地方行政委員会 第55号
- 発言数
- 177 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/09/25
会議録
○上村委員長 これより会議を開きます。 地方自治、地方財政及び警察に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤敬治君。
○佐藤(敬)委員 七月十九日の当委員会で、山形県鶴岡市の、住民台帳を商品化したという問題について私は質問を申し上げました。 〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕 しかし、その後の推移を見ておりますと、例の日本ダイレクト有限会社は、住民台帳まる写しの名鑑の出版を強行した。こういうような情勢であります。したがって、それについて少しお伺いしたいわけですけれども、現物は自治省のほうでお持ちですか。
○林(忠)政府委員 入手しておりません。これは入手がほとんどできておらないようでございまして、鶴岡市役所自体も入手しておらないし、当庁のほうも入手できておりません。
○佐藤(敬)委員 そうすると、どのくらい出版されたか、わかりませんか。
○林(忠)政府委員 それも非常に不明確でございます。まあ、問題がこういう問題になったからだと思いますが、出版元も非常に慎重でございまして、予約先とか部数とかいうものを一切発表しないようでございますので、どのくらい出版されたかもはっきりわかっておりません。
○佐藤(敬)委員 しかし、それは非常におかしいと思うのですよ。これだけ問題になりまして、プライバシーの問題としては、具体的にこんなに大きな問題になったことはない。それなのに、どのくらい慎重にやっているかわかりませんけれども、とにかく、かなりな数が出版、販売されているに違いないと思うのです。それを何とか立法するとか善処するとかいうのに、現物も何もなくて、善処するにも方法が何も見つからないじゃないですか。少し無責任じゃないかと思いますね。
○林(忠)政府委員 これは、押収するわけにもまいりませんし、おそらく、世論がこういう形になったので出版元が慎重になったと思うのでございますけれども、分けてくれないかという要望に対しては一切応じていないようでございます。
○佐藤(敬)委員 しかし、これは、鶴岡市の市民の中に販売されておるのですよ。これがいろいろな手を尽くしても絶対手に入らぬということはないと思うのですよ。これは善処する、善処すると言いながら、さっぱり善処する意思がない、口だけで善処すると言っているとしか思えないのですよ。大体、最初にこういう問題が起きて、大きな問題になったのですから、何かしら鶴岡市側に自治省から意思表示があってもいいと思う。しかも、鶴岡市も、自治省から何らかの意思表示がなければわれわれは動けないと言って、自治省にげたを預けているのですね。それを何も意思表示をしないで、これはむずかしい問題だということで、口では善処すると言いながら、どのくらい出版されているかもわからない、現物も見ていないということは、まことに怠慢だと思いますが、どうですか。
○林(忠)政府委員 こういう趣旨の問題になったものでございますので、強制的に押収するわけにもまいりませんし、市のほうには、何とか入手してもらえないかという依頼を私ども重ねたのでありますが、市自体が入手しておらないということでございます。 いま先生がお話しのように、鶴岡市への意思表示がないというのは、鶴岡市からこの問題の取り扱いについてすでに照会を受けておりますが、この問題は一に基本台帳だけの問題ではなくて、結局、行政資料とプライバシーの問題ということで、あるいは御質問を先取りするようになるかもしれませんけれども、具体的な方策として、閣議でも問題に出していただきまして、人権の関係、それから法的な関係その他もございますので、法務省、法制局と連絡をとりまして、これにいかに対処するかということの打ち合わせをずっと続けておる次第でございます。鶴岡市からの照会は、事実関係の点ではっきりしない面もございますし、そういう結論を得てからということで、早急に回答しにくいという連絡は現在しておるわけでございます。そこで、法務省、それから法制局、私のほう、さらには、出版問題に限れば文部省等、相当他省庁にわたる問題もございますので、閣議でそういう解釈をお話ししていただいてさらに事務的な打ち合わせを現在進めておるというのが今日の段階でございます。
○佐藤(敬)委員 いずれにしても、現物が何もなくて、各省で協議するといったって協議のしようがないと思うのですよ。現物を見ないでは、これはから念仏にすぎないと思うのです。そんなに無責任なことで、善処しますと言ったって、これは了承されませんよ。
○林(忠)政府委員 現在そういう打ち合わせ中でございますので、まだ、善処しますと大きな声で言える段階では確かにございませんし、現物の入手も、法制局で御相談されるについても、ぜひ現物がほしいというお話しがございましたし、こちらも八方手を尽くしましたけれども、現在、現物入手ができていないというのは事実ございます。確かに、現物があったほうがこういうことについては議論がしやすいといいますか、現物が必要だと思いますけれども、現在のところ、これを強制的に取り上げる手段もございませんし、どこに配付されまして、だれが持っているのかということも、実は、現在わかっていない状態でございますので、まことに残念でございますけれども、現物のないままに、こういう趣旨のものでこういう出版になったということで、議論と申しますか、検討を続けておる段階でございます。
○佐藤(敬)委員 たとえば自治労の鶴岡支部なんかにも予約の申し込みが来ているのですよ。だから、さがそうと思えば幾らでもさがせると思うのです。これは何も業者の味方の人ばかりいない。現に、話を聞きますと、自分のところは名鑑からはずしてくれといってはずしたという話もありますね。だから、だれがそれを買ったのかということはわからないはずはないのですよ。しかも、この前の七月十九日に私が質問してから、間もなく出版されているのですよ。もう、それから二カ月近くたっているのですよ。その間に全然現物も手に入れないでは、これは、無責任というよりしか手がないのですがね。次官、どうですか。
○武藤政府委員 いまの局長のお話しのように私も局長から聞いておりますが、いろいろ市には照会はしておるし、市自身も入手しようという意思は持っておるのにかかわらず入っていないということはほんとうの事実のようでございまして、その辺、無責任とおっしゃれば、無責任ということになるかもしれませんが、ただ、いまの局長の話の中にもございまたように、現在協議しておる段階ですが、たとえば鶴岡市の場合には、住民票をそのまま全部写してしまって、それを一つにつくったものということに大体なっておるようでございますから、そういうものがプライバシーの問題としてどうなのかと、こういう形で協議をしておる。また、一面においては、住民基本台帳法の十一条の、だれにでも閲覧できるという点の法律の問題とそこを一体どう兼ね合わせていくかということですが、こういうことは現物がなくても協議ができると私は思うのでございますけれども、もちろん、いまのお話しのように、現物があれば、それにこしたことはないが、ただ、実際には、現物がなくても協議はできますし、結論を出せないものではないと思います。その意味において、現物がなければどうにもこの問題が解決できないということではないという観点からいけば、どうしても現物が入らないという場合においても、これは結論を出せばいいんじゃないかと私は思うわけでございます。もちろん、現物があればより望ましい、こういうことではなかろうかと思うのでございます。
○佐藤(敬)委員 こういうことでは困るんですがね。裁判だって、証拠がなければ、証拠不十分で、罪になりませんよ。これだって、だれも確認していなければ、発行したか発行しないかわからないでしょう。発行しないものをなぜこうして議論するんですかということになる。発行したことがわからないのでしょう。だれも確認していないんだもの。市も、自治省も、これだけ大きな力を持ってして、なおかつ現物をつかめないというのだが、発行したことを確認しましたか。
○林(忠)政府委員 現物の入手にさらに今後努力を続けたいと思いますけれども、先ほどから申し上げているとおり、関係のほうに照会をいたしまして、できるだけ現物を入手しようということで努力をいたしましたが、現在、いまだに現物が手に入らない。極端に言えば、先生のおっしゃるとおり、発行を確認できないということになるかもしれません。この問題は、出版元ではいろいろな議論があったにもかかわらず発行をやめることはできないといい、八月一日現在で予約者には頒布したということで、ニュースとして聞いておるだけでございまして、まさに、だれに頒布したのか、何部出したのか、どういう現物であったのかということは、強制捜査するわけにまいりませんので、協力を得られる者にだけ現在お聞きしておりますけれども、確認できないというのがまさに現在の状況でございます。
○佐藤(敬)委員 初めから非常におかしいことになったのですが、問題の現物が発行された、それをだれも確認できない、そしてこういうことで議論している。こんな変な話はない。こんなばかな話がありますか。全然議論になりませんよ。発行しているか発行していないかわからないのに議論になりますか。私もそれを確認しないで質問しているのはおかしいかもしれないけれども、あなた方、何で一体答弁していますか。こうなってきますと、ばからしいから、私はきょうはやめますよ。冗談じゃないですよ。
○林(忠)政府委員 この問題が問題になりました経緯からいきまして、予定どおり発行されたということは事実だという報道のみ聞いておるわけでございますが、もし、全然発行されていないのだったら、あんなプライバシーの侵害という問題は全然起きないということになりまして、それ自体けっこうかと思います。あれだけ努力したにもかかわらず、発行はやめられない、予約した者には領布すると、業者のほうも相当強気で話しておりましたので、おそらく発行されたであろうという推測に基づいてプライバシーの侵害を議論しているわけでございます。今後さらに現物を入手することにつとめてまいりたいと思いますが、何としても犯罪行為といいますか、法律上の行為で問い詰められないことでありますから、それにも限度がありますから、御答弁を申し上げるのにまことに冷や汗をかくような次第でございます。現物を入手し、その他を確かめて、この問題に対してさらに取り組みを続けていきたいと考えております。
○佐藤(敬)委員 時間がないから、この問題をいつまでもやっているわけにいきませんけれども、いま話しましたように、それが確認されなければ——これは、やろう思えばできないことはないのです。やる意思がないからやっていないのです。どんなに強弁をしたって、できないはずはないのです。かなりの部数があの小さな町に頒布されているというのに、市も、自治省も、一生懸命かかって、何カ月もかかって、これが入手できないということはないと思うのです。
○林(忠)政府委員 やる意思がないということはございませんので、この前も先生にこの委員会でお約束しましたとおり、極力努力を続けますが、入手していないという以上に、あまり弁解がましいことをいま申し上げるわけにいきません。さらに、できるだけ早い機会に何らかの方法で入手するよう努力してまいりたいと思います。
○佐藤(敬)委員 できるだけ早くこれを入手して、そして、具体的な議論に乗せてもらいたいと思います。あの当時、これは非常に問題だ、したがって、法務省ともよく話し合って結論を出す、重大な問題なので大至急結論を出したいと、こういうような答弁がありました。その後の推移を見ておりますと、八月三日に、閣議で、住民基本台帳の改正問題など了承を取りつけたというようなことも聞いておりますけれども、一体、法務省のほうとどういうふうにどこまで話し合いが進んでいるのか、その具体的な内容をお聞きしたいわけであります。
○林(忠)政府委員 閣議で御相談していただきました結論に基づきまして、法務省と私のほうと法制局その他で打ち合わせをやっておりまして、入手できました資料その他はこちらのほうから提供もいたし、現地の照会その他もあわせて提供して議論していただいております。具体的には、法制局でも、これはたいへん重要な法制問題だとして——法制局の参与会というものがございまして、非常な法律のベテランを集めていらっしゃるところですが、そこで一回いままで議論していただきましたが、その場合にもはっきりした結論はまだ得ておられないということでございます。 法制問題をさしあたり煮詰めまして、それから対策に移るわけでございますけれども、法制問題について、これとどう取り組むかにつきましての打ち合わせが現在まだ十分に済んでおらないという状況でございます。できるだけ取り急いでおりますけれども、今日はまだそれしか御報告申し上げられない段階でございます。
○佐藤(敬)委員 この問題は、鶴岡に起きたからあとは起きないという問題じゃないのですよ。続けざまに起きるかもしれない問題です。だから、一つのきちんとした見解を立てておきませんと、どんどんこれは拡大していくかもしれないのですよ。それが、いつまでたっても、二カ月近くたっても、まだ何もめどがついていない。こういうことじゃ困ると思うのですよ。この問題は法制局で何とかかんとかといま言っていましたが、この問題だけじゃないのですよ。二カ月近くたっても現物も入手していなければ、法制局でも何もやっていないでしょう。あなた方はやるやると言っても、口ばかりで、何もやっていないじゃないですか。
