内閣委員会 第31号
- 発言数
- 647 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1973/06/19
会議録
○三原委員長 これより会議を開きます。 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永末英一君。
○永末委員 質問に先立ちまして、ひとつきのう耳にいたしました問題を伺いたいと思います。 昨日、ある新聞の夕刊に次のような記事がございました。旧日本海軍の重巡「那智」、これはマニラ湾で沈んでおるのでありますが、これをアメリカのスクラップ業者が引き揚げる、その引き揚げ方は爆破をして処分をするプランを立てておる、こういうのでございますが、大蔵省の方見えておると思いますが、これはなお国有財産に残っておるのかどうか。残っておるとするならば、どういう手続でこのアメリカの業者がこれを引き揚げることになったのか、お伺いします。
○三原委員長 速記をやめて。
○三原委員長 速記を始めて。
○永末委員 それでは、大蔵省が参りましたらその点伺うことといたしまして、厚生省の援護局が来ておると思います。もしこの船体を爆破して処分をするプランが実行されますと、一万トン巡洋艦は、私も乗っておりましたからよく知っておりますが、そう強いものではございませんから、船はばらばらになります。したがって、なお艦内にあると思われる遺体は飛散するわけであります。これらについて、この新聞の伝えるところによりますと、スクラップ業者から、日本政府が補償してくれるならば遺体収集が済むまで爆破を待ってもよいがと言っているが、厚生省援護局は早急にはとても無理、こう言っていると伝えられておりますが、この間の事情を御説明願いたい。
○横溝説明員 お答えいたします。 先生御質問のとおり、重巡「那智」は一九年十一月五日にマニラ湾内で敵の雷爆撃機のためにこなごなになって沈没したわけでございます。戦死者は艦長以下七百八十名を数えてございまして、今回新聞にこれを引き揚げるというような報道がなされたわけでございますが、私どもとしては、この報道内容に対しまして事前に承知しておりませんでしたので、どのような計画でどう事が進むか等につきまして、関係各省と連絡をとりながら至急現地の大使館に調査をお願いいたしたい、それによって自後どういう措置がとれるのかを検討いたしたい、こういうふうに考えております。
○永末委員 あなたのお話の中に、敵の雷爆撃を受けて船体がこなごなになった――こなごななんかになりやしませんよ。私どもの船もじゃんじゃんやられましたけれども、こなごなになりませんから生きておるのでございます。したがって、実情をよくお調べ願うとともに、すでに一度あなたのほうに業者から連絡があったような報道でございますが、あなた覚えないですか。
○横溝説明員 ありません。
○永末委員 覚えがないというので、しようがないというのでございますが、大蔵省が参りましてから、含めてもう一度この時間中に質問いたしたいと思います。 さて、山中防衛庁長官御新任でございますが、古い話は古い話でございますけれども、日本の国の防衛を考えるにあたりましては、過去にあったものに対して一体いまの日本国がどういう考え方を持っておるかということは、未来にわたってこの国の防衛の第一線に立つ者に非常に大きな影響を与える問題でございまして、この「那智」の問題にいたしましても、私はあのとき戦場におりまして、この「那智」が沈みましたあと、アメリカの空軍機は海上に浮いている者を反覆攻撃をしたと伝えられ、切歯扼腕いたした記憶がございます。しかし、私どもの経験によれば、この艦内にはたくさんの遺骨があるはずでございまして、やはり手を尽くして遺骨を収集し、そのあとで艦体を処分されることがあってもいいかと思いますけれども、アメリカの業者ができることを日本の業者ができないことはないし、もしそれが採算上合わないのならば、政府はやはり遺骨収集の点については国民に訴えて、税金を使ってでも遺骨をちゃんと収集する、この手段を尽くすべきだと思います。御見解を御披瀝願いたい。
○山中国務大臣 実際の予算及びその作業は厚生省で行なっていることは事実でありますから、ただいまの厚生省の課長の答弁では、まだ事実関係を確認していないということでありますけれども、事実が確認されたならば、私自身もやはり、これは広く散らばっておる遺骨の収集と態様を異にいたしまして、一艦艇の中に残存する遺体を収容するわけでありますから、落札業者の了解がとれればさしたる事業ではありませんので、そういうことは国家の義務として当然行なわれてしかるべきだ、そのように考えます。
○永末委員 いまの山中長官のお話、まことに意を得たものがございました。私の乗っておりました「摩耶」が同じような運命になったときに、政府も知らない、だれも知らないでわが船を爆破されるなんということがあっては、黙って見ておれぬ問題であります。それと同じような条件の人がおるのでありますから、どうぞひとつ、所管は違いましょうが、わが国の防衛のために心しなければならない一つの事柄だということを念頭にお置き願いたいと思います。 さて、わが国の防衛体制を考えます場合に、有事即応であるかどうかを過般の予算委員会で質問をいたしました。山中長官は、わが国の自衛隊は有事即応体制にあるべきだとお考えになりますかどうか。
○山中国務大臣 憲法及び自衛隊法の定められた範囲内における有事即応というものは、すなわち専守防衛という立場で、私たちの国家の独立、そして平和、民族の生命、財産、そういうものを保護する義務を完全に遂行しなければならない義務があると考えておりますから、その意味においては、専守防衛の範囲において有事即応の体制をとらなければならない義務がある。しかしながら、定員の実人員充足等の問題において、その能力において万全であるかといえば、まだ足らない点があるように見受けられる点も、これは事実であると思います。
○永末委員 長官の御答弁中に、有事即応すなわち専守防衛ということがございましたが、概念的に関係ございません、これは。専守防衛と政府がいわれておるのは、防衛の基本の話でございまして、有事即応というのは、それが発動するしかたの体制の組み方の問題でございますから、それは違うのでございます。 それは別といたしまして、四次防なるものを政府は決定したということであります。しかし防衛力整備計画が、その終末期において、これこれこれこれの兵器、あるいはまたそういう力を備えようという目標を立てます。そういう防衛力整備計画と、それから有事即応の、あなたはこれをとるとおっしゃったからお伺いするのでありますが、関係はいかがですか。
○久保政府委員 本来、防衛力というものは有事即応であるべきであるということは、予算委員会におきまして田中総理もおっしゃったわけでありますが、ただ、現在の四次防の中では、これは必ずしも全般的に有事即応の体制になっておりません。これはやはり、国際情勢の認識の問題、それの評価の問題、そしてまた、一定の経費ワクの中で今日の四次防期間中になすべき重点が何であるかということの評価の問題、そういうことにかかわってくるかと思いますが、いずれにせよ、四次防の中では有事即応にすることが望ましいのであるけれども、必ずしもそれほどの国際環境にないし、また、それだけの経費的な、あるいは人的に申せば能力的な面が欠けている、そういうことのためにいまのような状況になっておるというわけであります。
○永末委員 はなはだ異なことを承るのでございまして、国際環境が変化をしてこない限り、いまの状態では有事即応になっていなくてもいいというがごとき御発言でございますが、それならば、国際環境が変化した場合に有事即応にしなければならぬ、こう受け取られるわけですね。 そうだといたしますと、先ほど長官は、有事即応を考える場合には、定員との問題もこれありという御発言でございました。私はその前に、有事即応というのは、人間と兵器――兵器の中には、武器もございましょう、運搬道具、発射道具もございましょうが、それに詰められる弾薬等の破壊の物体もございましょう。そういうものがちゃんと整えられておる状態が有事即応だと思うわけでございますけれども、それにはまだ非常に距離がある、距離があってもいいんだ、こういうお考えですか。
○久保政府委員 距離があってもよろしいとは申しませんけれども、これは、いかなる情勢にありましても、本来を申せば防衛力というものは有事即応であるべきである。しかしながら、今日の国際、国内情勢からしまして、人員の充実、あるいは相当の経費を食います弾薬、それから装備の面からいいますと、いわゆる抗たん性、たとえば対空能力を基地等についてつけるといったような面を充実しますと相当の経費を要するわけで、いまいろいろな無理をしてもそれを充実すべきときであるかと申しますと、そこに国際関係というものが出てくるわけでありまして、国際関係がある程度緊張しているというような時期であれば、国内関係のいろいろの無理を押してもそういうものの充実に当たるべきでありましょうけれども、今日のような比較的平和的な見通しの強いときにおきましては、その有事即応の達成される時点を将来に置きまして、今日においては要員の訓練、教育、そういったところに重点を置いて防衛力の整備を進めるということも一つの考え方ではないか。四次防はそういう考え方に基づいているわけであります。
○永末委員 国際環境の変化のことはあとで伺うとしまして、先ほど長官は、定員との関係で有事即応体制がいまだしという意味の御発言があったと思います。私は定員より前に現員のほうが問題ではないかと思います。 そこで伺いたいのは、まず陸上自衛隊から伺いますが、陸上自衛隊の欠員というのはどれくらいになっておりますか。総体の数は承知しておりますから、たとえば普通科連隊においてはどういう形になっておるのか伺いたい。
○久保政府委員 普通科連隊におきましては、一つの例を申し上げますと、これは十七普通科連隊の例でありますが、六七%、大体平均して七〇%前後ぐらいになっております。なお、普通科中隊の場合ですと充足率が六五%ぐらいということであります。
○永末委員 ただいま十七普通科連隊の場合を例としてお取り上げになりました。さて、さらさらと六七%の充足率であるとか、あるいはまた普通科中隊の場合六五%程度であるとかという話がございましたが、先ほど、要するに要員の教育、訓練にいそしんでおる、こういうのでございますが、その普通科中隊の場合、六五%の充足率では一体小隊編成はちゃんとできるのですか。
○久保政府委員 もちろん十分はできませんで、普通科中隊の小隊が四個小隊の編成でありますけれども、これは訓練の関係上三個小隊にも四個小隊にも編成できますが、かりに四個小隊を編成いたしますと、本来一個小隊は三個班からならねばならないのですけれども、それが二個班しかできない。しかも一個班は本来十一名の定員でありますけれども、一個小隊を二個班にした上でなおかつ一個班の実員が七名でしかない。また三個小隊を編成いたします場合には三個班編成いたしますが、その場合でもやはり充員は七名である。ただしこの七名というのは一個班についての最低限である。これを欠けると訓練も実際上できない。 そこで私ども、必ずしも教育、訓練として人員の面では十分とは思いませんけれども、一個班七名を確保し、そして一個中隊を運用する場合に四個小隊が必要な場合には、いま言いましたように二個班編成を行ない、三個小隊で何とかやれるという場合には三個班で運用するというような、実際上の訓練に応じた編成をそのときそのときに応じて行なっております。編成と申しますよりも隊の編成でありますが……。
○永末委員 中隊だけをとりますと、ある場合には小隊が四個小隊であったり三個小隊であったり、またその小隊が三個班であったり二個班であったりということは、訓練しているような気になりますね。しかしこれが、たとえば連隊全部あるいは師団全部である演習を行なおうとする場合、その師団が受け持つ正面幅というものがあるはずでござまして、昔と戦闘様式は変わらねばならぬと思いますが、その場合に、明らかに三割五分も欠員があるという場合に、一体それは、庫隊全部のフロントあるいは師団全部の受け持つ正面幅ということを考える場合に、訓練になるのですか。
○久保政府委員 もちろん充員の面から見まして十分な訓練ではございません。したがいまして、実際の運用の場合には、たとえば一個連隊をフルに編成をして訓練をすべきであるというときには、隣の連隊から部隊を借りてくるというようなやり方をやります。そしてまた、一個師団の中で三個連隊もしくは四個連隊として当然運用しなければならないわけでありますが、その場合には欠員が生じておりますので、おっしゃったような正面幅の欠陥というものも出てまいります。そこで、場合によっては、連隊の部隊を充実する関係上、対抗部隊でありますとか、あるいは連携をする部隊、あるいは予備部隊というものは、きわめて小規模の、言うならば仮設的な部隊にしまして、そして特定の部隊に重点を置いて訓練をするというようなことにならざるを得ないというのが実情であります。
○永末委員 訓練の場合には隣の部隊から借りられますけれども、実際の場合には隣の部隊はおりませんわね。どこか借りるつもりですか。借りられないとしますと、これはいまの状態では有事即応ということにはなっていない。ならなくともいいというなら別ですよ。しかし、そういう状態でありたいというのが内閣総理大臣、総指揮者の発言でございまして、そういたしますと、いまのようなことが有事即応体制だとはどう見たって見えませんがね。長官はどう見られますか、いまの答弁をお聞きになって。
○山中国務大臣 私が先ほど申し上げましたことにも関係がありますが、定員の問題と言ったのでなくて、定員充足率の問題ということを申し上げておるはずであります。 その充足率の問題が、ただいま防衛局長が答弁いたしましたように、現実の運用面においては、演習はもちろんのこと、これは仮の想定としても、実際上の戦闘行為というようなものを想定した場合における訓練というものにおいては、戦闘遂行能力において多大の支障を来たしておる状態である、このことは私もきわめて遺憾に思います。
○永末委員 特科連隊、これは大きな破壊力を持った兵器でございますが、これらにつきましてもきわめて充足率は悪いのでございまして、その悪いところがどこにしわ寄せになっているのですか、伺いたい。
○久保政府委員 特科連隊をとってみますると、一つの連隊、これはほかの連隊もほぼ類似の数字でございますが、第六特科連隊、これは郡山でありまするけれども、六六%くらいになっております。大体七〇%足らずというのが普通でありますが、この中でしわ寄せがまいっておりまするのは、現実の射撃中隊、それから特科大隊の中での、たとえば百五ミリのりゅう弾砲といったようなところのようです。どうしても本部とかあるいは管理中隊などに、この特科連隊の中では重点を置いている関係上、そういったところにしわ寄せがまいっております。
○永末委員 射撃中隊というのは、第一線に砲を並べて撃つ中隊だと思うのですがね。それにそのしわ寄せがきておる、人間が足らぬ、こうなりますと、その中隊で実際に砲を撃つ場合にどういうことをしておるのですか。
○久保政府委員 この射撃中隊の中に砲班がございますけれども、たとえば一門について十一名の者が照準手、それから砲を運搬する者、射撃手、それから班長といったような者がございまするけれども、そのうちで、いわゆるたま運びといいます四名を欠員にいたしております。したがって訓練の場合に、あらかじめ砲のそばにたまを積んでおりますると、そのたまが続く限りは一応連続発射ができるわけでありますが、たまがなくなりますると、たま運びがおらないわけでありますから、一応射撃を中止をして、またたまを集めなければならないということで、まあ射撃そのものはできまするけれども、連続的な、実戦的な戦闘というものはやりにくいという面はございます。
○永末委員 たま運びがいなければ大砲は無用の長物でございまして、大砲は役に立たぬ。たまが届くから役に立つ。たま運びはどういう位の人ですか。
○久保政府委員 陸士であります。
○永末委員 それでは、先ほどの普通科連隊の欠員の場合にも班編成までしわ寄せがきまして、そこでなかなか人がいない、こういうことでございますと、士でございましょうね、おられないのは。
○久保政府委員 さようであります。
○永末委員 もう一つ、戦車大隊は充足しておりますか。
○久保政府委員 戦車大隊は普通科と特科と若干例が異なっております。と申しますのは、普通科の場合も特科の場合も、装備は大体一〇〇%充足されておりまするけれども、戦車大隊の場合は、ほぼ七割程度しか戦車が充足されておりません。したがいまして、戦車大隊の一つの例をとってみますると、七五%というのが充足でありますが、これは大隊全体の編成としましてはもちろん不足をいたします。戦車が足りない、それに応ずる人が足りないということでありますが、しかしその大隊が装備しておりまする車両については十分人を確保できておるというのが実情であります。
○永末委員 三次防は終わったのでございますが、三次防においてちゃんと戦車をこれだけ買いたいといって計画を立てられた。その戦車は目標どおり買われたのかどうか。そうしますと、それに見合う人員がいまのように充足率が足らぬので、全部戦車に反映されていない、こういうことですが、三次防の戦車はどうなったのですか。
○久保政府委員 四十一年ごろだったかと思いますが、戦車が八百七、八十両ぐらいであったのが最高だったと思います。その後漸減をいたしておりまして、四次防ではそれを回復して八百二十両まで持っていこうとしているわけでありますが、いまの充足率の場合には、その戦車の数に見合って充足をいたしておりますので、普通科の場合と違いまして、戦車の場合は一応経費に見合っては人員は出されておるということになっております。
○永末委員 三次防の場合を伺っておる。三次防はすでに済んだことでしょう。しかし戦車に関する定員の充足率が満ぱいであったと聞いたことはございません。ただいまの場合、約七割程度ということですが、そうしますと、三次防の計画というのは、戦車の数におきましても大体七割程度でいいんだ、あれはこういうことの数字なんですか。
○久保政府委員 もちろんそういうことではございません。陸上自衛隊の編成思想から申しますと、いわゆる十八万体制に対しては、本来は人と装備を満ぱい、編成定数どおり持っていたいというのが基本的な考え方でございます。ところが人のほうは、御承知のようなことでなかなか充員ができませんが、装備のほうは、十八万体制を整備するだけの装備を持っておりたい、定数どおり充実したいということで、大部分の装備はそうなっておりますけれども、戦車などは、三次防のころもそれ以前も、また四次防についてもそうでありますけれども、定数よりもはるかに下回った数字でしかない。それで私どもは満足をしておるわけではございませんけれども、経費のワクもありますし、そうしてまた戦車の寿命が大体十五年くらい。これは耐用年数という面もありますし、それから兵器が新しくなるという問題もあります。そういう点を考慮いたしますと、寿命が大体十五年となります。そうすると、かりに経費が許しましても、一挙に定数を埋めるだけ、たとえば三次防なり四次防なりで定数を埋めるだけ整備いたしますと、あとが続かないというような問題もございます。したがって、そういうようないわば寿命、耐用年数をも考慮して、適当な整備台数というのが大体六十台ないし七十台というようなことでありますので、三次防、四次防はほぼそのペースで進んでおるわけであります。
○永末委員 これはおかしいそろばんだと思われませんか。ともかく三次防のときに、これこれの戦車が必要だ、それに要する定員はこれこれだということで、いろいろな経緯がございましたが、ともかくこの防衛二法、特に定員につきましては逐次増員をされてきたわけです。いまお話を伺いますと、いや実はいま七割くらいしか充足率がないのだけれども、戦車も足らぬのであるからとんとんでよろしい。どっちかうそですね。どっちがほんとうなんですか。定員が要らなかったのじゃないですか。
○久保政府委員 定員というのは、再々申し上げますように、陸上自衛隊の場合には、本来あるべき姿、整備すべき姿であります。したがいまして、三次防でも十八万整備すべきものということになっておるわけであります。したがって戦車の部隊については、本来あるべき人数が何がしというふうに割り当てられます。しかし、そのワクの中で現実にどの程度充員をするかということは、これは定員とまた別の充足率の問題でありまして、防衛庁あるいは大蔵省というところは、この戦車の部隊については大蔵省より防衛庁でありますが、戦車の台数に見合った実員を配置しているということになります。ですから、十八万の中で戦車に充当さるべき定員のワクがあいているといえば確かにあいておりますが、これは部隊を編成する、ワク組みをつくるという定員の性格上そうなっておるわけでありまして、実員のほうは戦車の台数と見合って充員されておる、こういうことになっております。
○永末委員 防衛力整備計画という名前で一般の人々が予想いたしますのは、つまりそれだけ要るんだ、いまの場合。それがどういう寄与をするかというのは別問題ですよ。一方こちらに定員が要求されている。その定員の中で陸上自衛隊の定員がございますが、それをあなたのほうで訓令によって編成されまして配分されていくわけでございますが、そうしますとやはり、防衛計画で要求しておられる戦車を全部動かすためにはこれだけの定員が必要だ、こういう感覚で受け取るのがすなおでしょうね。 ところが、お話を聞きますと、それはワク、ますみたいなものであって、いや実員でいいんですということになりますと、一体あなたのほうの訓令によって編成をやっておられること自体に問題がある。これはあとで聞きますよ。そこに私は疑問を感じておるわけでございます。 こればかりやっておるわけにいきませんから、次は海のことを聞きます。海のことを伺いますにつけまして、先ほどちょっと話を出しました軍艦「那智」に戻りまして、大蔵省から人がお見えでございますから、大蔵省の国有財産の関係の方に伺いたいのですが、沈みました帝国海軍の軍艦は、あれは国有財産ですか。
○川崎説明員 沈みました艦船の取り扱いにつきましては、公海に沈んでおるものは国有財産と考えております。相手国の領海に沈んでおるものは相手国の財産と考えております。公海に沈んでおりますものでも、相手国の部隊によって撃沈せられたもので、相手国が所有権を主張したものは相手国の所有権となるというふうに考えております。
○永末委員 「那智」の場合はどこのものですか。
○川崎説明員 詳細は調査をしないとわかりませんけれども、国有財産ではないように考えております。多分相手国のものだと思います。
○永末委員 沈んだ場所はわかっておるわけだ。ぼくだって知っていますよ。私の船が沈んだのは二回ございますけれども、「摩耶」にいたしましても、戦艦「武蔵」にいたしましても、沈んだところはわかっているわけです。もしあなたのいま言われた基準、すなわち他国の領海内に沈没しているものはその領有権を持っている国のものである、公海はわが方のものである、こういうことなら、国有財産をちゃんと保管するのがあなたのところの役目でしょう。それならば艦船別に、どれはどこのものだ、どこのものだという一覧表がもうすでにできてしかるべきじゃないか。しかもまた、よその国から沈めたものの請求をしてきた場合にはその国のものになるそうだというが、沈めたのはほとんどアメリカだ。アメリカは請求してきていますか。伺いたいと思います。
○川崎説明員 最近の事情としてそのようなことはございませんが、過去に、沈めた国であるアメリカのものか、あるいは領海内のたとえばフィリピンのものかということが、議論になったということがございます。何ぶん突然の御連絡でございましたので、詳細はお答えいたしかねますけれども、おおよその話として、領海に沈んでおるものは相手国のものであるということになっております。
○永末委員 委員長、国会の委員会でおおよその話なんか通りますかね。あれは国民の血税のかたまりでしょう。しかもその沈んだ船には、みんなその当時の海軍の将兵が乗っているわけだ。それをおおよその話で、どこのものかわからぬ、そんなことでは審議できますか。そんなばかな態度がありますかね、ほんとうに。 アメリカ局長においでいただいたけれども、アメリカからいままで、相手方が沈めた艦船について、それはおれのものにしてくれろという要求がございましたか。
○大河原(良)政府委員 私が承知しております限り、最近ではそういうことはございません。
○永末委員 昔ありましたか。
○大河原(良)政府委員 古いことにつきましてちょっと記憶を持っておりませんけれども、いずれにしても米側とその問題でもめておるということはございません。
○永末委員 遺骨の問題は、これはいま、他国の領土で眠っておられる戦死者の方々の遺骨収集が、それぞれの古い戦域に対して行なわれているわけでございまして、また日中国交回復に伴いまして、中国における遺骨収集の問題もございます。しかし、事、海軍になりますと、公海とかいまのような状況でございますが、せめて政府は、戦後二十八年もたって、その艦船の所属そのものすらおおむねしかわからぬということでは、一体この内閣委員会が真剣になって防衛問題を論議する出発点が誤りじゃないか。委員長、どう思われますか。これは何とかしてくれませんか。
○三原委員長 山中防衛庁長官、ひとつお答え願います。
○永末委員 では山中防衛庁長官、お答え願います。
○山中国務大臣 ちょっと大蔵省からもう少し事実関係を説明させます。
○川崎説明員 沈没した艦船につきまして、わが国の主張として国有財産であるというものは一応整理いたしまして、大蔵省に帳簿がございます。これはずっと以前に整理したものでございます。先ほど所有権がだれのものかという御質問でございましたが、わが国のものでないことがはっきりいたしましても、何国の所有権であるかということは、国際法上の問題もございましょうし、私どものほうにも断定いたしかねる問題があるという意味で申し上げました。
○永末委員 これは防衛二法の審議中に全部やはり明らかにしていただきたい。そうでなければ、これから海のことを聞きたいと思いますけれども、そんなものをあいまいにしたままではきわめて聞く気力も落ちまして、海の守りのことについて真剣になれぬじゃないですか。ぼくもその中に入っていたのですよ。自分が死んでおって、自分の船がどこのものかわからぬし、私の骨が爆破されるというようなことで、その片割れみたいな形でしゃべっているのですが、なかなか気力がわきませんな。これは委員長どうですか。
○三原委員長 委員長において、いま質疑の状態を承っておりまして、政府も、きょうのきょうだったようでございますので、十分の準備をしておらぬようでございますから、あらためてこの問題につきましては、準備をさせて御回答申し上げさせたいと思います。
○永末委員 それでは、その問題と軍艦「那智」の処分の問題については質問を留保いたします。 さて海上自衛隊でございますが、海上自衛隊におきましても、表面は充足率が多いように伝えられておりますが、きわめて少ないものがございます。たとえば砲雷関係、これは砲を撃ち魚雷を放つ、つまり戦闘の正面に立つ人々でございますが、これらの人々の曹、士の充足率はどうなっていますか。
○久保政府委員 ちょっと曹と士の区分が書いてありませんけれども、現状で申し上げますると、たとえば対空砲台について見ますと、砲員がそれぞれ四名ずつの欠となっております。これはDDK二千五百トンの船の例であります。それから対潜砲台のところで、これが一名ずつの欠でありまするが、やはり三直制のところが二直制になっておる。一般に、全般的ではありませんけれども、三直制を二直制にしたり、あるいは砲台のところで、やはり陸の場合と同じようなたま運びの要員を、実際の訓練の場合には欠にせざるを得ないということになっております。
○永末委員 ぼおっとしたお答えがございましたが、一つの問題は曹、士の位においてきわめて充足率が悪い。それ以上の充足率はいいほうでございまして、全般的に見ますと陸に比べて海はいいという発表がございますが、中身を調べますと、曹、士というところが少ないわけであります。 さて、もう一つ、いま私は次に聞こうと思っておりましたが、お答えがございましたが、直を、当直をきわめて詰めてある。大体船が動き出しますと二十四時間勤務でございますから、二人で三直やっておるものを一人で三直にすることや、あるいは三人で三直やっているものを二人で三直にする。直の人間が少なくなりますと、きわめてその重荷は重くなるわけでございまして、これは一日か二日ならいくかもしれませんが、長期そういう勤務に耐え得るか。人間の体ではこれは耐え得ない。しかもこれらの点について、曹、士の位が非常に少ないということが原因ではなかろうかと思うのですが、どうですか、長期に耐えますか。
○久保政府委員 その点はおっしゃるとおりでありまして、全般的な、特に護衛艦隊の充足率から申しますると、海曹の場合には、平均しまして、これはそんなに悪くございませんが、九六%になっております。しかし反面、これは従来二法案が通過していなかった関係もありまして、海士の場合に五五%になっております。 そこで、海士の仕事を海曹がやるというようなことでの不便、あるいは不満もいろいろあるわけでありますが、特に、いまおっしゃいましたような、三直が二直になるポストがだいぶふえますので、一日、二日ぐらいはともかくとして、長期的な訓練、連続的な訓練というのが非常にやりにくいということが実情でございます。
○永末委員 ちょいちょい余分なことばが出るのですがね。二法案が通過いたしておりません関係もございまして――それは関係ないですよ。私はいま現員のことだけ聞いておるのです。それからもう一つ、あなたが言われましたことをあとで聞きますが、あなたのほうの編成のしかたに問題があると思うのです。それはあとで聞きますがね。 さて、いまの海の場合でも、いろんな速射砲を船が積んでおりますが、これは全部が全部砲員が配属をされて一〇〇%稼働状態になっておりますか。
○久保政府委員 本来、砲一台について三門ついておりまするけれども、それについての充員は、たとえばDDKの場合に総員配置ですと十六人でありますが、現実には総員配置をしましてもこれが十二人になる。それから総員配置でなくて三直でやる場合の配備を行ないますると、二門動かすためには全員で六名必要でありまするけれども、現在は三名しか充当できていない。したがって二門のうち一門しか動かないというのが現実であります。
○永末委員 長官、海もたいへんですね。有事即応といっても二門のうち一門しか発射できない。一門は、見ておるけれども木銃と同じである。昔、三十年前の戦争で、大砲がございませんものですから、アメリカの潜水艦が見てびっくりするだろうということで木銃を積んだことがございますが、それではいけませんな。 さて、次は空でございますが。空はパイロットなどは一〇〇%おるのかというと、どうもそうではないらしいのでございまして、パイロットの充足率はどうなっていますか。
○久保政府委員 ちょっと数字はあとでさがしますけれども、これはパイロットにつきましては、長期的な見通しのもとに、つまり航空機の入ってくるその機数に見合って考えておりますので、四次防末には大体所要数が満たされるはずであります。
○永末委員 現有の航空機と現在のパイロットではどういうことになりますか。四次防末には充足といえば、いま充足していないということでしょう。そうすると、飛行機はあるけれども飛ばない、こういうことになりますね。
○久保政府委員 飛行機はものによりまして違いますけれども、たとえば一機当たりパイロットは一・二人養成することになっております。したがいまして、私が申し上げたのは航空機の全機数のうちで、たとえば、予備機でありますとか、整備所要とか、そういうものを除きまして、第一線機に対して一・二なら一・二をかける、その所要に対して現在はたしか九十何%だと思いますけれども、まだ充足されておらない。しかし四次防が過ぎれば一・二という所要数が満たされる、こういうことであります。
○永末委員 通信員はいろいろな配置がございますが、航空自衛隊関係の通信員というのはどういう充足率になっていますか。
○久保政府委員 ちょっと手元に資料がございませんので、調べた結果はあとでお知らせいたします。
○永末委員 通信というのははなはだ重要な業務でございまして、平時には省略することも可能かもしれません。しかし、私はそこで定員のことをだんだん伺わねばならぬのですが、定員が配置してあるというのは、それだけ定員がおって通信が一〇〇%完全に作動する、こういうことだと思うのですね。しかし、普通のときの訓練時におきましては、そう忙しい通信量は来るわけでございませんから、まあまあということで通信を削っておられるのかもしれませんが、通信なんというものは一朝一夕にして習熟できませんよね。どうするつもりですか。
○久保政府委員 これは、海上自衛隊も航空自衛隊もそうでありまするけれども、定員管理をやつておりまして、減耗と養成との関係が必ずしも一致いたしません、毎年におきましては。したがって、三次防とか四次防といった長期の計画の中で所要に見合う養成ができるようにということでやっているようであります。
○永末委員 やっているようだというのはおもしろい答弁でございますが、たとえば、警戒群にいたしましても、高射群にいたしましても、こういうものの通信ですわね。だから通信というものがちゃんとあるかないか。たとえばバッジシステムができましても、マニュアルのものもございましょうし、通信系統のものが少ないということになりますと、演習のときの一目標とか二、三目標ぐらいならいいでしょうが、しかし、わあっと来た場合にどうやってそれを処理するのですかね。その辺のところを一ぺん国民にわかるように説明してください。やっているようですではわかりませんよ、それは。
○久保政府委員 ようでありますと申しましたのは、一般的な方針を私は知っておりまするけれども、数字を確認しておりませんでしたのでそう申し上げたわけでありますが、航空自衛隊の場合に特技が非常に多くありますけれども、その中でたとえば、いまおっしゃいましたナイキのものとか、通信の関係とか、いろいろございます。ものによりまして、充足の比較的低いもの――御存じのように特技の場合には、上級、中級、それから初級と三つに分かれておりまするけれども、初級が当然多くて上級、中級が少ないというのが一般でありますが、航空自衛隊の場合には、上級者はともかくとして、中級者、つまりまん中辺の実務に当たる人たちがちょうど足りないということで、悪いところでは五〇%、しかしながらいいところでは百数十%というふうに、アンバランスがたいへん目立つわけでありまして、こういったものは人員養成計画の中で是正をしていくべきであると思います。
○永末委員 いま陸海空三自衛隊について、どういうところが足らぬのか。足らぬために、兵器はございましても、その兵器は一〇〇%稼働状態にはならぬ。そうなりますと、総理大臣の御意向や防衛庁長官の意向がどこにあろうとも、なかなかもってどうも有事即応体制が完備しておるという状態ではない。しかもその一つの原因が、いま私は人の面から申し上げましたが、定員はあるけれども充足率が非常に低い、こういうところにあるということだけは明らかになったと思うのです。さてどうやってこれを充足するんでしょうかね、長官。
○山中国務大臣 まず基本的には、これは若い青年諸君が入ってくるわけでありますから、青年諸君が自衛隊の存在の意義、そしてそれに対する、自分が進んでいこうという、志願しようとする気持ち、そういうものにさせる自衛隊の存在というものを確立しなければならぬ、これが基本的な姿勢だと思いますが、客観的な要因としては、高校進学率が八〇%をこえる、あるいは大学進学率において三〇%をこえるというような状態も募集を困難にする大きな要因の一つでありますし、また一方において、日本のように非常に高度の就職達成率が現実に満たされておる国において、しかも経済の発展に伴って、民間給与、待遇、そういうような問題が、なかなか魅力のある、あるいは実質的にそちらのほうが自分たちの進路として選択しやすい環境にありますことも、隊員充足の一番困難な問題の一つであろう。そのようなことを考えておりますので、自衛官の給与の改善、あるいはまた待遇の改善。これはまあ国家公務員法との関連もありますから、そう特別な給与体系というものが持てるわけではありませんので、いま防衛庁の中においては、給与に関する研究会というようなものを持ちながら、その給与の面でも考えていきたいということであります。しかし、基本的にはやはり、青年諸君に魅力のある、自分が進んでいこうという気持ちを持ち得る自衛隊というものを、まずはっきりと国民の間に理解してもらう努力が必要であると考えます。
○永末委員 この定員充足率がきわめて悪いということはいまに始まったことではございません。非常に長期間にわたっておるわけでございます。にもかかわらず、定員のワクを広げようということが繰り返し行なわれてまいりました。さて長官、いまおっしゃいましたが、青年は自衛隊に魅力を持ってないからこれは充足されないのだと思いますが、なぜ魅力を持たないのでしょうね。
○山中国務大臣 私はやはり、今日の国民生活は一応成長を遂げておりますし、しかも世界各国の中でも、いろいろの物価その他の問題点があるとはいえ、非常に高い国家経済と国民生活、個人所得、そういうものの伸びが著しい。そういう場合において、私たちの今日の繁栄、あるいは生活の安寧、あるいはレジャー時代といわれております楽しい日常生活、こういうものが基本的に脅かされる事態というものに対して自衛隊は備えてあるわけでありますが、そういうような基本的な、個人の生活の豊かさなり、あるいはまた家庭が一番大切だという世論調査等もありますが、大切な家庭を最悪の場合に守るのだという、そういうような存在についての国民の理解というものがなかなか得られにくい。これは一つにはやはり日本が島国であって、ヨーロッパ各国のように外国と陸続きの国境線を持っていない国であるということは、きわめて幸いな条件ではありますが、一面において、われわれにいつか不正急迫の事態が起こるかもしれないという実感というものを、国民がなかなか理解し得ない、あるいは抱かないというような環境にあることも一つの大きな理由だろうとは思っております。
○永末委員 長官、私は先ほどから有事即応ということばを出しました理由をここで申し上げたいのですが、いまあなたは、最悪の場合、万一の場合に備えるというのが自衛隊の本務であると申しました。そうでしょうか。あなたも局長も、いま国際状況はそうではないから、有事即応ということには少し距離があっても、つとめてそうなるようにしていっておるのが四次防だ、こういう旨の御答弁がございました。そうでしょうか。私は、いま何かが起こっても、われわれ日本民族はこれをはね返す、あるいはがんばり抜くんだという態勢をつくっておくということが、これがわが国の安全を守る一番の力であって、そういうかまえがなければ、私は、いま見せかけの平和状態でございますけれども、われわれの外を取り巻いている力のバランスがくずれますと何が起こるかわからぬ、こうなると思うのです。有事即応というのは、なるほど平時的なことばとして最初生まれましたけれども、実はもう少し考え直さなければならぬときになっているのではなかろうか。 その意味合いで、あなたが長官として自衛隊全体のことをお考えになる場合に、一体どういうかまえをしておることがこの平和を保つのか。いままではアメリカとの安保条約があって、そしてアメリカがソ連と仲よくしておったりというような外のバランスだけで、われわれは何となく何となく防衛力の漸増をやってきたのかもしれませんね。しかし、いまわれわれの外ワクが変わりつつあるので、変わりつつあるときにわれわれが頼むのはわれわれ自身の力であります。われわれ自身の力が国民にささえられて、そしてこの力によってどれだけできるんだろうかということは国民が知る必要はございますけれども、そういうものが根拠になって、われわれとわれわれの周辺諸国との関係もつくられていくのでありまして、そういう転換期が来ておる。それをアメリカがベトナム戦争を終結させ、そして同時に、いまワシントンでソ連とアメリカの両方の首脳部の会談が行なわれておるというような時代の変化も、それをわれわれに要求しておる。 したがって、昭和三十二年につくったあの国防の基本方針に基づいて防衛力整備計画をやってこられましたが、そういう一つの惰性のもとでは、新しい青年は自衛隊に魅力を感じなくなっておるというのが現実に出た結果であり、しかもその結果が、いまの自衛隊の運用についてきわめて大きな障害になっていることもはっきり出たではありませんか。私はその意味合いで、新しい考え、発想の転換を行なって、そして日本の防衛のあり方、安全保障のあり方を国民に訴えるということが現政府にない限り、この状態はまだ続くと思いますよ。長官、どう思われますか。
○山中国務大臣 ただいまの御見解に関する限り私も同感であります。したがって私は、まず国民が自衛隊の存在を理解し得る最大公約数を求めるための努力をしたい。また政党ごとに、思想あるいはそれらの政策において違うところがありますけれども、少なくとも国民の生命、財産を万一のときに守り、そしてわれわれのこいねがっておる平和な独立国の姿を最悪の場合に守り抜く、その限定された力については了解を賜わりたい努力を自分自身はやらなければならぬ、このように考えてこれから進んでいく決意を固めております。
○永末委員 さて、もう一つの問題。いま現状において欠員がある、それがどういう影響があるかということを明らかにしてまいったのでありますけれども、一度自衛隊員になって退職していっている人がありますね。この実情をひとつお知らせ願いたい。
○高瀬(忠)政府委員 隊員の退職は、御承知のように、任期制の隊員につきましては、任期が満了して退職する。それから曹、幹部の隊員につきましては、定年がまいりました後に退職する。それが通常の状態でございますけれども、実は任期制の隊員の中に任期中途でやめる者がだいぶございます。大体毎年一万二、三千、そういった数の者が任期途中で退職をいたしております。
○永末委員 一万二、三千というのはたいへん々数ですね。その人々は主として位はどこですか。
○高瀬(忠)政府委員 士クラスでございます。
○永末委員 その士クラスの一万二、三千の人を陸海空に分けたらどうなりますか。
○高瀬(忠)政府委員 四十七年度陸で約九千五百、それから海上自衛隊で二千百名、航空自衛隊で二千名でございます。合計約一万三千という数でございます。
○永末委員 防衛大学校を卒業しても、普通なら自衛隊に配置されるのですが、行かないでやめてしまう人もおりますね。これは何人ですか。
○大西政府委員 最近の数字を申し上げますと、一年以内にやめる学生の数が過去五カ年間で大体六十人台でございます。その理由としましては、半数が自分の将来に不安を持ち、その他は家庭の事情あるいは身体的な欠陥、大学院に進学をするというような理由でございます。
○永末委員 陸海空の一万三千人の場合、やめていく理由は何でしょうか。
○高瀬(忠)政府委員 一人一人の理由を詳細には聞いておりませんけれども、士の任期制の隊員の退職の場合におきまして、入りまして任期の途中で、入りましたけれども自衛隊の生活がどうも自分の性格に合わないというような理由でやめる者が非常に多いということでございまして、入りましてからそれに対処するあれとして、きめのこまかい、いろいろな自衛隊になれるまでの間の教育、訓練をしていかなくちゃいかぬということを考えております。それで、ある程度の期間、たとえば半年以上過ぎますと定着いたしまして、それから後はずっとまじめに勤務するというような実情でございまして、どうも当初、一般の社会における生活と自衛隊の生活、その間におけるふなれといいますか、そういった事情から来るのが理由であるというふうに、私どもいろいろな機会で調査いたしておりますけれども、そういったことだろうと考えております。
○永末委員 自衛隊の生活が性格に合わないというような話でございましたが、それは募集する場合に違ったイメージを与えるから、違ったイメージを持って自衛隊に入ってくる。そうすると、自分のイメージと違うからやめたい、こういうことでしょうね。違いますか。
○高瀬(忠)政府委員 自衛隊に入ります前の募集広報、宣伝等におきましては、できるだけ自衛隊の実態を正しく教えまして、そうして入っていただくわけでございますけれども、どうも当初の間におきまして、規律正しい生活になれ切らぬというような事情にある者が出てまいるわけでございます。
○永末委員 それは自衛隊のせいなんですか。本人のせいなんでしょうか。どう判断しておられますか。
○高瀬(忠)政府委員 これは両方のせいではなかろうかというふうに考えております。自衛隊の中におけるいろいろな生活環境につきまして、一般の家庭で生活するのと違いますから、そういった営舎内で居住をするという場合におけるいろいろな生活環境の改善、明朗な生活環境をつくるというようなことで、一応われわれのところでも反省をいたしまして、そういったことの改善を今後期しております。これは非常に防衛庁にとりましても大事なことだというふうに考えております。
○永末委員 生活環境の改善といわれましたが、昔の徴兵制度による兵営と違うのですからね。薄暗い感じで、何かきたないような感じがしておったら、それはいけませんわね。しかし問題は、各地方連絡部の人は一生懸命募集に努力しておりますけれども、違ったイメージを与えれば、それはそういう気になるのであって、あなたは両方のせいだと言うけれども、これは一方的に自衛隊、防衛庁のせいだと覚悟しなければ直りませんよ。相手方のせいじゃありませんよ。そうしなければ有るものではありませんよ。山中長官そう思われますか。募集をしているのも防衛庁でしょう。そしてそれがあるインフォーメーションを与えて、それによって、入られる隊員の方々はあることを考えて入ってくる。ところが半年足らずでこれだけ多量の人々がやめていく。相手方に原因があるでしょうか。あるとするならば、相手方の原因と思うものを防衛庁はちゃんと調査をして、そうでないようなインフォーメーションを与えて得心の上で入ってもらう、これがほんとうでありませんか。どう思われますか、この点。
○山中国務大臣 そのとおりだと思いますし、自衛隊のほうの全部が責任だぞという、これは心がまえの上ではそうでなければならぬと思いますが、いまの青年諸君の全般の生活環境の中から考えて、自衛隊の大体の募集要項等について、面接などもしながら、まあこの程度ならばやっていけるんじゃないかと思って来た諸君でも、やはり隊内居住と申しますか、あるいは規律正しい日常を一日のきちんとしたスケジュールに従ってこなさなければならぬ。体力的にもきついところもありましょう。そういうような意味で、やはりこんなに窮屈なところはいやだという青年が出てくることも、現在の世情では、普通一般にそういう社会がないわけでありますから、ちょうど相撲部屋に夢を抱いて入ってきた青年たちが、やはりけいこの苦しさに耐えかねてやめていくのも協会の一つの悩みのようでありますが、相撲と自衛隊と一緒にしませんけれども、心理的な若者の規律、集団訓練、こういうものになじむ場合には、なかなかそこらのところにむずかしい面があろう。この点は私どもも、人の責任だというような顔はしませんが、十分そこらに対応するあり方というものは考える必要がある、そう思います。
