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71回国会衆議院1973/02/27

農林水産委員会 第3号

発言数
70
登壇者
4
会派数
2
開催日
1973/02/27

会議録

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 大臣が先般所信を表明されたことについて、基本的な問題について大きく九項目にわたって質問をしたいと思います。  まず、大臣から、現在の日本の農民が自民党の農政について満足しているかどうかということについて、率直に御所見を承りたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 これは率直に申し上げまして、満足しておるとは思いません。しかし、それだからといって、一切がっさい批判的で不満であるかと逆に考えてみましたときに、私どもとしてはでき得る限りの努力をしておるということで、その辺の認識はちょうだいしておると思っております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 大臣の答弁を聞いていると、いつも足して二で割って、結局現状で満足だと、こういう議論になるのですが、私はそういう答弁は了承しかねるわけです。  そこで、先般の本会議で田中総理大臣並びに三閣僚の所信の表明がありました。その中に、農業の問題に関して、総理大臣の演説はわずかに二秒ですね、二項目。特急でさえも三十秒はとまるというのに、四十八分もの演説の中で、わずか二秒しか農業の問題が触れられていないということについて、農林大臣は一体こういうような農業軽視の内容についてどのように思われたか、それを承認されたかどうか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 私は、総理大臣の施政方針で農政問題にほとんど触れておらなかったということから、田中総理が農政を軽視しておる、こういうふうにはにわかに判断をいたしておりません。非常にむずかしい問題であって、あの施政方針の全般的な問題の中で特に抽出していろいろ述べることについてのむずかしさがあったと推定をするのであります。御質問のお気持ちは、この際に農政問題にほとんど触れておらぬということはどういうことだということだと思います。私もそれは触れるほうがよかったかと思いますが、ただいま申し上げたようなことで、私としての受けとめ方は、軽視したからそういうことになったというふうには思っておりません。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 日本列島改造という問題と、この今度出された農林予算、あるいは農業諸政策との関連について、概略の説明をしてもらいたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 たいへん大きな御質問で、制限された時間ではお答えしにくいのでありますが、四十八年度の予算をお願いする場合の私としての考え方といたしましては、これからの農業がもっと能率のいい農業であってもらいたい、そういうことから、高能率の農業ということを申しました。そこで、それに伴う問題といたしましては、基盤整備事業あるいは構造改善事業あるいは価格安定施策などを通じまして能率のよい農業をやっていきたい。それから同時に、これからの農村のあり方を考えますときに、環境整備の必要があるという判断から、高福祉の農村へ向かっていきたいということで、環境整備のほうにも新しい施策を打ち出した、こういうことでございまして、申し上げてまいりますといろいろございますが、大きくこれからの農政のあり方としては高能率、高福祉の農村、農業でありたい、こういうことで今回予算編成に臨んだ次第でございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 私は日本列島改造ということに反対ですが、いまの話は何も日本列島改造と言わなくても、いままでそういうことは言ってきたことであって、あらためて大声をあげて言うことではない、こういうふうに思います。  そこで、農政の基本的な責任の姿勢について私はお尋ねをしたいと思うのです。  私どものところのある農村の青年が自民党の国会議員に米価を要請したときに、米価が上がらないのは、思うようにならないのは大蔵省の官僚がどうも押えている、問題は大蔵省にあるんだ、こういうような説明をされております。また、農林行政がどうもうまくいかないのは農林省の役人が頭が悪いからだ、こういうことを言っておるのです。自由民主党は口を開けばよく責任政党といいますけれども、その責任政党である自由民主党というものは、そういうように大蔵省や農林省に責任をなすりつけて逃げていていいのかどうか、一体責任政党というのはどういうことなのか、そういうことについて明快な回答をいただきたいのです。(「委員会で自民党の悪口を言うな。場所を間違えては困るよ。」と呼ぶ者あり)