○林(忠)政府委員 実は、あのときの御答弁でも申し上げましたとおり、たいへん問題が伏在しているということはそのとおりでございますけれども、また、この結論を出すについての非常にむずかしい問題が実は山積しておるわけでございまして、戸籍以来の公開の原則その他もございますし、それから、現在ありますこういう事態が法のどこにも触れないという話もございます。それから、このことを押えるためにどういう法改正をしたらいいかという、それに関連するいろいろな法制問題が直ちに出てまいりまして、検討を突き詰めてすべき問題が非常に幅が広く、かつ深いと申しますか、法制局で一回参与会で御相談いただきましたときも、議論がまっ二つに分かれるような場面が再々あったということでございますので、決して努力を怠っているつもりはございませんけれども、それだけ結論を出すのにずむかしい問題をかかえておるということだということを御理解いただきたいと思います。 それから、一方、他のほうにどんどん波及するではないかという御心配は、実は、今日までのところは、あまりそういう話が出ておりません。新潟の十日町というところでこれと同じようなものが出されたということも報道として聞きましたが、これも、時期としては鶴岡市と同じ八月一日ごろであって、かつ、こちらのほうは、活版印刷ではなくて、何か手書きのものを編集したということも聞いております。その現物も入手できておらないわけでございますけれども、それ以後、ほかの地域でこういう問題が起きたということはまだ聞いておりませんが、御指摘のとおり、あるいは起きるかもしれないということは十分考えなければなりません。ただ、反面、これがこれだけの問題になってまいりまして、国会で取り上げられ、閣議でも問題になったということ自体が、こういう企画というものが非常に危険性をはらむものだということで、こういうことを考える人たちの出ばなを押えたという効果もあるいはあるのか、今日まで、まだそういう状態は聞いておりません。 それから、一方、こちらは、当局といたしましては、関係市町村には、口頭でございますけれども、この結論が出ない前に次々とこういう問題が起こっては困るということで、現在の法的根拠として閲覧を拒否する根拠はございませんけれども、こういうことをするためには大量のものを全部見るなり写すなりしなければならないので、そこで、執務に支障があるという理由で断わるものは断われということは、口頭指導はしておるわけでございます。ただ、これも問題がございまして、すべてのこういう照会のうちには、こういうことを企画するものではなくて、ほかに、世論調査であるとか、あるいは選挙であるとか、住民台帳を使う正当な理由が当然にあるものもいろいろございますので、すべて大量閲覧を断われということを一律に文書で出すわけにもまいりません。そういったいろいろな問題がひっかかってまいりますので、やや弁解がましゅうございますけれども、そういうたくさんの問題を一つ一つ掘り起こしていかなければならないために、今日まで時間がかかって、まだはっきりした結論が出ていないということは御指摘のとおりでございますが、そういう問題をできるだけ早く一つ一つ煮詰めまして、最終的には立法措置があるいは必要かもしれませんし、あるいは行政指導で事足りることになるかもしれませんけれども、結論に早く到達いたしますよう、今後も努力を続けてまいりたいと思います。
○佐藤(敬)委員 この問題は前から出ておるのですね。この新聞の報道によりますと、一年前にも福島、埼玉県下でもあった。また、いまお話しを聞きますと、そのほかにもどこかであった。便利なものだから、ちょくちょくこういう問題は出てくる可能性があると私は思います。多少新聞に出たからといって、もうかるほうは一生懸命やりますよ。だから、出ないという保証は何もないのですよ。そこで、何かしらはっきりした結論を早急に出す必要があると思いますよ。たとえば、しっかりした法の改正でなくしても、こういうふうにすべきじゃないかという見解はやはり統一すべきだと思う。特に、立法の精神から見れば、この前のやりとりでも自治省からもはっきり答弁がありましたが、公開の原則の趣旨は、特定の人間が特定の問題について特定の人を調べるのであって、不特定の人間が市民全体を調べて、市民全体の前に、不特定多数の前に公開するという趣旨ではないのだ。立法のときに付帯条件もついているのですよ。はっきりしている。立法の精神がそれであれば、これに対して自治省が指導しても、何もおかしくないと私は思う。たとえば、少なくとも、特定の個人が特定の目的のために特定の住民を確認すること、これが公開の原則であって、この事件は、不特定の人間が不特定多数に対して住民台帳を全部公開するのだ。ましてや、これをまる写しにして利益獲得の対象にするというようなことは慎むべきだ。こういうことは指導しても一向かまわないと思う。これは法律をつくるときの付帯条件にもはっきり書いてある。これをやっただけでも一つの方向が定まりますよ。方向が定まれば、鶴岡の市長だって、何とかかんとか方法が講じられますよ。あなた方に聞きますと、法的には押える方法が一つもないなんて、そんな発言をしているものだから、鶴岡の市長も手をあげて黙っているだけですよ。しかし、そうじゃないのですよ。立法の精神からいきまして、自分でこれをつくっているのだからおわかりでしょう。はっきりとこれはそういうふうにいっている。この前にも、局長からも、大臣からも、不特定多数に市民全体のプライバシーをみんな公開するとか、そういう趣旨ではないのだということをはっきり答弁しているのですよ。少なくとも、その趣旨だけでもいいから、各市町村に通達として出すべきじゃないですか。あのときすぐ出せば、鶴岡の市長は何か処置を講じたかもしれませんよ。何も講じないで、ただ法律的にはお手あげですと言って万歳している。自治省が万歳して、だれが一体やるのですか。この点にひとつ……。
○武藤政府委員 先生のお気持ちはよくわかりますし、確かに、第十一条で、先ほど局長からも答弁がありましたように、執務に支障のある場合には拒否することができるのでございますから、現行法の中でも、行政指導で、その各地方自治体で非常に事務が渋滞するような場合にはこれを押えることができる、こういうことで指導しておるわけでございます。ただ、いま先生のおっしゃいますように、特定の人間が特定の人の住民票だけを見るということで法の趣旨があるのだから、今後そういうことで、特定の人が特定の人の場合だけに見せろ、閲覧をするのだということになりますと、その特定の人という解釈が、市町村によってまたなかなかむずかしい問題があろうと思います。少なくとも、第十一条はそういう法の趣旨であったかもしれませんが、文章だけからまいりますと、何人でも請求することができるとはっきり明記されておるわけでございますから、いまのような法の趣旨であるならば、そして、法制局と法務省と協議をした結果そういうことになれば、この住民基本台帳法そのものを改正をするというのが正しい姿ではなかろうか。だから、そういうことを一刻も早くやらないということでおしかりをいただくことは、これは私ども甘んじておしかりを受けなければならないことだと思いますが、その法の解釈をはっきりし、そしてそれによって、改正をしないままで、法の明文化されておるものから見ますと一般の人が受け取られないような行政指導をするというのも、これは役所としてできないことだと私は思います。そういう意味で、早くこの第十一条の解釈をはっきりするということ、そして、それによって、必要があれば、個人の秘密を守るという憲法上の問題から、どうもこの住民基本台帳法十一条そのものがおかしいんじゃないかということであれば、その法律を改正するということがほんとうの姿ではなかろうかと私は思いますので、ぜひ早くそれをやるように努力をいたしますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○佐藤(敬)委員 それは全くそのとおりで、できれば早急に法律を改正したほうがいいと思いますよ。ただ、これはいま局長も言われておりましたが、選挙だとか、いろいろそのほかにも大量に使う場合がある。それはそのとおりですよ。しかし、そうでない場合もある。その、そうでないものを助けるために、そっちのほうに援用して、だからこっちもだめだということではだめだと私は思いますよ。とにかく、弱い立場にある者をどこまでも救済していくべきだと思うのですよ。片っ方はそれによってもうかるのです。片っ方は被害を受けるのですよ。被害者を救済しないで、もうかるほうを助けるという手はないですよ。そこを一緒にしないでほしい。これは自治法の立法の趣旨がはっきりしているのですよ。それにもかかわらず、片っ方はこういう需要があるからこっちはとめられないなんて、そういうばかな話はないです。だから、いま次官も言われるように、法律を改正すれば一番いいし、ぜひ早くやってもらいたいが、法の精神がこうだということ、これだけは各市町村に通達してもいいと思うのですよ。法の精神を示達して、それがプライバシーを守ることになるなら非常にいいことだ。こういう通達を一体出す意思があるかないか、これをひとつ御答弁願いたい。
○林(忠)政府委員 法の制定趣旨なりその他を言ってやるということはできますし、あるいは、それ自体は各市町村も承知していることだと思います。ただ、具体的にこういう試みがなされたときにそれに対抗して——閲覧を請求された場合には、法の趣旨からも拒むことはできないわけでございまして、それをしいて執務に支障があるということで解釈をつけて拒んでみましても、それに対しては、支障がない方法でやらしてくれという持っていき方もあるということで、必要以上の混乱を起こすことになります。 そこで、こういうことは好ましくないということはきわめて明白でもございますけれども、現在の法のたてまえから対抗手段はない、そこへもってきて、現在の法の趣旨を拡張していって一律に指導しろというのは、先ほど政務次官も申しましたように、ほかのいろいろな問題に波及いたしまして、むずかしい面があると思います。選挙とか、あるいはこれはもうかるのかもしれませんが、世論調査というような場合には、やはりこれは必要なのですし、行政統計なりあるいは民間の統計というのも公益に関係があることでございますし、問題が起こってからそういう世論調査、統計のために閲覧を請求して拒まれたという、松戸市あたりで出されている問題もございます。出し方といいますか、それがたいへんむずかしい面もございます。 それにしましても、許容されるべきプライバシーの侵害と、どこまでが一体保護されるべきプライバシーであるかということを理論的にもう少し詰めておきませんと、早急に手が打てない。この場合、響くところが非常に大でございますので、拙速ということも大事でございますが、さらに拙速が別に大きな穴をあけてはいけないという配慮も実はしておるわけでございます。ですから、確かに、御指摘のように、あまりほっておけない問題でございますので、急ごうという気持ちはございますが、反面、ほかのほうに大きな落ちこぼれというか、穴があって、かえって混乱を増してもという両方の配慮を払わなければならない問題でございますので、慎重にならざるを得ないという面もわれわれ事務当局としてはあるわけでございます。そういう点も十分配慮しながら、御趣旨に沿うようにこの検討を急ぎたいと思っております。
○佐藤(敬)委員 これは、公開の原則ということと、プライバシーの侵害ということと、二律背反の問題だから、非常にむずかしいとは思いますよ。むずかしいとは思うけれども、このままにはしておけないと思うのです。 そこでちょっと私はお伺いしますが、いまの、法の趣旨だけでもいいから市町村に通達を出したらどうだという問題ですが、仄聞するところによりますと、自治省の林さんだかだれだかわかりませんけれども、実際に市町村にこういう通達を出そうとしたところが、これはだれが押えたかわかりませんが、上から、あとでトラブルが起きるとまずいからということで押えたという話が伝わってきておりますが、これはどうですか。
○林(忠)政府委員 そういうことはございません。何か通達を出そうと思って、われわれのところで起案をしましたし、われわれもいろいろな議論をしてみましたが、どう考えても、さっき言ったようないろいろな配慮から、ずばりというものを出す案が得られないということであります。私自身が、出そうという気持ちと、そういう混乱を起こしてはいけないという気持ちと、だいぶ交錯したということはございますが、いま御指摘のように、われわれが出そうとしたら上から「こら」と言ったというようなことは全然ございません。もしそういう話があったら、それは間違いでございます。
○佐藤(敬)委員 これはいつまでもこうしておかれないと思うのです。片方は、これで実際に被害を受ける人が次々と出てくるかもしれない。そうした場合に、法の趣旨がこうで、法律を改正したほうがいいということがはっきりわかっているのに長く放置しておくということはいけないと私は思う。大至急これは結論を出してもらいたい。 特に、いま警告しておきたいのは、現物も手に入れていないということ、また、法制局も結論を得ていないということ。あなた方から言わせると、非常に苦労しておると言われるけれども、私らから言えば、これは何もやっていないとしか思われませんよ。責任を持って大至急結論を出すように、そして、いま政務次官も言われるように、法律を改正するなら改正するように大至急やっていただきたい。これはいつごろ結論が出ますか。いつごろめどがつきますか。
○林(忠)政府委員 ここでいつごろというお約束をすることは非常に困難でございます。というのは、いま申しましたように、そもそも、保護されるべきプライバシーがどの範囲かということを議論をしだしましても、ことに、人権問題になりますと、各法律関係の役所、法務省、法制局も非常に慎重でございます。また、非常に線の引きにくい問題でございます。したがって、法律を改正するときに、見たり写したりすることはいいけれども、出版して売るのはいかぬというのも一つの考え方かもしれません。あるいは、その写しをもってばらまかれては困るからという——どの辺に線を引くのかということが人権の問題との関連性において出てまいりますので、一口に、出版を禁止してしまえば簡単ではないかという言い方もあるかもしれませんが、やはり、その辺、法律関係の役所は慎重でございまして、また、私も慎重でなければならぬと思っております。もちろん、こういう問題が次々と出てくるというときに、行政がゆっくりしておるというわけにまいりません。そういう情勢等も見ながら、改正するなら改正するで、できるだけ一番公正妥当な線に持っていくようにしたい。これは私の役所だけでもいきませんが、法制局も、法務省も、そのほか出版関係ということでは文部省の関係も出てくるかもしれませんが、できるだけ早い機会にこうあるべきだという考え方を出したい、そして、その努力をさせていただきたいと思います。
○佐藤(敬)委員 それはぜひ早く、できれば、今度、四十九年度の国会あたりに出せるようにがんばっていただきたいと思いますが、それはどうですか。それまでに間に合いますか。
○林(忠)政府委員 努力をいたします。
○佐藤(敬)委員 法務省の方にちょっとお伺いしたいのですが、いまの問題について、法務省の見解をお伺いしたい。