○永末委員 長官、相撲に入門する人は全部が全部、横綱になれるという期待、可能性を持っておるわけですな。ところが士の位で入隊してくる隊員の方は将になることできませんわね、制度的に。違うでしょうね、それは。 ただしかし、この募集の問題、非常に重要な問題でございますので、労働省の方来ておられますから、今後十年間、自衛隊に入る青年とちょうど同じ条件の人々がどういう就労状況になっていくかということを、ひとつ御見解を明らかにしていただきたい。
○関説明員 私ども雇用基本計画という五カ年計画をつくりまして、それに基づいて政策を行なっておりまして、その雇用基本計画で、四十七年から始まる五カ年の新規に学校を卒業して就業する者の数を推計いたしております。それによりますと、中学、高校、大学等、新規に学校を卒業して就業する者は四十七年の三月卒で約百九万人でございましたが、五十一年三月卒で百五万人にまで減少いたします。その後の十年間というお話でございますが、その後につきましてはまだ確たる見通しを立てておりませんが、その後は若干ふえまして百七、八万人くらい、百十万人をちょっと下回る程度で推移するのではなかろうかと思っております。 一方、こういった若い人に対します需要は非常に強いものがございまして、四十七年の三月卒の求人倍率を申し上げますと、中学卒業者で五・五倍、それから高卒で三・二倍でございます。今後ともこういった需給の逼迫は続いていくものというふうに見込んでおります。
○永末委員 いま話がございましたように、中卒で五・五倍、つまり引く手あまた。わが国の経済が構造が変わりましょうけれども、失業者が町に、ちまたにあふれるということはないと思うのですね。出生卒もだんだん下がっていく。そうなりますと、このさなかで隊員を大量に募集するということはきわめて困難な仕事になりますね。対策ございますか。
○高瀬(忠)政府委員 おっしゃるとおり、自衛官の募集は楽ではございません。したがいまして、この募集のための広報、宣伝その他、国民の理解を得る等のいろいろな手段を講じますけれども、そのほかに、先ほど申しました中途で退職する退職者の数を減らすというようなこと。一方では募集をし、一方では退職者の数を減らすというようなことでこの充足をはかっていこうということでございます。 それにはどんなことを考えているかということでございますけれども、先ほど大臣からもお話がありましたが、とにかく自衛隊の魅力化といいますか、隊内生活における魅力化、明朗で快活な生活ができるようにということで、四次防におきましては、特にそれを重点にしていただいておりまして、たとえば隊舎の改善、隊舎の中の面積を広くいたしまして、一段ベッド化にしまして快適な生活をさせるとか、あるいは曹クラスをできるだけ兵舎の外に生活せしめる。その場合におきましても公務員の宿舎を充実する。それから隊内におけるその他いろいろな、図書室とか、あるいは娯楽室とか、そういったものを充実する、あるいは一方におきましては、若い隊員の心理といいますか、隊員は一体どういうことを望むかというようなことをいろいろ検討いたしまして、たとえばアメリカあたりでもやっておりますけれども、雑作業……。
○永末委員 簡単でいいですよ、その内容は。
○高瀬(忠)政府委員 草むしりとか、そういったものはやめさせる。いろいろ改善の施策をしまして魅力ある自衛隊をつくろうということで、処遇改善、環境改善ということに努力いたしたいと考えております。
○永末委員 一たん隊員になられた方に対していろいろ配慮するのは、これは当然のことでございますから、これはやっていただかなくちゃなりませんが、とにもかくにも募集をしなくちゃならぬというので、各地方の地連は一生懸命やっております。しかし、十分なインフォーメーションを与えないでやったのでは、幾ら人を集めましてもいなくなるのでございます。 こういう話を聞いたのです。昨年の秋であったかと思いますが、新潟市の精神病院へ地連の人が一生懸命募集に行きまして、それで軽快者、もう大体これでなおりましたという人を、ある病院から四名も応募せしめて入隊せしめたという話があるのです。これは事実ですか。
○高瀬(忠)政府委員 ただいまお話しの精神病院の患者を入隊させた話は聞いておりませんが、自衛隊の採用におきましては、試験をやりまして、学科試験、身体検査、それから適性検査等を行ないますので、そういう条件にはまらぬ者は事実採用しないということになっておりますので、精神病患者をとったということにはならないというふうに考えております。
○永末委員 よくわからぬような御答弁でございますが、新潟市松浜、松浜精神病院でその事例があったのです。おかしければ一ぺんこの委員会ではっきりと事態を確認してやっていただきたい。定員を増加せい、定員を増加せい、そして内容、減員の充足率はこうこうである、こうやっておると言われるが、その募集については無理があるわけである。したがって、労働省がああいうことを言っておりますから、なかなかむずかしいことは承知しております。だといって、武器を扱う隊員が精神病院から直通で来たんでは困るではありませんか。これ、国民が聞いたらどう思いますか。これははっきりとしたケースでございますから、この病院長にこの委員会に来て聞いていただければわかるし、どの程度の全快の度合いであるか、私は非常に不安を感ずる。そこまでやらなくていいんじゃないか。一度軽快、退院して何年かたって、それから来られるならいいかもしれませんが、その病院まで行って話があって、直通で入隊するということは信じられないのです。信じられないけれども事実があるのである。こういうことは自衛隊として、防衛庁として十分考えなければならぬ問題。長官、こういう事例をどう思われますか。
○高瀬(忠)政府委員 先ほど申しましたように、試験をやりまして採用いたしますので、さようなことはないと思いますが、事実は私、存じませんので、至急調査をいたしましてお答えいたしたいと思います。
○山中国務大臣 もしそのような事実がかりにあったといたしますと、これは募集のあり方において基本的に認識を誤っている点があると思います。ということは、先ほど来私が申し上げてます、国民の最悪の場合の生命、財産幸福、安寧、そういうものを外敵から守る任務にある自衛隊、その任務にある者が、かりそめにも守るべき相手方を傷つけたり、あるいはそれを逆に破壊したりするようなことがあってはならない。しかし、自衛隊も数多い、二十数万の数をかかえておりますから、私、毎日事故報告させておりますけれども、いろいろなエンジントラブルとか、あるいはまた不詳、破廉恥事件等もときどきあるようであります。このようなこともあってはならないことでありますが、最初からそういう正常でない状態の者を入隊させるというようなことは、私は初めからとるべき姿勢ではないと思いますので、事実確認は後ほどやりますが、そのようなことは明らかに行き過ぎであり、誤りであって、してはならないことの分野である、そう思います。
○永末委員 この件につきましては、いま大臣から御答弁ございましたから、防衛二法の審議過程において事実関係を明らかにして、今後の募集についての方針をちゃんと委員会として聞いておかなければならぬ問題だと思いますので、委員長におきましては、そのように御承知を願いたいと思います。
○三原委員長 承知いたしました。
○永末委員 さて、いままで定員がございますが、定員の中における充足率が悪い。その充足率のどこが悪いかという問題。それからもう一つは退職者があるという問題。それらの問題について、だからあわてて募集についても無理があるという問題を論じてまいりましたが、国民が普通の常識でもって判断をしてわからないのは、なぜ定員に欠員があるのに定員増をしなければならぬかということでございまして、その点につきまして私も調べましたが、よくわからぬのでありまして、一体、あなたのほうでつくられております定員規則とか、あるいは、保安隊の組織、編成の訓令ができているようでございますけれども、編成業務訓令であるとか、何とかかんとかいういろいろの訓令がございますね。末端の、たとえば先ほど陸上自衛隊の場合に例にあげました特科連隊なら特科連隊をとった場合に、その最終的な射撃中隊の中でどういうぐあいに曹と士との配分をして、それをきちっとして定員をやっておるのか。それは何を根拠にやっておるのか。それがわかったらお知らせ願いたい。
○久保政府委員 曹と士の間に必ずしも絶対的な区画があるわけではございません。しかしながら、以前と違いまして技術が高度化するにつれて、また隊員の魅力化対策ということも含めまして、漸次曹のクラスが多くなっているということであります。 そこで、定員そのものは、たとえば一門を操作するのについて何名要るという数字が出てまいります。これは、先ほどのたま運びから、射撃手から照準手、それから砲長といったようなことで何名と出てまいりますが、その中の区分と申しましては、比較的単純な作業は当然士のクラスが参りますが、だんだん高度化するにつれて曹になる。しかし、その中間については士でなければならぬ、曹でなければならぬという面はございませんが、その点についてはやはり隊員の優遇という面も考慮して、曹のワクというものを漸次ふやしているというのがいままでの実情でございます。
○永末委員 私の伺っているのは、そういうことではないのであって、あなた、定員増を求めているのでしょう、法案としては。その定員増をなぜ求めておるのだ、欠員がおるではないかという質問に対しては、それは一つのますだからというお話。ますというのはどうなんだろう。つまりすでに大きな箱がございますが、たんすの引き出しみたいのがちゃんときまっておって、ある部隊を編成用で加える場合には、もう一つ引き出しをつけねばならぬという考え方なんだ、あなたのほうは。しかし、実際その引き出しをあけてみると、からっぽなんだな。からっぽというのは言い過ぎですよ。八割とか六割しか入っていないわけだ。それならば、新しい引き出しに入れる隊員をこちら側へ、あるいはこっちからこっちへやればいいとわれわれは思うのです。だから、定員とか編成とかいっておるけれども、どういうことなんだ。われわれが目につくのは、国会に上程されるのは、陸上自衛隊なら陸上自衛隊全体として何名であるか。それからわれわれは、あなたのまとめられておる――あなたがまとめられたどうか知りませんが、内外出版というところの本屋でございますが、訓令において定員関係、編成関係のものを読みますけれども、幾ら読んでも、いまの自衛隊の定員の全体の数、それがきちっとこまかい箱に入れられて一切動かしてはならぬというぐあいには私は映らぬ。動かしてならぬと言われるなら、その理由を伺いたい。
○久保政府委員 私どもの説明は、いま先生が言われたようなことでありますが、ところで、六千九百八十八名の二法案の中の定員増というもののうち海上自衛隊と航空自衛隊については、たとえば艦艇あるいは航空機ができますと、艦艇についてはそれぞれのポストについて何名要るというこまかい積算の合計があります。そういうものの集計でありますし、航空機につきましては、一機当たり何名。これは。パイロットは別にしまして、整備その他を含めて一機当たり何名というこまかい積算がございます。そういうものの積み上げが出てまいりますので、それをワクといたしまして、訓令の中で定員を割り振るというかっこうになっています。 海空の場合は、いま言いましたように、詳細な小さなものの積み上げになりますが、御疑問のところは陸上自衛隊であります。したがって約七千名のうち一千名というものは、約二万五千名の陸上自衛隊の欠員があるのになぜ一千名の増員をするのか、それは動かせないのかという御質問になるわけでありますが、その場合に私どもは、いま申し上げたように、いま御質問の中に出ましたそれぞれの引き出し、それはすなわち部隊というものでありまして、それぞれの引き出しというものが任務を果たしておるわけで、一つのたんすについて、その引き出しが一ぱいになりますと、もう一つの部隊をほしいという場合には、小だんすを置かないと部隊の編成ができない。編成概念の問題かもしれませんけれども、そういった部隊を新しくする。たとえば簡単に一個師団を三個連隊といたしますと、その三個連隊にもう一つ部隊がほしいというときには、一個連隊をくずすと一つの師団としての機能を果たせなくなる。ですから三個連隊をそのままにしてもう一つの部隊を設置したい。そのためには部隊のためのワクが必要である。それが陸上自衛隊のワクである、定員である、こういうことであります。
○永末委員 私どもが伺いたいのは、いまや欠員があることは明らかである。しかもその欠員を充足するについてはきわめて大きな困難がある。といたしますと、いままであなた方が国会にはかって、定員のワクというものをつくってこられました。それが大体実情に即していないのではないか。二万数千名の陸上自衛隊の欠員をこれから充足できるのかどうか、この見通しについては、私はきわめて消極的な考えしか持ち得ない。あるいは、もう千名だ、それはそうかもしれませんが、慢性的に欠員がある。しかも最初その定員を目ざしてつくった引き出しを動かないものとしておいて、もう一つ新しい引き出しをつくりたいのだと言われても、それは前の引き出しを整理しなさい。大体あなた方の考えておる引き出しの立て方自体が間違いではないか。実際にいろいろな努力をしておられて、陸上自衛隊については十五万数千名しか、どうしても出入りがあってだめだというのなら、十五万数千名でもって何ができるかということをお考えになるのがほんとうではなかろうか。その作業を捨てておいて、どんなにからっぽになりましても、新しい引き出しをください、ください、こういう要求は、国民の側から見た場合に、何かやるべきことを果たさないでやっているんじゃないかという感覚にならざるを得ない。いままでできてきた編制は、それぞれの引き出しが任務についておるという御説明でございましたが、任務につき得ない状態だということは、先ほど申し上げたとおりであります。 根本は、欠員充足というのはできるのですか。このことをお果たしになってから、かくのごとく欠員は充足できておる、つまり定員一ぱいである、したがって定員が足らぬのだ、こうこういう事情で久保・カーチス協定によってこういうことにかりましたからという話なら、私ども民社党は、そうかなと思って考えようと思いますが、こっちのほうをそのままにしておいて新しい引き出しの話を持ってこられましても、ちょっと待ってくれ、いままでの考え方自体が間違いではないか、こういわざるを得ない。 長官、これはいままで自衛隊発足以来そういう形でございますが、先ほど私が考え直さなくちゃならぬと言うのは、いまの状態、努力をいたしまして欠員を充足いたします、充足率をふやしますということは、ありきたりのことばですよ。しかし、そのことを前提に、定員一千名増、あるいはほかの増を認めるということをいたしましても、結局、来年も再来年も、四次防終結時も、定員は充足されなんだということになった場合、だれが責任をとるのでしょうか。そのときに山中防衛庁長官がおられるかどうか知りませんが、国民はその分だけやはり税金を払わなくちゃならぬということになると思うなら、この際もし沖繩に自衛隊の配備が必要だということなら、その編成自体を考え直す段階に来ておるのではないかと思いますが、いかがですか。
○山中国務大臣 おっしゃることは確かに私もうなずけます。ただ、ただいま局長が申しましたような編成上の問題と定員充足率とは、やはり別個であろうと思いますが、しかしそれにしても、十八万名という究極の数字は、一次防から唱えられた陸上における目標人員でありますから、これが今回一千名の増員によって達成される、その結果十八万名になるというのは、沖繩の返っていないときの定員でありました十八万名と一致するという、結果においてそうなりますから、きわめて疑問な点が皆さんからは指摘されるだろうと私も思います。 しかしながら、本来ならば、定員を沖繩に一千八百名要るというならば、それは十八万一千八百名というものが定員でなければならないはずでありますけれども、しかし、やはり財政事情なり、あるいは実員に対して支払われる国の経費等の問題もございますから、八百名は高射群等の近代化に伴う要員としてそれを捻出し、一千名については十八万名の定員の中にめり込まして捻出をするという形で今回の定員増をお願いしておる、そういう意味でございます。
○永末委員 やりくりがそれだけつくのなら、全部でもつきますよ。私の先ほどの議論の中心は、いままで訓令できめてきた編成は変えられないのだという前提のもとに増員を言っておられる。そうじゃないのだろう。そうであっても、訓令であり、そこの措置でありますから、変えられる問題ではなかろうか。であるから、現在でも沖繩に配員がされておるのであろうと私は思うわけでございまして、したがって、何が何でも定員増をしなくちゃならぬというのは、もっと別の根拠から来ておる。いま長官いみじくも言われましたように、陸上自衛隊を十八万名にするのだというのは、何も沖繩返還がきまる前からの話でございまして、ずっとずっと、古い古い話ですが、それはそれだ。それは自民党政府の方針だ。しかし、いま沖繩に配員しなくちゃならぬから千名増員をということとは、論理的には関係ない話なんだな。 私どもが問題にするならば、一体陸上十八万名というのは、そのころは陸上自衛隊はいやしませんよ。そしてやりだした。やった結果が、結局、陸上自衛隊については十五万数千名しか確保できない。そしてこれから未来にわたっても、私の見込みでは確保できそうにないというのなら、考え方をお直しになる。その過程において沖繩の配員はできるじゃありませんか。そういう考え方はとれませんか。
○久保政府委員 いまのような御意見がないわけではありませんが、問題は考え方の問題なのでありますけれども、有事の場合にどういう体制で侵略に対処するか、防衛に当たるかということで、私どものほうでは、十八万という体制で防衛するのが最も適当である、十五万幾らということでの防衛ではやはり足りない面が相当に多い。そこで十八万という体制そのものは平素から維持しておきたい。しかし、その充員をどうするかということは、おのずからまた別問題である。外国の例で申し上げれば、たとえばソ連なんかでは、ヨーロッパ正面の第一線部隊は一〇〇%充足する、しかし、後方のいわば予備師団的なものは五〇%、まん中辺のものは七〇%というふうに、段階を分けてやっているところもあるわけでありますが、これは縦深性の非常にある国におきましては、そういうことも可能でありますが、わが国の場合には、一応いまの程度、少なくとも訓練が何とかできる程度のものを確保するということが可能であるならば、いざというときに防衛に当たる体制、すなわち十八万という体制を平素から維持しておきたい、そのための装備は平素から持っておりたい、そういうことになります。
○永末委員 内容の話になりますので、十八万名が最も適当だと思うって、何で適当なんですか。わが国の正面幅、一億の人間がおる、そこへ陸上自衛隊という人が十八万名おる、十八万名なくてはならぬ、一千名欠けてはならぬといいながら、いま十五万数千名しかおらぬのでありますけれども、これは国民が聞きましたときに、なぜ最も適当なのか。国防会議でそんな議論をされたことがございますか。
○内海政府委員 以前の問題を詳しく承知いたしておりませんが、そういうふうな内容にわたる詳細な論議というものは、これは聞いておりません。ただ、しばしば、陸上自衛隊あるいは海上自衛隊、航空自衛隊の実情というものは、防衛庁長官から国防会議に報告をされておりますから、そういう面では、委員たる大臣の皆さんは実情は御存じだと思います。
○永末委員 もう周知のとおりですよ。十八万というのは、昔々、池田・ロバートソン会談の結果はじき出された数字であることは、天下周知の事実ではありませんか。それはそれですよ。われわれは賛成しませんよ。しかし、あなた方の政府はそれをもとにしてやってこられた。その結果が、いまや充足できないことは明らかになったのだから、何のために定員を陸上自衛隊で千名上げることを重要法案だ――重要でも何でもありませんよ。だれかのために重要かもしれませんがね。 そんなことより重要なことは、一体いまの経済情勢の中で、若い青年たちが自衛隊にどれだけ入ってくるのだろう。幹部になる防衛大学校の生徒ですら、四百数十名中六十人もやめていくではありませんか。いわんや、もっと違う条件で、先ほどその一端を申し上げましたけれども、募集されてきた隊員が一万数千名もやめていくという、そこのほうにもっと、日本の安全保障に関する、あるいは防衛庁としてしなくちゃならぬ重大な問題があるのである。そこに思いをいたさずして、いまだに、十八万名あれば最も適当だなんということを言われるというのは、それは考え直してもらわなければ、国民は何をたよりに自分の生命の安全の度合いをはかることができようか。長官、これは考え直すときに来ておるとぼくは思うのですが、長官、どう思われますか。
○山中国務大臣 もちろん日本は志願兵制度でありますから、十八万名の定員をかりに御承認願ったとしても、それを完全に充足することは、おっしゃるとおり、私も先ほど幾つかの要因をあげましたが、なかなか困難な状態であろうと思いますし、志願兵制度のもとにある諸外国においては、やはり同じように、率の違いはありますが、常時定員を充足しておるところはなかなか少ない、そのように私も見ております。したがって理想としては、私どもは、定員を認められたならばそれを予算化し、現実の充足された実人員に足るべき努力を今後も続けていくことは必要である、私はそのように思います。
○永末委員 防衛問題というのは待ったなしなんですね。起こらぬときはまあまあ、ぬるま湯みたいなものですよ。しかし、ほんとうに起こった場合には何ともならぬ。私は先ほど有事即応ということばで申し上げたのは、そういうものであるから、いつでも力が発揮できる状態にしておかなければならぬ。これは昔の戦争と違いまして、きわめてスピードの早い兵器が使用せられているときには勝負は早いですよ。最近のイスラエル・アラブ戦争でも、パキスタン・インド戦争でもきわめて早い。早くなったという意味合いをやはり考えざるを得ない。戦争は望むものではございません。しかしながら、国際情勢の変化、わが国の周辺の力関係の変化において、われわれが裸の状態でそういう変化のまっただ中にさらされることはあり得る。いやなことであっても、最悪の場合を考えて準備をしておかねばならぬ問題だと民社党は考えておるわけです。そのために、いまあなた方のやっておられる内容について、もっと、ど真険にそういうかまえをしてほしい。にもかかわらず、なおなお、いままでのいわば歴史の過程に生まれた発想のもとでものを処置されようとしておられるのは、もはや考え直すべき時点に立ち至っておる、私どもはそう思っておるわけでありまして、そういう角度から私どもは申し上げております。 もう一ぺん繰り返しますが、いままでずっと長い経過のもと、歴代のいろいろな訓令を見ておりますと、防衛庁長官の名前は変わっておりますね。御苦労なすったと思います。その御苦労なすった積み上げの編成というものをこの辺で考え直す御意思がないのかどうか。陸上自衛隊の使い方につきましても、一体、第一線部隊のいわゆる野戦軍の装備、それから訓練、それの用途、そういうことでやっておられるが、そんなものが一体わが国の防衛のために果たすべき陸上自衛隊の主務なのだろうか。外征軍ならそれはそれなりにあるかもしれませんよ。しかしわが国のこの日本列島だけを守るのが任務だ。私はそれを専守防衛と名づけておりますが、その場合には、陸上自衛隊の持つ任務そのものを考え直さなければならないのではなかろうか。それは、いままでの御努力の結果、一億の国民の中で、ともかく十五、六万の人々が陸上自衛隊に席を置いておるその事実を踏んまえて考え直さなくちゃならぬときが来ておると思いますが、長官どうお考えですか。
○山中国務大臣 これは一次防以来の沿革のある定員でありますから、私が就任したばかりで直ちに考え方を改めるということを言明するのにはきわめて重要な問題でありますし、私自身も、いま提起されておる疑問というものについては同感できる点があります。しかし、それはやはり各種の将来の展望においても、充足についではそう楽観できない材料ばかりがそろっておりますけれども、それに対応するための自衛隊のあり方、あるいは募集のあり方等も含めて、やはり私たちの努力をまずやってみるということが前提であろうと思います。
○永末委員 最近、防衛学会ができましたが、防衛学会はこんなことを研究するところですか。
○大西政府委員 防衛学会は、主として防衛研修所の職員並びに卒業生、それから研修所に来られました講師の方々に呼びかけまして、防衛についての基本的な研究をする好学の士の集まりであります。したがって、講演会を行なったり、あるいは論文集を出したりするというような活動でありまして、一口に申しますと、同窓会であるということがいえるのではないかと思います。
○永末委員 防衛学会と名前をつけられるからには、やはり広くいろいろな学者をお集めになるのがいいのであって、いままでのわが国の防衛問題、防衛の環境で、先ほど防衛庁長官がなぜ一体自衛隊に魅力がないかということについて触れられましたが、防衛学会をああいう形でつくっておるところにもやはり問題がありますね。それはいろいろ意見の違う人があっていいのであって、非武装論者もおっていいのです。いろいろな人がおっていいのです。もっと広く開いて人を集めなければ、同じような考え方の人を集めて何か結論が出たって、国民の支持を受けない限りわが自衛隊は力にはなり得ない。国民の支持を受けるならば、たとえ見せかけは非力のようでございましても断じて負けることはないのでございまして、その辺のやはり発想の転換をしてもらわなければならぬと思います。その意味合いで、もちろん防衛学会はあなた方の所管であるかどうか知りませんけれども、あんなものをつくって何か学問的な雰囲気を持っているようなぐあいにやられて、国民はそれは承認しませんでしょうね。学会というのは、どこの学会だって、少なくとも学会ということばを冠するものは、どんな意見の違いがございましても、学説の違いはございましても、全部が入れるオープンのものですよ。それを縮まった形で人を集められて学会という名前を冠しているのは、ほかのいままである、新聞学会であれ、社会学会であれ、あるいは医学学会であれ、そういう学会とは違ったものだとわれわれは印象を受けるのでございますが、御見解を承りたい。
○大西政府委員 防衛問題についての論議の土俵を少しでも広げたいというような気持ちがございますけれども、最初から大きなふろしきを広げるということでなくて、やはりじみちに実績を積み重ねて、逐次ただいま先生が御指摘になりましたような方向に発展をしていけば、たいへんけっこうではないかと思っております。
○永末委員 十二時になりましたので、大体午前中のお約束でございましたから、私の質問終わらなければなりません。 長官、防衛問題というのは、何は差しおきましても、政府がこの問題に責任をちゃんととっておるということを国民にわかっていただくようにつとめていかなければ、決して国民の問題にはなり得ません。 過般のもう過ぎ去ったことで、口を差しはさむつもりはあまりございませんけれども、予算委員会で、平和時の防衛力の限界などと称して一見解を示して、二週間もたちますと撤回せしめられるような状態、そういうことはいかぬのでございまして、先ほど申しました引き返しがきかぬ問題です。したがって、これから新任長官、いろいろなことをお考えでございましょうが、十分に練り上げてやっていただきたい。 きょうは国防会議の事務局長、おられますが、防衛体制そのものにも政府部内で問題がある。国防会議の位置づけ、それから防衛庁のやっておられること、それに問題があるのでございまして、それらの問題は、もう少し時間をいただければ幾らでも御質問申し上げたいのでございますが、合理的にわれわれのからだのことも考えなければいけませんので、先ほど申し上げました二点の留保をいたしまして、基本的に日本の防衛の問題点があるということについての防衛庁長官のお答えをいただければ、一応その留保をいたしまして質問を終わります。
○山中国務大臣 これは、その国の防衛力というものが国民の理解と協力を得られないということであるならば、これはもう無意味に近い、私もそう思います。したがって、国を守り、自分たちの家を、家庭を、そうして生命、財産をという問題に対して、だれが守るのかということについての自衛隊としてのあり方、これはやはり、いやしくも自衛隊自身が、一隊員に至るまで、末端の駐とん地に至るまで、地域住民たる国民との間に十分に、だれのための自衛隊であるかという問題が、自分自身の行動によっても証明されるような、日常を含めた理解を得るための努力を全体として進めてまいりたいと考えます。
○三原委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時八分休憩 ――――◇――――― 午後二時二十分開議
○三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
○横路委員 これからの質疑の中で私がお尋ねしたいのは、一つはリチャードソン国防報告に基づいて、核についての十分性、それから総合戦力構想というのがアジアにおける戦略としてどう出てくるのか、とりわけ日本がそれにいかにコミットしていくのかということを中心に議論をするのが第一点であります。それから、過般問題になりました増原発言なるものから、天皇と自衛隊、並びに天皇と憲法という問題についてが二点目。それから三点目は防衛医大の関係、とりわけ昔ありました七三一部隊と現在の自衛隊のCBRの関係についてお尋ねをしたいと思います。この三点を質問する予定でありますので、ひとつ委員長におかれましても御配慮をいただきたいというように思うわけであります。 そこで、まず第一点としてお尋ねしたいのは、今回のリチャードソン国防白書によると、シビリアンを含む国防関係の人員というものは、一九七四年には三百二十万人となって、ベトナム戦最盛時の四百八十万人をかなり大幅に下回る。また国防支出そのものも、額としては巨額な額でありますが、八百五十一億ドルということで、これも最盛時の六八年の千百三十四億ドルに比べてかなり減少する。そんな意味では、拡大から縮小へというふうに見られないこともないわけでありますけれども、ただ、しかし一方、戦略核兵力というものはその現状を維持して強化、開発をはかるということで、ICBMの関係では旧型のミニットマンを新型にかえる、あるいはSLBMの関係では新型のトライデントの開発ということで、この基本になる現実的抑止戦略といわれるものは、やはり軍事力が強力であるということが前提になっている。そんな意味では、アメリカのこれからのこの政策の基本というのは、軍縮というよりはむしろ軍拡の論理そのものに立っているんじゃないかというように考えられるのですけれども、その辺のところは長官はいかにお考えでしょうか。
○山中国務大臣 アメリカはあれだけベトナムで長い間の、いわゆる私らから見るとどろ沼戦争的な戦いをやったわけですが、結局は、戦闘における勝敗をきめるつもりであるならば、核兵器が使用できれば簡単であったと思いますけれども、しかし、使用できない状態のままに、栄光の撤退といえない撤退をせざるを得なかった、こういうことから考えまして、やはりアメリカの戦略構想の基本は、核兵器の優位性というものを、一応これは米国と主としてソ連でありましょうけれども、そういう優位性というものを保持することには今後も懸命になるだろうと思うのです。 しかし、核の問題のみにおいて勝敗を決するということは、これは実際上の想定としては立てにくい問題であって、いわゆるバランスの問題にすぎない。したがって、やはり極東戦略なり国際戦略の場合において、ヨーロッパのNATOにしても、アジアにおける各国との安全保障関係の条約にしても、これは堅持していくであろうし、一定の核以外の装備というものは保持し続けるであろう、そういうふうに見ております。
○横路委員 結局、その現実的抑止戦略というのは、一つは戦力、軍事力ですね。もう一つは責任分担や地域協力、もう一つは交渉という三本立てになっていると思うのです。いまお答えにならなかったわけですけれども、結局、いま戦略兵器の縮小の交渉そのほか行なわれておりますけれども、問題としてはわれわれがどんなぐあいにとらえるのか。つまり、これからの米ソの軍事的な方向をどうとらえるかという意味では、縮小じゃなくてやはり拡大だというふうにとらえるべきじゃないかと思うのですが、その辺のところどうでしょうか。もしあれでしたら局長からでも……。
○山中国務大臣 全体としてはアメリカは、第二次大戦以後の東西対立の冷戦構造、そういうものについては、みずからがいまワシントンにおいてソ連のブレジネフ書記長と会談もしておられるような状態でございますから、外交政策その他の問題においては、やはり緊張緩和の方向に外交的には向いていると思います。したがって軍事に先行するものは外交である、当然そうでありましょう。 しかしながら、局地的な視野から見るならば、アメリカとして、核抑止力以外の分野においても、それぞれの関係における自分たちの地域的な抑止力というものは確保し続けるであろう。その意味において、アメリカが軍拡の方向に向いているのか、軍縮の方向に向いているのかということであれば、全体としては私は軍縮の方向に向いているのではないかと思いますが、しかしこれは、戦術兵器その他がどんどん戦略兵器が変わってまいりますから、はたしてそれが、予算とか、あるいはまた弾道弾等の保有数とか、そういう問題のみによって律せられるかどうか。多核弾頭等の問題もありますし、なかなか簡単にはきめがたい問題ではないかと思います。
○横路委員 よく防衛庁のほうでは、戦略的な抑止力というのは、アメリカの核のかさ、これに依存するのだというようなお話があるわけでありますが、一九七〇年の英国の戦略研究所の報告によると、これはICBMを中心にきっと発表しているのだろうと思いますけれども、ミサイルの精密化、つまり命中率あるいはその範囲というのは精密度が非常に高くなったので、いわゆる第一撃力で報復の力というものをこわすことはできる、そんな意味では抑止力というものがなくなってきているのだというような報告をしているわけですけれども、この辺のところはどのようにお考えでしょうか。
○山中国務大臣 それぞれ各国においてそれぞれの国の見方というものがあると思うのですけれども、アンチミサイルミサイルというようなもの等も、やはり相当お互いに制限もし合っておりますが、発達もしているということを考えると、一撃ですべてが勝負がついてしまうということは、簡単にそう言えないのではないか。しかし、米ソ両国を例にとってみても、地球上の全人類を二十数回全滅させることができる核能力を持っているのであるとすれば、これはまさに現実的にはあり得ない状態のままで推移していくだろう、そういうふうに見ております。
○横路委員 核というのは、これは使われないのだ、こういう前提で実は日本の基本的な防衛構想というものができ上がっているだろうと思います。それがいわば核のかさなる考え方だろうと思うのですけれども、私はその考え方というものは実は非常にきわめて危険じゃないかというように考えるのです。 そこで、ちょっとこれは専門的なことですから、防衛局長のほうからお尋ねしたいと思いますけれども、いまアメリカの核の場合、ICBMそのほかポラリスを含めてずいぶんありますけれども、大体ソビエトに対する攻撃目標というのはどのくらい設定されていますか。また、どのくらいの個所を破壊するだけの力というものを持っていますか。
○久保政府委員 アメリカの場合には、ソ連の攻撃目標というものを精密に設定をしていると思います。しかしながら、もちろんその内容は私どもにはわかっておりません。ただ、マクナマラ国防長官のころにいわれましたことは、人口の三分の一、工業生産力の二分の一を破壊できれば、これは保証された抑止力になり得るという発想でありました。その後いわゆる十分性、核の抑止力としての十分性という思想が出てまいったわけでありますが、どうもいろいろな資料を見ておりますると、そういった十分性の内容というものは、マクナマラ当時否定されたといわれる保証された抑止力、破壊力というもの、つまり人口の三分の一、工業生産力の二分の一というものはそう大きくは変わっていないのではなかろうか。つまり第二撃の能力としてそういうものを持っているということは、そう大きく変わっていないのではなかろうかというふうに私は観測いたしております。
○横路委員 アメリカの戦略核兵力ですね、ICBMの場合には千五十四トン、これにSLBMそのほか戦略爆撃機その他入ってくるわけですけれども、一応そういうことからいって、どのくらいの目標を個所としては設定し得るのか。いま現実にどれだけの破壊力を考えているかということとは別に、MIRVの関係その他を考えたら、個所という表現はちょっと精密ではないかもしれませんけれども、一応どのくらいの地域としては破壊し得るのか。
○久保政府委員 これはアメリカがどういう攻撃目標を持っているかということを別にいたしまして、攻撃能力、つまり第一撃を受けないで、こちらが先に第一撃を加えた場合の能力というのは、アメリカの上院議員お二人がテレビでアメリカで討論されたことがありますが、そのときの数字を引用しますると、アメリカの場合大体五千という数字だったと思います。これは昨年であったと思いますけれども。したがって、物理的な数字の面だけからいけばそういう能力があるということでございます。
○横路委員 この攻撃目標ですね、一般的には第一撃力というのは、相手方の大陸間弾道弾の基地、つまり核基地、第二撃力というのは都市とか工業地帯、こういわれているのですけれども、その攻撃の目標というのは、いまありましたようなぐあいに理解をしていいんでしょうか。つまり、都市とか工場地帯を含めていま五千くらい能力があるというお話でしたけれども。
○久保政府委員 五千というのは戦略核兵器の弾頭の数であったろうと思います。したがいまして、これはいま第一撃能力と第二撃能力とお分けになったそれぞれに五千という意味ではありませんで、とにかくこちらのほうのポテンシャルな能力は五千ある。したがって、現実には相手方から第一撃で打たれて残ったもの、これの数量的なものは私どもは知っておりませんけれども、その残りの兵力で、先ほど申し上げたような、これはいま御質問にもありましたような、第二撃の対象になるような都市でありますとか、戦略目標でありますとか、そういったところが攻撃される。その場合の人口あるいは工業生産能力ということが、ほぼ従前と近い数字がまだ残されているというふうに見ていると思います。
○横路委員 ソビエトも全く同じである、逆にですね。裏返しで、同じような大体目標を持ち、能力を持っているというように理解してよろしいでしょうね。
○久保政府委員 ソ連の面につきましては、情報その他一向に入ってまいりません。ただし、御承知のように、たとえばICBMを見まして、ソ連が七三年の中ごろで千六百くらいと見られています、アメリカは千五十四ですから。それからミサイル潜水艦にいたしましてもアメリカを凌駕しようとしているというように、発射体そのものから見ればソ連のほうが大きいのと、それからいま数字を持っておりませんけれども、都市のたとえば五十都市をやればその国の人口の何割を攻撃し得るかというデータがあります。それから見れば、言うまでもなく、ソ連の場合には非常に疎でありますしアメリカは密であるということで、その面のバランスからいうとソ連のほうが多いような感じがいたします。 ところが、これもそういう意味でアメリカで議論になるわけでありますが、ただ、MIRV化というような問題、それから精度の問題、こういうようなことでほぼとんとんであろうということでありますから、また米側で最近いっておりますように、妥当な十分性ということを米側が持っているという意味、それから妥当なバランスを維持しているという意味からいうと、大きくいえばソ連もそう米側とは違わないのではなかろうかというふうに見てよろしいんではないでしょうか。
○横路委員 ちょっとその目標のところを聞きたいのですけれども、第一撃力として目標になり得る一番その可能性の強いのはどういうところですか。
○久保政府委員 それは相手方のICBMの基地等であろうと思います。
○横路委員 その等というところを、もうちょっと詳しく……。
○久保政府委員 ICBMの固定サイトが目標になっておることは間違いありませんが、その他私どもでわかっておりませんのは、たとえばミサイル潜水艦の基地などがその攻撃目標に入っているかどうか。それからソ連の立場からいえば、アメリカの戦略爆撃機、B52の基地などが攻撃対象になっているかどうか。その辺は情報としては私は存じません。
○横路委員 ただ、アメリカ本土以外にも、そういう意味では核攻撃の目標になり得る、つまりICBMそのほかアメリカの核戦力、一つの核システムの中で、これは対象になり得ることも可能性としては考えられますね。
○久保政府委員 全般的な配備から申しますと、ICBMは当然大陸間でありますから米ソ間でありましょう。そういたしますと、残っているものがMRBMあるいはIRBMでありますけれども、これはソ連にとって漸減をいたしておりますし、いまSALTの問題でも取り上げられつつあるやに聞いておりますが、IRBMもしくはMRBMですと、たとえばソ連からいえば、その近隣諸国、ヨーロッパであれ、あるいはアジアであれ、到達するわけでありますから、MRBM、IRBMを持っている以上は、そういう攻撃対象があるといわざるを得ないわけでありますけれども、大勢としてはだんだんと減少しつつあるということはいえるかと思います。
○横路委員 ICBMばかりじゃなくて、潜水艦ですね、SLBMの関係、それから戦略爆撃機の関係、これらの基地も当然これはアメリカの核抑止力を構成しているわけでありますから、ソビエトからいうと当然これは対象になるように考えてよろしいと思うのですが、いかがですか。
○久保政府委員 実証された情報は持っておりませんが、考えてみればおっしゃるようなことであろうと思います。
○横路委員 具体的な問題については、もう少しあとでお尋ねするとして、いまお話の出てきた十分性ということですね。核についての十分性ということの重点というのは、どのように考えたらいいのか。
○久保政府委員 十分性の重点と言われますとよくわかりませんけれども、要するに、相手方から第一撃を受けた場合に残存兵力、残存の核戦力があるということ、つまり非脆弱な核戦力が残る、それによって相手方を第二撃として攻撃し得る力、そういうところ、つまり残存性というところに重点があろうかと思います。
○横路委員 つまりそういうことなんで、ICBM、それからポラリス型の潜水艦の問題を考えてみると、非脆弱性という意味では、中心というのは、どうしてもこれから潜水艦によるSLBMの関係に重点が置かれていくというように十分性の中身というのを理解していいと思うのですけれども、それでよろしいですね。
○久保政府委員 アメリカの発想の場合に、特にこれにのみ重点を置くということになっていないようであります。いろいろな議論があることは承知いたしておりますけれども。したがいまして、ICBM、SLBM及び戦略爆撃機という三つのものに重点が置かれているということは言えると思います。しかしながら、非脆弱性という点でSLBMが非常に重視されていることは間違いございません。
○横路委員 つまり、第一撃力よりもやはり問題は、第二撃力をいかに強化するかという意味で、十分性の中身をいま言った非脆弱性という点からいうと、やはりSLBMの関係が重点だろうというように私どもは思うわけです。 そこで、戦略核兵器の運用にあたって、もう一つ今度のリチャードソン国防報告の中に言われているのは弾力性ということじゃないかと思うのです。この弾力性というのはアジアに対する戦術核の配備の問題ですね。米ソ間の戦略核というのがある意味では均衡したという中で、NATOについて考えてみると、NATOでは戦術核の配備というのは非常に重視されているわけです。アジアにおいても、中国の動向そのほかとの関連があるのでしょうけれども、いずれは重点というのは、アジアに対して戦術核の配備にも置かれてくるんじゃなかろうか。弾力性、つまりある意味では十分性の中身でもあるわけですけれども、当然このことを考えなければならないんじゃないかというように考えるのですが、その辺のところはいかがなんですか。
○久保政府委員 いまの弾力性というお話は、戦略的に申せばアメリカの柔軟反応戦略につながる問題であろうと思います。その場合にヨーロッパでは、アメリカの戦術核兵器がヨーロッパにおける戦力の均衡及び抑止力として非常に重要な役割りを果たしていることは間違いがございません。 ところで、アジアについてどういう意味を持つか、たいへんむずかしい問題であるように思います。やはり柔軟反応戦略を持つ以上、あらゆる事態に対処し得る能力を持つということが米側の基本的な戦略でありますから、太平洋にも戦術核兵器が置いてあろうと思いますけれども、さてそれがどのように使用されるかというその度合いの問題について言いますと、ヨーロッパでは戦術核兵器を除いてはNATO側の戦略は成り立たないように私は思います。しかしながらアジアにおいては、戦争の様相、侵略自体の様相というものがヨーロッパと違います。すなわち、国内問題、あるいはいわゆる分裂国家と申しますか、そういったような問題、そういうことを中心にして国際緊張を招いているというような問題があります。そこで、米国のいわゆるトータル・フォース・コンセプト、総合戦略構想というものが生きてまいるわけでありまして、そういう場合にアメリカの戦術核兵器がどの程度働くであろうかということは、これは人によって見解を異にしましようから必ずしも断定しかねますけれども、アジアにおいては戦術核兵器のウエートはヨーロッパに比べてだいぶ軽い。片やニクソン・ドクトリンを実施する意味においては、戦術核兵器の使用の敷居を低くしたという意見がないではありませんけれども、全般的には、私は以上申し上げたような感想を持っております。
○横路委員 そこで、総合兵力構想に入るわけですけれども、リチャードソン報告の中で言っていることは、アジアの場合考えられるのは、前にレアード国防長官が四段階の戦争抑止ということを七一年あたりの国防報告書であげておりましたけれども、その中の(4)の準正面ないしは局地戦争の抑止ということだろうと思うのですが、補給支援あるいは空、海支援、必要とあらば地上軍介入ということだったのですが、今回の場合、必要な戦闘支援というように表現が若干やわらいできているわけであります。ベトナム戦争についてのアメリカ自身の反省から来ているのでしょうけれども、この辺の、必要な戦闘支援というように、前の地上軍介入という方針から若干後退というか、方針を変えたかのようにこの国防報告を読むと感じられるわけですけれども、この辺のところは、防衛庁としてはどのように認識されておるのでしょうか。
