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71回国会衆議院1973/06/06

懲罰委員会 第5号

発言数
35
登壇者
4
会派数
2
開催日
1973/06/06

会議録

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 これより会議を開きます。  議員小林政子君懲罰事犯の件を議題といたします。  懲罰動議提出者に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田毅君。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 私は、議員小林政子君の懲罰事犯について、この際感情論を排して、できるだけ冷静に事実関係を究明していきたいと思います。  まず初めに、小林君は去る四月二十六日の物価対策特別委員会で次のような発言をしておられるわけであります。すなわち「上毛高原駅が発表になった昭和四十六年の十月以前」すなわち昭和四十三年から四十四年にかけて、駅からわずか一・五キロメートル以内の石倉地区という地域が相当土地を買われている。しかも、買い主は上牧荘で、その代表取締役入内島氏は田中総理と親しい間柄といわれている。さらに総理自身が事前にここに新幹線をというような情報をいち早く知る立場におられた。あるいはこの点については当時は総理ではなかったにしても、その地位を利用されてこのようなことがやられたんじゃないか、「この点についてほんとうに政治姿勢を改めると同時に、そのようなことをやっていたのでは、」云々、さらに「これはもういろいろと私どもも具体的に調査をした上で、いやしくもここで発言をする以上は、そう無責任なことを私どもは言っているわけではございません。」「うわさではなくて、私は、事実を調べた上でもって、いま申し上げた」云々ということを述べておられるわけであります。これは速記録を見ても明らかでありますが、この小林君の発言のうち、どの部分が懲罰対象になるのか具体的にお示し願いたいと思います。

大村襄治自由民主党

○大村議員 私の調査によりますと、距離、面積並びに時期の諸点から見まして、小林君の発言したように、田中総理が当時の地位を利用して旅館上牧荘に相当な山林原野を買わせたというような事実は、全く見受けられないのであります。しかるに小林議員はあたかも事実であるかのごとく発言している。総理の政治姿勢を疑わせるかのごとき発言をしたのでありますが、そのことは総理に対する無礼な発言であり、総理並びに第三者の名誉を傷つけ、国民の政治に対する信頼を失わせ、国会の品位を傷つけたので、懲罰に該当するものと考えております。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 そうしますと、発言の中に使われている用語とかあるいは単語とかというのではなくて、発言の内容なりあるいはその方法というものにおいて問題があるというふうに理解していいわけですね。

大村襄治自由民主党

○大村議員 そのとおりであります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 次に、懲罰事犯にこのことが該当するんだという法律的な根拠は、たとえば国会法の第何条に該当するというようなことをこの際もう一度明確にしておいてもらいたいと思います。

大村襄治自由民主党

○大村議員 野田君も御存じのことと思いますが、小林君の発言は国会法第百十九条の無礼なことばに該当し、しかもその相手方が現職の総理大臣であることから考えれば、国民の政治に対する信頼を傷つけ、国会の権威を失墜させる重大な発言と言わなければならず、このことは衆議院規則第二百十一条の議院の品位を傷つけたことにもあたるものと思われます。  なお、手続規定としては、国会法第百二十一条第三項の規定に基づいて動議の提出を行なったものであります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 小林君は身上弁明の中で、疑惑をただすことがなぜ懲罰の対象となるのかと申されておるわけでありますが、この点についてはいかがお考えですか。

大村襄治自由民主党

○大村議員 疑惑をただすことは、私もけっこうだと思います。しかし小林君の物価特別委員会における発言を聞いておりましても、また速記録を見ましても明らかなとおり、単に疑惑をただすというだけの発言とは認められません。何ゆえならば、小林君の発言に対して総理が再三にわたり否定しているにもかかわらず、あくまで事実である、登記簿があると主張され、あたかも総理大臣の政治姿勢を疑わしめる発言をしているからであります。このことは総理大臣に対する無礼な発言であり、国民の政治に対する信頼を失わせ、国会の品位を傷つけているものと私どもは断定せざるを得ないのであります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 小林君はさらに身上弁明の中で、趣旨説明のうち、推測に基づき事実に反する発言によって個人の名誉をはなはだしく傷つけ、院の権威を失墜させるという部分があったというが、具体的にどの部分が事実に反し、どの部分が個人の名誉を傷つけ、院の権威を失墜させたのか示してもらいたいと述べておられるのでありますが、この点についてはいかがでしょうか。

