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71回国会衆議院1973/07/11

内閣委員会 第40号

発言数
116
登壇者
8
会派数
2
開催日
1973/07/11

会議録

三原朝雄自由民主党

○三原委員長 これより会議を開きます。  航空事故調査委員会設置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 航空事故調査委員会設置法案の各条については、だいぶいままでほかの委員から詳しく御質問があったようであります。私、二、三点にしぼってお尋ねをしていきたいと思います。  外務省は来ていますね。――まだ来てない。それではちょっと別のことから聞いていきます。  いままで四十一年の四大事故、それから昨年のインドのニューデリー、モスクワ、その前の「ばんだい号」、雫石と事故があって、そのたびに事故の調査委員会というのが設けられてきたわけなんですけれども、今度のこの法案の中でも、私たち、従来の事故調査のあり方から見て特に議論されたのは、ボーイング727の全日空の羽田沖の事故の調査をめぐって、あの委員の一人である山名さんがやめられたり、皆さん方のほうの調査官だった楢林さんからいろいろな意見が出たり、相当この事故原因の追及というものをめぐっていろいろな意見が出ています。しかも、事故の調査を行なうというのは、結局、その原因を追及して将来同じような形の事故を二度と繰り返さないということがその一番大きな要点だろうと思うのですが、残念ながら、たとえば全日空の羽田沖の事故にしても、あの事故から何か特に学んだものがあるのかということになりますと、どうも具体的に明確になってこない。ニューデリーの事故によりますと、かなり具体的に日本航空の体制についての指摘というのがあるわけですけれども。  そこで、私ひとつお尋ねしたいのは、これは今度の事故調査の中でわれわれが主張していることに、できるだけ秘密じゃなくて公の場で明らかにしてもらいたい、できるだけ事実というものをみんなの前に明らかにすべきじゃないかというのが一つ議論の焦点としてあるわけなんですが、「ばんだい号」の事故調査の報告書に関連をしてちょっとお尋ねしたいのですが、大臣も御承知だろうと思いますが、この「ばんだい号」の事故調査報告書というのは四十七年の十二月の十八日に出されているわけです。この報告書そのものについてもずいぶんいろいろな疑点があって、実は航空安全推進会議という、これは、もっぱらパイロットとか整備士とか運航管理者といわれるような航空の仕事に従事をしている人たちが、集まって安全のことを考えていこう、こういう団体があるわけでありますが、そこのメンバーが、ことしの二月の二十二日と五月の二日と、二回にわたって、この報告書について、守屋さんとか佐貫さんとか長野さんといわれる、この調査に当たった人たちに幾つかの疑問点を提起をしているわけです。たとえば二月の二十二日の会議においては、実に二十三点にわたって問題点を提起をしていろいろと聞いたわけですが、ほとんど実は答えられないわけですね、守屋さんにしても佐貫さんにしても。  たとえば五月二日の会議の席上で、二月の二十二日の日に指摘をされた点についての訂正をしているわけなんです。たとえば、ここの報告書の一五ページの、これは実はどういう飛行経路を通って衝突をしたのかということの一つのポイントになるわけでありますが、たとえば降下開始して札幌NDBからの飛行距離について六十七海里という報告書なわけです。ところが、これ、いろいろ計算してみるとおかしいじゃないかということになって、あとでこれを七十四海里と、五月二日の会議の席上で長野さんや守屋さんのほうから訂正をされているわけなんですね。これは大臣、この報告書は、大臣に対して報告をされた報告書です。こういう民間団体の人たちでありますが、事故調査に当たった責任ある人たちとの議論の中から、報告書の非常な重要な部分について、間違っていましたということで訂正の報告が五月の二日になされているのですけれども、これは大臣、報告を受けているでしょうか。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 その大体のことは聞いておりますけれども 訂正があったという事実については、具体的には報告を受けておりません。政府委員からお答えさせます。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 ただいま御指摘の点は、七十四海里という地図上の距離を、はっきり距離は七十四海里であったわけですけれども、それに向かい風その他を考慮すると六十七海里ということになっていたのをそのまま書いてしまった、当然七十四海里と書くべきところを風を考慮した六十七海里を書いてしまった。これは校正ミスが発見されたので訂正したということでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それは実は単純なミスじゃないのですね。これはあとの、たとえば降下速度の百六十ノットをめぐる問題についても同じような指摘があって、やはりこれは長野さんのほうで十分に議論ができていないのですね。たとえば降下スピード百六十ノットというのは、実際の運航技術上、パイロットの人たちは、みんなむずかしいという。たしか一万フィートから六千フィートにおろすのだったと思いますけれども、それを百六十ノットでおろすのは。たとえばレーダーでつかまえているのは、この同じ報告書の別の部分では、その点については、たとえば二百ノットなどということもあるわけです。一一ぺ-ジについてですね。  そうすると、おもに議論されているのは、しぼりますと、降下スピードの問題と、それから空港に入る進入の経路の問題について、その経路パターンが、東亜国内できめられているパターンじゃないし、一般のパイロットがとっているパターンでもないパターンを推定をして入ったことになっているわけですね。その辺についてもいろいろ議論されまして、長野さんのほうで、そのやりとりを見ておると、どうも明確にお答えになっていないわけです。長野さんというか、この方は運航グループの責任者でございましたから、もっぱらこの方が答えられているわけです。  いまのような問題も、たとえばいろいろ重要な点に最終報告書が出て間違いがあったというような場合に、これは皆さん方のほうでやはりある意味では責任を持っている報告書なわけですから、これは、航空機そのものも日本の生産のYS11ですし、場所も日本ですから、よそへ送る必要はないのでしょうけれども、それでもいろいろICA ○に従った処置というのは必要だろうと思うのですね。そうすると、この最終報告書に、こういうような間違いとかミスとか、あるいはものの考え方が違った点があった。やはり運輸大臣としてしかるべき措置というのはとるべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 そもそも航空の事故調査というのは、先生も御存じのように、非常にむずかしいものでございまして、大体の場合にもう全部が死亡されておるということで、その原因推定にあたりましても、いろいろな角度からこれを研究し、なるべく客観的に事実をつかんで原因を追及するということをやっておりますが、いままでどの事故調査をやっていましても、その内部でもいろいろな議論が実は対立するというふうなことで、あらゆる議論を想定しながらそれをまとめていかなければならぬというところに、いわゆる航空の事故調査のむずかしさがあるわけでございます。  先生も御指摘のように、航空事故調査の目的というものは真実をつかみ、原因を探究し、それによって同種の事故の再発を防止しよう、これが究極の目的でございます。したがいまして、事故調査の推定原因というのも必ずしも一つではあり得ない場合もあると思います。こういう場合もある、こういう場合もある、少数説、多数説出ても、これはいずれでもけっこうである。両方とも採用しているが、なおかつ今後の再発の防止のために努力すべきであるというのが基本的なたてまえでございます。  そういうふうなたてまえから申し上げますと、先生御指摘のように、いろいろな推定等による議論の差、これというものはそれながらにあるとして、事故調査委員会の報告書に少数説、多数説として掲げたらいいわけでございますが、かりに事実において間違っておったということがはっきりいたしました場合には、これはやはり訂正するのが必要だろうと私は考えます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 アメリカ局長、外務委員会があるとかいうお話ですが、そちらのほうはいいんですか

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 まだけっこうでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 では、ちょっとこちらのほうの議論を続けていきたいと思います。  いろいろなものの見方なり考え方はあるだろうということでございますけれども、警察のほうの捜査はいまどんなことになっていますか。

佐々木英文警察庁刑事局捜査第一課長

○佐々木説明員 お答えいたします。  「ばんだい号」事故につきましては、北海道警察の函館方面本部におきまして必要な捜査を行なっておりましたが、それに並行いたしまして、事故原因解明のために、四十六年の八月十一日に運輸省航空局の事故調査課長に鑑定嘱託いたしておりました。昨年の十二月二十三日に同課長から、本件事故の推定原因は、「ばんだい号」の操縦者が函館NDBの北方約五海里の地点上空をNDB上空と誤認いたしまして、しかも一回の旋回降下だけでハイステーションを二千五百フィートで通過しようとしたために、その飛行経路が西方に広がり、この間に強い南西風によって同機が予想以上に北方に押し流されたことによるものと推定されるという、パイロットの操縦ミスを示唆する鑑定が出されましたが、この鑑定結果に基づきまして刑事責任の所在を特定するためには、なお若干の補充捜査をする必要がございますので、その点につきましても現在も引き続き捜査中でございます。  なお、具体的な捜査の中身につきましては、まず。パイロットの操縦ミスのほかに、関係会社の社内飛行計画の策定など、運航管理上のミスの有無についても捜査が必要でございます。それから第二点に、目撃者証言に対する警察の捜査結果と事故調査委員会の結論には開きがございますので、この面についての捜査を行なっていく必要があるというふうな、二つの面での補充捜査を現在続けておるという状況でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 後段のほうの警察のほうでとられた目撃者の証言というものですね。これは事故調査委員会の中では、証言グループの人たちが大体そういう考え方をとっているわけなんですけれども、警察の考え方というのは、大体どの辺に重点を置いて捜査をされているのですか。

佐々木英文警察庁刑事局捜査第一課長

○佐々木説明員 どの点に重点を置いてという御質問、ちょっと私なりに理解させていただきましたところにつきましてお答え申し上げたいと思いますが、結局警察で、飛行機の航路、それから高度あたりを一応特定いたすためには、その地点付近における目撃者をできるだけ多数確保いたしまして、その人たちについて、何時の時点で――その何時の時点というのは、たとえばラジオの何時の放送、あるいはテレビの何時の放送、それが根拠であるというふうなことを確認しながら、一応何時の時点でどの方向にどのくらいの機影を見たあるいは爆音を聞いたというような具体的な捜査を進めなければならないわけでございます。これにつきまして、相当数の目撃者につきまして、具体的な情報による捜査を進めました結果、二十一名に一応しぼられたわけでございまして、その人たちにつきましては、私どもといたしましては、やるだけのことはやったという感じがいたすわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、いわゆる鑑定結果にそういうふうな点が指摘されてきておりますので、さらにこの人たちについての補充的な捜査も進めていくという考え方でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 じゃ、警察のほうは警察の立場で独自に調査をされる、この事故調査報告書というものにそんなにとらわれないで調査をされるということですね。

佐々木英文警察庁刑事局捜査第一課長

○佐々木説明員 この鑑定結果を中心にいたしまして、さらに捜査を補充していくという考え方でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 この報告書には両方の考え方が並列的に行なわれておりますから……。わかりました。警察の方けっこうです。  この報告書の中身の問題について議論をしても直接皆さん方が調査をされたわけじゃなくて、別に委員会を設けて、それはもう解散をしているということなんで、ちょっと議論がしづらいわけなんですけれども、みんな専門家の指摘している点は、やはり二点にしぼられるわけです。  それは一つは、YS11A型機の性能上、報告書によると、一万フィートから六千フィートの降下の指示の対気速度が百五十から百六十ノットで、対地速度が百五十八から百六十七、要するに毎分千から千五百フィートで降下した場合の指示対気速度を百八十ノット以下に減速することは、性能上ちょっとむずかしいのではないかということが指摘をされておるのですけれども、その辺のところは、皆さん方としてはどういうぐあいにお考えになっておるのですか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 報告書にもありますように、当時の気象状態としては相当な気流の擾乱、いわゆるタービュランスがあったというふうに想像されまして、その場合に、タービュランスがあった場合には飛行速度を落とす、YSの場合には百五十九ノットの速度に落として飛行するということがきめられておりますので、おそらく当該事故機のパイロットは、百六十ノットくらいに速度を落として降下したのではないかというように委員会は推定したと聞いております。その場合に、全日空とか東亜国内航空のYSのパイロットの機長によく事情を聞きましたところ、百六十ノットくらいに落とすという意見が多数あったので、そのように推定したというふうに聞いております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 パイロットにアンケートを出して調査をされたやつですね。それは公表するわけにいかぬのですか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 これは無記名で集めておりますので、単なる事実資料でございますので、公表しても差しつかえないのじゃないかと思いますけれども、一応元の委員長にも相談してきめたいというふうに思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それは降下のパターンですね。空港に入る進入パターンについても、何か報告書によると、パイロットは一般的にそういうふうにやっているみたいなお話があるのですが、それも東亜国内のやり方と違うわけですね、降下のパターンが規定とは。それはやっているといっても、私たちのほうで調べたのでは、どうもそれはやっているというパイロットはいないのです。したがって無記名ならばそれはなおけっこうでございますから、何人くらいどういうおり方をしているのかという、これからいろいろ問題を調べるにあたっての一つの参考資料になるでしょうから、それは大臣ぜひ検討されて、事故調査委員会のほう解散はしておりますけれども、調査委員会の資料でしょうから、そちらのほうの了解を得て、できれば出していただきたいというように思います。どうですか。いいですね。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 こういった資料は、おっしゃるように、なるべく皆さんの将来の事故の原因探究ということについて参考になれば、それは公表することはけっこうだと思いますが、いろいろの関係で出した人のある種の了解を得ないといけない点もございましょうから、それらの点は事務当局で十分交渉をさした上で処理をしたいと思います

