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71回国会衆議院1973/03/08

地方行政委員会 第9号

発言数
179
登壇者
18
会派数
4
開催日
1973/03/08

会議録

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選、出頭期日等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 警察に関する件について、調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本弥之助君。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 昨年の十一月から警備業法が施行になったわけでありますが、これに関連いたしまして、特に、仙台の本山製作所の労使紛争並びにこれに関連するガードマンの問題につきまして御質問したいと思います。もっとも、この問題につきましては、すでに参議院におきましてもいろいろ審議が行なわれてまいりましたし、また、衆議院におきましても、予算委員会の分科会等におきましても審議が進められましたので、私、詳しくは御質問することを避けたいと思いますけれども、私どものほうの委員会におきまして、昨年の通常国会におきまして警備業法の審議をいたしました関係がございますので、それらの運営に関連いたしまして御質問いたしたいと存じます。  まず第一に、六日の夕刊でしたか、新聞で、この本山製作所に関連いたしまして、これに関係をいたしておりましたガードマン会社の特別防衛保障株式会社につきまして捜索を始められたという記事が載っておりますが、この経緯につきまして、簡単でけっこうでございますので、その事実と、どういうふうに捜査を進められておりますか、その点をお聞きいたしたいと思います。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 お尋ねの件は、それに至るまでの経緯は御承知かと思いますので、捜査の直前のところだけ申し上げますと、かねてから本山製作所でいろいろと問題を起こしておった特別防衛保障株式会社という会社がございまして、かつてのガードマンであった者が、昨年の十一月一日警備業法が施行になる前に身分を切りまして、本山製作所の警備課の課員ということになって勤務しておったのでございますが、そのことが職業安定法の四十四条にいう労働大臣の許可を得ないで労務者の供給を行なっておる行為に該当する疑いがあるということで、職業安定法四十四条違反容疑の捜査を進めておったのでありますが、ただいまお尋ねのように、六日の朝捜索令状をとりまして、そして、特別防衛保障株式会社の築地にあります本社と、それから、同会社の責任者である、取締役をやっておる高山弘憲という人のうちと、それから、警備業法が施行になる前に、元社長であってやめてしまった飯島勇という者のうちと、もう一人、このうちの実力者でございます恩慈という者のうちと、四カ所の捜索をやって、職安法違反容疑の資料を押収したわけでございます。その結果、数十点のものを押収しておりますが、それで、引き続きまして、いま申し上げました三人の者を警視庁に呼び出しまして、取り調べを進めておるところでございます。  以上が概要でございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 昨年の警備業法の審議にあたりまして、労働省あるいは警察庁のほうからおいでを願っていろいろ質問をいたしたわけでありますが、この警備業法施行に関連いたしまして、他のこういったガードマン法と関連しておる、いわゆる警備員を派遣するということ以外の、これに類似の業態といたしましての、たとえば清掃夫その他の問題があるので、むしろ、労働省で考えて、取り締まりは警察でやるべきだという意味のことを私は申し上げたこともあるのですが、なかなか労働省では手が回らぬということで、警察が進められたというふうに答弁がなされたわけでありますが、その際に、警察庁の刑事局の参事官と労働省の職業安定局審議官が「公安委員会は、職業安定機関との緊密な連けいのもとに、警備業に関し、職業安定法第四十四条の禁止する労働者供給事業に該当することのないよう警備業者の指導に努めるとともに、職業安定機関からの通報等により、同法同条に違反する事実が認められたときは、すみやかに法案第十四条又は第十五条の規定による営業の停止等の処分その他必要な措置を講ずるものとすること。」という覚え書きを交換しておるわけでありますが、この点は、労働省も警察庁もお認めになっておりますね。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 御指摘のとおりでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 この覚え書きは、警察の指導のもとに置かれる警備業法の施行に関連しての覚え書きであることには間違いないと思うのであります。しかし、すでに、その前に、いわゆるガードマン会社というものは相当多数設立をされておったわけですね。したがって、この職業安定法四十四条の規定は、職安としては、ガードマン法の施行いかんにかかわらず、すでに、ガードマン法を制定しなければならないというような社会情勢に当時あったことから考えてみましても、その以前においても手をつけなければならないという問題であったと私は思うのであります。そこで、仙台市におきます本山製作所の労使紛争に関連しまして問題が起きたときに、労働省としては、これらの問題について直ちに調査をすべきではなかったかと私は思うのですが、相当たって、やっと警察も腰をあげたという状況であるわけですが、これはどういうことなんでしょうか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 本件につきましては、すでに御承知のとおり、一年近く事件になっている事案でございますので、私どもとしても、かねてより重大な関心を持っておりました。御指摘のように、四十四条違反の問題は非常に重要でございまするし、その違反の容疑も濃いというふうに私ども判断いたしまして、宮城県庁を通じて調査をいたし、また、警察当局とも緊密な連携をとって進めてきたわけであります。その間におきまして、法律の解釈等につきまして、警察当局からの御照会等もございまして、私どもの考えも申し上げたわけでございまして、私どもといたしまして、決して放置はいたさず、警察庁と緊密な連携をとりつつ調査につとめていたつもりでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 十月二十三日の段階で警備課というものが本山製作所にできまして、いわば雇用のかっこうをとったわけですね。その時点において、職安関係としては、直ちに違反があるかないかということについての指導をなすって、直ちに警察と緊密な連絡をとって、この問題にどう対処するかということで行動を起こされたわけですね。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 はい、そのとおりでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 それにいたしましては、調査あるいは手をつけられる段階がどうも少し長過ぎますね。その間に、相当の暴行事件だとか紛争だとか、あるいは中労委の介入とか、あるいは裁判所の仮処分だとか、いろいろな問題があるわけですね。この問題は、ガードマン法制定の際の社会情勢から考えて、制定前後、あるいはそういうときには、職安としては直ちに体制を整えてこれに対処するかまえを示すべきである。いままで、職安法違反を警察に通報して捜査を始めるというような事例はおそらくなかったんじゃないかと私は思うのです。そして、直ちにこれに反応しなければならない職安行政が従来これに手をつけていないということ、こういう問題は見合わせておこうというようなことがこの情勢の変化についていけなかった原因ではないかと思うのですが、今後はどういうふうにおやりになりますか。これらの事案はいずれまた私は十分警察にも御質問いたしますけれども、今後起こらないとは必ずしも保証できない事案じゃないかと思うのですが、積極的におやりになる御意思があるのか。あるいは、そういう問題があれば、直ちに警察と緊密な連絡をとりながら、情報を集めて、適切な手を打つ必要がある。そして、正常な警備業法のみならず、いま、届け出とか——傘下にはありませんけれども、たとえば清掃夫だとかなんとか、いわゆる直接雇用でなくて、下請その他で外部の人を入れるというような業態が別にあるわけですね。それもやはり直接雇用との間に非常な危険な問題をはらんでおる。非常に区別があいまいだという問題もあろうかと思うのです。その点、今後の運営のあり方につきましてお聞かせ願います。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 今後の運営については十分気をつけてまいりたいと思いますが、従来とも、四十四条の関係につきましては、私どもとしては、軽々に扱っておりませんでした。たとえば最近におきましても、四十五年に二百二十四名、四十六年に百八十名、四十七年に百十六名すでに警察で御処置いただくように連絡をとっております。ただ、安定機関といたしましては、司法警察権がございませんので、一定のところまでは調査いたしますけれども、それ以上から先はやはり警察にお願いするということになりますので、われわれといたしましては、警察と今後とも十分に連携を密にいたしまして、御指摘のような四十四条違反が起きないように十二分に注意してまいりたいと思います。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 この特防会社のみならず、ほかにもいろいろ今後問題も出てまいるのではないかと私は思いますので、職安といたしましては、警察と緊密な連絡のもとにぜひ反応を早くしていただきたい。そのことが、いろいろな早く解決し得る事案を非常に遷延することになりますので、その点は積極的に努力していただきたいということを強く要望しておきます。  昨年警備業法が制定になりまして、公布になったのは七月だと思うのでありますが、この法律に関しまして、警察庁のほうでは、当然各県警本部に連絡をされたと思うのでありますが、それはいつごろでございましょうか。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 御指摘のように、警備業法が昨年公布されまして、十一月一日から施行になったのでございますが、その前に、新立法に対する通達を府県に十月の段階で出しておるわけでございます。その後、機会あるごとに、あらゆる会合の席上などでその趣旨の徹底に努力いたしております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 施行は十一月ですけれども、たしか七月に公布になったと思うのですね。どうも通達がおそいのじゃないですか。この制定のことにつきましては、私ども昨年審議をいたします際にも、もうすでに詳しく警察庁の御意向を承ったわけですが、この制定の趣旨は、私がいまさら申し上げるまでもなく、一つは、警備員がいろいろ世間から非難を受けるというような事案が出てきたということと、いわゆる警備会社が労働運動あるいは労働争議に関与することによって紛争を起こす事案が多くなってきたという情勢に見合って、ガードマン法を警察の傘下に、あるいは指導下に置きたい、こういう趣旨だったと思うのですが、そうしますと、この法律を制定する社会情勢という中で、最も重きを置いているのは、問題の特防会社なんですね。過去の労働争議の紛争で主役を演じておるのはこの特防会社であることは、皆さま方もおわかりのことだと思うのです。そのおもな事件を拾ってみましても、その半数は——私どものほうの調査が不十分ですが、その目ぼしいものはほとんどこの特防会社が関係しているのですね。ことに、地方自治体に関心を持っております本委員会で、たしか華山先生が質問したこともあろうかと思うのですが、那珂湊の職員との紛争に関係したのもこの会社なんですね。ですから、ことに重役関係につきましては、皆さま方おわかりのように、ガードマン法施行と同時にその社長は経営ができないという立場になるということはもう明らかなんですね。そういう会社が本山製作所のほうにいわゆるガードマンを供給する契約を結んでいるのだが、この本山製作所は、相当長く労使の紛争が続いているわけですよ。問題は、特防との契約によってガードマンを導入して、それから先ですね。暴行事件だとか傷害事件だとかいうのがいろいろ出てきておるのはそれから先です。そうなりますと、こういったガードマン法ができたということについて、こまかい通達はあと回しにしましても、私どもの決意として、この八条の趣旨の中に、あるいは労働組合運動だとか、あるいは労働争議に関与しないというような明文を置くべきだということを主張したのですが、それは原案のとおりになったわけですが、しかし、皆さま方のねらいも、それにつきましては十分了承するということで、地方行政委員会でつけました附帯決議におきましても、「労働基本権を侵害し、または正当な争議行為その他労働組合の正当な活動に干渉することがないようにすること。」ということを明らかに、疑義のないようにつけまして、皆さま方に要望し、皆さま方の、先ほどお話のありました十月の通達でも、労働組合その他に関与してはいけないのだという明らかな通達が出されておるわけですが、それは私はけっこうだと思うのです。いま問題になっておる労働争議には関与させないのだ、それについては、ガードマン法を、あるいはガードマン会社を、ガードマンを、ほんとうの使命を十分達成させ、運用を誤らせないようにという、そういうはっきりした通達を出すことはけっこうだと思うのです。  しかし、一番問題になっておる会社が仙台で関与して、それから問題が起きているということだと、法の施行が十一月一日からであっても、その点について、仙台警察本部に関心を持たして、その会社が会社だけに、それがどういう形であるにいたしましても、ある意味においては、当然何らかのかっこうで排除しなければならぬ会社であるわけですから、それの動向につきましては十分慎重な監視をし、あるいは情報を集めるということによって、紛争が長引くという体制を避けるという指導をなさるべきだと思うのですが、この辺はどうだったのですか。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 この警備業法の趣旨は、いま御指摘がございましたように、過去において、いわゆるガードマンがいろいろ世間の批判を受けるようなことが多かったので、警備業の適正をはかるということで新しく立法になりました。私どもも、その過程においても、こういうものがやがてできるのだということをよく徹底し、でき上がった後も、その新立法の趣旨が十分に生かされて運用できるように努力してまいっております。その結果、大体、一般の警備業界にはだんだん徹底してきておるのではないかというふうに理解しておりますが、何ぶんにも、ガードマンの会社の大部分というものは五十人未満の小さな会社でございまして、そういう意味で、なかなか会社として形態がしっかりしておらないので、十分徹底させることになおまだ努力する余地があるかと思っております。  ただ、一般の警備業界は、いま言ったように、悪意でなくて、あまり知らなくて、法令の知識なんかもないためにやっておるという部面がございますが、御指摘のように、いわゆる特防会社だけは例外でございまして、過去においてだいぶいろいろなことをやっておる。東京の報知新聞社の争議に出たり、御指摘のございました那珂湊の争議にも出たり、そのほか、チッソの株主総会に出たり、あっちこっち、細川鉄工所にも出ておりますし、まあ、札つきでございます。そういう意味で、この警備業法が施行になるならないにかかわらず、昨年の四月以来、本山製作所の労働争議の過程においていざこざの種になっているのは、どうもこの会社のガードマンであるというふうに私どもも見まして、宮城県警においても、この連中が不法な行為をした場合には、極力こういうものを取り締まるというたてまえでおりましたが、何ぶん、警備業法ができない間は、業そのものを取り締まることができないということで、警備業法の立法がされるのを期待しておったのでありますが、いよいよこれが立法された段階になると、先ほど来申し上げたように、その前に社長がやめちゃった、そして関係者も会社をやめたということで、形式的には特別防衛保障会社とは関係のない形においてやはり今日まで存続しておるというのが実態でございます。そこで、私どもは、警備業法の適用の観点から言うと、この特別防衛保障会社がやっておるのではないかという疑いでもって、この法律ができて最初の適用でございますが、昨年の十二月の十三日に、この会社に法律に基づく立ち入り調査をして、いろいろの帳簿その他を見たのでございますが、都合の悪い帳簿は全部どこかへやって、形式的には関係がない。いろいろあれこれ考えて、私どもとして最大限の努力をしたつもりでございますが、先ほど申し上げたように、職安法四十四条違反行為という方向にあるのではないかということで、三月六日の捜査に立ち至ったわけでございまして、従前からずっと、いわば、最も悪質な業者だということで宮城県警も努力してまいりましたし、私どもも努力してまいったのでございますが、なお御期待に十分沿えない点はまことに遺憾だと思っております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 森村金属だとか、あるいは報知労組、京葉ボーリング、日本テレビ、それからいまの那珂湊、これらの事件を通じまして、この特防のガードマンに対しまして、過去において、逮捕あるいは送検といいますか、そういったものは何人ぐらいおやりになったのですか。

室城庸之警察庁警備局警備課長

○室城説明員 ただいま御質問がございました特防による事件の数でございますが、私どもただいままでに承知しております件数といたしましては、十二件確認されておるものがございます。そのほか、従来までに、特防を含めて警備保障会社が関係しました事件としては、二十二件の数字を確認しております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 警備員の人数は何人ぐらいですか。特防だけでけっこうです。

