります。そこで、瀬戸内海におきましては、ただいまお話しのように、国営方式でやってまいりました。今後もっと栽培漁業を拡充していきたい、また地域、地域の事情の反映するようにやっていきたいというようなことから、今回日本海一帯に五カ所、それも三分の二の高額の補助をもって栽培漁業センターをつくるようにいたしたわけでございまして、この種の施策はできれば私としてはもっと拡充をいたしまして、貴重な国民のたん白資源確保の上におきまして、とかく海外の状況も日本に対して締め出すような要素も加わってきておるときでもありまするので、一そう栽培漁業についての施策は拡充をしてまいりたい、こういうふうに思います。 〔藤本委員長代理退席、佐々木委員長着席〕
○瀬野委員 農林大臣からいま答弁がありましたように、この中で日本海の栽培漁業については本年度四億八千五百万、五カ所で、補助率は——私は四分の三というふうに聞いておったのですが、大臣は三分の二と言ったが、それは間違いじゃないかと思うけれども、後ほどこれは訂正をするなりまたこれに対する見解を述べてもらいたい。二年計画の建設をする、こういう計画になっているわけですね。五カ所というのは、日本海沿岸ですから、当然山口、福井、島根、富山、新潟、こういうふうになろうと思うのでありますが、私がここでお尋ねしたいのは、栽培漁業を瀬戸内海は国営方式で、日本海はなぜ県営方式にしたか、この点について明確にお答え願いたい。
○荒勝政府委員 瀬戸内の栽培センター方式を前にきめましたときには、こういう漁業について、つくる漁業といいますか、漁業を栽培するということにつきましては、非常に実験的で、非常にパイロット的であったわけであります。その後相当長い期間かけまして、瀬戸内海の栽培漁業を全額国庫負担で実験いたしましたところ、実験成績が非常にあがりまして、高級魚でありますクルマエビとかあるいはタイとかといったものにつきまして非常に経済的に見通しがついたということから、今度、先ほど大臣が申されましたように、日本海あるいはやがては太平洋地区というふうに、全面的に拡充していくということで、経済効果があらわれましたので、今回の日本海の栽培方式は四分の三という高率の補助事業をもちまして実施いたしたいと思っております。瀬戸内のときには非常に経済効果の見通しが懸念されておったということで、全額国費負担ということで実施した次第でございます。
○瀬野委員 ただいま答弁いただきましたけれども、もう一ぺん聞いておきますけれども、四面海に恵まれておるところの日本列島は、水産国として世界に冠たる国であります。近年第二次産業の公害によって日本列島が汚水に浮かぶ島になりつつあるということで、たいへん関係者は心配している。大臣もそうであろうと思う。これはたいへんなことであります。国土の狭いわが国においては、動物性たん白食料の供給は将来とも水産資源に大きく依存をしなければならないわけでありまして、水産資源の生産増大は、同じ動物性たん白食料という立場に立った場合、広大な土地を利用し、ばく大なる飼料、すなわちえさを必要とする畜産業に比べますと、海の中にいる資源をとるわけでありますから、もちろん培養、いわゆる栽培はするわけでありますけれども、いわゆる効率生産ができるし、また資本の効率もなかなかすぐれておるということは言うまでもありません。とる漁業から養う漁業へということがいわれておる。 そこで、世界を考え、日本列島周囲を全部と言っていいように、これを資源培養型漁場として今後開発するということを考えていかなかったならば、将来子孫のためにたいへん悔いを残すと私は思うのですが、この辺については大臣、どういう見解でありますか。
○櫻内国務大臣 先ほど補助率の点の御指摘で、三分の二と申し上げましたのは四分の三でございますので、訂正申し上げます。 それから、ただいま日本列島沿岸のたん白資源の開発について御熱意をもって御主張されまして、私も全くそのとおりに考えるのでございまするが、従来、この水産振興の上におきましては、今回の栽培センターの拡充施策とともに、御承知の沿岸漁業の構造改善対策事業を進めておりまするし、あるいは大型魚礁及び浅海漁場の開発事業を進めておる次第でございまして、これからの国民の貴重なたん白資源確保の上におきましては、さらに一そうこれらの施策を拡充してまいりたいと思っております。
○瀬野委員 いま大臣もそういう答弁がありましたが、そこで、やはり日本としてはそういうことを考えていかねばならぬと思うのですね。言わずと知れたことだと私は思う。県営方式だと、結局、水産試験場というのは小型なものしかできない。しかも自分の県の地先のいわゆるエビだとか採貝のための養殖とか、そういったものに限られてみみっちいものになる、こういうふうにも思うわけですね。いわゆる県の地先の養殖に限られて、日本海全体の漁業の振興にはならぬ。 そこで、私は、なぜ国営にしなかったのか、こういうふうに残念でしようがないのだが、日本列島全体をどうして国営にしなかったかということについて農林大臣にお伺いしたい。
○櫻内国務大臣 私も予算折衝のときに瀬戸内海方式の国営が好ましいというように考えておりましたが、ただいまも申し上げましたように、相当な高率の補助でやり得る。そして御指摘のように、その県の沖合いだけを考えるのでないのですから、これは本来言うと、国営のほうが好ましいとは思いますが、しかし、先ほどもちょっと申し上げましたように、非常に高率の補助でありまするならば、その場合、各県がそれぞれ一応の責任を負うということで非常に熱意を持ってもらえるのではないか、こういうことで、最終的にはまあこの程度でやむを得ないという立場に立ちました。 ただ、そのときに、これはもう現実の話でございまするので御参考に申し上げますると、そういった方途にしたということになりましたら、同時に相当の各県から追っかけ、自分のほうも自分のほうもというような熱心な要望もございまして、これは四分の三の高率補助でやることに踏み切ってよかった、おそらく四十九年以降におきましては各県で熱心な要望をしてくるのではないか、こういうふうに予想をしておるわけでございまして、お話の点はよくわかりまするが、ただいま申し上げました点もひとつ御了承をいただきたいと思うのであります。
○瀬野委員 時間が詰まってきましたが、まあ、大臣はいろいろ苦しい答弁をされておるような感じで、聞いておりまして気の毒に思うのです。さっき局長は、経済的見通し云々で国営方式または日本海は各県方式をとったということを説明の一つに入れておられたし、また大臣からもいまいろいろお話がございましたが、魚というのは、これは県境もまた国境もないわけで、海の中を自由にあっちこっち動いて回る、こんなことはわかっているわけです。また県営方式でやりますと、どうしても自分の県の地先のふ化放流などということを主体に考えますので、どうしても全般的になりがたい。やはり日本海という大きな資源培養、また日本の将来ということを考えると、これは当然国営方式にすべきであるということは、だれが見てもそうだと思うのです。 そこで、いろいろ言われているのですけれども、農林大臣が、えらい失礼な言い方だけれども、あなたは島根県出身であるけれども、島根県の知事からやんや言われて、やむを得ずどうしようもなかったということでやったものじゃないか。各県知事の次々の陳情合戦にあってとうとう五県にわたった、こういうことになった。これは農林大臣としてはたいへん国民の前に申しわけない、いわゆる歴史に残る失敗だ、こういうふうに大かたの人が言っておるわけですね。これは大臣としての責任を感じておると思うが、私もここまで言いたくなかったのだが、大臣がのらりくらりしておられるのであえて申し上げるのだが、時間もあと三分しかございませんので、大臣、これに対してほんとうにそういったことを、やはりうわさであっても、疑惑を除くためにも、将来はこれは国営方式にせねばならぬとか、瀬戸内海で実験をやってわかっておるのだからこうすべきだというようなことをすっきりしないと、やはり国民に対して申しわけないのではないか、実はこういうふうに思っておる。大臣としても悔いを残すのではないか。これに対して大臣の見解を承りたい。