横路孝弘日本社会党

○横路委員 もう一つお尋ねしたいのは、いまの二つの点が大体議論の焦点になっていて、そこから目撃した証言者との間に非常な食い違いが出て証言者グループ、これは海法さんが責任者のほうのグループと、この結論の中では少数派として書かれているわけですが、実はこの報告書の中には出ていないことで、五月二日のやりとりの中で、長野さんが、要するに問題は何かというと、一つはやはり運輸省の保安施設に問題があることを発言をされているわけです。つまりここのADFが振れた、こんなに振れるようなADFでは困るんで、しかもこの報告書からいって非常に長い間振れていたことになるわけですね。それに伴って間違って着陸体制に入ったということになっているわけですが、ここの会議の中で、要するに単なるパイロットミスではない、パイロットを誤らせるような状態があったんだということを長野さんは指摘をしているわけです。ADFの針が振れた、そういうような施設、つまりパイロットがミスをおかすような誘発原因があるんだということを、長野さんは運航グループの中間報告として、運航グループの考え方はこういう考え方だったんだというようなことをこの会議の席上で公言をされているわけですね。そのことはこの事故調査報告書に全然出ていないわけです。大体これは、交通事故、自動車事故についてもいえることなんですけれども、人間の過失というのは、最終的にはあるいは人間の過失なのかもしれないけれども、その過失の背景になった要素というのは実は非常にたくさんあるということが、いつもあらゆる事故の場合に指摘をされていることなんですね。一対十対三百の原則なんということまでいわれていろわけなんです。したがって、ここの函館空港はいまILSがたしか入って、VORもついていますから、この長野さんの指摘というのは解決をされているわけなんですけれども、少なくともこの朝告書の中にはそのことは出てきていない。単純なパイロットミスで操縦者が誤ったということになって、操縦者を誤らせるような原因についての分析というのはこの事故報告書にないわけですよ。  私がいつも事故の場合に感ずるのは、パイロットミスだというぐあいになっちゃって、そのパイロットミスを誘発した原因について、これはおもにどこから出てくるかというと、会社のほうのいろいろな運航の管理体制の問題だとか、あるいはパイロットの養成の問題だとか、あるいは運輸省のほうの保安施設の問題とかが出てくるわけです、まさにこの航空事故調査報告書、この「ばんだい号」の事件の場合は、運輸省の保安施設の問題を長野さんは、報告書の中では言っていないけれども、会議の席では明確に運航グループの報告として発言をされているわけです。したがって、もしそういうことでの意見があったならば、それはやはりこれに明記すべきじゃなかったのかということですね。長野さんは、委員会で高所から種々の状況判断を加えてその意見はだめになった、こういう発言をされているわけなんですけれども、どうもその辺になると、皆さんのほうで、運輸省の保安施設の不備を指摘されるのを避けるためにこういうような報告書になったんじゃないかといつ疑いも持たざるを得ないわけなんで、この辺のころの経過は、皆さんのほうは事務局としてお入りになっておったわけですから、どういう経過になっておったのですか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 ただいま御指摘の長野委員の発言の要旨ですけれども、長野委員が、個人的ではないが会議の席上でそのような意見を言いましヤしかし、結論として運航グループとしては、パイロットを誤らせるような指示があったことは確かだけれども、しかしほんとうにNDB上空に達したかどうかを確かめる別な手段がある。たとえばむずかしい用語でいえばオーラルナル方式によって、ステーションの上空に来たか、あるいはそれを通過したか、手前であるかということを確認する手段があったんだから、ほんとうに確認しようと思えばそういう手段があったということであって、運航グループとしての結論としては、やはりパイロットミスというふうに結んであります。ただ御指摘のように、そのパイロットを誤らせる背景については当然運輸省としても考えなければなりませんので、ただいま局長からもありましたけれども、保安施設五カ年計画によって、いま整備しておるNDBよりも、もっと精度が高くてもっと安定性の高いVORに変えつつあります。以上  であります。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 ちょっと補足いたしまして私の考え方を申し上げさせていただきたい、こう思います。  横路先生も先ほど御指摘のように、いわゆる事故というものは単純な一つの原因によって発生するものではないというふうに私は思っております。いろいろな事故の原因が、直接原因もあり、あるいは背景もあり、あるいは機体一つとりましても、いろいろな意味でフェールセーフになっておるのでありますけれども、それが不幸にして二つ、三つの原因というものが重なった場合に実際の事故として発生する、こういうふうな性格だと思っております。  したがいまして、今度の「ばんだい号」の問題は、先ほどの御指摘のように、NDBの問題、あるいはADFの問題が出ましたけれども、飛行機というものがそもそも相対的に、保安施設なり何なりによってそれに合うような飛び方をする。そのために運航率は減るかもしれません。極端なことを言えば、非常に天気のいい晴れた日でよく見通しのきくとき、いい状況のときには何の不安もなく目で飛べるものである。しかしそうじゃない場合には、ILSのない場合には、運航率は落ちるけれども、VORなりNDBなりを利用して計器着陸をする方法もある。それはそれなりのパターンができ、それなりの手続ができ、こういうふうにやれば安全に降下できるというふうな方式でもってNDBなりVORというものが採用されておるわけでございます。したがいまして、そういうことから、このNDBということであったがために、一これのみによって、直接NDBのために進入を誤ったとか方向を誤ったとかいう問題ではなくて、これがパイロットミスに結びつくと推測されたのであろうと思います。  しかし、先生御指摘のように、少しでも事故を起こす可能性のあるようなものは全部撤去していくべきだと私は考えるわけです。その原因をなくすべきである。そういった意味から、「ばんだい号」の際も、勧告といたしましては、運輸省のほうで航空路用あるいは空港用の保安施設をよくしなさい、NDBはVOR、DME化するように、または空港についてはなるべくILSをつけるように、こういうふうにその報告書の中にもあると思いますが、勧告を出してきております。  私どもはその意味でも、たとえば、先ほど横路先生が御指摘になったように、運輸省の中でやっているものだから、運輸省に甘いのではないかというふうな目でもってややともすれば見られがちである――決して私どもはそう思っておりません。公正に考え、委員会は中立公正に動いていただく。それによって私どもは公正にそれを受けてやっておるつもりでありますけれども、ややともするとそういうふうな目で見られやすいというところから、今度の独立した恒常的な事故調査委員会設置ということになったわけでございまして、そういう趣旨からいたしましても、今度の法律案はぜひとも通していただきたい、こう思うわけでございます。  それはちょっと話がそれましたけれども、そういうことで、「ばんだい号」の事故調査結果を、私どもといたしましては十分活用いたしまして、航空路についても保安施設を整備し、あるいは空港についても保安施設を整備するということについて十分に努力をしてまいっておるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 事故調査ができても、結局問題は人ですから、その人が運輸省からほんとうに独立して、企業から独立をして調査できるような人が調査に当たるかどうかということに、かなりの部分かかっているわけでございます。それについてはあとでまた意見を申し上げたいと思いますけれども、私が実はこの問題を皆さん方に指摘したいと思ったのは、つまりこういう中身ですね、いまの二百ノットの降下の問題とか、旋回パターンの問題とか。それから運航グループの中にもこういう意見がありました。しかもADFの針が、これで見ると、大体四分ぐらいずっとゆれていたことになるわけなんで、そんなことじゃこれはとんでもないことで、いまだって離島の空港なんかは、かなりVORではなくてNDBでしょう。そうすると、非常に大きな問題というのはそこにあるわけなんですよ。そういう問題が民間の人たちと事故調査委員会の人たちとの話し合いの中から出てきたということなんですね。  皆さんは資料もほとんど公開されない。報告書なるものだけぽんと持ってきて、これを世の中に公表して、これで納得してくださいといったってなかなか納得できないから、みな遺族の人たちがあっちでもこっちでも裁判を起こしているのだと私は思うのですね。したがって、二回にわたる航空安全推進会議と、「ばんだい」号の事故調査委員会の人たちとのいろいろなやりとりを見て、つまり、委員会のほうで最終報告書というものを出す前に、やはりこういう専門家の――ある意味では専門家ですね。それぞれ、パイロットであるとか整備士であるとか、とりわけ現場の問題というのを自分たちが仕事をする立場からよく見ている人たち、こういう人たちの意見というものを聞く場を持つことは、これはアメリカあたりでそういっ制度を取り入れているのも、結局、その中にいる人ばかりでなくて、外で見ておってむしろ気がつく点がある。さっきの六十七海里、七十四海里じゃありませんけれども、計算してみたらおかしいじゃないか。百六十ノットの点も、レーダーで見ているのは二百ノットぐらいなんですね。だからその辺のところも実は食い違いがあるわけですよ。こまかい点の議論はしませんけれども。したがって、こういう「ばんだい」号のやつを見ても、あるいは例の羽田沖の727のやつを見ても、皆さん方のほうでは、そういういろいろな意見が出てくることをともかくおそれておられるようだけれども、そうではなくて、やはりみんなの意見を聞いてみる、そしてもう一度この最終報告書というものを見直してみる機会というのを事故調査の委員の人たちに与える。たとえば、こういう人たちの意見を聞くというのは、何もそこで事故調査委員会の人たちとディスカッションをするということではないのですから、公述をするということなんですから、そういう場を与えるということはやはり非常に考えなければならないものじゃないか。制度というのは一たんできてしまうとなかなかいじれるものではありませんから、したがって、この事故調査の設置法が出てきて、この前の国会から私たち社会党としての意見も皆さん方にもいろいろ申し上げているわけなんですけれども、いかがですか。この「ばんだい」号のこの二月二十二日と五月二日の二日のやりとりで、これだけではわからない点で、ずいぶんわかった、明らかになった、あるいは疑問もふえた点もあるし、また疑問がなくなった点もあるわけでありますから、そういう点は今度の法案の中にも――これはわれわれの意見ですけれども、皆さん方はどう思われるか。マスコミがどうだとかこうだとかいって、あまり賛成願えないようでありますけれども、その辺のところは大臣いかがお考えになっておりますか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 私も、事故調査委員会の事故調査というものはほんとうに客観的、公正妥当に行なわれるべきである、こういうふうに考えております。その意味では決して独断におちいってはいけない。あらゆる意見は聞きながら、それをとる、とらないは委員会の責任でございましょうけれども、それまでには、あらゆる立場の人たちのあらゆる意見を聞くことは必要であると私、思っております。ただ、これが必ずしも公開がいいかどうかということになりますと、これはいささか問題点がございますけれども、意見を聞くことは大いに必要であり、またやるべきだろうというふうに私は考えます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 公開の場でやることをどうしてそんなに心配なさるのか。たとえば航空のいろいろな専門家の人たちとか技術スタッフの人たちが出てきて――公開といったってこういう会場の中でやるわけでしょう。まさか傍聴人をそんなにたくさん入れて、そこでわいわい騒ぐわけじゃなくて、これは大体事故の原因についての意見を聞く場なんですよ。そんな大騒ぎになるなんてことはあり得ないことなんです。日本のこういういろいろな行政委員会等の中には、いろいろな審議会の中には、どうも公開というのを皆さん方避けられる傾向が非常にあるわけです。公開にするとマスコミを通して報道されるということを一番心配されているのかもしれませんけれども、何もそれで心配されるような報告書では困るわけでして、いろいろなみんなの批判を受けても、なおかっこの辺に問題があるということがそこで明確にされるならば、むしろいいじゃないですか。したがって、その辺のところ、皆さん方そんなにかたくなにならないで、やり方はいろいろとあるのですから。それは、公聴会にするのがいいのか、あるいは公開の場で、必要要件じゃなくて判断によって聞くような場を設けるようにすればいいのか、いろいろなやり方はあるでしょうけれども、いずれにしても公の場でそういうような専門家の意見を聞く。調査に直接携わった人以外のそういうのが私は必要だと思うのですけれども、いかがですか。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 政府委員から若干お答えいたしましたが、今度の調査委員会は、ほんとうに各委員一人一人が非常に公正な立場から――御心配のように、運輸省から何か制肘を受けるんじゃないか、そんなことは全然考えておりませんで、独立した立場から、独自の立場でほんとうに事故の原因を究明するというために置くものでございますから、委員一人一人、そういう点について最も適任な人を国会の議決を経て選ぶわけでございますそういうものでございますから、この私たちの提案しておる法律案には、いかなる場合でも公聴会を開かなければならぬというように書いてございません。しかしながら、それを公聴会というのは少しことばが――これはほかにもたくさん例がございまして、制度的に見ますと、これは非常に硬直化ともいえるわけですね。むしろ運用の上でこの調査委員会が、この事件はどういう方法で調査するのが一番いいかということを具体的にお考えになりまして、非常に幅広く関係者の意見を聞くとか、あるいはあなたのおっしゃったように、この部分については公開してもいいというような判断の余地を、むしろ委員会のほうに残しておいてどうせこれは委員会が、この委員会はこういうふうなルールで運営するのだというようなことは、独自におきめになるでしょう。これは別に政令、省令できめるつもりはございません。ですからその場合に、そういった関係者からどういう形でどの程度まで意見を聞くかというようなことは、委員会が独自でお考えになればいいことではないか私はそういうふうに思っております。それが委員会の独立性といいますか、自主性といいますか、そういったものをわれわれが強調しておりますがそれに沿うのじゃないかと思っておるわけでございます。  こまかい理屈をいいますと、事務当局が御説明をしたと思いますけれども、これは非常に専門的な技術的な問題が多うございます。それを、いさまで定例化されておるような公聴会という形で、一般に公聴会を開いて公開するというようなことがふさわしいかどうかということについても、事務的には議論があると思いますが、私はそれを離れまして、委員会が自主的にそういうルールをきめて、そして各事件の事故の内容に応じまして、それに対応したような審議の方法をおとりになれば一番いいんじゃない、そういうふうに思っておるわけです。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それは私たち、この法案についての意見として持っているわけなんで、これはあとで与野党で話し合いをしてみたいと思います。  従来から、事故調査の報告が出ると、そのたびにいろいろな意見が出て、しかもどうもあまり明確にならないで、つまり同じような事故を二度と繰り返さないというための材料をあまり残さないで終わっちゃっているわけですね。それが非常に残念なことだというように思うわけでして、そんな意味から、専門家のそういう人たちの意見を聞く場というものを、私たちは何とか設けたほうがいいんじゃないかというように考えているわけです。  そこで次は、ちょっと法案に関連して聞きたいと思うのですが、この事故調査委員会が対象とする航空事故ですね。米軍機と民間機との事故の場合はどういうことになりますか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 たとえば米軍機と民間機と衝突した場合の事故調査の方法でございますが、これは現在合同委員会に基づきます日米の附属書によりまして、日本政府と米軍と共同で行なう、こういうふうなことになっております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それからもう一つ。米軍機と自衛隊機が衝突した場合にはどういうことになりますか