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 私は農林大臣の職にある者としてお答えを申し上げたいと思います。  ただいまの自由民主党のどういう方がどういう場所でそういうことをおっしゃったのか私にはっきりと理解しかねるのでありまするが、いまの御質問をそのまま前提としてお答えいたしまするならば、米価の決定に際して全般的な財政の上で大蔵当局がいろいろ判断をする、自由民主党は党の意向を率直に言う、そういう場合に、ただいま言ったような感触が出てくる場合があると存じます。また、農林当局の役人に対する批判がございまするが、これは批判があってもいいと思うのです。政党人として率直に農民の意向を表明していく、そして役所のほうで専門的な見解の上に立っていろいろ意見が出る。そういうことをかりにおっしゃったようなことがあるとすれば、一つの単純な表現として場合によってはそういうことばも出たのではないか、こういうふうに思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 自民党のほうの席から、批判をするなという声があったけれども、議会制民主主義の中で多数をとっておる者が行政の責任を持っておるわけですから、そのときに、自分のところの行政機関が頭が悪いとかいいとかというようなことを言うのはちょっとまずいんじゃないか、私はこういう気がする。  そこで、責任政党であるところの自民党から出られた農林大臣並びに政務次官に次のことについて明確な回答を求めたいと思うのです。必要に応じて農林省の皆さんから統計の数字などは出してもらいたい。こういうように質問をしていきます。  まず、今度の予算が対象にする現在の農政の実態について、私は、農林大臣と認識が一致するかしないか、こういう点についてお尋ねをしたいと思うのです。  前回の委員会で、たとえば畜産の問題について、えさの問題について、いまの状態を異常な状態と見るのか通常の状態と見るのかということについて、われわれのほうの委員と大臣との間に意見が違いました。この意見が違っているということは、何をやっても平行的に進むものであって、一つも問題の交わりがない。だから、意見の食い違いがあるとしても、どこかでこれは一緒にならなければいけない。農業問題のように、外交問題と違って、少なくともだれが見ても、最初に大臣が答弁されたように、日本の農民がいまの政治に満足をしていない、そういうお答えもあったのですが、あとで訂正されたのですが、そういう状況の中で、農地改革をし、そしてそのあとで農業基本法に進めてまいりましたが、現在の農林大臣の中心になっている、農政の基調になっているこの法律あるいは思想というものは一体どういうことか、ちょっと聞かしていただきたいと思う。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 なかなかむずかしい御質問で戸惑うのでありまするが、やはり日本の農政には一つの伝統があることは御了解いただけると存じます。私はその伝統の上に乗っておるわけでございまして、現在ある農政の全般について、私が就任したからといって、特段大きく変えていく考えは持っておらない。一番重要なのはやはり農業基本法だと思うのであります。たぶんこれから御質問をちょうだいするのだと思いまするが、その目標としておる、他産業との生産性の格差が是正されるように農業の生産性を向上するとか、あるいは農業従事者の所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営むようにしていくとかいうような、こういう大きい目標がございます。この目標に現在の農政が即しておるかどうかということについては種々御批判があることと思いまするが、お尋ねのこれからの農政をどういう目標でやっていくのか、その基本姿勢はどうか、こういうことからいたしまするならば、この基本姿勢はくずしてはおらないということを申し上げておきたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 そうすると、農業基本法を中心にしてやられる、こういうことと了解していいですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、これからの方針はどうかと言われますれば、一番大事な基本になるものは農業基本法の精神ではないか、こういうことを申し上げておるのでございまするが、ただ、この法律に従っていけばいいんだという単純なものでないということは御理解いただけると思うのでございます。いろいろな施策があると思いまするが、お尋ねが基本的にはどうか、こう言われるので、農業基本法の目標を頭に置いていきたいということを申し上げたわけであります。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 私どもは昭和三十六年、いまの基礎になっている農業基本法をつくるときに、政府・自民党が出してくる農業基本法は、高度経済成長を基礎にして農民を犠牲にするものであるからあれでは農民は救えない。社会党もまたその他の野党も農業基本法をそれぞれ提出して政府と戦いました。ところが、強引にこれを押し切った。その結果、十年たって、そしてここに新しい内閣ができたわけでありますから、ほんとうに画期的な、あるいは、日本列島改造というようなことにわれわれは反対しますけれども、それに沿ったような農政が打ち出されるかと思ったところが、そうではない。  これは農林省の統計の皆さんのほうにお聞きしますが、昭和三十四年、三十五年ごろの日本の農業の実態と、あるいは農家戸数、農民の所得、そしてあのとき農業基本法で約束したような農家が現状はそのとおりにできておるのかおらないのか。そういうことについて、統計でひとつ説明してもらいたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 私のほうが資料が早く出ましたので、一応お答えを申し上げまして、足らざるところは事務当局のほうから補足させます。  基本法施行以来の三十五年度から四十六年度までの間に、農業の労働生産性は約二倍に向上しておると思います。それから、これは御議論があると思いますが、農家所得は約三・八倍になっております。それから農家の生活水準は勤労者世帯とほぼ匹敵する水準にまで向上しておると思います。それから農業生産の選択的拡大につきましては、野菜が一・五倍、果実が一・七倍、畜産が二・八倍にそれぞれ増加しておると思います。経営耕地規模、これは二ヘクタール以上の農家は三十五年には二十三万七千戸でございましたが、四十七年には三十一万七千戸となっております。自立経営の戸数のシェアにつきましては、これは率直に申し上げておきますが、三十五年度八・六%から四十二年度の一二・九%まで上昇いたしましたが、その後、遺憾ながら低下をいたしまして、四十六年度には四・四%となっておる次第でございます。以上、一応申し上げます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 農林省の統計によると、三十五年に六百万戸あった農家が五百三十万戸に減って七十万戸減少し、そして二百万戸の専業農家が八十三万戸になっておる。そして残りは第一種、第二種の兼業農家で、第一種、第二種の兼業を合わせると八五%が兼業になっている。この農業基本法で約束したような実態がここにはつくり出されておらないということを私は指摘をしたい。そこで、農林大臣としてはどういう農家を対象にしてこれから農業をやろうとするのか、農政を進めようとするのか。対象の農家はどれを対象にするのか。しかも、農家の所得を見ると、百三十万の所得の中で五十万ぐらいが農業所得であり、八十万が農外所得になっているというこの実態からして、一体どういう農家に中心を合わせて農政をやろうとしておるのか、伺いたい。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 御指摘のような数字はいま私の手元にはちょっとなかったのでございますが、おっしゃるとおりに前提を置いて考えまするときに、おそらく御質問のポイントは、専業農家というものは次第に減り、兼業農家がふえておる実態についての御批判であろうと思うのであります。私は、これからの農業のあり方といたしまして、専業農家中心が好ましいことはもとよりでございまするが、他面におきましては、農工一体的な農村づくりの構想をも持っておるのでございまして、農家自体の所得の向上ということも、これも否定する要素はないと思います。農家全体の所得が向上していくということは好ましい姿であると思いまするので、必ずしも兼業収入が多いということで批判をすべきでなく、農村あるいは農家の新しいあり方をも頭に置いておく必要があると思います。しかし、御質問のポイントとしての自立経営農家あるいは専業農家というものを重点に考えろということでありますれば、それは私も好ましいことである、こういうふうに判断をしております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 農業基本法が約束をし、あれだけ自信を持って、野党が反対をしても押し切って、それをやっていくということで期待を持たせた、それが実際はそれとは逆の結果になっておるということを私は申し上げたい。ですから、自立経営百万戸というようなものももうなくなってしまったし、そして選択的拡大という形で強引にやらせた畜産、果樹、それがみな、いまえさの問題や生産過剰で今度調整しなければならない、あるいは輸入をしなければならないという段階になってきておる。そしてまた、農村と都会との所得の均衡という問題については、出かせぎをしなければやっていけない。土地改良をやって機械を入れて、その償還というのは出かせぎでやる。本来、土地改良をやったらば、その生産が上がって、その利益によって償還をするのがあたりまえなんです。こういうことが行なわれておらない。東北の農村はおしなべて出かせぎをしなければならない。山陰も九州もそうです。そういうような状態で、まず農家が破壊をされる、続いて農民のからだがいま破壊をされております。われわれのところで農村の婦人の健康を調査したところが、三二%がすぐ入院をしなければならない、残りの三割が病院で診断を受けなければならない、ほんとうに一部の者だけがわずかに健康を保っておるという実態がここに明らかにされておるわけですが、こういうような状態、農村が破壊をされ、からだがこわされておるというこの実態について、農業基本法があのときに約束したようなバラ色の結果が出ておらないと思うのですが、その点について大臣はどう思うか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 一つ一つの現象面からきびしい御批判を与えられておりまするが、現在、与野党通じて大きな焦点になっておるのは、過密過疎の問題を起こして、太平洋ベルト地帯に非常に過密地帯をつくった、高度成長経済に対する批判、皆さん方のほうからいえば批判、また私どものほうからいえば反省、そういうもので現在大きく施策が変わりつつあるということはお認めいただけると思うのであります。農業基本法による目標は、高度成長経済の中におきまして遺憾ながら十分成果をあげることができ得なかったというその反省は、私も十分持っておるものでございます。  そういうような状況から、これからの農政を考えまするときに、私は先般来申し上げておるのでありまするが、農業にとってきわめていい転機を迎えつつある。言うまでもなく、農業や林業や漁業、こういうものは現在ではつくる漁業である、つくる林業である——農業についていまさらそういうことを言うのはおかしいのでありますが、つくる農業である。いわば無限の資源を生んでくるこれらの産業でございます。しかも、おおむね公害問題を引き起こさずに済む産業である。こういうことでありますと、現在の高度成長経済に対する批判とか反省とかいうものがどこへ指向されていくのか、こういういい転機にあると思うのでございまして、ただいまの御批判について一つ一つ、畜産の問題はどうか、果樹の問題はどうかといえば、それはまたお答えを申し上げていきたいと思いますが、基本的には、いまそういう環境の変化の中にあるこれからの農政を考えますときに、従来の基本法で果たし得なかったところを、これから十分果たし得る、こういうふうに判断をしておるものでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 農業基本法が十分でなかったことを認めたのは、まあまあだと思うのですが、私は、よく政府のほうから出てくる発想の中に、日本が工業国家として進めていくためには、食糧はもう外国に依存していくのだ、だんだん農業を縮小していくのだ、だから農村の中で国際競争のできるものだけを残していって、ほかのものはもう他の産業へ行って働けという思想がずっと流れている。そこで、いわゆる国際分業論という形で日本は農業をやっていく。農産物は外国から入れるのだ。そういう考え方に対して、農林大臣として明確なお答えをもらいたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 竹内委員も十分御承知だと思うのでありますが、現在、農産物の自給率は大体七五%ぐらいです。そして、これから十年後を考えた、昨年十月に出した指標によりましても、大体この自給率は保っていけるようになっておるわけでございます。そうすると、あとの二五%が、全般的な農産物の中においては、外国に依存するということになると思うのであります。ただし、この中で飼料の問題がございます畜産の場合なんかをどうするか。したがいまして、私は指標を見たときに、飼料についてはもう少し自給度をあげるほうがいいという意見を持っておるものでございます。しかし、あの指標は非常に専門的な、見識のある方々によってつくられておりますので、私の希望意見を述べておるということで、あの指標によってこれからの農政をやってまいりたいと思うのでありますが、その限りにおきましては、ただいま御指摘のように、国際分業で、採算の合わない農業はもう考えないのである、こういう姿勢ではなくして、あの七五%の中にあるものについては、価格安定政策もあるいは構造改善でも基盤整備でもいろいろとやりまして、成果をあげていこう。価格支持制度も主要農産物の七割は対象にしておるのでございますから、竹内委員の御指摘のような御批判について、一がいに私は同調しがたいのであります。しかし、一部に国際分業論などの行なわれておることは承知しております。  また、消費者のことを考えますときに、ある程度の安い農産物を導入するということも、開放経済下にある、国際化しておる日本産業全般の中から考えていきますと、それらも全然考えない、全くの保護主義的な、保護貿易的な見地に立つのかといわれれば、それは私はそうでない。ある程度の協調、協力の必要性は一応頭に置いておる、こういうことでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 現在の農村に行ってみると、一番心配していることは、まあことし来年の補助金あるいは助成、そういうものをもらうことも大事だけれども、一体いまの政府は農業というものをどういう形で生かそうとするのか、どうしたら一体農村の中で勇気と自信を持って営農ができるか、そのことを求めている。何をやってみても先が暗い、見通しを持っておらないわけなんです。いま大臣は去年の十月に出されたあの見通しというものが指針だとおっしゃいます。あの長期見通しというものは、どういう人々が、いつから、どんな機関を経てつくって、どういう責任を持つものか、これについて詳しく回答をいただきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 一応、官房長から指標の作成の経過を申し述べさせます。