○加藤説明員 まず、どういう権利を侵害するかということで検討したわけでございますが、結局、プライバシーの侵害になるのではないかということ。と申しますのは、内縁の妻だとか、養子だとか、あるいは母子家庭だとか、年長の妻だとかいうことが簡単に人の目に触れてしまうということで、人に知られたくないという人がいることも事実ですので、そういうことは好ましくないのではないかという考えを持っております。ただ、プライバシーというのは外国から入ってきた制度で、日本の国内法ではまだあまり確立した概念になっていないので、その線の引き方は、先ほどの自治省からのお話しのように非常に線が引きにくい問題でございますが、いずれにしろ、知られたくない人は保護しなければならぬという考えを持っております。それが公開の原則との関係でむずかしい問題になるわけでございますけれども、公開の原則というのも、役場で見たり、あるいは必要に応じて写しをもらうということまでは一般住民が受忍しておる義務だと思いますけれども、それがばらまかれて関係のない人間の目に容易に触れるということまでは各住民は受忍の義務がないのではないかという見解ですので、そういうものを出版することは公開の原則を越えるのではないかということをただいま考えております。 どうすればいいかという点が一番むずかしい問題ですけれども、まず、出版自体を押えたらどうかというお話しが先ほどから出ておりますが、これは出版の自由の問題とからみまして、たとえば、政府の資料を公開することがいけないということになりますと、これは別な意味の人権問題にもなると思うので、これは非常にむずかしいと考えておりますので、まず、出版の段階では、私たちは人権擁護委員というのが各地におりますので、それの連合体の名前で、こういうことは好ましくないのだということを決議して、相手にその自粛を求めていく。あるいは、相談があった場合には、一番問題になるのは続柄でございますので、続柄を落としてやったらどうか、あるいは配列を変えたらどうかということを指導していったらどうかと考えております。これは現に福島の問題では、この続柄の配列を変えて出版をしてあまり弊害を生じなかったという例もございますので、そういう面が一つございます。 それから、閲覧の問題は、これは自治省のほうのお考えですが、私どもとしては、住民基本台帳法の第十一条、第十二条で閲覧並びに写しの請求ができるわけでございますが、これを正当な理由によれば拒むことができるという条文がありますので、これを正当な理由で拒んだらどうか、それができるのじゃないかと考えております。と申しますのは、私権の侵害に及ぶようなものでありますので、それを守るのは国の一つの行政の目的でもありますので、そういう私権の侵害のおそれが明らかに出てくるようなものについては、正当な理由で拒んだらどうかという考えを持っております。これは戸籍のほうで同和問題がございますが、それについて除籍簿を見せろというような問題については戸籍法の運用で閲覧を拒んでおります。したがって、必ずしも客観的な執務上の障害いとうことばかりではなしに、そういう実質的な理由でもできるのじゃなかろうかと考えております。ただ、これは自治省のほうが主務官庁でありますので、私たちは参考意見として申し上げることができるだけでありますが、そういうようないろいろな面がございまして、いま、法制局とも相談して、法務省のほうで一応意見を出しておりますので、近いうちに法制局からもその旨の回答があると思いますけれども、以上が法務省のただいまの段階の見解でございます。
○佐藤(敬)委員 いま、法務省は、参考であるとは言いながら、かなりいろいろ検討しておるようです。どうか、関係各省と早急に打ち合わせをいたしまして、できるだけ早く結論を出していただくようにお願いいたしたいと思います。 行政管理庁の方に一つお聞きしたいのですけれども、例の国民総背番号と呼ばれている事務処理用の統一個人コード、これを推進するように、四十五年の二月の七省庁会議ですが、これできめておるのです。あるいはまた、電子計算機に関する技術研究委員会というところで、各都道府県や市町村で統一コードをつくってやっていくというような問題をきめておるのです。しかし、この問題につきまして、昨年九月の五日の読売新聞を見ますと、総背番号制は当面見送りにする、それが行管庁の方針であるというふうな記事が報道されております。世論が非常に激しいので、来年度は実施を見送りにする、しかし、五十年度をめどにしてこれをぜひ実施したい、こういうような報道が出ておるのですが、はたして、五十年に実施するように現在その取り運びを進めておるのかどうか、それをちょっとお伺いしたい。
○能勢説明員 先生御指摘の国民総背番号制でございますが、これは、われわれのことばで申しますと個人コードの統一というようなことで、電子計算機の利用に関する標準化の一環として、昭和四十五年以来私どものところで調査研究を進めてまいっております。ただ、この問題につきましては、一部に伝えられておりますように、行政の全領域にわたって個人コードを設定するというふうなことは考えておりませんで、現段階では、明らかに国民の利便になる社会保険コードの統一に限って基礎的な調査研究を行なっておるというふうな状況でございます。 なお、申し添えますと、この点につきまして、この四月七日の参議院の予算の第一分科会におきまして、塩出先生でございますか、これの御質疑がございまして、福田長官から、この問題について、全国民を対象にした広範な統一国民コードというものについては問題も多々あると思うので、急ぐ問題ではなく、世界の大勢とか、あるいは国民のコンセンサスといったものをよく見た上で結論を得べきものと考えておるというふうな趣旨の御答弁をなさっておることを、ご了承いただきたいと思います。
○佐藤(敬)委員 そうすると、五十年に進めるように準備はしていないということですか、しているということですか。
○能勢説明員 現段階では、ただいま申し上げましたとおり、社会保険コードの統一に限って基礎的な調査研究を進めているということでございます。
○佐藤(敬)委員 これはとにかくそれだけに限ってというけれども、実際に、このままで放置しておくと、いろいろな他の目的に使用されると思うのですよ。そういう危険性がうんとあります。コンピュターを使っていろいろなことをやるということは私も否定しません。世の中がどんどん進んでくれば、これは使わなければならないと思うのです。しかし、それだけにいろいろな問題が出てくる。その問題が出てきてからではおそいわけです。現に、いまこれは非常に大きな問題になって、あちこちで検討していますね。いま出てきた鶴岡の問題もそうですね。だから、五十年にもしこれを実施するというなら、問題の発生が予想されるので、少なくとも、四十九年度、来年度予算の審議中ぐらいには、たとえば情報基本法であるとかいうようなものをしっかりと検討してやるべきではないか、そして、国民みんなが安心してコンピューターというものを受け入れるようにすべきではないかというふうに思います。私は、これが先に長くなれば別だと思いましたが、ほんとうに五十年にコンピューターを何かしらこうして使うということであるとするならば、情報基本法なり、そういうものを四十九年度中に出して、そしてしっかりと安心したような形でこれを国民が受け入れるような方向にすべきではないかと思いますのでいま聞きましたが、この点に関してはどうですか。
○能勢説明員 御指摘の点、ごもっともでございまして、電子計算機利用が高まるにつれまして、データも、大量なものを迅速に処理する体制ができつつあるわけでございます。それで、こうした問題に伴いまして、御指摘のプライバシーなり秘密保護の問題なり、いろいろ問題が出てくる可能性もあるわけでございます。 それで、特にその中でも問題になりますのは、要するに、個人データをコンピューターで貯蔵するといった場合に、その公開の問題で、先ほど来問題になっておりますそれをいかに公開していくか、あるいは、どの辺までプライバシーの問題として保護していくかという問題だろうかと思うのでございますが、この点につきましては、従来から、各種の法令に基づきまして厳正な管理を行なってきているわけでございますが、ただ、コンピューターの利用に伴います問題といたしましては、従来の資料、文書の管理と違った管理体制が必要であることは申すまでもないかと思います。この点につきましても、現在、コンピューターの利用の推進とあわせて、データの管理体制、あるいは要員の教育訓練、そのほか人的な問題につきましてもあわせて検討を進めておる段階でございます。
○佐藤(敬)委員 もう一つお伺いしたいのですが、今度の四十九年度予算で、行政管理庁が、情報統計局ですか、この新設を要請していますね。そうすると、今度は、コンピューターとか、こういう問題は情報統計局でみんなやることなるのですか。
○能勢説明員 政府部内におきます情報処理の問題につきましては、この局で行なうことにいたしたいと考えております。
○佐藤(敬)委員 最後に一つ次官にお伺いしたのですけれども、これはこの前奥野文部大臣が発言した問題で、この間不信任案で問題になりましたけれども、例の清掃職員であるとか、あるいはくみ取りの職員であるとか、ああいう人と先生は違うのだとか、そういう差別待遇をしたような発言を文部大臣がしたわけです。いま、東京都の問題を見てもよくわかりますように、清掃だとか、こういうことが一番大きな問題になってきておる。一番大きな問題になってきて、むしろ、逆に、一番高くこれを評価しなければいけないのに、こういうような、何か卑しい仕事をしているような感じを与える発言を大臣がしたということは、われわれ地方行政をあずかる者としては、非常にこれは心外なんです。それで、一体これをどういうふうに思うかということを私はきょう大臣に所見をお伺いしようと思ったけれども、大臣はまたこの次にしまして、政務次官から御所見をお伺いしたい。
○武藤政府委員 私ども、正直言って、どんな職業の方であろうとも、どんなポストの方であろうとも、それぞれ地方公務員として働いておられる方々を同じように扱わなければならぬということは当然だと思っております。奥野さんがどういう意味で御発言なさいましたのか、私ども、よくその真意がわかりませんので、とやかく申し上げるべきことでもないので差し控えさしていただきますけれども、私どもとしてどうかという御意見であれば、私どもとしては、その職務がどうであろうとも、当然地方公務員を同じように十分に扱っていかなければならないと考えております。
○佐藤(敬)委員 あとの時間は、関連質問が一つありますので、次の人に譲りまして、これで終わります。
○中山(利)委員長代理 小川省吾君。
○小川(省)委員 残りの時間を、私は、公選法の解釈、指導、取り締まり等の問題について若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。 最近における選挙は、非常に巧妙化、複雑化、高度化し、さらにジャンボ化し、私ども選挙の候補者になる者は、非常に出費もかさむし、非常に悩んでおるわけでございますけれども、特に、そういう中で、来年度は参議院の選挙が行われる。あるいはまた、各地域において首長の選挙が行なわれる。こういう実情の中で、実は、私どもの仲間である地方公務員の諸君もそういう選挙の中に巻き込まれる危険性というものがある。特に、本省における次官や高級官僚が立候補するところの全国区の選挙や、あるいは現役の首長が出馬をされる選挙の中でそういう事例が出てくるわけでございます。そういう点で、自治省は明るく正しい選挙推進運動という形で常時啓発指導をなされておるわけでございますけれども、私どもの経験では、選挙の前に一ぺん「公務員の選挙運動について」という次官通達が流れてくるだけでございまして、特に、本省の次官等が立候補する全国区等の選挙では、本省派遣の土木部長や県の課長等が中心になって選挙の票集め活動をするというような事例が、実は、地方自治体の職場の中では非常にあるわけであります。そういう点に関連をして、自治省は、常時啓発指導の中で、特にそういう点についてどのような指導をなされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○土屋政府委員 選挙が明るく正しく行なわれるべきことは申し上げるまでもないことでございますが、私どもといたしましては、選挙民が選挙の公正を妨げるようないろいろな事象に惑わされることなく、みずからの自由な意思、判断をもって選挙に参加することができるように、有権者の政治意識の向上といいますか、そういったことをはかることを基本として、明るく正しい選挙推進ということに努力をいたしておるわけでございます。 ただいま御指摘がございましたようないろいろな問題は、これは確かに、公務員の地位利用の問題とか、法律上の禁止もあるわけでございますし、また、一般的に法の規定で禁止をしておることに反するような行動をとることは、これはもう一人一人が当然に心得て、かつ順守していかなければならないことだと考えておるわけでございます。ただ、基本的には、ただいま申しましたように、有権者の政治意識の向上といった点に力点を置いておるわけでございますし、選挙のつど、いろいろ順守すべきことの通達等は流すわけでございますけれども、具体的にそれぞれの団体なり何なりに、そういった運動をしてはいけないとかどうとかいうようなことを、こういった推進運動の中で特に取り上げてやっておるわけではございません。
○小川(省)委員 特に私は要望をしておきたいと思うのですが、特に、中央の省庁の次官や高級官僚が出馬をされる選挙の中で、地方自治体の行政機構を使うところの票集め活動が実は非常に行なわれておるわけございまして、そういう点について、地方公務員がそういう中に巻き込まれるような形の選挙を現にやっている。これは、自治省の方針としても、当然そういうことを望んでいるはずはありませんが、政治的に中立であるべき公務員自体が、選挙活動にその地位を利用してやっているケースが従来の全国区の選挙ではたいへん多かったわけでありますから、そういう点、選挙部長のほうでは、各地方自治体の部課長等がそういう中に巻き込まれないような指導をぜひ十分にお願いをいたしたい。これは次官にも、そういう点を特に要望をいたしておきたいと思います。 そこで、実は警察庁のほうにおいでをいただいておるわけでございますけれども、特に地方の場合そうなんでありますけれども、選挙の中で利益誘導という行為がございますね。利益誘導という具体的な行為というのは、どういうものを利益誘導とし、それが対象とされるのか、その見解についてお伺いをいたしたいと思います。
○中平説明員 利益誘導につきましては、御案内のように、公職選挙法の二百二十一条の二号のところに「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。」というのがありまして、いわゆる狭義の利益誘導罪でございますが、それを受けまして四号に「第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。」あるいは五号に、一号から三号までによる「物品の交付、交付の申込若しくは約束をし」「その交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込を承諾したとき。」六号に、「前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。」というような形で、一応、利害誘導を選挙法上は規制をしておるわけでございます。