室城庸之警察庁警備局警備課長

○室城説明員 ただいまの十二件の事件に関係しまして、被疑者として検挙をいたしました者が二十名でございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 特防会社が二十名のガードマンを——これも私は少ないような感じがするのですけれども、過去の事案において、いわゆるガードマンを派遣して、会社の争議に関与して、送検された人間が二十名もいるというような会社が、このガードマン法施行以前に仙台の本山製作所に関与して、しかも、それ以来、あそこの労働争議は、暴行、傷害事件が頻発しておるような状態になっているのですね。そうなりますと、私は、参議院における質疑の会議録もいろいろと見せていただいたのですけれども、昨年制定いたしましたいわゆるガードマン法制定以前において、施行を十一月に控えておるとするならば、これは当然排除せらるべき会社であるということも明瞭になっていたはずである。だから、警察は、単に労働争議に中立を守るということだけでなくて、過去において送検されたガードマンが入っておるかどうか——その施行以前に暴行傷害事件が頻発しておる本山製作所の労組側の話によりますと、六百人からの暴行傷害を受けた者があると言われておりますし、また、県会議員が調査に行った際に、相当重傷を負わせられたのが一人や二人ではないという実態もあるわけですね。そうなりますと、施行以前におきましても、その会社の過去の実績から言いましても、当然積極的に関与いたしまして、いわゆる労使の紛争が、札つきの警備会社の関与によって激化しておるのだという観点のもとに、関心を持ち、検挙をし、暴行傷害の証拠がつかめれば送検するという適切な手を打つべきではなかったかと私は思うのです。通達等も相当おくれて出されたわけでありますが、しかし、そのことは事前にもうわかっておったことであるので、この問題につきましては、ガードマン法制定の趣旨というのはこういうところにあるのだということをはっきりさせて、特防会社の過去における実績等も直ちに仙台の県警本部に通報いたしまして、警察のいわゆる刑事事件としての捜査その他につきましての手を適切、迅速に打つことが必要じゃなかったかと思うのでありますが、その点、警察の態度がどうも消極的で、情勢の判断といいますか認識も非常に欠けておる。しかも、参議院の審議等におきまして、ガードマン法ができる以前の問題だというふうな御答弁がなされているように私は見たのでありますが、ガードマン法の施行以前に、警察としては、適切なる手を当然打ち得たのではないかと考えるのですが、その辺どういうふうにお考えになっておりますか。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 本山製作所において、いろいろな争議に関連しての違法事案というのは、まことに遺憾ながら、たくさん起こっておりまして、私ども承知しておるところでは、昨年の五月二十日に特防会社が導入されるまで、それ以前は六件でございました。これは組合同士その他会社側なんかの暴行事案なわけでございます。それで、特防が本山製作所に入るようになってから昨年の十月末まで、警備業法が施行されるまでの間に十六件、それから、警備業法が施行されてから今日まで十三件。警察が承知しておるのだけでそれだけでございますから、警察の耳に入らないのがあるかもしれませんが、合計三十五件の暴力事案が発生しております。宮城県警では、この中で十五件を検挙して、全体で三十五人の人を立件いたしております。まだ二十件残っておりますが、先ほど来御指摘のように、非常におそくなったり、タイミングが悪かったりしたというようないろいろな御批判がございますが、この種の事案というのは、外で大ぜいの者で瞬間的に起こるので、事前における予防措置もさることですが、起きてから、事案をすみやかに明らかにして十分措置をするということは、実際に第一線で仕事に当たっておる者にとってはなかなか困難なことが多いのでありまして、言いわけのようになりますが、一生懸命やっておりますが、時間がたつとなかなか明らかにならない。警備業法が施行になります前にも、警備業法の適用としてではなくて、一般法律問題として、刑法の違反があれば刑法の違反であるということで、いかに労働争議であっても、不法な暴力を行使するということは絶対に認められないという基本方針でやっておりますが、何ぶん、先ほど申し上げたように、事案が複雑な場合に、なかなか御期待どおりに措置ができないというのが実情でございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 結果を追及してみても、これはどうにもならぬわけでありますけれども、警備業法を制定する背景において、しかも、それがほかの会社であれば問題ないと私は思うのですけれども、特に、警備業法が審議され、制定されることがもう間違いないという段階において、過去の実績からして、警備会社として最も不適格であるという会社が、仙台において、本山製作所との間にガードマンを導入しておるという事態は、普通の労働争議という事案とは違うし、将来の警備業法の運営から言っても、非常に重要な密接な関係を持つ問題ですから、警察庁ももっと関心を持っていいのではないか。そして、ガードマン会社に対する全国的な情勢を地元でもう少し適切に把握できるように警察庁のほうから——自治体警察ですから、私は指導はあまり好まないのですけれども、ざっとの情勢その他をお知らせして、こういう情勢にあるんだ、いま本山製作所にガードマンを供給しておる特防というのは過去においてこういうことをしているのだ、非常に問題が起きる、だから、警備業法の施行以前においても十分関心を持ってこれに対処しなければならない、普通の争議行為というふうな見方ではないんだ、という指導がなされるべきだと思うが、その辺は端的にどうお考えになっておるんですか。よかったとお思いになりますか。私は、その点相当認識不足があり、宮城県警も、普通の争議にいわゆるガードマンが入っているぐらいの程度に考えて、重視しなかったきらいがあったのではないかと思うのですね。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 この特別防衛保障会社については、先ほど申し上げたように、あっちこっちで問題を起こすという会社でございますので、私どもとしては、かねてからこれを注目して、関心を持って見ておりました。特に、先ほど御指摘がございましたが、茨城県の那珂湊の市役所の紛争のときには、ここのガードマンが一ぺんやめまして、市の臨時職員に雇用されまして、そしてあの紛争に介入したという経緯がございます。あの場合も、国会でもいろいろ御指摘がございまして、私ども、何とか当時の現行法の中で違反がないかということで努力したのでございますが、なかなか巧みにやっておりますし、それから、関係者も肝心のところはなかなか明らかにしないということでてこずったのでございます。そういう会社でございますので、今回本山製作所にまた特防が関係したという時点において、先ほどお話がございましたように、宮城県警に、この会社がどういうものであるか、あるいはこの本山製作所の今後の紛争の経過においてどういうところに注意する必要があるかということを、私どもとして承知しておる材料をなるたけ与えて、宮城県警が適切な活動をするようにという指導は十分やったつもりでございますが、結果におきまして、必ずしも手ぎわのいいことばかりではなかったという反省、教訓を持っておりますので、いまの御指摘の点については、今後一そう努力したいと思っております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 この問題は今後のガードマン法の運営にも関連をいたしますし、私は、今回の事案というものは、今後の警備業法の運営につきましては貴重な経験だったと思いますので、今後の運営に誤りなきを期していただきたいと考えます。  なお、参考までにお聞きしたいと思いますけれども、今回の事案、争議が発生いたしましてから現在までの労組側の逮捕、取り調べの人数、それからガードマン、会社側の職員の人数がおわかりであれば、お聞かせ願いたいと思います。

室城庸之警察庁警備局警備課長

○室城説明員 ただいままで発生いたしました事件が三十五件ございまして、そのうち、ガードマンあるいは会社側の起こしました事件が十一件、十三名ということでございます。第一組合が二十八件、二十二名。なお、その中には、どちら側ということではなしに、両方が乱闘のような形になりました相被疑事件といいますか、そういうものが四件含まれております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 労組側の二十二名は、現在どうなっておりますか。もう逮捕している者はいないわけですね。逮捕している者がいないかどうか。あるいは、送検になっている者は何名ぐらいあるか。

室城庸之警察庁警備局警備課長

○室城説明員 三十五人の逮捕者のうち、第一組合側二十二人でございますが、いずれも事件としては送致されておりますが、現在身柄拘留中の者はございません。  なお、事件そのものとしては確認はいたしておりますが、だれが被疑者ということが確認されないままにまだ捜査を継続中のものが二十件ございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 これだけのガードマンが関係し、しかも、ガードマンが関係する以前の争議の事案が少なくて、その以後の事件が相当出たということにかんがみて、私は内容を詳しく調査をしておりませんので、質問申し上げる資料はありますが、確信をもって申し上げられないのでありますけれども、ガードマン導入前後の経緯から見ますと、これは均衡をとっておられるのかどうか知りませんけれども、ガードマン及び会社側の検挙よりも組合側の検挙が多いのは、気持ちの上といいますか、大体の感じの上からいくと、何か、どうも少し組合側に強く当たっているような印象を受けますが、どうでございましょうか。

室城庸之警察庁警備局警備課長

○室城説明員 私ども、きまり文句のようになりますけれども、警察はあくまでも厳正公平な立場で事案の真相を究明するということで事案に当たっておりまして、問題が起きました場合に、加害者、被害者双方を十分取り調べておるわけでございます。その結果、事件の被疑者として確認できました者が以上申し上げましたような数字でございまして、片方に片寄って捜査をやるというようなことは決してございません。  なお、いままでにはっきりと解明いたしまして送致した者の数が先ほど申し上げたようなことでございますが、残る二十件につきましても、双方いろいろな形で関係をしておりますので、この辺も今後十分に究明してまいりたいというふうに考えております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 会社側及びガードマンのほうも、実際には相当人数の取り調べはなすったわけですね。

室城庸之警察庁警備局警備課長

○室城説明員 事件を確認いたしますと同時に、関係者全員の出頭を求めて取り調べるようにいたしておりますが、未解明の事件等につきましては、被害者のほうも出頭してはっきり被害状況を話してくれるという姿勢がございません。あるいは、加害者のほうももちろんはっきりした証言がなかなか得られないというようなことで手間どっておるわけでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 県会議員の傷害事件というのは、軽微なものではないですね。全治三カ月とか、あるいは一カ月とか、相当の傷害を受けているわけなんですね。県会議員がこれだけの傷害を受けるということになりますと、暴行傷害の程度も、ガードマン側の暴行傷害を受けた関係が、こぜり合いの中で多少かすり傷を負ったというような程度で、組合員及びこういった組合員以外の県会議員の傷害のほろが非常に大きいもので、その被害の程度は相当の開きがあるのじゃないかと思うのです。それにもかかわらず、検挙の件数、人員から言いましても、組合員側のほうが多いということはどうも想像できないのですが、これはどういうふうに判断されているのですか。

室城庸之警察庁警備局警備課長

○室城説明員 ただいま御指摘のございました県会議員が負傷したという事件は十二月十二日の事件でございまして、田畑議員、坂下議員、奥山議員の三人の議員さんで、一番ひどいのは、田畑議員が全治三カ月という重傷を負っておられます。この事件の発生を承知いたしまして、警察としては、直ちに現場に臨んで事件の鎮圧並びに捜査に当たったわけでございますが、その日のうちに、第二組合員の者が田畑議員をトラックから突き落としたということが参考人の口からはっきりいたしまして、これを緊急逮捕いたしております。なお、それを皮切りにいたしまして、当日の事件を究明いたしました過程で、いわゆるガードマンでございますが、警備課員を四名、さらに、自分たちも被害を受けておるんだという話から、第一組合側の三人、計八人を十二月十二日の事件では検挙いたしております。  なお、先ほども、相当多くの人がけがをしておるというふうなお話がございましたが、ただいままでに、私どもが事件としてはっきり押えました中から拾いあげましたけが人の数は約百名弱、九十四名というふうになっておりまして、これはまだ未解決の事件でもございますので、さらに究明した結果では、あるいは数もふえるというふうに考えております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 これ以上深く御質問はいたしませんけれども、いままで御質問申し上げたことでおわかりだと思いますが、どうか適切に検挙、捜査ということを進めていただきたいと思っております。  なお、現在の本山製作所のガードマンといいますか、当時特防の職員であったガードマンの現在おる数と、あるいはどういう現況にあるかということをちょっとお聞かせ願います。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 私どもが承知しておるところでは、特防の元ガードマンであった者が二十一名おるというふうに認定しております。実は、特防会社というのも、組織としては非常に弱く、常雇いのほとんどいないような会社なので、この二十一名が、一体どういう気持ちで、どういう立場でいまの本山製作所に勤務しておるのか、私どもが伺っておるように、特防会社から派遣されてまた戻るという気持ちの者ばかりかどうか、その辺よく実態がわかりませんけれども、もうこのままほんとうに警備課員になるくらいなつもりで——特防会社より本山製作所のほうが安定先としてはいいような状況でございますから、その辺の実態はまだ十分把握できておりませんが、いずれにしても、過去においてれっきとした特防の者であった者が二十一名ということを私どもは確認いたしております。

室城庸之警察庁警備局警備課長

○室城説明員 さらにつけ加えまして、現場の状況から私どもが承知しておりますガードマンの実態を申し上げたいと思いますが、十二月十二日に、ただいま申し上げましたような重傷者を出すというような事故がありましたが、私どもとしては、それ以前にはそういったトラブルが起きないようにということを両方に警告を重ねておったというようなことでございましたけれども、このまま放置しておきますと再びこのような問題が起こるということから、自来、引き続き、問題の起きそうな時間には警察部隊を現地に出しまして、そのようなトラブルの回避につとめております。  それまでの間は、毎朝出勤時のトラブルが起こる時間には、会社側のいわゆる警備課員、ガードマンが門のところでピケ的な形で整備をやっておりましたけれども、警察部隊が出てくるようになりましてからは、私どもの警告も役立っておると思いますけれども、警備課員が正面に出るということはありませんで、主として会社側の管理者が正門のところには来ておりますが、ガードマンとしては、むしろ夜間の守衛的な役割りを果たしておるということで、トラブルの起きそうな現場にはほとんど姿をあらわさないという形が続いております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 職安法の四十四条違反の取り調べが進む段階になりますと、特防会社及び雇い入れた会社両方が罰則の適用を受けるわけですね。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 法律的に技術的に若干の差はございますけれども、両方ございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 警備業法によりますと、警備員の場合は別ですが、警備業者に欠格事由がなければ営業を廃止させることはできないわけですね。そこで、かりに第三条に該当するような場合、「この法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ」云々というような場合には、警備業を営むことができなくなりますね。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 御質問のとおりでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 そういたしますと、いまの捜査が進みますと、特防は警備業を営むことができないような事態もあり得るわけですね。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 三月六日に捜査をした事案は、もっぱら警備業法施行前の行為でございます。そこで、いまやっておる疑いに基づいて捜査が進んでいって、十一月一日以降において、何かこの法律の規定に違反するものが出てくるということになりますと、御質問のとおりになります。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 そうしますと、職安法違反だけではこの会社は排除されない、役員が交代し、問題の警備員を解雇すれば会社は存続するということになりますね。

