逓信委員会 第28号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/07/05
会議録
○久保田委員長 これより会議を開きます。 日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、並びに日本放送協会昭和四十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の両件を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中昭二君。
○田中(昭)委員 本日、日本放送協会の昭和四十五年、四十六年決算報告につきまして質問を申し上げる前に、昨日から前田会長からいろいろ御発言をいただいておりますが、私もその御発言を聞いておりまして、会長が二十数年間いろいろ自分の信念に基づいて今日までの放送協会を盛り上げてこられたということに比較しまして、私はまだそれに比べれば一年生でございまして、たいへんそういうために、本年度の予算審議の段階においても失礼なことを申し上げたかもしれないと思って自分で反省すると同時に、いままでの会長の御功績に対しては万感の感謝を申し上げ、さらにまた今後はおからだに気をつけられまして、今後の御活躍を心から期待申し上げるものでございます。 決算の報告ということにつきましては、この委員会でその決算の内容について私たちが御質問申し上げますのは、国民の立場に立って、NHKの今後の経営のために、今後の発展のために、この決算というものが役立っていかなければならない、また、この決算を通して、経営の中であやまちがあるならば、それは前車のあやまちを後車の戒めとしていくという基本姿勢というものがなければ、私はこの委員会で決算報告に対する質疑をする意味合いがたいへん薄れてくる。ただ報告だけ、この決算そのものにつきまして何の規制もチェックも何もできないというようなことも承っておりますし、私はあくまでもこの決算を通して国民にNHKのほんとうの姿を知ってもらう、それがひいては経営の発展に寄与する、こういう意味におきまして、いまから一、二お伺いしていきたいと思います。 そこで、前回の予算の審議の段階で、NHKの収入になっておりますテレビの受信料、この受信料が運営におきましても大事な要件を満たしております。国民に広く放送の利便を与えるということと同時に、NHK自体の経営、いわゆる人件費等もその受信料の中から支払われておりますし、そういう意味におきまして、受信料は大事なものであろうと思っていろいろ御質問申し上げたわけでございます。その受信料がいろいろな原因で、きのうも出ておりましたが、未収金になっておる、そのほか収納されないものもある、このことにつきましていろいろ御質問申し上げました。 きょうはそれ以外に、いわゆるテレビが設置されながら受信料の契約が未契約になっている、そのために受信料が入らない。当然未契約でございますから受信料は入らないわけでございますが、これも私は大事な問題である、このように考えざるを得ないわけであります。予算審議のときのことを思い出してみますと、会議録を見てきのうも勉強してみたのですが、簡単に申し上げれば、四十八年度は未契約の受信料に対しては、大体純粋な増加で六十万ぐらいの努力目標といいますか、そういうものが計上されておる。これは受信料を払う人がNHKの受信料の区分けの中で世帯分と非世帯分というふうに分かれておりますが、聞くところによりますと、世帯分が六十万であって、非世帯分は何か三万ぐらいの増加を予算の中に見込んである、こういうように承っておりますが、そのことはまたあとから触れることにいたしましても、問題は未契約の受信料はたいへん大事なものであると思いますから、この未契約の受信料に対してまずNHKから御見解をお聞きし、並びに郵政省のほうからもこの問題に対する御見解をお伺いしたいと思います。
○小野参考人 お答えいたします。 未契約状態がないことがわれわれがつとめなければならない理想でございます。ただ社会環境から申しますと、テレビをつけましても、契約をしていただくまでその間に多少の時間的ズレもございます。あるいは移転等の関係によりましてそういった未契約状態が一時できることもあるわけでございます。と申しますのは、以前は一たん契約いたしますと、他に移転をいたしましても契約は契約でそれは生かしておいて、移転先をつきとめてそこで料金を払っていただく、こういうような措置をとっておったわけでございますけれども、それは非常に事務手続上たいへんな経費と人手を要するわけでございます。現在の住民登録の制度はございますけれども、その実施の状況は完ぺきではございません。そういうものを調べてもなかなか移転先がわからない、こういう例は多々あるわけでございまして、そういう面から、一たん移転されますと旧住所における契約は死滅したものとして廃止をいたします。そうして新しい住所でどこかにおられるわけでございますからそこで把握する努力をいたしまして新しく契約の列に入っていただく、そういうような時間的のズレもございます。それがすべて、NHKが捕捉し得ないで未契約になっておる、いわば受信料公平の原則から申しますと好ましくない状況にあるものばかりとは申せないわけでございまして、その辺のところの御事情は十分御理解を賜わりたいと思います。いずれにいたしましても、現在の状況が一〇〇%理想の状況であるとは申しません。大いに努力しなければならない問題も多々あろうかと思います。それは、現在の社会環境の困難度が増しつつありますことと、一面には従業員の労働の問題にも関係もございますし、人員の数にもよるところでございましょうけれども、これはやはりNHKとしては、そういう理想の状態を最小の人員で達成していくことが経営上は好ましいと思います。同じような段階で比較することはできませんけれども、簡易保険の契約収納の関係には全国二万六千人の職員が配置してありますけれども、NHKの集金は、同様に全世帯を対象としながらわずかに八千五百名でございます。これは理屈にはならないかもわかりませんけれども、そういうようなこともございまして、なお一そう努力しなければならないことは、NHKとしては一に放送の内容を充実して国民の要望に十分おこたえをいたしますと同時に、その運営の基盤であります受信料制度につきましては、必要最小限度の料額で、受信料負担の公平を期します上に、完全理想の域を達成しなければならないと思います。その点は今後まだ努力しなければならないと思いますけれども、以上のようなことでございますので、何ぶん御理解を賜わりたいと思います。
○齋藤(義)政府委員 NHKの受信料の契約問題につきましては、これは収入の確保という観点から、お話しのようにきわめて重要な問題でございます。四十八年度の予算を御審議いただきました際に、世帯と非世帯大まかに分けまして御説明申し上げたわけでございますけれども、その世帯の中でテレビの受信機を持っていると推定される世帯が約二千七百万、そのうちの九〇%を四十八年度中に契約いたします、こういうような計画になっておるわけでございます。それから非世帯、これが約六十一万、それの七二%を契約いたします、こういうことになっておるわけでございますけれども、この九〇%とか七二%という数字は必ずしもこれに安住できるような数値ではございませんので、NHKといたしましても不断に努力していただいて、この率の向上ということにつとめていただきたい、そういう意味合いから郵政大臣の意見書に、収入の確保につとめられたいという要望を特に付したわけでございます。
○田中(昭)委員 会計検査院から御見解を聞きたいと思います。
○柴崎会計検査院説明員 私どものほうでは、NHKの受信料が、言ってみますればNHKの事業運営の大きな源となるというようなところから、かねてから未収金の有無についてはもちろんでございますが、未契約分、つまり契約上の受信者の把握漏れ、これの有無につきましても大きな関心を持っておりまして、昨年度の検査においてもそういった観点から、従来の未収金についての検査のほかに、契約漏れについての有無の検査、これを重点といたしまして検査いたしたということでございます。
○久野国務大臣 NHKの聴視料につきましては、世帯と非世帯に分けまして、先般来四十八年度の収支予算、事業計画、資金計画を御審議いただきました際に、いろいろ議論があったことは私はよく承知いたしておる次第でございます。特に非世帯につきまして、収入の確保にある程度問題があるように私は拝察をいたしておるような次第でございます。そこで、意見を付します際に、経費の節減と収入の確保につとめるべきであるということをつけ加えまして、皆さんに四十八年度の収支予算、事業計画並びに資金計画の御承認をいただいたような次第でございます。
○田中(昭)委員 根本は大体同じような御見解でございますから了といたしまして、次に小さいことでございますけれども、私は、何でも議論したことはそのままほっておくということはいけないと思います。そういう意味からこの受信料の契約の中で、いま郵政大臣も言われたように、非世帯、世帯に区分してあるが、その非世帯分については目こぼしが多いということを意見書につけたということがございました。そのことにつきましては、私たちも一生懸命勉強をし、予算審議の際に特にこの問題を私は重点的に取り上げ、そして失礼なことかもしれませんけれども、内容に立ち至っていろいろ申し上げましたところが、この非世帯の受信料は、予算審議の場合にそれだけ一生懸命やったためでしょうか、何か非世帯の受信料がその後だいぶふえた、自発的に受信料が申告されたか何か知りませんが、ふえてきたということを聞いておりますが、その具体的内容をひとつお聞かせ願いたい。