○小川(省)委員 私は、一つの具体的な例をあげて、こういうことは利益誘導に該当するのではないかというふうに考えられますので、お伺いをいたしたいと思うのでありますが、これは、四十八年の八月十八日の、徳島県の阿南市の、詳しく申し上げますと、徳島の建設業協会の阿南支部の臨時総会の件でございます。この徳島県の建設業協会の阿南支部は会員百三十六名、当日の臨時総会には約八十名の会員が参集をしておったわけでございます。これはおそらく選挙公示直前であったと思うのでありますが、実は、県の土木事務所長やあるいは市の土木部長以下各部長等も列席をしておったわけでございますけれども、この臨時総会の席上で緊急動議が出て、武市知事の推薦の決議を多数決できめたわけであります。そこで知事はお礼のあいさつをしたわけであります。ここまでのケースというのは、全国至るところにこういうケースはあるだろうと私は思うのでありますが、しかし、この知事が——これは現職の知事でありまして、再び立候補を当然することになっておった知事でありますけれども、この席上で、お礼のあいさつをしたあとでこういうことを言っている。お礼のあいさつをするところまでは、通常の選挙の事前行為の中ではあり得ることだというふうに私は思っておりますけれども、その中で、契約というものは双方の信頼の上に成り立つもので、信頼の置けない者には契約はしないという発言をいたしておるわけでありますが、このあとを受けて、原田某という有力な県会議員さんがこういうあいさつをしている。この人は、この知事選挙の事務長を担当する責任者でありますけれども、この方のあいさつの中で、今度は知事と運命をともにするつもりでかかっています、全力をあげて応援を願いたい、選挙が済んだあと、支部長から協会関係者によく聞いて、よく世話をしてくれた人には——これは選挙運動をよくやってくれた人にはという意味であろうと思うのですが、よく世話をしてくれた人には世話してくれたように、世話をしなかった者とは確実な差をつけていく、私は、こういうことに基づいてこのたびの選挙の責任者になりました、私はきょうはこれを言いに来たんだと、こういう発言を実はいたしておるわけであります。このことは、土木関係のいろいろな発注工事があるわけでありますけれども、契約について、少なくとも、この知事のために選挙運動をしてくれた人と選挙運動をしてくれない人には、工事請負契約の中で、入札の中で明らかに差別をつけていくんだという発言でありまして、これは明らかに利益誘導に該当をする発言であろうというふうに私は思っております。これはその支部の要約をした議事録でありますけれども、こういうふうな発言行為というものは、選挙を前にして、明らかにこれは利益誘導に該当する行為であろうと思うのですけれども、中平捜査第二課長の見解を伺いたいと思います。
○中平説明員 きわめて具体的な問題でございますので、事柄の事実関係を私どもの立場でもなおかつ詳細に検討した上でなければ、具体的な問題としてはお答えできないと思うわけでございますが、ただいまお聞きした範囲内でお答えを申し上げますと、某県会議員が、県の建設業界の役職員に対しまして、積極的に支援をした者についてはあとで応分のめんどうを見る、そうしない者にはしかるべき処置をするということをかりに言っておるといたしますと、それは、この法律の二百二十一条の二号でいう「特殊の直接利害関係」ということに当たる疑いがかなり濃厚であろうというふうに考えておる次第でございます。
○小川(省)委員 疑いがかなり濃厚であるということですが、私もこの要約をした議事録を見ただけでございますので、事実関係については調査をされて、もしも、これが私のいま読み上げたような状態であるならば、明らかにこれは利益誘導であり、公選法違反の事実であろうと判断をするわけでありますが、そういう点、いま課長が答弁をされたような観点に立って、詳細にわたっての調査をぜひ要求いたしたいと思っておりますが、そういう調査をやっていただけますか。
○中平説明員 事実について早急に調査いたしまして、私どもの立場で処理いたしたいと思います。
○小川(省)委員 この種の行為が今後引き続いて、あらゆる首長の選挙でありますとか、特に、全国区の選挙等については行なわれる可能性が多分にあろうかというふうに判断をいたすわけであります。そういう観点に立って、警察庁としても、あるいはまた自治省としても、そういう中に地方公務員が巻き込まれて、その片棒をかつぐような行為をすること自体が、まさに、明るく正しい選挙を乱すものであるというふうに考えますので、その指導については十分徹底を期してやっていただきたいことを特に要請をして、質問を終わらしていただきます。
○中山(利)委員長代理 平田藤吉君。
○平田委員 九月十九日の地方行政委員会の調査の中で、私もこれに参加させていただいたわけですけれども、学校建設事業の起債負担がきわめて深刻になっていることがあらためて確認されたわけであります。とりわけ、埼玉の草加、春日部、上尾などでは、プレハブ教室や老朽校舎を使って急場をしのいでいるというのが実情です。しかも、学校の新増設が、建設費の高騰や地価高騰によって一そうの超過負担が大きくなってきているという状況にあります。そこで、きょうは、時間も限られているので、調査で明らかになりた問題について幾つかお伺いしたいというように考えるわけです。 若干の状況を申し上げますと、学校建設に伴う三市の超過負担というのは、上尾では、四十六年度が六千百七十四万円、四十七年度が七千三百一万円、草加市では、四十六年度が五千四十八万円、四十七年度が三億四百八十四万円、春日部市の場合は、四十六年度が五千二十八万円、四十七年度が一億九千八百四十九万円、こういう状況なんです。 こういう状況でございますけれども、一つの学校の例をあげてみたいと思うのです。それは、上尾市の大石南小学校の新築をめぐる問題です。これは人口急増の中でも最も急増している地帯なわけですけれども、上尾市では、国に対し、国の基準に基づいて、児童数三十六学級千四百八十人ということで、六千二百七十七平方米の認定申請を出したわけです。ところが、国の認めた面積は、約半分の三千二百十三平方米ということです。これは一体どのような理由によって申請の約半分という事態が生まれたのかをまずお伺いしたいと考えます。
○西崎説明員 ただいまの先生の御質疑にございます大石南小学校の具体的ケースにつきましては、ただいまちょっと資料を持ち合わせておりませんが、私どもの新増築についての面積計算でございますが、本年度から、従来御説明を申し上げておりますように、基準面積を二〇%アップしたわけでございます。従来は、基準面積が、市町村がおやりになる実態に比べて非常に小さいということで、基準面積を上回る部分が超過負担で出ておったわけでありますが、その点については二〇%の基準改定をやっておりますので、まず、この点、超過負担の解消がはからられたと思っております。 それから、第二点は、新増築に関しましては、集団住宅であるとか、団地の過去にできたものについての学年進行分とか、いろいろ見込みに基づく児童生徒の増があるわけであります。その点、従来は、集団住宅だけしか三年前向きを認めていなかったわけでありますが、本年度からは、集団住宅以外に、過去の団地の造成に伴う学年進行分も、幼児の増加の分も、それから、あわせてばら建ちにつきましても、三年前向きを認めることにしたわけであります。そういう形でございますので、面積計算としては、去年よりは非常に改善されておるはずでございます。 ただ、先生がおっしゃいますところの、六千二百七十平方米が三千二百平方米というお話しでございますが、その事情についてはつまびらかでございませんけれども、私どもとしては、急増地域の新増築については、できるだけ目一ぱいの面積計算をしたいというふうに考えております。
○平田委員 私が聞いているのは具体的な事例で、なぜ半分にしたのかということを聞いているのです。答えてください。
○西崎説明員 大石南小学校につきましての御質疑について、私、ちょっと具体的に本日承知しておりませんで、現在資料を持ち合わせておりませんので、後刻調べまして、別途先生にも御連絡、御説明を申し上げるようにいたしたいと思います。
○平田委員 いまの質問時間中にちょっと調べてください。具体的な事例なんですからね。これは質問時間中に、ですよ。いま調べてもらって、すぐ返事してください。この問題はあとでまたやります。これは事前に話してあるのですから、そういう不誠実な態度をとったのではだめですよ。 次に、厚生省の担当はどなたですか。保育所の問題についてお伺いしたいわけです。 保育所の運営に要する費用の十分の八を国が負担すべきだということは、地方財政法の十条、児童福祉法五十三条にきめられているわけです。これは実際に要した費用を負担するということだと思うのですけれども、どうお考えなのか、お聞かせいただきたい。
○松田説明員 お話しのとおり、法律では十分の八を負担するということが書かれております。保育所につきましては、児童福祉法の三十五条の規定によりまして、市町村につきましては、これは任意に設置ができるということでございますが、児童福祉法の全体の趣旨から考えまして、実際に支出をいたしました施設の費用につきましては、この負担の対象になり得ないものというふうに思っております。 保育所につきましては、先ほど申し上げましたように、児童福祉法の三十五条の規定によりまして任意設置でございます。したがいまして、国庫負担につきましては、市町村あるいは国、都道府県、それぞれ協議をいたしまして、その協議のととのったところで負担をするたてまえにいたしておるわけでございます。したがいまして、実際に設置に要しました施設費用のすべてにつきまして国庫負担を行なうという趣旨ではないというふうに考えております。
○平田委員 これはたいへん論議のあるところで、法律解釈であなた方がかってに出すべきものを出していないということがあらわれているわけですから、その問題はまた別に論ずることにして、きょうは、特に、措置費の超過負担をめぐる問題を重点に置いてお聞きしたいというふうに思うのです。 厚生省は、運営に要する費用の算出について保育単価をきめております。ところが、これは、今日では全く実情に合わない低い額になっております。そのために、市町村は、これらの運営にあたって膨大な超過負担をしいられる結果になっているわけです。たとえば、運営費の中の保育材料費は、国の基準で見ますと、児童一人当たり月額三歳以上が三百九十六円、三歳未満が四百六十二円というふうになっているわけです。ところが、埼玉県春日部市の第一保育所の場合を見ますと、これは三歳以上を扱っているわけですけれども、ここでは七百三十円かかっているわけです。三百三十四円の超過負担になっております。第二保育所は三歳未満を扱っておりますけれども、千九十八円、六百三十六円の超過負担です。上尾の場合でも平均六百二十円、草加市の場合で平均九百五十四円もかかっているわけです。これは、日本全国のどの保育所でも、全部調べてみても共通した問題だと思います。こういう実態ですね。こういう実態に基づいて、保育単価を、思い切って実情に即して引き上げるべきだというように考えるけれども、どうお考えか、お聞かせいただきたい。
○松田説明員 ただいま御指摘の数字は四十八年度の数字かと思いますが、四十八年度におきましては、施設に入所いたしております児童につきまして、保育費の値上げにつきましては一一・八%の値上げを……。
○平田委員 失礼いたします。発言中申しわけないのですけれども、これは四十七年度です。
○松田説明員 四十八年度におきましては、保育材料費、いわゆる保育費につきましては、一一・八%の値上げを行なったわけでございます。保育所の保育単価の改善につきましては、私ども、年々その引き上げに努力をいたしておる次第でございます。来年度以降もその改善に努力をいたしたいと考えております。
○平田委員 努力をしたいというふうにおっしゃいますけれども、幾らか引き上げちゃ、努力したんだ努力したんだということでは、この物価高騰の中で追っつきやしないのですよ。だから、大胆に改めるつもりはないのかということを聞いているわけです。
○松田説明員 できるだけ改善に努力いたしたいと思っております。
○平田委員 給食費だってそうですよ。お八つ代を含めて一日四十円前後だというのですね。これで基準だ。何が基準でこういうものが出てくるのかわからないのです。それから、保母さんは、国の基準で、三歳未満の場合六人につき一人、それから、三歳児の場合二十人につき一人、四歳以上は三十人に一人というふうになっております。小学校の児童を扱うような数になっているのです。四歳以上はね。これも実態に全く合わないのです。そのために、超過負担覚悟で市町村は保母さんを入れているわけです。つまり、基準と言われるもの以上にはるかに上回って入れているわけですよ。上尾市の場合で見ますと、現在の国の基準でいくと六十五人なんです。ところが、実際は九十人必要だ。九十人置いているのですよ。春日部では、国の基準によると六十七人だけれども、実質人員は百四人置いております。草加市の場合も、国の基準ですと七十八人ですけれども、実際は百人置いている。このために、人件費は、上回った分がすべて市の負担になっている。しかも、実際に保育園を運営するということになりますと、これでは足りないのですよ。保育に欠ける子供という場合に、これは定時間でものが済まないのですね。早出、残業を保母さんがやらなければ解決しないのですよ。そこで、上尾市では、非常勤職員を市の負担で三十七名別に置いております。それから、このために要する費用が月に三百五十七万円ですよ。春日部でも十六名置いておりますし、草加でも七十一名置いております。これらの結果、措置費の超過負担が、四十七年度で、上尾で五千二百六万六千円、春日部で七千三百十一万七千円、草加で八千七百九万九千円にものぼっているわけです。これも全く実情に合わない基準から起こってきている。ゼロ歳児六人に一人の保母さんで、とてもこれではめんどうを見られるものではないですよ。人間扱いじゃないですよ。これも急速に改めるべきだというように思いますけれども、どう考えられるか。
○松田説明員 保育所の保母の定数につきましては、ただいま御指摘のとおり、ゼロ歳児につきましては三名に一人、それから、三歳児未満につきましては六名に一人、三歳児につきましては二十名に一人、四歳児につきましては三十名に一人、これが現行の基準でございます。保母さんの定数がどの程度が適当であるということは非常にむずかしい問題でございますけれども、私どもといたしましては、とりあえず四十八年におきましても、非常勤保母の増員ということで勤務条件の改善その他に資するように、非常勤保母の増員をはかったところでございます。また、来年度におきましても保母の定数を確保すべく、予算要求をいたしたいと考えておりますが、現在のところ、ただいま申し上げましたような基準で措置をいたしておりますので、改善につきましては来年度以降もさらに努力をいたしたい、かように考えております。
○平田委員 保育園の超過負担分について努力をしたいというふうにおっしゃるのですけれども、たとえば、保母さんの基準はどういうふうに設定されているのか。生理休暇をしなければならない。それから、年休もちゃんと保障しなければならない。その他の人員の動向を見ますと、あなた方は、休みもなしにきちっとやった人員しか組んでないのですよ。ですから、そういう意味で、この保母さんの定数も大胆に改めて、実情に沿うようにすべきであるというように考えます。 何しろ、国の、いま言われた厚生省の保育単価で、児童福祉法の二条が定めている「児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」というふうになっておりますけれども、その責任が負えると考えておられるのかどうなのか。現在の国のやり方では、責任を負えないということをみずからが言っていることにひとしいというふうに思うのですよ。あなた方は、現在のものでだいじょうぶなんだが、これからもっと努力するというつもりなのか、それとも、現在の状態では非常に不足しているというふうに認めて改善すると言われているのか、どちらなんですか。
○松田説明員 保母さんの定数その他保育所におきます措置児童の処遇の問題は、いま先生御指摘のような問題が多々あろうかと思います。現在、中央児童福祉審議会におきましても、その点につきましての御検討を願っているところでございまして、今後ともこの改善につきましては最大の努力をしてまいりたい、かように考えております。