斎藤一郎警察庁刑事局保安部長

○斎藤(一)政府委員 いまのところは、現在の責任者になっておる高山という者が三人の中の一人でありますので、この人間に関連して、十一月一日以降の容疑が出てくれば別ですが、いま捜査している事案だけでは、御質問のように、この会社には何の問題もないわけでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 警備業法は、届け出によりまして営業ができることになっているわけですから、今後の運営からいいますと、営業の廃止ということは容易ならぬ問題だと私は思います。警備業法では、「この法律の施行に必要な限度において、警備業者に対し、その業務に関し報告若しくは資料の提出を求め」というふうな程度になっているわけですね。したがって、今後の運営からいきますと、数は相当な数にのぼっており、七百をこえているんじゃないかと私は思うのですが、そのうちの大部分は雇用者が五十名以下というような警備会社が多いと思うのです。そこで、問題はそういう会社に起こるのではないか。大きな会社も業態としては相当可能性があるわけですけれども、相当組織的には自粛をするというような体制にもあるかと思うのです。今後の警備業法の運営につきましては、第十三条の業務に関する報告あるいは資料の提出、また十一条の教育等の問題につきましても、相当警備業者の実態把握ということにつとめられて、今回の問題のような行き過ぎが起こらないように、法の精神に沿った運用をすることが当然必要だと私は思うのでありますが、これを十分おやり願いたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 私は、国家公安委員長がおりましたならば、警察行政の最近のあり方について、警察法にいうように、不偏不党かつ公正を旨として、憲法の保障する個人の権利が侵されないように警察官の職務がはたして行なわれているかどうか、あるいは警察法によれば「警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び法律を擁護し、不偏不党且つ公平中立にその職務を遂行する」旨の宣誓をすることになっているが、この趣旨に沿って行なわれているかどうかという点をお聞きしたいと思ったのですけれども、大臣もいなければ、警察庁長官もおりませんので、やむを得ず警備局長そのほかにお聞きしたいと思うのです。  三つほど問題点があるわけです。一つは、これは私の郷里の問題でありますが、中央東線で、岡谷市と塩尻市との間にトンネルを掘る。それには、岡谷市の橋原と三沢という両地区にその路線が関係してくるということで、これは八年間地元の人たちが反対をしておりまして、そして、国鉄のほうも見合わしてきた。その間、国会議員、県、市が中に立ちまして、地元の当事者と国鉄の間に、国会議員、県、市があっせんをして、路線が二つ考えられるのですけれども、そのいずれにするかというようなことについては、国鉄としては白紙の状態で、三者のあっせんで地元と話し合うということにいままでなっていたわけなんです。ところが、この二月二十七日に突然、国鉄側では、土地収用法の前提としての測量をするということを言い出してきたわけなんですね。しかも、地元に反対があるようだから、トラブルが起きた場合には機動隊の出動要請もする、そして強制収用するのだと、こういうことを言い出してきているわけなんです。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕 一方では、話し合いはあくまでするつもりだと言いながら、一方では、機動隊の出動も要請すると言っているわけですね。話し合いをすると言いながら、機動隊の出動も要請するなんて、そんな話し合いというのは、段平かざして、どうだ、おれの言うことを聞かぬかと言うことと同じだと思うのです。  最初に、警察の問題を聞く前に、これは国鉄の方にお聞きしますが、八年間もストップしており、話し合いをしようという状態になっているのに、なぜ、二月二十七日に、突然に、土地収用法を前提としての測量を行なうという方針に踏み切ったのですか。どうして円満に話し合いをするということを続行しないわけですか。

高橋浩二日本国有鉄道建設局長

○高橋説明員 ただいま先生のお話しのとおり、この中央東線の建設につきましては、昭和四十一年以来、御説明を始めてから、実は約八年間経過しておりまして、この問いろいろのいきさつがございますが、私のほうは、できるだけ納得のいただけるような説明を繰り返し繰り返しやってまいりました。最近になりまして、県御当局も、市御当局のほうも、いろいろ企画案について御検討の上、ほぼ大かたの御理解を得られるという段階になってまいったと承知いたしております。ところが、いま先生のおっしゃるように、最終的な具体的な話し合いをまだいたしておりませんが、実は、従来航空写真測量で実施をいたしたものを現地に落としておりますが、航空写真と申しますのは、局部的な位置の問題については比較的正確でございますが、高さの問題、あるいは非常に離れた地点間の相互関係の位置というものは、現地の測量に比べまして必ずしも正確でございません。したがいまして私のほうは、従来お示ししておる図面等を、もう一度相互の関係等を正確に把握して、いろいろ具体的なお話し合いに入る必要があろうかというふうに判断をいたしまして、今回、三角測量を中心に、とりあえず現地の測量をしたいということを申し出たわけでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 御承知のとおり、このトンネルの路線については、橋原−三沢を通るというコースと、それから成田町という町を通るコースと、二つあるのですね。この二つがまだいずれとも話し合いで決定しておらない。それは、県や市は国鉄側についていると言いますけれども、地元では、橋原−三沢の路線については絶対に反対しているわけなんで、その話し合いもつかないのに、橋原−三沢という一つの路線を前提とした強行の調査に踏み切るということはどういうわけなのか。いま国鉄が、赤字で非常に財政的に苦慮している。しかも、国鉄運賃を上げるということで、国会をあげて大きな問題になっているときに、このように地元はみな反対して、敷いてくれなくてもいいというものを、なぜ、機動隊まで出動要請して、強行採決でトンネルをあけなければならないのですか。それよりもっと必要な部分もあるだろうし、また、そういう地元の反対で敷けないような鉄道を、財政的に窮迫している国鉄が、運賃の値上げまでして、国会の反対まで押し切ってやるということはどういうことなんですか。われわれはわからないですね。地元が敷いてくれなくてもいいというのはあとに回してもいいじゃないですか。それだけの金があったら、国鉄の再建のためにそれを回したらいいじゃないですか。一体、総経費は幾らかかるのですか。

高橋浩二日本国有鉄道建設局長

○高橋説明員 再三繰り返しますけれども、実は、八年間十分現地の調査もいたし、また、いろいろお話し合いもいたしてまいっております。この間、中央東線の輸送の需要が非常に増加してまいりました。実は、十年前のちょうど二倍以上の輸送が現在行なわれております。ただいまのところでは、中央東線というのは局部的な輸送だけを確保するのではなくて、地方都市、地方都市間の輸送使命も持っておりまして、このまま放置してまいりますと、お客さんも運べないような状況になるということも一方ございます。  ただ、国鉄の財政の問題について触れられておりますけれども、いま直ちにすぐ測量をしたから多額の金が要るということではなく、逐次測量をし、そして、話し合いの糸口を見つけながら工事にかかっていきたい。しかも、六キロという非常に長いトンネルでございますので、非常に長い工期を要するというふうに判断をいたしております。そういう関係で、まず測量について着手をして、もう少し正確なしさいな話し合いができる事情をつかみたいということでございます。  なお、総額については、百二十億でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 輸送が限界にきていると言うけれども、いま、地元の人たちが望んでいるのは、中央東線の複線を望んでいるわけです。国鉄もそれを約束しているわけですね。それによって輸送力の増強もはかる。しかし、それはそっちのけにしておいて、百二十億もかけてトンネルだけはつくる。八年間できなかったというのは、地元が承知しないからできないのですよ。地元が関係もしないのに、百二十億の金をかけて、どうしてもトンネルをあけなければならないという、この国鉄の姿勢のあり方。しかも、あり余った金があるわけじゃなくて、国鉄はいま財政的に金がなくて困っているというときに、あえて地元の反対を押し切って——きょうここにもありますけれども、橋原、三沢の労組千名が総決起して、はち巻きで、絶対に通さないと言っているところを、何であえて百二十億もの金を出してトンネルをつくろうとしておるのか。一体、そのトンネルができると、現在の線路より何分時間が短縮されるのですか。岡谷−塩尻間でいいですよ。

高橋浩二日本国有鉄道建設局長

○高橋説明員 岡谷−塩尻間では、ただいま急行列車で三十六分かかっているかと思いますけれども、短絡いたしますと、急行で十三分というふうに了知いたしております。したがいまして、時間的には二十三分短縮になるかと思います。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 二十三分時間を短くするために百二十億の金をつぎ込んで、あえて地元の反対を押し切って、どうしてもトンネルをつくらなければならないという理由があるのですか。われわれの考えているところによれば、トンネル業者が国鉄に対して、百二十億の仕事が八年間もの間、たなからぼたもちのように落ちてこない、だから、国鉄さん、早くあそこを片づけてください、そして、われわれにトンネルの仕事を与えてくれませんかとつっついているような感じがしてしようがないのですよ。そうでなければ、地元が全部反対しているところを二十三分の短縮のために——二十三分といいますと、松本−新宿間は「あずさ」によっても三時間半ですね。それで、三時間半の間を見ても、二十何分短くなるだけでしょう。それを、地元の人たちが望んでいる現線を複線にするということを差しおいて、どうしてもことしやらなければならないという理由がどこにあるのですか。現線を複線にすれば、あなた方が言うところの、輸送力がふくそうしているということも解決できるのじゃないですか。しかも、地元の諸君に言わせれば、決してそんなにふくそうなんかしていないのだ。それは、国鉄がトンネルをつくるための名目だけを言っているわけですよ。そんな無理までして、地元の者がほしくもないというトンネルを、三時間半のうち塩尻−松本間が二十何分短くなるからといって、財政に困っている国鉄が、百二十億もつぎ込んでどうしてもつくらなければならない理由がわれわれはわからない。しかも、警察を動員してまで、土地収用法の前提である調査をしなければならないなんて、そんなこと、どこに理由がありますか。しかも、このトンネルができれば、橋原なんという部落は三百戸の部落ですが、これを持っていくとなれば、中央道も二本通ることになっておりますし、そして、塩尻−諏訪の諏塩トンネルの線路が複線になります。そうすると三百戸くらいの部落は蒸発しちゃうわけですよ。一部落なくしてしまわなければならないのですよ。それを、話し合いで納得もしないのに、なぜそんなことをしなければならないのですか。  結局、あなたを幾らしかっても、あなたは、私の上に総裁もおりますし、あるいは政府の方針もありますということもあるから、若干宥恕をしてあげますけれども、しかし、これはあくまで話し合いを前提としてやるべきじゃないですか。具体的に収用していったって、三百軒余りの家が収用でぶちこわれていくことも考えないで、あすから雨ざらしにするなんということはできますか。結局、話し合いで納得しなければできないことじゃないですか。話し合いができないという前提で、機動隊を動員してまでも強制測量するなんということは愚の骨頂じゃありませんか。国鉄、考え直しませんか。

高橋浩二日本国有鉄道建設局長

○高橋説明員 先生からいろいろ申し述べられましたけれども、できた場合のメリット等については、いまの時間短縮のほかに、実は、私のほうもいろいろな点を考えておりますが、先生のいまおっしゃいますのは、地方の方々が反対しておるのに、なぜ機動隊まで導入して強行するのかということが論点の焦点かと思います。  実は、私ども、機動隊を要請してまで地元と争いながら測量を強行しようという気持ちはないということは、前から再三繰り返して申し上げておるとおりでございます。できるだけ地元の方々と円満な話し合いを繰り返し繰り返しした上で、実際の用地を買収するにいたしましても、あるいはその前後の道路を整備いたしますにいたしましても、地域の方々との十分な話し合いが成立しなければできないということは十分承知いたしておりますので、そういう方向でお話し合いを続けてまいりたいというふうに考えております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 ちょっと、警備局長と高橋建設局長、これが、千名集まって反対した地元の写真です。これは南信日日新聞の五日付です。それを見ていただけばわかります。そういうわけで、社に集まって、全員がどんなことをしても阻止すると言っているわけなんですね。この警備隊を導入するということは、どういう考えから国鉄の現場の服部工事事務所長はそういうことを言い出したのですか。何で国鉄は、警察に守られながら、あえて地元の反対を押し切って測量までして、松本——新宿間の二十何分の短絡を、この際百何千億も投入してやらなければならないのですか。それはどういう考えでやられたのですか。

高橋浩二日本国有鉄道建設局長

○高橋説明員 現地の長野の工事事務所長は、全責任をもってこの工事の実施に当たっておるわけでございますが、測量をいたすというときに、私どもが聞いておりますところでは、機動隊を導入してまで強行するんだという発言はいたしていないというふうに私どもは聞いておるわけです。その点については、私が申し上げましたように、機動隊を導入してトラブルを起こしで強行するという気持ちは私もございませんし、現地の所長にもないということを確認いたしておりますので、申し添えておきます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 警備局長にお聞きしますが、長野県警のほうでは、このことについてどういう考えを持っておるように聞いておりますか。きのう調査するようにお願いしておいたのですが、どう言っていますか。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 お尋ねの国鉄の測量に関する発言でございますが、この点について、警察については何も事前連絡もございませんし、長野県警本部でも全く承知していないという報告でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 しかも、それを見ますと、国鉄の県、市を通じての測量の通告がミスがあった。ミスがあったというのは、測量範囲が広範であるから、具体的にだれとだれの地域へ入り込むかということについては明示できないということで、本来私有財産が測量によって侵害されるべき人の明示が全然ない。そういう測量の通告をしてきているわけですね。だから、県も市も、それを国鉄に突き返しているわけですね。国鉄も、しかたないから、登記簿なんかを調べ直して出し直すという状態になっているわけです。  警察庁にお尋ねしますが、国鉄からそういう依頼があった場合、県警はどういうふうな態度をおとりになるつもりですか。所長は言わなかったと言うのですが、新聞を見ると、記者会見で所長が、「機動隊の要請も」と言っているわけですね。自分は言ったというのだが、どうお考えですか。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 もしそういう要請があった場合はどうかという御趣旨の御質問でございますが、仮定のあれですけれども、もしそういうような要請があっても、警察としてはどこまでも独自に判断をいたしまして、それらの問題をめぐっていろいろなトラブルが発生しないように万全の警備体制をとっていきたい、かように思います。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 それでは、その問題はそれとして、警察は公正中立の立場に立つということは、警察法並びに警察法に基づく宣誓にもありますので、いやしくも、地元の者があげて八年間も反対をし、しかも、国鉄の測量通告がミスがあって、県も市も突き返しているという事態のもとに、警察が盲動することのないように善処していただきたいと思うわけです。  その次の問題は、実は、広島県安芸郡の府中町の東洋工業株式会社という会社で、労働者に対する、憲法で規定されている思想、信条の自由、それから基本的人権に対する重大な侵害がある、非常に会社の労務管理が逸脱して行なわれておる、しかも、遺憾ながら警察が一枚それにかんでいる、こういう事態がありますので、これについて、警察の考えをお聞きしたいのです。  それは、内容を申しますと、東洋工業本社工場の第二車軸課車軸工場に勤務する十九歳の一労働者である境信一君に対して、同社人事課員、工場主任らが、その私生活に重大な干渉をし、この境君に対する政治活動、思想、信条の自由への重大な迫害が行なわれ、そして「赤旗」という新聞を読む自由、また、「赤旗」をとって、「赤旗」を通じて社会の動きを知ろうとする人の自由に対する重大な圧力が加えられておるということが明らかになり、しかもこれが警察が利用されているということ——利用されているのか、あるいは警察が指示したのかわかりませんが、警察が一枚かんでいるということであります。  このことの内容をもう少し詳しく申し上げますと、二月二十四日、この東洋工業本社工場の第二車軸課の車軸工場に勤務する労働者境君を工場主任が工場の事務所に呼び出して、この境信一君が二月十八日に、山県郡の豊平町と芸北町などで「赤旗」の号外を配布したということについて問い詰めをしているわけです。その内容はどういうことだったかというと、この人事課員、工場主任の言ったことばを一部引用してみますと、「あなたは新聞を配りましたね」「こっちでは全部知っているんですがね——車のナンバーも知っていますよ」「ほんとうのことを言ったほうがいいですよ。もし言わなければ、あなたのためにならないし、取り返しのつかないことになりますよ」「あなたの車を運転されたのはだれですか」「まあ、君が言いたくなかったら、言おないでもいい。メンバーはこっちで調べるから」「あなたは早くほんとうに足を洗ったほうがいいですよ」こう言って、会社の責任ある地位にいる者が、日曜日の一工場労働者の行動をとらえて糾問をしているわけです。一時間二十分にわたって詰問をしている。  「赤旗」の号外を配ったとしても、このような脅迫ともとれる言動が会社側の上司によって行なわれるということは、これはもう明らかに労務管理の権限を逸脱したものであり、労働者の、憲法十九条、二十一条、思想、信条の自由、政治活動の自由に対する重大な侵害だと思うのです。しかも、「赤旗」は、共産党の機関紙であり、共産党はいまや国会で公党として堂々と活動しており、全国で百二十幾つの自治体の与党としての責任を負っている。たとえば東京都だとか、大阪府だとか、京都府だとか、そういうところでは与党としての責任を持っており、自民党はもう野党に転落しているという状態になっている。そういう共産党の機関紙の号外を配布したからといって、いまさら工場主が、おまえはどこへ配った、その配った先を言えということを詰問すること自体、これは重大な問題だと思うのです。  しかも、このことが行なわれました四日後の午前九時過ぎに、この労働者を、事もあろうに、この人事課員、工場主任が呼び出して、自動車に乗せて夕方まで走り回っている。これは人事課員が、「きょうは教育手当を出す」と言って、業務命令として連れ出している。  その自動車の中での話の一例をあげてみますと、「共産党の納入帳は持っているかね」「納入帳があるということは知っているか」、「寮に新聞が来ていたそうだが、だれとだれがとっているか知らないか」「だれが寮へ配布したんだろうか」「絶対に私の言ったことはしゃべらないでください」というようなことを言って、四日前に引き続きこういう詰問をしている。さらに、夕方広島市内に帰って、食堂で夕食をとりながら、二十数枚の写真を示して、「これは知っているか」「これは共産党員だろう」などということを聞いたあげく、三千円の金を無理に渡して、「月一回会ってくれれば月々幾らかの金をやる」ということを言って口どめをしながら、スパイの手先になれということを誘導しているわけです。  こういうようなことはもう全く言語道断な労務管理の逸脱であるし、労働者に対する、神聖な思想、信条の自由、政治活動の自由、また、新聞の配布を受けている者の新聞を読む自由、それから配布を受けることの自由に対する侵害だと思いますが、これは、労働省の人はどう思いますか。こんなことが会社で行なわれていいと思いますか。——労働省の人、来ていますか。