大村襄治自由民主党

○大村議員 小林君は、昭和四十三年から四十四年にかけて上毛高原駅からわずか一・五キロメートル以内の石倉地区において、相当土地が旅館上牧荘によって買われているということを言っておられるのでありますが、このような事実は全くありません。小林君はまた、田中総理が、当時の地位を利用して、交友関係にある上牧荘の経営者である入内島氏に相当の山林原野を買わせたかのごとき発言をしておられるのでありますが、そういう事実も全く見受けられません。このように、事実でないことをあたかも事実であるかのごとき発言をし、いかにも疑惑があるかのように、田中総理大臣並びに第三者の名前まであげて公開の議場で発言されているのであります。このことは、個人の名誉を傷つけ、議院の品位を傷つけるものであると考えるのであります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 いまの質疑でおわかりのとおり、小林君は事実だと言い張り、また、提案者は事実に反することと言われるわけであります。  そこで、具体的なほんとうの事実関係というものを若干質問してみたいと思います。  まず、先ほど申しましたように、小林君は、駅からわずか一・五キロメートル以内の地域が「昭和四十三年から四十四年にかけて、」「相当土地を買われている」と発言しておられるわけであります。この相当の土地というのは、その速記録の中には数字は出ておりませんが、翌日の読売新聞によりますと、これはおそらく小林君が記者に話したためにその数字が出たのだろうと思いますが、二万四千ヘクタールという面積が出ておるわけであります。この面積というのは、実に東京二十三区の面積の半分近い面積になるわけであります。これが事実なら、なるほど相当の土地ということが言えると思うのであります。また、一・五キロメートルという数字は、身上弁明の際に、一・五里を一・五キロと言い違えたにすぎず、駅周辺地域であることに変わりないんだと小林君は主張されておられるのでありますが、通常、常識的に考えて、里という単位を用いるならば、一・五里という言い方ではなく、むしろ一里半というような言い方をするのが、まあ普通であろうと思います。かりに一里半というのを一・五キロと言い間違えたにしても、この一里半という距離は、たとえば新宿と新橋ぐらい離れておるわけでありまして、国会を中心にして言えば、駒込、巣鴨あるいは幡ケ谷あるいは小松川の先、そういうような距離になるのであります。したがって、これは単なる単位を言い違えたというだけでは説明できない面もあるようにも考えられるわけであります。  そこで、上牧荘が四十三年から四十四年にかけて買った土地の場所、つまり駅からの距離あるいはその面積等、土地購入の事実関係は、具体的に提案者の調査ではどういう実態であったか、お示しを願いたいと思います。

大村襄治自由民主党

○大村議員 私どもの調べた事柄を申し上げます。  上牧荘は昭和四十三年二月、群馬県利根郡月夜野町大字石倉において、旅館敷地の地続きの、利根川に直接面したがけ地約五百坪未満、平米でいいますと千六百二十九平米を買っています。これは上毛高原駅の予定地から約六・五キロ離れた地点にあります。このほか上牧荘は、石倉地区ではありませんが、昭和四十三年五月、同じく月夜野町上牧字岩竹日影の山林原野約千三百四十坪、平米にいたしまして四千四百二十七平米の土地を買い、さらに四十六年七月、これと地続きの畑地約八十坪、二百六十七平米を買い受けております。この位置は、上牧荘のある石倉地区からさらに一キロメートル近く離れております。したがって、新幹線の予定地からはおよそ七キロメートル離れた位置にあるわけであります。  このように、幾ら調べてみましても、御質問のように四十三年から四十四年にかけて上牧荘が買った土地は、上毛高原駅の予定地から約六・五キロメートルないし七キロメートル離れた地点において上牧荘の買った土地を全部合計してみましても、わずかにおよそ千九百坪にすぎないのでございます。  以上、お答えいたします。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 私どもは当初、駅の周辺地域の相当の土地というのは、まあ一・五キロ以内の二方四千ヘクタールの土地だと思っておったわけでありますが、実際は六・五キロないし七キロの地点の約千五百坪程度にすぎないということなのかどうか、もう一ぺん確認をしておきたいと思います。

大村襄治自由民主党

○大村議員 そのとおりであります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 一般的にマルクスの思想によりますと、どういう階級的立場に立つかによって歴史の見方あるいはものの見方も変わるのだということが書いてあるように思いますが、そういう考え方に基づくとしても、今回の小林君の発言は、あまりにもものの見方が変わり過ぎておるのではないか。明らかに誤解に導く発言だと考えられるわけであります。新宿が新橋駅周辺と、はたしていえるだろうか。まあ不動産屋がこのような広告を出したら、おそらく誇大広告として取り締まりの対象になるのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