○久保政府委員 七一年の国防白書の中では、米国の海、空軍が支援する度合いというものをウッドということばを使いました。そして地上兵力はクッドということばを使ったわけでありまして、海、空の兵力と地上兵力との支援の度合いというものを微妙に異にさせたわけであります。 その後やはり、ニクソン・ドクトリンが進み、米側としての、たとえば南ベトナムあるいは韓国に対する軍事力の近代化というものが進んで、なるべく地上兵力による介入を避けたいという全般方針があることは間違いがないと思いまするけれども、しかし、いま言われましたように、七一年当時と今日とをことさらに区別して表現をしたのであるかどうか、必ずしも私はまだ明確でなくて、米国としては、地上兵力による支援 もちろんいろいろな条件がありましょうけれども、そういう条件が満たされた場合の地上兵力の支援ということは、やはりいまだあり得るというふうに判断をいたします。
○横路委員 アジアからの米軍の撤退の状況というのは、予測されていたよりも非常に早いテンポで進んでいるわけですけれども、そこで、そういう十分性ないしは総合兵力構想といわれる中で、アジアの中で日本に課せられる役割りというのは一体何だろうかということなわけであります。ニクソンが七一年の外交白書で、諸国の防衛というのは第一にその当該国の責任で、第二には地域の責任であるということで、当該国並びに地域の問題というのが提起をされているわけですが、これらの問題について、詳しい中身は楢崎議員のほうから問題として提起をされるわけでありますけれども、こういうニクソン・ドクトリンというものがある意味ではアメリカの軍事戦略としては定書をしてきているわけです。ただ、その基礎はやはり、戦略核というのがむしろ拡大の方向、たとえばMIRV化その他で巨大化されていっているということですが、ベトナム戦争を含めて、アメリカのアジア戦略というものが大陸から一歩後退をして、グアムに戦略基地というのがあるわけでありますけれども、アリューシャンから日本列島、あるいはフィリピンというような、列島防衛線みたいなかなり昔の構想があったわけでありますけれども、一歩後退した形で、戦術核の配置そのほか含めて、アジアにおけるアメリカの戦略というものを、あるいはその戦略の配置、配備というものを考えていこうというような構想じゃなかろうかというようにも、このリチャードソン報告を読むと考えられるのですけれども、韓国、南朝鮮からの撤退の状況を含めてその辺のところをひとつ……。
○久保政府委員 アメリカといたしましては、アジアを放棄するつもりはいまのところないようであります。したがいまして、アジアを維持する、アジアにアメリカが関与をしているという情勢を続けるためには、米軍を存在させなければならない。しかも、アジアの確保というものが、米軍の存在というものがアジアの安定につながるという認識を持っているように、これは私ども観測をするわけでありますが、そういう観点からいたしますると、アジアについて具体的かつ明確な安全保障の構造といいますか、そういうものの見通しが立たない以上は、大きく米軍の存在を薄くすることはないのではなかろうかというふうに見ます。そういたしますると、いまの韓国の問題にいたしましても、現在おりまする陸軍の一個師団の撤退というのがよく口の端にのぼりまするけれども、あと二、三年というものは、これは少なくとも撤退の見込みはない。それでは二、三年がたてば撤退するだろうかといいますと、それもそういう見通しはない。それからタイなどにつきましても、インドシナ半島の安定度合いによって若干の増減はあろうと思いますけれども、これまた非常に大きな撤退がタイで近く行なわれるであろうという見通しはないのではなかろうかということで、確かにインドシナ地域におきまする米軍の大幅な撤退ということはございましたけれども、その他の地域については、漸減するであろうという見通しは持っておりまするけれども、ここ数年の間に大きな変化があるであろうというふうなことはどうも考えにくいというふうに観測をいたしております。
○横路委員 総合兵力構想については、あとで関東集約化計画と関連して若干またお尋ねをしたいと思いますが、ともかく、いまニクソン大統領とブレジネフ書記長が、第二次の戦略兵器についての縮小交渉をアメリカで行なっておるようでありますけれども、どういうことになりますか結果はわかりませんが、いずれにしても、膨大な数の核兵器というものを米ソ両国が持っている。先ほどの御答弁にありましたように、アメリカにしても、ソビエトにしても五千カ所くらい攻撃する能力というものを持っている。当然これは、戦略爆撃機にしても、ポラリス潜水艦にしても、ICBMにしても、それぞれの目標というのは設定をされて、指令さえ行けばその目標に向かってもう自然と到達するような仕組みにシステムとしてなっているわけですね。われわれよく、核のかさ核のかさ、こう言うわけでありますけれども、実はそういう非常にあぶない橋の上に立っている。その戦略の中に実は日本は日米安保のもとに組み込まれているのだということを正直に国民の前に話すことから、日本の国のある意味では軍事論争といいますか、平和をめぐる議論というのはほんとうに成り立つのじゃなかろうかというように考えるのですけれども、その辺のところ、山中長官いかがですか。
○山中国務大臣 ニクソン・ドクトリン以来の方向としては、やはりおっしゃったように、全体的にアメリカが世界の自由主義諸国の守護神と申しますか、憲兵的な役割りを直接果たすことについては逐次下がっていく傾向にあると思います。しかしながら、かといって日本がアメリカあるいはその他の国々との間において相互に連携して、それを補完する役割りが果たせるかといえば、日本の場合は、他の近隣諸国と違って、憲法の制約、それに伴う非核三原則等ももちろんありますし、あるいは攻撃的兵器の渡洋爆撃機みたいなものも持たないということになっておるわけでありますから、日本の場合にはそれに対応する役目を分相し得ない、そういう制約を持っておりまするので日本はそのワク組みの中で動いておるのではなくて、日本自体としては動き得る範囲はおのずから定められているのであって、それを踏み出すことは日本自身ができない、そのことはアメリカ側においても理解されなければならないし、理解はしておるものと私は思います。
○横路委員 アメリカの核のかさのもとにあるということは、ソビエトの核のかさのもとにあることと実は同じなんで、つまり日本自身が核を持つとか持たぬとかいうことじゃなくて、安保を通していわばアメリカの核に依存をするという体制そのものが実は――たとえば五千カ所を攻撃する能力があるというわけでしょう。ソビエトについてもアメリカについてもある。西ドイツのある雑誌が、そういう場合の攻撃目標について、ヨーロッパのどこが攻撃目標になっておるかというアメリカのほうの目標を明らかにして、西ドイツの議会で大問題になったことが前にございましたけれども、少なくともこれは、ソビエトのある意味では攻撃目標の中に日本だって入っていないということはないわけでありまして、そんな意味ではそういう危険性がある。五千カ所お互いに攻撃し合うだけの力を持っている。そのことは、われわれ簡単に核のかさに依存するとことばで言ってしまうけれども、実はある意味で非常に大きな恐怖といいますか、そういうものの上にわれわれが依存をしてしまっておるのだということです。そこら辺のところを皆さん方はあまり説明なさらないわけだけれども、そこのところを説明するところから、日本の平和をめぐるいろいろな議論というのも、実はほんとうに行なわれるのじゃなかろうかというように私は考えるわけですけれども、その辺のところを、どのように長官はお考えですかということです。
○山中国務大臣 核は確かに恐怖だと思うのです。しかしそれが、核兵器の多様化なり、あるいは質の向上に相互に努力しているからといって、日本が非常に恐怖の中にさらされているのではなくて、そういう抑止力というものが日本にはかぶっているために、日本の地域に対して一方的に、何も持たないものに対する攻撃というものがあり得ない状態、したがって平穏無事であること、そのことは、安保条約、あるいは日本の持ち得ざる戦力というようなものを依存していることによって平和が保たれている。したがって、安保条約というものが実際上において発動されない、いわゆる世界戦略的に発動されない状態というものが最も望ましい安保体制ではないか。したがってこのことが間違っているとは思いません。
○横路委員 B52戦略爆撃機の水爆を、いまやっているかどうかわかりませんが、昔やっていたパトロール機が間違って落としたりいろいろな問題が発生して、間違って核戦争になる危険性というのは、いつも世界のいろいろな識者から指摘をされているわけです。そこで、どうもまだ理解が不十分なようなんですが、いま米ソが持っている核だけ見たら、全世界の国民一人当たりにして一体どのくらいの破壊力になりますか。
○久保政府委員 もうだいぶ前でありましたが、一人当たりTNT火薬に換算して十トンといわれたと思いまするし、全地球の人口の五倍を殺す能力を持つというふうにいわれたことがあると思いますが、しばらく前でありますので、最近のデータは存じません。
○横路委員 たしかいまから五、六年くらい前の数字だと思いますね。あれから比べて、MIRV化そのほか進んでいるわけでありますし、ソビエトあたりのICBMの数がふえていることから考えても、相当膨大な破壊力をお互い持っているということですね。私はほんとうはそのことをぜひもうちょっと率直に国民に語るべきじゃないかというように思いますけれども、そこで、ひとつこれから皆さん方に、オメガシステムのことについてお尋ねをしていきたいと思います。 オメガというのは、何かギリシア語のアルファベットの最終の文字がオメガということで、超長波VLFによる長距離双曲線航法システムということで、航法システムですね、そういう中での最後のという意味だろうと思うのですけれども、これがいま対馬に建設中なわけであります。それの官庁は海上保安庁ということになっているんで、海上保安庁の方来られていますか。少しお尋ねをしていきたいと思いますけれども、このオメガの設置ということ、これはどんな経過で最初はいつからですか。
○横田説明員 お答えいたします。 この話は四十一年ごろから電波標識に関する一つの情報といたしまして、戦後、日本で米軍から引き継ぎましたロランAのさらに発展したものとして、アメリカのハーバート大学のピアス教授が開発しておるということを、ノルウェーのほうからデッカの情報とあわせて聞いたものでございます。そういう関係で、純粋な電波標識の一つ、ロランAにまさる標識の一つだ、こういうことでございます。
○横路委員 四十一年からですか。その後のアメリカの海軍との交渉はどこの官庁がおやりになったのですか。
○横田説明員 電波標識に関する技術的な情報として聞いている程度でございまして、正式に外交ルートに乗りましたのは、外務省を通じてごく最近のことであります。
○横路委員 それはいつですか。何年ごろからですか。
○大河原(良)政府委員 昭和四十四年ごろだったと思います。米側から話がございまして、その後ずっと交渉いたしまして、四十七年の八月にこの話し合いがまとまって公表されたわけであります。
○横路委員 アメリカ側からの話というのはどんな話があったのですか。
○大河原(良)政府委員 ただいま海上保安庁からもお話がございましたように、ロランAにかわる新しいナビゲーショナルシステム、航海上のシステムということで、新しいオメガシステムというものの開発に伴い、これを関係の国々と話を進めていきたい、こういう趣旨のことがあったわけであります。
○横路委員 これは最初に一九七一年の十一月にワシントンでオメガシンポジウムというのが行なわれていますね。これに日本からも参加しているようですが、主催はどこで、日本の場合はだれが参加しているのですか。
○横田説明員 ちょっと私は七一年のことは記憶しておりません。
○横路委員 これはアメリカの海軍の主催で、日本のほうでは、これはどこの人でしようか、山誠芳郎さんという方ですね。これは保安庁の関係じゃないですか。
○横田説明員 私のほうの燈台部の電波標識課の職員でございます。技官でございます。
○横路委員 きょうから三日間ワシントンで会議が開かれているでしょう。これは主催は何で議題は何ですか。
○横田説明員 主催は、オメガ運用システムが完成した場合におきまして、その運用をつかさどります米国のコーストガード、それからそのシステムの開発を担当いたしまして、米国内における施設の建設を担当いたしております――これは米国の場合には、こういう長距離援助航行システムは米海軍が開発した、こういうような制度になっております。その関係で建設、開発を担当しております米海軍のオメガシステム・プロジェクト・オフィス、この両方の主催になっておるものでございます。 それで討議される問題は、各国のオメガ局の建設の進捗の状況。それから、今後、建設を終わりましてから主要な機器につきまして部品の補給等の問題がございますが、こういう問題をどうするかということ。それから受信機の製作、これは各国で自由にできるようになっております。全くのオープンでございます。そういうもののユーザー対策がどのようになっているか。最後に、八局が出します電波の発射に関する時間スケジュールに関する問題。こういう問題について、純技術的なレベルにおける、私は専門家でございませんが、そういうほうの専門家の会議であります。
○横路委員 きょうから三日間開かれる会議の中身についてはまたあとでこまかくお尋ねしたいと思いますが、このオメガの一番大きな特徴というのはどういう点にございますか。
○横田説明員 御承知のように、遠距離電波航法システムといたしましては、現在世界ではロラン、これが大体昼間で七百五十マイル、夜間の場合には、空間波の利用によりまして、いろいろと乱れはありますけれども、約千五百マイルということでございます。そしてその局数は全世界で七十局余にのぼっておりますが、なおかつ北半球の一部をカバーするにすぎません。すなわち、地球上で船舶、航空機が航行を要する海洋の約一五%しかカバーしてないわけでございます。ところが、このオメガシステムは米国だけが研究したわけでございませんので、英国においてもデッカシステムをつくりましたデッカ・ナビゲーション・カンパニー、あそこにおいても前々から検討されているものでございまして、地球上に超長波を利用した局を六局ないし八局置局すれば、それでもって全海洋、空をカバーできる。こういうふうなことで、わずかの局でロランAとほぼ同じ精度でもって地球上の船舶、航空機の位置確認ができる。しかもその受信機の価格も、大体において両三年すればロランAと同じ程度の数十万円で入手できる。日本の場合には特に七千隻余のロランAを使っている漁船がございますけれども、これらの漁船プラス三千万トンの商船隊が助かる。こういう点からの長所があるわけでございます。
○横路委員 それだけですか、オメガの特徴というのは。
○横田説明員 私どもは航路標識業務を扱っておるところでございます。航路標識業務は、御存じのように、光波、おなじみの灯台でございます。それから、視界の悪いときにやります霧信号、音波標識でございます。それから電波標識。これも航空機はたまたま利用できるわけでございますが、海上保安庁でございますので、いかなる国の船舶に対しても利用できるような施設であるということでこれをやっておるわけでございます。
○横路委員 あなた、先回りされていろいろと御発言されていますけれども、オメガの超長波の特徴は何なのか。アメリカ海軍が開発した最大の動機というのは一体どこにあるんですか。肝心のことをお答えになっていないでしょう。
○横田説明員 私が先ほど申し上げたとおり、ロランAでカバーし切れぬ。全世界に七十局余ありまして、そのうちで米国が五十局ばかり自営しておりますけれども、国内、国外含めまして、これらのたくさんの局にたくさんの人員、すなわち一局当たり十三、四名の人間がいるわけです。ところが今度の場合には、全世界で八局になるわけでございまして、わずかの局で、同じような精度で、かつ一〇〇%カバーできるという点に着目したと私は信じております。
○横路委員 あなたがどう信じようとかってなんですけれども、アメリカの海軍がこれを開発しようとした最大の動機は何なんですか。これはずっとやってきているのは海軍なんでしょう。設備だって全部海軍でしょう。
○横田説明員 私が承知しておりますところでは、米国におきましては、先ほども申し上げましたように、長距離、遠距離電波標識の開発研究の業務は海軍の所掌となっておるわけでございます。その関係だけのことでございまして、それ以上のことは何ら私は承知しておりません。
○横路委員 あなた、このオメガシステムが開発されてきた経過というのを御存じないようですね。私、たとえばさっきの七一年のシンポジウムのレポートを読んでみても、もっぱら何が特徴であるかというと、この電波が海中に深く到達することができる、大体五十フィートないし八十フィートということがいわれているわけです。この海水に浸透するので、完全に潜水中の潜水艦での受信が可能だということがこの海軍の開発の最大の動機になっている。これはジェーンの年鑑そのほかでも明確にそのように書かれておりますし、あとさらに、実はニュージーランドで一九六八年に問題になったときに、ここのロイヤル・ソサエティー・オブ・ニュージーランド、ニュージーランドの王立研究所のアドホック委員会というところのレポートがあるんです。このアドホック委員会のオメガに関するレポートを見ても、その特徴は何かといったら、潜水艦が使用できることだというふうに明快に書いてあるわけでありますけれども、このオメガの電波の特徴というのは、ロランCの場合は三フィート程度ですか、海中に到達するようでありますけれども、五十フィートないし八十フィート到着するんだということが、実はこのオメガの最大の特徴とされているわけです。そこのところはあなたは、そういう経過、いきさつというのは全然知らないでいままで来たわけですか。そしてつくろうというわけですか。
○紅村政府委員 お答えいたします。 私どもも、実はこのオメガシステムの経緯につきましては、必ずしも詳細には存じないかもわかりませんが、ただいま先生が御指摘になりましたようなことは、私どもも大体承知いたしておるわけでございます。それで、私ども海上保安庁といたしましては、先ほど灯台部長から御説明申し上げましたように、漁船あるいは一般商船の安全航行の確保ということをもっぱら念頭に置きまして、このオメガシステムの採用に踏み切ったわけでございます。 それから、ただいま先生御指摘のように、超長波の場合は、私も実は専門家でございませんので、必ずしも理論的なことは詳しくは存じませんけれども、やはり水中にもぐるということも聞いております。電波の場合、多かれ少なかれ水中にもぐるということは、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、そのオメガシステムを使用いたします超長波の電波がどの程度までもぐるか、これは実はまだ学問的にはっきりとしたデータは出ていないというふうに私ども聞いておるわけでございます。ただいま先生おっしゃいましたような数字ということが推定されるということも聞いておりますけれども、はたしてそういったものが潜水艦の役に立つのか立たないのか、実は私どもといたしましては、その点よりもむしろ、先ほどから申し上げておりますように、漁船、一般商船の安全航行の確保のために非常に大きな役に立つという観点から、このシステムの採用に踏み切ったわけでございます。
○横路委員 それは、あとでロランやデッカについてお尋ねしますけれども、オメガなんかつくらなくても十分なんです。アメリカだって、このオメガを設置しているところだって、オメガを利用するなどという計画は、あとで指摘しますけれども、どこの国も持っていないわけですよ。 そこで、電波が水中をもぐるのはどの辺かわからないというお話でしたけれども、私がいろいろ読んだ資料、大体すべての資料が指摘しているのは五十フィートということですね。五十フィートから八十フィートという数字もございましたけれども、大体その程度のようで、ほかの電波も多かれ少なかれもぐるなどということは全然問題の質が違うのですよ。これはニュージーランドでもオーストラリアでも問題になって、ニュージーランドではつぶれてしまって、いまオーストラリアの国会で委員会が設けられて大問題になっているでしょう。だからきょうからの会議にだって、オーストラリアは参加していないわけでしょう。 その中心の議論は何かといえば、まさにこの電波が海中をもぐるということなんです。そしてそれが、先ほどお話があった第二撃力、ポラリスの非脆弱性を強化するという意味で、実はオメガシステムが果たす役割りというのは非常に大きいのです。それはあとで具体的にお話しますけれども。これは皆さん方、いまから二年くらい前に、楢崎委員が予算委員会で若干この問題で質問したときも、全くその点に触れられておらなかったけれども、海軍が開発した動機というのは潜水艦のためだということをあなた方は了解していないわけですか。
○大河原(良)政府委員 このVLFという電波のことにつきまして御指摘がございました。私、この問題について限られた知識をもって御答弁申し上げたいと思いますが、ジェーンの年鑑についてもお触れになりました。私もそれを調べてみました。ジェーンの年鑑によりますと、VLFは御指摘のとおり十五メートルから二十四メートル程度の水深まで到達するということが書いてございます。またジェーンの年鑑によりますと、確かにそういう電波の特性から見て、これが水上船舶のみならず潜水艦の航法上も意味があるということもございます。 もう一つ、ニュージーランドの例をお触れでございましたけれども、ニュージーランドの王立学士院とでも申しましょうか、その非政府機関が独自の調査をこの問題についていたしました際に、ニュージーランドの学士院は、オメガは一般的な目的に使われる機密性のないシステムであって、すべての国の商用及び軍事用の船舶、航空機により同じように利用され得るということを言っておりまして、ニュージーランドで非常にこの問題が国内的に問題になりました際に、客観的な調査を委嘱された学士院はそういうふうな性質の報告を出しているわけであります。 また豪州につきまして御指摘でございましたけれども、確かに現豪州労働党内閣が野党でありました段階におきまして、この問題についてはいろいろな考え方があったようでございます。しかしながら、現労働党政権はこの問題について、航海の安全という積極的な意義を認めて、積極的に取り組もうという姿勢を示しているというふうに私ども承知をいたしております。 また、米海軍がこれを開発した動機につきましては、先ほど来いろいろ御議論いただいておりまするけれども、ハーバード大学のピアス教授がそもそもの発案をし、それを米海軍電子研究所が採択し、イギリスと具体的な研究の結果このシステムを開発したものであって、確かに米海軍がこの開発にあたって大きな役割りを持っていることは否定できませんけれども、研究の結果開発されましたこのシステムそのものは、一般航海の安全に寄与するという側面がきわめて大きいものであるというふうに私ども考えておるわけであります。
○横路委員 いまニュージーランドの委員会の報告については、あなたの指摘された個所もあるけれども、また別な指摘というのはずいぶんあるわけでありまして、それはもうちょっと先で議論をいたします。 それからオーストラリアの現状についても、ともかく本日から始まっているワシントンの会議にオーストラリアは出席していないのですから、その辺のところを外務省としてもよく考えてもらいたいと思うのです。 そこで、もうちょっとこのオメガについての理解を深めるために、防衛庁にお尋ねしたいと思います。 ポラリスの非脆弱性の強化を強調されていますけれども、これが有効に働くためにはどういう点が問題なのか。ポラリスの非脆弱性というものを強化するためにはどういう点がポイントなのですか。
○久保政府委員 ちょっとわかりにくいのですけれども、私が想像してお答え申し上げれば、一つは、潜水艦の大型化と、それに伴ってミサイルを遠距離に飛ばせるということ。つまり相手国の近くに接近しなければ攻撃できないということでなくて、なるべく遠くからも攻撃し得るということであれば、それだけ非脆弱性がふえてまいります。それからもう一つは、相手方のABM防御網にかからないようにMIRV化を進めるということ。まず頭に浮ぶのはこの二点であります。
○横路委員 その辺も確かに非脆弱性を強調する面で非常に大事な点だろうと思うのであります。その方向でトライデントそのほかの開発が進められているわけですけれども、もう一つ私がお尋ねしたいのは、いかに指令を伝えるかということも大事なわけですね。一つは明確に指令を伝える。それからもう一つは、受け取ったほうがきちんと目標に攻撃をするためには、自分の位置をまず正確に知る。この二つの点が、ポラリス潜水艦についていえば、とかく命中精度というものがいろいろいわれていて、ICBMそのほかに比べると、MIRV化されたことでこれは強化されているのでしょうけれども、かなり劣るということがいわれているわけですね。 そこで一つお尋ねしたいのは、指令を伝えるということで、アメリカの場合、たとえば大統領が核攻撃を決意した場合に、どういうルートでポラリス潜水艦に伝えられるのか。通信ルートについて防衛庁のほうでお答えいただきたいと思います。
○久保政府委員 私は承知をいたしておりません。
○横路委員 普通の司令部からポラリス潜水艦に至る通信の経路というものも御存じございませんか。
○久保政府委員 ちょっと聞いたような気がいたしますけれども、記憶をいたしておりません。
○横路委員 それじゃ、私のほうから指摘をしても、あなたのほうで知らないならこれはしようがないでしょう。 もう一つは、自分の位置をいかに正確につかむかということですね。ポラリスの場合、ミサイルの誘導システムというのは非常にいいといわれておりますが、それがいかによくても、発射台であるポラリスの位置というものが悪ければ、位置確認がきちんとできなければだめなんです。この位置確認の方法としてはどんな方法がありますか。
○久保政府委員 これは、従来の航法施設を除きますと、潜水艦自身の出発地点は明確になっておりますから、それから電子計算機に入れて自動的に計算してまいりますという方法。それから天体航法も行ないます。もっともこれは上にあがってこなければいけません。それからナビゲーション衛星、航海衛星というものがございます。これによって自分の位置を測定するということも可能であります。
○横路委員 いまお答えのとおりで、ポラリスの場合、出航以来その速度と方向というのを電子計算機で積分して位置を計算する。SINSというわけですね。これはいまの艦内慣性航法装置ということなわけですけれども、これを修正するために、いま言った天測とか、あるいは航海衛星のトランシット、それからロランC、海底地形図等も利用されているらしいのですけれども、それぞれにやはり欠陥というものがあるわけですね。たとえばロランCの場合は、先ほど御答弁があったように、全地球の表面の一五%しかカバーできない。あるいは海面下も二、三フィートしか到達をしない。トランシットの場合は、これは全地表をカバーして正確ではあるけれども、潜水艦のほうでアンテナを海面上に出さなければならない。海面上に出すことによって相手方から発見されるという危険性がある。さらに、この指摘は正しいのかどうかちょっとわかりませんが、衛星軌道の変化によって一日に数時間位置を知ることができないことがあるということです。それから攻撃されるということですね。したがって、いまどんな潜水艦でも、天体観測といいますか、昔ながらのやつをみんな持っているようであります。つまり星は絶対攻撃されて消えてなくなるということがないからという理由で。そこで、そういういわばポラリス潜水艦の位置確認は、ロランCとか、航海衛星のトランシットとか、いままでのこういうものでは不十分だ、いろいろな弱点があるというところから、一つアメリカ海軍のほうで開発されたのが今回のいま対馬に建設中のオメガなんだというように、先ほどお話をしたいろいろなシンポジウム等の報告を見ても私たちは読み取ることができるわけでありますけれども、いまの私のこの辺の見解、これはどうですか、誤りですか。
○久保政府委員 いまの航海衛星の時間差の問題は私もちょっと疑問に思います。それからオメガについては私どもも検討いたしておりませんので、よくわかりません。ただ、お話のようであれば潜水艦にとってきわめて有用であると思いますし、その他のお話は御説のとおりだと思います。
○横路委員 いろいろ調べてみましたけれども、このオメガには防衛庁が全然表に出てきていません。ニュージーランドないしオーストラリアの経過から見て、それなりの配慮が政府にあったのだろうというように考えるわけです。このオメガの一九七一年のシンポジウムを見ると、その辺のいま私が指摘をした点が明確に出ているわけです。航海衛星のトランシットあるいはSINS、オメガ、こういうようなものを併用して、それぞれの長所をいかに生かして短所を少なくするかということで、オメガというのはかなりアメリカの場合は実用化されて、受信機の発注等も海軍において、聞くところによりますと千五百台とかいわれていますけれども、いろいろな形の開発がいま進められているさなかであるというように聞いているわけであります。しかも、それと同時に、たとえばP3オライオンとか、RC135とか、ボーイング707によるエアボーン・ウオーニング・アンド・コントロール、あるいはスマート爆弾にもオメガ装着を利用するとか、いろいろな兵器としての開発というものが、この電波のいろいろな特徴を利用してアメリカのそれぞれで考えられているようでありますけれども、その辺のところは皆さん方は御承知ですか。
○大河原(良)政府委員 七一年のシンポジウムの記録を私、見ておりませんので、その点についてのコメントができないのは残念でございますが、ただ、ポラリス潜水艦の行動上非常に重要な軍事的な意味があるという点につきまして、実は昨年の七月三十一日に米海軍が発表をいたしております。米海軍としてはこのオメガのコンタクトをアメリカの会社と始める。それに伴いまして、アメリカの艦船並びに補助船舶にオメガのナビゲーションの受信機を装置するということを発表すると同時に、ただしポラリス潜水艦に関してはオメガのレシーバーを装置する計画はない、こういうことを言っているわけでございます。こういう点はかなり大事な点だろうと私は考えるわけであります。
○横路委員 この問題は、ニュージランドで一九六八年に問題になって、さらにオーストラリアにこの問題が移ってから、オーストラリアでも問題になって、公式発表はみんな皆さんがおっしゃるとおりなのです。ところが、この開発の主体、その方向。それからいま海軍で云々というお話がございましたけれども、このポラリスは、もう一つの情報によると、アメリカ海軍の調査情報システムの中にもオメガが加えられていて、海軍の電子研究所そのほかにおいていま言った研究開発が進められているというのが実態なわけですよ、現実の問題として。ジェーンの武器システムの年鑑そのほかでも、その辺のところは明確になってきているわけでございまして、これはもっぱらニュージーランド、オーストラリアで反対運動が非常に強く行なわれた。実はその経過によるものだろうと私たち考えるわけであります。 そこでひとつお尋ねしたいのは、アメリカとの間に四十七年の八月二十五日にこれに関する書簡が取りかわされましたね。この中に規定されている細目の取りきめというのは、これはもうすでにでき上がっているのか。これからの話なのか。
○紅村政府委員 お答えいたします。 細目の取りきめは現在のところまだできておりません。
○横路委員 その細目取りきめの中身というのは、どんなことが予定されているのですか。
○横田説明員 私どもの立場では、細目取りきめは目下のところ技術的に必要はないと考えております。したがいまして、これは条文として慣例的にこういうものが置かれているかもしれませんけれども、われわれとしては必要ないと考えております。
○横路委員 これを見ると、機械そのものはアメリカから借りるわけでしょう。これは無償で貸与を受けるわけですか。
○横田説明員 米国から無償で借りるわけでございます。
○横路委員 その機械は、これはアメリカ海軍のために製造されたというやつですね。これは対馬へ行けば明確になりますが、海軍のために製造された機械が配置になっているということでよろしいですね。
○横田説明員 わが国は米国政府から無償で借りるわけでございます。米国政府としては、米国海軍がアメリカの会社に発注して、世界八局の主要装置を一括して製造さした、それで購入した、こういうことでございます。
○横路委員 この電波の特徴というのは、ともかく海中に到達することでありますが、しかもアメリカ海軍のポラリス潜水艦の非脆弱性を高めるために必要なのは何かといったら、外に顔を出さないで自分の位置を確認することができることが実は一番いいことでありまして、そんな意味で、そのためのこの装置が対馬に配置になっているというように私は考えるわけなんですが、その細目取りきめの必要がないというお話だったのですけれども、これの管理運営、これが実はきょうからワシントンで開かれる話の中身の一つになるだろう上思いますけれども、これの管理権そのものはどこにあるのですか。
○横田説明員 わが国が米国から借りました主装置につきましては、わが国の物品管理法によりまして日本政府にあるわけでございます。
○横路委員 この電波を出したりとめたりというようなことですね、そういう意味での管理、コントロールというのは、これは日本政府が自由にできるのですか。
○横田説明員 これは日本政府で自由にできます。これはどこの局につきましても、どこの国につきましても、全くその国の自由にできるものでございます。ただし、これは電波を発射するスケジュールをお互いに打ち合わせまして、そのスケジュールに従って発射しませんと航海者が利用できません。そういう関係で、純粋に技術的に時間といいましょうか、時刻、十秒の間に電波を何回か、大体平均して一秒の持続電波を八回ばかり発射するわけでございますけれども、その電波の発射のしかたについては、技術的に打ち合わせが行なわれているわけでございます。
○横路委員 たとえばこれは、戦争になったときに、この電波を日本政府がとめちゃうということはできるのですか。つまり権限としてできるのですか。
○横田説明員 これは悲しいことではございますが、過ぎました第二次大戦中におきましても、光波の灯台を消したことはございます。しかしながら、われわれ灯台の職員といたしましては、光と電波を最後までやはり発射をして、航海しているどこの国の船舶も、どこの国の人の命もひとしく助けたい、かように考えておるところでございます。そういう事態を予想しておりません。
○横路委員 おりませんと言ったって、きょうからの話し合いの中には、戦時において電波の、たとえば時間とか周波数とかをどうするかというようなことも、当然話し合いの中身になっているのじゃありませんか。
○横田説明員 いろいろとあるいは誤解があろのかもしれませんけれども、私どもが使うこのオメガの電波、すなわち十キロサイクルから十四キロサイクルまでの電波の割当というものは、国際電気通信条約によりまして、電波の割当原則、ジュネーブ協定というものの根拠に基づいておるものでございます。それによりますと、これは、ロランの場合、デッカの場合と同じように、無線航行用として明記されておるのでございます。したがいまして、この無線航行用ということで使われているこの電波を別の意味に使う、あるいはかってにとめる、こういうことはできないわけでございます。
○横路委員 先ほどのアドホック委員会の報告の中では、このオメガシステムは合衆国政府と関係政府との個別の合意のもとで合衆国海軍によって設置をされる。この中身は政府間の合意によるものだけれども、各局がばらばらにやったんでは正確さがなくなってしまうんで、当然、時間とか周波数の中央コントロールが必要になってくる。合衆国海軍はオメガシステムが全面的に動くまでは自分たちで、動き始めたら合衆国のコントロール下の中枢機能というのは、沿岸警備局ですね、コーストガードに移譲されるだろう、どいうようなことがこの委員会の中で指摘をされているわけです。つまり、コーストガードといってもこれは軍隊でありますから、その軍隊のコントロールのもとに行なわれるということがこの委員会の報告書には出ているわけです。そしてつけ加えてさらに、国連のような機関がオメガを運営するなどとは、いまのところまだいっていないというようにこの中で指摘されておりますけれども、この辺、じゃこの委員会の報告書が間違いなんでしょうか。
○横田説明員 先生がおっしゃいます委員会の報告書なるものを私ども承知しておりませんので、それについての意見は申せないのでございますが、このオメガの電波のスパンというものは世界で八局でございますので、二局間の距離が約五、六千マイルになるのでございます。こうなりますと、特定のたとえばアメリカが管理するハワイの局、あるいはノースダコタの局、こういうものが他の七局を全部自分に合わせるように、同期させるように、そういうふうなことは、ロランの場合とかデッカの場合のようにはできないのでございます。したがいまして、これをやるために、特殊な、正確な原子時計を用いまして、各国がきまった時間に自分で自分のきまった電波を出すわけでございます。この点につきましてはたとえば、先ほどから申し上げております、日本にございます十局のロランA局、これと一部リンクしておりますアメリカ管理中のたとえば硫黄島のロランA局、あるいは沖繩にございます慶佐次のロランA局、これとの同期につきましても、全然米国側との相互調整なしに、システムで技術的にきまったとおりに電波を出して、それでもって役に立っているわけでございます。
○横路委員 しかし、ともかくこういう報告が正式の報告書としてあるわけですね。あなたもあまり詳しく御存じないようでありますけれども、なぜその辺が問題かというと、やっぱりこの委員会の報告書の中に、たとえば戦時において世界のオメガを使っている使用者にどうかかわってくるかということに対しての疑問というものが提起をされているわけです。ここで、信号の形式を変えたり周波数を変えたり位相を変化させるなどして、味方だけ使えて、つまりアメリカとその同盟国だけが使用できるということは技術的に可能だということで、そのことについてやはり若干の疑問があるということをこの委員会の中で指摘されているわけです。いま行かれているでしょう、海上保安庁のほうから。私その方に、きょうからの会議の中身は何なのかということをお尋ねしたら、やはり非正常電波ということばを使っていましたけれども、非正常電波の問題等を含めて、いろいろな事態にどういうぐあいに電波を出すのかということについての打ち合わせですというようなお話だったわけでありますけれども、いまアドホック委員会の中で指摘されているような、戦時においてこの電波をどうするのか、しかもこれは全部が使えるんですよといっているけれども、こういうことを変えることによって技術的に可能だという。この委員会がどの程度の権威のあるものか私わかりませんけれども、しかし、ともかくニュージーランドのこれは正式な機関のようであります。かなり権威を持った機関のようでありますから、これに依拠して質問をすれば、その辺のところをどうするのかというのが、これが細目取りきめといわれるこの書簡の中身であるし、きょうからの三日間の会議の中身じゃないですか。
○横田説明員 電波の発射に関しまして、先ほど申し上げたように、十秒間に各局が出す電波の出し方、それを原子標準時計でやるということ、そのやり方についての話もいろいろと聞いております。しかしながら、そのほかにも、先ほど申し上げましたように、最も重要なのは、各国における局の建設、それから電波伝播の状況等、各国のそれぞれの事情の情報交換が中心である、かように私どもは聞いております。
○横路委員 あなたは聞いておるかもしらぬけれども、行く人がそういうことを言って行ったのですからね。非正常電波についてもともかく各局の調整が必要だ、こういうことなわけですよ。 そこで、先ほどから皆さん方、民間船、民間船とおっしゃられますからちょっとお尋ねしたいのですけれども、いまデッカチェーンをつくられているでしょう。北海道、北九州ができて東北でしょう。このデッカというのは沿岸から三百マイル可能ですね。一方、このオメガのほうは対馬から半径六百マイルというのは使えないのでしょう。つまり、このデッカチェーンが完成すると、皆さん方のこのパンフレットありますけれども、民間の船なんか、これで十分なんですよ。ロランAにかわるものとしてはデッカで十分だ、こういうことをいわれて、ノルウェーそのほかの国でももっぱらデッカチェーンを完備するという方向をとっているわけです、ロランAとか。したがってオメガの必要性なんかないじゃないかというのが、ニュージーランド、オーストラリアにおける一つの議論の焦点でもあったわけですけれども、同じことが日本でもいえるのじゃないか。
○横田説明員 電波標識の遠距離のものについて性能を比較してみますと、戦後日本がアメリカから引き継ぎましたロランAの精度は、昼間で約〇・五マイル、夜間には数マイルという空間波の誤差がございます。デッカのほうは、これはもっとこまかいものでは、ハイフィックスなど港湾の測量等にも利用されておりますが、北海道と北九州で使われておりますこのデッカチェーンは、英国デッカ社がつくったものでありますけれども、大体精度は五十ないし五百メートルの精度になっております。そういう関係で、沿岸で港の近くにホーミングをする、あるいはごく沿岸海域における漁業の場合の漁具の定置場所を正確に知る、そういうためにはきわめて有用なものでございます。 ところがロランAは、相当遠距離に、離れた漁場へまっすぐ直行して経済的に操業を行なう、こういうことのためには、さらに遠距離、昼間でも七百五十マイル、夜間でも千五百マイル届くロランAのほうが有用なのでございます。したがいまして、日本海では最近、大和堆などのイカつり漁船がこのロランAを使って十分活躍しておるわけでございますけれども、太平洋を見ますと、このロランAでカバーされておるのは、北海道の落石のわがロラン局を最後といたしまして、アリューシャン列島付近、ずっと北米のカナダ沿岸までの間、北太平洋のどまん中はブラインドエリアになっておるわけでございます。 そういう意味におきまして、ロランAとデッカの使い方はそれぞれ違うのでございまして、先ほどからお話しになっておりますオメガは、ロランAにかわるものでございますので、したがって、ごく沿岸近くのこまかい位置の測定にはむしろデッカがまさる、こういうことでございまして、北海道でワンチェーン、それから北九州で第二チェーンをつくりまして、今年度は東北地方にまた第三のチェーンをつくります。デッカチェーンを日本列島にカバーしてこまかい網目の整備をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○横路委員 だから、あなた方、先ほどロランAを使用している漁船が幾らだとか、数をあげましたけれども、結局その辺のところはデッカで十分なわけでしょう。いまの答弁にもある。沿岸から三百マイル有効なんですから。一方、オメガのほうは対馬を中心にして半径六百マイル。全くこれはだめなわけでしょう。だからこれはアメリカでも全国航法システムの中に入っていないのですよ。
○横田説明員 先ほども申し上げましたとおり、ごく沿海といいますか北海道周辺のサケ、マスの海域とか何かはともかくも、北洋、それから中部太平洋へ行くカツオ、マグロ、あるいはインド洋に行きますもの、こういうものについてはデッカチェーンではとてもカバーできないわけでございます。
○横路委員 それは、アメリカでは航法システムの中に入れていない点はどういうぐあいに理解できますか。
○横田説明員 私どもとしては承知いたしておりません。
○横路委員 だからあなた方は、やはり肝心なことを理解していないのですよ。これはどういう形で開発されてきて、何を目的に開発してきたか。まずこれは原潜の位置確認のためですよ、さっきちょっとお話ししたように。そのためにアメリカ海軍が主体となって開発してきて、そのための機械をつくって、日本はそれの貸与を受けて対馬にこれを建設中、こういうことですね。 それで、この問題でお尋ねしたいと思うのですが、一九七二年にメルボルンでアメリカの通信問題の大統領顧問をやっているC・T・ホワイトヘッドという人ですが、オメガ基地を持つ政府というのは、相互国家安全の利益を受けるかわりにその損失も負担しなければならないと言っている。これは、オーストラリア、ニュージーランドにおける議論の焦点というのは何かというと、この施設を持てば標的になる、さっき言った核のいわゆる攻撃目標になるという点が、実はニュージーランドやオーストラリアの一番大きな議論になっているわけです。あの非核国家が核のいわゆるシステムの中に組み込まれてお互いに攻撃目標になるのはかなわぬ、こういうことで、これはニュージーランドはつぶれ、オーストラリアでいま問題になっている、こういうわけです。 〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 この辺のところは皆さん方お考えになったことがあるのかどうか。
○紅村政府委員 ただいまの問題は、海上保安庁からお答え申し上げるのがよろしいかどうか、私もちょっとわからないのでございますけれども、海上保安庁といたしましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、開発の動機というものにつきましては、ただいま先生が御指摘になりましたような話を私どもも聞いたことはございますけれども、開発されたものは、その結果のものが、漁船なりあるいは遠洋を航行いたします一般商船の安全航行のために非常に有用であるということから採用に踏み切ったわけでございまして、ただいまのような点は、私どもといたしましては承知をいたしておりません。
○横路委員 その採用に踏み切ったというけれども、初めはこれはフィリピンに予定されていたのでしょう。それを皆さん方のほうで、これはどういういきさつかわかりませんけれども、日本に持ってきたわけです。それで皆さん方、ニュージーランドやオーストラリアでこれは何が問題になっているかという点は理解しておるのですか。ニュージーランドではどうしてこれがだめになったのか。
○横田説明員 私どもは、そういうフィリピンに予定されていたとかいう話については詳細存じませんけれども、先ほど一番最初に申し上げましたように、ノルウェーからオメガシステムというものについて情報を得ましたときに、このシステムのきわめて有用であるということに着目いたしまして、まだ日本が、商船隊にいたしましても、漁業の実態にいたしましても、非常に利益するものが大きいということ。それからわが国の電子工業が高度の技術を有するということ。また、先ほどフィリピンの話がございましたが、わが国の位置として決して不適切でない、むしろ地理的な位置として適切であるということ等を含めまして、やはりわが国でやるべきである、わが国の航路標識の最先端をいくものとしてやるべきである、こういうふうに考えたわけでございます。