○平田委員 現在は十分だとは思っていないわけですね。実際に法律をきちっと守って、そして、この児童福祉法にいわれているようにきちっと守ってやっているというふうには思っていらっしゃらないのですね。足りないと思っていらっしゃいますね。
○松田説明員 現在の保育所の保母さんの定数その他につきましては、私ども、一応現行の最低基準を維持するように、措置費につきましても措置をいたしておるところでございます。 なお、御指摘のような問題につきましては、ただいま申し上げましたような検討の過程を経て、十分な改善の努力をして実現をいたしてまいりたい、かように考えております。
○平田委員 地方財政法の十八条は、国の負担金の額は、「地方公共団体が当該国の支出金に係る事務を行うために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」というふうになっているのですね。いま私がずっと実例をあげてきた状況から見て、これは十分満たしているとは言えないじゃないですか。これ自身が、国の保育単価というのは地方財政法、児童福祉法に違反しているというふうに判断せざるを得ないですよ。あなた方はどう考えていらっしゃるのですか。
○松田説明員 保有所の問題につきましては、設置費、運営費、いずれにいたしましても、従来の費用の内容の改善に今日まで厚生省といたしましても努力をしてまいったわけでございます。四十八年度におきましては、御承知のように、設置費につきましても大幅な改善を行なったところでございますし、措置費につきましても、先ほど申し上げておりますような改善の措置を漸次講じているわけでございます。今後ともそういう方向で改善には努力してまいるつもりでございます。
○平田委員 とにかく、納得できる話じゃございません。幾らかやってきましたという話にしかすぎない。ふえた額だけ言っているだけのものであって、だから、法律で定めた基準に合っているのですという確認にはならないですよ。そういう意味で、今後ともこの問題については努力をしてもらうと同時に、われわれも追及をゆるめずに続けていきたいというように考えております。 次に、保健所建設をめぐる問題について質問したいと思うのです。これは保健課長さんですか、どなたかお答えいただきたいと思うのですけれども、地方財政法二条の二項は、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、」いやしくも「地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」というふうにきめておりますけれども、これはどうお考えですか。
○山本説明員 おっしゃるとおりだと思います。
○平田委員 おっしゃるとおりだと言ったって、実際やっていることがそうなっていないんだからね。小学校の子供に聞かせてごらんなさい。笑われますよ、ほんとうに。 保健所の設置に要する建設費及び調度費というのは保健所法の十条、政令九条それから地財法十条により、国がその二分の一を負損しなければならないというふうにされております。しかし、国が、自治体が設置した保健所に負担金を出していないというところがあるわけです。さらに、これから県が保健所を設置しようとしているけれども、国から負担金を出さないというふうにいわれているところがありますが、この事実を知っておりますか。
○山本説明員 国の基準によりまして厚生省のほうで承認いたしました保健所につきましては、一応、法に基づきます財政的な措置はさせていただいております。
○平田委員 何だかわかりませんけれども、あなた方は保健所をつくらない方針でやっているんじゃないですか。ここのところ、数をつくっていないんじゃないですか。実際に、たとえば、ことし、埼玉県で、上尾へ保健所をつくりたいということで政府にお願いした。そうしたら、認められないということになった。これは事実なんでしょう。
○山本説明員 埼玉県として、上尾の地域人口がふえたことに伴いまして、保健所を設置したいという意向を口頭でお話しがあったように私の前代が聞いておりますけれども、現在、保健所の設置につきましては、一応政令に定めます基準がございますが、なかなかマンパワーが十分得られないというようなこと等がございますので、必ずしも県の御要望に単純な形で沿っていない点があろうかと思いますけれども、それぞれ担当の県との話し合いにおきまして、設置につきまして、必要なところについてはめんどうを見るようにさせていただくという方針でおります。
○平田委員 全国にある保健所の数というのは八百三十九カ所だそうだけれども、これは、何年問いままでふやしていないのですか。
○山本説明員 ここ数年間ふやしておりません。その主たる理由は、保健所と申しますのは、医師をはじめといたしまして、保健サービス及び監視監督の業務がございますが、これらの人手がなかなか得られない実情でございますので、そういったような関係から十分な増設というものができない実情でございます。
○平田委員 それは、国が医者まで心配してちゃんと配置するのですか。そんなことはないでしょう。県がつくりたいと言っているものを、あなた方はつくっちゃだめだと言っているのじゃないですか。そういうことは理屈ですよ。あなたはそういう理屈を言っているんだが、数年間も法律違反を、あなた方、自身がやってきているじゃありませんか。法律によれば、人口十万以上に一カ所つくるということになっているんでしょう。それを数年間もつくらないようにしてきているというのは、あなたがどんなに言いわけをしようと、それは詭弁ですよ。法律違反をあなた方自身が先頭に立ってやってきているということを証明しているんだと思いますね。保健所法施行令によれば、二条は、「保健所は、人口おおむね十万を基準として設置するものとする。」というようにいっているんですよ。十万をこえたところへ県がつくりたいといったら、国がちゃんとそれに対して補助を出すべきなんですよ。それを、医者が足らぬとか、やれなんだとか、ややこしいことをあなた方は言っておるが、どうなんですか。問題というものは、あなたが言うところにあるんじゃないですよ。あなた方自身が保健所法と地財法に違反している。ここのところはどう考えているんですか。
○山本説明員 ただいまたびたび申し上げておりますけれども、保健所といっても、建物だけではなしに、地域の保健サービスをするための十分な人が得られない。ということは、むしろ、逆に、設備をいたしましても、サービス面での低下ということがございますので、ここ数年ふやさずにいるという実情でございます。特に、医師をはじめといたしまする保健所の仕事に従事する職員というものは、例年充足率が減っているという実情がございますので、そういう理由からふやさないということになっております。
○平田委員 幾ら聞いても、あなたの言うのは話になりませんよ。県が何としてでもつくりたいと言っているのに、いや、そういうことは認めません、認めないんだから予算はつけませんと言っている。そうでしょう。やむを得ない、とにかく何とかしなければならない、法律を守らなければならないというんで、県はやむなく上尾に保健センターという名称でつくろうとしているのですよ。この十一月に着工するんです。補助金を出してあげたらどうなんですか。ぐずぐず理屈を並べていますけれども、これは、許認可業務を除いた一切をやるということですよ。それをつくるといっているんですから、どうですか、幾らかでも出す意思がありますか。
○山本説明員 保健所の機能といたしましては、地域住民に対しましての保健サービスという面と同時に、いろいろな衛生施設等に対しての許認可業務及び監視、監督業務というものがございます。したがいまして、現在上尾にございます保健センターといいますのは、保健サービスの面だけを考えたものでございまして、保健所法にいう保健所とは考えられない施設でございます。 それから、もう一つ、いまお尋ねの中にございましたように、保健所はおおむね十万以上の地域に設置するということになっておりますけれども、なお、ただし書きに、その地方の事情、交通機関とか、いろいろな事情によりまして、必ずしもこれに沿わないような場合にはこの限りでないということもうたっているわけでございますので、特に、僻地的なところにおきます保健所については、過疎地帯におきましての保健所を減らすということはなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、都市周辺の人口増に対しましては、ある程度包括する人口が大きくなりつつあるという実情でございます。ただ、それに伴いまして、その地域周辺、都市周辺の保健所におきましては、従事する職員の数をふやすというようなことで補うというふうな方法を現在とっているわけでございまして、今後の保健所の方向といたしまして、保健サービスは、先生がおっしゃるように地域住民に密着するものでございますから、たくさんあったほうがよろしいと思います。監視、監督業務につきましては、若干集約的にあるべきだと考えておりまして、その辺、専門の先生方等の意見をいま聞きまして、新しい方向を数年のうちにとりたいと考えておるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○平田委員 私が言っておることは、あなた方は認めない。実際に、大宮との関係で言えば、大宮が人口三十万で、一カ所しかないんです。そして、上尾がいま十四万で、これを含んでいるから、四十四万に一カ所ですよ。でたらめな話でしょう。それに、県がつくりたいと言っているんだから、つくらしたらどうなんですか。認めたらどうなんですか。それを、いや設備が伴わないとか、いろいろなことを言っているけれども、保健所としてつくりたいと県が言っているのです。地方自治体で積極的にやろうとしている仕事をあなた方は妨害しているのです。法律違反をあなた方は先頭に立ててやっているのです。国民に聞かしてごらんなさい。だれだってそんなことは納得しませんよ。私はそれを認めるわけにいかない。この間自治大臣が話し合いで何とか道を開こうじゃないかと言っていたけれども、実際に話し合いで道を開く見通しがありますか。補助金を出すということが言えますか。
○山本説明員 埼玉県と直接十分相談をして検討してまいりたい、かように存じます。
○平田委員 自治体は超過負担で悩んでいるのですから、一〇〇%超過負担などということは絶対にないように、ひとつ積極的にやってもらいたいと思います。 先ほどの大石小の問題について、引き続いて質問したいと思うのですが、わかりましたか。
○西崎説明員 先ほどはたいへん失礼いたしました。ただいまさっそく調査いたしましたところ、本年度上尾市からの申請は、県を通じまして、先生御指摘のように、六千二百七十七平米という申請が出ております。私どもの事業執行のやり方といたしましては、国庫負担事業量については、県別にある程度ワクを差し上げるわけでございます。私ども、全国の市町村をストレートにつかまえるわけにまいりませんものですから、そういう意味で、埼玉県にワクを差し上げまして、ワク内でのある程度の割りつけというものをしてきているわけでございますが、埼玉県のワク内での処理として、三千二百十三平米という埼玉県からの申請があるわけでございます。そこで、私どもとしては、三千二百十三平米につきましては、本年度の認定を八月当初にいたしております。ただ、問題は、三千二百十三平米の認定を済ませておりますが、なお、六千二百七十七平米に対して三千六十四平米が残っておるという点でございます。この点については、埼玉県のほうから、ことしは事業量が非常にきつい、県のワク内処理では六千平方はとても無理だというふうなことで、県のワク内処理としては三千平米であるが、全国的な観点で、可能ならばなお三千平米の追加をお願いしたいというふうに出てきておるわけでございます。そういう意味では非常に問題になるわけでございますが、ことしは、先般申し上げましたように、単価改定のために四十万平米の事業量の減をいたしておりまして、現在、事業量という点では非常に窮屈になっております。一校当たり六千平米という数字は非常に大きいという問題と、それから、この大石南小学校の建築にあたっては、県と市町村の間で必ずしもストレートに合意がなされていたかどうかにつきまして、若干私どもも聞いておる点がいろいろございますが、県のほうといたしましても、他の市町村とのバランスその他で、そうストレートに六千平米という数字を出すことについて、やはりちゅうちょしておるという点もあろうかと思いますが、なお、県ともよく相談いたしまして、今後の処理につきましてはいろいろ検討させていただきたいというふうに思います。
○平田委員 いまそうおっしゃったけれども、これは、認定申請を出させて、それからあなたのほうで、それは大きすぎるよというので指導して、そして三千何百平米というもので申請が出てきているわけでしょう。出させたんだ。県がどうとかこうとか言っているけれども、うそです。私は調べてきている。あなたのほうが半分に切ったのです。そうしたら、残った生徒はどこへ入れますか。教えてくださいよ。
○西崎説明員 私どものほうとしては、申請につきましては、これは資格面積ですから、市町村として申請されることにつきましては、当然私どもお受けせねばいかぬと思っております。ただ、当該年度は、全体の事業量との関係で、その事業量が全部満足に、事が超過負担を解消すべき一つのねらいがあるわけで、私どもとしても、今後当然そういう方向で努力をせねばならぬと思っております。この点については、もうすでに着工しておられるようでございますね。そういうふうなことから言いましても、いろいろな問題が発生するわけでございますが、全体の事業量等の関係でこういう事態が起きないように、私どもとしても努力しておるわけでございます。個別問題の処理につきましても非常に苦心をしておるわけでございますが、この点につきましても、県ともいろいろとよく相談をさせていただきたいと思います。
○平田委員 子供が余ったらどうしますか。あなた方はそういうことばかりやっておるのですが、余った子供はどうするのだ。はっきりしなさいよ。基準に違反して詰め込んでおいていいのかどうか。
○西崎説明員 学校施設の建設事業につきましては、本来、鉄筋校舎なり、木造校舎なり、鉄骨という形で、国庫負担事業として行なわれるのが筋合いでございます。したがいまして、負担率あるいは事業量、単価の改善に毎年つとめておるわけでございます。現実問題としては、先生御指摘のように、事業量なり単価なりがなかなか間に合ってこないということで、四十八年度も相当の改善をしたということは、分科会その他を通じているいろ御説明をしておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のような、国庫負担の事業量がなかなか間に合わぬというようなことから、プレハブ校舎ができておるというような現実は御指摘のとおりでございます。そのプレハブ校舎を解消するためにも、今後、公立文教施設整備事業の拡充を進めなければならぬということは私どもも十分自覚し、事業の拡大に努力しておるわけでございますので、御趣旨に沿って、来年度以降また、この点について、政府全体の施策の一環として努力いたしてまいりたいというふうに思っております。