大村襄治自由民主党

○大村議員 そのように思います。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 次に、小林君は、総理自身が「ここに新幹線をというような情報をいち早く知る立場におられた」この点について、その地位を利用されてこのようなことがやられたのじゃないか、この点についてほんとうに政治姿勢を改めると同時に、そのようなことをやっていたのでは云々と、総理の地位を利用して事前に情報を漏らし、思惑買いをさせたような発言をしておるわけでありますが、この問題について、まず第一に、この新幹線駅の決定の経緯はどうであったか。また上毛高原駅の決定時期と、上牧荘が石倉地区に土地を買った時期との関係はどうなっておるのか、お答えを願いたいと思います。

大村襄治自由民主党

○大村議員 上越新幹線の基本計画、これは路線名、起点、終点、重要経過地を内容とするものでありますが、これは四十六年一月十八日に決定されております。なお、これに先立ち、同年の一月十三日、第五十三回鉄道建設審議会の議を経ているものでございます。  次に、上越新幹線の整備計画、これは走行方式、最高設計速度、費用の概算などを内容とするものでございますが、この整備計画は四十六年の四月一日に決定されております。なお、これに先立ち、同年二月五日、第五十四回鉄道審議会の議を経ているのでございます。上越新幹線の工事実施計画、これで路線の位置並びに停車場の位置が決定されたのでありますが、この工事実施計画は昭和四十六年十月十四日認可され、これにより上毛高原駅が決定いたしておるのであります。一方田中総理は、三十六年九月から三十七年七月まで党政調会長として、四十年八月から四十一年十二月まで、四十四年一月から四十四年十二月まで、四十五年二月から四十六年七月まで、党幹事長として鉄道建設審議会の委員として在任いたしておるのであります。新駅の位置は、前に申し述べたとおり、昭和四十六年十月十四日に決定されているのでありますが、すでに田中総理は鉄道審議会委員をやめており、田中総理が当時の地位を利用して新駅の付近に山林原野を相当買わせたという論は、全く成り立たないことと考えるのであります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 わかりやすくいえば、上牧荘が土地を買ったのは、上越新幹線をつくるという法律さえできていない、そのはるか以前の時期に土地を買った、こういうことですね。

大村襄治自由民主党

○大村議員 上越新幹線の法律と言われますと、全国新幹線鉄道整備法のことを言われておると思うのでありますが、これは昭和四十五年五月十八日でございますので、上牧荘が付近の土地を買った時期とは非常に離れておるということは明瞭であります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 もし事前に駅の位置がわかっておって、それを利用して利得しようとするならば、何も駅から何キロも離れたようなところに土地を買うのではなく、もっと駅予定地の間近の土地を、文字どおり相当の面積買い求めてもいいはずであります。この場合は、駅から六キロ以上も離れたところを、しかも山林原野あるいはその地続きのがけ地、こういうようなところを二千坪程度、しかも事業用に買ったにすぎない状況であります。こういう状況から見て、まず疑惑を想定すること自体私は噴飯ものであるということをいわざるを得ないのであります。総理がかってに駅の位置をきめて人にもうけさせようと思うならば、またほんとうにそれができるとするならば、何も上牧荘から六・五キロも離れておるようないまの予定地ではなく、もっと近くの水上町のところにつくったほうがはるかに近いし、地価の値上がりも激しいわけであります。こういう点について提案者はどうお考えになりますか。