○吉田参考人 お答えいたします。 御指摘のとおり、非世帯につきましては私どもも非常に努力をいたしまして、これは非常に捕捉のしにくい問題ではございますけれども、できるだけ努力をして非世帯契約をふやしたいということをやっているわけでございますが、ただいまの御質問について申し上げますと、私どもといたしましてはさらに実態の把握をやることに非常に努力をいたしまして、それに伴って基礎資料の整備をいたしまして、非世帯契約の活動のベースをつくるということ、それから全国的に共通の重点対策というものを設定いたしまして、さらにこれにあわせて、御承知のとおり非世帯と申しましてもその中身によっては地方ごとにそれぞれ内容が違ってまいりますので、各局所においては、全国共通の一般重点事項のほかに各局所ごとの重点事項を設けまして、そしてこの把握と確保につとめてまいっておるわけでございます。 そういうことの結果、ただいままでに、これはきわめて正確な数ではございませんけれども、ほぼ間違いない数といたしまして、本年度に入りまして約六千件の契約の増が行なわれております。これから推定いたしますと、御承知のとおり四十八年度の予算においては年間非世帯において三万件の増というものを見込んでおりますけれども、現在の状況ではその三万件をこえる成果を得られるであろう、そういうふうに考えております。
○田中(昭)委員 十分ひとつ、時間が制約されておりますから、私の質問に答えてもらいたいのです。そうでないと、前もって私説明を聞いておりますから、質問の要点をぼやかされては困ります。今後私の質問に対してそういう御答弁をなさるのであれば、私はまた突っ込んでいかなければならないことになりますから、もう一ぺん聞きます。この問題についてこの国会で論議したあと急にふえたということについて私はいま聞いたわけです。そんないいかげんな全体的なことを聞いているんじゃないのです。ここで、国会論議で国民の目に受信料の問題を明らかにした。この影響で、いままで契約してなかったものが自発的に——だいぶふえましたという話を私は聞いておるのです。ですからそのことを聞いておるのです。もう少しはっきり答えてください。簡単にやってください。
○吉田参考人 ただいま申し上げましたとおりで、数としては六千件の増加を見ております。
○田中(昭)委員 どうも私の申し上げることが——そのために私は昨日いろいろ打ち合わせをしたわけです。だけれども、どうもそれにこだわっておっては時間がございませんから、次に移ります。 この増加したということにつきましては、いままでの経過を考えてみましても、これはNHKだけの努力であったともいえない。それよりも私はいま申し上げましたように、ここで国民の関心を引くような論議が行なわれたということによるあれが大きいのではなかろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。簡単にお願いいたします。
○小野参考人 これはNHKのみの努力によって達成できることではございません。当委員会におきまして、この問題の重要性にかんがみまして、国民世論に訴えられたそういった論議が実を結びまして得られた成果だと思います。ありがとうございました。
○田中(昭)委員 会長さん聞いておってください。私にいまそこを聞きたかったわけです。そこで私前もって、論議するための——論議だけではいけない、こう申し上げたわけでございまして、大体の質問の方向をもう申し上げてあるのですから、よく考えてお答え願いたいと思います。 次に、この非世帯の受信料についてさらにお伺いしていきます。繰り返すようでございますが、大臣のお話もあったとおり、私も予算審議のときの会議録をここでもう一回要点だけ、「事業所については」云々、ホテルとかなんとかとこう出ていますね。最後に、これは「目こぼしが多いと思うが、NHKが努力するようつけ加えた。」という御発言に対して、私は、そうしますと今度は会長さんがこれを受けられてどうですか、こうお聞きしたわけです。会長さんはその次に、目こぼしのないように努力をしております、こういう御答弁だったのです。ちょっと私の質問の論点とはずれておると私はそのとき思ったのですけれども、そこは会長さんの長年の御答弁のいいところか悪いところか知りませんけれども、私の単純な質問の意味は達しなかった。こういうことで、私はさらにこの問題はどうしてももう少し入らなければいけない、こう日ごろ思っておったわけでございまして、そこでいまも申し上げましたように、副会長さんもおっしゃったように、この非世帯の受信料につきましては、私はNHKさんが努力するということは当然だと思います。ですが、私はここで一つの実例を示しながら一いまのような経過がございまして、答弁もいただきました。こういうことを考えますと、どうしてもここで一つの実例をあげなければならない、こう思いますから、その実例を申し上げますと、昭和四十六年度決算で、受信料収入の中で非世帯分の収入を見てみます。その中で特に、非世帯の中でも一番数が少なくて、そして問題ではなかろうかというものを私、船舶というふうに見てみました。船舶の受信料で、四国の松山海運局管内でNHKの契約受信料はどうであろうかと思って内容をお聞きしました。そこで出てきましたものは、船が十二隻でその船に十六台の受信契約がなされておる。このテレビの設置された船舶は千トン未満の中小船舶であるということがわかりました。この同じ対象に対して、松山海運局管内で私が調査しました私の調査を申し上げます。この管内の船舶数は全体で、いまNHKさんの言われるものに相当するものですね、千三十八隻、そのうち推定設置台数は少なく見積もっても四百十台ございます。このことは大体何を意味しましょうか。
○吉田参考人 簡単に申し上げます。 ただいま御指摘のことにつきましては、その非世帯の中でも船がきわめて捕捉しにくいという実情もございますけれども、しかし先生御指摘になったとおりだと私は考えます。
○田中(昭)委員 そうしますと、私は先ほどNHKさんに事前に提出してもらったのは、隻数で十二隻で、テレビ十六台、ところが私は四百十台以上あろう、こういう調査をしたわけであります。 そこで、この数字についてはそのとおりだということでございますから、さらに進めてまいります。 さらにこの松山で私が調査したところによりますと、いまも指摘しましたように、千トン未満の船の契約も相当漏れがある。明らかでありますが、そうしますと、さらに千トン以上の船が松山海運局管内にあるわけでございますから、千トン以上の船で調べてみますと、私の調査によりますと、船会社五十社で百四十六隻船を持っておりますが、その中で百二十五隻が百三十四台のテレビを設置しております。そして、これが、いま申し上げましたように全然未契約であります。会長さん、おわかりでしょうか。私は松山海運局管内で千トン以上で五十社調べました。その五十社の所有船数は百四十六隻です。その中で百二十五隻が百三十四台のテレビを設置しております。これは先ほどの十六台、提出してもらったテレビ台数とは全然違ったものです。全然契約がないのです。こう申し上げたわけです。そうしますと、先ほどNHKから提出してもらいました契約台数は、千トン未満の中小の船であります。すなわち小さな船舶で、しかもその中でもわずかしか契約をとってない。そうして今度は逆に、千トン以上の船については全然契約をとってないということになりますが、これはどういうことになりましょうか。
○吉田参考人 お答えいたします。 先生御指摘の件につきましては、昭和四十六年の時点において御指摘のとおりでございます。ただ、その後努力いたしまして、かなり実績はとっております。
○田中(昭)委員 私はいま四十六年度の決算の時点でお話している。その後努力されたことは、まだ——それに入らなければならないならば入っていきます。 そこで、いま松山海運局管内で申し上げましたが、もう少し広げまして四国全体で、私はもう一回それを確認する意味で調べてみました。ところが、NHKの提出によりますと、現時点では船種船籍は出てきません。出てきませんが、四国管内全体でテレビの受信契約をしているのは四十四台ということが出てきました。先ほど、松山で十六台、四国全体では四十四台が出てきました。ところが私の調査によりますと、四国全体では、百トン以下の船は捨てまして、百トンから千トンまでの船が二千四百六十隻ございます。千トン以上の船が二百六十二隻ございまして、合計二千七百二十二隻の船がございます。そうしますと、その二千七百隻相当の船に推定どのくらいのテレビが設置されているだろうか。推定の方法はいろいろございましょうが、私はきのうまでいろいろ専門家の方とお話ししましたところが、最低見積もっても千九百台以上はあるのではなかろうか、こういう推定が出てくるわけでございます。千九百台ぐらいあると思われるものが四十四台しか契約されてないというようなことは——私は最初に申し上げましたように、何もここで決算の中身の一つ一つをほじくろうと思っているのではありません。あくまでもこういうものが一つの契機となりまして、ことわざにも良薬口に苦しということもございます。この決算の内容を一つ一つどう言うのじゃないけれども、この決算の中に含まれているいわゆる非世帯の、また四国の、松山のと、こういうことがあることを、私が先ほどから言いましたように、今後の経営の努力をなさる場合に、こうやってここでいまそういうこまかい問題を言われることは、ほんとうに口に苦い薬を飲まされるような思いもされるかもしれませんが、私はそうあってもらいたい。毒を変じて薬とすることもできるのです。そういう意味で、いま申し上げておることを根底に一つ置いておいていただきます。 そこで、いま言いましたように千九百台の私の推定が云々ということは、これは私の独断ではございませんでそれなりの船の基礎的な船籍数とかそういうものから見ておるわけでございまして、またNHKさんが四十四台のテレビを契約してある、そのもとの船の数というものも私なりに聞いておりますが、どうしても私は、これでは四十六年度の決算の関連としましてはそのまま見過ごすわけにはいかないというような気持ちがしてならないわけです。これにつきまして、会長さんからひとつおことばをいただきたいと思います。