小山省二自由民主党

○小山(省)委員長代理 来ていたけれども、もう帰りました。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 呼んでみてください。  それでは、これは警察に聞いても、警察が不届きだと言うかどうか、何と言うかわかりませんが、あとで警察がかんでいますから、念のために警察に伺いましょう。  人事課の工場主任だからといって、こんなばかなことをいまどきやるなんということは、これは全く時代錯誤もはなはだしいし、民主的な権利の侵害もはなはだしいと思うのです。ところが、これから警察がかんでいる問題が出てくるのですが、自動車で、どのうちが「赤旗」の配布を受けているかということを調べて歩いた。約二時間ぐらい回って歩いたのですが、そのときの朝、一行が自動車で出発して、途中であるコーヒー店に寄って、それで三十分ぐらい過ごしているのですが、そこで一人の男の人があらわれてきて——これは私のほうではもう名前もわかっております。それから、念のために言いますと、身長から何までちゃんとわかっております。年齢三十歳から三十五歳まで、身長百七十センチメートルないし百七十五センチメートル、がっちりしたからだ。こういう男の人を喫茶店で同乗させた。それで、この人事課員の言うには、「この人は刑事さんですよ」と労働者に言っているわけですね。この刑事といわれる男、これはその後調査されましたか。こういう事実があったかどうか。また、この身長百七十センチから百七十五センチ、がっちりした男、年齢三十歳から三十五歳、これはだれだったかということがわかりましたか。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 そのときにたまたま喫茶店で会った警察官というのは巡査部長でありまして、広島の南警察署の仁井という人でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 仁井という巡査部長が、東洋工業の人事課の工場主任がこういう不当なことをやることにどうして協力するようになったのですか。そんなに警察というものは独占企業と密着しているのですか。何かいいことがあるのですか。これははなはだ公正を欠いていると思うのです。公正ということは、資本と労働が対決している場合には、中立的な立場に立つというのが公正中立であって、資本側に立って労働者を弾圧する側に立つということは決して公正中立じゃないですよ。どう思いますか、会社側に利用されるようなことをして。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 広島県警察本部に照会したところの報告によりますと、当日、二月二十八日でございますが、本、仁井巡査部長は休暇をとっておりまして、たまたま広島市内のその喫茶店へ午前十時半ごろ入ったわけです。   〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕 そうしますと、いまお話のあった東洋工業の社員、これが二名おったわけですが、これは前からその巡査部長の人は知っておった人でございまして、これと雑談をいたしておるうちに、これから豊平町の方面にドライブに行くということで、同行してはどうかと誘われたものでございまして、この巡査部長は、以前同方面の駐在所に勤務しておったということで、非常になつかしい土地でもあり、久しぶりに行っていろいろな人にあいさつもしたいということで同乗したわけであって、いま御質問のような、東洋工業のそういうようなことと全く関係はございません。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 警備局長は、全く関係がないと言っていますけれども、客観的には、この人事課員が自動車に乗っていた境君にどういうことを言って、その日何のために自動車に乗って町の中を歩いたかということは、私がるる述べたわけなんですが、それで、「この人は刑事ですよ」ということで乗せられれば、これはもう、「赤旗」の配布先はどこだ、あなたはどことどこへ号外を配ったかということに対する一種の圧力になることは当然じゃないでしょうか。もしドライブをしたというならば、もう一人いる人はどういう人なのか、どうしてその町の中だけを歩き回るのかということを、仁井君は工場主任に十分聞いて、そういう疑惑を受けるような行為は——これは疑惑を受けるような行為だったか本心だったかは別ですけれども、当然断わるべきじゃないですか。それから、これは巡査部長の刑事ですけれども、巡査部長が東洋工業の人事課の工場主任と親しいということ自体、警察の公正さを疑わさせるものではありますけれども、しかし、この日、工場主任が何のためにその自動車に乗って町の中を歩き回ったか。こういう目的の延長として仁井巡査部長がこの自動車に乗せられたということについては、仁井部長としては当然考えつくはずで、私たちの考えとしては、これは会社が利用するために乗せたと考えられますし、かりに、善意にとって、あなたの言うとおりだとしても、事情を明らかにして、乗るべき自動車であるか、あるいは乗るべからざるかということを確かめるべきじゃないですか。その点、どうお考えになりますか。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 この東洋工業は、御承知のとおり、その土地における非常に大きな、一万数千名の工員がいる会社でございますので、警察としては、防犯上、公安上、交通指導上、いろいろな関係で、会社のそういう面とは警察の日常業務を通じて接触、連絡しておりますので、その間においていろいろと知人ができるのは当然のことであって、ふしぎなことではないと思うのです。  また、自動車の件も、そういうことで知った人で、あちらのほうへ行きたいのでという話で、かなり遠いところでございますので、本人も、久しぶりにあちらのほうを訪れてみたいという気持ちを持っていて、たまたま休暇中であって、ちょうどいい機会だということで乗ったわけでございまして、いま言われたようなお話の内容については、本人は全く存じておりません。全くそういう個人的な好意から出た行為でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 公務員たる警察官が、こういう大きな会社の人事課員の工場主任とドライブをするほどの親しみを個人的に持つということは、これは、そのこと自体警察の公正を疑わせるものじゃないでしょうか。それはあなたのおっしゃるように、職務上、防犯の上から東洋工業と接触を持つということはわかりますけれども、しかし、個人的にそこの工場主任と二時間もドライブまでして歩くということは、公務員としての警察官は慎むべきじゃないですか。しかも、コーヒー店で落ち合っている。もしこの供応が相当のものであるならば、公務員として度を越した個人的なそういうことをしたことについて、公務員たる仁井君はどういう刑事責任を負わなければならないか、明らかである。そういう問題にも発展する可能性もあるわけなんです。これは、職場の民主的ないろいろな権利を、警察が東洋工業の労務管理と一体となって弾圧し、圧力を加えるために意識的に乗ったとわれわれは考えております。かりに、警備局長の言うことの上に立っても、そういう職務上必要があってやることならわかりますけれども、大会社の工場主任と警察官が親しいからドライブをしたというような関係は、これは慎まなければならないと思いますが、どうですか。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 先ほどお話ししましたように、その警察官の方は非番であって、全く自由な立場に立っておりまして、そういう方が知人とドライブするということにまでわれわれとしてはどうこう言う立場にはないと思います。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 しかし、李下に冠を正さず、瓜田にくつをいれない厳格な態度を警察官がとらなかったら、労働者の側から見たら、こんなことが自由に行なわれるのを見れば、これは会社側の首脳部と一体となって、共産党やそのほかの民主勢力を抑圧する側に警察は立っているのだと思うのは当然になりますよ。だから、こういう事態を知った以上は、警察官の身の処し方に対して、厳正な、いやしくも公正な立場を疑われるような私行為は、いかに非番とはいえ、するべきでないことをあなたから注意するのがしかるべきじゃないですか。あなたは盛んに弁護しているようですけれども。  この同乗されたもう一人の境さんという人には、「おまえは赤旗の号外をどこに配布したか」「共産党の党費の納入先を知っているか」「だれとだれがそれを持っていくか」「ビラをどこで配布したか」「早く足を洗ったほうがいいだろう」と、こういうようなことをさんざん言って、そして三千円の金まで渡して、「月に一回おれに会ってくれ」ということを言っている。そして、仁井君を乗せて、「この人は刑事ですよ」と言えば、境君のほうの立場からいえば、ははあ、警察まで入れて圧力を加えているんだなと思うのは当然じゃないでしょうか。そういうことについて慎むべきであるし、また、そういう注意を与えるべきだと思いますがどうですか。そう考えませんか。そう考えないほどあなたも感覚が麻痺しているというなら話は別ですが。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 いまお話しのような趣旨で、強引にいろいろと圧力をかけるような——話を聞いておって、そのそばで動揺しておるというなら話は別でありますが、本人に警察本部で聞いたところ、そういう話は全く聞いていない、談笑の間にドライブをした、こういう報告になっておりますので、先ほど申し上げたとおりの私の考えでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 これは告訴もしておりますので、いずれ事態がはっきりしてくると思います。その自動車の中で巡査部長の仁井刑事がどういう話をしたか、そういうこともはっきりしてくると思いますから、そうしたらこの質疑はまた続けることといたします。  警察庁長官が見えたですね。では、時間の関係で次のもう一点をお聞きいたします。  もう一つの点は、関西の経営者で組織されている、関西経営者協会というのがあるわけなんですが、企業の正しい思想指導をめざした「思想対策特別研究セミナー」をことしの二月十六日に開催すべく企画して、一月五日付で開催の案内状を関係者に配付しているわけであります。何なら、この現物を、長官がお見えになったから、長官にお見せしておきます。こういうものです。  同案内によると、これは極秘扱いという形になっておりますが、ここに「(本セミナーはマル秘講座ですので申込書の取扱いに十分ご注意願います)」とある。そこから問題が出てくるわけですね。この「開催ご案内」によると、このセミナーは「最近の政治、社会情勢の激変を巧みに利用し、日共・民青は七〇年代後半の民主連合政権の樹立を目標に日夜精力的な活動を展開していることは、見のがすことができません。」として、「本会ではこのたび題記セミナーを開催し、とくにこれからの左翼系勢力の動向と実態およびその対策について掘り下げた研究を行ない、企業における思想問題の実践的対策に供したいと存じます。」と言っているわけですね。  そして、この講義は次の三題からなっている。一つは、「関西における日共・民青・新左翼の動向と問題点」、その副題として「最近の左翼勢力の動向を体系的に究明し、確実な情報をキャッチし、対策を樹立する」。二は、「企業の思想指導、職場の労務思想対策実務」で、副題として、「理論武装と実践」。三は、「最近の思想動向と企業の対策」、副題として、「これからの政局の展望、とりわけ社・共共闘のねらうもの、および七〇年代にかける日共の手口を分析し、企業の具体的対策と正しい労務管理のあり方を研究する」。この案内の趣旨、講座の題名、副題より見て、何よりも、このセミナーは思想的対策の特別な研究セミナーであることは題名から明らかですが、このようなセミナーは、明らかに資本家の立場に立った、偏見に満ちた、民主的な諸勢力に対するきわめて挑発的な内容を持っているわけですね。  ところが、事もあろうに、この講座の講師として、大阪府警察本部公安第一課長補佐森下澄と、それから、弘津恭輔元公安調査庁調査第一部長の二人がともに名を連ねている。警察庁として、このようなことを警察官の職務執行上どう考えるか。これは長官のおいでになる前に、私から、警察法の二条、それから三条の「服務の宣誓の内容」等からいって、あくまで公正中立な立場に立たなければならない、そして、国民から信頼を置かれるような警察にならなければならない、こういう立場が警察法の二条一項、二項と三条の趣旨であろうということを述べたのですが、こういうふうに一方的に資本家側の立場に立って、しかも、天下の公党である共産党に対して、また、共産党と社会党との共闘関係に対して、それから民青あるいは労働組合に対して、こういうように左翼と称して——この資本家のセミナーの内容からいうと、これらの勢力を左翼と称しているわけですが、こういう資本家側が持っておる非常な偏見的な挑発的な見解に対して警察が全面的に協力して、そのセミナーに講師まで派遣するということが警察法上から許されると考えますか、どうですか。