三善信二農林大臣官房長

○三善政府委員 「農産物需給の展望と生産目標の試案」を農林省は昨年十月つくりましたが、これの経緯についてお話しいたしますと、実は最近の農業の事情、特に私ども農林省としてどうしても一番必要なのは、土地改良をもっと促進していかなければならない。そのためには、四十年から四十九年まで土地改良の十カ年計画がございましたけれども、それが大体もう消化しきったし、新たに十カ年計画をつくって、そして新しい農業の方向に即した基盤整備をやっていくという必要性が一つございました。そのためには、どうしても十カ年先の農業の一つの生産の目標あるいは生産性をどうあげる、そういった目標をつくることが先決問題でございまして、そういう必要性が一つございます。もう一つは、御承知のように、新経済計画、これは五カ年の計画でございますが、それを政府としてつくります場合に、その中に農業の位置づけ、役割りをどういうふうにもっていくかということが一つの大きな問題でございました。  そういった事情を踏まえまして、実は昨年の二月ごろから農林省全省あげてこの作業に取っかかってきたわけでございます。その間、都道府県の県庁の方々にも、それぞれ地域の実態を聞くというようなこともやりましたし、あるいは中央における農業団体の有識者の方にお集まり願って数回にわたり御意見をお聞きする、そういうことも重ねまして、現状を踏まえ、現状から判断した将来のことも考えて、一つの努力目標、需給の見通しと生産の目標を達成するための一つのやり方、そういうことも踏まえましてつくったような次第でございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 これは閣議の決定とかあるいは農政審議会の議を経たかどうか。そういうことについてまだ経過が不明確ですから、それを明らかにしてもらいたい。

三善信二農林大臣官房長

○三善政府委員 御説のとおり、閣議決定はいたしておりません。それから農政審議会にもかけておりません。しかし、私どもは、農政審議会にかけて、いわゆる御承知の農業基本法に基づきます需給見通しというようなものとは多少性格を異にしているというつもりで実はつくっております。といいますのは、生産の目標ということで、単なる見通しというより、その目標に従ってわれわれは今後の農業政策を実施していくのだというような一つの気がまえと施策の努力ということを考えておりますので、特段農政審議会にかけてどうしてもやらなければきちっとしたものにはならないというふうにも考えておりません。また、閣議決定をしなければこれは単なる作文にすぎないというふうにも考えておりませんので、農林省としての一つのそういう見通しないし目標であるし、そのための施策をこれによって集中してやっていきたいというふうに考えているわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 これは非常に重要な問題ですね。衆議院の本会議あるいは予算委員会、そういうところで、われわれの仲間が質問したときに、農林大臣は、この長期見通しがあるから、これによって農業の需給なり方針を進めていくのだ、こういうことを堂々と答弁されておる。そうすると、いま官房長から説明あったように、閣議の決定も必要ないし、農政審議会の議も要らない、こう言われるけれども、農業基本法——これはわれわれは反対なんだけれども、農業基本法の第八条によると、そういう見通しを立てる場合には農政審議会に諮問をすることになっている。国会でそんなことを大臣が本会議なり予算委員会で答弁をされる場において、そんな農林省のメモみたいなもので答弁されて、それによって日本の農村の皆さんが、今度は農林省はこういう方向でいくのです、それで一生懸命になってやれば、また違ってくる、そういうところに問題がある。こんな重大な問題をそのようないいかげんなことでやられるところに農民がいまの農政に対しておそろしく不満を持つ原因があるのです。なぜ一体これは閣議の決定とかあるいは農政審議会の議を経ないのか。農業団体の参加した人がこう言われました。いや、あれはないよりましだ、やみ夜の電灯にもならない、ちょうちんにもならないのだ、こう言うわけだ。メモでしょう。これは責任を持ちますか。どういう責任を持つのです。

三善信二農林大臣官房長

○三善政府委員 私の説明が多少足りなかった点もあろうかとも思いますが、実は農政審議会の点では、このたび四十七年度の白書をいま作成中でございまして、その農業白書を農政審議会に近くかけることにいたしております。その場合でも、この生産目標というのが、この「試案」が一応前提になっている点もございまして、これまで数回その白書の専門委員会の方々から、こういうことを引用することはどうであろうかという御意見も専門委員会の中ではございましたけれども、私ども御説明をいたしまして、それはけっこうじゃないかということになっておりますが、もし農政審議会で、先生おっしゃいますように、将来これはもう一回農政審議会にかけて、どうしても新しいのを農政審議会としてやる必要があるという御意見があれば、それはまたそれとして需給の見通しでございますから農政審議会でやりますが、そういう見通しについてまた検討することも私どもやぶさかではございませんが、これまで、たとえば四十五年に農林省が「農業生産の地域指標の試案」というのをつくりました。ちょうど生産調整を始める段階でございまして、その場合にやはり地域の実態に応じた適地適産ということを考えていく。その一つの方法としてそういうものをつくっておるわけでございまして、それも閣議決定等はいたしておりませんし、そういうことで形式的に閣議決定がなされていない、農政審議会の議を経ていないから、これは単なる作文であって権威がないというようなことで御批判を受けるのもいかがかという気がいたしますが、いずれにしましても、農林省としては、半年以上もかかり、数カ月もかかって全省あげてあるいは実情を聞いて、農業団体の意見も——いま先生おっしゃいましたように、そういう意見を持っておられる方がおられるのかとびっくりいたしましたが、十分私ども相談をいたしましてつくってきたわけでございますから、そういう意味で、誠心誠意農林省の一つの相当緻密に分析し、考えた「試案」だということで御了解をいただけたらと思っております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 私は了解しないです。そういう本会議なり予算委員会で大臣が答弁をする基礎になっているものが、農林省の中におけるところの一つの申し合わせ、メモ、その程度のものを、そういう大事なところで、これがあるからいい。これを読んでみると、「農業生産の計画を示すものではなく、今後の諸事情の変化や施策の動向によって影響を受けるものであることは当然である。」要するに、これは責任を持たないということでしょう。われわれ求めておるのは、長期目標であるならば、長い間にこれだけの責任は持ちますと、明確に農家の人たちに自信を与えるようなものでなければだめだ。そのときによって変化をしていくということではしょうがないじゃないですか。ただそれはそのときの答弁用じゃないですか、国会の。そういうものについての責任を私は問いたいと思うのです。これ大臣、どうです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 ただいま官房長から作成の経緯また現在農林省としてこの「試案」をどういうふうに扱っておるかということを率直に申し上げたわけでございます。私も一問一答を承っておりまして、竹内委員の言われるように、まず農政審議会にはかることはどうかということを考えてみまするに、そういう機会を得るならば好ましいともいま一問一答の中で私はそういうふうに考えました。しかし、少なくとも今国会の本会議でも委員会でも、この「試案」については、これはもうほんとうに現在農業問題に対しての一応の見識を持っておられる方々の参画されてつくられた指標でございまするから、私がこれを尊重すると申しても、それはけしからぬとおしかりを受ける性格のものではないと思うのであります。ただ、おっしゃるように、審議会にもかけてないものをどうか、こう言われれば、それはいま一問一答を聞いておって、なるほどかけるほうがベターかなあという考えを持ちましたが、しかし、これを私が引用して——これだけの見識ある方々によるものを、しかも私はそこにちょっと自分の希望意見などもつけながらこれを引用しておる。それを一がいに責められるということになりますと、非常に私も困るわけであります。私はこの「試案」をそれなりの価値を認めて、農林省としてもこれからの行政をやっていく上の一つの考え方としてこれを方針にしておるということでありまするので、私はこの辺で御理解のちょうだいできるところと思うのであります。しかし、竹内委員の見われるように、それをもっとしっかりしたものにせいという御意見も十分私にはわかります。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 この問題はまだ了解をしないので、あとでまた触れますが、ちょっと中身の問題に関連して一つ質問します。  食料需給の長期見通しの中で、農林省は各省庁との間で十分に連絡をとってやられたかどうか、その点を……。

三善信二農林大臣官房長

○三善政府委員 これをつくります場合に、たとえば人口の将来の見通し、労働省と連絡をいたしております。それから栄養の関係、これは厚生省と農林省とこの算出の基礎みたいなのが多少は違いますが、それにつきましても、厚生省と連絡をとってやっております。そういうことで、必要最小限度の連絡は各省ととっておるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それならば、この点を明らかにしてもらいたいと思うのです。  厚生省の「昭和五十年を目途とした栄養基準量と食糧構成基準」というものがあります。その基礎になっているのはカロリーが二千百五十カロリー。五十七年、七年間のズレはございますけれども、それは二千六百四十カロリー、これは一体どっちがほんとうなんです。