○櫻内国務大臣 瀬野委員の御指摘、私も理解を示しておるわけであります。しかし、私は自分の県だけを念頭に置いておったのではなくて、折衝の過程と経緯を率直に申し上げて、そして五カ所ということがきまり——きまる直前になりますると、各県でも要望してくる。初めは国営で一つか二つかなんといわれておるときには何ら関心を示さなかった。しかし、高率の助成でやり得るということでそれぞれ意欲を燃やした。これも悪くなかった、こう思って、私はあえて経過も申し上げた次第でございまするが、多少のことをそれぞれの県が負担しながらやるということは、先ほどからも申し上げておるとおりに、それだけ熱心にやる、その熱心さがやはり積もってきますならば大きな効果になると思うのでございまして、せっかく瀬戸内海方式に、今度は日本海方式になった、こういう段階でございまするから、国費を投ずる額だけは個所数はよけいにやるぐらいな意欲でやってまいりたいと思います。
○瀬野委員 時間が参りましたのでこれで締めくくりをして終わりにしますが、大臣、このことについてはどうかひとつ十分検討されて——ここでこれ以上詰めて平行線をたどってもしようがありませんが、これに対しては全漁業者、また国民も相当注目しておりますし、私が言っておることは、ここにおられる方たちもまた傍聴の方も聞いてよく理解されると思うのでありますが、国民として、国営方式として今後日本海の、とる漁業から養う漁業、栽培漁業の方針でいかねばならぬということは当然考えられることでありますので、強く反省し、今後対処していただきたい。またいずれ漁船法改正等のときに残余の問題と生産基盤の整備とか中継基地大規模冷蔵庫の問題等いろいろございますが、時間がございませんので次の機会に譲ることにいたします。 なお、林業問題については林野庁長官、各局長に来ていただきましたが、国有林の地域施業計画、民有林の地域森林計画、森林施業計画等に基づく問題で、民有林、国有林ともども年間生長量及び標準伐採量あるいは年間伐採量の関係等、次の森林法改正のときにお伺いすることにして、わざわざ御出席いただきましたけれども、時間がございませんので御了承いただいて、私の質問を終わることにいたします。
○佐々木委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 私、農政の基本的な問題につきまして若干お尋ねいたしたいと思いますが、これに対しまして、はなはだ失礼ですけれども、大臣の率直なしかも大胆な御答弁をお願いしたいと思います。 実は、先日から大臣の御答弁を聞いておりますと、何かそのときの事態に対して、はなはだ失礼ではございますけれども、逃げるというわけではございませんが、何か要領よく答弁だけしようというような感じが見受けられますので、私は決して責任を追及いたしませんから、思われたことを率直にお願いしたいと思います。 さらに、いま一つ申し上げたいと思いますことは、実はこういうことを申し上げて失礼でございますが、この間、農業委員会の全国大会で大臣があいさつに出席なさいまして、そのときに私も聞いておったのでございますが、大臣は、いずれ内閣改造があるから、自分は七月までの任期しかないのだとおっしゃっておりましたが、もちろん七月になるかわかりませんけれども、あなたのやられることは農政に対していつまでも責任があることなんだから、任期は短いとしても、自分のやる農政に対しては確信を持ってひとつ臨んでいただきたいということなんです。私は実はあなたの親分の河野一郎さんからこういうことを聞いたことがあります。あの人が農林大臣をやってその後建設大臣になりました。ところが、いやあ、建設大臣というのは気楽だよ、農林大臣というのはあとの責任があるが、建設大臣はあとの責任がないから気楽だよと言われたことがありました。それほど農林大臣というのはあとの責任があるわけです。それは、たとえ自分の任期は短くても、そのやった政治というものはいつまでも根を引くものであり、責任を持つものなんです。そういうような非常に重大な立場にあるということから、ひとつ率直に御答弁を願いたい。はなはだ失礼でございますけれども、最初にお願いを申し上げたいと思います。 私、まず冒頭にお願い申し上げたいと思いますことは、御承知のとおり、三十六年に農業基本法が成立いたしました。この農業基本法が成立いたしまして、これに対しては政府も大きな意気込みであり、農民もまた非常な期待をいたしました。ところが、その農業基本法の成立後の実態はどうであるかというと、今日ほとんど農業基本法というものは空文化しております。これは大臣、お認めになりますかどうか、まずこの大臣のお気持ちを率直にお尋ねしたいと思います。
○櫻内国務大臣 稲富先生の一番急所は、農業基本法が空文化しておるのではないか、こういう御指摘なのでありますが、三十六年から現在までのちょうど十年ほどの経緯を考えてみて、基本法はそれなりの効果をあらわしたものである、農業生産の場合におきましても、あるいはいわゆる選択的拡大がどういうふうになったのかというようなことを統計的に見てまいりますると、どうも空文化ということにはにわかに同調ができないのであります。しかし、農業基本法制定当時の目ざした積極的な効果があったかどうかということになってまいりますると、農業の発展ということを考えますならば、そのほうがより好ましいということになるのでありますが、どうもちょっといまの御指摘については同調しかねる。基本法は基本法の役割りを果たしたという見解でございます。
○稲富委員 大臣が農業基本法は空文化しておるとおっしゃっては、これは大きな問題だから、そういうふうにお言いになるかわかりませんけれども、それでは、私は、農業基本法が最も重点といたしておる点が実際は実現していない、政治の上にあらわれていない、こういうことに対して二、三指摘をして大胆のお考え方を承りたいと思うのであります。 御承知のとおり、農業基本法は「農業の向うべき新たなみちを明らかにし、農業に関する政策の目標を示す」ということをはっきり前置きにうたってあります。このことは農業基本法の提案の説明のときにも、農林大臣から農業基本法の基本的な問題についてはまず明らかに説明されております。そうしてその中に、農業基本法が最も主体とするところは、この法律によって農業従事者が所得を増大して、他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、こういうことを書いてあります。はたして現在の状態、農業に従事する者がその所得を増大して、他産業従事者と均衡するようなこういう状態に置かれておるかどうかということであります。これは現在の農業基本法の目標の一番重点でございますが、この点、農業の従事者というものがそういう状態に置かれていないということを私は考えております。これに対して大臣はどうお考えになっているか、承りたい。
○櫻内国務大臣 他産業との生産性の格差というもの、あるいは農業従事者の所得の増大、これが他産業従事者との均衡が保たれているかどうかということについては、いろいろ御議論の点があるかと思うのですけれども、農業の労働生産性が約二倍に向上していること、年率六・三%の伸びになっております。それから農家の所得が約三・八倍に増加して、年率一二・九%の伸びになっております。 そこで問題は、私もこれは問題だとよく認めておるところですが、農家の生活水準としては勤労者世帯とほぼ匹敵するまでの水準に向上しておると思うのです。だから、それを農業だけでいった場合には問題があると思うのですけれども、現在、専業農家あり兼業農家あり、いろいろありますね。しかし、農家としての所得が他産業の場合にほぼ水準が追っついてきているということから考えていきますときに、農業基本法の目的に非常にそぐわなかったか、私はまずまずいったのじゃないか、こう思うのです。