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 これも同様に米軍と日本政府と共同で行なうことになると思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 米軍機と民間機の場合、この航空事故調査委員会というのができた場合には、航空専故調査委員会は何らかの関与を行なうのですか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 これは法律的には明定されてございませんけれども、この委員会ができますと、事故調査に関する唯一の権威ある機関でございますから、この事故調査委員会が日本政府側の代表として参加することになるものと思われます

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そうすると、自衛隊機と米軍機の場合は、これは自衛隊機単独の事故というのははずしていますね。そうすると、事故調査委員会は関与しないということになりますか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 大体、いままで申し上げしたような筋から条理的に申し上げますと、米軍と自衛隊機のみの場合には、米軍と自衛隊との代表というのが共同調査を行なうということが一応の筋かと思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 たとえば、これからの事故で一番可能性があるのは空中衝突ですから、それがたとえば管制官のミスによって起きるということは十分あり得ることですね。そういう場合にはどういうことになりますか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 当然そういった場合には、事故調査委員会のほうからも参与してまいるというふうに考えます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 たとえば第一附属書というお話でしたね。この第一附属書というのは、これは一体地位協定の何条に基づく附属書になっていますか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 地位協定第何条という具体的な規定ではございませんで、地位協定の運用に関しまして日米合同委員会はあらゆる事項に関して協議をすることができる、また協議をする機関になるということになっておりまして、この航空管制並びに航空機の運航に関する事項につきまして、合同委員会の合意は昭和二十七年にできておりますけれども、これは一般国際法に基づきまして航空機の事故調査の分担をきめたもの、こういうふうに確認しておるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 その附属書は「航空交通管制に関する合意」ということになっていますね。しかもこれは、第一附属書と第二附属書を結ばれたのは昭和二十七年でしょう。つまり管制権を米軍が持っているときですね。したがって救難の場合の捜索と事故調査。それから第三附属書は管制権が日本に返ってきた三十四年に結ばれて、これは交通管制についての移管の問題についての規定をしているわけでしょう。そうすると、これはやはり地位協定の六条ということじゃないのですか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 地位協定六条という御指摘がございましたけれども、六条の規定に基づく航空管制に関する整合、調整ということはもちろん行なわれているわけでございまして、昭和二十七年の合意は、航空交通管制に関しまする合意と航空機の事故調査に関する合意と、それから捜査救難に関する合意と、これが三つ含まれてございます。したがいまして、事故の調査という問題につきましては、当然、航空管制が関与する面があり得るわけでございまして、そういう意味から申しますと、六条の整合、調整という規定がかぶってまいる面もあり得ると存じますけれども、全部が六条ということでは必ずしもないというふうに考えております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 その第一附属書ですね。これは前からいろいろ議論されているわけで、皆さん方お出しいただけないのですけれども、今度この航空事故調査の委員会が設置をされて、航空事故調査のやり方についていろいろなこまかい点についても規定がされているわけです。民間機と米軍機の事故というものを想定しますと、つまりわがほうの民間機と米軍機ということになるわけですし、あるいは外国の場合もあり得るかもしれませんけれども、いろいろとこまかい調査方法についてきめておるわけですね。したがって、米軍機と民間機の場合にはそちらのほうでやりまして、こっちのほうは関係ございません、ただ、権威ある唯一の機関ですから航空事故調査委員会のほうで調査をすることになるでしょうということだけでは、では、米軍機との事故の場合にどういう調査をすることになっておるのかさっぱりわからないわけでして、これひとつ国会のほうに提出していただけませんか、その付属文書を。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 二十七年にできました航空交通管制に関します合意、並びにただいま御指摘の航空機の事故調査等に関する日米合同委員会の合意の概要につきましては、国会に御提出申し上げておりますので、航空機の事故調査に関する当該合意の要旨につきまして提出いたすようにいたします。  それから、事故の共同調査委員会のやり方ということの御質問がございましたけれども、これは事故が生じました際に設置されるという共同調査を行なう機関でございまして、今日までのところこの委員会が設置された例がないわけでございます。したがいまして、どういうふうなやり方ということはそのつどきめられていく、こういうことになろうかと思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 問題なのはこの手続のところですね。恐縮ですけれども、その手続のところだけでもちょっと読み上げていただけませんか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 航空事故調査に関する合意の中で「在日米軍の航空機及び日本政府が航空機事故の責任を負う航空機を含む航空機の事故に対しては航空機事故共同調査委員会がこれを調査する」、こういうことになっておりまして、一方その前に米軍が責任を負うべき事故、日本側が責任を負うべき事故ということについての合意ができておりまして、いずれかの一方が責任を負うことになりますが、「いずれか一方による航空機事故の調査中に他方の施設及び人員が事故に関与する原因をなした証拠があるときは、いつでも他方の代表者にその旨を通知する」ということで、ここでまた共同調査が始まる、こういうことになってまいるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 その具体的な手続ですね。何名委員を出してどれだけの用でと、こうあるでしょう。そこのところが実はこの航空事故調査委員会の設置法との関連で非常に重要な点なんです。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 事故共同調査委員会につきましては、日米同数の委員を出すということがきまっておりますけれども、何名という数は具体的にはきまっておりません。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 いや、私のほうで調べているところでは、やはり人数や何か全部きまっておるようですよ、大体何名以下とか。あるいはそのきめ方もきめていますし、それから調査の報告書なんかの利用についてもきまっていますし、しかも問題なのは、それが航空事故調査委員会のこの設置法とかなり違うわけですよ。問題はこれからあとにあるので、恐縮ですけれども、その第四章の手続のところ、六項目ありますから、その一から六まで全部読み上げていただけませんか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 合同委員会合意の内容につきましては、米側とのかねてからの約束によりまして、これをそのまま公表することを控えさしていただくということにいたしておりますので、ただいま御指摘のございました六項目を全部ここで読み上げる、あるいは国会のほうへ御提出するということにつきましては控えさしていただきたいと存じます。  それから、ただいま御指摘のございました数の点につきましては、日米同数ということはきまっておりますが、全体として十名以下という数は合意されております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 これは実はこの法案が対象とする航空事故、いろんな形態があるわけですけれども、わがほうの民間機と米軍機が衝突する危険性というのは、これは十分考えられるわけです。いままで幸いにしてなかったわけですが、とりわけこれからの事故形態というのは空中衝突というのがかなり多いだろうということは、これは専門家が指摘をしているところですね。現にたとえば皆さん方のニアミスのレポートを見たって、米軍機とのニアミスというのがやはり年間必ずあるわけですよ。したがって、民間機と米軍機の事故のときのいろんな手続をきめておりながら、それを全然公表しないでおって、そして航空事故調査委員会の設置法をと言ったって、これはなかなか審議は進まないですよ。しかもそんな手続はたいしたことないでしょう、一項目から六項目まであるものですね。ただ問題なのは、その内容がわがほうの設置法と原則においてだいぶ違う点があるのですよ。それはやっぱり非常に実は大きな問題になってくると思うのですが、これはあとで議論しますけれども。したがって、この一項目から六項目ですね。そこは一字一句違いなくということでなくてもよろしいですから、たとえば何人以下どうだとかこうだとか、いろいろあるでしょう。たとえば全く主権を制限されているような項目だってこの中には入っていますね。わがほうの主権がどこにあるのかわからないような、アメリカのほうの同意を得なければ日本側の、たとえば議長なんていうのは共同任命みたいな形になっているでしょう。だからその辺のところを、これはアメリカ局長、それは皆さん方前からそういうことをおっしゃっているのですけれども、この航空事故調査について、民間機と米軍機との事故の場合にはこの第一附属書を適用しておやりになるというならば、その手続はきめておられるのですから、それを公表していただいて、われわれは皆さん方のそれをもとにしながら、実はこの航空事故調査委員会の設置法とのいろんな違いとか問題点というのは、そこでまた議論していきたいと思っているのですよ。ぜひそれは明らかにしていただけませんか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 合同委員会合意に基づきます航空機事故共同調査委員会と申しますのは、先ほど来御議論いただいておりますように、在日米軍の航空機と日本政府が事故調査について責任を負っている航空機を含む航空機の事故についての合同調査ということになっておるわけでございまして、ただいま御審議いただいております法案で考えられております航空機の事故調査というのは、国内法に基づく日本政府の責任に属すべき事故の調査ということでございます。かりに在日米軍の航空機を含む事故が発生いたしました場合に、合同委員会に基づく共同調査委員会が設置されるわけでありますが、この共同調査委員会につきましては、当然のことながら、ただいま御審議いただいております国内法に基づいて設置される事故調査委員会がこれに関与する。積極的にはこれは運輸省の御所管でございますけれども、私ども伺っておりますところでは、国内法に基づいて設置される調査委員会の委員長が日米共同の調査委員会に参画される、こういうふうに伺っておるわけでございまして、共同調査委員会の進め方、その手続と御審議いただいております国内法に基づく調査委員会の手続その他とは直接のつながりはない、こういうふうに言ってよろしい、こういうふうに考えております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そうすると、これは取り扱いが違ってくるのですよ。同じ日本の国民でありながら、日本の飛行機同士がぶつかったときには、この航空事故調査委員会に基づいていろいろと調査をすることができるが、同じ日本国民が乗っている飛行機が米軍機にぶつかって百人か二百人なくなったという場合の調査は、この事故調査委員会の今回の法案に基づく調査のやり方で調査をするのではなくて、第一附属書を適用されるというわけでしょう。そうすると、同じ国民でありながら、同じ事故によって取り扱いが全然違ってくるなんて、そんなばかなことは許されませんよ。そうでしょう。同じ事故でもって同じ国民がなくなって、相手が米軍機だったのか日本の自衛隊機だったのかによって取り扱いが違ってくるという、そんなばかなことはないでしょう。これはもうちょっとあとで法律論は別に議論しますけれども、ともかくその前提となる手続のところはたいしたことないでしょう。私のほうで読み上げて、あなたのほうで確認してくれればそれでいいですけれども、そういうぐあいにしますか。やはり私のほうは、皆さんのほうから、ちゃんと一字一句同じでなくてもよろしいと言っているのですから、ただその要点だけをはずさないで、明らかにしていただきたいと思います。  もう一つ、ちょっと聞いておきましょうか。この第一附属書、第二附属書、第三附属書ですね。これは例の雫石の事故のときに問題になって、政府のほうでは改定の交渉をすると、それからあと何回か議論されているわけですけれども、その改定交渉の対象となっているものは三つ全部ですか。第三附属書だけですか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 とりあえず第三附属書だけです。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 第一と第二はどうして改定の対象にはならぬのですか。たとえば第二附属書というのはいまやもう全く意味がないでしょう。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 当時、まず衝突事故以後最初に手がけるのは第三附属書という意味で申し上げたのですけれども、第一、第二附属書についても、現に管制権もこちらに移っておりますので、衝突、救難等については実情も変わっておりますので、優先順位に応じて改定をするという状況であったわけです。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 だから、第一附属書も第二附属書も実質的には意味がないのですよ。米軍が航空管制権を握っていたからこういう合意書ができたのです。第一附属書なんというのはいまから二十年前の話でしょう。しかもこのやり方というのは、まだアメリカがある意味では、航空管制権も主権の一部だろうと思いますけれども、それを持っていた時期なんです。その時期の取りきめでこれからの事故にも全面的に対処していこうという考え方がおかしいわけです。だから、そのおかしいということを明らかにするためには、やはりそこの内容を、一、二、三、四、五、六、たいした内容があるはずではないので、皆さんのほうから、一字一句でなくともよろしいですから、その手続のところを要点だけはずさないで報告をしていただけませんか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 手続について六項目具体的に御説明しろ、こういう御要請でございますが、先ほど申し上げましたように、かねてからの合同委員会始まって以来のずっと米側との約束がございますので、この点につきましては、米側と話しをした上で御説明をさせていただきたい、こういうふうに思います。  それから、第一附属書、第二附属書につきまして、これは古いからというふうに御指摘でございますが、現実にはやはり、事故調査並びに捜査救難につきましては、この第一附属書、第二附属書のほうは生きておりますし、第一附属書そのものは確かに昭和二十七年で、そういう意味ではかなり時間的に古いものではございますけれども、基本的な考え方としては、日本側が責任を負うものはこれこれ、米側が責任を負うものはこれこれ、両者にかかわるものについては共同調査、こういう立て方でございまして、考え方として、あるいはワク組みとしては、これは今日の情勢においても変わっておらない。またこの内容につきまして、技術的に、あるいは表現の上で古いものである、こういう御指摘でございますが、ここらの点につきましては、今後運輸省ともよく御相談しながら、どういうふうに取り組んでいくか、考えさせていただきたいと思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 しかし、これはあと私と大出委員が質問して終わりで、何か話を聞くところによりますと、十三日の金曜日あたりということになっているのですよ。そんなゆうちょうなことを言っておったら、この法案はつぶれてしまいますよ。だから、その要旨という形でけっこうですから、要旨をもうちょっと詳しく、詳細な要旨ということで、第四章の手続のところをちょっと報告していただけませんか。運輸省のほうから発表するというわけにはいかないでしょう、外務省がだめだと言っているんだから。私のほうで読んで、認めてくれればそれでもけっこうですけれども。委員長、それくらいのこと出してくださいよ。