○前田参考人 御指摘のとおりで、お話を伺っていて、この問題はやはり再出発すべき問題の一つだと考えております。従来、率直に申し上げて、事業所という場合には陸上の中の事務所という考え方の印象が強かったのではないかと思います。そういう意味で、この船に対する感覚がある意味で陰に隠れてしまっていた。今年度予算の御審議に際して、先生を中心としてこの問題についての世論を喚起すると同時に、われわれに対しても深い御示唆をいただいたわけでございますが、その前から実はこの問題と関連していろいろな方面でこの問題がかなりはっきり取り上げられるようになり、したがいまして私どももまた会長としてなすべきことは、それらの方向に対して強力な人事異動と申しますか、管理を行なうべき立場にあると考えております。その後多少の人事異動も行なっております。ただいまの御指摘の点については、さらに具体的に先生の御期待なさる方向に努力するものと確信しておりますし、またそうなければいけないとお話を伺いながら痛感いたしました。
○田中(昭)委員 こういうふうに具体的な事実を私が申し上げたほんとうの意味は、ひとつ会長さんおわかりいただいておると思いますし、また会長さんも新しい会長さんにその職務をお譲りになることでございますし、その辺の基本的な今後の進むべき道についてはいまの御答弁を十分ひとつ実行していただくということでお願いしたいと思います。この問題について郵政省はいかがですか。
○久野国務大臣 非世帯につきましては、受信機の設置場所ごとに受信契約を結ぶように規定をされておるわけでございます。そういう際に、特にただいま御指摘のような船舶について受信契約が大量の目こぼしがあるということは、私はたいへん遺憾に思います。今後NHKがこの面に着目いたしまして、さらに一そうの受信契約が結ばれるよう努力されることを期待をいたしておるような次第でございます。
○田中(昭)委員 おことばを返すようでございますけれども、努力されますということは、大体予算審議のときから言われていたのです。私はこういう事実を申し上げた以上は、監督官としての大臣の御答弁としてはまだまだ納得いかないのですが、もう少しはっきりした態度を示さなければおかしいのじゃないでしょうか。
○久野国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、郵政大臣といたしましてはただいま申し上げた程度の権限しかございませんので、私は努力するように期待をいたしておると申し上げた次第でございます。
○田中(昭)委員 そうしますとNHKの四十五、四十六年度の両決算がここで報告されまして、郵政省としてはその決算報告書にわずかでも間違いがあるというようなことについては何の権限もないということですか。
○久野国務大臣 御承知のように、放送法はNHKの自主性を尊重するというたてまえからNHKに対する郵政大臣の監督権限を非常に狭い範囲に限定しているところでございます。この貸借対照表等の決算問題につきましては、会計検査院の検査を経て国会に提出されることになっておりまして、これに関する郵政大臣の権限はないことになっておるのでございます。
○田中(昭)委員 いま検査院の検査をというようなことが出ましたが、それじゃ検査院のほうは、私が指摘しました松山海運局並びに四国ということにつきまして、検査院として未契約のテレビの受信料が相当数あるというものに対してはどうお考えですか。
○柴崎会計検査院説明員 さいぜんも申し上げましたけれども、このような契約の把握漏れが多数に及んでいるということは、私ども検査の立場としてたいへんゆゆしい問題だ、このように考えております。
○田中(昭)委員 ゆゆしい問題ということになりますと、これをどうしたら一番いいだろうかということを私は聞きたいわけですけれども、結局は二千何百万の国民から受信料を徴収して、その中でわずかですけれども私はいま日本の一部分のところを指摘したわけでありまして、それがゆゆしき問題だというようなことで、それ以上のことを私聞くのもどうかなというような気持ちもしますけれども、国民とすれば検査院というものはそれ相当の重大な認識をして権限も付与され、関心もあると思うのです。私は検査院の皆さんが実地調査に行って明らかに未契約の受信料があるというのに、こちらから指摘しなければ問題にしないとか、ここで決算報告の説明があったときに、不正不当——私のことばが間違えば訂正してください、不当事項、指摘事項がありませんということをここで最初に述べられた。そのことといま言われることと、私が一国民の立場に立って考えてみても、どうも納得のいかないような気がするのですが、決算の修正なんということはできないのですか。
○前田参考人 先生の御熱心な御意欲、それからわれわれに対する御要望、これは十分われわれは理解できます。ただ申し上げたいことは、この決算に不正があるとか間違いがあるということについては、私は残念ながら納得いたしかねるのです。これは間違いであるとか不正であるとかという問題でなく、努力が足りないじゃないかという点に重点が置かるべき問題ではないか、このように実は考えるわけです。 お許しいただいて私のほんとうの気持ちを申し上げると、その意味で私としては、さらに私の後継者としての新しい会長もいま御指摘を受けた点については今後一そうの努力をするということを誓わしていただきたい。そういう意味でこれは解釈上のいろいろな問題があるかもしれませんが、これは普通の単年度予算という形を一見とっており、特別に料金をとることを本旨とする放送法に基づく事業体ではございますけれども、事業として見ますとやはり捕捉のしかたの問題であって、正、不正の問題ではないという御理解をいただきたい、このようにお願い申し上げます。
○田中(昭)委員 私は会長さんのそういう御発言になる気持ちもわからぬではないから、まずその前の段階で検査院が検査したといいますから、その辺のところでまず何とかならないか。いま検査院のほうはゆゆしき問題だ、こう言っているわけです。検査院どうですか。
○柴崎会計検査院説明員 御説明が足りなかったかとも存じますが、さいぜんも申し上げましたように契約漏れが多数ある、こういう事態につきましては、昨年度の検査におきまして私どものほうでも重点的に検査いたしました。その結果、そのような事態がございましたので、協会に対しましても具体的な事例をもって御注意申し上げた。ただ、その時点におきまして、協会でも、この非世帯の受信契約についていままで手薄であったということは十分認識をされまして、これについての具体的な対策を練っておられるところでございます。私どもの検査の結果の御注意も差し上げましたけれども、あわせて協会でも相当具体的な措置、方策を盛り込みました取り扱いを定めまして、その後御努力されておる、このように私ども承知いたしております。経緯的に申しますと、そういうことでございますが、昨年度私どものほうでも協会あてに御注意を申し上げたということを御理解いただきたいと思います。
○田中(昭)委員 この問題はちょっと私も——今後のことについて努力されることは、当然そうしてもらわなければならぬと思いますが、しかし、はっきりした態度をここでしておかなければ、こういうことでは——といいますのは、検査院が検査をする、ほんとうにたいへんな、多種多様なものを検査なさるわけでございまして、それがあるところにはきびしく、あるところにはやさしくということになってもいけないと思うわけです。 それでもう少し検査院のほうにお尋ねしますが、四十二年から四十六年までの五年間の日本放送協会に対する実地の検査状況をお聞きしますと、まず協会の本部に対しては、大体年一回というのが、四十五年度から年二回の検査を受けられておるのですね。本部はそうですが、地方の本部のほうは七本部ございますか、その七本部が、大体五年間に各本部ごとに四回検査を受けられたところもあれば、二回しか検査を受けなかったところもある。今度は各本部ごとの放送局別に見てみますと、何かしらぬ、一応年度ごとでいきますと、一番最前線の放送局は四十二年度で六カ所、四十三年度で四カ所、四十四年度は三カ所、四十五年度では四カ所、四十六年では一カ所しか検査していない。私は、日本放送協会の仕組みからいって、こういう前線の放送局を調べることよりも、本部のほうで一括して受信料を徴収してやるのですから、こういう末端の局をこれだけ調べるというのが、いまの検査の内容とかかわってくるわけですけれども、どうも地方別にいきましても、先ほどの地方本部別でいきますと、近畿のほうは、この五年間に四局調べられている。中部も四局、九州は六局、私は九州ですけれども、東北なんかは一局、北海道も一局ですか、中国本部は二局。これは何か九州だけたくさん調べなければならぬ理由があったのですか、検査院。
○柴崎会計検査院説明員 お答えいたします。 九州地区の放送局を数多く検査いたしましたのは四十二年度のことでございますが、この当時福岡に放送会館の建設がありまして、福岡まで出向いたという事情もあり、この際に他の放送局についてある程度悉皆的に当たってみよう、当時の方針でそういうことで検査を実施したそうでございます。その後、放送局につきましては実地検査の回数が減っておりますけれども、これは従来放送局の検査をやってまいりました実績なり経験に徴しまして、放送局単位で検査をするよりは、その比重を地方本部にかけたほうが実地検査のあり方としてさらに有効である、こういう判断に基づいて放送局の数を少なくしていった、こういう事情でございます。