三善信二農林大臣官房長

○三善政府委員 御指摘のとおり、厚生省の計算をしておりますカロリーと私どもが計算をいたしておりますカロリーとは多少相違がございます。どっちがほんとうかと言われますけれども、厚生省が国民栄養調査等で公表いたしております摂取ベース、実際に人がどれだけ食ったかというその摂取ベースで厚生省はカロリーの計算をいたしております。その場合に、やはり残飯と申しますか、消費する場合にロスというものが当然含まれていないのですね。幾ら口に入ったかというそのカロリー。農林省は消費ベースで、ロスとかそういうのを見込んだもので考えております。たとえば愛玩動物用の飼料みたいなのも厚生省には全然入っておりません。そういうようなことで、消費ベースと摂取ベースとの違いがありまして、大体ロス部分が一割、一〇%というふうに私どもは見ております。そういう点も厚生省とは大体意見が一致しているわけでございます。  たとえて申しますと、農林省ベースの四十五年度食料需給表では二千四百七十二カロリー、厚生省の国民栄養調査ベースでは二千二百十カロリー、この差は一一・九%ございますけれども、大体一〇%程度そういうロス部分といいますか、そういう点で消費ベースと摂取ベースとの差があるというふうに考えておるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それなら、なぜその辺を調整をして出さないのか。要するに、二千六百四十カロリーというものからかりに一〇%引いても二千百五十にはならない。こういう点はまだ私は不十分だと思うし、そのような同じ政府の中の省から二つのカロリーが出て、一体生産目標をどっちに置くのだということになると、現実にこれは迷うじゃないですか。  それからもう一つの問題は、大豆、飼料、こういうものについてはもうすでに狂っておるじゃないですか。こういう目標が狂っておるじゃないですか。それで現在修正しなければならないような段階になっている。だから、責任の問題を私はもう一ぺん問わなければいかぬと思うのです。こういうものを出して、これでやりますと言っておきながら、半年もたたないうちにこれが狂ってしまって、前提がひっくり返ってしまっている。こういうことについて責任を持たない。閣議決定もしないし、審議会にもかけない。狂ってもわれわれは責任を負いません、しかし答弁だけはしますということにしかならないでしょう。そういうものはやはり撤回してもらわなければならない、やり直してもらわなければならない。もっと権威のある委員会をつくって、これは堂々ともう一ぺん再審議をしてもらわなければしょうがないでしょう、そのつどそのつど変わってしまったのでは。カロリーの問題、一つの例ですが、私はここでいろいろ説明を求めたくないけれども、一つの例をあげればそういうことだということなんです。