○稲富委員 大臣、非常に苦しい御答弁をなさっておりますが、実は現在農家の生活水準は上がった。しかしながら、農林大臣として、今日の農家所得というものに農外所得というものが非常に大きなウエートを占めていることは御承知になっているだろうと私は思うのでございます。私たちは少なくとも農業基本法で示す、農業従事者が他の産業に従事する者との所得の均衡をはかるということは、農外収入を含めての農家経済じゃなくて、農業そのものでやっていけるような、ほかの農家以外の者と均衡を保てるというような、こういう指示がここにあると私は思うのです。これが保たれていないから、農業だけでやっていけないから、出かせぎにも行かなければならないというような、こういう問題が起こるわけです。この点、いま大臣は、あるいはほかの労働もやる、農外収入も含めて農家がやっていけるということは、これは農業基本法に反してないじゃないか、こういうような苦しい答弁をなさっております。私はあなたを責める気はございません。大臣としてはそういうことで逃げたいだろうと思うけれども、農業基本法の趣旨はそうではないと私は思うのです。この点が、農業基本法のまず基本的な考え方というものが、実体が今日空文化しているのじゃないか。まず私が指摘するのはここなんです。この点どうですか、承りたい。
○櫻内国務大臣 この点は、いまの農業のあり方を急速に変えていくということに非常に困難性があると思うのです。そこで、一軒の中で一人か二人が農業を守っておる。そして他の人が他産業からの所得を得て、農家としては、とこうなる。そのことは本来言うと、簡単に言えば、いまの農業経営の規模を二軒が一緒にやってもらいたい、三軒が一緒にやってもらいたい、そしてそれからはみ出る人々は他の産業でやってもらいたい、そして残った人が農業所得でふえるというそういう考え方もできると思うのですけれども、それはあまりにも急角度のことでございまして、したがって、一軒の中でこの程度でやるのだ、あとは兼業収入でいくのだというのも、これはこれからの農業のあり方を漸次改革していく上の一つの過程としては、私はそういう現象が起きてもいいし、またそのことが農業基本法の考え方に全然相反するというような見方には立っておらないのです。
○稲富委員 しかし、農業基本法の第十五条には、自立経営農家を育成するということをいっているのですよ。自立経営農家の育成ということは、農家としての農業経営がやっていける、こういうことが望まれるということが私は農業基本法においても希望していることじゃないか、かように考えます。この農業基本法の第十五条は「家族農業経営が自立経営になるように育成するため必要な施策を講ずる」ということになっている。これは育成するというのは、農業外の仕事を含んで育成されるというのですか。それは自立経営農家じゃないわけなんです。この点からいうと、やはり農業基本法というものは、できるととならば農業でやっていける農家、これが少数になるかあるいは多くなるかは別といたしまして、そこに農業基本法のねらいがなければいけないと思う、他の収入まで入れての農業経営じゃなくして。その点が農業基本法の基本的な考えでなくちゃいけない、こう私は思うのでございます。私は何もあなたを責める気はございませんが、あとの結論に入るための順序として承りたいと思うわけであります。この点ひとつ承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 自立経営のシェアが昭和四十二年の一二・九%から、これがピークで、下がっておる事実は残念でございます。そしてその自立農業というものを育成することが農業基本法の一つの目標であったということも否定はいたしません。 ただ、現実の農村の実態からいたしまして、先ほども申し上げましたように、やはり農村の実情に即した考え方をある程度導入するのもやむを得ないのではないか、こういうふうに見ておるのでございます。ですから、一番好ましい姿は、専業農家なり自立経営農業のものがだんだんふえつつある。しかし、また他面に、農村の繁栄ということで工業も導入して、そして農工一体的な方向も考えるというようなことになってきておると思うのです。要は、農村がそういうことで繁栄していくということがいいので、現在過密、過疎の問題も起き、これからの国土の均衡ある発展を考えていかなければならないという場合に、一がいに農家として他産業との均衡が得られるということを否定していく必要はない、こういうふうに思うのです。
○稲富委員 答弁を聞いてますますわからぬようになりましたのですが、農家としてやっていくことを否定する必要はない、あなたは農工一体とおっしゃる。そうすると、結局、農工一体というのはどういうことなんですか。これは「日本列島改造論」にも農工一体といっておる。大臣も農工一体という。農工一体というのはどういうことであるか。あなた方のおっしゃる農工一体というものは、農業が工業の中にだんだん包含されて、そして農業の余命をその中に認めていくのが農工一体のように思うのだが、農工一体というのはどういうことなんですか、いま農工一体と言われましたが。
○櫻内国務大臣 農村に農村の自然環境を破壊するおそれのない知識集約型の工場が導入されてくる。またそういう工場を導入されるような促進策もとっておるわけですね。農村に住んでおる人が、全部が全部農業だけに専心しなければならないというような実態には私はないと思うのですよ。ですから、その場合に、その地域に適応したいい工場が誘致されて、農業との間で調和が保たれていくという姿を考えまするならば、これが農工一体だと思うのです。
○稲富委員 あなた農林大臣ですよ。どうも田中首相の言う農工一体というものも、だんだん工業が発展してくる、そうすると、工業に農業者が働く、そこによって給料をもらっていく、それで両方ともやっていく、だからこれが農工一体、こういうふうに解釈していらっしゃるように思う。私たちはそういうようなのは農工一体とは言わない。そういうものは農業が工業に包含された姿なのですよ。それは農業というものが工業の一つの付随物になったときなんです。私は真の農工一体とはそういうものじゃないと思うのだ。「列島改造論」にも農工一体ということを総理は言っておりますが、その点どうも私はふに落ちない。この点、日本の農業をどう育てていくか、工業をどう育てていくか。農業というのは工業のお世話になって、その一部分を持っていこうというような考え方で農林大臣は日本の農政をおやりになろうという考えでございますか。
○櫻内国務大臣 農工一体のことばを示せとおっしゃるので、私は示しておるのです。この委員会でも私はたびたび申し上げましたように、高度成長経済に対する批判もあり、またそれに対する反省もあり、そういうことから、これからの日本の産業はどういう方向を指向していくのか、こう言えば、ちょうどいまいい時期にきて、これから農林省の所管にある農業や林業や漁業、そして先ほども栽培漁業の話が出ましたが、漁業もつくる、林業もつくる、農業もつくるという精神に徹底した、そしてそこに固有の資源で無限に生まれてくるという産業、これを高度成長経済の反省と批判の中から大いに伸ばしていく、重点を持って考えていくべきいい機会にきておるということを申し上げておるのでございます。 そこで、自営農家が好ましい、これも当然のことでございます。たまたま農家としての収入の問題から、それも悪くないのではないかということを私は申し上げておるのでございまするが、農業を中心として考えまするならば、それはもう自営農家が好ましいということは当然でございます。
○稲富委員 その問題ばかり議論しておると長くなりますので、これはあと回しにします。 さらに、農業基本法の中にはこういうことが書いてあります。農業基本法の第十四条に「国は、農産物の輸出を振興するため、輸出に係る農産物の競争力を強化するとともに、輸出取引の秩序の確立、市場調査の充実、普及宣伝の強化等必要な施策を講ずるものとする。」ということが書いてありますが、一体農産物の輸出に対して今日まで政府はどれほどの努力をなさっているのか。かえって輸入に努力をなさっているのであって、輸出というものをほったらかしているのじゃないかというのが私たちが率直に得る実感なのです。農業基本法には輸入の振興をはかれと書いてありませんよ。農業基本法には「農産物の輸出を振興する」と書いてあります。これはどういうような処置をとっているか。これも農業基本法と逆な状態に置かれているということを私はまず指摘をしたいと思います。