○田中(昭)委員 いま何か、放送会館を福岡につくったから検査に行ったのだということですけれども、そういう事実、NHKさんのほうは何かございますか。それは何のことですか。協会のほうから答えてください。
○柴崎会計検査院説明員 ちょっといま、耳打ちで十分理解しないうちに申し上げて恐縮でございましたが、当時福岡の局は番組の制作を実際にやっておる、こういうような事情もありまして福岡の局を実施をした。それから佐世保の局につきましては、当時これが新築をされたということがありまして、こちらにおもむいて、その新築の結果についての検査を行なった、そういう事情があったと聞いております。
○田中(昭)委員 では、いまの福岡の放送会館云云というのは間違いですね。その点、はっきり放送協会のほうから、間違いですということで確認してください。間違いということは、検査院のほうははっきりしているのですから。
○小野参考人 当時福岡に放送会館の建設の事実がございませんので、検査院のほうも間違いだったと申されておりますし、そういうような事情でおもむかれたのではないと思います。
○田中(昭)委員 まさか、放送会館は毎年ずっとつくっているのですから……。この五年間で九州六局も実地検査をするということを私はさっき問題にした。どうもいまの説明では理由薄弱ですね。そうですね、会長さん。各年、放送会館というのは大体年度ごとに計画を立てて修理なり設備していますね。何も佐世保に会館をつくったことだけが特別に意味があるわけじゃない。 次に、昭和四十二年度から四十六年度までの日本放送協会が各年ごとに取得した土地の面積、取得価格並びにその取得された土地はすべてどのような利用目的が発生しておるのか、お聞きしたいと思います。
○斎藤参考人 昭和四十二年度から昭和四十六年度まで五年間にわたりますNHKの土地の取得の状況につきましては、毎年度の事業計画に基づきまして、テレビ放送所、ラジオ放送所、FM放送所あるいはこれにかかわります中継所、放送所の間を結びます土地でございます。また演奏所、会館関係の整備をする場所でございます。それから職員の宿舎、かようなものが対象になりまして、この期間中の五年間で延べにいたしますと、新しく取得いたしました土地は二十七万一千四百九十一坪、金額にいたしまして三十億八千二百六十万七千円、件数にいたしますと、テレビの放送所が大部分でございまして、六百七十七件に及んでおります。
○田中(昭)委員 私の後段の質問の答えがなかったようですね。もう少し前からお聞きしていきます。 戦後日本放送協会が開局をされましてから現在まで、現在までというと四十七年度まででけっこうですが、放送会館とかそういうものはどのくらい建設なさいましたか。
○斎藤参考人 お答え申し上げます。 NHKは、放送会館と称しますものは大体各都道府県に一局が標準でございますが、なお地理的な条件、歴史的な環境その他を勘案いたしまして、一県に複数の会館を持っておるものもございます。そのような意味合いで、全体で会館というものは延べ六十八局ございます。戦前からの施設というものが継続して戦後に及んだわけでありますが、戦後これを全部建て直しをやっておりまして、今回の東京におきます放送センターの完成並びに四十七年度におきます地域的な三局ばかりの会館の完成というものをもちまして、全局の整備を一応終えたということでございます。
○田中(昭)委員 そこが先ほど後段のお答えがなかったということに触れるのです。といいますのは、なぜ土地の取得を聞いたかといいますと、いまの御答弁によりますと、大体建てるべきところには建ててしまった、簡単に申し上げればそういうことですね。そうしますと、いまNHKが四十七年度までに買ってある土地の中には、さっきの答弁でいけば全部建てるべきものは建てた。こうであるならば、四十七年度までに買ってある土地は、放送会館の予定土地として買ってあるものは要らぬものを買ったということですか。 それからもう一つ。それじゃ放送会館というのは、大体建設する場合にはどういう流れで——新しく土地を取得して、そこに建てる場合もありましょう。そうしますと、新しく土地を取得して、会館の建設予定のプランができて、それが実際建設される、これにはどのくらいの年数がかかっておるものか。私はそれがあれば、当然放送会館は両三年とかそういうことで計画なり建設がなされていると思うのです。それで私は、先ほどその利用目的というものは達成されておりますかと、こう聞いたわけです。その辺との関係があるわけです。
○斎藤参考人 お答えを申し上げます。 ただいま戦後の延べの計算でのお話を申し上げまして、あるいは説明が不十分であったというふうに思います。現実の問題といたしましては、戦後早い時期に会館の整備を行ないましたもの、最近において整備を完了したもの、これが時系列の中で順次行なわれておる。そういう意味では、一応全体の工事をやったというふうな申し上げ方をいたしましたが、なお過去においてやりました会館の整備というものが現在の状況には必ずしも適しませんので、今後においてやりたいというような対象の局がまだ数局ございます。そういう意味では、この五年間に購入をいたしました土地、六百七十七件でございますが、現在、購入いたしまして、そのあとそのまま直ちに使ったというものが六百七十五件ございます。二件だけがまだ工事が行なわれておりません。その内容といたしましては、福岡の放送会館の土地の購入が一つございます。もう一つの点は、札幌の中波の電力を大電力の五百キロワットにするという予定のもの、これにつきましても土地の購入を済ませておりますが、現在未着工という状況になっております。これが二件でございます。 それで、この購入は当然のことながら事業計画に従いまして、近い将来においてこの建設を行なうという前提で、適地があらわれましたときに土地の購入を行なうということが実施されておるわけでございまして、通常の状態で会館建設あるいは土地購入後どのくらいの期間で建設が終了するかという御質問について申し上げますと、通常でありますれば、大体テレビの放送所等につきましては二年以内、前年度から場所を購入いたしまして、翌年度にはこれが完成するというのが通常の形でございます。ただ、これらは一般的には山間僻地の場所でございまして、比較的土地の購入等もたやすいわけであります。放送会館の土地でありますとかいうような問題になってまいりますと、たとえば福岡の場合で申しますと、あのような大都市におきましてかなり大規模な土地の購入ということはそうたやすいことではございません。さような意味で、適地があらわれて、それが将来のわれわれの計画に合致するという意味合いにおきまして福岡の土地は購入してございます。それでこれが近い将来において、現在あります福岡の会館が手狭である、あるいは機能的には現在のテレビジョンの総合的な送出に不適当であるというような事情によりまして、福岡の会館は建てかえをするという構想でやっておるわけでございますが、さような構想の実現ということにつきましては、各年度の事業計画との関係、当年度におきます財政事情あるいは計画の緊急性、こういうものとのかかわり合いの中で年度計画として決定するわけでございますが、その点が現在未済という状態になっておるわけでございます。
○田中(昭)委員 いまお聞きしますと、最初にこの土地の問題について質問をしましたことが少し具体的になってきたように私は思うのです。その六百何十カ所購入された中で、具体的にまだ目的を達成をしてないものが何件かある、その中には福岡放送会館という話がいま出てきた。そうしますと、結論的に、私は近い将来において福岡の放送会館をつくらなければならないというお話も聞きますが、本年度の予算審議の段階等においては、受信料の値上げとかなんとかいうことに関連の話がいって、今後の四十八年度以降の会館の建設は当面やらないのだ、こういうお話も聞いておったわけでございますが、どうもその辺のことが、具体的に福岡放送会館の建設用地は手狭であったり機能的にたいへんよくないという現状というのは、解決する方向でなく、かえって悪くなる方向じゃないかと私は思うのですね。そうなりますと、四十五年度の決算報告を聞いて質問をしているわけですけれども、なぜ何年間も——現時点でいけばいつのことになるかわからぬ、しかし近い将来だ。いままでに取得された放送会館の土地から見てみますとこれは小さいほうじゃない、相当ばく大な土地です。それが現場におきましては買ったままで全く放置してある。こういう現実の場面を考えますと、どうも今後の計画といいますか実行といいますか、そういうものに不安な気がしてならないのですが、いかがでしょう。