○横路委員 つまりあなた方は、その危険性のほうは目をつぶったわけでしょう、聞いてないというわけですから。知らないというわけですから。ニュージーランドでなぜつぶされたか、知っていますか。なぜこれがだめになったのか。ニュージーランド政府がなぜ断わったのか。
○大河原(良)政府委員 ニュージーランドにおきましては、アメリカとニュージーランドの間で予備的な話し合いが行なわれようとする段階におきまして、このシステムによってポラリス潜水艦の航行補助に使われるのである、こういう議論がニュージーランド国内で起きまして、これが結局非常に大きな反対論となった。そこで政府としては先ほど申し上げましたロイアルソサェティーに調査をしてもらっておりますけれども、結局、非常に強い反対論がありましたために、この話が正式交渉に至らずして流れた、こういう経緯を承知しております。
○横路委員 いまオーストラリアでこれが議論されているのも、きょうからの会議にオーストラリアが参加をしないのも同じ理由でしょう。問題のポイントはそこでしょう。
○大河原(良)政府委員 労働党が野党でありました時代におきまして、この問題についてやはり労働党としては、消極的な、あるいは否定的な考え方があったようでございます。その否定的な考え方の裏には、ニュージーランドで行なわれた議論というものが当然反映していると思いますけれども、現在労働党内閣は、あらためてこの問題を検討してみた結果、野党時代の否定的な考え方を変えて、現在においては、むしろ積極的に考えたい、こういう方向をとっているというふうに承知いたしております。ただ、結論が出ておりませんために、ただいま御指摘のあったシンポジウムには出席しておらないということではなかろうかと推察をいたしております。
○横路委員 そうじゃないのですよ。いまオーストラリア等の新聞報道を調べてみると、やはりいままさに指摘のあった、核のシステムの中に巻き込まれて、非核国家であるところのオーストラリアが標的になるんじゃないかということで議会の中で議論をされている最中なんですね。そして、私たち向こうで活動しているいろんな人と手紙のやりとりをしてみると、一体日本がどういう関心を持っているのかということに非常に興味を持っているわけであります。そんな意味でオーストラリアが参加をしない、もしこれが建設されないということになると、これはどういう影響が出てきますか。
○横田説明員 お答えいたします。 オーストラリアが参加しない場合には、南半球における一部の地域においてオメガ電波が受信できない、すなわちオメガ航法による位置測定ができない、こういうことになります。
○横路委員 つまり世界で八局予定をされているわけですね。そのうちの一つがつぶれたら、これはどの程度の影響が出てきますか。つまりパーセントでいうと何%ぐらい減少するということになりますか。
○横田説明員 私は専門家でございませんので、ちょっとその辺のところはわからないのでございます。
○横路委員 いや、専門家でなくたって、ほんとうにこの経過を調べようと思えばわかるわけですよ。いろいろ海軍で全部計算していますよ。一局だめでもって七局の場合はどうなのか、二つだめになって六つの場合どうなのか、三つだめでもって五つの場合どうなのか、それ全部検討されているわけですよ。何のために検討しているかというと、つまり攻撃を受けてそのアンテナといいますか、その場所が一カ所だめになった場合にはどういう影響が出てくるか、二カ所だめになった場合はどういう影響が出てくるか、これは当然検討の対象になっているわけですよ。 では、もしオーストラリアが参加しない、あの地域でだめだ、できないということになった場合には、これはどういうことになるのですか、いま対馬に膨大な金かけて建設しているわけですけれども。建設中ですね。半分ぐらいでき上がっている。だめになった場合はどうなりますか。日本政府としてはどうするのですか。
○大河原(良)政府委員 かりにオーストラリアがこのシステムに参加をしてこないという事態が起きた場合の技術的な側面につきましては、先ほど海上保安庁のほうから、正確な判定はできない、こういう御答弁でございましたが、私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現オーストラリア労働党政権はこの問題に積極的な態度をもって取り組んでいるというふうに承知しておりますので、そういうことで考えてみたいと考えております。
○横路委員 そうじゃなくて、われわれのところにオーストラリアから来るいろいろな質問事項の中に、これは私たちのほうでやりとりしているわけですけれども、もしオーストラリアができなくなった場合に日本政府はどういう態度をとるんだろうか、これだけの影響が出てくるんだというようなやりとりを実はわれわれはしておるわけなんです。その情報によると、決してそんなに簡単にきまるような状況じゃないですよ。もしそうであるならば、きょうからやる三日間の会議をすっぽかすはずないじゃありませんか。 つまり事態というのは、この会議に出てこないということでもわかるように、オーストラリアの中でもかなり深刻なんですよ。このニュージーランドやオーストラリアでかかえた問題の本質というものは、日本だって実は本質的には同じ問題を内在しているということを私は指摘をしたいわけです。日本は海上保安庁ですけれども、アメリカの場合、あるいはノースダコタ、ハワイ、トリニダード、これは米国のコーストガードですね。いわばこれは軍隊の一つであります。フランスはフランス海軍、アルゼンチンもアルゼンチン海軍、これはやはりもっぱら軍隊の軍事用施設としてできているというように私たち理解をするわけであります。そこで、もしオーストラリアがだめになった場合どうするかということ、これはだいじょうぶなんだということでお逃げになりましたけれども、もしかりにそういうことがあった場合には再考慮されますか。
○紅村政府委員 オーストラリアの問題につきましては、ただいま外務省のほうからお答えがございましたとおり、私どもも、結論は出ていないようでございますけれども、基本的には同意という方向に行っておるというように聞いておりますわけで、したがいまして、この八局というものは整備されるという方向で私どもとしては考えたいわけでございますが、かりに、ただいま先生が御指摘になりましたように、オーストラリアが万が一参加しないというようなことになりました場合、やはり若干のブラインドエリアができるとは申しますものの、その他の七局でも、わが国の漁船なりあるいは遠洋を航行いたします船舶の安全な航行の確保のためには非常に有用でございますので、私たちといたしましては、やはり建設を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○横路委員 あなた、そんなことを言うけれども、一局だめになったらどのくらいのエリアが使えないかということもろくにわからなくて、何でそんなことを言えるのですか。
○横田説明員 私、専門家でございませんので、私が申し上げても信用いただけないかもしれませんが、八局ございますと全体で二十八本の双曲線ができるわけでございます。そのうちでオーストラリアが欠けた場合には、南半球の一部についてブラインドエリアができるということではございますが、ブラインドエリアといいましても、全然双曲線が使えないわけではございません。そういうわけではございませんで、効果はきわめて薄くなりますが北半球では十二分に使える、こういうことでございます。
○横路委員 ではこのオメガというのは、その設置場所の半径六百マイルはもともと使えないわけですね。そのほか、いま言ったように、一カ所だめになるとかなり大きな、実は一五%なんという数字も出ているわけであります。その辺のところをひとつ、もうちょっときちんと皆さん方検討されたらどうですか。 私さっきお尋ねしたように、実はやはり、これは日本政府に管理権があるというようなお話だったけれども、自由に何でも電波をとめたり出したりすることまで自由なのかというと、そうじゃない。それは八局になれば八局の取りきめが中心になる。その取りきめの中心のコントロールはどこでやるかというと、これはやはりアメリカが中心だ。アメリカ海軍。完成の暁にはこれはコーストガードに移るということが明確になっているわけですよ。その辺もさっきのやりとりの中で明確じゃないでしょう。もしほんとうにどんな場合でも、すべての国で希望するすべての人間が使えるのだということであれば、それこそ国連で管理でもすればいいわけですよ。そうじゃないわけでしょう、これは。しかも戦時になればいつでも、味方だけ使えるように電波を変えることができるわけですよ。そういう中央の統制、コントロールがアメリカにおいて行なわれるのだという、このニュージーランドの報告があるわけですよ。だからひとつその辺のところを皆さん方明確にもうちょっとお調べになる。知っていて黙っておられるのかもしれませんけれども、皆さん方知らないのならばその辺のところを調べる。アメリカ海軍のコントロールのもとに、こんなアメリカのポラリス潜水艦の位置確認のためのアメリカの核の十分性、その中の非脆弱性を強化するなんという方向に日本がシステムとして組み込まれることになる、この対馬の基地というのは。ですから最近自衛隊は、対馬に三軍ともどもかなりいろいろと強化されているでしょう。そういうバックという判のがあるわけですよ。いまのあれですと、皆さん専門家じゃないと言って逃げておられるけれども、実際やってこられたのは海上保安庁でしょう。防衛庁は少なくとも表に出てきていないわけですよ。ただシステムとしてはそういうシステムになっている。これは皆さん方も一部お認めになったわけでありますから、その辺のところをもうちょっと明確に調べて報告をしていただけませんか。
○大河原(良)政府委員 核システムとの関連においてこの問題をお取り上げでございますが、先ほど申し上げましたように米海軍としては、ポラリス潜水艦にオメガレシーバーを装置する計画はないということをはっきり公表いたしております。ただ現在、豪州におきましてこの問題がどういうふうに処理されるかということにつきましては、私どもとしてはもちろん深い関心を持ってこれを見ております。また技術的な側面につきましては、私ども海上保安庁とも十分連絡をとりまして、さらに詰めるべき点があれば詰めていくように努力していきたいと思います。
○横路委員 それはアメリカ海軍の発表なんというのはインチキきわまりないものでありましてね。ともかく電波が十五メートルから二十四メートル海面下に届くというわけでしょう。いままではどうしているかというと、海中の底のほうからするすると電波を海上に出して、それで指令を受けたり自分のところの位置確認をするというような装置なんか、アメリカの海軍ではずいぶん開発をしているわけですよ。今度はそれをあまりやらなくてもいいわけでしょう。それはどういうことかというと、相手方に発見されないという最大の利点があるわけです。それがこの電波の最大の特徴であるわけでしょう。その特徴を生かさないでポラリスには使いませんなんて言ったって、さっき指摘したように、アメリカのいろんな情報システムの中でこのオメガの開発が項目として現実にあがっているんですから。私の持っている資料によればですね。 ですから、外務省はいつもアメリカの話があるとすぐ信じてしまうわけですけれども、いまお話があったようにニュージーランド、オーストラリア等の経過ですね。どうしてつぶれたのかということも含めて、もうちょっと軍事的な側面というものを皆さん方としてもしっかり把握をしてもらわなければ、国民が知らぬ間にいつの間にか核が対馬に落ちてきてあそこが吹っ飛んでしまった、何がなんだかわからないうちに上から爆弾が落ちてきたというんじゃ、これは困るわけでありまして、そんな意味では、こういう施設ができれば、さっきの話じゃないけれども米ソの核の中では、対馬の基地というのはやっぱりソビエトのほうの核の攻撃目標の一つに必ずなりますよ。いまの米ソの核戦略というものがそういうシステムになっているわけですからね。その辺の危険というものもぜひ皆さん方のほうでお考えになって、この間の、いまお話しした皆さん方のほうで答弁不十分な点について、たとえば八局の中枢コントロールはどこにあるのか、戦時において電波を変えるのか変えないのか、その可能性があるのかないのか。管理運営といっても、日本の場合、かってに電波をとめることができるのかできないのか。さっきあなたから、できるようなお話もあったけれども、どうもその点不十分です。その点、いいですね。 それから細目取りきめというようになっていますから、その中身というのはこの三つにかかわることでありますから、その辺が一つ。それからオーストラリア並びにニュージーランドのこれがどうしてつぶれたのか。なぜオーストラリアでいま大きな問題になって、本日からの会議にも出席をしないのか。ひとつその辺のところの報告をいただきたいと思うのです。海上保安庁と外務省、よろしいですか。
○横田説明員 一つだけ技術的に申し上げたいのでございますが、先ほども申し上げましたとおり、八局のうちの特定の局が他の七局を全部その局に同期させるようにコントロールすることはできない、かように聞いております。したがって、先ほど申し上げたような原子時計によって、各国がそれぞれ自分自分できまった時間に電波を出す、こういうことでございます。それだけ申し上げます。
○横路委員 何かお互いに連絡用のあれができているというんじゃありませんか。つくるということになっているんじゃありませんか。
○横田説明員 各局間の連絡用の無線は設けません。
○横路委員 残された点についての報告はいいですね。
○紅村政府委員 委員会として資料の御要求がございますれば提出をさせていただきます。
○横路委員 いやいや、私のほうから、それについてのあなた方の答弁が十分じゃないから、ちゃんと調べて報告をくださいと言っているわけですよ。
○紅村政府委員 調査をいたしまして御報告を申し上げます。
○横路委員 それじゃ外務省のほうも、ニュージーランドとオーストラリアの経過ですね。これについていいですか。
○大河原(良)政府委員 調査いたします。
○横路委員 核のかさということですね。それから核というのは、核弾頭があるかないかという問題じゃなくて、発射の装置、それからレーダー、通信の施設というような核システムとして考えるべきだということの指摘が再三あって、去年の三月二日の衆議院予算委員会でも福田外務大臣は、そういうシステムそのものを日本に置かないということを明確に答弁をされているわけでありますけれども、あの答弁は別に変わっていないのでしょう。
○大河原(良)政府委員 福田大臣の答弁につきまして、私ちょっとそれを記憶いたしておりませんので、調べさせていただきます。
○横路委員 これは非常に重要な問題で、実は守井委員の質問に対して福田外務大臣がそういう御答弁をなさっているわけです。これはまあ軍事的に言うと常識ですね。核というのはそういう一つのシステムだ。核弾頭だけじゃなくて、それの発射装置、それからそのためのレーダー、通信施設、指示を与えるもの、これを含めて一つの核システムと理解すべきだというのが、軍事的にいえば常識ですね。
○久保政府委員 核兵器の持ち込みの場合の定義があることは御存じのとおりでありますが、いまそれをやや軍事的に理解しまして、どの範囲が核兵器システムかという点については若干問題があるかもしれませんけれども、考え方としてはよろしいのではないかと私は思っております。
○横路委員 非核三原則から実はシステムとして考えるべきじゃないかという安井委員の質問に対して、そのとおりだというように福田外務大臣は答えているわけであります。したがって、いま外務省のほうでよくおわかりにならないということでありましたから、ひとつその辺のところを調べていただきたい。私の指摘をしたいのは、このオメガというのはほかに利用の余地があるとしても、もっぱら中心は、ポラリス潜水艦の先ほど申し上げた非脆弱性というものを強くしていくための位置確認の一つのシステムとして開発されてきたというこの開発の経過から考えてみて、私は、これはある意味では非常に重要なアメリカの核システムの一環であるというように指摘をせざるを得ないわけでありますから、福田外務大臣の答弁が間違いがないということになれば、これはそういう意味でも大きな問題になるだろうというように思いますので、その辺のところを外務省のほうで調べてあとで答弁をいただきたいと思います。 では、この問題はこのくらいにして、あとで皆さん方の御説明をいただいてから質問をすることに保留をして先に進みたいと思いますが、一つは関東集約化計画について若干お尋ねをしていきたいというように思うわけです。 横田に集約される中に府中の第五空軍の司令部は含まれるのでしょうか。
○高松政府委員 含まれます。
○横路委員 府中の第五空軍の司令部の移転の具体的な計画というのは明らかになっていますか。それから司令部の移転に伴って、自衛隊の関係はどうなるのでしょうか。あわせてお答えをいただきたい。
○高松政府委員 横田における代替施設としての府中の司令部が完成する時期に移る、こういうことでございます。
○長坂政府委員 米軍の府中の司令部の移動に伴って自衛隊の航空総隊の関係が移ることはございません。現在の位置にとどまります。
○横路委員 どっちですか。五空の司令部は移るのですか、移らぬのですか。
○長坂政府委員 五空の司令部は移りますが、現在府中の司令部のわきにございます自衛隊の航空総隊は移りません。
○横路委員 そうすると、その両方の関係はどうなりますか、従来のシステムから言うと。
○長坂政府委員 現在、府中の中にございますADCC、あれを自衛隊が使ってやっていくということで進んでおります。
○久保政府委員 いまの問題はまだ日米間で具体的に詰められてないと思います。いまの問題といいますのは、米軍の府中が移って自衛隊が府中に残った場合のあとをどうするかということは煮詰まってないと思います。しかし、府中にありまする自衛隊のCOC、いわばヘッドクォーターでありますから、ここへおそらく米側は、連絡員か何か、そういったものを派遣するのではないかというふうに思います。これは将来決定される問題だと思います。
○横路委員 そうすると、よくわかりませんけれども、五空のほうは移るわけでしょう。航空総隊は残る。そうすると従来の関係というのは、これはまだ明確になっていないというわけですか。つまり、移っちゃって、ばらばらになっちゃって、あとはしばらくこれから考えてみる、こういうことでしょうか。それまでに話し合いをするのだということですか。
○久保政府委員 私が空幕から聞いたところでは、現在まだその点がはっきりしておらない。在日米空軍司令部が移ることは確かであるけれども、あとの運用の面で、自衛隊のCOCに米軍がどういうふうにそこに入って機能をするのかということは、まだ明確になってない。おそらく移動するまでにきめられるだろうというふうに思います。
○横路委員 しかし、府中の米軍のほうの管轄というのは、何も日本ばかりじゃなくて、韓国そのほか含めて五空の範囲でしょう。それはどういうことになるのですか。日本が管轄を持って中心に運用をしていくのだ、こういうことになるわけですか。
○久保政府委員 そういうことではございません。したがって、在日米空軍司令部が動く場合に、どの範囲が動くのか、これは私ども承知いたしておりません。しかし、自衛隊がバッジ組織を持っており、しかもCOCに全部集中いたしますから、その機能を離れては米軍も日本周辺を把握しにくいのではないかというふうに思いますので、米軍がどういうふうにCOCに人を派遣するのか、その辺がわかっておらないということであります。
○横路委員 しかし、ともかく五空の場合に、いま府中にあるやつというのは、アジアある意味では極東地域全域を管轄をしているわけでしょう。そしてその施設は残るわけでしょう。施設も持っていっちゃうのですか。そうじゃないでしょう。施設は残るのでしょう。そのあと自衛隊が中心になって管理するというのでしょう。それに米軍がどうかかわってくるかはまだ話がきまっていない、こういうことですね。これだとやはり問題が残るのじゃありませんか。
○高松政府委員 COCはそのまま残ります。司令部は横田へ移ります。
○横路委員 そうしたら、南朝鮮あたりはどういうことになりますか。
○久保政府委員 いまの施設庁のほうのお話ですと、五空軍の施設、器材関係が残る。したがってそれに伴って、その辺ははっきりわかっておりませんが、つまりどの程度残るかがわからないわけでありますけれども、人はおそらく残るだろう。どういうふうな残り方をし、どういうふうな日米間の連絡調整になるかということは今後の問題であるというふうに理解をいたします。
○横路委員 しかし、いずれにしても器材は残るわけでしょう。そうすると、現実的などこに司令部の権限がいくかということは別として、いままで五空の司令部でやってきた、あるいはやり得る能力というものを自衛隊が引き継ぐのだということは言えますね。
○久保政府委員 五空軍がやっておりました機能を自衛隊が引き継ぐことはないと思います。自衛隊がバッジ組織を利用しましてCOCを使っております。その範囲においては日本における防空の情報はつかんでおるわけでありますが、この点もし間違っておりましたら施設庁から修正していただきますけれども、米軍が使っておりました器材を残すようでありますから、その器材を使ってどういう機能をどの程度の人間でどういうふうにやっていくかということは今後の問題ではないかというふうに思っております。
○横路委員 その器材というのは、これはいわば管理権といいますか、それは自衛隊に残していくわけでしょう。そしてあと人だけ派遣をしてくるというお話なんでしょう。つまり機能じゃなくてその能力そのものは、自衛隊が引き継ぐということになりませんか。
○平井(啓)政府委員 現在、府中の米軍施設にありますところの在日米軍司令部の機能及び第五空軍司令部の機能は全部横田へ移ります。ただ、現在あそこに入っております各種の通信ケーブルその他の施設が一部あそこに残りまして、それが新たに横田に移りました在日米軍司令部及び第五空軍司令部との間をつなぐ通信施設をつくることによって機能が保持される、そういう形になるわけであります。
○横路委員 それは間違いありませんか。機能だけ横田のほうに行ってしまって、器材は残って、その能力そのものは府中に残っておって、この間を結ぶ何か通信の体制でもとってやるのだということですか。
○平井(啓)政府委員 器材も全部横田に移ります。ただ、現在府中に入っておりますもろもろの通信のケーブル等がございます。これはそのまま府中に入っております。入ったままで、それを今度新たに移りました横田との間をつなぐケーブル等を建設することによって、機能が横田のほうに移ることになるわけであります。
○横路委員 いまの答弁だと、あなたは器材も移るというのでしょう。つまり日本の自衛隊の受け持っている部分は別にして、従来の米軍が受け持っていた範囲ですよ。その機能が移って器材は残るのだというのは前の答弁。いまは、器材も移るのだ、そしてケーブルか何かでつながるのだという話でしょう。これは実は非常に重要な問題で、あとで岡田委員のほうから共同作戦の問題として提起されますけれども、そこのところをちょっとはっきりしておいてもらわぬと、そんなにぐるぐるこんなに重要な問題が変わるようじゃ困りますね。 長官、これは調べてどういうことになるのか、機能と器材の面ですね。そして何が一体残って何がなくなるのか。この辺のところを自衛隊のほうは明確なんでしょうけれども、米軍とのかかわりで、いま答弁を聞いておると非常に大きな疑問が生じてまいりますので、したがって、その辺のところをあとで明確にしていただきたいと思います。
○平井(啓)政府委員 あらためて御答弁いたしますが、司令部機能が横田に移ると同時に、器材等も横田に移ります。したがって、府中に残ります機能は、いわばそういった通信関係の中継的機能ということになります。
○横路委員 つまり自衛隊のほうだけ残るという意味ですね。米軍は全然いなくなるわけですね。通信的機能というのは、自衛隊と五空との間の通信機能の話なんでしょう。米軍の残った部分と五空との間の通信機能なんですか。それはどうなんですか。さっきからだいぶ答弁が違っておるのですよ。
○平井(啓)政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように一現在、府中の司令部には各種の通信ケーブルその他のネットが入っております。ネットの中枢になっております。それまで全部横田に移設してしまうことは、工事規模が非常に大きくなりますので、司令部機能は全部横田に移り器材も移りますが、そこに入っているケーブルから府中に中継機能をつくりまして、府中と横田の間をつなぐことによって、現在府中にあります在日米軍司令部及び第五空軍司令部が横田に移った場合の通信機能をそれでもって満たすということになります。したがって施設的に申しますと、府中にあります米軍の施設及び軍人等はほとんど全部横田に移りますが、一部その中継的機能を果たします部分だけが府中に残るということになります。
○横路委員 さっきの防衛局長と施設庁長官のお話とは若干違っておりますが、いまのでよろしいんですか。そうすると米軍のほうは、通信の回線の保守といいますか、その程度しか残らぬで、あとは全部移っちゃう、こういうことですか。
○平井(啓)政府委員 そういうことでございます。
○横路委員 そうすると、日本の自衛隊と五空司令部との関係は今度はどういうことになりますか。
○久保政府委員 おそらくそういった事柄が今後の日米間の協議の内容になるんじゃなかろうかと思います。
○横路委員 それはまだお話ができていないと、こういうわけですか。
○久保政府委員 私は少なくとも聞いておりませんし、最近の空幕の話ではそうでありました。
○横路委員 非常に重要な基本的な問題で、しかも別にそんなむずかしい問題じゃないわけでしょう。この辺のところというのは、実はあまりあいまいに問題として扱ってもらいたくないというように思うわけでありますが、これはあとで岡田委員のほうから詳しく議論があります。 そこで、関東集約化計画と関連して、さっきもちょっと議論があったわけでありますけれども、この五空傘下のたとえば南朝鮮に派遣されている部隊が横田に集約する、あるいは戦略空軍のタイの航空師団が沖繩の嘉手納に集約をされる。私は、リチャードソン国防報告の方向に行くと、最後はその辺に帰着するんじゃないかというように読み取ったわけですけれども、先ほど局長の意見とは違いましたけれども、その辺の可能性といいますか、そういうことは考えられないのか。
○久保政府委員 私はいろんな面を総合判断したときに、タイの航空部隊、それから韓国の部隊がどうなるかということについては、米側ではまだ長期的な計画を持っていないんではなかろうかというふうに思います。おそらく、かりに将来変わるとしても、いまおっしゃったような方向にはならないんではないかという観測をいたします。
○横路委員 ただ、もし集約化されていくということになって、まあ大陸から一歩引いたところに防衛線を張るという考え方をとれば、これは南朝鮮の軍隊はどこに集約されるかといったら、その可能性としては横田しかないわけでしょう、指令系統からいえば。タイの場合はグアムに行くこともありますけれども、一歩引くという意味では、嘉手納に行く危険性というのが非常に強いんじゃないかということを私なんかは心配をするわけでありますけれども、この総合兵力構想ということがアジアに適用されるという意味での関東集約化計画だというように私たちは理解をしているわけでありまして、そういう論議の先には、その辺の問題というのが内在しているんじゃないかと思うのですが……。
○久保政府委員 この辺は見解の分かれるところでありますけれども、私はそこまでは読まなくてよろしいんではないか。関東地域にありまするいろいろな基地を集約することによって、日本国民の要望にもこたえ、かたがたまた米側の経費効率的な面にもプラスになるというふうな、比較的、基地問題に集約されたものとして理解したほうが当面はよろしいんではないかというふうに思います。
○横路委員 ここで、横田に集約されていく米軍部隊の状況を、私たちのほうでほんとうは詰めていろいろと事実確認をしたいわけであります、この関東集約計画についても。したがって、委員会でも時間が貴重でありますから、事前に皆さん方に資料の要求をしたわけでありますけれども、膨大な資料の要求をしましたが、どうもあまり明確に御答弁がこの資料要求の中でなかったわけなんです。 そこで、若干お尋ねをしたいのですけれども、横田に配属される米軍部隊の状況と作戦機能というのはどのようなものなんですか。
○久保政府委員 私は、この関東統合計画によって横田に集中される部隊が特にあるように思っておりませんが、いまの府中の司令部、それから住宅関係、そういったものが中心ではなかろうかと思っておりますけれども、それにしても、でき上がりまする横田というものは、やはり米国の極東におきまする航空輸送の中継基地である。それからあと、気象の関係でありますとか、若干の偵察関係でありますとか、そういうような付属部隊もありますけれども、主としては輸送の中継基地である。その機能というものは従前と今後とも変わらないのではないかというふうに思います。
○横路委員 その輸送航空団というのはどういうものですか、明確には。
○久保政府委員 輸送航空団は、アメリカ本国、イリノイ州に本部がありまするけれども、それの管轄下といたしまして輸送空軍の第二二空軍司令部というのがあります。これはカリフォルニア州でありますが、その管轄下に幾つかの極東地域におきまする支援隊がございます。その一つが横田の第六一〇軍事空輸支援隊というものでありまするし、これ以外には気象関係、これも横田に第九気象偵察航空団。これは本部がカリフォルニアにありますけれども、それの分遣隊が横田にあります。それからこれは横田と関係ありませんでしたが、嘉手納には航空救難回収隊というものがございます。そういったものの総合がいわゆる輸送航空団というものであります。
○横路委員 これはMACの関係ですね。それからさらに戦略空軍の嘉手納の分遣隊がございますし、電子偵察機等も配置をされているわけですね。その意味では、単純に輸送の中継基地ということではなくて、しかもベトナム戦争以後の状況を見ると、実は防衛線が少し下がるという意味では、かなり中核的な基地に、横田の機能というのは、横須賀の第七艦隊とも関連をすることでありますが、重要な意味を持っているのじゃないかということで、単なる集約化じゃなくて機能強化という側面があるだろうと思うのであります。この辺のところ、実はきょうこれから少しこまかく事実を確認をしながら議論をしていこうと思って用意しているのでありますけれども、時間があれですから、その辺のところは、これは要望なんですが、資料の請求という形でこの前お願いをして、実はあまり満足な資料が返ってこなかったわけでありますが、これを私たちのほうで再度まとめて資料要求しますので、できるだけひとつ誠実にお答えをいただきたいということをお約束いただいて、その点の私の質問は省略をしたいというように思うのですけれども、それお約束できますか。
○久保政府委員 本土におきまする米軍の配置は相当詳細にわかっております。ただ、国土外のものにつきましては、およそのことはわかりますけれども、これは本土のように詳細にわからない面がございますので、その点は御了承を願うといたしまして、精一ぱい努力をしてみたいと思います。
○横路委員 そこで、大蔵省の方、来ておられますね。お待たせして申しわけないのですが、この関東集約化計画に基づいて基地のあと地利用の問題が問題になってきております。そこで大蔵省は国有財産中央審議会のもとに返還財産処理小委員会というものを新設をして、従来とはやり方を変えてこの基地のあと地利用についての審議に入っていますね。これはどういうことで従来のやり方というものを変えたのか。
○川崎説明員 この二、三年の間に返還を予定されます財産の量が従来にない非常に大きなものである。それから御承知のように、土地問題、都市問題ということが最近の状況から非常に重要な国民的関心になっておるということ。その二つの観点から時間をかけて慎重に審議をする必要があるということでそういう仕組みにしたわけでございます。
○横路委員 なぜその仕組みが、あなたのほうがいま提起された問題の回答になるのですか。
○川崎説明員 委員会という名前になっておりますけれども、実は研究会的な性格を持っておりまして、何度かお集まりを願っていろんな方面からの情報を入れまして、またよく意見を求める、そういうふうに考えておりますので、いい意味での検討結果が生まれるのではないかと期待しておるわけでございます。
○横路委員 政治とは何かというと、結局、住民のさまざまな要求にこたえていくということがとりわけ最近非常に大事であるということが、みんなに認識をされているわけですが、従来のやり方と違う最大の点は、住民の代表である地方公共団体から代表が参加しないということですね。この辺のところ、あなた方いかにお考えなんですか。
○川崎説明員 中央審議会でやっております委員会におきましては、直接地元公共団体から参加をいただいておりませんけれども、いずれ検討の場には地元公共団体の御意見も出していただくということを考えておりますが、なお大切な大きな問題でございますので、処理をきめる、具体的な利用計画をきめるという段階におきましては、従来どおりの地方審議会に付議しまして、地元代表の御意見も聞くという仕組みでやる予定でございます。したがいまして、従来の手続にプラスアルファ的な慎重さを加えたというふうに御理解を願いたいと思います。
○横路委員 私たち十五日の日に、大蔵大臣と官房長官にこの点について厳重な申し入れをして、検討されるというお話だったのですが、検討されるという結果がいまのお話だというように伺ってよろしいのでしょうか。つまり、中央審議会の答申だけできめるのじゃなくて、もう一度地方の審議会にもさらにかけるということですね。
○川崎説明員 御指摘のとおりでございまして、中央の小委員会では、抽象的な方針といいますか、利用計画の大綱をきめまして、それをもう一度地方の審議会にはかりまして具体的な利用計画と処理方針をきめる、そういう手続を踏みたいと考えております。したがいまして、大臣に申し入れされました趣旨でそういうふうにいたしたいというふうに考えております。
○横路委員 わかりました。中央審議会ということで地方のほうの代表をはずして、自衛隊のほうがこの土地を虎視たんたんとねらっているわけでありますから、そこでかってにする仕組みというのはけしからぬじゃないかということで、東京都のほうも、埼玉県のほうも、各関連都道府県、山梨も茨城も含めて、みなこれはけしからぬじゃないかということで、このまま強行するならば、それぞれひとつ連絡をとって抵抗しようじゃないかというような話も内々進められておったようでありますが、いまの御答弁によると、大綱をきめる――変な大綱をきめないでもらいたいと思いますが、きめて、その上で具体的には地方審議会にかけてきめるのだというわけでありますから、それはそれで了解をいたしました。けっこうでございます。 この関東集約化計画も、実は各都道府県その他地方公共団体にとってそれぞれ重要な問題で、一つ一つ詰めていけばこれは切りのない議論なんで、これはまた別の機会に、周辺整備法の関係あたりのときに議論することにしたいと思います。 最後にちょっと一つ二つ基地の問題を、あとまた別な問題になりますので、この際お尋ねをしておきたいと思うのですけれども、自衛隊のほうの基地が都市に集中しているということでの批判というのがあって、これは昨年でしたか、一昨年でしたか、立川の強行移駐のあたりだったと思いましたけれども、たしか野呂政務次官が中心になって、自衛隊の基地の縮小計画というか、再編整理計画というか、都市にあまりにも集中されてきた実態というものを調べて、整理をしていこうというような、たしか国会での答弁に基づいてそれが検討が進められているはずだと思いますが、その辺のところはいまどういう段階になっていますか。
○長坂政府委員 昨年の夏、そういった調査研究の内部組織がつくられまして、米軍のこと、それから自衛隊のことというふうに検討しておりました。それで、その中でいろいろと各基地の実態の資料を収集しまして、いまその分析、検討をやっております。まだ結論を得るにはなお若干の月日がかかると思います。
○横路委員 その具体的な対象あたりも検討に入っているのですか。
○長坂政府委員 たとえば先日この委員会でお取り上げいただきました十条の赤羽地区というような問題も検討の対象にしております。個々の基地も対象にしております。
○横路委員 これは全国あちこちに問題があるだろうと思うのですね。私のところの北海道でも、丘珠なんかは、もうまわりが全部家になってしまって、危険な空港、夜使えない空港になっているわけであります。それから真駒内のように、住宅街のどまん中にあって交通の妨害にもなっているというような地域とか、たくさんあるわけですよ。そういう都市の過密の中における基地がこの対象になって検討されているというように理解してよろしいですね。
○長坂政府委員 一つの大きな側面は、そういった都市化の押し寄せてきている波、それに対応してどうするか。いまお話しのような真駒内とか、先日も大出委員のほうから御指摘がございました沼田の演習場などは、それとの関係で、現在まだ計画決定しているわけでございませんが、調査をして、それに対する対応策として異議があるかどうか、そういう点を検討しているわけであります。
○横路委員 そうすると、真駒内の移転のためにある意味では沼田のほうが必要だというようなことですか。
○長坂政府委員 いわゆる北海道大演習場、島松の関連なども含めまして、その他の意味もございますけれども、そういう意味も含めまして検討しております。
○横路委員 北海道の演習場がどんどん拡大をされる、これもまた望ましいことじゃないのでありまして、四十六年、四十七年の美唄なんかも相当取得をされておるようでありますが、中心はどの辺のところに皆さん方は土地を取得されたのですか、新しい演習場を。
○長坂政府委員 美唄はすでに四十七年度末で購入済みでございまして、いま都市化の波というようなことの関連は、先日ここでもお答えしましたような沼田などを意中に置いて検討しておるところでございます。
○横路委員 過密都市からなくなっていくことは非常にけっこうでありますが、だからといって、場所を変えてまたあまり大きなものができ上がるというのも、これまた困ったものでありまして、ただ、いまのところ、中心というのは過密都市の問題というのが住民にとって非常に大きな問題になっていますので、ひとつそれはいつごろまでに検討の結果を出される予定ですか。
○長坂政府委員 個々の基地についての具体的左対策というものはもう少し時間がかかると思いますけれども、大綱的な方向というものは、ここ三、四カ月のうちに出したいと思っております。
○横路委員 この問題の最後にちょっとお尋ねしたいのは、実は私きのう札幌のほうに日帰りをしてきたのですが、千歳におり立ったら、地元の市議会の方につかまりまして、あそこでF104六月六日の日に、もう滑走路の端から二、三キロといわれておって、ほんとうに住宅街にすぐ一歩手前というところで墜落をして、若干のけが、あるいはそのほかの被害というものは与えているわけですが、幸い大事にならないでよかったわけです。ただ、千歳の市の決議を見てびっくりしたのは、千歳の市議会の構成というものは、三十二名のうちたしか十人程度自衛隊出身の議員の方がおられる非常に特殊な議会構成になっているのですね。こういうところは全国にちょっとないのではないか。その議会が、戦闘機の飛行安全が具体的に保障されるまで飛行を中止すること、それからもう一つは、市街地上空及び周辺の飛行を絶対回避するため、あらゆる施策、方途を速やかに講ずること、それからファントムの配備については再検討することという議会決議を満場一致で行なっているのですね。 私はきのう話を聞いて実はびっくりしたわけでありますが、そのときの話の中身というのは、実はきのう二空のほうから電話があって、山崎さんという議長のところに、きょうから訓練を再開するという連絡があったということ。長官にもお会いをして、千歳のほうに足を向けて寝られないという話も何かなさったそうでありますけれども、そういうことなのに、あれほど約束をしてくれたのに突然そういう連絡をよこしてというので、議長さんは自民党の方でありますけれども、みんな非常に不信感を持っているわけです。ひとつ、その辺のところの経緯とF104の原因そのほか含めて、あそこもだんだん周辺に住宅が建ってきて、またたいへんな問題にこれから将来なると思いますけれども、当面、この問題についてどのようにお考えなのかということだけちょっと……。
○山中国務大臣 その周辺で二回、同じような着陸の最終進入に移る旋回コースの途中で落ちております。それらの事故については、第一回目はすでに究明済みで、これはエンジンがとまったということでありまして、低空のために再始動できなかった。第二回目の最近のものは、現在の点検の段階において考えられるものとして、具体的な問題はちょっと専門家のほうから言わせますが、シャフトがいたんでいた、折れていたということがはっきりいたしました。それから、すべての飛行をもちろん停止いたしておりまして、それの最終点検をほぼ終わりまして、考えられるすべての問題についてチェックを終わっております。 これについては、地元の申し入れがございますから、中止せよという御要求にはそのとおりいたしておりますので、当然、再開する場合には、地元の市並びに議会と御相談をいたしまして、最初ははたしてほんとにだいじょうぶかという意味のテスト飛行というものから逐次一機ずつ始めまして、そしてその後に正規の訓練にまた戻っていくという手順を踏むべきものと思います。したがって、いまおっしゃったような事実関係は確認しておりませんが、私の承知しないうちに、どのような試験飛行であれ、飛行が開始されている事実は断じてないはずであります。
○横路委員 その飛行を開始されたかどうかは私も確かめていないのです。ただ、きのう市議会の議長のほうにそういう連絡があったということで、皆さん方がだいぶ怒られておって、私、札幌に行く途中、話を聞いてくれということで、ちょっとお寄りして話を聞いたときにその話が出たのですが、このファントムの配備計画そのほか含めて市議会の画期的なこの要望に――ほんとに自民党公認でこんなにたくさん出ている議会なんというのは千歳市議会ぐらいしかないのです、いま日本じゅうさがしたって。そこの、しかも自衛隊出身者が四分の一以上三分の一近くを占めておるところで、このようなファントムの配備を考えてくれということから始まる決議を満場一致で採択したというのは、いまの自衛隊をめぐる市民の立場に立てばそういうことになるという方向なわけですから、皆さん方の党の党員の市議会の方々も賛成したことでありますから、ぜひこの要望に沿うように再検討していただきたいと思います。
○山中国務大臣 ファントムの問題は御要望として一応承って今後相談をしますが、少なくとも飛行停止、飛行再開等の問題について、もちろん市街地を避けることは当然でありますが、これらの問題は私自身が直接お話し合いをして承ったわけでありますから、私自身の判断というもので地元の御了承を賜わったという時期でない限りは、その指示をいたしませんので、そのような前提によって、まず試験飛行から再開していくというようにお考えいただきたいと思います。
○横路委員 それでは第二の問題に入っていきたいと思います。 宮内庁長官、法制局長官、だいぶお待たせいたしまして申しわけございませんが、一つ二つお尋ねをしてみたいと思います。 今回の増原発言というのは、日本国憲法における天皇の地位というのをあらためて考えさせる事件でありまして、私たちの世代から見ると、この問題は、与野党を含めて、世代的なものの考え方の違いというものを私は痛切に感じさせられた一人なわけでありますけれども、特に、増原発言として伝えられる天皇の発言が、国論を二分している自衛隊、とりわけ今回問題になっている防衛二法に関するものであっただけに、これは単なるハプニングの問題としてじゃなくて、将来の問題としてわれわれ政治家はこの問題をやはり真剣に検討していく、考えていく必要があるだろう。 とりわけ、私、見ておって、これは問題だなと感じたのは、増原さんの辞任ということが戦前のように何か天皇に迷惑をかけたというような形での責任のとり方をなされてしまって、天皇問題はタブしだというような発想の中に埋没してしまったことが実は非常に残念でありまして、そういう意味でのタブーというのは、われわれ国会あるいはマスコミを含めて、ほんとうはなくなって大いに自由に議論もできるということがあって、初めて実は象徴天皇制ということの意味も国民の中にほんとうの意味で定着していくのではないかというように私は考えるわけでありますけれども、この天皇と憲法、あるいは天皇と自衛隊ということに問題をしぼって、現実の運用そのほかを宮内庁のほうと法制局のほうに若干お尋ねしたいと思います。 まず、今回の問題、これは増原さんのあとを山中さんが引き継いだわけでありますが、山中長官としてはどのように今回のことを見ておられるか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○山中国務大臣 先般の内閣委員会において総理大臣が答弁したとおりであります。
○横路委員 どういうことですか。答弁されたとおりというのは。もう一度。
○山中国務大臣 内閣の責任者として総理大臣が御答弁されたことを、私もそのとおり考えている次第であります。
○横路委員 天皇の地位というのは明治憲法から現行憲法で非常に大きく変わったのですが、なぜこういうふうに大きく変わったのかということですね。それは一つは、何といっても天皇の名において戦争が行なわれ、そのもとに多くの国民が死んでいって、たくさんの犠牲者を出したという、第二次世界大戦になった一つの原因がやはり天皇制のもとでの軍国主義だというような認識があって、だからこそ現行憲法というのは、国民主権と平和主義ということを大きな柱にしているわけであります。このことを一番理解しなければならないのはだれか。国民主権と平和主義、そういう中でこの一条による天皇象徴制という規定が設けられたんだという、このことを一番考えなければならないのはだれか。私はそんな意味で自衛隊ではなかろうかというように考えるのです。この明治憲法から現行憲法への変わりということの中で、どうですか、その辺のところ。
○山中国務大臣 戦前の軍隊というものは統帥権が天皇陛下にございましたから、したがって自衛隊に関する限りは、統帥権と呼ぶのはおかしいのですが、内閣総理大臣が最終的な指揮命令権限を持つわけでありますから、天皇陛下と自衛隊とは全く関係のない存在としております。