高橋幹夫警察庁長官

○高橋(幹)政府委員 ただいまの御質問でございますが、主催者側から、当時、最近の治安情勢についての講演依頼があったことは私も知っております。しかし、私どもは、警察の正しい立場を理解してもらうということが一つと、それから、国民の支持、協力を求めるための一つの広報活動の一環でございまして、林委員からいろいろ言われたことは、理解をする場合においてはいささか残念でございますが、私のほうの立場ではいま申し上げたようなことでございます。  したがって、いま申し上げたような趣旨で引き受けたものでありますが、しかし、積極的には引き受けるということではなく、そういうことはなかったわけでございます。一応、その当時から私どもは引き受けるということで、これは警察の職務行為である、こういうふうに考えております。したがって、講演内容の問題についても、むしろ警察の立場を正しく理解をしていただくということでございます。  なお、協力を求めるという趣旨のもので、いま申し上げにように、私どもの申し上げているような不偏不党の立場において申し上げたことでございまして、私どもとしては何ら偏向した考え方で申し上げたことではございません。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 内容はそんなことになっていないじゃないですか。森下君の出るセミナーの表題は「関西における日共・民青・新左翼の動向と問題点」ということで、これは最近の左翼勢力の動向を体系的に究明して、会社の労務管理対策の資料として、理論武装をするためのセミナーだ。あなたの言うように、警察の立場を理解してもらいたいなんていうような内容では全然ありませんよ。それから弘津君の出席する「最近の思想動向と企業の対策」というのを見ますと、これは、「社・共共闘のねらうもの、および七〇年代にかける日共の手口を分析し、企業の具体的対策と正しい労務管理のあり方を研究する」ということになっており、要するに、共産党や社会党の共闘、あるいは労働組合というような民主的な勢力に対して企業がどのような対策を立てたらいいかということで、これは全く資本家の立場に立って、そういう民主的な勢力に対して挑発的な態度に出ている。「理論武装」ということばが使ってあるのですよ。あなたの言うような、そんなしらばっくれた、警察の立場を理解してもらうために行くものでございますという、そんなことが常識で通用しますか。それは明らかに会社側に立って、そういう民主的な勢力に対してどう対峙して押えていくかということのために警察が手をかしているんじゃないですか。そんなことを警察がやっていくというならば、はっきり言いますけれども、警察は資本家の犬ですよ。われわれがばく大な税金を出して数十万という警察官を養成していく必要はありませんよ。あなた方は資本家からだけもらっていたらいいじゃないですか。事もあろうに、こういうところに大阪府の公安の警察官が恥もなく講師に呼ばれて行くなんということを許すということ、これがはたして公正に国民の立場に立った警察といえますか。長官、どう思いますか。あなた、感覚がどうかしておりますよ。

高橋幹夫警察庁長官

○高橋(幹)政府委員 先ほど申し上げたように、私どもの申し上げるほうも、公然資料というものに基づいて得た結果を、広報の立場からあくまで客観的に申し述べるということでありまして、御承知のとおり、特定の政党やその他の政治団体を支持し、あるいはこれに反対する目的をもって行なうというのではございません。したがって、客観的に公然資料に基づいて話をするということになるわけでございます。しかし、残念ながら、その内容について、いろいろな問題についてそういう機会がなかったわけでございますので、一応私として申し上げれば、いま申し上げたような基本的な考え方について申し上げていることでございまして、偏向をするとかというようなことでは全くございません。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 ちょっと補足させていただきます。  長官が答弁されましたように、一般の治安情勢について話をということで一応受けたわけでございまして、いま林議員の御質問にありましたように、独自の案内書をつくって、マル秘扱いで、「企業の正しい思想指導をめざした思想対策特別研究セミナー」として、それにいろいろな演題や副題があったということは、警察は全然知らなかったわけでございます。経営者協会がかってにつけたものでありまして、これについては、われわれは、そういうことを指摘されるまで全く知らなかったということをこの機会に御説明申し上げます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 警察が知らなかったのに、警察の一定の職務にある者、あるいは一定の地位にある者が利用されたということなら、警察の側から、それは話が違うじゃないか、警察が資本家側に立って、民主的な勢力を弾圧するような情報を提供して、それが労務管理の資料に供され、そして、そういう民主勢力の思想、信条の自由を抑圧するようなことのために警察官が行くということはお断わりしますということでやめになったのならば、これは話がわかりますよ。しかし、やめになった理由は——私のほうの共産党の大阪府委員会が抗議に行ったところが、府の警察本部長は、いや、これは向こうが断わってきたんだ、私の方針としては森下を派遣します、これが私の回答です、と言っている。いま警備局長の言うようなことなら、まだわれわれも話はわかりますよ。電話で話が来たので、それでは行って話しましょうと——しかし、これも、公務員は秘密を守る責任があるわけなんです。御承知のとおり地方公務員法の三十四条に「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」ということがあるのに、資本家側からの話で、自分が職務上知り得たことをべらべらとしゃべりまくるということは問題ですよ。しかし、その後実態を調べて、いろいろの関係で、これは警察官が行くべきところでないということで、警察側から断わったということならわかりますけれども、大阪の府警の本部長は、いや、会社は断わってきたけれども、私の方針としては、あくまで森下を派遣します、これがあなた方の抗議に対する私の回答です、こう言っているということが、私のほうの党の府委員会からの回答として来ておりますが、この辺の実情はどうですか。長官と警備局長と、両方からお答え願いたい。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 本部長のお答えになった段階、すなわち、府会議員の方その他が抗議に来られた段階では、そういうようなサブタイトルがついていたことを全然存じなかったわけであります。したがって、警察としては、それはおかしいじゃないかという形で、向こうのほうにさっそく申し入れはしてございます。その結果、向こうのほうで、そういうかってなことをしたということでこのセミナーが取りやめになったということはあとで聞きました。  それから、本部長が出席をさせるつもりであるというようにお答えになった趣旨は、いま言ったような副題とは別に、本来は一般の治安情勢についてということであったから、そういう意味では、最初の趣旨どおりであるならば派遣する、こういうふうな一つの条件がついていたというふうにわれわれは了解いたしております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 一般の治安情勢というなら、それじゃ、右翼の動きだとか、暴力団の動きだとか、そういうものはどうしてやらないのですか。これはみんな左翼だけじゃないですか。いわゆるあなた方の言う左翼、日共、民青あるいは社共の共闘というようなことだけじゃないですか。それは明らかにあなた方の立場が偏向していると言わざるを得ないじゃないですか。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 何回も申し上げますが、副題は向こうがかってにつけたことであって、警察としては、一般的な話をするというふうに了解をいたしておったはずであります。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 そうするとこれは、警察側では、来て一般的な治安情勢を話してくれということだったけれども、あとになってこういう副題がつけられたりして、警察としては出席すべきセミナーではないということで警察側が断わった、こう聞いておいていいですか。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 その副題云々の話は、こういう副題は知らなかったということで、向こうのほうにかってなことをしておかしいじゃないかという話をしている間に、向こうのほうでそのセミナーを中止してしまったというのが事実だというふうに聞いております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 そうすると、警察側としては、一応関西経営者協会に抗議して——抗議といえば強過ぎるかもしれませんけれども、警察の立場を説明したところが、向こうのほうから断わるという話になった。一応、警察としては、こういうことでは困るという話をしたということなんですね。それでいいのですか。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 そういうふうにわれわれは承知いたしております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 私のほうの府委員会の報告とは、そこは食い違っております。府の警察本部長のほうは、いや、私の抗議に対する回答は、森下を派遣する、これが私の回答です、ということを言ったとはっきり言っておりますので、この点の食い違いは、いずれ後の適当な機会にまた質問をいたすことにします。  それで、私はいま二つの例をあげて質問したのですが、最初の質問のときは長官がおいでにならなかったので説明しますが、最初に私の言った例を見ても、警察は常に東洋工業の会社側に立っているような誤解を受ける。警備局長の言うように善意に解釈して、これは、工場主任と親友であったからドライブに行く意味で自動車に乗ったのだ、そして、工場主任から赤旗の号外を配布したことについて詰問を受けていた者がそこに乗っていて、その人にこれは刑事だという紹介をされたのだというような事情だとか、あるいは関西経営者協会のセミナーでの、共産党あるいは社会党と共産党との共闘というような、民主勢力に対するねらいの対策として、憲法で規定されている思想、信条の自由、政治活動の自由を抑圧するような偏見的な立場に立って挑発を加えた事実だとか、こういうことに対して警察が協力するようなことはいたしませんということを長官は答弁できますか。はっきり答弁してください。

高橋幹夫警察庁長官

○高橋(幹)政府委員 いま、具体的な問題についていろいろな御指摘があったようでございますが、それぞれの内容については、ただいまお伺いいたしましたし、その前にもいろいろ関係者からも話を伺っておりますが、しかし、その伺っておる内容と必ずしもぴったりしたものではございませんでした。しかし、私どもとしては、警察という立場から言えば、あくまでも不偏不党であり、政治的において中立性であることはもう当然でございます。したがって、具体的ないろいろな事案について、われわれは、原則的な私どもの警察の態度というものと相関連をいたしまして、実践的な問題についても、第一線の警察官に間違いのないように、また、そういう誤解のないようにしていくということが当然だと思います。したがって、現時点におきましては、各般のいろいろな事案がございましたけれども、私どもの考えております警察のあり方について違反をしているということではないというふうに私は確信をしておるのでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 じゃ、私の言ったような事実で、警察法に違反しているということがもしはっきりしたとすれば、いずれかの機会に質問しますけれども、そういうことは改める意思はありますか。

高橋幹夫警察庁長官

○高橋(幹)政府委員 私どもとして、私どもの考え方の基準に従ってやったことについて、その後皆さん方のほうでいろいろな調査の結果——私は、そう間違ったことはないというふうに確信をしておりますが、やったものについて、全部が正しいとか、あるいは全部が間違っているというふうには私も申し上げません。しかし、その結果について、正しく捜査の過程においてそういうことがはっきりわかれば、はっきりわかったときに私のほうの考え方を申し上げるのでございまして、現時点においては、いま申し上げたように、個々の事実についても申し上げたようなことで、私は変わっていないというふうに思うのでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 私は、あなたのほうの考えと異なった事実がはっきりした場合には、不偏不党ということが本来の立場である警察としては、これから注意をするということをあなたから答弁として引き出そうと思ったのですが、そういう趣旨のことが出たのが、何か盛んにその前後にことばがたくさん入っているものだから、そこがはっきりしなかったのですが、私のほうはそういうように解釈しています。  もう一つ私はあなたに言いたいのですが、これは時間がありませんからいずれはっきりさせたいのですが、警察の予算の執行関係が非常に不明朗なんですよ。防衛庁と警察ですけれども、防衛庁よりもむしろ警察の予算執行が全く不明朗だと思うのですね。  念のためにお聞きしますが、ことしのあなたのほうの予算で、都道府県警察費の補助に必要な経費が二百十億ありますね。これは、各府県へ幾らずつ行くか、ここではっきりできますか。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 お答え申し上げます。  ただいまあげられました補助金でございますね。これは、各府県に対します配分は、当初の分と、それから、その後の情勢に見合わせまして追加配賦をする分、こういうのを考えておりまして、当初の分につきましては、まだ成案ができておりません。できましてから県のほうに示達をする、こういうことでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 当初の分もまだ計算ができておらないし、追加の分も計算ができておらないのに、どうして総計が出てくるのですか。総計が出るというのは、そういう積み上げがあったから総計が出るわけでしょう。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 これは、先生御承知だと思いますが、府県に対する個々の積み上げをして予算を要求しておるのではないのであります。全体の五十県を対象といたしまして、それに対応した形で私ども考えております。御承知のように、警察の事案というのは、必ずしも、特定の県に特定の形であらわれるということはないわけでございまして、年間を見通した既算の要求をやりまして、それを実際のそれぞれの県の特殊事情に合わせて配分計画を考えていく、こういうのが予算の仕組みでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 じゃ、概算でもいいから、その概算を示してください。五十府県ですか。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 五十庁でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 それを示してください。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 五十庁の総額が、ただいま申されました二百十億でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 だから、その各庁へ幾らずつ行くのかということを知らせてくださいと言うのです。庁というのはどういう字を書くのですか、あなたの言う庁というのは。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 府県を申し上げております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 府県でしょう。だから、府県へ幾ら行くのですか。概算として……。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 府県を合した額を申し上げております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 だから、府県に対して、概算にしても総計が出ているのだから、各府県に対する概算がきまらないのに総計が出るはずがないじゃないですか。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 全体で幾らということをやりまして、それを各府県の情勢に合わせて配分を考えていく、こういうことでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 だから警察の予算というのはずざんだというか、意識的にそうやっているのですよ。それで、政治的に配賦して、予算の執行者が本部長だから、本部長が各警察にやる。各警察の署長はそれを部下にどんぶり勘定でやっていく。これは、警察ほど予算が紊乱しているところはないですよ。ことに、警備関係などというのは、相手がスパイだから、相手が情報提供者だから、それに飲食をさせたのは受け取りはとれません。だから、これはこれだけ必要ですと書けば、それだけ出してもらうのはあたりまえでしょうというような形で、受け取りも何もないような金の使い方が幾らでもある。ところが、内容を調べてみれば、実は、署長がふところに入れていたり、署長が署の幹部にばらまいていたり、そんなことはざらにあるのですよ。だから、警察ほど予算関係があいまいなところはない。  それなら、四十六年度でいいですよ。決算が済んだ四十六年度で、国からの各府県への必要な経費が一体幾らずつ行ったか、それは出せますか。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 まず、府県に配賦をいたします基準は、私どもでたらめにやっているわけではございませんで、警察法施行令第三条の第二項に「国が都道府県に補助することとなる経費については、国は、当該都道府県の警察官数、警察署数、犯罪の発生件数その他の事項を基準として所要額を算出し、その十分の五を補助する」ということになっております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 それなら、各府県に対して、こういう基準に基づいて、各府県にこうういう割合でやります、その総額が二百十億ですと、そう言ったらいいじゃないですか。それと、各府県へいま言った基準でどう配賦するか。われわれの予算の審議ですから、それが出てこなければ予算の審議ができないじゃないですか。

丸山昂警察庁長官官房長

○丸山政府委員 その配分は、いま申し上げましたように、犯罪の発生件数その他の事項、これは一番新しい状況になるわけです。四十七年度の計数を整理いたしまして、それを基準にして配付をする、こういう形になるわけでございます。  それから、ただいま先生の言われた四十六年度でございますか、四十六年度の決算はお示しできます。  それから、各署長がいいかげんな金を使っているという御指摘でございますが、これは、私ども、国の経費につきましては、会計検査がありまして、これはそのとおり実施をされており、ただいままでに不適当という指摘を受けたことはございません。  それから、県の予算につきましては、御存じのように、県の独自の監査委員会による監査が行なわれておるわけでありまして、私どもとしては、せっかくのこの税金をいいかげんにむだづかいしているというような実態は絶対ないものと確信をいたしております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 あなたと押し問答していてもしようがないのですが、事件の発生数を計数の一つのファクターにして計算するんだという、そこに基準があるならば、その基準に基づいて各府県に配付する数字が出てくるはずじゃありませんか。  それから、あなたは会計検査院と言うが、私も会計検査院を呼んで、この点は調べてあるんですよ。しかし、会計検査院はこの警備に関する費用の支出は略式受け取りでいいというんでしょう。それじゃ、いつ幾日料亭に呼んでごちそうした協力者に対して、その協力者の印をちゃんともらっていますか。それはもらわないでもいいということは会計検査院でも認めているんでしょう。それは、警備の必要上幾ら要ります、しかし、相手方の名前を出すことはできません、と、会計検査院はそれだけでいいことになっているじゃありませんか。だから、相手方が幾らもらったかわからないし、相手方がだれで、どう供応したかもわからないような、そんなルーズな受け取りだけでいいなどというのは警察だけでしょう。そういう中から不正が発生しているのです。会計検査院もその点では手の下しようがないのです。  いずれにしても、ここであなたに幾ら言っていてもしようがないけれども、全くどんぶり勘定ですよ。警察部内からも投書だってひんぴんとしてあるのですよ。何ならその投書をあなた方に示してもいいですよ。末端の刑事などというのは苦労して、足をすりこ木のようにして歩いているのです。それは全く冷遇されて、警備とかなんとかいうことで警察署長の鼻息をうかがっている者に、盆や暮れには署長からどんぶり勘定で行くというようなことが幾らでもあるのです。  それでは、委員長、四十六年度の決算、これをまず取って、私にくれませんか。それで、この問題は、時間がえらいたっておりますから次回にします。  答弁があったら聞いておきます。