三善信二農林大臣官房長

○三善政府委員 厚生省のカロリーの関係と農林省のカロリーの関係、農林省は「食料需給表」で従来から同じ計算方法でやっております。したがいまして、その農林省の「食料需給表」に基づく算出ベース、消費ベースでカロリーはやっておりますので、その点調整といいますか、それは調整すること自体がどうかという感じがいたします。従来からそれをやっております。したがって、いま私申し上げましたのは、その従来からやっておる一つのベースが多少違っておる、そのベースの違いは大体一〇%くらいになっておりますということを申し上げたわけでございます。  それから大豆の問題、御指摘がございましたけれども、この「生産目標の試案」に書いてございますのは、十年後、昭和五十七年を見通して、五十七年の展望を書いてあるわけでございます。大豆について申しますと、現在、四十五年でございますが、自給率が四%、それを十年後の五十七年には一一%にしたい、生産量も現在の十二万六千トンから五十三万六千トンまでしたい。その理由は、とうふとかあるいは納豆とかしょうゆとか、そういった国内産大豆が最も適しているそういうものの原料はできるだけ国内で自給していきたいという趣旨のもとに私どもこれをつくったわけでございまして、十年後に一二%に自給率を引き上げる、そのために私どもどういう施策をどういう角度からどうやっていくかということはこれからの問題でございまして、すぐ狂っておるという御指摘はどうかと思いますし、十年後のことを考えて、私どもそれに政策の目標を置いて実施していきたいというふうに考えておるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それはおかしいじゃないですか。農業基本法も満足じゃなかった。そして今度出たものも、もう十年先を言う前に六カ月で狂ってしまっていて、先の話をしてもだめなんだ。そういうことで一体農林省が、政府が何を農民の前に確実に約束をすることができるか。こういうものをつくったら必ず所得になります、こういう保証はないでしょう。それを一体どうしたらいいんです。農業基本法もおかしくなった。ここへ出ておるものだって責任を持たないということでしょう。それなら、一体どうしたらいいんです。農家は何を当てにし、政府を信頼して農業の生産ができるかということです。そういうものがないじゃないですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 農業基本法についての見解は先ほどからるる申し上げておるのでございまして、私どもとしてはその基本法の目標に従ってこれからの農政も遂行していきたい。しかし、大きな客観的な情勢によって十分な成果をあげておらなかったことは、これを率直に認めておるわけであります。  それから、いまの「試案」のほうは、竹内委員からきびしくいろいろ御批判がございますが、その御批判は私どもが考えておることが妥当であるというふうにもとれると私は思うのです。なぜかというと、十年後の長期展望が十年間ぴたっとコンピューターではじき出したようにいけるのか。コンピューターでも間々間違うのでありますから、そういうようには常識的には思えないのでありまして、これはやはり大きなめどとしていくのでありますから、がんじがらめの、寸分違わないということのほうが実際には適しないのではないか。いまカロリー計算の問題あるいは大豆の問題を取り上げて御批判でございましたが、これは一応いまの事務当局の御説明で御了解がつくことではないか、私はこういうふうに見ておるのでございまして、あまりがんじがらめよりも、そのときそのときの責任の衝に立った私どもがこれを参酌しつつ農政を進めていくということは、これは御了解をちょうだいできるものじゃないか、こう思うのです。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 どうしても了解できないですね。たとえば先般ミカンの話がありました。ミカンが面積とそれから気候という形でいろいろ話がある。ところが、実際はミカンの木というものは九年から十三年たっているという野党から質問があったでしょう。それはどこからきたかというと、農業基本法の選択的拡大でミカンをつくれミカンをつくれ、一生懸命農業の人たちはすすめられるままにやった。そしていま九年になってようやくミカンが大きくなりだしたときに、現在のミカンの問題が出た。そうしたら、最近はミカンを生産調整するというふうに通達を出して、ミカンをつくらせないようにするということでしょう。農家はこういうものをつくっても何をつくっても信用できないという形で、農林省の言うことと逆なことをやらなければだめだ、こういうことになってしまう。  ある方針を出して、これが失敗したら農林省が責任を持ちますという、責任というものがないでしょう。みんな農家の責任じゃないですか。借金をしたら返さなければならぬ。ミカンの木が九年も十三年もたったものを切り倒すわけにはいかないでしょう。機械を買った。その機械をさびらかしておいて出かせぎをする、こういうことが至るところにあるじゃないですか。そういうことについて、指導したものは責任を痛感しない、末端が犠牲を背負う、こういうところに農政に対する一番の問題があると私は思う。だから、どうしてもこれはもう一ぺん責任のあるものに練り直さなければいけないということを、私は再びここで申し上げたいと思うのです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 先に後段のほうの御意見にお答えをしておきたいと思いますが、先ほどから申し上げるように、さらにこれを形を整えて、そのことが責任あるものになる、こういうことであれば、私はその御意見は全然否定しておる立場ではないのです。しかし、できればむしろ弾力性のあるほうが、そのときどきの責任の衝にある者がこれを頭に置きながら農政を進めていくのもいいんじゃないかということを、つけ加えて申し上げておるのですが、これは私の意見でございますから、お答えの前段のほうで私のお答えとしたいと思います。  それから、ミカンの場合を取り上げてお話がございました。現在非常な御苦労をされておるときに、私があまり率直に申し上げるのもいかがかと思うのでありますが、しかし、大事なことでありますからお許しを得て申し上げますと、ミカン生産農業は順調にきておると思うのです。昨年の豊作ということ、これはもちろんいまの御指摘の植栽面積の関係もございます。また、摘果を適切に指導し得なかった当時の状況というものも加わっておると思います。いろいろな要素が加わっておると思いまするが、しかし、昨年の豊作の、そしてそれに伴う暴落ということはありましたが、そういう事態までは一応順調にきておると思うのです。  それじゃあ、これからのミカン生産農業はどうだという先々の見通しを考えていきまするときに、その御指摘の植栽面積のことが問題になります。これは実際上におきましては計画を上回ってきておるということを否定することはできないのでございまして、その計画を上回ったような事態を起こしたということについては、指導よろしきを得ない面については反省をしなければなりませんが、ミカンが非常に順調であった、そのために植栽面積も計画を上回ったということもございまするので、この辺は今後の計画の上に相当セーブしていかなければならぬ、こういうふうに見ておるようなわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 まあ、あとのほうもありますから、もう一つだけ私は問題を提起して先へ進めます。  やはり政府の無計画性というか、そういうものによって非常に農民が迷惑をこうむっている例を一つあげます。戦後、米のなかったころ、米を増産するということにおいて干拓をしました。八郎潟を干拓した、あるいは霞ケ浦に干拓をした、有明を埋めよう、琵琶湖を埋めよう、そうして干拓をした面積、それにかかった費用、これと現在米の生産調整をしておりますが、これとの関連について私は非常に疑問を持っている。八郎潟の干拓なんというのは、少なくとも日本の農業は今後こういうような方向でやっていけば、日本においても国際性のある、生産力の高い、しかもりっぱな農業がやっていけるという形であれは出発をしたはずだ。われわれも賛成した。ところが、それがいまや減反、生産調整、こういう形で、草がはえているところがある。そしてそこの人たちはでっかい借金をしょって出かせぎをしなければならない。こういう問題について一体どう考えるのか。その統計と資料を、いまここでもらおうとは思いませんが、いずれそのことについては議論をしたいと思いますから、準備をしておいてください。  そこで、私どもはぜひはっきりしておきたいことは、憲法の第二十五条に基づくところの健康にして文化的な生活というものは、農民に対してはあるいは農村においては、どういう形のものが健康にして文化的な生活かということについて、櫻内大臣はかつては自民党の政調会の会長もやられましたし、政策通だと聞いているから、大いに明確なところを出していただきたいと思うのです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 干拓の関係のほうは、資料を準備いたしましてからまた御質問をちょうだいすることにいたしまして、ただいま基本的な問題について、もう一番肝心なところについてのお尋ねでございます。これは憲法の定めるところに従いまして、国民ひとしく健康にして文化的な生活を営めるようにこれを進めていくのが、私どもの当然の責務でございます。現状におきまして、農村におきましてこの点についての不十分な点は私も認めておるところでございまして、今回新たに総合整備モデル事業をお願いをいたしまして五カ年計画を立てましたのも、竹内委員の御指摘のそういう気持を体してのことでございます。そういうモデル事業をやることによって、直ちに憲法の定めるところに従ったよき環境に農村がいけるものとはにわかに判断はいたしておりませんが、少なくともその精神にのっとっての、これからはただ単に生産を営むだけでなく、生活環境をも相ともによくして、調和のとれた農村、福祉の高い農村にするという、その目標を持っておるということだけは御了承いただきたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 まあかなり抽象的な話ですけれども、具体的には、たとえば農家の構成というものが四人なら四人の場合に、どれくらいの収入がなければならないか、そして農家が、農業ですから当然、消費者に対して何カロリーの食料を生産するのか。そうすると二千六百四十カロリーを十年後——私はこれに対しては異議があるんだけれども、一体この文化的な生活というものを営むためには、カロリーというものは本来どれくらいのものが必要なのか。厚生省の出したそれがそうなのか、農林省の若干のものを加えたものがそうなのか、あるいは農村における緑地というものはどういう状態でなければならないのか、こういうようなことについてももっとビジョンみたいなそういうものがなければ、農政というものも思いつきでは柱がきまらないと思う。そういうことをいま言っているわけです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 農村のこれからの健康にして文化的生活のためのいろいろな指標を持て、これは私としてもおっしゃることについては、何か適切な指標ができますならば同感でございます。  ただ、先ほどからいろいろカロリーの問題なども取り上げられておるわけでございまするが、まことに恐縮でございますが、私、承って、農林省のほうのこの二千六百四十のカロリーというのが、実はこれは目標年次に対してそういう数字をあらわしておるんでありまして、厚生省のほうの二千百五十というカロリーが、これは五十年ということになっておって、これを五十七年に延ばして、しかも一〇%ほどの相違というものを考えると、大体このカロリー問題については御理解がちょうだいできる数字だと思うのでございます。これはちょっと説明が足りなかったようでございますので付言いたしまするが、どういう指標が適当か、現在のところ農村と都市の生活の格差というものがいわれてまいりましたので、そこで、先ほど農業基本法のお話の中で、農家の所得の状況というものはほぼ勤労者の世帯に見合うところまできているのではないか、こういうことを申し上げましたが、少なくともとりあえずの目標としては、そういう格差を解消しながら、さらにより以上の水準へ持っていくというのが適切ではないかと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 政府のほうでは物をつくるほうにはかなり力を入れる。ところが、農家の所得に対する関係においては、必ずしもつくったものを所得に還元をされないというのが現状です。そこで、農林省のほうに行くと、政府のほうでは、いや七割まではもう価格安定の中に入っている、こういう価格の補償の法律もある、あれもある、こういうふうにおっしゃいます。確かに法律はあります。あるけれども、実際に生産農家がこの法律に基づいて安定しているかというと、必ずしもそうではない。非常に不満なんです。  そこで、農畜産物の価格決定というものについて、米にしても大豆にしても生糸にしてもあるいは畜産物にしても、それぞれの製品が価格の決定と方式と決定機関が違う。これをもっとわかりやすく、まあ農民のことばでいえば生産費・所得補償、この方式に置きかえて、農家の所得が明らかになるようにできないものかできるのか、この点をひとつぜひ率直に聞きたいと思うのです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 現在、主要農産物の七割程度に価格支持政策をとっておること、これは御了解いただいておると思います。そこで、私も竹内委員の意見のように、簡明直截な価格支持政策、しかも農家の期待に沿い得るようなものに持っていくということは好ましい姿だと思うのですね。ところが、最初からこれこれのものだけは価格支持政策をとろうということから出発しておらない。日本農業の変遷の中で不足払いあるいは生産費・所得補償方式というように、個々の品目についてそのときそのときの情勢に応じて価格支持政策がとられてきた、こういう経緯がございまして、その経緯を私も、思ったような簡明直截なそういう価格政策にここで一気に変えるということについてはいろいろ問題があるようでございます。私もそういう価格政策のとられたそのときの状況、経緯というものはやはり尊重はしなければならないというように思います。