○櫻内国務大臣 その点は御指摘のとおりでございます。現在、日本農業が、全般的に見まして、輸出能力を持つように育成されておるかということは、その段階に至っておりません。
○稲富委員 さらにまた、農業基本法の中では、御承知のように、選択的拡大、これで畜産、果樹、園芸というものは将来の日本農業の成長部門であるということをしばしば説かれた。ところが、いま申しましたように、輸出よりも輸入というものが優先している。いろいろな農産物が輸入される。ここで今日の選択的拡大に対しましても、農民の非常な不安というものがそこにあらわれてきている。この選択的拡大という期待が農業基本法にうたわれながらも、こういう状態に置かれていないというこの事実はどうお認めになりますか、承りたい。
○櫻内国務大臣 これはしばしば申し上げておるところでございます。昨年の十月の「試案」に基づいて、米、野菜、果実、肉、鶏卵、牛乳、乳製品、こういうようなものについてはおおむね完全自給ないし八割の自給に持っていこう、こういうことで努力をしてまいりまして、現在、基本法制定以来、野菜は一・五倍、果実は一・七倍、畜産は二・八倍に生産が増加をいたしておりまして、大体完全自給ないし八割の自給率の中にこれらの品目はあると思うのであります。いま問題になりますのは、飼料用作物、トウモロコシ、コウリャンあるいは小麦の実態はどうかということになりますると、この自給率はほとんどないという表現でよろしゅうございましょう。雑豆などは五割程度、こういうことになっておりまして、そういう面については、現在大部分を輸入に依存しておるということはきわめて遺憾でございます。したがって、私はこの「試案」について、飼料関係についてはもう一つ考慮の必要があるということをあえて——これは相当見識のある方々によってつくられておるが、昨年来の状況をも考えて、その一言だけは私としてはつけ加えたいということを申し上げて、今日この農政の衝に当たっておる、こういうわけでございます。
○稲富委員 ここで大臣に申し上げたいのですが、私はあえて農業基本法というものは空文化しているということを申し上げました。大臣は空文化してはいないとおっしゃいます。しかしながら、農業基本法に明らかにうたっていることが逆な結果になっているという事実がたくさんあるということは、お認めになったらいいと私は思う。空文化している、空文化してないという問題は別といたしまして、いま申しましたように、農業基本法に明らかにしていることが実際には行なわれていない。ここに農民の農業に対する非常な不安があると私は思うんですよ。 この原因は何によってこうなったかということを私たちはまず検討しなければいけない。私がここで申し上げたいことは、こういうように農業基本法は三十六年に創設されて、いま申しましたことをはっきりやって、日本農業というものはかくかくあるべきであるといいながらも、これは空文化した。私からいえば空文、農林大臣からいうと空文ではないけれども、そういう遺憾な点もあったとおっしゃる。そういうようなことになったということは、ちょうど農業基本法ができてから数年ならずして、経済同友会が「日本農業の将来への提言」ですか、その論文の中で農業の世界分業論を説いた。すなわち、農産物というものは生産コストの安いところから買うてくることが最も妥当ではないか、こういうような非常に強い意見が反映して、ついに日本政府もそういうことに取り組まざるを得ないような状態になったのではないかということが憂慮される。 これは何かというと、高度経済成長政策を政府はとった。高度経済成長政策をするためには、できるだけ安く生産をあげなくちゃいけない。できるだけ安く生産をあげるためには、兼業農家を入れることがいいのです。先刻も言ったように、農業基本法ができてからだんだん兼業農家がふえてきている。それで低賃金に甘んずる労働者が出てきた。低賃金に甘んずる労働者がたくさんできると、日本製品を外国に安く売り出せる。そうすると、いま問題になっております国際収支の各国のバランスの上から、何を買ってくるかといえば農産物を入れなければいけない。ここに問題があるのではなかろうか。 政府は農政を、農業基本法をつくりながらも余儀なくこういう状態に置かれたのではないかということを私は考えるわけでございますが、これに対しては大臣はどうお考えになるか、承りたい。
○櫻内国務大臣 御指摘の点、必ずしも私はそういう見地には立たないのであります。私どもが細心の注意を払わなければなりませんことは、消費者のこと、国民生活の安定ということ、そういう面からすると、全然白紙の上で考えますならば、いまの分業論から入っていくのと、そういう消費者対策、国民生活の上から入っていくのと、同じ方向でいきますけれども、しかし、安い食糧を安定的に供給ができるという見通しが立てば、この食糧のほうから入っていく行き方も成り立っていくと思うのですね。ただ、昨年のような問題が起きてまいりますと、一体安定的な供給がはかられるのかどうか、よく言う食糧の安全保障の問題というようなことから、現在はその考えがだいぶ変化をしてきておる。私などは先生のお気持ちと大体一緒のほうなんです。やはり食料というものは国内の自給率が高いほうがいい、また農政に当たる者としてはこれは当然のことなんですね。国内でできるものはできるだけつくるべきである、安定的供給をすべきである、しかし、いかにも国際的に見て大きな格差がある、しかもそれが長期に安定的に日本に持ってこれる、こういうことになってくると、その考え方も導入したある程度の調和、弾力を持つという必要性も出てきておる。ですから、私としては、自給率がいつも問題になりますが、「試案」でいけば最高七七までとっておりますが、七五前後、これに対して八〇%くらいという方もございます。私のように飼料の自給率をもう少し高めるという考えでいくと、やはり方向としては八〇%見当のものになると思うのですが、しかし、それ以外のことについてはできるだけ長期に安定的に国際的な食料を導入してもいいという考え方に立つのです。ある程度のところは、食糧から見た安全保障からいっても、いざというときに船がとまったとか天候のあれで出てこないとかいっても、そこはつなげるのではないかという考えに立っております。 いまの、経済界のほうから、国際分業の上で安いものをどんどん買って、そして農業のほうはもうやめて、それが全部工場のほうに行くほうが好ましい、そういうことを考えた向きもございましょうが、この点については、すでにはっきり申し上げておるように、高度成長経済というものについては、いまの日本の現状からはこれに対する批判もあり、反省もあって、方向が変わりつつあるということで、これからのそういう新しい見地に立っての農業を考えていく必要があるのだ、かように見ておるわけであります。