三原朝雄自由民主党

○三原委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕

三原朝雄自由民主党

○三原委員長 速記を始めて。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 この航空事故調査ですね。現行法では航空法の百三十二条が根拠法になっていますね。間違いございませんね。これは米軍についてはどうなっていますか。適用除外になっていますか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 適用除外になっていると思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 適用除外になっているのは、何の法律によって適用除外になっていますか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 私どもが外務省から聞いておりますことは、米軍に対しては、地位協定の原則に従ってすべて原則として適用除外である。地位協定特例法によって適用するものは適用すると書いてあるけれども、原則としては全部適用除外であるというふうに理解しております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 あなたまた何でそんなことを……。たとえば航空法の特例に関する法律というのがあるでしょう、ちゃんと。米軍は日本の国内法を全部最初から適用除外なんて、あなたそんなものの考え方というのは初めてですよ。この前の例の相模原の戦車の輸送のときも、これはいろいろと問題になったところですけれども、原則としては適用があるんでしょう、米軍だって、基本的なものの考え方として。それは、技術部長さんでなくて、法律のほうの担当の方いるでしょう。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 地位協定の問題、私から御説明させていただきます。  一般国際法上は、外国の軍隊が駐留いたします場合に、地位協定あるいはそれに類する協定に明文の規定があります場合を除いては接受国の国内法令の適用はない、こういうことになっております。したがいまして、地位協定の規定に明文があります場合には、その規定に基づいて国内法が適用になりますけれども、そうでない場合には接受国の国内法令の適用はないわけでございますが、一方、一般国際法上も外国の軍隊は接受国の国内法令を尊重するという義務を負っております。地位協定の中にも、その点を明確にするために国内法令尊重の義務をうたっている規定もあるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 これは前に安保のときの国会で、当時の林法制局長官は地位協定に関して、詳しく書いてあって、ここに書いてある範囲において特権的なものは認められるんだ、書いてないものについては日本の法令が適用されるというように、これは三十五年六月十二日の参議院の日米安全保障条約等特別委員会における井上清一さんという方の質問に対してそういう答弁をしておりますけれども、いまの解釈と少し違うようですね。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 この点につきましては、私の了解しているところでは、政府は従来一貫いたしまして、ただいま私が御説明申し上げましたように、一般国際法上、地位協定並びにそれに類する協定に明文の規定がない場合には、派遣国の軍隊は接受国の国内法令の適用はない、こういうことを御説明申し上げているわけでございますが、ただし、派遣国の軍隊は国内法を全く無視してよろしいということにはならないわけでございまして、国内法を尊重する義務を負っているわけでございます。現在の国内法の地位協定の規定もまさにそういう趣旨で立てられているわけでございまして、先ほどたとえば戦車の輸送について御指摘がございましたけれども、これは、地位協定第五条の規定に基づきまして、米軍といえども交通に関しまする国内法令を順守しなければいけないという明文の規定に基づいて、ああいう措置がとられているわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律という非常に長い法律がありますが、この法律では適用除外のものをそれぞれ明確にしているわけですね。どれどれは適用しないという形で。これは法律でこういうのがちゃんとできているじゃありませんか。この法律はまだ生きているんでしょう。一九五二年七月十五日公布、法第二三二というのは。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 まさに地位協定第六条では、非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系について緊密な協調、整合ということが規定されておるわけでございます。また第五条には、船舶及び航空機の出入及び移動ということについての規定もございます。ただいま御指摘の航空法の特例に関する法律は、安保条約第六条並びにそれに基づきます地位協定について、その実施に伴う航空法上の特例という形で法律が制定されているわけになるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 ですから、この特例に関する法律の中では、百三十二条は除かれておるんですよ。つまり適用除外になっていないのですよ。ほかはちゃんと適用除外の規定をずっと明確にしているわけでしょう、この法律では。わざわざこういう法律があって、適用除外事項からはずしておるわけです、航空事故調査については。だから、私のほうのお尋ねしたいのは、航空法の百三十二条が削除されて、今度の航空事故調査委員会の設置法ができるわけですね。したがって、その附属書に基づいて、たとえそれが有効だとして日米共同でやるとしても、そのやり方の原則はこれによるべきじゃないかということなんです。この法律の趣旨に従って運営をすべきじゃないか。その限度において、附属書の中でこれに抵触する部分は修正をされる、これは国際法のものの考え方から言うと。ただ、これは事務レベルの話ですが、こっちは国の法律なんですから。しかも付属文書の根拠というのは非常にあいまいなものですよ。米軍の性質から来るとか、さっきお話しの、つまり提供しているということから何か当然来るみたいなお話ですけれども、わざわざ航空法で適用除外をしていないわけですね。つまり適用されることになっている。そうすると、この法律も、したがって当然米軍には適用して、その共同調査ということになればいろいろ問題も出てくるでしょうけれども、ただしかし、やり方の原則はこれによるべきじゃないかというのが私の考え方なんですが、その辺はどうなんですか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 私は法律論ではなくして実態論として申し上げたいと思います。実態論といたしましては、私どもで今度のこういうふうな改正をいたしまして、航空事故調査委員会法というものが成立いたしますとすれば、それにのっとってわが国の調査というものを進めてまいるということでございますから、米軍との場合の共同調査を行なう場合につきましても、わが国の調査方法、その考え方というものをもとにして進めていきたいという気持ちは持っております。したがいまして、かりにその附属書における合意という点におきまして、それと矛盾する点があるならば、もちろん相手のあることでございますから、どこまで調整つくかは別といたしまして、当然私どもの考えに従ってやってもらいたいというふうな方向で折衝をいたすべきであろう、もしそういうものがございましたらそういたしたい、こういうことでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 それは外務省もよろしいんでしょうか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 先ほど航空法の特例に関する法律について御指摘がございまして、なるほど一項、二項、三項と、「適用しない」という具体的な条文があがっております。その特例法の第三項に「前項の航空機及びその航空機に乗り組んでその運航に従事する者については、航空法第六章の規定は、政令で定めるものを除き、適用しない、」こういう規定がございまして、私どもの承知している限りでは、航空法七十六条、機長の報告義務というものが適用除外のものになっておりますが、御指摘の百三十二条はこの七十六条につながってくる規定であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、実態的な問題につきましては、先ほど申し上げましたように、一般国際法上の原則に基づきまして、外国軍隊は接受国において国内法の適用を明文の規定がない限りは受けないけれども、一般的に国内法尊重の義務は持っておる、こういう関係で規定されておるわけでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 その適用を受けないといったって、衝突してよろしいということにはならぬわけですから、事故というのはそういう形で起きるわけですね。米軍が単独で落ちた場合、これはこの前もありましたけれども、二年ぐらい前でしょうか。あれは結局、日本側には調査権はないということでしたね。あれ自身もほんとうは問題なわけですが、きょうはその議論をしようとは思わないわけで、要するに、航空事故調査のこの設置法ができた場合に、米軍と日本側との事故の取り扱いについて、同じ日本の国民でありながら取り扱いが違ってくるという点は問題だと思うのです。したがって私は、この法律を優先をさせて、この法律に準拠して、日米合同で調査するなら調査するというような、あるいはやり方だって何もアメリカと共同調査をしないでそれぞれ調査するということだっていいだろうと思うのです。つまり附属書を優先させるのじゃなくて、手続について、少なくともいま審議をしている法律を優先をさせるべきじゃないか。いま運輸省のほうからは、そういう趣旨でできれば話をしたいというようなお話がありましたけれども、運輸省があれしても外務省が動かないと――第三附属書の改定の問題だって、会議も一年に一回か二回とかいうような状況を聞いていますと、あまり進捗していないようでありますから、外務省はそういう考え方で、運輸省のほうと十分検討されておやりになる意思があるかどうかです。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 事故の防止をはかり空の安全をはかるということは、これはもう第一の命題でございます。したがいまして、そういう見地に立ってこの問題に取り組まなければいけないというふうに私どもも考えておりますが、ただ米軍との関係におきましては、在日米軍に対しましては安保条約に基づいて施設の提供をいたしておるわけでございますから、安全保障条約上の義務の要請をいかにまたこれと調整するかという責任もあるわけでございます。したがいまして、この第一附属書の取り扱いにつきましても、運輸省とよく御協議いたしまして、専門的、技術的な側面を詰めつつこの問題を考えていきたいと思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 いろいろかなりの権限を事故調査委員会は持って調査をするわけですね。ある部分については罰則規定までがついているわけです。そしてその結果というのは公表することになっていますね。そして現実に、航空機事故というのはかなり専門的な分野でありますから、被害者がたとえば民事訴訟を起こすにしても、やはりこの調査報告書というものは、みんな見ておると、ある意味ではたった一つの証拠になって出されているわけですよ。ところが第一附属書によると、全然損害賠償の要求等に使っちゃいけないというような規定もあるでしょう。だからこれなんかは全く、日本国民は米軍機とぶつかったら最後もう手の施しようがないということですよ。そこでもって調査されたことは、全然だれのためにも役に立たないわけでしょう。しかも予想されることは、米軍のほうでは秘密だとか機密だとかいって、お互いの調査といったってそう十分できないだろうということはいまから予測がつくわけです。だからそういう抵触する部分ですね。これはまあ出されてからあとで十分議論しますけれども。だから外務省、そう簡単な問題じゃないのですよ、これは。つまり、米軍機とぶつかったら最後、それで死んだ日本の国民は、この調査結果を何にも利用することができないということになる、民事事件についても。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 米軍の駐留に伴います損害賠償の問題につきましては、先ほどの地位協定十八条の規定がございますが、したがいまして、米軍が責任を負う事故につきましては、十八条の規定に基づいて損害賠償が行なわれるわけでございます。一方、国内的な責任の問題、これは国内的な措置に当然ゆだねられることになるわけでございますが、いずれにいたしましても、事故の発生防止、それから事故が起きた場合の共同調査という問題につきましては、基本的な考え方は第一附属書によってきめられているわけでございますが、ただいま御指摘がございましたような点につきましては、専門的な見地から運輸省とよく御相談して考えていきたいというのが私どもの御答弁でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 原則だけはっきりしておいてもらわぬと、これはできてしまって、事故が現実に起きた、さて日本のほうの代表は事故調査委員会のほうへ行きました、しかし肝心のこの法律に基づく手続は全然だめで、そこでアメリカ側との話し合いでもって、やれこれは機密です、やれこれはだめですということになったり、いろいろ時間がかかって、調査報告書をつくったけれども、それは米軍機に責任がないということになって、日本側に対する責任の追及という場合にもその報告書は利用できないというわけでしょう。だから、その辺のところの原則だけ、こまかい点についてはあとで提出いただいてから議論いたしますけれども、ともかく、この事故調査委員会設置法と合意事項の附属書のほうと抵触する部分についてはこの法律を適用させるという方向で皆さん方のほうはアメリカ側と話をして、ぜひそういう方向でやってもらうということをこの際やはりちょっと明らかにしておいてもらわぬと、その辺のところがあいまいのままいって、事故になってやってみたけれども全然だめだったということじゃ、これは困りますから、ひとつそれぐらいは、やり方についてはこの法律を優先して適用させる、無理ですか、それは。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 先ほど外務省のほうからも御答弁ございましたように、日本国の事故調査というものが、当然の権限としてアメリカ軍の調査権、調査にまで及ぶことはないということでございます。したがいまして、この法律ができたらこの法律を適用するということまでは、ちょっと私は困難ではないかと思います。  それからもう一つ、先生御指摘になりました、いわゆる損害賠償その他に援用してはいかぬというものがあるのではなかろうか、こういうふうなことでございましたが、アメリカのほうでは、これは単に軍のみならず、事故調査というものと刑事ないし民事裁判とは峻別するということを基本的なたてまえといたしております。したがいまして、そういった意味から、アメリカの民間航空におきましても、事故調査の場合の結論というものは民事、刑事の裁判に証拠として採用してはならない、こういう基本的な考え方をもって定めておるようでございます。そういった意味から、これは単に駐留軍と日本国との関係だけではなく、事故調査の基本的なものの考え方、それに対して両国の思想の相違がございますので、この辺の調整というものはよっぽどよく打ち合わせをいたしましてやってまいらなくちゃならないと私は思いますが、私どもの気持ちといたしましては、私どもの考え方がなるべく取り入れられるような方向で進めてまいりたいというふうに考えております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 アメリカの国民が報告書をどう利用するかという問題じゃないのです。