○前田参考人 その限りにおきましては私の責任でございますので御説明申し上げたいと思います。 この福岡放送会館の土地の取得は四十五年でございましたが、その後諸般の事情を考えながら、いわゆる受信料収入と年間建設計画、その総額、この問題で私が一つの方針を出したわけです。と申しますのは、大体長期計画をたどってみますと、建設費の総額は大体受信料収入の二割強に達しております。そういう状態で現在の福岡の問題だけを取り上げますと、福岡の現在の放送会館はすでに新しいメディア、それからローカル番組の制作を非常に強化しておりますので、そういう意味でもあの放送会館は手狭である、こういう判断のもとに将来あれを移転するという計画でその土地の購入をしたわけでありますが、ここ二、三年来の、いま申し上げたようなプロポーションと現在のインフレ、それから聴視料との関係を考えますと、私は少なくとも四十八年度予算編成まで、福岡の会館建設についてはこれをおくらせるという方針を指示したわけです。しかし、それはつくらないという意味ではございません。昨年放送センターの建設完成と関連して、例の内幸町の土地の処理等もございましたけれども、私としては、今後三年間、新しい計画のもとに建設と総額、年間予算としての受信料収入総額と建設の割合というものを再検討すべきであるという考え方を実は持ったわけでございます。したがいまして、四十八年度までその決定を引き延ばすという指示をしておりました。従来の方式に従いますと、今後も建設費は、私の感じでは、今後数年間に第四次構想等を土台として見ても、年間の受信料総額に対しておそらく三〇%以上の建設費が見込まれることになると思います。しかし、それを今年度予算審議の際から私どもとしては予算編成に際してもこれを極度に切り詰めまして、さらに将来これは小野新会長が引き継いでくださるわけですが、将来の問題としても、できれば総収入と建設費のプロポーションをマキシム二割、できれば二割以下にしてまいりたい、そういう方針を指示したわけです。 現在、実はもう一つ、これは土地の処理もできかねている問題ですが、名古屋の本部等はすでに非常に手狭でございます。しかしこれは土地獲得そのものも困難でございますが、そういう意味では札幌の大電力は別としても、放送会館の問題として今後残る問題は第一が福岡、第二が名古屋の本部になると思います。しかし、福岡の場合はすでに土地の手当ては済んでおりますので、これは今後の財政推移によって新しい責任体系のもとにこれを建設することになるだろうという予想を私としては持っております。
○田中(昭)委員 時間も来たようでございますから、最後に私希望と意見を申し上げますが、きのうの会長さんのお話にも、放送というのは国民すべてに利便を与えなければならない、こういうような趣旨のもとに一貫して運営なさってきましたし、また考えようによっては、内幸町の土地を売って今度あの新しいりっぱな放送センターがただでできたみたいなものだ、こういうお話もございました。福岡のいまの地方本部というのは最高の土地です。それを売って建てれば、そんな財政的な問題は何も心配することは要らない。それよりも、今度移るところはまたりっぱなところです。そこの土地は四十五年当時からばく大な値上がりをしております。ですから、NHKとしてはりっぱな経営方針でやっておりましょうけれども、現地の者から見れば、極端な言い方をすれば、NHKがいいところを確保しておって、金もうけのために持っておるのか、こういう批判にもなってくるわけでございます。こういうことから考えれば、今後の問題については、何も東京だけにりっぱなものをつくることが国民すべてのためになるとは私は思いません。地方こそそういう充実したもの、そして国民すべての福祉の増進をはかっていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○久保田委員長 次に、小沢貞孝君。
○小沢(貞)委員 二、三の問題について三、四十分質問させていただきたいと思います。 決算にあたって再三問題になりましたが、受信料の未収、きのうどなたかの御説明にもありましたように、テレビが低所得層まで普及したということ、それから最近は流動化といいますか、たいへんに移転が激しくなってなかなか捕捉しがたい、こういうようなことで受信料の未収がたいへんふえたという御答弁がありました。それが、きょうの田中委員に対する答弁によれば、国会で問題になったのでまた最近上がってきた、こういうようなことですから、そのことについては私は触れようとはしません。ただ、それがどのくらいな額を占めておるかわかりませんが、ことしのNHKの予算の審議のときに、公然と文芸春秋に鈴木明さんが「NHK解体論」というこれだけの影響力のあるものを提唱している。その方も受信料に触れておるようでありますし、予算が通ったあと、本多勝一という人が「NHK受信料拒否の論理」、これはまたショッキングな本を出したものだなと思って、私たちもなかなかひまがないもんだから読めないけれども、きのう、きょうにかけて三分の二ばかり読んできたのであります。この中にいわれていることは、私は何かだだをこねているみたいなことのように感ずるわけですが、こういうことが公然とこのごろいわれるようになってきたこの風潮、そしてまたいまは未収受信料の中で額はたいへん少ないに違いないと思いますが、公然とこういうことがいわれるようになってきて、将来たいへん憂うべきことになってくるのではなかろうか、こういうように考えるわけであります。ここでいっているようなことを要約すれば、NHKが金を浪費している、こういうようなことが散見されるわけであります。もう一つは聴視者の声というものがどうもNHKの放送に反映されない、反映されるパイプがないじゃないか、こういうこともいっているように感ずるわけであります。 その前段の浪費の問題と聴視者の声が反映されない、こういう問題について反省すべきことがあったらどういうように反省し、また対処をしようとしているか、もう一つは、聴視者の声が反映されないという問題について、要するにパイプが詰まっているのではないか、こういうような問題についてはどういうようにお考えであろうか、こういう問題をまずお尋ねしたいと思うわけです。
○小野参考人 世上いろいろいわれておりますけれども、これはやはり年間収入の増大につれまして、たとえば日銭二億とか三億とかいわれるのにつれまして、内部の実態を十分に御承知の上でなく、印象的にそういわれる面もあろうかと思います。またあるいは、いわゆる連続の歴史シリーズのあの番組等につきましても、制作費があまり高いというような印象からそれを浪費と考えられる向きもあるのじゃないかと思いますけれども、私はこういうものは浪費でないと思います。非常に視聴率が高く、みな喜んで見てもらっておりますあの大型番組等につきましては、金はなるほどかかりますけれども、それは浪費と考えるべきものではないと考えておりますし、またかりに浪費というようなものが経営のすみにありましても、あることは決して好ましいことではございませんし、厳にそういう面を戒めて、合理化と、節約すべきものは節約する、こういう努力を重ねてまいっております。ただ、それは現状われわれがそのように考えるだけでは一般の納得を得られぬ面もありましょうから、そういう面につきましては有効な措置を考えながら、大方に十分合理的に運営されておる実態を御承知願えるような方途をとってまいりたいと思います。 また聴視者の声が反映しないという面につきましては、これを反映すべく、NHK文研の調査におきましては四年目ごとにきわめて膨大な国民生活時間調査もいたしておりますし、また国民の意向調査等も精密にいたしております。また各本部並びに各地におきまして懇話会あるいは受信者との懇談会によりまして、なまで現実に多くの人と会っていろいろな意向を吸収するように努力をいたしております。その他、電話を通じ、文書を通じていろいろ御要望もお寄せいただいております。そういうものを総合いたしまして、できるだけ要望に沿うような努力を、これは番組の時間配分についてもそうでございますし、また番組内容についてもそのような努力をいたしておりますけれども、何しろ国民の要望と申しましても非常に広うございます。それを全部満足させることは私は正直申して物理的に不可能と思いますけれども、そういう御要望の大勢には沿い得るような努力をいたしておるように信じておるわけでございます。 大体以上のような状況でございますが、なお一そうそういった要望を的確に吸収でき、それをまたあらゆる番組の面あるいは経営の面に反映、実現できるような方途は、より有効なものがあれば一そうこれを検討いたして取り入れてまいりたいと思います。
○小沢(貞)委員 浪費を節約していこう、それから聴視者の意向も反映していこうという努力、いままでされておっただろうし、これからもまたしていただきたい、こういうように要望をいたすわけであります。ただこの中に書いてあることを見ると、これは労働組合員と本多という著者との一問一答の中にあることばでありますが、「NHK側がわれわれと相談なしに勝手に作った放送法なんてもの、別に気にしませんね。税金の問題だって考えているわけですよ。税金拒否闘争、例えば四次防に当る部分は払わないとかね。これは相当慎重にその方法を考えないと、一人で払わないでいたらすぐぶちこまれますからね。しかし一〇〇〇万人が同時に拒否したら、ぶちこめなくなる。」ショッキングなことがだいぶ書いてあるわけです。そして終わりのほうに、「基本的には、法律というものはあくまで敵の土俵です。土俵全体が悪の前提の上にある。」こういういろいろなことを書いてあるわけです。それもまた取るに足らぬようなことだと思います。思いますが、この三年間ばかりはNHKは料金を上げない、予算のときに十分審議をいただいて、私たちはそういう見通しも確実であろう、こう思います。思いますが、いろいろ将来を分析してみると、三年たてばやはり上げなければならないかもしれませんし、この前の予算審議の委員会で私質問したら前田会長は否定をしましたが、二台以上テレビのあるところは一台の料金だけでなくて二台分取らなければいけないだろうか、こういう問題もまた出てくる、必ずそういうように出てくると思います。そういうようなときになって、国民から言わせるならば、こういうように公然と法律を犯しているものがまかり通っておることをまず先にやらなければ受信料の値上げも何も認めません、私は、これは正しい理論になるのではなかろうか、こういうように考えるわけです。 そこでお尋ねをしたいことは、昨日の御答弁では前田会長は、いまの放送法は改正する必要もない、ある部分についてはまた別でありますが、というような御答弁であったように考えます。しかしこういうことが一千万人もふえていくような運動を盛んにやっているわけであります。いまのうちに芽をつまなければいけない、こういうように私は考えるわけであります。そういうような立場から、この悪貨が良貨を駆逐するといいますか、悪者たけだけしいというような状態が続くことは好ましくないことだ。この前の前田会長の答弁では、国民の良識に訴えてこういうことのないようにと、まことに名答弁だったと私は記憶しておるわけであります。だが、こういうことが公然とこれからやられていくということになるならば、いまのうちに芽をつむ何らかの方法を考えなければいけない、こういうように考えるわけであります。そこで、前田会長さんあるいは新しく会長になられる小野副会長さんと郵政大臣、一体これにどういうように対処しようとするか。私は、放送法の一部を、この部分だけでも改正をするということをしていかなければいけないのじゃないか、こういうように考えるわけです。そうでなければ、無責任ムードですから、残念ながらだんだんこういうものは広がっていってしまうのじゃなかろうか、こう思います。それぞれお三人から……。