○平田委員 じゃ、来年度も、この学校の問題については、債務負担行為で国が責任を負うというふうに理解してよろしゅうございますか。
○西崎説明員 債務負担行為の制度と申しますのは、いろいろな法令、制度のやり方があるわけでございます。したがいまして、正式な国庫債務負担行為となりますと、実際に全体の契約を二カ年に分けまして全体の契約をやってしまうというふうな制度が必要でございます。それは別といたしまして、市町村自体が私どもなり県なりと実質的な話し合いをしまして、実際の事業の完成が翌年度にまたがるとか、そういういろいろな要件を備えた場合は、債務負担行為的なものとは別なものとして、翌年度事業として採択するということは可能なわけでございます。債務負担行為にはいろいろ要件がございますので、一がいには申せませんけれども、その点なんかと、本年度の事業量が少ないということも考えまして、いろいろくふうをしておる次第でございます。
○平田委員 御説明は聞きましたから、大いに努力をしてもらいたいと思うのです。しかし、いずれにしても超過負担を、当然起こり得ることを承知の上であなた方は認めておるというのが実情です。そういう政治をやっておる。これは法律違反だ。法律違反は政府が先頭に立ってやっちゃだめだ。改めるべきだというふうに考えます。 次の、林さんのほうに質問を譲ります。
○中山(利)委員長代理 林百郎君。
○林(百)委員 きょうは国家公安委員長も見えませんし、警察庁長官も見えませんし、私の質問が急だったものですから答弁者もそろっておりませんが、警備局長に質問をいたしますが、事は、日本の国の主権に関する重大な問題であり、警察の捜査権にも関する重大な問題であるところの、いわゆる金大中氏事件に関する自衛隊調査隊員の介在の問題を質問いたしたいと思いますので、わかっていることはできるだけ詳しく答弁をしていただきたいと思います。 二十四日に警視庁の特捜本部が明らかにしましたところによると、金大中氏事件で、自衛隊の調査隊員が介在していた。これは、形の上ではミリオン資料サービス興信所ということになっておりますが、この関係について、警察当局の責任ある答弁をここでしていただきたいと思うわけです。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。 金大中氏事件が発生いたしましたのは八月の八日でございますが、それから四、五日たってから情報の提報がございまして、それは、飯田橋の私立探偵社の責任ある者ということですが、自分の身分とか会社とかいうものは一切公表してもらっては困るという前提に立つわけですが、証人としての保護を求めて、あわせて来ておるわけです。そして、その者の言うことには、七月の中旬ごろ依頼された、その依頼の内容は、金大中氏の所在を確認したいということで、金大中さんの東京における事務所のある原田マンションというのですか、この付近を調べておいていただいて、そこに金大中さんが来るかどうか、所在確認をひとつお願いしたいということを佐藤という人から頼まれた、そして、自分たちは若干そういうことをやってみた、個人タクシーみたいなものと契約して、その付近におって、そこにだれが入ってくるかということを視察してみたけれども、そういう金大中さんという人が——これは手配写真をもらっておったようですけれども、そういう人物がそこに出入するということは確認できなかったということで、結局、七月中旬に頼まれて、下旬にはもうけっこうだということで——そういう私的な契約でございましたが、それの契約の解除といいますか、そういうことでその仕事は終わったという事実があって、自分としては私的な契約で忘れておったところ、八月八日に金大中さんがいなくなったという報道を聞いて、自分はこういうことでその人の所在確認を頼まれていろいろやっておったということを思い出して、捜査の参考になるんじゃないかということで捜査当局のほうにわざわざ申し出てきた、ということでございます。 そして、それに基づいて、非常に重要な参考資料でございますので、御本人からその後事情をよく承って、いまのようなことがわかったわけでありますが、さらに、その佐藤という人、依頼主がだれかということで、いろいろとこちらも捜査もしておりました関係上、すぐにではございませんが、若干の日がたってから、いわば、そういう参考関係者の写真を幾つか示したところ、その探偵社の方が、これがよく似ているということで指摘された人が金東雲一等書記官であったということが一連の経緯でございます。
○林(百)委員 警備局長の答弁を聞いていますと、いろいろふに落ちない点があるわけなんですが、第一に、この飯田橋三丁目ですかにあるミリオンサービス興信所の所長の坪山晃三という人ですね。これは新聞にも出ていますね。この人がそういう事情を伝えに来たわけなんでしょうね。これはもちろん警視庁の捜査本部へ来たのですか。警察庁へ来たのですか。
○山本(鎮)政府委員 それは、警視庁の捜査本部のほうでございます。しかし、名前は、さっき申し上げましたように、御本人が絶対に言ってもらっては困るということで、そのお約束でございますので、私の口からは言えません。
○林(百)委員 あなたの口からは言えない。新聞にはもう出ておるわけなんです。そこで、私のほうから名前を言いますから——もう新聞にまで出ていることを、私が国会での質問で言わないわけにはいきません。このミリオン資料サービス興信所というのは、どういう規模の興信所で、どういうことをやる興信所なんですか。興信所といえば、大体普通の概念はありますけれども、どういう規模で何をやっているのですか。
○山本(鎮)政府委員 それは、たいして大きな規模ではないようです。自衛隊をやめた方が個人的にやっておられたもので、そして、始めてからまだ期間もないし、規模としてはきわめて小さい規模であるということしかわれわれのほうとしては存じておりません。
○林(百)委員 所長が坪山という人で、調査員が江村という人だということですね。新聞に出ています。この二人だというわけですね。これは、警察はもうすでに捜査しているでしょうが、その程度の規模の興信所なんですか。
○山本(鎮)政府委員 そういうふうに承知いたしております。
○林(百)委員 そうすると、その程度の規模の興信所へ金東雲書記官が依頼に行った。これは、警察としてももう確認しているわけでしょうね。こんな小さな、新聞によれば、電話帳にも名前も出ておらないようなこういう興信所へ何で行ったかということについては、捜査されましたか。
○山本(鎮)政府委員 先ほど申し上げましたように、その責任者の方のおっしゃるには、佐藤という方が直接依頼に来たということなので、どういう経緯で自分を知って来たのか、それは承知していない、ただ、私立探偵社のほうへ依頼があり、われわれのできる仕事ならやるということでお引き受けをしただけであって、どういう関係で来たかは自分としてはわからない、こういうことでございました。したがって、われわれとしても、全東雲一等書記官に出てきていただいて、その間の事情を承知したいというような気持ちは一方において持っているわけでございます。
○林(百)委員 そうしますと、この興信所へ依頼に来る人はいろいろの人があると思いますが、警察当局で、金東雲をも含めて、こういう人が来たかという一定の限定された写真を出されたという、その範囲は、どういう範囲の写真を出したのですか。どうして金東雲の写真を出したのですか。何か関係があるということがわからなければ、写真が出せるはずがないと思うのですがね。
○山本(鎮)政府委員 捜査上のいろいろな積み重ねによって、何十名かの関係者というものがいろいろと捜査の過程で出てきたわけです。御承知のとおり、畑中金次郎とか、いろいろな人物像を解明しなきゃいかぬ。そういう中で出てきた何十名かの写真をごらんに入れて、もしかしたら、この中にそういう依頼主がいるのじゃないかということで見ていただいたという経緯でございます。
○林(百)委員 それでは、その写真の中に金東雲の写真を入れたのはどういうわけですか。
○山本(鎮)政府委員 それは、捜査上の非常に機微にわたることでございますから、理由をこまかくは御説明できないのですが……(林(百)委員「こまかくなくていい、大要を納得するように説明してください」と呼ぶ)それは、御承知のとおり、金大中さんの誘拐であり、梁一東さんとか、金敬仁さんとか、そういういろいろな韓国の方が関係しているような事件なので、韓国関係のそういう方々の写真を、こちらとしてはいろいろな手段によって積み重ねて集めてまいったということでございます。
○林(百)委員 だから、集めたことはわかりますが、その中に金東雲が一枚加わっていたということは、この事件が起きて四、五日たって、坪山氏が捜査本部へ事情を言いに来たというのですが、警察では、そのときにもう金東雲の関係がうすうすわかっていたのではないですか。うすうすだか、はっきりだか知りませんけれどもね。それでなければ、その中にそんな写真が入っているはずはないでしょう。
○山本(鎮)政府委員 これは、先ほど申しましたように、非常に捜査の機微に属する点でございますので、ここで御説明することを遠慮したいと思います。
○林(百)委員 どうもおかしいと思うのですが、それでは、警察庁は、この問題をどうしていまごろになって発表したのですか。もっと早く発表して、そして、その指紋と同時に、こういうこともあると——指紋の問題が金東雲から出てきたのですね。だから、もっと早くやって、金東雲の来日を要求するのだという一つの裏づけにしたらよかったじゃないですか。 結局、この事件の捜査の初動のおくれもからんで、そこに、日本の捜査当局が後手後手に回っている。後手後手に回っていること自体が、何か、政治的ないろいろの複雑な関係から故意になされているのではないかという推察もあるわけなんですね。そういうときなんですから、警察当局としては、国民の疑いを晴らすために、そういう疑惑のあるもので、しかも、その当事者が捜査本部へ申し入れてきて、確かめて、もうはっきりしていることなんですから、それをもっと早く金東雲の嫌疑事実の中に入れて、そして、彼の来日を要求する一つの資料になぜしなかったのでしょうか。
○山本(鎮)政府委員 これは、先ほども申し上げましたように、証人の保護ということ——そういう本人の申し出で、これは絶対に外に出しては困るということで、自発的に申告をされたという経緯があります。したがって、御承知のとおり、エレベーターで拉致されたところを見た証人についても、御本人の希望があって、名前等は絶対に外には出しておらないわけでございます。 そして、いまの指紋の関係と、それからエレベーターの中の証人ということで、金東雲一等書記官の出頭要求の際に、ある程度のその理由というものを捜査本部のほうで一応説明をしたわけでございますが、これをなぜ伏せておったかということでございますが、御承知のとおり、金東雲一等書記官については、向こうのほうは全然関係ないというようなことを言っているわけでございますが、捜査のたてまえとして、向こうのほうが何でもないと言っているものを、一々こちらでそういう手のうちを全部明かして、向こうにいわば弁解の機会を与えるというようなことになれば、捜査上も非常に支障もできるし、そういうことをあわせ考えて、全部さらけ出すというようなことはわれわれとしてもしたくない。あの二つの理由で十分国民が納得できるだけの資料が整っているというふうに判断をいたしまして、本件について具体的に発表することはずっと差し控えておったわけでございます。
○林(百)委員 捜査の責任は日本の警察当局にあるわけですから、この事件の真相について、何も遠慮することなく捜査の真相を発表するということは、日本の警察当局の当然の権利ではないでしょうか。それを韓国側がどう受けとめるか心配だから、真相を国民の前に発表することができないということ、国民が、日本の捜査権が韓国のために侵されているのだ、日本の主権が侵されているのだということを心配しているのはそこにあるのではないでしょうか。だから、そういう真相がわかったならば、わかったことを当然に国民の前に明らかにすること、これはもうはっきりしていることなんですから、そのことが日本の捜査権の権威を打ち立てることになるし、主権が侵害されているというような重大な事態に対しての日本の警察当局のとるべき当然の態度だというように思うわけなんです。 そこで、お尋ねしますが、坪山氏という人は、このことを発表されると自分の身があぶなくなるということを何で言うわけなんですか。それは警察でお調べになって、どうだったのですか。
○山本(鎮)政府委員 これは、秘密探偵社ということで、ひそかに依頼を受けて仕事をするというのが大体本質的な仕事の内容で、これをやっている会社でございますので、依頼主との関係については、すべて秘密を守っていくということが本来の仕事であって、こういうことを公表するということで、頼みに来る人がもういなくなるということが基本的なこと、それから、そういうようなことを言えば、何で話したかということで、契約違反とかいろいろなことでまた責められるということも考えられるということ、そういうような配慮だと思うのです。
○林(百)委員 しかし、事は日本の主権が侵されているということですし、しかも、山本警備局長の最初の答弁によれば、自分の一身上の安全のためにこのことは公表しないでくれと言ったと言うから、このことの真相を言うことによってだれからどういう危害が加えられるかと聞いているわけです。あなたの答弁にそれがあったわけですよね。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。 危害ということばは使わなかったと思うのですが、一身上のいろいろな関係——いま言ったような、自分としてはやっとそういう公的な仕事からはずれて、私的な、いわば私企業をやっていくということで、まだ始めたばかりであって、経営の将来というようなことも考えて、そういう非常にデリケートな面をおもんぱかって仕事をしている、こういう弱い立場の人だと思うのです。それは別として、そういう立場にありながら、こういう金大中事件という事件の発生を見て、これが何か役に立つのじゃないかということでわざわざ言ってきてくださった。言ってこなければ言ってこないでわからないことであります。それをわざわざ申し出てくださった。そして、その中で、自分の職業の秘密なり自分の立場というものを十分考えて、公表しないでほしいというふうに本人が捜査本部に申し出てきているわけでございますので、やはり、これを守っていってやるということが頼まれた者の立場だと思います。そして、そういうように貫いていくならば、またほかの者が目撃者として出てくる可能性もあるわけでございます。こういうことがもし出てしまうと、知っていた人も出てこないということになって、非常に将来の捜査のプラスにならない、あれやこれやいろいろ考えて、この問題はそういうことで公表すべきものではないというたてまえを貫いてきておったわけでございます。 〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