日本の国民が、日本の飛行機と日本の飛行機同士の場合は、その調査の報告書は民事、刑事の事件にどうするか、とりわけ刑事事件の場合はいろんな考え方もあるだろうと思うのであります。それはそれなりに、前にたしか木原委員のほうから質問があったと思うのです、刑事訴訟法の関係ですね。その辺のところは留保して、少なくともとにかく民事事件についていえば、日本の飛行機と日本の飛行機が落ちた場合にはいろいろと役立つ。ところが、日本の飛行機と米軍の飛行機とぶつかった場合には――日本の国民のほうですよ、アメリカのほうなんというものは問題にしてないわけです。日本の国民のほうから言うと、たとえばその遺族とかいうような人たちは全然だめだということになる。やはりこれは相手がどこかでもって、同じ日本の国内での事故の発生ということを予想しているわけでありますから、日本の国内で発生して、日本の国民が同じような状況になって権利義務関係が全く違ってくるということになれば、それはいま言ったアメリカはアメリカ国民の原則を持っているでしょうけれども、われわれはわれわれの原則でこの法律を審議しているわけでありますから、だからその辺のところが問題じゃないかということを指摘をしているわけです。しかもそのことが、アメリカの民間機の場合、あるいはほかの外国の民間機の場合は、日本の国内で発生した事故については当然この法律でやることになるわけでしょう。ところが米軍機だということだけで、すべてその辺のところが適用されなくて、また別に考えますよと言ったって、その根拠になっているのは何かといえば、一般的にその軍隊の性質からくるんだ、こう言われたって、こっちにはちゃんと法律があるじゃないか。しかもそれは適用除外は、六章の七十六条の解釈はいろいろあると思うのであります。つまり米軍の単独の事故の場合は、対象外というように解釈しても、適用除外というように解釈してもいいのかもしれませんけれども、米軍機と日本の場合は、やはり適用除外していないんじゃないかというように私は思うのですよ。だからその辺のところは、原則としてはやはりこの法律を優先させるように、皆さんのほうでアメリカ側と少なくとも話し合いをして――その事故の結果をアメリカの国民が利用しないというようにしたって、それはかまわぬと思いますよ。ただ日本の国民のほうは、ちゃんとこの法律の原則に従ってやるようにしてもらわなくちゃ。やはり主権はわれわれにあるのですからね。その辺、大臣どうですか。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 法理論の詳しい問題はよくわかりませんが、どうも概括的に考えまして、これはやはり国内法と安保条約、つまり条約に基づいた地位協定に根拠を置いたアメリカの軍用機と日本との間の事件をどう処理するかということですから、国内法と条約との関係をどう調整するかという問題だろうと思うのです。そういった問題すべて、これは日本の国内法で処理することが原則だということで議論をお進めになるとおっしゃるようになると思いますけれども、それは私の知っている限りでは、やはり地位協定によってそういった問題は処理するということになっておりまして、それが適法だというふうに考えられます。そうしますと、この接点というものがあるわけですね。ですから、私の了解しているところでは、こういった問題はすべて日米合同委員会で処理方針がきまるということでございましょう。その場合に、国内法としてはこういうルールが確立したということでございましょうが、それについて古くできた日米間の航空機事故について、私はいま附属書を手元に持っておりませんが、そういったものをどういうふうに考え直していくかという問題があると思います。しかしこれは日米合同委員会の問題だろうと思います。これについてアメリカはアメリカの主張があるかもしれません。日本は日本の主張があると思いますが、それをどういうふうに調整していくかというのがこれからの問題じゃないかと、私はそういうふうに考えるものであります。  それから、各国ともこういった問題についての考え方が多少違うようですが、事故調査委員会、これはどこの国にもありますが、ともすると刑事事件あるいは民事事件の先決訴訟のような形になって、それの材料をここで究明するのだというふうに考えられがちでございますけれども、そういうものではない。私どものほうでいま提案しております委員会でも、訴訟の材料になるものをここで拾い集めるわけじゃなくて、これは提案理由にも書いてございますように、事故の原因は何か、今後同じような事故を起こさないためにどういうことを考えるべきかということが主でございまして、それがどういうふうに刑事事件あるいは民事事件に援用されていくかということは、これは全然別問題で、調査委員会もそういうことを考えながら作業をするわけではないということだけははっきりと言えるだろうと思うのです。  でございますから、日米間の問題につきましても、そういう賠償問題その他につきましては、もちろん、こういった事故調査の結果が判明してきますと、それが賠償問題等に響いてくることは、これは事実問題としてやむを得ませんけれども、損害賠償をどうするかということのために、事故調査委員会に両方で同数出して、そしてやろうということではないのではないか。これは当然のことでありまして、そういうふうな考え方で日米合同委員会でももう一ぺん考えてもらうということにしなければならないのじゃないかと私は思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 事故調査の目的は、もちろん一番初めに私どもで指摘をしたように、同じような事故の再発を防ぐということ、そのための原因の追及ということにあるわけですよ。ただ、遺族の立場からいえば、せっかくそういうことでいろいろと事実がわかって、航空会社と話がつかない場合に使うということだって、これは当然結果として出てくる問題だろうと思うのですけれども、ただ、同じ国民が相手が違うことによって取り扱いが違うということですね。これは制度的に違うということになれば、やはりかなり問題になってくるわけですよ。たとえばダンプにぶつかったか、ちょっと金のある人にはねられたかということで実際上あれが違ってくるというのと違って、制度的に、こういう場合はこう、こういう場合はこうということになれば、しかもそれがそういう権利義務関係にも関与してくるような影響を与えるような点で、制度的に法律制度として違ってくるということになれば、これは実は憲法上だって問題が出てくる、そういう疑いというのは出てくるわけです。現実の取り扱いじゃなくて、そういう制度的な取り扱いが違ってくるということになれば。だから、その辺のところを検討されるということでありますから、あとでその要旨を提出していただいてからもうちょっと議論を続けさせていただくことにして、米軍機との事故の関係の質問はあとですることにして、保留をして次に進みたいと思います。  やはり問題なのは、法律の規定がどうあろうと、これは第三附属書についても言えることでありますけれども、われわれ国民に、あるいは国会にさえその事実をほとんど明らかにしないで、そして米軍の場合にはかってに取り扱いをするということはやはり問題が非常に多いわけです。  ちょっとついでに聞いておきますけれども、第三附属書については改定の作業が進んでいるということなんですが、一体どこまで進んでいるのですか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 第三附属書改定の日米双方の作業班によって改定草案はできまして、その上の日米合同委員会にはかるという段階まで来ております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 大体いつごろそれはまとまるのですか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 いつごろ合同委員会が開かれてきまるかということはまだ聞いておりません。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 その話し合いというのは、大体どのくらいのペースで行なわれているのですか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 大体平均しまして三カ月に一度くらい会議が持たれております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 その辺のところを明確にして早くやらぬから、たとえばこれは参議院で議論があったようでありますけれども、沖縄の管制の訓練だって非常におくれてしまって、米軍はほとんど相手にしないで、あれは一体どうするつもりなのかわかりませんけれども、いまのままでは、沖縄の航空路管制、進入管制が返ってくるというのは、よほど先のことになっちゃうでしょう。ほんとうにあれはちゃんと航空路管制だってやれるものかどうか。だから、その辺のところの話というのは、大体こちらの土地を向こうに貸してやっているのですからね、それがどうも、どっちがどっちだかわからぬようなことになっている。あそこのセンターも、私ことしの四月に行ったときにいろいろ聞いてきましたけれども、ともかく十分な体制じゃないですね。この第三附属書にしても、問題は沖縄との間に結んだ第四附属書が問題なんでしょうけれども、もうちょっとちゃんと外務省のほうも力を入れて、少し進めて早くやってくれませんか。そして第一、第二も、いまの時代でもってすっかりおくれちゃっているような問題については、やはり早く直してしまうというようにされたほうがいいんじゃないかと思いますけれども、この点に関して外務省のほうはどういうお考えですか。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○大河原(良)政府委員 第三附属書の改定についての作業について、先ほど運輸省御当局から御答弁があったとおりでございまして、事務的な、技術的な側面についての検討が終わりました段階で合同委員会に上がってまいります。私どもといたしましては、なるべく早く技術的側面の検討が終わることを強く希望しているわけでございます。また第一附属書、第二附属書についての問題は、これは航空管制に関する側面と若干問題の性質が違うかと思いますが、いずれにしましても、二十七年にでき上がったものが、今日の状況において、古い、あるいは実情に即さないという側面がもしあるとすれば、これはこの際見直しの必要があるいはあるかもしれません。そこらの点につきましては運輸省御当局とよく相談してまいりたい、こういうふうに考えております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 そうしたらあとで要旨を出してもらってそのときに――できればきょうじゅうにその辺のところの議論を終えてしまいたいと思いますので、できるだけひとつ急いでお願いをしたいと思います。  次に、最近の航空行政と事故の関係について若干お尋ねをしていきたいと思います。  日本航空が二つ事故を起こして、私、どういう責任をとるのかなと思っておったわけです。たとえば去年の六月にも、私、日本航空の問題についてこの内閣委員会で、とりわけこのDC8の離発着の問題を取り上げて、日本航空の整備の体制そのほかについて、キャリーオーバー・スタンダードの問題とかいろいろ議論をしたわけですよ。皆さん方安心だと言われて、あの答弁を終わってから十日くらいで事故が起きたのですね。そのときたしか答弁されたのが住田さんで、運輸省の方がモスクワで乗っておられたわけでしょう。私の大学時代の友だちもモスクワ事故で、外務省に入っておった人ですけれども、同期が一人なくなって非常にショックを受けたわけですよ。やはり国会でちゃんと議論して、皆さん方に監督、指導をもうちょっとやってもらうのだったというように、選挙のさ中でございましたけれども考えた。  そこで、じゃ会社のほうでどういう責任をとったかというと、社長はかわらないですね。これは皆さん方としてはどういうわけなんですか。相変わらず責任を全然日本航空でとらないで同じ体制でいくということですか。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 相次ぐ事故がございましたので、私どもとしては人命を預かる非常に大事な交通の機関でございますから、何しろ安全第一であるということを徹底させる必要があると考えました。私、就任いたしましてからその点を第一の目標といたしまして、関係各社に対しまして非常に強い態度で具体的な指示をしてまいりました。各社ともそれにこたえまして、社内全体を通じまして安全体制を確保するために努力を続けております。  そういった事故に対する責任の問題でございますが、責任はもちろんございます。運輸省も責任があると思います。どうしてその責任を果たすかということは、いろいろな方法があると思います。社長がやめるだけが責任をとるゆえんではないと思います。それも一つの方法かもしれません。しかし私は、具体的に社内の安全体制を確立するのにどうしたらいいか。これはもう社長や担当重役が、今度は思い切りやりますと言っただけでは、そういうことはできるはずはないのです。御承知のとおりでございます。全社内、運航部門はもちろんのこと、整備の部門も営業の部門も、全部一体になって、自分たちは大事な人命を預かっているのだという、そういう責任意識がはだにしみるように、これがもう当然のこととして従業員の方々の末まで徹底するような、そういう安全体制をとってほしいんだということを言っておりましたが、それにはいろいろな方法があると思います。  私は、関係の方々、いろいろの方から白紙の態度で意見を聞いてまいりました。あらゆる方面から意見を聞いたつもりでございます。いまのお話のように、やめさしたらいいじゃないかという意見もございました。そういう社内の安全体制を確立するためには、やはりそれに対して社内全体が一丸となって取り組む必要があるというようなことで、それに応じたような社内体制をとらせることも大事だというような意見もございました。今度はそういう意味で、大所高所からそういったもののあやまちのない判断をしてもらいます意味で、前の会長がなくなりましたので、そのあとに、われわれが信頼のできると思われる、非常に大所高所から判断をしてくれると思われる方を会長にお願いをしたわけでございます。会長ともよく相談いたしまして、それで私の責任において、いま日航の当面しておる一番の問題は何かということは、社内全体を通じまして、いま申し上げたような意味における安全体制を確立することが一つでございます。もう一つは、相次ぐ事故に対しまして、若干ずつ解決はしておりますけれども、まだ全般的に遺族の補償問題が円満に解決していない部分がございます。これは一日でも早く円満に解決させるということが必要でございます。  この二つの大きな宿題があるわけでございまして、その宿題を果たさせるには、いまの体制をある程度維持さして、それで社内を固めて、いま申し上げたような二つの宿題に対しましてそういう方向で責任を果たさせるということが一番適当であると私は考えまして、私の責任において人事の認可をいたしたような次第でございます。  御承知のようにこれは非常に大事なことでございますが、そういうふうな指導を非常に強力にいたしてまいりましたためと私は申し上げませんけれども、そういうこともございまして、ことしになりましてから、各社とも、非常に安全の問題については緊張をいたしまして、責任感を持って対処いたしておると思います。そういう事故が全然ございません。これは当然のことでございますけれども、なお今後そういう体制を強化しながら強力に指導をしていきたいと私は考えておる次第でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 二つの事故を起こして、なおかつ責任体制というのはほとんど社内的に変わってないのです。航空業界というのはいまいろいろ批判を受けている面があるのは、大臣も十分御承知だろうと思うのです。日本航空にしても、いまのDC8がそろそろリタイアの時期になって、次はボーイングのSRにするか、あるいはDC10にするか、そんなことをめぐって、いろいろな商社等の名前も登場してきて、私いずれ議論をしたいと思いますけれども、そういう点で私はどうもすっきりしない面がある。