○前田参考人 ごもっともなお考えだと思いますが、現在の世界、日本でない部分でもそういう傾向が出ておりますが、法を無視するという風潮が根本的にあると思います。法律をもって取り立てる税金でさえ二十何億の脱税をする、しかもその人は良識者の部に入る方である、こういう現状において、法律万能でこの問題が解決できるとは第一思いません。したがって私としては法を守る風潮をまず考えていただくことが必要ではないか、法を守らぬものに対してある種の方策があればこれをやるべきであって、この問題は放送法自体の問題とは直接に結びつかない部分があると私は考えております。現在のわが国の放送法は、そういう点で、われわれが考えてみても非常によくできているというばかりでなく、ここ数年、フランスを中心としてわれわれよりも先進国がわが国の放送法を研究しながら、できるだけこれに近づけていこうという努力をしておられるという点からも、わが国の放送法は非常にすぐれているんじゃないかと私は思います。 したがいまして、問題のありかは、単に法律によって規制できる問題かどうかというところから検討すべきであり、ことに放送法とNHKとの関係では、NHKはやはり一種の報道機関であります。この報道機関のいわゆる代金を、国家にきめていただく法律によって強制的に徴取するという考え方に私は一つの疑問を持つと同時に、先ほど申し上げておりますように、不法者が幅をきかせるというこの時代の風潮に対して、いかなる法律をつくっても、放送に関する限りおそらく守られることはあり得まい。したがって問題点を、単にNHKの聴視料を守っていただくという点では私はまことに感謝にたえませんが、簡単な法律の改定によってこの問題が解決されるという自信はございません。むしろ私としては、法を守る時代を招来する方法は何かという点と、同時に言論機関として二千四百万世帯が拠出してくださっているこの金額との関係において、われわれの姿が真に国民に迎えられるNHK、これを実質的につくり上げるべきではないか、このように考えております。
○小野参考人 結論から申しますと、大体前田会長と同じような見解を持っております。 今日の法治国家の中におきまして、言論の自由の名においてあらゆる言論が横行いたしております。その中には、法治国思想から見ればいかがかと思われるような言論もございますけれども、いまの受信料制度を堅持いたします見地から、放送法を改正してこれをはたして防ぎ得るやいなやという問題があろうかと思います。 要は、NHKといたしましては、そういう常識に訴えて納得できないような言論に左右されて、受信料制度が危険になるというようなことのないように、せっかく契約収納関係に日夜努力いたしております職員もあることでございますから、そういう方面の努力を最大限にいたしまして、NHKへの理解と御協力をお願いをしてまいりたいということにならざるを得ないのではないか、このように考えております。
○久野国務大臣 法治国家である以上は法律を守る義務がございます。これは当然のことであろうと私は存じます。 そこで、NHKが戦前戦後を通じまして、放送界を通じ、あるいは報道機関としてその使命を果たしてきた役割りというものは高く評価すべきだと私は思うのであります。この日本放送協会に関する放送法上の規定につきまして、いろいろ問題点が当委員会においても論議をせられました。その論議の中心は、世帯、非世帯等の聴視料の未納分について何らかの措置を講ずべきではないかという意見も多々あったことは、私はよく承知をいたしておる次第でございます。これらの諸点等を法改正によってカバーすべきか、あるいは罰則規定を設けることによって何らかの処置をすべきか、いろいろと議論のあるところであると私は存じます。でありますから、郵政省といたしましては、皆さんの御意見等をも十分参酌しつつ今後の検討を進めていきたい、こういう考え方に立っておるような次第でございまして、皆さんの率直な御意見の御開陳を承りたい、かように存ずる次第でございます。
○小沢(貞)委員 それぞれお三人から御答弁がありましたが、これはこれ以上深くきょう論議しようとはいたしません。会長、副会長が言われたように、法を守るという風潮、そういうことが大切ではないか、民主主義の基盤はそういうところにあると私は思います。言わぬでもいいことなんですが、国鉄の下においてもそうですし、郵政省の下においてもそうですし、悪法だといって法律を完全に破っているような者が幾らでもいるわけであります。こういう風潮は郵政大臣みずからためていただかなければならないことではないか、こういうように希望を申し上げておきます。 それからあと、テレビの難視聴の問題について、これも予算の審議のときか逓信委員会の一般質問のときに私が申し上げたが、その後具体的にテレビ難視聴対策調査会、こういうものが六月十二日に発足したと聞いております。事務当局でいいと思いますけれども、その中には、辺地におけるテレビの難視聴の解消、それから難視聴解消の費用負担に関する問題点、こういうようなことが論議されているというように聞いておりますが、何か具体的に進んでおったら御答弁いただきたい。
○齋藤(義)政府委員 四十八年度の予算におきまして難視聴解消のための調査会の予算がとれまして、いま先生おっしゃいますように六月の十二日ですか、第一回の会合を開いたわけであります。委員は学識経験者、大学の先生、公害関係の専門家、建築関係の方々、こういう方々の御参集をいただきまして、十九名の委員、それから若干の幹事、補佐的な役割りを果たすわけでありますが、こういうことで第一回の会合を開きまして、今後の審議の進め方等について若干の意見を交換したということであります。実質的な審議はこれから始まるわけでございます。それで目的としましては、いま先生が御指摘になりましたように、難視聴の実態の把握、これに対する解消の技術的な方法、それから財政的な負担をどうするか、法律的な問題をどうするか、こういうような問題につきまして基本的に多角的な角度からひとつ御検討いただきたい、まあ審議もまだ始まったばかりでございますのではっきりわかりませんけれども、できましたならば今年度中にも御答申をいただいて、それを法制化したいということでございます。まだ始まったばかりでございますので、はたして年度内に終わるか、あるいは来年にまたがるかということは今後の問題でございます。以上でございます。
○小沢(貞)委員 これも逓信委員会の最初の一般質問のときに、郵政大臣にもお願いをして、郵政大臣も検討さしていただこう、こういうことになったわけですが、その後いろいろな話の中で、逓信委員会の委員長もそれはなかなかうまいことだとおっしゃったし、ここにおる理事の方々もうまいことだ、思いつきですが、大方の賛同を得てきておるわけなんですが、私は国民の財産である電波というものを使用するのに、使用料、使用税、こういうものを取って、それを財源にして、それに何がしかの国の負担もつけ加えていただけばなおいいわけですが、そうして辺地における難視聴の解消に充てたらどうだろう、こういうお願いをしてきておるわけであります。具体的にその問題を検討していただくような段階に来ておるのではなかろうか、こう思います。従来は、御案内のようにNHKが民放まで辺地で見れるようにだいぶ財政的負担をしてきておるわけであります。だんだん普及をしてまいりましたが、民放だけは山間僻陬の地ではなかなか見えるようにならないわけであります。それは財政上の問題があるわけであります。したがって、発電する場合に水利使用料を取るのと同じように、やはり都会において収入のあがるような民放から電波使用料を取って、なかなか収入のあがらない山間僻地の民放のほうにその難視聴解消の負担をそれでやる、こういうようなことをしなければ、以後難視聴の解消はなかなか進んでいかないのではないか、こういうように私は繰り返し申し上げてきておるわけであります。具体的な検討の段階になったと思いますので、大臣からひとつそのあたりの方針なりお考えをお聞きしたいと思います。
○久野国務大臣 難視聴の解消のための一つの方策として、目的税として事業税に類するようなものを取ってはいかがかという御意見のようでございます。これは税体系その他の問題にもからむわけでございます。相当重要な課題でございますので、いま直ちに私の意見を申し上げることはいかがかと存ずる次第でございまして、調査会等におきましてもこれらの問題を含めて御検討を願いたい、かように考えております。