山本鎮彦警察庁警備局長

○山本(鎮)政府委員 ただいまのは計算証明のことをおっしゃっていると思いますが、これにつきましては、私どもの捜査活動の実態に即した会計監査運用をするということで、会計検査院の計算規則にのっとってやっております。したがいまして、この中身につきましては、どういう対象にどういう時期に幾ら渡しておるなどということは、内部でははっきりと証明がつく、監督ができる体制になっておりますので、御懸念のようなことは一切ないというふうに考えております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 四十六年度の決算だけをとってください。

中村弘海自由民主党

○中村(弘)委員長代理 この際暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ————◇—————    午後四時十三分開議

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  消防に関する件について調査を進めます。  この際、北九州市における済生会八幡病院火災について、消防庁から説明を求めます。宮澤消防庁長官。

宮澤弘消防庁長官

○宮澤政府委員 北九州市の病院火災につきまして御報告を申し上げます。  まず、現在予防運動期間中でございまして、その期間にこのような事件が起こりましたことは、私どももたいへん残念に思っております。  詳細につきましては、私どものほうの担当者も現地に派遣をいたしまして、ただいま調査中でございます。  現在入手をいたしております資料に基づきまして、概略を御説明申し上げたいと思います。メモ書き程度でたいへん恐縮でございますが、お手元に簡単な資料を御配付申し上げておりますので、ごらんをいただきたいと思います。  出火の場所は、北九州市八幡区の済生会八幡病院でございます。  出火の日時は、本日の明け方、三時三十七分ごろでございます。消防機関が覚知をいたしましたのが三時五十一分、鎮火をいたしましたのが五時二十五分ごろでございます。  出火の場所でございますけれども、これもまだはっきりいたしておりませんが、一階の婦人科診療室付近というふうにただいま想定をされております。  建物の焼損の程度でございますが、建物は、鉄筋コンクリートづくりの五階建ての病院でございまして、延べ面積六千六百平方メートルでございますが、そのうち八百八十八平方メートルが焼損をいたしております。  各階の焼損状況は、その下にございますように、一階が七十平方メートル、二階が十八平方メートル、三階、四階がおおむね四百平方メートルでございます。この焼損面積でもおわかりのように、出火の場所が一階の婦人科診療室というふうに想定をされておるのでございますが、焼損をしておりますのは三階、四階の部分が非常に多いわけでございまして、私どものほうの担当官の想定では、火がダクトを伝わって上に行ったのではないかというふうに、これはまだ想定でございますけれども、そういう考え方もできるのではないかという見方をいたしております。  死傷者は、なくなられた方が十三名でございます。女性が十二名、男性が一人でございます。十三人の方のうちで、現場でなくなられた方は十一人でございます。二名の方は、他の病院に搬送をいたしましたあとでなくなられております。負傷いたしましたのが、消防団員一名でございます。  当日の管理状況でございますが、当直職員といたしましては、医師が一名、看護婦が十一名、守衛が二名、合計十四名が当直に当たっておりました。  当日の病院の患者の収容数は二百四十二名でございます。  火災が発生いたしまして、消防機関が火災の鎮圧につとめたわけでございますが、消火の活動状況は、ここにございますように、消防車が六十八台出動いたしまして、消防署員、団員合わせまして五百名近くの者が消火に従事いたしました。なお、はしご車等によりまして五十八人の患者さんを救出いたしているようでございます。  建物の避難施設につきましては、屋内階段が二カ所ございます。それから、屋外階段も南北二カ所整っておるようでございます。  それから、消防用設備でございますが、これは、屋内消火せんが各階に二個、合計十個、そして、自動火災報知設備、非常警報設備、緩降機というようなものが整備をされていたようでございます。  なお、この病院につきましては、昨年の秋に北九州市の消防当局が予防査察をいたしまして、自動火災報知設備について、非常電源の設備がないということを指摘していたようでございます。ただ、今回の場合は停電になったわけではないようでございまして、必ずしも、その非常電源の設備がなかったことが今度の災害につながったとは思われないのでございますが、昨年査察のときには、非常電源の設備が足りないという指摘をしているようでございます。  大体以上が、現在私どもが入手をいたしております情報でございます。  先ほど申しましたように、現地に調査に差し向けましたので、調査員が帰りました上は検討を続けたいと思うのでございますが、現在、私どもすぐにも感じますことは、一つは、この病院につきまして、昨年秋査察をしたということを申し上げたわけでございますが、消防用設備がはたして基準に適合したように整備をされていたかどうか、あるいは、設備が設けられておりましても、それがいざ非常の際に作動をするように、管理状況がはたして適当であったかなかったかというようなことが一つのポイントであろうと思われます。  さらに、病院の管理全般の問題といたしまして、通常の管理体制、特に避難なり誘導なりというものにつきまして、常日ごろどのような管理体制がしかれていたか、あるいは、今回、そのような避難、誘導の設備について適切な措置が行なわれていたかどうかというようなことが、この問題につきまして今後私どもとして十分検討しなければならないポイントではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  以上、御報告いたします。      ————◇—————

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、これを許します。小川新一郎君。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 私は、警察関係の一般質問をさせていただきます。最初に暴力団の関係をお尋ねいたしたいと思いますが、その前に、ライフルの問題で一点お尋ねいたします。  御存じのとおり、わが国は、銃砲取り締まりについては非常にきびしい罰則、法律がございますが、この問題につきまして、いま問題になっている点がございますので、お尋ねをいたしますが、いま法の上に許されている猟銃を対人殺人兵器と言われている小銃——昔の小銃、私たちが軍隊におったころのような、三八式歩兵銃または九九式歩兵銃のように、槓杵を開いて一発ずつ薬室に送り込んで発射する銃、このようなアクションボルトのものは全部猟銃として許可になっております。いまの小銃は非常に性能が進んで、御存じのとおり、手動式と半自動、それからオートマチックの自動式、こう三段階に分かれております。ベトナム戦で使われております米軍の自動小銃はM16、また、共産軍の使っておるのはAK47、また、その自動銃に至るまでは、米軍のライフル銃やカービン銃等のハーフの半自動式な問題等がありましたが、現在わが国で輸出の許可になっている猟銃というのは、手動式なのか半自動またはオートマチックも含めた猟銃なのか、この辺はどうなっておるのでありましょうか。

北村昌敏通商産業省重工業局次長

○北村説明員 遅刻いたしまして申しわけございません。  小銃と猟銃の区別につきましてお尋ねでありますが、猟銃の輸出等に対しましてどういう点をチェックしておるかという点をお答え申し上げます。  まず、ライフル銃はココムリストの該当品目でございますので、この関係から、ココムによります禁輸地域向けの輸出は承認をしないことになっております。それから、第二に、国連決議によりまして、南ローデシア向けの輸出は、これを承認しない。それから、同じ趣旨から、ポルトガル、南アフリカ共和国向けの輸出につきましても、慎重に取り扱う。現実は申請が一件もございません。それから、輸出先が猟銃の取り扱いにつきましてライセンスを保有しております適格のものであること、この点をチェックしております。それから、さらに、輸出先が軍隊のような場合、あるいは輸出の数量が非常に多いような場合には、猟銃の中身などをよく審査の上、慎重に取り扱っております。  以上でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 私の質問の先に輸出のほうに話がいってしまったのですけれども、いま、私が、いろいろ銃器の種類を述べ、性能を述べましたが、その種類の中で、猟銃と、一般対人の軍隊や警察で使うライフルとの違いはどうなのかということを聞いたわけなのであります。

北村昌敏通商産業省重工業局次長

○北村説明員 小銃と猟銃の違いを申し上げますと、ライフル銃で全自動式のものは小銃といたしております。全自動でないもの、したがって、半自動あるいは手動式のものは猟銃の範疇に入ります。また、着剣装置がついておりますものは小銃として扱っておる次第でございます。  以上でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 そうすると、半自動は猟銃には入らないのですね。

北村昌敏通商産業省重工業局次長

○北村説明員 半自動は猟銃の範疇に入れて扱っております。全自動のもののみが小銃でございまして、全自動でないものは、これは猟銃であります。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 わが国ではライフルの半自動は猟銃として認めているのですか。

奥秋為公警察庁刑事局防犯少年課長

○奥秋説明員 半自動につきましては、これを認めております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 そうしますと、二十連の、要するにモデルAR180という銃は、これは猟銃ですか、それとも対人用小銃ですか。

奥秋為公警察庁刑事局防犯少年課長

○奥秋説明員 お答えいたします。  国内では売られておりませんけれども、猟銃であります。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 このモデルAR180は、どういうわけで国内では売られていないのですか。

奥秋為公警察庁刑事局防犯少年課長

○奥秋説明員 銃刀法によりますと、六発以上の、要するに弾倉のあるものは許可しないということにしております。この銃は六発以上の弾倉があることになりますので、一応それはだめということになります。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 この銃は、わが国でつくられておりますか。

北村昌敏通商産業省重工業局次長

○北村説明員 わが国でつくられております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 モデルAR180は、二十連のハーフのオートマチックであります。これは米軍がベトナムで使っておりますM16と同口径、七・六二ミリでございますけれども、この銃は、わが国でつくられていて、どこへ輸出されているか。また、国内で使用許可が許されていないとするならば、何のためにわが国でこういうものをつくる許可を与えているのか。この辺について御説明いただきたい。

北村昌敏通商産業省重工業局次長

○北村説明員 AR180は、弾倉の装てんたま数は五発でございます。それから、半自動でございます。そういうAR180は、わが国でつくられているわけであります。なお、生産いたしましたAR180は、すべてアメリカに輸出されておりまして、国内では販売されておりません。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 このAR180が、最近ニューヨークで連続発生しております黒人過激派、ブラック・レボリューション・アーミー、黒人解放軍の警察官襲撃事件にからみついておりますが、わが国の警察当局では、ニューヨーク警察から、日本製のこのハーフオートマチックのM16の姉妹品といわれている小銃を、ニューヨークの警察官襲撃にブラック・レボリューション・アーミーの連中が使ったということで、何らかの通知を受けておりますか。

奥秋為公警察庁刑事局防犯少年課長

○奥秋説明員 そういう通知は受けておりません。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 これに対して、ニューヨーク警察や米国の警察の批判については、関知しておりませんか。

奥秋為公警察庁刑事局防犯少年課長

○奥秋説明員 聞いておりません。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 これは、私どもの調査によりますと、非常にいま問題になっておりますが、こういったハーフオートマチック、これは猟銃の範囲に入って許されているのは、アメリカその他のわずかな国だけなんでございます。日本のように銃砲取り締まりのきびしい国では、これはできておりませんが、いま年々この猟銃の輸出がふえております。この種のライフル銃、連発銃ですね。俗にいう拳銃と同じ動作のガス反動によるところの連続発射のできる自動銃、これは、私たちの調べでは、弾倉に二十発となっておりますが、いまのお答えでは五発と言っておりますが、その辺のところは、もうちょっと調査をしていただきたいと思いますが、通産省では、このように殺人兵器になるべき強力なライフルについては、輸出の規制とか取り締まりとか、そういう問題についてはお考えになっておりますか。

北村昌敏通商産業省重工業局次長

○北村説明員 お答えいたします。  新聞報道を通じてしかアメリカの事件は存じないのでございますが、少なくとも、新聞報道を通じます限り、わが国から輸出された猟銃がテロ行為などの目的に使用されるとすれば、まことにゆゆしい問題と思っております。ただ、一方、猟銃は、世界的に見ましても、健全なスポーツ用として使用されてまいっております。また、われわれが所管しております豊和工業のAR180は、その構造からいたしまして猟銃と考える次第でございます。したがいまして、猟銃につきましては、先ほど申し上げましたように、一定の事項をチェックした上で輸出承認をおろしている次第であります。しかしながら、先ほどのような事件が新聞報道のとおりとしてアメリカで発生しておるといたしますれば、われわれは、輸出後の改造の可能性などにつきまして十分に調査をいたしまして、その輸出承認の運営につきましても検討を加えなければならないと思っております。  なお、AR180の輸出につきましては、昨年、北アイルランドで過激派が日本製のAR180を使っておる問題が発生しておりまして、当省から、豊和工業へ、これはメーカーでございますが、それに対しまして強く要請もしまして、昨年七月以降は輸出をやっておらないという実情でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 そういたしますと、豊和工業のみならず、こういう半軍事に使われるような危険なライフル銃については、今後も規制をし、指導し、また、取り締まるというところまでできませんでしょうが、何らかの措置を講ずる、こう理解してよろしいのでしょうか。

北村昌敏通商産業省重工業局次長

○北村説明員 性能なり、あるいは輸出後の改造の可能性なり、そういったものをよく調査いたしまして、しかる上で、そのようなテロ行為ないしは小銃に類するようなものにつきましては、輸出承認にあたりまして、運用基準の検討をいたしたいと考えている次第でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 昨年一年間で、ライフルだけで三万七千、猟銃を加えると十数万丁、これはチェックされたものだけであります。この猟銃の輸出については、非常にゆるやかな問題でありまして、特にフリーパスに近いような状態でございますので、これはまず厳重な監督をしていただきたいということが一つ。  いま、商社の問題が問題になっておりますけれども、たとえばもうけるためには買い占めをするとか、または売り惜しみをするとか、投機的な問題でいまいろいろと批判をされております。もうもうけるためには手段を選ばないという風潮さえ出てきていることをわれわれは憂えておりますが、対人殺人兵器に転換できるような可能性がある自動式ライフル銃の輸出については、これは日本の国の問題として、海外からもいろいろと批判される問題でございます。特に、アイルランドの暴動事件にも使われておりますし、ニューヨーク警察官襲撃事件にも使われております。こういうものを、国内では許可されていないのに輸出は許可するという不明確な点で私は質問しているわけでありますが、この種の銃がいま日本の暴力団の手に渡っている気配はありませんか。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 以前の暴力団の持っておる銃砲の検挙状況から見まして、そのような特異な銃砲を持っている事件は検挙しておりません。大半がモデル改造拳銃でございまして、私が聞いておりますのは、連発の銃をごくわずか所持しているのを所持犯検挙しただけでございまして、まず、現在の状況から見て、持っていないと断言はできませんけれども、過去の取り締まり状況を見まして、一度も検挙した事例はございません。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 金嬉老が持っていた豊和のモデルは、あれも同じく連発ライフルですけれども、あの種のものは、どうしてああいう半暴力的な男の手に渡るのですか。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 金嬉老のときの銃砲が、所持許可できる銃砲であったか、あるいはそうでなかったか、その記憶がございませんが、銃砲刀剣類所持等取締法にいう、許可すれば持てる銃砲ではなかったかというふうに了解しております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 いま私がるる質問いたしました点は、非常に大事な問題でございますので、警察当局も、また通産当局も、これを厳重にチェックしていただきたいと思います。  次に、工業用のびょう打ち銃が改良されて犯罪に利用されている点がございますが、びょう打ち銃を利用した犯罪は何件くらいありますか。また、びょう打ち銃を使用後野放しに捨てているものは全体のうちどのくらいなのか。回収を義務づける考えはないのか。警察当局にこれをお尋ねしたいと思います。