しかも皆さん方は、このニューデリーの事故の報告書の発表を押えちゃって、この推定原因を見ると、要するに日本航空の機長については経験は十分ではない、副操縦士、航空機関士についても経験が十分ではないとか、いろいろな手順に従わなかったとか、それから、あまつさえ勧告のところで言っていることは、運輸省はあまり協力をしなかったとか、いろいろなことを言われているでしょう、航空会社もあまり協力をしなかったとか。しかも発表を押えちゃって、いま日本航空の中における社内体制ができてから公表するというような、そんなばかなことをどうしてやったんですか。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 こまかいことは政府委員からお答えをいたしますが、別にわれわれのほうから発表を押えた事実はございません。インド政府のほうで責任を持って――これは国際的な慣例でございますけれども、事故発生国が責任を持って航空機の事故調査の委員会をつくるわけです。われわれももちろん関係者として委員を派遣いたしました。しかし事故原因が、一応お手元にあるような調査書のようなものができまして、それをインド政府がどういう形でどういうふうに発表するかということは、これはインド政府の発議によって行なわれるものでございまして、私たちはインド政府に対して、いま発表しちゃいかぬとかいうようなこと、そういうことを申し入れたこともございません。  ただ、おっしゃったように、事故原因の調査の委員会といたしましては書き過ぎている点がございます。事故原因に直接つながらないような日本政府に対する批判のようなものがございましたので、その点はわれわれのほうで外務省を通じまして申し入れをいたしました。日本政府の立場を明らかにしたわけです。インド政府がそれをどう受け取りましたかは、これは別でございますが、われわれとしては、これは事故原因に関係ないじゃないかという意味のことをインド政府に申し入れたわけでございまして、最終的には、この調査委員会の報告書というものは発表されましたが、その際にインド政府からは、そういった点についてはインド政府として、これは行き過ぎであったというような意味の発表をしたと聞いております。詳細なことは政府委員からお答えさせますけれども、これは日本航空のそういった社内人事の問題なんかと特に意識的に関連さしたことは全然ございません。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 だってこれは、新聞記者の人に聞いた話だと、一度全部報告書を配って、そしてあわてて発表中止を皆さんのほうで指示をして、そしてインド政府に対して何かここをどうせいと抗議したのでしょう、いまのお話しだと。書き直せと指示したというのは、この報告書のどこなんですか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 ちょっとその間の事務的な御説明を申し上げます。  本来、事故調査は、その責任国は事故発生国でございますから、この場合は当然インドが責任をもって事故調査するということでございます。しかし、日本も飛行機の登録国でございますから、その意味において、ICAOの規定からいって当然その調査には立ち会うということになっております。そういう意味で、私どものほうからも事故調査官を派遣いたしまして、一緒に事故調査に参加させている、こういう経過がございます。  それからその次に発表の問題でございますけれども、これはインド政府の責任において公表するということでございますが、事故調査の結果につきましては、当然登録国としての日本国政府は、ICAO条約に基づきまして、インド政府で行なった事故調査の結果につきまして意見を申し述べることができるということになっております。そこで、インド政府のほうから、事故調査の結果はこうですというふうな報告書案のごときものを送ってまいったわけでございます。これは英語で相当大部のものでございましたので、実は訳すのにひまが数日かかりました。訳してそれを見てみましたらば、どうもこういうところはわれわれの判断とは違うという点がございましたので、その点についての意見を申し入れたということでございます。  ただ、それだけではまだおわかりにならないと思います。その公表の時期でございますけれども、これにつきましては、インド政府と日本政府と同時に公表するということをあらかじめ約束をしていたわけでございます。それからもう一つ率直に申し上げますと、記者クラブのほうに対しましては、ああいう膨大なものであるからいきなりもらってレクチュアされても困る、事前に配ってよく研究をしてその後で発表してもらいたい、こういう意向がございましたので、そこで、その記者クラブに渡すというときに、実はインド政府が大体三十日を目ざして同時公表しましょうというのが初めのお話であったわけでございますけれども、こちらから意見を出しましたものでございますから、それに対する返答が参りません。そこで、来るものやら来ないものやらわからない、来れば三十日に発表できるから、その前に事前に渡すと、実情を申し上げますと、ぎりぎりまで追い詰められたわけでございます。  そこで、どうしてもまだ返事は来ないけれども、返事が来ないとすればやはり予定どおり三十日の発表ではあるまいかということで、記者クラブのほうには、あらかじめの約束に基づいて、その事故調査のインドから送ってまいりましたものをそのまま渡したということでございましたが、その後直ちにインド政府のほうから、これについては延期するということを言ってまいったわけでございます。したがいまして、これにつきましては、インド政府の公表は延期したから、一回お渡しはしたけれども、これについてはまた発表は延期せざるを得ないということについての了承を得ました。その後インド政府がわれわれの意見をいろいろと考慮したことだろうと思います。その結果、先般インド政府としてわれわれの意見をもいれた公表をされた。それと同時にこちらも、非常にこれは急な公表であったのでございますが、同時に公表した。こういう経緯をもってああいう形になったものでありまして、この点については外交的、事務的な問題でございまして、人事の問題とは関連がないということははっきり申し上げられると思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 この報告書のどこに問題があったのですか、皆さんのほうで不満に思ったのは。こまかい点別にして、推定原因と勧告のところで何か問題点があったのでしょう。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 まず一般的に、インド政府、インドの事故調査委員会は、確かな証拠がないのにこうだというふうに断定しておるわけです。私どもの考えとしては、断定するに足る証拠がない以上、と思われるとか、推定するとか、そういう表現にすべきである。にもかかわらず、インドの事故調査委員会はすべて断定しておる、これはおかしい。それから、インドが断定した証拠としての試験のやり方その他についても、まことにお粗末である、これは断定するに足る証拠にはなり得ないということもあったわけです。  それから、日本側があまり協力しなかったというようなこともありましたけれども、私どもは、過去のBOACとかカナディアン・パシフィック・エア・ラインズの日本における事故のときに、イギリスとかあるいはカナダが日本政府に対して協力したときの状況に比べて、ニューデリーにおいて日本政府が協力した度合いは非常に大きい、そういうふうな過去の経験に照らしてみても非難されるようなことは当たらないというようなことで、これはおかしいということで意見を申し上げたわけです。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 これはこれでやめますけれども、ただ、ともかくよその国から、協力の体制が十分でなかったということ、こっちは一生懸命やっても向こうは少なくともそう受けとめていないということは、やはり皆さん方のほうとしても、これからもあることでしょうから、十分ひとつ考えて、とりわけインドあたりに行って、まあ大国意識ちらつかせておやりになったわけじゃないと思いますけれども、しかし、何かそういうことがあるから、この勧告の中でわざわざ、これは言い方はちょっと考えておられるようですけれども、言いたいことは何かといえば、どうもあまり調査に協力してくれなかったということが言いたいような第十章の勧告の部分になっていますね。したがって、その辺のところはひとつぜひ皆さん方としても、当時、事故続きでたいへんな状況だったと思うのでありますけれども、考えていっていただきたいというように思います。  そこで、日本航空の問題について、少し事故が続いたものですから御質問をしたいと思うのですが、私、実はびっくりしたのは、この間、交通安全の委員会に出ておりまして、日本航空の朝田さんやら何か皆さん方が参考人として出て議論をしたときがございます。四十八年の四月十八日ですね。この参考人としての陳述の中で、実は「運航の課題」という日本航空の基本的な方針というのが昭和四十三年の四月一日にきめられているわけですが、この「運航の課題」の方向に沿ってこれからもやっていくという発言があり、運輸省の技術部長のほうからは、とりわけシミュレーターの関係について、それはよろしいんだというようなお話があるわけですね。  この「運航の課題」の中の基本的な姿勢は何かというと、ちょっと中のを若干引用をして皆さんに読み上げてみたいと思うのですけれども、要するにこれは徹底した合理化方式なんです。たとえば運航部の基本方針、ここで言っているのはこういうことです、「今後急速に拡大し、全世界に拡がる我社の路線網に於ける多様多岐に亘るオペレーションを如何に安全に維持するか、特に安全とコストのバランスを如何にとるかは従来にも増して重要なポイントとなる」ということですね。そうして運航部の基本方針のBとして「常にコストとのバランスに於て安全に直結する運航及び運航技術の質的向上を計る」ということでいろんな具体的な方針が出ているんですよ。その具体的な方針についてはこれからお尋ねしていきますけれども、そういう方針が出て、確かにこれは半面真理なのですけれども、こういうことまで言い切っているわけですね。これは安全性の追求というところで、「一口に安全性の向上と言っても、航空機が重力に逆って空中を高速で飛ぶ以上一○○%の安全は得られるべくもなく、結局安全対策に必要とされる費用と、それによって得られる安全性とのバランスポイントをどこに求めるかということになる」ということで、日本航空はこの四十三年の基本方針をもとにしていろんな合理化計画をやってきている。その日本航空の要請に従って、皆さん方のほうは航空法を改正をし、この日本航空の合理化政策にいろんな面で協力をしてきたわけです。  たとえば、操縦士になるための必要な時間の切り下げとか、あるいはいろんな運航規程そのほかの改正を皆さん方のほうで認可するというような許認可の手段を通して、この日本航空の「運航の課題」に示されている合理化方針に協力をしてきているわけです。そうしてこれだけ事故が起きても、四月十八日の席上で、あのとき航空局長おられたかどうかわかりませんけれども、朝田社長はこういうことを言っています。この「運航の課題」というのは、「その中でいっておることは、われわれは将来とも考えていかなければならない」、こういうことを断言をされているわけです、ことしの四月に。  そうすると私は、大臣にお尋ねしたいのは、コストとのバランスの中に安全があるのだ、これは重力にさからって飛んでいく飛行機だから一〇〇%安全なんということはあり得ないと、結局どういう点にどれだけの費用をかけるかという金の問題にしちゃっているわけですよ。安全第一であるべきだと私は思うのですけれども、運輸省の指導と現実の日本航空の方針が全く違う。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 その四十三年の「運航の課題」ですか、それは私は知りません。先ほど詳しく申し上げませんで、政府委員からと申し上げましたが、実は日本航空が相次ぐ事故を起こしまして、これはもうわれわれとしましては、このままでは放置できない。実際上、生命の安全を守ってもらわなければならないし、また国民が非常に不安を感じながら航空機を利用しているという状態は、運輸省としては、これはもうこのままでは放置できないということから、立ち入り検査もいたしました。各部局がどういう連絡をしてどういう方針でやっているかということを詳細に検査をいたしまして、その結果、私からは、これは日本航空が中心でございますが、最近は事故を起こさなかったですけれども、全日空及び東亜国内航空に対しましても、社長を呼びまして、同じように、安全確保ということはもう当然のことであるけれども、ああいう事故以来具体的に一体どんなことをやったのか、それからこれから何をやろうとしているんだということにつきまして、具体的にあなた方の考えをまとめて報告をしなさいということを申したわけです。各社から私に、私のほうはこういたします、この問題についてはこういたしますということを非常に具体的に――それでこれは抽象的では何にもなりません。具体的に、いまの乗員の問題から、待遇の問題から、社内の体制整備の問題から、すべての各部にわたって検討した結果を提出しております。非常に大部なものでございます。それをさらに関係の部局で検討させまして、私から公に指示をいたしました。今後はこういう方針に従って安全体制を確立しなさいということを具体的に指示をいたしたのでございます。いまはその指示に従って各社とも運航体制を整備しているものと私は確信をしておるのでございますが、それと違ったことがありますと、これはどういう場合にどんなことを言ったか知りませんが、これはほうっておけないと思っております、そういうことがございましたら。私と約束をし、私から指示したとおりに、各航空会社が安全のためのあらゆる手段を講じておるものと、私はそういうふうに信じておるのでございまして、よく調査いたします。そういう点に、私に提出してきた書類、私と約束したこと、これに違ったことがありますと、直ちにそれは注意をいたしまして改めさせるようにいたします。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 皆さんのほうの指示も、これはほんとうにいまの問題点をつかまえてないのですよ。これはあとで指摘しますけれどもね。問題は、日本航空の体制全体が、運航の体制から、整備の体制から、いま私が指摘をしたような、コストとのバランスの中に安全を求めようという考え方が基本になっているのですよ。  たとえば具体的にちょっとひとつ指摘をしてみましょうか。たとえばこの中にこういうのがあります。飛行機に搭載する燃料ですね。この燃料について昭和四十三年の燃料費が大体百億円だ、この消費量を○・五%節約すれば年間五千万円の経費を節約できる。     〔三原委員長退席、藤尾委員長代理着席〕 したがって、その最低基準、最低のミニマム・フュエル・ポリシーの徹底をはかる、そして最良のフライトプランと適切な巡航方式の選定によって、燃料の消費量の削減につとめなければならない、不必要な燃料の搭載は行なわないようにしなければならないというように「運航の課題」で書いてあるのです。燃料の搭載は航空法できめられているわけですよ。そこで大臣、ちょっと聞いてくださいよ。航空法でちゃんときめられているのです。ところが航空会社のほうは、そういうことで最低に燃料を積もう。燃料をたくさん積むと重くなりますから、それだけまた燃料を食うわけですね。したがって、その最低限ぎりぎりに押えようとしているわけですよ。最低限ぎりぎりに押えて燃料の消費量の削減につとめるとともに、不必要な燃料の搭載を行なわない。不必要な搭載を行なわないったって、これは航空法でちゃんときまっているわけですね、積むべき燃料というものは。  現実に日本航空は、前に指摘したけれども、まだ最近もあるわけです。機長に対して指示をして、できるだけ削減せい削減せいというわけですよ。機長はやはり責任を持って飛ぶわけですから、これはやはり十分な燃料を持って飛びたいわけですね。ところが、機長の中にはがんばる人もいるけれども、やはり言うことを聞いてぎりぎりに積む。ぎりぎりというと、たとえば東京―千歳ですと、東京、千歳と代替空港また東京でしょうか、それに四十五分間滞空する時間、普通これにプラスの一〇%を持っていくわけです。