○林(百)委員 それは少し山本さんの考えがおかしいので、日本の国の主権が侵されているという重大な事態に直面しているときに、国民がそういうように次から次へと協力をしてきてくれているんだということを捜査当局が発表することが今後の国民の協力を誘発することになるのであって、そういうことを隠していれば、かえって国民の協力が得られないことになるんじゃないか。むしろ、いま日本の国が直面している重大な事態を国民全体に知らせて、明らかにこのような主権侵害がなされているんだということをはっきりさせ、そして、国民の協力を求めることこそが日本の捜査当局の行くべき道だというように私は思うわけです。 そこで、ちょっと防衛庁の関係にお聞きしますが、この坪山晃三ミリオン資料サービス興信所の所長と調査員の江村菊男氏、この二人は、自衛隊の調査関係の経歴はどういう経歴の持ち主ですか。
○馬場説明員 現在の段階では名前は明らかにできませんが、該当者と思われる者につきまして申し上げますと、A所長は、宇都宮大学を卒業した者でございまして、三十二年に入隊いたしまして、調査隊の勤務としては、三十七年の八月東部方面調査隊に勤務、その後陸上幕僚監部の二部に勤務、そして、四十八年六月三十日に退職をいたしたということでございます。 それから、一方のいま問題になっていると思われる者につきましては、三十年一月に入隊いたしまして、その後の調査関係の経歴といたしましては、三十七年の十月に東部方面調査隊に勤務いたしまして、八月一日付で退職いたしております。
○林(百)委員 そうすると、金東雲がこのミリオン資料サービス興信所へ金大中氏の動向の調査を依頼した当時は、この所長以外のもう一人の調査員、新聞には江村菊男と出ておりますが、これはまだ現職の自衛隊員だったわけですね。
○馬場説明員 しばらくの期間現職であった期間がございます。
○林(百)委員 防衛庁では、現職の自衛隊員が民間と称しておるわけですが、こういう興信所の調査の下請をするようなことを許すような、そういう機構になっているのですか。そんなルーズなものなんですか。それとも、これは認めていたわけなんですか。
○馬場説明員 退職寸前のしばらくの間、若干の期間におきましては、年次休暇を利用いたしまして、たとえば就職予定事業所等におきまして、教育受講等、ある程度の再就職の準備をすることは一応認めております。ただ、隊法の六十条の趣旨もございますので、誤解を受けないように指導はしております。
○林(百)委員 そういう現職の自衛隊の隊員が、国民の基本的な権利に関する問題、あるいは日本の国の憲法の基本的な人権に関する重要な問題の、いわゆる情報収集と称してのスパイ活動をするというようなことを、就職前だからという理由をもって許すということを、防衛庁では許していいとお考えになるのですか。それはけじめをつけたらいいじゃないですか。現職の自衛隊の隊員が金大中氏の動向を調査することに関係しているということになれば、これは、金東雲はKCIAの関係者ということは明らかですし、韓国の情報収集の機関と日本の自衛隊とが切ることのできない関係にあるのだということを国民に疑われても弁解の余地がないことになるのじゃないですか。これについてはどういうお考えを持っておるのですか。
○馬場説明員 現在調査中ではございますけれども、休暇中であるとはいえ、自衛隊に籍を置いた当時にこういう行為があったということにつきましては、決して妥当な行為とは言いがたいと考えております。今後こういうことのないように、十分さらに指導を進めて、調査隊のみならず、自衛隊全体の問題として規律の振粛をはかりたいと考えております。
○林(百)委員 自衛隊の調査の部隊というものは、どういうものがあるのですか。
○島本説明員 自衛隊には、陸上自衛隊と航空自衛隊に調査隊がございますが、総勢おおむね六百数十名でございまして、中央の調査隊と、また、各方面に調査隊などが置かれております。
○林(百)委員 では、私のほうから申しますが、調査学校というのは東京の小平にありますね。それから、中央調査隊というのは東京の市ケ谷、中央資料隊というのは東京の桧町ですね。航空自衛隊にも調査隊があり、これは東京の港区、航空資料作業隊というのは東京港区、それから、海上自衛隊にも、資料隊というのが東京港区の赤坂にある。これらを合わせて六百数十名というのですか。
○島本説明員 ただいま林先生のお話しになりましたうち、調査学校、資料隊、資料作業隊は調査隊と全然関係のないものでございまして、調査隊というのは、陸上及び航空にございます中央調査隊及び方面に置かれておるものでございまして、その総数が六百数十名でございます。
○林(百)委員 そうすると、調査学校というのがあることは認められるのでしょうか。
○島本説明員 調査学校というのは、主管は教育課長が関係しておる問題でございますので、私の主管ではございませんが、仰せのとおり小平にございまして、語学の勉強その他をしておる生徒がございます。
○林(百)委員 そうすると、自衛隊の調査隊というのはどういう任務を持っているのですか。
○島本説明員 自衛隊の調査隊は、外部からの自衛隊に対する働きかけ等に対しまして、部隊の秘密を保全するなど、部隊を防護するために必要な情報、資料の収集、整理及び調査を行なうことを任務としております。
○林(百)委員 非常に抽象的なのですが、そのためにどういう仕事をするのですか。部隊の秘密を防衛するために、そのための調査をするということなのですか。そうすると、それはいつも市中に散在しているようになっているのですか。そして、自由に活動するのですか。
○島本説明員 調査隊員が部隊を防護するための情報、資料の収集、整理を行なう仕事のやり方として、市中に散在して自由に活動するということはございません。中央調査隊は中央の場所に、方面調査隊もそれぞれ方面総監部あるいは師団におりまして、自衛隊に対する働きかけに対して、その職務を遂行しておるのでございます。
○林(百)委員 そうすると、ミリオン資料サービス興信所の調査員の江村菊男氏が行なった情報収集というのは、これは自衛隊の調査隊の任務と異なったことをやったというになるのですか。あるいは、こういうことも含んでやっているのですか。
○島本説明員 御指摘になりました興信所の社員のことだと思いますが、このことは、調査隊の任務及び現在の仕事と何ら関係がございません。退職直前のある期間にこの陸曹が行なったという行為につきましては、人事一課長が答弁しましたとおりの問題でございます。
○林(百)委員 新聞によりますれば、この所長の坪山氏は、六月にやめて、七月一日に興信所を開いたのですが、これは海外情報を担当する情報一班に所属した者だ、海外情報というのは、韓国あるいは中国等も含めて、極東に関する情報を収集する任務を持っていたんだ、こういうように新聞にははっきり書いてあります。あなたの答弁いかんにかかわらず、ですね。こういう極東全体の情報の収集というようなことも、この調査隊ではやるんですか。
○島本説明員 自衛隊といたしましては、各国に防衛駐在官等が派遣されておりますので、内外の情報収集という点について、そのような防衛駐在官の活動というようなものはございますが、調査隊が行ないますのは、内外の中で自衛隊に直接働きかけてきた危険のある働きかけ、それに対する情報収集だけでございます。
○林(百)委員 名前はあなたのほうではあえて言いませんが、しかし、もう新聞で発表になっておりますし、私のほうでさっきから言っておりますからあれですが、そうすると、坪山晃三氏というのは、調査隊でどういう内容の仕事をしていたんですか。それから、江村菊男という人は調査隊でどういう内容の仕事をしていたんですか。
○島本説明員 名前に関する人物につきましては、防衛庁といたしましても、その名を申し上げることはできませんが、問題になっておりますA所長及びB興信所の職員につきましては、A所長のほうは陸幕二部の情報一班におりまして、情報の一般的な収集、整理に従事しておったことがあります。また、B所員につきましては、東部方面の調査隊におりまして、これは情報資料や文書の整理に従事していたことがございます。
○林(百)委員 そういう情報収集の任務を行なっておった自衛隊出身者の営んでおる興信所へ、しかも、まだ電話帳にもその名前が出ておらないというところへ、金東雲一等書記官が金大中氏の動向の調査を依頼に来るということは、これは、何らかの形で、自衛隊のそういう情報収集関係と韓国の大使館との関係があったということを十分疑わさせるものじゃないでしょうか。 これは警備局長にお尋ねしますが、だれが考えてもそう考えざるを得ないんじゃないでしょうか。あなたも関係者を調べられたと思いますが、私がいま明らかにしましたように、自衛隊の中で情報収集の任務を持っておった者のところへ、同性質のKCIAの一員とも言われておる金東雲が、しかも、このたび問題になった金大中氏の情報の収集あるいは行動の監視について依頼に来るということは、これはもう何らかの関係がその間にあったということを十分疑わさせるものじゃないでしょうか。警察当局では調べなかったでしょうか。たとえば、所長の坪山氏は、六月にやめて、七月一日に開所している。事件と非常に近接しているときにあえて自衛隊をやめたという形をとっている。われわれから見れば、そういう形をとっている。実際はそういう形をとったほうが金大中氏の情報収集には都合がいいからということで、辞表を出したという形にして、現役ではないという形にしたのではないかというように考えられます。ましてや、江村菊男という人に至っては、現職中の情報収集の自衛隊の任務を持っていた者である。この二人だけの興信所へ金東雲から金大中氏の情報収集の依頼があったということは、KCIAの金大中氏に対する情報収集の下請を自衛隊がする、そのために、後になって問題が起こらないように、自衛隊としての一応の形式的な肩書きをはずす、こういう関係を持って、ミリオン資料サービス興信所というものをつくって、これと韓国の大使館におけるKCIAの幹部である金東雲と関係を持ったんだ、こういうことはだれでも当然考えられることだと思いますけれども、この点について、警察当局では調べてみないのですか。
○山本(鎮)政府委員 先ほどお答えしたと思うのですけれども、これはどこまでも私的な関係であって、佐藤という方の依頼を受けて、信用調査という、いわば一般業務として、私的に承ったということでございます。 それから、それでは、なぜ、そういう金東雲氏と思われる人がそういうふうにしたかということについては、先ほどもお話ししたように、やはり、金東雲さんからいろいろと事情を聞かなければその間の経緯ははっきりしないというように考えております。いずれにしろ、自衛隊の業務と本件とは全く関係ないという判断に私どもは立っております。
○林(百)委員 それははなはだおかしいのでして、それならば、佐藤と称する人が——実は、これは金東雲だったのですけれども、これが坪山氏にどういう依頼をしてきたんですか。興信所といえば、相手方の信用だとか、相手方の財産だとか、あるいは結婚に対する適格性だとか、そういうものを頼みに来るのが普通でしょう。では、この場合には何を頼みに来たと坪山氏は言っているのですか。
○山本(鎮)政府委員 先ほどお話ししたとおりでございますが、原田マンションに金大中さんが来るかどうか、その事実を確認してほしいということでございます。
○林(百)委員 しかし、金大中氏が来るかどうかということだけの調査の依頼ということは、興信所の仕事としては考えられないことじゃないですか。だから、来るか、来ないか、来たらどうだって言うんですか。 それと、それならばさらにもう少し詳しく聞きますが、それでは、結局、興信所としては、依頼者である佐藤と称する金東雲にどういう回答の報告を出しているんですか。
○山本(鎮)政府委員 先ほどお答えしたとおりでございますけれども、私的な契約でございますから、どのような依頼についても、できる範囲内ならば契約をするという形だと思います。それは公序良俗に反しない限りということになると思いますが、要するに、そのマンションに金大中さんが出入りするか、いわば所在確認ということになると思いますが、結局、結論は、そういう人物はこのマンションに来ていないということの報告をしただけであるということでございます。
○林(百)委員 しかし、原田マンションというのは、韓国民主制度統一問題研究所など、そのほかの金大中氏の日本におおける活動の拠点でしょう。そういうことはあなたも調べてみておわかりでしょう。そこを監視するということは、本件と密接な関係があるじゃないですか。金大中氏を拉致するために、金大中氏がどこをどう動いているか、どこに行っているかということをあらかじめ調査しておくということは本件の不可欠の要件になる。そういうことを、KCIAの責任者である金東雲が、日本の自衛隊の調査隊の出身者である二人で構成しておる興信所へ依頼に来るということは、これは、本件と密接な関係があると考えざるを得ないじゃないですか。そういう点で捜査は進めなかったのですか。
○山本(鎮)政府委員 これも先ほど申し上げたとおりですが、そういうことであったので、秘密探偵社のほうで、非常に参考になるんじゃないかということで申告があったわけでございます。したがって、それについては、もちろん十分慎重に調査、捜査はいたしました。その結果は、御推定のように、それは金東雲一等書記官と思われる人物が金大中氏の所在確認をやったのであろうという判断はもちろん立ちますけれども、その秘密探偵社の方は、そういう背後関係については何も知らない、ただ、所在確認の依頼を受けて、その仕事をして、結局それが契約の目的を達しないで、確認できなかったということで、七月の下旬にはその仕事はもう終わってしまったという事実が判明しただけであって、そういう背後関係までの、いわば共犯的な形でこの依頼を遂行したということは、その秘密探偵社のほうでは絶対になかったということが調査の結果はっきりいたしております。
○林(百)委員 この問題は、もっと早く発表しようと思えば、警察庁としてはできたわけでしょう。捜査本部としてもできたわけでしょう。それをいま発表するというのはどういうわけなんですか。これは、結局、金東雲がこの金大中氏の拉致事件に対する犯行を否認しているので、否認しているならば、日本の国の捜査権の行使によって、捜査本部ではこういう事実も握っているぞ、と、こういうことのために発表しているんじゃないですか。だから、これは、金東雲が金大中氏拉致事件に明らかに不可欠な関係があると見たからこの問題をいま発表しているんでしょう。それでいま発表しているんじゃないですか。そうなりますと、あなたの言うように、民間の興信所へたまたま金東雲が依頼に来ただけで、そして、仕事が終わったから断わられました、しかも、その民間の興信所と称するものは、くしくも自衛隊の出身者でできている、それも自衛隊の調査隊の出身者であるということは、そんなに簡単に、民間の興信所へプライベートに頼みに来て、そして、仕事が終わったから断わったという程度で済まされないことじゃないですか。しかも、問題は、直接調査に当たった人は現役の自衛隊員でしょう。日本の国家機関ですよ。日本の国家機関の一員が、日本の国の主権が侵されているというような重大な問題に一枚かんでいるというときに、日本の捜査当局としては、その真相を究明するために徹底的に追及するのはあたりまえじゃないですか。だから、金東雲がなぜ興信所に来たかという、この関係ですね。しかも、そこは、たまたま自衛隊の調査隊の出身者がやっている興信所であった。しかも、一人は現役でもあった。この重大な日本の国の主権が侵されているということに、日本の国家機関の、しかも、最近憲法違反だということの判決がおりた自衛隊までが一枚かんでいるということについて、徹底的に捜査の手を伸ばすということが、日本の治安の任に任ずる捜査当局のやるべき行為じゃないのか。それに対してのあなたの答弁は全くのらりくらりで、あなたのような答弁では国民は納得しませんよ。これに対してはどうですか。