○小沢(貞)委員 調査会で具体的にそういう問題を含めて御検討いただく、こういうことなので、ひとつせっかく御検討いただくようにお願いして進ませていただきたいと思います。 これは決算とかそういうことには直接関係がありませんが、前の衆議院議長の中村議長がおやめになるいきさつについて、これは本人の意向というものを私は全然聞く機会もなかったし何もなかったわけであります。野党をごまかした、こういうようなことをどこかで発言したことがきっかけになって中村議長はやめざるを得なくなった、これは報道で私は聞いているだけであります。新聞、テレビ、そういうもので聞いているだけであります。なるほど野党をごまかしたということはたいへんな話だ、こう思っていきり立っておったわけであります。そして中村議長は、すたこらすたこらやめていってしまいました。ところが、一週間か十日たって、中村前議長から辞任の弁といいますか、あいさつ状をいただいたわけであります。そうしたらば、ごまかしたということばの使い方が、どうもこんな程度のことならわれわれだってウイットみたいなことでそのくらいのことを言うのはあたりまえじゃないかな、これは真実であるかどうかはわかりませんが、中村前議長がわざわざ書いてくれたそのことばを見ると、これはまあたいへん早計なことであったな、こういうようにも実は感じたわけであります。新聞や報道だけで中村議長の首が飛んでいってしまったのじゃなかろうか、いまになってそういうように私は感ずるわけであります。 そういう例がたくさんあるわけですが、いま一つ、これはまだ真実ははっきりしませんが、昨今新聞を見ていると、去年、富山の神通川かどこかでカドミウム汚染によるイタイイタイ病が問題になった、この犯人はあそこの三井金属である、これは新聞や報道を見ている限り国民すべてがそうでないかと思って、三井の犯罪間違いない、何をしているんだとわれわれも怒りを感じておったわけです。しかし、だんだんカドミウムのことを研究していって、この前も北海道で学術会の討論や何かあったが、どうもそれは全然違うようなぐあいに最近は変わりつつあるように私たちは受けとめるわけであります。あのときは、報道から聞いている限り、三井金属が犯人だ、何をしているんだ、こういう怒りしかわれわれにはなかったわけでありますが、この間北海道で学術会の討論をやったら、まるきりどうも学説が変わっていってしまうみたいなことで、これはまだ真偽のほどはわからぬわけでありますが、これもまた、もしあやまちがあったとすれば新聞報道の大きなあやまちじゃないか、こういうように私は考えるわけであります。 私は、日本の政治を右にするも左にするも、よくするも悪くするも報道の重要性というものはきわめて大きい、こういうように常日ごろ感じておるわけであります。そういう中におけるNHKの報道に対する態度というものもきわめて大きいのではなかろうか、常日ごろ私はこういうように感じておるわけであります。したがって、社会的なムード、せつな主義、そういうものに押されることなく、せめてNHKくらいは、多少はおくれても真実を正確に、こういう態度が貫かれるのでなければならないのではないか、常にそう感じておるわけであります。これについて会長なりあるいは副会長なり、ぜひ御答弁をいただきたい、こういうように考えるわけであります。
○小野参考人 NHKが言論、報道機関としてきわめて大きな重要性と、しかもその重要性の陰には大きな責任があることはお説のとおりでございます。報道はどこまでも客観的に、冷静に、しかも誤らぬように、真実を伝えるようにつとめなければならないと思います。かりにそういう面で過誤をおかすといたしますと、非常に大きな自主性を与えられ、言論、報道の自由を与えられたその本旨にそむくことになろうかと思いますので、将来とも、起きた事態はそれに幻惑されることなく、時々起きてまいります事象に左右されることなく、それも客観的に、冷静に見つめて、ありのまま真実を伝えるようにつとめてまいりたいと思います。
○小沢(貞)委員 副会長の御答弁、まことに私はそのとおりだと思います。だが一般に、報道の第一線に立っている人とか、役所のいろいろの末端にいる人とか、これは単にこういうムードに支配されていないか、このごろしみじみ感ずるわけであります。大企業は悪玉、保守党悪玉、アメリカ資本主義陣営悪玉、単なるそういう発想だけでもって直観的にものを考えていないだろうか。こういう風潮だけが支配するということ、私はたいへんなことになるのではないか、こういうように考えるわけです。だからその客観性というものを報道の第一線の末端にいる人にまでどういうように正確に教育をし訓練をしていくか、こういうことが私は非常に大切なことではないかと考えるわけでありますが、どうでしょう。
○小野参考人 お説の点につきましては、前田会長在任中、ずっとそういうような面につきまして、報道の第一線の諸君に対しましてはきわめて客観的に、冷静に、事実を曲げないで真実を伝えるようにすべきだ、あるとらわれたる考えを持つべきでないということは、口がすっぱくなるほど言いならしてまいられました。私も、今後会長になりましたあかつきにおきましては、そういった面をかたく堅持いたしまして、報道に従事する第一線の諸君がすべてそういう精神に徹しますように努力をいたしてまいりたいと思います。
○小沢(貞)委員 この間新聞の当選予想だか何だか、そういうのを見ていると、保守、革新ということばが単純に使われておるわけであります。いま報道界なり何なりで保守、革新ということばを使っておるその座標軸というものは、マルクス・レーニン主義、そういうものから遠いものほど保守である、近いものほど革新である、単純にそういう割り切り方ではなかろうかと私は思います。だが、私たちが考えるところは、いままで保守党だ保守党だといわれたものの中にもりっぱな革新的なこともあれば、いままでその座標軸の一番革新の席にいたものが一番保守的だというようなことが山のごとくあるわけであります。ところが一般報道の末端においては、マルクス・レーニン主義の座標軸から遠いものほど保守だ、悪だ、こういう直観、感覚というもので報道しておるのではなかろうか、こういうように私たちには感じられてしかたがないわけであります。これは私は客観的な正確な報道ではない、こういうように考えるわけです。その点をぜひこれからもひとつ十分お考えいただきたい。要望だけを申し上げておきたいと思います。 それから、これも私は詳しい経過はよく知りませんが、これは鈴木さんの書いている中にありますが、中国に取材に行って、昭和四十五年暮れか、NHKの北京特派員が追放になったというようなことがあったかどうか。——あったと思います。その前においては、また巧妙に——まあ片言ですから誤解ないように。「NHKは巧妙に変身していったことがよくわかる。この間、NHKは追放もされず、朝日、日経とともに常駐特派員をちゃんと更新している」こういうように出ております。私はこれは非常に重要なことだと思いますが、私たちは隣国中国にあやまちをおかしておわびして、そして日中国交回復して、まことにいいことだと思います。しかし私たちが中国の中における取材の自由というものは、一体どういうぐあいに制約されておるだろうか。これは中国の悪口を言えば中国から追放されてしまうのだろうか。ある記者団でもって中国との間で何かそういうふうに約束をしたのか、どういう中でどういう約束があるか。この常駐しておったり、追放されておったりという経過は一体どういうところにあるのでしょうか。この辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○前田参考人 これは私の時代でございますのでお答え申し上げたいと思います。 NHKの北京特派員が追放されたことは一回もございません。ただ滞留ビザの期限切れのあとで入れなくなったという事実でございます。これをどう考えるかという点になりますと、これは一社の問題ではなくて、私自身の印象では国と国との問題、もっと大きく申し上げれば、あの当時の中国の新しい外交政策の基礎となる問題の一部であったと私は考えております。これは第一点でございます。 第二点、中国において自由な取材があり得るかどうかという点につきましては、いわゆる古い歴史を持った自由諸国家と申しますか、先進国における取材のあり方とは異なるということは率直に申し上げたいと私は思います。しかしそれがわれわれの立場からいって不自由であると判断すべきか、また逆にわれわれの一部で考えるように、相手国の宣伝以外は取材できないのではないかというような単純な判断を下すことは誤りだと思っております。いずれの国においても、先進諸国においても、取材の限度というものはその国民、その国家に対しては、やはり常識と申しますか、良識の線を越えてはならないと私は考えております。先ほど来の御質問の中で、革新と保守とについて御意見を承っており、またこのごろの報道機関のあり方についても御発言を関心を持って伺っておりましたが、これらの問題はすべて同じ範疇に入ると私は考えます。その良識をどこに置くか。一国の特性とかあるいは先進性とかあるいは言論の本質的自由と本質的不自由とか、そういう問題も現象としては一部あり得るかもしれないけれども、根本的には海外で働く報道者、記者の良識がどの点に置かれておるかという問題にかかわると思います。私自身の非常に小さい経験から申しましても、私はその点において記者の良識というものを原則として考えますと、おことばを返すようですが、あるいはおことばを利用さしていただきたいと思っておりますが、必ずしも保守とか革新とか観念的に割り切り得る境地にあるものではないというように考えるわけでございます。