ところがその一〇%のところに、この削減がかかってきているわけです。だから大臣、私なんかは、千歳から飛行機に乗ってきて、東京で待たされますね。最近は待たされることはあまりなくなったけれども、二十分、三十分旋回しているうちはまだ安心ですけれども、四十五分を過ぎると、これは燃料が切れたら行きどころがないのですからね。千歳から東京に飛んでくる場合は名古屋でしょう。四十五分の滞空時間は燃料を積んでいるけれども、あとそれが切れちゃったら、名古屋まで行くだけの十分燃料を積んでいるかどうか。機長ががんばっている機長なら安心して乗っておられるけれども、それでなかったら、四十五分過ぎたら、羽田におりられなかったらもうあとアウトと、こういうことになるわけですよ。それがいまのコストとの中に安全を求めようという考え方の具体的例となってあらわれているわけです。  あなた、いまその方針が具体的にどうだこうだ言って、それについてはこれから議論をやっていきます。ただ、ものの考え方として、コストのバランスの中に安全を求めようという考え方がいいのか悪いのか、そういう方向で皆さん方指導されているのか。少なくともこの四月の十八日の交通安全特別委員会の議論の中では、朝田さんは、この「運航の課題」がこれからも将来もわが社がとっていく方向ですと明確に言い、それから金井技術部長は、それを運輸省は認めてきているのですと、こういうぐあいに答弁をされているわけです。だから、個々のことを聞いているのではなくて、基本方針を聞いているのです。  会社の中にはこういうことを言う人がいるのです。ちょっと聞いてもらいたい。「安全と謂う言葉を悪用する運動に対しては、断固とした態度でのぞむものであります」、これはどういうことかといいますと、日本航空や全日空や東亜国内の組合員の人たちが、ともかく安全でなかったら自分たちの命にかかわる問題ですから、労働組合としては珍しくと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども、会社のほうに非常に熱心に安全問題の提起をしているのです。こういう点改善したらいいじゃないか、こういう点改善したらいいじゃないか。それに対して、「安全と謂う言葉を悪用する運動に対しては、断固とした態度でのぞむものであります。安全と謂う真の意義を採らず、之を悪用し、企業を阻害し、終局的に見て真の安全を害する運動は、乗員として最も卑しむ可きで、乗員の資格すら無きものと認めます」というようなことが、堂々と社内報の中を通して、みんなパイロットや何かに連絡をされる。私が言っているのは、その基本的な「運航の課題」に示されているコストとのバランスの中に安全があるというものの考え方で日本航空が整備や運航の体制をとっているということについて、あなた方はどう思って、どういうぐあいに指導しているか、それでいいのかどうかという点をひとつ明確にしてもらいたい。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 日本航空が、私はいまあなたが引用された四十三年の何とかというのは知りませんから、私が指示をいたしました安全体制、それをもとにして考えておるわけでございます。その中ではこういうことも書いておいたつもりでございますが、いままで、日本航空が国際航空の唯一の会社として、各国に対する輸送の需要が非常にふえてまいりましたので、どんどん航路の拡張をしてまいりましたが、そういったことがやはり、間接的かもしれませんが、事故につながったんではないだろうかということが考えられます。つい乗員の整備、乗員の数もそうでございますし、訓練内容もそうでございまして、あらゆる面で無理をしているのじゃないかというようなことが考えられます。営業本位じゃいけないのだ、営業というものと安全というものと比べてみると、これはもう言うまでもなく安全が第一であるということで、これについては、営業上は、ほかの国から、自分のほうもこういう航空路を開きたいが、日本も開いてくれないかと申しましても、最近では、まだその体制が整わないからといって、そういう新しい航空路の開設につきましてはきわめて消極的な態度をとらしております。  というように、私どもは、いまおっしゃったような、安全というものとコストというものとバランスしてみて、どっちが重いなんということを考える必要もない、こんなものは言うまでもないと思います。ただ具体的に、それなら燃料は多く積めば積むほどいいのかということになりますと、これはやはり、その航路によりまして大体の標準というものがあるだろうと思います。安全を阻害しない範囲内で、そういう滞空時間を考えながら燃料を搭載しておるというのが、これは当然でございましょう。たくさんあればあるほどいいんだというようには考えません。安全はしかし第一でございます。  そういうふうな方針で、運輸省としましては、細部にわたりましても指導を強化しているところでございまして、いまおっしゃったようなことは私よくわかりませんが、もし必要であれば政府委員から答弁させますけれども、方針とおっしゃるから、方針としてはこれは問題のないことです。安全第一でございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 問題にならぬと言ったって、四月の十八日に、「運航の課題」こそわが社の将来の方向を明確にしているものだ、こう言っているわけですから、これは皆さんのほうで、問題にならぬ、問題にならぬと言ったって、現実にそうなんですから。  それから燃料の問題だって、燃料の搭載というのは航空法でちゃんときまっているのですよ。だから、節約するも何もないのですよ、ちゃんときまっているんですから。それを年間何%やれば全部あれだとか何とか言っている。搭載量はきまっているわけじゃないけれども、原則はきまっているわけでしょう。もちろん、目的地、それから代替空港まで、それに四十五分なら四十五分というようなものが全部きまっているわけですね。やはりそういうことに従ってこれは指導してもらわぬと、短距離だからいいだろうと言ったって、たとえば千歳空港だって、いまくらいですと霧がおりて、夜の便なんというのはなかなか到着しないで戻ってくることが多いわけですね。われわれ上空で三十分くらい待って、そしてだめで戻ってくるなんというときに、燃料は○・五%節約すれば五千万だなんということで、そこを節約されていて、東京までたどり着かないで途中で落ちてしまうということになればこれはたいへんですから、ぜひその辺のところはちゃんとする。笑い話じゃないんで、私は飛行機に乗りながら、いつも待ち時間を見ながら、四十五分過ぎると――これは心配したってしようがないことですけれども、だからおりるとほっとするわけでありますが、そんな状況なんですね。  大臣、これはそういう形で、こまかいところだけでも、いまの企業というのはぎりぎりまで詰めていっているわけです。ぎりぎりまで詰めていって、何とかバランスをとって安全を守ろうというような考え方が実は事故につながっていっているわけです。基本的な問題はそこなんですよ。  私これからちょっとお尋ねしたいのですが、運輸大臣が二月の一日に朝田社長に対して「安全運航確保のための業務改善について」という指摘をしているでしょう。この中で指摘をしているのは何かといったら、これを読んで、皆さん方、日本航空のいまの体制ですね、運航なり整備なりの問題点についてどれだけ理解しているのか、私は全く疑わしく思ったのです。もっぱら精神的な要素だけにしているでしょう。いいですか。「これは、主として運航乗務員の安全運航に対する責任意識の不足と運航乗務員に対する管理体制の不備によるもの」と、乗務員に対する管理の問題にしている。あるいは本人の責任意識の問題にしている。そして指摘をしているでしょう。だから、それに対する日本航空の会社は、一体何でしょうか、「基礎訓練課程における人間性教育・人格教育の充実」「人間性教育内容の改善研究」ということで、もっぱら教育に力を入れているわけですよ。そしてここでもって得々として、「人間性教育内容の改善・研究」として、たとえば「教養講座」。「社外及び社内の講師により例えば「機長の法的地位」「禅」等の題目で、四十七年十一月以降十八回実施済であり、今後とも継続して行う」ということで、何をやっているかといえば、禅の講座を開いて、それで安全対策、責任意識の希薄に対して対処しますといって、日本航空からの回答書は得々と述べているでしょう。そして現実に禅の生き方なんて、大森曹玄という、どんな人か知りませんけれども、何か臨済宗の人らしいんですが、禅の講座を十八回開いたからといって事故がなくなるはずないですよ。あなた方の指摘のしかたというのは、みんな精神のところに持っていっちゃう。  私、先ほども皆さんのほうに指摘をしましたけれども、人間の過失というのは、これはあることですよ。しかし、その過失を誘発をした原因というのは、航空会社の、とりわけ日本航空の管理の体制なり整備の体制なり、飛行機の稼働率の問題なり、さっき言ったような、コストダウンを求めるあまり安全をないがしろにする体制の中から、結果として人間にいろいろはね返ってくるわけです。そこを見なくちゃならぬのに、人間のところだけつかまえて、精神教育をやれば事故がなくなる、だから禅の教育です、禅を十八回やっていますからこれで安全でございますと、こんなことであなた方一体何をやっているのかということを、私どもほんとうに言いたいわけです。基本的にもうちょっと……。  運輸省は立ち入り調査やりましたなんというけれども、二週間も前に教えてやって、だから一生懸命整備の日誌や何か全部書きかえして、それで皆さん方の検査を受けているのが実態でしょう、日本航空なんか。だから、そんなことでちゃんとした体制なんかとれっこないですよ。また事故が起きるといわれておりますよ。私らも月に二、三回は飛行機で往復しているんで、しかも、そうこうしているうちにほんとうに、去年モスクワで私の大学時代の同級生が一人それでダウンでしょう。いつも日本の悪いくせは、こういう事故対策を精神教育でもって終わりにしてしまうということで、ほんとうに会社が何を考え、どういう方向に行っているかというところを押えて行政指導するという点が欠けているんですね。だからそこのところを、どうですかな、運輸大臣、こんな小手先でなくてちゃんとやってください。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 決して小手先の仕事ではないと思います。これは特に去年の事故の原因を見まして、この点についてはわれわれ考えなければならぬということで、やはり運航する乗務員から、それからそれを外国で受け取って、そして休養も十分とらせ、翌日の運航に差しつかえないような状態に置くというような各支店等の配慮、そういったものはもちろんのこと、いまおっしゃったような燃料関係を含めまして整備関係でも、あらゆる方面から検討してもらわなければならぬという考え方でやっております。  あなたは初めのほうだけお読みになりましたから、精神部面だけじゃないかとおっしゃいましたが、全体をお読みになりますと、事業計画については、各部門の機材の計画とか、運航の計画とか、整備の計画とか、要員の計画とか、すべてにわたって社内体制が、お互いに斉合性をもって安全を第一にして考えなければならぬということもちゃんと書いてございます。何も私は修身の講話をしたようなつもりで指令を出しているわけじゃございません。実態に応じまして――しかし、いままでああいう事件を見まして、あのボイスレコーダーなんかごらんになりましても何となく感じるところですが、何かどこかにそういったことについて、やはり全社員が生命を預かっているんだという責任意識を持ってもらわないといけないんだということを強調する必要があると思いましたので、前段にそういったことを強調したわけでございます。  先ほどいろいろ申し上げて長くなったから、それは申し上げなかったんですけれども、今度の社内の体制を立てますについては、先ほど申し上げたような方針で社内体制を整備しなさいということを言ってあるわけですが、特に朝田社長の選任について、私が認可をしたわけですが、認可をしますについて、社長を呼び出しまして、これはいままで例のないことだそうでございますが、私は特に朝田社長に対して大臣の指示書というものを渡しました。それには、いまの日航の一番の当面の使命は、先ほども申し上げましたが、安全運航体制の整備ということと、それから遺家族に対する補償の問題を早期、円満に解決することである。これに対して社内が一丸となって、そういう問題に取り組んで国民の期待にこたえるようにしなさいということを、特に主管大臣として指示をいたしたような関係もございます。いろいろ御批評もあるかもしれませんが、いま社内全体がそういう安全体制に真剣に取り組んでおるものと考えております。  なお、航空局等にも命じまして、いままで一日に何件か異常運航というようなものがございまして、これは各社を通じてでございます。どこまで飛びましたけれども、燃料が少し漏れてきたんで引き返しました、というような異常運航が何件かございました。それで、各社に対しまして、非常に厳重に注意いたしました。整備が悪いのじゃないか、こういったものを簡単に見過ごしていくと必ず今度は大きな事故につながる場合が出てくるであろうから、なぜそういったものについて事前の点検をし整備をしないのかということを各社に非常に厳重に申し渡しました。各社ともそれを受けまして、そういった面について特に配慮をして、いまおっしゃったようなことも含んでおると思いますが、整備を厳重にいたしておりまして、最近におきましては、ほとんど異常運航というようなケースが、何日間に一ぺんくらいしかないというような状況になってまいりました。ことしの春ごろは、一日五、六件もあった日もございます。二、三件という日は普通でございましたが、非常に異常運航というのが減ってまいりました。これも、大きな航空事故につながるような原因をある意味においては防除し得たのではないかと考えておりまして、この上とも協力をして、安全運航第一という主義を貫いていくように努力をしたいと思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 いまちょっと数字が出てきたからお話ししますが、航空会社というのは、事故があったら報告しなければならぬことになっているでしょう。問題は、最近だんだん報告しなくなっているのです。  たとえば日本航空のケースですね。四十七年の一月からことしまでとってみますと、一年間で八十九件ですか。これは、途中でエンジンをカットしたり、あるいは引き返したり離陸を中止したというのは、全部で八十九件ですね。そのうち海外線が五十七件。六五%が海外線です。これはどういう体制に問題があるかというと、去年議論したのですが、キャリーオーバー・スタンダードといって、少々故障があっても飛ばしていいという方法をいま航空会社はとっておる。これは御存じですか、大臣。キャリーオーバー・スタンダード、知りませんか。航空会社の整備士が足りないから、少々故障があってもだいじょうぶですよという基準をつくって、その基準に従って、海外線は特にそうなんです。これは六五%は海外線ですね。海外線は日本航空のDC8は使わぬほうがいい。とりわけ多いのは、Nナンバーのリース機、これを見ると非常に多い。これは資料要求して皆さん方からいただいた報告書ですよ。  それと、実は日本航空が出している「フライトエンジニアリングニュース」という、これで事故が全部報告されているわけです。離陸中止、リターンしたやつ、ニアミス、それからエンジンのショットダウン。たとえば去年の八月のやつを見ると、皆さん方のほうに報告が上がってないでこの中に載っているのが全部で四件ですね。九月は七件、十月は九件。こういう日本航空の運航技術部で出しているものですけれども、それを見るとちゃんとニアミスとして報告されていて、皆さん方のほうから取り寄せたニアミスのやつには落ちている。これは航空会社のほうで落としてしまっているわけです。それを皆さん方、ろくに調べもしないで、最近上がってくる数字が少ないから、これで十分体制がいっているのです――そんなのじゃない。やり方は前と何も変わりない。  キャリーオーバー・スタンダードというのはメーンベースではだめなんでしょう。どうして東京でまだやらしているのですか。運輸省でどうして、東京離発着の飛行機にキャリーオーバー・スタンダードを適用させて、故障個所を直さないで飛行機をどんどん飛ばすのを認めているのですか。