○横路委員 つまり統帥権を持っておられて、そのことで第二次大戦にいったということの反省、たくさんの血を流したということの反省の上に、憲法において天皇に関する現行の規定というのはできたんだろうと思います。その辺のところを一番受けとめて考えなければならないのは、これだけの軍事力を持っているところの自衛隊じゃないだろうかと私は思うのですけれども、いかがですか。
○山中国務大臣 前段の新憲法制定の解釈は御自由であります。しかし後段について、自衛隊はかつての旧軍と統帥権保持者の天皇陛下との関係とは全く違う。統帥権という名に値するかどうかは別として、内閣総理大臣のみの指揮命令権のもとにある。したがって天皇陛下と自衛隊とは全く関係のない存在である、そのことだけは明確に申し上げておきます。
○横路委員 少し私の意見も聞いてもらいたいと思うのですが、昨年の一月に私、実は中国に行って、一カ月間、中国の東北地方、昔の満州をあちこち見たのです。そこで日本が昔何をやったかということについて、いろいろな人に会って話を聞いたり、その現場というものを見たり聞いたりしてきたわけなんですけれども、日本が戦争に負けたときに、中国や朝鮮の民衆が一番最初に破壊したところがあるのです。これはどこだかわかりますか。
○山中国務大臣 私に……。
○横路委員 はい。
○山中国務大臣 私はその当時そういう地区におりませんでしたので、よくわかりません。
○横路委員 最初に民衆の怒りを買ったのは神社なんですね、中国や朝鮮においてつくられた。私その話を聞いて、私は全然戦争は知らない世代に属しているわけでありますが、行って話を聞いて、なるほどなと感じたわけです。それは向こうで中国の人たちの話を聞くと、ともかく朝は朝会といって皇居のほうに向かって参拝させられる。八紘一宇の歌を歌わされて、神社の前ではおじぎをしなければならぬ。皇威の発揚、太平洋戦争の必勝、共存共栄なんといってみんな強制されたということで、そのことが中国の民衆にとって非常に暗い思い出として残っているわけなんです。そのことを実は私、行って話を聞いてみて、なるほどなと思って帰ってきたのですが、いまわれわれが考えなくてはならないものというのは、アジアの民衆にとって日本というのは何なのかといえば、戦争の加害国だったわけであります。戦争が終わってからもう三十年近くなるわけでありますが、日本の戦後の復興の、ある意味では国民の共通の体験といいますか、認識とは何かといったら、やはり戦争の被害者体験といいますか、もう戦争はいやだという意味ですね。しかも、そのいやだという視点というのは、あの戦争の被害を受けた側面、これはいやだということがわれわれの運動の基盤にもなっていましたし、ある意味では戦後日本の一つの共通の体験としてあったのじゃないかと思います。ただ、その中で忘れられたのが、やはり戦争の加害者だったという側面ではなかろうかと思うのです。 そこで、中国に行って、民衆が神社をこわすなんというような話を聞いて感じたわけでありますが、やはり一番感じたのは、そこで天皇と神社と軍隊というものが結びつくということは、実はアジアの民衆にとっては、非常に昔の忌まわしい思い出と結びついているわけです。そのことだけは絶対にわれわれ避けていかなくてはならないというように考えるわけなんですけれども、いま防衛二法が問題になっているときの増原発言、しかも靖国神社法案がやはり内閣委員会にかかっているというような中で、われわれ考えなければならないのは、戦争の加害者にならない。アジアの関係では加害国だったという事実を見ながら、その関係だけはきちっとかかわり合いを持たないようにしていくというのが、これからの日本のアジア政策の中でも基本として一番大事なことじゃなかろうかというようなことを、私は中国に行って感じて帰ってきたわけであります。これは私の意見でありますけれども、長官はいかがお考えになりますか。
○山中国務大臣 もちろんわが国の現行憲法は、国際紛争解決の手段としての戦力を保持しませんし、核保有は政策としてこれをいたしませんし、また攻撃的な武器について、相手に脅威を与えるような存在にならないということもきちんといたしておりますし、もっぱら専守防衛、わが国民の生命、財産と独立と安全を守るということに徹するわけでありますから、最近ともすれば東南アジア等の国々において、過去のパターンとしては経済大国は即軍事大国になる、そのことについての日本に対する懐疑の念等もあるやに聞きますが、ここらのところは、戦後の自衛隊というものが戦前の軍隊と全く違うのであって、他国に脅威を及ぼし得るものでないということの理解がまだ不足しておるし、徹底をさせる必要がある。私どもはまた、いやしくもあのような経験を経てきたわけでありますから、一民族が他国の領土内に他国の民族と戦いつつ戦争を続けていくようなことを、二度とわれわれ民族はなしてはならないという不退転の決意の上に立っておることについても、これはいまさら申し述べる必要のないほど明確なところであります。
○横路委員 自衛隊の制服の人たちが、昭和四十年以来、皇居で勢ぞろいをして天皇に会っているようでありますけれども、これは各年度何人ずつ毎年続いているのかどうか、お答えをいただきたい。
○田代政府委員 この拝謁は昭和四十年度以降行なわれておりますが、四十一年度と四十七年度はそういうことはございませんでした。ですから七回ということになります。人数はおおむね五十名ないし六十名ということになっています。
○横路委員 これは、天皇のほうから会いたいなんということは、たぶん言うことはないだろうと思いますから、自衛隊のほうから申し込まれたのでしょう。これは、内局を通して申し込まれたのか、制服が申し込みをしたのか、どちらのほうが申し込みをしたのですか。
○田代政府委員 内局から宮内庁に対してそういう申し出をするわけであります。
○横路委員 この申し込みを受けて、じゃ会わせましょうということにきめた判断は、これは宮内庁でおやりになったのか。どの機関でおやりになったのかですね。
○宇佐美説明員 防衛庁のほうからの申し出によりまして宮内庁において判断いたします。その根拠と申しますか、われわれは、各官庁で地方におられる幹部の会合の際に、陛下に拝謁を願い出て、それを許している例がございます。ですから私どもは、官庁については共通に扱っているので、そのときの陛下の御都合や何かございますけれども、よろしければそれで認めて、そういうことをいたしておるわけであります。
○横路委員 それは宮内庁の判断でおやりになったということですね。 そこで、法制局のほうにお尋ねしたいのですけれども、天皇は象徴であって国事に関する行為のみを行ない、国政に関する権能を有さない存在であるということになっているわけです。したがって天皇は、六条、七条に定められている形式的、儀礼的な行為ですね、これは実質を伴わないわけですが、そういう形式的、儀礼的な行為のみを行なって、実質的に国家意思を決定する権能というもの、あるいは機能というものは有していないというように解釈されるわけですが、これはよろしいですね。
○吉國政府委員 ただいまの御解釈でけっこうだと思います。
○横路委員 象徴というのは何かということですね。憲法のほうにはいろいろ書いてありますが、これは抽象的観念。具体的なものをもってあらわす場合に用いられることば、たとえば国旗が国家を象徴するとかですね。ただ、自然人でありますから、その辺のところに特殊性というのが出てくるわけです。したがってこれは代表という観念とは違いますね。
○吉國政府委員 代表の観念と象徴の観念とは違うものと考えております。
○横路委員 象徴である、ただ自然人であるから、国旗と同じような意味で扱われるということはないわけですし、憲法上でも一定の権能といいますか、というようなものが与えられているわけですけれども、それは象徴ということそれ自体、一定の権能というのを要求するのじゃなくて、象徴としての地位に基づいて憲法が一定の行為、つまり国事行為というものを名目的、形式的に与えているのだというように解釈されると思いますけれども、この点はいかがですか。
○吉國政府委員 憲法の第四条第一項に、「天皇は、この憲法の定める國事に關する行爲のみを行ひ」という規定がございますが、この場合の天皇の御地位というものは、一つの国家機関としての天皇の御行動である。その基本におきましては、その根本におきましては、象徴たる地位にあられる天皇というものに着目した規定であろうと思いますけれども、象徴という地位と、天皇の国家機関として国事に関する行為を行なわれる地位は、また別なものでございます。
○横路委員 ただ、象徴ということは、一定の権能というものを当然に要求するものだということは言えないという点はどうですか。
○吉國政府委員 日本の天皇の象徴ということは、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるという憲法の規定にそのままあらわれているところでございまして、その天皇が日本国の象徴であられるというその地位を仰ぎみるときに、日本国が一つの国である、日本国民が全部一つの国民になっているということをこの中に感ずるという確信を第一条は規定したものだというのが、おおかたの憲法学者の説であろうと思います。
○横路委員 私がお伺いしているのは、象徴ということでそれ自体一定の権能というものを要求するわけではないのだ……(発言する者あり)委員長、少し静粛にしていただきたいと思いますが……。
○三原委員長 お静かに。
○横路委員 象徴としての地位に基づいて当然にその権能というのは要求されているわけじゃないのだという点はどうですか。
○三原委員長 お静かに願います。
○吉國政府委員 御質疑の趣旨は、天皇が象徴という地位にあられることによって、その象徴という地位に基づいて当然ある機能を要請するものであるかどうかという点にあるかと思いますが、天皇が象徴たる地位にあられるということ、そのことが憲法第一条に規定するところでございまして、先ほども申し上げましたように、第四条以下にございますような国事に関する行為を行なわれる天皇の地位といけものは、象徴であるから当然に出てくる権能ではない。これは一つの国家機関、天皇も国家の機関としてその国事に関する行為を行なわれるという、別個の地位であるということでございます。
○横路委員 昭和四十四年に、衆議院の内閣委員会で宇佐美長官が受田委員の質問に答えて、「象徴たる天皇の御地位あるいはその権能、これは申し上げるまでもなく憲法によってその権能は制限的に列挙されておるものと存じます」というようにお答えになっているわけであります。いまの法制局の長官の御答弁も、一定の権能というものを当然要求しているわけじゃない、その象徴たる地位に基づく権能というのはこれは憲法で規定されている、つまり国事行為のみに限定されるということになっております。私は、この宮内庁長官の答弁というのは、憲法の精神からいって非常に正しい解釈だというように実は考えているわけなんですが、これでよろしいと思いますけれども、いかがですか。
○吉國政府委員 先ほども申し上げましたように、憲法第四条第一項では、「天皇は、この憲法の定める國事に關する行爲のみを行ひ、國政に關する權能を有しない」と規定しております。その趣旨は、国事に関する行為は憲法の四条二項なり六条、七条に限定的に列挙されている行為、その行為のみに限って国事に関する行為、いわゆる国事行為というものを行なわれるのだということを規定したものだと思います。
○横路委員 それはもちろん国事行為に対して規定されているわけですけれども、これ以外の行為は自由だというのではなくて、宇佐美長官が制限的に列挙されているものですと答弁されたように、国政に関する権能は有しないわけですね。しかし、その中の国事行為ということで憲法に列挙しているものだけは、これは実質的決定機関は内閣であるとか国会であるとかいろいろあるわけでありますが、実質的決定機関というものは別にあって、形式的、名目的に国事行為というものをなさるわけでありますけれども、それは制限的に列挙されたものなんだというこの宮内庁長官のお答え、私はこれはやはり憲法の趣旨にかなっているのじゃないかと思うのです。ちょっといまの法制局長官の答弁は問題があるのじゃありませんか。
○吉國政府委員 先ほども申し上げましたように、国事に関する行為を行なわれる天皇の地位というものは、国家機関としての地位でございます。国家の機関として行動されるのは、この憲法第四条第二項、第六条及び第七条に定める国事に関する行為のみであるというのがこの規定の趣旨であります。
○横路委員 したがって、あとあるのは天皇の私的行為ということになりますね。つまり、天皇は象徴である、ただ象徴といっても自然人でありますから、そこのところに持ってくる問題というのはあるにしても、一応行為というのは何かといえば、いま御答弁があったように、憲法できめているのは国家機関としての非常に限られた行為だ、あとは私的な行為だというように解釈するのがきわめて自然じゃないかと思いますが。
○吉國政府委員 その私的なという形容詞の問題でございますが、天皇は、先ほども象徴としては非常に珍しい例だということを委員も仰せられましたけれども、自然人として当然に御行動になるわけであります。その点、いま私的の行為とおっしゃいましたが、全く純然たる私人としての、私人にひとしいような行為をなさることももちろんございますけれども、天皇は自然人として御行動になる場合に象徴としての地位をお持ちになっております。したがって、天皇が御行動になっても、全く私的な御行為以外に、象徴としての地位が反映をせられまして、それが公の色彩を帯びてくる、公的な行動になられるという場面があろうかと思います。それは、たとえば国会の開会式に招待をされて御出席になるという場合に、これが全く一般の私人と同一の行動であると言うことは、これはできないと思います。その場合は、日本国の象徴たる、あるいは日本国民統合の象徴たる地位において御行動になっておるというほうに一般の国民は当然考えるものだろうと思います。あるいはまた、外国の元首と祝祭日等に親電を御交換になるとか、あるいはまた、広く国内を御巡幸になるとかというような天皇の御行動は、全く私人としての御行動とは違って、象徴たる地位というものを背後に負って、その象徴たる地位が反映をして公的な色彩を帯びた行為だということは、何人も否定することのできない事実であろうと思います。それを名づけて、先般もこの委員会においてお答え申し上げましたように、大かたの学者が、まあ国事行為に準ずる行為として、準国事行為であるとか、あるいは公的行為とか呼んでおるのが現実の姿でございます。 それを、どこからどこまでが公的行為あるいは準国事行為であるかということを限定することは、一つの議論の問題になるかと思いますが、いずれにいたしましても、天皇が自然人として御行動になる。その場合に、全く私人と同じ御行動として、たとえば生物学を御研究になるとか、あるいは趣味として国技館で相撲をごらんになるというものは、これはもうほとんど純粋の私人の行為とひとしいものだろうと思います。それに対しまして、先ほどの国会の開会式への御出席であるとか、御巡幸であるとかいうようなものについては、これは公的な姿を認めざるを得ないということであろうと思います。 〔「結論出せ」「何言っておるのだ」と呼び、その他発言する者多し〕
○三原委員長 お静かに願います。
○横路委員 問題として、準国事行為というような概念を設けられたわけですが、その概念を設けることじゃなくて、まあ私的行為を分けることがむずかしいという。分けることがむずかしいことは、そのとおりだろうと思うのですね。それは別に、たとえば外を歩かれる場合だって、ともかく象徴という自然人が歩いておられるわけですから、それはいろいろな意味というのは違ってくるのは当然だろうと思うのです。ただ、その私的な行為と憲法できめられた行為との間に、準国事行為ないしは公的行為という概念をつくることは、実は非常に行動範囲というのを広くすることになるのじゃなかろうか。これはどこでささえになるものがあるのか。憲法では公的行為なんという根拠は、条文上はどこにもないわけですね。禁止されてないからいいんだという、何かちょっとその趣旨を田中総理大臣がこの間答弁されましたけれども、私はそれでは、先ほど来言っているように、宮内庁長官の、その権能というものを憲法によって制限的に列挙されているのが国事行為なんだという趣旨と、準国事行為という概念を認めるということは、これはやはり完全に矛盾することじゃなかろうかと思いますが……。
○吉國政府委員 先般の内閣委員会でも何回もお答えいたしましたように、天皇の憲法第四条第一項でいっておりますような国事行為国事に関する行為のみを行なわれて、国政に関する権能を有しないという規定から申しまして、天皇は国事行為だけを行なわれるだけだということは、それは国家機関としての天皇について規定したものである。天皇は自然人として御行動になることは当然でございます。 その天皇の自然人としての御行動を大きく分けて二つにすれば、そこの中に、公的な色彩の強いものと、公的な色彩のほとんどないものと二つあるだろう。その公的な色彩を帯びてきた、公の行動と目されるようなものについて、これを学者が名づけて、準国事行為であるとか、あるいは公的行為と呼んでいるということでございまして、天皇が国事行為のほかにどういう行為をなさるか、国事行為のほかに公的行為と純然たる私的行為とあるというふうにアプリオリにきめて議論をしているわけじゃございませんで、天皇の自然人としての御行動の中に、どうしても公的な色彩を帯びてくるものがある。これを全く、天皇が御自由に行なわれることにしておくよりも、むしろ憲法第四条第一項にございますように、天皇は国政に関する権能を有しないという規定の趣旨からいたしまして、そのような公的な御行為についても、国政に事実上も影響を及ぼすようなことがあってはならないということを念慮いたしまして、第一次的には宮内庁、もちろん最終的には内閣が責任を持ちまして、そのような御行動についても、国政にいやしくも影響を及ぼすようなことがないようにということを配慮をしなければならないというのが、これは一部の学者の議論でもございます。 一部の学者はそういうような議論で、むしろ天皇の国事に関する行為以外は全くの私的な行為だけであるというふうに学問的に分類をいたしまして、私的な行為については何ら政府の機関が関与しない。もちろん宮内庁は皇室に関する国家事務を掌理いたしますので、天皇のいろいろの御行動についてお助けすることがございますけれども、そういうことではなしに、その御行動について公の上の配慮をするようなことはないということにすればかえって憲法の精神に反するだろうというのが、これはそれほど多い学者ではございませんけれども、かなりの数の学者がそういう議論をやっております。 それは、まさにそのとおりでございまして、むしろ天皇の公的行為という概念を一つ立てまして、もちろんその概念を立てるのも、先験的にそうなるということではなしに、先ほども申し上げましたような議論で、天皇の御行動にはおのずから象徴たる地位が反映をされて公の意味を持ってくる、そういう公の意味を持ち得るような御行動については、いやしくも国政に日常も影響を及ぼすようなことがないように配慮をしなければならないという趣旨でございます。
○三原委員長 ちょっと速記をとめて。
○三原委員長 速記を始めて。
○横路委員 一番初めに申し上げたように、質問の三項目のうちのいま二項目の終わりのところでありますから、ひとつ静かにして審議に協力をしてもらいたいと思います。 象徴天皇の趣旨というのは天皇の非権力性にある。それは国政に関与しないという趣旨なわけであります。しかし、そのことを、実質的に内閣の責任において処理するんだからいいんだということにしてしまうと、実は内閣の考え方によっては、非常に拡大もされるし、ある意味では縮小もされるということになる。問題はもっぱら運用にかかってくることになる。その意味では、逆に言うと、危険性というものがそれだけ多くなるということが言えるのじゃないか。その内閣の責任にかかわらしめて公的行為という範疇を認めてしまうということは、その行動範囲を非常に自由自在にしてしまうという意味での危険性というのは、憲法に明文がないだけに非常に大きなものがあるのじゃないか。その辺のところを、これは実質の問題でありますけれども、法制局長官にお伺いすべきことかどうかわかりませんが、いかがでございますか。
○吉國政府委員 天皇の公的行為あるいは準国事行為という概念を認めることは、かえってそれを広くすることになりはしないかという御懸念でございますけれども、そういうことではございませんで、憲法第四条第一項に規定いたしております、天皇は国政に関する権能を有しないという精神を十分にそのまま実行するためには、そのような観念を設けて、その観念のもとに天皇の御行動について、事実上国政に影響を及ぼすようなことのないようにするという一つの考え方でございます。 それからもう一つ、これは皇室費の使用の問題にかかわってまいりますが、御承知のように、皇室費は内廷費と宮廷費とございます。その場合に、その公的な御行動については支出の区分が変わってくるという問題もございます。
○横路委員 憲法にいう内閣の権限という規定から言うと、内閣の権限というのを越えて拡大解釈することになるのじゃないか、裏の面からいえば。そのところの問題はどうですか。
○吉國政府委員 内閣の責任と申しますのは、総理府の外局である宮内庁、その宮内庁の上に総理府がございますが、その総理府を統轄する行政機関の最高の地位にある内閣として責任を有するという意味でございます。
○横路委員 宮内庁という役所の権限ですね。宮内庁の法律等を見ておると、先ほど言ったように、かなり実質的にいわゆる内閣の責任という部分が宮内庁で判断されているものがあるようなんですけれども、内閣の連帯責任というこの憲法の大規定を準国事行為に関しては準用したほうが、つまり内閣の責任にかかわらしめることがあるからいいんだと、皆さん方こうおっしゃりながら、実質的には宮内庁という役所で判断をされている。これは宮内庁の組織令そのほかからいって、一体どこにそういう権限があるのか。私は非常に奇妙にこの前の答弁を聞いておったのですけれども、いかがですか。
○吉國政府委員 宮内庁の所掌事務といたしましては、皇室関係の国家事務という規定で本件のようなものは処理していると思いますが、およそ行政事務を処理いたします場合に、すべての事項について内閣の決定に待つということはございませんで、もちろん、ものごとによりましては、閣議決定なり閣議了解なり、あるいはもう少し下れば閣議報告というような形式もございますが、一定の方式に従って行なうような行為につきましては、各省の長官たるそれぞれの国務大臣、あるいはそのもとにおける外局たる庁の長官に事実上の処理をゆだねるということは、これは行政事務の一般として多数あることでございます。本件のような問題につきましても、大多数の問題は一つのルールができ上がっておりますので、そのルールに従って宮内庁限りで処理するということはもちろんございます。ただ、重要な問題、たとえば国会の開会式のおことばとかいうようなものについては、一々閣議で検討をいたしております。
○横路委員 どうも天皇の問題になると、自民党席、おちつきがなくなるわけですが、やはり問題をタブー視しないで、きちんとまじめに議論しておくことは将来のために必要なことだと思います。この防衛二法を提案された長官が、われわれのわけのわからぬうちにおやめになって、いま山中長官がおすわりになっているわけでございますが、先ほど来お話のあったように、防衛二法の中身と関連して、この法律議論をやったあとでちょっとまた長官のほうにお尋ねしますけれども、いまの内閣の責任、宮内庁の責任という問題ですが、この天皇の国事行為に関する内閣の責任、これは憲法で規定されている。一般的行政事務についての内閣の責任というものとはまた違った意味で、とりわけこの点についてはこれは内閣の連帯責任――内閣というのは連帯責任でありますが、内閣の責任というのを助言と承認という形で明示をされている。それを宮内庁という役所に一任して、そこで処理してしまう。それも感覚から言うと、内閣総理大臣のもとにある組織だから、内閣のもとにある組織だからということで処理するということは、やはり内閣の助言と承認というほんとうの憲法の趣旨から言うと私はおかしいんじゃなかろうかというように考えるのですけれども、その点いかがですか。
○宇佐美説明員 宮内庁の実際行なっておりますこと、また考え方を申し上げたいのでありますが、先ほどお話ございましたとおりに、天皇の憲法上の国事行為の範囲というものは非常に限定的にきめられていることは、そのとおりでございます。そのほかに、国務に関係しない、そういう権能はないということもまたはっきりしておるところでございます。しかし、先ほど来法制局長官が言われましたとおりに、その他にいわゆる公的な行為あるいは私的な行為というような分野があるということは、私どもも考えておるところでございまして、これはなるほど条文に書いてはっきりするようなことでないことは、ある程度やむを得ないことでございます。しかし実際問題申し上げますと、新憲法以来いわゆる公的行為というものはあまり多くふえておりません。陛下がいろいろお出ましになるのも、こちらから進んで行かれるというよりも、むしろ官庁とかいろいろな方面からの希望によって出ていかれるということが多いわけであります。それからさっきの御親善という問題にしても、これは陛下が、宮内庁だけがやるのじゃなくて、外交上の問題もございますから、外務省の助けを得てやっておるようなわけで、そう簡単に事柄がふえていくわけではございません。われわれも、そういうものが出てきましたときに、根本的には、陛下のいわゆる公的な行為であろうと私的な行為であろうと、やはり象徴たる天皇が憲法の趣旨に反することはいけない、私的行為であってもそれは十分慎まれるべきであると常に思います。そういう考えでわれわれはすべての処理をしているわけで、あるいは、宮内庁ががんこであるとか、やかまし過ぎるという論があるくらいに、厳重に考えておるわけでございます。したがって、いろいろな希望はたくさん出てまいりますが、これも陛下がお受けになるとすれば限度がある問題で、そう何でもかんでもというわけにはまいりません。現に春とか秋とかいうのは非常に多いので、相当これは整理をしなければならぬのじゃないかと思うぐらいでございます。 われわれはそういう意味で、現在の憲法にあるとおりに、これを忠実に守るということを、すべて公的の問題にしろ私的の行動にしても考えるわけです。それで、私的の行為、公的でない私的となっても、何も自由はないと私は思います。それはやはり憲法がきめられた精神というものは持っていただかなければならぬ。その点ではずいぶん御不自由があると思います。しかし、これはやはり陛下の天皇のお立場としては、それをある程度やっていただかなければならぬとわれわれは考えております。 そういうことでございまして、われわれの宮内庁の組織令によりますと、皇室に関する国家事務ということがございます。それを監督するのは総理府であり総理大臣でございます。しかし、日常普通、相当長い間の経験で行なわれていますことは大体宮内庁で処理しておりますが、異例なこととか何かについては、重要なことはみんな政府とも打ち合わしておるわけでございまして、われわれは決して独断ですべてをやろうとも思っておりません。いわゆる助言と承認という問題は、いろいろ出ました内奏という形でいたしておりまして、これは宮内庁の所管に属する内容でございません。したがって、どういうものが陛下のところへ出たかは宮内庁としては知らないわけで、これはただ側近の待従がお取り次ぎをしているだけでございます。そういうわけでございますから、いわゆる内閣の助言と承認ということだけははっきりとそのまま陛下のところに上がっているわけでございまして、われわれとしては、ただそのお取り次ぎ、書類の処理をしているだけということでございます。その他のことはいま申し上げたようなことで、きわめて注意深くやっておるつもりでございます。そう御心配あそばすように、どんどんふえていくようなことはまずないと私は思っております。
○横路委員 憲法調査会のいろいろな総会とか第三委員会における報告書を読んでみますと、宮内庁のほうでは、そういう意味での憲法的な天皇の行為についてのことは、かなり考え深くその辺のところを配慮されているということは、このいろいろなレポートを見ても感ずるわけですが、ただ現実には、やはりいまの天皇を利用しようと考えている政治勢力というのが非常にあるというのは、まことに残念なわけでございます。 そこで、準国事行為の中身になるのですが、国政に関する権能と言ってしまえば、これはかなり広いようでもあるし、ある意味では解釈によってはいろいろ言えるわけです。つまり政治に対して影響を与えるような行動とか発言はなさらない。それについて内閣には、一般的な責任のほかに、助言と承認という責任があるのだというように解釈しなければならぬと思うのですが、これは法制局長官、いかがですか。その国政に関する権能というのは、政治に対して影響を与えるという、そういうような行動とか発言というのは、これはやはり、幾ら内閣が承認しようと何しようと無理じゃないか。いかがですか、それは。
○吉國政府委員 それはまさにそのとおりだろうと思います。
○横路委員 そうすると問題は、国論を二分しているそのただ中に、天皇を引きつけるといいますか、たとえば自衛隊の制服の幹部が会うということ自身、それは先ほど御答弁があったように、一般の役所の人たちが幹部会をやるときに会うのと変わりないと言ってみたところで、現実にはやはり、たとえば六十数名も勢ぞろいして高級幹部会同のときにわざわざ会って、しかもそのときに、いろいろこちらのほうで、たとえば聖旨に沿って云々というような発言まで出てくるということになりますと、これは天皇のほうの問題じゃなくて、自衛隊のほうの問題として、自衛隊の制服が天皇という地位を利用しようと考えているという疑い、あるいはそういう疑問というものをやはり一般に持たせることになるのじゃないか、私はそう思うのです。 たとえば、そういう意図といいますか、この防大の同窓会の会報を見ますと、石田さんという方、これはいまの海幕長ですね。石田捨雄さんというのですか。そうですね。この方が、たとえば春の園遊会に行って、いろいろことばをかけてもらった。そのことばをかけてもらった天皇とのやりとりというものを、この防大の同窓会の会報の中に紹介して、そして隊員に、非常に激励をされたという形でもって紹介される。つまり受けとめるほうは、天皇のほうの意思とは関係なしに、いまのある意味ではきびしい条件に置かれているこの自衛隊の問題について、やはり何としても、利用という意図があるいはなかったとしても、それを自衛隊のほうに引き込んでくる作用というのを果たしているわけです。私は、その辺は宮内庁が配慮されているようでありますから、自衛隊として慎むべきじゃないかというように思いますが、いかがでしょうか、長官。
○山中国務大臣 先般の内閣委員会において、この問題について内閣総理大臣より、すなわち自衛隊に関する最高の指揮命令権者としての総理が、拝謁ということばが悪ければまた変えてもいいですが、陛下の前に出るということはやめるつもりはないとおっしゃいましたが、それはそのとおり私も従っていくべきだと思います。ただその際に、聖旨ということばなどは、どうもいまの時代にはどうかなと私は思います。また、いまの園遊会のときのおことば等は、これは、一般の著名なる民間の作曲家とか、あるいは芸術家とか、そういう方々も皆さんおことばを賜わりまして、それぞれどういう範囲かわかりませんが、自分が励まされたことについては、これは公的に新聞等にも載る部分もありますし、そういう面等について、これが、自衛隊の訓育の場とか、あるいは行政の方針の上に、指針として定められるような、そういうような受け取り方をすべきではないし、そういう誤解のあるようなことをしてはいけないと思います。その辺の限界はきちんとしておくべきだと思います。
○横路委員 園遊会での発言というのは、これは私的な行為なんでしょうね、皆さんの範疇からいっても。自衛隊の高級幹部が会うというのは、これはどういうぐあいに解釈されているのですか。憲法上の問題ですから、法制局長官から。
○吉國政府委員 これは、裁判所長官会同の際に地方裁判所の所長とか家庭裁判所の所長にお会いになります。また検察長官会同には、検事長なり検事正に拝謁を賜わることがあると伺っております。それと同じように防衛庁の職員にもお会いになるのだと思いますが、この場合は、やはり象徴たる地位にあられる天皇にお目にかかるという意識の問題でございましょうから、公的な色彩が強い行為だろうと思います。ただ学問上の公的行為という範疇に入るか入らないか、これはなかなか議論の存するところで、先ほど申し上げましたような、国会の開会式に御出席になるというようなものとは、やはり公的な色彩の段階において差があることではないかと思います。
○横路委員 憲法調査会の調査のときに、瓜生さんという次長の方が、たとえば皇居の中をいろいろと清掃の奉仕に来られた方たちに会う、これは非公式にお会いになる私的な行為ということにして、外国の大公使なんかに会うのを拝謁として、これは公的行為だというように、何かお会いになるやつを分けて御説明があって、昭和何年に何回だと、あれはたしか三十三年か四年くらいの話だったと思いますけれども、ちょっと正確にはあれですが、そういうぐあいに分けておられたのですけれども、いまの法制局の答弁を聞いておると、自衛隊の制服が天皇に会うのは、奉仕に来られている人たちに会う、つまりその意味ではいろいろな人にお会いになるのでしょうけれども、それとはやはり違うわけですか。そうすると公的行為、準国事行為という範疇に入るというようにお考えなんでしょうか。これはちょっと法律論ですから、法制局のほうに……。
○吉國政府委員 先ほどの答弁でも申し上げましたように、たとえば国会の開会式に天皇がおいでになるというような公的行為、これは学者もほとんど全部の人が、公的行為あるいは準国事行為としてあげている例の典型的なものだと思いますけれども、そういうものに比べれば公的な色彩は薄いといわざるを得ない。しかし、いま委員がおあげになりました、皇居の清掃奉仕をした人々に陛下がお通りになる道すがら会釈を賜わるというような行為よりは公的な色彩は強い。この公的行為とか、私的行為と大きく分けましても、結局いろいろな色合いが強いか薄いかという問題になると思いますので、公的行為とまで言ってその範疇に入れるという行為ではないと思いますけれども、交的な色彩はかなりある行為であるということに相なろうかと思います。
○横路委員 たとえば政党の大会に出るなんというのは、これはもちろん、政治に関与する、そのことではなくても、それに影響を与えるという意味で、これはやはりいけないことだろうと思うのですね。それと同じような意味では、国論を二分しているような問題、とりわけ、宮内庁のほうではいまも運用はそうでしょうが、たとえば外国の元首が羽田に着いたときに、自衛隊の儀仗兵が並んで整列をして観閲を受けるときに、外国の元首はその中を通られるが、天皇の場合はそれは受けない。それは、自衛隊に対する指揮権というものを持っていないからそういう観閲はしないのだという、これは憲法調査会の中での瓜生さんの御発言。これはいまも運用としてはそのとおりでございますか。
○山中国務大臣 これは、栄誉礼に対して陛下は答礼台にもお立ちになりませんし、もちろんそれに伴う閲兵と申しますか、儀仗兵の前を、元首なりその他の外国の栄誉礼を受けてしかるべき賓客がお通りになる行為の際には、同行されません。そこのところは明確に区別いたしております。
○横路委員 つまりそれだけの配慮を宮内庁でやっているわけですよ。自衛隊のほうからずいぶんいろいろな例の重圧ですね、自衛隊記念日のときにもいろいろな話があるというように聞いておりますけれども、これはやはり宮内庁のほうの正しい態度だろうと思います。 そうすると長官、先ほど、田中総理がこう話をされたということで逃げてしまったわけでありますけれども、制服がいまの時点でそんなことで会うということは、どう考えようとも、ともかく客観的事実として、しかも受けとめるほうの、先ほどの防大の同窓会の会報なんか見てみると、やはり何かそのことをあれにして天皇というものを持ってくる。いろいろと自衛隊の教育の問題を取り上げていけば、これまただいぶ時間のかかる議論になるわけでありまして、省略をしたいと私は思うわけでありますけれども、やはりそういう配慮というものは、自衛隊はすべきではないかと私は思うのですね、長官。天皇を自衛隊のほうに引きつけるということはやはりよくないのじゃないか。公的行為の中にも色彩の薄いのと濃いのとなんて言って、どうもそんなことじゃ、これは一つの概念といえるのかどうか、非常にあいまいであるだけに問題が残るわけでありまして、内閣の責任というものは非常に重大だというように私は思うわけでありますが、できるだけ自衛隊のほうで、天皇を政治のさなかに引きずり込むような、そういうことはおやめになったほうがいいのじゃないか。
○山中国務大臣 先般の当問題に関する内閣委員会におきまして、自衛隊の最高の指揮権者であり命令権者である田中内閣総理大臣より、この行為については取りやめる必要はないとの御答弁がありましたので、私はその命のとおりに行動いたします。
○横路委員 いつもの山中長官に似合わない、田中総理のことをただ繰り返して言うだけでありますが、そういう長官の緊張というものを、ほんとうに現実の運用の面で私、生かしていただきたいというように思うのですね。自衛隊と天皇は、特に軍隊と結びつくということにはものすごいアジアの民衆の反発があるのだということを、ぜひ頭の中に入れていただいて、官内庁長官と法制局長官にはけっこうでございます。 これから防衛医大の問題について質問を進めていきたいと思います。 防衛医大は医官の不足に対処するものだというようにいわれているけれども、厚生省にお尋ねしますけれども、いま全国的に医師は国民何人に一人の割合でおられますか。
○手塚説明員 先生御質問の点は、現在の医師一人当たりの人口でございますね。
○横路委員 はい。
○手塚説明員 それでございましたら、四十七年末でございますが、医師一人当たりの人口数は七百八十一名ということになっております。
○横路委員 北海道のほうは、稚内とか士別とか名寄とかいう都市でも、市立病院に医者がいなくて、集めるのにたいへんなことになっているのですけれども、北海道の場合はどういう状況になっていますか。
○手塚説明員 手持ちの資料は、人口十万対医師数の資料を私ども実は使っているものですから、申しわけありませんがそれでまいりますと、北海道の場合は人口十万対の医師数は百・三ということになっております。
○横路委員 そうすると、これは医師一人当たり国民何人というやつは出てこないわけですかな。人口一万に大体十人ということですかな。
○手塚説明員 いまの人口十万対の数字を申しますと、県別のやつはちょっと数字が違ってくるのですが、全国でいきますと、平均が、十万対の医師数は百十七・三ということでございます。したがって、北海道はそれに対して、百・三ということで下回っているわけであります。
○横路委員 要するに、医者一人当たりの国民の数は四十七年度で七百八十一名だというわけでしょう、全国指数では。北海道の場合はこれよりもうちょっと悪くなって、医者一人当たりどのくらいになりますか。千人こえていますか。
○手塚説明員 十万を百・二で割ればよろしいわけでありますから、千人をちょっと下回るという数字であります。
○横路委員 わかりました。自衛隊のほうはどういう状況ですか。
○鈴木(一)政府委員 四十七年度末で医師一人当たり自衛官数八百六十八名であります。
○横路委員 そうすると、一般の国民に比べれば特に少ないというわけでもないですな。
○鈴木(一)政府委員 私どもは、一般の国民に対する医師一人当たりの国民数と、それから自衛隊の現員の医官数一人に対しての自衛隊員数をにわかに比較するのは、ちょつと内容が違いますので非常に困難だと思います。自衛隊の医官の場合には、御案内のごとく、任務の特異性と業務の多様性という問題。自衛隊医官は、単に診療だけではございません、身体検査もやらなくちゃなりませんし、非常に多様な業務を持っております。そういうことで、国民一人当たりの医者の場合は、いろいろな職種の方をまとめて、もちろん自衛隊の医官も入っております。そういうことで、非常に比較はしにくいという点がございます。
○横路委員 つまり、一般に皆さん方医官不足と言っているけれども、国民レベルと比較をすると、一般の治療の面では、戦時を想定すれば別ですけれども、平常時における治療の面では一般の医者とは変わらない、一般の国民と同じような状況に行なわれている、こういうように理解をしてよろしいわけですね。
○鈴木(一)政府委員 ただいまのは現員で比較をいたしたわけでございますが、もちろん一般国民の場合には定員、現員の問題はございません。現員でやっておるわけでございますので、大体その点では近くなってまいっておりますが、先ほど申し上げましたように、非常に勤務が一般と違うし、多様性を帯びているというような点。それと、自衛隊の場合におきましては、病院あたりでは充足率が、四十七年度末をとりましても大体七四%を占めておりますが、部隊に行きますと一五%というような、非常にアンバランスがございます。これは日本だけではございませんで、アメリカでもそういう同じ悩みを持っておるわけでございます。
○横路委員 自衛隊の病院の病床の利用率というのはどのくらいなんですか。たとえば大湊とか岐阜とか、だいぶ低いようですね。
○鈴木(一)政府委員 ただいま、各地区病院、中央病院を含めまして十一ございますが、それぞれの利用率のデータは手元に持っておりませんが、自衛隊の病院の利用率が、現在一般の国立病院等に比しましてむしろ非常に悪いと申し上げますのは、職域病院であるということでございまして、自衛隊員並びにその家族というふうに患者を限定しておるということが大きな一つの原因でございます。そういうようなことと、一般の国立病院は御案内のごとく一般に開放しておるということで、対象が非常に多いということが大きく影響いたしておりまして、限られた対象患者しか入れておらぬこと。それともう一つは、自衛隊の衛生対策といたしまして、隊員には事あるごとに早期受診、早期治療を進めておりまして、入院する前に早く治療してしまうというようなことも原因しておるかと思います。
○横路委員 皆さん方のお話によると、防衛医大というのは、医者の養成で一般の住民サービスなんかにも大きく門戸を開いた病院であるかのように、所沢あたりでは宣伝をしておるようでありますが、医療サービスについて見ると、これは「防衛衛生」という雑誌がございまして、この中に大沢さんという方が、これは本人が言っておるわけですが、「医療サービスのみについてみると、その能力は一般国民におけるより上廻っているであろう」というように指摘をしているわけですね。自衛隊病院の病床率が低いというようなことは、結局、あそこに入ってモルモットにでもされちゃかなわぬというようなことも、あるいは自衛隊員の中にあるのかもしれませんけれども、いずれにしても、一般的にはしたがって医官、医者不足ということじゃなくて、自衛隊というこの特殊な一つの、衛生隊を含めて軍医が不足しているんだというように言ったほうが正確じゃないか。つまり、一般の平常医療サービスそのものは――これは自衛隊の中の人でしょう、この大沢一郎さんという方は。この方が、一般の国民よりもむしろ医療サービスは上回っているだろう、こう指摘をしているわけでありますから、一般的な医官不足ということじゃないんだ。これは、皆さん方が説明されていることには、若干の誇張があるのじゃないかというように思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
○鈴木(一)政府委員 先生、大沢一郎君が書いた論文の御指摘でございますが、私はその理論にはにわかには賛成はいたしかねると思うわけでございます。それは、一般の医療に対しまして自衛隊がオーバーサービスをしているというふうな御指摘がございますが、一般の医者の場合でも国民にひとしく医療サービスをやっておると私は思いますし、自衛隊医官も、何ら一般の人と変わらず、その点は同じようなサービスをしておるというようなことでございまして、何も自衛隊だけが特別なサービスをしておるというようなことではないと思います。
○横路委員 特別なサービスをしているということではなくて、皆さん方、医官が不足して何かみんな病気でも発生したときに困るかのようなお話をなさっているけれども、実際には一般的な国民の医療サービス――こちらに問題があるわけでありますけれども、そこで比較をすると、むしろ自衛隊のほうが上回っているだろうというような、考え方の違いと言ったけれども、自衛隊の中に、これは内局の人ですか、内局の人の中にもこういう考え方がある。これは「防衛衛生」の十九巻六号、一九七二年の六月でありますけれども、そういう報告がパネルディスカッションの中でされているわけであります。つまり、一般的な医官不足ということであるならば、これはいままでと違って、ここ二、三年、特にこれから医者の養成というのは政府の方針としてどんどん進められていって、医大とか医学部の新設、増設というのは行なわれているわけでありますから、そこのルートを通るという従来のものでもいいではないかということになるわけでしょう。
○鈴木(一)政府委員 足らない状況を御説明申し上げます。 御案内のごとく、現在、四十七年度におきましては、充足率は定員八百三十六名に対しまして二百六十八名が現員でございます。充足率にいたしまして三二・一%。それから、先ほど申し上げましたように、病院と部隊とを比較いたしますと非常なアンバランスがあるという点。それから医官の採用と退職状況を比較いたしますと、四十七年度の場合を例にとりますと、採用は二十九名。これは一般公募でございます、衛生貸費の学生は別といたしまして。自衛隊の医官を採用する場合には、一般公募と衛生貸費学生制度の二本立てでございますが、そのうちで、一般公募によります採用は、二十九名。四十七年度におきまして、全体で採用いたしましたが、一年間のうちに一年度末におきましては四十三名やめていっております。したがいまして、三角が十四名というような状況でございまして、四十年度から……。(横路委員「それは資料をもらっているからわかっていますよ」と呼ぶ)そういうふうに非常に困っているというふうな状況。衛生貸費学生につきましても、四十七年度はわずか一名しか来てくれないというような状況で、非常に困っております。
○横路委員 それは困っているのは、一般国民みんな困っているわけですよ。それはいままでの医療政策が貧困なわけですが、北海道の稚内とか士別、名寄なんという市でもって、内科の医者がいなくなった、外科の医者がいなくなったといって医局そのものを閉鎖してしまう。市でそうなんですから。そういうような全国的な状況にあるわけです。医療サービス、つまりふだんの健康管理そのほかの面では、一般の国民よりは少なくとも下回っていないというような指摘も中にあるわけでありますから、とりわけ不足ということはないのではないか。 そうすると問題なのは。さっきおっしゃった、つまり自衛隊の医官の任務はそれだけではないという点ですね。その辺をこれからちょっとお尋ねしていきたいと思いますが、したがって防衛医科大学校というものは、一般の医者の養成ではないですね。一般の医師の養成とは違いますね。