○稲富委員 総理の「日本列島改造論」の中にも書いてありますが、食料の維持は八〇%程度の自給率が必要であるということ、政府は口を開けばいつもいまおっしゃったように七〇%、八〇%の食料の自給率は必要である、こうおっしゃっておる。口にはそうおっしゃるけれども、事実はなかなかそういかない。言うことはやすいけれども、やらなければできない。問題は、消費者が安いものを希望するから安いものを入れるのだ、ただこういう観点にのみのっとりますと、日本の農業はつぶれてもいいのだということになってくる。私はやはり、日本農業をどの程度まで守っていくか、ここに最も重点がなくてはいけないと思う。それがためには、消費者に安いものを提供するのならば、生産コストの下がるような農業に政府は積極的に取り組むべきではないかと思います。ただ消費者に安い農産物、食料を供給するがために、安ければ外国から買ってくればいいのだ、こういうような安易な食料政策というものはとるべきじゃない。やはり日本の農業はどの程度に守るのだ、まずこの基礎の上に立って、そしてその上ですべての問題を考えなくてはいけないと私は思う。それがためには、口には八〇%の食料の自給率は必要だとおっしゃるならば、八〇%の食料の自給率が必要であるような施策をやらなくてはいけない。ところが、それをやれば消費者が高いものを買わなければいけないというならば、生産コストを下げるような農政を打ち出すことが必要なんですね。これをやらないで、口には八〇%の自給率が必要であるということを言いながら、ただ安いものを外国から買ってきて消費者に提供すればいいのだというようなことをやっておりますと、ついには日本農業の破滅を来たすということになる。農林大臣はこれでいいかどうかということを十分考えていただかなくてはいけないと思いますので、ひとつこれに対する大臣の決意を承りたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 いまの先生のおっしゃることは、私はもうそのとおりに正直に受けていきたいと思います。安いから海外に仰げばいいのだというようなことは考えておりません。ただ、非常に格差がある場合で、しかも安定的に供給が得られるというようなものについては、これは多少弾力的に考えたいということは申し上げておるわけでございますが、基本姿勢としてはおっしゃるとおりだと思うのであります。 したがって、政府としては相当な農業予算をお願いして、ことしも食糧管理以外では一兆円に近いものをお願いをして、そして基盤整備については新しい土地改良の十年計画の初年度として、あるいは構造改善事業や主要農産物の七割に及ぶ価格支持政策などいろいろとお願いをしておるわけでございます。ただ、それが十分な効果をあげておらない、もっと積極的な姿勢が好ましい、こういう御指摘であれば、それはもう農政をやるものとしてはまことにありがたいことでございまして、今後ともそういう方向で積極的に、国内において、よい、そして安い食料の安定供給につとめるということは私どもの当然の任務だと思います。
○稲富委員 それでは、この問題に対する結論でございますが、大臣に対しましては、まず食料の自給率を、あなた、七七%——七七%でも七五%でもいいが、これを必要なだけを確保するという立場から日本の農政を確立する、そうしてその上に立って、消費者には安い農産物を提供する、こういうたてまえに立ったあらゆる農業施策をやっていこう、こういうようなことを考えていらっしゃるし、またそれを実行するという御意思でありますか。この問題について最後に結論として承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 そのとおりでございますとともに、なお農家の所得向上のために努力をするということを一言つけ加えさせていただきたい。
○稲富委員 そうしますと、生産コストを下げなくちゃいけないということになりますと、農業経営に対する助成、補助というものも当然大胆に行なわれなければいけない、私はこういうことを考えます。最近、農林省は何か金が要ると、貸すのだ、融資ばかりを考える。借りた金は返さなければいけないんですよ。この点は、ほんとうに必要であるというならば、その点までも積極的に農林省は取り組んでいかなくちゃいけないと思いますが、そういうような決意もおありになるかどうか、承りたい。
○櫻内国務大臣 せっかく一致点を見出したようですが、融資の関係のほうにまいりますると、ちょっと意見が私に出るのです。なぜかというと、これは農業経営でございますね。そうすると、経営意欲というものがどこから出てくるか、そういうことを考えてみると、ただ補助金をもらえる、もらったのだということよりも、低利の長期の資金を得ながら、そしてそれによって返済の責任も感じながら生産意欲を起こす。農家に対して不当な負担をかける意志はございませんが、あらゆる経営的立場から考えていきまするならば、そこにはそれだけのまた妙味とそれぞれの経営者のプライドというものもある、こう思うのですね。融資の低うは全然考えずにいこうということ、そこまでおっしゃっておるのじゃないと思いますけれども、融資のことも、これもやはり導入しながらやっていって、そこに妙味もあるのじゃないか、こういうふうに私は見るのです。
○稲富委員 そこで融資の問題で、融資をおやりになるなら、融資はもっと金利を下げなければならない。大臣、御承知のとおり、今日の農業経営の伸びというものは非常に低いんですよ。農村経済の伸びからいくと、融資のこの率は高過ぎるということなんです。これはかつてあなたの親分の河野農林大臣のときに、農林金融の金利が三分五厘じゃ高いと言うと、河野農林大臣は、おれも三分五厘は高過ぎると思うと言うておった。なぜ安くせぬかと言うと、思ってたってやれぬことがあるじゃないか——あなたの親分も高過ぎると思っていた。あなたも三分五厘は高過ぎると思われたから、まず融資の面において金利を下げるということ。 さらに、融資というものは、やる以上は返さなくちゃいけない。農村経営は逼迫している。場合によったら、これに対してはやはり助成、補助というものも積極的に取り組んで、そして農業経営に対する意欲を持たせるということも必要じゃないか。 この点もひとつ両面考えて対処するということをやらなければ、大臣のおっしゃったような、今日、農業をやっていくんだ、生産は七〇%の自給率を保つのだ、そうして消費者には安いものを提供するのだ、こういうたてまえをとるならば、こういう両面をとらなければいけない、私はこう思いますから、これを質問しておるわけであります。この点をいまひとつ承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 大体見当がつきました。金融の面でも、言うまでもなく、近代化資金で無利息のものも出す、あるいは利息が高ければ利息に対する補助施策もとる、こういうことで、農業経営が安定してやれるように、また、できる生産物が消費者のためになるように——もちろん、ためになるようにということは、でき得る限り良質なものが安定して安く提供されることが好ましいのでありますから、そういう方向に持っていくことは当然だと思うのであります。
○稲富委員 これはいつまでやっても平行線で、時間がありませんので、これに対してはひとつ、積極的にやるとここで言うと責任ができるとお思いになるかもわかりませんが、ただいま申しましたように、日本の農業を守るために積極的に取り組んでいただきたいということを特に私は申し上げたいと思う。 それから、最近、農林省は、たとえば農業基本法がいま申し上げましたようにおもしろくいかない。私から言うと、空文化しておる。そうなると、今度は、政府は手を変えて総合農政をおっしゃる。元来、総合農政とはどういうことなんです。どうも政府のやっていらっしゃる総合農政というのは、米の生産調整をやることが総合農政のように実際は行なわれておると私は思う。私は総合農政というものは、米だけが日本の農業ではないので、米以外の農業も大いにこれを振興する、工業と同じような収入が得られる、そういう幅の広い農業を確立することが総合農政だと思うのです。ところが、政府は、総合農政ということばは非常に幅広いが、やっていらっしゃることは米の生産調整なんです。総合農政という名前を借りた米の生産調整であって、私は総合農政とはそういうものじゃないと思うが、大臣、これはどうお考えになりますか。
○櫻内国務大臣 総合農政がいわれるのと米の生産調整というものが大体時を同じゅうしておったためにそういうような御見解をおとりになったような気もするのです。まあ、間違っておるかもしれません。私がそういう気がしたのかもしれませんが、しかし、文字どおり総合農政は総合農政でございまして、需要の増加する野菜や果実や畜産に重点を遭いて先ほどからの基盤整備や構造改善や価格安定対策をとっておる。こういうととでございまするから、別に米の問題が中心で総合農政がいおれておるとは思っておらないのでございます。各種の施策が総合農政がいわれてからいろいろと打ち出されておるという事実もお認めいただけると思います。