したがいまして、いまここで申し上げられることは、確かに現在のままの価格支持政策では、農家に対してはたして生産意欲を持ってもらえるものだろうか、あるいは安心して今後の生産を続けられるであろうか、こういうことを考えますときに、そこには幾多考慮の余地が出てくると思います。したがって、私としては現行の価格支持政策を、これをもう一つ適正にあるいは拡大をしていくようにしていくのがいいんではないか。その適正にということばの中には、なかなか農民が納得のできるようなデータが十分とられてないという場合も、私は心からそういう場合もあるなと思うのです。だから、この場合において申し上げられるのは、いまの制度をもっと適正に、時と場合には拡充していったらばどうか、こういう私の考えでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 価格を決定する価格のそういう法律ができた過程というものがあることは私も承知している。承知をしていて、大体主要農産物については、価格支持ではないけれども、価格のきめ方がこれは法律によってできております。そのきめ方が非常にむずかしくて、わかりにくい。これは専門家でなければわからない、農民にはわからない。ところが、農家が買うもの、機械にしても衣料にしても何にしても、みんなこれは企業のほうの生産費、所得が補償されたものを農民は買っているわけなんです。そして農家がつくって売るものは、米をはじめとしていずれも生産費、所得が補償されておらない。需給均衡であるとかあるいは諸般の趨勢に応じてとかいろいろな形容詞がつけてあって、しかもそれは価格の決定の時期というものがばらばらである、決定の機関もいろいろのところで決定をする、こういうようなことでは、ほんとうに農民のほうへ向いた、農民の生産意欲をそそるようなそういうことではないじゃないか。少なくとも農林行政の責任のある者は農民の側に立って、やはり農家がつくるもの、もちろん先ほど一番先に質問したように、日本の農家というものは専業農家がもう百万戸を割ってしまった。とするならば、どういう農家がどういう規模の、農畜産物についてはこういう価格でいくんだというくらいの、そういう愛情のある姿勢は出ないものかどうかということを率直に聞きたい。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 ただいまのおっしゃっておるお気持ちについては私もよくわかります。ただ、これは非常にむずかしいですね。価格というもののきめよう次第によって生産意欲が起きる場合もあるが、減退する場合もある。起きた結果が、予定されるよりも非常に増産をされて、またそれに伴う影響が起きてくるというようなこともございまして、そのためにこの価格政策というものがきわめて微妙であるということは認めていただけると思うのであります。したがって、私がいまここで申し上げられますのは、いろいろな価格制度をつくっておる、それはそれぞれの事情があった、したがって、その制度を適正に、しかも農民の理解の得られるようにこれを運用していくなり、あるいは拡大できるものはしていく、こういう姿勢で進んでいく以外にないのではないか。簡単によくわかる方法といって、案外むずかしいところがあると思うのです。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 私どもは農政の基礎というもの、農業というものが、日本の一億以上の国民に対して栄養の高い新鮮なそういう食料を確実に供給をする非常に重要な産業だとまず第一に思うのです。だから、先ほどから言っているように、この一億国民に対して、健康にして文化的な生活をするために一体何カロリーのものを確実に供給するか、そのためには国内にはどれだけの必要量があるのか、でん粉、たん白質、ビタミン、いろいろな要素がありますけれども、それに置きかえて、そして米、麦、畜産物、蔬菜、園芸、こういうようなものを柱に置いて、それをどこでどういうふうに計画的につくるか、その場合においては価格はこういうふうにします、こういう援助もします、だからひとつこの際農家の皆さんは一生懸命に生産をやってください、もし間違いがあった場合には、この点とこの点は補償します、これくらいのことがはっきりしない限りにおいて、農家の人たちが自信と勇気を持って農業に取り組むことはできないでしょう、場当たり、場当たりでは。要するに、現在の政府のもとでは、そういう計画的な確信のある方針は出せないというのですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 るる申し上げておるように、私どもは場当たり農政をやっておるわけではないのです。きわめて慎重を期し過ぎるために、その結果が農民の御不満をかもす場合も出てくる、こういうことでございまして、お尋ねの中で、私としてこれからの農産物の生産をどういうふうに進めるかということになりますると、国内的な要素と国際的な要素もともに考慮する必要性が起きてくるわけであります。  たとえば今回の大豆のような場合、これを申し上げまするならば、自由化された、不足払いはしておるけれども、しかし、だんだん耕作面積は減って、そして現在個々の家庭の消費を入れても十二万トン少し上回る程度まで落ち込んできておるわけであります。そこへ今度国際的な天候の関係、需給の数字というようなものが影響してくる、さあ困ったというようなことで、今度は少なくとも食品用ぐらいは国内でやろうということを申し上げておるのでありますが、そうなってくると、いまの不足払い程度でどうかというように、問題が順繰り、順繰り起きてくるわけでございます。  その中で、大豆に限らず全般的に私どもの頭にあるのは、一方におきましては、消費者の立場からもう一つ安いものを供給せよ、そして国際的な関係からは農産物の自由化などをせめられるというような問題も起きて、そこに非常に複雑な問題が起きてくるわけであります。しかし、そういう場合にも、私が繰り返し申し上げてきたのは、主要な農産物では、米とか野菜とか肉とかくだものとか牛乳とか、その加工品であるというように——鶏肉もございます、鶏卵もございますが、こういうものは完全自給ないし八割自給でいこう、こういうことにしておる。そうすると、この範囲についてはあらゆる努力をする、価格支持政策が不足であれば、それも十分にしていくという姿勢は示しておるわけでございまして、そこからは、いま御指摘のように、行き当たりばったりである、農家は目標が立てられないということではないと私は思うのであります。  一応お答え申し上げました。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それはやはり目標がなくて行き当たりばったりだから、一生懸命やった農民が自殺しなければならないということになるので、この点についても私はその答弁というか、そういう姿勢に対しては十分ではないと思います。  そこで、次の問題に進めますが、補助金と助成の問題についてこの際確かめておきたいと思う。四十七年度において農林省の所管に属する補助金は公共的なもの、非公共的なもの合わせて七千三百九十九億というような非常に大きな額にのぼっておるし、その出した団体も百六十近い団体にそれが渡っておるし、また四十八年度においても八千億をこえる補助、助成が出ております。私はその補助、助成はけっこうだと思うのですが、そういう補助、助成というものが、農林省を出て都道府県なり農業団体なりあるいは公共団体なり、そういうような団体を通じてほんとうに最末端の農家の経営を刺激し、魅力を与え、生産意欲をそそるような状態になっているかなっていないかということについて、資料を求めたいし、そのことについての説明を求めたいと思うのです。こまかい資料についてはまたいずれ別なところで議論しますからあれですけれども、まずそのことについてひとつ。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 補助金の件数あるいは額については竹内委員が一応申されたようなことだと思います。そこで、この補助金が有効適切に使われておるかどうか、この点については、全般的ではございませんが、部分的に決算委員会などで取り上げられまして、そのことをまた私どもは参考にして是正をしてまいったということを記憶するわけでございます。額も相当な額でございまするし、件数も多いのでございまするので、行政当局が末端まで全部掌握し得るか、こういうことになりますると、なかなかの困難性がございまするので、そのために決算委とかあるいは会計検査院というようなものがあってチェックをしていくものと思いますから、そのチェック機関のほうに十分活動していただき、またそれに伴う批判にはわれわれ謙虚に応じて、直すべきものは直していくという私どもの姿勢を申し上げておきたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 全く抽象的でよくわからない。とにかく百六十も近い団体があって、それでさっき言ったいろいろな各団体を経由して、そうしてそれぞれのところへ行くわけでしょう。これは農業を前進させ、農民の生活を守るという目的で出ているものだと思うのです。そういうものが、具体的にそれぞれの補助、助成というものが、ほんとうに農家の庭先にどういう形でおりていって、それがどのような役割りをしているかということが、それを扱う農林省がわからないということはおかしいじゃないですか。だから、いまここで出せと言わないが、この問題はまたあらためて別の機会にゆっくり議論させてもらいます。それをやめろとは言わない。足りないものはこれはふやしてもらいたいし、そうしてほんとうに役に立ってないものなら、統合して一本にして、もっと簡素化してもらいたい、こういうふうに考えるのです。だから、この点についてはじっくりひとつ別な機会に問題をそのことだけで議論したいと思います。  その次の問題は、ここに農業小六法がありますが、この法律の中には、至るところ、農業に関する限り、高冷地もあるいは離島もあるいは傾斜地も、もうどんなことについても確かに法律ができている。だから、説明を求められれば、何とでも説明がつくようになっているのです。ところが、現実の農業をやっている皆さんの声は、そういう法律があるにもかかわらず不満なんです。実際不満なんだ。だから、要するに、戦後、農地改革時代以来今日まで、この高度経済成長を経て、日本の農村の実態というものと、この法律が存在をするその目的なり適用する実態というものは非常に変わっていると思うのです。専業農家が、さっきも言ったように、八十万になってしまった。そして兼業農家でも第二種兼業がふえてきた。しかも農家の収入は農外収入が圧倒的に多い。専業農家でも半年も出かせぎをしなければやっていけないというこの状況の中で、こういう法律がたくさんあって、専門家でなければわかりません。こういうものは農民にはわかりません。だから、もう一ぺん農業に関する法律というものを再点検して、そしてほんとうに農民のための新しい立法というものを考える必要があるのじゃないか、そういうことを私は考えるのです、率直に言って。  それで、その点について、いますぐにこれをやれとは言わないけれども、そういうことに対する決意を一体お持ちかどうか、そのことはもう考えなくてもいいとおっしゃるのかどうか、この辺についてはどうです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 現行法で実態にそぐわないものがある、こういうことでありますれば、行政上にも支障があるのでありますから、そういう御指摘があれば、これを改正するにやぶさかではございませんし、また、農林省自体が個々の法案についてお話のように常に検討をしていく姿勢を持つ。これは竹内委員のおことばも尊重して、そういうようにつとめたいと思います。  なお、先ほどの補助金の関係は、資料に基づいていろいろ論議をするということで、それでけっこうだと思うのでありますが、言うまでもなく、各種の助成施策については、そのときそのときの農業の実態、あるいは農村の情勢を踏まえて、そして法案として出される、あるいは政令として出す、こういうふうなことでまいっておりますので、その限りにおきましては、一つ一つが当然必要性があってつくられていっておると思います。でありますから、農林省としてそれが適切に使われておるかということについて配慮することは当然でございますが、私が先ほどお答え申し上げたのは、自分でやっていることは自分でいいんだということも言えぬし、自分でやっていることを自分で悪いのだというのもどういうものか。そこで、言わずもがなの会計検査院や決算のことを申し上げて、そういうほうも大いに活動して、われわれに刺激を与えてもらいたいという趣旨で申した次第でございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 農業に関係する諸法案の問題ですけれども、やはり法律というものは国民の生活と権利を守るために、そして財産なりそういうものを守るためにあるわけなんです。だから、間に合わなくなった、いろいろな点についてどうしてもそういう法律ではやり切れなくなったということがあったときには、勇敢にこれを改正するなり一本化するなり、いろんな形をしなければならないと思う。皆さんの先輩の河野一郎先生は東京が大水飢饉のときに非常に突貫工事を進められた。そうしたところが、法律ではそういうことをやれるようになっていないと言ったら、そのときに、要するに法律というものは住民の福祉のためにあるのだから、そういう悪い法律だったらそれを直せ、こういうふうにおっしゃった。そういう勇気が必要だと思う。今日、日本の農業というものは農業基本法をはじめとして、われわれは農業基本法は初めから反対だけれども、皆さんが勇気をもって押し切った法律でさえも間に合わなくなっているでしょう。そしてよってもって立つ精神的基礎がない、農業の基調というものがない。どういう基調に基づいて日本の農業をどっちのほうに持っていくのだ、そのためには価格はこうするのだ、あるいは補助金はこういうふうにして出すのだという、そういう最末端のほんとうに責任をとる体制が一つもないじゃないですか。だから、日本の農民が混迷をし、そして重工業のために日本の農村が押しつぶされて、そして出かせぎをしなければならない。農村がこわされる、家庭がこわされる、からだまでこわされる、こういう実態なんです。