奥秋為公警察庁刑事局防犯少年課長

○奥秋説明員 いままで一件あります。  それから、一たん使用した、不要になりました銃につきましては、廃棄するようにという指導をしております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 間違いなく一件ですか。

奥秋為公警察庁刑事局防犯少年課長

○奥秋説明員 私のほうにいま入っている報告では、一件ということになっております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 これは水かけ論になりますからここでは言いませんけれども、もっとあります。よくそれは御調査していただきたい。ここで私は警察当局の責任を追及する考えはありませんので、ここで私がどうの、あなたのほうがどうのなんていうことは申し上げませんが、非常に危険なことにおいては、もうよく警察当局が御存じだと思いますので、建設業界で使っておりますこのびょう打ち銃については、厳重な監督をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

奥秋為公警察庁刑事局防犯少年課長

○奥秋説明員 今後とも引き続いて厳重に監督いたします。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 次に、暴力団について二、三お尋ねいたします。  本年度の組織暴力団壊滅の重点目標はどこに置いておるのか。現在までにあげたいろいろの成果と、また、今後のその目標を、いろいろと当たりさわりのある場合もございますでしょうから、許される範囲でけっこうですけれども、これは非常に大事な問題でございますから、その焦点をお尋ねいたします。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 暴力団の団体数、人数等が年々減少してきておりまして、昨年末の団体数、人員は、数年前に比べますとかなり減ってきております。しかし、暴力団の最近の実態、傾向を把握してみますと、数は減っておるといいながら、広域化しておる、あるいは系列化しておるという傾向が随所に見られるわけであります。また、大規模な暴力団、広域暴力団同士が組織の再編成をはかるというふうなこと、あるいは東西の暴力団が相互に提携するというふうなことで、言うならば、大同団結というか、次第次第に大きく、広く、強くという傾向がだんだんと見えてまいっております。  また、それに伴いまして、犯罪の態様も、そういうふうな背後の大きな力というものを背景にしながら、あるいは企業を行なう、あるいは金融経済面に進出してまいるというふうな知能化、潜在化の傾向もふえてまいってきておる。それから、昨年の検挙状況に見られますように、対立抗争事件に使用される拳銃の数も多く、また、拳銃の所持違反というものも非常にふえてまいっておる。  こういうふうな状況でございまして、警察は、戦後長い間、暴力団の取り締まりあるいは組織の壊滅というものを警察運営の重点としてやってまいっておりまして、過去十数年の成果で言うならば、町の暴力、地域暴力というふうなものにつきましては、確かにかなりの成果をあげてきたというふうに考えております。  まだ十分とは申しませんが、従前に比べればかなり改善されてまいってきているこの時期におきまして、これからの暴力団取り締まりの重点をどこに置くかということにつきましては、かような実態にかんがみまして、大規模な、広域な暴力団に取り締まりの重点を置きまして、その分断あるいは解体というものをねらいにしなければいけないということから、二、三を重点にあげてきておるわけでございます。その第一には、致命的な打撃を与えるためには、資金源の壊滅が必要であるということで、暴力団のあらゆる資金源の実態をもっと十分に解明し、その資金源をめぐる犯罪に対する取り締まりを強化徹底するということをあげております。第二は、拳銃でございまして、拳銃等の武器所持違反に対する取り締まりを強化する。第三は、これはかねがね成果をあげてまいったのでありますが、首領、幹部等を含む構成員の大量検挙、これを集中的に推進するというふうなやり方。それから、第四は、町がかなりきれいになったとはいいながら、相当の暴力団が何かにつけて市民に迷惑をかけるというふうな、市民の日常生活の平穏を直接害するような小暴力事犯につきましても、警察が積極的な姿勢で取り組んでまいる。そういうふうな点を重点といたしまして、暴力団の組織の壊滅という方向に成果をあげてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  なお、昨年一年間の取り締まりにつきましては、件数、人員等におきましては、戦後最高の数字をあげておりまして、検挙数の面から見ますと、われわれといたしましては相当努力をしておるというふうに申し上げていいのではないかと思いますけれども、それぐらいの取り締まりをやっておりながら、なおかつ暴力団が厳然として存在しておるというふうなことにつきましては、なお、従前の取り締まりのやり方では足りないで、あるいは民間の協力体制というふうな点についてもっと御理解を深めていく必要があるのではないかというふうなことで、さらにそういう点を検討し、取り締まりの重点を実地の場合に織り込んでいくというふうに考えております。  去年は、罪種的に見ますと、特に従前に比べて増加の著しかったのは、賭博、覚せい剤、のみ行為など、暴力団の恒常的な資金源になる犯罪でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 広域暴力団の組織的壊滅を目ざして、当面、本年度−来年度にかけての目標とする組織暴力団の名前をあげられますか。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 警察庁におきましては、内部の取り締まりの重点ということで、七つの大きな暴力団を指定暴力団というふうにして、それを重点に取り締まるということを内部的には指導いたしております。あげろと申されればあげてもけっこうでございますが、新聞等で、関東の暴力団と関西の暴力団が最近手を組んだというふうな記事も見られるようでございまして、そういうふうな、新聞資料として出ておる著名な暴力団を重点的に取り締まっております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 特に、資金源封じ込めによるCC作戦というのは、何を言っているのですか。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 いま私どものほうではそういうことばを特に使っておりませんので、あるいはピントはずれかもわかりませんが、要するに、暴力団が資金を獲得して、それで組織を強化するというふうなことを防止するのが暴力団の取り締まりの効果をあげるゆえんであるという観点から、暴力団の資金源の一番多額な資金を得ております麻薬、覚せい剤あるいは賭博、のみ行為、売春、ブルーフィルムといったものを重点的に取り締まりする、こういうことではなかろうかと思います。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 その資金源を絶つために、一つの手段として、暴力団の収入源に課税をするという考えを聞きましたけれども、税金をかける場合、たとえば何にかけるのかわかりませんけれども、暴力団の収入源というのは何と何がありますか。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 暴力団の収入源は、不法な資金源、あるいは暴力団が行なっております合法的企業の資金源というふうに、非常に多数ございまして、先ほど申しましたように、おもな不法資金源は五つばかりあげましたが、そのほかにもたくさんございます。それで、そういうふうな不法な行為によって得られた資金源に対しまして、これを放置することなく、課税面からとらえて、この不法な資金を徴収するというふうな作戦を考えております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 国税庁の方にお尋ねいたしますけれども、税の本来のあり方として、これは何税に当たるのですか。所得税ですか。あるいは、暴力行為によって恐喝をして、それが、ある組織で、たとえば年間百万円になった場合、それをどうやって把握するのですか。あげられた時点で把握して、それに何%かけるのか。または、のみ行為で親分同士が出てきて、何というのですか、義理がけというのがございますが、義理がけで集まったその所得を申告をするのか。そういうばかなことはできないのであって、それを一体どうやって税金をかけるのかということが問題になりますが、こういう不法に得た収入を、国の一般財源や地方自治体の住民税、または都市計画税や固定資産税というものと同等に一般の人間が考えていいものかどうか。一体何の性格によって国税庁としては暴力団の不法収入源に税金をかけようとする考えが出てきたのか。こういった組織壊滅のための、この収入源を絶つための作戦の一面としてやるということは、たとえば、ばくちとか公営ギャンブルで、のみ行為に当たったあるやくざがあげたお金は全部没収になるのが当然だと思うのですが、それに税金をかけるということは、没収しないのか。こういう点非常に疑義が出てまいりますが、国税庁の立場はどうなんでしょうか。

磯辺律男国税庁調査査察部長

○磯辺説明員 きわめて技術的な問題と政策的な問題とあると思うのです。  まず、第一に、こういった暴力団がいろいろな事業形態によって収入を得ておる場合、その収入というものは一体どういった種類の収入であり、どういった所得であるかという御質問かと思いますが、いろいろございまして、たとえば暴力団が暴力バーを経営しているとか、あるいは、これはたとえで差しさわったら悪いのですけれども、人入れ稼業をやっているとか、あるいは暴力土建をやっているとか、こういったことでありますと、これは一応事業所得ということになります。  それから、その他考えられますことは、一時所得もしくは雑所得でございます。一時所得と雑所得の違いと申しますのは、一時所得といいますのは、所得税法第三十四条にございまして、利子所得、配当所得、その他これこれこれの所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得だというふうに規定されている。それから雑所得と申しますと、いろいろな所得の種類がございます。給与所得とか、利子所得とか、配当所得とか、ただいま申しましたような一時所得等がございますけれども、そのいずれにも属さない所得を雑所得と言っております。いずれにいたしましても、そういった事業所得もしくは一時所得、雑所得、それぞれの定義を与えまして、それぞれ税法に定められますところの計算方法によって課税所得というものをわれわれが把握するということになります。  それでは、一時所得、雑所得は一体どういうものだということになりますけれども、事業所得につきましては、先ほど申しました一時所得と申しますのは、たとえて言いましたら、総長賭博ということばがございますけれども、そういった場合に一時にあったテラ銭というものは、あるいは一時所得ということになろうかと思います。それから雑所得といいますと、これはゆすり、たかり、そういったことでたいへん収入を得ているといったのは、これは雑所得になろうかと思います。  しからば、そういったゆすり、たかりとか、不法な行為によって得た所得に対して課税するのがはたしていいのかどうか、あるいは、そういったことに対して、一般の税金と同じようにそれを所得計算をして課税をするのがいいかという問題が次に提起されたわけでございますが、これは小川先生、まことにごもっともな御疑問かと存じますが、しかし、基本的に私たちが考えておりますのは、課税所得を把握して、その経済的利益を生じたという事実に着目し、その課税所得計算をいたしまして、それに税金をかけるということと、そのつど、そういった所得を発生するに至る不法行為を社会的に認知するということは、これは全く別問題だというふうにわれわれ税務当局としては割り切っております。しかも、税金といいますのは、やはり租税法定主義でございますから、したがって、課税するにあたりましては先ほど申しましたように、税法の規定に従って収入金から必要経費を差し引いて、その残りに対して課税所得というものを計算し、なお、必要な各種控除を引きまして、そして最終的に税率をきめるということになろうかと思います。  では、こんなことに対して税金をかけるのはおかしいじゃないかという御疑問もございますけれども、しかし、むしろ、こういった所得に対して税金をかけて、そうして、そういうある暴力団の関係者あるいはそういう不法な行為によって生活しているという者に対して税金をかけずにそのまま放置しておくということ、そのことは、私たちの立場からしましたならば、やはり課税の公平を阻害することになりますし、同時に、それはやはり社会的正義に反するのじゃないかというふうに私たちは考えております。したがって、そこで経済的利益というものが発生したという、その事実をつかんで課税していくということは、これは、税法の立場としては、われわれの立場としては当然なことである、かように考えます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 確かに、税金の立場からいけばそういう図式になりますが、いかなる税金を納めるにしても、その所得に対しては必要経費というものが見られますね。すると、暴力団が何かをやったときに、その必要経費というのは何ですか。たとえば恐喝をやったときに使ったナイフ、ピストル、これは必要経費として落とすのですか。こういう疑問が出てくる。