○稲富委員 いや、総合農政ということを口に言いながら、やっていらっしゃることはほかのことをやっていらっしゃる、米の生産調整ばかりやっていらっしゃる。この点が私は総合農政のはき違えじゃないかということを申し上げておるわけです。総合農政が悪いというのじゃございません。総合農政は大いにけっこうなんです。大いにやるべきである。それならば、ほかの農業ももっと真剣にやる、こういうことも考えなくてはいけない、総合的に考えなくてはいけないと私は思う。 ただ、これをおやりにならないということは何であるかというと、安易に海外から農産物の輸入を考えていらっしゃる。それだから、総合的な農政を打ち出せない。これは外国から買ってくれば一番安易なんですよ。それだから、今度のような大豆の問題あるいはえさの問題が起こってくる。海外からの輸入に依存することばかり考えておるから、高くなってからとんだことになったと右往左往、ろうばいしておるというのが今日の農林省の姿じゃないですか。こういう点、あまりにも計画がなかったと言わなくてはならないと私は思う。 元来、基盤がある土地を遊ばせるなんて、こんな農政がありますか。休耕に金をやる。なぜ政府は、金をやってもいいから、別なものをつくらせて遊ばせないようなことをやらないのですか。この天から与えられた土地がありながら、これを遊ばせることによって補助をするのだ、金をやるのだ、一つも総合的な農業に取り組まない。一体農業というものをどう考えておるかということを疑わざるを得ない。こういう点は大臣はどうお考えになるか。これはまじめにお考えいただきたいと思うのですが、どうお考えになります。
○櫻内国務大臣 いま休耕問題の御批判がございましたが、これは生産調整やむを得ざる当時の状況、過剰米をかかえて、農村においても倉庫が一ぱいになっておってどうにもならないという状況のもとにおいて、緊急にしかも均一的な生産調整、こういうことをやるときに、当時何%であったか私よく記憶しておりませんが、これだけ調整してもらいたい、それにはその間休耕奨励金を出すというようなことで当初臨まざるを得なかったのです。しかし、私も答弁のおりにたびたび申し上げますように、休耕というよりも、いま御指摘の転作のほうが望ましい。したがって、三年目を迎えたことしの場合には、八割方はもう転作のほうで解決をしようという施策をとっておるわけでございますので、この点は御了承いただきたいと思うのであります。 それから、生産調整をやりながらいろんなものをみな海外に仰いだのではない。例をおあげになりました、大豆であるとか飼料の中の濃厚飼料に使うトウモロコシ、コウリャン、この関係、これも安定的にしかも安く買い得るという見通しがあったので、従来そういうことで海外から買っておった。しかし、この点は、飼料の関係をこれだけ海外に依存しておるのは好ましくないということは、私も先般来申し上げておるところでございまして、現に日本の食料の現在の自給度はどうか、こう言えば、大体七五%は自給しておるのでございますから、個々の品物についていろいろ御批判、御非難はございましょうが、全般的にはそう一がいに責められても私どもたいへん困る次第でございます。
○稲富委員 食料を海外に依存しておりますと、見当がつかないから今度のような周章ろうばいになるのですよ。大豆が上がった、えさが上がった、最近私たちが見ておると、農林省のろうばいのしかたは見ちゃおられないのです。それだから、地方の農民はますます不安になって、一体今日えさはどうすればいいか、みんなが不安になっているのですよ。その農林省が右往左往なんです。海外に依存することに安易な考え方を持っておるからこういうことになる。統計面なんかもなっておらぬじゃないか。昨年あなた方のほうで「農業観測」というものを発表されておる。これは昨年の十月の二十日の発行です。この中にどういう見通しをされておるか。「大豆の価格は、年度当初の見通しでは、強含みに推移するとみたが、北海道での生産が大幅に増加すると見られることなどから、ほぼ横ばいに推移するものとみられる」なんて、十月の二十日にこういうような見当をつけられておるじゃないですか。農林省はこんなにおめでたい見当をつけておるから、大豆が上がってからろうばいしなければならぬ。えさはどうか、「飼料の価格は、上期は弱含みに推移したが、下期では前年同期をやや下回る水準で推移するものとみられる」こういうことを堂々とあなたのほうの農林省で観測をされている。これはあなたのほうでもちゃんと書かれておるのだから、こういうような状態を見直して——しかも十月の二十日に、のほほんとしてこういうようなことを発表されるということは、あまりにもあなたのほうで観測を誤っておったのではないかと私は思う。それだから、今度は急に大豆が上がった、やれえさが上がったと言うて周章ろうばいしておるというのが今日の姿なんです。こういうことも、一つには安易な海外依存の気持ちがあるからこういうことになるのじゃなかろうかと私は思うのです。これに対しても私は農林省のお役人さん方はもっと勉強してもらいたいと思うのですよ。ともかくも日本の農業というものが、最近の農林省を見ておりますと——私は役人の方ともみな懇意だからこういうことは言いたくないけれども、何しろ日本の農業というものは外国から買ってくるのだということで、あまりに安易なこういうふうな考え方があるのじゃないですか。それだから、ミカンが暴落すると周章ろうばいする。見通しはどうかというと、先のことはわからぬなんて、こういう安易な気持ちを持ち過ぎておるということについては、農林省の役人の人たちが真剣に日本の農政に取り組んでないと私は思うのですよ。これはやはり大臣みずから、政治家が真剣に農業に取り組まなければいけない。そうすることによってすべて役人も真剣に取り組むと思う。今日の日本の農政というものは、農民の農政ではなく、財界農政である、官僚農政であるといわれております。こういうような汚名をこうむらないように大臣は真剣にひとつ取り組んでもらいたい、こう思うのです。こういう点から一例をあげたのですが、こういうような報告を堂々と十月二十日に出されるというようなことは、これはあまりにもたるんでおると私は思うのですが、いかがですか。
○櫻内国務大臣 ただいまの御指摘については、当時の事情をよくわかりませんが、その「農業観測」が短期の見通しとして書かれておるものだと思うのであります。それだからといって、私は、いまの観測を擁護しようという考えはございません。私自身が、繰り返し申し上げましたように、相当な方々がつくられた十月の「試案」であるけれども、自分としても飼料——大豆も大豆かすが飼料につながるのですから、飼料の関係はどうも自分としてはもう少し自給率を高めなければならぬということは、当初から申し上げておるわけでございまして、十月に発表された「試案」にしてもあるいはただいま御指摘の「農業観測」にいたしましても、昨年の収穫期が近づいてからの世界農業の実情というものは計算に入ってきておらないと思うのであります。 いま御指摘の観測が間違っておったじゃないか。それはもう現実にそのとおり確かに間違っておったのでありますから、これに抗弁をする考えはございません。また、おっしゃるように、あらゆるデータをそろえて、そして間違いのない見通しをもって農政の指導に当たらなければならぬということはおことばのとおりだと思います。