だから、この際思い切って日本の農業を守る、そしてほんとうに農民が農村の中で勇気をもって生産に従事できるようなそういう法案、そういう方向性を持ったものをつくっていく、こういうことを私はぜひ提案をしたいのです。  同時に、先ほども責任の問題を追及しましたけれども、十年後の食料需給の見通しというようなそういう内部のメモ的なものではなくて、それもひとつ含めて、もっと与野党の議員、そして生産農民、学識経験者、農業団体、こういうものを打って一丸としたそういう委員会をつくって、大胆に日本の農業を守るためにひとつ取り組んでいく意思があるかないか、このことをもう一ぺんお伺いしたい。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 ただいまのおことばは私は非常に感銘をするものでございます。具体的には、先ほどから昨年の「農産物需給の展望と生産目標の試案」というものにたいへん御関心を持ち、御忠告をちょうだいしておるのでございますが、これがお話のように、もっと十分検討されてよりよきものになり、しかもそれを農政審議会にもかけようというようなことになってまいりますれば、それは繰り返し申しておるように、私も反対ではないのでございます。ただ、せっかくつくられたものであり、しかも相当権威ある方々によったものでございますから、現在私はこれを尊重しながら農政の方針を立てておることを申し上げておるわけでございます。  私の先輩である河野先生を引用してのおことばでたいへんうれしく思ったのでございますが、私は数年来のずっと国会の模様を見るにつけましても、農業問題について特に重要なことがございますると、大体委員長発議の与野党一致の法案をお願いしている場合が相当あるように記憶をいたします。私は、立法府がそのような権威ある行動をとっていただくことについては満腔の敬意を表するのでございまして、少なくともわれわれの第一次的な立場は、むしろ行政をそういう立法のもとに忠実にやるということであろうと思うのでございます。そういうことをしながら、またわれわれの感じたところを必要によって法案をお願いする、こういう順序かと思うのであります。そこで、ただいまたいへん御鞭撻をちょうだいしたわけで、私どもも相協力をいたしまして、よりよき法案をつくり、農民の皆さんに安心して農業に従事のでき得るように一そう努力をする、こういうことについては何ら異論はございません。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 いま私が提案をしたというか要望いたしましたように、非常に日本の農業の実態というものと、それから現在の農業の法律というものと状況が変わっている。流動的になっているわけです。これは内外情勢も含めてそうですから、この際、そういう抜本的なものを検討する委員会というものを与野党それから各団体を含めて、ひとつぜひつくるように協力をしてほしいことを重ねて申し上げて、次の問題にいきます。  これは大臣に率直に回答をもらいたいのですが、農村に行きますと、専業農家の皆さんがこういうことを質問されます。私の農業は子供にぜひ継続さしたい、ところが農家に生まれた自分の娘は農家に嫁にやりたくない。こういう専業農家の気持ちに対して、この矛盾に対して、悩みに対して、大臣は率直にどうこたえられるか。ここでひとつわかりやすい答えをもらいたいと思う。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 農家で御子息をお持ちになっておられる方々が嫁さがしをする。なかなか嫁が得られない。いまおっしゃいましたような農家自体の微妙な心理、農業は大いにやりたいが、しかしかわいい娘には嫁にやって苦労させたくないという心理のあるということは、私はこれを現実に即して率直に認めるものでございます。また、そういうようなことが日本農業の一つの欠陥である。嫁さんも喜んでいく、喜んできてもらえるような農家であり、農業でなければならない。こういうことを考えまするときに、先ほどからお尋ねもございましたように、これからの農村の環境整備をどうしていくのか、それから農家の家庭の生活改善をどうするのかというようなことが、これからの農政の上にもきわめて重要であるということを認識いたします。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 いまのようなことでは納得しないのじゃないですか。それでは嫁にやれないじゃないですか。もっと明確に、たとえば価格の問題で、農家でつくった価格については生産費、所得で責任を持ちます、日本の農業と競合するようなものは輸入はやめます、そして日本の農業をつぶすようなことはしません。それから、土地改良の費用などというものはそう負担はかけないし、機械なんかにやたら金をかけるようなことはしないで、できるだけそういうものについては国あるいは公共団体が援助をします。そして農家に長期で低利な融資をして、ほんとうに農業をやっても工場へ行くのと変わりのないような農業、そしてまた、日本列島改造というようなことでどんどん地価をつり上げて、ゴルフ場ばかりあちこちにできて農村の自然がこわれてしまう、こういうようなことがないように、やはり農業というものは、一つは日本の食料の自給度を高めていく、もう一つは日本の自然を守っていく、こういう形でもっと農民的な回答がほしいですね。農民にわかりやすい回答がほしいのです。それはどうですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 きょうの御質問の前段のほうで、私も率直に申し上げたつもりでございます。高度成長経済に対する批判がある、反省がある。そしてこれからの日本の産業というものの焦点をどこへ向けていくのか、こういうことになりますると、固有の資源ともいえますし、また多少誇張的になりまするけれども、無限の資源ともいえるつくる漁業、つくる林業、つくる農業、そういうもののほうに高度成長経済の批判、反省が指向していくのじゃないか。だから、一つの転機が来ているということを申し上げました。また同時に、農業や林業や漁業というものは、いま一番問題である自然環境の保護、国土の保全という上からはきわめて重要な産業である。おそらく適切に行ないまするならば、公害を起こすような産業ではない。こういう認識の上に立ってまいりまするならば、これからの日本の産業のあり方としては、農業をはじめとするこれらの方向へ目を向けていかなければならない、これはもう当然言えると思うのであります。したがって、それに伴うような適切な能率のよい、環境のよい農村づくりのための諸施策を講ずるようにしたい、こういうように申し上げておるわけでございまするから、いま竹内委員から、それからさらにこまかくいろいろな農民のあるいは農村の期待に沿うようなおことばがございましたが、それももとより参酌をしながら進めていくということで、御理解をちょうだいしたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 農業のビジョンといいますか未来像、これがどうしてもはっきりしない。私はきょうずっと質問を続ける中で、政府の基本姿勢からいろいろな問題についてその責任問題も追及し、まだ了解をしない点が幾つかありますから、これはまた今後関連する場所でやりますけれども、どうしても現在政府の皆さんが出されてくるものの中に場当たり性があり、その場の答弁を抜ければそれでいいのだ、そういう技術的な面だけが浮き彫りされて、ほんとうに心の底から日本の農業というものに対して愛情のある政策なり姿勢なりが出てこない。だから、一時日本農業のビジョン、未来像ということがよくいわれましたけれども、この未来像というものは一体描けるのか描けないのか、描こうとするのか、その辺はどうですか。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 これも繰り返して申し上げるようで恐縮でございますが、農政のあり方には長い歴史、伝統があって、それをやはり尊重しながらいくところに妙味があることを申し上げたわけでありますし、また、そのことをずっと未来に延長していきますときに、そこに未来像もある、こう思うのであります。私はこういう際に極端な誇張したことを申し上げるよりも、いま申し上げたような私の気持ちなり方針について農民の皆さん方が御理解をちょうだいしていただけるものではないか。そして、あまり極端にいろいろ変化をするということは、農業をやっていく上においてそれは感心しないことではないかと思うのです。それぞれの地方の事情というものがあり、あるいはその地域に見合ったところの農業の中のある生産をされておる。そういうことでわれわれは適地適作でいこう。その点は御批判がありましたが、昨年の十月の指標の中にもその趣旨を盛り込んでおるわけでございまして、やはり全体的な方針とともに、この日本列島の長い距離の中におきまして、いろいろと地域地域の事情もあると思うのですね。そういうものも勘案しながらやっていく農政でなければならないと思うので、私としては大きく急カーブを切るような、そして耳ざわりのいいことを申してやっていくということよりも、多少じみではございまするが、長い間の日本農政のあり方を振り返りながら、そして前をながめていきたいという気持ちで一ぱいでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 もうこれ以上その点については質問いたしませんが、ぜひひとつ魅力ある政策を提示してもらいたいと思う。  それで、次の問題は国際問題ですけれども、私はこれに対して疑問を持っているのです。長期需給の見通しの中にも、あるいは諸般の説明の中にも、中国と日本との国交が回復をされた、そして大使の交換がされる、そういう中で日中貿易あるいは中国との食料関係、農業関係の問題についてほとんど触れられていない。中国は、御承知のとおりに、農業が輸出の中心の一つです。そこで、前々から中国の肉の問題、いろいろありました。そういうものの輸入の見通しとか、あるいはえさの問題であるとか大豆とか、いろいろありますけれども、とにかく中国との貿易の関係と、日本の農業はどうなるのかということについて知りたいわけです。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 国交回復後の大使交換がきまった直後のことでございまして、しかもまだ日本からの大使の赴任は見ておらないわけでございます。そういう際でございますから、農業問題について中国側のそのほうの責任者と腹蔵のない意見交換がまだないこの際におきまして、いまにわかに中国とのこれからの農業のあり方について所見を述べることはいかがかと思うのであります。  しかし、せっかくのお尋ねでございますから、基本的な考えだけを申し上げますならば、何といっても隣国の八億からの国民を持つ、面積も広い大国のことでございますし、過去の経緯から考えまして、あらゆる面で両国が友好にこれからの国交を続けていかなければならない、こういうことを考えますときに、農業の問題におきましても、でき得る限りお互いに助け合うようなそういう形というものを探求してまいりたい気がいたします。私が就任直後に大豆の問題が起きました。その場合に、中国の糧油公司に対しまして外交機関を通じて協力を求め、快くその理解を得たということはたいへんうれしいことであったわけでございますが、こういうようなことを積み重ねていきまして、両国の農業問題について他の問題と同様に友好促進の上に寄与いたしたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 ある場所で与党の議員がこういうことを言いました。日本と中国と国交を回復すれば、中国から来るものは農産物しかない、その農産物で日本の農業が破壊される、こういうふうなことを言ったけれども、そういうことについて大臣はどのような答えをされるか。中国の農産物が来たら日本の農業は破壊されるかどうか、その点について。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 別に中国がどうこうということでなしに、日本と各国との農業の関係の上におきまして、もし日本農業に重大な支障を及ぼすようなことがあっては、——これは日本の農政担当の衝に当たっておる農林省の考えるところではないのでございます。したがって、現在ございます国境保護措置あるいは重要農産物に対する価格支持政策、こういうものを十分活用しながら、しかも国際間におきましては、こういう開放経済下にあるのでございますから、ある程度の協調をしながらいく、こういう基本姿勢の中に中国との関係も当然あると思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 中国との関係についてはそれだけにしますが、この印刷物、私は基本的にまだ未熟だと思うし、承認をしませんけれども、この十年後の見通しの中にも中国との関係が入ってない。そういう点で、この点は後ほどまた議論をする場所でやりたいと思います。  もう時間がありませんから、最後に二点について、なお当面の問題について聞いておきたいと思います。  その一つは、土地問題。土地問題に関して農林省のほうでもいろいろ努力はされていると思うけれども、土地の野放しの値上がり、特に大会社の買い占め、これはもう著しいものです。そしてまた、一方においてはゴルフ場というものがあちらこちらにできて、それがやがて今度は宅地に転化し、分譲になるような可能性もある。われわれの周辺はたいへんなものです。ですから、農林省としては、一体ゴルフ場というものが全国にどういう形で存在し、その面積がどれだけあるか、これはいずれ調査をしてもらいたいと思う。私、ゴルフを別に反対をするわけではないけれども、そんなにゴルフ場をつくって一体どうするんだ。そうしてどんどん農地や山がこわされていく。税金の問題にしても非常に不満なところがあります。いまの土地問題について一体ほんとうに、抜本的にはどうしようとするのか。それが一つと、それからもう一つは、やはり当面の問題で、いま大きく値上がりをしているのは大豆に次いで木材、今度は米、肉、こういうものまでがどんどん買い占められて値上がりをしようとしている。それで、政府は最近モチ米の輸入をするという、あるいは肉もまた輸入をするという。もういままでの計画をしてきた諸般の問題が一つ一つどこかで違ってくずれて、それで、そこに輸入というような処置によってこれをカバーしなければならぬ、こういう問題について私どもはどうしても理解に苦しむものがある。だから、この辺について明確な答弁をもらいたいと思います。