金井洋運輸省航空局技術部長

○金井政府委員 キャリーオーバー・スタンダードというのは、一つのものが故障であっても飛んでもいいという基準で、もちろん故障であっても飛んでもよろしい範囲内で飛んでいるわけです。それを越えて飛んでいるわけではありません。ただ、メーンベースではすべての故障を直して飛ぶというのが望ましいわけで、そのように指導しております。メーンベースにおけるキャリーオーバーの修理状況は、昨年に比べましてことしはずいぶん低下しておりまして、いままで三%ぐらいであったものがことしは一・五%というふうに下がっております。ただ、これは一度に全部ゼロにすれば望ましいわけですけれども、安全性に支障のない範囲内で定時性を確保するということもエアラインの企業の一つの使命でもありますので、安全性に支障のない範囲内での定時性を守ってキャリーオーバーするというのが一・五%ぐらいで、これは御指摘のようにだんだんゼロにするように指導はしております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 去年の六月二日にこの委員会で議論したときに、キャリーオーバー・スタンダードというのはとりわけ海外機種で適用させている。だから海外の事故が多いんでしょうけれども、メーンではやっていませんということで、皆さん方のほうでは、できれば立ち入り調査して調べますなんという、丹羽運輸大臣でしたかのお話があったわけですが、三%から一・五%に減ったといっても現実にやっているわけでしょう。だから、そこが大臣、キャリーオーバー・スタンダードというシステムを入れたのは何かというと合理化ですよ。つまり経費ダウン。少々の故障を一々直しておったのでは、整備士も足りないし飛行機が定時に出発できないから、ともかく直さぬで飛んでもよろしいんだ、こういうわけでしょう。  そして、少々の、こういいますけれども、われわれいろいろパイロットなんかに聞いてみると、いつもけんかになるというのです。パイロットはともかく少しの故障でも直してもらいたいでしょう。だから飛ぶのはいやだ、直せというわけでしょう。整備士のほうは、これは大臣よく聞いておいてもらいたいのですが、整備がおくれるとディレーレポートを出させる。これだって議論したけれども、皆さん方は一応は何か指導していただいたようですけれども、やはりディレーレポートというのを出さざるを得ない。おくれたら、おくれましたという理由書を出さなければならぬ。整備士のほうはそれを書くのはいやだから、ともかくいいから飛べ飛べ、こうやる。パイロットはいやだというわけです。そこでパイロットと整備士がいつもけんかするのです。航空安全推進会議というところで調査したところによると、けんかをした経験のある者が全整備士の八三%。そのけんかのうちどっちの主張が正しいかという点については、ほぼ九割の人間が機長の言い分が正しい、整備士がそう言っているわけです。問題はそういう体制なんです、精神教育じゃなくて。キャリーオーバー・スタンダードを導入して、故障があっても飛んでよろしい。一々整備士にはディレーレポートを出させてやるわけです。その辺のところをいけないといいながら減りましたというのもおかしいわけで、やはりなくすようにする。そのために日本航空で整備士が足りないならば、もうちょっとふやせという指導をするとか、便数を減らすなら減らすという指導をするとか、そうやるのが監督官庁である皆さん方の仕事でしょう。大臣どうですか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 先生の非常に傾聴に値する御指摘を承りまして、私どもも、安全につきましては十分ではいかぬ、十二分にしろということはかねがね申しておるわけでございます。先ほどの監督等につきましても、先生若干誤解されておったようでございますが、私どもが、責任の意識の徹底とか、あるいは運航安全の実態を把握しろとか、それから上下左右の意思疎通を確立しろとか、こういうことを申し上げましたのは、ある意味では、先生のいまおっしゃったような、現場においてはパイロットと整備士の対立がある、そういうことを的確に管理者が把握して、それによって、一体どっちが正しいか、どちらのほうが安全なのかということを的確に把握し、そして全体が一丸となって上から下までが安全一本に徹底しろ、こういう意味での指導をしておるわけであります。  それからキャリーオーバーの点にいたしましても、キャリーオーバーというのは先生のほうがよく御承知でありましょうけれども、これは世界の航空会社共通の問題でございまして、むしろ、われわれといたしましては、なるべくそれをきびしく考えていくというふうな方向でございます。常識的に考えまして、メーンベースではあらゆるものを修理しておく。これは海外ではそれだけの修理のべースがないからいたし方がないが、メーンベースでは一切の修理をして、それで飛び立てというのが確かに一つの御議論であるかと思います。ただ、キャリーオーバーにはいろいろとございまして、私も技術的に詳しくわかりませんが、非常に端的な例を申し上げますと、たとえばカーペットがめくれておるのを直しておくとか、これは非常に端的な例でございますけれども、いわゆる安全性に全く関係のないものもあり得るわけでございます。いま技術部長が何かそういったことで申し上げましたけれども、そういう数字でございましょうと思いますけれども、ただ私どもといたしましては、いずれにいたしましても、安全というものを十二分に考えるという基本精神は全くそのとおりでございまして、それをいかにして具体化していくかということが基本的な問題でございますから、その点につきましては、先生の御趣旨を体しまして十分指導いたしたい、こう思っております。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 その報告がちゃんとあがってない点も掌握してくださいよ。報告件数が減ったからといって減ることにならぬのですよ。たとえばニアミスだってそうでしょう。ニアミスはいまでも報告事項ですね。いまはもうやめたんですか。――あれはあのときだけ。ああそうですか。あの異常接近の報告要領についてなんというのを見ると、あまり一々やるなというような、そんな通達を出しているでしょう。首席安全監察官の四十六年十一月十五日ですね。だからニアミスの関係だって、航空会社のほうへ上がっているものと、皆さん方の安全監察官のほうで調べているもの、四十八年四月十二日作成の資料ですけれども、違ってきているわけです。だからそれをまずちゃんと調べるかどうかですね。会社との違いがあるわけですから。ニアミスについても報告に違いがありますし、事故についての違いもありますし、それを皆さん方のほうでちゃんと調べてみてください。それはよろしいですか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 まず第一にニアミスでございますけれども、これは法律には規定はございませんが、先般の事故以来、これは行政指導によって義務づけております。したがいまして、ニアミスがあった場合には、少なくともニアミスと思った場合には、必ずレポートをよこせ、こう言っております。したがいまして、報告は上がっておるはずでございます。ただそれをあとで分析してみますと、これはほんとうに危険性のあるニアミスであったか、あるいはよく調べてみたらそう危険性のないいわゆるコンフリクション程度であったかというようなことを考えまして、それによっていわゆるニアミスというふうなものを最終的に確定いたしておりまして、その意味の報告等の数は違うかもしれません。あるいはもう一つは、アンケートを安推協のほうでとられたことがありますが、そのアンケートにつきましての数と、われわれの持っておる数と違っております。これは一人一人のニアミスを考えますと、このパイロットもあのパイロットも、両方同時に乗っております場合には、ニアミスとして私は経験しました、私は経験しましたということで、そういう場合には重なってくるという場合もあるかもしれませんので、これは詳細に詰めてはいませんけれども、あるいはそういった差異もあるのではないかと思います。  それから事故の問題でございますけれども、事故につきましては、法律上報告せねばならないものというのは限定されておりまして、それは確実に上がってまいりますけれども、それ以外のいわゆる異常運航というふうなものも、これは行政指導によってとっておるものもありまして、それ以外に私どもが行政指導としてそこまでいってないもの、いわゆるいろいろなスコークというふうなものは、なお会社において、こちらのほうで把握しておるものがあるかもしれません。あるいは総計としては把握しておっても、個々のケースについては必ずしも十分でないかもしれません。そういう点につきましてはなお十分検討さしていただきたい、こう思います。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 実は航空路の再編や何かの管制方式について、若干提案を含めて議論したいと思っておったのですが、その時間がないので、この「運航の課題」についてもうちょっと議論していきたいと思うのです。  一つは、この「運航の課題」の中で、要するにコストダウンするために、たとえばいろいろな資格、機長のための資格とか路線の資格ですね、そのために飛行機を使ってやるわけでしょう。その燃料代がたいへんだ、こう指摘をしているわけですね。これを何とか節約をしなければならぬ。これは膨大な時間になって、そこで膨大な燃料費を食っているということが「運航の課題」の中に出ているわけです。行政当局に対しては、航空法を変えてもらって、できるだけ実機の時間を少なくして、シミュレーターに変えてもらおう。最近は特に、ビジュアルのフィルムのやつを入れて、それに変えてもらおうということで、どんどん実機訓練時間というのが減ってきているんですね。  たとえば日航の中ではこんなことも言っているんですよ。実機訓練を主として、シミュレーターを補助として使ってきたけれども、今後は、順次シミュレーターを主として、シミュレーターでできないもののみを実機訓練でいく、終局的には全コースをシミュレーターで行ない、ルートチェックで初めて実機飛行をするようにしたい考えであるというようなことの発言まであるわけですね。そして実際に、これは話がありますけれども、去年ですか、副操縦士になったある人が訓練を終えて免許を得るときに、航空局の試験官が、君たちの操縦は決してじょうずではない、しかし三百時間以前の訓練としてはこんなものだろう、あとは客を乗せてじょうずになってもらいたい、こういう発言をしておるわけですよ。そして皆さん方その方向に沿って、どんどん「運航の課題」に沿って乗員の訓練を節約していくわけでしょう。だからニューデリーの事故にしても、その点がまさにインド政府から指摘をされているわけでしょう。あそこを全然飛んだこともない、あるいは一回ぐらいしか飛ばないでもって乗っていくからこういう事故になるわけですよ。ビジュアルといったって、はい、これがモスクワでございます、はい、これがニューデリーでございます、これが千歳でございますなんて見て、初めて実機に乗っていく。だから、飛行場におりてみたら、インド空港でなくて隣の何とかの飛行場だったという、そんなばかな大体常識的に考えられないことがあるのも、こんなことをふやしていけば、これからふえていきますよ。おりて隣の飛行場だったからいいけれども、おりたところが海のまん中だったらどうしようもないでしょう。  そこで私、皆さん方にお願いしたいのは、私が国会に出て最初の四十五年のときから飛行機の問題をいろいろ議論しているわけですが、そのときに、機長昇格についての時間を削減するということが行管の許認可法案の中にたしか入っていたはずですよ。昇格のために必要な時間を短くするということ、そのときも議論したはずであります。たしかあれは許認可法案じゃなかったでしょうかな、航空法の改正じゃなくて。いいですか、局長。ですから、皆さん方に言わせれば、いろいろな緊急操作のものも、危険なものも、シミュレーターならいろいろできる、エンジンをカットオフにして、離陸するときに四発エンジンの一発、二発を切ってしまってやる訓練も、シミュレーターならできるけれども実機ならできない、そういうお話だった。しかしほんとうは、そういう操作というのは、絶対落ちることのないシミュレーターでやったって、はたして身につくものかどうか。だから、ある程度は実機の中で訓練を従来のようにやっていくという体制のほうがいいんじゃないでしょうかね。  日航のほうで、セカンドオフィサーの制度とか、ともかく乗員、機長になるための訓練時間の節約ということ、試験も民間に委託ということで、いろいろな機長の路線資格なんかいまやっているわけでしょう。そういうような合理化政策に、皆さん方はこの「運航の課題」の方向に沿って協力をして、その結果がニューデリーの事故になりモスクワの事故になっているわけですよ。だから、キャリーオーバーも世界の趨勢でございます、シミュレーターも世界みんなやっていることですということを言う前に、日本の場合の体制というのは、まだまだ航空界の歴史だって浅いわけですから、そうすぐよそでやっていることをまねしないで、ちゃんと身についたパイロットを養成する。何も急ぐばかりが能じゃないですよ。やはりゆっくりと、もうちょっと安全を一歩一歩確かめながら乗員を養成していくという方向にいかないと、私は、おりたら隣の空港だったとか、何か間違えておりちゃってニューデリーのような事故になったり、そういうような事故が続発することになるんじゃないかというように思うんです。  大臣、皆さんのほうで指摘をされて、日本航空や全日空や東亜国内から、みんなそれぞれ回答が来ていますよ。回答が来ているけれども、私が指摘をしているのは基本的な方針ですね。これについてはほとんど触れられていない。訓練時間は日本航空の場合は若干長くしましたけれども。その辺の基本的なところ、「運航の課題」というのをぜひ皆さんのほうで検討されてはどうか。その中から具体的に提起された問題というのは、実現の方向にどんどん行っているんです。その辺のところをもう一度再検討をしてみてくれませんか。

新谷寅三郎自由民主党運輸大臣

○新谷国務大臣 「運航の課題」というのは私も一ぺん取り寄せてよく研究してみます。ただ、言えると思いますことは、これは読んでみないとわかりませんけれども、四十三年当時の航空の安全に関する基本方針というようなものと、あれだけの事故を起こして、われわれが今日まで口をすっぱくして安全確保をやかましく言って、今日、かりにそういったものが同じような方針でしか動いていないとすれば、これは問題だと思います。私はそういうことはないと思っているのです。われわれのところへ関係者が何べんも来まして、私は技術者でありませんから専門的なことはわかりませんけれども、しかしあらゆる部面について注意も与え、指示もしているわけですが、それを全部受け入れて、乗員の訓練はもちろんのこと、整備計画にいたしましても、営業路線の拡張の問題にいたしましても、乗員その他社員の待遇にいたしましても、すべてわれわれの指導した方向に沿ってやりますということを何べんも約束しておりますからね。研究することは研究いたします。いたしますが、私はいま研究した上でないと、おっしゃったように、四十三年のままでいまでもその方針が全然変わってないんだということは、ちょっと信じられないのです。これはよく読んでから申し上げます。  それから、この乗員の訓練のしかたとか何かは、私もよく実態が把握できませんので、シミュレーターがどの程度まで活用できるのか、あるいは実地訓練がどの程度まで必要なのか、そういったことにつきましては、私のほうにも専門家がおりますから、それらの人たちに、いまおっしゃったようなことを踏まえまして、十分に再検討させるように努力をいたします。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 いや大臣、最初からお話しすれば、私、ことしの四月十八日の交通安全委員会に出ておって、朝田さんが、「運航の課題」こそこれからのわが社の方向そのものでありますというお話をなさった。私も、これはもう当然方針を変えたろう、こう思っておったわけですよ。ところが、そういう発言をされて、しかも運輸省のほうもそれに対して、いやシミュレーターを入れたり何かするのは、世界の方向でもあるし非常にけっこうでございますと、わざわざそれに対してオーケーをお出しになったから、私のほうではきょう実はあらためて質問をしているわけなんですよ。  航空局長、そのシミュレーターについて、ともかくねらいは何かといえば、コストの節約、コストダウンということですから、全部シミュレーターでやってしまって初めて乗るのが実機だというような、さっきの日本航空のこんな方針でいかれちゃやはりちょっと困るので、そこのところ皆さん方としてはどうお考えになっているか。

内村信行運輸省航空局長

○内村(信)政府委員 私も技術的に詳しくございませんので、直ちにどうこうということは申し上げられませんが、大体いままで局長をしておりました感じから申し上げますと、全部をシミュレーターにするというのは、これはいささかいかがかという気がいたします。それは確かに、訓練の内容によりまして、シミュレーターでできる部分、できない部分ございますし、やはり実機としての実際の感覚というものも当然必要だろう、こう思いますので、その部分を一体どの程度シミュレーターでやり、どの程度どの部分を実機でやるかということについては、やはりきちっとした基準を設けてやるべきであろうというふうに考えます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 時間がございませんので、この辺で終わりにして、例の米軍機と民間機の事故の問題については、十三日、あるいは大出理事のほうにおまかせをしてさらに詰めをいたしたいというように思いますが、いずれにしても、事故があるたびにいつもあと追いですね。これは皆さん方のほうで残念ながら認めざるを得ないだろう。あと追いで行なわれておって、全般のいろいろな問題についても間もなく行管のほうからも勧告が出るはずであります。私いろいろと行管のほうにもお話を聞いておるわけなんですけれども、やはりかなりこまかくいろいろな指摘があるようでありますから、ひとつ皆さん方のほうでも、そういう意見も十分お聞きになって万全を期していただきたい。実はそんなことで、もうちょっと質問もしたいわけでありますけれども、一時から委員会なんだそうでありまして、委員会ということになればやむを得ませんから、一応きょうのところの質問は、若干の留保を残してこれで終わりにしたいと思いますが、ともかく、うわべだけじゃなくて、やはり会社というのは企業体ですから、利潤追求です。利潤追求のためにはほんとうに必死になっているわけですよ。そこを皆さん方が大所高所から見ながらチェックをしていくということがなかったら、その利潤追求にいろいろな面で協力をしてやるということでは、これはやはりこれからの航空行政ということは言えないだろうと思うのです。その辺のところだけは十分お考えをいただくことにして、私の質問を終わります。

藤尾正行自由民主党

○藤尾委員長代理 次回は、明十二日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会

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