○稲富委員 農産物というのは数カ月かからなければ生産されないのですよ。その日の問題でないから、この点の予測はできない。それで外国から何でも入ってくるという安易な気持ちでおるから、そういうことになるということを私は申し上げておる。 生産調整の問題が出ましたので、この機会にひとつお尋ねしたいと思います。 実は昨日FAOの事務局長のバーマさんがやってきて、米の生産調整を日本に再考しろという勧告があったということを、本日の「日本経済」は報告しております。大臣は、これをお読みになったのであるかどうか、さらにまた、これに対して生産調整を再考する考えがあるかどうか、この点を承りたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 FAOのバーマ事務局長に私も会いました。その際にはこういう具体的なことは言われておりませんでした。もっと備蓄の必要があるのではないかというような御意見を言われておりましたが、この新聞に出ておりますることは、事務当局におきましてさらに接触されたということで、その際にバーマ事務局長が国際的な食糧事情の上から一応の意見を申し述べたように承っております。もし必要があれば、そのときにバーマ局長と会われた局長もおりますので、御参考までに申し述べさせてもよろしいかと思います。
○吉岡説明員 二時間ばかり外務省事務当局と農林省の事務当局を含めまして、FAOと日本政府との協力関係を中心にいたしまして、先週の金曜日に話し合いを持ったわけでございます。そのときバーマが申しました点は、昨年来の異常気象をおもな原因にする世界の穀物事情の急変が今日もなお続いておるわけでございますが、最近までの世界の天候の状況を見ていると、いままでのところ非常に去年と似ておる。したがって、このような状態が続くと、現在の穀物情勢というものが好転するということは必ずしも期待が持てないということになるので、先進農産物輸出国は、後進国に対する食糧援助も含めまして、何らかの緩衝在庫を持つ必要があると自分は考えるということで、アメリカ、カナダ等にそのことを要請して、これらの国からは好意的な回答を得ている。したがって、このような観点から、日本としても穀物の問題を考えられることがいいのではないかということを申したわけでございます。
○稲富委員 いまのお話、お聞きのとおりでございますから、大臣は生産調整をまだ続けられるのか、それとも穀物の生産にもっと積極的に取り組まれるか、この点をお聞きしたいと思います。
○櫻内国務大臣 私は二百五万トンの生産調整をいまここで変更するという考えは持っておりません。ただ、私は現在も各県に、生産目標あるいは生産調整についての指示が伝達されておる段階で、またその協力も要請したわけでございますが、この生産調整の経緯から見て、当初画一的な調整をやって、いま私どもが適地適作を申し、あるいは能率のよい農業を目ざそうというときに、それにそぐわないような実情というものがある場合におきましては、それぞれの県において自主的ないろいろな判断が行なわれる場合があると思いますので、それについてはあえてそれもいけないというような姿勢はとりたくない。そういうことで、いまの潜在的な過剰傾向にあるということだけはいなめない事実なのでございますので、指示いたしました二百五万トンのことについては、いまバーマ事務局長が言ったからといって、これを変更するというようなことでいろいろな混乱とか、あるいはさらに、これは予算的な関係にもなってくるのでございまして、そうでない地区の事情による自主的な判断というようなことについては、これをどうこうは言わないという私の考えでございます。
○稲富委員 大臣は今日、本年度二百五万トンの生産調整を一応指示したからということにあまりこだわり過ぎていらっしゃるのじゃないですか。元来、生産調整というものも、ほんとうに総合農政というものを樹立するならば、主産地形成をやるべきだと私は思うのですよ。適地適作による主産地形成をやる。そしてその適地から離れたところには別な農業をやらせるのだ、こういう白紙で出直しする必要があると私は思う。しかも、そうして今度は、わざわざ減反し休耕にする、そういうことをして、一方には、この間もお話しになっておりましたが、もち米を外国から買うてくる。もち米が欠乏する、高くなるというけれども、なぜもち米をふやさないのですか、そういう作付調整もやっていいと思う。何もあけるばかりが、それを休耕にしておくばかりが生産調整じゃないと私は思う。それで米を植えないところにほかのものを植える、あるいは飼料でもいいじゃないですか。これは二百五万トンの生産調整をやったから、予算もそういうふうに組んでおるから、いまそれを変更すれば混乱するからということにあまりこだわらないで、この際もっと白紙に戻してみて、どうしたら時代に沿い得るか、こういうことを考えるべきじゃないかと私は思う。 しかも、今日世界的な食糧不足を生じているときでございますから、備蓄の問題も当然考えていいと私は思う。備蓄に対してはどういうふうに考えていらっしゃるか。これは、昔の人、古老は、米というのはもみだけとっておけば何百年ももつので、凶作のときの対策としては、米がなったまま倉の二階につるしておったわけです。これが将来の種米だ。そういうように米というものはもみでとっておけば長くもてるものなんです。こういうことに対する備蓄の方法もおのずから考えなければいけないのではないかと私は思う。 これに対しては、いままでと同じような生産調整、休耕をやらないで、もっと白紙になって考え直して、適地適作による主産地形成をやる。そうしていま言うもち米であるとかその他のものをつくらせることを考える。さらに、お金を出して生産を増して、援助をしなくちゃいけないものは援助をしてもいいじゃないか、こういうふうに考え直すべきだと思いますが、いかがでございますか。あまりこだわらぬほうがいいと思うのです。
○櫻内国務大臣 決してこだわっておりません。これは何べんも申し上げたのでありますが、今回は大部分が転作の奨励をするのでありまして、その転作については、先ほどからいろいろ御心配で御発言の大豆であるとかあるいは飼料の関係をやるのですから、決して生産調整即休耕して何もやらないということでない。必要なものをつくる、しかも、そういうものをつくることが定着化していってくれますならば、農家のために寄与する、こういうふうに見ておるわけでございまするので、まあ、おっしゃっておることは私もよくわかるところでありますが、また、そういう転作を中心に必要なものをつくるということについても御理解をいただきたいと思うのです。
○稲富委員 そうすると、今度は休耕はやらせないということなんですか。大体休耕というのは草がはえまして往生しておるのですよ。休耕をやらせないでほかのものをつくらせるという御意見のようにいま拝聴したのでございますが、そうでございますか。
○櫻内国務大臣 そのとおりなんでございます。いまちょっと休耕と転作と、あるいは養魚施設などをつくろうという数字をさっきからさがしておるのですが、大部分転作でございますから、この稲作転換面積を申し上げますと、飼料作物に十二万ヘクタール、それから野菜に七万四千ヘクタール、豆類に九万八千ヘクタール、永年性作物に三万二千ヘクタール、その他五万二千ヘクタールで、小計三十七万六千ヘクタールでございますが、そのほかに三万一千ヘクタールほどの植林をいたそう、こういうような稲作転換の目標でやるのでございます。
○稲富委員 時間もありませんので、そろそろ結論に入ります。 それで、いま申しましたように、現在の農業基本法というものに対して、私たちはどうも忠実にこれが実行されない、かように考えます。これは一面から考えますと、農業基本法というものを農林省は非常に軽視されているのじゃないか、こういうような考えを持つわけなんです。 その一つのあらわれとして私が申し上げたいと思うのは、御承知のとおり、農業基本法の第七条に「政府は、毎年、国会に、前条第一項の報告に係る農業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を提出しなければならない。」いわゆる農業白書なんです。この農業白書を提出されることによって、来年度の農業に対する施策等が当然考えられなくてはいけないことになる。予算もこれに影響すると思う。それで、農業基本法の精神を農林省が非常にお考えになるとするならば、本来から言うならば、予算を審議する前にこの農業白書というものは国会に提出をして、昨年はこういう報告になっている、内容になっているのだ。それで来年度はこの白書を参考として、新しい農業の動向に合う施策をやってもらわなくてはいけない。この農業白書というものを農業基本法にうたった理由はそこにあると私は思う。ところが、毎年これが提出されるのがおくれる。ことしも出ておりません。いつごろお出しになるのか知らぬけれども、予算が通ってしまってから農業白書をお出しになったところで参考になりません。こういう点は農業基本法のあり方というものを非常に軽視していらっしゃるのじゃないか、かように私は考えるわけでございますが、大臣はどういうお考えか。あなたを責めるわけではございませんので、率直なところを言ってもらいたい。