○山本(鎮)政府委員 発表したかどうかということでございますが、これは昨日でして、ある新聞社の夕刊にそういう記事が出ておったものですから、また、その記事の内容が必ずしも正確とは思われない面もあったので、捜査本部としては、その間の経緯をはっきりさせて、誤解のないように国民に発表したということでございまして、別に、特にきのうを選んで特別に発表したということではございません。 それから、自衛隊の者云々ということでございますが、それについては、御本人からの自発的な申告があったという経緯は先ほど申し上げたとおりでございますが、それについて十分慎重に徹底的に調査を重ねた結果、先ほどお話ししましたように、何ら、そういう自衛隊の公的な調査隊の職務と関連して本件をやったということではなくて、私的な契約という形で、限定的に若干の回数そういう依頼を受けてやったということがはっきりいたしましたものですから、その間の経緯もあわせて昨日捜査本部のほうで説明しておいたというのが実情でございます。
○林(百)委員 そうすると、真相が新聞に発表されてしまったので、あと追いで捜査本部が正確な事実を言ったんだ、捜査本部としては別にこの問題を発表するつもりはなかったんだ、こういうことなんですか。
○山本(鎮)政府委員 現段階ではさようでございます。
○林(百)委員 この問題を捜査本部が発表したのは、日本の国の主権が侵されているときに、あたかも逆のようなことが韓国の国会で論議されているので、こういうことは日本の国の主権を守る上に重要だということで、現に金東雲に対してはこのような犯罪の裏づけがあるんだということを韓国の国民に——われわれはこれは朝鮮の民族の人たちと考えているのですけれども、いわゆるこの韓国の人たちに対して事の真相を明らかにさせるために、積極的に日本の国の捜査当局が発表したんだと私は考えたのですが、そうではなくて、いまの山本警備局長の話によると、新聞で発表になってしまったので、やむを得ずあなたのほうで発表したんだという、こういう消極的な発表のしかただったのですか。これはとんでもない話ですよ。
○山本(鎮)政府委員 先ほど御説明しましたように、ある一部の新聞にこの件について記事が出たということで、それは必ずしも正確とは思われない面もあるので、はっきりした形で、わかっている範囲内の説明をしたということでございます。そして、根本的には、捜査の問題というのは、御承知のとおり、まだ完全に事件の全貌がわからない段階において何から何まですべて発表するということは、やはり捜査上好ましいことではないという判断もあるわけでございます。
○林(百)委員 しかし、金東雲については、今度の金大中氏の拉致事件についての犯人の一人であるということを確信を持っている、だから指紋の問題も述べたんだと、国会であなたもはっきりと言っていますよ。そのあなたが、犯人としての確信を持っている金東雲について、新たに、国民のだれが見ても、これは無理ない、そういうこともあるだろうと納得がいくような犯人としての裏づけの事実を発表したところで、これは捜査当局が当然やるべきことではないですか。新聞が先に発表したというのは、むしろ、新聞のほうがこの事態の重要性を認識して、日本の国の主権を守るために各新聞社が非常な犠牲を払って努力しているということで、捜査当局はそのあとをついている。ということは、結局、アメリカのCIAとKCIAとの関係、あるいは日本の自衛隊との関係、あるいは政治的な日韓の関係というようなもののために、捜査当局が全く本来の任務を果たしていないと言われても、何の弁解の余地もないじゃありませんか。私は、むしろ、捜査当局がこの事態を発表したんだ、そして、いま韓国の国会でこの問題が論議されているときに、日本の捜査当局の厳正な態度を表明したんだと思っていたのですが、あなたの答弁によると、新聞で出されちゃったので、やむを得ずあとづけをしたんだと言う。そう言うのなら、日本の捜査当局の信頼というものは国際的にもなくなるし、国民の信頼もなくなるし、日本の捜査当局がいま一番回復しなければならない日本の国の主権の回復という問題についても真剣に考えていないと私は言わざるを得ないのですよ。 委員長、この問題は非常に重要ですので、これはいずれまた理事会等でも御相談したいと思いますが、ミリオン資料サービス興信所の所長の坪山晃三氏、これは元自衛隊の捜査関係、調査隊の出身者ですが、これと、それから調査員の江村菊男氏、これも自衛隊の調査隊の出身ですが。これを証人として国会へ喚問して、事態を明確にすることを私はここで委員長に要求しておきます。いずれこれは理事会で討議していただきたいと思います。ということは、日本の国の主権に関する重大な問題に、しかも現役の自衛隊員が一枚かんでいるなんということは、国民にとっては非常に許しがたい事態だと思いますので、これを要求しておきます。 最後に、防衛庁の関係の人に聞きますが、いま金大中氏問題がどのように国民から受け取られ、そして、国民がどのようにこの問題のために、主権の侵害ということで心を痛めているか、そして、日本の政府の歯がゆい態度に対してどういう受けとめ方をしているかということについて、十分わかっていると思うのですね。それにもかかわらず現役の自衛隊員がこういうものに一枚かんでいたということに対する反省をもう一度聞きたいと思うのです。もし十分な反省がなされないとするならば、アメリカのCIAと韓国のKCIAと日本の自衛隊というものは三者一体で、密接な関係が相互にあって、ここでいろいろなことが話し合われているのだという疑いを国民が持っても当然だと私は思うのですよ。そうじゃないですか。それとも、この問題に対して、防衛庁としてはいまどういう考えを持っておるか。この問題をお聞きして、そして山本警備局長には、捜査について、もっと国民の期待に沿うような厳然たる基本的な姿勢を正すことを求めた私の質問に対しての答弁を要求して、新聞が発表してしまったから、それが事実と食い違っていたから正確なことを発表したにすぎませんというような、そういう消極的なこの問題に対する発表の態度について猛省を促すために、私は最後にこのことを質問しまして、時間が来ましたので、この問題は後にまた質問します。もし、あなたがそう言うなら、新聞の発表したことと事実とどこが食い違っていたから、捜査本部としては正確な事実を発表せざるを得なかったのだという、その点もつけ加えて答弁を求めたいと思います。この点も、防衛庁と警察関係の両者について答弁を求めて、私の質問を終わります。
○馬場説明員 金大中氏事件につきましては、先生の御意見のとおりだと思います。ただ、本人の、曹のほうにつきましては、背後関係を知らされずにやったのではなかろうかということもございます。その点なお明らかにしない面もございますが、全般としまして、事件そのもの、全体の金大中氏にかかわる問題につきましては、先生の御意見のように考えております。
○山本(鎮)政府委員 金大中事件の捜査につきましては、もうこの委員会で何度も申し上げましたとおり、われわれは真実を追究する。この犯行はまさにあったことでございまして、これをいいかげんにうやむやにすることは絶対にできない、そのために一つ一つ事実を積み重ねて全貌を明らかにしたい、こういうことで、やがてもう二カ月近い期間、捜査員は一生懸命やっておるわけでございます。そして、それによってある程度事件の内容というものがわかってきて、その過程で金東雲一等書記官の任意出頭まで求めるというところまでたどりついて、そのような要請もしたということは御承知のとおりでございますが、そのほか、事件の犯行の現場、それからたとえば車の関係、あるいは目撃者がさらに出るのじゃないかという目撃者発見の捜査、それから車の走った経路、それからアジトあるいは船というように、そういうような関係で、われわれが基礎調査として基礎的にやらなければならぬ問題が、残念でございますが、まだいろいろとたくさん残っておるわけでございます。したがって、こういうものを一つ一つはっきりすることによってぜひ事件の全貌を明らかにしたい。あわせて、一番の関係者である被害者の金大中さんにも、直接に日本に来てもらっていろいろと事情を聞きたい。あるいは、梁一東さん、金敬仁さんについても同様である。そういうことを外交ルートを通じて韓国政府に依頼をしているという段階でございますが、そういうことも、韓国政府としては、それは絶対にできないと言っているわけじゃないので、一応まだしばらく待ってくれという表現だと外務省から聞いておりますので、そういう方面のことが実現できるように、さらに外務省にも引き続いて依頼をしていくという態度を続けながら、先ほど言ったような真相解明を徹底して、事件の全貌を解明して、国民に一日も早くその真相をはっきりさせたい、こういう基本姿勢は全く変わりございません。 新聞の発表については、私、一々こまかく新聞の記事を持っていないのであれですが、自衛隊の方が犯行に共犯的な意味で関係していたんじゃないかというような誤解が生じては、自衛隊の人についても気の毒であるし、せっかくわれわれのほうにそういうことを申告してきてもらった方であり、しかも、名前を言わないでほしいという前提でいろいろと詳細なことまで言ってくれた人の立場ということを考えて、その間の経緯をはっきりさせたいというだけでございます。
○林(百)委員 いまお聞きのとおり、われわれとしては、この興信所の所長にしても、調査員にしても、自衛隊の情報収集の調査隊の一人は幹部であり、一人は隊員であったということから、これが金東雲と関係があったと考えることのほうがあたりまえだと思うのですね。電話帳にも記載されていない興信所へわざわざ金東雲が行って頼むわけなんですからね。そういう非常に疑惑の濃いこのたびの捜査本部の発表でございますので、いま警察当局、防衛庁当局からの答弁も聞きましたが、この事態の重大性にかんがみて、何らわれわれの疑惑を明らかにするところでありませんので、この所長の坪山晃三氏と調査員の江村菊男氏の両氏の国会への証人喚問を再び要求すると同時に、この問題についての質疑は、いずれ次の機会にさらに継続することを委員長に申し上げまして、時間が参りましたので、私のきょうの質問はこれで終わります。 ————◇—————
○上村委員長 これより請願審査に入ります。 請願日程第一から第八二七までを一括して議題といたします。 まず、審査の方法についておはかりいたします。 各請願の内容については、文書表等ですでに御承知のことでありますし、また、理事会等で慎重に御検討をお願いいたしまたので、各請願について、紹介議員の説明等はこの際省略し、直ちに採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 これより採決いたします。 本日の請願日程中、第一、第三、第六、第四七ないし第五二、第八四ないし第一〇一、第一〇三ないし第一二〇、第一五二ないし第一七九、第二〇五ないし第二三八、第二六六ないし第二七八、第二九三、第三一二ないし第三一七、第三二四ないし第三三五、第三四〇ないし第三四八、第三五二ないし第三六一、第三六六ないし第三七八、第三八〇ないし第三八八、第三九〇ないし第四〇四、第四〇六ないし第四〇九、第四一二ないし第四六三、第四七四、第四七六ないし第五一六、第五一八ないし第五二五、第五三八ないし第五五二、第五六三ないし第五七四、第五八四、第五八五、第五九〇ないし第五九四、第五九七ないし第六〇一、第六〇三ないし第六一三、第六一六ないし第六五五、第六五七ないし第七〇六、第七二四、第七五四ないし第七七四、第七八八ないし第八〇一、第八〇三ないし第八〇八、第八一〇ないし第八一二、第八一六、第八一七及び第八一九ないし第八二七の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決し、第二、第七、第三七九、第五八六及び第五八七の各請願は、いずれも議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、残余の各請願は、いずれも採否の決定を保留いたしたいと存じますので、御了承願います。 ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○上村委員長 今国会におきまして、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、お手元に配付いたしておりますとおり、区長準公選における選挙運動に関する陳情外七十七件であります。念のため御報告いたします。 この際、暫時休憩いたします。 午後一時五十七分休憩 ————◇————— 午後六時九分開議
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。 地方自治に関する件 地方財政に関する件 警察に関する件 及び 消防に関する件 以上の各件について、閉会中審査の申し出を議長にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合に、本会期中設置いたしました地方税に関する小委員会、消防に関する小委員会及び地方公営企業等に関する小委員会につきましては、閉会中もなおこれを存置し、調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 また、各小委員会の小委員及び小委員長は従前どおりとし、委員の異動に伴う小委員及び小委員長の補欠選任、並びに辞任の許可及びその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、各小委員会において、調査のため、参考人の出席を求めて意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の人選、出頭期日等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に閉会中の委員派遣の件についておはかりいたします。 閉会中審査において、現地調査の必要が生じました場合には、派遣委員の選定、派遣地、派遣期日等につきましては、委員長に御一任願い、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○上村委員長 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 昨年十二月に召集されました今国会も、明後二十七日をもって終了することになっております。 この長期間にわたった会期中、本委員会の運営につきまして、理事各位はもとよりのこと、委員各位の絶大なる御支援と御協力を賜わり、大過なく委員会審議を進めることができましたことを深く感謝いたします。 簡単ながら、ごあいさつといたします。(拍手) 本日は、これにて散会いたします。 午後六時十二分散会