櫻内義雄自由民主党農林大臣

○櫻内国務大臣 全国のゴルフ場の実態については、後刻、調査ができましたならば、資料として差し上げることにいたしまして、ゴルフ場の問題は国会でもしばしば取り上げられておるところでございます。このゴルフ場のために農地や山林などの壊廃が行なわれるという事態があっては、これははなはだ芳しくないことでございますが、御承知のように、農地につきましては規制措置がございますので、全国の各農政局を督励いたしまして、かりそめにも優良な農地、そういうものが壊廃されるような場合に、許可をするというようなことは絶対に避けてまいりたいと思うのであります。また山林、林野につきましては、これは予算委員会でもお答え申し上げておるように、現在保安林についての規制はございますが、その他の場合におきましてはそういう点に欠くるところがございますので、森林法の改正について所要の規制をするようにこの国会でお願いをいたしたいということを申し上げておるわけでございます。  それから農産物関係の緊急輸入の問題でございまするが、これは現在の消費者物価を考え、あるいは需給の逼迫を考えまして、やむを得ざる措置としてとっておるのでございまして、このことによって国民生活の安定に寄与することが当然であると思います。  ただ、竹内委員のお尋ねは、そういうことでなく、国内的にも十分な生産を考えるべきではないか、あるいは輸入につきましてももっと順調な輸入をすべきではないのかとか、いろいろお考えがあってのお尋ねであろうと思うのでございます。先ほどから申し上げるとおりに、ある程度の国内における自給というものは当然考えていかなければなりませんが、また同時に、消費者のことをも考えていきますときに、そこにどの辺で調和を見出すかというむずかしさがございますが、一方におきまして外国の気候状況などがもろに日本に影響の起きる場合、こういうようなこと、これが今回の大豆の場合などあるいは木材などの場合に起きてきておる現象だと思うのでありますが、この貴重な経験をもとにいたしまして、これからの各農産物関係の需給の見通しについては当然見直していきたい、かように思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 もう時間が参りましたからこれでしめますけれども、いままでいろいろ質問をし、答弁をもらいましたが、その中にかなり隔たりがございます。われわれと政府との間には隔たりがあります。  そこで、私どもはやはりどうしてもこの際生産農民の立場に立って、同時に日本の国民の食料を完全に確保するという立場も考えて、ほんとうに農民に愛情のある農政というものを確立してもらいたい、そういうことを要望しました。同時に、何点かにわたっていま政府が出してきているところの問題について注文もつけ、なおその責任も求めてまいりましたが、いずれこういう点については関連の場所で問題を提起して深めていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、現在の農業というものは大きな転換期にきておるわけでありますから、やはり大胆に生産農民を守り、日本の食料を確保する、そういう基本的な立場に立って農政というものにしっかりした決意を示してもらいたい、勇気をもってやってもらいたい、このことを要望して、質問を終わります。

佐々木義武自由民主党

○佐々木委員長 次回は明二十八日、水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会

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