磯辺律男国税庁調査査察部長

○磯辺説明員 やはり、所得計算いたしますときには、ただいま先生が御指摘のように、何となく実態にそぐわないような、または、きわめてナンセンスのようなことがございますけれども、たとえて言いましたならば、賭博を開帳したといったような場合、そこでテラ銭をあげますね。そのときに、お客を集めるためにいろいろ使った宣伝費であるとか、それから、その晩に提供しましたすしの代金であるとか、それから……(「刑法に禁じられているものを所得なんて考えられないよ」と呼ぶ者あり)いや、それはあとから申し上げます。それから、そのときにいろいろ見張り人に要した費用というものは——私は税法の立場から言っておるのですが、ですから、それは必要経費として差し引かなければいかぬということは、これは税法計算上当然でございます。  それで、いろいろそういった不法原因による所得の収入がございますが、大きく分けますと、たとえば恐喝であるとか窃盗というようなもので得た収入がございます。それから、詐欺といったものによって得た収入もございます。それから麻薬取引とか、贈収賄ということによって得た所得がございます。この場合に、法律的に適法に所有権が移転しているかどうかということに着目して課税関係を考えるか、経済的、法律的には正確に権利が移転しなくても、経済的な現実の利益が発生しているかというところに着目して課税するか、二つの考え方があるわけでございます。  ところが、従来、国税庁としましては、昭和四十四年までは、たとえば詐欺の場合と横領の場合、それを分けております。詐欺の場合には一応適法に所有権は移転しております。したがって、これは課税所得なりと判定しておるわけです。横領の場合には、適法に所有権は移転しておりません。したがってこれは課税しなかったわけです。ところが、最近の判例、それからアメリカ等におきます課税上の最近の慣行等から考えまして、昭和四十四年からはその考え方を改めまして、法律的な利益の移転といったことの有無にかかわらず、経済的に具体的に利益の発生があれば、そこに課税することになりました。したがって、一応まずそれは課税します。課税したあとで、たとえばそれが詐欺によって取得したものでありましたならば、当然返還請求ができます。返還請求というのが出てきまして、返還いたします。あるいは警察によって逮捕されると、そういったものは没収されます。その段階においては、今度は所得は差っ引くという形になって、税金を返すというかっこうになるのです。ですから、そういった刑罰上、刑事上の罰則の問題と税金上の課税の問題は、私たちは全く別に考えております。  しかし、では、今度の暴力団対策について、なぜ国税庁は出てくるかということになりますと、それは御承知のように、第一義的には、暴力団を取り締まるというのは警察御当局の当然の所掌範囲であり、われわれとしては、暴力そのものを取り締まるために課税するということではなくて、そこに所得があって、しかも従来課税されなかった、何となくそこに対しては資料もなかなかつかみにくい、そして、相手も暴力団であるので、税務署の職員も行きにくいというようなところから、ややもすると課税漏れがあったことは、私は、遺憾ながら事実として認めなければいけない。ですから、そういった課税漏れがあるものに対して課税するというのは、われわれ国税庁職員としては当然の職務であります。このたび、たまたま警察御当局のほうでも、暴力団取締まりに重点を注がれ、しかも、その中で、資金源を断つためにはそういった収入源を徹底的に洗うのだ、そういった資料については、われわれのほうで課税しやすいように、その情報も提供する、しかもまた、そういった課税等にあたって身辺に危害が及ぶことのないように、警察のほうでもそれに対していろいろと手を講じてある、というふうに言われますと、われわれとしては、課税するということは当然やるべきことなんです。したがって、われわれの当然やるべき行政目的と警察御当局の考えている行政目的というのは、その面においては全く完全にオーバーラップして、一致しているわけです。しかも、いまの世論というのは、そういった暴力団に対しては徹底的に洗うべきである、取り締まるべきであるというのが善良な国民の世論でございます。  そういった意味において、やはり政府としては——政府と言うと非常にえらそうなことを言いますけれども、行政府当局といたしましては、それぞれの持っておる権限を総合的にフルに活用いたしまして、そういった国民の世論にこたえるということは非常に必要なことであります。そういった意味で、われわれも、税法を適用することによって一緒に警察庁御当局と協力しよう、こういうことでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 まことにもっともな御意見でございます。しかし、国民感情としては、なかなかそうはいかない問題もありますし、それでは、税の仕組みからいって、当然取るべきものをいままでなぜ取らなかったのか、ここへきて、何で急にこういうことをやらなければならないのかという議論が出てきます。  それから、現実問題として、警察当局としてもこれはたいへんなことだと思うのですがね。これは、課税申告制度の中で、昨年の所得に対して申告をしなければならない暴力バーがある。バーという一つの職業ですから、そのバーを経営していくのにはどういう形態でやったかということは、不法であれば警察が取り締まる。しかし、バーに対する税金は当然いままで納めておった。いま私が聞いておるのは、詐欺とか、強盗とか、またはノミ行為とか、すべての刑事犯について、これから得た所得に対して課税をするということ、税金を納めさせるということ自体が、われわれ庶民の側から言うと、その職業を認めるということになるんじゃないかということなんです。つまり、そういう犯罪が職業化されているような感覚になっちゃうのですね。おれは税金を納めているんだからいいんだと、肩で風を切るわけでもないだろうけれども、いまちょっとこういう唐突な問題が国民の中に出てきたので、私どもはびっくりしていましたが、こんなことは、一体内閣総理大臣も御存じなのかどうかということになる。田中さんにも一ぺん聞いてみたい問題なんですが、これは確実におやりになるのですか、どうなんですか。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 まず、暴力団に対して課税するということは、国民感情から見ておかしいじゃないかというふうな御疑問は、皆さん抱かれる一つの疑問でございます。これは、犯罪を犯して、犯罪によって得た収入に対しては、当然没収あるいは追徴ということで取り上げるということが本筋でございまして、警察の法の適用から、没収や追徴というふうなことで、不法所得の徴収をするというたてまえでやるべきでございます。  しかしながら、わが国の法制が、警察でもなかなかそこまで徹底した資料が得られませんせいもありますが、没収というのは、現場でその現物を押収していない場合には没収ができない。賭博は、従来現行犯を検挙するということでありましたので、現場にあるテラ銭を押収して没収するということが通常行なわれておりましたが、数年前から、非現行賭博についても、公判で起訴して有罪にするというような方式になってまいりましたので、そういうふうに、われわれのほうから言えば技術が進歩してまいりました。そうなりますと、非現行賭博につきまして、かつて得たテラ銭について、これは押収するということはできない。そうしますと、これを没収するということもできないというふうになりますので、警察といたしましては、非常に隔靴掻痒の感があるといいますか、何とか不法な資金を取り上げたいということで切歯扼腕してきたというふうなことが実情でございます。  ところで、四十年ころから、実際は国税庁のほうと御協力を得まして、暴力団に対する課税措置の実施を現にやってきております。たとえば四十年に五億、四十二年には九億という課税は、警察のほうと国税庁と協力して、課税措置を警察のほうが通報しておるわけでありますが、しかしながら、御存じのとおり没収、追徴についてもむずかしいが、課税等につきましても、なおむずかしい隘路がたくさんございます。そういったような状況でここ数年経過してまいりましたので、この際もう一度問題点を洗いざらい出して、そしてなお警察力の重点を向ける。課税通報するについても、資料のつくり方といったようなことについても打ち合わせするということで、国税庁の御協力、御理解を得て、何とか今回の打ち合わせを行ないました。これからやってまいろう、こういうふうな決意でございましたので、直ちにあしたから課税がどんどん進むというふうなことにつきましては、これからの努力いかんでございまして、そういうふうな路線を引いて、その方向で努力してまいりたいということで、国税庁とも意思統一している。かような実情でございますので、御理解いただきたいと思います。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 国税庁としてはどういう決意なんですか。

磯辺律男国税庁調査査察部長

○磯辺説明員 先ほど私のほうからお答え申し上げましたとおり、やはり、暴力団というものの根絶をはかることは、いまや善良な市民の世論であろうかと思っております。同時に、そういった課税漏れがあるということは、国税庁自身としても、これはそういったことのないようにつとめなければならない問題でございます。そういった意味におきまして、暴力団に対して課税の充実をはかり、また、警察庁のほうにおかれましては、それに対してどんどん刑事訴追を求めていくというふうな、それぞれの官庁の持っている権限をフルに行使しまして、総合力を発揮することによって善良な市民の期待にこたえていくというのは、国税庁としても当然のことであろうと思います。  そういった意味におきまして、私ども、いろいろな困難はあろうかと思いますし、あるいは、一番心配しておりますのは、単に資料の収集がむずかしいということだけではなくて、実際の調査に当たります。国税庁職員、それから最終的には、税金が滞納になった場合に、実際に滞納整理に当たる国税職員、こういった諸君並びにその家族の身辺の危険というものを私たちは非常に心配しておりますけれども、しかし、国税職員としては、警察庁と一緒になりましてこの困難な仕事に当たりたいというふうな決意でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 この議論は後ほどゆっくりやらしていただきますけれども、私も時間がありませんからここで詰めますけれども、いまいみじくも国税庁の立場をあかされたんですが、滞納処分になったが、おっかなくて行かれないとか、そういう中途はんぱなことに終わるんだったらやめてもらいたいですね。やるんだったら、それはちゃんと一般と同じようにやらなければ不公平になっちゃいます。やるかやらないかについては、私がどういう意見か、私自身がここで言うことは差し控えますが、警察庁の関根刑事局長さん、いま国税庁の磯辺調査査察部長さんから、国税庁の職員、家族の身辺と生命の安全に対する危惧が述べられましたが、本格的に動き出した場合、そういうことがいまの体制でできますか。そして、事故が起きた場合には、一体だれが責任をとるのですか。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 先般、国税庁と警察庁が打ち合わせをいたしました際の重要な眼目の中に、国税庁職員の身辺の保護に当たるという項目がございます。滞納処分あるいは徴収その他調査の事項について、国税庁職員の仕事のしやすいように、警察のほうでそれぞれの現場でそれぞれの担当をきめまして、具体的にそういう方策をやってまいるというふうに進めてまいりたいと思っております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 その決意を聞いて、安心してこの仕事に携わるだけの御決意ができておりますか。

磯辺律男国税庁調査査察部長

○磯辺説明員 先ほど申しましたように、私たちが一番心配しておりますのは、そういった職員並びにその家族の身辺の安全性の問題であります。しかしながら、それをいつまでも放置しておく、危険だからそれを全然手をつけないということではおさまらない世の中にだんだんなってきておりますし、それから同時に、公務員としましては、そういった国民の期待というものにこたえていかなければならぬということをわれわれは痛感しております。幸いにして、警察庁のほうにおかれましても、そういった問題についてはできるだけの万全の措置を講ずるというふうなお考えでございますので、私たちもそれで決心をして、この仕事に取り組もうということになったわけでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 男らしいごりっぱな御決意を聞きましたので、私はそれ以上のことをもう申し上げません。あとでいろいろ法律的に議論させていただきます。  次に、刑事局長さん。本来ならこれは警察庁長官にお答えいただくんでございますが、沖繩の治安状況というものは、新しく沖繩県を入れまして四十七都道府県の中で、どのようなランクをされているのですか。現在の犯罪件数その他ですね。そして、それはまた何の原因によるのかということもひとつお答えをいただきたいと思います。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 沖繩の犯罪が非常に険悪であるというふうな記事が新聞等に出ておりまして、いろいろ御懸念をされる向きが多いわけでございますが、沖繩の犯罪につきまして、沖繩のここ数年来犯罪がどうなってきたかということと、現在の沖繩県を、日本のほかの府県と比べてどういうふうに見らるべきかということ、この二点から申し述べてみたいと思います。  沖繩の刑法犯の犯罪は、昭和三十八年の一万八千三百七十四件というのがピークでございまして、それから漸次減少してまいり、昨年は一万一千二百七十八件ということで、昭和三十八年に比べればかなり減少をしてきております。凶悪犯は、昨年は三百四十三件ということで、これは後に申し述べますが、沖繩におきましては漸次減少してきておる数字でございますけれども、ほかの日本の各県に比べれば非常に多いという状況でございます。  そういう状況でございまして、沖繩だけを年次別にこの数年見てみますと、悪くなったというよりは、よくなっておるということが一応言えるわけでございますけれども、しかし、現在、わが国全体から見て、沖繩の位置づけはどうかという問題になりますと、これは非常に悪いわけでございます。昨年の一年間の犯罪は前年に比べて六百七十一件の増加で、検挙件数は千百二十五件、検挙人員は八十七人の減少ということになっておりますが、刑法犯総数で見た場合の沖繩県の犯罪発生率、これは人口一千人当たり何件というふうな出し方でいたしますと、昭和四十七年で一一・八という数字になっております。これは全国平均が一〇・一でありますので、全国平均よりは若干上回るという数字でございます。この程度で全体の犯罪がならされておるならばさほど悪いということは言えないのでございますが、凶悪犯についてこれを見てみますと、昭和四十七年における沖繩の凶悪犯の犯罪発生率、人口十万人当たり三五・九。三五・九というのは、この全国平均が一〇・一でございますので、三倍半。この近辺で数字を比較してみますと、人口四百万何がしの埼玉県で凶悪犯発生件数が四百十九件、人口百万足らずの沖繩で三百四十三件、このことをもってしてもおわかりになると思いますが、凶悪犯の発生の比率が非常に高い。この犯罪発生率は、第二位の福岡県、これが本土で一番多い県ですが、二八・一、それのさらに二倍強に相当しておるということで、凶悪犯は沖繩が非常に多いということです。粗暴犯、これは暴行、傷害、恐喝等の犯罪の総括でございますが、これは人口一万人当たりに沖繩の比率が一三・六。これも、東京が全国一で一四・八でございますが、それに次いで第二位にランクされる。窃盗につきましては、これは四十七年で九・〇ということでありますけれども、これは全国平均とたいして変わりません。  以上明らかにいたしましたように、沖繩自体の犯罪がここのところ急にふえてきたとかいうことはございませんので、過去から見れば漸減しておるとはいいながら、日本の各地と比べてみますときには、凶悪犯、粗暴犯の発生率が非常に高いというのが沖繩の現状でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 その問題について、九州管区警察局の部外者マル秘の文書が出ておりますが、その原因を書いてあるそうでございますが、九州管区警察局の部外者マル秘文書は、ここでは内容を発表していただけませんか。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 九州管区の文書そのものでございませんけれども、この原因につきまして、一応理解しておるところを申し述べてみたいと思いますが、沖繩は、御承知のとおり、約九十五万の人口のほかに、米軍が、大体の推定でございますけれども、十万人くらいおり、それを入れますと百五万。先ほどの犯罪率も、軍人を除いておりますから、多少は割り引いているかと思いますけれども、そういう人口比率に比べて、非常に米軍の軍人の多いところでございます。さらに、沖繩県の社会実態を犯罪面から見ましても、風俗営業等が非常に多い。それから、社会的に見ましても、いわゆる国の福祉補助を受けるという人たちの数が全国平均の倍くらいになっておるというふうなことでございます。売春婦が多い。それに関連して麻薬、覚せい剤が多い。そういうふうないろいろな社会環境が、言うならば、わが国の安定した各府県と非常に違うという状況。もちろん、警察はどうかということでありますが、警察の活動ももちろん影響しておると思いますけれども、そういったような諸情勢が、現在のわが国の安定した状況と非常に異なりますので、そういった環境下における一つの特色ではなかろうかというふうに判断しております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 そういたしますと、沖繩にはアメリカ軍が十万人もおる。米軍基地も二二%も全島にある。そして、一年間に発生した米軍人関係者による傷害犯では、沖繩だけで三百七十一件。これは、本土の全都道府県の合計でも二百十一件しかないことを見ても、沖繩だけでも三百七十一件ということはたいへんなことであります。こういうような凶悪犯、粗暴犯、また外人によるところの傷害犯が内地から比べて異常に高い沖繩県の事故発生というものは、その諸悪の原因がすべて米軍基地にあり、米軍関係のそういった軍事施設にいろいろと温床の点があるということを、警告を発している警察の文書だということを聞いておりますが、そのことの是非をきょうは聞いているわけではありませんが、そういう基地がすべての犯罪の温床になる。米軍がいるために売春も行なわれ、いろいろな面で諸悪の根源となっていることについて、当然基地返還問題が起きてくる。それに対する警備体制も強化しなければならない。そういうことで警察力の強化ということが当然行なわれてまいりますが、これは両刃のやいばとして私たち受けとめております。警備警察が非常に強化されるということが問題になってまいりますが、いま言ったような犯罪の取り締まり等に、警察官の力が弱いために手薄になってくるということであってはならないと思いますが、その辺の所感を刑事局長さんに聞きたいのでございます。

関根廣文警察庁刑事局長

○関根政府委員 昨年の復帰に伴います警察力の強化として、以前よりも警察官が百四十人、一般職員が百十一人増員されたということは、沖繩程度の規模の県としては相当な人員強化になったわけでございます。しかしながら、いま御指摘のように、いろいろな警備出動事案というものが非常に多い。制服の警察官のみならず、私服の警察官もそういう場合には応援をされるということで、刑事事件の多発と、それから、その仕事に当たる警察官の事務負担ということにつきましては、やはり、ほかの県と比べものにならないぐらい負担率は高いものでございます。そういう点におきまして、同じ能力でありましても、警察官の苦労が多いわりに力が弱いという批判を受けることになろうかと思います。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 時間もだいぶたちまして、いつまでも私一人の質問でとるわけにまいりませんので、これで終わらしていただきますが、最後に御要望とお願いをしておきます。  私の住んでおりますところは埼玉県でございますが、非常な人口急増地帯でございまして、警察本部長さん以下、治安、交通、すべての点に非常な御努力をいただいておりますことは感謝いたしております。しかし、警察官一人当たりの人口の範囲というものを考えてみると、本土の諸県に比べてたいへんな御苦労でございますので、この辺の点をひとつ御配慮していただきたいということであります。  それから、大型団地がたくさんできておりますが、この大型団地に派出所がないという苦情が非常に出ております。こういう点を御勘案くださいまして、ただいま私が質問いたしました沖繩県の問題とあわせて、本土の中の人口急増、過密県の警察のあり方というものについては格段の御配慮をお願いしたいのです。特に、埼玉県警では努力なさっておりますが、いまここで二、三事故が起きております。たとえて言えば、川越におけるところの脱走の事件、また、犯人を誤って逮捕したというような事件等があります。私は警察を責めるわけではございませんが、一面非常に過労になって、いろいろな面でミスが出てはたいへんでございますので、そういう点も考えられて、十分なる御配慮をお願い申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。  たいへんありがとうございました。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 次回は、明九日金曜日、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十八分散会

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