○鈴木(一)政府委員 一般の医師養成機関と、その内容においては何ら変わりません。
○横路委員 だって医官というのは普通の医師と違うでしょう。ではお尋ねしますけれども、学校教育法に基づく大学にしなかったというのはどういうことですか。やはり普通の医者と違うということじゃありませんか。
○鈴木(一)政府委員 先ほど来るる御説明申し上げ、また先生にもお手元に資料をお渡ししてございますように、医者が異常な不足を来たしておる。それでいままでは、先ほど申し上げましたように、医者を採用する場合には一般公募あるいは貸費学生制度ということでございますが、いまの現状におきまして、ここ十年ぐらいふえるといたしましても、来てくれないというようなことで、それであれば、人をたよっては困る、自前で養成をしなければならぬということになりますと、自前養成、すなわち防衛庁長官の所管というふうな法的な形をとる場合には、どうしても学校教育法上の大学にはなし得ないというようなことで、大学校という特異なスタイルをとったわけでございます。
○横路委員 日本医師会の第六回理事会議事録とかいうのを見ると、その中で報告があって、いまの医科大学の中で出てきたものは軍医として使いものにならない、普通の学校にすると文部大臣の監督を受けなければならないし、そうすれば軍医さんだけの養成ができなくなるだろう、そこで各種学校にして医師の国家試験の資格だけを与えたのだというような発言があるわけでありますが、やはり中心はそこにあるわけでしょう。
○鈴木(一)政府委員 いまのおことばを取り上げるようでございますが、私どもの大学校は各種学校ではございません。
○横路委員 ねらいというのは軍医の養成という、つまり一般の医者の養成機関とは違うわけでしょう。たとえば自衛隊カラーを出す形での防衛医科大学校というような答弁が、これは鈴木さんでしたか、江崎長官でしたか、前にございましたけれども、自衛隊カラーを出した医者ということなんですか。これは長官からでもよろしいですか……。
○鈴木(一)政府委員 私が答弁いたしました。江崎長官時代に私が答弁をいたしました、そのカラーということばを使いましたのは、たしか私のただいまの記憶では、自衛隊がつくらんとする医科大学校というものはやはり何か特別な使命があるだろう、それには救急医療というふうなものに重点を置いた形のものをひとつ考えたらどうかというふうなことで、自衛隊カラーというふうなことばを使ったように記憶いたしております。 それから、特殊な教育、一般の医科大学と違うというふうな、先生、おとり方をなされておられますが、確かに一つは一般医科大学と違いますのは、私が申し上げておりますのは、医学教育面において一般医科大学の教育内容と何ら変わらない、むしろそれ以上をねらっておる。それにプラスアルファいたしまして訓練課程。これは昔、中学校以上には教練が課せられておりましたけれども、そういう執銃訓練というようなものじゃなくて、徒手のいわゆる礼式その他の作法、そういった程度のもの。それからあとは体育訓練、スキーだとかラグビーという、そういうふうなことを考えておるわけでございまして、そういう訓練課程がプラスアルファあるということが、しいて言うならば、ほかの大学と教育内容において違うということが言えるかと思います。
○横路委員 「防衛衛生」、これも「防衛衛生」ですけれども、その中でこういうことが出ていますね。自衛隊カラーに関係して、医官の教育体系として、軍陣医学、航空医学、潜水医学などの自衛隊特有の魅力の開発ということですね。つまりそういうことなんでしょう、自衛隊カラーというのをあなたいろいろおっしゃったけれども。やはり本質的にものをおっしゃったほうがいい。一般の医者の養成と違うのですから、戦争のときに役立つ医者を養成しようというのでしょう。したがってこれは当然、「防衛衛生」の中のパネルディスカッションの中で出ているように、軍陣医学、航空医学あるいは潜水医学など、そういう分野の開発ということがここ出身者あるいはここのいろんな機関に要請される中身じゃないのですか。
○鈴木(一)政府委員 ただいま先生が御指摘になりました、たとえばいまの潜水医学実験部、それから航空医学実験隊、これらは確かにいまもありますし、もう十数年の歴史を持っていろいろな業績を出しております。しかし、それは今後もそういうふうな形でやらなくてはならぬわけでございますが、われわれは、先ほど申し上げましたように、医師が足らない、人にたよってもどうにもならないというわけでございますので、どうしても自前でやらなくてはならぬ。まず医師を養成することが先決問題でございます。いま先生がおっしゃったような形のものは、むしろ大学に付置されるか、あるいは独立で、航空自衛隊にいま航空医学実験隊があるように、また海上自衛隊に潜水医学実験部があるように、それはそのままの形で、今後どういうふうにしていくかは別問題といたしまして、それは第二次的な問題でございまして、これも重要な仕事をして使命を帯びておりますが、われわれの大学というものは、まず、いま足らない、深刻な医師不足に対して何とか養成をしていきたいというようなことでやるわけでございますので、六年課程で一日も早く医師を養成していきたいというのがわれわれの念願でございます。
○横路委員 医官というものの任務は何かといえば、ふだん病気になった入を治療するといったって、それはいわば人的戦力を確保するということなのでしょう、つまり自衛隊の医官の立場というのは。「防衛衛生」の中の皆さん方のいろいろな論文を見てみると、やはりそう言っているわけです。これは旧軍の関係でも、衛生部の仕事は何かといえば、やはり人的戦力を確保する、常に動かせるようにしておくのだということ。それからもう一つは、戦時において戦傷者のいろいろな治療をする。普通の病気じゃない。つまり戦傷ということに基づく特殊性、これに対処していくのが衛生学校であるし、それぞれの衛生部隊にこの医官というのは配置になるわけでしょう。あなた、一般の医者、医者と、こう言うけれども、その辺は率直におっしゃったほうがいいのじゃないかと思うんですよ。やはりこれは人的戦力の確保であるし、そういう戦争を考えれば、CBRという問題も出てくるでしょうし、それから砲弾によるけがというのは一般の交通事故とは違ってくるわけですから、そういう研究なり何なりというのは必要になってくるわけでしょう。それをやる、そのための要員を養成するのがこの防衛医科大学校じゃありませんか。あなたはそうやってごまかすけれども、「防衛衛生」の中で発言されているのは、まさにそこでしょう。
○鈴木(一)政府委員 先生の御意見の中で、確かに旧軍の時代にも衛生部門の仕事は、戦力につながる一つの重要な要素を占めておったと私も考えます。その点はうなづけるわけでございますが、その点は先生の御指摘に全く同感でございますが、ただ、いきなりCBRというふうなものに飛躍されることは、私はこの点非常に心外だと思うわけです。
○横路委員 一般的な医者ということになれば、そういう医者としての一つのヒューマニズムというか、医者の倫理というのがあるわけです。その一般の医者の倫理と、いわゆる戦争になったときどうするか、あるいは人的戦力を確保するのだということでやる、つまり軍医というのはやはり違うわけでしょう。だからこれを大学校にしたわけでしょう。この辺のところは全く賛成だとおっしゃったから、つまり軍医というのはそういうもので、そういうものを養成するのが防衛医科大学校なんだ、一般の医学校とはやはり違うというように、それはもう指摘するまでもなく当然のことだろうと思うのですが、それでいいわけでしょう。ごまかしているから聞くんだ。
○鈴木(一)政府委員 ごまかすつもりは毛頭ございませんが、正直に申し上げておるつもりでございますが、先ほども申し上げましたように、繰り仮し言うようでございますが、簡単に申し上げますと、要するに医学教育課程と訓練課程がある。それの違いでございまして、そのほかに将来は、いろいろな付置研究所を設けなくてはならぬでしょうけれども、その中で今後どういうふうなものがいいか。それはやはり、さっき先生戦力ということばを申せられましたが、そういう隊員の健康の維持増進というふうなことでどういうふうなものを今後やっていったらいいか、その問題についてはまだ未確定の段階でございます。
○横路委員 旧軍で衛生部というのがありましたね。軍陣衛生要務令とかいうのがあった。そこで衛生任務は何かということであげているのでありますが、保健、防疫、傷病者の収容あるいは後送ですね。それから、敵の化学戦に対する衛生に関する情報収集、衛生材料の補給等の業務を行なうというように、これは旧軍の衛生部というのは何かということで指摘がありますが、いまの自衛隊の衛生隊の任務もこれと変わりないわけでしょう。
○鈴木(一)政府委員 私、不勉強で申しわけございませんが、旧軍時代の衛生関係、いわゆる衛生部の仕事と、それから現在の自衛隊におきます衛生部の仕事と厳密に比較した点はございませんが、ただ、その業務の内容につきましては、そう大差がないと承知いたしております。
○横路委員 つまり、軍医そのものを医官と皆さん方言っているけれども、これは衛生部隊の教育、運営、管理に結局は携わるということになりますね。あるいは携わっているということに。
○鈴木(一)政府委員 そういう衛生職種もございます。
○横路委員 軍陣医学というのは何なのかということで、最近皆さん方の衛生学校のほうで、「大東亜戦争陸軍衛生史」というのをまとめられましたね。この中に、旧軍の衛生部というのは、どういう役割りを果たしてきて、どういう任務を負っていたのか、それぞれ外科、内科そのほかについて詳細な記述というものがあるのですけれども、先ほどあなたのほうで、CBRの関係とすぐ飛躍をされると、こうおっしゃったけれども、ちょっとお尋ねしたいのですけれども、これをまとめられたのは園口忠雄さんという方でありまして、これは四十五年の一月になって「監修の辞」を書かれておりますが、陸上自衛隊の衛生学校長ですね。この人は、旧軍の七三一部隊、昔、石井部隊といわれた、中国において三千人の人を生体実験に使ったあの部隊に所属をしておられた方だというように聞いておりますけれども、間違いございませんか。
○鈴木(一)政府委員 これは、楢崎先生の昨年の御質問だったかと思いますが……(楢崎委員「おととし」と呼ぶ)失礼いたしました。先生御指摘のとおり、おととしでございますが、園口元陸将でございます。七三一部隊、すなわち石井部隊に関係しておられました。
○横路委員 この園口さんの前の衛生学校長というのは何という方ですか。
○鈴木(一)政府委員 私もちょっと記憶を失しておりますが、中黒という陸将の方だったと承知いたしております。
○横路委員 この人は、昔どこの部隊に所属をしておられた方ですか。
○鈴木(一)政府委員 同じく石井部隊に関係しておられました。この点につきましては……。
○横路委員 ちょっと待って。だんだん聞いていきますから。 皆さん方のほうに私のほうで、旧七三一部隊の関係者、とりわけ化学学校と調査学校についていままで在職したことのある人、それからいま在職している人について名簿を出しなさいと言ったときに、皆さんのほうは、園口さんと、それから防衛大学でいま公衆衛生かなんか教えておられる方、その方だけをあげて、そのほか不明ということで非常にそっけのない返事があったわけでありますけれども、前の衛生学校長を落としたのはどういうわけですか。
○鈴木(一)政府委員 先生の資料の御要求がございまして、その後、私も鋭意調査いたしました結果、中黒元衛生学校長、そのほかに二名ほど出てまいりましたので、あらためて追加さしていただきたいと思います。(楢崎委員「私に対する答弁はインチキじゃないか。総理大臣名で出たんだよ」と呼ぶ)その後の調査でわかりましたのは、ただいま申し上げました中黒秀外元陸将でございます。生年月日は明治四十一年八月七日、学歴は北大の昭和七年卒、旧軍の軍医中佐でございます。それから学位を二十年三月にとっておられます。
○横路委員 あまり詳しい経歴はいいです。名前とあれだけでけっこうです。
○鈴木(一)政府委員 それから次は高橋三郎、大正二年四月四日、旧軍の陸軍少佐です。
○横路委員 いまどこに所属しておりますか。
○鈴木(一)政府委員 この高橋さんは三十八年十二月五日にやめられまして、その後の消息はちょっとわかっておりません。それからもう一人、佐伯実、二等空佐の方でしたが、この方は四十六年十一月の二十六日に死亡されております。以上です。
○横路委員 私、これからお尋ねしたい点は、非常に旧軍にはいろいろな問題があったわけであります。いま日本の社会でも、戦争についての責任ということがドイツ等に比べると非常に不徹底であったということが従来から指摘をされておりまして、たとえば、裁判官の問題とか、ジャーナリストの問題とか、医者等の科学者、技術者の問題とか、いろいろあるわけであります。そういう観点で私のほうはお尋ねをしていきたいと思うのでありますが、この「監修の辞」に、「大東亜戦争陸軍衛生史」というものがなぜ発刊を見たのかということで、旧軍の作戦支援に多大の貢献をしたその貴重な結晶というものを、しかも軍陣医学に長足の進歩をもたらしたものと確信をしている、これを旧陸軍衛生部の輝かしい伝統を受け継ぐ自衛隊衛生学校が編集をすることになったのだというように、「監修の辞」並びに「序」の中でいろいろ書かれているわけであります。「敗戦とともに消えた陸軍衛生部は、今や陸上自衛隊衛生科としてその伝統を継承することとなり、その責任も極めて重大と言わなければならない。温故知新、それは事象発展の道程であり、大東亜戦間はもとより終戦時の衛生部活躍の跡を尋ね、その業績を偲び世界に誇りうべき軍陣医学の真髄に触れることはまことに有意義である」というような観点からこれがまとめられて、しかも、いままでまとめてこなかったけれども、戦後歳月が経過して世の中に落ちつきが取り戻されたからやろうじゃないかということになったのだというような経過が記述されているわけです。 ただ、この中で、七三一部隊、つまり中国で生体実験をやった人たちが、いまの自衛隊の中に、実は化学学校、衛生学校、そのほかにもまだたくさんおられると思うのでありますけれども、たとえばこの第二巻の中に凍傷に関する実験報告というのが出ているのです。これはごらんになったかどうか。その凍傷に関する実験報告というものは、これは報告者はだれかといいますと、一人は吉村寿人という人で、前の京都府立医大の学長をやっていて、蜷川知事がのら犬発言をしたときの学長でありますが、いまは兵庫県立医大の責任者であります。この吉村さんの論文とか、そのほか尾形さんという当時の関東軍軍医大佐の論文なんか出ておりますが、この論文の中身は、いわゆる中国においてこの七三一部隊が生体実験を行なったその記録なわけであります。学術的に価値があるというような意味なんでしょうけれども、こういう生体実験をやった記録というものを、旧陸軍衛生部の伝統を受け継ぐのだというような形で紹介をしてここに報告をしておるわけであります。時間があまりないので、ほんとうはこれから詰めて議論をしていきたいところなんでありますけれども、皆さんのほうで、この七三一部隊というのはどういうことをやったのか。つまり、この生体実験をやったということ、組織がどういう組織で、どんな経過でこれができて、そしてその中で吉村寿人という人はどういうことをやってきた人なのか。皆さんのほうに、この七三一部隊のことについて聞くからということでお話をしてあったと思いますので、ひとつその辺のところを述べていただきたいと思うのです。
○鈴木(一)政府委員 石井部隊は、御案内のごとく、関東軍防疫給水部と申しまして、この公式評録は私ども入手いたしておりませんので、公刊されております書物から私、承知をいたしたような次第でございますが、関東軍防疫給水部隊長は、石井部隊の名のごとく、石井四郎、当時は陸軍軍医中将でございます。これが、異論もあると聞いておりますが、一九三一年、すなわち昭和六年、旧満州国ハルピン郊外の平房に根拠を置いたといわれております。終戦時には三千人の職員がおり、支所は孫呉、ハイラル、牡丹江、ミンボー、カエン等にございまして、本隊の編成と業務内容を簡単に申し上げますと、第一部から三部までございまして、それになお、教育部、それから一時診療部がございました。第一部につきましてはペスト、コレラ、チフス、ジフテリアその他の病原細菌の利用と予防の研究、実験を行なったようでございます。それから第二部におきましては、ろ水機の製作とか気象研究、気候学、そういった研究。第三部におきましては、おもに植物病原菌の研究と実験を行なっていたようでございますし、さらに教育部につきましては、細菌戦要員の養成で、おもに軍属が対象になっておったと聞いております。それから診療部におきましては、軍人、軍属並びにその家族がそういう診療に従事しております。 それから、御指摘の吉村という方につきましては、どういうポストについておられたか、承知いたしておりません。
○横路委員 ソビエトにおけるハバロフスク裁判の記録等も公刊されておるわけでありますけれども、皆さん方のほうとしては、これを編さんされたわけでありますから、とりわけこの石井部隊のことですね。あるいは石井四郎という人が中核になって、ある意味ではあの当時の陸軍衛生部というのは背負ってきたわけでしょう。そういう経過というものも、これだけ詳しいレポートを用意されておりながら、吉村さんというのがどういうことをやったかというのは、全然おわかりになりませんか。
○鈴木(一)政府委員 第九巻までございまして、私もまだ全部読んでおりませんので、承知いたしておりません。
○横路委員 この吉村さんの記録というものは、その裁判における公判記録であるとか、あるいはいろいろと報道されたものをあわせて考えると、これはもう完全に凍傷実験ですね。つまり生体実験で、つかまえてきては監獄みたいなところに押し込めておいて、引き出してはそれぞれ外の温度――寒いわけでありますけれども、扇風機等を使ってさらに寒くしたりしながら、一体凍傷に対してどういう措置が一番いいのか。吉村さんが、何か三十七度というお湯で徐々にやるのが一番いいという方法を見つけられたのは、実はそういう三千人といわれるような生体実験の結果だったわけであります。皆さん方は、この吉村さんというのはそういう関係の人で、このレポートもそういうことだということは御承知されて編集されたわけですか。
○鈴木(一)政府委員 編さん当時のことを私つまびらかに承知いたしておりませんし、私も全部は読んでおりません。一部目を通したことはございますが、先生が冒頭に御指摘になりましたような、園口元陸将の発刊の辞等から考えますのに、確かに御指摘のように、そういう人体実験につながる凍傷の問題もあるいはあったでしょうし、そのほかにもあったかもわかりませんが、そういう問題につきまして、今後われわれがそのままその遺志を継いでやるということにはつながらないわけでございまして、先人がどういうふうな仕事をやってきたか、それに対してどういうふうな防護をやればいいか。われわれがおもにやっておりますのは防護関係でございまして、そういう記録も一応残っておるわけでございますが、われわれは今後、自衛隊の衛生関係におきまして、そういうふうな人体実験をやっていくというような気持ちは毛頭持っておりません。
○横路委員 自衛隊では、生体実験、人間を殺すというような実験はやってないですが、それに近いようなことはやっておるわけで、それはまたあとで明らかにしたいと思います。 いまの吉村壽人氏にかかわるもの、これはもう凍傷実験、つまり生体実験の最たるものですね。その記録をこうやって堂々と載せるということですね。実は、私が中国に行ったときにも非常に恥ずかしい思いをしたのは、石井さんのあとの部隊長は北野政次という人なんですね。その北野政次という人のレポートは、「大東亜戦争陸軍衛生史」の七巻に流行性出血熱の研究ということで、これはもう堂々と、自分も生体実験をやったなんという記述まであり、北野さんというのは朝鮮戦争に協力したなんてことも、この流行性出血熱の論文の前書きみたいにして書かれておるわけでありまして、その北野さんが、こっちに帰ってからいろいろと書いておられるようなものを、私たち中国側から見せられた。いまの瀋陽、昔の奉天、この奉天で泊まったところのすぐそばに、昔の奉天医科大学校というのがあって、ここが実はもう一つの中心になったところですね。そこでもずいぶんひどい生体実験をやったわけであります。そのやった責任者が北野政次で、それに関連をした論文が皆さん方が編集されたこの中に堂々と掲出されているわけです。これは、昔こういうことがあったということだけじゃなくて、こういうことを堂々と皆さん方が編集されて、旧軍の衛生部の伝統を受け継ぐんだというあたりに実は問題があるわけなんです。 そこで、皆さん方その辺のところ、生体実験はやりませんなんというのはあたりまえのことでありまして、こういうことを参考にしながらやられる、つまり軍事医学というものはどうしてもそういう傾向になるわけでしょう。だって皆さん方は、CBR防護ということで、教範を見れば生物兵器の可能性としてずらっとあげているわけでしょう。それはやっぱり現実に研究されているわけでしょう。
○鈴木(一)政府委員 私、ただいまの時点で軍事医学ということばはないと承知いたしておりまして、私どもがしいて使うならば、防衛医学ということばが一番妥当じゃないかと思いますが、しかし防衛医学というものが学問的に体系づけられた学問であるかどうかにつきましては、私は防衛大学にも教えを請いにいきましたし、衛生学校長ともいろいろお話をいたしましたが、防衛医学とは何ぞや、どういう学問であるのか、まだ私自身も非常に悩んでおるような状況でございまして、今度設けられます防衛医科大学校におきましても、カリキュラムにおきましては、もう一般の医科大学と何ら変わらないようなものを組んでいきたい。そういうふうな防衛医学というものをどの程度勉強するのか、どうしたらいいのか、第一、まだ学問的に体系づけられておらない段階でございます。なるほど私どものほうには防衛衛生学会というのを設けておりますが、これにつきましては、何も医者だけのグループでございませんで、看護婦さんもいますし、その他の衛生職種をまじえた 方たちの学会でございますが、そういう段階で、私どもといたしましては、今後の大学におきましても、そういう分野を主眼にやるものと考えております。
○横路委員 じゃ、こういう衛生史の中に生体実験の記録をまとめられたということについては、どういうお考えなんですか。
○鈴木(一)政府委員 そのとき編さんされた方々のお話も聞いておりませんので、その間のいきさつは私、承知いたしておりません。
○横路委員 こういうことを衛生学校のほうで編集されて、その中で、われわれ、日本あるいは日本の国民としてまことに恥ずべき、生体実験を三千人もに対して施したなんという話は、そんなに世の中にある話じゃないわけでございまして、その辺のところの記録を、旧陸軍の伝統を受け継ぐなんという形でこうして堂々と載せているあたりに、実は皆さん方の、旧軍の、ある意味では戦前の軍隊の反省みたいなものが、一体あるのかないのかですね。しかも、そのとき実際に行ってやっておった七三一部隊の人たちが、その責任者になって編集しておるわけでしょう。そんな意味では、陸上自衛隊の衛生学校長というのは歴代七三一部隊出だったわけであります。そういう体質というものが自衛隊の中にあるんじゃないのか。 長官、こんなことを堂々と載っけるあたりに、実は非常に大きな問題がいまの自衛隊の体質としてあるんじゃないか。何にも反省がない。三千人も殺した記録をこうやって堂々と編集して、陸軍の伝統を受け継ぐなんというこの体質そのものを変えていかなければならぬと思うのです。防衛医大は一般の医師の養成だ、養成だと言っておられますけれども、しかし、先ほど来の議論を聞いておわかりだと思いますけれども、結局これは何かといえば、自衛隊における医官の役割というのは、戦時にいかに対処するかということでしょう。その戦時にいかに対処するかということの中身は、現代の戦争においてはCBR、これが中心だといわれておるわけでしょう。だから、自衛隊の衛生学校あるいは化学学校あたりで研究されている内容の中心というのは、いまやっておられることは、いずれにしてもCBR関係が中心になっているわけでしょう。それは、われわれこれから立証しようと思えば、幾らでもできるくらい資料はございますけれども、一つ一つは指摘はしませんけれども、やはりその辺のところを、ただ単に事実を明らかにするということじゃなくて、そういう体質そのもの。この七三一部隊におった人たちがどういう反省をしたのかわからぬけれども、しかし、少なくとも、反省をしたという形はあらわれていないということですね。私はやはりある意味では、科学者とか技術者というのは、科学のための科学とか、技術のための技術とか、医学のための医学みたいなことになってしまうわけです。軍隊というのは戦争のための軍隊ですから、どうしても軍隊ということの一つの目標というのはやはり出てしまう。そのための存在になってしまうわけですね。軍隊というのは戦いをするためのものですから、どうしても戦いのための軍隊になってしまうわけです。そういう意味で、防衛医科大学の問題を私、調べておって、昔、陸軍衛生部は何をやっているかということの中から、実はこういう問題を見てびっくりしたわけであります。ひとつ長官その辺の基本的なお考えを明らかにしていただきたいと思います。
○山中国務大臣 私もそれが隊の監修によってなされたものであるということは知りませんでした。しかし、学者は良心的だというのですか、あるいはその分野については、自分たちの学究的な、恥じないという気持ちがあるのですか、そういうことを普通なら隠すはずだと私は思うのですけれども、そういうことが堂々と刊行されているという話は私はきわめて意外に感じますし、そういうものは、旧軍の医学に関する部門の民族として恥ずべき行為であります。また人類の名において許されないことは、アウシュビッツその他においても裁かれたことが示しております。それほど極端なものでなかったとしても、気持ちの問題においては同じような角度を持っていたに違いありません。したがって、そのような異常な状態のものが、私たちの全く戦前の軍隊と無縁のはずである自衛隊の中に持ち込まれるということについては、今後絶対にそういうことのないようにしていきたいと思います。また、あってはならないことであります。
○横路委員 つまり問題は、ドイツについては、戦争責任の裁判というのは、ちゃんと医学者についても行なわれたわけであります。日本の場合は、この七三一部隊というのがある意味では明らかになったのは、例の帝銀事件のときに、警視庁のほうで七三一部隊の関係者を捜査されて、その部隊の人員の所在というのはある程度明らかになったぐらいでありまして、戦争責任の追及というのはほとんど行なわれないまま。皆さん方の「陸軍衛生史」の北野さんの記述によると、朝鮮戦争に協力することによって実はそのまま何ら責任追及されないで残り、私、あることから七三一部隊の名簿というものを見て、これは日本の医学界の最高級、学長クラスが何人もおりますし、それから学会の会長クラスが何人もおりますし、そういうような人たちが、戦後は朝鮮戦争に協力をし、ある意味では自衛隊の中に入って衛生学校の主流になり、そうして自衛隊の中における一つはCBRの、皆さん方防護といっておられるが、その中核になってきたということは、先ほど来私が天皇の問題を議論したこととの関連なんですけれども、アジアの民衆にとって非常に忌まわしい思い出としてあるその加害者としての日本の立場というものを、ある意味ではいま一番反省しなければならない時期に全体として来ているわけであります。特にその点を自衛隊のほうでは考えてもらわなければならぬというように思うのです。 その例としてちょっとあげたいと思うのですが、これは前に楢崎議員が、赤痢について自衛隊の中で生体実験をやっているじゃないかということで指摘をしたわけでありますが、それを見てみると、そのときの研究者が園口さんですね。指導をやったのがさっきの中黒さんですね。使ったのが株式会社ミドリ十字というところで開発をしたポリラクトンという薬でありますけれども、これは厚生省で認める前に、皆さんのほうで相当多数の隊員に対して、成人の集団実験による赤痢及び食中毒予防についてということでおやりになったわけでありますが、このミドリ十字のそのときの相談役が北野政次という、やはり七三一ですね。それから副社長をやっている内藤良一というのも、これまた七三一の生き残りですね。つまりそういう形での結びつきというのが、現実の問題として、ともかく、まだあれしない薬を自衛隊員に使って飲ませて、赤痢にきくかきかないかというような実験をやったわけですよ、たしか昭和四十二年か三年の話ですけれども。その薬会社のほうも七三一部隊であるし、それを指導したのも、実際に行なったのも七三一部隊だということになると、やはり長官、アウシュビッツの例も云々というようなことで簡単に過ごすことのない、もうちょっと、自衛隊の体質の中に深く、特に自衛隊の衛生学校あるいは衛生隊の中に深く根ざしている問題があるのではないかというふうに私は感ずるわけですが、いかがですか。
○山中国務大臣 現在はもうすでに関係者はいないということでありますが、過去において――いま一人いるということでありますが、それは私は実際事実を知らないわけですし、正直に申し上げます。そのようなきわめてりつ然たるできごとに対して、なおそれが戦後、貴重なお子さん方を預かっているはずの自衛隊で、そのような、らしきことが関係者によって行なわれた事実、これは私も確かその当時異常なできごとの一つとして承知したというか、直接関係はしておりませんが、新聞や耳で聞いたことがあります。このようなことは絶対にあってはならないことであって、過去にそのようなことがあった、否定できない事実がありまするならば、今後はさらに防衛医科大学校をつくろうというのでありますから、そのようなことにつながった流れの中でここに自衛隊のみの医官養成の大学ができるのだということに絶対にならないように、創設の際において、これはもうけじめをはっきりつけて出発をしなければならぬ、そのようにかたく覚悟しております。
○横路委員 もう大体終わりますけれども、ただ指摘をしておきたいのは、「防衛衛生」という雑誌にあらわれた、たとえばDDVPなんというパラチオンの――パラチオンというのは御存じだろうと思いますが、これは毒ガスとして開発されたものでありますが、これと非常に化学構造の似たやつについても、これは五、六十名に対するいろいろな実験をかなり長期間行なっておりますし、農薬についての皮膚害に対する保護クリームなんということで、ベトナムで使われたDNOCの関係の除草剤等についての三十人程度のいろいろな検査をやっておりますし、やっている中身というものは何かといったら、どうしてももろにそういうものになってしまうわけですね。それは自衛隊ですから、つまり軍事医学をやっておられるわけですからそういうことだろうと思うのですが……。 最後にちょっとお尋ねしたいのは、CBR教範は生物兵器ということで幾つかあげておられるけれども、いま自衛隊のほうでは、これは対生物戦ということでもいいですけれども、皆さん方のほうにその教範を資料要求しましたら、廃棄になってしまったということで消えてしまったようでありますけれども、いま自衛隊として対生物戦として予定されて研究されているのは、どんな細菌がございますか。
○鈴木(一)政府委員 いまBの問題につきましては衛生学校がおもにやっておりますが、これにつきましては、特にそういう生物兵器の開発研究というものは全然行なっておりません。
○横路委員 だからわざわざ、そう言うだろうと思ったから、兵器の開発研究じゃなくて対兵器の、つまり向こうからあれしてきたときにこっちが対処するということで、相手が何を使うかということを想定しておやりになっているわけでしょう。その相手が何を使うかということでは、何を研究されていますか。
○鈴木(一)政府委員 衛生学校で特にBの関係でいま現在やっておりますのは、特別なものではございませんで、過去に、先ほどの御指摘の赤痢の問題だとか、インフレエンザの問題だとか、あるいは新兵病、アデノビールスというのどにつくビールスでございますが、そういった問題をやっております。それから過去にインフルエンザの問題では、ワクチン並びに血清学的な研究というような問題でございます。
○横路委員 ここであげているのは、やはりペストとかコレラとかいろいろなやつを生物兵器としては想定されて、それに対する防護というのを皆さん方のほうでお考えになっているというようこCBRの教範のほうではなっていますね。それは当然おやりになっているわけでしょう。
○鈴木(一)政府委員 そういう防護の問題につきましては、一応いろいろな仮定を設けまして、そこで勉強をいたしております。
○横路委員 これは最後になりますが、山中長官に指摘しておきたいのは、七三一部隊というのは実は防疫給水部ということで、たとえばこの石井さんなんというのは、最初は外の水、川の水や何かをきれいにろ過するろ過器を最初おつくりになって、そのことから何か軍隊の中でかなりの地位を占めるようになったようでありますが、大体、最初といいますか、軍隊というものはやはりそういうことなんですよ。防疫給水部といいながら実は生体実験までやっちゃって、細菌兵器を実際に使ったわけでしょう、これは何回か。対CBR防護という形でやっておりながら、これはいつでも転換し得るもの。あるいは皆さん方は国会で何回か指摘されて、最近は、皆さんのほうでおやりになるような、そういう記述というのはいろいろな教範等の中から消えてしまいましたけれども、昔はこれは、自衛隊のほうが率先してやるんだ、つまりCBR兵器の開発というのはやはりかなり重要項目としてあったわけです。この防護というのは、いつでもそういうものに変えられてしまう。そしてこの防衛医科大学というものは結局は、一般的な医者じゃなくて、そういう事態に備える。皆さん方のことばでいえば、中央の病院の医者は充足率はいいけれども地方の部隊における一線の医官が足りないというお話、その辺を充足するんだということでありますから、非常に大きな危険というのをはらんでいるわけです。私たちは、この防衛医科学校に、したがってそういう意味で非常に基本的な危険性というものを持っているから反対をするということなのでありますけれども、その辺のところは、やはり十分ひとつ長官においても考えられ、こういうところに編集者が自分でやったことを堂々と載っけるということですね、この辺のところの体質というものもぜひお考えをいただきたいということを指摘をして、お答えをいただいて私の質問は終わりにしたいと思います。
○山中国務大臣 こういう問題は、決してあいまいにしてはならない問題でありますから、特に御審議を願っている防衛医科大学校というものができまするにあたって、いやしくもそのようなことのないように十分考えていかなければなりませんし、その後の運用においての、先ほどCBRの開発と言われたのですが、それは防護の開発というふうにもとの教範にもなっていたようでありますから、そこらのところは限界線の問題でありましょうけれども、それが一転して対人攻撃兵器的なものに分野として研究がされるようなことの絶対にないように注意してまいります。
○三原委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 委員長に冒頭にちょっと運営の方針についてお伺いしておきますが、野党質問に入って三日目になります。それぞれの委員、質問を行ないまして、問題点の究明、努力しておるわけですが、その中で、ほとんどの方がそれぞれ問題を残して保留をしておりますね。こういう点は、やはりこの防衛二法の審議の中で保留事項は明らかにするという方針でございますか。方針を聞いておきたいと思います。
○三原委員長 いまの楢崎委員のお尋ねでございますが、防衛二法の審議の中で解決をいたしたいということに全面的な努力をする決意でおります。
○楢崎委員 時間をかけさえすればいいということではなくて、やはり事態を明確にする、これがやはり必要であろうと思うのです。そういう点で、私もいまから質問をいたしたいと思います。 予算委員に所属いたしておりますが、きょうは差しかわって機会を与えていただいたことを感謝したいと思いますが、えてしてこの防衛問題のこまかい点になると、予算委員会等でやるときには、内閣委員会でやれという与党の理事の方の不規則発言がいつもあるのです。だから、きょうはじっくりひとつ御要望のとおりやらしていただきたい、このように思います。 そこで一番目に、これは予算委員会でも残しておる問題でありますが、産軍癒着の問題についてお伺いをいたします。 ここに日刊航空通信という業界紙があります。これの昭和四十四年三月二十八日付、第四千百九十二号の記事によりますと、こういう記事が出ております。C1中型輸送機の問題であります。このC1輸送機について、基本設計、細部設計を終了したところで、試作二機、強度試験機一機の製作を中心とする試作契約を行なうことになっておるが、当初この予算に対して見積もりが四十億円オーバーし、問題となった。このため見積もりを再提出させるとともに、予算そのものの再検討を行なったが、これにより差が縮まらなかった部分については量産段階において考慮するということで、ある程度の歩み寄りが期待されるに至ったという記事が出ております。これはちょうど試作に入るときですね。こういう経過が実際にあったのかどうか。調本部長来られておりますか。お伺いいたします。
○江藤説明員 日刊航空通信なるもの、私、存じておりませんが、特に予算の不足によりまして、そのような経緯があったというふうには存じておりません。
○楢崎委員 ちょっと最後がわからないのですが。
○江藤説明員 試作研究請負契約におきまして、特にこの予算の不足のためにそれを後年度に引き延ばして、それで契約をしたということはございません。
○楢崎委員 あなた、先走りしてはいけませんよ。四十億オーバーするというようなことが考えられたのでもう一ぺん詰めを行なってみた、量産段階で何とかなるんではないかということに経過がなっておるということを報じておるのですよ。だから、そういう経過があったかということを聞いておる。実際の契約がどうなったかはいまからじっくり聞きますから、落ちついてお答えをいただきたいと思います。
○江藤説明員 私の聞いておる範囲におきましては、そのような経緯はございません。
○楢崎委員 私はこの記事をもとにして、実は追跡調査を行なったのです。そしてこのC1試作に関係するメーカー、たとえば日航製、メーンの川崎重工あるいは三菱重工等々に私は自分で行って調べたのです。その結果、このC1中型輸送機の試作費及び量産費の価格構成について、たいへんな密約がかわされておるということを突きとめたのです。本部長はそういう事実について御存じですか。
○江藤説明員 私のほうは、特に密約をかわしたというようなふうには解釈いたしておりませんが、おそらく御指摘の点は、C1の試作研究請負契約の段階におきまして、これは四十三年度の予算に成立しておりますが、これを具体的に契約したのは四十四年の三月三十一日でございます。その際に、その契約内容の原価計算をする時点において、具体的に償却費の問題につきまして、割り掛け費の問題につきまして、この契約担当相手である日本航空機製造株式会社、並びに主としてこの生産に協力しておった五社と、この問題につきまして覚書を交換いたしております。それが、さらに中途確定をする段階におきまして、四十六年の三月だったと思いますが、そのときにさらに覚書も交換しておりますが、おそらくその覚書の点ではなかろうかと推察いたします。
○楢崎委員 この覚書の存在について、大蔵省の防衛担当の主計官は御存じでありましたか。
○宮下説明員 御答弁申し上げます。 当時の事情、私……(楢崎委員「知っておったかどうか、覚書を」と呼ぶ)最近におきまして、そういう事実があるということは知っております。
○楢崎委員 それはいつですか。
○宮下説明員 正直申しまして、私、防衛担当に昨年なったわけでございますが、今回、御承知のように、いわゆるC・T・Rの凍結解除という問題がございまして、この問題を取り扱った際に、さような事実があったことを承知いたしました。
○楢崎委員 会計検査院のほうは御存じでしたか。
○柴崎会計検査院説明員 私どものほうでは承知いたしております。
○楢崎委員 それはいつですか。
○柴崎会計検査院説明員 これは覚書をかわしたあとの検査において検査上確認したわけでございまして、四十四年度の検査において承知いたしております。
○楢崎委員 四十四年度の検査では何を検査したですか。そのときにはまだ最終的なその価格の問題は出ていないのですが、どういうことが契機になって検査されたのですか。
○柴崎会計検査院説明員 私が担当しておりますのは、第二局で防衛の関係でございますが、防衛の関係といたしましては、中途確定が終了いたしました四十六年度においてその点を承知いたしたわけでございますけれども、うちの役所ではほかに日航製の検査もいたしておりますので、その日航製の検査の段階でその点は承知しているわけでございます。
○楢崎委員 実はこの覚書はたいへんな覚書だと思うのですね。重要な内容を含んでおる。したがって、この覚書は二つありますね。四十四年度の分と四十六年度の分、並びに念書が一つある。この三つを当委員会に資料として直ちにお出しをいただきたい。
○江藤説明員 この覚書は、契約内容の確認をいたす意味の覚書でございますので、特段、部外秘というような指定もいたしておりません。しかし、省議の内容でございますので、積極的に公聞すべきものでもございませんが、長官のご指示を得ましてしかるべく取り計らいたいと思います。
○山中国務大臣 提出させます。
○楢崎委員 そこにお持ちでしょう。
○江藤説明員 持参しております。
○楢崎委員 いまいただけますか。
○江藤説明員 それが全部でございます。
○楢崎委員 これはこのC1の質問の間だけお借りします。そしてお返しいたします。 何のためにこういう覚書をかわされたのですか。調本部長はこれに捺印をしておられますね。関係各メーカー、日航製をはじめ全部、会社の社長もしくは社長代理が判を押しておる。私は重要な意味を持っておると思うのですね。わざわざ捺印をしているのです。何のためにこういう覚書をかわしたのですか。
○江藤説明員 この契約は試作研究請負契約でございますので、したがって概算契約になっております。したがいまして、その概算契約を中途で確定し、あるいは細部について精算しなければならないわけでございますが、その中途で確定し、あるいは精算する時点におきまして、やはりこの契約内容をはっきり確認しておく資料がなければその行為ができませんので、その意味におきまして、具体的に契約の時点におきまして、この契約内容におきまして割り掛け費は幾ら見るのだということをはっきりいたしておるのでございます。
○楢崎委員 大体、順次明白になってきたわけでありますが、この覚書によりますと、最後の四十六年三月三十日の覚書、表題は、「中型輸送機試作研究請負契約の本機代価の専用治工具費等の発生費用及び負担額の確認に関する覚書」、そういう名前になっていますね。判を押した人は、支出負担行為担当官・防衛庁調達実施本部長志賀清二、日航製取締役社長東海林武雄、三菱重工代表取締役曾根嘉年、川崎重工代表取締役代理内野憲二、富士重工取締役社長大原栄一、日本飛行機取締役社長長久正雄、新明和専務河野博、この七名によって捺印されている。内容はいま申し上げたとおり、専用治工具費等の発生費用及び負担額の確認になっている。そしてここに発生総額は幾ら幾ら、本契約負担額は幾ら幾らとなっています。いまの御答弁にもありましたとおり、調達実施本部長、つまり防衛庁は、この覚書によって相手のメーカーに対してどのような債務、義務を負うことになるわけですか。さらにメーカー側は、防衛庁に対してどのような債権あるいは権利を取得することになっておるのですか、この覚書によって。
○江藤説明員 御指摘の点、若干私の口が足りないかとも思いますが、この覚書なるものは、契約内容を確認するためのものでございまして、この覚書によりまして、新たに将来債務を負担するとか、そういうような性格のものではございませんあくまで中途確定をし、あるいは生産する段階におきまして割り掛け費というものは幾ら見ているのだ。少なくとも、試作に必要な最小限度の専用治工具費とか、あるいは技術費とか、そういうものをどのくらい見ますということをこの際はっきりしておきませんと、一つの契約の内容におきまして、材料費とか加工費等が非常に上がったために割り掛け費はあまり見たくないと会社側の反論が出ることもあり得ますので、やはりこの際、割り掛け費だけは最小限このくらいは見るのだということを確認させるという意味におきまして、私のほうがむしろこの覚書をはっきりさしておるという性格のものでございます。
○楢崎委員 割り掛けを将来許すということでしょう。
○江藤説明員 この覚書なるものは、試作研究請負契約において必要な割り掛け費は幾らであるというふうに書いてあるのでございまして、将来、われわれが割り掛け費をどのくらい見ましょうというようなことを約束した覚書ではございません。
○楢崎委員 そのような答弁しかできないと思うんですよ、あなた方は。ところが、この覚書を相手側のメーカーは実際にどう受け取っておるか。そして現実にどう処理しておるか。私、全部行って回って聞いてみた。つまりこういうことなんですよ。大蔵省が試作費の予算のワクをきめておりますね。ワクはあとでお伺いしますが、六十三億くらいだと思います。ところがその試作費はそのワクをオーバーした。だからオーバーしたものはメーカー側にとっては赤字になるわけですね。だから、請負契約ですから、予算のワクしかもらえないから、その段階では赤字になった分はもらえないから、いわゆる量産の段階になって、量産の価格に上のせしてそれを回収してよろしいとメーカーは受け取っております。つまり、いわゆるその債務を負ったことになる、防衛庁は。将来に対して約束をしておることになる。現にメーカーはそう受け取っておる。もしそうでなかったらメーカーをここに呼びますよ。この覚書の解釈についてはそう受け取っておる。だから現実の処理もそうしておるでしょう。だから私はこれは密約ではないかというのです。いいですか、将来に対して債務を負うということは国庫債務負担行為だ。これは国会の承認事項なんです。それを一調本部長が将来にわたって、その量産段階でこれだけは上のせしてよろしいなんという、そういう国会無視の行為ができますか。これは重要問題ですよ。あなた考えておるような問題じゃない。もしそうでなかったら、私はいまからお伺いしてみたい。いいですか。 まず、事態を明確にするために、試作費で大蔵省が認めた価格の予算ワクは幾らですか、正確に。