○小沢(貞)委員 時間も参りましたので……。これが国会における会長の最後の答弁だ、私も最後の質問だと思います。 そこで、会長が文芸春秋に、私にも言わせていただきたい、こういう文章の中で、戦争の経験を経て、戦争を何としてもやめなければいけない、憲法は改正してはいかぬ、こういうような中で客観的に日本人に外国のことを知らせることはいいことだ、こう考えて、海外での取材しかない、こういう決意のもとでやられたという回想録があるわけであります。私もまことに時宜を得た海外取材の番組ではなかろうか、こう思います。ゆうべも、たしかNHKのテレビで北京か何かの放送をしておったように記憶しております。ただ私たちは、自由諸国の中における取材の自由と共産圏における取材というものはおのずから違うであろう、こういうように考えるわけです。毎日、あの権力の最高機関にいるアメリカの大統領のウオーターゲート事件ですか、これはまるきり世界じゅうに、もう津々浦々まで報道されておる。にもかかわらず、林彪が毛沢東のあとを継ぐ者だということが中国の憲法草案に名前まであげてうたわれておる、中国共産党の規約の中にも毛沢東のあとは林彪である、こううたわれておった。その林彪とかその前の劉少奇とか、こういう人はいつの間にかどこでどうなってしまったかわからない。こういうようなことになると、やはりそっちの国の中においては、全体主義の国の中においては報道、取材の自由、こういうものが制約されておるのではなかろうか、こういうように私は二つの事件を見ても直感的に感ずるわけであります。会長が、海外取材をして世界の平和に寄与しようと、こういったその平和に寄与するのは、やはり自由こそがこの平和を保持するゆえんであろう、こういうように考えるわけです。そういう根本に絶えずいどんで、すべての国から報道の自由というものを求めていかなければならない、こういうように私は考えるわけであります。どうでしょう。これはもう会長の最後の御答弁かもしれませんが、私たちは、どうしてもそういう自由があってこそ世界の平和は保たれる、平和にとっての危険なものは全体主義である、こういうようにしょっちゅう考えておるわけであります。
○前田参考人 一般的な基本的考え方として全く同感でございます。しかし国にはいろいろの歴史があります。アメリカの場合でも、きのう百九十七年目の独立記念日を祝ったわけです。中国は御承知のようにいろいろな経緯を経て、まだおそらく独立国家の歴史としては、政治形態を異にする独立国家の歴史としては一番若い国の一つだと思います。ソビエトはすでに半世紀を経過いたしました。日本の場合は、私はアメリカよりも短い自由の歴史しか持っていないと思います。しかもその百余年の歴史の中で、日本はかなりあるいは前進しあるいは後退し、そして最後が第二次世界戦争の完全な敗北だと思っております。したがいまして、私としては原則論としては全く同感でございます。 私はこの放送法が非常によくできておるというのは、特に冒頭の二号について、これを宣言した放送法というものは世界にないとこう考えております。問題は、いわゆる自由国家、しからざる国においても、為政者がその言論の自由の本質を知っているかどうか、身につけているかどうかという問題と、逆に、ニュースあるいは報道に携わる者がいわゆる客観的報道の限界が個人の主張と分離し得ておるかどうか、あるいは共同社会ですから、どんな形の国であっても、その共同社会の中で一般的なコンセンサスを形づくる良識が構成されているかどうか、この二つのかかわり合いが、私は言論の真の自由を将来発展させ、確保させるただ一つの基礎だと思っております。言論の自由ということば、全体主義ということば、自由主義ということば、ことばとしてはきわめて簡単であります。しかし、その中には、そういうことばができた背景には、長いそれぞれの民族の歴史の過程があり、同時にそこから新しい世界の連帯感を生んでいく土台となっていると思います。私は別に学者でもなく政治思想家でもございませんが、今日のマルクス・レーニン主義が、かつてのマルクス・レーニン主義そのものだとも感じとれないと私は考えております。今日のある種の自由国家においては、私が経験したムソリーニのイタリアや、それからまたヒトラーのドイツのような、かなり内部的に統制している自由国家もあると思います。ウオーターゲート事件は、発生的に言えば——私は批評家でもございませんし、ここで見解を述べるべきものではありませんが、いわゆる言論の自由と、そうでない面との二つのからみ合いが、今日の状態を来たしているのではないかと思います。私どもとしては、理想的に言えば、すべての人間は自由であり、その自由な証拠には、すべての言論が自由でなければならないと確信いたしております。しかし、その国にはおのおの歴史的過程の事情もございましょうし、またわれわれが絶対的だと考えている自由諸国という名の国の中でも、いろいろな共同生活と申しますか、共同体を形づくるための制約もございましょうし、あるいは為政者の心理的な問題もからんでおると思います。したがいまして、私は原則的には先生のお考え方と全く同じでございますけれども、われわれが現実の問題として問題点を取り上げ、これを処理し、これを人間の幸福もしくは社会連帯性に結びつけていくときに、われわれは、その原則を守ることがきわめて勇気の要ることであり、同時に長い忍耐の時間を持たなければならない。私の貧しい経験から申し上げましても、そのような印象を持っております。
○小沢(貞)委員 私は新会長にひとつ……。私の非常に気になる一行の文があるわけであります。まだ田中首相が郵政相当時の去る三十二年、事務次官だった関係もある、こういうようなことばがあって——こういう関係は何も会長になることとは無関係のことだ、こういうように考えるわけであります。われわれは権力に屈せず、いま言った取材の自由を阻害するものにも屈せず、これはひとつNHKが今後やっていっていただかなければならない、こう思いますので、副会長からの決意をひとつお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○小野参考人 田中首相と私が、大臣であり次官であり、同時に苦楽をともにしたことは事実でございます。しかし、そのことは懸念せられますように、私がNHKの会長になりましても、公共性を曲げる導因にはならないと思います。田中首相もそういうけちな人ではございませんし、私もNHKの会長になりました以上は、一身をNHKにささげまして、NHKの公共的使命とともに、生死をともにしたいと思っております。
○小沢(貞)委員 どうもありがとうございました。
○久保田委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○久保田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、日本放送協会昭和四十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。 本件について、異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○久保田委員長 起立総員。よって、本件は異議なきものと決しました。 次に、日本放送協会昭和四十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。 本件について、異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○久保田委員長 起立総員。よって、本件は異議なきものと決しました。 なお、ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○久保田委員長 この際、前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。前田会長。
○前田参考人 四十五年度並びに四十六年度の決算及びこれに関連する諸表、これの御審議の結論として、総員御承認を下さるという御決定をいただきましたことについては、私の最後のこの当委員会に対する出席の機会に、あらためて心からお礼申し上げたいと思います。 私は、NHKにあることすでに二十三年、国会に関係を持つこと、ことに当委員会と関係を持ちましてから、ことしで満二十年に相なります。あるいはわれわれの執行機関の補助者として約二年余り、あとの十八年間は、経営に携わる者として、皆さんと、あるいは皆さんの御理解と御支持をお願いして今日に至りました。 この二十年間を振り返ってみまして、私は、歴代委員長、歴代郵政大臣、歴代の委員の方々に数多く無礼を申し上げたと思います。あるいは、ときに皆さんの中には、きわめて傲慢不遜の暴言を吐く男という印象もお持ちになったかと思います。しかし、ここ二日間の御質問に答えたように、私は前田個人としてこの御答弁を申し上げる機会を与えられたのではなく、公共放送NHKの執行機関の最高責任者として、私は、今日まで私の考え方、NHKのあり方、予算の内容、決算の結果について申し上げてまいりました。私は、そういう意味で、この二十年間歴代委員長、歴代郵政大臣、歴代委員の方々に、多大の御理解と、あるいは御不便をおかけしたことにつきましては、あらためてここにあやまりたいと考えておりますと同時に、私のこれまでの発言は、前田個人でなく、NHKの最高執行機関の責任者としてのことばであったことについて、あらためて御理解と御支持をいただきたいと思います。 私のこの二十年間、あるいはまたNHK在職二十三年間は、まことに毎日、毎瞬間全力投球の年月でございました。幸いに歴代郵政大臣、歴代委員長、歴代の委員の方々、特にこの一年最も激しい時期において、ここに御出席の各委員の方々のことさらなる深い御理解と御支援によって、私は心楽しくNHKを去ることができる機会を与えてくださいましたことについて、一方において感慨ひとしおなるものがあると同時に、あらためて私は個人としても深く心から感謝を申し上げたいと思います。 まことにありがとうございました。(拍手)
○久保田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十九分散会