○櫻内国務大臣 国会に各種の白書が出されます。御指摘のように、予算の編成中あるいは編成前に出すのが好ましいということは、私もなるほどそうかなと思います。従来どういうことでおくれておるのか。今国会には、農政審議会の議を経まして、間もなく御提出申し上げようと思っておりますが、御指摘のような時期についてのお考えにつきましては、将来のために十分参考にいたしたいと思います。
○稲富委員 ここで私は大臣にひとつ教えていただきとうございます。これは何かというと、私はよく農村に参ります。そうすると、農村の青年、しかも農業を経営しようという意欲を持った青年ほどこういう深刻な質問をいたします。一体、日本の農業は将来性がありますかありませんか。日本の農業の将来性がないとするならば、私たちはこのあたりでもう農業から離れようと思います。将来性があるならば、私たちはひとつ親のあとを継いで農業を経営しようと思いますが、どうでございましょうか。こういう意見を聞かれます。私、ほんとうに答弁に因ります。こういう場合にどういう答弁をしたらいいか、ひとつ大臣から教えていただきたい。 さらにもう一つは、最近農村の青年がこう深刻に質問します。私たちは農業基本法に示してあるように、自立経営農家として親のあとを継いでやっていこうと思っています。この望みは、私の家はいま耕作面積は一町歩しかない。私の隣は兼業農家なんです。むすこは工場に働きに行っています。おやじが農業をするから嫁さんはそれについて農業をやっている。おやじがなくなったならばおそらく農業をやめるだろう。そうしたならば、その土地を買い受けて、そしてひとつ自分の経営基盤を広くして農業をやろうという希望を持っておった。ところが、今日構造改善事業が非常に進んでまいり、基盤整備が進んでまいる。そうすると、これは農協が委託経営をやるようになってくる。そうなると、将来農民不在の農業というものがだんだん行なわれてくるのじゃなかろうかということを憂慮する。この農民不在の農業というものが喜ばしいことであるかどうであるか、こういう点に対して私も非常に悩みを持っておりますので、これについてひとつ大臣のお考えをお教え願いたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 先生は私がどういう国会活動をしておるかということも十分御承知でおられると思うのです。先生にお教えをするという大それた考えはございませんが、ただ、私がいま農林の責任者として担当しておる立場で何か御参考までに申し上げまするならば、やはり御質問の方々が一応どういう状況かということが前提になると思うのです。おそらくだれが見ても、御質問されておる方はその家の後継者たるべき立場にあるのではないか。長男、次男といえば、長男である。あるいは次男であっても、長男は会社づとめに東京か大阪のほうへ行っておるというような場合ではないか。一応自分は、できれば農業後継者としてやっていくのだ、そういう立場の方の質問といたしますれば、私はやはり国の将来を考え、またその人の環境を考えて、それはもう大いにやってもらいたい。やって決して将来性がないものではございませんというふうに言い切りたい気持ちが一ぱいでございます。 と申しますのは、先ほども申したように、高度成長経済というものは率直に言って行き詰まっておる。そしてどういう方向にこれからの日本の産業の重点を考えていくのか、こういうことになってきたときに、何といっても、農業にしても林業にしても漁業にしても、やりようによって固有の資源であって、そして無限の資源であると思うのです。こういうものが日本の国の中心的な産業でなければ、従来どおりに原料を海外から買ってきて、それを加工して出して、世界じゅうの資源をあさるというような事態になる。でありますから、何としても固有の産業、固有の資源を中心としたものが好ましいということになる、こう思うのであります。また、これからの政治の方向を考えますときに、高度成長経済の批判と反省の上に立って何をやるかということになってまいりますれば、農業や漁業や林業というものは非常に大事な産業になってくる、こう思います。だから、こういう前提に立ちまして、あとは具体的に一体それに伴う施策があるかないか、安心ができるかどうかというところに進んでいくと思いますが、その前提だけでお許しをいただきます。
○稲富委員 結論に入ります。それで、農林大臣は、日本の農業は望みがある、そういうことで政府は農政をやっていくのだから安心しておけと言います。 そこで、時間がありませんが、今日非常に農村で起こる問題は、農業基本法の十六条の細分化を防ぐための遺産相続の問題で、これに対してはまだ何も方法をとっていない。たとえば、今日、長男が農業を経営して次男、三男は学校にやる、そうすると、次男、三男は就職し、退職して帰ってきて財産の細分化を願う。そうすると、従来の耕作地を分けなければいけないという問題で、非常に深刻な問題が起こっております。これに対しての対策はどういう考えでやっていらっしゃるかということと、これはもしなかったら今後考えてもらいたいということ。 さらに、いま私、いろいろ申しましたように、現在の農業基本法というものが非常に実際にそぐわない点がたくさんあるということ。内容ではっきり明記していることが、現在の時勢においては実行されていないことがたくさんある、こういう矛盾を私は感ずるのです。それで、この際農林大臣は思い切ってこの農業基本法を時代に沿うたようなことに改正し直すという御意思はないのであるか。先刻から時勢の変わりとともにとおっしゃいました。私は時勢の変わりとともに農業基本法も当然改正すべきものであると思いますが、これに対する大臣の考え方を承りまして私の質問を終わりますから、この二つだけ御答弁願いたいと思います。
○櫻内国務大臣 遺産相続による細分化のことにつきましては、私、いまここで間違いなくお答えする材料がございません。そういうことのないような措置は講ぜられておるというふうに私は記憶しておるのでありますが、しかし、これはいま事務当局のほうからお答えをしてもらうことにいたします。 それから、先ほどから私も肯定いたしましたように、基本法で農産物を輸出するというようなことが、そういってないじゃないかというように、事例をあげての御指摘でございまして、確かに基本法が空文化されておる点や十分ならざる点を認めるものでございますが、私は決して避ける意味で申し上げるのではありませんけれども、いわば憲法でも、こまかく言えば、時勢に沿って直すほうがいいという、九条をのけてもあると思うのですね。しかし、基本法とかそういう大事なものというものは、手直しとかなんとかというときには、ほんとうに十分な検討の上でなされなければならない。こういうことで、こういうものは多少欠陥があっても、やはり長期にわたって堅持されるほうが基本法のゆえんではないかというふうに思いますけれども、しかし、御指摘のような問題点があることについては、われわれとしては十分検討をいたしておきたい、こう思います。
○佐々木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十四分散会