大村襄治自由民主党

○大村議員 もっと近いところにあれば、そっちのほうを選んでしたかもしれないというような気もいたします。しかし、いずれにせよ、上毛高原駅の位置の決定状況を鉄道建設公団なり運輸省のほうから聞いてみましても、地形、地質あるいはその駅の用地に必要とする平地の面積あるいは国道その他の主要交通路との関連などから客観的にきめられたということでありまして、総理が当時の地位を利用して位置の決定まで云々したということはとうてい考えられないと思うのであります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 以上の質疑から明らかなように、小林君の発言は、その距離あるいは面積、それから駅の決定時期との関連、そういう根本となる点において、事実に反するか、もしくは誇大宣伝となっておるわけであります。これは、あえて疑惑を生ぜしめるために故意になされたものか、あるいは誤った先入観をもって調査したため事実誤認という重過失によってなされたものか、いずれであるかは私にはわかりません。ただ小林君も、先ほど申しましたように、いやしくもここで発言する以上は、そう無責任なことを言っているわけではない、私はうわさではなく事実を調べた上でもって申し上げていると明言されておるのであります。その事実と称されるものが、いま申しましたように、故意に歪曲された事実か、または重大な過失に基づく誤認された事実であることが明白になったわけであります。そうなった以上は、当然に小林君もみずからの発言について責任を負われるべきであります。これがもし責任を負わなくてもよいとするならば、おそらく国会内は、疑惑をただすという美名のもとに、スキャンダルやあるいは無責任な暴露的な発言、こういうものが横行する場と堕してしまうことになると思うのであります。  そこで、院の品位あるいは国会議員の道義的責任、こういうものについて提案者はいかがお考えになりますか。

大村襄治自由民主党

○大村議員 野田君の御発言、全く同感でございます。国会議員の院内の発言は、院外でその責めを問われないという憲法の規定によって保障されておるのであります。それだけに国会議員みずからが発言を慎重にしなければならないと、私はかねてより考えておるのでございます。この点から見て、小林君の発言は国会の言論のあるべき姿にも反している点があるのではないか。まことに遺憾に思っておる次第でございます。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 いま御答弁にありましたように、現行憲法は、たとえば天皇制廃止あるいはプロレタリアート独裁というような、現行憲法の精神そのものを否定するような言論についてまで、その自由を与えているのであります。それだけに、言論の自由を標榜する者は、みずからの言論については強い自律心を要請されておるのであります。いわんや、院内発言で免責特権を与えられている国会議員が公式の発言をする場合においては、みだりに推測に基づく発言や事実を歪曲した発言ということは厳に慎まなければならぬということは言うまでもないのであります。  提案者は、小林君の発言が総理大臣のほかに善良なる市民の名誉と権利を傷つける行為であると述べておられたわけでありますが、入内島氏も名ざしで言われて相当迷惑しているはずであります。この点についての小林君の責任をどうお考えになりますか。

大村襄治自由民主党

○大村議員 この点は私の趣旨説明で詳しく申し上げたとおりでございます。常識的に見ましても、入内島氏は小林議員の発言によってたいへんな迷惑をこうむっておるのではないかと思われます。したがいまして、国会議員の発言はよほど注意しなければいけないと私は思う次第でございます。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 最後に、くどくなりますが、先ほど申しましたように、この際明らかにしておきたいのは、この問題の発端というものは、その距離あるいは面積、駅決定時期との関連、そういう問題について述べられた点にあるわけであります。この点がいかにも事実であるかのごとく発表される。それがいわば当初の発言のときから比べて、次第次第に、距離あるいは面積について、だんだんだんだん訂正がなされようとしているのであります。こういう事実関係において、当初の発言そのものが、総理が再三再四否定しているにもかかわらず、事実である、事実であると主張されておるのであります。この本人が事実と称した内容が、先ほど言いましたように、三つのポイントについていずれも完全に事実に反しておるということだけを、この際最後に確認をしておきたいと思います。

大村襄治自由民主党

○大村議員 そのとおりであります。

野田毅自由民主党

○野田(毅)委員 以上で終わります。(拍手)

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 次に、中村茂君。

中村茂日本社会党

○中村(茂)委員 私は、今回の小林政子君の懲罰動議について幾つかの疑義を持っておりますので、ただしていきたい、こういうふうに思います。  まずその一つは、懲罰動議の趣旨弁明の中で、「よって、ここに国会法第百二十一条第一項の規定に基づき、木部佳昭君を代表とし、以下六名の連名をもって、議員小林政子君に対する懲罰動議を提出した次第であります。」と、こういう趣旨弁明がされております。そこで懲罰動議を提出した法的根拠を説明していますけれども、国会法第百二十一条一項は「各議院において懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付し審査させ、議院の議を経てこれを宣告する。」こういうふうになっているわけでありまして、何か間違いじゃないか、こういうふうに思うわけですが……。

大村襄治自由民主党

○大村議員 ただいまの点につきましては、私どもの懲罰動議の提出は、国会法第百二十一条第三項の規定に基づいて行なったものであります。したがいまして、「第一項」と言いましたのは言い間違いでございます。   〔田邊委員「ちょっと、委員長」と呼ぶ〕

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午前十一時二十二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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