○宮下説明員 研究開発の段階におきます試作機二機及び強度試験機一機を日航製に契約いたしたわけでございますが、試作費といたしましては六十三億三百八十万三千円ということに相なっております。
○楢崎委員 そうすると、そのうちの強度試験機、これが一機ありましょう。それが八億七千三百万。そうすると、それを抜けると、試作機二機分の予算ワクというものは五十四億三千万円ほどですね。間違いありませんね。
○宮下説明員 先生のおっしゃるとおりだと思います。
○楢崎委員 この五十四億の中に、この覚書にあります発生総額、ハードウエアの分、四十六億七千三百万円ほどです。この金額のうちから幾らを五十四億の中に含んでいますか。
○山口(衛)政府委員 私の知っている範囲では、八億三千百万円という計算でございます。
○楢崎委員 そう書いてあります、ここの覚書に。だから四十六億から八億を引いた約三十八億がいわゆる赤字になるのです。だから、その三十八億を後ほど量産段階で上のせしてお取りなさい、こういう約束です。そうみんな理解していますよ。 そこで、いま装備局長がお答えになった八億が五十四億の中に含まれておるということは、大蔵省並びに会計検査院は御存じでしたか。
○柴崎会計検査院説明員 承知いたしております。
○宮下説明員 承知いたしております。
○楢崎委員 じゃ、あなた方全部ぐるですよ。いいですか、四十六年度にこのC1の先行生産型二機つくっていますね。予算要求をもうすでにしている。これは五十八億八千万。この中に、先ほど申し上げた三十八億の赤字の分が幾らか含まれていますか。
○江藤説明員 含まれておりません。
○楢崎委員 そうでしょう。これを含んでおったらたいへんです。先取りになる。 ではその次に、私も予算委員会で――これは今度出てきておるわけですね、C1十一機分が初めて。去年は凍結されたから、予算要求しておったけれどもゼロになった。四十八年度、本年度予算になって初めて十一機分三百二十九億二千七百万円という金額が出てきた。残念ながらこれは通っておる。じゃ、この十一機三百二十九億二千七百万円のうちに、先ほど申し上げた三十八億の赤字が幾らか含まれておりますか。
○江藤説明員 割り掛け費なるものは、試作契約の段階にのみ発生するものではございません。先行量産型二機をつくる場合にもある程度発生しておりますし、また、特に量産の段階になりますとかなり大きな経費が発生するわけでございます。これらのものをすべて合算しまして、先に八億三千万ばかり見ました割り掛け費を引いた残りの金を今度の量産契約で割り掛けるということになっております。
○楢崎委員 そうすると、三百二十九億の中に含まれていますね。はっきり言ってください。
○江藤説明員 入っております。
○楢崎委員 入っていますね。幾ら入っていますか。
○江藤説明員 三十三億七千二百九十三万三千円でございます。
○楢崎委員 どこからその数字が出てきて、その数字が妥当であるとどうして認められますか。
○江藤説明員 試作研究請負契約の段階におきまして、四十六億七千三百六十万四千円の経費が発生しております。その後、量産の段階になりましてもまたさらに発生いたした経費もありますし、また、先行型量産の際にも三十六億ばかり発生しておりますが、これらの経費を合算しますと六十一億六千二百六十一万円という金が、専用治工具なり、あるいは技術研究費なり、そういう経費に必要なものとして私のほうで見ておるわけでございます。この六十一億六千二百万円というものを、具体的に四次防で決定しました二十四機というものを前提にしまして、二十四分の十一をかけたものがこの二十八億二千八百万円になるわけでございます。これに会社の管理費等を加えまして、三十三億七千二百九十三万三千円という契約額になったわけでございます。
○楢崎委員 それ、見てごらんなさい。覚書はかわしたが、それは数字の確認だけであって、あとからそれを上のせして取っていいなんということを認めた覚書じゃないと、あなたはさっき答弁したでしょう。しかし現実に、メーカー側はこうして上のせしてきているじゃありませんか。さっき五十四億の試作費の二機分の予算ワクの中に八億入っておると装備局長はお答えになりました。その八億というのはどういう計算で出てきたのですか。
○山口(衛)政府委員 調達実施本部長がお答え申し上げましたとおり、試作の段階で発生いたしました初度投資の額が、必ずしも全部がすべてその試作の用役のみに消耗されてしまうというものではございませんので、どの程度が一体試作の用役に果たしたのかという計算が必要でございます。これは実際には、各工場等におります駐在官事務所及び調達実施本部等におきまして、予定原価の作成の際、あるいは予算要求の際及び概算契約の際、並びに一部確定生産の際という各段階におきまして内容をチェックいたしました。そういう実質的なチェックと同時に、必ずしも全体の何割程度が一体試作に入るのかという計算は非常にむずかしいわけでございます。これにつきましては、実はアメリカのシンクタンクでありますランドがやっております初度投資の工数計算の式がございまして、実はこの計算式も一応参照いたしまして、それで計算いたしましたのが八億三千百万というふうに、当時の実態を私は聞いております。
○楢崎委員 理屈はそのようにつけられましたけれども、実際はハードウエア分の費用発生総額四十六億、それを予算ワクに足すと、つまりさっき言ったとおりオーバーして赤字になる。だから予算ワクまでのぎりぎりで八億なんですよ。理屈はつけられましたけれども、結局は請負契約ですから、五十四億以上払えないのだから、余裕のある分がたまたま八億だったから、四十六億のハードウエアの分の発生総額のうちから八億円だけは見ましょう、こうなっておる。そして試作費にそれを入れたのです。だから三十八億が残っておるというのです。そしてそれを覚書で見ましょう。そうじゃないですか。大体こういう覚書というものはほかにしたことがありますか。ほかに例がありますか、判を押して。
○江藤説明員 過去のことは私、存じておりませんが、C1の覚書を締結した以降におきましては、このようなことはいたしておりません。 それからなお、この八億三千万円なるものがハードウエアだけだと言われますけれども、この中にはソフトウェアも入っての経費でございます。
○楢崎委員 そんな理屈を聞いておるのじゃないですよ。大部分がハードウェアと言っておるのです。そういうことはわかっておりますよ。そんなことばじりをとらえるようなことは、あなた言いなさんな。大部分がハードウェアですよ。 それから、あなたは過去のことは知りません、C1のこの問題以降はありませんという。ないのがあたりまえです。あったらたいへんですよ。私はこういう例は過去にないと思うのです。あったら出してごらんなさい。こういうことはあとにも先にも初めてだと思う。なぜかというと、装備を国産化する場合試作する、そして量産する。試作したものをそのまま量産するとは、これは限らないんですよ。試作した結果、これはだめだということになるかもしれない。そのときは一体どうするのですか。だめだということになったら三十八億はどうするのです。メーカー側の負担になるんでしょう。やはり払ってやるのですか。
○江藤説明員 明らかに会社側の責任で試作したものでございますから、もし機種が適当でないということで量産に入らない場合には、これは明らかに会社の負担でございます。
○楢崎委員 そうでしょう。もともと試作段階ではどうなるかわからないんですよ。幾ら量産するかもわからない。はたして量産するかどうかもわからない。それを、試作した段階で、四十六年三月三十日にこういう、あとから見てやるなんとう覚書を、何の権限があってあなたができるか。 どうしてこういう覚書を今回に限ってつくったかといえば、試作から量産までは、たとえばPS1、あるいはFST2改、あるいはT2、大体試作と量産が同じ会社なんです。だから、わざわざこういう覚書をつくらなくても一貫した作業をやれるのだから、量産の中に上のせしてちょいなちょいなでやっていく。ところが、今回は試作会社と量産のメーカーが違うから、この辺ははっきりしておかぬとどうなるかわからぬというので覚書をつくったのです。こういう例はほかにないのだ。あったらたいへんです。しかも、その四十六年三月三十日の段階では、このC1の量産は何機にするかきまってなかった。私が覚えておるところでは、三十四機とか三十機とかいわれておった時代ですよ。そうでしょう。間違いないでしょう。――うんと言われておるからそのとおりだ。そうしてこの段階で、将来にわたって量産であなた方上のせしてきなさい、見てやりましょう、確認します、こんな権限が調本部長、ありますか。 われわれは、国庫債務負担行為、いわゆる後年度負担額の分については予算委員会で綿密な検討をして、これは承認事項になっておる。だから、いわゆる四次防の先取り問題のときにどういうことが起こりましたか。いわゆる目玉商品と称するやつは、装備と称するやつは修正して、しかも国庫債務負担行為のほうは凍結でしょう。それほどきびしい措置をとっておるんですよ。それを調本部長ごときが何ですか。われわれはだまされたことになる。予算委員会は全部だまされておる。こういう上のせ分が入っておるなんというのはみんな知らなかった。しかも、あなた言っておるように、これが試作で終わっておったら当然メーカーの負担ですよ、三十八億は。あたりまえです。請負契約という意味は何ですか。 いま大出君の出身地の神奈川県、二、三日前に新聞に載っておりました。住宅公社が公営のアパートをつくりたいというので競争入札を求めたけれども、請負金額も、敷き札が考えてみると赤字になりそうだから、引き受け手がない。これが世の中の企業の常識ですよ。請負事業というものはそういうものなんです。もし赤字が出たらメーカーの負担です。だから、家を建てるときに大工さんが幾らの金額で請け負っておった、ところが木材の値段が上がった。だから自殺をした大工さんもおるでしょう。それを、請負金額も契約で規制しておって、赤字が出た、かかった費用はこれだけ、全部見ましょうなんという話がどの世の中に通りますか。これは何ですか。防衛産業を甘やかし過ぎますよ。死の商人をかわいがり過ぎる。こういうことはほかの企業では許されませんよ。しかも国会軽視の、こういう後年度の負担について一調本部長が約束するごときは何ですか。絶対にこれは許しません。どうしますか。
○江藤説明員 若干ことばを返すようで恐縮でございますが、この覚書なるものは、後年度負担で私のほうはめんどうを見ますというような趣旨の内容は入っておりません。ただ、試作品の割り掛け費というようなものは、たとえば専用治工具であればC1しかつくれない、C1が終わったら全くつぶすしかないような、そういうものしか見ておりません。こういうものにつきましては、当然、発生原価というものにつきましては、われわれとしては、その時点、時点において一応確認しておく必要があるという意味でこのような覚書を結んでおるのでございまして、別に後年度で私のほうは当然負担しますという約束をいたしたというつもりはございません。
○楢崎委員 じゃ、何のためにこういう覚書をかわすのですか。わざわざこまかい数字を出して、その数字を確認しますと判を何で押すのですか。いいですか。もしあなたがそうおっしゃるのだったら、私は関係のメーカーをここに証人として来てもらいます。メーカーがどう受け取っておるか。しかも、メーカーが受け取っておるとおり、この覚書のとおりに現実になっているじゃありませんか。現に上のせして割り掛けしてきているじゃありませんか。さっきあなた金額まで言ったでしょう、十一機の三百二十九億に対して。だめです、そういうことでは。絶対許しませんよ。もしあなたがそれを言い張るならば、私はメーカーをここに呼んでいただきたいと思う。委員長にそれを要求します。
○江藤説明員 具体的にC1の量産に入ります場合には、内部の発生原価というものは当然私のほうで見なければならないわけでございまして、それに、材料費とか、あるいは加工費、管理費、あるいは利益率というものを足しまして請負契約として締結するわけでございます。その時点におきまして一応きまった契約金額なるものが、その後、材料費の値上がりなり、あるいは加工費の値上がりというものによって会社が赤字になりましても、それは請負契約でございますから、私のほうはめんどうは見れません。しかしながら、C1の飛行機をつくるために当然発生した、しかもC1以外には全く使いものにならない専用治工具とか、あるいは技術研究費というものにつきましては、これは当然発生原価として私のほうは見なければならない、そういう筋のものであろうと思います。
○楢崎委員 じゃ、何のために請負にするのですか。何のために請負金額をそこに示すのですか。冗談じゃありませんよ。あなた、何を言っているのですか。かかった費用を全部見ますということじゃないですか。それじゃ請負の必要ないじゃないですか。あなた、何を言っているのですか。そんなことが世の中に通りますか。かかった費用全部見てあげます、いま試作費の予算はこれこれこれくらいですから、試作費の中では見られませんから、あとの量産のときに割り掛けしてきなさい、こんなばかな約束がどこにありますか。だめです、そういうことは。国会を軽視するもはなはだしい。世の中全部そうですよ。請負事業というのはそうでしょう。防衛産業に対する契約はこういうことなんだ。あなた、だめですよ。そういう債務負担行為に類するようなことを一調本部長がやるごときは越権行為ですよ、国会を無視した。だめですよ。こういうことは許されません。
○江藤説明員 再三申し上げまして恐縮ですが、この覚書なるものは、その時点において発生した原価が幾らである、専用治工具あるいは技術研究費、あるいは技術費というようなものにつきまして、当然発生した原価はこれこれでありましたということを確認しただけでございまして、調本部長としまして、特にそれを後年度で量産の際に貝ますというような約束をいたしたわけではないのでございます。
○楢崎委員 それはさっきも聞きましたよ。あなたはそういうことで、「確認」ということばをわざわざ文章に使って判を押しておるけれども、現実にメーカーはそう受け取っていないのです。あとで量産のときに見てあげますということの確認ですと言っているのです。もしそれがうそだったら、委員長、要求しますよ。三菱重工の曾根さん、それから川崎重工の内野さんですね、おられますから呼んでください。委員長に要求します。重大なそごだ。覚書に対する解釈のしようが違っておる。
○江藤説明員 業者がどういうようなことを言われたかは存じませんけれども、私が――私といいますか、当時の調本部長が覚書を締結した段階におきましては、そういう趣旨で覚書を交換したというふうに聞いております。
○楢崎委員 だめですよ。あなた、現実に上のせしてきておるじゃありませんか。その覚書に基づいて上のせしておりますと言っておるのです。私が言っているのがうそなら、何回も言うように、このC1の覚書に調印したメーカーを呼んでください。これは重大な問題ですよ、国会軽視になっておるかどうか。
○江藤説明員 このような割り掛け費なるものは、先ほど申し上げましたように、必ずしも試作の段階だけに発生するものではございませんで、その後いろいろと発生しておりますが、こういうものを合わして、その後の量産の際に一括して組み入れたものでございますけれども、この量産契約におきましてこのような割り掛け費を計上したというものは、その四十四年なり四十六年度に覚書を締結した、その締結の結果、それに基づいてそのような債務が発生して私のほうは見たという趣旨のものではございませんで、あくまで量産の段階におきまして、具体的に発生原価は見るべきものは当然見なければなりませんので、その意味におきまして、全部一括して十一機の中に計上した、こういうことになっております。
○楢崎委員 もう何回もそういうあれをされるなら、メーカー側はそう受け取ってないんだから、そして現実にその覚書に基づいて割り掛けしてきているのですから、先ほど申し上げたとおり、ひとつ三菱重工と川崎重工を国会に、委員会に呼んでください。だめです。これは重大な問題です。今後こういうことが行なわれる。(「理事会、理事会」「答弁続行」と呼び、その他発言する者あり) これは今後兵器の国産化の場合に全部出てくる。PS1もそうだ。T2も、さっき言ったとおり、そうだ。FST2改も実際は、さっき言ったとおり、そういうことをやっている。試作と量産のメーカーが一緒だからこんな覚書をつくらないだけの話で、やっていることは同じなんで、たまたま今回は試作の会社とメーカーが違うから、量産会社が違うから、あぶなくてしようがないから、あとで三十八億回収できるかどうかわからぬから覚書をつくっているのです。だから当然メーカー側は、この覚書によって二十四分の一を一機にかけていきますと全部言っております。あなたは、本部長は、そういうふうの覚書じゃないと言うけれども、メーカー側は全部そう受け取っておる。そうして現実に予算上出てきておるじゃありませんか。だから、これは明白な覚書に対する解釈が違うし、実際の行為も伴っておるのです。その解釈の相違によって、予算ということで。今度は十一機なんです。この次はまだ十三機出てくるのですよ、今後。全部それは出てくるのです。全部これでやったらたいへんですよ。 だから私は、このメーカーを参考人として呼んでもらって、そしてこの覚書の性格について明確にしてもらいたい。そうしないと、メーカー側の解釈どおりであれば、国庫債務負担行為に類する行為ですから、だから私は、私の質問の間にこのメーカーを呼んでいただくように、ひとつ理事会でお取り計らいを願いたい。それが委員長において了承されるならば――私の質問の間にですよ。了承されるならば、私は次の質問に入ってもよろしゅうございます。
○山口(衛)政府委員 ただいま先生から、先生の御解釈を実は承ったわけでございますが、私のほうとしまして、この覚書の解釈は、実はこのように解釈しております。 全体としまして、航空機をつくる場合に、御承知のとおりかなりの初度投資が要ります。今回の四十六億円の発生しました割り掛け対象の治工具費及び技術費でございますが、これにつきましては、いずれも試作二機に関係しまして用役を提供している治工具費であり技術費でございます。しかしながら、それはむろん全部でございません。その場合、全部これを試作にぶっかけてしまうということは、これはもう計算上も不適当だと考えまして、それからまた、むろん先生御指摘のように、予算上からも、四十何億を、使いもしない用役を二機に割り当てるということは、これはできません。そのような意味合いから、さっき申し上げましたとおり、どのような用役で幾らかかったかという計算をするために、その母体は幾らであるかというのを計算しましたのが四十六億でございます。その意味で私どもは、この四十六億は、その当時こんなにかかりましたよということを確認いたしまして、それでその内容もキャッチしました。 ところが、これは部品点数にしまして約三万点でございます。ところが現在、もし二十四機の生産をする場合には約四万七千点かかります。実はこの三万点は一部というふうに考えております。したがいまして、この三万点のみで全部二十四機にかかるものではございませんで、さらに十三機の量産をすれば、その場合に当然治工具費がかかります。残り一万七千点というのは量産時に入るわけでございます。それが先ほど調本部長が申しましたような、約八十数億にのぼるような全体の治工具費になります。たとえば、これはT2の場合にも、現在までの段階で約七十億円程度の治工具費と技術費が、実は量産に入っておりますからかかっております。大体この辺の数字が治工具費の概要でございます。したがいまして、この段階で、先生御指摘のように、四十六億の差額は債務負担行為をきめたのだというふうには、実は私どもは解釈をしてはおらない次第でございまして、その点、御了解願いたいと思います。
○楢崎委員 だから何回も言っているでしょう。いいですか。これは議事録に載せてもらわなければいかぬから、どういう覚書かちょっと読んでみますよ。表題は、さっき私が言ったとおり、「中型輸送機試作研究請負契約の本機代価の専用治工具費等の発生費用及び負担額の確認に関する覚書」として、「昭和四十四年三月三十一日付認証番号第二一五九一号をもって締結された中型輸送機(Ⅲ)試作研究請負契約の本機代価の専用治工具費、試験研究費、機能部品開発費及び技術費の発生費用及び本契約負担額の内訳について、昭和四十四年三月三十一日付をもって交換した覚書別紙二項に基づき次の通り確認する」、そうしてその下に、発生総額については、総額は四十六億七千三百六十万、その内訳、日本航空機製造株式会社十億。これは約十億ですね。三菱重工十四億三千万、川崎重工九億八千五百万、富士重工七億八千百万、日本飛行機四億五千七百万、新明和工業千三百四十八万円。そうして今度は、試作費のほうにそのうちから落とした分はどうなっておるか、落とした分は、さっきお答えのとおり八億三千百万。その内訳は、日本航空機製造四億三千三百万、三菱重工二億三千七百万、川崎重工八千八百三十万、富士重工六千八百万、日本飛行機はゼロ、新明和は三百二十五万円。こういう金額をここに羅列して、そして、いいですか、簡単なんです。「この合意を証するため」――証明するためという意味ですね。「証するため覚書正本七通を作成し、各々、各一通を保有するものとする。昭和四十六年三月三十日」。さっき言ったとおりの社長のあれが出て、ここへ判を押しておる。単なる数字の確認なら、何でこんなぎょうぎょうしいあれをやりますか。これはあとで見てやるという約束です。そして一万円の収入印紙が張ってある。何ですか、単なる数字の確認じゃないのです。冗談じゃありません。 だから私は、さっき言ったとおり、この覚書についてメーカー側の解釈が違うから、取り扱いを私の質問中にひとつ委員会で結論を出していただきたい。それが委員長としてお約束できるのなら、私はこれは一応保留して先に進みたいと思います。
○江藤説明員 覚書の解釈は若干違うようでございますけれども、われわれとしましてはあくまで概算契約である。したがって、中途で確定しなければなりませんし、生産をしなければなりませんので、この時点におきまして、材料費とか加工費の値上がりを理由に割り掛け費を過小に見てもらいたいという会社側の要望は当然出るわけでございます。その意味におきまして、われわれとしては、少なくともこの契約におきまして、八億三千百万円なるものは割り掛け費で見ておるんだということを確認する意味におきまして、このような覚書を結んでおるわけでございます。なお、もし量産に入らなければ、あとの分につきましてはこれは会社の負担になるわけでございますが、一たん量産に入ってしまいますと、これはやはり、現に発生しました専用治工具費あるいは技術費というものは、これは量産に決定した段階において、われわれとしては当然発生原価としての見積もりをしなければならないということになるわけでございまして、覚書を前提にして量産のときに義務を負うんだという趣旨のものではないのでございます。
○楢崎委員 だから、何回言わせますか、あなたはそういう解釈で覚書を解釈しておるが、メーカー側はそう解釈していないと言っておるでしょう。そしてそのとおりに実際に金額として出てきておるのです。そしてそれをあなた方は認めている、会計検査院も大蔵省も。だめですよ、こういうことは。だから、この違いを明確にここでする必要がある、覚書の性格について。単なる解釈の相違ではなしに、その解釈に基づいて具体的な予算としてあらわれてきておるのですよ。何を言っておるのですか。同じことを何回も言わせないでください。
○三原委員長 この問題につきましては……。
○楢崎委員 それでは、いま理事の御努力もあるようですから、もう一度確認します。 防衛二法の審議の最中に、できるだけ早い機会に理事会でこの結論を出していただきたい、どうするか。これは保留をいたしたいと思います。それを約束してください。
○三原委員長 ただいま楢崎委員の質問について、政府の意見、回答と楢崎委員の質問に対しましての意思の疎通を欠く点もあり、結論が出てまいりませんので、理事会で先ほど協議をお願いしました。その結果、防衛二法審議中にこの問題の処理について、御希望のように努力することをお約束いたします。 次に進めていただきます。
○楢崎委員 日航製から詳しい資料を私はここにもらっております。あなた方言っているのは全部うそだ。念のために言っておきます。これはいずれ明らかにしたいと思います。 それでは、この分を保留をして先に進みたいと思います。 七月下旬に田中総理はいわゆる訪米をされます。今回の訪米は、いろんな話し合い、重要会談が行なわれると思います。当然安全保障の問題についても重要な話が行なわれると思う。山中長官はこの田中総理訪米に随行されますか。どうなっておりますか。
○山中国務大臣 おそらく連れていってもらえないだろうと思います。
○楢崎委員 長官としてはどうですか、意欲は。
○山中国務大臣 総理の御意のままです。
○楢崎委員 あなたの意思はお持ちにならぬようですね。 五月二十九日、三十日に第八回の日米安保事務レベル会議が行なわれました。これはその七月下旬の田中総理の訪米、この際に、少なくともその日米会談の中で課題がいろいろありましょうが、その中の安全保障問題に関する前段の予備交渉の一つの意味があったと私は非常に重視をいたしております。で、五月の二十九日と三十日の第八回日米安保事務レベル会議の報告を長官は詳しく受けておられますか。
○山中国務大臣 私は、二十九日の夜就任をいたしましたので、その二十九、三十日の会合に対するわがほうの持っていきましたものについては、何ら私自身の意見も入っておりませんし、目を通しておりませんが、報告は受けました。
○楢崎委員 それはそうでしょう、二十九日になられたのですからね。ただ、私が聞いているのは、報告を聞いておられますかということを聞いておるんですからね。私どもの経験によりますと、この種の会談のときには説明資料というものが出されるのです。今回も出されたと思いますが、長官御存じですか。
○山中国務大臣 承知しております。
○楢崎委員 その説明資料の取り扱いはどうなっておりますか。マル秘ですか、それとも取り扱い注意ですか。
○山中国務大臣 これは外務省の感触もありますが、目下そのことについて、わがほうの意見というものを述べたことに対するアメリカ側との話し合いを続けるわけでありますから、そのことを公にするということは、きわめてむずかしかろうかと思います。
○楢崎委員 いや、その説明資料は、取り扱いとしては防衛庁としてどういう扱いになっておりますかということを聞いておるのです。マル秘ですか、取り扱い注意ですかと聞いている。
○久保政府委員 提出いたしました案につきましては、秘の判こを押してございません。
○楢崎委員 では、それは全然取り扱い注意でもないんですね。
○久保政府委員 取り扱い注意というのは、秘区分としてつくっておりませんけれども、実際上は日米会談、日米の協議会でありまするので、秘に準ずる扱いをしておりますけれども、秘の判こは押しておりません。
○楢崎委員 では国会に出されますね。
○久保政府委員 この事務レベル会議におきましては、双方で協議をしました内容につきましては外部に出さない、自由な討議が阻害されないようにそういう扱いをいたしましょうということでありまするので、お出しできないと思います。
○楢崎委員 それじゃあなた、マル秘の扱いと同じじゃないですか。何を言っておるのですか。冗談じゃないです。そんなことを言っちゃだめです。アメリカに説明できて日本国民に説明できない資料があるのですか。この防衛二法の審議のときに、国民の代表である国会に出せない説明資料があるのですか、アメリカ側には説明できても。おかしいですよ、あなた。二枚舌を使うのですか。
○久保政府委員 これは、公式の文書という意味ではなくて、当時は事務次官が出られて、事務次官が説明されるということであったわけであります。そこで、その事務次官の説明をするメモとしてつくったわけでありますから、秘の判こは押してはありませんけれども、秘に準じて扱うというふうに内部でもしておりますし、またその会合で出されました資料につきましては外に出さない、また説明をしました内容については外に漏らさないという申し合わせでありまするので、その内容の是非というものは格別といたしまして、いわば会議のルールとしてそういうふうに定めたわけであります。
○楢崎委員 これは日米で合意した文書じゃないんですよ。さっきおっしゃったとおり、防衛庁側の説明資料、メモなんです、アメリカ側に説明する。アメリカ側の意見が別に入っているわけじゃない。外交文書でもない。あなた方防衛庁は、文書の取り扱いについて、いつからマル秘に準ずるものというのをつくったのですか。
○久保政府委員 マル秘に準ずるものというものはもちろんございません。したがいまして、あくまでも秘の文書にはしておりませんけれども、その会合でのルールというものに従ってやる。これはやはり双方の信義上の問題でありまするので、そういう扱いをいたしております。
○楢崎委員 先ほどから申し上げるとおり、これはアメリカ側といろいろ話し合った結果の、たとえば議事録じゃないのですね。それだったら、アメリカ側の立場もあるからということは、いままで外務省から外交文書についてしばしば言われたところであります。この文書は、日本側からアメリカに対して、日本の防衛政策について説明をしたそのメモでしょう。説明資料でしょう。どこへ遠慮するところがあるのですか。何の信義があるのですか、アメリカに対して(「国会に説明できないことをアメリカに説明するのか」と呼ぶ者あり)いま発言があっておるとおりです。国会に対して説明できぬことでもアメリカ側には説明する、こんなこと許されますか。いつからそういう取り扱いをしたか。 例の秘密漏洩問題から、この文書の取り扱いについて、マル秘事項が多過ぎるということが問題になった。そして参議院段階で野々山一三議員の追及にこたえて、あなた方はいろいろな文書を出している。こういうことは廃止します、廃止しますとずっと出しておる、資料を。その中で、あなた方のいわゆる文書取り扱いでは、機密、極秘、秘、三つしかない。取り扱い注意は、四十七年十月十九日に改正して廃止をしておるでしょう。文書取扱規程にもないマル秘に準ずるものがありますなんて、何を言っているのですか。承服できませんよ、そういう文書があるというのは。取り扱いがあるというのは。
○久保政府委員 公文書であれば、これはおっしゃいますように、極秘、秘という文書になろうと思います。しかしながら、あくまでも私のほうの事務次官が、説明する、自分のメモとして準備したものでありまするので、言うならば、私的とは申しませんけれども、説明の御本人のメモでありますので、しかももう一つは、この会議に出される資料あるいは説明の内容については、これは自由な討議をするということをたてまえにしておりまして、決定をするということにしておらないので、そういう会議の精神からして、そういうものを外に出さないようにしようという申し合わせに従いましたので、そういう信義に誠実に従ってやりたいということであります。
○楢崎委員 ここに出されると何かまずいことが書いてあるのですか、この中に。
○山中国務大臣 楢崎さんの情報というのか何かが、あまり早く新聞に出過ぎまして、私はびっくりして調べたのです。しかし、それは私が知らないはずであって、増原前長官も一応その討議ペーパーには目を通している。そのときには、そういう伝えられるような部分は全然ないのです。事務の下部の段階でそういうことを検討してみた。しかし、事務レベルのところでそれは消えているわけです。したがって、上のほうに上げて、こういうことはどうだろうかという場合には、これは私の時代じゃありませんが、前長官も承知しておられないし、私もそんなはずがあるはずはないと思うし、第一、私どものほうで、向こうがまだ何とも正式に言ってきてないのに、アメリカのほうに、しかも事務レベルの会議で、相当広範な経済、外交の分野にまでまたがって議論されるはずの問題について、私どものほうで、伝えられた文章によると、第三国に何か非軍事用のものを援助する、そのかわりに、浮いた金をどうのこうのという、そんな要らざることを防衛庁のほうからアメリカのほうに、こんなサービスはいかがでございましょうかなんて文書を出すほうが私はおかしいと思うのです。あり得ないことだと思うのです。途中でそういうことを議論したやつがおるというのですけれども、文章になったものはあるかもしれません。あるでしょう。しかし、そのあと米側に討議メモとして提示したものには、そういうものには全部ありません。
○楢崎委員 じゃ、それを出してください。
○山中国務大臣 それは先ほど申しましたとおり、外務省の外交慣例もありましてそういういま話し合いの最中の内容のものを全部オープンにするということは、いかがであろうかと私は思います。
○楢崎委員 これはもう参議院段階でも衆議院段階でもやっているのです。機密、極秘、秘等は出せないものもある。ところが、そうでないものは全部出しますという答弁が出ておりますよ、参議院段階で。出してちっともおかしくないでしょう。長官知っているでしょう、内容を。おかしくないでしょう。そんなことをこだわるからかえっておかしくなる。
○山中国務大臣 おかしくはないです。おかしくはないですがね、やはりそういう外交信義の問題もありますから、それとほぼ同じ内容のメモですからね。ですから、しゃべったことについてならば、防衛局長に説明させます、そこらのところは。
○楢崎委員 じゃ、一応それ、そこで読んでください。
○久保政府委員 文章についてお読み申し上げるわけにはまいらないと思うのですけれども、事務次官が説明されることになっていまして、実際にはちょうど長官交代期で、次官のかわりに私が説明したわけでありますが、簡単に項目と申しますか、そういうものだけ申し上げてみたいと思います。 一つは、五カ年計画が決定されて今後遂行していくという問題。それから二番目には、日本の防衛力の整備にはいろいろ制約があります。四つばかりあります。それは以下申し上げるようなことであります。一つは、憲法上のたてまえがあります。二つ目には財政上の制約があります。それから三つ目には、憲法上から出てくる思想でありますけれども、専守防衛のたてまえであります。それから四つ目には、人的な制約というものがあります。また次には、日米安保条約というものを日米双方ともに評価すべきである。また最後には、装備の輸入という問題については四次防ですでにきまっておるところであり、これを大きく変更することはできないということで、従来私どもが国会で答弁している範囲内のものを、次官の意思といたしまして、日本側の態度を明確にしたほうがよろしい。言うならば、国会で論議されているその精神を米側に正確に伝えたというつもりであります。
○楢崎委員 ちっともおかしくないじゃない。なぜそれを出さないのです。出してください、それを。
○久保政府委員 でありますから、内容についてとやかく言うわけではございませんで、やはり日米で自由な討議をしましよう、そのためにはこういうルールでやりましょうという打ち合わせをやった以上は、今後の自由な討議のために、そういうルールを守っていくべきでありましょうというふうに思うわけであります。
○楢崎委員 あなた方知らないでしょう、内容を。なぜ出さないのです。こういう癖をつけちゃいけませんよ。マル秘でもない、文書の取扱規則にもない、マル秘に準ずるようなものなんという、そういうことで国会へ出せませんということでは、私は承服できませんよ。こんなことが癖になったらたいへんだ。それは国会軽視ですよ。しかも防衛二法のときに、この審議のまさに重要な課題ですよ、あなた方の考えを知る上において。だめです。承服できません。
○山中国務大臣 いま外務省側とも打ち合わせしたのですが、もし委員長、理事のお許しが出て、秘密会であるならばそれはけっこうですということなんです。
○楢崎委員 これもせっかくの長官の御発言ですけれども、マル秘だったらそういう取り扱いもいままであった。現にアメリカ局長御存じのとおり、横路君の出した沖繩密約電報のときには、これは極秘文書ですが、いわゆる秘密理事会で取り扱った。秘の文書であればそういう取り扱いがあるのはわかるけれども、何もない普通の説明資料でしょう。それを秘密理事会ならいいというような癖をつけるのも、これは慣例になってよろしくない。
○山中国務大臣 秘密委員会ですよ。非公開の委員会ならば……。
○楢崎委員 しかし、そういうことはいままであるのですか。そういうことは慣例がない。それは長官、ますますおかしくなりますよ。
○大河原(良)政府委員 この安保事務レベル協議の問題につきましては、先ほど防衛局長から御答弁いただきましたけれども、過去八回安保事務レベル協議というのは開催されております。もともと安保事務レベル協議と申しますのは、日米間の安全保障の問題に関します日米それぞれの実務当局者が適当な機会に会合して、日米の安保条約に関連する諸問題について自由な立場で隔意のない意見の交換をやる、こういう趣旨の会合でございまして、そういう会合の性質にかんがみまして、従来、この会合の際に討議されました内容については、外部に発表することを控えて、自由な意見の交換を達成するようにしたい、こういう趣旨でずっといままでやってまいりました。 したがいまして、五月の末に開かれました第八回の安保事務レベル協議におきましても、ただいま防衛局長から御答弁がありましたような、日本の防衛政策の問題に関しまして、日本側から日本側の考え方を説明したわけでございますが、この内容につきましては、これもただいま防衛局長から説明がございましたとおりに、従来、国会におきまして防衛論議がかわされている際にいろいろ浮かび上がってまいりました問題を防衛庁で整理されまして、防衛政策に関する日本側の考え方ということでまとめたものをメモがわりに用意された、こういうふうに私ども承知いたしております。 そこで、内容的にはいま申し上げました趣旨のものでございますけれども、会合そのものが、ただいま御説明申し上げましたように、過去八回にわたって、自由な意見の交換を可能ならしめるために協議の内容を公文書で明らかにすることは差し控えよう、こういう双方の約束のもとにいままで会議が持たれてきておりますし、今後ともこの会議を意味のあるものにいたしたいというわれわれの考え方からしまして、会議の中身につきましては公表を差し控えさしていただきたい。そういう趣旨の会合でございますので、日本側から説明いたしました内容そのものは、いま申し上げておりますように、決して、国会に対しまして従来政府が答弁している内容と反するものであるとか、あるいはそれに比べてきわめて秘密性が強いとか、そういうことはないわけでございますけれども、会議そのものが、公表を控えよう、こういう約束のもとに行なわれているという意味におきまして、会議の席上で説明されましたものを資料として国会の場で公表するということについては遠慮さしていただきたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
○山中国務大臣 国会法は一応知っているつもりの私ですが、さっき非公開の委員会と言ったことは取り消します。
○楢崎委員 国会法で秘密会というのはあるんですよ。あるんです。だから、あえて長官が提案されれば、理事会でひとつやってもらいたいと思います。 それで、私がさっきから言っておるでしょう。たとえば日米合同委員会の合意議事録、これは双方からの会議の内容だから公表できないという、前のしばしばの御答弁はいただきました。しかし、これは会議の内容のあれじゃないのです。日本側からその会議に向けて用意した説明資料なんです。しかも、その内容はちっとも秘密にするものはありませんとおっしゃるとおりでしょう。どうして出せないんです。こういう癖をつけたらいけませんよ。また何でも秘密、秘密でもとへ戻ってしまう。せっかく秘密漏洩事件から、かれこれ国会で詰めを行なって、もうその取り扱い文書も整理をして、マル秘文書は少なくして、それ以外のものは国会へ出しますという約束まで政府はしている。それをまたぞろ、マル秘文書に準ずるなんということで出せないということは、私は承服できません。ここでそういうことをわれわれが承服することは、われわれ自身が国会を冒涜することになる。できません。
○大河原(良)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、確かに日米間の、あるいは国際的な合意文書ではないわけでございますし、また米側と合意の上で出した文書でも何でもございません。ただ、会議そのものの中身を表に出さないようにしようという約束のもとに行なってきた会議であるという意味で、会議の中で話し合われた問題のために用意されたいわば日本側のメモでございますから、そういう意味において、公式文書ではもちろんありませんし、米側との間のいわば信義の問題として、このメモをこの委員会に公式にお出しすることを御遠慮さしていただきたい、こういうことを申したわけであります。
○楢崎委員 委員長、これは承服できませんよ。これはこの防衛二法の審議に非常に関係がある、その示されておる考え方は。アメリカ側に説明できて国会のわれわれに、日本側にどうして説明できないのですか。なぜそれが出せないのですか、アメリカ側に出せて。われわれにどうして出せないのですか。どうしてそういう秘密的なことをやるのですか。そういうやり方自身がいけないのです。だめです、そんなことは。何もアメリカ側と約束してないんだ。何を言っておるんです。あなた方は日本の防衛庁でしょう。だめです、承服できません、そういうことは。
○久保政府委員 これは、内容的には従来政府側が答弁している範囲内のものでありますので、格別新しいことではございません。ただ、さっきもアメリカ局長が申しましたように、会議の一種のルールでありますし、今後もやはり双方が自由に討議ができる、そういう雰囲気というものは日米双方のためにプラスになるわけで、そういうようなルールというものは、やはり信義上尊重したいということであります。 したがいまして、内容について、たとえば個人的に先生にもう少し御説明することはけっこうでありますけれども、これを資料として提出するということは御容赦いただきたいということであります。
○楢崎委員 そういう防衛庁の国会を軽視するような態度は許せませんよ。何も秘密がないと自分から言っているじゃないですか。しかも米側と交渉した内容じゃないのですよ。会議に向けて用意した説明資料なんですよ。防衛庁の中で、あるいは日本の外務省と防衛庁で検討して、そしてこういうふうに説明しようという内容じゃないですか。何が秘密ですか、それは。アメリカと何か話し合って、その内容にわたる点なら別ですよ。また言い分もありましょう、会議の内容にわたるというのでしたら。そうじゃなしに、会議に向けてつくった日本側の資料なんでしょう。なぜ出せないのですか。なぜこだわるのです、そんなに。国会で再三言うように、そういう防衛庁や外務省の態度を私どもは許すわけにいかない。普通の文書でしょう。何も秘密事項の文書じゃない。取り扱い上そうなっておるじゃありませんか。それで全部出すということになっている。マル秘以外のやつは全部出すということになっている。だめですよ。そういうことは許せません、私は。
○三原委員長 各党理事の御集合をお願いします。――このままの状態でしばらくお待ちください。
○楢崎委員 いま読ましていただいた内容について、ここで明らかにしていいですか。――もうやめる、私は。そんなばかな話がありますか、質問できぬなんて。何を言っている。
○水野政府委員 一般論として、ただいまのお読みになった知識で御質問なさることに何も支障はございません。
○楢崎委員 一般論とは何です。中身の文章に触れていいですか。
○水野政府委員 けっこうでございます。
○楢崎委員 それだったらなぜ出さないんですか。見せりゃいいじゃないですか。長官、こんなやりとり、私はいやですよ、こんなばかばかしい。中身の文章についてここで質問していい――私に見せた。皆さん見たいでしょう。私だけが知っておってやれって何ですか。こんなことは私いやですよ。やめますよ。出してくださいよ、あなた。だめですよ、そんな。
○大出委員 これは理事相互間の、いま集合がかかったからお伺いしたんだが、委員長、あなたから、外務省側のアメリカとの会議のときのいきさつもこれあり、この席に出したい。質問者ですから、この文書が前提になって質問を続行しようというのである限りは、見なければ質問のしようがないのだから、その点はあなたはお認めになりましたね、委員長。そうでしょう。つまり、質問を続行してもらいたい、したがってここで見てくれ、こういうお話でしたね。間違いございませんな。 そこで、各党理事の御賛同を曲げていただいて、私もいやです、こういうことは。いやだが、外務省の立場、確かに大臣はおいでにならない。防衛庁おいでになりますが、外務省は最高責任者がおいでにならない。ならないから、その点、譲歩をいたしまして、委員長の御提案どおり質問を続ける。その前提になる資料なんだから、質問者が見なければ質問ができない。そこで、いまそこで見せていただいた。立っててというわけにはいかぬからここへ来て見た。見て、さて委員長のおっしゃる筋書きならば、見て頭に入ったものを基礎にここで質問を続行することになる。ところが、一般論としてならばやってくれという。一般論じゃない、そこへ出してもらったものを見て、それが初めから質問の中心だから、そのことを要求しているんだから、あることの確認をされた中身は、それは取り扱い秘でもなければ、取り扱い注意でもなければ何でもない。何でもなくもないけれども。ここを見たら判をついてある。そうでしょう。これはおかしな話だけれども。それはそれとして、質問を続行するというなら、読んだ中身で質問しなければ質問にならない。一般論ではない。そのものずばり質問しなければ、質問にならない。そのことを認めないというならば、一般論というのならば、これは審議ができない。これは保留じゃ済まない。質問ができないのだから、きょうはここでやめていただきたい。いかがでございます。
○三原委員長 委員長において、政府委員なりに説明をさせます。その内容によって答弁をさせます。質問を続行してください。
○楢崎委員 いや、一般論しかできないというのでしょう。その中身の語句についてはだめだというのでしょう。
○水野政府委員 一般論と申し上げましたが、取り消しまして、ただいまごらんになった知識で御質問していただいてけっこうでございます。
○楢崎委員 もう夜もおそいし、私も疲れておるから、ちょっと貸していただけませんか。それで質問しますから。そう私も字句を――これは大事な点だから。なぜかというと、あなた方の答弁、さっきここで答弁しておることとちっとも違わぬことを説明したとあなた方は言った。中身に違う点があるんだ。だから問題にしているのです。だから出しなさいと言っている。 私は、ほんとうにこういう癖をつけちゃいかぬと思うのです。これは一九七三年五月。五月何日か知らないが、先月つくられたやつだ。取り扱い注意という判が押してある。さっき私が申し上げたとおり、取り扱い注意というのは回収して廃止をしたんでしょう、昨年の十月に。何でいまでもこういうものが生きているのですか。
○久保政府委員 さっき申し上げたように、それは公文書ではございません。公文書であれば、極秘とか秘とかいう判こを押して、そして登録をいたします。それは事務次官が説明されるときの個人のメモであるということを申し上げました。その場合に、そのメモが自由に外へ出てよろしいものではございません。そうすると、御本人の意思でなんというふうに書いてもよろしいわけでございますけれども、秘とかそういうものとまぎらわないように、限定ということばもありまするし、部外秘ということばもありまするが、そういうものはいま公式の書類ではありませんけれども、御本人なり関係者なりの心覚えのためにつけてあるというだけの話であります。
○楢崎委員 私はそれは了承できません。これはやはり当委員会に出してもらわないといけないと思うのです。特に私はこの中で、先日来問題になっているいわゆる周辺海域の、つまりあなたが言った、たいへん――これは大出委員に対する質問のときだ。興味のある問題でしょうが、あなたはいつも一言多いんですよ。何にもそんなのはきまっていない。それから共産党の中路委員の質問に対して、あなたは何と答弁したか。中曽根長官の時代に一千海里という構想はあったけれども、これが四次防先取り問題で中曽根構想は御破算になり、三次防構想になったから、今度は百海里ですかにまた戻った。(「数百海里だ」と呼ぶ者あり)数百海里です。言ったじゃないですか。この中に何て書いてありますか。ちっとも変えちゃいないじゃないですか。中曽根構想のとおりじゃありませんか。読んでみましょうか。 「ただ公海上における海上交通の保護について、日本の周辺海域(数百海里ないし千海里程度)を海上自衛隊艦艇の主たる行動範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと考えている」。明確じゃありませんか。「べきものと考えている」、つまりこれは約束しているんだ。(「だって、保護もできないでどうするんだ」と呼ぶ者あり)いや、いいのですよ、それは。保護するというなら。あなたは変えたというのだから。だめですよ、これは。あなたは国会を欺いている。
○大出委員 これは一つだけ関連させてください。いま中路さんの話も出ましたが、私も同じ質問を出しておる。中曽根前防衛庁長官のときに千海里、こういう答弁が一つある。江崎さんのときに六百海里という答弁が一つある。今回は裏百海里、表三百海里という言い方が一つ出てきておる。一体ここのところは防衛庁はどう考えておるのか。 海上の輸送に対して、私は昨年の四月十二日のレアード国防長官発言を例にとったのです。横須賀の母港化の問題、プラス、ペルシャ湾からインド洋を通ってマラッカ海峡に入ってくる長大な石油の輸送路、この海上の輸送、これに対して日本は軍事的寄与をすべきである、こう言っている。ただここで問題は、いまの千海里なんということになると、日本の海上自衛隊はそういう分担をするとすれば、それは言いかえれば作戦行動範囲になるのですから、レアードさんの言ったとおりに、アメリカの輸送船団等も含めて、日本の海上自衛隊はこれを防衛することになってしまう。そうすると安保条約の五条、六条とからむ。事前協議という問題、これは五条を除いている。つまり日本に関係のないところの紛争に限られている。それとからんでしまうとなると、これは基本的な問題だがどうなんだと詰めた。あなたの答弁は、そういうことはかつていろいろとあったが、何もきまっていない。いろいろなことを検討している、そういう段階なんだとあなたは答えた。全くあの答弁はそうなればペテンです。私はみごとにあなたにだまされた。それでは事済みませんよ。はっきりお答えください。
○久保政府委員 これは、私の答弁の議事録をお読みいただけばおわかりのとおりであります。中曽根長官当時周辺海域を千マイルにいたしました、そうしてこの前この委員会で私が御説明申し上げたのは、周辺海域は数百マイルと申し上げました。その数百マイルを、たとえば五百がいいか、七百がいいか、そういうことは具体的にきめられない、これも申しました。 そこでもう一つ申し上げたいのは、航路帯を設定をする場合に、その航路帯を千マイル程度にすべきであるという意見がある。これはもう以前からの見解で、大臣も答弁されておりますけれども、そういったことについて千マイルにするということをきめたということではございません。千マイルという問題についてなお問題があるけれども、航路帯についてはそういう問題が残っておる。したがって、そこに書いてありまするように、数百マイルないし千マイルとしたのもそういう意味であります。千マイルの範囲は全部わがほうである、あるいは数百マイルの範囲は全部わがほうが防衛の分担をやりまして、米国の商船、艦艇といえどもわがほうが防衛をするということを何ら言っておるわけではありません。単にわが艦艇の行動区域を考えるならば、数百マイル、せいぜい航路帯を考えましても千マイルの範囲内でしかない。その中でわがほうは行動しかつ防衛を、海上交通の保護に任ずるということを言っておるわけで、としましては、従来からの答弁と変わっているところはないと思います。
○楢崎委員 あなたは、議事録を調べてもらえばわかるとおっしゃったが、じゃ、いまから議事録を出してください。、あなたは、中曽根構想は消えたと言ったのです。議事録を調べてください。
○久保政府委員 私はこう申しておるわけです。中曽根長官のころには、周辺海域ということばを千マイルといたしました。何べんも答弁いたしましたように、南鳥島、沖ノ鳥島、南西諸島、これ結ぶ千マイル、これを周辺海域と考えたわけであります。それを四次防の案では、千マイルでは広過ぎるから数百マイルにいたしましょう。その数百マイルについては、確かに何百マイルであると具体的な数字は申しておりません。また決定するのはおかしいと思うわけであります。そこで、しかし航路帯については千マイルまで行く可能性があります、ということであります。この点は、終始私どものほうでは態度は変えてないつもりであります。
○楢崎委員 議事録を中心にしてやりましょう、それじゃ。出してもらいます、あなたが言っているんだから。
○大出委員 もう一つ関連さしてください。 私はあなたの答弁を注意深く聞いていた。あなたは、いろいろな意見がある、きまっていない、こう言っているのだけれども、私の質問の日にちはあなた御存じでしょう。これは六月でしょう。あなたは六月に、千マイルとすべきものとするとここで明確にしているんでしょう。航路帯も何も言っちゃいないのだ。私に答えたのは、まだきまってない、いろいろな意見がある、数百マイルだ、こうあなたは言っている。議事録とおっしゃるのだから、私も自分で質問しているのだから、議事録をそこで突き合わせてください。これは重大な問題だ、合わせてそうなれば。私は質問者じゃございませんけれども、私の質問にからんで言っている。明らかに違う中身。楢崎さんは見たけれども、私は見てない。出してください、これも。
○久保政府委員 千マイルを必ずやると言ったことではございません。数百マイルから千マイルまでと、ないしというふうになっておりますから、千マイルまでをわがほうが担当するということを申し上げておるわけではないわけでありまして、数百マイルから千マイルというものの範囲内である、たかだか千マイルまでであるということであります。そういう点については誤解のないようにこれは米側にも説明をしております。
○楢崎委員 これは私しか持たないのです。委員会に配りなさいよ。私が言っておるのが事実か、あなたが言っておるのが事実か。あなたは中曽根構想は消えたと言ったんだ。いいですか。私がなぜこれを重要視するかというと、この構想は増員の問題もからんでいる。装備の問題もからんでおるのです。 昭和四十四年四月二十一日、外務省と防衛庁は沖繩問題についての懇談について記者会見をやった。そのメモを防衛庁は資料として出しておる。その中にも、「南西航路の確保などに必要な防衛力を整備する」と、南西航路ときちっと書いてある。 次、昭和四十五年四月二十八日、当時の事務次官の小幡さんが工業クラブにおける防衛懇話会総会で演説しております。いいですか、御披露しましょうか。これは小幡事務次官の演説ですよ。「本土周辺の地上防衛力を第一に考えるとともに、海上の交通保護についても、マラッカまでというとっぴなことは考えておりませんけれども、南西航路あるいは南東航路とわれわれが申します、アメリカ、豪州のほうの航路筋につきましても、ある限度は日本で守りたいというふうに考えております。航空自衛隊につきましては、先ほども申しましたように艦船とか地上を攻撃する力、それに対してのいろいろな関連設備、こういうものをふやしまして、万が一日本に直接侵略するようなことが起こりましても、海と空ではある程度は領域外でたたく、そしてそのあと残ったものが陸上に上がってくるというかっこうにしたい」。このときも航路帯というのがはっきりと出ている、「したい」と。 それから四十六年五月三十一日、あなたも出ておる。経団連の防衛生産委員会の懇談会に、中曽根長官と一緒に出ておる。そのとき中曽根長官はどう言っております。非常に重大なことを言っているのです。この周辺海域の防衛の問題について、まずあなたがどう言ったかからいきましょうか。「一応われわれが考えております周辺海域といいますのは、太平洋岸で申しますると東のほうで南鳥島、南で沖ノ鳥島、それから西のほうで南西諸島というような範囲、本土から申しますと大体千マイル程度の海域になっております」とあなた言っておる。それから中曽根長官はそれに続いて何と言っておるかというと、中曽根長官、「大体いまの尖閣列島、沖ノ鳥島、南鳥島、その範囲内において敵の潜水艦の跳梁を許さない、一応それが目標で、十年くらいで飛ぶ力を持ってゆく。しかしやはりある程度集中的に援護措置を講じたほうがいいというので、航路帯を二、三本つくって、その航路帯に入ってくれば敵潜の跳梁は絶対に許さない、そういう構想です。それで、そのためには八千トンのヘリ空母が要るわけです。ヘリコプター六機搭載、四機実働という、そういう計算であります」。つまり千海里構想というのは、八千トンのヘリ空母がなくてはだめだということを言っておる。つまり千海里というシーレーンを設けるということは、これはアメリカにあなた約束したんだ、二十九日に。 そうするとこれは五次防だ。四次防には八千トンは出てこない。消されたでしょう、いわゆるDLHは。そして四千八百トン、ですか、三機のヘリコプター搭載のDDHになったでしょう。だからシーレーン千海里を約束するということは、五次防において中曽根さんが言っておるのだ。八千トンクラスのヘリ空母、おそらくHSSヘリでしょう、これを六機載せる八千トンクラスのDLHをつくらなくちゃだめだ。これは五次防に関連しておるんだ。そういう構想ですよ。私が言っておるのじゃない。中曽根さんが言っておる。そうしてその構想がここへ来てそのまま生きておるじゃないですか。どこへ中曽根構想が消えているのですか。だめですよ。だから、議事録を見られればわかりますと、あなた自分で言ったのだから、委員長に要求します。出してください。これは社会党も共産党もだまされている。
○久保政府委員 中曽根構想が消えていることは確かであります。そしていま、私が経団連の会議、それから中曽根長官が同じ会議で申されたことは、国会で再々、中曽根原案と申しますか、防衛庁原案のときに説明したことで、これは十分御承知のことだと思います。その構想は消えておる。つまり周辺海域そのものが千マイルである、沖ノ鳥島、南鳥島、南西諸島を結ぶ、そのいわゆる周辺海域を千マイルとするという考え方は、これも御承知だと思いまするけれども西村前長官のときに変えたわけであります。で、いわゆる周辺海域というものは数百マイルにいたしましょう、これも御承知のはずであります。ただし、航路帯については格別の長さというものはきめられておらない。そこで、私どもは大体千マイルということで、事務当局としては千マイルの以内で考える。それをこえるわけにはいかない。たとえばサイパンまでが千三百マイルでありますが、往々にしてそういう構想も内部では出てまいります。そういうようなところまでは延ばされない。長くても千マイルである。したがいまして、中曽根構想といいますか、当時の防衛庁原案のときにおけるいわゆる周辺海域の構想、つまり千マイルというものは消えているわけです。 そこで、その数百ないし千マイルと書いてありますのはどういう意味かといいますと、周辺海域は数百マイルである。そこで切れるわけです。そして航路帯。さっき南西航路、南東航路と言われましたが、航路帯を設定するときには数百マイルよりも延ばすことがある、しかしそれを延ばしても千マイルである、そういう意味でありますから、この点は従来と変わらないわけで、当時の中曽根構想が否定されている、そしていま私が申し上げたような構想というものが西村前長官のころから生きているということは、これは御承知のはずだと私は思います。
○楢崎委員 あなたがいま言ったようなことがこれに書いてあるかどうか、皆さん知らないんだ。出しなさいよ、これをみんなに。
○久保政府委員 だから、それはあくまでも次官が説明するときのメモだと申しました。メモというものは、そのまま読み上げて全部わかるというものでなくてよろしいわけです。メモというのは口で補充するわけでありますから、そのことは十分に口で説明してあります。それで私はメモということを申したわけであります。
○楢崎委員 だからこの文書を出しなさいと私は言ったのだ。これには「はかるべきものと考えている」と書いてある。べきものと考える、アメリカにこういうふうにすべきものであると日本が考えておりますと言うのは、アメリカにそうしますと約束することですよ、われわれの常識でいえば。何を言っておるのですか。これを出しなさいよ。だめですよ。 委員長、これは今後の五次防にも関係することですよ。それを約束しているんだ、あなた。だから議事録を出しなさい、ここへ。それで勝負しましょう。あなたは中曽根のあれは消えたと言ったのだから。千海里は消えたと明らかに。議事録ありますよ。見てごらんなさい。もしなかったら私あやまります。だめですよ、そういう二枚舌を使ったら。だから、アメリカに言うときとわれわれに説明するときとは違うと言うんだ。だから、これをあなた方は出すのを渋ったんだ。だめですよ。
○久保政府委員 これは繰り返しになりますけれども、何べんも申しますように、周辺海域というのは数百マイルである。これは口がすっぱくなるほど国会では答弁しております。航路帯については数百マイルでは及ばない。南西航路、それから南東航路についてももう少し延びる。この前、中路委員にも私は申し上げたので、御記憶だろうと思いますけれども、千マイルということで部内でもいろいろ検討されているというようなことを申し上げたはずであります。したがって、千マイルの範囲内である、南東航路をつくるにしても千マイルの範囲内である、そういうことをメモに基づいて説明したということで御了承いただきたいと思います。
○楢崎委員 何べん言ってもだめですよ。まずこの文書を当委員会に出しなさい。それから次にの議事録を出しなさい。あなたが言い出したんだから、議事録を読めばわかりましょうと。いつもあなたは一言多いんだ。だからあなたが言ったとおりにしますよ。
○大出委員 議事進行を兼ねるけれども、私も質問者であり中路委員も質問者で、同じようにこの問題を聞いているわけです、角度は違うけれども、ねらいも違うけれども。久保防衛局長はそこで答えられた。それと、いま出てきたこの中身というものと違うんだ、これは。航路帯なんかどこにも書いてない。しかも、先ほど関連して質問したことに対して防衛局長の答弁は、議事録を見てくれと言う。そうおっしゃっている。私も質問者なんだからね、そう言われたんじゃ。答弁をもらったほうなんだ。これと違うんだ、それを議事録を見てくれと開き直られて黙っているわけにいかない。当然出してください。 それから、メモだメモだと言うけれども、これに基づいて米側にものを言ったことは間違いない。しかもこれは文書になっている。そうだとすると、私が質問したより以前のものだ、これは。はっきりこうなっていて、アメリカ側に数百マイルないし千マイル程度とすべきものである、そう言った。アメリカにはそう言っておいて、私どもの質問に違ったことを言われては迷惑だ。航路帯も何も書いてない。だとすると、これも明確に、質問者に、私どもにこれは下さいよ。違ったことを答えられて、ぼくらはころりだまされた。久保さん、あなたは参議院で、ファントムの給油装置だって明確なうそを言ったんです。あなたはよく御存じのとおり。さすがに上田君だって、そこから先踏み込もうとしなかった。彼だって考えている、そこのところは。(「罪一等を減じているんだ、あのときは」と呼ぶ者あり)そんなに非紳士的じゃありませんよ。私だってそう。だがしかし、自分で質問をしてやりとりをしたことが、アメリカ側に以前に言っていることと違うんじゃ黙っているわけにいかない。これだけは明確にしてください。明確に違う。だから議事録を出してください。
○久保政府委員 私は、この問題についてはずっと国会で御答弁申し上げておりまするし、この問題について十分問題の重要性も知っております。問題点の所在も知っております。したがって、間違えて米側に真意を伝えるわけはございません。したがって、いま先生がお読みのものは、これは次官が説明されるときのメモでありますので、そのメモに従って私は説明しておる。そういう問題点があること、そしてまた問題を誤解されては困ること、そういうことは十分に説明してあります。(大出委員「議事録を出してください」と呼ぶ)
○楢崎委員 二つです。この説明資料と、それから議事録をここではっきりしてもらって、そして論議を進めましょう。 私、ちょっと落としておった点があります。公明党の鈴切委員のときにも、中曽根構想は消えた、もう言ってくれるなとあなたは言っているそうですから、これは野党、民社党は言っていらっしゃらないようですが、社会党、共産党、公明党全部だまされている。だからこれは重大なところですからね、議事録を出してもらおう。
○久保政府委員 中曽根構想、いわゆる周辺海域千マイルという構想は明らかに消えております。これは全く否定できないところであります。そこで周辺海域が千マイルであるなどということを米側に言うはずはございません。わざわざそこに数百マイルないし千マイルと書いてあるその意味合いというものは、周辺海域というものは数百マイルである。周辺海域ということばのものは数百マイルである。その数百マイルというのを具体的にどういう数字にしろと言われても、これは困りますということを再三申し上げておるわけでございます。ですから、千マイルというのを……(楢崎委員「航路帯と書いてないじゃないか」と呼ぶ)ですから、それは格別の公文書でも何でもございません。あくまでも次官が(楢崎委員「責任のがれはだめですよ、あなた」と呼ぶ)手元に置きながら説明をする材料でありますから、その材料というものは自分のメモがわりなものであります。したがって、いま言われたような、かたい、リジッドなものとして扱われると、私どもとしてはたいへん困るわけであります。
○楢崎委員 みんなやっぱりこの文書は興味があるのだ。みんな見ているのですよ。自民党の皆さんが見ている。出しなさい。だめですよ、あなた。だめですよ、そんな。
○大出委員 これは久保さん、あなたはそう言うけれども、私はいま初めて見た。遠慮していたんだがね。外務省に悪いから遠慮したんだよ。これは黙っていられないですよ。読みますよ、いいですか。「日本の周辺海域(数百海里ないし千海里程度)を」――いいですか、これは重要な問題。「海上自衛隊艦艇の主たる行動範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと考えている」。自衛隊はそう考えているのじゃないですか、あなた方は。明確じゃないですか。 もう一ぺん言います。「日本の周辺海域(数百海里ないし千海里程度)を海上自衛隊艦艇の主たる行動範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと考えている」。あなたは考えている。海上自衛隊、日本の自衛隊が考えている。それをアメリカ側に明らかにしたじゃないですか。何がきまっていないのですか。明確じゃないですか。何が航路帯ですか。何が周辺海域ですか。日本の周辺海域とここは明確になっているじゃないですか。「日本の周辺海域(数百海里ないし千海里程度)を」と、あなた明確にしている。なお、「海上自衛艦艇の主たる行動範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと考えている」。この海上交通の保護をはかるとなれば、そうあなた方は考えているということを明確にすれば、日本の輸送船だろうと、アメリカの輸送船だろうと、この範囲に関しては間違いなく周辺海域という定義なんだから、周辺海域、主たるあなた方の行動範囲として保護するというのだから、あなた方は明確に。冗談じゃありませんよ、こんな中身を明確にしておいて。これは重大な問題だ。安保条約五条、六条とからむ。
○久保政府委員 もし周辺海域を中曽根構想当時と同じように千マイルと考えているならば、数百マイルないし千マイルと書く必要はないわけであります。わざわざ数百マイルないし千マイルと書いたゆえんのものは、これはあくまでもメモでありますから、御本人さえわかればよろしいわけで、数百マイルないし千マイルと書いたのは、数百マイルというのは周辺海域、これは確立している。しかし南西航路、南東航路をつくりましても、それを千マイルをこえて防衛するというような構想には成り立たない。これはなぜそういうようなことを書いたかと申しますと、よくいわれますように、インド洋にまで出かけていくこと、あるいはマラッカ海峡の問題が出たりする、マラッカ防衛論というものが出たりする、そういうような構想はわが国としては成り立たないのです。南西航路、南東航路をつくっても、千マイルをこえるものではありませんというネガティブな意味で意見を申し上げているわけです。その点はひとつ評価していただきたいと思います。
○楢崎委員 あなたは、いいですか、きょうもあなたは間違っているんだ。私はこの南西航路と南東航路をかつて質問したでしょう。覚えているでしょう。覚えていませんか。いいですか、私はこれをやったんだ。昭和四十六年十一月三十日、沖繩国会のときです。このとき私はキロで言った、そして千六百キロと言った。あなたはわざわざ訂正した。海里のほうですから、千八百キロですと言った。あなたはきょうマイル、マイルと言う。あなたはマイルと言っているが、海里になっているじゃないですか。だからもうやめますよ、こういうことは。出しなさいよ。はっきりみんなこれを見ている、私が借りたものを。だからこれを出して、それから議事録を出して、あなたのいままでの答弁が間違っておらぬのだったら、自信があったら議事録出しなさい。あなた、自分で言ったんでしょう。だめですよ。
○久保政府委員 何べんも申しまするけれども、中曽根構想というものは私どもは否定をいたしております。これは私どもが否定したんではなくて当時の西村長官の指示でそういうふうに変えたのであります。したがいまして、周辺海域というのは、あくまでもそこに書いてありますように数百マイルである。そこで、航路帯を設ける場合には千マイルをこえるものではないという意味で、制限的な意味で千マイルという数字を書いてありますが、その文書全体は、一般的に日本の防衛力整備についての米側の要望がいろいろございますけれども、いろいろな制約があるのだ、余分のことを望んでもできないのだ、わがほうとしてはこの範囲内のことしかできないのだということを強調しようとした文書でありまして、むしろ、ここまではできるということではなくて、ここまで以上はできないのだというところに意味のある文書であります。
○楢崎委員 何べん言っても同じです。あなたはいままでの答弁が違うのだ。私が言っているのが違っておるか、あなたの言っているのがほんとうか、議事録が出てくればわかるのです。久保局長が言っている。(「議事録はまだできていないです」と呼ぶ者あり)いや、速記課へ行けばありますよ。速記録を見ればありますよ。速記録を取り寄せればありますよ。あなたが言っているんだから、あなたのほうから言い出したんだ。マイルは一・六キロです。海里は一・八キロですよ。非常にあいまいなんだ。
○三原委員長 暫時休憩いたします。 直ちに理事会を開きます。 午後八時三十四分休憩 ――――◇――――― 午後九時三十八分開議
○三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。大出俊君。
○大出委員 先ほど私が遠慮いたしておりましたが、理事会に出ました日米間のいろいろ話し合いをされた基礎になった文書、この中身を読みましたが、これはまずこうなっております。「日本の周辺海域(数百海里ないし千海里程度)を海上自衛隊艦艇の主たる行動範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと考えている」。これは日本側が出した文書でございますから、その意味では、日本側が考えている、こういうことになる。念のためにもう一ぺん読んでおきますが、「日本の周辺海域」、航路帯ではありません。「日本の周辺海域(数百海里ないし千海里程度)を海上自衛隊艦艇の主たる行動範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと考えている」。日本側が考えている、こういうことであります。 こういうことになりますと、この委員会における質疑、それに対する答弁、特に久保防衛局長の答弁がたいへん食い違いがございます。それを先ほど関連で私、質問をいたしましたが、つまりその要旨は、中曽根前防衛庁長官は千海里、こういうふうに言うている。その後、江崎防衛庁長官の時代には六百海里と言うている。日本の周辺海域千海里、六百海里、こういう前二長官の発言が出ている。このことなども取り上げて、さらに表三百海里、裏百海里という日本の周辺海域に対する防衛範囲が云々されている。これは安保条約の五条、六条にからむたいへん基本的な問題である。 というのは、昨年の四月の十二日にアメリカのレアード国防長官が下院の歳出委員会におきまして、沖繩の母港化の問題を日本側に申し入れてある、あわせてペルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡を経て日本に入ってくる長大な海上輸送路、これに対して日本側は軍事的寄与をすべきであろう、こういう言い方をしているということまであげまして、ということになると、これは安保条約五条、六条のからみが出てくる。五条は、日本の領域における日米両方のどっちかが攻撃をされれば自動的に戦闘作戦行動が始まる。そこで、六条の岸・ハーター交換公文というものを踏まえまして事前協議という問題がございますが、この中からは安保五条を除くということが明確になっている。その意味は、日本に全く関係のないところにおける紛争、これに日本が巻き込まれてはたいへんだということで、その歯どめとして事前協議という項目がある。だから海上千海里などという――つまり周辺防衛の際、防衛の範囲がきまる、それが作戦行動の範囲なんだから、そうなると、専守防衛の日本の憲法とまで関連してくるという趣旨で、事、基本的な問題だという趣旨のやりとりが長くあります。このときに久保防衛局長の答弁は、私は海里で聞いているのですが、終始マイルでお答えになっている。海里とマイルと一体どう違うかという問題もございます。この中で千マイルというふうなことがある。だが、そうではなくて、防衛庁としては数百マイルなんだ、それがわれわれの防衛の範囲なんだということを答えた。中曽根、江崎発言というものも否定をされた、こういうふうに言いましたら、久保防衛局長は、そうではない、航路帯としては千マイル、こういうふうに言っているはずだという言い方をしておりました。 そこで、議事録を調べてみましたが、論点が三つあります。まず、この議事録のほうで、さっきやりとりをいたしましたように、久保さんの答全が正しいのか、私どもが聞いていることが正しいのか。楢崎さんの言っている、中曽根発言も否定したという、もし間違っていたら私があやまりますとまで質問者の楢崎氏は言っているわけでありますが、ここを調べてみました。質問者は三人ございます。私と中路さんと鈴切さん、私のほうから申し上げます。 たいへん長い言い回し、やりとりでありますから残念だけれども一部分だけにいたしました。「新聞に出たこともございます」、こういうふうに前のほうに言っておりますが、それは日本海に面する側百海里。皆さんマイルと言うのだが、私は海里と言った。百海里、表太平洋側、これは三百海里、これは私が取り上げた新聞に出ていたという件です。ここから続いているわけでありまして、これは久保さんの答弁であります。「一千マイルなら一千マイルは日本の担当区域である、そのほかは、どこかの国、あるいはアメリカがやりますというようなのも案外妙なものでありまして」というので、それを否定をされて、長くなりますから要点を申しますが、これが大意でございます。「やはりわれわれが従来から言っておりますように」、久保さんの答弁です。「われわれが」、つまり防衛庁です。「やはりわれわれが従来から言っておりますように、ややあいまいではありますけれども、数百マイルの範囲内においては、日本の防衛ということで対潜作戦を行なうということで事足りるのであって、それ以外に、それを越えて、この分は日本が絶対に守る、米側は何ら関与しなくてよろしい」というふうなことはないのだというふうな答え。もう一ぺん言いますが、「やはりわれわれが従来から言っておりますように、ややあいまいではありますけれども、数百マイルの範囲」、これが「日本の防衛ということで対潜作戦を行なうということで事足りるのであって」、こういうふうに言っております。 私はまた最後のほうで、念のためにもう一ぺん問題提起をいたしておきました。先ほどのレアードの問題等、全部この中に入っております。そうして、中曽根さんの問題等もここでずっと述べてまいりまして、安保とからむ云々と、いま言いましたが、そういうことを述べてまいりまして、「たとえば中曽根氏の答弁の中には、ここにございますけれども、本土を中心に千海里、こういう範囲ですね。江崎さんの段になりましてから、江崎さんは、沖繩を含む日本列島の周辺六百海里」、これは議事録によって明らかになっている。こういうふうになお念を押して聞いております。さらにここで、「ここにある新聞には、日本を表、裏に分けまして、表日本が約三百海里、裏日本が百海里」、ここでこの議事録は切れておりますが、これをつまり訓練の対象海域として、これらとからんで、もう一ぺん念のために答弁を求めるということかんですが、これに対する答弁が全く同じでございますから、ここまでにいたしましたが、さっき申し上げましたように繰り返しております。「われわれが従来から言っておりますように、ややあいまいではありますけれども、数百マイル」、こういうことでございます。繰り返して防衛局長は答えております。つまり中曽根、江崎答弁を否定をされて、あくまでも数百マイルである、こういうふうに答えております。 中路さんのほうの質問、鈴切さんのほうの質問の議事録は間に合いません。中路さんのほうは中路さんから申し上げますけれども、さっき私がここで言い、楢崎さんが言いましたように、航路帯の千マイルということに触れていますが、航路帯について千マイルというものがある、あるけれどもそれは適当でないと言い切っておるわけです。航路帯、これも数百マイルです。それじゃ五百マイルか七百マイルかというようなことの質問があるかもしらぬけれども、そういうことはまだきめてない、こういうふうにあなたは答えておる。正確にはあと同議員からただすと思います。 そうだとすれば、さっき私が防衛局長とやりとりしたという点は、局長のほうが正しくない。議事録の結果として私どもが指摘したとおりである。また楢崎氏が、間違っていればあやまると言った中曽根発言の否定、これも間違いだ。そのとおりになっておる。そうしますと、事、重大でございまして、冒頭に私が読み上げました「日本の周辺海域(数百海里ないし千海里程度)を海上自衛隊艦艇の主たる行動範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと考えている」、日本側で考えているということを、それはそこの私的なやりとりではありますけれども、大河原さんのほうから先ほど楢崎氏が聞かれておりましたのは、日米会談の中で日本側が資料として出したものである、その意味でここでお出しするわけにまいらないのだ、こういうお話でございました。しかも、そのものは赤ワクの取り扱い注意がありまして、メモという表現は一切ございません。そうなりますと、単なるこれは舌足らずでは済みません。資料として持っていっておる。御丁寧にそれを説明したとすればなおのこと。 したがって、まずいずれが、私どもに答えたことが――久保さん、別なことを言ったと言いますが、議事録の結果はっきりしておる。まず、私どもが言っていたことが立証されたわけでありますが、その点をまずお認めになるのかどうか。お認めになるとすれば、向こう側に出した資料の一つと言っている、このあなた方がメモと称するもの。私はメモだと思っておりません。文章で明確に書いてありますが、資料の一つだというふうに認定をいたしますが、その中身との食い違いはいずれが正しいのか。もし向こうさまに出したものが正しいというならば、私どもは全部ペテンにかかったことになります。そうなると、一体だれが責任を負っていただけるのか。ころころだまされて済む筋合いじゃない。事、内閣委員会という公の場であります。 それからまた、ここでやりとりをした議事録にあることが正しいということをお認めになるなら、それが防衛庁の考えだというならば、何でアメリカ側に、私どもが質問する以前に文書にして資料の一つとして渡したのか。事たいへん重大な問題でございます。外務省、防衛庁のこれに対する責任はどうされるのか。そういうことをしておいて、今度は二重に私どもに違うことを言ったとすれば、さらにその間の責任はどうするのかという問題が出てくる。 最後に、海里と質問すればマイルと答える。そこで、この衆議院手帖の一番最後のほうに、これは公明党の鈴切さんの御指摘をいただきまして、私も長年持っておりましたが初めて見たわけでございますが、ここに海里というのがございます。第一段目のところに海里、カッコいたしまして浬と書いてあります。米側に出したと称する文書の中には浬と書いてありますから、これは海里に間違いない、衆議院手帖が間違ってなければ。皆さんお持ちなんですから。海里、カッコして浬。米側に出した文書は浬と書いてあるのですから、衆議院手帖のいう海里に間違いない。海里と質問したらマイルと答える、また海里と質問したらマイルと答える。さっきも海里と質問したら、またマイルと答える。これは一体どうなっているのか。 そこで中身でございますが、この衆議院手帖によれば、海里は千八百五十二メートル、約十七町。度量衡表という一番ラストの表です。十七町。ところが、防衛局長答えているマイルならば、下のほうの「長さ」というところにマイルがございますが、マイルは十四町四十五間と書いてある。海里なら十七町、マイルなら十四町四十五間、だいぶこれ違います。二町何間か違います、一単位について。これが千ですから、これはたいへんな違いになります。 まあ、久保さんは陸の上のことしかおやりになってこなかった経験がおありになると見えまして、海のことは御存じないのではないかと思うのですが、海里と聞いたらマイルと答えが続いているんですから、これも将来のために、久保さん防衛局長を長くおやりになるんだとすると、年じゅう、海里と聞いたらマイルと答えたら、これはおさまらぬですから、そこのところは、衆議院手帖に基づきまして明確に御訂正をいただきたいと思います。 いずれにいたしましても、その間の責任と、どういうふうになさろうとするのか、明らかにしていただきたいわけであります。防衛庁並びに外務省。
○三原委員長 中路君。
○中路委員 私も、質問と要請の件は同じですが私の答弁の要点のところだけ、もう一度はっきり読みます。 先ほど、議事録を見てもらえばというお話でしたから読みますが、久保局長のこの問題の答弁から読みますと、「中曽根防衛庁長官の当時、すなわち四次防の防衛庁原案当時の国会に対する説明といたしましては、その周辺海域、少なくとも日本が防衛の範囲として考えるべき分野を、東は南鳥島、南は沖ノ鳥島、そして南西諸島というふうに線を引きました。つまり一番東、南、それから東南、西南の海域におけるわが領土の最先端を結んだ線、これは距離的に申せばほぼ一千マイル」、これもマイルです。「一千マイルくらいになりますけれども、そういった御説明を国会でもしてきたわけでありますが、その後の長官の指示によりまして」、ここで言っているのです。「その後の長官の指示によりまして、それは少し広過ぎるのではないかということで、しかも四次防というものは三次防並みということになりましたので、三次防当時における発想をそのまま踏襲をいたしまして数百マイルということにいたしております」。もう一度読みますけれども、「数百マイルということにいたしております」と答えているのです。さっきの文書と全然違う。「その数百マイルというのは、それでは、五百マイルなのか、七百マイルなのかという具体的な数字を明示せよという問題もあるかもしれませんけれども、これはやはりそのときの情勢によって、もっと縮まる場合もあれば、若干広まる場合もありましょうと思いますので、この数百マイルという数字を確定することは適当ではなかろう、やはりそのときの作戦様相によるものであろうというふうに思っております」というふうに答えているのですね。 もう一つ、航路帯についてもはっきり答えられています。私の質問ですが、「普通の船の航路について、航路帯の防衛といいますか、パトロールですね。こういった点については最大限どの地点生で大体防衛されるのですか」という質問で、久保局長の答えですが、「航路帯の構想もございます。四次防原案といいますか、あるいはもっと昔から検討されているところでありますが、サイパンまでで千三百マイルありますけれども、そこまでは行けない。大体航路帯をもし設定する場合に考えるとすれば、千マイルぐらいが適当かなという感じは持っております。ただそれも、周辺海域と同じように数百マイルに縮めてしまったほうがいいかどうか、そういう問題があろうかと思います。防衛庁内部でもときどき見解がその点については変わりますので、いまのところ、やや不明瞭な検討課題として残っておるように思います」こういうように答えているのです。航路帯も「数百マイルに縮めてしまったほうがいいかどうか、そういう問題」についても、まだ「検討課題として残っておるように思います」、こういうように答弁しているのです。航路帯についてもこの点は明確なんです。 あとちょっと補足しますと、そのあと私が、「この問題でも具体的な御答弁はないのですけれども、沖繩が先ほど言いましたように当然新しい足場になってきますから、演習の問題、海域の問題だけではなくて、こういった防衛海域についても、さらに日米の間で広く区域を設定するという問題になってくれば」、これがいま楢崎委員が質問されておる問題ですね、資料等。「これは当然、領海内における行動を、法の上からいえば本旨とすべき自衛隊法の三条に定める「自衛隊の任務」からさえ大きく逸脱してくるというふうに考えるわけですが、この防衛海域の問題は、自衛隊との共同防衛の区域」――アメリカとの区域ですね。この点について「日本の領海内に限定したこの憲法との関係」、こういった問題についてもあと質問していますが、ここで、先ほど出された資料ですか、メモですか、文書によりますと、マイルと海里と違いますが、先ほど大出委員も読みましたように、「日本の周辺海域(数百海里ないし千海里程度)を海上自衛隊艦艇の主たる行動範囲として、この海域における海上交通の保護をはかるべきものと考えている」ということでアメリカに出されているわけです、資料として。この点は明白に違うわけです。 この点について、大出委員も言っていますけれども、久保局長のこの答弁が正しいとすれば、そういう見解だとすれば、アメリカに出された資料をどうされるのか。また、アメリカのほうに出された資料の見解を防衛庁はとっておられるということになれば、国会の答弁はうそだということになるわけです。この点について、私もきょう明確な決着をつけていただきたいと思います。
○久保政府委員 たいへんいろいろ御迷惑をおかけいたしまして申しわけありませんでした。 ところで、ただいまお読みいただきましたような趣旨が私の答弁の趣旨であるべきであります。したがって、周辺海域というときにはあくまでも数百マイルめ範囲である。それから航路帯の場合には、これは長くても千マイルということでありましょうけれども、その範囲内において検討していかなければいけない、今後の問題であろうということであります。 そこで、ちょっとこの文書の背景を一言だけ御説明さしていただきたいと思うのですけれども、米側では、政府部内でもいろいろの誤解があります。たとえば、日本の憲法が改正できるのではないかとか、あるいはインド洋にまで日本の艦艇が出て海上交通の保護の任に当たるべきではないかといったようなものが出ております。あるいはまた、これは明確ではありませんけれども、日本の防衛努力を期待するという声も強かろうと思います。 そこで、そういったような面について私どものほうで、国内の事情、政治事情あるいは国民の感情というものはそれを許さないのである、こういう点で、それはネガティブなものであるということで、先ほど御説明しましたように、憲法問題、あるいは国民感情の問題、あるいは財政、人の問題その他を取り上げたわけで、その一環としていまの問題が出てきたわけであります。すなわち、マラッカ海峡あるいはインド洋、あるいは他の国と連合してその太平洋の交通の安全を確保するというような発想はあり得ないのだ。したがって、周辺海域というときには数百マイルでありまするし、マイルはあとで申しますが、航路帯を設けても、それがマラッカなどにいくのではなくて、千マイルをこえてまでというようなことは考えられないという趣旨で説明をしておったわけであります。しかし、厳密に申せば、いまの文書が米側に移っている場合に、私としては説明したつもりでありますけれども、誤解を与えるおそれがありますので、外務省にも話しまして、国会で答弁されているような趣旨で、念のためにあらためてこういう趣旨であることを申し上げておきたい、向こう方に伝えておきたいというふうに思います。 なお、マイルの問題でありますが、これも無用な御議論を招きまして申しわけありませんでしたけれども、航空関係とか、それから海の関係でマイルといいます場合は、通常ノーチカルマイルのことを申します。これは、実は常識的になっておるものですから、一々海里と申さなかったわけでありますが、という意味は、経度で申して一度が九十海里ですね。九十ノーチカルマイルになるわけであります。したがいまして、地球を広範囲にわたって長さをいう場合には、マイルという場合には海里のことであるということで、この点は、もっとわかりいいことばを使えばよかったかもしれませんが、御了解を得たいと思います。
○大河原(良)政府委員 先般の米側との会議におきましては、ただいま防衛局長から答弁がありましたような趣旨で説明が行なわれておりますけれども、誤解のないように念のため、本日の御議論に従いまして、周辺海域に関する正しい理解を米側に求めるように措置いたしたいと思います。
○大出委員 これは皆さんは簡単にそう言われますけれども、先ほどもあれだけの議論をしなければ、私どもにはこれは確認のすべがない。そういう運営を皆さんがおやりになっている。したがって、口頭でいまここでそういうふうにおっしゃいましたが、しからば正しい理解を求めるためにどうされたかということについての確認ができない。少なくともこれは議事録に残っている問題ですから。それでは納得のいたしようがない。 そこで、どういうふうなことにしたのかということを、質問者である楢崎委員なり私どもが質問をして、向こうへ出された文書と違ったことを――時間的には出ておる文書が先なんですから、文書を出されたのが先なんですから、あとから違ったことを言われた私どもは、これは納得のしようがない。その点は理事会で相談をいたしますが、明確にこうこういうことに訂正をして、こういう認識を得たという確認をしたい。まず、この点いかがでございますか。
○大河原(良)政府委員 先般の会議で、周辺海域ということばについての、本来正しかるべき理解はこういうものであるべきであるということについて、明日でもさっそく米側に対しまして措置いたします。
○大出委員 そのことが私どもに確認のできる方法をおとりいただきたい。
○大河原(良)政府委員 措置の上で御報告いたします。
○大出委員 確認のできる方法をとるとおっしゃるのですな。
○大河原(良)政府委員 御報告をいたします。
○大出委員 口の先でこうこういうことをいたしましたということを言われてみても、それで了解できる筋合いでないので、確認のできる方法をおとりいただく、こうでなければ困る。委員長からでもけっこうだが、いかがですか。
○大河原(良)政府委員 御要望の点をよく踏まえまして措置をいたします。
○楢崎委員 あなた方、国会における答弁の重みをもう少し考えてもらいたいのです。いまから一時間半くらい前のことでしょう。何と言いました。国会で説明していることとこの文書の内容は全然違わない、国会に答弁しておることを内容にしておると、あなた方はいまさっき言ったじゃないですか。そして今度はアメリカに対して訂正するというのですか、これを。訂正するだけで済む問題ではない。何のためにいままで時間をかけているのだ。私は理事会の申し合わせを守りますよ。そうして……(発言する者あり)黙って聞きなさいよ、おそくなっているのだから。それで理事会の申し合わせ、私、守ります。常識的な線で質問しろと言われた、常識的な時間で。常識的な時間とは、いままでのあれを総合してみると、大体三時間か三時間半でしょう。それは守るかわりに、審議の時間も常識的な時間というものを守りなさいよ。夜の十時なんてこれが常識的な時間ですか、世の中、週休二日制もいっておるような時代に。十時を過ぎてまだ審議をしなければならない。私は、ほんとうですよ、朝からずっと詰めてやっている。あの中路さんの質問のときも、私はずっと聞いておってメモしておったから、私たち自信があった。ほんとうに緊張して聞いているのです。人間の能力というのは大体八時間でしょう、拘束時間というのは。八時間過ぎれば、世の中は時間外手当をもらうのです。普通じゃない、常識じゃないですよ。 だから、委員長にお願いします。もう大体どっちも疲れておるでしょう。これ以上やるとあなた方またミスをやりますよ。だから、きょうはこのくらいで一応休憩にしていただいて、日を改めていただきたい。
○三原委員長 次回は、来たる六月二十一日木曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後十時八分散会